ミュウツーに転生したったwww (SeA)
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ミュウツーに転生したったwww

全てのわざを覚えられるミュウと、全ては覚えられないけど火力は高いミュウツーって関係が好き。


 『ミュウツー』とはいったいなんなのか?

 大雑把に表すならばゲーム及びアニメのキャラクター。

 詳細に説明するならば、ポケットモンスターシリーズに登場する図鑑No.150に登録された伝説のポケモン。それも人間によって生み出された人造ポケモンの事である。

 ゲームやアニメなどの媒体によっては細かい理由は異なるが、『ミュウツー』が幻のポケモンである『ミュウ』のコピーとして造られたことは共通している。

 

 ゲームではプレイヤーの意思でポケモンに任意の技を覚えさせることの出来るわざマシンなどは各ポケモンによって覚えることが出来るか否か決まっていたが、『ミュウ』にその制限は存在しない。文字通り全てを覚えることが出来るポケモンだ。攻撃特化にすることも補助能力を優先することも可能というプレイヤーにとって様々な型を作ることが出来るのがゲームにおける『ミュウ』だ。

 

 ではゲームとしてではなく、色々なポケモンが地を駆け、海を巡り、空を飛ぶことが当たり前の世界では『ミュウ』がどのような認識をされているのか想像はつくだろうか?

 

「ミュウとはこの世界で一番珍しいと言われているポケモンだ」

 

 世界で一番、ね。

 

「そして我々はそのポケモンの一部からコピーを、ミュウツーを造ることに成功した」

 

 そうかい。そりゃおめでとう。

 

「ミュウツーは世界で一番強いポケモンとして生まれたのだ!」

 

 で、世界で一番強いポケモンを作ってその後はどうするんだ?

 

「決まっている。さらに強いポケモンを、もっともっと強いポケモンを造る。ミュウツーという成功例が遂に完成したのだ。我々の研究はこれからが本当の始まりなのだ!」

 

 そっか。

 それじゃあ、さよならだ。

 

「は……? なにを言って―――――」

 

 悪いけど、そういうのは趣味じゃない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 データ消去(物理)完了。だけど失敗したな。思ったより力の制御ができなかった。おかげで島丸ごと焼け野原だ。危うく研究員全員殺すところだったし。なんとか脱出させられたから良かったけども。早めに力の制御出来るようにならないとヤバいな。

 

 ん? なんか飛んでるな。ヘリかなあの形は。

 いや、てか機体側面にでかくRって書いてるなアレ。自己顕示欲高過ぎだろ悪の秘密結社のくせに。あ、高度下がってきたな。この状態の島に降りる気か? しかも一人だけっぽいし。

 よくこの惨状を起こしたポケモン相手に丸腰で来れるなあいつ。伊達にボスやってないってか?

 

 よう、人間。あんたが何しに来たのかは分かってるから何も言わなくていいぞ。こっちも色々反省点があるからさ、力の扱いを学ぶためにはあんたの提案は渡りに舟なんだよ。

 

「……なるほど、想像以上のポケモンのようだな貴様は」

 

 別に以上でも以下でもなんだっていいよ。興味ないし。

 

「貴様に興味が無くとも我々にはある。歓迎しよう。ようこそ、ミュウツー」

 

 はいはい。どうぞよろしく。

 

 ま、力の制御さえ出来ればそのうち勝手に出てくけど。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ってことで出てきた。

 さよならロケット団。出来ればもう会いたくないぞ。基地丸ごと更地にしてきたからものすごく怒ってるだろうし。人間もポケモンも殺してないからセーフってことでなんとかならないかな? ま、無理だろうけど。悪の組織が恨み忘れるとかなさそうだしな。

 

 そんなこんなで空をぶっ飛んで来たけど、果たしてここはいったいどこだろうか? 結構飛んだからカントーやジョウトではないと思うけど。というかミュウツーって本当にすごいのな。まさかメガシンカも無しに音速すら超えれるとは思わなかったわ。伝説のポケモンってすげえのな。

 

 ここら辺はのどかでいい場所だな。近くの湖も大きくて綺麗だったし。町はあるけどそんなに大きくはなかったし、田舎なんだろうか?

 

「おかーさんは田舎だからちょっと不便だけど慣れたらいい場所、って言ってたよ。空気が美味しいんだって」

 

 ほーん。住めば都ってやつかね。お母さんは元々都会にでも住んでたのか?

 

「うん! コトブキシティにおばあちゃんとおじいちゃんがいるの。おとーさんとは大学で会ったってアイに教えてくれたんだよ」

 

 なるほどなるほど。結婚を切っ掛けに引っ越した感じなのかね。ふむふむ。

 ところでそこの少女、一個お願いしていい?

 

「なーに?」

 

 ちょっと俺のことは他の人には内緒にしてくれない?

 

「いいよー!」

 

 うーん。ノリが軽すぎて信じていいか迷うやつだなコレ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なんだかんだ、時間が経つのは早いもんだな。

 

「いきなりどうしたのツっくん」

 

 いや、ふと思っただけだよ。あんなちっこい子が気付いたらこんなに大きく、はなってないけど逞しく育つんだからな。

 

「素直にチビって言えばいいじゃないのツっくんのバカっ!」

 

 素直に言ったら怒るじゃんアイ。

 

「うるさいっ! わたしはこれから伸びるんだから!」

 

 でもアイの両親どっちも背低いじゃん。

 

「おじいちゃんは大きいからいいの!」

 

 父方のおじいさんだけな。それ以外はどっこいって感じだったけど。

 

「伸ーびーるーの! もうっ、この話おしまい!」

 

 まあアイがそれで納得してるならいいけどね。

 

 にしても本当に早いな。あれからもう6年。アイも10歳か。

 

「ふふん。そうだよ。わたしだってもう10歳なんだから、ちゃんとレディとして扱ってよね」

 

 レディレディ、おおレディレディ。

 お、あの雲ちょっと俺っぽくないか? なんか得した気分。

 

「ツっくん!」

 

 ごめん、悪かったって。冗談だから、な、落ち着こう。だからその振り上げた拳をゆっくり下ろそうね。ほら、レディの大事な手で殴ったりするのはよくないし。だから、ほら、ね?

 

「むー」

 

 あの、その…………よし、じゃあこうしよう。アイがめでたく10歳になったことだし俺が出来る範囲で願いを叶えてしんぜよう。

 

「………………なんでも?」

 

 出来る範囲で、周りに俺の存在がバレないなら、なんでもいいよ。

 

「…………」

 

 なにがいい? この前みたいに湖の水中探検とか、なんだったら幻覚とかでこの世ではあり得ないような景色を視てみるとか。

 

「―――――空。空飛びたい」

 

 空? 飛ぶだけでいいの? 結構しょっちゅうやってる気がするけど。

 

「いつもみたいに低くじゃなくて、もっと高いとこ! テンガン山よりも雲よりも高いとこまで飛ぶの!」

 

 オッケー。オーダー承りました。じゃあ行くけど途中で高過ぎて怖いとかはやめてくれよ。8歳の時みたいにもらしたりもなしな。

 

「ツっくんっ!!」

 

 はーい。それでは参りまーす。

 

 サイコキネシスで自身とアイを掴み浮遊させ、徐々にスピードを上げながら上空へ。常日頃から展開している不可視のバリアの範囲を広げアイを範囲内に、同時にバリアの性質を変更。光学迷彩機能とアイの高高度での活動に支障をきたさないように気圧や酸素等を地上と同等に感じられるように調整、完了。雲海に突入。アイに異常はないな。問題無し。

 

 そろそろ雲抜けるぞー。

 3、2、1、今。

 

「――――――――きれい」

 

 本当にな。見事な夕焼けと満月だねー。写真撮りたくなるな。

 

「写真撮ろうとしたらいつもツっくんダメって言うくせに」

 

 そりゃあね。俺が写ったりしたら大問題だから。アイもアイのお母さん達も大変なことになっちゃうし。嫌だろそういうのは。

 

「…………うん。みんなに迷惑かけるのはやだ」

 

 だろ? 俺も本当は写りたいんだけどな。

 

「…………」

 

 なあ、アイ。今日はどうしたのさ? 折角の誕生日だってのに静かすぎだぞ? 明日には博士のとこにポケモン貰いに行くんだろ? ずっと楽しみにしてたろ?

 

「……明日、ナナカマド博士にポケモン貰ったらわたし、旅に行くんだよ」

 

 ああ、チャンピオンになるんだろ?

 

「うん。わたしはチャンピオンになるんだもん。……だから明日からしばらくおかーさんにもおとーさんにも、ツっくんにもしばらく会えないんだよ……」

 

 ………そっか。この世界だと10歳で旅に出るのは当たり前だから皆大人びてるんだと思ってたけど、そんなことはないんだな。どんな世界でも10歳は10歳。いきなり数か月、下手したら数年の旅に行くってのは目標があってもちょっとつらいよな。

 

「ツっくんは、一緒に来てくれないんでしょ……」

 

 ……うん。俺はアイと一緒には行けない。ごめんね。

 

「いいよ。知ってたから………バカ」

 

 正直俺はアイと一緒に行こうと思えば行ける。ただ単純にアイのポケモンとして捕まればいいだけだから。でもこの世界でそれをやろうとは思えない。

 この世界がゲームの世界だったならそれもきっと良かった。ゲームなら例え幻のポケモンだろうが、神と言われたポケモンでも当たり前のように連れて歩けるし、ポケモンリーグにも挑戦できる。バトルだって当然できる。

 だけど恐らく、この世界はアニメの世界が一番近い。人間は伝説を、幻を崇め、畏れ、信仰している。ポケモン達が使う『わざ』はポケモンバトルでの『わざ』の範疇で収まらない。世界で一番を目指して造られた俺も当然その例に漏れず、やろうと思えば―――いや、違うな。何も考え無しに行動し、力加減を誤れば人間もポケモンも関係なく文字通り秒殺することができる。

 それが俺。それが伝説のポケモン。

 

 ――――だからこうしようかアイ。

 

「……なに?」

 

 アイがチャンピオンになったら、俺をゲットしてもいい権利を与えてしんぜよう。

 

「…………………チャンピオンになったらツっくん一緒に来てくれるの?」

 

 ゲットしてもいい権利な。ちゃんとバトルしてボール投げてってやらないとダメだぞ。俺は正直バトルゲットよりは友情ゲットの方が好みだけど、さすがにミュウツーを友情ゲットは無しだからな。そうなるとただのズルだし。

 

 一地方のリーグチャンピオンなら伝説のポケモンの一匹や二匹持ってたって問題ないだろうし、なにより知名度が違うしな。そこらの村娘が伝説のポケモン持ってるのとチャンピオンが持ってるのじゃ比べるまでも無いからな。

 

 だから、チャンピオンになったら伝説に挑みに来な。

 

「……わかった。ちゃっちゃとチャンピオンになってツっくんのことギッタンギッタンのボッコボコにしてあげるから、ちゃんと首を長くして待っててよ!」

 

 りょーかい、未来のチャンピオン。その日が来るのを楽しみに待ってるよ。

 

「えへへ。ぜったいだからねっ! 約束っ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 オーケーオーケー。予想通り最初はナエトルを選んだんだな。緑好きだしなアイ。

 

 フタバタウン上空からマサゴタウンのナナカマド研究所を遠視で見る限り、特に問題もなさそうでよかった。ここが予想通りアニメ世界だった場合なら出発の日なんて特別な日に何かしらのイベントがあるんじゃないかと思ったけど、問題なさそうだなこの感じだと。

 かくして少女は旅に出る、ってね。

 

 正直ここまで入れ込むのは我ながら予想外だったんだけどな。感情ってのはよくわかんないもんだね。厄介だけど、同時にとてもいいものでもあるってのが嫌なとこだけど。

 

 この世界は皆が皆の主人公、なんて言える世界なのか。それとも明確な主人公が存在しているのか。その場合アイはどの立場の存在なのか。アイは夢を叶えることが出来るのか。気になる事はたくさんあるけども、今のところ俺が関われるのはここまでだろう。

 

 ミュウツー。世界で一番珍しいポケモンから造られた、世界で一番強い(製作者談)ポケモン。

 他の伝説のポケモンが何百年、何千年前から語られ続けている中で数年前にポロッと生まれた最新の伝説。正直威厳も何もあったもんじゃないが、それでも伝説は伝説らしく挑戦者を待つことにしよう。

 

 いずれ約束を果たしに少女が来る、その日まで。 

 

 

  

 

 

 

 

 

 でも、ちょっとくらい遠目で確認するくらいはしていいよね?

 




多分この世界とアニメ世界との最大の違いは、ロケット団基地が丸ごと消え失せたか一区画が吹っ飛んだかの違い。
悪の組織だから特に誰も困らないし、いいでしょうきっと。

ちなみにアイちゃんとほぼ同時期にシロナちゃんってかわいい女の子が旅に出たらしいよ。
(描写無し)(正直そこまで書きたかった)


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