遊戯王DAG (komugi5822)
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VS真理 エレクトリックデッキとスカルデッキ

今日の既存カードはこれ!

スカル・ナイト
効果モンスター
星3/闇属性/悪魔族/攻1000/守1200
このカードを生け贄にして悪魔族モンスターを生け贄召喚した場合、
デッキから「スカル・ナイト」1体を特殊召喚する。
その後デッキをシャッフルする。

迅雷の魔王-スカル・デーモン
効果モンスター
星6/闇属性/悪魔族/攻2500/守1200
このカードのコントローラーは自分のスタンバイフェイズ毎に
500ライフポイントを払う。
このカードが相手のコントロールするカードの効果の対象になり、
その処理を行う時にサイコロを1回振る。
1・3・6が出た場合、その効果を無効にし破壊する。



 暗雲が立ち込め、空はぐるぐると渦巻いている。まるで、何か不吉なことが起こる前触れかのように。

「……雷を束ねし竜よ、稲妻を轟かせその姿を現せ! 紫電覇竜アパトを融合召喚!」

 

 

「うわああああ!」

 俺は自分の叫び声で目を覚ます。何だ、またこの夢か。

(……最近、いっつもおんなじ夢見るよなあ)

 この夢が何なのかは分からないが、間違いなく分かっているのは半分この夢が悪夢となっていることだろう。

(……っと、今の時間は)

 俺は思い出したように時計を確認する。そう、今日は絶対に遅れてはならない日なのだ。

「まだ7時か。家を出るのは8時だし、問題ねーな」

 時間に余裕があることを確認した俺は、着替えて最後のデッキ調整をすることにした。

 

 

 ここで自己紹介をしておこう。

 俺の名前は仁科遊(にしなゆう)。この春中学校を卒業予定の中学3年生だ。今日遅れてはならないと言っていた理由は単純で、今日が入試の日だからである。と言っても、普通の入試ではない。俺が受けようとしているのはDAGの試験だ。

DAGというのはDUEL AGE GEARDの略で、この組織の受験資格は中学を卒業した者だけ。特にこの単語の意味について深くは考えなかった俺がなぜこの試験を受けようと思ったかと言えば、理由はとても簡単だ。

(募集事項:デュエルができること。当日の試験には自分のデッキを持ってきてください。遊戯王の腕を見て入学を決めさせていただきます)

 このシンプルな文言を見て、俺はこのDAGの入学試験を受けようと決意したわけである。

 

 

「……さて、と。こんなところかな」

 デッキ調整も終え、きちんと自分のデッキを入れたことを確認した俺は家を出る。すると、目の前に見知った顔があった。

「おっす。あんたも今出るとこ?」

 隣の水色のツインテールの幼なじみ、志筑真理(しづきまり)が声をかけてくる。こいつもまた俺と同じDAGの試験を受けるライバルだ。と言っても、別にこいつと仲が悪いわけではない。むしろ仲良しの幼なじみなので、できるなら一緒に受かればいいな、くらいの感覚でいる。

「まーな。お前、デッキ調整は順調?」

「うーん、ちょっと最後に調整したいかな。まだ時間もあるし、ちょっと付き合ってよ」

「いいぜ。んじゃ、ちょっと待ってろよ」

 俺はデュエルディスクを取り出すと、その場で構える体制を取る。

「よし、じゃあ行くぜ」

「本気で来てよね」

『デュエル!』

真理4000vs4000遊

 

「先攻は私。スカル・マスターを攻撃表示で召喚するわ。スカル・マスターの効果により、デッキからレベル4以下の「スカル」モンスターを手札に加える」

 

スカル・マスター

闇属性/悪魔族/星4/攻1600/守1600

 

「この効果でスカル・ナイトを手札に加える。伏せカードを2枚セットしてターンエンド」

 

スカル・ナイト

星3/闇属性/悪魔族/攻1000/守1200

 

真理の場

スカル・マスター

伏せ2・手札3

 

「俺のターン、ドロー! エレクトリック・デーモンを攻撃表示で召喚するぜ」

 

エレクトリック・デーモン

星4/光属性/雷族/攻1800/守1500

 

「バトルだ。エレクトリック・デーモンでスカル・マスターを攻撃。ヘルズ・スパーク!」

「ふふふ、私の場見なかった?」

「うるせー」

 まさか破壊するカードがなかったとも言えないのでそう強がる。

「じゃあ、遠慮なくいくわね。リバースカードオープン。スカル・ガード。このカードは自分フィールドの「スカル」モンスターが攻撃対象に選択された時に発動できるカード。その攻撃を無効にするわ。その後、自分の場のモンスターを生け贄に、自分の手札からレベル5以上の「スカル」悪魔族モンスターをアドバンス召喚できるの。私は、スカル・マスターをリリースして、迅雷の魔王 スカル・デーモンをアドバンス召喚」

 

迅雷の魔王 スカル・デーモン

星6/闇属性/悪魔族/攻2500/守1200

 

 スカル・デーモン。真理のエースカードだ。こいつの効果はカードの効果の対象となった時、サイコロを振ることで運が良ければその効果を無効にできる。確かGXの世界では闇の決闘者を名乗っていたタイタンが使用していたカードだったはずだ。

 

「リバースカード1枚セット。これでターンエンドだ」

 

真理の場

手札2

迅雷の魔王 スカル・デーモン

伏せ1

 

遊の場

手札4

エレクトリック・デーモン

伏せ1

 

この状況であればこれが最善の策だろう。

 

「ドロー。スタンバイフェイズ、私はスカル・デーモンの効果により500ポイントのダメージを受けるわ。くっ」

 

真理3500 遊4000

 

「じゃ、いかせてもらうね。闇に潜みしドクロの戦士、スカル・ナイトを攻撃表示で召喚。バトル。スカル・デーモンでエレクトリック・デーモンを攻撃。怒髪天昇撃」

「ぐううっ!」

 

真理3500 遊3300

 

「さらに、スカル・ナイトでダイレクトアタック!」

「ぐはっ!」

「もう1枚カードを伏せてターンエンド。さ、遊のターンだよ」

 余裕たっぷりの表情でそう笑う真理。やっぱりこいつは強い。

(でも、俺も負けるわけにはいかねーんだよな)

 ここからだ。このピンチを切り抜けられるかどうか、そこに俺の実力がある。

 

真理3500 遊2300

 

真理の場

手札1

迅雷の魔王 スカル・デーモン スカル・ナイト

伏せ2

 

遊の場

手札4

伏せ1

 

「俺のターン、ドロー! エレクトリック・フィッシュを守備表示で特殊召喚する。こいつは自分の場にモンスターが存在しない場合に手札から特殊召喚できるんだ」

 

エレクトリック・フィッシュ

星3/光属性/雷族/攻600/守1200

 

「そしてこいつの効果は、このカードが特殊召喚に成功した時に手札かデッキから同名モンスター1体を場に呼び出す効果。来い、フィッシュコール!」

 俺の声に応じてデッキからもう1体のエレクトリック・フィッシュが現れる。

「よし、じゃあ行くぜ。現れろ、雷が導くサーキット! アローヘッド確認。召喚条件は雷族モンスター2体。俺は場の2体のエレクトリック・フィッシュをリンクマーカーにセット。サーキットコンバイン! 白き神聖なる存在がその身に雷を宿し、今幸せを振りまく。降臨せよ! エレクトリック・エンジェル!」

 

エレクトリック・エンジェル

リンク マーカー:右上・左上

リンク2/光属性/雷族/攻1500

 

「出たね。得意の雷リンク召喚」

 真理は俺の召喚したモンスターを眺める。

「こいつの効果は、リンク召喚に成功した時に発動する。俺は自分の墓地のエレクトリックモンスターの数だけ、そのライフを回復する。俺はエレクトリック・デーモンとエレクトリック・フィッシュの分、600ライフを回復するぜ。フォーチュン・サンダー!」

 

真理3500 遊2900

 

「そして、エレクトリック・エンジェルのモンスター効果を発動。墓地の「エレクトリック」モンスター1体をゲームから除外することで、このカードを素材に新たなリンクモンスターをエクストラデッキからリンク召喚扱いで特殊召喚できる! 俺は墓地のエレクトリック・フィッシュ1体をゲームから除外してこの効果を発動! スタイル・チェンジ!」

「何それ!」

 真理は驚いたような声を上げるが、こいつは単なるリンクモンスターに過ぎない。俺のエースは他にいる。

「じゃあ行くぜ。黒き邪悪なる存在がその身に雷を宿し、今災厄を巻き散らす。堕天リンク召喚。現れよ、エレクトリック・デビル!」

 

エレクトリック・デビル

リンク マーカー・左下・右下

リンク2/光属性/雷族/攻1800

 

「エレクトリック・デビルのモンスター効果発動! こいつがリンク召喚に成功した時、相手の場のモンスター1体の攻撃力を自分の墓地の「エレクトリック」モンスターの数×200ポイントダウンする。俺は迅雷の魔王 スカル・デーモンにこの効果を適用するぜ。フォーリン・サンダー!」

「なら、スカル・デーモンの効果で……」

「残念、この効果はモンスターを対象に取らない効果なんだ。だから、そいつの攻撃力は少しだけど下がるぜ。俺の墓地にはデーモン・フィッシュ・エンジェルの3体がいることにより、600ポイントの攻撃力ダウンだ」

 

迅雷の魔王 スカル・デーモン

攻撃力1900

 

「でもまだこっちの方が攻撃力は上よ?」

「分かってるよ。さらに手札から、エレクトリック・フォーンを通常召喚する。こいつは相手の場にモンスターがいない時に手札から特殊召喚できるカードだが……ま、今は関係ねーな」

 

エレクトリック・フォーン

チューナー

星2/光属性/雷族/攻500/守800

 

「こいつと墓地のエレクトリック・デーモンを除外してシンクロ召喚を行う」

「墓地のモンスターとシンクロ召喚すんの?」

「それがこいつの効果だからな。んじゃ、いくぜ。レベル2のエレクトリック・フォーンにレベル4のエレクトリック・デーモンをチューニング。不死の炎が雷を纏う時、不滅の命を呼び覚ます。シンクロ召喚! 目覚めよ、エレクトリック・フェニックス!」

 

エレクトリック・フェニックス

シンクロ

星6/光属性/雷族/攻2300/守1900

 

 こいつが俺のエースの1体、エレクトリック・フェニックス。使いやすい破壊効果と自己再生能力を兼ね備えている、俺の自慢のモンスターだ。

「エレクトリック・フェニックスの効果発動! このカードをリリースすることで、このカードの元々の攻撃力よりも攻撃力の低い相手モンスターを全て破壊する! エクレア・フラム!」

 

 その瞬間、真理のフィールドのモンスターが全て破壊される。攻撃力の下がったスカル・デーモンもまた例外ではない。

 

「バトル! エレクトリック・デビルでダイレクトアタック! ダーク・インパルス!」

「くううっ!」

 

真理1700 遊2900

 

「リバースカード1枚セット。ターンエンド」

「エンドフェイズ、スカル・プロミスを発動。このカードは自分が戦闘ダメージを受けたターンに発動できるわ。私はデッキからレベル5以上の「スカル」悪魔族モンスター、スカル・ブロッカーを守備表示で特殊召喚」

 

スカル・ブロッカー

星7/闇属性/悪魔族/攻0/守3000

 

真理の場

手札1

スカル・ブロッカー

伏せ1

 

遊の場

手札2

エレクトリック・デビル

伏せ2

 

「私のターン!」

 真理は勢いよくカードをドローする。デッキから激しい風圧が俺の方にまで来る。

「スカル・エージェントを攻撃表示で召喚!」

 

スカル・エージェント

チューナー

星1/闇属性/悪魔族/攻0/守0

 

「それじゃ、私も行くわ。レベル1のスカル・エージェントに、レベル7のスカル・ブロッカーをチューニング! 深き漆黒より冥界の王がその身を呼び起こす。シンクロ召喚! 目覚めよ、深淵の冥王 スカル・キング!」

 

深淵の冥王 スカル・キング

シンクロ

星8/闇属性/悪魔族/攻3000/守2500

 

「シンクロ召喚か……」

 深淵の冥王 スカル・キング。真理の切り札とも言えるモンスターだ。状況に応じた「スカル」魔法罠カードのサーチに加え、1ターンに1度だが、戦闘及びカードの効果で破壊されない効果を持つシンクロモンスターだ。

 

「スカル・エージェントと深淵の冥王 スカル・キングの効果を発動! その効果により、それぞれレベル5以上の「スカル」悪魔族モンスターと「スカル」魔法罠カードを手札に加える。この効果により、デッキからスカル・クイーンと魔法カード、スカル・サモンを手札に加えるわ」

 

スカル・クイーン

星7/闇属性/悪魔族/攻2500/守2000

 

「さらに、スカル・サモンを発動。自分の墓地のレベル3以下の「スカル」モンスターと同名のモンスターをデッキから特殊召喚する。私が選ぶのはスカル・ナイトよ」

 

 その声に再びスカル・ナイトがフィールドに現れる。

 

「バトル! スカル・キングでエレクトリック・デビルを攻撃! グラッジ・ダークネス!」

「ぐああっ!」

 

真理 1700 遊 1600

 

「さらにスカル・ナイトでダイレクトアタック!」

「ぐおおおっ!」

 

真理 1700 遊 600

 

「これでターンエンド。ライフ回復した分辛うじて残ったみたいだけど……ふふ、どう?」

「……ちくしょう、やっぱりお前は強いな」

 

真理の場

手札2

深淵の冥王 スカル・キング スカル・ナイト

伏せ1

 

遊の場

手札2

伏せ2

 

 だが俺は、これほどのピンチにもかかわらず、ただワクワクしていた。この状況を変えることができるカードを引けるかどうかはこの際関係ない。真理とのこの勝負を純粋に楽しむことだけを考えていた。

「俺のターン! ドロー!」

 そして俺が引いたカードは……エレクトリック・ホエール。これならいける。

「よし! 俺は墓地のエレクトリック・フィッシュとエレクトリック・エンジェルを除外することで、エレクトリック・ホエールを特殊召喚!」

 

 その瞬間、電撃をまとった巨大なクジラのモンスターが現れる。

 

エレクトリック・ホエール

特殊召喚・効果モンスター

星6/光属性/雷族/攻2300/守1500

 

「こいつが特殊召喚に成功した時、自分の手札の「エレクトリック」モンスターを墓地に送ることで、相手フィールドのモンスターを手札に戻すことができる! 俺は手札のエレクトリック・モンキーとエレクトリック・フュージョニストを墓地に送ることで、スカル・キングとスカル・ナイトを対象にこの効果を発動! タイダルウェーブ!」

 大津波が真理の場のモンスターたちを襲う。

「私のモンスターを手札に戻すことで場を空けようとしたのはさすがね。だけど、私も手札のスカル・クイーンの効果を発動! 自分フィールドの「スカル」モンスターがカードの効果の対象になった時、このカードを手札から特殊召喚できる!」

 その瞬間、真理の場にも髑髏の女王が姿を現した。場のスカル・ナイトは真理の手札に戻ったが、新たに攻撃力2500のモンスターが現れてしまった。

「ふふ、どう? この攻撃力はそのクジラでも超えられないでしょ?」

「……ああ、こいつだけならな」

 俺はニヤッと笑う。

「……どういうことよ?」

「こういうことだよ。リバースカードオープン! エレクトリック・ユニオン。その効果はデッキから「エレクトリック」モンスターを墓地に送る。だがもう1つ、このカードには墓地で発動できる効果があるんだ」

 俺は場の伏せカードを発動すると、デッキからエレクトリック・ダイノを墓地へ送った。

「こいつは墓地のこのカードを除外することで、墓地の「エレクトリック」モンスターを素材に融合召喚する効果を持つ」

「融合召喚!?」

「俺は墓地のエレクトリック・モンキーと今墓地に送ったエレクトリック・ダイノを除外融合! 今1つとなりて本来の姿を現さん。融合召喚! 現れよ、エレクトリック・マジシャン!」

 

エレクトリック・マジシャン

融合

星6/光属性/雷族/攻2100/守1700

 

 こいつがもう1体の俺のエース、エレクトリック・マジシャン。攻撃力ダウン効果とドロー効果を兼ね備えているエースモンスターだ。

「エレクトリック・マジシャンの効果発動! 墓地の「エレクトリック」モンスターを除外することで、このカードが場にある限り、相手モンスター全ての攻撃力を1枚につき200ポイントダウンする。俺は墓地のエレクトリック・デビルとエレクトリック・フェニックス、そしてエレクトリック・フュージョニストの3枚をゲームから除外する。トリック・マジック!」

 

スカル・クイーン

攻1900

 

「なっ……」

 真理は驚愕の表情を浮かべる。

「バトルだ! エレクトリック・ホエールでスカル・クイーンを攻撃! フィンズ・アタック!」

「ぐううっ!」

 クジラのひれが女王をなぎ倒し、場から退ける。

 

真理1300

 

「これでとどめだ! エレクトリック・マジシャンでダイレクトアタック! スパーク・ソーサリー!」

「いやああああっ!」

 

真理0

 

WIN 仁科遊

 

 

「……遊、昔と比べるとずいぶん強くなったよね。昔はあんなに弱かったのに」

 デュエルの後、真理はしみじみとそう呟く。

「いつの話だよ」

 そんな軽口を叩きつつ、俺は目の前の幼なじみを見つめる。

(ま、こいつのために強くなったとは死んでも言えねーよな)

 当時の俺にとっては幼なじみの彼女が全てだったわけで、真理がデュエルモンスターズを始めたのをきっかけに俺もデュエルモンスターズを始めたのは確かだ。そして、彼女の対戦相手にふさわしい強さを求めて修行しているうちに、いつの間にか俺もまたそれなりに強くなってしまっただけのことなのだが、本人にはばれたくないところだ。

「それに、このデュエルで使わなかったでしょ。エクシーズ召喚」

「別に手を抜いたんじゃねーよ。今回は出番がなかっただけさ」

 そう、今回使ったのは融合・シンクロ・リンク召喚。まだ俺のデッキにはエクシーズ召喚という隠し種が残っている。

「ホント、昔のことなんて忘れちゃいそう。あんたが傍にいたから私も頑張れたはずなんだけどさ。ま、とにかく今日の試験、お互い頑張ろ」

「そうだな。んじゃ、そろそろ行くか」

 俺たち2人はDAGの試験会場へと向かうのだった。




次回予告
いよいよDAGの試験を受けることになった遊と真理。
真理と別れた遊は、自分の番を今か今かと待つ。
しかし、その間にも次々倒されていく受験者たち。
だが遊は、試験官の使用デッキを見てある共通点に気付く。
そしてついにデュエル試験の幕が開く。
遊の相手はあのデッキだった。
次回、遊戯王DAG vsサイバー流! サイバー・ツイン・ドラゴンの猛攻!


遊:ということで、始まりました遊戯王DAG!
真理:DAGって結局何の略なの?
遊:それはまあ後々出てくるってことで……。
真理:まだ言わないんだ。あと、次回予告のネタバレ酷くない?
遊:城之内死す! みたいなもんだと思ってくれれば……。
真理:海馬散る! 無敵のトゥーンワールドとか、男の花道! 本田玉砕とかね。
遊:そんなにあったっけ? ってか、話脱線しすぎだろ!
真理:まあまあ。で、今から何やるの?
遊:俺たち2人のキャラ紹介だって。
真理:ふーん。それじゃ、まず遊からいこっか。

仁科遊
「エレクトリック」モンスターを使う中学3年生。
天性のデュエルセンスを持つ雷族使い。
何やらおかしな夢をよく見るようで秘密があるようだが……。

真理:何か都合のいい紹介だけど、これ遊が書いたんじゃないよね?
遊:作者だよ!
真理:ふーん。じゃあ次は私ね。どんな風に書かれるんだろ。

志筑真理
「スカル」モンスターを使う中学3年生。
遊の幼なじみで、よく遊んでいた。
遊がデュエルモンスターズを始めたきっかけになった人物。

真理:結構普通だったね。ってか、この紹介みたいなのって毎回するの?
遊:メインの新キャラが出るたびにするみたいだな。で、次がカード紹介のコーナーだって。
真理:今日の最強カードみたいなやつ?
遊:たぶんそうだな。それじゃ、行ってみようぜ。
今回は2枚のカードを紹介するみたいだ。

エレクトリック・マジシャン
融合・効果モンスター
「エレクトリック」モンスター×2
星6/光属性/雷族/攻2100/守1700
「エレクトリック・マジシャン」の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。(1)このカードが融合召喚に成功した場合、自分の墓地の「エレクトリック」カードを任意の枚数除外して発動できる。このカードがフィールド上に存在する限り、相手モンスターの攻撃力はこの効果で除外したカードの枚数×200ポイントダウンする。(2)除外されている自分の「エレクトリック」カード2枚を対象として発動できる。そのカードをデッキに戻し、自分はデッキからカードを1枚ドローする。

遊:1枚目のカードは俺のエースモンスター、エレクトリック・マジシャンだな。
真理:攻撃力ダウンとドロー効果が噛み合ってるのが強いね。
遊:何たってエースモンスターだからな。
真理:レベルと攻撃力はフレイムウィングマンと同じなのね。
遊:守備が少しだけ高いのも魅力的だな。

深淵の冥王 スカル・キング
シンクロ・効果
チューナー+チューナー以外の悪魔族モンスター1体以上
星8/闇属性/悪魔族/攻3000/守2500
(1)このカードがシンクロ召喚に成功した場合に発動できる。デッキから、「スカル」魔法・罠カード1枚を手札に加える。(2)このカードは1ターンに1度、戦闘及びカードの効果では破壊されない。

真理:2枚目は私のエースモンスターね。
遊:こいつやっぱり強いんだよな。破壊耐性のある大型シンクロモンスターっていうのが倒すの大変だったよ。
真理:でも気付いた? このカードって実は繋ぎみたいな効果なんだよ。
遊:まさかこいつより強いのがいるってことか?
真理:それはこれからのお楽しみということで……。
遊:えー何だよそれ気になるからデッキ見せろ!
真理:じゃ、コーナー終わってからね。それでは、本日のカード紹介のコーナーはここまで!
遊:真理:次回も一緒に、デュエルスタンバイ!


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vsサイバー流! サイバー・ツイン・ドラゴンの猛攻!

今日の既存カードはこれ!

サイバー・ドラゴン
効果モンスター
星5/光属性/機械族/攻2100/守1600
(1):相手フィールドにのみモンスターが存在する場合、
このカードは手札から特殊召喚できる。

サイバー・ツイン・ドラゴン
融合・効果モンスター
星8/光属性/機械族/攻2800/守2100
「サイバー・ドラゴン」+「サイバー・ドラゴン」
このカードの融合召喚は上記のカードでしか行えない。
(1):このカードは1度のバトルフェイズ中に2回攻撃できる。

融合
通常魔法
(1):自分の手札・フィールドから、
融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、
その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。

未来融合-フューチャー・フュージョン
永続魔法
(1):このカードの発動後1回目の自分スタンバイフェイズに発動する。
自分のエクストラデッキの融合モンスター1体をお互いに確認し、
そのモンスターによって決められた融合素材モンスターを自分のデッキから墓地へ送る。
(2):このカードの発動後2回目の自分スタンバイフェイズに発動する。
このカードの(1)の効果で確認したモンスターと
同名の融合モンスター1体をエクストラデッキから融合召喚する。
このカードがフィールドから離れた時にそのモンスターは破壊される。
そのモンスターが破壊された時にこのカードは破壊される。

リミッター解除
速攻魔法
(1):自分フィールドの全ての機械族モンスターの攻撃力は、ターン終了時まで倍になる。この効果が適用されているモンスターはこのターンのエンドフェイズに破壊される。

キメラテック・フォートレス・ドラゴン
融合・効果モンスター
星8/闇属性/機械族/攻 0/守 0
「サイバー・ドラゴン」+機械族モンスター1体以上
自分・相手フィールドの上記カードを墓地へ送った場合のみ、
エクストラデッキから特殊召喚できる(「融合」は必要としない)。
このカードは融合素材にできない。
(1):このカードの元々の攻撃力は、このカードの融合素材としたモンスターの数×1000になる。


「ここが試験会場か……」

 ドームのような会場の中にはデュエルディスクを持って自分の試験場所を確認している中学生が数多くいた。こいつら全員がライバルというわけだ。

「遊、合格しようね」

「ああ、受かってやるさ、絶対にな。お前も頑張れよ」

「うん。じゃ、また後で」

 受験番号の都合もあり、真理とは一度ここでお別れだ。受験後に落ち合うことになっている。

(さて、俺の試験場所は……)

 1つ1つの試験会場が大きいため、場所を探すのにも一苦労する。自分の指定されたブースに到着すると、そこにはやはりデュエリストたちが集っていた。おそらく数としては20人ほどだろうか。

(とにかくいつも通りやるだけだ)

 俺は呼吸を整えると、準備を始めるのだった。

 

 

 それから数十分後、多くの大人たちが俺たちのブースに入って来た。俺たち受験者の半分くらいの人数だ。その中の1人の男性が口を開いた。

「さて、それじゃ、今日の試験のやり方を説明する。ルールは簡単だ。俺たちとデュエルして勝つこと。それが合格条件だ。ただし、俺たちが使用するデッキはある特別な仕様になっている。それをどう感じるかはお前たち次第だがな」

 何がどう、という細かい話まではされなかったが、つまりデュエルして勝てばいいのだろう。分かりやすいしシンプルだ。

「よし、それじゃ、まずは受験番号61番からだ。準備しろ」

「はい!」

 受験番号61番は元気よく返事をすると、デュエルフィールドに立った。

『デュエル!』

 

 

「うわああああ!」

 受験番号61番のライフが0になる音が響く。そして、その攻撃を行ったモンスターは、ゴヨウ・ガーディアンだった。

(……なるほど)

 何が特別なのか、その意味を俺はようやく理解する。試験官が他に使用したカードは、ヘル・ツイン・コップやアサルト・ガンドッグ、手錠龍。つまり、相手のデッキはファイブディーズで牛尾が使用していたセキュリティデッキということになる。

 他の場所でもブラック・レイ・ランサーやギルフォード・ザ・ライトニングが現れている辺り、どうやらこの試験はアニメキャラが使用するデッキに勝つことができるか、ということを見ているようだ。

「うわあああ!」

 などと考えていると、目の前で超重武者ビッグベン―Kに倒される受験者の姿が見える。

「次、受験番号73番!」

(……いつの間に俺の番か)

「はい」

 俺は返事をすると、試験官の前に立った。

「準備が良ければ試験を始めるぞ」

「大丈夫ですよ」

 俺はデュエルディスクを起動させる。

「では、これより試験を始める」

『デュエル!』

 そして、試験が始まった。

 

 

「先行は俺だ。エレクトリック・タイガーを攻撃表示で召喚」

 俺の場に雷の力を持つトラが召喚される。

 

エレクトリック・タイガー

チューナー

星4/光属性/雷族/攻1600/守1000

 

「さらに、手札から装備魔法、エレクトリック・ブレードを発動。その効果により、エレクトリック・タイガーの攻撃力は、そのレベル×100ポイントアップする」

トラが仁王立ちという化け猫でも乗り移ったかのようなポーズになる。

 

エレクトリック・タイガー

攻撃力2000

 

「そしてエレクトリック・タイガーの効果発動。こいつに装備カードが装備された時、デッキからレベル4以下の「エレクトリック」モンスターを効果を無効にして攻守0で特殊召喚する。来い、エレクトリック・フォックス!」

 

エレクトリック・フォックス

星2/光属性/雷族/攻500/守200

 

「俺はレベル4のエレクトリック・タイガーに、レベル2のエレクトリック・フォックスをチューニング。不死の炎が雷を纏うとき、不滅の命を呼び覚ます。シンクロ召喚! 目覚めよ、エレクトリック・フェニックス!」

 

エレクトリック・フェニックス

シンクロ

星6/光属性/雷族/攻2300/守1900

 

「俺はリバースカードを2枚伏せてターンエンド」

 

遊 4000

手札1

エレクトリック・フェニックス

伏せ2

 

「では俺のターンドロー。俺は手札から魔法カード、融合を発動。その効果により、手札のサイバー・ドラゴン2体を融合する」

「サイバー・ドラゴン!?」

 サイバー・ドラゴン2体で呼び出されるモンスターと言えば、あのモンスターしかいない。どうやら俺は最悪な相手に当たってしまったらしい。

「融合召喚! サイバー・ツイン・ドラゴン!」

 俺の予想通り、双頭の機械龍がその姿を現した。

 

サイバー・ツイン・ドラゴン

融合

星8/光属性/機械族/攻2800/守2100

 

「さらに手札から永続魔法カード、未来融合―フューチャー・フュージョンを発動」

 

(まさか、2ターン目にはサイバー・ダークまで出てくるのか……?)

 もっとも、それ以上に俺のライフが残っているかどうかの方が心配だ。サイバー・ツイン・ドラゴンの効果は2回攻撃。このまま手をこまねいているだけではおそらく耐え切れないだろう。と考えるとあまり様子見せず、さっさと倒してしまった方が良さそうだ。

 

「バトル。サイバー・ツイン・ドラゴンでエレクトリック・フェニックスを攻撃! エボリューション・ツイン・バースト!」

「速攻魔法、轟く稲妻(エレクトリック・メガサウンド)を発動! これは自分の「エレクトリック」モンスターが戦闘を行う攻撃宣言時に発動できるカード。サイバー・ツイン・ドラゴンを破壊させてもらう!」

「いい全力だ。だがその手は読んでいる。速攻魔法、融合解除を発動。フィールドのサイバー・ツイン・ドラゴンをエクストラデッキに戻し、サイバー・ドラゴン2体を墓地から特殊召喚する」

 

サイバー・ドラゴン

星5/光属性/機械族/攻2100/守1600

 

 あくまで淡々と、それでいて相手をリスペクトしながら全力を出していくデッキ。このデッキは間違いなく丸藤亮のデッキだ。

「バトル続行。サイバー・ドラゴンでエレクトリック・フェニックスを攻撃!」

「何!? サイバー・ドラゴンの攻撃力はエレクトリック・フェニックスより下のはず……」

「ああ。だからこそこのカード、リミッター解除を使わせてもらう」

「おいマジかよ!」

 リミッター解除。機械族モンスターの攻撃力を2倍にするカードだ。この直撃が通ると俺のライフは一気に0になってしまう。

「エボリューション・バースト!」

「ぐああっ!」

 エレクトリック・フェニックスがこうもあっさりとやられるとは思っていなかった。しかも手痛いダメージ付きだ。

 

試験官4000 遊2100

 

「とどめだ。もう1体のサイバー・ドラゴンで攻撃。エボリューション・バースト!」

「くそっ、仕方ねえ。手札のエレクトリック・ガードナーの効果を発動! 相手モンスターの直接攻撃宣言時、このカードを手札から特殊召喚することで、ダメージ計算をこのカードに移し替える! そして、このカードはこのターン、戦闘では破壊されない!」

 

エレクトリック・ガードナー

星4/光属性/雷族/攻0/守1800

 

「防いだか。さすがだな。では、フィールドの2体のサイバー・ドラゴンをリリース。キメラテック・フォートレス・ドラゴンを融合召喚!」

「ここでキメラテック・フォートレス・ドラゴンかよ……」

 俺のデッキに機械族はいないし、このままサイバー・ドラゴンを置きっぱなしにしてしまったのでは、リミッター解除の効果でサイバー・ドラゴンは破壊されてしまう。これはおそらく最善手だろう。

(まあ、普通のデッキならここでサイバー・ドラゴン・ノヴァが出てくるんだろうけど、今回はこれ以上のカードはたぶん出てこないんだろう)

 俺はそう考える。今まで見てきた他の試験官のデュエルでも、アニメキャラが使用していないカードは一度も召喚されていないからだ。

「俺はターンエンドだ。さあ、お前の全力を見せてみろ」

 ニヤッと笑う試験官に俺はある種の不気味さを感じていた。

(所詮はアニメキャラのデッキコピー、本人以上に回すことなんてできないし、今のこの状態だと防御札すらない。この状況で俺が負けるとは思えないんだが、何でこの試験官はこんなに自信満々なんだ?)

 とはいえ、そんなことを思っていても仕方ない。ひとまず俺のターンだ。

 

試験官 4000

手札0

キメラテック・フォートレス・ドラゴン

未来融合

 

遊 2100

手札0

エレクトリック・ガードナー

伏せ1

 

「俺のターン、ドロー! スタンバイフェイズにエレクトリック・フェニックスの効果を発動! このカードが破壊された場合、次の自分のスタンバイフェイズ、このカードを墓地から特殊召喚する! リボーン・ライフ!」

 雷の不死鳥が再びフィールドに舞い戻る。

「その後俺は、手札のカード1枚を墓地へ送る。俺は手札のエレクトリック・ラビットを墓地へ送る。墓地に送られたエレクトリック・ラビットの効果で、俺はデッキから「エレクトリック」カード1枚を手札に加えることができる! 俺はエレクトリック・クラブを手札に加える」

 俺の手札には雷の蟹が加わる。

 

エレクトリック・クラブ

星4/光属性/雷族/攻1000/守2000

 

「エレクトリック・クラブは自分フィールドのモンスターが「エレクトリック」モンスターのみの場合、特殊召喚できる。このカードが特殊召喚に成功した時、フィールドのモンスターの攻撃力はすべて500下がる」

 

エレクトリック・クラブ 攻500

エレクトリック・フェニックス 攻1800

キメラテック・フォートレス・ドラゴン 攻1500

 

「さらに、墓地のエレクトリック・フォックスの効果発動! 自分の手札が0枚の時、このカードと「エレクトリック」モンスターを除外することで、デッキからカードを2枚ドローする! 俺は墓地のタイガーとフォックスを除外する! 狐の恩返し!」

 俺の手に2枚のカードが加わった。

 

「手札のエレクトリック・ゴートの効果発動! このカードを墓地へ送り、デッキから融合を手札に加える。そして手札からエレクトリック・ジュラフを召喚。その効果により、自分の墓地のレベル3以下の「エレクトリック」モンスターを特殊召喚できる。俺はエレクトリック・ラビットを特殊召喚」

 

エレクトリック・ジュラフ

チューナー

星3/光属性/雷族/攻700/守400

 

エレクトリック・ラビット

星3/光属性/雷族/攻800/守1200

 

「それじゃ、まずはこいつからだ。現れろ、雷が導くサーキット! アローヘッド確認。召喚条件は雷族モンスター2体。俺は場のジュラフとラビットをリンクマーカーにセット。サーキットコンバイン! 黒き邪悪なる存在がその身に雷を宿し、今災厄を巻き散らす。リンク召喚。現れよ、エレクトリック・デビル!」

 

エレクトリック・デビル

リンク マーカー・左下・右下

リンク2/光属性/雷族/攻1800

 

「エレクトリック・デビルのモンスター効果発動! こいつがリンク召喚に成功した時、相手の場のモンスター1体の攻撃力を自分の墓地の「エレクトリック」モンスターの数×200ポイントダウンする。俺の墓地のモンスターは3体。よって攻撃力は600ダウンするぜ!」

 

キメラテック・フォートレス・ドラゴン 900

 

「続いて、エレクトリック・クラブとエレクトリック・ガードナーでオーバーレイ・ネットワークを構築! モンスターをエクシーズ召喚!雷を極めし達人が、眼前の敵を打ち倒す! 対峙せよ、エレクトリック・マスター!」

 

エレクトリック・マスター

エクシーズ

ランク4/光属性/雷族/攻2000/守2000

 

「そしてエレクトリック・フェニックスの効果を発動! このカードをリリースすることで、このカードより攻撃力の低い相手モンスターを全て破壊する。エクレア・フラム!」

 

 融合した機械の竜がショートを起こし、場から消し飛んだ。これで相手の場はがら空きだ。

 

「これで最後だ。墓地のエレクトリック・ブレードをゲームから除外することで、このターン、自分のエレクトリックモンスター全ての攻撃力を500アップする!」

 

エレクトリック・デビル 2300

エレクトリック・マスター 2500

 

「バトル! エレクトリック・マスターの攻撃! コネクティング・サンダー!」

「ぐっ!」

 

試験官 1500

 

「とどめだ! エレクトリック・デビルの攻撃! ダーク・インパルス!」

「ぐあああああ!」

 

試験官 0

 

Win 仁科遊

 

「以上で試験は終了だ。通知は後日実家に送るから、それまで待つように」

「はい」

 どうやらこの試験、勝っても即合格というわけではないらしい。とりあえず俺は真理を待つことにした。

(あいつもこんな感じのデュエルやってんのかな)

 

 

 その頃真理は、

(さすがに強いねトゥーン使いは。創始者のペガサス会長のデッキとは光栄だけど)

目の前のトゥーン・ブラックマジシャン・ガールの直接攻撃を受け、ライフが2000にまで減ったところだった。

「まあ負けるわけにもいかないし、ちょちょっと本気出させてもらうわよ」

 真理はそう言って不敵な笑みを浮かべた。




次回予告
遊が試験官とのデュエルに勝利した頃、真理は少しだけ不安になっていた。
そんな時、同じように試験を受けた少年が真理に話しかけてきた。
いったい彼は何者なのか。
そしていよいよ始まる真理の入学試験。
彼女が戦うことになったのはデュエルモンスターズの創始者のあのデッキだった。
次回、遊戯王DAG vsトゥーン 真理危うし! ダイレクトアタックの脅威!


遊:ということで、第2話でした!
真理:遊って結構辛辣なこと考えてるね?
遊:あ、あの試験官に対して? だってあんな布陣でターンエンドなんてしたら今の環境なら1ターンで死んじゃうって。
真理:そりゃそうか。ところで何か次回私結構ピンチっぽいけど大丈夫?
遊:それは次回を見てのお楽しみということで……。
真理:うーん気になるなあ。
遊:それじゃ、今回はキャラ紹介のコーナーもないから、早速行ってみよう今日のカード紹介のコーナー!
真理:おー(パチパチパチパチ)

エレクトリック・フェニックス
シンクロ・効果モンスター
「エレクトリック」チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
星6/光属性/雷族/攻2300/守1900
(1)このカードが破壊された場合、次の自分のスタンバイフェイズに発動できる。このカードを特殊召喚する。その後、自分の手札を1枚墓地へ送る。(2)このカードをリリースすることで発動できる。このカードの攻撃力よりも元々の攻撃力が低いモンスターを全て破壊する。

遊:1枚目のカードは俺の2体目のエースモンスター、エレクトリック・フェニックスだな。
真理:このカードって破壊されれば何回も戻ってくるんだね。
遊:手札がないと戻ってこられないんだけどな。ネフティスの鳳凰神みたいなもんだと思ってもらえると分かりやすいかも。
真理:なるほどね。あ、攻撃力はジャンク・ウォリアーと同じなのね。
遊:ああ。2300って絶妙な数値だなって思うよ。
真理:でも、私気になったんだけど、このカードって除去効果を発動すると帰ってこられないんだね。
遊:まあ、そこについてはお楽しみということで。

エレクトリック・デビル
リンク・効果モンスター
「エレクトリック」モンスター×2
リンク2/右上・左上/光属性/雷族/攻1800
(1)このカードがリンク召喚に成功した場合に発動できる。フィールドのモンスター1体を選び、そのモンスターの攻撃力をエンドフェイズまで自分の墓地の「エレクトリック」モンスターの数×200ダウンする。(2)墓地の「エレクトリック」モンスター1体をゲームから除外して発動できる。このカードを墓地へ送り、エクストラデッキから「エレクトリック・エンジェル」をリンク召喚扱いで特殊召喚する。この効果は相手ターンでも発動できる。

遊:2枚目は前回のデュエルでも出てきたエレクトリック・デビルだ。堕天リンク召喚が持ち味のモンスターだな。
真理:あ、このカードエレクトリック・エンジェルにもなれるんだね。
遊:そっちの効果を使うことは少ないけどな。
真理:ちなみになる時って何て言うの?
遊:昇天リンク召喚!だな。
真理:へー。そういえば1つ気になってたんだけど、今回エクシーズモンスターは出てきたけど、主役級の活躍はしなかったね。
遊:あー、実は俺のデッキってエクシーズが出しにくいんだよ。レベルがばらばらだからさ。出せないわけではないけど、みたいな感じ。
真理:そうなんだ。それなら納得だね。カード紹介のコーナーで紹介される日を楽しみに待つしかないか。
遊:ということで、今回はここまで!
遊:真理:次回も一緒に、デュエルスタンバイ!


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vsトゥーン 真理危うし! ダイレクトアタックの脅威!

今日の既存カードはこれ!

トゥーン・キングダム
フィールド魔法
(1):このカードの発動時の効果処理として、
自分のデッキの上からカード3枚を裏側表示で除外する。
(2):このカードのカード名は、
フィールドゾーンに存在する限り「トゥーン・ワールド」として扱う。
(3):このカードがフィールドゾーンに存在する限り、
自分フィールドのトゥーンモンスターは相手の効果の対象にならない。
(4):自分フィールドのトゥーンモンスターが戦闘・効果で破壊される場合、
代わりに破壊されるモンスター1体につき1枚、
自分のデッキの上からカードを裏側表示で除外できる。

トゥーン・マーメイド
特殊召喚・トゥーン・効果モンスター
星4/水属性/水族/攻1400/守1500
このカードは通常召喚できない。
自分フィールドに「トゥーン・ワールド」が存在する場合に特殊召喚できる。
(1):このカードは特殊召喚したターンには攻撃できない。
(2):このカードは500LPを払わなければ攻撃宣言できない。
(3):相手フィールドにトゥーンモンスターが存在しない場合、
このカードは直接攻撃できる。
存在する場合、トゥーンモンスターを攻撃対象にしなければならない。
(4):フィールドの「トゥーン・ワールド」が破壊された時にこのカードは破壊される。

トゥーン・ブラック・マジシャン・ガール
特殊召喚・トゥーン・効果モンスター
星6/闇属性/魔法使い族/攻2000/守1700
このカードは通常召喚できない。
自分フィールドに「トゥーン・ワールド」が存在し、
自分フィールドのモンスター1体をリリースした場合に特殊召喚できる。
(1):このカードの攻撃力は、お互いの墓地の
「ブラック・マジシャン」「マジシャン・オブ・ブラックカオス」の数×300アップする。
(2):相手フィールドにトゥーンモンスターが存在しない場合、
このカードは直接攻撃できる。
存在する場合、トゥーンモンスターを攻撃対象にしなければならない。
(3):フィールドの「トゥーン・ワールド」が破壊された時にこのカードは破壊される。

トゥーン・ロールバック
通常魔法
(1):自分フィールドのトゥーンモンスター1体を対象として発動できる。
このターン、そのモンスターは1度のバトルフェイズ中に2回攻撃できる。

トゥーンのかばん
通常罠
(1):自分フィールドにトゥーンモンスターが存在し、
相手がモンスターを召喚・反転召喚・特殊召喚した時に発動できる。
そのモンスターを持ち主のデッキに戻す


 遊が試験官とのデュエルを始めた頃、志筑真理は一人ボーっと受験生のデュエルを眺めていた。

(……何だろ、遊と離れただけでこんなに心細くなるものなのかな)

 確かに遊はいつも自分の傍にいてくれていた。このDAGの試験だって、遊が受けると聞いたから受けたようなものだ。真理が受けることを知った時の遊はただ嬉しそうに、

「一緒に頑張ろうぜ」

と声をかけてくれただけだった。

(ホント、いつの間にか抜かされちゃったな)

 昔はあんなに守ってあげないといけないくらいに頼りなかったあいつが、今ではとても大きな存在に見える。自分は今でもそんなあいつに必要とされているのだろうか。

「あの、すみません」

 そんなことを考えていると、横から声をかけられた。どうやら男性の受験生のようだ。

「えっ、何ですか?」

「いえ、何だか難しい考え事をされてるようだったので、今は目の前の試験に集中した方がいいんじゃないかと思いまして。余計なお世話かとは思ったんですけど」

 言われてみると、いつの間にか自分の受験番号が次まで近づいていた。

「そうですね、ありがとうございます。まずは目の前のことですよね」

 何を思い悩んでいたのだろう。今はまず遊と同じスタート地点に立たないことには話にならないではないか。

(そうだ、朝だってせっかくデッキ調整に付き合ってもらったんだし、まずは勝たないと)

「あの、ありがとうございます」

「いえいえ、もう僕の試験は終わったので、あとは他の方の合格を祈るだけですから」

 ニコニコと笑顔で応対する男性。

「もう終わったんですか? 勝ちました?」

「ええ、お恥ずかしながら……。でも、なかなか強かったですよ」

 どうやらこの男性は試験官とのデュエルに勝利したらしい。アニメキャラの使用したデッキに勝利するというのはなかなか難しいはずだが……。

「次、受験番号36番」

 だが、それ以上質問しようとしたところ、真理の名前が呼ばれてしまう。

「行ってらっしゃい。頑張ってくださいね」

「あの、あなたの名前は……」

 聞こうとしたとき、彼は首を横に振る。

「合格すれば、また会えますよ」

「は、はい」

 その彼の有無を言わさぬ態度に、真理はそれ以上質問することができなかった。

 

 

「では、試験を始める。先攻はお前からでいい」

 試験官は淡々と真理に対して話を進める。

(さっきの人は気になるけど……、まずはこのデュエルに勝たないとね)

 話によれば、このデュエルはアニメキャラが使用したカードのみを扱ったデッキのはず。つまり、例えばファーニマルが魔玩具補綴(デストーイ・パッチワーク)を使ってくることはないということになる。逆に言えば、使用さえしていればどんなカードでも使用してくるということだ。例えばLL(リリカル・ルスキニア)であれば、アセンブリー・ナイチンゲールで素材5体のダイレクトアタックなどということも可能になってくる。

(どのデッキに当たるかで運命が大きく変わるわね)

 真理はデュエルディスクを構えた。

『デュエル!』

 

 

真理4000 試験官4000

 

「私のターン。私はスカル・ナイトを攻撃表示で召喚」

 

スカル・ナイト

星3/闇属性/悪魔族/攻1000/守1200

 

「カードを1枚伏せて、ターンエンド」

 この伏せカードは遊とのデュエルでも使用したスカル・ガードだ。つまり、相手がどんなモンスターで来ても手札のエースモンスター、迅雷の魔王 スカル・デーモンがアドバンス召喚できる最良の布陣ということになる。だが、そんな彼女の思惑は、試験官の一言によって藻屑と消えることになる。

 

「俺のターン。ドロー。俺は手札からトゥーン・キングダムを発動。発動時にデッキのカード3枚を裏向きで除外する」

 

(トゥーン!? ってことはこのデッキは……)

 こんな特徴的なデッキを使用するアニメキャラは1人しかいない。デュエルモンスターズの創始者にしてゲームデザイナー、ペガサス・J・クロフォードのデッキだ。

(結構厄介なデッキね)

 彼女のデッキには直接攻撃に対する対抗策は少ない。勝負は短期決戦だ。

 

「さらに手札からトゥーン・マーメイドを特殊召喚する」

 

トゥーン・マーメイド

星4/水属性/水族/攻1400/守1500

 

「さらにこのトゥーン・マーメイドをリリースし、トゥーン・ブラック・マジシャン・ガールを特殊召喚する」

 

トゥーン・ブラック・マジシャン・ガール

星6/闇属性/魔法使い族/攻2000/守1700

 

(嘘でしょ!?)

トゥーン・ブラック・マジシャン・ガールは、トゥーンの中で唯一召喚したターンに攻撃できるカードだ。このカードで直接攻撃されると大きなダメージになるのは間違いない。だが、真理はここで大きな思い違いをしていたことを知る。試験官は最初から彼女をワンターンキルするつもりだったのだ。というのも、試験官がこう続けたからだ。

 

「魔法カード、トゥーン・ロールバックを発動。このターン、場のトゥーンモンスター1体は2回の攻撃が可能となる。俺は当然トゥーン・ブラック・マジシャン・ガールを選択する」

 

(ちょっと待ってよ!)

 さすがにこれではどうしようもない。このままだと合計4000のダイレクトアタックを食らって真理の負けだ。

 

「バトル。トゥーン・ブラック・マジシャン・ガールの攻撃。ブラック・バーニング」

「くううっ!」

 

真理2000

 

「とどめだ。もう一度ブラック・バーニング」

「手札のスカル・ブロッカーの効果を発動! このカードを手札から特殊召喚し、攻撃対象をこのカードに移し替える!」

 骨の盾を模したようなモンスターが真理の前に現れ、その攻撃を防いだ。

 

スカル・ブロッカー

星7/闇属性/悪魔族/攻0/守3000

 

「ちっ」

 試験官のライフが削られる。

 

試験官3000

 

「相手がダメージを受けたことにより、スカル・ブロッカーの効果を発動。このカードが戦闘で相手にダメージを与えた時、デッキから「スカル」モンスターを手札に加えることができる。私はスカル・グライダーを手札に加えるわ」

「俺はリバースカードを1枚セット、このままターンエンドだ」

 

試験官 LP3000

手札1

トゥーン・キングダム トゥーン・ブラック・マジシャン・ガール

伏せ1

 

真理 LP2000

手札3

スカル・ナイト スカル・ブロッカー

伏せ1

 

「私のターン、ドロー!」

 勢いよくディスクからカードを引き抜く真理。

(さすがに強いねトゥーン使いは。創始者のペガサス会長のデッキとは光栄だけど)

 真理はここまでダメージを受けてにやりと笑う。

「まあ負けるわけにもいかないし、ちょちょっと本気出させてもらうわよ」

 真理は不敵な笑みを浮かべると、メインフェイズをスタートさせた。

 

「私は、フィールドのスカル・ナイトをリリースして、迅雷の魔王 スカル・デーモンをアドバンス召喚。さらに、墓地のスカル・ナイトの効果を発動。このカードがアドバンス召喚のためにリリースされた時、スカル・ナイトをデッキから特殊召喚できる」

 

迅雷の魔王 スカル・デーモン

星6/闇属性/悪魔族/攻2500/守1200

 

 そして、2体目のスカル・ナイトがデッキから特殊召喚されようとする。

「待った。罠カード、トゥーンのかばんを発動。スカル・デーモンにはデッキに帰ってもらう」

(やっぱり対策カードを伏せてたわね……)

 これにはスカル・デーモンの対象を取る効果も意味がない。スカル・デーモンはデッキに帰っていった。

(でも、逆に言うならこれでこっちの勝ちは決まった。あとは展開するだけ)

 もう何をするかは決まっている。あとは手順を間違えないようにするだけだ。

 

「さらに、手札のスカル・クイーンを墓地へ送り、手札のスカル・グライダーを特殊召喚。スカル・グライダーが特殊召喚に成功した時、デッキからレベル5以上の「スカル」モンスターを手札に加えることができる。私はスカル・ナイトライダーを手札に加える」

 

スカル・グライダー

星4/闇属性/悪魔族/攻800/守1400

 

スカル・ナイトライダー

星5/闇属性/悪魔族/攻1800/守1500

 

「そして、「スカル」モンスターの特殊召喚に2回以上成功したターン、手札からスカル・エージェントを特殊召喚できる」

 

スカル・エージェント

チューナー

星1/闇属性/悪魔族/攻0/守0

 

「私はレベル1のスカル・エージェントにレベル4のスカル・グライダーとレベル3のスカル・ナイトをチューニング。深き漆黒より冥界の王がその身を呼び起こす。シンクロ召喚、目覚めよ、深淵の冥王 スカル・キング!」

 

深淵の冥王 スカル・キング

シンクロ

星8/闇属性/悪魔族/攻3000/守2500

 

「私はスカル・キングとスカル・エージェントの効果をそれぞれ発動! スカル・キングはシンクロ召喚に成功した時にデッキから「スカル」魔法罠カードを、スカル・エージェントはシンクロ召喚の素材として墓地に送られた時に、デッキからレベル5以上の「スカル」悪魔族モンスターを手札に加えることができる。私はその効果により、デッキからスカル・スケルトンとスカル・アマゾンをそれぞれ手札に加える」

 

スカル・アマゾン

星6/闇属性/悪魔族/攻2000/守1200

 

「そして手札から今加えた魔法カード、スカル・スケルトンを発動。このカードは、自分フィールドのスカル・モンスター1体を対象として発動できる。選択したカードは相手プレイヤーに直接攻撃できるわ」

「何だと!?」

 直接攻撃に対抗するなら直接攻撃が手っ取り早いということだ。何もわざわざトゥーン・キングダムの効果を使わせてやる必要もない。

「バトル! スカル・キングでプレイヤーにダイレクトアタック。グラッジ・ダークネス」

 片手を相手に向けたスカル・キングの闇に飲み込まれていく試験官。

「ぐわああああ!」

 

試験官0

 

WIN 志筑真理

 

「見事なデュエルタクティクスだった。今年は豊作が多そうで何よりだ。合格通知は直接自宅に送られることになっているから、それまで待つように」

「待ってください。豊作ってことは、他にも強いデュエリストがいたんですか?」

 その試験管の言葉に疑問を持つ真理。

「ああ。なかなか面白いデッキを使う子がいたんだ。ま、そのうちお前たちも会うことになるだろう。とりあえず、今話せることはこのくらいだな」

「分かりました」

 少し釈然としない気持ちを抱えたまま、真理は試験会場を後にするのだった。

 

 

「強い奴、ねえ」

 試験会場を出てから真理と合流した俺は、真理から試験官の話を聞いて開口一番興味もなさそうにそう答えた。

「気にならない?」

「ま、ライバルになるかもしれねーんだし、確かに気になるけどさ。まずはこの試験に合格できるかどうかって話なわけだろ?」

「それはそうなんだけど……」

 俺の言うことがもっともだったのか、真理はそれ以上話を進めなかった。

「でも、今の話を聞く限りでは真理も俺も合格っぽいし、そんなに気にする必要はねーのかもな」

 この分だとそもそも試験官に勝利できた人数はあまり多くはないことになる。つまり、勝利してさえいれば合格はほぼ確定事項ということなのだろう。

「ま、いいや。とりあえず帰ってデッキ調整でもしようぜ」

「……そうするか。悩んだ時には相棒が答えてくれるもんよね」

 真理はそう言いながら、試験前に話しかけてくれた優しい受験生の顔を思い浮かべるのだった。

 




次回予告
入学試験デュエルには勝利した遊と真理。
しかし、なぜか遊は補欠合格、真理はAクラスでの合格だった。
理由の分からない遊は不満そうに登校するが……。
そこでは試験官を務めていた郡司が、遊の補欠合格の理由を説明する。
さらに、デュエル相手に遊を直々に指名するのだった。
次回、遊戯王DAG vs郡司順平(前編) 咲き乱れる幻の霧の花!

遊:ということで、第3話でした!
真理:私結構活躍したのかな?
遊:単独デュエル回があるのは相当恵まれてると思うよ!
真理:それもそうか。ところで遊まだ合格してなかったの?
遊:何かそうっぽいな。理由がまだ明かされてないのも気になるところだけど。
真理:それじゃ、今回もキャラ紹介のコーナーがないらしいから、カード紹介のコーナー行っとく?
遊:そうするかあ。

スカル・エージェント
チューナー・効果モンスター
星1/闇属性/悪魔族/攻0/守0
このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1)「スカル」モンスターの特殊召喚に2回以上成功したターン、このカードは手札から特殊召喚できる。(2)このカードがシンクロ素材として墓地に送られた場合に発動できる。自分のデッキからレベル5以上の「スカル」モンスターを手札に加える。

遊:まずは真理のよく愛用してるチューナーだな。
真理:この子、結構使いやすいんだ。たぶん私がするデュエルのほとんどで出てくると思う。
遊:じゃあこいつを使わなければ真理の偽物ってことか?
真理:そこまでは言わないけど、キーカードくらいのポジションではあるかもね。

スカル・ブロッカー
星7/闇属性/悪魔族/攻0/守3000
(1)相手モンスターの直接攻撃宣言時に発動できる。手札のこのカードを特殊召喚し、ダメージ計算をこのカードに移し替えてバトルを行う。(2)相手モンスターの攻撃宣言時に発動できる。ダメージ計算をこのカードに移し替えてバトルを行う。(3)このカードが相手に戦闘ダメージを与えた場合に発動できる。デッキから「スカル」モンスター1体を手札に加える。

遊:2枚目はダイレクトアタックを封じるスカル・ブロッカーだな。なあ、こいつ何でこんな守備力高いの?
真理:確かにレベル7にしては破格の数値だね。
遊:千年の盾とか迷宮壁―ラビリンス・ウォールとか例外はいるけど、って感じだな
真理:オリカのある程度の指標にはなってくれるかもね。
遊:ということで、今回はここまで!
遊:真理:次回も一緒に、デュエルスタンバイ!


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vs郡司順平(前編) 咲き乱れる幻の霧の花

今日の既存カードはこれ!

リビングデッドの呼び声
永続罠
(1):自分の墓地のモンスター1体を対象としてこのカードを発動できる。
そのモンスターを攻撃表示で特殊召喚する。
このカードがフィールドから離れた時にそのモンスターは破壊される。
そのモンスターが破壊された時にこのカードは破壊される。


「さて、合格発表か……。いよいよこの時がやって来たぜ」

 俺は目の前の書類を開ける。だが、そこには俺の予想外の文字があった。

「補欠合格だぁ!?」

 

 

 それから数週間後、

「えっ、遊デュエル勝ったんじゃなかったの?」

「だから納得いってねーんだよ。何で俺だけ補欠合格なんだ?」

俺と真理はDAGの入学式に出るため、一緒に集合場所の体育館へと向かっていた。結局辞退者が出たのか、その後俺も合格扱いとはなったのだが、デュエルに勝利したのにこの扱いはなかなかに納得いかないものがある。

「まあ、結局またこうして一緒に行けるんだしいいじゃない」

「……そう言われるとなあ」

 確かにそれ以上言い返せない部分はある。最終的に合格はできたのだから、十分と言えば十分な結果だ。

「ところで、今日何やるんだろうね。デュエルディスクとデッキを持って来いって言うくらいなんだからたぶんデュエルするんだろうけど……」

「初日からデュエルっていうのが、本当にデュエルに全てを懸けてるって感じするよな。結局何やるところなんだか分からずじまいだけどさ」

 その時の俺はまだ、これからどんな大変なことが待ち受けているのか、まだ想像もしていなかった。

 

 

「さて、9名全員揃ったな」

 合格者は9名、俺と真理の他に7名が合格したことになる。真理はその中の一人の顔を見つけ、驚いたような顔をする。

「あっ、あの時の……」

「あ、あなたも合格したんですね」

 男性は軽く会釈する。

「おい、あいつ誰だ?」

 俺は横からそっと真理に聞く。

「私も知らない。ただ、試験の時に助けてもらったの」

「ふーん」

 そうこうしているうちに、俺たちの目の前で人数確認を終えた教師が説明を始めた。

「さて、お前たちはある適性を認められてこの場に集められている。それは、ワンターンキルへの対応力だ」

(ワンターンキルへの対応力……?)

 確かに思い返してみると、俺はサイバー・ドラゴンのリミッター解除で殺されかけているし、真理もトゥーン・ブラック・マジシャン・ガールの直接攻撃で危うくやられそうになったという話を聞いた。

「もちろんデュエリストたるものワンターンキルには備えねばならないが、そこから瞬時に反撃し、逆に相手を返り討ちできるくらいのドロー力を持たない者はこのDAGには必要ない。そういった理由で今回の合格者は選ばれている」

 だが、とそこで教師は一呼吸置いた。

「仁科遊、君だけは最初のドロー力と直接関係なしに私たちのデッキに勝利している。そこで、君が補欠合格になっていたというわけだ」

 確かに俺のドローはエレクトリック・ラビット。フェニックスの効果で捨ててしまうことを考えると直接デュエルの勝敗に関係したとは言えないだろう。破壊されることまでを戦術に織り込んでいたとしても、あまりに不安定すぎる。

「待ってください。でも遊は合格になったから今この場にいるんですよね?」

 真理が聞く。

「いや、合格かどうかは今からデュエルをして決めさせてもらう。今回は君の実力を見させてもらうから、全力で来い」

 そういった教師はディスクを構える。

「……分かりました」

 そこまで言われては黙っていられない。俺もきちんと合格したのだ、ということを改めてこの場の連中に理解させなければ。

「それと、私の名は郡司順平(ぐんじじゅんぺい)だ。ここでは一応実技の最高責任者を担当している」

「なるほど。俺には実技の最高責任者がわざわざ見てくれるくらいの腕はあるってわけですか」

 ならばこのデュエル、ますます負けられない。必ず認めさせてやる。

 

『デュエル!』

 

「私の先攻」

 先攻は教師だった。

「S.T.VIORETを攻撃表示で相手フィールドに特殊召喚する。このカードは互いのフィールドにカードが存在しない場合に手札から相手の場に特殊召喚できるカード。そして、この効果でこのカードが特殊召喚に成功した時、そのカードのコントローラーから見て相手プレイヤー、つまり私のフィールドにS.T.トークン1体を特殊召喚する」

 

S.T.VIORET

チューナー

星1/水属性/水族/攻0/守0

 

S.T.トークン

星1/水属性/水族/攻0/守0

 

「さらに手札からS.T.LOTUSを攻撃表示で召喚。このカードのレベルはこのカードの召喚成功時に場にあるモンスターのレベルを合計した数となる。このカードの元々のレベルは2。よってこのカードのレベルは4となる」

 

S.T.LOTUS

チューナー

星2/水属性/水族/攻0/守0

 

「私はレベル1のS.T.トークンにレベル4のS.T.LOTUSをチューニング。究極の神秘が希望の花を開かせる。シンクロ召喚! 咲き誇れ、S.M.GERBERA!」

 

S.M.GERBERA

シンクロ

星5/水属性/水族/攻0/守0

 

「S.M.GERBERAの効果は、特殊召喚に成功した時にこのカードの攻撃力をフィールドのS.T.モンスターの数×1000ポイント上昇させる効果。ブルーム・フォース!」

 

S.M.GERBERA

攻撃力1000

 

「カードを2枚伏せてターンエンドだ」

 

(くそっ、まさかこっちの場にモンスターを特殊召喚してくるとは……)

 こっちの場にモンスターがあるせいで手札のエレクトリック・シグナルの効果が使えなくなってしまった。そこまでこの教師が考えていたとは思いたくないが、少なくとも俺の取れる選択肢が減ったことは確かだ。

 

「ちなみにそのS.T.VIORETだが、このターン中にどうにかしないとこっちの場に戻ってくるから、それもよく考えた上で動くんだな」

「ご忠告どうもです先生。俺のターン、ドロー!」

 だったらこのモンスターをさっさと生け贄にしてしまえばいい。

「俺はフィールドのS.T.VIORETをリリースして、エレクトリック・ダイノをアドバンス召喚!」

 

エレクトリック・ダイノ

星6/光属性/雷族/攻2200/守800

 

「バトル。エレクトリック・ダイノでS.M.GERBERAを攻撃! サンダー・テイル! こいつが攻撃する時に相手は魔法・罠・モンスターの効果を発動できない!」

「ふっ……」

 

郡司2800

 

「バトルフェイズ終了時、エレクトリック・ダイノは破壊される」

 だが、裏を返せばこれでフィールドにモンスターがいなくなったことになる。これでエレクトリック・シグナルが使える。そう思った直後だった。

「ではバトルフェイズ終了時、私もこの伏せカードを発動させてもらおうか」

(攻撃反応型の罠カードじゃない!?)

 てっきり攻撃反応型の罠カードだと思い込んでいたが、そうではなかったらしい。

「罠カード、リビングデッドの呼び声を発動。その効果により、墓地のS.M.GERBERAを特殊召喚。そしてS.M.GERBERAの効果発動。このカードが相手ターンに特殊召喚に成功した時、自分の墓地の「S.T.」モンスターを選択して相手の場に特殊召喚できる。私は墓地のS.T.VIORETを特殊召喚する。スプレッド・フラワー!」

(まさか……、俺がこいつを破壊することまで読んでたのか?)

「そして、S.M.GERBERAの効果により、このカードの攻撃力は場のモンスター×1000となる」

 

S.M.GERBERA

攻撃力1000

 

 さすがに実技最高責任者というだけのことはある。よく考えられた戦術だ。どうやらここはターンエンドを宣言するしかないらしい。

「リバースカード2枚セット。ターンエンドだ」

 

手札3

伏せ2

S.T.VIORET

 

郡司

手札1

伏せ1 リビングデッドの呼び声

S.M.GERBERA

 

「では私のターン。ドロー」

 郡司がカードを引く。

「スタンバイフェイズ、S.T.VIORETの効果が発動する。このカードのコントロールを相手に移し、相手の場に「S.T.トークン」1体を守備表示で特殊召喚する。戻ってこい、S.T.VIORET」

 郡司の場に2体のモンスターが並ぶ。

「では、再びシンクロ召喚をさせてもらおう。私はレベル1のS.T.VIORETにレベル5のS.M.GERBERAをチューニング。忠実なる我が僕に今名誉ある姿を与える。シンクロ召喚! 花開け、S.M.VERONICA」

 

S.M.VERONICA

シンクロ

星6/水属性/水族/攻0/守0

 

郡司の場に新たなモンスターが現れた。どうやら彼のデッキは蒸気によって模された花のモンスターで彩られたデッキらしい。

「S.M.VERONICA。このモンスターはシンクロ召喚に成功した場合、相手の墓地のモンスターを選択し、そのモンスターと同じステータスと効果を得る。私が選択するのはもちろんエレクトリック・ダイノだ」

「くっ……」

 S.M.VERONICAが俺のモンスター、エレクトリック・ダイノに酷似した姿となる。エレクトリック・ダイノは攻撃宣言時、魔法・罠・モンスターの効果を発動できなくする効果を持つ。厄介なモンスターをコピーされたものだ。

「さらに手札から魔法カード、S.T.A(アタック)を発動する。このカードは自分フィールドのモンスターの攻撃力を300上昇させた上で、2つの効果の中から相手に1つの効果を選ばせるカードだ。1つ目の効果はこちらのモンスターが守備表示モンスターを攻撃した時に貫通ダメージを与えることができるようにする効果。もう1つはこちらのモンスターが相手モンスターを破壊した時に続けて攻撃できるようにする効果だ。さあ、どちらを選ぶ?」

「……貫通効果を選ぶ」

 少し考えた俺はこう答える。もし連続攻撃の効果を与えてしまった場合、こちらの場にモンスターを特殊召喚されてしまうと連続攻撃のダメージだけで俺のライフが尽きてしまうためだ。

「いい判断だ。では、バトルフェイズ。S.M.VERONICAでS.T.トークンを攻撃。サンダー・テイル!」

「ぐああああっ!」

 2500もの貫通ダメージを受け、俺は吹き飛んだ。

 

遊 1500

 

 

「遊っ!」

 後ろの方で叫んでいた真理だが、今にも走り出しそうな彼女を止めたのは真理が試験の最中に知り合った男性だった。

「ダメです。この試合は彼のプライドをかけたデュエル。僕たちが変に邪魔をすることは彼も望まないでしょう」

「でも、あいつあんなに吹き飛んで……」

「大丈夫ですよ。デュエリストならあのくらいは。それに、彼もまだ諦めてはいないみたいですから」

「えっ?」

 その言葉に真理が立ち上がった遊の顔を見ると、彼の顔は楽しそうに笑っていた。

 




次回予告
郡司順平のトリッキーなデッキに翻弄される遊。
狙ったコンボの発動もままならず、相手にペースを握られていく。
つかみどころのない霧の花たちを攻略するため、遊は切り札モンスターの1体を特殊召喚するのだった。

次回 遊戯王DAG vs郡司順平(後編) エレクトリック・ブレイダー


遊:ということで、前編の第4話でした!
真理:何か遊結構ヤバくない?
遊:実技担当だけあってすごく強いんだよこの先生。
真理:なるほどねー。いつか私も戦ったりするのかなぁ?
遊:もしかしたらそのうちにあるかもしれねーな。
真理:というわけで、今回のカード紹介!


エレクトリック・ダイノ
星6/光属性/雷族/攻2200/守800
このカードは特殊召喚できない。(1)相手フィールドのモンスターが2体以上の場合、このカードはリリースなしで召喚できる。(2)このカードが攻撃する場合、相手はカードの効果を発動できない。(3)このカードが攻撃したターンのエンドフェイズに発動する。このカードを破壊する。

遊:1枚目はこのエレクトリック・ダイノだな。
真理:結構強力な効果とデメリット効果が共存してるんだね。
遊:特殊召喚できないのと攻撃してすぐに破壊されるのは大きなデメリットだな。
真理:でもカードの効果を攻撃宣言時に発動できないのはすごく強いよ。
遊:どんなカードにもメリットデメリットがあるから、それをうまく使いこなしていかないとな。


S.M.VERONICA
シンクロ
星6/水属性/水族/攻0/守0
(1)このカードはカードの効果では破壊されない。(2)1ターンに1度、相手の墓地のモンスター1体を対象として発動できる。このモンスターはエンドフェイズまでそのモンスターと同名カードとして扱い、同じステータスと効果を得る。

郡司:2体目は私のシンクロモンスター、S.M.VERONICAだ。
遊:うわあ試験官いたんですか!?
真理:なかなか失礼な言い方だけど。
郡司:さすがに自分のカードの紹介くらいはしてみたいなと思ってな。
遊:それもそうですね。今回はお譲りします。
郡司:このモンスターはカード効果のコピーと、効果破壊されない効果を持っている。それを利用した戦術も次回で披露できると思うぞ。
遊:うわあ、俺勝てるのかなあ……。
真理:ということで、今日はここまで!
3人:次回も一緒に、デュエルスタンバイ!


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vs郡司順平(後編) エレクトリック・ブレイダー

今日の既存カードはこれ!

激流葬
通常罠
(1):モンスターが召喚・反転召喚・特殊召喚された時に発動できる。
フィールドのモンスターを全て破壊する。


「いい面構えじゃないか」

「ええ、これから試験官のモンスターをどうやって倒そうか考えるとすごくワクワクしてくるんですよ」

 俺は不敵な笑みを浮かべる。

「心構えだけなら合格にしてやりたいところだが、立場上そうもいかないのでな。自力で合格を勝ち取ってもらおうか。私はもう1枚カードを伏せてターンエンドだ」

 

遊 1500

手札3

伏せ2

 

郡司 2800

手札0

伏せ2 リビングデッドの呼び声

S.M.VERONICA

 

「んじゃ、いきますよ。俺のターン! ドロー!」

(よし、俺の場のモンスターはもういない。今度こそあれが発動できる)

「俺は魔法カード、エレクトリック・シグナルを発動! このカードは自分の場にモンスターが存在しない場合に発動できる。自分のデッキからレベル4以下の「エレクトリック」モンスターを墓地へ送り、そのモンスターとカード名が異なる同じレベルの「エレクトリック」モンスターをデッキから特殊召喚するカード。俺はエレクトリック・ラビットを墓地へ送り、エレクトリック・フィッシュを特殊召喚!」

 

エレクトリック・フィッシュ

星3/光属性/雷族/攻600/守1200

 

「エレクトリック・フィッシュの効果発動! このカードが特殊召喚に成功した時、手札かデッキから同名モンスター1体を場に特殊召喚できる。来い、フィッシュコール!」

 もう1体のエレクトリック・フィッシュが場に特殊召喚される。

「この布陣は……」

 真理が思い出したかのように呟く。そう、このモンスターたちはあのリンクモンスターを呼ぶための布陣だ。だが、今回はそれだけではない。

「そして墓地に送られたエレクトリック・ラビットの効果を発動。このカードがカードの効果によって墓地に送られた時、デッキから「エレクトリック」カード1枚を手札に加える。俺が加えるのはエレクトリック・キャンセルだ」

 その宣言したカードが手札に加わる。

「現れろ、雷が導くサーキット! アローヘッド確認。召喚条件は雷族モンスター2体。俺は場の2体のエレクトリック・フィッシュをリンクマーカーにセット。サーキットコンバイン! 白き神聖なる存在がその身に雷を宿し、今幸せを振りまく。降臨せよ! エレクトリック・エンジェル!」

 

エレクトリック・エンジェル

リンク マーカー:右上・左上

リンク2/光属性/雷族/攻1500

 

輝く6枚の羽を持った天使がフィールドに現れる。

 

「なら私はそのモンスターの特殊召喚時、激流葬を発動させてもらう。だが、S.M.VERONICAはカードの効果では破壊されない効果を持つ。よって死ぬのはお前のモンスターだけだ」

 勢いよく流れてきた水が俺のモンスターを押し流してしまう。

「くっ! だけど、エレクトリック・エンジェルにはエクシーズ召喚に成功した時に発動する効果がある。その効果は、墓地のエレクトリック・モンスターの数×200のライフを回復すること。試験官の激流葬のおかげで俺の墓地のモンスターは合わせて5体。よって1000ライフを回復する。フォーチュン・サンダー!」

 

遊 2500

 

「なるほど、ただでは転ばないか」

「もちろんです。そして、まだ俺はモンスターを召喚していない。俺はエレクトリック・ジュラフを攻撃表示で召喚。その効果により、墓地のレベル3以下の「エレクトリック」モンスター1体を効果を無効にして特殊召喚する。俺はエレクトリック・ラビットを守備表示で特殊召喚」

 電撃をまとったキリンがその長い首で墓地からウサギを釣り上げた。

 

エレクトリック・ジュラフ

チューナー

星3/光属性/雷族/攻700/守400

 

エレクトリック・ラビット

星3/光属性/雷族/攻800/守1200

 

「俺は、レベル3のエレクトリック・ジュラフにレベル3のエレクトリック・ラビットをチューニング! 不死の炎が雷を纏うとき、不滅の命を呼び覚ます。シンクロ召喚! 目覚めよ、エレクトリック・フェニックス!」

 

エレクトリック・フェニックス

シンクロ

星6/光属性/雷族/攻2300/守1900

 

「なるほど。エースモンスターのお出ましか。そいつでサイバー流のデッキを倒したことは既に他の試験官からも報告があったからな」

「いつもならそうなんですけどね。今回はちょっといつもと違いますよ」

そう言うと、俺は手札のエレクトリック・キャンセルを見せる。

「俺は手札から魔法カード、エレクトリック・キャンセルを発動。その効果は、エクストラデッキから特殊召喚された「エレクトリック」モンスター1体をデッキに戻し、墓地からその素材となったモンスターを特殊召喚する効果。さらに、エクストラデッキに戻したモンスターのレベル以下のモンスターを1体、デッキから効果を無効にして特殊召喚できる」

「……何だ、お前何を狙っている?」

 郡司は訝しむ。

「俺は、エレクトリック・フォックスを特殊召喚」

 

エレクトリック・フォックス

星2/光属性/雷族/攻500/守200

 

「それじゃ、試験官に俺のシンクロのその先をお見せしますよ。レベル3のエレクトリック・ジュラフに、レベル3のエレクトリック・ラビットとレベル2のエレクトリック・フォックスをチューニング! 雷を受け継ぎし剣士が、光速で敵を切り捨てる。シンクロ召喚! 相見えよ、エレクトリック・ブレイダー!」

 

エレクトリック・ブレイダー

シンクロ

星8/光属性/雷族/攻2800/守2500

 

「エレクトリック・ブレイダーの効果発動。このカードがシンクロ召喚に成功した時、自分のデッキから装備魔法カードを選択し、このカードに装備する。ウェポン・セレクター! 俺は、エレクトリック・ダンスを装備する。エレクトリック・ダンスの効果は、装備モンスターの攻撃力を500アップすること。よって……」

 

エレクトリック・ブレイダー

攻撃力3300

 

「攻撃力3300だと!?」

 郡司も驚きの声を上げる。

「バトルだ! エレクトリック・ブレイダーでS.M.VERONICAを攻撃! ライトニング・スラッシュ!」

「リバースカードオープン! 速攻魔法S.T.B(バースト)を発動! 自分の場の「S.T.」モンスターまたは「S.M.」モンスターが戦闘を行う場合に発動できる。その戦闘後に戦闘を行った相手モンスターを破壊する!」

 これはまずいとばかりに伏せカードを発動する郡司。

「でもダメージは受けてもらいますよ」

「分かっている」

 

郡司 2000

 

「だが、これで戦闘を行ったお前のモンスターもまた破壊される」

 その瞬間、エレクトリック・ブレイダーは破壊されて霧状となったS.M.VERONICAに包まれて、苦しみながらフィールドから消えていった。

「この程度のダメージで済むのなら甘んじて受けてやるさ。お前のモンスターも道連れにな」

 すっかりバトルフェイズが終わったものだと思っている郡司。だが、まだ俺のバトルフェイズは終了していない。

「確かに俺のモンスターは破壊されました。でも……、残念ながらこれで終わりじゃないんですよね」

 俺はニコッと笑う。

「どういうことだ? お前の場にもう攻撃できるモンスターは……」

「エレクトリック・ブレイダーの効果発動、ホワイト・シグナル! このカードが破壊された時、エクストラデッキから「エレクトリック」シンクロモンスターをシンクロ召喚扱いで特殊召喚できる。試験官のカードの効果が俺のカードの効果発動のトリガーになったんです」

「何だと!?」

 郡司の驚きの声と共に、俺の場に信頼する不死鳥が形を構築していく。

「勇者の命の火が雷を纏うとき、今再び不滅の命を呼び覚ます。シンクロ召喚! 目覚めよ、エレクトリック・フェニックス!」

 

エレクトリック・フェニックス

シンクロ

星6/光属性/雷族/攻2300/守1900

 

(なるほど。緻密に考えられた戦術の上でのドローセンスとプレイング。これを天性で持ち合わせているとなるとかなりの逸材だな)

「エレクトリック・フェニックスでダイレクトアタック! ブレイブ・インパクト!」

「……お見事、合格だ仁科遊」

 郡司は満足そうな表情を浮かべ、不死鳥の攻撃を受けた。

 

試験官 0

 

WIN 仁科遊

 

「なるほど。デッキタイプは赤羽零児。プレイングは不動遊星。そしてその性格とドローセンスは遊城十代と言ったところか。問題ない、お前も合格だ」

 郡司はそう言うと、俺の方を見る。

「しかし分からんな。なぜお前が補欠合格なんだ? 見たところかなりの腕を持っているし、通常であればほぼ確実に合格になる実力だろうに」

「判断したのは郡司試験官じゃないんですか?」

 俺は尋ねる。実技最高責任者ということは、当然俺のデュエルも見たものだと思っていたからだ。

「俺はあくまで上からの判断を公平に伝えるだけだからな。合格不合格は別の人事がやってることだ。ま、お前のデュエルのどこかに気に食わない点があったか、あるいは……いや、やめておこう。いずれ分かることだ」

 郡司は言いかけた言葉を途中で飲み込むと、合格者9人を集める。

「というわけで、ここからは自己紹介をしてもらう。と言っても、せっかくだ。ただの自己紹介じゃつまらないだろうから、こいつで語り合ってもらおうか」

 郡司は今さっき使っていたデュエルディスクを取り出した。

「今からお前たちに3チームに分かれて総当たり戦をしてもらう。ただ、この中には何名か知り合いもいるみたいだから、こっちでどういう組み合わせにするかは決めさせてもらう。どうせなら知らないやつとデュエルした方が自己紹介としてもちょうどいいだろうしな。じゃ、組み合わせは……よし、お前とお前とお前がAチーム。それとお前とお前とお前がBチーム。で、最後残ったやつらがCチームだ」

 郡司の選別によって俺も含む合格者9名は3チームに分けられた。俺はCチームに選ばれた。俺とチームになったのはぬいぐるみを抱きかかえた幼い少女のようなデュエリストと、真理に話しかけていた男性のデュエリストだった。

「実技担当最高責任者を倒すほどの実力者と戦えるとは。何だかわくわくしてきますね」

 俺の方を見て興奮気味に話す男性。

「やめてくれよ。たぶん試験官だって手を抜いてたんだろ」

「それでも勝利したんですから。あ、僕の名前は村山弘樹(ひろき)っていうんでよろしくです」

 真理にかたくなに自己紹介をしなかったという話だったが、俺には聞く前から名前を名乗った。本人曰く自己紹介の時間だから、だそうだ。

「……美紀、帰りたい」

 一方、もう一人の女の子は不機嫌そうにくまのぬいぐるみをぎゅっと抱きしめる。どうやら名前は美紀というらしい。

「んじゃ、デュエルスタートだ。順番は名前の順で始めること」

 その郡司の指示に女の子は顔をしかめてぬいぐるみを置いた。

「……面倒。浅田美紀。相手はどっち?」

「俺だな。仁科遊」

 どうやら連戦になってしまうようだが、まあ大丈夫だろう。

「さっさと終わらす」

 少女が構えるのを見て、俺もあわててディスクを構える。どうにも雰囲気のつかみにくい女の子だ。

『デュエル!』

 こうしてデュエル開始の宣言がされた。

 




次回予告
いよいよ自己紹介デュエルが始まった。
まず遊は浅田美紀と対戦する。彼女の使うデッキはパペットドールと呼ばれるデッキだった。彼女のテクニカルなデッキにまたも翻弄される遊だったが……。
次回、遊戯王DAG vs美紀 操り人形の罠! パペットドールデッキ

遊:ということで第5話でした!
真理:何とか勝てたのに連戦なんだね遊。
遊:俺の場合は半分補欠だったし仕方ねーんだけどな。
真理:次回のために、今回もデュエルの使用カードを振り返ってみよっか。


エレクトリック・フィッシュ
効果モンスター
星3/光属性/雷族/攻600/守1200
エレクトリック・フィッシュの(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。(1)自分フィールドにモンスターが存在しない場合、このカードは手札から特殊召喚できる。この効果を発動したターン、自分は「エレクトリック」モンスターしか特殊召喚できない。(2)このカードが特殊召喚に成功した場合に発動できる。手札・デッキから「エレクトリック・フィッシュ」を1体特殊召喚する。

遊:まずはこいつ。
真理:特殊召喚に成功したら同名カードを特殊召喚できるんだね。
遊:俺のエクシーズやリンク召喚で結構活躍してくれることが多いな。
真理:今回はすぐに激流葬で破壊されちゃったけどね。
遊:それを言うなって。


エレクトリック・ブレイダー
シンクロ・効果モンスター
チューナー+チューナー以外の「エレクトリック」モンスター1体以上
星8/光属性/雷族/攻2800/守2500
(1)このカードがS召喚に成功した時に発動できる。自分のデッキから装備魔法カード1枚を選択し、このカードに装備する。(2)このカードが装備魔法カードを装備している場合、このカードは相手の効果の対象にならない。(3)このカードが破壊された場合に発動できる。自分のエクストラデッキから「エレクトリック・ブレイダー」以外のレベル8以下の「エレクトリック」SモンスターをS召喚扱いで特殊召喚する。

真理:2体目は遊の新しいシンクロモンスターだね。
遊:2500ラインじゃないってのがミソだな。
真理:ってことは他にいるってこと?
遊:ま、そこはおいおいだな。
真理:効果としては、装備魔法を装備する効果と、破壊時に後続の「エレクトリック」シンクロモンスターを呼べるってとこだから、かなり強力な効果だね。
遊:実際今回もどっちの効果も使いながら、郡司試験官を倒すことができたわけだしな。
真理:同時にエレクトリック・フェニックスが遊のエースっていうのが何となく伝わってくる感じもあったね。
遊:俺フェニックスはよくシンクロ召喚してるしな。効果的に使いやすいのが大きい。
真理:なるほどね。ということで、今日はここまで!
遊・真理:次回も一緒に、デュエルスタンバイ!


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vs美紀 操り人形の罠! パペットドールデッキ

今日の既存カードはこれ!

洗脳―ブレイン・コントロール
通常魔法
(1):800LPを払い、相手フィールドの通常召喚可能な
表側表示モンスター1体を対象として発動できる。
その表側表示モンスターのコントロールをエンドフェイズまで得る。


「……先攻は私。パペットドール―レッドストリングを攻撃表示で召喚」

 美紀は淡々とターンを進めていく。

 

パペットドール―レッドストリング

星3/闇属性/魔法使い族/攻0/守0

 

「効果発動。このカードが召喚に成功した時、相手はデッキからこのカードと同じレベルのモンスターを特殊召喚する。レッドストリングのレベルは3だから、レベル3のモンスターを特殊召喚して。デッキになければ相手はデッキからカードを1枚ドローできるけど、あなたのデッキにレベル3モンスターは少なくとも1体はいるはず」

「……さっき見てるからな。んじゃ、俺はエレクトリック・ゴートを特殊召喚するぜ」

 

エレクトリック・ゴート

星3/光属性/雷族/攻1000/守800

 

「じゃあ、手札から魔法カード、洗脳―ブレイン・コントロールを発動。800ライフを払うことで、通常召喚可能な相手の場のモンスター1体のコントロールを得る。私はエレクトリック・ゴートを選択」

 

美紀3200

 

「……了解」

 相手の場にモンスターを出させておいて勝手に持っていくとはとんでもないデッキだな、と俺は一人納得する。

「レッドストリングとエレクトリック・ゴートでオーバーレイ・ネットワークを構築。モンスターをエクシーズ召喚。運命の糸手繰り寄せ、今人形(ひとがた)に魂宿る。舞い踊れ、パペットドール―オートマリオネッター」

 

パペットドール―オートマリオネッター

エクシーズ

ランク3/闇属性/魔法使い族/攻1000/守1000

 

「パペットドール―オートマリオネッターの効果発動。ソウル・エナジー。1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除いて発動できる。そのエクシーズ素材をこのカードに装備する。私はエレクトリック・ゴートを取り除き、それを装備する。このカードの攻撃力は、この効果で装備したモンスターの攻撃力分アップする。さらに、このカードが破壊される場合、この効果で装備したカードを墓地へ送ることでこのカードの破壊を無効にできる」

つまり今オートマリオネッターの攻撃力はエレクトリック・ゴートの攻撃力分上がっているので、攻撃力2000となるわけだ。さらに、一度だけ破壊も無効にできる。

 

パペットドール―オートマリオネッター

攻2000

 

「カードを2枚伏せてターンエンド」

(いきなりめんどくさいデッキに当たったもんだな……)

攻撃力2000の破壊耐性持ちの時点で既に面倒なのだが、対戦相手の美紀が無表情のままだというのがもっと厄介だ。

(自己紹介なんだからもっと友好的になればいいと思うんだけど)

 とはいえ、こればっかりは相手の対応にもよるところがあるので仕方ないだろう。なら、とりあえずここは相手にもっと心を開いてもらうことを優先的に考えながらデュエルしていくことにする。

「俺のターン、ドロー。なあ、浅田さんは何でここの試験受けたわけ?」

「……あなたがそれを知って何になるの?」

 案の定冷たい返事だった。

「いや、自己紹介の場なんだしもっと仲良くさ……」

「たかが授業の1つでそこまであなたに話すことなんてない」

 冷たい目で一蹴された。

(ああそうかい。んじゃ、ターンをさっさと進めさせてもらいますかね)

 こういう相手には実力行使の方が良さそうだ。俺の場にモンスターはいないし、さくっとターンを進めさせてもらおう。

「俺は、エレクトリック・デーモンを攻撃表示で召喚」

 

エレクトリック・デーモン

星4/光属性/雷族/攻1800/守1500

 

「そして速攻魔法、エレクトリック・サイクロンを発動。このカードはフィールドの表側表示の魔法・罠カードを破壊できる効果だけど、自分の場に「エレクトリック」モンスターが存在する場合、手札に戻すこともできる。俺は、お前の場で装備カードになってるエレクトリック・ゴートを選択して俺の手札に戻す」

「……」

 俺の手札にエレクトリック・ゴートが戻って来た。

「手札に戻ったことにより、お前の場のオートマリオネッターの攻撃力も下がる。バトルだ。エレクトリック・デーモンでパペットドール―オートマリオネッターを攻撃。ヘルズ・スパーク!」

「くっ」

 

美紀2400

 

「エレクトリック・デーモンの効果。このカードが相手モンスターを破壊した時、自分のデッキから「エレクトリック」カード1枚を手札に加えることができる。俺はエレクトリック・ステアを手札に加える。さらに、手札のエレクトリック・ゴートを墓地へ送り、効果発動。俺の手札に融合を加える。リバースカードを3枚セットしてターンエンド」

 

手札2

エレクトリック・デーモン

伏せ3

 

美紀

手札1

伏せ2

 

「私のターン。よし」

 美紀は何かのカードを引いてガッツポーズをした。

「私は手札のパペットドール―ウォーキングウッドを相手に見せることで効果を発動。このカードを特殊召喚する。その後、このカードをエクシーズ素材として墓地のエクシーズモンスターを攻撃表示で特殊召喚できる。私はオートマリオネッターを選択。再び蘇れ、オートマリオネッター」

 

パペットドール―ウォーキングウッド

星2/闇属性/植物族/攻0/守0

 

オートマリオネッター

攻1000

 

「何だそりゃあ!?」

 1枚で墓地のモンスターを蘇生させてくる辺りはかなり強いと言っていいだろう。さすがにここまで勝ち上がってきただけのことはある。

「さらに手札から魔法カード、傀儡人形の生け贄(パペットドール・サクリファイス)を発動。このカードの発動後、エクシーズ召喚以外の特殊召喚を封じる代わりに、デッキから相手の場のモンスターと同じレベルのモンスターを特殊召喚できる。私はパペットドール―ヒューマノイドAI(アイ)を特殊召喚」

 

パペットドール―ヒューマノイドAI

星4/闇属性/機械族/攻1000/守1000

 

「ヒューマノイドAIの効果を発動。相手のモンスター1体とこのカードでエクシーズ召喚できる」

「……はい?」

 その言葉通りであれば、俺の場のモンスターは途端にいなくなり、壁となるモンスダーはいなくなることになる。

「私はあなたのエレクトリック・デーモンとヒューマノイドAIでオーバーレイ・ネットワークを構築。傀儡に宿りし人工知能が、今奇怪にも動き出す。エクシーズ召喚。起動せよ、パペットドール―サイコホムンクルス」

 人体模型のようなモンスターが美紀の場に出現した。

 

パペットドール―サイコホムンクルス

ランク4

闇属性/サイキック族/攻1200/守1200

 

「サイコホムンクルスの効果を発動。エクシーズ素材を1つ取り除くことで、相手の手札を見てその中から一番攻撃力の高いモンスターを選び、このカードに装備できる。手札を見せて」

「くそっ」

 俺の手札にあるのはエレクトリック・ホエールとエレクトリック・ワームだった。

「それじゃあ、エレクトリック・ホエールを選択。そのカードをサイコホムンクルスに装備する。その攻撃力分だけサイコホムンクルスの攻撃力を上げる。スキャニング・ウェポン」

「おいおい……」

 エレクトリック・ホエールの攻撃力は2300。つまりサイコホムンクルスの攻撃力は……。

 

サイコホムンクルス

攻撃力3500

 

「バトル。サイコホムンクルスでダイレクトアタック。ストレンジダッシュ」

「ぐああああっ!」

 

500

 

「オートマリオネッターでとどめ。ムービングスレッド」

「リバースカードオープン! エレクトリック・ユニオン! このカードの効果でデッキのエレクトリック・ジュラフを墓地へ送り、墓地のモンスターで融合召喚を行う!2体の獣交わりし時、その本来の姿を現さん。融合召喚! 現れよ、エレクトリック・マジシャン!」

 

エレクトリック・マジシャン

融合

星6/光属性/雷族/攻2100/守1700

 

「じゃあ、私は罠カード、人形の魂封じ(パペットドール・ソウルシール)を発動。自分の場のモンスター1体を選び、エンドフェイズまでそのモンスターの攻撃力分相手モンスターの攻撃力を下げる。私はサイコホムンクルスを選択」

 そんなことをされたのでは俺のライフが尽きてしまう。

「待った! リバースカード、エレクトリック・ステアを発動! 「エレクトリック」モンスターが場にあるときに発動できる。相手モンスター1体の攻撃と表示形式の変更を封じる。俺が対象に選択するのはオートマリオネッターだ」

 危ない、さっきこのカードをサーチしていなければ負けていた。

「……ターンエンド」

 美紀は再び不機嫌そうな顔に戻る。

 

美紀2400

手札0

オートマリオネッター・サイコホムンクルス

伏せ1

 

遊500

手札1

エレクトリック・マジシャン

伏せ1

 

「ふふっ、わくわくするな」

「何が? まさかこの状況で勝てると思ってるの?」

 美紀は白い目で俺を見る。確かに普通に考えれば、自分のライフが500で相手の場に攻撃力3500のモンスターがいればまず勝ち目はないだろう。

「そりゃ、そう信じてれば必ずデッキは答えてくれるさ」

「……馬鹿じゃないの?」

 おかしなものを見るような目で見られているのは気に食わないが、それはこのドローで覆せばいいだけの話だ。

「馬鹿かどうかはやってみりゃ分かるさ。んじゃ、再開するぜ俺のターン!」

 勢いよくカードを引く。引いたカードはエレクトリック・フュージョニストだった。

「まずはエレクトリック・マジシャンの効果を発動。除外されている自分の「エレクトリック」モンスターをデッキに戻して1枚ドローする。俺はエレクトリック・ジュラフを戻すぜ。エスケープ・ドロー!」

 俺の手札に来たのはエレクトリック・タイガーだった。これなら何とかなりそうだ。

「俺は伏せカードから融合を発動。その効果により、手札のエレクトリック・フュージョニストとフィールドのエレクトリック・マジシャンで融合召喚を行う。雷の魔術師たちが今、奇術により伝説の魔獣を呼び出さん! 融合召喚! 現出せよ、エレクトリック・インドラ!」

 

エレクトリック・インドラ

融合

星8/光属性/雷族/攻2500/守2000

 

「エレクトリック・インドラの効果を発動。このカードが融合召喚に成功した場合に発動する。相手モンスター1体を選んで破壊し、その元々の攻撃力分のダメージを相手に与える! 俺はパペットドール―サイコホムンクルスを選択! 雷の裁き!」

「……くっ!」

 サイコホムンクルスが雷を受け、場から消滅する。

 

美紀1200

 

「そして手札のエレクトリック・ワームの効果を発動。このカードを手札から墓地へ送ることで、相手の機械族かドラゴン族モンスターのコントロールを得る。俺は、オートマリオネッターのコントロールを得る!」

「……しまった」

 美紀は苦虫をかみつぶしたような顔をする。これで美紀の場はがら空きだ。

 

エレクトリック・ワーム

星3/光属性/雷族/攻1000/守1000

 

 だが、俺のインドラも効果を発動したターンには直接攻撃できないという制約がある。よって、さらに動かなければならない。

「さらに手札からエレクトリック・タイガーを召喚」

 雷のトラが威厳たっぷりに現れる。

 

エレクトリック・タイガー

チューナー

星4/光属性/雷族/攻1600/守1000

 

「バトルだ」

「待った。バトルフェイズに手札のパペットドール―ナーバスケアクロウを特殊召喚。このカードはバトルフェイズ開始時にのみ手札から特殊召喚できるカード。このカードが攻撃対象にされると、このカードの攻撃力はその相手モンスターの攻撃力と同じになる」

「……なるほどね。んじゃ、バトル。エレクトリック・インドラでナーバスケアクロウを攻撃」

 壁モンスターが現れたことにより、インドラでの攻撃が可能となったのだ。

「リバースカード、操り人形の壁(パペットドール・ガード)。このカードは自分の場の「パペットドール」モンスターが攻撃対象に選択された場合に発動できる。攻撃してきた相手モンスターを破壊し、自分の墓地から「パペットドール」モンスターを特殊召喚できる」

「……残念だけど、インドラは相手のカードの効果では破壊されないんだ。つまり、そのカードの効果でお前の墓地のモンスターは蘇らない」

「……!?」

 予想外の返答に明らかに動揺する美紀。

「バトル続行。インドラでナーバスケアクロウを攻撃。嘆きの稲妻!」

「ナーバスケアクロウの効果……!」

 インドラはかかしと相打ちとなり、フィールドから消滅した。

「とどめだ。エレクトリック・タイガーの攻撃。エレクトリック・バイト!」

「……っ!」

 

美紀0

 

WIN 仁科遊

 

 デュエル後、美紀は俺の方によって来る。

「……負けた。次は必ず勝つから」

 そう一言だけ宣言すると、彼女はまた一人で遠くに座ってしまった。

(変な奴)

 だが、何はともあれ勝利したことによって美紀から認められたのもまた確かなようだ。

(次の対戦相手はあいつか……)

 村山弘樹。真理によれば秘密主義者のようだが、俺が話した感じだとそこまで距離のある感じの奴ではなかったように思う。

(ま、デュエルしてみれば分かるか)

「よろしくお願いしますね、遊さん」

「おう」

 美紀と入れ替わりに入って来た弘樹はそう言って俺に微笑む。

『デュエル!』

 そして2戦目の幕が上がる。




次回予告
村山弘樹との連戦となった遊。
弘樹の使うデッキはユーマークと呼ばれる未確認生命体をモチーフにしたデッキだった。
そのデッキの驚異的な力に立ち向かう遊だったが……。
次回 遊戯王DAG vs弘樹 ユーマーク・ブロスノードラゴン

遊:第6話が終了したな!
真理:にしても、浅田さんのデッキってなかなか不気味なモンスターが揃ってたね。
美紀:私はおもちゃのお人形さんが好きだから。
遊:うわあ!?
真理:び、びっくりした……。
美紀:私も今日からこのコーナーに入るから。
遊:よ、よろしく……。
真理:そ、それじゃ気を取り直して、浅田さんの紹介に行きましょうか。

浅田美紀
「パペットドール」モンスターを扱う高校生。
以前はジュニアクラスのデュエル大会の上位入賞者常連だった。
ある事件がきっかけで表舞台から姿を消す。
どうやら何か隠し事があるようだが……。

遊:俺たちよりも秘密が多そうな紹介文だな。
真理:一癖も二癖もありそうな感じだもんね。
美紀:どこぞのマジックコンボさんみたいな文。
遊:やめてやれ。
真理:さ、さて、じゃあ今日のカード紹介に行きましょうか。


エレクトリック・インドラ
融合・効果モンスター
「エレクトリック」モンスター×「エレクトリック」融合モンスター
星8/光属性/雷族/攻2500/守2000
(1)このカードが融合召喚に成功した場合に発動できる。相手フィールドのモンスター1体を選んで破壊し、その元々の攻撃力分のダメージを相手ライフに与える。このターン、このカードは直接攻撃できない。(2)このカードはカードの効果の対象にならず、カードの効果では破壊されない。


真理:1体目は遊の融合モンスターだね。
遊:現時点では切り札級の活躍をするカードだな。対象破壊耐性と直火焼きバーン効果を持ってる頼れるモンスターだ。
美紀:こいつにやられたのは悔しかった。私が知らないモンスターだったし。
真理:ジュニアクラスの大会に出てても知らないカードがあるの?
遊:ま、まあそれはおいおいってことで。それじゃ、次のカードだ。


パペットドール―オートマリオネッター
エクシーズ・効果モンスター
ランク3/闇属性/魔法使い族/攻1000/守1000
レベル3モンスター×2
(1)1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。取り除いたX素材を装備カード扱いとしてこのカードに装備する。このカードの攻撃力はこの効果で装備されているモンスターの元々の攻撃力分アップする。(2)このカードが破壊される場合、代わりにこのカードに装備されているカードを取り除くことができる。


美紀:2体目は私のエースモンスター。人形遣いとして有名だった頃からの私の魂のカード。
遊:結構前から使ってたんだな。
真理:このカードは結構面白い効果だよね。
美紀:取り除いたエクシーズ素材を装備する効果とこのカードが破壊される場合に代わりに装備カードを墓地に送ることで破壊を免れることができる。
遊:ランク3の性能としてはまあまあ強そうな気がするな。


美紀:ところで、真理はどのくらい強いの?
真理:え? うーん、遊と同じくらい?
美紀:あなたのスカルデッキとも一回戦ってみたいな。
遊:そのうち真理と浅田さんが戦うこともあるのかもな。
3人:ということで今日はここまで。次回も一緒に、デュエルスタンバイ!


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