遊戯王GX~とある少年の転生記 (0・The Fool)
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1年時
デュエル1 新たなHERO!VSクロノス


この作品やほかの作品もよろしくお願い申し上げます。


「もう行くのデスーカ?」

 

「まあね。ペガサス会長俺のわがままを聞いてくれてありがとうございます。」

 

「NO PROBLEM.MEの方こそ知らないカードに出会えて楽しかったデース。Mr.カイバに連絡して筆記試験は免除してもらえるように頼んでミマース。」

 

 

 

とまあ、こんなやり取りがあったのだが、今現在全力疾走している。何故ならば、

 

「急げ!! (はじめ)!! 入試デュエルに遅刻するぞ!!」

 

「いや、試験会場には電話してあるから遅れても試験は受けられるぞ。」

 

「アハハ♪それはムリだよ♪はじめちゃん♪だって十代君。聞こえて無いみたいだし。」

 

「うっせ! つうかマナもいい加減にそれをやめろ!」

 

 入試デュエルに遅れそうだからである。一応会場には電車の事故で遅れると伝えてあるのだが、同じ電車に乗っていた遊城十代が楽しいデュエルを少しでも早くやりたいと言って走ってしまっているのである。俺、斉藤一は転生者という奴だ。原因は神様のイタズラで死んじゃったらしい。最初は寝てる間に勝手に殺すなと怒鳴りたかったのだが、申し訳なさそうに謝るアテナさんを見て、怒鳴る事も出来なかった。だから、俺が持ってたカードとある二つの知識を持ってGXの世界に来た。で、一緒に走っている少女はカードの精霊でブラックマジシャンガールのマナだ。で、なぜだか知らないけど、俺がデュエルアカデミアに行く事を知ったら、ペガサスさんに頼んで戸籍を入手して入学するつもりらしい。

 

 

 

 その後は何の問題もなく、試験会場に到着したのだが、遅刻したペナルティーと言うわけでクロノスとデュエルすることになり、最初に十代とクロノスがデュエルする事になった。

 

「フェザーマンとバーストレディーを融合!!」

 

 十代の声に2体のモンスターが合わさり1体のモンスターが姿を現した。

 

E(エレメンタル)HERO(ヒーロー) フレイムウィングマンで攻撃!! フレイムシュート!!」

 

 

 スカイスクレイパーの効果を受けたフレイムウィングマンの一撃が機械巨人を破壊して、その攻撃力分のダメージを与えてデュエルが終了した。

 

「は~い♪次は私で~す♪」

『うおおおおぉぉぉーーー!!!!』

 

 マナがデュエルフィールドに立った時異様な熱気に包まれた。まぁ、マナは可愛いしスタイルもいいし、良くわかるな。

 

「デーは、実力を確かめさせてもらうノーネ。」

 

「よろしくお願いしまーす♪」

 

決闘(デュエル)

 

「ワタシのターン。ドロー。トロイホースを召喚!」

 

 クロノスのフィールドに木でできた巨大な馬が出現する。………どうでも良いが、『トロイの木馬』をさしているなら出るのは対戦相手のフィールドなんだが。

 

「さらに二重召喚を発動!コレでワタシはもう一度召喚出来るノーネ!トロイホースを生け贄にアンティークギアゴーレムを召喚!ターンエンドなノーネ!」

 

「私のターン!ドロー!執念深き老魔術師を攻撃表示で召喚!」

『何だ?リバースモンスターを攻撃表示?』

 

『プレイングミスか?』

 

 外野が騒がしいが、恐らく、違うな。

 

「更に手札からディメンションマジックを発動!執念深き老魔術師を生け贄にブラックマジシャンガールを召喚!」

 

(ウフッ)

 

『ウオオオォッ』

 

 ブラックマジシャンガールがウインクしたら、皆が騒ぎ出した。

 

「ディメンションマジックの効果でアンティークギアゴーレムを破壊します。黒・魔・導・爆・裂・破(ブラックバーニング)!!」

 

(ハアァ!)

 

 ブラックマジシャンガールが魔力弾を放ち、アンティークギアゴーレムを破壊した。

 

「手札からマジックカード融合を発動!手札のサイレントソードマンLV3とフィールドのブラックマジシャンガールを融合!」

 

 マナの言葉に皆が戸惑う。

 

「融合召喚!魔導剣士マジシャンガール・オブ・ブラックバラディン!」

 

 マナのフィールドに青白い光を放つ黒衣の魔剣士が現れる。

 

「行きます。マジシャンガールオブブラックパラディンでダイレクトアタック!サイレント・マジックソードLV0!!」

 

 マナの言葉に魔剣士はクロノスを切り裂いた。

 

「さらに融合解除!ブラックパラディンの融合を解除して、ブラックマジシャンガールとサイレントソードマンLV3を召喚!ブラックマジシャンガールでダイレクトアタック!黒・魔・導・爆・裂・破(ブラック・バーニング)

 

 ブラックマジシャンガールのその一撃でクロノスのライフが0になった。

 

「ありがとうございました。」

 

 マナはクロノスに礼を言ってデュエルフィールドを降りる。それに合わせて俺がデュエルフィールドに上る。

 

「受験番号0番。斉藤一です。」

 

「貴方が特別推薦者ですーね?でスーガ、手加減はしないノーネ。今度こそ勝って汚名挽回するノーネ!」

 

 最期の部分はぼそりとつぶやいたつもりのようだがしっかり聞こえたので訂正を入れてみた。

 

「クロノス先生。汚名を挽回しないでください。名誉挽回が汚名返上です。」

 

「うるさいノーネ!」

 

 俺の指摘にクロノスは顔を紅くした。

 

 ○ ○ ○

 

「準備はいいノーネ?」

 

「NO PROBLEM!いつでもALL OK!」

 

そう言って、デッキをデュエルディスクにセットすると、オートシャッフルされた。

 

「なんなノーネ!そのデュエルディスクは!」

 

「これですか?市販のディスクをカスタムしました。」

 

「生意気なノーネ!勝ってそのディスクを頂くノーネ!」 

 

 ………イヤ、言えばカスタマイズぐらいするし。………パーツ代は請求するけど。

 

「「決闘(デュエル)!!!!」」

 

「ワタシのターン!ドロー!手札からマジックカードマグネットサークルLV2を発動!アンティークギアを特殊召喚!さらに手札からアンティークギアを特殊召喚!2体のアンティークギアを生贄にアンティークギアゴーレムを召喚!ターンエンドなノーネ!」

 

 

「俺のターン!ドロー!」

 

ドローしたカードを確認して思わず笑ってしまった。

 

「俺の勝ち。アンタはあまりがんばらなかったようだけど。」

 

テニスの王子様のマネをしたらクロノスが青筋を浮かた。

 

「生意気言ってないでサッサと始めるノーネ!」

 

 クロノスの言葉に肩をすくめてから応じた。

 

D(ダーク)HERO(ヒーロー)ファイアリィ・ガールを召喚!さらに手札からマジックカード進化の魔薬を起動!ファイアリィ・ガールを生け贄にD(ダーク)HERO(ヒーロー)ボンバーガールを召喚!ボンバーガールの攻撃力は1800。3000のアンティークギアゴーレムには届かない。速攻魔法起動!吹き上がるマグマ!自分フィールド上の火属性のD・HEROと名のつくモンスター一体はエンドフェイズまでそのレベル一つにつき200ポイント攻撃力をアップする。ボンバーガールのレベルは5。よって攻撃力を1000アップ!」

 

「シカーシソレデーハ我がアンティークギアゴーレムには勝てないノーネ!」

 

「十代が言ってたじゃないか。『ヒーローにはヒーローの戦いの舞台がある』ってね。手札からフィールドマジック夜天街ミッドナイトタウンを起動!」

 

 俺の宣言にフィールドマジックスペースが展開して、そこにカードをセットするとカードが収納されると辺りの景色が変わった。ビルが建ち並ぶ夜の街を見てから、アンティークギアゴーレムに向き直る。

 

「ボンバーガールの攻撃!ボンバーセイヴァー!!」

 

「返り討ちにしてあげなサーイ!!」

 

 クロノスの声にアンティークギアゴーレムが敵に向かって走るボンバーガールへと右手を振り下ろすがボンバーガールはそれをかわした。すれ違いさま足元に火のついた爆弾を置きながら。

 

「ミッドナイトタウンはD・HEROが自身よりも高い攻撃力をもつモンスターに攻撃する時攻撃力を1000アップする。」

 

そう言うと、左手を天井に向けた。

 

「爆殺!!」

 

そう言いながら指を弾くと爆弾が爆発して、2撃目を放とうとしていたアンティークギアゴーレムの片足を破壊した。

 

「ボンバーガールの効果。戦闘で破壊したモンスターの元々の守備力分だけ相手に効果ダメージを与える。フレア・インパルス!!」

 

  片足を破壊されたせいでバランスを大きく崩したアンティークギアゴーレムの2撃目はクロノスの大事な所に直撃した。

 

「速攻魔法起動!退化の魔薬!!」

 

うずくまって悶えるクロノスに男として同情しながらもデュエルを続ける。つーかアソコが潰れてないよな?十代にアンティークギアゴーレムが貫通ダメージを与えた時拳がすり抜けてたし、でも、ナポレオンとのデュエルの時は玉が当たってたみたいだ。デュエル会場を見渡すと、ほとんどの男性陣は青い顔をしていた 。

 

「このカードの効果でボンバーガールを融合デッキに戻してファイアリィ・ガールを特殊召喚!ファイアリィ・ガールの攻撃!バーンスラッシュ!!」

 

 俺の場に現れた真紅の槍を携えた少女戦士は未だにうずくまって悶えるクロノスを貫いた。

 ○ ○ ○

気づいたら、周りがざわついている。アンティークギアゴーレムを破壊した上にクロノスを1killしたせいかな?そんな事を考えながら、その場を後にした。

 

 

 

SIDE 明日香

 

「………何なのよ。あの3人は………。」

 

私は呆然と呟いた。おそらく、みんな同じ気分だろう。十代は未だいい。あくまで、劇的な大逆転劇と言えるだろう。だけど、もう2人は違う。D(ダーク)HERO(ヒーロー)という聞いたこともないモンスターを駆使して、クロノス先生に反撃を許さなかった。そして、もう一人の少女はデュエルチャンピオン、武藤遊戯しか持ってないと言われているブラックマジシャンガールを使って、クロノス先生を倒してしまった。

 

「………今年は面白い事になりそうね。亮への土産話も出来たしね。」



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デュエル2 フレイムウィングマン

この作品を読んでくださる皆様ありがとうございます。


「未来のデュエルキングを目指して頑張ってください。」

 

 鮫島校長の話をウトウトしながら聞いた。

 

 

 

「お。オレはオシリス・レッドだ。」

 

「ボクもッス!」

 

「どうやらどの寮かで支給される制服が決まるらしいよ。」

 

 辺りを歩いている、赤、青、黄色の制服を着ている人達を指さしていった。

 ナルホドと。自分の制服を見て十代達は納得した。余談になるが、俺の制服は赤である。どうも、遅刻したことと、入試の時の態度が気に入らなかったらしい。

 

「やっほー♪はじめちゃん。オシリス・レッドの制服似合ってるよ♪」

 

 と言いながら、マナが声をかけてきた。

 

「あぁ! ブ、ブラックマジシャンガール!!!!!!!! どうしてココに!」

 

 

 ヤバイかな?………まぁ、簡単に誤魔化せるかな?カードの精霊なんて眉唾だろうし。

 

「こいつは俺の幼なじみのマナだ。」

 

「ヨロシクね♪」

 

 その時、十代がすぐそばを歩く黄色い

 

「お。三沢。お前はラー・イエローか。」

 

「………俺としては、どうして君たちがオシリス・レッドなのかがわからないんだけどね。」

 

「………オレ達がレッドじゃ悪いのか?」

 

「十代。オシリス・レッドは最下層の落第生予備軍と呼ばれているらしいよ。」

 

 やや、不機嫌な表情で十代が返した。

 

「そう言うことだ。待遇も悪いらしいが君達なら、うまくやっていけるだろう。」

 

 そう言って、ある一方をさして

 

「君達の寮は向こうだよ。」

 

 

 

「えぇ!これがレッド寮!!」

 

 オベリスク・ブルーの寮は豪邸だし、ラー・イエローの寮だって、お洒落なペンションなのにたいしてオシリス・レッドの寮は築何年のオンボロアパートだ。

 

 

「いいじゃん。風情があってさ。眺めも良いしさ。」

 

「………えっと、俺の部屋は、十代達の隣か。お隣どうしよろしくな。」

 

「おう。こちらこそよろしくな。じゃ、部屋確認したら、アカデミア内を歩いてまわろうぜ。」

 

 ○ ○ ○

 

「………どうしたの?翔?」

 

 さっきから、しょげていたのが気になって翔に問いかけた。

 

「一ちゃん。実はね。」

 

 そう言って、翔が、オシリス・レッドが、ドロップアウトの溜まり場だと同室の前田隼人から言われて落ち込んでいたらしい。

 

「気にすんなよ。オシリス・レッドでも強くなりゃいいじゃんか。………お?ありゃなんだ?」

 

 十代は、まだ建設中の建物を指さして問いかけた。学園で支給されているPDAには登録されてないけど………。

 

「たぶん、新型デュエルのデュエルフィールドだろ?」

 

「何で分かるんだ?」

 

 何気なくつぶやいた俺に十代がこちらを振り向く。

 

「だって、それに必要なディスクのデータ作ったの俺だからね。」

 

「じゃあ、どんなデュエルなのか知っているわけだよな?」

 

「まあね。だけど、どんなデュエルなのかは秘密。」

 

 人差し指を口元にあててウィンクをして言った。

 

「ええぇぇ~!教えてくれたって良いじゃんかよ~!!」

 

「ダーメダメ♪素直に言っても、面白く無いでしょ?」

 

「チェッ。まぁいいや。じゃあ、そのデュエルフィールドが完成したら、俺デュエルしろよ。」

 

 そんなやり取りをしながら、校舎内に進むとデュエルフィールドにたどりついた。

 

「うわぁ。これ最新式の設備だよ!」

 

 翔が目を輝かせて言った。こんな所でデュエル出来たら楽しいだろうけどね。

 

「なあ!ここでデュエルしようぜ!」

 

「え?でも、大丈夫かな?」

 

「大丈夫だろ?俺達はこの学校の生徒だ。生徒が学校の設備を使っても問題は………。」

 

「あるんだな。コレが。」

 

「上を見てみな。」

 

 青色の制服を着た二人が偉そうな態度で割り込んできた。

 

「オベリスクの紋章が見えないか?ここは俺達、エリートのオベリスク・ブルーの専用デュエルフィールドなんだ。」

 

「え?ゴメン。知らなかったんだ。」

 

 翔が驚き謝るなか、

 

「良し、早速やろうぜ。」

 

「あ、あぁ。」

 

 俺と十代オベリスク生を無視してデュエルしようとした。

 

「お、おい! 聞いてるのか!」

 

「ここはオベリスク・ブルーの専用デュエルフィールドだから、お前らのようなドロップアウトが来るような所じゃない!」

 

 激昂する二人に嘆息して返した。

 

「んなもん知らん。」

 

「な、オシリス・レッドのドロップアウトが思い上がるな!!」

 

 と、オベリスク・ブルーの生徒が激昂しかけるのを制する声が響いた。

 

「Be quiet. 諸君。静かにしたまえ。」

 

 おお。この名探偵のお孫さんボイスはまぎれもなく万丈目だ。

 

「………誰だ。お前。」

 

 十代の問いに二人が驚いた。

 

「な、お前万丈目さんを知らないのか!!」

 

「中等部を首席で卒業した、未来のデュエルキングと呼び声高い万丈目準さんだぞ!?」

 

「おかしいな?」

 

 あ、アレ言うな。

 

「何がだ?」

 

「デュエルキングって一番って事だろ?この中で一番はオレだからさ」

 

「「何!?」」

 

 自信満々だな、おい。だが、

 

「十代。それは間違っている。この中で一番は俺だ。」

 

 十代の間違いを指摘すると、ブルー生の二人は顔を見合わせ、次の瞬間、大爆笑した。

 

「オシリス・レッドのドロップアウトが身の程を知れよ。」

 

「諸君。静粛に。………ソイツ出来るぞ。手抜きとはいえ、クロノス教諭をまぐれで倒したんだ。お前達より強いかもな。」

 

「………実力さ。」

 

「ならば、その実力とやらを見せてもらおうか。」

 

「オレも知りたかったんだ。エリートの実力ってやつを。」

 

 一触即発な雰囲気を制する声が響いた。

 

「………あなた達。何をやっているの?」

 

 止めたのはオベリスク・ブルーの女性。天上院明日香だ。

 

「うわぁ。キレイな人ッス。」

 

 確かに、天上院ってキレイだし、優しそうだし、スタイルもいいし、けっこう男子に人気有るんじゃないかな?

 

「はじめまして。俺は斉藤一。こいつは丸藤翔。そっちが遊城十代。キミは?」

 

「私は天上院明日香。」

 

「おい! 無視するな!」

 

 自己紹介していた、俺達にブルー生が割り込んできた。

 

「自己紹介は、初対面同士じゃ、必要な事だよ?」

 

「フン。まあいい。どうだい?天上院君?この常識知らず共に礼儀を教えてやるのは?」

 

 ………万丈目のやつ。アレで、天上院に気に入られる気があるのかねぇ?

 

「そろそろ、歓迎会が始まるわよ。戻った方が良いんじゃないの?」

 

 ホラ。予想通り不機嫌になった明日香がそう言ってきた。

 

「チッ。おい。引き上げるぞ。」

 

「「はい。」」

 

 そう言って、引き上げていく取り巻き達。言っちゃ悪いかもしれないが、マヂで金魚のうんちだな。

 

「あなた達も、挑発には乗らない方がいいわよ。あいつらろくでもないんだから。」

 

 かなり不愉快そうに言う天上院。

 

「ありがとな。天上院。だけど、ああいった連中が素直に引き下がるとは思えないけどね。」

 

「………そうね。でも、気をつけてね。後、私のことは明日香で良いわよ。」

 

「んじゃ、俺の事も一と呼んでくれ。」

 

 そう言ってから明日香から、俺達の寮でも歓迎会が始まるから戻った方が良い。と言う忠告を受けて、レッド寮に戻った。

 

 ○ ○ ○

 

 歓迎会も無事終了して、さて寝ようと思ったら、PDAが鳴りとって見ると傲慢な表情した万丈目が出た。ちょっと待て。なんでお前がこれのアドレス知っている?後で、不審者のメールは着信拒否設定しておこう。

 

『やあ、ドロップアウト。今夜12時にデュエルフィールドに来い互いのベストカードをかけたアンティーデュエルだ。』

 

 一方的に言い放ち画面がブラックアウトする。

 

「いいだろう。後で、負けて吠え面かくなよ。鳥頭。」

 

 そう挑発して、同じメールが来たらしい、十代に翔と合流して、デュエルフィールドに向かう。

 

 ○ ○ ○

 

「良く来たな。ドロップアウト。」

 

 来て早々にそう言われた。ちょっと腹がたつかな?

 

「デュエルをしただけでただでカードが貰えるなら、来ないわけには行かないだろ?」

 

 再び挑発してやると万丈目は面白いくらいに怒ったらしい。

 

「あなた達! 何しているのよ!!」

 

 デュエルをしようとした所を鋭い声が静止に入った。

 

「やあ。天上院君。一緒にやらないかい?」

 

 明日香の静止も気にせず、言い放つ万丈目に、怒ったらしい明日香は表情を険しくして怒鳴った。

 

「ふざけないで!!時間外の施設の利用なんて校則違反よ!!」

 

「だけど、バレなければ良い。どうせ、すぐに終わる。」

 

「じゃあ、一!すぐにやめなさい!」

 

 万丈目が止めようとしないので、矛先がこちらに向いた。

 

「悪いが、そいつはムリだ。ここで、引いたら、臆病者呼ばわりするだろうからな。」

 

「ああ!もう!」

 

 かなりいらついたように言った。その明日香を尻目に万丈目に向かう。

 

「準備は良いな?ドロップアウト!」

 

「No problem!」

 

決闘(デュエル)

 

「まずは、俺からだ!ドロー!」

 

 先攻は万丈目からか。

 

「リボーンゾンビを守備表示で召喚!更にカードを一枚セットして、ターンエンド!」

 

万丈目ライフ4000 手札4

マジックトラップ 伏せ1

モンスター リボーンゾンビ

 

「俺のターン!ドロー!」

 

 あの伏せカードは、恐らくヘルポリマーだろうな。確かに俺のD(ダーク)HERO(ヒーロー)や十代のE(エレメンタル)HERO(ヒーロー)にも対応できるんだが。………お。この手札なら、

 

「カードを一枚セット!D(ダーク)HERO(ヒーロー) ダークナイトを召喚!」

 

 場にカードを出すと、黒馬にまたがった黒騎士が現れた。

 

「更に手札からマジックカード、進化の魔薬を起動!!ダークナイトを生け贄に捧げ、D(ダーク)HERO(ヒーロー) バットマンを召喚!」

 

 薬を飲んだ黒騎士が、馬を飛び降りると、コウモリを従えし騎士へとなった。

 

「バカめ! リバースカードオープン! ヘルポリマー! 相手が融合召喚したとき、自分の場のモンスターを生け贄に、その融合モンスターのコントロールを得る!」

 

 甘いのはそっちだ。

 

「何ぃっ!!」

 

 ヘルポリマーから飛び出した黒い何かが、捕らえる寸前バットマンがコウモリの大群になってそれをかわし、そして、元の姿になった。

 

「バットマンはトラップカードの効果を受けないんだ。」

 

「な!じゃあ、ヘルポリマーは、」

 

「そ。タダの無駄打ちだ。むしろ、自分の場のカードを減らしてくれてありがとうって事だよ。バトル!バットマンでダイレクトアタックだ!バット・スクラッチ!」

 

 バットマンが、コウモリをを呼び出して、万丈目を攻撃した。(万丈目ライフ4000-1900=2100)

 

「くううぅっ!!」

 

「メインフェイズ2はやることないから、ターンエンド!」

 

万丈目ライフ2100 手札4

マジックトラップ 

モンスター 

 

一 ライフ4000 手札3

マジックトラップ 伏せ1

モンスター バットマンATK1900

 

「おのれ! 俺のターン! ドロー! モンスターをセット! カードを一枚セットしてターンエンド!」

 

万丈目ライフ2100 手札3

マジックトラップ 伏せ1

モンスター セット

 

一 ライフ4000 手札3

マジックトラップ 伏せ1

モンスター バットマン

 

「俺のターン!ドロー!」

 

 今度は守備か。次に高レベルモンスターを召喚する為の布石なんだろうか?

 

「バットマンのモンスター効果起動! 相手の場のセットカードを確認する! もし、それが、トラップカードなら、その場で破壊する!」

 

「な、何!!」

 

「俺が確認するのは当然その伏せカード!ソナーサーチ!」

 

 万丈目の場で翻ったのは攻撃の無力化。当然破壊される。

 

「更に手札からD(ダーク)HERO(ヒーロー) ウィンドマンを攻撃表示で召喚! その召喚にチェーンして、トラップ起動! 激流葬!」

 

「な、何!!」

 

 場のモンスターを一掃する大津波が荒れ狂う。しかし、バットマンはその場を離れ、その破壊に巻き込まれなかった。

 

「そして、手札から、Rーリバイバルソウルを起動!墓地のD(ダーク)HERO(ヒーロー)と名の付く通常モンスターを特殊召喚できる! よみがえれウィンドマン!!」

 

 そのカードの効果で羽の生えた、少年が現れた。

 

「ば、馬鹿な。こ、この俺が、オシリス・レッドの、ドロップアウトごときに………。」

 

「バトル!バットマンでダイレクトアタック!バット・スクラッチ!」

 

 コウモリが、万丈目を襲う。

 

「ウィンドマンでダイレクトアタック!ブレイクシザー!」

 

「う、うわああああぁぁぁーーー!!!!」

 

 少年が羽ばたいた風が万丈目を襲い、ライフをゼロにした。

 

 

「アンティールールだ! 受けとれ!」

 

 デュエルフィールドを降りようとしたところで後ろから万丈目がカードを投げつけてきたらしい。受け止めて、確認したらヘルバーナーだった。………あまり使えるカードだとは言えないと思うんだが。デュエルフィールドをおりて十代とハイタッチをして交代する。

 

 

「どうだ! まいったか! 引きがある以上、運の要素はある。しかし、99%の知性と1%の運が物を言うんだ!」

 

「だったらその1%の運に賭ける! オレのドローは奇跡を呼ぶぜ! オレのターン! ドロー!」

 

「マズイ! 十代! 警備員が来る! アンティールールは禁止されてるし時間外の設備使用で退学になりかねない!」

 

 コツコツと革靴で歩く音が聞こえたので慌て、デュエルを中断する声をかけた。

 

「く! 引き上げるぞ!」

 

 俺の声に万丈目達は取り巻きを連れて立ち去った。

 

「十代! 俺達もここを去らないと!」

 

 嫌がる十代を強引に引っ張ってこの場を去った。

 

 ○ ○ ○

 

「よし。ここまで来れば安全かな?」

 

 校舎外の森の中で一息ついて十代の手を離した。

 

「どう?オベリスク・ブルーの洗礼を受けた感想は?」

 

「…まあまあかな?けっこうやるかと思ってたけどな。」

 

「たいして強くもなかったかな?あんなんじゃ、ロクに満足もねぇ。」

 

「そう?一が止めなかったら今頃カードを奪われてたんじゃない?一だってダークナイトが来なかったら負けてたんじゃないの?」

 

「………イヤ、あの勝負、オレの勝ちさ。」

 

 そう言って、十代がドローしたカードを見せてくれた。え?ミラクルフュージョン?死者蘇生じゃないの?あぁ。そういえば、

 

 

『融合主体でいくなら融合賢者じゃなくて、沼地の魔神王にしろ。融合をサーチしてくれるだけじゃなく、融合代理能力を持つ。』

 

『便利なカードだな。んじゃ融合賢者を一枚抜いて、それを一枚。』

 

 歓迎会が終わった後、十代達の部屋で十代のデッキ調整を手伝っていた。

 

『後、死者蘇生はあまり入れる意味が無い。』

 

『なんで?フレイムウィングマンやテンぺスターが呼べて使えるじゃん?』

 

『イヤ、融合体のHERO(ヒーロー)は融合召喚しか出来ない。入れるなら、ミラクルフュージョンや貪欲な壺にしろ。』

 

『………じゃあ両方を一枚追加で。』

 

ああああ! 俺が抜かしたんだ!はいって無いじゃんか!

 

「じゃ、じゃあ一の方は?」

 

「別に手札にコレがあったし。」

 

 そう言って、見せたのは所有者の刻印だ。

 

「コントロールを得るといっても奪い続ける訳じゃない。一度取り戻せばさっきと同じ状況になる。」

 

 そう言って、レッド寮に戻る。

 

「なんて人なの。ブルーに勝つなんて。」

 

 楽しそうな明日香の声を背中に向けて。



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デュエル3 エトワールサイバー

このお話を読んでくださる皆様ありがとうございます


「………デュエルモンスターのカードは大まかに分けてモンスター、魔法、罠の3種類のカードに分類されます。」

 

 明日香の説明を聞きながら、ウトウトと舟を漕いでいた。嫌いな先生だとはいえ、余りほめられた事ではない。だが、勘弁して欲しい。オシリス・レッドの皆のデュエルディスクのカスタムに時間がかかり余り眠れなかったのだ。

 

「マーベラス! 素晴らしいノーネ!」

 

「…基本的な事ですから。」

 

 クロノスの誉め言葉に冷静に受け流す。

 

「シニョール一!」

 

「………んあ? 何?」

 

 俺の問いに視線を鋭くして言う。

 

「通常魔法を答えるノーネ!」

 

「あぁ。通常魔法は魔法カードのひとつでスペルスピードが1の為、自分のメインフェイズしか使えないカード。一度使い効果処理が終わったら墓地に送られる。例外的に光の御封剣、悪夢の鉄檻などのようにフィールドにとどまり続ける永続魔法みたいなカードも存在する。コレで良いか?」

 

「ムムム。完璧なノーネ!」

 

 俺の問いに悔しそうに答えた。

 

「シニョール翔!!」

 

「は、はい!」

 

 突然、指名され慌てて立ち上がる翔。あんなにガチガチになることも無いのに………。

 

「フィールド魔法を答えるノーネ!」

 

「え、え~」

 

 緊張して答えられないじゃん。

 

「もういいノーネ!」

 

 クロノスの言葉にため息をついて座り直した。

 

「流石、落ちこぼれのオシリスレッドデスーネ。こんな基礎的で簡単な問題も分からないのデスーカ?」

 

 嘲りの笑みを浮かべたクロノスの発言にオベリスク・ブルーの生徒が嘲笑し始めた。

 

「おい。クズ共。静かにしろ。お前らの笑い方、耳障りだ。」

 

 その態度がイラッときて、思わず、その一言を言って、しまった。

 

「な! ドロップアウトの分際でオベリスク・ブルーのエリートに逆らう気か!」

 

「うるさい!逆らわれるのがイヤなら、最初から原因を作るな!」

 

 怒鳴ってきたので、怒鳴り返した。

 

「だいだい、そこのキノコ!」

 

「な、人をキノコとは失礼なノーネ!」

 

「お前は教師だろうが!師とは、弟子を育て導く者だろうが!それなのに、緊張して答えられないのに、その態度は何なんだ!!」

 

 俺のその言葉にみんなはシーンと静まり返した。

 

「そーそー。それに知識と実戦は別ですよね?オレ、オシリス・レッドなのに、先生に勝てちゃいましたし、一なんか1killしちゃいましたしね。」

 

 十代が、俺の援護の為に口を開いたのだか、十代。頼むから俺を巻き込むな。………ムリか。噛みついた時点で、目をつけられてるだろうし。

 

 十代の言葉にブルー以外の生徒がクスクスと笑う。

 

「急用を思い出したノーネ!残りの授業は自習にするノーネ!」

 

 バンっと机を叩き、逃げるようにこの場をさるクロノス。

 

 

 

 …まったく、十代達も起こしてくれたっていいじゃんか。そんな事を考えながら、ロッカールームへ向かうと挙動不審の翔が出てきた。

 

「どったの? 翔?」

 

 俺の問いに慌てて手紙らしきものを背中に隠した。

 

「なるほどね。」

 

「ううぅっ。なんっスかァ。」

 

ニヤニヤと笑っている俺に不安そうに翔が問いかけた。

 

「その手紙、明日香からのラブレターだろ?」

 

「エエッ!!!!何でわかったッスか!!」

 

 翔の慌てかたに苦笑する。

 

「翔の態度を見れば一目瞭然だよ。」

 

 うなだれる翔に笑みを浮かべて手紙を取り上げた。

 

「ああっ!返すッス!」

 

「いいじゃん。ちょっと見せてよ。」

 

 手紙を取り返そうとする翔にそれを阻止して手紙を読み上げる俺。モチロン、この行為は翔がのぞき犯になるのを防ぐ為である。

 

「おろ?」

 

 その手紙に書かれている宛名に軽く驚いた。

 

「どうしたっスか?はじめちゃん?」

 

「おう。美雪。って、やらせるな。それにこのセリフは万条目の方があってるよ。名探偵のお孫さんな感じがしてさ。それより、この手紙の宛名、俺の名前になっているけど。」

 

「ええ!!マジっすか!!」

 

叫んで手紙を取り上げる。手紙を頭からお尻まで眺めて、滂沱の涙を流した。

 

「なんでっスか!!なんでっスか!!」

 

ガックン!ガックン!

 

「ちょ!やめ!!翔!!吐く!!」

 

「何でっスか!!何でっスか!!」

 

ガックン!ガックン!

 

 俺の言葉も興奮した翔には届かなかった。

 

「何でっスか!!何でっスか!!」

 

ガックン!ガックン!

 

 しまいには

 

「何でっスか!!何でっスか!!」

 

ガックン!ガックン!ブチィ!!

 

「やめい言うとんねん!!」

 

ズドォッ!!

 

「オグゥッ!!」

 

 堪忍袋がぶち切れて思わず放ったストレートが翔のレバーに突き刺さった。レバーを打たれた激痛でうずくまっている翔にゆさぶられたせいでフラフラしている俺とがいた。

 

「ウゥ。ひどいっス。」

 

 腹を押さえて咳き込みながらの苦情に軽く睨んだ。

 

「ひどいのはそっち。大体興奮して我を忘れるほど悔しいのか?」

 

「当たり前っス!」

 

「言い切る?まあいいや。急がないと遅刻するよ。」

 

俺の言葉に翔は「ピギャ」という妙な悲鳴を上げながら、慌てて駆け出してしまった。

 

そんな翔を見送ってからロッカールームに入った。

 

しかし、俺宛てのラブレターねぇ。恐らく、犯人はキノコ、もとい、クロノスなんだろうけど、どうするかねぇ?このまま放置していたら、俺や十代を退学に追い込みかねないし、かと言ってクロノスを追い出したら、ナポレオンがレッド寮を潰しちゃいましたってことになりかねないし。ああ。そうだ。あくまで、クロノスのイタズラということにしておけばいいんだ。鮫島校長もいくら何でも先生のイタズラで退職する気は無いでしょ。となれば、早速行動あるのみ。急いで、着替えると、目的地へと向かうのだった。

 

 

 

「なぁ明日香。」

 

 今日の授業が終わった後明日香に接触した。

 

「何?」

 

「こんな手紙が俺のロッカーに入ってたんだが、心当たりあるか?」

 

 例の手紙を明日香に見せる。

 

「………私の名前が書いてあるけど私はこんな手紙を書いた覚えが無いわ。」

 

「えぇ?どういうことッスか?」

 

 なぜかついてきた翔が問いかける。

 

「それは誰かが明日香君の名前を語ってボクを罠にはめようとしたと言うことだよ。ワトソン君。」

 

「なるほど、そういうことですかホームズさん。って誰がワトソンッスか!」

 

 俺達の漫才を面白そうにクスクスと笑った。

 

「それで、犯人は誰だか推理出来てるの?ホームズさん?」

 

「うん。犯人は恐らく、クロノス教諭だと思う。」

 

「その理由は?」

 

「簡単な事だよ。ワトソン君。ボクを退学に追い込む以上、2つの動機が考えられる。1つボクがアカデミアにいる事でその人に不利益が発生する場合、2つボクに強い恨みを抱いている場合。前者は却下。デュエルアカデミアにとってボクは学生にすきず、不利益が発生する訳がない。」

 

「でも、はじめちゃん。デュエルアカデミアに入学して日の浅いボクらに恨みなんて抱きようがないと思うッスけど?」

 

「甘いよ。ワトソン君。重要な事を忘れているよ。」

 

「え?…あ、試験デュエルッスか!」

 

「そう、入試の時、ボクがクロノス教諭に1killしたのが気に入らないって動機も考えられる。現に、クロノス教諭はオベリスク至上主義者らしく、あまり、成績のよくない、ボクや十代君を『ドロップアウトボーイ』と呼んでいる。そんな彼がボクたちに公衆の面前で赤っ恥をかかされて、黙っていられなかった。そんな所じゃないかな?」

 

「とは言っても証拠が無い以上、どうしようも無いわね。」

 

 明日香の言葉に肩をすくめる。

 

「何を言ってるんだい?証拠なら、明日香君が持っているじゃないか。」

 

 その言葉に明日香と翔の視線は明日香の手の中のラブレターに向けられた。

 

「手書きの文章には書いた人の癖が出る。筆跡鑑定すれば書いた人を特定できる。さらに、口紋も指紋と同じように犯人探しの役にたつ。」

 

「それで、どうするの?」

 

「ああ。そうだな。鮫島校長に話して、クロノス教諭に五寸釘を打ってもらうべきか。」

 

「なるほど、クロノス教諭に対する、抑止力にしようってわけね?」

 

「そういうこと。そのために手を貸してくんない?」

 

 俺の言葉に明日香は軽くため息をついた。

 

「レンタル料は高くつくわよ?」

 

「後でデュエルしろってことか?別にいいぜ。」

 

 

 

 校長室につくと翔が中を確認した。

 

「校長とクロノス教諭がいるみたいッス。」

 

「好都合だ。」

 

 翔をどかしてドアを開ける。

 

「お邪魔します。」

 

「ノックせずに入るなんて失礼なノ一ネ!」

 

「どちら様ですかな?」

 

 クロノスが怒って怒鳴るそばで校長がおだやかに問いかける。

 

「ああ。これは失礼。俺はオシリス・レッド1年の斉藤一。こちらがオベリスク・ブルー1年の天上院明日香とマナ。でこっちが、」

 

 翔に視線を向ける。

 

「オシリス・レッド1年の遊城十代の愛人です。」

 

「ちょっと!何でボクがそういう扱いなのさ!?」

 

「そもそも、未婚の十代は愛人がいないけど。」

 

「うわぁ!翔君と十代君はそういう関係なんだ?」

 

 俺の言葉に翔は慌て、明日香は冷静にツッコミを入れ、マナは何故か目をキラキラと輝かせていた。

 

「そうですか。同性愛は世間ではまだ、厳しいようですが、世間の目など、気にしないでがんばってください。」

 

「しかも、あっさり信じてる!!ちょっと、はじめちゃん!誤解を解いてよ!」

 

 ウーン。冗談のつもりで言ったのに、信じてしまうと罪悪感が。

 

「失礼。校長。ささいな冗談です。」

 

「そうですか。それでは、どのような用件でしょうか?」「実は、俺のロッカーにこのようなお手紙が届きまして。」

 

 そう言って取り出した手紙にクロノスは顔色を変えた。当然だろう俺の左手には、俺をはめようとした例の手紙が握られているのだから。

 

「このお手紙の送り主に渡したら、書いた覚えが無いと言われまして、それで気づいたんです。これが誰かの罠だって。誰かが俺を退学させようとしてるんだって。」

 

 俺の説明にクロノスは顔色を青ざめていく。

 

「そ、それでーハ、その手紙を預かるノ一ネ。」

 

 ム。手紙を押収して、時間を稼いで手紙の話を誤魔化そうってわけか。そうは行かない。

 

「いえいえ。実は、犯人がクロノス教諭だと思っていますので。」

 

「…証拠は有りますでしょうか?」

 

 ま。証拠がなければ名誉毀損で訴えられるな。

 

「もちろん、有りますよ。手書きの文字は書いた人の癖が出ます。筆跡鑑定すれば、書いた人を特定出来ます。それに、キスマークの口紋も犯人の証拠になります。それに、さっきの動揺したのがマズかったですよ。」

 

 俺のセリフにクロノスは魚みたいに、口をパクパクとさせている。内心面白いと思ったのは内緒だ。

 

「そうですか。クロノス先生。今までお疲れ様でした。」

 

 ヤバ。ひょっとして、鮫島校長怒ってる?

 

「鮫島校長。別に俺達に被害があった訳じゃないですし、今回に限り、大目に見ましょう。」

 

 俺の言葉に鮫島校長は短くうなった。

 

「まぁいいでしょう。斎藤君がそういうのでしたら。ですが、クロノス先生。減給2ヶ月に処します。」

 

 その辺はしょうがない。天罰と思って諦めてもらおう。

俺達は頭を下げて校長室を出た。

 

 ○ ○ ○

 

 ニコニコと微笑みながら歩いていると明日香が声をかけた。

 

「一。約束の事も忘れないでね。」

 

「わかってるって。」

 

 苦笑しながら、端末機を取り出して操作する。

 

「どこにメールしたの?」

 

「禁則事項です。」

 

 人差し指を唇に当てて片目を閉じる。明日香と翔とマナは意味がわからず?マークを乱舞させているとメールが届き、画面に慌てた様子の十代が出た。

 

『女子寮の入り口だな!すぐ行くから、オレが到着するまで始めないでくれ!』

 

 明日香と翔とマナが顔を見合わせた。

 

「今の兄貴のッスよね?」

 

「そ。明日香が十代とデュエルしたがっているだろうなって思って呼び出したんだ。迷惑だったか?」

 

「ううん。そんな事無いわ。」

 

 ○ ○ ○

 

 

「よぉ。十代。」

 

 俺達が着いた時には、すでに十代がそこにいた。余程急いで来たのか、額に汗が浮かべ、肩で大きく深呼吸をしている。それは、いいんだけど、

 

「なんで、2人がいるの?」

 

 そう、十代の他に明日香親衛隊の枕田と浜口がいた。

 

「コイツが怪しいことをしないか見張っているのよ!」

 

 かなり不機嫌な様子の枕田が答えた。

 

「あんなでたらめなメールを見せられても、あたしはだまされないから!」

 

「一。どんなメールを送ったの?」

 

「俺と明日香がデュエルするが十代もデュエルするなら、女子寮の入り口まで来てと書いたはずだが?」

 

「そのアンタと明日香様がデュエルするのが信じられないのよ!」

 

 そうか。2人からすれば、明日香は雲の上の人で俺はただの落ちこぼれ。その俺達がデュエルするのが信じられないのだろう。

 

「本当に私と一がデュエルするのよ。」

 

「女子が4人こっちが3人いるんけど、4対3か、1対3でデュエルするかどっちがいい?」

 

「ってボクも入ってるッスか!」

 

「じゃあ1対3でお願い。」

 

「しかも、確定事項とばかりに進めてる!」

 

「それは違うよ?」

 

「え?でも、」

 

 マナの否定に怪訝な表情を浮かべる翔だった。

 

「私もデュエルするから1対4だよ?」

 

「………そういう意味ッスか………。」

 

 マナの言葉にキラリと輝くものを流す翔だった。

 

 ○ ○ ○

 

 十代が勝ち、翔が負けて、マナと引き分けて一勝一敗一引き分けのイーブンになった。俺と明日香は互いに、ボートの上でにらみ合う。

 

「明日香。手加減は無しで頼むぜ?」

 

「そっちこそ、手加減はしないでね。」

 

「「決闘(デュエル)!!」」

「私の先攻!ドロー!ブレートスケーターを守備表示で召喚!さらにカードを1枚セットしてターンエンド。」

 

 

明日香 ライフ4000 手札4枚

フィールド ブレートスケーター守備表示伏せカード

 

一 ライフ4000 手札5枚

フィールド

 

「俺のターン!ドロー!」

 

 ブレートスケーターを守備表示ってことは、あの伏せカードは、ドゥーブルパッセじゃなさそうだ。となるとあの伏せカードはブレートスケーターを守るカードかブラフか。どっちにしても、あのカードを破壊するカードが無い以上、

 

D(ダーク)HERO(ヒーロー) サンダーボーイを召喚!バトルフェイズ!サンダーボーイでブレートスケーターに攻撃!サンダースラッシュ!」 攻撃するのみ。

 

D(ダーク)HERO(ヒーロー) サンダーボーイ 光属性 レベル4

ATK1900 DEF1000

 

【戦士族・通常モンスター】

黒い雷を操る正義のD・HERO。この少年が持つ雷の刃は闇を破壊する。

 

「リバースカードオープン!攻撃の無力化!」

 

 サンダーボーイの攻撃は時空の渦に弾かれてしまった。

「カードを1枚セットしてターンエンド。」

 

 

明日香 ライフ4000 手札4枚

フィールド ブレートスケーター守備表示

一 ライフ4000 手札4枚

フィールド D・HERO サンダーボーイ攻撃表示

伏せカード

 

「私のターン!ドロー!手札から融合発動!手札のエトワールサイバーとフィールド上のブレートスケーターを融合!サイバーブレイダーを融合召喚!サイバーブレイダーでサンダーボーイを攻撃!」

 

 サイバーブレイダーの攻撃がサンダーボーイを破壊した。つーか、これソリットビジョンだよな?痛いんだけど!

 

「ターンエンド。」

 

明日香 ライフ4000 手札4枚

フィールド サイバーブレイダー攻撃表示

一 ライフ3800 手札4枚

フィールド

伏せカード

 

「俺のターン!ドロー!」

 

よし。このカードなら、少しはもつかも!

 

「カードを2枚セットしてD(ダーク)HERO(ヒーロー) アクアガールを守備表示で召喚!アクアガールのモンスター効果起動!このカードを召喚、反転召喚、特殊召喚したプレイヤーの手札が2枚以下の時4枚になるようにドローする。逆に4枚以上の時2枚になるようにカードをデッキに戻す。俺の手札は2枚だから2枚ドロー!」

 

D(ダーク)HERO(ヒーロー) アクアガール 水属性 レベル4

ATK200 DEF2000

 

【戦士族・効果モンスター】

手札が5枚以上の時、ドローしたカードがこのカードの場合このカードを特殊召喚する。このカードを召喚、反転召喚、特殊召喚した時、このカードのコントローラーの手札が2枚以下の時、4枚になるようにドローする。手札が4枚以上の時枚になるようにデッキに戻す。

 

相手の出方次第もう少し時間稼ぎできそう!

 

「追加でカードを2枚セットしてターンエンド。」

 

 

明日香 ライフ4000 手札4枚

フィールド サイバーブレイダー攻撃表示

一 ライフ3800 手札2枚

フィールド D・HERO アクアガール守備表示

伏せカード4枚

 

「私のターン!ドロー!手札から地砕き発動!アクアガールを破壊するわ!」

 

宣言とともに俺のカードが破壊された。

 

「さらに、サイバーチュチュを召喚!装備魔法フュージョンウェポンをサイバーブレイダーに装備!」

 

マズイ!両方受ければ4600ポイントのダメージを受ける!

 

「バトルフェイズ!サイバーブレイダーでダイレクトアタック!」

 

しょうがねぇ。この手で行くか!

 

「リバースカード起動!HERO復活!全てのプレイヤーは自分の墓地からHEROと名の付くモンスターを攻撃表示で特殊召喚することができる!アクアガールを召喚!この時俺の手札が2枚だから2枚ドロー!」

 

「一のフィールドにモンスターが増えたことでバトルのやり直しして、サイバーブレイダーでアクアガールを攻撃!」

 

 サイバーブレイダーの攻撃がアクアガールを破壊して、俺に大ダメージを与えた。かなり痛いけど痛がってる場合じゃない!

 

HERO《ヒーロー》復活 通常トラップカード

 

全てのプレイヤーは自分の墓地からHEROと名のつくモンスターを特殊召喚する。

 

「アクアガールが破壊された瞬間リバースカード起動!ダーク・シグナル!自分フィールド上のモンスターが戦闘で破壊された時、デッキからD・HEROと名の付くモンスターを特殊召喚できる!D(ダーク)HERO(ヒーロー) ロックマン!」

 

ダーク・シグナル 通常トラップ

 

自分フィールド上のモンスターカードが破壊され、墓地に送られた場合自分のデッキから『D(ダーク)HERO(ヒーロー)』と名のつくモンスター一体を特殊召喚できる。

 

全身を岩で身を固めた戦士が守備姿勢で現れた。

 

「サイバーチュチュより、攻撃力が下で、守備力が2200だよ。どうする?」

 

「メインフェイズ2で地割れを発動!ターンエンド。」

 

 

明日香 ライフ4000 手札1枚

フィールド サイバーブレイダー攻撃表示サイバーチュチュ攻撃表示

一 ライフ400 手札4枚

フィールド

伏せカード2枚

 

「俺のターン!ドロー!」

 

俺がドローしたカードは

 

「………来たか。」

 

この最悪なまでの劣勢をくつがえす最強の鬼札だ。

 

「イービルクリボーを攻撃表示で召喚!」

 

「こ、攻撃力0のモンスターを攻撃表示?」

 

「すっげえ。何するんだ?」

 

「さらに、手札からマジックカード起動!R-リバイバルソウル!自分の墓地にあるD・HEROと名の付く通常モンスター1体を特殊召喚できる!サンダーボーイを召喚!」

 

「どうするつもり?そんな攻撃力の低いモンスターを並べても私のサイバーブレイダーを倒すことができないわ。」

 

 明日香の言葉に俺は言い返した。

 

「倒せないのなら、倒さなければいい。バトルフェイズ!イービルクリボーで、サイバーブレイダーを攻撃!!」

 

「おかしなことを言うと思ったら、オシリス・レッドが明日香様に勝てないと思って、適当なことを言ってごまかして最後には自滅?」

 

「んなわけあるか。イービルクリボーは戦闘で発生する戦闘ダメージを相手に移す効果を持っている!そして、サイバーブレイダーは俺の場に2体のモンスターがあるから攻撃力が倍になる!イービルクリボーの攻撃!偽りの苦痛『ファントム・ペイン』!」

 

イービルクリボー 闇属性 レベル1

ATK0 DEF0

 

【悪魔族・効果モンスター】

このカードとの戦闘によって発生するダメージは相手が引き受ける。

 

サイバーブレイダーイービルクリボーに当たり、明日香のライフを0にした。

 

 

 

「フン。まぐれで明日香様に勝ったからっていい気にならないでね。」

 

「ちょっとジュンコ。」

 

「でも明日香さん~。」

 

「負けは負けよ、見苦しいマネはしないでね。」

 

 苦笑しながら、明日香が枕田をたしなめる。

 

「いや、そいつの言う通りかもよ。」

 

 その言葉に視線が十代に向いた。

 

「そうだな。翔は負けちゃったし、俺や十代だって、キーカードが来なかったら、負けてたし。」

 

 俺はそう言って、にっこりと微笑む。しかし、何故か視線をそらされた。頬もちょっと紅いし。

 

「ちょっとゴメン。」

 

 そう言って、明日香の額に自分の額をあてた。

 

「なっ!」

 

 息を呑んで、明日香は硬直する。なんか、外野が、キャーキャー五月蠅いけど、どうしたんだろう?

 

「ん。」

 

 やっぱ、ちょっと熱いな。頬も紅いし、瞳も潤んできている。

 

「………熱、あるな。」

 

「はい?」

 

 俺の一言に素っ頓狂な言葉で問いかけてきた。

 

「微熱のようだ。呼吸もちょっと荒いし、風邪の引き始めらしい。風呂に入って、暖かくして、早く寝ろ。ああ。鮎川先生に事情を話して、風邪薬を貰うのを忘れないようにな。」

 

「は、はあ。親切にどうも。」

 

 若干戸惑ったように言った、明日香の言葉を聞きながら、さっさとこの場を去った。

 



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デュエル4 VWXYZ

ご指摘いただきました白井友紀様、並びにこのお話を読んでくださる皆様ありがとうございます。


「神様!!お願いです!!月に一度やる昇格試験の結果次第でオシリス・レッドからラー・イエローに昇格出来る!!これぞ、死者蘇生!!」

 

「したいならさっさと寝る。睡眠不足で試験中に寝たら意味ないぞ?」

 

 祭壇もどきに死者蘇生のカードをささげて、 祈っている翔に声をかけるのだが、

 

「不詳、この丸藤翔をラー・イエローに入れてください!!」

 

 ダメだ。まったく聞いてない。しかし、祭壇に必死に祈っている翔って子供が見たら夢に見そうなほど怖いな。憑かれているようだし、ゆっくる休ませるか。そう思いながら、スタートボタンを押して止める。

 

「悪い十代。ちょっと耳塞いでくれるか?」

 

「? ああ。」

 

 十代が俺の指示通りに耳を塞いだのを確認して俺も耳栓して拡声器を翔の耳にあてて叫んだ。

 

「あめんぼあかいなあいうえお!!」

 

 

 

 その言葉に翔は声にならない叫びをあげて床に倒れた。その翔をベットに寝かせて停止を解除すると十代はジト目で俺を見た。

 

「…鬼か?」

 

「何を言うか。寝不足はテストに差し控えるから、それを考えるとむしろ優しい方だぞ?」

 

「翔の惨状を見なければな。」

 

 翔の? 視線を翔に向けると、耳からピンク色の血を流して健やかな寝顔をしていた。

 

「朝には治るだろ。」

 

「治るのか!!」

 

 その言葉を無視してゲームをしていたのだが、遅くなり眠くなってきたので自室に戻って寝た。

 

 ○ ○ ○

 

SIDE マナ

 

「ん~。よく寝た。」

 

 そう言って私はベットから降りてベットで寝ている一を見た。うん。可愛いね♪もっと見ていたいけど、時間がマズイし起こさないとね。

 

「一ちゃん。起きて。」

 

「んん。あと…3年…。」

 

「起きて! それじゃ、3年寝太郎になっちゃうよ!!」

 

 揺さぶっても効果がない。なので、

 

「起きろ! (ブラック)………キャッ!」

 

 魔術を使おうとしたところを手を引っ張られてしまった。さらに、私の唇をはじめの唇でふさがれてしまった。

 

「プシュ――。」

 

 ショートして私の意識は遠くなった。

 

 ○ ○ ○

 

SIDE 一

 

「遅刻だぁぁっっ!!」

 

「ごっめーん!!」

 

 全力疾走でアカデミアに向かう途中でトラックを押している十代を見つけたのでトメさんに許可をもらって簡単な応急処置を施して、走れるようにして乗せてもらい原作よりもだいぶ早く教室にたどり着いてわかる問題を全て解いて、その頃には寝ていた十代と一緒に寝ていた。

 

 ○ ○ ○

「起きなさい!」

 

 その言葉とともに頭に衝撃が走った。

 

「んあ?明日香?」

 

「明日香?じゃないわよ?もう筆記試験終わってるわよ?」

 

 そのようだな働かない頭でほとんど生徒のいない部屋を見回した。

 

「ほとんど生徒がいないみたいだけど、どうしたんだ?」

 

「新しいパックが発売されるからみんなそっちに行っちゃったわよ?」

 

「新しいカードだって!!」

 

「うわわ!何やってるんだろう…。」

 

 十代の叫びに飛び起きた翔が落ち込んだ。

 

「翔!一!新しいカード買いに行こうぜ!」

 

「俺、パス。」

 

「チェッ。まあいいか。俺達は行ってるから、実技試験場で会おうぜ!」

 

 十代は翔を連れて行ってしまった。

 

「一は行かないの?」

 

「ムリに新しいカードをデッキに入れなきゃならない訳じゃないだろ?むしろ、慣れないカードを使ってデッキのバランスを崩すのは無意味だろ?」

 

「………そうね。」

 

「それに。」

 

「?何よ?」

 

「それに、明日香をひとりぼっちにさせるわけにはいかないだろ?」

 

「なっ!?」

 

 明日香はその言葉に驚いて硬直した。気のせいか、少し顔が紅いような?………フム。今がチャンスか。そう思って、明日香にの髪の毛に触った。

 

「ッッッ!!」

 

 酷くビックリして後ろに後すざろうとする。

 

「ああ、ちょっとジッとしてて。」

 

 その明日香に言って、明日香の髪に再び触った。

 

「フム。サラサラしてて、絹糸さわってるみたい。」

 

「あ、当たり前じゃない!これでも結構気を使ってるのよ!」

 

 俺の一言に更に紅くなりながら、言ってきた。ナルホドと、納得してから、櫛で明日香の髪を梳いていく。梳いていきながら、髪の毛を二つの束に分けていき、それぞれを纏めた。………うん。かわいい。

 

「………髪型を変えてるの?」

 

「まあな。明日香はストレートヘアー以外も可愛いかなと思ってな。」

 

 その後、時間になるまで、明日香のヘアーチェンジで楽しんでいた。………一番いいと思ったのは、ポニーテールだった。

 

「なんでオレとはじめの相手がオベリスク・ブルーなんだ?」

 

 十代に万条目が、俺に名も知らぬオベリスク・ブルーが対戦相手になっている。十代は原作通りの展開だけど、俺の場合は減給された逆恨みだろう。倒せば問題ないかな。

 

 ○ ○ ○

 

決闘(デュエル)!!』

 

「俺のターン!ドロー!モンスターを守備表示でセット!さらにカードをセットしてターンエンド!」「俺のターン!ドロー!手札からDーディスティニードロー起動!全てのプレイヤーは3枚ドローする。そして、その中の通常モンスターを相手に見せる事で追加ドローする。」

 

D-ディスティニードロー 通常マジックカード

 

全てのプレイヤーはデッキから3枚ドローする。ドローしたカードの中に通常モンスターがあった場合、そのカードを相手に見せることで、見せた枚数分すべてのプレイヤーはドローすることができる。

 

 ドローしたカードを確認する。2枚が魔法カード、残りの1枚は効果モンスター。

 

「通常モンスターは無い。」

 

「俺も。手札からD (ダーク)HERO (ヒーロー)ファイアリィガール召喚!」

 

「永続罠発動!生贄封じの仮面!」

 

 生贄が出来なくなるカードか、どうやら、D ・HERO (ヒーロー)対策をしてきたらしい。だが、俺の手札は最高にいい。

 

「手札からAーアタックメントコール起動!手札のD (ダーク)HERO (ヒーロー)を特殊召喚!さらに、フィールド上カード1枚を破壊する!」

 

A-アタックメントコール 通常マジックカード

 

手札のモンスターを特殊召喚する。さらに相手フィールド上のカードを一枚破壊する。この効果で召喚したモンスターは攻撃しなかった場合、そのターンのエンドフェイズ時に破壊する。

 

「この効果でD (ダーク)HERO (ヒーロー)サンダーボーイ召喚!セットモンスターを破壊する!サンダークラッシュ!手札1枚をコストにD (ダーク)HERO (ヒーロー)ブリザレスを特殊召喚!自身の効果で召喚後エンドフェイズまで攻撃力500アップする!手札からRーリバイバルソウル起動!墓地からコストに使ったD (ダーク)HERO (ヒーロー)ダークナイトを特殊召喚!」

D (ダーク)HERO (ヒーロー) サンダーボーイ 光属性 レベル4

ATK1900 DEF1000

 

【戦士族・通常モンスター】

黒い雷を操る正義のD (ダーク)HERO (ヒーロー)。この少年が持つ雷の刃は闇を破壊する。

 

D (ダーク)HERO (ヒーロー) ブリザレス 水属性 レベル4

攻撃力1700 守備力200

 

【戦士族】

手札一枚を墓地に送ってこのカードを特殊召喚する。この効果で召喚した場合、エンドフェイズまでこのカードの攻撃力が500アップする。

 

ブリザレス 攻撃力 1700+500=2200

 

 俺の場にビキニーアーマーの女戦士と黒い馬に乗った騎士が現れる。…いつも思うが、ブリザレスってイラスト見ると寒そうだよな。背景雪山だし、ビキニアーマーだし。

 

「ワ、1ターンkillだと!」

 

「これで終わりD (ダーク)HERO (ヒーロー)達の攻撃!ヒーローズコンビネーション4!」

 

 俺の攻撃宣言にHERO (ヒーロー)達がブルー寮の生徒のライフを削り切った。

 

 

 

「すごい!すごいよ!」

 

「ブルーを相手に1killかよ!すげぇよ!はじめ!」

 

 十代が俺の肩を叩いて言った。翔は興奮しているらしく、先程からすごいをくり返している。

 

「単に手札が良すぎただけさ。それより次は十代の番だろ?頑張って逝ってこい。」

 

 苦笑しながら片手を上げる俺に十代も手を上げてハイタッチして、

 

「おうっ!って字が違う!」

 

 応えてツッコミをいれた。ウム。この反応、鍛え上げれば、十分使える。

 

「…何に使う気ッスか?」

 

「そりゃ漫才の相方さ。って翔?何で考えてた事がわかる?」

 

「声に出してたッス。」

 

 そんなやりとりをしている間に万条目とのデュエルが始まった。

 

 

 

「万丈目!これで、ライフは互いに1000!でも、オレが1000以上のモンスターをドローできたら、面白いよな?オレのターン!ドロー!E(エレメンタル)HERO (ヒーロー)フェザーマンでダイレクトアタック!」

 

「アニキもすごいッス!」

 

「見事な逆転劇だったぜ。十代。」

 

「おめでとう。遊城君。君のデッキへの信頼感、モンスターとの熱い友情、そして、勝負を捨てないデュエル魂、それはここにいる全ての者が認めることでしょう。よって遊城君、君はラー・イエローへ昇格です。」

 

 校長の発言に俺を中心に惜しみない拍手を送った。

 

「そして、斎藤 一君。」

 

 俺?

 

「君のデッキへの信頼感、優れたタクティクスを十分見させて頂きました。君もラー・イエローに昇格です。」

 

 その言葉に一部のオベリスク・ブルー以外のみんなが俺達に拍手を送った。

 

「オシリス・レッドのみんな!!」

 

 俺はそのみんなの前で大きな声を上げた。

「このままでいいのか!!オシリス・レッドが成績最奥のドロップアウトのたまり場と言われオベリスク・ブルーに搾取されていいのか!!俺達がここに来たのは、ドロップアウトと言われるためか!!それとも、オベリスク・ブルーに搾取されるためか!!」

 

 俺の言葉に皆が顔を見合わせていた。

 

「で、でも、負けたら、」

 

 俺のそばにいた少年がか細い声で呟いていた。

 

「いいじゃん。俺らは最下層のドロップアウトだ。窮鼠猫を噛む。負け犬根性見せてやろうよ。」

 

 みんなにそう発破をかけた。

 

 

 

 あの後、俺はラー・イエローへ、十代は元の部屋を使うことになった。

 



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デュエル5 覗き疑惑?Vバーンデッキ

このお話を読んでくださる皆様ありがとうございます。


「斉藤君! 今日こそきっちりお話を聞いてもらいますからね!」

 

 目の前で握り拳を作ってそう言っているのはオベリスク・ブルー女子の(はら) 麗華(れいか)だ。周りも明日香をはじめとした、女子が陣取っている。それもそのはず。ここは、オベリスク・ブルー女子寮前なのだ。

 

「さぁ、斉藤君!早く構えてください!」

 

 原はそう言いながら、デッキをセットしてデュエルディスクを起動させる。

 

「はぁ。頼むぞ。見えざる如陰の如く(バニシング・ダーク)。」

 

 そう言いながら、デュエルディスクを起動させる。…はぁ。どうしてこうなったのだろうか?

 

 

 

「斉藤君。ちょっと、お願いがあるから、放課後女子寮まで来てくれないかしら?」

 

 昼飯時になり、食堂まで行く途中、女子寮の寮長の鮎川先生に呼び止められた。

 

「別に良いですよ。何をすればいいんですか?」

 

「ありがとう。実はね、お部屋の模様替えと、倉庫にしまってある炬燵を取り出したいのよ。」

 

「はいはい。りょーかい。」

 

 

 

「ふう。終わりっと。」

 

「ご苦労様。随分埃っぽくなっちゃったわね。」

 

 あー。あの炬燵倉庫の隅っこでかなり埃被ってたからな。一人で持ち上げようとしたら、服にその埃を被っちゃったからな。

 

「その服は私が洗濯してあげるから、お風呂で暖まるのはどう?」

 

 その言葉に思わず問いかけてしまった。

 

「え?良いんですか?」

 

「ええ。でも、誰もいない時にしてね?」

 

 あー。そりゃ当然かな?

 

「いいですよ。それで。」

 

 鮎川先生の言葉に甘えてしまった。今思えば、断って、寮に帰ってしまえばこんな事態にならなかっただろうに。

 

 

 

「………よし、誰もいないようだな。」

 

 脱衣所の籠の中に何もない事を確認して、脱衣所の入り口に、清掃中の立て札を置いて、入浴する。

 

 女子風呂に浸かって寛いでいると、入口の方から誰かが入って来たらしい。

 

「アラ? 随分大胆な変質者なのね?」

 

「な! 何で入って来たんだよ!清掃中の立て札をおいてあるはずなんだけど!」

 

「落ち着きなさい。坊や。」

 

 紫色の髪の女の子の言葉に深呼吸して落ち着かせようとした。

 

「悪い。入浴に関しては鮎川先生から許可をもらっている。それで清掃中の札を見なかったのか?」

 

「いつもはアレが置いてなかったから、手違いか何かかなと思ったのよ。私は藤原雪乃よ。坊やは?」

 

「ああ。俺は斉藤一だ。」

 

 俺達が自己紹介しているとき、ドアがもう一度開かれた。

 

「あら。藤原さんも入ってたのですね。」

 

 ゲ!! 原だ!! 驚いて硬直している間に原は俺のすぐ横に入浴した。

 

「アラ? 転入生ですか? 私は原麗華と申します。」

 

 !! ひょっとして原は俺のことがしっかりと見えてない? ならチャンス! 適当にごまかして外に出れば覗き扱いにはならないんじゃ…?

 

「あら。委員長。その坊やは転入生じゃないわよ?」

 

 藤原のその言葉が俺の淡い希望を討ち砕いた。

 

「???」

 

 その言葉に疑問を覚えた原はメガネをかけて、俺の顔を凝視した。

 

「や、やあ。原。」

 

 挨拶をした俺の顔はかなり引き攣っているだろう。次の瞬間、原の悲鳴が響き渡った。

 

 

 

「何を考えているんですか!! 覗きなんて!!」

 

「わ、悪い。原。でも、鮎川先生の許可はもらっているし、それに入口に清掃中につき立ち入り禁止の立札は置いたぞ。」

 

「嘘は言わないでください!! そんなもの、」

 

「あったわよ?」

 

「?? なんですって?」

 

 藤原の言葉に原は彼女のほうを振り返った。

 

「だから置いてあったわよ。」

 

 その言葉に原は恥ずかしそうに顔を赤らめた。

 

「斉藤君! お風呂の入浴についてはもういいですが、言わせていただきたいことがあります!!」

 

 ?なんだろう?

 

「斉藤君は不真面目すぎます!! マナさんと天上院さんとふしだらな関係だというじゃないですか!!」

 

 マナと明日香?

 

「???? 悪い。原。言っている意味がよくわからないんだが?」

 

「とぼけるつもりですが! 原麗華の目が黒いうちは不純異性交遊なんてさせませんからね!!」

 

「とぼけるも何も、マナとは幼馴染だし、明日香とはただの友達で、別にふしだらな関係とも、不純異性交遊ともとれる仲じゃないぞ?」

 

「まだ誤魔化す気ですか! もういいです! デュエルで話をつけましょう!」

 

 とまぁこんな感じで表に連れ出されてデュエルするわけだ。

 

「斉藤君! 私が勝ったら、不純異性交遊させませんからね!」

 

「あぁ。ただ、俺が勝ったら、俺と明日香とマナに謝ってもらうからな?『付き合ってもいないのに言いがかりでいちゃもんつけてごめんなさい。』と」

 

「苦労しているのね?あなた達は?」

 

「………うん。すごい大変だよ。」

 

「わ、私はそ、そんな関係じゃないわよ!」

 

 何故かため息を吐きながらの藤原の言葉にマナは漫画で良くある滝のような涙を流し、明日香は怒りのあまり顔を紅く染めたらしい。

 

決闘(デュエル)

 

「私のターン。ドローします。手札から、ご隠居の猛毒薬を使います。効果で斉藤君にダメージを与えます。そして、モンスターをセットしてターンエンドします。」

 

麗華ライフ4000手札4枚

伏せモンスター

 

一ライフ3200手札5枚

 

「俺のターン!ドロー!」

 

 麗華のデッキの特徴はまだわからない。

 

「手札から永続魔法黒蛇病を起動! さらにデスウォンバットを召喚!」

 

「そ、そのデッキは!」

 

 そう、このデッキはデスウォンバットで効果ダメージを防いで、黒蛇病で焼くデッキだ。

 

「さらにカードを二枚セットしてターンエンド!」

 

麗華ライフ4000手札4枚

伏せモンスター

デスウォンバット

黒蛇病 伏せカード二枚

一ライフ3200手札3枚

 

「私のターン。ドローします。モンスターをセットしてターンエンドします。」

 

「………麗華に動きがないわね。」

 

「おそらく動くに動けないのよ。委員長はバーンデッキの使い手よ。デスウォンバットは効果ダメージを防ぐ効果を持っているわ。」

 

麗華ライフ4000手札4枚

伏せモンスター×2

デスウォンバット

黒蛇病 伏せカード二枚

一ライフ3200手札3枚

 

「俺のターン! ドロー! スタンバイフェイズ時に黒蛇病の効果起動! 互いに200ポイントのダメージを与える!」

 

 その言葉に黒蛇病のカードから蛇が飛び出して、俺達を襲うのだが、俺の方はデスウォンバットに守られノーダメージだ。

 

「モンスターをセットしてターンエンド!」

 

麗華ライフ3800手札4枚

伏せモンスター×2

デスウォンバット 伏せモンスター

黒蛇病 伏せカード二枚

一ライフ3200手札3枚

 

「私のターン。ドローします。モンスターをセットしてターンエンドします。」

 

麗華ライフ3800手札4枚

伏せモンスター×2

デスウォンバット 伏せモンスター

黒蛇病 伏せカード二枚

一ライフ3200手札3枚

 

「俺のターン! ドロー! スタンバイフェイズ時に黒蛇病の効果起動! 1ターン経過しているからダメージが倍になる! 反転召喚ステルスバード!」

 

 俺の場に翻ったカードが原のライフを更に削った。

 

「モンスターをセットして手札から強制転移を起動! 俺はセットモンスターをそちらに送る!」

 

「………私はこちらをそちらに送ります。」

 

 俺は原からもらったカードを確認した。デスコアラか。

 

「バトルフェイズ! ステルスバードでジャイアントウイルスを攻撃!」

 

 ステルスバードは原の場の俺のモンスターを破壊する。そして、ジャイアントウイルスがウイルスをまき散らして、ダメージを与える。(原ライフ1900)

 

「効果で2体のジャイアントウイルスを召喚して、メインフェイズに移行。ステルスバードをセットして、カードを一枚セットしてターンエンド。」

麗華ライフ1900手札4枚

伏せモンスター

デスウォンバット ジャイアントウイルス×2 伏せモンスター(ステルスバード デスコアラ)

黒蛇病 伏せカード二枚

一ライフ3200手札2枚

 

「私のターン。ドローします。カードを一枚セットして、ターンエンドします。」

 

麗華ライフ1900手札4枚

伏せカード

伏せモンスター

デスウォンバット ジャイアントウイルス×2 伏せモンスター(ステルスバード デスコアラ)

黒蛇病 伏せカード二枚

一ライフ3200手札2枚

 

 

「俺のターン!ドロー!スタンバイフェイズ時に黒蛇病の効果起動!(原ライフ1100)ステルスバードを反転召喚する!(原ライフ100)キャノンソルジャーを召喚して効果を起動!俺の場のモンスター一体を生け贄にして相手ライフに500ダメージを与える!(原ライフ-400)」

 

「キャアア!! …負けました。」

 

 キャノンソルジャーの攻撃くらい原のライフが0になった。

 

「原。約束は覚えているな?」

 

 原は俺に向かって謝ってから明日香と、マナに向かった。

 

「………天上院さん。マナさん。噂を真に受けてつまらない騒ぎを起こしてすみませんでした。」

 

「…わかればいいのよ。」

 

「…私の場合は、その噂が立ってくれた方がありがたいんだけどね。」

 

 そして、原は今度はこちらに振り向いた。

 

「斉藤君もすみませんでした。」

 

「誤解だとわかればいいんだ。それに、こういったことも風紀維持だと思えばいいしな。」

 

「ですが、私は頭が固いといいますか、頑固といいますか、厳しく取り締まりすいて、皆に嫌われているみたいで、」

 

「肩に力入れすぎなんだよ。もうちょっと力を抜いて、余裕をもってみな。さしあたっては、」

 

 そこまで言って、原の両頬を軽く引っ張った。

 

「ひょ、ひょっと、はひふるんれふふぁ?」

 

「やっぱりな、」

 

 俺は納得してから原の頬を放した。

 

「原ってさ、怒ってる顔より笑ってる顔のほうがずっと可愛くて魅力的だぞ?」

 

 俺の言葉に何故、顔を紅くする?原?そして、明日香にマナ。お前達は何故に不機嫌になる?

「な!! か、か、か、か、か、か、か、か、か、か、か、か、可愛い」

 

 パニクッてどもってる。普段、クールだから、意外な一面を見れて可愛い。

 

「斉藤君!! そ、そんなことを言って誑かそうとしても無駄ですからね!!」

 

 ??熱でもあるのか?風邪ひくと大変だな?

 

「それに、斉藤君! あなたと藤原さんが一緒に入浴してたのは事実です!!」

 

「あのなあ、それは、藤原が勘違いしただけで…。」

 

 そこまで、言いかけて俺の両肩に手が置かれたらしい。後ろを振り向くと、とてもいい笑顔を浮かべた明日香と、マナがいた。

 

「一………。そのお話を詳しく聞きたいのよね。」

 

「素直にはいた方が身のためよ?」

 

 肩を握り砕かんばかりの迫力に恐怖を覚えた。無理やり二人を引きはがすと、全力で逃走した。

 

「待て!! はじめ!!」

 

「待ちなさい!! はじめ!!」

 

 そう叫ぶ、二人をバッグに走り続けていた。

 

「不幸だ――――!!!!!!」

 

 俺のその叫びが木霊していた。



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デュエル6 闇のデュエル!!デーモンデッキ

このお話を読んでくださる皆様ありがとうございます。


 

「………肝試し?」

 

 十代の言葉につぶやいた。

 

「ああ。大徳寺先生から廃寮の事を聞いてな、肝試しに忍び込もうって話になったんだが、来ないか?」

 

 あぁ。そうか。廃寮探検の日って今日か。

 

「面白そうじゃないか。参加するよ。」

 

 そう言いながら鍵とデュエルディスクとデッキを取り十代の後に続いた。

 

 ○ ○ ○

 

「ここが、例の廃寮か。」

 

 俺はそう言ってボロボロの建物を見上げた。

 

「こ、怖いッス!」

 

「ぶ、不気味なんだな!」

 

「そうか? 良い雰囲気じゃねえか。」

 

 いや、十代には悪いけど、俺も同意見だ。

 

「よーしじゃ、さっそ………。」

 

「あなた達! そんなところで何をしているの!」

 

 廃寮に忍び込もうとしたところで、ポニーテールの明日香に呼び止められた。

 

「よう。明日香。ちょっと、肝試しにな。」

 

「遊び場じゃないのよ。危険だから校則で立ち入り禁止なのよ。」

 

「あ、明日香さんの言うとおりッスよ!止めましょうよ!」

 

「校則が怖くて肝試しが出来るかよ。」

 

「この寮、昔、闇のゲームの実験で行方は不明になったらしいわ。」

 

「タダの迷信だろ?それ。闇のゲームなんてあるわけ無いじゃん。」

 

「………あー。悪い。昔、デュエルチャンピオンの武藤遊戯が闇のゲームをやってたぞ。」

 

 俺の言葉にみんなの視線がこちらに集中する。

 

「ほ、ホントかよ?」

 

「というか、何で、はじめちゃんが知ってるんすか?」

 

「知ってるのかは秘密。それより、気になっているのは明日香だ。」

 

「私?」

 

 俺のその言葉に首傾げている。…あ。ちょっとかわゆい。

 

「ああ。さっき言ってた事が正しいなら、ここに来る人がいないのに、何出来てるんだ?」

 

「………。」

 

 俺の問いに答えるべきか、悩んでいたようだが、やがて、その重い口を開いた。

 

「誰にも言わないでね。ここで行方不明になった生徒の一人が、私の兄なの。」

 

 その後の展開は原作通りに進み俺たちは廃寮の中に忍び込んだ。

 

「埃っぽいけど、なかなか良いところじゃん。」

 

「少し薄暗いけど、少しおしゃれだしな。」

 

 などと十代達と話し合いながら、吹雪さんの写真を回収して奥へと進んでいくと女性の叫び声が聞こえた。

 

「十代!! 今の!!」

 

「ああ! 明日香の声だ!」

 

 声の聞こえた方向へと走っていくと、エトワールサイバーのカードが落ちていたのが目に入った。

 

「これは明日香のカード!」

 

「! 十代! 引きずった様な後が向こうの方に!」

 

「何! でかした隼人!!」

 隼人の言葉に十代はそちらに向う。その引きずったあとに沿って走ると、地下デュエル場にたどり着いた。その先に棺桶に明日香を押し込んでいる男がいた。

 

「おい! お前! 明日香をどうした!」

 

「ふっふっふ。このお嬢さんの魂は、今深い深い闇の中だぁ。助けたければ、私を倒す事だぁ。もちろ

ん、闇のデュエルでだぁ。」

 

「闇のデュエルだと!!」

 

 タイタンの言葉に十代が反応する。

 

「闇の千年パズルを使っての禁断のゲームだぁ。どうだぁ。受けてみるかぁ? 遊城十代?」

 

「? 何で俺の事を知ってるか知らないが、売られたデュエルは買うぜ!」

 

「待てよ。」

 

「? 何だよ?一?」

 

「このデュエル。俺がやる。」

 

「冗談じゃねぇ。アイツは俺を指名してるんだぜ?」

 

「頼む。十代。」

 

 俺の言葉に十代は若干沈黙し、そして答えた。

 

「分かった。やってこい。」

 

「サンキュー。」

 

 十代に礼をしてから、いつも使うデッキとは別のデッキを取り出し、ディスクにセットした。

 

「「決闘(デュエル)!!」」

 

 

「俺のターン! ドロー! 手札からUFOタートルを攻撃表示で召喚! カードを3枚セットしてターンエンド。」

 

 

「私のターン! ドロー! 手札からフィールド魔法万魔殿―パンデイモニウムを発動! このカードが表表示私はデーモンと名の付くモンスターの維持コストを払う必要がなくなる! ジェノサイドキングデーモンを召喚! ジェノサイドキングデーモンで攻撃! 炸裂ゥ! 五臓六腑ゥ!」

 

 その攻撃名だけで笑い死に仕掛けたのは内緒だ。

 

「リバースカードオープン! バックファイア! 俺のフィールド上の炎属性モンスターが戦闘によって破壊された時相手ライフに500ポイントのダメージを与える! さらにUFOタートルの効果起動! このカードが戦闘によって墓地へ送られた時、デッキから攻撃力1500以下の炎属性モンスター1体を俺のフィールド上に攻撃表示で特殊召喚する事ができる! プロミネンスドラゴンを召喚!(一ライフ3400 タイタンライフ3500)」

 

「フフフ。これを見ろォ!」

 

 タイタンを掲げた偽物の千年パズルが光を放つ。

 

「消えてゆく………私達の体が、ライフポイントとともに徐々に消える………。」

 

 ………ったく。手の込んだことで………。

 

「!! 一!! お前体が」

 

「消えてるッス!」

 

「ああ。ホントだ。右足がないや。」

 

「何でそんなに落ち着いているんだな!」

 

偽物だって知ってるし。

 

「お前が負ければお前は消える。どうだ?怖いだろう?」

 

「逆に言えば負けなければいいんだ。」

 

「強がりは達者だな?私はターン「リバースカード起動!」何!」

 

「お邪魔トリオ! お前のフィールドに3体のお邪魔トリオトークンを特殊召喚!」

 

「ラストターン! ドロー! お前のフィールドの2体のトークンを生け贄に溶岩魔神ラヴァゴーレムを特殊召喚!」

 

「あれ? お邪魔トークンって召喚の為の生け贄には出来ないッスよね?」

 

「生け贄召喚の為の生け贄には出来ないけど、カード効果のコストなら別だよ。」

 

俺の説明に翔が意味を理解出来ず?マークを乱舞させる。

 

「お邪魔トリオトークンは生け贄召喚には出来ず特殊召喚の為の生け贄には出来るとだけ覚えておけば

いいんだ。」

 

「だが、ラヴァゴーレムは。」

 

「ああ。お前のフィールドに特殊召喚され、このターンは通常召喚は出来ない。だから手札から魔法カ

ード起動!所有者の刻印!フィールド上の全てのモンスターは元々のコントローラーのフィールドに戻る!ラヴァゴーレムは俺のフィールドに戻る!さらにリバースカード起動!火霊術-紅!ラヴァゴーレムを生け贄に元々の攻撃力3000のダメージをお前に与える!(タイタンライフ500)」

ラヴァゴーレムが焔の塊となり、タイタンを襲った。

 

「残念だったな!私にはまだライフが残っている!」

 

「残念なのはそっち。ターンエンド!その瞬間、プロミネンスドラゴンの効果起動!俺のエンドフェイズ時にお前に500ポイントのダメージを与える!!」

 

 プロミネンスドラゴンが吐き出した炎のブレスがタイタンのライフを焼き尽くした。

 

「クソ! これを見ろ!」

 

「甘い!!」

 

 千年パズルが光る前に懐に忍ばせたカードを手裏剣の要領で投げつける。キーンと澄んだ音を立てて、目の部分に突き刺さった。

 

「しまった!!」

 

「やっぱりインチキ闇のゲームか。」

 

 その一言にタイタンは息をのんだ。

 

「こいつは催眠術師か何かで、催眠術で体が消えたように見えただけだ。」

 

「何をほざく、私は本当に闇のゲームを……」

 

「なら当然知ってるよな?千年アイテム、それが幾つあるのか。」

 

「千年アイテムの数だと?」

 

「千年アイテムの所持者なら簡単に答えられる問題だよな?答えてみろ。」

 

「そ………それは………な………。」

 

 思ってた以上に自信なさげだ。

 

「!」

 

 頼むから十代。それに反応しないでくれ。

 

「……ふふふ、な~なだぁ。」

 

 ………十代のバカ。後でお仕置き決定だ。

 

「ふふふ、どうだこれでわかったか?私は本当に闇のゲームを……。」

 

「んじゃ、千年アイテムの名前を全て言って見せろ。」

 

「な………七つの千年パズルの名前だと?」

 

「ハイ。モヤッと。失格。」

 

「な!何だと!!」

 

 答える前に失格宣言されタイタンは慌てる。

 

「千年アイテムは七つあるけど、千年パズルが七つある訳じゃない。」

 

「つまりお前は自分で宣言したのさ。自分は大嘘つきだってな。」

 

 ………あ。十代。それ俺のセリフ。

 

「クソ!!」

 

 タイタンは千年パズルを床にたたきつけてその場を逃げ出そうとした瞬間、千年アイテムのマークから闇のような物が現れ、俺と十代と明日香とタイタンを巻き添えにしてしまった。



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デュエル7 闇のデュエル!VSデーモンデッキ2

このお話を読んでくださる皆様ありがとうございます。


 気がつくと俺達は何もない真っ暗な空間にいた。

 

「お、お前! まだ、なにかの手品を!」

 

「ち、違う! 私は何もしていない!」

 

「…そのようだぜ。…ほら。」

 

 指差した先は、タイタンの足もとから黒い何かが這い上がって行くところだった。

 

「な、なんだ! コレは!」

 

 そう言ってる間にも黒い何かは這い上がって行き、全身を覆い尽くした。それと、同じものが俺達を覆い尽くそうとしたのだが、

 

「マナ!」

 

 俺の言葉に俺と十代はカートから飛び出したマナとハネクリボー達に守られ、明日香は気絶していたため俺が抱き上げたので被害無しだ。

 

「……ここは……?」

 

「お、起きたか?」

 

 明日香のつぶやきにそう問いかける。だが、こちらに気づくと顔を真っ赤にしてしまった。どうした?と首を傾げていると、明日香の口からその答えがでた。

 

「は、は、一!! あ、あなたはなにやってんの!」

 

 あぁ。年頃の娘が好きでもない男に抱き上げられたら、怒りもするか。

 

「ワリィ。明日香もうちょい我慢しててくれ。」

 

 足下に暗い何かが近寄って無い事を確認して、明日香をおろす。そしてデッキケースからD・HEROデッキを取り出して明日香に差し出す。

 

「頼む。お守り代わりに預かってて。」

 

「う………うん。」

 

 頬をわずかに紅く染めながら、大事そうに俺のデッキを持つのを見てから、タイタンを覆う暗い何かに近づく。と同時に、暗い何かが崩れ、その中のタイタンが現れた。

 

「小僧。もう一度私とデュエルをしろぉ。」

 

 タイタンが俺に向かってそう言う。だが、先程と違い、声には気がなくどこが虚ろで透明色だ。

 

「分かった。来い。」

 

 デッキケースのさっき使った炎族デッキ以外の別のデッキを取り出しデュエルディスクにセットする。

 

 

 ○ ○ ○

 

「「決闘(デュエル)!!!!」」

 

「私のターン。ドロォー。私はフィールド魔法万魔殿-悪魔の巣窟-を発動。デーモンソルジャーを召喚ん。カードを一枚セットしてターンエンドぉ。」

 

タイタン ライフ4000 手札3枚

伏せカード一枚

モンスター デーモンソルジャー

万魔殿-悪魔の巣窟-

 

「俺のターン! ドロー!A(エンジェリック)HERO(ヒーロー) トタルスを守備表示で召喚!」 俺の宣言にちいさな羽を生やした天界の英雄が現れた。

 

「「エンジェリック・ヒーロー!!」」

 

「なんだぁ。そのヒーローはぁ?」

 

 十代と明日香は新たに現れたHEROに驚き、タイタンはそのHEROに戸惑っている。

 

「更にカ-ドを一枚セットしてターンエンド!」

 

タイタン ライフ4000 手札3枚

伏せカード一枚

モンスター デーモンソルジャー

万魔殿-悪魔の巣窟-

モンスター トタルス

伏せカード一枚

一 ライフ4000 手札4枚

 

「守備力が900しかない雑魚に何をさせようと無駄だぁ。私のターン。ドロォ。ジェノサイドキングデーモンを召喚ん。デーモンソルジャーでトタルスを攻撃ぃ。」

 

「リバース起動! くず鉄のかかし! 攻撃を無効にしてこのカードをセットする!」

 

 屑鉄で出来た案山子が、その攻撃を受け止めた。そして、このカードは同じ場所に伏せられた。

 

「だが、その効果は1度しか使えないぃ。ジェノサイドキングデーモンでトタルスを攻撃ぃ。」

 

「それも無駄。トタルスの効果! 1ターンに1度、自分のデッキトップを墓地に送り破壊を無効にする!」

 

A(エンジェリック)HERO(ヒーロー) トタルス 地属性☆1

攻撃力200 守備力900

 

【戦士族・効果】

このカードは天使族としても扱う。1ターンに1度デッキの一番上のカードを墓地に送ることで、戦闘による破壊を無効にする。

 

 トタルスは攻撃をかわし、デッキの一番上のカードを墓地に送った。

 

「カードを一枚セットして、ターンエンドぉ。」

 

タイタン ライフ4000 手札2枚

伏せカード2枚

モンスター デーモンソルジャー ジェノサイドキングデーモン

万魔殿-悪魔の巣窟-

モンスター トタルス

伏せカード一枚

一 ライフ4000 手札4枚

 

「俺のターン! ドロー! 手札からチューナーモンスターA(エンジェリック)HERO(ヒーロー) ライラを召喚!」

 

 

「「「チューナー?」」」

 

 あ。聞いたこと無いモンスターを聞いて首をかしげている。

 

「ライラの効果起動! このカードの攻撃する権利を召喚ターン放棄する事で、墓地にいるレベル4以下のA(エンジェリック)HERO(ヒーロー)を守備表示で召喚する! A(エンジェリック)HERO(ヒーロー) ガードナーを特殊召喚!」

 

 ライラの効果で、盾を構えた天使が姿を現した。

 

A(エンジェリック)HERO(ヒーロー) ライラ 地属性 ★2

攻撃力900 守備力700

 

【戦士族・効果 チューナー】

このカードは天使族としても扱う。召喚に成功した時、このカードの攻撃する権利を召喚ターン放棄する事で、墓地にいるレベル4以下のA(エンジェリック)HERO(ヒーロー)を守備表示で召喚する。

 

A(エンジェリック)HERO(ヒーロー) ガードナー 水属性 ☆4

攻撃力0 守備力2000

 

【戦士族・効果】

このカードは天使族としても扱う。表表示のA(エンジェリック)HERO(ヒーロー) ガードナー以外のモンスターに攻撃することができない。

 

「いくら並べた所で無駄だぁ。」

 

「それはどうかな? レベル4ガードナーにレベル2ライラをチューニング!」

 

「「チューニング?」」

 

「なんだぁ? 何が起きてるぅ?」

 

 ライラは緑色に輝く二つの輪となり、ガードナーがその中に飛び込み4つの星になった。

 

★2+☆4=☆6

 

「熱き願いが邪悪を焼き尽くす天界の戦士となる!

光り差す路となれ!

シンクロ召喚!

焼き尽くせ!A(エンジェリック)HERO(ヒーロー) ウリエル!」

 

 炎をまといし天界の戦士が降臨した。

 

「シンクロ召喚ん??なんだぁ?それはぁ?」

 

「インダストイリュージョン社が新たに作った召喚方法さ。

チューナーモンスターとそれ以外のモンスターのレベルを召喚したいシンクロモンスターと呼ばれるモンスターのレベルと等しくなるように調節して、それらのモンスターを墓地に送る事で、シンクロモンスターを召喚する。」

 

「なるほど、先ほどライラがチューナーと言っていた。そして、そのモンスターのレベルが6というわけか。」

 

「そういう事さ。ウリエルの効果起動!シンクロ召喚に成功したとき、相手フィールド上のモンスターを破壊してそのモンスターの攻撃力の半分のダメージを与える!」

 

A(エンジェリック)HERO(ヒーロー) ウリエル 炎属性☆6

ATK2600 守備力1700

 

【戦士族・シンクロ 効果】

A(エンジェリック)HERO(ヒーロー)と名のつくチューナー+チューナー以外のA(エンジェリック)HERO(ヒーロー)と名のつくモンスター一体以上

このカードは天使族としても扱う。このカードをエクストラデッキから特殊召喚する場合は、シンクロ召喚でしか召喚できない。シンクロ召喚に成功した時、相手フィールド上のモンスターを破壊して、その攻撃力の半分の効果ダメージを相手に与える。この効果を発動したターン、このカードは戦闘破壊できずこのカードの攻撃によって発生する戦闘ダメージも半減する。

 

「な、なにぃ!」

 

 ジェノサイドキングデーモンを破壊したいがアレにはサイコロをふって出た目によって無効に出来る効果をもつ。確実に破壊するには!

 

「デーモンソルジャーを破壊! ジャッジメント・フレア!!」

 

 ウリエルが炎を放ちそれがデーモンソルジャーを破壊した。その余波で、タイタンのライフポイントを焼いた。(タイタンLP3050)

 

「グゥオオッ! だぁが、万魔殿-悪魔の巣窟-の効果でデスルークデーモンを手札に加えるぅ。」

 

「バトル! ウリエルでジェノサイドキングデーモンを攻撃! 神炎の焔!」

 

 ウリエルは炎の塊を生み出しジェノサイドキングデーモンにぶつけた。(2600-2000=600)

 

「ウリエルの効果を使用したターン、ウリエルの攻撃で発生するダメージは半減して戦闘破壊も無効になるけどな。」

 

 ウリエルの炎が弱かったのかジェノサイドキングデーモンはその炎に耐えきった。(3050-600/2=2750)

 

「一枚セットしてターンエンド!」

 

タイタン ライフ2750 手札3枚

伏せカード2枚

モンスター ジェノサイドキングデーモン

万魔殿-悪魔の巣窟-

モンスター トタルス ウリエル

伏せカード2枚

一 ライフ4000 手札3枚

 

「私のターン。ドロォ。手札からミストデーモンを召喚するぅ。」

 

「な、なんであれが通常召喚できるのよ! あれはレベル5のはずよ!」

 

 ミストデーモンの効果を把握してないらしい明日香が驚きの声を上げた。

 

「妥協召喚と言って、何かしらのデメリットを負う代わりに生贄なしの通常召喚を行える、或いは生贄を軽減する効果を持つモンスター効果がミストデーモンにはあるんだ。」

 

「そのぉ通りだぁ! このカードを生贄なしで召喚した場合、エンドフェイズに入った時に破壊され、1000ポイントのダメージを受けるのだぁ!」

 

 俺の説明をタイタンが引き継ぐ。妥協召喚のデメリットは他にもあり、召喚時に攻撃力、守備力を半減する、可変機獣 ガンナードラゴン、似たようなデメリットを持つ、神獣王 バルバロスなどがある。

 

「ミストデーモンでトタルスを攻撃ぃ!」

 

「リバース起動! くず鉄のかかし!」

 

 俺の場に翻ったカードが、攻撃を受け止めようとする。しかし、

 

「フハハハ! 甘いぞぉ! トラップカードトラップジャマーを発動ぉ!」

 

 俺の宣言にタイタンがチェーンしたカードの効果でくず鉄のかかしは破壊されてしまった。

 

「(どうする? トタルスの効果を使えば1度はトタルスを守れるが………。だが、デッキの一枚を墓地に送らなきゃ行けない。仕方ない。)トタルスの効果起動!」

 

 俺の宣言にトタルスはデッキの一番上のカードを墓地に送りながら、敵の攻撃をかわした。

 

「だぁがぁ、もうトタルスの効果を使えない! ジェノサイドキングデーモンで攻撃!」

 

 今度は攻撃をかわす事が出来ずに破壊されてしまった。

 

「そして、手札から強制転移を発動! 私はミストデーモンを発動するぅ!」

 

「く。俺の場にはウリエルしかいない。」

 

「よって、ウリエルのコントロールを得るぅ。そして、ターンエンドぉ。その瞬間、ミストデーモンが破壊され、貴様に1000ポイントのダメージを与えるぅ。」

 

 俺の場に移った、ミストデーモンは苦痛のうめき声をあげ、破壊された。そして、その破片が俺の頬をかすった。

 

「!! はじめ!! 頬から血が出てる!!」

 

「痛いけど、この程度なら大丈夫だ。」

 

タイタン ライフ2750 手札1枚

伏せカード1枚

モンスター ウリエル ジェノサイドキングデーモン

万魔殿-悪魔の巣窟-

モンスター 

伏せカード1枚

一 ライフ3000 手札3枚

 

 

「俺のターン! ドロー!」

 

 手札にウリエルやジェノサイドキングデーモンを倒せるモンスターがない。

 

「俺はモンスターをセットしてターンエンド!」

 

 

 

タイタン ライフ2750 手札2枚

伏せカード1枚

モンスター ウリエル ジェノサイドキングデーモン

万魔殿-悪魔の巣窟-

モンスター 伏せモンスター

伏せカード1枚

一 ライフ3000 手札3枚

 

 

「私のターン。ドロぉ。私はデーモンソルジャーを召喚ん~。デーモンソルジャーで攻撃!」

 

「守備モンスターはガードナー! 破壊するには後、100足りない!」

 

「では、ウリエルで攻撃!神秘の焔!」

 

 これは防御できずに破壊される。

 

「そして、ジェノサイドキングデーモンでダイレクトアタック!」

 

 ジェノサイドキングデーモンの攻撃が俺を襲う。

 

「グァァッ!!!!」

 

 あまりの激痛に一瞬、意識が飛びかける。

 

「はじめ!」

 

 俺がダメージを受けると明日香が心配そうに声をかける。

 

「………大丈夫だ。」

 

「私はターンを終了するぅ。」

 

タイタン ライフ2650 手札2枚

伏せカード1枚

モンスター ウリエル ジェノサイドキングデーモン

万魔殿-悪魔の巣窟-

モンスター 

伏せカード1枚

一 ライフ1000 手札3枚

 

 

「俺のターン! ドロー!」

 

 ! このカードは!

 

「手札から強欲な壺を起動! カードを2枚セットしてターンエンド!」

 

タイタン ライフ2650 手札2枚

伏せカード1枚

モンスター ウリエル ジェノサイドキングデーモン

万魔殿-悪魔の巣窟-

モンスター 

伏せカード3枚

一 ライフ1000 手札3枚

 

「とうとう諦めたか? 私のターン。ドロぉ。ウリエルで攻撃! 神炎の焔!」

 

 タイタンの言葉にウリエルは炎の塊を放つ。それが、俺に爆炎を浴びせる。

 

「はじめ!!」

 

「一!!」

 

 十代と明日香の焦燥の声が飛ぶなか、

 

「呼んだ?」

 

 自分の声が間抜けだなと思った。(1000-0=1000)

 

「何故だぁ? 何故ダメージを受けてない?」

 

「コイツさ。」

 

 といって、4枚の翼を持ち、頭上に天使の輪を浮かべたクリボーを見せた。

 

A(エンジェリック)クリボー。手札から捨てたターンに発生する全てのダメージを無効にする。」

 

「しぶとい。私はターンを終了するぅ。」

 

タイタン ライフ2650 手札2枚

伏せカード1枚

モンスター ウリエル ジェノサイドキングデーモン

万魔殿-悪魔の巣窟-

モンスター 

伏せカード3枚

一 ライフ1000 手札1枚

 

「俺のターン! ドロー! スタンバイフェイズ時にA(エンジェリック)クリボーの効果起動!自身の効果で捨てられた次のスタンバイフェイズ時に墓地から特殊召喚する! 来い! A(エンジェリック)クリボー!」

 

 俺の場に4枚の羽根を生やしたクリボーが姿を現した。

 

「さらにマジックカードシンクロキャンセルを起動! ウリエルを融合デッキに戻し、素材となったライラとガードナーを召喚! そして、再びウリエルをシンクロ召喚! その効果でデーモンソルジャーを破壊! ジャッジメント・フレア!」

 

(私を使ってマスターを苦しめたことを後悔するがいい!)

 

 そんな声が聞こえたせいか発生した炎は先程よりも大きく力強いものだった。(2650-1900/2=1700)

 

「そして、A(エンジェリック)HERO(ヒーロー) レミラを召喚!

レベル1レミラ、レベル6ウリエルにレベル1A(エンジェリック)クリボーをチューニング!」

 

 A(エンジェリック)クリボーが一つの緑色の星になり、ウリエルとレミラが飛び込んだ。

 

★1+☆6+☆1=☆8

 

「集いし星々が永久に輝く太陽()となる!

光り差す路となれ!

シンクロ召喚!

照らせ! サンライトドラゴン!(攻撃力2800)」

 

(ギャオオォォッ!!!!)

 

「す、すげぇ。」

 

「キレイ。」

 

 十代と明日香は俺が呼び出した山吹色に輝く竜を見て呆然と呟いた。

 

「…ふむ、そのモンスターの攻撃力は、2800かだぁが、そのモンスターだけでは、私のライフを削りきることは不可能だぁ!」

 

 デュエルディスクサンライトドラゴンの攻撃力を確認したのかタイタンが自信満々で言い放った。

 

「サンライトドラゴンの効果! このカードがフィールド上に有る限り、フィールド上の闇属性モンスターは元々の攻撃力が半分になる!」

 

「何ぃ!」

 

 サンライトドラゴンの光のオーラで相手の場のジェノサイドキングデーモンを弱らせた。

 

 サンライトドラゴン 光属性 ☆8

攻撃力2800 守備力2000

 

【ドラゴン族・シンクロ 効果】

チューナー+チューナー以外のモンスター一体以上

このカードが表側表示で存在する時、フィールド上の全ての闇属性モンスターの元々の攻撃力は半分になる。自分のスタンバイフェイズ時に発動コストとして、手札一枚を墓地に送ることで戦闘によって破壊されたこのカードを墓地から特殊召喚できる。

 

「さらにレミラの効果!光属性のシンクロモンスターの素材になった時、1枚ドローする!」

 

 そう宣言して、デッキに手を置いて一気に引く。ドローしたカードは、これか。

 

「手札から死者蘇生を起動! 自分の墓地からウリエルを特殊召喚!」

 

 この局面でこれを引くとはな。

 

「バトル! ウリエルでジェノサイドキングデーモンを攻撃! 神炎の焔!」

 

 ウリエルが炎の塊をジェノサイドキングデーモンに叩きつける。そして、その差分1600ポイントのダメージを与えた。(1700-1600=100)

 

「グァァッ! だぁが、デスルークデーモンを墓地に送ってジェノサイドキングデーモンを守備表示で特殊召喚! そして、守備表示のこのカードに戦闘ダメージを与えることはできないぃ!!」

 

「甘い!! リバースカード竜の逆鱗を起動! ドラゴン族に貫通効果を与える! サンライトドラゴンでジェノサイドキングデーモンに攻撃! サンライトバースト!」

 

「止めろぉ…止めてくれぇー!!!!」

 

「悪魔を支配する闇のものよ。太陽の閃光を受けろ。」

 

 タイタンの叫びにそう返して、サンライトドラゴンが山吹色の閃光を放ちタイイタンの残りライフを削りきった。(100-2800+1500=-1200 タイタン敗北)

 

「グァァッ!」

 

 ライフがゼロになったと同時に、タイタンの足元から暗い何かが這い上がって行く。

 

「早くここをでないと!」

 

「でもどこへ行けばいいのよ!!」

 

(((クリクリ!!)))

 

 明日香の言葉にハネクリボー達が一斉に同じ方向を指さした。

 

「あっちだ!!」

 

 十代の言葉にみんなが掛けだそうとする。っとその前に、

 

「サンライトドラゴン! その一撃で闇を吹き飛ばせ!」

 

 サンライトドラゴンの攻撃が、タイタンの足元から這い上がってくる何かを吹き飛ばす。ついでにタイタンもちょっと焦げてるのはまぁ、ご愛敬ということで。

 

「ここから出たいならついてこい!」

 

 俺の言葉にタイタンは戸惑っているようだ。

 

「しかし、何故私を助けたのだ?」

 

「んなもん後にしろ!」

 

 タイタンの愚問を怒鳴りつけて押さえて一緒に来させる。そのまま、一緒に走るのだが自力が違うのか、明日香がはなされそうになる。

 

「明日香!」

 

 叫んで明日香を抱き上げる。

 

「キャッ!!!! ちょっちょっと!」

 

 かなり焦った声をあげているが気にしている余裕は無い。

 

「苦情は後で聞く!」

 

 明日香にそう返して明日香を抱き上げたまま走り出す。しばらく走り続けると、明かりらしき物が見えてきた。

 

「明かりだ! 飛び込め!」

 

 そう叫んで、その明かりに飛び込むと、さっきまでデュエルしていた場所に戻れた。

 

「はじめちゃん! 明日香さん! アニキ! それにタイタン!」

 

「どういうことなんだな!」

 

 俺達の姿を見て、翔が驚き隼人が戸惑った。

 

「助けられたのだ。そこの少年達にな。はじめと言ったか?なぜ私を助けた?」

 

「助けたいから助けた。それだけだよ。」

 

「私は君達を闇のデュエルで…。」

 

「バーロー。誰かを殺すのに理論、理屈が必要でも、誰かを救うのに理屈なんか必要ないぜ。」

 

 コナンに出てきたその言葉を口にするとタイタンはフッと微笑した。

 

「皮肉だな。疲れて堕ちたその先でこの言葉を聞けるとはな。」

 

「だったら、足掻けばいい。」

 

 俺の言葉にタイタンは疑問に思ったらしい。

 

「上手くいかないなら、上手くいくよう足掻けばいい。それでも上手くいかないようならゆっくり休み、じっくり考えればいい。」

 

 俺の言葉にタイタンは涙を流していた。

 

「そうだな。少し焦りすぎてしまったのかもしれない。」

 

 涙を流しながらそう呟き、ここから出ようとする。

 

「私はここを出たら警察に出頭しよう。君たちもここを出た方が良い。」

 

 タイタンの言葉に俺達はタイタンの後を追った。その間に互いに情報交換をした。

 

「依頼された?」

 

「ああ。この廃寮で、君たちと言うか遊城 十代と斉藤 一を再起不能にしろという物だ。」

 

「依頼人は、ひょっとして、語尾にノーネをつける、金髪の男じゃなかったか?」

 

「分かるのか?」

 

 俺の問いにタイタンの声に驚きの色が混じっていた。

 

「分かるも何も、デュエルアカデミアでそんな事をする奴はそいつしかいないよ。」

 

 もちろん実際はタダの原作知識だけど。

 

「聰明なのだな? コチラからも聞いて良いか?」

 

「シンクロモンスターの事か?」

 

「そうだ。先程、君はシンクロモンスターを最近インダストイリュージョン社が新たに作ったと言ってた。そんなカードをどうやって入手した?」

 

 タイタンは興味津々のようだ。十代も興味が有るらしい。翔と隼人はわからないらしく首をかしげている。

 

「俺の養父がペガサス=J=クロフォード。つまりインダストイリュージョン社の会長だ。」

 

 俺の答えにみんな驚いたらしい。タイタンはこちらに背を向けている為表情は分からないが、他の三人は驚いた表情でポカンとしている。って、あれ?

 

「アレ? 明日香は?」

 

 俺の問いに何故かみんな(タイタン以外)の視線が、俺というか、胸の辺りに集中した。?疑問に思いながら、視線を下にずらすと顔をトマトよりも真っ赤になっている明日香と目があった。…そういえば、ずっと抱き上げたままだった。

 

「わ、悪い!」

 

 そう言いながら、慌てて、明日香を降ろす。その明日香はホッとしたような残念なような何とも言えない表情で俺から離れた。あー。恥ずかしい。何で明日香を抱き上げてたの忘れてたんだろう?羞恥心を隠すつもりで帽子を深くかぶり直しながらそんなことを考えていた。

 

 考え事をしながら歩いていた為かあっという間に出口にたどり着いたらしい。

 

「タイタン。警察に出頭したら真面目に働くんだぞ?」

 

「分かっている。はじめ。世話になったな。君も迷惑をかけた。」

 

 タイタンは明日香に深々と頭を下げて去っていった。

 

「さて、俺達も帰るか。………あぁ。明日香。コレを返す。」

 

 そう言って、エトワールサイバーと10JOINとサインされた吹雪さんの写真を差し出した。

 

「まさか、あなた達コレを探すために?」

 

「まあな。結局手がかりはこれだけだがな。」

 

 明日香の問いに答えてからオシリスレッドの寮に戻った。

 

 

 ○ ○ ○

 

SIDE 明日香

 

「………お節介な人達ね。」

 

 ブラックマジシャンガールの格好のマナが声をかけてきた。

 

「マナ。どうしたの?」

 

「うん。ちょっと、明日香に言いたいことがあってね。」

 

 マナはそう言って、私の目を覗き込むように見てから宣言する。

 

「はじめは絶対に渡さないからね。」

 

 そう宣言して、はじめの後を追っていった。

 

 なんなのよ?でも、はじめとマナが一緒にいる。それを考えただけでも拒否しようとする自分がいる。

 

「いいわ。マナ。受けて立つわ。」

 

 私は強敵(ライバル)に負けないとそう宣言した。

 



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デュエル8 制裁デュエルの準備

このお話を読んでくださる皆様ありがとうございます。


 ガンガンっ

 

 布団の上で微睡んでいた俺の耳にそんな音が聞こえていた。いったい何が?

 

「我々は倫理委員会だ! ここを開けろ!」

 

 外が騒がしいけどまぁ、いいや。それより、眠い。

 

「ここを開けろ! 斉藤一!! 速やかに開けなければこの扉を爆破する!」

 

 ………うるさいな。

 

 ドカンっという大きな音が鳴り響いた。

 

「起きろ! 鮫島校長と査問会が呼んでいる!」

 

 そんな声が聞こえた気がするが無視して睡眠をとる。

 

「起きろと言ってるのが聞こえないのか!」

 

 その言葉に頭に痛みが走った。

 

 ブチッ

 

 何かが千切れる音と共に何かのスイッチが入った。

 

 ガシッ

 

 俺は一番近くにいたやつの襟首を掴み、静かに問いかけた。

 

「今ぶん殴りやがったのはお前か?」

 

「さ、さっさと来い!!」

 

 俺に何かを言いかける、そいつの腹部に俺の拳がめり込んでいた。

 

「質問にはyesかnoで答えろ。余計な言葉は認めない。さっさと答えろ。」

 

「き、キサマ。こんなことをしてただで済むとお゛」

 

 さらに何かを言いかける、そいつの顔に拳をめり込ませる。

 

「無駄口を叩くな。質問に答えろ。」

 

 拳を見せると怯えた表情で答えた。

 

「い、yesだ。」

 

「ほう。何でこんなことをしやがった?」

 

「き、昨日廃寮に侵入したことが校則違反で、処罰を下すと校長と査問会の招集があるんだ。」

 

 なるほど、そういう事か。

 

「正直に言ったんだからもういいだろ?」

 

 その問いに足払いをかける。

 

「イヤ、未だ。」

 

 答えてからマウントポジションでそいつの顔を殴り続けた。数分後には顔を青アザを付けていた。歯も何本か折れてしまったらしい。

 

「あぁ。ドアまで壊れてんじゃねぇか。おい。」

 

 ドアの外にいる。部下らしきやつに声をかける。

 

「は、はい!」

 

「コイツみてぇになりたくなかったら、そのドアを10秒以内に直せ。」

 

「む、無理です!! そんな10秒なんて!」

 

 その言葉をカウントダウンで拒絶するとそいつらは必死でドアを修復する。その間ジャスト10秒。

 

「よし。そいつを連れてさっさと行け。」

 

 その言葉に慌てて姿を消した。それに満足して寝直した。

 

 

 

「ん。良く寝た~。」

 

 目を覚まして背伸びをする。とマナが部屋の隅っこで震えているのが見えた。

 

「どったの?」

 

 問いかけると震えながらも答えた。

 

「はじめ達が廃寮に入っちゃった事を校長達が知ってて、招集するために来た人がいて殴って起こそうとして、」

 

「ひょっとしてスイッチが入った?」

 

 その問いに首を縦に振って答えた。

 

「………済まない。怖がらせたみたいだ。」

 

 軽く頭を撫でてやるとマナは嬉しそうに表情を緩めた。そこにPDAが鳴りとってみると鮫島校長が出た。

 

『斉藤君。すみませんが大至急校長室までお越しください。』

 

 ○ ○ ○

 

「えぇっ!!!!退学!!!!」

 

 校長室につくなり翔の叫びが出迎えた。

 

「そうだ! 昨日深夜に遊城十代、丸藤翔、前田隼人、斉藤一の4名が廃寮に忍び込んだという情報が入った! これは明らかな校則違反だ!よって、退学だ!」

 

 女版志々雄真実が俺を睨みながら言い放った。

 

『一応言うけど、アレやったのはじめだからね?』

 

 ウソ?精霊状態になったマナの言葉にそう思ってしまった。そばの十代もびっくりして、女版志々雄を見つめた。

 

『ホントだよ。スッゴい怖かったんだからね。』

 

 なら、

 

「ちょっといいか?」

 

「な、何だ?」

 

 俺の問いに女版志々雄は怯えながら問いかけた。

 

「その、情報はどこから入った?」

 

「そんなことどうでもいいだろう!」

 

「誰にも言えない怪しい情報なのか? ダメだぜ?そんな怪しい情報真に受けちゃ?」

 

「………ある人物からの情報だ。それ以上は言えない。」

 

 まぁ、いいか。

 

「その情報の提供者ってクロノス先生じゃないのか?」

 

「な! 何故それを!!」

 

 俺の問いに女版志々雄真実がビックリ仰天で驚いて、クロノス先生は青い顔をした。

 

「実は、深夜肝試しに廃寮近くまで来ました。天上院女史と接触、彼女の説得でやめようということになり別れた直後、彼女の悲鳴が聞こえたので慌てて廃寮に近づいたら、天上院を拉致しようとする人物がいたので、その人物を追跡して廃寮に侵入しました。」

 

「…それはゆゆしき事態だが、それと、クロノス教師とどう関係があるんだ?」

 

 いきなり、出まかせを出され、困惑顔で問いかけた。

 

「その人物を説得して天上院を解放してもらい事情を聞いたら、ある人物に依頼されたらしいです。その人物の特徴を確認したら、クロノスで間違いないそうです。」

 

 その言葉に鮫島校長は怒りの表情をクロノス先生に向けた。

 

「クロノス先生。今の話は本当ですか?」

 

「そ、そんな話はありませんノーネ。」

 

「その時の話も録音してますよ。ポチッとな♪」

 

 そう言いながらレコーダーの音を再生する。録音が流れていくたびに顔が蒼くなっていく。

 

「そうですか。クロノス先生。給料60%カットそれと謹慎一週間です。」

 

「ペペロンチーノ!!ですーが、彼らも校則違反しているノーネ!!」

 

 クロノス先生は悲鳴を上げながら足掻きとばかりに俺達を紛糾する。

 

「確かにそうですね。制裁デュエルで負けた場合、反省文200枚と謹慎一週間してもらいましょう。」

 

 

 ○ ○ ○

 

「大丈夫っすか?」

 

「なるようにしかならないさ。」

 

「そういうことさ。………そういえば、翔。お前なんでデッキにパワーボンド入れてるんだ?」

 

 前に翔のデッキ調整をした時、デッキにパワーボンドを入れていたことが気になっていた。それで、この機に聞いてみることにした。

 

「………そうっすね。アニキやはじめちゃんなら話してもいいっすね。」

 

 そう言ってから語りだした。翔には実の兄がいるらしい。その人物からパワーボンドをもらったらしい。

 

「お兄さんからこのカードをもらって、お兄さんを失望させたせいで封印されたんだ。だから、まだ使えないけど、このカードはお兄さんとの絆だから抜くことはできないっす。」

 

 なるほど、そんなリスキーカードをデッキに入れてあったのか。

 

「なら、がんばれよ。そのお兄さんに認められるようにさ。」

 

 頭を撫でてやると、翔は嬉しそうに微笑んだ。

 

「うん! はじめちゃん! アニキ! ボクとデュエルしてくれないかな?」

 

「わかった。」

 

 

 ○ ○ ○

 

決闘(デュエル)!!』

 

「ボクのターン!ドロー!ドリルロイドを召喚!カードを一枚セットしてターンエンド!」

 

翔ライフ4000 手札4枚

伏せカード

ドリルロイド

 

「俺のターン!ドロー!」

 

 ドリルロイドか。これじゃ、守備表示で出せないな。

 

「ファイアリィ・ガールを召喚! さらに進化の魔薬を起動! ファイアリィ・ガールを生贄に捧げ、フレア・レディを召喚!」

 

D(ダーク)HERO(ヒーロー) ファイアリィ・ガール 火属性 レベル3

ATK1300 DEF1000

 

【戦士族・通常モンスター】

闇の炎を操るD(ダーク)HERO(ヒーロー)の女戦士。ランス・オブ・クリムゾンで邪悪を焼き焦がす。

 

進化の魔薬 通常マジックカード

 

自分フィールド上のD・HEROと名のつくモンスターを生贄(リリース)する。融合デッキ(エクストラデッキ)にある同属性のD・HEROと名のつくモンスターを特殊召喚する。(この効果の特殊召喚を融合召喚として扱う。)

 

 薬を飲んだファイアリィ・ガールは炎をまとう拳闘士へと進化する。

 

「? あれ? ファイアリィ・ガールを生贄にしたらボンバーガールを出せるんじゃ?」

 

「ああ。D(ダーク)HERO(ヒーロー)は二者選択式なんだ。ファイアリィ・ガールは火属性だが、フレア・レディとボンバーガールの二枚があるんだ。バトル! フレア・レディで、ドリルロイドを攻撃! パニッシングナパーム!」

 

 フレア・レディの攻撃はドリルロイドを破壊し、その余波が翔のライフを800削り取った。

 

「カードを一枚セットしてターンエンド!」

 

翔ライフ3200 手札4枚

伏せカード

フレア・レディ

伏せカード

一ライフ4000 手札3枚

 

「ボクのターン! ドロー! カードを一枚セットしてサブマリンロイドを召喚! サブマリンロイドでダイレクトアタック!」

 

 今の状況では潜水艦の攻撃を防げない。サブマリンロイドのダイレクトアタックを受けてしまう。

 

「さらにサブマリンロイドの効果でサブマリンロイドを守備表示にしてターンエンド。」

 

翔ライフ3200 手札4枚

伏せカード

サブマリンロイド

フレア・レディ

伏せカード

一ライフ3200 手札3枚

 

「俺のターン!ドロー!悪いな翔。大方サブマリンロイドで戦闘ダメージをようとしたんだろうが甘いよ。フレア・レディの効果起動!攻撃力を500ダウンさせることで守備貫通効果を得る!」

 

D(ダーク)HERO(ヒーロー) フレア・レディ 火属性レベル5

攻撃力2400守備力1200 

 

【戦士族】融合 効果

進化の魔薬もしくはアナザーワールド・エヴォリューションの効果でしか特殊召喚できない。攻撃力500ダウンすることで、このモンスターの攻撃力より低い守備力のモンスターカードを攻撃したときその差の分だけライフに戦闘ダメージを与える。

 

フレア・レディ 攻撃力2400-500=1900

 

「そ、それじゃ、」

 

 そう。サブマリンロイドの守備力は1800。フレア・レディが攻撃力をダウンさせてもギリギリ破壊してダメージを与えることができる。

 

「フレア・レディの攻撃!! パニシングナパーム!!」

 

 フレア・レディのその拳がサブマリンロイドを破壊して、翔にダメージを与えた。

 

「イービルクリボーを召喚して、これでターンエンド。」

 

イービルクリボー 闇属性 レベル1

ATK0 DEF0

 

【悪魔族・効果モンスター】

このカードとの戦闘によって発生するダメージは相手が引き受ける。

 

翔ライフ3100 手札4枚

伏せカード

フレア・レディ イービルクリボー

伏せカード

一ライフ3200 手札3枚

 

「ボクのターン! ドロー! …手札から魔法カード強欲な壺を発動!!」

 

 ドローしたカードを見て、翔の表情がキツイものになった。

 

「そうか。翔。パワーボンドを引いたんだな?」

 

「…うん。でも、」

 

「封印のことは気にするな。勝つ可能性があるなら、遠慮はいらない。全力で来い! 全力で迎え撃つ!!」

 

「うん!手札から魔法カードパワーボンドを発動!! スチームロイドとジャイロイドを融合してスチームジャイロイドの攻撃力を倍にして融合召喚!

手札から、リミッター解除を使って攻撃力を倍にする!! スチームジャイロイドで攻撃!!」

 

スチームジャイロイド 攻撃力2200×2×2=8800

 

 それが、今の全力か。このまま、負けてやりたいが、手加減はできない。全力で迎え撃つ!!

 

「リバースカード起動!! 立ちはだかる強敵!! 効果によりイービルクリボーに攻撃!!」

 

「な!! それじゃ、」

 

「ああ。攻撃力8800をもろに受けるんだ。返り討て! イービルクリボー! かりそめの苦痛ファントムペイン!!」

 

 

 

「………負けちゃったッす。」

 

 そのデュエルでは負けてしまたが、翔のその顔は晴れやかだった。

 

「でも、大事なことが分かったッす。カードを大事にすること、カードを思いやり、相手に全力を出させて、互いに全力を出し合うことっす。」

 

「………それだけわかれば十分だ。」

 

 いつから、デュエルを見ていたのかわからないが、翔の兄、丸藤亮がいた。

 

「翔。パワーポンドを使ってもいい。それだけのことがわかればきっとお前もすごいデュエリストになれる。その時を楽しみにしている。」

 

 亮はそう言って、この場を去った。 



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デュエル9 退学!隼人の想い!

感想をいただきましたアサキム様、並びにこのお話を読んでくださる皆様ありがとうございます。


 

「大変だよ! はじめちゃん!」

 

 自室でふと思いついた機能をデュエルディスク追加しようとカスタムしている所で翔が駆け込んできた。

 

「? どうした? 翔。」

 

「はじめちゃん!は、隼人君が!隼人君が退学させられちゃうかも知れないんだ!」

 

「? 何! 翔! 話を詳しく聞かせろ!」

 

 そんなイベント合ったか?

 

「そ、それが、隼人君のお父さんが来て隼人君を退学にするんだって!」

 

 ………あぁ。そう言えばそんな一件があったな?

 

「で、翔。隼人は何て?」

 

「そ、それが、隼人君。荷造りを始めちゃって。」

 

「十代はこの事を?」

 

「ううん。まだ、知らないと思うよ。」

 

 俺はカスタムに使った道具を片付けると立ち上がる。

 

「翔は十代にこの事を教えてきてくれ。その間に隼人と話をしてくる。」

 

「わかったッス!」

 

「あぁ。事情が変わった時のためPDAを携帯しておけ。」

 

 慌てて駆け出す翔を見送ってから、隣の部屋に向かった。

 

 

 

「………。隼人。」

 

 自室で、荷造りをしている隼人に声をかけた。

 

「一か?どうしたんだな?」

 

 チラリとこちらを見ようともせずに荷造りをし続けた。

 

「隼人。デュエルアカデミアを辞めるのか?」

 

「………ああ。そうなんだな。」

 

「本気か? 未練とか無いのか?」

 

 そう問うと、隼人はこちらを振り向いた。

 

「………辞めたくないんだな。十代や、翔、一のデュエルを見てきて、デュエリストとして、頑張りたいと思い始めた所なんだな。」

 

 隼人の言葉に手をギュッと握った。

 

「なら話は早い。今すぐ、校長と隼人の親父さんに直談判するぞ。」

 

 ○ ○ ○

 

「失礼します!」

 

「お、お邪魔するんだな。」

 

 隼人の手を引いて、校長室にはいると、優しそうなハゲ、校長先生とたくましそうなクマっぽい人がいた。

 

「隼人君と一君ですか。どうしたんですか?」

 

「校長。隼人君のお父さん。隼人の退学は諦めて貰えませんか?」

 

「フム。一君。友達思いなのは結構ですが、隼人君のご家庭に口を挟むべきではないのではないでしょうか?」

 

「隼人君がデュエルアカデミアを止めたかったのでしたら仕方ないですが、本人はアカデミアを続けたいんです。お願いします!」

 

「ほう?」

 

 俺の言葉に隼人のお父さんは、鋭く、隼人を見た。

 

「隼人。おいどんとデュエルをするでごわす。隼人が勝ったら、この学園に残ってよいでごわす。しかし、おいどんが勝ったら、この学園を止めるでごわす。」

 

 隼人のお父さんと話をつけた所で、十代達と合流した。

 

「一! 話はどうなった?」

 

「十代。隼人と隼人のお父さんがデュエルして、隼人が勝ったら、デュエルアカデミアにいて良いってさ。」

 

「よし! ならいますぐデッキ調整だ! 帰るぞ! 隼人! 一!」

 

 十代はそう叫ぶと、一目散に走って行った。

 

 ○ ○ ○

 

「コアラばっかりだな?」

 

 なぜか、俺の机を陣取り、隼人のカードを並べて見てもらした感想がそれだった。

 

「ウ~ン。決定打に欠けるんだよなぁ。」

 

 つぶやきながら隼人のデッキを凝視すること数秒。翔が何かに気付いたかのように、自室に戻り数十秒後、デスカンガルーを持ってきた。

 

「隼人君。これをあげるよ。」

 

「え?いいんだな?」

 

「ウン。これがあると、オーストラリアデッキになるじゃない。」

 

「オシ! ちょっと待ってろ。」

 

 十代も自室に戻って少しするとカードを持って戻ってきた。

 

「これを上げる。オレは使わないし。」

 

 そういって渡したカードはマスターオブOGだ。………フム。なら、俺も何か出すべきかな?

 

「ちょっと、待ってろ。」

 

 俺はそう言って、カードを収納している。箱からカードを漁り始めた。………えっと、あのカードはどこにいったかなっと?カードを漁ること数分で目当てのカードを数枚見つけたので隼人に渡した。それらのカードでデッキを調整、調整したデッキのテストデュエルをしているうちに夜も更けていく。

 

 

 

 そして、翌日。俺達は畳にあぐらをかいて座り、互いを見合う二人を見ていた。

 

「僭越ながら、私大徳寺が審判をつけさせてもらうニャ。その前に、隼人君。負けたら実家に帰り、お父さんの家業をつぐ。それで、よろしいかニャ?」

 

「構わないんだな?」

 

「では熊蔵さん。息子さんが勝ったら、アカデミアに残る事を了承してもよろしいでしょうかニャ?」

 

「男に二言は無いでごわす。」

 

 二人の返答に満足したかのように一つ頷いた。

 

「よろしい。互いに悔いの無いデュエルをして下さいニャ。」

 

 ○ ○ ○

 

「「決闘(デュエル)!!!!」」

 

 二人のデュエルディスクが起動した時、隼人のデュエルディスクから音声が流れた。

 

『ハジメ ノ ターン デス。』

 

「はじめちゃん。アレ何?」

 

「昨日ふと、思い付きで追加した機能だ。」

 

 ランダムにどちらが先攻なのか決めるものだ。

 

「俺のターン! ドロー! モンスターをセット! カードをセットしてターンエンドなんだな!」

 

 伏せ一枚にセットモンスター一体か。なかなか堅実な手だな。

 

隼人 ライフ4000 手札4枚

 

場 伏せ

モンスターセット

 

熊蔵 ライフ4000 手札5枚

 

「おいどんのターン! ドロー!大方、モンスターで攻撃したところをそのリバース効果でおいどんにダメージを与えるつもりだろうが詰めが甘いでごわす!酔いどれタイガーを攻撃表示で召喚! 酔いどれタイガーに攻撃したモンスターの効果を封じる効果を持っているでごわす!」

 

「でも、そのモンスターの攻撃力1800! 戦闘じゃ倒せないんだな!」

 

「更に一角獣のホーンを酔いどれタイガーに装備! 酔いどれタイガーでセットモンスターに攻撃! 酔いどれパンチ!」

 

 酔っ払った虎が、セットモンスターに襲いかかる瞬間、

 

「その瞬間を待ってたんだな! リバースカードオープン! 禁じられた聖杯! この効果はモンスター一体の攻撃力を1ターンのみ400アップする!」

 

 聖杯に汲まれた水を注がれたせいか目がシャッキリする虎。こうなりゃタダの虎である。

 

「ナイス! 隼人!」

 

「え、え? どういう事? はじめちゃん。」

 

「そうだぜ。デスコアラは酔いどれタイガーに倒されるだろ?」

 

「イヤ、禁じられた聖杯には攻撃力のアップ以外にモンスター効果を封じる効果を持っている。」

 

 その言葉に二人は何かに気づいたように小さく声をあげた。

 

「それじゃ。」

 

「あぁ。デスコアラの効果は有効。熊蔵さんの手札は4枚。よって1600ポイントのダメージを受ける。」

 

 その解説に合わせたように破壊されたデスコアラは瀕死ながらもダメージを熊蔵さんに与えた。

 

「ぐはぁぁっ! は。隼人! まさか、おいどんが、酔いどれタイガーで破壊する事を読んで?」

 

「そうなんだな! 父ちゃんが一歩先をいくなら俺はさらにその先をいくんだな!」

 

 隼人のその言葉に熊蔵さんは笑みを浮かべる。

 

「隼人…。子供だと思ってたらいつの間にか、大きくなりおって。だが、手加減はせぬ! 全力でおいどんを踏み越えていけ! ターンエンド!」

 

 

隼人 ライフ4000 手札4枚

 

場 一角獣のホーン

モンスター 酔いどれタイガー

 

熊蔵 ライフ1600 手札4枚

 

「もちろんなんだな! 俺のターン! ドロー! レスキューキャットを召喚! レスキューキャットを生け贄にオトボケオボッサムとコアラッコを召喚!」

 

 あ、こりゃ、勝ったな。

 

「さらにオトボケオボッサムの効果! 自身を破壊するんだな! 擬態死!」

 

 擬態死って、まんまじゃん。しかもコロッと転がるだけだし。

 

「ああ! 何やってるッスか! 隼人君。自分のモンスターを破壊しちゃうなんて。」

 

「イヤ。これで良いのさ。」

 

 狙いに気づいたのか十代は、翔の声を否定した。

 

「獣族モンスターが破壊される事で発動できライフコスト1000支払う事で特殊召喚出来るモンスターがいる。」

 

「その通りなんだな! 俺はグリーンバブーンを特殊召喚! 手札から融合発動! デスカンガルーとビッグコアラを融合! マスターオブOGを融合召喚!」

 

 って、コアラッコとバブーンで勝てるぞ?

 

「コアラッコの効果で酔いどれタイガーの攻撃力を0にするんだな!」

 

「な、何!」

 

「グリーン・バブーン、マスターオブOGで攻撃!」

 

 2体のモンスターの攻撃で熊蔵さんのライフは0になった。

 

「更に手札からマジックカード、融合解除!マスターオブOGを融合デッキに戻して、ビッグコアラとデスカンガルーを召喚!2体でダイレクトアタックするんだな!」

 

「も、もうライフは0でごわす! ぬおおっ!!!!!!!!」

 

 ○ ○ ○

 

「そこまで!勝者、前田隼人君!」

 

 倒れ付した自身の父親を不安そうに見つめる隼人。

 

「父ちゃん。これが俺の答えなんだな。確かに、自分一人じゃここまで来れなかった。だけど、今は違うんだな。カードを分けてくれたり遅くまでテストデュエルをしてくれた見んなと一緒に成長したい。これが俺の答えなんだな!」

 

 隼人がそう言うと、熊蔵さんは笑みを浮かべ、ゆっくりと立ち上がる。

 

「隼人。ここまで出来るなら、何も言わぬ。己と言うものを貫き通して来い。」

 

「父ちゃん。」

 

「ただ………。最後のアレはやめて…欲し…かった…。」

 

 そういった熊蔵さんは背後に倒れてしまった。



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デュエル10 タッグデュエル!!一+十代

感想いただきましたアキサム様、並びにこのお話を読んでくださる皆様ありがとうございます。


 とうとう来た、タッグデュエル当日。平然としている俺達に対し翔は

 

「ううう。とうとう来ちゃったよぉ。」

 

 とまあ、朝からこんな調子である。

 

「おーい。翔ぅー。どうしたー?」

 

「ここで、兄貴とはじめちゃんが負けちゃったら、」

 

「ウィニング・ザ・レインボー!!!!」

 

「ウワァァ―――――!!!!!」

 

 俺のアッパーカーットが的確に翔の顎を捕えて、数メートルは浮き上がり、地面にたたきつけられた。

 

「翔? 何、不吉なことを言ってるのかなぁ?」

 

「で、でもさ、はじめちゃん。クロノス先生のことだからさ、むちゃくちゃ強いデュエリストを用意するかもしれないじゃないっすか!」

 

「翔君。はじめちゃんや、十代君を心配するなら、二人を応援したてあげようよ?」

 

「う、うん。」

 

 マナは翔の頭を撫でで諭すが、なんか面白くない。

 

「翔。」

 

「う、うん。何?」

 

 俺の顔を見て、顔を青ざめる賞を見て、とりあえず、

 

「ギャラクティカファントム!!!!」

 

 俺の拳が翔の顔面をとらえたのだった。

 

 

 ○ ○ ○

 

「それデーは、制裁デュエルを始めるノーネ!!」

 

「フム、ところで、相手の方はまだ来てないようですが、まさか、またあなたがやるのですか?」

 

 校長先生の言葉にちょっとやな顔をするクロノス。

 

「これは、二人ーの退学をかけたデュエルです―のそれにふさわしーいデュエリスト達を呼んであるノーネ!!」

 

『とうっ!!』

 

 その声にばくてん、空中宙返りをする禿チャビン二人。やっぱりこいつらか。だけど、

 

  ズルッ!!ゴチッ!!

 

 予め、俺達で、食べたバナナの皮をを着地予想点にばらまく、見事に大当たり。あれだけ勢いがつけば、見事にすっ転ぶ。(ズルッという音はこの音、)勢いよく、床と頭がこんにちは。(ゴチッと言うのはこの音。)ちなみに、この光景を見て、俺と十代とマナは爆笑している。

 

「我等、流浪の番人!!」

 

 しばらくして、迷宮兄弟は立ち上がる。頭にでっかいたんこぶをつけていたが。

 

「中国雑技団?」

 

「違う!!」

 

 十代、ナイス!!

 

「彼らは、その連携で、武藤遊戯を苦しめた伝説のデュエリスト………のはずなのーね。」

 

 クロノス先生自身なさげだ!!

 ○ ○ ○

 

「おぬしらに恨みはないが、これも勝負だ。」

 

「いざ、」

 

決闘(デュエル)!!!!!!』

 

『一 の ターンです。』

 

『共通ライフ8000パートナーに対する助言は不可能。』

 

「俺のターン! ドロー! 手札からD(ダーク)HERO(ヒーロー)ファイアリィ・ガールを攻撃表示で召喚! ターンエンド!」

 

D(ダーク)HERO(ヒーロー) ファイアリィ・ガール 火属性 レベル3

ATK1300 DEF1000

 

【戦士族・通常モンスター】

闇の炎を操るD(ダーク)HERO(ヒーロー)の女戦士。ランス・オブ・クリムゾンで邪悪を焼き焦がす。

 

一 手札5枚 十代 手札5枚 共通ライフ8000

 

一フィールド ファイアリィ・ガールATK1300

 

「私のターン! ドロー! 地雷蜘蛛を召喚! ターンエンド!」

 

 

一 手札5枚 十代 手札5枚 共通ライフ8000

 

一フィールド ファイアリィ・ガールATK1300

迷フィールド 地雷雲ATK

 

迷 手札5枚 宮 手札5枚 共通ライフ8000

 

 

「オレのターン! ドロー! E(エレメンタル)HERO(ヒーロー) バーストレディーを守備表示で召喚! ターンエンド!」

 

一 手札5枚 十代 手札5枚 共通ライフ8000

十代フィールド バーストレディDEF

一フィールド ファイアリィ・ガールATK1300

迷フィールド 地雷雲ATK

 

迷 手札5枚 宮 手札5枚 共通ライフ8000

 

 

「私のターン! ドロー! カイザー・シーホースを攻撃表示で召喚! 手札から生け贄人形を発動! フィールド上のモンスターを生け贄に風魔神ヒューガを召喚!」

 

「すまない兄者。」

 

「何、お前の為なら犠牲にもなろう。」

 

「いや、礼をせねば私の気がすまん、魔法カード『闇の指名者』を発動する。このカードは指名したモンスターが相手のデッキにある場合、そのカードを相手の手札に加える事が出来る。」

 

効果自体は知っているけど、

 

「私が指名するのは……『雷魔神-サンガ』!」

 

「フフフ、有り難い、勿論私がデッキに『サンガ』はある。」

 

味方のカードを対象にするのはありなのか?

 

「お前達に!」

 

「タッグデュエルの真髄を!」

 

「「教えて差し上げよう!!」」

 

 一々ハモるな。きもい。

 

 

 

一 手札5枚 十代 手札5枚 共通ライフ8000

十代フィールド バーストレディDEF

一フィールド ファイアリィ・ガールATK1300

迷フィールド 

宮フィールド 風魔神ヒューガATK2400 カイザーシーホースATK1700

迷 手札5枚 宮 手札5枚 共通ライフ8000

 

 

 

「俺のターン! ドロー!手札から魔法カード起動進化の魔薬! ファイアリィ・ガールを生け贄にD(ダーク)HERO(ヒーロー) フレアレディを召喚!」

 

進化の魔薬 通常マジックカード

 

自分フィールド上のD(ダーク)HERO(ヒーロー)と名のつくモンスターを生贄(リリース)する。融合デッキ(エクストラデッキ)にある同属性のD(ダーク)HERO(ヒーロー)と名のつくモンスターを特殊召喚する。(この効果の特殊召喚を融合召喚として扱う。)

 

「地雷蜘蛛を生け贄にしてがら空きになった方にダイレクトアタックをするけど風魔神ヒューガの効果で攻撃を無効に出来たよな?」

 

「その通り。風魔神ヒューガの効果発動!ストームバリケード!」

 

「手札から魔法カードK-ナイツコール起動! デッキからD(ダーク)HERO(ヒーロー)と名の付くモンスター1枚を手札に加える。カードを全てセットして、アクアガールを召喚! 効果により4枚ドロー! ターンエンド!」

 

 

 

一 手札4枚 十代 手札5枚 共通ライフ8000

十代フィールド バーストレディDEF

一フィールド  伏せカード5枚

        フレアレディATK2400 アクアガールDEF2000

迷フィールド 

宮フィールド 風魔神ヒューガATK2400 カイザーシーホースATK1700

迷 手札5枚 宮 手札5枚 共通ライフ8000

 

 

 

「私のターン! ドロー! 死者蘇生を発動! 地雷蜘蛛を召喚! マジックカード生け贄人形を発動! 地雷蜘蛛を生け贄に水魔神スーガを召喚!」

 

「カイザー・シーホースは光属性モンスターを召喚する時、1体で2体分の生贄とする事が出来る!」

 

 効果は知っているから説明しなくても良い。

 

「カイザー・シーホースを生け贄に雷魔神サンガを召喚!」

 

これでそろったか。

 

「3体の魔神を生け贄にゲートガーディアンを召喚!」

 

 これがゲートガーディアン?なんつーかすごくダサい。しかも合体すると、攻撃を無効にする効果も使えないし。

 

「ゲートガーディアンの攻撃!魔神衝撃波!!」

 

 迷宮兄弟の宣言に、ゲートガーディアンは衝撃を放つ。だけど、

 

「甘い! リバース起動! くず鉄のかかし! 相手の攻撃を無効にする! そして、このカードをセットする!」

 

「運がいい! ターンエンドだ!」

 

 

一 手札4枚 十代 手札5枚 共通ライフ8000

十代フィールド バーストレディDEF

一フィールド  伏せカード5枚

        フレアレディATK2400 アクアガールDEF2000

迷フィールド ゲートガーディアンATK3750

宮フィールド 

迷 手札5枚 宮 手札5枚 共通ライフ8000

 

 

「オレのターン! ドロー! 手札から魔法カード融合を発動! 手札のE(エレメンタル)HERO(ヒーロー) エッジマンと一のフィールドのアクアガールを融合してE(エレメンタル)HERO(ヒーロー) アブソルートZERO(ゼロ)を融合召喚! さらにE(エレメンタル)HERO(ヒーロー) スパークマンを攻撃表示で召喚! カードを2枚セット!」

 

あ。やることわかっちった。

 

「手札から速攻魔法発動! 融合解除! アブソルートZEROを融合デッキに戻して、素材となったアクアガールとエッジマンを特殊召喚! アクアガールの効果発動!! 手札が1枚だから3枚ドロー!さらにアブソルートZEROの効果発動! アブソルートZEROがフィールドを離れた時、相手のフィールド上のモンスターを全て破壊する!」

 

「な、なんだと!」

 

「砕け散れ!アブソルートZEROの効果!フリージング コフィン!!」

 

ゲートガーディアンが氷の棺に閉じ込められた瞬間棺ごと粉々に砕け散った。

 

「バーストレディを攻撃表示に変更!!バトル!ヒーローたちの総攻撃!ターンエンドだ!」

 

 

一 手札4枚 十代 手札4枚 共通ライフ8000

十代フィールド 伏せ2枚

        バーストレディATK1200 エッジマンATK2600 アクアガールDEF2000 スパークマンATK1600

一フィールド  伏せカード5枚

        フレアレディATK2400 

迷フィールド 

宮フィールド 

迷 手札5枚 宮 手札5枚 共通ライフ2600

 

 

「我のターン! ドロー! 手札から魔法カード強欲な壷を発動! 手札から魔法カード死者への手向けを発動! フレアレディを破壊する! 更にダークエレメントを発動!」

 

 チィ!来たか!

 

「ライフ半分を支払い、ダークガーディアンを特殊召喚!速攻魔法発動!サイクロン!くず鉄のかかしを破壊する!」

「ダークガーディアンでダイレクトアタック!ダークショックウェーブ!!」

 

「トラップカード発動! 攻撃の無力化!」

 

十代が発動した時空の渦が魔神の衝撃を吸い込んだ。

 

「十代。貸し一つ。」

 

「気にすんなよ。」

 

「十代。次の俺のターンで勝てたら貸し借り無しにして。」

 

「ああ。いいぜ。」

 

俺の言葉に十代が快く答えた。

 

「ほう。態度だけは一人前だな?手札から魔法カード死者蘇生を発動!蘇れ雷魔神サンガ!」

 

サンガ! ダイレクトアタック封じだな。

 

「ターンエンド!」

 

 

一 手札4枚 十代 手札4枚 共通ライフ8000

十代フィールド 伏せ2枚

        バーストレディATK1200 エッジマンATK2600 アクアガールDEF2000 スパークマンATK1600

一フィールド  伏せカード5枚

         

迷フィールド 

宮フィールド ダークガーディアンATK3800 サンガATK2600

迷 手札5枚 宮 手札5枚 共通ライフ1300

 

 

ターンを開始する前に自分の手札とフィールドを 確認した。手札にモンスターは無し。有るのはトラップカードと火属性のサポートカードとA―アタックメントコールだ。

 

「俺のターン! ドロー!」

 

!! これは!

 

「手札から魔法カード起動! D-ディスティニードロー! 全てのプレイヤーは3枚ドローして、その中に有る通常モンスターを相手に見せる事でその枚数ドローできる!」

 

D-ディスティニードロー 通常マジックカード

 

全てのプレイヤーはデッキから3枚ドローする。ドローしたカードの中に通常モンスターがあった場合、そのカードを相手に見せることで、見せた枚数分すべてのプレイヤーはドローすることができる。

 

ドローしたカードの中の通常モンスターは2枚。

 

「俺のドローしたカードの中の通常モンスターは2枚。D(ダーク)HERO(ヒーロー)ダークナイトとD(ダーク)HERO(ヒーロー)ウィンドマン。」

 

「オレのドローしたカードの中には通常モンスターはない。」

 

「同じく。」

 

「よって2枚ドロー!リバースカード起動!A―アタックメントコール!手札の<rD:ダーク>・<rHERO:ヒーロー>と名の付くモンスターを特殊召喚!さらに相手フィールド上のカード1枚を破壊する!ウィンドマンを特殊召喚!そして、消えろ!サンガ!ブレイクウィンドシザー!!」

 

ウィンドマンの羽ばたきによって発生した風がサンガを斬り裂いた。

 

A-アタックメントコール 通常マジックカード

 

手札のモンスターを特殊召喚するさらに相手フィールド上のカードを一枚破壊する。この効果で召喚したモンスターは攻撃しなかった場合、そのターンのエンドフェイズ時に破壊する。

 

「まさか、サンガが」

 

「こうも簡単に破壊されるとは!たが、致命的なミスを犯した! カードを破壊出来るなら、戦闘耐性を持つダークガーディアンを破壊すれば良かったのだ!」

 

………二人そろって何を言っているんだか?

 

「何も考え無しにあんなことするわけ無いだろ?」

 

「「「何?」」」

 

って、何で十代まで?まぁ、いいや。

 

「ダークナイトを攻撃表示で召喚! 手札から魔法カード進化の破棄を起動! 自分フィールド上のモンスターを選択して、同属性の融合モンスターを3種類を墓地に送る! ダークナイトを選び闇属性のバッドマン、サタンズブレイカー、ネクロパペットマンを選択して3枚ずつ墓地に送って3枚ドロー! 十代! ライフコストを使うぞ!」

 

「ああ!」

 

「手札から魔法カード二重進化-ダブルエヴォリューションを起動! D(ダーク)HERO(ヒーロー)ウィンドマンを生け贄に捧げて、D(ダーク)HERO(ヒーロー) ストーマーを特殊召喚! さらにライフコスト1000支払ってストーマーを生け贄にD(ダーク)HERO(ヒーロー)トルネードガイを特殊召喚!」

 

 俺の言葉に嵐をまとった疾風の戦士が現れた。(一&十代 共通ライフ7000)

 

「に、二段進化だと!」

 

「いや。三段進化だ! 手札から魔法カード進化の魔薬を起動! トルネードガイを生け贄に風属性の最上級モンスターを召喚する! 人々の運命見定めし12の宮の一つ白羊宮を司る闇のHEROよ。風吹き荒れし星屑の弾丸もて、我等が前の邪悪を撃て!<rD:ダーク>・<rHERO:ヒーロー>(ダーク・ヒーロー) ARIES(アリエス)!!」

 

 俺の言葉に星屑の弾丸を装填した銃士が現れた。

 

D(ダーク)HERO(ヒーロー) Aries 風属性 レベル10

攻撃力2900守備力2500

【戦士族】

 このカードは進化の魔薬でD(ダーク)HERO(ヒーロー) トルネード・ガイを対象にするか、もしくはアナザーワールド・エヴォリューションの効果でのみ召喚できる。このカードの攻撃力守備力は墓地にあるD(ダーク)HERO(ヒーロー)と名のつくモンスター一体につき500ポイントアップする。このカードを除く自分フィールド上の<rD:ダーク>・<rHERO:ヒーロー>と名のつくモンスターの数だけ攻撃宣言を行うことができる。ただし、攻撃するたびにライフ500を失う。

 

「さらに手札から魔法カード奇跡の進化-ミラクルエヴォリューションを起動! 墓地に有るサタンズブレイカーを除外して、融合デッキから闇属性モンスターを特殊召喚!人々の運命見定めし12の宮の一つ双子宮を司る闇のHEROよ。善と悪二つの顔で我等が前の敵を見よ!D(ダーク)HERO(ヒーロー) GEMINI! GEMINIには常に同じ攻撃力守備力を持つD(ダーク)HERO(ヒーロー)GEMINIトークンが付き従う!」

 

 俺のフィールドに光と闇の力を持った戦士が現れた。

 

D(ダーク)HERO(ヒーロー) Gemini 闇属性 レベル10 融合

攻撃力3700 守備力3000

 

【戦士族】

このカードは進化の魔薬でD(ダーク)HERO(ヒーロー) サタンズブレイカーを対象にするか、もしくはアナザーワールド・エヴォリューションの効果でしか特殊召喚できない。このカードの攻撃力守備力は墓地にあるD(ダーク)HERO(ヒーロー)と名のつくモンスター一体につき500ポイントアップする。このカードフィールド上にいるとき<rD:ダーク>・<rHERO:ヒーロー> Geminiトークンを一体特殊召喚する。このカードは自分のターンのバトルフェイズをスキップする事で、相手フィールド上のモンスターを全て破壊することができる。この効果はフィールド上にある限り、一度だけ使用できる。

 

D(ダーク)HERO(ヒーロー) Gemini トークン 光属性 レベル10

攻撃力? 守備力?

 

【戦士族】

このカードの攻撃力守備力はこのカードを特殊召喚したモンスターの数値分である。そのモンスターが場を離れたとき、このカードは除外される。このカードは自分のターンのバトルフェイズをスキップする事で、相手フィールド上のマジックトラップゾーンのカードを全て破壊することができる。この効果はフィールド上にある限り、一度だけ使用できる。

 

 

「手札から魔法カードアナザーワールドエヴォリューションを起動! ライフコスト2000支払って自分フィールド上のD(ダーク)HERO(ヒーロー)と名の付く融合モンスターと同属性同レベルのD(ダーク)HERO(ヒーロー)と名の付くモンスターを特殊召喚する!」

「な、なんだと!」

 

「貴様のフィールド上の融合モンスターはどちらもレベル10!」

 

「ということは! 出るのか! 新HEROをもう一体!」

 

やっぱり十代はHEROや、デュエルが大好きなんだな。瞳をキラキラと輝かせながら、興奮気味に叫ぶその態度に思わず頬が緩んでしまう。(一&十代共通ライフ5000)

 

「人々の運命見定めし12の宮の一つ巨蟹宮を司る闇のHEROよ。死魂を支配するその力もて我等が前の邪悪を滅ぼせ!D(ダーク)HERO(ヒーロー) CANCER(キャンサー)!CANCERは墓地に有るモンスターを装備カードとして扱い、このカードに装備することができる!お前の墓地に有るゲートガーディアンを装備!イクイップソウル!」

 

俺のフィールド上に暗く、深すぎて底が見えない穴が現れ、ゲートガーディアンの魂がCANCERの力を上げる武装となった。

 

D(ダーク)HERO(ヒーロー) Cancer 闇属性 レベル10 融合

攻撃力2000 守備力2000

 

【戦士族】

このカードは進化の魔薬でD(ダーク)HERO(ヒーロー) ネクロビスクドール・ガイを対象にするか、もしくはアナザーワールド・エヴォリューションの効果でしか特殊召喚できない。このカードの攻撃力守備力は墓地にあるD(ダーク)HERO(ヒーロー)と名のつくモンスター一体につき500ポイントアップする。1ターンに一度墓地のモンスターを装備カードとしてこのカードに装備する。この効果で装備できるモンスターは一枚だけ。このカードが装備したモンスターの攻撃力分アップし、特殊効果を得る。このカードが破壊されるとき、変わりにこのカードが装備しているモンスターを破壊する。

 

「その程度の攻撃力では私達のダークガーディアンを倒す事など不可能!」

 

「なら、ARIES、GEMINI、CANCER3体の共通常時起動効果!墓地に有る<rD:ダーク>・<rHERO:ヒーロー>と名の付くモンスター一体につき攻撃力を500ポイントアップする!」

 

aries攻撃力 2900+500×13=9400

 

gemini攻撃力 3700+500×13=10200

 

geminiトークン 攻撃力 10200

 

cancer攻撃力 2000+3750+500×13=12250

 

「だ、だが、ダークガーディアンは戦闘では倒す事など出来ない!」

 

「へへへ。倒す必要無いぜ。」

 

「ああ!十代!それ俺のセリフ!」

 

「早い者勝ち出せ。はじめ。」

 

「ったくしょうがない。CANCERの攻撃!冥界覇!!」

 

ゲートガーディアンの魂がダークガーディアンを襲った。しかし、ダークガーディアンはそのエネルギーをを真上に弾き飛ばした。

 

「GEMINIとGEMINIトークンの攻撃!ギャラクシアンX(クロス)エクスブローション!!」

 

GEMINIとGEMINIトークンが手をX(交差)させて、放った二つの爆炎を吹き散らす。

 

「ARIESの攻撃!STAR DUST REVOLUTION!!」

 

ダークガーディアンはその星屑の弾丸を真上に弾き飛ばした。

 

「まだだ!ARIESは通常攻撃に加え、自身以外のD(ダーク)HERO(ヒーロー)(ダーク・ヒーロー)と名の付くモンスターの枚数分攻撃宣言できる!ただし、一回の攻撃宣言に対しライフコスト800支払わなければいけないけどね。ARIESの追加攻撃!STAR DUST REVOLUTION ZWEI(ツヴァイ)!!DREI(ドライ)!!VIER(フィーア)!!」

 

続けて放った弾丸も弾き飛ばした。

 

「ムダだ!ダークガーディアンは戦闘では破壊出来ないといったはずだ!」

 

「…確かにダークガーディアンは戦闘では倒せない。だけど、戦闘ダメージは別だ。」

 

「「た、確かに!このカードには戦闘ダメージまでは無効に出来ない!」」

 

迷宮兄弟はその言葉に叫んだ。

 

「そういう事!HERO達の力を喰らえ!」

 

俺のセリフにCANCERの攻撃、GEMINIとGEMINIトークンの爆炎、ARIESの光弾が迷宮兄弟に襲いかかった。

 

(迷宮兄弟ライフ1300→-8450→-14850→-21250→-26850→-32450→-38050)

 

「「グアアァァー!!!!!!」」

 

 ○ ○ ○

 

「よし!俺達の勝ちだ!」

 

「これで、レポートは取り消しですよね?」

 

 その言葉に校長先生は笑顔でうなづいた。

 

「見事となデュエルでした。お話通りレポートはなしで。」

 

 それを聞きながら俺達は皆のところに戻った。



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デュエル11 H2O ウォータードラゴン

感想をいただきましたガチタンはロマンだ様、並びにこのお話を読んでくださる皆様ありがとうございます。


「かっ飛ばせ! 遊城!」

 

 俺の応援に十代は片手を振って応じた。

 

「って、一応十代は敵チームなんだぞ?」

「まあまあ、十代は仲間だし。仲間を応援するのは当然でしょ?」

 

 今、俺達は野球をしているんだが、対戦相手のラー・イエローに誰かが足りないような?だが、次の瞬間、その疑問が氷解した。

 

「おーい! 待ってくれ!」

 

 そう叫びながら、駆け寄ってくるラー・イエローの………………………誰だっけ?

 

「すみません。デッキ構築理論について考えてたら、遅くなってしまいました。」

 

 そんな理由で遅れるのか!しかも、平然とピッチャーの位置にいるし。いいいのかデュエルアカデミア!

 

「来たな! 三沢!お前の球もあそこに叩き込んでやる!」

 

「イヤ、残念ながら、それは無い。君の攻略法はすでに解析済みだ。」

 

 あ、熱い!二人の間に熱い炎が燃えている!…とりあえず、あの重役出勤してきた奴は三沢って言うのか。そして、三沢だっけ?が、投げたボールは十代のバットにかすりもせずにミットに収まった。うん。言うだけあってよく考えた投球だ。

 

「取りあえず、ウチの勝ちかな?」

 

 そうポツリと漏らした呟きを肯定するかのように2アウト状態でボールを連発していた。

 

「三沢! 今度は俺のボールを受けてもらうぜ!」

 

「別に構わない。君の投球パターンは既に解析済みだ。」

 

 三沢がそう言って、バッターボックスに立つ。

 

「十代。俺が君に勝ったら、今日1日俺のいいなりになってもらうぞ。」

 

 熱い炎を背後に背負いながら、バッターボックスに入る三沢。その三沢を真っ直ぐに見据え投球モーションに入る十代。

 

「喰らえ! 三沢! 俺がヒーローだ!」

 

「甘い! 喰らえ!」

 

 十代が投げたボールは吸い込まれるようにバットにクリーンヒットして場外まで飛んでいった。

 

「ペーペロンチィーノォーー!!」

 

 そんな叫び声が響き渡った。あの声はクロノス先生だろうけど、何でパスタなんだ?気になったので、様子を見に行くと、目に青アザを付けたクロノス先生がいた。そのクロノス先生はボールをぶつけられたためか不機嫌そうだったが三沢を見つけると、嬉々とした表情で彼を連れ去った。

 

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「………よし。こんなもんでいいかな?」

 

 白ペンキでビッグバンされた部屋を見渡して満足そうに言った。

 

「…もう戻っても夕飯は食いっぱぐれるだろう。よければラー・イエローで食べないか?奢るぞ?」

 

「マジか! ワリいな三沢?」

 

 と十代は三沢を連れて行ってしまった。

 

 

 

「寮の入れ換え戦?」

 

 イエロー寮の食事に舌鼓をうっている時、三沢はクロノスから聞かされた事を教えてくれた。

 

「あぁ。明日、ある人物とデュエルをして、勝てば寮を入れ換えるらしい。」

 

「相手は恐らく万丈目だろうな。」

 

「え? 何でそう思うんだ?」

 

 俺の言葉に十代は首をかしげていた。

 

「簡単な事だ。クロノスは万丈目を切り捨てようとしている。」

 

 俺の言葉に三沢は成る程と納得しているが十代と翔は?を浮かべている。

 

「はじめ。話が見えねえぜ。何でクロノスが万丈目を切り捨てようとしているのか、そして、この入れ換え戦に何の意味があるのか?」

 

「悪い。十代。話を飛ばし過ぎた。

要するにこの前の月一試験の時に、万丈目が十代に負けた事でクロノスは万丈目の力に疑問を覚えたんだ。それと、同時にオベリスク・ブルーの連中も、万丈目から離れただろ?

だからこそ、クロノスは万丈目を切り捨てようとしているんだ。沈没船に乗るのは愚者のする事だからな。」

 

「じゃあ、この入れ換え戦は?」

 

「そ。公衆の面前での、公開処刑、もしくは万丈目に与えるラストチャンスって所かな?」

 

 ………そういえば、確か、万丈目って対戦相手のデッキを盗んで海に捨てようとしたんだよな?用心するべきかな?

 

「………三沢。ちょっと聞くが、部屋はどうするんだ? ビッグバンのせいでペンキはまだ乾いてないだろ?」

 

「それなんだが、斉藤。すまないが部屋に止めさせてくれないか?」

 

「急用があるから、部屋は好きに使って構わないぞ。」

 

 俺はそう言って部屋の鍵を三沢に渡した。

 

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SIDE 万丈目

 

 俺は出来るだけ足音をたてずイエロー寮の中を歩いていた。足音をたてないのは今は深夜、皆が寝静まっているであろうことも時刻である事と、自分はオベリスク・ブルーの寮生でイエロー寮をうろついているのがバレたら困ることになるからだ。

 

 狙いは三沢の部屋。アイツの部屋に行きデッキを盗む。そして、カードを海に投げ捨てる。そうすればアイツはデュエルを出来ず俺が勝つ。デッキ意外にカードを持っているかもしれないが、そんな、計算もくそもない急拵えのデッキなど軽く一蹴出来る。

 

 三沢の部屋の前には、家具が山積みで置かれている。その机に近づき中身を調べていた時、

 

「何をしている?万丈目。」

 

 とそんな声とフラッシュが炊かれた光がこの場を襲った。恐る恐る振り向くとついこの前ラー・イエローに昇格した人物、斎藤一がいた。その手にはデジカメを持ち見下すような、憐れむような目をして。

 

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SIDE 一

 

「もう一度、聞くぞ。ここで何をしている?もう、消灯の時間は過ぎているはずだし。それ以前にオベリスク・ブルーの寮生のお前がラー・イエロー寮に何の用で来た?」

 

「だ、黙れ! それに貴様がなんでここにいる!」

 

 意外に理性が働いているのか、小声で怒鳴るという器用な芸を見せてくれた。

 

「質問に答えてないんだが、まぁ、いいや。誰かさんが寮の入れ換え戦で対戦相手のデッキを盗んで破り捨てたり、海に投げ捨てるかも知れないと思ってな。用心の為にいたわけさ。」

 

 俺の言葉に万丈目はぐうの音も出なかった。

 

「それにしてもまさか、万丈目グループの三男がこんなことをするなんてな。コレをマスコミに売ったら高く買うかもな。」

 

「なっ! そ、それはやめてくれ!そんなことをされたら俺は………。」

 

「んなことは知らん。」

 慌てる万丈目を冷たくあしらう。

 

「な! なら、デュエルだ!!俺が勝ったらカメラと三沢のデッキをよこせ!」

 

 デュエルで決着か。デュエルアカデミアらしいな。

 

「まぁ、いい。」

 

 ○ ○ ○

 

 俺が了承すると、万丈目は俺をイエロー寮から離れた所に連れてきた。

 

「行くぞ! ドロップアウトボーイ!」

 

「来な! 落ち目のエリート!」

 

決闘(デュエル)!!』

 

『対戦相手 ノ ターン です。』

 

「先行は万丈目。お前からだ。」

 

「俺のターン! ドロー!」

 

 さて、万丈目はどんなデッキで来るか?月1試験の時はVWXYZできたが、その前はヘルと名のつくモンスターを使っていた。両方を混合させたデッキとは考えにくい。種族が違えば属性も違う。必要となるサポートカードも違うから、それらまで入れたらデッキが回りにくいし。

 

「俺はヘルソルジャーを召喚! カードを一枚セットしてターンエンド!」

 

万丈目 ライフ4000手札4枚

セット一枚

ヘルソルジャー

 

「俺のターン! ドロー!A(エンジェリック)HERO(ヒーロー) トタルスを守備表示で召喚! 一枚セットしてターンエンド!」

 

万丈目 ライフ4000手札4枚

セット一枚

ヘルソルジャー

 

トタルス

セット一枚

一ライフ4000手札4枚

 

「オレのターン! ドロー! 貴様がどんな雑魚を使おうが、オレの勝ちは揺るがない!2枚目のヘルソルジャーを召喚! ヘルソルジャーでその雑魚を攻撃!」

 

 ………トタルスの効果ぐらい気にしろよ?

 

「トタルスの効果起動!デッキトップを墓地に送り、戦闘破壊を無効にする。」

 ヘルソルジャーの攻撃をトタルスはデッキの一番上のカードを墓地に送りながらかわした。

 

A(エンジェリック)HERO(ヒーロー) トタルス 地属性☆1

攻撃力200 守備力900

 

【戦士族・効果】

このカードは天使族としても扱う。1ターンに1度デッキの一番上のカードを墓地に送ることで、戦闘による破壊を無効にする。

 

「なら、もう一体のヘルソルジャーでその雑魚を攻撃!」

 

「それも、ムダ。リバース起動!クズ鉄のかかし!攻撃を無効にしてセット!」

 

「フン。しぶとい奴め。オレはターンエンド!」

 

 

万丈目 ライフ4000手札4枚

セット一枚

ヘルソルジャー×2

 

トタルス

セット一枚

一 ライフ40004枚

 

「俺のターン! ドロー!A(エンジェリック)HERO(ヒーロー) ライラを召喚! 効果起動!現れろ!A(エンジェリック)HERO(ヒーロー) レキス!」

 

A(エンジェリック)HERO(ヒーロー) ライラ 地属性 ★2

攻撃力900 守備力700

 

【戦士族・効果 チューナー】

このカードは天使族としても扱う。召喚に成功した時、このカードの攻撃する権利を召喚ターン放棄する事で、墓地にいるレベル4以下のA(エンジェリック)HERO(ヒーロー)を守備表示で召喚する。

 

「フン。雑魚が何体群れようが同じこと。」

 

「それはどうかな? その油断が命とりだぞ? レベル3レキスとレベル1トタルスにレベル2ライラをチューニング!」

 

 俺の言葉にライラは緑輪となりレキスとトタルスが入り星となる。

 

 ★2+☆1+☆3=☆6

 

「何だ! 何が起きてる!」

 

「熱き願いが邪悪を焼き尽くす天界の天使を呼び起こす! 光差す路となれ!シンクロ召喚! 焼き尽くせ!A(エンジェリック)HERO(ヒーロー) ウリエル!」

 

A(エンジェリック)HERO(ヒーロー) ウリエル 炎属性☆6

ATK2600 守備力1700

 

【戦士族・シンクロ 効果】

A(エンジェリック)HERO(ヒーロー)と名のつくチューナー+チューナー以外のA(エンジェリック)HERO(ヒーロー)と名のつくモンスター一体以上

このカードをエクストラデッキから特殊召喚する場合は、シンクロ召喚でしか召喚できない。シンクロ召喚に成功した時、相手フィールド上のモンスターを破壊して、その攻撃力の半分の効果ダメージを相手に与える。

 

「何だ! シンクロ召喚だと! そんな召喚方法聞いたこと無いぞ!」

 

「簡単に説明すると、自分のフィールド上にチューナーと呼ばれるモンスターを含み、かつ召喚したいモンスターとレベルが等しくなるように調整してモンスターを墓地に送り、条件に合ったシンクロモンスターを融合デッキから召喚するんだ。」

 

「そんな召喚方法があったとはな。」

 

「ウリエルの効果起動! このカードがシンクロ召喚に成功した時、相手フィールド上のモンスターを破壊して、その攻撃力の半分のダメージを相手に与える!」

 

「何!」

 

「ウリエル! ヘルソルジャーを破壊! ジャジメント・フレア!」

 

 ウリエルが放った炎の塊がヘルソルジャーを破壊した。(4000-1200/2=3400)

 

「バトルフェイズ! ウリエルでヘルソルジャーを攻撃!神炎の焔!」

 

 俺の宣言に、ウリエルは炎の塊をヘルソルジャーにたたきつけた。(2600-1200=1400)

 

「バカめ! ヘルソルジャーには戦闘ダメージを相手にも、!! 何!」

 

 万丈目は俺にダメージが発生して無いことに驚いたようだ。

 

「甘いよ。ウリエルの効果を起動したターン、ウリエルは戦闘破壊出来ず与える戦闘ダメージも半分になる。」

(3400-1400/2=2700)

「なら、何故貴様にダメージが発生しない! ヘルソルジャーは、」

 

「確かにヘルソルジャーは戦闘ダメージ自分が受ける先頭ダメージと同等の効果ダメージを与える効果を持ってるが、その効果を起動させるには、ヘルソルジャーが戦闘破壊する必要がある。だが、ウリエルはその効果を起動したため破壊できず、従ってヘルソルジャーの効果は使えないんだ。…これがアマゾネスの剣士だったら話は別だったんだが。」

 

 あれはユベルみたいに問答無用でダメージを相手に与える効果だからな。

 

「カードを一枚セットしてターンエンド!」

 

万丈目 ライフ2700手札4枚

セット一枚

ヘルソルジャー

ウリエル

セット二枚

一ライフ4000手札3枚

 

「オレのターン! ドロー! 貴様が未知な召喚方法を使おうがオレの勝ちはゆるがん!リバースカードオープン! リビングデッドの呼び声! 蘇れ!! ヘルソルジャー! さらに、ヘルソルジャーを通常召喚!」

 

 ヘルソルジャーを3体も並べたか。わざわざ、並べたってことは、

 

「さらに、ヘルアライランスをヘルソルジャーに装備! このカードを装備しているモンスターは同名モンスター1体に付き800攻撃力がアップする!」

 

「お前のフィールド上にいるヘルソルジャーは3体。」

 

「よって攻撃力は3600だ! サイクロンでくず鉄のかかしを破壊する!!」

 

 突風でくず鉄のかかしは破壊される。カード効果で伏せ直しているやつだからどこにセットされているか丸わかりだもんな。

 

「行け! ヘルソルジャー! その雑魚を破壊しろ!」

 

 万丈目の言葉に突進するモンスター。その攻撃によってウリエルが破壊されライフも消費する。

 

「レキスの効果起動! このカードをシンクロ素材になったモンスターが破壊された時、そのモンスターをエクストラデッキに戻し、素材になったモンスター1体を手札に加える! ライラを手札に加える!」

 

A(エンジェリック)HERO(ヒーロー) レキス 地属性 ☆3

攻撃力900 守備力700

 

【戦士族・効果】

このカードは天使族としても扱う。このカードをシンクロ素材になったモンスターが破壊される時そのモンスターをエクストラデッキに戻すことで素材になったモンスター1枚を手札に加える。

 

「残りの2体でダイレクトアタック!」

 

 ヘルソルジャーは俺を切り裂いてダメージを与える。………えっと、マジでソリッドビジョンか? 痛いんだけど?

 

「オレはターンエンド!」

 

万丈目 ライフ2700手札4枚

セット一枚 ヘルアライランス

ヘルソルジャー×3

 

セット一枚

一ライフ600手札5枚

 

「俺のターン! ドロー!トタルスを召喚して効果でレキスを召喚!」

 

「また、シンクロ召喚とやらでウリエルを呼ぶ気か? だが、召喚するにはレベルが足りない。」

 

「それはどうかな? レベル3レキスにレベル2トタルスをチューニング!」

 

 ☆3+★2=☆5

 

「何!レベルが違う!ウリエルじゃないのか!」

 

「集いし涙が、全てを癒す慈悲なる涙となる!光差す路となれ!シンクロ召喚!全てを癒せ!A(エンジェリック)HERO(ヒーロー) ラファエル(攻撃力2400)!」

 

 俺の言葉に癒しの力を持つ天使が降臨した。

 

 「どんなモンスターを呼ぶかと思ったら、攻撃力はヘルアライランスを装備したヘルソルジャーよりも下だ!」

 

 俺のフィールドを見て、余裕の笑みを浮かべる万丈目。恐らく、どれに攻撃しても、俺のライフが尽きて負けると思っているのだろう。だが甘い。

 

「ラファエルの攻撃! ホーリーシャワー!」

 

 俺の言葉にラファエルは光の雨を降らせ、ヘルソルジャーを破壊した。

 

「バカめ! ヘルソルジャーの効果で、貴様は………。」

 

 万丈目はそれ以上言うことが出来なかった。ヘルソルジャーの手から離れた剣。それが、光の粒子となって俺のライフを回復したからだ。

 

「何故、ライフが回復した?」

 

「ラファエルの効果。効果ダメージをライフ回復効果にする。」

 

「ち。その雑魚にそんな効果があったとはな。」

 

 万丈目が悔しそうに歯噛みする。

 

「………万丈目。この世にクズと呼ばれるようなカードなんか無いぞ!俺はカードを1枚セットしてターンエンド!」

 

万丈目 ライフ2500手札4枚

セット一枚

ヘルソルジャー×2

ラファエル

セット二枚

一ライフ1800手札3枚

 

「オレのターン! ドロー! 手札から死者転生を発動! 手札のモンスターを墓地に送り、墓地のカードを手札に加える! ヘルソルジャーを手札に加え召喚!」

 

 これでヘルソルジャーを3体並べた事で再び攻撃力がアップする。(攻撃力1200+800×3)

 

「ドロップアウトボーイ! オレの憎しみを敗北と共に存分に味わえ! ヘルソルジャーでラファエルを攻撃!」

 

 万丈目の言葉にヘルアライランスを装備しているヘルソルジャーがラファエルに突進する。

 

「万丈目。憎しみをいくら束ねても脆い! ダブルリバース起動! 立ちはだかる強敵! サイクロン!」

 

「な、何!」

 

「サイクロンの効果でヘルアライランスを破壊! 更に立ちはだかる強敵の効果でヘルソルジャーはラファエルに攻撃!」

 

 突風がヘルソルジャーに向かい、その攻撃力を弱めてしまった。そして、ヘルソルジャーは、ラファエルに打倒されてしまった。

 

「おのれ!!残りのヘルソルジャーを守備表示に………。」

 

「できないよ。立ちはだかる強敵の効果で、そっちの場の攻撃可能なモンスターは必ずラファエルに攻撃する。」

 

 俺の言葉に、ヘルソルジャーはラファエルに向い返り討ちにされ、万丈目のライフが0になった。

 ○ ○ ○

「クソ!! なんでだ!! なんで貴様たちに勝てない!!」

 

「当たり前だ。お前は俺たちを見ていない。相手をなめきっていた。そんなやつが勝てるわけないだろう。写真は削除しといてやる。デッキは諦めな。」

 

「貴様! オレを惨めにする気か!」

 

 俺の言葉に万丈目が憤慨する。

 

「違うよ。万丈目。お前は勝つことに捕らわれて、重要な何かを見失ってる。」

 

「だ、黙れ! 勝つことが全てだ!」

 

 万丈目の言葉に俺は悲しい思いでいっぱいだった。確かに勝つことは重要かもしれない。でも、絶対というわけではない。

 

「万丈目。卑怯な勝ち方をして、孤独になるのと、正々堂々とデュエルして負けて、大事なものを見つけるのとどっちがいいんだ?」

 

 俺はそう言って、万丈目に背を向けた。

 

 

 

「一。あれでよかったの?」

 

 あの場を去って、すぐに、明日香に呼び止められた。どうやら見られてたらしいな。

 

「構わないよ。あれでよくなればいいし。そうでなくても構わないさ。」

 

 やれることはやった。あとは野となれ。山となれだ。そういって歩き出そうとしてはたと気づく。そういえば、三沢に鍵を渡してるんだった。今の時間は2時。三沢は熟睡してるだろうし、そんな人間を叩き起こすのは正直言って気が引ける。

 

「え、えっと、悪い。明日香。部屋に止めてくれ。」

 

 俺がそう言うと、明日香は耳まで真っ赤に染め上げて怒ってしまった。

 

「ちょ、ちょっと! 何言ってるのよ!」

 

「慌てるのは分かるが、泊めさせてくれ。出ないと野宿決定になりそうなんだ。」

 

 俺の言葉に明日香は落ち着いたらしいが疑わしげに視線をこちらに向けた。

 

「野宿ってあなたはレッド生じゃない。寮はどうしたの?」

 

「カギは三沢が持ってるし、この時間に起こすのは正直気が引ける。」

 

 そういうと、明日香は観念したかのように口を開いた。

 

「………仕方無いわね。でも、変なことをしちゃダメよ?」

 

 ○ ○ ○

SIDE 明日香

 

「いい?変なことをしないでよ?」

 

「わかってるよ。」

 

 私の釘差しに一は苦笑して答える。

 

「おやすみ。明日香。」

 

 一はそう言って目蓋を閉じる。

 

「…おやすみ。一。」

 

 一にそう返して目を閉じる。………んだけど、ちっとも寝られ無い。一と同じベッドに寝ているそれだけで心臓がうるさいくらいにドキドキいってるのがわかる。私はそっと目を開ける。一は目を閉じていた。その口からは寝息が聞こえる。どうやら、もう寝ているらしい。

 

「フフフ♪ 起きてるときはキレイでかっこいいけど、寝てるときは、可愛い♪」

 

 一の寝顔を見てた時、イタズラ心で、頬っぺたをつねろうとした時、一が私の手を取り、私を抱きしめてくれた。

 

「キャッ。ちょ、ちょっとはじ…んん!!」

 

 無理矢理唇をふさがれてしまった。

 

 そして、

 

「ぷしゅーーー」

 

 ショートして私の意識は闇に落ちた。

 

 ○ ○ ○

 

SIDE 一

 

 俺の目の前に万丈目と三沢が向き合っている。

 

「三沢。俺は勝つためにお前のデッキを盗もうとした。だが、斉藤一に止められたがな。」

 

「そうか………。」

 

「許してくれとは言わないが、謝らせてくれ。すまなかった。」

 

 オオ! 万丈目が自白しただけじゃなく謝ってる!

 

「万丈目。あの試作用のデッキだ。」

 

 ………なんだと?

 

「とはいえ、それなりに力入れて組んだデッキだ。だから使えなくなってたら困ってた。」

 

 俺はそんなデッキを守ってたと?

 

「へえ。そんなデッキだったんだ?」

 

 俺の一言に三沢は冷や汗を流しながらこちらを見た。

 

「い、イヤ、それなりに力を入れて組んだデッキだから助かったよ。ありがとう。」

 

 必死な形相でそう答えた。

 

「万丈目。絶対に勝て。」

 

「あ、ああ。」

 

 俺の言葉に万丈目は顔を青ざめながら、答えた。

 

決闘(デュエル)!!』

 

 その後のデュエルは万丈目有利に進んでいったが、

 

「ウォータードラゴンの攻撃!!アクアパニッシャー!!!!」

 

 三沢のウォータードラゴンの攻撃で万丈目のライフは尽きる。

 

「マーベラース!! 素晴らしいノーネ!! シニョール三沢。オベリスク・ブルーに入ることを認めるノーネ。」

 

「いえ、その話は断ります。」

 

「オーウ。なんでなノーネ?」

 

「俺は、ブルーみたいにプライドばかり高くて下の寮の人を見下す人が大嫌いで、一緒にいるなんて考えただけでも、虫唾が走ります。

それに、俺がオベリスク・ブルーに入るなら、遊城十代と斉藤一を倒してこの学園の一位になってからって決めてますから。」

 

 立派な理由だが、俺まで入ってるのか?

 

「よし!! なら、今すぐやろう!!」

 

「いや、まだ駄目だ。このデッキはまだ試作段階のデッキだ。このデッキが完成した時、やろう。」

 

 三沢はそう言ったらデュエルフィールドを降りた。



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デュエル12 雪乃の想い

このお話を読んでくださる皆様ありがとうございます。


 畜生! 理不尽だ! 理不尽過ぎる!!

 

「不幸っだーーー!!!!!!」

 

 もはや、口癖にすらなってるような感じのするセリフを叫び全力で走る俺と俺を追いかける赤頭巾の野郎達。

 

『待て! 異端者斉藤一! 我らの女神を汚そうとした罪を許しはしない!』

 

 さっきから同じ事を叫ぶ赤頭巾達。コイツらに捕まったら、殺される。そう思いながら、全力疾走する事数分して、赤頭巾達は見えなくなった。だがのんびりしてられない。そう思い、目についた建物の開けっ放しになってる窓に近づいた。

 

「あら? ボウヤ? どうしたの?」

 

「悪い! 藤原! かくまってくれ!」

 俺の必死の表情に何かを感じ取ったのか、藤原はアッサリと部屋に上がらせてくれた。

 

「どこかに隠れて!」

 

 藤原の言葉に慌ててベッドの下に潜り込んだ。

 

「藤原さん! 斉藤一は来ませんでしたか?」

 

「ボウヤ? ボウヤなら、向こうに行ったわ。」

 

「ありがとうございます!」

 

 藤原の言葉に礼を言って走り去ったらしい。

 

「ボウヤ。もう出てきても大丈夫よ?」

 

 藤原の言葉にベッドから出る。

 

「…で、どうしたの?」

 

 藤原の問いに肩をすくめて答える。

 

「正直、何で、こんなことになったのか良くわからない。」

 

 そう言ってから語り出した。

 

 ○ ○ ○

 

 朝起きて食事をとろうと食堂に入った所で、皆の殺気混じりの視線が俺に向かった。というか、何故にお前らがいる?翔を筆頭に十代と隼人を覗いたレッドの皆よ?

 

「…起きたッスか。はじめちゃん。」

 

「お、おう。何だ?翔よ?皆殺気だって?それにお前達はオシリス・レッドだろ?自分の寮はどうした?」

 

 翔は俺の問いを無視して質問する。

 

「………はじめちゃん。明日香さんと一緒に寝たって話はホントッスか?」

 

「あぁ。ホントだが?」

 

 その答えに、翔達の殺気がさらに強くなった。そして、次の瞬間どこから取り出したのか、赤頭巾を被っていた。その頭巾の額にはRと書いてあった。

 

「な、何だ?その格好は?」

 

『我々は、清らかな乙女達を守護するRRR(アールアールアール)団! 血の盟約に背いた異端者斉藤一を制裁する!』

 

 赤頭巾の連中が武器を構えて宣言する。

 

 慌てて食堂から逃げ出す。

 

「逃がすな!追え!」

『オオ!』

 

 翔の言葉に追いかける。

 

 

 

「………と、まぁ、こんな事があったんだ。」

 

 そう言いながら藤原の様子を確認すると、どこか泣きそうにも見えた。

 

「どうした?」

 

 問いかけた瞬間、俺は押し倒されていた。

 

 ○ ○ ○

 

SIDE 雪乃

 

 ………面白くない。ボウヤの話を聞いて何故か胸が締め付けられるような気がした。何で、こんなことをしたのかはわからないけど、声をかけられたと気付いた瞬間、私はボウヤを押し倒していた。

 

「ふ、藤原?」

 

 ボウヤ、いえ、一が私の行動に戸惑ったように問いかける。その一に近づけていく。後少しで唇が触れ合う所で、

 

「雪乃? 入るわよ?」

 

 明日香に邪魔されてしまった。

 

「雪乃? 今の音は何な…の…?」

 

 明日香は私が一を押し倒しているのに気づくと怒りの表情で私と一を引き剥がした。

 

「何をやってるのかしら?特に一はここにいてはいけないのよ?」

 

 明日香は黒いオーラを発しながら、一に詰め寄る。

 

「アラ? 明日香? 女の嫉妬はみっともないわよ?」

 

 私の言葉に、明日香は怒りをこちらに向けた。

 

「何ですって?」

 

 私の言葉に、明日香は視線をこちらに移した。

 

「仮に、私と一がこんなことをする関係だったとして、」

 

 そう言って、私は一に抱きついた。その時に胸も当てるのを忘れない。その刺激に、一の鼻の下が伸びる。その様を見て、明日香は不愉快そうに表情を歪めた。

 

「仮にそうだったとしても、これは、私と一の問題であって明日香には何の関わりはないのよ?」

 

「なに言ってるのよ! これは学園内の風紀の問題でしょ?」

 

「風紀の事を気にしているのなら、外でこんなことをしなければ良いのよ?」

 

「何言ってるのよ! いつ何処で見られてるかわからないんだから、二人きりでも、ダメなの!」

 

 ………まったく。あぁ言えばこう言う。

 

「あなたがそれを言えて?あなたは一と同じベッドで寝たそうじゃない?」

 

 私の言葉に、明日香は顔を真っ赤に染め、部屋を出ていった。

 

「そ、それじゃ、あいつらもどっかに行ったみたいだし、俺も帰るな?」

 

 いつの間にか、私から離れていたらしく、窓の外から、声をかけて帰って行った。

 

「一。逃してあげないからね?」

 

 私は一が落とした物を手に取り、呟いた。

 

 ○ ○ ○

 

SIDE 一

 

「………いったい藤原は何であんな真似を?」

 

 未だうるさいくらいにドキドキいっている胸を押さえて呟いた。

 

「藤原がどうしたんだ?」

 

 いきなり声をかけられ、びっくりしたが落ち着いて後ろを振り返ると、十代が不思議そうな表情をしていた。

 

「十代か。おどかすなよ。」

 

「わ、悪い。だけど、藤原がどうとか呟いて、いたから気になってさ。」

 

「ま、十代が気にするほどじゃないさ。」

 

 そう誤魔化すと十代は別の事を問いかける。

 

「帽子はどうしたんだ?」

 

「帽子? 帽子ならここにって、ありゃ?」

 

 頭に手を当てるのだが、髪の毛を直に触る感触だけだった。たぶん、雪乃に押し倒された時に弾みで飛ばされたのだろう。

 

「まぁ、何処で落としたか、検討ついてるし後で取りに行くよ。」

 

「はじめ。あの帽子って大切なものなのか?」

 

「まぁね。ちょっと、理由があってね。」

 

 十代の問いに悲しい表情()で答えた。

 

 ○ ○ ○

 

「………どうしたんだろう?」

 

 俺はアスファルトに座り、俺を呼び出した張本人を待っていた。あの後、翔達にも会ったのだが、帽子を かぶってないだけで俺を認識してけれないのは嬉しくもあり、同時に悲しくもあった。

 

「はじめ。待たせたわね?」

 

 藤原が俺に声をかけてきた。

 

「はい。はじめ。帽子を返すわね。」

 

 そういいながら、藤原は帽子を手渡す。

 

「さ、はじめ。デュエルしない?」

 

「? 別に良いけど?」

 

「それと、もう一つ。負けた方は勝った方の命令に従うって、いうのはどうかしら?」

 

「それって何でも?」

 

「そう。なんでもよ。」

 

 なんかよく分からんがよくない予感がするんだが。

 

「それで藤原は俺に何をさせる気だ?」

 

「あら? うら若き乙女の口からそんな事をいわせる気?罪な男ね?」

 

 な、何をやらせる気なんだ?

 

 ○ ○ ○

 

決闘(デュエル)!!』

 

『対戦相手 ノ ターン です。』

 

「私のターン!ドロー!マンジュゴッドを召喚!!効果で、終焉の王デミスを手札に加える!!」

 

 ということは、藤原のデッキは儀式中心のデッキか。

 

「カードを一枚セットしてターン修了するわ。」

 

藤原 ライフ4000手札5枚

伏せカード一枚

マンジュゴッドATK1400

 

一 ライフ4000手札5枚

 

「俺のターン! ドロー!」

 

 この手札なら、マンジュゴッドを倒せるけど、後続のモンスターにつぶされるか。なら、

 

「手札からD(ダーク)HERO(ヒーロー) ファイアリィ・ガールを召喚!」

 

D(ダーク)HERO(ヒーロー) ファイアリィ・ガール 火属性 レベル3

攻撃力1300守備力1000

【戦士族】

闇の炎を操るD・HEROの女戦士。ランス・オブ・クリムゾンで邪悪を焼き焦がす。

 

 俺のフィールドに真紅の槍を構えた女戦士が召喚された。

 

「さらに二枚セットしてターンエンド!!」

 

藤原 ライフ4000手札5枚

伏せカード一枚

マンジュゴッドATK1400

ファイアリィ・ガールATK1300

伏せ2枚

一 ライフ4000手札5枚

 

「私のターン! ドロー! クリッターを召喚するわ。」

 

藤原のフィールドに三つ目の毛むくじゃらな悪魔が現れた。

 

「バトル! マンジュゴッドでファイアリィ・ガールを攻撃するわ!」

 

 藤原の言葉に万の拳でファイアリィ・ガールを殴りつけようとする。しかしファイアリィガールの足元から吹き上がるマグマが、その攻撃を遮った。

 

「リバースカード起動! 噴き上がるマグマ! その効果でファイアリィ・ガールのレベル×200攻撃力をアップする!」

 

 ファイアリィ・ガール 攻撃力1300+200×3=1900

 

「ファイアリィ・ガールの反撃!!バーンスラッシュ!!」

 

 マンジュゴッドの体を真紅の槍が貫きガラスのように割れたマンジュゴッドは雪乃のライフを削った。(4000-1900+1400=3500)

 

「アン!」

 

 藤原のライフを削った瞬間、彼女は甘い声を上げた。え、えっと藤原さん男としてはそれはやめていただきたいのですが。

 

「フフフ。これでエンドするわ。」

 

藤原 ライフ3500手札5枚

伏せカード一枚

クリッターATK1000

ファイアリィ・ガールATK1300

伏せ1枚

一 ライフ4000手札5枚

 

「俺のターン!ドロー!」

 

 ! 進化の魔薬だ! でも、このターンでライフは削りきれない。クリッターがいる以上、次のターンでデミスが呼ばれる可能性は高い。でも、デミスのエフェクトを使うには、ライフ2000が必要な以上デミスを呼ばれる可能性を踏まえても、追撃することは必要だ。

 

「手札から進化の魔薬を起動!! ファイアリィ・ガールを生贄に、D(ダーク)HERO(ヒーロー) ボンバーガールを特殊召喚!!」

 

 薬を飲んだ女戦士は爆弾を両手に構えた戦士に進化した。

 

「さらに、D(ダーク)HERO(ヒーロー) サンダーボーイを召喚!!」

 

 俺の場に雷の剣を持つ少年が現れた。

 

「バトルフェイズ! ボンバーガールで攻撃!! ボンバーセイヴァ―!!」

 

 ボンバーガールのエフェクトを考えると、この二体でとどめを刺せるかと思ったのだが、甘かったらしい。

 

「ウフフ。おいたはダーメ。リバースカードオープン!ドレインシールド!」

 

 ボンバーガールの攻撃は光の盾に吸い込まれ、藤原のライフポイントになった。(藤原ライフ 3500+1800=5300)

 

 マズイな。デミスは全体破壊する効果を持っているけど、その効果を使うには、ライフポイント2000をコストに使う必要がある。だからさっきまでのライフポイントでは一回しか使えなかった。でも、今のライフは5300今儀式召喚されたら、1キルされる恐れがある。

 

「一枚セットしてターンエンド!」

 

藤原 ライフ5300手札5枚

伏せカード0枚

クリッターATK1000

ボンバーガールATK1800 サンダーボーイATK1900

伏せ2枚

一 ライフ4000手札5枚

 

「私のターン! ドロー!手札からエンド・オブ・ワールドを発動するわ。」

 

 チィッ!! 来たか!!

 

「この効果で、インセクトナイトとクリッターを生贄にデミスを儀式召喚するわ。クリッターの効果でマンジュゴッドを手札に加えてデミスの効果でライフコスト2000支払うわ。」(藤原ライフ5300-2000=3300)

 

 その効果に、デミスは拳を振り下ろし、このカード以外のカードを破壊して墓地に送った。

 

「手札から天使の施しを発動するわ。3枚ドローして、2枚捨てる。」

 

 わざわざ捨てたってことは、狙いはカードを墓地に送ることか。

 

「墓地にある2体のインセクトナイトを除外して、デビルドーザーを特殊召喚するわ。これで、お・わ・り。2体でダイレクトアタック!」

 

 デミスとデビルドーザーは俺に攻撃しようとするが、修道者たちが張ったバリアが攻撃を防いだ。

 

「?アラ?」

 

「危なかった。デミスの効果使用時に和睦の使者を使っていたんだ。その効果でこのターンの戦闘ダメージを与えることはできない。」

 

「残念ね。これでエンドするわ。」

 

藤原 ライフ3300手札1枚

伏せカード0枚

デミスATK2400 

ボンバーガールATK1800 サンダーボーイATK1900

伏せ2枚

一 ライフ4000手札5枚

 

 マズイな。デミスの効果を使われたら、大ダメージ確定。下手すれば1ターンキル再びになるな。

 

「俺のターン! ドロー!」

 

 !! これなら勝てる!!

 

「手札から魔法カード奇跡の進化―ミラクル・エヴォリューションを起動!!自分の墓地、フィールドからD(ダーク)HERO(ヒーロー)と名のつくモンスターをゲームから除外することで、同属性のD(ダーク)HERO(ヒーロー)と名のつくモンスターを融合デッキから特殊召喚できる!!ボンバーガールを除外して炎属性のブラストレディを召喚!!」

 

 俺の言葉にバーストレディに近い姿の女性が現れる。

 

「攻撃力2400? よくて、デミスと相打ちじゃないの?」

 

 デュエルディスクで攻撃力を確認してたみたいだが、甘い。(ブラストレディ攻撃力2400+300×2=3000)

 

「攻撃力が上がった!」

 

「ブラストレディは墓地にあるD(ダーク)HERO(ヒーロー)と名のつくモンスターの枚数分300ポイントアップする。さらにD(ダーク)HERO(ヒーロー) ウィンドマンを召喚し、二重進化 ダブル・エヴォリューションを起動!!」

 

二重進化 ダブル・エヴォリューション 通常マジックカード

 

このカードは発動時、進化の魔薬として扱う。自分フィールド上のD・HEROと名のつくモンスター一体を生贄に捧げ、融合デッキから同属性のD・HEROと名のつくモンスターを特殊召喚する。ライフ1000支払うことで、もう一体のD・HEROと名のつくモンスターを生贄に捧げ、融合デッキから同属性のD・HEROと名のつくモンスターを特殊召喚する。

 

「この効果で、ウィンドマンを生贄にD(ダーク)HERO(ヒーロー) ストーマーを召喚!!さらにライフコスト1000支払ってトルネードガイを召喚!!」

 

トルネードガイ 攻撃力2300+300×4=3500

 

ブラストレディ 攻撃力2400+300×4=3600

 

 この状況で平然としている。もしかしたら、何か対策してあるのかも。なら、

 

「ブラストレディでデミスを攻撃!! ブラストレディはボンバーガールと同様戦闘破壊したモンスターのもともとの守備力分だけ効果ダメージを与える!! ブラストボム!!」

 

 ブラストレディは炎の塊をデミスにたたきつけるが、魂の障壁が受け止めた。

 

「残念ね。墓地からネクロガードナーを除外するわ。効果で攻撃を一度だけ無効にするわ。」

 

 天使の施しの時か。だけど、これでもう何もない。トルネードガイは竜巻の塊を凝縮した。

 

「トルネードガイでデミスを攻撃!! トルネードバースト!!」

 

 トルネードガイはデミスに暴風を叩きつけた。(藤原ライフ3300-3500+2400=2200)

 

「ふあぁ!!」

 

 トルネードガイが攻撃した瞬間甘い声を上げる藤原。…マジ勘弁して。

 

「危なかったわ。何とか、もう一回分だけ打てる余裕がありそうね。」

 

「まだだ! トルネードガイの追加攻撃!! デビルドーザーに攻撃!! 」

 

D(ダーク)HERO(ヒーロー) トルネード・ガイ 風属性レベル8

攻撃力2300 守備力1900

【戦士族 融合 効果】

 このカードは進化の魔薬でD・HERO ストーマーを対象にするか、もしくはアナザーワールド・エヴォリューションの効果でのみ召喚できる。このカードの攻撃力守備力は墓地にあるD・HEROと名のつくモンスター一体につき300ポイントアップする。このカードは相手フィールド上のモンスター一体ずつに攻撃することができる。

 

 トルネードガイの暴風がデビルドーザーを破壊してライフを削った。(藤原ライフ2200-3500+2800=1500)

 

「あぁん!」

 

 トルネードガイの追加攻撃にさえ、甘い声を発する。

 

「いいわぁ。」

 

 つぶやいてこちらを見つめる藤原。背筋がぞくぞくする。ここを18禁にする気か?

 

「手札から速攻魔法退化の魔薬を起動! トルネードガイを融合デッキに戻し、ストーマーを召喚! こいつの攻撃力は2000! これで終わり! ストーマーのダイレクトアタック!」

 

 ○ ○ ○

 

「フフフ。私の負けね。それで、一。私に何を要求する気かしら?」

 

 あ、そういえば、そんな賭けをしていたな。ムゥ。急に言われても、何も思いつかないな。あ、

 

「一週間イヌミミメイドの衣装を着て、俺にご主人様と言え。ってのは?」

 

 俺が出した命令を聞いて一瞬ポッと頬に赤みがさして、コクンと首を縦に振った。

 

「え、えっと、藤原さん。冗談のつもりなんですけど?」

 

「女にも二言はないわ。」

 

「だ、だけどメイド服なんてそうないだろ?」

 

「問題ないわ。演劇部の人に頼んで、貸してもらうわ。ご主人様♪あ、あとご主人様。藤原はやめてください。雪乃と呼んでください。」

 

 

 

 メイド姿の雪乃の姿を見た男子のファンは急増し、RRR団、雪乃のファン、明日香とマナから命を狙われることになった。今はあんな冗談を言った俺を殴りたい。




ほんとはメイドさんな雪乃を載せたいのですが絵心がないのでかけません。
申し訳ありません。


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デュエル13 SALデュエル

感想いただきましたガチタンはロマンだ様、並びにこのお話を読んでくださる皆様ありがとうございます。実際には期待している人はいないでしょうが、またお待たせしてすみません


 早朝、気まぐれで歩いていたら、ボートに荷物を詰め込む万丈目を見つけた。

 

「…さらば、デュエルアカデミア。」

 

「…万丈目。出るのか?」

 

 ボートに荷物を置いて感慨深げにつぶやく万丈目に声をかけた。

 

「ああ。斉藤はどうしてここに?」

 

「なに、気まぐれで散歩してたら、偶々お前を見つけただけさ。それより、万丈目。」

 

 そう言ってから、以前アンティデュエルで受け取ったヘルバーナーと、4枚のカードを渡した。

 

「これは?」

 

「お守り代わりに預かってろ。」

 

 俺の言葉に万丈目は笑みを浮かべてそのカードを受け取った。

 

 

 

「おい!! はじめ!! 起きろ!!」

 

 万丈目を見送った後、寮に戻ってから授業を受けたのだが、眠くて転寝《うたたね》していたら十代に起こされた。ああ。睡眠時間が削られた。

 

「どった? 十代?」

 

「行くぞ!! 一!!」

 

 十代は俺の手を取り、わけわからぬまま、俺とマナを連れて行った。

 

 

 

 壁に空いてた穴を抜けて外に出たところで、

 

「お~い。十代。何があったのか、教えてくれないのか?」

 

 俺の言葉に十代はハッと何かに気付いたようだ。

 

「悪い。実は、万丈目が行方不明だって聞いて万丈目をほっとけないから探しに行くんだ。」

 

「それなら、探しに行くだけむ…。」

 

「授業をサボってどこに行くのかしら?」

 

 俺の発言を遮って明日香が声をかけてきた。そばに明日香親衛隊の枕田と浜口がいた。

 

「万丈目を探しに行くんだ!! ほっとけるわけないだろ!! 邪魔するなよ!」

 

「別にいいけど、私達も探しに行くわ。私もほっとけないわ。」

 

「いや、だから探しに行くだけむ…。」

 

「よーし!さっそく探しに行くぞ!!」

 

 グスン。もういいもん。

 

 

 

「おーい!! 万丈目!!」

 

「出てくるッす!!」

 

 辺りに十代と翔の叫び声が響いた。そして、

 

「万丈目君出てきなさい!!デュエルに負けたからって雲隠れするなんて男らしくないわよ!!!!」

 

 明日香の容赦ない声が響き渡った。本当に容赦ないな?そう思っていたら、近くの茂みがガサガサと揺れ始めた。

 

「万丈目か?」

 

「それはな………。」

 

 言い切る前に茂みからサルならぬSALが飛び出てきた。

 

「うわぁ!!!!」

 

「さ、さるぅ!!!!」

 

 突然現れたサルにビックリして捕まえようとして結局枕田が人質にとられて逃走されてしまった。

 

「い、今のは一体?」

 

「さ、サルっすよね?」

 

「デュエルディスクをつけていたけど、もろにサルだな。」

 

 そう言った時、同じ茂みからメインブラックと爺さんが飛び出てきた。ホントにどうなってるんだろ?もしかして、ど○◎もドア?

 

「おい!! サルは出てこなかったか?」

 

「あ、あっちへ行きました。」

 

 その言葉に、男たちは顔を見合わせSALが行った方向に走り始めた。

 

「ちょっと待てよ。あのサルはいったいなんなんだよ?」

 

「あのサルは我々の研究の集大成。 Super Animal Larning、名付けてサルだ。」

 

「SALってまんまじゃん。」

 

 サル、いやSALが行った方向に向かうと、崖にたどり着いた。

 

「よし! 麻酔銃でねらえ!」

 

「ウキッ!!」

 

「ダメです!! 女の子が人質にされてて手が出せません!!」

 

「それなら、」

 

 そう言って、前に出る十代。十代のことだから『デュエルしろよ』が出るんだろうな。

 

「おいSAL! オレとデュエルしろ! オレが勝ったら、ジュンコは解放しろ!!俺に勝てたらお前は自由だ!」

 

 十代らしいな。

 

「よろしいのですか?」

 

「かまわん。予想外の結果が出るかもしれん。」

 

○ ○ ○

 

決闘(デュエル)!!』

 

『サルがしゃべった!!』

 

 そりゃ、サルがしゃべったらびっくりするだろうな。

 

「SALには、デュエルに関することは機械がしゃべるようにしてある。」

 

『十代 の ターン です。』

 

「俺のターン! ドロー!融合発動! クレイマンとバーストレディーを融合!! ランパートガンナーを融合召喚!! フォレストマンを守備表示で召喚!一枚セットしてターンエンド!!」

 

十代 ライフ4000手札1

伏せカード1枚

ランパートガンナーDEF2500 フォレストマンDEF2000

 

「私のターンドロー!バーサークゴリラを召喚!!」

 

「攻撃力2000のモンスターをデメリットなしで!!」

 

「大丈夫だ!! 守備表示にしたら自壊効果が発動する上に攻撃表示で攻撃できるなら必ず攻撃しなければならないんだ。」

 

 一番守備力の低いフォレストマンに攻撃したところでノーダメージなんだけどね。

 

「バトル! バーサークゴリラでフォレストマンを攻撃! バーサークウッキー!」

 

 バーサークゴリラはいきり立ってフォレストマンに殴りつけるが互いにノーダメージだ。

 

「2枚セットしてターンエンド!」

 

十代 ライフ4000手札1

伏せカード1枚

ランパートガンナーDEF2500 フォレストマンDEF2000

バーサークゴリラATK2000

伏せカード2枚

SAL ライフ4000手札3枚

 

「俺のターンドロー! スタンバイフェイズ時にフォレストマンの効果発動! デッキ、墓地から融合1枚を手札に加える!この効果で2枚目の融合をデッキから手札に加える!」

 

 フォレストマンはデッキから融合のカードを抜き取り十代に渡す。

 

「さらに<r融合回収:フュージョン・リカバリー>を発動!! 融合とバーストレディを手札に加える! さらに手札から融合を発動!手札のフェザーマンとバーストレディーを融合! 融合召喚!フレイムウィングマン」

 

 おいおい。何で、融合を回収して正規素材で融合できるんだよ?

 

「フレイムウィングマンでバーサークゴリラを攻撃!! フレイムシュート!」

 

 フレイムウィングマンは炎をまとった攻撃で、バーサークゴリラを破壊しようとする。しかし、

 

「ウッキー! リバースカードオープン! 攻撃の無力化! 攻撃を無効にしてバトルフェイズをスキップする!」

 

 フレイムウィングマンの攻撃を時空の渦にのみこませた。…しかし、なぜおまえは火属性を連想させる攻撃なんだ? 風属性なのに。

 

「ターンエンド!」

 

十代 ライフ4000手札1

伏せカード1枚

ランパートガンナーDEF2500 フォレストマンDEF2000 フレイムウィングマンATK2100

バーサークゴリラATK2000

伏せ1枚

SAL ライフ4000手札3枚

 

「私のターン! ドロー! バーサークゴリラを生贄に百獣王ベヒーモスを召喚!」

 

「☆7のモンスターを生贄一体で!!」

 

「だけど、ベヒーモスは生贄一体で召喚した場合、元々の攻撃力を2000にするんだ。」

 

 翔の驚きに十代が説明した。

 

「ベヒーモスの効果でバーサークゴリラを手札に加える! 二重召喚を発動して、もう一回バーサークゴリラを召喚!さらに手札から野生解放を発動! ベヒーモスの攻撃力を守備力分1500アップする!」

 

「攻撃力が、フレイムウィングマンを上回ったわ!」

 

「それだけじゃない。野生解放のようなリスキーカードを使ってくる以上、あいつの伏せカードは亜空間物質転送装置といった、デメリットを回避するカードの可能性が高い、一番ありそうなのは、キャトルミューティレーションだ。」

 

「え? それはどういう意味っすか?」

 

 翔がそう問いかけた時だ。

 

「バトル! ベヒーモスでフレイムウィングマンを攻撃!!」

 

 ベヒーモスの命がけの突進にフレイムウィングマンは対抗するが、破壊され、大きくライフを削られてしまった。(十代ライフ4000-3500+2100=2600)

 

「!! フレイムウィングマンが!!」

 

「さらにキャトルミューティレーションを発動!! フィールド上の獣族モンスターを手札に戻し、同レベルの獣族モンスターを召喚!!ベヒーモスを回収して召喚!! モンスターが特殊召喚されたことにより、ベヒーモスは再び攻撃できる! ベヒーモスでランパートガンナ―を攻撃!!」

 

「ランパートガンナ―が破壊された瞬間、トラップ発動!ヒーローシグナル!」

 

 ?何を呼ぶ気だ?

 

「E・HERO エアーマンを召喚!」

 

 十代の言葉にエアーマンが、守備表示で召喚される。だけど、

 

「何やってるんだ?」

 

「え? どういうことっすか?」

 

「翔君。バーサークゴリラは、攻撃表示の時は必ず攻撃しなきゃならないんだよ?さっきまで、フォレストマンしかいなかったから、攻撃しても破壊されず、ノーダメージなんだけど、エアーマンが召喚されたら、破壊されるんだよ?」

 

「バーサークゴリラでエアーマンを攻撃!!」

 

 その宣言にいきり立った、バーサークゴリラがエアーマンを殴りつけて破壊した。

 

「く。でも、エアーマンの効果発動!オーシャンを手札に加える!」

 

「ターンエンド!」

 

十代 ライフ4000手札2

 

フォレストマンDEF2000

百獣王ベヒーモスATK バーサークゴリラATK2000

 

SAL ライフ4000手札3枚

 

「あのSALなかなかやるね。」

 

「当然じゃ。お主らは聞いたことはおらぬか? 人間より動物のほうが精霊を見る能力が高いということを。それで、様々な研究を施したのが、あのSALだ。」

 

 俺と爺さんとで、そんな話をしていた時、十代は奇跡のドローしていた。

 

「俺のターン! ドロー!スタンバイフェイズ時にフォレストマンの効果で3枚目の融合を手札に加える! 手札から魔法カード貪欲な壺を発動! 墓地から5枚のモンスターをデッキに加えて、2枚ドロー! 1、ランパードガンナ―、2、フレイムウィングマン、3、フェザーマン、4、バーストレディ、5、クレイマンをデッキに戻す!さらに強欲な壺を発動!デッキから2枚ドロー!」

 

 ………つっつこまないぞ! 貪欲な壺も含めて3枚だった手札が、5枚になってるなんてどんなドローだなんて突っ込まないぞ!!

 

「よし! これなら勝てる!!」

 

 十代が会心の笑みを浮かべた時、

 

「十代君!! アソコ見て!!」

 

 マナが指さす方にはサルの群れがいた。恐らくはSALの仲間だった子達だろう。

 

「あのサル君、仲間たちのもとに帰りたがってるよ。」

 

「だよね。いきなりつかまって、46時中訳のわからない実験に付き合わされてうんざりしているだろうし。」

 

 その言葉に翔君はなにかに気付いたようだ。

 

「じゃあ、このデュエルで兄貴が勝っちゃったら、あのサルは、」

 

「………お前の気持ちは分かった。だけど、デュエルは真剣勝負だ! 手札から戦士の生還を発動! エアーマンを手札に加えて召喚! 効果でバブルマンを手札に加える!」

 

 あ。勝ったな。

 

「? 何考えてるのかしら? バブルマンにはドロー効果があるけど、それを使うには、フィールドががら空きじゃなきゃいけないのに。」

 

「バブルマンじゃなくても、水属性であることが必要なんだ。」

 

「手札から融合を発動! エアーマンとバブルマンを融合! アブソルートZEROを融合召喚!」

 

 十代のエアーマンとバブルマンが合わさり、極寒の力をやどりしHEROを召喚する。

 

「この前と融合素材が違う!!」

 

「アブソルートZEROはHEROと水属性という素材であることが必要なんだ。」

 

 そして、オーシャンが手札にあるのに、エアーマンの効果を起動してまでわざわざバブルマンを手札に加えたということは、正規融合が狙いだなきっと。

 

「さらに融合を発動! フィールド上のフォレストマンとオーシャンを融合! E・HERO ジ・アースを融合召喚!」

 

 デュエルディスクでジ・アースとアブソルートZEROの攻撃力を確認したらしい明日香は、小さく首をかしげていた。

 

「両方とも攻撃力2500。これじゃ、バーサークゴリラを倒せてもベヒーモスを倒せないわ。」

 

「確かにバトルじゃ無理だな。」

 

「ジ・アースの効果発動! フィールド上のモンスターを生贄に捧げることで、そのモンスターの攻撃力分アップする。」

 

 アブソルートZEROは自分の力をジアースに加え自分は墓地に行った。

 

「さらにアブソルートZEROの効果発動! フィールドからこのカードが離れた時、相手フィールド上のモンスターをすべて破壊する! 砕け散れ!Freezing Coffin!!」

 

 その言葉にベヒーモス、バーサークゴリラが氷の棺に閉じ込められ、ガラスのように砕け散った。

 

「ジ・アースのダイレクトアタック! 地球灼熱斬(アース・マグナ・スラッシュ)!!」

 

 その言葉にジ・アースはSALのライフを削りきった。

 

 ○ ○ ○

 

「さあ、SAL! 俺の勝ちだ! ジュンコを解放しろ!」

 

「うきぃ………。」

 

 SALはジュンコを抱え上げ、俺達の前まで連れてきた。

 

「大丈夫か?ジュンコ?」

 

「…う、うん………。」

 

 十代が安心させるために笑顔を見せて問いかけると、かすかに頬を紅くさせて小さくつぶやいた。しかも、十代を抱きしめて離れようとしない。おお?これは、十代に春が来たな。

 

「いまだ! SALを捕まえろ!!」

 

 爺さんの言葉にメインブラック達が捕まえようとする。…全く空気読まない馬鹿もんたちだ。

 

「はーいストップ。」

 

「ぐほっ!!」

 

 メインブラックの一人に鳩尾をついて、気絶させ、さらにもう一人の顎をかすめて脳を揺らす。それだけで、脳震盪を起こして立てなくなる。

 

「十代はデュエルに勝てばジュンコを解放しろとは言ったが、SALに捕まれと言ってないよ?」

 

「な、何?」

 

「SALはこのまま仲間たちのもとに帰す。それが、あのSALのためだ。」

 

 十代の言葉に俺は指をグッと立てた。

 

「………ふん。このまま捕まえろ。仲間達も捕まえて研究素材にするのじゃ。」

 

 メインブラック達はネットを投げつける。それによってサルたちは捕まるが、オレがその男の鳩尾をついて気絶させる。

 

「だから、待てって。事がばれて大騒ぎになったら、困るのは爺さんたちだ。」

 

「何故じゃ?」

 

 当たり前のことなのに何をほざくんだろう。

 

「サルにこんな実験をしていたんだ。動物虐待で訴えられるぞ。ちなみに俺はこのことをばらさない気はないぞ。で、実験そのものをやめるか、動物虐待で捕まるのどっちがいい?」

 

 その言葉に、爺さんはメインブラック達に軽く目配せして機械を外させた。

 

「よし、思わぬ時間は食ったが、万丈目を探しに行くぞ!!」

 

「だから、探す意………。」

 

「その必要がないのニャ。」

 

 ………頼むから最後まで言わせてくれ。大徳寺先生。

 

「実は、早朝万丈目君が島を出るところを目撃してしまったのニャ。しかし、見送ってた一君もそこにいるのはなんでなのニャ?」

 

「…え?な、なんで言わねえんだよ?」

 

「さっきから言おうとするたびにわりこんでくる奴のせいでいえなかったんだよ。」

 

 

 

SIDE 十代

 

「………じゃ、帰るか。」

 

 一の答えに軽く脱力して帰り道の途中、

 

「キャ!」

 

 木の根っこに躓いたジュンコが転んだ。

 

「大丈夫か?」

 

「う、うん。大丈…痛っ!!」

 

 答えて立ち上がろうとしたとき、ジュンコは足首を痛がり、オレのほうに転びそうになる。そのせいで、腕に胸がふれる。

 

「ああ。ちょっと見てみるから、足首を見せてくれ。」

 

 一はそう言ってから、ジュンコの足首を診察した。

 

「捻挫だな。俺達は鮎川先生に知らせてくるから、十代はジュンコを保健室まで連れて行ってくれ。くれぐれも足首に負担かけるなよ?」

 

 一たちはそう言ってから、オレとジュンコを残して、後者の方へ走り去った。しかも、ごゆっくりと片手を振りながら。

 

「…じゃ、いくか。」

 

 そう言ってから俺はジュンコを背中におんぶして保健室に向かう。

 

「…う、うん。そ、そのゴメン。」

 

「気にすんな。困ったときはお互い様だ。」

 

 そう返すが、口数は少なくなる。気まずい。何か言葉を考えないと、だけど、ジュンコのいい香りと背中に感じる柔らかい感触でそれどころじゃない。結局言う言葉もないまま保健室についた時、鮎川先生が「青春ね。」とつぶやいて、手当てしてくれたのが耳に残った。



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デュエル14 強奪!タッグデュエル

感想いただきました、ゆずプラネッツ様、crimson6様、並びにこのお話を読んでくださるみなさありがとうございます。

ハリケーンと速攻魔法のコンボは現在は出来ません。とあるゲームはバグで出来てましたが。
今回はそのバグを参考にしてます。



 俺と明日香とマナは今年最後の月一試験に向けて勉強しているのだが、

 

「一?この訳はあってる?」

 

「ここが間違ってる。ここは、これとセットで訳していけばいいんだ。」

 

「はじめ。こっちはあってる?」

 

「ここの公式が間違ってる。」

 

 なるほどと呟くマナを見ながら、俺は思った。お前らは何故俺の両横に陣取り密着するようにして、勉強する?温かくて柔らかくて、良い香りがしてクラクラするんだが。

 

 しばらく勉強して一息つく事にしたのだが、

 

「ん~疲れた~。」

 

 そう言って、背筋を伸ばす明日香。俺はその自己主張の激しい双子の山を見つめてしまう。

 

「そうだね。それにちょっと暑いし。」

 

 マナはそう言って、胸のところを開けてパタパタと風を送っているのだが、その豊かな谷間とブラが少し見えている。思わず、その谷間を見ていたら、俺の携帯が鳴り出した。それを取り出してボタンを押すと、空中に原の顔が映った。

 

「一くんですか?原です。出動要請です。」

 

「………またか?もう5回目なんだけど?」

 

「そんなことを言わずに来てください!場所はオシリス・レッド寮の前です!」

 

 そう言って、一方的に通話を切られた。

 

「………やれやれ。ちょっと行って来るよ。」

 

 そう言って、俺とマナは駆け出した。

 

 話は月一試験まで遡るんだが、その時に俺がはっぱをかけたからか、それとも俺がラー・イエローに昇格したからか、それとも他に要因があるからか、オシリス・レッドの生徒が実力をつけ始めたのだ。それに対抗するかのようにラー・イエローも成績を伸ばし始めた。だが、それに面白くないのがオベリスク・ブルーである。イヤ、オベリスク・ブルーの一部にとって面白くないのである。なんと彼らはカードを強奪したり、アンティデュエルを強要したり、また酷い時には集団でリンチしようとしているのだ。事態を重く見た鮫島校長が急遽、そういった騒ぎを鎮圧する部署を設けたというわけだ。

 

「全く。こうひっきりなしだと疲れるよ。」

 

「はじめちゃん?そうぼやかないの♪ところでさ、冬休みどうするの?」

 

「?ペガサス会長のところに帰る予定だよ?」

 

「じゃ、じゃあ、こっちに戻る少し前に日本の温泉にいっしょに行かない?」

 

 温泉好きにはなかなか魅力的な提案だな。

 

「いいぞ。明日香や、雪乃や原も誘ってみるか?」

 

 ビギッ!!!!

 

 俺の提案に辺りの空間が音を立てて凍りついた。

 

「はじめちゃん?なんで、その3人を誘うのかな?」

 

「いや、友達同士でのプチ旅行だろ?」

 

 プチ!!!!

 

 次の瞬間、あたりに俺の悲鳴が響き渡った。

 

 ○ ○ ○

 

「ゴブリン突撃部隊でサブマリンロイドを攻撃!」

 

 俺がたどり着いた時には攻撃表示のサブマリンロイドが破壊され、翔のライフが0になった瞬間だった。どうやらタッグデュエルらしい。翔のパートナーは浜口で、オベリスクのほうは名前も知らぬ男二人組だ。

 

「おい。俺達の勝ちだ。約束通りカードを寄越しな。その女もだ。」

 

「しかも、1枚だけじゃない。デッキ丸ごとだ。」

 

「そ、そんな! アンティデュエルはそちらが勝手に言い出したことでしょう!」

 

「あぁ? うるさいんだよ!」

 

 男の言葉に浜口が食ってかかるがうるさげに右手を降り下ろそうとして翔が間に入った。

 

「はいはい。そこまでだよ。」

 

 マナの言葉に視線はこちらに向く。俺は腕に着けておいた腕章を見せて言った。

 

「違法デュエル取締り委員会・ジャッジメントですの。暴行、及び恐喝の容疑で拘束します。」

 

「………はじめちゃん? その歯形はなんッスか?」

 

 翔は俺の顔についている歯形を気にして問いかける。

 

「………マナに噛まれた。」

 

 俺の答えにマナはプイッとそっぽを向いた。

 

「斎藤さん。恋人とイチャイチャしてる暇がありましたらもっと早く助けに来てください。」

 

「誰がイチャイチャしてるだ? 俺とマナはそんな関係じゃ………。」

 

 ガブリッ

 

 言いかけた俺の腕をマナは噛みついてきた。結構痛い。

 

「いきなり、出てきて見せつけてんじゃねえぞ。」

 

 その一言に俺達は声の主を見た。

 

「悪い。最近お前らみたいにアンティデュエルを強要したりする奴等が増えてきたからな。悪いが拘束させてもらう。」

 

 

「ハッ! ラー・イエローの中途半端風情が俺達、オベリスク・ブルーのエリートに逆らうんじゃねえよ。」

 

「あのなぁ。一々オベリスク・ブルーを言う必要ないぞ。そんなものを口に出してるお前らは、実際は大して偉くもないしな。」

 

 俺の言葉にオベリスクブルーの男二人組は額に青筋が走った。

 

「なんだと? まあいい。それよりデュエルだ!俺が勝ったら見逃したうえに、デッキをよこしな。」

 

決闘(デュエル)!!!!」

 

『マナ の ターン です。』

 

「先行は私からだね?ドロー!魔貨物車両(まかもつしゃりょう)ボコイチを守備表示で召喚!」

 

 マナの場に車両の形をしたモンスターが現れる。

 

「さすが、オシリス・レッドのドロップアウトの相方だ!使っているモンスターもクズだ!」

 

「更に手札から機械複製術を使いボコイチを2体召喚!ターンエンド!」

 

マナ&一 ライフ8000

マナ手札4枚 一手札5枚

 

ボコイチ×3DEF

 

 

「俺のターン!ドロー!ゴブリン突撃部隊を召喚!カードを一枚セットしてターンエンド!」

 

マナ&一 ライフ8000

マナ手札4枚 一手札5枚

 

ボコイチ×3DEF

ゴブリン突撃部隊ATK2300

伏せ1枚

A手札4枚 B手札5枚

ブルーな雑魚A&B ライフ8000

 

「俺のターン!ドロー!モンスターを伏せてカードを2枚セットしてターンエンド!」

 

マナ&一 ライフ8000

マナ手札4枚 一手札4枚

伏せ2

ボコイチ×3DEF 伏せモンスター

ゴブリン突撃部隊ATK2300

伏せ1枚

A手札4枚 B手札5枚

ブルーな雑魚A&B ライフ8000

 

「俺のターン!ドロー!」

 

「その瞬間、リバース起動!同姓同名同盟!自分フィールド上のレベル2以下の通常モンスターを可能な限り特殊召喚できる!」

 

 あっという間に3体のボコイチが召喚され、計6体になる。

 

「ハン!雑魚を何体並べようが雑魚は雑魚だ!手札からゴブリンエリート部隊を召喚する!1枚セットしてターンエンド!」

 

「私のターン!ドロー!モンスターをセット!1枚セットしてターンエンド!」

 

マナ&一 ライフ8000

マナ手札4枚 一手札4枚

伏せ2

ボコイチ×3DEF 伏せモンスター×2

ゴブリン突撃部隊ATK2300

伏せ1枚

A手札4枚 B手札5枚

ブルーな雑魚A&B ライフ8000

 

「俺のターン!ドロー!ゴブリン突撃部隊でボコイチを攻撃!」

 

「その瞬間、トラップ発動!攻撃の無力化!」

 

「ハッ!無駄だ!サイクロン発動!攻撃の無力化を?」

 

 時空の渦をサイクロンで破壊しようとするが、エラー音が虚しく響くだけだ。

 

「な、何だ?ディスクの故障か?」

 

「………そんなんでよくオベリスク・ブルーに入れたな?エセリート。」

 

「セはいらない!」

 

「攻撃の無力化はカウンタートラップでスペルスピードが3、サイクロンは速攻マジックでスペルスピードは2。スペルスピードがより低いカードはチェーンを組むことができない。」

 

 なるほどと呟く二人を見て、俺は本気でデュエルアカデミアを心配してしまった。

 

「このままターンエンド!」

 

マナ&一 ライフ8000

マナ手札4枚 一手札4枚

伏せ

ボコイチ×6DEF 伏せモンスター×2

ゴブリン突撃部隊ATK2300 ゴブリンエリート部隊ATK

伏せ1枚

A手札4枚 B手札5枚

ブルーな雑魚A&B ライフ8000

 

「俺のターン!ドロー!カードを3枚セットしてターンエンド!」

 

マナ&一 ライフ8000

マナ手札4枚 一手札2枚

伏せ×4

ボコイチ×6DEF 伏せモンスター×2

ゴブリン突撃部隊ATK2300 ゴブリンエリート部隊ATK

伏せ1枚

A手札4枚 B手札5枚

ブルーな雑魚A&B ライフ8000

 

「俺のターン!ドロー!ゴブリン突撃でその雑魚を攻撃!」

 

 Bの言葉に俺の場のモンスターに襲いかかろうとするが、

 

「トラップ発動!最終突撃部隊!フィールド上の表表示モンスターを攻撃表示になる!」

 

「それにチェーンで和睦の使者を起動!このカードを発動したターン、相手モンスターから受ける全ての戦闘ダメージは0になる!

このターン自分のモンスターは戦闘では破壊されない!

よって俺の場のボコイチは破壊できない!」

 

 俺の場に翻ったカードの効果に守られた。

 

「カードをセットしてターンエンド!(伏せカードは聖なるバリア―ミラーフォース!攻撃したら返り討ちだ!)」

 

マナ&一 ライフ8000

マナ手札4枚 一手札2枚

伏せ×4

ボコイチ×6DEF 伏せモンスター×2

ゴブリン突撃部隊ATK2300 ゴブリンエリート部隊ATK

最終突撃部隊 伏せ1枚

A手札4枚 B手札5枚

ブルーな雑魚A&B ライフ8000

 

「私のターン! ドロー! 手札から魔法カード未来融合フューチャーフュージョンを発動! デッキにある45枚のモンスターを墓地に送りキメラテック・オーバードラゴンを2ターン後に融合召喚! 反転召喚! 魔装機関車デコイチ! 効果により自分フィールド上のボコイチの枚数分+1枚、7枚ドロー! カードを4枚セットしてターンエンド!」

 

マナ&一 ライフ8000

マナ手札6枚 一手札2枚

伏せ×4 未来融合フィーチャーフュージョン0ターン

ボコイチ×6DEF デコイチATK 伏せモンスター

ゴブリン突撃部隊ATK2300 ゴブリンエリート部隊ATK

最終突撃部隊 伏せ1枚

A手札4枚 B手札5枚

ブルーな雑魚A&B ライフ8000

 

「俺のターン! ドロー! ゴブリン突撃部隊でらー・イエローのボコイチを攻撃!」

 

 その宣言に一斉にボコイチをリンチしようとしているゴブリン達。だけど、

 

「リバース起動!攻撃の無力化!」

 

 時空の渦がその攻撃を受け流した。

 

「ちっ! しぶとい! 俺達が勝っててめえのそのダサい帽子もその女みてえな顔も潰してやるよ!」

 

 クズ共は決して聞き逃せない言葉を放った。

 

「………俺の帽子が………なんだって?」

 

「ダサい帽子って、言ってやったんだよ!」

 

 よし。徹底的にぶっ潰す!

 

「1枚セットしてターンエンド!」

 

マナ&一 ライフ8000

マナ手札6枚 一手札2枚

伏せ×4 未来融合フィーチャーフュージョン0ターン伏せ4枚

ボコイチ×6DEF デコイチATK 伏せモンスター

ゴブリン突撃部隊ATK2300 ゴブリンエリート部隊ATK

最終突撃部隊 伏せ2枚

A手札4枚 B手札5枚

ブルーな雑魚A&B ライフ8000

 

「俺のターン! ドロー! 俺も未来融合フューチャーフュージョンを起動! デッキから45枚のモンスターを墓地に送ってキメラテック・オーバードラゴンを2ターン後に召喚! 反転召喚! デコイチ! 効果で7枚ドロー! そして、オーバーロードフュージョンを起動! 俺達の墓地とフィールド上の機械族モンスターを融合素材として除外してキメラテック・オーバードラゴンを融合召喚!」

 

 シギャァァァーーー!!!!

 

 俺の怒りを代弁するかのようにキメラテック・オーバードラゴンは猛っていた。(攻撃力800×98=30400)

 

「攻撃力………30400………だと?」

 

「な、何だと?」

 

「スゴいッス。」

 

 キメラテック・オーバードラゴンの攻撃力わ見て何も言えないようだ。だけど、まだまだだ。

 

「キメラテック・オーバードラゴンの効果起動! このカード以外のカードを墓地に送る!」

 

「それに、チェーンでリミッター解除3枚を発動!」

 

 俺の言葉にサポートの為にマナが動いた。

 

「チェーンの処理に入るよ? リミッター解除の効果で機械族モンスターの攻撃力を8倍にするよ。」

 

「こ、攻撃力が243200?」

 

 そして、キメラテックオーバードラゴンの効果で俺達のモンスターは墓地に送られる。

 

「これで終わりだと思うな?手札からハリケーンを起動! すべてのマジックトラップを手札に回収する! それにチェーンしてリミッター解除を3枚起動!」

 

「あ、ああ、」

 

 恐らくは最後の希望を手札に戻されたみたいだ。だが、この程度で終わらす気はない!

 

「カードをセット! 手札からハリケーンを起動! それに、チェーンでリミッター解除を3枚起動!」

 

「ば、バカな! それはさっき使ったハズだ! 何で手札にあんだよ!」

 

「………解釈の問題だ。ハリケーンはフィールド上のマジック、トラップを全て持ち主の手札に戻すんだ。使用済みのマジック、トラップでもね。この効果でセットカードとリミッター解除を手札に戻す。そして、もう一度セットしてからハリケーン、リミッター解除を起動!リミッター解除の効果で攻撃力を8倍にして回収! 最後にリミッター解除を起動! それに、チェーンハーフシャットをゴブリン突撃部隊に起動! ゴブリン突撃部隊の攻撃力は半分になる変わりに戦闘破壊を無効にする!」

 

 リミッターを外され、さらなら力に猛るキメラテック・オーバードラゴン。(攻撃力800×98×8×8×8×8×8=321126400)

 

「バトルフェイズ。キメラテック・オーバードラゴンでゴブリン突撃部隊に攻撃!」

 

 

 キメラテック・オーバードラゴンの火力でエセリートに大ダメージを与えた。(ライフ-321121250)

 

「キメラテック・オーバードラゴンの第2撃!」

 

「ちょ、ちょっと待ってくれ! キメラテック・オーバードラゴンはもう攻撃終了したハズだろ!」

 

「キメラテック・オーバードラゴンは融合素材となったモンスターの枚数分モンスターに対して攻撃出来るんだ。」

 

 その言葉に顔色を青ざめるエセリートA。

 

「キメラテック・オーバードラゴンの攻撃!」

 

 俺の言葉にキメラテック・オーバードラゴンはゴブリン突撃部隊を何度も攻撃する。その超過ダメージがライフを奪っていく。(ライフ-31791395750)

 

「ボク、億を越えるダメージを初めて見たッス。」

 

「私もですわ。」

 

「ば、バカな。俺達エリートが中途半端者ごときに。」

 

「そうやって相手をなめているからだろ?」

 

 そう返してから帽子をバカにした男に近づく。そして、

 

「オラッ!!!!」

 

 男の顔面に俺の拳がめり込んでいた。

 

 

 

SIDE マナ

 

 あちゃー。やっぱこうなっちゃたか。

 

「は、はじめちゃん、どうしちゃったッスか?」

 

 いきなりの一ちゃんの行動に面食らった翔くんが問いかける。

 

「一に帽子の事は鬼門なのよ。口にするとあんな風になっちゃうのよ。って、止めないと!」

 

 既に殴られている方の顔面は血塗れになっていた。そして、一の両手は血に染まっていた。

 

「翔くん! ももえちゃん! 君も手伝って!」

 

『はい!!』

 

 私の言葉に3人は素直に応じて降り下ろそうとしているその右手にしがみついた。

 

「やめるッスよ!」

 

「おやめください!」

 

「止めろ!」

 

 翔くん達の必死の訴えも一には届かなかったらしい。

 

「邪魔だー!!!!」

 

 怒鳴り散らしながら強引に振りほどく。さらに殴ろうと振りかぶった所で、私が抱き止めた。

 

「もう、やめようよ!一のそんな姿なんてみたくないよ!」

 

 振り払おうとしてところに私の必死の叫びに一瞬硬直して、その隙に皆で抱きしめた。



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デュエル15 皆の想い

このお話を読んでくださる皆様ありがとうございます。


「斉藤君。私の言いたいことはわかりますか?」

 

「はい。」

 

 俺のその言葉に校長先生は満足そうに頷いた。

 

「それでしたら、1週間の謹慎処分。ジャッジメントの仕事も休養してください。」

 

 その言葉に俺は頭を下げて退室した。

 

 

 

 やっちゃったな。俺は自室のベットの上に寝そべりながらそう思った。はっきり言って、俺は帽子に関しては沸点が限りなく低い。ホントにマナ達には感謝だな。それと、鮫島校長先生にもだな。クロノスがカンカンで退学にすべきだとわめいていたらしい。それをなだめてくれたんだからほんとに感謝だ。

 

 

 

 次の日の夕方ごろになり、扉をノックする音が聞こえた。

 

「斉藤君? 原です。今日の授業内容のノートを持ってきました。」

 

「サンキューな原。開いてるから入ってくれ。」

 

 その言葉に扉が開かれ、原が入ってきた。

 

「わざわざすまないな。ゆっくりしていけ。」

 

 湯呑に茶を注いで、原に差し出して、授業内容を書きまとめたノートを受け取った。几帳面な性格らしくきっちりわかりやすくまとめてある。

 

「斉藤君。その帽子には何があるんですか?」

 

 ピタッ。

 

 その一言に硬直してしまった。

 

「原。何でそんなことを聞くんだ?」

 

「私はその場にいたわけではありませんから、わかりませんが翔君や浜口さんの話では、相手をなぐり殺してそうな勢いだそうでした。」

 

 実際、相手の顔を殴打しまくって血まみれになってたしな。幸い失明とかはなかったけど、鼻骨骨折してたみたいだし。

 

「斉藤君が何も理由なくそんなことをしそうに見えないから聞きたいんです。」

 

 その言葉に難しい顔をして黙考する。

 

「………わかった。原には、ノート《恩》があるし。この帽子にはな、『大切な人との思い出』が詰まっているんだ。」

 

 その答えに原は何故か不安そうに問いかけた。

 

「そ、その人ってもしかして、」

 

 

 

SIDE 翔

 

「はあ。」

 

 僕は重いため息をついていた。そのまま、空き席を眺めていた。

 

「どうなさられたのですか?翔さん?」

 

 不安気に僕を見つめてくる浜口さん。

 

「………うん。僕は無力なんだなと思っちゃってさ。」

 

 実際、昨日は無理矢理カードを奪われそうだったし、はじめちゃんの暴走も止めることができなかった。

 

「そうでもないですわ。翔君のおかげで私はカードを奪われずに済みましたし、ケガもせずに済みました。ありがとうございます。」

 

「でも、それは僕が身代わりになった結果だよ。」

 

「確かにそうです。デュエルの腕や体は弱いかもしれません。でも、その心は決して弱くはありません。自分がけがするのに勇気を踏み出して私を庇ってくださいました翔君は強いです。それでも、納得できないのなら、私が支えますから、翔君は私を支えてください。」

 

 浜口さんは潤んだ様な熱っぽい目で僕をじっと見つめてくる。そして、次の瞬間クロノス先生も含めてみんなが砂糖まみれで倒れていることに気付いた。

 

 

 

SIDE 雪乃

 

 私は一と委員長の話を聞いて胸が張り裂けそうな想いだった。

 

「俺にはその人との思い出があるから、この帽子を手離せない。」

 

 一が帽子を手離すまでは、誰も勝てないだろうな。そうは思っても、あきらめる気はかけらもなかった。

 

「我ながら、難儀な恋をしているわね。」

 

 その言葉は誰もいない廊下に響くのみだった。

 

 

 

SIDE 一

 

「昇格試験前に呼び出して申し訳ありません。」

 

「いえ。それは構いませんけど、呼び出しはなんでしょうか?」

 

 わざわざ頭を下げて謝罪する校長先生にこちらはそれを否定してから問いかける。

 

「サイバー流のカードの筈のキメラテックオーバードラゴン。それを何故あなた方が持ってるのでしょうか?」

 

 やっぱきたか。サイバー流のカードだからいずれ来るだろう問いだから、幾分余裕を持って答えた。

 

「サイバー流のカードとはいえ、作るのは、インダストイリュージョン社。で、俺の保護者がそこのペガサス会長です。その関係で特別に2枚作ってもらい1枚をマナに渡しました。………問題だったでしょうか?」

 

 俺のその問いに校長先生は首を振って否定した。

 

「いえ。確かに、キメラテックオーバードラゴンはサイバー流の禁じ手ですが、サイバー流ではないあなた達にそれを封印する理由はありません。試験を頑張ってください。」

 

 その言葉に頭を下げて退室した。



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デュエル16 温泉と誤解

このお話を読んでくださる皆様ありがとうございます。
このお話には一部過激なシーンがございます。その辺はお気を付け願います。


「………。」

 

「お~い。マナ。何が原因かは知らんが機嫌直せ。」

 

 俺の言葉に不機嫌なのは治らず、されど、俺の左手を抱き締めようとする手は緩めず。こんな様子である。

 

「ウフフ♪ 気にしないの♪ 女には複雑な時があるの。」

 

 そう言ってる雪乃は俺の右手を抱きしめているその柔らかな膨らみが肘の辺りに当たっててすごくドキドキするんだが。

 

「それより、一? 向こうについたら良いことをしない?」

 

 と雪乃が囁いた瞬間、周囲の男達と明日香と原の殺気が強くなった。

 

 アメリカでペガサス会長や月光や夜光達と過ごす正月も楽しかったがデュエルアカデミアに行く少し前になり、約束通り明日香と原と雪乃で温泉に浸かりに行くのだが、何故かマナは不機嫌になってしまったのだ。

 

「良いことって、何だよ? それにさっきからあたってるんだけど?」

 

 その言葉に雪乃はポッと顔を赤らめて答えた。

 

「アラ? うら若き乙女にそんなはしたない言葉を言わせる気なの? 罪な男ね? それに、あたってるんじゃなくてあててるのよ。」

 

「一!! ダメだからね!!」

 

「アラ? 他人のあなたがそんな事を口に出せないと思うけど?」

 

 マナがお冠で俺に言うのだが、雪乃はそんなことを気にする気配を見せない。

 

「………。」

 

 雪乃のその言葉にマナはますます不機嫌になった。

 

「お~い。マナ。何が原因か知らないが機嫌直せ。マナは怒った顔より笑った顔の方が可愛くて魅力的だぞ?」

 

 ボヒュッ!! 俺のその言葉にマナは湯気を吐いて首筋まで真っ赤になる。ヤバッ。何か怒らせちゃったかな?

 

「ハァ、一。あなたはワザとやってるの?」

 

 ? 意味が良くわからない。

 

「………そう? 天然のたらしなのね?」

 

 そんな良くわからない会話をしながら予約した宿に向かう。

 

 

 

「………。」

 

 俺は今日、泊まる部屋を見て、頬がひきつっていた。予想よりも広い部屋なのは、別に良い。畳の部屋にケチをつける気だってない。窓の外の山々が並ぶ雄大な光景にだってケチはつけられないだろう。問題は、

 

「なんでこの部屋に5人で泊まらなきゃいけないんですか?」

 

 俺は『男が一人女が4人で来ますので部屋は二つお願いします。』とそう伝えたのだが、手違いで一部屋になった上、急な宿泊客のせいで満室の為部屋を余分に取れないらしい。申し訳なさそうに頭を下げる女将さんに文句も言えず、結局そのまま宿泊となった。

 

「別にいいか。その気になりゃ、野宿すれば………。」

 

『却下。』

 

 俺の提案に皆が即答で否定した。というか最後まで言わせてくれ。

 

「却下よ。せっかく宿をとったんだし、野宿なんかしたら疲れるだけよ?それより、一緒にお風呂に入らない?」

 

 ピッタリと体を密着させる雪乃。その体の温かさと柔らかさを感じてすごく、ドキドキしている。おまけに甘い香りがそれを助長している。

 

「お、俺は温泉つかりたいし、風呂に入って来るな!」

 

 俺は雪乃の拘束を抜け出して部屋の入り口まで逃げ出すと、一気にその場を離脱した。

 

 

 

「ふぅ。」

 

 温泉につかり、その熱さをじっくりと味わってると、

 

ガラガラッ。

 

という音と共にドアが開かれた宿泊客の誰かだろうと視線を向けたところで、

 

「ブウゥッ!!」

 

 と盛大に噴いてしまった。何故なら、その人物はバスタオルを巻いただけの雪乃だからだ。

 

「Yukino! What do you happen!(雪乃!何があったの!)」

 

「だから、落ち着きなさい。」

 

 何故かバレたし。とりあえず、深呼吸して落ち着かせて問いかける。

 

「何故、雪乃が入って来る?ここは男湯のハズだろ?」

 

「その様子じゃ完璧に忘れてるみたいね。ここは混浴よ?」

 

 ………あぁ。そういえばそんな事を女将さんが言ってたな。男湯と女湯の壁が壊れていて、混浴になってるって。

 

 いつの間にか近寄って来た雪乃が風呂に浸かろうとしていた。って、

 

「あ、あのな、雪乃。」

 

「何かしら?」

 

 俺の言葉に雪乃は可愛らしく首を傾げた。

 

「こういうことは好きな人にすべきだと一は至極全うな正論を述べてみます。」

 

「へ?」

 

 俺の正論に一瞬硬直する雪乃。よかった。俺の言葉に落ち着いてくれたか?そんなことを思ってたら雪乃から質問が来た。

 

「ねぇ。一? 私が好きでもない人にこんなことをするように見えるわけかしら?」

 

「はい。」

 

 決して間違ってないはずだ。俺と雪乃はこんなことをするような関係じゃないし。その即答に雪乃はちっとも目が笑っていない笑みを浮かべた。

 

「へぇ♪ 一はそんな勘違いしていたんだ♪」

 

 そう笑う雪乃は胸の所に手をあてて一気にバスタオルを外した。風呂に入るのに着衣を着て入る人はいない。つまり、

雪乃は全裸なのだ。

 

「ッ!!!!!!」

 

 雪乃の裸を見た衝撃で思わず硬直していると雪乃は俺にまたがり、自身の豊かな谷間に俺の顔を押し付けようとする。

 

「ゴクッ。」

 

 近づいてくる自己主張の激しい双子の山を凝視して生唾を飲み込むと、

 

「ス・ケ・ベ♪」

 

 からかう様に笑う雪乃の言葉に俺は我に帰る。

いくらなんでも好きでもない人同士でこんなことをするべきではない!雪乃の為にも俺の為にもならない!

 

「フン!」

 

 強引に振りほどくと一目散に駆け寄った引き戸を一気に開けた。

 

 俺は不思議だった。開ける前に確認すべきだということを思い付かなかったことに。

俺が開けた引き戸は雪乃が入ってきた引き戸だ。そして、中に誰がいるかを確認すべきであった。

 

 男子側と変わらない部屋と、バスタオルを取ろうとする原にバスタオルを体に巻き付けようとする明日香に下着まで脱いだマナ。その3人がこちらを見ていた。

 

「わ、悪い!」

 

 思わず叫んで反転した所で、

 

 ツルッ!!

 

「ウワッ!」

 

「キャッ!」

 

 足を滑らせ、目の前にいた雪乃を巻き込んで倒れてしまった。とっさに雪乃の後頭部に手を滑らせたおかげで手は痛い。しかしながら、その手以外がちっとも痛くないのだ。むしろ温かくて柔らかくて気持ち良いぐらいだ。倒れた時に来る痛みに耐えようと閉ざしていた目を開けるのだが、視界には雪のように白い何かが目の前にあるだけだ。

 

「ウフフ♪ 一はスケベね♪」

 

 すぐ上から来る雪乃の声にこの白い何かが分かった。

 

「一~?」

 

「何やってるのかしら?一~?」

 

「斎藤君。申し開きはありますでしょうか?」

 

 3人に返す暇無く、盛大に鼻血を噴いて、貧血で意識を手放してしまった。

 

 

 

「………おやすみ。」

 

 俺はマナ達に声をかけて目を閉じた。あの後、適切な応急処置のおかげで命拾いした。

広い川の向こう側で会った事もない、前世の父がいたのはビックリしたが。

で、気づいた時、何故か部屋の真ん中で寝ることが決まっていた。

抵抗したのだが、雪乃の

『須藤のボウヤに一にこの体を汚されちゃったと言おうかしら。』

の一言に結局従わざるを得なかった。RRR団の現団長《須藤》なら、そんな情報があっただけで血眼になって俺を探させるだろう。言いがかりで俺を目の敵にしているし。

そんなわけで目を閉じたのだが、睡魔が訪れてくれない。同じ部屋でマナ達と寝ているという事実に緊張して寝ることが出来ない。というか、雪乃に原はいつの間にか、布団を越えて密着しているし。

 

「………ねぇ。一?」

 

「………起きてますか?」

 

 両横から雪乃と原が声をかけられたので瞼を開ける。

 

「………何?」

 

「あのね、実は謹慎中に麗華との話を聞いちゃって、それで、一の心に深いキズがあるんだってことを理解したの。」

 

「でも、私は一君を抱きしめたい。」

 

「たとえ、キズが深くなったとしても、」

 

「その痛みが少しでも癒える事を祈りながら。だって、」

 

 二人は変わる変わる言ってたのを止め同時に言った。

 

「「私は貴方が大好きだから(です)。」」

 

 そっか。

 

「雪乃。原。俺も二人が大好きだぞ。」

 

 その言葉に二人は笑みを浮かべた。

 

「マナも好きだし、明日香も好きだし、枕田も好きだし、浜口も好きだし、」

 

「え、ちょ、ちょっと。」

 

「十代も好きだし、翔も好きだし、隼人も好きだし、トメさんも好きだし、校長先生も好きだよ。」

 

「一君。勘違いを、」

 

「でも、嬉しいな♪ ただの友達にもそんな風に大事に想ってくれるなんて♪」

 

 感謝の意味を含めた言葉に何故か二人は滝のような涙を流していた。

 

「一。私達は貴方の事を、」

 

「明日も早いだろうから、俺は寝るな。」

 

 そう言って、目を閉じたら先程の会話でリラックスしたのが睡魔に身を委ねる事が出来た。

 

「ア………ス…なのよ。」

 

 俺もアイスは好きだな。その言葉を思いながら寝てしまった。

 

 

 

SIDE 三沢

 

「………一に友達にもカウントされなかった。」

 

 

 

SIDE 一

 

 宿屋のチェックアウトも済ませ、みんなに配る土産物も購入して駅に向かう途中、

 

「ッ!!!!!!」

 

 

 すれ違った女性の横顔に驚いて、そっちの方向に駈け出していた。だが、そっちの方向に走ってもその女性を見ることができない。

 

「………見間違い…だったのか? …あいつがここにいるわけないもんな…。」

 

 無理矢理に納得させて、お冠のマナ達と合流した。

 

 

 

SIDE ???

 

「一は元気でやってるみたいだね。」

 

 ボクは4人の美少女達に囲まれている一を愉快そうに眺めていた。あの顔がどんな風になるかと思うとワクワクするよ。

 

「ちゃんと潰してあげるから待っててよ?

『裏切り者』。」



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デュエル17  青春?テニスデュエル

感想いただきました、フェイト.様、レヴィ様、並びにこのお話を読んでくださる皆様ありがとうございます。


 ………皆様。ここはデュエルの為の学校です。そう。デュエルの為のとはいえ、ここは『学校』であり、デュエル以外にも必須科目の授業目があります。さて、教室の外に出て何の授業をしているでしょうか?

 

 答えは体育の授業です。………だけど、これを授業と認めて良いのか?

 

「よっ、と!」

 

 自分のコート内に落ちたボールを打ち返す。そのボールを枕田が打ち返す。

 

 そう。今やってるのはテニスだ。それも、俺と十代、枕田と浜口のダブルステニスだ。デュエルと何の関係が? ………楽しいからいいけど。

 

「はっ!」

 

 枕田が打ち返したボールを勢いを付けて打ち返す。

 

「くっ!」

 

 流石に打ち返せなかったのか、高く打ち上げるボールになってしまった。それを逃す十代じゃない。

 

「いっけぇー!」

 

 十代のスマッシュがコート内に突き刺さり、

 

「オロ?」

 

 なんとイレギュラーバウンドを起こして、明後日の方向に飛んでいった。…あ。小石が落ちてる。

 

 で、イレギュラーバウンドしたボールの跳ねた先は!

 

「避けろ!! 明日香!!」

 

 俺の叫びに明日香がこちらを振り向き、避けるより早く、飛び込んできた人物が打ち返す。………で、そのボールの行く先は、

 

「雪乃!! 危ない!!」

 

 俺の叫びにこちらを振り向く。ってボールに全然、気づいてない!

 

 チイッと舌打ちして雪乃を押し倒そうとする。距離が近いこともあってそれは成功して

 

 

 

「ん!」

 

 その勢いのまま、雪乃の唇を塞いでしまった。それと、右手に感じる温かくてマシュマロのような柔らかい物。それの正体を知りたくて力を入れた途端、

 

「ん!」

 

 強めに握ってみた途端、ビクンと反応した雪乃にその正体に気づいた。

 

「わ、悪い!」

 

 慌てながら、雪乃の胸から手をはなす。

 

「フフフ。我慢出来ず襲いかかるなんて悪い子。」

 

 そう言って、妖艶に笑う雪乃。

 

 ゾクッ!

 

 突如背筋が震えるような悪寒に身をすくませる。そのまま、屈伸などで軽い準備体操を始める。そして、

 

「「はじめ?」」

 

「一くん?」

 

 明日香とマナと原の言葉を聞きながら全力疾走する。

 

 畜生! どうしてこうなった! 明日香とマナと原、そして、RRR団を背にしながら叫んでいた。

 

「不幸っだーー!!!!」

 

 ○ ○ ○

 

 俺は十代に頼まれテニスコートを見ていた。打球を顔面強打させた罰として1日体験入部させられた。まぁ、十代の打球がイレギュラーバウンドを起こさなければクロノスに当たらなかったという見方もあるからな。で、十代に頼まれ見学していたのだがこの部長、暑苦しくてうざい。そして休憩に入ったとき、明日香が十代のそばに近づく。なんか良くわからないが、二人きりにさせると良くない気がするので俺も近づいて話を聞いた。どうやら、万丈目のことらしいが、話の途中でうざい部長に遮られた。

 

「明日香君!そのドロップアウト達から離れるんだ!君みたいな可憐な少女にはオシリス・レッドのドロップアウトや、ラー・イエローみたいな中途半端な位置にいる人は似合わない!」

 

 ………オシリスは一応遊戯が使っていたカードだし、ラーは神のランクでは最上級なんだけど。

 

「な、なんなんですか?」

 

 突如話しかけられ、戸惑う明日香。

 

「明日香君!そんな男と付き合うのは止めて僕と付き合わないか?」

 

「お断りです。」

 その言葉に視線を十代に向けて、

 

「遊城君!今すぐデュエルだ!勝った方が明日香君のフィアンセだ!」

 

「はぁ?」

 

 テニス部部長の言葉に戸惑う十代。でも、彼は一度売られたデュエルは買うタイプなので、

 

「「決闘(デュエル)!!」」

 

 

 

 そして、

 

「バトルフェイズ!フェザーマン、オーシャン、エアーマンでダイレクトアタック!」

 

 特筆すべき点も無くアッサリ十代が勝った。せいぜい、最後にフェザーマンとオーシャンでアブソルートZEROを融合召喚、解除してZEROの効果を起動させ、相手の場を全滅、エアーマンを召喚して総攻撃という逆転勝ちをしたのだ。

 

「そ、そんな、僕が負けるなんて。」

 

「アニキの勝ちだ!」

 

「ということは、十代君は、明日香のフィアンセなんだね♪」

 

 翔の言葉にマナは嬉しそうに言う。友達が彼氏作って幸せになるなら喜びもするか。逆に枕田は不機嫌になった。いくら、明日香でも十代がとられそうになったら不機嫌の一つにもなるか。

 

「あのな、それはアイツが勝手にいったことで決めるのは明日香が決める事だろ?」

 

『た、確かに。』

 

 正論だな。十代が言うと違和感バリバリだがな。

 

「それに、明日香の婚約者って、一じゃないのか?」

 

「十代。なんでそうなるんだ?」

 

「そうよ。十代。」

 

 といつのまにか現れた雪乃が口をはさんだ。

 

「一の婚約者は明日香じゃなくて私よ?十代?」

 

「それも違………。」

「何ィっ!!!!」

 

 いきなり復活したテニス部部長が驚きの声をあげた。つうか言いたいことを言わせてくれ。

 

「そうか! 僕はデュエルする相手を間違えていたのか!」

 

「だから、何でそうなる………。」

 

「よし、一君と言ったね? というか、今思い出したけど、君は雪乃君と入浴した上にメイドにさせたり、明日香君やマナ君や麗華君とも付き合っていると噂の斎藤一君じゃないか! 君みたいな女たらしに、3人はふさわしくない! 僕とデュエルだ! 僕が勝ったら3人は僕のフィアンセだ!」

 

 ………頼むから言いたいことを言わせてくれ。というか、結局、アイツは女の子と付き合いだけなんじゃ?

 

「冗談じゃない。断る明日香達は物じゃない。」

 

 俺の言葉にアイツはニヤリと笑う。

 

「あぁ。僕から逃げるんだね?カイザーに勝るとも劣らぬ実力をもつこの僕に。コレはすまなかったね。」

 

 よし、決めた。コイツは徹底的に潰す。というか、バーンデッキでカイザーと勝るとも劣らぬ実力等と大きく出れるのかが不思議だ。

 

「別に良いが1セット3ゲーム先取、途中でデッキの交換有りという条件でやろう。」

 

 

 

「「決闘(デュエル)!!」」

 

『はじめ の ターン です。』

 

「跡形もなく消し飛ばせ! 動く如雷帝の如し(ライトニング ライトニング)! ドロー! モンスターをセット!更に手札を全てセットしてターンエンド!」

 

一 ライフ4000手札0

 

伏せ5枚

伏せモンスター一体

 

「僕のターン! ドロー! 手札からサービスエースを発動! 手札一枚を選んで相手に種類を当てさせる! それが当たったら、そのカードは破壊され、外れた場合は、そのカードを除外して1500のダメージを与える!僕が選ぶのはこのカードだ。さて、なんだと思う?」

 

「マジックカード!」

 

「いいのかい?他の可能性もあるよ?」

 

「こんなのに悩んでも無駄だ。」

 

「残念。モンスターカードだ。除外して君に1500のダメージを与える。」

 

 ウザい部長のフィールドから球が現れ、俺に直撃した。(一ライフ4000-1500=2500)

 

00-15(ラブ―フィフティーン)。カードを1枚セットしてターンえn………。「エンドフェイズに入った瞬間、トラップ起動!」な、何だって!!」

 

「ゴブリンのやりくり上手を3枚!  さらにお邪魔トリオ! そして非常食! チェーン処理するよ? 非常食の効果で、お邪魔トリオとゴブリンのやりくり上手をすべて墓地に送りライフ4000を回復する。そして、お邪魔トリオの効果でトークン3体を召喚する。次にゴブリンのやりくり上手の効果で、墓地にあるやりくり上手の枚数+1枚分、4枚ドローしてから手札を一枚デッキの一番下に置く。」

 

「??? アレ? ゴブリンのやりくり上手を使った時って、はじめちゃんの墓地にはないはずっすよね?」

 

 …翔。不勉強だぞ。この前のテストにも出たじゃないか。

 

「翔。ゴブリンのやりくり上手のカウントは効果処理時に行われるんだ。」

 

「あ! ゴブリンのやりくり上手の前に非常食でゴブリンのやりくり上手の枚数を増やしたからその枚数分ドローできるのか!」

 

 その解説に気付いた十代が叫んだ。まさか、ゴブリンのやりくり上手を3済みしていたとはいえ、その3枚が最初の5枚ドローで来るとは思わなかったよ。

 

「そういうことさ。この3枚をデッキに戻す。」

 

「やるね。ボクはターンエンド!」

一 ライフ6500手札9

 

伏せ5枚

伏せモンスター一体

お邪魔トリオトークン×3DEF1000

伏せ1枚

テニス部部長 ライフ4000手札3

 

「俺のターン! ドロー! お前のフィールドのモンスター一体とお邪魔トリオトークンを生贄に溶岩魔人ラヴァゴーレムを特殊召喚! さらにカードを4枚セットしてターンエンド」

 

一 ライフ6500手札5

 

伏せ4枚

伏せモンスター一体

お邪魔トリオトークン×2DEF1000 溶岩魔人ラヴァゴーレムATK3000

伏せ1枚

テニス部部長 ライフ4000手札3

 

「ボクのターンドロー!」

 

 その言葉にラヴァゴーレムは溶岩を垂れ流しテニス部部長のライフを削った。

 

「ラヴァゴーレムはスタンバイフェイズ時にライフポイント1000ダメージを与える。」

 

「ラヴァゴーレムで伏せモンスターを攻撃!」

 

 ラヴァゴーレムの炎が筋肉質な天使を焼き尽くした。

 

「シャインエンジェルの効果起動! 戦闘破壊された時、デッキから攻撃力1500以下の光属性モンスターを特殊召喚! 俺はオネストを特殊召喚!」

 

「ボクは手札一枚セットしてターンエンド!」

 

一 ライフ6500手札5

 

伏せ4枚

オネストATK

お邪魔トリオトークン×2DEF1000 溶岩魔人ラヴァゴーレムATK3000

伏せ2枚

テニス部部長 ライフ3000手札3

 

「俺のターン! ドロー! リバース起動! 無謀な欲張り×2と、強欲な瓶! 効果により、俺は5枚ドロー! さらに強欲な壺を起動!」

 

 よし、これで一回刺した!

 

「俺はオネストの効果でオネストを回収して、神々の居住ヴァルハラを起動! 効果でオネストを特殊召喚! 特殊召喚をトリガーに地獄の暴走召喚を起動! 効果で俺はオネストを2体特殊召喚する! だけど、お邪魔トリオトークンもラヴァゴーレムもお前のデッキに入ってないんじゃないかな? さらにリバース起動! 最終突撃部隊! 効果で全表側表示モンスターを攻撃表示にする!!」

 

 この効果でフィールド上の全モンスターが攻撃表示になる。

 

「オネストの効果でオネストを回収! ハリケーンを起動して場のカードを手札に戻す! そして、ビクトリーバイパー<rXX03:ダブルエックスゼロスリー>を召喚! パワーカプセル3枚を起動!! ビクトリーバイパーに書かれている効果の一つを起動させる! それにより、オプショントークンを特殊召喚!! さらに団結の力、魔導師の力をラヴァゴーレムに装備! これによりラヴァゴーレムの攻撃力は3000+800×4+500×3=7700になる!」

 

「これだからラー・イエローはダメだね! ボクのモンスターの攻撃力をあげてどうするのさ!」

 

「バトルフェイズ! ビクトリーバイパーXX03でラヴァゴーレムを攻撃!」

 

 俺の言葉に皆が騒然となる。

 

「自爆するつもりかい?」

 

「そんな気はないってのダメージステップ時にリミッター解除を3枚起動!! これにより、ビクトリーバイパーXX03の攻撃力が8倍になり、ラヴァゴーレムの攻撃力が1500分アップして、9200になる! さらにオネストを3枚捨ててラヴァゴーレムの攻撃力分アップする!」

 

ビクトリーバイパーXX03 攻撃力(1200+9200×3)×2×2×2=230400

 

「な、なんでそこまでの攻撃力に?」

 

「チェーンの逆順処理の結果だ。リミッター解除の前にオネストの効果で攻撃力を加算させるんだ。」

 

 リミッターを外された極光がラヴァゴーレムを粉砕した。

 

「未だだ! ビクトリーバイパーXX03が戦闘破壊した時、オプショントークンを射出する! オプショントークンは効果によって特殊召喚したビクトリーバイパーXX03と同じ攻撃力になる!」

 

オプショントークン攻撃力 230400×4

 

「オプショントークンの総攻撃!!あ、お邪魔トークンは破壊されたら、その時のコントローラーのライフに300ポイントのダメージを与える。2体いるから600ポイントだ。」

 

 四体のオプショントークンの総攻撃によってライフが0以下にまで減る。(テニス部部長-1139400)

 

「さて、2戦目にいくよ!」

 

 その言葉に向こうは、墓地と手札をデッキに加えて、シャッフルした。それに対してこちらはデッキを交換した。

 

「「決闘(デュエル)!!」」

 

「ボクのターン! ドロー! ボクはサービスエースを発動! このカードがいいかな。さて何かな?」

 

「マジック!」

 

 テニス部部長の問いに即答で答える。

 

「残念。トラップカードレシーブエースだ。」

 

 その言葉にテニス部部長のフィールドから放たれたボールが俺を直撃した。

 

15-0(フィフティーン―ラブ)。ボクは一枚セットしてターンエンド!」

 

テニス部部長ライフ4000 手札3枚

 

伏せ1枚

モンスター無し

 

一ライフ2500 手札5枚

 

「俺のターン! ドロー! 手札から永続マジック! 魂吸収を起動! これによりカードが除外される度に俺は1枚につき500のライフを得る!更に錬金釜-カオスディスティルを起動! これにより墓地に送られる俺のカードはゲームから取り除かれる! モンスターをセット! カードをセットしてターンエンド!」

 

テニス部部長ライフ4000 手札3枚

 

伏せ1枚

モンスター無し

 

伏せモンスター

錬金釜-カオスディスティル 魂吸収 伏せ2枚

一ライフ2500 手札2枚

 

「ボクのターン! ドロー! 手札からマジックカードサービスエースを発動! この手札は何かな?」

 

「トラップ!」

 

「残念。マジックカードだよ。」

 

 テニス部部長はそう言ってデカラケを除外する。(一ライフ2500-1500+500+500+500+500=2000)

 

テニス部部長は俺のライフが回復したのを見て眉を潜める。

 

「何で君のライフが2000ポイントも回復したんだい?」

 

「サービスエースを起動した時、サイクロンを発動して、カオスディスティルを破壊。それにたいしてチェーン発動でマクロコスモスを起動した。このカードの効果で墓地に行くカードは墓地に行かず除外する。当然、効果処理の終わったサービスエースも除外する。」

 

「く、このままターンエンド!」

 

テニス部部長ライフ4000 手札2枚

 

伏せ1枚

モンスター無し

 

伏せモンスター

マクロコスモス 魂吸収 伏せ

一ライフ2000 手札1枚

 

「俺のターン!ドロー!行くぞ!デュエリスト!デッキの貯蔵は十分か?」

 

 そう言って、手札の魔法カードを起動させた。

 

「手札から封印の黄金櫃を起動! デッキからネクロフェイスを除外して2ターン後にそのネクロフェイスを手札に加える!」

 

 封印の黄金櫃が勝手に開き、ネクロフェイスを抜き取り閉じ込めてしまった。(一ライフ2000+500+500=3000)

 

「あっはっは! 君のライフが1000増えただけじゃないか!」

 

「なぁ、ジュンコ。ひょっとしてアイツ。」

 

「えぇ。確実にネクロフェイスを知らないわね。」

 

「知ってたら、あんな馬鹿げた笑い方出来ないもんね。」

 

「ウフフ♪ あのボウヤがどんな顔になるか見物ね♪」

 

「ネクロフェイスの効果起動!」

 

「………は?」

 

 テニス部部長の笑いが凍った。

 

「ネクロフェイスが除外された時、デッキを上から5枚除外する!」

 

 ネクロフェイスの触手が互いのデッキのカードを巻き添えにしてしまった。って、ありゃ?(一ライフ3000+5000=8000)

 

「さらにネクロフェイスが2枚除外された事によりネクロフェイスの効果起動! 合計10枚除外する! それに、チェーンで異次元からの帰還を起動! 除外された俺のモンスターを特殊召喚する!」

 

 その言葉に俺の場にネクロフェイス2体と神獣王バルバロスが2体現れる。(一ライフ8000÷2=4000異次元からの帰還の発動コスト)

 

「あ、あぁ。」

 

「さらにネクロフェイスの効果でデッキを上から10枚除外する!」

 

 場に現れたネクロフェイスはデッキを上から5枚ずつ除外する。

 

「1枚セットしてターンエンド!」

 

 俺の宣言に異次元からの帰還により召喚されたモンスターは除外される。

 

「あ、あぁ。」

 

「ネクロフェイスが除外された事により、ネクロフェイスの効果起動!」

 

 ネクロフェイスが5枚のカードを巻き添えにしてしまった。

 

「ぼ、ボクのターンドロー!来た!!サイクロンを使ってマクロコスモスを破壊するよ!」

 

「魔宮の賄賂を起動!サイクロンを無効にして破壊する!そして、そっちは1枚ドロー!」

 

「く、ドロー!ターンエンド!」

 

「俺のターン!ドロー!紅蓮魔獣ダ・イーザを召喚!ダイレクトアタック!」

 

 その攻撃をくらいテニス部部長のライフは尽きてしまった。

 

「そ、そんな、ぼ、ボクが、3度も負けるなんて。」

 

 ダ・イーザの攻撃を食らうとテニス部部長は、呆然としていた。

 

「お前、そこにいる並みのオシリス・レッドよりもずっと弱いな。」

 

「うわーーん!!!!」

 

 俺の言葉に号泣しながら、走り去っていくテニス部部長。

 

「ということは、一ちゃんは明日香さん達と婚約者になっちゃうんすか?」

 

 その言葉にマナも明日香も雪乃も頬を薄く紅く染めてとろけるような笑みを浮かべた。

 

「はあ、翔は何言ってるんだ?」

 

「は?」

 

 その言葉に何故か、翔は間の抜けた声を上げた。

 

「あれは、あいつが勝手に言ったことで、フィアンセになるならないは、マナ達が決めることだろ?」

 

「そ、そうっすよね?」

 

 俺の正論に納得は言ってないのか翔が戸惑ったような声を上げた。それを聞きながらも、俺はラー・イエロー寮に戻って行った。

 

 

 

 

 翌日には何故か、俺とマナと明日香と麗華と雪乃が婚約したなどという意味不明のデマが流され、RRR団に、マナや明日香や原や雪乃のファンの男子たちに命を狙われることになった。



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デュエル18 ドロードロードロー

「さて、昼だし飯を………。ありゃ?」

 

 昼飯を食おうと鞄の中を漁って弁当を忘れた事に気づいた。

 

「あ、枕田、浜口も十代達を連れて先に食っててくれ。」

 

「って、アンタはどうするのよ?」

 

「うっかり忘れてきたみたいだ。購買に行ってドローパンでも買ってくる。」

 

「却下です!」

 

 話を聞いていたのか、麗華が割り込んできた。

 

「一君!不健康すぎます!きちんと栄養バランスを考えた食事を取らないといつか倒れます!」

 

「たかが一食………。」

 

「されど一食です!そういう甘えがいけないんです!」

 

 俺の言葉を問答無用で切り捨てる。

 

「で、ですから、」

 

 麗華はそこまで言って言葉を切ると、緊張した面もちで再び口を開いた。

 

「わ、私のご飯分けますからお昼ご一緒しませんか?」

 

「え?良いのか?ありがとな。」

 

「アラ?なら、私からも少し分けてあげるわ。」

 

 話を聞いていたのか、雪乃が割り込んできた。すぐ後ろにマナと明日香もいる。二人とも弁当箱を片手にこちらを伺っている。

 

「麗華のお弁当を食べるのなら、婚約者の私のも分けるわ。」

 

―いつまでそれで人をからかう気なんだ?―

 

 俺がそう問いかけるよりも早く。

 

『なっにぃー!!!!』

 

 と男達の叫びが木霊した。

 

「ふ、藤原さん。そ、それ嘘ですよね?」

 

「本当よ。」

 

 名も知らぬ男が恐る恐る、問いかけるが、雪乃は蕩けるような笑みでデマを流した。

 

「お〜い。雪乃。何デマ流してるんだ?」

 

 ギンッ!!

 

 次の瞬間、男達からこちらを睨み付けてきた。

 

「雪乃だと?俺でさえ許可もらった覚えがないのに!」

 

「アラ?何がデマなのかしら?あ・な・た?」

 

 その言葉に周囲の殺気が強くなった。

 

「雪乃が婚約者になったの所だよ?だって、」

 

 ナイス!マナ!フォローに入ってくれたマナが天使に見える。

 

「「婚約しているのは私となのよ?」」

 

 じゃない!今じゃマナと明日香の背中に悪魔の翼が生えているように見える!

 

 次の瞬間、男達は赤フードを着ていた。

 

『我々は清らかな乙女を守護するRRR団!血の盟約に背いた斎藤一を制裁する!』

 

 その言葉を聞いた瞬間、逃げ出していた。

 

『逃がすな!追え!』

 

『おぉ!』

 

 須藤の命令に唱和して追跡するRRR団。畜生!理不尽だ!俺が一体何をしたと!

 

「不幸っだーーー!!!!」

 

 俺の魂の叫びがデュエルアカデミアに木霊した。

 

 

 

SIDE ???

 

 俺はドロー修行の為に山籠りしているのだがその修行中に倒れている人を見つけた。女のように端整な顔でかぶっている帽子も女物のようだが、ラー・イエローの制服を着ている事から恐らくは男だろう。

 

「君………。だいじょ」

 グゥゥッ!!

 

 彼の腹から鳴る音に彼が空腹だと気づいた。

 

 

SIDE 一

 

「プハァ!美味しかったよ。ありがとう。大山。」

 

 目の前の料理を平らげ、改めて、俺に昼飯をふるまってくれた大山という男に礼を言った。聞いた話によると、この人はデュエルアカデミアの生徒らしいがドローが思うようにいかず、ドロー修行の為に山籠りしていたらしい。そして、修行の一貫として、大量のドローパンの山の中から、黄金の卵パンという1日に一個しかないそのパンを引き当てるということをやっていたらしい。

 

「で、君は何故あそこで?」

 

「知り合いの娘が俺とその娘を含む4人と婚約しているというデマを使って俺をからかっていたんだが、それを聞いた連中が真に受けて、理不尽に制裁しようとしたんだ。で、逃げている途中で食いっぱぐれてガス欠で倒れたんだ。」

 

「………うん。まず君の場合はその鈍感なとこから治そうか?」

 

 頭が痛いかのように軽くおでこを揉みほぐした大山は意味不明な忠告した。というか、俺は別に鈍感じゃないんだけど?

 

「まぁいい。この山籠りの結果を見ていってくれ!」

 

 

 

『決闘《デュエル!》』

 

『対戦相手 の ターン です。』

 

「先攻は大山からだ!」

 

「俺のターン!ドロー!ドローラーを召喚!効果により!手札をすべてデッキに戻して攻撃力を2500にする!ターンエンド!」

 

大山ライフ4000 手札0

 

ドローラーATK2500

 

「俺のターン!ドロー!手札から凡骨の意地を起動!サファイアドラゴンを攻撃表示で召喚!カードを1枚セットしてターンエンド!」

 

大山ライフ4000 手札0

 

ドローラーATK2500

サファイアドラゴンATK1900

凡骨の意地 伏せ1枚

斎藤一ライフ4000 手札3枚

 

「俺のターン!」

 

 そう言って、大山はデッキの一番上のカードに指を引っ掻けるようなポーズで目を閉じる。

 

「………!!バーサークゴリラを召喚!バーサークゴリラで攻撃!」

 

 バーサークゴリラはいきり立ってサファイアドラゴンに襲いかかるが、その直前に雷がサファイアドラゴンに直撃した。

 

「リバース起動!ジャスティスブレイク!効果により攻撃表示の通常モンスター以外のモンスターを全て破壊する!」

 

 サファイアドラゴンの雷を纏ったブレスを直撃してバーサークゴリラとドローラーを破壊された。

 

「な!ターンエンド!」

 

大山ライフ4000 手札0

 

 

サファイアドラゴンATK1900

凡骨の意地

斎藤一ライフ4000 手札3枚

 

「俺のターン!ドロー!」

 

 真紅眼の黒竜!これで残りは後、3枚!しかもこのカードは、

 

「凡骨の意地の効果起動!ドローフェイズにドローしたカードが通常モンスターの場合、そのカードを見せる事でもう1枚ドロー出来る!俺のドローしたカードはこいつだ!真紅眼の黒竜!通常モンスターにより1枚ドロー!」

 

 ダイヤモンドドラゴン!これも通常モンスターだ!残り2枚!

 

「ダイヤモンドドラゴンも通常モンスターにより、追加ドロー!エメラルドドラゴン!追加ドロー!」

 

 ッ!!コイツは!

 

「手札から融合を起動!フィールドのサファイアドラゴン、真紅眼の黒竜2体と、ダイヤモンドドラゴン、エメラルドドラゴンを融合!(ファイブ)(ゴッド)(ドラゴン)を融合召喚!」

 俺の場に5本の首をもったドラゴンが姿を現した。

 

「な!何!」

 

「F・G・Dのダイレクトアタック!」

 

 F・G・Dは5本のブレスを大山に浴びせた。

 

「ぐはぁ!お、俺が負けた?」

 

「大山。アンタのドローの修行は大したものだと思う。だけどさ致命的に足りないものがある。それは戦略だ。」

 

 俺の言葉を大山は静かに聞いていた。

 

「最初にドローラーを召喚して手札を0にしたよな?運任せとは聞こえは良いかも知れないが、ただの無謀だ。手札が減るのはそれだけ取れる戦略が減るだけだ。」

 

「………なら、どうすれば良いのだ?どうすれば強くなれるのだ?」

 

「デュエルにあがけば、紳士にデュエルに挑めば、それだけ、自分の可能性が見えてくる。あ、後、ドローパンさ、今度からちゃんと営業中に買いに行けよ?代金を置いて行ったとしてもただの窃盗だからな?」

 

 俺はそう言って、山を降りていった。?はて?なんか忘れているような?ラー・イエロー寮に戻った時、

 

ガシッ

 

 両肩を捕まえられる感触と、

 

「ハァ〜イ♪」

 

 の太い声で嬉しそうに笑う須藤の顔に何故あそこにいたのかを思い出した。強引にその手を振りほどいて全力で駆け出した。

 

「不幸っだーーー!!!!」

 

 本日2度目となる俺の叫びが夕焼けの空に木霊した。



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デュエル19 遊戯デッキ

感想いただきました、千~葉様並びにこのお話を読んでくださる皆様ありがとうございます。

今回一部少々過激なシーンがございます。お気を付け願います。


「ハイ。皆。」

 

 俺はマナ、雪乃、明日香、麗華に俺手作りの弁当を渡した。

 

「どうしたの?」

 

「いつも世話になっている礼で作って見たけど、どうかな?」

 

 

 

 見晴らしのいい所まで来て、ビニールシートを敷いてその上に弁当箱を並べた。その中に敷き詰められた料理を4人が食べているのだか、

 

「うん♪ 一の料理って、美味しいよね♪」

 

 と嬉々と俺の弁当を平らげているのはマナだけで後の3人は気難しい表情で俺の弁当を見つめていた。その箸も進んでいる様子を見せない。

 

「悪い。3人には口に合わなかったか?」

 

「ううん。すごく、美味しいわよ。」

 

「ただ………。」

 

「だからこそ、落ち込むと言うべきでしょうか?」

 

??? 良くわからないが、乙女心というものもなかなか複雑らしい。

 

「そういえば、一は知ってる? 明日、武藤遊戯さんのデッキが公開されるって話?」

 

 そういえば、そんな話もあったな。

 

「デッキの公開の整理券が配られるのって今日の放課後なんだけど、」

 

『もし、手に入ったら、一緒に見に行きませんか?』

 

 マナを除く3人が同時に言うのだが。

 

「悪い。却下。遊戯とデュエル出来るなら、行ってたけどさ、デッキを見れるだけじゃあ………。」

 

「そうですが。残念です。」

 

 俺の答えに寂しそうにシュンとする麗華。なんか申し訳ない気分に。

 

「悪いな。それに………。」

 

「ちょっと、待ちなさい。あなたひょっとして遊戯さんに会ったことがあるんじゃないかしら?」

 

 俺の言葉を遮って雪乃が問いかける。

 

「あるよ。デュエルしたことだってあるし。」

 

 その答えに麗華と明日香が硬直している。

 

「な、なんで一と遊戯さんがデュエルしたことがあるの?」

 

「ペガサス会長が俺の養父でその縁でデュエルさせてもらったんた。」

 

 その答えにマナ以外の皆がすごくビックリしていた。

 

「あ、それじゃあ、私に料理を教えてくれないかしら?」

 

 代案を思いついたよつに雪乃が言い出した。

 

「別に良いけど。」

 

「(ウフフ♪ 二人きりで一に手取り足取りで料理を教えてもらうのも良いわね♪)じゃあ、明日は休日だし泊まり込みで教えてもらいたいわ♪」

 

 かなり不味くないか?ただでさえ、俺と雪乃達が婚約している等と言うデマが流れている所にお泊まり何てしてみろ。どんな誤解をかきたてられるか想像するのさえ怖いんだけど。そう反論するより早く、

 

「じゃあ、私にも料理を教えてもらいたいわ。」

 

「わ、私にも教えてください!」

 

 何故か泊まり込みで料理教室が決定している上、明日香と麗華も参加が決定してしまった。

 

「それで、悪いんだけど一。私と麗華はあなたの部屋でやりたいことがあるからカギを借りていい?」

 

 良くはわからないが明日香にカギを貸してこの場は解散になった。

 

 ○ ○ ○

 

「結局なんだろな? 明日香達がやりたい事って?」

 

「さぁ。わからないわね。放課後の配布の時は普通に参加していたからそれほど手間のかかる事じゃないと思うけど。」

 

「わからないよね?」

 

 俺の呟きに雪乃もマナも首をかしげていた。その間に俺の部屋についたのでノックしてから中にいるはずの二人に声をかけた。

 

「明日香? 麗華? 入るよ?」

 

 そう言って、中に入る俺達を出迎えた二人の格好を見て俺は盛大に鼻血を噴いてしまった。エプロン1枚きり。分かりやすく言うと裸エプロンだ。スタイルの良い二人がやると凶悪に似合う。

「裸エプロンなんてやるわね。明日香と麗華?負けてられないわ。浴室を借りるわね?」

 

「私も着替えるね?」

 

 雪乃とマナはエプロン片手に浴室へ向かう。マズイ! 非常にマズイ! こんなのを須藤に知られてみろ!間違いなく異端審問とやらを仕掛けるに決まっている。

 

「あのな、雪乃。マナ。」

 

「何かしら?」

 

 俺の言葉に可愛らしく首を傾げる。

 

「そんな格好は風邪をひく上に恋人の前ですべきだ、と一は一で至極全うな正論で………。」

 

 パタン。ガチャ。

 

「二人に止めて欲しいとお願いしてみたり………?」

 

 いつの間にか、二人がいなくなっている。

 

「あ、あれ? 雪乃とマナは?」

 

「二人なら浴室に行きましたよ?」

 

 慌てて、ドアノブを回すが、内側からカギをかけられたらしい。

 

「NOOOOOOOOOOOO!!!!」

 

 思わずペガサスばりのオーバーリアクションで叫んでしまった。

 少ししてマナと雪乃が出てきた。素肌の上にエプロンかけた格好で。男としてはうれしい。この格好は好きだし。だか、何故だろうすごく嬉しくない。こんな状況を誰かに見られでもしてみろ。確実に誤解されるじゃないか。まったく皆。何で俺をからかう「入るぞ。斎藤。」のが大好きなんだ………か………?

 

「斎藤今から、遊戯さんのデッキを見にい…か…ない…か………?」

 

 ヤバイ名前も知らないラー・イエローの生徒が俺達を見て固まった。マズイ!完璧に誤解している!

 

「あ、あのさこの事だけどさ、」

 

 俺が言い終えるよりも前にその人は任せろとばかりにグッと親指を立てた。頼りになるな。

 

「RRR団、団長須藤か! こちら、RRR団イエロー支部長の三沢大地だ!」

 

 ならねえよ! 畜生!

 

「須藤! 斎藤一が「言わせるか!」グェッ!!」

 

 三沢が何かを言うより早く彼の首を閉めて落とした。

 

「どうした! 三沢支部長! 応答せよ!」

 

 焦る須藤だが、このまま通話を切れば「大した事じゃないわ。三沢のボウヤは私が裸エプロンで一の部屋にいたことにビックリしただけよ?」OKだ。後で詰め寄られたとしても誤魔化せばよし。じゃあ、早速通話を?何故か通話が切られていた。まぁ、いいか。須藤は何も知らないはずだし。

そう思って料理教室を始めたのだが、

 

「異端者斎藤一!」

 

 そう叫ぶ赤フード達。しっかりカギをかけたのだがピッキングかなにかで開けられたらしい。

 

「これより異端者斎藤一の処刑を開始する!」

 

 その叫びに窓から飛び降りる。どうやら、その行動は読まれていたらしく、赤フードが立ちふさがる。それもうまくすり抜けて包囲網の外に逃げる俺とその追跡者。畜生!俺がいったい何をした!というかこっちは被害者だぞ!畜生!

 

「不幸っだーーー!!!!」

 

 俺の叫びが夜の虚空《空》に虚しく響き渡った。

 

 

 

SIDE ???

 

 俺はたった今手に入れたデッキを見て興奮していた。このデッキはデュエルキングとも言われている武藤遊戯のデッキだ。これを手に入れた以上誰にも負けない!

 

「俺は最強なんだ!カイザーよりも!」

 

 しかし、次の瞬間、

 

「うるっせぇぇ!!!!」

 

 俺と同じラー・イエローの生徒が飛び込んで男の急所に蹴りをかましてくれた。激痛に耐えながら、潰れてないことを必死に祈っていた。

 

 

 

SIDE 一

 

 俺はバカ笑いしていた男に蹴りをかまして怒鳴った。

 

「てめえがバカ笑いしていたおかげで俺が見つかったらどう責任とってくれるんだ!」

 

「イヤ、あの、すみません。」

 

 俺の叫びにラー・イエローの生徒が謝罪した。

 

「お前神楽坂じゃん。」

 

高い記憶力のせいで作るデッキが誰かのコピーデッキになってしまい伸び悩んでいる生徒だ。そして、そのそばにはブラックマジシャンやブラックマジシャンガールのカード、その他にも遊戯が使っているカードが散らばっている。ということは原作通りデッキを盗んできたらしいな。

 

「神楽坂。お前そのデッキ。」

 

「ふ。バレては仕方ない。その通り、俺は展示場に置いてあった武藤遊戯のデッキを手に入れた!」

 

「そのデッキをこちらに渡せ。これは立派な窃盗だ。」

 

「断る!コレで最強になれるんだ!」

 

「人のデッキを盗んだだけで最強か。随分安い最強なんだな。」

 

 俺はそう言って、デュエルディスクにデッキをセットする。オートシャッフル機能によりデッキがシャッフルされる。

 

「なら、俺とデュエルしてもらうぞ! 最強のデュエルキングのデッキを特に味わえ!」

 

(マナ!カードに戻って待機してて!)

 

 俺の思念()にマナがデッキに戻って来た気がする。

 

決闘(デュエル)!!』

 

『対戦相手の ターン です。』

 

「俺のターン! ドロー! 手札から融合を発動! 幻獣王ガゼルとバフォメットを融合して、有翼幻獣キマイラを融合召喚!ターンエンド!」

 

偽キングライフ4000

手札3枚

 

有翼幻獣キマイラATK2100

 

「俺のターン! ドロー! 俺はカードを1枚セットする! そして、ヂェミナイエルフを召喚! バトルフェイズ!ヂェミナイエルフでキマイラを攻撃! その瞬間、速攻魔法突進を起動! ヂェミナイエルフの攻撃力をエンドフェイズまで700アップされる!」

 

 キマイラが反撃しようとするが、その前にヂェミナイエルフの突進で破壊された。(神楽坂4000-1900-700+2100=3500)

 

「効果でバフォメットを守備表示で召喚!」

 

「カードを1枚セットしてターンエンド!」

 

偽キングライフ3500

手札3枚

 

バフォメットDEF

ヂェミナイエルフATK1900

伏せ2枚

一ライフ4000手札2枚

 

「俺のターン! ドロー!手札から死者転生を発動! 手札1枚を墓地に送って墓地にいる幻獣王ガゼルを手札に加えて守備表示で召喚! カードをセットしてターンエンド!」

 

 

偽キングライフ3500

手札1枚

伏せ1枚

バフォメットDEF 幻獣王ガゼルDEF

ヂェミナイエルフATK1900

伏せ2枚

一ライフ4000手札2枚

 

「俺のターン! ドロー! 天使の施しを起動! 3枚ドローして2枚捨てる! そして、ヂェミナイエルフを攻撃表示で召喚!」

 

「かかったな! 罠カード黒魔族復活の棺を発動! 相手のモンスターが召喚された時、そのモンスターと自分フィールドのカードを生け贄に捧げ墓地より我が最強の僕を召喚!」

 

 2体目のヂェミナイエルフと幻獣王ガゼルは棺に吸い込まれた。

 

「やっぱり、死者転生の時にコストで捨ててたんだな?」

 

「その通りだ!! 出でよブラック…マジシャン………?」

 

 棺の中から現れたマハードは俺の場にいる棺に吸い込まれた。マハードはそれを安堵の表情で受け入れた。

 

「神楽坂が場にブラックマジシャンを召喚した時、俺も黒魔族復活の棺を起動させたんだ。効果によりブラックマジシャンとヂェミナイエルフを生け贄に俺も魔法使いを召喚!」

 

「だ、だが、お前の墓地にはヂェミナイエルフしかいないはずだ!」

 

 何言ってるんだか同じことしたのにさ。

 

「天使の施しを起動した時に捨ててたんだ。来い! ブラックマジシャンガール!」

 

 俺の場にイラスト通りの可愛らしい服を来たマナが現れる。

 

「ウフッ♪」

 

 マナがウィンクすりと神楽坂は驚愕しながらも頬を赤く染めた。

 

「手札から賢者の宝石を起動! 効果により2体目のブラックマジシャンを特殊召喚! さらに早すぎた埋葬を起動!ライフコスト800支いヂェミナイエルフを攻撃表示で召喚! 最後に千本ナイフを起動! 効果によりバフォメットを破壊する!」

 

 マハードが投げたナイフが千本に分裂してバフォメットを破壊した。

 

「ッ!!な、何でブラックマジシャンガールの攻撃力が300アップしているんだ?」

 

 デュエルディスクで攻撃力を確認したのか神楽坂は驚きの声を上げた。

 

「天使の施しの時にブラックマジシャンガールといっしょに1枚目のブラックマジシャンを捨てていたんだ。バトルフェイズ!ブラックマジシャンでダイレクトアタック!ブラックマジック!」

 

「ダメージ計算時にクリボーを捨ててダメージを0にする。」

 

 神楽坂が捨てたクリボーがダメージを無効にした。

 

「残りの2体でダイレクトアタック! ブラック・バーニング!」

 

 残りの2体の攻撃が神楽坂のライフを0にした。

 

「クソォ! 俺は何故勝てない! 最強のデュエルキングのデッキを手に入れてさえ!」

 

「当たり前だ。デッキは自分があれを入れるべきかこれを入れるべきか苦心して作るものだ。人から盗んだデッキじゃ答えてくれないよ。」

 

「ではどうすれば良いんだ!コピーデッキになってしまう俺ではどうすれば良いんだ!」

 

「コピーデッキだとしても、そのデッキを回してみて気づいたことはあるはずだ。それを軸にデッキを改造するのもありだぞ?」

 

「出来るのか? 俺に?」

 

 俯いたまま神楽坂が問いかける。

 

「やれるやれないじゃなくやって見せるだろ?」 

 

 神楽坂の問いに俺はそう返す。そこに

 

パチパチ

 

「え?」

 

 拍手の音が聞こえたので見てみたらカイザーが拍手していた。

 

「見事だった。武藤遊戯のデッキが盗まれたと聞いて探していたのだが、見つけて止めようかと思ったのだが、見事なデュエルだったのでな。」

 

 それで放置して良いのか?それより、

 

「アンタは丸藤亮で良いんだよな?」

 

「そういえば、お互いに自己紹介はまだだったな。丸藤亮だ。弟が世話になっている。」

 

「いえ。こちらも弟さんにはご迷惑をかけてます。それよりデュエルのことは内緒にしていただけると幸いなんですけど。」

 

「なるほど。知られたとき寄越せとうるさい輩も出てくるわけか。」

 

 さすが、カイザー。話が早くて助かる。

 

「だが、遅いようだ。」

 

 その言葉に辺りを見回すと、デュエルアカデミアの生徒先生全員がそこにいた。

 

「神楽坂君。窃盗は良くないですがあそこまでデッキを回せた事を、評して多目に見ましょう。」

 

「無理だな。」

 

 鮫島校長の発言を却下すると鮫島校長は不思議そうに問いかける。

 

「俺一人が知っているなら、誤魔化すのも出来たが、これだけ大勢に知られたんだ。それを処罰なしに済ますとデュエルアカデミアはデュエルの実力さえあれば犯罪も許される。そんな風に誤解されたら、デュエルアカデミアの為にならないし、神楽坂の為にもならない。ここは厳しい目で公平に裁くべきです。ですが、」

 

 俺はそこで一旦言葉を切って笑みを浮かべた。

 

「初犯ですし、神楽坂は反省もしてます。何より、デュエルアカデミアの生徒全員が軽い罰になることを望んでます。デュエルアカデミアの先生としてはその声も無視できないでしょう?」

 

「わかりました。でしたら正式な処罰が決まるまでラー・イエローの寮に謹慎しててください。」

 

「それで、斎藤一。」

 

 須藤はコチラに視線を向けた。なんかイヤな予感がする。

 

「ブラマジガールを寄越せ!!」

 

 その言葉に慌てて、駆け出した。

 

「冗談じゃない! ブラックマジシャンガールは俺のだ!誰かやるか!」

 

 俺の叫びに何故かマナはうっすらっ頬を赤く染めた。風邪かな? ほんとに大変だな? そんなことを考えながらの鬼ごっこは明日の朝まで続き、授業を爆睡して先生に怒られてしまった。………不幸だ。



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デュエル20 神楽坂のデュエル

ご指摘いただきました、レヴィ様、並びにこのお話を読んでくださる皆様ありがとうございます。


「斎藤?ちょっといいか?」

 

 マナ達と自室で料理教室を開いていたのだが、ノックされ神楽坂が入って来た。

 

「神楽坂。処罰はどうなった?」

 

「それなんだが、制裁デュエルをして、その内容で決めることになった。ただし、今あるデッキではなく新しくデッキを作り、それでデュエルをするんだって。

まぁ、そう言う訳でデッキを作っていたんだけど、必要なカードが無くてな。持ってないか聞きに来たんだ。」

「なら、入ってくれないか?」

 

 俺がそう促すと神楽坂はおずおずと入ってきた。

 

「んで、神楽坂。どんなカードが欲しいんだ?」

 

「マジカルシルクハットなんだが、無いかな?コレをこれに置き換えてみると面白い事になりそうでな。」

 

「あぁ。そう言う事かなら、これもデッキに投入してみるか?かなり面白そうになるんだが?」

 

 俺が差し出したカードを見て、神楽坂はなるほどと小さく呟いていた。

 

「このデッキを使うなら断然こっちの方がよさそうだ。」

 

 そうやってあれを入れてをしているうちに神楽坂とマナ達が同時に言った。

 

「完成!俺のデッキ!」

 

「神楽坂君。ご飯作ってみたけど、一緒に食べる?」

 

 その言葉に神楽坂は恥ずかしそうに頷いた。

 

「あ、あの、一君。私の作った料理はどうでしょうか?」

 

 麗華の言葉に肉じゃがを口に運ぶ。

 

「うん♪美味しい。これならいい奥さんになりね。」

 

 俺の答えに麗華は顔を紅くしながら問いかける。

 

「ホント。ホント。結婚式には呼んでくれ。」

 

 俺の言葉に麗華は隅っこで暗いオーラを纏って部屋の隅っこでのの字を書いていた。良くはわかないが、乙女心も中々に複雑らしい。

 

「はい♪一♪あ〜ん♪」

 

 雪乃は自分が作った料理を箸で取り、俺に差し出す。

 

「イヤ、雪乃。自分で食べれるから大丈夫だ。」

 

「ハイ♪一♪ア〜ン♪」

 

 俺の抵抗に耳を貸すつもりはないらしい。

俺の言葉を無視してつき出される箸にやむなく口を開いた。

 

「はい♪あなた♪ア〜ン♪」

 

 まったく。どうして雪乃は人をからかうのが大好きなんだろうか?こうなったらからかい返してやる。

そう思いながら料理をよく噛んでいく。そして、

 

「キャッ!んぅ!」

 

 雪乃の手を取り、可愛らしい唇を塞ぐ。その舌に噛み砕いた料理を塗りつけると雪乃はコクコクと喉を鳴らしている。

唇を離すと雪乃は恥ずかしそうに俯いていた。俺も恥ずかしいが、だがこれでからかわれる人の気持ちも

 

トントン

 

「?ん?んぷ!」

 

 肩を叩かれたので振り向いたら、マナが俺がやったことをやって来た。

 

「………。も、ダメ。限界………。」

 

 神楽坂はそう言って、砂糖を吐いて倒れた。

 

 

 

SIDE 神楽坂

 

 俺は制裁デュエルの対戦相手を待っていた。そして、やって来た対戦相手を見て、今まで以上に気を引き締めて挑まなければいけない気になった。何故なら対戦相手は、

 

「貴様か?神楽坂は?」

 

 白い袖無しのコートを来た人はどこが見下ろしたような自然で俺を見ていた。

 

「俺の生涯最大のライバル武藤遊戯のデッキを盗むなど許せん!貴様を倒して重い罪を味合わせてくれる!」

 

 そう。相手は海馬瀬戸。武藤遊戯さんに勝るとも劣らぬデュエリストだからだ。

 

 

 

決闘(デュエル)!!』

 

『神楽坂の ターン です。』

 

 デュエルの開始と共にデュエルディスクが俺の先攻を決定した。

 

「俺のターン!ドロー!」

 

 相手は伝説の青眼使い。ここは一旦様子を見るべきか。

 

「モンスターをセットしてターンエンド!」

 

神楽坂ライフ4000 手札5枚

 

伏せモンスター

 

「フン!俺のターン!ドロー!伝説を見せてやろう!手札から古のルールを発動!手札青眼を特殊召喚!さらにブラットブォルスを召喚!バトルフェイズ!ブラットブォルスでその伏せモンスターを攻撃!」

 

 伏せモンスターはアンティークギアソルジャー抵抗すら出来ずに破壊された。

 

「そして、青眼でダイレクトアタック!滅びの爆裂(バースト)疾風弾(ストリーム)!!」

 

「ウワァァァ!!!!」

 

 青眼が放つ閃光の直撃を受け俺のライフは大きく減少した。

 

「ターンエンド!」

 

神楽坂ライフ1000 手札5枚

 

 

青眼の白龍ATK3000 ブラットブォルスATK1900

 

海馬ライフ4000 手札3枚

 

「俺のターン………。」

 

 宣言してドローしようとするがカードを引こうとする手は震えていた。俺自身が怯えてデュエリストの闘志が消えかけているからなのだろうか?

 

「神楽坂!」

 

 そんななか、斎藤が大きく声を上げた。

 

「自分が苦心して作ったデッキを信じるんだ!」

 

 !!今のエールは聞いたよ。

 

「ドロー!強欲な壺を発動!2枚ドロー! 古代の機械兵士(アンティーク・ギアソルジャー)カードを2枚セットしてターンエンド!」

 

 

神楽坂ライフ1000 手札5枚

伏せ2枚

伏せモンスター0枚

 

青眼の白龍ATK3000 ブラットブォルスATK1900

 

海馬ライフ4000 手札3枚

 

「俺のターン!ドロー!瞳に力が戻ったようだな。我が最強の僕を見せてやろう!手札より融合を発動!手札と場の青眼の白龍を3体融合して青眼(ブルーアイズ)究極龍(アルティメットドラゴン)を融合召喚!」

 

 場に現れた3っつの頭を持つ青眼が勇ましく咆哮した。

 

「バトルフェイズ!ブラットブォルスで伏せモンスターを攻撃!」

 

 ブラットブォルスで攻撃しようとした瞬間、俺の場に3つのシルクハットが現れた。

 

「罠カードマジカルシルクハットを発動!効果によりデッキから2枚の魔法か罠カードを選び場のカードと混ぜてセットする!」

 

「小賢しい!一番右のカードを攻撃!」

 

 ブラットブォルスは右側シルクハットを破壊した。マジカルシルクハットの中から現れたカードを見て、海馬さんはビックリした。

 

「な!何!そのカードは!」

 

「このカードは歯車街(ギア・タウン)!フィールドから破壊され墓地に送られた事によりデッキからアンティークギアと名のついたモンスターを特殊召喚!」

 

「バカな!アンティーク・ギアのほとんどには特殊召喚出来ない制約があるはずだ!」

 

「その通りだ!その例外のモンスター古代の機械巨竜(アンティーク・ギアガジェルドラゴン)を特殊召喚!」

 

「ならば、青眼の究極龍で古代の機械巨竜(アンティーク・ギアガジェルドラゴン)を攻撃!アルティメット・バースト!」

 

「くらうか!リバースカードオープン!攻撃の無力化!攻撃を無効にしてバトルフェイズを強制終了する!」

 

 青眼の究極龍が放つ3つの閃光は時空の渦が飲み込んでしまった。

 

「そして、バトルフェイズが終了した事により、もう1枚の歯車街(ギア・タウン)の効果で古代の機械巨竜(アンティーク・ギアガジェルドラゴン)を特殊召喚!」

 

「しぶとい奴だ!1枚セットしてターンエンド!」

 

 

神楽坂ライフ1000 手札5枚

 

伏せモンスター アンティークギアガジェルドラゴン×2ATK3000

青眼の究極龍ATK4500 ブラットブォルスATK1900

 

海馬ライフ4000 手札3枚

 

「俺のターン!ドロー!テラフォーミングを発動歯車街(ギア・タウン)を手札に加えてそのまま発動!効果により古代の機械《アンティーク・ギア》を召喚するのに必要な生け贄を1体少なくする事ができる!

来い!古代の機械巨人(アンティーク・ギアゴーレム)

さらに大嵐を発動!全ての魔法、罠を破壊する!」

 

 場に荒れ狂う突風が場にある全ての魔法も罠も破壊してしまった。俺の歯車街(ギア・タウン)も。

 

歯車街(ギア・タウン)が破壊された事により、古代の機械巨竜(アンティーク・ギアガジェルドラゴン)を特殊召喚!さらに巨大化を古代の機械巨竜(アンティーク・ギアガジェルドラゴン)に装備!俺のライフが少ない事により、古代の機械巨竜(アンティーク・ギアガジェルドラゴン)の攻撃力が倍になる!」

 

「………。」

 

 この状況を見ても顔色を変えない所を見るとアレがあるな?

 

 

 

「マジカル・シルクハットをどう使うつもりなんだ?」

 

「あぁ。黄金の邪神像とセットで使うつもりなんだ。」

 

「………なるほど。マジカル・シルクハットの『バトルフェイズの終了時に強制破壊効果』を逆手に取る気か。思い付かなかったな。」

 

 俺の言葉をしばし黙考し呟いていた。そして、カードを漁り歯車街《ギア・タウン》を取り出した。

 

「だったらこっちも使ってみろ。黄金の邪神像は戦闘破壊には対応出来ないが、こっちは破壊された時が条件だから戦闘も使えるはずだ。」

 

「なるほど、こっちの方が使えそうだな。貰って良いのか?」

 

「構わないよ。そうそう。相手がどんなデッキを使うかわからないが、光属性の場合、この天使には気をつけろ。」

 

 そう言って、差し出したカード効果は恐ろしいものだった。

 

「確かに、怖いな。でも、こんな効果をどうかわせばいい?」

 

「相手が持っているのなら、タイミングを待って相手より先にコレを使え。」

 

 

 

「バトルフェイズ!古代の機械巨竜(アンティーク・ギアガジェルドラゴン)で青眼の究極龍を攻撃!」

 

「迎え撃て!アルティメット・バースト!」

 

 巨大化を受けて大きくなった機械竜と3つの頭を持つ龍が閃光を放とうとする。

 

「「手札からリミッター解除の(オネストを捨てて)効果発動!」」

 

 ッ!!同時にカードが発動された!

 

 

 

「相手がオネストを使って来たなら、先にリミッター解除を使え。」

 

「リミッター解除?使っても、攻撃力が倍加するだけで意味ないんじゃ?むしろオネストはその攻撃力分までアップするはずじゃないのか?」

 

 俺の問いに斎藤は静かに首を横にふった。

 

「確かに、攻撃宣言時に使われたならそうなる。だがタイミングはダメージステップ。」

 

 それは、オネストが使えるタイミングだ。

 

「先に使えばチェーンの逆順処理で後から起動したオネストによって攻撃力がアップするが、その後にリミッター解除の効果が処理される。」

 

 

 

 リミッター解除されより強力になった閃光と天使の羽が生えて強力になった閃光がぶつかり合う。頼む!俺はまだこの学校で皆と一緒に学びたいんだ!

そして、古代の機械巨竜(アンティーク・ギアガジェルドラゴン)が崩れ落ちて崩壊していく。しかし、俺のライフは変動しない。何故だ?そう思っていたら、青眼の究極龍が倒れた。(海馬ライフ4000-3000×2×2+4500+3000×2=4000-12000+10500=2500)

 

「残りのモンスターでダイレクトアタック!」

 

 古代の機械達はリミットを解除され崩壊していく中で攻撃をする。(海馬ライフ2500-2×3000×3=-15500)

 

 ソリッドビジョンが消えるとみんなが沈黙していた。勿論俺もだ。そして、周りが騒がしくなっていく。そんな中、

 

パチパチ

 

と斎藤とカイザーが拍手する。そして、皆が惜しみ無い拍手してくれた。

 

 そうして、制裁デュエルが終了した。因みに俺の処罰は1週間の寮謹慎並びに10枚のレポート提出だった。




今回のデュエルの終盤は演出を優先している都合上ややこしいことになっていると思いますので簡単な解説を。

神楽坂のフィールドには巨大化の影響下で攻撃力が6000となっているアンティーク・ギアガジェルドラゴン、海馬のフィールドにはもともとの攻撃力が4500のブルーアイズアルティメットドラゴンがいます。
そして攻撃宣言時、優先権でリミッター解除を先に発動させ、逆にオネストがあとから発動されました。チェーンの逆順処理でオネストの効果が後から処理され、攻撃力が4500にアンティーク・ギアガジェルドラゴンの6000が加算され10500にそして、アンティーク・ギアガジェルドラゴンはリミッター解除の効果で攻撃力が倍加12000になり差引1500が海馬のライフから引かれたという次第です。

あとがきまで目を通していただけたら感謝です。


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デュエル21 恋する乙女は強い

このお話を読んでくださる皆様ありがとうございます。そしてほったらかしにしてすみません。


 オシリス・レッドの食堂に皆を集めた大徳寺は後ろに男装貴族の早乙女レイを控えさせていた。

 

「みなさん。落ち着いて聞いて欲しいのニャ。今日からオシリス・レッドに編入した子がいるのニャ。早乙女レイ君だニャ。」

 

 その言葉に帽子をかぶった男装少女がお辞儀をする。本当にすごいな。性別知ってなきゃ『小柄な少年』としか思えないや。

 

「キレイな男の子なんだな。」

 

 そりゃ、女の子だからね。

 

「編入先がオシリスレッドなんで落ち込んでるのかな?」

 

「イヤ。それはない。と思う。」

 

 翔の呟きに即座にツッコミを入れたのだが聞いちゃくれなかった。十代は立ち上がって、「フレーフレーレイ!」と応援し始めた。

 

「………何をやってるんだ?」

 

「成績が悪くてオシリス・レッドに入れられたレイを応援しているんじゃん。」

 

 十代の言葉にため息をついてしまった。

 

「………十代。それは、違うぞ。編入生はオシリス・レッドからだ。当然。成績次第でラー・イエローにもオベリスク・ブルーにも行けるぞ。」

 

 間違いを指摘され、誤魔化し笑いをした。

 

「タハハ。にぎやかなのは大歓迎だせ。」

 

 十代の発言にニマリと笑みを浮かべる大徳寺先生だ。

 

「イヤ~それは、よかったのニャ。空いた斎藤くんの部屋に人を入れたお陰で実は部屋が足りなくて困っていたところだったのニャ。」

 大徳寺先生。早乙女を十代の部屋に入れる気なのか?

 

「あ~。大徳寺先生。俺の部屋が一人部屋だし。早乙女が良ければ同室でも、構わないですよ。」

 

「助かるのニャ。ではレイ君は、彼の部屋に寝泊まりしてください。ところで何で君はここにいるのにゃ?」

 

「ハハハ。細かいことは言いっこ無しですよ?」

 

 そう言って、この場は解散となった。

 

 

 

「………。久しぶりだな。レイ。」

 

「うん♪久しぶりです♪斉藤さん。」

 

 実は、早乙女、イヤ、レイとは入学試験を受けるために、ホテルに向かう途中で迷子になり、レイが案内してくれたことがきっかけで知り合いになった。

 

「で、どうして、レイがここに来たんだ?」

「実は、カイザー様と会いたくて、ここに来たんです。」

 

 その答えにハアと、深くため息をついてからレイの頭に拳骨を振りおろした。

 

「痛~い!何するんですか!」

 

「…この程度で済ませて御の字だろ?まったく無茶をする。親御さんや友達が心配するとは考えなかったのか?」

 

 俺の言葉に何も言えず、硬直してしまった。

 

「浴室がそこにあるから、使って構わない。女の子なんだし、身だしなみぐらい気を使っといた方が良いぞ?」

 

「…そうします。」

 

 俺の言葉にレイは洗面台で髪を洗い始めた。

 

 

 

「それにしてもレイが女の子だなんて、驚いたよ。」 レッド寮のそばの崖下でデュエルをしょうとする二人を見て翔が呟いた。

 

「そうか?そんなにビックリする事か?」

 

「翔の言う通りなんだな。」

 

 ヤレヤレ。隼人まで、何を言うのやら?

 

「あのなぁ。たかが性別がわかったごときで何かが変わるわけ無いだろう?」

 

「そ、それはそうよね。」

 

「フフフ。ボウヤも中々言うわね?」

 

 明日香と雪乃がそう言っている間も下の方を注意し続ける。

 

 崖の上で、覗き見している俺達に気づかず、話し続けている十代とレイ。

 

「…じゃあ、ホントにボクが勝ったら、みんなに黙ってくれるんだね?」

 

「ああ。デュエルすれば、聞く必要がないからな。」

 

 その答えにレイは嘆息した。

 

「全く、一さんといい、君といい、オシリス・レッドは優しい人たちばかりなんだね?」

 

「?一がどうしたんだ?」

 

「一さん。最初からボクの事、女だと知ってたけど、黙ってくれたんだ。」

 

 その言葉に皆の視線が俺に向かった。

 

「?どうした?」

 

「はじめちゃん!知ってたんスか!」

 

「一応な。入学前にちょっとあってね。」

 

 そして、何かに気づいたように、問いかけてきた。

 

「あ、あのはじめちゃん。最初から女の子だと知ってて、レイを泊めてたの?」

 

  ビキッ

 

 翔の言葉に周囲の空気が-200℃位凍りついたような気がする。

 

「一。その話を詳しく教えて欲しいのよねぇ。」

 

「そうね。包み隠さず話した方が身のためよ。ボウヤ。」

 

 な、なんだかわからないけど、明日香と雪乃が黒い瘴気を纏って詰め寄ってくる!

 

「い、イヤ、だってさ、誰かの部屋に泊めさせるわけには行かないだろ?レイが入浴中に誰かが戻って来たら、イヤでもバレるし。」

 

 俺の言葉に、二人は不満ながらも一応納得はしたらしい。話し合っているうちに、デュエルは進み、そして、

 

「フレイム・ウィングマンで十代さんにダイレクトアタック!」

 

「うわあぁぁっ!!!!」

 

 なんと、レイが十代に勝ってしまったのだ。最初の展開はほとんど変わらないのだが、フレイム・ウィングマンの攻撃に対して、レインボーライフでライフを回復して、フレイム・ウィングマンに乙女カウンターを乗せる。そして、キューピットキスを装備した恋する乙女が攻撃することで、コントロールを奪われ、そして、敗北するに至った。

 

「強いな。お前。」

 

 倒れた姿勢のまま、十代が言うと、レイは楽しそうに笑う。

 

「楽しかったよ。十代さん。」

 

 片手を差し出すレイの手をギュッと握り返す十代。

 

「十代さん。ボクは………。」

 

「おっと。そのセリフは本人に言ったらどうだ?」

 

 そう言って、視線をずらした先に丸藤先輩が立っていた。

 

「カイザー様………ボクは………。」

 

「すまない。その好意は嬉しく思う。だが、今の俺にはデュエルが全て何だ!こんな自分が他人を幸せにすることなどできない。」

 

 クールだな。カイザーは。

 

「い、いいえ。そこまで真剣に考えてくださって、ありがとうございます。」

 

 カイザーの謝罪にレイは頭を左右に振った。

 

「………で、レイはどうする?帰って、受け直すのか?」

 

「お、おい!一!性別を偽ったぐらいでそれはないだろ!」

 

 事情も知らない十代がわって入った。

 

「それだけじゃないんだ。彼女が偽ったのは。」

 

 その言葉が理解出来なかったのか、首をかしげている。

 

「レイは小学生なんだ。」

 

『何だって!!!!』

 

 真実を教えた皆の叫びが見事にハモった。カイザーさえ叫ばなかったものの、驚きを隠せなかった模様。

 

「という事はオレは小学生に負けたのか!」

 

「ゴメンネ。」

 

 片目を閉じてウィンクするレイに肩を落として笑う十代。

 

「ハ、ハハハ。だからデュエルは楽しいんだ。」

 

 …笑いが乾いた笑いになっているぞ。

 

「で、レイはどうする?」

 

「帰ってから受け直します!翔さんや十代さんとお友達になれたのにさようならなんてしたくないです!」

 

 その言葉に柔らかく笑みを浮かべ、レイの頭を柔らかく撫でた。

 

「よし。久しぶりだし、俺とデュエルしないか?」

 

「うん!一さんとデュエルするのも、久しぶりだからワクワクするよ!」

 

 

「「決闘(デュエル)!!!!」」

 

『対戦相手 の ターンです。』

 

「ボクのターン!ドロー!ライフコスト2000支払い、終焉のカウントダウンを発動!恋する乙女を召喚!3枚セットしてターンエンド!」

 

レイ ライフ 2000 手札1枚 終焉のカウントダウン01

 

マジックトラップ 伏せ3枚

モンスター 恋する乙女

 

「俺のターン!ドロー!」

 

 しかし、終焉のカウントダウンか。ずいぶん思いきったマネをするな。恋する乙女と相性最悪だし。ただ、アレを使ったから、こちらも急いでレイのライフを0にしなきゃこっちが負ける。

 

D・HERO(ダーク・ヒーロー) ファイアリィ・ガールを召喚!バトル!ファイアリィ・ガールで恋する乙女を攻撃!バーンスラッシュ!」

 

 ファイアリィ・ガールが持つ真紅の槍が恋する乙女を攻撃する瞬間、

 

「トラップ発動!レインボーライフ!」

 

 やっぱりダメージをライフ回復に変えてきたか。このカードの効果でファイアリィ・ガールの攻撃力分1300ポイントライフが回復する。

 

「一先輩のモンスターはもう攻撃出来ないですよね?」

 

「そうだな。」

 

「バトルフェイズ終了時にトラップ発動!女神の加護!ライフを3000回復するよ!」

 

「カードを2枚セットしてターンエンド!」

 

「その瞬間に速攻マジックカード非常食!発動!女神の加護を墓地に送って1000回復!そして、女神の加護、レインボーライフの効果で、更に3000回復するよ!」

 

レイ ライフ 9900 手札0枚 終焉のカウントダウン02

 

マジックトラップ

モンスター 恋する乙女ATK

 

モンスター ファイアリィ・ガールATK

マジックトラップ 伏せ2枚

一 ライフ 手札3

 

「ボクのターン!ドロー!強欲な壺を発動!そして、キューピットキスを発動!恋する乙女で、ファイリィ・ガールを攻撃!一途な想い!」

 

 …ファイアリィガールに一途な想いという事はレズか?

 

『ファイアリィガール様ぁ~♪』

 

『フゥ。』

 

 恋する乙女がファイアリィガールに熱い抱擁をして、ファイアリィガールも嫌々ながらも抱きしめ、キスをした。

 

「ダメージを受けた事で、キューピッドキスの効果!乙女カウンターが乗っているファイアリィガールのコントロールを得るよ!」

 

「ファイアリィガールで、ダイレクトアタック!バーンスラッシュ!」

 

「リバース起動!くず鉄のかかし!攻撃を一度無効にして、このカードをセットする!」

 

 ファイアリィガールの真紅の槍をくず鉄で出来たかかしが受け流した。

 

「…妙ね。」

 

 俺が発動したカードを見て、雪乃が首を傾げた。

 

「え?何がッスか?」

 

「攻撃を無効に出来るカードがあるなら、なんでボウヤは恋する乙女の攻撃を見逃したのよ?」

 

「え?それは、どういう?」

 

「翔。キューピットキスの効果を使うには、恋する乙女が攻撃をして、ダメージを受ける必要があるんだ。」

 

「あ。そうか。恋する乙女の攻撃を無効にすれば、ファイアリィガールを奪われずにすんだッスよ!」

 

 十代の言葉に今更ながら翔が気づいたらしい。

 

「ボクはターンエンド!」

 

レイ ライフ 9000 手札1枚 終焉のカウントダウン03

マジックトラップ

モンスター 恋する乙女 ファイアリィガール

モンスター 

マジックトラップ 伏せ2枚(一枚はくず鉄のかかし)

一 ライフ4000 手札3

 

「俺のターン!ドロー!手札からD・HERO(ダーク・ヒーロー)ウィンドマンを攻撃表示で召喚!そして、手札からマジックカード進化の魔薬を起動!ウィンドマンを生け贄に、 D・HERO(ダーク・ヒーロー) ストーマーを攻撃表示で召喚!バトル!ストーマーで、ファイリィガールを攻撃!ストームハリケーン!」

 

 ストーマーが突風を発生させ、ファイアリィガールを倒した。(レイライフ9000-2000+1300=8700)

 

「まだだ!ストーマーの効果は1つのバトルフェイズに2体のモンスターに攻撃をする事が出来る!ストームハリケーン2(ツヴァイ)!」

 

 ストーマーが放つ暴風が恋する乙女を直撃して、ライフを削った。(レイライフ8300-2000+400=7700)

 

「キャアアア!で、でも、恋する乙女を攻撃した事で、ストーマーに乙女カウンターが乗るよ!」

 

『ストーマー様ァ。』

 

『か、可憐過ぎる。』

 

 ………お前は炎神黒色か?

 

「構わない。俺はターンエンドする。」

 

レイ ライフ 7700 手札0枚 終焉のカウントダウン04

マジックトラップ キューピットキス

モンスター 恋する乙女ATK

モンスター ストーマーATK

マジックトラップ 伏せ2枚

一 ライフ 手札2

 

「ボクのターン!ドロー!ボクは手札からサイクロンを発動!セットされているくず鉄のかかしを破壊する!」

 

 セット状態くず鉄のかかしは急に発生した突風で破壊された。

 

「恋する乙女でストーマーに攻撃!一途な想い!」

 

『ストーマー様ァ~♪』

 

『おぉ。愛しの君よ。』

 

 ………恋する乙女はファイアリィガールにしたように抱き締めて、ストーマーは嬉しそうに抱き返して、キスをした。(レイライフ7700-2000+400=6100)

 

「キューピットキスの効果でストーマーのコントロールを得るよ!」

 

 

『ストーマー様は私の味方ですよね?』

 

『う、うぅ。』

 

 あ、ストーマーが迷っている。

 

『味方ですよね?(ウルウル)』

 

『も、もちろんだとも。俺はか弱き者の味方だ!』

 

 それで、アッサリとコロッといくんかい。…まぁカード効果だからしょうがないけど。

 

「ストーマーでダイレクトアタック!」

 

「リバース起動!」

 

『すまない。やはり俺は彼を裏切れぬ。』

 

 そう言って、こちら側に戻るストーマー。

 

『な、何故ですか!ストーマー様ァ!』

 

『すまない。俺はストーマーではない。』

 

「速攻マジックカード退化の魔薬を起動!ストーマーを融合デッキに戻して生け贄になったウィンドマンを特殊召喚!」

 

「ボクは1枚セットしてターンエンド!」

 

レイ ライフ 6100 手札0枚 終焉のカウントダウン05

マジックトラップ キューピットキス

モンスター 恋する乙女

モンスター ウィンドマン

マジックトラップ 

一 ライフ 手札2

 

「俺のターン!ドロー!」

 

 ドローしたカードを見て勝ちを確信した。

 

「手札から二重進化―ダブル・エヴォリューションを起動!ウィンドマンを生け贄にD・HERO(ダーク・ヒーロー) シューターを召喚!さらにライフを1000支払い、シューターを生け贄にD・HERO(ダーク・ヒーロー) スナイパーを召喚!」

 

『ハァッ!』

 

 俺の場に弓矢を構えた、戦士が誕生する。

 

「さらに手札からマジックカード進化の魔薬を起動!スナイパーを生け贄に捧げそれと、同属性同種族モンスターを召喚!…人々の運命を見定めし12の宮の1つ 人馬宮を守護する闇のHEROよ。闇夜さえも射抜く星星の矢にて我等が前の邪悪を射抜け!D・HERO(ダーク・ヒーロー) Sagittarius(サジタリアス)!守備表示で召喚!手札からマジックカードアナザーワールドエヴォリューションを起動!Saggittariusと同属性の同レベルモンスターを召喚!人々の運命見定めし12の宮の1つ白羊宮を司る闇のHEROよ。風吹き荒れし星屑の弾丸もて、我等が前の邪悪を撃て!D・HERO(ダーク・ヒーロー) ARIES(アリエス)!!」

(|D・HERO(ダーク・ヒーロー) Sagittarius(サジタリアス)攻撃力2500+500*4=4500)

D・HERO(ダーク・ヒーロー) ARIES(アリエス)攻撃力2900+500*4=4900)

 

「そして、手札からマジックカードチェンジングウィングをSagittariusに装備!」

 

 このカードを装備したSagittariusの翼に魔力が宿る。

 

「チェンジングウィングの効果でこのカードに魔力カウンターが3つのり、その1つを取り除く事でフィールド上のモンスター1体の表示形式を変更する!Sagittariusを守備表示から攻撃表示に変更!そして、Sagittariusのモンスター効果起動!」

 

 その言葉にSagittariusは弓を引き絞り構える。

 

「Sagittariusは表示形式を変更する事で、相手フィールド上のマジックトラップかモンスターどちらかを全て破壊する!」

 

「サンダーボルトか、ハーピィの羽箒の効果を使えるのかよ!」

 

「なんて効果なの!」

 

 Sagittariusの効果を聞いた外野が、驚いて騒然となった。

 

「ただし、効果を起動するたびに攻撃力が1000ダウンするけどな。俺が選択するのはモンスターゾーン!Shootingstar(シューティングスター) Rain(レイン)!!!!」

 

D・HERO(ダーク・ヒーロー) Sagittarius(サジタリアス)攻撃力2500+500*4-1000=3500)

 

 Sagittariusが放った矢は流星雨となり、恋する乙女を襲った。

 

『キャアア!!!!!!』

 

 悲鳴を上げながら、恋する乙女は破壊された。

 

「Sagittariusでダイレクトアタック!Shootingstar(シューティングスター) Sagittarius(サジタリウス)!!!!」

 

 Sagittariusが弓を引き絞りはなった矢がレイを襲った。

 

「コレで終わり!Ariesのダイレクトアタック!Stardust(スターダスト) Bullet(バレット)!!!!」

 

 Ariesが放った弾丸がレイのライフを0にした。

 

 

 

「負けちゃいました。」

 

 デュエルが終わり、特に気落ちした表情も見せず、レイが言った。

 

「んじゃ、帰るか?レイ。」

 

ビギッ!!

 

 俺の言葉に明日香と雪乃が黒いオーラを纏っていた。

 

「はぁ~じぃ~めぇ~。小学生相手に何やってるのよ?」

 

「一。まさかあなたがロリコンだとは思わなかったわ。」

 

「ちょ!ちょっと、待った!ロリコンってなんの事!」

「一がレイを自分の部屋に連れ込んで良いことをしようとしているからよ?」

 

「なんの話かは見えないけどさ、一応レイは俺と同室だぞ。」

 

「じゃあ、今からレイは私と同室ね?異論は?」

 

「い、いえ。無いです。マム。」

 

 黒いオーラをいっそう強くしながら詰め寄る雪乃に頷く事しか出来なかった。

 

 

 

「じゃあ、レイ。次に来る時はちゃんと両親を説得するんだぞ?」

 

「わかってますって。」

 

 俺の言葉に苦笑して頷くレイ。まぁ、ご両親にこっぴどく怒られたら反省もするか。

 

「………淋しくなるッスね。レイちゃんがいなくなって。」

 

「コラコラ。別に今生の別れという訳じゃないんだ。今は戻ってくるのを信じて待とう。」

 

「そうッスよね?」

 

 俺の言葉に翔は笑みを浮かべる。

 

「十代さん。ちょっと、しゃがんでもらっても良いですか?」

 

「?こうか?」

 

 十代の問いの答えは

 

CHU

 

と唇に触れるキスだった。

 

「今のボクのファーストキスですからね。待っててくださいね?十代様?」

 

 そう言って、レイは船に乗る。

 

「いい?!」

 

 あ。十代。驚きのあまり硬直してるよ。

 

「お。十代。奥さんの目の前で浮気とはものすごい根性しているな?なぁ?枕田?」

 

 メラメラと嫉妬(ジェラシー)の炎を燃やす枕田に問いかける。

 

「えぇ。最高に面白いわ。あとでどういう事か教えてもらうからね?」

 

 その言葉が合図にして船が出発した。



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デュエル22 代表選抜

「え?三沢?」

 

「神楽坂と?」

 

「斎藤が?」

 

「そうです。神楽坂君、斎藤君、三沢君の3人はノース校との交流デュエルの代表に選ばれました。」

 

 ラー・イエローの食堂で話すものだから、寮長の樺山先生の発言に皆が惜しみ無い拍手をしてくれた。

 

 ………アレ?確か、代表って、十代一人に選ばれたんだよな?

 

「あの、樺山先生。俺達3人が代表ですか?」

 

「あ、実は他にもオシリス・レッドから遊城十代君に丸藤翔君、オベリスク・ブルーからは茂木もけ夫君という生徒が選ばれましたので、全員とデュエルして一番勝ち数の多い生徒が代表になります。」

 

 茂木もけ夫。シルバー・チャリオット・鎮魂歌の使い手。

 

「やったな!3人共、おめでとう!」

 

 まだ、代表に決まったわけではないのに皆が祝福してくれる。その事自体は嬉しく思うんだけどね。交流デュエルの勝利した学校の校長にミス・アカデミア。つまりはトメさんのキスが与えられるわけだ。そんなものに協力する気はないんだけどね。それでも、

 

「神楽坂とは自分のデッキでデュエルしたこと無かったよな?」

 

 俺の問いに神楽坂は笑みを浮かべる。

 

「まぁな。あのときの礼はデュエルで返すさ。」

 

「おい。お前ら。俺を無視するなよ?」

 

 その言葉に、俺達は御手洗に振り向いた。

 

「そういえば、御手洗ともデュエルしたことがなかったよな?」

 

「今さらな上に名前が間違っている!俺は三沢だ!」

 

「それはともかく、茂木もけ夫って聞いたことあるか?」

 

 神楽坂の言葉に跪いてしまう御手洗。

 

「イヤ。無いな。」

 

 一応知ってるが、そしたら何故知ってるのかを説明しなきゃいけなくなる。そんなこんなでこの場は解散となった。

 

 

 

「おめでとう♪一♪」

 

「一君♪おめでとうございます♪」

 

「おめでとう♪」

 

「一♪おめでとう♪」

 

 料理教室も終わり、さて寝ようとしたところに俺の報告に明日香、原、雪乃、マナが我が事のように喜んでくれる。

 

「………悪いんだけどさ。俺は交流デュエルに参加するつもりないんよ?」

 

「え?」

 

 俺の言葉に明日香は驚いて問いかける。他の二人も同様のようだ。

 

「知ってるか?交流デュエルの賞品?ミス・アカデミアのトメさんのキスが勝利した学校の校長に与えられるわけだ。」

 

 俺がそういうと、4人とも呆気に取られたような表情になった。マナ達みたいな可愛らしくて魅力的な女の子のキスならいくらでも欲しいけどさ。いくらなんでもそれのために利用される気はないし。

って、何故に顔を赤らめる?

 

「一。あなたに言いたいことがあるから。」

 

「?選抜デュエルが終わってからでいいか?」

 

 俺の問いに雪乃はコクンと頷いた。

 

 その後に就寝することにしたけど、俺に言いたい事って何だろう?



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デュエル23 代表選抜VS翔!

 やって来た選抜会。まず、誰が出るかを決めてその人と残りの皆がデュエルする方式を取るらしい。

 

 まず出るのが、翔だ。ビークロイドデッキを巧みに操り、神楽坂に僅差で勝ち茂木もけ夫に逆転勝ちを収めたはいいが、御手洗に対策をとられ完封負け。続く十代にも後少しの所にまで追い詰めたはいいが、セイラーマンを呼ばれ、ダイレクトアタックの逆転敗けで、今のところの2勝2敗だ。

 

 そして、

 

「そういや、十代ともそうだけどさ、こういった状況でデュエルしたこと無かったよな。」

 

「そうッスよね。前回は負けちゃったすけど今回は勝つッス!」

 

 お互いに見合い、同時に開始の言葉を宣言した。

 

「「決闘(デュエル)!」」

 

 

『一 の ターンです。』

 

「俺のターン!ドロー!D(ダーク)・HERO《ヒーロー》 ロックマンを守備表示で召喚!カードを2枚セットしてターンエンド!」

 

一ライフ4000手札3枚

伏せ2枚

ロックマンDEF2200

 

「僕のターン!ドロー!手札から強欲な壺を発動!2枚ドロー!融合は発動!スチームロイド、サブマリンロイド、ドリルロイドを融合素材にして、スーパービークロイドジャンボドリルを融合召喚!」

 

 貫通効果を持ちであの攻撃力かホントにすごいのを持ち出してきたな?

 

「手札からリミッター解除を使って攻撃力を倍にしてバトル!ジャンボドリルで伏せモンスターを攻撃!」

 

 リミッターを外されたジャンボドリルは勢いよく突進してくる。この攻撃がそのまま通れば恐らくは敗けなんだよね。

 

「リバース起動!くず鉄のかかし!攻撃を一度だけ無効にしてこのカードをセットする!」

 

 巨大なドリルを鉄屑のかかしが受け止めた。

 

「翔。デュエルは始まったばかりだそう焦るな。」

 

「やるっすね。一ちゃん。でも、これならどうッスか?速攻魔法融合解除を発動!ジャンボドリルを融合デッキに戻して3体を召喚!」

 

 な!翔の場には素材となった3体が現れた。

 

「バトルフェイズ中の特殊召喚ッスからこの3体にも攻撃出来るッス。サブマリンロイドでダイレクトアタック!」

 

 潜水艦の一撃を避けることがでせずダメージを受ける。

 

「ドリルロイドでロックマンを攻撃!」

 

 ドリルロイドは自慢のドリルでロックマンに攻撃しようとする。ドリルロイドって守備モンスターを問答無用で破壊しようとするが、

 

「リバース起動!D《ダーク》・ウォール!自分フィールド上にD(ダーク)・HERO《ヒーロー》と名のつくモンスターがいるとき、手札のD(ダーク)・HERO《ヒーロー》と名のつくモンスターを見せる事で攻撃を無効にしてこのカードを手札に加える!ウィンドマンを見せて、D・ウォールを回収する!」

 

 場に現れた漆黒の壁が攻撃を受け止めた。

 

「スチームロイドでロックマンを攻撃!この瞬間、攻撃力が500アップするッス!」

 

スチームロイドが突進してロックマンを破壊する。

 

「カードを1枚セットしてターンエンド!」

 

一ライフ3200手札4枚

伏せ1枚

 

サブマリンロイドDEF1800 ドリルロイドATK1600 スチームロイドATK1800

伏せ1枚

翔ライフ4000手札0

 

「俺のターン!ドロー!」

 

 よし。こちらの反撃だ!

 

D(ダーク)・HERO《ヒーロー》 ウィンドマンを攻撃表示で召喚!」

(とおっ!)

 

 俺の場に小さな翼を生やした戦士が現れる。

 

「さらに進化の魔薬を起動!ウィンドマンを生け贄に捧げ、D(ダーク)・HERO《ヒーロー》 ストーマーを召喚!」

 

 薬を飲んだウィンドマンは一段と大きな姿になった。

 

「バトルフェイズ!ストーマーでサブマリンロイドに攻撃!」

 

 ストーマーが放つ風がサブマリンロイドを破壊する。

 

「続いてストーマーでスチームロイドを攻撃!」

 

「この瞬間、スーパーチャージを発動!2枚ドローする!」

 

 翔が起動させたトラップでドロー加速したが攻撃そのものは止まらない。竜巻がスチームロイドを破壊して翔のライフを削った。(翔ライフ4000-2000-500+1800=4000-2500+1800=3300)

 

「1枚セットしてターンエンド!」

 

一ライフ3200手札4枚

伏せ2枚

ストーマーATK2000

スチームロイドATK1600

伏せ0枚

翔ライフ3300手札2

 

「僕のターン!ドロー!モンスターをセットしてドリルロイドを守備表示にして1枚伏せてターンエンド!」

 

一ライフ3200手札4枚

伏せ2枚

ストーマーATK2000

スチームロイドDEF1800 伏せモンスター

伏せ1枚

翔ライフ3600手札2

 

「俺のターン!ドロー!」 守備に回ったか。どうやら、攻撃に出れるようなカードを引いた訳ではなさそうだ。

 

D(ダーク)・HERO《ヒーロー》 ファイアリィ・ガールを召喚!さらに手札から進化の魔薬を起動!ファイアリィ・ガールを生け贄に、フレアレディを召喚!」

 

 俺の場に拳闘士がその拳を構える。

 

「フレアレディの効果で自身の攻撃力を500下げてバトルフェイズ!ストーマーでスチームロイドを攻撃!バニシングナパーム!」

 

「攻撃宣言時に再びスーパーチャージを発動!2枚ドロー!」

 

 フレアレディが放つ拳がスチームロイドを粉砕して翔に貫通ダメージを与える。………といっても100だけど。

 

「さらにストーマーで伏せモンスターを攻撃!」

 

 ストーマーが攻撃しようとして、伏せモンスターが翻る。

 

「伏せモンスターはジャイロイドッス。その効果で1ターンに1度戦闘破壊に耐えるッス。」

 

「あちゃー残ったか。というか、フレアレディの攻撃対象を間違えたか。ターンエンド!」

 

一ライフ3200手札3枚

伏せ2枚

ストーマーATK2000 フレアレディATK2400

ジャイロイドDEF1000

伏せ0枚

翔ライフ3600手札4枚

 

「僕のターン!ドロー!手札からハリケーンを発動!全ての魔法、罠を手札に戻す!」

 

 場に現れた突風がカードを手札に戻した。

 

「手札から死者蘇生を発動!ジャイロイドを召喚!そして、パワーボンドを発動!スチームロイドとジャイロイドを融合してスチームジャイロイドを融合召喚!」

 

 翔の場にスチームロイドとジャイロイドが合わさり1つのモンスターが現れる。こいつの攻撃力は2200効果無しモンスターにしては火力不足を感じるが………。

 

「パワーボンドの効果でスチームジャイロイドの攻撃力は倍になる!

バトル!スチームジャイロイドでフレアレディを攻撃!」

 

 2400のフレアレディでは4400のモンスターには太刀打ち出来ず、2000ものダメージを受ける。このままだとパワーボンドの効果で翔は2200のダメージを受けてしまうが………。

 

「サイバージラフを召喚!効果でこのカードを生け贄にしてダメージを回避してターンエンド!」

 

一ライフ1200手札6枚

伏せ枚

ストーマーATK2000

スチームジャイロイドATK4400

伏せ0枚

翔ライフ3600手札0枚

 

「俺のターン!ドロー!翔。強くなったな。カイザーも喜んでるんじゃないかな?」

 

 そう言って、チラッと視線を観客席に向ける。そこにいたカイザーいつものようにも、もしくは微笑んでも見えた。

 

「でも、勝つのは俺だ!手札から進化の破棄を起動!ストーマーを選択し、D(ダーク)・HERO《ヒーロー》 シューター、D(ダーク)・HERO《ヒーロー》 スナイパー、D(ダーク)・HERO《ヒーロー》トルネードガイを融合デッキから3枚ずつ棄てて2枚ドロー!

そして、手札から奇跡の進化―ミラクル・エヴォリューションを起動!フレアレディを除外してプロミネンス・レディを召喚!さらに進化の魔薬を起動!プロミネンス・レディを生け贄にする!

人々の運命を見定めし12の宮の1つ黄牛宮を司る闇のHEROよ。全てを貫くその角で

我が前の邪悪を貫け!

D(ダーク)・HERO《ヒーロー》 Taurus《タウラス》!」

 

 俺の場に猛る焔を纏う牡牛座《タウラス》のHEROが現れる。

 

「こいつの攻撃力は3000。でも、効果により、攻撃力墓地にある、D・HEROの枚数×500アップする!墓地にあるD・HEROは12枚!よって 3000+500×12=9000!

バトルフェイズ!Taurusでスチームジャイロイドを攻撃!BIG《ビッグ》 INPACT《インパクト》!」

 

 Taurusの衝撃波にスチームジャイロイドが破壊された。その勢いのままに翔を襲った。

 

 

 

 危なかった。下手したら負けていた。というか、スチームジャイロイドを出した時リミッター解除を使われたら負けた。

 

「楽しかったよ。翔。」

 

 俺が握手を求めると翔も笑顔でそれに応じた。

 

翔 2勝3敗

十代 1勝0敗

一 1勝0敗

三沢 1勝0敗

神楽坂 0勝1敗

茂木 0勝1敗



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デュエル24 代表選抜VS三沢?

感想いただきましたマオ0118様、並びにこのお話を読んでくださるみなさありがとうございます。


 次に出たのは御手洗だ。アレ?何か違う?まぁ、いいか。どうやら、彼は対戦相手を分析して対策デッキを組み立ててデュエルするタイプらしく、対策デッキを組み立て、神楽坂を完封勝ちしたのはいいが、十分に対策を練ることが出来なかったのか、茂木もけ夫には後わずかのところで敗け、続く十代にも封魔の呪印で融合を封じたが、最後にはワイルドマンにサイクロンブーメランのコンボで倒された。御手洗。十代相手に融合を注意したくなる気持ちはわかるけどさ、それ以外の警戒を怠ったらダメだよ?そして、

 

「御手洗。君とはデュエルしたことがなかったな?楽しいデュエルにしよう。」

 

「その前に言いたいんだが、俺は御手洗ではなく三沢だ!御手洗ではトイレだ!」

 

 その言葉に、思わず首を傾げてしまう。

 

「デュエルアカデミアにそんな生徒いたっけ?」

 

 その疑問に三沢………だっけ?彼が跪いていた。

 

「まぁ、いいか。楽しいデュエルしよう。」

 

「………必ず勝ってお前に俺の名前を覚えさせる!」

 

決闘(デュエル)!!』

 

『一 の ターン です。』

 

「俺のターン!ドロー!D(ダーク)HERO(ヒーロー) ウィンドマンを守備表示で召喚!カードを1枚セットしてターンエンド!」

一ライフ4000手札4

伏せ1枚

ウィンドマンDEF

 

「俺のターン!ドロー!手札から天使の施しを発動!3枚ドローして2枚捨てる!そして、死者蘇生を発動!墓地からオキシゲドンを召喚!そして、ハイドロゲドンを召喚!」

 

 あ。こりゃちょっと、不味いかも。

 

「バトル!ハイドロゲドンでウィンドマンを攻撃!」

 

 ハイドロゲドンはウィンドマンを破壊した。

 

「ウィンドマンを破壊した事により、ハイドロゲドンを特殊召喚!2体でダイレクトアタック!」

 

 2体の攻撃で大ダメージを受けてしまう。

「そして、ボンディングH2Oを発動!ハイドロゲドン2体とオキシゲドンを墓地に送りウォーター・ドラゴンを特殊召喚!」

 

 出た。酸素と水素が合わさって呼び出される龍。酸素と水素で水を作る場合は2H2+O2で6体必要なんだけど。

 

「カードを2枚セットしてターンエンド!」

 

一ライフ600手札4

伏せ1枚

 

ウォーター・ドラゴンATK

伏せ2枚

三沢ライフ4000手札1枚

 

「俺のターン!ドロー!A―アタックメントコールを起動!手札のD・HEROを特殊召喚!ロックマンを守備表示で召喚!追加でその伏せカードを破壊!」

 

 

 

「何をしてるんだ?」

 

 俺の行動に十代が呟いた。

 

「え?どういう意味ッスか?」

 

「アタックメントコールは攻撃しなかったら除外されてしまうのよ。」

 

 雪乃の言葉に翔は気づいたらしい。

 

「あぁ!そうッスよ!攻撃しなかったら除外されるなら守備表示で出してもエンドフェイズに除外されて壁にもならないッスよ!」

 

 

 

「翔の言う通りだ!それでどうする気だ!」

 

「装備魔法超電磁装甲《マグネットアーマー》+N《プラスエヌ》を装備そして、強制転移を起動!効果で互いのフィールド上のモンスターを相手に移す!」

 

 強制転移の効果でこちらに移ってきたのはなんと

 

「羊トークン?」

 

 何で?そう思いながら相手の場を見たとき、その答えに行き当たった。

 

「強制転移を発動した時にこのカードをチェーン発動していた。」

 

 スケープゴート。その効果でトークンを召喚。そして、強制転移による、コントロールを移動させるのは互いに自分のモンスターのみ

 

「残念だったな!大方、強制転移でウォーター・ドラゴンを奪うつもりだっただろうが、アテが外れたな?」

 

 御手洗の言葉に、俺は肩を竦めた。

 

「俺の狙い通りだぞ?手札からイービルクリボーを召喚!

バトルフェイズ!

イービルクリボーでロックマンを攻撃!そして、イービルクリボーはこのカードとの戦闘によって発生するダメージを相手に移す!」

 

「グハァッ!!

こ、このダメージは想定外だ。だが盛り返して見せる!俺のターン!」

 

「何勘違いしてやがる?俺のバトルフェイズは終了してないぜ?」

 

「だ、だが、攻撃可能なモンスターはいないハズだ!」

 

「リバース起動!マグネットバレット-S《マイナスエス》!この効果により俺のイービルクリボーにマグネット-S《マイナスエス》カウンターを3つ乗せる!」

 

 俺の場から翻ったカードが銃でイービルクリボーに3つの弾丸を撃ち込んだ。

 

「自分のモンスターにカウンターを?

!!しまった!そういう事か!」

 

「気づいてもう遅い!イービルクリボーの追加攻撃!偽りの苦痛!ファントムペイン!」

 

「や、やはり、超電磁装甲《マグネットアーマー》+N《プラスエヌ》の効果で。」

 

「そう。マグネット-S《マイナスエス》カウンターが乗っているモンスターはカウンターがなくなるまで、超電磁装甲《マグネットアーマー》+N《プラスエヌ》を装備したモンスターを攻撃しなければならず、ダメージ計算時に1つ取り除くんだ。」

 

 その解説に御手洗は俺に手を差し出した。

 

「負けたよ。君のデッキはまだ研究が足りなかったよ。」

 

 俺はその手を握り返した。

 

「次も負けないぜ?」

 

 

翔 2勝3敗

十代 2勝0敗

一 2勝0敗

三沢 2勝3敗

神楽坂 0勝2敗

茂木 1勝1敗



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デュエル25 代表選抜VS神楽坂

このお話を読んでくださる皆様ありがとうございます。


 その日のデュエルは無事に終了して残りは翌日に持ち越しとなった。

自室に戻った俺はメインデッキとサイドデッキをいじり始めた。前回のままなら神楽坂のデッキはアンティーク・ギア。その殆どが攻撃した時ダメージステップ終了時まで魔法、罠が使えない。使えないなら、カードを抜いて別のカードを入れるしかない。そうしているうちに夜もふける。

 

 

 

 さて、翌日に行われたのは神楽坂だ。アンティーク・ギアとマジカルシルクハットを巧みに操り、茂木もけ夫に勝ち、十代のライフを100までに追い詰めたが、最後の最後にはチートドローに負けた。

 

 そして、今俺と神楽坂は向かい合っている。

 

「神楽坂。いいデュエルにしよう!」

 

「あぁ!あの時の借りはちゃんと返すさ。」

 

決闘(デュエル)!』

 

『対戦相手 の ターンです。』

 

「俺のターン!ドロー!カードを1枚セットしてアンティーク・ギアソルジャーを召喚してターンエンド!」

 

神楽坂ライフ4000 手札4枚

伏せ1枚

アンティーク・ギアソルジャーATK1300

 

「俺のターン!ドロー!」

 

 さて、どうするか?あの伏せカード、マジカル・シルクハットくさいけど、このターンで除去する手段無いんだよね。………仕方ない。ここは1つ、

 

「俺も、カードを1枚伏せてモンスターをセットしてターンエンド!」

 

神楽坂ライフ4000 手札4枚

伏せ1枚

アンティーク・ギアソルジャーATK1300

伏せモンスター

伏せカード

一ライフ4000手札4枚

 

「俺のターン!ドロー!古代の機械騎士(アンティーク・ギアナイト)を攻撃表示で召喚!

バトル!アンティーク・ギアナイトでその伏せモンスターを攻撃!」

 

 アンティーク・ギアナイトはその鋭い槍で俺の伏せモンスターを貫こうとするが、

 

「守備モンスターはD(ダーク)HERO(ヒーロー) ロックマン!守備力は2200破壊するには400足りない!」

 岩の鎧に阻まれ貫く事が出来なかった。

 

「ちぇっ。ターンエンド!」

 

 

神楽坂ライフ3600 手札4枚

伏せ1枚

アンティーク・ギアソルジャーATK アンティーク・ギアナイトATK1800

ロックマンDEF2200

伏せカード1枚

一ライフ4000手札4枚

 

「俺のターン!ドロー!」

 

 よし!これなら、

 

「手札からD(ダーク)HERO(ヒーロー) ファイアリィ・ガールを召喚!そして、手札から進化の魔薬を起動!ファイアリィ・ガールを生け贄にD(ダーク)HERO(ヒーロー) フレアレディを特殊召喚!フレアレディの効果起動!攻撃力を500下げて守備貫通効果を得る!

バトルフェイズ!フレアレディでアンティーク・ギアソルジャーを攻撃!」

 

「トラップ発動!マジカル・シルクハット!効果によりデッキから、2枚の魔法か、罠をモンスター扱いにして、場のアンティーク・ギアソルジャーとシャッフルしてセット!」

 

「マジカル・シルクハットにチェーンでおジャマトリオ!神楽坂の場に3体のおジャマトリオトークンを守備表示で召喚!」

 

 俺の言葉に3体のおジャマトリオトークンが現れる。

 

「しまった!マジカル・シルクハットは!」

 

「あぁ。『必ず、場に2体の魔法か、罠をモンスター扱いにしなければならない。』その為モンスターをゾーンが4体並んでいたら、効果が不発してセット出来ない。

そして、神楽坂の場のモンスターが増減した事により、攻撃が巻き返しして、おジャマトリオトークンに攻撃!バニシングナパーム!」

 

 フレアレディの攻撃が、おジャマトリオトークンを破壊して、超過ダメージとおジャマトリオトークンの効果ダメージ合計1200を与えた。

 

「カードを1枚セットしてターンエンド!」

神楽坂ライフ2400 手札4枚

伏せ0枚

アンティーク・ギアソルジャーATK アンティーク・ギアナイトATK1800 おジャマトリオトークンDEF1000

ロックマンDEF2200 フレアレディATK2400

伏せカード1枚

一ライフ4000手札4枚

 

 

「俺のターン!ドロー!手札からトレード・インを発動!手札の古代の機械巨竜(アンティーク・ギアガジェルドラゴン)を捨てて2枚ドロー!」

 

 2枚のカードを引いた神楽坂はニヤリと笑った。なんだ?何を引いた?

 

「アンティーク・ギアソルジャーとアンティーク・ギアナイトを生け贄に、古代の機械巨人(アンティーク・ギアゴーレム)を召喚!さらに死者蘇生を発動!蘇れ!古代の機械巨竜(アンティーク・ギアガジェルドラゴン)!」

 

 1ターンで上級モンスターが2体も?

 

「これで、終わりじゃない!歯車街(ギア・タウン)を発動して大嵐を発動!」

 

 ゲェッ!このコンボは!

 

「それにチェーン発動で和睦の使者を起動!」

 

歯車街(ギア・タウン)が破壊された事により、古代の機械巨竜(アンティーク・ギアガジェルドラゴン)を特殊召喚!和睦の使者のおかげで攻撃しても意味無いから、1枚セットしてターンエンド!」

 

 

神楽坂ライフ2400 手札0枚

伏せ1枚

アンティーク・ギアガジェルドラゴン×2ATK3000 アンティーク・ギアゴーレムATK3000 おジャマトリオトークン×2

ロックマンDEF2200

伏せカード0枚

一ライフ4000手札4枚

 

「俺のターン!ドロー!手札から天使の施しを起動!3枚ドローして2枚捨てる!そして、エネミーコントローラーを起動!神楽坂の場のおジャマトリオトークンを攻撃表示に変更!そして、そのおジャマトリオトークンに攻撃!バニシングナパーム!」

 

 攻撃力0のモンスターを殴ればダイレクトアタックと変わらない!そう思っていたが些か甘過ぎたらしい。

 

「トラップ発動!スピリットバリア!この効果により、俺は戦闘ダメージを受けない!」

 ちぇっ。読まれてたか。

 

「このまま、ターンエンド。」

 

 

神楽坂ライフ2100 手札0枚

伏せ0枚 スピリットバリア

アンティーク・ギアガジェルドラゴン×2ATK3000 アンティーク・ギアゴーレムTK3000 おジャマトリオトークンDEF1000

ロックマンDEF2200 フレアレディATK2400

伏せカード1枚

一ライフ4000手札3枚

 

「俺のターン!ドロー!

バトル!古代の機械巨人(アンティーク・ギアゴーレム)でロックマンを攻撃!アルティメットパウンド!」

 

 

古代の機械巨人(アンティーク・ギアゴーレム)には貫通効果を持っている。よって800のライフを削られてしまう。

 

古代の機械巨竜(アンティーク・ギアガジェルドラゴン)でフレアレディを攻撃!」

 

『キヤアアァァァーー!!!!』

 

 古代の機械巨竜(アンティーク・ギアガジェルドラゴン)が放つ閃光がフレアレディを破壊した。(一ライフ4000-800-600=2600)

「コレで終わり、古代の機械巨竜(アンティーク・ギアガジェルドラゴン)のダイレクトアタック!」

 

 古代の機械巨竜(アンティーク・ギアガジェルドラゴン)の放つ閃光は俺に届く前に魂の障壁が遮った。

 

「墓地よりネクロ・ガードナーを除外して効果起動!攻撃を一度だけ無効にする!」

 

「なら!このまま、ターンエンド!」

 

 

 

神楽坂ライフ2100 手札0枚

伏せ0枚 スピリットバリア

アンティーク・ギアガジェルドラゴン×2ATK3000 アンティーク・ギアゴーレムTK3000 おジャマトリオトークンDEF1000

 

 

伏せカード1枚

一ライフ2600手札4枚

 

「俺のターン!ドロー!手札からD―ディスティニードローを起動!全てのプレイヤーは3枚ドローしてその中にある通常モンスターを見せる事でその枚数分ドロー!」

 

 ドローしたカードにもモンスターはないけど、いける。

 

「手札から魔法カード戦士の生還を起動!墓地からファイアリィ・ガールを手札に加えて召喚!そして、進化の魔薬を起動!D(ダーク)HERO(ヒーロー) ボンバーガールを召喚!そして、噴き上がるマグマを起動!ボンバーガールの攻撃力は自身のレベル×200、1000アップする!そして、手札から夜天街―ミッドナイトシティーを起動!」

 

「こ、これはクロノス先生に勝った時のコンボ!」

 

「その通りさ!

バトルフェイズ!ボンバーガールで古代の機械巨人《アンティーク・ギアゴーレム》を攻撃!ボンバーセイヴァー!」

 

 ボンバーガールは古代の機械巨人(アンティーク・ギアゴーレム)の足元に爆弾を置いていった。

 

「爆殺!」

 

 俺の言葉に爆弾が破裂してその破片が辺りに撒き散らした。

 

「だ、だが俺にダメージを与える事は、」

 

「忘れてないか?ボンバーガールは戦闘ダメージと一緒にもう一つの効果を持っているんだ。」

 

「え?そ、そうか!!効果ダメージ!」

 

 そう。スピリットバリアが制限していても効果ダメージまでは制限出来ない。

 

「そういう事。」

 

 古代の機械巨人(アンティーク・ギアゴーレム)の破片が神楽坂のライフを削りきった。

 

 

 

「今回は俺の敗けだ。でも、次は勝つ。」

 

「その時を楽しみにしてるぜ。」

 そう言って、互いに相手の手を握りあった。

 

十代 3勝0敗

一 3勝0敗

翔 2勝3敗

三沢 2勝3敗

神楽坂 1勝4敗

茂木 1勝2敗



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デュエル26 代表選抜VS茂木もけ夫

このお話を読んでくださる皆様ありがとうございます。


 次のデュエルは白銀の戦車鎮魂歌の使い手………。じゃなかった。茂木もけ夫の番だ。怒れるもけもけ、人海戦術、キングもけもけをつかい、十代を追い詰めたが、バブルマンとミラーゲートのコンボに敗れ去った。

 

「君が斎藤一君か。よろしくね。」

 

「こちらこそよろしく頼む。」

 

 

決闘(デュエル)!!』

 

『一 の ターンです。』

 

「俺のターン!ドロー!」

 

 もけもけに勝つには大量に並べるかでなきゃサイバーエンドみたいに高攻撃力で一気にもぎ取るか。

 

「俺はモンスターをセットしてターンエンド!」

 

一ライフ4000手札5枚

 

伏せモンスター1体

 

「僕のターン。ドロー。カードを2枚セット、もけもけを召喚。」

 

 ポゥンともけもけが出た瞬間、可愛いと女子の声が響いた。

 

「僕のターンは終了だよ。」

 

一ライフ4000手札4枚

 

伏せモンスター1体

もけもけATK

伏せ2枚

茂木もけ夫ライフ4000手札3枚

 

「俺のターン! ドロー! 俺はモンスターをセット、カードをセットしてターンエンド!」

一ライフ4000手札5枚

伏せカード1枚

伏せモンスター2体

もけもけATK

伏せ2枚

茂木もけ夫ライフ4000手札3枚

 

「アレ? 攻撃しないの?」

 

「もけもけの怒りを買ったら後が怖いし、大人しく静観しているよ。」

 

「へぇ。賢いんだね♪ 偉い偉い♪」

 

 なんか調子狂うな。

 

「でも無駄だよ。僕のターン。ドロー。リバース発動。最終突撃命令。このカードが発動している間は表表示のモンスターは攻撃表示になるよ。」

 

 ちょっと不味いかも。

 

「ハッピー・ラヴァーを召喚。怒れるもけもけを発動。

ハッピー・ラヴァーでその伏せモンスターを攻撃するよ。」

 

 伏せモンスターはD(ダーク)HERO(ヒーロー) サンダーボーイ。最終突撃命令の効果で攻撃表示になり、雷の刃で斬り伏せた。(茂木もけ夫ライフ4000-1900+800=2900)と同時にもけもけが怒り、赤く膨れた。

 

「やーん♪ かっこいい♪」

 

 今度は男子も混じってるこの中でデュエルをしろと?

 

「怒れるもけもけの効果でもけもけの攻撃力は3000になるよ。もけもけでサンダーボーイを攻撃。もけもけウェーブ。」

 

 もけもけは強烈な音波を出してサンダーボーイを破壊した。にしても海馬や。このデュエルで難聴になったら逆転する暇なく勝訴出来るぞ。(一ライフ4000-3000+1900=2900)

 

「手札から神秘の中華鍋を発動。もけもけを生け贄にして攻撃力3000分のライフを回復するね。そして、人海戦術を発動してターンエンドするよ。人海戦術の効果でハッピー・ラヴァーを召喚するね。」

 

一ライフ2900手札4枚

伏せカード1枚

伏せモンスター1体

ハッピー・ラヴァーATK800

伏せ0枚 人海戦術 最終突撃命令 怒れるもけもけ

茂木もけ夫ライフ5900手札1枚

 

「俺のターン! ドロー!」

 

 ヤバイ状況下だ。怒れるもけもけがある限り天使が破壊されたら、もけもけは攻撃力が3000まで跳ね上がる。

 

「反転召喚! ファイアリィ・ガール!更に進化の魔薬を起動!ファイアリィ・ガールを生け贄にフレアレディを召喚!そして、手札1枚をコストにD(ダーク)HERO(ヒーロー) ブリザレスを特殊召喚!」

 

 防御に回れないなら攻めるまで。(ブリザレス攻撃力1700+500=2200)

 

「バトルフェイズ!

フレアレディでハッピー・ラヴァーを攻撃!バニシングナパーム!」

 

 フレアレディの燃え盛る1撃がハッピーラヴァーを破壊した。

 

「さらにブリザレスでダイレクトアタック!フリージングスラッシュ!」

 

 ブリザレスの凍える攻撃が茂木もけ夫にダメージを与える。(茂木もけ夫ライフ5900-2400-2200+800=2100)

 

「1枚セットして、ターンエンド!」

 

「この時人海戦術の効果でハッピーラヴァーを特殊召喚するね。」

 

一ライフ2900手札3枚

伏せカード2枚

伏せモンスター0体 フレアレディATK2400 ブリザレスATK1700

ハッピー・ラヴァーATK800

伏せ0枚 人海戦術 最終突撃命令 怒れるもけもけ

茂木もけ夫ライフ2100手札1枚

 

「僕のターン。ドロー。手札から天よりの宝札を発動するよ。互いに6枚になるようにドロー。手札から魔法カード闇の量産工場を発動。墓地からもけもけとハッピー・ラヴァーを手札に加えて融合を発動するよ。もけもけ3体を融合してキング・もけもけを融合召喚。」

 

 ………で、でかい。3幻神や地縛神と変わらないでかさじゃ?

 

「さらに死者への手向けを発動するよ。手札1枚をコストにキング・もけもけを破壊するね。」

 

 そして、キング・もけもけの効果でもけもけが並ぶ。

 

「ハッピー・ラヴァーを召喚してバトルフェイズに入るよ。

ハッピー・ラヴァーでブリザレスを攻撃するよ。」

 

 ブリザレスはその刃で斬り伏せる。(茂木もけ夫ライフ2100-1700+800=1200)そして、怒れるもけもけの効果でもけもけの攻撃力は上昇する。

 

「もけもけ1でブリザレスを攻撃。もけもけウェーブ。」

 

 もけもけの音波を防ぎきれず、ダメージを受ける。

 

「もけもけ2でフレアレディを攻撃。もけもけウェーブ。」

 

「させない!リバース起動!くず鉄のかかし!攻撃を一度だけ無効にしてこのカードをセットする!」

 

「じゃあ、その効果にチェーン発動でサイクロン。くず鉄のかかしを破壊するね。最後にもけもけでもう一度フレアレディを攻撃。もけもけウェーブ。」

 

「トラップ起動!ガードブロック!ダメージを0にしてドロー!」

 

 危なかった。さっき使わなくて良かった。

 

「アララ。これもかわされたか。強欲な壺を発動して2枚ドローするよ。2枚セットしてターンエンドするよ。そして、人海戦術の効果で聖なる鎖を特殊召喚するよ。」

 

一ライフ1600手札4枚

伏せカード0枚

伏せモンスター0体

ハッピー・ラヴァーATK800 もけもけ×3ATK300 聖なる鎖ATK700

伏せ2枚 人海戦術 最終突撃命令 怒れるもけもけ

茂木もけ夫ライフ1200手札1枚

 

「俺のターン!ドロー!」

 

「この瞬間、リバース発動。女神の加護に非常食。人海戦術を墓地に送って女神の加護も含めて4000のライフを回復するね。」

 

 まずいな。俺の手札に4000以上のライフを削りきれる魔法カードもモンスターも無し。かといって守備に回しても最終突撃がある以上、自爆特攻を防げない。………これってチェックメイト?(茂木もけ夫ライフ1200+1000+3000=5200)

 

「そう。諦めたら?」

 ………そうだな。これじゃ勝てないし。サレンダーするべきかな?

 

『一!!』

 

 俺の耳にその声が届いた。視線をずらすと、明日香達が応援していた。

 

「………。手札からD―ディスティニードローを起動!全てのプレイヤーは3枚ドローしてその中にある通常モンスターを相手に見せる事でその枚数分ドロー!」

 

「アレ?サレンダーしないの?」

 

 俺の行動にもけ夫は首をかしげる。

 

「まあな。大切な友達の応援まで無駄にしたくないし。」

 

 『友達として大好きだ。』そう言ってくれたあの時は嬉しかったしその想いに応える為にも諦められないよ。

 

 ドローカードはD(ダーク)HERO(ヒーロー) ウィンドマン、進化の魔薬、A―アタックメントコール。この3枚を組み合わせればもけもけ封じはできる。

 

「ドローカードの中に通常モンスターはD(ダーク)HERO(ヒーロー) ウィンドマンの1枚。」

 

「僕のドローカードは魔法と罠だけだよ。」

 

「よって1枚ドロー!手札からA―アタックメントコールを起動!ウィンドマンを特殊召喚して最終突撃命令を破壊!ダーク・ウィング・シザーズ!」

 

 ウィンドマンの羽ばたきが最終突撃命令を切り裂いた。

 

「でもさ、最終突撃命令を破壊しても意味無くない?」

 

 確かに、最終突撃命令を破壊しても、このターンの表示形式は変更不可能だ。

 

「さらに進化の魔薬を起動!ウィンドマンを生け贄にD(ダーク)HERO(ヒーロー) ストーマーを召喚!そして、イービルクリボーを通常召喚!

バトルフェイズ!ストーマーでもけもけと聖なる鎖を破壊!」

 

 ストーマーが風の塊を叩きつけもけもけを破壊して、さらにもう一回聖なる鎖に叩きつけた。(茂木もけ夫ライフ5200-2000-2000+700+300=2200)

 

「そして、イービルクリボーでもけもけを攻撃!偽りの苦痛!ファントムペイン!」

 

 イービルクリボーの攻撃が茂木もけ夫のライフを0にした。

 

 

 

「やったな!一!!後は俺達のデュエルだけだ!」

 

「………ま、そうなんだけどな、こんな状況だしな。」

 

 皆がスヤスヤと眠っている。

 

「それに俺もちょっと眠いから寝るな。お休み。」

 

そう言って、俺は寝てしまった。

 

十代 4勝0敗

一 4勝0敗

翔 2勝3敗

三沢 2勝3敗

神楽坂 1勝4敗

茂木 1勝4敗



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デュエル27 代表決定VS遊城十代

このお話を読んでくださる皆様ありがとうございます。


 茂木もけ夫との決闘(デュエル)で皆スヤスヤと眠ってしまった為に代表決定戦は翌日に持ち越された。

 

 

 

「さて、僭越ながら司会は私、大徳寺が勤めさせて頂きます!」

 

 おや。今回は大徳寺先生が司会をするのか。

 

「赤コーナー・オシリス・レッド期待の星遊城 十代!!」

 

 大徳寺先生の言葉に十代は特段緊張した様子も見せない。

 

「青コーナー 斎藤一!!」

 

 その言葉に、俺は若干緊張した様子を見せながら入場する。

 

「一。勝ちは譲らないぜ?」

 

「それはこちらの台詞だぜ?十代?」

 

「お互い気合い十分!では開始してください!」

 

 大徳寺先生の言葉に同時に宣言した。

 

決闘(デュエル)!!」

 

『一 の ターン です。』

 

「俺のターン!ドロー!」

 

 攻め手に出たいけど、今はそれに必要なカードがない。

 

「モンスターをセットしてターンエンド!」

 

一ライフ4000手札5枚

 

伏せモンスター1体

 

「俺のターン!ドロー!手札から融合を発動!手札のバーストレディーとフェザーマンを融合してフレイムウィングマンを融合!

バトル!フレイムウィングマンで伏せモンスターを攻撃!フレイムシュート!」

 

 フレイムウィングマンが炎を纏った攻撃を仕掛けたが伏せモンスター、ロックマンが弾き返す。(十代ライフ3900)

 

「グゥ!やるな!カードを2枚セットしてターンエンド!」

 

一ライフ4000手札5枚

 

伏せモンスター0体 ロックマンDEF2200

フレイムウィングマンATK2100

伏せ2枚

十代ライフ3900手札1枚

 

「俺のターン!ドロー!手札からD・HERO(ダーク・ヒーロー) ファイアリィ・ガールを召喚!そして、進化の魔薬を起動!ファイアリィ・ガールを生け贄にフレアレディを召喚!

バトルフェイズ!フレアレディでフレイムウィングマンを攻撃!バニシングナパーム!」

 フレアレディが攻撃を仕掛けようとしたが、

 

「トラップ発動!ヒーローバリア!攻撃を1度だけ無効にする!」

 

 十代が発動させたバリアが攻撃を防いだ。

「1枚セットしてターンエンド!」

 

一ライフ4000手札5枚

伏せ1枚

伏せモンスター0体 ロックマンDEF2200 フレアレディATK2400

フレイムウィングマンATK2100

伏せ1枚

十代ライフ3900手札1枚

 

「俺のターン!ドロー!|E(エレメンタル)HERO(ヒーロー) スパークマンを召喚!手札から装備魔法スパークガンをスパークマンに装備!効果によりスパークガンに魔力カウンターを3つ乗せる!」

 

 こりゃかなり不味いな。

 

「スパークガンの魔力カウンターを2つ取り除いてフレアレディとロックマンの表示形式を変更する!」

 

 弾丸を撃ち込まれ表示形式を変更する。

 

「バトル!フレイムウィングマンでフレアレディを攻撃!フレイムシュート!」

 

『キャアアァァァ!』

 フレイムウィングマンの攻撃がフレアレディを破壊した。ただし、フレアレディは守備表示で戦闘ダメージは無いのだが、

 

「さらにフレイムウィングマンの効果発動!戦闘によって破壊して墓地に送ったモンスターの攻撃力分相手にダメージを与える!」

 

「どぁっちゃぁぁ!!」

 

 フレイムウィングマンの一撃が俺のライフを焼いた。つーか、これ立体映像だよな?冗談抜きでマジに熱いんだけど!というかフレイムウィングマンは何故、炎攻撃をする!お前は風属性だろうが!(一ライフ4000-2400=1600)

 

「さらに、スパークマンでロックマンを攻撃!スパークフラッシュ!」

 

 スパークマンの稲妻がロックマンを砕いた。(一ライフ1600-1600+200=200)

 

「ターンエンド!」

 

一ライフ200手札5枚

伏せ1枚

伏せモンスター0体

フレイムウィングマンATK2100 スパークマンATK1600

伏せ1枚 スパークガン魔力カウンター1

十代ライフ3900手札0枚

 

「俺のターン!ドロー!」

 

 ホントに不味いな。残りライフが1000もない。さらに場には表示式を変更出来るスパークガンを装備したスパークマンがいる。それにフレイムウィングマンに勝てる攻撃力を持ったモンスターはデッキにしかないし。

これってチェックかかっている?

って、これなら切り抜けれる!

 

D・HERO(ダーク・ヒーロー) ウィンドマンを召喚!さらに進化の魔薬を起動!ウィンドマンを生け贄にしてストーマーを召喚!」

 

「出たな!でも、フレイムウィングマンを破壊するにはちょっと足りないぜ!」

 

「速攻魔法、下降気流(ダウン・バースト)を起動!相手フィールド上のモンスター全ては自分のフィールド上の風属性のD・HERO(ダーク・ヒーロー)一体のレベル×100攻撃力をダウンする!」

 

 ビューと上から突風が吹いて来るのだがものすごく寒い!

 

「バトル!ストーマーでスパークマンを攻撃!さらにフレイムウィングマンに攻撃!」

 

 ストーマーはスパークマンに風の塊を叩きつけたら今度はフレイムウィングマンにも叩きつけた。(十代ライフ3900-2000-2000+1600+1100=2600)

 

「スパークマンが破壊された瞬間、リバース発動!ヒーローシグナル!効果でフォレストマンを手札に加える。」

 

「これでターンエンド!」

 

一ライフ200手札3枚

伏せ1枚

伏せモンスター0体 ストーマーATK2000

フォレストマンATK1000

伏せ0枚

十代ライフ2600手札0枚

 

「俺のターン!ドロー!スタンバイフェイズにフォレストマンの効果でデッキから2枚目の融合を手札に加える!さらに強欲な壺を発動!」

 

 ここでドロー強化か。

 

|E(エレメンタル)HERO(ヒーロー) ワイルドマンを召喚!更にフィールド魔法、摩天楼―スカイスクレーパーを発動!もらったぜ!

バトル!ワイルドマンでストーマーを攻撃!」

 

「甘いよ!十代!!リバース起動!サイクロン!効果でスカイスクレーパーを破壊!」

 

 突風が吹き起こり十代の場の魔法カードを破壊すると共に景色をもとに戻した。そして、スカイスクレーパーの効果を受けれずにワイルドマンはストーマーに破壊された。(十代ライフ2600-2000+1500=2100)

 

「ちぇ。フォレストマンを守備表示にしてターンエンド!」

 

一ライフ200手札3枚

伏せ0枚

伏せモンスター0体 ストーマーATK2000

フォレストマンDEF2000

伏せ0枚

十代ライフ2100手札1枚

 

「俺のターン!ドロー!手札からD・HERO(ダーク・ヒーロー) ダークナイトを召喚!さらに進化の魔薬を起動!ダークナイトを生け贄にしてD・HERO(ダーク・ヒーロー) ネクロパペットマンを召喚!そして、ネクロパペットマンの効果起動!墓地にあるレベル4以下のモンスターをこのカードの装備カードとして扱い装備する!」

 

 ネクロパペットマンは俺の墓地からダークナイトを自身の武装にした。(ネクロパペットマン 攻撃力1100+1900÷2=2050)

 

「バトルフェイズ!

ネクロパペットマンでフォレストマンを攻撃!」

 

 ネクロパペットマンが操るダークナイトがフォレストマンを切り裂いた。

 

「そして、ストーマーのダイレクトアタック!」

 

「うぁぁっ!!!!」

 

 ストーマーの風の塊が十代を襲う。(十代ライフ2100-2000=100)

 

 100残ったか。十代相手だとその100がキツいんだよな。

 

「ターンエンド!」

 

一ライフ200手札3枚

伏せ0枚 ダークナイト(ネクロパペットマンに装備)

伏せモンスター0体 ストーマーATK2000 ネクロパペットマン1100+950

伏せ0枚

十代ライフ100手札1枚

「俺のターン!ドロー!手札からE(エレメンタル)HERO(ヒーロー) バブルマンを召喚!バブルマンの効果発動!召喚時フィールド上にこのカード以外のカードがないとき2枚ドロー!」

 

 出たな!強欲なHERO!

 

「手札から融合を発動!バブルマンと手札のエアーマンを融合!アブソルートZEROを融合召喚!」

 

 あちゃーこりゃ負けたか。

 

「バトル!アブソルートZEROの攻撃!瞬間氷結《Freezing at moment》!」

 

 アブソルートZEROの一撃でストーマーは砕け散った。(一ライフ200-2500+2000=-300)

 

 負けたか。そういえば、この島に来て最初に負けちまったんだよな。

 

「やったな。十代。代表おめでとう。」

 

「あぁ。ありがとう。」

 

 十代は差し出した俺の手を握り返した。

 

「「ガッチャ!楽しいデュエルだったぜ!!」」

 

遊城 十代 5勝0敗 代表決定

斎藤 一 4勝1敗

翔 2勝3敗

三沢 2勝3敗

神楽坂 1勝4敗

茂木 1勝4敗



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デュエル28 死者の風

このお話を読んでくださる皆様ありがとうございます。


「え〜、では、遊城十代君の代表決定を祝して、また、健闘虚しく破れてしまった、皆様にも白熱したデュエルを讃え、乾杯!」

 

『乾杯!』

 

 大徳寺先生の言葉にラー・イエローとオシリス・レッドの皆が唱和した。

 

「やったな! 十代。」

 

「斎藤も惜しかったぜ。」

 

 寮を問わず皆が祝福してくれる。そんな中、

 

「一。話があるから、9時に灯台に来て。」

 

 雪乃が小声で囁いた。

 

 

 

「一体、何だろう? 俺に言いたい事って。」

 

 地面に座って足をプラプラと揺らしながら呟いていた。只今の時刻は08:42で約束の時間まで後20分位ある。その時間を使って用件を考えてみたのだが、思いつかない。

 

『貴方が好きなの。』

 

 ………まず、無いな。雪乃が俺にそんなことを言うわけ………あった。でも、あれは友達として好きって意味でLoveじゃなくてLikeだって言ってたし。

 

『貴方が大嫌い。』

 

 これもないな。雪乃の性格から嫌いな人と友達つきあいするとは思えない。

 

『好きな人がいて、その人を振り向かせたいから手を貸して。』

 

 ………………ありそう。あ、でもだったらこんなとこまで呼び出すか? もしかして、好きな人がパーティー会場にいて、その人に聞かれると困るからこんなとこまで呼び出したとか?

そうなると相手は誰だろう?

俺を呼び出すんだから、俺の友達だろうけど、オシリス・レッドにもラー・イエローに知り合いはいるから範囲は狭められない。

………まぁ良いや。どんな人が好きなのか、本人に聞いてみるか。

 

 そう思ったが、予定外のお客さんが来ていた。

その人は頭から黒いフードをかぶっているため顔が分からない。ただ、体つきやしなやかな手から、その人が女であることはわかる。その人は、変わった形のデュエルディスクを起動させた。どうやらデュエルを申し込みに来たらしい。

十代じゃないが、挑まれたデュエルを逃げる気はない。立ち上がるとデュエルディスクを起動させた。

 

『対戦相手 の ターン です。』

 

 デュエルディスクから聞こえる声に彼女はプレイを開始した。まず、場に出たのはハーピィ・レディー。そして、カードをセットして手を差し出した。ターンエンドと言いたいらしい。

 

???ライフ4000手札4枚

伏せ1枚

ハーピィ・レディー1ATK1300

 

「俺のターン! ドロー! D(ダーク)HERO(ヒーロー) ファイアリィ・ガールを召喚!フレアランスをファイアリィ・ガールに装備して、ファイアリィ・ガールの攻撃力を800ポイントアップさせる!

バトルフェイズ! ファイアリィ・ガールでハーピィ・レディーを攻撃! バーンスラッシュ!」

 

 ファイアリィ・ガールの攻撃がハーピィ・レディーとフレアランスも破壊した。

何で? そう思ったら、相手の場の魔法カードが発動している事に気づいた。

そのカードの効果でハーピィ・レディーの攻撃力が800アップさせて、相討ちにさせるつもりだったが、フレアランスは破壊の身代わりになる効果を持っているからファイアリィ・ガールの代わりにこのカードが破壊されたのだろう。

 

「カードを1枚セットしてターンエンド!」

 

???ライフ4000手札4枚

伏せ

伏せ モンスター

ファイアリィ・ガールATK1300

伏せ1枚

一ライフ4000手札3枚

 

 無言でドローする女。その手から死者蘇生が発動される。効果により、ハーピィ・レディーが甦る。そして、ハーピィ・レディー1を召喚する。そして、魔法を発動させ、ファイアリィ・ガールとミラーフォースを破壊した。

ハーピィ・レディー達の追撃が俺のライフを大幅に削った。

 

「グァァッ!!!!」

 

 攻撃された瞬間激痛がして腹部を押さえた俺の手を真紅に染める。

 

「………このデュエルはダメージを実体化するからね。」

 

 フードをかぶった女がそう言う。

 

「………その声、まさか。」

「フードの下が気になるんだ。見せてあげるね。」

 

 そう言って、フードを外す。

 

「………あ。」

 

 信じられない。活発なその瞳は白目と黒目が反転してて、豊満なその肢体にはカーリーが来てた服を着ていた。そして、その腕には、蒼い蜂鳥のアザが浮かんでいた。

 

「………つ………ば………さ………。」



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デュエル29 黒き風!ダークシンクロ

このお話を読んでくださる皆様ありがとうございます。


Side 雪乃

 

 灯台であったら言おう。一はきっと困惑するわね。鈍感で私達の想い友達として好きと誤解しているみたいだし。

 

「ところでいつまでついて来る気かしら?」

 

 私は後をついてくる3人に声をかけた。

 

「別に雪乃の邪魔をする気はないけどね。」

「ただ、私達もついていきます。」

 

「………わかったわ。私もあなた達の邪魔はしない。」

 

 そのまま灯台にたどり着くと一は女の人とデュエルをしている。ちょっと、ムカつくわね。

その一は黄色い制服を赤く染めて、って、血が出てる!

 

「一!」

 

 あまりの出来事に顔を青ざめる中、マナが叫ぶのだが、一の耳には届いていないらしい。

だけど、女の方はこちらを見た。白目と黒目が反転して、腕には、蒼い鳥の痣か浮かんでいた。

 

「予定外のお客さんが来たみたいだね。」

 

 

 

Side 一

 

 山峯(やまみね)(つばさ)の言葉にそちらを見て、雪乃達が来ている事に気づいた。

 

「マナ?明日香?麗華?何で?」

 

「そんなことより、怪我しているみたいじゃない!大丈夫なの?早く手当しないと!」

 

 マナはそう言って、駆け寄ろうとするが、

 

「邪魔だよ!」

 

 翼から発する闇のオーラのようなものが、マナの歩みを止めさせた。

 

「ボクと一のデュエルの邪魔はさせないよ?1枚セットしてターンエンド!」

 

翼ライフ4000手札4枚

伏せ

伏せモンスターハーピィ・レディ1ATK1300+300 ハーピィ・レディATK1300+300

 

 

一ライフ800手札3枚

 

「………俺のターン。」

 

 腹のキズがヤバイ。このデュエルを終わらせないと。このデュエルはダメージを実体化する。つまり、ライフが0になれば死ぬ恐れだって有る。

 

「カードを2枚セットしてD・HERO(ダーク・ヒーロー) アクアガールを守備表示で召喚。効果起動。俺の手札は1枚だから3枚ドロー。追加で1伏せしてターンエンド。」

 

翼ライフ4000手札4枚

伏せ

伏せモンスターハーピィ・レディ1ATK1300+300 ハーピィ・レディATK1300+300

アクアガールDEF2000

伏せ3枚

一ライフ800手札3枚

 

「ボクのターン!ドロー!ハーピィ・レディをリリースしてDT《ダークチューナー》ヘルウィングレディを召喚!」

 

DT(ダークチューナー)ヘルウィングレディ 闇属性レベル10

攻撃力0 守備力0

 

【鳥獣族・チューナー 効果】

このカードはハーピィ・レディ一体をリリースすることで通常召喚できる。手札1枚をコストとして捨てることでこのカードのレベルを上げるか下げる事が出来る。

 

「ダークチューナー?」

 

「レベル10なのに攻撃力0?」

 

 マナ達は聞いたことのないカードに戸惑っている。

 

「ヘルウィングレディの効果で手札を2枚墓地に送ってレベルを2あげる。

そして、レベル4ハーピィ・レディ1にレベル12DT(ダークチューナー)ヘルウィングレディをダークチューニング!」

 

 ヘルウィングレディは暗い星となり、ハーピィ・レディの中に入るとハーピィ・レディは苦悶の表情を浮かべた。

 

「ダークチューニング?シンクロ召喚とは違うの?」

 

 シンクロ召喚を知っている明日香が問いかける。マナはともかく、雪乃と麗華は?を浮かべていた。

 

「ダークチューニングはレベルの引き算だ。チューナー以外のモンスターのレベルからダークチューナーのレベルを引いた数字と同じレベルのダークシンクロモンスターをダークシンクロ召喚するんだ。」

 

「ちょ、ちょっと待ってください!それじゃ召喚出来ないですよ!ハーピィ・レディ1のレベルは4、ヘルウィングレディのレベルは12ですから、0以下になってしまいます!そんなレベルのモンスターがいるわけがないです!」

 

「それがあるんだよね。」

 

 そう言って、蒼い星が8個ついた黒いカードを取り出した。

 

「闇と風交わりしとき、冥府の扉は開かれる。災い呼びし黒風よ。吹き荒れろ!

ハーピィ・ディザスター・エンプレス!」

 

 ☆4-★12=☆-8

 

 翼の場にハーピィ・クイーンに似た黒い翼を生やした女性が召喚された。

 

「ダークシンクロモンスター?そんなもの聞いたことがないわよ?」

 

「ハーピィ・ディザスター・エンプレスの効果発動!召喚に成功したときハーピィ・レディを墓地から可能な限り特殊召喚!」

 

 この効果でハーピィ・レディ、ハーピィ・レディ1、ハーピィ・クイーンが2体現れる。どうやら、ヘルウィングレディのコストに使われたやつらしい。

ハーピィ・ディザスター・エンプレス 闇属性レベル-8

攻撃力2400 守備力1200

 

【鳥獣族・ダークシンクロ 効果】

チューナー以外のモンスター-DTと名のついたチューナー

「DT」と名のついたチューナーの効果ボタンから、そのモンスターと他のモンスター1体を墓地へ送り条件に合うダークシンクロ体を

エクストラデッキから特殊召喚する。

このモンスターはフィールド、墓地に有るとき風属性、ハーピィ・レディとしても扱う。召喚に成功したときハーピィ・レディを可能な限り特殊召喚する。自分フィールド上のハーピィ・レディは攻撃力を800アップさせる。

 

「バトル!

ハーピィ・ディザスターエンプレスでアクアガールを攻撃!」

 

「………リバース起動。ウォーターカッター自分フィールド上のD・HERO(ダーク・ヒーロー)と名のつくモンスターを生け贄にしてそのモンスターのレベル分相手の場のカードを破壊する。アクアガールを生け贄にしてハーピィ・レディ以外のモンスターを破壊する。」

 

 くず鉄のかかしを伏せてあるから大丈夫かと思ったが、甘かったらしい。

 

「速攻魔法発動朱雀の舞!このターン中にフィールドから離れたハーピィ・レディ達を特殊召喚!この時、そっちは任意で2枚ドロー出来る!」

 

「なら、チェーンで和睦の使者を起動。朱雀の舞の効果でドロー。」

 

 再び場を埋めるハーピィ・レディ達。

 

「攻撃しても意味無いからターンエンドするね。」

 

翼ライフ4000手札4枚

伏せ

伏せモンスターハーピィ・レディ1ATK1300+300+800 ハーピィ・レディATK1300+300+800 ハーピィ・クイーン×2ATK1900+300+800 ハーピィ・ディザスター・エンプレスATK2400+300+800

 

伏せ1枚

一ライフ800手札5枚

 

「俺のターン。ドロー。」

 

 このままじゃ、やられる。でも、どうしたら?ん?こんなカードを入れたっけ?どうやら、デッキ調整に紛れ込んでしまったようだな?………あ、この手があった!

 

「手札からD・HERO(ダーク・ヒーロー) ウィンドマンを召喚!進化の魔薬を起動!ウィンドマンを生け贄にしてD・HERO(ダーク・ヒーロー) ストーマーを召喚!1枚セットしてターンエンド!」

 

翼ライフ4000手札4枚

伏せ

伏せモンスターハーピィ・レディ1ATK1300+300+800 ハーピィ・レディATK1300+300+800 ハーピィ・クイーン×2ATK1900+300+800 ハーピィ・ディザスター・エンプレスATK2400+300+800

ストーマーATK2000

伏せ2枚

一ライフ800手札5枚

 

「ボクのターン!ドロー!」

 

「この瞬間、ラストバトルを起動!効果により、俺はストーマーを残して全て墓地に送る!」

 

「ボクはハーピィズペット(ドラゴン)を特殊召喚!」

 

 互いに一体のモンスターが残った。そして、ペット竜とストーマーがぶつかりあい互いに砕け散った。

 

「ラストバトルの効果はこのバトルでモンスターが残った方のプレイヤーを勝者とする。どっちも倒れた場合は引き分けだ。」

 

 その言葉に翼は苦笑する。

 

「引き分けみたいだし、ボクは帰らせてもらうよ。でも、このままで済むと思ったら、大間違いだよ?」

 

 翼は俺に背を向けて帰ろうとする。

 

「待て!翼!お前は何でダーク・シグナーなんかになった!」

 

「じゃあね。『裏切り者』。」

 

 ズキッ!!

 

 翼のその言葉に、俺の胸は激しく痛んだ。

そして、俺は倒れていた。ヤバイ。ハーピィ・レディの攻撃で出血し過ぎた。直ぐに俺の意識は暗くなった。



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デュエル30 思わぬネタバレ?

ここのお話読んでくださる皆様ありがとうございます。なお、今回と次のお話はデュエルがありません。


Side 雪乃

 

「ちょ、ちょっと!一!」

 

 突然、倒れた一の姿に慌てて駆け寄る。

呼吸はまだあるけど、血が出すぎている!最悪の結末を想像して青ざめるなか、

 

「ちょっと!そこどいて!」

 

 いつの間にかブラックマジシャンガールのイラストと同じ服を着たマナが一に杖を向けていた。

次の瞬間、緑色の柔らかい光が一を包んでいた。それとともに 一の傷が癒えていく。

 

「大きな血管とかは何とかふさげるけど、細かなものまでは手が回らないし出ちゃった血は壊れて使い物にならないから鮎川先生を呼んできて!」

 マナの言葉に慌てて駆け出した。

………死なないでよ。一!

 

 

 

Side 一

 

「マタタビ!」

 

 俺は叫んで飛び起きた。って、アレ?何叫んだんだっけ?というか、ここは、

 

「知っている天井だ。」

 

 上を見上げて呟いていた。ここは、保健室だよな?

 

「アラ?気がついたかしら?」

 

 そう言って、カーテンが開かれて保健室の主の鮎川先生が顔を見せた。

 

「エエ?コレは鮎川先生が?」

 

 腹部に巻き付いている包帯を見せて問う。

 

「ええ。天上院さん達が駆け込んできたときはビックリしたわ。」

 

「すみません。」

 

「謝るよりも、そこで寝ている娘達にお礼を言うのはどうかしら?」

 

 そう言って、視線をずらす鮎川先生の視線の先には、明日香達が寝ていた。よほど疲れているのだろうか?いっこうに起きる様子がない。

 

「貴方が保健室に担ぎこまれて、3日間、一睡も寝てないのよ。一睡もせずに貴方の看病を」

 

 そんなに!鮎川先生の言葉に申し訳ない気持ちと4人に感謝の思いを抱いた。ただの友達にそこまでの事をしてくれるなんて優しい人と友達になれたもんだ。

 

 ゾクゾク!

 

 な、何か今エターナルエヴォリューションバーストとD・ホイールに撥ね飛ばされたような悪寒を覚えたんだが、気のせいだよな?

 

「………ん?一!」

 

 目を覚ましたマナが抱きついてきた。その声に他の3人も目を覚ます。

その様子を見た鮎川先生は、校長先生を呼んでくると言って退室した。

 

「さて、あの翼って娘は何者なの?あなたとどんな関係?」

 

 雪乃の問いに悩んだが話すことにした。

 

「俺と翼は前世で付き合っていた。恋人だったんだ。」

 

「前世って?」

 

「信じられないかもしれないが、俺はこの世界の事が漫画やアニメの形で見ることのできる世界から1度死を体験してこの世界に転生したんだ。」

 

 俺の話に3人の表情は驚愕に染まっていた。

 

「そんな些細なことより、翼はなんで裏切り者なんて言ったのよ?」

 

 驚いた割にはアッサリとした問いに逆にこちらが驚いた。

 

「些細なことって、こっちは言うべきか迷ったんだけど。」

 

「関係無いわよ。『前世』が何者だろうと、『今』が斎藤一なら問題ないわ。」

 

 雪乃の言葉に皆が頷いた。

 

「そ、そうなのか?ありがとう。

翼が俺の事を裏切り者と言ったのは、翼の死因に関係している。

あの日、俺と翼はデートの約束をしていたんだ。時間ギリギリに待ち合わせ場所に来た翼は慌てていた所に横から信号無視した車とな。」

 

 そこまで言って、口を閉じる。

 

「それじゃあ、ただの逆恨み以前の問題じゃないですか!」

 

「だけどさ、そのデートだって、俺が言い出したんだ。俺が言わなかったら、翼はもう少し生きられたかもしれないんだ。

………俺がいなかった方が良かったのかもしれない。」

 

『そんなこと無い!』

 俺の呟きを4人が否定した。

 

「そんなこと無いよ。だって、」

 

「私達は一のおかげで、」

 

「人を愛する悦びを知れたのよ?」

 

「時には嫉妬に身を焦がす事もありましたけど一くんと会えて良かったと思います。だから、」

 

『あなたを愛してる。』

 

 マナ、明日香、雪乃、麗華の言葉に少しだけ軽くなったような気持ちになった。

 

「………ありがとう。みんな。みんなの想いに答えられるかわからないけど、ありがとう。」



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デュエル31 デュエルバカとスピードバカ、どっちがホントの馬鹿

このお話を読んでくださる皆様ありがとうございます。


「授業も終わったし、放課後はどうすっかな?」

 

 ノートやシャーペンを片付けこの後の空いた時間をどう消化するか考えていた時、

 

「申し訳無いがニャ、一君は私と一緒に校長室まで来てください。」

 

 ?校長先生に呼び出されるような事に心当たり無いんだけど。

そして、大徳寺先生と一緒に校長室まで来たのは良いけど、

 

「………何で十代達まで来るんだ?」

 

 明日香、麗華、マナ、雪乃だけじゃなく、十代、ジュンコ、翔、ももえ、神楽坂、御手洗に黒い制服を着た準がついてきていた。

どうやら入院中というか、気絶中にノース校との交流デュエルが終わったらしく、退院した頃には準がオシリス・レッドに来ていた。

 

「一が退学になりそうだから抗議しに行くんだよ。」

 

「…十代君。ちょっと、早とちりのし過ぎだニャ。別に退学ではなく、一君を呼び出しているお客さんがいるだけなんだニャ。」

 

 ?俺に用事がある客?誰だろ?

 

「失礼します。校長。俺に客が来たと聞いて来ました。」

 

「遅い!この俺を待たせるとは良い度胸だ!」

 

 校長室に入った瞬間、そんな声が俺を出迎えた。だけど、

 

「え?この声、この上から目線、自称武藤遊戯のライバル。実際は遊戯に3歩ほど劣るKCコーポレーション会長の海馬瀬人か?」

 

「貴様ぁ。命は惜しく無いようだな?」

 

 瀬人の何かを押さえつけるような声を聞きながら、瀬人のそばにいる少年に挨拶した。

 

「久しぶり。モクバ君。元気してた?」

 

「貴様は俺の用事よりモクバの健康が大事なのか?」

 

 言われた言葉に中空を見ること1分。

 

「おお!そういえば、そうだった!瀬人。俺に何のよう?」

 

「貴様が俺に渡したデータを元に完成したから届けに来たんだ。」

 

「そうか!とうとう完成したか!」

 

 喜びながら、瀬人の案内に従う俺達だった。

 

 

 

 瀬人の後をついていき、港には船が到着していて、その入り口から磯野さんがバイク型デュエルディスク―Dホイールを押してきた。

「よく来たな!流星号!」

 

「流星号?」

 

 Dホイールを見て、小首をかしげる皆に気づいて説明する。

 

「あぁ。こいつはバイク型デュエルディスクDホイールだ。バイクであると共に、特殊なデュエルをするためのデュエルディスクさ。」

 

「…なぁ。一。前に言ってた新型デュエルって、」

 

 十代の呟きに、俺は縦に頷いた。

 

「あぁ。コレに乗ってデュエルをするんだ。」

 

 答えてから、磯野さんに振り向いた。

 

「磯野さん。ちょっと試乗してもいいですか?」

 

「ハイ。どうぞ。起動には指紋認証ですみます。」

 

 磯野さんの説明を聞きながら、左手をタッチパネルに触れる。

 

『指紋認識完了。マスター一おはようございます。』

 

「って、バイクがしゃべった!」

 

『肯定。私は流星号に搭載されている、A・I。Libra《リブラ》と申します。』

 

 リブラの解説にざわめいていたがすぐに落ち着いた。

 

「お、俺十代。遊城十代。よろしくな。リブラ。」

 

『声紋登録終了。こちらこそよろしくお願いします。十代様。』

 

 十代の自己紹介を皮切りに皆が自己紹介していく。

 

「さてと、リブラ。ちょっと乗らせてもらうぞ。」

 

『問題ありません。どうぞ、乗ってください。』

 

 Riblaの答えに流星号に跨がりアクセルを捻る。その瞬間、ものすごいスピードで飛び出した。

 

「凄い!速い!」

 

 その加速に周囲の背景が背後に流れていく。

あっという間に元の場所に戻った。

 

「凄いな!コイツは!」

 

 十代は、流星号を叩いてそう言った。

 

「………でも、危なくないかしら?D・ホイールって、結構速いみたいだし、事故ったりしないかしら?」

 

『肯定。ライディングデュエルは走りながらデュエルを行うので常に注意が必要です。』

 

 心配そうに問いかける明日香にLibraが答える。それにたいし、十代が興味深く問いかける。

 

「ライディングデュエルって、リブラに乗って行うデュエルの事だな?」

 

『肯定。私達に乗りデュエルを行います。通常のデュエルと変わりませんが、フィールド魔法がスピードワールド、スピードワールド2のみに固定され他のカードの影響を受けず魔法カードはSP《スピードスペル》と名のついた魔法しか使えません。また、SPの発動には規定の個数のスピードカウンターを貯めるか、取り除く必要があります。』

 

「なるほど。魔法カードの掛け合いが必要になるのか。」

 

 Libraの説明になるほどと神楽坂が呟いた。

 

「フン。俺と貴様とで実際にライディングデュエルをやってみたかったが生憎と多忙でな。これで失敬する。」

 

 海馬達はそう言って船に乗り込もうとする。

 

「海馬!忙しい中ありがとな!」

 

 その背中に声をかけるが振り向く事はなかったが、その背中は嬉しそうに見えた。



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デュエル32 哀しき決着

このお話を読んでくださる皆様ありがとうございます。


 コンコン。

 

 宿題も済ませ、寝ようかと思った所で、ノックされた。

深夜に誰だろう?

そう思いながらドアを開けたけど、誰もいない。イタズラか?と思った時に足下に紙切れが置いてあることに気づいた。

 

「誰ですか?」

 

 パジャマ姿の麗華が眠そうに答えた。

 

「わからない。俺に何かの用事があったんだろうけど。」

 

 麗華にそう返して足元の紙切れを拾い上げる。その紙切れには女の子らしい丸みを帯びた字で書かれていた。『裏切り者へ

後、1時間後にライディングデュエルを申し込む。D・ホイールとデッキを所持して新設デュエルフィールドまで来られたし。』

 

 差出人が書かれていないが、翼だとすぐにわかった。

 

「皆。ちょっと急用出来たから、先に寝ててくれ。物騒だし戸締まりはちゃんとしててくれよ?」

 

 俺はマナ達にそう言って出ようとした所で、

 

ギュッ

 

「え、えっとマナサン?「ヤ。」そんなにギュッと「却下。」抱きしめられる「イヤ。」と嬉しいけど「ならこのままでも良いでしょ?」出るに出られないから離して「ノー。」頂ける「ダメ。」と一は一ですごく嬉しい「私は嬉しくないからヤダ。」のですが。ってか言い切る前に7回も否定するな!せめて最後まで言わせろ!」

 

「論外ね。

どうせ、あの女からの物でしょ?」

 

 ギクッ

 

「さ、さ、さて、な、なな、何のことやら?」

 

 思わず雪乃から視線をそらすとマナが怒った。

 

「誤魔化さないの!!一が何かを誤魔化したいときはそうやって目線をそらすんだよ!」

 

 マナの指摘に心の中で呻いた。

 

「………ハァ。何でそんなに鋭いんだか?」

 

「やっぱり、あの女なのね?」

 

 明日香の言葉に頷いた。

 

「あぁ。翼からの挑戦状だよ。」

 

「私達も行きます!」

 

 麗華の言葉に首を横に振って否定した。

 

「ダメだ。アイツに申し込まれたのはライディングデュエル。D・ホイールをもってない皆には出る余地がないよ。」

 

「でも、間近で見ておきたいんです!」

 

「悪いがそれもダメ。D・Sには地縛神というカードがある。そのカードはモンスターの生け贄以外にもゲームに参加していない人の生け贄も必要だ。地縛神を倒せば、生け贄になった人達は戻ってくるけどそれに巻き込みたくない。」

 

 麗華の言葉に地縛神の特性を教えた。

それでも、心配そうにしているマナに軽く頭を撫でて言う。

 

「大丈夫だって。デュエルするだけだから。」

 

「わかったよ。でも、ちゃんと戻って来てよ?」

 

 心配そうに言うマナに約束を交わして、人目を盗んで出掛けた。

 

 

 

 俺がデュエルフィールドに辿りついた時、1台のD・ホイールが置いてあるだけだった。

 

「翼!言われた通り来たぞ!」

 

「よく来たね?」

 

 俺が声をあげると、すぐそばの木ノ上から翼が声をかける。

そのまま、降りてD・ホイールに跨がる。

 

「ついてきなよ?ボクがちゃんと潰してあげるからさ。」

 

 

 

 俺達がスタートラインに並ぶと、デュエルフィールドに明かりがついた。

 

「Libra。ライディングデュエル、マニュアル発進モードに移行。」

 

『了解。スピードワールドは?』

 

「スピードワールド1の方で。」

 

『了解。スピードワールド1をセットします。カウント開始。』

 

 Libraはそう言いながらカウントを数え始め、0を言ったとき俺と翼は同時に言った。

 

「Ridding Duel Acceleration!!」

 

 その言葉に、自分のD・ホイールを発進させる。

 

 ダァン

 

互いに相手にぶつかり合いながら、良い位置を取ろうとする。

そして、

 

「ボクのターン!ドロー!」

 

 先攻を取ったのは翼だった。

その瞬間、自分のスピードワールドにスピードカウンターが1つ乗る。

 

「手札からハーピィ・レディ1を召喚!そして、カードを1枚セットしてターンエンド!」

 

翼 ライフ4000 手札4枚

SPC1

伏せカード1枚

ハーピィ・レディ1ATK1300+300

 

 

SPC1

一 ライフ4000 手札5枚

 

「俺のターン!ドロー!手札からA(エンジェリック)HERO(ヒーロー) トタルスを守備表示で召喚!カードを1枚セットしてターンエンド!」

 

翼 ライフ4000 手札4枚

SPC2

伏せカード1枚

ハーピィ・レディ1ATK1300+300

トタルス

伏せ1枚

SPC2

一 ライフ4000 手札4枚

 

「ボクのターン!ドロー!ハーピィ・レディ2を守備!バトル!ハーピィ・レディ2でトタルスを攻撃!」

 

「トラップ起動!くず鉄のかかし!」

 

 扇情的な姿をした鳥の攻撃をくず鉄で出来たかかしが受け止めた。そして、くず鉄のかかしはセットされる。

 

「それじゃ、ハーピィ・レディ1で攻撃!」

 

「トタルスの効果起動!デッキトップを墓地に送る事で戦闘での破壊は免れる!」

 

 ハーピィ・レディ1の攻撃をトタルスはかわしながらデッキの一番上のカードを墓地に送った。

 

「しぶといね?ボクのターンは終了するよ?」

 

翼 ライフ4000 手札4枚

SPC3

伏せカード1枚

ハーピィ・レディ1ATK1300+300 ハーピィ・レディ2ATK1300+300

トタルス

伏せ1枚

SPC3

一 ライフ4000 手札4枚

 

「俺のターン!ドロー!カードを2枚セットしてターンエンド!」

 

翼 ライフ4000 手札4枚

SPC4

伏せカード1枚

ハーピィ・レディ1ATK1300+300 ハーピィ・レディ2ATK1300+300

トタルス

伏せ3枚

SPC4

一 ライフ4000 手札3枚

 

「ボクのターン!ドロー!ハーピィ・レディ1をリリースしてDT(ダークチューナー)ヘルウィングレディを召喚!そして、ヘルウィングレディの効果で手札を2枚捨てて、レベルを2上げる!」

 

 ヘルウィングレディのレベルが12になった。来るか?

 

「レベル4ハーピィ・レディ2にハーピィ・レディをレベル12DT(ダークチューナー)ヘルウィングレディを召喚!」

 

 ヘルウィングレディは12の暗い星となりハーピィ・レディの星を飲み込み8の星になった。

 

「闇と風交わりしとき、冥府の扉は開かれる。災い呼びし黒風よ。吹き荒れろ!

ハーピィ・ディザスター・エンプレス!

ハーピィ・ディザスター・エンプレスの効果でハーピィ・レディ達を特殊召喚!」

 

 翼の場を埋めるハーピィ・レディ達。

 

「バトル!ハーピィ・レディ1でトタルスを攻撃!」

 

「させるか!リバース起動!攻撃の無力化!相手の攻撃を無効にしてバトルフェイズをスキップする!」

 

 ハーピィ・レディ1、ハーピィ・レディ2、ハーピィ・クィーン2体、ハーピィ・ディザスター・エンプレスの攻撃を時空の渦が飲み込んだ。

 

「ホントにしぶといね?ターンエンド!」

 

 

翼 ライフ4000 手札4枚

SPC5

伏せカード1枚

ハーピィ・レディ1ATK1300+300 ハーピィ・レディ2ATK1300+300 ハーピィ・クィーン×2ATK1900+300 ハーピィ・ディザスター・エンプレスATK2400+300+800

トタルス

伏せ1枚

SPC6

一 ライフ4000 手札4枚

 

「俺のターン!ドロー!手札からチューナーモンスターA(エンジェリック)HERO(ヒーロー) ライラを召喚!効果でA(エンジェリック)HERO(ヒーロー) ガードナーを召喚!」

 

「チューナーとチューナー以外が来たということは、来るんだね?」

 

「レベル4ガードナーにレベル2ライラをチューニング!

集いし星が邪悪を焼き焦がす天界の戦士を呼び覚ます!

光差す道となれ!

シンクロ召喚!焼き尽くせA(エンジェリック)HERO(ヒーロー) ウリエル!」

 

 俺の場に焔を纏う戦士が現れる。

 

「ウリエルの効果起動!ハーピィ・ディザスター・エンプレスを破壊!ジャッジメントフレア!」

 

 ウリエルの放った一撃がハーピィ・ディザスター・エンプレスを破壊して翼のライフを削った。(翼 ライフ 4000-2400÷2=2800)

 

「クウゥッ!!やるね!裏切り者!!」

 

 俺は憎しみのこもった声に悲しみを覚えていた。

 

「………俺は、ターンを終了する………。」

 

翼 ライフ2800 手札4枚

SPC6

伏せカード1枚

ハーピィ・レディ1ATK1300+300 ハーピィ・レディ2ATK1300+300 ハーピィ・クィーン×2ATK1900+300

トタルス

伏せ1枚

SPC6

一 ライフ4000 手札4枚

 

 

 

 

Side 雪乃

 

「何をやってるんだ!あのバカは!」

 

 ライディングデュエルの状況をモニターで見ているとき、万丈目のボウヤがイラついたように吐き捨てた。

 

「万丈目君。ウリエルには破壊とダメージ効果をもっているけど、それを使ったターン、戦闘破壊は出来ないし、戦闘ダメージも半分になるのよ。」

 

 明日香が万丈目のボウヤに解説する。

 

「ウリエルの効果なら俺も理解している。だが、それを踏まえての発言だ!そもそも、ウリエルには戦闘ダメージが半分になるだけでダメージを無効になるとは書いていない!」

 

 万丈目のボウヤの反論に明日香は何も言えなくなる。

 

「それにあのバカは、攻めあぐねているより、攻撃するのを戸惑っているようだが、あの女とどんな関係なんだ?裏切り者とはどんな意味なのだ?」

 

 万丈目のボウヤの言葉に皆が沈黙し麗華が口を開いた。

 

「一君とあの人は昔恋人だったそうです。

一君は彼女の事を助けられなかった事を気にしているみたいです。」

 

 麗華の言葉に万丈目のボウヤは何も言えなかった。

一。絶対に勝ちなさいよ?

 

 

 

Side 翼

 

「………裏切り者か。確かに、そうかもな。」

 

 ボクの言葉に一はそう漏らしていた。

 

「俺があの時、デートの約束をしなかったら、翼は轢かれずにすんだかもしれない。」

 

 ………なんの話を?

 

「でもさ、翼と付き合えて俺は、幸せだったよ。ありがとな。」

 

 その言葉に、ボクは記憶を取り戻した。

そうだ。ボクは一に裏切られて死んだんじゃない。勝手に車に轢かれて死んだんだ。

 

「一!ボクは、記憶違いしていた!

これ以上デュエルしても意味ないから、サレンダーを………。」

 

 ーさせぬ!ー

 

 その言葉に、胸の内から黒い何かが沸き上がる。

ボクの意識は黒い何かに取り込まれてしまった。

 

 

 

Side 一

 

「いくぞ!我のターン!」

 

 サレンダーしようとしたとき翼が苦しみ始めた次の瞬間、全く別の人物がそこにいた。

 

「お前は地縛神だな!翼をどうした!」

 

「フン。この女の意識なら我が内にある我を倒さぬ限り元には戻らぬ!我はハーピィ・レディ1と2をリリースして地縛神 ASLLA《アスラ》 PISK《ピスク》を召喚!」

 

 その言葉に、心臓のように鼓動している何かに白い何かが吸い込まれて蜂鳥の地縛神が姿を現した。

 

「行くぞ!ASLLA PISKでダイレクトアタック!」

 

 地縛神の言葉にASLLA PISKは攻撃しようとする。

 

「和睦の使者を起動!「カウンタートラップ!神の宣告!和睦の使者を無効にする!」」

 

 俺の防御手段は、防がれてしまい、大きくライフを削られた。

(翼 ライフ 2800÷2=1400

一 ライフ 4000-2500=1500)

 

「我はターンエンド!」

 

翼 ライフ1400 手札5枚

SPC7

伏せカード枚

ハーピィ・レディ1ATK1300+300 ハーピィ・レディ2ATK1300+300 ハーピィ・クィーン×2ATK1900+300

トタルス

伏せ枚

SPC7

一 ライフ4000 手札4枚

 

「俺のターン!ドロー!チューナーモンスターA(エンジェリック)クリボーを召喚!

レベル6ウリエルとレベル1トタルスにレベル1A(エンジェリック)クリボーをチューニング!集いし星が永久に輝く太陽()となる!光差す道となれ!

シンクロ召喚!

照らせ!サンライト・ドラゴン!」

 

 サンライト・ドラゴンの輝きでASLLA PISKの力が弱まる。ただし、効果までは干渉出来ないので、地縛神を攻撃対象には出来ないけど。

 

「バトル!

サンライト・ドラゴンでハーピィ・クィーンを………。」

 

「そうやってこの娘を殺す気か?裏切り者?」

 

 く。地縛神の言葉に何も言えなくなる。

 

「………カードを2枚セットしてターンエンド………。」

 

翼 ライフ1400 手札5枚

SPC7

伏せカード枚

ハーピィ・クィーン×2ATK1900 地縛神 ASLLA PISKATK2500÷2

サンライト・ドラゴン

伏せ2枚

SPC7

一 ライフ4000 手札4枚

 

「我のターン!ドロー!ハーピィ・クィーンを守備表示に変更してバトル!ASLLA PISKでダイレクトアタック!」

 

 ASLLA PISKの攻撃を止められずにダメージを負う。(一 ライフ 1500-2500÷2=250)

 

「我はターンエンド!」

 

翼 ライフ1400 手札5枚

SPC8

伏せカード枚

ハーピィ・クィーン×2ATK1900 地縛神 ASLLA PISKATK2500÷2

サンライト・ドラゴン

伏せ2枚

SPC8

一 ライフ250 手札4枚

 

(このままじゃ、負ける!頼む!力を貸してくれ!)

 

 デッキトップのカードが光っているようにも見えた。

 

「俺のターン!ドロー!」

 

 俺がドローしたカードは俺が入れたハズの無いものだった。だがこれなら、地縛神を倒せる!

 

「俺はチューナーモンスター、救世竜―セイヴァードラゴンを召喚!」

 

 俺の場に妖精のような羽の生えた竜が現れる。

 

「リバース起動!リミットリバース!墓地にある、攻撃力1000以下のモンスターを攻撃表示で召喚!この効果で呼び出したモンスターが表示形式を変更したときそのモンスターを破壊する!蘇れトタルス!行くよ!

レベル8サンライト・ドラゴンとレベル1A(エンジェリック)HERO(ヒーロー) トタルスにレベル1救世竜―セイヴァードラゴンをチューニング!

集いし星が未来を照らす輝き《星》となる!

光差す道となれ!

シンクロ召喚!

セイヴァー・サン・ドラゴン!」

 

 俺の場に光輝く翼を生やした竜が現れる。

 

「セイヴァー・サン・ドラゴンの効果起動!相手フィールド上のモンスター効果を無効にしてそのモンスターの元々の攻撃力の半分をえる!」

 

 セイヴァー・サン・ドラゴンはその力で地縛神 ASLLA PISKを弱らせ、より強い輝きを得る。(セイヴァー・サン・ドラゴンATK3800+1250=5050)

 

「こ、攻撃力5050だと?だ、だが、裏切り者に我を倒せ………。」

 

 言い切る前に衝撃波がASLLA PISKを打ち倒した。

 

「確かに、俺に翼は殺せない。でもさ、俺のライフを0にするなら話は別だぜ?

ショックウェーブを起動させてもらった。

効果は、自分のライフが相手より低い時、フィールド上のモンスターを破壊して互いにそのモンスターの攻撃力のダメージを受ける。」

 

「ば、バカな!我が倒されるだと?」

 

 その言葉に、ASLLA PISKは砕けちり、互いにダメージを負う。

(翼 ライフ 1400-2500=-1100

一 ライフ 250-2500=-2250)

 

「キャアァァァァーーーー!!」

 

 ASLLA PISKが破壊されるとD・ホイールも大破する。そのせいで中空に放り投げられる。

 

「翼!」

 

 D・ホイールを翼が地面に叩きつけられるだろう所先回りして翼を抱き止める。

 

「………一?」

 

「良かった。今度は助けられたな?」

 

 俺はそう言って、翼を下ろし、自分も下りる。そして、D・ホイールに収納しておいた帽子を翼の頭に乗せる。

 

「ゴメン。いつの間にか、ボクは一がボクを死に追いやったと思い込まされていたみたい。」

 

「いいんだ。気にするな。それより、帽子は返すよ………。」

 

 そう言った俺の意識は遠くなる。



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デュエル33 そして、

このお話を読んでくださる皆様ありがとうございます。


「………ここは?」

 

 俺は目の前にそびえ立つでかい建物を見上げていた。俺はこの建物に見覚えがある。

 

「………ひょっとして、冥界か?………そばに翼がいないところを見ると、アイツは向こうにいるんだろう。」

 

 あの時の記憶が確かなら、D・Sから元に戻ったはず。

 

 記憶を頼りに奥へ進んだ先にある部屋で、その主は、

 

「………そんな………。」

 

 その主のハーデスは、

 

「何周してもこの娘を落とせないだと!」

 

 ギャルゲーで遊んでいた。

 

「○突零式!」

 

 零距離からの全力の○突をくらい、ハーデスの頭部がトマトになったようにも見えた。

 

「ぬおおぉぉ!頭が割れるように痛い!」

 

 余りの激痛に悶えている所に声をかける。

 

「久しぶりですね?」

 

「………誠の羽織はどうした?」

 

「同姓同名の別人です。」

 

 条件反射的にツッコミを入れたが、気にしてないらしい。

 

「そんな冗談はさておき、ちょっと記憶を覗かせてもらうぞ?」

 

 ハーデスはそう言って、俺の記憶を覗き始めた。そして、

 

「お前、バカだろう?」

 

 呆れた表情で言われてしまった。

 

「な、何がバカなんですか?」

 

「敵と一緒に自爆したこと。」

 

 言い切られ、ぐうの音もでなかった。

 

「全く。残された人の事を考えなかったのか?」

 

「だけど、翼に攻撃しないで、地縛神を倒すにはアレしか思い付かなかったんです。」

 

「甘い!! 甘い!! 甘い!! あっまーい!!!!

蜂蜜にメープルシロップかけて、練乳入れたよりなお甘い!!」

 

 そ、それは甘そうだ。ハーデスは水晶球を取り出すと俺に覗き込ませた。そこには、翼が俺の脱け殻を看病している光景だった。そばには、マナ達もいるが、寝ていないのか、目に隅ができてひどい状態だった。

 

「一が翼だったとして、想い人が自分の代わりに植物状態になったのを喜ぶか?」

 

 あ………。

 

「そんなわけないよな?」

「………俺は………駝鳥(ダチョウ)だな。」

 

 必死に頭を隠せば敵に姿を見られないと思い込んでいる駝鳥だよ。

 

「他の皆だって、帰ると約束をしたからこそ送り出したのに蓋を開ければ、一が植物状態だしな。悲しむさ。」

 

 バカだ。ホントに………俺は駝鳥だ。

 

「ハーデス。俺は戻れますか?」

 

「その前に、ひとつ答えろ。もし、今回みたいな事になったら、あの5人の娘がD・Sになったら、お前はどうする?5人を助けるために命を投げ出すのか? それとも自分が助かる為に5人を殺すのか?」

 

 ハーデスの問いに迷いは無い。

 

「5人を助けて、自分も助かる!」

 

 どちらか一方しか選べないなんて却下だ! どちらも救って見せる!

 

「良い答えだ。あっちのお前の肉体に帰してあげる。」

 

 その答えに俺の意識は遠くなる。

 

 

 

「………。知っている天井だ。」

 

 このフレーズをいうのは2回目だな。そんなことを考えながら、呆然とこちらを見ている5人に声をかける。

 

「よ。おはよ………。」

 

 言い切る前に皆に押し倒され、そのままベッドインすることになる。俺に抱きつく5人を見て、俺はこの人達を手放さないと、みんなで幸せになると、心から誓った。



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デュエル34 告白。選択の結果

このお話を読んでくださる皆様ありがとうございます。


 

 

 授業中にも拘らず、殺気の籠った視線が俺に集中していた。

原因はわかっている。

 

「明日香。「イヤ。」マナ。「ヤ。」皆が見て「見られてもいいからヤダ。」るから離れてくれると一は一ですごく「こっちは嬉しくないからイヤ。」嬉しいのですが。って、最後まで言わせろよ!」

 

 俺の両側に張りつく明日香とマナのせいである。男としては嬉しいんだ。明日香もマナも気になる異性だし。だが、周囲の殺気が重くなっていくのがわかる。

 

「諦めなさい。人様に心配させたんだし、コのぐらいはやっても問題ないと思うわよ?」

 

「何処が?」

 

 雪乃の言葉に反論するが、麗華が反論する。

 

「約束違反した罰です。」

 

 グサッ!

 

 その言葉に、胸にナイフが刺さったのような痛みを覚えた。

 

「そうよねぇ。戻って来るって言ってたのに、意識不明になってみんなに迷惑をかけているわけだし。」

 

 グサグサ!

 

「………好きなだけ抱きついててください。」

 

「やった♪」

 

 その言葉に、嬉しそうに抱きつく力を強める。その瞬間、周囲の殺気が重くなる。

 

「シニョール達!授業はちゃんと受けるノーネ!」

 

『あぁ?』

 

 クロノスの言葉に、皆が一斉にクロノス先生を見た。

 

「ヒィィッ!!!!ぼ、暴力は反対なノーネ!」

 

 その視線に悲鳴をあげるクロノス。そこに、チャイムが鳴り響く。

 

「で、デーはこれで午前の授業は終了するノーネ!」

 

 あ。逃げていった。

 

「さてと、お昼になりましたし、お昼御飯にしましょう。」

 

 麗華はそう言って、嬉々とした表情で弁当箱を開ける。その中身を箸で取り、俺に差し出す。

 

「あ、あのですね、麗華さん。「あーん♪」こういうのは、「あーん♪」こんな大勢の前ですべきことではないと、「あーん♪」一は一で至極真面目にお願いしてみたりしているんですが聞いてるかな?」

 

「聞いてますから、はい、あーん♪」

 

 ………さいですか。聞いてはいたが、やめる気はないと?

 

 トントン。

 

「うん?ンムッ!!」

 

 肩をたたかれたので振り向くと雪乃が俺の唇をふさいだ。しかも、口の中の何かを俺の舌に塗り付けながら。俺は、されるがままになっていて雪乃が唇を解放した時、

 

「諸君!ここはどこだ!」

 

 俺は赤いフードの群れに囲まれていた。

 

『最後の審判を下す法廷だ!』

 

 赤いフードをかぶった須藤の声にみんなが唱和する。

 

「漢とは!」

 

『愛を捨て!哀に生きるもの!』

 

「よし!異端審問を開始する!」

 

『イエッサ!』

 

 須藤の言葉に慌ててこの場を脱出した。

 

「逃げたぞ!追え!」

 

『オォッ!!!!』

 

 須藤の命令に追いかけるRRR団を背に走り続けるのだった。

 

 

 

「鮎川先生!保護プリーズ!」

 

 慌てて逃げ出し、手近な保健室に駆け込んだ。

 

「え?ちょ、ちょっと!」

 

 慌てる鮎川先生を無視して、鮎川先生がいる机の下に潜り込んだ。そこに、

 

「鮎川先生!斎藤一ひ見ませんでしたか?」

 

 赤フードを被った男の声に鮎川先生は首を横に降った。

 

「いいえ。斎藤君なら、ここに隠れていると伝えてって言って外に駆け出していったわ。」

 

 と俺が隠れている所を指差して言う鮎川先生に赤フード達は駆け出していったらしい。

 

「もういいわよ?」

 

 RRR団が皆出ていったのを確認した鮎川先生が俺に声をかけた。

 

「ありがとうございます。」

 

 お礼を言って机の下から抜け出る。

 

「それはいいけど、この騒ぎってやっぱり、明日香さん達の事で?」

 

「えぇ。まあ。」

 

 俺が答えると、お茶をいれてくれた。

 

「少しゆっくりしていった方が良いんじゃないかしら?」

 

「えっと、それじゃ遠慮なく。」

 

 お茶を一口すすり、

 

「所で、さっきの騒動ってやっぱり、天上院さん達が告白したことが原因かしら?」

 

ブバッ!!!!!!

 

 鮎川先生が放ったその言葉に俺は飲みかけたお茶を盛大に鮎川先生にかけてしまった。

 

「きゃっ!き、汚いわよ!」

 

「ご!ごべ!」

 

 鮎川先生の苦情に咳き込みながらも謝罪する。

 

「ごめんなさい。

それで、鮎川先生は何でそれを知ってるんですか?」

 

「何でって、天上院さん達が斉藤君に好意を抱いてるのは皆知っているわよ?」

 

 ………ハイ?

 

「何で皆知ってるんですか?俺なんて言われるまで全然気づかなかったんですけど?」

 

  その言葉に鮎川先生は凍りついた。

 

「え、えっと、冗談よね?」

 

「いえ。本気ですが?」

 

「………冗談抜きで本当に鈍感だったのね。あれだけ好意を丸出しにしてたのに気づかなかったなんて、」

 

 眉間を指でグリグリやりながら、呟いていた。

 

「それで、答えは出たのかしら?」

 

「えぇ。一応出ました。ですが、それを皆が受け入れるかわからなくて。」

 

「大丈夫じゃないかしら?斎藤君が必死に悩んで出た答えなら、皆きっと受け入れてくれるわよ。」

 

 鮎川先生の言葉にちょっとだけ軽くなった気がした。持っていたお茶を飲み干すと鮎川先生にお礼を言ってその場を後にした。

 

 

 

 俺が灯台に到着した時には既に呼び出した5人とも、そろっていた。

 

「悪い。呼び出したのに遅くなって。」

 

「ううん。気にしなくても良いよ。それより、ボク達にどんな用なの?」

 

「あ、あぁ。それなんだけどさ、」

 

 すごい言いづらい。緊張で口の中がカラカラに乾いてる気がする。

 

「………俺さ、意識不明だった時、皆が必死になって看病してくれた光景を見たんだ。そんな姿を見て哀しく想ったよ。あんな姿二度と見たくない。」

 

 俺の言葉を翼もマナも明日香も麗華も雪乃もただ黙って聞いている。

 

「誰かを選べば他の皆を傷つける。だから選べない。そんな最低な男だけど、

俺と付き合って下さい!」

 

 勢い任せに言ってギュッと目を閉じる。そこに、

 

 ギュッ

 

 温かくて柔らかいものに包まれるような感触があった。そっと目を開けると、麗華達が抱き締めてくれていた。

 

「ふふふ。私が好きになった人は本当に欲張りね♪」

 

「一人だけじゃ飽きたらず皆を幸せにしたいなんて言うんですから。」

 

 雪乃の言葉に麗華が補足する。

 

「まぁ、一ならそんなことを言うんじゃないかなとは思ってたよ?」

 

「ボクは一のそばに居たいだけだし。」

 

 マナと翼はニコニコと笑顔で言う。

 

「私達で良ければ、彼女にしてください。」

 

「こ、こちらこそ。」

 

 明日香の言葉に嬉しくなり、彼女達を抱き締めて、答えた。



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デュエル35 異端デュエル!須藤の力!

このお話を読んでくださる皆様ありがとうございます。


 

 

 

 明日香達と付き合って様々なことが変化した。

まずは、俺の朝の行動。

朝食後、急いで身支度を整えると目的地まで走る。しばらく、進むとまるでお城みたいな建物が視界に映った。オベリスク・ブルーの女子寮だ。

 

「よ。十代に翔。」

 

 俺が到着すると十代と翔は既にその場にいた。オシリス・レッドからここまでって、それなりに距離があるから、かなり早めに出たらしいな。

 

「毎日毎日お疲れさま。」

 

「いつもジュンコに迷惑かけているからな。これくらいはしないとな。」

 

「僕は全然大丈夫ッスよ♪」

 

 しばらく十代達と話していると、

 

『一♪』

「十代♪」

「翔様♪」

 

 俺達にとっての女神がそろってやって来た。

 

「十代。ありがとう。」

 

「気にすんなって。好きで待ってるんだし。」

 

「翔様。お待たせしちゃってすみません。」

 

「僕が待ちたくてやってるんだし、気にしないでよ?」

 

「んじゃ、行くか?」

 

「ハイ♪」

 

 俺の言葉に麗華と明日香が俺の両腕に抱きつく。そのまま、歩くのに合わせて景色が前から後ろへと流れていく。

 

「あの、一君。」

 

「ちょっと、堅いかな?付き合ってるんだし、皆みたいに一と呼び捨てでも、なんならあなたでも良いんだぜ?」

 

「あ、あなっ!」

 

 プシュー

 

 良いな。この反応。明日香や麗華だと、この初々しい反応が可愛かったりする。マナや翼だと、トリップされる。雪乃だと、幸せそうに笑みを浮かべながら、

『あなたね♪まるで結婚しているみたいね♪式はいつかしら?』

とからかい返してくる。まぁ、それも悪くないんだけどな。

 

「は、一さんと呼びますけど、何故遠回りを?」

 

 確かに、女子寮から、デュエルアカデミアまでなら、どんなにゆっくりしてても5分ぐらいでつけるはず。それなのに、遠回りをしているのは、

 

「簡単だよ。皆と一緒にいられる時間を増やしたいからだ。」

 

 その言葉に麗華は顔を紅くしていた。

 

 校舎に到着してから、雪乃と翼にバトンタッチだ。二人に抱き締められ柔らかな温もりに包まれる。そこに、

 

「全員集合!」

 

 唐突に現れた須藤の言葉に赤、青、黄の3色のずきんを被った男達が現れた。

 

『我々はR・Y・B・D・A・U・O異端審問団!血の盟約に逆らいし斎藤一を処刑する!』

 

 その言葉に、二人を引き剥がして逃走しようとしたが、しっかり抱きついて離れてくれない。仕方なく、そのまま逃走した。

 

「逃げたぞ!追え!」

 

『おお!』

 

 須藤の言葉に追走する色頭巾。

 

 二つ目は、RRR団の存在。今まではオシリス・レッドとラー・イエローが組んでいただけだが、俺が5人と交際を始めたのがきっかけで、オベリスク・ブルーまで参加。それに伴い、オシリス・レッドによる、オシリス・レッドのオシリス・レッドの為の異端審問団、RRR団からレッド(R)イエロー(Y)ブルー(B)デュエル(D)アカデミア(A)非公認(U・O)異端審問団に名前を改めた。

 

 いつもは、教室に逃げ込めれば助かるんだが、二人を抱えられているせいか思うようにスピードを出せず、とうとう捕まってしまった。

 

「さて、異端者斎藤一。言い残す事はあるか?」

 

「では、須藤。俺とデュエルしろ。勝てたら、異端審問を見逃せ。」

 

「いいだろう。」

 

決闘(デュエル)!!』

 

『対戦相手 の ターンです。』

 

「俺のターン!ドロー! 雷電娘娘(ライデンニャンニャン)を召喚!カードを1枚セットしてターンエンド!」

須藤ライフ4000手札4枚

伏せ1枚

雷電娘娘ATK1900

 

「俺のターン!ドロー!」

 

 雷電娘娘を出したという事はあのデッキは、光属性デッキだな。

 

「俺のターン!ドロー!モンスターをセット!さらに、カードを2枚セットしてターンエンド!」

 

須藤ライフ4000手札4枚

伏せ1枚

雷電娘娘ATK1900

伏せ1枚

伏せモンスター

一ライフ4000手札3枚

 

 

「俺のターン!ドロー!俺のモンスターに跪くがいい!マーメイドナイトを召喚!」

 

 ……………………………………………………。

 

「は?」

 

 須藤の言葉に思ず耳を疑ってしまっても仕方ないと思う。しかし、須藤の言葉通りのモンスターが召喚された。水属性のモンスターを。

 

パリン

 

 その瞬間、雷電娘娘が弾けるように砕け散った。

 

「な、なんだ!」

 

 え、えっと、須藤達は雷電娘娘のテキストを読んでない?

 

「雷電娘娘は光属性以外のモンスターがいると自壊効果が起動するんだ。」

 

 その言葉に、唖然としている。

 

「マーメイドナイトはフィールドが特定のフィールドだと2回攻撃が可能になるんだ。」

 

 なるほど、と呟いていた須藤に俺の考えは確信に変わった。こいつのデッキは、俺嫁ハーレムデッキだ。効果、攻撃力に頓着せず、可愛い女性のカード、キレイな女性のカードのみで構築されたデッキだ。

 

「想定外の事態だが、俺の勝利は揺るがない!団結の力をマーメイドナイトに装備して攻撃!」

 

 マーメイドナイトの攻撃が俺の伏せモンスター、ロックマンを破壊した。

 

「俺はターンエンド!」

 

「その瞬間リバース起動!サイクロン!その伏せカードを破壊する!」

 

須藤ライフ4000手札3枚

伏せ0枚、団結の力

マーメイドナイトATK1500+800

伏せ1枚

伏せ

一ライフ4000手札3枚

 

「俺のターン!ドロー!手札からD−ディスティニードローを起動!全てのプレイヤーは3枚ドローして、その中にある通常モンスターを相手に見せることで、その枚数分ドロー!」

 

 ドローしたカードは1枚が効果モンスター。もう一枚がマジックカード。そして、最後の1枚が、

 

D(ダーク)HERO(ヒーロー) サンダーボーイだけだ。」

 

「こちらは1枚もない。」

 

「よって1枚ドロー!手札からA−アタッチメントコールを起動!手札からD(ダーク)HERO(ヒーロー) となのつくモンスターを特殊召喚、その後、相手フィールドのカードを破壊する!出ろ!ウィンドマン!そして、マーメイドナイトを破壊する!ブレイクウィンドシザー!」

 

 ウィンドマンの羽ばたきがマーメイドナイトを破壊する。

 

「サンダーボーイを召喚!さらに手札1枚をコストにD(ダーク)HERO(ヒーロー) ブリザレスを特殊召喚!」

 

 総攻撃でライフが尽きるこの状況に須藤は唖然としている。

 

「3体の総攻撃!」

 

 ウィンドマンの風がブリザレスの凍える一撃がサンダーボーイの攻撃が須藤のライフを削りきった。

 

「団長!よくも団長を!」

 

「よせ!」

 

 憤った団員を須藤が止める。

 

「し、しかし、団長!」

 

「良いんだ。結果はどうあれ、この勝負は俺の敗けだ。異端者斎藤一を解放しろ。」

 

 その言葉に、団員達は左右に分かれ道を作る。そこを通り抜ける途中、

 

「須藤。ちゃんとカードに向き合い、デッキ作りに苦心すればきっとデッキは答えてくれる。」

 

 そう教えて、教室に向かった。

 

 その後、須藤はデッキ作りに苦心して、6つの属性限定ハーレムデッキを作ってたりする。



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デュエル36 錬金術?VSアムナエル

 

「さて、本日の授業はここまでだニャ。

それと、明日は課外授業でちょっと遠出の予定なのニャ。」

 

 大徳寺先生の言葉に皆が顔を見合わせた。それもそのはず。デュエルアカデミアは孤島に建っており、その島内は殆どが生徒が足を運んでいて、わざわざ先生が遠足として足を運ぶ必然がないのだ。

 

「先生!どこに行く予定ですか?」

 

「ここからちょっと離れた所に遺跡があるのでその調査の予定なのニャ。」

 

 あぁ。墓荒しの一件か。

 

「志願制ですので興味のある方は、オシリス・レッド寮の前まで来て欲しいのニャ。」

 

 ○ ○ ○

 

 

 俺はただ灯台の前に座り、対戦相手が来るのをただ待っていた。

 

「お待たせしましたかニャ?」

 

「大丈夫ですよ。大徳寺先生。いえ、錬金術師アムナエル。」

 

 放課後すぐに大徳寺先生の部屋に、この時間に灯台でデュエルすることを書いた手紙を置いといた。

 

「フム。その様子だとほとんどの事を知られているようだな。まったく。ドコから漏れたのやら。」

 

「その辺はズル(チート)ッてことにしといて下さい。」

 

「………まぁいい。私は遊城十代にも君にも興味を抱いているのだよ。」

 

 ? 俺に? 何で?

 

「複数のモンスターを掛け合わせ、新たな可能性を召喚する遊城十代と違い、1体のモンスターの可能性を切り捨て、残った可能性を強化する。錬金術とは正反対のものだが、それでも私の望みを叶えてくれるかもしれない。

………どうやら、喋り過ぎたようだ。門限が過ぎているがいつ人が来るかわからないからな。早く始めよう。」

 

「その前に闇のデュエルは無しにしてください。」

 

「何?」

 

「ホラ、ここで大徳寺先生が勝てば、無問題ですけど、俺が勝てば、大徳寺先生がいなくなって十代のテストをすることも希望を託すことも出来なくなりますから。」

 

 俺の説明に大徳寺先生は優しく微笑んでいた。

 

「では、そうしよう。」

 

 ○ ○ ○

 

決闘(デュエル)!!』

 

『大徳寺 の ターン です。』

 

「私のターン! ドロー! 手札から錬金釜―カオスディスティルを発動! 私の墓地に行くカードは墓地に行かずゲームから除外される。カードを一枚セットしてターンエンド!」

 

大徳寺ライフ4000 手札4枚

伏せ1枚 カオスディスティル

 

「俺のターン! ドロー! 手札からD(ダーク)HERO(ヒーロー) ダークナイトを攻撃表示で召喚! バトル! ダークナイトでダイレクトアタック!」

 

「トラップ発動! エレメンタルアブソーバー! 手札のモンスターを除外して、同じ属性の攻撃を無効にする!」

 

 ………まさか、闇属性って。

 

「ネクロフェイスを除外して攻撃を無効にする! そして、ネクロフェイスを除外したことで、全てのプレイヤーはデッキから5枚除外する!」

 

 ネクロフェイスはやっぱり厄介だな。モンスターカードが4枚も除外されちゃったよ。

 

「カードを一枚セットしてターンエンド!」

 

大徳寺ライフ4000 手札4枚

伏せ1枚 カオスディスティル エレメンタルアブソーバー

 

ダークナイトATK1900

伏せ一枚

一ライフ4000手札4枚

 

「私のターン! ドロー! カードを2枚セットして、地砕きを発動! ダークナイトを破壊! ターンエンド!」

 

大徳寺ライフ4000 手札4枚

伏せ2枚 カオスディスティル エレメンタルアブソーバー

 

 

伏せ一枚

一ライフ4000手札4枚

 

「俺のターン! ドロー! 手札からサイクロンを発動! エレメンタルアブソーバーを破壊!」

 

 突風がエレメンタルアブソーバーを破壊した。

 

「さらにD(ダーク)HERO(ヒーロー) サンダーボーイを召喚! バトル!サンダーボーイでダイレクトアタック!」

 

「永続トラップカードマクロコスモスを発動! 効果で、原始太陽 ヘリオスを守備表示で召喚!」

 

 大徳寺先生のフィールドに頭が太陽、胴体が、包帯でまかれたモンスターが守備表示で出現した。

 

「攻撃宣言時の特殊召喚により、攻撃がまき戻りが発生して、原始太陽 ヘリオスを攻撃!」

 

「その攻撃に和睦の使者を発動!」

 

 サンダーボーイの攻撃はフィールドに現れた修道女のバリアによって妨げられた。

 

「このままターンエンド!」

 

大徳寺ライフ4000 手札4枚

伏せ0枚 カオスディスティル マクロコスモス

原始太陽ATK100×9

サンダーボーイATK1900

伏せ一枚

一ライフ4000手札4枚

 

「私のターン! ドロー! 私は原始太陽ヘリオスを生け贄に捧げ、ヘリオス・デュオ・メギストスを特殊召喚!」

 

 確か、あのカードって除外されたモンスターカード一枚につき、攻撃力が200アップするカードだったよな?

 

「除外されたモンスターは10枚。ヘリオス・デュオ・メギストスの攻撃力は2000。ヘリオス・デュオ・メギストスの攻撃!」

 

 体に包帯を巻きつけた太陽が雷をまとった少年を攻撃しようとした。

 

「この瞬間、リバースカード起動!! 攻撃の無力化!! 攻撃を無効にしてバトルフェイズをスキップする!!」

 

「フム。私はカードを一枚セットしてターンエンドしよう。」

 

大徳寺ライフ4000 手札3枚

伏せ1枚 カオスディスティル マクロコスモス

ヘリオス・デュオ・メギストスATK200×10

サンダーボーイATK1900

伏せ0枚

一ライフ4000手札4枚

 

「俺のターン! ドロー! D(ダーク)HERO(ヒーロー) ファイアリィガールを攻撃表示で召喚!」

 

「攻撃表示で出したところでその少女では私のモンスターには届かない。さて、何をするのやら?」

 

「さらに進化の魔薬を起動!! ファイアリィガールを生贄にD(ダーク)HERO(ヒーロー) フレア・レディーを特殊召喚!! バトルフェイズ!! フレア・レディーでヘリオス・デュオ・メギストスを攻撃!!バニシングナパーム!!」

 

 炎をまとった拳闘士の攻撃は、

 

「速攻魔法発動惑星直列!! 相手のモンスターをすべて破壊して300ポイントのダメージを与える!!」

 

 惑星の重力に阻まれてしまった。(一ライフ 4000-300=3700)

 

「さらにカードを一枚セットしてターンエンド!」

 

大徳寺ライフ4000 手札3枚

伏せ0枚 カオスディスティル マクロコスモス

ヘリオス・デュオ・メギストスATK200×12

 

伏せ1枚

一ライフ3700手札2枚

 

「私のターン! ドロー! ヘリオス・デュオ・メギストスを生贄に、ヘリオス・トリス・メギストスを特殊召喚!! ヘリオス・トリス・メギストスの攻撃力は除外されているモンスターの数×300になる。除外されているモンスターは13.よって攻撃力は3900になる。これでとどめだ。ヘリオス・トリス・メギストスでダイレクトアタック!!」

 

「させないよ! リバースカード起動!! 禁じられた聖杯!! 対象のモンスターの攻撃力を400アップさせる代わりにそのモンスターの効果を無効する!!」

 

 包帯を巻いたミイラに聖杯の水をかけると太陽の炎が弱まる。(一ライフ 3700-400=3300)

 

「防がれたか。これでターンエンド!!」

 

大徳寺ライフ4000 手札3枚

伏せ0枚 カオスディスティル マクロコスモス

ヘリオス・トリス・メギストスATK300×13

 

伏せ0枚

一ライフ3300手札2枚

 

「俺のターン! ドロー! 手札からサンダーボーイを召喚! さらに進化の魔薬を起動! サンダーボーイを生贄に、D(ダーク)HERO(ヒーロー) ライトホーリナーを特殊召喚!!」

 

 俺の場の少年が薬を飲んだ時、その少年は闇でありながら聖なる力を持つ聖騎士へと進化した。(ヘリオス・トリス・メギストス攻撃力300×14=4200)

 

「ライトホーリナーの効果起動!大徳寺先生のライフを1000回復させることにより1枚ドローする!!」

 

D(ダーク)HERO(ヒーロー) ライトホーリナー 光属性 レベル5 融合

攻撃力1900 守備力900

 

【戦士族】

このカードは進化の魔薬、もしくはアナザーワールド・エヴォリューションの効果でのみ特殊召喚できる。1ターンに1度相手のライフを1000ポイントアップすることができる。このカードのコントローラーはデッキからカード1枚をドローすることができる。

 

 聖騎士は大徳寺先生にライフを回復させてからデッキからカードを一枚差し出した。!! これなら勝てる!!

 

「さらに手札から二重進化―ダブル・エヴォリューションの効果起動!! 俺の場のライトホーリナーを生贄にD(ダーク)HERO(ヒーロー) ライトパラディンを召喚!! ライフ1000支払ってライトパラディンを生贄に捧げ、さらなるモンスターを召喚!!人々の運命を支配する12の宮の1つ天秤宮を司りし闇のHEROよ。善悪秤し、その天秤で我が前の敵をはかれ!!D(ダーク)HERO(ヒーロー) Libra!!」

 

 俺のフィールドに天秤を掲げた戦士が現れた。さらに、

 

「手札からアナザーワールド・エヴォリューションを起動!! ライフ2000をコストにD(ダーク)HERO(ヒーロー) Libraと同じレベル、同じ属性のモンスターを特殊召喚する! 人々の運命を支配する12の宮の1つ磨羯宮を司りし闇のHEROよ。邪悪を絶ちし闇の聖剣で我が前の敵を斬れ!! D(ダーク)HERO(ヒーロー) Capricorn!!」(一ライフ3300-1000-2000=300)

 

 俺の言葉にヤギの角を生やした戦士が現れた。

 

「ふむ、そのモンスターたちは2900に3300か。確かに強敵だが、ヘリオス・トリス・メギストスの攻撃力は4800。ちょっと、届かないな。」

 

「甘いよ! D(ダーク)HERO(ヒーロー) Capricornの効果発動! このカードは発動ターンに攻撃できない代わりに相手フィールド上のカードを2枚破壊できる! 聖剣抜刀!!」

 

 Capricornの攻撃が地面を斬り裂き、ヘリオス・トリス・メギストスと錬金釜 カオスディスティルが破壊された。

 

D(ダーク)HERO(ヒーロー) Capricorn 光属性レベル10

攻撃力2900守備力2200

 

【戦士族】

このカードは進化の魔薬でD(ダーク)HERO(ヒーロー) ライトニング・ソードマンを生贄に捧げるか、もしくはアナザーワールド・エヴォリューションの効果でしか特殊召喚できない。このカードの攻撃力守備力は墓地にあるD(ダーク)HERO(ヒーロー)と名のつくモンスター一体につき500ポイントアップする。1ターンに1度相手フィールド上のカードを2枚破壊することができる。この効果を使ったターン、このカードは攻撃できない。

 

「だ、だが、Libraの攻撃力も3300!攻撃したところで私のライフが700残る!」

 

 その言葉にLibraの天秤が下がっていき、それと同時に攻撃力が上昇する。

 

「LIBRAはライフポイントの差の分だけ攻撃力がアップするんだ。」

 

D(ダーク)HERO(ヒーロー) Libra 光属性レベル10

攻撃力3300守備力2900

 

【戦士族】

このカードは進化の魔薬でD(ダーク)HERO(ヒーロー) ライトパラディンを生贄に捧げるか、もしくはアナザーワールド・エヴォリューションの効果でしか特殊召喚できない。このカードの攻撃力守備力は墓地にあるD(ダーク)HERO(ヒーロー)と名のつくモンスター一体につき500ポイントアップする。このカードのコントローラーのライフポイントが相手のライフより少ないとき、その数値分だけ攻撃力がアップする。

 

「Libraのダイレクトアタック!!」

 

 Libraが投げつけた天秤が大徳寺先生のライフを削りきった。(大徳寺ライフ4000-3300-3700=4000-7000=-3000)

 

 ○ ○ ○

 

「負けたよ。ありがとう。君にも可能性が見えた気がする。」

 

「いえ。大徳寺先生。デュエル楽しかったです。明日のピクニックよろしくお願いします。」

 

 俺はそう言って大徳寺先生に頭を下げた。



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デュエル37 第1の刺客Vs真紅眼

このお話を読んでくださる皆様ありがとうございます。


 

「本日の授業はここまでなのニャ。なお、斉藤一君、遊城十代君、万丈目準君、天上院明日香さん、丸藤亮君、三沢大地君は私来て欲しいのニャ。」

 

 ああ、3幻魔の件か。途中で合流したクロノスを見て確信にいたった。

 

「皆さん。突然お呼びしてすみません。

皆さんはこの学園の地下に、3幻魔と呼ばれているカードが封印されているのは御存知でしょうか?」

 

「そんなカードがこの学園に?」

 

 えと、俺と同じラー・イエローの…誰だっけ? の言葉に鮫島校長は頷いていた。

 

「はい。そもそも、デュエルアカデミアは3幻魔の封印されている島に建てたのです。」

 

 そんな危険な所に学校を建てるな。

 

「…で、どこの誰とデュエルすればいいんですか?」

 

 俺の問いに皆が俺に視線を俺に向けた。

 

「カードに問題無いならわざわざ呼び出す意味がない。封印が解けかけているか封印が破られそうだから呼び出したんでしょう?」

 

「その通りですが、なぜ、デュエルが必要だとわかったのですか?」

 

「リアルファイトが必要なら、警備員を増やせばいいでしょう? なのに俺達を呼び寄せたということは俺達にしか出来ない事、デュエルが必要だと思いましたが、間違いありますか?」

 

 俺の問いに鮫島校長は頷いてから答えた。

 

「斎藤君が言った通りです。3幻魔のカード達を狙う人達はセブンスターズと言うそうです。すでに何人か、デュエルアカデミアにしている模様です。」

 

 そんな情報どうやって仕入れたんだろう?

 

「お願いします。セブンスターズから、封印の鍵を守ってください。」

 

 鮫島校長は7つのパズルみたいな鍵を差し出しながら頭を下げた。皆が皆を見やる中で十代が真っ先に動いた。

 

「俺はやるぜ。」

 

 その十代を皮きりに皆が鍵を取り始めた。

 

「難しく考える事はないノーネ!デュエル集団が道場破りしに来たと考えればいいノーネ。」

 

 フム。ちょっと戒めるべきか。そう考え口を開いた。

 

「皆、気をつけて。俺は闇のデュエルを体験した事がある。」

 

 俺の言葉に皆が俺を見た。

 

「闇のデュエルはダメージを実体化する。そして、もし負けたらその人は何かしらの罰が待っている。例えば勝った方が負けるまで闇の中に閉じ込められるとかな。全て闇のデュエルがそうだとは限らないが、用心しておくべきだ。文字通り命懸けのデュエルに用心は過剰な程用心しても足りないぐらいだ。」

 

 俺はそう言いながら鍵を手にした。

…ゴクリ。重苦しい空気の中誰かが唾を飲む音がやけに大きく響いた。

 

 ○ ○ ○

「…あ…んん♪」

 

 俺が棒を動かすと雪乃の口から嬌声が漏れる。

 

「は、一♪ そ、そこぉ♪」

 

「…ったく、なんて声を出すかな?」

 

「だ、だって、そこいじくられると、気持ちい…んぅ♪」

 

 俺が棒を動かしたら、雪乃の躰か電流を流されたかのように反応した。

 

「は、はじめぇ♪ もっと奥まで♪」

 

「ハイハイ。雪乃は欲張りだなぁ。」

 

 俺はそう言いながら、奥まで棒を入れた。

 

「ひゃう! すごくいい!」

 

 雪乃の嬌声を聞きながら、棒を引き抜いた。

 

「ハイハイ。耳かき終了。フー。」

 

 俺が耳に息を吹きかけると雪乃は艶めかしい声を上げた。

 

「十代君、大丈夫かな?」

 

 翼の心配そうな声が耳に届いた。

 

「大丈夫とは言いづらいな。それは翼も知っているだろう?」

 

「まぁ、そうなんだけどね。でもさ、十代君は友達だからほっとけなくてさ。」

 

「それならさ、十代と十代のもとに向かった明日香を信頼してみたら?」

 

「そうですね。仲間を信用しませんと。」

 

 俺の言葉に麗華が頷いていた。

 

 ○ ○ ○

SIDE 十代

 

「アニキ~!! ジュンコさん~!!」

 

「助けてなんだな!!」

 

 火口すれすれのところをでシャボン玉のようなものに包まれている翔と隼人が俺とジュンコの顔を見て叫んでいた。

 

「貴様等か?7精門のカギを護るものは?」

 

 黒いコートを着た仮面の男をは俺とジュンコを見て問いかけた。

 

「私の名はダークネス。7精門のカギをかけて闇のデュエルをしてもらう。」

 

「ふざけるな!!今すぐ翔と隼人を解放しろ!!」

 

「お前に拒否権はない。断ればそこの2人を火口に落とすだけだ。」

 

「十代。翔達が人質になっている以上下手に逆らうのは得策じゃないわ。」

 

 ジュンコの言葉に俺はダークネスと名乗った男を睨みつけながらデュエルディスクを展開させた。

 

 ○ ○ ○

 

決闘(デュエル)!!』

 

「私のターン! ドロー! カードを一枚セット! さらにカードを一枚セットしてターンエンド!」

 

ダークネスライフ4000 手札4枚

伏せ1枚

伏せモンスター1体

フィールド魔法なし

 

 

 

「俺のターン! ドロー! E(エレメンタル)HERO(ヒーロー)フォレストマンを守備表示で召喚! さらにカードを一枚セットしてターンエンド!」

 

ダークネスライフ8000 手札4枚

伏せ1枚

伏せモンスター1体

フィールド魔法なし

伏せモンスター0枚 フォレストマンDEF2000

伏せ1枚

伏せモンスター0枚

伏せカード0枚

十代 手札4枚 ジュンコ 手札5枚

十代&ジュンコ 共通ライフ8000

 

「私のターン! ドロー! 手札からコストダウンを発動! 手札1枚を墓地に送り手札のモンスターのレベルを2つに下げる! 私が選択するのは真紅眼(レッドアイズ・)黒竜(ブラックドラゴン)!」

 

 な! レアカードの1枚を何で!

 

「このカードはレベル5になり、フィールド上の軍隊(アーミー)(ドラゴン)を生贄に真紅眼(レッドアイズ・)黒竜(ブラックドラゴン)を通常召喚!」

 

『ギャオオオオオオオオ!!!!』

 

 軍隊(アーミー)(ドラゴン)が自ら火口に落ち、変わりに真っ赤な目をした漆黒の龍が浮上した。だが、このターンは攻撃できないはず。

 

「このターンは攻撃できないと思ったら甘い! 私は手札から黒炎弾を発動!!

 

 真紅眼(レッドアイズ・)黒竜(ブラックドラゴン)の必殺技と同じ名前の魔法カード!!

 

「このカードの効果で女の方に真紅眼(レッドアイズ・)黒竜(ブラックドラゴン)の攻撃力分2400ポイントのダメージを与える!」

 

 ダークネスの言葉に炎をジュンコの方にぶつけようとして、

 

「ジュンコ!!」

 

 俺がジュンコの前に立ちはだかり、その炎をもろに受けた。(十代&ジュンコ 共通ライフ 8000-2400=5600)

 

「グアアァァッ!!!!」

 

 その炎が俺の体を焼きダメージを受けた。

 

「十代!!」

 

「な、なんとか、大丈夫だ。」

 

「ふん。しぶとい。追撃したいところだが、このカードを発動したターンは攻撃できない。よって、私はターンエンドだ。」

 

ダークネスライフ8000 手札2枚

伏せ1枚

伏せモンスター0体 真紅眼(レッドアイズ・)黒竜(ブラックドラゴン)ATK2400

フィールド魔法なし

伏せモンスター0枚 E(エレメンタル)HERO(ヒーロー)フォレストマンDEF2000

伏せ1枚

伏せモンスター0枚

伏せカード0枚

十代 手札4枚 ジュンコ 手札5枚

十代&ジュンコ 共通ライフ5600

 

 

「アタシのターン! ドロー! モンスターをセット! さらに、フィールド伝説の都アトランティスを発動! 魔法2枚伏せてターンエンド!」

 

ダークネスライフ8000 手札2枚

伏せ1枚

伏せモンスター0体 真紅眼(レッドアイズ・)黒竜(ブラックドラゴン)ATK2400

フィールド魔法 伝説の都アトランティス

伏せモンスター0枚 E(エレメンタル)HERO(ヒーロー)フォレストマンDEF2000

伏せ1枚

伏せモンスター1枚

伏せカード2枚

十代 手札4枚 ジュンコ 手札2枚

十代&ジュンコ 共通ライフ5600

 

「私のターン! ドロー! サファイア・ドラゴンを召喚!真紅眼(レッドアイズ・)黒竜(ブラックドラゴン)でフォレストマンを攻撃! 黒炎弾!」

 

「リバースカードオープン! くず鉄のかかし! 攻撃を1度だけ無効にしてこのカードをセットする!」

 

 俺のフィールド上のフォレストマンをジュンコのフィールド上のくず鉄でできたかかしが受け止めた。

 

「なら、サファイア・ドラゴンで伏せモンスターを攻撃!」

 

 サファイアドラゴンの吐息を受け止めきれずグリズリー・マザーは破壊された。

 

「だけど、グリズリー・マザーの効果発動するわ! 戦闘で破壊された時、攻撃力1500以下のモンスターをデッキから攻撃表示で特殊召喚するわ! 来て! マーメイド・ナイト!」

 

 ジュンコのフィールドのクマが断末魔の悲鳴を上げその悲鳴にマーメイド・ナイトが駆け付けた。

 

「これでターンエンドだ。」

 

ダークネスライフ8000 手札2枚

伏せ1枚

伏せモンスター0体 真紅眼(レッドアイズ・)黒竜(ブラックドラゴン)ATK2400 サファイア・ドラゴンATK1900

フィールド魔法 伝説の都アトランティス

伏せモンスター0枚 E(エレメンタル)HERO(ヒーロー)フォレストマンDEF2000

伏せ1枚

伏せモンスター0枚 マーメイド・ナイトATK1500+200

伏せカード2枚

十代 手札4枚 ジュンコ 手札2枚

十代&ジュンコ 共通ライフ5600

 

「俺のターン! ドロー! スタンバイフェイズ時にフォレストマンの効果発動! スタンバイフェイズ時にデッキ、墓地から融合を一枚手札に加える! この効果で、デッキから融合を手札に加える!」

 

 この効果でデッキから融合のカードを手札に加えるフォレストマン。

 

「さらに融合を発動!手札のE(エレメンタル)HERO(ヒーロー)バーストレディーとE(エレメンタル)HERO(ヒーロー)フェザーマンを融合!! E(エレメンタル)HERO(ヒーロー) Great TORNADO!!」

 

 俺の言葉に疾風を纏いしE(エレメンタル)HERO(ヒーロー)が現れた。

 

E(エレメンタル)HERO(ヒーロー) Great TORNADOの効果発動! 相手フィールド上のモンスターの攻撃力を半分にする! ダウンバースト!!」

 

「何!!」

 

 上空から冷たい突風が舞い降りて真紅眼(レッドアイズ・)黒竜(ブラックドラゴン)とサファイア・ドラゴンを冷やしてその攻撃力をダウンさせた。

 

「Great TORNADOの攻撃! スーパーセル!」

 

 Great TORNADOが発した風が真紅眼(レッドアイズ・)黒竜(ブラックドラゴン)を倒した。(ダークネスライフ 8000-2800+2400/2=5200+1200=6400)

 

「ぐううぅぅ!!!!おのれ!私の真紅眼(レッドアイズ・)黒竜(ブラックドラゴン)が!」

 

「俺はこれでターンエンドだ!」

 

ダークネスライフ6400 手札2枚

伏せ1枚

伏せモンスター0体 サファイア・ドラゴンATK1900/2

フィールド魔法 伝説の都アトランティス

伏せモンスター0枚 E(エレメンタル)HERO(ヒーロー) Great TORNADOATK2800 E(エレメンタル)HERO(ヒーロー)フォレストマンDEF2000

伏せ1枚

伏せモンスター0枚 マーメイド・ナイトATK1500+200

伏せカード2枚

十代 手札4枚 ジュンコ 手札2枚

十代&ジュンコ 共通ライフ5600

 

「私のターン! ドロー! そして、黒竜の雛を召喚!」

 

 ダークネスがフィールドにカードを置くと、卵の殻を被った小さなドラゴンが現れた。

 

「ドラゴンの雛?」

 

「そうだ。黒竜の雛の効果発動! このカードを生贄にして真紅眼(レッドアイズ・)黒竜(ブラックドラゴン)を手札から特殊召喚!」

 

 黒竜の雛の殻がパリンと割れた瞬間急成長を遂げた真紅眼(レッドアイズ・)黒竜(ブラックドラゴン)がそこにあった。

 

「さらに速攻魔法サイクロンを発動! 女のフィールドのくず鉄のかかしを破壊する!」

 

 ダークネスのフィールドから飛び出た疾風がくず鉄のかかしを吹き飛ばした。

 

「そして、E(エレメンタル)HERO(ヒーロー) Great TORNADOに攻撃! ダメージステップ時に突進発動!」

 

 突進の効果で、パワーアップした真紅眼(レッドアイズ・)黒竜(ブラックドラゴン)が放つ炎がGreat TORNADOを倒した。

 

「その瞬間、リバースカードオープン! ガードブロック!ダメージを無効にして1枚ドローするわ!」

 

 ジュンコはそう言いながらデッキからカードをドローする。

 

「サファイア・ドラゴンを守備表示に変更してターンエンド!」

 

ダークネスライフ6400 手札2枚

伏せ1枚

伏せモンスター0体 サファイア・ドラゴンDEF1600 真紅眼(レッドアイズ・)黒竜(ブラックドラゴン)ATK2400

フィールド魔法 伝説の都アトランティス

伏せモンスター0枚 E(エレメンタル)HERO(ヒーロー)フォレストマンDEF2000

伏せ1枚

伏せモンスター0枚 マーメイド・ナイトATK1500+200

伏せカード1枚

十代 手札4枚 ジュンコ 手札3枚

十代&ジュンコ 共通ライフ5600

 

「アタシのターン! ドロー! アタシはマーメイド・ナイトを召喚! そして、マーメイド・ナイトでサファイア・ドラゴンを攻撃!」

 

 サファイア・ドラゴンは何の抵抗もできずに切り倒された。

 

「まだよ! マーメイド・ナイトはフィールドが海の時1ターンにつき2回攻撃できるわ! フィールドは伝説の都アトランティスだけど、このカードは海として扱うわ! マーメイド・ナイトで真紅眼(レッドアイズ・)黒竜(ブラックドラゴン)に攻撃!その瞬間、こちらも突進を使うわ!」

 

 突進のカードの効果で攻撃力の上昇したマーメイド・ナイトは相打ちで真紅眼(レッドアイズ・)黒竜(ブラックドラゴン)を倒した。

 

「さらに、マーメイドナイトでダイレクトアタック!」

 

 マーメイド・ナイトがダークネスに攻撃してダメージを与えようとする。しかし、

 

「させない!! リバースカードオープン! リビングデッドの呼び声!!」

 

 ダークネスのフィールド翻ったカードが真紅眼(レッドアイズ・)黒竜(ブラックドラゴン)ATK2400を蘇生させた。

 

「モンスターが増えたことにより、攻撃の巻戻しが発生して攻撃を中止させて、アタシはこれでターンエンドするわ!」

 

ダークネスライフ6400 手札2枚

伏せ0枚 リビングデッドの呼び声

伏せモンスター0体 真紅眼(レッドアイズ・)黒竜(ブラックドラゴン)ATK2400

フィールド魔法 伝説の都アトランティス

伏せモンスター0枚 E(エレメンタル)HERO(ヒーロー)フォレストマンDEF2000

伏せ1枚

伏せモンスター0枚 マーメイド・ナイトATK1500+200

伏せカード1枚

十代 手札4枚 ジュンコ 手札2枚

十代&ジュンコ 共通ライフ5600

 

「私のターン! ドロー! 手札から死者蘇生を発動!墓地からミンゲイドラゴンを特殊召喚する!」

 

「ど、どうしてそのモンスターが墓地にあるのよ!」

 

 !コストダウンの時か!

 

「そして、手札から天よりの宝札を発動!!全てのプレイヤーは手札が6枚になるようにドローする!! ミンゲイドラゴンを生贄に真紅眼(レッドアイズ・)黒竜(ブラックドラゴン)を生贄召喚!! このカードは1体で2体分の生贄になる!」

 

 ミンゲイドラゴンを嬢概して現れる漆黒の龍。

 

「さらに手札から黒炎弾を発動!」

 

 真紅眼(レッドアイズ・)黒竜(ブラックドラゴン)が焔をジュンコにぶつけようとする!

 

「ジュンコ! 危ねえ!!」

 

 とっさにジュンコの前に立ったおかげで、ジュンコはノーダメージだ。(十代&ジュンコ 共通ライフ 5600-2400=3200)

 

「…バカ! なんで2度も庇うのよ! おかげでボロボロじゃない!」

 

「さあな。大事な人が攻撃されそうだと思ったら勝手に動いただけだよ。」

 

「いい雰囲気なところ申し訳ないがデュエルを続行させるぞ。真紅眼(レッドアイズ・)黒竜(ブラックドラゴン)を生贄にして真紅眼(レッドアイズ・)闇竜(ダークネスドラゴン)を特殊召喚!!

このカードの攻撃力は2400だが、墓地にあるドラゴン族1枚につき攻撃力を墓地にあるドラゴン族の枚数分攻撃力がアップする! 私の墓地にあるドラゴン族は全部で5枚よって攻撃力は3900! 未来融合フューチャーフュージョンを発動! デッキから5枚のドラゴン族を墓地に送り、2ターン後にF・G・Dを融合召喚!」

 

 まずい! 一気に勝負を仕掛ける気だ!

 

「真紅眼の闇竜でマーメイドナイトを攻撃! ダークネス・ギガフレイム!」

 

 真紅眼の闇竜が漆黒の焔をマーメイドナイトに向けて放つ。

 

「リバースカードオープン! 竜巻海流壁(トルネードウォール)! フィールドが海である時、アタシ達への戦闘ダメージは無効になるわ!」

 

「倒せなかったか。ターンエンド。」

 

ダークネスライフ6400 手札2枚

伏せ1枚

伏せモンスター0体

フィールド魔法 伝説の都アトランティス

伏せモンスター0枚 E(エレメンタル)HERO(ヒーロー)フォレストマンDEF2000

伏せ1枚

伏せモンスター0枚 マーメイド・ナイトATK1500+200

伏せカード0枚 竜巻海流壁(トルネードウォール)

十代 手札6枚 ジュンコ 手札6枚

十代&ジュンコ 共通ライフ3200

 

「俺のターン! ドロー!」

 

 宣言しながら引いたカードは融合! ダメだ! 手札には融合出来るモンスターがいない!

 

「十代。諦める気?」

 

 俺の考えを読んだかのようにジュンコが問いかける。

 

「十代。あんたの背中には翔や隼人さんの命が乗っかってるのよ? アタシが少しでも支えてあげるから砕け散るつもりでぶつかってみなさい。」

 

 ジュンコの励ましに少しだけやる気が出てきた。しかし、手札には対抗できるモンスターがいないし、手札にもフィールドにも…そうだ! 墓地だ! …この手があった!

 

「俺は手札からE(エレメンタル)HERO(ヒーロー) エアーマンを召喚! 効果により、E(エレメンタル)HERO(ヒーロー) エッジマンを手札に加えて死者蘇生を発動! 墓地からマーメイドナイトを召喚! E(エレメンタル)HERO(ヒーロー)フォレストマンを攻撃表示に変更して融合発動! 手札のE(エレメンタル)HERO(ヒーロー) エッジマンとフィールドのマーメイドナイトを融合してE(エレメンタル)HERO(ヒーロー) アブソルートZero(ゼロ)を融合召喚! そして融合解除を発動! フィールドのアブソルートZero(ゼロ)を融合デッキに戻してE(エレメンタル)HERO(ヒーロー) エッジマンとマーメイドナイトを召喚!」

 

「わざわざ召喚したモンスターを戻した? 何を狙っている?」

 

 俺がしたことがわからず怪訝そうにダークネスは眉をひそめた。

 

「へへ。今にわかるぜ。E(エレメンタル)HERO(ヒーロー) アブソルートZero(ゼロ)の効果発動! このカードがフィールドを離れた時、相手フィールドのモンスターを全て破壊する!」

 

 その効果により真紅眼の闇竜は氷の棺の中で凍てついた。

 

「な、何!!!!」

 

 その叫びがきっかけになり、真紅眼(レッドアイズ・)闇竜(ダークネスドラゴン)が砕け散った。

 

「4体の総攻撃!!」

 

 マーメイドナイト、エッジマン、エアーマン、フォレストマンの総攻撃がダークネスのライフを削りきった。

 その瞬間、真っ白い光に包まれて俺の意識が遠くなった。

 

 ○ ○ ○

 

Side 明日香

 

「兄さん! 十代! ジュンコ! 翔君! 隼人さん!」

 

 私は火山の麓で倒れている5人に近寄った。本当は十代の代わりに私がデュエルしたかったけど、オシリス・レッド寮の十代の部屋にたどり着いた時にはすでに遅くものけのカラだった。そして、一に電話してどこに行けばいいのか聞いたら火山に向かった。その麓で倒れ伏す5人の人影を見つけた。見たところ呼吸はしっかりしている。どうやら気絶しているだけらしい。

 

「お帰り。 兄さん。それと、ありがとね。十代。」

 

 私はそう言いながら十代の頭をやさしく撫でていた。




このお話を読んでくださる皆様に問います。
いったいいつから、この作品で18禁展開が読めると錯覚していた?
………冗談はさておき、そういった展開を期待していた方はすみませぬ。


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デュエル38 吸血鬼の恐怖 VSカミューラ

このお話を読んでくださる皆様ありがとうございます。
そして、今回は鮫島校長が酷い目にあいます。鮫島ファンの方は申し訳ありません。


 

 俺は目を覚まさない十代を見ている。その隣では明日香が吹雪さんの看病している。

 

「これからどうするの?」

 

「あ、ちょっと待って。」

 

 明日香の問いにマナが愛用の杖を取り出して一振りすると、きぃっと鳴き声を発して蝙蝠が飛び去った。

 

「見られてたのか。蝙蝠って事はカミューラか。恐らくは今夜戦うのはクロノスだろうな。」

 

「クロノス先生が? 勝てるの?」

 

 明日香の問いに俺は首を横に振った。

 

「いや、蝙蝠達にデッキを盗み見られて対策を取られてな。それでもクロノスの為のデュエルだから」

 

「じゃあ、次に一がデュエルするのね?」

 

「あぁ。自分の都合で見捨てといて助けちゃだめな理由はないし。それに、カミューラは厄介なカードと卑怯の王道な手段を使って亮を負かしたからな。それは防いでおきたいんだ。」

 

「厄介なカード?」

 

 明日香の疑問に答えようとしたところで「はじめちゃん! 大変! ジュンコさんが!」

 

 かなり慌てた様子の翔が飛び込んできた。

 

「翔? どうした?」

 

「ジュンコさんが! 校長暴力ふるってるッス!」

 

 …校長暴力? 意味が分からないので明日香を連れて校長室まで手が血まみれな枕田が顔が血まみれな校長にチョークスリーパーを仕掛けていた。その枕田はどす黒いオーラを纏いながらケタケタと笑っているのが実に怖い。

 

「大変! 早く助けないと!」

 

「…いや、もうちょい待とう。」

 

 意味がわからなかったのか、首を傾げる明日香に教えた。

 

「鮫島校長の頬が緩んでる。枕田に首締められ苦しいが枕田の大きな胸が押しつけられて嬉しいエロ親子だ。」

 

「そ、そうなの? 一はジュンコの胸とかを触りたいの?」

 

「んにゃ? まったく。どちらかというと明日香達の果実を揉みたいぞ。」

 

 …しまった!つい即答したがこれじゃあ、ただのスケベじゃん!

 

「まったく。ストレートに言い過ぎよ。」

 

 煩悩をフルオープンした発言に明日香は恥ずかしそうに紅く染めながらも苦笑するだけだった。…ほ。どうやらあまり怒ってないようだ。

 

「そ、そこの甘い空気振りまくバカップル…は、早くた、助けて…。」

 

 鮫島校長が血の気の通ってないような顔色でか細く助けを求める。流石に助けるべきか。

 

「それにしてもここまで怖い枕田は初めてみるな。」

 

「私もよ? よっぽど十代を傷つけられたのか許せなかったのね。」

 

 ケタケタ笑いは収まったもののいまだにどす黒いオーラを発する枕田を見つめる俺に明日香はそう言ったのたが、腑に落ちない事が一つ。

 

「ちょっと待て十代の嫁さんがなんでそこで鮫島校長が出てくるんだ?」

 

「…明日香さんから十代の首にかかっている鍵の事を聞いたら出所が鮫島校長だって。」

 

 『十代の嫁さん』の言葉に反応してどす黒いオーラを霧散させた枕田が答えた。

 

「つたた。枕田さん。遊城君の事はすみませんでした。無能と罵られても仕方がないですが、セブンスターズが闇のデュエルをしてくるとは思わなかったです。」

 

 そう言ってから鮫島校長は俺と明日香に頭を下げた。

 

「斎藤君。天上院君。お願いです。7精門の鍵を返却して生徒達にこの一件から手を引くよう通達してくださいませんか?」

 

「却下です。」

 

 鮫島校長のお願いを即答で拒否した。

 

「問いますが、何故最初に生徒である俺達に頼んだのですか? 俺の予想通りなら俺達以外に頼める程に実力があると判断できたのが翔や神楽坂ぐらいしかいなかったんじゃないのでしょう?」

 

 その言葉に硬直した鮫島校長の態度がそれが正解だと如実に物語っていた。

 

「佐藤先生はプロデュエリストだったけど、引退してデュエルリーグから遠のいたおかげで実力的に未知数だし、鮎川先生の方は先生としては一流だし、デュエル理論としては一流だけど、デュエリストの成績は俺達に比べて見劣りする。大徳寺先生は錬金術の講師でありデュエルに関してはまったくの素人。ほかにも教師はいるけど、クロノス以外は戦力としては期待できなかったから俺達に目を付けたってところだろ?」

 

「…斉藤君がおっしゃるとおりです。私には鍵を守りきれると自信を持てたのは貴方達しかいませんでした。」「でしたら、最後まで信じてください。」

 

 俺の言葉に鮫島校長は首を縦に振った。

 

 ○ ○ ○

 

「クロノス先生、負けちゃったね。」

 

 …だな。だけど、最後の最後まで自分の信念を貫き通した良いデュエルだったと思う。

 

「悪い。マナ。今夜のデュエルには手を貸してくれ。」

 

「え? 別にいいけど、何があったの?」

 

 可愛らしく首を傾げるマナに肩をすくめて答えた。

 

「むちゃくちゃ厄介なカードの対策にな。」

 

「そうか。一は幻魔の扉を警戒してるんだね?」

 

「警戒もするだろ?」

 

「ねえ、一? その幻魔の扉ってどんな効果なの?」

 

 そういえば、昨日は教える前に邪魔が入ったから言ってなかったな。

 

「闇のデュエル専用のイカサマカードで、サンダーボルトと一度でも召喚に成功したモンスターを召喚条件を無視して召喚出来るって効果だ。」

 

「いくら命がけでも強過ぎじゃないかしら?」

 

「ただし、そのカードを使って使ったプレイヤー負けた場合、その魂は永遠に幻魔の物になる。そして、カミューラは自身の魂じゃなく、翔の魂を身代わりにした結果、カミューラに攻撃出来ず、サイバー・エンドでな。」

 

 その恐ろしい戦法に誰かの唾を飲む音が大きく聞こえた。

 

 ○ ○ ○

 

「…まさか、2人だけで来るとは思わなかったわ。 観客もいないのは寂しいものね?」

 

「カミューラに幻魔の扉を使わせる訳にはいかないんでね。」

 

 その言葉に驚愕の表情を浮かべる。

 

「なぜ、あなたがそのカードの事を? …まぁいいわ。よく考えられた対策ね? 気に入ったわ。私の人形にならない?」

 

「生憎と俺は一方的に弄ばれるのは大嫌いな質なんだ。」

 

「そう?でも、あなたがなんと言おうと私の人形になるのは決定事項よ?」

 

 カミューラの言葉に俺達はデュエルディスクを起動させる。

 

 ○ ○ ○

 

決闘(デュエル)!!』

 

「マナ の ターン です。」

 

「私のターン! ドロー! 私は手札からフィールド魔法魔法族の里を発動! さらにマジシャンズヴァルキリアを守備表示で召喚!」

 

 マナのフィールドに良く似た女魔法使いが現れる。

 

「さらにカードを2枚セットしてターンエンド!」

 

「一! マナ!」

 

一&マナ共通ライフ8000

一手札5枚

マナ手札2枚

伏せカード2枚

マジシャンズヴァルキリアATK1600

フィールド魔法 魔法族の里

 

 マナがターンエンドした時、十代の声が聞こえたのでそちらに振り返ったら、十代達が駆け寄ってきた。

 

「一! マナ! お前なんで2人だけで来たんだよ!」

 

 ハァ。十代の言葉に深くため息をついていた。

 

「明日香。」

 

 俺の言葉に明日香はピクリと反応した。

 

「俺は言ったよな?『十代達が入ってこないように時間稼いで』って。それに対してわかったって言ったよな?」

 

 俺の問いに明日香は視線をそらして聞いてないようにしているが、その額に汗が垂れている。その明日香に向かって唇で言っていた。『お し お き か く て い』

 その言葉に明日香は滝のような涙を流していた。

 

「わざわざ2人だけで来たのに残念ね?」

 

「まったくだよ。何で来たんだか?」

 

 俺とカミューラのやりとりが理解出来なかったのか戸惑った声を十代があげていた。

 

「…一。来たらまずかったか?」

 

「下手したら十代達の誰かが人質になっていた可能性もあるんだが?」

 

「あ…。」

 

 指摘されるまでその可能性を考えなかったのか間の抜けた声を発する十代達。

 

「でも、逃がしてあげないわ。お客様をしっかりもてなさないとバンパイアの沽券に関わるもの。」

 

 そう言うカミューラの体から闇のオーラのようなものが発生して、十代達は身動きとれなくなったらしい。

 

「そういうのは、おもてなしじゃなくて人質として利用しているんだよ?」

 

 マナの指摘にカミューラは肩をすくめるだけだった。

 

「日本語って難しいのね?」

 

 マナの言葉にそう返してターンを進めた。

 

「私はバンパイアレディーを守備表示で召喚! さらにカードを伏せてターンエンド!」

 

一&マナ共通ライフ8000

一手札5枚

マナ手札2枚

伏せカード2枚

マジシャンズヴァルキリアATK1600

フィールド魔法 魔法族の里

ヴァンパイア・レディーDEF1550

伏せカード1枚

カミューラライフ8000手札4枚

 

「俺のターン! ドロー! 俺は手札からフィールドバリアを起動! そして、豊穣のアルテミスを攻撃表示で召喚!カードを3枚セットしてターンエンド!」

 

一&マナ共通ライフ8000

一手札1枚

伏せカード3枚 フィールドバリア

豊穣のアルテミスATK1600

 

マナ手札2枚

伏せカード2枚

マジシャンズヴァルキリアATK1600

フィールド魔法 魔法族の里

ヴァンパイア・レディーDEF1550

伏せカード1枚

カミューラライフ8000手札4枚

 

「私のターン! ドロー! ヴァンパイア・レディーを生け贄にヴァンパイア・ロードを生け贄召喚! バトルに入るわ! ヴァンパイア・ロードで豊穣のアルテミスを攻撃するわ!」

 

 ヴァンパイア・ロードがアルテミスに襲いかかる。

 

「リバースカードオープン! 攻撃の無力化!」

 

 時空の渦がヴァンパイア・ロードの攻撃を防いだ。

 

「豊穣のアルテミスの効果起動! カウンタートラップが起動した時、1枚ドロー出来る!」

 

 アルテミスが俺のデッキからカードを引き抜き差し出した。

 

「私はカード1枚セットしてターンエンド!」

 

一&マナ共通ライフ8000

一手札2枚

伏せカード2枚 フィールドバリア

豊穣のアルテミスATK1600

 

マナ手札2枚

伏せカード2枚

マジシャンズヴァルキリアATK1600

フィールド魔法 魔法族の里

ヴァンパイア・ロードATK2000

伏せカード1枚

カミューラライフ8000手札4枚

 

「私のターン! ドロー! バトルだよ! マジシャンズヴァルキリアでヴァンパイア・ロードを攻撃!」

 

「気でも狂ったかしら?マジシャンズヴァルキリアの攻撃力は1600。対して、ヴァンパイア・ロードは2000もあるのよ?」

 

「ご心配なく。いたって正気だから。リバースカードオープン!マジシャンズサークル!魔法使い族が攻撃した時、発動出来てデッキから攻撃力2000以下の魔法使い族モンスターを特殊召喚する! 私はブラック・マジシャン・ガールを特殊召喚!」

 

 マナがデュエルディスクにカードを置くとマナというかマナに良く似た少女というか?が現れた。

 

「…やっぱり、マナさんはブラック・マジシャン・ガールに良く似てるッスよ。ひょっとして、本人なんじゃ?」

 

「まさか。あり得ないだろ?いくら何でもカードの中の人間が実体化するなんて非科学的な事はあり得ない?」

 

 翔の呟きをラー・イエローの御手洗だっけ?が否定するが海馬と最初に会った時もそんなことを言ってたな。

 

「私のデッキには魔法使い族モンスターなんて1枚もないわ。」

 

「ホントに召喚できるモンスターがいないか、デッキの確認させてもらうね?」

 

「仕方ないわね?」

 

 カミューラはそう言いながら渋々とデッキを差し出した。

 

「…確かに魔法使い族はいないね?」

 

 マナはそう言いながらデッキをシャッフルして返した。

 

「マジシャンズサークルの効果でこっちは特殊召喚できたけどそっちは召喚できたわけじゃないから攻撃はそのまま続行される。」

 

「だけど、ダメージステップ時に手札からオネストを捨てて効果起動! ヴァンパイア・ロードの攻撃力分、マジシャンズヴァルキリアの攻撃力をアップさせる!」

 

 マジシャンズヴァルキリアに白い翼が生え、ヴァンパイア・ロードの攻撃を飛んでかわしがら空きの背中に攻撃を浴びせ、ヴァンパイア・ロードを沈めた。(カミューラ ライフ8000-1600-2000+2000=6400)

 

「小娘が! よくも私のヴァンパイア・ロードを! リバースカードオープン! ヴァンパイアの呼び声! 私の墓地から戦闘破壊されたモンスターを特殊召喚するわ! 代わりにそちらは2枚ドロー出来るけど。」

 

「それじゃあ遠慮なく。ドロー! 1枚セットしてターンエンド!」

 

「私はこのままターンエンド!」

 

一&マナ共通ライフ8000

一手札2枚

伏せカード2枚 フィールドバリア

豊穣のアルテミスATK1600

 

マナ手札4枚

伏せカード2枚

マジシャンズヴァルキリアATK1600 ブラック・マジシャン・ガールATK2000

フィールド魔法 魔法族の里

 

ヴァンパイア・ロードATK2000

伏せカード0枚

カミューラライフ6400手札4枚

 

「私のターン! ドロー! 私はヴァンパイア・ロードを除外してヴァンパイア・ジェネシスを特殊召喚!」

 

 なんでヴァンパイア・ロードがこんな姿になったんだろう?

 

「ヴァンパイア・ジェネシスの効果発動!手札1枚を墓地に「リバースカード起動! 天罰! 手札1枚をコストにモンスター効果の発動を無効にして破壊する!」な、何!」

 

 天井から雷が降り注ぎ、ヴァンパイア・ジェネシスを消し炭と化した。

 

「豊穣のアルテミスの効果でドロー! 手札から冥王竜ヴァンンダルギオンを特殊召喚!」

 

 俺のフィールドに漆黒の穴が開き、そこから竜王と呼ぶに相応しい威圧感を放つドラゴンが背に豊穣のアルテミスを乗せ現れた。

 

「カウンターで相手のカード無効にした時手札から召喚できてモンスター効果を無効にした事により墓地の豊穣のアルテミスを特殊召喚!」

 

「キィッ! 小憎たらしいクソガキだね!!」

 

「怒ると皺が増えるよ?オバサン?」

 

 マナの言葉にオバサンに青筋が浮かんだ。

 

「カードを1枚伏せてターンエンド!」

 

一&マナ共通ライフ8000

一手札2枚

伏せカード1枚 フィールドバリア

豊穣のアルテミスATK1600×2 冥王竜ヴァンダルギオンATK2800

 

マナ手札4枚

伏せカード1枚

マジシャンズヴァルキリアATK1600 ブラック・マジシャン・ガールATK2000

フィールド魔法 魔法族の里

 

 

伏せカード1枚

カミューラライフ6400手札2枚

 

「俺のターン! ドロー! バトルフェイズ! 3体でダイレクトアタック!」

 

「トラップカード発動! 攻撃の無力化!」

 

 カミューラのフィールドで翻したカードが時空の渦を発生させ、俺のモンスター達の攻撃を受け流した。

 

「カウンタートラップが発動したことにより俺は2枚ドロー!」

 

 そう宣言してデッキから2枚のカードをドローする。

 

「そして、2枚伏せてターンエンド!」

 

一&マナ共通ライフ8000

一手札2枚

伏せカード3枚 フィールドバリア

豊穣のアルテミスATK1600×2 冥王竜ヴァンダルギオンATK2800

 

マナ手札4枚

伏せカード2枚

マジシャンズヴァルキリアATK1600 ブラック・マジシャン・ガールATK2000

フィールド魔法 魔法族の里

 

 

伏せカード0枚

カミューラライフ6400手札2枚

 

「私のターン! ドロー! ハッハッハ!! 今までよくもやってくれた! でも、コレで終わりだよ! 手札から魔法カード幻魔の扉を発動!」

 

「なんだ? 幻魔の扉? 聞いた事がない!」

 

「このカードは闇のデュエル専用の魔法カードで相手フィールドのモンスターを全て破壊して一度でも召喚したモンスターを召喚条件を無視して特殊召喚!」

 

「そんな!壊れカードじゃないっスか!」

 

 カミューラが幻魔の扉の説明した時翔が驚きの声をあげた。

 

「だけど、私が負けたら私の魂は永遠に幻魔のものになるわ! だけど、私は慎み深いの。その役目はあなた達の誰かに譲ってもらうわ。…どう? 仲間が人質にされる気分は?」

 

 カミューラは狂ったように哄笑をあげるのだがていた。

 

「ねぇ。長考するのはいいからデュエルを進めちゃってくれない?」

 

「は? 何を言って…!!」

 

 カミューラはそう言いかけて自分のデュエルディスクからエラー音がなり響いていることに気づいたようだ。それは今発動させようとしたカードが発動出来ない状態だと教える為のものだった。

 

「そんな! どうして!」

 

「魔法族の里の効果だよ。私のフィールドに魔法使い族モンスターがいるとき相手は魔法カードを発動出来ない!」

 

 確かに幻魔の扉は恐いけど、あくまでも魔法カードにすぎないから魔法カードそのものを発動出来ない状態にしたら使えない。余談だが、最初はカウンタートラップで無効にする事を主に考えていたがそれだと魂が永遠に幻魔のものになる効果がコストであった場合、発動を無効にしても戻ってこない。また、チェーンブロックが発生しない場合は防げない。だからこそ発動そのものをさせないようにする方法を考えて魔法族の里にたどり着いたのだ。

 

「小憎たらしいクソガキだね!! 蝙蝠からの情報は入って来なかったし!」

 

「何! どういう事だ!」

 

 カミューラの言葉を聞き逃さず御手洗が叫んだ。

 

「俺達鍵を持っている人はデッキを盗み見られてるんだろ?」

 

「そこの坊やとお嬢ちゃん達はは除いてだけどね。」

 

 俺の解説にカミューラは俺と明日香とマナを指差して補足した。

 

「まぁ、いいわ。要するに、そのザコを倒せばいいんでしょ? ゾンビマスターを召喚! 手札の馬頭鬼を捨て効果発動! 墓地から闇より出し絶望を特殊召喚! さらに、馬頭鬼の効果発動! 墓地の馬頭鬼を除外して墓地からヴァンパイア・レディーを特殊召喚!」

 

 カミューラの言葉に地面からボゴォッと腕が生え、2体のアンデッドが姿を現した。

 

「バトルよ!ゾンビマスターでマジシャンズヴァルキリアに攻撃!」

 

 魔法使い達を倒せば、幻魔の扉が使えるようになるからそっちを先に片付けたいのはわかるけどこっちも気をつけろよ?

 

「リバース起動! 攻撃の無力化! カウンタートラップ起動した為、2枚ドロー!」

 

「キィィッ!! 目障りなガキ共だね!! ターンエンド!!」

 

一&マナ共通ライフ8000

一手札2枚

伏せカード3枚 フィールドバリア

豊穣のアルテミスATK1600×2 冥王竜ヴァンダルギオンATK2800

 

マナ手札4枚

伏せカード2枚

マジシャンズヴァルキリアATK1600 ブラック・マジシャン・ガールATK2000

フィールド魔法 魔法族の里

 

ヴァンパイア・レディーATK1550 ゾンビマスターATK1800 闇より出し絶望ATK2800

伏せカード0枚

カミューラライフ6400手札1枚

 

「私のターン! ドロー! 手札から融合発動!手札のサイレントマジシャンLV8とフィールドのブラック・マジシャン・ガールを融合! 融合召喚! 超魔導士ブラック・サイレント・ガール!」

 

 マナの言葉にフィールド上の魔導師がサイレントマジシャンの衣装に変化していた。

 

「…攻撃力が2000融合する前と全く変わってないわね。それでどうするつもりなの?」

 

「手札から魔法カード天よりの宝札を発動!! お互いに手札が6枚になるようにドローする!!」

 

 その言葉に俺達は手札を6枚になるようにカードをドローしていくとともにブラック・サイレント・ガールの攻撃力がアップする。(ブラック・サイレント・ガール 魔力カウンター5 ATK2000+500×5=4500)

 

「攻撃力が上がった!」

 

「ブラック・サイレント・ガールはLV8を融合素材にした時、相手がドローするたび一枚に付き魔力カウンターが1つのり攻撃力が500アップするんだよ。そして、手札から魔法カード拡散する波動を発動!!ライフを1000支払い相手モンスターに全体攻撃する!」

 

 ブラック・サイレント・ガールがまばゆい光を放つとアンデッドたちが崩れていった。

(カミューラライフ6400-4500×3+2800+1800+1550=6400-13500+6150=6400-7350=-950)

 

 ○ ○ ○

 

「…ノーネ? ここはどこなノーネ?」

 

 マナがカミューラにとどめを刺すと、クロノス先生が元の姿に戻った。

 

「…おのれ!! こうなったら力尽くでも!!」

 

 カミューラは叫んで突撃しかけるが、デュエルで受けたダメージで思うように動けなかったのか、途中で倒れてしまった。俺はその彼女に近づいてその顔に大量の粉をまいた。

 

「AJFDJEWJFDgOJIHIUDJHW`)D)AJ!!!!」

 

 パウダー状のにんにくをぶちまけられ刺激にのた打ち回った。

 

「準! 御手洗! カミューラを捕まえろ!」

 

「俺は御手洗じゃない!! 三沢だ!!」

 

「万丈目サンダーだ!! わかった!」

 

 2人とも素直に答えて、カミューラを押さえつけた。



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デュエル39 女性の部族

このお話を読んでくださる皆様ありがとうございます。


「クロノス先生が来ないなんて珍しいですね?」

「そ、そうね。何かあって遅くなるなら、連絡ありそうなのにそれもないみたいだし。」

 

 と、麗華の言葉に同意する明日香。その声が若干震えているのは、カミューラの一件のお仕置きで俺の膝の上に座っているからだろう。

普段なら、俺に異端審問とやらを行うRYBDAUO異端審問団も団員も何人か行方不明になっているし。

 

「何事も無いと良いですけど。」

 

 その辺は同意だけど、セブンスターの事を考えると心配だ。

 

「た、大変だ! 皆が強制労働させられてる!」

「い、急いでクロノス先生達を助けないと!」

「そうだな。」

 ホッと息を吐いた瞬間、明日香の耳たぶを甘噛みしてやると、明日香は嬌声をあげ脱力する。

 

 ○ ○ ○

 

 俺達がそこにたどり着いた時には、闘技場の建造は終わっていたらしい。女性がアカデミアの生徒やクロノス先生に金を手渡ししている。皆に金を渡し終えると解散させて手を振って見送り、俺達に向き直る。

 

「よくぞ来た! 私はセブンスターの1人、タニヤ! 私の相手を務めるのは誰だ!」

「なら、俺が相手だ!」

 

 と、勢い良く手を上げたのが、ラー・イエローの…誰だっけ?

そして、名無しとタニヤのデュエルの結果、タニヤの勝ちだった。そして、名無しを残してみんなを追い払われた為、翌日闘技場に行くと、名無しが入口にいた。なんでも、さっきまでデュエルしていたそうだが、俺達が来るのを察知してデュエルする余裕がなくなったからと帰されたらしい。

 

「今日、私に挑む挑戦者は誰だ?」

「俺だ!」

 

 タニヤの問いに十代が元気良く答えた。

 

「よかろう。三沢同様、強者であることを望む。」

 

 ○ ○ ○

 

決闘(デュエル)!!』

 

「俺のターン! ドロー! E(エレメンタル)HERO(ヒーロー) フォレストマンを守備表示で召喚!ターンエンド」

 

十代ライフ4000 手札5枚

伏せカード0枚

伏せモンスター0枚

フォレストマンDEF2000

 

「私のターン! ドロー! アマゾネスの剣士を召喚! アマゾネスの剣士でフォレストマンを攻撃!」

「攻撃力の低いモンスターで攻撃を!!」

 

 タニヤの攻撃宣言に驚く翔だが、アマゾネスの剣士の怖いところはコレからだ。折れた剣が十代に襲いかかる。(十代ライフ4000-2000+1500=3500)

 

「アマゾネスの剣士は戦闘ダメージを相手に押し付ける効果がある。カードを2枚伏せてターンエンド!」

 

十代ライフ3500 手札5枚

伏せカード0枚

伏せモンスター0枚

フォレストマンDEF2000

 

アマゾネスの剣士ATK1500

伏せモンスター0枚

伏せカード2枚

タニヤライフ4000 手札3枚

 

「俺のターン! ドロー! スタンバイフェイズ時にフォレストマンの効果で融合を手札に加える! そして、E(エレメンタル)HERO(ヒーロー) エアーマンを召喚! 効果でE(エレメンタル)HERO(ヒーロー)フェザーマンを手札に加える! そして、融合を発動! 手札のフェザーマンとバーストレディーを融合してE(エレメンタル)HERO(ヒーロー) フレイムウィングマンを融合召喚!

バトル! フレイムウィングマンでアマゾネスの剣士に攻撃! フレイムシュート!」

 

 フレイムウィングマンは炎を纏った体当たりをしようとするが、

「伏せカード発動! 魔法の筒(マジックシリンダー)! その攻撃を無効にしてその数値分相手にダメージを与える!」

 

 タニヤのフィールドに現れた筒がフレイムウィングマンを受け止め十代に射出した。

 

「速攻魔法、融合解除を発動!」

 

 フレイムウィングマンはフェザーマンとバーストレディーに分離して戦闘態勢を取る。

 

「エアーマンで攻撃!」

 

 エアーマンはアマゾネスの剣士を倒したが、死に際に十代に剣を投げつけた。(十代ライフ3500-1800+1500=3200)

 

「フェザーマンとバーストレディーのダイレクトアタック!」

 

 十代の言葉にフェザーマンとバーストレディーがタニヤに攻撃をした。(タニヤライフ4000-1000-1200=1800)

 

「グゥッ! やるな!」

「カードを3枚セットしてターンエンド!」

 

十代ライフ3200 手札0枚

伏せカード3枚

伏せモンスター0枚

フォレストマンDEF2000 バーストレディーATK1200 フェザーマンATK1000

 

伏せモンスター0枚

伏せカード1枚

タニヤライフ1800 手札3枚

 

「私のターン! ドロー! 手札から魔法カード死者転生を発動! 手札のモンスターを捨て、墓地のアマゾネスの剣士を手札に加える! そして、アマゾネスの聖戦士を召喚!」

「アマゾネスの聖戦士は攻撃力が1700だけど、自分フィールドのアマゾネスと名の付くモンスターの枚数分100アップするから攻撃力が1800。」

「そして、死者蘇生を発動! アマゾネスペット(タイガー)を特殊召喚!」

「不味いわ! アマゾネスの聖戦士の攻撃力がエアーマンを上回ったわ!」

「それだけじゃない。あの虎もアマゾネスの枚数分400アップする。」

 

 俺の言葉に翔と枕田が心配そうに十代を見た。

 

「アマゾネスペット虎でエアーマンを攻撃!」

 

 タニヤの言葉に虎がエアーマンに襲いかかった。(十代ライフ3200-1900+1800=3100)

 

「アマゾネスの聖戦士でフェザーマンに攻撃!」

「リバースカードオープン! ヒーローバリア! 自分フィールドにE・HEROがいるとき攻撃を無効にする!」

 

 十代のフィールドから発生したバリアがフェザーマンを護ろうとする。

 

「リバースカードオープン! ダブル・アップ・チャンス! 攻撃が無効になった時、攻撃力を倍にして再度攻撃できる!」

 

 アマゾネスの聖戦士の手に現れた2本目の剣がバリアを破壊してフェザーマンを切り裂いた。(十代ライフ3100-1900×2+1000=300)

 

「あぶな! さっきのターン、融合解除して正解だった。」

 

 タニヤのフィールドから翻ったカードを見て思わず呟いていた。

 

「どういう事?」

「ダブル・アップ・チャンスは十代のフィールドのモンスターにも使えるから、魔法の筒で攻撃を返された場合、2100のダメージを受け、さらに、攻撃力4200のフレイムウィングマンがアマゾネスの剣士を攻撃してその差2700、合計して4800のダメージを受けてしまうことになった。」

 

 もし、エアーマンで攻撃していたらかわすことすら出来ずやられていただろう。大したカンしてるよ。逆にアブソルートZERO(ゼロ)を呼ばなかった事が十代の判断ミスだけど。

 話している間に十代はトラップカード、ヒーローシグナルを発動したらしい。

 

「ヒーローシグナルの効果でE(エレメンタル)HERO(ヒーロー) オーシャンを特殊召喚!」

「私はコレでターンエンド!」

 

十代ライフ300 手札0枚

伏せカード1枚

フォレストマンDEF2000 オーシャンATK1500 バーストレディーATK1200

 

アマゾネスペット虎ATK1100+400×2 アマゾネスの聖戦士ATK1700+100×2

伏せカード0枚

タニヤライフ1800 手札1枚

 

「俺のターン! ドロー! スタンバイフェイズ時にフォレストマンの効果で融合を手札に加え、さらにオーシャンの効果でエアーマンを手札に加える!

手札から融合を発動! エアーマンとバーストレディーを融合! E(エレメンタル)HERO(ヒーロー) Great(グレイト) TORNADE(トルネード)を融合召喚! Great TORNADEの効果発動! このカードが融合召喚された時、相手フィールドのモンスターの攻撃力を半分にする! ダウンバースト!」

 

 十代の宣言に冷気がこの場を荒れ狂う。

 

「私の負けか。」

「Great TORNADEでアマゾネスペット虎に攻撃! スーパーセル!!」

 

 Great TORNADEがアマゾネスペット虎を破壊してタニヤのライフを削りきった。

 

「ガッチャ! 楽しいデュエルだったぜ!!」

「私もだ。大地。十代。ありがとう。」

 

 十代と大地とやらに礼を述べたタニヤの姿が消えていった。

 



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デュエル40 買収騒動VS万丈目

このお話を読んでくださる皆様ありがとうございます。


 

「買収?」

「そうッス。万丈目君のお兄さん達がこの学校を買い取ろうとしてるッス。」

 

 自室で雪乃達といっしょに寛いでいたら、丸藤夫妻と十代の嫁さんがやってきてその事を説明しだした。なんでも、準のお兄さんが買収を持ちかけたのだ。で海馬がデュエルで決めると告げた所、準を指定してしかも攻撃力を500未満のハンデをしてきた。

 

「大変だな。準のデッキには攻撃力500未満のモンスターなんておジャマ・イエローぐらいしかないだろうし。」

「アンタらね。」

 

 何故かジュンコがジト目で呟いた。

 

「何明日香さんとイチャイチャしてるのよ?」

「イチャイチャしてるとは失礼な。明日香の太ももを堪能しつつ耳掻きしてもらっているだけた。」

「それがイチャイチャしてるのよ。」

 

 俺の反論にジュンコは呆れた表情で返した。

 

「で、指名された万丈目は?」

「うん。攻撃力が低いカードを捨てられてる井戸にカードを集めに行っちゃったッス。」

 

 じゃあ、万丈目が戻って車で待つしかないか。

 そう判断して待つこと数時間して、準と十代が戻ってきた。

 

「おかえりー。どうやら無事にカードは集めて来たみたいだな。」

「あぁ。それで、貴様はコイツ等のサポートを持ってないか?」

 

 準が見せたのはおジャマ・イエロー、おジャマ・グリーン、おジャマ・ブラックの3枚だ。

 

「OK。おジャマなら持ってるし、準もおジャマが気に入ってるみたいだし、協力するからおジャマ・専用デッキを作ってみたら?」

「な! 誰が気に入ってるだと!」

 

 俺がおジャマ・イエローを指差しながら提案すると準が食いついてきた。その耳は僅かに朱い。

 

「気に入ってないなら、サポートカードの所持を聞きに来ないよ。それに、今の反応は図星指されたのが恥ずかしがっている人の反応だぞ?」

「ち、違う! 使えもしない雑魚達を憐れんでいただけのことだ!」

『いや〜ん♪ アニキってツンデレ♪』

「うるさいぞ!」

 

 身をくねらせるおジャマ・イエローにたいして一喝する準だが、端から見ると一人遊びしているようにしか見えない。

 

「そこに万丈目君の精霊がいるんですか?」

 

 視線の先を追いながら、麗華が問いかける。

 

「そう。そこにおジャマ・イエローがいる。」

「…貴様。精霊が見えるのか?」

 

 カードの精霊は一般人には見えない。精霊自身が何かの手段で姿を見せているならまだしも、そうでないおジャマ・イエローを言い当てた事でそう判断したらしい。

 

「見えるよ。マナが精霊だし。」

「何!」

 

 驚く準の前で元の姿に戻ったマナを見て跪くのを見てデッキ作りの為に必要なカードを探した。

 

 

 

 デュエルフィールドを挟んで見合う3人を見て観客達は緊張で息をのんだ。

 その中で準が高らかに宣言した。

 

「ハンデとして攻撃力500未満と言ってたが、俺のデッキのモンスター達は攻撃力0だ!!」

 

 その宣言はこの場に驚愕を呼んだ。

 

「そのデッキで味わう敗北を理解してもらうよ! 兄さん!」

 

決闘(デュエル)!!』

 

「俺のターン! ドロー!

手札からおジャマ・ブルーを攻撃表示で召喚!」

『攻撃力0のモンスターを攻撃表示で!』

 

 準が攻撃表示でモンスターを出した事に驚く観客達。

 

「さらにカードを2枚伏せてターンエンド!

さあ、兄さんのターンだ!!」

準ライフ4000 手札3枚

伏せカード2枚

伏せモンスター0枚 おジャマ・ブルーATK0

 

「私のターン! ドロー! 準! 私達をこけにしてくれたツケを支払ってもらうぞ!

手札から融合発動! 手札の神竜ラグナロクとロードオブドラゴンを融合!! 竜魔人キングドラグーンを召喚! さらにキングドラグーンの効果で手札からエメラルドドラゴンを特殊召喚!! さらにサファイアドラゴンを攻撃表示で召喚!

バトルだ!!

キングドラグーンでその雑魚を攻撃!」

 

 総攻撃を食らえば、1ターンキルされてしまうな。

 

「トラップカードオープン!」

「無駄だ! キングドラグーンがいる限り、カード効果を受けない!」

 準の兄が自信満々に言うが、その過信が命取りだ。

 

「俺が使うトラップカードはマジカルシルクハット!! デッキからマジックかトラップを2枚選び、フィールドのモンスターと一緒にシャッフルしてセットする!」

 

 準の宣言に3体のシルクハットが現れ、セットされた。

 

「こしゃくな! 右のカードを攻撃!」

 

 キングドラグーンが放つ閃光がシルクハットを吹き飛ばした。

 

「破壊されたおジャマジックの効果発動! このカードが墓地に送られた時、デッキからおジャマ・イエロー、おジャマ・グリーン、おジャマ・ブラックを手札に加える!」

 

 デッキからカードを手札に加えていく準。

 

「では、エメラルドドラゴンでもう1つのシルクハットを攻撃!」

 エメラルドドラゴンの緑色に輝く閃光がもう1枚のシルクハットを吹き飛ばしたがコレもおジャマジックだった。

 

「なら、サファイアドラゴンでその雑魚を攻撃!」

 

 おジャマ・ブルーの守備力は1000。攻撃力1900には耐えられない。

 

「おジャマ・ブルーの効果発動! このカードが戦闘破壊された場合、デッキから2枚のおジャマ・と名のつくカードを手札に加える!

俺はおジャマ・カントリーとおジャマッスルを手札に加える!」

「1枚伏せてターンエンド!」

 

準ライフ4000 手札11枚

伏せカード1枚

伏せモンスター0枚 

 

竜魔人キングドラグーンATK2400 エメラルドドラゴンATK2400 サファイアドラゴンATK1900

伏せモンスター0枚

伏せカード1枚

準の兄ライフ4000 手札0枚

 

「俺のターン! ドロー! 手札から永続マジック暗黒の扉を発動! 互いに1ターンに1体のモンスターでしか攻撃できない!」

「甘いぞ! リバースカード発動! サイクロン! その目障りな暗黒の扉は破壊させてもらうぞ!」

 

 サイクロンにより、暗黒の扉は弾き飛ばされる。

 

「フィールド魔法おジャマ・カントリーを発動! 手札のおジャマ・グリーンを捨て、墓地のおジャマ・ブルーを特殊召喚! さらにモンスターを伏せる!

カードを2枚伏せてターンエンド!」

 

準ライフ4000 手札6枚

伏せカード3枚

伏せモンスター1枚 おジャマ・ブルーDEF0

おジャマ・カントリー

竜魔人キングドラグーンATK1100 エメラルドドラゴンATK1400 サファイアドラゴンATK1600

伏せモンスター0枚

伏せカード0枚

準の兄ライフ4000 手札0枚

 

「私のターン! ドロー! 1枚伏せる!

バトル!

サファイアドラゴンでその伏せモンスター、エメラルドドラゴンでその雑魚を攻撃!」 2体のモンスターがおジャマ・ブラックとおジャマ・ブルーを破壊する。

 

「おジャマ・ブルーを破壊した事によりおジャマ・デルタハリケーン!! とおジャマ・レッドを手札に加える!」

「だが、準を守る雑魚などフィールドにはいない! キングドラグーンでダイレクトアタック!」

「リバースカードオープン! リビングデッドの呼び声! 墓地からおジャマ・ブルーを攻撃表示で召喚!

攻撃宣言中に俺のフィールドのモンスターが増減された為、キングドラグーンには攻撃の巻き戻しが発生するけど、どうする?」

「当然続行する!」

 

 キングドラグーンの閃光がおジャマ・ブルーを破壊するが、

 

「リバースカードオープン! カードブロック! ダメージを無効にして1枚ドロー!」

 

準には影響なかった。

 

「おジャマ・ブルーが破壊された為、おジャマ・レッドとおジャマジックを手札に加える!」

 

「コレでターンエンド!」

 

準ライフ4000 手札11枚

伏せカード1枚

伏せモンスター1枚

おジャマ・カントリー

竜魔人キングドラグーンATK1100 エメラルドドラゴンATK1400 サファイアドラゴンATK1600

伏せモンスター0枚

伏せカード0枚

準の兄ライフ4000 手札1枚

 

 

「俺のターン! ドロー! おジャマ・レッドを攻撃表示で召喚!効果により、手札からおジャマ・イエローを2枚、おジャマ・グリーン、おジャマ・ブラックを攻撃表示で特殊召喚!」

『イエーイ!』

 

 決めポーズを決めながら、フィールドに現れるおジャマ達。

 

「出るわね。おジャマ達の必殺技が。」

「え? あるのか? そんな必殺技が?」

 

 明日香の呟きに十代が驚いて問いかける。

 

「えぇ。あるんですよ。十代君。おジャマ達のみに使うことの許された必殺技が。」

「兄さん! コレがどん底の最底辺の雑魚達の絆の力だ! 手札からマジックカード、おジャマ・デルタハリケーン!! を発動! 自分のフィールドにおジャマ・イエロー、おジャマ・グリーン、おジャマ・ブラックの3枚がいるとき、相手フィールドのカードを全て破壊する!」

 

『いくぞ! 兄弟!』

『あの偽りの似非兄弟にオイラ達の絆を思い知らせよう!』

『必殺の、』

 

 イエローが言葉を切るとおジャマ3兄弟が同時に叫んだ。

 

『おジャマ・デルタハリケーン!! !!』

 

 おジャマ3兄弟がお尻をくっつけ三角形をつくると勢いよく回りだし、キングドラグーン、エメラルドドラゴン、サファイアドラゴンが吹き飛ばされる。

 

「ば、バカな! 貴様! イカサマをしたのか!」

「? イヤ、してないけど?」

 

 急に怒り始めた準の兄に首を傾げながら否定する。

 

「嘘をつけ! なら何故キングドラグーンによりカード効果を受けないはずのドラゴン達が破壊された!!」

『ああ。』

 

 その言葉に俺達は同時に理解した。キングドラグーンの効果を勘違いしてたのか。

 

「キングドラグーンは効果対象にならないだけで既に成立しているカードやフィールドそのものに影響を及ぼすカードは意味がないんだ。で、おジャマ・デルタハリケーン!! は対象を選ばないカード。これによりドラゴン達は破壊されたわけだ。」

「何はともあれ、万丈目のボウヤの兄のフィールドは素っ裸に剥かれたわね。」

「それだけじゃない。おジャマ・カントリーには、攻守を逆転させる効果がある。」

 

 つまり、準のフィールドには攻撃力1000のモンスターが5体並んでいるのと同じ状況である。

 

「リバースカードオープン! おジャマトリオ! 兄さんのフィールドに3体のおジャマトークンを特殊召喚する!」

 

 準の兄のフィールドに現れる3体のおジャマ達。

 

「さらに融合発動! フィールドのおジャマ・イエロー、おジャマ・ブラック、おジャマ・グリーンを融合!

おジャマ・、究極合体!」

『おいでませ!!』

 

 準の言葉に合いの手を入れるおジャマ達。

 

「融合召喚! おジャマ・キング! このカードの召喚時に空いてる場所を3箇所まで選び使用不可能にする!

更におジャマッスルを発動!

おジャマ・キング以外のおジャマ・モンスターを全て破壊して破壊したモンスターの枚数×1000の攻撃力がアップする!」

 

『あ~れ~!!』

 

 おジャマ・キングに喰われてくおジャマ達。え? おジャマ・キングの攻撃力を上げるための栄養剤()だって? おジャマトークンが喰われた時、爆発して準の兄のライフに900ものダメージを与える。(準の兄ライフ4000-300×3=3100)

 

「さらにおジャマ・カントリーの効果発動!手札のおジャマジックを墓地に送り、おジャマ・ブルーを特殊召喚!

さらにおジャマジックにより、おジャマ・イエロー、おジャマ・ブラック、おジャマ・グリーンを手札に加える!」

 

 …おい、待てよ。

 

「さらに融合発動! 手札のおジャマ・イエロー、おジャマ・ブラック、おジャマ・グリーンを融合しておジャマ・キングを融合召喚!

それだけじゃない! 融合回収(フュージョン・リカバリー)を発動! 融合と素材となったおジャマ・イエローを融合! おジャマ・ナイトを融合召喚!」

 

 どんだけダメージを与える気だ!

 

「バトル!

3体でダイレクトアタック!」

 

 おジャマ達の攻撃が、相手のライフを削った。(準の兄ライフ3100-2500-3000-8000=10400)

 

 ○ ○ ○

 

 準の勝利に皆が拍手をする。

 

「く、クソ! 準の馬鹿者め! 私達を裏切る気か!」

「兄さん。俺はデュエリストだ。挑まれたデュエルから逃げる事は出来ない。」

 

 準の言葉にもう1人の兄が何か考える仕草を見せる。

 

「準!もう一度勝負だ!」

「よせ。こちらが有利になるような状況を作り出したにも関わらず準はそれをはねのけた。私達の負けだ。」

 

 激昂する準の兄を宥め、その場を去る。準はその兄の背中を見つめていた。



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デュエル41 万丈目サンダーになりかけて

このお話を読んでくださる皆様ありがとうございます。


「…んう。」

 

 頭を擽られる感触に意識が微かながら微睡みの中から引き寄せられる。…なんか目の前に柔らかな肌色の壁があるような?

 

「起きましたか?」

 

 上から麗華の声が聞こえるがまだ頭の中が霞かかったみたいだ。

とりあえず、やることは目の前の壁に顔を押し付け柔らかで温かい堪能しながら甘い香りを肺一杯に吸い込む事だった。

 

「おっきな赤ちゃんみたいです♪」

 

 笑いを含んだ声にやっと頭の中がクリアーになる。うん。まず最初に言うべき事は、穴があったら入りたい(吐き気を催す恥ずかしさ)

 

「うにゃぁぁ。」

 

 恥ずかしさのあまり、ベッドの上で呻いてしまうのだった。

 ○ ○ ○

 

 とまあ、朝というか、午前4時にこっぱずかしい事もあったけど、どうにか持ち直し明日香の所に向かう。セブンスターの1人こと、黒蠍盗掘団の首領ザルーグの提案で隠したカギの確認の為。そして、何よりも明日香の寝顔を拝見するため。

 

「やっぱり、鍵盗られたか。」

 

 鏡台の上に置いてあった宝石箱がなくなってた。あの箱の中に7精門の鍵を入れてあったのだが、それごとなくなっている。

 

「お~い。明日香。起きろ。」

「ん~。」

 

 俺の声に明日香の両目はうっすらと開かれる。

 

「はじめ?」

「ああ。こんな時間帯にすまん。

だけ…」

 言いかける俺の頭を引き寄せながら明日香は俺の頭を自己主張の激しい双子のお山に押しつける。

 

「む、ムグ!」

 

 唐突な事に思わず硬直してしまう。

 

「…好き…。」

 

 そんな寝言を呟いた次の瞬間、

 

「何をしとるか!!」

 

 準の叫びが木霊した。

 

 ○ ○ ○

 

 原作通り鍵が盗まれ、皆が準の部屋に集まった時準が高らかに宣言した。

 

「犯人は必ずオレが暴いてみせる!

万丈目サンダーの名にかけて!」

「準よ。そこは、じっちゃんになりかけないと。」

「イヤイヤ、じっちゃんの名にかけておかないと。」

「…何の話よ?」

 俺の指摘に翼が訂正して、呆れた表情の雪乃がツッコミを入れた。その雪乃の耳元で答える。

 

「準の声を当ててる人って、金田一一の声を当てていたんだ。

俺にとって印象的なのは、忍者なのにアメリカンチックな喋り方する常に顔を見せない人だな。」

「皆が集まる前に犯行現場を一回りして犯人の痕跡を探してきた。」

 

 そんな俺達を総スルーした準の言葉に明日香は何かを思い出したらしい。

 

「そういえば、私の部屋につけ爪が落ちていたわ。」

 

 明日香の言葉に顔を青ざめる保険医のミーネ。

 

「天上院君! 部屋はコマメに掃除する! つけ爪ならオレが捨てといた!」

「万丈目君。女の子の部屋の物を勝手に捨てるのはマズいよ?」

「そうだな。とりあえず、そのつけ爪なら回収した。」

 

 俺の言葉にミーネが肩を落とす。

 

「そういえば、金庫の前に靴跡があったな。」

 

 カイザーの言葉に慌てる罠はずしのクリフ。

 

「校内は土足厳禁! 神聖な校舎をなんだと思ってるんですか! 靴跡ならオレが拭きました!」

「そ、そうだな。すまん。」

 

 妙なところで神経質だな。

 

「で、その靴跡の写真がこれ。比較しやすいように、俺の靴も一緒に写してある。

この靴跡の主は27センチの俺より大柄な人間だとわかる。」

 

 と言いながら写真を置くとクリフはガックリと肩を落とす。

 

「オレ達の部屋に穴が空いてたぜ。」

 

 十代の言葉にチックが慌てて穴あけドリルを隠す。

 

「借りた部屋に傷つけるな! 敷金が戻って来ないぞ! 穴ならオレが塞いだ!」

「そ、そうか。サンキューな。万丈目。」

「サンダー。」

「で、コレが十代の部屋の写真。」

 

 と言いながら十代の部屋の写真を置く。

 

「しかし、それでは犯人の手がかりが無いわけだね?」

 

 ザルーグの言葉に準は首を振り、

 

「犯人はお前とお前とお前とお前だ!」

 

 準はそう言いながら黒蠍盗掘団、棘のミーネ、罠はずしのクリフ、逃げ足のチック、強力のゴーグを指差した。

 

「準の補足だが、まず、つけ爪はミーネの物だろう。デュエルアカデミア内ではデュエリストがつけ爪をしないことが暗黙の了解になってるんだ。ドローの邪魔だし。

次に足跡はクリフの物だろう。靴跡のパターンは警備員に支給される物と一致した。迂闊にも金庫の10キーを素手で触ったためクリフの指紋がバッチリ採取出来た。

次に十代の部屋に空いてた穴はチックの部屋につながってた。あの穴をあけるには長時間チックの部屋にいなければならず、部屋の主のチックが見てないのはおかしい。

脅されて何も言えないにしては、怯えているようには見えない。」

 

 反論を許さず言い切ると、何故か準はガックリと肩を落とした。

 

「ここまでバレてるなら仕方ない。」

「マグレさん。まさかあなたが…。」

 

 明日香の呟きにザルーグはコクリと頷いた。

 

『そう! 我々黒蠍盗掘団!!』

 

 本性を表した黒蠍達は一斉にポーズを決める。

 

「皆下がっていろ。ここは万丈目サンダーの出番だ。」

 

 準はそう言いながらデュエルディスクを構える。

 

 ○ ○ ○

決闘(デュエル)!!』

 

『対戦相手のターンです。』

 

「私のターン! 首領ザルーグを攻撃表示で召喚!

せっかくなので私が出よう。」

 

 そう言いながら自ら前に出るザルーグ。

 

「さらにカードを2枚セットしてターンエンド!」

 

準ライフ4000 手札5枚

伏せカード0枚

伏せモンスター0枚

 

首領ザルーグATK1400

伏せモンスター0枚

伏せカード2枚

ザルーグ手札3枚ライフ4000

 

「オレのターン! ドロー!

オレはおじゃま・ブルーを守備表示で召喚!

カードを2枚伏せてターンエンド!」

 

準ライフ4000 手札3枚

伏せカード2枚

伏せモンスター0枚 おじゃま・ブルーDEF1000

 

首領ザルーグATK1400

伏せモンスター0枚

伏せカード2枚

ザルーグ手札3枚ライフ4000

 

「私のターン! ドロー! 私は無謀な欲張りを発動! カードを2枚ドロー! 手札から黒蠍団招集をは…

「リバースカードオープン! おじゃまトリオ! 貴様のフィールドに3体のおじゃまトリオトークンを特殊召喚!」

な、何!」

 

 準の宣言と共に翻ったカードから3体のトークンがザルーグのフィールドに現れる。

 

「罠はずしのクリフを特殊召喚! バトルだ!

まず、私から攻撃!」

 ザルーグの銃撃に耐えきれずおじゃま・ブルーは倒れる。

 

「さらに罠はずしのクリフでダイレクトアタック!」

「リバースカードオープン! リビングデッドの呼び声!

墓地にあるおじゃま・ブルーを攻撃表示で召喚! さらに戦闘で破壊されたおじゃま・ブルーの効果によりおじゃま・レッドとおじゃマッスルを手札に加える!」

 

 準の宣言により、おじゃま・ブルーがフィールドに現れる。

 

「だが、そのモンスターの攻撃力は0! 構うことはない!」

 

 ザルーグの言葉にクリフがおじゃま・ブルーに切りかかる。(万丈目ライフ4000-1200=2800)

 

「私が戦闘ダメージを与えた事によりデッキから2枚のカードを墓地に送ってもらう!」

 

 クリフはそう言いながらナイフを投げつけ、準のデッキを2枚墓地に送る。

 

「運がなかったな! 墓地に送ったカードはおジャマジック!

効果によりおじゃま・イエロー、おじゃま・ブラック、おじゃま・グリーンを2枚ずつ手札に加える!

さらにおじゃま・ブルーの効果によりおじゃまデルタハリケーンとおじゃま・カントリーを手札に加える!」

 

「私はこれでターンエンド!」準ライフ2800 手札13枚

伏せカード0枚

伏せモンスター0枚 0

 

首領ザルーグATK1400 罠はずしのクリフATK1200 おじゃまトリオトークンDEF1000

伏せモンスター0枚

伏せカード1枚

ザルーグ手札3枚ライフ4000

 

「オレのターン! ドロー! 手札から融合発動!

おじゃま・イエロー、おじゃま・グリーン、おじゃま・ブラックをおじゃま究極合体!」

『おいでませ!!』

 

 準の言葉に合いの手を入れるおじゃま達。

 

「融合召喚! おじゃま・キング! さらにおじゃま・カントリーを発動! おじゃまがいる限り攻撃力、守備力は入れ替わる!

そして、おジャマッスルを発動! フィールドにいるおじゃま・キング以外のおじゃまと名の付くカードを全て破壊して破壊したカード1枚につき攻撃力を1000ポイントアップする!」

 

 おじゃま・キングが次々におじゃま達を喰い、肉体を膨張させる。

(おじゃま・キングATK0→3000+3000=6000)

(ザルーグライフ4000-300×3=3100)

 

「おじゃま・レッドを攻撃表示で召喚! 効果によりおじゃま・イエロー、おじゃま・ブラック、おじゃま・グリーンを特殊召喚!

そして、手札からおじゃまデルタハリケーンを発動!

貴様のフィールドのカードを全て破壊!」

 

『行くぞ!』

『オイラ達の力だ!』

『必殺!』

『おじゃまデルタハリケーン!』

 

 おじゃま達の突風がフィールドを荒れ狂いザルーグとクリフと伏せカードをフィールドの外に弾き飛ばした。

 

「コレで終わりだおじゃま達のダイレクトアタック!」

 

 準の宣言によりおじゃま達はザルーグに襲いかかった。(ザルーグライフ3100-1000-1000-1000-6000=-6900)

 ○ ○ ○

 

「さて、帰るか。」

 

 マナと翼を連れて帰ろうとする直前、

 

「待て。(はじめ)。貴様は何故俺の推理を遮った?」

「じゃあ聞くが、お前はあの後、どんな推理を語るつもりだった?」

「鍵と一緒に3枚のおじゃま達を。そして、俺の部屋には大勢の目撃者がいた事を語るつもりだった。」

 

 迷いなく答える準の言葉に眉間をもみほぐした。

 

「一部の存在しか見聞き出来ない存在の目撃証言なんて証言に使えないだろ?

それに、3人とも逃げきれないほど動揺してたからな。」

「万丈目の坊やは迷探偵みたいね。」

 

 からかいを含んだ雪乃の声に準は拗ねてそっぽを向かれてしまった。



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デュエル42 無敗のファラオVS十代

このお話を読んでくださる皆様ありがとうございます。


 

 

「えー、デュエルキングといえば、武藤遊戯ですが、古代エジプトにも無敗の王が存在しました。」

「へー。そんな昔から、デュエルモンスターズはあったのか。」

 

 大徳寺先生の言葉に十代はどこか感心したように呟いている。

 

「もちろん、現代みたいにカードがあった訳じゃないから石板を使っていたみたいだがな。

ペガサスが古代エジプトの石板からなにかしらのインスピレーションを感じてカード化したのが、デュエルモンスターズの起源なんだ。」

「一君が言う通りで、当時無敗の王様がいました。」

「そんなデュエリストがいたのか。デュエルしてぇ!」

「…フム。お前なら負けたとしてもいいデュエルが出来るだろうな。」

 十代の言葉に準は十代をジッとみつ呟いた。

 

「任せろ。万丈目! 仇は取ってやるぜ!」

「勝手に負けた事にするな。」

「あ、兄貴。それ以上騒ぐと授業妨害なんじゃ?」

 

 翔が心配そうに声をかけるが時既に遅し。

 

「その通りだニャ。

というわけで十代君に万丈目君に一君に翔君は罰則で掃除をしてもらいますニャ。」

『ええぇーー!!』

 

この教室にに俺達の悲鳴が響き渡った。

 

 ○ ○ ○

 

「まったく。なんで、俺まで掃除しなかったらいけないんだ?」

 

 オシリス・レッドに向かう途中で準がぼやいていた。

 

「ごめんなさい。」

 

 準のぼやきに十代が謝る。

 

「キャー!!!!」

 

 ちょうどその時、灯台の方から悲鳴が響いた。

 

 そっちに走ると明日香と雪乃と丸藤が木乃伊に襲われるところだった。

 

「3人とも大丈夫か!」

 

 俺達がそう言って駆け寄ろうとした時、純白の光が俺達を包み別の場所に移動していた。

 

「ようこそ。鍵の守護者達よ。」

 

 俺達とそう年の変わらない年頃の少年が古風の衣装を身に纏いこちらを見ていた。

 

「余は闇のデュエリスト。アビトス三世。七精門の鍵をかけ余とデュエルだ。」

「おっしゃぁ! 俺が行くぜ!」

 

 アビトスの言葉に十代が威勢よく前に出る。

 

「大丈夫なの? 相手は生涯無敗のデュエリストなのよ?」

 

「わからねぇ。でもさ。わくわくするんだ。」

 

 十代はそう言いながら、デュエルディスクを腕に装着する。

 

「大丈夫っすか? 相手は神様なんでしょ?」

「翔。相手は神じゃない神と呼ばれただけで普通の人間だ。」

 

「そ、それに、相手は生涯無敗のデュエリストっすよ?」

「1戦1勝0敗でも無敗だ。

それにみなよ? 十代のやつヤル気満々だ。」

 

 こうなったら梃子でも動かないって悟ったのか翔は息を吸って叫んだ。

 

「頑張れ!! 兄貴!!」

 

 ○ ○ ○

 

決闘(デュエル)!!』

 

 その宣言と共に十代はデュエルディスクからカードを5枚引き、アビトスの前面に5枚の石板が落下して垂直に立っている。

 

「余のターン! ドロー! モンスターをセット!」

 

 その宣言と共に石板が落下して、別の石板が勝手に動いてフィールドに伏せられる。

 

「さらに2枚伏せてターンエンド!」

 

アビトス ライフ4000 手札3枚

伏せカード2枚

伏せモンスター1枚

 

「俺のターン! ドロー! E(エレメンタル)HERO(ヒーロー) フェザーマンを攻撃表示で召喚!」

 

『とぉ!』

 

 翼を生やした疾風の戦士が十代のフィールドに姿を現す。

 

「さらにH―ヒートハートを発動! エンドフェイズまで攻撃力を500アップして守備貫通効果を与える!

バトルだ!

フェザーマンでその伏せモンスターを攻撃! フェザーブレイク!」

 

 十代の宣言にフェザーマンがアビトスのフィールドの伏せモンスターに襲いかかるが、

 

「甘い! リバースカードオープン! サンダー・ブレイク! 手札1枚を発動コストにして、フィールドのカード1枚を破壊する!」

 

 フェザーマンの頭上に落雷した為、フェザーマンは硝子細工みたいに砕け散ってしまった。

 

「あちゃあ。やられたか。

それじゃあ、カードを2枚伏せてターンエンド!」

「その瞬間、リバースカードオープン! 第一の棺!効果により第二の棺を発動!」

 

アビトス ライフ4000 手札2枚

伏せカード0枚 第一の棺 第ニの棺

伏せモンスター1枚

伏せモンスター0枚

伏せカード2枚

十代 ライフ4000 手札2枚

 

 

「余のターン! ドロー! マーダーサーカスゾンビを攻撃表示で召喚!」

 

 アビトスの言葉に1体のアンデットが器用に玉乗りしながら現れる。

 

「ひぅっ!!」

 

 そのモンスターを見たとたん、顔色を青白くする雪乃。

 

「さらに王家の守護者を反転召喚!

バトル!

2体のモンスターでダイレクトアタック!!」

 

 アビトスの宣言に2体のアンデット達が十代に殴りかかるが、虹色の壁に遮られる。

 

「リバースカードオープン! 聖なるバリア―ミラーフォース! お前のフィールドのモンスターを破壊する!」

「やるな。十代とやら。余はカードを伏せてターンエンド。」

 

アビトス ライフ4000 手札1枚

伏せカード1枚 第一の棺 第二の棺

伏せモンスター0枚

伏せモンスター0枚

伏せカード1枚

十代 ライフ4000 手札2枚

 

「俺のターン! ドロー! 手札からE―エマージェンシーコールを発動! デッキからE(エレメンタル)HERO(ヒーロー) スパークマンを手札に加え召喚! そして、R―ライトジャスティスを発動! 第一の棺を破壊する!」

 

 十代の手札から発動したカードが第一の棺を捕らえようとして、

 

「させない! リバースカードオープン! マジックジャマー! 手札1枚をコストにして相手が発動したマジックカードを破壊する!」

 

 アビトスのフィールドから翻った石板の効果により、第一の棺は守られた。

 

「やるな。お前。」

「貴様もな。少なくとも余がファラオだからと手抜きする臣下達より出来るようだ。」

 

 アビトスの言葉に十代が訝しげな表情になる。

 

「余がファラオだからと臣下達は全力でデュエルをしてくれないのだ。」

「まあ、間違ってもファラオに勝つわけにはいかないからな。」

 

 アビトスの言葉に俺は納得して頷いた。

 

「そういう訳で余は全力のデュエルをほとんどしたことがない。故に貴様とのデュエルは心が弾む。この気持ちを手抜きでがっかりさせてくれるなよ?」

「当たり前だ。頼まれたって手加減してやらないよ。」

 

 笑みを浮かべながらの言葉に十代は自分のターンを進行させる。

 

「俺はこれでターンエンド!」

「だが、第一の棺の効果により第三の棺を発動! 3種の棺が揃ったことでそれらを墓地に送り、デッキからスピリット・オブ・ファラオを特殊召喚!」

 

 アビトスのフィールドにある3種の棺が開かれ1人のファラオが立ち上がった。さらに墓地から4体のアンデット達が立ち上がる。

 

 フラァ。

 

 そのモンスター達を見た瞬間、雪乃の体から力が抜けたように見えた。

 

「おっと。」

 

 そう言いながら、雪乃を抱き上げる。怖いのによくたえれたもんだ。

 

アビトス ライフ4000 手札1枚

伏せカード0枚

伏せモンスター0枚 スピリット・オブ・ファラオATK2500 マーダーサーカスゾンビATK1350 ファラオのしもべATK900×2 王家の守護者ATK900

伏せモンスター0枚 スパークマンATK1600

伏せカード1枚

十代 ライフ4000 手札1枚

 

「余のターン! ドロー! バトルだ! スピリット・オブ・ファラオでスパークマンを攻撃!」

「させねえぜ! リバースカードオープン! 強制終了! スパークマンを墓地に送り、バトルフェイズをスキップする!」

 

 十代の伏せカードが展開したバリアがファラオの攻撃を防いだ。

 

「ふむ。なら、これでターンエンドだ。」

 

アビトス ライフ4000 手札1枚

伏せカード0枚

伏せモンスター0枚 スピリット・オブ・ファラオATK2500 マーダーサーカスゾンビATK1350 ファラオのしもべATK900×2 王家の守護者ATK900

伏せモンスター0枚 

伏せカード0枚 強制終了

十代 ライフ4000 手札1枚

 

「俺のターン! ドロー! 

アビトス! 手札から魔法カード壺の中の魔術書を発動! 俺達は3枚ドロー!

そっちが4枚のカードを揃えたならこっちは5枚のカードだ!! 手札から魔法カードヒーローアライブを発動! ライフ半分をコストにしてデッキからE(エレメンタル)HERO(ヒーロー) エアーマンを特殊召喚! 効果でバースト・レディーを手札に加えて通常召喚!

O―オーバーソウルを発動! 墓地からE(エレメンタル)HERO(ヒーロー) フェザーマンを特殊召喚!

そして、手札から魔法カードHEROフラッシュを発動!」

「それが十代の切り札か。どのような効果だ?」

 

 十代が発動したマジックカードを見てニヤリと笑うアビトス。

 

「デッキからもう1枚のE(エレメンタル)HERO(ヒーロー) スパークマンを特殊召喚!

バトルだ!!

エアーマンでファラオのしもべを攻撃!」

 

 エアーマンが発生した突風がファラオのしもべを打ち砕いた。(アビトスライフ4000-1800+900=3100)

 

「だが、残りのモンスターでは余のライフを削れない。」

「焦るなよ? HEROフラッシュが発動したターンはE(エレメンタル)HERO(ヒーロー)と名のつく通常モンスターはダイレクトアタック出来るんだぜ?」

 

 十代の言葉がアビトスの反撃の意思を摘み取ったらしい。

 

HERO(ヒーロー)達のダイレクトアタック!」

 ○ ○ ○

「…余の負けか…。」

 

 全力を出しきったのか、その表情は清々しい物だった。

 

「十代。余が何故永き時を待ったか漸く解った。貴様のようなデュエリスト全力のデュエルがしたかったからだ。

十代。余と共に来てくれないか?」

「神様に誘われるのは歓迎なんだが、死ぬまで待ってくれないか? 後、できれば一緒に連れていきたいやつがいるんだが。」「よかろう。たかが100年。あっという間だ。」

 

 アビトスはそう言って俺達をもとの場所に戻した。

 

「やれやれ。なんとも不思議な体験だったな。」

「そうね。無敗のデュエリストとデュエルしてその人に一緒に来ないかと誘われてめったにないでしょうね?」

 

 十代の呟きに、胸元から声が聞こえたので見下ろすと、雪乃が目を覚ました。

 

「起きたか。雪乃。立てそうか?」

「いえ。腰が抜けちゃったみたいね。」

 

 俺の問いに雪乃は首を横に振った。

 

「んじゃ、俺の部屋に泊まるか?」

「そうね♪お願いするわ♪」

 

 俺の問いに雪乃は嬉しそうに答えた。

 

「じゃあ、私も一緒に泊まるわ。」

 

 雪乃を羨ましく見ていた明日香はそう言って俺の右腕に抱きついた。それを見て暴れだそうとする準を押し止めた十代と翔が俺から距離をとった。



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デュエル43 明日香の想いと一の信頼

このお話を読んでくださる皆様ありがとうございます。

また、今話には我が魂の方に出てきた、獅倉誠が出てきます。


 

 

「明日香。吹雪さんの様子はどう?」

「………ダメね。記憶が戻ってないわ。」

「…すまないね。明日香さん。」

 

 申し訳なさそうに頭を下げる吹雪さんに辛そうな表情を見せる。

それも一瞬の事だった。

 

「兄さんが悪い訳じゃないわ。それにゆっくり思い出していけばいいわ。」

 

 吹雪さんに非がない事を主張する。実際に、悪いのは影丸達だし吹雪さんは巻き込まれただけだからな。しかし、次のセブンスターズは誰だろ? タイタンは違う。彼は警察に出頭して服役中だ。模範囚として勤めながら、手品で囚人に夢を見せてるらしい。そんな彼がわざわざここに来る余裕はない。じゃあ、誰だろう? 大徳寺先生に聞いてみても知らないらしいし。そんなことを考えていたら、黒い渦の様なものが明日香を包んでいることに気づいた。そして、次の瞬間には明日香はそこにはいなかった。

 

「なっ!! あ、明日香!!」

「落ち着くんだ。一君。明日香さんが行方不明の今君が慌てふためくよりやることがあるよ。」

 

 吹雪さんの言葉に俺は落ち着く事が出来た。

 

「明日香を捜すこと。」

「そうだよ。」

 

 俺は吹雪さんの言葉に焦ってしまったことに対する反省してから明日香を探しに出た。きっとあそこにいるはずだ。何故だがわからないけど、俺はそう直感していた。

 ○ ○ ○

SIDE 明日香

 

「………ここは、廃寮?」

 

 TV画面みたいに場所が変わった事に困惑しつつ辺りを見回していたら、

 

「やぁ、天上院君。」

 

 いきなり声をかけられ、驚いて振り返る。そこにはオベリスク・ブルーの男子生徒がそこにいた。

 

「えぇっと、誰だったかしら?」

「あぁ。ごめん。俺は獅倉誠(ししくらまこと)。君と同じオベリスク・ブルーだよ。よろしくね。」

「知っているみたいだけど、天上院明日香よ。」

 

 私の言葉に獅倉は笑みを浮かべる。本人は爽やかな笑顔のつもりだろうけど、下心丸出しで気持ち悪い。

 

「好奇心で忍びこんだら君と出会うとは思わなかったよ。こんなところで会うのも何かの縁だし

―――俺の奴隷にならないか?」

 

 唐突に剥き出しにした本性に驚いた次の瞬間、

 

 ビリィッ!!

 

「キャァァッ!!」

 

 いきなり制服を破かれ、羞恥心から裸の胸を両手で隠してうずくまるという致命的な隙をさらしてしまう。その隙を見逃してくれず、金色の首輪を嵌められてしまう。

 

「なっ!! なにこれ!!」

 

 首輪を掴んで引きちぎろうとしたけど、びくともしなかった。

 

「無駄だぜ。そいつは壊れない。外すにはデュエルで俺に勝つことだ。」

 

 獅倉はデュエルディスクに私につけた首輪の鎖を巻き付けそう宣言した。一以外の異性に胸を見られる事を恥ずかしく思いつつも、この首輪を外すにはこれしかないと思いデュエルディスクを起動させる。

 

 ○ ○ ○

 

決闘(デュエル)!!』

 

『明日香のターンです。』

「私のターン! ドロー!

私は、サイバー・チュチュを守備表示で召喚!! カードを1枚セットしてターンエンド!」

 

明日香ライフ4000 手札4枚

伏せカード1枚

伏せモンスター0枚 サイバー・チュチュDEF800

フィールド 無し

伏せモンスター0枚

誠ライフ4000 手札5枚

 

「俺のターン! ドロー! 俺は幻影の施しを発動する! このカードは手札の幻影騎士(イリュージョンナイト)と名のつくモンスターを永続トラップカード扱いでマジックトラップゾーンに置く事で2枚ドロー! 俺は幻影騎士(イリュージョンナイト) グレイを永続トラップとして扱い、2枚ドロー!」

 

 幻影騎士? 聞いたことがないわね。

 

「さらに、幻影騎士(イリュージョンナイト)クリムゾンを攻撃表示で召喚!!」

 

 攻撃力が0のモンスターを攻撃表示で!!

 

「さらに、虚無の報酬を発動!自分フィールドの攻撃力が0のモンスターを永続トラップとして扱い、マジックトラップゾーンに置く事で自分のデッキから攻撃力が0のモンスターを特殊召喚出来る! クリムゾンを永続トラップにして幻影騎士(イリュージョンナイト) サンライトイエローを攻撃表示で召喚!!

パトルだ!

サンライトイエローでその雑魚を攻撃だ!」

「サンライトイエローは攻撃力0よ!」

 

 

 私の驚きをよそに、幻影の騎士はサイバー・チュチュを切り裂いた。

 

「そんな。どうして?」

「クリムゾンの効果さ。このカードが永続トラップ扱いであるとき、俺のフィールドの永続トラップ扱いの幻影騎士(イリュージョンナイト)1枚につき攻撃力が1000ポイントダメージステップ時にアップするのさ。」

 

 つまり、攻撃する瞬間だけ、2000まで上がっていたのね。

 

「俺はカードを1枚セットしてターンエンド!」

 

明日香ライフ4000 手札4枚

伏せカード1枚

伏せモンスター0枚

フィールド 無し

伏せモンスター0枚 幻影騎士 サンライトイエローATK0

伏せカード1枚 幻影騎士 クリムゾン 幻影騎士 グレイ

誠ライフ4000 手札3枚

 

「私のターン! ドロー! 手札から融合発動! 手札のエトワール・サイバーとブレート・スケーターを融合!! サイバー・ブレイダーを融合召喚!!

バトルに入るわ!

サイバー・ブレイダーでサンライトイエローを攻撃!!

グリッザード・スラッシュ!」

 私の攻撃宣言にサイバー・ブレイダーは幻影の騎士を倒した。(誠ライフ4000-2100+0+1000×2=3900)

 

「倒してくれてありがとよ。幻影騎士(イリュージョンナイト)の共通効果発動! このカードがフィールドから離れる時永続トラップ扱いでマジックトラップゾーンに置く事が出来る!」

 

 不味いわ。もし、別の幻影騎士が出てきたら攻撃力が3000になるわ! しかも、魔法の筒(マジック・シリンダー)で返そうにもダメージステップまでは攻撃力0だからダメージもない。

 

 

「1枚セットしてターンエンド!」

 

明日香ライフ4000 手札1枚

伏せカード2枚

伏せモンスター0枚 サイバー・ブレイダーATK2100

フィールド 無し

伏せモンスター0枚 伏せカード1枚 幻影騎士 クリムゾン 幻影騎士 幻影騎士 サンライトイエロー 幻影騎士 グレイ

誠ライフ3900 手札3枚

 

「俺のターン! ドロー! 幻影騎士(イリュージョンナイト) ライトグリーンを召喚!!

バトルだ!!

ライトグリーンでその雑魚を攻撃!!」

 

 幻影の騎士は獅倉の攻撃宣言に従い攻撃を仕掛ける。

 

「でも、獅倉のフィールドに1体いるから私のサイバー・ブレイダーは戦闘では破壊できないわ!」

「だが、戦闘ダメージは適用する!」

 

 その言葉と共に幻影の騎士は私のサイバー・ブレイダーに弾かれる。(明日香ライフ4000-0-3×1000+2100=3100)

 

 くらぁ。ダメージを受けた瞬間、目眩のようなものを感じてふらつく。何故だかわからないけど、獅倉が先程とは違い、好意的に感じる。これはいったい? 戸惑っていると、獅倉が恐ろしい事を言い出した。

 

「クックックッ。教えてやろうか? その首輪はな、つけている相手の意識を改造するのさ。」

「なっ!! 何ですって!!」

 

 魂さえも書き換えられてしまう恐怖に身震いしてしまう。

 

「ライフが減る度に俺が好意的に見えていき0になった時は俺無しでは生きていけない風になるのさ。」

 

 そんなものをつけられた怒りの中で、獅倉の正体を察することができた。こんな首輪を手に入れられるのは今のところ1つしかない。

 

「あなた、セブンスターズね?」

「その通りさ。」

 

 私の問いに獅倉は簡単に答えた。

 

「これでお前を倒して憎き異端者の沖田に天誅を下せるぜ。」

 

 沖田? 誰よ? 私の疑問をよそに、獅倉は勝手に答える。

 

「俺はあの異端者に負けて以来、破滅の道を歩まされたんだ! その俺に救いの手がさしのべられたのさ。」

「それがセブンスターズね?」

「その通りさ。貴様ら鍵を持つものをデュエルで倒せば誰にも負けない最強の力をくれるから乗ったのさ。」

 

 それってたんなる逆恨みじゃない。

 

「明日香!」

 

 一の声が遠くから聞こえる。 そして、

 

「そこか!」

 

 私の場所を探し当てたらしい一が私を見て来れたらしい。その一は私を凝視している?

 

「絶景な。」

 

 鼻血を垂らすほどに凝視されて恥ずかしさに胸を両手で隠す。

 

「す、すまん。って、そいつは何者だ? その首輪はいったい?」

「こいつはセブンスターズの1人よ。隙をつかれて、嵌められちゃって。」

「もう少し待っていろ。こいつが俺のものになるまでな。」

 

「何? どういうこと?」

 

 一を追いかけてきた兄さんが驚いて問いかける。

 

「その首輪をつけてやるがデュエルでライフが0になったら俺のものになるんだ。」

 

 その言葉に一は凄い表情で獅倉を見ていた。

 

「やっぱり、人のものを取り上げられること腹ただしいか? こいつや他の4人とも付き合っているんだったか?」

「………違う。確かに腹ただしいけど、俺に魅力が無かっただけど諦めがつく。…でも、お前には欠片も魅力がないのに無理矢理洗脳しているだけじゃないか。」

 

 その言葉に獅倉はニヤリと笑みを浮かべる。

 

「けっ。ウザい言葉だ。結局取られるのが腹ただしいだけだろ。こいつが俺のものになるのをそこで指加えて見ていろ。」

「それはどうかな? 明日香はお前のものとやらになるほど安い女じゃないぜ。」

「当然よ! さぁ、ターンを進めなさい。」

 

 一が信頼してくれた事が凄く嬉しい。きっと笑顔を浮かべているだろう。

 

「…まぁいい。ターンエンド!」

 

明日香ライフ3100 手札4枚

伏せカード1枚

伏せモンスター0枚 サイバー・ブレイダーATK2100

フィールド 無し

伏せモンスター0枚 幻影騎士 ライトグリーンATK0

伏せカード1枚 幻影騎士 クリムゾン 幻影騎士 サンライトイエロー 幻影騎士 グレイ

誠ライフ4000 手札3枚

 

「私のターン! ドロー! 手札から魔法カードサモン・エンゲージを発動! あなたはデッキからモンスターを特殊召喚して私は3枚ドローする! 召喚しなさい!」

「なら、幻影騎士(イリュージョンナイト) ウルトラマリンを特殊召喚!」

 

「よって3枚ドローするわ!

バトルよ!

サイバー・ブレイダーでライトグリーンを攻撃!! グリッザート・スラッシュ!!」

「バカな! 攻撃力が2100の雑魚で攻撃だと!」

 

 しかし、サイバー・ブレイダーの攻撃がライトグリーンを倒した。(獅倉ライフ3900-2100×2+3×1000=2700)

 

「獅倉のフィールドに2体いる時サイバー・ブレイダーの攻撃力倍になるわ!」

「クソがっ!! 幻影騎士(イリュージョンナイト)の効果を使わないでリバースカードオープン!! 幻影の救援! 俺のフィールドの幻影騎士(イリュージョンナイト)が墓地に送られた時デッキから幻影騎士(イリュージョンナイト)となのつくモンスターを永続トラップ扱いでマジックトラップゾーンに置く!! この効果で幻影騎士(イリュージョンナイト) ターメリックを置かせてもらうぜ!」

「私は2枚伏せてターンエンド!」

 

明日香ライフ3100 手札4枚

伏せカード3枚

伏せモンスター0枚 サイバー・ブレイダーATK2100

フィールド 無し

伏せモンスター0枚 幻影騎士 ウルトラマリンATK0

伏せカード0枚 幻影騎士 クリムゾン 幻影騎士 サンライトイエロー 幻影騎士 グレイ 幻影騎士 ターメリック

誠ライフ2700 手札3枚

 

「俺のターン! ドロー! 幻影騎士(イリュージョンナイト) ウルトラマリンでその雑魚を攻撃!!」

「攻撃力0のモンスターで攻撃?」

 

 最初の方を見てなかった兄さんが戸惑う。

 

「永続トラップ扱いのクリムゾンは永続トラップ扱いの幻影騎士1枚につき攻撃力1000アップするのよ。

リバースカードオープン!! ギブアンドテイク!! あなたのフィールドに私の墓地のサイバー・チュチュを特殊召喚する代わりに私のサイバー・ブレイダーのレベルをサイバー・チュチュのレベル分アップするわ!」

「たかが、俺のフィールドを増やしただけじゃ…。」

「そう。増えたことにより私のサイバー・ブレイダーの攻撃力が倍になるわ!

サイバー・ブレイダーの反撃!!グリッザード・スラッシュ!!」

 

 獅倉のフィールドにモンスターが増え攻撃力が倍加したサイバー・ブレイダーが幻影の騎士を倒した。(獅倉ライフ2700-2100×2+4×1000=2500)

 

幻影騎士(イリュージョンナイト)の共通効果でウルトラマリンは永続トラップ扱いでマジックトラップゾーンに置く!! 次にサイバー・チュチュでダイレクトアタック!!

ギブアンドテイクの効果で守備表示で召喚されるが永続トラップ扱いの幻影騎士(イリュージョンナイト) サンライトイエローがいるとき表表示のモンスターは全て攻撃表示になる!」

 

 そう解説している間にサイバー・チュチュは私に攻撃をする。(明日香ライフ3100-1000=2100)

 

 サイバー・チュチュの攻撃が決まった瞬間、彼が欲しくてたまらない。と、渇きにも似た欲望を覚えてしまう自分が怖かった。

 

「これでターンエンド!」

 

明日香ライフ2100 手札4枚

伏せカード2枚

伏せモンスター0枚 サイバー・ブレイダーATK2100

フィールド 無し

伏せモンスター0枚 サイバー・チュチュATK1000

伏せカード0枚 幻影騎士 ウルトラマリンATK0 幻影騎士 クリムゾン 幻影騎士 サンライトイエロー 幻影騎士 グレイ 幻影騎士 ターメリック

誠ライフ2500 手札5枚

 

「私のターン! ドロー! カードを1枚伏せてバトルよ!

サイバー・ブレイダーでサイバー・チュチュに攻撃!! グリッザード・スラッシュ!」

 

 ごめんなさい。サイバー・チュチュ。私の心の中での謝罪にサイバー・チュチュは首を横に振り攻撃を受け入れた。(2100-1000=1100)

 

幻影騎士(イリュージョンナイト) ウルトラマリンの効果発動! 戦闘ダメージを半分にする!」(誠ライフ2500-1100÷2=1950)

 

「これでターンエンドよ!」

 

明日香ライフ2100 手札4枚

伏せカード3枚

伏せモンスター0枚 サイバー・ブレイダーATK2100

フィールド 無し

伏せモンスター0枚 

伏せカード0枚 幻影騎士 ウルトラマリンATK0 幻影騎士 クリムゾン 幻影騎士 サンライトイエロー 幻影騎士 グレイ 幻影騎士 ターメリック

誠ライフ1950 手札5枚

 

「クソがっ!! 俺のターン! ドロー! クハハッ!! 幻影騎士(イリュージョンナイト) パープル攻撃表示で召喚!! さらに、俺のフィールド、墓地に幻影騎士(イリュージョンナイト)となのつくモンスターが7種類揃った事により、手札から究極幻影騎士王(きゅうきょくげんえいきしおう) レインボーダイアモンドを特殊召喚!!」

 

 その言葉に7色に輝く幻影の騎士が現れる。

 

「レインボーダイアモンドはフィールドにいるとき、幻影騎士(イリュージョンナイト)となのつくモンスターとして扱われる。さらに、こいつはフィールド、墓地にある幻影騎士の枚数だけダメージステップ時に攻撃力が1000アップする。

バトルだ!

レインボーダイアモンドでその雑魚を攻撃!!」

「リバースカードオープン!! 和睦の使者! このターン私は戦闘ダメージを受けず、モンスターも戦闘では破壊されないわ!!」

 

 修道女たちが張ったバリアにより攻撃が防がれた。

 

「クソ! しぶとい! さっさと俺に負けて俺のものになりな! ターンエンド!」

 

明日香ライフ2100 手札4枚

伏せカード2枚

伏せモンスター0枚 サイバー・ブレイダーATK2100

フィールド 無し

伏せモンスター0枚 幻影騎士 パープルATK0 究極幻影騎士王 レインボーダイアモンドATK0

伏せカード0枚 幻影騎士 ウルトラマリンATK0 幻影騎士 クリムゾン 幻影騎士 サンライトイエロー 幻影騎士 グレイ 幻影騎士 ターメリック

誠ライフ1950 手札4枚

 

「おあいにくさま。私はあなたのものとかになる気なんてこれっぽっちもないわよ。」

「勝って! 明日香!」

 

 兄さんの言葉に私はカードを引く。

 

「私のターン! ドロー! 手札から魔法カード浅すぎた墓穴発動! 互いにモンスターをセットするわ! 私はエトワール・サイバーを、あなたの墓地はライトグリーンしかいないからライトグリーンをセットしてもらうわ! そして、あなたのコントロールするモンスターが3体いるから、カード効果を無効にするわ!

バトルよ!

サイバー・ブレイダーで究極幻影騎士王 レインボーダイアモンドに攻撃!!」

 

 レインボーダイアモンドは効果こそ強力なものの、元々の攻撃力は0と絶望的なステータスしかないモンスター。よって、効果を無効にしたらその名の通り幻影でしかなくなる。(誠ライフ1950-2100+0=-150)

 

 ○ ○ ○

 

 カラン。

 

 私の首に嵌まっていた首輪が0になった瞬間に外れそんな音をたてて床に落ちた。

 

「ひっ!! ヒィッ!!」

 

 獅倉の足下から黒い何かが彼を飲み込もうと這い上がる。

 

「消えてたまるか!」

 

 その咆哮と共にデュエルディスクから飛ばされるワイヤーが天井に突き刺さり、獅倉を天井に運んだ。

 

「明日香。お疲れ様。」

 

 獅倉がいなくなった後、一が私を抱き締める。その事が嬉しくてされるがままにされていたら、兄さんが声をかける。

 

「小さいときは僕の後をついて回ってたのに、見ないうちにその先を歩いているからちょっと淋しいかな。一君。妹をよろしく頼むよ?」

「…兄さん。ひょっとして、」

「うん。思い出せたよ。明日香。」

 

 兄さんの記憶が戻った事に嬉し泣きしていた。



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デュエル44 文化祭VS十代

このお話を読んでくださる皆様ありがとうございます。


「………フム。どうやら、獅倉誠なる人物はデュエルアカデミアには存在しないようです。」

 

 デュエルアカデミアの名簿とにらめっこしていた鮫島校長がそう答えた。

 

「やっぱりか。人数がたくさんいるとはいえ、デュエルアカデミアは閉じられた世界だ。つまり誰かしらよく知っているひとがいて不思議じゃないところだ。なのに、準や亮が知らない時点でおかしいとは思った。」

「それしゃ、彼が言ってた沖田という人物も?」

「少なくとも沖田という人物もデュエルアカデミアには存在しません。それと、行方不明の大徳寺先生の足取りも未だ掴めてません。彼が吹雪君を闇の世界に引き摺りこんだ以上彼がセブンスターの一員だったと考えざるをえません。明日香君。大変申し訳ありませんでした。」

 

 鮫島校長はそう言いながら床に正座をして手をつき頭を擦り付ける。

 

「こ、校長! 頭を上げてください!」

 

 慌てながらて言う明日香の言葉に頭をあげる鮫島校長。

 

「だよな。鮫島校長が大徳寺先生が信頼の置ける人物かはっきり調査しとけば、吹雪さんが行方不明にならず、明日香に悲しい想いをさせずにすんだのに。」

「がフッ!!」

 

 俺の言葉に鮫島校長は胸を押さえて呻いた。

 

「しかも、今年なんか、その吹雪さんの無事を願って廃寮に向かったら、タイタンに人質にされたし。」

「グフッ!!」

 

 追加の口撃に血を吐き呻く鮫島校長。

 

「まさか、そんな失態を犯しておきながらごめんなさいと土下座だけで被害者の身内は許してもらえると都合の良いことを考えているのですか?」

「うわあぁぁーー!!!! 私の人生死んで反省しますーー!!!!」

 

 鮫島校長は俺の言葉に窓を叩き割って飛び降りようとする。デュエルアカデミアの窓ガラスは銃弾でも傷つかない強化ガラスなのにすごいな。

 

「ちょ、ちょっと校長!! 落ち着いてください! 一も見てないで手伝って!」

 

 明日香の言葉に重い腰を上げて鮫島校長に近づいた。

 

 

――数分後

 

「ハァハァ。明日香君。本当に申し訳ありません。」

 

 ようやく落ち着いた鮫島校長が座り直して深呼吸する。というかあそこまでメンタル弱かったとは思わなかった。

 

「全然気にしてないので飛び降りるなんてバカなマネはしないでください。

一も言い過ぎよ?」

「あ~。すみません。明日香のスカートの中をガン見してたみたいだからつい言い過ぎました。」

 

 俺の言葉に明日香はスカートを押さえつつ鮫島校長を睨むのだった。

 

「と、ともかく、明日香君が無事で良かったです。私の話はこれで終わりですから、文化祭を楽しんできてください。」

 

 見るつもりはなかったようだが、見てしまったことにより強引に話を終わらせた。

 

 ○ ○ ○

 

「斎藤一!」

 

 ラー・イエローの屋台を手伝おうとしたところで、オシリス・レッドの連中に呼び止められた。

 

「明日香さん達にあの話をしたのだろうな?」

「あの話ってコスプレデュエルかしら? あれなら断ったわ。」

「な、何故ですか!」

 

 まさか、断られるとは思わなかったからか詰め寄ってきた。

 

「当たり前よ? 一に肌をいくら見られても隅々まで見ても良いけど、それ以外の異性に肌を見られるのは嫌よ?」

 

 嬉しくなるその言葉にしかし、オシリス・レッドの男子は血涙を流していた。

 

「あ、でも、マナは結構乗り気でブラック・マジシャン・ガールのコスプレならやるって。」

 

 

「ありがとうございます!」

 

 その言葉に涙を流して喜んでいた。

 

 ○ ○ ○

 

「一。ここはもういいから、コスプレデュエルを見てきな。」

 

 屋台に立ちお客様の相手をしていたら、ラー・イエローの生徒が声をかけてきた。

 

「良いのか?」

「あぁ。彼女の艶姿というか、勇姿をその目に焼き付けて来い。」

 

 その言葉に軽く頭を下げた。

 

「………しかし、ラー・イエローにあんな人いたかな?」

 

 首を傾げながらの呟きが風に流れて解けて消えた。

 

 ○ ○ ○

 

 途中で翼や麗華と共に思いもよらない拾い者をしてオシリス・レッドへと向かう。コスプレデュエルの会場では、魔導戦士ブレイカーの格好した十代がデュエルしていた。

 

「十代様ぁ♪」

「レイか。久しぶりだな。」

 

 恋する乙女の格好した早乙女が十代の胸元に飛びついた。それ事態は絵になる光景なんだけど良く思わない人達がいた。考えなくてもわかるかと思うが、RYBDAUO異端尋問団と十代の嫁さんこと枕田だ。

 

 ポム。俺は十代の肩を軽く叩いていた。

 

「十代。強く生きろよ? 例え刑務所に行く事になっても俺達の友情は変わらないからな?」

「はぁ? いや、変わるわけないだろうけど。」

 

 俺の態度に十代は困惑した表情を浮かべる。

 

「時間があるときはキッチリ面会に行くからな?」

「だから、何で逮捕されること前提で話を進めるんだよ?」

「いや、だって、13歳未満は例え合意の上で致しても強姦罪が適用されるって法律が」

「しねーよ!」

 

 俺の言葉に十代がツッコミを入れた次の瞬間、黒頭巾の男達がいた。

 

「諸君!! ここはどこだ!」

『血の盟約に逆らいし異端者を処刑する刑場だ!!』

()とは!!」

『愛を捨て、哀に生きる者!!』

「よし、これよりRYBDAUO異端審問を開始する。」

「そうやって交際している男女を無理矢理別れさせる男達って最低よね。」

『ガフグッ!!』

 

 枕田の言葉に吐血する男達がいた。

 

「あれ? ジュンコちゃん。以外に冷静だね? てっきり嫉妬して十代君に詰め寄るかなとボクは思っていたけど。」

 

 翼の言葉に枕田は苦笑する。

 

「もちろんヤキモチ妬いてるわよ?

でもね、レイの気持ちもわかるからね。アタシも十代もデュエルアカデミアにいるから会いに行こうと思えばたいした苦労は要らないけど、レイはそうはいかないからね。今日1日ぐらいは黙っていようかなってね。」

 

 十代の嫁さんの発言に俺達が感心しているなかで、翔とVWXYZの格好した準と元々のイラストと同じ服着たマナが会場に来た。

 

「皆さん、お待たせしましたッス! ゲストとしてマナさんが出場します!」

「よろしくね♪」

『ウオオォォッッ!!』

 

 その言葉に男子達がわっとわいた。

 

「では、遊城十代にデュエルしてもらいます!」

 

 翔の言葉に男子陣がブーイングするなかで、十代がマナに自分のデッキを差し出した。

 

 ○ ○ ○

 

 2人の決闘者(デュエリスト)はこの日の為に俺が作ったデュエルテーブルにデッキをセットして高らかに始まりの言葉を口にした。

 

決闘(デュエル)!!』

 

 その言葉に2人がカードをドローする。

 

『マナのターンです。』

 

「私のターン! ドロー! カードを2枚セットしてそして、サイレントソードマンLV3を攻撃表示で召喚!! ターンエンド!」

 

マナライフ4000 手札3枚伏せカード2枚

伏せモンスター0枚 サイレントソードマンLV3ATK1000

 

「俺のターン! ドロー! E(エレメンタル)HERO(ヒーロー) バブルマンを攻撃表示で召喚! 他にカードがないから2枚ドロー! バブルショットをバブルマンに装備!!」

 

 十代のフィールドのバブルマンがランチャーを装備して強化される。(バブルマンATK800+800=1600)

 

「バブルマンでサイレントソードマンLV3を攻撃!!」

「甘いよ十代君! ダメージステップ時に手札からオネストを捨てて効果発動! バブルマンの攻撃力分、サイレントソードマンLV3の攻撃力に加算するよ!」

 

 サイレントソードマンは背中に生えた翼でバブルマンの攻撃を回避して上空からバブルマン目掛けて急襲したがバブルマンも持ってたランチャーを盾にして攻撃を回避した。

(サイレントソードマンLV3ATK1000+1600=2600

バブルマンATK1600-800=800)

 

「バブルショットの効果! バブルマンが戦闘で破壊される時、このカードを代わりに破壊することで破壊を無効にしてダメージも0にする!

さらに、速攻魔法バブルシャッフルを発動!

バブルマンと攻撃表示のサイレントソードマンLV3を守備表示に変更!!」

 

 フィールドが泡で包まれ、その中で、サイレントソードマンLV3とバブルマンの表示形式が変更される。

(バブルマンATK800→DEF1200

サイレントソードマンLV3ATK2600→DEF1000)

 

「さらに、バブルシャッフルのもう1つの効果! バブルマンを生け贄に捧げ、手札のE・HEROを特殊召喚出来る! 来い!! E(エレメンタル)HERO(ヒーロー) エッジマン!!」

 

 十代のフィールドのバブルマンが光に包まれて消えて代わりにエッジマンが現れた。

 

「エッジマンの攻撃!! パワーエッジスライサー!」

 

 十代の攻撃宣言にエッジマンが守備体制のサイレントソードマンLV3に攻撃をする。

(マナライフ4000-2600+1000=2400)

 

「おぉっと!! これは凄い! バブルマンをメインにした攻撃に攻めにマナさんがサイレントソードマンLV3にオネストを追加する反撃にしかし、アニキも負けてない! 分が悪いと見るやすかさずバブルシャッフルとエッジマンのコンボで押しきった! どう見ますか? VWXYZ ドラゴン・カタパルトキャノンさん?」

「今のところ十代が一歩リードしているといったところだろうか? ライフやフィールドはもちろん手札でもな。」

「えっと、それはどういう意味でしょう?」

「デュエルモンスターズにおいてパンドアドバンテージと呼ばれるように手札を重要視するケースがある。例えば、オシリスの天空龍。手札が多いほど攻撃力がますモンスター。」

「なるほど。手札が多いほど有利になるわけですね?」

「一概にはそうとは言えない。手札がないことが逆に有利につながることもある。」

「以上。VWXYZ ドラゴン・カタパルトキャノンさんからの解説でした。」

 

 見事に息のあった実況中継をする2人。

 

「カードを2枚セットしてターンエンド!」

 

マナライフ2400 手札2枚伏せカード2枚

伏せモンスター0枚

フィールド魔法無し

伏せモンスター0枚 エッジマンATK2600

伏せカード2枚

十代ライフ4000 手札2枚

 

「私のターン! ドロー! 手札から魔法カード強欲な壺発動! 2枚ドロー! 見習い魔術師を攻撃表示で召喚! そして、速攻魔法、ディメンションマジックを発動! 私のフィールドの見習い魔術師を生け贄に手札のブラック・マジシャンを特殊召喚! 追加効果でエッジマンには退場してもらうよ!」

 

 マナの言葉にブラック・マジシャンは杖の一振りでエッジマンは破壊した。

 

「そして、手札から装備魔法魔術の呪文書をブラック・マジシャンに装備!!

バトル!

ブラック・マジシャンでダイレクトアタック!!黒・魔(ブラック・)・導(マジック)!!

そして、リバースカードオープン!! マジシャンズサークル! 攻撃力2000以下の魔法使い族をデッキから特殊召喚するよ!」

「この瞬間、リバースカードオープン!! リビングデッドの呼び声! 墓地よりエッジマンを特殊召喚!」

 

 ボコォッ!!

 その言葉に地面から腕が生えエッジマンが這い出てきた。まるでド○ゴンボールで生き返ったベ○ータだ。

 

「ひぅっ!?」

 

 その瞬間、雪乃の口から悲鳴が聞こえた。そして、ふらぁっと足元から力を失い倒れるのところを俺が抱き止めるのだった。

 

「えっと、すまん。雪乃。」

 

 そうなるとは予想してなかったのか謝罪してからデュエルを進行させる十代。

 

「来て!! ブラック・マジシャン・ガール!」

『ウフフ♪』

『ウオォォッ!!!!』

 

 マナによく似た女魔術師がウィンクすると、男子陣が騒ぎ始める。

 

「俺のデッキには魔法使い族モンスターはないぜ。」

「本当に召喚可能なモンスターがいないか確認するね?」

 

「俺のデッキには魔法使い族モンスターはないぜ。」

「本当に召喚可能なモンスターがいないか確認するね?」

 

 マナに言われて十代はデッキを差し出した。

 

「………確かに入ってないね。ありがとう。

改めて、ブラック・マジシャンでエッジマンを攻撃!!」

 

 魔術書によってより強い力を得たブラック・マジシャンの魔術がエッジマンを倒した。(十代ライフ4000-2500-700+2600=3400)

 

「だけど、エッジマンの悲鳴はシグナルとなって新たなHEROを呼び出す! リバースカードオープン!! ヒーローシグナル! E(エレメンタル)HERO(ヒーロー) フォレストマンを守備表示で召喚!」

 

「アララ。フォレストマンは倒せないね。ターンエンド!」

 

マナライフ2400 手札0枚伏せカード1枚 魔術の呪文書(ブラック・マジシャンに装備)

伏せモンスター0枚 ブラック・マジシャンATK2500+700 ブラック・マジシャン・ガールATK2000

フィールド魔法無し

伏せモンスター0枚 フォレストマンDEF2000

伏せカード0枚

十代ライフ3400 手札2枚

 

「俺のターン! ドロー! スタンバイフェイズ時にフォレストマンの効果でデッキから融合を手札に加える! そして、融合発動! 手札のE(エレメンタル)HERO(ヒーロー) スパークマンと沼地の魔神王を融合して、E(エレメンタル)HERO(ヒーロー) シャイニング・フレア・ウィングマンを融合召喚!」

「沼地の魔神王の融合代理能力だね?」

「そういうことさ。シャイニング・フレア・ウィングマンでブラック・マジシャンに攻撃!!」

「リバースカードオープン!! 非常食! 魔術の呪文書を墓地に送って私のライフを1000回復するよ! 魔術の呪文書も墓地に送られた時、私のライフを1000回復する。」

 

 シャイニング・フレア・ウィングマンが攻撃を仕掛ける中、呪文書が墓地に送られ、ブラック・マジシャンの攻撃力がダウンする。(マナライフ2400+1000+1000+2500-2500-300×3=3500)

 

「さらにシャイニング・フレア・ウィングマンが戦闘で相手のモンスターを破壊した時、そのモンスターの攻撃力だけダメージを与える!」

 

「キャアァァッ!!!!」

 

 追加攻撃によりマナのライフが大幅に削られた。(マナライフ3500-2500=1000)

 

「ターンエンド!」

 

マナライフ1000 手札0枚伏せカード0枚

伏せモンスター0枚 ブラック・マジシャン・ガールATK2000

フィールド魔法無し

伏せモンスター0枚 フォレストマンDEF2000 シャイニング・フレア・ウィングマンATK2500+300×3

伏せカード0枚

十代ライフ3400 手札0枚

 

「私のターン! ドロー! 手札から魔法カード黒・魔・導・爆・裂・波(ブラック・バーニング)発動!! 表表示で存在する十代君のモンスターを破壊するよ!」

『ハァァ! ヤァァッ!!』

 

 ブラック・マジシャン・ガールが放つ光弾がシャイニング・フレア・ウィングマンとフォレストマンを破壊した。

 

「ブラック・マジシャン・ガールでダイレクトアタック!!

黒・魔・導・爆・裂・波(ブラック・バーニング)!!」

 

 マナの言葉にブラック・マジシャン・ガールが光弾が十代を襲った。(十代ライフ3400-2000-300=1100)

 

「ターンエンドだよ!」

 

マナライフ1000 手札0枚伏せカード0枚

伏せモンスター0枚 ブラック・マジシャン・ガールATK2000+300

フィールド魔法無し

伏せモンスター0枚

伏せカード0枚

十代ライフ1100 手札0枚

 

「俺のターン! ドロー! 戦士の生還発動! 墓地からバブルマンを手札に加える! そして、他にカードがないから手札から特殊召喚! そして、2枚ドロー! 手札から魔法カード、貪欲な壺発動! 墓地から、エッジマン、スパークマン、沼地の魔神王、シャイニング・フレア・ウィングマン、フォレストマンをデッキに戻してシャッフルして2枚ドロー! 強欲な壺発動! デッキから2枚ドロー!」

 

 何、このドローラッシュ!!

 

「どうやったら手札0枚から手札0枚から手札4枚になるのよ?」

 

 まったくだ。そして、あんだけドローしたんだから逆転のカードをドローしていてもおかしくない。

 

「融合発動! 手札のE(エレメンタル)HERO(ヒーロー) フェザーマンとバブルマンを融合してE(エレメンタル)HERO(ヒーロー) アブソルートZERO(ゼロ)を融合召喚! さらに融合解除でアブソルートZEROを融合デッキに戻してバブルマンとフェザーマンを特殊召喚!

バブルマンでダイレクトアタック!!」

 

 フェザーマンの攻撃によりマナのライフが0になった。(マナライフ1000-1000=0)

 

 ○ ○ ○

 

「ガッチャ! 楽しいデュエルだったぜ!!」

 

 十代の言葉にマナはリスみたいに頬を膨らませていた。負けたのが相当に悔しいらしい。

 

「なんで、あのタイミングで連続ドローラッシュできるのかな?」

 

 しばらく十代に愚痴を言ってからマナも笑顔を浮かべた。

 

「ガッチャ♪ 楽しいデュエルだったよ。」

 

 デュエルが終わってからマナは俺に抱きついた。

 

「一♪ 頑張ったんだし、御褒美頂戴♪」

 

 マナはそう言ってから自身の唇で俺の唇を塞いだ。ちなみに十代の方はレイと枕田が抱きついてキスしていた。

次の瞬間から男子達からデュエルを挑まれ、勝つ度に明日香達からキスされ、俺の二つ名が『デュエルアカデミアの男の敵』になってしまった。

 

「………不幸だ。」

 

 俺の呟きが虚しくその場に響いた。

 

 ○ ○ ○

 

SIDE 誠

 

「くそ!! 許さねぇ! 絶対に許さねぇ!!」

 

 俺はデュエルアカデミア内を逃げ回りながら、俺に勝ったくそ生意気な女、沖田士と天上院明日香に対する怒りと増悪で腸が煮えくりかえりそうだった。

 

「許さねぇ。絶対に俺の奴隷()にしてやる。」

 

 胸の内に憤怒と憎しみをたぎらせその言葉を呟いていた時、俺をこの世界に運んだ鏡が現れた。

 

「………警戒されてるこの場に残っても仕方ないな。」

 

 そう呟いて鏡をくぐり抜け異世界に辿り着いた。



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デュエル45 錬金術師

このお話を読んでくださる皆様ありがとうございます


 

 準の提案で大徳寺先生の手掛かりを求め島中を探し回っていたのだけど、しばらく歩き回っていたら、大徳寺先生がこちらに来ていた。

 

「そろそろですか?」

「そうだ。すまないな。」

 

 俺の問いに大徳寺先生は答えながら1札の本を取り出した。

 

「大徳寺先生がセブンスターズだったのは残念ですが一緒だった時は楽しかったです。」

 

「大徳寺先生がセブンスターズだったのは残念ですが一緒だった時は楽しかったです。」

 

 その言葉に大徳寺先生は微笑んでいた。

 

「それは私も同じだよ。楽しくて仕方なかった。

一君。あの人を、影丸理事長を頼む。」

 

 大徳寺先生の言葉に俺の意識は薄れた。

 

 

 

SIDE 十代

 

 集合時間になり姿を見せない一、明日香、亮、万丈目を怪しむ中、突如光の柱が空へと上るのが見えた。数は6つ。まさか! 俺以外のみんながやられたのか! こうしちゃいられないと気持ちが焦るが、どこにセブンスターズがいるかわからないその中、

 

「ニャー。」

 

 大徳寺先生の飼い猫のファラオが駆け出していた。

 

「ファラオ! どこにいくんだ!」

 

 慌てて追いかける。しかし、どこに行く気だ。ファラオが走る方向には廃寮しかないはずだが?慌ててファラオを追いかけるが近づく様には見えない。ファラオは廃寮内を駆け回り、俺とタイタンがデュエルしたところまでついた。ファラオは廃寮内を駆け回り、俺とタイタンがデュエルしたところまでついた。そして、隠し部屋を暴いてその先に侵入し出した。

 

「あんなところに隠し部屋?」

 

 疑問に思いながら部屋に入ると、使われてない研究施設のようだが棺桶がやたらと目立つ。

 

「翔。隼人。手を貸してくれ。」

 

 2人に声をかけ棺桶の蓋に手をかける。

 

「キャアァァッ!!」

 

 棺桶の中身を見たジュンコが恐怖の悲鳴をあげる。

 

「み、ミイラですの?」

 

 ももえも青白い顔で中身を見て問いかける。

 

「いったい、誰なんだな? このミイラ?」

「さあな。この部屋に置かれてたいじょう、この部屋の主と考えた方が自然だろうけど?」

 

 このミイラの服にネームプレートがつけられているのに気づいた。ホコリで読めないため払い落としてみると驚くべき3文字が書いてあった。

 

「………大…徳…寺……?」

 

「まさか! このミイラ、大徳寺先生なの!」

「大徳寺先生、闇のデュエルでこんな姿に?」

「いや、それはない。」

 

 ミイラを確認した俺は首を横に府って否定する。

 

「人がミイラになるまでかなり年月を要する。なんらかの手段でそれを2、3日に短縮したとしても、このミイラには動かされた形跡がない。長年ここに放置されたことによってできたホコリの層がある。」

「じゃあ、これまでいっしょにいた大徳寺先生は何者なの?」

「さあ? それは、本人に聞いてみた方が手っ取り早いかもな? いるんでしょ? 大徳寺先生?」

「…気づいていたのか?」

 

 後ろから聞こえた声に俺達は後ろを見る。そこには着ている服や髪の色は違うけど大徳寺先生がそこにいた。

 

「ここにファラオが案内してくれた事で気づけました。猫は人よりも視力は悪いし色も認識出来ない。だけどそれ以外の感覚が人よりも鋭いです。ファラオはそこから大徳寺先生の存在を感じとり、ここに駆けつけたんでしょう。」

「なるほど。君は私が思うより頭が回るようだ。」

「…大徳寺先生? あなたがなぜセブンスターズに?」

「………私は錬金術の研究者だった。その目的は、賢者の石あらゆる物質を黄金に変え命の霊薬を産み出すと言われている石の精製。ペガサスがエジプトにたどり着いたように私もエジプトにたどり着いた。だが、不治の病に侵され、それから逃れるためにホモンクルスという身代わりの体に魂を移しかえたが、それもどうやら限界に近い。

さぁ、遊城十代! 私とデュエルしてもらおう! 勝たねば、大事な仲間は帰ってこない!」

 

 やはり一達は大徳寺先生が。許せねぇ! その怒りのままにデュエルディスクを起動させる。

 

 ○ ○ ○

 

決闘(デュエル)!!』『十代 のターンです。』

「俺のターン! ドロー! E(エレメンタル)HERO(ヒーロー) バブルマンを守備表示で召喚!! フィールドにバブルマン以外のカードがないため2枚ドロー!」

 

 俺はそう言いながらデッキからカードを2枚ドローする。

 

「さらに融合発動! フェザーマンとバースト・レディーを融合! E(エレメンタル)HERO(ヒーロー) フレイム・ウィングマンを融合召喚!! カードを2枚セットしてターンエンド!」

 

十代ライフ4000 手札2枚

伏せカード2枚

伏せモンスター0枚 バブルマンATK800 フレイム・ウィングマンATK2100

 

「私のターン。ドロー。私はカードを3枚伏せてターンエンド!」

 

十代ライフ4000 手札2枚

伏せカード2枚

伏せモンスター0枚 バブルマンATK800 フレイム・ウィングマンATK2100

 

伏せモンスター0枚

伏せカード3枚

大徳寺ライフ4000 手札2枚

 

「俺のターン! ドロー!」

「この瞬間、マクロコスモスを発動。墓地に行くカードは墓地に行くことなく除外される。さらに、原始太陽ヘリオスを特殊召喚。」

 

 除外することをメインにしたデッキ? たとえなんであったとしても勝たなきゃならないんだ!

 

「手札から融合回収(フュージョンリカバリー)を発動! 墓地の融合とバースト・レディーを回収して融合発動! E(エレメンタル)HERO(ヒーロー) クレイマンとバースト・レディーを融合してE(エレメンタル)HERO(ヒーロー) ランバートガンナーを融合召喚!!

バトルフェイズ!

フレイム・ウィングマンで原始太陽ヘリオスに攻撃! フレイムシュート!!」

 

 俺の攻撃宣言にフレイム・ウィングマンが攻撃しようとして、

 

「させない! リバースカードオープン! 惑星直列! 相手フィールドのモンスターを全て破壊して相手のライフに300のダメージを与える!」

 

 大徳寺先生が発動したカードが俺のモンスターを全滅させた、(十代ライフ4000-300=3700)

 

「これでターンエンド!」

 

十代ライフ3700 手札1枚

伏せカード2枚

伏せモンスター0枚

 

伏せモンスター0枚 原始太陽ヘリオスATK100×5

伏せカード1枚 マクロコスモス

大徳寺ライフ4000 手札3枚

 

「私のターン。ドロー。原始太陽ヘリオスを生け贄に、ヘリオス・デュオ・メギストスを特殊召喚。このカードは除外されているモンスター1枚につき200攻守がアップする。」

 

 ということはあのモンスターは今、攻撃力は1200か。

 

「ヘリオス・デュオ・メギストスでダイレクトアタック! ウルカヌスの炎!」

 

 ヘリオス・デュオ・メギストスの攻撃が俺のライフを焼いた。(十代ライフ3700-200×6=2500)

 

「私はターンエンド!」

 

十代ライフ2500 手札1枚

伏せカード2枚

伏せモンスター0枚

 

伏せモンスター0枚 ヘリオス・デュオ・メギストスATK200×6

伏せカード1枚 マクロコスモス

大徳寺ライフ4000 手札3枚

 

「俺のターン! ドロー! E(エレメンタル)HERO(ヒーロー) スパークマンを攻撃表示で召喚!!」

 

『トォッ!!』

 

「スパークマンでヘリオス・デュオ・メギストスに攻撃!」

「させないよ。リバースカードオープン! ハーフ・シャット! ヘリオス・デュオ・メギストスの攻撃力を半分にする代わり、このターン、戦闘態勢を与える。」

 

 だが、ダメージは適用される。(大徳寺ライフ4000-1600+200×6÷2=3000)

 

「俺はこれでターンエンド!」

 

十代ライフ2500 手札1枚

伏せカード2枚

伏せモンスター0枚 スパークマンATK1600

 

伏せモンスター0枚 ヘリオス・デュオ・メギストスATK200×6

伏せカード0枚 マクロコスモス

大徳寺ライフ3000 手札3枚

 

「私のターン。ドロー。ヘリオス・デュオ・メギストスを特殊召喚!! このモンスターも除外されているモンスター1枚につき300の攻守がアップする。」

 つまりあのモンスターは攻撃力2100。

 

「ヘリオス・トリス・メギストスでスパークマンを攻撃!

フェニックス・プロミネンス!」

 

 大徳寺先生の言葉にフィールドのモンスターがスパークマンに攻撃をするが、

 

「リバースカードオープン! ヒーローバリア! 攻撃を一度だけ無効にする!」

 

 俺のフィールドの伏せカードが大徳寺先生のヘリオス・トリス・メギストスの攻撃を防いだ。

 

「それで、攻撃を防いだつもりなら甘い。

ヘリオス・トリス・メギストスは相手のフィールドにモンスターがいるとき、もう一度だけ攻撃することができる。もう一度スパークマンを攻撃!

フェニックス・プロミネンス!」

 

 再び放った炎が今度こそ俺のスパークマンを破壊した。(十代ライフ2500-300×7+1600=2000)

 

「私はこれでターンエンド。」

 

十代ライフ2500 手札1枚

伏せカード1枚

伏せモンスター0枚

 

伏せモンスター0枚 ヘリオス・トリス・メギストスATK300×8

伏せカード0枚 マクロコスモス

大徳寺ライフ3000 手札3枚

 

 くっ。強い。俺は大徳寺先生の強さに驚いていたら外野から声が飛んできた。

 

「頑張れ!! 十代!! あんたの諦める姿なんて見たくないわよ!」

「気張るんだな! 十代!!」

「頑張るっすよ! アニキ!」

 

 …みんな…。そうだ。俺は負けられない! 俺が負けたら一達は戻って来ないんだ!

 

「ドロー!」

 

 絶対に勝つと気合いを込めて引いたカードは………!! これなら勝てる!

 

「手札から魔法カード、異次元からの埋葬を発動!! 除外されているカードを3枚、バブルマン、バースト・レディー、クレイマンを墓地に戻す!!」

「ダメっすよ! マクロコスモスがある限り墓地に送る事はできないっすよ!」

「大丈夫よ。マクロコスモスは墓地に『送る』カードを除外するカードで、異次元からの埋葬は墓地に『戻す』からマクロコスモスの干渉を受けないわ。」

 

 翔の間違いをジュンコが修正する。

 

「そして、手札からミラクルフュージョンを発動!! 墓地のフェザーマン、クレイマン、バブルマン、バースト・レディーを融合素材として除外する!!

E(エレメンタル)HERO(ヒーロー) エリクシーラーを融合召喚!!」

 

 俺のフィールドに5色に輝くヒーローが現れるとカードはデッキに戻ってゆく。(ヘリオス・トリス・メギストスATK300×0

エリクシーラーATK2800+300×1)

 

「エリクシーラーは光属性の他にも闇以外の4つの属性にも扱われ、同じ属性のモンスターがいるとき1枚につき300攻撃力がアップする!!

エリクシーラーの攻撃! フュージョニスト・マジョスタリー!」

 

 エリクシーラーの攻撃が大徳寺先生のモンスターを破壊してライフを削った。(大徳寺ライフ3000-2800-300=-100)

 

 ○ ○ ○

 

 大徳寺先生のライフが0になった瞬間、一達が解放された。

 

「み、見事だ。十代君。

れ、錬金術はあらゆる物質を黄金に変え、不老不死の水を産み出す。

だ、だが、それは見掛けだけの物。真の力は心の純度を保つ。それこそが本当の錬金術。

しかし、私の恩人はそれを忘れてしまった。

た、頼む。十代君。あの人を救って………。」

 

 そう言い残した大徳寺先生の体は崩れ去り、後には1冊の本が残されていた。

 

「………大徳寺先生…ずっと、恩人の為に生きてたっすね。」

 

 だが、これで1つわかった。闘いはまだ終わってない。



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デュエル46 ラブデュエルVS万丈目

このお話を読んでくださる皆様ありがとうございます。


SIDE 万丈目

 

  ………明日香君。俺は、あの何もない空間でただ、君だけを見ていた。

 

「…それって、ただのストーカーって言わない?

明日香に嫌われるぞ? 準。」

「ガフッグゥッ!!」

 

 後ろから囁かれた言葉に言葉のボディーブローをくらい胸を押さえていた。

 

「い、いや、しかしだな、俺の愛は純粋だ。だから問題ない。」

「…ストーカーの言い分だな。」

「ガハァッ!!」

 

 一に見えない刃物で胸をえぐられるような痛みに思わず砂浜に膝まずいてしまう。

 

「で、準。一人で何を黄昏てたんだ? 呟いていた内容から察するに明日香に関することだろうけど。」

「………まぁ、そういう事だ。どうすれば明日香君を振り向かせられるかと思ってな。」

「あ~。わかる。明日香は男勝りなで優しいしスタイルいいし可愛いし飯上手いし何で好きになってくれたか、不思議に感じるぐらいだよ。」

「だが、手放す気などさらさら無いのだろう?」

「当然。」

 

 俺の言葉に一はグッと胸を答えた。チッ。爆発しろ。俺の殺気に気つかず、一は俺に言葉を投げ掛ける。

 

「今はどうあれ、デュエルアカデミア入学時点では印象最悪だったみたいだからな。」

 

「明日香は回りくどいことは好まないし、ノーとは言えない雰囲気で迫っていくのがベターだと思う。」

「貴様は明日香君を俺と付き合ってくれるかもしれないことが怖くないのか?」

「もちろん、怖いさ。でも、俺には明日香達は俺を選んでくれるって確信があるからな。」

 

 その言葉に俺はこう言い返した。

 

「貴様のそれは確信じゃなくて妄想だ。その幻想がつぶされるのを指をくわえて眺めているんだな。」

 

 

SIDE 一

 

「一さん。起きて。」

「起きて。一。朝よ?」

 

 微睡みを揺さぶる声に目を覚ます。

 

「………明日香? …麗華?」

 

 眼が覚めた俺は、麗華と明日香をギュッと抱き締めながらそっと目を閉じていた。

 

「ちょっと一。起きて。」

「やだ。もうちょっと明日香と麗華の温かくてやわらかな温もりを堪能したい。」

 

 その言葉に頭を擽られるような感触があった。

 

「一さんさえよければ皆と一緒の時にいくらでも抱き締めても良いですから学校に行きましょう。」

 

 その言葉にしぶしぶ着替えようとするまさにその時、

 

「はじめちゃん! 大変っすよ! 万丈目君が!」

 

 ものすごい勢いで翔がドアを開けたのだが、ドアの向こうの俺達が全裸でいたことに硬直する。

 

「オ、オジャマシマシタ。」

 

 なんとかそれだけを返した翔に耳すら真っ赤になった俺達は急いでたたんである制服を着る。

 

 ○ ○ ○

 

「万丈目君!!!! 何を考えているのよ!」

 

 砂浜で7精門の鍵を首にぶら下げた準に明日香が怒りの声を上げた。その準は明日香の怒りの声をものともせず明日香に声をかける。

 

「明日香君! 俺とデュエルだ! 俺に勝ったら7精門の鍵を返却しよう! しかし、俺が勝ったら俺とこ「ごめんなさい。その条件ではデュエルできないわ。」うさいしてって、何ぃっ!!!!」

 

 断られるとは想像してなかったらしい準が驚きの声をあげる。

 

「何故だ! アスリン! こんな漢らしい万丈目君に惚れない!」

 

 準の後ろから、アロハシャツにウクレレ装備の吹雪さんが声をあげる。

 

「ハァ。それは万丈目はそれなりに整った顔だと思うし、性格だって悪くないとは思うわよ。

でも、私は1人の異性が大好きなの。」

 

 そう言って、明日香は翼とマナに抱き締められている俺を見てうっすらと紅色に染めていた。

 

「その人は私の他にも素敵な女性と付き合う欲張りな人だけど、私はその人が大好き。だから、万丈目君とは付き合えません。ごめんなさい。」

 

 誠意を込めた明日香の謝罪にしかし、準は視線を俺に向けて、

 

「斎藤一! 俺とデュエルだ! 俺が勝ったら明日香君から身を引け!」

 

 俺にデュエルを申し込んできた。それにたいして俺はデュエルディスクを装着する。明日香達が好きだからこそ、万丈目の気持ちに真正面から向き合う為に。

 

 ○ ○ ○

 

決闘(デュエル)!!』

 

 俺と準は宣言してカードをドローする。

 

『万丈目 の ターン です。』

 

「俺のターン! ドロー! おジャマ・ブルーを守備表示で召喚! カードを2枚セットしてターンエンド!」

 

万丈目ライフ4000 手札3枚

伏せカード2枚

おジャマ・ブルーDEF1000

 

「俺のターン! ドロー!

D(ダーク)HERO(ヒーロー) ダークナイトを攻撃表示で召喚! さらに進化の魔薬を起動! ダークナイトを生け贄に、D(ダーク)HERO(ヒーロー) バットマンを攻撃表示で召喚! バットマンで左側の伏せカードを確認させてもらうぞ! ソナーサーチ!」

「させん! リバースカードオープン! おジャマトリオ! お前のフィールドにおジャマトリオトークンを特殊召喚!」

 

 やるな。バットマンの効果にチェーン出来ないって制約はない。せいぜいこのカードにトラップの効果を受けないだけだ。

 

「伏せカードがトラップだった為破壊される。」

「しかし、発動した通常トラップは効果を処理したら墓地におかれる。無駄うちだったな。」

「だな。

バトルフェイズ!

バットマンでおジャマ・ブルーを攻撃!

バットスクラッチ!」

 

 俺の攻撃宣言にバットマンが呼び出したコウモリがおジャマ・ブルーに襲いかかる直前、

 

「リバースカードオープン! マジカルシルクハット!」

 

 準が2枚のマジックかトラップのカードを選びおジャマ・ブルーとシャッフルした。

…どうする? 多分、あの2枚の伏せカードはあの2枚だ。だとするなら、墓地におかれたら危険だ。どうする? いや、攻撃しないでも危険。攻撃しても危険なら、可能性に賭ける!

 

「バットマンで真ん中のシルクハットモンスターを攻撃!」

 

 コウモリが真ん中のシルクハットを引き裂いた。その下から出たカードは、

 

「おジャマ・ブルーが破壊された事により、デッキから、おジャマ・カントリーと、おジャマ・デルタハリケーンを手札に加える!」

「バトルフェイズ終了する事によりマジカルシルクハットにより疑似モンスターになったモンスターは破壊される!」

 

 その言葉によりシルクハットモンスターがガラス細工のように砕けちり、その下のカードを見せた。

 

「2枚のシルクハットモンスターはどちらもおジャマジック。よって、おジャマ・イエロー、おジャマ・グリーン、おジャマ・ブラックを2枚ずつ手札に加える!」

 

 まずいな。すでにあのカードがあるなら、次のターンで1キルされかねない。予防線張っておくか。

 

「カードを1枚ずつ伏せてターンエンド!」

 

万丈目ライフ4000 手札11枚

伏せカード0枚

伏せモンスター0枚

 

バットマンATK1900 おジャマトリオトークンDEF1000×3

伏せカード1枚

一ライフ4000 手札3枚

 

「俺のターン! ドロー! おジャマ・レッドを攻撃表示で召喚! 召喚成功により、おジャマ達を特殊召喚する!!」

『イエーイ♪』

 

 準の言葉にフィールドにポーズを決めながら姿を現すおジャマ達。

「俺のフィールドにおジャマ・イエロー、おジャマ・ブラック、おジャマ・グリーンがいることにより、手札から、おジャマ・デルタハリケーンを発動!! 斎藤一のフィールドのカードを全て破壊する!!」

 

 その言葉におジャマ達はお尻をくっつけ高速回転を始め、バットマンも、俺のフィールドで翻ったカードも、おジャマトリオトークンも全て破壊された。

 

「さらに、おジャマ・カントリーを発動!! 俺のフィールドにおジャマ達がいることにより、モンスターの元々の攻守が逆転する! これで終わりだ!

おジャマ達の総攻撃!」

 

 準の攻撃宣言にしかしおジャマ達は動こうとしない。

 

「な、何があったんだ。」

「こいつさ。」

 そう言いながら和睦の使者を見せた。おジャマ・デルタハリケーンにチェーンで発動していたんだ。

 

「くそ! 俺は1枚伏せてターンエンド!」

 

万丈目ライフ4000 手札11枚

伏せカード0枚

伏せモンスター0枚 おジャマ・レッドATK1000 おジャマ・イエローATK1000×2 おジャマ・グリーンATK1000 おジャマ・ブラックATK1000

おジャマ・カントリー(おジャマがフィールドがいる限り攻守が入れ替わる)

 

伏せカード0枚

一ライフ3100 手札3枚

 

「俺のターン! ドロー! 手札からA―アタックメントコールを起動! 手札のD(ダーク)HERO(ヒーロー) ウィンドマンを攻撃表示で召喚! さらにおジャマ・カントリーを破壊する!

ブレイクウィングシザー!」

 

 俺の言葉にウィンドマンの羽ばたきがおジャマ・カントリーを破壊する。

 

「手札から二重進化―ダブルエヴォリューション起動! ウィンドマンを生け贄に、D(ダーク)HERO(ヒーロー) ストーマーを特殊召喚! さらに、ライフコスト1000支払いストーマーを生け贄に、D(ダーク)HERO(ヒーロー) トルネードガイを特殊召喚! このモンスターは墓地のD(ダーク)HERO(ヒーロー)の枚数1枚につき攻撃力が300アップして、相手モンスターに全体攻撃できる!

準! 俺は女性として、明日香が好きだ!! 雪乃も麗華も翼もマナも好きだ!! だから俺は絶対放さない!」

 

 俺のその言葉に準は俺に決意を示す。

 

「斎藤一! 今回は俺の敗けだ! だが、いずれは勝つ!!」

「バトルフェイズ!

トルネードガイで準のおジャマ達全てに攻撃! トルネードバースト!」

 

 トルネードガイが集めた暴風の塊がおジャマ達を襲う。(準ライフ4000-5×(2300+4×300)=4000-5×3500=4000-17500=-13500)

 

 ○ ○ ○

 

 俺が準のライフを0にした瞬間、地震がその場を支配した。



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デュエル47 3幻魔

このお話を読んでくださる皆様ありがとうございます。


 

 

 地面が激しく揺れる中、

 

「いったい、何…グェッ!!」

 

 言いかけた準の首を7精門の鍵が引っ張っていた。それを見て、十代が叫んでいた。

 

「万丈目!」

「さ、さんだ! グェッ!」

 

 準は首絞められてまで抗議の声をあげていた。

やがて、地震がおさまり俺達は準を追いかけた。進むにつれ、準の足が地を離れた。そして、準の頭が木の枝に当たり鍵が頭から抜けた準はそのまま、顔面から落下した。車田落ちというやつである。

 

「準。大丈夫?」

「あ、あぁ。なんとかな。しかし、いったい何が起こった?」

 

 顔から落っこちたからか、額が切れてちょっと血が出ている。

 

 鍵を追いかけると、鍵は柱のようなものに吸い込まれた。

 

「ま、まさか、」

「3幻魔が、」

「復活するのか!」

 

 準の言葉に吹雪さんを除く皆の絶対零度の視線が突き刺さった。

 

「皆さん!」

「何が起こっているノーネ!」

 

 鮫島校長とクロノスが青ざめた表情で駆け寄ってきた。

 

「それが、3幻魔のカードが、」

『万丈目サンダーのせいで!』

「…そうか。3幻魔は俺の天上院君への真実の愛で目覚めたのか。」

 

 皆からの口撃にも気にせずそんなことをのたまう準だった。

 

「まんじょうめはストーカーのセリフをはなった! てんじょういんあすかのこうかんどが100さがった!」

「がふっ!!」

 

 俺の言葉に準は痛そうに胸を押さえていた。

 

「アラ? 大丈夫よ?」

「て、天上院君!」

 

 明日香の言葉に準は頬を紅く染め明日香を見つめた。

 

「元から最低値の好感度だからこれ以上下がりようがないわよ?」

「ぐふっ!!」

 

 持上げて落とされ、準はさらさらと灰化してその灰も風に散っていった。

 

「な! なんですと!」

「マンマ・ミーア! 何てことなノーネ!」

 

 事態を理解して驚いているなか、地面から台座がせりあがる。その台座には3枚のカードが浮かんでいる。

 

「まさか、このカードが………。」

 

 鮫島校長がカードに近づこうとしたところで、

 

「そのカードを貴様らにくれてやるわけにはいかないな。」

 

 空からカプセルが降ってきて3幻魔のカードを回収されてしまった。

 

「………その声、まさか影丸理事長ですか?」

「その通りだ。久しいな。鮫島よ。」

「理事長! これはどういう事ですか! 何故7精門が開かれたのですか!」

 

 鮫島校長の問いに愉悦に満ちた声で返した。

 

「7精門の鍵は予めこの島にデュエリストの闘志が満ちれば開かれるように仕組まれていたのだ。」

「な、何故ですか!」

「3幻魔のカードを解放することが利益になるから、つまりあなたがセブンスターズのトップじゃいかな?」

 翼が問いかけると影丸が俺達を見下したように答えた。

 

「その通りだ。やっとわかったか。」

 

 翼の問いに影丸は俺達を見下したように嘲笑いながら答えた。

影丸は若さを取り戻すために3幻魔のカードを手に入れたが、3幻魔を支配するだけの力もなくやむなく封印し、3幻魔を支配するために決闘者(デュエリスト)の闘志に満ちた場所にするためにデュエルアカデミアをつくった。セブンスターズもそのための捨て石だった。

 

「後は、カードの精霊と心を通わすデュエリストとデュエルしてその力を奪うのみだ! ワシとデュエルしろ! 遊城十代! 斎藤一! 断ればこの島を海に沈めるのみだ!」

 

 影丸の言葉に俺と十代はデュエルディスクを構えた。

 

「いいな! 十代! これがラストバトルだ!」

「ああ! あのわからず屋の目を覚ましてやろうぜ!」

 

 ○ ○ ○

 

決闘(デュエル)!!』

 

 俺達はそう宣言してカードをドローする。(十代、影丸、一、影丸の順にターンが回り、一のターンが回るまで影丸は一に攻撃が出来ない。)

 

「俺のターン! ドロー! E(エレメンタル)HERO(ヒーロー) バブルマンを守備表示で召喚! フィールドがバブルマンのみのため2枚ドロー! カードを2枚伏せてターンエンド!」

 

共有ライフ8000

十代 手札5枚

伏せ2枚

バブルマンDEF1200

 

一手札5枚

 

「ワシのターン! ドロー!」

 

 影丸の言葉にカプセルについているアームがカードを引いて手札のカードを3枚伏せた。

 

「ワシはトラップカードを3枚伏せる。」

「あの男、ホントにデュエルしたことがあるのか?」

 

 翔は準が言った意味を理解出来ず、?を浮かべていた。

 

「カードを伏せるのにわざわざ種類を教える意味はない。」

「しかし、これこそが幻魔を呼び出す条件なのだ。ワシは3枚のトラップカードを生け贄に、神炎皇 ウリアを特殊召喚!」

 

 カプセルから伸びたアームがトラップカードを墓地に置き、カードをフィールドに置くと、火山からマグマが吹き上がり、その中から竜が出てきた。

 

「ウリアの効果発動! 相手のマジック、トラップゾーンに伏せられているカードを破壊する! その際、相手はマジック、トラップカードを発動する事はできない!」

 

 影丸の言葉に十代の伏せカード、進化する翼が砕かれた。

 

「ウリアの攻撃力は墓地にある罠カード1枚につき1000アップする!

ウリアでバブルマンを攻撃!」

 

 バブルマンに3000の攻撃力は耐えられない。あっさり倒された。

 

「ワシはターンエンド!」

共有ライフ8000

十代 手札5枚

伏せ0枚

 

 

一手札5枚

 

 

フィールド魔法なし

 

神炎皇 ウリアATK3000

伏せカード0枚

影丸ライフ8000 手札2枚

 

「俺のターン! ドロー! 手札から古のルールを起動! このカードは手札のレベル5以上の通常モンスターを特殊召喚する! 来い! ブラック・マジシャン!」

 

 その言葉に凛とした佇まいの黒衣の魔法使いが現れた。その姿は正に威風堂々!

 

「だが、その魔法使いはせいぜい攻撃力が2500。幻魔には届かない。」「さらに、魔術の呪文書をブラック・マジシャンに装備! これにより、ブラック・マジシャンの攻撃力は700アップして3200になる!

バトルフェイズ! ブラック・マジシャンで神炎皇 ウリアを攻撃! 黒・魔(ブラック・)・導(マジック)!」

 

 ブラック・マジシャンの魔法攻撃がウリアを破壊した。

(影丸ライフ8000-2500-700+3000=7800)

 

「カードを2枚伏せてターンエンド!」

 

共有ライフ8000

十代 手札5枚

伏せ0枚

 

 

一手札1枚

伏せカード2枚 魔術の呪文書(対象 ブラック・マジシャン)

ブラック・マジシャンATK2500+700

 

フィールド魔法なし

 

 

伏せカード0枚

影丸ライフ7800 手札2枚

 

「おのれ! ワシのターン! ドロー! スタンバイフェイズにウリアの効果発動! 手札のトラップカードを1枚捨て特殊召喚!」

 

 影丸の墓地からウリアが蘇った瞬間、鎖でがんじがらめになる。(神炎皇ウリアATK0)

 

「スタンバイフェイズの終了時にデモンズチェーンを起動させてもらった。効果は対象の攻撃と効果を封じる。」「く! こざかしい真似を! 手札から強欲な壺を発動! デッキから2枚ドロー! そして、フィールド魔法失楽園を発動! 効果は、幻魔をコントロールするプレイヤーは2枚ドローできる! デモンズチェーンで効果を封じられようが、このカードが幻魔の1体であることには変わらない! よって2枚ドロー! そして、マジックカードを3枚セットする!」

「また、カードの種類を! まさか、2枚目の幻魔が!」

「その通りよ! ワシはフィールド3枚のマジックカードを生け贄に降雷皇 ハモンを特殊召喚!」

 

 その宣言に、雷が降り注ぐ中、2体目の幻魔が現れた。(降雷皇ハモンDEF4000)

 

『アニキ!』

「どうした?」

『なんだかわからないけど、あのモンスターが出た瞬間からなんだかひどく疲れてるのよ。』

 

 おじゃま・イエローに心配そうに問いかける。

 

『アニキ!』

「どうした?」

『なんだかわからないけど、あのモンスターが出た瞬間からなんだかひどく疲れてるのよ。』

 

 おじゃま・イエローに心配そうに問いかける。

 

「天上院君! 君のデッキはどうなっている!」

「…サイバー・チュチュが寝不足みたいになっているわ。」

「僕のビークロイドも錆びてるみたい。」

 

 その様子を見ていた亮が声をあげていた。

 

「そうか! これが3幻魔の力か! モンスター達から生気を抜き取るんだ!」

「その通りだ!」

 

 影丸の言葉にカプセルが割れ、中から若い男が出てきた。

 

「こんなもの不要だ!!」

 そう叫びながら若い男は100キロはありそうなカプセルを遠くに投げ飛ばした。

 

「何者ですか? 理事長は高齢の方。あなたのように若くはないはずです。」

「しかし、俺が影丸だということは事実だ!

幻魔は対戦相手以外からモンスターの生気を奪い俺の命にする!

後は貴様らからカードの精霊達と心を通わす力を奪い我が物にすればいい!!」

 

 高笑いしながらそういう影丸を祝福する声が響いた。

 

「あら、おめでとう。幻魔を復活させることができたのね?」

 

 その声は、俺とマナとのデュエルに敗れ、軟禁されているはずのカミューラだった。

 

「負け犬風情が何しに来た?」

「言ってくれるじゃない。幻魔を復活させた祝いの言葉を言いに来ただけじゃない。」

 

 その言葉に影丸は不愉快そうに鼻を鳴らした。

 

「ふん。それだけじゃなかろう?」

「お互い様でしょ?

あなたは3幻魔を復活させ若返るために。

そして、私はヴァンパイア一族を復活させるために。」

「………そういえばそのような約束もしていたな。」

「………まさか、忘れていたなんて言わないわよね?」「ああ。忘れていたとも。最初から守る気などなかった約束などな!」

 

 その言葉にカミューラは何も言えず硬直する。

 

「俺にとってセブンスターズ等使い捨ての駒にしか過ぎない!

その駒のために動く気など最初からない!!

せっかく、きさまが幻魔の扉を使えば幻魔の餌になるように仕掛けたのだがな。」

 

 その言葉に皆怒っていた。カミューラに至っては、

 

「貴様っ!!」

 

 激昂のあまり影丸に殴りかかっていた。しかし、カウンターで沈められていた。

 カミューラに近づくと微かに胸が上下していた。

カミューラを抱き上げ明日香に近づく。

 

「明日香。カミューラを頼む。」

 

 その言葉に明日香が頷いたのを見て、十代の隣に立つ。

 

「十代。勝とう。大徳寺先生の為にも。」

 

 十代はその言葉に首を縦に振った。

 

「ふん。威勢は良いな。俺はこれでターン「その前に俺のフィールドとハモンをよく見てみろ。」

…何? っ!! そのトラップは!」

 

 ハモン召喚時に発動していたトラップを見た影丸は驚きの声をあげていた。

 

「黒魔族復活の棺を起動していた。このカードは俺のフィールドの魔法使いとお前のフィールドに存在する特殊召喚されたハモンを生け贄に墓地、手札、デッキから魔法使いを特殊召喚する効果を持っている。

来い!! 我が相棒! ブラック・マジシャン・ガール!!」

 

 ハモンとブラック・マジシャンが棺に封じ込まれ再び開くと、わがままボディな金髪の魔導少女が可愛らしくウィンクしながら現れた。(一&十代共通ライフ8000+1000=9000)

 

「来たか。貴様の精霊。確か、マナだったな。

この俺の野望を邪魔するものは踏み潰す! ターンエンド!」

 

共有ライフ9000

十代 手札5枚

伏せ0枚

 

 

一手札1枚

伏せカード0枚 デモンズチェーン(対象 神炎皇ウリア)

ブラック・マジシャン・ガールATK2000+300

 

フィールド魔法 失楽園 神炎皇ウリア 降雷皇ハモン 幻魔皇ラビエルのうちどれか1枚でもフィールドにいるプレイヤーは2枚ドローできる。

 

神炎皇ウリアATK0

伏せカード0枚

影丸ライフ7800 手札0枚

 

「あんた、寂しい生き方だな?」

「何?」

 

 十代の言葉に眉をしかめる影丸。

 

「だってそうだろ? 永遠に生きれたって、喜びを分かち合える仲間がいなきゃただの孤独と変わらない。」

「デュエルにしたってそうだ。貴様のせいでデュエルモンスターがなくなったら誰も貴様を仲間だと認めない。

何もない空っぽの城で独り虚しく生きていくだけだ。」

「永遠の命ってものは永遠の退屈だ。何事にも終わりは来る。永遠の退屈にしがみついてまで生きる価値は影丸に命にあるのか?」

「だ、黙れ! さらなる命を求めて何が悪い!」

 

 十代、準、俺の言葉に影丸は吠える。

 

「悪い訳じゃない。だが、生きるって事には終わりがある。そこから目を背けちゃいけない。十代。ターンを進めろ。」

「おう。俺のターン! ドロー!」

 

 十代がドローカードを見て、念じると、俺達のライフが半減した。(一&十代共通ライフ9000÷2=4500)

 

「E―エマージェンシーコールを発動! デッキから、E(エレメンタル)HERO(ヒーロー) フェザーマンを手札に加える!! そして、融合発動! フェザーマンとバーストレディーを融合! E(エレメンタル)HERO(ヒーロー) フレイムウィングマンを融合召喚!

バトルだ! フレイムウィングマンでウリアを攻撃!!」

 

 十代の攻撃宣言に炎を纏った体当たりで撃破する。(影丸ライフ7800-2100=5700)

 

「おのれ! 小僧! 1度ならず2度までも幻魔を破壊するとは!」

「ヘヘヘ。慢心が過ぎるぜ! カードを2枚伏せてターンエンド!」

 

共有ライフ4500

十代 手札2枚

伏せ2枚

フレイムウィングマンATK2100

 

一手札1枚

伏せカード0枚 

ブラック・マジシャン・ガールATK2000+300

 

フィールド魔法 失楽園 神炎皇ウリア 降雷皇ハモン 幻魔皇ラビエルのうちどれか1枚でもフィールドにいるプレイヤーは2枚ドローできる。

 

 

伏せカード0枚

影丸ライフ5700 手札0枚

 

「俺のターン! ドロー! ウリアの効果で手札のトラップカードを捨て特殊召喚!」

 

 その言葉に3度復活するウリア気のせいか、息が切れてないか?

 

「そして、失楽園の効果で2枚ドロー!」

 

 ドローカードを見て表情が愉悦に歪む。何を引いた?

 

「そして、魔法カード、皇の復活を発動! 墓地から降雷皇 ハモンを召喚! 相手プレイヤーは2枚ドローする! さあ引け! 遊城十代! 斎籐一!」

 

 その宣言に俺達はカードを2枚ドローする。

 

皇の復活 通常魔法(自作オリカ)

 

相手は2枚ドローする。自分の墓地から皇と名のつくモンスターを召喚条件を無視して特殊召喚する。このターン互いに戦闘では破壊できない。(ただしダメージは適用する。)

 

「ウリアでその伏せカードを破壊する!」

 

 ウリアの咆哮が十代の伏せカード、融合解除を破壊する。

 

「これで終わりだ! 皇の復活により、戦闘では破壊できないがダメージは通る! 降雷皇 ハモンでブラック・マジシャン・ガールを攻撃!!」

(キャァァァァッ!!)

 

 ハモンの雷がマナに直撃して俺達のライフを削る。(一&十代共通ライフ4500-4000+2000+300=2800)

 

「マナ!! 大丈夫か!」

「な、なんとか~。でもあと何発も受けられないよ。」

 

 俺の言葉にマナが答えると皆がびっくりしていた。

 

「そ、ソリッドビジョンがしゃべった!」

「あの、影丸がカードの精霊だと言ってたの聞いてなかった?」

 

 呆然とマナを見つめる翔達を見てる限り聞いてなかったか戯言だと思われてたらしいな。

 

「ウリアで攻撃!!」

 

 ウリアの攻撃がマナに直撃して俺達のライフを削る。(一&十代共通ライフ2800-5000+2000+300=100)

 

「残ったか。ターンエンド!」

 

共有ライフ2800

十代 手札4枚

伏せ0枚

フレイムウィングマンATK2100

 

一手札3枚

伏せカード0枚

ブラック・マジシャン・ガールATK2000+300

 

フィールド魔法 失楽園 神炎皇ウリア 降雷皇ハモン 幻魔皇ラビエルのうちどれか1枚でもフィールドにいるプレイヤーは2枚ドローできる。

神炎皇ウリアATK5000 降雷皇ハモンATK4000

伏せカード0枚

影丸ライフ5700 手札1枚

 

共有ライフ100

十代 手札4枚

伏せ0枚

フレイムウィングマンATK2100

 

一手札0枚

伏せカード4枚

ブラック・マジシャン・ガールATK2000+300

 

フィールド魔法 失楽園 神炎皇ウリア 降雷皇ハモン 幻魔皇ラビエルのうちどれか1枚でもフィールドにいるプレイヤーは2枚ドローできる。

 

神炎皇ウリアATK5000 降雷皇ハモンATK4000

伏せカード0枚

影丸ライフ5700 手札1枚

 

「どうやら諦めたようだな! ドロー!」

「その瞬間永続トラップ、漆黒のパワーストーンを起動! このカードに魔力カウンターを3つ乗せる!

そして、スタンバイフェイズ時にリバース起動!奇跡の復活! 自分フィールドの魔力カウンターを2個取り除いて、墓地のブラック・マジシャンを特殊召喚!」

 

 その言葉と共に俺のフィールドに黒衣の魔術師が戻る。(ブラック・マジシャン・ガールATK2000)

 

「ふん! 失楽園の効果で2枚ドロー! クリボーを召喚! さらに、増殖発動! 俺のクリボーを生け贄にクリボートークンを特殊召喚する! 悪魔族3体を生け贄に幻魔皇ラビエルを特殊召喚!」

 

 とうとう出たか、最後の幻魔。

 

「ウリアでその伏せカードを破壊!!」

 破壊したのは攻撃の無力化だ。

 

「これで終わりだ! ウリアでブラック・マジシャンを攻撃!!」

「その瞬間リバースカード起動! 和睦の使者!」

 

 俺のフィールドに翻っトラップがブラック・マジシャンや俺達のライフを守った。

 

「ターンエンド!」

 

共有ライフ100

十代 手札4枚

伏せ0枚

フレイムウィングマンATK2100

 

一手札0枚

伏せカード1枚 漆黒のパワーストーン(魔力カウンター1)ブラック・マジシャン・ガールATK2000 ブラック・マジシャンATK2500

 

フィールド魔法 失楽園 神炎皇ウリア 降雷皇ハモン 幻魔皇ラビエルのうちどれか1枚でもフィールドにいるプレイヤーは2枚ドローできる。

 

神炎皇ウリアATK5000 降雷皇ハモンATK4000 幻魔皇ラビエルATK4000

伏せカード0枚

影丸ライフ5700 手札2枚

 

「俺のターン! ドロー!」

 

 カードをドローしたあと手札1枚を見ている十代。そして、また俺達のライフが半減する。(一&十代共通ライフ100÷2=50)

 

「手札1枚をコストにトラップブースターを発動! このターン、俺は1度だけ手札からトラップを発動できる! 無謀な欲張りを使って2枚ドロー! そして、手札からミラクルフュージョンを発動!俺の墓地のフェザーマン、バーストレディ、バブルマン、クレイマンを除外融合! E(エレメンタル)HERO(ヒーロー) エリクシーラーを融合召喚!」

 

 もう一度手札1枚を手に取ると、また俺達のライフが半減する。(一&十代共通ライフ50÷2=25)

 

「手札から融合! 手札のスパークマンとフレイムウィングマンを融合! E(エレメンタル)HERO(ヒーロー) シャイニング・フレアウィングマンを融合召喚!」

「だが、幻魔皇ラビエルの効果で召喚する度に幻魔トークンを特殊召喚!」

「手札から賢者の石サバティエル発動! 相手フィールドのモンスターの数だけエリクシーラーの攻撃力が倍加する!」

 

 その言葉で思わずデュエルディスクの機能でエリクシーラーの攻撃力を確認する。攻撃力が17500!! サイバー・エンドさえも越えた!

 

「手札からフィールド魔法摩天楼スカイスクレイパーを発動! そして、ハネクリボーを攻撃表示で召喚!

バトルだ! シャイニング・フレアウィングマンで降雷皇ハモンを攻撃!!」

 

 高層建築の頂点にたつシャイニング・フレアウィングマンはハモンに攻撃を仕掛ける。(影丸ライフ5700-2500-1000-300×2+4000=5700-3500-600+4000=5600)

 

「さらに、シャイニング・フレアウィングマンの効果で降雷皇ハモンの攻撃力分のダメージを与える!」

 

 その言葉と共に放たれる閃光が影丸のライフを削る。(影丸ライフ5700-4000=1700)

 

「さらに、エリクシーラーで神炎皇ウリアを攻撃!!」

 

 エリクシーラーの攻撃がウリアを打ち砕いた。(影丸ライフ1700-17500+5000=-10800)

 

「さらに、瞬間融合発動! 俺のフィールドのシャイニング・フレアウィングマンとエリクシーラーを融合して、E(エレメンタル)HERO(ヒーロー) GREAT TORNADOを融合召喚! このカードはE・HEROと風属性が必要だけどエリクシーラーは風属性としても扱われる! さらに、GREAT TORNADOの効果で幻魔皇ラビエルの攻撃力は半減する! 最後だ! GREAT TORNADOで幻魔皇ラビエルを攻撃!!」

 

 十代の言葉に嵐のHEROが風の塊を集めるところで、

 

「決めてこい十代! リバース起動! ブラック・スパイラル・フォース! このカードはブラック・マジシャンとブラック・マジシャン・ガールがいるとき、フィールドのモンスター1体の攻撃力を倍加する!」

「んじゃ俺も! リバースカードオープン! クリボー・スパイラル・フォース! 俺のフィールドにクリボーと名のつくモンスターがいるとき、攻撃力を倍加する!」

 

 俺と十代のトラップが攻撃力を増大する。(GREAT TORNADOATK2800×2×2=11200)

 

「いっけぇ! スーパーセル!」

 

 暴風が最後の幻魔を打ち倒した。(影丸ライフ-10800-11200+4000÷2=-20000)

 

 ○ ○ ○

 

 幻魔が倒され奪われた生気も元のカード達に戻ってゆく。その中で、

 

「ワシは若返りたかった。君達若者を見て、どうしても若いときの青春を取り戻したかったのだよ。」

「…愚かな。」

 

 生気を失い老け込んでゆく影丸の言い訳以下の戯れ言にそう冷たく切り捨てた。

 

「一?」

「失ったものを取り戻したい。それはよくわかる。だけど、青春ってのは仲間達ぶつかって、共に笑い、共に喜び、共に怒り、共に悲しみかけがえのない時間こそが青春だろ?

だけど、じいさんはどうだ? 仲間であるはずのセブンスターズを使い捨ての駒のごとく切り捨て不要になれば破滅させる。そんなやつに青春なんか来ないさ。

それに、吹雪さんをはじめとした特待生の人達はあんたの青春のための駒にされたわけだ。」

 

 俺の言葉に影丸は涙を流し続け、すまぬと呟いていた。その影丸の両手をそっと明日香が包んでいた。

 

「私は許すわ。だってあなたがデュエルアカデミアを設立する手伝いしてくれなかったら、私は一に会うことはなかったかもしれない。それだけは感謝してるわ。

でも兄さんや特待生の人達を犠牲にしたことは話が別よ?」

「…明日香君。すまない。…いや、ありがとう。」

 

 感謝の言葉にヘリの音が聞こえる。そして、ヘリが影丸をのせて飛んでいった。どうやら、生命維持装置を壊したことが原因で体調が急激に悪化。1度本島に戻り治療を施すつもりらしい。去り際に、満足そうに笑いながら止めたことに対する感謝の言葉とカミューラに対する謝罪の言葉が耳に残った。

 

「やれやれ。これで終わりか。」

 

 俺は呟きながら3幻魔のカードを封印した。



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デュエル48 雪乃

このお話を読んでくださる皆様ありがとうございます。


 

 

 3幻魔の騒動から数週間たったある日、俺達6人は電車に揺さぶられとある駅に降り立った。『電車』と『駅』の言葉から想像できるかもしれないが、俺達はデュエルアカデミアを離れて本島にいる。何故、デュエルアカデミアを離れたのか? それは、雪乃の両親に会うためだ。早い話、雪乃ご両親に『お宅のお嬢さんを僕にください。』と言うためだ。

麗華や明日香の両親にはOKを貰えている。だけど、雪乃の両親は雪乃が俺とつき合うのに大反対らしい。2人が下した決断は、

『今すぐにアカデミアを退学して、こちらが選んだ男と結婚する』

というものらしい。それに腹をたてた雪乃と話をして両親を説得するために来たのだ。

 

 

 

 

 

「ダメだ! 貴様のような誰ともわからん馬の骨に大事な雪乃をやれるか!」

「…私も貴方みたいな人と娘が付き合うのを認められません。」

 

 頭ごなしに俺を馬の骨扱いする雪乃のお父さんに対して雪乃のお母さんは静かに俺を非難していた。

 

「お願い! パパ! ママ!  私と一は「待って。雪乃。」」

 

 ご両親を説得しようとする雪乃を制止した。

 

「雪乃のご両親は雪乃の気持ちを理解しているはずだ。でも、だからこそ、俺のような二股どころか五股かけてる最低野郎のところにいかせて雪乃が幸せにならないと思っているんだよ。」

 

 俺はそこまで言ってから雪乃のご両親に向き直る。

 

「雪乃のご両親も、雪乃が大事なら、雪乃の気持ちを理解してあげてください。親が子供をどう育てようと親の自由。ですが、それは子供の気持ちを理解しないとただの押し付けです。」

 

 俺の言葉に雪乃のお父さんは怒りの表情を浮かべる。

 

「………馬の骨はデュエルアカデミアの生徒だったな? なら、デュエルで決めるのはどうだろうか?

明日、私が選んだデュエリストとデュエルしてもらう。

勝てば雪乃を連れていって構わん。しかし、負けたら雪乃の事は諦めてもらうぞ?」

 

 これが最終決定か。もし断ればそれを理由に強引に別れさせかねない。

というか、ニヤリと笑う笑みには何かあるな?

 

「わかりました。それで構いません。」

 

 俺は雪乃のお父さんに頭を下げてその場を後にした。2人にある頼みをするために。

 

 

 

「よく来たな! 馬の骨!」

 

指定された場所につくと雪乃のお父さんが腕を組んでこちらを見ていた。

その横に1人の男がまるで親の仇でも見ているかのように俺を睨み付けていた。

 

「んげ!」

 

 雪乃の知り合いらしく露骨に嫌そうな表情になる。

 

「雪乃の知り合い?」

「幼なじみって奴よ。認めたくないけどね。思い込み激しくて人の話を聞かないから困ってるのよ。」

「雪乃をたぶらかす悪魔が! 僕が成敗してくれる!」

 

 雪乃の答えに、男は俺を睨み付けていた理由に気づいた。どうやら、この男、雪乃のストーカーらしい。

しかし、雪乃が俺の方に来たのが気に入らない。という奴だろう。

 

「馬の骨は彼、高宮君とライディングデュエルをしてもらう!」

 

 やっぱり、予想した通りだ。

 

「ふん! デュエルアカデミアで暮らしている馬の骨は知らないだろうが、

これは、専用のデュエルマシーンを使った今までとはまったく違う新しいデュエルだ!

当然、専用のデュエルマシーンが必要になるが馬の骨は持ってないようだな! では、馬の骨はふ「おーい!!」」

 

 雪乃のお父さんの言葉を遮るかのように、イケメンに成長したモクバが声をあげる。その後ろで、磯野さんが流星号を押して歩いている。

 

「頼まれたDホイールを持ってきたぜ。」

「ありがとう。モクバ。」

 

 俺がDホイールを持っていた事に雪乃のお父さんが悔しそうに表情を歪めていた。

 

「大丈夫ですよ。あんな奴。僕が倒して見せます。」

「頼んだぞ。高宮君。」

 

 雪乃のお父さんの肩を叩きながらの高宮某の言葉に期待を込めて言う。

 

 

 

「準備はいいか? ペテン師?」

「誰がペテン師だ! 誰が!」

「君以外に誰がいる? デュエルアカデミアに行ったのを良いことに僕の雪乃君を洗脳してたぶらかす外道が!」

 

 高宮の言葉に雪乃が激昂する。

 

「誰があなたのよ!!」

 

 雪乃の言葉に高宮が軽く手を振って叫んだ。

 

「待っててね! 雪乃君! このペテン師を倒して君の目を覚ましてあげるからね!」

 

 その言葉に雪乃は今度は俺に向かって声をあげる。

 

「一!! 絶対に勝ちなさいよ!!」

 

 その言葉に親指をたてつ答えてから、ライディングデュエル専用のサーキットのスタートラインにDホイールを並べる跨がる。

 

 

「Libra。ライディングデュエル、マニュアル発進モードに移行。」

 

『了解。スピードワールドは?』

 

「スピードワールド1の方で。」

 

『了解。スピードワールド1をセットします。カウント開始。』

 

 Libraはそう言いながらカウントを数え始め、0を言ったとき俺は叫んだ。

 

「Ridding Duel Acceleration!!」

 

 俺の叫びに2人は同時に走り始めた。

俺と高宮は同時に走り出し、俺が先に第1コーナーを通過した。

 

「俺のターン! ドロー!」

 

 その瞬間にスピードカウンターが発生する。(一sc1 高宮sc1)

 

「俺はA(エンジェリック)HERO(ヒーロー) トタルスを守備表示で召喚! カードを1枚伏せてターンエンド!」

 

一ライフ4000 手札4

伏せカード1枚

トタルスDEF900

 

フィールドスピードワールド

一 sc1

高宮 sc1

 

 

高宮ライフ4000手札5枚

 

「僕のターン! ドロー!」

 

 その宣言と共に高宮はカードを引く。(一sc2

高宮sc2)

 

「僕はカードを2枚伏せて、スピードランチャーを攻撃表示で召喚!」

 

 高宮がフィールドにカードを置くとロケットランチャーを構えた戦士が現れる。

 

「スピードランチャーでそのモンスターを攻撃!」

 

 攻撃宣言にロケットランチャーを構え発射する。

 

「この瞬間、スピードランチャーの効果発動!

自身の効果で攻撃宣言を取り消すことでペテン師は自身のスピードカウンターを1つ取り除き僕はスピードカウンターを1つ増やすか、500ダメージを受けるか、どちらかを選べ!」

「俺は500ダメージを受ける!」

 

 その言葉にロケットランチャーが俺に向かって飛んでくる。(一ライフ4000-500=3500)

 

スピードランチャー 風属性レベル4

攻撃力1900守備力300

 

【戦士族・効果】(自作オリカ)

このカードの攻撃宣言時自身の攻撃を無効にすることが出来る。その時、相手は以下の効果を選択する。

①自分用のスピードカウンターを取り除き、相手はスピードカウンターを1つ得る。

②自分は500ダメージを受ける。

 

 

「僕はこれでターンエンド!」

 

一ライフ3500 手札4

伏せカード1枚

トタルスDEF900

 

フィールドスピードワールド

一 sc2

高宮 sc2

スピードランチャーATK1900

伏せカード2枚

高宮ライフ4000手札3枚

 

「俺のターン! ドロー!」

 

 俺がカードを引いた瞬間、高宮のフィールドから1枚のカードが翻った。

 

「永続トラップスピードジャマーを発動! スタンバイフェイズ時に貴様は自分用のスピードカウンターを乗せることはできない。ライディングデュエルでは通常の魔法は使えない。魔法カードを使うにはスピードカウンターを貯めておくしかない。」

 

 だけど、スピードジャマーのせいでスピードカウンターを乗せることはできない。つまりほとんどの魔法カードは封じられたも同然だ。(高宮sc3) 

 

スピードジャマー(自作オリカ)

 

相手は自分用のスピードカウンターを乗せることはできない。

 

「手札からスピードスペル エンジェルバトンを起動! 俺のスピードカウンターが2つある時、2枚ドローして1枚捨てる!

 チューナーモンスターA(エンジェリック)HERO(ヒーロー) ライラ召喚! 効果でA(エンジェリック)HERO(ヒーロー) ガードナーを召喚!

レベル4ガードナーに、レベル2ライラをチューニング!」

 

 ライラは緑色に輝く二つの輪となり、ガードナーがその中に飛び込み4つの星になった。

 

★2+☆4=☆6

 

「熱き願いが邪悪を焼き尽くす天界の戦士となる!

光り差す路となれ!

シンクロ召喚!

焼き尽くせ! A(エンジェリック)HERO(ヒーロー) ウリエル!」

 

 炎をまといし天界の戦士が降臨した。

 

「ウリエルの効果起動! スピードランチャーを破壊してその攻撃力の半分のダメージを与える! ジャッジメント・フレア!!」

 

 俺の言葉にウリエルは焔の塊をスピードランチャーに叩きつけ破壊した。(高宮ライフ4000-1900÷2=3050)

 

「バトルフェイズ!

ウリエルでダイレクトアタック!」

「させないよ! 永続トラップソニックジャマー! 僕のスピードカウンターを1つ取り除く事で攻撃を無効にする!」

 

 高宮はそういいながらウリエルの攻撃をかわす。(高宮sc2)

 

 

 

ソニックジャマー

永続トラップ

 

自分用のスピードカウンターが相手よりも多い場合、自分用のスピードカウンターを1つ取り除く事でモンスターの攻撃を無効にする。

 

「ターンエンド!」

 

一ライフ3500 手札4

伏せカード1枚

トタルスDEF900 ウリエルATK2600

 

フィールドスピードワールド

一 sc2

高宮 sc2

 

伏せカード0枚 スピードジャマー ソニックジャマー

高宮ライフ3050手札3枚

 

「僕のターン! ドロー!」(高宮sc3)

 

 高宮はカードを引いた瞬間、笑みを浮かべていた。

 

「僕はスピードランチャーを攻撃表示で召喚!」

 

 2枚目のスピードランチャーが来たか!

 

「スピードランチャーで攻撃するけと、自身の効果で攻撃を無効にするよ!

さて、どっちを選ぶ?」

「500ダメージを受ける。」

 

 その言葉にロケットランチャーを構え発射する。(一ライフ3500-500=3000) 

 

「カードを1枚伏せて、僕はターンエンドするよ。」

 

一ライフ3000 手札4

伏せカード1枚

トタルスDEF900 ウリエルATK2600

 

フィールドスピードワールド

一 sc2

高宮 sc3

スピードランチャーATK1900

伏せカード1枚 スピードジャマー ソニックジャマー

高宮ライフ3050手札2枚

 

「俺のターン! ドロー!」(高宮sc4)

 

 俺がカードをドローした時、高宮のスピードカウンターが1つのる。

さて、どうするか。スピードランチャーの効果は攻撃宣言をすることが前提条件だからこのカードで止めれるが、あくまで一時しのぎ。仕方ない。ここは耐えるしかない。

 

A(エンジェリック)HERO(ヒーロー) マンセマットを攻撃表示で召喚!」

 

 俺のフィールドに烏のように真っ黒いは翼の天使が現れる。

 

「さらに、カードを2枚伏せてターンエンド!」

 

一ライフ3000 手札2

伏せカード3枚

トタルスDEF900 ウリエルATK2600 マンセマットATK700

 

フィールドスピードワールド

一 sc2

高宮 sc4

スピードランチャーATK1900

伏せカード1枚 スピードジャマー ソニックジャマー

高宮ライフ3050手札2枚

 

「僕のターン! ドロー!」(高宮sc5)

 

 高宮がカードをドローした時、笑みを浮かべていた。

 

「手札からスピードスペル スピードストリームを発動!

ペテン師に1000のダメージを与える!」

 

 高宮が発動したカードが衝撃波となり俺にダメージを与える。(一ライフ3000-1000=2000)

 

「そして、スピードランチャーで攻撃! 効果により攻撃を無効にする!」

「リバースカード起動! 重力解除! フィールドのモンスター表示形式を入れ換える!」

 

 俺のフィールドから翻ったカードがモンスターの表示形式を入れ換える。

 

「なら、重力解除が墓地に送られた時にリバースカードオープン! リビングデッドの呼び声!

墓地のスピードランチャーを蘇生して攻撃!

効果で攻撃を無効にする!」

 

 その言葉に俺は笑みを浮かべていた。

 

「俺は500ダメージを受ける!」(一ライフ2000-500=1500)

「僕はこれでターンエンド!」

 

一ライフ1500 手札2

伏せカード0枚

トタルスATK200 ウリエルDEF1700 マンセマットDEF1200

 

フィールドスピードワールド

一 sc5

高宮 sc5

スピードランチャーADEF200 スピードランチャーBATK1900

伏せカード0枚 スピードジャマー ソニックジャマー リビングドっドの呼び声(対象スピードランチャーB)

高宮ライフ3050手札2枚

 

「俺のターン! ドロー!」(高宮sc6)

 

 俺がカードをドローする。そして、ドローしたスピードスペルをフィールドに差し込んだ。

 

「スピードスペルエンジェルバトンを起動! 2枚ドローして手札1枚捨てる!

 

そして、チューナーモンスターマンセマット!

このモンスターは自分のモンスターをシンクロ素材に出来ないけど2体以上のモンスターが相手フィールド上に存在するときのみ守備表示のモンスターをシンクロ素材に出来る!

スピードランチャーにマンセマットをチューニング!」

 

A(エンジェリック)HERO(ヒーロー) マンセマット レベル4闇属性ATK700 DEF1200

【戦士族・効果 チューナー】

このカードは天使族としても扱う。このカードをS召喚に素材にする時、このカード以外の自分フィールド上に存在するモンスターをS素材にする事が出来ない。相手フィールドに2体以上、モンスターが存在する時、守備表示モンスターをS素材にする事が出来る。ただし、相手モンスターのレベルは半分になる。

 

 その言葉にマンセマットは黒い輪になりスピードランチャーの4つの星が割れ2つになった。(☆4÷+★4=☆6)

 

「バカな! 特殊召喚のために僕のモンスターを利用しただと!」

「ただし、この効果を使った為、スピードランチャーのレベルは半分になるけどな。

集いし星が生誕祝う()となる!

光差す路となれ!

シンクロ召喚!

A(エンジェリック)HERO(ヒーロー) ガブリエル!」

 

 俺の言葉に、受託告知する天使が現れる。

 

「ガブリエルの効果起動!このモンスターのシンクロ召喚成功時、フィールド上にあるA(エンジェリック)HERO(ヒーロー)と同じレベルのモンスターを墓地から特殊召喚する!

墓地からチューナーモンスター、A(エンジェリック)クリボーを特殊召喚!」

 

A(エンジェリック)HERO(ヒーロー) ガブリエル 水属性 レベル6

ATK2300 DEF1000

【戦士族・効果 シンクロ】

チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

このカードは天使族としても扱う。自分フィールド上に存在するA(エンジェリック)HERO(ヒーロー)と同じレベルのモンスターを墓地から特殊召喚する。

 

「2枚目のエンジェルバトンの時だね?」

「ああ。さらに、A(エンジェリック)HERO(ヒーロー) ソロネを召喚!

レベル4、ソロネとレベル1トタルスにレベル4ソロネをチューニング!

集いし星が邪悪を裁く星となる光差す路となれ! シンクロ召喚!

A(エンジェリック)HERO(ヒーロー) ミカエル!」

 

 俺のフィールドに天秤を抱えた天使が現れる。

 

「ミカエルの効果起動! 俺のライフが相手よりしたの時、相手のモンスターを1体破壊する!」

 

 俺のその言葉にミカエルが掲げる天秤がカタンと傾く。その瞬間、スピードランチャーが砕け散る。

 

「ふ、ふん! 攻撃力の高いモンスターを3体も並べたのは驚いたけど、僕のフィールドにソニックカウンターがある限り、僕は君に攻撃する事ができない!」

「それはどうかな?

バトルフェイズ!

ウリエルでダイレクトアタック! 神炎の焔!」

 

 高宮はウリエルが放つ焔の塊をかわした。(高宮sc5)

 

「ガブリエルの攻撃! 生誕の歌声!」

 

 ガブリエルが唄う歌声を

防ぐことができずダメージを食らう。(高宮ライフ3050-2300=750

高宮sc3)

 

「どういう事だ! 僕のスピードカウンターはまだあるのに!」

「答えはスピードカウンターにある。俺達のスピードカウンターを見てみろ。」

(一sc5

高宮sc3)

「バカな! スピードカウンターが増えているだと! まさか、イカサマを!」

「違う。前のターン、スピードスペルを起動させた時、俺はトラップカード、スリップストリームを起動させた。このカードはスピードスペル起動時に、相手と同じ数のスピードカウンターが乗る。」

 

 スピードカウンターの増加はこれが答えだ。

 

「だ、だけど、ソニックジャマーがある限り、ペテン師の攻撃は無効になるはずだよ!」

「ソニックジャマーの効果はお前のスピードカウンターが俺のスピードカウンターより多いとき、自分のスピードカウンターを一つ取り除いて、攻撃を無効にするだ。」

「同じことだ! スピードカウンターがよりも大きいだろう!」

 

 よりと以上の違いがわかってないのか?

 

「よりも多いは基準点となる数字は含まない。つまり、スピードカウンターが並んだら防ぐことができない。

ミカエルのダイレクトアタック!

パニッシュメント・ライト!」

 

 ミカエルの輝きは高宮のライフを削りきった。

 

 

「まさか、この僕が………。」

 

 ライフがつきて茫然としている高宮に近づいた。

 

「俺の勝ちだ。雪乃は諦めろ。」

 

 その言葉にカチンと来たのか、高宮は激昂していた!

 

「ふざけるな! このペテン師が! こんな勝負無効だ!」

「そ、そうだ! こんな結果は認め「見苦しいわよ。あなた?」………。」

 

 言いかけた雪乃のお父さんの言葉をお母さんが遮った。

 

「もともとこの勝負はあなたから言い出したことでしょう?

それを彼は受けて勝った以上の潔く認めるものでしょう?

それは確かに、雪乃の夫として、彼がふさわしいとは思えません。しかし、あなたの出した条件に挑みそして勝ったのですから、認めましょう。」

 

 その言葉に雪乃のお父さんは、ガックリと肩を落とした。

 

「ありがとうございます。」

 

 2人に礼を述べ、雪乃にヘルメットをかぶらせて流星号の後ろに股がらせて発進させた。



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デュエル49 進化の究極

感想頂きました、交響魔人様、ならびにこのお話を読んで下さる皆様ありがとうございます。


 

 

「ただいま~。」

「おかえりなさい♪」

 

 俺と雪乃がデュエルアカデミアに戻った時、翼達が笑顔で出迎えてくれた。

デュエルフィールドでは、丸藤亮と遊城十代との卒業デュエルが行われている。どうやら、最終局面に入ったらしい。サイバー・エンド・ドラゴンがE(エレメンタル)HERO(ヒーロー) シャイニング・フレアウィングマンに襲いかかるところだ。そして、

 

「トラップ発動! 決闘融合ーファイナルフュージョン!」

 

 シャイニング・フレアウィングマンとサイバー・エンドがぶつかり合って大爆発を引き起こし、両者のライフが尽きたのだった。

それを見ていた俺は、明日香に向かって口を開いた。

 

 

 

「随分古風な事をするのだな?」

 

 亮は明日香経由で渡された果たし状を手に灯台に立っていた。

 

「まあな。で、ここに来てくれたって事は俺とデュエルするんだろ?」

「ああ。俺は君とも戦いたいとも思ってたからな。」

 

 亮はそう言ってデュエルディスクを展開させる。

 

 

 

決闘(デュエル)!!』

 

 

 俺達はそう言いながらカードをドローした。

 

「俺のターン! ドロー!

D(ダーク)HERO(ヒーロー) ロックマンを攻撃表示で召喚! そして、進化の魔薬を起動!

ロックマンを生け贄に、D(ダーク)HERO(ヒーロー) サンドマンを守備表示で召喚!

カードを1枚セットしてターンエンド!」

 

一ライフ4000手札3枚

伏せカード1枚

伏せモンスター0枚 サンドマンDEF2200

 

伏せモンスター0枚

伏せカード0枚

亮ライフ4000手札5枚

 

「俺のターン!

ドロー! 相手のフィールドにのみモンスターがいるとき、サイバー・ドラゴンを特殊召喚!

さらに融合呪印生物ー光を召喚!」

 

 げ! この組み合わせは!

 

「融合呪印生物ー光とサイバー・ドラゴンを生け贄にサイバー・ツイン・ドラゴンを特殊召喚!

バトル!

サイバー・ツイン・ドラゴンでサンドマンを攻撃!」

 

 亮の攻撃宣言にサイバー・ツイン・ドラゴンは砂をまとった戦士に攻撃を仕掛ける。そして、粉微塵に吹き飛ぶ。

 

「そして、サイバー・ツイン・ドラゴンはもう一回攻撃出来る! サイバー・ツイン・ドラゴンで………「待った! 俺のフィールド確認しろ。」

? 何! サンドマンがフィールドにいるだと!」

 

 飛び散った砂が元の位置に戻り、サンドマンが姿を現した。

 

「サンドマンは戦闘では破壊されない。」

 

D(ダーク)HERO(ヒーロー) サンドマン 地属性レベル5

ATK1000 DEF2200

 

【戦士族・融合 効果】

このモンスターは進化の魔薬、もしくはアナザーワールドエヴォリューションの効果でのみ特殊召喚出来る。

このカードは戦闘では破壊されない。(但し戦闘ダメージは適用する。)

 

「カードを1枚セットしてターンエンド!」

 

一ライフ4000手札3枚

伏せカード1枚

伏せモンスター0枚 サンドマンDEF2200

 

伏せモンスター0枚 サイバー・ツイン・ドラゴンATK2800

伏せカード1枚

亮ライフ4000手札3枚

 

「俺のターン!

ドロー! D(ダーク)HERO(ヒーロー) ファイアリィガール召喚! さらに、進化の魔薬を起動!

ファイアリィガールを生け贄にD(ダーク)HERO(ヒーロー) フレアレディを特殊召喚!

そして、フィールド魔法夜天街ーミッドナイトタウン起動!」

 

 俺がフィールド魔法ゾーンにカードを置くと、高層建築が立ち並ぶ街並みに変化する。

 

「サンドマンを攻撃表示に変更して、バトル!

フレアレディでサイバー・ツイン・ドラゴンを攻撃!」

「サイバー・ツイン・ドラゴンの攻撃力は2800。2400のフレアレディでは届かない。しかし、」

「ミッドナイトタウンはD(ダーク)HERO(ヒーロー)が攻撃力の高いモンスターに攻撃をするとき、攻撃力が1000アップする。」

 

 サイバー・ツイン・ドラゴンの攻撃をジャンプでかわしたフレアレディは高層建築の一番上まで上り、サイバー・ツイン・ドラゴンめがけ一気に駆け降りた。爆発。そして、フレアレディがフィールドに戻る。(亮ライフ4000-2400-1000+2800=3400)

 

「サンドマンでダイレクトアタック!」

「させない! リビングデッドの呼び声! サイバー・ドラゴンを攻撃表示で召喚!」

 

 サンドマンの攻撃力じゃ突破できない。

 

「攻撃をキャンセルしてターンエンド!」

 

一ライフ4000手札2枚

伏せカード1枚

伏せモンスター0枚 サンドマンATK1000 フレアレディATK2400

夜天街ーミッドナイトタウン

伏せモンスター0枚 サイバー・ドラゴンATK2100

伏せカード0枚 リビングデッドの呼び声

亮ライフ3400手札3枚

 

「俺のターン!

ドロー! サイバー・ドラゴン・ツヴァイ召喚! 手札の融合を見せて発動!

サイバー・ドラゴンとサイバー・ドラゴン扱いのサイバー・ドラゴン・ツヴァイを融合して、サイバー・ツイン・ドラゴンを召喚!」

 

 またか!

 

「サイバー・ツイン・ドラゴンでフレアレディとサンドマンを攻撃!」

 

 サイバー・ツイン・ドラゴンがフレアレディとサンドマンに攻撃した。(一ライフ4000-2800-2800+2400+1000=1800)

 

「これでターンエンド!」

 

一ライフ1800手札2枚

伏せカード1枚

伏せモンスター0枚 サンドマンATK1000 

夜天街ーミッドナイトタウン

伏せモンスター0枚 サイバー・ツイン・ドラゴンATK2800

伏せカード0枚 リビングデッドの呼び声

亮ライフ3400手札2枚

 

「俺のターン!

ドロー!」

 

 ダメだな。いいカードがない。

 

「Dーディスティニードロー起動! 全てのプレイヤーは3枚ドロー!その中にある通常モンスターを相手に見せて追加ドロー!」

 

 ドローしたカードには………。ダメだな。一番来て欲しいカードが来たが、この状況じゃ使えない。

 

「サンドマンを守備表示に変更してターンエンド!」

 

一ライフ1800手札5枚

伏せカード1枚

伏せモンスター0枚 サンドマンDEF2200 

夜天街ーミッドナイトタウン

伏せモンスター0枚 サイバー・ツイン・ドラゴンATK2800

伏せカード0枚 リビングデッドの呼び声

亮ライフ3400手札5枚

 

「俺のターン!

ドロー! 融合解除発動!サイバー・ツイン・ドラゴンを戻して、サイバー・ドラゴンとサイバー・ドラゴン・ツヴァイを召喚!」

 

 わざわざ、融合解除した? ………っ!! まさかっ!!

 

「手札のパワーポンドを見せて、発動!

サイバー・ドラゴン2体とサイバー・ドラゴン扱いのサイバー・ドラゴン・ツヴァイを融合!!」

 

 シギャアッ!!

 

 敵としてみるとインパクト有るな。丸藤亮の背後で威嚇する機械龍の咆哮にそう思った。

 

「サイバー・エンド・ドラゴンを融合召喚!

サイバー・エンド・ドラゴンでサンドマンを攻撃!!

エターナル・エヴォリューション・バースト!!」

 

 亮の攻撃宣言に三つ首の機械龍が光線を吐き出す。

 

「ガードブロックを起動! ダメージを無効にして1枚ドロー!」

「仕留められなかったか。サイバー・ジラフ召喚! 生け贄に捧げ、パワーポンドのデメリットを回避させてもらう。ターンエンド!」

 

一ライフ1800手札6枚

伏せカード0枚

伏せモンスター0枚 サンドマンDEF2200 

夜天街ーミッドナイトタウン

伏せモンスター0枚 サイバー・エンド・ドラゴンATK8000

伏せカード0枚 リビングデッドの呼び声

亮ライフ3400手札3枚

 

「俺のターン!

ドロー!」

 

 さて、ドローしたカードは………。

 

「手札から進化の破棄を起動! 自分フィールドのD(ダーク)HERO(ヒーロー)と名のつくモンスターを選択してそのモンスターと同じ属性のD(ダーク)HERO(ヒーロー)を3種類を融合デッキから選び全て墓地に送り2枚ドロー! 俺のフィールドにいるD(ダーク)HERO(ヒーロー)は地属性。よって同じ属性のウッドマン、グラスマン、デザートガイを墓地に送る!」

 

 そう言ってから目を閉じてデッキに手を置いた。

 

「亮! 進化の究極を見せる! そして、その先に何があるか、その2つの目でしっかりと焼きつけろ! ドロー!

手札から最終進化ーファイナルエヴォリューションを起動! 俺の墓地にD(ダーク)HERO(ヒーロー)と名のつくモンスターが5枚以上有るとき、発動可能!

デッキ、手札、融合デッキから2枚のカードを選択して、手札と融合デッキに置く!

残りは全て墓地に行く!」

 

 俺はそう言って、デッキから魔法カードを手札に、融合デッキにモンスターを置き残りを墓地に置いた。

 

最終進化ーファイナルエヴォリューション 通常魔法カード(自作オリカ)

 

 自分の墓地にD(ダーク)HERO(ヒーロー)と名のつくモンスターが5枚以上有るとき、発動出来る。

デッキ、手札、融合デッキにあるカードを2枚選び、手札と融合デッキに置き残りを墓地に送る。このカードで墓地に送られたカードはデッキに加えることはできない。

 

「eclipticを起動! 俺の墓地にあるレベル10(テン)D(ダーク)HERO(ヒーロー)と名のつく融合モンスターを12種類ゲームか除外して、融合デッキからD(ダーク)HERO(ヒーロー) Sunを融合デッキから特殊召喚!」

 

 俺が魔法カードをマジックトラップゾーンに置くと、太陽が現れ光の道をたどって行く。その先にある12の星座を通過すると、俺のフィールドに重厚な鎧を纏いサイバー・エンド・ドラゴンと丸藤亮に視線を向ける戦士が現れた。

 

ecliptic 通常魔法カード(自作オリカ)

 

このカードは最終進化ーファイナルエヴォリューションを発動したターンしか発動出来ない。自分の墓地にあるD(ダーク)HERO(ヒーロー)と名のつくレベル10の融合モンスターを12種類、ゲームから除外して融合デッキからD(ダーク)HERO(ヒーロー) Sunを融合召喚する。

 

D(ダーク)HERO(ヒーロー) Sun 光属性レベル12

ATK? DEF?自作オリカ

 

【戦士族・融合 効果】

このカードはeclipticの効果でのみ召喚できる。このカードの攻撃力、守備力はゲームから除外されているD(ダーク)HERO(ヒーロー)と名のつくレベル10の攻撃力の合計となり、ゲームから除外されているD(ダーク)HERO(ヒーロー)の効果を得る。

 

「な、何だと!」

 

 デュエルディスクで確認した亮は驚きの声を上げる。

 

「バトルフェイズ!」

 

 俺の言葉に亮は満足したのか、深々と目を閉じた。

 

「………は行わないでターンエンド。」

「………な?」

 

 その言葉の意味を理解できずまの抜けた声を上げる亮。そこにしてやったりと笑みを浮かべた。

 

「だから、ターンエンドだって。亮のターンだ。」

 

 俺の言葉に戸惑いの表情を浮かべそれでも、亮は自分のターンを進行させた。

 

「俺のターン! ドロー! 何もせず、ターンエンド!」

(亮win 一デッキ切れでドローしようとしたため敗北)

 

 

「一。どうして、攻撃をしなかった? 攻撃をしていれば勝てたはずだ?」

「答える前に問うが、亮は『パーフェクトデュエリスト』と呼ばれている。そして、自分のどこかで、それを認めてないか?」

 

 俺の質問に亮は何も答えない。ただ黙って俺を見るのみだ。

 

完璧(パーフェクト)ってのはそれ以上進化できない状態だ。それを自分で認めたら、後は何も出来ず衰退するのみだ。それが嫌なら、パーフェクトなんて殻を破り捨て、上を目指して足掻き続けるしかないんだ。」

 

 俺はそう言って、から3枚のカードを亮に渡した。




自分で作って言うのもなんですが無茶苦茶なオリカ作ってしもうたかもしれません。
今回だけのつもりですので、それで納得いただけると幸いです。


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2年目
デュエル50 2年目始動


このお話しを読んでくださる皆様ありがとうございます。


 

 

「帰ってきたな。」

 

 船から降りた俺達は遠くにあるデュエルアカデミアを見て呟いた。

 

「これからどうしようね?」

 

 翼の問いに俺は思案していた。『破滅の光』は十代が持つ『正しき闇』でないと倒せない。だからこそ、『破滅の光』を止めるには十代任せになってしまう。

 

「でも、そうなると、十代君が辛い目に合うんだよね。」

「だよな。」

「? どういう意味よ?」

 

 十代がフェニックスとのデュエルで負け、カードを認識出来なくなる。正直デュエル馬鹿の十代がデュエル出来なくなるのを見るのは辛い。結局答えの出ぬまま、オシリス・レッド寮についた時、誰かがデュエルしているのに気づきそちらに向かう。

 そこでは、十代と銀髪の少年がいた。

 

「速攻魔法発動! 融合解除! E(エレメンタル)HERO(ヒーロー) テンペスターの融合を解除する!」

 

 十代が発動させたカードがテンペスターの融合を解除して、フェザーマン、バブルマン、スパークマンを特殊召喚した。

そして、その3体の攻撃で銀髪の少年、エド・フェニックスのライフが0になった。

 

「久しぶり。十代にフェニックス。」

 

 俺の声に2人は違った反応を見せた。

 

(はじめ)! 明日香に雪乃にマナに翼も久しぶりだな!」

 

 嬉しそうに声をあげる十代にたいしてフェニックスは、

 

斎藤(さいとう)(はじめ)ぇ。」

 

 まるで親の仇を見るかのように俺を見ていた。久しぶりの再会だというのに酷い嫌われようである。

 

「なんだ? 知り合いか? それにしては、親しくなさそうだが?」

「まぁな。訳ありでフェニックスには嫌われてるんだよ。」

 

 俺がそう言ってからフェニックスに向き直る。

 

「フェニックス。お前の事情もわからんでもないが、だからと言って、人が気に入っているカードにケチつけるのはよくないぜ?」

「うるさい! お前も、十代も僕が倒す! 首を洗って待っていろ!」

 

 フェニックスはそう言ってこの場を去った。

 

「なぁ、一。なんでエドに嫌われてるんだ?」

「すまん。こればかりはフェニックスの過去に関わる話だからな。本人の許可なく話せない。一言で言うと、俺がHERO使いだからだ。」

 

 特に俺が使うのはD(ダーク)HERO(ヒーロー)で、フェニックスがD(ディー)HERO(ヒーロー)を使うから余計に嫌われてるわけだ。

 

「まぁいいか。それより、一。デュエルしようぜ。」

「悪い。パス。荷物の整理しなきゃならんし。」

 

 俺の言葉に十代は唇を尖らせていた。

 

「ちぇ。でも、それが終わったら俺とデュエルしようぜ。」

 

 十代の言葉に俺は首を縦にふった。



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デュエル51 スター発掘デュエル

感想頂きました青いカンテラ様、灰流うらら様。並びにこのお話しを読んでくださる皆様ありがとうございます。


 

 

「お~い♪」

 

 オベリスク・ブルーの女子の制服を着た翼がピョンピョンとはねながら手を振っていた。今日から翼が転入生として生徒になるなんて感慨深いな。

 

「エヘヘ♪ ボク、可愛い?」

 

 クルッとターンする翼に俺は親指を立てていた。

 

「ありがとう♪」

 

 翼はそう言いながら俺に抱きついた。ちなみに、今この場は、デュエルアカデミアにあるデュエルフィールドであり、大勢の人がスター発掘デュエルを見る為に来ている。

早い話、大勢の人に注目されているわけで、次の瞬間赤、青、黄。3色のフードを着た男達が俺達を包囲していた。

 

「 諸君、ここはどこだ?」

『最後の審判を下す法廷だ!』

「異端者には?」

『死の鉄槌を!』「男とは?」

『愛を捨て、哀に生きる者!』

「宜しい。これより……RYBDAUO異端審問会を始める!」

 

 

 

「………俺に何か言うことは?」

 

 先行ターンでエクゾディアを決めたからか、ブスブスと焦げ臭い香りを漂わせているフードを被った連中に問いかけると、須藤が痙攣しながらも答えていた。

 

「こ、これで終わったと思うなよ? お、俺達が倒れても新たなRYBDAUO異端審問団が異端者を裁くからな。

ガクッ。」

 

 ………自分でガクッって言っちゃったよ。

俺は騒動を唖然とした表情でこちらを見ていたクロノスに視線を向けていた。

 

「学生達に問題有りすぎない?」

「そ、そんな感じがするノーネ。

と、とりあえず、シニョール万丈目とシニョール五階堂でデュエルしてもらうノーネ!」

 

 クロノスの言葉に戸惑った表情の1年と威風堂々が似合う態度の準が立っていた。………初々しいな。俺にもあんな時期があったな。

 

決闘(デュエル)!!』

 

 おっと、いかん。デュエルに集中せんと。

 

「俺のターン! ドロー! 切り込み隊長を召喚! 効果で荒野の女戦士を特殊召喚!」

 

 ………………………。

 

「はぁ?」

「雑魚ね。」

「あれで中等部のエリートなのかな?」

「中等部もレベルが低いよね。」

「あの子が中等部のエリートなんて、恥ずかしいわ。」

 

 俺、雪乃、翼、マナ、明日香の言葉に意味がわからないのか、翔が?を浮かべる。

 

「戦闘破壊限定のリクルートモンスターを守って何がしたいのさ?」

「………あ。」

 

 俺の言葉に翔が気づいたらしい。

 

「切り込み隊長に神剣フェニックスブレードと宝玉の剣を装備!」

 

 その言葉に切り込み隊長の武器が変化した。

 

「やったせ! 五階堂さんのマジックコンボ!」

「さすがの万丈目さんもこれには手を出せないだろう!」

「切り込み隊長のロック決めた方が手っ取り早いし、切り込み隊長が手札に1枚しかないにしても、リクルートモンスターがいるんだから、そいつの効果でサーチして次のターンに切り込み隊長のロック決めた方が良いだろうに。というか攻撃力1800なんてアタッカー次第では突破できるし。」

 

 俺の言葉に五階堂が何故か俺をにらんでいた。

 

「中途半端者の分際で人を見下しやがって! これでターンエンド。」

 

 

 

万丈目ライフ4000手札5枚

伏せカード0枚

伏せモンスター0枚

 

 

伏せモンスター0枚 切り込み隊長ATK1200+300+300 荒野の女戦士ATK1200

伏せカード0枚 宝玉の剣(切り込み隊長に装備) 神剣ーフェニックスブレード(切り込み隊長に装備)

五階堂ライフ4000手札2枚

 

 

 

「俺のターン! ドロー!

カードをセット! そして、大嵐を発動!」

 

 万丈目が発動させたカードが嵐を引き起こしフィールドの魔法を破壊する。

 

「だけど、破壊された宝玉の剣の効果発動! 1枚ドロー!」

「こちらもおじゃまジックの効果発動! おじゃま・イエロー、おじゃま・ブラック、おじゃま・グリーンを手札に加える!」

 

 万丈目が発動させたカードを見て、五階堂は驚いていた。

 

「お、おじゃまだって! そんな使えもしない雑魚カードを使うなんて、万丈目さんが落ちぶれたというデュエルアカデミアの判断は正しかった!」

「確かに落ちぶれたと見られても仕方ないかもしれん。だが、俺はこいつらに教わった事がある。」

 

『兄弟と友情の素晴らしさって奴だ!』

 

 胸を張って言うおじゃま達にたいして準は否定した。

 

「下には下がいることだ! こいつらに比べたら、俺は遥かにましだ!」

 

 準の言葉におじゃまブラザースはずっこけていた。

 

「だが、下に落ちなければ見えてこない世界もある。貴様にそれを見せてやろう!

おじゃま・レッドを攻撃表示で召喚!

おじゃま・レッドを召喚したことにより、手札のおじゃま・イエロー、おじゃま・グリーン、おじゃま・ブラックを特殊召喚!」

 

『イエーイ♪』

 

 準のフィールドにポーズを決めて現れるおじゃま達。

 

「そんな使えもしない雑魚カードを並べるなんて………。」

「手札から、おじゃま・デルタハリケーン! を発動!」

 

 準が発動したカードにおじゃま達はおしりをくっつけ回転する。そして、次の瞬間、五階堂のフィールドのカードが破壊される。

 

「俺のフィールドにおじゃま・イエロー、おじゃま・グリーン、おじゃま・ブラックが揃った時、発動可能で相手フィールドを一掃する。そして、フィールド魔法、おじゃまカントリーを発動!」

 

 えっと、フィールドには攻撃力、守備力が入れ換わったおじゃま達が4体。………1killだよな。

 

「ば、バカな! お、オベリスク・ブルーのエリートの僕がこんな雑魚に負けるだと?」

「1度負けて全てリセットしてこい! おじゃま達の総攻撃!」

 

 

 ペチン! ペチン! ペチペチ!

 

 おじゃま達の飛び蹴りが五階堂のライフを0にした。

 

 

 

「やれやれ。特に見るものがないデュエルだったな。」

 

 名前も知らないラー・イエローの生徒が重い腰をあげかけたその時、

 

「そこの半端者! 降りてきてデュエルしろ!」

 

 五階堂が指差したのは俺?

 

「半端者の分際で人の事を見下した事を後悔させてやる!」

 

 五階堂がふんぞり返って言うけど、正直いってデュエルする義理ないんだけど?

 

「やめたら? 自信満々に挑んであっさり返り討ちになったら可哀想だよ?」

 

 だよな。翼の言葉に4人が頷いていると、五階堂のおでこに青筋が浮いていた。

 

「降りてきてデュエルしないのか! 腰抜け!」

 

 その態度に何故か雪乃が怒っていた。

 

「デュエルしてあげたら? エセリートが自信木っ端微塵になるところを見たいし。」

 

 その言葉に、D(ダーク)HERO(ヒーロー)じゃない別のデッキをデュエルディスクにセットした。

 

 

 

決闘(デュエル)!!』

 

「僕のターン! ドロー!

切り込み隊長召喚! 効果で荒野の女戦士を召喚!

さらに宝玉の剣と神剣ーフェニックスブレードを切り込み隊長に装備!」

 

 何の成長もしてないし。

 

「これでターンエンド!」

 

 

 

一ライフ4000手札5枚

伏せカード0枚

伏せモンスター0枚

 

 

 

伏せモンスター0枚 切り込み隊長ATK1200+300+300 荒野の女戦士ATK1200

伏せカード0枚 宝玉の剣(切り込み隊長に装備) 神剣ーフェニックスブレード(切り込み隊長に装備)

五階堂ライフ4000手札2枚

 

 

 

「俺のターン!

ドロー!

俺も切り込み隊長を召喚!

さらにコマンドナイトを召喚! そして、連合軍を起動!」

 

切り込み隊長ATK1200+400+200×2=2000

コマンドナイトATK1200+400+200×2=2000

 

「攻撃力を自慢したいならせめてこれぐらいやれ!切り込み隊長で切り込み隊長を攻撃!!」

 

 俺の攻撃宣言に切り込み隊長が切り込み隊長に襲いかかる。(五階堂ライフ4000-1200-400-200×2+1200+300+300=3800)

 

「宝玉の剣の効果により1枚ドロー!」

「さらにコマンドナイトで、荒野の女戦士を攻撃!!」

 

 コマンドナイトの攻撃に荒野の女戦士に倒された。そして、その悲鳴が、五階堂のデッキから切り込み隊長を呼び寄せた。

 

「俺はこれでターンエンド!」

 

 

 

一ライフ4000手札3枚

伏せカード0枚 連合軍(戦士族ATK200×2アップ)

伏せモンスター0枚

 切り込み隊長ATK1200+400+200×2 コマンドナイトナイトATK

 

 

伏せモンスター0枚 切り込み隊長ATK1200

伏せカード0枚 

五階堂ライフ3000手札3枚「僕のターン!

ドロー!

切り込み隊長にグレートソードを装備! このカードを装備したモンスターは1体で2体分の生け贄になる! 切り込み隊長を生け贄に、ギルフォード・ザ・レジェンドを召喚! ギルフォード・ザ・レジェンドは墓地にある装備魔法を戦士族に装備させることができる! 神剣ーフェニックスブレードと宝玉の剣をギルフォード・ザ・レジェンドに装備!

バトルだ! ギルフォード・ザ・レジェンドで切り込み隊長に攻撃!!」

 

 ギルフォード・ザ・レジェンドが切り込み隊長を切り裂いていた。(一ライフ4000-2600-300-300+1200+400+200×2=2800)

 

「さらに死者蘇生で切り込み隊長を特殊召喚! カードを1枚セットして

ターンエンド!」

 

 

 

一ライフ2800手札3枚

伏せカード0枚 連合軍(戦士族ATK200×2アップ)

伏せモンスター0枚

 コマンドナイトナイトATK1200+400+200×1 

 

 

伏せモンスター0枚 切り込み隊長ATK1200 ギルフォード・ザ・レジェンドATK2600+300+300

伏せカード1枚 

五階堂ライフ3000手札0枚

 

 

「俺のターン!

ドロー!

切り込み隊長を召喚! 効果でコマンドナイトを召喚!」

 

 俺のフィールドに並んだ3体のモンスターを見て五階堂は舌打ちしていた。

 

「コマンドロックがかけられたか。」

「それだけじゃない。コマンドナイトと連合軍の組み合わせで攻撃力が1400アップしている。」

「く。ギルフォード・ザ・レジェンドの元々の攻撃力に並ばれたか。だけど、まだ足りないぞ! ラー・イエローの半端者じゃ、その程度がげんか………「手札から一族の結束を起動!」」

 

 何かを言いかける五階堂を無視して手札の魔法カードを発動させる。

 

「このカードは墓地の種族が一種類のみの場合、自分フィールドの同種族のモンスターは攻撃力が800アップ!

バトル!

切り込み隊長で切り込み隊長に攻撃!!」

 

 その攻撃宣言に切り込み隊長が切り込み隊長に襲いかかる。しかし、

 

キンッ!!

 

 間に割り込んだ人影がその攻撃を受け止めた。って、あれも切り込み隊長?

 

「リビングデッドの呼び声。」

「その通りだ! 切り込み隊長の攻撃宣言に発動させた!」

 

 攻撃宣言にモンスターの数が増えて巻き戻しが発生したわけか。

しかし、切り込み隊長のロックが完成して攻撃できない。

 

「このままターンエンド!」

 

 

 

一ライフ2800手札1枚

伏せカード0枚 連合軍(戦士族ATK200×3アップ) 一族の結束(戦士族の攻撃力が800アップ)

伏せモンスター0枚

 コマンドナイトナイト×2ATK1200+400+200×3 切り込み隊長ATK1200+400+200×3

 

伏せモンスター0枚 切り込み隊長×2ATK1200 ギルフォード・ザ・レジェンドATK2600+300+300

伏せカード0枚 リビングデッドの呼び声(対象 切り込み隊長1体)

五階堂ライフ3000手札0枚

 

 

「僕のターン!

ドロー!」

 

 ドローしたカードを見つめ、ひょうじょうを歪ませていた。どうやら、逆転のカードをドロー出来なかったらしい。

 

「切り込み隊長を守備表示に変更してターンエンド。」

 

 

 

一ライフ2800手札1枚

伏せカード0枚 連合軍(戦士族ATK200×3アップ) 一族の結束(戦士族の攻撃力が800アップ)

伏せモンスター0枚

 コマンドナイトナイト×2ATK1200+400+200×3 切り込み隊長ATK1200+400+200×3

 

伏せモンスター0枚 切り込み隊長×2DEF400 ギルフォード・ザ・レジェンドATK2600+300+300

伏せカード0枚 リビングデッドの呼び声(対象 切り込み隊長1体)

五階堂ライフ3000手札0枚

 

 

「俺のターン!

ドロー!

ならず者傭兵部隊召喚!」

 

 俺が召喚したモンスターを見て五階堂は笑みを浮かべていた。

 

「たかが、攻撃力1000のモンスターを呼び出しただけじゃないか。」

 

 五階堂の言葉に俺は溜め息を吐いていた。

 

「な、なんだ! その溜め息は!」

「ならず者傭兵部隊の効果は自身を生け贄にすることで、フィールドのモンスターを破壊できる!」

 

 ならず者傭兵部隊が切り込み隊長に襲いかかり全員でリンチしていた。

 

「戦士族の数は元に戻ったけど、これで隊長ロックは崩せたよな?

バトル!

切り込み隊長で切り込み隊長に攻撃!!」

 

 切り込み隊長が切り込み隊長に襲いかかる。

 

「コマンドナイトでギルフォード・ザ・レジェンドに攻撃!!」

 

 コマンドナイトがギルフォード・ザ・レジェンドに襲いかかる。(五階堂ライフ3000-1200-400×2-200×3-800+2600+300+300=3000-3400+3200=2800)

 

「コマンドナイトでダイレクトアタック!」

 

 コマンドナイトが五階堂のライフを0にした。(五階堂ライフ2800--1200-400×2-200×3=-400)

 

 

 

「ば、バカな。元オベリスク・ブルーの万丈目さんならともかく、ラー・イエローの中途半端ものにエリートの僕がまけるなんて。」

 

 予想外の敗北に俯いている五階堂に雪乃が声をかけていた。

 

「どんな気持ちかしら? ラー・イエローの中途半端者にエリートが負けるハズ無いといきこんで挑んでみれば、たいしてライフも削れず、あっさり負けた気分は?」

 

 雪乃の言葉に五階堂は口からエクトプラズマーのようなものを吐き出して意気消沈していた。



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デュエル52 恐竜デッキ

このお話を読んでくださる皆様ありがとうございます。


 

 

「十代。N○ck○ut  fighterやろうぜ! 」

 

 十代の部屋に入ると、十代と翔、準の他に見知らぬラー・イエローの生徒がいるのに気づいた。

 

「君は?」

「そういうあんたは誰だドン?」

 

 俺の問いにラー・イエローの生徒が警戒しながら問いかける。

 

「俺は斎藤一だが、君は?」

「俺はティラノ剣山ザウルス。………斎藤一って、あの(・・)斎藤一かドン?」

「どの、斎藤一だか知らないけど、デュエルアカデミアには斎藤一は一人しかいないよ。」

 

 剣山の言葉に首を傾げながら肯定していた。

 

「斎藤一。………デュエルアカデミアの女の敵。」

「ちょっと待て! そんな2つ名がついてるんかい!」

 

 ついててもおかしくないかなとは思ってたけどさ! チクショオ!

剣山の言葉に十代達の肩が震えているのが腹立つ。

 

「美女5人を食い物にしている等と、最低な事をしているとはいえ、その腕前は十代のアニキと同等とも言われているデュエリスト。

すごいザウルス! こんなデュエリストに出会えるなんて! よし! アンタ、俺とデュエルザウルス!」

 

 いきなり熱く捲し立てる剣山。

 

「俺は十代のアニキみたいな男になりたいんだドン! そのために、センパイを倒して、ビックな男になるんだドン!」

 

 人を踏み台扱いか。その勝負受けた!

 

 

 

決闘(デュエル)!!』

 

 俺と剣山はそう宣言してカードをドローした。

 

『一の ターン です。』

「俺のターン! ドロー!

Kーナイツコールを発動! デッキからD(ダーク)HERO(ヒーロー) ウォーターガールを手札に加える! 手札1枚をコストにD(ダーク)HERO(ヒーロー) ブリザレスを特殊召喚! さらにD(ダーク)HERO(ヒーロー) ダークナイトを攻撃表示で召喚! さらにカードを3枚伏せてターンエンド。」

 

 

 

一ライフ4000手札0枚

伏せカード3枚

伏せモンスター0枚 ブリザレスATK1700 ダークナイトATK1900

 

 

伏せモンスター0枚 

伏せカード0枚 

剣山ライフ4000手札5枚

 

 

 

「なるほどな。」

 

 俺のプレイングを見ていた十代が呟いていた。

 

「あ。俊足のギラザウルス対策ッスかね?」

 

 普通にそう思うよね。でも違う。

 

 

「俺のターン! ドロー!」

「その瞬間、リバースカード起動! ギブ&テイク 俺の墓地にあるモンスターを相手フィールドに特殊召喚する代わりにそのモンスターのレベル分俺のフィールドのモンスターのレベルをアップする!」

 

 まあ、レベルをアップしてもチューナーがないこのデッキには意味ないけどね。必要なのはウォーターガールを召喚したこと。俺は剣山のフィールドにウォーターガールを守備表示で置いた。

 

「んげ。」

 

 ウォーターガールの効果を知っている十代が露骨に嫌そうな表情をする。

 

「ウォーターガールの効果起動! 召喚した時、コントローラーの手札が4枚以上の時、2枚になるようにデッキに戻す!」

 

 その言葉と共に流水が剣山の手札を弾き飛ばしデッキに戻した。

 

「お、俺の手札が! ウォーターガールを生け贄に、暗黒(ダーク)トリケラトプスを生け贄召喚! バトルザウルス!

暗黒トリケラトプスでブリザレスを攻撃!」

 

 その選択で良いのかな?(一ライフ4000-2400+1700=3300)

 

「カードを1枚伏せてターンエン………「エンドフェイズ時にリバースカード起動! HERO復活! 全てのプレイヤーは墓地からHEROと名のつくモンスターを特殊召喚する! 俺の墓地にあるウォーターガールを呼ばせてもらう!」

………お、俺のデッキにはHEROがない当然墓地にはないから召喚は出来ないザウルス! ターンエン………「あ。ウォーターガールは手札が2枚以下の時にこのカードを召喚したから4枚になるようにドローするぞ。」

今度こそターンエンドザウルス!」

 

 

 

一ライフ3300手札4枚

伏せカード1枚

伏せモンスター0枚 ダークナイトATK1900 ウォーターガールATK200

 

 

伏せモンスター0枚 暗黒トリケラトプスATK2400

伏せカード1枚 

剣山ライフ4000手札0枚

 

 

 

「俺のターン! ドロー! リバースカード起動! 強制転移!

俺はウォーターガールを選ぶ! 剣山は暗黒トリケラトプスしかいないからそれをこちらに移してもらう!」

 

 俺の言葉に互いに相手のフィールドに移るウォーターガールと暗黒トリケラトプス。

 

「お、俺の恐竜さんがぁ!」

「さらに、進化の魔薬を起動! ダークナイトを生け贄にD(ダーク)HERO(ヒーロー)バットマンを召喚!」

 

 俺のフィールドにいる闇の騎士が薬を飲んだ瞬間、蝙蝠を使役するHEROになった。

 

「バットマンの効果起動! フィールド場の伏せカードを確認してそれが、トラップだった場合、破壊する! ソナーサーチ!」

 

 その効果で確認したカードは聖なるバリアミラーフォース。当然破壊される。

 

「バトルフェイズ! バットマンでウォーターガールを攻撃! バットスクラッチ!」

 

 攻撃宣言にバットマンが無数の蝙蝠にウォーターガールと剣山を襲った。(剣山ライフ4000-1900+200=2300)

 

「暗黒トリケラトプスでダイレクトアタック!」

 

 暗黒トリケラトプスの突進が剣山のライフを削りきった。(剣山ライフ2300-2400=-100)

 

 

 

「ま、負けたザウルス。どこから弾が狙い撃ちしてくるかわからなかったザウルス。

でも、センパイはカードの扱いが酷いザウルス!」

 

 ………どうゆうこと?

 

「わざわざ蘇らせたモンスターを相手に送りつけて倒すなんてそれでもアニキのライバルと呼ばれた男ザウルス!」

 

 剣山の言葉に俺は肩をすくめて問いかけた。

 

「聞くけど、剣山は大事に使われれば満足なのか?」

 

 俺の言葉に剣山は俺を見つめていた。

 

「大事にされ、それが原因で負けたとしてもか?」

 

 その言葉に剣山は驚いた表情になっていた。

 

「俺の手札にウォーターガールをフィールドに残して勝つ手段はない。次のドローに賭ければ話は別かもしれないがそれをすると、剣山に攻撃をくらい負ける可能性もある。だからこそ、俺はウォーターガール相手に送りつけたんだよ。」

 

 正直、これが正しい選択かはわからない。でも、俺がウォーターガールなら主の敗因になるぐらいなら、我が身を犠牲にしてでも勝利に貢献していたと思う。

その言葉に剣山は肩を震わせていた。

 

「で、デカイザウルス! アンタ懐が大きいザウルス! 十代やセンパイの元でなら俺はビックな男になれそうザウルス! よろしくお願いだドン!」

「あ、あぁ。よろしくな。」

 

 剣山が熱く語り差し出す両手を思わず握りながら答えていた。



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