よく分からないボーダー隊員 (フ瑠ラン)
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最初は土下座から始まるのだ!

影浦(かげうら)雅人(まさと)
ボサボサ頭のギザギザな歯が特徴のお好み焼き屋次男坊。サイドエフェクトや容姿から色々と誤解されることが多いが意外と心優しき人物。主人公を餓死から幾度なく助けてくれる。いつか野球か仏門に目覚めて坊主になるらしい。

北添(きたぞえ)(ひろ)
ふくよかな体型の大型マスコット。来馬の影響で菩薩度が増しているので、きっと今、熱帯魚を買って殺されたとしても許してくれる。保証はない。カゲとは八度にわたるタイマンをはったが主人公とはしてない。主人公のお世話係その2。因みにその1はカゲである。

小春花(うららか)慎太郎(しんたろう)
女に苦労してきたこの物語の主人公。女顔の癖に女が苦手で過去を思い出しても黒歴史しかないのに子供に好かれる。中でも弟子と謳う緑川のことを溺愛しており、度々緑川から「うららん先輩(ニックネーム)って昔、どんな感じの子供だったの!?」と言われた日にゃ自己嫌悪で3回は死んだ。正直に言うと緑川は好きだが子供は特別好きではない。

絵馬(えま)ユズル】
型にハマらない天才おチビ。クールで空気の読める中々な天才。中学生。きっと、主人公よりもユズルの方が頭がいい。時々、勉強を教えてと主人公に泣きつかれるのが最近の悩み。教えて欲しいと持ってくるワークが小学5年生物なのをどうにかして欲しい。せめて18歳の主人公には小学生の勉強は卒業して欲しかったとゾエに嘆いていた。

仁礼(にれい)(ひかり)
影浦隊結成当時は殆ど主人公と喋れなく苦労したオペレーター。しかし、喋り方や気さくな態度、ユズルを引き入れたなど様々な功績の末、学校のことなど世間話ができる程の仲にはなった。光の努力かあたまたは慎太郎の成長が嬉しかったのか光と慎太郎が仲良くなった日はゾエの涙が止まらなかったと言う。


「カゲ、お好み焼き奢ってください!!」

 

 

「お願いだ!!」とカゲこと影浦(かげうら)雅人(まさと)に土下座を決め込むのは小春花(うららか)慎太郎(しんたろう)。カゲと同じ18歳の高校生である。

 

ボーダー本部のど真ん中で土下座を決め込むのは些か目立ちすぎる。それにカゲの容姿が容姿なので慎太郎が子分のように見えるのは…もう仕方のない事だ。

 

 

「てめぇ…またか」

 

 

呆れた様子で土下座を決め込む慎太郎を見下ろすと「ははは」と困ったように笑った。この二人は幼稚園の頃からの知り合いで所謂、幼なじみと言う奴だ。おかげで気の知れるいい友達だ。だからこうやって土下座もできる。

 

 

「もうお前、俺ん家に住めばいいじゃねえか」

「いや、そこまでお世話になるのはなんか嫌だ」

「どうせ毎回タダ飯かっ食らってんだ。変わらねぇだろ」

 

 

「そうだけどよ〜」と唸っている慎太郎を見て「何してるの」と冷たい言葉が降りかかった。

 

 

「おっ、ユズル」

 

 

「あん?」と最初ガンを飛ばしていたカゲだが、同じ隊の絵馬ユズルだと知って少しだけ柔らかい眼差しへと変わった。因みにこの変化に気づくにはかなりの修行が必要だと思われる。

 

 

「凄い目立ってるけど」

「またタダ飯かっ食らいたいんだとよ」

「また?」

 

 

慎太郎がカゲに土下座を決め込むのも珍しくない。だからこそユズルもだいたいはそうだろうなとは思っていた。

 

土下座をさせればとても綺麗、顔は童顔で時々女と間違えられることで有名な慎太郎の趣味は女に貢ぐことである。いや、趣味というか無理やり貢がされていると言っても過言ではない。

 

 

「文句なら俺じゃなくてよォ、姉貴(アクマ)に言ってくれよ…」

 

 

女と間違えられる容姿をしている慎太郎だが、女性は苦手だ。あんな可愛い顔の下にはとてつもない本性がある。二宮隊の辻程では無いものの女性にはかなりの苦手意識がある。

 

 

「…なんで弟に仕送りさせてんの? しかも貰える給料の殆どを毎月かっさらって行くよ?? 何、何なの? 俺、殺されるの? 殺されちゃう?」

「……ひとまず落ち着いた方がいいよ」

 

 

「あは、あはは」と何も映さない暗い瞳で笑っている慎太郎は最早異質だ。カゲが「気色わりぃ」と漏らした。

 

 

「カゲぇぇぇええ!! だったらさ、だったらさ!! あの姉貴(アクマ)を退治してくれよ!! 俺の未来がかかってんだよぉぉおお!!」

「……自分でしろ」

「見捨てないでぇぇぇええ!!」

 

 

カゲの腰周りに縋り付くのはもう日常だ。慎太郎と幼なじみでもないユズルでも、もう慣れた。

 

小春花慎太郎。高校三年生。ボーダーでは幼なじみのカゲよりも二年先輩である。カゲは高校入学と同時にボーダーに誘ったのだけれど、慎太郎はお金の関係もあって中学二年生でボーダーに入った。

 

顔は女顔でボーダーに入った頃はかなりの頻度で間違えられてた。人見知り&女性が苦手と言うこともあり、話しかけりたらキョドる。(女性には)

 

何故か子供に好かれる慎太郎。本人は特別好きでは無いらしい。運動は好きだが、勉強は嫌い。成績は後ろから数えた方が早く、カゲと同じくらいだ。

 

 

「タダ飯食いたいなら玉狛、来る?」

 

 

「よっ!」と慎太郎に話しかけるのは玉狛支部に所属しているS級(じん)悠一(ゆういち)。慎太郎をボーダーに誘った人物でセクハラ以外ならそれなりに尊敬している人物である。

 

迅の持ってきたタダ飯は凄く嬉しい。そう、嬉しいのだが…。

 

 

「ごめんなさい。俺、コナミさん苦手……」

 

 

迅と同じ玉狛支部所属の小南(こなみ)桐絵(きりえ)という女子高生がいる。彼女はボーダーではかなりの古株に入る人物でランクも攻撃手3位と実力者である。

 

そんな小南に苦手意識がある慎太郎。別に小南は慎太郎に何もしたことはない。あったことだって片手で数えられるぐらいしか無いし、小南も普通に優しい人物だ。

 

ならばどうして小南に苦手意識があるのかと言うとそれは慎太郎の姉のせいだ。姉は小春花家ではかなりの暴君君主であった。両親は会社の社畜として働き、家に帰ってくることなんて殆どなかった。

 

だから何時もお金を家に置いていってくれるのだが、それは姉が何時も握っている為、慎太郎に回ってくる事は全く無かった。

 

お腹すいたと呟けば泥団子でも食っとけと返され喉が乾いたと呟けば泥水でも飲んだらと言われる。こんな日々を過ごして慎太郎は思ったのだ。

 

『世の中の女性は全てこんななのか』と。だが、それを正せる人間が周りにいなかった。慎太郎の周りには基本心を許した人物以外には荒れているカゲと愛され大型マスコットゾエこと北添(きたぞえ)(ひろ)だ。ゾエなら正すことが出来ただろうが生憎、カゲと慎太郎の世話で手一杯でそんなことは出来なかった。

 

お陰で正される事無く、そのまま時が進んでいく。近界民(ネイバー)が三門市に攻めてきた時、慎太郎は両親を亡くした。悲しいとは正直思わなかった。両親が家に帰って来てまともに話たことなんて片手で数えるぐらいしかない。顔だって思い出せるかと聞かれれば即答で「無理」と答えられる。

 

しかし、そんな両親のありがたみもいなくなってから、気づくものだ。家で暴君君主として存在していた姉だが、それでも両親がストッパーとなっていてくれていたのだ。

 

少なくとも、両親が「慎太郎にもちゃんと食べさせろ。体重がある一定の数値を切ったら知らないからな」と姉に言ってくれていた。

 

仕事で家を空けていても子供のことが気になるのが親と言うものだ。カゲやゾエとの両親とも繋がっていたし、毎月どちらかの家で体重を測って慎太郎の両親に教えればいい。それに慎太郎の日常生活の話なども入る。

 

そのストッパーこと両親が死んだ後はもうやりたい放題だった。ただでさえ、ご飯は貰えていなかったと言うのにさらに貰えなくなり、カゲやゾエの家に通うことは当たり前。おまけに、「稼いでこい」とふんぞり返って言われた日にゃ家に火付けてやろうかと思った。ゾエに凄く止められた。

 

家にいるのも嫌だし、外に歩いていた時に迅と出会い「バイト探してるならいいとこあるよ」と言われボーダーに入った。ボーダーの給料は結構高く、その味を占めた姉は馬車馬の如く働かせた。そして独り立ちした今も姉は弟に仕送りをさせている。

 

こんな過去を送ってきたが為に基本女性は敵だと認識してしまう。慎太郎本人は「辻君よりかはマシよね」なんて思っているが、カゲやゾエ、ユズルからしてみれば「変わんない」だ。

 

基本、気の強い女性が苦手だ。

(例)小南、木虎…

基本、お姉さんのような女性が苦手だ。

(例)加古、綾辻…

大丈夫なのは妹系の女性だけ。

(例)日浦、黒江…

 

犯罪臭がするが、周りにカゲやゾエがいる限りは大丈夫だろう。というかそう信じたいものだ。

 

 

「ま、慎太郎にも色々あるって分かってるけど、小南とも仲良くしてあげてよ。噂聞いて色々とショック受けてるみたいだからさ」

「………善処する」

 

 

迅は慎太郎にエールを送ると颯爽と帰って行った。なんとも言えない微妙な雰囲気になる。ポツリゾエが呟いた。

 

 

「ヒカリちゃんも誘ってみんなでカゲん家行こうか」




【名前】小春花(うららか)慎太郎(しんたろう)
【ポジション】アタッカー
【年齢】18歳
【誕生日】6月6日
【身長】180cm
【血液型】A型
【星座】うさぎ座
【職業】高校生
【好きなもの】金、平和、弟子、影浦家、北添家、ユズル、ヒカリちゃん
【家族】父、母、姉
【概要】
ボーダー本部所属B級2位の影浦隊のアタッカー。
容姿は横髪を後頭部で結っていて、髪は菊地原程の長さ。目付きは悪いけど以外と女顔。子供によく好かれる。
基本、姉のせいで金がなくそれがトラウマとなり、女が苦手になった。オペレーターの仁礼光以外の女とは殆ど喋られない。けれど本人は「辻君よりかはまし」だと思っているらしい。(たいして変わらない。)
過去には色々とやらかしており、それを表すかのように影浦がメディア対策室長の根付を殴った時はちゃっかり慎太郎も加勢していた。
慎太郎も一応それなりのサイドエフェクトを持っているのだが、カゲのサイドエフェクトの方が有名でいてそれなりにツラいものなのであまり知れられていない。

【漫画裏表紙風キャラ評】
大きい春も小さい春も来ない『ウラ』
現在進行形で女に痛い目にあっている女顔。目付きが悪いがそれ以上に目付きが悪い人間が近くにいるのであまり目立たない。一応サイドエフェクトも持っているのだがそれ以上にツラいサイドエフェクトを持ちがいるのでこれも目立たない。2.9枚目になりかけているが、そこは主人公なのでカバーされている。そう、これでも一応は主人公なのだ!




尚、最初が土下座と言うこともあり佐鳥とは仲のいい模様。


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弟子は可愛くて仕方がないのだ!!

緑川(みどりかわ)駿(しゅん)
原作では迅に助けられ迅バカとして三馬鹿をになっていたが、この作品では慎太郎バカ略して慎バカとしてになってもらう。ネイバーに襲われて慎太郎に助けてもらい背中を追いかけるようにボーダーに入った。慎太郎を本部で見つけて弟子にしてもらった日には嬉しすぎて幼なじみの周りで盆踊りをしたらしい。

(じん)悠一(ゆういち)
「おれのサイドエフェクトがそう言ってる」はかなり有名な決めゼリフでボーダーにいる人々の中にこの言葉を知らない人は居ないだろう。ボーダーではかなりの鍵を握っている人物だが、趣味が趣味な上に女性陣からは女の仇とされている。好きなものが女子のおしりと暗躍ではかなりの犯罪臭がする19歳自称「実力派無職」

犬飼(いぬかい)澄晴(すみはる)
カゲに嫌われているイヌを飼っていない犬飼。カゲに嫌われていると知っていても気にせず、カゲに話に行く様を見て慎太郎は犬飼のことをドMだと思っている。きっと近いうちににあったら慎太郎と「ニックネーム座談会」が行われることは間違いなしだろう。そこでドMなのかドSなのかハッキリするだろうと思われる。

熊谷(くまがい)友子(ゆうこ)
セクハラや名前を6回間違えれても許す許容範囲の広い心優しきJK。胸がデカくてモテるが慎太郎とはまだ一度も話したことがない。同い年の出水や米屋の話に(緑川の師匠ということもあり)かなり話のタネになっているので慎太郎と話してみたいとは思っているのだが、それはまだかなっていない。因みにこれを仁礼に話したところ慎太郎を手懐けるにはまず辻からだ!と言われ軽く絶望したのは記憶に新しい。


「ねえねえうららん先輩!! ランク戦やろうよ!!」

 

 

慎太郎の周りをうろちょろうろちょろとするのは弟子の緑川(みどりかわ)駿(しゅん)。ボーダーで慎太郎と会えたことが嬉しいのか緑川の周りには花が浮いているように見えた。それをほのぼのとしながら眺めていると「ねーやろうよー」と腕を引っ張られたので了承の意を示すため頷いた。花と一緒に星まで飛んでいるような気がする。

 

「やったー!!」と両腕を上げて喜んでいる緑川を見て心が浄化されていく気分になる。思わず手を組んで懺悔したくなるぐらいには浄化された。

 

ブースに行って10本勝負して10本とも勝つと、緑川は負けた筈なのに清々しい顔をして「また勝てなかったやー」と言った。心がさらに浄化される。

 

こんな駿との出会いは約1年ほど前、駿を俺が助けた…らしい。正直、全く覚えて居ないのだが、駿が「うららん先輩…いや、師匠が俺を助けてくれたよ!! 俺がこの目に焼き付けてるんだから!!」と言われ迅さんからは「おれも見てたよ助けてた所。あれは颯爽としてかっこよかったねー。ボーダーで広めといてあげようか、慎太郎の活躍」などと言われた。

 

まあこれが正直嘘でも本当でも駿が俺を尊敬してくれてることには変わりないからちょっと嬉しい。けれど、駿は俺に心酔しきっているというか…暴力沙汰を起こした日には「なんかかっこいい!! 俺も根付さん殴って来ようかな!」なんて言い出したので色々と過去の自分を呪った。テンションであんなことをやっちゃいけない。でも後悔はしていない。

 

 

「カゲさん達と幼なじみだったんだよね? だったら、うららん先輩も荒れてたりするの?」

 

 

ボーダー内ではそこそこ有名なカゲとゾエによる八度にわたるタイマン。それを知っているからきっと駿もこんなことを聞いてくるのだろう。

 

 

「あは、あはは」

 

 

正直に答えるならYESである。俺が駿の年齢だった頃は1番荒れてた…いや、駿の年齢からまだもう少し前かな。まあそんなことはどうでも良くて中学生の頃は結構荒れてた。

 

ゾエみたいに八度にわたるタイマンなんてカゲとはしてないが殴り合いの喧嘩ならそこそこやってた。カツアゲとかも普通にやってたし、なんならカゲやゾエが目を離した隙に姉の居城となっていた我が家を放火させようとしていた。あばよくば姉が黄泉比良坂に行ってくれることを願って……。

 

 

「駿、放火は罪の中でも1番重い罪になるらしいからやるなら足がつかないようにするんだよ」

「え? 急にどうしたの? ていうか今のところ放火する予定はないんだけど」

 

 

ああ、やっぱりいい子だ相変わらずいい子だ。女の子だったら嫁にしたかった…あっ、これは無理だ。鳥肌やべぇ、死ぬかもしんない。

 

 

「どうかした? 顔色悪いよ?」

 

 

いや、俺は生きる。まだ生きるぞ!! 駿の上目遣いに心を撃たれた俺はジュースを奢ってやった。フッ、飯を食う金はなくとも弟子にジュースを奢る金ならあるのさ!

 

 

「おー、緑川じゃねぇか」

「ちっす、ウラ先輩」

「あ! よねやん先輩、いずみん先輩!!」

 

 

よねやん先輩こと米屋がこっちに手を振りながらの登場。いずみん先輩こと出水はジュースを飲みながらの会釈である。

 

因みに俺の通称は『ウラ』である。小春花なんて呼びにくいしなまえで呼ぶ人なんて迅さんぐらいである。カゲがカゲと呼ばれるようにゾエがゾエと呼ばれるように俺もウラと呼ばれているのだ。…犬飼の場合はイヌなのかカイなのか。同い年のアイツに少し興味を持ったぞ。カイはなんかかっこいい感じがするのでイヌにしよう。

 

 

「ランク戦してたんすか?」

「全敗、やっぱ勝てないなあ」

「まあ緑川ならしゃーねーな」

 

 

「強くなってた! この前よりも更にね!!」と嬉々として米屋と出水に報告している駿。しかし、誰一人として真面目に聞いておらず、米屋は両耳塞いでいるし、出水は「あー、うん、そうだなー」と適当に相槌を打っているだけだ。なのに気づかない駿。お前、本当にそれでいいのか…。

 

しかしながら段々と恥ずかしくなってきたので暴走している駿を止める。

 

 

「おー、相変わらずイヌみてぇだな」

「完璧に手網握ってるな!」

「え、犬飼?」

「え?」

 

 

イヌ=犬飼という方程式を勝手に作ってしまったので反応してしまった。ごほん、何も無いよ出水。続けてくれ。

 

ギャーギャーと目の前でコントのように広げられる会話を眺めていると「あんた達もう少し静かに出来ないの?」と後ろから声がした。女の声だ。肩が大きく上下したのはこの際見逃して欲しい。

 

 

「あ、くまちゃん先輩」

「…ウラ先輩。女が苦手なのは知ってますけどそこまであからさまな反応されるとこっちが傷つきます」

 

 

トリオン体だった俺はすぐさまテレポーターを使い出水の後ろへと隠れた。

 

 

「えー、なんで俺の後ろじゃなくていずみん先輩の後ろなのーうららん先輩」

「…………」

「…え、俺がこれ通訳しないといけないんすか? ……駿だと俺を隠しきれないだろ……だってよ」

 

 

俺の返答に納得出来ていないのか駿はブーブーと口を尖らせていた。

 

 

「いずみん先輩の後ろに隠れてもどっちみち隠れきれてないじゃん」

「まあ、ウラ先輩は弾バカよりも背ェ高いからな」

「そうだな槍バカよりかはウラ先輩は高いな」

「…この前二人とも同じ175cmだったって言ってたじゃん」

 

 

何故か喧嘩になりかけた三馬鹿を見て呆れ顔になった熊谷はすぐにその場を去っていた。どうやら面倒事に首を突っ込む気は無いらしい。

 

ひょこっと出水の後ろから出てきた俺を見て熊谷が去ったことに気づいた三馬鹿は仲良くブースへと向かって行った。俺も誘われたけど疲れたから隊室に戻ると伝えた。




おまけ

「え? これから俺のことをイヌって呼んでいいか? なんで」
「カゲ、ウラ、ゾエ。いっその事18歳組でこーいうニックネームを付けてしまおうかと思って」
「ええ〜。なら俺はカイがいいなあ」
「それはかっこいい感じがするからやだ」
「なんで!?」


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戦闘は好きだけど、過激なのは止められてます!

出水(いずみ)公平(こうへい)
学力はそこそこの弾バカ。顔もそこそこいいはずなのに、私服のセンスが全てを台無しにしている。時々、勉強のことで緑川に泣きついている慎太郎を見てそれでいいのかと思うけれど、自分の隊長もあまり変わらなかったのでなんとも言えなかった。とりあえず、隊長にも慎太郎と同じ小学生のテキストから始めさせようと心に決めた。

米屋(よねや)陽介(ようすけ)
髪を下ろせば意外とイケメンかもしれない槍バカ。慎太郎と会うと緑川のように試合を挑み尽く負けている。「………と、思うじゃん?」はそこそこに知れ渡る決めゼリフでこのセリフの後からは何かが変わる。勉強はかなりやばい方な筈なのに呑気に笑って戦闘しているので隊長の三輪に怒られることしばしば。本人曰く「未来の自分に全てを託した」との事。

木虎(きとら)(あい)
ツンツンツンツンデレ系女子。なお、デレをみたい場合は玉狛支部所属のとりまること烏丸京介を連れてくるとよい。基本、自分の目の前で他人が褒められている所を見ると機嫌が悪くなる。プライドが高く厳しい性格をしている為、慎太郎とは仲良く出来ていない。きっと彼女と慎太郎は地球が滅びても仲良くはならないだろう。因みに烏丸との恋は始まってすらない模様。

太刀川(たちかわ)(けい)
Dangerをダンガーと呼ぶボーダー最強人物。因みに、慎太郎もダンガーと読んでおり頭の中は同じくらいだと思われる。パソコンのコンセントが抜けていることに気付かず壊れた!と叫んでいる様を見て「親近感がわく」と慎太郎に言われたのはまだ記憶に新しい。それを聞いた風間に「お前はそれでいいのか、20歳」と言われ深く傷ついたらしい。

風間(かざま)蒼也(そうや)
小型かつ高性能の攻撃手3位。高いプライドを持ち冷静だが常に熱い男。基本、1個年下の太刀川の面倒を見ており、時には太刀川隊の救世主として降臨することもしばしば。これでも次男坊。なのにこの長男の包容力は果てしない。慎太郎も時々、面倒を見てもらっている。慎太郎曰く「ボーダーで1番尊敬してる人」だとか。尊敬していると言われたのが嬉しかったのかお好み焼き屋を奢ってくれた。

加古(かこ)(のぞみ)
とんでもないチャーハンを作り出すファントムばばあ。熊谷と同じく慎太郎とは一度も喋ったことがない。何度かチャーハンを作ると誘ったのだが、青白い顔をして物凄いスピードで逃げて行ったのを見て、面白がって喋りかけるようになった。慎太郎もあの噂を聞いており、女性の中で姉に次ぐ怖さだと認定している。勿論、加古は知らない。「チョコミントチャーハン」で堤が「イクラカスタードチャーハン」で太刀川が「蜂蜜ししゃもチャーハン」でもう一度堤が死んだ。太刀川を殺せる人間なんてきっと忍田本部長と加古しか居ない。尚、チャーハンと聞くと二宮隊の二宮が反応するのでもしかすると彼もこのチャーハンで殺されたことがあるのかもしれない。



「あ、ウラじゃねぇか!! どうだ、久々にランク戦でもしようや!」

 

 

ジュースを飲んで休憩していた時だった。太刀川さんが俺に気づいて肩をバンバンと叩きながらランク戦のお誘いをしてくる。受けようかと思ったが、そう言えばランク戦のことでこの前注意を受けたなと思い出した。

 

 

『小春花先輩。あの戦闘スタイル正直どうにかならないんですか』

 

 

キッと鋭い目を更に鋭くさせ、ゾエの後ろに隠れている俺を睨むようにして言うのはA級嵐山隊に所属している木虎(きとら)(あい)だった。

 

 

『貴方の戦闘スタイルを見て後輩は震え上がってるんですよ。周りにもあまり影響を与えないような戦闘をしてください』

『そう言っても、ウラのアレは色々なストレスを発散させてるようなやつだからやめられないんじゃないかな。ね、ウラ』

 

 

コクコクと頷けば、木虎の目付きは更に釣り上がる。

 

 

『貴方、女性が苦手なんですよね。過去に何があったかなんて私は知りませんが、女性と話す時、人の後ろに隠れて話すのは話す側としては不愉快極まりないです。せめて、辻先輩のように出会う前にどこかへ行ってもらいたいですね』

 

 

フンと鼻を鳴らしてどこかへと歩いていく木虎。やっぱり苦手なタイプだと思ってしまったのは仕方の無いこと。因みに後日、とっきーこと時枝君がお詫びの品を持ってきてくれた。さすがフォローの達人である。

 

木虎との会話を思い出し俺は太刀川さんの誘ってくれたランク戦を断った。ぶっちゃけた話、太刀川さんには勝てないし喧嘩沙汰で減点を食らっていてポイントもごっそり持っていかれていたので丁重にお断りした。これ以上、ポイントを減らすとC級へと後戻りだ。それはいかん。カゲに怒られる。

 

尚、太刀川さんが俺のことをウラと呼ぶのは「小春花」と書いて「うららか」と読む確信が持てないかららしい。もう少しわかりやすい苗字にして欲しいとも言われた。太刀川さん、人の苗字にイチャもんは付けないで貰いたい。

 

 

「風間さん」

 

 

太刀川さんの後ろに立っていた風間さんに気づき、名を呼ぶと太刀川さんの肩が大きく上下した。多分、風間さんに追われていたのだろう。追われていた理由としては、大学の単位がやばいのかはたまたは、レポートを提出していないのか。両方なのかは分からない。

 

 

「お、おう…風間さんじゃねぇか……」

「久しいな太刀川。と言っても……先程ぶりだが?」

 

 

「いやぁー」と言って一歩、一歩後退していく太刀川さん。冷や汗が凄い。しかし、太刀川さんは風間さんから逃げることは出来なかった。何故なら、太刀川さんの後ろに人が居たからだ。因みに俺は素早く小型高性能の風間さんの後ろに隠れた。

 

 

「ちょっと、ちゃんと前向いてあるいてよ」

「うおっ!? 加古!」

 

 

ドンと加古さんにぶつかる太刀川さん。俺はそっと風間さんの後ろに隠れる。正直、俺を隠せるぐらいの身長を風間さんに分け与えたいのだが、無い物ねだりをしても意味が無い。それに、本人は身長のこと気にしてないって言ってたし。かっこいいな…。

 

加古さんを見て隠れた俺を見て嬉しそうに加古さんは笑う。「性格悪ぃ…」と太刀川さんが呟いていたが、ヒールの靴で足を踏まれていた。

 

きっとあーいうのがカゲにファントムばばあと言われる所以なのだろう。詳しいことは知らないけど。

 

 

「うふふ、慎太郎君、チャーハン食べたいとか思わない」

 

 

ずいっと顔を出てきた加古さんの顔を見て発狂しそうになるのは仕方の無いこと。戦闘の時は大丈夫なのだが、それ以外は無理。女は苦手、苦手なのだ。

 

もう、これでもかってくらい首を横に振っていると「そろそろもげそうだからやめろ」と風間さんに止められた。相変わらず面倒見いいなこの人。かっこいい、惚れる。

 

 

「加古もあまりいじめてやるな」

「でも会ったら恒例なのよこれ」

「ウラが女嫌いで良かったな。こんなのが恒例だったら命がいくつあってもたりゃしねぇぞ」

「あら。それはどういう意味かしら?」

 

 

問い詰められてる太刀川さんに阿弥陀仏。色々な意味でご愁傷さまである。

 

時刻はお昼。12時を回っている。それを腕時計で確認した加古さんは「お腹減ってない?」と聞いた。

 

 

「確かに…減ったな」

 

 

それほどまでにレポートやらなんやらをしたくないのだろう。できるだけ時間稼ぎをしたい様子の太刀川さん。冷や汗が凄い。

 

それを横目で見た風間さんは「ああ。確かに空いたな」と言った。まさか乗ってくるとは思わなかったらしい。太刀川さんが驚いている。

 

しかし、これを見ていると本当に太刀川さんはバカなんじゃないかと思ってしまう。いや、バカなのだろう。加古さんの前でそんなこと言ってしまったら…。

 

 

「なら私がチャーハンを作ってあげるわ!」

 

 

ピシリと太刀川さんが凍った。

 

 

「太刀川はすごく腹が減っているらしい。沢山食わせてやってくれ」

 

 

太刀川さんが砂となって消えて行ってしまいそうだ。

 

 

「慎太郎君は?」

 

 

俺は首を横に振って丁重にお断りさせて頂いた。まだ死にたくない。

 

 

「あらそう? 風間さんはどうする?」

「俺も頂こう」

 

 

風間さん、本当に凄い。勇敢すぎる。もう尊敬を通り越して憧れの域だ。生まれ変わるなら風間さんになりたい。

 

そして後日、風間さんにどんなチャーハンを食べたかと聞くと風間さんは「カツカレーチャーハン」を太刀川さんは「鮭マグロ麻婆チャーハン」を食べたらしい。

 

風間さんは美味しかったのでまた食べたいと言っていたが、太刀川さんは死んだという。しかし、数分経って叩き起しレポートをさせたと言っていたので風間さん鬼だなと思ったのは心にとめておく。



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師匠はとてもかっこいいんだ!

突然始まる過去編。
原作突入はまだ早いと感じたんで…。

緑川(みどりかわ)駿(しゅん)(過去)】
慎太郎に助けてもらい、そこからボーダーを目指す。ボーダーに入って慎太郎の情報収集をしていた時、いい噂は全く聞けなく、悪口ばかり言われていたので慎太郎の悪口を言った人にはお礼を兼ねてランク戦でギッタギタにしてやった。そしてついたあだ名は『天使の顔をした悪魔、番犬ミドリカワ』
カゲにすごく笑われた。

小春花(うららか)慎太郎(しんたろう)(過去)】
荒れていた時期を卒業して少し丸くなった頃、ネイバーに襲われていた緑川を救出。ただし、興味が無かったので全くと言ってもいいほど覚えていない。緑川にストーカーされ、迅にそれを愚痴ったら「いや、助けてたよ?」と言われそんな馬鹿なと思った。緑川に根負けして渋々弟子入りさせた。そして、気がついたら緑川く慎太郎になっており、弟子愛が半端なくなっていた。


緑川駿と小春花慎太郎の出会いは俺こと、緑川駿がネイバーに襲われている所を助けてもらったのが始まりだ。

 

 

「ゲートが開く感じがして来たんだけど…大丈夫か? 少年」

 

 

ネイバーに襲われていた俺を俵抱きして、その場を離れると安心するような笑みで言った。俺を抱えてる筈なのに、身軽に動くのはとても凄いとあの頃は思ったなあ。まあ、今思えばトリオン体だから出来たんだなって思うけど。

 

それでも俺を颯爽と助けてくれて、名前も知らないあの人がとてもかっこよく感じた。単純にすげぇ!!って。

 

 

「怪我は…無さそうだな。んじゃ大丈夫か」

 

 

一目、俺を見ると彼はそう言って倒し損ねたネイバーに向かって行く。遠目で見えた彼は狂気の笑みを浮かべていて、楽しそうに見えた。普通はそんなのを見たら怖くなるんだろうけど、全然怖いとは感じなかった。ネイバーを倒したら一息ついた後、俺の所まで来てくれて話しかけてくれた。さっきみたいな狂気の笑みじゃなくて優しい笑みだよ!!

 

 

「ほら、そんな所に座りっぱじゃなくて、立ちな」

「う、うん」

 

 

なんか、それがかっこいいと感じた。戦闘中とのギャップが凄くて、そこがなんというか、かっこいい。助けてくれたし、お礼もしたい。だから名前を聞こうとしたらまた知らない人が来た。

 

 

「本部から出動命令が出たと思ったら、もう倒してたのね」

「あ、迅さん」

 

 

迅さんと呼ばれた男性は俺を見つけると「どーも。実力派エリート迅悠一です」と俺に向けて自己紹介をしてくれる。とりあえずお辞儀をしておく。

 

 

「迅さんが来たならもう俺は要らないか」

 

 

俺の「あ」との呟きも聞こえて居なかったのだろう。助けてくれた人はこっちに目向きもせず帰っていってしまう。が、すぐに足を止め、振り返る。

 

 

「一応、本部には殺ったって報告はしたんで」

 

 

ただ、一言。それを迅さんに伝えると行ってしまった。結局、あの人の名前すら聞けなかったし、お礼だって言えなかった。

 

 

「大丈夫だよ。君がボーダーに行けばまた会えるさ」

 

 

きっと俺が悲しそうな顔でもしてたんだろう。安心させるような笑顔で迅さんは俺にそう言うと頭を撫でた。

 

 

「俺がここにいても意味ないし帰るよ。一人で帰れる?」

 

 

迅さんの問いかけに俺は頷いた。頷いた俺を見て満足そうな顔をすると迅さんは「気をつけて帰れよ」と言って行ってしまった。

 

帰って行く迅さんの背中を見つめながら迅さんがさっき言ってた言葉を思い出す。

ボーダーに行けば、会える。迅さんのその言葉を信じて、俺も家に帰る。

 

そう言えばこの前、双葉がボーダーにスカウトされたって言ってたな。ってことは、ボーダーに誰でも入れるわけだ!

 

ボーダーに入るなら、まず父さんと母さんを説得して…。色々作戦を考えて、親に言ったら普通にOKを貰えた。両親曰く「しっかり者の双葉ちゃんがいるなら大丈夫」だと。

 

少しイラッと来たが、ここで反抗すると取り消しにされそうなので耐えておく。これも全て助けてくれたあの人に会うためだ。

 

この後、ボーダーに入る為に簡単な試験とかあったけど飛ばすね。特に言うことないし。簡単だったもん。特に入隊指導の対ネイバー戦アレ何? 簡単過ぎない?? 簡単過ぎて少し笑っちゃいそうになったよ。

 

ボーダーに入隊して3ヶ月。特徴だけで色々と探し回った。名前は『小春花 慎太郎』と言うらしい。聞き回っていた時に、小春花先輩の知り合いにあった。「どうしてウラを探してるのか聞いてもいい?」と言われたので「助けてくれたんです! 見つけたらお礼言って、あばよくば弟子にして欲しい!!」と言ったら笑われた。何故に?

 

 

「ウラの弟子になりたいの!? ゾエさんびっくりだよ」

 

 

自分のことをゾエさんという人はヒーヒー言いながら続けた。

 

 

「そっかそっか。君はボーダーに入ってまだ3ヶ月か。ウラが戦闘してる所見たことある?」

 

 

俺は頷いた。だって、俺を助けてくれた時、小春花先輩はネイバーと戦ってたし。嘘は言ってないと思う。…多分。

 

頷いたら何故か驚かれた。

 

 

「…へぇ。見たことあるのに弟子になりたいのかぁ……。ゾエさん冗談抜きでびっくり」

 

 

そう言ってゾエさんは俺の肩をバンバンと叩く。

 

 

「そっかそっか! あ、君はウラを探してるんだっけ? なら多分会えるよ! すぐとはいかないだろうけど、ウラは()()()()から。君がウラを探してることはきっと知ってるよ」

 

 

知ってるなら何故出てきてくれないのだろうか。それを聞いたらゾエさんは「ウラは恥ずかしがり屋だからね」と言った。

 

 

「ウラは昔から喧嘩しかしてなかったから、素直にお礼とか言われるの慣れてないんだよ。闘い方とかかなりヤバいし、色々と誤解されやすいんだけどね。根は優しい奴なんだよ。ただ今まで周りに恵まれて無かっただけ。だからゾエさんは嬉しい!! ウラの弟子になりたいとか言う子いなかったからね!! 正直、ゾエさんですらなりたいとは思わない!」

 

 

ゾエさんは「ウラと仲良くしてやってね」と言ってどこかへ行ってしまった。

 

そして数週間後、小春花先輩…うららん先輩と出会った。

 

 

「小春花先輩!! 前は助けてくれてありがとうございました!!」

 

 

ランク戦ブースにて。発見した。一目見てわかったから、引き止めてお礼を言うと「……えーと、誰?」と言われた。目が点になったのはこの際、ご愛嬌にしてもらいたい。

 

 

「君が入隊してからずっと俺を探してたのは知ってるよ。()()()()しね。ゾエからも言われたけど…俺、君に何かした?」

「えっと、小春花先輩はネイバーに襲われてた俺を助けてくれて……」

 

 

俺がそう言えば小春花先輩は「あー」と言って一瞬考える素振りをした。と言っても一瞬。ホントに一瞬ね!

 

 

「ダメだ、全然記憶に無ぇや。思い出せね。無理無理」

「ねぇ、少しは考えてよ」

「いや、考えたよ? 考えたけど思い出せなかったの。ごめんな少年」

 

 

そう言って立ち去ろうとしたので慌てて食い止める。

 

 

「待って待って待って! 他にも、話があるんだよ!」

「話?」

 

 

手を掴んで止めたら止まってくれた。「話ってなに?」と聞かれて吃る。

 

 

「…えっと、あの……その…」

「急に吃るね。何? いかがわしい話? ごめんね、俺、そんな趣味じゃないから」

「いや違うよ!? なんでそんな話になるかな!?」

「…少年、純粋そうな顔をしておきながら……意外とド変態だな? コノヤロウ」

 

 

ダメだ。遊ばれてる。完全に遊ばれてる!

 

 

「俺を弟子にしてください!!」

「は?」

「だから、弟子にしてください!!」

 

 

これ以上、遊ばれるのもヤだったから言いたいこと言ったら小春花先輩は固まった。「おーい」って言って目の前を手で翳して見たりするけど動かない。「喰らえ! 目潰し!!」とか言って目潰したら怒られるかな?

 

 

「……そういう冷やかしは要らないよ」

「違う! 違うよ! 俺は純粋な気持ちで弟子にして欲しいの!! 俺は小春花先輩みたいに強くなりたいんだよ! ネイバーに襲われてる、昔の俺みたいな子を助けたい」

「…………」

 

 

「お願いします!!」そう言って頼み込んだ。何回も頭を下げた。

 

 

「……男がそんなに頭を下げるんじゃない」

 

 

「顔を上げろ」そう優しい声で小春花先輩は言った。言われた通り顔を上げたら、あの頃、俺を助けてくれた時の顔で、優しい顔で「俺は強くないよ」と言った。

 

 

「けれど、人にはそれぞれ『強さ』がある。少年には少年の『強さ』があるし、俺には俺の『強さ』がある。君は十分強いよ。俺なんかの弟子にならなくても」

「それでも弟子になりたいんです!! なりたいと言ったらなりたい!!」

 

 

「…わがままだな」と呆れた顔をされたけど、俺はまだ子供だからね。多少のわがままぐらい許して欲しい。

 

この後、頼み込んだけど逃げられた。

でも、諦めきれなくて何日も何ヶ月も追いかけ回した。そりゃもうストーカーと間違えられるぐらいには。カゲさんには苛立ちを通り越して呆れられ、ゾエさんは「ウラに面白い後輩が出来てゾエさん嬉しい」と喜ばれた。

 

結果から言うと俺のしぶとさ勝ち。最後には降参するように弟子入りを許してくれた。こうして俺はうららん先輩の弟子を勝ち取ったんだ!!

 

 

「…()()()()のに逃げねぇってことはそれなりに気に入ってんだよ。あーうぜえ」

「まあまあ、カゲ。そんな事言わないの。ウラは素直に好意を寄せられるのに慣れてないだけなんだよ」

 




緑川、両親に説得していたその頃ウラは〜
「太刀川さん、ガ○ダム無双やろうよ。プレステの」
「おーいいぜ。隊室行くか! 国近がゲーム持ってんじゃねーかな」

緑川、ボーダー入隊したその頃ウラは〜
「なあなあタヌ…鬼怒田さん。ガ○ダム、ガ○ダム作ろうよ」
「ガ○ダムだぁ? そんなの作れるわけが無いだろうが!! ガ○ダニウム合金なんてどこで採れるんだ馬鹿たれ!!」

緑川、ウラを探していたその頃ウラは〜
「風間さんってヒ○ロ・ユイの声にそっくりだよなぁ。ウィ○グガ○ダムとか乗ってないの?」
「…乗れるものなら乗ってみたいな」
「ぶっ!! 風間さん本気で言ってるのか!? 無理だろその身長じゃ!!」
「……日頃お前が俺のことをどう思っているのかよくわかった。来い、太刀川。一緒に楽しいことでもしよう」


この後、太刀川を見たものはいなかったと言う…。


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慎太郎の女!? ボーダーに現る!!

花貫(はなぬき)小春(こはる)
突然、ボーダーに現れた女性。慎太郎を探しており、口元にあるホクロはすごくエロい!! 顔も可愛いというよりかは綺麗で美人系。性格はキツめなのだが、そこは演技でカバー。何故、慎太郎を探しているのか。それは彼女しか知らない…。

嵐山(あらしやま)(じゅん)
ボーダーの顔、そしてナイスガイ。しかし、そんな人物にも裏面があり、双子の弟と妹を溺愛している。シスコン&ブラコン。勿体ない。顔は迅と似ているが、血は繋がっていないし、性格は全くと言ってもいいほど似ていない。迅とは違って女ウケがいい(本人にそんなつもりは無い)。これからもボーダーの顔、そしてA級を頑張って欲しい(誰目線?)

時枝(ときえだ)(みつる)
年中無休で眠そうな目をしているが出来るやつ。フォローの達人で木虎が慎太郎に喧嘩売った時も後でお詫びの品と一緒に木虎を引き連れてきた。こう見えても16歳。佐鳥と同い年には見えない。精神年齢共に頭脳面でも慎太郎や太刀川を上回っていることは間違い無し。

佐鳥(さとり)(けん)
いつの間にか土下座していた2.9枚目。人気のある嵐山隊で何故か1人だけハブられることが多い安定の窓顔。こう見えても、慎太郎に射撃を教えてたりと慎太郎とは仲のいい模様。因みに佐鳥の土下座は慎太郎直伝らしい。

綾辻(あやつじ)(はるか)
容姿端麗・成績優秀だが芸術方面は壊滅的なボーダーのマドンナ。人には得手不得手があるものだが、彼女は些か激しすぎる。絵と歌に関しては城戸司令を瞠目させ、唐沢さんに冷や汗を流させたと言う。きっと鬼怒田開発室長が聞いてたら死んでた。彼女はやばい。何がやばいかって本人が気づいて居ないことがやばい。そして、慎太郎が荒れてた時期に怪我をして気絶していたのを見つけ、好奇心等で膝枕をしながら子守唄を歌うと言う暴挙に走り慎太郎を殺しかけた。ボーダーで怖い女性2位(慎太郎調べ)


高野(たかの)、ボーダー本部に向かってちょうだい」

 

 

黒い縦長の車、リムジンに乗った女性は一言、高野と呼んだ運転手に告げた。最初、運転手もはいはいと言ったような感じで聞いていたのだが、理解したのだろう。途中でえっ、と声を漏らした。

 

 

「…なんでまたボーダー本部に向かうのかねぇ。もういいじゃん、東京に帰ろうよ」

「用があるの。つべこべ言わないで向かいなさい」

 

 

最初はブーブーと文句を言っていたのだが、行先は完全にボーダー本部だ。逆らうつもりはないらしい。

 

 

「ふふっ、何年ぶりかしら。久しぶりね……慎太郎(・・・)

 

 

過ぎてゆく景色を見ながら、ボソリ小さく呟いた。

 

 

「着いたよ、お嬢」

 

 

数時間後。ボーダー本部に到着。運転手は素早く車を降りるとお嬢と呼んだ女性の席のドアを開ける。

純白のスカートを押さえながら車を出る彼女の姿はとても絵になる。風に揺れる長く麗しい黒髪。目付きは悪いのだが、案外周りはそう思っていない。白く陶器のような肌は日焼けを知らない。

 

そんな彼女が何故ボーダー本部に来たのか。それは小春花慎太郎に用があるからだと言う。

 

 

「んじゃお嬢、用が済んだら電話してくれ。迎えに来るからよ」

「ふふふっ」

「朝帰りとかやめてくれよ? こっちにだって時間はあんまりねぇんだ」

「分かってるわよ。ほら、早く何処へでも散りなさい」

「へーへー、分かりましたよ。おじゃま虫は退散させていただきます」

 

 

運転手は口を尖らせながらそう告げると、車に乗ってどこかへと行ってしまった。それを見届けることなく、彼女はボーダー本部の中へと入る。

 

長い廊下。まるで映画に出てくるような秘密基地みたいで少しドキドキする。しかし、同じような風景ばかりなので迷ってしまいそうだ。

 

しかし、彼女の足は真っ直ぐ、迷うことを恐れていなかった。数分経つと、道が開けて大きな広場へと繋がっていた。

 

ランク戦ブース。そこに彼女は足を踏み入れたのだ。勿論、彼女はボーダー本部自体来るのが初めてなので、ランク戦ブースに圧巻されてしまう。思わず感嘆の声が漏れてしまうのは仕方の無いことだ。

 

しかし、彼女は圧巻されてる暇は無いのだ。慎太郎を探さなくてはならない。慎太郎は居ないかと辺りを見渡すがどうやら慎太郎は居ないようで溜め息を着いてしまう。

 

 

「おやおや? お綺麗なお嬢さん、溜め息なんか着いてどうかしたんですか?」

「佐鳥先輩、そういう絡み方は女子ウケしませんよ。ウザイだけです」

「えっ、マジで!?」

 

 

彼女の後ろからひょこっと出てきた2.9枚目の男、佐鳥(さとり)(けん)に辛辣な言葉を浴びせるのは木虎(きとら)(あい)。木虎の後ろにはフォローの達人時枝(ときえだ)(みつる)やボーダーのマドンナ綾辻(あやつじ)(はるか)、ボーダーの顔嵐山(あらしやま)(じゅん)がいる。

 

 

「まあまあ、こんな道のど真ん中で話し合いしないで。そこの女性も困ってるでしょ」

 

 

さすがフォローの達人。さりげなく端に行くよう指示する。確かに道のど真ん中で漫才のような話し合いをする訳にもいかない。皆、大人しくに時枝の指示に従った。

 

 

「それにしても、君見たことないな」

「確かに、ボーダーにいたら目立つ容姿してますね」

 

 

嵐山の言葉に綾辻が賛同した。嵐山や綾辻、木虎が話している後ろで佐鳥が「うーん」と小さく唸っている。

 

 

「どうしたの、そんなに唸って珍しい」

「いや、あの人どこかで見たような……どこで見たっけなぁ」

「………」

 

 

時枝は佐鳥から視線を外し、静かに女性を見た。佐鳥は隣で唸っている。

 

 

「そう言えばさっき誰かを探してる風でしたよね。誰か探してたんですか?」

「ええ」

 

 

木虎の疑問に女性は頷いて肯定した。嵐山が「良ければ探すぞ」と言う。

 

 

「じゃあお言葉に甘えて。小春花慎太郎を探しているのだけれど、どこに居るのか知ってるかしら」

「小春花先輩、ですか?」

「小春花か……残念ながら今日は1度も見てないな」

「珍しいですね。小春花君は女性が苦手だからこんな美人な人に探されてるなんて」

 

 

「…まさか、彼女!?」木虎が小さく呟く。相変わらず、佐鳥は時枝の横で小さく唸っている。いい加減うるさいのだが、周りは慎太郎の彼女疑惑で盛り上がっていて佐鳥の声は誰にも聞こえていなかった。さすがボーダーの2.9枚目。もう存在を忘れられている。

 

 

「…失礼だけど、そこの女子二人は慎太郎とどういう関係なのかしら?」

「…小春花先輩は嫌いな先輩です」

「小春花くんからは嫌われてるかな。仲良くはしたいんだけどね、皆以上に避けられてる」

 

 

木虎と綾辻の回答を聞いて「…そう」と目を伏せた。目を伏せる動作さえとても絵になることは、この際言わなくてもいいだろう。

 

 

「良かった。親しい関係です、なんて言われたらきっと私、貴女達を殺してたわ」

「え、彼女さんじゃないんですか?」

「まさか」

「でも好きなんでしょう? 一目で分かります!」

 

 

女子三人で恋バナが始まる。完全に蚊帳の外に出された嵐山は時枝の横に行く。

 

 

「女子が好きな色恋沙汰の話だ。俺には全くわからん」

「嵐山さんは鈍感そうですからね」

「…どういう事だ?」

 

 

フイと目線を逸らす時枝。珍しいなと少し面白くなった嵐山。思わず嵐山は笑ってしまった。

 

 

「で、さっきから賢は何に唸ってるんだ?」

「あの女性をどこかで見たことがあるらしいく思い出そうと奮闘中です」

「……そう言えば言われてみれば見たことあるな…」

 

 

「充分かるか?」と嵐山に聞かれ時枝は「まあ一応」と答える。

 

 

「俺の予想が当たっていれば、嵐山さんも()()()()()()()()()()

「会ったことがある? ……思い出せんな」

 

 

佐鳥に続き嵐山まで唸り始めた。しかし、佐鳥とは違って絵になる。佐鳥とは違って。重要だから何度でも言おう。嵐山の唸っている姿は佐鳥とは違って絵になる。

 

数分後、女性の恋バナが終わり、女性は慎太郎を探すと言う。女性は行ってしまった。行ってしまう女性の後ろ姿を見つめる佐鳥。

 

 

「佐鳥先輩、何そんな熱烈な視線送ってるんですか。無理ですよ、あの人小春花先輩に惚れ込んでますから」

「…………」

「佐鳥先輩、気持ち悪いです。今すぐ視線から外してください」

「…あー!!」

 

 

佐鳥は急に大声を出す。どうやら思い出したようだ。しかし、大声を出して木虎に怒られた。全く聞いていなかったが。

 

 

「思い出した!! どこかで見たことあるなって思ったらこの前共演した女優の花貫(はなぬき)小春(こはる)じゃん!!」

「…言われてみれば確かに…」

「……気づかなかった」

「凄いな賢!! 俺は思い出せなかったぞ!」

 

 

嵐山が佐鳥を褒めている横で木虎が時枝に聞いた。

 

 

「時枝先輩は知ってたんですか?」

「まあね。一目見た時から大体そうじゃないかって思ってた。収録の時とは雰囲気が違ったから確信は持ててなかったけど」

「女性って雰囲気が違うと全く別の人に見えることあるよね」

「分かります、それ!!」

 

 

ギャーギャーと女性の雰囲気の話で盛り上がっている横でボソリ佐鳥が呟いた。

 

 

「女優さんの花貫さんが一体、ウラ先輩に何の用があるんだ?」



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