【艦娘宝箱】ある日駆逐艦になった妹が俺の隣で寝ていました (暁刀魚)
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龍驤ちゃんとケッコンカッコカリするだけの話。

 軽空母龍驤。唯一無二の独特なシルエットを持つ空母。かの正規空母、赤城や加賀、また鳳翔と共に一航戦に在籍したこともある古強者。
 艦娘龍驤。軽空母としては他に一つもない特徴的な艦載機の振り分けと、少女らしい元気な姿が愛くるしい艦娘。MVPを取ったことを大いに喜ぶ姿や、赤城や加賀に負けたくないと語る姿は、まさしく等身大の少女のよう。少し薄い胸部装甲も、個性と言ってしまえば唯一無二絶対の個性だ。
 そんな艦娘龍驤ちゃんと、ケッコンカッコカリをする提督の話。


「龍驤!」

「うん」

 少しだけ龍驤は、神妙な面持ちで首肯した。いや、首を引っ込めるように頷いたまま、ちろりと、上目遣いでこちらを見ている。

 

「知っての通り、これで君は晴れて最高練度に達した」

「うん、ありがとうね? 一緒にいろんな海域行けて、楽しかったで?」

 ぽつりと漏れた言葉には、少しだけ朱が刺した頬が伴った。甘いりんごのようであり、思わず手を伸ばしてしまいそうな、太陽のようだった。

 

「あぁ、そうだな。だが、申し訳ないが最高練度に達した以上、君が出撃する機会も激減するだろう。秘書艦としては今後とも不動だろうが、旗艦はおそらく瑞鳳辺りに譲る事になると思う」

「あ――」

 照れくさそうに浮かべようとしていた笑みを、伸ばされたこちらの右手で差し止められる。首元にそっと添えられた右手に、少しだけ不安な彼女の瞳が奔った。

 

「けれども、だな。それは別に、私が君のことをないがしろにしているというわけでもなく、だな。その、だな」

「……ふふ」

 こちらの言葉を受けてか、ようやく、彼女は楽しげに笑ってくれた。照れくさそうでもなく、遠慮がちでもなく、優しげな、彼女らしい彼女だけの笑み。

 

「ん? な、何がおかしいのかな?」

「いやだって、提督、何や恋する乙女みたいやん? 乙女なのはうちの方やのに」

 きゃ、と楽しげに両手を頬に添えて提督から離れる。一歩だけ取って、楽しげに身体を躍らせる。

 

「え? 乙女?」

「何や失礼なやっちゃな」

 聞き返してしまったとたんに、龍驤の顔が不満気なジト目に変わる。そうして見上げる少女はどこか歳相応に見え、彼女らしく、愛らしく、好ましかった。

 

「あ、いやちが」

「ふふ、ええねんええねん。ウチ知っとるで? 提督が割りと効率主義なこと」

 慌てて弁明すると――頬に刺した朱は、それが理由なだけではなく、彼女に対する愛おしさが混じっていたことは、彼女には秘密だ――龍驤は再び楽しげに笑って言った。

 

「あ、あぁだがその」

「でも、なんやかんや言ってものぐさでお人よしなせいで効率に徹しきれないことも知っとるで」

 責め立てるような視線ではない。

 

「ん、え?」

「それに、建造だ開発だ、ってたまに悪い癖出して資源がアレになるまで建造に走ったり」

 どこか、憂いをもたせた顔つきで、思い返すように、語って聞かせるように、龍驤は続ける。狼狽するのは、こんどはこちらの方だ。

 

「あ、」

「とりあえず新しい娘が来たら突っついて交流をはかってみたり」

 続ける。

 

「い、」

「ウチのこともいっぱいツンツンしてるやろ、セクハラで訴えるで!」

 続ける。

 

「う、」

「しかも、ウチだけに飽きたらず、できれば瑞鳳はんや北上はんともケッコンカッコカリしたいとか思っとるやろ」

 続けて、

 

「え、」

「なんでも知っとるで、何でもや。提督がものぐさなこと。提督が割りと短気なこと。提督がむっつりなこと。提督が思い込みの激しいこと。……君が、ウチや皆と一緒にいて楽しいってこと。君が、皆のこと大切に思ってるってこと――君が、なんやかんや言って、ウチのことが大好きなこと」

 続けて、続けて――続けて。そうして最後に、言い切った。

 

「……お、おう」

「これからも、末永くよろしく。いつかあの海に太陽が沈んでいくその日まで、ウチはずっと、君と一緒にいたげるからね?」

 遠くを見る瞳は、やがてこちらに焦点があって、直線上に、寄り添うように向かい合う。互いを遮る道はなく。互いを咎めるモノはない。ただ寄り添って、言葉を続ける。

 

 思いは、全部のせた。

 のせられるだけのせて、崩れ落ちそうなほど山高くして、それでも乗せられない思いを込めて、龍驤に言葉を、投げかけた。

 多くの言葉が胸から浮かんで、しかし泡沫として消えてゆく。何度も言葉をつっかえさせて、何度も言葉を選びなおして、結局残った一言は、彼女に向けた、正真正銘の告白だった。

 

「……末永く、君を幸せにするよ誓うよ」

「ウチも……愛しとるから、ね?」

 

 そうして二人は――――




このたび龍驤ちゃんとコンヤクカッコカリしました。
私の一番好きな艦娘であり、一番最初のコンヤクカッコカリ艦である龍驤ちゃんに捧げます。


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弱みを握られ青葉のモノにされちゃう提督の話。

『じゃあ、司令官が私を立派な女にしてよね!』

『はいはいそのうち。そのうちいくらでもしてあげるから』(カチッ)

 

「さぁて司令官、これは一体なんでしょう」

「何のつもりだ、青葉」

「いえいえ、ものは一つ相談です。もしもこれが外部に漏れてしまったら、提督はどうなるでしょう」

「どうにもならん。そもそもこのやりとりは一体何時のものだ。心当たりがありすぎて特定できんぞ」

「昨日のものですよ」

 

「それよりも、確かに青葉達艦娘は、これが一種のじゃれあい出会うことを知っています。誰も青葉を相手にはしてくれません」

「ならば……!」

「ですが、提督のことをよく知らない人であればどうです? 変な想像しますよ? 青葉ならします」

 

「なら、改めて聞こう、何のつもりだ――青葉」

「ようやく青葉の話を聞くつもりになりましたね?」

「だが、解らん。なぜそれを俺に見せた。俺である必要がない。たしかに俺は提督だ。地位はある。しかし、金ならわざわざ俺を頼らずとも」

「暁ちゃんに、このデータをみせればいいですしね」

「…………」

 

「いやぁ、提督もなかなか鬼畜ですねぇ。青葉、もし逆襲されたらと思うと、ぞくぞくしちゃいます」

「提督たるもの、常に最悪の可能性は考えておくものだ。……まさか、味方の中にお前のような可能性があるとは思わなかったがな」

「ふふ、お褒めに預かり光栄です」

 

「じゃあ、青葉の言いなりになっていただけますか? 青葉の言うこと、全部聞いていただけますか?」

「……あぁ。煮るなり焼くなり好きにしろ。今更抵抗を見せるなど、それこそ無様だ」(カチッ)

「提督、それが隙というものですよ。今の会話、しっかり録音しましたから」

「勝手にしろ」

 

(スッ)「……青葉?」

「なんです?」

「お前は一体何をしている……?」

「提督のお洋服が邪魔なので脱がしています」

「それに何の意味がある」

「おやぁ? まだわかりませんか?」

「だから――」

 

「――――んっ」

「っ!?」

「……んっ、はふ」

「んぐ……」

「っはぁ!」

 

「――――青葉」

「なんです?」

「……お前は一体、何をしている」

「お洋服を脱いだ。半裸の提督の上に、馬乗りになって……キスを、して、います」

「それに……何の意味がある」

「ですからぁ」

 

(カチッ)『青葉の言いなりになっていただけますか? 青葉の言うこと、全部聞いていただけますか?』

『……あぁ』

「――提督は、青葉の言うとおりにしていればいいのです」

「…………お前ッ!」

「安心してください、“私”もこういうの、ハジメテですから」

 

「……青葉ッ!」

「提督、これが“私”がしたいことです。ですから提督は、ぜぇんぶ“私”に任せて頂いてよろしいですよ?」

「……」

「だって……」

 

 ――その時見た、青葉の顔を、俺は一生忘れることはないのだろう。

「……だって!」

 

 青葉は、いつも浮かべている明朗なはずの笑みを引っ込めて、艶美に――それこそ、男を喰らい尽くす淫魔のように艶やかで、美しく、麗しく、

 そして――今にも泣き出しそうな瞳で、笑みを浮かべていたのだから。

 

「提督は、青葉のもの、なんですからね?」

 

(省略されました。全てを読むにはワッフルワッフルと書き込んでください)




こちらはちょっと書き上げてツイッターに上げたシロモノを改行だけして再掲したものです。
因みにオムニバスなので提督さんが同一人物とは限りませんが、多分同一人物でも大丈夫たと思います。

※このあと色々あって泣きだした青葉が色々心情ぶちまけて、二人でラブラブしたあと、オチとして暁、見ちゃいました! な展開があったりしますがこの作品はXXXな感じではないので省略されます。


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ある日、妹が艦娘になると言ってきました。

「クソ兄貴、あたし艦娘になるから」

 

 ある日、久しぶりに俺の部屋に入ってきた妹が、そんなことを言った。

 

「そうか」

 

 努めて、俺はそう返すことしかできなかった。カラカラと、先ほどまで何も考えずにまわしていたパソコンのホイールが、急に重く、堅いものに変質した。

 

「……特Ⅱ型の曙だって」

 

 曙。思いたくもないのに、“似合っているな”なんてことを考えてしまった。かの大戦時、その名を残す駆逐艦が遺した歴史は、ひねくれた妹にはぴったりだと思った。

 

「父さんと母さんには言ったのか?」

 

「ううん、今うちにいるのはクソ兄貴だけだし。……電話しても、こっちの話も気がずにはいはいまた今度ねって言うに決まってる」

 

 『艦娘になる』ということを、そんな風に流せる親なんて、人の親じゃない。あの人達だって忙しいんだ。だからこそ、妹の話を聞いて顔面蒼白になる二人の顔が、目に浮かんだ。

 

「ひどいと思わない? 人が“艦娘になる”なんてことになったのに、そんな薄情でさ」

 

「こんな時間に電話しても迷惑だろ。……仕方ないんだよ、あの人達だって」

 

 そう言った途端、後ろで怒気が急激に膨れ上がった。無理もない、俺だって憤りはある。ただ、あいつはそれを表に出せて、俺は出せない、それだけだ。

 

「……っざけんなクソ兄貴! あんたもあたしがいなくなってせーせーするんでしょ!? 解ってんのよそんなこと!」

 

「……おい」

 

「学校の皆は、あたしが艦娘になるって聞いて“ざまあみろ”って思ってた。あたしの父親も母親も、全然こっちなんか気にしてるわけないじゃん!」

 

「……やめろ」

 

「やめないわよ! だってそうでしょ! 理不尽じゃん、バカみたいじゃんあたしがさ、何で誰も慰めて来れないのよ、何で誰も同情してくんないのよ。何で……」

 

 立ち上がる。妹はそれに気がついただろうか。多分、気が付かないだろう。

 

「何で……皆、あたしのことなんかどうでもいいって感じなのよ」

 

 振り返る。妹は、顔を伏せていた。その表情は、伏せていてもすぐに分かる。声がそれを告げていた。頬が、それを明らかにしていた。

 

「やめろ!」

 

「……っ!」

 

 ガシッと、掴んだ手は異様なほど力がこもっていた。「いたい」とつぶやいた妹の声にハッとして、慌ててその力を緩める。

 

「誰も……そんなこと思ってるはずないだろ。艦娘になるんだぞ? どうすりゃいいんだよ。いきなり、そんなこと言われたって、どうしようも、ない、だろ。俺に、一体、お前は、何を、求めてるん、だ?」

 

 かすれるような声だと、人事のように思った。自分自身がその場にいないかのような感覚。きっとこいつは、ついさっきまでそんな感覚だったんだろう。

 脱力感と、失望感。

 自分の中に存在するわだかまり。どうしてもそれは言葉にできそうにはなくて、どうしてもそれは俺の中からでていくようなきがしない。

 

 ただ、それでもあいつの顔だけは、俺は目を離そうとはしなかった。離せなかったのもそうだけど、とにかく、それだけは俺なりの矜持だったのではなかろうか。

 

「だったら――」

 

 だからこそ、息を呑んだ。

 だからこそ、言葉を逸した。

 

 俺の中に生まれていた感情が、その一瞬にして、あいつと同じ、あいつには到底及ばない“絶望”として表層に浮かび上がるのだ。

 

 あいつは――妹は、既に決壊した涙を溢れさせながら、俺に、誰かにすがるように、言った。

 

 

「だったらあたしのことタスケテよ――――おにいちゃん」

 

 

 俺はもう、これ以上何かを言うことはできなかった。

 

 

 ♪

 

 

 艦娘になる。

 それはその言葉だけでは決して良い意味にも、悪い意味にも取ることはできないが、ただ普通の人間にとって、それはたいてい良くないことなのだと言えた。

 “とても”良くないことなのだ。

 

 昔、といっても今から三十年くらい前、急に“そいつら”はやってきた。後に『深海棲艦』と名付けられることになるそれは、俺達人類の敵で、そいつらは、あっという間に人類を駆逐しはじめた。

 無理もない、こちらがいくら防衛しようとしても、そのためのミサイルも、爆弾も、何もかもが通用しないのだ。しかも、あちらがわの攻撃は、こちら側の装甲をいともたやすく食い破る。

 

 実に、最初の混乱で人類の一割が喪失したという。碌な反撃の眼も得られず、そのまま人類は破滅の一途をたどるのだろう――当時は誰もがそう考えた。

 だが、違った。

 ある時を境に、『深海棲艦』へ対抗するべくある“兵器”が世界中で建造され始めた。それは深海棲艦のテクノロジーを何とか人類が吸収し、作り上げた決戦兵器。

 

 名前を『艦娘』と言った。

 

 その名の通り、艦娘には少女――それも二十代から、下は十にも見たないほどの少女しか、その兵器は扱うことができない。

 その訳は未だに不明とされている。そして艦娘にはなろうと思ってもなれるものではないのだ。偶然適正を持つ少女が見つかって、その少女を“徴兵”し、艦娘にする。

 

 それは絶対だ。それこそ不治の病に侵されて、明日も生きられないというでもないかぎり、艦娘になることは強制されている。

 

 だからこそ、艦娘適正が見つかるということは、その少女が“普通に生きる”という道を失うことであり、その少女と家族は別離が義務付けられていた。

 同時に戸籍を失う、その少女の生年月日も家族構成も、――名前すらも、剥奪される。

 

 俺みたいな一介の高校生にはどうすることもできやしない。相手は世界のため、人類のためという免罪符でもって、人の家族を奪っていくのだ。不満が出ないはずがない。それでも、そうしなければならないから、今も昔も見過ごされている。

 誰もが仕方のないことだと諦めて、艦娘という存在を許容するしか無い。

 

 でも、だからって、なんでよりにもよって俺の妹なんだ?

 

 あいつは俺に対してはとにかく敵対的で、俺自身、それもまぁしょうがないのかなと思っていた。

 成績優秀スポーツ万能。秀才の名をほしいままにして、容姿も身内びいきを差し引いても整っている。ある意味、完璧超人を体現するかのような妹。

 妹からしてみれば、俺みたいにある意味“バカ”とも言えるような兄は、理解し難い存在だっただろう。

 

 それでも小さい頃は俺のことを“おにいちゃん”何て呼び方をして慕ってくれた。昔のあいつは、今みたいにどんどん前に出て行くようなタイプじゃなかったために周りから孤立しがちで、遊び相手はいつも俺だった。

 今はクソなんて呼ばれるけれども、それでもあいつは俺の妹だ。世界でたった一人の、妹なのだ。

 

 それなのに、なんであいつは“駆逐艦”になんかなっちまったんだ?

 駆逐艦はとにかく数が多く、そして同時に生存率も低い。なにせあらゆる艦種の中で一番装甲がもろく火力もない。狙われれば、勝手にやられるしかない存在。

 しかも、その多くが小学生か中学生。艦種として小さいのだから、最も適正があるのがその時期なのだと。ふざけるな、だ。

 

 俺はその日、夜遅くに帰ってきた両親に事の顛末を語った。妹は既に泣きつかれてぐっすり眠ってしまっているし、親にそのことを告げられるのは、俺しかいなかったのだ。

 

 茫然自失となった父さんと母さんを尻目に、俺は間髪入れず二の句を継げた。二人の姿は見ていられなかったし、俺自身、直ぐにそのことを話さなければ、決意が鈍ってしまうような気がしたのだ。

 俺の言葉を聞いた両親は、驚いた。それはもう驚いた。妹が艦娘になるということに対しては、驚愕よりも絶望感の方が先にでたからか、明らかに妹のことよりも、驚きを持ってそれを受け入れたように思う。

 

「――そ、それでいいのか? お前は“造船技師”になりたかったんだろ?」

 

「あぁ……艦娘が着る装備を作りたかった。けど、それじゃあダメなんだ」

 

 ――俺はいうなれば“史実バカ”。歴史オタクとも言えるのだろうけれども、ともかく俺は造船技師になろうとしていた。裏方、それも艦娘の装備を作る、なんていう誰からも恨まれるような仕事に就こうとしていた。

 けれども、それはやっぱりキレイ事みたいなものだったのだろう。あいつが“艦娘”になると知ったときの絶望感は、きっと俺が造船技師になっても、払えないものなのだろうと思った。

 

「……あいつを守れるのはさ、やっぱ俺だけなんだよ。父さんや母さんがどれだけ頑張ったって、いまさら艦娘と何かしようとは行かない。あいつの同級生だって、あいつのために人生を捧げられるような奴はいないだろ」

 

 そう、俺だけだ。

 俺だけがあいつを救ってやれる。だから、やるしか無いのだと、決めた。

 

『だったらあたしのことタスケテよ――――おにいちゃん』

 

 ただ、その言葉が俺の脳裏に溜まっていた。

 

 ――艦娘となった少女たちと、唯一交流を図ることのできる存在。ある意味の冗談でもって天国、なんて呼ばれることもあるけれど、きっとこれから俺が“堕ちていく”先は、地獄なのだろう。

 

「だから、……俺は」

 

 父さんも、母さんも、きっと止めはしないだろう。いや、できないといったほうが正しいか。立て続けに持ち上がった驚愕は、正常な判断を妨げるに違いない。

 それでいいと思った。そうでなくては、きっとこの薄情で、融通の効かない両親は、そのことを認めては来れないだろうから。

 

 

「俺は――“提督”になる。提督として、あいつを救える立場になってやる」

 

 

 その時から、俺と妹――“提督”と“曙”の歯車は回り始めた。それを“狂った”と誰が言えよう。

 

 少なくとも、俺や妹ではない。

 きっとそれは、世界中の誰でもなく、そんなことを言える人間は何処にもいないのではないかと、少なくともその時の俺には感じられたのだ。




(この先のあらすじ)
 それから数年、ある艦隊の司令として配属された兄を待っていたのは、艦娘となった妹“曙”と、その仲間たちだった。彼女たちは多くの問題を抱え、つまみモノにされた問題児。そして兄もまた、ある問題を起こし左遷させらる形で配属されたのだ。前途多難な提督と曙。彼女たちの未来は如何に――

というわけで曙メインヒロインの兄妹モノ。
曙に一番似合う台詞は「おにいちゃん」異論は認めますが全力で争う姿勢です。
因みに続く予定はありません。


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ある日駆逐艦になった妹が俺の隣で寝ていました

 沈黙が、周囲に沈殿しているのを感じる。

 俺の私室。和風に統一された部屋はしんと静まり返っていた。

 

 だが、そこには俺以外の息遣いが感じられる。

 人の気配は後方にあった。――現在、俺は部屋の出入口近くにある台所にいる。

 そいつは、俺の部屋の中に入り込んでやがるのだ。

 

 いまいましいながらも我が物顔で、どうしようもなく、俺の布団を陣取っている。

 奮発して買ったせんべい布団だ。

 二人用のものを一人で使っているので、非常に広く快適である。

 ただし、現在はその布団に珍客がいるわけだが。

 

 俺は今にも大爆発が起こりそうな沈黙の空気を振り払うため、勢い良く冷蔵庫の扉を開ける。

 中にある飲むヨーグルトを取り出し、自分用のマグカップと、来客用のカップにそれぞれ注いだ。

 

 振り返る。

 そいつは俺のよく知る相手だ。

 

「……」

 

「……」

 

 お互いに、未だ沈黙を保っている。

 

「……何か、言えば?」

 

「…………飲むか?」

 

「もっと何かいうこと在るんじゃないの!? ……まぁ、飲むけど」

 

 そいつは、兎の刺繍が特徴的なジュニアブラの、下着姿である。

 ――決して如何わしいことをしたわけではなく、あくまでそいつは、寝る時下着姿になるというだけの話。

 そして俺も同様だ。寝る時はTシャツにパンツのラフな格好である。

 とはいえ、俺は既に私服へ着替えてはいるが。

 

 ――名を曙と言った。

 特Ⅱ型駆逐艦に分類される艦娘であり――

 ――――かつては、俺の妹であった。

 

 さっさとそいつに来客用のカップを手渡す。

 ん、と単語ですらない返事をしたあと、そのヨーグルトをまじまじと眺め、そして

 

「んく……んく…………」

 

 と両手で抱えて飲み始めた。

 俺も併せてそれを飲む。

 懐かしい味だ……と、そう思った。

 

「……懐かしいわね」

 

「お前、これ好きだったろう。懐かしいも何も、今だって口にしてるんじゃないか?」

 

「――“クソ兄貴”とこうしてコレを飲むのが久しぶりだって言ってるの」

 

 まぁ、それもそうか。

 これは俺の好物だ。妹であった曙の好物でもある。

 互いに同じものが好きだったので、冷蔵庫で貯蔵していたヨーグルトの配分を取り合って大げんかしたこともある。

 

「てかさ、……そろそろ隠せよ」

 

 昔の気分を思い出したからだろう、ようやく本題を切り出せた。

 ――俺が起きた時、こいつは既に下着姿で、俺の隣で寝転がっていた。

 昨日、何かをしたはずはないだろうが、それでもまぁ、混乱を呼ぶ状態出会ったことは否めない。

 お互い起きた時からずっとさっきまでの調子のまま、重苦しい沈黙のまっただ中にいたわけだ。

 随分失礼な物言いではあるが、こんな痴女みたいな格好で俺の部屋までやってきた此奴に、遠慮をする必要はないと俺は思う。

 

 こいつのいる部屋と、俺の部屋は階層がひとつ違う。

 そこを寝ぼけ眼で徘徊した此奴を、変態と呼ばずなんと言う。

 

「……~~ッ!」

 

 だが、そんな様子が此奴には気に入らなかったらしい。

 

「っによ! 人の下着姿見て言うに事欠いてそれ!? 何? 変態なの? 幼女に発情する色情狂なの!?」

 

「俺を色情魔と一緒にするな!」

 

「……ごめん」

 

 俺が、即答した。

 語気を荒らげた俺に、さすがの曙も“あいつ”と一緒にすることは抵抗があるのだろう、謝られた。

 

「って! それで、あんた何してくれたのよ! 人をこんな姿で侍らせて! 結局変態じゃない!」

 

「入ってきたのはどう考えてもお前だろう。ここは俺の部屋だぞ?」

 

「……! わ、わかってるわよ! でも見たじゃない、ガン見したじゃない! どぉ責任とってくれるの!?」

 

「妹の下着姿になぜ俺は責任を取らにゃならんのだ」

 

 恥ずかしげもなく下着姿でいる此奴が悪いのだ。

 一応こんななりでも二十歳過ぎているはずなのだから、俺は悪くない。

 ――因みに、艦娘は特殊な成長をする。具体的に言うとサイヤ人だ。

 悪いことばかりの艦娘という存在も、コレばかりは特権だと皆口をそろえて言う。

 

「とにかく! 死ね! さもなくばいますぐあたしの部屋から衣類を取ってこい!」

 

「嫌だぞ! それだけは絶対に嫌だ! お前“あの”電と相部屋だろ! 絶対なにか言われるぞ」

 

「おやおや提督も好きですねぇ、とかですか?」

 

「あぁそうだ! ってか似すぎだ曙!」

 

「別にそういうわけでもないと思うのです」

 

「からかってるのかおい! お前まで艦隊の連中と同類にで……も……?」

 

 言い争いの最中、ピタリと曙が停止した。

 訳がわからぬままそれに猛烈な寒気を俺は覚える。

 俺は曙と会話しているはずだ。

 ――本当に?

 

 本当に、今俺は曙と会話しているのか?

 

 曙は口をパクパクとサカナのように開閉させている。

 言葉がないのだろう。絶句というやつだ。

 だが……なぜ? なぜそんな風にしているのだ?

 こいつの減らず口は俺もよく知っている。

 

 ギギギ、と振り返る俺の体はブリキのように軋みを上げた。

 感情が急激に凍りついていくのを感じる。

 戦場を駆けまわるとき、感じる危機感に少し似ている。

 それは“死”を感じるとでも呼ぶべきものであるのだが――

 

 俺は、視界に現れた一人の少女で、全てを悟った。

 曙と同年代の少女だ。

 ――この基地、俺の艦隊で、曙と同じいわゆる駆逐艦は一人しかいない。

 俺はその、少女の名を呼んだ。

 

 

「……“電”、一体、いつから聞いていた?」

 

 

 ニィ、と“電”は非常に厭らしい笑みを浮かべた。

 おっさんか、と思わず返したくなるような笑み。

 

「“なぜ俺は責任を取らにゃならんのだ”からなのです」

 

「最悪だなおい!」

 

 思わず叫んでいた。

 こいつは俺と曙の関係を悟っているから、実際にはその言葉の意図も理解できるだろうが――

 もしも、これだけを抜き取って状況を説明されれば、他の状況を知らない艦娘には、あらぬ誤解を与えることになる。

 

『なぜ俺は責任を』

 

 ボイスレコーダーから、俺の声が聞こえた。

 

 ニヤリ、とあくどい笑み。

 というか、そんなにタイミング良く音を拾えるワケがない!

 こいつ、最初から知っていやがったのだ!

 

「……い、い、い、電!」

 

 曙がそこで再起動する。

 だが、俺は今更曙になど構っていられない。

 どうする。どうすれば最低でも俺の尊厳は守られる?

 曙? 曙のことなど知った事か、今は俺の人生を終了させないためにも……

 

「それ! わ、渡しなさい! 今すぐによ!」

 

「あ、バカ!」

 

 くるまっていた毛布から飛び出して、下着姿の曙が電に駆け寄る。

 今現在、電は部屋の入口からこちらを伺っている。

 立ち位置的には、曙と電の間には、俺がいるのだ。

 その距離は本当に短い。

 俺が避ける暇などないのである。

 

 ゆえに――

 

 パシャリ、と。

 駆け出そうとした曙がちょうど俺の横を通り過ぎる、その一瞬でシャッターが閃いた。

 俺の横を少し過ぎ、そこではたと曙が止まった。

 

「な、今あんた、あたし達に、なに、向けたのよ」

 

「……カメラ、なのです」

 

 曙も墓穴を掘ったと理解したのだろう。

 下着姿でカメラマンを静止しようとする曙、まさしくスキャンダルの塊である。

 電の手に収まっているのはいわゆるケータイだ。

 そのまま手早くそれを操作して、電は即座に何かを完了させる。

 ……転送したのだ。俺も曙も、そう理解せざるを得なかった。

 

 これでもはやチェックメイトだ。

 どうやったって、俺が今から巻き返す方法はないだろう。

 大きく一つ嘆息をして、俺は電に問いかける。

 

「それで、俺はお前に何をすればいいんだ? なんでも、とはいかないかもしれないが、要件を聞こう」

 

「……ん? 今、なんでもって言ったのです?」

 

「いかないといっただろう……!」

 

 まぁ、だいたいこいつが俺にさせたいことは解る。

 俺は上司で、こいつは部下――一応、俺達はそういう関係なのだ。

 

 

 ♪

 

 

「それで? どーしてこういうことになってるのよ!」

 

「決まってるだろ、あいつ。俺とお前をこの部屋に釘付けにしたいんだよ」

 

 駆逐艦電。

 その性分は臆病かつ引っ込み思案。

 ――なわけもなく、腹黒かつ自堕落なサボり魔だ。

 

 非常に厄介な艦娘であるが、それゆえに俺と曙はあいつを見張り仕事をさせているわけだ。

 しかし、現在俺達はあいつに“頼み事をされ”あいつから眼を離している。

 

「だからって……! おかしいじゃない!」

 

 その頼み事、とはつまり。

 

「――なんであたし達があいつのゲームのレベリングしなくちゃいけないのよ!」

 

 某ドラクエⅤのレベル上げだ。

 なんでも少年期の某ゲマを撃破したいらしいのだが、結局飽きてレベル上げを途中で放り投げたのだ。

 それでも折角他人がレベル上げをすれば手間が省けると、電はついでとばかりに俺達に依頼したのだ。

 当然、あいつに弱みを握られている俺達はそれを拒めるはずもない。

 

「バカにしてんの!? だってゲームよ!? しかも少年期のゲマを倒すって、明らかにおかしいじゃない! やりこみにしてももっとマシなことしなさいよ」

 

「いや、んな事言ったって、俺達あいつの言いなりにならざるを得ないじゃないか」

 

「もうちょっとやりようってものがあったんじゃないの? あんな素直にあいつの言うこと聞いて!」

 

「むしろ、これ一回でいいと引き出した俺の手腕を褒めて欲しいがね」

 

 あいつの真意は言ってしまえば今日一日をサボることが条件だ。

 好き勝手に遊び呆けてくるのだろう。

 俺はそう考えて、ひたすらAボタンを一定間隔で押し続ける作業に戻る。

 ――本来なら、ここでもう少し踏み込むべきだったのだろう。

 だというのに俺は思考を放棄して、そこで考えを止めてしまった。

 

 ――――今思えば、それがそもそもの間違いだったのだ。

 

「そもそもだな、お前があそこで飛び出さなければ、俺はもう少し穏便にことを済ませられただろうよ」

 

「ふん、どうだか。どうせ自分の保身ばっかり考えて、あたしを餌にでもするつもりだったんでしょ? 何のために下着姿で写真なんか取らせたと思ってるのよ。あたしはね、あんたが屑だってことことくらい、よぉく解ってるんだから」

 

「なっ! おま、わざとか。ひたすら性根の腐ったやつだな。教導でその根性を叩きなおしてやる」

 

 そこまで考えていたのなら、わざわざ俺一人があいつとの交渉に臨む必要もなかったのだ。

 俺が黙りこんでいれば、後は曙が勝手にここまで話を持って行ってくれただろうに。

 いや、曙が交渉の席についた場合なんだかんだ言いくるめられて一番損をするのは俺だったな。

 こいつ、根は真面目だから腹芸は俺より苦手なのだ。、

 

「できるもんならしてみなさい! ……きっと、あんたもあたしも、このレベル上げが終った時にはもう、魂すべて尽き果ててるでしょうけど!」

 

 ……否定出来ないな。

 俺も、曙も、こんな無駄としか思えないゲームプレイは苦手なタイプだ。

 これがもし、ファイブではなくスリーで、鍵開け魔法を覚えるといったプレイならばともかく、勝てない相手に無理やり勝つのは、どうにも無駄としか思えない。

 

「つーかさ、話は変わるけど。……結婚するなら誰派?」

 

「ビアンカ」

 

「だよな。お前ならそういうと思ったわ」

 

「なら、あんたは一体どうなのよ」

 

「デボラ」

 

「誰それ」

 

「やったことねーのかよ」

 

「あたし、スーファミでしかドラクエしないことにしてるの」

 

 いや、初代からの三部作くらいファミコンでやれよ。

 ファミコンじゃなくてもいいけど。

 

「DSの新キャラだよ、三人目の嫁候補」

 

「じゃあ三人目以前はどうだったの?」

 

「フローラだけど? 当たり前だろ、ビアンカだといろいろもらえねーじゃねぇか」

 

「……最低」

 

 しょうがないだろう。

 十年前にわかれた幼なじみ、正直趣味じゃない。

 

「まーでも実際、フローラはどうにもしっくり来なかったんだよな。結局どこまでいっても、ビアンカは芯は強いがそれだけだ。フローラも単なるお嬢様でしか無い」

 

「あんたの中でビアンカがどういう立ち位置なのか知らないけど、それ以上言ったらゆるさないわよ、あたしが選んだ嫁なのよ? あんたにとやかく言われる筋合いはないわ」

 

「つったって、お前まずイベント始まったらおっさんに話しかけるタイプだろ。じゃあおっさんと結婚しろよ」

 

「なんで分かるのよ! あとそれじゃあ主人公がホモになるじゃない! あたし、そういう趣味ないわよ!?」

 

 簡単な話だ。

 こいつは決して素直じゃない。

 たとえ最初から答えが決まっていたとしても、まずはワンクッション置く。

 ほとんど意識を向けない、ゲームの世界であってもだ。

 

「それとも何!? あんたがホモだとでも言うの? やめてよ、そういうのはあたしの関係ない世界で勝手にやってればいいんだわ」

 

「おいバカやめろ! 人をホモ扱いするんじゃない!」

 

 そもそもそれは曙の話であって俺の話ではない。

 自分のことを勝手にこちらにまで押し付けないで欲しいものだ。

 

「ともかく、俺はデボラ派だ。誰がなんと言おうとそれは譲らん」

 

「……その女の、どこがそんなにいいのかしら」

 

「プレイしろよ」

 

 ――今俺達がやっているのはスーファミなので、デボラは出てこないわけだが。

 とまれ、おおよそ俺とこいつの会話はそこで途切れた。

 再開は曙から、ぽつぽつと、語り手のように言葉を選び始めた。

 

「……結局のところ、よ。ビアンカとフローラ、どっちを選ぶにしたって、結婚するってことは、相応に責任が発生するわけじゃない? 結婚相手を、幸せにする責任とか」

 

「まぁ、そうだな」

 

「じゃあさ、主人公と結婚するって、それって相手にとって幸せなの? だって主人公、無職よ? 結婚するその時は、まだ主人公は王族ではなかった」

 

「とはいえ、旅人だぞ? 実力もある。自由ってことじゃないか。その点、彼の自由は、ビアンカだって、フローラだって幸せにできる」

 

 ――俺の選択基準はそこにはないが。

 ただ、デボラが一番しっくり来るのだから仕方ない。

 とはいえ、曙の言わんとしていることは解る。

 

「どうかしら。少なくともフローラは、自由のためにすべてを投げ捨てる必要があったわ。豪勢な暮らしをして、何一つ不自由がなかった彼女が、自由を得たことで幸せになったの?」

 

「……だから、お前はビアンカを選ぶのか?」

 

「そうよ。最終的にアンディとフローラが結婚するから、結果としてうまく行くからとか、そういうわけではないの。ただ、主人公と一緒にいて、ビアンカは幸せだと思うから、あたしはビアンカを選ぶのよ」

 

 反論はできた。

 いくらだって曙に対する反論はある。

 けれども、どれも無粋だ。

 

 こいつの性分を否定するのに、そんな反論は全部意味が無いことだ。

 こいつはただ、自分が正しいと思うことを、一人で勝手に選んでいるだけというのに。

 

「……なんでクソ提督なんかにこんなこと話してるのかしら。らしくもないわね」

 

「そうか? 強いて言うなら、言わなくても解るから、あえて語っているだけだと思うが」

 

「あんたにあたしの何が解るっていうのよ」

 

「解らなくてどうする。……一応俺は、お前の“元”兄貴なんだぜ?」

 

「ふん。――そうね、そのとおりね、クソ兄貴」

 

 そうして、俺と曙は――いつ終わるともしれない苦行へと、再び邁進していくのだった。

 

 

 ♪

 

 

 ――かくして、俺と曙の休日をまる一日潰して何とか電との一件にかたをつけることとなった。

 しかし、だ。

 その後、予想だにしない電の嫌がらせが、俺達を待ち受けていた。

 

 

 ――なぜか、曙が自室に俺を招き入れ、一日中おかしな行為にふけっていたと、言うことになっていたのだ。

 

 

 ご丁寧に写真付き。

 間違いなく、電の仕業であった。

 

 訳は明白。

 電のゲームがあるのは電の私室。そこは曙と同部屋であり、曙の私室でもある。

 彼女は下着姿の曙と俺が共に映っている写真他は表には出さなかった。しかし、それとは別に、曙の部屋へと入る俺の姿を、きっちりカメラに抑えていやがったのだ。

 

 これが電の厭らしい所だ。

 この情報は、あくまで俺が曙の部屋に招き入れられたというだけ。如何わしいことに走った確たる証拠もなく、またそれ自体は“意味深”ではあるが決定的ではない。

 

 つまるところ、俺達はからかいの対象となった。

 あくまでからかいであるがため、こちらがいくら弁解しても取り合うはずもない。

 

 結局今回、俺達が得られた教訓は、

 電に弱みを握られた時は、たとえ無駄だと思えても途中で話を放り出してはならない、ということだ。

 

 はぁ、やれやれである。

 




コメディに見せかけた少し真面目な話。
プロローグ分では見えてこない提督と曙のキャラ性が見えてきます。
長編化は未定。


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