【完結】日本国と世紀末日本召喚 (MrR)
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サメが世界の覇者

ほんとうになぜかサメ小説になったんです。

信じてください。


 

 かつてこの国には日本という国が存在した。

 

 しかし日本の政治機構の腐敗、内乱の末に大国同士のパワーゲームに巻き込まれる形で核兵器によって滅んだ。

 

 だが人々は強かった。

 

 例え土地が放射能に汚染されても、

 

 例え放射能の影響で生物が凶悪化しようとも(サメ含む)、

 

 例え世界が荒れ果て、同じ人間同士で殺し合っても、

 

 それでも人々は前に進み続けた。

 

 

 

 

 ~とある自衛官の調査報告書~

 

 もう一つの平行世界からやって来た日本。

 

 彼達は核攻撃に晒されながらも再び立ち上がり、複数の国家や様々な自治体が出来上がる程に文明は再建できた。

 

 代表的な勢力はフロンティア、ヒノモト、NUSA、醒、ユーラシア連合や太平洋連邦――そして核戦争を生き延びた日本政府がいた。

 

 しかし転移前の騒動で日本政府、フロンティア、ユーラシア連合や太平洋連邦は壊滅。

 

 現在はヒノモト、NUSA、醒の三大勢力をトップとして各自治体が土地を治めている。

 

 彼達には航空戦力や海洋戦力はなく、基本はパワーローダーと呼ばれる核動力のパワードスーツや戦闘ロボット、軍用車や民間車両を武装したものを戦車として一括りに呼称する物を使用しており、現地の武装勢力も同様の兵器を保持している。

 

 そして最大の脅威として放射能の突然変異によるものか凶暴な生物が跳梁跋扈しており、特に海は巨大生物の楽園と化しており船食いサメと言う全長40m以上の巨大サメ達の住処であり、海上自衛隊の潜水艦やイージス艦を沈められるなどの多大な被害を被ることになった。他の国も同じような被害を被っているらしい。

 

 海辺でも巨大トラックサイズのサメの襲撃などにあったりと事実上海路での進入は不可能である。なお、巨大トラックサイズのサメは現地住民の貴重な食料であったりする。

 

 また陸で活動するサメや首が複数あるサメの存在なども確認されている。

 

 あ、やべ。

 

サメの襲撃だ。

 

 

☆   

 

 

 世界中に宣戦布告したグラ・バルカス帝国ともう一つの日本との戦争は激戦状態になっていた。

 

 と言うかグラ・バルカス帝国の艦隊が勝手に巨大サメの住処へ勝手に進入して死闘を繰り広げている。

 

 夜空に紛れてヘリから超遠巻きに観戦している自衛官達はその様子を顔を青冷めさせながら眺めていた。

 

 自分達も下手をすればああなるからだ。

 

 イージス艦の全火力を投入しても殺しきれなかった巨大サメが複数。

 

 第二次大戦レベルの軍艦が幾らバカみたいにより集まった程度で殺しきれるだろうか。

 

 どんどんサメの餌になったりサメが口から吐く光線で海に沈められていく。

 

 現地住民の呼称、船食いサメの戦闘力は異常である。

 

 レールガンやビーム兵器を使っても殺せなかったらしい。

 

 このサメが元がいた世界の地球ではこのサメを殺すために核兵器を使用したらしいがパワーアップしてより手がつけられなくなっただけに終わったそうな。

 

 そんな化け物と第二次大戦レベルの軍艦ぞろいの艦隊との戦いの結果は分かりきっている。

 

 ただ艦隊旗艦のグレードアトラスターは今のところ船食いサメと互角の死闘を演じている。

 

 光線を浴びたり噛みつかれたりしても反撃の手を緩めない。

 

 

 もっとも乗員達は上から下まで――「なんでこんなめにぃ!?」、「うんな事言ってる暇があったら撃て!」、「みんなサメの餌になるんだよぉ!?」と大混乱に陥っていた。 

 

 

 そこに巨大カニや巨大タコまで参戦。なんか勝手に海の覇王をきめる戦いが始まった。もっともそれはこの海域では日常茶飯事だが。たいていサメが王者を守り抜く。

 

 これを見ていた自衛官達や遠く離れた日本本土の政治家達は、例え相手が敵国であろうと漢泣きしたとかしないとか。

 

 グラ・バルカス帝国の人達もまさか自分たちの人生がこんなクソ映画みたいな終わり方をするなど思いもしなかっただろう。

 

 

 

 ちなみにパーパルディア皇国もこんな感じだった。

 

 なにをトチ狂ったのか次々と彼達も軍艦を送り込んでは軍艦はサメの餌になって海へと沈んだ。

 

 どうにかもう一つの日本本土にたどり着いたワイバーンオーバーロードの部隊も現地で死亡。ワイバーンは住民の食料になったらしい。

 

 フェン王国での日本国民の観光客の虐殺やパーパルディア皇国の民族浄化宣言の後だったので日本国民達もこの結果に不謹慎ながら大爆笑していたものだ。

 

 

 

 さて、状況説明をグラ・バルカス帝国艦隊に戻そう。

 

 流石のサメ達も腹が膨れて満足したのか攻撃が徐々にやんでいく。

 

 続けて巨大タコや巨大カニ、また別のサイズの小さな(それでも大型トラックサイズだが……)サメが襲撃する。

 

 巨大タコや巨大カニは軍艦を狙い、大型トラックサイズのサメが海に脱出した人間を次々と食べていく。

 

「あぶね!!」

 

 そして海から通常サイズのサメが驚異的な跳躍力を披露して上空にいる自衛隊の乗るヘリに襲い掛かるがパイロットの奇跡的な反応速度でどうにか回避できた。

 一匹や二匹ではない。

 雨のように次々と飛び掛かってくる。

 どうやら放射能の影響で通常サイズのサメも身体能力も上がっているようだ。

 

 ヘリのパイロットは古の魔帝国が現れる前にサメに世界が滅ぼされるんじゃないかとバカな想像をしつつ現海域を撤退した。

 

 誰だって、自衛官だってサメの餌にはなりたくない。

 

 自衛隊に入った理由もサメの餌になるためではないからだ。

 

 

 後に自衛隊はサメの恐怖に怯えながらも東宝自衛隊ばりの軍事改革を行い、メカシャークを開発するがそれはまた別の話だ。

 

 

 

 

 その後のグラ・バルカス帝国の艦隊は悲惨だった。

 

 どうにか世紀末の方の日本に辿り着いた軍艦もサメを含む各種巨大生物や武装勢力、暴走ロボット、各種自治体や様々な国家の陸戦特化型の軍隊に撃退された。

 

 放射能汚染区域に勝手に突っ込んだり放射能の水を飲んだりして死んでいった者達もいた。

   

 そんなグラ・バルカス帝国の悲惨な末路にもう一つの日本の現地住民達は「新たな資源が手に入る」とあんまり同情する素振りも見せず喜んでいたとか。

 

 その後もグラ・バルカス帝国が核兵器を開発して使用してサメを皆殺ししようと目論んだ末にやはりサメ達がパワーアップするだけに終わったり、古の魔帝国が復活してサメを殲滅するべくコア魔法を打ち込んだがサメが「今更効くかよ」とさらにゴ〇ラッぽくパワーアップするだけに終わり、古の魔帝国はヤケになってサメに挑んで大敗北し、弱ったところを他の国に叩きのめされた。

 

 その後も野心に駆られてもう一つの日本に向かってはサメの餌になるパターンが常態化し、もう一つの日本と国交が盛んになるのは日本国がメカシャークの量産体制が整うのを待たねばならなかった。

 

 しかし国交を開通させても苦難の連続は続くことになるのだがそれはまた別の話である。

 

  



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SS二本立て

まさかの続編。

【追記】19年9月3日、加筆修正しました。



 =VS暴走軍艦=

 

 

*日本国が世紀末な日本と接触したぐらいからのお話だよ。

 

 

 突如として現れたもう一つの日本国については正直言って世界中は接触を諦めていた。

 

 まともな方の日本国も巨大サメにイージス艦沈められた辺りで断念しかけた。

 

 その前に外交官を乗せた海上保安庁の船とかも食われたが、これは運が悪かったとしかいいようがない。

 

 上陸できても何かしらの化け物やら放射能汚染地域に重武装した野盗などに襲撃され、善良な現地住民も強力な武器で武装していて侵略や植民地化など困難である。

 

 ただその見返りとして強大な軍事技術が手に入る。

 

 もっとも同じ日本国であり、核兵器で汚染されてるから助けの手を差し伸べるべきだと政治家達が喚き立てたせいで、いやいやながら日本はこの世紀末と化した日本に支援の手を差し伸べなければならなくなったのだが。 

 

 海はサメの脅威があるので消去法で基本は空路しかないが、時偶海上や海中を彷徨う何かしらの暴走した無人軍事兵器に問答無用で攻撃を仕掛けられるので安全ではなかった。

 

 こう言う時だけいらん知恵を働かせる学歴だけは立派な政治家さん達は害獣駆除とかと同じ扱いでこれ達の兵器や生物の破壊作戦を実行した。

 

 転移後最大の戦いであるがサメや暴走した軍事兵器は強かった。

 

 レーザー砲やビーム砲、レールガンに至近距離での軍艦の核爆発にも耐えうるサメを筆頭に、日本側視点で核爆発を生き延びた暴走軍事兵器に搭載されたSF兵器の前に日本の自衛隊は撤退を余儀なくされた。

 

 そうしてモタモタしているウチに第一の犠牲者、パーパルディア皇国は何を血迷ったのかこの日本に侵略活動を行う。

 

 大体レミールとか言う皇女のせいだ。

 

 艦隊を派遣したが、以前にも語った通りサメの餌食になった。

 

 どうにか辿り着いても現地住民や現地の生物に殺された。

 

 現地の生物はともかく現地住民はスター●ォーズのようなSF兵器や核融合炉を搭載した乗り物や戦車、パワードスーツなどで武装しているからだ。

 

 頑張っても多少ダメージを与えられるだけで、それだけだ。勝てるわけない。

 

 勝てたらとっくの昔にパーパールディア皇国は世界の覇者になれただろう。

 

 ワイバーン(オーバーロード種含む)や地竜などは現地住民の食料になったのは言うまでもない。

 

 兵士の死体や軍艦はこれも現地住民達の貴重な資源になった。

 

 死体はどうなったのかは様々である。

 

 運良く手厚く葬られたのは極僅かで殆どはその辺に転がされたか何かしらの巨大生物の餌になった。

 

 生きたまま人間に食われた兵士もいた。

 

  

 そうして惨劇は終わるかに思われた。

 

 

 もう一つの日本には暴走した軍事兵器――全長300m以上――暴走軍艦と呼称しよう――の一隻は、この一件でパーパルディア皇国を攻撃目標として定めたらしくパーパルディア皇国の領海内に突入。

 

「なんだアレは!?」

 

「まさか日本の軍艦――」

 

「ワイバーンの攻撃が効かない!?」

 

「軍艦の攻撃をアレだけ受けても平然としてやがる!!」

 

 そのまま無差別に沿岸部の都市や町を焼き払いまくった。

 

 それはもう後に伝説として語り継がれる程であり、日本国がもう一つの日本国への積極的介入を決めたキッカケとなる程の大惨劇となった。

 

 とうとう攻撃目標をアルタラス近辺になり、 パーパルディア軍人だろうがアルタラス国民だろうが無差別に攻撃を開始。

 

 単純に攻撃目標がなくなったのでそのまま流れ着いたと思われる。

 

 現にこの時点でパーパルディア皇国の海側の都市や町はほぼ壊滅状態になっていたのだから。

 

「もう国益がどうとか言ってられん! ここで倒すしかない!!」

 

 日本政府は遠からず日本にも襲来する事を予期し、フェン王国での一連出来事もあったので急遽自衛隊はこの暴走軍艦にアルタラス王国領海でリターンマッチを挑む事になる。

 

 敵はたった一隻だがレーザー砲やビーム砲で武装し、そしてもう一つの日本国で起きた最後の戦争による核爆発を生き延びてなお稼働し続けるタフネスを誇る化け物軍艦である。

 

 転移後最大最強の敵の一人であることは間違いない。

 

 イージス艦や潜水艦を筆頭に戦闘機隊は攻撃を開始する。

 

「信じられん・・・・・・アレだけの攻撃を受けてまだ動けるのか!?」

 

「火力を集中させろ!! 敵の反撃の手を与えるな!!」

 

「あの軍艦どう言う装甲をしてやがる!!」

 

 明らかにオーバーキルな大火力を投入したがそれでも稼働し続ける。

 お返しとばかりに空をレーザーやビームが切り裂く。

 

『他のイージス艦にも被害が出ています!』

 

『潜水艦撃沈!』

 

『戦闘機隊被害拡大! 残弾も残り僅か!』

 

 悲鳴混じりに被害報告が上がる。

 強いとは思っていたがここまでとは思っていなかった。

 とにかく強すぎる。

 

 宇宙戦艦ヤマ●が現実に存在したらこんぐらいの強さではなかろうかとか思えてしまう程の強さだ。

 

『あの小型ボートを援護しろ!!』

 

『ちょっと待て!! 何をするつもりだ!?』

 

『あの戦艦に乗り込んで内部から破壊する――らしい!!』

 

『正気か!? どこの部隊だ!?』

 

 そして陸上自衛隊――後に伝説として語り継がれ、ドキュメンタリー映画化される漢達の決死の作戦が開始された。

 

 もう一つの日本国で購入したパワーローダーを筆頭としたSF兵器で武装を整えた不運な自衛隊員達を軍艦内部に突入させて破壊すると言う作戦だった。

 

 戦いは熾烈を極め、防衛装置や防衛ロボットとの戦いを潜り抜け、念のためハッキングなどの手段も試みたが最終的に動力部の迅速な無力化、自沈による破壊と言う形になった。

 

 この暴走軍艦は後に自衛隊の手で回収され、日本の自衛隊の軍事力強化に貢献することになる。

 

 

 日本も大打撃を受けたがパーパルディア皇国は沿岸部はほぼ全滅。

 

 その後はほぼ正史通りの展開になり、パーパルディア皇国はカイオス氏主導で新たな道を歩み出す。

 

 

 

 =自衛隊・世紀末日本との交流日誌=

 

 

*日本がもう一つの日本への本格的な交流を決めた(腹をくくった)ぐらいからのお話だよ。

 

 

 巨大サメや暴走軍艦で海路は使用できず、空路でも危ないもう一つの日本国。

 

 どうにか辿り着いてベースキャンプを築こうとしたが第一陣は壊滅した。

 

 一度目は十トントラックサイズのサメの襲撃。

 

 二度目は現地の武装勢力の攻撃。

 

 三度目はUFOらしき飛行物体の攻撃を受けた。(護衛の戦闘機がミサイルを全弾撃ち込んでも撃墜できなかった)

 

 とにかく散々な状態になりつつ、自衛隊達は一足先にあの世に行った同僚の墓を作ってベースキャンプを建造する。

 

 ――俺、この任務が終わったら自衛隊辞めるんだ。

 

 と似たり寄ったりな言葉を皆言ったとか言わなかったとか――そうして毎日のように銃撃戦を行い、様々な現地住民との交流を深めていき――また銃撃戦をと繰り返してどうにかベースキャンプの建造が進んでいく。

 

 輸送ヘリも何度撃墜されたか分からない。

 

 だから現地に派遣された外交官がなくなく自衛隊の隊員見習いに強制転職したのも一度や二度ではない。

 

 マスコミも同じだった。

 

 善良な現地住民に「お前ら実は馬鹿だろう」と何度言われただろうか。

 

 そんな苦難を乗り越えつつ、パワーローダーを含めてSF兵器をゲットしたり日本から持ち込んだ物で物々交換してそれなりに豊かな暮らしが出来るようになったりと着実に進歩していった。

 

 まあそれでも武装勢力の襲撃や巨大生物の駆除、暴走メカの排除など大忙しだった。

 

 中でもUFOとのリターンマッチは激戦だった。

 

 廃墟のビル群などの狭い場所に誘い込み、現地で手に入れたビーム銃やレーザー銃にレールガンを雨のように浴びせた。

 

 自衛隊も様々なパワーローダーを着込んでいる。

 

 何だかんだで仲良くなった現地住民も攻撃に加勢してくれた。

 

 どう言うワケか日本の高校生とかも混じっていたが今はUFO撃墜が先である。

 

 航空支援として連れてきた戦闘ヘリや戦闘機も攻撃を加える。

 

 UFOもやられてばかりではなく、光学兵器を乱射して辺りを焼き払ってくる。

 

 ガチで宇宙人円盤か? と思うぐらいの戦闘力だったがどうにか撃破した時はみな歓喜に打ち震え、もう一つの日本国内でも自衛隊の名は轟くことになる。

 

 また、驚いたことに――このもう一つの日本国には自衛隊を名乗る自警団がいたらしい。

 

 早急に接触し、もう一つの日本国で起きた最後の戦争について聞かされたり、同盟を結ぶことになったりしたがそれはまた別のお話である。

 

 




 本当はもう書かないでおこうかなと思いましたけどサメ要素を薄めて書きました。
 不定期でまたあげるかもしれません。
 それではMrRでした。


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緋田 キンジ編

 
 なかなか0とか1の評価がつかないな。

 日本国召喚の名を騙るサメ小説に片足突っ込んでる小説なのに。

 今度こそ、今度こそつくだろうと期待と恐怖が混じりながら投稿しました。




*SS集のVS暴走軍艦の話の序盤で語られた自衛隊の拠点建築作業や現地住民との交流を詳しめに書いたお話です。

 

*これなんの二次創作だっけ?

 

 Side 緋田 キンジ二尉(*特例昇進)

 

 おっす。

 

 おら緋田 キンジ。

 

 陸上自衛隊の一人。

 

 女クソ上司のせいで地獄のようなもう一つの日本国に取り残され、相棒の宗像 キョウスケ二尉と一緒にこの世紀末な日本の市街地でベースキャンプを建造している真っ最中だ。

 

 まあ何人か武装勢力とかサメとかUFOの餌食になったりもしたが。

 

 最初は砂浜で橋頭堡を確保しようとしたが十トントラックサイズの巨大サメが群れを成して襲い掛かってきて全滅しかけた。

 

 二回目は前回の反省を活かして廃墟でベースキャンプを建造したが血気盛んな世紀末ファッションの現地住民の襲撃で壊滅。

 

 三回目もまた場所を変えたがUFOの攻撃でズタボロにされた。

 

 俺は一度目の段階からいるが、はっき言おう。

 

 日本本土に返してくれ。

 

 家族との関係のいざこざで自衛隊に入ったけど、これならまだ刑務所に入る覚悟で親と拳で語り合った方がまだマシだ。

 

 まずこの土地は生物が巨大で凶悪だ。

 

 そして攻撃的であり、タフである。

 

 種族によっては対戦車装備でないと太刀打ちできない。

 

 12・7mm以下は牽制ぐらいにしかならない。

 

 現地の武装勢力なんかは装備は自衛隊よりも上である。てかスターウォーズかよ。

 

 しかも民間の車をマッドマックス風に改造して武装乗っけて突っ込んできたりする。

 

 またパワードスーツらしき装備は対物ライフルを弾く程の強度でこれも対装甲目標用の装備を投入しないとダメだ。さらに核動力ときた。(一部車も同じ)

 

 科学技術が狂ってやがる。

 

 そんな連中と毎日のように激闘を繰り広げた。

 

 本土の方では「人材の墓場」、「物理的な首切り場」、「特殊部隊の訓練が天国に思える地獄」など好き放題に言われているらしい。

 

「サメだぁああああああああ!?」

 

「今回は数が多いぞ!」

 

「動きが速い!!」

 

「基地内に侵入された!」

 

「あいつら防壁を飛び込えてくるぞ!!」

 

 現在二足歩行のサメと交戦中。

 自衛官達は火炎放射器(粘着性)や現地の武装勢力から殺して身包み剥いで奪い取った武装で対抗している。

 

 もうこの頃になるとみんな、憲法九条守って死ぬぐらいなら憲法九条破って自衛隊辞める道を選ぶと腹を括ってる。

 

『このパワーローダー中々良いな』

 

「お前何気に良い装備してんな!?」

 

 相方の宗像 キョウスケはパワーローダーを身に纏って迎撃に参加していた。

 一応核動力だがそんなの怖くないらしい。

 いや、楽に死ねること考えたらそっちの方がいいのか?

 

 などと考えつつ俺は戦いの手を止めずに戦闘を続行する。

 

 

 

 

『なんだおめえら』

 

 最初にマトモに会話が通じた現地住民はロボットだった。

 

 レトロフューチャーとかスチームパンクとかそんな言葉がよぎる錆びた銀色の2mのロボット。

 

 頭部も胴体もバケツをひっくり返したかのような形状をしている。

 両腕と両足はいわゆる蛇腹型アームだ。分からなかったらジオン軍の水陸両用MSとかを連想してくれればいい。

 背中の大きなバックパック。

 そしてドラムマガジンにマガジンベルトで連結されたガトリングガンを保有している。

 

 名前はガンテツと言うらしく、自衛隊の協力者として末永くお世話になることになるロボットである。

 

 

『おまえら馬鹿だろ。こんな危険地帯に基地を建造するとか自殺行為だ』

 

 

 と、説教から始まり色々と心を痛ませながら耳を傾けて貴重な情報を仕入れる事が出来てすぐさま上に報告された。

 

 どうやらこの国は核戦争で一度崩壊した異なる歴史を辿った日本であり、現在は三大勢力を筆頭に各地を様々な自治体が治めているが、手が届かない地域は全て危険地域だそうだ。

 

 そして自分達が今居る場所は危険地帯の一つだ。

 

 念のため言うが俺達も好き好んでそう言う場所を選んだわけじゃない。

 

 政治的なあれこれ――法務省やら外務省の連中とかが現地の人々を刺激したくないと言う理由で人が居なさそうな場所を選んだからだ。

 

 もっとも安全と言われる場所でも銃撃戦は日常的に起きているそうだが。

 

 と言うのもフロンティアと呼ばれる戦前の文明を保った場所や核戦争をコールドスリープで生き延びた日本の後継者を名乗る連中などが戦争で壊滅したせいで治安が悪くなったりしているらしい。

 

 他にも元の世界にいた太平洋連邦やユーラシア連合と呼ばれる連中のいざこざとかに巻き込まれたり――それを考えると彼達からすればこの世界に転移したのは幸運だったかもしれないがこの世界の人間からすれば厄災以外の何物でもない。

 

『言いたい事は分かるが仕方ないだろう。こっちは今日の暮らしで精一杯なんだよ。必要とあれば人間の肉を食らうサメだって食べなきゃなんねーんだから』

 

 と、ガンテツさんに言われた。

 

 話を聞いていた自衛隊の隊員の一人が「放射能汚染とか大丈夫なんですか?」と言われたら「食べた後に放射能除去剤でも飲めばいい」と返された。

 

 このやり取りで抱いた感情は様々だ。

 

 安直なネーミングはともかく、もしも名前通りの効果を発揮するなら福島の問題を解決できるかもしれないと思った。

 

 これにより日本政府はより深くこの島に関わる事になる。

 

 そしれ俺達の不幸がさらに続くことが決定した。

 

 

 ガンテツは相当人脈が広いらしく、様々な人間がこの自衛隊のベースキャンプに訪れるようになった。

 

 その御陰で案の定、部隊が壊滅して難民化していた自衛官を何人も救出できた。

 

 相変わらず武装勢力や凶悪な生物に暴走ロボットの襲撃などもあるが以前よりもマシだ。

 

 迎撃に参加してくれる現地住民がヘタな自衛官よりも強くて逞しいのが原因である。

 

 

 核融合炉搭載の戦車やらパワードスーツやらに搭乗し、ミニガンやロケット砲などの武器を普通に所持していて凄い人になるとレーザー、ビーム、レールガンなどで武装している。

 

 護衛にレーザー兵器を標準装備させた戦闘ロボットを同行させている住民もいた。

 

 ベースキャンプに来る住民は基本水やら食料やら資源やらを求めてやってくるらしい。

 

 それだけでなく、空き缶や空のペットボトルも値がつく資源になるそうだ。

 

 自衛隊の隊員はほぼ独断で物々交換――時にはコインと呼ばれる通貨を入手してそれを元手に装備を整えていった。

 

 

 そしてまた少しばかりの時間が経過し、自衛隊の隊員はガイド(少女二人組)をつけてもらいながらようやくベースキャンプ周辺の探索に乗り出した。

 

 この崩壊した日本の土地の把握だけでなく、様々な場所を治めている自治体の場所や三大勢力であるヒノモト、NUSA、醒と接触し、国交を開くのが最大目的である。 

 

 またこの国に存在する自衛隊と言う自警団の接触も目的の一つだ。

 

 地理的な関係で最初にコンタクトに出来たのはジャンクシティ、次に軍艦街と呼ばれる町やNUSAと言う国だ。

 

 他にも核戦争を生き延びるためにそのまま避難してずっとそこに居住しているシェルターと一括りにされている人々とも接触できたがこれはまた後で語ろう。

 

 

 ジャンクシティ

 

 その名の通り廃墟に建造された町言う名の集落であり、廃墟にそのまま住んでいたり、とジャンクで建造された建物に住まう物達やバスを家にしている人もいる。

 

 集落の周辺はスクラップなどのバリケードが作られ、あちこちにタレットや武装した車両にパワードスーツ、様々な銃火器で武装した民兵がいる。

 

 簡易的な貯水池に浄水器を建造していたり、畑を作っていたり、簡易的な牧場も建築されていた。

 

 ジャンクシティに辿り着くと現地住民だけでなくこの土地に取り残された前の世界の住民、ユーラシア連合や太平洋連邦の住民などもいて興味本位に自分達の事を尋ねられた。

 

 最初自衛隊の名前を出すと敵意を向けられたがその理由は後で話そう。

 

 馬鹿正直に答えると敵意はなくなり、この土地が異世界に転移したと知っても悲観する人間は殆どおらず、大半は「あの化け物達からよく生き延びられたな」とか「お前達運がいいな」とか気前よく接してくれた。

 

 元の世界の外から来た人間は殆どは帰還を諦めてこの土地で骨を埋める覚悟をしていた人間であり、外の世界が異世界に転移したと分かっていてもそれを外面に出すことはなかった。

 

 

 次に軍艦街。

 

 廃墟となった軍艦に住まい、海の怪物と日常的に戦い、それを食料とするとんでもない武道派の町である。

  

 町の防衛システムも座礁した軍艦の砲台をそのまま転用しているので日本側からすれば驚異である。

 

 しかも日本本土を恐怖に陥れている、イージス艦を沈めた巨大な船食いサメの撃退経験もあるそうだ。

 

 余談だがとある自衛隊の隊員が醤油を持ち込んだら一気に広まり、高値で取引されるようになる。

 

 どうやらこの土地、調味料、香辛料の類いは高値で売れるらしい。

 

 

 NUSAはこの土地に取り残された外国人達が建国した国であるらしい。

 

 戦力比は土地柄のせいか地上、航空戦力に力を入れている。

 

 ただしジェット戦闘機の類いはないらしく、最近出回り始めた飛行用パワーローダーなどで補っているらしい。これは他の二大勢力でも同じようだ。

 

 国の特徴としては日本版アメリカを目指したようであり、バリバリの軍事国家で現在、フロンティアや日本の後継者を妥当して戦勝ムードに浮かれている。

 

 NUSAの首都であるネオワシントンと名付けられたこの町は建物は多少荒廃しているが安全な町であり、市街地を車両やパワーローダー、ロボットなどがパトロールしている。

 

(最初からこの国近辺に降下して接触していれば犠牲者はアレだけ出さすにすんだんじゃないのか?)

 

 などと苦々しく思いながら俺はNUSAの首都を観光しつつ、現地のガイドとして雇った少女、水色髪のショートヘアーでちょっと野性味と不思議さが入り交じった雰囲気がある胸が大きい少女リオに尋ねる。

 

「フロンティアとか日本の後継者とかそんなに嫌われてたのか?」

 

「うん。フロンティアも日本の後継者も自分達こそが日本の真の統治者だって疑わなかったから。特に日本の後継者達は従わない物は皆、力尽くで支配しようとしてきた」 

 

(本土の人間が聞いたら喜んで発狂しそうな話だな)

 

 左側の連中はこれを攻撃材料にして政権批判する様がありありと思い浮かぶ。

 別の世界の異なる歴史を辿った日本の事ですと説明しても聞きはしないだろう。

 日本の左側の連中とはそう言う連中なのである。

 

『警報発令!! 巨大戦車がこっちに向かってくる! 市民は避難し、警備部隊は戦闘態勢を!』

 

「あれ? この町って安全じゃなかったっけ? 首都だよね?」

 

「どこもこんなもんだよ。どうするの?」

 

「一先ず部隊と合流するか」

 

 爆音と銃撃音が響き渡るが俺は落ち着いて行動する。

 リオはともかく俺もすっかりこの土地に順応し始めていた。

 

 

 それからヒノモトと言う国やホープタウンなどの自治体などとも接触した。

 

 ヒノモトでは最終戦争を生き延びてコールドスリープをして現代に目覚めた少年兵士、木之元 セイにホープタウンでは日本本土で転移以前から行方不明扱いになっていた加藤 佳一少年と運命的な出会いを果たす事になる。

 

 他にもそうした出会いを積み重ねていき、ベースキャンプも駐屯地建築作業へとシフトしていき、日本駐屯地や出島街が誕生した。

 

 ついでにこの土地に俺を送りやがったクソ美人女上司とも再会した事も付け加えておこう。

 

 駐屯地の防備は現地で得た戦訓や装備を中心にして装備されている。

 

 パワードスーツや現地の戦車にSF兵器も満載だ。

 

 まあどれだけ防備を固めても何かしらの敵が襲撃してくるので暇なんて無いけどな。

 

 それからアルタラスまで行って暴走した無人戦艦に突入したり、UFO相手に大討伐ミッションしたりと色々とあった。

 

 外の世界ではグラ何とか帝国と何やらきな臭くなっているらしいがまあ気にしない。

 

 ここに攻めてきても海のサメバリアが。

 

 それを突破してもSF兵器で武装した現地住民や巨大生物、暴走ロボット達が待ち構えている。

 

 どう考えても無理だ。

 

 まあそれはともかく。

 

「ようやくここまでたどり着けたなぁ」

 

 などと感慨深く思いながら俺は隣にいるキョウスケと一緒に焼きそばを焼いていた。

 

 現地ガイド関係が続いているリオは相方の眼鏡をかけたメカニック少女、パメラと一緒に様々な食べ物を両手に持って食べ歩きしていた。

 

 今は第一回日本駐屯地基地祭。(*駐屯地の自腹で開催されています)

 

 例によって武装勢力の襲撃もあったりもしたが、まあそれも覚悟の上での開催だったので気にしない。

 

 マスコミも来るかと思ったが、初期の頃からくっついていたので流石にこの土地のヤバさを感じ取ったのか、ある程度空路の安全が確保された今となっても近寄ろうともしない。

 

 本土のSNSでは「リアルFall●ut」とか「この世の地獄」とか「人の愚かさの成れの果てを具現化した魔境」とか色々と言われていたり、トーパー王国で魔王を討伐した連中達からは「まだ魔王達の相手をしている方が楽だった」とか言っている。

 

 魔王軍、意外と弱いなと思いながら俺はソバを焼く。

 

 基地祭はまだ始まったばかりだ。





 今度こそ不定期になって元の場所(カクヨムとか小説家になろうとかPIXIV)に引き籠もります。

 それじゃ。


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グラ・バルカスSS

また投稿してもうた。


 海底要塞玄武とパワーアップしたサメ

 

*グラ・バルカス帝国のグレードアトラスター含む艦隊がもう一つの日本に勝手に攻め込んでサメの餌食になった後ぐらいのお話だよ。 

 

『先進11カ国会議で』世界中に宣戦布告をしたグラ・バルカス帝国さん。

 

 世界中の艦隊を粉砕し、ミリシアル帝国の空中戦艦含む艦隊も打ち破る。

 

 しかし主立った戦力は全部海の藻屑と化して。

 

 兵士は全員サメだか何だかの餌になってしまった。

 

 ワケが分からない。

 

 この事態に世界中は当然の如く混乱した。

 

 古の魔帝国が既に復活していたと信じ込む人々すら出始めた。

 

 グラ・バルカス帝国もまさか巨大なサメ含む化け物海洋生物に自分達のご自慢の艦隊が潰されたとは思いもしなかった。

 

 それ程までにもう一つの日本はこの世界基準でも、もう一つの日本基準でも想像を絶する魔境だったのだ。

 

 もう一つの日本にいる、平和な日本から派遣された自衛隊は「ああ、またどっかの馬鹿な国がサメの餌になったのか」程度にしか思わなかった。

 

 しかしグラ・バルカス帝国は艦隊を再編成して再度進行を開始。

 

 新型兵器扱いの「原子爆弾」すら投入するつもりだったが――

 

 

 海上移動要塞玄武。

 

 東側諸国の核攻撃を生き延び、なおも稼働し続ける暴走した兵器の一つ。

   

 元日本海側の海に配置され、武器もレーザー、ビーム、レールガン、ミサイルを標準装備し、主砲は陽電子砲を搭載しており、現在も幾多の海の巨大生物(サメ含む)を始末している海の殺し屋でもある。 

 

 普段は海底に潜んでおり、現在海上に浮上してグラ・バルカス帝国の艦隊をぶっ殺していた。

 

 どうやらサメを始末するために使用した原子爆弾のせいでグラ・バルカス帝国の艦隊を敵認定してしまったようだ。

 

 サメも原子爆弾の影響でパワーアップしてなにやらゴジラらしさが増しているがどうでもいいことだ。

 

 漁夫の利狙いで神聖ミリシアル帝国や他国も艦隊を派遣していたが此方も玄武やサメの攻撃に晒されていた。

 

 通信で自分達は「味方だ!?」、「攻撃するな!?」と呼びかけるが無理だった。

 

 暴走した無人要塞やサメに世界各国の都合とか情勢とか知るはずもない。彼達にとって自分以外敵である。

 

 日本から派遣された自衛官はグラ・バルカス帝国のが使用した原子爆弾の爆発を見て「あの馬鹿ども、とうとうやりやがった!!」と吐き捨てるように言ったとか。

 

 この事は日本本国にも通達され、グラ・バルカス帝国との直接対決に備えて腹を括ることになる。

 

 その一方でグラ・バルカス帝国はと言うと・・・・・・

 

 

*グラ・バルカス帝国が末期戦に突入したぐらいのお話です。

 

 Side オルダイカ

 

「どうしてこうなった!?」

 

 オルダイカは浴びるように酒を飲んで髪の毛を掻き毟り、発狂しながら悪夢のような現実から逃れようとしていた。

 

 オルダイカはグラ・バルカス帝国帝王府、副長官と言う重要な役職の人物であり、国内の軍需産業のトップであるエルチルゴと一緒に自国の兵器開発を促していた。

 

 オルダイカは知るよしもないが第二次大戦の米国レベルの戦時体制を整えていた――のだが。

 

 結果はサメの餌になったり、もう一つの日本の無人海底要塞に皆殺しにされたり、頼みの綱の原子爆弾を使用してもサメがパワーアップするだけに終わったりと散々な結果になった――まあグラ・バルカス帝国でその事実を知る人間はいないが。

 

 それどころか最初のグレードアトラスター含む艦隊や将兵がサメの餌になった事も知らなかった。

 

 第二次世界大戦末期かそれ以降ぐらいの科学力の人達の情報伝達網なんてそんなもんである。

 

 幸か不幸かミリシアル帝国などの主立った主戦力も被害を受けている。

 

 その事実は多少の慰めになった。

 

 グラ・バルカス帝国の皇帝、グラルークスに呼び出し食らってるが無視して夜逃げの準備をする始末だった。

 

 軍事企業のトップであり、癒着関係だったエルチルゴも責任を追求され、あまりのショックで自殺した。 

 

 その後、彼は夜逃げしようとしたところを捕らえられた。

 

☆ 

 

 

*グラ・バルカス帝国VS世界との戦いも一段落つつき、世界情勢が落ち着いた後のストーリーです。

 

 Side ナグアノ

 

 ナグアノ。

 

 情報局技術部の人間である。

 

 技術部もそうだが、情報部門全体が「もう一つの日本」への侵攻作戦における厳しい責任追求がなされている。

 

 彼は別冊宝大陸などで上司に上申した行動の御陰で追求はある程度緩和された。

 

 だがそれでも「もっと自分が探りを入れていれば・・・・・・」と自責の念に囚われる事があった。

 

 ナグアノも一応は「もう一つの日本」へも探りを入れていた。

 

 だが得られる情報は様々だ。

 

 荒廃した死の大地。

 

 巨大生物が闊歩する魔境。

 

 たったの一隻でパーパールディアを滅ぼした軍艦を持ち、もう一つの日本と違ってとても好戦的。

 

 などなど嘘か本当かどうか分からない情報が錯綜していた。

 

 彼がもう一つの日本の正体を知るキッカケとなったのは皮肉にも――仮に「平和主義の日本」と名付けよう。

 

 この平和主義の日本はこの世界に転移による国際情勢の荒波に揉まれて好戦的だった時期もあるが、もう一つの日本の存在のおかげで平和主義に踏みとどまれたと言う皮肉な一面を持っている。

 

 ナグアノは平和主義の日本に訪れたのがキッカケだった。

 

(これが本来の敵だった日本か――どちらにしろ我が国の運命は決まっていたのだな・・・・・・)

 

 その国はまるで未来のような国だった。

 

 映画や雑誌などで「未来はこうなる」と言うイメージはあるがそのイメージを覆した上で成る程と思う部分も多々あった。

 

 そしてふともう一つの日本に関する情報などが詳しく書かれた書物を購入した。

 

「なんだこれは・・・・・・」

 

 それに彼は人生最大の衝撃を受けたと言っていい。

 

 説明がややこしいが――もう一つの日本の正体とは、自分達が開発した原子爆弾で焼け野原となってどうにか復興している途中の、別の世界の未来の日本の姿であったと言う。

 

 放射能によって変異した生物や暴走した機械が跳梁闊歩し、毎日のように様々な武装勢力が襲い掛かる恐ろしい魔境。

 

 時折海を越えて周辺諸国にも襲撃したと言う。

 

 あの日本は「人が科学技術で産みだした怪物の国」だったのだ。

 

 同時に自分達の未来の終着点の一つであることを悟った。

 

 後に彼は死を覚悟して魔境の日本へと足を踏み入れ、その時の体験を綴った書籍は祖国で大ヒットするのだがそれはまた別の話である。

 

   

 

 

*グラ・バルカス帝国との戦争終結後からかなり時間が経過した後のお話です。

 

 Side シエリア

 

 グラ・バルカス帝国の女性外交官、シエリア。

 

 眼鏡を掛けた知的そうな女性であり、世界中に宣戦布告をメッセージする役割や、上司の指示とはいえ、巡視船「しきまし」の乗員である日本人の公開処刑をも行った。

 

(私も、祖国も・・・・・・選択を間違えたわね)

 

 彼女は自国を滅ぼした魔女としてグラ・バルカス帝国から見放され、上司であるゲスタは自分のしでかした責任の重圧に逃れるために逃亡を図り、自殺した。

 

 彼女は危機感を覚えて博打に出て――現在彼女は――世界や日本の手が及ばないもう一つの日本。

 

 毎日が死闘の連続のような、グラ・バルカス帝国を崩壊に導いた日本で生活していた。

 

 その日本の中でも特別な町――漂流街で生活していた。

 

 町と言っても適当な廃墟に住み着き、粗雑な資材や車の残骸などを家と呼んで生活していて彼方此方にバリケードを築き上げ、彼方此方で水を貯めて浄水器やプランターを設置して農業をしているようなとても文明的ではない場所だった。

 

 周りは元、グラ・バルカス帝国やパーパルディア皇国民だとか、リーム王国民、ミリシアル帝国民などの訳ありの住民ばかりの人間がいた。

 

 共通しているのは皆、この日本に関わって酷い目に遭ったということだ。

 

 ある物は艦隊派遣されたが危うくサメの餌になりそうになってどうにか生き延びたり。

 

 この国の高い技術力を目に付けてどうにか辿り着いたはよかったがこの国どころかこの町から精神的な意味で脱出不可能になったり。

 

 また、この土地の現地住民が何時しかそうした人々を支援したりして自然と街に似ような人々が集まり、何時しか漂流街と呼ばれるようになった。  

 

 それでも定期的に――何かしらの敵が襲撃してきたりするがそれでも以前よりかはマシになっており、皮肉にも自分達の攻撃目標だった自衛隊の頑張りによる物だとか。

 

 その事を知ると複雑な気持ちになる。

 

(しかしこの土地、本当に毎日が戦場ね)

 

 元外交官の手腕を活かしてシエリアは現在、漂流街の役場で働いていた。

 その仕事ぶりが認められてそこそこの地位にいるが銃などの武器は手放せない。

 この土地で武器を手放すと言うのは自殺を志願するのと同義だからだ。

 

 現在もどこぞの武装勢力が襲撃を仕掛けてくる。

 

 今回はただの武装勢力で拍子抜けもいいとこだ。

 

 過去にはパワードスーツを身に纏っていたり、武装した車両で突っ込んできたり、何かしらの化け物だったり、暴走した軍事兵器だったりとか。

 

 ともかく敵は弱いにかぎる。

 

(もっとマシな場所に逃げ込めば良かった・・・・・・)

 

 などと後悔しつつシエリアはバリケード越しにレーザーライフルを敵に向ける。

 

 なんだかんだで彼女もこの土地に順応していた。

 

 




 なんか不定期更新詐欺しているようにおもえる。

 ネタはあるので練習がてら書き続けている感じでして、まだネタはあるので不定期更新になるのはまだ先になるかもしれません。
 
 今日はデモンエクスマキナの発売日なので流石に近日の更新はないと思います。


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加藤 佳一レポート

 

 

 加藤 佳一少年は日本転移前からこの世界に迷い込み、生き抜いてきた、ただの高校生である。

 

 自衛隊の隊員ですら地獄に感じるこのような世界に居心地を感じているらしく、日本への帰郷はすれど、すぐさま彼は元の場所へと引き返していった。

 

 同時に彼が残した【もう一つの日本】に関する情報は世界中はともかく日本に大きなセンセーショナルを巻き起こし、極右翼的な思想が進む日本国民に待ったをかけ、平和的思想の議論や呼びかけ、人道的とは何かの訴えが行われるようになった。

 

 

=以下、佳一のレポートから抜粋=

 

 まず最初に――当たり前のことだがもう一つの日本は核戦争で一度滅んだ別の世界の日本である。

 

 この世界でも多大な厄災をもたらしてきたが、真の恐ろしいにはあの国を作り上げたのは人間であると言うことだ。

 

 巨大なサメも。

 

 暴走した軍艦も。

 

 人間が産みだした怪物の一つでしかない。

 

 我々人類は科学の力で永遠の反映と豊かさがもたらされると勘違いしていた。

 

 だがあの島はその考えを真っ向からした否定した。

 

 

 あの島の住民達は絶望的な世界に住んでいるにも関わらず逞しく生きている。

 

 獣のように人から奪う事しか考えられない人間もいれば助け合おうとする人間もいる。

 

 狂った自然に抗いながら彼達は皆生きている。

 

 

 一方でフロンティアの住民や日本の後継者達は違った。

 

 ただ彼達は自分達こそが一番優れており、その考えを他者に押しつけ、どんな要求でも叶うと信じ込んでいた。

 

 日本の政治家達も国民も、自分自身でさえも形は違えど似たような物だ。

 

 ネズミの肉を食べた事はあるか?

 

 コウモリの肉を美味しそうに豪快に被りついたことはあるか?

   

 自分はある。

 

 その時の彼達はとても幸せそうだった。

 

 彼達は自分達の事を卑下などしていない。

 

 誇りを持って生活をしている。

 

 確かに苦しい生活なのは間違いない。

 

 水や食料だけの問題ではない。

 

 平和な日はとても貴重だ。

 

 長く続く日は珍しい。 

 

 

 生きるためなら戦いも辞さない。

 

 そのためなら人だって殺すし、生物だって殺す。機械だってぶっ壊す。

 

 今日を生きるために、明日のために行動し、自分の身は自分で責任を持つ。

 

 それが出来ない奴は子供だろうとなんだろうと死ぬ。

 

 それがこの土地のルールなのだ。

 

 平和だと言われるヒノモトなどの三大勢力圏は多少勝手が違うが、それでも紛争地帯並に危険な場所に変わりはない。

 

 

 フロンティアや日本の後継者との戦いは熾烈を極めた。

 

 同時に彼達は哀れな連中だった。

 

 両軍ともに確かに軍事力、組織力は強大だった。

 

 だが負けた。

 

 変わり果てた外の世界を哀れな世界だと否定し、自分達の助けがなければ滅ぶと耳を貸さなかった。

 

 だから滅んだ。

 

 内部まで潜り込まれた彼達は脆かった。

 

 彼達が築いた王国は一夜にして崩壊し、外の世界の秩序に適応していかなければならなくなった。  

 

 フロンティアは新しい指導者に恵まれて再建が進んでいるが日本の後継者は首脳陣を失い、最盛期の力を持つことはもうないだろう。

 

 

 この土地で自衛隊と言えば二種類に別れる。

 

 自警団として古くからこの土地の人々のために戦い続ける人達。

 

 もう一つは日本の後継者に所属している連中で此方はメチャクチャ嫌われている。

 

 そもそも日本の後継者とかフロンティアとは何者なのかと言うと――詳しく言えば話は長くなるので簡単に説明する。

 

 まず日本の後継者は核戦争をシェルターで生き延びて体を冷凍保存させ、ある程度の年月の段階で目覚めて活動を開始した、日本の政治家や政財界の一族、自衛隊などの戦力の集合体である。

 Fall●utにも似たような連中がいたな。

 

 ついでに語るフロンティアはいち早く文明的な暮らしを再開した場所の事を指し、複数存在するが自分が戦ったフロンティアは自分達の生活のためなら、平和に過ごしているコミュニティから取り立て紛いの事を平然とやり、邪魔する物は武力行使も平然とやる連中だ。

 

 とまあこんな感じだろう。

 

 ここからが本題だ。

 

 自分達が他の惑星に転移したと知ったのガンテツさんと言うロボットから奇妙な軍事組織――自らを自衛隊と名乗る連中の話を知ったからだ。

 

 最初は日本の後継者の残党かと思ったが話を詳しく聞いているウチにどうも違うらしく、気になって尋ねてみたら――と言う感じだ。

 

 自衛隊にヒーロー像を持っている人間がいたらごめんなさい。

 

 その時の自衛隊は半ば難民化していて、とてもベースキャンプ建築と言う任務どころではなかった。

 

 あまりにも悲惨すぎて見てられなかったのと、同郷のよしみで手を貸すことにした。

 

 そうして激戦の毎日を繰り広げながらも事情を聞くことになったが、どうやらこの日本も自分が元居た日本も他の惑星に転移したとかどうとか。

 

 正直生活が劇的に変化したわけではないのでこの時は実感が湧かなかった。

 

 それよりも問題なのは自衛隊の今後だ。

 

 この状況になっても泣きながら自衛隊の隊員から「君のような子供から手助けを受けるわけにはいかない」と言う辺り自衛隊は凄いなと思ったが手助けしないと全滅しそうなのは明白。

 

 なのでガンテツさんや俺達が間に入って、「自衛隊を助けるとお得ですよ」と言う感じに宣伝して人手を集めることにした。

 

 自衛隊の説明に関しては一苦労したが、ガンテツさんも俺も何だかんだで有名人だったので直ぐに人が集まり、更に定期的に空輸される日本の品々が話題を呼んでさらに人が集まり――と言う感じで立派な基地(俺やガンテツさんなど、色んな人が監修して防備を固めた)が出来上がる頃には一つの町が出来上がった。

  

 

 暴走軍艦の騒ぎやUFOの大討伐戦などで落ち着いた頃に俺はこの文章を長々とPCで打っている。

 

 どうせ大した話題にもならないと思うが、話題になったら色んな人に迷惑を掛けるだろうが相応の地獄をみてきたんだ。

 

 自分が生きた証を残すぐらいの贅沢は許してほしい。

 

 今自分は特例ながら日本ともう一つの日本を取り持つ、フィクサーの役割を請け負っている 

 

 他の人にも同じように声が掛かっている。

 

 暴走軍艦の事もあるし、協力者を呼びかけている。

 

 このまま外の事を何も知らずに傍観者を気取ればよくない事になるだろう。

 

 地獄のような場所はあの日本だけで十分だ。

 

 世界中に広げるわけにはいかない。

 

 だから戦い続けようと思う。

 

 それが今の自分のやりたいことだから。

 

 

【余談】

 

(なんか日本でえらい騒ぎになってる。テレビに動画サイト、イベントへの出演依頼が自衛隊を通して知らされてくるんだがどうしよう?)

 

 などと加藤 佳一は頭を抱えていたとか・・・・・・

 



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パーパルディア皇国SS

思い立ったら何とやらと言う事で二話連続投稿します。

やったぞ! ついに3の評価がついた!


 =あの後のパーパールディア皇国と日本=

 

 

*以前投稿したSS二本立ての前半、VS暴走軍艦の前とその後のお話です。

 

 

 パーパルディア皇国。

 

 悪の帝国だか悪の独裁国家だかの見本例のようなこの国。

 

 正史では日本相手や一連の騒動で再起不能レベルの大ダメージを受けたがこの世界線ではより悲惨で悪夢のような大ダメージを受けた。

 

 正史で反乱を起こした、外交関係担当であるカイオスが計画を急いで前倒しにするレベルで。

 

 と言うのも以前語った世紀末日本の暴走軍艦により、世紀末日本に差し向けた海上戦力は全滅(生き残りはなし。いても全員サメなどの餌になった)。

 

 

 そもそもどうして海上戦力を差し向けたのかと言うと外務局の職務怠慢もあるのだが皇女レミールを筆頭とした上層部がフェン王国の一件で怒り狂って暴走したのもある。

 

 ともかく、この侵攻により暴走軍艦はパーパルディア皇国を攻撃目標に定めて――もしかすると日本のインターネットなどにアクセス、ハッキングなどして攻撃目標などをアップデートしたのかもしれないが――レーザーやビーム砲により沿岸部にあった都市はほぼ全滅。

 

 そして不幸だったのはパーパルディア皇国の首都であるエストシラントなども攻撃目標に入ってしまったのだ。

 

 武器弾薬製造の要である工業都市デュロはパーパルディアの東側――もう一つの日本の近くの地理であるため、暴走軍艦の手からは逃れることはできた。もっともそこは正史通りに日本の爆撃の手で灰となったが。

 

 問題なのはパーパルディアの民間人の死亡者数である。

 

 日本でもこれは問題視され、事故として片付けるにはいくらなんでも悲惨すぎる程の人数だった。

 

 行方不明者数もカウントにいれると犠牲者数はさらに倍以上跳ね上がる。

 

 もはや民族浄化レベルと言っていい。

 

 特に首都であるエストシラントは皇族などの一部の人物は運良く難を逃れたが暴走軍艦の射程内に入った場所はほぼ焦土と化し、地形が変わるほどの惨状となった。

 

 結果、エストシラントは元首都とは思えない程に焼け野原になり、反乱の首謀者であるカイオスは「話違うじゃねえか」と日本側に責任追及されても文句言えなかった程で現地を見た外交官の朝田大使に護衛の自衛官、警察官達は涙を流したと言う。

 

 カイオスの尽力で捕らえられたレミールに対して朝田大使は例の言葉を出すことなく、釈明と弁明しただけで連行した。

 

 また、正史では属領から解放される筈の国まで滅ぼしてしまう程の悲惨すぎる事実がもう一つの日本の心をへし折り、さらに言えば日本の外交官や政治家達は解放された元属僚地の国々が誤解を持たぬようにするために尽力することになった。

 

 もうパーパルディア皇国に勝利したとは言えないような悲惨な状況である。

 

 世紀末側の日本を批難出来ても、厳密に言えば世紀末の日本は「一つの国」ではなく、「複数の国や自治体の集合体」であると言うのが正しい。

 

 正直責任を追求しようにも海の上を数百年彷徨い、暴走していた軍艦の管理者や責任者もいる筈もない。

 

 とうぜん経済制裁や外交封鎖、屁理屈こねて軍事侵攻しようにも無理がある。

 

 経済制裁は道理の問題があるが無理に取り立てようとすればパワードスーツやスターウォーズに出てくるような武器で武装した現地住民の手で自衛隊に多大な被害がでる。と言うか国内世論が許さないだろう。 

 

 外交封鎖してもぶっちゃけ周りの海は化け物だらけでとっくに封鎖されている状態に等しい。交流していると言っても一部地域だけで世紀末日本は苦痛にもならない。

 

 軍事侵攻など論外だ。

 

 現代戦は空爆だけで勝てる程甘くない。

 最後は何だかんだで地上戦でケリがつくが地域によっては放射能で汚染され尽くされており、戦車の攻撃でも死なないような化け物や暴走メカが闊歩しているような土地にSF兵器や携帯式核兵器などで武装した現地住民と拠点を築きながら殺し合うなど正気の沙汰ではない。 

 

 現地住民の精神性を考えれば核兵器やそれに準ずる大量破壊兵器を躊躇いなく使用するだろう。

 

 そうなった場合一番ダメージを負うのは日本だ。

 自分達の勝手な一存で世界崩壊の引き金を引くわけにはいかなかった。

 

 日本は今回のような事態が起きないように(まあ何度も起きるのだが)仕方なく世紀末日本に介入して危険だと感じた敵を迅速に排除する方針になったのだとか・・・・・・

 

 同時にこの方針は現地に派遣された自衛隊が特殊部隊の訓練が天国に思えるような地獄を見続ける事が決定したのであった。

 

 

 =皇国の分析・世紀末日本編=

 

*パーパルディア皇国が再スタートしてから暫く経った後のお話です。 

 

 パーパルディア皇国を襲った大惨事から暫く経った後。

 

 日本側の尽力である程度誤解は解けたが逆に世紀末日本に対して恐怖心を抱きはじめた国家は増えて、世紀末日本を討つべしと言う国は多くなった。(まあサメの餌になるだけだが)

 

 中には世紀末日本を魔帝国と同等かその物ではないか? と言う人々も出始めるぐらいだ。

 

 パーパルディア皇国は最初、日本に対して恐怖で怯える一方で差し違える覚悟で戦争続行を叫ぶ人々がいたが、ある程度落ち着いて情報が出回るようになると今度は世紀末日本に対して悲しみや畏怖の感情を向けるようになったとか。

 

 それはそうと暫定首都(正史ではエストシラントのままだったが暴走軍艦のせいで灰になったため)、パールネウスで黒髪黒目の外務局長エルトがまだ十七歳にも関わらず有能な銀髪ボブカットの女性諜報員イアノスから報告を受けていた。

 

 今回の内容は世紀末の日本に関してだ。

 

「まず、我が国を襲った軍艦はもう一つの日本が転移前、数百年前に建造した軍艦の一隻である事らしいとしか分かりませんでした」

 

「宣戦布告した日本が作った兵器と言う説は?」

 

「ないですね。でなければアルタラスでの戦闘の結果は説明がつきません。自作自演にしては自衛隊側の被害が大きすぎます」

 

「では以前、日本の軍艦――イージス艦などの情報も聞きましたが、あの軍艦はそれ以上なのですか?」

 

「そのようです」

 

 そうしてイアノスはエルトに資料が入った紙袋を渡す。

  

「詳しい資料はここに。まずあの軍艦を建造した国は既に滅んでおり、その滅んだ国の名前も日本――ややこしい話ですが別の世界で異なる歴史を辿った、我々が宣戦布告した日本とは全く別物の日本です」

 

「あれだけの軍艦を建造できるにも関わらず滅びた理由は?」

 

「以前、日本についてお話しした核兵器を大量に撃ち込まれたのが原因のようですが、変異した生物は放射能だけでなくウイルスが原因かと――」

 

「ウイルス?」

 

 聞き慣れない単語にエルトは首を傾げる。

 

「失礼しました。正直どう言葉で説明すればいいのか分かりませんが、生物を化け物に変える病原菌のような物を滅んだ日本は使用していたのではないかと言われているのです。我が国の艦隊を全滅させた巨大生物(サメとか)は核兵器による放出される毒、放射能の影響もあってあそこまで凶暴化したと言う説もあればそう言う悪魔の魔法のような技術何らかの形でもう一つの日本国内に拡散してああ言う生物が誕生したのではないかと言われてるのです」

 

「なんとも恐ろしい場所なのですね。日本が核兵器を恐れる理由が分かってきた気がしました。それでもう一つの日本は現在どうなってるのですか?」

 

「私も調査を進めていたんですが、あのもう一つの日本を持ってしてもあの土地はとても危険らしく、一般人はまず立ち入り不可能。中途半端に情報を掴んで野心に駆られた他の国は我が国の艦隊を全滅させた生物の手で帰らぬ人になりました。日本も海上からの進入は断念するほどでして、私も日本国内の一般で出回っている情報ぐらいでしか知らない状態です」

 

「あの生物――船食いサメはイージス艦でも対処できないと?」

 

「イージス艦でも撃破は出来なかったようです。我が国を襲ったあの軍艦に対してもイージス艦は時間稼ぎが精一杯だったようです。内部に突入して破壊工作してようやく――と言った程です。彼達の活躍がなければアルタラス王国も滅ぼされた属領地や我が国のエストシラントと同じ末路を迎えていたでしょう」

 

「それ程までに恐ろしいのですか・・・・・・ところであの軍艦の内部に投入した英雄達は何者なんですか?」

 

 自分の国を一度は滅ぼした原因の一つであり、イージス艦でも倒せなかった軍艦を物語の英雄のような方法で沈めてみせた英雄。

 エルトが興味を惹かれるのは当然と言える。

 

「詳しい事は分かりませんが、日本の自衛隊ともう一つの日本の土地に住まう現地の協力者達の御陰としか分かりません」

 

「自衛隊に現地の協力者――」

 

 一体何者だろうかとエルトは思いを馳せる。

   

 

「ああ、すみません。話が逸れていましたね。分かっている範囲でかまいませんからもう一つの日本の事を教えてください」

 

 ふとその事に気づいて話の流れを修正する。

 イアノスは「分かりました」と返してもう一つの日本の説明に入った。

 

「文明が崩壊後、小さな三つの国を中心に小さな村や町が転々と存在していますが治安は最悪らしく、ス●ーウォーズに出てくるような重武装した野盗や化け物――ワイバーンや地竜に匹敵かそれ以上の凶悪な生物にロボットと呼ばれる科学技術のゴーレムなどが闊歩している土地なのです」

 

「聞けば聞くほどに恐ろしい国ですね・・・・・・ス●ーウォーズ?」  

 

 その単語を指摘されてイアノスは顔を真っ赤にする。

 

「す、すいません! ただ遊んでいたワケじゃないんです! 日本の多角的な調査を踏まえて――その――」

 

 その様子にエルトは何だかおかしくなった。

 

「ちゃんと仕事してますし、まだ若いんですから部下の楽しみをあれこれ言うつもりはありませんよ」

 

「は、はあ・・・・・・すいません」

 

 咳払いしてイアノスは念のために弁明することにした。

 

「日本では自分達よりも優れた、凄まじい武装を持つ兵器の例えとして有名な作品のタイトルで例えるのです。逆に言えば彼達は技術をどう発展させるべきか、一般人までもがある程度そう言う作品に触れて道筋を理解しているのです」

 

「ふむ。中々興味深いですね。それは日本に行けば見れるのですか?」

 

「いえ、日本でDVDかBDを購入して、テレビと発電機、レコーダーを用意すれば可能かと」

 

「・・・・・・私の個人的なお遣いのせい(化粧品供給)もあるんでしょうけど随分日本の生活に慣れ親しんでますね」

 

 イアノスは苦笑しつつ「近いうちに用意してきます」と言った。

 

「それで話を戻しますがそれ程凄まじい兵器なのですか?」

 

「はい。一般で出回っている情報の範囲でも十分驚異です。レールガンやレーザー、ビーム兵器にプラズマ兵器に核爆弾――理解が追いつかない部分もありますが、もしもあの海の化け物達がいなかったとしてもパーパルディア皇国は日本と相手にするのと同じか、それ以上の被害を受けていた可能性があります。ただ烏合の衆ではあるため、相手に出血を与えるのは可能かもしれませんが」

 

「アナタの軍事的考察には助けられます。それ程の武器を持ちながら日本と違い、出血を与えられると言えるのはどうしてですか?」

 

「日本の強さは単なる軍事力、技術力ではなく、それを高度に運用する力があるからです。もう一つの日本は確かに軍事技術などの分野でもう一つの日本を圧倒している分野もありますが、文明が滅んで今に至るまでの再建などで国や勢力が複数存在している状態で、総合力ではもう一つの日本より軍事面では下なのです。また彼達は陸上戦力では目を見張る物がありますが、海上戦力や航空戦力を殆ど持っておらず、軍艦の類いはまずないです。攻撃力はあるでしょうがイージス艦程の殲滅力はありません」

 

 このイアノスの分析はもう一つの日本の上層部と概ね同じ考えであり、イアノスの優秀さを現している。

 

「ただし、もう一つの日本と違い。彼達の中には平然と核兵器を使用する精神性がある人間が大勢いる。その事が一番の驚異なのです。またあの土地事態にも先程語った通り、凶悪な生物や強力な防御力と武装を持った一種のゴーレムのような存在が跳梁闊歩している恐ろしい魔境なのです」

 

 ここまで聞き置いてエルトはうんうんと頷き、「成る程――話が逸れたりしましたが報告ご苦労様です」と言って、話題を終わらせることにした。

 

「日本と同じくもう一つの日本――いえ、この場合は日本と言う国家があった土地とも言うべきでしょうか・・・・・・またあの軍艦のような悲劇が起きるとも限りませんし、巨大生物の動向も気になります。難しいですが、日本と協力しなければ古の魔帝国が来る前に世界が破滅するかもしれません。ここはカイオス殿の手腕に期待するしかないようですね」

 

「ええ」

 

  エルトはそう話を締めくくった。

  




 もうそろそろカクヨムの方の作品の更新に戻ろうかなと考えています。

 また何か出来たらupしますね。


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If もしも世紀末日本だけ召喚されたら?

試しに書いてみました。


 最終戦争で荒廃した日本が異世界召喚されて暫くの月日が経過した。

 

 とくに世紀末日本の人々は何もしなかったしする気力も湧かなかったようだ。

 

 ただ「気候が少し変わったかな~?」ぐらいにしか思わなかった。

 

 それに日々の暮らしで大変なので外交しようとかそんな気はゼロである。

 

 海は暴走軍艦だの海底要塞だの、レールガンやビーム兵器が通用しない巨大サメだの化け物だらけで脱出不可能であり、侵入も不可能である。

 

 第一の犠牲者は日本にもっとも近いガハラ神国だ。

 

「サメだ―!?」

 

「サメが襲撃してきたぞ!?」

 

「なんでこんな大量のサメが!?」

 

 突如として凶暴化したサメの餌食になった。

 日本のイージス艦と真正面から殴り合いして打ち勝った船食いサメなども参戦。

 さらに二本足のサメなども上陸したり、何やら魔改造された機関車トー○スなども上陸し、ガハラ神国は業火に包まれた。

 

 フェン王国もガハラ神国同様になすすべ無く、サメの餌食になった。

 

 ロデニウス大陸でもっとも日本に近いクワ・トイネ公国もサメの餌食になった。

 こちらはサメと戦艦が合体した全長400mのサメ戦艦の襲撃を受けた。

 

「なんだあの生物は!?」

 

「まさか古の魔帝国!?」

 

「世界の危機だ!! 至急ミリシアル帝国に知らせろ!!」

 

 

 きっと世紀末日本に潜んでたナチスの残党あたりが産みだした生物兵器かなんかだろう。

 こちらにも次々と二足歩行のサメやワニ達が上陸してくる。

 

 ついでになんか機関車トー○スに似た何かも手当たり次第に核爆弾やレーザー砲を撒き散らしてロデニウス大陸を放射能に汚染させていく。

 

 必死に立ち向かったがサメ戦艦や機関車トー○スの前では無力だった。

 

 最低でもレールガンやビーム兵器、核兵器、理想としては陽電子砲クラスの破壊力は欲しい。

 

 サメ軍艦は沿岸部の都市を国とかそう言うあれこれを関係なく焼き払い、トーマスは目につく生命体――たとえ同級のサメだろうとロデニウス大陸の人間だろうと平等に抹殺していく。

 

 最後はサメ軍艦VSトー○スの戦いになったが機○車と戦艦では勝負は目に見えている。

 

 トーマスはスクラップになった。

 

 

 

 ロデニウス大陸は滅亡した。

 

 機関車トー○スやサメ戦艦の核攻撃や予想以上の被害をもたらしたからだ。

 

 あとサメ軍艦も容赦なく核攻撃を連発していたのでそのダメージも甚大である。

 

 こうしてロデニウス大陸は核の炎に包まれた。

 

 

 

 

 パーパルディア皇国は滅亡した。

 

 キッカケはフェン王国やガハラ神国、ロデニウス大陸の国家が事実上滅亡したからだ。

 

 パーパルディア皇国や世界各国はこの異変を察知し、調査船団などを送り込んだが皆さんの想像通り全員が海で帰らぬ人になった。

 

 運良く生き延びて日本に辿り着いてもこの世の地獄を体現した世界の世紀末日本で地獄その物のようなサバイバルがはじまるだけ。

 

 海は化け物だらけで脱出不可能だった。

 

 航空手段でなら何とか辿り着けるが――遠方からワイバーンなどを送り込んで地道に資材を運んで日本に拠点作りしようとした。

 

「こんな上空にサメェ!?」

 

 それでも海から飛び跳ねてきたサメがワイバーンに噛みつか、そのまま海でサメの餌食になったりした。

 

「こんなところにいられるか!? 俺は逃げるぞ!?」

 

「待て!? どこに逃げるつもりだ!!」

 

「そんなこと言ってないで応戦しろ!!」

 

「隊長がワニに食われた!!」

 

「サメが大量にくるぅぅぅぅ!!」

 

 そして現地の兵士達も携帯式核兵器で武装した野盗達の襲撃で消し炭になったり、二足歩行で走るサメやワニの餌になった。

 

「俺はこんなところで死にたくねえ!!」

 

「ああ、俺の相棒(ワイバーン)が!!」

 

「放っておけ!! もう助からん!!」

 

 ワイバーンやワイバーン・オーバーロードなども奮戦して頑張ったが現地住民や生物の餌になったりした。

 今もワイバーンの一体がグロイゾンビ映画の如く群がってきた大量のサメの餌になっていた。

 

 そんな現状にパーパルディア皇国は危機感を覚えた。

 

 アルタラス王国も属領地にしたが、トーパ王国は魔王ノスグーラに滅ぼされて次々と周辺諸国に進撃している。

 

 魔王ノスグーラが予想以上に強く、このままでは自分達パーパルディア皇国の将来設計(世界征服)にも大きな障害になると判断して一先ず魔王ノスグーラの相手に専念し、その傍ら調査隊を送り込むことにした。

 

 その調査隊がまずかったのか、あの「とある世界で暴れ回った暴走軍艦」がパーパルディア皇国を襲撃。

 

 魔王軍だろうがなんの罪のない国だろうがパーパルディア皇国だろうが無差別に破壊活動を開始した。

 

 今回は自衛隊もヒーローもいないので頑張って止めるしかない。

 

 この世界のグラ・バルカス帝国やミリシアル帝国が手を取り合って戦力を結集させればチャンスはあるかもしれないがそんなのあり得る筈がないので暴走軍艦は沿岸部から届く範囲の都市を全て焼き払い、そのままアルタラスも焼き払った。

 

 この暴走軍艦はなんかこの世界にでも恨みでもあるのだろうか。

 

「我がこんなワケもわからぬままぁあああああああ!?」

 

 魔王軍も暴走軍艦の前では無力だった。

 魔王ノスグーラも暴走軍艦の砲撃を受けて5体バラバラになった後、配下ともどもサメの餌になった。

 

 

 どんどんとこの世の地獄に変わりつつある異世界。

 

 このままでは古の魔帝国がくるまえに世界が滅びそうな勢いだ。

 

 サメやタコ、イカやワニにクラゲ、ヒトデなどの巨大生物が世界各地に侵攻して繁殖して侵攻を繰り返し、暴走兵器もどんどん世界中に行動範囲を広げていった。

 

 そんな中でも世紀末日本の人達は暢気に世紀末ライフを楽しんでいる。

 

 もう「世界の人達が全員不幸になれば幸運な奴がいないから世界は平等な世界」が実現しつつあった。イヤな世界平等もあったもんだ。

 

 はたして今が地獄なのか、死んだ後の地獄がより地獄なのか誰も分かりゃしない。

 

 人々は逃げ惑い、時として巨大生物の餌になり、難民達がまだ無事な場所へとあらゆる手を尽くして逃げ込んでくる。

 

 そうして治安が悪化し、まだ無事な土地を巡って争いが連鎖していく。

 

 そんな彼達の生きる努力をあざ笑うかのようにサメは無慈悲に食らいついていく。

 

 

 

 

 とうとうグラ・バルカス帝国やミリシアル帝国、ムーなどの世界各国は危機感を覚えて、日本と言う名の魔境を調査する方向で話が纏まった。

 

 まだ無事な世界各国も最大限の支援を惜しまずに乾坤一擲の探索任務を開始した。

 

 暴走軍艦が暴走しすぎてミリシアル帝国やグラ・バルカス帝国本土まで攻撃したのも大きな要因だろう。現在暴走軍艦は行方不明である。

 

 ちなみにこの時点でグレードアトラスターやミリシアル帝国の三隻の空中戦艦のうち二隻が沈んでいる。両国の艦隊は全滅した。

 

 世界各国の艦隊も全滅している。

 

 本編の黒幕、天使の姿をした悪魔どもことアニュンリ―ル皇国も馬脚を現すか現さないかギリギリのラインで――かなり本気でやる気を出していた。

 なにしろ巨大なサメ、ワニ、クモ、タコ、イカ、ヒトデ、マグロくってそうなトカゲ――なんか最後、変なの混じっていたがそんな巨大生物が襲来しまくったせいで古の魔帝国迎え入れる前に滅びそうな勢いだったからだ。

 

 アニュンリール皇国としては古の魔帝国――ラヴァーナル帝国がこの世界に来る前に少しでも日本の力を利用できる物は利用し、他国を妨害しながら日本を焼け野原にしようと考えていた。

 

 まあ何時ものアニュンリール皇国である。

 

 そうして一部を除き、世界中の国はこの強大な危機に立ち上がった。

 

 しかし問題は山積みだった。

 

 何を持って作戦を成功とするのか。

 

 そもそも自分達は現地で何をやればいいのか?

 

 など、足並みは揃っていないままだった。

 

 グラ・バルカス帝国もミリシアル帝国もムーも新造した軍艦もクルーも急増もいいところで中には民間の船に武装を施したような物まであった。

 

 そうして作戦は開始された。

 

 

 

 

 第一段階:上陸作戦。

 

 海底要塞玄武を始めとした暴走兵器。

 

 帰ってきた暴走軍艦。

 

 巨大サメなどで犠牲を出しながらも上陸。

 

 この時点で各種軍艦や飛行戦力は五割が失い、ミリシアル帝国の最後の空中戦艦の一隻が轟沈するが想定の範囲内として作戦を続行。

 

 拠点の確保作業だがこれも事前情報や、この驚異に率先して対策に当たってい魔法文明圏の人間や科学文明圏の人間達が頑張ってどうにか確保。

 

 第二段階:拠点制作

 

 携帯式核爆弾を現地住民に撃ち込まれたり、暴走した戦車が突っ込んできたり、二足歩行のサメやワニが襲撃してきたがどうにか拠点を確保――と言う名の取り残された人々によるサバイバル生活が始まった。

 

 第三段階:探索任務

 

 ゾンビっぽくなった現地住民の末路。

 

 突然変異で凶暴化して人のシルエットを保った怪異と化した人間。

 

 様々な化け物や暴走マシン、野盗が入れ変わり立ち替わり襲われ、時には食料を奪い合って仲間割れを起こしたり、過酷な環境下で精神がイカれたりなど、様々な苦難や困難を潜り抜ける中で科学文明圏の人間がラジオ電波を受信し、どうにか現地住民と接触に成功した。

 

 第四段階:情報収集

 

 この段階で作戦は上手く軌道に乗っていく。

 

 そして日本の世紀末的な実態や驚異的なテクノロジーが明らかになる。

 

 一番の驚愕は自分達が転移国家だと知らず、外界の情報を何一つ知らずに生活していたことだ。

 

 だが逆に無理もない話である。

 

 一部の人間は気づいていたらしいが周りの海は化け物だらけで何かしたくても出来ない。

 

 飛行機などがあっても暴走兵器に感づかれて的にされ、撃墜される恐れがあるので空も飛べない。

 

 外界から完全に隔絶された世界なのだ。

 

 そして問題が起きたが――これからどうすればいいべきなのか?

 

 具体的には世界中に拡散した巨大生物を排除するにはどうすればいいのか?

 

 である。

 

 この解決案を出したのは現地住民のカトウ ケイイチ、キノモト セイなど、現地でかなりの信頼を得ているらしい少年達だった。

 

 世界を恐怖に陥れた超兵器を片っ端から自分達の物にすればいいと言う発想だ。

 

 それからは早かった。

 

 同時に世界中の人々は驚愕した。

 

 仲間達がパワーローダーと呼ばれる機械仕掛けの鎧を身に纏い、背中に巨大なエンジンを載せて超音速で巨大兵器に接近。

 

 巨大兵器の砲火をかいくぐって内部に乗り込んでコントロールを掌握すると言う方法だった。

 

 時には地下に潜伏して待ち伏せして捕獲したりなどだ。

 

 巨大生物に対しても専用の薬を撃ち込んで撃退すると言う方法を提示された。

 

 ただ薬を生成する資源が足りないので協力してほしいと言われたので、奪還した敵の要塞から脱出した任務従軍者は急いで薬の量産に取りかかった。

 

 薬が効かない巨大生物に対してはプランB、奪った巨大兵器の火力で粉砕すると言う手段で次々と世界を解放していく。

 

 こうして世界に平和が訪れた――

 

 

 

 

 かに見えた。

 

 世の中、上手くいかないもんだ。

 

 とうとう古の魔帝国、ラヴァーナル帝国と本性を現したアニュンリール皇国(滅亡して亡命しました)が世界中に宣戦布告したのだ。

 

 だがラヴァーナル帝国はあっさりと滅びた。

 

 いちおうコア魔法(魔方式核攻撃も)を乱発した。

 

 サメトレイン作戦で引き寄せた巨大サメの群れや無人状態で突っ込ませた元・暴走戦艦などには勝てなかったのだ。

 

 最後は少数精鋭の核動力のパワードスーツ、パワーローダー部隊や世界各国の精鋭チームが少数精鋭の中枢部で殴り込んだり、どこから湧いてきたのかトー○スが上陸してラヴァーナル帝国の本土を急襲したりして戦いの幕はアッサリと閉じた。

 

 まるで作中のパワーインフレについていけなかったバトルマンガのキャラクターみたいな状態だった。

 

 

 

 

 こうして世界は救われたが問題は山積みだ。

 

 

 巨大生物やまだ見ぬ暴走兵器の脅威。

 

 核兵器で汚染された大地。

 

 ラヴァーナル帝国の残党。

 

 移民、難民問題。

 

 以前の国家関係についてなど。

 

 

 それでも世界は進んでいく――。 

 

 END

 

 




ご意見、ご感想お待ちしております。


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現地査察編

*グラ・バルカス帝国が勝手に滅び、漁夫の利を狙っていたらしいミリシアル帝国に八つ当たり気味に外交で難癖付けられているころのお話だよ。

 

Q;どうしてミリシアル帝国に因縁付けられてるの?

 

 グラ・バルカスSSに登場した海底機動要塞玄武の攻撃で切り札の空中戦艦が一隻落とされ、艦隊も大被害を食らったから。 

 

 世紀末日本は基本、宣伝とか外交とかしないし、日本が必要以上に介入しまくってるせいで世紀末日本は日本国の同盟国、もしくは属領地か政治、外交上の詭弁みたいな認識を持っている国が多いのも原因。

 

 まあ危険地帯すぎて視察とか査察とか出来ないしね。

 

 夜眠っていたら突然基地に携帯式核爆弾が撃ち込まれたり、突如として二足歩行で歩くサメが走る系ゾンビ映画のように大量に攻め込んでくるよるような土地だし。

 

 

 

 

 日本政府のお偉方は外交上で多大な問題を抱えている一方で現在、もう一つの日本に滞在している自衛隊に対してある種の疑念を持っていた。

 

 憲法九条からの逸脱。

 

 シビリアンコントロールから離れて独自に行動している。  

 

 クーデターを画策している恐れがある。

 

 少年兵を勝手に雇って国際法(本当に国会議員の先生はこう言いました)に違反している。

 

 などなど。

 

 早い話が自分達の言う事を段々と聞いてくれないし好き勝手やってるあいつらが気にくわないし、ちょっと復讐される覚えがあるからなんか弱み握ってきて欲しいと言う馬鹿みたいな要望をそれっぽい理由をつけて査察しようとしているのだ。

 

 だが一応現地からの連絡も途絶えているし、土地の状況が状況なのでクーデターを画策されてもなんら不思議ではないと言うのもある。

 

 こうして現地に派遣した自衛隊に対する査察を行う事になった。

 

 

☆ 

 

 

 この査察任務、自衛隊だけでなく日本の外交官や防衛省の役人だけでなく報道陣や市民団体やとある政党の政治家も同行している。

 

 何時もの「報道の自由を~~」とか言って強引に割り込んできた連中だ。

 

 ジャーナリストや女性リポーターまで自衛隊の大型ジェット輸送機に乗っている。

 

 世紀末日本には一度アルタラスなどの国々を経由してからの空路でしか入れない。

 

 なのでFー2戦闘機の護衛にCー2輸送機三機で現地入りすることになった。

 

「しかしもう一つの日本は危険だと言うけど本当なのかね?」

 

「何か隠してるんじゃないのか?」

 

「だけどイージス艦が沈められてるんだろ?」

 

「そんな危険な土地でたかだか一高校生(加藤 佳一)が生きていけるわけがない」

 

 などと好き放題に言う。

 

「もう一つの日本があるとしてそこまで危険な土地なのか?」

 

「まあこの世界で何が起きても不思議ではないと言え、何か隠してるんじゃないのか?」

 

 今回派遣された自衛官達も世紀末日本に関しては半信半疑だった。

 

 

 念のため弁護しておくが現地の自衛官達は涙ながらに現地の情報を上の方に全部一つ残らず流しているが、日本はよほど切羽詰まった状況でないかぎりは「事件は現場で起きているんじゃない、会議室で起きてるんだ」な国である。(海上自衛官がイージス艦でパーパルディア皇国の艦隊に向けて神がかり的な警告射撃をも批判したのが良い例)

 

 めんどくさいし、金がかかるし、支持率とか下がっていやだし、責任取りたくないので、とりあえず外交上の都合で片付けてあんまり一般公開、特に映像は公開しなかった。

 

 それがあんな悲劇を招くことになるとは想像だにしなかった――

 

 

 

  

 C-2輸送機は三機とも墜落した。

 

 護衛のF-2戦闘機も撃墜された。

 

 C-2輸送機は三機は幸運にもあまり犠牲者を出さずに不時着できたが――地獄はこっからはじまる。

 

 

 

*現在の生存者。

 

 C-2の輸送機のパイロット数名。

 

 外交官、防衛省の役人、政治家の数名。

 

 完全武装の自衛官およそ二百名。

 

 報道陣、市民団体の約五十名。

 

 

 

 

「何が起きた!?」

 

「くそ!! こう言う時のための自衛隊だろ!! 早く助けろ!!」

 

「護衛はなにしてた!!」

 

 などと報道陣や市民団体達が口々に文句を言う。

 

 報道陣は撮影機材をきっちり回し、生中継しているテレビ局もあったらしい。

 

 周りは見渡すかぎりの木々に囲まれている。

 

 気候は過酷と言う程ではない。

 

 まだ日も高い。

 

 遠くには建物が見える。

 

「ヘタに動かないでください」

 

「とにかく救助部隊が来るまで大人しくしていてください」

 

 自衛隊は必死にこの場にいるように説得する。

 

 だがそんな彼達に牙が向けられた。

 

「なんだあの化け物は!?」

 

 それはワニの胴体を持つ三つのサメの頭を持つ、サメべロスとも言うべき大型トラックサイズの巨大生命体だった。

 自衛隊の銃弾を物ともせず、片っ端から火の玉を吐いて不時着地点を次々と焼け野原にしていく。

 

 皆一斉に逃げ始めて散り散りになる。

 

「だ、誰か助けて!!」

 

 股に水溜まりを作って涙を流して顔面崩壊した美人レポーターが生放送でサメベロスに頭から丸かじりされ、咀嚼されて飲み込まれる。

 とうぜん日本では放送事故で「しばらくお待ちください」なあの画面が映し出された。

 

 

 サメベロスの襲撃で生存者達は散り散りになる。 

 

 とりあえず市街地に逃げ込んだ。 

 

 そして一息つくと生存者同士、同じ日本人同士で醜い争いが始まった。

 

「いやだ!? こんな場所で死にたくない!?」

 

「現地の自衛隊はなにやってるんだ!?」

 

「銃をよこせ!!」

 

「うるせぇ! おまえらだって危険を承知で来たんだろうが!」

 

 と言う感じでだ。

 震災時では鋼の精神で職務を遂行する自衛隊ですら暴力的になっていた。

 

「今度はゾンビが来たぞ!?」

 

 何かのウイルスなのかそれとも放射能の影響なのか、ゾンビっぽい何かが全力疾走しつつ大群で迫り来る。

 

「撃て撃て!!」

 

「うわぁあああああああ!!」

 

「もうダメだ!!」

 

「まて!! 逃げるな!!」

 

 どうやら逃げ込んだ場所はこのゾンビ達の住処――現地住民の呼称でアンデッド。

 

 目についた存在を全力疾走で近付いて八つ裂きにする。

 

 不幸にも銃を持っていた自衛隊が率先して狙われた。銃の発砲音に引き寄せられる感じだ。

 

 真っ先に逃げ出せた人間はまた安全な場所を求めて逃避行を開始する。

 

 

 

 

 戦える自衛隊の半分以上が死亡。

 

 逃げ遅れた報道陣などもアンデッドに殺された。

 

「こんな任務、志願にするんじゃなかった・・・・・・」

 

「お家に帰りたいよ・・・・・・」

 

「死ぬ。このままじゃ死んでしまう」

 

 夜になり、さらに散り散りになって絶望的な雰囲気になっていた。

 

 ある者は拳銃で自害し、ある者は発狂して何処かへ逃げ去っていく。

 

 そして中には運良く――ガトリングガンを携帯した不格好な二足歩行ロボット、ガンテツさんに出会い『お前ら何してるんだ?』と安全な場所に案内されることになった。

 

 そのラッキーカードを引き当てたのは

 

 外交官、政治家、防衛省の役人。

 

 自衛官数十名。

 

 報道陣の数名である。

 

 

 

 

 ガンテツは有名人である。

 

 なにしろアルタラスの暴走軍艦に乗り込んで自沈させた立役者の一人だからだ。

 

 報道陣の人間や政治家、外交官、防衛省の役人は安全な場所に案内される道中――代わる代わるに質問をした。

 

 例えば「現地の自衛官に問題はあるのか?」とか、「勝手なことをしてないのか?」とか。

  

 とりあえず本来の職務に戻って代わる代わる質問をする。

 

 中には「なぜ、加藤 佳一はこんな場所に戻ったのか?」とか質問する人もいた。(ちなみに加藤 佳一も暴走軍艦を沈めた立役者の一人だ)

 

 ガンテツはくそ真面目に『そんなのしらねえよ』と返していく。

 

 加藤 佳一に関しては『こっちの方が居心地いいんじゃねえのか? 女もいるし?』と返した。 

 

 とりあえずこの土地の自衛隊の基地に案内される。

 

 

『ついたぞ』   

 

 眼前には元自衛隊の基地と言う名の廃墟があった。

 

 現在自衛官が現地の協力者と一緒に激しい銃撃戦を繰り広げている。

 

 何やらキノコ雲も定期的に発生してるが気のせいだろう。

 

 現在自衛隊は現地の武装勢力――日本の後継者やフロンティアの残党と仁義なき殺し合いの真っ最中だった。

 

 レールガンやレーザー、ビーム、プラズマ、果ては核爆弾が飛び交う。

 

 互いのロボット兵器や戦車、パワーローダーが交差する。

 

 時折サメやらアンデッドやら醜悪で攻撃的に変貌した人間の成れの果てであるオーガなども参戦してくる。

 

 SF超大作映画クライマックスバトルを彷彿とさせる壮絶な光景にここまで来た人々は言葉を失った。

 

「ガンテツ!? そいつら増援か!?」

 

 大声で現地の自衛隊の一人が駆け寄ってくる。

 

『どうなんだ?』

 

 ガンテツも尋ねる。

 

「いや、我々は――」

 

 皆どう言えばいいのか迷う。

 まさかクーデター起こそうと思ったので査察しに来ましたと言える雰囲気ではない。

 だが敵はこちらに気づいたようで攻撃を開始する。

 銃弾だけではなく、レーザーやビーム、プラズマにレールガンが飛んできた。

 

「とりあえず何でもいいから武器を持って戦え!!」

 

「お、俺達は民間人――」

 

 報道陣の一人がそう言ったが――

 

「だからどうした!? 大丈夫だ!! 死んでから文句を言えばいい!!」

 

 などとメチャクチャな理論で現地の自衛隊はガンテツと一緒に戦闘を続行した。

 同じ自衛隊の人達もその様子に唖然としていた。

 

 

 

 夜が深まり、戦闘は収まって査察団はもう当初の目的などどうでもいいから日本に帰りたい一心で助けを呼ぼうとした。

 

 現在自衛隊は廃墟となった基地に腰を据え、簡単なテントやらを設置して皆忙しそうに活動している。

 

 Cー2輸送機から生き延びた人間も次々と辿り着いているが皆、抜け殻のようになっていた。

 

「はあ!? 助けは来ない!?」

 

 政治家や外交官、防衛省の役人。

 

 自衛隊に報道陣までもが現地の自衛隊の言葉に唖然とする。

 

「ああ。妨害電波を破壊しなければな。まあ仮に助けを呼んでも撃墜される。何しに来たかあえては尋ねないが運が悪かったな――」

 

 と、現地に染まりきった自衛官の一人が言う。

 

 政治家は文句を言おうとしたが敵の襲撃で会話を中断せざるおえなかった。

 

「また敵が来たぞ!!」

 

「いいかよく聞け!! 増援はアテにならん!! 俺達で対処するぞ!!」

 

「クソ!! まだ魔王の方がマシだった!!」

 

「あの役立たずどもが!! わざわざこの土地に観光でもしにきたか!?」

 

「レールガン持ってこい!! 殺される前に殺せ!!」

 

 なんか皆、完全に目が血走りながら戦闘態勢を整えていく。

 

 報道陣だろうが外交官だろうが役人だろうが政治家だろうが知ったこっちゃないと言う感じだ。

 

「お、おい私達はどうすれば――」

 

 状況に取り残された政治家が説明を求めようとしたが――

 

「ギャーギャーやかましい! こちとら毎日この職場で戦国時代おくっとんのじゃ!? 死ぬか生きるかで必死なんだよ!! ほら! 戦う気がないならシェルターにいけ! 少なくとも核爆発で死ぬことはない! GO、GO!!」

 

 そう言って説明役の自衛官は仲間を伴って誘導する。

 外は再び戦場になっていた。

  

 

 シェルターに案内される。

 かなり頑丈に作られており、時折響いてはならない轟音が響き渡る。たぶん核爆発だろう。

 外から着た自衛隊も一応護衛として待避することになった。あまりにも戦いが壮絶過ぎてついていけないと本能的に悟ったからだ。

 

『死ね―!!』  

 

『まだ生きてるぞ!?』

 

『トドメを刺せ!!』

 

『サメだ―!!』

 

『クソ!! またサメか!!』

 

『誰かチェーンソー持ってこい!!』

 

 などと外から怒声が響き渡る。

 時折シェルターの入り口に直撃弾くらったり、入り口が崩壊してサメやらゾンビやらが雪崩れ込んできそうになったり、「こんなところにいられるか!! 俺は逃げるぞ!!」と死亡フラグを立てて自衛官の一人がサメの餌になったりした。

 

 

 

 

 ~四十八時間後~

 

 戦闘が収まり、外に出てみると死屍累々だった。

 

 自衛隊が敗残兵狩りしたり、追い剥ぎしていた。

 

 二足歩行のサメを焼いて食べて基地の復旧作業に当たっている。

 

 それを呆然と眺めていると「妨害電波を破壊確認、基地を襲撃した残党も殲滅しました」と報告し、「帰りのヘリも手配しました。もう暫くお待ちください」と言い残してそのまま連絡役らしい自衛官の一人が立ち去った。

 

「わ、私達は生き延びたのか?」

 

「そのようです――」

 

 政治家や外交官に防衛省の人も安堵した。

 

「俺達帰れるのか!?」

 

「やったー!!」

 

 などと自衛隊達も喜ぶ。

 

「おっしゃ、帰ったら大スクープだ!!」

 

「これは特ダネになるぞ!!」

 

 報道陣も喜んだ。

 

 

 

 

 そして帰りの大型ヘリ、CHー47が到着。

 

 そうして我先にとヘリに乗り込む。

 

 見送りの自衛官とはいなかった。

 

 再び銃撃戦が始まったからだ。

 

 皆尻に火がついたように涙目になって急いでヘリに駆け込む。

 

 そして搭乗して空に上がり――ちょっとの間があって――

 

 

 

 

 けっきょくヘリはすぐに墜落した。

 

 今度は現地の野盗の攻撃である。

 

 そしてまた自衛隊基地を目指して戦闘に巻き込まれてを繰り返し、再びヘリを要請するが「安全確保が出来ない状態でヘリを向かわせる事は出来ない」と言われて泣く泣く復旧作業に従事することになった。

 

 同時に自給自足のサバイバル生活と過酷な戦いの日々がはじまる。

 

 とにかく戦闘が多い。戦闘が無い日は幸運な日である。

 

 日本の本土から査察団の様子を見に派遣されて二重遭難した精鋭部隊や、やはりついてきた報道陣と言う名の犠牲者も増えたりもしたが些細なことである。

 

 こうしてさらに自衛隊の現地での活動は混迷を極めるのであった。 

 



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自衛隊サイドSS集

久しぶりの投稿です。

*19年11月1日:加筆修正しました。


 =現地査察編・後日談=

 

 現地査察編の後日談です。

 

 

 Side 緋田 キンジ

 

 

 日本の後継者とフロンティアの残党、その他諸々の戦闘は終了。

 

 小休止挟みながら二日以上壮絶な殺し合いをする事になるとは思わなかった。

 

 だがそれからが大変――なぜかマスコミやら政治家やら外交官やら防衛省の役人、外から来た自衛官が来たのだから。

 

 しかも追加でやって来て二重遭難した査察団の救出部隊までも来る始末だ。

 

 こう言う外部からのお客様の纏め役は対応は五藤一佐や近藤三佐か水島一尉、クソ上司などの仕事なのだが何故か俺やキョウスケなどが一部受け持つとになった。

 

 他にも宮野一尉や三木も担当している。 

 

 俺は一先ず復旧作業を手伝わせながら聞き取り調査を行っていた。

 

「で? お前達は俺達がクーデターを起こしてるか、賊軍してるかもしれないし、もしかして政府ぐるみでこの島の存在をでっち上げてるかもしれないからそれを確かめるためにここに飛ばされてきたと?」

 

「そ、そうだ・・・・・・」

 

 俺よりも年配の自衛官が力なく答えた。

 

 所属組織によっても目的がバラバラであるが、ようするに本土の人間は俺達を勝手に地獄に放り込んでおきながら勝手に報復を恐れているのだろう。

 

 今回の査察も理由をでっち上げて消す腹づもりかもしれない。

 

「本当にお前ら、平和な世界に生きてたんだな・・・・・・今時ホウレンソウなんて女児向けアニメでも語ってるご時世なんだぜ?」

 

 なんか泣きたくなってきた。

 

 俺達これでも一応アルタラスで暴走軍艦沈めたりとか頑張ったんだぞ?

 にも関わらず味方は後ろから刺そうとしてやがる。

 

 もうヒノモト辺りに亡命しようかな?

 

 だけどキョウスケとかは家族養うためにここに来てるし簡単にできねーよな。

 

「我々は十分訓練を積んできたし、実戦経験も積んだはずだった――だがこの土地は他の場所とは何もかもが違いすぎる」

 

「余所の土地がどうかは知らないけどこの土地、特殊作戦群の人間でも気を抜いたら死ねる土地だからな?」

 

 俺としては一体どんな楽な実戦経験を積んだのかぜひ聞かして欲しかった。

 

 こっちは毎日サメやワニやゾンビや暴走ロボットとか相手に懲戒免職上等で殺し合いしているのに。

 

「敵襲!! 戦車が猛スピードで突っ込んでくるぞ!!」

 

 俺は舌打ちをして「伏せろ!!」と叫んだ。

 また戦車が突っ込んできたか。

 機銃やビームやミサイルなどを乱射して折角修復した箇所が破壊される。

 

 すぐさまやり返したい衝動に駆られるが相手の戦車はレールガンやビームの直撃を受けても耐えうる装甲を持っている可能性がある。

 とにかく迎撃態勢を整えて一気に撃破するしか方法がない。

 

 他の自衛官はこの土地ではまだまだルーキーだ。

 相手との火力の違いに心が折れそうになっている。

 

 まあすぐさま退避行動を取る辺り訓練が行き届いていると言うべきだろうか。

 

 その後戦車は基地内に突入して破壊の限りを尽くし、パワーローダーを纏った宮野一尉が特殊なハンマーを用いた接近戦で仕留めました。

 

 あの人もどんどん人間やめて言ってるな。

 

 

 =海底要塞玄武攻略ミッション=

 

*このお話は査察団のお話が終わって少しばかりの時間が経過した後の話です。

 

 海底要塞玄武。

 

 かつて日本の守り手だったこの要塞。

 

 しかし今は無差別にこの世界に破壊を撒き散らす要塞と化していた。

 

 政治外向的な都合もあるが日本政府はこれを破壊する事を決断した。

 

 ヒノモト、NUSA、醒などの三大勢力や各自治体も了承済みである。

 

 世界各国から集まった観戦武官は海底要塞玄武から遠く離れた海上で現地から届けられる映像を見る形になった。

 

 なにしろ世界を滅ぼせる、単独で古の魔帝国並の恐怖を世界中に植え付けた機動要塞の攻略ミッションだ。

 

 注目せざるおえない。

 

 その要塞相手にどのような方法を取るのか世界中の人間が注目していた。

 

 

 自衛隊達が使った方法はただ一つ――デコイや高出力のECM兵器を可能限り長時間展開させている隙に超音速の飛行ユニット(ロケットブースター)に括り付けたパワーローダー部隊を突入させ、潜水不可能なぐらいのダメージを与えると同時に砲台を含めた防衛兵器を破壊する。

 

 その後は強化されたイージス艦の火力で吹き飛ばすプランA。

 

 内部に突入するプランBなどが用意されている。

 

 この作戦を任されたのは現地の人外達もいるが現地の洗礼を受けて人外と化した自衛官も何名か混じっている。

 

 この無茶苦茶なミッションに自衛隊の上層部は「正気か!?」と目を疑った。

 

 だが実際問題これぐらいしか方法がないので上も渋々と承諾した。

 

 そうして作戦は決行された。 

 

「日本は狂っている」

 

「頭がおかしい」

 

「信じられない」

 

「精神がいかれてる」

 

 パワーローダーの一体から送られてくる画像から観戦武官は口々にそう言った。

 

 ECM、デコイを持ってしても完全には相手のレーダーを誤魔化すことはできずにマッハの速度で近付くパワーローダー隊に集中砲火が浴びせられる。

 

 少しでも敵の目を反らすためにECM、デコイ、チャフ、フレアを満載した特殊装備の戦闘機隊も出撃してパワーローダー隊の突入を援護する。

 

 ある程度の距離でパワーローダー隊はロケットからパージされ、切り離されたロケットはそのままミサイル代わりに要塞の彼方此方に直撃して大爆発が起きる。

 

 ちなみにこの時のパワーローダー隊の損耗率はゼロ。

 

 自衛隊や世紀末日本からの精鋭揃いとは言え、全員人外らしいことに味方ですら恐怖した。

 

『此方パワーローダー隊、要塞内部に突入。破壊を開始する』

 

 そして、現在機動要塞の彼方此方でパワーローダーが防衛兵器や無人ロボット相手に破壊活動をしていた。

 

 レールガンや反応弾(誓って核爆弾ではありません・・・・・・)、ビームガトリング、プラズマランチャーなどでパワーローダー隊は破壊の限りを尽くす。

 

 そうして粗方目につく砲台が破壊され、強化されたイージス艦で破壊するプランAが実行され一旦退避したのだが破壊し尽くせず、失敗に終わったので現在は内部に突入して破壊するプランBに以降。

 

 苛烈な攻撃に晒されながらもパワーローダーや現地の味方ロボットなどが突き進んでいく。

 

 時には人外的なアクションで。

 

 また時には大火力と重装甲で押し切るパワープレイで要塞内部を駆け抜けていく。

 

 さながらリアルス○ーウォーズだ。

 

 そうこうしているウチに要塞内部の動力炉に到達し、爆破工作が完了して外に脱出。

 

 要塞外部の敵もあらかた掃討されて部隊も退避完了し、海底要塞は爆破されて海の底に沈んでミッションは完了された。

 

 この戦いを見た観戦武官達は口々に言う。

 

「日本を敵に回すのはやめておけ」と。

 

 

 =戦争の英雄=

 

*このお話は

 

 世紀末の日本には――嘗ての大戦を生き抜いた数々の英雄がいた。

 

 核攻撃をシェルターで生き延び、コールドスリープで眠りにつき、現在まで全盛期の状態を維持した戦士が。

 

 その戦士は強かった。

 

 東側の大部隊を相手に仲間達と戦い、核が撃ち込まれるその日まで戦い抜いて生き延びた。

 

 そして何百年物間コールドスリープをして、再び目覚めたその戦士は――誰も止められなかった。

 

 フロンティアも。

 

 同じくコールドスリープして長きに渡る眠りについて再起した日本の後継者ですらも。

 

 あらゆる勢力がその戦士を狙ったが誰も殺せなかった。

 

 この異世界に転移しても――誰も――

 

 その戦士の名は木之元 セイ――

 

 

 

 日本がわざわざ危険なもう一つの日本に介入を進める理由は様々であるがその理由の一つに古の魔帝国対策がある。

 

 古の魔帝国がパワーローダーと類似する兵器を使用していると言う話もあり、対パワーローダー訓練と平行して日本産のパワーローダーの実用化や実戦訓練が急がれた。

 

 実戦訓練の相手は世紀末日本でも治安がよいとされる国家や自治体からの選抜形式、整備に必要な人員や付き添いなども含めて三十名以上になった。

 

 またパワーローダーは核動力で非核三原則の原則に違反していると言う厄介な話もあるため、他の国の土地を間借りして行うことになった。

 

 アルタラスの土地を借り、アルタラスの武官、文官のみしか観戦出来ない極秘演習である。

 

 結果は――自衛隊サイドの惨敗だった。

 

 念のため擁護しておくが、そもそも自衛隊はこの世界に来てから一部を除いて勝てる戦いしかしていないし、装備の質もアグレッサ―役の相手が上だ。

 

 世紀末日本絡みの戦いは一部を除きほぼ全て辛酸を舐める結果になっている。

 

 今回の訓練は装甲車両付きの歩兵部隊だけでなく、戦車や戦闘ヘリまでも投入しての大人げない訓練だったが心配無用だった。

 

「お前達少しは自衛隊としての意地を見せてみろ!? 何をしている!?」

 

『無茶言わないでください!! あの赤いパワードスーツ速すぎます!!』 

 

『赤い彗星かよ!!』

 

 通信から悲鳴のような声が響いてくる。

 司令官も「まさかここまでとは・・・・・・」と眉間を押さえた。

 

 アグレッサー役のパワーローダー達がとにかく強すぎる。

 距離が離れていてもミサイルやレールガンの的。

 中途半端に距離を詰めようものなら一気に接近してきて狩り回られる。

 

 特に赤いパワーローダーが強すぎて一気に戦線が崩壊していた。

 まるで人型の戦闘機のようなスピードと効率的に敵を滅するための位置取りはもう芸術と言っていい。

 もしもこれが実戦だったら目を覆いたくなる程の結果になるだろう。

 

「戦車二両撃破判定! 被害拡大止まりません!」

 

「戦闘ヘリ一両撃破判定!」

 

「歩兵部隊被害拡大!」

 

 オペレーター達も驚愕しながら被害報告する。

 

 全滅まで秒読み段階の状態だった。

 

 結局、次の訓練では赤いパワーローダー抜きで戦う事になったがそれでも、顔面傷やヤケドだらけのアメリカ人美女(コールドスリープされていた名誉勲章持ちの英雄)だとか、コールドスリープされていた女死刑囚だとか、なぜかいた加藤 佳一などのせいで何度か自衛隊側は「訓練にならねぇ!?」とバランス調整を行ったと言う。

 

「こんなの上にどう報告すればいいんだ!? 映画の撮影じゃないんだぞ!?」

 

 と、最終的に現場の責任者は頭を抱えたという。

 

 それぐらい非現実的な目を覆いたくなるような悲惨な結果になったのだ。

 

 そんな上の苦悩などしったこっちゃない演習参加者はと言うと暢気にアグレッサ―役のパワーローダーの人達や付き添い、整備スタッフと交流していたという。

 まるで自分達の年齢も忘れて、アルタラスの人達も巻き込んで熱狂的に交流したという。

 

 なんだかんだで自衛隊も体育会系、武人気質なのである。

 例え所属する国家は違えど、礼儀を弁えていれば強い人は尊敬されるのだ。

 

 意外にも女死刑囚も馴染んでいたが・・・・・・

 

 その中に木之元 セイの姿もあった。

 

 

 Side 木之元 セイ

 

「いや、完敗だよ・・・・・・あそこまで叩き潰されたら素直に負けを認めるしかないね」

 

「はは、帰ったら訓練のやり直しかなこれは――」

 

「君の経歴は見たけど本当だったんだね」

 

 僕は駆け寄ってくる「異界の」自衛官達に口々にそう言われた。

 悔しさを通り越していっそ清々しさを感じているようだ。

 

 僕としては技量云々以前の問題――兵器の質に差がありすぎるのでその辺からどうかした方がいいと思うのだがそう言うのは考えにないらしい。

 

 だからと言って前線の兵士達に言ってもどうにもならないので「大人げないぐらいに完膚無きまでに叩き潰す」方向で上にメッセージを送ることにした。

 

 これで少しは改善してくれればいいのだが・・・・・・と僕は思う。

 

  




体調不良の中、無理して投稿しました。
ご意見、ご感想お待ちしております。


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新たな来訪者

この作品が終わる時はネタがなくなるか、労力かモチベーションが尽きたか、自分が万が一の確率でプロデビューしたか、自分がくたばるかのどれかになると思う。


 =新たな来訪者=

 

 Side 緋田 キンジ

 

 俺達は現在、パワーローダーを身に纏って相棒の宗像 キョウスケと一緒に戦車と随伴歩兵部隊を率いている。

 

 何故かと言うと――この世紀末日本のどっかのシェルターに自宅もろとも転移して現在ユウチューバ―やってる元ニートの安否を確認するためだ。

 

 しかも可愛い女性アンドロイドと同居生活しているそうだ。とても羨ましい。

 

 ちなみに動画配信は俺達も見ている。

 

 

 まるで、なろう小説のような信じられない話であるがそもそも国家もろとも転移したりしてるのだ。

 

 さらに平行世界から覇権主義国家やこうして地獄のような世紀末の日本が転移したりしているのだ。

 

 いまさら日本の一戸建ての自宅が天文学的確率だかでこの土地のシェルターに転移したとしても別に不思議でもないだろう。

 

 

 本土の方でもこの動画配信は大騒ぎらしい。

 

 特に霞ヶ関の先生方の派閥闘争に影響が出ているらしい。

 

 一時期は右寄りになって先日まではやや左寄りになっていたが現在はどうだか分からない。

 

『見えたぞキンジ。けっこう発展してんな』

 

 相方のキンジが眼前の光景――動画配信者がいるシェルター周辺の様子を眺める。

 

 俺もキンジに『ああ』と返事する。

 

 シェルターを中心にちょっとした集落が出来上がっていてバリケードが築かれ、銃座や戦闘車両もあり防備も万全だ。

 

 少しでも攻撃すればタレットが火を噴くだろう。

 

 シェルターや彼の特異な状況もあるだろうが、この集落の代表者の手腕や人徳もあるのだろう。

 

 どうやら楽な仕事になりそうだと思った。

 

 

 

 

 この世紀末日本で「何時でも美味しい水が飲める」と言うのはとんでもないアドバンテージである。

 

 シェルター内部にも人が行き来しており、レベッカと言う赤髪のまだティーンエイジャーな女性の案内のもとこの集落の代表者にして自衛隊の接触対照である三枝 ユキノに出会った。

 

 元ニートらしいがこの世界の荒波に揉まれて逞しい青年になっていた。

 

 シェルターの管理官専用の応接室でソファーで向き合う。

 

 背後には長い水色髪のミニスカ美少女アンドロイド、アイがいた。

 

「それでやっぱり自分を連れ戻しに?」

 

 彼はおそるおそる尋ねた。

 

「いや。実はと言うと代案を用意してある」

 

「代案?」

 

 正直あのクソ女上司の言う事に従うのもなんだが、このまま本土にいる連中の指示に従うのも癪なので――彼を予備自衛官に任命して、このシェルター、集落、そして近くの町との人脈を活かして自分達の任務を手助けして欲しいと言う体裁を「現地の独断」で整えた。

 

 ぶっちゃけこの三枝 ユキノ少年の功績を考えれば予備自衛官ではなく、士官待遇でもいいのだが日本への動画配信の件で迷惑を被ったためだ。

  

 これでもギャーギャー喚き立てるようならまた別の手を考えて先延ばしにする。

 

 日本は良くも悪くも関係者以外は、例え日本国民がどんなに死んでも半年もすれば過去の事として処理される。

 

 悪い大人達が利用するあくどい手だ。

 

 まあそれは置いといて――

 

「最大の謎だが――君は記録によればフェン王国で死んでる筈なんだ――もうそれは知ってるよな?」

 

 そう。この三枝 ユキノと言う少年はフェン王国で死亡している。

 

 より正確に言えばフェン王国に侵略戦争を行ったパーパルディア皇国に見せしめとして処刑された二百人のウチの一人なのだ。

 

 にも関わらず生きている。

 

 と言う事はつまり――

 

「はい。最初は混乱しましたけど仮説は既に出来ています」

 

「また別の日本から来たのか――」

 

 日本が二つ転移して来ているのだ。

 

 こう言うケースも考えられなくはない。

 

「正直この世界は異常ですよ」

 

「だが、なっちまってるもんはしょうがないのさ」

 

「そうですね・・・・・・」

 

 言わんとしている事は分かるが俺は「ともかく」と言って話を進めた。

 

「俺達はこの周辺地域の調査を終えて帰還する。定期的に立ち寄って見回るから。まだフロンティアの過激派や日本の後継者の残党とかいるみたいだし気をつけてな」

 

「はい」

 

 フロンティアの過激派や日本の後継者の残党もかなり倒したがそれでも用心するに越したことはない。 

 

 それだけ言い残して俺は立ち去った。

 

 

*以下の掲示板スレは三枝 ユキノが元居た平和な日本の掲示板です。

 

*三枝 ユキノは別の平和な平行世界の地球(現代日本)から本編の世紀末の核シェルターに転移した経歴です。ややこしくてすいません。

 

 この世界に関して語るスレ第○○○

 

 

 名無しの探索者その10

 

 何かもうなろうの小説並に混沌としているような状況だな。

 

 

 名無しの探索者その12

 

 その10>

 

 それな。

 

 

 名無しの探索者その20

 

 てか状況が完全にスパロボZシリーズじゃねーか。

 

 

 名無しの探索者その25

 

 だけどアサイラム時空入ってるけどな。

 

 

 分析班A 

 

 自衛官の緋田 キンジさんの話やこれまでの情報を纏めると

 

 今ユキノ氏がいる日本は元々は違う地球から異世界転移した日本である。

 

 転移前の地球ではこの土地に東西の二大勢力、ユーラシア連合と太平洋連邦がちょくちょく介入していた。

 

 この土地はヒノモト、NUSA、醒や各フロンティア、シェルターを始めとした国家や各自治体が纏めているらしい。

 

 フロンティアと呼ばれる勢力や核戦争を生き延びた嘗ての日本政府達、日本の後継者が未だに暗躍している。

 

 アンデッドやオーガ、変異した化け物など、ほぼFalloutまんまな世界。

 

 治安も最悪。

 

 サメの化け物などアサイラム要素あり。

 

 この世界(正確には他の土地)には異種族や魔法が存在するらしい。

 

 この世界のユキノ氏はパーパルディア皇国と呼ばれる国に捕まり処刑されたらしい。

 

 この世界の先進国は第二次大戦時の国々並に血の気が多い。(真偽不明)

 

 既に核兵器が使用されているらしい。 

 

 

 名無しの探索者その34

 

 分析班Aさんお疲れ~

 

 

 自衛隊ニキ

 

 分析班さんお疲れで~す。

 

 こんな土地特殊部隊でも死ねるわ。

 

 

 名無しの探索者40

 

 自衛隊ニキならいけるでしょ?

 

 

 自衛隊ニキ

 

 >>40

 

 いや? 無理だからな!? 

 

 自衛隊そんなに強くないからな?

 

 

 海外リポーター

 

 それはそうと海外もまた大騒ぎになってる。

 

 あと海外のFalloutファン達は独自に動いて支援活動を呼びかけているみたい。

 

 

 日本のジャーナリスト

 

 ちなみにユキノ君の自宅周辺は日に日にカオスな状態になってる。

 

 てか剣と魔法のファンタジー世界ならともかくFallout式の世紀末世界に行きたいとか本気で考えてるのか?

 

 

 自衛官ニキ

 

 日本のジャーナリストさん>>

 

 ああ、その話だけど噂じゃ向こうの世界の軍事技術をどうにかして手に入れられないかってお偉いさんが頭捻っているらしい。

 

 同時に危惧している問題もあるらしい。

 

 よくも悪くも好き勝手に配信してるから万が一パワーローダーの装甲素材の作り方とかネットにUPされたらそれだけで世界中の軍事パワーバランスに影響与えることになりかねないからな。

 

 現に、放射能除去剤とか言う頭の悪いネーミングの薬の作り方が発表された時は凄いことになったじゃねえか。

 

 

 名無しの探索者その114

 

 ちなみに放射能除去剤事件のまとめはこちらね↓

 

 *騒動のリンク

 

 

 海外リポーター

 

 まあ良くも悪くもこの世界に凄い影響を与えてるわね。

 

 世界中で平和の祭典や核廃絶運動とか発生しているし。

 

 海外ドラマだか映画化の話も挙がっているみたい。

 

 

 ラノベ作家ニキ

 

 >>海外リポーター

 

 書籍化された小説家になろう作品でそう言うのあったな。

 

 まあ、あっちは剣と魔法の異世界でこっちは世紀末だけど。

 

 

 自衛隊ニキ

 

 俺としてはFalloutな世界観に他の日本から自衛隊が派遣されてるってだけでも驚きだわ。

 

 絶対大量に死人出てるだろ。

 

 

 名無しの探索者その305

 

 自衛隊ニキ>>

 

 いくら練度が高くても兵器の差がありすぎるとなぁ・・・・・・

 

 それにこの土地アサイラム時空っぽいし。

 

 

 名無しの探索者その355

 

 今後の続報も要チェックだな。 

 

 



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グラ・バルカス帝国・陸上部隊撃滅編 前編

 正史とは違い、グラ・バルカス帝国と世界各国の戦いは日本が積極的に戦線に参加せず、限定的な技術交流にとどめているせいで戦争は泥沼化しつつあった。

 

 これは日本が世紀末日本に介入しすぎたせいで自衛隊に多大な被害が出たせいであり、また自衛隊に入ると「世紀末日本送りにされる」と言う話が自衛隊内で出回って大量に辞職者が出たせいでもある。

 

 自衛隊は便利屋でも武装した災害救助隊でもない。

 

 立派な武装組織であり、命令があれば従わなければならない軍事組織である。

 

 そもそも自衛隊に入隊する人間の全てが全て国防や平和など高い志のために入隊しているわけではないし人間である。

    

 寝ている間に核爆弾撃ち込まれたり、巨大サメを筆頭とした化け物やオーバーテクノロジー満載の暴走メカと戦いたくはない。

 

 そこまでして世紀末日本に介入するのは福島などの放射能問題や第三国にこの世紀末日本の超テクノロジーが渡るのを阻止するためであるが代償は高くつき、自衛隊の戦力は総合的に見れば低下していた。

 

 

 

 

 Side 佐伯 麗子(さえき れいこ)*緋田 キンジ曰くクソ女上司

 

 

 まだ日本に、境界駐屯地にいた頃。

 

 緋田 キンジと宗像 キョウスケを地獄に送り込んだバチでもあったのか同じ地獄に放り込まれて私はどうにかこうにか、この修羅の土地で生き延びていた。

 

 本土に戻ったらレンジャーでも空挺でもSにでもなれそうな自信があるぐらいには修羅場を潜った。

 

 たぶん核爆弾やレールガン、各種光学兵器を撃ち込まれて生き延びた自衛官は後にも先にもこの土地の自衛官ぐらいだろう。

 

 先日の五十時間以上にもわたる、フロンティアや日本の後継者との耐久デスマッチ(強制参加)はもう二度とやりたくない。

 

 まだ特殊部隊の訓練でも受けた方がましだ。

 

 少なくとも訓練中に二足歩行で全力疾走するサメやワニが乱入してきたり、トーマ○が基地に突っ込んできたり、アンデッドやオーガなどの大群が突然襲撃してきたりすることはないだろう。

 

 駐屯地は隊員の武装は武器管理手順とか兵器装備の基準とか無視して出来うる限りの重装備をしている。

 

 

 現地住民にも――戦前の女死刑囚とか元米軍の名誉勲章持ち女性兵士に元少年自衛官、日本の少年とか色々といるが――と共同で任務をこなしたり(*独断です)上の方には一応報告はしてある。

 

 別に民間人を虐殺しているワケでもない。

 

 これでクビになって本土に戻れるなら戻りたいぐらいだ。

 

 上の連中もその考えを分かっているらしく、あまり口出ししてこなかったが最近は査察とかしてくるようになった。 

 

 幸い本土とこの土地とでは温度差が圧倒的に違うせいで勝手に自滅しているが――何時か頃合いを見計らって最悪特殊作戦群のクソどもを送り込んだりして密かに消す腹づもりかもしれない。   

 

 

 まあ勝手に自滅するんだろうが・・・・・・この土地は並の特殊部隊だとすぐに死ぬから。

 

 

 それはそうと本題だ。

 

 

 先日海底要塞玄武を沈めたり、アルタラスで訓練をして現地の自衛官の面子を叩き潰したせいなのか外交官どもを通して上の方から厄介な要求をしてきた。

 

 激戦区になってる旧レイフォル地区に部隊を派遣してグラ・バルカス帝国の陸上戦力を叩いて欲しいとのことだ。

 

「どうにかなりませんか?」

 

 と、応接室で膝丈のテーブルを挟んでソファーに居座る朝田外交官が言う。

 隣にはまるで病人のような顔色の篠原補佐官がいた。

 

 本来はこの駐屯地の司令官である五藤 春夫 一佐や同じ女性WACの水島 静香一尉などがいて欲しいが本土連中相手にあれこれ取引を持ちかけていたら何時の間にやら本土絡みの案件は私に一任されるようになった。

 

 本来こう言う案件には五籐司令もいなければいけないのだが現地の人々相手に幕僚本部から来た(左遷された?)白杉 稔と一緒に外交官のような事をしているので司令直属の戦闘部隊ともども留守が多く、近藤 信也 三佐や水島 静香 一尉などと一緒に駐屯地を任されている。

 

(朝田 泰司外交官か・・・・・・いずれはここに来るとは思ったが・・・・・・)

 

 朝田 泰司外交官は悪い意味で有名だ。

 

 日本の不始末の請負人、尻拭い担当とか色々と言われている。

 ここに来たと言う事は完全に出世コースから外れ、「死んでもいい人間になった」と見るべきなのだろう。

 

 そもそも防衛省は現在、外務省や法務省と致命的に中が悪くなっている。

 

 フェン王国から端を発したパーパルディア皇国関連の責任を自衛隊の現場サイドに擦り付けたり、パーパルディア皇国が暴走軍艦のせいで当時の独立しようとした多くの属領地と一緒に焼け野原になったのを自衛隊のせいにしたのもあるだろう。

 

 勝手に査察をして自滅したり、世界各国の外交圧力に屈して海底要塞玄武を破壊ミッションすることになったりとか――理由をあげればキリがない。

 

「失礼、少し考え事をしていました」

 

 そう言ってガラスのコップに入れた綺麗な水を口に含んで私は言葉を続けた。

 

「お言葉ですが我々も自衛官です。命令には従いますが色々と条件はあります」

 

「他国での武器使用制限解除ですか?」

 

「それが前提です。それにこの駐屯地を維持するための兵力も残しておかねばなりません――それと」

 

「なんですか?」

 

「どうして我々なのですか? いくら第二次大戦かそれ以上の軍事力の相手で(グラ・バルカス帝国)、アメリカ並の工業力は驚異ですし、核兵器も所持しているので驚異に感じるのは分かりますが――」

 

「自衛隊も人手不足なのですよ」

 

「・・・・・・成る程――」

 

 この世界大戦のご時世に自衛隊が人手不足になっているとは聞いていたがまさか我々を頼るレベルまでになっているとは思わなかった。

 

「私がこの土地に来たのは――まあ何となく想像出来ているかも知れませんがあまりにもこの土地に関わって死んだ人間が多すぎて候補者がいなくなって来ているのですよ。自衛隊の内部ですらもね」

 

 補佐官の篠原も「私もです」と相槌を打つ。どうでもいいが空気だなこの人。

 

「私もそう言う話は聞いたことがあります。最近では退職金も受け取らずに辞職届けだけ出して自衛隊を辞める人も出てしまっているとか・・・・・・」

 

「そうです。ワザと犯罪を犯してでもこの土地に来るのを拒む自衛官も出始めているのです。そのせいで政府はとても不安定になっているのです。最近では誓約書を用意して厳守しなければならないと法律で義務づけなければならない程になりました」

 

「色々と言いたい気持ちはありますが――気持ちは分からなくもありません」

 

 自分達だってそうなのだ。

 こんな地獄のような土地に行けと言われたら拒むのは当然だ。

 私も遺書を書いたぐらいだし。

 

「それに敵は目的遂行のためなら平然と核兵器を使うような輩が相手です。そのため政府も派遣に及び腰になっているのが問題です」

 

「それが本題か――」

 

 確かに敵は巨大サメを殺す目的で使用し、海底に潜んでいた要塞を目覚めさせただけに終わったが使ったのは事実だ。

 

 グラ・バルカス帝国にとって核爆弾とは「高性能で破壊力がある爆弾」程度の認識かもしれない。

 

 この世界の住民――覇権主義国家の人間なら核兵器に対して正しい知識があっても平然と使うだろう。 

 

「いくら今の自衛隊が実戦を積んでるとは言え、しょせんは負ける事が恥である相手に対してしかありません。この地獄のような土地で生き抜いてきた貴方達ぐらいしか適任者がいないのです」

 

「ただ単に核が恐くて他に立候補者がいないだけでしょう。まあ条件次第で検討します」

 

 とだけ言っておいた。

 ここで勝手に話を進めれば部下に本気で殺されかねないからだ。

 特にあの二人(緋田キンジ、宗像キョウスケ)ならやりかねない。

 

「最後に――私にはもう一つ役割がありまして――私は外交官としてこの土地の各国家やコミュニティを見て回る事にしました。出来ればその安全確保や腕の良いガイドを紹介して欲しいです」

 

「死ぬおつもりですか?」

 

 この土地の危険性は分かっているだろうに。

 仮に生き残れたとしても精神がいかれる可能性がある。

 とうの本人――朝田大使は「覚悟の上です」とあっけらかんと応えた。

 

 

 

 

 私は篠原補佐官と一緒に屋上で話をすることにした。

 

 まだ日も高く、銃声が多少聞こえる程度で平和な日だ。篠原補佐官はビビッているが。

 

 屋上は駐屯地を全体を一望できて隣の飛行場やヘリポートも見える。

 

 安全確保のために基地内に銃座やロボット兵器を徘徊させて、兵士もパワーローダーや戦車に乗り込んで巡回している。

 

 駐屯地周辺はフェンスではなく、二重のバリケードで守られていて、タレットがそこかしこに配備されている。

 

 更に外側には塹壕に地雷やドローン、戦闘ロボット達が徘徊し、囮の見張り台には銃座。本命の隠れた見張り台には腕利きのスナイパーがレールガンなどを持って待機している。

 

 周辺ではこの土地周辺に住み着いた行商人や現地住民、賞金稼ぎなどが勝手に建物を建築して住み着いている。いざと言う時は本土の自衛隊よりも優れた装備で襲い掛かる頼れる連中である。たぶん核兵器とか持ってるけど気にしてはいけない。

 

「篠原さん? 朝田大使はどうしてしまったのですか?」

 

「考えなくても分かるのでしょう。恐らく――この世界に疲れてしまったのです」

 

「・・・・・・霞ヶ関の魑魅魍魎どもの餌食になったか」

 

 容易に想像出来るシナリオだ。 

 

「それもありますが、パーパルディア皇国の一連の出来事がキッカケでしょうな」

 

「ああ、邦人200人が処刑されたあの事件か」

 

 パーパルディア皇国がフェン王国に侵攻した際に観光客の邦人200人がスパイとしてパーパルディア皇国に処刑された大事件。

 あの事件で一時期、日本の世論は一気に右傾化したほどだ。

 

「朝田さんはあの事件を未だに悔やんでるです。それを魔法式のテレビで見せつけられて、レミール皇女に貴方達こそが蛮族だと激高した程ですよ・・・・・・ですがパーパルディア皇国は何を考えたのかこの土地に攻め込んで勝手に自滅し、そして暴走軍艦事件で属領地もろとも沿岸部の村や町、首都など殆どが焼け野原になりました」

 

「その責任を外務省どもは我々の責任にしたのは今でも記憶に残ってますよ」

 

 自衛隊も命懸けで戦い、命を落とした自衛官も少なくないにも関わらずこの仕打ちである。

 

 この土地の自衛官が現地住民と一緒に暴走軍艦を止めたのは言っちゃ悪いが一部の現場の暴走や命令などの拡大解釈による懲戒免職上等の行為ではあるが、緋田や宗像だって命懸けで大任をこなしたのだ。

 

 にも関わらずこの仕打ちだ。誰だってブチぎれる。私だってキレそうになった。

 

 この事を問われた篠原補佐官は「それは・・・・・・」と言い淀んだが私は「まあいいでしょう。続きをどうぞ」と話を促した。

 

「レミール皇女を捕らえた際、皇女にこう言われたんですよ。「私達が蛮族なら貴様らも同じ蛮族ではないか」と・・・・・・首都は焼け野原になっていて、そこかしこに焼死体や人体のパーツが転がっていて、酷い有様でした」

 

「それで精神を病んだと?」

 

「ええ。それとグラ・バルカス帝国の世界への宣戦布告の際に、巡視艇の職員を救えなかったのも――」

 

「真面目だな。この土地では長生き出来ないタイプだ」

 

 グラ・バルカス帝国関連に限っては運が悪かったとしかいいようがない。

 

 そもそもにしてこの世界の国はどいつもこいつも血の気が多すぎる。

 

(もっともそれは私達が言えた義理ではないがな)

 

 と私は自分達のことを皮肉った。

 

「ともかくガイドについては実績がある腕利きの連中を紹介してやる。それと派遣部隊だがこの土地の傭兵も雇いたい」

 

「傭兵ですか?」

 

「なあに。武器弾薬に食料にジュース――資源ゴミの塊とかでもいいぞ? なんなら敵の戦車などを鹵獲する権利とか集めた物の運搬費用を自腹するとか言えば食いついてくるさ」

 

「報告には聞いてましたがそれで命を張れるんですか?」

 

「この土地の住民は日本人と違って逞しいのさ。そこらの子供でもヘタな自衛官より役に立つ」

 

 

 そうして世紀末日本から一部部隊の派遣が決定された。

 

 さらに朝田外交官と篠原補佐官の護衛部隊と一緒に各コミュニティや各国家と接触することになった。

 

 



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グラ・バルカス帝国・陸上部隊撃滅編  後編

実は12月1日、自分の誕生日でした。


 Side 佐伯 麗子

 

 私が今回の作戦概要を説明する。

 

 今回の作戦は旧レイフォル領で反抗を続けるグラ・バルカス帝国の陸上戦力を可能な限り排除し、連合国軍の進軍を支援する。

 

 同時にグラ・バルカス帝国内部に潜り込んで核兵器の有無や使用の阻止をする部隊とで別れる。

 

 敵の兵器は第二次大戦レベルだが物量はアメリカレベル。

 

 旧レイフォル領は海に面しているので敵の航空戦力だけでなく、水上戦力も相手をしなければならない可能性もある。

 

 いくらパワーローダーが頑丈でも攻撃を食らい続ければ言われなくても分かるな?

 

 そして重要な事だがレイフォル領は広大で作戦範囲もかなり広く、隅々まで敵は展開している。

 

 とにかくこの作戦では作戦遂行スピードが重要であり、後半は遊軍を放置して単独で任務を遂行していくするハメになるだろう。

 

 海上はイージス艦を中心とした艦隊が。

 

 航空支援はレイヴン隊を始めとした部隊が参加し、グラ・バルカス帝国本土からの核兵器の持ち込みを命懸けでシャットアウトしてくれる。

 

 レイフォル首都に精鋭部隊を送り込み、一気に首都を陥落させて核兵器の有無を調査。

 

 連合国軍の最前線地区には先に派遣されている自衛隊達と合流して一気に戦線を押し返すチームとで別れる。

 

 とにかくこの戦いが時間が勝負だ。

 

 いくらテクノロジーで勝っていても戦力を把握されたら各個撃破される恐れがある。

 

 私も旧レイフォル首都の上空で前線指揮を取る。

 

 ・・・・・・どうした? 私が前線に出るのは不満か?

 

 それよりも重要な情報が入った。

 

 それは――

 

 

 ムー国領内。

 

 グラ・バルカス帝国とムーの陸上戦では悪化の一途を辿っている。

 

 自衛隊も参戦してどうにか五分に持ち込んだが敵の物量に押されて決定打を欠ける状況だ。

 

 現在は敵の反抗が激しく、ムーの領内に再び押し込まれようとしていたv。

 

 敵も味方も国の存亡が掛かっているので必死だった。

 

 特にグラ・バルカス側はここで敗退すれば本土決戦になる。

 

 そこに世紀末と化した日本に滞在していた自衛隊が参戦する。

 

 現地で強化した戦車やパワーローダー、SF兵器を携えてである。

 

 

 ムー国 キールセキ西側 平野地帯。

 

 22キロにも渡る平野地帯。

 

 グラ・バルカス、ムーなどの兵器の残骸や様々な国の生物や兵士が死体となって散乱している地獄絵図だ。

 

 自衛隊も戦力不足もあって少なからず被害を受けており、決定打を打てない状態でいた。

 

 さらに――どっから紛れ込んだのか、パワーローダーを身に纏った傭兵どもがグラ・バルカス帝国に力を貸しているのである。

 

 日本の後継者やフロンティアの残党。

 

 さらには戦闘ロボットや戦車の姿もある。

 

 奴達の参戦により戦局はグラ・バルカス側に傾きつつあった。

 

 グラ・バルカス側も内心ではこのならず者達を快く思っていないが背に腹を変えられないので報酬は与えて協力しているだけの関係であった。

 

「まさかパワーローダーがここまでの戦力を発揮するとは――」

 

 とある自衛隊の隊長が残骸となった友軍の戦車の物陰に隠れて悔しげに呟く。

 

「他に味方は?」

 

 隊長は数名残ったうちの部下の一人に尋ねる。

 

「この周辺では誰も・・・・・・」

 

「そうか・・・・・・すまん、最後の我が儘に付き合ってくれ」

 

 隊長は目を瞑って部下に告げる。

 

「・・・・・・覚悟は決めています」

 

 部下達も周辺を見渡し、死んでいった味方達の亡骸を見て決意を固める。

 眼前にはSF兵器で武装したパワーローダーや戦闘ロボットが展開していた。

 周辺に増援はない。 

 挑めば死ぬことになるが、どの道そうなるのは時間の問題と言えた。

 

「そうか。それじゃあ一人でも多く道連れにするぞ!!」

 

「了解!!」

 

 その時だった。

 空中からジェットエンジン式の大型輸送機が通り過ぎ、様々な部隊が空挺降下していく。

 複数の種類の戦車や見たこともないパワーローダー。

 信じられない事に日本国のエンブレムを付けているパワーローダーもあった。

 

「隊長!? アレは!?」

 

「パワーローダーを所持している友軍!? まさかあの土地の――」

 

 敵も味方も混乱していた。

 そんな混乱を払いのけるように増援は次々と敵に攻撃していく。

 

『バカな!? パワーローダーだと!?』

 

『まさか俺達を追いかけてきたとでも!?』

 

『撃て撃て!!』

 

 敵部隊も混乱が広がりながらも応戦する。

 

『これ以上戦果が広がる前にぶっ潰す!!』

 

『ぎゃあぁ!?』

 

 パワーローダの一体が地響きを立てて、敵の踏み倒し、大きな金槌にジェットエンジンを付けたハンマーでパワーローダーを身に纏った敵兵士の顔面を粉砕する。

 

 丸っこいレトロフューチャー感溢れるデザインの緑色のパワーローダーだ。

 

 そのままブースターを噴かして次のパワーローダーに襲い掛かる。

 

『なんだこいつ!?』

 

『接近させるな!?』

    

 言っている間に一体にタックルし、背後にいたもう一体を巻き込み、地面に押し倒して二体纏めて叩き潰すようにハンマーを振り下ろす。

  

 パワーローダーは基本馬鹿力だがその中でもこのパワーローダーはとんでもない馬鹿力だ。 

 

 まさか敵もアメリカ製の終戦間際(核兵器の使用で終わる前に開発された)に開発された、最強を目指して生み出されたパワーローダー「ラストプライマス」だとは思いもしないだろう。

 

 このラストプライマスは日本との交流により少数ながら生産されている、パワーローダーの中でも最強に近い機種である。

 

 装甲も一際頑丈で推力もあり、その気になればバリアも展開できる上に極太レーザー兵器も発射できるパワーローダーサイズのスーパーロボットでもある。

 

 装着者は加藤 佳一。

 

 出稼ぎするために参戦した、ゲッ○ー線か何かに汚染されてるんじゃないかと言われているスーパー日本人である。

 

『あの機体早いぞ!!』

 

『ロックできない!!』

 

『とにかく後退して弾幕を張れ!! 近寄られたら終わりだぞ!?』

 

 そうして後退し、弾幕を張って近寄らせないようにするが――

 

『決めろ! 佳一!』

 

 勝ち気な少女の声が響き渡る同時に旧日本陸軍が製造したチハ戦車――ダークグリーンカラーに星のエンブレムがついている――が砲塔の機銃となっているレーザーマシンガンや主体全面の銃座から実体弾、主砲のビームを発射する。

 

 相手の攻撃を物ともせず、障害物だらけの平原を猛スピードで移動して回り、支援射撃をしてまわる。

 

『おっしゃ!!』

  

『しまっ!?』

 

 接近戦の距離まで近付かれたパワーローダーの一体が頭からハンマーでミンチになる。

 即死である。

 

『ちょっと佳一!! 前に出すぎ!!』

 

 上空からこれまた勝ち気な少女の声と一緒に白いパワーローダーが降りてくる。

 

 無骨的なシルエットが多い世紀末日本のパワーローダーとは違うヒロイックで流線的なフォルムのパワーローダーだった。

 背中のフライユニットで空中に浮かんでいる。

 左手にシールド、右手にビームマシンガンを装備し、バリア機能まで搭載していた。

 

 これは核戦争後いち早く立ち直り、世紀末と化した日本を牛耳っていた勢力の一つ、フロンティアのパワーローダーである。

 少女が使うパワーローダーはその中でも上位に位置するパワーローダーである。

 

 白いパワーローダーは空中を泳ぐように動きながらビームマシンガンで的確に敵を打ち抜いていく。

 

「す・・・・・・凄い・・・・・・」

 

 命拾いした自衛官はそれしかいえなかった。

 自分達があれだけ苦戦した敵のパワーローダーがいとも簡単に倒されていく。

 これが修羅と化した日本の力なのかと思った。

 

「隊長あれは!?」

 

 部下が反応して視線を追うと――

 

「赤いパワーローダー!? それに稲妻のエンブレムに日本国旗!? まさか彼は――」

 

 パワーローダー部隊と軍用装甲車と大型トラックが近付いてくる。

 問題は先頭にいる赤いパワーローダーだ。  

 

『こちら、自衛隊特殊統合派遣部隊所属の木之元 セイです』

 

 聞き覚えがありすぎる。

 日本でも語り草となっている、パワーローダーを深く知る物の間では必ず聞く名前だ。

 

 世界の終わりを見た少年。

 

 あの荒廃した日本国でもなお健在なパワーローダーのエース。

 

 自衛隊との模擬戦では自衛隊は歯が立たず訓練にならなかったと言われている。

 

『敵の戦車部隊は一先ず全滅、砲兵部隊もあらかた潰しました。現在は救助作業に回っています』

 

「そ、そうか――状況はどうなっているんだ?」

 

 さらっととんでもない事を言ったがともかく状況を確認したかった。

 

『我々は救助作業を追え次第、この土地から進軍して道中の敵を出来うる限り撃破します。別働隊は敵の本陣――旧レイフォル首都、レイフォリアに突入している筈です』

 

「なんだと!?」

 

 

 

 

 Side 緋田 キンジ

 

 

 世紀末日本に関わって勝手に自滅したグラ・バルカス帝国。

 

 特に海上戦力はほぼ全滅と言っていい。

 

 サメの餌になった。

 

 

 ただ問題な事がある。

 

 

 こいつらサメを皆殺しにするために核兵器を使用したことである。(結局失敗してサメがパワーアップし、海底要塞玄武が出現する事になったのだが・・・・・・)

 

 

 それで上の方は対グラ・バルカス帝国に対して自衛隊の派遣が及び腰になっているのだそうだ。

 

 

 特にグラ・バルカス帝国は末期戦状態だ。

 この状況を打破するためなら何発でも使うだろう。

 

 

 だが政治家は平和的に解決しようと躍起になっているらしい。

 核兵器を持っているなら例え頭のイカれた軍事国家が相手でも対等に扱うつもりのようだ。

 

 日本国民は――と言うか左翼団体はこのままグラ・バルカス帝国と戦争が続けば広島、長崎の悲劇が再びだと叫び、国会議事堂前でデモをやっているらしい。 

 本当にお花畑な思考回路だ。いくら平和を叫んでも撃たれたミサイルは撃ち落とせないのに。

 

 内閣は内閣でダブルスタンダートな外交方針で国内外から批判を買っているらしい。 まあそもそも日本の政治家なんて言う連中は自己保身さえ出来れば満足、国民と言うのは投票数が多い老人の事を指す連中だと本気で考えてそうな連中の集まりだ。亀の甲より年の功って奴を見せて欲しいものだ。

 

 それはともかく俺達は現在旧レイフォル首都、レイフォリアに突入。

 

 アメリカレベルの国力を持つグラ・バルカス帝国の力で再建は進んでおり、元首都に恥じない町並みが並んでいる。

 

 上空の戦闘機隊、レイヴン隊や戦闘ヘリ部隊、ヴァイパー隊などの支援がよく、作戦は順調に進んでいる。

 

 味方は俺や宗像 キョウスケ、自衛隊の特殊部隊であるアポカリプスウォーカーズや第0特殊機甲部隊やヘルダイバーズと言う初耳の――独自のパワードスーツを身に纏う特殊部隊まで投入されていた。

 

 どうやら日本政府は世紀末日本の技術を軍事転用を順調に進めているようだ。

 

『しかしなんで敵にパワーローダーがあるんだ!?』

 

『さあな! 大方嫌われ者同士、手を組んだんだろうぜ!!』

 

 俺はキョウスケの問いにそう答えながら上空を飛び回る空中管制機、ウェーザーリポートから女クソ上司の戦況報告に耳を傾ける。

 作戦は順調のようだが、パワーローダーが出てくると熟練の兵士でも突破は難しいようだ。

 

 特にアポカリプスウォーカーズは戦闘部隊と言うよりも偵察・探査部隊に近い。

 いくら世紀末日本の強力な武装で身を固めているとはいえ、同レベルの敵が相手になると苦戦を強いられるようだ。

 

『させない!!』

 

 自衛隊特有のオリーブドラブカラーのパワーローダーが猛攻で物陰に隠れて退避している中、青いパワーローダーが先陣を切る。

 二丁拳銃スタイルで次々と敵のパワーローダーを沈黙させていく。

 

『リオ、前に出すぎ!!』

 

 その背後で黄色い装甲車両がキャノン砲を発射しながら追いかける。

 

『キンジ、どうするよ?』

 

『この状況で引っ込むワケにもいかないだろ。しゃあない。覚悟決めて突撃するぞ』

 

『了解・・・・・・』

 

 現地で知り合ったお嬢様二人の暴れっぷりに俺とキョウスケは腹を括って無理にでも前進することを決めた。

 

 

 

 

 どうにかこうにか敵の総司令本部に辿り着いた。

 

 相手も戦車やパワーローダーを出してきて激戦っちゃ、激戦だったが味方が強すぎたので一方的な虐殺になった。

 

 核爆弾は無かったが、万が一の場合は投下するつもりだったようだ。

 

 その投下もウチの航空部隊が阻止してくれた。

 

 これでめでたし、めでたし―― 

 

『で終わってくれたらよかったんだけどなぁ!?』

 

『どうしてここに来てまでサメが!?』

 

 世紀末日本から遠く離れたこの土地でなんと船食いサメとドンパチするハメになった。

 

 イージス艦の全火力はおろか、元居た世界の軍艦のレールガンやビームの直撃を食らっても死なない、軍艦を食らう最強の巨大生物。

 

 世紀末日本の象徴。

 

 それが船食いサメ。

 

 倒すには対消滅だとか反物質砲とかそう言う兵器が必要になる。

 

 てかなんでこのタイミングでサメ?

 

 クソ映画かよと俺は毒付きながらサメと戦う事になった。

 

 具体的な作戦は口の中を徹底的に狙う。

 

 もしくは体内に突入して臓器を内部からズタズタにする。

 

 それぐらいしか思いつかなかった。

 

 そこへイージス艦が到達。

 海底要塞玄武攻略作戦で投入された艦だ。

 随時武装が更新されていて――おもに船食いサメを殺害するための軍艦だ。

 武装もレーザーやレールガン、特性のプラズマミサイルなどのSF兵器を搭載している。

 

 護衛のイージス艦那珂なども全力で支援する。

 

 船食いサメも黙ってやられてばかりではなく、口から光線を吐いて周囲を焼き払う。

 

 そうして互いに被害が出ながらもどうにか船食いサメの討伐に成功した。

 

 ぶっちゃけグラ・バルカス帝国+パワーローダー部隊よりも船食いサメの方が強かった。

 

 さすが元の世界でもこの世界でも世界各国を恐怖のどん底に陥れたサメ。おそるべき強さだった。

 

 だけどまだまだいるんだよな・・・・・・サメの恐怖から解放される日は遠い。

 

 

 この後、グラ・バルカス本土が船食いサメの襲撃にあったりもしたが作戦は一応成功である。

 




 日本国召喚のクロスオーバー作品なのでクロスオーバー要素無視する作風はどうなのかと思う今日この頃です。

 ネタはあるけど「これ? 日本国召喚関係ないよね?」みたいな感じになったりするのが悩みどころ。

 ナチスとか宇宙人とか出したいけどどう、日本国召喚の持ち味を出すべきか・・・・・・難しいところです。 


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サメの試練編

*グラ・バルカス帝国・陸上部隊撃滅編の後のお話です。

 

 唐突だが旧レイフォリアでの少しの休憩の後、グラ・バルカス帝国との本土決戦をすることになった。

 

 核の恐怖で頭がおかしくなってきているのか、日本は例え戦力不足でも独断でもやるつもりらしい。 

 

 もっとも連合国側サイドも戦力が整う前に核爆弾(分かり易く、古の魔法帝国のコア魔法を科学的に再現した物)を使用されたらしまいなのは理解しているのか無理は承知で戦力を派遣してくれた。

 

 問題はどこに核爆弾が貯蔵されているかと言うことだ。

 

 だがその問題はすぐに解決した。

 

 それも意外な方法で。

 

『あのサメ、まさかプルトニウムに引き寄せられているのか?』

 

『朗報だがまずいぞ!? これが本当なら日本本土にも上陸してくる!!』

 

 遠くで観察していた航空自衛隊のパイロット達は急ぎ本土に連絡する。

 

 旧レイフォリア領での決戦で現れた船食いサメは偶然現れたワケではなく、どうやらグラ・バルカス帝国のプルトニウムに引き寄せられて上陸したらしい。

 同時にこれを確認した日本も危機感を感じた。

 万が一、日本本土の原子力発電所にでもつっこまっれたら大惨事だ。 

 

 それはそうとグラ・バルカス帝国。

 

 帝国本土の戦闘機や戦車隊が猛烈な攻撃を与えるが巨大な二足歩行(?)のサメには効果は無い。

 

 通常のサメと恐竜が合体したような――サメレックスと言うべき全長50mサイズの生命体はまっすぐ原子爆弾が貯蔵されている場所に向かっていると思われる。

 

 ハゲタカしようとした連合国サイドも犠牲になったりもしたがこうしてなし崩し的にグラ・バルカス帝国はサメの手で滅ぼされ、サメレックスの矛先は未だに散発的に抵抗を続けるグラ・バルカス帝国軍に向けられた。

 

 たぶんサメにでも呪われてるんだろう。

 

 だが救いの女神はグラ・バルカス帝国を見放してはいなかった。

 

『こちら、自衛隊特殊統合派遣部隊――木之元 セイ。これよりグラ・バルカス帝国の救助作業に入る』

 

『と言うわけだからごめんね!? 本当にごめん!?』 

 

 木之元 セイや加藤 佳一などの世紀末日本の住民。

 

『いちおう原子爆弾の確保って言うことでいいんだよなこれ? なんで俺達あの化け物と戦う事になってるの?』

 

『場の流れって奴だ。諦めろ』

 

 空挺降下を終えたキョウスケの疑問にキンジは諦めたような言う。

 他にも様々な戦力が空中から降下していく。

 

『グラ・バルカス帝国全軍に次ぐ! もはやこれは戦争ではない! お互いもう血は十分に流しきった! 政治的駆け引きなどどうでもいい! 停戦でも休戦でも何でも飲む! とにかくあのサメの化け物のせいでこの土地を死の土地にしたくなければ我々に手を貸せ!』

 

 上空の空中管制機「ウェーザーリポート」で全周波数を使い、佐伯 麗子が停戦を呼びかけた。

 

 とにかくグラ・バルカス帝国を止めるために必死だった。

 

『予想外の事態だが――この土地にはもう用は無い』

 

『後は邪魔者を消すだけだ!』

 

 そして謎のパワーローダーがやってくる。

 正体はパワーローダーの機種ですぐに分かった。

 

『見つけた!! 戦いの元凶!!』

 

『日本の後継者とフロンティアの残党!? 状況が分かってるのかよ!?』

 

 サメレックスの火炎弾を回避しつつ、同時に側面からやって来たフロンティアと日本の後継者のパワーローダー部隊だった。

 この状況を利用して自分達を消す腹づもりらしい。

 

『貴様達の政府もお前達の死が望みなようだ!! 世界は変われどつくづく政治官僚は度し難いな!!』

 

『やっぱりそう言う事かよ!』

 

 敵から言われた一言で緋田 キンジは愚痴を漏らしつつプラズマライフルを向ける。

 

 

 

 

 グラ・バルカス帝国 原子爆弾貯蔵施設 防衛戦

 

 実況版

 

 名無しの探索者その105

 

 いやほんとユキノ君なにやってるの!?

 

 なにスパロボみたいなことやってるの!?

 

 

 自衛隊ニキ

 

 あの子も何だかんだで人外だから・・・・・・

 

 

 日本のジャーナリスト

 

 

 て言うかヤバイヤバイ!!

 

 動画の再生数がおかしい!? 

 

 動画が重い!?

 

 このままじゃ動画サイトのサーバーがダウンするぞ!?

 

 

 アイ

 

 どうもアンドロイドのアイです。

 

 

 名無しの探索者その150

 

 アイちゃん来た―!?

  

 

 名無しの探索者その200

 

 なんかもう色々と大丈夫これ!?

 

 もうどっからつっこんでいいのか分かんない!!

 

 

 アイ

 

 言いたい事は分かっています。

 

 今の自衛隊はテロリスト同然の状態です。

 

 そして私達も。

 

 例えどんな大義名文を掲げてもテロリストです。

 

 

 名無しの探索者その300

 

 それは・・・・・・

 

 

 名無しの探索者その350

 

 まあ真実だけれども

 

 

 アイ

 

 

 だけどあんな地獄のような光景を生み出す権利は人類に等しく誰にもありません。

 

 確かにあの荒れ果てた大地で私は、沢山の得がたい物を手に入れました。

 

 だけどあの大地は本来存在してはいけないものなのです。

 

 だから今はグラ・バルカス帝国がどうとか。

 

 命令違反がどうとかではなく、人として止めたいと願っています。

 

 私は人ではなく、アンドロイドですが――その願いはユキノさんと一緒です。

 

 

 自衛隊ニキ

 

 そう言われたらもう何も言い返せないわ。

 

 自衛官としては失格だけどな・・・・・・

 

 

 アイ

 

 今この世界だけではなく、もう一つの世界の日本の人達にも、この世界の人達にもあらゆる手段で語りかけています。

 

 このままでは人類は、例え古の魔法帝国を倒したとしてもまた同じ過ちを繰り返すでしょう。

 

 私はそれがイヤです。

 

 無駄な行為かもしれない。

 

 それでも信じて始めなければ何もはじまらないのだから。

 

 ユキノさんに少なくともそう私は教わりました。

 

 

 日本のジャーナリスト

 

 

 本当にもう何も言えないな。

 

 

 名無しのニート

 

 

 ああ・・・・・・

 

 

☆  

 

   

 Side アイ

 

 私は歌います。

 

 ユキノさんに見せて貰ったアニメみたいに、ここ一番の戦いの舞台で私は大音量で歌を戦場に響かせます。

 

 これはただの人の争いではない。

 

 だからと言って世界を救う戦いでもない。

 

 ただ人の間違いを正すための戦い。

 

 私は戦うことはできても皆さんには劣ります。

 

 だから歌を響かせる事しか思いつきませんでした。

 

『歌だと!? ふざけているのか!?』

 

『歌で何が出来ると言うのだ!?』

 

 日本の後継者とフロンティアの人達の罵声が届く。

 

 その通り。

 

 現実は過酷だ。

 

 私がみた物語のように歌で解決なんて――ましてやアンドロイドの歌でなんて解決なんてできないのは分かっています。

 

 でも届けたい。

 

 この想いを――大切な人達に――

 

『ほらユキノ! あんたの女が命張って歌を響かせてるんだ! しっかりしないでどうする!?』

 

『ここで頑張らないと男じゃないよ!!』

 

『そう・・・・・・だよな!!』

  

 それは確かな変化でした。

 

『なんだこいつら・・・・・・急に攻撃が――』

 

『動画サイト? 掲示板? なんだこれは!? 何が起きている!?』

 

 敵は戸惑い、

 

『ヘルダイバーズ。正式な命令が降りてここにきた。今日本本土は大騒ぎさ』

 

『第0特殊機甲部隊。上の方もケツに火がついらしくてここに送り込まれた。手を貸そう』

 

 新たな味方がやってきて、

 

『おっしゃ!! ありったけの弾薬を撃ち込め!!』

 

『なんか負ける気がしねえ!!』

 

 自衛隊の皆さんも元気になって、

 

『アイちゃんの歌、綺麗だね』

 

『そうね・・・・・・今度はゆっくり聞きたいな』

 

 あの土地で出会った大切な友達から褒められて、

 

『なあ俺達、これで辞職だな? 自衛隊に軍法会議がないのが救いだな』

 

『まあ敵国の核貯蔵施設を占拠して、怪獣とテロリストから守って自衛隊辞められるんなら・・・・・・まあ、悪くないか。好き放題やったしな』

 

 何時ものお二人、キョウスケさんとキンジさんもそんな事を言って戦います。

 だけどあの土地で生きてきた自衛隊の皆さんならどうにでも生きて行けそうな。

 私はそんな気がします。

 

 そして――

 

『こちら――グラ・バルカス軍。聞こえるか。そちらの意図はまだ把握できてないが――そちらを支援する』

 

『それに、そいつら(フロンティア、日本の後継者)気にくわなかったからな――』

 

 奇跡は起きました。

 

『連合国軍も被害が甚大だが部隊を再編成して加勢に来た!』  

 

『我々も戦おう! その歌声とともに!』

 

 その報告に皆沸き立ちます。

 

 グラ・バルカス帝国の戦車や戦闘機、兵士。

 

 連合国軍の微力ながら少ない航空戦力が辿り着きます。

 

『航空自衛隊も参加する。海上自衛隊も電子戦闘機を通して遠距離火力支援を行うそうだ――』

 

 そして空からも、遠い海からも援軍が。

 

 やがて戦いはサメを押さえるチームとフロンティアや日本の後継者とで別れて戦うようになりました。

 

『貴様ら俺達に銃を向けるか!?』

 

 日本の後継者はグラ・バルカス帝国に銃を向けます。

 

『前々からお前達は胡散臭いと思ってたんだよ!』

 

 負けじとグラ・バルカス帝国の人々も反撃します。

 

 戦いは激化していきますが、戦いの流れは圧倒的に私達の方へ傾いています。

 

 そして――

 

『サメの大型特殊個体撃破確認!!』

 

『あいつらやりやがった!!』

 

 そして巨大サメの撃破確認。

 周囲やネットの世界。

 敵も味方も世界も分け隔てなく大歓声があがります。

 それを見て日本の後継者とフロンティアの残党も退いていきます。

 

 ただ自衛隊の人々は苦笑いして― ー

 

 ――これからどうするか?

 

 とか。

 

 ――ま、なるようになるんじゃないのか?

 

 とか。

 

 色々と言い合いながら今後の事を考えているようでした。

 

 数時間後。

 

 またも奇跡が起きて、グラ・バルカス帝国は停戦に応じ、そして休戦協定からの和平条約を結ぶ準備があるとのことでした。

 

 皇帝の命なので絶対だそうです。

 

 日本もこれに飛びつきました。

 

 後は政治と外交のお時間です。

 

 なんであれ、戦いは――グラ・バルカス帝国との戦争は終わりました。

 

 

 

 

 Side 緋田 キンジ

 

 グラ・バルカス帝国との戦いが終わり、俺達はあの世紀末な日本へとトンボ帰りした。

 

 一つ変わった事があるとすれば重武装しての海外派遣が増えたぐらいだ。

 

 なんでもこの世紀末な日本の化け物が世界各国に出現を始めたそうだ。

 

 特に日本なんかはそれを警戒して軍事力を密かに強化しているのだとか。

 

 

 そして現在――俺達はどう見ても現地住民には見えない、小さなリトルグレイタイプの宇宙服を着た地球外生命体らしき何かかから大型輸送機サイズの円盤形の宇宙船らしき何かな乗り物の修理を手伝っていた。

 

 自分達をアール星人と名乗り、すっかり現地住民達と打ち解けている。

 

 とりあえず上の方に画像と動画セットで詳細に情報を送りつけたがどうなるんでしょうねこれ。

 

 いにしえのまほうていこくのまえにうちゅうじんきちゃったよ。(棒)      

  



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戦士の儀式編

新年明けましておめでとうございます。
新年早々自分は何を投稿してるんだろう。


 Side 緋田 キンジ

 

 グラ・バルカス帝国での闘いの後、本格的に日本の後継者とフロンティアの残党との決戦に意識を向け始めていた。

 

 特に俺達世紀末組の自衛隊は日々の訓練(襲撃)を過ごしつつ、戦力を増強しながら奴達の拠点を探っている状態だ。

 

 なにしろ後の調査で判明したがグラ・バルカス帝国に核兵器の作り方を教えたのは日本の後継者とフロンティアだからだ。

 

 奴達を野放しにすれば最悪、古の魔法帝国が来る前に世界は奴達の手で滅んでしまうだろう。

 

 

 それはそうと世紀末と化した日本でも自衛隊はいちおう害獣駆除の仕事を行っている。

 

 もっとも日本の本土と違い戦う相手はイノシシや熊ではなく、化け物やら暴走した軍事兵器とかだが。 

 

 世紀末日本のモンスター達が日本の友好国で色々とやりやがるせいで、海外の派遣も増え、「自衛隊に入るぐらいなら刑務所に入った方がマシ」と言う言葉が囁かれるようになる。

 

 自衛隊員の中には「早く古の魔法帝国を復活しないかな・・・・・・」とアール星人の宇宙船を修理しながらぼやく隊員もいる。

 

 そんな俺達にとある集落の族長がやって来た。

 

 いわゆる害獣駆除要請である。

 

 いわく、とある湖で大量に出現するサメの化け物を倒すことで戦士の証を立てる儀式を執り行っており、それに協力してほしいとのことだった。

 

 まあサメの襲撃には俺達、自衛隊も頭を悩ませており、利害が一致するので上は協力に応じた。

 

 装備も戦闘ヘリや戦車、パワーローダーなどのハイテク装備を惜しげも無く導入している。

 

 なんでも(世紀末日本の自衛隊の)上の方では日本のゴミなどを掻き集めて、その資源を元手にハイテク兵器やパワーローダー、戦車などの量産体制を整えているそうだ。

 

 中には福島から放射性物質を採取してパワーローダーの動力炉にしているとか言う話も聞く。

 

 やってる事は核テロリスト染みているが深く考えないでおこう。

 

 

 

 

 儀式が行われる湖。

 

 そこで近隣の集落から戦士の証を立てようと集まってきた若者達が集まってきていた。

 

 総数は三十名ぐらいだが、世紀末日本の人口を考えると多い方だろう。

 

 古参組も一緒だ。

 

 自衛隊はそれの補助のために集まってきている。

 

 若者達は思い思いの武器――パワーローダーを身に纏い、チェーンソーやジェットブースターがついたハンマー、ガトリングガン、プラズマライフル、ロケット砲などとやる気満々である。

 

『これより戦士の儀式を執り行う!! 皆の物!! その証を力尽くで立てて見せよ!!』

 

 

『『『『『ウォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ』』』』』

 

 そして儀式は開始された。

 

 湖に爆弾が投げ込まれ、その衝撃が湖全体に伝わったのか次々と二足歩行して両手があるサメ達が湖から這い出て近くにいた若者達に襲い掛かっていく。

 

 とうぜん自衛隊や古参の人達の方にもサメは寄ってくる。

 

 サメとの戦闘は慣れたもので、自衛隊の隊員の中には大剣で真っ二つ、身の桁以上のサイズのハンマーで粉砕、チェーンソーで三匹纏めて葬る猛者もいる。

 

 念のために仕掛けた地雷やセントリーガンも上手く起動している。

 

 しかし数が多い。

 

 まるでゾンビ映画のようにサメが押し寄せてくる。

 

 戦士になるのはとても過酷のようだ。

 

 自衛隊の訓練過程と今やっている試練とどっちが良いのかとか比較する辺り、俺もこの土地に大分馴染んでしまっているのだろう。

 

 概ね戦士の儀式は順調だ。

 

『なんだアレは!?』

 

『また新種のサメか!?』

 

 そんな矢先に巨大なイカだかタコの足が湖から飛び出た。

 

 次にカニだかザリガニだかのハサミ。

 

 続いてサメの頭部。

 

 また巨大な新手のサメが現れたことに自衛隊の隊員達は内心で「ああ、またか」と諦めの境地が蔓延している。

 

 サイズは30mぐらいかな?

 

『奴はこの湖の主!! 生きておったか!?』

 

 などと族長が言います。

 どうやらあのサメのキメラの事を知っている上に戦って倒した事があるようだ。

 流石こんな殺伐とした儀式を長いこと行ってきた戦闘民族。

 自衛隊とは色んな部分で格が違う。

 

 この辺の集落の戦士や若者達は並大抵の特殊部隊なら即戦力として採用されそうだ。

 

 それはそうとあのサメの頭を持ち、両手に甲殻類のハサミがついて、タコの脚を生やしているキメラシャークをどうにかしないと。

 

 既に攻撃は開始され、自衛隊の火力をしこたま叩き込み。、雄叫びをあげてパワーローダーを身に纏った集落の人間達が接近戦を挑んだりしている。

 

『我々は戦士である!! 死を恐れるな!!』

 

『例えサメと言えども恐れず牙を突き立てよ!!』

 

 そう言って古参組が率先して手本を見せ、若者達が後に続く。

 

 やはり戦闘民族だこの人達。

 

 生身でも勝てる気がしない。

 

 しかしキメラシャークも負けてはおらず、幾つもあるタコ足や両手のハサミを振り回し、時には噛みつこうとする。

 

 集落の戦士達は相手の攻撃を見切り、果敢に攻め立てる。

 

 ところでこの小説の原作なんだっけ?

 

 まあそれはともかく、中々良い闘いをしている。防衛省に送りつけておこう。

 

 

 キメラシャークは死んだ。

 

 各集落の若者達や古参組の人外達にモンハ○よろしく討伐されたのだ。

 

 キメラシャークは弱くない。

 

 集落の人達が人外すぎたのだ。

 

 そして宴会と言う名の戦士の儀式第二幕――つまりはパワーローダー同士でのケンカ祭りが行われた。

 

 自衛隊も場の雰囲気に流されてほぼ強制参加である。

  

 俺も他の自衛隊の隊員もこの土地に来たばかりの頃ならともかく、何度もパワーローダー戦での実戦や修羅場を潜り抜けただけあって中々盛り上がった。

 

 勝率はやや自衛隊が優勢な感じだ。

 

 最後は自衛隊側の差し入れやサメ料理などであまりハメを外しすぎない範囲でのどんちゃん騒ぎだ。

 

 こうして戦士の儀式は大成功のウチに終わった――

 

 

 儀式を終えて帰った後、アール星人の交友関係にある種族の宇宙人がやって来た。

 

 SOS信号をキャッチしたらしい。

 

 なんでも彼達は戦士の証を立てるために強い戦士と戦うべく、ハイテク兵器を身に包んで星から星へと旅しているらしい戦闘種族で容姿はなんかトカゲっぽい。

 

 バリアを標準装備しており、光学迷彩出来るスーツを標準装備しており、接近戦を好むらしい。

 

 まんまあの種族だ。

 

 いやどちらかと言うとHA○Oの方かもしれないが。

 

 なんか自衛隊の訓練や装備に興味があるらしく、アール星人と一緒に近々日本本土にも向かうとも言っていた。

 

 それはともかくアレだ。

 

 

 うちゅうじんがふえた。

 

 

 それと日本行きは確定らしい。

 

 どうなる日本。

 




 次回はもしかするとラスト・レッドショルダーネタかな?
 
 もしくは化け物植物編か・・・・・・

 ところでこの小説の原作ってなんでしたっけ?


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世紀末日本駐屯地の近況

もうどうにでもなーれ♪


 旧関東地区某所にある世紀末日本の駐屯地。

 

 前の世界で大地震やら津波やらが起きたのかインフラはほぼ壊滅状態なところがいたるところにある。

 

 それはともかく一番の問題はここまで見てくれた読者にはもうお分かりだろうと思うが致命的に治安が悪い。

 

 一応国家らしき勢力もあるがその土地でも「治安は比較的いい」ぐらいで、田舎町に突然パワーローダーや武装車両で完全装備した野盗が襲撃したり暴走したロボットやら化け物やらが襲撃してきたりもする。

 

 以前よりも比較的に治安は良いが相変わらず二足歩行のサメやらワニやらオーガとか言うスーパーミュータントの親戚やアンデッドと呼ばれるフェラル・グールの同種みたいな生物が情け容赦無しに生きている人々に襲い掛かる。

 

 この世紀末日本駐屯地――いちおう正式には第二日本駐屯地と言う名前があるのだが世紀末日本駐屯地、あるいは世紀末駐屯地の方が定着している。

 

 この世紀末日本駐屯地、もとい世紀末駐屯地は人材の墓場とか、人間の処分場とか三日以内に死ぬとか、一週間以上滞在したら二度と戻れなくなるとか、一ヶ月過ごせたら特殊部隊の訓練が天国に思えるとか、ここで過ごすぐらいなら刑務所で過ごした方がマシだとか散々な評価を頂いている。

 

 現にこの駐屯地に配属されそうになったら犯罪を犯してでも逃れようとする自衛官は多いのだとか。

 

 その気持ちは分からなくもない。

 

 今日もスターシップ・トルーパーズの対アリのエイリアンとの防衛戦よろしく、二足歩行のサメの全力疾走からの跳躍、防壁を飛び越えて内部に侵入。

 

 駐屯地周辺に住まうようになった民間人にもサメは襲い掛かり、自衛隊もそれを守らんと必死に抵抗する。

 

 まあその民間人も武装ロボット連れていたり、戦車乗っていたり、パワーローダー身に纏っていたり、核武装していたりと「一般人」の定義とは何なのか分からなくなる。

 

 現にその民間人の手で幾多のサメが撃破されていたりする。民間人恐い。

 

『こちら第一エリア!! サメがサメを踏み台にして防壁を踏み越えてくる!!』

 

『まるでアサイラムが考えたワールドウォーZだ!! 航空支援は!?』

 

 そう言いつつ自衛隊はパワーローダーを身に纏い、ビームガトリング砲でサメを塵に変えていく。

 

 ある者は先日のサメと戦う儀式で何かを得たのか身の桁以上の対装甲車両用の大剣で斬り飛ばしたり、シールドと一体化したパイルバンカーでサメの頭部を抉ったりと、本当に自衛隊の隊員なのかどうか分からない戦い方をしている者もいる。

 

 

『此方ヴァイパー隊。フライングシャークと戦闘中』

 

 戦闘ヘリ部隊――対戦車ヘリコプターコブラを現地で魔改造してレーザーガトリングにプラズマロケットやミサイルを搭載した魔改造ヘリだ。

 

 以前のグラ・バルカス帝国の本土での戦いで巨大サメ相手に奮闘した実績を持つ。

 

 そんな魔改造コブラは現在ワイバーンとサメとが悪魔合体したフライングシャークの群れと戦闘中。

 

 フライングシャークは放射熱戦を吐き出し、日本本土の戦車程度なら軽くスクラップにしてしまう強敵である。

 

 また当然の如くタフで噛みついてくる恐ろしい生物だ。

 

 サメ業界も質より量の方針に転換したのかもしれない。

 

「おのれ存在Xうぅぅぅぅぅぅぅぅうううううううう!!」 

 

 金髪の幼女が怒りを吐き出し、涙を流しながら何か言ってるが特に問題はないだろう。

 

『くそ!! なんだこのサメの異常発生は!?』

 

『まさかまだ何処かに我々の知らない巣があるのか!?』

 

 などと自衛隊は駐屯地内で必死に応戦する。

 なんかガンタンクⅡぽいロボットやら、ガンキャノンぽいロボットやらが大量に配備されているのは世紀末日本脅威の科学力である。

 他にも戦車を筆頭とした戦闘車両も対空攻撃に参加。

 

 役職的には後方勤務の人間もパワーローダーを身に纏ってミニガンを使って前線に出ている。

 

 さらに駐屯地のいたるところに配備された主砲のレールガンやビームキャノン、迎撃のためのレーザーガトリングタレットなどが火を噴く。

 

 なんかアール星人やらHALOのサンヘイリにプレデター要素を足したベルセルク星人に最近なんか増えた新顔のグランドオーダーと言うスターウォーズの帝国軍みたいな人達も加勢している。

 

 敵も味方もカオスだ。

 

『群れのリーダーを確認!! 大きいぞ!!』

 

『確実に仕留めろ!!』

 

 そしてこのサメ達のリーダーと思われる巨大なフライングシャークを確認。

 普通のフライングシャークも人よりもデカイがこの巨大な個体は二十m近くある。

 世紀末版リアルモンスターハンターが開催される。

 

『止まるんじゃねえぞ・・・・・・』

 

『団長ぉおおおおおおおおお!?』

 

 フライングシャークのリーダーの一撃で死者は出てない物の被害は拡大する。

 最近なんか売り出し中らしい鉄華団と呼ばれる少年893達もいるのはきっと気のせいだろう。

 

 なんかもうボルト101のアイツとかモハビの運び屋とか将軍とかいても別に違和感は無くなってきたがこの小説の原作はマジでなんなのか分からなくなってくるだろう。

 

 

 

 

 フライングシャークや二足歩行のサメとの戦いは終わった。

 

 群れのリーダーであるフライングシャークのリーダーは地上に叩き落とされた後、さんざん暴れていたところを一人の自衛官が赤い特注のパワーローダーのパイルバンカーで仕留められた。

 

 ナンブ・キョウスケ二尉お疲れ様です。

 

 そうして自衛隊の人間は基地の点検や整備、復旧作業を行う。

 

 中には精神的にダウン――本土から派遣されてきたばかりの自衛官が大粒の涙を流していた。(理由は不明)

 

「俺はもうイヤだ!? なんでこんな目に!?」

 

「いやだぁああああ!! 本土に返してくれ!!」

 

「一昨日はSF装備の化け物、昨日はゾンビ!! 今日はサメ!! どうなってんだこの土地!?」

 

「味方殺しなんか引き受けるんじゃなかった・・・・・・その前に死んでしまう・・・・・・」(ブツブツ)

 

 そんな人達を同僚は「可愛そうに」と思いつつ、現地の階級が上の上官に「せめて役に立ってから出て行け!!」と渇を入れられている。

   

 そんな彼達にくらべれば現地の住民の方が役に立つから仕方ない。

 

 最初は自衛隊もそうだった。十人の完全武装の自衛隊よりも一人の現地の住民が強かったし。

 

 こうして使えない自衛官と使い物になる自衛官は選別されてゆく。

 

 

 

 

 Side 佐伯 麗子(さえき れいこ)

 

 

(最近襲撃が多いな・・・・・・)

 

 この土地が地獄なのか死後にある地獄の方が地獄なのか真剣に考えながら私も復旧作業にあたる。

 世紀末駐屯地に後方勤務とか安全とかはない。

 一つミスを間違えれば自分達の死に直結するので司令部も必死だ。

 

 選択を誤れば冗談抜きで核爆弾を駐屯地に撃ち込まれる。

 

 もう放射能汚染とかそう言うのなど気にしてはられない。

 

 指揮車両に乗って指示を飛ばしながら戦う事も一度や二度ではなかった。

 

(ともかく敵の住処を洗い出して虱潰しに爆破していくか・・・・・・日本政府の動向も怪しいが今はそれが優先だ)

 

 日本の後継者とフロンティアの残党が日本政府と繋がりがあるらしい疑惑がある。

 

 自衛官としてあまり政治家の事をどうこう言うのはタブーではあるが正直言って日本政府の政治官僚連中は信用できない。

 

 核テロリストどもと政治家が繋がっていたとしても日本国民なら大騒ぎはするにしても「ああ、やっぱりか」と言うぐらいに政治家は信用されてない。

 

 それが我が国の政治事情だ。

 

 古の魔法帝国と言う難題があるが、このままでは核テロリストどものせいで――まあ今の我々と五十歩百歩だろうが・・・・・・世界は破滅する。

 

 だが今の日本――自衛隊は海外派遣に駆り出されて害獣駆除と言う名の世紀末日本から這い出た化け物退治が行っている。

 

 政府もグラ・バルカス帝国と政治外交面では敗北的な内容で勝利宣言せざるおえない状況だった。これは我々の責任でもあるが、背後にいる核テロリストどもの影やグラ・バルカス帝国が保有している核が恐いらしい。

 

 今の日本の政治家や外交官では荷が重いだろう。(有能な外交官の大半は元の世界に置き去りにされたらしい)

 

 

 それはそうと問題は最近の襲撃増加だ。

 

 野党どもの拠点。

 

 オーガやアンデッドの住処。

 

 サメやワニの巣。

 

 それらを見つけ出して粉砕していかないといけない。   

 

 

 日本の後継者とフロンティアの残党との戦いはまだまだ先になるだろう。

 

 ――その時まで私が生きていればの話だが・・・・・・(泣)

 

  




久しぶりにFallout4再開しようかなと思う今日この頃。


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日本サイドSS集

わりと真面目なお話。
サメもナチスも出ません。


【防衛省の偉い人達】

 

 防衛省・視聴覚室

 

 そこでは連日連夜のように研究会と称して世紀末日本から嫌がらせのように送り届けられている現地での戦闘映像が公開されていた。

 

 中には勝手に日本のネットへアップロードされていたりしている戦闘映像とかもあったりする。

 

 様々な種類のサメとの戦い。

 

 現地の核武装した武装勢力との抗争。

 

 金が掛かったゾンビ映画のような凄惨な状況。

 

 他の自衛隊の駐屯地や基地、防衛大学校でも公開されてるが揃って絶句もんである。

 

 中には目をキラキラと輝かせる異常な奴が何人か出現したが・・・・・・きっとゲッター線にでも汚染されてるんだろう。

 

「何度見ても信じられない光景ですな」

 

「ですがこれが現実で、酷い時は連日連夜発生するのです」

 

「魔境よりも魔境ですな」

 

 憲法九条とか軍規とか違反しまくってるんじゃと声が上がりそうなもんだが――仮に、現地の自衛隊を懲戒免職して日本に送り返して変わりの部隊を派遣するとしよう。

 

 問題なのはその変わりの部隊をどうするかだ。

 

「自衛隊全体の士気も下がっております。防衛大学校の卒業者の多くは自衛隊に入らないとか――中には気に入らない隊員はこの地獄に放り込まれるなんて言う噂もあるぐらいで」

 

「それは私も聞いている・・・・・・困ったものだ・・・・・・」

 

 また懲戒免職した自衛官をどうするかも考え物だ。今はただでさえ国内外がキナ臭い上に自衛隊の士気が下がりつつある現状下で彼達の戦闘力は誠に遺憾ではあるが貴重であった。

 

「現状彼達に頼る他ありませんな」

 

「ああ、古の魔法帝国絡みでも厄介なのにまさか平行世界の日本と一戦交える事になるとは」

 

 それに完全に現代の関東軍化しているワケでもない。

 

 事実グラ・バルカス帝国では――政治屋連中は戦争に勝って政治で敗北した戦いと愚痴を漏らしている――が、彼達の健闘がなければ丸く収まらなかっただろう。

 

 そもそもグラ・バルカス帝国に世紀末日本の方々を派遣する事態になったのは、日本の後継者やフロンティアの残党のせいでもあるが――日本の政治屋連中が世紀末の日本から得た武器などの実戦配備を渋ったのが原因でもあるからだ。

 

 大体は最近息を吹き返してきた左翼寄りの連中のせいである。

 

 もうフェン王国で観光客が200人犠牲になったり、グラ・バルカス帝国に巡視艇の職員が公開処刑されたり、民間人を殺されたりしたのを忘れたらしい。

 

 このぶんだと首都に核兵器を撃ち込まれても日本の自称平和主義者は学ばないかもしれない。

 

「政治家連中は話し合いが通用すると思っているのでしょうか?」

 

「さあな。だが日本の後継者やフロンティアの連中の軍備を考えれば武器の増強は必須だ。最悪あいつらは大義のために核兵器すら使用してくる可能性すらある」

 

 漫画に出てきそうな最強最悪の核テロリストが今この世界のどこかにいる。

 それがもう一つの未来の自衛隊だとは、皮肉にしても笑えなかった。

 

「問題は身内だ。第二日本駐屯地に工作員を我が国の人間が送り込んだと言う・・・・・・まあそいつは壮絶な戦闘に心が折れたらしいがね。中にはサメの餌になったらしい我が国の国民と思わしき武装勢力なども現地で見つかったそうだが・・・・・・」

 

 かなりの数のサメを屠った筈だがサメバリアは未だに健在らしい。

 さすがは魔境である。

 

「ああ、本当だ。サメに食われて死んだり、オーガの餌になっていたり、アンデッドにバラバラにされたり――参考資料で見たB級映画とかFalloutまんまな世界観だ」

 

「参考として自分もアサイラムの映画とか見ました。正直苦行ですよアレは」

 

「自分はメタルマックスですかね」

 

「自分もFallout4やりました。あとワールドウォーZも――第二日本の情報のせいでその手の娯楽作品が売れるのは皮肉っちゃ皮肉ですね」

 

 大の五十代や四十代のいい歳した大人の自衛官が苦笑混じりにオタトークをしていた。

 

 だが実際現地で日本のサブカル文化が重要になったりしているのも事実だ。

 

 特にガンダム。

 

 武装や機体設計などで参考にされており、現にガンタンクやガンキャノン型のロボットが現地で大量に製造されている。

 

 現地の自衛官は古の魔法帝国通り越して何かまた別の奴と戦うつもりなんじゃないだろうかと防衛省の人達は本気で危惧している。

 

「それにしても外務省は大丈夫でしょうか?」

 

「ああ。宇宙人が来たからな」

 

「外務省も異世界で地獄を見ていると言うが――今回ばかりはなぁ・・・・・・」

 

 外務省は現在修羅場である。

 

 古の魔法帝国ではなく、アール星人やベルセルク星人との未知との遭遇――ついでにひっついてきた、どう見てもスターウォーズの敵役にしか見えないグランドオーダーの人達とかのせいで地獄を見ている。

 

 一応平和に進んでいるが、前の世界の地球の総戦力でも何度も滅ぼされそうな――対応間違えれば冗談抜きでスターウォーズに発展し、古の魔法帝国が来る前に世界が滅ぶ事態になるので政治、官僚連中は皆眠れぬ夜を過ごしていた。

 

「まあ仕返しのつもりで今回は――な?」

 

「ええ、そうしましょうか」

 

 この件に関して自衛隊はと言うと――今迄の便利屋扱いの鬱憤でも溜まっていたのか、

 

 それともパーパルディア関連やグラ・バルカス帝国関連で恨みでも溜まっていたのか、

 

 はたまた第二日本の人達の思想に染まったのか半ば他人事を決め込むことにした。

 

 

【ドキュメンタリー映画:アルタラスを救った勇者達】

 

 完全無編集。

 

 自衛隊から提供された資料を基に制作された映画。

 

 この映画の興行収入はアルタラスやパーパルディアなどの被害地域の復興予算として割り当てられることになると言う。

 

 第二日本、もとい世紀末日本からやって来た暴走軍艦を倒すために自衛隊がアルタラスで行った死闘を描いた物語である。

 

 左翼連中はワケ分からん因縁をこの映画に付けてきたが日本国民達も全員が全員バカではなく、日本国民は概ねこの映画を楽しんでいた。

 

 

☆ 

 

 

 忘れている人もいると思うのでこの映画について語ろう。

 

 この映画は本作のエピソード、SS二本立て(サメが世界の覇者の次のエピソード)で投稿されたパーパルディア皇国に起きた大惨事――暴走軍艦により沿岸地域が悉く灰にされる。

 

 さらに暴走軍艦はその矛先をアルタラスに向けて自衛隊は必死の抵抗をするが足止めが手一杯。

 

 そんな状況に第二日本から駆けつけた援軍が暴走軍艦内部へ決死の突入作戦を敢行すると言う内容だ。

 

 じつはこの映画、防衛省としてもいろんな意味で賭け――戦意高揚や士気低下の解消、さらには自衛隊の新たな入隊者募集の宣伝も兼ねていた。

 

 まあそんな裏事情など知らずに多くの人々はこの映画を楽しんで観ることになるのだが――

 

 

 

 

 Side 三枝 ユキノ

 

 

 どっかの映画館。

 

 まだ午前中にも関わらず人で混雑していた。

 

 全員が全員、「あの映画が」お目当ての映画と言うわけではないと思うがもう席がほとんど埋まってる状態だった。

 

 第二日本でシェルター管理経営者でもある三枝 ユキノは嘗て自分がいた日本を懐かしみながらこの映画館に訪れていた。

 

 ただ遊びに来たわけではなく、食料や資材などの買い付けなども目的ではある。

 

 危険ながら日本政府に探りを入れるのも目的もある。

 

 他にも仲間がいて問題なのはロボットであり、周りの人間や映画館の職員も驚いていたがどうにか突破口を開けた。

 

 女性陣――とりわけアンドロイド少女のアイはその優れた容姿から人気の的だった。

 

 ちゃらい男性が纏わり付いてきたが、ヘタな自衛官よりも修羅場慣れしている第二日本から付いてきた女性達に阻まれ、撃退されて泣いて逃亡するなどの一幕もあった。

 

 そうしてちょっとしたお祭り騒ぎを経験してお目当ての映画を観ることに。

 

 他にも色々と映画を観るつもりだが今日はこれである。

 

 せっかく平和な日本の大地を踏んだのに観る映画が「殺伐とした内容」だけなのは自分もごめんこうむる。

 

 殺伐なのはあの土地だけにしてほしい。

 

 とは言う物の、あの人達の活躍を観たいと言うのも本音だった。

 

 噂では既に続編が予定されており、それには自分達が登場するとかどうとか――あんなB級映画みたいな展開の戦いを上映して人が集まるのかどうか気になるが――

 

 ともかく映画の内容に注視しようと思った。

 

 

 まず圧倒的な暴走軍艦の力。

 

 歯が立たない日本の軍備が強調して描かれている。

 

 パーパルディアを焼け野原にし、アルタラスを襲った暴走軍艦の力とその衝撃は自衛隊の内部でも未だにショックを与えており、巨大生物の驚異的な生命力に太刀打ちするためにも「戦艦の再建造計画」が噂で囁かれている程だ。

 

 物語の前半は現実で起きた映像を踏まえて解説され、徐々に物語は戦艦に突入したメンバーの視点画像を元に語られていく。

 

 ガンテツなどのロボットや、パワーローダーの記録映像が元になっている。

 

 内部には夥しい数の白骨死体や幽霊のように彷徨うロボット、自動迎撃システムが行く手を阻む。

 

 敵の武器も様々で中には光学迷彩を使って奇襲してくるロボットまでいた。

 

 さながらSF映画のようだ。

 

 戦いもただレーザーを発射するだけでなく、白兵戦も多く見受けられる。

 

 現代戦のセオリーと言う物は分からないが、想定する敵に応じた意識改革を起こす必要があるように感じた。

 

 ドキュメンタリー映画なので面白いとかどうとかはともかく、現実にあった事を詳細に伝えようとする作り手の姿勢には共感できた。

 

☆   

 

 アイと一緒に付いてきたセミロングの赤髪の少女、レベッカは「私達も出るんだろ?」と尋ねてくる。

 

「ああ、グラ・バルカス王国編だね」

 

 グラ・バルカス王国の一連の戦いでは自分達も随分暴れ回った。

 

 今回観たドキュメンタリー映画でも活躍していた木之元 セイさんやアイラさんなどのリアル異能生存隊、リアル船坂 弘たちがリミッターを外したように暴れ回って、味方や自衛隊からも恐れられていた。

 

 それを上映する前に五十時間耐久基地防衛戦のドキュメンタリー映画とかもやるかもしれないが、あれは大人の都合などで日本での上映は難しいそうだ。

 

「それよりか、尾行している連中が鬱陶しいんだけど」

 

「まあそう言わずに・・・・・・」

 

 レベッカの愚痴を俺はドウドウと抑える。

 自分達の存在は――自分でこう言うのもなんだが――ハッキリ言ってグレーな存在だ。

 

 何もしてこないと言うことはそう言うことだろう。

 

 とにかく他にもやるべき事は沢山あるのでその場を後にした。

 

 

【次の作戦に向けて】

 

 自衛隊富士駐屯地

 

「話を聞いたか?」

 

「次はリーム王国か」

 

「ああ。そこにフロンティアと日本の後継者の残党が集結しているって話だ」

 

「中にはパーパルディアやロウリア、グラ・バルカス帝国の残党も集まってきているらしい」

 

「そこに日本のあっち系の連中とかも合流しているそうだ」

 

「政治的失点を取り返すのに躍起でそこまで狂ったか・・・・・・」

 

 日本国内は宇宙人の来訪だけでなく、更なる戦いに向けて大忙しだった。

 

 新たな戦いの土地はリーム王国。

 

 そこにフロンティアの残党や日本の後継者の連中だけでなく、過去に日本と敵対して恨みを持っている連中が集結しているそうだ。

 

 どうしてリーム王国に集まっているのかは不明だが恐らくは元グラ・バルカス王国の同盟国時代からの縁だろうと考えられる。

 

 近隣諸国にとっても脅威であり、世界各国合同でこのリーム王国に攻め込む事が決まった。

 

 日本は核兵器の存在もあるので及び腰だが、政治的な都合で傍観するワケにもいかず、リーム王国とその王国に集結した残党達をテロリストとして扱う事で一応対決の姿勢を決めることにした。

 

 その一環として――グラ・バルカス帝国戦での手痛い教訓から第二日本の武器やパワーローダーの配備などが急速に進められている。

 

 どっから話を聞きつけてきたのか戦争反対派の連中がプラカード片手に富士の駐屯地に集結しており、今の飼い主を辿れば面白いことになりそうだがそれは他の部署の仕事になるだろう。

 

 この富士駐屯地には現在、第二日本の国家、ヒノモトから一人だけ出る作品が違う強さの木之元 セイやヒノモト第1201小隊などが集まっていた。

 

 内容はかつてアルタラスで行った教導任務。

 

 特に対パワーローダー戦の教導は最優先で行われた。

 

 日本が採用しているパワーローダーは第三世代型の月光――木之元 セイが使用しているのと同じ最新型だ。

 

 核戦争で滅ぶ直前まで使用されていたパワーローダーで性能や信頼性は折り紙付きだ。

 

 もちろん訓練用に出力を落としたりと色々と工夫はしている。

 

 未来兵器にパワードスーツ。

 

 そして仮想攻撃目標のためのガンキャノンやガンタンクに似た戦闘ロボットまでもが導入され、オタク自衛官達は歓喜した。

 

 そうでなくても日本のこれまでの兵器開発の遅れを挽回できる程の最新鋭の装備を学べると言う点は自衛隊の大きな士気向上に繋がった。

 

 他にも――第1201小隊が少女だけで構成されていて波紋を呼んだりとか、

 

 元米軍で名誉勲章持ちのアイラさんが男女問わず魅了したりとか、

 

 元女死刑囚がなんだかんだで馴染んでいたりとか。

 

 木之元 セイの周りの女性関係やリア充ぶりに嫉妬されたりとか――

 

 ともかくパワーローダーの教導が続いた。

 

 それと平行してアイラと木之元 セイが特殊作戦軍、第一空挺団、レンジャーなどと一緒に訓練、演習などをしたりと言う一幕もあった。

 

 木之元 セイは生身でも戦える。

 生身でパワーローダーの撃破記録があるぐらいには。

 どっかのパワードスーツ漫画の特殊部隊隊長みたいだ。

 

 顔面ヤケド、傷だらけの金髪美女アイラさんも別格だった。

 それはもうBIG BOSSと言うコードネームが付けられるぐらいに。

 

 そもそも二人とも物量が売りの東側陣営の敵相手に生き延びたエースである。

 その敵の中には特殊部隊なども当然混じっている。

 実力もそれ相応である。 

 

 屈強な自衛官ですら地獄を見た者は数多くいたそうな――

 

 こうして自衛隊の蛮ぞ・・・・・・もとい戦力強化は進められていくのであった。



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世紀末のハーケンクロイツ編

俺はGWの最終日になにを書いてるんだろうなと思いました。
低評価の嵐が吹き荒れるようだ(白目)


=間が空いたので軽い本作の紹介=

 

 日本国召喚の世界にこの世の地獄と化した日本が召喚された。

 

 次々と犠牲者が出しながらも、引き際を間違えて狂ったギャンブラーのごとく日本国は新たに出現した日本に進出作業を進める。

 

 現地住民などの御蔭で様々な危機や困難を乗り越えたが第二の日本の勢力、フロンティアや日本の後継者が異世界で日本の苦労を台無しにするかの如く己が持つ超テクノロジーを分け与え、しまいには核兵器の製造方法すら伝えてしまった。

 

 だがそうした陰謀も自衛隊や第二日本の人達の手で打ち砕かれていき、フロンティアと日本の後継者の残党達は先に召喚された日本に恨みが持つ国家とともにリーム王国と呼ばれる場所に集結しつつあった。

 

 さらなる決戦が近い時に、第二日本である連中の調査が開始される。

 

 

=軽いオリキャラ紹介=

 

○佐伯 麗子(さえき れいこ)

 

 緋田 キンジ曰くクソ上司。

 何か色々あって元部下の職場に放り込まれた不幸な人。

 ヘヴィーオブジェクトのキャラクターがモデル。

 

○緋田 キンジ二尉

 

 ヘヴィーオブジェクトコンビ(作者命名)の片割れ。

 第二日本に初期の段階から送り込まれてなんだかんだで生き延びた歴戦の勇士。 

 

○宗像 キョウスケ二尉

 

 ヘヴィーオブジェクトコンビ(作者名名)の片割れ。

 キンジと同じく第二日本に初期の段階から送り込まれている。

 緋田 キンジとは入隊以前よりも前からの腐れ縁である。

 なんだかんだでしぶとく今迄生き延びている。

 

○リオ

 

 外見ただのS○Oのシノノン。

 青いパワーローダーを身に纏う。

 なぜか緋田 キンジにくっついて回る。

 

○パメラ

 

 黒髪で眼鏡を付けたリオのメカニック担当。

 リオと行動を共にする。

 黄色い作業用パワーローダーやトレーラーを所持する。

 

 

 もうこれ日本国召喚の二次創作じゃないよね?

 

 

 

=本編=

 

 Side 緋田 キンジ 二尉

 

 この第二日本の基地もすっかり賑やかになった。

 

 まあ先日までは悪い意味で賑やかだったが。

 

 サメとかゾンビとかミュータントとか、野盗とか。

 

 野盗をたくさん殺して身包みを剥いでいると核兵器を撃ち込まれても人間と言うのは思ったよりもタフなんだなと思えてくる。

 

 現在俺達――と言っていいのか。部隊は概ね第一日本と第二日本とで別れ、それぞれで細かくグループ単位で行動している。

 

 俺とキョウスケは主に基地やその周辺での厄介事を片付けている。

 

 

 それはそうと朝田大使は元気にしているだろうか。

 

 

 銃弾で撃たれるて死ぬのはマシな死に方で首だけになって串刺しになったり、食料になったりしていなければいいんだが。

 

 まあ護衛が現地住民だけど強いから問題はないと思うが・・・・・・纏め役の子が元日本人の少年とは思えないぐらいに頼りになるし。

 

 

 なんなのあれ?

 

 ゲッター線にでも汚染されてるの?

 

 それとも異能生存体か何かなの?

 

 

 ・・・・・・ともかく俺達はある連中の調査任務に赴いていた。

 

 最近現れた新顔連中で無差別に攻撃しているそうだ。

 

 リーム王国での戦いを前に出来る限り不安要素を排除したかった。

 

 

 

 

 謎の武装勢力の目撃地点を地図に書き込み、おおよその位置を割り出し前進していく。

 

 部下を率いてリオやパメラなどの現地住民などと一緒に行動していた。

 

 途中、廃墟となった都市部で黒い軍服のガスマスクを付けたロボット兵士が襲い掛かってきたがたぶんそいつらだろう。

 

 武器も実弾だけでなくレーザー兵器を使用してくる。

 

 問題はそこではない。

 

 赤い腕章にハーケンクロイツのマークがついていた。

 

 これを見てその画像をクソ上司に送り、俺は「帰っていいですか? せめて援軍寄越してください」と頼んだとしてもバチが当たらないだろう。

 

 てかなんでこいつらがこの世界にいる!?

 

 キョウスケ、お前も「登場するのが遅すぎたぐらいだ」とか言ってないでこの任務を他の奴に丸投げする方法を考えろ!?

 

 地獄と分かっている土地になんで突き進まなきゃならんのだ!?

 

 アルバトロスのサメ映画がクソなぐらいに分かっている事なのに!!

 

 絶対ロクな事にならない!!

 

「どうしたの? キンジ?」

 

 と、リオが青いパワーローダーのヘルメットを脱いで語りかけてきた。

 困惑しているような表情だ。

 

「いや、これから戦う相手のことを考えてちょっとね」

 

「キンジは敵の事を知っているの?」

 

「ああ・・・・・・うん」

 

 俺は――いや、俺達は知っている。

 キョウスケや他の自衛隊の隊員も諦めの境地に達して頷いている。

 

 防衛省では「何時か襲来するんじゃねえのか」と熱心に研究され、転移前は「万能フリー素材」とか「黒幕をこいつらにすれば許される」とか「映画がクソでもこいつらが黒幕なら許される」とか「都市伝説製造機」だとか色々と言われている。

 

 奴達もあの世で「どうしてこうなった!?」と困惑しているに違いない。

 

 きっとこのまま進み続けたら意味不明な生物兵器や変なところで金がかかったとんでも兵器が待ち受けているに違いない。

 

 奴達はそう言う連中なのだ。

 

「大丈夫――私が守るから」

 

(リオちゃんの優しさが痛い・・・・・・)

 

 顔を赤らめて照れくさそうに言うリオが天使過ぎて涙が出る。

 

 ふと通信が入った。

 たぶんクソ上司からだ。

 

『気持ちは分かった。援軍を寄越すからそこで待機していろ』

 

「え、俺達は?」

 

『他に誰かやりたい奴がいると思うか?』

 

「了解。地獄に落ちろ」

 

 そう言って通信を切った。

 

「なんて答えた?」

 

「増援を待って殴り込めだとよ」

 

「ああ・・・・・・」

 

 キョウスケも諦めの境地に達したようだ。

 分かっている。

 

 あ~あいつら基地に襲撃してクソ上司殺してくんないかな~などと思いながら増援を待つことにした。

 

 

 結果的に俺は増援を待たずしてハーケンクロイツのマークがやたら目立つ如何にもな敵施設を発見し、パワーローダーを脱いだ(整備途中だったらしい)リオと二人だけで強行突入した。

 

 端的に言えば敵の奇襲にあって部隊とはぐれて気がついたらここにいた。

 

 謎の武装勢力(棒)の拠点はとても分かり易く、建物にはご丁寧にハーケンクロイツのマークがついた垂れ幕が幾つもあってそれがデカデカとあってライトアップされていた。

 

 隠す気ないだろこいつら。

 

 そして現在――激しい銃撃戦のまっただ中だ。

 

 時折サメを戦車の荷台に括り付けたような兵器や人型二足歩行のサメロボットやらと遭遇した。

 

 しっかりとハーケンクロイツのマークが刻まれている。

 

「ねえ? 敵って何者なの?」

 

 粗方敵を殲滅し、リオが俺にそう尋ねてくる。

 

「――まだ断定は出来ないんだが・・・・・・進めば分かるさ」

 

「そう言ってもう正体は分かってるんじゃ?」

 

 はいそうです。

 ごめんなさい。

 

 でもまだ僅かな可能性に懸けてみたいんです。

 許してください。

 

 マジでこれ何の二次創作だ。今更か。

 

☆ 

 

 それからもレーザータレットやら、どっかで見たことがある、強そうに見えるけどデザインの段階で力尽きたと思われるそんなに強くない強化ロボット兵士達との戦いや古典的円盤形浮遊ドローンの襲来が続いた。

 

 敵や彼方此方にハーケンクロイツのマークが刻まれていてもうこれ確証が確信に変わってもいいんだけど信じたくはなかった。

 

 このまま進むと何か大切な物がぶち壊しにされるような――古の魔法帝国が消化試合とかインパクト負けするような・・・・・・いや、もう既になってそうだな・・・・・・とにかく認めたくはなかった。

 

 

 そして大きな広間に辿り着いた。

 

 ハーケンクロイツが刻まれた壇上に黒い軍服を着たへんてこな人型一つ目ロボットが現れる。

 

 広間の両サイドには黒い軍服の兵士達が並んでいる。

 

 

 そして広間へと繋がる道は大きなドアで閉じられた。

 

 

『よくぞここまで辿り着いた。褒めてやろう。我々はナチスの意思を継ぐ者、ネオナチスであり、私がメカヒトラー総統だ』

 

「うわああああああああああああああああああああ!?」

 

 死刑宣告を聞いて俺は思わず発狂してしまった。

 もうダメだ。おしまいだ。(日本国の二次創作的な意味で)

 これからきっと月や地底から、あらゆる場所からこいつらが現れるんだ。

 

 読者の皆さんさんざん引っ張ってごめんね。

 そう。ナチスである。

 

 ルビコン川を渡ったと言う意味はたぶん今の俺みたいな気持ちだろう。

 これを書いている作者をきっと同じ気持ちだ。

 

 はい、そうです。低評価の嵐の前触れですね(震え声)By作者

 

 

「てかハイルヒトラー!! ハイルヒトラーうるせえよ!! 第四帝国コールもやめろ!? ぶっ殺すぞ万能フリー素材ども!?」

 

「落ち着いてキンジ!! 何かおかしいよ!?」

 

「あ、ごめん・・・・・・」

 

 リオと言うかこの土地の住民にはには分からん感覚だよなきっと。

 きっとリオには敵は強大な組織の親玉で俺はそれに恐怖を感じているようにしか見えないのだろう。

 

『我々の目的はこの土地を支配し、そして全世界を手中に収め、我々の手で産み出されたアーリア人によりこの世界は正しき導きと祝福が与えられるのだ』

 

「後半何言っているか分からないけどそんなことさせない」

 

 リオが正義のヒロイン風に言うがなんでかな。

 とてもこう、B級感が。

 別の意味でホラーだよこの光景。

 

『さて、我々の目的や居場所を知ったからには死んでもらう』

 

「いや、お前が勝手に喋ってただけですよね!? てかお前達の居場所、これでもかと言うぐらいに分かり易かったぞ!?」

 

 そう言って先手必勝。

 グレネードを投げ込み、銃を乱射する。

 リオもそれに合わせて二丁拳銃で攻撃を開始。

 てかこいつら、両サイドに固まっているから挟み撃ちして銃撃すると自分達の撃った弾の流れ弾で死ぬだろ。

 さすがナチスだわ・・・・・・このワード便利だな。

 

 メカヒトラー総統は『何をしている!! もっと戦力を送り込め!!』怒鳴り散らしていた。

 だったらテメェも戦えや。

 試しに銃弾を撃ち込んだがバリアらしき何かで阻まれる。ちっ。

 

 部屋の砲台はリオの神業で次々と破壊されていく。

 増援もどうにかと言う感じだ。

 

『幾ら倒しても無駄だ。貴様達が倒しても幾らでも兵士は量産される』

 

 そう言って二足歩行のサメロボットやワニロボット。

 デザインだけは立派な強化兵士が送り込まれる。

 

「もっと資源有効活用しろや!! バカじゃねえの!? 低予算のナチスかテメェら!?」

 

「落ち着いて。恐いのは私も一緒だから」

 

「あ、はい」

 

 ごめんなさいリオさん。

 でも恐怖よりも別の意味で泣きそうなの。

 報告書書くのが今から恐いわ。

 

『ここまで辿り着いただけあって中々やるな。だがいずれは――』

 

 もうそろそろロボットなどの増援の侵入口から脱走しようと思ったその時、基地全体に爆音が地響きが伝わる。

 

 そして広間へと繋がるドアが破壊された。 

 

『騎兵隊の到着だぜ!!』

 

 パワーローダーやビームガトリングでフル武装したキョウスケや他の自衛隊の隊員達が雪崩れ込む。

 

 一気に形成が逆転した。

 

『とんでもない事になったな。まさかのナチスだぜ!?』

 

「ああ、今から報告書書くのが恐いんだけど!!」 

 

『あの上司も同じだろうさ!! ほら退散するぞ!!』

 

 そうして俺はこの場から退散した。

 リオはまだ「メカヒトラーが・・・・・・」と言ったが俺は優しく「キョウスケを信じろ」と言って連れ出す。

 

 

 

 

 皆が脱出し終えたところでトドメの爆弾を起動し、基地が爆破された。

 これでネオナチスの野望は潰えたな。(白目)

 

「悪夢のような戦いだった・・・・・・」

 

『うん。何か奢るわ・・・・・・』

 

 キョウスケに同情されたよ。

 

『まだだ!! まだネオナチスは!! 第四帝国は終わらん!!』

 

 そして基地近くの地面が開き――何かしらの巨大兵器の地下ドッグだったのだろう。

 そこから銀色の古典的なデザインの円盤が現れた。サイズは軍艦サイズ。

 円盤にもしっかりとハーケンクロイツのマークがある。

 

 周囲には護衛機だろうか、戦闘機サイズの円盤が飛んでいた。

 

『こちらヴァイパー隊。攻撃を開始する!!』

 

『レイヴン隊エンゲージ!!』

  

 浮上しきる前に駆けつけていた戦闘ヘリや戦闘機が次々と攻撃を開始する。

 負けじと巨大円盤もレーザーの対空砲火を撒き散らす。

 今度は地球防衛軍かよ。

 

 ともかくその隙に援軍が持ってきてくれたパワーローダーを身に纏う。

 

『あの円盤、ミサイルや機銃が効いてないぞ?』

 

『バリアか何かだろ。弱点は――うん、ナチスだからな』

 

 そうして手に持ったレールガンで円盤の底面を狙う。

 そこには"親切に大きな光っているボタンのような部分"があり、さも"狙ってください"と言わんばかりに目立っていた。

 

 そして攻撃が直撃。

 

 爆発と黒煙が噴く。

 

 こうかはばつぐんだ。

 

 それを皮切りに俺を含めた地上部隊は円盤の底面にある大きな光っているボタンのような部分を狙い始めた。

 

 負けじとネオナチスも基地の爆発から生き延びたしぶとい奴や彼方此方に派遣していたと思わしき連中を増援として送り込んでくる。

 

『ハイルヒトラー、ハイルヒトラーうるせえ!! それしか言えんのかこの大根役者ども!!』

 

 空も地上もスターウォーズのラストバトル状態でえげつない攻撃が飛び交っている。

 具体的にはレーザー、ビーム、レールガン、ミサイル、プラズマ兵器などだ。 

 お互いに殺意全開である。

 

 戦況は此方が有利だがどうにも決め手に欠ける。

 

 何か作戦は――

 

『円盤から離れろ!! 支援砲撃が来る!!』

 

 偵察観測ヘリ、コールサイン・シノビから声が聞こえた。

 言われた通り離れるがこの土地で支援砲撃?

 

『レールガンタンクだよ』

 

『この声は!?』

 

 あのクソ女上司!?

 てかレールガンタンクって・・・・・・

 

『分かったら離れな』

 

 少しの間を置いてレールガンタンクの長距離狙撃が円盤を貫いた。

 円盤のバリアを突き抜け、大穴が空くがそれでもまだ浮遊している。  

 

『二射目!!』

 

 佐伯(女クソ上司)の声と一緒にそしてトドメの一発が入る。

 

『ネオナチスに、第四帝国に栄光あれえええええええええええ!!』

 

 などと良いながら円盤は爆炎に包まれた。

 ちゃんとやられる声を出すとは妙に律儀だと思った。

 

 

 

 

 こうしてネオナチスの野望は打ち砕かれた。

 

 一応今回の一件は全て上に報告されるがどう判断するかは不明である。

 

 取りあえず「第二、第三のネオナチスの情報がいないか念のため確かめるために」元ネオナチス基地に調査の手が入った。

 

 正直もうこれっきりにしてくれ。

 

 END




 この作品何時になったら完結するんだろうな(白目)


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地獄のリーム王国戦線とその頃の世紀末自衛隊

久しぶりに投稿


 リーム王国。

 

 いわゆるハイエナ、コウモリ国家で日本含めて世界中からの評価は最悪だ。

 

 日本が元居た世界の隣にいた某国を思い出す。

 

 グラ・バルカス帝国の時もあっさりと日本を見捨ててグラ・バルカス帝国につき、そのグラ・バルカス帝国の勢力が死に体になると今度はフロンティア、日本の後継者などの武装勢力と組んだ。

 

 世界中はこのリーム王国に懲罰的に軍隊を派遣したが次々と返り討ちに遭う。

 

 日本も同じだったが本音では関わりたくはなかった。

 

 グラ・バルカス帝国は日本後継者、フロンティアなどと組んで核兵器を所有していた。

 

 リーム王国も核兵器をとっくの昔に保有しているだろう。

 

 さらにグラ・バルカス戦の時と同じくパワーローダーを筆頭とした転移前から兵器の数ぐらいしか根本的に変わってない日本の21世紀の軍事力を遥かに上回る最新鋭兵器を揃えている。

 

 事実、サンドイッチ方式で日本はリーム王国に部隊を派遣したが、制空権や制海権はリーム王国のワンサイドゲームに終わる。

 

 そして海とは反対側の西側、北側、南側などの陸続きの部分からも当然進軍したが圧倒的なフロンティアと日本の後継者の火力で叩き潰されている。

 

 

 

 Side 自衛隊 とある兵士の視点。

 

 

 地獄のような状況だった。

 

 上空の戦闘機や戦闘ヘリはレーザー兵器で叩き落とされ、戦車はレールガンで狙撃されて率先して撃破される。

 

 同時進行で敵の無人戦闘機や飛行型パワーローダーの群れが後方に急襲して砲撃陣地を破壊。

 

 とどめにレーザーだのプラズマ兵器だので武装した戦闘ロボットやパワーローダーが殺しに来る。

 

 まともな戦いが成立しなかった。

 

 この惨状を上は知ってか知らずか、あの地獄のような第二日本を生き抜いた猛者達を呼び寄せるつもりはないらしい。

 

 こちらもパワーローダーや戦闘ロボットを配備してどうにか持ち堪えているが焼け石に水だ。

 

 さらにまずいことに未来技術の塊の戦車や戦闘ヘリだけでなく、陸上戦艦なんて言う化け物まで呼び出してきた。

 

 空も海もあてにならず、陸もこんな状況である。

 

 俺は敵よりも無能な上層部を殺したい気持ちでいっぱいだ。

 

 こんな状況では士気も保てる筈もなく、自衛隊の隊員も毎日のように脱走しているぐらいだ。

 

 この戦地は長くは保たないだろう。

 

  

☆ 

 

 Side 日本政府の偉い人達

 

 

 内閣はお通夜のような状態になっていた。

 

 あまりにも酷い惨状だ。

 

 自衛隊の退職者も殉職者も日を追うごとに増え続けている。

 

 今迄の敵とは次元が違うのだ。

 

 無理からぬお話だ。

 

 どうしてこうなったのか理解できるぶんだけ、より頭が痛い。

 

 正直今迄の戦いは必ず勝てる戦いに勝っただけであり(世紀末の日本関連の出来事は除く) 、今度は立場が逆転したのだ。

 

 本音を言えばリーム王国の一件には関わりたくもないし、好きこのんで世界中で世紀末日本から這い出た化け物退治とかもやりたくもなかった。

 

 だが国際情勢が許してくれないのだ。

 

 これならまだ元の世界の方がマシだった。

 

 しかも最近ではリーム王国周辺の国家に手を伸ばし、日本の領海にも平然と侵入して海上保安庁だろうと戦闘機だろうとイージス艦だろうと潜水艦だろうと、なんでも破壊して回っている。

 

 民間の船舶にも被害が出ている。

 

 そのせいで自衛隊の士気は崩壊し、マスコミや野党だけでなく国民にも叩かれている状況だった。

 

 内閣支持率は十%以下。

 

 政党支持率は五%未満。

 

「こんなことならばあいつらに頼ればよかった――」

 

 あいつら――グラ・バルカス帝国に救援として派遣したが勝手に行動したせいで政治、外交的に敗北した。

 

 ぶっちゃけあいつらムショに放り込んでも天国だとか言いそうな環境で育ち、また密かに暗殺とかも目論んで刺客とかも派遣して失敗したりしてるので関係は修繕不可能だ。

 

 あーでも、こーでもないと時間ばかりが過ぎていく。

 

 

 

 

 Side 緋田 キンジ 二尉

 

 

 緋田 キンジや宗像 キョウスケはそんな日本の内情を知っているがいちおう組織なので上からの命令には従わないといけない。

 

 そんなことよりも今は――

 

『ああクソ――まだ俺達生きてやがる』

 

『俺達なんか呪われてるんじゃねえのか!?』

 

『知るか!? とにかく内部を突き進むぞ!!』

 

 現在緋田 キンジ達は部下を引き連れて超巨大生物の赤黒いグロテスクな空間の内部を突き進んでいた。

 

 現地で岩石ワームとか言われている奴だ。

 

 とにかく馬鹿でかい上に(*軍艦を複数連結させたようなサイズ)核兵器やプラズマミサイルの直撃を受けても生きているぐらいに頑丈で生命力もある。

 

 時間もないので適当に風穴空けて内部に侵入して心臓をズタズタにしようと言う酷い作戦だ。

 

 全員、対戦車チェンソーを武装し、パワーローダーを身に纏い、「自衛隊の仕事ってなんだっけ?」とか自問自答しながらとにかく突き進む。

 

 ダメージは負っているのか内部が回転したり、突然垂直になったりとかカオスな状態だ。

 

 しかも寄生虫的な生物も徘徊しているがもうめんどいので殴り、踏みつぶし、チェンソーで岩石ワームの内部に串刺しにしながらチェンソーで解体する。

 

 突然変異しているっぽい二足歩行のサメも住んでいたがその辺りは想定内だ。

 

 自分達はパワーローダーで身に纏い、チェーンソーを身に纏っている。

 

 つまりサメだろうと寄生虫だろうとチェーンソーで殺せばいい。

 

『これで心臓二つ目だぞ!?』

 

『ぎゃあああああ!! 血が沢山溢れてる!!』

 

『暴れるんじゃねえ!!』

 

『殺される前に殺したらぁええんじゃボケが!!』

 

 などと苦戦しながら血気盛んに暴れ回る自衛隊達。

 

 なんかこいつら全員やばい宇宙線浴びてそうな感じだが前からだろう。

 

 

 数分後――岩石ワームは死んだ。

 

 三つ目の心臓を破壊し、ついでにサメや寄生虫の生き残りも全員チェンソーで殺害し、もう元の道に戻るのめんどいから岩石ワームの内部を切り開いて外へと脱出した。

 

 しかし整備班から「お前ら、頭まで放射能でやられたのか!? 整備するこっちの苦労も考えやがれ!!」と、もっともな意見をもらいました。

 

 誰だって血で全身をペイントされたパワーローダーの整備なんてしたくない。

 

 それにこの土地では水は貴重だ。

 

 給料から水を購入して清掃することになったと言う。

 

 後日、埋め合わせな形で周辺住民から感謝されて様々な支援物資を貰ったりもしたが――

 

 自衛隊は今日も元気です。

 



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二つの戦線

 日本国と世紀末日本召喚

 

 二つの戦線

 

 

 =北海道のとある戦線の様子=  

 

 Side 自衛隊の隊員達。

 

 日本本土に襲撃され、戦闘機や戦闘ヘリ、装甲車や戦車が次々とスクラップになっていく。

 

 この状況では乗り物なぞ棺桶と一緒だ。

 

 敵はレーザー、ビーム、レールガン、プラズマなどなんでもアリ。

 

 パワーローダーも頑丈で重火器がなければ太刀打ちできない。

 

 待ち伏せしようにも大小様々なロボット達が隊員達を直実に殺している。 

 

 各駐屯地や基地も次々と制圧されていき、戦って勝つよりもどうやって生き延びるかを考えているような地獄だ。

 

 脱走兵も一人や二人ではない。

 

 日本の後継者の思想に賛同して敵側に寝返った奴もいるらしい。

 

 士気は最悪。

 

 援軍も送り込まれた端から消滅していく。

 

 この戦いに勝機はないだろう。  

 

 

 

 

 日本VS日本の後継者(+各勢力)連合の戦いは後継者側に優勢に働いていた。

 

 

 水上も航行可能な陸上戦艦。

 

 飛行船。

 

 潜水艦。

 

 さらに空中や水上でも戦える各種パワーローダーや戦闘機、戦闘ロボットなどの最新鋭兵器軍団の群れ。

 

 それが自衛隊に襲い掛かる。

 

 

 自衛隊ではパワーローダーの配備やもう一つの日本から得られた最新鋭装備をもとにした技術開発、量産体制は遅れており、装備の面で勝負にはならなかった。

 

 日本政府は後継者側に和平交渉を何度も持ちかけ、呼びかけたが相手にもされなかった。

 

 そもそも後継者の連中にとって現在の日本政府の政治や思想はもっとも嫌うものであり、それが原因で我が国は核兵器を使用されたと信じ込んでいる人間も少なくない。

 

 早い話、日本の後継者達は日本の政治家や平和市民団体の抹殺こそが最終目的であった。

 

  

 北方領土、北海道周辺は孤立し、実質勢力圏内。

 

 日本海側も後継者達に好き放題に荒らされているのが現状だった。

 

 

 

 その一方で世紀末な日本にいるあいつらはと言うと――

 

 

 

 

 Side 日本の後継者サイド

 

 

 場所はもう一つの世紀末な日本。

 

 密林地帯で日本の後継者達は真っ昼間から地獄を味わっていた。

 

『陸上戦艦の艦橋に直撃弾!! 狙撃です!!』

 

『航空部隊も敵の迎撃に阻まれて支援できません!!』

 

『クソ!! あいつら本当に愚連隊か!?』

 

 日本の後継者達は苦戦していた。

 

 装備しているパワーローダーは後継者がこの世界で製造した七型を中心に指揮官用に配備された八型が一番の高性能機だ。(核で滅びる前は四型が最新鋭だった)

 

 他にも不気味だが技術力は確かなフロンティア制のパワーローダーなども導入している。

 

『どうしてこんなことに!?』

 

『愚痴を暇があったら撃て!? あいつら正気じゃないぞ!?』

 

 陸上戦艦に航空部隊。

 最新鋭のパワーローダー。

 ロボット軍団。

 

 もうう一つの日本から来て住み着いたこの土地の自衛隊は強いともっぱらの噂だった。

 

 油断せずに、いこうと気を引き締め、いざ戦闘になると地獄だった。

 

 見たこともない――独自開発した、あるいは現地で入手した魔改造パワーローダーや兵器を身に纏っている。

 地上を滑るように移動し、空中を飛び回る自衛隊のパワーローダー。

 てかビーム兵器とはいえ陸上戦艦のブリッジを破壊するパワーローダー(パワードスーツ)ってどんなだよ。

 

 他にもガンダムのガンキャノンやガンタンクを自衛隊カラーにしたようなロボット軍団がいたりとか、

 

『おのれ存在Xううううううううううう!? 毎度毎度どうしてこんな目に遭わなきゃならんのだ!?』

 

 またしても金髪の幼女が専用の幼女用パワーローダーを身に纏って嘆きの声をあげたり、 

 

『止まるんじゃねえぞ・・・・・・』

 

『団長ぉおおおおおおおおおおおおおお!?』

 

『どうでもいいけど団長、死に芸が板についてない?』

 

 などと少年893が独自のパワーローダーとかモビルワーカーなる乗り物とか独自開発して戦っていたり――

 

『フィアナのためだ――パワーローダーだろうとやることは変わらない』

 

 キリコと名乗る無愛想、仏頂面の男がどっかで見たことある緑色のAT――ではなくパワーローダーを使い、次々と敵のパワーローダーを刈り取る。

 あのキリコでないことを祈ってやろう。

 

 もっとも敵側は『あの緑色の不細工なパワーローダーをやれ!! 頭部がターレットレンズの奴だ!!』、『無理です!? あのパワーローダー強すぎます!?』と叫んでいるあたり可能性は大だが。

 

 後に彼の存在はまた別の大騒動を引き起こしたりするが語られるかどうかはまた別の話だ。

 

『ちょっとディンゴ!? なんなのここ!? しかもフロンティアセッターまで来ちゃってるし!?』

 

「生活費のためだ。諦めて仕事するんだな。俺は色々と諦めた」

 

『アンジェラ様のためにアーハンを準備できてよかったです。この土地の技術力の高さのおかげですね』 

 

 もうこれスパクロだよなと言わんばかりに楽園からの追放者まで来ている始末。

 アンジェラと呼ばれた金髪の美少女はなんだかんだ言いながらキッチリ仕事(戦闘)をこなしている。

 

「まさかこんなところで出会うとはな、ガードナー」

 

「奇遇だな、バロス。最初は地獄に落ちたかと思ったが――」

 

「俺もだ。だがここの暮らしも意外と悪くない」

 

 たぶん別の世界の死神部隊やっていたっぽい人達もなぜだかこの世界に迷い込んでいた。 

 装備も元の世界で使ってたっぽいパワーローダーを用意している。

 二人とも最初は「核融合炉のパワードスーツってどんな技術だ」とか言ってたがすっかり順応した。 

 

 どうでもいいかもしんないが作者はredeyes大好きです。

 

『打ち貫く!! 止めてみろ!!』

 

『ぎゃあああああああ!?』

 

 ナンブ・キョウスケ二尉も負けじと特注の赤いパワーローダー「アルトアイゼン」のリボルビングステークで敵の装甲がなんだろうと敵の隊長格のパワーローダーの胴体装甲を打ち破る。

 

「あーもうこの土地はどうして戦いばっかりなんだ!?」

 

「ぐちゃぐちゃいわずに引き金を引け!!」  

 

 もうしわけ程度の日本国召喚要素として日本の外交官の朝田 泰司がいた。

 

 昔、日本が帝国時代に使っていたチハ戦車に似た戦車に乗って半泣きなりながら戦車長――ガイドとして案内された少女のマヤに応戦しろと言われ、しかたなく車体前部の銃座担当だ。  

 

「災難だけど――色々と良い事も聞けたし、ここは戦わないとね」

 

 遠くではたまたま買い付けに来ていた グラ・バルカス帝国の元・女性外交官、シエリア――今は集落の代表者の一団も戦闘に参加していた。

 と言うより巻き込まれた。

 

 だけど味方である自衛隊が想像以上に怪物になっていたので戦闘は楽なもんだ。

 

 ほぼ敗残兵狩り状態であり、シエリアは「帝国はこんな化け物たちと殺し合おうとしてたのか」と苦笑しつつ汗を流す。

 

『真っ赤のアインブラッドタイプ確認!!』 

 

『星マークがある緑色の戦車と一緒――フロンティアを滅ぼした赤い悪魔か!?』

 

 アインブラッド。

 パワーローダーにおけるガンダムみたいなもんである。

 

 現れたのは全身真っ赤なアインブラッド。  

 

 両肩にブースターシールド。

 背中にもブースター。

 四本角の鬼のような顔。

 全身特殊合金製で動力炉も特注。 

 

 武器は装着者の性格ゆえか格闘戦を好み、これまた特殊合金製のハンマーやら斧、時には日本刀で荒々しく敵を殺して回る。

 

 ついた渾名は『赤い悪魔』。

 

 フロンティアを滅ぼした存在。

 

 元日本の高校生、加藤 圭一が身に纏う、アインブラッド・ジ・オーガである。

 

 

『オーバーホール終わったばっかなんでな!! 試し運転させてもらうぞ後継者ぁ!!』

 

『ヒッ!?』

 

 そう言って手短な敵の一体のパワーローダーの顔面を握って地面に叩き付け、そのまま頭部を特殊合金船の工具のハンマーに似た鉄の塊を胴体に躊躇いなく振り下ろす。

 

『とったぁ!!』

 

 ガッシャア!!と鉄が砕け散る音と、肉片が装甲内でぶちまけられるブチャッというグロい音が響く。

 

『続けて行くぞ!!』

 

 それだけに留まらず二体纏めてハンマーで叩き潰したり、時にはパワーローダーの出力任せにパンチで顔面を叩き潰したり、踏み潰したりと残虐ファイトを繰り広げる。

 

 とても日本で普通の高校生やってましたとは思えない荒々しい戦い方だ。

 

『接近戦に持ち込まれるな!! 近付かれたら終わるぞ!!』

 

『しかし――』

 

 敵にはベテランからエース格が勢揃いしている状態だ。

 

 狙撃から全く想定外だった電子戦まで仕掛けられる状況で赤いアインブラッドタイプだけに火力を集中させるわけにはいかなかった。

 

『て、敵の重火力型確認!! こっちに来ます!!』

 

『な――』

 

 その姿を見た時、誰もが戦慄した。

 

 ゴリラのように厳つくて重火力、重武装の黒いパワーローダーが現れた。

 いちおう日の丸のエンブレムに自衛隊と言う文字が刻まれている。

 

『ここが正念場だ!! 一気に押し潰すぞ!!』

 

 そう言ってゴリラのような重武装のパワーローダーを纏った自衛官はホバー移動で見た目以上の軽快さを発揮しつつ、全身の火器を解放する。

 

 背中、右側のキャノン砲、左側のミサイルコンテナ。

 胸部のレーザーバルカン。

 両肩の二連装ビーム砲。

 両腕の外付け式ガトリングガン。

 右腕のビームランチャー、左腕のレールガン。

 

 かつて加藤 圭一が使っていた装備セットに改良を加えたものだ。

 

『ロックオン警報!?』

 

『こんなところであんな化け物つくりやがって――』

 

『そんなこと言ってないで撃ち殺せ!?』

 

 そう言って反撃を加えようとするが先述したとおり敵の皆さんがチート揃いでそうも行かず――

 

『発射!!』

 

 一斉に火器が発射される。

 次々と日本の後継者のパワーローダーが蜂の巣になり、ミサイルやキャノン砲の爆風に飲み込まれ、あるいは二連装ビーム砲、ビームランチャーとレールガンで貫かれていく。

 

『後退!! 後退しろ!?』

 

『上空支援はどうなってる!?』

 

『あの緑色のパワーローダーがこっちぃに!?』

 

『く、くるなああああああ!?』

 

 状況は後継者サイドの完全な劣勢。

 

 敗走するのにそう時間は掛からなかった。 

 

 

 

 

 Side 世紀末自衛隊 駐屯地周辺 上空

 

 

 ここでは航空自衛隊の戦闘機や陸上自衛隊の飛行可能なパワーローダーが飛び回っていた。

 

 地上からの航空支援も優秀である。

 

『あれが戦闘機の動きだと!?』

 

『空軍に力を入れてこなかったツケがこれか!?』

 

 日本の後継者にとって想定外だったのは敵の戦闘機だった。

 

 黒塗りのFー4戦闘機のカスタム機。

 カラスのエンブレム。

 

 レイヴン1。

 

 間違いなくエース級の腕前で――日本の後継者が用意した無人戦闘機を次々と撃墜している。

 もう一機の独自開発したと思わしき未来的なフォルムの戦闘機も凄腕だ。

  

 いくら自分達のパワーローダーが高性能でも無人戦闘機を撃墜できるようなスーパーエースの戦闘機を相手にするには分が悪い。

 

 ドッグファイトに持ち込めば勝機はあるがこの土地の自衛官は強い。

 

 そんな真似はせずともスピードや限界高度を活かしたヒットアンドアウェイ戦法を使用されれば負ける。

 

 そう判断した日本の後継者の部隊は撤退を判断した。

 

『こちらレイヴン1。敵部隊後退していくぞ』

 

『こちらウェザーリポート。敵の撃退に成功したようだレイヴン1――この土地では有利に戦えているが本土の方は苦戦中らしい』

 

『だろうな――ともかく基地に帰投する』

 

 二機の飛行隊、レイヴン隊は基地に帰投する。 

 

 

☆  

 

 

 Side 朝田 泰司

 

 戦闘は一旦終結。

 

 そして夜が更け、世紀末の基地の駐屯地の会議室で朝田はある計画を聞いて愕然とした。

 

「アナタ達は国の目を盗んでそんなことしてたんですか!?」

 

 と。

 

 朝田大使が今いる会議室には隊長格や基地運営に不可欠な人材が揃っている。

 

 その中には基地司令なども当然いる。

 

 かれらから聞いた計画――日本の後継者やフロンティアの連中と決着をつける計画。

 

 

 ようは上(政治家)の命令を無視して勝手に行動して潰しに行こうぜという計画だ。

 

 

「正気か君達は!?」

 

 

 その内容に朝田 泰司は唖然とした。

 

 

 しかもその計画は日本本土の人間も一枚噛んでいるらしい。  

 

「なあに。君も見ただろう? この土地の人々も全員が全員、自分さえよければ他はどうでもいいと言う考え方じゃない」

 

「確かにそれは――」

 

 と女性自衛官――佐伯 麗子は言う。

 朝田もそれは見てきたので反論できなかった。

 

「今や日本の後継者は近いうちに復活するらしい古の魔法帝国と同じぐらいの脅威だ。打倒に協力してくれる人は多いのさ」

 

 朝田 泰司はすかさず「君達はヘタすれば反逆者扱いだぞ? 最悪日本を敵に回すことになる――」

 

 と、そこまで言って朝田は深い溜息を吐く。

 

 「だけどそうなったらそうなったらで君達は君達で、自分の力で生きていくんだろうな」と勝手に一人観念した。

 

 朝田も命懸けでこの土地を見て回ってはいない。

 

 例え滅んだ世界だとしても、よりよい生活を目指して前に進み、賢明に生きる人々を見てきた。

 

 この土地は豊かとは言えないが、人は逞しい。

 

 ――良くも悪くもどうやら自分もこの土地に感化されたらしい。

 

 朝田はそう思った。

 

 そんな朝田に構わず佐伯は

  

「まず最初にこの土地にいる連中から片付けるぞ」

 

 と締めくくった。  



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ロボットアニメのテンプレてきな

 

 

 日本の後継者やフロンティアの残党。

 

 そして日本を快く思わないこの世界の勢力たちも合流。

 

 その勢力は拡大していき、もはや世界規模の脅威となりつつあった。

 

 それは日本とて例外ではない。

 

 日本の後継者にとって現在の日本(正確には日本政府の左寄りの人達やその傘下の連中)は自分達が忌むべき日本その物である。

 

 既に関東圏内外で散発的な戦闘は始まっている。

 

 日本本土を電撃的に制圧し、日本の首都決戦まで秒読み段階になりつつある。

 

 国外脱出する政治家の姿も少なくはない。

 

 日本海もほぼ勢力圏となっていた。

 

 

 そんな情勢下で日本の後継者はある反撃作戦の計画を知り、ある軍事施設に攻撃を開始した。

 

 

☆ 

 

 

 Side 日本の後継者

 

 

 昼間になろうと言うタイミングで堂々とした襲撃。

 

 民間施設に偽装はしているが隠れた重要軍事拠点であるせいか、戦力はある。

 

 旧式の無人ロボットやパワーローダーをレストアして運用した装備――日本の後継者からすれば博物館にありそうな自衛隊の装備達。     

 

 陸上戦艦を中心にパワーローダーやロボット部隊などを部隊単位で運用している日本の後継者達の被害は皆無だ

 

『他愛ない――違う世界とはいえ、これが同じ日本人だとはな』

 

『我々の目からすれば敵の装備も博物館送りの代物ばかりですからね。いくら腕がよくてもどうにもなりませんよ』

 

『気を抜くな――我々の任務はここにある新型のパワーローダーを奪取することだ』

 

 と、周囲を警戒する後継者側のパワーローダー部隊。

 

『こんなんでよく戦うつもりになったな』

 

『まったくだ』

 

 周りには自衛隊のパワーローダーが転がっている。

 酷い物だと動力炉に直撃して粉々になったのもあった。 

 

 基本自衛隊のパワーローダーは滅んだ日本が使っていた四型、別の生産ラインで建造された09式。

 

 自分達は四型の最新型モデルの八型を指揮官機として七型を量産期としている状態。

 

 さらにフロンティアの高性能兵器群などで身を固めている。 

 

『敵の立場からすれば俺達は地球外から侵略した宇宙人に見えてんじゃないのか?』

 

『かもな』

 

 などと楽勝モードが漂っている。

 

 戦闘は施設周辺や上空、そして施設の中にも及んでいる。

 

 もうこうなってしまったらパワーローダーの独壇場だ。

 

 パワーローダーが一番その戦闘能力を発揮できる場面は専門家によって様々だが自衛隊との戦いでは市街地や建造物内部との戦いに持ち込めたら勝ちは確定である。

 

『それにしても施設の内部、派手にやっているようだな?』

 

『それにしては爆発が起きすぎているような――』

 

 新型のパワーローダーを開発していると言われたが、「そんなに大した物ではない」と、みな高を括っていた。

 

 だが突然――自分達の部隊が突入した大型のハッチが吹き飛ぶ。

 

 爆発の前にビーム兵器が上空を過ぎ去っていった。

 

 想像以上の破壊力だ。

 

『こちら突入班!! 聞こえているか!?』

 

『なにがあった!?』

 

『敵のパワーローダーを確認!! アインブラッドタイプも複数確認した!!』

 

『なんだと!?』

 

 アインブラッドタイプ。

 

 日本の後継者やフロンティアを滅ぼした要因となった怪物と呼ばれる機種。

 

 それを何台も製造していた?

 

 この未だに平和ボケが抜けきってないもう一つの日本が?

 

 その事実に驚愕した。

 

『作戦は失敗!! 敵のパワーローダーは全機起動した!! パワーローダーを全て破壊しろ!!』

 

 その報告に外に展開していた日本の後継者達もハッとなって戦闘態勢に入る。

 

 デスクワーカー、データーオタク気味なところがあるフロンティアの連中も動きが慌ただしくなった。

 

 

☆ 

 

 Side 社会科見学で訪れて戦いに巻き込まれた学生たち

  

  

『アレが新型か!?』

 

『外見だけじゃない! 武装も光学兵器にレールガンにレーザーを詰んでる!』

 

『動力もタイプすら違う奴も混じってるぞ!?』

 

『アレは戦車の一種か――ともかく破壊するぞ!!』

 

 広い施設内の空間。

 

 パワーローダーにとっては多少狭苦しく感じる空間内で激しい戦いが繰り広げられる。

 

 まさか敵側も社会科見学中に巻き込まれた民間人達だとは思ってはいない。ロボットアニメのテンプレみたいな展開である。

 

 パワーローダーの外観も――社会科見学に訪れていた学生――特にガンダム好きからすれば「どこかで見たことある外観」だった。

 

 

 ――まあ作者から言わせてもらえばメカのデザインは出尽くしている感があるから斬新で新しいデザインは不可の(ry

 

 

『なに? 制作者はガンダムを見ながら制作したのか?』

 

『いや~開発者がもう一つの日本の方なのですが思いのほか嵌まってしまったようで――』

 

『だからってGNドライヴとか産み出すか普通? なに? ここに籠もってなろう系みたいなことしてたの?』

 

『恐らくですが――』  

 

 などと巻き込まれた学生達はなかば現実逃避しながら戦っていた。

 

 

 巻き込まれたのは大まかに分けて二校の生徒たち。

 

 流されるがままに各学校の人間がパワーローダーを身に纏って戦っている。

 

 

 もう一方の学校の生徒はストライクノワール、サザビーやらフリーダム、ウイングゼロまでいる。

 

 そして自分達の学校はガンダムOO系が多い。

 

 開発者はなろう系チートを持った名人カワグチ(ビルドファイターシリーズの登場人物)かエルネスティ(ナイツマの主人公)か何かだろうか。

 

 

 まあ世紀末の方には既にアルトアイゼンとかスコープドッグとかいるし今更感があるが。 

 

 

 先程から愚痴っている、黒いレッドウォーリアーことライトニングウォーリアーを身に纏っている生徒は さらに別の格納庫の方を見る。

 

(ここの開発者、なに作ってやがんだ?)

 

 出るわ出るわ趣味で開発した思わしきパワーローダーが。

 

 ガンダム系だけでなく、フルメタルパニックやらボトムズやらダグラム、Falloutの再現機体――数えたらキリがない。

 

 ともかく相方のガンダムケルディムサーガ(パワーローダーサイズ)と一緒にこの状況を乗り切ることを選択する。

 

 

 敵は七型、八型パワーローダー。

 

 フロンティア側はゴリアテ、無人パワーローダーのターミネーターまで投入されている。

 

 そこに各種戦闘ロボットまで加わり、戦いは乱戦となっていく。

 

 

 

  

 Side 日本の後継者

 

 

『内部の突入部隊は苦戦中!!』

 

『増援部隊がこちらに――』

 

『陸上戦艦の砲撃を準備させてます!!』

 

 思わぬ苦戦に後継者サイドも混乱が起きる。

 

 ここまでろくに苦戦らしい苦戦をしたこともなかったのもあったが。

 

『巨大構造物が地下から――アレは――戦艦!?』

 

『こいつらこんな物まで作っていたのか!?』

 

 さらに隠れていたハッチから戦艦らしき構造物が現れて慌てる日本の後継者たち。

 

 同時に自分達が突入したハッチから次々と新型のパワーローダーが出てくる。

 

 同じ機種が一機たりとも存在しない。

 

 新たに現れた敵のパワーローダーは空中を自由に飛び回り、地面を滑るように移動する。

 

 後継者達はガンダムなんてしらない。

 

 ただアインブラッドタイプに似ていることしか分からない。

 

『こんな馬鹿な!? こんな馬鹿なことがあってたまるか!?』 

 

 これまで無敗を誇っていた自分達が次々と狩られていく。

 

『クソッ――撤退だ撤退!! 陸上戦艦にこの辺りを砲撃させろ!!』

 

 日本の後継者達は撤退を選択することになる。

 

 同時に施設は壊滅。

 

 

 そしてもう一つ極秘に建造されていた空中戦艦に逃げ込んでいた学生達はこのあと、なぜか味方である筈の日本政府にも「和平の邪魔をした」、「平和が遠退いた」として「国家反逆罪」で追われることになる。

 

 流石の学生達も「ふざけんなボケェ!?」となったままその場から離れることになった。

 

 

 



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基地強襲 前編

 

 

 Side 佐伯 麗子

 

 まず最初にありがとう。

 

 ここに集まって来てくれたと言う事は愚行に付き合ってくれると言うことだからだ。 

 

 今回のミッションは日本の後継者の大規模拠点、製造工房を兼ねた基地攻略を行う。

 

 ここを攻略すればそれだけで大打撃を与えるだけでなく、我々にとっても大幅な戦力増強になる。

 

 もちろん敵の規模もそれ相応だ。

 

 基地周辺は砲台だらけで航空支援は期待できない。

 

 段取りは――

 

 ・・・・・・

 

 ・・・・・・・・・・・・

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 と、まあこんなところだ。

 

 各員準備を怠るな。

 

 

 

 

 Side 緋田 キンジ 二尉

 

 夜中。

 

 パワーローダーを身に纏いながら俺達は輸送機の中で待機していた。

 

 ついに俺達は決断した。

 

 クーデターと取られても仕方のない行動を。

 

 日本政府の命令を無視し、独自の作戦行動を起こす。

 

 無事懲戒免職だかで済めばいい方で、いっしょう命を狙われる身になりそうだ。

 

『つかキョウスケ。お前は家族を養うために自衛官になったんだろうが。いいのか?』

 

 トコトンくされ縁の相方、宗像 キョウスケにそう言った。

 俺は親への復讐目的で自衛隊になったがキョウスケは家族の生活費云々とか絡んでたはずだ。

 

『正直、ずっと迷ってたが――正直決断遅すぎるぐらいだろ? 命を狙われた時点で反旗を翻してもいい条件は整っている』

 

『それもそうだが――』

 

『なあに。こっそり日本に帰った時に手は打っておいた。あの女上司(佐伯 麗子)もタマには役に立つ』

 

『まあそう言うならいいんだが』

 

 どうやら俺達の知らないところで色々と手は打っていたようだ。

 

 

 

 

 パワーローダーも独自開発した新型を使用している。

 

 以前までは四型、09式。

 

 もっとそれ以前は現地調達した年代も製造国もバラバラなパワーローダーを使用していたりした。

 

 酷い時はジャンクローダーやパーツがバラバラなキメラローダーと言えるような奴を使っていたが――

 

 現在はNextー01と言う新規開発されたヒロイックな外観かつ共通規格のパワーローダーを使用。

 

 中には特注の奴や、アインブラッドタイプ――いわゆるガンダムタイプみたいな奴――を製造したりしていた。

 

 野盗やサメやらゾンビやらミュータントやら暴走兵器を倒しまくった御蔭で治安がよくなり、物の流れがよくなった御蔭である。

 

『既に宮野一尉たちが戦闘を開始している。遅れるなよ』

 

 と、自分達の上司である佐伯 麗子から連絡がきた。

 

 俺はアインブラッドタイプのつけ心地を確かめながら言う。

 

 

☆  

 

 

 アインブラッド・グレイハウンド。

 

 二本角、緑の二つ目のグレーカラーのアインブラッド。

 背中にキャノン砲、ミサイルコンテナ、レーダーレドーム、ブースターのゲテモノとんでもパック。

 両肩にもセンサー機器がある。

 胴体にはレーザー機銃だ。

 両腕には内蔵式の重機。

 サイドスカートの部分にアームユニットが連結されブースターが備え付けられている。いわゆるマブラヴの戦術機式だ。

 シールドにもセンサーカメラ。

 手にはビームライフル。

 

 一言で言えば「馬鹿じゃねえの?」ってぐらいの機体コンセプトだ。

 正直使い辛い。

 まあ性能は確かだが。

 

 キョウスケのはNextー01の改良型。

 

 両腕にビームマシンガン。

 右肩にスモークーディスチャージャー、左肩にシールド。

 背中からはアームユニットに接続されたディフェンダーバインダーが搭載――まあバリア発生機みたいなもんか。

   

 これを機に隊員達はみんな、ハウンド隊を名乗り、グレーのカラーに猟犬のシンボルマークをつけるようになった。

 

 

 

 

 =深夜・基地北側=

 

 

『降下完了――早速敵さんのお出ましだぞ』

 

 基地の北側――岩肌の崖や砂利の荒野にキョウスケの言う通り、次々と敵がやってくる。

 

 無人パワーローダー。

 戦闘ロボット。

 小型無人戦闘機。

 

 そこにフロンティア制やら日本の後継者制のパワーローダーや戦車がやってくる。

 

『最悪だ――化け物まで引き寄せられてきた』

 

 運が悪い。

 重武装したオーガの連中がやって来た。

 簡単な言語を喋るが人間を殺して回る恐ろしい奴で『いいオーガは死んだオーガだけ』と言う連中だ。

 

 基本、脳筋だが体は頑丈で馬鹿力で侮れない連中である。

 あと平然と携帯式核爆弾による自爆テロをかましたりする。

 

『こちら――グレイハウンド隊――核爆弾による自爆テロを受けた。損害軽微――ああクソ、とにかく前進だ前進』

 

 だからオーガの相手はいやなんだ。

 Falloutのスーパーミュータントかテメェ。

 

『俺もう帰りたいんですけど――』

 

 部下の言いたい事ももっともだが――

 

『ルーキー、気持ちは分かるがヘタに敵から距離を離したら基地や陸上戦艦から砲撃が来るぞ。このまま突っ切る』

 

『了解――』

 

 と言っ部下のて軽口を返して突撃する。

 

『無人機では歯が立たないか!?』

 

『手が空いてるパワーローダー部隊を敵増援部隊に投入!! フロンティアの傭兵も投入しろ!!』

 

 敵も必死だ。

 

 それよりも無線傍受で"フロンティアの傭兵"と言う単語を聞いた。

 

『フロンティアの傭兵って――』

 

『――今や世界各地で活動している戦争の犬どもか』

 

 俺の疑問に佐伯 麗子が答える。

 フロンティアの傭兵。

 基本は専用のパワーローダーを身に纏った連中を指す言葉だ。

 

 何度か戦ったが単機の戦闘能力が高く、腕利き揃いで油断できない。

 

『言ってる間に来たぞ!! 二機だ!!』

 

 キョウスケの言う通り、反応が二機高速で接近してくる。

 赤い機体と黄色い機体。

 

 赤い機体は流線的なフォルムの機体。

 右腕にライフル、左腕にレーザーの刃を形成するブレード発生器。

 左肩にレーダー、右肩にミサイル。

 

 黄色い機体は重装甲で鈍重な感じだ。

 右腕にマシンガン。

 左腕にショットガン。

 両肩にミサイル。

 

 外見で分かるのはこんなぐらいだ。

 

『データー照合、フロンティアのデーターベースにあった。赤い機体はレッドストライク、黄色い重装甲型はアヴァランチ。二人一組の傭兵だ。この他にも傭兵を雇っているみたいだ』

 

『了解――』

 

 日本の後継者もフロンティアも残党の筈だ。

 

 それにしては羽振りが良すぎる。

 

 陸上戦艦といい、この基地の設備や兵器の配備数といい、グラ・バルカスやパーパルディア、リーム、ロウリア王国の反日本勢力だけではなく、自分達がいた日本のお偉方が一枚噛んでる可能性も濃厚――。

 

(まあそれは考えるのは後だ!!)

 

 俺は『散開!!』を命じた。

 

 敵の二機はは空中と地面をバッタのように往復するように飛び、ある時は地面を滑走し、あるいは上下左右に縦横無尽に飛び回る独自の機動で戦闘を行う。

 

 パワーローダーに許された戦闘機動だ。

 

『アインブラッドタイプ――この部隊の隊長格か!?』

 

 相手の赤いパワーローダー、レッドストライクが自分のグレイハウンドを見て驚くが―

 

『女――それも子供が乗ってるのか――』

 

 俺はその事実にげんなりした。

 

 今回は連れてきてないがこの土地で知り合ったリオを思い出す。

 

 声からしてまだ十代ぐらいだろうか。

 

 味方どころか野盗にもそう言う年齢の子はいたがよりにもよってこのタイミングで――だとか思った。

 

『女で子供で何か悪い!? そう言うのムカツクんだけど!?』

 

『チッ――こっちの気も知らないでバカスカ撃ちやがって!!』

 

 巨大ロボット同士の戦闘ならある程度加減はできるだろうがパワードスーツ同士の戦闘で加減などできない。

 

 右腕が吹きとんだら人体の右腕が吹き飛んでそのまま致命傷になるわけだから。

 とうぜんだが脱出装置などと言う気の利いた物は搭載されていない。

 

 つまり殺すしかない――そもそも手心を加えれば逆に殺されてしまう状況だが。

 

 だが不意打ち気味に女の子の少女と遭遇したせいなのか、どうしても心に踏ん切りがつけられなかった。

 

(そう言えば――)

 

 ふとある事を思い出す。

 

(そういや確かフロンティアの傭兵が使うパワーローダーは装甲にエネルギーを巡らせているから――あるいは――)

 

 などと考えていた。

 フロンティアの傭兵が使うパワーローダーはアインブラッドタイプとはまた違う意味で特別製だ。

 勉強しておくもんだと自分を褒めて攻撃の手を強めた。

 

『こいついきなり強気に――ジェリー、援護を!』

 

 レッドストライクが相方に応援を要請するが――

 

『だめ!! 自分の事で手一杯!!』

 

 黄色い方――アヴァランチもキョウスケ達が抑えている。

 幾ら重装甲型と言えども無敵の鎧と言うワケではない。弾幕の雨を浴び続ければいずれ機能停止になる。

 

 てかそっちも女の子かよ。

 

『こちらグレイ2(キョウスケのコールサイン)。少しでも攻撃の手を緩めれば反撃される! 早い内に勝負を決めてくれ!!』

 

 キョウスケの言う通りアヴァランチの装着者はブーストアクションを決めながら攻撃を回避し、時には防ぎ、被弾覚悟で反撃している。

 

 この均衡が崩れればどうなるかは分からない。

 

『悪いが決めさせてもらうぜ!!』

 

『ッ!? まずい!!』

 

 俺は距離を空けて全火器を解き放つ。

 

 キャノン砲。

 ミサイル。

 胴体レーザー機銃。

 両腕の機銃。

 手のビームライフル。

 

 相手は退避行動に移る。

 

『おいおい派手にやるじゃねえか――この後、基地攻略控えてるの忘れてないか?』

 

 と、キョウスケに言われた。

 俺は『一応その辺は考えておいた』と返す。

 

(宮野一尉も心配だけど時間かけられないしな)

 

 彼達は心配ではあるが、この作戦は時間をかければかけるほど此方の戦力が敵に把握され、さらには相手が基地を爆破すると言う最悪のシナリオ展開がありえる。

 

 相手が少女とは言え、フロンティアの傭兵。

 

 ヘタに放置すれば挟撃になるので多少のゴリ押しはやむおえないと思った。 

 

『敵は撤退したんでしょうか――』

 

 と、ルーキーが言うが俺は『いや、違うな』と一蹴する。

 

『あいつら無駄にプロ意識が高そうだからな。基地で態勢を建て直して待ち構える算段なんだろう』

 

 キョウスケは『俺もその考えに賛成』と同意した。

 

『ともかく先に進もう』

 

 

 

 

=フロンティア軍事基地近辺=

 

 

『見えてきたぞ。悪の要塞が』

 

 キョウスケが言う悪の要塞――兵器製造プラントでもあり、同時に軍事基地でもある敵基地。

 

 既に戦闘が開始されており、各種砲台にマンモスと呼ばれる四つ足の歩行兵器、空と地上で展開している無人ロボットにパワーローダー部隊。

 

 俺や宮野一尉とは違う、他の部隊と交戦中のようだ。

 

『情報通り陸上戦艦まであるな――』

 

 巨大砲台代わりの陸上戦艦の姿もあった。

 陸上戦艦は強力だがその火力や図体が災いするケースが多々ある。

 

『そう言えばキンジ、宮野一尉の部隊は?』

 

 キョウスケにそう言われて俺はげんなりした。

 

『それが――なんか巨大なワニと遭遇して今忙しいとか――』

 

『ああそうか――』   

 

 それだけで察してしまった。

 今頃巨大ワニと生死を懸けた死闘をしてるんだろうな。

 

 ぶっちゃけ日本の後継者よりもワニやサメとかの方が強いからな。

 あとナチスやトーマ○もヤバイ。

 

 なんか段々と古の魔法帝国戦が消化試合感が漂ってきてるのはなんでかな~?(棒) 

  

 

 

 

 Side 日本の後継者 基地司令

 

 司令室には凶報が次々と舞い込んでくる。

 

 陸上戦艦にパワーローダー部隊や無人ロボット部隊、フロンティアの部隊にフロンティアの傭兵、難攻不落の防御設備。

 

 侮っていたわけではないが、想像以上に敵が手強く、状況は基地施設内の乱戦になっている。

 

 そこに追い打ちをかけるようにアンデッドやオーガ、漁夫の利狙いの野盗、さらには巨大生物やら暴走兵器が突っ込んで来たり、さらにはコッソリとハーケンクロイツのマークをつけた連中の姿が確認されている。

 

 まるでこの土地の縮図のような状況だ。

 

 軽く地獄である。

 

 てかなんだよハーケンクロイツの連中、どっから湧いて出た。

 

「仕方あるまい。切り札を出すか――」

 

 この混沌とした状況に終止符を打つため司令は決断した。

 

 

 

 

 Side 緋田 キンジ 二尉

 

 

 機動兵器マンモスは強力な装甲と重火器、突破力があるフロンティア制の機動兵器だ。

 

 他にもトータスホバー戦車などのこれまたフロンティア制の戦車まで出てくる。

 トータスホバー戦車はベストセラー兵器で色んな勢力で使われていて俺達も重宝していた。

 

『しかし偉い豪華な状況だな』

 

『まあな』

 

 キョウスケの言う通りだ。

 

 宮野一尉の部隊は遅れているが変わりに木之元 セイなどの外部協力者の部隊が次々と蹴散らしている。

 

 木之元 セイさんは核戦争で滅びる前の日本で東側の大部隊相手に戦い抜いた二つ名持ちのエースであり、コールドスリープして目覚めて一度日本の後継者を滅ぼしたのち、現在は仲間と一緒に日本の復興に尽力している。

 

 一緒に戦ってくれているのはその一環だ。 

 

 今もアインブラッドタイプ――ガンダムエクシアにアストレアタイプFのパーツと武装を組み込んだような重武装のパワーローダーを着込んでいる。

 

 周りを固めているのはピンクのごっついパワーローダーやらアメリカを誇張したような派手なカラーリングのパワーローダー。

 ロボットやらアンドロイド娘、AIのパワーローダー、サイボーグの部下、ヒノモト(核戦争で滅んだ日本に存在する小国)の第1201小隊の面々などだ。

 

 後方には醒やNUSA(二つともヒノモトと同じ滅んだ日本に存在する小国)などの部隊も控えており――この荒廃した日本の三代国家による豪勢な軍事作戦となっていた。

 

『艦長!? 敵の部隊が!?』

 

『応戦しろ! 基地より先に沈められるワケにはいかん!』

 

 いつぞやみたいに陸上戦艦もパワーローダーの大型のビーム砲で艦橋を吹っ飛ばしたりしなくてもスズメバチに集られた人間のような状況になっている。

 

 長くは保たないだろう。

 

『数が多い!?』

 

『クソ――増援はまだか!?』

 

『ダメだ――戦闘継続が――』

 

 フロンティアの傭兵連中も敵の数や質に負けている状況だ。

 

『みな大判振る舞いだな』

 

『それだけ日本の後継者やフロンティアを脅威に感じてんだろう』

 

 まあ他にも理由はあるかも知れないがそう言うことにしておこう。

 

 戦況は優位。

 

 このまま行けば――と思ってしまう。

 

『気をつけろ!! 地下からなにかくるぞ!!』

 

 佐伯 麗子の警告。

 

 遅れて巨大な地面のハッチから敵の部隊がせり上がってくる。

 

 三機の特徴的なアインブラッドタイプ。

 

 十二機の量産型アインブラッドタイプ。 

 

 そして青い戦闘機のようなシルエットの兵器。

 頭部やアームユニットがついていてロボット然としている。

 その場で空中に浮き上がり、護衛機と思われるパワーローダーや小型無人戦闘機達と素早く空へと飛翔。

   

 更に各所のハッチから兵器が競り上がってくる。

 

『どうやら敵さん、勝負に出たみたいだな』

 

 キョウスケの言葉に俺は『ああ』と返した。 

 



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基地強襲 後編

完結させる覚悟を決めて投稿します。


 

 =日本の後継者基地周辺の上空・空中管制機アルバトロス=

 

 Side 佐伯 麗子

 

 垂直離着陸可能な純白の大型航空機。

 

 機体に備え付けられたレーダーで空中から指揮もできるすぐれ物。

 

 名をアルバトロス。

 

 かなり不吉な名前に感じるのは私だけではないはず――

 

 そこの機内には様々な情報が送られてくる。 

 

(控えめに言って地獄だな――)

 

 味方が壊滅とか全滅寸前とかではなく、戦いの内容がである。

 

 自分の事をクソ上司呼ばわりしているあの二人率(キンジ、キョウスケ)いるハウンド隊は敵の新型機の部隊と交戦中。

 

 これも緊急事態だが、ナチスやら巨大なワニやら野盗、ゾンビ、ミュータントたちの襲撃まであるのだ。

 

 特に巨大なワニと戦っているらしい、宮野一尉や三木二尉たちは大丈夫だろうか(白目)

 

(――ともかく今は彼達の作戦成功を祈るしかないか)

 

 この作戦は"基地の破壊"ではなく、"制圧"が任務だ。

 

 その作戦の要となる彼達がもっとも重要な役割なのだ。 

 

 

 

 

 =日本の後継者 基地・地下司令室=

 

 

 Said 日本の後継者 基地司令

 

 

「この基地を爆破する」

 

 私は決断した。

 

 敵は想定を遥かに超える規模と戦力を有している。

 

 アインブラッド部隊や新型機で覆せるような状況ではない。

 

「本気ですか司令!?」

 

「ああ。本気だとも――他の非戦闘要員は基地から脱出しろ。脱出の手順はそれぞれ伝える」

    

 この土地で敗走すると言うのは死に等しい。

 

 道中で野盗や化け物どもに遭遇する可能性が高い。

 

 と言うかなんだあのハーケンクロイツの集団は。

 どこから現れた?

 

 ともかく最悪の事態は避けねばなるまい。

 

 

 

 

 =基地内部=

 

 

 もう一つの日本へ日本政府が部隊に派遣した際、現地での情報を知って危機感を覚えた政府の人間は特殊部隊を幾つか創設、あるいは送り込んだ。

 

 その一つがアポカリプスウォーカーズである。

 

 

 Side アポカリプスウォーカーズ 隊長

 

(なんか初めて特殊部隊みたいなことしてるな――)

 

 などと思いながら俺は部下を率いて基地内部に潜入する。

 上と自分の読み通りならここの連中は基地を爆破するだろう。

 

 そこをヘルダイバーズや第0部隊と一緒に手分けして制圧する。

 

(この土地は確かに危険だが隙がないわけではない――)

 

 もう一つの日本は確かに危険だ。

 

 そこに住まう日本の後継者の軍事力、技術力も確かに高い。

 だが日本の後継者は言わば残党化していて平均的な練度が落ちているように感じる。

 

 こうして基地の奥深くまで潜入できたのがその証拠だ。

 

 次々と敵を無力化していき、内部を突き進む。

 

 

 

 =日本の後継者 基地敷地内 =

 

 Side 緋田 キンジ 二尉 

  

『敵の数が多い!? てかあのブラッドタイプの軍団なんなんだ!?』

 

 キョウスケの言う通りだ。

 腕も装備も確かで張りぼてではない。

 

 だが若干連携に大雑把な部分がある。

 

 特に三機で一塊の方――飛行型、遠距離型、防御重視型?――は既視感を覚える外観で特に連携がメチャクチャだ。

 味方とか基地の被害とか考えてない部分も感じられる。

 

 まあその御蔭で助かってるわけだが。

 

(問題は空中のデカイ奴だな――)

 

 普通の戦闘機の倍近いサイズでロボットの頭部とロボットアームを載っけたような奴だ。

 

 ミサイルをバンバン撃ってレーザーの雨やら高火力のビーム砲を搭載していたり――マトモに攻撃を受ければパワーローダーでも一溜まりがないだろう。 

   

『こちらレイヴン隊――上空の奴は任せろ』

 

『おお、待ってましたレイヴン隊!?』

 

 思わず俺は声をあげる。

 

 レイヴン隊。

 腕利きの戦闘機パイロット隊だ。

 たったの二機だが頼もしいエースである。

 

 上空の脅威だけでも減るのならありがたい。

 

『あのデカブツとやり合うぞ!! 左右から挟み込めレイヴン2!!』

 

『了解!!』

 

 そして左右に別れて一気に仕掛ける。 

 素人目でも分かるぐらいに綺麗で鋭い戦闘機動だ。

 それを脅威に感じた上空のゲテモノ戦闘機ロボと護衛機達はレイヴン隊を相手にするつもりのようだ。

 

『問題は地上の新手のパワーローダー、それもアインブラッドタイプ――ガワだけだと思ってるが――』

 

『中身も性能も一級品だ――』

 

 バリア持ちで空中や地上を駆け回り、連携して追い込んでくる。

 あの特注の三機とは違って十二機もいた。

 

 殺されないようにするだけで手一杯だ。

 

『おいキンジ!? なんか迫ってくるぞ!?』

 

『うわあああああああ!? なんだありゃ!?』

 

 そんな時、白い巨大なワニが――大体戦闘機ぐらいのサイズかな。

 敵味方とか関係なくワニが襲い掛かってくる。

 てか光線吐いてるんだけど。

 

 最近のワニは凄いなぁ――(白目)

 

『こいつアレだ。宮野さん達が相手してた例のワニだ・・・・・・』

 

 と、キョウスケが言う。

 たぶんヘルメットの中は死んだような目をしているんだろう。

 

『ハイルヒトラー!!』

 

『おい、なんか聞こえたぞ!?』

 

 その掛け声と友に漆黒の軍服にヘルムにガスマスクをつけた連中が雪崩れ込んできた。

 

『やばい!! ナチスだ!!』

 

 キョウスケの言葉に俺は心の底から『どっから湧いて出やがった!?』と叫んだ。

 

『ナチスはどっからでも現れるんだ――月面とか火星とか平行世界、近所の山奥とか海底、南極や北極、地底――』

 

『おい、キョウスケ!? しっかりしろ!! なんか呪いの魔導書読んだ人みたいになってるぞ!?』

 

 しかも地響きを建てて超巨大戦車まで現れた。

 上空にはハーケンクロイツのマークがついたUFOまで。

 パワーローダーまである。

 

 まだ古の魔帝国とかの方が100倍マシだ。

 

『ハイルヒトラーハイルヒトラーやかましいわ!! ナチスなんてクソ食らえだ!! いいナチスは死んだナチスだけだ!!』

 

『それについては同感だキンジ!!』

 

 もう頭来た。

 日本の後継者もワニもナチスもぶっ殺そう、そうしよう。

 

 

 戦いは混沌を極めた。

 

 上空ではレイヴン隊が敵の新型ゲテモノ戦闘機ロボと激戦を繰り広げ。

 

 特注の三機の方は木之元 セイさんとその仲間達が。

 

 十二機の敵の方は俺と合流した宮野一尉たちと一緒に戦うことになった。

 

 宮野 ヒデト一尉もアインブラッドタイプだ。

 

 フルアーマーガンダムみたいと言うかその物だ。

 

 背中右側のキャノン砲、左側にはセンサー類。

 右手の二連装シールドビーム砲とか。

 肩にはミサイルコンテナがあったらしいが投棄したらしい。

 

 宮野さんの相方の三木 ケイイチさんは俺の相方のキョウスケも身に纏っているNextー01の狙撃戦仕様機である。

 

 

 ともかくワニとナチスの増援という頭の悪いスパロボみたいな状況もあり、事態は収束に向かいつつある。

 

 

 最後に――

 

 

『キンジはやらせない!!』

 

『鋼鉄の騎士団の騎士、シェリー参上!!』

     

 俺も宮野さんも――この現地で知り合った女が駆けつけて来た。

 

 リオもアインブラッドタイプ、ブルーウィンドウに新調している。

 翼がついていて飛行可能な機動戦闘型のパワーローダーで翼内部にビーム、腰の側面にレールガンを搭載している。

 

 それはともかく――キョウスケは『二人とも(俺と宮野さん)熱いねぇ』と苦笑する。

 

 そう言うキョウスケも女持ちになっていて――リオが来ていると言う事はその女性もこの戦いに駆けつけて来ている可能性大だ。

 

『キンジ!! どうして私達置いてきたの!?』

 

『いや、まあ自衛隊としての活動にあんまり一般人を巻き込むのは――』

 

 リオの言い分に俺はしろもどろになりながら答えるが『そんなの関係ない!!』と返された。

 

 宮野さんも似たようなやり取りしていた。

 

(この分だと戦いが終わった後も相手せにゃならんな――)

 

 などと考えながら戦う。

 

 腕利きの少女――もとい女性が乗ったアインブラッドタイプを筆頭に増援が来たので形成は一気に逆転。

 

 ナチスだろうがアインブラッドタイプだろうが関係なく粉砕していく。

 

 例の三機も後退していき、上空のゲテモノ戦闘機も彼方此方から火を噴いて火花を散らし、決着が見えてきた―― 

 

『遠くのハッチから陸上戦艦を確認した。戦闘エリアから離脱していく――』

 

 と、クソ上司こと佐伯 麗子が報告をあげる。

 

『特殊部隊達は基地を掌握。やはり敵は基地の爆破を目論んでいたらしい。後は敵を掃討していけば終わりだ』

 

 それが一番問題なんだよ。

 

 ワニとナチスだぞ?

  

 これでサメとか宇宙人とか来たらフルコースだぞ?

 

(そう言えばアール星人やベルセルク星人、グランドオーダーの人達元気かな?)

 

 なんか宇宙絡みのごたごたが起きて宇宙に帰ったんだよな――

 

『まあ現実逃避しても仕方ないよね!!』

 

 キョウスケに『やけくそ気味になに言ってるんだ!?』とツッコミを入れられた。

 

 ごめんね。

 

 そうでもしないと気持ち保てないの。

 

 

 

 

 =空中管制機・アルバトロス内=

 

 Side 朝田 泰司

   

 戦いは凄まじいの一言だった。

 

 SF映画ラストの戦闘シーンかそれ以上の激しさだ。

 

 この土地に来て様々な修羅場を潜ったがまだまだ驚かされてばっかりだ。

 

 自分は危険は承知でこのアルバトロスに乗って戦闘報告を眺めながら嘗てのパイプを使ってこの戦いをどう収束させていくか考える。

 

 隣にはシエリア。

 

 グラ・バルカス帝国の外交官であり、情報担当官だ。

 

 この土地に逃げ込んできたらしいが、彼の国の上層部で何かがあったのか役職を復帰したらしい。

 

 まあそれでも一定の距離は置いているらしい――

  

「何をお考えで?」

 

 と、現場指揮官の佐伯 麗子さんが尋ねてくる。

 

「左遷されても外交官ですから外交のことを・・・・・・主に母国相手に交渉することになりそうですが」

 

「てっきり後継者連中と交渉すると言い出すかと」

 

 自分は「まさか」と前置きしてこう言った。

 

「確かに時間稼ぎ目的の交渉ならしますが、話し合いが通じるとは思えません。最悪核兵器を東京に撃ち込むぐらいのことは確実にするでしょう。その前に一発どこかに核を撃ち込むことをすると思いますが」

 

 その言葉にシエリアさんは「本気でアレを使うのか?」と返してこう言った。

 

「そもそも日本の後継者の目的は核兵器で荒れ果てたこの土地の統一だろう? この土地の地獄を見ておいてその地獄を自分達の手で作ろうとは――私が言うのもなんだが狂ってるとしか」

 

「それが人間ですよ」

 

 人間その気になれば都市に原子爆弾をそれぞれ二発も打ち込める残虐性を秘めた生物だ。

 

 この世界の人間も様々な残虐な一面をこれでもかと日本人に見せてきた。

 

 そしてこの土地の人間も同じく残虐な一面を持っていただけにすぎない。

 

(もっとも自分達がいた日本の中枢は愚者の集まりだったが――普通に暮らしている市民に罪はない)

 

 そう考えつつ、どうすれば事態を好転させるかどうか考える。

 

 

    

 

 Side 緋田 キンジ 二尉

 

 

 化け物戦闘機はレイヴン隊の活躍により撃墜された。

 

 12機いたアインブラッド隊は数を減らしながらも撤退。

 

 特注の三機も同じく撤退。

 

 猛威を振るっていたワニも骸に変わった。

 

 ナチスの部隊も撃滅された。

 

 パワーローダーがそのまま棺桶になり、基地の守備に当たっていた陸上戦艦はそのまま巨大な墓標になった。

 

 最後に司令官が率いるパワーローダー部隊と交戦――

 

『もう止めろ!? 決着はついた!! 降伏しろ!!』

 

 宮野 一尉はそう言ったが――

 

『まだ負けてはおらぬ!! 私がいるかぎり戦いは終わらぬ!!』

 

 そう言って戦闘を続行した。

 

 凄まじい気迫だったが、気迫だけで戦いに勝てるほど甘くもなく――

 

『ふはははは――ただの平和ボケした日本人と侮っていたが――これ程までに成長したか・・・・・・』

 

『機体を捨てろ!! 機体が爆発するぞ!?』

 

 俺は思わずそう叫んだ。

 

『・・・・・・武力以外の選択肢を模索し続けておけば、こんなことには――だが、もう遅すぎた――』

 

 その言葉を最後にパワーローダーは爆発。

 残って抵抗していた兵士達も降伏した。

 

 

 

 

 その後――基地は各方面の支援のもとに重要拠点として、生産工場として本格的に稼働した。

 

 部隊は分断し、もう一つの日本に残留して日本の後継者とフロンティアの連中を倒していくするチーム。

 

 もう一つは海外に打って出るチーム。

 

 俺はそちらにハウンド隊――キョウスケやルーキー、リオや相方のパメラともどもひっついてきてそちらに配属された。

 

 現地協力者も何人か付いてくる。

 

 

   

 戦いは新たな局面へと向かう。

 

  

         




なんか色々と蛇足感やらグダグダしたお話になってしまった。
ご意見、ご感想お待ちしております。


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学生漂流記

作品の出来はともかく、完結させる覚悟で投稿。


 日本国と世紀末日本召喚

 

 学生漂流記

 

【荒木 将一の日記】

 

 簡潔に言おう。

 

 社会科見学に行って、戦闘に巻き込まれ、なし崩し的にパワーローダー・・・・・・ビルドファイターズのライトニングウォーリアーみたいな奴に乗って飛行戦艦に乗って脱出したらなぜか国家反逆罪扱いで指名手配された。

 

 日本の後継者や日本からも追われている身だ。

 

 日本のテレビでは情報操作がなされていて「まるで自分達がテロリスト」扱いになっている。

 

 どうしてこうなった。

 

 

 

=日本海・海上某所 飛行戦艦・レギンレイヴ=

 

 

 Side 荒木 将一

 

 脱出した学生は大きく分けて二つのグループ。

 

 飛行戦艦に乗り込んだグループ。

 

 他の連中は施設から外部へとで脱出できたのが幸いだ。

 

 艦の運航などはプレラーティ博士をはじめとしたあの基地から着いてきたスタッフ+自動航行モードで行っているらしい。

 

 プレラーティ博士は自分達が使ったアインブラッドタイプ――ガンダムに出てくるMSに似た外観のパワーローダーやこの戦艦のレギンレイヴを建造した、知的そうな長い金髪の白人美少女科学者で、性格はいやみったらしいがこの人が一応の纏め役だ。

  

 

 んでまあテロリスト扱いされたこともあって、これからどうするかでブリーフィングルームで会議中。

 

 家に帰りたいとかそう言う意見もあるにはあったが、学校でも現在でもベストパートナーの加々美 瞬が上手いこと説得した。

 

 

 曰く――

 

 帰っても逮捕されるだけ。

 

 今の日本政府には日本の後継者のシンパや降伏派などが主流で逮捕された後どうなるかは分からない。

 

 

 などなど言って脅迫めいた方法で引き留めた形だ。

 

(んで――とりあえずインターネットでこうして発信し続けてるわけだが――)

 

 現在重要なところではない会議部分はインターネットで発信し続けている。

 やらないよりかはマシな手だと考えていたが――

 

「うわ~凄い再生数だな手毬」

 

「そうね・・・・・・テロリスト扱いされてこれとか正直複雑な気持ちだわ」

 

 とんでもない再生数を現在進行形で叩き出し、まだまだ再生回数が伸びていた。  

 

 他にもあの基地で起きた戦闘の様子なども動画配信していてこちらも大反響だ。

 

 

 まあこれで誰かの家族の身に何かがあれば推理の過程をすっ飛ばして疑いの目は日本に向けられると言うわけだ。

 

 

 

=飛行戦艦レギンレイヴ・私室=

 

 この戦艦は子供だけでなく大人も乗っている。

 

 その中でも大人である教師達はプレラーティ博士に詰めかけた。

 

 

 Side マリア・ヒーリング(荒木 将一の担任。長い金髪の爆乳外国人教師)

 

「どうして彼達が戦わないといけないのかか――まあ正直言うとあの展開は予想外でね。パワーローダーには電子的なロックが掛けられているのさ。いわゆる生体認証って奴さ」

 

「だから君が変わりに戦うというのは無理だね」

 

「もちろん戦わずに穏便に話し合いをしましょうなんてのもナンセンスさ。周りは敵だらけのこの状況で一つの判断ミスは命取りになるよ」

 

 と、プレラーティ博士は神経を逆撫でするように語った。

 

 私は言い返そうとしたが――

 

「では何か良い案はあるかい?」

 

 の一言と、同僚の教師である如月 純夏先生に「無神経な言い方だがこの子の言ってる事は事実だ。正直今の日本政府は何をやらかすか分からん」と、止められた。

 

「ああ、如月先生の言う通りだ。悔しいが安易に銃を下ろすのは危険すぎる」

 

 同じ学校の保険医、男性教諭の真田先生も同じ意見らしい。

 

 確かに如月さんの言う事は分かる。

 

 命懸けで身を守るために戦ったのになぜかの国家反逆罪だ。

 

 他校の先生、相薗 スミカ先生も「納得はできないが筋は通っている――」 と引き下がった。

 

 

 

 

 Side 荒木 将一

 

 昨日、日本政府はもう馬鹿はやらないだろう的なことを言ったが間違いだった。

 

 馬鹿はいるらしく――

 

 

『俺達の敵は後継者だろう? どうして自衛隊と戦うことになってるんだ?』 

 

『日本政府の馬鹿どもに聞いてくれ』

 

 なりふり構わず日本政府は自衛隊を嗾けてくる。

 

 だが日本政府の自衛隊は強硬手段には出れない。

 戦闘の様子は生放送しているからであり、傍目から見ても自衛隊が悪党に見える構図だ。

 

 これでもしも学生が乗る戦艦を撃沈なんてことになったら日本政府どころか日本と言う国に大きなダメージが入る。

 

 特に今、どんどん日本国内でも勢力図が広がる後継者連中を相手にしているこの状況では致命傷になりかねない。

 

(俺達もあんまり相手したくないんだよな~)

 

 だが自分達も進んで同じ国の人間を殺したくはない。

 

 適当に追い払いつつ距離を空けようと思ったが――

 

『今度は日本の後継者か!?』

 

『近くの自衛隊はどうした!? まさかあいつらに倒されるところを狙って拿捕するつもりじゃねえだろうな!?』

 

 と、ストライクノワールタイプのパワーローダに乗る木里 翔太郎が愚痴る。

 

 他校でこの騒動に巻き込まれるまで縁もなにもなかったが、こんな先行きが見えない不安な状況もあってか仲良くなった。

 

『その通りだろうよクソったれ! こう言う時だけ無駄に頭が回りやがる!!』

 

 日本の後継者の陸上戦艦――動力の関係上、海上も移動できるらしい――が襲い掛かってきた。

 すぐさま乱戦になる。

 

 こう言う時は――

 

『近くの自衛隊も巻き込め! そもそもこいつらの相手はあいつらの仕事だろうが!』

 

 と、海上自衛隊のイージス艦を囮にすることを提案した。 

 

 ちなみに自衛隊と日本の後継者のテクノロジー差は物凄くある。

 

 ステルス関係を含めた電子技術とかもそうで、遠距離からミサイルを撃って殴ればいいと言うワケにはいかないのだ。

  

 対して日本の後継者の陸上戦艦は普通の艦砲からレールガンやらレーザーとか普通に詰んでるから最新鋭戦闘機でも近づけない。潜水艦も容易に探知されるらしい。

  

 まあそれはともかく――

 

『自衛隊も後継者に攻撃開始を確認! どうやら自衛隊も愚か者ばっかりじゃないみたいだな!』

 

 後継者側の無人兵器やパワーローダーにイージス艦の攻撃が飛んでいく。

 その光景に嬉しくもあり、また複雑でもあった。

 

 この隙にどうにかして敵の陸上戦艦にとりついて無力化しなければならない。

 

 

☆ 

 

 

=日本の後継者 陸上戦艦 ブリッジ=

 

 

 Side 陸上戦艦 艦長 

 

 

「敵新型パワーローダー!! 空中戦艦!! なおも接近中!!」

 

「絶対に近づけるな!! 白兵戦に持ち込まれたら終わりだぞ!!」

 

 パワーローダー部隊は一応、艦周辺だけでなく、艦内にも待機させているがそれは最後の手段だ。

 

 そもそもパワーローダーは基本は核かそれに準ずる動力を持っている。

 

 艦内で爆発でもされでもしたら大ダメージで済めばマシな方だ。

 

「それよりも敵の新型の性能はなんなんだ!? 本当に中の人間は学生なのか!? しかも生身部分が露出している機体もあるし!? それもまだ小学生ぐらいの女の子だぞ!?」

 

「小官に聞かれても困ります!!」

 

 そんな気持ちなどしったことか構わずに敵である学生たちは襲い掛かってくる。

 

 連携は未熟だが性能は一級品――だけかと思ったらなぜか戦い慣れている感がある学生たち。

 

 そんなの物語の中でしかありえない。

 

 だけど現実はそうだった。

 

(まさかフロンティアの連中が研究していた戦闘遺伝子とは――眉唾ものだと思っていたが――)

 

 ふとそんなオカルト話が頭を過ぎるが指示に集中する。

 

 

 

 =日本海某所・後継者 陸上戦艦 周辺=

 

 Side 荒木 将一

 

『電子支援は効いてるとは言え、敵の反撃も激しいな!』

 

 と言いつつ俺は砲火を空中で避ける。

 

『そりゃな! 作戦に期待しよう!』

 

 木里も近付いて来る敵を迎撃し、敵艦の攻撃を避けながら言う。

 

『つっても次々敵が湧いてくるな――』

 

 ここは海上。

 倒す必要などなく、海に叩き落とせばしまいだがそれは自分達も同じだ。

 

 それに敵には――

 

『水陸両用型!!』

 

 水陸両用型が海面から姿を現す。  

 背後には昭和のスーパーロボットなどがつけてそうな大きな酸素ボンベのような外観のパーツをつけている。

 水陸両用機なのでスクリューユニットか何かだろう。

 海面から出てきたとたんミサイルやビームを発射してくる。

 

『クソッ!!』

 

 ミサイルを迎撃、避けつつ、反撃しようと思ったが海中に逃げられた。

 そして別の場所から出現してこうげきを――とそんな調子だ。

 

 まるでモグラ叩きだ。

 

『お待たせしました』 

 

 ここで別働隊を率いてる加々美 瞬から通信が入る。

 空からビームの嵐。

 同時に次々とパワーローダー部隊が高高度から空挺降下していき、陸上戦艦を攻撃していく。

 

 パワーローダーによる戦闘機染みた上空からの奇襲作戦。

 

 俺達を囮にして時間差で仕掛けるとのことだったが上手く行ったようだ。 

 

 

 

 

 自衛隊は引き下がり、俺達は無力化した日本の後継者の陸上戦艦から取るものをとってそのまま放置した。

 

 武器弾薬。

 

 修理素材。

 

 食料やトイレットペーパーすら分捕った。

 

 もちろん食料やトイレットペーパーはある程度の日数分は残しておいた。

 

 敵から呆れられたような、同情されたような――そんな視線を送られたがまあ気のせいだろう。

 

 

 それはともかく――

 

 

「まさかフェン王国に向かう事になるとはな――」

 

 日本人が忘れ去った精神性を持つ苦に。

 

 そして日本人にとっては悲劇の土地。

  

 目的はそこにいる日本の後継者を倒すことだ。

 

 

 END 




ご意見、ご感想お待ちしております。
次は学生達によるSS回です。


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学生たちによるSS集

相変わらず原作要素が行方不明ですわ(白目


 

 レギンレイヴに乗り込んだ学生たちのエピソード集

 

 シリアスなお話からコメディ色の高い話を一つに纏めました。

 

 

 その1:荒木 将一と木里 翔太郎

 

 

 Side 荒木 将一

 

 どうも荒木 将一。

 

 文芸部の文芸部員。

 

 いちおうカタギだ。

 

 加々美 瞬は有能さゆえか、艦内であれこれと働いている。

 

 一体何者なんだ・・・・・・日本政府のスパイ的な?

 

 まあそんなわけで他校の男子生徒とつるむことも多くなった。

 

 理由は単純にウチの学校の男子生徒がいないのだ。

 

 特に木里 翔太郎と接する機会が多くなった。

 

 黒髪にラノベの主人公張れそうな顔立ちに背丈。

 

 手毬 サエと言うメチャクチャ大人びた小学生みたいな背丈の高校生と付き合っているらしい。

 

 ネットでも有名人で手毬 サエ同様に色々とメチャクチャやらかしているらしく――本人曰く「中学時代に少年院送りにならなかったのが奇跡」だとか言っていた。

 

「フェン王国か・・・・・・なんつーか不吉なんだよなあの国」

 

 などと割り当てられた艦内作業に従事しつつ木里がぼやく。

 

 言いたい気持ちは分かる。

 

 なにせ日本国民が200人処刑され、当初は批判の矛先はパーパルディアに向けられたが時が経つにつれて日本に向けられた。

 

「色んな噂があるけど、パーパルディアと穏便かつ平和に話し合いで済ませようとしたかったんだっけか?」

 

「だろうな。迎撃した海自や海上保安庁に政治家や官僚連中が猛烈に抗議したぐらいだし」 (書籍版一巻の終わり辺りと二巻のプロローグ参照)

 

 前の時代の、大国を挟んだ国を舵取りをしていた時の政権運営の感覚だったのだろうと将一は思う。

 

「つか、そもそも国も渡航制限ぐらいしろよ――」

 

「まあ政治家なんて辞職すればある程度の犯罪は許される職業らしいからな。よくまあ前の世界で滅びなかったよ。日本じゃなかったらクーデターやテロは確実に起きてたんじゃねーか」

 

「違いない」

 

 木里の言う事は過激だがそれを否定出来る材料はなかったし、そもそも自分も日本政府に勝手な理屈でテロリスト扱いされている身だ。

 

 擁護する気持ちも起きない。

 

「まあ愚痴っててもしゃあない。荷物をさっさと届けよう」

 

「そうだな」

 

 

 Side 木里 翔太郎

 

 

 荒木 将一。

 

 このゴタゴタの騒動で知り合った。

 

 この船に乗った同年代の男性は自分を含めて四人。

 

 そのウチの一人だ。

 

 こんな状況だし、趣味も合うので必然的に仲良くなると言うもんだ。

 

 ちなみに他の学園の生徒達は一個年上なので先輩と言う事になるがここでは意味をなさない。

 

 背格好は――

 

 明るい茶色の髪の毛にメガネをつけた知的そうな人間だが戦闘時はバリバリの武道派だ。

 

 

 聞けば学校でもそんな感じで厄介事に首を突っ込んでは事件を解決して女子からもててるらしい。

 

 それはそうと実戦での戦い振りから絶対カタギじゃないと思うし、周囲からもそう思われているが本人は否定している。

 

 間違っても海外のPMCで軍事訓練を受けたとか両親から戦闘技術を仕込まれたとかそう言う出自はないそうだ。

 

  

 荒木さんと同じ学校で船にもいるアンナさんはバリバリの地球の戦場出身者らしいが。

 

 

 なんつーか自分が言うのもなんだが――なんで日本の学生ばかりなのにこう、武道派が多いんだ。

 

 加々美さん(荒木さんの相方)だって工作員らしいし、教師も二人ほど工作員(荒木さんところの学校の教師二人)らしいし。

 

 

 まあ自分もカタギとは言えなくなったが――あのストライクノワールみたいなパワーローダーなんなの?

 

 本人のプレラーティ博士に問い詰めても「日本のサブカル文化に感銘を受けてつくった」とか言うし――実際強いけどさ。

 

(色々考えてもしかたないや)

 

 

 艦内での仕事は多い。

 

 訓練時間なども割り当てられているが、食事の用意から洗濯、掃除、整備の手伝いとか――中にはウチの学校の女子がブリッジクルーの手伝いをしているらしいし。

  

 男子どうこうと言うのは時代錯誤かもしれないが男子として負けてられない。

 

 それに手毬もいるんだ。

 

 やれることをやっていこう。

 

 

 

 その2:手毬 サエと本野 真清

 

 Side 本野 真清

 

 メガネをかけて二房のお下げを三つ編みにしておろした茶色いヘアースタイル。

 それが私。

 

 目の前の彼女、手毬 サエ――長いブラウンの髪の毛に大人よりも大人びた顔立ちと雰囲気。

 背丈が小学生レベルなのを覗けばクールビューティーな女の子だ。

 

 他校の女子で学年も年齢も一個下なのだが雰囲気のせいでそう言う風に接することはできない。

 

 そんな雰囲気がそうさせたのか手毬さんは今では女子の学生グループの纏め役のポジションに収まった。

 

 あざとい生身の部分が露出したラノベ型パワードスーツを着て戦闘もこなせる上にリーダーシップもある。

 

 本当に同世代かと思う時がある。

 

 まあそれを言えばウチの学校のアンナとかもそうなんだけど――

 

 

 それはそうとこんな話題になった。

 

「荒木 将一って誰と付き合うつもりなの?」  

 

「うーん」

 

 それを聞かれると困る。

 

 何だかんだで荒木君は魅力的な男性だ。

 まるでラノべの主人公みたいな感じだし。

 

 ケンカや実戦の時でも恐ろしいと感じる部分もあるがそれが魅力の一つだと思う自分もいる。

 

 同じく艦に同乗した愛坂 メグミ、朝倉 梨子とかも話し合ったことがあるが同じような考えだった。

 

 他にも先生のマリア・ヒーリングさんも狙っている節がある。

 

 この部分もラノベの主人公的ではある。

 

「誰かと付き合っている気配はないけど、一番リードしているのは朝倉さんかしら?」

 

「朝倉さんと?」

 

 朝倉 梨子。

 

 茶髪の垢抜けた女子。

 積極的にアプローチしていて恋愛レースの中では一番リードしている。

 

「正直言うとあまり考えないようにしていたの、そのこと――」

 

「だけど何時までも学生じゃいられないのよ? それでいいの?」

 

「それは――」

 

 手毬さんの言う通り。

 何時かは学生を卒業する。

 まあその前に人生を卒業してしまいそうだが――それはともかく自分もアプローチを掛けるべきだろうか?

 

「とりあえず髪型を変えてみたら? メガネを外してコンタクトにすれば化けるわよ、アナタ。胸も大きいし」

 

「む、胸はよけいよ――だけど言わんとしていることは分かるわ」

 

「意外と素直ね。余計なお世話よぐらいは言われるかと――」

 

「状況が状況だからね。私だって女の子で女子高生だし――恋愛してみたいわよ。その点手毬さんが羨ましいわ」

 

「あ、ありがと」

 

 手毬さんには木里君がいる。

 

 遅かれ早かれ二人は結婚するのだろうと思う。

 

 それがなんだかとても羨ましかった。

 

 

 その3:如月 純夏とプレラーティ博士

 

 Side 如月 純夏(荒木 将一の学校の先生で加々美 瞬のスパイとしての上司でもある)

 

「やはりあの襲撃は日本政府もグルだったか」 

 

 今私はプレラーティ博士の私室で情報共有を行っていた。

 

「そうだね。日本の後継者と取引をして、その条件の一つがあの襲撃の真相だよ――」

 

「おおかた戦争に負けた後のことでも考えているのだろう」

 

「政治家としては正しいかもしれないけど、巻き込まれる方はたまったもんじゃないね」

 

 博士の言う通りだ。

 返す言葉もない。

 

「まあ、日本の後継者としてはどっちにしろ、そう言う政治家は皆殺し路線は変わらないと思うよ」

 

「私はそいつらに関しては詳しくはないのだが本当にやるのか?」

 

 日本国内に関してはともかく外国――それも地球時代の紛争地帯ですら天国と言われている魔境と言われているもう一つの日本の情報は仕入れにくいので日本の後継者のことは普通の人間よりかは多少詳しい程度だった。

 

「例え八つ当たりと分かっていながらも敵味方もろとも核兵器で焼き払った政治家連中と一緒に見えてしまうんだろう。それともう二度と核兵器を撃ち込まれない国を作ると言う大義名分もあるからその思想とも相容れないね」

 

「言っては悪いが自分達の国だけでやればいい物を――他国を巻き込むとは――」

 

「理性的に行動できないのが人間なのさ。全ての人間が理性的に、効率よく行動できるのならあの日本は核兵器で滅びはしなかったよ」

 

「そう――だな――」

 

「もしこの世界に神がいるとすればこう聞いてみたいね。お前は何がしたいんだと――このままじゃ古の魔法帝国が来る前に世界が滅びるぞと――」

 

「辛辣だな」

 

「そう言いたくなるほどにこの世界の状況は酷いもんさ」

 

「・・・・・・そうだな」

 

  

 その4:シュミレーター

 

 Side 荒木 将一

 

 このレギンレイヴにはパワーローダーのシュミレーターマシーンがある。

 大きな丸いカプセルの内部に手足を装着する場所があってバイザーを身につける装置だ。

 

 それで色んな人間とゲーセン感覚で訓練を行っている。

 

 一番強いのは加々美 瞬。

 

 長いこと学校でつるんでるが実は日本の工作員かエージェントだったらしい。

 

 彼が使う――ケルディムガンダムサーガに似たアインブラッドタイプのパワーローダは武装は満載だが内部火器だらけとか、ファンネルだのビットだの思考誘導式誘導兵器ではない。

 自分が使う奴よりも同じく武装を沢山配置した奴にすぎない。

 

 ただその武器の使い方、使い分け。

 戦場での立ち回りや把握がとても上手い。

 

 基本がとてもしっかりしているのだ。

 

「僕からすればそれだけ戦えるのが不思議なんですが」

 

 と、加々美 瞬に言われた。

 ちょっと休憩挟んでる。

 

「まあそこは――自分でも驚いてるよ。うん」

 

 本当にどうしてだろうね。うん。

 

「前々からケンカガ強いのは知ってましたが将一君の場合は異常ですね。実はなろう系の転生者とかそう言う――」

 

「なんだかんだで文芸部に染まってるよな瞬・・・・・・」

 

 ちなみに文芸部の面々も何人かこのレギンレイヴに乗り込んでいて文芸部員用の部屋が存在している。

 

「まあそれはそうと――なろう系の転生者だったらどんなに楽だったか・・・・・・チートで無双して今頃ハーレムでも作ってるんじゃないか?」

 

「うーん、そうはならない気がしますが」

 

「なるって。人間力持つと人格変わったりするんだって――まあこれまでの戦闘は確かに異常なのは分かるよ――他の学校の翔太郎とか手毬さんとかもそうだし、一般人がやたら強いのは本当になんなんだ? なに? ゲッター線かなにかでも浴びたのか俺達?」

 

「この世界魔法がありますからね。あながち冗談で済ませられないんですよねこれが・・・・・・」

 

「ああ・・・・・・」

 

 この世界はまだまだ未解明なことが多い。

 なぜか日本人が言葉の枷から解放されていたりとか。

 未知の能力を何者かに植え付けられていたとしても不思議ではなかろう。

 

「まあ考えても仕方ねえ。今は戦わないと冗談抜きで生き延びられないし」

 

「ええ――そうですね」

 

 そしてシュミレーターを再開することにした。

 

 

 その5:団体戦

 

 竹宮高校ラノベ部チーム(木里、手毬がいる高校)

 

 VS

 

 比良坂学園文芸部チーム(荒木 将一がいる高校)

 

 

 Side 木里 翔太郎

 

 現在シュミレーターをフル動員して団体戦の真っ只中。

 

 市街地で戦っている。 

 

 地上や空中を行き交い、銃や剣を交えて戦っている。

 

 メカ少女系の新型パワーローダーに身を包んだ手毬たち。

 

 他の面々もルナゲイザー、ウイングゼロ(テレビアニメ版)、パーフェクトガンダムに似たパワーローダーに身を包んでいる。

 

 

 相手も学生だが元紛争地帯出身者とかエージェントとかいて手強い。

 

 一緒に実戦を経験した仲だがヘタに攻め込めばこちらが負ける。

 

 だが普通に戦っても負ける。

 

 無理は承知でも力押ししてでも攻め込まないといけない。

 

 

『手毬、大丈夫か?』

 

『私の心配より自分の心配しなさい』

 

 と、二人でペアを組んで戦っている。

 

 後方には他のメンバーが援護射撃してくれていた。

 

 俺達で突破口を開いて押し潰す。

 

 現状自分達のチームにはそれしか方法はなかった。

 

 敵から集中砲火を浴びるがその分、他のメンバーの負担は少なくなる。

 

 

 

 

 Side 荒木 将一

 

『意外とやりますね』

 

 瞬の言う通り。

 あの二人――木里 翔太郎と手毬 サエがメインだ。

 他の面々もあの二人に鼓舞される形で動きが段々とよくなっている。

 

 特にヤバイのが手毬 サエだ。

 

 戦いながら指示を飛ばしている。

 こちらのチームのリーダーは瞬だが、あちらのリーダーは手毬さんだろう。

 

 その指揮官を倒せれば勝ちなのだが翔太郎も手毬さんも強すぎてそう上手くはいかない。

 

 瞬もアンナも頑張って倒そうとしているがそれでも仕留めきれずにいる。

 どうなってんだこの状況。

 

『あの二人だけに構ってられないが放置するワケにはいかない――』

 

 まさかまさかの膠着状態だ。

 

『だが敵の作戦を考えれば膠着状態を維持すれば勝てます――まあ上手くいけばですが』

 

 瞬の言う通りだ。

 敵の作戦は攻めの作戦。

 ならば守りを固めて迎撃すればいい――のだが――

 

『このままじゃ乱戦になるな――』

 

 これはパワーローダー同士の対決。

 生身での戦いとは勝手が違う。

 被弾覚悟でつっこんだり、ロボットアニメ顔負けのトンデモ機能が敵味方にあったりするのだ。

 

 パワードスーツとは思えない弾幕、火力が飛び交い、粒子制御によるバリアを形成して突っ込んで来たりとなんでもアリの戦いだ。

 

 戦況は相手チームの目論見通りの状況になっている。

 

『きたか!!』

 

『将一か!?』

 

 遂に戦いは白兵戦がメインの戦いになってきた。

 俺は二刀流ビームソートの木里にガンブレードとハンドガンで挑んでいる形だ。 

 

 この戦いを上手く遮断するように手毬さんが立ち回っている。

 

 実質一騎打ちになった形だ。

 

(お互い戦い方はにたりよったりか!!)

 

 手持ちの武装だけでなく、体当たりだの蹴りだの肘撃ちだのを併用した格闘戦。

 ヘッドバットすら行う。

 

 メチャクチャではあるがそれが面白い。

 

 興奮している。

 

 自分は異常な人種かもしれない。

 

 でもこの時を楽しみたかった――

 

☆ 

  

 

 戦いはドローゲーム。

 引き分けだ。

 

 まあ、それでもいいことはあった。

 お互いの心の距離がより一層縮まったこととかだ。

 

 理由を考えると複雑ではあるが―― 

 

 もしも次の機会があれば絶対まけねえ。

 

 

 

 =オマケ=

 

 作者のメモ書き

 

 プレラーティ博士の開発したパワーローダーは新しいタイプのアインブラッドタイプの模索である。

 新型動力。

 新装甲素材。

 新技術の導入などを行っている。

 また装備の共通規格化なども行われている。

 

 

 木里 翔太郎 ストライクノワール

 

 手毬 サエ ストライクルージュ IWSP メカ少女タイプ

 

 牛島 ミク フリーダムガンダム メカ少女タイプ

 

 豊穣院 ミホ ルナゲイザー

 

 相川 タツヤ ウイングゼロ(テレビアニメ版)

 

 和泉 ツカサ パーフェクトガンダム

 

 

 荒木 将一 ライトニングウォーリアー

 

 加々美 瞬 ガンダムケルディムサーガ

 

 愛坂 マナ ガンダムF91

 

 篠宮 マリ カラミティガンダム

 

 本野 真清 ジンクスⅣ

 

 朝倉 梨子 ガンダムデュナメス

 

 ユカリ  ディスティニーガンダム メカ少女タイプ

 

 アンナ ストライカージンクス

 

 ↑あくまでモデルです。ロボットではなくパワードスーツなので変形とかはできません。

 

  




ご意見、ご感想お待ちしております。


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フェン王国編

 

 フェン王国。

 

 日本にとっては複雑の感情を持つ国だ。

 

 日本にとっては悲劇の国である。

 

 同時に、時間経過とともに日本の無能政治、外交が招いた悲劇だと言う声が大きくなったからだ。

 

 中には平和ボケな国民云々などと言う輩もいたが――

 

 

 それはともかく現在、日本の後継者とフェン王国民――自衛隊の残党や世紀末日本からの救援でややこしい土地になっていた。

 

 

 Side とあるフェン王国人

 

 

 格納庫と言う名のボロ小屋。

 

 パワーローダーや戦車と呼ばれる乗り物が沢山並べられていた場所。

 

 銃や大砲だけでなく、フェン王国人にとって馴染みのある武器を大型化した物もある。

 

 曰く――"技術が発展しすぎると一周回って文明圏外の武器も戦場に役に立つ時もある"言う答えに不思議なものを感じた。

 

 それはそうと――

 

 

「よろしいのか? 同じ土地の人間であろうに?」

 

 私にとって今の世界情勢は複雑怪奇。

 もう一つの日本。

 その日本から世界に覇を唱える『日本の後継者』なる集団。

 

 あのパーパルディア皇国を退けた日本よりも遥かに強大な武力を持つ連中であり、なぜかもう一つの日本の在り方を憎んでいる存在。

 

 正直理解が追いつかない。

 

 だが目の前の男に問わねばなるまいと思った。

 

「今ここで誰かが戦わねばこの世界は私がいた国と同じ結末を迎えてしまう。それだけは避けねばならない」

 

 との言葉だった。

 

「もうここにいたっては文明圏も文明圏外もなにもない。誰かが立ち上がって戦う姿勢を見せなければならないのだ」

 

 続けてこう言う。

 

 それは武の在り方であると同時に文明圏外の人間にとっても理想だった。

 

 ――フェン王国も目指していた。

 

 自分達の力で列強国に抗い、勝利すると。

 

 

 しかしパーパルディアや日本によって否定された。

 

 

 だが皮肉にももう一つの日本の人々が国難と同時に人が向かうべき道筋を提供してくれた。

 

 

 それは他の国々も同じ。

 

 噂ではとある日本の一部の勢力(どちらの日本かは分からない)が文明圏外や魔法の国にすら武力、技術支援を行っているらしい。

 

 

(皮肉が重なる世の中よのう。古の魔法帝国の前に世界は荒れ果てていると言うのに――この状況で希望を見出すとは)

 

 と、独り笑みを浮かべていた。

 

   

☆ 

 

 フェン王国 首都 アマノキ

 

 Side 木里 翔太郎

 

『来て早々にドンパチとはな!!』

 

 俺はフェン王国の首都上空を飛び回り、ビームライフルで応射する。

 

 飛行可能な機体はなるべく市街地への被害を避けるように戦っていた。 

 

『日本を侵攻するための足掛かりになる立地ですからね。それも当然でしょう』

 

 加々美 瞬さんが敵を次々と落としながら冷静に説明してくれる。

 日本のエージェント恐い。

 何時も組んでる荒木さんとは別行動で現在、加々美さんと組んで行動している。

 

『それに今回は味方もいますからまだ楽でしょう』

 

『ああ本当だ。パワーローダーの部隊がいるや――』

 

『取り残された自衛隊や現地の協力者、もう一つの日本からの協力者の連合部隊です』

 

 地上では加々美 瞬の言う通り連合部隊が避難誘導や敵の迎撃を行っていた。

 

 押し込まれている状況だが士気は高いように感じられた。

 

 

 

 

 Side 日本の後継者 陸上戦艦 艦長

 

 水陸両用の陸上戦艦を基地代わりにして部隊を展開。

 

 しかし敵も中々やるもので中々勝たせてはくれない。

 

 元々この国はパーパルディアに蹂躙される程度の国力しか持ってないにも関わらず、なんの奇跡か今も戦い続けている。    

 その状況に心を討たれたのか、離反する兵士が増えてきている。

 

『敵パワーローダー部隊に増援!! 飛行戦艦にアインブラッドタイプなど、未確認機が多数!!』

 

「なんだと!?」

 

 思わず立ち上がる。

 

(飛行戦艦にアインブラッドタイプ? まさか噂に聞いていた日本の新型部隊!?)

 

 謎が多い部隊だがとにかく強い。

 

 無人機程度では歯が立たないだろう。

 

「傭兵連中を送り込め!! それでもダメならフロンティアの連中から熱かったアレを投入する!!」

 

 

☆ 

 

 

 Side 木里 翔太郎

 

 戦いも収束に向かいつつあった時だ。

 

『なんか急に強い奴が来たぞ――ダグラム、いやボトムズに出てきそうな外観の奴が特にな!!』

 

 俺は地上と空中でタイマンを張っていた。

 場所はフェン王国の首都郊外。

 思い切り暴れ回っても大丈夫な場所。

 

 そこで一騎打ちをしていた。

 

 ビームライフルを捨てて現在はビームピストル二丁持ちで戦っている。

 

『今迄の連中とは違う――』

 

 パワーローダーの性能的には勝ってる思うが根本的なナニカの部分で勝たせてくれない。

 

 敵の外観は頭部が無い――パワーローダーの第一世代と呼ばれるタイプによくある特徴の外観。

 

 カラーリングは緑。

 白い銃とヘルメットのエンブレム。

 

 動きはローラーダッシュとブースターの併用。

 バックパックにミサイルランチャーを二つ搭載。 

 まるで段ボールで組み立てかのような胴体に三つめの頭部。

 武器はビームマシンガンにシールド。

 

 ダメージは与えているとは思うがギリギリで回避される。

 

『強い――名前は?』

 

(相手からか?)『木里 翔太郎だ。遂先日まで普通の学生やってた』

 

『ふっ――時代は変わったものだ。俺の名はバイマン。傭兵だ』

 

『傭兵か――』

 

 日本の後継者の正規兵より厄介そうだ。

 

『それにしても戦いづらいやり方をする』

 

『普通に戦っても勝てそうにないんでな!!』

 

 俺は敵の地面に向けてビームライフルを発射する。

 とにかく脚を止めないと倒せない。

 

 それに時間を稼げば――

 

『タイムオーバーだ』

 

『逃げるか――』

 

 そう考えた矢先、相手は撤退することを選んだ。

 

『追い打ちをかけるつもりはないのか?』

 

『俺達の目的は元の生活に戻ることだ。一人前の兵士やら傭兵やらになることじゃない』

 

『傭兵向きの考え方だ。面白い奴だ』

 

『また会おうは無しな。戦いは楽なのがいい』

 

『ふん』

 

 そうして相手――バイマンは退いて行った。

 

「ごめん木里――敵の新手が強くて――」

 

 入れ替わりにメカ娘な手毬が飛んで来た。

 

『大丈夫だ――それよりも戦況は?』

 

「敵の新手――強い無人機が現れた。白いギャプランみたいな奴」

 

『そうか』

 

 どうやらまだ休めないらしい。

 

 俺は体に鞭を打つ。

 

 

 

 

 敵は三機。

 

 無人機で確かにギャプランのような外観をしている。

 

 空中を激しく互い違いに飛び回り、接近戦や射撃戦を展開している。

 

 まるでロボットアニメのように非現実的で、とても幻想的な光景だ。

 

 だが悲しいかな。

 

 敵は三機。

 

 こちらの味方の数が多い。

 

 いくら強くても限界はある。

 

 地上に展開した味方や空中戦艦のレギンレイヴの仲間達。

 

 いくら単機の力が強くても技術格差がなくなってしまえば特別な要素がない限り数の暴力には勝てないのだ。

 

『手毬、合わせろ!!』

 

「うん!!」

 

 俺達二人は敵の一気に対して飛び込む。

 

「左から行くわ!!」

 

『じゃあ俺は右から!!』

 

 左右から猛スピードで挟み込みながら射撃による牽制を行う。

 

『先手は俺が!!』

 

 そして俺が飛び込む。

 相手に回避されるが――

 

「私がいる!!」

 

 今度は手毬が飛び込む。

 これも一部の装甲を抉るだけでギリギリで回避される。

 

『さらに!!』

 

 そこを俺が再び飛び込んだ。

 攻撃が面白いように着弾する。

 

「次!!」

 

 さらに続けて手毬の射撃武器が次々と着弾。

 

『仕上げだ!!』

 

 俺はウイングバインダーからブレードを取り外して飛び込む。

 

「フィニッシュ!!」

 

 日本刀型近接武器を両手に持って飛び込んだ。

 

 俺が相手の右腕を切り裂いて通り過ぎ、手毬の武器が胴体を両断。

 

 そのまま通り過ぎて爆散した。

 

 

 首都アマノキ  天ノ樹城

 

 Side フェン王国 国王 シハン

 

 私はこの天ノ樹城から戦いを見ていた。

 

「あの空中の箱船の武士たち――ワケありと聞いていたが、ここまでやるとは――天晴れとしか言いようがないな」

 

 私は城から自分の気持ちを――先の戦い振りを見て率直に言い表した。

 

 そう言っているウチに敵の機械鎧がまた一つ落とされる。

 

 先のパーパルディアの日本の戦いとは違って分かり易く、そして見ているだけで胸が熱くなるものがある。

 

 こうして時代の変化を何度も目の当たりにするとは人生とは分からぬものだ。

 

「あの日本もきな臭くなっているようですし、ここは一つ搦め手を使ってでも助けてやらんと申しわけが立たぬな」

 

 今の日本政府は好かぬが、今この国のために必死に戦っている日本の人々とは心が通じ合えるような何かがが湧いている。

 変で不思議な国よ、日本と言う国は。

 

 

 

=オマケ:大阪日本橋での一幕=

 

 

 日本

 

 大阪日本橋

 

 

 Side ???

 

 

 いや~この日本もだいぶ住み難くなったね。

 

 異世界バブルがはじけてる感じだ。

 

 このメイド喫茶も避難施設化が進んでいる。

 

 

 日本の後継者のせいもあるが、無能な日本政府にも責任があるだろう。

 

 その日本の後継者に引き寄せられたのか世紀末世界の化け物もチラホラ目撃されるようになってるらしい。

 

 実質日本は首都圏から離れれば離れる程に日本の後継者の占領下にある。

 

 

 だが日本の後継者にも弱点はある。

 

 所詮はテロリストの集まりに過ぎないと言うことだ。

 

 つまり人の数が圧倒的に少ない。

 

 

 元々日本の後継者は核で崩壊した日本の残党組織だ。

 

 本来ならばある程度段階を踏み――核で滅んだ日本を復興させ、人口を回復させてから世界を目指さなければならなかったが――反抗勢力が想定外に強すぎて海外に打って出る必要に迫られた。

 

 

 だから人の数が少ない。

 

 まあクローン兵士とかロボット兵士とかで補っているようだけど。

 

 人間追い詰められるとロクなことやんないね。 

 

 

 

 

 大阪日本橋北東部 ○ャングルなどがある道路

 

 

『いや~まさか日本橋でこんな連中と戦う事になるなんてね』

 

 

 日本橋自警団。

 

 一体どう言う伝手を持ってるのかパワーローダー、しかもアインブラッドタイプまで所持している。

 

 戦時中の混乱している時期だからこそできる少数精鋭の武装集団――ということになっていた。

 

 僕はその前線指揮官とかやっている。

 

 それはそうと関西の大都市にまで敵が押し寄せてくるとは。

 

 大分追い詰められているねえこの国も。

 

 

『大丈夫ですか谷村さん』

 

『ああ、工藤くん。ファイティングローダー大丈夫?』

 

『ええまあ。ゴッドガンダムをモデルにしたパワーローダーでしたっけ?』

 

『うん。とりあえずこの町からあいつらを叩き出すことを考えて』

 

『わかった』

 

 この戦いに意味はないのかもしれない。

 

 それでも戦おう。

 

 愛する家族のために。

 

 この町の人のために。

 

 




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フェン王国編SS集

順調に低評価になってるね。
出来れば平均3か2になるぐらいまでには完結させたいですね。


 

 日本国と世紀末日本召喚 

 

 フェン王国編SS集

 

 

 フェン王国首都

 

 アマノキでの戦いから翌日

 

 

 =その1:日本政府の場合=

 

 Side 日本政府

 

「あのガキどもはどうにかならんのか!?」

 

「無理です! 現在フェン王国の外交ルートが閉ざされていて――国民だけでなく他の国々からも我々の態度に批難が――」

 

 日本政府は現在、混乱の真っ只中だった。

 

 毎日のようにデモが起きている。

 

 政治家、官僚連中もあーでもない、こーでもないと頭を抱えている様子だった。

 

 しかも一部の市民が武装勢力化して勝手に日本の後継者と戦いをおっぱじめたりともう収集がつかず、日本の後継者と交渉どころではなかった。

 

 自衛官達も法律を盾に行動拒否、中立宣言するしまつだ。

 

 警官も動いてはいるが士気は低い。

 

 当初の目論見は崩れて手足を失い、もはや行動不能状態だった。

 

 

 だが悲しいかな。

 

 昔はどうだったか知らないが日本の政治家と言うのはとんでもないタイミングでとんでもないことをやらかしたりするのだ。

 

 

 例えば国家反逆罪で追放した少年少女達を物理的に消去しようと目論んだりとか―― 

 

 

 

 

 =その2:木里の場合=

 

 Side 木里 翔太郎

 

『まさか国王直々にお出迎えくださるとは――』

 

「ええ。本当にウチの国の政治家連中とは格が違うわね」

 

 手毬の意見には同意だ。

 

 しかも変則的な形で補給物資もくれるし。

 

 丁重に扱ってくれた。

 

 同じ日本人が相手だから迫害されるかと思ったが市民からも感謝されたし。

 

 逆に困惑してしまう。

 

「ともかく復興作業頑張りましょう」

 

『ああ、そうだな』

 

 現在俺達は総出で復興作業に従事していた。

 流石核動力のパワーローダー。

 この手の作業にはメチャクチャ向いている。

 

 フェン王国でも様々な型のパワーローダーが普及しているのにも驚いたが、パワーローダー同士の戦いを見せ物にしていたりとかは本当に驚いた。

 

 まんまバトリングである。

 

 もう一つの日本の人間が伝えたらしい。

 

 フェン王国の国風と相俟ってパワーローダーを身に纏い、剣や槍を使った戦いがバトリングの主流のようだ。 

 

「アレが日本の――」

 

「凄い戦い振りだったな――」

 

「あんな可愛らしい女の子が――」

 

「凄まじい武士もいたもんだ――」

 

 ふと遠巻きにそんなこと言われてちょいとこそばゆいがまあ役得だと思っておこう。

 手毬もクールな態度を装っているが恥ずかしそうにしていた。

 

 

 

 

 =その3:荒木の場合=

 

 

 Side 荒木 将一

 

「もういっそこのままフェン王国に移住しようかな」

 

「それはいい考えかも知れませんね。今の日本は異世界バブルがあったとは言え、悪いところはまったく変わってませんし」

 

 俺はパワーローダーでの復興従事作業に休憩入れて加々美 瞬と一緒にそんなことを言っていた。

 

「まあどうするにせよ、日本の後継者とは決着つけないとな。あと日本政府とも」

 

「日本の後継者はともかく、日本政府が厄介ですね。行動が全く読めない。その場の勢いでとんでもないことをやらかしたりしますから」

 

「正直元の世界でもよく滅びなかったな――最低でも大国と分割統治コースくらってベルリンの壁みたいなのが2、3築かれても不思議じゃなかったんじゃ」

 

「優秀な政治家はいたことはいたんでしょうかね」

 

 それたぶん貧乏くじ引いただけなのではと思ってしまう。

 

「それはともかく?」

 

「?」

 

 瞬が改まって何かを聞こうとしてくる素振りを見せた。

 

「現在の荒木さんの女性関係ですが・・・・・・」

 

「今聞くことかそれ?」

 

「いや~なんか私もそうですがフェン王国の女性方に話かけられているのも目撃しましてね? ふと気になって」

 

「あ~それも見られて・・・・・・てか君もかい」

 

「はい」

 

 俺は観念して正直に話した。

 

「実はその――本命と言いましょうか・・・・・・がいましてね。こんな状況のせいでね」

  

「なるほどなるほど。とても気になりますがそれだけ聞けたら十分です」

 

「つかなんで唐突に聞くんだよ?」

 

「いや~ハーレム建築して後ろから刺されるんじゃないかって・・・・・・」

 

 そう言われてグサッと心にナニカが刺さった。

 思い当たる節があるからだ。

 そして俺は観念して「もうゴールインした方がいいかな?」と呟く。

 

「いっそ複数人と結婚出来る国に移住するのもありかと」

 

「俺をなんだと思ってるんだ・・・・・・」

 

 だけどなんでだろう。

 この胸の内から湧き出る罪悪感は。

 

 具体的に言うとどっかの平行世界で複数人の女性と関係を持ったかのような感覚は。

 

「・・・・・・はあ。前向きに考えるわ」

 

 そう言って作業に戻ることにした。  

 

 

 

 =その4:Side マリア・ヒーリング(荒木 将一の担任。長い金髪の爆乳外国人教師)の場合= 

 

 

 Side マリア・ヒーリング

 

 

「いや~反逆者認定されたからどうなる事かと思ったけどなんだかんだで上手くやれてるねえ」

 

 プレラーティと言う長い金髪の少女は艦から降りて海を眺めながらそう言った。

 

 曰く、安全な海はもう一つの日本では希少らしい。

 

 だが恐怖心はあるのか少し離れており、海水浴するつもりはないようだ。

 

「で? 話はなんだい?」

 

「いえ、国王にも話したんですがこの国にとどまると言うのは――」

 

 他校の生徒達を含めてこれ以上生徒達を危険に晒したくなかった。

 

「それも一つの提案だね。だけど最悪のケースを想定した場合、この国に留まっても戦闘に巻き込まれる確率が高い」

 

「それは――」

 

「日本の後継者・フロンティアの残党連中はフィルアデス大陸北東沿岸部。それもリーム王国を中心に日本へ何かしらの恨みを持つ連中を集めて活動している。ここを叩かない限りは永遠と戦い続けることになるぞ」

 

 そう言われて私は何も言い返せなかった。

 

「さらに我々は国家反逆罪のテロリスト扱いだ。ぶっちゃけ目の前の敵より日本のが恐い。今はネット配信の不意打ちで混乱している状態だが落ち着いたら何をしでかすか分からんぞ。最悪一生日本政府の影に怯えて暮らさないといけない」

 

「それは――」

 

「まあともかくガハラ神国やフェン王国にいる後継者を倒さない限りは引き籠もるかどうかも決められないけどね」

 

「・・・・・・」

 

 そう言われるとなにも言い返せなかった。

 

 

 

 

 =その5:手毬サエと朝倉 梨子= 

 

 Side手毬 サエ

 

 フェン王国のとある飲食店。

 

 私は今、他校の朝倉 梨子と互いに顔を真っ赤にしながら話し合いをしていた。

 

 朝倉 梨子。

 私と違って背もあり、胸もある。

 格好良い顔立ちでやや野性的な茶髪の髪型。S○Oのシ○ンというかその物だ。

 

 私達は人目を避けるようにしてお互いの男子や今後について色々と話し合う。

 

 なにしろ状況が状況だ。

 

 命のやり取りをしているのだ。

 

 万が一のことを考えると仕方なくなる。

 

「その事を考えるとハーレムとかもありなのかしら?」

 

「馬鹿じゃ無いのって言いたいけど、状況を考えるとイザッて時は支えてくれる女性は多い方が良いわよね」

 

 などと馬鹿げた提案に乗ってしまうあたり私も相当精神的に疲労が溜まってたんだと思う。

 

「荒木 将一ねえ。確かにそこらの男子よりも魅力的なのは認めるけど、どうしてハーレム主人公みたいになってるの?」

 

「ははは・・・・・・なんだかんだでお人好しだから~としか言えないわね。他の女性陣からの報告によると本人も「身を固めようか」と真剣に悩んでるみたい」

 

「まだ高校生なのにそこまで考えて立派なのね・・・・・・」

 

「私は手毬さんが羨ましいわ。木里君とのこと頑張って」

 

「そ、そう。ありがとう」

 

 そう言われると悪い気はしなかった。

 

「正直私でいいのか悩んだの・・・・・・私綺麗な体じゃないから」

 

「え?」

 

 その一言で耳を疑った。

 

「だけど荒木君なら――そんな体じゃなくてもいいから傍にいたいって思えるのよ」

 

「私からのアドバイスよ。そういう理由で捨てるような男子は逆に蹴り飛ばして、フリなさい。そうでないならどんな手を使ってでも結婚しなさい」

 

「て、手毬先輩攻撃的だけど手毬先輩らしいわね」

 

「手毬先輩?」

 

「うん。恋愛の先輩的な意味で」

 

「そう」

 

 まあこれも悪い気はしないわね。

 

 本当は学生で結婚とか出来ちゃった婚とかお薦めしたくないんだけどね。

 

 私達の状況は特殊だからどうしてもね。

 

 ・・・・・・

 

 ・・・・・・・・・・・・

 

 私も木里と一線越えるべきなのかしら。

 

 

 




ご意見、ご感想お待ちしております。


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フェン王国編その2

完結させるために多少強引に駆け足気味に執筆しています。
目標はGW前に完結。
最悪六月以内に完結させます。


 

 日本国と世紀末日本国召喚

 

 フェン王国編その2

 

 

 フェン王国

 

 アマノキでの戦いから数日後。

 

 Side 名も無き自衛隊員

 

『クソみたいな戦いだったけどようやくツキが回ってきたな!!』

 

 一度は自衛隊の隊員を止めたが、フェン王国の人々やもう一つの日本からの援軍と合流し――再び軍服を着て自衛隊員を名乗る決意をして――日本の後継者とやり合ってきた。

 

 正直苦しいなんてもんじゃなかった。

 

 こちらもパワーローダーを身に纏っちゃいるが、敵との条件が少し五分に近付いただけ。

 

 敵のSF兵器の群れ相手を押し留めるのが精一杯だった。

 

 だが日本から来た援軍――と言って良いのか。

 

 まあ、国家反逆罪らしいが――フェン王国でもネットぐらいは使える。

 

 彼達の配信を見たり、今迄の日本政府の行動からして俺はあの空中戦艦にいる少年少女達を信じることにした。

 

 日本政府も地におちたもんである。

 

『ここで押し込め!!』

 

『戦いの流れが変わってきてる!! いけるぞ!!』

 

 首都アマノキでの戦いを知ってから味方はこの調子だ。

 

 フェン王国の人間とかもパワーローダーを身に纏って前線に出ている。

 

 これまでにないぐらいに士気が上がっていた。

 

 

 

 

 フェン王国 北部

 

 日本の後継者 フェン王国総司令部。

 

 Side 日本の後継者 フェン王国 基地司令官

 

「敵の進軍が止まりません!!」

 

「各地で敵の活動が活発化!! 一斉蜂起状態です!!」

 

「なにをやっている!? 敵はゲリラ風情だろう!?」

 

 たかが敵の首都でラッキーパンチを貰ったぐらいでここまで調子づかれるとは想像だにしなかった。

 

 あの空中戦艦の少年少女達の仕業だ。

 

 どうやら今迄の戦いをあの戦いをこの世界の報道機関を通して世界中に流しているらしい。

 

 世界規模で反抗勢力が活発化している。

 

 幾ら科学技術が優れていても数で押されては我々も負ける。

 

「アインブラッドタイプが各戦線に出現!!」

 

「なに!?」

 

 

 

 

 フェン王国 中央線戦。

 

 平野エリア。

 

 Side 木里 翔太郎

 

『味方が頼もしく感じるなんて初めてだな』

 

「まあね。同胞に追い回されての逃亡生活がずっと続いていたから」

 

 手毬の言う通りだ。

 

 とにかくフェン王国にいる味方が強い。

 

 俺達の手助けもあったんだろうが次々と敵へ果敢に攻めている。

 

 この調子だとこの国を奪還するのにそんなに時間は掛からないだろう。

 

『敵の陸上戦艦撃破!!』

 

『敵基地の一つを制圧した!!』

 

『雑魚には構うな!! このまま一気に進軍する!!』

 

 無線も先程からこんな感じだ。

 

 戦線も大まかにわけて中央、左翼、右翼みたいな感じで分けているが実際は複雑に入り乱れて錯綜している。

 

 敵の戦力も小出しになっていて事態を把握出来ていないように感じた。

 

 

 日本のネットも大盛り上がりで現実でも現政権への反対運動が起きているらしい。

 

 曰く「お前らはテロリストに屈するのか」と、「少年少女だけに戦わせて恥ずかしくないのか」と。

 

  

 まあともかくこれで世論は動かせた。

 

 だが日本の世論(ブーム)は冷めやすいからな。

 

 冷めないうちにケリをつける必要がある。

 

 だから強行軍で日本の後継者を攻め続ける必要があった。  

 

 

 

  

 フェン王国 北部

 

 日本の後継者 フェン王国総司令部。

 

 Side 日本の後継者 フェン王国 基地司令官

 

 

「各戦線崩壊!! 情報も錯綜しています!!」 

 

「順次後退して態勢を建て直せ!! 防衛戦を築く!! 脱出の準備とガハラ神国の部隊にも増援要請!! ここが陥落したら日本の部隊は孤立するぞ!!」

 

 司令官は矢継ぎ早に指示を出していく。

 

「出せる戦力は全て出せ!! 出し惜しみして陥落する事態だけは避けたい!!」

 

「了解!!」

 

 司令官を総力戦を覚悟した。

 

 

 

 

 Side 木里 翔太郎

 

 

『また傭兵って奴か!?』

 

 フェン王国北部。

 平野部。

 

 そこで木里達は三体の傭兵と遭遇していた。

 

『悪いが仕事なんでな。死んでもらうぞ』

 

『これもビジネスだ。悪く思うな』

 

『なんだかんだね金払いはいいんでね』

 

 三者三様にそう言って襲い掛かってくる。

 

 動くミサイル弾薬庫。

 グレネードランチャーオンリー。

 重火力戦車型。

 

 この三タイプだ。

 

 とにかく火力重視の編成で中々手が出せない。

 

 平野部なので身を隠す場所もない。

 

『もらっ――なに!?』

 

 と、その時に現れたのは――

 

『手毬!!』

 

「ごめん!! 立て込んでた!!」

 

 メカスーツ姿の手毬と合流できた。

 周囲の敵は粗方片付いたのだろう。

 三対二だがこれで負ける気はしない。

 

 

 

 戦いは一気に優勢に傾いた。

 手毬が俺の動きに合わせるし、俺が手毬のためにどう動くべきなのかが分かる。

 先日との無人機との戦いを経てからより一層感じるようになった。 

 

『一体増えただけで急に動きが――』

 

『早くて捉えきれない!!』

 

『火力で――』

 

「そうはさせない!!」

 

 竹宮高校の他の面々が援護に入り、傭兵達の動きを制限させる。

 流石に不利を悟ったのか傭兵達は後退していった。

 

『流石傭兵。引き際も心得てるな』

 

「だけど、もうそろそろ相手の最終防衛線よ」

 

『・・・・・・激しくなりそうだな』

 

 

 

 

 Side 日本の後継者 フェン王国 基地司令官

 

 基地司令は陸上戦艦に搭乗。

 パワーローダーを含めた全ての兵器――無人兵器、砲台も後先考えない全力稼働して迎え撃つつもりだった。

 

「右翼、左翼ともに敵の攻撃による損耗が激しく、このままでは――!!」

 

「被害報告はいい!! それよりもパワーローダー部隊は!?」

 

「全て出動させました!! 傭兵は――」

 

「傭兵は所詮傭兵だ――この局面ではアテにはできん」

 

 傭兵はビジネスストライク優先な連中である。

 命を捨ててまで付き合う奴など希だ。

 

「全砲門開け!! 弾を惜しむな!!」

 

 基地司令は指示を出す。

 

 己の死期を悟りながら――

 

 

 

 

 Side 木里 翔太郎

 

 

「もうここまで来たら陥落寸前ね」

 

『ああ・・・・・・』

 

 手毬の言う通りだ。

 

 敵の抵抗が激しいがこのままなら陥落するだろう――

  

 そう思った時だ。

 

『敵が急速接近!! 大きいぞ!!』

 

 オペレーターの如月 純夏先生がそう言う。

 レーダー場に大型の熱源反応を探知。

 

 視界に入るとそこには――

 

『なんだあいつは!?』

 

 銀色のSF的なジェット戦闘機にも見えなくはない。

 頭部やアームまでついている。

 周辺にミサイルを撒き散らし、ビーム弾を乱射しながら高速起動で迫り来る。 

 

「やるしかないわね」

 

『だな!!』

 

 手毬の言う通りやるしかないだろう。

 

 俺は腹を括ることにした。

  



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逃避行の終わり編

 

 日本国と世紀末日本召喚

 

 逃避行の終わり編

 

 

 Side 木里 翔太郎

 

『なんなんだこの戦闘機モドキは!?』

 

「各戦線も手が離せないから二人で乗り切るしかないわね」

 

 手毬の言う通りなんだが正直手が欲しい。

 

 敵はとにかく素早く、火力がある。

 正直これ、パワードスーツで相手するような奴じゃない。

 

 俺と手毬は空中を飛び回りながらの二人掛かりで挑むが状況は均衡している。

 

「どうする? 仕掛ける?」

 

『あんまり無茶はしたくない局面だが――』

 

 そう思っていると地上から砲火が上がる。

 なんだろうと目を向けてみると―

 

「援軍!?」

 

『こちら自衛隊――と言っても今は残存戦力や現地の住民などと一緒に行動しているが――援護する』

 

 そう言って雑多な種類のパワーローダーからの援護射撃の弾幕が敵の新型機――戦闘機モドキに集中する。

 直撃弾はないが敵の動きが乱れた。

 

 仕掛けるなら今だろう。

 

『手毬!!』

 

「木里!!」

 

 まず二人で射撃武器を使って飛び込む。

 続いて俺が近接武器を抜いて切り裂き、手毬が上昇して射撃をお見舞いする。

 俺も振り向き様に再度射撃武器を発射して動きを止め、今度は手毬が飛び込む。

 

『凄い連携だな――パワーローダーであんな事が――』

 

 などと地上の自衛官にそう言われる。

 

「とどめいくわよ!!」

 

『ああ!!』

 

 俺と手毬は両手に近接武器を装備して左右から挟み込むようにフィニッシュ。

 敵の戦闘機擬きを両断した。

 

『凄かったな――なんだこんな時に――ちょっと待ってくれ?』

 

 地上の自衛官の様子が変だ。

 

『なんだって――嘘だろ!?』

 

 突然叫び声を上げた。

 

『おい、そこの二人!! 今すぐここから離れろ!!』

 

「どうしたの急に?」

 

 手毬が当然の反応をする。

 

『君達の捕縛、あるいは殺害命令が出ている!! その部隊も近付いて来てるぞ!!』

 

『「なんだって!?」』

 

 との事だった。

 

 

 

 

 俺達は一旦レギンレイヴに戻る。

 

 そして状況の確認を取ったがどうやら本気で日本政府は始末するつもりで部隊を差し向けているらしい。

 

 それも曰く付きの連中をだ。

 

 表向きはフェン王国への救援活動。

 

 だが実態は俺達を抹殺。

 

 艦の代表者のプレラーティ博士は「仕方ないけど予定を早める」と言ってもう一つの日本の連合部隊と合流するためにフェン王国を脱出することになった。

 

 まではまだ良かったのだが――

 

『空中用のパワーローダー部隊!?』

 

『何時の間にそんな部隊を保有するようになったんだ!?』

 

 皆驚きの声でそう言う。

 空中飛行型のパワーローダー達の襲撃。

 そもそもパワーローダーは想像以上の低コストで量産出来るらしいがそれでもかなりの大部隊を送り込んで来ている。

  

 日本政府もネットの反応とか無視してここまで形振り構わなくなるとは想像だにしなかった。

 

『このままじゃ消耗戦になるけど――脱出プランはあるのか!?』

 

 俺がそう言うとプレラーティ博士は「一つあるけどいいかな?」と言った。

 

 それは――

 

『日本の後継者の基地を通る正面突破ルートか・・・・・・危険だがやる価値はあるな』

 

 敵の基地を正面突破して日本政府の追跡から逃れる作戦だった。

 危険ではあるが、このまま戦い続けるよりかはマシだ。

 

「はーあ。今度はゆっくり観光したいわね」

 

『歓迎してくれるかどうか怪しいけどな』

 

 手毬の言う事には同意だがここまでやらかしといて歓迎してくれるかどうかは怪しいもんだと思った。

 

 

 

 

 日本の後継者と自衛隊の弾幕が集中する。

 

 なにかワケありの部隊なのか、自衛隊の飛行型パワーローダー部隊はしつこく食らいついてくるがどんどん日本の後継者の攻撃を食らって脱落していく。

 

「もっと後方に部隊がいるけど、たぶんアレは今襲ってきている連中の監視部隊ね。逃げたら殺すみたいな」

 

『日本は何時から民主主義から悪の独裁国家に手の平返したんだ?』

 

 なんかどんどん自分の母国が、一度滅んだ方がよくないか? と思うようになってきた。

 

「人間に追い詰められたらなんでもやるのよ。結局第二次大戦の頃から本質は変わってなかったのよ、ウチの国」

 

『言い返せないな』

 

 

 とりあえず恨みはないが、自衛隊の飛行型パワーローダーを片付けて行く。

 

  

 敵の旗艦を横切り、基地の真上を通貨。避難船らしき船をも通り過ぎ――そして海へと出た。

 

 もう追ってはこれないだろう。

 

 

 

  

 俺達はそれから海上を旅をした。

 

 アルタラスの日本の後継者などの部隊はプレラーティ博士の仲間達が撃破。

 

 現在リーム王国の方では激戦になっているらしい。

 

 そして俺達は一先ず、リーム王国戦線の後方に退避した。

 

 近くであったのもあるが、戦闘での無茶とかもあるしな。

 

 戦場の方が身が安全だとはとても皮肉が利いてると思った。

 

 

 とりあえずリーム戦線の人達を助けながらもこれからどうするか俺達は考えた。

 

 総じてみんな、元の生活に戻りたいと言うのが本音だった。

 

 

 まあそこまではいい。

 

 ある衝撃的な事態になってそれどころではなくなった。

  

 

 リーム王国が陥落したのはまだいい。

 

 

 同時に自分達の母国の日本が陥落。

 

 日本の後継者とフロンティアの連中の手におちた。

 

 どうやら日本に戻る時が来たようだ。

 

    



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日本への帰還編

 駆け足ながらこれで終わりです。


 

 Side 木里 翔太郎

 

 

「まさかこんな形で日本に帰還する事になるとはな」

 

「ええ、まったくね」

 

 俺と手毬はパワーローダーを身に纏いながら東北地方戦線に降り立つ。

 

 日本各地で日本の後継者とフロンティア、そして自衛隊による抵抗が続いているらしい。

 

 日本人にしてはなんか立派に抵抗しているな~? と思ったが、キッカケはと言うと日本国内でも頭がおかしいと思われている連中を虐殺したのがキッカケだったようだ。

 

 具体的には馬鹿みたいに戦争反対掲げる連中とか。

 

 

 そう言う頭のおかしい連中がいなくなった御蔭でマトモに国家として機能しているとは何とも皮肉が利いていると思った。

 

 

 俺達は出来うる限りの戦力を掻き集めて日本の後継者やフロンティアの連中がいると思われる首都圏に殴り込むことにした。

 

 どうして戦うかと言うと――この状況を作った――自衛隊の人達が必死に抵抗を続ける責任を作った者としてのケジメみたいなもんだ。

 

 

 まあ本音を言うと仕返しもあるが、フェン王国やリーム王国で出会った人々。

 

 こうして苦しんでいる日本の人々と出会って――らしくはないが、少しでも早くこの戦争を終わらせたいと思った。

 

 

 そうして最後の戦いが始まる。

 

 

 

 

 幾多のパワーローダー。

 

 無人兵器。

 

 それらが首都圏の都市部でぶつかり合う。

 

 場の流れとはいえ、まさか俺達が戦争の終わりの締めを担う事になるとは思わなかった。

 

 とにかく敵が倒しても倒してもキリがない。

 

 それでも倒し続ける。

 

 他の皆も同じだった。

 

『手毬? 大丈夫か』

 

 敵に囲まれ、俺と手毬は背中合わせになる。

 

「そっちこそ大丈夫?」

 

『何体倒した?』

 

「最初から数えちゃいないわ。こう言う時は周りにいる奴全部ぶっ倒せばいいのよ!!」

 

『そうだな!!』

 

 俺達は再び敵の群れに飛び込む。

 この戦場は俺達だけじゃない。

 

『こんな馬鹿げた戦争はこれで終わりだ! みんな死ぬんじゃないぞ!!』

 

『分かりました将一。皆さんは敵を倒すよりもフォーメーションの維持に専念。近くの敵だけを倒す事だけ考えてください』

 

 荒木 将一達がいる。

 

『この国は問題点だらけだが・・・・・・そこに住んでいる人々まで巻き込むような真似はするな!!』

 

 加藤 佳一がいた。

 

『僕達はもう亡霊なのです。さようならかつての戦友たち』

 

 木之元 セイがいた。

 

『自分、ニートだったけど、ここまで成し遂げることができたよ』

 

 三枝 ユキノがいた。

 

『まさか日本でドンパチする事になるとはな』

 

『そうだなキンジ!!』

 

 緋田 キンジと宗像 キョウスケがいた。

 

 他にも数え切れないヒーロー達がこの場に集っていた。

 

 

 それでも戦いは激戦を極め、全てが終わったのは――日本が奪還されたのは朝日が昇った頃だった。

 

 

 

 

 Side 緋田 キンジ

 

 

 当然のことだが全てが元通りになったわけではない。

 

 日本の後継者、フロンティアは壊滅。

 

 しかし日本は民衆だけでなく、国際社会においての信用を失い、その信用を回復するためにもう一つの日本の力を借りざるおえない状況となった。

 

 

 まあそれも古の魔法帝国との戦いの御蔭で大分回復できたが――

 

 

 そして俺――緋田 キンジはと言うと――

 

 

 =世紀末日本駐屯地=

 

 

「またサメが出たぞ!!」

 

「クソ!! やっぱ最後はこうなるか!!」 

 

  

 元のメンバーと一緒に世紀末日本駐屯地に逆戻り。

 

 そこでサメと戦っていた。

 

 サメだけではなく、ワニとかトーマスとかもくる。

 

 なんか時折ナチスとかFalloutのゼータ星人とか来るが――なんか日本の後継者とフロンティアの連中と戦っていた方がマシだったと思うようになった。

 

 だが悪いことだらけでもなく、結婚もした。

 

 キョウスケもだ。

 

 子供も産まれるし頑張って稼ぎますか。

 

 

 

   

 Side 木里 翔太郎

 

 

 俺や将一たち、日本からの逃避行生活をしていた俺はまあ工科学校。

 

 全員纏めて自衛隊の特別クラスに編入と言う形になった。

 

 いわゆる監視対象扱いでとどめておいてやるから普通に学園生活を送れと言う奴だろう。

 

 選択肢はあってないような物なので承諾した。

 

  

 進路は考えてはいないが、とりあえず手毬と一緒にいられたら俺はそれでいいと思ってる。

 

 荒木も腹を括って梨子さんとくっついたようだし。

 

 

 まあ、めでたしめでたしってところかな?

 

 

【END】

 

 

=あとがきと言う名の謝罪文=

 

 急に終わらせる形になってすいません。

 

 単純に言いますと複数同時連載していたツケと言う名のキャパオーバーです。

 

 本当にごめんなさい。

 

 次連載する時はもうちょっと考えてから連載します。

 

 



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