白夜裕翔の暗殺教室 (ワンフォーワン)
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プロフィールの時間


そういえば書いてなかったキャラ紹介です。

紹介するキャラはオリ主人公の白夜裕翔君とオリキャラの黒崎和人君です!

…今更か……。


白夜 裕翔 (びゃくや ゆうと)

 

出席番号 E-27

 

誕生日 6月25日

 

身長 176cm

 

体重 60kg

 

血液型 O型

 

外見 白髪で高い身長を持つ赤目のイケメン。

 

得意科目 全教科

 

苦手科目 なし

 

趣味、特技 対人ゲーム、読書、料理など…

 

所属部活(過去) なし(家庭の事情)

 

宝物 色々(たくさんあるので省略します)

 

好きな食べ物 甘い物(特にスイーツ)

 

嫌いな食べ物 なし

 

弁当派or買い食い派 弁当

 

将来の目標 自分のしたい事をする→倉橋陽菜乃と結婚

 

100億円獲得できたら 貯金

 

捕まえた事のある動物 ライオン、クマ、トラなど…

 

 

個別能力値(5段階)

 

体力 5

 

機動力 5

 

近接暗殺 5

 

遠距離暗殺 5

 

固有スキル 完全記憶能力

 

学力 5

 

 

作戦行動適正チャート(6段階)

 

戦略立案 5

 

指揮、統率 4

 

実行力 5

 

技術力 6

 

探査、諜報 6

 

政治、交渉 6

 

 

烏間先生の評価

 

頭脳明晰で、運動能力もトップレベル。単純な戦闘能力では俺をも上回っておりとても優れている。

 

 

解説

 

 

転校前にナンパされていた倉橋陽菜乃を助ける為に暴力を起こし、E組となった。

 

常にクールで冷静。感情や欲が薄い。

 

動物に好かれやすく、昔は道を歩いていたら後ろに猫や犬などの大群ができた。

 

世間知らずであり、クリスマスやバレンタインなどをあまり知らない。

 

頭脳明晰で運動能力も抜群と完璧な人間だが、鈍感である。

 

あらゆる事に秀でた完璧超人である。

 

ゲームでは『白夜叉』という名前で活動しており、多数のゲームのランキングトップを総ナメしている。

 

ゲーマー界隈では伝説とされており、チートを使っても勝てず、13000対1でも勝った伝説のプレイヤー。

 

小学校の頃にモテまくっていた事を本人は知らない。

 

暇潰しに「面白そうだから」と色々な事をしている。

 

修学旅行の時に倉橋陽菜乃に告白し恋人同士となった。

 

ジニアスルームという施設で英才教育を受けた過去を持っている。

 

ありとあらゆる才能を持ち、金もたくさんある。

 

出来ない事はあまりない。

 

 

 

黒崎 和人 (くろさき かずと)

 

出席番号 E-30

 

誕生日 9月16日

 

身長 169cm

 

体重 55kg

 

血液型 O型

 

外見 ボサついた黒い髪に3本のアホ毛があり、目は黒色。

 

得意科目 体育、社会

 

苦手科目 数学、美術

 

趣味、特技 筋トレ、ゲーム

 

所属部活(過去) 帰宅部

 

宝物 妹

 

好きな食べ物 麺類

 

嫌いな食べ物 柑橘類

 

弁当派or買い食い派 弁当(妹が作っている)

 

将来の目標 誰かと付き合いたい、白夜裕翔に1回でも良いから勝ちたい

 

100億円獲得できたら 妹と海外旅行

 

好きな女子のタイプ 優しい人

 

選挙ポスター 永遠のライバル

 

 

個別能力値(5段階)

 

体力 4

 

機動力 3

 

近接暗殺 4

 

遠距離暗殺 1

 

学力 3

 

 

作戦行動適正チャート(6段階)

 

戦略立案 2

 

指揮、統率 2

 

実行力 5

 

技術力 3

 

探査、諜報 2

 

政治、交渉 3

 

 

烏間先生の評価

 

 

運動能力は優れているが、射撃能力が致命的に低い。どうして45°違う方向に行くのかが分からない。………前線での活躍が期待できる生徒だ。

 

 

解説

 

 

家の事情で転校したが、テストでの点数が低かった為E組になった。

 

黒崎の両親は海外で働いており、滅多に帰って来ず小学4年の妹と2人で暮らしている。

 

国語、理科、英語は良いと言える成績ではなく、数学に至っては殺せんせーもどうするべきか悩むほど。

 

しかし、社会だけは何故か成績が良い。本人曰く、「桃○郎電鉄のおかげだぜ!」

 

ゲームは割と強い方だが白夜裕翔には勝てない。

 

また、弱点が多く、料理が下手で絵も下手で銃は撃てば弾は狙った方向と45°違う方向に発射される。

 

そして、体育が得意というがスポーツは致命的にできない。

 

本作のツッコミ役。(良かったね渚君!)

 

白夜はツッコミの時とボケの時がある。

 

白夜によく弄られるが、仲は良い。

 

……重度のシスコンである。

 

 

 

 

 




はい、という感じです!

実は黒崎君には妹がいるんです!(重度のブラコンの)

白夜君のスキルは高めです!

あと、白夜君は対人ゲームをしていて、プレイヤーネームは『白夜叉』です!!

あまり関係はありませんが…。

まあ、適当な設定ですがまたオリキャラが増えたらプロフィールを書きます!

それでは!!


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特別編
第7.5話遊びの時間(通算UA2000記念!)


どうも、ワンフォーワンです。

通算UA2000ありがとうございます!

という訳で今回は記念話になります!

何か良い事があったら記念話として番外編を出します!

と言っても本編と繋がっている時もあります!

その場合は本編をお読みになられてから読む事をオススメ致します!

どの話と繋がっているかは例えば、今回の場合だと7話と繋がっているので7.5話となっています。

それでは、番外編、第7.5話遊びの時間どうぞ!!


…白夜side

 

 

さてと、約束の1時間ほど前に来たが…さすがに早いか?前原に遊びに誘われたので待ち合わせ場所に来たのだが、1時間前に来るのはあれだな。

 

仕方ない…暇だしゲームやるか……。そう思い、ベンチに座ってゲームを始める。

 

 

…30分後

 

 

「悪いな白夜。待たせたみたいで…」

 

「いや、こっちも早く来すぎた。とりあえず、ここに座ってくれ。」

 

「サンキュ。」

 

「前原はまだみたいだな。」カタカタ

 

「そうだなぁ……てか、何してんだ?」

 

「パソコンでゲーム。」カタカタ

 

「そ、そうか。ちょっと見ていいか?」

 

「見てても面白くないぞ。」カタカタ

 

「まぁまぁ、暇ですることないから。」

 

「そうか。」カタカタ

 

 

…20分後

 

 

「…良し、これで最後の1人だ。…ふう」パチッ

 

「凄いな白夜!まさか、200人相手に勝つとは…。」

 

その後、前原が合流する。

 

「すまん。待たせたか?」

 

「いやそうでもない。まあ、そんなことはどうでもいいし行くか。」

 

「お、おう!」

 

 

…ショッピングモール

 

 

ショッピングモールか…倉橋と初めて会った時を思い出すな。ちなみに今は服を買っている。

 

「これとか、似合うか?」

 

「磯貝にはこっちだな。」

 

「へ〜いいセンスしてんな〜。」

 

「そうか?」

 

だいたい似合いそうなのを選んだだけなんだがな。

 

「ああ、ありがとう。」

 

「それじゃ飯に行くぞ。」

 

 

…ゲーセンにて

 

 

「おい、こっち来いよ…一緒に楽しいことしようぜ〜」

 

「い、嫌です…。誰か…」

 

「はあ…ナンパは絶滅危惧種じゃないのか?」

 

「あ?誰だ?お前は…ってお前ーー!?」

 

「ン?…あ〜小学6年の時の奴か?まったく、人攫いから転職してナンパとは…」

 

「うるせえ!!…今回こそは……!」

 

「この前言っただろ…やるなら暴力じゃなく平和的にゲームでって…」

 

「ああ、ゲームで勝負だ!!」

 

((従うんだな…))

 

「ンで?なんで勝負する?」

 

「太鼓の○人だ!!」

 

「分かった。じゃあ、やるか…。」

 

 

 

1回戦目、白夜フルコンボ!

 

2回戦目、白夜フルコンボ!

 

3回戦目、白夜フルコンボ!

 

 

「え…?」

 

「ふう…どうかしたか?」

 

「「お前凄いな!!?」」

 

「そうか?…とりあえず、もう帰れよ。そしていい感じの転職をしろ。」

 

「…はい。(徹夜で練習したのに…)」

 

((なんか、もう、放心状態だぞあいつ))

 

「大丈夫だったか?」

 

ナンパ野郎は何処かヘ消えたので、ナンパされてた女の子に話かける。

 

「は、はい。大丈夫です!///」

 

「そうか。なら、気を付けろよ?」

 

「助けてくれてありがとうございます!」

 

「ああ、気にすんな。」

 

…ふう、遊んだ遊んだ。結構楽しい物だな。

 

「…さて、何する?」

 

「今日のところはもう遅いし解散するか?」

 

「そうだな…」

 

「そうか。じゃあな!また、誘ってくれ。」

 

「「ああ、またな!!」」

 

 

…グループLIENにて、

 

 

『買い物、終わったぞ。』

 

『白夜君の好きなことや趣味、苦手なことは見つかりましたか?』

 

『ダメだったぜ、殺せんせー。今日なんかナンパされてた奴を助けてたぞ。…ゲームで』

 

『ゲームで?』

 

『そうなんだ。なんか、平和的にゲームで勝負しようって提案したらOKだったらしく、ナンパしてた奴を太○の達人でボコボコにしてた。』

 

『ゲームが強いようですねぇ。では、先生がチェスでもしますか…』

 

『先生、チェスできたんだ!?』

 

『ヌルフフフフ、先生はね皆さんとのコミュニケーションのためにチェスもしてたんです。ネットでもまあまあ強い方ですし、大丈夫でしょう。』

 

『そんな簡単にいくかな〜』

 

 

…翌日

 

 

「白夜君!先生とチェスでもしませんか?」

 

磯貝と遊んだ翌日、殺せんせーが家に来た。というか…

 

「殺せんせーってチェスできるのか?」

 

「ヌルフフフフ、当然です。なにせ先生ですから。」

 

そういうものなのか?まあ、折角だし遊ぶか。

 

「そうか、じゃあやるか。」

 

 

 

「チェックメイト。」1回戦目

 

「チェックメイト。」2回戦目

 

「チェックメイト。」3回戦目

 

「ニュヤーー!?3回もう負けるとは…」しくしく

 

「殺せんせー結構強かったぞ?面白かったし、またやろう、殺せんせー。」

 

さすが先生だ。オレも少し危なかった。

 

「ええ。また、やりましょう白夜君。」

 

 

…グループLIENにて

 

 

『ダメでした。』

 

『ダメだったか…』

 

『1回ゲームから離れたら?』

 

『確かにそうかもな……』

 

『とりあえず、気分転換にカラオケに一緒に行かない?もしかしたら、白夜君が苦手かもしれないし…』

 

『オッケー!……白夜を誘えたぞ!』

 

『では、明日にカラオケということで…あ、先生も行きます。』

 

 

…翌日

 

 

「結構、来たんだな。」

 

「実は先生。皆さんとこうして遊びたかったのです。」

 

「この前、休みの日にオレの家にチェスしに来たしな。」

 

「ニュヤ!?それは言わない約束です!白夜君!」

 

 

…カラオケにて

 

 

「皆、上手いな。」

 

「次は白夜君の番だよ!」

 

「…ああ、数回ほど聞いたことのある歌でも歌うか…カラオケが初めてだが歌えばいいんだろう。」

 

(((((えっ!?白夜君、カラオケ行ったことないの?)))))

 

(ヌルフフフフ、こういうなんでもできるタイプの人はだいたい歌は下手なはずです!)

 

 

…白夜歌い中

 

 

「…ふう、どうだ?何か指摘があれば言ってほしいが。」

 

「「「「「めちゃくちゃ上手いじゃねえか!」」」」」

 

「そうか?」

 

「う、うん!//凄く上手だったよ!//(見惚れちゃったよ…//)」

 

「…倉橋も上手だったけどな。」

 

「そ、そうかな…?」

 

「ああ、本当に上手だったぞ。オレの歌を褒めてくれてありがとうな、倉橋。」ニコッ

 

オレは倉橋の頭を撫でながら少し笑顔を見せて言う。

 

「う〜///」プシュー

 

(((((…もう、付き合えよ…)))))

 

「どうした倉橋?いや、気絶しただけか…なら少しすれば起きるな。…もう一曲歌うか。」

 

 

…カラオケが終わってからのグループLIENにて

 

 

『結論をいいます。白夜君に苦手はなく、だいたいのことができる。という結果になりました。』

 

『完璧超人かよ…』

 

『そんなわけで倉橋さん。白夜君の攻略を頑張ってください。先生達も協力するので…』

 

『うん、分かったよ!白夜君に振り向いてもらえるように頑張るね!』

 

こうして、白夜の遊びの時間もとい白夜の苦手なことを調べてみようの時間は過ぎていった…。




いや〜すごいですね白夜君は…どうも、ワンフォーワンです。

自分はゲームは好きですが上手くできず、チェスもできず、歌うのも上手くなく、太鼓も苦手です。

そんなわけで目から汗が出ましたが…ではまた、次回でお会いしましょう!!


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第10.5話王様の時間(通算UA4000記念!)

どうも、ワンフォーワンです。

通算UAが4000を超えました!

皆様ありがとうございます!

という訳で少し遊んだ番外編です。

今回の話はイチャつきまくるのでブラックコーヒーをおすすめします!

それでは、第10.5話王様の時間どうぞ!



…白夜side

 

 

今、オレたちは殺せんせーによって午後の9時頃に男子部屋に集められている。…早い奴ならもう寝てるんじゃないか?……さすがにそれはないか。

 

殺せんせーは大量の割り箸を持ってわくわくした様子で待っていた。

 

「殺せんせー。言われたとおりに皆来たぞ。」

 

「ヌルフフフフ、集まっていただきありがとうございます。」

 

「それで、こんな時間に皆で何をするの?」

 

「いい質問です。今からやるゲームは…

 

 

 

 

 

 

………王様ゲームです!!」

 

「「「「おおーーー!!」」」」

 

王様ゲーム?何だそのゲームは?聞いた事がないぞ。

 

「待て、王様ゲームってなんだ?」

 

「「「「…え?」」」」

 

皆が信じられないような目でこちらを見る。…え?オレがおかしいのか?

 

「いや、なんだその目線は。オレはまあまあゲーマーの部類に入るが王様ゲームなんて楽しそうなゲーム名聞いたことないぞ。」

 

「ニュヤ!?王様ゲームを知らない人がいるとは…」

 

殺せんせーは驚いた様に言う。

 

「俺も知らないんだが…」

 

「アンタも知らないの…」

 

今、この場には烏間先生にビッチ先生もいる。…ていうかビッチ先生は知ってんのか。

 

「仕方ないですねぇ。ここは先生がルールを教えましょう。」

 

…殺せんせー説明中

 

「理解しましたね?それじゃあ、始めます。…せーの!」

 

せーの?

 

「「「「「王様だーれだ!!」」」」」

 

「ン?」

 

何その掛け声。凄い楽しそうなんだけど。ていうか何か置いて行かれてる気がする。

 

「あ、えっとね裕翔君。割り箸を引く時に王様だーれだって言うんだ〜!」

 

オレが聞こうとしたら陽菜乃が教えてくれた。

 

「なるほどな。ありがとな陽菜乃。…さて、王様は…」

 

「俺みたいだな…」

 

烏間先生が当たったか。意外と予想がつかないな。

 

「それでは烏間先生、命令を…」

 

「それじゃあ、1番と2番!2分で腕立て伏せを200回!」

 

2分で腕立て伏せ200回か。きつそうだな。

 

「って、オレか。」

 

「うわ…俺もだわ。」

 

どうやら前原がもう1人のようだ。

 

 

…2分後

 

 

「これって小説的に地味じゃない?」

 

「何を言ってるんだ不破?…前原は限界だったらしいな…」

 

前原は120回でギブアップだった。え?オレ?まあ、クリアした。

 

「無理だろあんなん!」

 

「(烏間先生、えげつないですねぇ…)それでは、気を取り直して!」

 

「「「「「王様だーれだ!!」」」」」

 

「あ、俺だ〜♪」

 

次の王様はカルマだ。大方、辛い物を食べさせるとかそこらへんだろう。

 

「じゃあ〜5番が好きな人にハグして。それを俺が写真撮るから。」

 

((((エグいな…))))

 

絶対それでいじる気だろ。……って

 

「またオレか。……陽菜乃、大好きだ。愛してる。」

 

そう言ってオレは陽菜乃にハグする。抱き心地良いな。

 

「わ、私も大好き!愛してる!/////」

 

パシャ!カメラのシャッターが切られる。後でその写真貰おう。

 

「カップルがイチャついて終わったぞこの命令!」

 

「チッ…本当は誰のことが好きかってことを皆の前でいじろうと思ったのに…」

 

((((白夜(君)で良かった…))))

 

「それじゃ、せーの!」

 

「「「「「王様だーれだ!!」」」」」

 

「ヌルフフフフ、先生のターンです!それでは、5番と6番、10番、それに11番はこのデスソースを飲んでもらいます!!」

 

そう言った殺せんせーの触手はデスソースを持っている。

 

「「「俺らかよ!」」」

 

「お前ら不幸だな…」

 

そう言いながらもオレの手には11番と書いてある割り箸がある。

 

((((お前もな…))))

 

「さあ、それでは飲んでください!」

 

そしてオレらはデスソースを飲む。

 

「「「ギャーー!!!」」」

 

そして、3人の絶叫が響く。え?オレはどうしたって?

 

「ン?まあ辛いな。」

 

((((反応薄!!))))

 

「もっと、こう、なんかないんですか!?」

 

いや、そう言われてもな。辛い物は辛い。

 

「辛いな。そんなにも絶叫するほど辛くない。…まあ、少しムカついたが…覚えてろ。それじゃせーの。」

 

((((今、ムカついたって言った!?ってか怖い!))))

 

「「「「「王様だーれだ!!」」」」」

 

「それじゃ、6番はアニメキャラの名台詞を3キャラ分言う。」

 

「……またオレか。」

 

まあ、声真似ならできるし、アニメもまあまあ見てるからなんとなく思いついたやつやるか。

 

((((白夜(君)多くない?))))

 

「んじゃ、O○E PIE○Eのル○ィ。んっん!『海賊王に俺はなる!!!』続けて、ノーゲ○ムノーラ○フの空。んっん!『さぁゲームをはじめよう!』…意外と疲れるなこれ、最後にとある魔術の禁○目録の上条○麻。んっん!『歯を食いしばれよ最強。俺の最弱は、ちっとばっか響くぞ!』…これで良いか?」

 

「「「「「え…何それ凄い…」」」」」

 

「そうか?…まあ、喜んでもらえて良かった。…それじゃ、せーの。」

 

「「「「「王様だーれだ!!」」」」」

 

「あ、私だ。じゃあ、9番は今まで撮った中で1番のお気に入り写真見せて。」

 

「あ、私だ〜!…え〜っと、あった!これだよ!」

 

そう言って見せたのはオレの寝顔だった。待て、オレがいつ寝た?というかそもそもオレの寝顔を撮るな。

 

「ほら、寝顔だと雰囲気が少し変わるの!お気に入りなんだ〜!」

 

「オレの寝顔に価値あるのか?」

 

「自分の彼氏の寝顔だから価値はあるもん!」

 

そう言って、陽菜乃は少し頬を膨らませる。何だその可愛い仕草と言い訳は。

 

「そもそも、いつ……バスか。……十分だけ寝てた時だな。……まあ、それならオレもこの写真は手放さなくて良くなるな。」

 

「え?この写真って?」

 

「…これだが?」

 

そう言ってオレが見せたのは陽菜乃の寝顔の写真だ。これは不良から助けて陽菜乃が寝てしまった時に撮った写真だ。我ながら良く撮れていると思う。

 

「え?」

 

「可愛かったから撮ったんだが陽菜乃に見せたら恥ずかしがって捨ててとか言われないかと思ったが、陽菜乃が撮ってるならオレも問題ないよな。」

 

「う〜///」

 

((((なんだこのバカップルは…))))

 

「…それでは、気を取り直して、せーの!」

 

「「「「「王様だーれだ!!」」」」」

 

「私だ!それじゃ1番はと○るの一方○行の名台詞言って!」

 

「またオレか…なんでまた?」

 

「いや〜さっきの聞いたらやってほしくて…」

 

「はあ……んじゃ、やるぞ。んっん!『悪ィが、こっから先は一方通行だ!侵入は禁止ってなァ!大人しく尻尾ォ巻きつつ泣いて、無様に元の居場所へ引き返しやがれェ!!』…ふう。」

 

まあ、一○通行はできるから良かった。カルマもできるのではないだろうか?中の人一緒だし。

 

「「「「おおおお!!」」」」

 

「…良しじゃあ次だな。…せーの!」

 

「「「「「王様だーれだ!!」」」」」

 

「やったー私だ!えっとそれじゃあ、19番が12番の男子なら執事で女子ならメイドやって!」

 

…オレめっちゃ当たるんだが。

 

「それで?12番は?」

 

「わ、私……。」

 

「それでオレが陽菜乃の執事と。」

 

「ヌルフフフフ、さあ、この衣装に着替えてください!」

 

そう言って、殺せんせーは執事服を渡して来た。…なんで持ってる。

 

「じゃあ着替えて来る。…命令は着替えてからでいいのか?」

 

「え?うん!」

 

 

…数分後

 

 

「意外と着るのが難しかったです。…さてと、それで似合いますか?」

 

「(凄い似合ってる//)う、うん。//」

 

「ありがとうございます、お嬢様。」

 

「お、お嬢様!?///」

 

「そうです。私は王様の命により、お嬢様の執事となった身です。」

 

「「「「「おお!…なんかそれっぽい!」」」」」

 

「それでは失礼いたします。…良し、こんな感じか?」

 

「え?なんでやめたの?」

 

「時間は指定されてなかったからな。オレの独断で決めた。」

 

「「「「「…あ!」」」」」

 

「それじゃあ、着替えて来る。」

 

 

…数分後

 

 

「悪い待たせた。それじゃあ…せーの!」

 

「「「「「王様だーれだ!!」」」」」

 

「俺か…それじゃ16番が5番のことを褒めた後に悪いところを言う。」

 

選ばれたのは千葉でした。なるほど、中々面白そうな事を考えるな。

 

「オレが16番だな。で?不幸な5番は誰だ?」

 

これが陽菜乃ならオレは思いつかないが…願うは殺せんせーだな。さっきのデスソースの仕返しをしてやる。

 

「…私です。」

 

「殺せんせーか。さっきの仕返しをしないとな。」

 

「ヒィィーー!!」

 

「さあ、ゲームをはじめよう。」

 

それじゃあ、最初は褒めるだったな…

 

「殺せんせーの教え方は上手だし、生徒一人一人に違う問題を出すっていうのは凄いと思う。ちゃんと生徒一人一人を見ているって証拠だ。」

 

まあ、実際にそう思ってる。

 

「白夜君……。」

 

良し、こっからが本番だ。

 

「でも時々大人気ないし、『グサッ』時々心が狭いし、『グサッ』それに生徒の前でグラビアとか見てるし、しかも職員室の引き出し見たら奥の方にグラビア入ってるよな。『チーン』」

 

((((こ、殺せんせー!!))))

 

「もう、だめです…もう先生死にました…」

 

「良し、デスソースの仕返しはした。…それじゃせーの。」

 

「「「「「王様だーれだ!!」」」」」

 

「あ、俺か…それじゃ5番は適当にお菓子を買ってきてくれ。」

 

ここに来て普通の命令だな。でも…

 

「それじゃ、行ってくる。3分で戻る。」

 

……また、オレか。

 

((((なんか、白夜当たりすぎじゃね?))))

 

 

…2分後

 

 

「2分で行けた。…これで良いか?」

 

((((早くね?))))

 

そう言ってオレはたくさんのお菓子を出す。プリンも50個くらい買ったし、満足満足。

 

「悪いな、なんか。」

 

「気にするな。…それじゃ、せーの。」  

 

「「「「「王様だーれだ!!」」」」」

 

「また、俺だ♪…それじゃあ〜8番は18番に壁ドンして告白した後にビッチ先生みたいなキスして!」

 

((((鬼だ…))))

 

「お前鬼だろ。…はあ……オレが8番だ。18番は?」

 

「ニュヤ!?カルマ君、これはさすがに…」

 

「わ、私…////」

 

そう言って恥ずかしそうに陽菜乃は手を上げる。陽菜乃なら嬉しい。

 

「さあ!どうぞやっちゃってください!」

 

(((ノリノリだな…)))

 

「今、止めようとしてなかったか?……まあ、陽菜乃なら嫌じゃないし、ていうか寧ろ嬉しいし良いか。……陽菜乃?大丈夫か?」

 

「え?う、うん。大丈夫だよ!」

 

そう言って陽菜乃は壁に寄った。そしてオレは陽菜乃の前に来る。

 

「それじゃあ…」

 

ドンッ!

 

オレは壁ドンをして…

 

(か、顔が近いよ…////)

 

「愛してるよ、陽菜乃。」

 

「(うう、今それは卑怯だよ…)/////」

 

そして陽菜乃の顎を優しく上げてキスした。

 

「…んっ!/////」

 

陽菜乃の口を少し開け、中に舌を入れる。ビッチ先生のキスってこんな感じだったよな?

 

10HIT!

 

20HIT!

 

「「「「「おおおおお!!!」」」」」

 

「…ン。」

 

「…ん!///…チュ……んーんー!……」

 

30HIT!

 

40HIT!

 

「…んっ!///…んん!////……チュウ……んんっ!」

 

50HIT!

 

60HIT!

 

「……//////」プシュー

 

オレはそっと唇を離す。

 

「………ふう……って危ない。」

 

陽菜乃が気絶して倒れそうなところを抱きかかえる。そんなに乱暴にした気はなかったんだが……。

 

「「「「「おおおおお!!!!」」」」」

 

「60HITとはやるわねアンタ。」

 

これで褒められてもあまり嬉しくないな。

 

「ヌルフフフフ…それではそろそろ終わります!…いいものも見れましたし…」

 

「写真撮ったからグループLIENに上げとくね〜」

 

上げるな。てか、撮るな。

 

「…はあ、何だったんだろこのゲーム…まあ、楽しかったな…」

 

そして、今回の王様ゲームは幕を閉じ、修学旅行も終わりをむかえた。

 




いや〜甘いですね〜!

初めて王様ゲームを書いたので上手く書けたかわかりませんがどうでしたか?

今回はとにかく白夜君と倉橋さんにイチャついてもらいたくて書きました。

感想や評価などお待ちしてます。

それではまた次回でお会いしましょう!!


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第33.5話密室の時間(通算UA20000記念!1)

えー、まずは先に報告させてください。

誠に勝手ながら書き方を変えさせていただきました!具体的には「」の横に書いていた名前をなくして、一行ずつ開けていた間を少し変えました。

ちょうど↑のような感じです。今まで自分の作品を読んできた方々に違和感が生まれるかもしれません。本当に申し訳ございません。

以上で報告を終わります。


さあ!それでは通算UA20000記念1どうぞ!



今回の話はきつね。様の案を採用させていただきました!本当に助かりました!ありがとうございます!!


…白夜side

 

 

オレは今、陽菜乃とデパートにデートに来ている。理由としては学校が珍しく午前中に終わり、暇だったので陽菜乃を誘ったからだ。

まあ、買いたい物も買ったのでそろそろ帰るところだがな。

 

「…このエレベーターの中に入るぞ。」

 

中に誰もいない。……ラッキーだな。

 

「オッケ〜!」

 

オレと陽菜乃はエレベーターの中に入り、1階のボタンを押し、扉を閉める。

エレベーターはゆっくりと動き出した。

 

「ふう……流石に疲れたね。」

 

陽菜乃は苦笑しながらそう言う。

 

「まあな。…これでやっと休憩でき……ン?」

 

オレと陽菜乃が会話をしているとエレベーターの下降が止まった。2階のマークが点灯した直後にエレベーターが停止したので途中で誰かが乗ろうとしたわけではない。

 

視界が一瞬だけ真っ暗になるが非常灯のおかげですぐに明るさを取り戻す。

 

「…停電か。」

 

だが、慌てずともエレベーターには故障の際の手段を用意されている。実際に非常ボタンに監視カメラもある。

 

「取り敢えず、非常ボタンを押すか。」

 

オレはボタンを押すが、何も反応がない。

 

「………反応がない。」

 

ただの屍のようだ、と続けたいがそんな場合ではない。

 

「停電だから繋がらないんじゃ?」

 

「いや、エレベーターには数時間は保つ内部バッテリーがある。その証拠に非常灯はこうして機能してるからな。つまりは内部的故障だ。まあ連絡をしてみ………悪いが陽菜乃、連絡してくれないか?」

 

オレはそう言いながらスマホの画面を見せる。残量バッテリーは2%、あってないような物だ。

 

「了解〜!………ごめん裕翔君。」

 

陽菜乃の明るい表情は一変し、申し訳なさそうな顔をしながらオレにスマホを向ける。陽菜乃のスマホに写し出された残量バッテリーは2%、あってないような物だ。(2回目)

 

「この状況だと打つ手は……ないか。まあ待つのが得策だな。」

 

「オッケ〜!……でも、クーラーが効いてるのが唯一の救いだね!」

 

陽菜乃は場を明るくしようとそう言った直後、クーラーが停止してしまった。希望が打ち砕かれた瞬間である。

 

夏場の密閉された室内は急激に温度を上げていくだろう。今は停止して間もないので空気が生ぬるくなっただけだが……マズいな。時刻は午後3時くらいだから段々と熱くなるだろう。

 

「映画だと救出口が付いているが……付いてない。……待つか。」

 

「分かった〜…。」

 

そう言ってオレと陽菜乃はその場に座りこんだ。こうしている内に室内の温度は段々と上がっていく。

 

陽菜乃の体温を上げぬように、オレだけであの手この手を尽くしたがそろそろ限界が近い。……まあ、あの手この手と言ってもカメラの前に『助けてください』と書いた紙をテープで貼っただけだが。テープとメモ紙にここまで感謝した事はないだろう。

 

早ければそろそろ助けに来てくれる頃だろうか?……いや、助けてくれないと本気で困る。

 

それと、先程思い出したのだがこのエレベーターは壁面に設置されているため、熱が非常に籠りやすい。

 

「………マズいな。」

 

荒くなった陽菜乃の息を聞きながらそう言って立ち上がる。

頭部から染み出た汗が髪の毛先を伝って滴り落ち、服はもう滝修行の後のように濡れている。

 

……熱中症がオレ達を襲い始めていた。

 

「……こうなったら仕方ない、最終手段を使おう。」

 

「…え?…最終手段、なんてあるの?」

 

「ああ。………殴って破る。」

 

そう言ってオレはエレベーターの扉に向かって壊そうと構えを取る。……ちなみに構えを取る理由はない。取らずとも壊せる。

 

「え?あ、待って待って!!」

 

「どうした?何か良い案が思いついたのか?」

 

オレがそう聞くと陽菜乃は「う〜ん」と言って少し考え、口を開いた。

 

「……誰かに連絡を取るとか?」

 

「残り2%だぞ?……まあ試してみる価値はあるな。」

 

流石に殴って破るのはダメか。……問題は…

 

「問題は誰にかけるかだけど……。」

 

そう、問題はそこだ。かける相手を間違えると残りの残量バッテリーを無駄にする事になる。

 

「殺せんせー、烏間先生、それとビッチ先生も除外だ。あの人達は忙しいからな。」

 

かける相手としては今日、予定がない人だ。烏間先生とビッチ先生は今日も仕事がある筈だ。……殺せんせーもイタリアにジェラートを買いに行ってくるとか言ってたからな。……というか今更だけど殺せんせーって国家機密だよな?まあ、国家機密に頼ると後が怖いので除外。

 

「う〜ん……じゃあ桃花ちゃんは?」

 

「…いや、矢田は黒崎が買い物に誘ってる筈だ。」

 

黒崎が昨日、『そ、その…矢田を買い物に誘いたいんだがどう言えば良いと思う?』とオレに聞いてきたからな。

ちなみにその質問には『普通に誘えばどうだ?例えば○○を買いたいから、とか言って誘えばどうだ?』と言ったら急いで帰って行った。

 

「う〜ん…それじゃあ…。」

 

と、陽菜乃が意見を言おうとした所でオレのスマホに電話がかかってくる。……ここで出ないのもバッテリーを無駄にするか。オレはそう思い、電話に出る。

 

『お!白夜!実は今大変なことが…。』

 

詳しく電話の相手を確認せずに出たが、黒崎か。……矢田と買い物に行っていると思ってたんだが…まあいい。

 

「…オレ達も大変な状況なんだ。時間がないから言うぞ。」

 

『待て!実は…』

 

「『エレベーターに閉じ込められてるんだ。………え?』」

 

『え?お前も……?』

 

「ああ、それにオレと陽菜乃のスマホはもう2%しかない。」

 

『お前もかよ!!俺と矢田のスマホも2%しかない…』

 

オレは黒崎の電話が途切れた事を不思議に思い、スマホを見るとブラックアウトしていた。

 

なるほど、2%…あってないような物だ。(3回目)

 

 

…白夜sideout

 

 

 

…黒崎side

 

 

これは遡ること、数時間前の事だ。

 

 

 

 

「や、矢田…その、一緒に買い物に行かないか?ほ、ほら!あー…えーと…」

 

俺は白夜との会話を思い出し、何か買いに行こうと誘おうとしたがいい感じの物が見つからなかった。シャーペン…は持ってるだろうし…服……は少しキモいか…食材……えーと…えーと……。

 

「ふふっ。別に理由付けなくても良いよ♪一緒に行こ?私も暇だし。(やった!黒崎君とデート!)」

 

「い、良いのか!?よっしゃあ!」

 

「それじゃあ、12時からで良い?」

 

「お、おう!マジでありがとな!」

 

そう言って俺と矢田は買い物について話し合いながら帰った。

 

 

 

 

「す、すまん……遅れた…。」

 

俺は何とか集合場所に行き、既にその場にいた矢田に謝る。早くねーか!?俺、これでも約束の10分前に来てるんだけど…。

 

「んー…まあ約束の10分前に来てるから許してあげる!ほら、それじゃあ行こ?」

 

「お、オーケー…。」

 

俺は息を整えながらも矢田に付いていく。

 

それから服を買ったり、本を買ったり、お互いに思い思いの買いたい物を買った。気づけば3時間ほど経ち、流石にこの人混みで2人とも疲れたので帰る事にした。

 

「ふぅ…流石に疲れたねー…あ!あそこのエレベーター空いてるよ!」

 

「マジか!?…よっしゃ!ラッキー!」

 

俺と矢田は急いでエレベーターに入り、1階のボタンを押し、扉を閉める。人混みから開放され、ある程度の空間がある室内はクーラーが良く効いていた。

 

「ふぅ…涼しい。」

 

「あの人混みはキツいよね……。」

 

2階のマークが点灯した直後にエレベーターが停止した。そして視界が一瞬だけ真っ暗になるがすぐに明るさを取り戻す。

 

「な!なんだ!?」

 

「停電、かなぁ?」

 

「停電か……まあ取り敢えず非常ボタンを……応答なしですか…。」

 

俺は非常ボタンを押すが応答がない……非常ボタンも故障か?

 

「まあでも!クーラーが効いてるのが救いだな!」

 

俺がそう言った直後、快適な空気を送っていたクーラーが停止した。なるほど、これがフラグ回収ってやつか。ってそんな場合じゃねぇ!

 

「れ、連絡を取らないと!」

 

「う、うん!」

 

そう言って俺と矢田はスマホを取る。俺はスマホを起動させると、絶望が更に深まった。残りのバッテリーが…2%しかない…だと…。

 

「「ごめん、矢田(黒崎君)……。」」

 

そう言ってお互いにスマホを見せた。矢田のスマホの残りのバッテリーを確認すると2%しかなかった。残りのバッテリーが…2%しかない…だと…。(2回目)

 

「……この2%は大事だぞ。……問題は誰にかけるか、だ。」

 

クーラーが停止して生ぬるくなってしまった空気の中、俺は深刻な表情で矢田に伝える。

 

「う、うん………誰が良いかな?」

 

「まあでも、困った時は白夜にかければ何とかなるだろ……アイツはすげぇからな。」

 

男としては情けないが緊急事態だ。そう思って俺は白夜に電話する。少しすると、白夜が出た。

 

「お!白夜!実は今大変なことが…。」

 

『…オレ達も大変な状況なんだ。時間がないから言うぞ。』

 

「待て!実は…」

 

「『エレベーターに閉じ込められてるんだ。………え?』」

 

え?白夜も閉じ込められてんの?俺達と同じ状況じゃねぇか……。

 

「え?お前も……?」

 

『ああ、それに実はオレと陽菜乃のスマホはもう2%しかない。』

 

残りのバッテリーが…2%しかない…だと…。(3回目)てかお前らもかよ!!

 

「お前らもかよ!!俺と矢田のスマホも2%しかないんだよ!」

 

俺がそう言った後、白夜の声がしない事を不思議に思い、俺はスマホを見る。俺のスマホはブラックアウトしていた……すまん、白夜…許せ。ってそんな事言ってる場合じゃねぇー!!マジでマズいぞおい!どうすんだよ!!

 

「……矢田、誰にかけようか?」

 

「……どうしようか?」

 

俺が矢田に聞くと、矢田は俺の方を向いて考える。……ってええ!?

 

「……あ、あのー…矢田さん?」

 

俺は目の前の光景に驚き、少し嬉しく思いながらも恐る恐る矢田に声をかける。………嬉しく思ってすいません。

 

「?どうしたの?急に敬語になって…。」

 

まあ、クーラーが止まってだいぶ経つし、俺と矢田も汗が凄いからな、仕方ないのかもしれん。だが、この事実を言うべきか?いや、ここは最悪死刑を覚悟しながらも言うべきだろう……死んだらごめんな林檎、許してくれ。

 

「その……前、見えるんだけど…。」

 

俺は目を背けながら指摘する。矢田の来ていたシャツは汗で透け、中の下着の色が写っている。………水色、か…って何見てるんだよ俺は!!

矢田は前を見て気づいたのか顔を真っ赤にする。

 

「!?み、見ちゃダメ!!///」

 

矢田はそう言って自分の体を抱き締めるようにして前を隠す。

 

「お願いだから忘れて//」

 

「………無理かもしれん…。」

 

俺の脳裏からさっきの矢田の姿が離れねぇ!!忘れろ俺!ダメだ!忘れられん!すまん!俺は忘れる事を諦めた。

 

 

…黒崎sideout

 

 

一方その頃、白夜は……

 

 

…白夜side

 

 

「……陽菜乃?大丈夫か?」

 

「…だ、ダメかも……。」

 

「オレの買い物袋の中にスポーツドリンクがあった筈だ。陽菜乃はそれを飲んでくれ。」

 

「え?でも裕翔君は?」

 

「オレはまだ大丈夫だ。………!」

 

オレは陽菜乃の方を向いて大丈夫だと頭を撫でながら気づいてしまった。………こういう時ってどうすれば良いんだ?

 

……取り敢えず言うべきだな

 

「陽菜乃、その……透けてる。」

 

オレは何となく目を背けながら陽菜乃に指摘をする。色?教えるわけがないだろ。

 

「え?……!//////」

 

「あー……確かオレの買い物袋にタオルがあった筈だ。それを使って前を隠せ。」

 

オレがそう言うと陽菜乃はオレの買い物袋からタオルを出して、前を隠すように持つ。…………すまん、陽菜乃。

 

カメラの前をメモ用紙で隠しておいて良かった。メモ用紙に感謝する事が2回もあった事に驚きつつ、取り敢えず謝るべきだと判断する。……悪いのは100%オレだしな。

 

「………すまん。」

 

「……良いよ。あれは仕方ないし、それに……」

 

「?……それに?」

 

「ゆ、裕翔君になら見られても良い、から…//////」

 

陽菜乃はもじもじと恥ずかしそうに顔を真っ赤にしながらオレにそう言った。

 

「………毎日オレに味噌汁を作ってくれ。」

 

「え!?///」

 

「……すまん、忘れてくれ。」

 

つい、心の底から思った事を言ってしまった。熱さで脳がやられているのかもしれないな。……まあ意味が通じるかどうかは分からんがな。

 

「(毎日、味噌汁を……って、それって…)……はうぅ…///」

 

「おい大丈夫か陽菜乃?」

 

急に倒れ込んだ陽菜乃を支えてそう聞くが反応がない。どうやら気を失ったようだ。…この熱さだ。……仕方ないのかもな。

 

オレは意を決して扉の前に立つ。……やはりエレベーターの扉を壊すか……修理費は後で払えば問題はない。

 

オレがエレベーターの扉の前で構えを取るとエレベーターが動き出した。……業者が対応したのか?…取り敢えず助かった。

 

オレが陽菜乃に負荷をかけないようにゆっくりと立ち上がると扉が開いた。

 

「君達!大丈夫か!!」

 

「「はい、大丈夫です。……?」」

 

隣の人も閉じ込められていたのかオレはその人と言葉が被る。

 

「あ!白夜!」

 

聞き慣れた少し騒がしい声のした方を向くと、汗が大量に流れた黒崎と矢田がいた。

 

「……黒崎と矢田か。お前達もここに閉じ込められてたのか?」

 

「ああ。……ん?じゃあ俺達同じデパートで隣同士のエレベーターに閉じ込められてたわけ?」

 

「……そういう事になるな。」

 

「……こういうオチかよ……。」

 

その後、オレ達はスポーツドリンクを渡された後、念のために医務室に行くように言われ、無事と診断された後に帰った。ちなみに陽菜乃は医務室に運ぶ途中で起き、先程のオレの発言は忘れたようだった。

 




はい、という感じになりました!
どうでしょうか?少し違和感があると思いますがスクロールする負担が減るし、自分的にも書きやすいのでこのままで行かせていただきます。

そして!今回の話の案をくださったきつね。様!本当にありがとうございます!くださらなければ後、2週間は遅れてました笑

さて、次はどんな話を書くか……。自分の中に浮かんでいるのは白夜女体化と白夜ショタ化、それと白夜と倉橋さんの入れ替わり事件の3つですね。

話のネタが本当にないので書いてほしい話のネタがあれば教えてください!!めちゃくちゃ助かります!!

それではまた次の記念話でお会いしましょう!!



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料理の時間(通算UA20000記念!2)

第何話とか付けようと思ったけど付けれませんでした。どうも、ワンフォーワンです!

今日はUA20000記念2でございます!

前回言うのを忘れていましたがアンケートの結果、通算UA20000記念は3話書く事になりました!まあ、本編も更新していきますけどね。

それでは料理の時間です!どうぞ!


…白夜side

 

 

『助けてください!白夜さん!』

 

時刻は午前9時。適当に本を読んでいた時に電話がなり、それに応答すると開口一番にそう言われた。林檎からとは珍しいな。

 

「急に助けてくれと言われても困る。緊急事態か?」

 

『お、お、おにいが……』

 

「おにい?…あー、黒崎が?」

 

『料理をするんです!』

 

……何?黒崎が料理?

 

「マズいな……最悪の場合、死人が出る。」

 

『はい……かなりマズいですよ…。』

 

『イアちゃん、この状況がおかしいと思うのはボクだけかニャ?』

 

『いえ、私もおかしいと思っていました。』

 

オレと林檎の会話を聞いたのか、キャトラとイアがコソコソと話している。まあ、全部聞こえているがな。

 

「……何とかしてみる。それで、黒崎はいつ料理するんだ?」

 

『今日の午後7時です!何とかしないと、磯貝さんと前原さんが……』

 

…あの二人が食べてしまう。……というか何で二人は黒崎と一緒に夕食を食べようとしてるんだ?

 

「あの二人が食べてしまう前に何とかしないとな。分かった、10時頃に行く。それまで耐えてくれ。」

 

そう言うと、林檎が『ありがとうございます!!』と言って電話を切った。さて、まずはイアとキャトラに説明するか。

 

『あのー…マスター?何がそんなにもマズいのでしょうか?』

 

『料理で死人なんて出るわけがないニャ!』

 

「黒崎の料理は…………オレが倒れるレベルでマズい。こう言えば伝わるか?このヤバさが。」

 

『『!!?』』

 

オレの言葉にイアとキャトラは凄く驚いた。こう言うと自慢にしか聞こえないだろうが、オレはかなり強い自身がある。電気だって効かないし、毒だって効かない。もし仮に効いたとしてもすぐに体が体内で抗体を作る。そのオレが倒れたのだ。

 

「分かったか?……多分、アレを普通の人が食べてみろ。………死ぬぞ。」

 

『や、ヤバいニャ!どうするのニャ?』

 

『こ、こ、ここは取り敢えず、殺せんせーに頼ってみては?生徒の悩みなら解決してくれると思いますよ?』

 

「そうだな。……後は……」

 

 

 

 

 

 

 

念入りな作戦を立て、必要な人員を呼んだオレ達は黒崎宅を訪れた。さて、ここからが本番だ。

 

「皆、準備は良いか?」

 

見本兼指導担当、白夜裕翔。まあ要するに黒崎を指導し、料理のレベルを上げる役割だ。

 

「ヌルフフフフ、私がいればもう安心!料理の悪い点をすぐにレクチャーし、改善を施します!」

 

試食担当、殺せんせー。黒崎和人が作った料理(ダークマター)を試食する役割。最も危険。

 

「?…まあ、取り敢えず俺の料理食えよ!多分、美味えから!」

 

料理担当、黒崎和人。料理を作る役割。かなり不安。

 

オレと殺せんせーは黒崎に促されるまま、中に入った。リビングに入ると林檎がソファで蹲っている。これからの未来を予知しているのかどうかは知らないが、黒崎の料理と関わりたくない事だけは分かる。

 

「さっきから林檎がこんな調子でよぉ〜。まあ気にせず上がってくれや。」

 

林檎の様子を見て、黒崎がそう言った。なるほど、自覚していないタイプの料理音痴か。……厄介だな。

 

「まあまあ取り敢えずは黒崎君の料理を試食させてください。それから判断しましょう。」

 

という訳で、まずは本人の実力を見る。黒崎は「よっしゃ!」と意気込んでキッチンに向かい、野菜を切っていく。本人曰く、カレーを作るようだ。

 

黒崎は包丁を持ってじゃがいも、人参、玉ねぎの皮を剥く。ここまでは問題なさそうだな。

 

次に黒崎は皮を剥いたじゃがいもを千切りにし……ん?じゃがいもを千切り?……ま、まあ放っておこう。次に人参、玉ねぎを千切りにした。………食感はするのだろうか?したことがないから分からないが。

 

鍋を取り出し、水を沸騰させ、良くスーパーで売っているカレールーの素を入れる。そこへ、先程切ったじゃがいもと人参、玉ねぎを入れ、肉も開封して入れた。

 

「良し!ここまでは順調だな!後は隠し味に……」

 

そう言って黒崎が取り出したのは桃缶だった。………桃?黒崎は桃を鍋に入れて、鼻歌を歌いながらかき混ぜる。この時点で殺せんせーは顔を青くし、林檎はガタガタと震えている。…………頑張れ殺せんせー。そして今まで良く耐えた林檎。後で何か甘い物を作ってやろう。

 

鍋を最大火力で混ぜる黒崎。もはや最大火力なのにツッコむ気力も残っていない。そうしてカレー(暗黒物質)に火を通しているが……時間をかけ過ぎじゃないか?

 

「……黒崎、さすがにそろそろ…」

 

「いや、まだだ!」

 

まだじゃないだろ。手遅れだろ。もう煙出てるぞ。オレは心配をしながらも見守っているとどうやら満足したようでやっと火を止めた。皿に予め林檎が炊いておいた米を入れ、黒崎特性カレー(ダークマター)をかけて完成である。

 

「く、黒崎君?こ、これは……」

 

「見ての通りカレーだぜ!隠し味には桃を入れてるぜ!本当はショートケーキも入れるつもりだったんだが、林檎が朝に食べちゃってな。まあ、食ってみてくれや。」

 

林檎、お前は偉いぞ。良く朝にショートケーキを食べた。後でショートケーキを買ってきてやろう。

 

「(こ、これをですか!?り、林檎さん!寝たフリをせずに助けて!!びゃ、白夜!そっと目を背けのやめてください!!ぐっ…こうなったら覚悟を決めるしかないようですねぇ!)……い、いただきます。」

 

殺せんせーはカレーを頬張った。もぐもぐと殺せんせーはカレーを食べていくが途中でうぐっと声を出す。……大丈夫だろうか?

 

しばらく声を出さない殺せんせーを不思議に思い、オレは殺せんせーの様子を確認する。

 

「……………白目向いて気絶してるぞ。」

 

「えっ!?そんな不味かったか?……ん?待てよ。」

 

オレ達が思った事は一緒であろう。あれ?これって今までの中で1番の殺るチャンスなんじゃ?と、そう思ったに違いない。まあ林檎がいるのでできないがな。

 

だが、殺せんせーが死んでない事は確実だ。まだ皮膚の色を肌色に保てている。ここで黄色になられても困るので安心した。

 

そうこうしているうちに殺せんせーが「ニュウ…」と言いながら起き上がる。

 

「…………今までの人生で食べてきた中でダントツに不味いです。」

 

「んなっ!?」

 

「やっぱりか。」

 

「やっぱりかって何だよ白夜!?」

 

「カレーの具材は一般的に一口サイズに切るのに千切り。それに何よりもマズいのは桃だ。カレーに桃なんて合わないだろ。それと火を通しすぎだ。黒い煙が出てたぞ。」

 

オレが世間を知らないだけで千切りにする所もあるのかもしれないがオレは知らない。

 

「うぐっ!?」

 

オレの正論に黒崎が唸る。その様子を見た林檎がオレに希望を見つけたかのようなキラキラとした視線を送る。……苦労したんだな。今度何か好きな物を買ってやろう。

 

「……分かった。思った以上に重症だが、少しは改善させよう。まずはオレが手本を見せるからそれをちゃんと見てくれ。」

 

「えー……でも俺のやつだってそんなに不味くないはずだぜ?一回食ってみろよ!」

 

「「なっ!?」」

 

黒崎の発言に殺せんせーと林檎が「正気?」みたいな目を黒崎に向けているが黒崎の言うことも一理あるかもしれない。やはりこういうのはオレも食べて指摘するべきなのではないだろうか?

 

「………ふむ、確かにオレが食べてないのに重症と決めつけるのは酷いな。分かった。オレも食べよう。」

 

「「マジですか!?」」

 

オレは驚く2人を無視し、スプーンをもう一個黒崎家のキッチンから取り出してカレーを掬う。カレーは禍々しいオーラと異臭を放っており、食べるのを拒みそうになるが必死に自分を抑えつける。心配そうに見守る殺せんせーと目を両手で隠しながらも指と指の隙間から覗くように見守る林檎を尻目にカレーを口に運ぶ。

 

「………………………………。」

 

皆に見守られながらオレは口の中に意識を入れる。口の中で様々な味が暴れ狂い、食感も酷い。グニグニとした物もあればジャリッとした物、噛むと溶けて味を更に酷くする物もある。結果として………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…オレは倒れた。

 

「「「白夜(君)(さん)ーー!!!??」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……9時間後

 

 

「……ここは…?」

 

「あ!白夜さん!目を覚ましましたか!!」

 

「……ああ。何故か吐き気と頭痛と腹痛が酷いが……あー、黒崎のカレーを食べたんだったな。」

 

オレはあの試食(惨劇)を思い出し、原因を理解する。できる限り記憶の奥に封印しよう。もう二度と食べたくないし、思い出したくもない。しばらくはカレーを食べないようにしよう。

 

「はい……本当にごめんなさい。ほら!おにいも!」

 

「……ぼんどゔにもゔじわげございまぜんでじだ(訳:本当に申し訳ございませんでした)…」

 

たんこぶや痣だらけの黒崎が土下座してきた。……何があった……。

 

「……何があった?」

 

「…いわぜないで(訳:言わせないで)……。」

 

ガタガタと震える黒崎を見て、それ以上の詮索をすることをやめた。ちなみに、黒崎が作る予定だった料理は林檎が作った。

 

 

 

 

 

 

 

余談だが、前原と磯貝が黒崎宅に出向いた時に迎えたのはボコボコの黒崎だったという。

 

 




ワンフォーワンです!!

黒崎君の料理はジャイアンに匹敵するほどの腕前です。

適当に自分がマズそうだなと思った感じのカレーの調理過程を想像したんですが、実際はどうなんでしょうか?じゃがいもや人参、玉ねぎを千切りにするんでしょうか?まあ、桃は入れませんよね笑。

それでは、また本編か次の記念話でお会いしましょう!


何か話のリクエストがあれば言っていただけると嬉しいです!ちなみに、前の記念話で言っていた3つの候補はどれも書きにくかったのでやめておきます。それではよろしくお願いします!!!



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色々な話の時間(通算UA20000記念!3)

どうも!お久しぶりのワンフォーワンです!

実は今回の話は色々と悩みました。色々とネタが思いついたけど、どれも短いし何か終わり方も微妙……。その事に悩み続けた自分はこのように考えました。

「じゃあ全部まとめちゃえ」

と。そうしてできたのがコレです。何か微妙な終わり方だったり、設定が曖昧だったりするのは全て水で流してください。お願いします。

そして!ネタに悩んでいる間に皆様のおかげでUAが26000、お気に入り登録してくださった方が194人になりました!誠にありがとうございます!!前書きにて感謝を伝えさせていただきます!!

それでは本編へどうぞ!!




……白夜裕翔が倉橋陽菜乃と読書をする話。

 

 

 

「……ねぇ、裕翔君。」

 

オレの愛する人の声がして視線を落とす。オレは明るいオレンジ色の髪を撫でながら彼女の耳元に顔を近づける。

 

「どうしたんだ?陽菜乃。」

 

「!!/////……あの、ね…どうして本を読むのにこの体勢なの?///」

 

オレの愛する人…陽菜乃の疑問に改めてオレ達の体勢を振り返る。オレはあぐらをかいてその上に陽菜乃を乗せている。そして陽菜乃は赤い顔を上げて見上げる形でオレの事を見ていた。

 

「……この体勢は不満か?その割には陽菜乃だってオレに体重を預けているが……」

 

「ふ、不満じゃないよ!!あ、体重預けてごめん!迷惑だった?」

 

「いや全く。1日ちゃんと食べてるのか?軽いぞ。」

 

「!?//……そ、そっか…なら良かった……///」

 

「?……まあいい、次のページ捲るぞ?」

 

「ふえ?う、うん!」

 

 

 

 

…もしも風邪を引いている白夜裕翔が先生をしたら。

 

 

 

 

「ゴホッゴホッ!……えー…今日は殺せんせーが風邪で休みという事で先生が代わりに来ました。……皆も風邪に気をつけよう。」

 

オレはマスクをしながら皆にそう忠告した。そういえば、殺せんせーも風邪を引くんだな。知らなかった。

 

「「「「アンタも風邪だろ!!」」」」

 

「ゴホッゴホッ!……ン?風邪?ただコーヒーでちょっとむせてただけだ。」

 

「「「「紛らわしいわ!!」」」」

 

オレがはぐらかすと皆はそうツッコんだ。良かった……バレてないな。……約一名を除いて。

 

「ほら、もう咳出てないだろ?それじゃあまあ代理って言っても今日は小テストだけやってくれって殺せんせーに言われてるから、殺せんせーが昨日パッと作った問題の詰め合わせをやってもらう。それじゃあHR終了。解散。」

 

オレはそう言ってHRを締めくくり、教室を出る。オレが出た後、教室はガヤガヤと騒ぎ出す中、オレの後に続いて出た生徒がいた。明るい色の髪をしており、天真爛漫という言葉が似合う女子生徒、倉橋陽菜乃だ。

 

「せんせ〜♪」

 

「どうした倉橋。悪いがテストの問題はちょっとしか教えてあげられないぞ。」

 

「ちょっとは教えてくれるの!?こほんっ、そうじゃなくて……」

 

可愛らしく「こほんっ」と咳をしてオレに近づく陽菜乃。何だ?オレの髪にゴミでもついてるのか?

 

「先生、風邪引いてるでしょ?」

 

「!?……いや、違うぞ。」

 

オレが否定する中、陽菜乃はオレの額に手を置き、「熱っ!?」とそう言って手を離す。やっぱり気づいたか……。

 

「ほら先生!やっぱり風邪じゃん!!もう!そんなんじゃダメだよ!風邪を引いてるなら絶対安静!」

 

ビシッとオレに指を指しながら怒る陽菜乃。これがオレを心配しての行動だと思うとなんと言うかホッコリする。

 

「まあ、今日はテストだけだからな。所々で少し仮眠を取る。」

 

「ム〜……はあ…それならよろしい♪でもちゃんと帰ったら休んでねー!」

 

陽菜乃はそう言って教室に戻っていく。全く……

 

「……先生には敬語を使え。」

 

そう悪態をつきながらもオレは少し笑いながら職員室に向かう。まあオレが笑うって言っても本当に笑えているかは謎だ。口角が0.2mmほど上がっているだけかもしれない。

 

 

 

 

1限目、国語にて。

 

 

 

皆が小テストに集中している所をぼーっと見ていると問題文の訂正があった事を思い出した。

 

「えー、始まって5分も経ってしまいましたがここで問題訂正が入ります。えー問5の問題文の最後から5行目ですが、『磯野を野球に誘った』とありますがそこを『磯野ー!野球しよーぜー!』に変えてください。」

 

「「「「何の違いがあるんだよ……」」」」

 

「そうすると、先生が少し満足します。」

 

「「「「自己満足だけかよ!!」」」」

 

仕方ないだろ……そう書いてあるんだから。ていうか風邪を引いたあの人は色々とヤバいな。

 

 

 

3限目、英語にて。

 

 

 

「えー、ここで問題訂正が入ります。問6の問題文を日本語に訳すと、タケル君が8人います。えー、46人にして乃木坂46ならぬタケル君46にしてください。」

 

「「「「タケル君多すぎだろ!!」」」」

 

「それから何か勘違いが起きるかもしれないので先に言っておきます。問10のある1行を日本語に訳すと、『木刀から醤油が出る。』と書いてあります。問題文が間違っている訳ではありません。作者が銀魂をパクっただけです。」

 

「「「「間違ってなかったのかよ!!そしてパクるな!!」」」」

 

「同じジャンプ作品だから多分大丈夫だ。という判断が上(作者)から下ったのでそう書きました。後悔も反省も懺悔も謝罪も……」

 

「「「「長えよ!!!」」」」

 

仕方ないだろ……そう書いてあるんだから。あ、あともう一個訂正しなきゃいけない事があったな。

 

オレは殺せんせーの『英語のテストの訂正』と書かれた紙をくしゃくしゃにしてポケットの中に入れて皆の方を見る。良し、今なら全員聞いてるか。

 

「それと、この前先生が誰とも付き合った事がないという噂が流れてましたが先生は付き合った事があります。というか今現在進行形で倉橋陽菜乃さんと付き合っています。ちゃんと訂正してください。」

 

「「「「ええーー!!!!??」」」」

 

「何で先生言っちゃうの!!////」

 

「え!?陽菜ちゃんどういう事!?」

 

「何で白夜先生と!?」

 

「騒がしいぞ。テスト中の私語は慎め。」

 

「「「「アンタが原因だよ!!」」」」

 

これで教室とか廊下とかで倉橋じゃなくて陽菜乃と呼べるな。何か距離感があって嫌だったから嬉しい限りだ。

 

 

 

 

6限目、テスト返却。

 

 

 

その後もなんやかんやあって全ての小テストが終わり、6限目のチャイムと共に扉をスライドさせて教室に入る。所々ギィ…となる木製の床を踏みつつ、教壇の前に立ち、今日1日頑張った生徒達に労いの言葉を送る。

 

「はい、テストお疲れ様です。今から全てのテストを返却します。」

 

「「「「返却早いな!!?」」」」

 

早かったらダメなのかよ……。やはり先生とは難しい物だな。

 

 

 

 

…もしも白夜裕翔が鬼殺隊の柱だったら。

 

 

※時は大正だとか鬼がどうとか鬼殺隊がどうとか柱がどうとかは書くのが面倒くさいので原作を見てくれるとありがたいです……。

 

 

 

 

「キャーー!!」

 

月明かりが淡く光る幻想的な光景に似つかわしくない少女の悲鳴が森に響いた。オレは少女の悲鳴が聞こえた方へと急ぎ足で向かう。

 

声のした方へしばらく走っていると明るい橙色に似た色の髪をした可愛らしい顔立ちの少女が醜い姿の鬼に襲われていた。不幸中の幸いか、多少なりの距離があるのが救いだ。すぐに助けられる。

 

「待てぇ…待てぇ…年頃の雌肉ぅ……待てぇ!」

 

「誰か!誰か助けてぇ!!」

 

鬼が速度を上げ、とうとう少女に追いついた。その醜い腕で少女に触れようとしている。鬼に追いついたオレは左の腰にさした刀の柄に左親指を置き、右手で抜刀する。

 

「そんな汚らしい手で女性を触るんじゃない。」

 

鬼の腕を切り、少女の身を護るように前に立つ。少女が抱いていた鬼に対しての恐怖を全て絶ち切るように、オレは少女を安心させるように声をかける。

 

「もう大丈夫だ。良く耐えた。オレの後ろに隠れていろ。後はオレの仕事だ。」

 

「!……はい!///」

 

彼女は目の端に涙を溜めて、オレの羽織の裾を掴む。普通の人間ならまともな返事すらせずに何処かに行ってしまうがこの少女はちゃんとオレの言ったとおりにしてくれている。……強い少女だ。

 

「あ?誰だ俺の食事を邪……お前……上に雨、下に氷の結晶の模様の羽織、そして白い刀身に悪鬼滅殺の文字……まさか柱!?」

 

「鬼殺隊【天柱】白夜裕翔。」

 

何となく鬼に自分の名を名乗り、何が来ても大丈夫なように刀を構え、呼吸を整える。変わった術を使う鬼もいるそうだからな。注意しなければ。

 

「……ふはははは!!!天柱!天柱だ!お前さえ殺せばあの方に……」

 

「全集中、天の呼吸…壱ノ型【晴天の霹靂】」

 

全集中ならではのシィィィィという呼吸音。全ての呼吸を見て、独自で編み出した呼吸を、型を……今ここで、この少女を守る為にぶつける。

 

オレは右脚を引き、左脚を曲げる。オレの知り合いが考えた技名を言って、踏み込んだ。

 

ドンッ!!

 

「……へ?」

 

鬼との距離を詰め、すれ違いざまに鬼の頸を切る。首だけになった鬼は何が何だか分からないと言った表情のまま、オレを恨めしそうに見ている。ちなみに晴天の霹靂は雷の呼吸の壱ノ型を参考にした。まあ、殆ど一緒だがな。と、そんな事を説明している間に徐々に鬼の体が灰になって崩れていく。

 

すると、少女は自分が助かったという事が分かったのかオレに体を預けて泣き始める。オレは自分の胸の中でなく少女を右手で落ち着かせるように背中を優しく擦り、左手で明るい色の髪をゆっくりと撫でる。

 

「こ、怖かった〜……」

 

「もう大丈夫だ。怖い鬼はもういない。」

 

「……ぐすっ…ひっぐ…」

 

「だからゆっくりと寝ろ。後は大丈夫だ。」

 

そのまま少女の髪を撫でていると、すぐに安心した表情で眠りはじめた。…サラサラの髪の撫で心地を楽しみつつ、木陰でずっと隠れていた『隠』を呼ぶ。

 

「…天柱様!」

 

「……静かに。この少女を安全な所へ…できるならこの少女の家まで送ってくれ。」

 

少女を抱きかかえ、隠に渡す。ちゃんと女性の隠なので安心安全だ。

 

「分かりました。……それと、見事な腕前でした。」

 

「……それじゃあ頼んだ。オレは次の場所へ行く。」

 

こうしてオレはまた夜に駆ける。

 




ワンフォーワンです!

裏話を少しすると、最初は『ありそうでない話……』みたいな物を作りたかったんですけどいつの間にか『もしも……』になってました。まあ、これはこれでいっか!ってなったのが今日です。

読書と先生の話は何となく思いついたんですが、それでも足りないなぁ…と感じて鬼滅の話を入れました。天の呼吸はオリジナルで考えついた物です。羽織りとか刀の色もオリジナルです。……それっぽくできてますかね?笑

最後の所は鬼滅の刃と夜に駆けるという曲のMADを聞きながら書いていたので終わりはこうしました。……ネタ切れってキツい……。


えーっと、次にもし通算UA記念をやるとしたら50000くらいに行った時ですかね……。道のりは長いけど頑張ります!!やっと、一段落ついたなぁ…って感じです笑。

それでは次は久しぶりの本編でお会いしましょう!!


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1学期編
第1話変化の時間


どうもワンフォーワンです。

夏休みが終わったら学生は学校、大人は仕事ですね。

暑いですが頑張って書きます。

というわけで第1話変化の時間です。


ちなみに最初は、椚ヶ丘3ーEが始まる少し前です。

それではどうぞ!!

白夜君が3ーE編入するのはだいたい大人の時間が終わったあたりを考えてます。


…白夜side

 

 

突然だが、少し自己紹介と質問をしようと思う。まずは自己紹介から。

 

オレの名前は白夜裕翔だ。年齢でいえば14歳、中学3年生である。生まれ持ってのアルビノ体質だが、一般人と変わらないくらいに動ける。日焼けに関しては日焼け止めなどを塗っているので問題はない。完全記憶能力というのも持っているがまあいいだろう。

 

さて、多少どうでもいい話が混ざったが、この駄作を読んでいる読者の皆に質問がある。皆はこんな状況に出会った時はどうするだろうか?

 

え?どんな状況かって?それは……

 

 

 

「君、可愛いねぇ。俺らと一緒に遊ぼうぜ?」

 

「そうそう、遊ぼうぜ?」

 

「す、すみません。これから友達と遊ぶので…」

 

 

 

……こんな状況だ。まあ世間一般的に言うナンパだな。今時、絶滅危惧種だと思っていた。

 

「いいから来いって。きっと楽しいからよ!」

 

「きゃっ!!」

 

はあ、しょうがない……

 

「その子、嫌がっているんでやめてください」

 

「誰だてめぇは?」

 

「通りすがりの同級生です」

 

当然だが嘘である。本当は誰だかすら知らない。

 

「邪魔だ!帰りやがれ!!」

 

そう言ってナンパ野郎B(仮名)は、左腕で殴りに来るが…

 

「はあ…平和的解決を望むんだがな。遅い」

 

そう言って躱し、ナンパ野郎Bの腹を軽く殴る。強く殴りすぎると骨を折ってしまうからな。

 

「ごふっ」

 

ナンパ野郎Bは気絶した。結構加減したんだがあまり大した事はないな。

 

「そこに寝てる奴を連れて帰れ」

 

オレが怒気を少し出しながらナンパ野郎Aにそう言うとナンパ野郎AはBを連れて帰っていく。

 

「クソが!覚えてろよ!」

 

「忘れてやる」

 

ナンパ野郎共の捨て台詞にそう返して、オレは女の子の方を向く。女の子の怪我を確認しないとな。

 

「怪我はないか?」

 

「あ、はい。大丈夫です…///」

 

何故、顔を赤くするんだ……怒ってる?この状況で?もしくは怯えている?怯えると顔が赤くなる体質の人間がいるのか?そんなわけないか。

 

「なら良かった」

 

オレは安心させるように頑張って表情筋を作り、笑ってそう言った。

 

「はい//ありがとうございます///」

 

だから何故顔を赤くする…。オレの笑顔ってそんなにも気持ち悪いのか?だから怒っているのか?……確かに表情筋は硬いが……不安だから赤くなってるわけではない様だな。

 

「私、椚ヶ丘中学の3年の倉橋陽菜乃です。助けてくれてありがとうございます!!」

 

女の子…倉橋は笑顔でそう言った。

 

「椚ヶ丘ならオレも今度転校するな。悪い紹介が遅れた、白夜裕翔だ。とりあえず、また同じ目に合うのは嫌だからな。家まで送る」

 

「……じゃあお願いするね///」

 

「ああ、任せろ」

 

だから、なぜ顔を赤くするんだ。

 

 

…数分後

 

 

「ありがとう!もうちょっとで着くから此処までで良いよ//」

 

「わかった。気を付けてな」

 

こうして、転校前のオレの休日は過ぎ去った。

 

 

…転校初日

 

 

「白夜君。この前、別の中学の子と喧嘩したらしいね」

 

何故か理事長に呼ばれたから来てみれば前の事か。

 

「まあ、そうですね」

 

オレがそう返すと理事長は少し考え、口を開いた。

 

「…そうだな……君には罰としてE組に行ってもらう。あと、今日はもう帰りたまえ」

 

罰ってA組の予定からE組に変わっただけ?あと、帰らせてくれるのか…もう少し学校を見ておきたかったんだが……理事長先生のお告げだし帰るか。

 

「そうですか…ではお言葉に甘えて」

 

EだかFだか知らないが…まあ、Aよりも面白そうな感じがする。学校を一通り見てたがそんなクラスあったか?

…まあいい、家に帰るか。

 

 

…白夜sideout

 

 

 

 

…倉橋side

 

 

「……白夜君かっこよかったなぁ…」

 

皆が登校してくる朝。そう言った私は何かを懐かしむような表情をしていたと思う。

 

※完全に惚れた顔です。

 

「……また会えるかな…?」

 

白夜君に会ってから私の頭の中は白夜君で一杯だった。時々、授業で当てられても上の空だったりして殺せんせーに凄く心配される。

なんでこんな感じになっちゃったんだろう?

 

 

…倉橋sideout

 

 

 

 

…白夜side

 

 

今、オレは家に帰っている。ちなみにオレの家は自慢じゃないが凄くでかい。両親はいないので1人暮らしだがな。

オレがそんなことを誰かに紹介するように考えていた時……

 

ピンポーン!

 

……誰か来たようだ。

 

インターフォンのモニター越しに見てみる。

…黒いスーツに黒いネクタイそして目は鋭い。確か防衛省の烏間だったか?

とりあえずは知らないふりをして……

 

「…はい。どうしました?」

 

「…ここが白夜裕翔君の家でしょうか?」

 

「はい。っていうかオレがその白夜裕翔ですが?」

 

というかオレ以外住んでない。でかい家にオレ1人って少し虚しく感じる時がある……まあ話相手くらいはいるがな。

 

「俺は防衛省の鳥間というものだ。君がE組に編入すると聞いて話に来た」

 

はい、知っています。

まあ、防衛省だし関係があるのは恐らくオレではなくE組の方だな……何か国に対してよく思われないような事をした記憶がない。え?ハッキング?……勘の良いガキは嫌いだよ…ってセリフがあった気がする。

 

「…分かりました。話は中で聞きます」

 

そう言ってオレは門を開け、烏間さんを家に入れる。4月といってもまだ外は寒いからな。

 

「コーヒーです。どうぞ」

 

オレはキッチンからコーヒーを煎れ烏間さんに渡し、オレは座る。

 

「ああ、ありがとう」

 

そう言って烏間さんは椅子に座る。烏間さんとオレは珈琲を飲む。

 

「美味いな」

 

「そう言ってくれるとうれしいです」

 

少し雑談を交わすと烏間さんが喋りだす……忙しい人なのにこうやって話に付き合ってくれる辺り良い人なのだろう。いや、こんな晩に現れるくらいだ。仕事が忙しかったのだろう。

 

「本題に入る前に…月の事件は知っているか?」

 

「ええ、知ってますよ。たしか…月が7割破壊された事件ですね。ニュースでいろいろな考察がありましたし。…オレは誰も見たことのないような超生物が犯人と予想します。まあ、理由は勘ですけどね。それで何の関係が?」

 

月爆破事件は有名な事件だ。

そのせいで、ニュースも新聞もこの事件の事しか載ってないので面白くない。

 

それと、この考察は勘じゃない。ハッキン、ンンッ!盗み見をした際に(そんなに意味変わらないな)知っている。

 

「…実は月を破壊した犯人がE組で教師をしている。…その超生物がこいつだ」

 

何故、教師なのかは聞かないでおこう。烏間さんが凄い苦労してる人の顔をしていた。

 

「…だいたい分かりました。つまりそいつを殺せという話ですね」

 

まあ、各国首脳がオンラインで対談してるの見てたからな。

 

「話が早くて助かる。報酬は100億だ。奴は普通の銃やナイフが効かない、奴に効くのはこの銃弾とナイフだ」

 

そう言って烏間さんはピンク色のBB弾の様な物とナイフ型のゴムの様な緑色の物をテーブルの上に置く。ふむ、資料通りだな。超生物をオレにぶつけて殺す気ではないと。

 

「分かりました。そこのナイフを2本ください」

 

「ああ、分かった。それと、俺は体育を担当している。ではまた明日」

 

烏間さん…烏間先生が体育担当なのはまあ納得だな……あのタコ型には人間の体育は教えられないだろう。

 

「はい。烏間先生」

 

オレは玄関まで見送り門を開けた。そして烏間先生は帰っていった。

 




どうもワンフォーワンです。さあ、次回からいよいよ原作が開始します。
そして倉橋さんと白夜君が再会します。
あと、白夜君はあらゆる才能をもらっているので基本何でもできます。しかも上手。

「早く作れよ作者」

まあ、頑張りますよ。

「ああ、頼む」

頼まれました。

それでは次回を「「お楽しみに!!!!」」


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第2話再会の時間

どうもワンフォーワンです。
UAが300以上だったので驚きました。

「もっと頑張らないとな」

というわけで頑張っていきたいのですが、ちょっと忙しくなるので、できれば気長に待ってくれると嬉しいです。

「あまり、待たせない方がいいぞ?」

はい。できるだけ頑張ります。

「それでは、第2話再会の時間どうぞ」

セリフ取られた!?


…白夜side

 

白夜裕翔だ。

前回言い忘れていたが、烏間先生の話によると奴はマッハ20らしい。ちなみに報酬の100億はあまり興味ない。

 

そういえば…転校する前に助けた女子がいたな。確か、倉橋?だったはずだ。元気で明るい子で天真爛漫って雰囲気もしたな。

 

おっと、思考がずれてしまった。

それにしても…マッハ20のタコ型超生物ってどうすれば殺せるんだ?不意打ちした後に適当に銃を撃ってみるか。

 

もし本当に教師をしてるなら教室での暗殺になるな。多分、教室への被害なく避けるには、オレの計算だとマッハ1くらいだな。

 

まあ、明日頑張ろう。

 

 

…翌日

 

 

よし、だいたい準備できたな。んじゃ、E組へレッツゴーだな。

 

 

…キングクリムゾン!!!!(最近覚えたジョ○ョネタ)

 

 

遠くないか?学校から結構離れてるし…

 

「本当に山の中だな」

 

そう言いながら感想を述べていると…

 

ドゴオオオオォン!!!

 

という音と共に黄色いタコのような生物が目の前に現れた。凄い登場の仕方だ。

 

「君が、白夜裕翔君ですね?私は、このE組の担任の殺せんせーと言います」

 

…ちょっと冗談でも言ってみるか。理由は………なんとなく。

 

「いいえ、私は白夜裕翔ではありません。私の名前は、マイケルです」

 

「………」

 

やめろ。その表情をやめろ。苦笑してるのか真顔なのかちょっとウケてるのか分からない顔をやめろ。

 

「……冗談だ。オレが白夜裕翔だ。おはよう、殺せんせー」

 

「はい。おはようございます。では、教室の前で合図があるまで待っていてください。合図したら、入って自己紹介をして下さい」

 

「分かった」

 

 

…数分後

 

 

凄いな。出席をとりながら一斉射撃を避けてたぞ。

それがオレが廊下の窓から見ていた光景の感想だった。

 

「…烏間先生から聞いていると思いますが、今日は転校生が来ています。それでは、入って来てください」

 

もう入っていいのか?……まあ良い入ろう。

 

「…今日から転校してきた白夜裕翔だ。よろしく」

 

オレは教室の戸を開き、自己紹介をする。

 

「えっ!?白夜君!?」

 

ン?あれは…

 

「ああ、確か倉橋だったよな」

 

E組に居たんだな。本校舎を見た時に見かけないわけだ。

 

「うん、そうだよ!覚えててくれてたんだ。あの時は、ありがとう!」

 

倉橋は笑顔で言った。可愛い。結果、倉橋の笑顔は可愛い。QED証明終了。

 

「ああ、どういたしまして」

 

「///」

 

「何故、顔を赤くする?オレが何か怒らせるようなことしたか?」

 

「いや…怒ってるわけじゃなくて…。」

 

「じゃあ、風邪か?…ちょっと我慢しろ」

 

そう言ってオレは倉橋の額に手を当てる。

 

「ふぇっ!?///白夜君!?///」

 

なるほど、なるほど……

 

「熱はないな」

 

取り敢えずは安心だな。だが、体温に変化がなくとも体調には気を配った方が良いだろう。

その事を倉橋に伝えると赤くなった顔で「わ、分かった〜…//」と言った。伝わったようだが熱は本当にないのだろうか?

 

((((あ〜これは…))))

 

「…あのそれより白夜君?倉橋さんを知っているんですか?」

 

オレが再度倉橋の体温を測っていると殺せんせーが話しかけてきた。

 

「ああ、確か前に倉橋がナンパされてて、無理やり連れて行かれそうだったから助けただけだ」

 

「そうでしたか〜、ヌルフフフフ」

 

と言って殺せんせーは顔をピンク色にする。……どうなっているのだろうか、殺せんせーの顔は。

 

((((うん。倉橋(さん)(陽菜乃)(陽菜乃ちゃん)、白夜(君)のことが好きなんだ。しかも、白夜(君)鈍感だ。))))

 

なんだろう、クラスメイトから生暖かい視線というかそんなものを感じる。今まで浴びたことがない視線に少し困惑する。

 

「それでは、今から少しだけ質問タイムにします。白夜君に質問がある人は、手を挙げてから質問して下さい」

 

場を切り替えるように唐突に質問コーナーらしき物が始まった。……小学校の時もやった事があるな。

 

「はい!」

 

緑色の髪を短めに纏めた女子、確か茅野カエデだった筈だ。

……痛みを堪えるような表情をしているのは謎だが、きっと何か理由があるのだろう。

 

「確か、茅野だったな。質問は?」

 

「白夜君は甘いもの好き?」

 

「ああ、甘いものは好きだぞ。どの位好きかというと自分で作る位好きだ。一番好きなのはプリンだな」

 

「私も好きなんだ!プリン!」

 

「甘党仲間だな。今度、家来るか?自家製プリンがある」

 

「先生もプリン好きなんですよ〜、ぜひその自家製プリンを私にも〜…」

 

「教師が生徒の家にプリンを集りに来るのか……」

 

オレと茅野がプリンで盛り上がっていると殺せんせーも参加してきた。なるほど、先生もプリンが好きなのか。甘党仲間第二号の登場だな。

 

「じゃあ、先生も来るか?」

 

「ええ、では先生も行きます。では続いては…」

 

「はい。」

 

整った顔立ちに黒い髪からピョンと出ているアホ毛が特徴(勝手に思っている、すまん)の磯貝悠馬だ。

 

「磯貝だったな。質問は?」

 

「なんで名前分かるんだ?」

 

「ン?ああ、覚えたからだな。オレは完全記憶能力があるんだ」

 

「マジか!?羨ましいな……。」

 

「そう思うか?でも、意外と現実は苦くてな…苦労した」

 

金と力で屈服させた事は言わない方が良いだろう。……下心が丸見えな人間と関係を築く気はないのに犬の糞にハエのように群がってくるからな。ン?その例えだとオレが犬の糞にならないか?……まあ、いい

 

「なるほど。それは大変でしたねぇ。では続いては…」

 

「はいはーい!」

 

長い金髪の何というかギャル?っぽい感じ(何かすまん)の女子、中村莉桜。

 

「中村だな。質問は?」

 

「好きな女の子のタイプは?」

 

(((((今まで平和だったのにいきなり爆弾を投下しやがった!?)))))

 

「好きな女の子のタイプ?」

 

オレは中村の質問に対し、オウム返しのようにそう聞くと「そーそー!」と笑いながら答える。

 

(((((言わないだろうし、空気重くなるぞ。その質問は。気になるけど…)))))

 

ふむ……クラスの雰囲気が何というか一気に重く…というか気まずく?なった気がする。……オレが早く言わないからか。

 

「ン〜?…元気で明るい子が良い。楽しい方が面白いし、あと可愛いって思うからだな」

 

オレは中村の質問に対する返答に悩みつつ、そう答えた。元気で明るい子が近くにいれば何故かオレも明るくなれる気がするからなんだがな。表情筋硬いけど。

 

「「「「「言うのかよ!!」」」」」

 

その後も色々と質問が飛び込み、それに対して返答していくとそろそろ授業の時間が近いのか殺せんせーが声を出した。

 

「それでは、次で最後にします!」

 

「はい!」

 

オレンジ色のゆるふわパーマの天真爛漫な少女、倉橋陽菜乃だ。

 

「最後は倉橋か…質問は?」

 

「白夜君はさ、動物好き?」

 

「だいたいの動物は好きだな。猫とか犬とか…」

 

「私も好きなんだ!動物!」

 

「そうなのか。気が合いそうだな」

 

「うん!そうだね!」

 

((((ふぅ…最後は平和だった。))))

 

クラスの雰囲気が和んだ気がするな。質問のチョイスが良かったのか?今度社交の場ではこういう質問を使うか。

 

「では、そろそろ質問タイムを終わりにします。白夜君。席は倉橋さんの隣です」

 

「分かりました。そういえば…殺せんせー、本当に殺して良いのか?」

 

「ええ、と言っても殺される気はありませんがねぇ」

 

殺せんせーは緑色の縞模様を浮かべながら「ヌルフフフフ」と笑った。皮膚はどうなってるんだろうか?

 

「じゃあ、殺せんせー。今日中に暗殺を1回しよう」

 

殺せんせーのその良く分からない表情と笑い声に対し、オレは愚策とも取れるであろう暗殺宣言をした。

 

「ヌルフフフフ、殺せるといいですねぇ」

 

「そうだな。頑張るか」

 

「ええ、頑張ってくださ…」

 

ザシュッ

 

殺せんせーの触手が2本切られた。いや、切った。それと同時に銃を2回発砲する。殺せんせーが避けるが1発当たり、触手が飛ぶ。

 

感覚を鈍らせる香水をつけておいて良かったな。聞くかどうかは不安だったが、大丈夫だったようだ。

 

「ニュヤ!?」

 

「…もう無理か。油断したな殺せんせー。不意打ちは苦手か?まあ、殺気を出さなかったからな。そして、最後のはいきなりのことで焦り、反応が遅れた。ってところかとりあえず、ダメージを与えたから上出来だな」

 

後は言葉がダメージを与えた要因だな。「今日中に」と言えば今すぐを連想する人はあまりいないからな。

……まあ、転校初日の奴に最初から暗殺を仕掛けられるとは思わなかったのが1番デカいけどな。

 

「これで、殺せんせーにダメージを与えた人2人目だ!」

 

水色の髪の女子?……あー、男子だった…男子、潮田渚はそう言った。……女子と間違えてすまなかった。

その声の後、クラスの皆は殺せんせーにダメージを与えたことで喜んでいる。

 

「ニュウ…不意打ちとは…先生も自己紹介だからと油断しました。素晴らしい暗殺でした。次は皆と頑張りましょう」

 

「ああ、そうだな」

 

 

…数分後

 

 

「そろそろSHRが終わるので、席についてください。」

 

「分かりました。」

 

殺せんせーの指示により、倉橋の隣に座る。

 

「これからよろしくね!白夜君!」

 

隣に座ると倉橋が明るく笑いながらそう挨拶した。オレも返すのが礼儀だな。

 

「ああ、よろしく」

 

こうして、倉橋との再会とクラスへの自己紹介は無事?終わった。

 

 

 




ワンフォーワンです。
少し投稿が遅れてしまいました。

前書きでも言った通りちょっと忙しくなってしまいました。

あと、もう1個、小説を書きたいな…なんて思ってます。

少し落ち着いたら書いてるかもしれないので見てくれると嬉しいです。

それでは、次回をお楽しみに!!!



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第3話発覚の時間

どうも夜の投稿ですみません、ワンフォーワンです。

いや〜暗殺教室の小説の時に言うのもなんですが、この素晴らしい世界に祝福を!の映画、紅伝説が公開しましたね。
皆さんは見ましたか?自分はまだなので楽しみです。このすばって面白いですよねー。

まだ見てないかたはアニメ1期から見てみてはどうでしょうか?

まあ、というわけで(?)第3話発覚の時間始まります。

「エクスプロージョン!!!」


…白夜side

 

 

やあ、オレだぜ。え〜誰か分からないって?オレは白夜裕翔だぜ。…やめようこのだぜを語尾に付けるノリ。

自己紹介の時に普通の魔法使いって言う白黒魔法使いを思い出した。

………授業が始まるな。

 

 

…授業後

 

 

「どうだった〜?殺せんせーの授業?」

 

殺せんせーの授業が終わり隣の席の倉橋が聞いてきた。

 

「…分かりやすかった。今までいろんな教育受けたが1番分かりやすかった」

 

触手などを多彩に使っていて、飽きることがなかった。

そして何よりも分かりやすかった。

 

「(いろんな?)…そっか〜。私も殺せんせーにこの前、補習受けた後の小テストの点数良かったんだ!」

 

「良かったな」

 

殺せんせーのおかげもあるかもしれないが勉強は自分の意欲も必要だ。成績が上がったのも倉橋の意欲があったからだろう。

 

「陽菜乃ちゃん、何の話?」

 

矢田が倉橋とオレの会話に混ざる。思ったんだが皆コミュニケーション上手いな……。

矢田は倉橋を名前で呼んでおり、倉橋もまた矢田を名前で呼んでいる。仲が良いということは良いことだ。

 

「あ、桃花ちゃん。実は白夜君と殺せんせーの授業が分かりやすかったって話をしてたの」

 

「確かに分かりやすかったねー!殺せんせーの授業」

 

「どうですか、白夜君?先生の授業は?」

 

殺せんせーがオレに聞いてきた。突然現れるのは少し驚くからやめてほしい。

 

「殺せんせーか、今ちょうど殺せんせーの授業がわかりやすかったって話をしてたんだ」

 

「それは何より。皆さんとも仲良さそうですし」

 

「ああ、仲良くさせてもらっている」

 

関係ない話だが、教師ってなんだかやってみたいんだよな。……何となくだけどな。

ちなみに殺せんせーに対しての敬語は消えた。理由を聞かれると職員室で水着姿の女性の姿を見て「うっひょーー!!」と奇声を上げている所を見たからである。

 

「白夜君、次は英語だよ〜」

 

倉橋がオレに話してくる。

英語か……とオレはバッグから教科書を漁りつつ、倉橋に質問を出す。

 

「そういえば、英語は先生が違うのか?」

 

殺せんせー出ていったし。そう付け足すと倉橋は肯定した。近くにいた矢田も参加し、その先生が殺し屋である事も分かった。

話を聞く限り、ハニートラップを得意とする女性の殺し屋らしいな。

 

「…それは面白そうだな」

 

殺し屋がどんな授業をするのか。実際に気になる所ではある。銃の撃ち方……とかではないだろう。

 

「ねぇねぇ白夜君、次の英語の授業で先生のことビッチ先生って呼んだら怒るからやってみてよ。あと、俺はカルマで良いから」

 

オレの呟きに対して反応を示したのは赤髪の黒いカーディガンを羽織った男子、赤羽業だ。業と書いてカルマと呼ぶらしい。

 

「いいぞカルマ。あと、オレのことも裕翔でいい」

 

 

…英語の時間

 

 

授業が始まると金髪の女性が入ってくる。なるほど、あれが英語担当の教師か。

 

「アンタが今日編入してきた子ね。私の名前はイリーナイエラヴィッチよ。私のことは、イ…」

 

「ビッチ先生ですね」

 

イリーナイエラヴィッチだからビッチ先生なのか…。

正しくはヴィッチなのだろうが皆と同じ呼び方の方がこの人は慣れているだろう。

 

※白夜君に悪意はないです。

 

「って!ちょっと待ちなさい!誰よ!?教えた奴は!?」

 

ビッチ先生の声に対して、手を上げた生徒が1人。言わずもがなカルマだ。

 

「俺だよ〜ビッチ先生」

 

カルマがニヤけながら右手を挙げる。

 

「本当に怒ったな。まあ、怒るのが普通か。でも、面白いな。ありがとうカルマ」

 

人の怒る理由というのは興味がある。あまり人生で怒ったことがないからだろう。探究心というのが楽しいのかもな。

 

「お〜、また教えてあげるよ」

 

「キッッッーーーーーー!!!」

 

 

…授業後

 

 

凄く疲れた気がする。いや、凄く疲れた。

 

「どうだった?ビッチ先生の授業は?」

 

「あのビッチは一般中学生になんて授業してんだ。教え方は良いが、教材がアウトだな」

 

分かりやすくはある。が、先生を付ける気が失せるようなインパクトを受ける内容だった。あ、次からは付けるぞ?先生だしな。

 

「あはは…」

 

さすがの倉橋も苦笑いか。できれば明るく笑ってほしい物だが、この手のコミュニケーションはオレが苦手とする部類だ。

 

 

…昼食前

 

 

オレは弁当を持って教室から出ようとしていた。山の景色を眺めながら昼食を食べようと考えたからだ。山奥でしか味わえない景色だろう。と、胸に期待を込めていると服の裾を遠慮がちに弱めの力で引っ張られる。

 

「白夜君。一緒にお昼食べない?」

 

オレの服の裾を掴んでいたのは渚だった。

……本当に女子にしか見えない…すまん。

 

「ン?オレとか?いいぞ。皆との親睦を深めないとなと思っていたところだ」

 

1人で食べようとする前は誰かを誘おうと思ってはいたがどう声をかければ良いのか分からなかったので諦めていた。

考えても分からないなら問題の解決ではなく、解消をすれば良い。だから諦めた。まあ合理的解決とも言えるであろう。

 

「あはは、なら一緒に食べよう?」

 

渚が笑いながらも誘ってくれる。

 

「ああ、行くか」

 

 

…少年達移動中

 

 

「白夜君連れてきたよ〜」

 

「メンバーは、渚、カルマ、茅野、杉野、磯貝、片岡、矢田に倉橋か。」

 

オレは一緒に食べるメンバーを確認し、適当な所に「失礼するぞ」と言って座る。

 

「やっほ〜裕翔君」

 

オレが席に座るとカルマが挨拶してきた……元気がないと思ったらコイツさては徹夜したな?

目の下に小さく薄く浮き出た隈にそう思いつつ、

 

「カルマ、大丈夫か?睡眠不足には気をつけろ」

 

「白夜君!ちょうどお昼、誘おうと思っていたんだ!」

 

「そうなのか?倉橋、ありがとな」

 

そう言ってオレは倉橋の頭を撫でる。

 

「…あ、悪い。」

 

つい、無意識にやってしまった。怒らせてしまっただろうか?折角できた交友関係をこんな形では終わらせたくないが……。

 

「えっ!?//う、うん、//だ、大丈夫…//」プシュー

 

倉橋はそう言うが何か……蒸気出てないか?本当に大丈夫か?それに顔も赤いし……。

 

「倉橋?どうした?顔が赤いぞ?」

 

「あっ!えっ!?だ、大丈夫だよ?//」

 

「そうなのか?ならいいが」

 

まだ顔赤いが……

 

(へ〜これは裕翔君をいじれそうなネタ発見〜!!でも、裕翔君には効かなそうだからな〜やめとこ)

 

(カルマがいじらない!?いや、白夜だからな…)

 

(カルマ君がいじらないなんて!?いや…白夜君には効かなそうだからやめたんだ……)

 

(う〜//あんな話してからなのに頭撫でられたら赤くなっちゃうよ〜//)

 

「ほら、桃花があんなこと聞くから」こそこそ

 

「え〜だって気になるじゃん!メグだって気になってた癖に……カエデちゃんも気になってたでしょ?」こそこそ

 

「でもあの聞き方は直接的過ぎじゃない?」こそこそ

 

「え〜でもそれ以外の聞き方はないよね?」こそこそ

 

「まあ、それもそうだけど…」こそこそ

 

「でも、陽菜乃には悪いことしたね」こそこそ

 

なんか片岡と矢田と茅野がこそこそ話してるんだが…。

 

 

…白夜が渚にお昼に誘われる少し前…

 

 

…倉橋side

 

 

皆がお昼を食べる準備するとき、突然、桃花ちゃんが私に聞いてきた。

 

「そういえば陽菜ちゃんって白夜君のこと好きなの?」

 

「ふぇっ!?//い、いや白夜君のことは好きというか…なんというか…」

 

桃花ちゃんの突然の言葉に私は戸惑った。

私が好き?誰を?白夜君を?いや、確かにカッコいいし、少し天然な所が可愛いし、不意に笑顔とか向けられると胸がキュンってするけど……。

 

「え〜そんなこと言って〜本当は好きなんでしょ〜」

 

「(なんか矢田さんが中村さんみたいなノリで聞いてる…)や、矢田さん…」

 

「桃花、そこらへんでやめて…」

 

私は皆が桃花ちゃんにそう言っているのを知らずに……

 

 

 

 

「た、たぶん…そうだと思う…////」

 

 

 

 

…言ってしまった。

 

「えっ!?そうなの!?まさか、本当だとは思わなかった」

 

「うん。まさか、本当だとは…」

 

桃花ちゃんの驚いた声に続いて茅野ちゃんも驚きの声を上げる。……えっ?冗談だったの?

 

「っていうか言っちゃうんだ……」

 

「で、白夜君のどこらへんが好きなの?」

 

メグちゃんに小さくツッコまれながら桃花ちゃんがグイグイと詰め寄ってきた。うぅ……逃げ場がない…。

 

「えっ!?//それは…その…//助けてくれたときとか、かっこよくって、普段クールなのにときどき見せる笑顔を見るとなんというか…//ドキドキしたり…//」

 

なんだか顔が熱いよ〜///

 

「それって…」

 

「恋だよね!!」

 

「えっ!?やっぱりそうなのかな…//」

 

「うん、絶対そうだよ!!」

 

「私達、応援するから」

 

「頑張ってね!!」

 

「……うん!ありがとうみんな!!」

 

そして、渚ちゃんが白夜君を連れてくる。

 

「白夜君連れてきたよ〜」

 




どうもワンフォーワンです。今回のできはどうでしたか?

今回は倉橋が白夜に対する恋に発覚する回でした。

サブタイトルって難しいですね。

というわけでオリジナル回でした。では、感想お待ちしてます。では、また次回で会いましょう。


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第4話集会の時間

どうも、ワンフォーワンです。

今回は前半がかなり砂糖多めなのでブラックコーヒーをおすすめします。

そろそろ、他の小説も書こうか悩んでます。できるだけ…更新が送れないようにしますが…。何か、書いてほしい小説があれば感想などで言って下さい。知ってたら書くと思います。

今回は遅れてしまったので長めにしてます。

それでは、第4話集会の時間どうぞ!


…白夜side

 

 

やっはろー白夜裕翔だ。やっはろーって何なんだ?なんとなく言いたくなった。中学生が良くするおっはよー的なやつか?

 

閑話休題。

 

今は、倉橋の赤みがひいてきたから昼食を食べる所だ。

なんで赤くなったんだ?(お前のせいだろ!)

 

とりあえず昼食を食べるか。

 

「美味しそうだね〜白夜君のお弁当!」

 

オレが弁当箱を開けると中身を見た倉橋がそう言った。

 

「ほんとだ!」

 

矢田も倉橋の後に続いてオレの弁当箱を見てそう言うが……そんなに美味しそうに見えるか?…普通に作っただけなんだが…。

 

「じゃあ少し食べるか?」

 

「「えっ!?いいの?」」

 

オレがそう提案すると2人同時にそう反応した。……仲良いなお前ら。

 

「ン?別にいいぞ。」

 

「やったー!ありがとう白夜君!」

 

なんでオレの弁当でそんなに喜んでいるんだ?

オレはそんな疑問を持ちながら「適当に食べたい物を食べてくれ」と言って各々に選ばせる。

 

「「じゃあ、いただきます!」」

 

と言って2人はオレの卵焼きを食べる。卵焼きは甘めに味付けする人と普通に味付けする人とで分かれる所だ。

オレは甘めのタイプだが、2人の口に合うだろうか?

 

「そんなに自信がないんだが…」

 

「美味しいよ白夜君!」

 

オレの言葉に対し、倉橋は否定するようにオレを褒めながら素晴らしい笑顔を向けてくれる。

 

「っていうか自信がないってまるで白夜君が作ったみたいに言うんだね」

 

矢田が少し笑いながらそう言うが……

 

「いや、自分で作ったみたいっていうか自分で作ったからな」

 

「「えっ!?」」

 

オレの発言に2人が同時にオレの方を向く。ホントに二人は仲良いな。

 

「ン?」

 

「「えっ?ほんとに?」」

 

「そんなオレって家庭的に見えないのか?」

 

オレは渚達に聞く。というか何気にショックなんだが…。

 

「う〜ん、どうだろ?」

 

「どんくらい美味いのかによるんじゃない?」

 

「そうだね〜」

 

「ま、そうだな」

 

ちなみに縦から渚、カルマ、茅野、杉野の順だ。

 

まあ、そうなるか…オレの食料が……そういえば今日オレ少し多めに作ったんだった。

 

「う〜ん2人のあの反応を見ると少し気になるな…」

 

「確かに……」

 

4人の意見に磯貝、片岡とそう言った。審査員も6人くらいいれば問題はないだろう。

 

「それじゃあ、食うか?」

 

「良いの?」

 

「今日は少し作りすぎたからな」

 

「んじゃ、もーらい!」

 

そう言って箸でオレの卵焼きを取った杉野に続いて皆も食べる。

 

「「「「「うまっ!」」」」」

 

「これは確かに意外だね〜」

 

「美味いと言ってくれたことに喜べば良いのか、意外ということに悲しめば良いのかわからん……」

 

「でも、ほんとに美味しいよ!!」

 

オレが少しショックを受けていると倉橋がフォローしてくれる。優しいな。

 

「でも、倉橋のだって美味しそうだけどな」

 

と言ってオレも倉橋の卵焼きを食う。ほんのりと甘い味付けがしてあってとても美味しい。オレ好みな味付けである。

 

「あっ!」

 

「やっぱり、美味しいな」

 

「えっ!?//そうかな?//自分で作ったんだけど…」

 

「お世辞無しでそうだ」

 

オレは倉橋の頭を無意識に撫でる。

 

「ひゃっ!?///ありがとう…//」

 

((((((僕(俺)(私)達は何を見せられているんだろう…))))))

 

「どういたしまして。ってまた顔赤いぞ?勝手に食ったのが悪かったのか?頭を撫でたのが悪いのか?もしくは、その両方か…」

 

「怒ってる前提なの!?」

 

「えっ?怒ってないのか?」

 

渚のツッコミに対してオレがそう言うと皆から呆れたような視線が飛んでくる……オレ何かしたか?

 

「なんでこんなに鈍感なんだよ…」

 

「「「「はぁ…」」」」

 

「なんで、ため息ついてるんだ?幸せが逃げるぞ?」

 

「「「「お前のせいだよ!!」」」」

 

 

…昼食後

 

 

「今日、集会だったんだな…」

 

「はは、忘れてたんだ…」

 

「まあ、だるいから?」

 

「何故、疑問系なんだ…」

 

磯貝や前原、岡野とペナルティがどうだのお前はサボってただの話ていると倉橋が足を痛そうに抑えていた。

 

「倉橋、大丈夫か?」

 

オレは倉橋の元へ駆け寄り、様態を見る。

 

「う、うん。だ、大丈夫だよ白夜君。痛っ!」

 

「どこが大丈夫だ……少し足を見せろ」

 

そう言って白夜は倉橋の足を見る。白くて綺麗な脚の足首には挫いた痕があった。

 

「足を挫いたな。とりあえず、集会は休んで……」

 

「でも、休んだらペナルティが…。」

 

オレの言葉に対して倉橋が申し訳なさそうに言った。

 

「いや倉橋は何も悪くない。………どうするか」

 

オレは内心でこの学校の仕様に毒づきながら考える。足を挫いたのに休むとペナルティとか少し酷いぞ。

 

「私は平気だから、白夜君は先に…」

 

「それは、却下だな」

 

それは絶対にダメだ。…あれ?なんでダメだと思うんだ?まあ、いい。それより倉橋だ。

 

「倉橋」

 

そう言って倉橋を見る。痛々しい足首を抑えながら苦痛に顔を歪ませている。

 

「どうしたの?白夜君?」

 

「嫌だったら言ってくれ。」

 

そう言って白夜は倉橋を横抱きする。おんぶでも良いがおんぶよりもこっちの方が安全だ。

 

「えっ!?白夜君!?///」

 

「すまん。これくらいのことしか思いつかなかった。もう一度言うが嫌だったら言ってくれ」

 

「い、嫌じゃないけど…//(顔が近いよ〜//)」

 

「これならペナルティはくらわないはずだ」

 

「でも、遅れちゃうんじゃ……(ていうかこれお姫様だっこじゃ…///)」

 

「いや、倉橋は軽いし、オレもまぁまぁ鍛えているから大丈夫だ」

 

オレは心配させないために笑ってみる。

 

「ふぇっ!?///う〜///」プシュー

 

……表情筋を少し柔らかくする努力をしてみるか。オレの表情が変だからまた怒ったのかもしれない。

 

「大丈夫か?顔が赤いが…みんな、とりあえず先に行く。後は頑張ってくれ。」

 

そして、オレは走った。

 

(((こいつ、平然とお姫様抱っこして行った!てか、まじで鈍感だな!!…頑張れ倉橋)))

 

 

 

 

 

「なんで、倉橋をお姫様抱っこしながらあんなに速く走れるんだ…」

 

「しかも、何も恥ずかしがる事なく!」

 

 

 

 

 

 

…その頃、山では

 

 

…Noside

 

 

「岡島〜〜〜!!」

 

「「「岡島く〜〜ん!!」」」

 

「「「「お、岡島〜〜〜!!」」」」

 

「「「「「「お、岡島〜〜〜!!」」」」」」

 

…岡島が水に流され、ヘビに巻き付かれ、落石に追われ、蜂に追われていた。

 

「岡島…なんか凄いことになていたけど、大丈夫なのか…?」

 

岡島を呼ぶ声に苦笑いしながら杉野がそう呟く。

 

「う、うん…?」

 

「もう、蜂とか、やだ〜」

 

「でも、大半が岡島が受けもってくれたな」

 

うんざりした空気を醸し出している面々に声がかかる。

 

「皆、大丈夫か?」

 

「烏間先生!」

 

「焦らなくていい。今のペースなら十分間に合う」

 

少し焦っている皆に対して烏間先生は安心するように言いながら先に向かう。

 

「ちょっと〜!アンタたち〜!」

 

ビッチ先生が物凄いスピードで下山し、渚達のメンバーに合流する。

 

「あ、ビッチ先生」

 

「休憩時間から移動だなんて聞いてないわよ!」

 

「情けねえなあ、ビッチ先生」

 

「ヒールで走ると倍疲れるのよ!」

 

杉野の言葉に対してキレながらビッチ先生はそう言った。

 

「烏間先生。殺せんせーは?」

 

「生徒たちの前で姿を晒すわけには、いかないからな。旧校舎で待機させている。さあ、本校舎までもう少しだ。行く…」

 

「「白夜に倉橋〜〜!?」」

 

「「「白夜君に倉橋さん(陽菜乃ちゃん)!?」」」

 

「「「「白夜に倉橋〜〜!?」」」」

 

白夜が倉橋をお姫様抱っこして走っていた。

 

「「「「「「白夜(君)に倉橋(さん)(陽菜乃ちゃん)〜〜!?」」」」」」

 

「悪いが先に行く」

 

皆の叫びにそれだけ答えて白夜は本校舎に向かった。白夜は普通の無表情のままだったが、倉橋の顔は真っ赤に染まっていた。

 

「…なんで倉橋をお姫様抱っこしてたんだ……てか、その状態で何故あんなに速いんだ」

 

「…行くぞ」

 

「「「「「「…はい」」」」」」

 

 

…本校舎の保健室にて

 

 

…白夜side

 

 

「とりあえず応急処置だ。……本当は集会を休んで楽にした方がいいんだが…仕方ないな。集会中は誰かにささえてもらうといい」

 

「うん。ありがとう白夜君!!」

 

「ああ、どういたしまして」

 

 

…そして集会

 

 

倉橋は片岡に任せた。片岡はいい人だ。それに比べて本校舎の奴らは……

 

「渚く〜ん。わざわざお疲れ様〜」

 

とかしか言わない。そして先生も……

 

「…君たちは全国から選りすぐられたエリートです。この校長が保証します。…が、慢心は大敵です。油断してると、どうしようもない誰かさん達みたいになっちゃいますよ」

 

そう言って本校舎の奴らは笑う。はあ…ムカつくな。

でも、だいたい理事長の考えが分かった気がする。とは言っても、1回あっただけだが、目は完璧に合理主義者だったしな。

 

恐らく、働き蟻の法則だ。簡単に言うと20%は怠け、20%は働き、残りの60%が平均的になるという法則だ。

理事長の目指しているのは恐らく、5%の怠け者と、95%の働き者の集団だ。そしてそのやり方が5%が増えないようになりたくないと95%に思わせることだ。

そして、椚ヶ丘の場合、その5%がE組で、95%が本校舎の生徒。実に合理的だ。

 

だが、オレは合理的なのも好きだがオレは何より甘党だからな。理事長の方法は苦すぎて好きにはなれない。

 

そんなことを考えていると、烏間先生が入って来た。シュッとしてかっこいいと聞こえてくる。まあ、そうだよな。烏間先生かっこいいからな。小学校時代はモテただろうな。

 

あと、オレに対しても何やらコソコソ囁かれているが少し聞こえづらいな……。

 

ちなみにオレはまあ、モテたのか?告白されても全部断ったが…(今度面白そうだから過去編を作る時に、これも詳しく作ります。by作者)

 

あ、倉橋と中村がナイフケースデコったの見せてる。面白そうだな、後で教えて貰おう。烏間先生が倉橋と中村を凄い怖い顔して注意してる。

 

本校舎の奴らが仲が良さそうと言ってるが……烏間先生のあの顔見て言えるのか?

 

ビッチ先生が来た。渚を胸にうめた。なにしてるんだビッチ先生。

 

「はい、今皆さんに配ったプリントが生徒会行事の詳細です」

 

色々とあったが集会に戻ろう。と、思っていたがステージに立っているメガネの言葉に皆は疑問に思う。

 

「え…何?俺らの分は?」

 

「すいませーん!E組の分まだなんですがー」

 

オレの疑問とは岡島と磯貝の言っている事と全く同じ事だ。プリントを配ったと言っているが、オレ達の手元にはそれらしき物はない。

 

「え、無い?おっかしーな…ごめんなさい。3ーEの分忘れたみたい。すいませんけど全部記憶して帰って下さーい。ほら、E組の人達は記憶力も鍛えた方が良いと思うし」

 

今度から呼び方をクソメガネにしよう。そう考えた時。……紙が手元にあった。なんだこの紙?手書きのコピー?ってことは…

 

「磯貝君、問題ないようですねぇ。手書きのコピーが全員分あるようですし。」

 

殺せんせーが鉛筆をクルクル回していた。

 

「はい。プリントあるんで続けてくださーい!」

 

「えっ?あ…うそ、なんで?誰だよ笑いどころ潰した奴!あ…いや、ゴホン、では続けます。」

 

クソメガネ、本音が漏れてるぞ。

 

まあ取り敢えず、ナイスだ殺せんせー。

 

それより…あれって変装のつもりか?疑われてるぞ殺せんせー。関節が妙だとかでかいだとか。

……いや、他にも色々あっていいと思うぞ?鼻が変とか、カツラのサイズが合ってないとか。

 

ビッチ先生、今、殺そうとするな。烏間先生がビッチ先生を連れて行った。ナイスだ烏間先生。

 

「疑われてるね。殺せんせー」

 

「やめてやれ。烏間先生がもたないぞ。まあ、確かにあれで完璧な変装だって思ってる殺せんせーはどうかと思うが…」

 

「あはは…」

 

 

そんなこんなで集会は終わった。

 

 

「倉橋、帰るぞ」

 

「えっと…その…白夜君」

 

倉橋が何か恥ずかしいような少し期待しているような視線をオレに向ける。…一体何を期待してるんだ?

 

「どうした?」

 

「…もしかして…帰りも?//」

 

「当然だ。その足で無理はさせられない」

 

その足という部分を強調して言い、オレは昼と同じように倉橋を横抱きする。

 

「う〜//分かったよ…//」

 

「…また、嫌だったら言ってくれ」

 

「///」

 

少し、倉橋を見た時に心拍数が増えた気がした。

 




どうもワンフォーワンです。

第4話集会の時間どうでしたか?

前書きで言った通り少し他の小説を見ていたら書きたくなりまして何か、暗殺教室以外で書いてほしいのがあれば感想などに書いていただけると嬉しいです。

ちなみに言ってくれれば多少調べますが確実に変になります。まあ、どちらにせよ自分はあまり得意じゃありませんが…。

では、また次回でお会いしましょう!


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第5話理事長の時間

どうもワンフォーワンです。

更新遅れてすみません。
これからもがんばるので見ていってくれると嬉しいです。

サブタイトルの通り、今回は、理事長が登場します。
あと、少し短いです。待たせてしまった皆さん、申し訳ございません。

気を取り直して、第5話理事長の時間どうぞ!


オレの名前は白夜裕翔。幼馴染の……幼馴染いなかったな、オレ。名探偵コ○ンはダメか。

 

さて、そこにいるお前。オレは今、何をしていると思う?

 

正解は……

 

 

 

 

 

 

 

テスト勉強だ。

 

 

……何故しているかと言うと少し前のことだ。

 

 

「「「さて、皆さん。始めましょうか!」」」

 

「「「「いや…何を…?」」」」

 

殺せんせーの言葉に対し、クラスのセリフが見事に一致した。

 

「学校の中間テストが迫ってきました。」「そうそう。」「そんなわけでこの時間は…」

 

 

分身した殺せんせーがそれぞれ言っていく。

 

 

「「「放課後特別強化授業を行います!」」」

 

 

色々とカオスだが、要するに殺せんせーが一人一人マンツーマンで教えるそうだ。

 

「くだらねえ…ご丁寧に教科別にはちまきとか……つか、なんで俺だけNA○TOなんだよ!」

 

寺坂の言ったとおり、一人一人別々に教える科目のはちまきを付けている。

 

「ニュ!?…急に暗殺しないでくださいカルマ君!それ避けると残像が全部乱れるんです。」

 

顔がグニャッと曲がった殺せんせーがカルマに文句を言う。……曲がり方面白いな。

 

「意外と繊細なんだ…この分身…。」

 

「殺せんせー。そんなに分身して体力とか疲れないのか?」

 

「ご心配なく。一体外で休憩させてますから。」

 

オレの質問に殺せんせーはそう言って窓の方を向く。

 

「それはそれで疲れるだろ。」

 

窓の方を見ると確かに休んでいる殺せんせーがいた。

 

「そういえば殺せんせー。あと、1個だけ質問何だが…」

 

「なんですか?白夜君?」

 

「なんでオレのはちまきは真っ白なんだ?」

 

オレの目の前にいる殺せんせーのはちまきは真っ白だ。はっきり言うと何の教科だ?オレは特に問題がありそうな教科はなかった筈だが……。

 

「いや、だって白夜君の苦手科目がわからなかったんですよ。」

 

「それで、殺せんせーは教師としての意志を捨てたんだな。」

 

「捨ててませんよ!テスト出しても、満点解答で授業中にあてても即座に模範解答を言ってくるんですから!なので、白星を願って真っ白にしたんです!」

 

殺せんせーがオレに怒りながら言う。何故だか申し訳なくなってくる。

 

「その…すいませんでした。」

 

オレは自分の何処が悪かったのか分からないが謝っておいた。

 

「と、ここまでいいですか?」

 

「ン?ああ、大丈夫だ。」

 

「う〜ん?」

 

殺せんせーの確認にオレは大丈夫だと答える。それと同時に隣の倉橋から悩んでいるような声が聞こえた。

 

「倉橋、どうしたんだ?」

 

「ひゃっ!?白夜君?」

 

何でそんなに驚くんだ?倉橋は何故か驚いているがオレは倉橋のワークを見る。

 

「ン?ああ、それはここの式を省略してだな…」

 

「(ちょっと近いよ〜白夜君//)…あ、できた!ありがとう白夜君!//」

 

「ヌルフフフフ、教えてもらって良かったですねぇ倉橋さん。」

 

顔をピンク色にしながら殺せんせーは言う。いや、アンタの仕事だろ。

その時、オレのスマホがなる。

 

「ちょっと待ってくれ殺せんせー。」

 

オレは、スマホの表示を確認し…ノートパソコンを取り出す。そして、スマホの電話に出て、耳と肩で挟む。

 

『いや〜悪いなこんなタイミングで…』

 

「お疲れ様です。仕事ですね?」

 

『そうそう、話が早くて助かる。』

 

確認すると、相手を調べる。…まあまあ厄介だが、簡単な部類だな。

 

「そろそろ準備をよろしくお願いします。だいたい7割くらいで。」

 

『そろそろか?』

 

「いや、まだです。」

 

『えっ?』

 

「あと、少しです。……あ、今です。」

 

『今か!…よっしゃー!!こっちの利益が3億だ!!』

 

「それじゃいつもの口座に…。」

 

『わかっている。ありがとう!』

 

「ええ、こちらこそ。では、また。」

 

………ピッ!

 

「良し。」

 

「「「「「良し…じゃねぇよ!!!」」」」」

 

オレが電話を切り、パソコンをしまうと皆からツッコまれた。何故?てか、何が?

 

「え?何が?しかも、殺せんせーまで…」

 

「え!?白夜君!?今、何を…?」

 

殺せんせーがオレに驚きながら聞いてくる。

 

「し、仕事だが…。」

 

「へ〜凄いね!白夜君!ちなみに何の仕事なの?」

 

オレが少し戸惑いながら答えると、倉橋がオレを褒めながら聞いてくる。

 

「株とちょっと契約してて、オレの指示通りにしてそれで稼げたら1割くらいくれるという仕事だな。」

 

オレは仕事について軽く説明する。

 

「…さ、さっきはいくらもらったんだ?」

 

「確か…3億の利益だから3000万くらいだな。」

 

 

「「「「「「えーー!?!?!?!?」」」」」」

 

そんなに驚かれても困るんだが。ちなみにこの騒動が納まるまで数分かかった。

 

 

…放課後

 

 

「理事長先生ですか。」

 

放課後にオレは理事長先生を見つけた。何故、旧校舎にいるのかは分からないが良い機会だろう。

 

「やあ、どうしたんだい?」

 

「やっぱり合理主義者だな理事長先生は。」

 

オレは理事長の目を見て、そう呟くと理事長は少し驚いた表情をした後、平然と答える。

 

「そうかもしれないね。」

 

「ああ、目がそう言ってるからな。」

 

オレは理事長先生と会話を弾ませる。

 

「…君は、ルービックキューブを知っているかい?」

 

少し雑談を交わすと理事長が突然そう言った。ルービックキューブというのは確か6面の色を揃える物だ。

 

「ああ、知ってる。…理事長先生はルービックキューブはどうやって解く?」

 

「私のやり方は1度、ルービックキューブを分解して作り直すというやり方です。」

 

理事長先生らしい合理的なやり方だ。

 

「なるほど合理的だ。しかし、もっと良い方法がある。」

 

「ほう?」

 

「ペンキで塗るという方法がある。」

 

まあ不正でしかないが、1度分解して作り直すのも同じだろう。ならばペンキで塗った方が早い。

 

「なるほど。実に合理的だ。」

 

「理事長先生。オレはあなたの教育方法は好きじゃない。」

 

傲慢だがオレに得がないからだ。

 

人は皆、自分の利益の為に動くエゴイストだ。なので、エゴイストなオレに得がない理事長先生のやり方は嫌いだ。まあ、何も知らないオレが言えた物じゃないがな。

 

「……。」

 

オレは理事長先生に、自分の考えを述べる。ただの推測でしかないがな。

 

「これから話すのは、オレの予想した理事長先生の考えだ。恐らく、理事長先生の考えたやり方は働き蟻の法則。働き蟻の法則は、20%が怠け、20%が働き、60%が平均的になるという法則だ。だが、理事長先生。あなたが目指しているのは95%の働き者と5%の怠け者の集団だ。それを表したのが本校舎とE組。そして、怠け者が増えないためにE組には、なりたくないと思わせるようにする。そうすると、本校舎の奴らはE組にならないために努力する。これが理事長先生の法則だとオレは予想してる。」

 

本校舎の生徒が何故あんなにもE組を嫌うのか……見ていれば良く分かる。

 

「なるほど、合ってますよ。私が目指しているものと…。」

 

「まあ、今回は合ってるかどうかと理事長先生と話をしてみてみたかっただけだからな。さよなら。」

 

「さようなら。」

 

濃いイベントだったな。まさか、理事長に会うとは…まあ、なかなか楽しかった。

 

「さてと、帰るか…」

 




ワンフォーワンです。

皆さん、どうだったでしょうか?

面白くできてたら嬉しいです!

それでは、また次回でお会いしましょう!!

早く、白夜君と倉橋さんをイチャイチャさせたいです。


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第6話テストの時間

どうも、コーヒーゼリーが好きなワンフォーワンです。
皆さんはコーヒーゼリーは好きですか?そんなことは置いといて…

お待たせしました、第6話テストの時間です!


…白夜side

 

 

やあ、白夜裕翔だ。

今は理事長先生と話した1日後なんだが……

 

「おはようございます。皆さん。」

 

「今日は先生、さらに頑張って増えて見ました!」

 

殺せんせーはそう言って1人に対して3人の分身を作る。……増えすぎだ…それに残像もかなり雑だ。

 

「さあ、授業開始です!」

 

「頑張ってるな、殺せんせー。」

 

 

…授業終了

 

 

「はあ…はあ…」

 

凄い疲れてるぞ殺せんせー、自分で自分にうちわであおいでるし………オレも少しあおいでやるか。

オレがうちわで、殺せんせーをあおいでいると…

 

「さすがに相当疲れたみたいだな。」

 

「今なら殺れるかな〜?」

 

「なんでそこまで一生懸命先生をするのかね〜。」

 

「ニュルフフフ、全ては君たちのテストの点を上げるためです。」

 

殺せんせーは疲れながらも言う。中々良いこと言うな、もっとあおいでやろう。

 

「そうすれば…生徒達の尊敬の眼差しを向けられ評判を聞いた近所の巨乳大学生から教えて〜となって殺される危険もなくなり先生には良いことずくめ。」

 

と、殺せんせーは顔をピンク色にする。その瞬間、オレは先生として殺せんせーを尊敬したことを後悔した。

 

「煩悩だらけか。…まず、前者の考えはあり得るかもしれないとして、後者は絶対にありえないな。」

 

「ニュヤ!?なぜです!?」

 

「殺せんせー、国家機密だから。」

 

「そ、そんな…」

 

オレの正論に殺せんせーはくだらない夢を打ち砕かれた。

 

「勉強の方はそれなりでいいよな…。」

 

オレと殺せんせーが話していると三村がそう言った。

 

「うん。なんたって暗殺すれば賞金100億だし。」

 

「100億あれば、成績悪くても人生バラ色だしね〜。」

 

なるほど、そう考えるのか。

 

「ニュヤ!?そういう考えをしますか?」

 

「俺達エンドのE組だぜ、殺せんせー。」

 

「テストなんかより、暗殺の方が余程、身近なチャンスなんだよ。」

 

そして、皆は諦めたような表情で言う。

 

「お前ら……もし殺せんせーが…」

 

オレが皆に言おうとすると殺せんせーがオレの耳元に顔を近づけて言った。

 

「そこから先は先生の仕事です。白夜君だけでもわかっていてくれて先生は嬉しいです。」ボソッ

 

「…分かった。先生に任せる。」ボソッ

 

そう返事して、後のことを殺せんせーに任せる。そして、殺せんせーの雰囲気が変わる。

 

「…なるほど。よく分かりました。」

 

「え?何が?」

 

「今のあなた達には、暗殺者の資格はありませんねぇ。…全員、校庭へ出なさい。」

 

殺せんせーは顔を紫色に✕をしてそう言った。

 

「白夜君、いきなりどうしたんだろうね、殺せんせー?」

 

「分からないのか?」

 

「え?」

 

倉橋も分からないようだな…。オレから言いたい所だが……

 

「オレからは言えないことだな。外に出たら答えを聞けるから行った方が良い。」

 

これは、殺せんせーに任せたことだ。オレが言う事ではないだろう。……嫌な予感がするがな。

 

「う、うん。」

 

 

…校庭

 

 

「急に校庭に出ろなんてどうしたんだ?殺せんせー?」

 

「さあ?いきなり不機嫌になったよね…」

 

本当に分からないのか…?

 

「何なのよ急に来いって。」

 

「殺せんせーがイリーナ先生も呼べって…」

 

ビッチ先生が来たと同時に、殺せんせーがビッチ先生に聞く。

 

「イリーナ先生、プロの殺し屋として伺いますが…」

 

「何よ、いきなり…」

 

「あなたはいつも仕事をする時、用意するプランは1つですか?」

 

「?いいえ、本命のプランなんて思った通りにいくことの方が少ないわ。不足の事態に備えて予備のプランをより念密に作っておくのが暗殺の基本よ。」

 

殺せんせーの質問に対してビッチ先生は当然だと言わんばかりにそう言った。……まあそうだろう。

 

「では、次に烏間先生。ナイフ術を生徒に教える時、重要なのは第1撃だけですか?」

 

「第1撃はもちろん最重要だが、次の動きも大切だ。強敵相手では、第1撃は高確率で躱される。その後の第2撃、第3撃をいかに高性能で繰り出すのかが勝敗を分ける。」

 

殺せんせーは次に烏間先生に質問する。その質問に烏間先生は確認するようにそう言った。

 

「結局、何が言いたいんだよ。」

 

殺せんせーはくるくる回りながら言う。

 

「先生方のおっしゃるように、自信を持てる次の手があるから自信に満ちた暗殺者になれる。」

 

「対して君達は?俺達には暗殺があるからいいやと考え勉強の目標を低くしている。そんなのは、劣等感の原因からただ、目を背けているだけ。」

 

殺せんせーの回転は早さを増し、周囲に風が吹き荒れる。しかし、殺せんせーは続ける。

 

「もし、先生がこの教室から逃げたなら?もし、他の殺し屋が先に先生を殺したら?暗殺というよりどころを失った君達にはE組の劣等感しか残らない!」

 

「そんな、危うい君達に先生からアドバイスです。」

 

 

 

「第二の刃を持たざる者は…暗殺者の資格なし!!」

 

 

 

風はさらに激しさを増し、竜巻を作る。そして、風が止むと、雲が晴れ……

 

「校庭に雑草やでこぼこが多かったのでね手入れしました。」

 

「「「「おおっ!」」」」

 

校庭がきれいになり、サッカーゴールなども立ててある。雑草が生い茂り凸凹だった校庭は綺麗になった。

 

「先生は地球を消せる超生物。この一帯を平らにするなど容易いことです。」

 

皆はこの言葉に息を飲む。

 

「もしも君達が、自信を持てる第二の刃を示せなければ、先生の相手に値する暗殺者はこの教室にはいないとみなし、校舎ごと平らにして先生はさります。」

 

…こうなることが予想できたから殺せんせーに任せるのが嫌だったんだが……。

 

「第二の刃……いつまでに?」

 

殺せんせーの言葉を聞き、渚は聞く。殺せんせーはいつもの表情で答えた。

 

「決まっています。明日です。明日の中間テスト、クラス全員50位以内を取りなさい。」

 

「「「「「ええっ!?」」」」」

 

「君達の第二の刃は先生がすでに育てています。本校舎の教師達に劣るほど先生はとろい教え方をしていません。自信を持ってその刃を振るって来なさい。ミッションを成功させ、恥じることなく、笑顔で胸をはるのです。自分達がアサシンであり、E組であることに。」

 

しかし、オレは何か嫌な予感がする。

 

「殺せんせー。大丈夫なのか?もっと理事長先生の考え方を予想して…」

 

オレは殺せんせーに警告する。だが殺せんせーは問題ないと言わんばかりにオレに言った。

 

「大丈夫です。先生がしっかりと育ててありますから。」

 

「……そうか。」

 

本当に大丈夫なのか?理事長先生はE組の成績が良くなることを良しとしない。それなのに、大丈夫というのなら…それは慢心だ。まあ悪い方向に行かないことを願おう。

 

………しかし、そんなオレの願いは叶わなかった。

 

 

…テスト返却の日

 

 

「テストの範囲変更か…」

 

やはり、仕掛けたな。しかも、テスト2日前に。

 

「……先生の責任です。この学校の仕組みを甘く見すぎていたようです。君達に顔向けできません。」

 

良し…そろそろ、サプライズといくか。オレがそう思った時、カルマがナイフを投げる。

 

「ニュヤ!?」

 

「いいの〜?顔向けできなかったら俺が殺しに来るのも見えないよ?」

 

「カルマ君!先生は今、落ち込んで…ニュ!?」

 

「俺、問題変わっても関係ないし。」

 

そう言ってカルマは教卓の上に答案用紙を置く。

 

「「「「おお…!」」」」

 

「数学100点かよ…」

 

「俺の成績に合わせてさぁ〜アンタが余計な範囲まで教えたからだよ。だから、出題範囲が変更されても対処できた。まあ、俺よりも凄いのがいるみたいだけど。」

 

そう言ってカルマはオレの方を向く。

 

「はあ……オレが出ようとしたタイミングで出てくるなよ。」

 

そう言ってオレも解答用紙を出す。せっかく考えたサプライズのプランが台無しになった。

 

「ニュヤ!?」

 

「「「「「ええっ!?」」」」」

 

「全教科100点かよ…。」

 

まあ少し、危なかったがな。生物に関してはあまり詳しくないので本当に危なかった。

 

「凄いよ白夜君!」

 

そう言って、倉橋はオレを褒める。……倉橋のおかげと言っても過言ではないんだがな。

 

「いや、倉橋のおかげだ。」

 

だからオレは倉橋のおかげと言った。

 

「えっ?私の?」

 

「ああ、倉橋がオレが知らない生物のところを教えてくれたからな。だから、ありがとう、倉橋。」

 

オレは感謝を伝えるために笑顔を向け、頭を撫でる。……何故か倉橋の頭を撫でたくなる自分がいる事を不思議に思いながら撫で続ける。

 

「う、うん!//どういたしまして!!//」

 

「ああ、本当にありがとう。」

 

「……それで、俺らは50位以内に入ったけど、このクラス出る気はないよ。」

 

「ああ、このクラスは楽しいしな。」

 

本当は楽しいだけじゃない、ここを抜けたくない理由がオレにはまだあるが上手く言葉にできなかった。

 

「で?どうすんのそっちは?全員50位以内に入んなかったって言い訳付けてここから尻尾巻いて逃げちゃうの?…それって結局さぁ〜殺されるのが怖いだけじゃないの?」

 

カルマは相変わらず煽るのが上手い。そして、皆がカルマの意図を理解し、煽り始める。

 

「な〜んだ、殺せんせー怖かったのかー。」

 

「それなら正直に言えば良かったのに。」

 

オレも皆に続き、殺せんせーを煽る。

 

「怖いから逃げたいですってな。」

 

プルプルと煽られた事に対する怒りに震えていた殺せんせーはオレの煽りで堪忍袋の緒が切れた。

 

「ニュやーーー!!逃げるわけではありません。」

 

「「へ〜、じゃ、どうすんの?」」

 

オレはカルマと口を揃えて言う。

 

「ニュ?…期末テストであいつらに倍返しでリベンジです!」

 

「「「「あははははは!」」」」

 

殺せんせーの言葉に皆からドッと笑いが起こる。

 

「ニュヤ!?笑うところじゃないでしょう!まったく…」

 

本当に面白い、この教室は。

 




どうも、ワンフォーワンです。

今回はどうだったでしょうか?この作品は基本的にアニメの中に白夜君が少し入ったりするのが作品クオリティです。……決して、原作キャラがどんな感じに書けばいいのか分からないわけではありません。

まあ、なんとか頑張ります。

それでは、また、次回でお会いしましょう!!


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第7話班決めの時間

ワンフォーワンです。

今回は白夜君がどれだけ超人かがわかります。いや〜自分も白夜君みたいになりたいです。

それでは、第7話班決めの時間です!


…白夜side

 

 

実はゲーマーの白夜裕翔だ。ゲームは面白いぞ。

……そろそろこの挨拶やめるか。そんなことを考えていると……

 

「そういや、白夜は修学旅行の班決めたか?」

 

磯貝がそう聞いてきた。はん?ハン…?というか修学旅行?

 

「ン?修学旅行?」

 

「そうそう、修学旅行があるんだ!」

 

倉橋は嬉しそうに言うが………

 

「修学旅行か……。」

 

「どうした?もしかして、修学旅行行ったことないとか?」

 

オレの何とも言えない反応に磯貝はそう聞く。行ったことはあるんだけどな……。

 

「行ったことはあるんだけどな。」

 

「う〜ん……修学旅行が嫌とか?」

 

倉橋は、オレの言葉にそう言った。……まあ正解と言えば正解か……?

 

「いろいろあってな。……あれはオレが小学校4年の頃だ。…班で行動してた時に、オレが少しお土産を買おうとしたら攫われてな。それでオレのことを攫ったということで正当防衛だなと思って、オレを攫った奴はボコボコにしたって言う話だ。」

 

まあ、遠足で起きた事だが。と、軽く付け足すと2人は苦笑いする。

 

「それは災難だったな…」

 

「白夜君を攫ったのってどのくらいの年の人だったの?」

 

倉橋の質問にオレは少し記憶を探りながら答える。

 

「中学2年くらいだったな。ヤンキーが多い学校の生徒だ。とりあえず、今度から勝負するならゲームとかもっと平和なのにしろって言っといた。」

 

「それで修学旅行が嫌なの?」

 

「ああ、あれは面倒だったからな。」

 

((面倒だからなんだ…))

 

「…結局、班は決めたのか?」

 

話を切り替えるように磯貝が再度聞いてきた。そういえばそんな話だったな。つい脱線してしまった。

 

「いや、決めてないな。どこかに誘われたら入るか…」

 

「(やった!)じゃ、じゃあ白夜君、一緒の班にならない?//」

 

オレがそう言うと倉橋が誘ってくれた。やはり倉橋は優しい。

 

「良いのか?」

 

「うん!いいよ!!」

 

「そうか、じゃあ倉橋と同じ班にしといてくれ。」

 

オレは磯貝にそう告げて倉橋の班の元へ行く。磯貝に言った理由は磯貝が委員長だからだ。

 

「まったく…3年生が始まったばかりのこの時期に修学旅行とは、先生…あんまり気乗りがしません。」

 

「ウキウキじゃねえか!」

 

「舞妓かよ!」

 

「しかも、似合ってるよ!」

 

殺せんせーが舞妓?姿で出てきた。なるほど、舞妓というのはあんな姿なのか。

 

「バレましたか…正直、君達との旅行が楽しみで仕方ないのです。」

 

殺せんせーも楽しみなようだ。

 

「白夜君。班は決めましたか?」

 

皆の様子を見ていると殺せんせーがオレに聞いてきた。

 

「決まってなかったが、さっき倉橋に誘われたところだ。」

 

「そうですか。………無事に誘えたようですねぇ、倉橋さん。」ボソッ

 

「うん、皆が誘えやすくしてくれたから。」ボソッ

 

「白夜はあまり、自分からは動かないからな。」ボソッ

 

 

 

 

 

…Noside

 

…そう、実は修学旅行の班を決める前にこんなことがあった…

 

倉橋と白夜と寺坂グループ以外が残った放課後。

 

「皆さん。知っていると思いますが、倉橋さんは白夜君のことが好きです!」

 

「「「「そりゃあんなにもわかりやすく反応すればわかる。」」」」

 

殺せんせーが大声で言うと皆は当然だと言わんばかりに声を揃えて言う。

 

「しかし、白夜君は気付かないようです。……このままでは倉橋さんの思いに気づかぬまま誰かと付き合うかもしれません!そこでです!」

 

デデンッという擬音が付きそうな勢いで『白夜君と倉橋さんをくっつけよう作戦!!』と書かれた看板を出す。

 

「自分の生徒の恋愛を応援するのも先生の役目です。なので、白夜君と倉橋さんをくっつけてしまいましょう!」

 

「いいね〜俺も協力してあげる。」

 

「まあ、修学旅行まで時間あるし…」

 

殺せんせーの言葉にカルマ、杉野と続く。

 

(うわ〜ゲスいな。さすがに皆はそんなゲスくは…あれ?なんか目が光ってる…)

 

「「「「「くっつけちゃいますか!」」」」」

 

この時、皆の顔がゲスくなった。微妙な表情をしている渚はこう思った。

 

(……皆ゲスかった。)

 

「でもよ〜殺せんせー。どうやってくっつけるんだ?」

 

「とりあえず、倉橋さんに協力してもらいましょう。白夜君への恋を応援するということにして……」

 

 

…倉橋へ恋を応援するということにして説明…

 

 

「皆、応援してくれるの!?ありがとう!!」

 

(((((罪悪感が凄い…)))))

 

倉橋の純粋な感謝に皆の中に罪悪感が込み上げる。

 

「では、今から恋愛コンサルタント3ーEの会議を始めます。」

 

殺せんせーは何かそれっぽい衣装を着ながら言う。

 

「倉橋にも協力してもらえたが…どうやってあの鈍感完璧天才を攻めるんだ?」

 

「陽菜乃ちゃん奥手だしね〜。」

 

「う〜//」

 

※この小説での倉橋さんは奥手というかまあそんな感じです。……可愛ければ何でも良いんだよ。

 

「いや、奥手というか白夜君が気づかなすぎるんじゃ…。」

 

そう、この小説のオリジナルキャラであり、主人公の白夜裕翔は鈍感である。それはもう「何で気づかないの?」と言いたくなるくらいに鈍感である。作者曰く、1種の病気。

 

「では、白夜君の好みで攻めましょう。白夜君の好みを知ってる人は?」

 

「この前、スマホゲームしてたぞ。」

 

「ゲームですか…一緒にしてたらいつの間にか仲良くみたいに…。」

 

と、殺せんせーは予想するが……。

 

「やめとけ、殺せんせー。白夜の奴はゲームのランキングでトップを総ナメしてるから。ゲームだけで生活できるくらい…」

 

「凄い!ノ○ノラみたい!」

 

「「「「どんな腕してんだよ!!」」」」

 

白夜裕翔は世界ランキング1位のゲーマーである。ネットゲーム界隈では知らぬ者はいないとされる伝説だ。……本人はこの事を知らない。

 

「で、では、本とかはどうでしょうか?2人で同じ本を読み、本についての話で…」

 

殺せんせーは白夜の隙の無さに焦り始める。本も中々良いチョイスではある。……普通の人間相手なら。

 

「それもちょっとやめといた方がいいかも…この前、本は1回読めば記憶できるからって小説とかはほとんど読んだらしいし…。」

 

「この前、生物がわからなかったと…。」

 

「その後、倉橋や他の皆としゃべるネタが増えるようにって生物図鑑を全部記憶してた…。」

 

「「「「健気!!そして真面目!!」」」」

 

そう!白夜裕翔に決して悪気はない。というか全て善意でやっている事だ。

 

「あれ?なんか…。」

 

「…白夜君が悪いような…。」

 

「「「「つけいる隙がなさすぎる…!」」」」

 

(なんか…白夜君が悪いことになってる…)

 

白夜裕翔は悪気があってそうしている訳ではない。全て善意でやっている事だ。(2回目)

 

「で、では皆さん!先生もやるので白夜君の好みや趣味、苦手なことなどを調べてください。…とりあえずは、修学旅行は倉橋さんと同じ班になれるようにセッティングを…。」

 

「皆ありがとう!手伝ってくれて!」

 

 

…こうして倉橋と白夜の恋愛応援グループもとい、倉橋と白夜をくっつけようグループができ、冒頭に戻る。

 

 

「(そういえば、白夜の好みや趣味か苦手ことを調べねえと…)お〜い白夜!」

 

「なんだ?前原。」

 

「今度、一緒に出掛けようぜ!」

 

「ああ、大丈夫だ。オレもちょうど遊びたかったんだ。」

 

E組はこれで白夜の苦手なことなんかも調べられると考えているが…

 

しかし、E組の皆は知らない…白夜はどんなことにおいても天才だという事に…




今回の話はどうでしたか?

修学旅行はあと少し先になります。

次回は遊びの話になりますが通算UA2000突破記念という事にします!

では、また次回でお会いしましょう!


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第8話修学旅行の時間1

どうも、ワンフォーワンです。

すいません。投稿が少し遅れました。

それでは、第8話修学旅行の時間1どうぞ!!


…白夜side

 

今は、体育の時間が終わり、修学旅行で周る場所を決めている。皆が修学旅行で周る場所を決めていると…

 

「…ふっ、ガキねぇ…。世界中を飛び回った私には旅行なんて今更だわ。」

 

小馬鹿にしたようにビッチ先生は言う。

 

「じゃあ、留守番しててよビッチ先生。」

 

「そしたら経費も浮くな。」

 

平気そうな前原に続いてオレもそう言った。……まあ事実ではある。

 

「へ?」

 

「花壇に水やっといて〜」

 

「ね〜2日目どこ行く〜?」

 

「やっぱり東山からじゃない?」

 

「暗殺との兼ね合いを考えるとさ……。」

 

「いや、オレはここに行ってみたいんだが……。」

 

上から順に岡野、倉橋、矢田、磯貝、オレである。というかオレ普通に修学旅行を楽しもうとしているな。

 

「キーー!何よ!私、抜きで楽しそうな話してんじゃないわよ!」

 

ビッチ先生が怒りながら銃を向ける。……やめろ、本物を使うな。

 

「あーもう!行きたくないのか行きたいのかどっちなんだよ!」

 

「うるさい!仕方ないから行ってあげるわよ!」

 

前原とビッチ先生が言い合いを始めそうな時、殺せんせーが入ってきた。

 

「1人一冊です。」

 

「殺せんせー。何だこれ?」

 

殺せんせーが皆にマッハで渡したのは……辞書?修学旅行に辞書を作ったのか?普通はしおりじゃないのか?そう思って殺せんせーに聞くと……

 

「修学旅行のしおりです。」

 

平然とそう答えられた。いや絶対違うんだが……。皆もえ?これが?みたいな反応してるし。

 

「辞書の間違いだろこれ。……殺せんせー、しおり見たことある?」

 

「ニュヤ!?先生だってしおりくらい見たことありますよ!!」

 

「じゃあこれは?」

 

「修学旅行のしおりです。」

 

「あ、そうですか。」

 

ダメだ、諦めよう。

 

「ところでこれには何が書いてあるんだ?」

 

こんなに分厚く一体何が書いてあるのだろうか?…かなり気になる所ではある。

 

「よくぞ聞いてくれました!イラスト解説と全観光スポット、お土産人気トップ100、旅の護身術から応用まで昨日徹夜で作りました!初回特典は組み立て紙工作金閣寺です!」

 

どれだけ盛り上がってるんだよ。できればその努力をもっと別の方向に向けてほしいんだが……例えば職員室に置いてあるグラビア?という本とか。

 

「どんだけテンション上がってんだよ!」

 

なんだかんだ言いつつも金閣寺を作り上げてしまった。…ふむ……

 

「でも、金閣寺を作るなら銀閣寺も欲しいな。」

 

「「「「「違う、そこじゃない…」」」」」

 

「白夜君もうできたの!?」

 

「ああ、意外と作りやすかった。…だから、金閣寺を作るなら銀閣寺も欲しい。」

 

作りやすかったのは殺せんせーの配慮だろう。

 

「白夜君がそう言ってくれると思い先生、銀閣寺も作ってきました!」

 

そう言って殺せんせーは組み立て紙工作銀閣寺を渡す。…これも作りやすくて良いな。

 

「さすがだ殺せんせー。…ついでにしおりにおすすめの修学旅行のお菓子を載せたらどうだ?」

 

「それはいいアイデアです!」

 

「「「「「もう、勝手にしろ…」」」」」

 

 

…修学旅行の日

 

 

「うわ…A組からD組までグリーン車だぜ…」

 

「うちらだけ普通車…いつもの感じだね…」

 

いつもの感じなのか。まあそういう教育方針なのだから仕方ないがな。

 

「え〜学費の用途は成績優秀者に優先されます。」

 

「おやおや、君達からは貧乏の香りがしてくるねぇ。」

 

「成績優秀者ならテスト第1位のオレはどうなる?お前らよりも頭いいぞ?」

 

「「「「「………」」」」」

 

……何か言えよ。言い返せないのか……はぁ…。

 

「ごめん遊ばせ…ごきげんよう、生徒達。」

 

ビッチ先生がハリウッドセレブみたいな格好できた。修学旅行には女教師はあんな格好で来るものなのだろうか?

 

「ビッチ先生、何だよそのハリウッドセレブみたいな格好はよ。」

 

なるほど、違うようだ。間違った知識を付ける所だった。危ない危ない。

 

「烏間先生に『目立ちすぎだ、着替えろ。どう見ても引率の先生の格好じゃない。』とか、言われそうだな。」

 

オレは烏間先生がそう言っている様子を想像する。……マジで言ってきそうだ。

 

「すげー容易に想像できた。」

 

「うふふ、女を駆使する暗殺者としては当然の心得、いい女は旅ファッションにこそ気を使うのよ。」

 

できれば修学旅行の引率の先生として気を使ってほしい物だ。

 

「目立ちすぎだ、着替えろ。どう見ても引率の先生の格好じゃない。」

 

(((((本当に言われた!?)))))

 

「堅いこと言ってんじゃないわよ烏間。ガキどもに大人の旅……」

 

「脱げ…着替えろ…」

 

烏間先生がキレながらビッチ先生に告げた。

 

 

…新幹線内にて

 

 

「誰が引率なんだか…」

 

「金持ちばっか殺してきたから、庶民感覚がずれてんだろな…」

 

片岡と磯貝が今のビッチ先生の姿を見て、そう言っている。ちなみに今は人生ゲーム中だ。

 

「も〜白夜君、強いよ〜」

 

そう、いろんなゲームをしていたが全てオレの第1位で終わっている。今も第1位だ。

 

「昔、学校でずっと第1位だったからいろんなあだ名がついた。」

 

「例えば?」

 

「そうだな…『絶対無敵の第1位』とか、『リアル一方通行』とかだな。」

 

ちなみにとあるシリーズを見たきっかけでもある。一方通行の意味が分からなかったからな。

 

「何それ!?カッコイイ!」

 

「昔からいろいろあったからな。」

 

他の人に比べればかなり濃い人生だろう。

 

「それはいじれそうだね〜。」

 

「いじれるのか?」

 

そういえば殺せんせーの姿がないような……。

 

「あれ?電車出発したけど…そういや、殺せんせーは?」

 

オレが見回すと殺せんせーを発見した。

 

「殺せんせーならそこの窓に張り付いてるぞ。」

 

「なんで窓に張り付いてんだよ殺せんせー!?」

 

どうせ駅中スイーツでも買っていたのだろう。…オレも買ってきた。そんな事はさておき、理由を聞くためにオレは殺せんせーに電話をかけスピーカーモードにする。

 

「いや〜駅中スイーツを買っていたら乗り遅れまして、次の駅までこの状態で一緒に行きます。…ああ、ご心配なく、保護色にしてますから服と荷物が張り付いてるように見えるだけです。」

 

やはり駅中スイーツを買っていたのか。……まあ美味しそうだったからな。仕方ないだろう。

 

「それはそれで不自然だよ!!」

 

「なるほど、それなら安心だ。」

 

「どこがだよ!?」

 

……何だか食べたくなってきたな。オレは駅中スイーツを取り出して食べる。

 

「中々美味しいぞこれ。」

 

「「「「食ってんじゃねぇよ!!てかお前も買ったのかよ!!?」」」」

 

今日も皆は息ピッタリでオレは安心した。

 

 

…殺せんせーが乗車

 

 

「いや〜疲れました。目立たないように旅行するのも大変ですね〜。」

 

「そんなクソでかい荷物持って来んなよ。」

 

確かに……何が入ってるんだ?オレはモグモグと駅中スイーツを食べながら疑問に思う。……京都のスイーツも気になるな。

 

「ただでさえ殺せんせー目立つのに。」

 

「てか、外で国家機密がこんな目立っちゃヤバくない?」

 

「なぜ今までバレなかったってくらい不思議だな。…モグモグ。」

 

「ニュヤ!?」

 

殺せんせーが驚くとつけ鼻が落ちる。

 

「その変装も近くで見ると人じゃないってバレバレだし。」

 

「殺せんせー、ほれ。まずそのすぐ落ちるつけ鼻から変えようぜ。」

 

殺せんせーが菅谷からつけ鼻を受け取る。

 

「お〜、凄いフィット感!」

 

「顔の局面と雰囲気に合うように削ったんだよ。俺そんなん作るの得意だから。」

 

「良い特技だな。…モグモグ。」

 

「「「「いつまで食ってんだよ!!」」」」

 

「……美味しいの?」

 

オレがモグモグと食べていると隣にいた倉橋が聞いてきた。あー、1つだけ言っておくがオレは喋った後で食べているので行儀は悪くない。

 

「美味しいぞ。1つ食べるか?」

 

「う〜ん……うん!ありがと!」

 

「それじゃあ口開けて。」

 

「え?///う、うん//あーん。」

 

あーんと言って倉橋が口を開ける。なるほど、あーんと言えば食べさせやすいな。今度からそうしよう。

 

そう思いながらオレは倉橋の口の中に駅中スイーツを入れる。倉橋は顔を赤くしながらモグモグと食べた。

 

「ん〜!美味しい〜!」

 

「それは良かった。」

 

((((……もうお前ら付き合えよ。))))

 

 

…京都到着、A〜D組高級ホテル到着、E組旅館到着

 

 

旅館について殺せんせーは乗り物に酔い新幹線とバスでグロッキーだ。ソファーで休んでるところに岡野と片岡と磯貝がナイフで攻撃するが避けられる。

 

「大丈夫?寝室で休んだら?」

 

「いえ、ご心配なく。先生これから一度東京に戻ります。枕を忘れてしまいまして…。」

 

「あんだけ荷物あって忘れものかよ!?」

 

こんな会話の最中もナイフでの攻撃は止まらない。…全て避けられているが。

 

……ン?神崎と茅野が何か話してるな?

 

「どうしたんだ?」

 

オレは茅野と神崎に話かける。少し困ったような表情で神崎は持ち物を漁っている。…何か探しているのか?

 

「白夜君。神崎さんが日程表を忘れたみたいなの…」

 

「日程表か。あのしおりは重いしな…オレは持ってきたが……新幹線かバスのどちらかで落としたか?」

 

ちなみにオレがしおりを持ってきた理由は非常時に鈍器や盾に使えるかも、と考えたからだ。我ながら中々に良い使い方だと思う。

 

「そうかも…」

 

「神崎さんは真面目ですからねぇ。独自に日程をまとめていたとは感心です。でも、ご安心を。先生の手作りしおりを持てば全て安心。」

 

「「「それ持って歩きたくないからまとめてんだよ!!」」」

 

遠くから見れば辞書を持ちながら京都を観光してるような物だ。……それはそれで面白いな。

 

「確かにバッグに入れてたのに…どこかで落としたのかな…」

 

白夜「バッグに入れてた、か…」

 

だったら落とすか?……誰かが盗むとしても日程表だけ盗むのだろうか?

 

オレの疑問が残ったまま、1日目は終了した。




どうも、ワンフォーワンです。

今回の話はどうでしたか?

よろしければ感想などをいただけると嬉しいです。

それではまた次回でお会いしましょう!!


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第9話修学旅行の時間2

大変申し訳ございませんでしたァァァァァーー!!

投稿が大変遅くなってしまったので謝罪いたします。

そんな訳で今回はいつもより長めにしてます。

それでは、第9話修学旅行の時間2どうぞ!!


…白夜side

 

今、オレたちは修学旅行中だ。

 

結局、神崎は日程表が見つからず、殺せんせーに殺せんせー手作りしおりをもらったそうだが、覚えている範囲で行動するらしい。…まあ、オレでもそうするな。

……そんなことより…

 

白夜「抹茶わらび餅ってこんなにもうまいのか…」

 

始めて抹茶わらび餅食べたけどこれは買って正解だな。

 

「白夜君、抹茶わらび餅って美味しい?」

 

「ああ、美味いぞ。1個食うか?」

 

「いいの?じゃあ、いただきま〜す!あーん……美味しい〜♪」

 

電車の時と同様に倉橋の口の中に抹茶わらび餅を入れる。倉橋は顔を綻ばせながら美味しそうに食べる。

 

「だろ?オレ、スイーツがまあまあ好きなんだ。」

 

ちなみに嫌いな物がほとんど無い。

 

「へ〜そうなんだ!そういえば、この前、駅前で美味しいスイーツがあったよ。」

 

「本当か?じゃあ、今度よかったら一緒に食いに行かないか?」

 

「うん!食べよ!(あれ?一緒にってことは…デ、デ、デート!?)…///」

 

((((ナチュラルに倉橋をデートに誘った!?))))

 

 

 

…あれから少し時間が過ぎ今はトロッコに殺せんせーと乗っている。

 

「おお!窓がないから凄い迫力ですねぇ。これだけ開放的なら酔いませんし…しかし、時速25kmとは速いですねぇ。」

 

「マッハ20の奴とは思えない感想だな…」

 

少しツッコミつつ、風を感じているとしばらくしてトロッコが止まった。

ン?あの光は…ああ、烏間先生が雇ったスナイパーか。

まあ、避けられて終わりだな。確か合図は…

 

「あ、見て見て、殺せんせー!川下りしてる!」

 

「どれどれ…おお!」

 

そう、殺せんせーが船を見に身を乗り出す瞬間だ。倉橋の誘導により、殺せんせーが身を乗り出した。

 

 

ダンッ!!

 

 

発砲音はしたがどうだろうか?

 

………八ツ橋で受け止められてる。…どうして八ツ橋で受け止めるという発想になるんだ殺せんせー。

 

「おっと、八ツ橋に小骨が。危ないこともあるもんですねぇ。」

 

おい磯貝、前原。気持ちは分かるが、顔を背けるな。バレるぞ。倉橋は苦笑いしてるな…うん。

……オレは…どうしようか……苦笑いしとくか。

 

 

…PM2:30

 

 

今、オレたちはご飯を食べた後だ。皆とご飯もなかなかいいな。いつも1人で食べていたから新鮮だった。話し相手はいるが実際に人がいるのとでは違うな。

 

「すまんがトイレに行ってくる。」

 

「分かった!ここら辺で待ってるぞ!」

 

 

…数分後

 

 

「悪いな、待たせてしまった。」

 

オレがトイレから自販機で買った缶コーヒーを持って帰ってくると磯貝、前原、木村、岡野、片岡、矢田がいた。……ン?あれ?倉橋は?

 

「倉橋はどこに行った?」

 

「それがさっきから見つからないんだ。」

 

「…電話はしてみたか?」

 

「それが繋がらなくて…」

 

電話も繋がらない?流石におかしくないか?

 

「これって倉橋のハンカチじゃないか?」

 

なんで倉橋のハンカチがここに…ン?違和感が…

 

白夜「っ……クソッ!」

 

どうして気づかなかった!倉橋は拉致されたのか!

 

「急いで殺せんせーに電話しろ。……これは誘拐だ。オレは先に行く。」

 

そう言ってオレは全力で走り出す。京都の街の地図を頭に叩き込みながら移動する。

 

「白夜!」

 

後ろで何か聞こえるが気にしない。考えろ!考えろ!なんのためにこの完全記憶能力がある!

 

そうだ!確か、しおりにその対処法が書いてあったはずだ!しおりは覚えたはずだ!

 

それにしても久しぶりの感覚だな。この、体温が上がる感覚は……

 

「…修学旅行のしおり1243ページ班員が何者かに拉致された時の対処法。犯人の手がかりがない場合、まず会話の内容や訛りなどから地元の者かそうでないかを判断しましょう。だったな。」

 

会話してないんだけどな。その場合は…

 

「1312ページ。犯人が誰かわからない場合は先生に連絡し、付録136ページで先生がマッハ20で下見した拉致実行犯潜伏マップを使って探しましょう。…か。普通はないなこんなしおり。…良し、急ぐか。」

 

そう言ってオレは近場から順に探す。

 

 

…倉橋side

 

 

私は拉致されてしまった。今、私の目の前には不良の高校生が20人ほどいた。

 

「いや〜、君、可愛いねぇ。制服的に椚ヶ丘の生徒かな?」

 

「い、嫌…助けて…」

 

「その怖がった顔もそそるねぇ。」

 

助けて…白夜君!

 

 

…倉橋sideout

 

 

…白夜side

 

 

近場から潰していると殺せんせーがいた。

 

「殺せんせー。」

 

「白夜君!?どうして君がここに…」

 

「…倉橋が攫われた。」

 

「ニュヤ!?…倉橋さんもですか…ですが…神崎さんと茅野さんも…」

 

マジか……しかし、

 

「いや、殺せんせーはそっちを頼む。倉橋はオレが助ける。」

 

「……わかりました…ですが烏間先生には連絡します。」

 

「…分かった。」

 

殺せんせーはマッハで次の場所ヘ向かった。そしてオレは走り出した。

 

 

…倉橋side

 

 

「離して!私…今、修学旅行で来てるの…だから…」

 

「…へえ、俺らも修学旅行生同士、仲良くヤろうぜぇ。」

 

「撮影班はまだ来てないぞ。もうヤっちまうのか?」

 

「いいんじゃねえか?リュウキの方は2人いて、撮影班を待つそうだぜ?俺らは1人だけだが相手してもらおうぜ。」

 

…嫌だよ…何をされそうになっているのかは…分かる。でも…そういうのは好きな人としたいよ…

 

「目の前に上玉がいるのに我慢しろってのか?はっ!無理だね…さあ、君、ヤろうぜ?」

 

「…い、嫌…助けて…」

 

ガシャンッ!

 

「…おい!誰か確認してこい!」

 

不良が1人確認しに行った。

 

ドカッバタンッ!

 

そんな音がして、不良は倒れた。

 

「…あんまり強くないんだな。まあ、その方がちょうどいい。倉橋を助けに来た。ここで間違いないな。」

 

「白夜君!」

 

やった!助けが来てくれた!

 

「テメェ巫山戯るな!お前らやれ!」

 

その声と共に不良が一斉に白夜君に襲いかかる。

 

「巫山戯るな?…それはこっちのセリフだ。…お前らこそ巫山戯るんじゃない。」

 

白夜はそう言いながら次々と不良の攻撃を躱しながら倒す。

 

「…凄い…白夜君、カッコいい…///」

 

気づけば残りの不良は1人になっていた。

 

 

…倉橋sideout

 

 

…白夜side

 

 

はあ…やっぱり弱いな…

 

「おい!これを見やがれ!」

 

「白夜君!!」

 

声がした方を見ると倉橋が不良にナイフを首に突き付けられていた。

 

「…はあ…分かった。…ほら、これでいいだろう…倉橋を離せ。」

 

そう言って…オレは両手を上げる。

 

「…よくわかってんじゃねぇか。」

 

「…お前は人質を取るってことは、どういうことか分かるか?」

 

「あァ?何言ってんだお前。」

 

「…正解を教えよう。答えは…」

 

そして、オレはありったけの殺気を不良に向け、言う。

 

「殺されても文句はないってことだ。」

 

「ヒッ!何なんだよお前はーー!」

 

オレは縮地術を使って倉橋を助け、不良の顎にアッパーカット。そして腰に回し蹴りをしてぶっ飛ばした。

 

「…お前はオレの大切な仲間を拉致したんだ。…そこでしばらく頭冷やしとけ。」

 

 

…白夜sideout

 

 

…倉橋side

 

 

「…ふう、倉橋。大丈夫か?」

 

「うん!大丈夫だよ!ありがとう!白夜君!!」

 

「…はあ、あんまり無理はしない方が良いぞ、倉橋。」

 

「えっ!?無理なんて…無…理……なん…て…」

 

あれ?涙が……

 

「すまなかった。すぐに来れなくて悪かった。…だが、もう大丈夫だ。…よく頑張って耐えてくれた。」

 

「…うわぁぁぁん!怖かったよ、白夜君!助けに来てくれてありがとう!…うわぁぁぁん!」

 

そう言って泣いた私を白夜君は抱きしめた。数分間、私はずっと白夜君の腕の中で抱きしめられながら泣いていた。

 

白夜君は何も言わず頭を撫でてくれた。

 

そんな優しい気遣いも嬉しかった。

 

私は泣いて疲れて寝てしまった。

 

 

…倉橋sideout

 

 

…白夜side

 

 

……倉橋は寝たか。

 

「旅館まで行くか…殺せんせーも心配してるだろうし。」

 

オレは倉橋を横抱きして(お姫様抱っこですby作者)、殺せんせー達に電話しながら旅館に行った。

 

「…本当に倉橋が無事で良かった。」

 

「…んん…ん…ぅん?」

 

「倉橋、大丈夫か?」

 

「白夜君!?///…ど、どうして…あ/////」

 

どうしたんだ倉橋は?そんな顔を赤くして…あ、歩きたいのか…(なぜ、そういう発想になった…by作者)

 

「すまん。今、下ろすから。」

 

「え?//…う、うん。ありがと。」

 

何故少し残念そうにする。……良く分からんな。

 

「にしても今日は大変だったな…久々に全力で走ったからか?」

 

オレが1人呟いていると隣で倉橋がオレを呼んだ。オレが倉橋の方を見ると倉橋は口を開いた。

 

「……白夜君、手、繋いでも良い?//」

 

「…ああ、良いぞ。」

 

オレは倉橋と手を繋ぐ。倉橋の手はオレより小さく、暖かった。

 

「……あのさ、白夜君!…私のこと陽菜乃って呼んでほしいんだけど…///」

 

「良いのか?」

 

「う、うん//」

 

「分かったよ……陽菜乃。」

 

「ありがとう!裕翔君!//」

 

陽菜乃の名前を呼ぶと陽菜乃は明るい笑顔を浮かべてオレに言った。……ン?今オレの事を…

 

「陽菜乃、今オレの事…」

 

「あ…もしかして名前で呼ばれるの嫌?」

 

陽菜乃は少しシュンとして悲しそうな寂しそうな表情をする。……やめろ、そんな表情をするな。

 

「…いや、驚いただけだ。別に良い。」

 

「ありがとう!」

 

そんな話を旅館まで手を繋ぎながらしていた。




どうも、ワンフォーワンです。

いや〜自分で書いていて口が凄いことになってます。

コーヒー足りるかな?

まあ、そんなことはさておき、また次回でお会いしましょう!!


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第10話告白の時間

どうもワンフォーワンです。

今回は少し量が少ないです、すいません。

それからブラックコーヒーを準備してから読んでください。

それでは第10話告白の時間どうぞ!!


…白夜side

 

オレの名前は白夜裕翔だ。…この挨拶は久しぶりだな。

今は陽菜乃と手を繋ぎながら旅館に向かっている。

 

「…裕翔君。なんであの時、私を助けに来てくれたの?」

 

改めて言われるとなぜだろうか?少し考えてみよう。

 

クラスメイトだから?

 

…半分正解って感じだ。

 

友達だから?

 

…惜しいが何か違う。

 

………さっきから妙に視線を感じるのは気のせいか?

 

そんなことよりなぜオレはあんなにも必死に陽菜乃を助けようとしたかだ。普段ならもっと冷静に考えて殺せんせーに連絡してから皆で手分けして探すはずだ。

 

なのに、なぜあんなにも感情的に?

 

「私、裕翔君に助けてもらって嬉しかったよ…」

 

「そうか。オレも陽菜乃が無事で良かった。」

 

「うん!無事なのも裕翔君のおかげだよ!だからありがとう!!」

 

そう言って陽菜乃は明るく笑った。……そうか…分かった。

 

オレはいつの間にか陽菜乃の事が好きになっていたらしい。

 

「…さっきの質問の答えを言っていいか?」

 

「う、うん。」

 

「オレにとって陽菜乃が大切だからだ。」

 

「え……////」

 

「オレは陽菜乃のことが好きだ。」

 

「!/////」

 

「オレと付き合ってください。」

 

「!!…はい!私も裕翔君のことが好きです。………裕翔君も私と同じ気持ちで嬉しい。」

 

陽菜乃もオレの事が好きだったのか。……何というか嬉しいのにむず痒い気持ちがするな。

 

「オレも同じ気持ちで嬉しい。……陽菜乃、オレの頼みを聞いてくれるか?」

 

「え?うん、いいけど……んっ!?」

 

オレは陽菜乃にキスをした。そっと優しく唇と唇が触れ合うキスだ。陽菜乃の唇はとても柔らかくて甘かった。

 

「……ン。すまん、もしオレに恋人ができたらキスっていうのをしてみたかったんだ………嫌だったか?」

 

「…う、ううん/////嫌じゃないよ…ていうか凄く嬉しい……////…ちょっとびっくりしたけど…///」

 

「そうか。………しまった…場所を考えれば良かった…お前らいつからいた?」

 

オレがそう言うと、E組の皆が壁から出てくる。ニマニマとした笑みを浮かべながら。……殺せんせーは何でジャーナリストみたいな格好をしてるんだ。

 

「いや〜裕翔も大胆なことするね〜。」

 

「み、皆!?…い、いつから…。」

 

陽菜乃が驚きながら言った。オレも陽菜乃を助けた達成感で油断していた。

 

「いや〜良かったね〜陽菜乃ちゃん!白夜に告白された上に付き合ってくれって言われるなんて〜。」

 

「最初からいたのか…警戒心が少し緩んでたな…」

 

「ヌルフフフフ、いや〜白夜君もキスとは大胆ですねぇ。」

 

…はあ…まったく。教師も一緒になって生徒同士のキスシーンを見るなよ。

 

「……お前ら録画とかしてないだろうな?」

 

「安心してください、白夜君。録音、録画、それに写真もしました。」

 

「そうか、安心できない事だけは分かった。……陽菜乃、大丈夫かってダメだなあれは。」

 

にしても凄いな陽菜乃のところ。

 

「う〜////もうやめて…///」

 

中村達がオレと陽菜乃のキスの動画で陽菜乃をいじっている。…仕方ない、止めるか。

 

「あまり陽菜乃を困らせるな。烏間先生も待ってるだろうから、早く旅館に行くぞ。」

 

「裕翔君!ありがとう〜!!」

 

陽菜乃がオレの隣に来る。

 

「………手、繋ぐか?」

 

「うん!//」

 

オレと陽菜乃は手を繋ぐ。恋人同士になる前と後だと何となく感覚が変わってくるな。

 

「「「「「フゥゥゥ!!!」」」」」

 

……E組のボルテージが上がる。そんな上がるな。陽菜乃が凄い恥ずかしそうにしてるから。

 

その後、なんだかんだありながら旅館についた。

 

 

…旅館にて

 

 

「白夜君…どうしてこうなっているんだ……。」

 

烏間先生が困ったようにオレに聞く。陽菜乃が皆に囲まれている状況を見て聞いてきたのだろう。

 

「………実は…」

 

そしてオレは烏間先生に今日あったことを話した。

 

「…それは災難だったな。…それと、おめでとう。」

 

烏間先生は優しい笑みをうっすらと浮かべながら言った。……祝ってくれたのだろうか?

 

「…ありがとうございます。」

 

オレが烏間先生と話していると…

 

「おい!キスしろよキス!」

 

「「「「キス!キス!」」」」

 

前原に続き、皆が言う。唐突なフリにも程がある。

 

「えーー!?き、急にそんなこと言われても…」

 

陽菜乃はチラチラとオレの方を見てモジモジとしている。……まあしても損はないだろう。……というかオレがしたい。

 

「はあ…陽菜乃、心の準備は大丈夫か?」

 

「え?ほ、本当にするの?///……大丈夫だよ…///」

 

「…ん。」

 

陽菜乃の確認を取ったオレは陽菜乃の唇に自分の唇を触れさせる。

 

「…んっ!……ぷはっ…」

 

数秒間だけだったがとても長く感じた。もうこれくらいで良いか?と思って陽菜乃の唇を開放する。

 

「「「「「おおおおお!!」」」」」

 

「さすがに恥ずかしいな。」

 

「///…あ、裕翔君の恥ずかしがってるところ始めて見た!」

 

「そうか?」

 

ふむ………思い返してみれば意外と少ないものだ。というかオレって表情が出にくいタイプだったな。

 

「ヌルフフフフ、さあ、皆さん!後で男子部屋でゲームをします!」

 

「なんで?」

 

当然の疑問だろう。さて、マリカか?スマブラか?マリパか?フォートナイトか?……これって〇付けた方が良いのか……?

 

「良いじゃないですか!!先生だって皆さんとの修学旅行だから遊びたいんですよ!!」

 

殺せんせーに逆ギレされた。……ていうか遊びたいだけか。

 

「…まあ、面白ければ良い。」

 

大抵のゲームならやった事はあるからな。

 

……だが、オレは知らなかった。オレがやったことないゲームだと言う事を。そして殺せんせーの本当の思惑を。




どうも、ワンフォーワンです。

いや〜ついにくっついた!!良かった良かった!

…少し無理やりですけどね。自分に恋愛ものは難しいんですよ。

そんなことはさておき、殺せんせーが用意した白夜のやったことのないゲームとは何なのか…

ヒント!皆さんは多分知ってますよ。

それではまた、次回でお会いしましょう!!


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第11話休日の時間1

どうもワンフォーワンです。

更新が遅れました。

言い訳をすると少し風邪をひきまして…

まあ、そんな時に思いついた話です。

それでは、第11話休日の時間1どうぞ!


…白夜side

 

オレの名前は白夜裕翔だ。

 

修学旅行が終わってオレ達E組は2日間の休日を得た。その休みをオレは修学旅行での体の疲れを癒やすことに使おうとしていた。…うん、していた。

遡る事、数時間前。そんな休日のとある時間に陽菜乃から電話がきた。

 

「…ぅあ?…陽菜乃か…」

 

オレは寝ていたが着信音で目が覚め、電話にでる。電話の相手を確認すると陽菜乃だった。

 

『あ、もしもし?』

 

「…ぁあ…何かようか…?」

 

『もしかして裕翔君寝てた?』

 

「ああ。今起きたから問題ない。…そろそろ起きるころだったしな。」

 

なんだかんだで12時間も寝てるしな。……少し疲れてたんだよ。

 

『今起きたんだ…あの…今日の夜って空いてる?』

 

「夜?…まあ、空いてるが…どうかしたのか?」

 

『う、うん。実はね…』

 

そして、陽菜乃は昨日、修学旅行から帰って起きたことをオレに話した。

 

…要約すると、陽菜乃が帰った後、彼氏ができたことが嬉しくて陽菜乃のお母さんに伝えたら、陽菜乃のお母さんが陽菜乃のお父さんにそのことを伝え、陽菜乃のお父さんが陽菜乃にオレに会わせてほしいと言った。

そして、陽菜乃のお父さんは帰ってくるのが7時頃で、会わないと彼氏と認めないと言っているのでオレに電話してみた。…ということらしい…

 

『…どうすればいいかな…?…私、裕翔君と別れたくないよ……』

 

流石に恋人同士になって翌日に別れるなんて悲し過ぎる。というか別れる気なんて全くない。

 

「大丈夫だ。今日の夜は空いている。」

 

『で、でも…裕翔君の家は大丈夫なの?』

 

オレの家?……ああー、門限とかって意味か。まだ中学生だし、厳しい所は厳しいだろうな。

 

「ン?…ああ、それなら別に大丈夫だ。オレの両親はもう亡くなっているからオレは1人暮らしだしな。」

 

『え!?……ごめんなさい。』

 

「…気にするな。まあ、そういう訳でオレは今日の夜は空いてるから大丈夫だ。」

 

『うん!ありがとう裕翔君!!あ、お母さんがご飯食べてってだって〜!』

 

「良いのか?」

 

『うん!大丈夫だよ〜!』

 

「そういうことなら頼む。陽菜乃の家の場所は分かるから大丈夫だ。」

 

『それじゃあ夜に待ってるね。ありがとね、裕翔君!』

 

「ああ、どういたしまして。…それじゃあ、7時頃に行くぞ。」

 

『うん。』

 

電話が切れた。……さてと、今何時だ?……11時か。…6時30分に家を出れば良いな。

 

という訳でオレの真っ白だった休日の予定は重大な予定へと変わった。

 

 

…数時間後…

 

 

今の時刻は6時50分で、今は陽菜乃の家の前である。

 

ピンポーン

 

…彼女の両親に会うからな。…一応服屋でおすすめの服にしてもらったが大丈夫だろうか?…服屋を出た後に周りの人達がこっちを凄い見てたから心配だ。

 

「はーい!…あ、裕翔君!こんばんわ……」

 

「こんばんわ。…どうした?ずっとオレのこと見てるが……やっぱり変か?」

 

オレにお洒落は向いてないのかもしれない。オレとしてはまあまあ似合ってると思っていたんだが。

 

「…ふぇっ!?///…あ、ううん。全然変じゃないよ!!凄く似合ってる!!(う〜//見惚れてたなんて言えないよ///)」

 

「そうか?ありがとう。」

 

陽菜乃にそう言って貰えると嬉しい。服屋に行って買ったかいがあったな。

そういえば陽菜乃の家に来るのは2回目だ。

 

「今日はごめんね?突然来てなんて言って…」

 

「大丈夫だ。本当に今日の夜は特に予定がなかったからな。オレも陽菜乃とは別れたくないし…。それに、言うならごめんよりもありがとうの方がオレは嬉しい。」

 

オレは笑いながら陽菜乃にそう言う。……上手く笑みを浮かべられたかは分からないけどな。

 

「あ、ありがと…////」

 

「ああ、どういたしまして。……入らないのか?」

 

陽菜乃との会話が楽しくて気にしてなかったがオレ達はずっと玄関の前で立ったままだった。

 

「あっ!え、えっと…じゃあ、入って入って!」

 

陽菜乃の慌ててる様子が少し可愛かった。写真として10枚程保存したいくらいだ。

 

「…それじゃあ、おじゃまします。」

 

オレが陽菜乃について行くと陽菜乃に少し似ている人がいた。……陽菜乃のお母さんだろうか?

 

「あ、君が陽菜乃の彼氏さん〜?私は陽菜乃の母です〜。」

 

陽菜乃のゆるふわオーラは母親譲りなのだろうか?…かなり雰囲気が似てるな。

 

「はい、陽菜乃さんとお付き合いさせてもらっている白夜裕翔です。…今日は呼んでいただきありがとうございます。」

 

「いいのいいの〜。色々聞きたいこともあるから〜。」

 

「そうですか。」

 

付き合っていると言っても告白は一昨日したんだがな。……そういえば付き合って早々彼女の家で、ご飯を一緒にする物なのか?…ダメだ。付き合ったことないからわからない。…まあせっかくの機会だし楽しむ事にしよう。

 

 

…数分後

 

 

誰か助けてくれ!少し…いや、かなり気まずい。そう、今の状況を説明すると、陽菜乃のお父さんが帰ってきて、ご飯が丁度でき、食卓を囲んでいるという状況だ。

陽菜乃のお父さんが何も喋らない…というか無表情なのが怖い。そして、そんな空気でオレと陽菜乃は喋れず、陽菜乃のお母さんは構わず喋り続けるという状況だ。

 

…何か喋ろう。…何か、何か…

 

「…改めて、陽菜乃さんとお付き合いさせてもらっている白夜裕翔です。今日は呼んでいただきありがとうございます。」

 

「いいのよ〜。陽菜乃のこと聞かせてほしいし〜。」

 

……この人はそれが狙いだろうな多分。問題は陽菜乃のお父さんなんだか…何故ずっと無表情なんだ…。

 

「そういえば、陽菜乃とはどこまでしたの〜?」

 

「「っ!?///」」

 

初っ端それが来るのか…かなりキツい。陽菜乃なんて顔がもう凄い赤いぞ。……良し!大丈夫、大丈夫な筈だ。

…ふう、何とか回復してきた。

 

「…キスならしました。」

 

「早いのね〜。どっちからなのかしら〜?」

 

「…オレです。」

 

「あらそうなの〜陽菜乃、良かったわね〜」

 

「もう…やめて……////」

 

陽菜乃のお母さん、もうやめてください。…陽菜乃もそうだけど陽菜乃のお父さんがもう凄い。

 

「それでそれで〜白夜君は陽菜乃のどこが好きなの〜?」

 

「たくさんありますが陽菜乃の明るくて優しいところに、後、あの明るくて眩しい笑顔も好きだし、気遣いとかもしてくれるので…」

 

「も、もう…やめ…て……///////」プシュー

 

「あら〜。」

 

陽菜乃は恥ずかしくてなのか気絶し、オレの方に倒れてきた。

 

「……可愛いな。」

 

オレは陽菜乃の髪を撫でながら無意識に呟いた。……ついいつもの癖でやってしまった。オレは少し名残惜しく思いながらも手を離す。

 

「随分と愛してるのね〜陽菜乃のこと〜。」

 

陽菜乃のお母さんは微笑みながら「あ、続けて続けて。」と補足した。……じゃあ遠慮なく。オレは陽菜乃の髪を再び撫でた。

 

「ええ、まあ。」

 

「それが聞けて良かったわ〜。陽菜乃のことをお願いね?」

 

「はい。」

 

それに関してはそのつもりだが、陽菜乃のお父さんは大丈夫だろうか?そう思い見てみるが無表情に戻っていた。

 

 

…夕食後

 

 

オレは今、陽菜乃のお父さんに呼ばれて2人で話している。

 

「…夕食の時はすまなかった。」

 

「…はい?」

 

急に陽菜乃のお父さんが謝ってきた。え?え?え?'

 

「いや〜陽菜乃が彼氏ができたというからどんな人か見てみようと思ってね。…しっかりした彼氏で安心したよ!ハッハッハ!」

 

そう言って背中を叩いてくる。…少し痛い。ていうか陽菜乃のお父さんって凄い明るい人だな。

 

「…は、はあ…それは良かった?です。」

 

「…陽菜乃が拉致されたと聞いて不安だった。…この前もショッピングモールで買い物をしていた時にナンパされたと聞いたが助けたのが一緒の人だったとは!」

 

「……偶然ですよ。」

 

「例え偶然でも陽菜乃のことを助けてくれたのは本当のことだ。」

 

「そうですか…?」

 

「ああ、そうだ!だから礼を言わせてくれ、ありがとう!」

 

「こちらこそ、ありがとうございます。」

 

こういう時のお礼は素直に受け取っておくべきだなと思った。……あれ?素直に受け取れてるのか?……まあ受け取っている。

 

「…陽菜乃のことをよろしく頼むよ白夜君。」

 

「はい。」

 

陽菜乃の事を良く考えている良いお父さんだ。陽菜乃のお父さんはこれで話が終わりなのか席を立った。

 

「おーい!陽菜乃!話はもう終わったぞ〜!」

 

「は〜い!じゃあ裕翔君、一緒に遊ぼう!」

 

陽菜乃のお父さんがそう言うと陽菜乃が出てきた。明るい笑顔でオレの腕をグイグイと引っ張る。

 

「ン?遊ぶのか?…まあ、良いぞ。何するんだ?」

 

「え〜っとね〜………」

 

…まあ、無事に終わって良かった良かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、そうだ白夜君〜。今日は家に泊まって行くわよね〜?」

 

…はい?え?そんな話だったか?

 

「え?///お母さん!?」

 

「…それは陽菜乃と陽菜乃のご両親に迷惑じゃ…」

 

「え〜?いいわよねあなた〜?」

 

「私は構わんぞ。…もっと白夜君と話してみたいしな。」

 

…もっと話したい?…まあ、オレも話してくれるのは嬉しいが。

 

「…陽菜乃は?」

 

「…裕翔君が迷惑じゃなければ…(というか泊まってほしい、かも……て!裕翔君の迷惑だし…う〜ん…。)」

 

「まあ、陽菜乃と陽菜乃の両親が良いならいいが…」

 

「それじゃあ裕翔君〜。今日は家でゆっくりしていってね〜♪」

 

「…はい、よろしくお願いします。」

 

まあ、予想はしてた。陽菜乃のお母さんに会った時からこんなこと言うだろうな〜って…雰囲気的に。

こうしてオレは陽菜乃と別れる心配はなくなったがなぜか陽菜乃の家で泊まることになった。…恋人ってこういうものなんだろうか?

 




ワンフォーワンです。

さあ、白夜君の世間知らずが発動しました!

…白夜君は時々、世間知らずを発動します。

それでは、また次回でお会いしましょう!!


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第12話休日の時間2

どうも、ワンフォーワンです!

今回の話はオリキャラが出ます!

あと、今回はいつもよりも少し長めに書きました!

それでは第12話休日の時間どうぞ!!


…白夜side

 

 

今日は陽菜乃の家で夕食を食べ、なぜか泊まることになった。そして今は陽菜乃の部屋に来ている。

 

「それで、何して遊ぶんだ?」

 

「それが決めてなかったんだ〜。」

 

「……そうか。」

 

一括に遊ぶと言っても種類はたくさんある。ゲームや雑談だったり本を読んだり、例を上げるとキリがない。

 

「う〜ん、裕翔君は何かしたい遊びはないの?」

 

そう聞かれてもな。特にやりたい事も……

 

「…あ、そういや前の集会の時にナイフケースを烏間先生に見せてたよな?」

 

「え?う、うん。これのことだよね?」

 

そう言って陽菜乃はナイフケースを見せる。……果たして家に持って帰っていい物なのだろうか?

 

「ああ、それのことだ。それってどうやって作ったんだ?」

 

「え?これはね〜………」

 

 

…説明中

 

 

「…って感じでやってるんだ〜。」

 

複雑かと思っていたが聞いてみると簡単そうに聞こえる。……いや、陽菜乃の教え方が上手いのか。

 

「なるほどな。ありがとう、分かりやすかった。聞いていたら作ってみたくなったから作ってみるか。」

 

「え!?作れるの?」

 

「ン?まあ、作り方は分かったからな。」

 

「それじゃあ、一緒に作ろうよ!裕翔君!」

 

「ああ、それじゃあ作るか。」

 

 

…30分後

 

 

「良し。こんな感じだな。」

 

「私もできた〜!初めてにしては早いね裕翔君!」

 

「陽菜乃は少し慣れた感じがするな。」

 

オレは少し苦戦しながらやっていたが陽菜乃は慣れた感じで手早く作った。

 

「そうかな〜?それじゃあ!初めての裕翔君のナイフケースを見てみよう!」

 

「ン?ああ、いいぞ。オレはこんな感じにできた。」

 

そう言ってオレは陽菜乃にナイフケースを見せる。適当に三日月を作って後は夜の風景に少し雲を入れただけの単純な物だ。

 

「凄いよ裕翔君!これ本当に作ったの初めてなの?」

 

「ああ、これが初めてだな。…褒めてくれて嬉しいよ。でも、陽菜乃の教え方が上手だったから上手くできたよ。ありがとう。」

 

「……どういたしまして…///」

 

「陽菜乃のナイフケースも良くできてるな。」

 

「ありがとう!」

 

そんな感じで陽菜乃と遊んだり、話したりして楽しかった。そして気づけば22時あたりになっていた。

 

「そういえば陽菜乃は普段何時に寝てるんだ?」

 

「えっとね〜22時くらいかな?だからそろそろ寝る時間かな?」

 

寝る時間早いな。……いやこの場合オレがズレてるのか。

 

「そうか。それじゃあオレも寝ないとな。ところでオレはどこで寝るんだ?」

 

そう疑問に思っているとちょうど陽菜乃のお母さんが来た。寝る場所を用意してくれたのだろうか?だとしたら手伝えば良かったな……。

 

「白夜君〜!今日は陽菜乃と一緒に寝てね〜!それじゃあおやすみなさい〜!」

 

そう言って出ていった。

 

「はい?」

 

「え?//」

 

つまり陽菜乃と一緒に寝ろと言うことなのか?

 

「………陽菜乃はいいのか?もし良ければオレは床で寝るが…。」

 

一緒にベッドで寝るのはダメだろう…。ここは男のオレが床で寝るべきだ。別に床で寝れない事もないからな。

 

「ダメ!裕翔君に悪いよ!」

 

「しかしな…」

 

「裕翔君は私と寝るのは嫌?」

 

位置的に陽菜乃が上目遣いで聞いてくる。陽菜乃…それはズルいぞ。

 

「嫌じゃないが陽菜乃は良いのか?」

 

「わ、私は良いよ?///」

 

マジで良いのか?…オレだって人間だから恥ずかしいんだが…。

 

「陽菜乃が良いなら良いが……。まあいい、それじゃあ寝るか。」

 

「う、うん。////」

 

そしてオレと陽菜乃は陽菜乃のベッドに入る。

 

「……」

 

「……」

 

……オレはこういう状況の場合どうすれば良いんだろうか?……とりあえず、何か話すか。

 

「この状況を殺せんせーが知ったらなんて言うだろうな。」

 

結果、最悪の切り出しをした。今ほど自分の口を憎んだ事はないだろう。

 

「めんどくさくなることだけは分かるね〜。」

 

出だしは最悪だったが陽菜乃は話にノッてくれた。……ありがとうございます。

 

「そうだな。今もしかしたら見てるかも知れないぞ。確か、殺せんせーは保護色になれる筈だからな。」

 

「それは嫌だな〜。」

 

オレも嫌だ。というか多くの人が嫌だろう。自分が知らぬ間に誰かが見てるってどんなホラーだ。

 

………さっきから陽菜乃が眠たそうだな。

 

「陽菜乃、眠たいか?眠たいなら寝て良いぞ。」

 

「良いの?ありがとう、裕翔君。裕翔君は暖かくて気持ちいいな〜。」

 

そう言って陽菜乃はオレに抱きつく。…意外と大胆だな。普段の陽菜乃ならしないだろうな…。眠気が近いとこうなるのだろうか?

 

「陽菜乃も暖かいぞ。……なんだか……眠たく……なって…きた。」

 

陽菜乃に抱かれていたらなんだか眠たくなってきた。陽菜乃は良い匂いがするな…。

そういえば、修学旅行が終わってから疲れてたけど、ゲームのイベントがあったから徹夜したんだった。

 

なんというか陽菜乃は安心するな。寝ないで陽菜乃の寝顔見るつもりだったが…まあ、もう見れたし良いか。

ダメだ…もう眠たい……寝るか…。

 

そう考えながらいつの間にかオレは寝てしまった。

 

 

…白夜sideout

 

 

…倉橋side

 

 

「ふわ〜……ぅん?裕翔君?え!?裕翔君!?」

 

待って、何で私は裕翔君に抱きついてるの!?え〜っと……確か昨日は裕翔君が家に来て、少し遊んだり、話したりした後、お母さんが来て、一緒に寝なさいって言われたから寝たんだよね……。それで、起きたら私が裕翔君に抱きついていた……。

 

「……ぅん…陽菜…乃……」

 

「ひゃい!?」

 

変な声出ちゃった…。裕翔君起きちゃったかな…?

 

「………………。」

 

…良かった〜、起こしてなかったみたい。裕翔君の寝顔、可愛いな〜。いつもはちょっと大人な感じがするけど、寝てると少し幼さみたいな物があるな〜。

 

「……うん?……ふわぁ………ン?あ、おはよう陽菜乃。」

 

「あ、裕翔君、おはよう。」

 

「…ところでいつまでオレに抱きついてる気だ?オレとしては嬉しいが。」

 

「ご、ごめん裕翔君!///」

 

「いや、大丈夫だ。陽菜乃、良く眠れたか?」

 

「あ、え、うん!良く眠れたよ!…裕翔君は眠れた?」

 

「ああ、陽菜乃が暖かくて良く眠れたよ。ありがとう。」

 

「ふぇ?//そ、そうなんだ…それなら良かったよ!///」

 

何でそんな恥ずかしいセリフを真顔で言えるの!!……うぅ…また裕翔君のペースだ…。

 

「…それで、今は何時なんだ?」

 

「え〜っと、6時30分だね。今日は学校は休みだったよね?」

 

確か、今日は日曜日だった筈だよね……良かった〜。

 

「ああ、明日が学校だ。しかしよく寝たな。いつもはもっと睡眠時間は短いんだが…。」

 

「いつもは何時に寝てるの?」

 

裕翔君っていつもは何時に寝てるのか少し気になるかも。私の質問に裕翔は「ン?あー…」と口を開く。

 

「確か…12時の時と、2〜4時の時がある。ゲームのイベントやってると少し遅くなったりするな。中学1年の夏休みの時はイベントがたまり過ぎて5日間徹夜こともあった。」

 

「そんな生活で大丈夫なの!?もっと早く寝た方が良いよ!」

 

私は裕翔君の生活習慣に驚いた。…5日間も徹夜してたら体が保たないよ。

 

「…それもそうだな。もう少し早く寝る。」

 

「うん!そうした方が良いよ!」

 

「以後、気をつける。」

 

今度は何を話そっかなぁ〜。せっかくの機会だし色々聞いてみたいかも。私が少し考えていると部屋の扉が開く。

 

「よく寝れた〜?」

 

お母さんが部屋に入ってきた。……まあ、また今度でも良いよね。

 

「あ、はい。良く寝れました。」

 

「そう〜?なら良かった〜。朝ご飯できてるから早く食べてね〜。」

 

「ありがとうございます。…陽菜乃、一緒に行くか?」

 

「うん、一緒に行こ!裕翔君!」

 

「ああ。」

 

 

…朝食後

 

 

…白夜side

 

 

「ふう…美味かった。」

 

「確かに美味しかった〜。やっぱり朝はパンだよね!…裕翔君は何派?」

 

「オレか?オレは……まあ、そういうのはあまりないかな。その時によって食べたい物が違うからな。」

 

「まあ、それもそうだね。(朝は気分によって変わる、と。ふむふむ。)」

 

何故メモ帳を取り出す?そして何を書いてる?少し気になるがまあ良いか。

 

「今は7時30分か…さてと、何をしようか…。」

 

オレが何をしようか考えている時、電話がなった。

 

「ン?電話か…もしもし。」

 

『あ、もしもし!白夜か?』

 

「あ、ああ、そうだが?お前は確か…黒崎だったか?」

 

『おう!覚えててくれてたか〜!』

 

「まあ、印象深いからな。」

 

少し五月蝿いっていう印象だが。……今もスマホを少し離しながら話している。

 

アイツの名前は黒崎和人。…オレの小学校の頃の最初の友達だ。

 

……小学校の頃、オレは周りよりも静かで、自分で言うと変だがオレは成績も良く、運動もできた。……後、何故か女子が周りにいることが多く、男子からは殺意というか嫉妬のような視線を感じた。何故だ…オレが何をしたのだろうか?

 

後、2月14日になると、下駄箱や引き出し、ロッカー等に大量にチョコが置かれていた。

最初は新種の虐めだろうか?と思い、先生に相談したら『なんだ、自慢か?白夜。』などと言われてしまった。先生、オレが何をした…。

 

おっと、話がずれてしまった。

 

話を戻そう、そんなこんなでオレは周りに友達がいなかった。そのオレの初めての友達がこの黒崎和人だ。

 

『俺ってそんな印象深かったか?まあいいや!それで今日は報告があって電話したんだ!』

 

少し五月蝿いっていう印象だけどな。(2回目)大事な事だから2回言ったぞ。

 

「そうか。……で、どうしたんだ?」

 

『いやな、実は俺、引っ越しするんだよ。それで引っ越し先が東京なんだよ。…だからもしかしたら会うかもな!っていう報告だ。』

 

オレは小学校の頃に転校して、大阪に行き、椚ヶ丘に入学する前に東京に引っ越しをしたため黒崎とは小学校で離れてしまったが連絡先は教えたので時々電話が来る。まあ簡単に引っ越しルートを書くとこんな感じだ。神奈川県→大阪府→東京都、だ。

 

「そうか。今、住んでいるのが神奈川県だったよな。それで何処に転校するんだ?」

 

『ああ!椚ヶ丘中学校ってところだ!』

 

オレは黒崎から出た単語に少し驚いた。オレ達と同じ学校になるのか……。何組に入るか分からないが無事を祈っておこう。

 

「……偶然ってあるものなんだな。オレも椚ヶ丘中学校にいるんだ。」

 

『お、そうなのか!?だったら今度こそ勝負に勝ってやるぜ!』

 

「いつも黒崎から勝負を仕掛けてはオレに負けてるけどな。」

 

小学校の頃は将棋にけん玉、かるたにオセロと色々したな……全部オレが勝ったが。

 

『くう……そんなこと言えるのも今だけだぞ!今度こそ絶対に勝ってやるぜ!!』

 

「……あ、そうだ。」

 

『なんだ?どうかしたのか?』

 

「ああ、言うの忘れてたんだが…」

 

黒崎に言ってもあまり関係はないだろうが一応言っておくか。

 

『裕翔が忘れるなんて珍しいな…で、どうしたんだ?』

 

「まあ、お前には関係の無い事なんだが…オレに彼女ができた。それじゃあ、また学校で会えたら良いな。」

 

『……は?いや、お前ちょっと待て!!白夜に彼女だと!?完璧超人なのに超鈍感なお前が!?冗談だよ…』

 

電話を切った。まだ何か言ってた気もするが……まあ、いいや。

 

「すまん陽菜乃。久しぶりの相手で少し盛り上がってな。」

 

「…さっきの人は裕翔君の友達?」

 

「ああ、少し五月蝿いが良い奴だぞ。オレの初めての友達でもある。」

 

「裕翔君の友達か〜!どんな人なのか見てみたいな〜。」

 

「オレ達のクラスには多分来ないだろうが、東京にいるらしいから会ったら紹介する。…まあ、もしかしたら来るかもしれないけどな。」

 

まあ、そんなわけないか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(ふう…転校先の学校の教室で担任の先生を暗殺することになるとはな…裕翔に聞かせて驚かせたかったが政府が黙ってて欲しいって言っているんだから言えないよな〜!はあ、残念。裕翔も彼女ができたって言ってたしな〜。あの世間知らずの完璧超人に彼女か〜。まあ、とりあえず、転校先で頑張らないとな!)

 

 

 

 




はい、ワンフォーワンです!

今回の話はどうでしたか?

今回はオリキャラの初登場回です!
クールな主人公とは違い、少し熱いタイプです。う〜ん、オリキャラは誰かとくっつけるか悩みます。

あと、新コーナー的なのを作ってみようと思います!
名前は『教えて!白夜君!』って感じでいこうと思います。
感想にペンネームと質問を書いていただくと本編中に答えてくれます。まあ、少し遊びたいだけです、はい。ペンネームは何でも良いです。あ、下ネタはやめてくださいね。

次回までに書かれてなくても少し自分で考えて書いてみます。ちょっとした小ネタみたいな感じで受け取ってください。

それでは、また次回でお会いしましょう!!


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第13話転校生の時間

どうも、ワンフォーワンです!

今回は前回言っていたミニコーナー的なものを入れました!

まあ、自分が少し巫山戯たいだけですけどね。

あ、このコーナーは殺せんせーQのとあるコーナーを参考に作りました。

少し長くなりましたが第13話転校生の時間どうぞ!


…白夜side

 

 

えー、少し前に陽菜乃の家に泊まり、陽菜乃と一緒に寝るということが起きたが元気だ。その後は小学校の初めての友達の黒崎と電話して昼食までお世話になるのは……と言って帰った。

 

今日は久しぶりの学校だ。陽菜乃と一緒に登校する約束をしてるから待たせるのは嫌だと思ったので集合時間の30分前に来た。

 

さてと、確かここらへんだったな。それじゃあ………待つか。

 

 

…15分後

 

 

「結構早めに来ちゃったかな?……あ、裕翔君!?もしかして結構待った?」

 

「いや、今来たところだ。」

 

「そっか!それじゃあ一緒に行こ?」

 

「そうだな。……」

 

何かあっちに殺せんせーの気配がする気が……まあ、いいや。

 

殺せんせー(ヌルフフフフ、生徒達のイチャイチャするところをネタにひやかしたり、実録小説を書くのです。これぞ担任教師の生きのはからい…。)

 

……まあ、いいや。

 

「いや〜、一昨日はごめんね。」

 

「気にするな、オレは結構楽しかったぞ。」

 

(一昨日?一昨日、何かあったのでしょうか?後で白夜君か倉橋さんに聞いてみましょう。)

 

「ほんと!?なら良かったよ〜!」

 

陽菜乃はパッと明るい笑顔になった。やっぱり陽菜乃の笑顔は可愛いな。」

 

「ふぇっ!?///ゆ、裕翔君!?///」

 

「ン?どうしたんだ?」

 

そんなに顔を赤くして何かあったのか?

 

「う、ううん。なんでもない!」

 

「そうか。」

 

「おはよう!白夜君に陽菜ちゃん!」

 

陽菜乃と一緒に登校していると矢田が来た。

 

「おは〜桃花ちゃん!」

 

「おはよう矢田。」

 

「私も一緒に登校して良い?」

 

「ああ、別に良いぞ。」

 

(あまりイチャイチャしませんでしたねぇ。……ニュヤ!?もうこんな時間!?こんなことしてる場合じゃありませんね!先生も急がねば。)

 

 

 

「あ、ここで間があるので『教えて!白夜君!』始めま〜す!」

 

『教えて!白夜君!』

 

「白夜裕翔だ。それでは今回の質問に答えて行きます。ということで陽菜乃、質問を読むの頼めるか?」

 

「はーい!ペンネーム『2次元存在希望』さんからの質問です。「僕は毎日、一生懸命、勉強をしていますが、なかなか結果に結び付きません。何か良い勉強法があったら教えてください。」…だってさ裕翔君!」

 

「ふむ……竹林。」

 

「っ!?」

 

「そもそも、オレにはお前の書いた質問では一生懸命の基準が分からない。人によって一生懸命というのは違うからな。例えば、一生懸命というものを睡眠、食事、排泄行為などの時間を削り、血反吐を吐き、死を感じるぐらいの行為をして初めて一生懸命だ。って言う人もいるだろう。そもそも、こんな質問を送る時間があるなら……」

 

「ひ、ひひ、きき、ひゃぁあああああああ!!!」

 

(((((竹林………。てか怖っ!?)))))

 

「………以上全てが理事長先生の意見だ。参考になったか?にしても理事長先生に少し狂気を感じた。」

 

(((((理事長先生怖っ!?)))))

 

「あははは……。以上、『教えて!白夜君!』でした!質問、待ってま〜す!」

 

 

…本編、数分後、校舎前にて

 

 

陽菜乃と矢田と登校していると校舎前に来た。オレと陽菜乃と矢田は少し早かった方だが皆登校してきた頃だった。……今日って何かあったか?

 

「…あれは、渚と杉野か。」

 

陽菜乃と矢田に言おうとしたらもう行っていた。…行動力高いな。ちょっと走らないとな。

 

「……何について話してるんだ?」

 

オレは追いついた後、陽菜乃に聞いた。

 

「あ!裕翔君!今はね、今日から通常授業だねって話をしてたの。」

 

「通常……。」

 

……何とも微妙な表現だな。まあ日常が1番だ。

 

「よっ!」

 

オレ達が話していると磯貝が来た。……相変わらずの爽やかさだ。

 

「おはよう磯貝君。」

 

「お前らさ、烏間先生からの一斉メール見たか?」

 

「ああ、うん。」

 

「転校生が来るんだっけ?」

 

「一斉メール?あ、確かに来てるな。」

 

スマホを確認すると確かに来ていた。陽菜乃の家に泊まってたから気づかなかった。

 

「裕翔君、見てなかったの?」

 

「週末は色々と忙しかったからな。」

 

「っ!?////」

 

陽菜乃の顔がいっきに赤くなった。……何か申し訳ないな。すまん。

 

「お前ら週末何かしたのか?」

 

「ああ、ちょっと遊んだんだ。」

 

「えー、私も誘ってよ〜陽菜ちゃん!」

 

「ごめんね桃花ちゃん!」

 

「ン。転校生の話だったか?」

 

オレは話を戻すようにスマホのメールを見せながら言う。

 

「この文面を見る限り殺し屋、だよなぁ…。」

 

「ついに来たね、転校生暗殺者。」

 

謎の単語が渚の手によって生まれた。この教室くらいでしか使いどころないけどな、その単語。

 

メールの内容は……

 

『明日から転校生がひとり加わる。多少外見で驚くだろうがあまり騒がず接してあげてほしい。』

 

「転校生名目ってことはビッチ先生と違って俺らとタメなのか?」

 

「そこよ!」

 

目の前にいきなり岡島が出てきた。いきなり来るなよ…少し驚いた。

 

「いきなり出んな!」

 

「俺も気になってさぁ…顔写真とかないですか?ってメールしたのよ。そしたらこれが返って来た。」

 

と言って岡島はスマホの待ち受けを見せる。ン?待ち受け?……ま、まあいいや。

 

「ふーん、女子か…。」

 

「待ち受けになってる…。」

 

「普通に可愛いな。」

 

「だろぉ〜!すっげぇ可愛いだろぉ〜!」

 

そう言いながら岡島は笑顔でスマホを胸に抱きながらうかれる。はっきり言うと少し引く。

 

「うかれ過ぎだ、岡島。」

 

「裕翔君はそのまで興味ないの?」

 

陽菜乃がオレに聞いてきた。興味がないわけじゃないが…それよりも気になる点がある。

 

「いや、顔よりもこのメールの『多少外見で驚くだろうが』の部分が気になるんだ。」

 

「まあ、確かに気になるよね〜。」

 

「機械だったりしてな。名前は『自律思考固定砲台』的な感じで中に銃があって、ターゲットの防御パターンを自分で学習して進化していく……みたいな。」

 

オレは自分の中に浮かんだイメージをそのまま伝える。個人的にも中々良い線を行ってると思う。

 

「おい!白夜!冗談はやめてくれぇー!!妙にリアルだし、白夜の予想って結構当たるから俺、だんだん怖くなって来たぞ!!」

 

「結構いい線行ってると思うけどな…だってそうじゃなきゃ外見で驚くことなんてないだろ?……まあ、4 割冗談で、6割しか真面目に考えてないから安心しろ、岡島。」

 

「「「半分以上が真面目かよ!」」」

 

まあ、そうとも言える。

 

 

…数分後

 

 

「さ〜て、来てっかな…転校生。」

 

杉野が教室の戸を開けると皆が教室の中を見る。あ、前原も来ていたんだな。

 

「「「?」」」

 

そして、教室には何か黒い箱?のような物があった。……これ…オレの予想が当たったのか?

 

皆が黒い箱?のような物の前に集まる。モニターがついてるな。

 

「なんだ?これ?」

 

何かの音が鳴り、モニターにさっき見た顔写真の女子が写る。………やめろ岡島。オレの方をそんな目で見るな。

 

『おはようございます。今日から転校して来ました。自律思考固定砲台と申します。よろしくお願い致します。』

 

と無表情で自己紹介と挨拶をしてモニターが暗くなる。……………。

 

「「「「ぜ、全部当たってる!?名前も!?」」」」

 

「白夜〜!?なんで名前も外見も全部当たってるんだよぉ〜〜!!!」

 

「その…なんだ…悪い。」

 

「悪いで済むかぁーー!!」

 

何故だろう、岡島への罪悪感がこみ上げて来る気が…。とりあえず、岡島。なんか…すまん。

 

 

…数分後

 

 

今は烏間先生が黒板の前に立ち、チョークで転校生の名前を書いている。少しチョークに力を込めすぎている気がするのは気のせいではないだろう。……烏間先生、苦労してるな。

 

「皆、既に知っていると思うが、転校生を紹介する。…ノルウェーから来た、自律思考固定砲台さんだ。」

 

『皆様、よろしくお願い致します。』

 

……烏間先生、オレは烏間先生を尊敬するぞ。…マジで苦労してるんだろうな…色々と。

 

「プークスクス。」

 

ほら、殺せんせーなんて笑ってるぞ。てかアンタそれでも教師か。

 

「お前が笑うな。同じイロモノだろうが。…言っておくが彼女はれっきとした生徒として登録されている。彼女はあの場所からずっとお前に銃口を向けるがお前は彼女に反撃できない。生徒に危害を加えることは許されない。…それがお前の教師としての契約だからな。」

 

なるほどな、殺せんせーの契約を逆手に取ったわけか…。…生徒への危害、か。

 

「なるほど、契約を逆手に取ってなりふり構わず機械を生徒に仕立てた。…良いでしょう。自律思考固定砲台さん、あなたをE組に歓迎します!」

 

『よろしくお願いします、殺せんせー。』

 

 

…1限目

 

 

「さて、この3人の登場人物ですが……」

 

今は殺せんせーによる国語の授業だ。

 

「ねえ、裕翔君。」

 

「どうかしたのか、陽菜乃?…自律思考固定砲台のことか?」

 

何となくそんな気がしたので陽菜乃に確認するように聞く。合っていたようで頷いて言った。

 

「うん、固定砲台って言うけど、何処にも銃器なんてついていないよね?」

 

「ここまでオレの予想が当たってると怖いが恐らく……

 

 

 

 

 

 

……あいつの中だ。」

 

そう言ったと同時に自律思考固定砲台の中から銃器が出てくる。…ちょっと待て、今撃つ気か?

 

嫌な予感は当たったようで自律思考固定砲台から濃密な弾幕が展開される。いくらBB弾だからと言ってあの速度の弾に当たると危険だぞ。

 

「濃密な弾幕ですが、ここの生徒は当たり前にやってますよ。授業中の発泡は禁止です!」

 

殺せんせーはそう言いながら避け、最後の弾をチョークで弾く。殺せんせーに注意されたから止めた…?いや、警戒を怠ってはいけない。

 

『気を付けます。続けて攻撃準備に入ります。』

 

……お前は何に気を付けたんだ。心の中でそうツッコミながら弾幕を鞄教科書で防ぐ。

 

『…弾道再計算、射角修正、自己進化フェイズ……』

 

ン?自律思考固定砲台が何か言っている。弾道再計算?射角修正?自己進化フェイズ?

 

「チッチッチッ、懲りませんねぇ。」

 

自律思考固定砲台からまた、弾幕が来る。…さっきと同じ弾幕……?所詮は機械か……。この調子ならまた殺せんせーがチョークで弾を弾いて……

 

バチュッ!!

 

「っ!?」

 

確かに殺せんせーはチョークで弾を弾いた筈だ…ということは……ブラインド!殺せんせーが弾いた弾と同軌道上を行くことで高速弾に死角を発生させた…っていうところか。…なるほど、考えたな。

 

『左指先破壊。増設した副砲効果を確認。…次の射撃で殺せる確率、0.001%未満。次の次の射撃で殺せる確率、0.003%未満。卒業までに殺せる確率90%以上。』

 

これは凄い機械だな。これをもっと良い方向に生かせばいいのにな。まあ、ノルウェーの奴らはそんなことは考えてないだろう。この教室で、殺せんせーを殺したという結果でもたらす利益しか考えてない。

 

『それでは殺せんせー、続けて攻撃に移ります。』

 

自律思考固定砲台の攻撃は1日中続いた。その攻撃で床に散らばった弾はオレ達が掃除した。……オレは、いやオレ達はかなりムカついた。

 

当然だろう。授業を邪魔され、弾の片づけはオレ達がする。絶対に不満は溜まる。それは皆も同じ事だ。

 

だったら当然………

 

 

…翌朝

 

 

自律思考固定砲台はガムテープで拘束されていた。……まあこうなるだろうな。

 

『……ん?殺せんせー、これでは銃が展開できません。拘束を解いてください。』

 

「う〜ん、そう言われましてもねぇ。」

 

当然、殺せんせーは了承しなかった。

 

『この拘束はあなたの仕業ですか?明らかに私に対する加害であり、それは契約で禁じられている筈ですが……』

 

自律思考固定砲台が言っているとガムテープが投げられた。投げられた方を見ると寺坂が行儀悪く座っていた。

 

「ちげーよ。俺だよ。どう考えたって邪魔だろうが。常識ぐらい身につけてから殺しに来いよ…ポンコツ。」

 

なるほど、これは寺坂によるものだったか。オレが行動を起こすまでもなかったようだ。

 

「ま、分かんねーよ。機会に常識は。」

 

「授業、終わったらちゃんと解いてあげるから。」

 

「ン。自律思考固定砲台。お前が言っていたことは正しい。が、それは先生の場合だ。オレ達生徒がしてはいけないという契約はない。お前が昨日やっていた事はオレ達からすれば利益は0どころかマイナスだ。だからこうなる。何か反論があるか?」

 

『………。』

 

自律思考固定砲台はオレの指摘に何も言えず、画面から消えた。殺せんせーを殺せば地球は救われる、とでも言う物だと思っていたんだがな。

 

 

…放課後

 

 

「今日は昨日と違って静かだったな。しかし、これから毎日ガムテープで縛るのか?寺坂も大変だな。じゃあ、家に帰るか。」

 

オレが帰ろうとしたら殺せんせーが目の前に来た。急に出てくるのはマジでやめてほしい。ちょっと驚くから。

 

「待ってください白夜君!!実は君に頼み事が……。」

 

殺せんせーがオレに?一体なんだろうか?

 

「オレに頼み事なんて珍しいな。それで?オレは何をしたら良いんだ?」

 

「実は白夜君に自律思考固定砲台さんの改良の手伝いをしてほしいのですが…。」

 

改良、ね。確かに改良だと言えば危害行為とは見なされないかもしれないな。

 

「ン。良いぞ。ノルウェーの技術がどんなものか気になっていたからな。お代はノルウェーの技術を見れるってことで無しでいいぞ。金に困っているわけでもないしな。」

 

「ありがとうございます!!それではまた夜に学校で会いましょう。あ、帰りは送りますのでご安心を…。」

 

…まあ、殺せんせーがオレに頼ることなんて少ないから頑張るか。

 




ワンフォーワンです!

今回の話はどうでしたか?

あ、『教えて!白夜君!』の質問募集してるので良ければ感想等に書いていただけると嬉しいです!

それではまた次回でお会いしましょう!!


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第14話改良の時間

どうも、ワンフォーワンです!

今回の話の更新がかなり遅くなってしまいました。えー前書きにて謝罪させていただきます。誠に申し訳ございませんでした。

それでは第14話改良の時間どうぞ!


…白夜side

 

 

今は夜の校舎にいる。え?夜に校舎に入ったりしたら先生に怒られる?そんなことを気にする必要はない。

 

なぜなら…先生が許可してるんだから問題なんてあるわけがない。まあ、生徒に夜の校舎に来ても良いよなんて普通の教師なら言わないだろうな。……その先生はマッハ20の黄色いタコのような見ためをしているが。

 

そんなことを考えていると教室の戸の前に来ていた。オレは教室の戸を開け、教室に入る。

 

『自律思考固定砲台よりマスターへ。想定外のトラブル発生。単独による事案解決確率ほぼ0%。卒業までの期日に暗殺できる確率が極めて下がる恐れあり。至急、対策をお願いします。』

 

「ダメですよ親に頼っては。」

 

「そのとおりだ。お前は今朝、オレが言ったことを覚えているか?」

 

恐らく、ノルウェーの科学者に連絡しようとしていた律をオレと殺せんせーが声をかけて止める。続けてオレが質問し、律は無表情のまま答える。

 

『はい。』

 

その律の答えを聞き、オレは殺せんせーにバトンタッチ。

 

「あなたの親御さんが考える戦術はこの教室の現状に合っているとは言い難い。それにあなたは生徒であり転校生です。皆と協調する方法はまず自分で考えなくては。」

 

『協調?』

 

「そうだな。…じゃあ何故、今朝は殺せんせーではなくオレ達、生徒にお前の暗殺を邪魔されたか分かるか?それはオレ達に利益がないからだ。」

 

『?どういう意味でしょうか?』

 

「仮にお前が殺せんせーを殺せたとしてもその報酬の100億はノルウェーのお前の開発者に行く。そして、オレ達は受験生でお前の忠告無視の授業中の発砲は明らかに邪魔。お前の暗殺者としての実力は認めるがオレ達のお前を置く利益がないからだ。」

 

『そう言われて理解しました。クラスメイトの利害までは考慮していませんでした。』

 

「ヌルフフフフ、やっぱり君は頭が良い。で、これをあなたに作ってみました。…アプリケーションと追加メモリです。ウイルス等は入ってないので受け取って下さい。」

 

殺せんせーの作った物を自律思考固定砲台にさす。……オレが用意した意味なくなった。

 

『…これは?』

 

「クラスメイトと協調して射撃した場合のシュミレーションソフトです。暗殺成功率が格段に上がるのが分かるでしょう。」

 

『異論ありません。』

 

「暗殺における協調の大切さが理解できたと思います。どうですか?皆と仲良くなりたいでしょう?」

 

『方法が分かりません。』

 

「このとおり、準備は万端です!」

 

そう言って殺せんせーは工具やフランスパン、剣等を出した。ン?フランスパン?剣?…まあいいや。……まあいいよな?

 

『それはなんでしょう?』

 

「協調に必要なソフト一式と追加メモリです。」

 

「じゃあ、これはなんだ?」

 

「フランスパンと剣です。」

 

まあ、そうだな。……オレはなんて言えば良いんだろうか…?オレが間違っているのだろうか?自律思考固定砲台は何故不思議に思わない?

 

「…危害を加えるのは契約違反ですが…性能アップさせる事は禁止されてませんからねぇ。白夜君も手伝ってください。」

 

「まあ、そのつもりで来たからな。」

 

殺せんせーは自律思考固定砲台の裏側を外す。……こんな感じになってるのか。

 

『何故、こんなことをするのですか?あなたの命を縮めるような改造ですよ?それに白夜さんにも昨日は迷惑をかけたのに何故……?』

 

「ン?迷惑をかけたって理解しているんだな。…確か、迷惑をかけたのに何故?だったか?これも簡単な話だ。オレはお前に協調性を見に付けてクラスの皆と仲良くして欲しいだけだ。」

 

そう言ってオレは工具を取り出す。……て、殺せんせー持ってるからオレが持ってくる意味なかった。

 

「ターゲットである前に先生ですから。昨日1日で見に染みて分かりましたが君の学習能力と学習意欲は非常に高い。その才能は君を生んだ親御さんのおかげ。そしてその才能を伸ばすのは生徒を預かる先生の仕事です。皆との協調力も見に付けてどんどん才能を伸ばしてください。」

 

『殺せんせー……この世界スイーツ店ナビ機能は協調に必要ですか?』

 

「殺せんせー……。」

 

さっきまで凄く良い先生してたのに……後でオレも教えてもらおう。

 

「ニュヤッ!!??…先生も、その、ちょいと助けて貰おうかと…」

 

「はあ…次の作業に移るぞ。」

 

そんな風にやりとりしながら作業して数時間したら殺せんせーに運ばれてオレは帰宅した。

 

 

…翌朝

 

 

「さてと、昨日改良したけど上手くできているか……ン?」

 

オレは教室に入りなんと言えばいいのか分からなくなった。明らかに自律思考固定砲台の体積が大きくなっている。……オレはこんな改良はしてないぞ?

 

陽菜乃と片岡、杉野、渚もいた。あ、画面がついた。

 

『おはようございます!皆さん!』

 

「「ええーーーー!!!??」」

 

そこまで驚くな……いや、驚くな。オレの感覚がおかしいだけだ。

 

『今日は素晴らしい天気ですね!』

 

確かに昨日オレが帰るまでは普通だったと思うんだが…

 

殺せんせー「親近感を出すための全身表示液晶と体、制服のモデリングソフト…全て自作で60万6000円。」

 

殺せんせーが現れて説明している。その顔はやり遂げたような表情をしている。……え?60万?

 

『こんな爽やかな1日を皆さんと過ごせるなんて嬉しいです!』

 

「豊かな表情と明るい会話術、それらを操る膨大なソフトと追加メモリ…同じく110万3000円。」

 

殺せんせーの解説にクラスの皆はリアクションに困っているようだ。……110万?

 

「先生の残高……5円!!」

 

「殺せんせー。オレがそれを作ろうとしたらそんなにも費用はかからないんだが……。」

 

「え?……あの〜……君が作った場合は……どのくらいで?」

 

「まあ、30万くらいだな。」

 

そもそも自作で作るな。そう付け足してオレは耳を塞ぐ。……皆も塞いどいた方が良いぞ。3、2、1……

 

「ぎゃあァァーーー!!先生の140万9000円がァァーーー!!」

 

この日の朝殺せんせーの絶叫が響いた。ていうか殺せんせーってそんなにもお金あったのか?

 

 

…HRにて

 

 

『庭の草木も緑が深くなってきましたね。春も終わり、近づく夏の香りが心地良いです。』

 

「たった1晩でえらくキュートになっちゃって…。」

 

「あれ一応、固定砲台、だよなぁ?」

 

安心しろ三村、固定砲台だ。もはや砲台とは何か?という議論が起きそうだがあえてスルー。

 

「良かったな殺せんせー、キュートだって岡島からの好評をいただいたぞ。オレがすれば30万の出費だけどな。」

 

「ニュヤ!?もう、やめてください白夜君!これ以上先生の心にダメージを与えるのは…。」

 

「30万。」

 

そう言ってオレはまた耳を塞ぐ。皆も理解したのか塞ぐ。3、2、1……

 

「ぎゃあァァーーー!!」

 

本日2度目の殺せんせーの絶叫が教室に響いた。

 

「はあ……まず、なんで自作で作るんだ。オレが買ったものを改良すればそんなにも費用はかからないんだ。」

 

「なに騙されてんだよお前ら。全部あのタコが作ったプログラムだろうが。愛想良くても、機械は機械。どーせまた空気読まずに射撃すんだろ…あのポンコツ。」

 

寺坂がそう言うと、自律思考固定砲台の画面が晴れやかな空からドンヨリとした雨に変わる。自律思考固定砲台が泣き始めた。

 

『仰る気持ち分かります、寺坂さん。昨日までの私はそうでした…。ポンコツ…そう言われても返す言葉がありません……。』

 

機械とは言え、女の子を泣かせた。そんな寺坂に女子から冷ややかな目が飛ぶ。

 

「あーあ、泣かせた。」

 

「寺坂君が2次元の女の子泣かせちゃった。」

 

「なんか誤解される言い方やめろッ!?」

 

寺坂はそう言うが事実だから否定はできない。

 

「素敵じゃないか。二次元…Dを1つ失うところから女は始まる。」

 

「竹林!それ、お前の本編での初ゼリフだぞ!」

 

「『教えて!白夜君!』でも絶叫して終わってるんだぞ!いいのか!?」

 

2人ともメタいからやめろ。

 

『でも皆さん、ご安心を。殺せんせーと白夜さんに悟されて私は協調の大切さを学びました。私の事が好きになって頂けるよう皆さんの合意が得られるまで私、単独による暗殺は控えることにしました!』

 

「そういう訳で仲良くしてあげてください。勿論、先生も白夜君も様々な改良を施しましたが彼女の殺意には一切、手を付けていません。」

 

『はい!』

 

そう言って自律思考固定砲台は銃を展開する。殺せんせーへの殺意はある、という意思表示だ。……できればしまってあげてくれ。近くの人達が驚くから。

 

「先生を殺したいなら…彼女はきっと心強い仲間になれる筈ですよ。」

 

その後も授業中に寝ていた菅谷に自律思考固定砲台が答えを教えたり(カンニング)、昼休みでも人気者だった。

 

「……しまった!」

 

突然、殺せんせーが焦ったように言った。どうしたのだろうか?まだ金の事を引きずっているのだろうか?

 

「何が?」

 

「…先生とキャラが被る…。」

 

「被ってないよ1ミリも!」

 

「殺せんせーは設定が多すぎてキャラが被る事はないだろ…。」

 

どうやったらキャラを被せられるのか分からない。マッハ20のタコ、この時点でまずいない。

 

「自分で改良しといて何ですが…これでは私の人気が食われかねない……皆さん皆さん!先生だって人の顔くらい表示出来ますよー!」

 

殺せんせーが注目を集めるように言う。

 

「ほら、このとおり…皮膚の色を変えれば…」

 

「キモいな。」

 

殺せんせーはオレの一言で落ち込んでしまった。何というか、その……すまん。

 

白夜「その…悪かった殺せんせー。」

 

殺せんせーに取り敢えず、謝罪。そして、今日のおやつだったチョコを渡す。殺せんせーはそれを受け取り、美味しそうに食べる。……食べたかった。

 

そんな時、ある疑問が浮かんだので殺せんせーに聞いてみた。

 

「思ったんだが殺せんせーってああいうのが趣味なのか?」

 

オレは殺せんせーに自律思考固定砲台を指しながら聞く。

 

「?趣味とはどういう意味で?」

 

「いや、自律思考固定砲台の胸のサイズが前よりも大きくなっているし、可愛さにあざとさを足してるし、全身タッチパネルになっているから……」

 

((((え?マジで?))))

 

「ニュヤァァーー!!そ、それはですね…胸のサイズは平均にしましたし、可愛い方が親しみ易いかなと思ってですね!タッチパネルの方が触れているって感じがするじゃないですか!!」

 

なるほど、そういう意味があったのか。確かにその方が親近感が湧くかもしれないな。

殺せんせーに誤解を生むような事を言ってすまなかった、と謝罪して皆にある事を提案する。

 

「それよりも自律思考固定砲台って呼びにくくないか?……何か一文字とって呼ばないか?」

 

「…う〜ん…自…律……そうだ!じゃあ律は?」

 

オレの提案に不破が思いついたように答える。

 

「安直だな。」

 

千葉が安直だと言う。オレは良いと思うんだけどな。

 

「えーかわいいよー?」

 

『律…』

 

「お前はそれで良い?」

 

『…はい!嬉しいです!では、律とお呼びください!!』

 

自律思考固定砲台、改め律は嬉しそうに笑った。

 

 

…翌朝

 

 

『おはようございます。皆さん。』

 

律は最初の状態に戻っていた。

 

「生徒に危害を加えないと言う契約だが今後は改良行為も危害と見なす、と言ってきた。君らもだ彼女を縛って壊れでもしたら賠償を請求するそうだ。……持ち主の意向だ、従うしかない。」

 

「あの改造を改良行為って思われたんだな。」

 

オレの呟きに烏間先生は黙秘。……肯定と受け取ろう。

 

「持ち主とはこれまた厄介で…親よりも生徒の気持ちを優先させたいんですがねぇ…。」

 

誰も望まないダウングレードとはやってくれるもんだなマスターとやらは。さて…後は律がマスターに反抗したかどうかだな。

 

授業が始まり、律が銃ではなく花を出した。自分の意思で反抗したか…まあ、できることだから後は本人が望むかどうかだけだしな。

 

『花を作る約束をしていました。…殺せんせーと白夜さんは私のボディに計985点の改良を施しました。そのほとんどはマスターが暗殺に不要と判断し削除、撤去、初期化してしまいました。しかし、学習したE組の状況から私個人は協調が暗殺に不可欠な要素と判断し、消される前に関連ソフトをメモリーの隅に隠しました。』

 

要するに律は殺せんせーの暗殺に協調が必要と判断。自分の意思で親に逆らったのだ。

 

「素晴らしい!つまり、律さん。あなたは…」

 

『はい♪私の意思でマスターに逆らいました!…殺せんせー、こういった行動を反抗期というのですよね…律はいけない子でしょうか?』

 

「とんでもない。中学3年生らしくて大いに結構です!」

 

殺せんせーは赤い丸の顔で言った。これからは28人での教室が始まるのか…まあ、楽しければ何でもいいがな。

 

 

…放課後

 

 

オレは律に呼び止められ教室で2人で話している。さて、話とは何だろうか?

 

『あの…白夜さん。実は1つ気になることがあるんです。』

 

「どうしたんだ?オレに何か聞きたいことがあるのか?」

 

『はい。あの…白夜さんはジニアスルームの出身ですか?』

 

ジニアスルーム。その言葉がオレの脳内を駆け巡るがオレは一度、冷静になり聞く。

 

「………律。ジニアスルームって何のことだ?」

 

そう、これで良い。知らないフリはできた筈だ。

 

『雪のような白い髪。赤い瞳。白い肌。こんな特徴がある人がいたらマスターに子供の頃の記録とジニアスルームについて調べるように言われていたんです。』

 

「…………。」

 

やられた…爪が甘かった。人間がハッキングできないくらいに隠したのにやられてしまった。

そうだ…何を考えていたんだオレは。人間ができないなら機械でやれば良いだろう。

 

これ以上知らないフリをしても意味はない。逃げ道がない……詰みだな。

 

「…律。これ以上オレの詮索はするな。そして、この事を絶対に喋るな。イリーナ先生にも烏間先生にも皆にも殺せんせーにも陽菜乃にも絶対に、だ。」

 

オレは無感情にいつもよりも冷たい声で言った。…そう、これで良い。この判断に間違いはない。

 

『っ!?………はい。』

 

律は悲しそうな顔をして返事をした。

 

「それじゃあ、オレは帰る。また明日。」

 

律が呼び止めるが気にせずオレは家に帰った。

 




いや〜かなり長い文章になってしまいました。

まあ、時々長くなりますがね。

さあ、今回はちょっと白夜君の過去について触れてきました!

今回の話はどうでしたか?

感想、待ってます!!

それではまた次回でお会いしましょう!!


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第15話仕返しの時間

どうも、ワンフォーワンです!

投稿が遅くなってしまい申し訳ございませんでした。

実は仕返しの時間とLRの時間のどちらを投稿するか悩みまして……。

まあ、タイトルを見れば分かると思いますが仕返しの時間を投稿させていただきました。

それでは第13話仕返しの時間どうぞ!!


…白夜side

 

 

今は6月。時期的に言えば梅雨。雨の日が多いので憂鬱な人もいるのではないだろうか?……まあ、正直なことを言うと休日は部屋でゲームをしまくっているオレにはどうでもいいことだ。

 

しかし、登校する時は別だ。途中の土が雨に濡れて泥になっているので歩きにくくなってしまう。そんな不満もあるが学校生活は普通に楽しいし、歩きにくいだけなので正直どうでもいい。

そう、こんな話はどうでもいいのだ。それよりも1つだけ気になることがある。今は朝のHRなんだが……

 

「はい、皆さん。HRを始めます。席に着いて下さい。」

 

殺せんせーがいつもと少し違う声でそう言う。少し野太くなってるな。

 

((((なんか大きいぞ))))

 

『殺せんせー。33%程巨大化した頭部についてご説明を。』

 

まず、どうやったら頭が約33%も巨大化するんだ?という疑問が湧くが心の内に留めておく。

 

「ああ、水分を吸ってふやけました。湿度が高いので……!」

 

殺せんせーは顔を雑巾のように絞りながらそう言う。生米みたいだな。そんなことを思っているとバケツが水で一杯になった。

 

そして……

 

「あれ?殺せんせーの帽子少し浮いてるよー?どうしたの?」

 

陽菜乃はそう言って帽子を指す。そう、それがもう1つの違和感である。

 

「よくぞ聞いてくれました倉橋さん。実は先生、ついに生えたんです。」

 

殺せんせー、ついに……

 

「そう、髪が。」

 

殺せんせーが帽子をずらして頭の上を見せるが……

 

「「「「きのこだよ!!!」」」」

 

生えていたのは髪ではなくきのこだった。そのきのこを殺せんせーは自分で取って食べている。……えぇ…少し引く。

 

「そのきのこ食うのか…」

 

 

…次の日

 

 

オレは今日、とある理由によって学校を休んでいた。陽菜乃から連絡があったが、ちょっと用事があるだけだと伝えた。

その用事の帰りにオレはコンビニに寄ったんだが……

 

「あたしが先だよ!!」

 

「俺が先だ!!」

 

トイレの前で騒いでいる椚ヶ丘の制服を着たカップル?らしき物を見つけた。店員も困っているみたいだ。……仕方ない…今オレは制服を着ていないからバレないだろう。

 

オレはとある場所を少し見た後にカップル(多分)に話しかけた。

 

「おい。」

 

「「何だよ!!」」

 

オレがカップル(多分)に声をかけるとオレに矛先を向けられる。…いや、お前ら状況を理解しているのか?

 

「トイレの前で何を言い争っているんだ?騒いで周りに迷惑かけるのが目的なら外でやれ。」

 

店員さんがキラキラとした目でオレを見てくるが気にせず続ける。……アンタ苦労したな。

 

「はあ?何をふざけたこと言ってるんだよ!」

 

これで万事解決。と思った所でこの態度。何なんだこいつら……。

 

「そんなにもトイレの前で騒ぎたいなら別にいいが……お前ら椚ヶ丘の生徒だよな?ここのコンビニを利用している関係者として学校に苦情を言うぞ。」

 

そう言うと目の前の2人の顔が青くなる。手のひら返し過ぎだろ。捻れて取れるぞ?

 

「良いのか?『椚ヶ丘の生徒がトイレの前で騒いで周りの人達に迷惑をかけていたんですけど、学校側はどういう教育をしているんですか?』みたいな苦情が来たら学校側はどうするんだろうな?公共の場に迷惑をかける生徒なんて学校からしたら恥だ。当然、お前らにはなんかの罰があるんじゃないか?」

 

「「くぅ……」」

 

2人は更に顔を青くし、何か反論しようとするがオレの正論に何も言えない。この時点でコイツらは何も反抗できなくなっている。

 

「今の世の中は便利だよな。簡単に連絡できて。…今なら見逃してやる。それに今、ここのトイレは使用中だ。早く、別のトイレを2人仲良く探せ。」

 

「「クソ!!」」

 

オレが遠回しに『これ以上続けるなら連絡するぞ?喧嘩なら別の所でやれ』と言うと悔しげに2人はコンビニを出ていった。……謝ってから行けよ。

 

「迷惑をかけてすみませんでした。お詫び申し上げます。」

 

「いやいや、助かったぜ!兄ちゃん!!」

 

「そうそう!よくやってくれた!」

 

「ありがとうございます。それでは…。」

 

そう言ってオレはコンビニを出る。今日は変な日だったな……さてと。そしてオレは帰るが……

 

「それでオレに何かようか、皆?」

 

オレは曲がったところで振り返り聞く。

 

「なんでバレるんだよ…。そんなことより、今日お前学校に来なかったのにコンビニにいたから少し気になってな。」

 

なるほど、そういうことか。

 

「用事が終わったから帰る時にコンビニに寄っていたからだ。」

 

変なカップルに遭遇したが、と付け足すと皆は苦笑いする。

 

「あはは…実はね…」

 

それから陽菜乃は今日していたことを話した。要するに前原の仕返しを手伝っていたそうだ。……烏間先生に許可を貰っているのか聞きたいがどうなんだろうか?

 

「そんなことをしていたのか。それでコンビニからオレが出てきたから気になって尾行してきた、と。」

 

「うん。それにもう1つ気になることがあって。」

 

気になること?仕返しはもう成功してるし、オレ関連だろうか?

 

「何だ?」

 

「その……裕翔君の家を知らなかったから聞きたくて。」

 

そういえば陽菜乃にオレの家を教えて無かったな。

 

オレの家を知っているのは殺せんせーと烏間先生くらいか?

 

「そういうことなら家に来るか?お菓子も一応あるが…。」

 

確か、ハーゲンダッツくらいならある筈だ。昨日15個買っておいたしな。3日で消費する気だったのは黙っておこう。

 

「い、良いの?」

 

「ン?別に良いぞ。なんなら泊まっていくか?」

 

前のお礼も兼ねて、と陽菜乃の耳元で言う。

 

「っ!?///……ちょ、ちょっと待ってね。」

 

そう言って陽菜乃はスマホを出して誰かに連絡する。まあ恐らく親だろうが。

 

「え、えーっと……」

 

「皆もどうだ?晩ごはんって1人だと寂しいしな…この機会に皆とも仲良くなりたいんだ。」

 

1人だと少し寂しいのは事実だ。まあ、話し相手はいるが。最近は律も時々話してくれる。

 

「い、良いのか?」

 

「提案しているんだから良いよ。晩ごはんはオレが作るがな。親御さんが良ければ是非。」

 

皆はスマホや携帯で連絡をする。

 

「「「「土曜日なら良いって。」」」」

 

皆揃って土曜日なのか。……いや、翌日が休日だし当然か。

 

「それじゃあ、オレの家の位置はメールで教えとくから。」

 

「ごめんね〜急に言って。」

 

陽菜乃がオレに謝ってくる。急に言ったのはオレの方だけどな。

 

「いや、急に言ったのはオレの方だ。謝るならオレの方だ。それにごめんよりもありがとうの方がオレは嬉しい。」

 

「そうだね!ありがとう、裕翔君!」

 

「それに最近遊べなかったから、遊びたかったんだ。」

 

非常に子どもっぽい理由だが遊びたい物は遊びたいのだ。……カッコつかないな。

 

「私も遊びたかったけど裕翔君に迷惑かなって思ってたんだ。」

 

なるほど、お互いに相手のことを考えていたわけか。

 

「お互いに相手のことを考えたんだな。それじゃあ、今度からはオレからも誘うようにするから陽菜乃も誘ってくれ。」

 

「うん!それじゃあ、また明日ね〜!」

 

「ああ、皆もまた明日。」

 

「「「また明日!」」」

 

 

 

 

 

…次の日

 

 

皆が昨日の事がバレて烏間先生に怒られていた。そして、殺せんせーのせいでオレまで烏間先生の説教を聞くことになった。オレが何をしたのだろうか?

 




ワンフォーワンです!

今回の話はどうでしたか?

『教えて!白夜君!』もまだ募集中なのでペンネームと一緒に質問を感想欄に書いてくれると嬉しいです!!

それではまた、次回でお会いしましょう!!


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第16話LRの時間

どうも、ワンフォーワンです!

そろそろオリキャラを転校させたい今日この頃。しかし、どのタイミングにしようか迷っているとこんなにも日にちを開けてしまいました。お詫び申し上げます。

それでは、第16話LRの時間どうぞ!


…白夜side

 

 

今はビッチ先生による英語の授業中である。ビッチ先生の授業は面白いのでかなり好きではあるが、教材がアウトなのでそこをなんとかしてほしい。

 

「日常会話なんて実は単純。周りに1人は居るでしょう?マジすげぇとかマジやべぇだけで会話を成立させる奴。そのマジにあたるのがreally。木村言ってみなさい。」

 

ここだけを聞けば普通の授業に聞こえるがこれは海外ドラマを見た後に言ったことだ。

ちなみに今回の問題点は海外ドラマだった。絶対に中学生が見るドラマではない。……普通の教材じゃ駄目なのだろうか?

 

「り、リアリー。」

 

急にビッチ先生に振られた木村はそう答えた。LとRがごちゃごちゃだな。確か、日本人はLとRの発音と相性が悪い。

 

「はいだめー、LとRがごちゃごちゃよ。LとRの発音は日本人とは相性が悪いの。私としては通じはするけど違和感あるわ。次は白夜、言ってみなさい。」

 

次にオレがビッチ先生に振られた。…何でオレなんだ。

 

「…really。」

 

「…完璧よ。ご褒美にディープキスを…」

 

と言いながらビッチ先生はこっちに来るのでオレは避ける。このようにいつもビッチ先生のキスを避けるのも最近、E組の恒例行事になっている。尚、このやりとりをするのも既に2桁を超える数してる。…っていうか、なんで正解でも不正解でもキスをしようとするんだ……。

 

「なんでアンタは毎回私のディープキスを避けるのよ!!こんないい女とのキスを!!」

 

これも何回も聞いている。……自分でいい女って言うのか。

 

白夜「自分でいい女って言うのか……そんなことより授業の続きを。」

 

そして、いつもこれに似たようなことを言うとビッチ先生は教卓に戻って授業を再開する。

結果、オレは一度もビッチ先生のディープキスを受けた事がない。

 

「チッ!…とにかく!相性が悪いものは逃げずに克服する!これから先、発音は常にチェックしてるから…」

 

しかし、教材がどうにかならないのか、と言っていたがビッチ先生の授業は聞いてて飽きないのが不思議だ……

 

「LとR間違えたら…公開ディープキスの刑よ。」

 

…やっぱりディープキスと教材をなんとかしてくれ。

 

 

…放課後

 

 

「しかし、あの教材とディープキスはどうにかならないのか……。」

 

今は陽菜乃と一緒に帰っているところだ。オレは今日のビッチ先生の授業を思い出してそう言った。

 

「あはは…でもビッチ先生の経験談とか聞いてて面白いよ?」

 

「それとこれとは別問題じゃないか?…まあ、ビッチ先生は潜入暗殺が専門なのは知っているけどな。」

 

まあ、潜入暗殺の時の経験談とかは面白いけどな……明らかに中学生に話す内容じゃない話がある。というか中学生に話す内容じゃない話の方が多い。

 

「でも、正解でも不正解でもディープキスするのはやめてほしいね〜。」

 

「同感だ。」

 

「そういえば裕翔君って英語上手だよね〜。何でなの?」

 

「昔、親と海外に旅行という名の勉強に行ったことがある。」

 

まあ、笑いが1つも起きない旅行だった。確か飛び級で大学を卒業するためだったな。親がその大学の理事長と知り合いで特別な試験を受け、全問正解で大学卒業の資格を手に入れた。……今思えば強引だな。

 

「なるほど〜。」

 

「…ン?……あー、陽菜乃。」

 

「?どうしたの?」

 

「悪いが教室に本忘れてしまってなちょっと取ってくる。」

 

いつもなら忘れないんだが今日は少し調子が悪いのだろうか?

 

「珍しいね?待ってようか?」

 

「いや、先に帰っててくれ。トイレにも行きたくなってな。」

 

「おっけー!それじゃあまた明日ね!裕翔君!」

 

「ああ。」

 

そう返してオレは1人で校舎に帰る。待たせるのはちょっと悪いからな。

 

 

…校舎内

 

 

「本も見つけたし、帰るか。……ン?」

 

職員室の前に誰かいるな……?気配的には2人…ビッチ先生と…誰だ?殺し屋の気配だが殺気がないな。隠してるのか?まあ、見れば分かる。

 

オレは職員室の前を見るとワイヤートラップに引っかかっているビッチ先生と謎の男を見つけた。

 

『驚いたよイリーナ。子供相手に楽しく授業。まるで…コメディアンのコントを見ているようだった。』

 

『…!センセイ…。』

 

東欧の方の言語だな。よく分からない状況だが説得くらいはしてみるか。東欧の言語か…久しぶりに喋るな。

 

『誰だか知らないが新しい殺し屋か?随分と手癖が悪いんだな。』

 

本当は知っているけどな。

 

『ほう?発音は完璧だな…。』

 

発音が完璧なら安心だな。完全記憶能力を持っていても不安な時はある。

 

『そのトラップ、女性に対して仕掛ける技じゃないだろ。』

 

『……心配ない。ワイヤーに対する防御くらい教えてある。』

 

そう言って謎の男はワイヤーをナイフで切る。そして、ビッチ先生が尻餅をつくように落ち、荒く呼吸をする。

 

「大丈夫ですか?」

 

オレはビッチ先生の背中をさすりながら聞く。

 

「ごほっ、ありがとう、白夜。」

 

しばらくそうしているとビッチ先生の呼吸は整った。

 

『さて…それで殺し屋のロヴロだよな?悪いんだが日本語は話せるか?』

 

殺し屋ロヴロ。腕利きの暗殺者として知られていたが現在は引退しており、今は後進の暗殺者を育てつつ斡旋で財を成しているという殺し屋屋だ。暗殺者に縁がない日本政府には貴重な人脈だろう。

 

「これは失礼した。日本語で大丈夫だ。それにしても私の事を知っているのか少年。」

 

「情報は持っているだけ得をするからな。今、烏間先生を呼んでくるから少し待っててくれ。」

 

オレは職員室に入り、烏間先生を呼んだ。烏間先生にある程度事情を説明する。

 

「なるほど…ありがとう白夜君。」

 

「ところで例の殺せんせーは今何処に?」

 

オレが烏間先生に説明している間、ずっと黙っていたロヴロさんがそう聞いた。

 

「上海まで杏仁豆腐を食いに行った。30分前に出たからもう時期、戻るだろう。」

 

「駄菓子屋みたいに行くな、上海に。」

 

マッハ20だけどさ…近くの杏仁豆腐を食べろ。ちなみに殺せんせーになんで上海まで行くのか聞いたところ……

 

『本場の杏仁豆腐が食べたいんです!』

 

と何故か中国語で言われた。

 

「…フ…聞いていたとおりの怪物のようだ…。来てよかった、答えが出たよ。」

 

答え?ロヴロさんが続けてビッチ先生に言う。

 

「今日限りで撤収しろ…イリーナ。この仕事はお前じゃ無理だ。」

 

なるほど、そういうことか…。

 

「お前は正体を隠した暗殺なら比類ない。だが、一度素性が追われてしまえば一山いくらレベルの殺し屋だ。」

 

「確かに暗殺という観点で見ればそのとおりだ。ビッチ先生の殺し方は例えると一撃必殺。そんな暗殺者にニ撃目を挑ませても並みかそれ以下の暗殺者だ。」

 

暗殺という観点で見れば、だ。

 

「察しが良いな少年。この少年の言うとおりだ。少年、名前は?」

 

なんかヤバそうな人に目をつけられた。まあ聞かれたからには答えるが。

 

「白夜裕翔。悪いが殺し屋になる気はない、今の生活が楽しいからな。多少の興味くらいしかない。」

 

今の楽しい、オレの言うところの甘味のある生活はオレの目標なのだ。そう簡単には手放さない。

 

「そうか…実に惜しい存在だ。話を戻そうか。イリーナ、私はこの教室に見苦しく居座って教師の真似事をさせる為に教えた訳じゃないぞ。」

 

「そんな!…必ず殺れますセンセイ…!私の力なら…」

 

「ほう?ならば…」

 

ビッチ先生がそう言うとその瞬間、ロヴロさんが動く。

素早くビッチ先生の後ろに回り込んで腕を絞め、首に右の人差し指を突き立てようとする。まあ、一応止めておくか。オレはロヴロさんの右手を掴んで止める。

 

「だから女性に対してすることじゃないだろ。」

 

「私の速度に追いつき止めるか……やはり私の部下に欲しいくらいだ。」

 

ロヴロさんは笑いながらそう言う。本当にやめていただきたい。

 

「他をあたってくれ。」

 

陽菜乃との平和な暮らしを送りたいだけなんだ。

 

「しかし、今の私達の動きが分かったか?」

 

ロヴロさんがビッチ先生にそう聞く。答えは恐らくNOだろう。ビッチ先生は実戦的なタイプではない。

奇襲に優れた暗殺者なので基本戦闘力は暗殺者の並み程度だ。卓越したスピードに技術力、ビッチ先生に足りないところだろう。

 

「相性の良し悪しは誰にでもある。それこそがお前にとって、LとRじゃないのかね…?」

 

ロヴロさんがビッチ先生に対してそう言うが…

 

「半分正しく、半分は違いますねぇ。」

 

という声とともに殺せんせーが現れる。ロヴロさんは額を、ビッチ先生は鼻を触手で押さえられた。

 

「何しにきたウルトラクイズ。」

 

「酷い呼び方ですねぇ、いい加減殺せんせーと呼んでください。」

 

「お前が…」

 

「確かに、彼女は暗殺者として恐るるに足りません。クソです。白夜君の方がよっぽど驚異です。」

 

「誰がクソだッ!」

 

「でも最初に殺せんせーのことを侮って対殺せんせー用のナイフと弾を使わなかったのは自業自得だよな。」

 

オレがそう言うと殺せんせーは「そんな事もありましたねぇ」とニタニタと笑う。ロヴロさんは「ほぉ?」と不気味に笑う。ちなみにこれは渚から聞いた話である。

 

「うぐっ!」

 

「しかもその後に先生として潜入してるのに仕事もせず自習だけさせ生徒を侮辱し学級崩壊。」

 

オレがそう言うと殺せんせーは「そんな事もありましたねぇ」と更にニタニタと笑う。ロヴロさんは青筋を立てながら不気味な笑みを浮かべる。ちなみにこれも渚から聞いた話である。

 

「ぐはっ!」

 

「それに授業で正解でも不正解でもディープキスをするから一部の生徒にはそこ以外は受けが良いのにそこで受けが悪い。」

 

「がはっ!」

 

「でも、陽菜乃はこう言ってたぞ、「ビッチ先生の経験談とかは面白い」って。」

 

「ひ、陽菜乃……。」

 

「でも、こうも言ってたぞ、「でも正解でも不正解でもディープキスをするのはやめてほしい」って。」

 

「………」チーン

 

「あ、なんか凄いダメージ受けてる。」

 

……そんなダメージ受けるのか。だったらオレが言ってた点を改善すれば受けずにすむ。

 

「ですが事実ですからねぇ…否定できません。」

 

「誰か1人くらいフォローしなさいよ!!」

 

「だが、オレも陽菜乃も皆もビッチ先生の授業は分かりやすいって思っていると思う。」

 

「白夜……。」

 

事実を淡々と告げたがビッチ先生の評価は悪くない。まあ、後はディープキスと教材だな。

 

「そう、今白夜君が言ったように授業では非常に役にたっています。だからこそ彼女という暗殺者こそこの教室に適任です。殺し比べてみれば分かりますよ。どちらが優れた暗殺者か。2人の勝負です。」

 

殺せんせーは手をクロスさせながら言う。

 

「ルールは簡単。先に烏間先生か白夜君を殺した方が勝ち。」

 

「おい待て。何故俺と白夜君が犠牲者にされるんだ。」

 

「生徒を殺すなんてとても先生とは思えないな。」

 

殺せんせーの提案したルールにオレと烏間先生から批判が飛ぶ。

 

「ニュヤ!?ほ、本当に殺す訳ではありませんよ!!それに私じゃ誰も殺せないじゃないですか。んんっ!期間は明日一日。」

 

「まあ、殺せんせーの場合はビッチ先生が「胸を揉んでいいから刺させて」とか言ったら刺されるからな。」

 

「白夜君は先生のことをどう思っているんですか!?」

 

殺せんせーがそう聞いてくる。

 

白夜「職員室の引き出しの中にグラビア本を入れておくくらいの煩悩まみれの変態教師。」

 

オレが冷酷無慈悲に殺せんせーにそう言ったが、反省はしない。……だって事実だし。

この前、職員室で何か殺せんせーの弱点を見つけられるんじゃないかと渚が殺せんせーの引き出しを開けたらグラビア本を見つけたそうだ。

 

「ニュウ……白夜君…酷いですよ……私は煩悩まみれじゃありません!ね?烏間先生。」

 

「彼の言うとおりだろうが!」

 

これには烏間先生も同意見なようだ。

 

「話を戻すと、ここは烏間先生が適任なんです。」

 

「じゃあなんでオレもなんだ?」

 

「その場にいたからです。」

 

「理不尽の極みだな。」

 

「なるほど、要するに模擬暗殺か…。良いだろう余興としては面白そうだ。」

 

なんでオレも参加するみたいな雰囲気なんだ?はあ…諦めよう。まあ、引退したとはいえプロの暗殺者の実力を知れるし、本当に死ぬことはないだろう、多分。

 

「ふん…勝手にしろ…。」

 

「はあ…本を忘れるんじゃなかった。それじゃあ、オレはもう帰る。」

 

そう言ってオレは校舎を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

今回から『教えて!白夜君!』は後書きにてやります。

 

 

 

 




『教えて!白夜君!』

「はい、まずは先に謝らせてもらいます。今回から『教えて!白夜君!』のコーナーは後書きにてやります。まあ、理由としては本文中に書くとなんというか違和感があるのでそうします。あ、今回はすいませんがありません。」

それではまた次回でお会いしましょう!!


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第17話模擬暗殺の時間

どうもワンフォーワンです!

そろそろ2019年が終わりますね〜。

まあ、年が変わっても何も影響が無いのが自分ですが、皆さんはどう年末を過ごすのでしょうか?

年が変わってもこの小説を見てくれると嬉しいです。

それでは第17話模擬暗殺の時間どうぞ!




…白夜side

 

 

突然だが、この話を読んでいる皆に質問だ。

 

皆は面白いと感じるのはどんな時だ?

 

例を挙げるなら、友達と喋ったり、ゲームをしたり、読書をしたりなど、色々とあるだろう。オレも毎日の学校生活を楽しんでいるし、面白いと感じる。しかし、今日はいろいろと厄介な事が起きるだろう。いつもは結構楽しいんだがな……。

 

今は体育の授業中。2本の立てた丸太の上でバランスを取りながら吊るしたボールをつく訓練をしているのだが…

 

「「……………。」」

 

オレと烏間先生は一方向をじっと見ている。そしてその視線に合わせるように皆もオレ達と同じ方向を見る。

 

「裕翔君、あれ……」

 

陽菜乃がナイフである方向を指しながらオレに言ってくる。言いたいことは分かる…だがすまん。

 

「気にせず続けよう。というか続けてください。その方がオレと烏間先生の為になるから。」

 

オレの言葉は半分お願いのようになっている。そろそろ1時間目の体育の時間も終わるが開始してからずっとこれなのだ。

 

オレと烏間先生を狙う影が木の裏に3つ…というか3人。

1人は忍者の姿をした殺せんせー。1人はナイフを持ちながらも目がもう死んでしまっている女教師イリーナイエラヴィッチこと通称ビッチ先生。最後に怖い顔をしている謎の男ロヴロ・ブロフスキ。

 

…何故だ…何故こうなった…。

 

 

…授業終了前

 

 

「……という訳だ。今日一日迷惑な話だが、君達の授業には影響は与えない。普段通り過ごしてくれ。」

 

烏間先生が授業終了前に昨日起こった事を話す。振り返ってみると本当に迷惑な話だ。

 

「オレに関しては何故か殺せんせーの理不尽にあったがな。」

 

オレがそう皮肉を言いながら殺せんせーを睨む。皆がなんというか苦労人を見る目をしている。いつもは烏間先生にオレが向けている目線なので少し新鮮だな。

 

そして授業が終わると同時にビッチ先生が水筒を持ちながらこっちに来る。

 

「烏間先生〜〜白夜〜〜お疲れ様〜〜〜喉乾いたでしょ〜〜?はい冷たい飲み物♡」

 

……それは無理があるだろ。皆も絶句しているし。

 

「ほらグッといってグッと!美味しいわよ〜。」

 

そんな視線を気にもせずこっちに水筒を渡してくるビッチ先生。

 

(((絶対何か入ってる…。)))

 

しかし、飲み物を渡してくると言うことは中は筋弛緩剤か何かだな……マズいッ!オレは即座にビッチ先生から更に距離を離す。

 

「大方、筋弛緩剤だな。動けなくしてナイフを当てる。」

 

烏間先生の言葉にビッチ先生が肩をびくつかせる。分かりやすい図星だ。

 

「はあ…言っておくが、そもそも受け取る間合いまで近寄らせないぞ。」

 

烏間先生はそう言うが油断大敵だ。他に何があるか分からないからな。…まああの水筒以外は特に何もなさそうだが。後は後ろに隠してある対先生用ナイフくらいか。

 

「何で裕翔君は烏間先生よりも距離を離すの?」

 

陽菜乃の声に皆がこっちを向く。

 

「いや、オレだったら渡すフリをしてかけるから注意したんだが……」

 

そう言った瞬間、皆の動きが止まった。ン?オレ何か変なこと言ったか?

ビッチ先生が烏間先生に中の飲み物をかけようとするが烏間先生がビッチ先生から更に距離を取る。もしかして2人共今気づいたのか?

 

その後、ビッチ先生はわざとこけて烏間先生におぶってー、と言っていたが……

 

「……烏間先生、行きましょうか。」

 

「……ああ。」

 

少し不機嫌になりつつあるオレと烏間先生はビッチ先生が何か騒いでいるが無視し校舎に戻る。

気になる点はロヴロさんがいつ来るか、だな……。

 

 

…2時間目終了後

 

 

2時間目が終わると同時に扉が勢いよく開く。

 

「「「「!?」」」」

 

そしてナイフを左手に持ったロヴロさんが素早く動き、ナイフを当てようとする。オレはロヴロさんの後ろへ回り込み左腕を絞め、ナイフを奪い、首元にナイフを当てる。

 

「っ!?(…速いッ!?)」

 

オレはロヴロさんの右手を見る。

 

「…先に烏間先生の方に行ったのか……オレもナメられたものだな。右手を負傷した状態で殺せると思われるなんて。いや、学生だから仕方ないか…。」

 

ロヴロさんの右手は青く腫れていた。これでは右手は使えないだろう。右手を使えない状態で烏間先生を殺れるとは思えず、オレのところへ来た…ってことか。

 

「続けるか?ロヴロさん?」

 

「…フ…悪いが遠慮させてもらう。」

 

「そうか。まあ、再起不能の状態じゃ無理だな。」

 

ロヴロさんはスピード型の暗殺者だが、オレの方が速いらしい。オレはロヴロさんの腕を離し、ナイフを渡す。

 

「…失礼した。」

 

ロヴロさんがオレの方を暫く見るとロヴロさんは教室を出ていった。

 

「……ふぅ……何か疲れたな…。」

 

オレはそう言ってため息をつく。警戒しておいて正解だな。

 

「「「「ふぅ……じゃねえよ!!!」」」」

 

……何故か皆にツッコまれた。

 

「ン?ああ……そういうこと。」

 

なるほど……つまりはそういうことだな?オレは内心で自分の反省する点を復習する。

 

「「「「そう、そういうこと。」」」」

 

つまり…今、オレがすべきことは……

 

「この度はお騒がせしてしまい大変申し訳ござ…」

 

……謝罪ということか。

 

「「「「そうじゃねえよ!!!」」」」

 

え?違うのか?では一体何だ?

 

「何で「え?違うの?」みたいな顔してるの白夜君!?……はあ…なんかもういいや。」

 

「そ、そうか……?」

 

結局、皆は何が言いたかったんだ?……未だに分からん。

 

 

…3時間目終了後

 

 

ロヴロさんは辞退したがビッチ先生はどうだろうか?

 

次の時間は………理科か。ならオレに来るとすればこの時間か次の授業の後だな。

 

ただ、ビッチ先生はスピード型ではなく、潜入の方が得意。だとするならば、何処かに隠れている可能性がある。まあ、問題はない。

 

トラップには引っかからないしスピードでは負けないしパワーでも負けない。さて、このゲームの結果はどうなるかな?ビッチ先生が勝つか烏間先生が勝つか。

 

 

…昼食中

 

 

オレ達は教室でご飯を食べている。今日は窓側で食べていきなり現れても対応できる用にしていたが問題はなさそうだ。

 

「殺る気だな、ビッチ先生。」

 

オレはそう呟き、窓の方へ行く。

 

「お、裕翔も気になるんだ?」

 

窓の方へ行くと、カルマが話しかけて来た。カルマも多少は気になるのだろうか?

 

「まあな。カルマもか?」

 

「まあね〜。」

 

意外とカルマとオレは気が合ったりするのかもしれない。オレはそう思いながら窓の向こう……烏間先生とビッチ先生に注目する。皆も気になるようで窓の方へ寄ってきた。

 

ビッチ先生は烏間先生の前に右手にナイフを持ちながら立つ。しかし、烏間先生にナイフはあまり通じない。

多少は通じるかもしれないが銃をメインに暗殺をしてきたビッチ先生がナイフをどれだけ扱えるか、による。

 

そして上着を脱ぎ烏間先生と少し喋りだす。色仕掛け……は烏間先生には通じない筈。ビッチ先生だってバカじゃない。それくらい分かっている筈だ。もし、その程度なのだとしたら殺し屋なんて長くは続かない。ということは何か仕掛けがあるのだろう。

 

オレはビッチ先生の上着を見る。すると、少し糸のような物が見えた。かなり見えにくいがワイヤーが仕掛けてある。

 

「色仕掛け……。」

 

渚がボソッと呟いたのが聞こえた。渚は色仕掛けと考えるか。

 

「いや、違うな。色仕掛けは烏間先生には通じない。」

 

「違う…?」

 

「まあ、よく見ていろ。」

 

オレはそう言ってビッチ先生と烏間先生に注目する。ビッチ先生は木の裏に行き……走った。烏間先生がワイヤーに引っかかり、仰向けになる。ビッチ先生が烏間先生の上に跨った。…なるほど、色仕掛けをカモフラージュに使ったか。

 

「ビッチ先生が上を取った!」

 

「上を取ったのは良いが、早く当てないとダメだ。ビッチ先生は力勝負じゃ烏間先生に勝てない。」

 

ビッチ先生は烏間先生にナイフを当てようとするが、烏間先生が寸前で止めた。流石は烏間先生と言ったところか。

 

だが突如、烏間先生がビッチ先生の手を離す。ビッチ先生のナイフが烏間先生に当たる。……挑戦と克服、か。

今思えばあの部屋でもそうだったのかもしれないな。

 

「どうしたの?白夜君?何か怖い顔してるけど…。」

 

「ン?そうか?別にそんなことはないと思うぞ?」

 

そう言っているオレの顔はどういう表情だったのだろうか…?渚が言っていた怖い顔とはどんな表情だったのか…?どちらもオレには分からないことだな。

 

 

…職員室にて

 

 

オレが職員室に入るとキラキラした甲冑があった。何で甲冑が置いてあるんだ?

 

「烏間先生、あの甲冑は何ですか?」

 

「おい、なんだあの甲冑は。」

 

オレがそう聞くと烏間先生は殺せんせーに聞く。なるほど、烏間先生が犯人ではないらしい。

 

「万が一の1秒間に備えをと…。」

 

そんな賭けをしていたのか。オレの知らないところで賭けが行われていた事をオレは知った。

 




最近、後書きに書くことが無くなりつつあります。教えて!白夜君!もネタが思いつかないんですよね…。

ま、そんな話は置いておいて感想、評価をしてくれると有り難いです。

それではまた次回でお会いしましょう!!



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第18話転校生の時間2

どうもワンフォーワンです!

皆さんはスポーツは得意でしょうか?ちなみに自分は苦手です。

それでは第18話転校生の時間2どうぞ!!


…白夜side

 

 

明日は転校生が来る日だ。皆も明日の転校生が気になるようでそわそわしている人もいるくらいだ。……まあ、岡島が女子だったら良いな〜などと言っており一部の女子と男子が引いている。

 

今は昼休みか……少し眠いな。陽菜乃に起こしてもらうように頼んで寝るか。

 

ここ何日か寝てないか少しの睡眠しかとってないから少しくらい休養しないとダメだな。

 

「陽菜乃。悪いが少し眠たいから寝ようと思うんだが時間になったら起こしてくれるか?」

 

「うん、じゃあ5時間目になったら起こすね!」

 

「すまん、助かる。」

 

そう言ってオレはゆっくりと眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

『裕翔。』

 

誰かがオレを呼んでいる。

 

『裕翔。お前は私の最高傑作だ。』

 

この声はオレの父親…ヤツの声か。

 

声を出そうとしても出せない。やはり夢か?目線から考えると5歳くらいの時か。

 

机も椅子も全てが白一色で塗り固められた部屋。窓もあるがマジックミラーになっていて向こう側は良く見えない。

 

オレ以外にも人がいるが、課題が難しく、必死に食らいついている。オレにとっては何がそんなに難しいのか分からない。

 

……間違いない。ここはジニアスルームだ。

 

ジニアスルームは超高度な英才教育を施す施設である。ここのカリキュラムを受ければどんな人間も例外なく、優秀に育つ教育をする。…神童や天才とまで言われるレベルに。

 

オレは生まれた時からこの施設で暮らしてきた。オレが初めて目にした物は母親でもなく父親でもなく、白い天井だ。

 

『裕翔。お前は他の奴とは違う。』

 

「……くん!」

 

父と何か別の声が聞こえる。一体何だろうか?

 

『お前は天才であり……』

 

「…う翔君!」

 

また、父と何かの声が聞こえる。

 

『お前は……』

 

「裕翔君!!」

 

 

 

 

 

 

『…化け物だ。』

 

 

 

 

 

 

「……んぁ?」

 

「大丈夫!?裕翔君!」

 

目を開けると陽菜乃がオレを呼んでいた。もう授業が始まる時間なのか?

 

「陽菜乃か、どうかしたのか?」

 

「凄くうなされてたから…大丈夫?」

 

「うなされてた?……まあ大丈夫だ。」

 

生まれてから一度もうなされたことがないんだが。ふわぁ……眠たい。オレは少し伸びをする。

 

「ほんと?」

 

「本当に大丈夫だ。心配かけて悪いな。」

 

「…その…言いたくないなら良いんだけどさ……どんな夢を見てたの?」

 

「………。」

 

さて、どう言おうか。陽菜乃に嘘をつくのはできれば避けたい。……昔の夢とでも言うか、事実だし。

 

「ご、ごめんね。言いたくないよね。」

 

「いや、少し昔の夢を見ていただけだ。」

 

「……(どんな夢なんだろう?気になるけど聞かない方が良いかな。)」

 

悪い陽菜乃、オレはまだ話したくないんだ。真実を話すのが怖い。手にしたこの幸せを逃したくない。そう思っている自分がいる。

そして皆に、陽菜乃に、真実を話さない自分が嫌になる。真実を話せば皆はオレと話さなくなるんじゃないかと不安になる。

これを超えた先にオレの求めた甘味があるんじゃないか?今のままで良いのか?……話さなければいけない時になったら話そう。それまではこのままが良い。

 

 

…翌日

 

 

昨日は変な夢を見たが特に何もなかったので気にしないことにした。

 

さて、今日の天候は雨だ。教室内の湿気は最悪であり、殺せんせーの顔面はまた膨らんでいた。…雨が降る度に殺せんせーの顔面って膨らむ気がする。

 

「さて、烏間先生から転校生が来ると聞いてますね?」

 

また、顔を雑巾のように絞った後、殺せんせーはそう言った。

 

どうせ殺し屋だろう。これで3人目の転校生だ。1人目はオレで、2人目が進化する固定砲台。3人目はどんな奴だろうか?ンー……サイボーグと予想しよう。

 

「あーうんまあ、ぶっちゃけ殺し屋だろうね。」

 

「律さんの時は甘く見て痛い目を見ましたからねぇ。先生も今回は油断しませんよ!」

 

殺せんせーは律にそう宣言した。……律の時は油断していたのだろうか?

 

「いずれにせよ、皆さんに仲間が増えるのは嬉しい事です。」

 

「そういや律。何か聞いてないの?同じ転校生暗殺者として。」

 

原が律にそう聞いた。……そういえばそんな共通点があるな。…オレ?オレは暗殺者じゃないから。

 

『はい。少しだけ。初期命令では私と彼の同時投入の予定でした。私が遠距離射撃。彼が肉迫攻撃。連携して彼を追い詰めると。』

 

初期状態の律と連携?無理だとしか思えないんだが。

……初期命令という事はその命令は何らかの理由で却下された…という事なのか?

 

『ですが、その命令は2つの理由でキャンセルされました。』

 

「へ〜。理由って?」

 

『1つは彼の調整に予定より時間がかかったから。もう1つは…私の性能では彼のサポートに力不足。…私が彼より暗殺者として圧倒的に劣っていたから。そこで、各自暗殺を開始することになり、重要度の下がった私から送り込まれました。』

 

律がその扱いをされる程の奴という事か。……やはりサイボーグか?

 

そんな巫山戯た事を考えていると突然、教室の扉が開いた。開いた扉には白装束の男が立っていた。

 

……あれが転校生なのか?いや、違うな。雰囲気が違う……となると保護者あたりか。

 

男が手をかざすと白い鳩が飛び出した。…手品か?

 

白い男「あっはっはっ。ごめんごめん、驚かせたねぇ。転校生は私じゃないよ。私は保護者。まぁ、白いしシロとでも呼んでくれ。」

 

白い男改めシロは愉快そうに笑いながら自己紹介した。声に違和感がある。まるで本当の声を封じ込めるような声に感じた。顔は服で見えない。はっきり言うと少し不気味だ。

 

「いきなり白装束で来て、手品やったらビビるよね。」

 

「うん、殺せんせーでもなきゃ誰だって……」

 

そう言って殺せんせーの方を見ると部屋の隅でドロッとしそうな銀色の液体になっていた。…いや、あれ何だ?

 

「ビビってんじゃねえよ!殺せんせー!」

 

「奥の手の液化まで使ってよー。」

 

殺せんせーってあんなことできたのか。知らなかった。

 

「い、いや律さんがおっかない話するもので…はじめましてシロさん。それで肝心の転校生は?」

 

「はじめまして、殺せんせー。ちょっと性格とかが色々と特殊な子でねぇ。私が直で紹介させて貰おうと思いまして…。」

 

掴み所のない人、それがオレがこの人に抱いた感想だ。シロはそう言って殺せんせーに羊羹を渡す。

 

シロが何処かを見つめている。方向からして…渚…いや、茅野の方?

 

そしてオレの方も見てきた。その瞬間、何処かで見たことがあるような既視感を感じた。そう、まるで実験動物を観察するような眼だ。少し嫌悪感を抱くが初対面で何もされてないのにそんな態度をとるのは失礼だなと思い心の奥に封じ込める。

 

「何か?」

 

「いや〜皆、良い子そうですな〜。これならあの子も馴染み易そうだ。では紹介します。おーい!イトナ!入っておいで。」

 

シロがドアの方に手を振るのでドアに注目していた。なるほど、イトナという名前なのか。

 

ドカンッ!!

 

転校生はドアからではなく、後ろの壁を粉砕して入って来た。…いや、普通に入ろうか?

 

「俺は勝った。この教室の壁より強い事が証明された。」

 

この教室の壁に恨みでもあるのか?ていうか壁に勝って本当に嬉しいのか?……ダメだ、オレには理解できない。壁なんて壊そうと思えばいつでも壊せるしな。

 

「「「「いや、ドアから入れよ!!!」」」」

 

「この壁って誰が直すんだ?」

 

殺せんせーが直してくれるのだろうか?こういうのは壊した本人が責任を持って直すべきだと思うのだが。

 

「「「「リアクション薄っ!!!」」」」

 

「それだけでいい……それだけでいい……。」

 

殺せんせーもリアクションに困ってるな。笑顔でもなく、真顔でもなく…中途半端な顔だ。あんな顔するんだな殺せんせー。

 

「堀部イトナだ。名前で呼んであげてください。ああそれと、私は過保護でね。暫く彼を見守らせてもらいますよ。」

 

……シロの発言に少し引っかかる感じがした。まあ、気のせいだろう。

 

そして、もう1つ気になる点が……

 

「ねぇイトナ君。今、外から手ぶらで入って来たよね?外、どしゃ降りの雨なのに…なんでイトナ君一滴たりとも濡れてないの?」

 

そう、そこだ。何故濡れてないのか。

 

イトナはクラスを見渡して言った。

 

「お前は多分このクラスで2番目に強い。けど、安心しろ…」

 

イトナはそう言ってカルマの頭に手を乗せて雑に撫でる。

 

「俺より弱いから…俺はお前を殺さない。」

 

「………。」

 

カルマはイトナの言葉に表情を少し変えるが何も言わない。

カルマは頭が良い分冷静だ。サルみたいに何も考えずにつっこんで行く男ではない。つまり、カルマはイトナに敵わないと理解していたのだ。

 

イトナはそう言って次にオレの方へ来た。……次はオレか。

 

「お前はこのクラスで1番強い。」

 

「…転校初日でランク付けか?」

 

オレはイトナに対してそう言うが、イトナは気にした様子もなく続ける。何で急にそんな事を言ったのか理解に苦しむ。

 

「お前はこのクラスの中でもかなり異色だ。」

 

「………。」

 

「けど安心しろ、俺の目的はお前じゃない。俺が殺したいと思うのは…俺よりも強いかもしれない奴だけ。この教室では殺せんせー、アンタだけだ。」

 

お前どれだけ安心させたいんだよ。内心でそうツッコミながらイトナの動きに注目する。イトナは普通に殺せんせーに近づき宣戦布告した。

 

「強い弱いとは喧嘩の事ですかイトナ君?力比べでは先生と同じ次元には立てませんよ?」

 

包装まるごと羊羹を食べながら殺せんせーは余裕そうに言う。ちゃんと包装取れ。

 

「立てるさ、だって俺達…血を分けた兄弟なんだから。」

 

ふーん、兄弟か。兄弟か…まさか殺せんせーに兄弟がいたとは……え?兄弟?きょうだい?きょう…だい……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「えー!き、き、き、兄弟ーー!?」」」」

 

「負けた方が死亡な兄さん。」

 

イトナはそう言って羊羹の包装を食い破って飲み込んだ。だからちゃんと包装取れ。

 

「兄弟同士小細工はいらない。兄さん、お前を殺して俺の強さを証明する。放課後にこの教室で勝負だ。」

 

イトナはそう言ってシロと共にドアから出ていった。

 

「「「「「……………。」」」」」

 

シーンと教室が静かになった。

 

「ちょっと先生!兄弟ってどういう事!?」

 

「そもそも人とタコで全然違うじゃん!」

 

そして、皆からの殺せんせーへの質問が爆発した。オレはこの事態を予測して耳を塞ぐ。

 

「いやいやいやいや!全く心当たりありません!先生、生まれも育ちも一人っ子ですから!!昔、両親に「弟が欲しい」って強請ったら家庭内が気不味くなりました!」

 

いや、そもそも親とかいるのか?というか兄弟というのは真実なのか?それとも殺せんせーを動揺させるための策なのか?

 

……血を分けた、か。

 

 

…昼食時

 

 

イトナは凄い勢いで甘い物を食べていた。…歯は磨けよ?虫歯になるぞ?

 

甘党なところは殺せんせーと同じ…か。そして表情が読みづらいところも同じ。

 

「兄弟疑惑で皆やたら私と彼を比較してます。ムズムズしますねぇ。気分直しに今日買ったグラビアでも見ますか…。」

 

そう言って殺せんせーはグラビア本を取り出すがイトナも殺せんせーと同じグラビア本を取り出す。生徒の前で良くできたな。オレは殺せんせーに目でそう言いながらプリンを食べる。

 

「巨乳好きまで同じだ!これは俄然、信憑性が増してきたぞーー!!」

 

「そ、そうかな?岡島君?」

 

「そうさ!巨乳好きは皆兄弟だ!!」

 

そう言って岡島は殺せんせーと同じグラビア本を取り出す。岡島、お前も良く女子がいる前でできるな。

 

「三人兄弟!?」

 

「もし、本当に兄弟だとして…でもなんで殺せんせー分かってないの?」

 

「う〜ん…きっとこうよ!」

 

そう言って不破はジャ○プを片手に語り出す。不破の話が聞きたい人はアニメか小説を見てくれ。

 

「裕翔君はどう思う?」

 

陽菜乃が弁当をしまいながら聞いてくる。あ、さっきは卵焼きありがとう。美味しかった。ンンッ、陽菜乃が聞いているのは十中八九イトナの事だろう。

 

「オレは殺せんせーとイトナは兄弟じゃないと思うぞ。」

 

「え!?なんでそう思うの?」

 

「確かに殺せんせーとイトナの共通点は多いが共通点が多かったら兄弟だって訳じゃないだろ?」

 

オレがそう言うと陽菜乃は「うんうん!」と頷く。当然、世の中には全く似ていない兄弟だって当然いる。

 

「それに、イトナは殺せんせーの事を血を分けた兄弟、と言った。普通なら血が繋がった兄弟、とか言うしな。」

 

「なるほど〜!それなら兄弟じゃないかも。」

 

そう、本当の兄弟ではない。しかし、何か血と同じくらい特殊な共通点があったら?

 

例えばイトナが触手を持っていたら? ここでイトナの情報を整理しよう。

・イトナは壁を壊し、手ぶらでも雨に濡れていない。

・殺せんせーと甘党などの共通点がある。

 

イトナが触手持ち。案外、あり得そうだ。

 

触手が水を弾き、破壊力もあると仮定すれば辻褄が合う。殺せんせーと特徴が似ているのも納得できる。

 

血を分けた兄弟、か……納得がいった。

 

さて、イトナはどんな暗殺をするのか…。

 




ワンフォーワンです!

いや〜最近『教えて!白夜君!』やってないな〜と思ったので久しぶりにやります。

「という訳で『教えて!白夜君!』のコーナーだ。えーっと「白夜君は陽菜乃ちゃんをデートに誘わないんですか?」ってこれは矢田からの質問か。デート、か。デート?デートってなんだ?」

「デートを知らない!?良いかい白夜君。デートというものはね………」

…作者説明中

「なるほど、デートの意味は分かった。質問への返答は暇があれば誘ってみようと思う。ということでいつか陽菜乃とデートに行くか。質問への返答はこれで良いか?」

『バッチリでーす!!』

「おい!出てくるなカンペは!!」

『は?』

「は?じゃねぇよ!やろうってのか!?上等だこら!!!」


「『「それではまた次回でお会いしましょう!!」』」

「おい!またカンペが出やがったな!?お前許さ…」




「この番組はワンフォーワン、殺せんせー、スタッフの提供でお送りさせていただきました。」




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第19話対決の時間

皆様…あけましておめでとうございます!!!

2020年も『白夜裕翔の暗殺教室』をよろしくお願い申し上げます。

後書きで白夜君からも新年の挨拶をさせます。

それでは第19話対決の時間どうぞ!!



…白夜side

 

 

放課後のイトナと殺せんせーの勝負。皆は殺せんせーの過去を知れる…そして、暗殺にも使えるかもしれない。そんな期待と不安を持っていた。

 

放課後…イトナと殺せんせーの勝負の時間。教室内は一変していた。

 

「机のリング?」

 

全員の机と椅子でリングを作り、その中には殺せんせーとイトナがいた。…新しい暗殺方法だな。

 

「ああ、まるで試合だな。…こんな暗殺を仕掛ける奴は初めてだ。」

 

オレが考えた殺せんせーの暗殺方法にも似たような策はあった。オレは殺せんせーに対して教室内での暗殺は有効だと思っている。理由は単純に室内なので殺せんせーの自慢の超スピードが生かせないからだ。

 

「ただの暗殺は飽きてるでしょ?殺せんせー。ここは1つルールを決めないかい?リングの外に足をついたらその場で死刑…どうかな?」

 

シロが変なルールを提案した。

 

「なんだそりゃ。負けたって誰が守るんだそんなルール。」

 

「いや、皆の前で決めたルールを破れば先生としての信用が落ちる。殺せんせーには意外と効くんだ、あの手の芝居。」

 

杉野の言った言葉をカルマがそう言って否定する。このルールの裏だな。

 

「良いでしょう。ただしイトナ君。観客に危害を加えた場合も負けですよ。」

 

殺せんせーの言葉にイトナは無言で頷く。

 

「では、合図で始めようか。」

 

シロが右手を上げ、皆が殺せんせーとイトナに注目する。この試合、どうなるか見物だな。

 

「暗殺…開始!」

 

ダンッッ!!

 

シロが右手を下ろすと同時にそんな音がした。そして皆の目は1箇所に釘付けになった。切り落とされた殺せんせーの触手ではなく……

 

「…まさか……」

 

殺せんせーの触手を切り落とした物体、それは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「触手!?」」」」

 

「やはりか。」

 

イトナの頭部には白い触手がまるで鞭が空気を切る様な音をしながら動いていた。これで雨に濡れてないのも納得がいく。雨粒を触手で全て弾いてしまえば良い。

 

そして、兄弟の意味は『同じ触手を持っている』という意味だ。しかも、調整が必要ということは後天的…つまりは殺せんせーの触手を元に移植されたと考えられる。

 

考えてみればオレ達が何気なく使っている対先生物質が作られている時点で触手の培養がされているとしてもおかしくない。

 

「…………どこだ……」

 

しかし、それなら何故……

 

「どこでそれを手に入れた!!その触手を!!」

 

殺せんせーは今まで見たことがないくらい顔を真っ黒にして怒っているのだろうか。

 

「君に言う義理は無いねぇ、殺せんせー。でも、これで納得しただろ?両親も違う。育ちも違う。だが、この子と君は兄弟だ。…しかし、怖い顔をするねぇ。何か嫌な事でも思い出したかい?」

 

シロは全てを知っている様な言い方だった。

 

しかし、殺せんせーのこの殺気…どこかで感じた事がある殺気だ。どこで感じた殺気か気になるが…後で良いだろう。

 

「どうやら…貴方にも話を聞かなきゃいけないようだ。」

 

そう言って殺せんせーは再生する。

 

シロ「聞けないよ…死ぬからね。」

 

シロの袖口から紫色の光が放たれる。その光が殺せんせーに放射された瞬間、殺せんせーの体が硬直した。

 

「!?」

 

「この圧力光線を至近距離で照射すると君の細胞はダイラタント挙動を起こし、一瞬全身が硬直する。全部知っているんだよ、君の弱点は全部ね。」

 

シロが淡々と説明する中、イトナの触手が殺せんせーに襲いかかる。そのラッシュに殺せんせーは圧倒され、床に倒される。床に倒された殺せんせーにイトナが追撃する。

 

「殺った…!?」

  

「…いや、上だ。」

 

寺坂のその言葉に全員が天井を見ると、殺せんせーは蛍光灯に掴まって息を切らしていた。イトナの触手は殺せんせーの脱皮した皮を貫いていた。

 

「脱皮か……そういえばそんな手もあったっけか。…でもねぇ殺せんせー。その脱皮にも弱点があるのも知っているよ。」

 

そして、再びイトナによるラッシュが襲いかかる。殺せんせーはラッシュを躱してはいるが明らかにさっきよりも反応とスピードが鈍くなっている。

 

その間にもシロは淡々と殺せんせーの弱点を語る。

脱皮は見た目以上にエネルギーを消費し、直後はスピードが落ちること。

触手の再生も体力を消費するのでパフォーマンスが落ちること。

触手の扱いには精神状態が大きく関わること。

 

シロがまた圧力光線を照射すると、殺せんせーは硬直し、イトナが襲いかかる。殺せんせーは直後で避けるが足の触手を2本失った。

しかし、そんなことはどうでもいい。今はオレの中に生まれた仮説を確かめる方が先決だ。

 

「ハッハッハ、これで足も再生しなくてはならないねぇ。なお一層体力が落ちて殺りやすくなる。」

 

「1つだけ質問していいか?シロ。」

 

「なんだい?」

 

「殺せんせーの脱皮ってイトナもできるのか?」

 

「いや、できない。イトナは頭部しか触手じゃないからね。」

 

オレの質問にシロは一切の迷いもなく答える。……なるほどな。これでオレの中の仮説は正しかったと分かった。…あまり、当たってほしくなかったが。

 

「1対1に見せかけた1対2、まあ誰も1対1で勝負しようなんて言ってないからルール違反ではないな。」

 

「そのとおり。良く理解してるじゃないか。さて、足の再生も終わったようだねぇ。さ、次のラッシュに耐えられるかな?」

 

オレの言葉にシロは愉快そうに笑いながら殺せんせーに向かってそう言った。

 

殺せば世界は救われる。だと言うのに皆からは悔しさが滲み出ていた。…まあ、当然だな。

 

「……イトナ。お前は本当に強いのか?」

 

オレがイトナにそう言うとイトナの動きがピタリと止まった。

 

「……なんだ?」

 

「いや、保護者の援護があってやっと押せてるっていうのに本当に強いのか気になってな。お前はさっき言ったな?「俺は強い」ってでも……」

 

オレの言葉にシロや殺せんせーも注目する。

 

「お前は今まで1人でダメージを与えてない。」

 

「!?」

 

そう、イトナの攻撃が当たる時に必ずシロのサポートを通す。…別におかしなことじゃない。というか殺せんせーを1人で追い詰めようと考える方がおかしい。

 

「お前1人でダメージを与えたのは最初の奇襲だけだ。後はそこの保護者が言うところの献身的サポートのおかげだ。」

 

オレの言葉でイトナはオレに殺意を向けるが触手は向けてない。もしもオレに手を出せばイトナは負けだ。

 

「君は何を言っているんだ?奴をここで殺せば…」

 

「それでお前は100億貰えるって話か?自分で蒔いた種で金を貰って恥ずかしくないのか?」

 

オレはシロにしか聞こえないようにそう言った。

 

「………まあいい。あれだけボロボロになれば、イトナ1人でも殺れるだろう。」

 

一瞬動揺があったのは分かった。

 

オレの言葉への返答はなかったがそれだけで十分だ。

 

このシロとかいう奴は恐らく、1年後に地球が破壊される原因を作った1人だ。殺せんせーを対象にした研究でもしていたのだろう。そうじゃなければ、たった3ヶ月で超生物と同じ触手を人間に与えるまで進めないし、イトナができない脱皮のメカニズムも知らない筈だ。そして、シロが顔を隠し、声まで変えているのは殺せんせーに正体がバレない為だろう。

 

「ここまで追い詰められたのは初めてです。一見、愚直な試合形式の暗殺ですが、実に周到に計算されている。あなた達に聞きたい事は多いですが…まずは試合に勝たないと喋りそうにないですねぇ。」

 

「…まだ勝つ気かい?負けダコの遠吠えだね。私の計算上では私のサポートがなくてもイトナは勝つからねぇ。」

 

計算、か…やはりシロは数値でしか物を考えない研究者だ。

 

「いいや、この試合は殺せんせーの勝ちだ。シロ、お前の計算は間違っている。」

 

シロとイトナは既に殺せんせーの術中にはまっている。しかし、その事にシロとイトナは気付けていない。

 

「……はあ…君には少し期待していたんだがねぇ。白夜裕翔…いや『天才の部屋の最高傑作』…とでも言おうか。」

 

「「「「???」」」」

 

「!?」

 

『天才の部屋の最高傑作』…その言葉に驚くと同時に昨日の夢を思い出す。……おかしい。何故、この男がジニアスルームを知っている?

 

夢を思い出しながらオレの中に疑問が湧いてくる。この男と会ったことはない筈だ。

 

「そんなに殺気を出すなよ、君も何かあるのかい?まあいい…とにかく、私の計算に間違いは無いね。私の計算方法は完璧だから。……殺れ。」

 

イトナは殺せんせーに襲いかかり、触手が飛び散る。

 

「おやぁ?落とし物を踏んづけてしまったようですねぇ。」

 

床にはさっきまでなかった筈の対先生ナイフが置かれていた。当然、殺せんせーの仕業である。

殺せんせーはイトナから攻撃を受ける時、皆が握っていたナイフを奪い、床に置いてイトナの攻撃を避けた。

その結果、イトナの触手は飛び散った。明らかな計算ミスだ。

 

殺せんせーは生きているし、考える。その事を考えていなかったというたった1つの…だが、致命的なミスをした。

 

殺せんせーは脱皮した皮を拾って動揺しているイトナに被せて包む。

 

「同じ触手なら対先生ナイフが効くのも同じ。触手を失うと動揺するのも同じです。でもねぇ、先生の方がちょっとだけ老獪です!」

 

殺せんせーはイトナを包んでいる抜け殻を窓に向けて放り投げる。抜け殻で包んでいるのでイトナに外傷はない。しかし、イトナはリングの外に足をついた。

 

「先生の抜け殻で包んだのでダメージはない筈です。…ですが、君の足はリングについている。…先生の勝ちですねぇ。ルールに照らせば君は死刑。もう二度と先生を殺れませんねぇ。」

 

殺せんせーは緑の縞模様を浮かべて笑った。誰の目から見ても勝敗は明らかだ。殺せんせーの逆転勝ちである。

 

「生き返りたいのならこのクラスで皆と一緒に学びなさい。性能計算では簡単に計れない物…それは経験の差です。君より少しだけ長く生き、少しだけ知識が多い。先生が先生になったのはねぇ、それを君達に伝えたいからです。この教室で先生の経験を盗まなければ君は私には勝てませんよ。」

 

マズいな。イトナは強さに対して異常なまでの執着がある。そんな奴にそれを否定するような言葉を言えばどうなるか…?

 

「俺が、勝てない……俺が、弱い…?」

 

イトナの触手が数を増し、黒く変色する。そう、結果としては暴走だ。

そして分かったことがある。…絶対、イトナって勉強嫌いだ。

 

「黒い触手!?」

 

「やばいキレてっぞアイツ!!」

 

「オレは強い!この触手で誰よりも強くなった!!」

 

暴走…と言うよりも自我が抑えきれなくなった感じか?まあ、このまま第二ラウンドのゴングが鳴ることを誰も期待してはいないだろう。ならばやられる前にやろう。

 

パンッ!パンッ!パンッ!

 

オレは窓の前に立ち、イトナの触手の付け根を撃った。

 

「イトナ!そいつをなぶり殺せ!!」

 

イトナが感情のままにオレに襲いかかる。

 

ゴンッ!

 

触手を失ったイトナがオレに殴りかかろうとしていたので反撃する。イトナは窓を突き破って吹っ飛び、木に直撃する。

 

「「「!!?」」」

 

「触手に当たればダメージはデカいな。だが、逆に言えば脅威は触手だけだ。イトナ自身はそんなに強くはない。まあ、常人よりも動体視力はあるみたいだな。」

 

手加減したとはいえ目で追っていた。

 

「さてと…流石に殺してはないだろうな?……ン?触手でガードしたのか?と言っても気絶はしてるな。」

 

オレはイトナの元へ向かい、様子を確認する。イトナは触手でガードしたが木に頭をぶつけた事で気絶していた。オレがイトナの確認しているとシロが来た。

 

「すいませんねぇ殺せんせー。どうもこの子は登校できる精神状態じゃなかった様だ。転校初日で何ですが、暫く休学させて貰います。」

 

シロはそう言ってイトナを肩に担ぐ。このまま帰る気なのだろうか?

 

「待ちなさい!!担任としてその生徒は放っておけません。卒業するまで面倒見ます。それにシロさん貴方にも聞きたい事が山ほどある。」

 

「嫌だね、帰るよ。力づくで止めて見るかい?」

 

殺せんせーがシロの肩を掴んだが瞬時に溶けた。対先生繊維か。

 

「対先生繊維…君は私に触手1本触れられない。心配せずともまた復学させるよ殺せんせー。3月まで時間がないからね。次に会う時には貴方やそこの最高傑作にも勝てるよう責任持って私が家庭教師を務めた上で。」

 

シロはそう言って帰って行った。その時にオレのスマホに1個のメールが来た。

 

「殺せんせー悪いが今日はこれで帰る。早退ということにしておいて下さい。」

 

「ニュ!?どうしてですか!?もしかして先生との授業が……」

 

「いや、もう放課後なんだが。…別に先生との授業が嫌な訳じゃない。仕事だ。」

 

「そうですか。分かりました。では気を付けて。」

 

オレはメールの内容を見てこれからどうするのか悩んだ。

 

 




白夜「皆様…あけまして……」

「「「おめでとうございます。」」」

白夜「書き始めて僅か4ヶ月ですがUAも1万を超え、お気に入り登録数も98という事に作者も驚いております。」

黒崎「俺も第12話からの久しぶりの登場で嬉し…」

白夜「お前の喜びは聞いてない。」

黒崎「酷くね!?」

白夜「早く言わないと出番がなくなるぞ。作者も忘…」

黒崎「この小説を読んでくれている皆様には感謝しかございません!!そしてできれば俺の出番を……」

ワンフォーワン「百式観音!!」

この時、作者から放たれたのは……

ゴーーンッッ!!

不可避の速攻である。

黒崎和人がこの世界からログアウトしました。

白夜「HUNTER×HUNTERの連載を待つのは分かるがここで出すな。」

倉橋「今年もできるだけ早めに投稿するので…」

「「「よろしくお願いします!!!」」」

カンペ『はい、カットーー!!オッケーでーす!!』

ワンフォーワン「はい、長くなりましたが今年もこの小説をお願いします。」

カンペ『早めにしろよ?』

ワンフォーワン「カンペごときがうるせぇんだ……」

白夜「うるさい、百式観音。」

この時、白夜裕翔から放たれたのは……

ゴーーンッッ!!

不可避の速攻である。














白夜「それではまた次回でお会いしましょう。」





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第21話計画の時間

どうも、ワンフォーワンです!

第15話の時に白夜君の家にいつか泊まりに行くという事を書いていたので次回とかはそうする予定です!

メンバーは倉橋、渚、茅野、カルマ、杉野、神崎、岡野、磯貝、千葉、矢田、黒崎、殺せんせーの合計12人を予定してます。

それでは第21話計画の時間どうぞ!!


…黒崎side

 

 

俺が転校してきた日の放課後。磯貝と白夜の会話が聞こえた。

 

「じゃあな白夜!明日、お前の家に行く事忘れるなよ。」

 

「ああ、分かってる。それじゃあまた明日。」

 

そう言って白夜は帰った。にしても明日は土曜日だけど何かあんのか?

 

「おーーい!磯貝!明日、何かあんのか?」

 

「ん?ああ、黒崎か。実は明日、白夜の家に泊まる事になってな。」

 

「そうなんだ〜。良かったら黒崎君も来る?裕翔君の友達だし喜ぶと思うけど?」

 

白夜の彼女の倉橋が誘ってくれた。そういえば白夜に好きなタイプを聞いたら…

 

『好きなタイプ?オレとしてはドラゴンタイプだな。』

 

『ポ○モンじゃねぇよ!!好きな女子のタイプとかだ!』

 

『そうだな……明るくて優しい人だな。』

 

って言ってたな。なるほど、倉橋は白夜のタイプだった訳か。……あの時はポケ○ンが返ってくるとは思わなかった。

 

ちなみにその後、ドラゴンタイプに有利なタイプでやったらドラゴンタイプが1匹もいなかった。理由を聞いたら『お前ならそうすると考えたから。』だったか?

 

白夜ってメンタリストか何かなの?しかも、小学4年で断言するから恐ろしい。

 

「お!良いのか!?まあ、サプライズとして行ってやるか!そういやもう、6月の下旬か…。そろそろアイツの誕生日だよなー。」

 

「アイツって?」

 

「え?白夜の誕生日だろ?」

 

「「「「え?……えええーー!!!?」」」」

 

クラスに残った奴の絶叫が響いた。え?もしかして知らなかったのか?

 

「え?」

 

「えっ!?白夜君の誕生日っていつなの!?」

 

「6月25日だが…もしかして知らなかったのか?」

 

アイツ教えてなかったのか!?いや、アイツなら「聞かれなかったから。」とか言いそうだな。

 

「6月25…来週の金曜日か…。」

 

「そういえば聞いた事なかった……良し!まだ時間あるし今からでもプレゼントを買いに行こ〜!」

 

と、倉橋はテンションを上げるが……

 

「でもさ、白夜君って何を送れば良いんだろう?」

 

そう、問題はここだ。アイツに何を送れば良いのか分からない。アイツ欲が少ない。金銭欲も金持ってるからあまりないし、睡眠欲も食欲もそんなにある訳じゃない。マジで何が欲しいんだアイツ?

 

「金を持ってる奴へのプレゼントってムズイ…。」

 

大抵の物は買えるんだよなーアイツ。

 

「う〜ん…何か裕翔君なら「プレゼントなんて用意しなくてもお前らが祝ってくれるだけで嬉しいぞ。」とか言いそうだな〜…。」

 

「「「ありそうで怖い。」」」

 

満場一致かよ!……いやマジでありそうだな。

 

「さり気なく聞いてみる?」

 

「まあそれが1番手っ取り早いよなー。」

 

反対意見がなかったので倉橋が白夜に電話する。スピーカーモードにして聞こえやすい用にしてくれる。prガチャ!出んの早っ!?

 

「…あ、もしもし!」

 

『もしもし。どうかしたのか?』

 

「う〜ん?何て言えば良いのかな…裕翔君って今欲しい物ってある?」

 

『欲しい物?特にはないが……何かあったのか?』

 

マズい!アイツと心理戦になったら絶対勝てない。この計画がバレるとサプライズじゃなくなる。…ていうかアイツって前から思ってたけど超能力者か何かなの?妙に予想当たるし、運めっちゃ良いし。まあ、電話越しだし大丈夫だよな?多分。

 

「ううん、特に何もないけど…。」

 

『そうか。…ン。まあ、強いていうなら服とかアクセサリーとかか?』

 

何か意外だな。結構持ってそうなイメージがあったんだが。

 

「え?」

 

『いや、オレ持っている服とかが少なくてな。スーツとかならあるんだが私服が2着か3着しかないんだ。』

 

…なんでスーツとかはあるんだよ。そんなツッコミをしそうになったが心の奥に留めておく。

 

「そうなんだ〜。ありがとね!教えてくれて!」

 

『まあ、こんな情報でも役に立ったなら良かった。』

 

「うん!役に立ったよ!それじゃあまた明日ね!」

 

『ああ、また明日。それと、駅からオレの家までのルートをメールで教えとくから悪いんだが案内役を任せる。』

 

「オッケー!それじゃあね!」

 

『ああ。』

 

倉橋が電話を切る。

 

「…服とかアクセサリー、か〜。」

 

「んーどうしたものか……。」

 

「ヌルフフフ。皆さんお困りのようですねぇ?」

 

「あ、殺せんせー。」

 

殺せんせーが教室の扉から現れた。…お菓子が大量にあったのは見なかった事にする。

 

「それで?何の話ですか?」

 

「誕生日と明日の話をしてたんだけど、アイツって何をあげれば良いのかってな。」

 

「ふむ……白夜君の好きな物は?」

 

「えーっと…甘い物とゲームと読書と料理じゃないかな?」

 

殺せんせーの質問に白夜の彼女の倉橋が答える。ん?料理?

 

「え?アイツって料理すんの?」

 

「毎日3食自分で作って食べるんだってさ。」

 

「「「女子力たけぇな!!」」」

 

…すげぇ…息ピッタリじゃん!団結力ヤベェな。

 

「それじゃあゲームとかは?」

 

「いや、アイツめっちゃ金持ってるからゲームとか全部持ってる。」

 

「となると本もダメかー。」

 

「では何か甘い物でも作ってみては?」

 

「あの味に勝てる気がしない……。」

 

そう言って倉橋は落ち込む。…何か白夜が悪い気がしてきた。

 

「あれ?何か……」

 

「…やっぱり白夜君が悪いような……」

 

渚(あれ?この流れって何処かで……)

 

「「「「つけいる隙がなさすぎる…!!」」」」

 

(やっぱり白夜君が悪い事になってるー!!)

 

アイツもうちょっと弱点とかねぇのかよ!!世間知らず以外によぉー!完璧過ぎるんだよ白夜ー!!

 

「う〜〜ん…じゃあどうすれば……」

 

「やはり皆さんの思い思いの物を渡せば良いのでは?誕生日のプレゼントは価値が全てじゃないでしょう?」

 

「まあ、そうなるわな。」

 

「じゃあ、服とかアクセサリーとかを皆で裕翔君に似合いそうな物を選んで渡そー!!」

 

何か倉橋のやる気が凄い。…白夜の事が相当好きなんだな。あーあ…俺も彼女できないかなぁ…。

 

「「「「おーーー!!!」」」」

 

「それでは皆さん!また明日、駅に10時集合です!!」

 

その殺せんせーの声を最後にこの『白夜裕翔の誕生日プレゼントを考える回』は幕を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

「…ックシュ……風邪か?生まれてから一度もなったことないんだがな……?」

 

 

 

 




はい、ワンフォーワンです!!

次回は白夜君の家に泊まります!!

原作とかアニメを知っている人なら分かると思うんですけど、野球大会の話があるじゃないですか?

自分……野球のルール知りません。なんとか他の作品を参考にして書こうと思います。

それではまた次回でお会いしましょう!!


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第20話転校生の時間3

どうも!ワンフォーワンです!

今回は転校生です。え?連続じゃないか?…気にしたらそこで試合終了ですよ。

それでは第20話転校生の時間3どうぞ!!


…白夜side

 

 

さて、久しぶりの挨拶をしよう。オレの名前は白夜裕翔。昨日は教室の片付けもせずに帰ってしまったので朝に皆に謝罪をすると、許してくれた。

 

そして、今日は転校生が来るらしい。毎度の如く皆はどんな転校生が来るのかとわくわくしている。

 

「女子が増えるのは良い事だよな〜!白夜!」

 

岡島が突然、目の前に現れた。何故、女子が来ると思っているのだろうか?

 

「なんで女子が来ること前提で話してるんだ?」

 

「え?だって男、女子、男と来たら女子だろ!」

 

「男も男子って言えよ……。」

 

女子と男子での扱いの差が酷い。近くにいた片岡の目が汚物を見るような目をしてる。

 

「でも岡島の言うとおりこの流れから行くと女子だよな。」

 

オレと岡島が話していると前原が会話に参加した。前原と岡島が言う流れとやらは分からないが果たして烏間先生に聞かなかったのだろうか?

 

「いや、烏間先生が男子って言ってたぞ?」

 

オレの言葉を聞いて、一部の男子のテンションが下がった。…この一部の中に岡島がいた事は言うまでもない。

 

 

…HRにて

 

 

「さて皆さん!今日は昨日に続いて連続で転校生です!!それでは入って来てくださーい!!」

 

殺せんせーが元気良く転校生を呼ぶ。

 

「えー、今日からこのE…あ!白夜じゃねぇか!」

 

そして、入ってきた転校生は……

 

「「「「「え!?まさかの知り合い!?」」」」」

 

「あ、黒崎か。」

 

…オレの友達の黒崎だった。椚ヶ岡って言ってたがまさかE組に来るとは思わなかったな。

 

「「「「「反応薄っ!?」」」」」

 

皆のツッコミの中、黒崎がオレの元へと来る。

 

「「………………。」」

 

「「「「「…え?何この空気??」」」」」

 

オレと黒崎が見つめ合う形になり、黙る。朝から皆は元気だな。少しその元気を分けてほしいとのだ。

 

「……はあ…で、何する?」

 

「……腕相撲で。…ってかため息すんな!!」

 

オレのため息が聞こえたのか黒崎が怒鳴る。毎回本当に飽きないものだな。オレと黒崎はお互いに机に肘をつけて、手を握る。

 

「レディ………ファイト!!」

 

ドンッ!

 

黒崎がそう言った瞬間にオレは力をいれる。

 

「いってぇぇーー!!!待って!バカみたいに痛いんだけどぉぉ!?」

 

黒崎が手を抑えながら床を転がる。少しやり過ぎたか?

 

「黒崎、五月蝿いぞ。」

 

「黙れ元凶がッ!!マジで痛ぇぇ…。」

 

この反応を見て分かるとおりオレの勝ちだ。…相当痛かったらしく黒崎が五月蝿い。

 

「クソがぁぁ……次はスマ○ラだ!」

 

「まだするのか?オレは構わないが。」

 

「それなら問題なーーーし!!」

 

黒崎が良いらしいのでオレはSwi○chを取り出す。休み時間とかに暇になるので一応持ってきてる。

 

「って大ありですよ!!」

 

「よーーし始めるぞ!!」

 

「えぇぇ…無視ですか……。」

 

黒崎が殺せんせーと会話をしている中、オレはステージを選ぶ。まあ、終点で良いか。そして、ゲームスタート。

 

「…なぁ白夜。」

 

「そうだな、告白なら寝ながらしたらどうだ?」

 

「それってただの寝言だろ!!そうじゃなくて俺が話したいのは戦歴だよ。」

 

「戦歴がどうかしたのか?」

 

「…俺の戦歴は219戦中4勝215敗だよな?」

 

「負け過ぎだろ。」

 

黒崎が妙に真剣な表情で言う。黒崎の言う戦歴に前原がツッコむが……

 

「ン。違う、お前の戦歴は235戦中0勝235敗だ。」

 

「もっと負けてた!?」

 

実は黒崎はもっと負けてる。オレは1回もお前に負けた事はない。

 

「って何でゲームしてるんですか!?」

 

 

…30秒後

 

 

「はぁぁ……今回も俺の負けかぁぁ…。」

 

「本当に懲りないな。」

 

ちなみにこの勝負だが、小学生の頃から続いている。まあオレも結構楽しんでいる。

 

「まあ、お前とゲームすると楽しいからな!!」

 

「楽しいなら良いんだが。そろそろ自己紹介したらどうだ?」

 

「「「「「今頃かよ!!」」」」」

 

オレが黒崎に自己紹介をするように促すと黒板の前に立つ。やっと話が進むな。

 

「おっし!俺の名前は黒崎和人!!そこにいる白夜裕翔のライバルであり親友だぜ!!」

 

ライバルで親友だったのか?まあ黒崎がそう言うのならそうなのだろう。

 

「ところで殺せんせー、オレの時のように質問する時間とかは設けないのか?」

 

「そうですねぇ。早く皆さんとも仲良くなってほしいので設けます。それじゃあ皆さん質問してください!」

 

殺せんせーの一声により、皆は手を上げる。ちなみにオレは傍観している。黒崎に質問って特にないしな。

 

「そうですねぇ…では磯貝君!」

 

「じゃあ、黒崎はどうやって白夜と知り合ったんだ?」

 

磯貝が当てられ黒崎に質問する。そ

 

「白夜と知り合ったのは確か、小学4年の時だ!4月くらいにいきなり転校生が来てな。その転校生ってのが白夜だぜ。 」

 

黒崎が目を閉じながら語る。

 

「そういえばそんな感じだったな。」

 

「転校してきたけど本しか読まないし、アニメもゲームも知らないから誰も寄って来なくてな。んで、俺が友達になってやったんだぜ!」

 

「正しくはオレが本を読んでたら黒崎がいきなり友達になろうって言ってきてオレが良いぞって答えただけだ。」

 

そう言ってオレは昔を思い返す。

 

 

…白夜(小学4年)side

 

 

オレの名前は白夜裕翔。父親によってオレは転校してきた、転校生?という奴らしい。

 

「おい!そこのお前!」

 

オレが推理小説を読んでいると大きめの声がした。今、良いところなので静かにしてほしい。学校というのは落ち着きがないな。

 

「おーーい!!」

 

誰に言っているのか知らないが呼ばれているなら返事をしてほしい。

 

「オメェだよ白夜裕翔!!!」

 

どうやら呼ばれていたのはオレらしい。オレなんかに一体何の用だろうか?

 

「オレ?それで何か用か?」

 

「俺の名前は黒崎和人!!お前の事が気に入ったから友達になってくれ!!」

 

友達?友達って何だ?…まあ、いいか。

 

「良いぞ。」

 

 

…白夜side

 

 

「……はい!そこまでーー!!!」

 

オレが回想していると黒崎への質問タイムが終わった。

 

「席は…そうですねぇ……白夜君の近くが良いでしょうし、矢田さんの隣に座ってください。」

 

殺せんせーが黒崎に矢田の隣の席に座るように言う。

 

「…ん?矢田?って矢田か!?」

 

「矢田。知り合いなのか?」

 

「えーっと……あ、もしかして黒崎君!?」

 

矢田に聞いてみるとどうやら知り合いらしい。

 

「おや?お二人はお知り合いで?」ニヤニヤ

 

殺せんせーがニヤニヤした顔をして聞く。…あまり良い事は考えてないな、多分。

 

「確か小学2年の頃だ!!いや〜懐かしいな!」

 

「え?ってことは桃花ちゃんは裕翔君の事知ってたの?」

 

黒崎の発言に陽菜乃は質問する。ン?オレは矢田と会うのはここが初めてだが?

 

「ううん。黒崎君は小学3年の頃に転校しちゃったから白夜君とは違う学校だよ。」

 

「ああ…そういうことか。」

 

なるほど、納得した。オレが理解した時、黒崎がオレの方を向いて口を開いた。

 

「…あっ!そういえば白夜!」

 

「だから告白は寝ながらしたら…」

 

「だからしねぇよ!!そうじゃなくてお前の彼女って誰なんだ!?」

 

黒崎がオレに対してそう言う。そういえば言ってなかったか?

 

「ああ、陽菜乃ならオレの隣にいるぞ。」

 

「へぇ…なあ!あの完璧超人なのに超鈍感っていう弱点を持つ白夜をどうやって惚れさせたんだ!?」

 

黒崎は陽菜乃がオレの彼女と気付くと急に質問した。というかオレってお前にそんな風に思われてたのか。

 

「え!?えーっと、それはその……」

 

「急に変な事を聞くな黒崎。陽菜乃が困ってる。」

 

「えー……だって気になるだろー。」

 

オレが止めるように言うと黒崎は駄々をこねる。お前は子どもか。いや子どもだったな。

 

「そうだな……気付いたら惚れてたって感じか?まあ、簡単に言うとだがな。」

 

黒崎が駄々をこねても1つも可愛くないので簡単に言う。

 

「へぇ…で?どこまでしたんだ?」

 

「え!?それは…その……」

 

「どこまで?…まあ、キスして一緒に…「ちょっと待って!!」ン?どうかしたか?」

 

…寝た。と言おうとしたら陽菜乃に止められた。

 

「え?あ…その…言うの?///」

 

「…言わない方が良かったか?」

 

「ちょっと恥ずかしいな…///」

 

少しドキッとするから油断できない。まあ、脳が震える人も「油断怠慢すなわち怠惰」って言ってるから油断はしないが。

 

「…分かった。そういう訳で言えなくなった。」

 

「そっか。ま!言いたくねぇなら言わなくて良いぜ!んじゃ!皆よろしくな!!」

 

黒崎は元気で五月蝿いが良い奴ではある。心の中でそう思っている自分がいた事を言わないでおこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(いや〜白夜に彼女ができて良かった良かった。あの子も良い子そうだし、安心安心。)

 




今回の『教えて!白夜君!』

白夜「何かこのコーナーにも慣れてきたな。今回はゲストをお呼びしております。この方です、どうぞ。」

黒崎「はいどうもー!!黒崎和人です!」

白夜「という訳で今回のゲストは黒崎和人だ。」

黒崎「んで、このコーナーは何をするんだ?」

白夜「作者の趣味だ。まあ、適当にやってこう。それじゃあ、これを呼んでくれ。ン。」

黒崎「えーっと…「質問、ラーメンは何味が好きですか?」だとさ。で、これに答えれば良いんだよな?」

白夜「ああ、オレは豚骨ラーメンだな。」

黒崎「俺は醤油ラーメンだなー。…このコーナーいる?」

白夜「まあ、お巫山戯みたいな物だろう。それではまた次回でお会いしましょう。」

黒崎「また次回ーー!!!」


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第22話泊まりの時間

どうも、ワンフォーワンです!!

今回はオリジナル回!

野球のルールが分からない作者の為の学習じ(殴!

それでは、第22話泊まりの時間どうぞ!!


…白夜side

 

 

「…さて、今日か。時刻は6時。昨日は良く寝れた。」

 

オレの名前は白夜裕翔。今日は陽菜乃達が泊まりに来る日だ。今までの人生で人を招き入れた事がないので内心では嬉しかったりする。 

 

陽菜乃達が来る時間は1時頃だからそれまでは何をするか……。朝食を作りながらそんな事を考えていた。

 

そんな時にスマホにメールが来た。オレは届いたメールを確認する。…はあ……あの人もタイミングが悪いな。メールを見ながら内心でそう言った。

 

 

…白夜sideout

 

 

 

 

 

…黒崎side

 

 

俺の名前は黒崎和人。今日は白夜の家に泊まる事になっている。皆が集まり、倉橋の案内でここに来たんだが… 

 

「…ねぇ陽菜ちゃん。本当にここであってるの?」

 

「う〜ん…でも裕翔君のメールではここらしいんだけどな〜…。」 

 

「いや…でもさ……」 

 

「「「「デカ過ぎだろ!!」」」」 

 

何だよこの家!!もう、屋敷みたいじゃねぇか!! 

 

「と、取り敢えずインターホン鳴らすか…。」

 

と言って磯貝がインターホンを鳴らす。

 

ピンポーン

 

『はい。…ン。陽菜乃達か。今、門を開けるから入ってくれないか?』 

 

白夜がそう言うと門が開いた。おお…!す、凄い!

 

「「「「お、お邪魔しまーす。」」」」 

 

良し、もう黒崎ツッコまない。ほんとだよ?くろさき、うそつかない。

 

 

…黒崎sideout

 

 

 

  

 

…白夜side

 

 

「こんにちは。」 

 

「「「「何でスーツ着てんだよ!!」」」」 

 

中に入ってきた皆に挨拶すると服装をツッコまれた。 オレは今、灰色のシャツに黒いネクタイに黒いスーツを着ている。…この後少し用事があるのでこの格好である。 

 

「だいぶ黒いな。」 

 

「そうか?店員に適当に選んでくれって頼んだら1時間ほど待たされてコレをおすすめされたんだが…」 

 

「時間かかり過ぎだろ!?」 

 

「女性は服を選ぶ時間が長いって聞いた事あるぞ。その店員も女性だったしな。」 

 

「むぅ……。」 

 

オレがそう言うと陽菜乃が何故か不機嫌そうに頬を膨らませる。…リスみたいで可愛いと思ったのは内緒だ。 

 

「それじゃあ取り敢えずは……オレの部屋で良いか?」

 

そう言ってオレは自分の部屋に案内する。他に案内する所もないしな。

 

 

…白夜の部屋

 

 

オレの部屋に入るなりカルマと黒崎が中を探った。理由を聞くと黒崎が「フッ!白夜も年頃の中学生!!この中にエロ本があるかもしれん!そしたら白夜の趣味も…」などと言っていた。 

 

しかし、オレが「エロ本なんて物はないぞ。というか知らない人が載ってても何も思わないだろ。何で買うんだ?アレ。」と言うと、黒崎達は探るのをやめた。

 

まあ、そういう事を知らないでもないが興味がない。 というか、オレには陽菜乃がいるので他はいらない。 

 

「…さっきからずっと気になってたんだが…。」 

 

部屋の中に入ると突然、千葉が言い出す。 

 

「何だ?オレの妹にでもナンパするつもりか?」

 

「え!?お前って妹いたの!?」 

 

「いや、いない。」 

 

「「「「いねぇのかよ!!」」」」 

 

今日も皆は元気で安心した。さて、冗談はここまでにして。 

 

「その気になる物ってこれだよな?」 

 

オレは近くの壁から小型の機械を手の上に乗せる。 

 

「あ!それだそれ!それ何だ?」 

 

「私も気になってたんだよね〜!」 

 

「これは掃除用の小型機械だ。色々と掃除するための機能が搭載されてる。バッテリー式で、バッテリーが切れそうになると、自動的に充電する。まあ、ルンバだな」

 

1年前に掃除を楽にしたいと思い、作ったのがこれで、結構気に入っており、同じ物を何個も作って適当にばら撒いている。ルンバと言っても手に乗るくらいのサイズで無音だ。100個以上はあると思う。

 

「…ところで…先程、甘い匂いがしていたのですが?」 

 

殺せんせーが涎を流しながら質問する。涎はオレの手の上に乗ってた小型機械が掃除している。

 

「…あ、そういえばケーキを作ってたんだ。」 

 

「おお!ケーキですと!?」 

 

「一応、言っておくがおやつだ。今はダメだぞ茅野、殺せんせー。」 

 

今にも飛び出しそうな勢いの茅野と殺せんせーを止める。そもそもキッチンの場所が分からないだろ。

 

「そんなことよりさ!ゲームを始めようぜ!!」 

 

「お前は人の家にいるのに普通だな。」

 

「まあ…慣れ、って奴かな…!」

 

黒崎がキリッとした表情で言う。 

 

「まあ、そんなところが気に入ってる訳なんだがな。」 

 

オレは棚からゲームを取り出す。皆でやるゲームと言ったらマリ○カートか、スマ○ラだな。…いや、マ○オパーティでもありか?

 

「まあ、マ○カで良いか。」

 

 

…数時間後

 

 

ケーキを食べ終え、夕食も食べたオレ達はゲームをしていた。というか、ずっとゲームをしている。 

 

「だあぁぁ!!また負けたぁぁぁ……。」

 

ス○ブラの1対1でまた負けた黒崎の絶叫が響き渡る。今はトーナメント戦をしており、1試合目の対戦カードが終わったところだ。…読んでて分かるように1試合目はオレと黒崎での戦いであったが、オレが1分にも満たずして終わらせた。大体、30秒くらいか? 

 

「これで累計250回オレに負けてるぞ、黒崎。」 

 

今までのも入れると累計250回ってどれだけ負けず嫌いなんだ……。

 

「いや〜裕翔君はやっぱり強いね!」 

 

「ありがとな陽菜乃。」 

 

「///」 

 

そう言ってオレが陽菜乃の頭を撫でると顔を赤らめながらも気持ち良さそうに目を細めている。 

 

((((このバカップルが!!)))) 

 

「そういやお前らって付き合って何ヶ月なんだ?」

 

「確か…1ヶ月くらいだよね〜。」 

 

黒崎の質問に対して、陽菜乃が答える。 

 

「1ヶ月、か…。俺もできないかなー彼女。」 

 

「さあな。それはお前次第じゃないか?」 

 

「白夜君の言うとおりです。いつか黒崎君の良いところに気づいてくれる人がいますよ。例えば…昨日の放課後、困っているお婆さんを助けるとか!」 

 

そう言って殺せんせーは1枚の写真を取り出す。その写真にはお婆さんを背中に乗せて信号を渡る黒崎がいた。…前からコイツは優しいからな。 

 

「なっ!?」 

 

「前から黒崎君は優しかったからね。」 

 

「お、おう。ありがとよ//」 

 

矢田がそう言うと黒崎は照れたように笑う。2人の雰囲気が良さそうに見える。

 

「2人、雰囲気良いね〜。」 

 

「そうだな。」

 

「2人って昔からの知り合いだっけ?」 

 

「まあ、小学2年の頃らしいがな。」 

 

「良いな〜!私もそういうの憧れるな〜。」

 

「オレも陽菜乃とそういうのだったら良かったな、と思う。」

 

オレは陽菜乃に本心を言う。…昔はそういう事を思わなかったのに恋とは不思議な物だ。

 

「そ、そうだね…//」

 

「さて……そろそろ皆風呂に入ってくれ。先に女子から入って、女子が上がったら男子が入るって事で。」

 

 

…数分後

 

 

「あれれ?もしかして女子の風呂のシーンとか期待してましたぁ?ごめんなさぁい、今は女子が上がって男子の番でぇ〜す!」 

 

「どうした黒崎?頭でも打ったか?医学免許を持ってるから診てやれるぞ。」 

 

「何でんなもん持ってんだよ!?怖えよ!!」

 

いや、持ってる物は持ってるんだから仕方ないだろ。まあ、そんな事は置いといて…

 

「どうしたお前ら?」 

 

さっきから凄く視線を感じるんだが。主に上半身の辺りに。

 

「いや、お前らって意外と鍛えてるんだな。」 

 

「裕翔君は分かるけど黒崎君は意外だよねー。」

 

「意外って何だよ!!……フッ、俺って筋トレが趣味なんだぜ!」 

 

「…だったらトレーニングルーム使うか?」 

 

オレがそう言うと黒崎が寄ってくる。 

 

「え!?トレーニングルームあんの!?」

 

「くっつくな。あるから使っても良いぞ。後で案内する。」 

 

オレはがっつく黒崎を引き離しながら約束をする。

 

「マジか!?ありがとな白夜!!それよりさっきから気になってたんだが……渚って男なの!?」 

 

「えぇぇぇ!?」 

 

「ああ、渚は男だぞ。オレも最初聞いた時は耳を疑った。」 

 

渚って初見だと女にしか見えない。 

 

「聞きたくなかったよ最後の情報!!」 

 

「ねぇ渚君。今からでも間に合うよ。」

 

「何が!?」

 

 

…数分後

 

 

皆が風呂から上がり、黒崎はトレーニングルームに向かった。後で感想を聞いてみよう。…さて、そろそろか。 

 

「……イア。」

 

オレはスマホに向かってイアと呼ぶ。すると、スマホの画面に少女が映る。 

 

『はい♪マスター!』 

 

画面に映る少女…イアは元気よく言う。 

 

イアはオレが1年程前に作った人工知能のAIである。…簡単に言うと律と同じ感じだ。

 

「今から少し用事がある。一応、皆の様子を見ておいてくれ。」

 

『はい!…ところでマスター。あの…律というデータがあるのですが…』

 

「ああ、クラスメイトだ。お前と同じだから仲良くなれるかもな。しばらく、律と話しててくれ。」 

 

『はい♪ありがとうございます!それでは行ってらっしゃいませ!』 

 

この家は彼女に任せておけば安心だろう。さてと、それじゃあ行くか。オレは歩き出した。

 

 

…数分後

 

 

「やあ、白夜君。」 

 

「はあ…貴方も随分とタイミングが悪いですね、影城さん。」 

 

オレの目の前には青いスーツを着た20代くらいの男性…影城さんがいる。 

 

「今回は急に呼び出して済まなかったね。」 

 

「大丈夫です。で、今回は何か用が?」 

 

「ああ、実は…

 

 

 

 

 

 

君にこの会社の次期社長をやってほしいんだ。」

 

「はい?……それは貴方の予定では?」 

 

この会社の次期社長は影城さんの筈だ。 

 

「確かに僕の予定だったんだが…僕が君を推薦したんだよ!それに、君の方がこの会社をより良くできると思うからね。」

 

「!?…オレは今、中学生ですよ?反対意見がある人もいたのでは?」

 

オレは影城さんの発言に驚きながらも聞く。

 

「いや反対意見はなかったよ。皆、君が社長になる事に賛成なんだ。君の信頼あってこそ成せる物だよ。」

 

……皆、賛成か。そうなると断れないな。

 

「……そうですか。分かりました。やりますよ。今日はもう遅いので明日の朝で良いですか?」

 

皆、賛成なら問題はないだろう。…それに、社長という身分は使える。

 

「やってくれるのか!?ありがとう白夜君!」

 

「いえ、こちらこそありがとうございます。」

 

それにしても本当に急展開だな。

 

 




ワンフォーワンです!

いやーかなり無茶苦茶な展開ですよねww

オリキャラも2人出しましたし…まあ、面白ければ良いかなと思いました。

中学生で社長って…と思いましたが、まあ、面白ければ良いかなと思いました。

それではまた次回でお会いしましょう!!



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第24話球技大会の時間1

どうもワンフォーワンです!

皆さんは最近見た面白いアニメとかありますか?自分は少し前に終わりましたけど慎重勇者とか好きでしたねぇ。

あ!あと白猫の名前も募集中です!第30話を投稿するくらいまで募集してます。それまでに案がなければ自分が勝手に作りますが…ネーミングセンスがないんですよね……。

前書きはこのくらいにして第24話球技大会の時間どうぞ!!




…白夜side

 

 

梅雨が明け、暑くなってきた。カルマ曰く、夏の旬はヤンキーらしく、この前ヤンキーを釣ったらしい。…ヤンキーに旬とかあるのか?

 

それはさておき、そろそろ球技大会だ。女子はバスケットボール、男子は野球らしい。

今は学活の時間であり、球技大会について話していた。

 

「ふむふむ、球技大会ですか。健康な心身をスポーツで養う、大いに結構!…ただ…トーナメント表にE組がないのはどうしてです?」

 

そう言った殺せんせーの触手には1枚の紙。『球技大会3年男子野球』と書かれた紙がある。オレは殺せんせーから紙を受け取り、紙をよく見る。

 

「確かにないな。」

 

3年のAからDまでのクラスは書かれているがE組はない。まあ恐らくいつものやつだろう。

 

「E組はエントリーされないんだ。1チーム余るっていう素敵な理由で。その代わり、大会の最後にエキシビションに出なきゃなんない。」

 

「エキシビション?」

 

もう一度紙を見てみると確かに書かれていた。

 

「あ、確かに書かれてるな。E組VS野球部か。」

 

「そ。要するに見せ物さ。全校生徒が見てる前で、それぞれ野球部。女子はバスケ部とやらされるのさ。」

 

「なるほど、いつものやつですか…。」

 

にしても野球か……やった事ないな。

 

ガタンッ

 

オレが考えていると寺坂グループが立ち上がる。寺坂グループに合わせて黒崎も立ち上がる。

 

「フッ…寺坂、お前は「俺ら晒し物とか勘弁だわ。」と言う!」

 

なるほど、ジョ○ョネタか。

 

「俺ら晒し物とか勘弁だわ。…って何当ててんだテメェ!!」

 

「よっしゃ!当たったぜ!流石の白夜もこれは出来ねぇだろ?」

 

黒崎は自信満々の表情でオレを見る。…まあ、ノッてやるか。

 

「…寺坂、お前は「はぁ…兎に角、お前らで適当にやっといてくれ」と言う。」

 

「はぁ…兎に角、お前らで適当にやっといてくれ。…ってお前もやってんじゃねぇよ!!」

 

「クッソー!また負けたぜ!」

 

これに勝ち負けとかあったんだな。……ン?黒崎の負けなの?

 

内心でそうツッコんでいると、いつの間にか寺坂達は出ていった。寺坂、吉田、村松が離脱か。

 

「…野球となりゃ頼れんのは杉野だけど…なんか勝つ秘策ねぇの?」

 

「……無理だよ。かなり強えんだ、うちの野球部。特に今の主将、進藤。豪速球で名門高校からも注目されてる。勉強もスポーツも一流とか不公平だよな。」

 

豪速球…と言われてもどのくらいだ?それによってできるかどうかは変わってくるだろう。

 

「豪速球ってどれくらいの速度なんだ?」

 

「確か、140kmくらいだと思うぜ。そういや白夜はどうなんだ?」

 

「オレか?…悪いが球技系は殆どやった事も見た事もない。野球のルールすら知らない。」

 

剣道とか柔道とかなら分かるんだがな。野球とかサッカーはやった事がないし、知識もない。

 

「「「「「え?」」」」」

 

オレの事は置いといて、140kmか…中学3年にしては速いのだろう。話を戻して杉野は続ける。

 

「んんっ!…だけどさ、勝ちたいんだ殺せんせー。善戦じゃなくて勝ちたい。好きな野球で負けたくない。野球部追い出されてE組来て、寧ろその思いが強くなった。こいつらとチーム組んで勝ち…」

 

「ワクワク♪ワクワク♪」

 

杉野が話している間に殺せんせーは着替えてとてもワクワクしていた。アレが多分、野球着なんだな。触手にはバットやボールや竹刀を持っている。…竹刀は剣道とかじゃなかったか?

 

「ヌルフフフフ!先生!一度スポ根モノの熱血コーチやってみたかったんです。殴ったりはしないのでちゃぶ台返しで代用します。」

 

殺せんせーは用意周到にちゃぶ台も用意する。…その為に料理まで作ったのか?確か殺せんせーは金欠だった筈だが…?美味しそうな鮭だな。後で食べよう。

 

「…最近の君達は目的意識をはっきりと口にするようになりました。やりたい。勝ちたい。どんな困難にも揺るがずに…その心意気に応えて、殺監督がトレーニングを授けましょう!」

 

 

 

 

 

 

…昼休み

 

 

オレは昼食を食べた後、芝生に寝そべる。ここは寝心地がとてもいいのだ。

 

………ジニアスルーム、か。その言葉を聞いてから当時の夢をよく見るようになった。3歳の時、5歳の時、色々とある。

 

オレには人が一生をかけて学ぶ量を遥かに超えたぐらいの知識がある。別に中学2年生辺りに発症する病気ではないので安心してくれ。

 

話を戻そう。知識量、身体能力、その他諸々化け物と呼ばれた。これは過大評価ではなく正当な評価らしい。らしい、というのはジニアスルームの全データを見たオレの父親とその他の指導員の言葉だ。…まあ、プロを余裕で倒したらそう言われても仕方ないのかもしれない。

 

ただ、野球等はやった事がなかった。オレがやってきた事は様々な学問学術、武術、護身術、医学、暗殺技術、処世術と枚挙にいとまがない。

 

知識が豊富なオレだが、俗世間などを知らない。だから自由を知らないし、縛られない事の素晴らしさも知らない。そして今、知っているからこそ戻りたくはない。

 

それに…オレの探究心はまだまだ底を知らない。まだ学べていない物がたくさんある。

 

 

…放課後

 

 

「にゅおりゃぁーー!!」

 

殺せんせーは時速300kmの球を投げる。…300kmか、だいぶ速いな。

 

「そちらがどうぞ。」

 

「いえいえ、そちらがどうぞ。」

 

殺せんせーは分身で鉄壁の守備を敷く。なるほど、野球はああやってするのか。…いや、皆の反応を見たら分かるが絶対違うな。

 

「……」

 

「校舎裏でこっそりエアギター…ノリノリでしたね三村君…。」ボソッ

 

殺せんせーは囁き戦術で集中を乱す。…三村…そんな事をしてたのか。

 

ちなみに黒崎の場合…

 

「フッ…俺は打ってやるぜ!」

 

「…白夜君の家に泊まってから白夜君の家のトレーニングルームにハマってますねぇ…放課後の1時間、白夜君の家で筋トレ…。」

 

確かにしてたな…。あれ?何で殺せんせーが知ってるんだ?

 

「…良し、ルールは覚えた。簡単に言えば飛んで来た球を取って、投げられた球をバットで遠くに打てば良いんだな?」

 

「お、おう…まあそうだな。が、頑張れよ。」

 

何か返事が曖昧だが良いだろう。少し目が死んでいるのはツッコまない方針で。

 

「ヌルフフフフ!まずはやってみる事が大事です!さあ!やってみましょう!」

 

「そうだな。」

 

オレはそう返事をして、バットを構える。さて、オレは別に恥ずかしい隠し事などは一切ないがどう来るのか?

 

「……白夜君、君は何者ですか?」

 

「…オレには普通に話し掛けるんだな。」

 

オレは殺せんせーの質問に答えずに言う。

 

「ええ。君にはその方が良いと判断しました。…もし、私の予想が当たっているなら君はジニアスルームの『悪魔の天才』ですね?」

 

やっぱりあんたは知ってるよな。

 

「…そうだ。」

 

「!!……やはりですか。(この威圧感!…とても中学生とは思えませんねぇ…。)」

 

白夜「そう言うあんたは『死神』だろ?」

 

オレと殺せんせー…いや死神は以前にあった事がある。まあ、ジニアスルームのカリキュラムでだがな。

 

「!?!?…ええ、そうです。」

 

「素直に認めるんだな。」

 

もっと否定したりすると思っていた。

 

「君に嘘をついても意味がないでしょう?」

 

「まあな。それより、この話の続きは後にしないか?あまり話し過ぎると変だぞ?」

 

「では……にゅおりゃぁーーー!!!」

 

殺せんせーは時速300kmの球を投げる。いざ目の前にしてみると感覚が違う物だ。

 

「……」

 

まあ返せなくはない。オレは球を打ち返す。球は遠くまで飛んでいく。

 

「「「「はああぁぁぁ!!??」」」」

 

「中々爽快感があるな。」

 

「え?あ、ちょ、い、今の打ち返せるんですか!?」

 

「ン?まあ、打ち返せるな。それよりあの球はホームランってやつか?」

 

「うん……。」

 

ルールが合ってたようで良かった。

 

「良し、白夜!次は投げてみろ!」

 

「ああ、それじゃあ筋トレ、頼む。」

 

「おう!任せ…って誰が筋トレじゃ!」

 

「速い方が良いんだよな。」

 

オレは球を全力で投げる。取り敢えず、何も変化球なしで投げてみよう。

 

「ひゃ…155km、ですか…。」

 

「「「「155ぉぉーー!!!??」」」」

 

「良し。まあまあな結果だろ。」

 

「「「「凄すぎる結果だよ!!」」」」

 

オレの全力投球は良かったらしい。そんな練習をし、オレ達は球技大会を迎える。

 

 

 

 

…球技大会当日

 

 

3年男子の野球は3年A組の優勝で幕を閉じた。…そして、オレ達の幕が開ける。

 

「そういや殺監督何処だ?指揮すんじゃねぇのかよ?」

 

試合前、野球部が気合いを入れている時、菅谷が聞いた。その質問に渚はメモ帳を取り出して答える。

 

「あそこだよ。」

 

渚が指した所には野球ボール…に紛れる殺せんせー。遠目から見ればただの野球ボールにしか見えない。

 

「顔色とかでサイン出すんだって。」

 

「便利な皮膚だな。」

 

オレが感想を述べていると殺せんせーの顔色が薄緑、紫、橙の順番で変化する。……アレだとすぐにバレそうだな。

 

「……なんて?」

 

「…えーっと……「殺す気で勝て」ってさ。」

 

なるほど、先生らしい。

 

「確かに…俺らにはもっとデカいターゲットがいるんだ。あいつらに勝てなきゃあの先生は殺せないよな。」

 

そう言って磯貝は杉野の肩に手を置く。さて、ゲームを始めるか。

 

「!よっしゃ!やるか!」

 

「「「「おう!」」」」

 

こうして、オレ達の球技大会の幕が開いた。

 

 

 




ワンフォーワンです!

時速300kmの球って打てるんですかね?

それに時速155kmの球って投げられるんですかね?書いてて疑問に思いましたが白夜君ならできるだろうという願いを込めて書きました。

前書きでも書きましたが、白猫の名前を募集中です!

それではまた次回でお会いしましょう!!



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第23話白猫の時間

どうも、ワンフォーワンです!!

今回は日常回です!!

それでは第23話白猫の時間どうぞ!!




…ゲームじゃないですよ?

テニスでもプロジェクトでもないですよ?


白夜が外に出かけた頃、皆はリビングで寝ていた。

 

ちなみに白夜が「客室あるけど?」というと、「「「何かそれは違う。」」」と全員にツッコまれて、白夜が少しショックを受けていた事を皆は知らない。

 

 

…倉橋side

 

 

「やっぱり白夜君の家って凄いよねー。」

 

「プリンもたくさんあったしね!!」

 

「そこじゃなくない?」

 

「裕翔君、何処に行ったのかな……?」

 

『そんなに心配しなくても大丈夫だと思いますよ?』

 

私が裕翔君の心配をしていると律が私のスマホの画面に出てきた。え〜っと確かモバイル律だったっけ?

 

『そうそう、マスターは少し用事で出かけているだけです。』

 

「「「へぇ……って誰!?」」」

 

律の横にもう1人、誰かが出てきた。……誰だろう?私、こんなアプリ入れたかな?

 

「何か変なアプリでも入れたの?」

 

「え〜……律とか?」

 

『私は変なアプリじゃないですよ♪』

 

『私の名前はイアと言います!マスターに作られた…人工知能型AIです♪まあ、律さんと同じですね。』

 

白い髪に青いメッシュが入った長い髪の彼女はイアだから……イアちゃんか!

 

「イアちゃん、マスターって誰のこと〜?」

 

『マスターは白夜裕翔様です!私を作ってくれたのは白夜様なので、マスターと呼んでいます♪私はマスターのサポートAIとして作られました!!』

 

「サポートAI?」

 

『はい!…まあ、主には家の警備とかですね。マスターは基本、1人で何でもできるので…。』

 

確かに裕翔君は1人で基本は何でもできるけど、あまり人を頼らないイメージがあるんだよね〜。

私はもう少し頼ってほしいんだけどな〜。

 

「…イアちゃんのそのアバターは白夜君が?」

 

『んー…当たらずとも遠からずって感じですかね?確かにこのアバターを作ったのはマスターですが、この絵を想像したのは黒崎和人様という人らしいので…。』

 

「「「え!?黒崎君が?」」」

 

『はい。ですが、マスターは「黒崎の絵はよく分からなかったからオレの自己解釈で作った。」と言っておりました。』

 

あ…そういえば裕翔君が「黒崎の絵は独特だ。」って言ってたな〜。……まあそういう事だよね。

 

「そういえば律とはいつ知り合ったの?」

 

『律さんはマスターが紹介してくれたんです。話しているととても面白いし、私以外のAIを見るのは初めてなのでとても嬉しかったです!』

 

『私もです♪』

 

『あ、そろそろマスターが帰ってこられるそうなので失礼します。では皆様、おやすみなさい♪』

 

イアちゃんはそう言って私のスマホの画面から消える。そういえばこんな時間か〜…。そろそろ寝ないと。

 

「…何かあっという間に消えてったね……」

 

「ねー。…でも、黒崎君の絵も気になるな〜。」

 

「確かに!白夜君が分からないって言うのが良く分からないよね〜。」

 

ピロリン♪神崎ちゃんがスマホのメールを見ると驚いた様な表情をする。

 

「…あ!白夜叉さんから対戦の募集が来てる!」

 

「白夜叉さん?」

 

「ゲームプレイヤーの人で1ヶ月に1回くらいの頻度でランダムに対戦の募集をするの。」

 

『あ、白夜さんは帰ってきてから自分の部屋に行ったみたいです。さっきイアさんから何故か連絡が来ました。』

 

「何でだろうね〜…神崎ちゃんは白夜叉って人とするの?」

 

「う〜ん……それじゃあ1回だけ。」

 

神崎ちゃんはスマホのゲームを起動する。神崎ちゃんのゲーム画面を見てるけど……う〜ん…何してるか良く分かんない……。

 

「律は何か知ってる?白夜叉ってプレイヤーの人。ほら、少し前に殺せんせーとゲームしてたし。」

 

『そういえば、殺せんせーが「ニュヤァ!?また負けました……次こそはー!」と言って10回程連続でボコられてました。』

 

殺せんせー、マッハ20なのに負けたの?…あ、殺せんせーってテンパりやすいからかな?

 

「意外と負けず嫌いだよねー、殺せんせー。」

 

『ネットだと伝説になってますよ。数々のゲームでトップを総ナメしているそうで、戦績を見ると何百回もしているのに1回も負けてないんです。』

 

「…あ、負けちゃった……。」

 

「白夜叉さん凄く速かったね。」

 

「そういえば、裕翔君がゲームしてる時も名前、白夜叉だったよね〜。」

 

「偶然じゃない?」

 

「まあ、それもそっか〜。」

 

しばらく私達が喋っていると、いつの間にか皆寝てしまっていた。

 

 

…倉橋sideout

 

 

 

 

 

 

…白夜side

 

 

「ふーっ……対戦ありがとう、と。11時だったからできるか分からなかったけどできて良かった。息抜きも必要だしな。」

 

オレは帰ってゲームをしていた。オレは白夜叉として活動しており、このゲームのトップだ。

 

オレが普段、学校や他の事をしている時にイアに息抜きにしていいと言ったら毎日するようになり、今でもトップだ。

 

「まあ、するのは月に一度程度だがな。今回は…第4位のプレイヤーさんだったな。」

 

オレはそのプレイヤーにフレンド申請をして寝た。

 

 

…翌日

 

 

今は午後、皆はもう帰ったのでオレはペットショップに来ていた。

 

このペットショップは色々な動物が売っている。犬や猫を始め、鳩や隼までいる。

 

「いらっしゃいませー!何か飼われるご予定で?」

 

店に入ると人当たりの良さそうな女性店員さんが話しかけてくる。

 

「ああ、色々と見てから決めるよ。ありがとう。」

 

「は、はい//ごゆっくり見ていってください。」

 

オレが礼を言うと店員さんは顔を赤くして戻っていった。何で顔を赤くするんだ?オレ何かした?

 

オレは考えながらもペット達を見ていく。すると、白い毛をした猫と目が合った。真っ白の毛に金色の眼をしている。

 

『…ニャー。』

 

「…え?鳴いた?今まで一度も鳴いたことなかったのに…。」

 

白猫が鳴くと店員はとても驚いた。この猫、そんなに鳴かないのか。

 

オレはその白猫が入っているケースの前に行き、良く猫を見る。

 

『ニャー。…ニャー?』

 

オレがジッと見ていると白猫は首をかしげる。オレも白猫と同じように首をかしげる。こいつ鳴くけど?

 

「…栄養が足りていないのか?」

 

白猫を良く見ると栄養が足りていない事が分かった。

 

「!?分かるんですか!?…実はこの子中々餌を食べてくれなくて……鳴きもしないので買い取ってくれる人もいなくて…店もそんなに予算がないですし…。」

 

店員さんが涙目になりながらいらない情報と共に訴えてくる。いや、この店の予算事情を話されても困るんですが。

 

しかし何故この白猫は餌を食べないのだろうか…?このまま何も食べなければ栄養失調で死ぬだろう。

もしかしたら、餌が好みじゃないのかもしれない。自分の命よりも餌の好みを重視するのか?

 

「この猫はどうやって?」

 

「どうやって?……ああ!その猫は捨て猫でして。店長が時々連れてくるんですよ。3日前店長が連れてきました。とても綺麗で可愛いんですが…。」

 

なるほど、警戒してるのかもしれない。1回捨てられたので人間に対して不信感を持っているのだ。

 

「……買います。」

 

「え!?良いんですか!?」

 

「はい。少し気に入ったので。」

 

それにオレが前に暇潰しで作った物も使える。

 

「ありがとうございました!またのご来店をー!」

 

オレが猫を買うと店員さんは凄く喜んだ。…この猫の事を心配していたのが分かる。動物が好きなのだろう。陽菜乃と気が合いそうだ。

 

 

…10分後

 

 

『ニャー!』

 

「確か、ここにあったな。」

 

オレはこの前作った青色のスカーフを取り出す。このスカーフを白猫に付けようとすると警戒される。

 

「大丈夫だ。痛い事をする訳じゃない。ただ、お前と会話をしたいだけだ。」

 

『ごろごろ…』

 

安心させるように白猫の顎の下を優しく撫でる。オレは青色のスカーフを白猫につける。

 

『うぅ……お腹が空いた…。!?』

 

白猫ははっきりと日本語を喋った。まあ無理やり翻訳しただけだがな。

 

「失敗してなかったな。お前は何を食べるんだ?」

 

その後、白猫の食べたい食べ物を聞き、その食べ物を渡すと嬉しそうに食べる。てかマグロ食べるの?

 

『お腹いっぱいニャー!』

 

白猫は満足そうな声をする。とても元気に走り回っている。

 

「そうか。それは良かった。」

 

『どうしてボクを?』

 

「ボク?お前はメスじゃないのか?」

 

いや、この前黒崎が話してたボクっ娘?ってやつか?…猫だけども。

 

『ボクはメスです!これで安定したから良いですニャ!それよりどうしてボクを?』

 

「なんとなくだが?…強いて言うなら勘だな。」

 

『それ対して変わってないですニャ!!』

 

ツッコミ役がまた増えたな。渚と黒崎の負担が減るな。

 

『マスター!そちらの白猫は?』

 

白猫と会話しているとイアがオレのスマホに来る。

 

「さっきペットショップで買ってきた猫だ。」

 

『もう驚かないニャ…。』

 

『「」が同じ者同士仲良くしましょう♪』

 

『この娘少しメタいニャ!!』

 

こいつら意外と仲が良いな。気が合うのかもしれん。

 

『マスター、そろそろ…。』

 

「もうそんな時間か……。イア行ってくる。」

 

『はい♪お気をつけて!』

 

『……。』

 

白猫が寂しそうにオレを見ている。……今日から白猫もオレの家族だしな。挨拶なしなのは少し変だろう。

 

「白猫も留守番頼んだ。」

 

『はいですニャ!!』

 

この猫は大人しそうだが好かれたいのかもしれない。

 

 

…翌日

 

 

「白猫。少し頼めるか?」

 

オレは朝起きて足元にいる白猫に聞く。何でこんなに懐いてくれるのかは不明だ。

 

『何ですかニャ?』

 

「この手紙をこの匂いのする女の子の所まで頼む。オレの彼女だからオレからだと言えば受け取ってくれる。それからはオレが来るまでその娘の所にいてくれ。必ず迎えに来る。」

 

オレは鞄から手紙を取り出し、白猫に渡す。普通にメールを使えば良い話だが、これは白猫の力を見る為である。匂いが分かるか、オレのお願いを聞くか。

 

『?分かりましたニャ!では行ってきます!!』

 

白猫は元気に家を出る。手を振って見送り、中に入って珈琲を入れる。

 

『おはようございます、マスター!白猫ちゃんもすっかり懐きましたね。』

 

「意外と人懐っこくて良かったよ。店員さんから聞いた時はどれだけ苦労するか不安だったが心配なさそうだ。」

 

(それってマスターだからじゃないですかね?)

 

 

…白夜sideout

 

 

 

 

 

…倉橋side

 

 

「じゃあ行ってきま〜す!」

 

お母さんとお父さんにそう言って私は家を出る。今日も裕翔君と登校しようと思ってたけど用事があるって言ってたし、仕方ないよね。……ちょっと寂しいけど。

 

私が登校していると青色のスカーフを付けた白猫が金色の眼で私を見ながら走ってきた。

 

『見つけたニャーー!!』

 

「!!?…猫が喋った〜〜!!可愛い〜〜!」

 

私は白猫に抱きつく。凄く毛がサラサラだ〜。

 

『びゃ、白夜裕翔からニャ……。』

 

「え!?裕翔君から!?」

 

私は白猫から手紙を貰って読む。

 

『陽菜乃へ。この手紙を読んでいるという事は白猫は無事に渡せたようだな。今日は訳あって少し遅れる。白猫の面倒を見てくれると嬉しい。…好きだぞ陽菜乃。白夜裕翔より。』

 

倉橋「///」

 

それは反則だよ裕翔君……。

 

『そんなに顔を赤くして何が書いてあったニャ?』

 

「な、何でもない!そ、それより裕翔君が君を預かっててって私に言ったから一緒に学校に行こ♪」

 

『はいですニャ!』

 

私は白猫ちゃんと一緒に学校に行く。その間、どうして喋れるのかとかについて聞いた。やっぱり優しいな〜裕翔君は。

 

 

…倉橋sideout

 

 

 

 

 

…Noside

 

 

今はHRだ。

 

「なるほど…今日、白夜君は遅刻するんですね。分かりました。それでは…『皆さん!』ニュヤ?」

 

突然、HR中に律が声を上げる。

 

「どうしたの律?」

 

『こ、これを見てください!』

 

律の画面がテレビ画面に変わる。

 

『さあ、次のニュースは中学生であの有名企業、『ジニア』に社長就任。その気持ちを聞いて来ました!』

 

『どうも、おはようございます。この度は……』

 

そこに映っていたのはニュースキャスターと……………

 

 

 

 

我らがご存知白夜裕翔だった。

 

「「「「「……はあぁぁぁ!!!???」」」」」

 

「え?は?え?あ、ヤッター!!」

 

「殺せんせーのテンションがおかしな事になってる!?」

 

皆のテンションがおかしい中、教室の扉が開く。

 

「すいません、遅れました。……失礼しました。」

 

「「「「退室しようとするな!説明しろ!!」」」」

 

 

…白夜説明中

 

 

「……という訳で社長になった。ン、白猫。お帰り。」

 

白猫『ニャー!』

 

白夜は白猫を手の上に乗せる。

 

キーンコーンカーンコーン♪

 

「ニュヤ!?じ、じじじ時間ですよ!み、み皆さん!さ、さあ!席について!!」

 

「「「「まずお前が落ち着け!!」」」」

 

少しの混乱がありつつも今日も暗殺教室が始まる。

 

 




ワンフォーワンです!!

最後、終わり方が酷いですが気にせず行きましょう!……文才がほしいなー。

今回のサブタイトルの白猫はゲームではなく白夜君の新しいペットの事です!

今回出てきた『ジニア』という言葉ですが、白夜君が新しく社長になった会社の名前です!ジーニアスから取ってます。安直ですかね?

あ、それと白猫の名前を募集中です!

感想の方に書いていただけるとありがたいです!

それでは、また次回でお会いしましょう!!



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第25話球技大会の時間2

どうも、ワンフォーワンです!

皆さんは暗殺教室だと誰推しですか?

自分は殺せんせーと倉橋さんとカルマ君です!

あ、第25話球技大会の時間です!





…白夜side

 

 

球技大会が始まった。オレは5番、黒崎はベンチ行きとなった。

黒崎がベンチの理由は指を5本全部突き指したからだ。黒崎……お前何があったんだ。

 

まあ、黒崎は「俺がいなくても超人がいるから大丈夫だって!」と言っていた。超人って鳥間先生は出ないが誰の事だ?

 

(白夜の奴、絶対自分の事だって気づいてないな。)

 

黒崎の事は置いといて、今は球技大会に集中しよう。E組の先行で試合が始まり、1番バッターは木村。

進藤が投げたボールがキャッチャーミットの真ん中に収まる。

 

「ストライク!」

 

「140kmか…並の中学生なら打つのは容易じゃないな…まあ並ならだが。」

 

木村がセーフティバントを成功させ、1塁に出た。300kmのボールを見たオレ達なら140kmくらいなら止まって見えるだろう。

 

2番手は渚だ。今回も大丈夫だろう。

 

ただ1つだけ、問題があるとすれば理事長がいつ動くのかだ。理事長がこの状況を良いと思う筈がない。もし、出てこなければ安定して勝てるだろう。

 

オレがそんな事を考えていると渚のバントが上手く決まりセーフ。

 

3番は磯貝で3度目のバントだ。これもセーフ。……そろそろバレないか心配だな。

 

4番は杉野、バントの構えだ。進藤の方を見ると落ち着きが消えていた。

 

相手の集中力が消えていけばオレ達の勝率が上がる。どんな勝負でも先に集中を乱した方が負けやすい。だから煽りというのも戦略の1つだ。

 

「杉野ぉぉぉ…!」

 

進藤がボールを投げた時、杉野は打撃の構えに変えた。

 

(確かに武力ではお前には敵わねぇ……けどたとえ弱者でも狙い澄ませた人差しで巨大な武力を仕留める事が……できる!!」

 

ボールがバットに当たり、心地よい音を出す。カキーン!って音は中々爽快感みたいな物がある。杉野の打った球は走者一掃のスリーベースだ。これで得点は3点。

 

このままオレ達の有利な状況で終われば楽なんだが…。オレは向こうのベンチを見る。野球部の顧問が泡を吹いて倒れており、近くには理事長先生がいた。

 

「お、気づいた〜?」

 

カルマがニヤけながらオレの方に来る。どうやらカルマも気づいていたようだ。

 

「ああ。大方、野球部の顧問が体調不良で部員達は心配で集中できなかったので代わりに理事長が監督をやる、といった流れだろう。」

 

オレがそう言うと実況がオレが言った事と似たような事を言う。理事長が監督をするという放送により、本校舎の生徒達が沸き上がる。

 

「……相変わらず凄い勘だね〜。」

 

「そうだな。自分でも少し怖い。……ラスボスにしては登場が早かったな。空気もリセットされたし………ン?あ、オレの出番か。」

 

カルマと会話していると理事長の指示も終わり、オレの番になる。やはり理事長先生は対応が早いな。オレ達が変えた空気を元の状態に戻した。……まあ、空気なんてまた変えればいい。

 

オレはそう意気込んでバッターボックスに入る。

 

「裕翔君ー!!」

 

ン?……この声は陽菜乃か?声が聞こえた方を見るとE組の女子達がいた。……なるほど、もうバスケは終わったのか。

陽菜乃の方を見ると手をメガホンの代わりにして声を上げていた。

 

「頑張ってー!!」

 

「……応援ありがとな、陽菜乃。」

 

適当に振ったら当たったという役をしようと思っていたが中止だな。彼女に応援されたら全力で応えるのが彼氏という物だ。

 

理事長による教育(洗脳)を受けた野球部が守備に入る。にしても全員内野守備とは……。まあ、殺せんせー相手の練習よりかはマシだな。ボールを打ち返しても空を飛んで取られるなんてどうしょうもない。

 

「なるほど、バントしかできないと考えた訳か。ルール上ではフェアゾーンだから審判がダメと言わない限りは自由。…いい判断だな。」

 

オレは野球部に対して声をかけるが応じてはくれない。はあ……これで集中を乱してくれると嬉しかったんだがな。…それなら……

 

オレはイアに習った予告ホームランの構えをする。まあ、陽菜乃に応援されたんだから応えないとな。

 

『よ、予告ホームラン!!??E組如きが調子に乗っているぞ!?』

 

さっきから思っていたんだが実況が五月蝿いな。

 

オレが構えなおすと進藤が額に青筋を浮かべながらボールを投げる。

 

「ぬぅぅぅん!!」

 

……凄く簡単にキレたなコイツ。

 

「煽りへの耐性くらいつけた方が良いぞ。」

 

カキィィーーン!!

 

オレはバットに力を入れ、ボールをバットの芯に当てる。打ち返したボールはフェンスを越え、青空に消えた。

 

『ほ、ほほ、ホームランだぁぁ!!……E組如きが……予告ホームラン達成……!!?…嘘だろ……。』

 

「「「「やったーー!!!」」」」

 

E組全員が歓声を上げた。陽菜乃の方を見ると矢田と手を繋いでぴょんぴょんと嬉しそうに飛び跳ねていた。……そんなに喜ばれるとは…嬉しいな。

 

実況も進藤も本校舎の生徒も口を開けて呆然としている。理事長先生も見た事がない表情になっていた。

……理事長のあの表情は珍しいな。

 

オレは進藤を無視して悠々と一周し、陽菜乃の元へ。

 

「裕翔君〜!カッコ良かったよ!!」

 

「陽菜乃の応援のおかげだ、ありがとう。」

 

オレが礼を言うと陽菜乃は顔を赤くしながらも笑顔で応えてくれた。

 

恋愛感情という物は不思議な物だと思う。彼女から応援されればやる気や力が出てくる。理屈など1つもないが悪くはない。寧ろ応援されて嬉しくなって頑張れる。

 

オレは陽菜乃の事が好きなんだな、と改めて思う。応援されているんだから勝たないとな。

 

「陽菜乃、改めて応援ありがとな。」

 

オレは少し笑って陽菜乃に礼を言う。

 

(!裕翔君…それは反則だよ…///)

 

そう言ってオレはベンチへと向かう。ベンチに戻ると皆がオレの所に集まる。

 

「おう!ナイスホームラン!」

 

オレは杉野とハイタッチする。これが殺せんせーが言ってた青春というヤツだな。

 

「これで5対0!これなら楽勝だな!」

 

黒崎が突き指していない方の手でオレにサムズアップする。……ところで、何をしたら指を5本も突き指するんだ…?……やはり気になる。まあ、考えても良く分からない。まずは現状について考えよう。

 

オレの打席で予告ホームランをした事により野球部に精神的攻撃は効いてはいた。まあ、理事長が出てきて早々に予告ホームランを達成させられたのだから当然だ。理事長の教育(洗脳)で持ち上げられた闘志をまた壊す事ができた。

 

だが、理事長はすぐに対応し、教育(洗脳)を施した為、意味がなくなった。理事長は守備位置も変えることなくゲーム続行。頼みの殺監督は全員内野守備に打つ手なし。

 

結局、この後は点を追加できずにチェンジとなった。

 

 

 

 

続いては野球部の攻撃。我らがE組の杉野の変化球は三振を奪っていった。

 

「流石は杉野……で終われば嬉しいんだが。」

 

オレは野球部のベンチを見る。余程悔しかったのか理事長が進藤を凄まじい勢いで改造中だ。……アレはもう呪詛だ。

 

今すぐ誰かが死んでもおかしくないような勢いで「ねじ伏せる」「踏み潰す」「俺は強い」等の声が聞こえる。

 

果たして、最後はどうなるのか……。結末が見えない方がゲームとしては面白い。

 

次にセンターを守るオレはレフトを守るカルマに目を向ける。そのカルマの足元には殺監督。殺監督がしようとしている作戦……まあこの状況を利用したような作戦だろう。

 

 

 

 

2回表、E組の攻撃。バッターはカルマで、打席に………入らない。

 

「?早く打席に入りなさい。」

 

審判がそう言うとカルマが口を開いた。

 

「ねぇ…これずるくない?理事長せんせー。」

 

理事長を説得する作戦……ではないな。となるとカルマのこの講義は何か意味がある。

 

「こんだけ邪魔な位置で守ってんのにさ、審判の先生も何も注意しないのお前らもおかしいと思わないの〜?」

 

同意を求めるようにカルマが観客に言う。しかし観客からは同意の声がない。まあ当然だろう。アイツらはオレ達の味方をしない。

 

「あーそっかぁ、お前らバカだから守備位置とか理解してないんだね?」

 

そしてカルマが小バカにした態度で告げる。すると、観客席からブーイングとゴミが飛んでくる。……なるほど、殺監督のやりたい事が理解できた。

 

カルマは役目を終えたらしく打席に立つ。進藤の投球にはカルマも手も足も出ずに終わった。

 

 

 

 

 

2回裏、野球部の攻撃。杉野が変化球を放つも集中力が増えている進藤に打たれる。……あのボールは取っても大丈夫だよな?

 

進藤の打球をオレは不安ながらもジャンプしてキャッチする。オレのキャッチにより進藤がアウト。その後は野球部の三者凡退となり、1点の追加も許さなかった。

 

 

 

 

3回表、E組の攻撃。……進藤の球に手が出ずにスリーアウト。だが、これでここからは守備に集中できる。…野球素人のオレ達の守備など野球部からしたら気にもしないだろうがな。

 

後の不安要素としては理事長に最終調整をされている進藤。多少の不安は残るが大丈夫だろう。

 

 

 

 

 

3回裏、野球部最後の攻撃。杉野が投げたボールに対して野球部はバント攻撃を仕掛けた。

 

これは理事長の作戦だな。普通はバントをオレ達のような素人相手にすると納得してもらえない。だが、オレ達が先にした事により「手本を見せてやる」という大義名分ができ、加えて小技でも強いという印象を与えられる。……オレ達の作戦を利用されたか。

 

野球素人のオレ達が捌ける訳もなく悠々とセーフ。あっという間にノーアウト満塁だ。

 

『ノーアウト満塁!ここで迎えるバッターは……我が校が誇るスーパースター!進藤君だーー!!』

 

そこには大改造され集中力が増している進藤がいた。これも最終回の演出の為、最後はバントではなく強者のスイングで決めようって事だな。

 

「踏み潰してやる…!杉野ぉぉぉ!!」

 

進藤についてどうするか集合している皆から離れ、オレは殺監督を手招きで呼ぶ。間もなく殺監督が現れた。

 

「さて……殺監督。そろそろさっきの布石を生かす時じゃないか?」

 

オレが言う布石というのは、先程カルマが行った講義の事だ。

 

「ヌルフフフフ、やはり君も思いついていましたか。君とカルマ君にお願いしようと思っていました。」

 

「分かった。カルマにはオレの方から言っておく。」

 

オレはカルマを呼び、殺監督の指示という事にして先程の会話の内容を伝える。

 

「オッケー、じゃ行こっか。」

 

オレとカルマは外野と内野を交代してそのまま前進守備の位置につく。さて、そろそろこのゲームを終わりにしよう。

 

『さぁ!試合再開!ですが……こ、この前進守備は!?』

 

「明らかにバッターの集中を乱す位置で守ってるけど……」

 

「さっきお前らがやった時に審判は何も言わなかった。」

 

「「文句ないな(ないよね)理事長?」」

 

オレとカルマは声を揃え、挑発するように指を立てる。

 

野球において明確に妨害行為とされるのは守備側がバットに触れた場合。前進守備が集中を乱す行為かどうかは審判が判断する。しかし、先程のカルマの講義を却下したので審判も観客も黙認するしかない。

 

「(…なるほど、良く考えたが…小賢しい。)…ご自由に。選ばれた者は守備位置ぐらいで心を乱さない。」

 

そう、その発言を待っていた。理事長ならそう言うだろうと分かっていた。

 

「へぇ…言ったね?」

 

「じゃあお言葉に甘えて。」

 

オレ達は理事長の校長の話よりもありがたいお言葉に甘えて更に進む。進藤がバットを振れば確実にオレとカルマの骨が折れる位置に立つ。

 

『ち、近い…!前進どころかゼロ距離守備!振ればバットが当たる距離だ!!』

 

進藤は目を文字通り丸くしていた。理事長の教育(洗脳)も虚しく、集中は冷めている。

 

「気にせず打てよスーパースター。」

 

「安心しろ、杉野の球は邪魔しない。」

 

「フフ…くだらないハッタリだ。構わず振りなさい進藤君。骨を砕いても打撃妨害を取られるのはE組だ。」

 

この状況でも動揺しないとは…やるな理事長。だが、進藤が動揺しないかどうかは別だ。

 

「もしオレ達の骨を砕いたらどんな音がするんだろうな?『グシャ』か、『グチャ』のどっちの音だとお前は思う?」

 

オレは集中を更に乱す為に進藤に言う。効果があるのかは知らないがな。

 

(ヒッ……クソッマジで想像しちまった…!巫山戯た真似しやがって…大きく振ってビビらせば、引くに決まってる!)

 

進藤はバットを振り、オレとカルマはそれを殆ど動かずに避ける。杉野の投球は渚のキャッチャーミットの中だ。

 

「ストライク!」

 

(チッ……!何だよコイツら…てか白髪の奴さっき避けたのか?何か体がすり抜けたように見えたが……?)

 

遅いな……銃弾よりも遅い時点で絶対に当たらないが。まあ銃弾もオレは当たらないけど。

 

「ダメだよ、そんな遅いスイングじゃ。」

 

「そうだな。オレ達に当てたかったら銃弾よりも速くスイングしないとな。」

 

「お前の場合銃弾より速くても当たらない気がする。」

 

「カルマも避けれるのか。だったら意外と皆できるのかもな。」

 

(((((できる訳ねぇだろ!!!)))))

 

「「でもさ…もしもの可能性に賭けて……次はさ…殺すつもりで振ってごらんよ。」」

 

この時点で進藤の体は理事長の戦略についていけてない。進藤のスイングは腰の引けた物だったが球には当たり、近くに高く上がった。

オレは垂直飛びでボールをキャッチし渚に投げる。

 

「渚。キャッチしたら3塁に。」

 

「おわっと!」

 

渚はホームベースにタッチし、3塁に向かって投げる。そして2塁、1塁と回していく。

 

「と、トリプルプレー…スリーアウト…」

 

審判が掠れ声で告げる。

 

『と、トリプルプレー…!げ、ゲームセット…!…なんと…なんと…E組が…野球部に勝ってしまった!』

 

「「「よっしゃー!」」」

 

「「「やったー!」」」

 

実況の放送にE組の皆が歓声を上げる。観客はオレ達と違って冷めたような反応だ。

 

しかし、見てた人達は知る由もないだろう。試合の裏の2人の監督の数々の戦略のぶつかり合いを。

 

こうして、オレ達の球技大会(エキシビションマッチ)は幕を閉じた。

 

 

 

 

 




ワンフォーワンです!

今回の話は少し調子が良くて5000文字ほど書きました!

白猫の名前を活動報告でも募集してます!

それではまた次回でお会いしましょう!!



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第26話会話の時間

はい、ワンフォーワンです!

今回は少しシリアスを入れてみました!

……まあ、普段書かないから字数的に微妙になったので後半におまけ的な話もあります。

慣れない事はするもんじゃありませんねぇ。

それでは第26話会話の時間です!





…白夜side

 

 

球技大会が終わった後、オレと殺せんせーは2人だけで教室にいた。…さて、お互いにあまり良い話ではないのでどう会話を進めるか。

 

「……君のお父さんはお元気ですか?」

 

オレがどうしたものかと迷っていると殺せんせーの方から話しかけてくれた。

 

「いや、1年と少し前に死んだ。」

 

……まあ、解答はこれなんだがな。

 

「……そうですか。それはすいません。」

 

「別にアンタが殺したんじゃないし、オレは自由の身になれたんだ。だから謝る必要はない。」

 

「いえ、その…悲しんだりしているんじゃないかと思い……」

 

「悲しくはないな。」

 

「!?……そうですか。」

 

殺せんせーは驚いた後、いつもの表情で…しかし、どこか悲しそうな表情で言った。

 

「………アンタは何でオレがジニアスルームの生徒だと思ったんだ?」

 

「……君の正体について分かったのがイトナ君が来た時です。君の殺気が昔、ジニアスルームで受けた殺気と全く同じだったのでびっくりしましたよ。」

 

……なるほど、その時か。アレは失敗だった。できれば知られたくなかった。

知られた所で損はないが、皆のオレに対する態度が変わってしまうのではないかという不安があった。

 

「心配せずとも彼らは気にせず今まで通りに接してくれますよ。勿論、倉橋さんもです。」

 

「……そう、だな。……言わなくちゃいけない時が来たら言おう。それはアンタもだろ?殺せんせー。」

 

「そうですねぇ。」

 

殺せんせーは何処か遠い所を見るような目で言う。……暗い雰囲気になってしまった。

 

これはオレが最も嫌いな、苦味だ。だが、避けては通れぬ道。だからオレは話すし、これの先にオレの求めた甘味があると信じている。

 

甘味を求めているのに苦味のある道を通るという矛盾だが、それもまた人生だと思う。しかし、いつまでもこの話題をするのは得策ではなさそうだ。

 

「……アンタに頼み事があるんだ。受けてくれるか?」

 

オレは話を変え、殺せんせーに依頼する。オレの事情を知っている者で信頼できる者にしか頼めない事だ。

 

「分かりました。どんな頼み事ですか?」

 

「実は5歳の時のある一部の記憶がないんだ。」

 

「え?えー!?君、完全記憶能力はどうしたんですか!!?」

 

「……たぶん、記憶を消された。だから記憶を取り戻させてほしい。」

 

……あの男なら記憶を消す装置くらいあるだろう。恐らく、教育において不要な経験があったのだ。

 

「…先生も君の助けになりたいですが先生にそんな力は……。」

 

「いや、殺せんせーはオレが作った装置の記憶復活機の操作をオレが言ったとおりにしてほしい。そうすればオレの記憶は戻る。」

 

「えーー!!??」

 

「驚き過ぎじゃないか?」

 

「いや一般的な反応ですよ!?」

 

イアに頼めば良いかもしれないがイアはオレの家の警備などをしているので重要な事は頼めない。というかイアは働き過ぎだしな。

 

「まあそんな事は置いといて。」

 

「わ、分かりました。要はその装置を操作すれば良いんですね?」

 

「ああ、そうすればこのハンカチの事も分かる。」

 

オレは自分のポケットからピンク色のハンカチを取り出す。

 

「ニュ?そのハンカチは?」

 

「ジニアスルームを出る時にオレの部屋で見つけたハンカチだ。だが見覚えがない。」

 

「KH?何かのイニシャルですかね?」

 

ハンカチにはKHと糸で縫って書いてあり、誰かの物だと分かる。

 

「ああ、恐らくな。オレのイニシャルじゃないからオレへのプレゼントではない。……まあ考えても仕方ない。取り敢えず記憶を復活させれば分かる事だ。」

 

オレの部屋にオレではない誰かの物がある。このハンカチに対しての見覚えが全くないので5歳の時の記憶に関連しているかもしれない。

…まあ誰かがオレの部屋に間違えて落としただけかもしれないが……。しかし、オレの勘がこのハンカチはオレの5歳の時の記憶と関連があると告げる。

 

オレはふと、窓の外を見る。辺りは少し暗く、あと30分もすれば太陽の光は消えるだろう。…何か裏に潜む吸血鬼みたいなセリフだな。

 

「時が過ぎるのは早いですねぇ。」

 

「ああ、同感だ。……あ、白猫の餌を買わないとな。そういう訳でオレは帰る。」

 

「ニュ?そうなんですか?それではまた明日。」

 

「ああ、また明日。」

 

オレは校舎から出て、ゆっくりと歩いていく。…今日の晩ご飯は……鮭だな。

 

 

…翌朝

 

 

「よぉ!おはよう白夜!」

 

「ン?ああ、おはよう黒崎。」

 

声のした方を見ると黒崎だった。いつも通りの元気な声でその元気は何処から来るのか、と疑問に思う。

 

「これって作者がシリアスっぽい感じをぶっ込んだは良いけど字数的に微妙だから続いてるんだよな?」

 

「急に何を言ってるんだ?」

 

黒崎は頭でも打ったのだろうか。だとしたら不幸だな。指を5本突き指した挙げ句に頭もぶつけるとは。

 

「そういや英語の教科って殺せんせーとは違う人がやるんだろ?」

 

「まだビッチ先生に会ってなかったのか。」

 

「ビッチ先生?……あの金髪の人だろ?英語の先生。」

 

「ああ。授業中は気をつけた方が良いぞ。」

 

「?お、おう。」

 

 

…英語の授業

 

 

キーンコーンカーンコーン!

 

英語の授業開始のチャイムと共にビッチ先生が入ってきた。

 

「お、アンタが黒崎ね。自己紹介するのは初めてかしら?イリーナイエラヴィッチよ。気軽にイエ「淫乱イヤ〜んビッチ?」ぐはっ!?」

 

「クッ…プッ…」

 

「おいこらカルマ!あんたらも笑ってんじゃないわよ!…あら、白夜は笑ってないのね。」

 

黒崎の言葉に皆は笑ってしまっている。

 

「…………」ぷるぷる

 

…オレも限界かもしれない。

 

(裕翔君、凄いぷるぷるしてる……可愛い。)

 

「ぷるぷるしてんじゃないわよ!!キー!何よ!私に味方はいないわけ!?」

 

「そんな事はありませんよ。淫乱イヤ〜んビッチ先せ「コロス!」ニュヤァ!!」

 

殺せんせーが外の窓からそう言う。ビッチ先生は鬼の形相で窓を飛び越え、銃を撃ちながら殺せんせーを追いかける。

 

尚、この事件は鳥間先生によって止められた。授業は少し遅れたのでいつもよりやや早めのスピードになった。

 

 

…休み時間

 

 

「…あれが英語の教師のビッチ先生だ。」

 

「あのビッチめ…俺にキスしてくるとは。…?白夜もされたのか?」

 

「いや、全部避けてる。」

 

「……ところでこの話、どうやって終わるんだ?」

 

 

 

 




どうもワンフォーワンです!

最後の話っているのかなー…と思うのですが最後の話を書かないと1500文字くらいしかないんですよね…。

結局は雑な終わり方になってしまうし、文才が欲しいなーと思います。

という訳で(どういう訳だろう?)久しぶりのあのコーナーです!


『教えて!白夜君!』


白夜「久しぶりのこのコーナー。白夜裕翔です。」

黒崎「それとゲストの黒崎和人だぜ!」

白夜「(ゲストって自分で言うのか?)…今回の質問は…「黒崎君はどうして指を5本突き指したんですか?」だ。じゃあ黒崎、答えてくれ。」

黒崎「ん?ああ…妹とバスケをしててな。キャッチしようとしたらミスって突き指した。」

白夜「意外と普通の理由だった……。と言う事で今回はこの辺でー…それでは、」

黒崎「また次回でお会いしましょう!」



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第27話日常の時間

どうもワンフォーワンです!!

白猫の名前はまだ募集中です!感想か活動報告の方に書いてくださると嬉しいです!

それと、第30話くらいまでオリジナルの日常回にしようと思います。

それでは第27話日常の時間です!どうぞ!


…黒崎side

 

 

俺からの視点で始まるのは初めの事だな!俺の名前は黒崎和人だぜ!

 

突然だが、俺の家庭について紹介しよう!俺の家は3人家族だ。元々は4人家族だったが父親が6年程前に死に、母親が1人で働いている。

 

母親は仕事が忙しく中々帰ってこないので、俺と俺の妹の2人だけでいる事が殆どだ。

 

「おにいー!ご飯できたよー!」

 

下の階から元気で明るい、俺の妹の声が聞こえる。

 

妹は俺の事を「おにい」と少し変わった呼び方で呼ぶ。…まあそこがまた可愛いんだけど。

 

ちなみに家事などは全て俺の妹がしているため申し訳ないと毎回思っている。

 

「おにいー!まだ寝てるの?」

 

考え過ぎたのか妹がしびれを切らした様子で俺の部屋にバンッ!という音と共に入ってくる。

 

「お、おお!すまん、な!」

 

「はぁ……またやってる。」

 

妹は俺の様子を見るとため息をつきながらやれやれといった雰囲気を出している。

 

「これは俺の…日課だからな!」

 

「ていうか何その筋トレ?ていうか筋トレ?」

 

今、俺はバランスボールの上で両手にダンベルを持ち、鍛えている。改めて考えてみると確かに筋トレなのかは怪しいな。

 

「う〜〜ん……筋トレに近い何かだな!」

 

「はいはい、ご飯が冷めちゃうから早くしてね〜!」

 

「悪いな、林檎。…ふぅー…良し!飯にするか!」

 

俺の妹…名前は黒崎林檎だ。とても元気で活発な自慢の妹だ。

 

「はーーい!!」

 

俺達はリビングに行き、椅子に座る。目の前には、ベーコンエッグとパンがあり、食欲をそそられる。

 

「「いただきまーす!」」

 

合掌をして、2人同時にパンに手をつける。

 

「モグモグ……んー!やっぱり朝はパンだよな!」

 

「私はご飯派なんだけど…。」

 

モグモグと食べながら林檎にジト目で見つめられる。

 

「マジで?パン好きなんだけどなー。」

 

「おにいを気遣って今回はパンにしたの。」

 

「いやー林檎さんにはいつも頭が上がりません。」

 

「ふふふ、何それ?」

 

林檎は可愛らしくクスクスと笑っている。

 

ピンポーン!

 

「お?誰か来たみたいだな。」

 

「じゃあ私が出るねー!」

 

 

…黒崎sideout

 

 

 

 

…白夜side

 

 

時刻は朝、9時30分。昨日、黒崎がシャーペンを忘れてたから届けに来たが起きてるよな?

 

そう思っているとガチャとドアが開く。

 

「新聞なら間に合ってま…す……え?」

 

中から栗色の髪にガラス玉のような綺麗な瞳の少女が出てくる。…ん?…確か黒崎の妹の黒崎林檎だったか?……いや、新聞じゃないんだが。

 

「あの…「ちょっと待ってください!」」

 

もしかして、忘れられてるのか?そしてオレを怪しい人とかに思われてる?だとしたらかなり傷つくんだが。

 

 

…白夜sideout

 

 

 

 

…黒崎side

 

 

「ちょっと待ってください!」

 

バタンッ!

 

パンって美味いんだけどなぁ…。と思いながら食べていると玄関の方から大きな音がした。

 

「!?どうした林檎!」

 

「な、な、なな、何か玄関にテレビの俳優みたいなカッコいい人がいた!」

 

林檎があたふたとしながら「どうしよう、どうしよう」と言っている。そんな姿もまた微笑ましい。

 

「テレビの俳優みたいなカッコいい人?……見た目は?」

 

「えーっと、綺麗な白い髪に、赤い目をしてた!アルビノの人かな?綺麗だし、カッコよかったなー。もし俳優だったらサイン貰お!」

 

白い髪?赤い目?綺麗でカッコいい?……あ、白夜じゃね?

 

「……ちょっと出てくる。」

 

「え?出てくるってこう…お化粧とかしなくていいの?」

 

え?俺って臭うの?ねぇ、臭うの?ていうかお母さんの化粧品使おうとしてない?

 

「…待たせる方が悪いだろ。」

 

……気にしないようにしよう。俺は心に大雨を降らしながら玄関のドアを開ける。べ、別に泣いてなんていないんだからね!!俺のツンデレって需要ねぇな。心の中で巫山戯ながらドアを開けるとやはり白夜だった。

 

「あ、出た。黒崎、昨日シャーペン忘れてたぞ。」

 

「え!?マジで!?すまん!助かった。」

 

「あ、あのサインください!」

 

林檎が俺の横からピョコっと出てきて色紙とペンを向ける。何処にあったの?俺知らなかったよ?というか白夜だよ?覚えてないの?

 

「あー……もしかして覚えてない?」

 

「可能性としては大きくあるぞ白夜。」

 

「白夜……あ!もしかして白夜さんですか!!」

 

林檎は顎に手を当て、可愛らしく「うーん……」と言いながら考えるとパッと顔を明るくして言った。やっぱり覚えてなかったか…。

 

「そうだ。久しぶりだな。」

 

「お久しぶりです!ご飯食べていきますか?…あ、あと私の事は林檎って呼んでくれれば良いですよ♪」

 

「そうか、なら林檎と呼ばせてもらう。ご飯だが、7時にもう食ったが……まあ、誘いを断るのも申し訳ないしな。お前らが良ければいただこう。」

 

「どうぞどうぞ!」

 

林檎は明るい笑顔を振り撒きながら白夜を中に入れる。俺もそれに続き、再び椅子につく。何か忘れられてね?と思ったが気のせいだろう。

 

「あ、今持っていきますねー!」

 

「すまん、助かる。」

 

「そういえば白夜さん、この前ニュースに出てましたっけ?」

 

林檎が白夜の前に皿を起きながら聞く。

 

「ああ、自分で出ておいて何だが外に出ると目線がキツイな。他の人は目立たないのに何故だろうか。」

 

((そりゃその見た目じゃねー。))

 

白髪って時点でまず目立つ。……何か林檎と意見が合った気がした。

 

「それじゃあ、いただきます。」

 

白夜は合掌をしてからパンを食べる。

 

「どうですか?お口に合えば良いんですけど……あ、ジャム勝手に選んじゃった…!」

 

林檎の言葉を聞いて、パンを見るとリンゴジャムが塗られていた。

 

「美味い…やっぱりパンにはリンゴジャムだな。」

 

「あ!そうですよね!でも、おにいは砂糖をそのままかける派なんですよ!ちょっと引きません?」

 

マジで?いつも引かれてたの?嬉々として砂糖をかけてたんだが……。

 

「それはそれで美味そうだな。今度試してみる。」

 

「え〜マジですか〜……?」

 

「コイツ、凄い甘党だからな!」

 

俺達はそんな雑談を交わして朝食を食べた。とても美味しかったです。……って作文か!!

 

「「「ごちそうさまでした。」」」

 

「美味しかった、ありがとう。…悪いがオレはこの辺で帰らせてもらう。」

 

「えー?マジでー……これから大胸筋について語ろうと思ってたのに……。」

 

まあ、白夜も白夜なりに忙しいんだろうな。

 

「それは悪い。また学校で殺せんせー辺りに話してみてくれ。」

 

「サラッと俺の話を聞かずに終わらせようとしてる!?今日は何か大胸筋の調子が良いんだよ。」

 

「おにい、きっと気のせいだよ。」

 

林檎が俺の方に手を置いて言う。やめろ!その可哀想な物を見る目をやめろ!

 

「林檎まで!?白夜は午後なんかあんのか?」

 

「ああ、陽菜乃とデート?の予定だ。そういや黒崎、デートってなんだ?」

 

白夜が俺に対して真面目な顔で聞いてくる。いや、大抵の時は無表情だったはコイツ。

 

「デート!?あ、そうか、お前倉橋と付き合ってたな。良いか!デートってのはな…………」

 

俺は白夜にデートという物の意味を教える。まあ、マンガとかアニメとかの知識だけど。林檎が俺を冷たい目で見ている気がするがきっと気のせいだな。

 

「……って感じだ!分かったか!」

 

「ふむ、大体分かった。要は男女が2人で買い物に行く事をデートと呼ぶんだな。」

 

「あー…うん!そうだ!ちゃんとエスコートしろよー!!」

 

「分かった。……遊園地とかが定番らしいな。ありがとう黒崎。参考になった。」

 

「楽しんで行けよー!」

 

白夜が玄関から「お邪魔しました。」と言って出ていった。……意外と行儀が良いんだな。

 

「よくデートを語ったね、おにい。」

 

「頼られたら応えるのが親友ってモンだよ。」

 

「彼女いない歴=年齢のおにいがデートを語れるとは思わなかったよ!」

 

「サラッと俺にダメージを与えるのやめよう?……さて、後はアイツらを呼ぶだけだ!」

 

フッ…読者の皆ならこの後何をするかなんて簡単に分かるだろ?

 

「うわ!おにいが凄く悪巧みしてる顔をしてる。もしもし、ポリスメーン?」

 

「冗談でもやめようね、それ!!心臓に悪い影響を与えちゃうから!!」

 

林檎の発言に注意しながらも俺はメールを打った。

 




ワンフォーワンです!

今回の話、いかがでしたでしょうか?

今回は新しいオリキャラを登場させました!

第30話くらいになったらプロフィールの時間2として白猫とかと一緒に紹介しようと思います!

皆さんはパンはどうやって食べますか?

マーガリン、ジャム、ピザ風、砂糖、そのまま、焼くだけ…etc……こうやって書くと色々ありますね。

しつこいですが、白猫の名前を募集してます!

皆さんのアイデアを私にお願いしますーー!!(泣)

それでは、また次回でお会いしましょう!


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第28話デートの時間

どうも、ワンフォーワンです!

自分の話を見返してたら白夜君と倉橋さんのデートをしてないなと思って書きました!

実は書いていなかったという新事実が発覚しました。

それでは第28話デートの時間どうぞ!



…とあるグループLI○Eにて

 

 

『今日、倉橋と白夜がデートするってさ。』

 

『マジで〜?』

 

『お〜、これは2人の進展を見るチャンスでは?』

 

『ニュヤ!?これは担任として見逃せませんねぇ…。』

 

『下世話だ……。』

 

『……おじゃましまーす!白夜様のマネジメントAIのイアと申します♪』

 

『『『マネジメントAI?』』』

 

『という予定で作られたんですけど今となってはただの喋り相手ですね。』

 

『つまり?』

 

『白夜様専用のサポーターだとでも思ってくれれば嬉しいです!』

 

『え、俺これから尾行しようと思ってた事伝えないでくれねぇか!?』

 

『?…いえ、その尾行の作戦に私も参加したくて声をかけたのですが……』

 

『お、そういう事なら歓迎するぜ!じゃあ詳しい作戦についてだが……』

 

…というL○NEでの会話があったという……。

 

 

…白夜side

 

 

梅雨にしては珍しく晴れた今日。…こういうのをデート日和というのだろうか?

ジメジメとした空気もなく、空を見れば曇りのない青空と久しぶりの登場で張り切っているかのように輝く太陽が見える。

 

そんな事はさておき、約束だと2時に集合だったな……30分くらい早い、1時30分に来てしまったが。

 

「……まあ待つしかないか。」

 

オレがそう思っていると、陽菜乃の姿が見えた。

 

「……ごめんね!待たせた?」

 

「いや、今来たところだ。じゃあ手、繋いでいいか?」

 

オレは陽菜乃に向かって手を出す。

 

「え?」

 

「あ、オレと手を握るの嫌だったか?」

 

「…ううん//じゃあ行こっか。」

 

陽菜乃とオレは手を繋ぐが、確かイアの情報によると手に指を絡める方が良いんだったか?確か、名前は恋人つなぎだったか?

オレはイアの言葉を頼りに陽菜乃の手に指を絡める。

 

「…ひゃっ!///…裕翔君!?」

 

「いや、イアがこうすると良いって言ってたから。嫌ならやめるが?」

 

「!、嫌じゃない!(うぅ…また裕翔君のペースだ……。)」

 

「そうか、それは良かった。こうすると何か安心するからな。」

 

倉橋「////(それは反則だよ…)」

 

何か陽菜乃の顔が赤いな。もしかして風邪か?

 

白夜「陽菜乃、もしかして風邪か?ちょっとゴメンな。」

 

オレは陽菜乃の額に手を置く。

 

倉橋「え?あ、///」

 

オレは手から感じた温度から陽菜乃の体温を推測する。36.8℃か……少し熱いか?まあ、風邪の心配はないな。

 

「ンー…熱はないな。でも、もし体調が悪くなったら言ってくれ。」

 

「…うん、分かった…//」

 

「…今日は何処か行きたい所あるか?実はデートをした事がないからどうすれば良いのか分からないんだ。だから、行きたい所があるなら言ってくれ。」

 

「私は特に行きたい所とかはないかな〜…ごめんね。私も初めてで……。」

 

陽菜乃の発言にオレはホッとした。オレは陽菜乃の初めての彼氏がオレで良かった、と嬉しく思う。

 

「…そうか。それは良かった。」

 

「え?」

 

「いや、陽菜乃の初めての彼氏がオレで良かったと思ってな。」

 

「!…////」

 

それにしても場所か……。

 

「……場所だが遊園地で良いか?」

 

オレはしばらく考えた末、遊園地にする事にした。動物園や水族館でも楽しめると思うが遊園地は少し前から気になっていたのだ。

 

「……え?あ、うん!じゃあレッツゴ〜!」

 

風邪かと思ったが元気そうで良かった。ン?後ろの方から視線が……。

オレは後ろの方を見るが特に誰かいるわけでもない。……気のせい、か?

 

 

…白夜sideout

 

 

 

 

…黒崎side

 

 

「何か口の中がジャリジャリするし、すげぇ甘いんだが……。」

 

俺砂糖なんて食ってないのに何でだ?

 

「あ、移動しましたよ!!」

 

「今、白夜がこっちの方見なかったか?」

 

「流石にないだろ……あれ?ないよな?」

 

「「「不安になってんじゃねぇよ!!」」」

 

いや……流石にないか。いくらアイツが凄く勘が良くて、化け物みたいなスペックしてても流石にな。流石に展望台から見ている俺達に気づく訳が……

 

「「「あれ?大丈夫だよね?」」」

    

やべぇ……凄く不安になってきた。

 

 

…黒崎side

 

 

 

 

 

…白夜side

 

 

オレと陽菜乃は少し歩き、目的地の遊園地に着いた。

 

「家族連れかカップルが多いな。」

 

「まあ、遊園地だからね〜!最初は何にする?」

 

「あの速いやつはどうだ?」

 

オレは急降下する長い乗り物を指す。名前は分からないが面白そうだ。

 

「?…あ、ジェットコースターのこと?良いよ!じゃあ乗ろっか!」

 

アレってジェットコースターって言うのか。オレは陽菜乃に手を引かれ、列に並ぶ。少し陽菜乃と話しながら待っていると順番が来たので2人で1番前に乗る。

 

「うぅ…ちょっと怖いかも…。」

 

陽菜乃が少し目を閉じながら言う。…そんなに怖い物なのか?

 

「手、握るか?」

 

手を握ると安心するらしい(イア曰く)のでオレは手を握るか聞く。

 

「……うん、ありがと//」

 

オレの手を陽菜乃が握るとジェットコースターは動き出した。段々と上へ昇っていき、頂上に来た所で停まる。

 

「これは中々高いな。」

 

素直な感想を述べているとジェットコースターは前に進み、急降下する。

 

「「「きゃァァァァーー!!」」」

 

風の音と同時に悲鳴が聞こえる。陽菜乃もオレの手を強く握りしめている。

 

「おお……。」

 

……意外と楽しい。その後も1回転したり、急にカーブしたりする。……それと同時に悲鳴も上げられる。ジェットコースターは1、2分程度で終わった。

 

「うぅ……怖かった。」

 

「それは悪かった。オレの気遣いが足りなかった。」

 

オレは平気だったがアレは怖い人は怖いかもしれない。

 

「ううん、楽しかったよ!それじゃあ他のも行こ!」

 

「ああ、と行きたい所だがトイレに行ってきて良いか?」

 

ジェットコースターの後、女性は髪を整えたりしたいらしいので(さっきイアに聞いた)オレはトイレに行く。…ていうかイアが頼りになりすぎてる。

 

「あ、じゃあ私も行くからまた後でここに集合しよ〜!」

 

トイレから出た後、少し待っていると陽菜乃が来たのでデートを再開する。

 

「えーっと、じゃあアレにしよ!」

 

陽菜乃が指したのはお化け屋敷と書かれた建物。

 

「分かった、じゃあ行くか。」

 

その後もオレ達のデートは続いた。

 

 

お化け屋敷では……

 

「ヒャッ!?」

 

「おっと…大丈夫か?」

 

陽菜乃が驚いて躓いたので体を支える。

 

「う、うん//ありがと…。」

 

(白髪の奴、全く驚かねぇ…!このお化け屋敷ってトップクラスで怖いって噂されてんのに…。)

 

 

複数の馬が回っている物(メリーゴーランドというらしい)では……

 

「おお、何か上下するな。」

 

「何か初めて遊園地に来た子どもみたいで少し可愛い…。」

 

馬の形をした物が上下しながら何周もしていた。

 

 

凄く揺れている船(バイキングというらしい)では…

 

「キャァーー!!」

 

「おお…コレはジェットコースターとは違った面白さがあるな。」

 

体が時々浮くのが意外と面白い。そんな感じで色々なアトラクションに乗り…

 

 

…3時間後

 

 

「え!?もうこんな時間!?」

 

「遊園地の時間的に次で最後だな。」

 

「じゃあ最後は……観覧車!!」

 

観覧車……あの個室みたいな物がたくさん回っているヤツだな。オレと陽菜乃は観覧車に乗る。観覧車に乗るとお互いに無言が続いた。

 

「……今日は一緒に遊園地に行ってくれてありがとうな。楽しかった。」

 

オレは意を決して陽菜乃に声をかける。

 

「私も楽しかった!それに、最後に裕翔君と2人で観覧車に乗れて嬉しい。」

 

「ああ、オレも嬉しい。」

 

また少しお互いに無言になった。

 

「……ねぇ、裕翔君。」

 

今度は陽菜乃の方から話しかけてきた。

 

「何だ?」

 

「この観覧車の頂上でき、キスしたカップルは永遠に結ばれるんだって///」

 

この観覧車、そんな噂があるのか。頂上でキスをしたカップルは永遠に結ばれる、か。

 

「……陽菜乃、1つだけ聞いていいか?」

 

オレは観覧車の頂上に来た事を確認して言う。

 

「な、何?」

 

「キス…していいか?」

 

観覧車は頂上で静止している。まあそういう噂を流しているのだから止めているのだろう。

 

「……うん///」

 

陽菜乃はそう言って目を閉じる。

 

「……ン。」

 

「…ん///」

 

オレは陽菜乃を右腕で支えて優しくキスをする。少し開いた陽菜乃の口の中に自分の舌を入れる。

 

「んっ!?////////……ちゅうぅ……んんっ…ん……ぷはっ……(何このテクニック!?ビッチ先生より上手…////)」

 

お互いに唇を離し、荒くなった息を直す。オレと陽菜乃は少し気まずくなり、無言が続く。…少し強引過ぎたか?

 

オレは心の中で反省しながら陽菜乃に話しかける。少し気まずかったが少しずつ会話を弾ませる。今なら切り出せるか?

 

「……陽菜乃に似合うかもと思って買った物があるんだがいるか?」

 

オレは陽菜乃に今日渡そうと用意した物を思い出した。

 

「え!?嬉しいけど……良いの?」

 

「ああ。…じゃあ受け取ってくれるか?」

 

「…うん。」

 

オレはポケットから綺麗に包装された箱を取り出し、陽菜乃に渡す。

 

「…開けていい?」

 

「ああ、開けてみてくれ。」

 

オレがそう言うと陽菜乃は丁寧に包装を取り、箱を開ける。

 

「ネックレス?」

 

箱の中にはピンクコーティングの物とブラックコーティングのピンクより少し大きめのネックレスが入っている。ピンクの方が少し小さめでブラックの方が少し大きめになっている。

 

「ペアネックレスだ。ピンクコーティングされている物が陽菜乃のネックレスだ。着けさせて良いか?」

 

「う、うん//ありがとう。」

 

オレは陽菜乃にネックレスを着ける。良し、やっぱり陽菜乃は何でも似合うな。

 

「綺麗……。」

 

陽菜乃はネックレスを見ながらそう言った。…喜んで貰えたようで良かった。

 

「ああ、良く似合ってるぞ。」

 

オレがそう言うと陽菜乃は顔を俯かせた。……何か湯気が出てないか?

 

「…じゃあ裕翔君には私が着けるね!」

 

陽菜乃は顔をバッと上げて言った。…顔が少し赤いが……。

 

「ン、ありがとう。」

 

オレは陽菜乃にネックレスを着けてもらう。

 

「良く似合ってるよ!」

 

「ありがとう。」

 

オレはそう言った後、先程よりも低くなった景色を見る。この観覧車が終われば遊園地の時間的にデートも終わってしまう。

 

「…離れたくないな〜…。」

 

「ああ、オレもだ。」

 

「…裕翔君の家に泊まろうかなぁ…。」

 

とても歓迎したいところだが……

 

「いや、いきなり言うのは陽菜乃の両親にも心配をかける。…また、今度にしてくれないか?」

 

「うん……。」

 

少し寂しい雰囲気になってしまった。この空気は慣れてないからどう対応すれば良いのか分からないから苦手だ。

 

「今日は楽しかったか?」

 

オレは話題を変え、陽菜乃に話しかける。

 

「…うん!楽しかったよ!」

 

「オレも楽しかった。…陽菜乃。」

 

「?」

 

「…またオレと来てくれるか?」

 

「!うん!また来ようね!」

 

こうしてオレ達の初デートは幕を閉じた。今度は動物園に行ってみるか。

 

 

…白夜sideout

 

 

 

 

…黒崎side

 

 

「アイツら観覧車に入っていったぞ。」

 

俺達は白夜と倉橋の後を追い、遊園地に入っていた。

 

「マジか〜、じゃあ良く見れないじゃん。」

 

「というか殆ど見えなかったけどな。」

 

と言われても仕方ないんだよな〜……。アイツの気配察知能力は異常だ。だから俺達の中の奴らは殆ど諦めて普通に遊んでいた。

 

「んー……ニュヤ!?」

 

ちなみに殺せんせーだけ、目が何かニョイーンって感じで伸びて2人の様子を見ているらしい。そして、殺せんせーが驚きの声を上げた。

 

「どうした殺せんせー!?」

 

「いや〜、青春ですねぇ。」

 

「どういう事だ?」

 

「いえ、2人があまりにもロマンチックにキスをするものですから。」

 

『…そうですか!お二人の仲の良さを知れて良かったです♪それではありがとうございましたー!』

 

そう言ってイアは俺のスマホから出ていった。

 

「…ま、弄ろうかなぁって考えてたけど裕翔君相手じゃ効き目薄そうだし、俺も帰るね〜。」

 

「じゃあ俺も帰るわ。」

 

そう言ってカルマと前原も帰っていった。…イアも前原もカルマも何か焦っていたような……。

 

白夜「お前ら何してたんだ?」

 

To Be Continue

 

テーレッレッレー、レーレッレー、テーレレッレーレレー

 

ジョジョならこうなってるな……。

 

はあ………マ・ジ・デ・ス・カ!

 

 

…黒崎sideout

 

 

 

 

 

…白夜side

 

 

オレと陽菜乃のデートの翌日、オレと陽菜乃は一緒に登校する約束をしていた。という訳で待ち合わせ場所でオレは陽菜乃を待っていた。

 

それと昨日のデートの帰りに殺せんせー、前原、黒崎に会い、何をしていたかと聞いたら絶望の表情で走って行った。……何でだ?

 

「お待たせ〜!やっぱり早いね〜裕翔君は!」

 

そんな事を考えていると陽菜乃が走って来た。オレってそんなに早いか?

 

「そうか?…じゃあ行くか。」

 

「オッケー!じゃあはい♪」

 

陽菜乃は明るくそう言ってオレに手を出す。

 

「ン?」

 

どういう意味の手なのだろうか?

 

「今日は私から〜!」

 

「…なるほど、そういう意味か。」

 

意味を理解したオレは陽菜乃の手を握り、少し嬉しく思った。……陽菜乃の着けているネックレスを見て。

 

 




ワンフォーワンです!

久しぶりに甘い話を書こうとしたらコーヒーを何杯も飲んでしまいました…笑

デート回ってどうやって書こうかと何回も悩んでしまいましたね……。

え?そんな事はどうでも良い?

そんな悲しい事を言わないで下さいよー……。

白猫の名前も募集してます!

それではまた次回でお会いしましょう!


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第29話看病の時間

皆様、お久しぶりです!ワンフォーワンです!

自分の作品が「面白い!」と言っていただけたり、他の作者様が紹介してくださったりと嬉しい事がたくさんありました!

という訳で久しぶりにやる気が出て書いてみたら殺せんせーの口調が迷子になったり、白夜君の口調が迷子になったりで結構時間かかりました……。

今日、実は自分は散髪に行きまして……え?本編はまだか?まあ少し待ってくださいよ〜。

そんな訳でマスクをしたんです。

そんな時に思いついた話が今回です。

という訳で長らくお待たせいたしました!

第29話看病の時間です!どうぞ!



…白夜side

 

 

この前のデートの時の天気が嘘のように雨が降り、今がまだ梅雨だという事を分からされる。

 

山の中に位置するE組校舎までの道のりは土が泥濘んでいて歩きづらく、ジメジメとした空気は心を少しドンヨリとさせる。

 

デートの後、天候はガラッと変わり、空はずっと雨模様だ。……風邪を引かないように気を付けないとな。

 

梅雨の時期は雨が多いため、体が雨に濡れて風邪を引くという人が多くなる。殺せんせーも昨日のHRで皆に「風邪を引かないように気を付けましょう。」とデカくなった顔で言っていた。

 

オレは泥濘んだ地面を歩きながら校舎を目指す。陽菜乃と一緒に登校したかったが、今日は体調が優れないらしく、欠席するという内容のメールが来た。

 

詳しく聞けば両親は夫婦仲良く水入らずで旅行に行っているらしく、家に1人だと言う。どうしてそんな状況に……と思い、更に聞くと陽菜乃が行くかどうか迷っている両親に「心配せずに夫婦水入らずで旅行に行ってきて!」と言ったらしい。

 

後で見舞いに行くとだけ伝えたが……やはり心配だな。

 

「よっ!白夜!今日は倉橋と一緒じゃないのな。」

 

そういえば気配的に後ろに誰かいるなと思ったら黒崎か。

 

「あー…今日、陽菜乃は休むらしい。」

 

「そういや昨日、体調悪そうだったしな。」

 

そう言われてオレは昨日の事を思い出す。昨日の陽菜乃は何処かボーッとしていたり、顔が赤かった気がする。

 

「ああ。オレも気付いて一応気を付けるように言っておいた。」

 

「いつも元気な倉橋が風邪かー……心配だったりしないの?お前なら学校を休んで見舞いに行きそうだが…。」

 

「オレもそうしようかと考えたが、授業のノートを書いておかないと後が大変だろ?」

 

「…なるほどなぁ…そういう奴って結構助かるんだよな!俺なんか誰に頼んでもめんどくさいって理由で拒否されたし…。」

 

なんと言うか…可哀想だな。

 

「そうなのか?じゃあ、そういう時が来たらノート書いておく。」

 

(白夜超良い子!)

 

…そういえば、今日の日直ってオレか。

 

 

…放課後

 

 

「それでは皆さん!また明日!」

 

「起立。気を付け、礼。」

 

オレは号令を言った後、窓を開けて……

 

 

 

 

 

 

 

…全力疾走で陽菜乃の家に向かった。

 

「「「「え!?はやっ!!」」」」

 

「え?あ!さようなら…。」

 

 

…数分後

 

 

屋根の上を走ること数分、陽菜乃の家に着いた。屋根から飛び降りて、玄関前のインターホンを押す。

 

ピンポーン!

 

『…は〜い…。』

 

インターホン越しに陽菜乃の声が聞こえる。……元気…ではなさそうだ。

 

「白夜裕翔だ。見舞いに来たぞ陽菜乃。」

 

『けほっこほっ…裕翔君…?…ありがとう…今開けるね。』

 

少し待つとドアが開き、パジャマ姿の陽菜乃が出てきた。陽菜乃は顔が赤く、少し汗をかいていて、薄いピンク色のパジャマが肌に引っ付いている。……何というか少し色っぽく見えるのは気のせいではないだろう。

 

「…お邪魔します。」

 

そう言って陽菜乃の家に入る。

 

「ありがとね、お見舞いに来てくれて。……少し濡れてる…。」

 

「少し急いだからな。」

 

「もう……待ってて。」

 

陽菜乃はそう言って奥の方に行くとタオルを持って帰ってきた。そのまま、背伸びをしてオレの髪を拭く。

 

「ありがとう……来てくれて。…はい!拭けたよ!」

 

無理して元気なフリをして…やっぱり優しいな。

 

「風邪なのに悪いな、ありがとう。」

 

「ううん、気にしないで!……それじゃあ取り敢えず部屋に行こ!」

 

オレは陽菜乃に引っ張られ部屋の中に入った。陽菜乃の部屋には前も入った事があるがやはり慣れない。

 

「……取り敢えずこれ。授業の内容をまとめて書いてある。」

 

オレは鞄からノートを取り出し、陽菜乃に渡す。

 

「ありがと〜!……見やすい!」

 

陽菜乃はノートを受け取り、中を見てそう言った。

 

「陽菜乃。感謝してくれるのは嬉しいが風邪なんだから安静にしてないとダメだぞ。ほら、ベッドに横になってくれ。」

 

オレは陽菜乃をベッドに寝かせて、毛布をかける。

 

「うん……ごめんね。」

 

「気にするな。それよりお腹空いてないか?」

 

「うん……実はお昼ご飯食べてなくて…。」

 

それは健康的にマズいな。来る時に食材を買ってくれば良かった。今度そういう事があったらそうするか。

 

「家にある食材と器具、使うぞ。陽菜乃はゆっくりベッドで休んでてくれ。」

 

「う、うん…ありがとう………すぅ……すぅ……。」

 

寝たか……疲れが溜まってるみたいだな。引っ張られた時も力が普段よりも弱かったし……ここは彼氏として頑張るか…。

 

オレは陽菜乃の頭を少し撫でて、台所へ向かう。探してみると結構食材があった。

…確かこういう時はお粥が良いんだったな。

 

 

…数十分後

 

 

「意外と早めにできたな。」

 

ピンポーン!

 

ン?……客か…出て良いのか?まあ取り敢えず出てみるか。

 

「ん?白夜か!実は倉橋の見舞いに来たんだが……結構人数少なくてな。皆、用事があって。」

 

ドアを開けると黒崎、矢田、殺せんせーがいた。…これだけ来てくれただけでも嬉しいな。

 

「いや、来てくれただけでも喜ぶと思うぞ。…まあ多分、上がって良いと思うぞ。」

 

矢田は陽菜乃とも仲が良かったし、女子がいるだけでも気持ちはかなり変わるだろう。

 

「「お邪魔します。」」

 

オレは3人を陽菜乃の部屋に案内する。

 

「陽菜乃。黒崎と矢田と殺せんせーが見舞いに来てくれたぞ……って寝てるんだったな。」

 

つい寝ている事を忘れてしまっていた。

 

「ニュ?何やら良い匂いがしますねぇ。」

 

「あ、下に置いてきたままだった。今取ってくる。」

 

オレはキッチンからお粥を持ってくる。

 

「おおー!普通に美味そう…。」

 

「残念ながら陽菜乃の分しかないぞ。」

 

「そこまで飢えてねえよ!!」

 

「…んぅ……良い匂い?……」

 

「起きたのか。調子はどうだ?」

 

オレは半目開きの陽菜乃に聞く。調子が悪そうならこれは保存するしかないが……いや、今黒崎に食べさせるか?

 

「うん……少し楽かも。」

 

「そうか。…お粥作ったが食べれるか?」

 

「うん……って皆来てたの!?」

 

「ああ、少し前にな。」

 

「あ、殺せんせーも〜!…ごめんね皆、ありがとう!」

 

「いえいえ。意外と元気そうで良かったです。」

 

「休みって聞いて少し心配してたんだ!陽菜ちゃん、大丈夫?」

 

「大丈夫だよ〜桃花ちゃん。裕翔君。お粥ありがとう!」

 

「どういたしまして。それじゃあ……」

 

オレはお粥をスプーンで1杯掬って陽菜乃に向ける。

 

「え?///」

 

「ン?……あ、悪いな。…ふぅ…ふぅ…はい。」

 

オレはスプーンで掬った1杯を息を吹いて冷まし、陽菜乃に向ける。オレも気遣いが足りなかったな。

 

「え?////…いや、その………いただきます…あ、あ~ん…//」

 

「……どうだ味は?食べやすいか?」

 

一応、消化に良い具材を選んで、食べやすいように苦味とかが少なめな物を選んだんだが…。

 

「……美味しいし…食べやすいよ……///」

 

「それは良かった。」

 

((何を見せられているんだろう?))

 

 

…10分後

 

 

「ごちそうさまでした〜!美味しかった〜!」

 

30杯くらいでお粥は綺麗になくなった。まあ少なめに作ったしな。

 

「さて、倉橋さんも食べ終わった事ですし…今日の分の授業をここでします!」

 

やはりそれが狙いか……だから陽菜乃が食べている最中に今日の理科の実験の道具を用意してた訳だ。まあキツめの臭いを出す物がなかったから良かったがな。

 

「うわっ…出たよ…殺せんせーの教師バカ。」

 

「大丈夫だよ…いつもの事だから。」

 

「オレも復習程度に聞いておくか。」

 

「おお!素晴らしい心掛けです!さあ!では授業を始めます!!」

 

ここまで食いつかれると逆にやる気を削がれるんだが。まあ受けるけど。

 

 

…1時間後

 

 

「……という感じで……ニュ?もうこんな時間ですか……おや?倉橋さん、少し眠たいですか?」

 

「うん、少しだけ…」

 

「もう夜だし皆も帰ったらどうだ?オレも陽菜乃の晩ご飯を作ったら帰る予定だしな。」

 

オレは皆に帰るように提案し、時計を見る。時刻はもう7時に近く、そろそろ帰らないと親に怒られるだろう。

 

「7時!?ヤベェ林檎に怒られるー!!」

 

……妹に怒られる人もいるようだ。というかちゃんと立場しっかりできてるのか?

 

「私もヤバいかも……ごめんね、陽菜ちゃん。私達帰るね。」

 

「ううん、来てくれただけでも嬉しいよ!」

 

「では私もこの辺で。」

 

殺せんせー達を玄関まで送り、晩ご飯を作り始める。と言ったものの何を作るか……。

 

…陽菜乃はさっき殺せんせーと話している時に毛布を被っていた。お粥を食べた後、体が少し熱くなっていると思ったが毛布を被るという事は寒気がするのかもな。

 

オレが来た時に咳をして、痛そうにしていた事から喉も痛いのだろう。食べやすくて温まる食べ物……お粥の2回目は流石に飽きるしな……。

 

ンー……

 

「…シチューだな。」

 

シチューなら消化に良くて温まるし、喉にも負担が少ないだろう。他にも色々とあるが今思いついたしな。

 

 

…数十分後

 

 

「…良し、後少しで完成だな。」

 

prrrrr!prrrrr!

 

……これは固定電話か。オレが出て良いものか…。まあ一応出ておくか。

 

「はい、もしもし。」

 

『あれ?あ、その声は白夜君ね〜。陽菜乃の様子を聞こうと思ったんだけど…。』

 

電話してきたのは陽菜乃のお母さんか。陽菜乃の様子か…まあ正直に言ったほうが良いな。

 

「実は陽菜乃は風邪を引いてて、オレが見舞いに来て看病をしている所です。」

 

『あらそうなの?ごめんなさいね、迷惑かけて。今すぐにでも行きたい所だけどちょっと遠くにいてね…でも、看てくれる人がいないと少し心配だし…。』

 

「もし良ければオレが陽菜乃の家に泊まって看病しましょうか?」

 

オレは陽菜乃のお母さんに提案する。いやでも急に言ったら流石に迷惑か?

 

『……良いの?だったらお願いしたいけど…でも、もちろん白夜君にも家庭の事情があると思うから無理にとは言わないけど……。』

 

「いえ、オレは大丈夫なので。」

 

不幸中の幸いというべきか明日は学校が休みだしな。今日治らなければ明日も看病できる。

 

『そう?だったら陽菜乃の看病をお願いして良い?陽菜乃も白夜君が近くにいれば安心すると思うし。』

 

「分かりました。ありがとうございます。」

 

『ごめんなさいね〜。』

 

そうして電話が切れた。また陽菜乃の家に泊まる事になるとはな。

 

「あ、そろそろできたか。」

 

オレはシチューを盛り付けて陽菜乃の部屋に持っていく。

 

「陽菜乃、起きてるか?」

 

シチューを机に置いて、ベッドの上の陽菜乃に聞く。

 

「……良い匂い……。」

 

……そんなにオレの料理って良い匂いするのか?別に普通の匂いだと思うが……。

 

「晩ご飯を作ってきた。後、今日は泊まるから。」

 

オレはスプーンで1杯掬いながら陽菜乃に言う。

 

「うん……え?」

 

「今日は泊まると言ったんだが?…ふぅ…ふぅ…はい、あーん。」

 

「え?え?あ、あ~ん…///」

 

陽菜乃は顔を赤くしながら食べる。……まだ熱があるみたいだな。

 

「美味しいか?」

 

「うん…美味しい。……それで、泊まるってどういう事?」

 

「実はさっき陽菜乃のお母さんから電話があってな。心配してたからオレが陽菜乃の家に泊まって看病する事を提案したら、OKが貰えた。という訳でオレは今日陽菜乃の家に泊まる。」

 

オレは簡潔にさっきあった事を陽菜乃に説明する。もっと反対されるかと思ったがこちらの家庭の事情を心配された。

 

「ありがと……////」

 

「オレも心配だしな。だからこうやって食べて、寝て、早く風邪を治そうな。オレも手伝うから。…ふぅ…ふぅ…はい、あーん。」

 

「あ、ありがとう……////…あ、あ~ん…///」

 

という訳でオレは陽菜乃の家に泊まる事になった。あ、イアと白猫にこの事を伝えないと。

 

 

 




ワンフォーワンです!

自分が思いついた感じで書いたら甘くなってしまってブラックコーヒーを10杯くらい飲んでしまった今回の話、いかがでしたか?

こうやって聞くと料理の味を聞いてるみたいですね……(苦笑)

それと評価とお気に入り登録と感想などをしてくださると自分のモチベーションが上がるのでお願いします!!

それではまた次回でお会いしましょう!

てかこの話続くのか……



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第30話看病の時間2

どうもワンフォーワンです!

いや〜本当に調子が良くて結構順調に書けてます!

やっぱり感想を書いてくれる方やお気に入り登録をしてくださる方がいるとモチベーション的な物が上がるからですかね?

それと、アンケートに答えていただきありがとうございます!

アンケートの結果、今の書き方のままで良いという方が多かったのでこの書き方のままで行かせていただきます。

まあそんな訳でアンケートは削除しましたが、また何かアンケートする可能性もあるのでその時はよろしくお願いします!

そして、白猫の名前が決定しました!

いや〜自分も案を出してくださる方はいないだろうな〜って思っていたら出してくださった方がいてビックリしました!!

長くなって申し訳ありません!!

それでは第30話看病の時間2どうぞ!!



…白夜side

 

 

陽菜乃にシチューを食べさせる事、数十分。お粥と同様にシチューも綺麗になくなった。……綺麗に完食してくれると作る方も何故か分からないが嬉しいな。

 

「ごちそうさまでした〜…ふぁ……。」

 

陽菜乃は合掌をした後、欠伸をする。眠気があるのは良い事だが……

 

「眠たい所悪いが風呂に入ってくれ。オレはもう入ったから。」

 

実はシチューを作る間に入っていた。10分程度の風呂タイムだったがちゃんと疲れは取れる物だな。

 

「じゃあ入ってきま〜す!」

 

「ああ、もし何かあったらオレに言ってくれ。」

 

ないとは思うが急に倒れたりしたら大変だからな。さてと、その間にイアと白猫にこの事を……今思ったんだが白猫も名前つけないとな。

 

さてと、まずはイアを呼ばないとな。…まあ取り敢えずスマホに声をかければ応答するだろう。

 

「イア。」

 

『マスター!帰りが遅いようですが…?』

 

呼んでから出るまでの速度が早くないか?早めに応答してくれた事は良いが……ちゃんと家の警備してるのか?……今度確認しよう。

 

「陽菜乃の家に泊まる事になってな。それと悪いが白猫にいつもどおりマグロを。」

 

そう、白猫は餌としてマグロを食べる。キャットフードを買ってきて食べさせようとしたら「ボクはマグロが良いー!」と言った為、本当に上げたら食べた。

 

白猫は泣いて喜びながらマグロを食べていた。…どれだけ食べたかったんだ……。

 

ちなみにキャットフードはお隣さんに渡した。お隣さんも凄く喜んでた。

 

閑話休題。

 

『それが…マグロに飽きたみたいです。』

 

マグロに飽きた……まぁ5日間も同じ物を食べればそうなるか。

 

「それもそうだな。……確か、冷蔵庫にサーモンがあった筈だ。白猫が食べれそうな具合にして、食べさせてくれ。」

 

『(……え?それもそうなんでしょうか?)分かりまし『ヤッター!今日はサーモンにゃ〜!』ちょっと白猫さん!今、私がマスターとお話してるんです!』

 

今混じった声は白猫か?なら、ちょうど良いな。

 

「いや、ちょうど良い。白猫に変わってくれ。」

 

イア『はい、分かりま『白猫ちゃんですニャ〜!』最後まで喋らせてください!』

 

そこから少しの間だけイアと白猫の言い合いが続く。耳元でキーキーと五月蝿いので早めに決着をつけてほしい……じゃないと鼓膜が保たない。

 

『で、何のご要件ですニャ?』

 

結局、白猫が出てきた。オレの鼓膜は無事に守られたので良かった。

 

「実はお前の名前を決めようと思ってな。」

 

『ほんとですニャ!?ヤッター!で、ボクの名前はニャンですニャ?』

 

やはり五月蝿いな。…まあ、嬉しい事は良く分かった。

 

「それでお前に決めてほしいんだが何が良い?」

 

『ん〜……じゃあキャトラがいいですニャ!この前YouTubeってアプリで見たからですニャ!』

 

キャトラ…?……呼びやすいし本人…本猫?の希望だしそれで良いか。

 

「分かった。じゃあお前の事は今度からキャトラと呼ぶ。改めてよろしく、キャトラ。」

 

『はい、よろしくですニャ!じゃあ変わるニャ〜よー!』

 

上機嫌なキャトラの声が消え、画面にイアが映る。

 

『……変わりました。』

 

……少し機嫌が悪そうだな。

 

「少し話が長くなったな。要約すると、今晩は陽菜乃の家に泊まるから帰らないという事と白猫は今度からキャトラという事…以上だ。キャトラのご飯以外に何か報告はあるか?」

 

『ありません。では、私達は2人でマスターの帰りを待ってます!』

 

そして電話が切れる。……さて、陽菜乃のが上がるのを待つか。

 

 

…数分後

 

 

「ふぅ〜!さっぱりした〜!」

 

「それは良かった。」

 

時刻は9時か……寝るには少し早いか?でも風邪だし……

 

「裕翔君、ちょっと話そ!」

 

「……ああ、そうだな。」

 

…まあ、風邪だからって行動を制限し過ぎても苦しいだけだろう。

 

 

…1時間後

 

 

時刻が10時になったので陽菜乃にそろそろ寝るように提案してみるか。……と、思ったが陽菜乃はもうウトウトし始めている。

 

「陽菜乃、そろそろ眠くなってきたか?」

 

「うん……かなり………キャ!//」

 

「ン?あ、急に悪い。…少し早いが寝るぞ。」

 

オレは陽菜乃をベッドまで抱いて運び、優しく横にさせて毛布をかける。そして、何となくだが子守唄を歌ってみる。少し歌った所で陽菜乃の様子を見るとぐっすり眠っていた。

 

「おやすみ、陽菜乃。」

 

さて、オレは床あたりで寝るか。と思っていたが陽菜乃に手を握られてる。

 

「…まあ、まだ寝なくても良いか。」

 

と言っても、部屋の電気も消したしこれと言ってやる事がない。このままの体勢で寝るか?……いや、流石に横になりたいしな…

 

「……寒い…。」

 

……寝言?…毛布はかけてるんだが。未だに陽菜乃に手を握られたまま、オレは横になりたいが無理に床で横になろうとすると陽菜乃の腕に負担がかかる。

 

「……悪いな、陽菜乃。」

 

オレは陽菜乃のベッドに入った。後は寝て……あ、そういえば、陽菜乃は寒いんだったな。オレが近くで寝ているだけじゃまだ寒いかもしれない。

 

オレは陽菜乃を優しく抱き締める。……痛くないよな?…苦しそうな声も聞こえないし、大丈夫だろう。

 

「じゃあ今度こそ、おやすみ陽菜乃。」

 

オレは陽菜乃のにそう言って眠りについた。

 

 

…白夜sideout

 

 

 

 

…倉橋side

 

 

「んん…?…あれ?私、いつの間に……え?」

 

目が覚めると私は裕翔君に抱き締められていた。何で私のベッドに裕翔君が!?それに私何で裕翔君に抱き締められてるの!?……嬉しいけど……ちょっと恥ずかしい…///

 

時計は……うぅ…裕翔君に隠れて良く見えない…。

 

『只今の時刻は4時30分ですよ?お早いお目覚めですね♪』

 

え?この声は……

 

「イアちゃ『陽菜乃さん!静かに!』…あ、ごめんね〜。」

 

裕翔君が寝てるから静かにしないと!

 

「ン?……ンぅ…。」

 

「『……セーフ。』」

 

……さっきからイアちゃんは何処に……あ、私のスマホか〜!

 

『あ、やっと陽菜乃さんのお顔が見えました!寝起きなのに可愛い顔で少し嫉妬しちゃいます!』

 

イアちゃんはプンプンって言いながら頬を膨らませる。そういえば律とは時々話すけど、イアちゃんとはあまり話した事ないな〜。

 

「ねぇ、イアちゃん。少し私と話さない?」

 

『良いですね!ガールズトークというやつですか?私、憧れだったんです!』

 

「ガールズトーク?をするのは良いが静かにな。まだ寝ている人も多い。」

 

私の頭上から聞き慣れた声が……

 

「裕翔君!?起きてたの!?」

 

「いや、今起きた所だ。」

 

うぅ…息が耳元でかかって裕翔君の声が近くで聞こえる……////私の顔、絶対真っ赤だ……うぅ……////

 

でも、裕翔君には寝てる所を起こしちゃって悪い事したかな…。

 

「まあ、元々は5時に起きるつもりだったからな。少し早くなっただけだ。今は…4時30分くらいか…少し早いが朝食の準備をするか。その間は2人でガールズトーク?とやらをしててくれ。」

 

「え?私も手伝「陽菜乃は病み上がりだろ?ゆっくり休んでないとな。」…うん、ごめんね。」

 

そういえば私、病み上がりなんだった!体が昨日よりも軽いから少し忘れてた……。

 

「ああ、そういえば病み上がりで思い出した。」

 

裕翔君はそう言って私の額に額をくっつける。え?あ、裕翔君の顔がこんなに近くに……/////

 

「裕翔君…///」

 

「熱はなさそうだな、良かった。…陽菜乃、良く頑張ったな。」

 

裕翔君はそう言って私にキスをする。…んんっ……少し甘い味がする…///

 

「ん!……んんっ…ぷはっ!」

 

私…朝起きて裕翔君と…き、キスを…/////

 

「頑張ったご褒美、だ。それじゃあオレは朝ごはんを作りに行く。」

 

裕翔君っていつも鈍感なのに時々、大胆になるんだよね〜……そんな所も大好きなんだけど///うぅ……自分で言ってて恥ずかしい…//

 

 

…倉橋sideout

 

 

 

 

この後白夜と倉橋は2人で朝食を食べ、昼前程に倉橋の両親が到着。医者に診てもらい、倉橋は無事に風邪が治ったと診断された。

 

 




今回も甘い話を作ってしまったワンフォーワンです!

今回の話はいかがでしたか?

えー、白猫の名前はキャトラになりました!

それと、そろそろオリキャラも増えてきたのでプロフィールの時間2を出そうと思います!

まあ、もう少しキャラが増えたらですけどね。

それと!そろそろ通算UAが20000に行きそうで自分の全細胞が歓喜の涙を流しています!!

……ちょっと何言ってるかわかんないですね……えーまあそれくらい嬉しいという意味です!!

もし、通算UAが20000を超えたら何か記念話を書きたいですねぇ……案がないけど。

感想、お気に入り登録、評価などしてくださると作者が泣いて喜びます!

まあそんな訳で今回もいつもの挨拶で終わりましょう!

それでは皆様!また次回でお会いしましょう!


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第31話訓練の時間

どうも、ワンフォーワンです!

今回から原作の話を書いていくぜーー!と、意気込んだものの……この話か〜……。自分はあの人嫌いなんですよね……。

それでは第31話訓練の時間です!どうぞ!


…白夜side

 

 

夏の厳しい日差しが差し込む中、オレ達は二人一組のペアで烏間先生にナイフを当てるという訓練をしていた。

 

烏間先生と模擬戦をするまでの間、他の組のペアはそのペア内でナイフの訓練を一対一でする。

 

「視線を切らすな!ターゲットの動きを予測しろ!全員が予測すれば、それだけ奴の逃げ道を塞ぐ事になる。」

 

皆がナイフを振っている中、烏間先生のアドバイスが飛んでくる。ちなみにオレは黒崎を動けないように拘束していた。

 

「ふん!…いででで!」

 

「変に抵抗しようとすると痛くなるぞ。何もしなければ痛くはない。」

 

そう言うと黒崎は力を抜き、痛みが来ない事が分かるとオレに話しかけてきた。

 

「それって逆に言えばこのまま拘束されてろって事だよね!?嫌だよ?砂って熱いんだよ?ていうか口の中に砂が入るから!」

 

なるほど、じゃあ拘束の仕方を変えるか。オレは黒崎を解放した後、抵抗される前に立たせながら拘束する。こうやって拘束すれば砂が熱いと文句を言われる事はないだろう。

 

「今だ!……と思ったら拘束されてんだよなぁ。」

 

黒崎を解放した瞬間に反撃されそうになったが避けて拘束する。

 

「解放した後に拘束の仕方を変えただけだ。お前が文句を言うから変えたんだが…さっきの方が良いか?」

 

「いえ!ありがとうございます!」

 

黒崎が背筋を伸ばして敬語でそう言う。そんなにさっきの拘束嫌だったのか?

 

((((いやナイフの訓練しろよ!!))))

 

というかコレってナイフの訓練になってるのか?…まあ、烏間先生からの忠告もないし問題はないのだろう。

 

(…訓練開始から4ヶ月目に入るにあたり、可能性のありそうな生徒が増えてきたな。)

 

烏間先生の方を見ると黒崎を呼んでいた。磯貝・前原ペアはもう終わったらしい。2人の方を見るとガッツポーズをして笑っているので烏間先生にナイフを当てられたのだろう。

 

「あ、次は黒崎だな。」

 

今回はオレと黒崎はソロで烏間先生と訓練をする。まあ、オレは毎回そうしているがな。ちなみに理由はオレの希望に烏間先生が答えてくれたからである。

 

「ところで俺達だけ単体なのは何故?」

 

「黒崎はナイフの訓練は今日が2回目だからだろうな。1回目は5本突き指してた時で、実力が見れなかったからじゃないか?」

 

「な、なるほど……うっしゃ!いっちょやって見ますか!当たって砕けろの精神だぜ!」

 

黒崎はそう意気込んで烏間先生と数mくらい離れた位置に立つ。

 

「次は君だな。良し、いつでも来い!」

 

「そんじゃ行きます!!オラァァ!」

 

黒崎はナイフを持って突進する。烏間先生は黒崎の腕を払う事で攻撃を捌く。……まあ転校して来てそんな経ってないし、素人だから仕方ないのかもな。

 

「くっ…まだまだァァ!」

 

黒崎は体勢を立て直し、再び烏間先生の元へ走る。烏間先生はその攻撃を避ける。そんな攻防を繰り返し、烏間先生から終了の合図が来る。

 

「君はパワーが他の生徒よりも高いが攻撃が読みやすい。今度はそこを意識してみろ。」

 

(黒崎和人。動きが読みやすいが、パワーが高く、もっと訓練をすれば奴へのアタッカーになるな。)

 

「はい!……いやぁ当たらねぇなー。白夜、頑張れよ!」

 

黒崎は大きく返事をした後、オレの元へ来てそう言ってきた。……次はオレの番だな。オレは烏間先生の元へ行き、声をかける。

 

「次は…君だな。…来い!」

 

「それじゃあ行かせてもらいます。」

 

 

…白夜sideout

 

 

 

…黒崎side

 

 

「黒崎ー!当たったか?」

 

俺が砂場に座って休憩していると磯貝が声をかけてきた。

 

「残念ながら無理だったよ。アレって1人じゃ無理ゲーだろ!」

 

「いや、そうでもないぜ!ほら、見てみろよ!次は白夜の番だぜ。」

 

……流石の白夜と言えどもコレは無理だろ。

 

(((また超人達の戦いが始まる!)))

 

何か皆が白夜の方に集中してないか?

 

「それじゃあ行かせてもらいます。」

 

白夜はそう言ってナイフを持って走り出す。走っている途中で服の中からナイフ4本を取り出して上と前に2つずつ投げる。烏間先生は前に投げられたナイフを避ける。

 

白夜は烏間先生に攻撃するように見せかけて、素早く後ろへ移動し、ナイフを当てようとするが烏間先生に手を掴まれる。白夜はそれを振り払い、後退してからまた烏間先生の元へ走る。白夜と烏間先生の攻撃がぶつかり合う。

 

烏間先生の拳を白夜は身体を回転させて避ける。そこへまた烏間先生が攻撃するが白夜はその攻撃をガードして、白夜が蹴りを繰り出すが烏間先生に腕でガードされる。一進一退の攻防とはこの事を言うのだろうか。

 

「「「おおぉー!!!」」」

 

……何か次元が違くないか?

 

「…あれ?確か烏間先生って攻撃はしないんじゃなかったか?」

 

「あーそれはね!白夜君が烏間先生にお互いに攻撃アリで、って言ったからね〜!他に聞きたい事はない?」

 

そう言って矢田は俺の顔を覗き込むように顔を近づける。待って!待って!顔が近い!めっちゃ良い匂いする!可愛い!顔が近い!めっちゃ良い匂いする!可愛い!

 

「お、おう…ありがとな。」

 

「ふふっ、どういたしまして♪」

 

あーヤバい…惚れそう…いや昔から惚れてたけどね?好きだったけどね?今でも好きだけどね?

 

「お前、何をイチャついてるんだよー!」

 

急に岡島が俺の襟を掴んで言う。待って!イチャついてないから!だから目から血を出すのは止めてくれ!怖いから!

 

「誤解だ!イチャついてない!」

 

「お前ら何してんだよ……。あ!掴み合ってた2人が動き出したぞ!」

 

磯貝にそう言われて俺と岡島は白夜達の方を見る。白夜と烏間先生はお互いに一旦距離を取る。

 

「そろそろウォーミングアップは終わりますか。」

 

「ああ……来い!」

 

あれでウォーミングアップなのかよ……。

 

白夜は再びナイフを上に投げながら走る。烏間先生と白夜の拳がぶつかり合い、そこからラッシュが激しくなっていく。腕が何本にも見えるというのはこの事を言うのだろう。激しいラッシュの中、白夜は烏間先生の両腕を掴む。

 

「烏間先生、チェックメイトです。」

 

白夜は烏間先生に宣言した。何を言ってるんだ?腕を掴んだだけじゃないのか?

 

烏間「……そうらしいな。俺の負けだ。」

 

烏間先生は負けを認め、お互いにその場所から離れる。この勝負は白夜の勝ちとなったが皆は納得がいかない感じだった。

 

「……あ〜…そういう事…裕翔もやるね〜。そろそろ落ちてくると思うよ。」

 

「落ちてくるって何が?」

 

ザスッ!

 

俺の疑問に答えるようにその音はなった。音の発信源を見ると烏間先生が白夜に掴まれていた位置に対先生ナイフが刺さっていた。

えぇー……怖いんだけど……で、アレに気づいた烏間先生は躱す手段がないので負けを認めたのか。……いや、でも偶々という可能性もあるしな。

 

「そろそろ別のやつが来るぞ。…3、2、1。」

 

ザスッ!ザスッザスッ!

 

白夜の掛け声に合わせて刺さっているナイフの近くにまた3本の対先生ナイフが降ってきた。……うん、偶然だね…ってなるかー!怖いよ!!どこまで計算してんだよ!!

 

 

…黒崎sideout

 

 

 

…白夜side

 

 

オレは皆に詳しい説明を求められたので最初から最後まで説明した。

 

「……後は烏間先生をどこかのナイフの位置に誘導すればオレの勝ちという訳だ。」

 

「「「怖いよ!!」」」

 

オレの説明に対して、クラスの皆がツッコむ。……今日も元気だな。

 

それより何が怖いんだ?オレは烏間先生を誘導するポイントにナイフが落ちるように上に投げて、後は誘導しやすい所に誘導しただけだ。

 

「さあ、まだ授業時間は残ってるぞ!」

 

(白夜裕翔。超人的なパワーとスピード。作戦とそれを明確に実行させるプランを即座に作り上げる知能などが目に写りやすいが動体視力なども兼ね備えている。他の生徒に比べ技術も高いが…昔やっていたのだろうか?)

 

オレは黒崎との訓練をしているが……

 

「いでででで!」

 

「何かさっきもこんな展開じゃなかったか?ちなみに力を入れずにいれば痛くなくなる。」

 

「あ、ホントだ。ってさっきもこんな感じだったな!」

 

黒崎が少し怒り気味で言うがオレは訓練をしているだけなので悪くはない。

 

オレは自己弁護をしながら烏間先生の方を見る。皆に指示を出しているその背中に特殊な気配を出しながら忍び寄る気配が1人……潮田渚だ。

 

ドカンッ!

 

烏間先生は渚の攻撃を全力で防いだ。いつもなら全力ではなく、もう少し手加減をするのにな。

 

「…いったぁ…。」

 

「…!…すまん!ちょっと強く防ぎ過ぎた。」

 

「バッカでー。ちゃんと見てないからだ。」

 

そんなちょっと変わった出来事があったが授業終了のチャイムが鳴る。

 

「せんせ〜!放課後、皆でお茶してこうよ〜。」

 

チャイムと共に去って行く烏間先生に陽菜乃が声をかける。そういえば、今日の朝にそんな事を言ってたな。オレも一応予定を開けておいたが…まだ仕事が残ってそうだな。

 

「誘いは嬉しいがまだ仕事が残っていてな。」

 

やっぱり残っていたか……勘だったけどな。

 

「無理だったか。」

 

「私生活でも隙がねぇな〜。」

 

「ていうか私達との間に壁っていうか距離を保ってるような…。」

 

「私達の事、大切にしてくれてるけど…でもそれってただ任務だからなのかな…?」

 

陽菜乃はそう言うが多分、そうではないだろう。恐らく、烏間先生はオレ達を暗殺を依頼した側としてプロ同士だと思っているのではないだろうか?まあ悪魔で推測だがな。

 

「よっ!烏間。」

 

聞いた事のない声がした方を向くと何個かの箱を持った大柄なジャージ姿の男がいた。

 

「鷹岡…。」

 

どうやら烏間先生の知り合いらしい。鷹岡と呼ばれた男はオレ達の前まで来て自己紹介を始めた。

 

「やあ!今日から烏間を補佐してここで働く事になった鷹岡明だ。よろしくな!E組の皆!」

 

そう言って鷹岡は箱を下ろして開ける。中にはケーキやエクレアなどが入っていた。

 

「良いんですか?こんなに高そうなの…。」

 

「おう!食え食え!俺の財布を食うつもりで遠慮なくな。」

 

「明日からの体育の授業は鷹岡先生が?」

 

「ああ、政府からの要請でな。烏間の負担を減らすために「おお…ケーキ…」おお!アンタが殺せんせーか!食え食え!…まあ何れ殺すけどな。」

 

殺せんせーが顔をピンク色にしながら涎を零していた。教師…というか大人のプライドみたいな物はないのか…?

 

「何か近所の父ちゃんみたいですよ。」

 

「へへっ良いじゃねえかよ父ちゃんで。同じ教室にいるからには俺達家族みたいなもんだろ?」

 

オレはその会話を聞きながら、鷹岡という男を観察する。ワイワイと皆が盛り上がる中、陽菜乃がエクレアを持ってオレの元へ来る。

 

「裕翔君は食べないの?」

 

陽菜乃にそう言われてオレは鷹岡が並べたスイーツを見る。普段なら食べているが食べる気にならない。

 

「まあ食べる気分じゃないだけだ。悪いがオレは先に教室に戻ってる。」

 

倉橋「じゃあ私も食べな〜い!裕翔君と一緒に食べた方が美味しいしね♪」

 

陽菜乃はそう言ってエクレアを元あった位置に戻して、オレと一緒に教室へ向かう。あ、一口もつけてなかったぞ。

 

陽菜乃には少し悪い事をしたかもしれないがどうもあの鷹岡の表情が気に食わない。コピー用紙を貼り付けたかのような上っ面な笑顔で分かり安すぎる。

 

それに烏間先生と会話している時のあの表情……本人は笑ってるように演じてるつもりだろうが嫉妬とかの感情が手に取るように分かった。

 

まだまだ怪しい点はあるが確実な証拠がない限り、オレは手を出せないがな。それにこの事を皆に言って不安にさせても仕方ないし、オレの予感が珍しくハズレている可能性もある。

 

「陽菜乃。鷹岡には気をつけろ。」

 

「え?…うん。」

 

「それだけだ。…それじゃあ、駅前のスイーツ店に行くか?」

 

「行く行く!じゃあレッツゴ〜!」

 

「着替えてからだぞ。」

 

何もなければ良いが……。オレの中に言い表せない様な不安が渦巻いている。

 




ワンフォーワンです!

今回の話はいかがでしたか?

戦闘描写って苦手なんですが頑張って作りました!

分かりにくかったらすんません!

それでは、また次回でお会いしましょう!!


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第32話才能の時間

ワンフォーワンです!!

今回はアニメとはかなり違う展開になってます!

それでは第32話才能の時間!どうぞ!!




…白夜side

 

 

鷹岡が来た日の夜、オレはイアを呼び出す。

 

「イア。今ちょっと良いか?」

 

『マスター!はい♪今は良いですよ!』

 

「防衛省の鷹岡明という男のデータを気づかれないように集めてくれ。できるだけ早くだ。」

 

『?…はい!分かりました!では調べてきます!』

 

イアはそう言ってスマホの画面から消える。何もなければ良いが……。

 

 

…白夜sideout

 

 

…翌日

 

 

…倉橋side

 

 

『えぇぇぇん!!』

 

あれって…私…?これって夢なのかな?変な夢だなぁ……森の中で1人で泣いてる……あ!確か5歳の時にこんな事があった!

 

そんな泣いている私に忍び寄るデカい影。

 

『グアァァ!!』

 

熊が鳴き声を上げて襲ってきた。

 

『ヒッ……クマさん……だれか…だれかたずけて〜〜!!おどうざ〜ん!おかあざ〜ん!』

 

熊を目の前にして泣いている私……確かこの後って…熊が私に向かって突進してくる。

 

ドンッ!

 

私の目の前に男の子が現れて、熊と戦い始めた。私は怖くてずっと目を瞑ってた。

 

少し経って目を恐る恐る開けると倒れている熊と私の方を不思議そうな顔で見る熊と戦ってた男の子。

 

『お前、こんな森の中で何をしてるんだ?ここは熊とかが出やすいから帰った方が良い。』

 

泣いている私に話しかける男の子。綺麗な白髪に赤い目の男の子……なんか裕翔君に似てる気がする。

 

『…きみは?』

 

『オレか?オレは……まあオレの事はどうでもいい。それよりお前はこんな森の中でどうしたんだ?』

 

腕から少し返り血を浴びて私に優しくでもなく冷たくでもなく話しかける。

 

『……ちょっとまってね。』

 

『おい、人の話を聞いているのか?』

 

『わたしはおいってなまえじゃないよ!わたしはひなのってなまえがあるの!えっへん!』

 

私は何故か胸を張って言う。……何か…恥ずかしい…//

 

『えっへん!って……はあ、それで陽菜乃はこんな所で何を?』

 

『うで、よごれてるよ…。はい!ハンカチかしてあげる!』

 

あはは……話が通じてない……。それにしてもこの男の子は随分と大人だなぁ…。

 

『ン?…本当だな……じゃあ借りる。』

 

私が渡したハンカチを受け取って男の子は血を拭く。

 

『ねぇねぇ!きみはなんていうの?』

 

『オレは……白夜裕翔だ。』

 

え!?嘘……裕翔君だったの!?

 

『びゃくやゆう……う〜んむずかしいなぁ…』

 

『今の何処に難しい要素があった?……じゃあ裕翔って呼んでくれればいい。』

 

『うん!ゆうとくんね!』

 

『取り敢えず、山を下れば誰かいるはずだ。そこまで付いて行ってやる。』

 

『まいごにならないでね〜!』

 

あはは……迷子は私の方なんだけどな〜…。

 

『迷子は陽菜乃の方だろ。』

 

『えへへ……そうだった…。』

 

少し裕翔君と歩いていくと心配そうな顔をしたお父さんとお母さん、それと警察の人がいた。

 

『お父さ〜ん!!お母さ〜ん!!』

 

『陽菜乃!!どこにいたの?』

 

『もりのなかでまよっちゃったんだけど……この子がたすけてくれた!』

 

そう言って私はさっきまで裕翔君がいたところを指すけど誰もいない。あれ?いつの間に行っちゃったんだろ?

 

『それは是非ともお礼が……ん?いないぞ?』

 

『え!?あ、ホントだ!!ばいば〜い!ありがと〜!』

 

 

 

 

私はスマホのアラームの音で目を覚ました。

 

「ふわぁぁ……あの夢…でも確かに覚えてる…私達ってあの時にもう会ってたんだ……。何で今まで気づかなかったんだろ……今日裕翔君に会ったら話そ〜!」

 

裕翔君…覚えてるかなぁ…。あ!でも今日って確か会社の会議で遅刻とかって……まあその後で話そ〜!

 

 

…倉橋sideout

 

 

 

 

…白夜side

 

 

オレは会議が終わって社長室の椅子に座りながらコーヒーを飲んで一息ついていた。この椅子座り心地良いな。

 

………さて、今からでも学校に行くとするか。オレが席を立ち上がったと同時にスマホの画面にイアが映る。

 

『マスター!すいません!時間がかかりました!この写真を見てください!』

 

そう言ってイアが見せてきたのは笑顔の鷹岡と訓練生の写真だ。

 

「すまん、助かる。見たところ教官の鷹岡と訓練生が仲良く写真を撮っているように見えるが……笑顔がぎこちないというかわざとらしいな。…それで、2枚目は?」

 

鷹岡は笑顔だが訓練生の笑顔はさせられているという感じがある。

 

イア『……はい、これです。』

 

イアが見せてきた2枚目の写真は腕を縛られ、大量の痣と傷だらけの訓練生が写っていた。

 

「!…クソがっ!!」

 

バキッ!

 

怒りで手に力を込めたせいでスマホの画面が少し割れたがそんな場合じゃない。

 

『ヒッ!ま、マスター…?』

 

「……すまん、少し取り乱した。イアはオレのサブのスマホにデータを移動しろ。ご苦労さま。」

 

オレはイアにそれだけ言って急いで学校に向かう。頼む……間に合ってくれ。

 

 

…白夜sideout

 

 

 

…倉橋side

 

 

鷹岡先生が配ったプリントを見て、私達は絶句した。

 

『10時間目…夜9時まで訓練』

 

それが鷹岡先生が私達に告げた訓練内容だった。

 

鷹岡先生に意見を言った前原君や、烏間先生の授業を希望した神崎ちゃんは鷹岡先生に殴られた。

そんな鷹岡先生を烏間先生や殺せんせーも止めようとしたけど『教育論の違い』という言葉に何も言えなくなった。

 

そして、私は裕翔君が言っていた言葉を思い出した。

 

『鷹岡には気をつけろ。』

 

最初は心配しすぎじゃないのかな?と思っていたけどいつもと違う裕翔君を見て少し不安になってた。そして、裕翔君が言っていた事は正しかった。

 

「……烏間先生…裕翔君…。」

 

私は鷹岡先生が目の前にいるのに言ってしまった。……殴られる……やめて…。

 

「おい。烏間は家族の一員じゃないぞ〜。お仕置きだなぁ…父ちゃんだけを頼ろうとしない子は…!」

 

鷹岡先生は笑いながら腕を振りかぶり、私は目を瞑った。

 

ガシッ!

 

痛みがいつまで経っても来ないので恐る恐る目を開けると……

 

「アンタ……何やってんの?」

 

…鷹岡先生の拳を受け止めている裕翔君がいた。……それはカッコよすぎるよ、裕翔君。

 

「陽菜乃。大丈夫か?」

 

「うん……大丈夫だよ。」

 

「…少し待っててくれ。すぐに終わらせる。」

 

 

…倉橋sideout

 

 

 

 

…白夜side

 

 

間に合った……わけじゃなさそうだ。前原は腹を蹴られ、神崎は頬を叩かれたしな。

 

「おお!白夜か!遅かったじゃないか…父ちゃん心配して「鷹岡。」?」

 

オレは態度を変えた鷹岡の言葉を遮る。コイツの茶番に付き合う気はない。

 

「もう茶番は良いだろ?」

 

「…白夜裕翔…お前の事は知ってるよ。ジニアスルーム最強の男。人が一生をかけて学ぶほどの学力と大人顔負けの身体能力を手に入れられるカリキュラムを10歳にして終えた天才という名の化け物だってな。」

 

鷹岡はわざと皆に聞こえるように言う。鷹岡の言葉を聞いて、皆は色々と聞きたい事があるような顔をオレに向ける。……まあ後で受け付けよう。できる事なら話さずにいたかったがな。

 

「…俺はお前を可哀想だと思うよ。生まれた時から両親からの愛を受けられず、人との関わりも持てなかったお前を本当に可哀想に思うよ、化け物君?」

 

鷹岡はまたしても皆に聞こえるように言いながらオレに向かって気持ち悪い笑みを浮かべる。化け物、か……それはオレの事を指しているのだろう。

 

「化け物……?」

 

黒崎が少し怒りながら疑問を出す。オレの為に怒ってくれたのだろうか?だとしたら嬉しい物だ。

 

「未来予測に等しい程の事ができる頭脳と動体視力。鍛え上げられたその身体は銃弾を避け、毒も電気も効かない。本気で拳を振れば岩をも砕く。それを化け物と呼んで何が悪い?」

 

皆は驚いているがオレは生まれた時から親に訓練された結果としか思っていない。

 

「(いつまでその余裕そうな表情を保ってられるかァ…)それにしてもお前に交友関係があるとは驚いたよ。賢いお前の事だ。この交友関係も何かに利用しようとする道具にしか…ぐえっ!」

 

オレは鷹岡の腹を殴って言おうとした事を遮る。

 

「……お前いい加減五月蝿い。」

 

「このクソガキがァァ!」

 

鷹岡は腕を振りかぶる。さて、どうしてやろうか?……殴ろうとしたその腕を掴んで骨を折ってやろう。

 

「やめろ!鷹岡!…神崎さん、前原君。怪我はないか?」

 

オレがそう思っていると烏間先生が鷹岡の腕を掴んで止め、神崎と前原の心配をする。

 

「……平気っす。」

 

「…大丈夫です。」

 

前原と神崎がそう言った後、烏間先生はオレの方を向く。

 

「白夜君は?大丈夫か?」

 

「大丈夫です。」

 

「烏間ァ……そろそろ止めに来る頃だと思ったよ…だが俺はこのガキをぶっ殺さなきゃいけねぇんだよ!!」

 

鷹岡は血走った目でオレの事を睨む。オレは死よりも辛い拷問をしようと思っていたんだがな。それ程までに、先程鷹岡が言おうとした事は許せない物だ。

 

「ダメだ。暴れたいなら俺が相手をしてやる。」

 

「……暴力でお前とやり合う気はない。やるならあくまで、教師としてだ。烏間、お前が育てたコイツらの中でイチオシの生徒を選べ。」

 

鷹岡は気持ち悪い笑みで教師を強調して言いながら鷹岡が持ってきたバッグに近づく。

 

「ソイツがオレと戦い、一度でもナイフを当てられたらお前の教育の方が優れていたのだと認めて出ていってやる。」

 

鷹岡のその言葉に皆の表情が明るくなった。

 

「ただし、使うのはコレじゃない。」

 

鷹岡がバッグから対先生ナイフをだし投げ捨て、その上に本物のナイフを刺す。

 

「使う相手は俺なんだァ…使う刃物も本物じゃなくっちゃな…。」

 

鷹岡が狂気の笑みを浮かべながら言った言葉に皆が動揺する。

 

「本物のナイフだと…!よせ!彼らは人間を殺す訓練も、用意もしていない!」

 

烏間先生が抗議するが鷹岡は余裕そうに言う。

 

「安心しな〜、寸土目でも当たった事にしてやるよ。俺は素手だし、これ以上ないハンデだろ?さぁ、烏間、一人選べよ!嫌なら無条件で俺に服従だ!」

 

烏間先生は鷹岡が投げたナイフを拾い、皆の方へ向かう。オレなら……アイツだな。

 

「渚君、できるか?」

 

烏間先生が選んだのは渚だった。

 

「え……。」

 

選ばれた渚と皆は驚いているが、オレもあの中で選べと言われたら渚を選ぶ。まあ受け取るか受け取らないかは渚次第だがな。

渚は目をつぶり、スッと息を吸った後……目を開け、ナイフを手に持った。

 

「やります」

 

オレは準備?をしている渚に目を向けながら皆の所へ戻る。

 

「烏間ァ……お前の目も曇ったなぁ…。」

 

鷹岡は渚をナメた様子だった。そんな鷹岡の言葉を烏間先生は無視しながら渚に幾つかのアドバイスをして離れた。

 

「…裕翔君、当たると思う?渚ちゃんのナイフ。」

 

陽菜乃がオレの隣に来て聞いてきた。

 

「オレは当たると思ってるぞ。…まあ、見てれば分かる。」

 

オレは陽菜乃にそれだけ言って渚を見るように促す。

 

「さあ、来い!」

 

鷹岡がジャージを投げ捨てバトルの開始を宣言した。皆が渚の戦いに集中する中、オレは考える。

 

鷹岡にとってはこれは見せしめの為の勝負。しかし、渚はただナイフを当てれば勝ちの暗殺。

 

…戦って勝たずとも殺せば勝ちだ。

 

オレがそう考えていると渚が動き出した。渚は笑みを浮かべながら普通に歩き出した。まるで通学路を歩くかのように、普通に。そうして歩いて行き、鷹岡の肩が渚にぶつかる。渚が本気でナイフを振りかざした。

 

驚いて体勢を崩した鷹岡の服を引っ張って転ばし、背後に回って目を隠し、首筋にナイフを突き付ける。

 

「…捕まえた。」

 

渚が勝った。その事実に皆は言葉をなくしていた。

 

「あれ?峰打ちじゃダメなんでしたっけ?」

 

「そこまで。…勝負ありですね、烏間先生。……全く、本物のナイフを生徒に持たすなど正気の沙汰ではありません。怪我でもしたらどうするんですか。」

 

殺せんせーは渚が持っていたナイフを取って、食べながらそう言った。

 

皆が渚の元へ駆け寄りワイワイと騒ぐ中、鷹岡が起き上がり、青筋を立てた怒りの表情で口を開く。

 

「このガキィ…!父親も同然の俺に歯向かって…まぐれの勝ちがそんなに嬉しいか…!?もう一回だ…!心も体も全部残らずへし折ってやる!!」

 

「確かに次やったら絶対僕が負けます。でもはっきりしたのは僕らの担任は殺せんせーで、僕らの教官は烏間先生です。ここだけは譲れません。父親を押し付ける鷹岡先生より、プロに徹する烏間先生の方が僕は暖かく感じます。本気で僕らを強くしようとしてくれたのはのは感謝します。でもごめんなさい。出ていってください。」

 

渚は鷹岡に対して深々と頭を下げる。鷹岡は渚の態度を見て、呪詛のように怒りを口にして渚に襲いかかる。

 

「グアアァァァァ!!!……グハッ!」

 

襲いかかる鷹岡に烏間先生が顎に肘打ちし、オレは鳩尾を殴る。

 

「身内が迷惑をかけてすまなかった。後の事は心配するな。今まで通り、俺が教官を務められるよう上と交渉する。」

 

「や、やらせるかそんな事……俺が先にかけあって…」

 

「アンタしつこいな。…それに手遅れだ。」

 

オレは指を指しながら鷹岡にそう言った。我らが椚ヶ丘中学校の理事長を指しながら。

 

「その通りです。交渉の必要はありません。」

 

皆は驚いたような顔で、鷹岡は青ざめた顔で理事長を迎える。

 

「新任教師の手腕に興味がありまして、全て拝見させていただきました。」

 

理事長は渚と烏間先生の間を通り、鷹岡の顔を掴む。

 

「鷹岡先生。あなたの授業はつまらなかった。教育に恐怖は必要です。…が、暴力でしか恐怖を与える事ができないなら、その教師は三流以下だ。」

 

理事長は無慈悲に鷹岡にそう言いながら解雇通知を口に無理やり入れる。

 

「解雇通知です。ここの教師の任命権はあなた方防衛省にはない。全て私の支配下だと言う事をお忘れなく。」

 

理事長は烏間先生に告げ、去っていった。

 

「クソ…クソ…クソ…クソォォォ!!せめてこのガキだけでも殺してやる!!!」

 

鷹岡はそう叫んでナイフを持って渚に襲いかかる。

 

「喰らえぇぇ!!」

 

グサッ!

 

鷹岡がナイフを捩じ込み、渚の前に出たオレの腹部から血が出てくる。身体の中に異物が入り込む不快感と痛みがオレに呻き声を上げさせる。

 

「…グッ……。」

 

「「「「白夜君!!!」」」」

 

「殺った…殺ったぞ!どうせこのまま帰っても同僚にバカにされるだけ!だったら俺は逃げてやる!!」

 

鷹岡はそう言ってバッグを持って走りだす。オレは地面に倒れた。そういえば今日は徹夜と朝食を省いたから調子が悪かったな。それで今日、ナイフで刺されるとはな……いつもなら動けるのに。

 

「裕翔君!!血が…血が…早く止めないと!!」

 

そう言って陽菜乃はハンカチを出してオレの出血部分を抑えるが止まらない。オレはこの場面を何故か懐かしいと感じていた。ああ……そうか…やっと思い出した…。

 

「なんか懐かしいな……陽菜乃、覚えてるか?オレ達、5歳の時に会ってたんだ。……オレは忘れてたけどな。」

 

「覚えてる!覚えてるよ!」

 

「ごめんな、忘れてて。これ、何年も後になってしまったが返す。」

 

オレはポケットからハンカチを出して陽菜乃に無理やり渡す。

 

そこでオレの意識は途切れた。

 




どうも、ワンフォーワンです!!

かなり無理やりな感じはしますがそこの所は暖かな目で見ていただけるとありがたいです……。

白夜君はこの後、どうなるのか!?

それでは次回でまたお会いしましょう!!


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第33話目覚めと過去の時間

どうも、ワンフォーワンです!

通算UA20000!ありがとうございます!!!色々と喋りたいですけど、後書きに回します!

それでは第33話目覚めと過去の時間、どうぞ!




…白夜side

 

 

「……んぅ…眩しいな……。」

 

オレは外の眩しさに目を覚ました。カーテンの隙間から差し込む日差しが今が朝だという事を伝える。……E組の中…それも保健室か?

 

だったら何でオレはそこにいる?…ああ…刺されたんだったな。刺された、というよりは捩じ込まれたの方が正しいか。

 

腹にまだ痛みがあるし治ってはいないが、処置はされてるか……殺せんせーがやったのか?

 

「……さて、問題は今が何時かだな。」

 

「今は朝の8時だよ。」

 

声のした方を向くと目元が少し赤くなっている陽菜乃がいた。

 

「陽菜乃……何故8時に校舎にいるんだ?」

 

「裕翔君の事が心配だったから、早起きしてここに来たの。」

 

「そうか……心配をかけてしまったようだな、すまない。」

 

「……裕翔君のバカ…。」

 

陽菜乃が俯きながら言うが声が小さかったが、その啜り泣くような声をオレは聞いた。

 

「裕翔君のバカ!!凄く心配したんだから!!!」

 

顔を上げた陽菜乃は泣いていて、オレにそう言いながら抱きついて来た。オレは陽菜乃を受け止めて優しく頭を撫でる。

 

「もう死んじゃうんじゃないかってずっと心配で!殺せんせーは大丈夫って言ってたけどそれでもずっとずっと心配だったの!!」

 

「………悪かった……もう陽菜乃に心配はさせない。」

 

「……本当に?」

 

「ああ、絶対にだ。オレはずっと陽菜乃の隣にいるし、陽菜乃を置いて死んだりしない。」

 

「…え?それって……//////」

 

陽菜乃はオレの言葉を聞いて顔を真っ赤にする。……ン?もしかしてプロポーズみたいになったか?

 

………陽菜乃と結婚か……悪くないな。いや寧ろ凄く良いな…将来の目標が決まってなかったが陽菜乃と結婚にしよう。

 

(凄く入りづらいんですが……。)

 

「そして、殺せんせー。何のようだ?」

 

オレは扉の奥で隠れているつもりだろうが衣服で見え見えな殺せんせーに話しかける。

 

「……え?」

 

「ニュヤ!?……え、えーっと……」

 

((((殺せんせー!!絶対に言うなよ!))))

 

さて、段々と目が覚めて思考もクリアになってきたな。

 

(み、皆さんから絶対に言うなという空気が伝わってくる…!これは教師として皆さんの期待に答える時!!)

 

ン?奥の方に十数人くらい人がいるな……殺せんせーも近くにいるし皆か。

 

「あ、それと皆も奥で何をしてるんだ?」

 

(((((ば、バレたー……。)))))

 

「え?え?」

 

「「「「おはよう白夜(君)。調子はどう?」」」」

 

皆は何かを諦めたような表情で中に入り、オレに調子を聞いてきた。皆は今日も息が合ってるな。

 

「まだ腹に痛みがあるが動けない程じゃない。それより皆はどうしてここに?まだ8時だぞ?学校が始まるのは9時の筈だが……?」

 

「俺達も心配で早めに来たんだよ。」

 

「まあ倉橋の方が早かったみたいだけどな。……にしてもお前、目が覚めてからすぐにイチャつきやがってー!」

 

黒崎がそう言うとオレの横にいる陽菜乃の顔が真っ赤になっていく。視点的に上目遣いで顔が真っ赤だから凄く可愛い。

 

「……/////」ボンッ!

 

「おい!倉橋が爆発したぞ!!」

 

「アイツ……タラシだ…!」

 

「「「「お前が言うなこのクソ女タラシ!!」」」」

 

「まあ倉橋限定だろうけどな。」

 

……何か好き勝手言われているがオレはタラシじゃないぞ……ン?まさかまた口に出てたのか?

 

「……もしかして声に出てたか?」

 

「「「「自覚なしかよ!!」」」」

 

はあ……やってしまった…時々、気が抜けている時に思っていた事が口に出てしまうのだ。気をつけよう…そして治そう。

 

「うぅ〜………あれ?」

 

「陽菜乃、調子はどうだ?」

 

「うん、大丈夫。…………ねぇ裕翔君?」

 

「……なんだ?」

 

「……ジニアスルームって何?」

 

……やはり聞かれるか。できれば言いたくなかったがここで適当に嘘を吐いてもバレるし余計に不審がられるな。

 

「話す気はなかったんだがな……。仕方ない、話すとするか…オレの過去を。」

 

オレは皆の目を見て、諦めて話す事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オレは恐らく一般的な家庭に生まれた。

 

ただ1つ、一般的な家庭と違う点といえばオレの父親はジニアスルームという施設を創設してオレを入れ、そこで教育を施した事だろう。

 

どういう思いでオレに教育をしていたのかは知らないが今思えば地獄のようなカリキュラムだった。娯楽は当然なく、決められたスケジュール道理に動き、ずっとカリキュラムを受け続けた。

 

5歳の頃に森の中でサバイバルをさせられたりしたが10歳の頃には人が一生をかけて学ぶ程の知識と大人顔向けの運動能力を手に入れた。

 

オレの父親は5歳の時のあたりから孤児院から子どもを連れてきては教育を施したが…過酷なカリキュラムに耐えられず、吐き出す者や発狂する者、自殺する者もいた。だが、オレの父親はそんな事を気にする様子もなく、ジニアスルームの運営を続けた。

 

10歳のあたりの頃、義務教育で小学校に転入した事がある……黒崎と出会ったのはそこでだ。

 

ちょうどその時、オレは担任に『君の過去について教えてほしい』と言われた。オレはジニアスルームの話をその教師にしたらまるで化け物を見るような目をして態度を変えてきた。……まあ仕方ないのかもしれない。

 

そして次の日、その教師は退職していた。理由は簡単、オレの父親がソイツがジニアスルームについて知った事を知って仕事を奪ったからだ。職を失い、金も失い、家族にも見放されたその担任は最後に遺言としてオレの机に手紙を残した。

 

『聞くんじゃなかった。お前みたいな化物の担任なんてするんじゃなかった。』

 

それがその手紙の内容だ。

 

その日の翌日にオレは父親に転校させられ、ジニアスルームでの訓練を再開した。

 

そして数年が経った頃、父親が死んだと報告された。本当に死んだのかは知らないが交通事故での死だ。オレの父親が死に、ジニアスルームの運営は中止した。オレはその隙にジニアスルームを抜け出し、ある程度の資金を稼いだ。家を手に入れ、イアを作り、学校に入学した。

これがオレの過去、白一色のつまらない過去だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

白夜「………オレの過去はこれだけだ。……この話を聞いてもお前達はオレへの態度を変えずにいてくれるか?」

 

オレは数分程かけて過去を話し終え、皆の様子を見る。顔を俯かせている者、少し悲しそうな顔をする者など反応は様々だ。

 

「……変えないよ。」

 

陽菜乃はオレに対して目を合わせ、断言した。目尻に涙が少しあり、涙が零れた跡もあるがしっかりと真剣な表情でオレを見てくれている。

 

「私は裕翔君の事がずっと大好きだよ!どんな過去を持っていても、裕翔君は裕翔君だもん!」

 

オレはオレ、か。

 

「だから私は裕翔君に対して態度を変えたりなんてしないよ。ナンパされてるのを助けてくれた時、見ず知らずの私を助けてくれてカッコよかった!集会の時に怪我をした私を謝りながらお姫様抱っこで運んでくれたのが恥ずかしかったけど嬉しかった!修学旅行で拉致された時、すぐに助けに来てくれて嬉しかった!そんな裕翔君が好きだから私も裕翔君の隣にずっといる!私は裕翔君が大好きで愛してるから!!」

 

陽菜乃はそう言ってオレの顔を優しく両手で持ち…

 

 

 

 

…オレにキスをした。陽菜乃からキスをするという突然の事に内心驚いていると陽菜乃の唇が離れる。

 

「やっぱり恥ずかしいね…///」

 

陽菜乃のその言葉は、行動は、心は、オレの心の中にあった不安を優しく無くした。やはりいつもオレは陽菜乃に心を救われている。それがオレが陽菜乃を好きな理由なのかもしれない。

 

「陽菜乃………ありがとう。」

 

「!うん!どういたしまして!」

 

陽菜乃は少し頬を紅潮させながらも明るく笑いながらそう言った。

 

「俺達も白夜に対して態度を変えたりしないぜ?」

 

オレが後ろを振り向くと黒崎はニカッ!と笑いながらオレにそう宣言した。

 

「当然、俺もな!」

 

「俺もだ!」

 

黒崎に続いて磯貝、前原と続いていく。

 

「皆……ありがとう。」

 

オレがそう言うと殺せんせーが話しかけてくる。

 

「白夜君、先生は前に君に言いましたね?『彼らは気にせずいつも通りに接してくれる』と。今の皆さんを見て分かったでしょう?このクラスに君の過去を聞いて態度を変えるような人はいません。」

 

「君は苦しい過去を受け入れ、甘味のある未来をその手で掴もうとしている。そして仲間を優先する君は優しい素晴らしい人です!だから皆さんは君の過去を聞いて、それを受け入れ態度を変えずに接してくれる。……この教室にいる以上、君は『悪魔の天才』でも『天才の部屋の最高傑作』でも化け物でもありません。皆さんと同じ、E組の生徒です。」

 

殺せんせーはそう言ってにっこりと笑う。皆も笑いながらオレを受け入れてくれる。

 

………皆はやっぱり優しいな。

 

オレは内心でそう呟いて、皆の元へ行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オレの人生は生まれた時から娯楽を知らず、人と関わる事の嬉しさを知らないというつまらない白一色の人生だった。だが、陽菜乃達と出会ってからオレの白一色の人生は鮮やかに彩られ、とても甘く楽しい生活を送れている。

 

オレは皆に助けられている。オレの父親なら『愚かで弱い』と言うだろう。

 

だが、オレはこの関係が、このクラスが、とても好きで気に入っている。

 

皆には感謝してもしきれない。だからこう言おう…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………ありがとう、と。

 

 




ワンフォーワンです!

通算UA20000超えの話の前に1つだけ言わせてください………



……何か最終回みたいになってるゥゥー!!?こう書いてたら最終回みたいになっちゃったんですよ!!でも自分は「これはこれで良いんじゃないかなぁ…」と思うのでこんな感じになりました。

※最終回ではないです。

えー…失礼しました。では気を取り直して…通算UA20000越え!ありがとうございます!!

「そういえば10000超えた時、何もしなかったよな……。」

「おい何かやれよ!!もうこれはアレだな何話か書かないとな!」

ええー!!ちょ!?

「毎回こんな駄文を見てくださる方達に感謝の気持ちはないのか?」

ぐっ……正論だ…確かに気持ちはある。……ここはアンケートを取ろう!記念話を書き忘れた分として、何話書くか皆様にアンケートを取ろう!

というわけでまたアンケートです。自分が10000、15000とやる予定だった記念話を何話書くかのアンケートを取ります!答えてください!!!

それと記念話に何かこんな話を書いてほしいとかあれば感想欄に書いてくださると嬉しいです!はっきり言うとネタがないです!

よろしくお願いします!!!!!



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第34話誕生日の時間(白夜裕翔誕生日記念!)

どうも!ワンフォーワンです!

さあ!今回はタイトルにもある通り、白夜裕翔君の誕生日記念話です!本編に入れるか特別編に入れるか悩みましたが後々この話を関わらせるかもしれないので本編に入れました!!関わらないかもしれませんけどね。

えー、まあ長ったらしく話しててもあれなので……

それでは!第34話誕生日の時間です!どうぞ!!



…白夜side

 

 

イトナが転校してきたり、鷹岡の騒動だったりと忙しかった6月もあと数日で終わりを迎え、7月に入ろうとしている。

 

オレの過去…ジニアスルームについて皆に語り、数日経ったが皆との関係はあまり変わっていない。というか前よりも皆と仲が深まった気がする。

 

そんな中、オレは悩みを抱えていた。最近、陽菜乃がオレに対して冷たい気がすることだ。そう思い始めたのはつい最近の事。事の始まりは少し遡る。

 

 

 

 

「陽菜乃、一緒に帰ろう。」

 

「ごめん裕翔君!ちょっと用事があって。」

 

いつもどおり陽菜乃と一緒に帰ろうと誘ったが断られてしまった。その日、オレは一人で帰った。まあ仕事の消化をしながら帰ったのでかなり余裕ができた。数週間はサボっていても問題ないくらいに進めておいた。

 

「陽菜乃、最近新しいスイーツが出た店があるんだ。放課後に一緒に行かないか?」

 

「ごめん裕翔君!今日もちょっと用事が……。」

 

後日、陽菜乃を誘ったが断られた。用事、と言うがどんな用事かは教えてくれない。まあ、しつこく聞いても陽菜乃も迷惑だろう。その日、オレはまた仕事を消化しながら帰った。これで約1ヶ月はサボれる。……サボらないけどな?そのくらい余裕があるって事だから。

 

「陽菜乃、今日は動物園に行かないか?日曜日だしちょうど良いと思うのだが。」

 

「陽菜乃、そろそろ新しい商品を出そうと思うんだが意見を聞きたい。一緒に帰れるか?」

 

と、このように(多分)しつこくない程度に一緒に帰ろうや一緒に遊ぼうと誘ったのだが返ってきた言葉はどれも全て「大丈夫!」や「ごめん!」だ。オレは少し心配になっている。ちなみにこれでもう約4ヶ月はサボっても問題はない。……社員が優秀だから仕事量が少ないんだよな…………まあ新商品の考案とかで時間を潰そう。

 

以上の事を黒崎に相談すると、気まずそうな顔をした後、「急用を思い出した!」と言って帰って行った。……オレは黒崎に嫌われるような事をしたか?

 

 

 

 

 

…倉橋side

 

 

「……それ、本当?」

 

「ああ。どうやら最近の倉橋の言動に嫌われているんじゃないか?と不安がっているらしい。」

 

どうしようどうしよう!私全然裕翔君の事、嫌いじゃないのに!だ、大好きなのに〜!」

 

「おーい。全部口に出てるぞー。」

 

「!?……お恥ずかしい…//」

 

「はあ……どうするかなぁ……。」

 

黒崎君はそう言ってため息をつく。裕翔君の誕生日プレゼントをバレないように殺せんせーやビッチ先生、桃花ちゃん達と相談して選んでたらそんな事に……。

 

「う〜ん……でも、裕翔君にバレたら……」

 

「本末転倒、だな。サプライズのつもりだし。」

 

「でも、もう渡そうと思ってた物は皆のおかげで買えたから後は大丈夫だよね!もう裕翔君と一緒に帰っても良いよね!!」

 

最近、裕翔君と帰りたいのに帰れなかったから寂しかったんだよね……。そういえば少し寂しそうな表情をしてた裕翔君、ちょっと可愛かったなぁ〜!

 

「お、おう!良いと思うぜ!」

 

「やった〜!それじゃあ、ありがとね!!」

 

久しぶりに裕翔君と一緒に帰れる〜!裕翔君、このプレゼント喜んでくれるかな〜?

 

 

…倉橋sideout

 

 

…そして、6月25日。白夜裕翔の誕生日である。

 

 

…白夜side

 

 

今日も1日が終わり、帰りの支度をする。鞄にラノベ、教科書、筆箱と順々に入れていく。ちなみに最近の作者的おすすめのラノベは『探偵はもう死んでいる』と『ライアー・ライアー』だそうだ。本当に面白いし、まだあまり巻数も出てないので追いつきやすいらしい。……誰に向かって言っているんだろうか?

 

そんな事を考えながらオレは帰りの支度を済ませ、陽菜乃の元へ向かう。今日も誘ってみるか。

 

「陽菜乃、今日は一緒に帰れるか?」

 

「いいよ〜!」

 

「……え?いいのか?」

 

「うん!今まで一緒に帰れなくてごめんね?ちょっとどうしても避けられない用事があって…。」

 

陽菜乃は本当に申し訳なさそうにオレに謝る。表情は笑顔から不安へと変わっている。

 

「いや、そういう日もある。だからそんな不安そうな表情をしないでくれ。陽菜乃はどんな表情でも可愛いが、オレは笑っている陽菜乃が1番好きだ。」

 

「!!……うん///ほら!帰ろ!(もう、なんで裕翔君って時々そんな恥ずかしい事を平然と言えるのかな……まあそんな所も好きなんだけどね♪)」

 

陽菜乃は頬を赤らめながらオレの腕に抱きつく。そしてグイグイとオレを引っ張るが顔を合わせてくれない。

 

「陽菜乃、どうして顔を合わせてくれないんだ?」

 

「いいから!行こ!(今絶対、私顔真っ赤だもん!そんな時に顔なんて合わせられない……)」

 

そう言って更にオレをグイグイと引っ張るが顔は見せてくれない。何をさっきから焦っているんだ?…それにオレは陽菜乃の顔を見ながら会話をしながら楽しく帰りたいんだが……仕方ない、少し強引に行くか。

 

未だにオレの事を引っ張り続けている陽菜乃の腕の拘束から逃げ、陽菜乃の手を掴む。そのままオレの方へと体の向きを変えさせ、抱き寄せる。

 

「……え?」

 

「やっと顔を見せてくれたな。何をそんなに焦っているんだ?」

 

オレは目と鼻の先にいる(比喩じゃなくて本当に)陽菜乃にそう問いかける。陽菜乃の息が少しかかってくすぐったい。

 

「え?////(え?え?え?なんで裕翔君の顔がこんなにも近くに!?)」

 

「陽菜乃、可愛い。」

 

呆然としている陽菜乃を見てつい声が漏れた。久しぶりに近くで見たけど本当に可愛いな……。そういえば最近はキスもしてなかったな……。

 

「ン。」

 

「んんッ!?」

 

オレは黙ったままの陽菜乃にキスをした。優しくそっとキスをして少し距離を離す。

 

「何か久しぶりな感じがするな。そう思わないか?陽菜乃。……陽菜乃?」

 

「プシュ〜……」

 

すると、陽菜乃の頭から湯気が出てきた。……湯気?

 

「急にどうしたんだ?大丈夫か?」

 

そう問いかけると陽菜乃はぼーっとオレの顔を見つめ、ボンッと音を立てて顔を赤くする。

 

「な、何で急にキスしたの!?////」

 

「久しぶりにしたくなってな。嫌だったなら悪い…。」

 

「全然嫌じゃないよ!」

 

ブンブンと手を振りながら「大丈夫!」と言う陽菜乃。そんな陽菜乃がまた可愛くてつい写真に収めたくなる。

 

(((何か口の中が凄いジャリジャリする……。)))

 

「そうか?それなら良かった。」

 

「うん♪ちょっと驚いたけどね…///」

 

「それは可愛い陽菜乃が悪い。」

 

「…何でそんな恥ずかしい事をスラスラと言えるのかなぁ……」

 

「事実だからな。しょうがない。」

 

「うぅ〜……また裕翔君のペースだ……。」

 

そんな感じで久しぶりに陽菜乃と会話をしながら帰った。手を繋ぐのも陽菜乃と二人きりで帰るのも久しぶりだな。

 

 

 

 

そうしてしばらく談笑しながら歩いていると陽菜乃が立ち止まる。陽菜乃に合わせてオレも立ち止まると同時に陽菜乃は口を開いた。

 

「裕翔君!私が良いよって言うまで目を閉じてくれない?」

 

「?ああ、分かった。」

 

目を閉じる?何故だ?オレは陽菜乃の言葉に首を傾げながらも目を閉じる。オレが言われたとおりにするとゴソゴソと音が聞こえてくる。……鞄の中で何かを探しているのか?

 

「もういいよ〜♪」

 

陽菜乃に耳元でそう言われ、オレは目を開ける。

 

「……腕時計…」

 

オレの目に入ったのは高級感漂う黒い箱から顔を覗かせる黒を基調とした、無駄のないシンプルなモデルの時計。一見、ただの腕時計に見えるがこれは凄く人気のある腕時計だ。多分、腕時計が好きな奴なら誰でも知ってる。

 

「ピンポーン!正解で〜す!今日は裕翔君の誕生日だからね♪」

 

そう言って陽菜乃は今まで一緒に帰れなかったのはプレゼントを選ぶ為に皆に相談してたからだと語り始めた。今まで一緒に帰れなかった理由については納得できた。だが、オレにはもう一つ疑問がある。

 

「……一つ聞くぞ、陽菜乃。この時計ってどうやって手に入れたんだ?」

 

「えーっと……確か何年か前のキャンペーンだったかなぁ〜…。裕翔君に似合う時計を探してたら思い出して渡したんだよ!……嫌、だったかな……」

 

「陽菜乃からのプレゼントが嫌なわけがない。ただ……この時計、ホントに良いのか?」

 

「うん♪私は使わないしね〜。」

 

陽菜乃はそう言って持っていた時計をオレの手首に付ける。

 

「うん♪サイズもピッタリ!良く似合ってるよ!!……そういえば、これってそんなにいい時計なの?」

 

オレの態度に疑問を持ったのか陽菜乃はオレにそう聞いてくる。……まさか知らないのか?

 

「良いなんてレベルじゃない。世界に5つだけしかないプレミア物だからな。オークションに出せば数億はいく。」

 

「えーー!!!!??こ、ここ、これってそんなにするの!?」

 

オレの言った言葉に陽菜乃の絶叫が響く。その後、近所迷惑だと心配したのか、自分の手で口を塞ぐ。その反応を見るに、本当に知らなかったらしい。

 

「ああ。……だから本当にオレにあげていいのか?」

 

「ふふっ、当然だよ!私は数億円なんかより裕翔君の方が何億倍も大事だもん♪」

 

陽菜乃は口から手を退けて、そう言ってから天真爛漫な笑みを浮かべる。陽菜乃がこんなにもオレの事を好いてくれて、愛してくれているんだと思うととても嬉しい気持ちになる。

 

「……オレはてっきり陽菜乃がオレに愛想を尽かしたのかと心配してたんだ。すまなかった。」

 

オレは自分が抱えていた悩みを、不安を陽菜乃に打ち明ける。陽菜乃のオレに対する好意を疑って、てっきり愛想を尽かしてしまったのかと考えてしまった自分を殴りたくなる。

 

「私が裕翔君に愛想を尽かす事なんて絶対にないもん!」

 

陽菜乃はそう言って、頬を膨らませながらオレをポカポカと軽く叩く。当然、避けたりせずにしっかりと受け止める。本当にポカポカと擬音が出てきそうなくらい陽菜乃は優しくオレを叩く。

 

「……陽菜乃、ありがとう。」

 

オレは陽菜乃に礼を言って抱き寄せてから頭を撫でる。陽菜乃がポカポカと叩くのをやめ、目を閉じて気持ち良さそうにしている。その光景を見て、つい頬が緩む。こういう所がまた可愛い。……と、そろそろ陽菜乃の家が近いな。

 

陽菜乃もその事に気づいたのか、少し寂しそうな顔をする。折角の誕生日をそんな寂しそうな表情で終わらせたくはない。

 

「それじゃあ、裕翔く…んんッ!?///」

 

オレは恐らくオレに別れを告げようとした陽菜乃の口を塞ぐ。柔らかく、甘い陽菜乃の唇の感触を楽しみながらそっと長めにキスをした。

 

「ぷはっ///」

 

「陽菜乃、今日はありがとな。おかげで人生で最高の誕生日だった。……そのお礼…には安すぎるかもしれないが受け取ってくれ。……それじゃあまた明日。」

 

オレは顔を真っ赤にしながら呆然としている陽菜乃に微笑みながらそう言って礼と別れを告げる。すると、陽菜乃は呆然とした表情から笑顔の表情に変えて、手を振ってくれた。

 

「……ふふっ、全然安くなんかないよ。裕翔君、誕生日おめでとう♪」

 

 




ワンフォーワンでございます。

自分で見直してたら予想以上に甘くなりすぎて今でも口の中にジャリジャリとした感触と凄い甘さがあります。

えー…白夜君へのプレゼントは時計でしたー!仕事をしてる人が日常的に使う物といえば時計かなーと思ってそうしました!

次回はやっと原作に戻ります!ちょっと脱線し過ぎました…。

それでは!また次回でお会いしましょう!!


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第35話プールの時間

どうも!ワンフォーワンです!

……………。(やっべ、何も言う事思いつかねぇ……。)



……第35話プールの時間です!どうぞ!


…白夜side

 

 

いよいよ夏に入り、期末テストに向けて勉強をする時期だ。………だが、問題点が1つある。

 

「今日も暑いな。」

 

「だよね〜……エアコンがあれば快適なのにな〜…。」

 

「冷房があって快適な本校舎が羨ましいぜ…。」

 

「エアコンがないとか干からびそう……。」

 

隣でぐったりしている陽菜乃がオレの呟きに反応した。陽菜乃の発言に皆の言葉が続く。

 

「……温暖湿潤気候で暮らすのだから諦めなさい。ちなみに先生は放課後には寒帯へ逃げます。」

 

「ずりぃ!」

 

「俺らも連れてってくれよ殺せんせー!」

 

「分かりました。……と言いたいところですが、マッハ20でも出来ないことは有るんです!!」

 

現実とは非情である。こればかりはオレでもかなり解決しにくい。エアコンを設備させる、というのが一番やりやすい手だがそれなら殺せんせーがやっている筈だ。だが、それをやらないという事はできない事情があるのだろう。

 

「でも今日プール開きだよね?楽しみ~!」 

 

場を明るくさせようと陽菜乃はそう発言する。皆に少し希望が見えてきたが、オレは知っている。現実とは非情である。

 

「行きと帰りのどちらか、もしくは両方で誰かが倒れそうだがな。」

 

プールは本校舎にある。行きはともかく、帰りに暑さと登り道とプールの疲れで力尽きかねない。オレの発言に皆の希望は絶望に変わった。……その、何か…すまん。

 

「仕方ありませんねぇ。裏山に小さい沢がありますのでそこへ涼みに行きましょう、全員、水着に着替えて着いてきなさい。」

 

 

 

 

 

オレ達は着替えて外に出た。

 

「裏山の沢って言っても、あそこは足首あるか無いかぐらいの深さだぞ。」

 

「黒崎、行った事があるのか?」

 

「ん?あー、まあある程度はマシになるかと思ってな。」

 

さて、黒崎と雑談を交わしている間にそろそろ沢が近づいている筈だが……妙な音が聞こえる。水が流れ落ちる音か?でも黒崎の話が正しいならそんな水量は無い筈だ。

 

「さあ!着きましたよ!ご覧あれ!先生特製のE組専用プールです!」

 

「「「「「い、いやっほおおおおおおう!」」」」」

 

オレ達が目にしたのは立派なプールだった。皆は一斉にプールに飛び込む。こういう事をされるから殺せんせーは殺しにくい。とそう思いながら準備体操を怠らない。怠惰の大罪司教がいたら「勤勉です」と言われる事だろう。

 

「おーい!準備体操しっかりしろよー。」

 

「足吊っちゃうよー。」

 

飛び込んだ皆に準備体操をしながら声掛けをする磯貝と片岡。言っている事は正論だが、皆の気持ちも分かる。……でも準備体操はちゃんとしないとな。

 

準備体操を終え、プールに飛び込む。飛び込んだは良いものの、どうやって遊ぶのか考えてなかったので適当に皆の様子を見る。陽菜乃……は矢田と速水と遊んでるか。というか茅野のそのビーチボールは何処で買ったのだろうか?後はプールの中でカメラを持つ岡島……カメラ?

 

「岡島、そのカメラはどうしたんだ?」

 

「ん?あー、これで女子達の水着を……」

 

「女子達の水着を?…なんだ?」

 

(気のせいだろうか?白夜から凄い殺気がするのと森がざわめいているんだが……。まあこの俺、黒崎和人には関係ないだろう。)

 

黒崎が目を瞑って、岡島に合掌してるが気にしない方向で行こう。きっと1日10000回の感謝の正拳突きをしようとしているに違いない。

 

「な、な、な、何でもありませーん!!」

 

「そうか、それは良かった。」

 

オレはそう言いながら岡島のカメラを掴む。……20万くらいするやつだな。中々良いカメラを持っている。

 

「あの……何で俺のカメラ掴んでんの?」

 

「すぐに分かる。」

 

オレは岡島の質問にそう答えて、カメラを握り潰した。まあ、陽菜乃の水着姿を撮ろうとしたんだからな。容赦なく潰す。あ、弁償はするから心配は無用だ。後で25万渡しとく。

 

((((ドンマイ、岡島。))))

 

さて、何をして遊ぶか……ン?なんで殺せんせーは入らないんだ?オレはそれが気になったので殺せんせーに近づき、聞いてみる事にした。決して暇つぶしではない。

 

「殺せんせーは入らないのか?気持ちいいぞ?」

 

「せ、先生は放課後に入りますよ…。」

 

オレはビート板らしき物を持っている殺せんせーに聞いた。返ってきた殺せんせーの反応は明らかに嘘の反応だ。しかし、嘘をつくという事は何かあるな。だとしても何故ビート板を持っているんだろうか?

 

脳内で思考を巡らせていると、何処からかピーという音が鳴った。音の発生源は殺せんせーだ。近くを走っていた木村を殺せんせーが注意した時に鳴った音らしいな。その後も殺せんせーは立て続けに注意していく。……地味に五月蝿い。

 

「カタいこと言わないでよ殺せんせー!水かけちゃえ!」

 

注意しまくる殺せんせーに陽菜乃が水をかけた。……少し殺せんせーが羨ましいと思ったのは秘密だ。オレも陽菜乃と遊びたかったのにな……。

 

「きゃんっ!」

 

「「「え?何今の声……。」」」

 

水を浴びると殺せんせーが気持ち悪い悲鳴を上げた。……なるほど、放課後に入ると嘘をついたのは水が苦手だからなのか。

 

すると、カルマがこっちを見ている事に気づいた。殺せんせーが座っている椅子を指差しながら目配せをしてくる。カルマの意図を把握したオレはカルマと気づかれないように殺せんせーの椅子に近づき、思いっきり揺らした。

 

「きゃぁっ!?ゆ、揺らさないでカルマ君に白夜君!水に落ちる!」

 

「いや、そんなに慌てること無ぇじゃねぇか殺せんせー、ビート板あるからそれで浮けるだろ?」

 

「これはビート板じゃありません黒崎君!麩菓子です!」

 

「「「「「麩菓子かよ!」」」」」

 

あの手に持っていた茶色い物は麩菓子だったのか。どおりで甘い匂いがする訳だ。それにしても、水か。……結構有効な暗殺手段になりそうだな。

 

「あ、やば、バランスが! うわっぷ!」

 

そう考えていると、茅野がバランスを崩したらしく、浮き輪から落ちた。背が低いから立てないようだな。助けに行くか。

 

「あ、か、茅野さん!こ、この麩菓子に掴まって…」

 

「「「「できるか!!!」」」」

 

オロオロとしながら麩菓子を差し出す殺せんせーに皆がツッコんでいる中、オレよりも近くにいた片岡が茅野を救助した。片岡は泳ぎが得意だったらしい。

 

 

 

 

 

 

 

その日の放課後、オレ達はプールに集合して水を利用した殺せんせーの暗殺についての作戦を立てるべく、集まっていた。まあ当然放課後に用事がある者もいるので全員ではないがな。

 

「……この作戦を立てる上での確認だが、殺せんせーに水が効くのか?」

 

皆で輪になって会議を始め、最初にそう口を開いたのは黒崎だ。確かにその点は大事な事だし、改めて確認しておく必要があるだろう。

 

「殺す、までは行かないにしても鈍らせる事はできるだろうな。」

 

「なんでそう言い切れるんだ?」

 

「さっき陽菜乃が殺せんせーに水をかけた場所がふやけていたからな。後はふやけて動きが鈍くなった所で対先生武器で殺ればいい。……まあ、言うのは簡単だな。」

 

いざ実行するとなると難易度が急激に上がる。それは皆も重々承知の事だろう。

 

「確かにそうね。でも、できないなんて事はないわ。水中の時は私に任せて!いつでも殺れるようにバレッタにナイフを隠してる。」

 

片岡がバレッタを外してナイフを見せる。準備は万端という事だ。

 

「おお~、昨年度の水泳部クロール学年代表、片岡メグ選手の出番ってわけだ!」

 

「まず大事なのは、殺せんせーに水場の近くで警戒心を起こさせないこと!夏は長いし、じっくりチャンスを狙っていこう!」

 

片岡は皆をまとめる能力が高い。さらに日頃の面倒見の良さや颯爽としていて凛々しい姿は皆の模範となる存在だ。ちなみにイケメグという単語は謎だ。

 

「そういえば、イケメグって何だ?」

 

「あー…ほら、片岡って面倒見が良くて、凛々しいからそう呼ばれてんだ。本校舎の女子からもラブレターを貰った事があるらしいぜ。」

 

オレの疑問に前原が答えた。なるほど、そういう意味だったのか。

 

イケメグ、という謎のワードの意味が判明したと同時にメールの着信音がなる。片岡のスマホからだ。片岡はメールを確認し、オレ達の方を向いた。その表情は少し暗い。

 

「ごめん、ちょっと友達と勉強に行かないと……。」

 

「……そうか、じゃあまた明日に詳しく作戦を立てよう。」

 

オレがそう言うと片岡は「うん、それじゃあね皆。」と言って少し重い足どりで帰っていく。表情といい仕草といい、これから友達と勉強に行くようなテンションではない。片岡は別に勉強が嫌いなわけでもないしな。

 

「裕翔君……。」

 

オレが少し心配していると、陽菜乃も心配なのかオレの裾を引っ張り、上目遣いで見つめてくる。その目は「心配だから一緒に様子を見に行こ?」と尋ねてきているようだ。

 

「…少し心配だし、ちょっと様子を見に行ってみるか?」

 

「!…うん♪」

 

こうしてオレ達は片岡を尾行するため、動き出した。

 




後書きでもワンフォーワンです!(???)

まさかの次回へと続くというね……ホントは一話で終わらせるつもりだったんですけど………長くなったのでここまでにしときました!!

それではまた次回でお会いしましょう!


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第36話水泳の時間

皆様!お久しぶりです!ワンフォーワンです!
最近少し忙しかったのもあるんですが、この話を書くのが結構難しくて苦戦してました!遅れましたが、お楽しみください!

それでは!第36話水泳の時間です!どぞ!


…白夜side

 

 

「あーそっかぁ、ここをあーすればいいわけねぇ…。」

 

「う、うん……。」

 

かの有名レストラン、サイゼリアでは教科書を広げ、勉強している2人が見える。1人は片岡。もう1人は………恐らく本校舎の生徒だろう。まあ広げているだけで勉強をしている風には見えない。

 

現在、オレ達はその2人の様子を遠くから見ている。メンバーはオレ、陽菜乃、それと後から合流してきた殺せんせー、渚、茅野だ。

 

「あのさ心菜。テスト前だけど、私やりたいことがあって…毎回呼ばれると、ちょっと…………」

 

しばらく2人で勉強していたが気まずそうに片岡が口を開いた。その言葉を聞いた奴は気色の悪いニヤニヤとした笑みから態度を急変させる。

 

「ひどい…………私の事、殺しかけたくせに」

 

片岡に心菜、と呼ばれた奴のその時の顔は、先ほどの片岡に甘えるかのような気色の悪い顔とは違い、まるで悲劇のヒロインを演じるかのように気色の悪い顔で泣き、片岡の手を舐める。これは相当な寄生虫だな。

 

と、そんな気色の悪い演技をしている所で奴はケータイを見て、広げていた教科書をかばんの中にしまい、帰ってしまった。

 

「………で、皆は何の用?」

 

心菜という奴が去った後、片岡はオレ達の席の前に立ち、そう言ってきた。……バレてたのか。

 

「……バレていない自信があったんだがな。どうして分かった?」

 

「……はあ…白髪の学生服を着てる奴なんてそうそういないわよ。」

 

「……なるほど。」

 

片岡のその言葉だけでオレは理解した。確かにオレと同じ髪色の奴を見たことがない。まあアルビノの奴なんてそういないか。

 

「………なんであんなことになっちゃったの……?片岡さん」

 

空いている席に片岡を座らせると、渚がそう質問した。片岡はあまり話したくはなさそうだったが、オレ達の顔を見つめてため息をついた後に重い口を開いた。

 

「……去年、彼女に泳ぎを教えたのよ。1回目でそこそこ泳げるようになったら、その後なんだかんだ理由をつけて来なくなったのよ。で、そのまま海に行ったら案の定溺れちゃって………。それで色々勉強教えてたら、私の成績が悪くなっちゃって、今に至るの。」

 

片岡が話し終わると殺せんせーは片岡に紙芝居を見せた。いつの間に作ったんだ?という疑問はもう出ない。殺せんせーもこの前、『最近、先生がマッハで色々としても全く驚いて貰えないんです!!』と悲しんでいた。ちなみにオレは『良くも悪くも皆が殺せんせーに慣れたって事じゃないか?』と軽くフォローした。

 

んんっ、話を戻すとその紙芝居は『主婦の憂鬱』というタイトルで、主人公(妻役)が片岡、夫が磯貝だ。巻き込まれた磯貝に心の中で合掌しつつ、物語に耳を傾ける。現実味に溢れていたがストーリーとしては良くできていた。

 

「なるほど、要するに殺せんせーが言いたいのは共依存か。」

 

共依存とは、自分と特定の相手が互いの関係に依存し、またその関係性に囚われていることに嗜癖している状態を指す。今の状況で言うのであれば片岡は依存されてることに依存してしまってるのだ。共依存は場合によっては解決が難しくなることもある。

 

「場合によっては解決が難しくなるが、今回の場合だと解決は結構簡単だ。『アイツを泳げるようにする。』それだけでいい。」

 

まあ問題としては誰が教えるのか、だが……

 

「ヌルフフフフ、このタコが魚も真っ青のマッハスイミングを教えてあげますよ……」

 

そう言って殺せんせーはヌルフフフフ、と笑う。まあこの先生に任せれば問題はないだろう。

 

それにしても……

 

「自分が国家機密なの忘れてないか?」

 

「「「あ……」」」

 

「そ、そこは変装すれば問題はありません!先生手作りの変装セットを使えば「律。菅谷と原に連絡して協力を仰いでくれ。」そんな酷い!!先生だけじゃ不安だって言うんですか!?」

 

「「「白夜(君)(裕翔君)の判断が正しい。」」」

 

「声を合わせないでください!!」

 

「場所はあの沢じゃ位置がE組だと特定される可能性があるからオレの家を使う。殺せんせーが作ったプールくらいのサイズのプールがあるしな。その他諸々の調整はオレに任せろ。」

 

「「「さすが白夜(君)(裕翔君)!!」」」

 

こうして片岡共依存事件の解決にオレ達は動いた。

 

 

 

 

 

 

夜の11時頃、オレと陽菜乃、渚、茅野、殺せんせーは夜にオレの家に来ていた。オレの家にあるプールで準備体操、そして菅谷と原の協力のおかげで完璧な変装をしていた。メイクはオレが作った水に入っても落ちない道具を使っているので、バレる心配はない。

 

「それじゃあ殺せんせー、奴を連れてきてくれ。」

 

「はい!ここは先生の出番ですねぇ!」

 

オレは自分の作戦の安全性を確認しつつ、殺せんせーに声をかける。殺せんせーは自分の仕事の信頼性がない事を根に持っていたのか高らかにそう言ってマッハで消えて行った。

 

「……イア、殺せんせーのせいで飛び散った水の処理を手伝ってくれ。」

 

『はい♪お任せを!』

 

「何というか…締まらないね、殺せんせー…」

 

「「…うん……。」」

 

渚の言葉に陽菜乃、茅野、片岡は否定できず、プールに3人の虚しい肯定の声とイアの鼻歌が響いた。

 

 

 

 

 

「すいませんでしたァァーー!!」

 

イアの掃除が終わった頃、殺せんせーはベッドごと奴を持ってきた後、オレとイアに土下座をして謝罪してきた。

 

「……はあ…次は気を付けてくれ。」

 

あまり説教を垂れるつもりはないし、そんなにも怒ってるわけでもないので殺せんせーを許す。イアも同意の上なので…というかイアに関しては結構嬉しがっていた。イア曰く、『久しぶりにマスターに頼っていただけて嬉しかったですから♪』との事。

 

「……それにしても、本当に広い家ですねぇ…。」

 

殺せんせーがそう言うと皆もジロジロと見てくる。まあ今はプールしか目に映らないだろうがな。

 

「何か裕翔君の家って何かお屋敷みたいだよね〜!」

 

「「それは分かる。」」

 

「そうかもな。」

 

「どうしてこんなにも広い家を?白夜君はあまりそういうのを気にしないタイプだと思っていたんですが…。」

 

「ン?ああ、それは黒崎のアドバイスだな。」

 

「黒崎君の?」

 

「ああ。小学校4年の頃、一緒に買い物に行った時に…『こういうのは高い方が性能が良いんだぜ!』と言っていたからな。とりあえず1番高い家を作った。」

 

「「やっぱり黒崎(君)が原因か……」」

 

「まあ、社長同士の権力の差を見せつけるという点では役に立っているな。権力が高い方が上だと勝手に認識してくれるからありがたい。後は上手いこと誘導して利益を得た後に…」

 

「「深い!闇が深いよ!!」」

 

そうこう話していると奴が目を覚まし始めた。起き上がり目を擦っている。オレは今の内に周りの背景を機材で変え、海の中にいるかのようにする。魚を模した衣装をしている陽菜乃達からのツッコミを聞きながら奴の様子を見る。

 

「う〜ん……え?え?ここどこ?なんで私夢の中にいるの?」

 

皆に小声で指示を出し、キャラを作るように言う。何となく事前に確認しておいたので問題はないだろう。

 

「目が覚めたか。えーっと……誰かよ。」

 

よくよく思い返してみれば、コイツの名前を知らない。とりあえず、誰かにしとこう。

 

「!?アンタこそ誰よ!!」

 

「オレは水世界の神、ポセイドンだ。」

 

オレは水の神、ポセイドンという設定だ。設定どおりに動き、皆に目線を合わせる。

 

「水世界の神!?」

 

「オレはお前の体の約70%含まれている物の神だぞ?なんだその口は。」

 

「は、はい……すみませんでした。(神怖っ。)」

 

「紹介しよう。そこで苦笑いしてる髪型が似ている2人がクマノミの姉妹だ。」

 

「「よ、よろしく……」」

 

オレは変装している渚と茅野をそう紹介した。渚は女子に見える事が多いので、女として紹介した。渚は最初は嫌がっていたが、多数決の結果そうなった。すまん、渚。

 

「そして、こっちの誰よりも何よりも可愛くて愛おしくて大切なのが……」

 

「ポセイドンの……つ、妻のシャチです!よ、よろしく……うぅ…///」

 

「新婚かよ!?しかもシャチ!!?」

 

プールに奴のツッコミが響く。奴の動きに注意しつつ、オレは自己紹介で赤面している陽菜乃の耳元に近寄り、奴に聞こえないように声を出す。

 

「陽菜乃、あまり恥ずかしがるな。怪しまれる危険性がある。」ボソッ

 

オレは少し強めの口調で忠告する。オレ達がやっている事は夢だと思わせなければただの誘拐だ。この年で警察の方にお世話になるのは嫌だからな。

 

「だ、だって……つ、妻なんて…///」ボソッ

 

「陽菜乃はオレの妻じゃ不満か?」ボソッ

 

「っ!?////そ、そんなことないって言うか、私で良いのかなって言うか……」ボソッ

 

「オレは陽菜乃じゃないとダメだ。とりあえず、頑張ってくれ。」ボソッ

 

「っ!!?う、うん……頑張る……///」

 

「大丈夫だ。いずれ本当になる。だから恥ずかしがるな。」

 

「…!!///////」

 

何かプロポーズをしてしまったような気もするがこれは違う、本当ならもっとちゃんとする。

 

「「「誰かコーヒー持ってきて」」」

 

オレの言葉に陽菜乃の頬は更に真っ赤になり、蒸気が出る。皆はイアにコーヒーをオーダーし、イアは『もう準備できてますよ。』と言ってコーヒーを差し出す。……どうしたんだ?

 

「?よく分かんないけど、そこのメグメグに似てるひ…魚は?」

 

「わ、私はグレースよ。」

 

「そして私が川を、海を生きる水世界最強のタコ、魚キングです。」

 

「タコかよ!!」

 

「素晴らしい連続ツッコミですねぇ、いい準備運動です。」

 

(((どこがだ!?)))

 

「入念なマッサージの後に早着替え…そして入水!」

 

「ぎゃぁ!!」

 

急な入水でパニックになった奴を片岡が宥めて落ち着かせようとする。

 

「落ち着いて心菜!そこ浅いから…泳げるようになりたいでしょう、少しだけ頑張ってみよ!」

 

「いっ、今更いいわよ泳げなくて!それを逆手に愛されキャラで行く事にしたし!」

 

はあ………やっぱり脳内を弄って人格の矯正をした方が早い気がする。

 

「裕翔君、何か物騒なこと考えてるでしょ?」

 

「……良く分かったな。脳内を弄った方が早いんじゃないかと考えていたところだ。」

 

「「「怖っ!?物騒すぎるだろ!」」」

 

「そうだよ裕翔君。……そんなことしたら裕翔君が捕まっちゃう。」

 

(((そっち!?そっちなの!?)))

 

「そうだな、やめておこう。……そういえば、確か人間の学校のルールでは泳げなければ補習を受けなければ成績が下がるのではなかったか?」

 

「…っ!で、でも泳げないって言っとけば…私の言う事をなんでも聞いてくれる友達がいるし!!」

 

「………」

 

「そんなことはどうでもいい。早く泳げ!」

 

「な、なによ魚の分際で!」

 

「魚じゃない、水の神だ。……おい、魚キング、何でお前は入らないんだ?」

 

「い、いや今日は焼きに来ただけだし…」

 

タコが焼きに来るな。たこ焼きにするぞ?

 

「残念ながら今は真夜中だ…しかも新月だから月も出てない。」

 

「それに入らなきゃ彼女に泳ぎなんか教えれないでしょ~」

 

(((殺せんせーが泳げるのか泳げないのか…今後の暗殺で重要な情報だし、しっかり見極めないと…!)))

 

「それもそうですね…では入りますか」

 

そういうや否や躊躇いもなく、殺せんせーはマッハで水の中に入る。

 

「まずは基本のけのびから」

 

「「どこがけのびだ!!」」

 

けのびらしき物をしているであろう殺せんせーは変な水着を着ていた。

 

「この時のために開発しておいた先生用水着です、完全防水でマッハ水泳にも耐えられます。さあ!数々の秘泳法をご覧あれ!」

 

そう言って尾ひれの部分をバタ足やドルフィンキックの要領で動かす殺せんせー。

 

「え…」

 

その速さと威力にセルフ流れるプールになる。いや、笑えない冗談にも程がある。水凄い飛び散るし、奴は何か溺れてるし……。

 

「もがっ…流され…」

 

「心菜慌てない!端っこの方は大した波じゃないから」

 

溺れかけた奴にカバーをしながら教える片岡。この状況を上手く利用し、しっかりと教えている。 

 

「海での泳ぎ方を練習するよ、基本はプールと一緒、掌に負荷を感じながらテンポよく!」

 

その言葉に答えるように奴も動く。

 

「海では自分の位置が分からなくなりやすいから…平泳ぎに切り替えて確認して、またクロールに戻る!!」

 

片岡が的確な指導をできていることを確認したオレはもう一方へ……殺せんせーの方へ視界を移す。

 

「水着とかずるいよ魚キング!」

 

「そーだよ、生身で水に入れるかどうかを見たかったのに!」

 

「入れますよ!生身でも」

 

そういうと着ていた水着をオレのほうに投げ渡してきた。急に投げ渡されても扱いに困る。まあ……

 

「そうか、いらないならこれは捨てよう。」

 

殺せんせーの「……え?」という声を聞き流して、オレは殺せんせー特性水着を投げる。意図を把握したイアが即座にオレの投げた方向でシュレッダーを起動させた。

 

「ニュヤーーー!!」

 

「「流石にそれは酷くない!?」」

 

「逃げ道を消すためだ。いらないなら問題はないだろう。これで絶対生身で水に…いや…これは…」

 

「「「「マッハで周りの水を掻き出してる!!」」」」

 

この殺せんせーの行動により、波の形が大きく変わる。オレの家への被害も大きくなる。待て、洒落にならない。

 

「な、なにこれ!波はこっちきてんのに引きずり込まれる!」

 

「落ち着いて!泳ぐ方向こっちに変えて!」

 

「…え?あれ?…流れるの止まっ、た?」

 

「離岸流と言う物だ。岸に反射して沖に出ていく流れがある…人間のさーふぁーとかいうのが好むものだな。」

 

「うん、海水浴場でも良く起きるの…心菜が前に溺れた原因はこれじゃないかな。」

 

「…そういう時は無理に岸に向かわずに岸と平行に泳いで流れから抜ける、特に重要なのが絶対にパニックにならない事」

 

「知識だけ身につけてもダメですよ、朝まで死ぬほど泳いで…魚のような流麗な泳ぎを身につけましょう。」

 

殺せんせーはそう言ってもう一度波を作る。オレの家への被害とともに。……もう少し抑えてくれないか?

 

 

 

 

 

 

次の日。本校舎のプールで先日の奴がきれいに泳いでいた。練習のかいがあったな。あと、オレの家への被害もあった。そんな奴に片岡が声をかける。

 

「かっこよかったよ、心菜」

 

「……は!」

 

「水が怖いの克服したんだ、もう私の助けなくても平気だね!」

 

「し、しまった!(い、今更レベルは下げられない…)フ、フン…あんたなんて元から頼りにしてないし」

 

さてと、これで一見落着か。ちなみにオレの家への被害の弁償は殺せんせーにつけておいた。場所を提案したのはオレだが、荒らしてもいいとは言っていない。

 

「これで彼女に責任は感じませんね、片岡さん。」

 

「よかったね、メグちゃん。」

 

「手を取って泳がせるだけじゃなく、あえて厳しく手を離すべき時もあるってことだ。」

 

「うん、殺せんせーも白夜君もありがとう。」

 

これで無事に事も納まったな。あとは……

 

「ああそれと…」

 

そういうと殺せんせーはプールの水に触手を入れる、すると触手が大きくふやけた。

 

「察しの通り先生は泳げません、水を含むとほとんど身動きが取れなくなります」

 

「弱点としては今までで最大級だな。」

 

「ええ、とはいえ先生はあまり警戒はしていません。」

 

「落ちない自身があるから。そして水中にいるのはほぼ片岡とオレだけで、2人程度なら……」

 

「相手は出来ます。ですから、皆の地力を信じてみんなで泳ぎを鍛えてください、そのためにこのプールを作ったんです。」

 

こうしてE組専用プールができた。しかし、これがまた災いの火種になることをオレはまだ知らなかった。

 

 




どうもワンフォーワンです!

というわけでいかがでしたか?少し苦戦しましたが、少しイチャイチャを入れつつ、笑えるところも作ったつもりで頑張りました!

あ、それと少しコラボをしてみたいなぁと思うんですが、誰かしたい方はいますか?募集中です!

それでは!また次回でお会いしましょう!


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第37話再来の時間

どうも!ワンフォーワンです!

お待たせしました!だいぶ長くなってしまい申し訳ないです……。それと!今もコラボ募集中でございます!こんな作品とで良ければコラボしてください〜!まあ、急にやりたくなっただけなんですがね笑。でも!してくださると嬉しいです!

長くなってしまいましたね。それでは!第37話再来の時間です!どうぞ!


…白夜side

 

 

「……あちぃ……」

 

「干からびそう……」

 

「…まだまだ暑い日が続くな。」

 

前回と同じような会話にオレはそう続けた。殺せんせー特製プールが開いても、この夏の猛暑が終わることはない。夏、早く消えてくれ。そう願う者が大多数だろう。

 

「でもでも!プールが出来て、体育の授業が一段と楽しくなったね~!」

 

陽菜乃が暗い雰囲気をなくそうとそう声を出す。

 

「ああ。しかも、沢の水を使ってるから本校舎のプールと違ってすぐにぬるま湯にならない。」

 

「しかも、あのプールの上流!そこそこの大きさの池があるらしいよ!今度いきもの探しに行こうよ!」

 

「そうなのか、今度行ってみるか。」

 

オレが教室で陽菜乃と一緒に喋っていると、岡島と前原が何やら慌てた様子で教室に入ってきた。

 

「皆、大変だ!」

 

「プールが!」

 

オレ達はプールに急いだ。プールはコースロープが切られ、ゴミが捨てられ、イスが壊されるなど、何ともひどい状態となっていた。

 

「ひどい…一体誰がこんなことを…」

 

オレは視線を感じ、木の上の方を見る。寺坂、吉田、村松の3人が不適な笑みを浮かべてこちらのことを見下ろしていた。証拠は無いが、やったのはおそらくこいつらだろう。

 

「渚、白夜、なんだその目は?証拠も無いのに俺ら疑うなんてつまんねーことしてんじゃねぇよ!」

 

「確かに寺坂の言うとおり、犯人探しをする必要はない。………そうだろ?殺せんせー。」

 

オレが殺せんせーの気配がする方向に向かってそう言うと………

 

「白夜君の言う通りです。犯人探しなどつまらない事は必要無い。」

 

その方向から殺せんせーがそう言った。すると突然突風が吹く。気づけばプールにあったゴミは消え、元の綺麗なプールがキラキラと太陽の光を反射して輝いていた。

 

「ほら、元通りです。皆さん、元気に遊んで下さい。」

 

オレは寺坂達が一瞬、悔しそうな表情をしたことを見逃さなかったが無視しておいた。恐らくだが、寺坂は今のクラスの雰囲気が気に入らないのだろう。そして今回のようなプールを汚すような犯行に及んだ。

まあ、放っておくか。寺坂とあまり親しくないオレが何かを言っても何の意味も持たない。むしろ余計に気分が悪くなるかもしれないしな。

 

 

時は少し経ち放課後、帰ろうとした吉田が殺せんせーに呼び止められていた。

 

「なんだよ殺せんせー?」

 

「ヌルフフフフ…実は君に見せたいものがありましてね」

 

そう言うと殺せんせーは修学旅行の時に持っていたデカイリュックを持ってきた。そして机や椅子をどかし、教室の真ん中に置いた。……何をするつもりだ?

 

「おお!スゲェ!」

 

殺せんせーは一瞬でリアルサイズのバイクなどを組み立てた。バイク好きの吉田は大興奮だろう。

 

「これどうしたんだよ、殺せんせー!」

 

「この山に捨ててあった廃材やプールの廃材を集めて作りました。ガラスは流石に無かったので、先生の脱皮の皮を使っています。しかし、材料に限りがありまして…」

 

「いやいや、まるで本物じゃねーか!」

 

吉田が殺せんせー特製の模造バイクに興奮していると、教室に寺坂が入ってきた。その顔つきは酷く機嫌が悪そうだ。

 

「………なにしてんだ吉田」

 

「あ、寺坂、い、いやぁ…この前こいつとバイクの話で盛り上がっちまってよ。うちの学校こう言うの興味あるやついねぇから」

 

確かに車はバイクなどに興味がある生徒は少ないな。オレも興味はあるが、休日に適当に作ったことがある程度だ。あまり種類には詳しくない。

 

「ヌルフフフフ、先生は大人な上に漢の中の漢!この手の趣味も一通り齧ってます。しかも、このバイク、最高時速300km出るんですって、そこいらのとは段違い、先生一度本物に乗ってみたいモンです」

 

「アホか、抱き抱えて飛んだ方が速えだろ」

 

殺せんせーのキラキラと目を輝かせながら語った夢に吉田がそうツッコむ。今改めて思うが、このクラスの生徒はツッコミのレベルが高いな。

 

「「「アハハハハハ!」」」

 

皆がドッと笑う中、寺坂は更に機嫌が悪くなる。やはり嫌なのはこの空気か。そんな寺坂は怒りのままに模造バイクを蹴り飛ばす。

 

「あぁー!!!先生のバイクが!!」

 

「何てことすんだよ寺坂!」

 

「謝ってやんなよ!大人な上に漢の中の漢の殺せんせー泣いてるよ!?」

 

殺せんせーはオイオイと泣き崩れた。今度一緒に作ってやろう。それにしても寺坂も結構酷いことをするな。少し説教をしてもいいと思うのだが。

 

「テメーらブンブンブンブン、虫みたいにうるせぇな!駆除してやんよ!」

 

そう言った寺坂は殺虫剤のスプレーらしき物を床に叩きつけた。

 

「うわっ、何だコレ?」

 

「殺虫剤!?」

 

しかし、殺虫剤にしては違和感を感じる。まず、殺虫剤の香りがしない。それにわざわざここまで殺虫剤を持ってきてる理由はなんだ?夏場だからと言われればそれで終わりだが、それなら誰かの机でもいいだろう。

 

「寺坂君!ヤンチャするにも限度ってものが…」

 

「さわんじゃねえよモンスター。気持ちわりーんだよ、テメーも、モンスターに取り込まれて仲良しこよしのテメーらもよ!」

 

オレが思考をしていると、寺坂が本心を語る。やはりこのクラスの雰囲気的な物が気に入らないのか。

 

「何がそんなに嫌なのかねぇ…気に入らないなら殺しゃいいじゃん、せっかくそれができる教室なのに。」

 

怒る寺坂にカルマが煽るように寺坂にそう言った。その言葉は全くもっての正論だ。気に入らないなら殺せばいい。そう言って殺せるかは別だがな。

 

「何だカルマ、テメー俺にケンカ売ってんのか?上等だよ!だいたい………ッ!」

 

手を出そうとした寺坂を足払いで転ばせて止め、カルマの腕を止める。今の寺坂だともしかしたら喧嘩になるかもしれないからな。止めておこう。

 

「……裕翔?」

 

「今ここで喧嘩をされたら困る。大丈夫か、寺坂。」

 

「チッ!くだらねー!」

 

倒れている寺坂にそう声をかけるが寺坂は教室から出ていった。はぁ…何もなければいいんだがな。

 

「…何なんだアイツ」

 

「一緒に平和にやれないもんかねぇ……」

 

 

 

 

次の日の昼休み、オレ達が昼ご飯を食べていると寺坂が教室に入ってきた。………遅刻しすぎだな。

 

「おお、寺坂君!今日は休むのかと心配でした!昨日のことはご心配なく!もう皆気にしてませんよね?ね?」

 

そう言って同意を求める殺せんせーの顔はグシャグシャだった。涙……いや、鼻水か?……鼻水だな、多分。んんっ、鼻水がダラダラと垂れている。

 

「う、うん、汁まみれになっていく寺坂の顔の方が気になる……」

 

「それより鼻水とまらないのか?寺坂の顔、殺せんせーの鼻水まみれだぞ。」

 

「自分の体調よりはまず寺坂君のことからです。悩みがあるなら後で聞かせてもらえませんか?」

 

その寺坂の顔の方も気にしてあげてくれ。だいぶグショグショだぞ。

 

「…………おいタコ、そろそろ本気でブッ殺してやんよ、放課後プールへ来い。弱点なんだってな…水が。テメーらも全員手伝え、俺がこいつを水ん中に突き落としてやっからよぉ!」

 

クラス内に沈黙が訪れる。それを破ったのは前原だった。

 

「………寺坂、お前ずっと皆の暗殺に協力しなかったよな?なのにいきなり手伝えなんて命令されて皆が皆ハイやりますって言うとおもうか?」

 

前原の意見は正論だった。いつもチャラチャラしているが言う時はしっかりと言うのでオレは前原を結構仲良くしている。……今は関係ないか。

 

「ケッ、べつにいいぜ。来なくても、そん時ゃ俺が賞金百億独り占めだ。」

 

そう言って寺坂は出ていった。

 

「何なんだよアイツ………」

 

「もう正直ついてけねーわ」

 

「私行かなーい」

 

吉田、村松、陽菜乃がそう続ける。千葉や岡野も同意見のようだ。

 

……ん?…マズいな。

 

「陽菜乃、悪いが耐えてくれ。」

 

「え?って、え!?///」

 

オレは危険だと思い、陽菜乃を横抱きにして天井にジャンプして片手で捕まる。

 

「しっかりと掴んでいろ。そうじゃないと落ちるぞ。

 

 

……殺せんせーの体液の沼に。」

 

「皆さぁぁぁん、行きましょうよぉ……」

 

オレがそう言って見た先には、鼻水どころか全身の体液をドロドロと流す先生の姿だった。そしてその鼻水によって動けない生徒達。……地獄絵図だな。

 

「うわあっ!」

 

「粘液で固められて逃げらんねぇ!」

 

それだけ殺せんせーも寺坂とちゃんと向き合いたいのだろう。

 

「皆で一緒に暗殺して皆仲直りです」

 

そのセリフは顔がドロドロになってなければ説得力あるのにな。なんか残念だ。

 

 

 

 

その後、俺たちはプールに行き寺坂の指示の下プール全体に散らばっていた。唯一寺坂に反論した竹林も無理矢理落とされた。……コレじゃ完全に暴君だ。反逆の時は近い。

 

寺坂は全員がプールに散らばったのを確認すると、殺せんせーに向けて拳銃を構えた。…拳銃なんかじゃ殺るどころか落とすことができないのは寺坂だって分かっている筈だ。………ん?アレはなんだ?

 

プールの水門に何かが付いているのを発見したオレはプールから急いで上がってそれを確認した。……どうやら木やゴミじゃなさそうだ。

 

「おい白夜!テメー何やってんだ!」

 

「水門に何かが引っ付いてる。少し見てくる。」

 

「どうせ木かなんかだろ!とっとと戻れ!」 

 

オレは喚き散らす寺坂を無視して水中に潜り、水門に向かった。なんだコレ…小包…上になんかついてる……コレは……

 

「撃つな寺坂、爆弾だ!」

 

オレが大声でそう言ったのはもう遅く、寺坂はもう引き金を引いていた。水門を壊すための爆弾ってことは……

 

ドカァァァン!!!!

 

「この距離でこの威力……!」

 

「皆さん!」

 

「裕翔君!!!」

 

予想通り爆弾だったな。思っていたよりも強力な爆弾だ。オレは爆発で飛び散った水門の破片が何箇所かに刺さるのを感じながら皆の様子を見る。…この先は確か岩場だ。このままだと叩きつけられて死ぬな。とりあえず助けられる範囲で助けよう。

 

「陽菜乃、掴まれ。」

 

血が流れるのを感じながら、近くにいた陽菜乃にそう言って手を伸ばす。

 

「ゆ、裕翔君!?その怪我……」

 

「いいから掴まれ。」

 

オレは強引に陽菜乃を引き寄せ、陽菜乃を抱えながら水中から脱出する。チラッと殺せんせーの方を見たがあらかた助けていた。さすがは殺せんせーだ。

 

「ゆ、裕翔君!血が……破片も!」

 

陽菜乃に指摘され、オレは自分の状態を改めて確認する。水門の破片が何箇所かに刺さっていて、出血も酷いな。

 

「大丈夫だ、怪我には慣れてる。」

 

「でも、破片が……」

 

「大丈夫だ。」

 

オレは刺さった破片を掴み、破片を抜いていく。その際に血が溢れてくるが、今は出血よりも破片抜きの方が先決だ。破片は全部で5個あったが何とか抜いた。

 

「ゆ、裕翔君……大丈夫?」

 

「問題ない。心配してくれてありがとな」

 

「裕翔!プールがなくなってんだけど、何があったの?その怪我も含めて。」

 

「カルマか。実は……」

 

オレはカルマに事情を説明した。オレの話を最後まで聞いたカルマは放心状態で震えている寺坂の所に向かい、言い訳をする寺坂をおもいっきり殴った。

 

「流されたのは皆じゃなくて自分じゃん。他人のせいにする暇あったら、何がしたいか自分でかんがえたら?」

 

カルマが寺坂と話している間、オレと陽菜乃は殺せんせーの元へ向かった。そこにはイトナとシロ、それに黒い服を着た少女がいた。

 

そして、殺せんせーはイトナと戦っていた。だが、少し様子がおかしい。ふやけた状態で原を守りながら戦っているとはいえ、劣勢すぎる。…まあ、それも当然か。

 

「殺せんせー、アレくらいの水ならなんとかなるんじゃ……」

 

「いや、それ以外にもある。あれは遡ること半日ほど前のことだ。」

 

 

 

 

 

寺坂が使ったあのスプレー。一見殺虫剤だが、臭いが違う。そのことが気になったオレは自分の家で実験を使ってみることにした。

 

大事なのは殺せんせー相手に使ったことだ。そこから考えられることは殺せんせーに効果がある物だということだ。しかし、仮に殺せんせーに効果があったとして、そんな物をなぜ寺坂が持っているのだろうか?答えは簡単、裏に誰かがいる。

 

殺せんせーに詳しくて、寺坂に接触し上手く寺坂を使うことができるような人間だろう。そこから考えられる線はただ一人………シロだ。

 

できれば外れてほしい予想だったが……

 

「当たってしまったか。」

 

殺せんせーに暗殺を仕掛け、何本かの触手を切り取り持ち帰った物に、オレが着ていたスプレーが残っているシャツで包んで放置していると数十分で反応が出た。これは…粘液か?そんな物が触手から溢れている。少し切ってみるか。

 

普通なら少し切ると暴れる触手だが、今回は少し大人しかった。動きが鈍くなるのか。

 

「なるほどな。寺坂の心の隙に入り込み、上手く使ったか。」

 

 

 

「…と、こんなことがあった。」

 

「「「「秘密裏に実験してんじゃーねよ!!!」」」」

 

今日もツッコミのキレがいいな。…それはともかく、殺せんせーの動きが鈍いのは皆を助けて水分を吸ったのもあるが、昨日のスプレーの影響でもあるということだ。

 

「?だとしても何であんなにも苦戦すんだよ?スプレーが強すぎんの?」

 

「あそこを見てみろ。」

 

黒崎の疑問に追いついた寺坂がそう言って皆の視線を誘導する。

 

「なるほどな、あそこに原がいるから動きにくいのか。」

 

「ぽっちゃりが売りの原さんが今にも落ちそうだ!」

 

ぽっちゃりが売りって…女子に向かって酷くないか?それ。んんっ…ともかく、殺せんせーの頭上に何人かまだいるため殺せんせーは動きにくいのだ。

 

「殺せんせー…原さんを守るために!」

 

「あいつヘビィで太ましいからあぶねーぞ。」

 

確かに危ないな。というか寺坂の言い方も危ないな。絶対に根に持たれてるぞ。

 

「だったら助けた方がいいだろ!今すぐ行くぞ!皆で行けばたぶん助けられる!」

 

黒崎がそう言うと同時に黒い何かが黒崎の後ろに回り込み、蹴りを放つ。

 

「させると思う?」

 

「させてやってくれ。」

 

黒服の少女の低めの威圧するようなトーンで放たれた言葉にそう返しながら蹴り出された足を蹴って止める。

 

はぁ……まだまだ続きそうだな。

 

 

 

 




ワンフォーワンです!

さて、第37話ということで。中々一話に収まりきらず……申し訳ないです。

そしてまた、新たなキャラクターを出してしまった。……ごめんなさい。許してください。

んんっ!それでは!また次回でお会いしましょう!



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第38話水遊びの時間

どうも!ワンフォーワンです!

約二ヶ月ぶりの投稿……遅くなり申し訳ございません!この話かなり難産でして……まあ、クオリティはいつもどうりだと思います。誤字があったらごめんなさい!急いで書いたもんで。

それでは第38話水遊びの時間!どうぞ!


…白夜side

 

 

オレが黒服の少女の蹴りを止めると、少女は一旦距離を取った。軽く吹き飛ばすつもりで蹴ったんだが衝撃を反らしたか。

 

「……あなたは…」

 

黒服の少女が顔を上げるとその表情を驚愕で染めた。ん?知り合いか?

 

「なるほど、強いわけだぁ。」

 

「悪いが誰だ?」

 

「私はねぇ……」

 

黒服の少女がそう言って、被っていたフードを外す。黒いフードからは雪のような白い髪が現れた。綺麗な肌を持つ、幼くても整った顔立ちの少女だ。頭に何か触覚のような物が付いており、ぴょんぴょんと動いているが……何だあれ?まあいいか。

 

「ジニアスルームNo.1、塩崎愛花だよ♪元No.1の白夜裕翔くん♡」

 

オレと同じような紅い眼を光らせながら少女はそう言って満面の笑顔を見せる。……ジニアスルームだと?

 

「はぁ……まだ続いてたのか。確か本部は跡形もなく片付けたはずなんだがな。」

 

オレが会社の社長になる3日前ほどにオレが探索をして見つけ出し、中に誰もいないことを確認して壊したはずなんだが。

 

「???何を言ってるの?ジニアスルームはずーーっとあるよ?」

 

「それはおかしいな。ジニアスルームは政府非公認の施設だ。そんな不用意に外に出したりはしない。監視を10人つけてやっと外で活動するような場所だ。それなのに監視員が一人も見当たらないのはどうしてだ?」

 

「どうしてってそれは……あれ?どうしてだろ?……まあとりあえず!私はあなたを連れ帰りに来たの!さ!愛花と一緒に帰ろ?敵対したことは許すし、ここにいる人達にも危害を加えないから!」

 

明るい笑顔を出して塩崎愛花と名乗る少女は手を差し出す。人を引きつけるような笑顔に優しい態度。人を誘うのに長けているな。だが……

 

「断る。」

 

「……え?」

 

「もう一度言う、断る。」

 

「なんで?ジニアスルームは私達の家なんだよ?私と裕翔くんは……裕翔くんは……あれ?…………え?あ、うん。分かった。」

 

塩崎愛花が歯切りが悪そうにそう言うと途中で頭を抱えだしたが、急にやめ、立ち上がった。ふむ、先程から様子が少しおかしいな。

 

「裕翔くんは私の…私達の敵なんだね?いいよ、勝負して倒してでも私は連れ帰るから!」

 

急に敵意を剥き出しにしてこちらに飛びかかってきた。さて、現No.1の実力を試すか。

 

「せい!やぁ!とお!」

 

「気が抜けるような掛け声だな。」

 

塩崎愛花の気が抜けるような掛け声と共に繰り出される拳や蹴りを適当に捌き、頭にチョップを当てる。

 

「痛い!?むぅ……速い上に一撃が強い!」

 

「遅い、軽い。本当にNo.1か?」

 

「私は戦闘タイプじゃないの!!」

 

「じゃあなんでここに来たんだよ……」

 

「それは………なんでだろ?」

 

?よく分からない奴だな。コイツの目的はオレを連れてジニアスルームに行くこと。しかし、こんなことはジニアスルームにいる生徒ではなく、大人達がしていたことだ。それにこの程度の実力ならオレに対して送らない方がマシだ。妙に警戒を高めさせるだけだからな。

 

「やぁァァ!!」

 

「もっと相手の動きを見ろ。どう動けば相手がどう動くかを計算しろ。」

 

塩崎愛花の攻撃を捌きながらそう指示をする。……何故だか分からないがそうしたくなった。ふむ、何故だろうか。

 

「動かないくせに何言ってるの!それにそんなことしてる時間ないもん!一刻も早くあなたを連れ帰らないと……」

 

「なぜそこまで拘る?なぜ今なんだ?オレが抜け出したのは約2年前だ。その時になぜ追わなかった?」

 

「そ、れは……司令が……」

 

「なるほど、今は別の司令官がいるのか。オレの父親が殉職してからは別の司令官が入ったんだったな。」

 

「何を言ってるの?裕翔くんのお父さんはまだ生きて……あれ?違う、あなたの父親が死んで新たな人が私達を教育してくれたの!」

 

明らかに変だな。さっきから動きが単調だし、言っている事も時々おかしい。所々で口調が変わったりなど。まるで洗脳されているかのよう。

 

「そうか、オレの父親は元気か?」

 

「うん♪今でも裕翔くんに対してかける言葉がおかしかったと……え?あれ?違う、あなたの父親は死んでいるんだよ?何を言っているの?」

 

「……なるほどな。」

 

やはり塩崎愛花は洗脳状態にあるようだ。恐らく、頭の上についている触覚らしき物が洗脳装置だろう。口調が変わるときにぴょんぴょん動くしな。

 

『システムエラー、システムエラー、システムエラー、遠距離操作型洗脳装置が宿主の抵抗によりエラーを発生させました。全速逃亡モードへと移行します。』

 

機械のような音声がどこからか聞こえてきた。音のした方を見ればその正体は塩崎愛花だった。しかし、様子が少しおかしい。

 

目に意識がなく、焦点があってない。顔は先程までと違う無表情だ。そして触手らしき機械はまるで警告するように赤色に光る。

 

?全速逃亡モード?……マズいな、逃げられる。

 

「…………」

 

「オレから逃げられると思うか?」

 

塩崎愛花が逃亡をするのを理解したオレは塩崎愛花を捕まえようとしたがその時には森の中へ逃げていた。オレはその後を追う。このままなら追いつけるな。

 

『目標の速度が予想以上に早いことを確認。宿主の筋繊維を犠牲に更に速度を追加します。宿主が死ぬ確率がありますがよろしいですか?……はい、分かりました。全力で逃亡します。』

 

どうやら遠隔操作の洗脳らしいな。……しかし、このままだと逃げられる。それに死なれたらこっちが嫌だしな。追うのをやめよう。

 

殺せんせーの方も気になるし、あっちに行くか。

 

 

 

 

 

 

殺せんせーの方へ向かうと、イトナとの戦いはまだ続いていた。イトナは前よりも触手の数が減っているが速度が上がっていた。ワン○ースの黄猿が言うように、速度は重さ。その分だけ威力も上がっているのは一目瞭然だ。

 

殺せんせーの頭上には原、吉田、村松がおり、黒崎達がなんとか助けようとしているが手を出せない状況だ。…これは殺せんせーにしか助けられそうにないな。無理に助けようとしてイトナの攻撃を喰らったら余計に殺せんせーの足を引っ張ってしまう。

 

そして殺せんせーの頭上の崖では寺坂やカルマ、クラスの皆が集まっていた。何やら話しているな。

 

「……その狡猾なオツムでオレに作戦与えてみろ。完璧に実行してあそこにいるのを助けてやらぁ!」

 

「いいけど実行できんの?俺の作戦……死ぬかもよ?」

 

そう言ってカルマは寺坂のシャツのボタンを勢いよく外す。…なるほど、カルマも考えたな。

 

「…やってやんよ!こちとら実績持ってる実行犯だぜ?」

 

その頃、殺せんせーは触手がパンパンに膨れて赤くなっており、イトナに追い詰められていた。そういえば殺せんせーの全身が赤く膨れ上がったら茹でだこみたいに見えるんじゃないか?

 

「さあて、とどめにかかろうイトナ。」

 

そこへ崖から一人の男が降りてくる。そう、寺坂だ。

 

「おい!」

 

「…寺坂君?」

 

シロは意外そうな声で寺坂の方を向いた。どうやら想定外のことらしい。

 

「よくも俺を騙してくれたな。」

 

「まあそう怒るなよ。ちょっとクラスメイトを巻き込んだだけじゃないか。E組で浮いてた君にとっちゃ丁度いいだろ?」

 

「うるせぇ!てめぇらは許さねぇ。…イトナ!てめぇ俺とタイマンはれや!」

 

寺坂はそう言って服を持って構える。ちゃんと作戦どうりに動くらしいな。

 

「やめなさい寺坂君!君が勝てる相手じゃない!」

 

そんな寺坂に殺せんせーはそう声をかけた。まあ、確かに寺坂に勝機はないように見える。だが、今の寺坂には作戦がある。

 

「すっこんでろ膨れタコ!」

 

「ふ、健気だねぇ。黙らせろ、イトナ。」

 

シロは鼻で笑った後にそう命じた。まあ、寺坂が死ぬことはないだろう。オレ達を守らなきゃいけないから殺せんせーは常にオレ達に多少なりの注意を置けるからだ。だから殺せんせーの注意力を削げる。

 

イトナの一発は重いだろう。恐らく気絶しそうな程の衝撃のはずだ。だが、裏を返せばその程度。耐えられない事はない。

 

だから今イトナが浴びせた触手の一撃も耐えられる。

 

「よく耐えたねぇ。イトナ、もう一発あげてあげなさい。」

 

シロがそう言った時、イトナがくしゃみをした。そう、まるで先程までの殺せんせーのような。そんなイトナを見て、シロは意外そうな声を上げる。

 

なぜ、こうなったか?答えは簡単。寺坂は服を変えてない。イトナも殺せんせーと同じ触手持ち。昨日の謎のスプレーを至近距離で沢山浴びた寺坂の服に触れて、ただでは済まない。

 

そしてイトナに一瞬のすきができる。その瞬間に殺せんせーが原さんを助ければ形勢逆転。

 

これがカルマの作戦だろう。

 

「吉田!村松!デケェの頼むぜ!」

 

そう言って寺坂は水をパシャパシャと叩く。それだけで後は分かるだろう。

 

寺坂とカルマの合図と共に皆が水場に飛び込む。そうしてイトナに水をかける。

 

イトナの触手は大きく膨れ上がり、殺せんせーと同じくらいまで肥大化した。ハンデはもうないに等しいだろう。

 

「で、どーすんの?俺らも賞金持ってかれんの嫌だし、そもそも皆アンタの作戦で死にかけてるし、それに裕翔も怪我したし、ついでに寺坂もボコられてるし……まだ続けるならこっちも全力で水遊びさせてもらうけど?」

 

そういえばオレ怪我してたな。あ、でも結構塞がってきてるな。

 

「…してやられたな。ここは引こう。この子等を皆殺しにしようものなら反物質臓がどう暴走するか分からん。それに人類最強の白夜裕翔もいるしな。」

 

2話に続く大騒動だったが、相手の方が引いてくれるらしい。……ン?オレっていつの間に人類最強になってたんだ?

 

「帰るよ、イトナ。」

 

そのシロの言葉が表す意味は敗北。それを理解したイトナの瞳孔が大きく開く。…一応警戒しておこう。

 

「どうです?皆で楽しそうな学級でしょう?そろそろちゃんとクラスに来ませんか?」

 

ここまでの事をしても殺せんせーはイトナを生徒として見ている。

 

「イトナ?」

 

しばらく沈黙が続いたが、イトナはシロに付いて行った。殺せんせーの勧誘は失敗したらしい。

 

「なんとか追払えたなぁ」

 

「良かったね、殺せんせー。私達のおかげで命拾いして。」

 

「ヌルフフフ、もちろん感謝してます。まだまだ奥の手はありましたからねぇ。」

 

皆で一件落着という空気の中、寺坂に忍び寄る影が一人……原だ。

 

「そういや寺坂君、さっき私のこと散々言ってたね。ヘヴィだとか太ましいとか…」

 

「い、いいやアレは情報を客観的に分析してだな。」

 

……それ余計酷いこと言ってないか?

 

「言い訳無用!動けるデブの恐ろしさ見せてあげるわよ!」

 

そう言って原が寺坂に詰め寄る。その後ろにはカルマ。イジろうとしているのが丸分かりの表情をしている。

 

「あーあ、ホント無神経だよなぁ寺坂は。そんなんだから人の手のひらで転がされんだよ。」

 

「うるせーカルマ!テメェも高い所から見てんじゃねぇ!」

 

そう言って寺坂は岩の上にいるカルマを無理やり落とす。カルマは回避はできなかったがしっかりと受け身をとったので怪我はなさそうだ。……まあ、ずぶ濡れだがな。

 

「はぁ?なにすんだよ上司に向かって!」

 

「誰が上司だ!触手を生身で受けさせるイカレタ上司がどこにいる!だいたいテメェはサボり魔の癖においしいところだけ持っていきやがって!」

 

その寺坂の意見に同意が多いらしく、皆でカルマに水をかける展開になっている。さっきまで命がけだったのが嘘のようだ。

 

 

それにしてもあの少女は誰だ?初めて会うにしてはやけに馴れ馴れしい態度。オレの父親の事をまるで家族かのように話す口調。そしてあの洗脳。

 

昔あったジニアスルームの同級生か?顔をあまり見た事がないからしっかりと覚えていない。

 

 

 

……厄介な事にならなければいいが。

 

 

 




後書きでも〜!ワンフォーワン!

……なんだこれ?適当にやりました。後悔と反省と懺悔があります。ごめんなさい。

さて、難産の割にあまり大して手応えがない第38話!どうでしたか?良ければ感想をくださると嬉しいです!

さて、今回表れた少女は誰なのか!?まあ、予想付きますかね?どうなんでしょう?あ、設定に無理があるのはいつものことです。許してください。

それでは!また次回でお会いしましょう!



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第39話期末の時間

いやぁ、もう今年も終わりですねぇ……あ、どうも、ワンフォーワンです!

皆様この年はどうでしたか?自分は…まあ、去年と大して変わらないですかね笑

さて!長話をしてても自分の話はつまらないので本編に移りましょう!え?本編もつまらない?ハハッ、泣きますよ?

それでは!第39話期末の時間です!どうぞ!



…白夜side

 

 

「ヌルフフフフ、皆さん!一学期の間に基礎がガッチリできてきました!この分なら期末の成績はジャンプアップが期待できます!」

 

今オレたちがいるのは校舎の外だ。分身した殺せんせーが一人ひとりに付き、オレたちの勉強のサポートをしている。

 

鷹岡やイトナの件を片付けたオレたちを休ませるわけもなく、当然の如く期末はやってくる。その期末に向け、オレたちは勉強をしているのだ。

 

「殺せんせー。今回も全員50位以内を目標にするのか?」

 

「いいえ、白夜君。先生はあの時、総合点ばかり気にしてました。生徒それぞれに見合った目標を立てるべきかと思い至りまして…そこで今回はこの暗殺教室にピッタシの目標を設定しました!」

 

そう言って、殺せんせーは分身をやめた。皆に注目してほしいのだろう。

 

「大丈夫!寺坂君にもチャンスがある目標ですから!」

 

「それ寺坂へのフォローのつもりなのか知らないけど寺坂を煽ってるようにしか聞こえねぇよ」

 

NA○TOのハチマキをしながら必死に寺坂にそう言う殺せんせーに黒崎からツッコミが入る。

 

 

閑話休題。

 

 

「さて、前にシロさんが言ったとおり、先生は触手を失うと動きが落ちます」

 

銃を片手にそう語る殺せんせーは、そういった後に引き金を引いた。バンっ!という音と共に触手が一本落ちる。

 

「1、2本減っても影響は出ます。ご覧なさい。分身の質を維持できず、子供の分身が混ざってしまった」

 

そう言われて見てみると確かに子供の分身が数人いる。コスプレした小学生みたいだな。……黄色いタコの小学生なんているわけないが。

 

「分身ってそういう減り方するモノ?」

 

「分身の年齢を下げるな」

 

ちなみに上が渚で、下がオレだ。

 

「更にもう一本減らすと……」

 

そう言って殺せんせーは更に引き金を引く。バンッという銃声と共に、足の触手が一本落ちる。

 

「子供の分身が更に増え、親分身が家計に苦しんでいます!」

 

そう言われて見てみると野球のバットを持ったやんちゃそうな子供たちが増え、家計に苦しんでいる親たちが顔を沈めている。

 

「なんか切ない話になってきた」

 

「家族設定を追加するな」

 

「先生やってくれん?」

 

ちなみに上から渚、オレ、黒崎の順だ。

 

「更に一本!」

 

果たして、今度はどうなるのか。

 

「今度は父親分身が蒸発し、母親分身は女手一つで子供たちを養わなくてはなりません!」

 

「重いよ!」

 

「重いな」

 

「重い」

 

上から渚、オレ、黒崎だ。そろそろツッコミやめるか。

 

「さっきからツッコミ多くありません!?」

 

アンタのボケが特殊すぎるんだよ。

 

「ん、それで?触手一本でだいたい10%くらい失われるってことでいいか?」

 

「…………」

 

「ン?」

 

「それ先生が言いたかったです」

 

「合ってるのかよ!」

 

どうやらオレの予想はあっていたらしく、殺せんせーのセリフを奪ってしまったらしい。……ドンマイ。

 

「んんっ!そこで本題です。今回は総合点の他にも教科ごとに一位を取ったものに触手一本破壊する権利を進呈します」

 

「「「「!!!?」」」」

 

この時、クラスの全員が息を呑んだ。殺せんせー暗殺に向けて頑張ってきた中での一番のチャンスだからだろう。

 

「そんなの白夜がいれば全部一位じゃ……」

 

「あ、その事ですが。白夜君は別のテストを受けてもらいます。理事長からの言いつけなので確定でしょう。後で理事長からもお話があると思いますよ」

 

「ん、了解した。」

 

黒崎の呟きに殺せんせーが答えると同時にオレにそう知らせた。残念ながらオレが全教科で一位を取るという策は使えないようだ。

 

「これが暗殺教室の期末テストです。賞金100億に近づけるかどうかは皆さんの努力次第です」

 

 

 

この先生は……殺る気にさせるのが本当に上手い。

 

 

 

 

その後、オレは理事長室に呼ばれたので来ていた。

 

「やあ、急に呼んで申し訳ないね」

 

「いや、暇だったから大丈夫だ。それで用件は?」

 

「暇、か……」

 

オレの言葉を復唱し、理事長はしばらく黙り込む。だが、それもほんの数秒で理事長はその口を開いた。

 

「君は前回の中間のテスト、全教科満点の一位だったね」

 

「そうだな」

 

「物足りないと感じたんじゃないかい?」

 

理事長のその言葉でオレはなぜオレだけ違うテストなのか理解した。物足りないか……少し違うな。

 

「物足りないとは少し違うな」

 

「ほう?」

 

「オレにとってはどんな問題も簡単なんだ。テストほど退屈なことはない。」

 

「なるほど。では今回は少しは楽しんでくれることを期待するよ。後、試験の時の部屋はE組と一緒な部屋だ。試験は団体戦だからね。頑張りたまえ」

 

殺せんせーの話は本当だったという事か。まあ、あの先生が嘘を吐くとも思えないしな。

 

「あ、君の点数は私が作ったテストと同じ点数を今回のテストの結果に汎用させるから安心したまえ」

 

「そうですか。それでは」

 

そう言ってオレは理事長室を出ようとする。そして、扉に手をかけた時……

 

 

「白夜君。君の父上…先生は生きているよ。」

 

 

「……それはどういう事ですか?」

 

オレの父親が生きている?もしそれが本当だとしてなぜ理事長が知っている?それに先生?

 

オレの頭の中にそういった疑問が出続ける。何か聞こうとした時、理事長は先に口を開いた。

 

「悪いが今は忙しいのでね。また話す機会があれば話そう。と言っても私から説明するよりも本人から聞いた方が早いと思うがね」

 

今は話すことはない、ということだろう。何を聞いても意味はないだろうな。

 

「……アイツと話す事はありませんよ。それでは失礼します」

 

理事長にそれだけ返してオレは理事長室を出た。

 

 

 

 

「………君は先生を誤解しているよ。」

 

理事長は一人残ったその部屋で、そう呟いた。

 

 

 

 

 

「白夜裕翔!」

 

「はぁ……またか」

 

校舎から出ようとした時、オレにかかってきた声にオレはため息と愚痴を吐いた。

 

「何のようだ?……浅野学秀」

 

「なぜお前はA組に来ない?悔しいが僕よりも学力が上だろう?」

 

負けず嫌いで上から目線だからだよ。と伝えられたらどれだけ楽だろうか。

 

そう、オレが皆と同じテストを受けたい理由がコイツだ。3年A組浅野学秀。オレを見かける度にA組へと誘ってくるのだ。そして今もなお断り続けている。

 

その断り続けられているのも恐らくはオレの方が上だからだろう。だからもしコイツがオレよりも上になったなら……「お前は僕より下だ。だが、頭は良い。E組なんかよりもA組に来て、一緒に勉強してやらんでもないぞ?」みたいな感じのことを言ってくるに違いない。

 

関係が薄いからコイツの口調を知らないからどういうふうに言ってくるか分からんがな。

 

「悪いがオレはA組の奴らよりもE組の皆の方が一緒に過ごしてて楽しいからな。それにオレの彼女もいる」

 

「ふむ、そうか。ところで知っているか?」

 

普段ならここで残念そうな顔をする浅野だが、今回はまだ笑っている。何か企みがあるのか?

 

「何をだ?」

 

「実はA組とE組で賭けをしてな。端的に言えばテストの各教科の一位の数が多い方が勝ちという勝負なんだが勝ったほうがなんでも一つだけ言うことを聞くことになっている」

 

「……なるほどな」

 

恐らくだが、浅野は「これから言うことを守れ」みたいな要求をしてくるだろう。そしてそれには様々な要求が書いてあり、それを全てE組にやらせる気だろうな。

 

屁理屈といえばそれまでだが、確かに一つだけだ。

 

「まあ、精々A組に移ることを楽しみにしていろ。」

 

そう言って浅野は本校舎へと戻っていった。

 

 

まあ、この勝負ならオレがいなくてもE組が勝つだろうが。

 

 

 

こうして、オレ達E組対A組のテスト対決が始まった。

 

 

 




どうも!ワンフォーワンです!

実はクリスマス編を書こうと思ってたんですが、クリスマスを過ぎてしまったので諦めたというストーリーがあるんですよね笑

さて!そんな中書いた今年最後の投稿ですが楽しんでいただけましたでしょうか?

良ければ感想をくださると助かります!

それでは!また来年でお会いしましょう!


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第40話テストの時間

どうも、ワンフォーワンです!皆様お久しぶりでございます!

自分が投稿をサボっている間に色々な行事がありましたねぇ。

クリスマス、お正月、作者の誕生日、バレンタインと盛りだくさんで忙しくて投稿できませんでした…すみません。

それでは!第40話テストの時間!どうぞ!




追記:ちなみに作者の誕生日は2月4日です。



……黒崎side

 

 

 

一時間目……英語

 

 

「今回の問題、色々と引用元が特殊だなぁ……海外の有名小説だったり色々と」

 

問スターを倒して一息付きながらそう言っていると渚がこちらに駆けつけてきた。

 

「黒崎君!大丈夫そうだね!」

 

「お、渚か。こちとら我らが白夜先生のスパルタ授業受けたからな!」

 

そう、実は俺の学力が不安だったので急遽放課後に白夜裕翔こと白夜先生の授業を開き、そこでみっちりしごかれたのだ。

 

「それでその裕翔君は?」

 

「あー……上だよ、上」

 

「上……って何あれ!?」

 

俺が上を指すと渚も指の先を辿るように上を見る。上の戦いの光景に渚は驚きの声をあげる。

 

「俺らがやってるのも化け物だけど、あいつはそれよか上の化け物相手にしてるよ」

 

「うわぁ……」

 

上では龍の問スターが咆哮を上げ、百の手を持つ観音が暴れ、骸骨が絶望の鎌を振り回している。

あの戦場を一言で表すなら地獄だ。

 

「意外と楽な問題ばかりだな」

 

そう言って白夜は持っていた剣で龍の首を切り捨て観音の手を全て切り落とし、死神の鎌を叩き切る。

 

「あれが……楽?」

 

「らしいな。ま、あれを見たらもう驚きどころか呆れるけどな笑」

 

そう言いながら俺は背後に迫る問スターを叩く。

 

「さて、最後の問題だな」

 

白夜がそう呟いた瞬間、会場が震える。

 

ドンッ!という衝撃、威圧と共に天から光が降り注ぐ。その眩しさに俺達は目を瞑る。そして、光が晴れ、目を開けると……

 

そこにはまるで神のような威圧を放つ問スターがいた。

 

……何を言っているのか分からないと思うがオレも分からん。何だあれ……規格外にも程がある。

 

「なんだ、やっぱりイージーだな」

 

そう言って白夜は神を殴り飛ばした。

 

「「「「「…………え?」」」」」

 

そう、文字通り白夜はあの問題をイージーと言って即座に終わらせたのだ。

 

「つまらん。休み時間まだ?早く陽菜乃と弁当食べたいんだけど?」

 

(((((あいつ天才超えて規格外だろ…)))))

 

「はァ………退屈」

 

その後の他の教科も皆は殺せんせーや白夜の授業によって教えられた事を活かし、順調に問題を解いていった。

なお、白夜は退屈そうに単純作業のように問題を解いていった。

 

 

 

〜作者による謝罪会見〜

 

 

パシャ!パシャパシャ!

 

カメラのシャッター音とフラッシュに囲まれながら、ボサボサ髪で目が腐っている作者が登場する。作者はカメラの前に立ち、口を開く。

 

「えー、今回はお忙しい中、お集まり下さり、ありがとうございます。えー、今回は、白夜裕翔の暗殺教室の期末テスト回にて、原作キャラ達の活躍するシーンをカットしてしまい、申し訳ございませんでした」

 

そうして作者が深く頭を下げると同時にシャッター音が鳴り響く。そんな中、作者は席に座った。

 

そして、記者の中から黒髪の男がメモを持ちながら口を開く。

 

「質問よろしいですか」

 

「どうぞ」

 

「まずは、今回の経緯に至った理由につい「うわぁぁぁぁぁ!!」はぇぇよ!泣くのはえぇよ!まだ何も言ってねぇじゃねぇか!!」

 

「私は!ただアニメのセリフ長くて書くのが面倒で!「おい!本家より理由酷いじゃねーか!」

 

はい、というわけで奥田さんや神崎さん、磯貝くんなどの活躍のシーンをカットしてしまいました。理由はさっき述べたとおりです。ごめんなさい、許してください。……あ、本編戻ります

 

 

 

 

 

 

…白夜side

 

そして、テスト結果発表の日。

 

椚ヶ丘中学校では…学園内の順位も答案と一緒に届けられる。

 

故にテストの結果は一目瞭然となっている。

 

「では発表します、まずは英語から…E組の1位は…」

 

生徒全員に緊張が走る。

 

「中村莉緒!そして学年でも1位です!!」

 

「「「「「おおおお!!」」」」」

 

中村莉緒、英語100点 E組1位 学年1位

 

「完璧です!君のやる気はムラっ気があるので心配でしたが…」

 

「なんせ賞金百億かかってっから、触手1本忘れないでよ殺せんせー」

 

「渚君も健闘ですが、肝心なところでスペルミスを犯す癖は治っていませんね」

 

「…うーん…」

 

潮田渚―英語91点 学年6位

 

「さてしかし、1位で1教科トップを取ったところでつぶせる触手はたった1本。それにA組との5教科対決もありますから」

 

そう言って殺せんせーは1本の触手に「破壊予約済」と書いた旗を刺す。

 

「喜ぶことが出来るかは全教科返した後ですよ!続いて国語…」

 

そう言って国語の成績を確認する殺せんせー…

 

「E組1位は…神崎有希子!」

 

「「「「「おおお~~!!」」」」」」

 

神崎有希子、国語96点 E組1位

 

「…が、しかし学年1位はA組浅野学秀!」

 

浅野学秀、国語100点 学年1位

 

「…やっぱ点取るなぁ、浅野は…」

 

「強すぎ。英語だって中村と1点差の2位だぜ?」

 

「流石模試全国1位。中間よりはるかに難易度高かったのに…全教科変わらずスキなし」

 

「そうなると、『五英傑』とは名ばかり。結局は浅野君の1強だから、あいつを倒せば学年トップは取れるという事だな」

 

「…では続けて返します、社会!E組1位は磯貝悠馬!」

 

磯貝悠馬、社会97点 E組1位

 

「そして学年では…おめでとう!浅野君を抑えて学年1位!」

 

「よっし!!」

 

「マニアックな問題が多かった今回のテストでよくぞこれだけ取りました!!」

 

「せんせー、浅野君は何点だったんですか?」

 

「浅野君は95点です」

 

浅野学秀、社会95点 学年2位

 

「次は理科だから…奥田か!」

 

「ええ。理科のE組1位は…奥田愛美!そして…理科の学年1位は…素晴らしい!!学年1位も奥田愛美!!」

 

奥田愛美、理科98点 E組1位、学年1位

 

この時点でA組とE組の勝負はE組の勝利が決定していた。まあ、後一個残っているが……カルマは負けただろう。なぜなら……

 

浅野学秀、数学100点 学年1位

 

赤羽業、数学85点 学年10位

 

皆の勝利の歓声の中、カルマは一人教室を去る。そっとしておくべきか、それとも声をかけるべきか……人間の心に…いや、カルマの心にどう呼びかければいいのか。オレはまだ分からない。

 

「そういえば裕翔君は?」

 

「オレか?違うテストを受けたからな。総合でしか役に立てないぞ?」

 

「いくつだったの?」

 

白夜裕翔、総合500点 学年1位

 

「「「「はあぁぁ!???」」」」

 

「総合500点…満点だと?」

 

「理事長特製のテストを…?」

 

「さっすが裕翔君!!」

 

「朝飯前と言うやつだ。意外と余裕だったぞ?」

 

「へぇ……じゃあ見せてみろよ!そんくらいなら俺でも解けるぜ!」

 

黒崎がそう言うので、理事長から返却されたテスト5枚を見せる。

 

「えーっと………問題が英文で読めん」

 

「「「「は?英文……?」」」」

 

「数学なんて何書いてあるか全くわからん……こりゃムズいってレベル通り越してるわ」

 

「てことは学年1位だし触手ゲットじゃないか!?」

 

「おおー!ナイス白夜!」

 

「役に立てたなら良かった」

 

「…これを裕翔君はやったのかぁ〜……凄いなぁ」

 

「そうか?それよりチョコを食べないか?甘い物が食べたい」

 

オレがそう言うと陽菜乃がカバンからチョコを取り出す。梱包を外し、中から生チョコを一つ取り出して指で摘みながらオレに差し出してくる。

 

「はいはい、あーん……どうかな?」

 

「ン、美味しい」

 

「そう?えへへ、作って良かったよ!」

 

「「「「突然イチャつくな!そしてチョコを持ってくるな!!」」」」

 

皆が突然叫びだすが陽菜乃が褒めてほしそうにこちらを見ているので陽菜乃を優先する。甘い花の香りがする髪を優しく撫でながら少し疲れを取る。

 

「ん〜……空気が甘い……」

 

「あ、なら苦いチョコあるよ?食べる?」

 

「お!いいのか矢田?そんじゃくれ!」

 

「はい、どうぞ」

 

「んむんむ……おお!美味い!この程よい苦味!美味しいねぇ」

 

黒崎が矢田のチョコの感想を述べる。そんなに美味しいのか?苦いのも美味しいからな、気持ちは分かるぞ。

 

「そう?良かった!」

 

「「「「こっちもこっちで甘い空気を出すな!」」」」

 

「んえ?あんあいっああ?」

 

「食べながら喋らないの!」

 

「「「「じゃあ食べさせるのをやめろ!」」」」

 

今日もツッコミが忙しいな。そんなふうな感想を抱いている中、殺せんせーが正面のドアから、カルマが後ろのドアから入ってくる。

 

「さて皆さん。素晴らしい成績でした。5教科で皆さんが取れたトップは3つです。早速暗殺を始めましょうか。トップの3人の方はどうぞご自由に(3本なら大丈夫でしょう。6本以上だと流石にヤバかったですが)」

 

そう言って殺せんせーは破壊予約済と書いた旗を刺した触手を3つ出す。

 

「おい待てやタコ。5教科トップは3人じゃねぇぞ。」

 

殺せんせーが仕切ろうとした中、寺坂から待ったの声がかかる。

 

「ニュ?3人ですよ寺坂君。国、英、社、理、数で合わせて「はぁ?アホ抜かせ。5教科って言ったら国、英、社、理、あと……家だろ」

 

「か、家庭科ぁぁぁ!?」

 

「だぁれもどの教科でとは言ってねぇよなぁ?」

 

寺坂竜馬、吉田大成、村松拓哉、狭間綺羅々 家庭科100点、学年1位

 

「クラス全員でやれば良かったこの作戦」

 

「ちょっと待って!家庭科なんて「なんてって」

 

殺せんせーが文句を言おうとした所でカルマが声を出し、立ち上がる。……なるほど、そういうことか。

 

「失礼じゃね?殺せんせー。5教科最強の家庭科さんにさ」

 

そのカルマの声に便乗し、皆が声をあげる。ここはオレも便乗しよう。

 

そう思って席を立ち、困惑している殺せんせーの肩を突く。

 

「殺せんせー、触手合計5本追加だな。」

 

瞳に最大級の哀れみと冷酷さを混ぜて、テスト用紙と共にそう突きつけた。

 

白夜裕翔 家庭科100点、学年1位

 

「てことはつまり合計8本!?」

 

「あ、すまない。総合を忘れていたな」

 

そう殺せんせーに謝罪(煽り)をし、テスト用紙の全てを突きつける。

 

白夜裕翔 5教科総合500点、学年1位

 

「ということは……」

 

「合計触手9本〜!」

 

ガタガタと震えながら呟く殺せんせーに陽菜乃が天真爛漫に大声でそう言う。

 

「ひえぇぇぇ!!?」

 

「「「「「9本!9本!9本!9本!」」」」」

 

その皆の掛け声の中、磯貝が手をあげる。

 

「それと殺せんせー。これは皆で決めたことなんですが、この暗殺にA組との賭けの戦利品も使わせてもらいます」

 

「……what?」

 

 

 

 

 

…Noside

 

「数学個人学年1位キープおめでとう。と言いたい所だが、何やらE組と賭けをしてたそうじゃないか?そして、その賭けに君は負けた。全校中に話が広まった以上、E組の要求はそう簡単には断れないよ?どうする?学校が庇ってあげようか?」

 

理事長室にて、浅野親子……いや、浅野理事長と浅野学秀は話をしていた。とても親子の会話とは思えない重い空気は浅野親子ならではの空気感だろう。

 

「ッ…結構です」

 

浅野学秀がそう言ったと同時に理事長は席から立ち、ゆっくりと浅野学秀に近づきながら口を開く。

 

「私の事を、首輪を付けて飼ってやるとか言ってたね。有りもしない私の秘密を暴こうとしたり……よく言えたものだね?同い年との賭けにも勝てない、未熟者が」

 

未熟者、という言葉を強調した理事長の言葉に浅野学秀は歯を食いしばる。

 

「それに君は総合で学年2位だ。まあ、アレは君の次元を超えているからね。仕方ないだろう」

 

「納得がいきません。なぜ、別のテストを受けた彼が学年1位なのでしょうか?」

 

「私なりの褒美のつもりだ。彼の成績はそれでも足りない程の結果だった。君では合計点300に届くかどうかといった所だ」

 

「ッ……そのテストを見せて貰っても?」

 

「良かろう。そうすれば君も納得が行き、理解するだろう……」

 

理事長は浅野学秀にテストの問題とコピーした白夜裕翔の解答用紙を見せる。

 

「これは……」

 

白夜裕翔

 

国語100点

英語100点

社会100点

理科100点

数学100点

 

総合500点

学年1位

 

「彼の……異常性が」

 

理事長は絶句する浅野学秀にそう言葉を告げて、目を伏せる。

 

「流石は先生の息子…と言ったところかな?先生と同等……いや、遥かにそれを越えた化け物ぶりだ」

 

こうして、期末テストは幕を閉じた。

 

 




はい、いかがでしたでしょうか?

やはり投稿が開くとキャラの口調や設定を忘れてしまって書くのが大変ですねぇ。

あ、理事長のテストの難易度ですが、一番上の大学入試と同等くらいのつもりです。まあ、白夜君天才だからね?大丈夫だと思いたい。

ちなみにテストシーンのカットは本編のとおりです。すんません。

それでは!また次回でお会いしましょう!



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第41話夏休みの時間

さて、久しぶりの投稿ですが……皆様自分のこと覚えてますか?

どうも、ワンフォーワンです。

実は、ゲーミングPCを買いまして。そのPCでAP○Xをインストールして遊んでいたら……


気づけばこんなにも頻度が空いてしまいました。ごめんなさい。そして、久しぶりに書いたため、キャラの口調が変かもしれませんがご了承ください。

あ、自分のこと覚えてるよーって人は感想で言ってくれると嬉しいです。

それでは!第41話夏休みの時間です!どうぞ!


翌日。1学期の修了式。

 

オレ達はA組の負けた顔を……んんっ、約束の確認をする為に行った。あ、ちなみに殺せんせーとビッチ先生を置いて来ている。

 

オレ達はいつもどおり先に並んでいるが、寺坂組がA組をイジるために来るのを待っている。なんだかんだ皆も乗り気で待ち構えている。

 

そうしているとA組が体育館の入り口にやってくる。先頭にいる5英傑達を見て、寺坂の顔がニヤリと笑う。最近カルマにイジられてたからな、自分がイジれる立場になれて嬉しいのだろうか。

 

「おうおう、やっと来たぜ。生徒会長様がよぉ」

 

「…なんのようかな?式の準備でE組に構う暇なんかないけど……」

 

「おいおい、なんか忘れてんじゃないのかぁ?」

 

無視しようとする浅野に対し、寺坂はニヤつきながら肩に手を置くと磯貝が口を開く。

 

「浅野、賭けてたよな?勝った方が一つ言うことを聞くって。要求はさっき連絡したけど、アレで構わないよな?」

 

「まさか、今更冗談とか言わないよなぁ?なんならよ、5教科の中に家庭科とか入れてもいいんだぜ?それでもこっちが勝つけどなぁ」

 

いつもと様子が違うE組に動揺し、ざわつく他のクラスがいる中、オレ達はニヤニヤと笑っている(オレは無表情)

 

こうして、オレ達E組vsA組の勝負はE組の勝利となったのだった。

 

 

 

 

 

 

と、締めてみたはいいものの、集会は普通にある。

 

「えー、夏休みと言っても怠けずに!えー…E組のようにはならないように……」

 

いつもの校長のE組イジリはいつもより受けが悪いようだ。まあ、元々のギャグセンスがないのだろう。

 

いつもなら顔を俯かせていたであろうE組だが、今回は胸を張って並んでいる。

 

さて、校長の話は長い上につまらないという時間の無駄なので、今の内にオレ達がA組に要求した物と、使い道を説明しよう。

 

まず、この椚ヶ丘中学校には成績優秀者には、常夏の沖縄で過ごす2泊3日という豪華な夏期講習を受けられる権利が送られる。まあ、夏期講習と言っても殆どリゾートのような物だ。

 

オレ達はこの権利を対決の景品としてもらい、そこでオレ達は殺せんせーの暗殺を行う予定である。触手の破壊権はその暗殺の際に使うというわけだ。

 

今オレ達が現状得ている最大級の殺せんせーの弱点である水。それを活かせる暗殺であり、過去最高のコンディションで行うことができるということだ。

 

と、解説している内に集会は終わったようだ。

 

 

 

 

さて、場所は変わってオレ達はE組校舎に戻り、殺せんせーによる1学期修了の挨拶をもらう。

 

「さて、触手の破壊権という大ハンデで満足せず、水で覆われたこの島で暗殺を行い、万全に、そして貪欲に命を狙う。……正直に認めましょう、君達は侮れない生徒になった」

 

そう言って殺せんせーはどこからか紙を数十枚持ってきて、サラサラと赤ペンで何かを書く。

 

「親御さんに見せる通知表はもう渡しました。これは…先生からの貴方達への通知表です!」

 

そう言って、赤い二重丸に囲まれた殺せんせーが書いてある紙を宙に投げる。

 

「1学期で培った基礎を十分に活かし、夏休みもたくさん遊び!たくさん学び!そしてたくさん殺しましょう!…椚ヶ丘中学校3年E組、暗殺教室!基礎の1学期!これにて修了!!」

 

なんとも殺せんせーらしい言葉で1学期を締めくくり、オレ達は夏休みに入った。

 

 

 

 

 

 

…白夜Side

 

 

夏休みが始まって数日後、陽菜乃がE組校舎がある山で虫取りをしている中、オレは殺せんせー暗殺計画のための武器を作ろうとしていた。

 

「さて、イア?起きてるか?」

 

『私AIなんで睡眠なんてしませんよ』

 

「ふむ……そうだったな」

 

(天然なんでしょうか…?)

 

「計画の方は順調か?」

 

『はい、この調子で行けば3日後以内に終わります』

 

そう言ってイアは画面に『現在インストール進行度47%』と表記する。2日前に始めたからこんなもんだな。

 

「んー……眠いニャ〜…二人がうるさいから眠れないのニャ」

 

「すまんな、そろそろ寝るか」

 

「えー……久しぶりのボクの出番ニャのに……」

 

寝たいのか映っていたいのかどっちなんだ……。

 

『メタ発言は良くないですよ』

 

ツッコミつつ、キャトラを部屋の奥に誘導するイア。…思えば久々の登場だな。

 

と、キャトラの出番の少なさになんと言えばいいのか迷っていると、陽菜乃からメールが来る。内容は…

 

『裕翔君!実は今日、虫取りするって言ってたけど虫取り用の罠を仕掛けて一日待つことにしたの!それで、明日良ければ一緒に虫取りしない?こんな時間にごめんね!』

 

ふむ……明日か。ちょうど空いてるな。明後日から会社の合宿があるが、問題はないな。…そうだ、この機会に…。

 

「イア、明日は虫取りをして、明後日から会社で合宿があるから明日からは休んでいいぞ」

 

『休み、ですか……何をすれば…』

 

「したいことをすればいいさ。そうだな…律と遊んだり、皆のスマホの中に入れてもらって何をしてるのか、とかを知るのもいいかもな」

 

『なるほど!しっかり休ませていただきます!』

 

「えー…僕はどうすればいいニャ?」

 

イアの休日を決めると、膝の上に乗せて撫でていたキャトラから講義の声がかかる。大丈夫、ちゃんとキャトラの事も考えている。

 

「キャトラは速水の所に行ってもらおうかと」

 

「速水?誰ニャ?」

 

「クラスメイトだ、この前猫カフェで見かけたんだ」

 

そう、それは数日前のことだ。

 

 

『あ、猫カフェか。良さそうな店だな、今度陽菜乃と言って見ようか…あ』

 

この店、実は中の様子が窓から見える設計になっているのだが、店内にクラスメイトの速水がいた。なんとなく、このまま帰ると少し気まずいので店内に入り、少し速水と話してみる。

 

『やっぱり猫は可愛いわね…』

 

『そうだな。あ、そういえば家にも猫がいるんだよなぁ……今度会社の合宿の時どうしようか……』

 

『白夜』

 

『ン?どうした?』

 

『良ければ家に預けてもらえる?大丈夫、ちゃんとお世話するわ』

 

鬼気迫る表情で迫ってきた。まあ、悪くはないな。キャトラも偶にはオレ以外の人とも接してみるといい。

 

 

 

「というわけだ」

 

「ニャるほどね……まあ、猫好きなら悪いようにはされないだろうからニャ……別にいいニャよ」

 

「じゃあそういうことで。今日はこれで解散だ。もう夜も遅いから早く寝るように」

 

 




はい、というわけでいかがでしたでしょうか?

それと皆さんに質問があるんですが、新しい暗殺教室の作品書いていいですか?

異能力系の物を書きたいんですが、いいですかねぇ…。

まあ、良ければ感想にそれも書いてくれるとありがたいです!

それでは!また次回で!


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第42話 策略の時間

やっべ久々の投稿すぎて前回までの流れ忘れかけてた…

どうも、お久しぶりです。僕だよ僕!ハンバーグ師匠だy(((


なんて冗談は置いといて、ワンフォーワンです。

久々すぎて書き方とか、キャラ違くね?ってならないようにしたけど少し違和感あったらごめんなさい。

(ていうか自分のこと覚えてる人いるかな…?)


「社長、僕の出番いつぶりですか?」

 

「いきなりメタ発言をしないでくれ」

 

影城(久々の登場)のコーヒーを注ぎながらのメタ発言に社長室で資料を見ながらツッコミを入れる。

 

ちなみに社長になってからも影城に敬語で話していたが、「社長なんですからやめてください」と言われたので敬語は抜いて喋っている。

 

「あ、社長。そういえば今日は倉橋さんは?いつもならお弁当を届けに来る時間帯かと」

 

「ン?いや、今日は虫取りをするらしくてな。オレはこの猛暑の中わざわざ学校に行く元気がないんだよ。若いっていいねぇ」

 

(とても15歳のセリフとは思えないですね)

 

オレがため息を付きながらそう言うと影城さんが苦笑する。……なんか変なこと言ったか?

 

そう疑問に思いながらコーヒーを啜っていると影城さんが電話を取り出して険しそうな表情をしている。

 

「あー、それと社長。何やら社長の担任を名乗る大柄の男性が来ているとのことですが」

 

「ふむ……身長はどのくらい?」

 

「えーと……2〜3mだそうです。……いたずらですかね?」

 

「いや、今ので誰か分かった。通してくれ」

 

はぁ……何を考えてるんだあの教師は。

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやはや…まさか入った瞬間にナイフで脅されるとは…」

 

「すみません…てっきり殺し屋の類かと思いまして」

 

「まあ、先生みたいな大柄な人がいきなりオレに会いたいって言ったら警戒はされるだろうな」

 

ショボくれる殺せんせーを影城さんがジッと見つめている。……ドウシタンデスカネ?

 

「あなた人間ですか?」

 

「ギ、ギクッ!な、なな、なにをしつれいな!」

 

「先生、焦ってるのが分かりやすすぎる」

 

……もう諦めよう。オレは悪くない、うん。

 

 

 

というわけで、鳥間先生に連絡したところ、影城さんに事情を説明することとなった。…ちなみに殺せんせーが怒られたのは言うまでもない。

 

「うぅ…あんなに怒らなくても…」

 

「自分が国家機密って自覚あるか?」

 

そんなツッコミをしつつ、殺せんせーの要件を聞く。

 

「で?どういう要件でわざわざ会社まで来たんだ?いつもなら学校にいるはずだろ?」

 

「いやいや、別に弱みを握られて気まずくなって逃げてきたわけじゃないですよ?」

 

「なるほど、そういうことなんですね」

 

「なんでこんなにもドジばっかの人を未だに殺せないんですかね?」

 

影城さん、それを言うのはやめてくれ。

 

皆が泣くことになる、ていうか烏間先生はなくを通り越して胃が痛くなる。これ以上烏間先生の胃を痛める訳には行かないのだ。

 

「まあ、それはともかくとして。はいこれ、茶菓子です」

 

「あー、あそこに売ってるやつか。オレも今日の朝買ったな」

 

「え?そうなんですか?」

 

「ああ、1日1名様限定で売られてたんだ。目の前に巨漢の列ができてたからよく覚えてる」

 

「ギクッ」

 

あの巨漢はやはりアンタか…。

 

「このことはやはり烏間先生へ…」

 

と言おうとしたところで殺せんせーから右手に何かを渡され、目の前で土下座を繰り広げる。

 

「どうか何卒!このことはどうか気づかなかったことに!!烏間先生にだけはどうか!!」

 

ふむ……右手には俺が好きなお菓子……

 

「よし、烏間先生には言わないでおこう」

 

こうしてオレは殺せんせーの賄賂(お菓子)を受け取ったのだった。

 

 

 

 

…数日後

 

 

「へ〜!それであの後裕翔君のところに逃げ込んでたんだ!」

 

「そうだな、まさか陽菜乃から逃げてたとは思わなかった」

 

数日後、夏休みに行われる殺せんせー暗殺に向けての練習の最中、俺は前に殺せんせーが逃げ込んできたことを陽菜乃に教えていた。

 

「にしても、殺せんせーに言わないって約束したんじゃねーのか?」

 

「?オレは言ってないぞ?」

 

「え、でも確かに言わないって…」

 

そう言って黒崎が考え込み、そして気づいたのかオレをジト目で見つめる。

 

「お前、性格悪いなぁ…」

 

「ターゲットの隙を突くためだ。暗殺には必須だ」

 

「やれやれ、最近のガキはお堅いわねぇ〜」

 

オレの考えを素直に話すと、一流の殺し屋のビッチ先生が休みながら口を開く。

 

「そうは思わないか、ロブロさん?」

 

「ほほう、気配を消してる私に気づくとは…やはりジーニアスは違うな」

 

気配を消すのをやめたロブロさんが後ろから声をかけてくる。その瞬間ビクリとビッチ先生がガクガクと震え始める。まるでビフォーアフターの如く。

 

「そう言いながらもちゃんとオレの情報を握ってるあたりまだまだ現役ですよ」

 

「どこぞのバカ弟子と違って世辞もできるとは心底恐ろしいよ」

 

「な、なな、なぜロブロ先生がここに!!?」

 

「夏休みの特別講師で来てもらった、皆が考えた作戦にプロの視点から助言を貰う」

 

「1日休めば、指や腕は殺しを忘れる…落第が嫌ならさっさと着替えろ!!!」

 

そう言ってギロリと睨まれたビッチ先生はそそくさと片付けを始め、着替えに向かう。ま、明らかに怖いしな、色々。

 

「協力感謝する」

 

「困ったことが続いてな…有望だった殺し屋たちが次々と連絡を取れなくなっている」

 

話として出してはいないが、数々の殺し屋が殺せんせーに対して挑んだが失敗し続けている。それで怖気付いたのかという考察をしているようだ。

まあ、同業者が失敗をしたのを知って俺も行こう、となるほど殺し屋はバカじゃないのだろう。

 

「…はぁ、やれやれ……それで?ヤツはどこに行っている?」

 

「ヤツは今兼ねてからの予告通り、エベレストで避暑中だ」

 

「世界の名山を避暑に使うな」

 

黒崎、それはもう皆が心の中でしたツッコミだ。

 

それを聞いて安心したのか、作戦が書かれた書類に目を通す。ちなみにその書類オレが作ったんだがどうだろうか?今度大掛かりなプレゼンがあるので部下にも見やすい書類の作り方を教えてもらいたい。

 

「なるほど…まずは約束の7本の触手を破壊し、間髪入れずに皆で囲み一斉攻撃をし、ヤツを仕留める。…それはわかるがこの一番最初の精神攻撃とはなんだ?」

 

その件について、計画を立てた生徒に話しかけるロブロさん。なんだかんだ皆も怖いと言っていたが億さず話すあたりかなり勇敢なようだ。

 

「まず動揺させて動きを鈍らせるんです」

 

「この前エロ本拾い読みしてたんすよ。そんでアイス1本配られたけど…今どきアイスで口止めできるわけねぇだろ!」

 

「「「クラス皆で散々いびってやるぜ!!」」」

 

この手の事に関しては寺坂組も好物。一致団結も狙えるだろう、と教えたら皆であっさり情報共有が進んだ。

 

「他にも揺するネタはいくつか確保してるので、まずはそれを使って追い込みます」

 

普段から殺せんせーをよく観察していた渚はこの作戦に大きく貢献した1人とも言えよう。

 

「残酷な暗殺法だ…」

 

これにはプロの殺し屋も引くレベルらしい。まあ、裏を返せばこの点に関しては文句なし、ということだろう。

…そう、大事なのは最後、トドメの刺し方だ。

 

「だが、1番大事なのは最後の射撃だ」

 

「不安か?このクラスの射撃技術が」

 

「いいや、逆だ。特にあそこの2人は素晴らしい」

 

空間把握が得意な千葉。動体視力と手先の精確さのバランスがいい速水。彼らがこの作戦の最後の射撃係だ。

 

「1番優れた殺し屋ってどんな人なんですか?」

 

皆が練習する中、渚がロブロさんにそんなことを聞く。まあ、気になるか?と言えば多少気になるところだろう。

 

「興味があるのか?こちらの世界に」

 

「あ、あー、いや…そういう訳では…」

 

殺し屋の世界に興味があるのではなく、どんな殺し屋なのかが気になるのだろう。異世界に放り込まれて、最強の人がどんな人なのか気になったりするような物なのだろう。

 

「そうだな…最高の殺し屋、そう呼べるのはこの地球上にたった1人。この業界ではよくある事だが、本名は誰も知らない…ただ一言のあだ名で呼ばれている。曰く、死神と」

 

死神、か…オレが知る死神とはおそらく別人だろう。

 

「死神……」

 

「ま、このまま暗殺に成功しねぇとソイツも来るかもな」

 

話を聞いていたのか、後ろから黒崎が声を出す。まあ、可能性としては有り得るな。と、考えていると黒崎が急にオレを指さし…

 

「ま、こっちには『天災』がいるから平気だろ」

 

「何を言っている?オレは人間だぞ?」

 

「なんでお前ってそういうとこだけ天然なの…?」

 

そんなこんなで俺らはついに暗殺の地に向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

そういえば、速水にキャトラの様子聞くの忘れてた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「キャトラちゃんかわいい…」

 

「なんで1時間も抱きしめられてるのニャァ…」

 

 




久々の投稿なので3000文字くらい張り切っちゃった♡(はよ投稿しろ)

ちなみに最近のアニメ話をすると、記憶に1番残ってるのは呪術廻戦の映画ですね。リカちゃんの迫力がえぐかったです。かっけぇ

白夜君も超能力とか使えないかなぁ(フラグになりそうな発言をするな)

え?もうほとんど能力者だろって?
……ちょっと何言ってるかわかんないっす


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第43話 作戦決行の時間

どーもどーも、ワンフォーワンです!

いやぁ...最近全然ハーメルン開かなくて、ご感想をいただく度に書かなきゃなぁという使命感でちょくちょく書いてました!難産でした...(´;ω;`)

ちょっとした伏線?みたいなのもあるのでお楽しみいただけたら幸いですm(_ _)m

それでは第43話 作戦決行の時間 どーぞ!!



…白夜side

 

夏休みの訓練が終わり、オレたちは今船の上に居た。

 

「見てみて殺せんせー!見えてきたよ!」

 

陽菜乃がパッと明るく笑いながら、船酔い中の殺せんせーに声をかける。かわいい、会社の合宿とかあって3日ぶりくらいに会うからより可愛く見える。

 

「陽菜乃、後で海で遊ぼうか」

 

「んー?いいよ〜!」

 

「おいおい、明日とかにしとけよ」

 

と、黒崎が言って思い出したが、俺達は修学旅行のように班行動で色々な所に殺せんせーを連れ回しながら遊び、その間に別行動の班達が今日の夜に行う暗殺に向けての準備をする。

 

暗殺において重要なのは相手に作戦がバレないこと。当然と言えば当然だが、どれだけ手数があるのか、どうやって暗殺をするのかなどもバレてはいけない。オレ達が準備してる間に殺せんせーが自由だとバレる可能性があるので休む暇もないように連れ回さなければならない。

 

「オレはやり残したことがないんだがな…」

 

耳がいい殺せんせーが聞いても陽菜乃と遊ぶ以外考えてなかったかのように言葉を選びながら少し愚痴る。

 

「も〜、そんな事言われても私は少し荷物の整理とかしたいからさ!」

 

「女子部屋に勝手に行くのも悪いし、しょうがないか」

 

「うん!準備が出来たら呼ぶからさ!」

 

「ン、何か困ったことがあれば協力するからいつでも頼ってくれ」

 

殺せんせーとそれぞれ班が行動する中、遊ばない残りの皆はそれぞれ遊ぶ…のではなく、暗殺の準備をする。ちなみにオレだけは特別枠らしく、ソロである。

 

 

確かその時の会話では…

 

『え、オレは?はぶり?』

 

『違うわ、お前の身体能力とか技術は皆よりずば抜けて高いから特別枠なんだよ。誰かに合わせて行動させるより、1人で殺せんせーを撹乱する方がいいだろうってロブロさんが言ってたからそうしたんだよ』

 

『陽菜乃と行動できると思ってんだが…』

 

『残念ながら単独行動だな。あと、いつも陽菜乃といるのに単独行動なのを疑われないように上手いことしてくれよ?』

 

許さんロブロさん、そして黒崎はもうちょっと語彙力を身に付けてくれ。

 

 

というわけでオレは単独行動である。悲しい。

 

てか、オレ準備する物ないんだけど?なんかすることないかなぁ…久しぶりにアレの練習でもするか。

 

「「「「島だ〜!!!!」」」」

 

どうやら着いたようだな。

 

 

 

 

 

 

島、確か正式名称は普久間だったか?に着いた。

 

「こちらサービスのトロピカルジュースにございます」

 

ホテルのスタッフの男性数人がクラスの皆にそれぞれ渡しに行く。この後は予定通り、班で分かれてから殺せんせーと遊び、その間に遊んでいない班は暗殺の準備をする。

 

「このジュース美味しいね〜!」

 

「そうなのか?オレも飲んでみよう」

 

陽菜乃が美味しいと勧めるのでコップを手に取りストローをくわえる。吸い込むと鮮やかなオレンジのジュースが口の中に入っていく。

 

「……まあ、美味しいな」

 

「あれ?あんまり美味しくなかった?」

 

「うーん…なんか変な物入ってないか?」

 

「そんなわけないじゃん!もう!失礼だよー?」

 

そう言われオレは渋々食い下がる。うーむ…やはり何か気になるんだが……まあ、船旅で疲れたし、残りは部屋で飲むとしよう。

 

「それはさておき、どうやら暗殺に向けて夕方には来ていた客を帰らせるようだぞ」

 

と、後ろでナンパに行こうと意気込んでいた岡島と前原にも聞こえるように言う。…そういえばビッチ先生も男を落とすとか意気込んでいたが……いいか別に。

 

肩を落とす岡島達を背に、オレは部屋に入る。持ってきたケースの中を部屋に広げ、暗殺に必要な物を準備する。

 

『準備と言っても、もう終わってるのですることないですよね〜』

 

「うーん…イルカ鑑賞でもするか」

 

 

てなわけでイルカ鑑賞に来た訳だが…

 

「「「「「なんでイルカと一緒に泳いでんだよ!!!」」」」」

 

「体が訛ってるな。イルカと同等スピードしか出ないとは」

 

「ヌルフフフフ。生徒と一緒にイルカ鑑賞するとは思いませんでしたねぇ」

 

ふぅ…泳ぐのも中々いい運動になるな。今日の暗殺でかなり体を動かすことになりそうだから先に動かしといて正解だな。

 

アレは身体への負荷が凄いからな…準備は念入りにしておこう。

 

 

 

 

 

皆が殺せんせーと遊ぶ裏で暗殺の準備も終え、日も沈み始めたので予定通りに船上でのディナーを始めるのだが……いや、まあいいか。

 

「夕飯は船の上で夜景を楽しみながらのディナー…最後の晩餐にはピッタリだと思わないか?殺せんせー」

 

「なるほどなるほど、先生の乗り物酔いという弱点も突く、さすがの作戦ですね白夜君」

 

と、少し気持ち悪いのを我慢しながらもディナーを楽しむ殺せんせー。……酔ってんのか?これ。

 

「君たちの作戦は実に正しい。相手の弱点を突き、集中が切れる瞬間を作る…ですがそう上手く行くでしょうか?暗殺前に気合いの乗った先生に取って船酔いなど恐るるに

 

「「「「「だから黒いわ!!!!!」」」」」

 

なんで全身真っ黒に焼けてんだよ。一日中遊んでもそうはならないし、ていうかなぜ歯も焼けてるんだ。

 

「え、そんなに黒いですか?」

 

「鏡を見た方が早いだろうな」

 

俺は足元に置いていたバッグから手鏡を取り出し、殺せんせーが映るように見せる。

 

「え、黒!?」

 

「「「「「自分で驚くな!」」」」」

 

「ふっふっふっ、ですが私にとって日焼けもどうということはありません。なぜなら……!!」

 

「私には月に1回のとっておき!脱皮がありますからねぇ!ヌルフフフフ!」

 

と、意気揚々とマッハで脱皮を行い、元々の綺麗な黄色い肌が戻る。脱皮したてだからだろうか照明の光が少し反射されツヤツヤなのがわかる。

 

「月に1回の切り札の消費どうもありがとう」

 

「………あ」

 

「アンタ良く今まで殺されなかったよな」

 

隣にいた黒崎がそう呟き、元気よくご飯を頬張る。……ていうか

 

「黒崎って確か船酔いじゃなかったか?」

 

「………あ」

 

案の定、黒崎も酔った。

 

まあそんなことは関係ないので暗殺の舞台の海上の小屋にオレたちは着いたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まずい、気絶してた。

 

『あ、マスター起きましたか?』

 

「すまん、何故か急に眠気に襲われて寝てしまってた。作戦はどこまで進んでいる?」

 

『今ちょうど動画の準備が終わったところですよ!今から視聴ですね☆』

 

「そうか、割と寝ていたな...」

 

コキコキと骨を鳴らしながら体を鳴らす。少しギアが上がらないが、寝起きだからか?

 

『(マスターの調子が悪い...いつもは睡眠など最低時間、集中を切らすこともなく、ましてやあんな無防備なことなど...)』

 

「まずは、三村が編集した動画を見て楽しんでもらって、その後、テストで勝った人で触手を破壊。それを合図に残った皆で一斉に暗殺を始めます。それでいいですよね?殺せんせー」

 

「ヌルフフフ、上等です」

 

かかってこいと言わんばかりの緑と黄色のシマシマの顔をする殺せんせー、その余裕が続けばいいがな。

 

「セッティングご苦労だったな、三村」

 

「頑張ったぜ、皆が飯食ってる間もずっと編集さ…おかげで船のディナー食べれてないぞ」

 

「そうか...今度なにかご馳走しよう」

 

そういうと三村がガッツポーズをするがそこまで料理に自信ないぞ?

 

(この小屋の周囲は海、加えて建ち方から壁、窓に対先生物質が仕込まれている可能性は高い…それ以上に白夜君がいる以上...これは奥の手を使うことになりそうですね)

 

「殺せんせー」

 

何やら考え込んでいた殺せんせーに渚が声をかけ、ボディチェックを行う

 

「いくら周囲が水とはいえ、水着とか隠し持たれてたら逃げられるもんね」

 

あ、確かに。忘れてたな。

 

「入念ですねぇ、そんな野暮はしませんよ」

 

「「「「ほんとか?」」」」

 

「酷くないですか皆さん!?」

 

さっきから頭が働かないな...船酔いでは無いはずだが...やはり寝起きだからか?

 

「さて、準備は良いですか?」

 

そう言って殺せんせーは椅子に腰をかける。堂々とした態度は生徒たちの頑張りを正面から受け止めようという覚悟が見える。

 

「全力の暗殺を期待します。君達の知恵と工夫と本気の努力、それを見るのが先生何よりの楽しみです。遠慮は無用、ドンと来なさい」

 

「それじゃ上映はじめるぜ、殺せんせー」

 

小屋の電気が消え、三村が編集した動画が流れ始める。丁寧な編集、BGMや効果音などは参考になる。今度編集なんかもやってみよう。

 

(…しかしこの動画、良く出来ていますねぇ、編集は三村君、ナレーターは白夜君ですか。声かっこよ...ンンッ!カット割り、選曲、どちらもいいセンスですね。あと声かっこよ!ついつい引き込まれ…)

 

ここで、動画があるシーンを映し、同時にナレーションが流れる。そういえばこの動画のナレーションオレか、忘れてた。

 

『…我々調査隊に極秘情報を提供してくださった方々に起こしいただきました。お話を伺う前に続きをご覧下さい...』

 

『買収は...失敗した』

 

そのナレーションと同時に、敷き詰められたエロ本ト、その上で座りにやけながらエロ本を読んでいる殺せんせーの姿が映し出された。

 

「失敗したァァァァァァァ!!??」

 

余裕綽々、堂々とした顔が一変。一気に青ざめ焦り始める。

 

『お分かり頂けただろうか。最近のマイブームは熟女OL、全てこのタコがひとりで集めたエロ本である。てか熟女趣味か...』

 

「違っ…ちょっ、岡島君達、皆には言うなとあれほど…あとナレーション感情入ってますよ!やめて!効くから!!」

 

次々と映像は変わっていき、殺せんせーへの精神攻撃は続く。

 

『女子限定のケーキバイキングに並ぶ巨影…誰あろう、奴である。バレないはずがない、女装以前に人間ではないとバレなかっただけ奇跡である』

 

「あーあエロ本に女装に...恥ずかしくないの?ド変態」

 

後ろから来る教え子からの罵倒。後ろからどんな目で見られているのかと被害妄想も膨らむだろう。

 

『給料前、男は分身でティッシュ配りに行列を作る。そんなに取ってどうするのかと思いきや…』

 

ここで映像が切り替わり、E組の教室内にてティッシュを揚げている様子が映し出される

 

『唐揚げにして食べた。教師...いや生物としての尊厳はあるのだろうか…』

 

どんどんと恥ずかしさ、そして惨めさを見せつけられもう終わりかと思い顔を上げる殺せんせー。が、そんなオレ達は甘くない。

 

『こんなものでは終わらない、この教師の恥ずかしい映像を一時間たっぷりとお見せしよう』」

 

「あと1時間もッ!!?」

 

 

一時間後。

 

 

 

「…死んだ、もうせんせー死にました…あんなの知られてもう生きていけません」

 

そういった殺せんせーの顔は青ざめ、口からは泡が出ている。なるほど、限界のようだ。

 

『さて、秘蔵映像にお付き合いいただいたが…何かお気づきではないだろうか?殺せんせー』

 

そう言われ顔を起こし周囲を確認する殺せんせー。床に水が流れており、触手がぶよぶよに膨らんでいる。

 

満潮が効いたようだ。第1の作戦、精神攻撃が上手くいった証拠でもある。

 

「誰かがこの小屋の支柱を短くでもしたんだろ」

 

「船によって、恥ずかしい思いして、海水吸ってだいぶ動きがにぶってきたんじゃない?」

 

「約束だ、避けんなよ?」

 

...皆覚悟は出来てそうだな。

 

ここで殺せんせーを殺す覚悟を。

 

「...殺せんせー、オレは今まで本気でアンタを殺した事がない」

 

「そうですか……先生としては本気でやってほしいんですが…まあ、白夜君が本気を出しても負けませんが」

 

そう言って殺せんせーは皆に銃口を向けられながら、顔を縞々模様にする。ナメきっているということだろう。

 

「そうか、今回は殺す気で行く」

 

そう言ってオレは全力の殺気を殺せんせーに向ける。殺せんせーは縞々模様からいつもの表情に変わり、少し冷や汗を流している。

 

「イア、本気で行くぞ」

 

『!?マスター…アレを使うんですね』

 

「対人用だが、本気を出すと言ったからな。使うぞ、新兵器【白ノ怒(シクド)】」

 

((((なんだそのクソかっこいい名前のやつ!?))))

 

「白ノ怒…それが白夜君の本気ですか……ヌルフフフフフ、いいでしょう!本気で来なさい!皆と一緒に!」

 

『白ノ怒……始動します』

 

イアがいつもとは違う機械じみた声でそう言った。その瞬間、オレの人差し指の指輪が赤く光り、武装が展開される。

 

「始めるぞ、律」

 

『作戦、開始!』

 

律がそう言うと同時に触手破壊権を持つ9人がそれぞれ触手を破壊する。それと同時に武装ができ、オレは全力で殺せんせーに突撃する。

 

「ニュヤ!?(壁が破壊された!?…そして展開される水圧の檻!そして弾幕の包囲網!だが…当てに来ない…?)」

 

「少し驚きすぎだぞ?油断大敵と言うやつだ」

 

オレは左から出した風の刃で殺せんせーの触手を1本破壊する。

 

「!?確かに対先生用ナイフはなかった…!そうか!風!」

 

「鉄は溶かすんだったな?だったら風で切るまでだ」

 

左の装甲から強風を刃状に出すことによって、どんな物も切る最強の斬撃を生み出す。今は殺せんせーが風に対応しても大丈夫なように、対先生弾を粉末にしたものを噴出しながら使っている。

 

「ニュウ……(弾幕の包囲網のせいで逃げる範囲が狭く、避けづらい…そして!)この速さ!?」

 

装甲の能力により、筋力増強、筋力倍増などなどのバフ、それによって通常よりも格段に速く移動することを可能にした。

 

「といっても殺せんせーよりかは当然遅いがな。だが、触手を破壊され、突然の事にパニック状態になっている殺せんせーだと、反応しづらいはずだ。今の内に削る」

 

「くっ…マズい!」

 

冷や汗を流し、焦る殺せんせーに連続攻撃を繰り出すが、上手いことマッハで逃げられ、逸らされる。

 

『マスター、そろそろ限界です!』

 

攻防を繰り返しているとイアからそう声がかかる。

 

「…もうか……やはり試作段階だとこれが限界か…」

 

いや、少し前に制作した割にはできた方か…風力調節によるエネルギー消費が激しいな。もっと改善しよう。

 

(正直危なかった…この状況が後2分でも続けば……)

 

「……だが、最後に2、3本は持っていく」

 

オレは今出せる最高出力を出して殺せんせーに迫る。

 

「さっきよりも速く!?」

 

風の刃で2本切るつもりで行ったが、1本切りそこねた。ここでのミスはマズい…せめてもう1本は……

 

『すみません、もう限界です〜……』

 

「くっ……ここまでか」

 

オレは後退して後方支援に回る。後はスナイパーが決めるだけだ。

 

(後はスナイパーを警戒するだけ。白夜君との戦闘中にも二人をずっと探していましたよ…上手く隠れていたようですが匂いまでは消せませんねぇ…ヌルフフフ)

 

匂いはブラフ…本命は、別にある。

 

「はぁ...はぁ...ふぅ......オレにできるのはここまでだな」

 

オレも殺せんせーが動けぬようにポケットから銃を出し、当てぬように弾幕を張る。殺せんせーは回復などを優先するだろうが、別にいい。ブラフを気にしながら回復するのは計算のうちだ。

 

『ゲームオーバーです♪』

 

律のその言葉と同時に放たれる2発の弾丸。その2つが確実に殺せんせーの頭を狙っていた。

 

殺った。そう思った瞬間...殺せんせーの周辺が光り、爆発する。

 

突然の轟音と爆発。水が激しく跳ね、その風圧に目を閉じる。

 

「クソ...何がどうなった!殺せんせーは!」

 

黒崎が皆の安全を確認しながら、急に起きた爆発に愚痴をこぼす。オレも目を閉じていてしまったため、何が起きたかは不明だ。

 

「分からない...何が起こった?」

 

今までにはなかった出来事。作戦の密度や実行度などから殺ったと思う者もいるだろう。

 

「油断するな!!ヤツには再生能力がある!磯貝君、片岡さんを中心になって水面を見張れ!!」

 

烏間先生が指揮を執ったことにより、皆が指示通りに泳いだり、ボートの上から怪しい場所を探す。

 

「あ、あれ!!」

 

そう言って茅野が指した水面には、ポコポコ...と気泡が浮いており、何かが居る。

 

「ふぅ〜!」

 

出てきたのはもはや見なれた黄色い笑顔。いつもと違うのは周りが透明な玉で覆われていることだろうか。...なんだあれ。

 

「ヌルフフフフフ、これこそ先生の奥の手中の奥の手!その名も『完全防御形態』!!」

 

(((((完全防御形態!?)))))

 

「外側の部分は高密度に凝縮されたエネルギーの結晶体です!肉体を思い切り小さく縮め、その分余分になったエネルギーで肉体の周りをガッチリ固める!」

 

「だったらその携帯でずっといればいいだろ?」

 

黒崎が皆思ったであろうことをぶつける。当然そう思うがまあそんな上手い話はない。

 

「ところがそう上手くは行きません。このエネルギー結晶は約1日で自然崩壊します。その際、先生は肉体を膨らませ、エネルギーを吸収して元の体に戻るわけです」

 

「その間は一日中動けないってことだ。一番のリスクははるか遠くの宇宙に一日で行くロケットで連れていかれることだろうが...そんなものはない......はぁ、完敗だな」

 

寺坂が何とかして壊そうとするが、殺せんせー曰く核爆弾でも傷一つつかない。それだけのエネルギーだ。周りを対先生物質で埋めたとしても一部のエネルギーでさっきみたいな爆発を起こせばなんとかなる。

 

「君達は誇っていい。世界中の軍隊でも先生をここまで追い詰めることはなかった。一重に皆さんの計画の素晴らしさです」

 

殺せんせーはそう言ってオレ達の作戦を褒めたが、今までで1番の大掛かりな作戦。全身全霊の全員の渾身の一撃を外したショックは大きいのだろう。オレ達は暗い空気のままホテルに向かった。

 

こうして、オレ達の作戦は失敗に終わった。

 

 

 

 

 

...この後にあんな事件が起こるとも知らずに

 




というわけでいかがでしたでしょうか?

まさかの7000文字という多分最多?の文字数に自分も驚きです!多分二話分位はありますねww

あ、ところで伏線わかりましたかね?なんか張った気になって「お前そんなの伏線じゃねーよ!」みたいな展開が心配です 

ご感想などいただけると励みやモチベになるので良ければ少しでも良かった!とか書いていただけると嬉しいです!

だいぶ投稿開きましたがぼちぼちやっていくのでまた次回でお会いしましょー!ばいばい!


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