狂犬が如く (マキシマムダンガル)
しおりを挟む

第一章 始動

その日、幻想郷にて事件が起きた

 

妖怪の山にて行方不明事件が発生

 

行方不明者は「犬走 椛(いぬばしり もみじ)」「射命丸 文(しゃめいまる あや)

の二名

目撃者によると

二人が会話中に突如、光が二人を包み、光が消えたと同時に二人も消えていたという

 

そして、捜索が行われるが一向に報告が上がらず

二人の安否が心配されている

 

二人は一体どこに行ってしまったのか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現代 東京 神室町

 

アジア最大の大歓楽街「神室町(かむろちょう)

そこは全国よりさまざまな事情を抱えた人間がやって来る

 

そして、その街を納めるのが

関東最大の暴力組織「東城会(とうじょうかい)

東城会の統率のため現在の神室町がある

 

ある日、その神室町に変化が訪れた

それは

 

 

 

 

 

神室町 ホテル街 竜宮城

 

神室町 ホテル街の裏通りにある廃ビル

その実、中身は竜宮城と呼ばれるカジノ、賭博場そして道場があるビル

 

「ZZZ・・・」

 

そのビルの三階、道場の中

みすぼらしい服装の女性があぐらをかいて眠っている

その女性の髪色は雪のように真っ白だった

今はホームレス生活のせいでお世辞にもキレイとは言えなくなっている

 

女性が眠っていると思っていると

突然、目を開き立ち上がり外へと出た

 

ビルの外へと出るとホームレスの男と若者がいる

一目で何かが起きたことは明白だった

 

ホームレスの男は鼻血を流して地面に倒れている

どうやら若者の中で流行っているらしい「ホームレス狩り」

と言うヤツらしい

 

「うぅ・・・」

 

「へへへ、中々ストレス発散になるなぁ」

 

若者はまったく悪びれることなく今にも

ホームレスの男に飛びかかろうとしていた

しかし

 

「梶原さん、大丈夫ですか」

 

若者に立ちはだかるようにしてホームレスに声を掛けた

 

「も、椛ちゃん・・・こりゃあ、恥ずかしいところを見られちまったなぁ」

 

「だから言ったんですよ、最近は物騒だから夜中に出かけない方がいいと」

 

若者を完全に無視して二人は会話をしている

すると、若者は椛の肩を掴み

若者の方へ顔を向くようにした

 

「おうおう、嬢ちゃん、何のようかな」

 

その時、男は完全に油断していた

男の目に映っているのは確かに華奢な体躯の女性だった

ただ一つ誤算があった、それは相手が妖怪であること

そして

 

「私の命の恩人に手を上げて、五体満足で帰れると思わないでくださいね」

 

その表情は柔らかく優しそうに見えた

しかし、正面から見ていた男はその目の奥に

「確実に貴様を殺す」

そんな殺気が潜んでいる事に気づいた

が、気づいたところで手遅れだった

 

男の方へ体を向ける勢いを利用し

肩と腰の回転の乗った鳩尾を当てた

若者の腹から

「グチャッ!」

という音が鳴り

その場に倒れた

 

「あなたたちがくだらない遊びを広めたせいでこっちも迷惑してるんですよ?

 しっかり責任をとってもらわないと・・・ねぇ」

 

椛は狂気に満ちた目で近寄った

すると、若者は悲鳴を上げて逃げていった

 

「大丈夫ですか、急いで先生に見てもらいましょう」

 

椛は梶原に肩を貸し竜宮城の中へ入っていった

 

 

 

 

竜宮城 三階 道場内

 

道場の中には

数人のホームレスに格闘技を教える老人がいる

その老人は

 

「古牧先生、梶原さんがケガをしてしまって」

 

老人の名は古牧 宗太郎(こまき そうたろう)

古牧流古武術の正当継承者

昔、伝説の極道にその技を教えていたと言う

 

「いやぁ、面目ない」

 

「まったく、わしが技を教えておるというのに」

 

「取りあえず、応急治療を」

 

 

 

 

梶原は応急治療を受けて眠っている

古牧と椛はあぐらをかいて話をしている

 

「その若者はどうしたんじゃ」

 

「取りあえず、一撃で沈めて脅しておいたので余程の阿呆でなければ大丈夫かと」

 

「うむ、やはりお主は筋がよい、女子(おなご)にしては肝も据わっておる」

 

「いえいえ、そのお歳でまだまだ現役の先生の方がスゴいですよ」

 

「ほっほっほ、人を立てるのも上手いとは、ますます気に入った」

 

椛は古牧より技を教わり

今は師弟関係となっている

しかし、椛の学習能力は古牧も驚くほどで

たった数日で古牧流の必殺と言われた「虎落とし」まで習得した

 

「ここの皆さんにはお世話になりましたからこのくらい当然ですよ」

 

椛は神室町にやって来た当初は

誰に対しても警戒しホームレスたちにも

牙を剥こうとしていたが

町のこと

この世界のことを教えられ

わざわざ住む場所として

竜宮城を教えられ現在に至る

 

そうして古牧とも出会い

技を教えてもらう代わりに

竜宮城を守る、門番役を名乗り出た

というのも神室町の治安は年々悪化の一途をたどっている

 

その理由は東城会の弱体化による衰退が原因である

最近では関西最大の暴力団組織「近江連合(おうみれんごう)」が

神室町内を歩き回るのも目撃されている

 

「最近は本当に物騒ですよね、近江連合がその辺を歩き回るし

 チンピラ連中が幅を利かせ始める始末ですし」

 

「うむ、弟子達が襲われる報告も受けておる、嘆かわしい事じゃ」

 

「ホテル街周辺だけでも安全にしておきたいですし

 少しパトロールしてきます」

 

椛はそう言って外へ出た

 

 

 

外へ出ると一見何も異常がなさそうに見えるが

その実、前までそこら中活気に溢れていたが

今では活気が消えたように見える

 

「まぁ、少し前までの神室町を知らないんですけど」

 

独り言を言いながら歩き回っていると

 

「よぉ、椛」

 

声を掛けられた方向へ顔を向けると

そこにはホームレスにしては若い男性が立っていた

 

「あぁ、阿部さん」

 

阿部 雅也(あべ まさや)元東城会系の若衆

現在は組が潰され神室町内でホームレスとして生活している

 

「物騒な事になってきてるからあんまり夜中歩き回るなよ」

 

「あれぇ、心配してくれるんですか?

 まぁ、私に手を出せる奴なんていないですけど」

 

椛はこの世界にやって来てすぐの頃

右も左も分からぬ時に

阿部に出会い

拳を交えたのちに仲良くなり竜宮城の存在を教えられた

 

「まぁ、そりゃあそうだが」

 

二人はそんな風に談笑していると

ヤクザ風の格好をした男が声を掛けてきた

 

「おう、あんたらこの辺で犬走 椛と阿部 雅也ってヤツ知らんか」

 

男は関西弁を喋り

胸元に近江連合の代紋を付けている

 

「はぁ、何か用事でも?」

 

「そいつらに挨拶せなあかんくてな、この辺にいるらしいんやけど

 嬢ちゃん知らんか?」

 

二人は顔を見合わせ頷き

男の顔面を殴り飛ばした

「ブゲェ!」

男はキレイに吹き飛び地面に倒れた

椛は男を踏みつけ

 

「で、その椛が私ですけど

 挨拶とは?」

 

「うっぐぅ、親父があんたらに話がある言うから探しとっただけや」

 

「本当にそれだけか?俺らを狙ってるヤクザ連中がいるのは知ってる」

 

阿部も男の顔を見下ろしながらそう言った

 

「ほ、ホンマや!勝矢の親父にそう命令されたんや!」

 

「勝矢?誰ですそれ」

 

「お、近江連合直参逢坂興業(おうさかこうぎょう)組長『勝矢 直樹(かつや なおき)

 今は蒼天堀(そうてんぼり)を拠点にしとる」

 

男はそう言うと内ポケットから写真を取り出した

その写真には男の言う勝矢が写っている

 

「あぁ、そう言えば聞いたことがありますねぇ

 どっかの芸能事務所の社長さんだとか」

 

「そんなヤツが何のようだ」

 

「そ、それは聞かされてへん

 あくまで俺らはあんたらを親父のところまで案内することやから」

 

男はビクビクしながら顔を逸らした

どうやら本当に何も聞かされていない様子だ

 

「だったら自分から来るべきでは?」

 

「そ、そんなん俺に言われても知らんがな!」

 

「ん?口の利き方がなっていませんねぇ」

 

椛はそう言うと男の胸を踏む力を少し強くすると

男は苦しそうな唸り声を上げた

 

「と、取りあえず、親父は今神室ヒルズの一室におるわ」

 

怯えた表情でそう言うと神室ヒルズ方面に指差した

 

「ふむ、どうします?ヒドく怪しいですけど」

 

「確かにそうだが、近江連合の人間を潰す絶好のチャンスだ

 行ってみるのも手だ」

 

「じゃあ、行ってみますか。

 もし、本当にただの罠だった場合は

 この人に責任をとってもらいましょう」

 

二人は早速神室ヒルズへ向かった



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第二章 首輪

二人はホテル街裏通りを通って公園前通りにある神室ヒルズについた

『神室ヒルズ』

二年前に建設され一年前にやっとグランドオープンした

一階から三階までは

ファッション フードコート アミューズメント施設が並び

さらに四階からは宿泊施設としても利用できるようになっている

 

「うーん、こんな格好じゃ、門前払いが関の山ですねぇ」

 

「そうだな、どうするか」

 

二人はヒルズ前で悩んでいると後ろから

 

「お待ちしておりました、犬走さん、阿部さん」

 

二人は驚きながら振り向くとそこには

勝矢 直樹が立っていた

 

「あなたが勝矢さん・・・ですか」

 

「えぇ、どうぞこちらへ」

 

勝矢に案内されヒルズ内の従業員用通路を通りスウィートルームに通された

 

「こんな立派な部屋にホームレス二人を入れて大丈夫なんですか?」

 

「えぇまぁ、あくまでお二人は私の客人なので

 それ相応の部屋を用意するのが礼儀ですよ

 それに、近江連合の器の大きさを見せるためにもね」

 

「で、何のようだ」

 

二人は椅子に座り

勝矢は二人の前にあるテーブルに飲み物を置いた

 

「話の内容は現在の近江 東城会の関係についてです」

 

「はぁ、東城会を潰してくれとかですか?」

 

椛のその発言に対し

勝矢は眉間にシワを寄せた

 

「実は、近江連合の組を潰してほしいんです」

 

「はっ?」

 

二人は鳩が豆鉄砲を食ったような表情になってしまった

 

「つまり、近江連合の組長になりたいから、と言うことですか?」

 

「いえ、理由としては近江連合内で抗争が起きようとしているのです」

 

「内部抗争ってことか」

 

勝矢は立ち上がり窓の前に立った

 

「現在の近江連合は渡瀬の兄貴が納めています」

 

近江連合八代目組長『渡瀬 勝(わたせ まさる)

渡瀬組の組長でもあり

勝矢とは兄弟の杯を交わした

 

「そのおかげで組もかなり大きくなり

 構成人数も金も武器も

 全てにおいて東城会に一切引けをとらないほどになりました

 しかし、そうなると次第に言うことを聞かない者も出てきてしまいます

 渡瀬の兄貴は強い東城会と戦うことを望んでいる

 しかし、現在の東城会は冴島さんは東京刑務所にて留置され

 真島さんは組を開けている

 堂島会長の力だけでは東城会を大きくすることは出来ないでしょう」

 

「そこまで聞くと近江連合にはプラスしかないように聞こえますが」

 

椛の発言に勝矢は振り向いて

 

「えぇ、渡瀬の兄貴がただ東城会を潰したい

 そして、近江連合に膿が出来ていなければ

 私としても結構なのです」

 

「それは内部抗争のことで?」

 

「先ほど内部抗争といったのですが

 実は少し違いましてね

 近江連合内に裏切り者がいるみたいでして」

 

勝矢が続けようとすると

椛が遮るように

 

「で、その裏切り者を排除しろと」

 

「報酬もこちらから出します

 どうでしょう一つの組を潰したら

 一本ってところで」

 

二人は一本という言葉に反応した

当然である

二人はホームレス一千万もあれば

普通の生活どころか

億万長者になるのも夢ではない

 

「本当に支払ってもらえるんですよね」

 

「嘘は言いません

 それに、私としては貴殿方の

 言い値を呑むのも吝かではありません」

 

二人は少し悩み

最初に口を開いたのは椛だった

 

「分かりました

 その依頼引き受けます」

 

阿部は驚き椛に目を送る

しかし、口を挟むことができなかった

椛の目には確固たる自信があった

 

「ありがとうございます

 では、早速ですが」

 

勝矢は棚の中から書類を取り出した

 

「この写真の男は

 千石組(せんごく)三代目組長万田 総司(まんだ そうじ)

 彼は次期近江連合若頭候補です

 とはいえ、ただそろばんを弾くのが上手いだけですが」

 

阿部は千石組の名前を聞き主はず口を開いた

 

「千石組って言ったらあの郷田 龍司(ごうだ りゅうじ)がいた時代の幹部だった組か?」

 

「さすが元東城会系組員だったことはある

 えぇ、その千石組です」

 

椛はきょとんとした顔をしていた

 

「少し説明しておきましょうか

 郷田 龍司とは五代目近江連合会長郷田 仁(ごうだ じん)の息子で

 今は組を抜けて完全に姿をくらましています」

 

「で、えっと、その千石組の万田って人をシメればいいんですよね」

 

「はい、とはいえ

 腕っ節は全くと言っていいほどないので

 対して難しいことではないと思いますが」

 

「へぇ、それは楽でいい」

 

椛はにやりと笑いながらそう言うと立ち上がった

 

「では、そろそろ行きます

 やり終えた後はどうすれば」

 

勝矢は鞄から二つの携帯を取り出した

 

「この携帯を使ってください

 もしもの時用に足が着かないようにしてあります」

 

「ケータイ?」

 

椛はこの世界に来たのはつい最近のため形態の存在すら知らないのだ

きょとんとするのも当然である

 

「わかった、後で使い方を教える」

 

阿部が二つとも受け取るとその部屋を後にした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

外へ出ると辺りは静寂としている

これも近江連合が神室町に進出してきたことへの弊害と言える

 

「さて、じゃあまずは千石組の組員を見つけるところから始めましょう」

 

「あぁ、携帯の使い方も覚えたし

 二手に分れて探すとしよう」

 

「では、金回りが良さそうなピンク通り周辺を回ってみます」

 

「じゃあ、俺は中道通りかな」

 

二人は二手に分れ千石組の人間を探し始めた

幸いなことに二人は神室町の中でも

かなり人望が厚いので

聞き込みをすることは用意であった

特に椛は

 

「あっ!椛ちゃん!」

 

椛はピンク通りではどの店のキャバ嬢からも

厚い信頼を勝ち得ているその理由は

所謂困った客をあしらい

チンピラやヤクザが暴れないように

周辺の警備もしている

 

「あぁ、ゆいちゃんじゃないですか

 デート帰りですか?」

 

ゆいとはSpicaで働くキャバ嬢であり

少し前にチンピラ連中に絡まれているところを

偶然助けたことで仲良くなった

 

「まぁね、椛ちゃんは?」

 

「実は千石組っていうヤクザの人間を探してまして」

 

「千石組?うーん、ヤクザの人は最近たくさん来るから」

 

ゆいは酷く迷惑そうな顔でそう言う

 

「じゃあ、最近の客のなかで金払いのいい客は?」

 

その言葉を聞いてゆいはある人物を思い出した

 

「そういえば、最近よく来る団体客で

 物凄く身なりのいい人いた!」

 

「名前は?」

 

「確か・・・()()って言ってたような」

 

椛の心臓は大きく高鳴った

まさしく思い人に出会ったかのような感覚だった

 

「その人はいつ頃お店に来ますか?」

 

「あぁ、ついさっきアフターに誘われてそれの帰りだよ?」

 

思わず表情に出てしまった

ついさっき別れた後なのだからすぐに店に来るとは考えづらい

 

「別れた場所は?」

 

「えっと、そうそうミレニアムタワー前・・・」

 

椛はその言葉を聞いた瞬間走り出した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

猛ダッシュでミレニアムタワー前に行くと

ヤクザ風の格好をした男達が数名ミレニアムタワー前に立っている

しかし、身なりを見るにそれほど金を持っている様子ではない

 

「しっかし、親父もよぉわからんのぉ」

 

「ホンマや、なんであんな女がええんやか」

 

話を聞いていると関西弁で近江連合の人間である可能性が高い

 

「まぁ、親父も考えがあってのことややろ?

 それにあの女ごっつ強いしなぁ」

 

「あぁ、南の兄貴があっさりやったからなぁ」

 

椛は確信した

こいつらが近江連合の千石組で間違いないと

そして、動いた

 

「あのぉ、少しいいですか?」

 

「あぁ?なんや嬢ちゃん」

 

「万田って人、知ってます?」

 

するとヤクザ風の男達の表情が一気に険しくなった

 

「なんでその名前を知ってるんや」

 

「あら?まさかの大当たりですか」

 

椛は顔を伏せてクスクスと笑い始めた

 

「じゃあ、文さんみたいに

 取材といきましょうか」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第三章 開幕

「取材といきましょうか」

 

椛が顔を上げてそう言うと

男達は

 

「おう、嬢ちゃん

 あんま俺ら舐めてると痛い目みるで」

 

「さっそく万田さんのことで聞かせてもらいましょうか」

 

椛が満面の笑みで言うと

男達の堪忍袋の緒が切れた

 

「女やからって手加減せぇへんで!

 おう!やったれや!」

 

男が一人椛に突っ込んでいき

顔面めがけて拳を伸ばすが

椛は何の動揺もなく

簡単に拳を掴みそのまま捻った

 

「あだだだだ!」

 

「情けないですねぇ

 もっと本気でやらないと」

 

そう言うと

捻った腕をまっすぐ押し出しヤクザの男たちに返した

 

「このアマ、下手に出たら調子に乗りやがって

 俺らに喧嘩売ったこと後悔させたるわ!」

 

「あはは、やっと気合いが入ってきたじゃないですか

 さぁ、お楽しみはここから」

 

椛は姿勢を低く左手は完全に脱力させ

右腕だけを胸の前に添えるように構えた

その瞬間何人かは気が付いた

こいつは相当場馴れしている

 

「死ねやぁぁぁ!!!」

 

鬼の形相で走ってくる男を前に

椛は一切動揺することなく

紅葉が風に煽られ舞うように

拳をすべて避けていく

さながら拳が椛を避けて通っているかのように

綺麗に鮮やかに

その動きは喧嘩ではなく

舞であった

 

「ぜぇぜぇ・・・クソったれがちょこまかと」

 

「演武ってご存知ですか?

 簡単に言えば戦いを演じることです」

 

男たちは目を丸くした

急に話し始めたかと思うと

演武について語りはじめたのだ

 

「まぁ、そうは言っても演武は演武

 自分の都合のいいように頭の中の敵に攻撃させる

 普通の演武ならよりね

 ただ、私のように長年

 血の滲む修行をさせられると

 実戦で演武の動きが出来るようになるんです」

 

長々と語ったかと思うと

椛は男たちの方へ向き直すと

 

「じゃあ、そろそろ喧嘩しますか

 やっぱり喧嘩は殴りあってこそですし、ねぇ」

 

椛の挑発的な表情は男たちを

奮い立たせるには十分だった

男たちは一斉に椛に掛かっていく

 

しかし、またも鮮やかに避けられてしまう

だが、その動きが少し変わった

先ほどまで避けるのみだったが

今度は避けると同時に

人体の弱点に的確に攻撃している

ある者は関節を狙われ

またある者は金的をくらい

バタバタと倒れていく

 

「あらら、ついにあなた一人ですか

 ずいぶんと呆気ない」

 

わざと手を抜いて一人だけ口がきけるようにしていたのだ

 

「じゃあ、そろそろお話といきましょうかね」

 

椛はそう言って地面に倒れる男に

馬乗りになった

 

「な、なんなんやお前は!」

 

「犬走 椛

 噂の一つや二つ

 聞いたことくらいはあるでしょう?」

 

「ま、まさかあのヤクザ狩りの!?」

 

「釈然としませんが多分それです

 じゃあ、聞きますよ

 あなたの組

 千石組の万田は今どこにいるんです?」

 

「は、はぁ?そんなん知るわけないやろ!」

 

「口答え出来る立場だとお思いで?」

 

椛は男を睨みながら胸倉を掴み挙げた

男は萎縮しながら

 

「ま、待て!よぉ見ろ!」

 

男は胸元に着いている代紋を見せた

 

「東城会?」

 

そこには紛れもない東城会の代紋が付けられていた

 

「俺は東城会直系の真島組の若衆や!」

 

「えぇ!?まさか、じゃあなんで関西弁を!」

 

「それは親父が関西弁にせぇって言うから」

 

椛は立ち上がり空を仰いだ

 

「じゃあ、殴り損じゃないですか

 はぁ、どっと疲れが出てきた」

 

椛が愕然としているなか

男が小さく呟いた

 

「クソっ、何なんだ最近は新聞記者とかいう

 女が攻めてきたし」

 

男の聞こえるか聞こえないかくらいの呟きに

椛は大きく反応した

 

「新聞記者?それ詳しく聞かせてください」

 

椛の急な要望に驚きつつも

男は話した

 

「最近うちの組に新聞記者を名乗る女が来てな

 親父に相談しに行った隙に入り込んで

 すぐ見つかったのはいいものの

 その女がバケモンみたいに強くて

 南の兄貴があっさりやられるくらいで

 そしたら親父が気入った言うて

 うちの組にしばらく居させるって」

 

男はその時の事を思い出したのか

見るからに自信を失っている

 

「その新聞記者の名前は?」

 

「確か・・・射命丸 文(しゃめいまる あや)って言うとったな」

 

椛は安堵とこの先にある楽しみに笑みを浮かべた

 

「じゃあ、文さんを呼んでくださいよ

 真島組の組長さんなら

 携帯電話の一つや二つ用意しているでしょう?」

 

「な、なんの為に・・・」

 

「いいから、早く」

 

椛はドスの利いた声で男に催促をする

すると

 

「その必要はないですよ、椛」

 

ミレニアムタワーの自動ドアが開き

中から女性が一人出てきた

 

「文さん!」

 

その女性こそ

烏天狗『射命丸 文』

その人である

 

「意外と早かったですね

 もう少し遅いモノかと思っていましたが」

 

「いやぁ、あはは

 奇跡の成せる業ですね」

 

椛はあからさまに表情が明るくなり

尻尾を振る犬のようだった

 

「あれ?でも

 何で文さんは真島組の組長さんに会う必要が?」

 

「まぁ、こっちにも色々事情がありましてね

 それより真島さんがお呼びです

 着いてきて」

 

椛は疑問に思いながらも

文に付いて行った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミレニアムタワー内部 地下2F

 

文に案内され

従業員用階段を使い

地下三階までやってきた

 

「この部屋です

 真島さん入りますよ」

 

文は妙に畏まった言い方で扉を開いた

すると中には隻眼の男が

豪華な椅子に座りながら小刀を眺めていた

 

「おう、待っとったで」

 

「あなたが東城会の狂犬

 真島組組長真島 吾郎(まじま ごろう)さんですよね」

 

「嬢ちゃんが椛やな?

 話はよぉ聞いとんで

 なんやごっつ強いらしいなぁ」

 

明るく冗談を飛ばしてる様子だが

その目からは殺気にも似た

鋭い眼光があった

 

「そんなことないですよ

 あくまで・・・

 運良く相手が弱かっただけです」

 

椛も負けじと

軽い口調で煽りを入れる

 

「ほぉ、べっぴんさんやから

 肝はどうかと思っとったけど

 安心したわ」

 

ピリピリとしていた空気が

一瞬にして溶けた

 

「ほな、本題といこか」

 

「ふぅ、急に喧嘩を始めるのかと思った・・・」

 

文は小さく呟くと

椛を椅子に座らせた

 

「知っての通りやが

 神室町は現状

 近江連合に支配されつつある

 それは分かっとるな?」

 

「えぇ、ただ

 その近江連合の若頭

 勝矢さんに近江の組を

 いくつか潰して欲しいと言われまして」

 

「そうか・・・勝矢が・・・」

 

真島は何か懐かしそうな表情で呟き

 

「わしらも近江の奴らに舐められて黙ってる訳にはイカン訳や」

 

「まぁ、面子ってのもありますしねぇ

 で?私に潰し回れと?」

 

「いや、お前が千石組を潰しに行こうとしてる

 ってのは文から聞いとるわ

 せやから、千石組の人間がいる場所を教えようってな」

 

その言葉を聞いて

文は棚の中からファイルを一つ取り出した

 

「知ってるんですか?」

 

「これです」

 

文は椛の前にファイルを開いた状態で渡した

 

「ん?地下闘技場?」

 

椛がファイルを開き一番最初に目に入ったものは

神室町内にある地下闘技場の話だった

 

「元々は花屋が仕切っとったんやけど

 まぁ、色々あってな

 今は千石組が賽の河原を仕切っとる」

 

「つまりそこへ乗り込めば万田がいると?」

 

「あぁ、しかし、乗り込む必要はない」

 

真島はニヤリと笑いながらそう言うと

椛は首を傾げた

すると、文がファイルを捲ると

 

「地下格闘技トーナメント?」

 

「この大会で優勝すれば千石組の用心棒になれる」

 

「あぁ、なるほど

 でも、どうやって参加するんですか?」

 

「これです」

 

文が鞄の中から一枚のチケットを取り出した

 

「これを持って行けば参加することが可能です

 ただ、元々裏格闘技の世界で名を馳せている

 選手が多数参加しています

 しかも、ルール無様の試合なので

 どんな手を使ってくるかわかりません」

 

文の話を聞いて

椛は震え始めた

 

「椛、気持ちはわかります

 手を引くのも・・・」

 

椛は立ち上がり満面の笑みを浮べている

 

「最高じゃないですか

 楽しみすぎて体の震えが止まりません!」

 

歓喜の声を上げチケットを手に取り

 

「では、行ってきます!」

 

椛は鼻歌交じりに部屋を出て行った

 

「あいつ、大丈夫なんか?」

 

「まぁ、多少変なところがありますが

 化物みたいな人に修行を受けているので

 問題なく帰ってくると思いますけど」

 

文はそう言った後

椛の後を追うため部屋を出た



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第四章 前菜

椛は文から受け取ったチケットを片手に

七福通りにある公園へ向かっていた

その時

 

「おい、椛」

 

阿部が声を掛けてきた

 

「あぁ、阿部さん」

 

「どこ行ってたんだ

 電話しても出ないし」

 

そう言われて椛は携帯電話を確認すると

確かに着信履歴が入っていた

 

「あぁ、すみません

 色々ありましてね

 そのおかげで千石組の居場所が掴めました」

 

「何!?どこだ!」

 

阿部は驚き椛の両肩を掴みながら聞いてきた

 

「まぁまぁ、落ち着いて

 賽の河原はご存知ですか?」

 

「賽の河原って・・・

 確か花屋って情報屋がいる場所じゃあ」

 

「ご名答

 そこが今は千石組の居場所らしいです

 で、そこにある地下格闘場で大会があるらしくて」

 

「じゃあ、二人で参加する訳か?」

 

「いやぁ、こんな楽しそうなこと

 誰かに譲る気も

 共有する気もありませんよ」

 

「何?」

 

椛はニコニコと笑いながら

阿部の手を払った

 

「そもそもチケットは一枚だけ

 まぁ、タッグマッチもあるかもしれませんが

 私としては甘美な果実は

 独り占めするのが流儀なんで

 それに、あなたが勝てるかなんて保障あります?

 このチケットは私が受け取った物ですし?

 私が試合に参加するのが自然でしょう?」

 

阿部は椛の言葉を聞いて察した

これは椛が阿部を試すと言うことだ

 

「やる気か?

 この後試合があるなら

 体力は温存するべきじゃないか?」

 

「知らないんですか?

 コース料理には前菜ってのがあるんですよ?」

 

「はっ、じゃあ俺は前菜か?

 随分と豪華なコース料理なんだな」

 

二人の掛け合いと共にジリジリと距離が近づいていく

後一歩で二人の射程範囲に入る

 

「あらら?

 随分な自信ですねぇ

 それとも弱い奴ほどよく吠える

 って訳ですか?」

 

「試してみるか?

 大怪我する羽目になるぜ」

 

「出来るものなら

 やってくださいよ

 ”元”ヤクザの阿部さん」

 

「おもしれぇ

 後悔すんなよ!」

 

阿部の言葉を皮切りに

二人は前に飛び出し射程範囲に入った

傍から見れば

圧倒的体格差で椛に勝ち目はなさそうに見える

しかし、本来妖怪である椛に体格差など関係なかった

 

二人が拳を交えるのは今回で二回目である

一回目は椛がこの世界にやって来て

すぐの頃

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

椛は目覚めたとき

そこはホームレスの溜まり場であった

そこにいるホームレス達は突然現れた女性に驚きつつも

声を掛けてきたのだが

椛は突然のことに思考が追いついておらず

駆け寄ってきたホームレスを殴り飛ばしたのだ

その時である

 

殴り飛ばし椛が構えた時

ホームレス達をかき分けて

阿部が椛の前に立った

 

そして、二人は拳を交えることになった

しかし、二人は大きな誤算をしていた

阿部は椛に対し

「ただの女だ、軽く小突けば落ち着くだろう」

そう思っていた

椛は

「相手は人間、二~三発殴ればすぐに黙るはず」

しかし、二人の思いとは裏腹に

戦いは激戦と化した

阿部は先手必勝といわんばかりに

椛の顔面めがけて正拳突きを繰り出す

しかし、阿部は寸止めするはずだった

だが、椛はの拳を後ろに仰け反り回避し

しかも、その腕に組み付き十字固めの形に入ろうとしていた

 

椛は関節を外して

すぐに逃げれると考えていた

しかし、阿部はあろう事か

阿部は腕に組み付いている椛を

片手で腕を振って投げ飛ばしたのだ

女性の平均体重は二十歳でおよそ49.5㎏

それを片手で投げたのだ

椛も一瞬何が起きたのかわからなかった

一見すると

ただの身長の高い優男だが

その見た目に反しとんでもない腕力をしていたのだ

 

椛は阿部に投げ飛ばされ

そのままゴミ置き場に落ちた

阿部は思わず全力を出してしまい

焦りながら椛の元へ駆け寄るが

何と椛は立っていた

投げ飛ばされたはずが

その恐ろしいほどの反射神経で

悠然と立っていたのだ

その時に二人は理解した

()()()()()()()!」

二人は構え直し

今度は手加減はしないという表情をした

そして、飛び出し二人の拳が交じり合う瞬間

 

「双方止めい!!」

 

その声に驚いたのか

それともあまりの力強さに

その言葉に従ったのか

二人はピタリと止まった

そして、二人の間に老人が立った

 

「阿部よ、少し落ち着け

 お嬢さん、お主もじゃ」

 

二人の間に立ったのは

古牧であった

ホームレス仲間から

この騒ぎを聞きつけ駆け付けたのだ

 

その後、椛は古牧の住む竜宮城でシャワーを浴びて

ホームレス達が見つけてきた服を貰い

しばらくの間泊めてもらうこととなった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして二人の喧嘩は決着がつくことは無かった

だが、今この時

あの時の喧嘩の決着がつこうとしていた

今度は誰も止めることはない

二人はとても喜んでいた

椛は喧嘩をする口実が出来たことに

阿部は喧嘩を吹っかけられたことに

二人の拳は熱を帯び

爆発寸前であった

 

そして、戦いの火蓋は切って落とされた

阿部も椛もその一撃に一切の遠慮は無かった

全身全霊の一撃を放ちそれを受け流す

又は止める、攻撃を食らう

まさしく貪るかのようであった

その時のことを

偶然通りかかったホームレス仲間が語っている

 

「まるで重機と重機のぶつかり合いだよ

 バキッって言うか

 ドカンって感じで

 しかも、二人ともえらく楽しそうでねぇ

 初めは止めようかと思ったけど・・・

 まぁ、止めるだけ野暮ってもんだね

 人の恋路を邪魔する奴は

 豆腐の角に頭をぶつけて死ぬって訳じゃないけど

 まぁ、満足するまでやらせてあげようって

 野次馬が何人もいたけど

 関係なかったね

 こっちからすれば試合さながら

 大盛り上がりさ

 あれだけ生き生きとやり合ってると

 警官も止めるより応援しちゃうね」

 

しかし、二人の楽しい時間は無情にも終わりを告げてしまう

椛の膝蹴りが阿部の腹部に命中し

その状態から腰と肩の強烈な回転による

アッパーカットが阿部の顔面にクリーンヒットした

 

「ハァハァ・・・全くタフすぎるんですよ」

 

椛はあまりの激戦に息を切らしていた

阿部はアッパーを食らい

そのまま地面に倒れていた

 

「ハハッ、やっぱお前は化物だ

 本気でやってこれかよ」

 

決着はついた

周りの野次馬は歓声を上げた

喧嘩に夢中で気付いていなかった

二人は驚き

目を丸くしていた

 

「あらぁ、流石に目立ちすぎましたかね」

 

「まぁ、こんな往来でやってたからな」

 

二人は逃げようかと考えたが

あまりの人の多さに流石に逃げることが出来ない

その時、ホームレス仲間が一人声を掛けてきた

 

「二人ともこっちだ」

 

二人は案内されやっとの事で野次馬を振り切った

 

「ありがとうございます、助かりました」

 

椛は深々と御礼を述べるが

ふと顔を見たことがないことに気が付いた

 

「あの、あなたはどちら様で?」

 

「私はあなたが参加しようとしている

 地下格闘技大会のスタッフです」

 

椛は驚き身構えた

しかし、スタッフの男は

まるでいつものことのように話し始めた

 

「あなた様が今回の大会にご参加していただくことは

 文様から伺っております

 しかし、本来なら通常参加になるのですが

 先ほどの戦いを拝見させていただき

 主催者より

 シード権を椛様に譲渡いたします」

 

「シード?

 どうして」

 

「本来の地下格闘技大会は一般人の中から

 私達スタッフが参加券があるか見定めるのです

 その結果、シード権を受け取るに足る人物であると

 判断した次第です」

 

「・・・」

 

スタッフは内ポケットから

シード権の証明書を取り出し椛に差し出した

千石組の人間である可能性がある限り

警戒するべきではあるが

椛は二つ返事でその紙を受け取り

七福通りにある公園から地下へと向かった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

下水道を通り賽の河原へと着いた

そこは遊女のような女性が建物の中から男性を

官能的に誘い

恐らく投資家や何かしらの社長達は

品定めするように女達を眺めている

 

「うへぇ、悪趣味な場所」

 

椛は思わず嫌悪感を示す

その時

黒服の男が椛の前に立った

 

「どなたで?」

 

「地下格闘技大会のスタッフです

 犬走 椛さまですね

 どうぞこちらになります」

 

黒服の男は丁寧に

椛を地下格闘技大会の受付に案内し

そのまま控え室まで案内された

 

「服は着替えなくて良いんですか?」

 

「えぇ、今回の大会ルールはありませんから

 ただ、殺害行為はなさらないようお気を付けください」

 

「物騒な大会なんですねぇ」

 

「えぇまぁ」

 

黒服は一礼すると部屋を出て行った

 

「はぁ、何だかとんでもない所に来ちゃったみたいですねぇ」

 

椛はため息を吐きながら控え室にある

試合の様子を映したテレビを見ていた

 

「こんなので歓声上げるなんて

 人間の考えはわかりませんね」

 

すると、スタッフが扉を叩いた

 

「すみません、そろそろお時間です」

 

「はいはい、すぐ行きます」

 

椛は服を少し着直しリングへと向かった

 

 

 

 

 

 

「さぁ、皆さま大変長らくお待たせいたしました!

 お次の試合は何とシード権を勝ち取った選手が登場です!

 では早速登場していただきましょう!!!

 ヤクザ狩りの女!

 犬走 椛!!」

 

椛が出てきた瞬間

歓声さらに大きくなった

いよいよお楽しみの時間が始まるのだ



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第五章 罠

耳が割れそうなほどの大歓声の中

椛はリングの中へと入った

中には黒人の屈強な男は立っていた

 

「へぇ、初戦はあなたですか」

 

「即死と安楽死どちらがオコノミデスカ」

 

「はぁ?」

 

黒人の男は筋肉を見せつけながらそんなことを言っていた

 

「対するは

 前大会優勝者!

 地下格闘技王!

 G・B・ホームズ!!!」

 

「あぁ、優勝者ね

 じゃあ、あなたは物凄く強い訳ですよね?

 楽しませてもらいますよ」

 

椛はニヤリと不適な笑みを浮かべ

構えることなくホームズの前に立った

 

「さぁ、お互い準備万端のようです

 では、試合開始!!」

 

試合開始のゴングが会場に鳴り響いた

しかし、試合が始まったというのに二人は一切動かない

まるで、リング内だけ時間が止まったかのようだ

観客の殆どが二人に罵声を浴びせる

「さっさと始めろ!」

「ビビってんじゃねぇよ!」

しかし、地下格闘技の上位の人間は気付いていた

既に試合は始まっている

いや、雌雄は既に決していた

ホームズは敗北している

椛と対峙した時点でこうなることはわかりきっていた

それほどまでに二人の差は圧倒的であった

 

しかし、ホームズは認めるわけにはいかなかった

当然である

前回大会で優勝した者としてのプライドが

彼を突き動かした

 

「ぬぅうおぉぉぉぉ!!!」

 

ホームズは意を決して

椛に襲いかかった

しかし、次の瞬間には

ホームズは医務室のベッドに眠っていた

何が起きたか理解できなかった

確かについさっき椛に襲いかかったはず

しかし、ワープしたかのように医務室のベッドで眠っているのだ

 

その時の試合風景を

実際に見ていた選手が語っている

 

 

「ホームズのあんな怯えた表情は見たことないよ

 今まで最強と名高かったのに

 まるでオバケでも見てるかのような顔で

 でも、少し経ってから雄叫びを上げながら

 椛へ襲いかかったんだけど・・・

 いやぁ、あの伝説の龍を実際に見ているから

 驚くと言うより

 戦慄したねぇ

 あの伝説の龍が使ってた必殺の【虎落とし】

 を使ったわけだから

 しかも、その一撃であのホームズが

 金網に叩きつけられてそのままマットに沈んだんだもの

 ホントに会場全体が水を打ったように静まり返ったねぇ

 少し経ってすぐに歓声が沸いたけど・・・

 何だか可哀想だったねぇ

 えっ?ホームズが可哀想?

 何言ってるんだ

 椛に決まってるだろう

 あんなに期待してたのに一撃で終わったんだから」

 

椛はマットに沈んだホームズを見下ろしながら

 

「あらら・・・」

 

と残念そうな表情で呟いた

 

 

 

 

 

リングの金網が上がり

医療班がホームズを担架に乗せられ

運ばれていった

そして、すぐにMCが語り出した

 

「さぁさぁ、とんでもないことになってきた!

 あのホームズを一撃で倒してしまった!」

 

椛はアクビをしながら話を聞いている

 

「ついに今大会の決勝戦!

 決勝戦では何と千石組直々に

 試練を用意しています!

 さぁ、登場していただきましょう

 肉食獣最強!

 ベンガルトラ!!!」

 

金網がまた降りてきた

それと共に牢屋に入れられた

ベンガルトラが連れられてきた

 

「この虎は数日間食事を与えず

 大変腹を空かせています!

 さぁ、生き残ることが出来るでしょうか!!」

 

牢屋は金網にピッタリと付けられ

牢屋の出入り口と同じサイズの

穴が空いていて虎は椛をにらみつけている

 

「はぁ、悪趣味きわまりない

 あなたも大変ですねぇ」

 

椛がため息を吐いていると

容赦なく牢屋が開き虎が飛び出してきた

すると

恐ろしいことに椛の前に跪いた

 

「あはは、貴方も死ぬのはイヤだと言うことですか

 苦労しますね」

 

会場にいる全員が息をのんだ

誰がこんな状況を予想できただろうか

虎は椛の前に跪き

椛は虎をまるで飼い猫のように撫でている

 

「これで良いですか?

 こんなのを試練にしないでください」

 

椛は鋭い目線で周りに言うと

全員が黙り込み静まり返った

しかし、入場ゲートから

一人の男性が入ってきた

 

「いやぁ、流石ですなぁ」

 

関西弁でしかも尋常じゃなく派手な格好をした男が入ってきた

 

「あなたが万田さんですね」

 

「そうや、あんさんのような強い用心棒が欲しかったんや」

 

万田は椛の前に立ち手を差し出した

 

「ふむ、用心棒ですか・・・」

 

椛がどうやって勝矢に差し出そうかと考えている時

ふと椛の背後から強烈な殺気を感じた

条件反射で椛はしゃがみ

その瞬間銃声が鳴り響き

万田は撃ち抜かれ地面に倒れ伏した

 

「なっ!」

 

椛は急いで振り向くが

銃声が鳴り響いたと同時に

全員がパニックを起こし

銃を撃った犯人を見つけることが出来ない

 

仕方がないので

万田の安否を確認するが

正確に心臓を撃ち抜かれており

息をしていなかった

 

「困りましたね・・・」

 

勝矢に報告する為に

代紋だけでも回収しようと手を伸ばすと

 

「おっと、動かない方が良いぜ」

 

椛の後ろに気付かぬうちに

拳銃を持った男が立っている

 

「貴方が万田を撃ち抜いた犯人

 で、合ってますか?」

 

「冗談は下手なんだな

 犬走 椛さん」

 

椛は両手を挙げて振り向くと

拳銃を構えている警官の男がいる

 

「お名前を伺っても」

 

「神室署捜査一課の谷村 正義(たにむら まさよし)だ」

 

谷村は警察手帳をみせながら自己紹介した

 

「捜査一課、エリートさんがこんな所にいるとは

 あぁ、そう言えばここにはお偉い方がよく来られるらしいですねぇ」

 

「残念ながらそっちじゃない

 匿名のタレコミだよ

 さっ、署まで来てもらおうか?」

 

椛は何かしらの抵抗をしようかと考えるが

得策ではないと思い

仕方なくそのまま警察署に連行された

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

取調室にて強引な取り調べを受けていた

 

「ねぇ、いい加減帰らせてくださいよ

 こんな埃臭い所に女の子を軟禁なんて」

 

椛はもううんざりと言った顔で

 

「うるさいなぁ、だったらいい加減

 あの場所で何があったのか話せ」

 

谷村もこの状態に飽き飽きしていた

 

「だから、何度も言ってますけど

 あの地下格闘技大会であの千石組の万田って人が

 撃たれたんですよ!

 それ以上知りませんって!」

 

「誰がそんな話信じるってんだ!

 それに何で一般人の女があんな所にいるんだ!」

 

この通り完全に平行線になっていた

その時部屋の扉が開いた

入ってきたのは谷村の上司

伊達 真(だて まこと)その人だった

 

「谷村、あんまり大声を出すな

 廊下にまで響いてるぞ」

 

「伊達さん

 この女が何にも話さないから」

 

「えぇ、全部話したのに

 いい加減帰してくださいって」

 

また二人が喧嘩を始めそうになり

伊達は二人の間に入り

 

「静かにしろって

 お嬢さんもこういってるわけだ

 そろそろ開放するぞ」

 

「何言ってるんですか伊達さん

 だから皆から伊達さんは甘いって言われるんですよ」

 

「何だと!」

 

「はぁ・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後

椛はやっとの事で警察署から解放され

警察署の前に立っていた

 

「さて、じゃあ竜宮城に帰りますか」

 

「おい」

 

椛が帰ろうとした瞬間

また谷村が声を掛けてきた

 

「何ですか!

 ナンパならよそでやってくださいよ」

 

「違う!

 お前確かホームレス連中がいる竜宮城に住んでるんだよな」

 

「え?えぇ、まぁ、」

 

「その竜宮城付近で乱闘騒ぎがあって・・・」

 

「!」

 

椛は全てを聞く前に竜宮城へ走り出した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

竜宮城に入り急いで道場に行くと

中ではホームレス仲間達が治療を受けていた

 

「皆さん!大丈夫ですか!」

 

「椛か、何少し小突かれただけだ」

 

椛は全身の毛が逆立つのを感じた

とにかく冷静に落ち着いた表情で

怪我をしているホームレスに近寄り

 

「一体誰にやられたんですか」

 

「分からん、急にヤクザ風の男達が取り囲んで

 椛を知らないかと聞いてきて

 不穏な感じがしたから知らないと言ったら

 こんな目に」

 

「・・・分かりました、心当たりがあります

 少し借りを返しに行ってきます」

 

椛はホームレスを襲った者達がいるであろう場所へ向かった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その場所とは神室町のランドタワー

ミレニアムタワーであった

その中に入り

受付係の前に立ち

 

「ここに真島組の事務所がありますよね」

 

「え、えぇ」

 

「その階層って何階ですか」

 

「57階です」

 

椛はそのままエレベーターに乗って57階へ向かった

エレベーターの扉が開くと

そこには真島組の構成員がずらりと並んでいる

 

「何のようで?」

 

「文さんに会いに来ました

 でも、安心してください

 貴方方の手は患わせません

 こっちで勝手に会わせてもらいます」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第六章 ツケ

「こっちで勝手に会わせていただきます」

 

椛の言葉を皮切りに

真島組構成員と椛の戦争が始まった

構成員達は容赦なくゴルフクラブや

木刀を取り出し襲いかかる

しかし、その手を使ったとしても

椛との実力差は縮まることはなかった

 

あるものはゴルフクラブで殴りかかるが

片手で受け止められ逆にぶん殴られ

 

木刀で襲い掛かるも

蹴り一発で木刀は小枝のように折れ

そのまま蹴り飛ばされる者も

 

本気になった椛を前に

生身の人間はおろか

武装して尚歯が立つことはなかった

一人また一人と構成員達は倒れていく

圧倒的な実力差を前に誰も椛を止めることはできなかった

 

そして、ようやく文のいる部屋の前についた

ノックしようとすると

扉が開き文が出てきた

 

「はぁ、本当にここまで来るとは」

 

「数時間ぶりですね文さん

 お話、聞かせてもらえます?」

 

文は椛を手招きすると

屋上へ向かった

 

 

屋上へ出ると文は煙草を吹かした

 

「あれぇ、文先輩お煙草吸われるんですね

 幻想郷にいた頃は全く吸わなかったのに」

 

「キセルって結構臭いがきつくて

 あんまり好きじゃなかったんですけど

 この世界の煙草はいいですね

 いい味です」

 

文はプカプカと煙を吐いた

 

「煙草は百害あって一利なし

 肺がんになりますよ」

 

「お酒でもよかったんですけどね

 素面じゃないと失礼でしょ?」

 

「文先輩も礼儀とか重んじるんですね

 意外です」

 

椛はニコニコと話しているが

その目の奥には確かな殺気が混じっていた

 

「じゃあ、そろそろ本題に入りましょう

 文先輩ですよね

 真島組の人たちをけしかけたの」

 

「ふぅー、えぇそうです

 ちょっと調べてもらうはずが

 随分と手荒な真似をしたようで」

 

「そんなのはどうでもいいんで

 理由、聞かせてもらえます?」

 

文は煙草を吐き

酷く面倒くさそうな顔をした

 

「この件、あなたには荷が重すぎます

 手を引きなさい」

 

「それが、理由ですか」

 

「先輩の忠告です

 これ以上首を突っ込むなら

 命の保証はありませんよ」

 

真っ直ぐと椛の目をみる文に対し

椛はあることに気づいた

 

「なるほど

 警察がいたのもあなたが原因ですか」

 

「予想より早く出てきてビックリですよ」

 

椛は少し考えた後

文に近づきながら

 

「あなたがどう思っているか知りませんが

 私はあなたの指図を受けるつもりはありません

 それと、私の恩人に手を出したことへの

 借りを返させていただきます」

 

椛の表情を見て文は確信した

こいつを止めることは出来ないと

しかし、文は煙草を捨て

 

「ったく、年長者の言うことくらい聞いてほしいですね」

 

そう言って身構えた

 

「あれ、随分やる気じゃないですか

 いつもは殴り合いは嫌いだってやらないのに」

 

「私にも良心ってのがあるんですよ

 後輩に死ぬとわかっていて行かせるわけにもいきませんし」

 

椛の目はその瞬間一気に輝き出した

 

「そうですか

 だったらなおのこと

 この話に足を突っ込まなければ」

 

「後悔しても知りませんから」

 

「今この状況で

 何を悔いることがあります?

 喧嘩嫌いの文さんと殴り合えるんですから

 最高でしょ?」

 

「はぁ、この際ハッキリ言っておきます

 私はあなたが嫌いです!」

 

文はそう言うと地面を思い切り蹴り

椛との距離を一瞬で詰め

二人の射程範囲に入るが

椛が反応する前に

文は連撃を繰り出す

 

 

 

 

 

文と椛は妖怪の山

天狗社会では先輩後輩という関係である

しかし、天狗達の中では屈指の不仲である

会う度に喧嘩して周囲の雰囲気まで悪くしている

 

だが、二人はヒドく仲が悪いが

椛を育てていた師匠は文の師匠でもあるため

必然的に顔を合わせ稽古と称して喧嘩をしている

 

不仲の理由は烏天狗と白狼天狗

ただ、それだけの理由であった

二人は少しの種族の差と

椛と文のプライドが圧倒的な理由になった

 

文のスタイルはスピードによる打撃数重視のスタイル

椛は一撃で相手を鎮めるパワースタイル

偶然にも相対するタイプになり

師匠も手に負えないほどの犬猿の仲になった

 

今まで二人が喧嘩をして

その勝敗の九割が椛の勝利で留まっている

椛の勝利が100を超えた時から

文は椛を避けるようになり

椛も哨戒班になり文に会うことはほぼ無くなっていた

 

 

 

 

 

 

二人の喧嘩は数十年ぶりになり

椛は今までの喧嘩で文が本気で掛かってきたことはなかったために

完全に油断していた

文の攻撃は椛の予想を遙かに超えて早く鋭い

椛はそのあまりの早さに捌くのがやっとであった

最初は

 

次第に椛は文の攻撃に対応できるようになり

攻撃の殆どが当たらなくなってきている

同じ妖怪同士とはいえ、二人の差は歴然であった

理由は至極単純

文は修行にほとんど参加していなかった

元々肉弾戦をする必要のない世界で

しかも、文は新聞記者

エクササイズ感覚でしか参加せず

元から備わっているスピードにものを言わせ

戦っているにすぎない

 

その為、文が椛に勝つことなど到底不可能である

それは文本人も分かっている

しかし負けるわけにはと奮闘するが

文の思いとは裏腹に

椛は文に一切の容赦なく打撃を与える

まるで「諦めろ」「敗北を認めろ」

そう訴えかけられているかのようであった

 

そして、決着はついた

椛の一撃で文は地面に倒れ

空を仰いだ

 

「さてと、じゃあ文さんお話

 聞かせてもらえますか」

 

「あーあ、どうせこうなるとは思っていましたが

 予想以上にムカつきますね」

 

地面に倒れため息を吐きながらタバコを取り出した

 

「はぁ、口の中が切れて血の味がします」

 

起き上がりタバコを咥え火を付けた

 

「何でわざわざ私に負けるために戦ったんです」

 

「酷い言い草ですね」

 

椛は地面に座り込み

 

「黒幕を知っているわけですか」

 

「そうですねぇ、おおよその予想はついていますが

 やはりコレ言うわけには・・・」

 

文はタバコの煙を吐き出そうとすると

椛は目の前に立ち

 

「いい加減にしてくださいよ

 それともまだやります?」

 

「おお怖い怖い

 特別にヒントをあげます

 松金組という所の組長に会って

 その人に探偵を紹介してもらってください」

 

「探偵?

 一体誰だって言うんですか」

 

「今起きている

 近江連合の侵略に関して調査をしています

 その人とならもう少しマシな情報が得られるでしょう」

 

文は胸ポケットから手帳を取り出した

 

「ここに松金組があります

 私の名前は出さないでください

 ヤクザ関係の人達から嫌われているんで」

 

「分かりました、では」

 

椛は手帳を手に松金組に向かった

 

「はぁ、こんな事になるのなら

 もう少し真面目に修行に参加しておけば良かったです」

 

 

 

 

 

 

 

椛は松金組がある

七福通り東の周辺を歩いていた

 

「どこに松金組があるんでしょう

 そもそも組が多すぎてどこにあるのかなんて・・・」

 

その時

椛が周辺を見渡すと

白いスーツを着たヤクザ風の強面の男が

数人のヤクザ風の男達を引き連れて

小さなビルの中に入っていった

 

「あれですかね」

 

椛はその男達に続いてビルの中に入っていった

 

 

 

 

 

ビルの中は質素な感じで

あまりヤクザの事務所があるとは思えない

 

そして、二階に上がり扉を開くと

そこにヤクザの事務所があった

 

「おっと、思わず普通に開けちゃいました」

 

「な、何だテメェ!」

 

当然ながら事務所内にいる男達が

一斉に立ち上がり身構えた

 

「あー、別に怪しい者ではありません

 ここの組長さんにお会いしたいのですが」

 

「何だと!カチコミか!」

 

「イヤイヤ・・・」

 

男達は椛に聞く耳を持たず襲いかかろうとしているとき

 

「なんだ騒がしい」

 

小さな事務所の中に障子があり

その中からさっき見た白服のヤクザが出てきた

 

「あなたが松金組の組長さんですか?」

 

「あ、あぁ、そうだが」

 

状況が飲み込めず困惑した表情を見せるこの男こそ

松金組二代目組長羽村 京平(はむら きょうへい)である

 

「いやぁ、探しましたよ!

 私の名前は椛と申します

 あなたに紹介して欲しい人がいるんですよ」

 

「あぁ?」

 

「実はあなたが知っている探偵さんを紹介して欲しいんですよ」

 

「ター坊を?なにもんだテメェ

 それにここは人材派遣会社じゃねぇぞ」

 

「知ってますよ、文さんからヤクザ屋さんって聞きましたし」

 

椛が文の名前を出した瞬間

事務所内の空気が張り詰めた

 

「おっと、NGワードでしたか」

 

「あの女の仲間か」

 

「えぇまぁ」

 

「だったら、手加減する必要はないな・・・」

 

松金組の組員全員が武器を構えた

 

「はぁ、こんなのばっかり」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

キャラクター紹介&ちょっとした相談

キャラクター紹介

 

犬走 椛(いぬばしり もみじ)

性別 女

職業 ホームレス

原作名 東方project

設定

妖怪の山に住んでいる白狼天狗

哨戒班として妖怪の山を見回っている

昔師匠から命がけの修行により

どの烏天狗、白狼天狗からも引けをとらない強さを手に入れた

神室町では密かにヤクザ狩りの女

と噂され

ホームレス達からすれば最高の抑止力となっている

 

阿部 雅也(あべ まさや)

性別 男

職業 ホームレス

原作名 龍が如くONLINE

設定

元ヤクザで神室町をねぐらにしている

並みの人間では息切れをさせることすら不可能なほどの

屈強な肉体を持っている

椛とは仲が良く

時折二人で稽古と称し殴り合いをしているとか

 

勝矢 直樹(かつや なおき)

性別 男

職業 組長兼社長

原作名 龍が如く5~夢継ぎし者~

設定

近江連合で若頭をしていて

逢坂興業組長の顔ともう一つ

逢坂芸能の社長としての顔も持っており

現在は近江連合のため

近江連合の中にいるスパイを探している

 

古牧 宗太郎(こまき そうたろう)

性別 男

職業 ホームレス

原作名 龍が如く1~ONLINE

設定

古牧流古武術の正当伝承者

現在はホームレス達に古牧流を教えている

そんな中、椛を道場に住ませているが

次々と技を覚えていく椛に

喜んでいるが

半ばやりがいの無さを感じている

 

射命丸 文(しゃめいまる あや)

性別 女

職業 情報屋もどき

原作名 東方project

設定

妖怪の山の中でも自由人で

幻想郷の中を飛び回り文文。新聞(ぶんぶんまるしんぶん)の購読者を増やしている

神室町に飛ばされた後

自慢の足の速さで情報をかき集め

黒幕が誰なのかの目星を付け

それを含めて椛をこの件から引かせようと躍起になっている

 

真島 吾郎(まじま ごろう)

性別 男

職業 組長

原作名 龍が如く0~ONLINE

設定

東城会直系真島組組長

嶋野の狂犬と呼ばれ恐れられている

奇想天外な事を急に言うため組員も困り果てている

現在文に事情を聞いて

真島組に文を置いて情報を集めさせたその後は

あえて姿をくらまし神室町にはいない事になっている

 

南 大作(みなみ だいさく)

性別 男

職業 ヤクザ

原作名 龍が如く4、ONLINE

設定

真島組の若衆で

なんとも言えない愛嬌があり

舎弟がたくさんいるが

カラオケに連れて行かれると

決まって帰り舎弟の全員がグロッキーになっている

突然組に文が転がり込んできて

あまりいい気はしていない

 

ゆい

性別 女

職業 キャバ嬢

原作名 龍が如くONLINE

設定

ピンク通りにあるSpicaにてキャバ嬢をやっている

正直ノリで登場させたので意味は無い

 

伊達 真(だて まこと)

性別 男

職業 刑事

原作名 龍が如く1~ONLINE

設定

とある時は刑事

又あるときはバーのマスター

と色々な事が起き沢山の仕事をしていたが

とある事件で表彰され現在は神室署の

捜査一課で刑事をやっている

 

谷村 正義(たにむら まさよし)

性別 男

職業 刑事

原作名 龍が如く4、ONLINE

設定

元は神室署の生活安全課を担当していたが

伊達と同じくとある事件にて表彰され

現在は伊達の後輩として捜査一課にいる

しかし、谷村の素行は未だに悪く

亜細亜街にある違法な店に強請(ゆすり)を掛けて

金を巻き上げたり

競馬などの賭博をやっている

 

羽村 京平(はむら きょうへい)

性別 男

職業 組長

原作名 ジャッジアイズ~死神の遺言~

設定

松金組二代目組長を務めていて

あまり大きなシノギなどを持ち合わせていないこともあり

東城会からもこれと言って目を付けられていない弱小の組

昔は羽村もブイブイ言わせていたが

松金組長が亡くなったいま

松金組を守るために奮起している

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、今回急にキャラクター紹介&ちょっとした相談

と言う内容で投稿いたしました

その相談内容というのが

 

今作品中に出して欲しいキャラクターなどの

募集をしたいなと思ったからです

 

今作品というか私の作品は自分が読みたいモノを書いているだけだったのですが

思っていたより人に見られているらしく

そんな物好きの皆さんにも楽しんで貰えるように

今回は募集をしたいと思いました

 

龍が如くスタジオから出ている作品なら大体OKです

流石に時系列が合わなさ過ぎる

作中で死んでいる等

出したらおかしくなりそうなキャラは控えてください

 

コメントなどで出て欲しいキャラの名前を書いていただければ

こちらで色々調べたのち

出すかもしれません

 

多少奇抜なものでも構いませんので

気軽に送ってください

コメントお待ちしております



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第七章 協力者

「はぁ、こんなのばっかり」

 

椛が大きくため息を吐くと

 

「やめろ

 椛つったか?

 ター坊に会いたいんだったな」

 

羽村が一声かけると

組員全員が大人しく座った

椛は驚きつつ

 

「えっ?会わせてくれるんですか?」

 

「おい」

 

羽村が声を掛けると

サングラスを掛けた男が出てきた

 

「へい」

 

「ター坊の所まで案内してやれ」

 

サングラスを掛けた男は椛の前に立ち

 

「来い」

 

椛はサングラスの男に連れられ

通称「ター坊」と呼ばれる

探偵の事務所に向かった

 

「お前、ター坊に何のようだ」

 

「まぁ、少し依頼をしようかと

 あなたお名前は?」

 

「東だ、松金組の若頭候補だ」

 

東 徹(ひがし とおる)松金組若頭候補

 

「そのター坊って人は元ヤクザとかそんな感じなんですか?」

 

「いや、ただ、前の組長が可愛がってたんだ」

 

「へぇ、組長に可愛がられるなんて

 随分と大物なんですねぇ」

 

「・・・」

 

東はどうやら先ほど文と繋がっている発言に

椛のことを怪しんでいる様子で

どうやら裏路地に案内されているようだ

 

「おやぁ、もしかしてぇ

 私を襲うつもりですかぁ?」

 

「お前のことが信用できなくてな

 ター坊に依頼する仕事ってのも

 気になるな」

 

「へぇ、教える気がない、と言ったらどうします?」

 

「力尽くにでも聞き出す」

 

東はムエタイの構えをした

どうやら東も本気のようだ

 

「あーらら、知りませんよ

 大怪我しても」

 

「出来るもならやってみろ」

 

椛も構えた

その瞬間に東は膝蹴りを

椛の顔面めがけて放った

椛は驚きつつも軽く横のそれて避けた

 

「全く、礼儀がなっていませんねぇ

 不意打ちなんて」

 

「やるじゃねぇか」

 

「安心してください貴方が弱すぎるだけです」

 

「言ってくれるじゃねぇか」

 

東は強烈なハイキックをするが

片手で防がれ

そのまま足を持たれてしまった

 

「諦めてもらえます?

 あんまり時間を取られるのは困るんですよ」

 

「ちっ!分かったから足を話してくれるか?」

 

「分かっていただきありがとうございます」

 

椛は手を離し

東は不服そうな顔で案内を始めた

 

二人は中道通り裏に入り

これまた小さなビルの中に入り

二階へ向かうと八神探偵事務所と書かれた扉があった

 

「ここだ」

 

東がそう言って扉を開くと

中には二人の男が暇そうに雑誌を読んでいた

 

「おう、久しぶりだなター坊」

 

「東!何だよ来るなら連絡してくれよ」

 

奥の椅子に座っている男は

東の友人なのか立ち上がり歓迎した

 

「椛、奥の方にいるのが八神

 こっちは俺の兄貴分の海藤さんだ」

 

八神探偵事務所所長八神 隆之(やがみ たかゆき)

そして、その調査員海藤 正治(かいとう まさはる)

二人は不思議そうに顔を見合わせた後

八神が

 

「どうしたんだよ、まさか彼女でも連れてきたのか!?」

 

「バカ言え、客を連れてきたんだよ」

 

「あぁ、なら早く言えよ

 どうぞこちらに」

 

海藤は顔に似合わず紳士的な態度で

海藤の座っている椅子の反対側にある椅子に案内した

 

「で、今回はどういったご用件で」

 

「実は、八神探偵が調査している

 この辺のヤクザ事情について教えていただきたくて」

 

「何?」

 

椛の発言に対し

八神は立ち上がり海藤の隣に座った

 

「何か訳ありってことで?」

 

「まぁ、少しね

 何か知っていますか?

 例えば()()()()についてとか」

 

八神は険しい表情になった

 

「何が目的だ」

 

「別に怪しいことをやっているわけではないですよ?

 ただ、近江連合について調べているだけで」

 

八神は少し悩んだ後

 

「何を企んでいるのか分からないが

 生憎とこの件については教えられない」

 

「どうしても、ですか?」

 

「あぁ」

 

二人は睨み合った

そして、一番最初に口を開いたのは意外にも海藤だった

 

「椛ちゃんだったか

 悪く思わないでくれよ

 流石にそう易々とこの話に首を突っ込ませるわけには・・・」

 

海藤が紳士的な態度で椛に話していると

 

「近江連合の勝矢って知ってますか?」

 

椛の発言にその場の全員が驚いた

ただの一般人だと思っていた椛が

近江連合の若頭の名前を出したのだ

 

「私、その人から直接

 仕事を頼まれていまして

 まぁ、そういう理由です

 話す気になってもらえました?」

 

「だったら、そっちも色々聞かせてもらおうか

 それが条件だ」

 

「あはは、なるほど交渉上手らしいですね」

 

「で、どうするんだ」

 

「分かりました、何でも話しますよ」

 

そして、椛は今までに起きたこと

現在どういう状況なのかを全てを話した

 

「なるほど、奇妙な状況だって事は分かった

 じゃあ、次はこっちか」

 

八神は立ち上がり本棚からファイルを取り出した

そのファイルには椛の知っている顔が並んでいた

 

「万田さんも調べていたんですね」

 

「あぁ、まさか殺されてるなんてな」

 

「その殺した犯人は見てないのか?」

 

「流石に人がごった返している中で

 たった一人の人間を見つけるなんて・・・」

 

「まぁ、そりゃあそうだよなぁ」

 

三人が肩を落としていると

椛は得意げな顔で

 

「でも、匂いなら分かりますけど」

 

「「「何!?」」」

 

椛のその発言に

三人は思わず声を揃えて驚いた

 

「ほ、本当なのか!」

 

八神は驚きのあまり立ち上がってそう言った

 

「えぇ、これでも白狼天狗

 嗅覚はかなり鋭いですよ」

 

「そ、そうは言っても

 匂いだけでどうこうできるものなのか?」

 

八神は落ち着きを取り戻し椅子に座り直した

 

「まぁ、神室町で匂いを辿るなんて至難の業ではありますけど

 今日中に探し回れば何とかはなるんじゃないですか」

 

「な、なんで今日中なんだ?」

 

「嗅覚が鋭いとは言え

 流石に警察犬ほどではないので

 匂いを覚えていられるのは今日限りです」

 

「なるほど、じゃあ早速やってみるか」

 

「分かった、二手に分れて調べよう

 海藤さんは東と

 俺は椛と探ってみよう」

 

「何!?俺らはどうやって調べるんだよ!

 あっ、もしかし椛ちゃんとデートするつもりだな」

 

海藤は立ち上がり八神に詰め寄った

 

「冗談言わないの

 海藤さんは万田がいた千石組の事務所を調べて欲しい

 で、俺らは万田を撃った犯人を調べる」

 

「へぇ、いいですね

 じゃあエスコートお願いしますね」

 

椛は笑みを浮べながら冗談を飛ばすと

 

「やっぱりデートするつもだなぁ!」

 

「あぁ、もう・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

四人は二手に分れ調査を始めた

 

八神と椛は天下一通りを調査していた

 

「この辺で匂いが途切れていますね」

 

二人は匂いを頼りに進んでいると天下一通りの裏にある

ゴミ捨て場の前に着いた

 

「なるほど、変装するためなのか

 それとも、顔を隠すためにフードを被っていたのかは知らないが

 ここに服を捨てていったようだな」

 

「うーむ、弱りましたねぇ

 匂い以外の情報がないのでどうしようもないですし」

 

「なぁ、その賽の河原って出入り口ってどこにあるんだ?」

 

「ん?七福通りにある公園のマンホールに」

 

「あいつを頼ってみるか」

 

椛は八神に連れられて

劇場前通りにあるネットカフェに向かった

 

ネットカフェに入り

とある部屋の扉を開いた

すると中にはロン毛のオタク風の男がパソコンをいじっていた

 

「おや、八神氏でないでござるか」

 

「よぉ、九十九」

 

九十九 誠一(つくも せいいち)

所謂ネットカフェ難民で殆どこのネットカフェのこの部屋にいる

見た目とは裏腹にその辺にいる情報屋以上に情報を集める

知る人ぞ知る情報屋である

 

「どうしたでござる

 まさか、彼女が出来たから自慢でもしに来たでござるか?」

 

「お前もそんなこと言うのか

 違うよ、まぁ、調査強力してくれるって人だ」

 

「犬走 椛です

 よろしくお願いしますね九十九さん」

 

椛が手を差し出すと

九十九は少し固まった後

普通に握手をした

 

「で、九十九少し調べて欲しいことがあるんだ

 前に使ったユッターで検索するやつで」

 

「あぁ、あれでござるなちょっと待つでござる」

 

九十九はそう言うとパソコンで何かをすると

数分も経たぬうちに画面が切り替わり

ユッターの画面が出るが

通常の画面とは少し違うモノが出た

 

「何ですかコレ」

 

「管理者権限をハッキングして

 ユッターで投稿された位置情報を見ているのでござる

 さて、じゃあ検索ワードは何にするでござる?」

 

「七福通り 公園

 一旦コレで調べてみてくれ」

 

早速検索ワードを打つと

複数の位置情報が出てきた

 

「うーん、流石に多すぎるでござる

 もう少しないでござるか?」

 

「じゃあ、それにフード 男」

 

九十九は言われる通りに打ち込むと

かなり情報が絞られた

 

「かなりの数があるでござるが

 これなら多少は調べられるでござろう」

 

「これ、何か怪しくないですか?」

 

「ん?」

 

椛が指差したコメントは

「フードを被った男?がゴミ捨て場に行った後

 雀荘に入ってった

 何か不気味な雰囲気出してた~」

と書いてあった

 

「位置情報は天下一通りの周辺でござるな」

 

「天下一通りにある雀荘ってどこがある?」

 

「天下一通りなら【ららばい】一択ですね」

 

二人は早速ららばいに向かった



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第八章 挑戦状

八神と椛の二人は天下一通りにあるららばいについた

 

二人は扉を開き中に入ると

十数人の客が麻雀を打っている

 

「この中にまだ犯人がいるのか?」

 

「えぇ、まだいるらしいですよ?」

 

椛は自信満々にそう言った

 

「本当か!?どこに」

 

「まぁ、見ていてください」

 

椛はそう言うと

一番奥の雀卓で麻雀を打っている

スーツの男の後ろに立った

その瞬間、椛はまるで蛇のように

スーツの内ポケットに手を入れると

一瞬にしてその中から拳銃を取り出し

男の後頭部に銃口を向けた

 

「随分物騒なモノを持っているんですね

 護身用ならもっとバレないようにしないと」

 

男は黙って両手を挙げた

 

「貴方が万田さんを撃った犯人ですね」

 

周りの客がざわつき混乱が起きる寸前で椛は大きな声で

 

「店員さん

 少しの間お店を借りたいのですが

 よろしいでしょうか?」

 

椛は店員に睨みを利かせると

店員は萎縮して黙って頷き

その場の全員が静かに出て行った

 

「さぁ、邪魔者はいなくなりました

 色々話してもらいますよ」

 

「あの中の誰かが警察に電話するとは考えないのか?」

 

「さぁ?するかもしれませんねぇ

 だから、早く話してもらえます?

 あんまり気が長くないので」

 

男は手を挙げた状態で

立ち上がり椛の方へ振り向いた

 

「あなたの雇い主は誰です

 暗殺屋さん」

 

「なんで俺が殺し屋と分かった」

 

「内ポケットに拳銃を入れるだけならまだしも

 ホルスターを付ける素人なんて聞いたことありませんよ

 それに、拳銃を長いこと持っていると特有のたこができるそうですよ?」

 

「なるほど、流石だな犬走 椛」

 

「ホントに有名人ですねぇ私は

 で、雇い主は誰です?

 今さら黙り決め込むのはなしですよ」

 

椛はそう言いながら

男の顔面に銃口を向け直した

 

「高嶋会だ」

 

「何?」

 

「近江連合の高嶋会に仕事を依頼されて

 万田を殺すように指示された」

 

「なぜ身内を?」

 

「さぁな、俺が知るわけないだろ」

 

その時、椛ははっきりと殺意を感じ取り

殺し屋を蹴り飛ばし自分も伏せた

すると、窓ガラスが割れて

弾丸が男の顔が合った場所を通過して

壁にめり込んだ

 

「痛っ、まさか俺が助けられるとはな」

 

「これ、返します」

 

椛はそう言うと拳銃を男に返した

 

「な!?どういうつもりだ」

 

「まぁ、流石に死なれるのは寝覚めが悪いので」

 

「俺がこれでお前を殺すとは考えないのか」

 

「弾丸が一発しか入ってないのに?」

 

「何?」

 

男が拳銃を見るとマガジンが外されていた

 

「ニ対一でしかも弾は一発だけ

 それで勝って、なおかつ他の殺し屋から

 逃げ切る自信があるのであれば

 好きにすればいいんじゃないですか?」

 

椛はしてやったという表情で

マガジンをちらつかせた

 

「分かった、どのみちしばらく身を隠す必要があるからな

 大人しくしているよ」

 

「交渉成立、どうぞ返します」

 

男は拳銃をリロードし

立ち上がった

 

「そう言えば

 お名前を聞いてませんでしたね」

 

荒瀬 史朗(あらせ しろう)、よく覚えておけ

 次はこうはいかないぞ」

 

「えぇ、三分くらいは覚えておきます」

 

「食えない女だ」

 

荒瀬は一言そう言うと

ららばいの裏口から出ていった

 

「どうです八神さん、以外と手際がいいでしょう?」

 

「ははっ、探偵向いてるんじゃないか?」

 

「さて、じゃあ、さっさと出ますか」

 

二人は荒瀬と同じく裏口から出て行った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二人はミレニアムタワー前の花壇に座って作戦を練っていた

 

「どうしましょうかねぇ、流石にこのまま突っ込むわけにもいきませんし」

 

「そうだな、もう少し情報収集するとしよう

 椛はどうするんだ?」

 

「そうですねぇ、一度勝矢さんに会いに行きます」

 

二人は電話番号を交換した後

別れた

 

椛は勝矢に会うため電話をした

 

「どうも勝矢さん色々と報告したいことがあるんですけど」

 

「そうですか、なら、お手数ですが神室ヒルズまで来ていただけますか?

 そこでお話しましょう」

 

「わかりました、ではまた後で」

 

椛は電話を切り神室ヒルズへ向かおうとすると

椛を取り囲むように男達が立ちはだかった

 

「何ですか?ナンパならよそでやってください」

 

「お前が椛だな」

 

椛は男達の胸元に付いているバッチを見ると

そこには高嶋会の代紋を掲げていた

 

「はぁ、人気者は大変ですねぇ」

 

「恨むんなら余計なことに首を突っ込んだ自分を恨むんだなぁ」

 

「なら、貴方方も返り討ちにあっても私を恨まないでくださいね」

 

椛は満面の笑みでそう言うと

男達は襲いかかってきた

が、しかし、まるで当然の如く

全員あっさりと返り討ちになった

 

「ふぅ、勢いが止まりませんよ」

 

そう言って伸びをしていると

真っ赤なジャケットに黒いズボン

そして、オールバックに杖をついた男がやって来た

 

普通の人なら何かしら身体に障害を持っていると

思うかもしれないが

椛は違った

 

その男を見た瞬間

こちらを殺しに来た殺し屋と確信した

そして、おそらく男の持っている杖が武器であると

椛は感じた

が、しかしその予想を大きく上回った

 

「おやおや、今度はなかなかやり手が来たようで」

 

「聞きしに勝る強さだな」

 

男は杖を突きながら近寄ってきた

そして、ついに杖の射程範囲に入った

 

椛は杖で攻撃すると考え

杖を掴んでしまおうと手を伸ばしたが

杖は持ち手の部分が上に伸びた

それと同時に銀色に光る物が出てきた

 

椛が杖だと思っていたものは隠し刀だったのだ

油断していたがギリギリで後ろに下がり避けた

 

「ほぉ、中々やるじゃないか」

 

「流石にヒヤッとしましたよ

 銃刀法ってご存知?」

 

「油断している方が悪い

 だろう?」

 

「全く、この世界は本当に治安が悪いですねぇ」

 

「それが極道に喧嘩を売った結果だ!」

 

男は刀を構えて椛に襲いかかってくる

椛は刀を避けつつ周辺に目線を送ると

その目線の先にあるモノがあった

 

「アレだ!」

 

椛は飛び込み転がりながら落ちていた

鉄パイプを手に取り

立ち上がると構えた

 

「まさか、そんなモノで俺に太刀打ち出来るとでも?」

 

「ヨユーってヤツですよ

 師匠と比べれば

 赤子の手を捻るより楽な作業よ

 ってね!」

 

椛は一気に間合いを詰めて攻撃を仕掛けた

男は咄嗟に刀で防御するが

その華奢な腕からは想像できないほどの

腕力で男は後ろへ吹き飛んだ

足元には男が踏ん張った後が

きっきりと残っている

 

「貴様・・・本当にカタギか?」

 

「さぁ?どうでしょう」

 

椛は鉄パイプを握りながら不気味に笑う

男は思わずたじろぐが

 

「女風情にやられてたまるか!」

 

男は攻撃しようと突っ込んでくるが

まるで勝負にはならず

男は一瞬にして地面に伏した

 

「さてと、少し調べてみますか」

 

男の懐を探ってみると

中には一枚の封が聞かれていない手紙が出てきた

中身を見てみると

 

「これを見とるアホんだら

 お前の実力はこの手紙を見てる時点で察したわ

 おどれみたいなのをわしは待っとった

 ご褒美に神室ヒルズの中にある

 レストランをごちそうしたるわ

 夜の8時に来い

 高嶋会会長 矢島 平八(やじま へいはち)

 

椛は手紙を見た瞬間

にやりと笑みを浮べて

神室ヒルズへと向かった



目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。