回顧録のようです (投稿者に代わりまして名無しがお送りします)
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アイスのようですね
にんまりと笑っているしぃの手には緑色の袋
しぃは封を切って、近場のゴミ箱に捨て水色のアイスを取り出した
(,,゚Д゚)「あ」
ギコが制止の声を上げる間もなく、アイスはしぃの口の中に入っていく
(*゚ー゚)「ひほふんっへ、ほーだふひはっはっへ」
口にアイスを頬張ったまましぃが喋る
(,;゚Д゚)「行儀悪いぞ」
(*゚ー゚)「ごめん」
素直にアイスを取りだし謝るしぃに、少し不安になる
(,;゚Д゚)「なんとも……ないのか?」
(;゚ー゚)「えっ、食べちゃいけないものだったの?」
焦ったように返すしぃに異常は見当たらない
ただの杞憂だったと安心して息を吐く、そうすると思うのは自分で食べればよかったという後悔だ
(,,゚Д゚)アイスのようですね(゚ー゚*)
(,,゚Д゚)(まあ後でしぃに何か買ってもらえば良いか)
妙案が思い浮かび、少し機嫌が浮上する
(,,゚Д゚)「おまえ、後でオレにアイスおごれ……」
歩みと共に言葉も止まる
(*゚ー゚)「ん? なぁに」
目線がしぃの頭の上から離せない
(*゚ー゚)「頭の上に何かついてるの?」
ついてると言えばついてるけど、これは生えてると言った方がいい
(;;゚Д゚)「しぃ、おまえ……頭に」
(*゚ -゚)「もう、なによう」
頬っぺたを膨らましながら頭に手を乗せる
いや、正確には頭に生えている猫の耳にだ
∧_∧
(*゚ー゚)「え」
ボト
腐った果物が落ちるような音をたてて、しぃの手からアイスが落ちた
∧_∧
(|i゚ー゚)「ぎ、ギコ君
コレ……どうしよう」
大きな目に涙を溜め、真っ青になってしぃが言う
(,,゚Д゚)「どうしようって言われても」
原因はアイスにあると解っていても、袋はもうずっと前に捨てているし
落としたアイスも半分以上がアスファルトの熱で溶けている
じわじわじわ
じわじわじわ
2人とも喋らず、遠くでセミの鳴く声が聞こえる
∧_∧
(i| - )「どうしよう」
可愛らしい顔は色を無くし真っ白
見開かれた目からしだいに、ポロポロと涙が溢れだす。
そして、ギコは嫌なことに気付く
(;;゚Д゚)
∧_∧
( ;ー;) うぇ……うぅっ
(;;゚Д゚)「しぃ……背ぇ縮んでないか?」
頭一つ分もなかった差が、今ではギコの肩まで開いている
背が縮むというよりはしぃの体が小さくなっているのだが、パニックになっている2人は気付かない
∧_∧
( ;ー;)「ぎ、ギコ君ギコ君ギコくん怖いよ、助けて、こわいよぅ」
(;;゚Д゚)「しぃ、しぃ大丈夫、大丈夫だから な?」
ギラギラと太陽が照りつける中、暑いハズなのにガタガタとしぃは震える
そんなしぃを抱き締めながら、ギコは賢明にどうすればいいのかを考えた
(,,゚Д゚)!
(,,゚Д゚)「しぃ、病院だ
病院にいってお医者さんに見てもらえば元に戻るかもしれない」
それは咄嗟に思い付いた言葉だった。
震えるしぃの体はもう腰ほども無い
それでもギコは諦めず、掌が膨れているしぃの手を握り、抱き留めながら病院へと走る
(,,゚Д゚)「走るの速いの知ってるだろ? 大丈夫、間に合うよ大丈夫」
∧_∧
(*;ー;)
どうにかなる、大丈夫とギコは自らに言い聞かせるように何度も呟く
それにしぃは答えない
息も絶え絶えになりながら、ギコは走る
段々しぃが小さくなっていくので、重くはない
体は縮み、服はキャミソールだけになった
体から白い毛が生えてきた
手には肉球が出来た
病院まであと半分
ギコはただひたすらに走り続けた。
∧_∧
(*;ー;)「ギコくんあのね、もうね、もういいの」
(,,゚Д゚)「よくない! あと半分だから、まだ間に合う!!」
∧_∧
(*;ー;)「今までワガママばっかりでごめんね、迷惑とかいっぱいかけちゃって」
∧_∧
(*;ー;)「ごめんね、ごめんねギコ君」
(,,゚Д゚)「し……ぃ……」
にゃあん
(,, Д )
聞こえた声は人の声ではなく、猫の鳴き声
ガリッ
(,,`Д゚)「っ!」
突然の痛みにギコは思わず腕を緩めた。
キャミソールから溢れるように猫が落ちる
猫特有のしなやかさで軽々と着地し、尻尾を揺らしながら白い猫は歩いていく
(,,゚Д゚)「待て、しぃ!」
揺れる尻尾が別れを告げているようで、ギコは叫んだ
猫はそれを気にするでもなく去っていく
(,,゚Д゚)「ま……」
手は伸ばすが足は動かない、何となく戻らないだろうとは察していた。
それでも希望にすがって病院へと走った。
しかし、間に合った所でなにができたであろう
(,, Д )「ははは……」
ギコの渇いた笑い声が虚しく響いた。
****
ギコはこの事を誰にも話さなかった。
体験した本人ですら信じられないのだ、そんな話を誰が信じるだろう
しぃの両親が警察に捜索届けを出した。
勿論しぃは見つかっていない
だって彼女は真っ白な猫になったのだから
にゃあん
期間が5日なのに20日に投稿したという大幅遅刻を決めたにも関わらず、感想絵を描いていただき大変感動した覚えがある。
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夏風邪はひかないようです
畳の部屋で豪快な大の字を描きながら一人の少女が眠りについていた。
田舎のため防犯などには一切の配慮もなく、窓という窓、扉という扉を全て開け放ち
扇風機はぶんぶんと軽快な音をたて少女に風を送る。
ノパ⊿゚)夏風邪はひかないようです
ジリジリと太陽が照りつける真昼に、風通りが良く涼しい場所で悠々と眠り自堕落な生活を送るも
素晴らしき電化製品であるクーラーの恩恵を受け、朝から晩まで気が済むまでネットにゲームと室内に篭るも
仲の良い友達と連絡を取り合い、健康的に外で遊び日に焼け、風呂に入るとき四苦八苦するも
長期休暇である夏休みがある学生だけの特権とも言えるだろう。
ノハ-⊿-) モルスァ
この少女はヒート、限りある夏休みを寝るためだけに浪費している1人だ。
この少女の恐ろしい所はほぼ一日中眠っている、という一点に尽きる
寝汚い
とにもかくにも寝汚い
最初は何度も起こしていた親や親戚が諦めるほどの寝汚なさだ。
ヒーチャン、ゴハンヨー!>
ノハ-~-) ン
ノハ-⊿-) 「いっぱいぱい」
しかもこの少女、寝相まで悪い!
いつも腹をだしたまま寝こけるヒートに、風邪を引かないかと心配に思った祖母がタオルを掛けてくれた事がある。
川 ゚-゚)「ヒートが風邪を引いては大変だ」パサ
ノハ-⊿-)
ノハ-⊿`)「暑」バサッ
川;゚ -゚)「タオルが外に落ちている……だと……」
川 ゚ -゚)「ヒートは寝相が悪いな」パサッ
ノハ;-⊿-) アノタイヨウガスタンドダト!
ノハ;-⊿-)
ノハ;-⊿゚)「あっつい!」バサァ
ノハ-⊿-) グスー
川 ゚ -゚)「さて、そろそろ晩御飯だしヒートを起こそうかね」スタスタ
川;゚ -゚)
川;゚ -゚)「タオルが無い……」
ノハ-~-) ムニャ
ノハ-⊿-) ガオン
とまあタオルは何処かへと消えてしまったのである。
そんな感じでなかなか起きないヒート
一回だけだが、知らない他人がが家の中に上がり込んできたことがある
流石にそれは起きるだろう、と思ったあなた!
認識が甘い
ノハ-⊿-) スゥ スゥ
|コソ
|)コソコソ
|∵)コソドロ
( ∵)
( ∵)
( ∵)
( ∵)
( ∵)
( ∵)
( ∵)
( ∵)
( ∵)
( ∵)
( ∵)
( ∵)
( ∵)
( ∵)
( ∵)
( ∵)
ノハ-⊿-) タジュウカゲブンシン
まあ、なにも盗まれてなかったから誰もこの事に気付いてないんだけどね☆
しかもヒートは地震があっても起きない、そこまでいくと将来が心配になる(死亡フラグ的な意味で)
ガタガタッ ドサドサッ
ノハ-⊿-) チカラトハコウイウモノダ!
ガシャーン
ワー、ショッキガ!>
アナタ!ウエ、ウエ!!>
ノハ-⊿-) ヌルポ
ガッ
アナタァァァァァァアアアアアアア>
彼女が本がミッチリ詰まった本棚や、重い荷物のある部屋で寝ていたなら高確率で何時か死ぬだろう
本棚がある部屋では無いだろうが
更に、この少女びしょ濡れになっても起きない
ここまで来ると寝汚いを通り越して病気なのかと思えてくるが、あくまでもヒートは寝汚いのである
ポツ ポツ ポツ ポッ
o川*゚ー゚)o「雨、降ってきたわね」
ザー ザー
ザー ザー
o川*゚ー゚)o「あ、ヒーちゃんの所開けっ放……いや、流石に起きるわよねあの子」
o川*゚ー゚)o ザー
o川*゚ー゚)o ザー
o川*゚ー゚)o ザー
o川*゚ー゚)o「一回見に行きましょう」
o川*゚ー゚)o「ヒーちゃん、起きてるー?」トタトタトタ
o川*゚ー゚)o「ヒーちゃ…………」トタトタッ
ノハ-⊿-) オネショチガウ
o川*゚ー゚)o「あらま、びちゃびちゃ」
o川*゚ー゚)o「ほらほら、流石にそのままだと丈夫なヒーちゃんでも風邪ひいちゃうぞ!」
さて、そろそろ彼女が目覚めるので私はここまでで
ノハ-⊿-)
o川*゚ー゚)o「ほらほらヒーちゃーん」
ノハ-⊿`) ン
ノハ'⊿`) ンァァァァアアア
o川*゚ー゚)o「起きた?」
ノハ'⊿`)「まだねむぃ」
o川*゚ー゚)o「濡れて冷えてるからお風呂入んなさい、そのあとご飯よ」
ノハ'⊿`)「んー」
o川*゚ー゚)o「ほら! シャキッとするっ!!」
ノハ'⊿`)「かぁさん、なんか変なゆめみたぁ」
o川*゚ー゚)o「はいはい、早く早く」
ノハ'⊿`)「なんか人がぁ、せっかくきもちよーくねてんのに横でうだうだ……うだ」
ノハ>3<)・∵.クチュン
ノハ'⊿`)「風邪かなぁ」
そんな訳わぁない
お馬鹿は風邪をひかないものである
ノハ'⊿`)「うせっ」
o川*゚ー゚)o「ん?」
ノパ⊿゚)「なんでもなーい」
これにて惰眠貪るヒートの日常報告は終わる
それにしても夏休み2/3寝てるってどう言うこっちゃ
…………まあ、私はこれにて一旦筆を置くのである
( ∵)ノシ
こちらも前作と同じく、投稿が大幅に遅れ27日に投稿したもの
イラスト全てに文章を付けたいがためにノリと勢いで書ききったので、色々と荒いけど楽しかった思い出。
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