戦姫絶唱シンフォギアDB (聖杯の魔女)
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シンフォギア×Dies irae  短編予告

ルサルカちゃんとアホタル、Bカップ先輩とマリィちゃんのリディアン制服姿、見たくない?


      ―――謳え、その渇望を――― 

 

 

 

神の力を巡る戦いから三週間………

アルカ・ノイズによる被害と事故を除けば何事も無い日常を装者たちは過ごしていた。

 

しかし、その束の間の平和はおわり装者たちを非日常へと導く。

突如、何も前触れもなくアルカ・ノイズとは違うノイズが五ヶ所に現れ、人々に再び襲いかかる。

人々を守る為、それぞれの現場へと急行し戦闘を開始する装者。

その中で、少女――――立花響はその戦いの最中である一人の少年と出会う。

 

 

「あ、どうも始めまして。ガイスト・K・レヴナンドです」

 

「ふぇ!?えと……立花響です……」

 

 

この時、彼女は知らなかった。この出会いが装者と別世界から来た魔人達の闘いの幕開けだということを。

彼女は知らない、歌劇の幕は既に上がっているということを。

 

 

 

 

 

 

 

彼女は知らない、闘いは既に始まっているということを――――― 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「貴様は………貴様はいったい何者なんだ!?」

「そう聞かれて、馬鹿正直に答える奴がいるとでも!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「てめぇ!ホントに人間なのかよ!?」

「どうしたどうした!その程度なのかよ、歌姫(ディーヴァ)ァ!もっと俺を楽しませろやぁ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうして、子供がココに?」

「失礼ね。こう見えて貴方達よりは年上なのよねー」

「?どういう事デスか?」

 

 

 

 

 

 

 

「あの数のレギオン・ノイズを倒すなんて。さすがは銀腕の歌姫(アガートラーム・ディーヴァ)といったところかしら?」

「レギオン・ノイズ……?まさか、貴方があのノイズを!」

 

 

 

 

 

 

 

 

ノイズを倒した装者達の前に現れる『聖槍十三騎士団』と名乗る謎の集団。

装者達は彼らに応戦するもシンフォギアを超える謎の力『永劫破壊(エイヴィヒカイト)』を持つ彼らの前に響を除く装者達は手も足もでず敗北してしまう。

 

命に別状は無かったものの新たに出現した敵と謎の力は装者達に深い傷跡をつけた。

一方で、響は先程出会った少年、『ガイスト・K・レヴナンド』について考えていた。

彼が着ていた服装から彼もまた『聖槍十三騎士団』の一人という事は明らか。

しかし、他の団員とは違い直ぐに襲って来ず穏和な態度で接してきた事から彼女は彼とわかりあえるのではと。

また、彼に会いたいと。響はそう願った。

 

そして、その願いは叶う。最悪な形で………

 

 

「はは、やっぱり来てくれたんですね。ヒビキさん」

「ガ…………ガイスト…………くん……?」

 

 

二人はまるで仕組まれていたかのように再開する。しかし、響がみた光景は……………………屍山血河の上で微笑むガイストの姿だった。

 

「どうして、こんな事を…………?」

「仕方ないんです………スワスチカを開くにはこうするしか……」

 

双方が抱く思いの思想から激突する二人。しかし、彼が率いる亡霊の群れ(ワイルドハント)にまたしても敗北を喫してしまう。

 

二度の敗北に希望を見いだせず失意にあける装者たち。

実際にガイストと相対し、手を繋げなかった事を悔やんでいる響も例外でもなかった。

失意の最中、響はふと見た夢の中で黄昏の浜辺に佇む少女と出会う。

 

 

「あなたは……?」

『似ている…………けど、レンとどこか違う……………』

 

 

これは偶然なのか。それとも必然なのか。異界から来た神が描いた脚本(シナリオ)は加速する……………………

 

 

 

 

 

譲れぬそれぞれの信念

 

「話し合いましょう!何故、こんな事をするのかはわからないけど私達はきっとわかりあえるハズです!」

「ヒビキさんは優しいんですね………。でもごめんなさい。こっちには譲れない思いがあるんです」

 

魔女の策略により影に沈む翡翠の刃

 

「ふーん。霊的装甲を貫けないとはいえ、その魂の質は魔人(私達)と同等。一応、利用価値があるのはわかったわ」

「切………ちゃん…?」

 

大切な者を取り戻そうとする緋色の刃と大切な者を失おうと前へ進む蒼炎の刃

 

「確かに大切な者を蘇らせたいと願うのは当然だ。私もかつて奏を蘇らせたいと何度思った事か………。だが、だからといって他者の命と引き換えにするなど!」

「他人の命で兄さんとベアトリスが蘇るなら、こんなの安い買い物よ!」

 

降臨する黄金の獣

 

「私はラインハルト・ハイドリヒ。聖槍十三騎士団黒円卓第一位、ラインハルト・トリスタン・オイゲン・ハイドリヒだ。我が友曰く悪魔の様な男らしい」

「ライン…………ハル…ト……!」

 

明かされる二年前の策謀

 

「二年前の惨劇で第二のスワスチカは開かれ、そして今回のライブ会場に来た客人達の魂で第五のスワスチカは開かれた。

これも全て貴方のおかげです、天羽ノ歌巫女(あめのうたみこ)

「私のせいで…………皆が…!」

 

亡霊の主により再臨する神槍

 

「どういう事だよ、コレ……?」

「でも、間違いありません。あれは!」

「カングニール、だとぉ!?」

 

孤高の狼王の放った銃弾に倒れる陽だまり

 

「馬鹿だろお前。普通、敵に話し合おうとか可笑しいんじゃねぇの?世の中には俺みたいな容赦のない奴らとかいるからよぉ…………………………こうなるんだよ」

「がふっ……!」

「み………未来……?」

 

その裏で暗躍する水銀の蛇

 

「これ以上彼女を傷つけたくない、けど戦わねば周りに被害がこうじる。ならば、どうするか?そう、君が彼女の代わりに戦えばいいだけの話だ」

「私が…………響の代わりに……」

 

 

幾度の戦いを経て、装者と魔人達の戦いは最終局面へ…………

 

「俺が望むは唯一無二の死。故にお前の手は取る事は出来ん“戦友(カメラード)の魂を宿す者”よ」

「だとしても………!私は貴方と手を取り合いたいんです!」

 

 

「ほう……口先だけの女かと思ったが、『歌で争いを無くしたい』とほざくだけの事はある。形はどうあれ、私と同じ様な力を持つとは」

「賞賛どうも。コイツはその礼だ、受け取れ全部だッ!」

 

 

「君の剣は僕には届きやしない。何故って?だって僕には一生追いつけやしないんだから」

「ならば、追いつけぬなら追いつくまでのこと。この翼でお前にこの刃をとどかせる!」

 

 

 

 

そして、祭壇(スワスチカ)の上空で決する二槍の神殺し

 

「「Atziluth」」

 

 

――――勝つのは黄金の獣か

 

 

「Du-sollst――」

 

 

――――絆を紡ぐ撃槍か

 

 

「Res novae――」

 

 

その結末は、未知の先に

 

 

「Dies irae」

 

「Babel spieldose symphogear」

 

 

 

 

       戦姫絶唱シンフォギアDB

 

          ITUKA公開

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さぁ、歌姫を交えし恐怖劇(グランギニョル)を始めよう」




おまけ

神父「それでも……聖餐杯は」

OTONA「ふんっ!」バキャ!

神父「壊れたァァァァァ!?」


※因みに初期のパワーバランスは【装者<<<<<<黒円卓=OTONA】です。

※あ、因みにシュピーネさんの扱いはここでも変わりません。


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前狂言 ※リメイク版

いろいろと考えてリメイクしました。

いろいろと描写増やしてますので、ご容赦をば…………


1945年、5月1日―――ドイツ、ベルリン

 

第二次世界大戦末期、帝都を包囲する赤軍50万による圧倒的な物量差に押し潰され、陥落寸前のベルリン。

 

その戦場の中である出来事が起こっていた。

 

「撃てェ!!奴をあぁ!!」

「曹長!?ガぁ!?」

 

ベルリンのとある一角…………、赤軍とドイツ軍関係なく虐殺する者が居た。

 

「ど、どうして…………」

 

今、この場にいる兵士達はどれもが死線をくぐり抜け、戦場という修羅場を乗り越えてきた者達だ。

それが、たった一人の二ヶ月前に死亡した筈の少年(・・・・・・・・・・・・・)に全てが全滅寸前まで追い詰められていたのだ。

もちろん、兵士達もタダでやられている訳ではない。携帯している火器で応戦していた。

しかし、どれほど生身で受ければ木っ端微塵になるパンツァー・ファウストを直に受けても傷一つつかない彼の前では無に等しくもはやその様は………………

 

「―――化け物」

 

そう称すしかなくただだた、彼に流れるまま虐殺されるだけだった。

 

「ヒィ!?」

 

そして、最後の一人となった兵士へ彼の視線が向いた。“殺される!!”そう直感し逃げようとするが、乾いた音がなり転げ落ちる。おそらく、足を撃ち抜かれたのだろうもはや、兵士の運命は決まっていた。

そして、少年は兵士の側へと近寄り

 

「………ごめんなさい」

 

一言、悲しそうな表情をすると武器のハルバードを一気に振り落とした。

 

        ーーーーー

「………………………」

 

先程、兵士を殺し終えた少年はただじっと自分の右手を見ていた。その手…………いや、彼の全体はたった今この場にいた兵士たちの血で汚れていた。

その目に映るのは悲しみか、それとも虚無なのか。それは少年のみが知っている。

 

『総員傾注!我らが主、偉大なる破壊(ハガル)の君の御前である。そのお言葉、黙し、刮目して拝聴せよ!』

 

ふと、少年の耳に――――いや、全ベルリン全市民との耳に、女性の声が響き渡る。

 

その瞬間、ある兵士は戦うのを止め、ある子供は泣くのを止め、ある老人は逃げるのを止めた。そして、皆が見が、我を忘れて空の一点を凝視していた。かくいう少年も―――いや、ベルリン各地に散らばった、黒衣の軍服を着た者たちもまるでわかっていたかのように空のある一点を見上げる。

 

血と炎の照り返しを受け、赤く染まったベルリンの空。帝都を覆う戦火の形がそこに映し出されていた。

それはとてつもなく巨大な鉤十字(スワスチカ)――――

その中心を貫くように屹立している尖塔に、『黄金の獣』が降臨していた。

 

その数分………、その男の手によってベルリンの民たちは自らの命を絶ち、その魂は総て、上空に出現した城へ収集されていく事となる。

 

        ーーーーー

 

無数のベルリンの民たちの魂が空中に浮かぶドクロの城へ、収集されるその光景を見ている二人の男がいた。

 

一人は先程、ベルリン全土の市民をこの様にした鬣の如きたなびく黄金の髪と総てを見下す王者の様な黄金の瞳を持つ男。

もう一人は輪郭の曖昧な影絵の如き男で老人とも、若者とも、いかようにも見れるその外見は、隠者のようであまり頼りない。

 

対照的なこの二人の男達こそが、今彼らを見上げている総ての者を凌駕する魔人の中の魔人。

 

『黒円卓』―――――『聖槍十三騎士団』第一位と十三位。首領と副首領。

 

「いや、素晴らしい。この瞬間だけは、何度経験しても飽きがこない。それだけに正直名残惜しくもありますが………」

「行くのか『カール』」

「ええ、その名も置いていきましょう。いずれ、必ず会えるはず」

 

黄金の髪の男に『カール』と呼ばれた隠者の男は何処か名残惜しそうにそう言った。

 

「半世紀もすれば、東方の『シャンバラ』が完成する。彼女が歌姫たちを用意するゆえ、下僕達の遊びにでもすればよろしい。」

「あぁ、『フィーネ』と言ったか?確か卿の知り合いだったみたいだな?」

「なに、彼女とは多少の縁がありましてね。もっとも向こうは私を忌否してはいるが…………ともかく今回の契約で、あなたの魂は他に比類なき強度を得た。聖櫃創造の試行も果たした以上、『怒りの日』まで“こちら”に留まる理由はありますまい。万全を期すために、幾人か“あちら”に連れて行ってはいかがです?」

「無論、もとよりそのつもりだ。『ザミエル』『シュライバー』『ベルリッヒンゲン』そして『アイン』………彼らを共に連れて行こう」

「よろしいので?あの三人はともかく、あの狂犬は貴方でも手綱を引くのに手間取うと思いますが………」

「構わんよ。あれもあれで実に可愛げのある奴だ」

 

眼下に地獄を配したままに黄金の男とカールはチェスに興じるかのような口調で話しあう。

そしてその光景を見上げている黒衣の軍服の者たち。

彼らこそ、黄金の獣の爪牙−−−−−“人を超えた魔人”の集団。

先程、彼に名指しで指名された者たちの反応は様々だった。

 

ある者は落涙し、名指しされた名誉に震え、より一層の忠誠を心に誓い

 

ある者は不貞腐れ、しばらく人を殺せなくなる事が悲しく、いまのうちに出来るだけ殺っておこうと考え

 

ある者は無言で、その暗い瞳でカールをずっと凝視して他の何も見ておらず

 

ある者は舌打ちをし、以下にもあの男に名指しされた事が心底嫌そうな表情をしていた。

 

 

「ではまたいずれ、『獣殿』。再び我らがまみえる時こそ、互いの目的が成就すると祈りましょう」

「否、成就させると誓うのだ。傍観するだけでは何も掴めん。卿の悪い癖だなカール」

 

 

この日、世界を敵に回した『ナチス第三帝国』は壊滅した。

戦争の為に密かに収集されていた数多の秘宝、聖遺物が何処にいったのか…………未だにもって不明である。

 

        ーーーーー

そして時が流れ、2045年某日………

 

深夜――――

一部を除けば誰もが深い眠りに至る丑三つ時。

車一つも通らない首都高速道路に一つの人影があった。

詳しい姿は影に隠れてるため分からないが何一つ動かずただじっと待っていた。

 

カツン――、ふと二つの足音が聞こえ首都高に響き渡る。それは徐々に人影へと近づいていき人影の前に二つの影が出来上がった。一人は長身でもう一人は小柄と思わせる大きさで詳しい姿は影に遮られている為うまく確認出来ない。

 

「お待ちしていましたよお2人とも」

 

ふと、最初からいた人影…………声からして男性だろうか目の前に来た二人の人物へ話しかける。

 

「本当にお久しぶりです、『ベイ中尉』に『マレウス准尉』。月並みですが、相変わらずのようですね」

「相変わらずってことは、昔のまま進歩がねぇとでも言いてぇのか?言葉選ばねぇと死ぬぞてめぇ」

「ごきげんよう神父様。貴方は変わっていないというより怠け過ぎなんじゃないかしら?」

 

男から名を呼ばれた二人……………『ベイ中尉』と呼ばれた男と『マレウス准尉』と呼ばれた少女はそれぞれ反応を返す。

ふと男はキョロキョロと周りを見渡す。まるでもう一人足りないと思いながら。

 

「そういえば、『ノーネーム伍長』のお姿が見えないのですが………」

「あぁ、あの子?なんでも「行きたい場所がある」と言って一旦別れたわよ」

「行きたい場所………?なるほど、あそこですか………」

 

『ノーネーム伍長』と呼ばれる者についてマレウス准尉が答え、男は何か心当たりがあるのかほくそ笑んだ。

 

        ーーーーー

「〜〜♫」

 

月明かりに照らされたとあるライブ会場の壇上で、一人歌を口ずさみながら踊る少年がいた。

口ずさんでいる歌は『逆光のフリューゲル』。そう、いわずもかな2年前このライブ会場で『ツヴァイウィング』が歌った曲であり少年にとって思い出深いものであった。

 

「ここに来るのも、2年ぶりですね…………………奏さん」

 

自身を照らす月を見ながら、少年は何処か懐かしむ様にそう呟いた。

 

        ーーーーー

 

「ノーネームの事なんざどうでもいい。オイ、『クリストフ』。今何人がシャンバラに来ている」

 

ノーネームの事などどうでもいいかの様な口ぶりで男を『クリフトフ』と呼ぶベイは彼に言う。これから起こる事への確認を取るために。

 

「『レオンハルト』『ゾーネンキント』『バビロン』に『トバルカイン』そしてあなた方と今ここにいないノーネームと私で計8人。私はあと4、5日はここを動けないものでして」

「…待って。今言った『レオンハルト』って誰?『ヴァルキュリア』の抜け番かしら?」

 

クリフトフの言葉にマレウスはふと疑問を口にする。彼女の知る限り『レオンハルト』と呼ばれる者はおらず、ある理由で居なくなった『ヴァルキュリア』の代わりなのかと。

 

「えぇ、あなた方も面識はあるでしょう。あの日本人の小さなお嬢さんですよ。どうしてなかなかたいしたものになりました」

「へぇ」

「ほぉ」

 

マレウスの疑問に『クリフトフ』は答える。どうやらベイとマレウスとは幼少期に面識があると言うような言い方である。

 

「二人とも。わかっているとは思いますが、今『黒円卓』に空きを作るわけにはいきません。たとえ新参でも、未熟者でも、黄色い劣等であろうとも、彼女の存在はいるのですよ。わかりますね」

 

二人から感じた不穏な気配を感じ取ったのか釘を刺すように男が言葉を続ける。

 

「わかってるわよ当然じゃない」

「これで残ってるのは『シュピーネ』だけだが、あいつはいつ来る?」

「彼は、もうしばらくかかるでしょう。わたしが少々、調べ物を頼んだのでね」

「んん、何それ?気になるなぁ」

「おいマレウス」

 

調べ物という単語に反応したマレウスにベイが待ったをかけた。

 

「別にいいじゃねえか。『代行殿』が腹黒いことやっててくれりゃあ、こっちも色々手間が省ける。俺らは掃除してればいいのさ」

「掃除っていうか、狩りでしょう?『メルクリウス』のクソ野郎が言っていた『歌姫(ディーヴァ)』って子達がいる筈じゃなかったかしら?」

「……准尉、ほどほどに。ともあれ、副首領閣下は私達と同じ聖遺物を扱う者たち………『歌姫(ディーヴァ)』の出現をこの地に予言いたしました。あなた方はまず待機を。『歌姫(ディーヴァ)』を見つけ次第、こちらから挨拶に行くつもりで」

「レオンは?あの子は協力してくれないの?」

「『歌姫(ディーヴァ)』をおびき寄せる為の工作をしています。まあ、後で貴女がたにも手伝ってもらいますが」

「なるほど」

「了解、楽しくなりそうよ」

 

クリフトフが言う『歌姫(ディーヴァ)』が何を指すのか分からないが二人の表情は楽しみそうにしていながらも何処か不気味さを漂わせる笑みをしていた。

 

「では―――」

 

すると、あたりの空気がガラリと変わった。三人からさきほどの様な道化たようなものでなく厳粛と言っていい雰囲気だ。

 

「あらゆる悪も、あらゆる罪も、あらゆる鎖も汝を縛れず、あらゆる禁忌に意味はない。汝の神、汝の主が、汝をこの地へ導き給う。汝はその手に剣を執り、主の的を滅ぼし尽くせ」

 

「息ある者は一人たりとも残さぬよう生ある者は一人残らず捧げるよう」

 

「男を殺せ。女を殺せ。老婆を殺せ。赤子を殺せ。犬を殺し、牛馬を殺し、驢馬を殺し、山羊を殺せ」

 

「恐れてはならない。慄いてはならない。疑うことなどしてはならない。汝は騎士。獣の軍勢。神が赦し、私が赦す。汝の主が総てを赦す」

 

「汝が名誉は忠誠なり」

 

「「我らが名誉は忠誠なり」」

 

「『聖槍十三騎士団黒円卓』は此処に汝らを祝福する」

 

 

 

「「「我らに勝利を与えたまえ(ジークハイル・ヴィクトーリア)」」」

 

 

 

 

 

これは前狂言に過ぎない……………

 

しかし、恐怖劇の開演は近い……………




一話は多分、前後に分かれそう…………(前編は半分出来上がっている。)

ともかく、不定期になるかもしれませんが完走目指したいです………


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Chapter1 装者と魔人の邂逅
ACT1 前編


前後に分かれます。

後編は戦闘場面だけかければ………


12月――――

 

一年の最後を司る月。この頃になると人々は行事やら何やらで忙しくなり都市は一湊の喧騒が鳴り響びいていた。

 

「いや〜。いろいろとあったもんだったからさ〜、課題のレポートもてんやわんやだっただったし………私って呪われてるかも…………」

「それは響が締切ギリギリまでやらなかったからでしょ?」

「あ、あはは………そう言われると否定できない……」

 

そんな、町中で他愛もない会話をする者達がいた、オレンジ色の髪をした少女『立花響』と黒髪に白いリボンをつけた少女『小日向未来』は何処かの学生服と防寒具を身に纏ってほぼ同じ歩幅で歩いてゆく。

 

「でもごめんなさい『氷室さん』。響のレポート、手伝ってもらって」

「いいのよ、小日向さん。コッチも暇だったから」

 

未来の謝罪に響の隣にいた銀の髪と紫の瞳が特徴的で二人と同じ学生服を纏った儚げな少女――――『氷室玲愛』は答えた。

彼女は響と未来が通う『リディアン音楽女学院』に5月に転校してきた日独クォーターであり響と未来と同じクラスに配置されて以降、響達との付き合いも長かった。

 

「ほんとにありがとう〜玲愛ちゃん。おかげで助かったよ〜」

「でも、流石に課題をほっぽるのは高校生としてどうかと思う」

「まさかの上げて落とす!?」

 

ギャーギャーと騒ぐ響に真顔で毒を吐く氷室。そんな光景を見ながら未来は溜め息を吐きながらも何処か微笑ましい表情をしていた。

 

「あ、そうだ。そういえば、氷室さんの誕生日ってクリスマスでしたよね」

「?そうだけど……………」

 

ふと、思い出したかの様に玲愛の誕生日について普及する未来。

 

「もし、よかったらだけど私達で誕生パーティーを開きましょうか?他のみんなも誘って」

「お、いいね未来!クリスちゃんと切歌ちゃんと調ちゃんも誘って盛大にやろうよ!」

 

と、そんな未来の提案を聞きつけた響の言葉に氷室は一瞬虚をついた顔になるもすぐに元の表情に戻り…………

 

「ありがとう小日向さん、立花さん。ご好意受け取っておくわ」

「それじゃあ!」

「一度、リザに相談してみるわ。それで決まったら家の教会で」

「玲愛ちゃ〜ん!」

 

彼女の返答に嬉しかったのか氷室に抱きつこうとする響だが、ヒョイと避けられてしまう。そんな光景をみて苦笑する未来。

どこにでもある他愛もない日常。彼女たちにとっては本来、あるべき当たり前

 

 

 

 

 

 

―――そんな、何気ない日常が静かに崩れていくのを響はまだ知らなかった。

 

       ーーーーーーーー

 

時刻は進み、午後7時。

冬になり暗くなる時間帯が速くなったが都市区画は街頭と窓から漏れ出す光が都市全域を明るくさせていた。

歩く人、走る車、何一つ起こらない何も無い日常が広がっていた。北風が時折吹きもう冬だと思わせる風が吹き抜けた時、ソレは現れた……

 

 

ソレは突如として街の中に現れ棒立ちになっており、人々は「何だ?」と思いその周りに集まっていく。

くすんだ白色をしたソレは両腕には手らしきものはなく右腕には狩猟銃、左腕は斧が同化しており、頭部には羽が添えられているような帽子をかぶっていた。

所謂猟師のような、ソレは右腕をゆっくりと持ち上げ近くにいた男性へと向けた途端、パン、と乾いた発砲音が鳴り響いた。

 

「え?」

 

男性が思わず下を向くと胸に穴が空いていた。それだけではなく、穴を中心として黒く染まっていき男性の全身が黒く染まった途端、灰となって消滅した。

 

静寂が数秒続き……………直後、絶叫が巻き起こった。突然の出来事に周りは困惑しソレから蜘蛛の子を散らすが如く逃げ出した。

しかし、彼らを嘲笑うかのように逃げ先を防ぐかの様に怪物(ソレ)は裏路地から数体出現し逃げ道を防いだ。

 

丁度、前にいた女性が思わず持っていたカバンを怪物(ソレ)に向かって投げるが怪物(ソレ)の身体をすり抜ける。

しかし、この特徴から怪物(ソレ)の正体が判明した。

 

「ノ、ノイズ…!?」

 

それはかつて、人々に脅威を振るった特異認定災害『ノイズ』の特徴の一つ『位相差障壁』であり投げたカバンが身体をすり抜けた事が何よりの証明となった。

 

ノイズは次々と現れ人々に襲いかかり街はパニックに陥り悲鳴が轟いていた。

 

 

 

 

 

そして姿形は違うノイズが、この場所を含む5つの地区で出現していた………。

 

       ーーーーーーーー

 

超常災害対策機動部タスクフォース〈S.O.N.G〉仮設本部内にけたたましく鳴り響くアラート音。

その指令室に5人の少女が入室する。

 

「来たか、お前たち!」

「どうしたんですか、師匠!」

 

その少女達の中に彼女、立花響もいた。

響は師匠と呼ぶ大柄な男『風鳴弦十郎』へと呼びかける。

 

「都市部に5箇所、ノイズが出現したらしいの」

「ノイズ!?つー事はパヴァリアの残党か?」

 

S.O.N.G直属のオペレーター『友里あおい』の一言に銀髪の少女『雪音クリス』が反応する。

 

「それが…………アルカ・ノイズと違う、別の形状をしているんです」

「別の形状だと?それはいったい…………」

「実際に見てもらった方が早いですね。これです」

 

青髪の凛とした少女『風鳴翼』の疑問に『エルフナイン』は映像を切り替える。

 

「これって………」

「どれもこれも見たことがないデスよ!?」

 

画面に5つ映し出されたアルカ・ノイズとは違うノイズに特徴的な喋り方をする金髪の少女『暁切歌』と小柄な黒髪の少女『月読調』は驚く。

パヴァリアの残党が使役する『アルカ・ノイズ』とは違い姿形がまったく違い、場にいた少女達を驚かせた。

 

「しかも、このノイズ………バビロニアの宝物庫に存在していたノイズと同じ『位相差障壁』を持っています。」

「新たなアルカ・ノイズ……?でも、今の彼らにはその技術は無さそうに見えるけど………」

 

再びの疑問に猫耳の様なピンクの長髪の女性『マリア・カデンツァヴナ・イブ』は考える。

ともかく、形の違うノイズに謎はあるも今は考えてる暇はなかった。

 

 

「今ここで考えても仕方がない。お前たちは至急それぞれの地点に赴き、未確認のノイズの撃破を頼む!」

「「「了解ッ!!(デス!)」」」

 

       ーーーーーーーー

 

混乱する都市の何処かで……………

カソックに身を包んだ金髪の男がビルの屋上でその光景を眺めていた。

 

「さて………………貴女方の力、見せてもらいますよ?『歌姫(ディーヴァ)』の皆さん……」




次回………

ついに恐怖劇(グランギニョル)が開演する。


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ACT1 後編

フローエンヴァイナハテン!!

2ヶ月立っちゃいましたが、後編投稿しました。僕からのクリスマスプレゼントです。


ノイズが現れた場所の一つ、A地点にたどり着いた響は最初に現れた羽帽子のノイズに襲われる少女を見つけた。

 

「いけない!」

 

すぐさま、駆け出す響。そして、胸にかけてあるペンダントと握りしめ、ソレを起動させる為のトリガーを詠う。

 

『Balwisyall nescell gungnir tron』

 

すると、響は光に包まれ姿が変わる。黄色と白を基準としたアーマーとヘッドギアを身に纏い、首から白いマフラーをたなびかせている。これこそがノイズに唯一対抗できる兵器『シンフォギア』。そして彼女が身に纏うソレの名は―――――

 

撃槍・ガングニール

 

「でりゃあああああ!!!!」

 

勢いをつけ、腕に装着された装甲部で強化された拳でノイズを殴り飛ばす響。殴り飛ばされたノイズはそのままただの炭素となって消滅した。

 

「大丈夫!?近くに人がいるから早く逃げて!」

 

響の言葉が理解したのか、少女は響を車で送り出してくれた黒服の元へ駆け出した。

それを見計らったのか、それとも響を敵と認識したのか羽帽子のノイズが一斉に集まりだした。ノイズの注意がこちらへ向いたのを確認した響は自身の心の内から沸き立つ歌を歌い出す。

 

『絶対に離さない この繋いだ手は こんなにホラ温かいんだ ヒトの作るぬくもりは』

 

襲いかかる羽帽子のノイズを響は自らの拳で迎撃していく。彼女が纏うシンフォギアは歌を動力とした対ノイズ兵装であり、聖遺物という古代異端技術で造られた武器の欠片からノイズが持つもう一つの能力、『炭素分解』を中和する鎧を身に纏い、位相差を調律する事で奴らを守る絶対無敵の位相差障壁を攻撃で破る事ができる。 つまりシンフォギアを纏える響達《装者》のみだけが今現在ノイズに唯一対抗可能な存在なのだ。故に響も人々を守る為に戦場(いくさば)となった市街地を駆け出す。

 

『難しい言葉なんて いらないよ 今わかる 共鳴するBrave minds』

 

近接戦が駄目だと思ったのか、右腕の狩猟銃を構えだし一斉掃射し始めた羽帽子のノイズ。対し響は駆け出して避け続ける。

 

『ぐっとぐっとみなぎってく 止めどなく溢れていく』

 

銃撃を避け続けていく中で響はまるで誘導されているかのような感覚を持ち始めた。すると、響の前方から待ち構えていたかのように2体の羽帽子のノイズが左腕の斧を振りかぶろうと走ってきた。どうやら、銃撃で響を誘導させて挟み撃ちしようとゆう算段だったらしい。

 

『紡ぎ合いたい魂 100万の気持ち さぁぶっ飛べこのエナジーよ』

 

しかし響はそれをスライディングで避け、響を誘導させる為の銃撃は斧を振りかぶった羽帽子のノイズ2体に誤射し、消滅。響はすぐさま体勢を立て直すと脚部のパイルバンカーを展開し拳を構える。

 

『解放全開ッ! イっちゃえHeartのゼンブで!』

 

そして、パイルバンカーを利用してのブーストによる一撃は先程、銃撃していた羽帽子ノイズ群のうち一体に突き刺さり、消滅させた。

 

『進む事以外 答えなんてあるわけがない 見つけたんだよ 心の帰る場所 Yes届け!全身全霊この想いよ』

 

後はもう怒涛の連続、周りにいる羽帽子ノイズに拳を撃ち込んだり、蹴りを入れ込んだりと羽帽子ノイズを減らしていき──

 

『響け!胸の鼓動!未来の先へェ!!!』

 

そしてトドメと言わんばかりに、右腕のアームを変形させブーストパンチで地面を叩きつけ、その衝撃波で残りの羽帽子ノイズを一掃した。

 

「ふぅ…………」

 

他にノイズがいないか確認し、いないとわかると一息つく。

 

「新たなノイズ…………一体誰がこんな事を…………」

 

自身の手を握りしめ、悲しげな表情でつぶやく響。自分のこの手は繋ぎ合わせる為の手。だから、このような事を起こしたまだ見ぬ人物と戦う事に響の心には不安の曇りがあった。

 

「ううん。だとしても………」

 

今までが、そうだったように。またぶつかり合い、その果てにわかりあえた。言葉が通じ合えるのなら、きっとわかりあえる筈だと。そんな決意を胸に響はより一層、決心を固めた。

 

そんな響をビルの屋上から見ていた一つの影に気づかずに…………

 

       ーーーーーーーー

 

B地点、両腕に刀らしき刃を生やしそこから炎を吹き上げているノイズが闊歩している戦場(いくさば)に一人の戦姫が舞い降りる。

 

『Imyuteus amenohabakiri tron』

 

トリガーを詠い、蒼きシンフォギア『絶刀・天羽々斬』を纏った翼は乗っていたバイクから飛び上がり自らのアームド・ギアである刀を構える。

 

(はやて)を射る如き刃 麗しきは千の花』

 

ー千ノ落涙ー

 

空中に飛び上がった翼は周りから雨のようにエネルギー状の剣を無数に具現化させて雨のように降らし、炎刀のノイズ達を剣刺しにしていく。

 

『宵に煌めいた残月 哀しみよ浄土に還りなさい… 永久(とわ)に』

 

しかし、一部の炎刀のノイズは剣を弾き返して応戦し、翼が着地したのを見計らって一体の炎刀のノイズが翼へと斬りかかるが彼女はアームド・ギアで応戦、二刀の刃に一刀の刃で応戦する。

 

『慟哭に吠え立つ修羅 いっそ徒然と雫を拭って 思い出も誇りも 一振りの雷鳴へと』

 

ー逆羅刹ー

 

炎刀のノイズの二刀を弾き返した翼は両足に刃を展開させ、地面に片手をついて逆さまになると独楽のように回転し、もう片方の手に持った剣で炎刀のノイズ達を切り裂いていく。

 

『去りなさい! 無想に猛る炎 神楽の風に 滅し散華(さんげ)せよ』

 

ー蒼ノ一閃ー

 

さらに体勢を直し、刀を大刀に変化させて振り下ろし、青き雷を飛ばして炎刀のノイズを一刀両断。一騎当千の強さに一部の炎刀のノイズが後退るが、翼はそれらを逃がすものかと駆け出す。

 

『闇を裂け酔狂のいろは唄よ 凛と愛を翳して いざ往かん… 心に満ちた決意 真なる勇気胸に問いて』

 

すれ違いざまに刀で炎刀のノイズを切り倒し、数を減らしていく。しかし、そうは問屋が卸さないと思ったのか、残りの三体の炎刀のノイズが吹き出す炎の火力を最大にし回転、すると炎の竜巻となり翼へと迫っていく。

 

『嗚呼絆に すべてを賭した閃光の剣よ 四の五の言わずに 否……』

 

しかし、翼は動じず一方からもう一つの刀を取り出し元々使っていた刀を合体させて1本の刃とさせ、旋回。炎の輪を描き、脚部のブースターを起動させ炎の竜巻へと滑空する。恐れなぞない、眼前の敵を屠るべく竜巻へと近付き…………

 

『世の飛沫と果てよ!』

 

ー風輪火斬ー

 

一閃――――――三体同時に両断した。

 

「終わったか…………」

 

脚部のブースターを閉じ、先程まで戦場(いくさば)となっていたエリアBを見渡す。未知のノイズ、そしてそのノイズを操っている者達。しかし、もう二度と失わない為にこの剣で護っていくと誓ったのだ。

そして、ノイズを殲滅したと本部に連絡しようとしたその時………翼の背後から斬りかかろうとする者が刃を振るった。

 

          ーーーーーーーー

 

C地点、そこは阿鼻叫喚の地獄と化していた。

 

「ぎ!?が、ああぁぁァ………!!?」

 

全身に棘を生やした赤黒いノイズに突き刺された男はまるで血を吸われるかのように徐々に干からびていき、最終的には黒い炭となって消えた。

それと同じような事がC地点全域で行われており、ノイズに捕まってしまったほとんどの人間が同じ末路をたどっているこれを地獄と呼ばずしてなんと呼ぶか。

 

「ッ!アイツら……!」

 

現場に到着したクリスはその光景を見て、怒りで顔を歪ませる。

 

「これ以上、やらせるかよ!」

 

かつて、バルベルデの紛争で地獄を経験した事がある彼女にとってあそこの方がマシとも言える地獄絵図。しかし、これ以上犠牲者を出させない為に彼女は胸のペンダントを握りしめトリガーを唱う。

 

『Killter Ichaival tron』

 

トリガーを唱いその身に紅きシンフォギア『魔弓・イチイバル』を纏ったクリスはアームド・ギアである二丁のハンドガンを構えた途端、クリスに気がついたのか場にいた赤棘のノイズは標的を彼女へと定め一斉に駆け出した。

 

 

『疑問…?愚問!衝動インスパイア 6感フルで感じてみな 絶ッ!Understand? コンマ3秒も背を向けたらDie!』

 

だが、クリスは冷静にハンドガンで赤棘のノイズを狙撃していき対処。百発百中の彼女の銃弾からは逃れる者はいなく、撃ち抜かれた赤棘のノイズは徐々に消滅していくが、一部は両腕の棘部で銃弾を弾き返しながらクリスへと接近していく。確かに、遠距離を得意とするクリスにとって近接戦は不得手であり、それに気づいたのかどうかはわからないが赤棘のノイズのうち一体が右手の棘をクリスに突き刺そうとする。

 

『心情…?炎上!強情マトリクス 沸点ピークでくだけ散れ!Motto(×5) Break!! …Outsider』

 

ーQUEEN's INFEANDー

 

しかし、そのような手なぞクリスには通用しない。寸でのところで赤棘のノイズの突きをかわし、バック転と同時に二丁のハンドガンをクロスボウへ変え、そこからエネルギー状の矢を自身の歌に合わせながら絶え間なく射出する。

 

『傷ごとエグれば忘れられるってコトだろ? イイ子ちゃんな正義なんて剥がしてやろうか?』

 

次々と赤棘のノイズを葬っていくクリス。するとどういう訳か赤棘のノイズは身を丸めた。どういうわけなのか頭にハテナを浮かべたクリスだったがすぐになんなのか知る事となる。

なんと、赤棘のノイズは全身に生えている棘を全て飛ばしてきたのだ。これにはさすがのクリスも動揺することになるがすぐさま平静になり、クロスボウからハンドガンへと変え、飛ばされてきた棘を回避しながら狙撃していく。

 

『HaHa!! さあIt's show time 火山のよう殺伐Rain さあお前等の 全部(×5)……否定してやる』

 

ーBILLION MAIDENー

 

赤棘のノイズは棘を再び生やして四方八方から棘をクリスに飛ばすも、先程と変わらず時折避けながら狙撃して撃ち落としていく彼女はハンドガンをガトリングガンへと変え、弾丸の超連射で棘を生やそうとしている赤棘のノイズを撃ち抜いていく。

 

『そう 否定してやるゥ!』

 

ーCUT IN CUT OUTー

 

そして、トドメと言わんばかりに腰部アーマーを展開、追尾式小型ミサイルを発射し赤棘のノイズ達を完全に掃討する。赤棘のノイズはもういない。

 

「クソッ!ぜってぇ許さねぇぞ………!」

 

しかし、辺りを舞う炭素………かつて人間だった塵。クリスがここに来るまでの間に苦しんでいった者たちの苦しみはきっと想像を絶するものだろう。故にクリスはこの惨劇を生んだ元凶に対し、怒りを沸かせていた。

 

直後………そんなクリスに向けて膨大な殺気が放たれた。

 

       ーーーーーーーー

 

『Seilien coffin airget-lamh tron』

 

 D地点、中心に赤い目の様な宝玉がついた覗き穴がない仮面をつけた紫色のノイズ達が蔓延るショッピングモールに白銀のシンフォギア『銀腕・アガートラーム』を身に纏ったマリアはガラスの屋根を突き破り、着地。音を聞きつけ仮面のノイズがマリアの周りに集まりだしたのを合図に彼女は短剣を構え、仮面のノイズ群へ向けて走り出す。

 

『真の強さとは何か探し彷徨う 誇ること?契ること? まだ見えず』

 

 襲いかかってくる仮面のノイズを一体ずつ短剣で切り裂いていき対処していくマリア。仮面のノイズは仮面と色以外は特に特徴はなく幾度となく戦った人型アルカ・ノイズと変わらず、両腕に巻かれた解剖器官の様なものを鞭のように振るうだけでありマリアの敵ではなかった。

 

 

『想い出の微笑みに問いかけ続けた まだ残る手の熱を忘れはしない』

 

 しかし、倒し続けていく中でマリアは一つの違和感を持つ。先程切り倒したノイズはあっさり倒したがまるで手応えがなかった。そう思案した直後………

 

「ぐっ!?」

 

 すると、背後から鞭がしなり狂いながらマリアを叩きつけようとするが咄嗟に回避。襲撃の下手人を振り向きざまに見、瞠目した。

なんと、先程倒した筈の仮面のノイズが散った体を再生させながら右腕の鞭を構えていた。それだけでなく他にも倒した仮面のノイズ達も先と同様散った体を再生させているというなんとも予想だにもしない出来事にマリアは困惑した。

 

「(再生している!?ノイズにはあんな能力はなかったはず!?厄介ね………でも!)『惑い迷い苦しむことで 罪を抉えぐり隠し逃げずに』

 

だが、このままノイズを放っておげは周辺の人達に被害がかかる。それだけでも防がなければとマリアは自身を鼓舞し走り出す。何度でも蘇るのならば何度でも地獄の閻魔さまの元に送り返すまで。

 

『あるがままの自分の声で 勇気を問え 決意を撃て それがわたしの聖剣 翳せ!』

 

更に立て続けに仮面のノイズを切り裂いていくが数秒起きに再生してくる仮面のノイズは厄介であり、苦戦を強いられていた。が、しかし負けられないと自分を鼓舞しながら戦っていく。

 

 

『弱くてもいい涙を流してもいいさ 絶対負けない歌 それが心にあるのなら 運命(さだめ)も過去も嘆きも記憶も愛も』

 

マリアはふと、ある変化に気づく。二度、再生したノイズを切り捨てた際本来なら再生している筈の仮面のノイズがいないのだ。この事実にマリアは一つの結論に達した。

 

「(まさか、再生には限りがあるの?それさえわかれば!!)『ぐっと握って今 足掻きもがきそして立つ わたしらしさを見つけた胸に』

 

つかず彼女は短剣を宙に投げると、その短剣は無数に分裂しその切っ先を仮面のノイズたちへと向け

 

『今日を刻んでぇ!!』

 

ーINFINITE†CRIMEー

 

一気に放出。敵を刺し貫く銀の短剣は仮面のノイズ達に突き刺さる。再生しようとも短剣がまた突き刺さり、そうこうしていくうちに徐々に残機を使い果たした仮面のノイズ達は次々と消滅していき、最後の一体に銀の短剣が突き刺さったと同時にこの戦いは幕を引いた。

 

「再生するノイズ…………今まで見たことないわ……」

 

しかし、今回現れた再生するノイズに対し思案していた。今まで様々なノイズまたはアルカ・ノイズを見てきたマリアだが、再生するノイズは初めて見たのだ。少なくともかつて敵対していたパヴァリア光明結社の錬金術では再生は不可。だとすれば今回放たれた仮面のノイズの裏に自分たちが知らない組織が絡んでいるとマリアは考えた。

 

「けど、たとえ誰だろうと…………私はもう挫けたりしない……!」

 

そう言って、より一層決意を固めたマリアの背後から彼女に向けて拍手する音が鳴った。

 

       ーーーーーーーー

 

E地点、身体が鎖のような蛇型のノイズが逃げ遅れた人々を追いかけ回していた。そもそも蛇型のノイズがその気になれば簡単に追いつき喰らう事ができるはずなのだが、そうしないのは何故か。それは『生み出した本人』のサディストから来ており、まるで狩りに興じるかのように他の蛇型のノイズが行く手を阻んで逃げられない袋小路へと誘導しているのだ。そして、逃げていた人々がその事に気づいた時には既に遅く、逃げ場のない路地裏の行き止まりに追い詰められていた。ジリジリと詰め寄ってくる蛇型のノイズたち、もはやここで終わりなのかと絶望の表情をする人々。そして蛇型のノイズの一体が大口を開け喰らおうとしたその時、

 

「待って!」

「ここからはやらせないデス!!」

 

突如、後ろから二つの声が聞こえ、蛇型のノイズ達が振り向くとそこには二つの人影…………切歌と調が路地裏の出入り口に立ちはだかっていた。そして、二人同時に首から提げているペンダントを手に取り、起動させる為の聖詠(トリガー)を詠う。

 

『Zeios igalima raizen tron』

『Various shul shagana tron』

 

そして、光に包まれ切歌は翠のシンフォギア『獄鎌・イガリマ』、調はピンクのシンフォギア『鏖鋸・シュルシャガナ』を身に纏いそれぞれのアームドギアを構える。

 

「コイツラは私達が相手するデス!」

 

「その間に皆逃げて!」

 

二人の言葉を皮切りに邪魔者だと確信したのか、蛇型のノイズ群は顎から牙を覗かせ襲いかかる。しかし、二人はそのまま路地裏から出てこちらへの注意を向けると同時に広く戦いやすい大通りへおびき寄せた。

そして二人は再び蛇型のノイズへ向き、各々のアームドギアを構え駆けていく。

 

『警告メロディー 死神を呼ぶ 絶望の夢Death13 レクイエムより 鋭利なエレジー 恐怖へようこそ』

 

切歌のアームドギアは翠の鋭利な大鎌。次々に蛇型のノイズの頭を、刈っていくその姿は三角帽子型のヘッドギアも相まって死神を彷彿させる。

 

『DNAを教育してく エラー混じりのリアリズム 人形のようにお辞儀するだけ モノクロの牢獄』

 

対し、調のアームドギアは脚部のローラーでスケートのように自在に移動しながらピンク色のギザギザがついたヨーヨー二つを意のままに操り、蛇型のノイズを切り裂いていく。

しかし、蛇型のノイズ達も黙って倒されるわけにはいかず、鎌とヨーヨーの刃を鎖の身体で避けながら二人を囲んだ事で中心で背中合わせになった二人。

しかし、二人の持つシンフォギア、『イガリマ』と『シュルシャガナ』は一つだけでは本領を発揮しない。シュメール神話の女神『ザババ』が持つとされていた刃は二つあることで意味を発揮する。

 

『いますぐに just saw now 痛む間もなく切り』

『だからそんな 世界は伐り』

『『刻んであげましょう!!』』

 

ー切・呪りeッTぉー

ーα式・百輪廻ー

 

次の瞬間、切歌の鎌の刃部分が分裂しブーメランのように投擲され、調の左右のヘッドギアホルダーから小型の丸ノコを連続で放ち、蛇型のノイズ達の包囲網を崩して突破。そうザババの刃の詠を重ねた二人に怖いものはいなく、二人もそれを信じているからこそお互いに背中をあずけられるのだ。

 

『信じ合って 繋がる』

『誰かを守る為にも』

『『真の強さを 「勇気」と信じてく そう』』

『紡ぐ手』

『夢紡ぐTales』

 

ー封伐・PィNo奇ぉー

ー非常Σ式・禁月輪ー

 

腕部にアーム状の4本の鎌を展開させて攻撃をおこなう切歌、脚部・頭部から体の周囲に円形のブレードを縦向きに展開し、回転しながら突撃する調、二人の息のあったコンビネーション技に蛇型のノイズは翻弄される。

 

『きっときっと まだ』

『忘れかけた笑顔だけど』

『『大丈夫、まだ飛べる(よ)』』

『輝いた絆だよ さあ空に』

『輝く絆抱きしめ』

 

最後に空中に飛び上がり調のヨーヨーを切歌の鎌の柄の先に接続し、巨大な刃が付いた車輪状に変化させると、その部分が回転し二人はそのまま蛇型のノイズの一体へと突進し、直撃

 

『『調べ歌おうぅ!!』』

 

ー禁合β式・Zあ破刃惨無uうNNー

 

そして、そのまま他の蛇型のノイズ達を巻き込みながら一直線に突貫、切り刻まれた蛇型のノイズ達は地に落ちる前に塵となって消滅した。

 

「調!」

「切ちゃん」

「「イェイ!!」」

 

全ての蛇型のノイズを倒し、勝利を祝って二人はハイタッチをする。この光景から二人がどれだけ仲がよいのかひと目で分かり、微笑ましい雰囲気だ。

 

「でも、あのノイズは一体なんだったんデスか………?」

「うん、今まで見たことなかった」

 

しかし、先程戦った蛇型のノイズに関しては謎がつきない。しかしどんな困難が来ようと二人が揃えば何も怖いものはない。

 

「とにかく、今は司令に連絡しよう」

「アイアイデス!」

 

そして、二人が司令部に連絡しようと通信機を取り出そうとしたその時、遠方から何かが二人に向かって投げ飛ばされてきた。

 

       ーーーーーーーー

 

5つの地区で全てのノイズが殲滅されたのを確認した弦十郎は今回のノイズを操っていた元凶を捜索する様にと装者達へ指示を出そうとしたその時、突如として監視カメラからの映像が途絶えた。

 

「どうした!?」

「監視カメラが破壊された模様!他は…………クソっ!同じかよ!」

「今すぐ、破壊されていないカメラを探せ!友里、装者達に警戒するよう指示を!」

「それが、試しているんですがまったく繋がりません!」

「なんだとォ!?」

 

まるで巧妙に仕組まれていたかの様に妨害が起きた事に困惑する一同。

 

その数分後、無事に通信が回復した際に聞いた報せは、響を除く装者達が満身創痍になったという報だった。

 

       ーーーーーーーー

イメージBGM:Einsatz(榊原ゆい・水樹奈々デュエットVer)

 

 

「ッ!?」

 

自身へ向けて、何かが降ってくるのを直感で感じた響は咄嗟に回避するが、何かが激突した瞬間に生じた衝撃の余波を受け、吹き飛ばされてしまう。

 

「ううぅッ!?」

 

数度バウンドした後に止まり、フラフラとしながらも立ち上がって自分が先程まで立っていた場所に目を向ける響。噴煙が次第に晴れていき降ってきた物の正体が見えてくる。

 

それは一言でいえば『槍』。槍頭と斧、そして鍵爪。三つの凶器が合わさったその側面には慈愛の微笑みを見せる聖母の顔が彫られた白銀に輝く戦斧(ハルバード)

それがアスファルトで舗装された道路をえぐる様に突き刺さっていた。

もしあれが直撃していたらひとまたりもなかっただろうと響は身震いする。

 

しかし、そんな響の心情とは別に事態は更に進んでゆく。

ふわり、と舞い降りるかのように突き刺さったハルバードの柄の先端に降り立つ者がいた。

 

その者は漆黒の軍服に身を包み、左腕には鍵十字(ハーケンクロイツ)が記された真紅の腕章を取り付け、茶髪の眼鏡をかけた青年だった。

 

「誰…………?あなたは一体…………?」

 

響の問い掛けに青年は何も答えず、ただ無機質な瞳で彼女を見つめるだけだった。

 

 

 

 

 

 

 

―――――同時刻、別の場所で各装者も漆黒の軍服を身に纏った者たちと邂逅していた。

 

       ーーーーーーーー

 

「かくして…………役者は全て出揃い、長きに渡る茶番劇は終幕し歌劇の幕はようやく上がる」

 

こことは違う何処か……………『多元平行宇宙』に存在する『座』にてカドゥケウスを模した王座に佇む一人の男――――――『カール』は笑う。

これから起きる恐怖劇に、偶然とはいえ見つけた自身が知らない平行宇宙に未知を求めて今回の脚本を描いた故にその楽しみを知る者はこの場にはいない。

そして、カールは舞台の開演を告げるかのような口調で宣言する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――さぁ、歌姫を交えし恐怖劇(グランギニョル)を始めよう」




CM風次回予告

響「私、立花響18歳!もうすぐクリスマスなのに、なんかよくわからないノイズが現れて更に空から男の子が降ってきてどうなっちゃうのーー!!??」



………とまぁ、お待たせしました。あるユーザーさんからアドバイスを貰いながらもやっと書き上げました。多分これが今年最後の投稿となります。では、皆様よいお年を


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ACT2

フローエス・ノイエス・ヤール!!
新年初めての投稿です!切のいいところで終わっちゃってますが、そこはご容赦をば………

因みにそれぞれの場面で作者が独断で決めた推薦BGMがありますのでよければ聞いてみてください。

翼サイド・『Krieg』

クリスサイド・『Jenzeits』

マリアサイド・『Schutz Staffe』

切歌、調サイド・『Noil me Tangere』



ギィン!と鉄と鉄同士がぶつかり合う音が鳴り響く。

そこではアームドギアである刀を握った翼が、朱く輝く古風な両刃剣を握った黒髪のロングヘアーに漆黒の軍服に身を包んだ少女と何度も打ち合っていた。

 

「―――ハアッ!!」

「クッ!!」

 

数分前、突然後ろから斬り掛かってきた少女に咄嗟に気づいた翼はなんとか防ぐもののこうして打ち合っていたのだ。

ガキィン!と何度目かの打ち合いの末、翼と剣と少女の剣は鍔同士があたり、俗に言う鍔迫り合いを起こしていた。

 

「お前は………お前はいったい何者なんだ!?」

「そう聞かれて、馬鹿正直に答えるとでも!」

 

翼の問い掛けに少女は否と答え、彼女を押し弾く。咄嗟に後ろに飛び退く翼だが少女はすぐに距離を詰め追撃する。

しかし、当たる直前に剣でなんとか防ぐ。

 

(なんなんだ!?この強さは!)

 

少女の剣術は常人が会得するもののそれでは無く我流ではあるが何処かが常人離れしているものであり、シンフォギアを纏っている事で身体能力が向上している翼を押し込んでいた。

 

「くっ、ならば!」

 

拉致があかない……。そう判断した翼は少女を押し込んで後退させ自身は上空へ飛ぶ。

 

「幾千の刃、交わしきれるか!」

 

       

ー千ノ落涙ー

 

 

上昇した翼の周りに無数の青いエネルギー状の剣が具現化され少女へと降りそそぐ。

剣の数は広範囲まで及び、もはや少女に逃げ場無し。決着はついたかに見えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――少女が常人であればの話だが…………

 

 

「――――フッ」

 

 

無数の剣に対し、少女は慌てず逆に落ち着いた雰囲気で剣を構える。瞬間、ボウッ!と炎が剣全体を包み込み少女は一息吐くと

 

「ハアッ!!!」

 

一閃――――

 

少女が起こした行動(アクション)はたったそれだけ。

しかし、一閃と共に剣風と爆炎が発生し辺り一体を巻き込み、少女へと降り注いでいた剣も爆炎により消される。

 

「―――なっ!?」

 

あまりの出来事に困惑する翼。しかし、一閃と共に起こった剣風と爆炎はとどまる事をしらず翼に襲いかかる。

 

「あああああああああッ!!?」

 

爆炎に巻き込まれ、剣風により体中を斬り刻まれながら地面へと叩きつけられてしまう。

 

(いったい…………なにが………?)

 

意識が朦朧としている中、ただひたすら思案していた。彼女が起こしたのはたった一閃。なのに、なぜ爆炎と剣風が起こるのか?わからない、もはや人間技ではない。

 

「でも、そうだな……………。この先、貴方達の敵になるのだから。名乗った方がいいのかもしれないな」

 

カツカツ……、と燃え盛る道路を悠々と歩きながら倒れ伏す翼に足を進める少女は剣を構え名乗った。

 

「『聖槍十三騎士団・黒円卓第五位』、獅子心剣(レオンハルト・アヴグスト)櫻井螢。それが私の名前よ、天羽々斬の歌姫(オロチノアラマサ・ディーヴァ)

 

それだけを言うと少女――――『櫻井螢』は再び翼へと斬り掛かった。

 

        ーーーーーーーー

 

「!?」

 

自身に向けられた膨大な殺気を感じたクリスは咄嗟に横へと避けた、直後

 

 

ドゴォン!

 

 

と何かを砕くかのような削音が鳴り響いた。

一体何が?そう思い、つかさず後ろを振り向くと

 

「――――――な………」

 

絶句。クリスの目に映った光景を一言で例えるとすればそれだろう。

先程までクリスがいた場所は、コンクリートの道路が抉られオフィスビルの壁に至っては深い穴が空いていた。

なにをどうしたらこうなるのか?

そんな事を思いながらもクリスは自身を落ち着かせようとする。

すると―――

 

「ハッ、今の避けるなんざぁ劣等にしちゃあやるじゃねぇか。いや、てめぇが魔弓の歌姫(イチイバル・ディーヴァ)だからか?」

「!?誰だッ!?」

 

何処からか声がかかり、クリスは銃口を向けた。

コツコツ、とビルの影から歩く音が聞こえクリスへと近づくと月の光がその人物を照らしだす。

その人物は白髪白面に黒いサングラス。漆黒の軍服に身を包んだ男でその顔には獰猛な笑みを浮かべていた。

その瞬間にクリスは理解した。先程の出来事はこの男がやったのだと。そしておそらくあの赤棘のノイズを操っていたのが………

 

「てめぇか……!てめぇがやったのかッ!」

「あ?やったってなにがだ?」

「とぼけんな!あのノイズを操ってたのはてめぇかって聞いてんだ!!」 

 

クリスの半ば怒り気味な問いかけに白髪の男は考える素振りを見せ………

 

「ノイズ………?あぁ、『レギオン・ノイズ』のことかぁ?わざわざ『生み出す』のに『魂を消費』しなきゃなんねぇから面倒だけどよ。ま、いちいちザコを狩る手間が省けたから別にいいんだけどな」

 

『生み出す』『魂を消費』するというのがわからないが、その一言でクリスは目の前の男が敵だとわかった。そして、さっきの言動から見て取れたまるで人の命をなんとも思ってないような発言。それだけでもクリスをキレさせるのには十分だった。

 

「さねぇ………」

「あん?」

「テメェだけは許さねぇ!!命をなんとも思ってもねぇテメェだけはな!!!」

 

普段の彼女からは見れない激昂ぶり。しかし、それほどまでにクリスは目の前の男に怒りを沸かせているのだ。

今まで様々な敵と対峙してきた彼女だが、人を見下し平然と殺すような人間は見た事がなかった。

 

「ヒヒ……!いいねいいね、そっちがヤルきならこっちもヤリやすいもんだ。やっぱこうじゃなきゃおもしろしくねぇ」

 

しかし、目の前の男はクリスに臆することなくそれどころかむしろ好戦的な笑みを浮かべ構えをとる。

 

「『聖槍十三騎士団・黒円卓第四位』 、ヴィルヘルム・エーレンブルグ=カズィクル・ベイだ。名乗れよガキ、戦の作法も知らねえか」

「…………あいにく、てめぇなんかに名乗る名はねぇよ。名前が知りたきゃあ…………」

 

その言葉と共にクリスはハンドガンをバルカンへと変えてその銃口を白髪の男………『ヴィルヘルム』へと向け。

 

「吐かしてみろよ!この白髪野郎がぁ!!!」

 

ーBILLION MAIDENー

 

一斉に連射、有無を言わさず一寸のズレもなく全弾丸をヴィルヘルムへ撃ち出す。もはや、遠慮などいらない。この男を葬る為ならばと、クリスは衝動のままに撃ち続けた。

 

「おもしれぇ………」

「なっ!?」

 

しかし、そんな弾丸の嵐を直で受けているのに関わらず何事もなく喋ったヴィルヘルムに、クリスは一度その手を止めた。

なんと、あのバルカンの超連射を受けてヴィルヘルムは無傷であり、周りにはひしゃげた弾丸が無数に転がり落ちていた。

 

「おもしれぇおもしれぇおもしれぇおもしれぇおもしれぇおもしれぇおもしれぇ!!!!そこまで言うんなら俺を楽しませろよなァ!魔弓の歌姫(イチイバル・ディーヴァ)!!!!」

 

ぺっと、口から弾丸を吐き出し野獣の咆哮のような叫びをあげ、ヴィルヘルムはクリスへと飛びかかった。

 

        ーーーーーーーー

 

「ッ!?誰ッ!」

 

突如、後ろから拍手する音が聞こえて後ろへ振り向くマリア。そこには紫の長髪をしたスリットの入った黒い軍服を着た仮面の女性とボロ布を纏い顔には先程マリアが倒したノイズと同じような仮面をつけ黒い大剣を担いだ大男がいた。

 

「あの数のレギオン・ノイズを倒すなんて。さすがは銀腕の歌姫(アガートラーム・ディーヴァ)といったところかしら?」

「レギオン・ノイズ………?」

 

最初に口を開いたのは仮面の女性だった。彼女が言った『銀腕の歌姫(アガートラーム・ディーヴァ)』は自分の事であろう。しかし、レギオン・ノイズとはなにか?だが、おそらく…………

 

「まさか、貴方があのノイズを!」

 

先に戦ったあの再生能力を持った仮面のノイズ………それの事を指し、ましてやそれを操っていたとなれば…………マリアの問いかけは少なからずとも当たった。

 

「そう………だとしたら、どうするのかしら?」

「当然―――!!」

 

そう言いマリアはすぐに短剣を構え直し、仮面の女性の元へ走り出す。

 

「貴方を拘束して、洗いざらい話してもらうわよ!!」

 

そして、彼女の元へあと一歩と言うところで……………さっきまで何も動じなかった大男がマリアの前へ立ちふさがり担いでいた大剣を振り下ろした。

 

「ッ――――!?」

 

しかし、当たる寸前に避け二人からだいぶ遠くへ飛び着地。

再び短剣を構え直し、互いに仮面をつけた女性と大男を見据える。女性の方は武器らしきモノは見当たらずおそらくではあるが錬金術の様な何かを持っているかも知れないと見る。しかし、問題は大男の方だ。何故かは知らないが奴が担いでいる大剣から、とてつもない『なにか』を感じ取り、寒気をかんじた。それに近くで見て気づいたが、あの男の肌は生者のそれではなく青白く生気を感じ取れなく、ただならぬ不気味さを感じ取った。

気をつけるべきはあの大剣を担いだ大男だろう。ぐっと短剣を握りしめる力を強め、これから来る激戦にマリアは構えた。

 

「そういえば、自己紹介がまだだったわね。『聖槍十三騎士団・黒円卓第十一位』、そうね…………今のところは『大淫婦(バビロン・マグダレナ)』と言っておくわ。そして、同じく第二位の『トバルカイン』。貴方の相手は彼がやるわ。その力、私達に見せなさい」

「■■■■■■■■■■■■■―――――――――!!!!!!」

 

そして、大男――――トバルカインの咆哮が開戦の幕をあげた。

 

        ーーーーーーーー

 

「切ちゃん!!」

「デスッ!?」

 

調が切歌の前に立ち、左右のヘッドギアホルダーからアームに保持した回転鋸を展開し盾として前へと出した。するとガギィンという音と共に何かがぶつかりそのまま回転鋸を砕き調と切歌を突き飛ばした。

 

「「きゃあ!?」」

 

突き飛ばされ、地面に叩きつけられるも立ち上がり、飛ばされてきた物を確認する。

 

「しゃ…………車輪……?」

 

調がそう呟いた通り、それは直径五メートルのスパイクがついた車輪であり、道路を砕きながら転がり続けた後、音もなく消え去った。

 

「き、消えたデス!?」

「一体、なんだったの…………!?」

 

しかし、追い打ちをかけるが如く更に立て続けに車輪が二人に向けて飛んできて、避けざるをえなかった。

 

「デデス!?」

「きゃ!?くっ!!」

 

迫りくる車輪の嵐、それを紙一重で交わし続ける切歌と調。

しかし、徐々に疲労が見えてきており、ただでさえ時限式である二人にとって長期の戦闘には向いていなかった。

 

「切ちゃん!」

「わかったデス!!」

 

ー非常Σ式・禁月輪ー

 

そこで調は再び、脚部・頭部から体の周囲に円形のブレードを縦向きに展開し、切歌は調の後ろに掴まると、一輪バイクの様に回転して迫りくる車輪を避けながら離脱する。数分後、車輪の嵐がようやく止み二人は安堵する。

 

「やったデス!」

「よし、このまま本部に………」

 

そして、このまま本部へ直行しようとスピードを上げようとしたその時―――

 

「ばあ」

「「――――ッ!?」」

 

それは、いつの間にか目の前にいた誰かによって阻止されてしまった。

どういうわけか、ブレードを指で掴まれ止められているのだ。それを数秒後に知った二人は、一瞬で頭のなかが真っ白になり………

 

「ねぇ、なんで逃げようとするのか…………な!」

 

そして、頭上から落下してきた車輪に気がついた時には既に遅く回避する隙もなく

 

「「ああああーーー!!??」」

 

そのまま、ブレードを砕かれ吹き飛ばされ地面に叩きつけられる切歌と調。幸い、怪我は最小ではあるが指で掴んだだけで調のブレード一輪を止めた者に対しての恐怖心が多少ながらもあった。

そして、よろよろと立ち上がり下手人を見据えようとその視線を止められた場所へ向けた。

 

「あら?アレを受けて怪我を最小限だなんて。これも『歌姫(ディーヴァ)』としての力………なのかしら?」

 

そこにいた人物に、二人は目を丸くした。赤色の髪に軍服を改造したようなミニスカートドレスを着た少女。しかし、二人から見てその少女の身長は中学生くらいであり、傍から見れば可憐な子供にしか見えなかった。

そんな、少女が調のブレード一輪を指で掴んだだけで止められる事がまず信じられなかった。

 

「どうして、子供がココに?」

「失礼ね。こう見えて貴方達よりは年上なのよねー」

「?どういう事デスか?」

 

更に、自分たち二人より『年上』という発言。ますます二人の頭に疑問符が浮かび上がる。しかし、そんな二人に構いなく目の前の少女は

 

「でもまあ、私のレギオン・ノイズを通してみたけど、あの『フィーネ』の置き土産だもの。やっぱり、自分で確かめなきゃね」

 

そう言い、妖艶な笑みを浮かべた少女は魔法陣のような方陣を手首に顕現させると、少女の影から黒く禍々しい蛇が現れ二人に向けて口を開きその牙を覗かせた。

 

「『聖槍十三騎士団・黒円卓第八位』、ルサルカ・シュヴェーゲリン=マレウス・マレフィカルムよ。聖餐杯からあなた達の力を見定めて来なさいって言われたけど………まあ、味見する程度だから安心してちょうだいな♡」

 

その笑みは異性が見れば見惚れるものであるが、今の切歌と調からしてみれば背筋に悪寒が走るほど、彼女の笑みに恐怖を感じていた。

そして蛇はそのまま、二人に襲いかかった。

 

        ーーーーーーーー

 

S.O.N.G司令部が知らぬまま始まった、装者と黒衣の軍服を身に纏った者たちによる戦闘。

この時の彼女達はまだ知らなかった。今対峙している者達が人智を越えた魔人の集団である事を。

自分たちが扱うシンフォギアとは違う、聖遺物異端技術を持つ、聖遺物使いであることを。

かつて自分たちが相対したこれまでの敵とは文字通り次元が違う埒外であることを。

そしてこの戦いが、これから起こる惨劇の序幕でしかなかったことを。

この時はまだ、響すらも知らなかった……………

 

「へぇ〜〜、ガイストくんは奏さんが好きなんだね!」

「はい!でも、まさか響さんもツヴァイウィングのファンだったなんて驚きましたよ!」

 

………………当の本人はそんな事が起きているとはつゆ知らず、先程降り立った茶髪の青年と仲良く談笑しているが………




どうしてこうなった!?その事に関しては次回で布線回収しますので。
あ、因みに最後に出てきたオリジナルキャラのイメージCVは佐藤 利奈さんです。

※アンケートなんですけどもあるユーザーから違反になると指摘を受けたので活動報告に移動しました。↓
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=253296&uid=199037


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ACT3

最新話更新から一ヶ月………
長らくおまたせしました!

たぶん、この話賛否両論になるかもしれません……… 

追記:ある方から螢の口調に違和感を感じると、指摘されましたので、修正しました。


それは、さかのぼる事数分前……………

 

「誰…………?あなたは一体…………?」

 

突如、降ってきたハルバードの柄の先端に降り立った青年に対し、響は問いかけたものの当の青年は何も答えず、ただ無機質に見える瞳で響を見据えていただけだった。

 

「あ、あのー………?聞こえてますかー……?」

 

再び、問いかけるが反応は至って変わらずただ響を見据えて…………見つめていると言ったほうが正しいのだろうか。

 

(えぇ〜、なんかそうやって見つめられるとなんか恥ずかしいよ〜〜。なんか気まずい空気になっちゃってるし、助けて未来〜〜)

 

と、心の中で未来に助けを求めているとヒョイ、と青年が柄から降りて、地面に着地した。咄嗟に身構えた響は青年がどの様に動いても対応できる様、警戒した

。数秒の静寂……………それを断ち切ったのは青年の方だった。

 

「あ、どうも始めまして。ガイスト・K・レヴナンドです」

「ふぇ!?えと……立花響です……」

 

と、ペコリとお辞儀をして挨拶をした青年―――ガイストに響は思わず挨拶を返してしまった。そしてまた、静寂――――

もはや、響の心中は色んな意味で乱れていた。

 

(えぇーー!?なんで挨拶!?いや、咄嗟に返した私もそうだけど………なんか、気まずい!気まずよーー!!でも、何話せばいいんだろ……。今日は天気がいいですね………いやいや、いま夜だし暗いからよくわからないよ!?)

 

まあ、響がテンパるのも無理はない。響が今まで会ってきた敵は大抵は襲ってきた者ばかりであったからいきなり挨拶してきたのは始めてであったのだから。

 

(あ、でもよくよく考えてみればこの子は一体誰なんだろう?突然の事だったからすっかり忘れてた…………)

 

と、ここでようやくガイストが、一体何者なのか疑問に思った。ここには先のノイズの出現で市民たちは避難しており、響以外はいないはずだ。そして見たこともない服装をしている。つまりこの場所にいるという事は………

 

(もしかして………あのノイズを操っていた人なのかな?だとしたら、どうしてこんな事をしたのか聞かないと!)

 

 

と、意を決し彼から話を聞こうとした響だったが、

 

「「あ、あの!あ………」」

 

同時にガイストからもなにか聞こうとしたのか、響に話しかけ、偶然にも重なってしまった。

 

「あのー、先に貴方が」

「いやいや、ガイスト………くんから先に」

「いやいやいや、僕たちは後でいいのでまずはえっと…………響さんから」

「いやいやいやいや、まずはガイストくんから」

「いやいやいやいやいや、まず響さんから」

「いやいやいやいやいやいや」

「いやいやいやいやいやいやいや」

「いやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいや」

「いやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいや」

 

もうなにがなんだかわからなくなり、もしもこの光景を他の装者達が見たら『なにやってんの?』って思うだろう。が、二人は共にどっちが喋るのか真剣に譲ろうと思っているのだから。と、そんな譲り合い合戦が続くのかと思いきや、ふと響は自身に向けられていたガイストの右手の手首にブレスレットがはめられているのを見かけた。

 

「あれ?それって…………」

「え?これがなにか?」

「もしかして、このブレスレットってだいぶ前にツヴァイウィングのコラボで予約販売された奏さんモチーフのアクセサリーだよね?」

 

そう、何故ならそれはいつぞやに予約販売で数量限定で生産されたアクセサリー会社とツヴァイウィングのコラボ商品であり、天羽奏をモチーフとしたブレスレットだったのだ。

響も、ネットでチラッと見たことはあるが当時はツヴァイウィングにあまり興味がなかった為、こんなのがあるんだ〜と思う程度であった。それが今、目の前の少年がはめていたということは……

 

「は、はい!昔、プレゼントとして貰ったんですよ。でもツヴァイウィングを知っているって事はもしかして………」

「うん!私もツヴァイウィングのファンなんだ」

「そうだったんですか!?良かったです!僕たちの周りにツヴァイウィングを知っている人がいなかったので………とっても嬉しいです!」

 

響がツヴァイウィングを知っていた事がよほど嬉しかったのか、まるで子供の様に飛び跳ねるガイスト。見たかぎりだと中学生くらいの身長で中性的な顔立ちもあってか何処か愛らしく見えた。

で、その後二人はツヴァイウィングの話題で意気投合して仲良くなり――――

 

「へぇ〜〜、ガイストくん。奏さんが好きなんだね」

「はい!でも、まさか響さんもツヴァイウィングのファンだったなんて驚きましたよ!」

 

今に至るという訳である。

 

「いや〜、私の場合は友達からライブ誘われて、そこから知ったっていうかなんていうか〜」

「そうなんですか!僕たちはテレビの音楽番組でたまたま流れてた曲で知って、そこからファンになって」

「あ、ガイスト君は音楽番組からだったんだね。でもまさか、ツヴァイウィングを知ってる人に会えるなんて思わなかったよ〜」

 

一応、誤解しないように言うがこの青年、ガイストはあの黒衣の軍服を纏った者たちの一人であり、本来なら響とは敵対し合う関係であるはずだ。

が、なぜこの二人はそれすら忘れて和気藹々しているのか。クリスの言葉を借りるとすれば、ガイストと響、この二人が『馬鹿』に分類される人間であったことと、二人がたまたまツヴァイウィングのファンであった事が意外な化学反応を起こし、今の現状を形作っているのであった。

…………実際に言葉にしてみると何が何だか分からないが、そうこうしてる間に二人の会話は段々と盛り上がりを見せてきた。

 

「やっぱり、『逆光のフリューゲル』ってツヴァイウィングを代表する曲ですよね!あのサビのとこを聴くとなんたか、盛り上がりますよね?」

「わかるわかる!ライブでその部分を聞いた時なんかもうわーってなって、もう感動しちゃって」

「あ、響さんもそう思います?ですよね〜、あのサビ部分をライブで直に聞いたときの昂揚感!僕たちもう魅入っちゃいましたよ」

 

しかし、始まりがあれば終わりもある。二人の話題はそんな、ガイストが放った何気ない一言に響が反応したことで終わりへと向かう。

 

「アレ?『僕たち』って………もしかしてガイストくん、同じツヴァイウィングが好きな友達がいるの?」

 

響からしてみれば、その質問は真っ当なものであり、つい先程ガイストが話した中で『僕たち』という単語にもしかすれば、彼の知り合いにツヴァイウィングのファンがいるのかと、できたら自分にも紹介してほしいという純粋な気持ちで投げかけたのだ。

――――しかし、その響の疑問に対してガイストは…………

 

「?僕たちは僕たちですけど………」

 

と、まるで自身の事を指している(・・・・・・・・・・)かのように、何気なく言ったのだった。その事に響は困惑するも、言い方が悪かったのかなと思い再び尋ねる。

 

「えーっと、さっきのはガイストくんに友達がいて、その人達もツヴァイウィングのファンなのかなーって聞いたんだけど………」

「え?僕たちに友達はいませんよ?僕たちは僕たちです」

「えっ…………」

 

まさかの言葉に響は更に困惑した。まさか、『僕たち』という単語がガイストと友達の事ではなかったのだから。

しかし、なぜ『僕たち』という二人称を使うのか、それが響にはわからなかった。

 

「それはいったいどういう…………」

 

事、と響が再び問いかけようとしたその時、二人のすぐそばで耳をつんざく様な轟音が起こった。

 

ーーーーーーーー

 

「「―――――――ッ!?」」

 

突然の轟音に私とガイストくんは思わずビクつき、音が鳴った場所に視線を向けた。

音の発生源はさっきの衝撃だったのか、土煙が立ち昇っていてうまく視野できなかったけど、何処からか風が吹いて土煙を晴らしてくれたおかげで、轟音の正体がはっきり見えて…………私は絶句した。

 

「ク、クリスちゃん!?」

 

それは、私とは別の場所で戦っていた筈のクリスちゃんが倒れていてその状態はとても酷かった。

装甲部分は所々がひび割れて、中には砕け散っているものもあったけど、何よりも身体中のあちこちにつけられた傷がとても痛々しく、つい生きているのかと疑ってしまう程だった。

一体、向こうでクリスちゃんに何があったのかと思考を動かそうとした時だった………

 

「はっ!俺たちが殺りあっている時に敵さんとのんびりお喋りか?ノーネーム」

「ッ!?ヴィルヘルム……さん…………?」

 

別の方から、声音からして男性の声が聞こえ、そこへ振り返るとビルに空いた大穴………ちょうどクリスちゃんが倒れてる場所から直線にある所に、ガイストくんと同じ黒い軍服と赤い腕章をつけた白髪の男の人が佇んでいて、そばにいたガイストくんはさっきまでの活発さが嘘のように消えて、顔を青ざめて、あの男の人の名前を呼んでいた。

でも、確か、ヴィルヘルムさん………だったかな?さっき、ガイストくんのことを『ノーネーム』(さっき、ガイストくんが反応していたからそうだと思う)って呼んでいたけど、なにか関係あるのかな……?と考えていた時だった、

 

「ちょうど、いい。てめぇが、殺らねえなら撃槍の歌姫(ガングニール・ディーヴァ)は俺がもらうぞ。正直、魔弓の歌姫(イチイバル・ディーヴァ)は期待はずれだったからな。テメェなら俺を楽しませてくれんだろ、なぁ?」

「ヒッ……!」

 

瞬間、形容しづらい悪寒が私の脳天から爪先まで走り、まるで蛇に睨まれた蛙のように硬直した。今まで、色んな人と戦ってきたけど、どんな人が相手でも繋いだ絆と歌で勝利を掴み取ってきた。

でも、あの人の目はなに?まるで獲物を狙うような飢えた狼のような…………いや違う、そんなものなんか生易しいと思うくらいあの人から放たれているキャロルちゃんやサンジェルマンさん、ヴァネッサさんとは違う得体のしれないプレッシャーはなに?

知りたくても知りたくないでも知らなきゃわからないし話しあえないでも知ってしまったら私の何かが壊れるでも話し合わないとだけど恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い助けて未来―――――!!

 

「――――何をしている?ベイ」

 

と、横から女性の声が聞こえた事であの悪寒が消え身体の硬直が解けた。でも緊張がなくなったのか、思わず私は膝をつき四つん這いになって荒い息を吐いた。顔と身体中には今でも冷や汗が止まらず流れ、目眩も起きていた。

 

「なんのつもりだ?レオン。てめぇは、なぜ俺の楽しみを邪魔しやがる?」

「まず、こちらの問に答えてほしいな。カズィクル・ベイ中尉殿。お前はいったい、何をしている?」

「見てわからねぇか、ノーネームの代わりにこいつを試そうとしていたところだ。魔弓の歌姫(イチイバル・ディーヴァ)ははっきり言ってつまんなかったからな。こいつで発散しようとしてたとこだよ」

「それはガイストの担当だったはずだ。それに、魔弓の歌姫(イチイバル・ディーヴァ)の現状を見るに、お前の行動は聖餐杯猊下の意向を逸脱している。お前はこの作戦が《S.O.N.G》への宣戦布告だとわかっているのか?」

 

そして、ようやく息が整ったところで顔をあげると、白髪の人が誰かと会話していた。その人は私達と同い年くらいの黒髪の女の子で、その手には何か青い何かが引き下げられて……それが何なのか、私は秒でわかりそれの名前を咄嗟に叫んだ。

 

「翼さん!?」

「ん?ベイの殺気を受けてまだ意識があったのか。ただの経験の浅い娘なのかと思っていたが、そうでもなさそうだな。それと―――」

「え?わっ――!」

 

そう言いながら、さっきの会話でレオンと呼ばれていた女の人は引き下げていた翼さんを投げ飛ばした。

投げ飛ばされた翼さんは宙に弧を描きながら落下し、咄嗟に私はむりやり身体を動かしてキャッチするけどよろめいて倒れてしまう。

 

「彼女は無事だ。致命傷………とまでは行かないが、せいぜい意識は失っている程度だ。もっとも多少の傷はあると思うが」

 

そして、翼さんの容体を間近で見て私はまた絶句する事になった。

クリスちゃん程ではないけど、身体中にはそこかしこに火傷と切り傷があって、レオンさんの言うとおり致命傷じゃあないけど、なによりあの翼さんがこんな傷をつけられる程に負かしたレオンさんが何者なのか、得体のしれない恐怖を抱いている中で

 

「さて、ベイも散々だが………なによりガイスト」

「は、はい!」

 

レオンさんの矛先は私からガイスト君へ向いて、隣にいたガイスト君は一瞬ビクッとしながらもレオンさんに返事する。

 

「お前はお前で何をしていた?弁明があるならここで聞くが」

「え、えっと…………それは……その……」

 

そんなレオンさんの冷たい眼差しにガイスト君は縮こまってしどろもどろになってしまった。

でも、任務……?そういえば、さっきレオンさんとヴィルヘルムさん(レオンさんからはベイって言ってたけど、なんだろう………)は私の事を撃槍の歌姫(ガングニール・ディーヴァ)って言っていたし、それに《S.O.N.G》への宣戦布告とかどうとかって………あの人達とガイストくんって一体………

 

「あらあら、なんだかとても面白いことになってるわねぇ?」

「ともかくノーネーム、あなたは後でお説教ね」

 

ふと、どこからまた知らない声が2つ聞こえ、ヴィルヘルムさんとレオンさんの元に3つの人影が姿を現した。

出てきたのは、赤髪の少女と仮面をつけた紫髪の女性、そして紫髪の女性と同じ仮面をつけたボロ布を纏った大男。

大男を除いて、どちらもガイスト君とレオンさんとヴィルヘルムさんと同じような軍服を着て、左腕には赤い腕章をつけていることからこの二人もレオンさん達の仲間なのかなと思っていた時、ドスンとなにかが落ちる音が響き、咄嗟にそっちに視線を向けると………

 

「切歌ちゃん!?調ちゃん!?マリアさん!?」

 

さっきまで、翼さんやクリスちゃんとは別の場所で戦っていた筈のマリアさんと切歌ちゃんに調ちゃんが傷だらけで地面に倒れ伏していた。まさか、この三人もあの人達に………?

 

「って、よく見たらベイ?あんたちょっと、やりすぎじゃないの?おおかた、レオンにその事に咎められてたんでしょ?」

「るっせぇ、マレウス。コレでも手抜いてやったんだ。なのに、コイツときたらよ片腕だけでコレだ。ハッキリ言って、つまらなかったぜ。つか、テメェとバビロンもレオンと同じだろ?そこんとこどうなんだ、あん?」

「まぁ、そうね………聖餐杯が言ったとおり、私達と同じ聖遺物を扱ってはいたけど、精々身に纏う程度。でも、まだ何か隠し持ってるみたいだからここから先が楽しみって、ところかしら?」

「私もマレウスと同じよ。ともかく、彼女たちの力量差もわかったことだし、この後の成長に期待しましょう」

 

聖遺物……?身にまとう………?一体何を話しているのか、私にはさっぱりわからない。ううん、それ以前にあの人達は誰なの?何が目的でこんな事を………

 

「まぁ、いい。ガイスト、お前の処遇は猊下に委ねる。今は戻るぞ」

「あ、は、はい………」

「待って!!」

 

レオンさんに呼ばれて、あの人達の元に行くガイストくんを呼び止めると、あの人達の視線が私の方へ向いた。それでも私はなりふり構わずに聞きたいことをハッキリと叫ぶ。

 

「あなた達は一体誰なんですか!なんで、こんな事を…………」

 

そう叫んで数秒も経つとレオンさんが、ため息を吐き、口を開いた。

 

「…………そういえば、ガイストが名乗っていなかったのを忘れてたな。私達は――――」

 

推奨BGM:Letzte Bataillon

 

「私達は、『聖槍十三騎士団』。後者の質問に関しては………あなた達『歌姫(ディーヴァ)』の実力を試す為、って言ったところかしら?」

 

チラッとレオンさんが視線を赤髪の少女………確かマレウスだったかな?に向けると変わりにマレウスちゃんが自分たちの事を話したけど、『聖槍十三騎士団』………?実力を試す……?聞いたこともない組織や動機に困惑している私をよそにマレウスちゃんはクリスちゃんへと歩みだした。

 

「今回はあなた達《S.O.N.G》への宣戦布告だから、手は抜いて………ってベイはやり過ぎたみたいだったから…………だ・か・ら・ね」

 

そして、クリスちゃんの元に辿り着いたかと思うと、その手をクリスちゃんの胸に添えて、それから全身の負傷箇所を撫でるように擦って………え?

 

「いわゆる応急処置なの。さっきのお詫びとして、魔弓の歌姫(イチイバル・ディーヴァ)の痛いところを消してあげたから、後で専門の人たちに見てもらうのよ?」

「チッ、マレウスの野郎。よけいな事しやがって………」

 

一瞬で……さっきはあんなに酷かったクリスちゃんの傷が塞がっていた。なんで?一体どうやって?それにどうしてあんな事を?

 

「でも、アフターケアはこれっきり。次にまた会ったときは…………全力で、殺しにかかるからね」

「ッ――――!」

 

そう妖艶な笑みで言って、ルサルカちゃんはガイスト君たちの元へと戻ると懐からなにかを取り出して………って、テレポートジェム!?

 

「ああ言っとくけど、私達はパヴァリアと関係ないから。ただ、知り合いのツテで譲ってもらっただけ。じゃ、バァーイ♡」

 

そして、そのままマレウスちゃんがテレポートジェムを使って、一瞬、ガイストくんが悲しそうな表情で私を見ていたけど、確認する間もなく消え去って後には私と倒れ付す皆だけが残った………

 

ピピッ!

 

『ようやく繋がった!大丈夫か!?響くん!』

「し、師匠?」

『通信妨害を受けてな。ついさっき、通信が回復したところだ。ところで何があった!?』

「……………………皆が、皆が………凄い、怪我で………」

『なにぃ!?一体何が起こったと言うんだ!?説明してくれ響くん!』

 

そう師匠が訪ねてくるけど、今の私は押し寄せてきた情報量の多さ、そして翼さん達を打ち負かした未知の人たち、そしてあの時感じだ人とは思えない悪寒で頭がいっぱいいっぱいになって、その事で緊張の糸が途切れたかのように、

 

『響くん?響くん!!』

 

私はそのまま………意識を失った。

 

 

ーーーーーーーー

 

ふむ、まず彼らと彼女らの邂逅はなったか。

 

いやはや、しかし同じ聖遺物を使っているとはいえ、こうも違うとは。いや、これもまた一興か。

 

だが、これはまだ序幕にすぎない撃槍の歌姫(ガングニール・ディーヴァ)。我が友と同じ神殺しの槍を持つ者にしてツァラトゥストラの代わりよ。

 

君と彼女、そして刹那と出会うのはまだ先であるが、彼女を引き立てる為のコーラスとして頑張ってくれたまえ………




CM風次回予告
ルサルカ「は〜い♡皆のアイドル、ルサルカよ♡今日は私達の顔見せということで、いつもよりドヤって見せました〜。え?次回から私の出番ずっと後?マジで!?」

というわけで、ひとまずは序盤の半分は終了。この様に不定期で更新することもあると思いますが最後までよろしくお願いします。

あと関係ないけど、FF7リメイク超たのしー!!


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ACT4

今回は難産だった………
クリスファンの皆様には、申し訳ありません………

あ、後書きでお知らせあります。


「ん………」

 

目が覚めると、目の前には白い天井が広がっていた。あれ?確かアタシは新種のノイズの掃討に行って、その後………

 

「クリスさん!目覚めたんですね!」

「エルフ………ナイン………?」

 

視線を向けると、エルフナインがこちらを心配そうに見ていた。

どういう事か聞こうと起き上がろうとした瞬間、身体中のあちこちから痛みが走り、グッ……と強張った。

 

「無理しないでください!本来なら重症だった筈なんですから、一応安静に………」

「重症…………?そもそも、あたしはどうしてここに………ッ!?」

 

そして、ようやく思い出した。そうだ、あたしは……!

 

「あたしは…………!アイツにッ………!!」

 

そう、ギアペンダントを強く握りしめながらあたしはついさっきの、出来事………ヴィルヘルムといった男になすすべなくやられた事を思い出した。

 

ーーーーーーーー

 

「おらぁ!!」

「ッ!!」

 

飛びかかったヴィルヘルムは右腕を振り上げて攻撃しようとするに対して、あたしは咄嗟に飛び退いた。

瞬間、対象を外した右腕はそのまま、コンクリートで舗装された道路を打ち砕いて、は……?

 

「はははっ!さっきと続いて二度連続かよ。ド素人に躱されるほど手ぇ抜いたわけつもりもねぇんだけどな。俺が日和ったのかお前が期待どおりだったか………見たとこ、ガキの割に結構な死線を掻い潜ってやがるな」

 

笑いながらそう言うアイツの言葉は、今のアタシの耳には届いていなかった。先程見せたあいつの馬鹿力、今まで対峙してきた敵だと、後輩二人が倒したミカっていうオートスコアラーと、前にあのバカと一緒に戦ったヴァネッサとかいう奴と同じか………?

ともかく、今までどおり気を引き締めていかねぇと……

 

「しっかし、聖餐杯に宣戦布告だからなるべく手加減しろって言われたけどよぉ。難しいもんだな、オイ」

 

手加減?アレが?今、コンクリートを打ち砕いた一撃が、手加減……?それに宣戦布告……?そもそも、アイツは何が目的で、あたしに襲いかかったんだ……?

 

「お前、それはどういう………」

「あぁ?わかんねぇのか?今回は手加減してやる(・・・・・・・・・・)って言ってんだよ。こっちは“武器”は出さねぇで、片手だけでやってやっから、お前はさっきみてぇに銃でもボウガンでもガトリングでもミサイルでもなんでもいいから使ってみろや。お前ら『歌姫(ディーヴァ)』が実際何者だろうと、要は遊べるかどうかだしよ」

 

アタシの質問に対してアイツは、そう答えた。聖餐杯という新たな単語と宣戦布告という4文字。先の言葉から要するに目の前の男は何処かの………しかもあたしらS.O.N.Gですらも分からない組織に属していてアタシを襲ったのはその宣戦布告だと。そこまでは、理解した。けど、一つ解せないことがある。それは―――――

アイツが、完全にアタシの事を下に見ていたって事を。

上等だ、そこまでアタシを馬鹿にするってぇなら…………!

 

「じゃあてめぇのお望みどおりに、全部使ってやらァ!!!」

「おもしれぇ!」

 

そのヴィルヘルムの叫びと共に、再び右腕の掌底が振るわれる。いや、違う!さっきは咄嗟に回避したからわからなかったが、あの得体のしれない馬鹿力から繰り出される掌底はもはや鉤爪だ。当たったら、ただじゃすまねぇ!

そう判断したあたしは胴がねじ切れる勢いで身体を捻って攻撃を回避した。

 

「グッ――――!?」

 

行き場をなくした攻撃はアタシの後ろにあった街灯をそのままへし折りやがった……!

何なんだよあれ!?アイツの身体は、一体どうなってやがんだ!?錬金術での強化ならわかるが、アレはそんなちゃちなもんじゃねぇ。その証拠に、さっきのバルカンでの攻撃を受けといて身体には一切の傷がなかったしピンピンしてやがった。

いや…………落ち着けあたし。相手は人だ。たとえ規格外な力を持ってる化物だったとしても必ず急所が存在する筈。例えば目、例えば脳。それに加えてこっちは急所を的確に狙えるアタシのアームドギア(武器)、向こうは素手。勝機は五分五分だがアタシに優位はある。なら……!

 

「ハハハッ!二度に続いて三度目か!次はもう少し早く行くがよ………てめぇ、簡単に死ぬんじゃあねぇぞ――――」

 

そして、ヴィルヘルムの四度目の掌底を振るう。改めてみるがアイツの動きはおっさんやあのバカが使っている格闘技とか武道絵とかの様なものじゃない。

ただ無闇に速くて、そのくせ異常に重い純粋な暴威の塊。

工夫は弱者の特権だと言わんばかりの力任せは、最初から強ぇ奴特有の傲慢さ誇示していた。

けど、それがかえってアタシにチャンスを与えたのと同じだった。

すぐさまアタシは、胸骨ごと心臓を抉り取るような一撃を躱し、手に持っていた銃二丁を仕舞ってライフルを取り出すとつかさず銃口をアイツの額につけ、一寸の迷いもなく引き金を引いた。

スピードとタイミングは共に完璧。もう一度同じことをやれと言われたら不可能なほどにキレイに嵌ったカウンター。バギュン!!と銃音がアタシの耳に響き、続けて腰部のミサイルポッドを展開、つかさず全弾を発射して後退。近距離からの額への急所射撃に続いて全弾発射。文字通りアタシの全身全霊を込めた攻撃は、しかし――――

 

「で?」

「――――――ッ!?」

 

額に穴が開くどころかびくともしないアイツが体制を崩さずにその場に立っていた。嘘だろ……!?こりゃあどういう!

 

「取らせてやってこの程度かよ。こりゃどういうことだオイ」

 

アタシはそのまま持っていたスナイパーを振りかぶる。額が駄目なら脳天からの一撃なら倒せなくても昏倒ぐらいなら!

けど、怖気が走るような音と共に、振りかぶったライフルはアイツの脳天に直撃した途端に、砕け散った。なんだよそれ、冗談じゃねぇし有り得ねぇ!?コイツの身体はいったい何で出来てんだ!?

 

「どうした、おい?それで終わりか?根性見せろよ」

 

そして、つかさずアタシの空けた顔へヴィルヘルムのアッパーが繰り出され、アタシは咄嗟に腕を交差させて受ける――――が、まるで高速で突っ込んできたトラックにぶつかったかのような衝撃が私にふりかかり、そのまま吹き飛ばされた。

 

「グッ――!?があぁぁ!?ッ!」

 

そして、威力はやまずそのままビルの壁に激突。衝撃で脳がぐちゃぐちゃになったと、同時に嘔吐感がこみ上げる。

 

「が……!げぇ…………ッ!」

 

痛い……!痛い……!何なんだよこれ……!?ちゃんと機能しているのかシンフォギア!?と慟哭したいほどの激しい激痛がアタシに襲いかかる。

さっきのアッパーを防いだ結果、頭はまだぐわんぐわんするし、守られているはずの右腕の骨とアーマーが粉砕、血反吐を吐きながらもかろうじて立ち上がる。

さっきので、右腕は逝っちまった………残る左腕でなんとか、アームドギアは持てる。それに、足もまだ生きている。なら……

 

「はぁ……はぁ……、グッ……!」

 

痛みを押し殺しながら、アタシは立ち上がり折れてない左上で、ハンドガンを持つ。頭も少しは楽になってきた一方で、そんなアタシがもがくさまを見ているヴィルヘルムは薄ら笑いを、浮かべている。アイツ………!馬鹿にしやがってェ……!と、悪態をつく間にもアイツが再び右腕を構えた。……来る!

 

「ぐぅッ!!」

 

続く攻撃をギリギリで躱す。先に宣言した通りに片手しか使っていないのに拘らず速すぎる!そして、その一つ一つがシンフォギアの防御を砕くほどの威力を持っていて、掠りでもしたらシンフォギアの装甲は砕け、血が飛沫(しぶ)く死の旋風。

あの攻撃をずっと躱し続けられると聞かれたら間違いなくアタシはNoと答える。はっきり言って無理だ。

しかも、力学をまったく無視した片手だけの多角攻撃(・・・・・・・・・)は徐々に速くなっていやがる。アタシが一発躱すごとに少しずつギアを上げるかの様に加速していく。もう、目で終えるレベルじゃねぇ。

故に勘―――死線ぎりぎりで発揮される本能しか、今のアタシが頼れるのはそれしかなかった。

けど、これじゃあジリ貧になるのは火を見るより明らか。

考えろ……!考えるんだアタシ……!

と、考えてる間に背にヒヤッとした感触がした。いつの間にか街灯まで追い詰められてたのか………!いや、むしろこれはチャンス!覚悟を決めろ、雪音クリス!

 

「へぇ……」

 

どうやら、向こうもこっちの意図を察したみたいだ。そうと言わんばかりに掌底の一撃が放たれる。喰らえば首と胴が泣き別れしかねない攻撃を街灯を盾にしてやり過ごす

その結果、街灯はさっきのと同じように真ん中から真っ二つに折れ曲がる。確かに恐ろしい破壊力だけど、むしろ計算通り……!

折れてヴィルヘルムの方へ倒れる街灯はアイツにとっちゃあ対した事はないけど、アタシにとっては好都合!

すぐさま、標準を街灯のランプ部に当てて発砲。バァン!と撃ち出された弾丸はランプへぶち当たって発火。火はヴィルヘルムに燃え移り炎上する。

 

「はっ」

 

だが、数秒も立たずにヴィルヘルムは腕を一払いしただけで炎を打ち消した。皮膚には火傷の痕はない、マジで何なんだアイツの身体は………!だが、それもアタシの予測通り。本命はこの数秒!アイツが燃えてるスキに肩部からミサイル二本を展開させて………

 

「持ってけダブルだぁ!!」

 

ーMEGA DETH FUGAー

 

発射!アイツが火を消す頃にはもう遅い。ミサイル二本は既に発射されそのままアイツに着弾。そのまま大爆発を起こした。

 

「―――ッ!」

 

爆風を左腕で守り、アイツがいた場所からあがる黒煙を見やる。流石にミサイル二本による火力はアイツでも耐えきれないだろう。人を殺めてしまった事が心に痛いが、アイツはアタシを殺す気で来ていた。だから―――

 

「オイ、お前」

 

と、突然、黒煙から腕が突き出てきてガシッ、と首を掴まれた。そして黒煙が晴れその中からサングラス以外は無傷のアイツが出てきた。嘘だろ………!?ミサイル二本ぶんだぞ!?生きてるはずがねぇ!ちくしょう、嘘だろ。これでも駄目なのかよ………ぐっ、息が………!

抵抗と言わんばかりにアタシはヴィルヘルムのスネに蹴りを入れるが…………案の定、砕けたのはアタシの右脚だった。

 

「ッ――――!?――――!!!」

「さっきから何なんだ?まさか、これが歌姫(ディーヴァ)の全力って言うのかよ。俺はまだ右腕しか使ってねぇのに、なんだその様は?」

 

右脚の骨が砕けた、痛みに耐えきれず首を掴まれ悲鳴を上げることができないアタシを無視して、アイツはただ失望したかのように何かをぶつぶつと呟いてた。

 

「なぁ、この際ハッキリ言うけどよ。正直暇してたんだよ、百年間ずっとよぉ。もうシケた祭りじゃ満足できねぇ。だからよ…………俺にここまで期待させて、萎えるオチつけさせたらお前………」

 

そしてギロッと、見開かれた赤い瞳から迸る赤光を放ちながらアタシの視線に合わせ、何でもないことのように言い放った。

 

「この街、地図から消しちまうぞ?」

「―――――ァ!?」

 

目眩がする。喉はガラガラになり呼吸一つすらままならない。出血している箇所は血が蒸発していき、さっきまで熱かった身体は、まるで生命力を吸われるかのように急激に下がっていき震える。

けど、一つだけわかることがある。こいつは本気(マジ)だ。その気になれば、さっき言った事を実行に移せる。それは、さっきの戦いでアタシが一番思い知らされた。

怖い―――コイツにはアタシらの常識がまったく通用しない―――!

 

「チッ、脅しただけでコレかよ。こりゃ完全に外れだな」

 

そして、掴んでいたアタシを投げ飛ばし、胴を捻り回し蹴りの構えを取りながらアタシに対してもう興味がないかのように、吐き捨てる。

 

Auf Wiedersehen(あばよ)魔弓の歌姫(イチイバル・ディーヴァ)。コイツに、期待した俺が馬鹿だったぜ」

 

そして、アイツの回し蹴りが腹部に見事に直撃し、想像を絶するような痛みに耐えきれずに、アタシはそのまま意識を失った……

 

ーーーーーーーー

 

「……………クソッ!!」

 

今までの事を思い出した事で、悔しさがこみ上げ思わずギアペンダントを握っていた拳をベットに叩きつける。

悔しかった、人の命をなんとも思わねぇ奴になすすべなくやられ更にはスキ放題言われて、報いの一つすらできなかった事に。

 

「ク、クリスさん………」

「……わりぃ、少し頭に血が登ってた……」

 

と、いけねぇ。エルフナインがいた事を思い出し、自身を落ち着かせる。そう、いくら憤怒してても、アタシが負けた事は事実。しかし、それ以上にシンフォギアを纏ったアタシを素手で倒したアイツへの恐怖はわずかにあった。ふと、そこまで思い出すとアタシはハッと、気づく。

 

「そういや、先輩たちは?それにアタシの傷は………」

 

そう、別の場所で新種のノイズと戦ってた先輩たちはどうなったんだ?それに、さっきのアイツとの戦いでアタシの右腕と右脚の骨は折れた筈なのに、今はそんな事が無いかのように自由に動かせている。

 

「響さん以外は、突然現れた黒衣の軍服の人たちにやられてクリスさんと同じように入院しています。ですが、軽度の怪我でしたので明後日くらいには退院できるかと……。それとクリスさんの怪我なんですが、響さん曰く、黒衣の軍服の人たちの一人が重症だったクリスさんを一瞬で直した、と言ってました」

「そうかよ…………」

 

よかった、あのバカ()はともかく、先輩たちは命に別状はなかったことに、内心ホッとした。けど、次にエルフナインが言ってた黒衣の軍服の人たちという、言葉が気になった。そういや、アイツも黒い軍服を着てたけど、まさか先輩たちを倒した奴らと関係が………それに、その一人はアタシの怪我を一瞬で直した………アイツといい、わざわざ敵であるアタシの怪我を直した奴といい一体なにが目的なんだ?

 

「現在、彼らについてはSONG総出で調査にあたっています。装者の皆さんは情報が見つかるまで待機してください。後のことはボクたちにお任せください」

「わかった、エルフナインも無理すんなよ?」

「お気遣い、ありがとうございます。では、ボクはこのへんで失礼します」

 

と、そう言ってエルフナインは退出して、病室にはアタシ一人だけが残った。

けど、アタシの心はまだ晴れてなかった。攻撃がまったく効かず、ましてやシンフォギアによる防御すら貫ける身体能力を持っているヴィルヘルムとかいう男と黒い軍服の奴らに多少の恐怖はあった。ほんとに、あいつ等いったい何なんだよ…………

 

「って、考えても仕方ねぇか……」

 

そう、呟いてごちゃごちゃになった頭ん中の整理と身体を休める為に、ベットに横になりそのまま瞳を閉じた。

 

ーーーーーーーー

 

「はぁ………」

 

今日で何度目か分からないため息を吐く。あの日から3日が経ったけど未だに進展はなく手がかりも見つからないままだった。

変わった事といえば、今日クリスちゃんが目覚めた事と入院していた翼さん達が明後日に退院するってことを師匠から教えてもらっただけでそれ以外は特になかった。

私もなにか力になりたかったけど師匠たちは『気遣いは感謝するが、君には学生としての本分がある。後の事は俺たちに任せてくれ』っていうような事を言われちゃった。

 

「はぁ………」

 

でも確かに師匠たちの言う通り、来年で私達は卒業するから学業を疎かにできないのはわかる。でも、あの戦いで私だけが無傷でいた事に翼さんたちに申し訳ない気持ちが半分あった。

そして、もう半分は………………

 

「あの子の名前………なんて言うんだっけ……?」

 

そう、あの時出会った、眼鏡の子の名前が思い出せない(・・・・・・)のだ。あの日の出来事はいくら私がバカでも脳裏に焼きついていて忘れたくても忘れられないのに、あの子の名前だけはまるで霧がかかったかのように思い出せない。

 

「はぁ………」

 

またため息を吐く。かれこれ一日中に何回したんだろう。そのせいか、授業にあまり集中できなくて先生に何度怒られたか………いや、しょっちゅうだったような。と、そんなモヤモヤした気持ちのまま昼食も食べずにそのまま学校の屋上に向かっていた。途中で未来の呼び止める声が聞こえたけど今は、なんとなく一人になりたかった。と、そうこう考えていた間に屋上への扉の前に辿り着き、扉を開けた。

 

「って、寒ッ!?」

 

そういえば………この時期の屋上は結構寒くなるんだったっけ。念の為に、コート持ってきてよかったぁ……と思ってコートを羽織りながら辺りを見渡す。

流石にこの寒さの中なのか、屋上に来る子たちがまったくいなくて閑散していて……

 

「…………………」

「…………………」

 

いや、一人いた………その子は屋上に設置されているベンチに座って昼食のサンドイッチを黙々と食べていた。言うまでもなく、玲愛ちゃんだった。

そういえば、玲愛ちゃん、昼食はいつも屋上で食べてたんだっけ。

 

「……………………」

「えっと………玲愛ちゃん……?」

「……………………」

 

さっき、扉を開けた音が聞こえた筈なのに玲愛ちゃんは、気にもしないで食べ続けていた。

気になったので、私が隣に座っても何も反応はしめさなかった。

というより、こんな寒中の中で昼食を食べるのは中々勇気があるっていうかなんというか………

 

「さむい………」

「だあああああ!!??」

 

前言撤回、やっぱり我慢してた。ていうか、寒かったらせめて何か言ってよ玲愛ちゃん!コート貸してあげたのに!

そう思いながらもつかさずコートを玲愛ちゃんの肩にかける。と、ようやく私に気づいてくれたのか視線を私に(顔は相変わらず無表情だけど)向けてくれた。

 

「立花さん………いたの」

「いや、ついさっき来たんだけどね。あはは……というより、玲愛ちゃん、よくこんな寒い中で昼食食べれたね」

「うん、けど正直12月を舐めてた。天気予報も当てにならないね。でもコートありがとう立花さん」

「いいよいいよ、友達だから当然だよ」

 

そうはにかみながら笑うけどビュウと吹いた北風が当たってあまりの寒さに縮こまる。うぅ……コートないと余計寒い……!

 

「なんだったら、二人で一緒に着る?こう仲良く肩寄せ合って」

 

と、玲愛ちゃんがかけているコートの右裾を広げて、空いた部分のベンチをポンポンと叩いた。ようは、コートを二人でシェアして温まろうという事らしい。

そんな、玲愛ちゃんの好意に甘えて移動し入る。ふゆぅ……あったかい……

 

「あ、でも一応釘は指しておくけど。私、立花さんと、小日向さんと違って『そっち』の趣味はないからあまり期待しないで」

「いきなり、なに!?いくら私が彼氏いない歴=年齢だからって『そっち』じゃないから!?ノーマルだから!?」

「え?てっきり、暁さんと月読さんのように小日向さんと付き合っているのかと」

「未来はただの親友だよ!?あと、切歌ちゃんと調ちゃんは『そっち』側じゃないから!多分………」

 

そういえば、シェム・ハさんとの戦いの後、なんだが距離が縮まったような気が………アレってそういう意味じゃないよね?友達としてのアレがああなってアレになって、なんかややこしくなってきた!?

 

「ふふ……よかった、立花さん。いつもの調子に戻って」

「ふぇ?」

「今日、あまり元気なかったから心配してたんだよ?」

 

そう少しの笑みを浮かべながら私を見ている玲愛ちゃんの言葉から察するのに、玲愛ちゃんも玲愛ちゃんなりに心配してたから、私を元気づけようとしてあんな事を言ったのかな?玲愛ちゃんらしいといえばらしいなぁ……

確かに玲愛ちゃんは、ドライな発言をする事はあるけどこうやって心配してくれるから決して冷たい人じゃないって事は私がよく知っているから

 

「それと、立花さんのこと心配していたの、私だけじゃないってこと。知っているでしょ?」

「あ」

 

そうだった、玲愛ちゃんだけじゃなかったっけ。きっと……………と、そう思いかけた時だった。

 

「いた。やっぱり、屋上に来てたね響」

「ビッキー、今日元気なかったけど大丈夫?」

 

突然、聞いたことのある声が聞こえてきてそっちへ向くと案の定、未来だった。他には、同じクラスで友達の板場弓美ちゃん、寺島詩織ちゃん、安藤創世ちゃんも私の事を心配してくれたのか、未来と一緒に来ていた。

 

「今日の立花さん、表情があまり優れていませんでしたので、何かあったのか気になって」

「あの時といい、この前のことといい、ホント響って、アニメの主人公みたいな生き方してるよねぇ」

 

さっき、私の事を『ビッキー』って呼んだ創世ちゃんは、久しくなった人や友達によくニックネームをつけていて、未来の場合は『ヒナ』、玲愛ちゃんは『ヒムテン』と、言った具合にちょっとネーミングセンスはあれだけど、基本使っているのはこの子だけで後はみんなにはあまり浸透していない。

詩織ちゃんは普段はおっとりとしてるけど、意外にも有事の時にはまったく慌てずに落ち着いていて、結構肝が据わっているんだ。あと、結構ノリがよくて今年と昨年の秋桜祭での『アレ』はすごかったっけ。

最後に弓美ちゃんは、さっきの比喩表現のようにアニメが好きで、このリディアンに入ったのもアニソンを広めるためって言ってたけど、結局あれどうなったのかなぁ……?

因みに、最近のブームは『シルヴァリオサーガ』っていう三部作のアニメシリーズでアニメ以外にも他の方でも結構人気みたい。弓美ちゃんの他にも玲愛ちゃんと切歌ちゃんも、ファンだから時折そのネタが出ることがあると思うけどあまり気にしないで。私もあまり知らないから!って、誰に言ってるんだろ私………

 

ともかく………未来と玲愛ちゃんだけじゃなく3人も私の事を心配してくれていたんだ。そうだよ、自分は一人なんかじゃない。翼さんや、クリスちゃん、マリアさんに切歌ちゃんと調ちゃんだけじゃなく、私が守るべき日常の弓美ちゃん、詩織ちゃん、創世ちゃん、玲愛ちゃん、そして親友で私の大切な陽だまりの未来がいるんだから。

 

「みんな………ごめん、心配かけさせちゃったみたいで」

「別にいいよ。3日前からずっと元気がなかったから。なにかあったの?」

「よかったら、相談にのってあげますが」

「なははは………うん、ちょっとね」

 

けど、どうしよう……いくら、私がシンフォギア装者である事を五人は知っているとはいえ、任務の事は極力外部には話さないようにって、師匠に言われているし。とりあえず、私は任務の内容は少しぼかして未来たちに話した。

 

「なるほどねぇ、顔は知ってはいるけど名前だけは思い出せない子、かぁ………」

「立花さんは、ちゃんと名前を教えてもらったんですよね?」

「う、うん………」

「確かにそれはおかしいね、いくら人助けで遅刻するのは序の口でテストは赤点ギリギリ、挙句の果てには夏休みの宿題を二学期までに終わらせられずに提出期限を延長させてもらった立花さんでも始めて会って教えてくれた名前をたった3日で忘れるのはありえないから」

「酷いよ!?玲愛ちゃん!?」

「うわぁ、ひむてん相変わらず容赦ない………」

「あはははは………あの時は、本当にありがとうございました………」

 

うぅ………確かに夏休みの宿題、玲愛ちゃんも手伝ってくれたのは事実だけど流石に馬鹿だってことは自覚している私でも流石に凹む………

 

「けど、それが立花さんのいいところなんだけど」

「玲愛ちゃん……!」

「ビッキー、ひむてんに言いくるめてられてるから………」

「しかし、名前は覚えていないのにそれ以外の事は覚えてるとなると………名前は忘れてもその人と会話をした記憶は確かにある、と?」

「うーん……例えるなら、シルヴァリオのゼファーとマイナ、アッシュとレインみたいな?そういう感じ?」

「いや、それは流石に違うと思うよ……」

 

詩織ちゃんの仮説にいつも通りのアニメの比喩表現で例えた弓美ちゃんに苦笑する未来。

でも、それだとどうして覚えているのに名前だけはすっぽりとそこだけ抜け落ちてるんだろう……?

あ、そういえば………そもそも、あの時どうしてあの子は悲しそうな表情をしていたの?わからない………けど、あの子はあの黒軍服の人たちの中でなにか違うような気がしてならない。 

もしかしたら、話し合えば分かりあえるかもしれない。今度、また会えた時にその事を伝えよう。どうしてこんな事をしたのか、なにが目的なのか、私になにか出来ないか、今度こそ絶対に……

 

「響?」

「うぇ!?あ、ごめん!考え事してた………」

 

あ、しまった。余計に心配させちゃった………。と、そんな暗かった空気を創世ちゃんのある提案で吹き飛んだ。

 

「じゃあさ、久々にみんなで『ふらわー』に寄って行く?最近、おばちゃんに顔見せてないからさ。それに、ビッキーを元気づけるためにもさ」

「おっ!いいね、久しぶりにみんなでお好み焼き、食べよっか!」

「だ、そうです。立花さんが嫌でなければですが」

 

『ふらわー』………!そういえば、最近行ってないなぁ………、おばちゃんにもあんまり会ってないし……

それに私を元気づけるためって、言ってくれてたあたり、私の事を気遣ってくれているんだ。

うん、だったらもちろん……!

 

「ありがとう、創世ちゃん。未来もいいよね?」

「うん、響がそう言うなら」

「よっし、決まり!あ、だったらさ氷室も一緒にどう?」

「お誘いありがとう。けど、今日はお客が来る日だから、早く帰らないといけないの」

「お客………?」

 

お客?玲愛ちゃんのとこに?誰なのかな………?

 

「それじゃあ、そろそろ昼休みが終わるよ?」

「えっ?って、ヤッバ!?もうすぐ時間じゃん!!じゃあ、放課後!一緒にふらわーで!」

「あ、うん!わかった!」

「では、立花さん、小日向さん、お先に失礼いたします。」

 

と、弓美ちゃんはそれだけを言って先に屋上から出た氷室ちゃんの後を追うように詩織ちゃんと創世ちゃんと一緒に教室へ戻っていった。

 

「私達も戻ろっか、響」

「あ、うん。そうだね、未来」

 

と、私も未来と一緒に戻る。ちょうどチャイムがなる一分前で、急ぎ足で屋上を出ていった

いつの間にか、心のモヤモヤは晴れていた。




突然ですが………実は、新作を二本書こうと思いまして、DBの更新がまた遅くなるかもしれません。
元から不定期だからなんだ?とか思う読者がいるかもしれませんが………
因みに書く新作はこちらになります↓

・結城友奈は勇者である×ゼノブレイド2クロスオーバー

・中学の頃、pixivで書いてた魔法少女まどかマギカとゴッドイーターのクロスオーバー小説のリメイク


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ACT5

ルサルカ「今年でシンフォギアが10周年になるのね〜」
響「そういえば、思ったんだけど、ルサルカちゃんたち(Dies irae)は、今年で何年になるの?」
ルサルカ「確か発売されたのが2007年だから……今年の12月21日に15周年になるわね」
翼「シンフォギアが5年後の2012年に放送されたことを考えると、何処か馴染みを感じるな」
螢「そもそも、聖遺物というアーティファクトを用いて戦うというのはある意味、Dies iraeが原点じゃないかしら?」
響「じゃあ、つまり、螢ちゃんたちは私達の先輩ということなんだね!」
螢「な、何言ってんのよアンタは!?/////は、早く話を進めるわよ!//////」
翼「ハハハ、櫻井は可愛いな」
螢「〜〜ーーーー!!!/////やっぱり、アナタ嫌いよォ!!!//////」


というわけで、長らくおまたせしたした。最新話をどぞ


ー切・呪りeッTぉー

ーα式・百輪廻ー

 

「「はあああっ!!」」

 

と、切歌は鎌の刃部分を分裂させてブーメランのように投擲、調は左右のヘッドギアホルダーから小型の丸ノコを連続で放つ。が、しかし………

 

「ふふっ、そーれっと」

 

相対する敵………『ルサルカ・シュヴェーゲリン』と名乗った少女が操る黒い蛇のような生物にまたたく間に噛み砕かれ、有るいは避けられてしまう。

そう、先程から切歌と調の二人は彼女が操る黒い蛇のようなものに翻弄されており、疲弊がありながらも戦っていた。だが、改良型とはいえLiNKERの制限時間はそう長くはなく徐々にギアとの接続が弱まっているのも時間の問題だった。

 

「へぇ?私のナハツェーラーにここまで耐えれるなんて。けど、見た限りあなた達のそれって時限式でしょ?疲労の顔、見えているわよ?」

「「ッ!!」」

 

しかも、その事を相手に見破られていることに二人は歯噛みする。

しかし、それでも戦況が悪い事には変わらない。だからこそ、二人は次なる一手をかける。

 

「切歌ちゃん!」

「ッ!ハイです!」

 

お互いやる事がわかったのか、各々の武器を構えて仕掛ける。まず、最初に調がナハツェーラーと呼ばれた影の怪物へ、先程と同じようにヘッドギアホルダーから小型の丸鋸を複数飛ばす。だが、やはりと言うべきかことごとく躱されていくが、それでも調は丸鋸を飛ばすのをやめなかった

 

「ちょっとなに?またさっきと同じやつ?別にいいけど、少しは学習とかしたら………」

 

ふと、ルサルカはある違和感に気づいた。よく見たら、先程まで居たはずの獄鎌の歌姫(切歌)の姿が無く、何処へ行ったのかと目を動かした瞬間

 

「とったデスッ!」

 

と、頭上から叫び声が響き見上げるとそこには自身のアームドギアである鎌を振り上げて、ルサルカへと斬りかかろうとしていた切歌がいた。

そう、調はナハツェーラーを引き寄せる為の単なる囮であり、そのスキに切歌が手薄になったルサルカへとその刃を振りかぶる。

とった。と、二人は完全に信じていたゆえに………

 

「なるほど、よく考えたわねぇ。けど、残念〜」

 

という余裕綽々な声と共に、切歌の瞳には軍服を斬られながらも肌には何一つ傷がないルサルカの姿が写った。

 

「んなぁ……!?」

 

ありえない。完全に手応えはあった。なのに、これはどういうことだろうか?そう思考する切歌の後方から

 

「切ちゃん!後ろ!」

 

という調の叫び声と共にどこからともなく鎖が4つ出現し彼女の四肢を絡み取り、引き上げる。

 

「ああっ!!??」

 

とっさのことの驚きと、四肢を鎖で縛られる痛みに苦悶の叫び声を上げる切歌。ふりぼとこうにも、鎖はただガチャガチャと音をたてるだけで、逆に締め付けられていくだけだった。

 

「よくもぉ!!!」

 

その姿を見て、激昂した調は先程相対していたナハツェーラーを弾き飛ばし、すぐさま脚部のローラーを走らせて、ルサルカへと突撃する。

だが、しかし……

 

「ッア―――――――!?」

 

ルサルカまであと僅かというところで、調の動きが止まった。別段、鎖に縛られたわけでもルサルカの放つ圧に屈した訳でもない。

原因は調の足元……いや、正確的には黒い帯のようなものが調の影に重なるように伸びていた。

 

「作戦としては申し分なかったけど、あいにく私達はあなた達とは違うの。でも安心して。今回はあなた達を殺す気は微塵もないから。とりあえず、今の実力を測ってただけの様子見だけ♪」

 

そして、調はそのまま出てきた鎖に足を巻き付けられそのまま縛られていた切歌へと投げ飛ばされ、直撃。そして、切歌を縛っていた鎖はまるで魔法のように消え、拍子に切歌を拘束していた物はなくなり、共に地面に激突。同時についにLiNKERの効果がきれたのか二人が身に纏っていたギアは消失しボロボロになった二人が道端に打ち捨てられた。

 

「今回はこの程度で済ませてあげる。それに、あなた達、よく見たら結構わたしのタイプなのよねぇ。だから、あまり傷つけたくないのよ。だから、今はおやすみなさい♪」

 

という、ルサルカの一言を最後に二人の意識は暗闇に沈んだ

 

ーーーーーーーー

 

「…………全然、敵わなかったデス」

「うん………」

 

病院の休憩スペース、そこに設置されているベンチに座り、あの日の事を思い出していた二人。今の彼女らには悔しい思いでいっぱいいっぱいになっていた。

 

「調………アタシ、悔しいデス……!」

「私もだよ………!切ちゃん………!」

 

震える声で徐々に肩を奮わせるふたり。

二人揃えば、怖いものなんか無いザババの刃を、二人の自負とも言える信念をあのルサルカと名乗る少女に軽くあしらう程度に完膚なきまでに叩きのめされた二人の心は、ある意味で不安定になっていた。

 

「ここにいたのね、ふたりとも」

「マリア………?」

 

そんな二人の元へ、頬にガーゼを張ったマリアがやってきた。同じく彼女もひどい怪我だったがクリスよりはいくぶんかマシなものであった。

 

「元気を出しなさい、命があるだけでもいいじゃないの。奴らの目的がなんなのか、わからないけど今はお互いに無事だったことに感謝しましょう」

 

って、私が言えた義理じゃないけど、と苦笑するマリア。どうやら彼女も彼女で、あの敗北にはなにか思うところがあるのか何処か俯きさがあった。

だが、こうして無理に笑顔をつくり二人を励ましているのは、自分が装者たちの中では、一番の年長だからという責任からだろう。

そんな、彼女の心境がわかったのか、二人も目尻に出ていた涙を拭いた。

 

「そう……だね、うん。マリアの言うとおりかも……!」

「はいデス!次こそはリベンジしてやるデェス!」

 

そして、次には瞳に活力を宿し、ルサルカと名乗った少女への

一方で、マリアは別のことを考えていた。

それは自ら相対して敗北した、バビロンと名乗った女性と彼女がトバルカインと呼んだ異形。実際はトバルカインに

しかし、それ以上にマリアはバビロンにある違和感を覚えた

 

(あの面影、何処かで………)

 

そんな彼女の悩みはしかし、答える者はいなく。ただただ時間が過ぎ去っていくだけだった………

 

ーーーーーーーー

 

「いやー!久しぶりに来たけど、やっぱおばちゃんのお好み焼きはおいしかったねー!」

「うん!私もつい、3枚も食べちゃったよ〜」

「もう響ったら、食べすぎ。今日の晩ごはん、食べれなくなっちゃうよ?」

 

時刻は夕方、そんな他愛のない会話をしながら私達は都市郊外を歩いていた。 

放課後に『ふらわー』によった私達はそこでお好み焼きパーティをしてきた。久しぶりに食べたおばちゃんのお好み焼きはとっても美味しかったなぁ〜。あ、でも一番はもちろん、未来のご飯だよ!

 

「でも用事があったからとはいえ、玲愛ももったいないねぇ〜、あの子も結構おばちゃんのお好み焼き気に入ってたからさ〜」

「だから、こうやってお土産のお好み焼きを持っていこうって皆で提案して、今玲愛ちゃんの住んでいる教会に行ってるんだよねー」

 

そう、私達は今玲愛ちゃんの住んでいる郊外の教会に向かっていて、理由はもちろんお好み焼きを届けにいっているんだ。教会には何回か行ったことがあるから皆、道筋は大体わかるけど、せっかくだし皆でお好み焼きを届けに行こうとこうして電車を乗り継いで、都市の郊外地を歩いていた。

郊外って言っても周りは都市部とあまり変わらなくて、強いて言えば高層ビルとかがあまりないってところ。それで、その郊外を少し進んだところに教会があって、そこに玲愛ちゃんとリザさんが住んでいる。

あ、リザさんっていうのは玲愛ちゃんの保護者で、何処かマリアさんみたいな大人びた女性の人で、弓美ちゃんが思わず『もしかしてイヴさんご本人ですか?』と言うほど母性が溢れているんだ。因みに玲愛ちゃん曰くFカップらしい。

 

「しかもご厚意でリザさんの分も作ってもらいましたしね」

「うん!きっとリザさんも喜ぶ………って、ん?」

 

そんな会話をしていたら、何処からか声が聞こえてきて、そっちに視線を向けると………なんか、男性の人が女性にビンタされて、あ、ビンタされた男性の人が立ってふらふらと女性に近づいた。

 

「ご、誤解ですお嬢さん。私はただ、道を聞こうとしただけで………」

「近寄らないでって言ってるでしょ、この変態ッ!」

 

で、ドカン、ズカ、バキバキ、ガッシャーンって音が聞こえそうな程、その人は女性に完膚なきまでに叩きのめされて……あ、ゴミ捨て場に捨てられた。

 

「うっわぁ、これは酷い………」

「災難というかなんというか……ご愁傷様としか……」

「あのっ!大丈夫ですか!?」

「あ!響!」

 

横で弓美ちゃんと創世ちゃんがそうつぶやくのを聞きながら私はゴミ捨て場に倒れた男性の人の元へ走った。

 

「立てますか?」

「だ、大丈夫です………ご心配なく………」

 

と言って、ゴミの山の中から抜け出したその人はポンポンと服に付着したものを払い落とした。

その人の見た目は金髪に眼鏡をかけて、服装に神父さんが着てるような黒いカソックを着込んだなんだか何処か抜けているような雰囲気がする男性の人だった。なにより特出するのが………

 

「でっかぁ………」

 

横で駆けつけてきた弓美ちゃんがそう漏らすほど、身長がとっても高くてもしかしたら師匠と同じかな?と思うほどだけど、違いといえば、大柄というよりは何処か枯れ木だと思わせるほどだった。

 

「いやはや、捨てる神あれば拾う神あり。この国にはこういうお言葉がありますが、正しくそれですね。あなたのような人に」

「へ?あ、いやぁ〜あはは……それほどでも〜」

「コラ、響。ところで、さっき何があったんですか?思いっきり叩かれてましたけど………」

「いえいえ。お気になさらず、道を訪ねただけなのですが、どうも宗教の勧誘と間違われたみたいでして」

 

なるほど。つまり、道を訪ねようしたら怪しい宗教の勧誘かと思われて。それはなんというか………

 

「災難、でしたね………」

「あははは……あの程度、慣れているとはいえ少し心に来ますね」

「ちょっと待って、今聞き捨てならない発言が聞こえたんだけど。えっ、慣れてる?えっ?」

「ところで、道を訪ねようとしたと聞きましたけど、何処へ行こうとしていたのですか?」

「えぇ、はい、実は教会へと行こうとしていたのですが、どうやら、街並みが私の記憶とすっかり違っていたのでみちを訪ねようとしたところ………」

「宗教の勧誘と間違われて手痛くボコボコにされて、ゴミ捨て場に捨てられたとこを……」

「立花さんがアナタを心配して来たと同時に私達と会ったと」

「えぇ、お恥ずかしながら……」

 

まさかの偶然だった。私達も教会に行こうとしてたところだったからちょうどよかった。

 

「だったら、私たちが案内するよ!実は私たちも教会に行くところだったから一緒にどうかな?」

「よろしいのですか?見たところ御学友みたいですし私がいたら迷惑では……?」

「いいんです。あなたがよろしかったらですけど……」

 

未来が聞いてきたところで、その人は私達の言葉がとても嬉しかったのか徐々に笑顔になってきて。

 

「おぉ……!まさか、ご心配されるだけでなく道案内までしてくださるとは、このめぐり合わせは主のお導きに違いない。もしやあなた方は天使さまなのでは?」

「いや〜、天使だなんてそんなぁ〜」

「響」

 

おっと、思わず口に出しちゃった。いやでも天使なんて言われたら誰だって嬉しくなっちゃうよね?そうだよね?だから、未来ジド目で私を見るのやめて。と、後ろで苦笑していた弓美ちゃんたちをあまり待たせちゃいけないと思って、私は軽く自己紹介することにした

 

「私は立花響っていいます。こっちは友達の未来と創世ちゃん、弓美ちゃん、詩織ちゃん。えっと、あなたは…………」

「あぁ、申し訳ありません。私としたことが自己紹介がまだでした。トリファ、『ヴァレリア・トリファ』と申します。見ての通り、神父をしております」

 

 

そう言って、神父さん……トリファさんは優しげな微笑みを私達に浮かべた。




切歌「調、さっきからなにしてるんデスか?」
調「二日間、病院にいると思って、氷室先輩に家からそばもんのぬいぐるみを持ってきてって頼もうとメールを………」
切歌「お願い、それだけはやめてほしいデス。逆に私たちが、眠れなくなるデス」
調「なんで?そばもん可愛いのに……」
マリア「貴方もそうだけど、彼女(玲愛)の感性を少し疑うわ……」


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ドラマCD時空
雪音クリス(ついでに氷室玲愛)誕生日


今年最後の投稿と言ったな、アレは嘘だ!!

すいません………クリスちゃんの誕生日と聞いて僕もなにかしたく………今度こそこれで今年最後の投稿になります。
因みに一日で作ったので、台本形式になっているのとこの先のネタバレが含まれますので…………


響「というわけでクリスちゃんと玲愛ちゃん、お誕生日おめでとーーー!!」

 

「「「「おめでとーーー!!!」」」」

 

の言葉と共に鳴り響く無数のクラッカー音、その中心に立つのは、顔を赤らめて照れている雪音クリスと少しだけ笑みを見せている氷室玲愛。

 

玲愛「ありがとう皆」

響「ごめんねー、玲愛ちゃん。3日遅れだけど誕生会ようやくできたよー」

玲愛「わざわざごめんなさい。それに3日遅れになったのは作者が本編の最新話を…………」

ルサルカ「ちょっとゾーネンキントッ!?その発言は流石にアウトよ!?」

 

玲愛のメタな発言に、ツッコむルサルカ。まぁ、確かに事実だけども………

 

玲愛「でも、本当の主役は私じゃなくて貴方よ雪音さん」

クリス「わ、わーってるよ………まぁ、ありがとな」

切歌「いえいえ、どうってことないデス!」

調「あ、因みにコレ、私と切ちゃんからクリス先輩と氷室先輩にプレゼントです」

 

そう言い、二人にプレゼントを渡す切調コンビ。それにつづいて他の面々もプレゼントを渡していく。…………ルサルカだけは、プレゼントがアレだったのか投げ返されてしまったが…………

 

トリファ「あのー、ちょっとよろしいですか?」

響「?どうしたんですか、トリファさん?」

トリファ「あのですね、確かに誕生日を祝うのはとても良いのですが………………ここ、一応敵地だって事わかってます?」

 

そう、クリスと玲愛の誕生日会の会場は郊外の教会………すなわち、聖槍十三騎士団現地在留組の本拠地でやっていたのだ。

 

トリファ「それに、マレウス達は次回で登場するとして、私なんて出番はまだ先ですよ?大丈夫なんでしょうか?」

玲愛「大丈夫よ、だってこれは特典のドラマCD時空の様なものだから、本編じゃ出来なかった私の誕生日会もこの空間でなら許されるわ」

マリア「いや、流石にその発言はどうかと思うわ(汗)」

 

またもや玲愛の発言にツッコむマリア。他の面々もガイストを除き苦笑している。

 

トリファ「ま、まぁでも確かに本編では出来なかったテレジアの誕生日会も、今回特別なはからいでやれましたし。私も正直言って嬉しい限りです。ですのでテレジア!!今日一日、私の事をパパと呼んでもぐぼっ!?」

 

おっと、リザさんにみぞおちを殴られたコレは痛い。まぁ、神父さま頑丈だから別に大丈夫でしょ(笑)

 

リザ「ごめんなさい、雪音さん。うちの神父が迷惑をかけたみたいで」

クリス「あ、ああ………別に構わねえよ。向こうの馬鹿もあんな感じだし」

 

そう言いながら、響へと視線を向けたクリスにリザは何処か納得したような顔をした。

 

ルサルカ「で、後プレゼント渡してないのは…………」

ヴィルヘルム「あ?」

 

おや?ルサルカが他の皆様から離れて壁に寄りかかっているヴィルヘルムに視線を向けましたね。

 

ルサルカ「ちょっと、ベイ?魔弓の歌姫(イチイバル・ディーヴァ)とゾーネンキントにプレゼント渡してないのアンタだけよ?」

ヴィルヘルム「断る。っーか、なんで俺が劣等共の祝い事に参加しなきゃなんねーんだよ」

クリス「……………だったらなんでいんだよ。別に参加しなくてもいいだろ」

ヴィルヘルム「ああん?」

 

おっと、ただでさえ本編で犬猿の仲な二人なのにヴィルヘルムの発言にクリスが不機嫌になり、二人の間に緊張が走る………

 

翼「おい、雪音。やめておけ、せっかくのお前の誕生日に争い事は」

ルサルカ「ちょ、ベイ!?流石にこの場でその発言はないんじゃないの!?」

 

翼とルサルカが止めに入ろうとするも、二人は聞く耳を持たず睨み合っている。と、そこに爆弾を投下するものが一人…………

 

螢「でも待ってベイ。確か貴方、前日の夜にアクセサリー屋に行ってたの見かけたけどもしかして………」

ヴィルヘルム「バッ!?レオンテメェ!!」

 

そう、螢のその発言にヴィルヘルムは一瞬であるもの狼狽えたのだ。

 

クリス「アクセサリー屋?お前が?全然似合わねぇだろ、だったらなんで………」

ヴィルヘルム「チッ!だーーーー!!!クソが!!そらよ、勝手に受け取っとけ!!」

 

ガサガサとヴィルヘルムが、ズボンの後ろポケットに手を回すとそこから包装された小さな長方形の箱を二つ取り出しクリスと玲愛に手渡すと部屋から退出していった。

 

クリス「な、何だったんだよアイツ……」

玲愛「とりあえず中身見てみる?」

 

玲愛の言うとおり包装を丁寧に剥がすクリス。中身は…………

 

クリス「ネックレス………?」

響「わぁー……綺麗だね、クリスちゃん」

ルサルカ「へぇ?アイツにしてはなかなかいいチョイスじゃないの?」

 

それは、小粒の紅い宝石が下げられたネックレスであり、クリスによく似合うように見える。

玲愛も同じで白銀のネックレスで、彼女にピッタリだった。

 

ルサルカ「全く、あるなら渡せばいいのに。アイツも素直じゃないんだから。さっ、プレゼントも渡し終えた事だしパーティ再開しましょ♪」

切歌「はいデーース!」

響「あ!私もーー!」

 

と、ルサルカの言葉を合図に誕生日会を再開する。一方、クリスはヴィルヘルムが出ていった出入り口を見つめていた。

 

クリス(気のせいか………?部屋から出る時、アイツ……………)

 

 

 

ベイ『……………誕生日、おめでとうな』

 

 

 

クリス(って言っていた気が……………)

 

クリス「………………不器用な奴」

響「クリスちゃーーん!!早くしないと料理なくなっちゃうよーー!!」

クリス「あ、ああ!今行く!あと、料理残しておけよーーー!!!」

 

 

 

 

Alles Gute zum Geburtstag(誕生日おめでとう)!!雪音クリス!あと氷室玲愛!

 

 

 

 




「はぁ?なによあの女(アマ)ヴィルからのプレゼントですって?私なんか一度も貰ったことなんてないのにでも私はヴィルがいるからそれはそれでいいんだけどそれは別としてふさげんなホルスタイン女ヴィルからプレゼントを貰うなんて生意気にも程があるわよどうせ胸以外は何も栄養いってないじゃないのそれなのにヴィルに許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイ…………………」


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切歌誕生日会

今日は切歌ちゃんの誕生日なので、そんな話を。(本編はまだお待ちを………)

礼のごとく、一日で仕上げたので台本形式仕様&クオリティはアレになってますがご容赦をば………


響「せーの………切歌ちゃん!!」

 

「「「「おめでとーーー!!!」」」」

 

の言葉と共に鳴り響く無数のクラッカー音、その中心に立つのは、嬉しそうに照れている本日の主役である暁切歌である。

 

切歌「えへへ〜、皆さんありがとうデス〜」

調「おめでとう、切ちゃん。ハッピーバースデーはい、これ私からのプレゼント」

切歌「調〜!ありがとうデスー!」

 

と、調が誕生日プレゼントを渡したのを革切りに他の皆も誕生日プレゼントを渡していく。その横でマリアは、リザに何か申し訳無さそうな表情で何か言っている。

 

マリア「なんか、すいません。また、教会を貸し出してしまって」

リザ「いいのよ、玲愛も楽しそうみたいだしこういうのも悪くないから」

 

そう謝るマリアに対して、リザはそう諌めながら視線を玲愛に向ける。視線の先では、玲愛が切歌にプレゼントを渡していた。

 

ヴィルヘルム「ったくよぉ………毎度毎度、劣等の野郎どもは生まれた日ぐらいではしゃぎやがってよぉ……」

クリス「とか、言いながら前日にアクセサリー屋にアイツへのプレゼント選びに行ってたのアタシ知ってんだぞ?」

ヴィルヘルム「バッカチゲーよ!!アレはマレウスに買いに行けって言われただけだ!!」

 

とまぁ、こんな会話もあった中で次はルサルカの番になった。正直不安しかない………

 

ルサルカ「はい、これ私からのプレゼント。きっと、気にいると思うわよ〜?」

調「怪しい………前にクリス先輩に渡したのじゃないよね?」

ルサルカ「ちょっとなに?シュルシャガナ・ディーヴァ(鏖鋸の歌姫)。まるでそれ、私が変態みたいな言い方じゃない?」

 

まぁ、確かに前回クリスに渡したプレゼントは投げ返されたから、ロクなもんじゃなさそうだし調もジド目でルサルカを見据えている。

 

切歌「まぁまぁ、調〜。さーて、ルサルカからのプレゼントはなんデス…………か?」

 

なんやかんや言いながら包み紙を開封し中身を取り出す切歌。中にはいっていたのは…………

 

ルサルカ「ストリップ衣装〜〜貴方のサイズにあう衣装を探し出すのに、結構苦労したのよ?気に入ってくれたら…………」

調「切ちゃんにナニ渡してるの!!」

ルサルカ「どいふ!?」

 

あ、ルサルカさんが調さんに尻蹴られた。まぁ、当然か。

 

ルサルカ「ちょっとなにしてくれてんのよ!鏖鋸の歌姫(シュルシャガナ・ディーヴァ)!!!私のプレゼントにケチつけるつもり!?」

ヴィルヘルム「いや、さすがにあんなの渡されたら誰でも蹴るぞ?」

 

ヴィルヘルムの返事にルサルカ除く全員がウンウンと頷く。まぁ、プレゼントがストリップ衣装だったら誰だって蹴るよね。

 

ガイスト「あの………ストリップとは一体………」

響「ガ、ガイスト君は知らなくていいから!!」

 

と、純粋なガイストが響にそう質問するけど響は、顔を赤くして拒否ってるけどまぁ仕方ないよね。

 

切歌「さ、流石にこれはちょっと受け取れないデス…………」

ルサルカ「はぁ!?貴方も!?」

切歌「だって、私はストリップなんかやらないですし、こんなスケベな衣装、恥ずかしくて着れないデス!!」

ルサルカ「えっ」

切歌「えっ、ってなんデスか!!えっ、って!!」

ルサルカ「え嘘……?貴方、自覚ないの?嘘でしょ……あんなポールダンスやっておきながら………」

調「どういう事………?」

ルサルカ「はぁ………ねぇ、獄鎌の歌姫(イガリマ・ディーヴァ)、ちょっとこっち来なさい」

 

と、ここで、ルサルカが切歌を手招きして懐からスマホを取り出すと切歌と調に見せる。

すると、切歌の顔がだんだんと赤くなっていき、調は何かを察した。

 

切歌「デデデデデデデデデ……………/////////////」

調「あ、これって」

ルサルカ「わかった?っていうか、毎度シンフォギアを身に纏うときにいつもあんなポールダンスしてたら、誰だってスケベだって思うわよ」

切歌「デデデーーーース!?///////////」

 

そう。ルサルカが見せたのは○ou○ubeのシンフォギアチャンネルにアップロードされてる切歌の変身バンク(XV仕様)である。

 

ルサルカ「因みに再生数は他の歌姫(ディーヴァ)の変身バンクシーンの中でダントツの一位。まぁ、大半はオカズにされ……………」

切歌「デデデデデーーーース!?/////////」

ルサルカ「因みにこの変身バンクをモデルにしたアナタのインナーverフィギュアが制作されるそうよ?(マジです)」

切歌「デデデデデデデデデデデデデデデーーーーース!!!???/////////」

調「なぬっ!?予約しなきゃ…………」

クリス「いや、何話してんだよお前ら」

 

しかし、顔を赤くさせながらも切歌はルサルカに反論する。

 

切歌「あ、アレは無意識にやっているだけでして別に私がスケベな人じゃないデス!それに私は常識人デス!」

ルサルカ「常識人〜〜?普通の常識人は墓参りの時に醤油1リットルをお供え物として持っていかないわよ!!」

切歌「なんですとぉ!!マムの好きな日本の味を馬鹿にするつもりデスか!?」

ルサルカ「日本の味つっても他にあるでしょうが!なんでよりによって醤油なのよ!?」

螢「ねぇ………お供え物に醤油ってどういう………」

マリア「ちょ、ちょっとね(汗)」

 

と、マリアと螢のそんな会話の横で二人の言い争いはヒートアップしていく。

 

切歌「大体、ルサルカもルサルカでスケベデスよ!なんデスか、DiesアニメOPでのあのダンスは!?」

ルサルカ「なによ!スケベで何が悪いのよ!女は皆スケベなのよ!」

切歌「言いやがったです!自分がスケベだって認めやがったデス!」

ルサルカ「アラ、じゃあアナタもスケベだって認めなさいよ!」

切歌「イヤデス!スケベなんてイヤデス!スケベはルサルカと調とクリス先輩で十分デス!」

ヴィルヘルム「オイ!先輩と相方に飛び火してんぞ!」

ルサルカ「あら言うじゃない………?じゃあだったら………どっちが本当のスケベなのか、ストリップポールダンスで勝負よ!!!」

切歌「望むところデス!」

リザ「トバルカイン」

トバルカイン「■■■■!」

 

あ、トバルカインが二人を黒円卓の聖槍でふっ飛ばされてホームランした。

 

調「切ちゃんーーーー!?」

リザ「ガイストの教育に悪いから、やめてくれないかしら二人共?」

マリア「ちょっと!?主役吹き飛ばしちゃったけど大丈夫なの!?」

玲愛「大丈夫よ、どうせこの話自体ギャグ漫画みたいなものだからギャグ補正でなんとかなるわ」

クリス「だからメタいって言ってるだろ!!」

 

えっとともかく…………

 

Alles Gute zum Geburtstag(誕生日おめでとう)!!暁切歌!!!

 




ガイスト「すいません、結局ストリップってなんだったんですか?」
『だから、ガイストは気にすんなって!!//////』
螢「っていうか、他の歌姫たちも大概その………(変身バンクが)スケベよね……」
5人『『「!!!???」』』


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バレンタインデー特別編(ムービー風)

皆さま、お久しぶりです。
新年に入っての投稿がまさかこれになるとは………
因みに元ネタは例のムービーです


玲愛「こんばんわ、生まれてこの方女の子から好きだと言われた事ないこの小説を読んでいるゾウリムシのような男ども諸君。これは実にモテない君たちのため、愛溢れる歌姫たちが小指の先程度の慈悲を贈ってやろうという、まことにありがたい企画である」

 

マリア「泣きなさい」

翼「そして、跪くがいい」

響「五体投地しながら」

未来「歓喜に振るえなさい」

 

玲愛「その上で、小汚い顔面をみっともなく歪ませるがいい」

 

クリス「どうせテメェ等、生涯女すらも」

切歌「手に入れられるはずがねぇんデスから」

調「もう、これで死んじゃってもいいんじゃない?とか」

 

玲愛「ぶっちゃけ私たちは思っている。なぜなら」

翼「…………」

マリア「……………」

切歌「………………」

 

玲愛「なぜなら〜?」

 

響「………………」

クリス「…………」

調「……………」

 

玲愛「おーい」

 

未来「え、えーっと………」

 

玲愛「なんで誰も続けないのよ」

 

装者+1『『『「続けていいわけないでしょ(デス)!!??」』』』

 

 

 

響「ちょっと玲愛ちゃん!?なにこの無茶苦茶な台本は!?」

 

切歌「なんで私たち、こんなの言わされているんデスか!?」

 

玲愛「面白くなかった?だいぶ昔に頑張って書いたのをわざわざ押し入れから引っ張ってきたのに」

 

翼「まさかとは思うが、氷室が書いたのか?」

 

玲愛「うん、かなりの大作に仕上げたんだけど、前は批評くらったからあなた達なら大丈夫かなって」

 

未来「仕上げたって、うわぁ……うわわぁ……」

 

調「どんな性格してたら、こんなのが書けるの……?」

 

響「ああ、未来と調ちゃんが引いてる。っていうか玲愛ちゃん!わざわざ私達を呼んだのって、もしかしてこれのため?」

 

玲愛「そうだよ、だって今日はバレンタインデー。なので、神座万象シリーズ(この作品)恒例のやつをあなた達にもやってもらおうと思って今日、昼食をひっくり返して無駄にした絶賛スランプ中の作者が苦し紛れに書いたんだから」

 

マリア「玲愛!?何回も言うけど、あまり作者さんには触れないであげて!確かに昼食は仕方なかったけど………作者さんだって忙しいのよ察してあげて」

 

玲愛「主にゲームにだけど………と、コホン。話がそれたわ。ともかく、それが駄目ならあなた達レズどもには不本意だと思うけど、一人ひとり画面の前の男どもになにか一言ぐらい言ってあげなさい」

 

クリス「かなりのトゲがあんぞオイ………ってか、誰がレズだ誰が!」

 

玲愛「えっ?違うの?」

 

翼「勘違いしていると思うが、友としての気持ちはあるが別段、恋愛的感情は持ち合わせてとらん。というよりひとくくりでレズと呼ぶのはやめてくれんか?」

 

玲愛「だって、小日向さんと月読さんはそうじゃないの」

 

小日向「玲愛ちゃん!?まぁ、確かに響にはそうだけど…………/////」

 

調「う、うん………////」

 

響「未来ゥ!?」

 

切歌「調ェ!?」

 

玲愛「チッ………見せつけて………ほら、時間が惜しいからさっさとやる。誰か最初に行きなさい」

 

翼「今からか!?で、ではえーっと………マリア、お前から行け。年長者でだろう?」

 

マリア「は、はぁ!?私が!?し、仕方ないわね………ちゃ、ちゃんと私が言ったあとにあなた達も続くのよ、コホン……………」

 

 

 

マリア「画面の前の皆、いつも私達を応援してくれてありがとう」

 

翼「おかげで、シンフォギアも今年で10周年となった。これも私達を支えてくれたお前たちのおかげだ」

 

調「だから、今日は特別に私達お手性のチョコレート…………は流石に無理だけど」

切歌「代わりに私達から感謝の言葉を贈るデース!みんな、本当に感謝感激雨あられデス!」

 

クリス「だからよぉ………なんつーか……あーもう!これからもテレビ以外でのアタシたちの活躍も楽しみにしてくれよな!////////」

 

未来「というわけで、公式ラジオ番組『戦姫絶唱シンフォギアRADIO』、アプリゲーム『戦姫絶唱シンフォギアXD』と一緒に、戦姫絶唱シンフォギアと神座万象シリーズを」

響「この戦姫絶唱シンフォギアDBと一緒に、よろしくね!それじゃあ最後にせーの!」

 

 

装者+1『『『「ハッピーバレンタイン(デース)!!」』』』

 

 

玲愛「はい、有象無象への義理はこれで果たしたとして、ガチ本命の方はどうする気なの?そこんとこ、教えてほしいんだけど」

 

クリス「あっさりと切り替えやがった!?自分で言わせといてなんだよその態度!」

 

玲愛「で、誰なの?教えてよ」

 

響「私?私はもちろん、未来とガイストくんにあげるよ。後は〜……氷室ちゃんと詩織ちゃんと創世ちゃんと弓美ちゃんでしょ?あと、師匠と緒川さん、藤尭さんあおいさん。それとお父さんにトリファさん、リザさん、えーっと………あ、翼さんは?」

 

翼「私は、一応、緒川さんとマリア、そして櫻井に渡すつもりだ。マリアは誰に渡すんだ?」

 

マリア「私は切歌と調の二人、リザね。本編じゃ敵対してるけど、私生活じゃお世話になってるし」

 

未来「調ちゃんは?やっぱり、切歌ちゃんにあげる感じ?」

 

調「うん、私自身かそばもんバレンタインバージョンの二択にしたんだけど切ちゃんは即答で私にしたの。やっぱり、切ちゃんは私が好きなんだね」

 

切歌「そ、そうデス………」

 

未来(あー……これ、明らかに選択肢一択しかないもんねぇ………でも、自分自身を出すかぁ………イケそうかも!)

 

 

玲愛「…………………あなた達に聞いた私がバカだった。それで雪音さん。貴方は本命いるの?まぁ、どうせヴィルヘルム()だと思うけど」

 

クリス「はあっ!?なんでアタシの本命がアイツってマジで言ってんのか!?んな訳ねぇだろ!!!それにアイツの事だからチョコレートなんて合わねぇだろ、だから代わりに」

 

玲愛「代わりに?」

 

クリス「お正月に作者にお年玉として貰ったなんだっけ……あぁ、ゴールデンシグナムちゃん人形(ね○どろいどぷちサイズ)をあげたわ」

 

〜〜〜

 

ベイ「つーかなんだこれ?アイツにもらったわいいがなんだこの生きもん?」

ゴールデンシグナムちゃん人形「ショギョウムジョウ!」

ガイスト「わ〜可愛いですね、ヴィルヘルムさん。いいな〜」

トリファ「というよりベイ、どこで拾ったのです?」

ベイ「知るかよ、魔弓の歌姫(イチイバル・ディーヴァ)に押し付けられたんだよ。なんかバレンタインか、どうかよ」

トリファ「あー………(察した)」

ガイスト「?(察してない)」

ベイ「はっ、ったくんなもん押し付けやがって………後でなにかお返し考えとくか

ゴールデンシグナムちゃん人形「ツンデレ乙」

ベイ「るっせぇ!」 

 

ガン!

 

ゴールデンシグナムちゃん人形「サラダバー!」ピカーーーーツ!

 

三人「「「えっ?」」」

 

 

その日、世界は謎の光によって半分消し飛ばされたが水銀がなんとかアクタエストファーブラして事なきを得た。



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ホワイトデー特別編(ムービー風)

本編ではなく、ホワイトデー特別編です。

こればっかりは3日前に仕上げました。ただ、途中の男性陣のセリフがちょっと自身がありません……それでもよろしければ……

あと、一人ほどキャラ崩壊しているのが居ますが、それもどうかお許しを……

因みに元ネタは例のごとく、あのホワイトデームービーです


凄く一撃必殺です「どうも、このお話を読んでいる読者の皆さん。すごく一撃必殺です。この名前を聞いて誰なのか、分かる人は即座に分かったと思いますが、まあ分からない人たちもここは黙ってついてきてください。なにせ先月のバレンタインデー特別編におきまして、うちのゾーネンキントと歌姫たちが少々頭のおかしいレベルの流出を発動してしまったため、真っ当にやっていると全員タマを潰されそうな気がするのです。いやしかし、それはそれでご褒美だという剛毅な者もいないわけではないのですが、やはりタマは守りたいので頑張っていきたいと思います。それではご拝読ください。今より我ら―――ここに無謬の紳士となる。よって麗しきご婦人がた。めくるめく紳士のエスコートをお楽しみください」

 

 

――――――

 

イザーク「それでは君たち、この栄あるホストクラブ 【グラムヘイズ】の従業員として今日この日を迎えたわけだが、それぞれ抜かりはないだろうか?股に蜘蛛の巣をはらせた女どもが、刹那的な潤いを求めて私達に群がる。ならばこそ、そんな彼女たちに幸せな夢を見せてあげるのが一流の紳士というもの。故に、君たちの磨き抜かれた個々の手並みを期待している。あまり失望させてくれるな?因みに………『ホワイトデーなわけだかから、女どもに白いの食わせなんぼじゃん。というわけでチョコじゃないけど俺の自家製白ジャムとか決めちゃっていいっすか?』という下ネタをほざくド三流は即刻、シュピーネと同じ便所掃除行きだからな!カーッペ!と言うわけで………」

 

トリファ「待って待って待って待って待って待ってください!!何なんですかこれ!?咄嗟のことで私、混乱しているのですが!?なんでホストクラブなんです!?」

 

イザーク「わからないと言うなら説明してあげよう。いいか?女というものはファンタジーに金を出すものだ。三十すぎても女の子などと自らほざき、姫様扱いに舞い上がるのがいい証拠だ。要するに、馬鹿なんだよ」

 

トリファ「馬鹿と言ってる時点で真っ黒なんですが!?紳士を通り越して詐欺師なんですけど!」

 

イザーク「勘違いしないでほしい。私はそんな女性を何よりも愛しいと感じているんだ。なぁ、君らならわかるだろう?藤尭くんに洸くん」

 

藤尭「つまり枕やっちまうと、夢が覚めちゃう話っすよね?ある意味執着度は上がるかもしんねーっすけど、ノリがもう生々しくてファンタジーじゃねぇっていうww」

 

洸「そうですよトリファさん。そう簡単に餌をやらずに、むしろその座を競わせた方が、長く太く絞れるじゃないですか」

 

藤尭「そうすりゃあ女どもは夢が見れて、俺らの懐は暖まる。万々歳しょ?wwチーフはそういう事を言いたいんだと思うだけと」

 

洸「大事な商売道具を痛めるような真似はしてはいけない、ってね。今宵の私たちは女性を心を射止める銀の男になるのさ」

 

トリファ「ツッコミが追いつかないのですが!?というより藤尭さん?貴方そういうキャラでしたっけ!?今現在進行形で、稼いだ人気をTESTAMENTしてますよ!あと、洸さん!あなたの姿を響さんが見たら泣くと思いますよ別の意味で!?そうですよね?ベイ」

 

ベイ「はっ!そりゃあ、そうだろクリストフ。誰がんなことやるかってーの。えっと……『クリスへ今日は俺を指名してくれ。でないとまたお茶引きだから、先輩たちにシメられる』………と」

 

トリファ「そのメールはなんですか!?明らかに参加する前提でクリスさんに送ってますよね!?っていうかシメられるんですかあなたが!?」

 

弦十郎「ははは、まあいいではないかトリファ。よくわからんが、今日は日々頑張っている響くんたちを労えばいいんだろ?流石にお酒を飲ませるのは禁止だが」

 

緒川「えぇ、それにそろそろ開店の時間も来てるみたいですので、訓示を纏めてみては?」

 

イザーク「いいだろう。まだ幾分不安もあるが、皆の腕を信じよう。ついてはここで本日の意気込みを語ってもらいたい。さぁ、今宵寂しく股を濡らしてこのドアを叩く姫たちへ各々見せる夢の形を紡ぐのだ」

 

トリファ「いや、もう紳士も糞もな―――」

 

藤尭「はいはーい!んじゃ、まずは俺から。コホン………」

 

 

藤尭「今日は俺を指名してくれてありがとう。けど、やれることといえば情報処理みたいなもんしかできない俺だけど、君の心を解析でもしてみるよ」

 

弦十郎「今宵は無礼講だ。今まで君たちにしてもらった分、今度は俺たちがお前たちに尽くすばんだ。なーに、安心してドンと、いつでも俺の胸に飛び込んでこい。今日だけは、甘えてもいいだぞ?」

 

トリファ「えぇ、はい。そんなあなたたちが、私にとっては眩しくて何よりも愛しいのです………それこそ、黄金にも勝るほどに……」

 

ベイ「けど、だからといって俺がいなきゃ何もできないなんて言うんじゃねぇぞ。男がいれば満足―――そんなつまんねぇ女じゃねぇだろ?そんなお前に、俺は惚れたんだからよ」

 

緒川「えぇ、なにせ僕ら男は女性にはめっぽう弱いものですから。時折、あなたに甘えたくなってしまうことがあるのです」

 

洸「でも、そんな甘えている自分だけどたまにはカッコいい姿を君だけには見せたいんだ。こう言う時ぐらい、見栄をはらせてくれ」

 

イザーク「そんな見栄をはりたいほどに、私たちは君たちを愛している。たとえ、黄昏の果てに行こうとも、その気持ちは、変わらない。故に私と、ファンタジーの先を歩こう―――さぁ、開店の時間だ」

 

トリファ「ええい!こうなればもうヤケです!行けるとこまで行ってやりますともええはい!」

 

ラインハルト「ハハ、中々に気合が入っているな我が爪牙。よいテンションだ。アゲていけ」

 

メルクリウス「心の隙間を埋める代わりに、財布の隙間を埋めてもらえるようガチで行きたまえ」

 

イザーク「あ……お、お疲れ様です!ラインハルト支配人にメルクリウス副支配人!」

 

藤尭「やっべえ!?伝説の二人が来ちゃったよ!?マジかよ今日、どうすんだよこれぇ!」

 

トリファ「支配人!?ラインハルト卿がここの支配人だったんですか!?しかもなにか知りませんが伝説になってるんですかぁ!?」

 

ベイ「頑張らないと。頑張らないと。頑張らないと。頑張らないと――――」

 

ラインハルト「ところで、マキナの姿が見えんが。イザーク、彼は何処へ行った?」

 

イザーク「はい、マキナさんは新人のガイストを連れて托鉢と言う名のキャッチ行ってます。なんでも新人教育も含んで太客を捕まえられそうな予感がするとか」

 

メルクリウス「ほう、それは上々。あの彼が進んで何かをするとは」

 

ラインハルト「流石は我が爪牙だな。むろん、それはお前もだカール。君の働きにも期待しているぞ。」

 

メルクリウス「無論だとも、獣殿」

 

藤尭「カッケェェェェェ!!!やっべ!俺もいつかラインハルト支配人にあんなこと言われてぇェェェェ!!」

 

ベイ「頑張らないと。頑張らないと。頑張らないと。頑張らないと――――」

 

弦十郎「はははっ、まぁ落ち着いたほうがいいぞ、ヴィルヘルムくん」

 

緒川「ほら、お客さんたちが来ますよ」

 

藤尭「さぁ、並んで並んで。お出迎えだ」

 

洸「来るよ、麗しの姫君たちが―――」

 

 

『『『『『【グラムヘイズ】へ、ようこそ!』』』』』

 

 

リザ「……………」巻き込まれたトリファと弦十郎、緒川に同情の視線をみせる

 

クリス「……………」呆れの表情

 

螢「………………」クリスと同上

 

未来「あーーっ………」苦笑い

 

響「お父さん………」呆れと軽蔑を含んだ目で見てる

 

有里「最ッ低……」侮蔑の眼差し

 

切歌「調、ルサルカ、なにも見えないデスし聞こえないデス?」調とルサルカに目と耳を防がれている

 

調「駄目だよ切ちゃん。見ちやいけません」

 

ルサルカ「そーそー、あなたにはまだ汚い大人の世界は早すぎるわ」

 

玲愛「風鳴さん、マリアさん、判決は?」

 

マリア「あなたたち………タマを出しなさい!

 

翼「この女の敵がッ!成敗してくれる!」

 

 

『『『『『なんでだよッ!?』』』』』



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