きくうしって…マジ? (わら味噌)
しおりを挟む

目を開けたらそこはザンクティンゼルでした

グラブル歴浅すぎですが書きたくなってしまった。
続けられたら続けますっ。


 流れる汗を服の裾で拭いながら目の前にある機械を弄る。こんなことができるの日本じゃあ犯罪だなと遠い故郷を考えながら。

 そうして銃のメンテナンスを終えて、倉庫の大半を占拠しているであろう機体を触りながら異常がないか、一つ一つ確認していく。

こういったまめな作業が好きなのは前世からの癖のような気がする。まぁ前世なんてこっちで生活を始めてから思い出すのも難しくなってきたけど

ふと作業を中断し、倉庫を見渡す。埃っぽい空気の中で俺がここで生まれてから集めたガラクタや飛空挺のパーツが乱雑に置いてある。

 いい加減ここも手狭になってきたと考え、中を見渡していると 

「おーい、フルトォ!機械弄ってねぇで畑の手伝いきてくれー!」

親父の声がどこからか聞こえてくる。もう少しだけ弄っていたかったんだけどなぁ。無論、純日本人の自覚というか記憶がある俺がこんな名前で呼ばれているのには深〜い理由がある。嘘ですそんな大した理由じゃないです。はい、転生しちゃいました(テヘペロ。

なんだかんだもうここ17年くらいこっちの世界で過ごしちゃってる自分が怖い。人間って慣れる生き物なんだなぁ。

「違うぞ!親父ー!先っちょだけ触れてただけだよっ」

とりあえず言い訳として返事をすると遠くから俺を呼んでいた親父はそれを弄っているって言うんだろとか呟きながら家の持つ畑に向かっていく。

俺もこのオイルと金属臭が充満した倉庫から出て、手伝いの準備をするために家に向かうことにした。

ほんとにここは良いところだ。気候も温暖、住民も気さく、産まれてから不自由なんてしたことない。 まぁ自販機やらコンビニやらがないがそんなのはなれちまえばどうってことないし。下手したらここは日本より住みやすいとさえ思っている。そう思いながら太陽の日差しを感じて歩いてるとなんだかスキップしたくなるな。

 「うわっ、兄貴くっさ!なんで毎回倉庫に行くのよ!バカっ信じらんない!」

 おっと道すがらでいきなり暴言を吐いてくる不届きものがいると思ったら俺の愛しの妹じゃないか。こいつ反抗期か? 

 「そんなに怒んなよ、我が妹よ。お前にはロマンってもんがわかんねーのか?それと最近あたりきつくね?」

 「洗う労力に比べたらロマンなんかクソくらえよ。それにこの島で二人しかいない大馬鹿野郎たちに優しくしたらきっとつけあがるからこのくらいが十分なんですぅ」

 まったく最近になって態度がきつくなってきて困るぜほんと。俺は知ってんだぞ、自分の下着と親父と俺の下着を分けて洗うために自分から洗濯を進んで受けてることをなっ。まぁ俺は千葉のお兄ちゃんじゃあないからとやかくは言わねーけど(偏見)

 「はいはい、すんませんねー。これからは善処しますよっと」

 「まったく兄貴がそういってやめたことないじゃない。もういいから早く手伝いに行ってよね」

 手のひらをひらひらと振りながら応答したら、もうっと怒りながらすれ違っていく。

 「そうだ、兄貴」

   妹が顔だけ振り向きながら付け加えた

 「家によるついでにこの島一のお空馬鹿に余った野菜届けておいて」

 「はぁ、ついでねぇ・・・りょーかい」

 ほんと素直じゃないねぇこの妹は。まぁ可愛げと言えば可愛げなんだろうけど。走り去る妹を眺めてから家のある方向に向き直る。

 気持ちのいい風がふき、身体に流れる汗を乾かしてくれる感覚に浸りながら空を見上げる。今日もお空は快晴、見事なまでの群青だ。

 ただ一点、問題があるとすれば

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   

  ここザンクティンゼルなんだよなぁ泣



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

お野菜届けにきましたー!あれ?いないじゃん!

も、物語が進まない汗。とりあえず旅立ちまではやってみます


さて我が家自慢の野菜たちを届けにきました。今日もいつも通りおうちにはいない模様。いっつも剣の修行してんもんなー、あいつ。

 グランを呼びにいかなきゃいけないんだろうなぁ、嫌だなー行きたくないなー、はぁ帰りたい。

 それにしても籠いっぱいの野菜はこれ食いきれんのか?あの一人と一匹じゃあ一週間くらい野菜尽くしになりそうだわ。うちの母ちゃんは食べ盛りだからとか言ってるけど、この量は明らかにグランをベジタリアンにしたいのかってレベルだ。

 よっこらせっと荷物をグランの家の脇におき、グランがいそうな所に向かうことにした。

 しばらく探していると林を抜けたひらけた草原に二人を見つけた。というか一人と一匹だな

「おーい!グラーン!それとビィ!野菜を持ってきたぞー」

 先にビィが気づいたらしく、こっちに飛んできてくれた。

「おーう、あんがとなぁフルト~。いっつも助かるぜぇ~親父さんたちにありがとうって伝えといてくれよな」

「気にすんなよビィ。俺たちじゃあ食べきれないから野菜を譲ってるだけだしな。お前も見てるだけとはいえ疲れたろ?ほいっ、差し入れ」

  嘘は言っていない。母さんは百パー善意だしな、ということで食いきれない量ということは黙っとこ。

「へへっあんがとなってこれトマトじゃねぇか!これもうまいからいいけどよ、差し入れはリンゴにしてくれよなっ」

 やれやれ、困ったトカゲだぜこいつは。今年のうちのトマトは流石にリンゴには劣るが程よい甘さとみずみずしさがあるというのに。

「ビィよ~く味わってみろ?野菜本来の甘さを感じられるだろ、どうだ?」

「ハグッ、、まぁ感じられるぜ」

「それはリンゴより確かに甘くないかもしれねぇ、だけどな?そのトマトにはリンゴにはない甘さがある。これは野菜ならではだぞ、ビィ。そう思うと段々リンゴより美味しいと思わないか?」

「た、確かにリンゴよりうまいかも・・・ってそんなわけねぇだろ!」

残念、洗脳するにはうちの野菜ではまだ不十分らしい。そんなふうにビィと戯れてると後ろから聞き慣れた声がかけられた。どうやら今日の修練は終了らしい。

「フルト久しぶり!最近めっきり会えなかったから心配だったんだ。まさかとは思うけど調子でも崩してたの?」

「おうグラン、3日ぶりが久しぶりの範疇なら久しぶりだな。ちげぇよ家の手伝いとかで忙しかったんだよ、悪いな」

「機械バカなフルトが手伝い?今回もサボりにこっち来たんじゃないの?」

「そんなことも多少はしてきたが今回は違うんだなぁこれが。お前の家にお裾分けだ、ありがたく受け取れ」

おいそこの赤いトカゲ、多少?みたいな目で見てくるんじゃない

「おじさんとおばさんには頭が上がらないなぁ。ならせっかくもらったものだからフルトも一緒に食べないか?」

「そうしたいのも山々なんだが、これから用事があるんで戻らせてもらうわ」

 確かにあの量をこいつらで食べるのは無理がある。うちの親父の畑仕事をしなくて済むという利点を考慮したらやぶさかじゃあない。以前の俺なら一も二もなく乗っていただろうな。

 しかしだ、冒頭でも思った通りおれは最近のグランとはあまり長くいたくないのだ。というか避けているまである。

 なぜなら

 

「そっか、うーん仕方ないか。この前の話についてもう少し話し合いたかったんだけど」

 

「話し合いの余地なんざないね。俺はここを出るつもりはないからな」

 

「フルトが一緒に来てくれると嬉しいんだけどなぁ。ちょっと行ってみない?イスタルシア」

 

「お遣い行くノリで言うんじゃねぇ・・」

 

 なんかすげぇ誘われるんだよなぁ泣

 

 




グランってどんな感じなのかわかんねぇ


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

俺の身上話、聞きたい人ー、はーい!

 なんで俺がグランの誘いを断るのか、これには理由がある。前世の記憶があるなら乗るべきだと思うだろう。グランサイファーで美女たちとのウハウハ騎空士生活、想像しただけで心躍ってタップダンスしちゃうレベルなのはわかる。本当にそれだけなら誰だって乗るさ、俺だってそうする。だが落とし穴はどこにだって存在するって話だ。

 

 前にも言ったが俺は転生者だ。前世の記憶を引き継いでる。でも生まれてからすぐに意識があったわけでなく、ちっちゃいころはふつーのそこら辺のガキと一緒だったと思う。

 

 ここで確定的じゃないのが難しいんだが、俺はだんだんと前世の知識から思いだしていった。それも断片的に。

 例えば教わってもいないのに食器の持ち方がわかっていたり、無意識のうちにこちらの言語を日本語の文法と照らし合わせながら習っていた。おかげで言語の習得は早くできちまったけど、でももちろん弊害があった。

 それは自分の存在としての違和感だ。生半可に知識が先に思い出されたせいで、周りよりも一番自分自身が知らないことを知っている自分に恐怖してた。

 

 そんで5歳の時に、一気に前世の記憶を取り戻した。すごい熱出して家族には心配させたけど、そのあとは大半の記憶を取り戻してすくすくと成長したってわけだ。

 そこでだ、問題となってくるのは俺が現時点で思い出している記憶にある。そう、俺はグラブルを途中までしか知らない。当たり前だ、前世のゲームではまだルリアもビィの正体もわかっていない旅の途中である。

 

 しかも俺は帝国編途中までしか進んでなくてうろ覚え。しょうがないよね、こっちで生活してたら忘れちゃうもん(白目

 そんな状態でグランと一緒にお空に出てみろ、これから加わるメンバーは大丈夫かもしれんが俺は間違いなく無理だ。記憶を取り戻した時に思ったよ?俺には転生特典があるに違いないって。俺なんかしちゃいました?みたいな感じを無双ならぬ夢想してましたよ。

 

 そんなものは夢物語でした。剣もだめ、弓もだめ、斧は逆に振り回される始末。元騎空士の親父からも武器の扱いが絶望的に下手だと太鼓判をいただいてしまった。まさか特典ならぬペナルティを課してくるとは・・・俺なんかしました?

まぁ銃の扱いだけは人並みだと言われたけど。幼馴染のグランと比較してみろ、泣きたくなったわ。

 

 そんなわけで俺は決めたんだ、ザンクティンゼルで平和にいきていくことを。さらば、まだ見ぬ美女たち、星晶獣よ、アデゅー。

 

 「というわけで、お断りだグラン」

 

 「何がというわけなのかさっぱりなんだけど。フルト」

 

 こいつ聞いてなかったのか?俺の独白を。いや率直に聞かれてたら聞かれてたで怖いけど。

 

 「俺には空で生き抜いていく実力が足りねぇって言いたいんだよ。知ってるだろ?武器全般扱いがへたくそなのをよ」

 

 「確かにフルトは剣も槍も使えないけど、銃だけは人並みに使えるしなにより操舵技術と機械修理ができるじゃないか。僕とビィだけじゃ船は飛ばせないからフルトがいてくれたらかなり助かるんだ」

 

 「安心しろよ、そんなもんお前なら旅立ったら操舵士なんてすぐ見つかるしなんなら船だって手に入っちゃうぞ」

 

 「何言ってんだよフルト。そんなに簡単に騎空挺が手に入るわけないだろ」

 

 手に入っちゃうんだよなぁ、これが。まぁ原作を変えたくないんで言わねーけど。

 

 「フルトはグランとおんなじくらい楽観的だよなー、あと修理つかオイラは改造しているように思うんだけどよ」

 

 「口を慎みたまえ、トカゲ君」

 

 「なんだとう!オイラはトカゲじゃねぇ!」

 

 「ドラゴンとか寝言をほざいてはいけないよ?ビィ君」

 

 「空も飛べるし翼もあるじゃねぇか!」

 

 「その程度の類似点でお前がドラゴンなら、トマトがリンゴと一緒と言われても信じるね!俺は」

 

 「さっきのこと地味に根に持ってんじゃねぇか!今度という今度はゆるさねぇぞフルト!」

 

 「まぁまぁ二人とも落ち着いて。というかフルト、野菜多すぎじゃないか手伝ってくれよ」

 

 三人で話しながら歩いてたらもう着いちまったか。だいぶゆっくり歩いてたからもうちょいかかると思ったんだが、別にこの後の農作業がめんどくさいわけじゃないぞ断じて。

 

 「んあ?んー、いやさっきも言ったがほんとに親父たちの手伝いの前に来ただけなんだ」

 

 こら、やめろビィ。頬を引っ張るな頬を。

 

 「だからここでとりあえず今日はお別れだわな。またなー」

 

 「ああ!おじさんたちによろしく!また!」

 

 「次来たときはオイラをドラゴンだって認めさせてやるからなっ」

 

  はいはいと返事をしながら帰りをなるべくのんびり歩いていくことを決心した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  グランはフルトを見送った後、ビィと共に家に帰ることにした。ふと隣にいる相棒が声をかけてきた。

 「なぁ、グランよぉなんでお前はフルトをあんなに誘うんだ?」

 

 「どうしたんだよ、藪から棒にいきなり聞いてくるじゃないか」

 

 「まーな、フルトの奴はむかつくけど悪いやつじゃないからわからなくもねーけどな。それでもお前が嫌だと言うやつに何度も誘うのは珍しいことだと思ってよ」

 

 ビィも素直じゃないなと苦笑いしながらグランは先ほど別れた幼馴染を思う。

 

 「ビィはさ、俺がイスタルシアに行くって言ったとき率直にどう思った?」

 

 「まぁ眉唾ものだと思ったぜ、それでもオイラはついていくけどなっ」

 

 「そうだよ、大抵笑い飛ばされるのが当たり前だ。実際父さんからの手紙がなきゃ僕だってそうだと思う。それがさ、この話を初めてフルトにしたらあいつなんて言ったと思う?」

 

 うーんと首をかしげならビィは考えたが、肩をさげわからないと首を振った。

 

 「『お前ならいけんだろ』って言われたのさ。こともなげにさ、その時フルトは僕よりもイスタルシアがあると信じていたんだよ。そしてそれ以上にそこに僕が辿り着けると信じてくれたのが僕にとってはたまらなくうれしかったんだ」

 

 「ほんとグランは恥ずかしいことを恥ずかしげもなく言うよなぁ。それにしてもいかにもあいつが言いそうな言葉だとオイラも思っちまうけどよ、でもよこのままじゃあいつはいかなそうだぜ?」

 

 「そうなんだ、どうにかしてフルトの空にでない理由を聞かないと意味がないよ」

 ビィはまたしても首を傾げる。

 

 「ん?空に出ない理由は実力がないって言ってたじゃねぇか、他になんかあんのか」

 

 「フルトは本当にそんな理由で断るもんか。あんなにあこがれてる空よりも優先される理由があるんだよ」

 

 「そういわれるとそうかもなぁ」

 

 二人はそのまま不思議な幼馴染のことを話しながら歩いていくのだった。

 

 




フルトの容姿をを書くことができていない自分に絶望しました。のであとがきで軽くだけ設定いいますね。

フルト
種族:人間
髪:暗い緑のボサボサ頭
顔つき:目つきすこしきつい
背丈:172㎝
好きなもの:トマト、機械


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

衝撃は唐突に

アニメやってるし頑張って投稿していくっ


  思い通りにいくことなんてほとんどない。自分で予想をたてたってそれを上回ることが起きるのが人生大半である。そんなこと思いながらグランたちと会ってからまた数日経ちましたがこちらは元気にやっています。フルトです。機械のメンテナンスをしたり、魔獣狩りに行く村人に俺の特製銃(未完成)を渡して脱臼させたりとしてしまったが概ね平和にできている。最近思ったのがそろそろルリアが落ちてくる時期なのではと感じていることだ。だけどまったくそんな気配も感じない。

 俺個人としてはこんなに安全な暮らしが脅かされずにすんでるし万々歳なんだがな。そんなわけで親父と一緒に今日も畑仕事だ!やったね!

「おーい、フルト。今日は畑の手伝いちゃんとやるんだぞ。じゃないとお前のガラクタ1つずつ壊していくからな」

 今日はとはなんだ、色々野暮用があって手伝えないのが多いだけだわい。

「どこがガラクタだよ、親父。威力抜群でどんな魔物もイチコロの一品ばかりだろうが。ほめてほしいね」

「おうおう、魔物狩りのたびに魔物よりお前のおかげでけが人が出るって評判のな」

 使い方が悪いんだ、使い方が。グランはふつーに使ってたし(目逸らし

 親父と歩きながらくだらない話をしてみる。親父も最近愛しの娘に反発されてへこんでるだろうしここは長男が微笑ましい親子の会話とやらをしてみようじゃないの。

「でもよ親父なら俺の作ったやつうまく扱えんじゃねーの?」

「使えなくはねぇが癖が強すぎる。お前のは一発に重きを置き過ぎなんだよ」

「まぁそっちの方がロマンがあるからなー」

 かっこいいもん、しょうがないね。

 親父はまったくといいながら呆れたように笑いながら隣を歩いた。

「親父、ふと思ったんだけどさ。昔騎空士だったってのは本当なのか?」

「・・・まぁな、って信じてなかったのか?」

「そりゃあ親父が空の話をすんのは決まって酔っぱらってる時だけだかんな。空を旅した行商人とかってオチだと思ってたよ」

「あー、確かにな。それはうちの母さんが俺が騎空士だったころの話が嫌いだからだよ。酔っているときは大目に見てくれるけどな」

「母さんが?意外だなぁ、吟遊詩人の話とか一緒に聞いてくれたりするのに」

「当時幼馴染だった母さんの反対を押し切ってなったからな。いい顔しねーんだ。帰ってきたときも大けがしてきたもんだから、もう行かないでって泣きながら頼まれて仕方がなく今に至ってるというわけよ」

 おっと~仕方ないとかいう人がそんなデレデレした表情をしないでほしいな。自分の親だと認めたくなくなるわ。

「へーそうなんだ、それはよかったね。うんうん」

「いきなり返事がおざなりになりやがったなこの野郎」

 素敵な嫁さんがいるから息子との交流は必要ないなって思っただけですよー。

「お前にも素敵なお嬢さんの一人や二人いればいいんだがなぁ」

「お、俺だって作ろうと思えば?ちゅ、ちゅくれるし。趣味に時間が欲しいだけなんだからねっ」

「いやー無理だろ、なにせグラン君がいるもんなぁ。お前らが並んで歩いてるとき村の娘の目線はみんなグランの方に集中してるし、最近グラン君より男前になった感じするからな」

 ・・・嘘だと言ってくれお父様、俺はそんなことも気づかずにとうとうモテ期来たかとか思ってしまっていた自分を殴りたくなっているよ。

「ま、まぁほらグラン君は騎空士になるって言ってるからそうゆう憧れみたいなもんがあるんだろうよ」

 下手なフォローはより傷をえぐるんだなぁ(泣

「そういうお前はないのか?騎空士になりたいってことは俺の息子なんだから一度は思うだろ」

「・・・まったくないな。今聞いた話でも危険と隣あわせだろ騎空士なんて」

 そうだ、そんなものになりたいだなんて思っちゃいない。俺は転生者だ。だから知っている、どうしようもない死の感覚を。そして置いていってしまった家族のことを、どれだけ望んでももう会えない。それは転生した今でも記憶が風化しても大切なものだと頭じゃなくて心が知っている。

 だから俺はこう続けるんだ

「平和が一番だよ、親父」

「ま、そりゃあそうだわな」

そんなこと話してたらもう仕事場にとうちゃーく。さてそれじゃあそろそろ今日もお仕事やるぞう

 

 

「おい、フルト」

いい感じに今年のも育ってきてんなーこのままいけば例年通りとれそうだなこりゃ。

「おい、フルト無視すんな。あれ見ろあれ」

「親父-指示語だけじゃあうまく人に伝わらないんだぞ?あれってなんだよ」

 そして俺は親父の指が指しているものを見て、理解した。そうだ、都合のいいことなんてそうそうない。そんなこと前世から知っていた。

 そしてそれは前世も今世も変わらないんだなと空に停泊している帝国の船を見ながらぼんやりと思った。

 




衝動で書いてるこの作品をお気に入りしてくれる方々ありがとうございます!数字として増えてくれるのは純粋にモチベーションがあがります。期待に応えられるようなるべく毎週あげれるようにしていきたいです(するとは言っていない)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

戦うのは怖い。誰だってそうなんだよ、だから不意打ちしたっていいじゃない人間だもの

闇古戦場お疲れ様でした!自分もパッと続き書き上げるようになりたい(切実)
よろしければ感想お待ちしてます


 とうとう来ちゃったよ、帝国が。まったくこっちの準備も無視にくんなっちゅうの。親父はすばやく荷物を片付けて戻る準備をとっている。俺も畑仕事をやらずにすんだことを感謝して・・・やっぱり無理だわ、帝国と農作業ならさすがの俺でも農作業です。

 そんなわけで親父と一緒に超ダッーシュ!荷物なんてあってないようなもんよぉ!おやおやどうした、親父ぃ疲れちゃたんでちゅか~、いっっつもサボってる俺よりも疲れるのが早いなんて老いってこわっ痛っ!ちょっ今走ってるから!荷物持ってるから!わりと本気目に体勢崩そうとしないでぇ!

 隣の元気そうな親父はほっといてとりあえずはうちの家族の心配だ、幸いにも帝国が来たってことは原作通りに進んでるってことだ。グランがなんかの事故で死ぬってことはまだないはず。なら今取るべき手段はもう決まっているようなもんだ。

 ようやく家についたところで母さんがこちらに気づいたようで小走りでやってきた。

 「フルトっ!あなたっ!無事だったのね」

 「ああ!問題ない、それよりお前たちは大丈夫か?村にまだ帝国は来ていないな?」

 「ええ、村の人たちも警備を固めるみたい、一緒に村の集会所まで行きましょう」

 母さんと奥で最低限の荷つくりを済ませたうちの妹は俺たちの帰りを待ってたってとこか。よかった、これで村にいって安否確認する手間が省けた。

 「俺はちょっくら自衛用の武器、倉庫から取ってくるわ。親父の分も必要か?」   

 「いらねぇよ、俺には自前がある」

 「親父、猟銃じゃあ旧式すぎる。俺の銃の方がマシなやつが多いだろ。遠慮しなくていいぜ」

 「あほ、こういう時に手に馴染まん銃なんて使うもんじゃない。それにお前はどんな時でも新作渡そうとしてくるだろ」

 「ありゃばれた?」

当たり前だと言って親父は家から見慣れない銃を持ってきた。見たことない銃だなあれ、見たところメンテナンスもしっかりしてあるみたい。そんなのどこに隠してたんだ?すげぇ気になる、いじりたい(ウズウズ。

 「俺は母さんとミイナを先に村に連れていく。お前もすぐに来るんだぞ」

 「わかってら、とるもんとったら追いつく。ついでに遅れてる村人の誘導もしておくよ。まぁさっきの調子じゃあそれでも間違って追い越しちゃうかもだけど」

 「減らず口をたたくんじゃねぇ、バカ息子が。――――待ってるからな」

 軽く手をあげて応じながら俺は急いで倉庫に向かうことにした。悪いな親父、すぐってのは約束できない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて俺の発明品だらけの遊び場もとい倉庫についた。武器を持っていくといってもフル装備は無理だな。速度が落ちるし、なにより体力がもたない。原作じゃあ何があったかはわかるが、どこにいるかは定かじゃない。つまり迅速に正確に動く必要性がある。しかも俺が持っていくと決めてるやつはかなり重めだ。ってことは携帯できる軽武器1つくらいになるな。今更だけど親父が銃を持っててくれて助かった。

 準備をしながら心を落ち着ける。これから向かうのは間違いなく俺にとって死地だ。まったくもって正気じゃねぇな。それに本当に原作通りなら俺が向かう必要性もない。なら原作通りいくと信じて待っているのか?原作通りでもグランは1度死ぬのに。

 「ありえないな」

 間に合うかはわからない。だけど準備も万事終了、助ける手段も決まってる。ならいっちょあのお人よしの二人を助けに行くとしますか。

 さてあいつらを探して森に入ったはいいが本格的にどう探すかね。通信機になんて持ってないしな。ぼやぼやしてると帝国兵に見つかっちまう。

 ん?待てよ、帝国兵・・・帝国兵があったか!かなり危険だが手っ取り早く正確だし今はこれしかない。

 そう思っていると丁度足音が聞こえてきた。音から察するにどちらも鎧を着ている。間違いなく帝国兵だ、しかもルリアの捜索のためか2人組ときた。俺はあいつらに気取られないように銃を下ろし、物陰に潜む。

「まったく手を煩わせやがる。どのみち捕まるんだから大人しくしとけってんだ」

「仕事中に余計な愚痴をたらすなアホ。それにもう補足はしてある。後は逃げられないように包囲するだけだ。こんなにてこずっているのは予想外みたいだけどな。なんでもカタリナ中尉と腕の立つ青年がいるらしい」

 相手は剣と槍の組み合わせか、まぁ飛び道具持ちとかじゃなくて安心だけどな。俺謹製の煙幕とスタンガンを準備する。

 「そりゃあいいことを聞いた」

 「ツッ!!誰だ貴様!」

答えるわけないだろ、バーカ。それに唐突に声をかけたお陰で転がした煙玉の反応が遅れてる。その隙をグランに(無理やり)鍛えられた俺が逃すと思うなよ。

 「アババババっ!き、きしゃまぁ」

 「安心しろ!死なない程度の出力に抑えてあっからよ」

 「ふん!」

「うおっ!あぶなっ」

なんとか後ろに下がって剣を避ける。ありゃ槍の方がリーチが長いから先に片付けたけどもしかしてもう一方の剣の人の方ができそうな雰囲気あるな。相方がやられたところを予測して俺に攻撃を仕掛けるとか帝国兵は訓練行き届いてますね!

 先に狙う相手間違えちったけど、グランの剣速より遅い。これならなんとかなる。

 敵は煙幕が晴れるまでは俺の位置はまだわからない。そして俺はさっきの攻撃で大体どこにいるかは分かっている。その条件は向こうも同じ。なら先手を取らせたら明らかに不利なのは俺だ。スタンガン棒のリーチと剣のリーチで劣るのなんて言うまでもない。相手に向かって走る。向こうも俺が来るのは予想していたのか、袈裟斬りで斬り付けてくるがなんとか避けながら懐に入る。あとはスタンガンを当てるだけーーー

 「甘いな」

至近距離でそう声がした。なるほど、避けられのを予想して横薙ぎにもう構えてやがる。

 空いた脇に剣が振り抜かれた。しかし斬られたら出るはずの血は出ない。

 「なっ!貴様、どうなっている!」

 「うるせー馬鹿野郎。大人しく気絶してろっ!」

 「ガッ!」

なんとかスタンガンを当てて、気絶させることができた。万が一に備えて服の下に飛空艇の部品にも使う鉄材仕込んどいて正解だったぜ。

「痛たた、さすがに衝撃は吸収できねぇな。まぁ大体予想通りの動きで助かったよお前ら」

 やり手の方は出力間違えて気絶させちまったし、最初にぶっ倒した方はまだ力が入んないみたいだからそっちに聞かせてもらおうか。

 「よぉ、聞きたいことがあんだけどな?さっさと教えてくれれば俺も手間が省けるんで素直に答えてくれよ?」

 スタンガンをぽんぽんと当ててると、少し体が強張ってるな。よしきちんと怯えてる。

「じゃれがきしゃまにおしえるか!」

「おろ?少し痺れが抜けてきてるな?ほいっと」

「あばばば!お、おぼえてりょろ」

「うーん、話す気ない?それじゃあ少しあんたが味わってるこのスタンガンの機能について教えてやるよ。大方あんたが口を割らないのはこれじゃあ人は殺せないと思ってるんだろ?大正解だ、これの最高出力じゃあ人は殺せないようになってる。――だけどよ、これは魔力から変換した電気を集中的に射出して焼くこともできるんだ」

「おまぁえ、ま、まさか」

「あんたもさ、自分のムスコが焼きバナナになりたくはないよな?」

「ひっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  いやー助かった。最終的に教えてくれたから焼きバナナをこさえる必要はなくなった。気絶はしてもらったけどな。

 物陰に置いといた銃を背負い、しばらく走っていると剣戟の音が聞こえてくる。やっと見つけることができた。急ぎながら周りに警戒して近寄っていく。背負っていた銃も脇に持っておく。

 

 

そして目的の場所に着いた俺が見たのはヒドラと身体を貫かれているグランの姿だった。

 

 

 

 

 

 




フルトの発明品はスタンガンと言えるのか?と思いながらノリで書いてしまったぁ。まぁグランはいきなり剣で躊躇なく倒してるし多少はね?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

たとえ変わらなかったとしても

毎日投稿じゃなくていい、毎週投稿できる人間になりたいぃー!


 間に合わなかった。グランの目から生気がなくなっていく。ヒドラはグランをもう用済みだと言わんばかりに打ち捨て、ビィが泣きながら近寄っている。この光景を見たくなかったから来たっつーのに馬鹿か俺は。それでも後悔や反省は今は全て切り捨てなきゃいけない。

 

 やるべきことはこれ以上状況を悪化させないことだ。銃に弾を装填はしといた。カタリナはルリアを守るため下手に動けない。なら狙いはヒドラだ。

 

 いつもなら最悪だと思うんだろうが今回ばかりは本当に好都合だと思う。あの魔物にはどでかい風穴開けなきゃ気が済まない。

 ヒドラのデカさは想定より大きい。だが俺の用意した狙撃銃なら胴体でも問題なく貫ける。弾数は2発、煙幕は1つだけ、この状況で二発目を準備するのは難しいな。となるとやっぱり一発で仕留めるのがベストだ。

 幸い俺はこの広場に出ていないおかげでデカい狙撃銃構えてるのに他の奴らにも気づかれてはいない。おそらく既に残っている脅威のカタリナを始末するために集中しているからだな。さすがっす、カタリナパイセン。まぁこっちが一方的に知ってるだけだが。

 ん?なんだかすげぇ自慢げにちょび髭が話してやがるな、自慢話か?男の自慢話とか聞いてもうっとおしいだけだからやめてほしいがこの際気づかれてないからまぁ良しとしよう。

 というかなんだっけ、あいつ。たしかポンムルンとかいったっけ。生で見ると一発ぶん殴りたくなる顔してるな。

 さっきもこんな状況でなんか不意打ちしてるみたいだが確実性が高いなら願ったりだ。あとは標的に狙いを定める。

 ―――撃鉄を起こす。

 弾に魔力が集まっていく、最大火力まで溜めるためているせいで銃自体に魔力が宿るかのような錯覚が走る。周りはやっと魔力の高まりで気づいたみたいだがこっちの方が早い。そして俺は引き金を引いた。

 

 

 「あ・・・」

 

 

 それと同時に思い出した。

 

 

 

 

 

 そういえばこの銃、反動調整まだ完了してなかったと・・・。

 

 

 

 轟音が響く、体に重い衝撃がかかり、なんとか抑えようとしたが銃口がぶれた。あまりの衝撃に目がちかちかするぞ。くそっ、誰だこんな威力だけバカ高いポンコツ作ったのは!

 「グガアアアアアアアア!」

 

 朦朧とする意識の中で怪物の雄たけびが聞こえる。うるせー、おかげで意識飛ばさなくて済んだけどよ

 

 状況を確認すると俺自体も銃の衝撃で後ろにぶっとんでた。銃は―――よし!離してない。なんか肩が鈍い痛みを感じるけど今はどうでもいい。肝心なのはあの五つの頭もってるデカ物を射抜けたかが問題だ。

 

 

 確かに弾は確かにあいつを貫いていた。だけど、貫いたのは胴体じゃなくて五つあるうちの一つである首を跳ね飛ばしている。

 

 

 「チっ!やっぱり狙いがずれたか!」

 

 銃口は――焼ききれてないな、だけど最大火力のせいでかなり歪んでる。なら次はもっと近い位置で!

 

 まだ熱がこもる銃に次弾を装填する。急げ、まだヒドラは頭が無くなったダメージで動けていない今が近づくチャンスだ。ヒドラに向かって全力で走る。

 

 「そこのあんた!あいつのブレスたのむ!」

 

 「っツ!わ、わかった!なんとかしてみせよう!」

 

 やっぱりカタリナさんは頼りになるな。この状況で無駄な情報を聞こうとしないところとかさすが騎士って感じだ。そこに痺れる、憧れるぅ!

 向こうにいるちょび髭も正気に戻ってきてるけどあいつは憧れませんな。というかもうちょい動揺してろっ

 

 

 「たとえ首を飛ばされたとしても無駄ですネェ!この力を使えばまだ動くのですヨォ!」

 

 「グオォオオオオオオオオオ!」

 

 「知ってるんだよそんなこと!いちいち言うんじゃねぇ!ぶん殴るぞちょび髭!」

 

 「な、なぁ!今私を愚弄しましたネェ!ヒドラ!向かってくる小僧を黒焦げにしてしまいなさい!」

 

 くそっ!あんまりにもむかつくからつい煽ってしまった!ヒドラの四つの口から火があふれている。だが走る速度は下げない、もっと近づけ!あと少し―――

 そう思った瞬間に視界が灼熱に変わった。やけに炎がゆっくり俺に迫ってきてるように見える。これ、もしかしなくても死の直前のなんちゃらというやつじゃねーの、くそう!まだドラフの胸も触れてねぇっつーのに!死んでたまるかっ

 

 「ライトウォール!」

 

 その直前、後ろにいるカタリナさんからサポートが入った。体の周りにバリアが張られたような感覚がする。

 

 

 よし!これでだいじょう・・ばないっ!

 あぁぁつぅぅい!これ焦げてる!服燃えてる!こんちくしょう!

 

 「うがああああ!」

 

 やべぇ!障壁が薄れてやがる、その前にこのブレスの届かないヒドラに懐に入ってやる。

 

 「抜けろおおおおおお!」

 

 炎の中を突破する。と同時に皮膚が焼けるような痛みと開放感が身体を突き抜ける。

 やっとこれた、ヒドラがブレスをやめて迎え撃とうとするが遅い!狙いをつける必要もなくほぼゼロ距離に近い位置で構える。

 

 俺のなけなしの魔力も全てつぎ込む―――――銃が有り余る魔力で紫電を発生させる。俺の身体にも魔力の暴走が伝わるがそんな痛覚はもう感じない。

 

 

 そして俺は引き金を引いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 カタリナは確かに見た。凄まじい威力の銃弾がヒドラの胴体を穿ったのを。そしてそれと同時にこちらに何かが吹き飛んでくるのを反射的に受け止めた。

 

 「グっ!」

 

 それは当然さきほどの青年だったが、彼は意識がないらしく力なく横たわるだけだ。突然のことの連続でまだ理解が追い付かないが向こうでヒドラが屍に変わったのをみると彼が命懸けで私たちを守ってくれたことは明白だ。その理由がおそらくもう失ってしまった友人のためだとしても。

 

 「わ、私のヒドラが・・・たかが小僧一人程度に倒されるなど・・。あ、ありえませんネェ」

 

 ポンメルン大尉はまだ呆然としているが、危機は去ってはいない。

 

 「どうした!ポンメルン大尉!奥の手のヒドラが倒されたのだ、ここは大人しく引いたらどうだ?」

 

 「くっ!こうなれば仕方ありません!どれだけの被害を被ったとしてもそれは返してもらうとしますネェ!」

 

 カタリナはまだ向かってくるポンメルンに迎え撃つ態勢をとる。向こうも部隊を構えて一斉に来ようとするがまた不可解なことが起きた。

 ルリアとグランがまばゆく光り輝きだす。

 そして収まった瞬間、カタリナは驚愕した。完全に死んだと思っていた青年がルリアと共にそこには立っていた。

 

 「始原の竜・・・闇の炎の子・・・汝の名は―――バハムート!」

 

 ルリアの詠唱に呼応するように口や両腕を拘束された異様な黒銀の竜が現れる。圧倒的な威圧感を放つ黒銀の竜は口の拘束を破り、極光の咆哮でヒドラの亡骸と帝国兵たちを吹き飛ばした。

 「・・・あ、あんなものが出てくるなんて聞いてませんネェ!撤退です!全軍撤退しますヨォ!」

 

 ポンメルンは先ほどの勢いと打って変わって怯えながら撤退命令を出す。

 カタリナは必死の態で撤退していく帝国兵を未だ唖然としながら見ていたがルリアが崩れるのを見て慌てて二人に近寄る。

 

 ルリアの介抱をしながらカタリナは、なぜ自分が生きているのか困惑しているグランとグランに泣きついているビィ君、そして突如飛び込んできた青年を見つめながらとりあえず今は窮地を脱したことに感謝しつつ今後のことを考えることにした。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

空は綺麗か

大変遅れてしまって申し訳ないです。ザンクティンゼルあともうちょい続きます


 体がなにかあったかいものに包まれている、俺は・・・死んだのか?だが頭にはなにか柔らかい感触を感じるんだが。こ、これはもしかしてグラブルの天国では天使が膝枕してくれてるのでは?これはこちらも目を覚まさなければ・・・失礼というもの。

 さあ!こい!ドラフ天使ちゃんの下パイっ!

 

 「おはよう、屑兄貴」

 

あれ?おかしい。目を開けたらとても不機嫌そうな妹の顔が見えるのだが・・・。ふかふかしている原因は妹の枕で寝てたからか俺の枕うっすいからこんなに気持ちいいはずないもんなー。というかなぜ俺は妹のベットで寝てるの?馬鹿なのか、変態なのか?

仕方ない、もう一度目を瞑ろう、そうしたらドラフ天使ちゃんが起こしてくれるに違いない。

 

 「今起きたように見えたのは気のせいだったみたいね、うんうん・・・さて殴るか」

 

 「おはようミイナ、今日も相変わらず可愛いな。本当に俺とお前が血を分けた兄妹か心配になっちゃうレベルだぜ」

 

 「私も本当に血が繋がっているのか疑ってるわよ」

 

 「まてまて、お前はきちんと母さんの遺伝子を受け継いでるぞ?母さんと同じ髪色で綺麗なストレートヘアに二重の瞼に整った顔立ち!どこをどう見ても自慢の妹だ。ただ・・・疑う気持ちもわかるぞ?ミイナ、お前母さんほどお胸が発達してな」

 

 「だ・れ・があたしと母さんの血が繋がってないって言ったのよ!このくそ兄貴ぃ!」

 

 「ぐげぁ!悪い!悪かった!許してくれミイナ!」

 

ミイナの腕が滑らかに俺の首にまわされたせいで反応が遅れてしまった。こ、この妹どこで締め技なんて覚えたんだ。身体に力が入らないせいでミイナの腕力に負けてしてしまって中々抜け出せない。だが俺は見逃さなかったぞミイナよ、お前が密着したことで感じるこの柔らかい感触、さっきの言葉はどうやら撤回しなきゃいけないみたいだ。

 

 「チっ!このままだと意識落としちゃうか、しょうがないわね」

 

 ・・・危なかった、許してくれるみたいだ。だが俺はミイナが意識が飛ぶか飛ばないかのギリギリを見極めていることに戦慄が隠し切れなぐはっ!

 

 「な、なぜ思い切りビンタを?許されたのでは?」

 

 「さっきのは余計に怒らせた分だからっ。このビンタは嘘ついた分・・・それと、許してるわけじゃないから」

 

ミイナは今度はまじめな顔でこちらを見据えてる。あーあこりゃマジ怒りだなどうすんべ。

 

 「・・ところで、ミイナ。爆乳ドラフは何処に?」

 

 「露骨に話題を変えようとすんな。ドラフなんてこんなとこにいるわけないでしょ。そんなので私がほいほいのるとおもった?馬鹿なんだね、知ってる」

 

 「さらっと兄を元々阿保みたく言うんじゃありません」

 

 「ううん今回ばかりは私もお兄ちゃんは真正のバカなんだと思うよ。カタリナさんっていう人から聞いたから。どんな無茶したのか」

 

 「・・・・・・聞いちゃったか―」

 

 「すまねぇな、余計な心配させちまってよ」

 

 「別に、心配なんてしてないから。お兄ちゃんは無駄に頑丈なのが取り柄だし」

 

 「それでも、だ。悪かったな」

 

お詫びに頭をなでてやろう。あーやっぱサラサラしてんなこいつ。俺と全然違うぞ、ほんとに血繋がってるよね?おいおい、顔を逸らすなマイハニー。人と話すときは目を見なさいって母さんも言ってただろーに。

さてミイナがいるからもうわかっちゃいたが俺は現状死後の世界にいるわけでもないってことだ。カタリナさんに助けてもらったとはいえよく生きてたな俺。まぁおおよそシナリオ通りだ、問題はない。

 

 「なーに、安心したみたいな表情してるの?兄貴。ママはもう怒髪天の勢いで怒っているよ。言っとくけど私みたいに会話できると思わない方がいいからね」

 

ジト目でこっちを見てくるな、そして兄の思考を読み取るな。ニュータイプかお前は。というか母さんが怒ってんのか。諭すことはあっても怒るなんてよっぽどじゃないとしない人なのに、あれ?これは相当まずいことなのではないか?

 

 「ぐ、具体的にはどのくらい怒ってらっしゃるのでせう?」

 

飯抜きぐらいですむといいな、あ、トイレ掃除とかも覚悟しておこう。

 

 「兄貴の遊び場壊しに行こうとするくらい」

 

やめてぇ!俺のオアシスがなくなってしまううう。こんなとこで寝てらんねぇ、今からでも止めに行かねば。

 

 「うおおお、脇腹が痛えええ」

 

起きようとすると体に鈍い痛みと重さが走る。魔力切れなんて初めてだけどちょ、ちょっと意外と痛いじゃない身体。すげぇ倦怠感あるしぃどうなってんのスタッフ!

 

 「はぁ、言ってなかったけどカタリナさんが治してくれたとはいえ完治したわけじゃないからね。火傷は2、3日したら治るけど肋骨のひびは自然治癒だってさ。魔力枯渇で体力も完全ってわけじゃないみたいだよ」

 

 「いちちち、それならしゃあねぇな。それで?俺の楽園は無事だったの?」

 

 「・・あーうん。と、父さんがなんとか止めてくれたから安心しなよ。さて、と。とりあえず意識戻ったし父さんと母さん呼んでくるから上手い言い訳考えておいた方がいいよ」

 

 「あいよ、ベッド借りて悪かったなー」

 

まったく思春期には困ったもんだぜ。だるい身体を起こしてミイナを見送っていると途中でミイナの足がとまった。ん、なぜ途中で止まるの?も、もしかしてお礼を求められているのか。いやぁ流石に妹のベッドで寝てありがとうございますは兄妹間でも犯罪臭しないか?

 

「あのさ、兄貴。どうやってとかどうしてとかもう兄貴のすることだからそんなの気にしないけどさ」

 

「おい、そりゃどういう」

 

「グランを助けるために、向かったのはすごく・・その、兄貴らしいなって思う」

 

 

 

「そんだけ」

 

・・・・・おいおい、やべぇわ。血が繋がってなかったら惚れてたぞ。よかったー妹で。

 

 「あら、ずいぶん元気そうね、フルト?お母さん安心したわ」

 

・・・・・おいおい、やべぇわ。血が繋がってなかったらそく逃げる準備してたわ。よかったー母親で。いや、よくねーわ。

なぜ母上がこんなすぐきてるの?あ、さっきのごたごたでもしかして気づいたのか。どうしてくれんだミイナってもういねーし!。

 

「うーん、困ったわ。なにもしゃべらないなんて頭でも打ったのかしら?しかも話してる最中によそ見なんてしてお母さんとっても悲しいです」

 

HAHAHA、母さんずっと微笑なのがすごーい怖いのですけど。目を逸らしたくなっちゃうくらい。

 

 「母さん、だいじょうぶだよ。あなたの息子がそんな柔なわけないじゃないですかー」

 

 「ええ!そうね。だから無茶しちゃうのね・・・やっぱり壊した方が良いかしら?」

 

 「皿洗いでもトイレ掃除もするんでそれだけは何卒勘弁してくださいぃ」

 

 「うふふふ、フルト?いい機会だから知っておくことね。世の中には勘弁してあげられないこともあるのよ?」

 

あれっれー?おかしいぞ、いつもの優しいママンじゃなーい。どうすればええんだこの状況。こうなったら誠意を示すために土下座でもするか?

 

 「土下座でも許してくれない?」

 

 「許しません」

 

 「靴をなめるって言っても?」

 

 「その行為そのものをまず許しません」

 

母さんは微笑みながらそれでもその表情には怒っているという強い意志がびしびし感じられる。まったくミイナは誤魔化せたのに母さんはそういうとこしっかり言わないと許さない人だったわ。もとはといえば自分の行動で招いた結果なわけだし俺は腹をくくることにした。

 

 「俺はグランを助けようとしたことに後悔はないし反省もしてないよ母さん。それになにも言わなかったのも俺だけの判断ってことにしておけば家族には迷惑はかからないって思ったからだし・・・だから謝るべきことはしていない」

 

母さんはじっと見つめてくる。そしてその目は一瞬悲しげに歪んだ。辛そうな母さんの顔は久しぶりで俺はこんなところ親父にでも見られたら顔面に一発痛いのが入るだろうなって見当違いなことを考えてしまった。

 

 「とにかく傷が治るまで安静にしていなさい。そうすれば私もあの倉庫を壊すなんて面倒なことはしません。いいですね?」

 

 「はい母さん。ぜったいに無理はしないよ」

 

 「・・・フルト。ひとつだけ答えなさい」

 

母さんは笑顔ではなく今まで見たことないくらい真剣な表情でこちらを見てくる。

 

 「本当に後悔はしていませんね?」

 

 「さっきも言ったよ。誓ってしていない」

 

ふぅとため息をつかれた。どうやら見逃されたのかな?かな?

 

 「まったく困った子です、あなたは。こんな時にそんな表情をするなんてお父さんに似たのね。これじゃあ私は問い詰められないわ」

 

親父に似ていると言われてもあんまり嬉しくないのだけども許してくれるなら是非もない。だが俺はここで気を抜くほど馬鹿じゃない、すっごい申し訳なさそうにしておくことでチェックメイトよ。

 

 「まぁそれはそれとして・・・」

 

あれ?なんでまたすごい良い笑顔に?

 

 「無茶をしたことへの説教はしないとね?」

 

 

それから二時間近く俺は母さんに正座でお説教された。そもそもあなたもグラン君も大人に頼らないのが悪いなどたくさんお小言を頂きました。

 

 

 

ああ~やっと解放された。怒られてたらいつの間にか夜になってたけど、遅いけど明日旅立つグランにあいさつ行ってきなさいと母さんに言われちまったしな。グランの家着くの遅くなったの俺のせいじゃないのに。ぐすん。

寝てないといいけどな、あいつ。ドアをすこし強めにノックする。

 

 「はいはーいってフルトじゃないか!大丈夫なのか?ケガは」

 

 「大丈夫じゃないと来てらんねーよ。心配すんな。お前の方こそ元気そうでよかった」

 

 「うん、フルトになんの挨拶もなしにお別れは嫌だったから嬉しいよ。中に入れよお茶出すから」

 

ほんとこいつは恥ずかしげもなくそういうことぽんぽん言うからすげぇな。俺としても確認したいことと話したいこともあるからありがたく上がらせてもらった。

テーブルの席に座って待ってるとすぐに奥からグランが二人分のコップを置いて席に座る。さてなにから話したもんやら。

 

 「・・・どうしたのさフルト?僕とお前の間に言いよどむことかあるのか?」

 

 「まぁ色々あるけどな。身体は無事なのかよ、俺には風穴空いてるように見えてたんだけどな」

 

我ながら白々しい言い分だ、吐き気がする。ああと言ってグランは俺が倒れたあとの経緯を話してくれた。といっても俺はそれが知っているシナリオと一緒か確認するためだったから驚くふりをしなきゃいけなかったが。

 

 「グランも魂が半分だかなんだか知らねぇけどさ不憫な体になっちまったな」

 

 「俺としてはルリアが会えたおかげで旅に出る決心ができたよ。むしろ感謝してるよ」

 

本当に良いやつだグランは。恨むわけでもなくこんなことが言えるんだもんな。だからどうしても俺はグランに聞かなきゃいけない。

 

 「なぁ、グラン。そういや今までそんなに深く聞いてはなかったからよ。聞かせて欲しいんだが・・」

 

 「お前はどうしてそんなに空に出たいんだ?親父に会いたいからか?名声を得たいからか?教えてくれ」

 

グランはきょとんとした表情で俺の質問を聞いていた。そして我慢できないというように笑い始めた。おいこらぁ!人が真面目に聞いているのに笑うとは許せん。ぶん殴ったろうかこいつ。

 

 「あはは!いや!ごめんごめん!だってフルトはてっきり気づいてるものだとばかり思ってたからさ。確かに父さんに会えたら嬉しいしそれはそれとして会えたら1発ぶん殴ってやろうとか思うけど」

 

 「僕は結局のところ憧れなんだよ。空の果てと言われてるイスタルシア!そこには何があるのか、それまでにどんな出会いがあるのか。そう考えるとワクワクしてこない?」

 

 「死ぬことは考えてないのか?お前がどれだけ力をつけても人間なんてちょっとしたことで死ぬ。それは怖くないのか?」

 

 「それは怖くないといったら嘘になるよ。だけどさ今は一緒に旅をする仲間がいる。ビィにルリア、カタリナさんみんなとならなんとかなるんじゃないかな。だからさ僕はお前とも行きたいんだよ。フルト、僕に負けないくらい憧れているお前が一緒に付いてくるならこれからの危険だって乗り越えていける」

 

随分と俺の評価高いのなんでなんだよ。悪い気はしねぇけどお前の方がよっぽど凄いのによ。

 

 「僕からも質問させてくれ。フルトはどうして行きたくないの?実力とかそんなものは関係ない。自分で騎空挺を作っちゃうくらい空が好きなのにさ」

 

 「・・・ありゃあ言っちまえばただの趣味だよ」

 

 「それは嘘じゃなくても本当じゃないだろ。騎空挺の形を模すだけならずっと前からできていた。お前はそれを飛ばそうと苦労して改良していたじゃないか。そんなやつが空に憧れていないなんて嘘だ」

 

うるせぇな、どんだけ俺のこと見てんだよ。お前はおれのファンかなんかか。それに俺がたとえどれだけ憧れても空に旅立つってことは家族を置いていくこと同義だ。

そうだ、俺はもう二度と―――

 

 「俺は今度こそ家族を置いて先にいくなんてことしたくねぇんだよ。空に憧れるのとおんなじくらい俺は家族も大切なんだ」

 

 「それがフルトの空に行かない理由なのか・・・。そっか家族か、いや考えてみれば当たり前だった」

 

グランは噛み締めるかのように俺の言葉を呑み込んでるようだった。それはその理由がとても大切なことは理解しているのに実感として感じれないことを悔やむように。くそ、ふざけんなまるで俺がお前から逃げるためにこの理由を用意したように思えてきちまうじゃねーか。やめてくれよそんな表情するのは。こっちもむかむかしてくる。

そんな俺の気持ちを察したようにグランは顔をあげた。

 

 「はぁぁ~やっとフルトの本心が聞けた。すっきりした!悪いな今まで無理やり誘うようなこと言ってさ。で、わざわざ僕のこと試すようなこと言ってフルトのモヤモヤは晴れたのかな」

 

お見通しか伊達に長いこと付き合ってるだけある。俺がなんで悩んでるのか、か。そうだな、今わかった。俺はお前のことが自分自身知らない間に想像以上に大切になっちまってたってことだ。まったく馬鹿げた話だ。お前がこれからの旅で心強い仲間ができても明かせないかもしれない気持ちを俺が支えてやりたいってそう思ってしまったんだから。

 

 「ああ、俺もたった今すっきりした。俺は家族が大切だ。親父を、母さんを、ミイナを悲しませるようなことはしたくねぇ」

 

グランは納得したかのように聞いている。まぁいっつも断ってきたもんなお前の空への旅。

 

 「だけどな!それとおんなじくらい俺はどうやらお前が空に出ることを見過ごすことはできねぇらしい。だけど俺はお前より弱い、お前を力づくじゃあ止められない」

 

 「・・・え?」

 

 「約束しろグラン。俺はお前のことを俺のできること全部で支える。だからお前も俺に空の冒険を見せてくれ。それで生きてまた故郷に帰ることを約束してくれ!」

 

 「ほ、本当に言ってるのか?フルト」

 

 「聞き返してくるなよ。考え直したくなっちまうだろうが」

 

 「ああ!ごめん、約束する。絶対に守ってみせるさ。本当に嬉しいよ!改めてよろしくフルト!」

 

俺との話を終えてもグランは嬉しそうにしていて食器を片付けて家から出るときもニコニコしながら見送りやがった。どんだけ嬉しいんだあいつは。俺だって今さっきの気持ちに、決意に嘘はない。少しだけヒドラを倒したから調子に乗ってるのかと自分でも思うけどな。

 

 

 

それでも今、こうして帰り道を歩きながら見上げる夜空はいつもより何倍も綺麗に見えた。




グランの気持ちはビィがいるから寂しくはないと思うのですが一般的な家庭というものを実感してないという意味でこういう描写?にしてみました


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

旅立ち1

帰って糞して寝て、朝である。昨日の夜、両親にグランと一緒に行くという話をすると親父はだろうなとあっさりうなずき、ミイナはため息をついて呆れられた。曰く舌の根が乾かないうちによく言えるねと小言をたくさんいただいた。そして母さんには泣かれた。

 流石に文句の一つ二つは覚悟していたが母さんが泣いてしまうとは思っていなくて正直に言っちゃうとかなり動揺した。どうすればいいのか分からなくてとりあえず土下座しちゃうくらい。まったく今世でもなにかと土下座に頼ってしまうのは日本人の性なのだろうか。親父がなんとかするといって連れていってくれたから助かったんだがどの道謝らなくてはいけないのにそれが先延ばしにされただけなので実は全然うれしくない

 

 そんなわけで気分を上げるために今日は朝一番に起きて倉庫に逃げ込みもとい俺の小型騎空挺の調整にきている。ぜ、全然母さんと顔合わせるのが気まずいとかじゃないんだからねっ。

 思わずツンデレ風味な感想が出てきてしまったがもちろんそれだけが理由じゃない。というのもカタリナさんが用意している船を見たところなにかまずい着陸でもしたのか故障がみられたからだ。村のみんなに単純作業を手伝ってもらっても今日完全に直すのは難しい。というかあいつら昨日グランたちを見送る会みたいなものを開いていて男どもは絶賛夢の中だ。くそったれめ

 

 それに万が一今回の故障で別のところに影響を受けていた場合、みんなとお別れを惜しんで旅立ったはいいがその場で墜落という事態になりかねない。なにそれ格好がつかなすぎる

 以上の判断から俺の船に出番がとうとうきたというわけだ。まぁ俺の船の方が出力もデザインも全てにおいて勝っているからな!たとえ用意された船が万全でも無理やり変えていたけどな!ガハハハ!

 

 問題なのは俺の船は二人分の荷重計算で設計していたという点だ。操縦席は詰めれば全員入れるスペースはある。出力を上げれば三人までは問題ないだろうが俺を含めて四人乗る。しかもカタリナさんは鎧をつけているとなれば流石におも・・・今凄まじい悪寒がしたので言及するのは避けるが、調整する必要があるというわけである。ちなみにあのトカゲは人数にカウントしたところでさして影響がないから問題ない。おおよその計算で検討はつけたので後はコンデションチェックと詳しい演算確認をしに来たというわけである。

 

 「で、どうだ。クレイ、計算結果は出たか?」

 『解、入力されたデータでは判断不可』

 

 今機械的な電子音で返答してきたのが頼りにしているコンピューターであるクレイだ。ちなみに流石にこれほど高度な機械を1から自作できるほど俺は天才じゃない。ちょうど6歳の誕生日にしゃべる機械が欲しいといったらプレゼントされたのがこいつだった。今となっては色々と不安定な時期だったのもあって心配していた親父が騎空士時代の伝手で用意してくれたのだと予想できるけどな。

 それを少しいじって騎空挺のサポートプログラムとして活用させてもらった。といっても元からこいつは高性能で、高い演算機能があった。何故か意図的に機能を抑えられていたから解除しただけで活用できたのが幸いだった。

 親父には必死にプレゼントしたものがいじくられて使っているなんて口が裂けても言えないから黙っているけど。

 

 「それじゃあ今日の風向、天気、風力を考慮した上でどれくらいの推力と燃料が必要か計算してくれ」

 『了解・・・計算結果まで3分を要求』

 「十分だ、その間に俺は船の整備続けておくわ。あ、ついでに重量超過による船体のバランス計算も頼んだ」

 

 『・・・・了解』

 

 さて調整もあと少しといったところだ、動力部のリミッター上限を少し上げる必要もあるからそこらへんもいじらないとな~。ルンルンリルルン♪

 

 

 

  ◇

 

 「で?フルトは僕の家でなんで朝飯食べてるの?」

 「あまりにも憂鬱で、来ちゃった」

 「うへぇフルト、その言い方気持ちわりぃぞ?」

 「黙っていなさいトカゲは」

 「おうおう、ママが怖くて顔合わせたくないやつにトカゲって言われても痛くもかゆくもねぇ」

 

 「あァ!?」

 

 「おォ!?」

 

 「二人とも食事中は落ち着きたまえ。こらフォークをそんな風に突き合わせるんじゃない、まったく」

 

 チっ、カタリナさんに感謝するんだな。てめぇのおかずが残っているのはそのおかげだぞ、、あ、ビィの野郎俺のベーコン取りやがった!

 整備の後にグランの家によったのはカタリナさんとルリアに会うためだ。なにせ俺は知ってるけど向こうは俺のことは知らないしな。これから一緒に行く仲間がどんな奴かわからないのは追われる身である二人にはあまりいいこととは思えない。それに万が一疑われた場合俺に対抗する手段は皆無に等しいからな、つまりは保身でもあるっつーわけである。

 「それにしても君も治りが早いな、昨日の今日にも関わらず随分と元気になったものだ」

 「鍛えられましたからね、そこにいるやつに。訓練相手として一時期毎日付き合ってたからじゃねーですかね」

 「ふむ、フルト君もグランと同じくらい腕がたつのか?君は足元にも及ばないと言っていたが」

 「なんだかんだフルトはさばくのが上手いからいい訓練相手だったんですよ。それとフルトの治りの速さは元からだろって、あ!フルトお前僕のベーコンとったな!」

 「なんのことか知りません。恨むんだったらビィを恨め、負の連鎖は続くのだ」

 「つまり?」

 「尊い犠牲だった。あと美味しかったです」

 

 そんなおふざけをしていると向かいの席でくすくすと笑い声が聞こえてきた。目をむけるとルリアがこらえるように笑っている。前は遠目にしか見えなかったから改めて見るととんでもない可愛さだなこの子。こんな子に笑ってもらえるなら悪い気はしない。むしろアリでは?

 「はわわ、ご、ごめんなさい。・・・ば、ばかにしたわけじゃないんですよ?」

 「安心しな、ルリアちゃん。そんなことで怒るようなら俺は食事のたびに怒られることになっちまう」

 目を向けられたぐらいでこんなにも申し訳なくされたら俺の心が傷ついてしまうわ。それでも不安そうな顔をするルリアにできるだけの笑顔でこたえてやろうじゃないの。

 「それに仲間と一緒に食べることが嬉しくないわけないだろ?これからはこれが当たり前だからさ、俺やビィみたいな騒がしいやつと食べるのも慣れてもらえるか?」

 「オイラはフルトと一緒にされたくねぇなぁ」

 黙ってろこのトカゲェ!抵抗すんじゃねぇ頬を引っ張りにくいじゃねーか!かみついてくんなっ。

 

 「フフッ!はい、慣れるようにしますねっ」

 

 あ~かわええんじゃあ~、うちの妹もこんくらい素直に反応してくれたらお兄ちゃん頑張っちゃうのに。いや待てよ?ミイナにこんなしぐさをされたら俺の意識が危ない。つまりミイナは俺のことを慮ってあえて反抗的な態度な可能性がある。なんだやっぱりうちの妹は最高じゃないか

 俺がこの世の真理にたどり着いているとグランがおもむろに口を開いた。

 「フルトって子供に対して態度変わるよね。もしかしてロリ」

 「ロリコンと言いたいのだろうがそれは少し誤っているなグラン。俺はどちらかというと年上の方が好みだ。それぞれの成長したその肢体で自らのアイデンティティーを模索し存分に磨きあげたその美と努力に俺は魅力を感じる。まぁ幼い時分の純粋な原石でのかわいらしさというのも否定はしないがな?だが個人的にはそこからの成長を期待するわけで間違ってもその成長を害する、ましてや途中で摘み取るよるようなことはしない主義なんだよ。つまりなにが言いたいかというと淑女は口説くべし、少女は愛でるべしということだ」

 「なるほど」

 わかってくれたか!グラン。やっぱり持つべきは友だな!

 「全然分からない!」

 一刀両断された。信じられねぇお前は年上スキーだと思っていたのに!

 「わ、私は子供じゃないですっ」

 むくれてるルリアもカワイイナー。だからカタリナさん、そんなに警戒しないでくれ。その眼光は仲間に向けるものじゃないですよ!

 まったく困ったな、長年付き合いがあるグランも混乱しているみたいだし、ビィやっぱり最後に頼れるのはお前だけみたいだ。視線だけでビィに助けを求める。どうやら向こうも気づいたみたいだな

 (頼むぜビィ)

 (しかたねぇなー)

 

 「フルトがロリコンなことは否定してない気がするぞオイラ」

 

 「カタリナさん!話し合おう、とりあえず剣から手を放すんだ!」

 

 覚えてろ!ビィ!

 

 

 

 色んな意味でにぎやかだった朝飯を終えてグランたちとは一回別れることになった。俺もそろそろ戻らないといけないしな。するとカタリナさんが近づいてきた。

 「どうしました?まださっきのことで怒っていたり?」

 「いや先ほどのことはそこまで気にしていないさ。ルリアの緊張をほぐすための冗談だったんだろう?むしろ感謝しているくらいだ。まぁそれにしても些か過激ではあったが」

 肩をすくめて苦笑しているその姿がこれ以上なく似合っている。

 「ははは、昔から加減をしらないって怒られているんすけどねーなかなか治らないんです」

 俺の女性観はまったく冗談ではないのだけれど、ここは否定しないでおく。学ぶ人間なのだ俺は

 「さぞや君の両親は苦労しただろうな。そして君のことを大事にしているのだろう」

 それ故にとカタリナは続ける。

 「追われる立場の私が言うのもおかしなことだが君が引き返すなら今しかない。我々がこれからする旅は普通の騎空団とは何倍も危険なものだ。命の保証はとてもじゃないができない。グランはもう引き返せないところまで巻き込んでしまった。しかし君ならまだ巻き込むことはない。よく考えてみてほしい」

 なるほど、流石はカタリナさんだ。これからの旅がどんなものかを知らせてどれほどの覚悟がいるかをこの場で諭してくる。俺が思ってるよりもカタリナという人物は義理堅くて優しいんだろう。だけど誤解してるところがある。そこは正しとかないといけない

 

 「これからどれだけ危険かなんてグランと一緒に行くと決めた時点でわかりきっていますよ。まったく怖くてしょうがないです」

 「ならば!」

 「だけど俺はグランとビィをそんな危険に向かわせることの方がよっぽど怖い」

 カタリナの機先を制する。この優しい騎士に俺の意思を正しく伝えきれていない。だから俺はふてぶてしく見えるように空に指を差す。

 

 「それにあんた達が巻き込んだんじゃないぜ?カタリナさん。正しくは()()()()()()()()()()、だ。運が悪かったな。なんと言ったって俺たちが目指すのは空の果てなんだから」

 カタリナさんは面食らったように目を瞬かせている。やべーそんな反応されるとすごい恥ずかしくなるからなんか反応してほしい。

 

 「・・・フ、フフフ!いやすまない。そのように顔をしかめないでくれ。そうか、私たちが君たちに巻き込まれた、か。なら私たちは相当厄介なことに巻き込まれてしまったということかな」

 「そーゆーことです。ま、せいぜい俺にできることはサポートをするだけですけどねー。それに自慢じゃないですけど俺はあんま強くないのであんたみたいな達人がいてくれた方が安全なのは間違いなしですし!」

 「わかった、ならこちらから改めて旅の同行をお願いしよう。よろしく頼むフルト」

 「おうよ、こっちこそ頼りにさせてもらいますよカタリナさん」

 差し出された手をしっかりと握る。ようやく俺はこの騎士に認めてもらえたみたいだ。

 「あ!カタリナ!ずるいですっ私もフルトと仲良くなりたいのに」

 「んじゃルリアも改めてよろしく~」

 「はいっ、よろしくお願いします!」

 ん?どうしたんですかカタリナさん、俺とルリアの間に体を入られたら握手できないっすよ。え?なに、離れてくれ?やっぱりさっきのことかなり気にしてるじゃないか!

 俺たち仲間じゃないんですかっ。こんなのあんまりだ!

 

 

 抗議の結果、カタリナさんの拳は予想以上に痛かったです。

 

 

 

 

  ◇

 

 村の男どもをたたき起こして騎空挺を開けた場所に移動させたあと、俺たちはそれぞれに別れの挨拶をすることになった。カタリナさんはここの村長に感謝の礼をしていて、グランやルリアは激励の言葉や別れを惜しむ言葉を受け取っている。む、あそこにいるのはアーロンじゃねーか。俺には声かけなかったくせしてグランの方行くなんて薄情な奴め。この前、新作の試し打ちさせて脱臼させちまったのまだ気にしてんじゃねーだろうな。

 さて俺も会わなきゃいけない人がいる。どこにいるのか探しているとちょうどむこうから来てくれた。母さんは親父と少し話して親父はこちらをちらっと見て下がっていった。こちらに近づいてくる母さんにもう昨日のような動揺はみられない。いやむしろ動揺しているのは俺の方かもしれない。

 「フルト、おはよう・・でいいのかしら」

 「おはよう母さん。ミイナは?」

 「ミイナはグランに挨拶しにいったわ」

 「あーなるほど。まぁ最後に会えてよかった、このまま会ってくれないんじゃないかと思ってたからさ」

 「そんなことはしません。たとえ親不孝者のばか息子でも会わなければ一生後悔してしまいますからね」

 「手厳しいなぁ母さんは」

 「当たり前です。どれだけ私を心配させたかあなたはわかっていないのでしょうね。そんなんだからミイナが反抗的になるのですよ」

 うぐっ、思い当たる節が多くてなんも言えねぇ。目線からすさまじい圧を感じるううう。

 「約束を破ったのは本当にすいませんでした。すげー反省してます」

 「それでも行くのでしょう?」

 「うん、ほっとけねぇんだ」

 「ならフルトのしたいようにしなさい。私は悲しくて寂しいので怒ってますが止めはしません」

 やっぱり怒ってんじゃん。

 「ですがこのまま送りだすのも癪ですからフルトにはこの旅で1つ母からのお願いを聞いてもらいます」

 「え、嫌です」

 しまった、なんか反射的に断ってしまった。はわわ、やべぇよやべぇよ。母さんからすさまじいオーラががが。

 「き・き・ま・す・ね?」

 「はい、なんなりとどうぞ!」

 「安心してお母さんもそこまで鬼じゃないわ。フルトなら簡単にできるわよ」

 なに?そんなに簡単なのか。なら喜んで受けるとしようじゃないか。

 「それで母さんの気が収まるなら安いもんだよ。なんでも言って今回のお願いは絶対に破らないからさ」

 母さんはにっこりと笑って・・・あれ?なんかこのパターン、前もあったような気がする。

 「彼女を連れてきなさい」

 

 

 「・・・は?」

 

 「交際相手を連れてくるのです。わかりましたか?」

 「母さん、言語としては受け入れられるんだけど意図がまったく分からないです」

 何を言ってるんだ、この人。あ、そういえば俺の母だったわ。

 「聞きなさいフルト。あなたは小さい頃から機械に夢中でした。そして作ったもので色々やんちゃをした結果、この島での娘達のあなたへの評価は『面白いけど付き合いたくはない男』になっているのですよ」

 ぐはっ!今、俺にすさまじい言葉の刃が刺さりまくってる。し、仕方ないやん!

 「ええ、過ぎたことはこの際目を瞑りましょう。この村であなたに惚れる子を探すというのは望みが薄い。そこで私は閃いたのです。広い空ならあなたを受け入れてくれる人がきっといるはずだと」

 「なんでそんな変な方向に閃いちゃたのかなぁ」

 「連れてこなければ家の敷居は跨がせませんから。いいですね?」

 「えぇ、、」

 「なんでも聞くのでしょう?」

 「なるべく善処していきたいと」

 「返事は?」

 「はい」

 「よろしいです」

 旅は長いんだしのんびりやっていくとしよう。見つかれば良いなぁ(震

 「ま、母さんからの頼みなら仕方ねぇな、いっちょ頑張ってきます」

 「はい、頑張ってきなさい」

 やべーやべーそろそろ予定通りいかないと離陸に影響が出ちまう。急がないと。

 

 「フルト」

 

 と行こうとしたところで母さんから静かに声がかけられる。振り向くと母さんが微笑んでいた。

 「いってらっしゃい」

 いつも出かけるときのようにその声色に、その言葉が聞けて良かった、その表情が見れて。その笑顔に応えるように俺も手をあげて精一杯の声をあげる。

 「いってきます!」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

旅立ち2

遅れてですが誤字報告ありがとうございました。まだシステムに慣れてなくて直せてない所とかあって申し訳ないです。
あ、六周年おめでとう!ぐらぶる!


 騎空挺に向かっていると、村のみんながどうしたとでもいうように近づいてきた。今更気づいてもおせぇやい。村のみんなが思い思いに言葉をかけてくる。

 

 「おいおい!まじでフルトも一緒に行くのかよ!」

 「てっきり酔っぱらってたから空耳かと・・・」

 「すまーん!俺も嘘だと思ってたー!」

 「え、じゃあミイナちゃんはどうすんの?」

 「任せてくださいお義兄さん」

 

 「信じてなかったのかよ、お前ら」

 

 あと最後のやつ、顔覚えたからな。今度会った時真っ先に試験作の実験台にしてやる。小型騎空挺に着くとグランたちが待っていた。どうやらもう別れはすんだみたいだ。

 

 「悪いな、待たせちまったか?」

 「いいや、全然待ってないよ。それよりもう良かったの?親父さんとかミイナには挨拶しなくて」

 「いーんだよ、母さんがうちの代表見送り役。それで充分だ。それにどうせ戻ってくる、惜しむこともねぇだろ」

 

 グランはふと笑うとそれもそうだねと返してくる。グランは俺たちを見渡して力強い声で旅の始まりを告げる。

 

 「それじゃあ行こう!」

 「はいっ!」

 「へへっついにオイラも騎空士かぁ!」

 「ああ」

 俺も頷きながら、頭の中のスイッチを変える。さてやるとしよう。

 

 ◇

 

 ハッチをあげて全員が俺の船に乗ったところで俺も操縦席に乗るとするか。おっと忘れそうだった、俺の装備も積まないと。グランに荷物を両手で投げる。

 

 「うえあっ!危なっ!取り損ねたらどうすんだよ、しかもこれ結構重いし」

 「ナイスキャッチー、取れたんだからぶつぶつ言うなよ。それよ、お前の後ろにある格納庫に入れてくれ。あんまデカくないけど、お前の剣も入ると思うから入れてもいいぞ?」

 「いやいいよ、なんかフルトの武器と一緒に入れるだけで怖いし」

 「確かにあながち間違いでもねぇよなぁ」

 

 「おいおいビィ、そんなにお前も格納庫に入りたかっのたかよ。遠慮すんな。入っていいぞ?」

 「冗談じゃねぇ。狭いけどこっちで我慢してやらァ」

 そりゃあ本来2人乗りなんだから狭いのは当然だろ。なんでこういう場合を考えなかったのかなぁ俺。まぁそん時はついて行く気なんてさらさらなかったせいだけど。あととりあえず全員にエチケット袋を持たせておく。グランが酔うとも思えないが念のためだ。

 「ビィはルリアの上に乗ってくれ。フルト、安全運転で頼むよ」

 「任せとけ、最高に安全な操縦してやるよ」

 「フルトのそれはまったく信用できないやつじゃないか」

 失敬な。

 「ビィさん!どうぞっ」

 ルリアがビィを抱き抱え、もう一つの席でベルトをつける。カタリナとグランは挺内の取手を掴み、即席の固定具で身体を固定させている。

 カタリナが不安そうに尋ねてくる。

 「本当に大丈夫なのか?なんなら私が替わっても良いのだぞ。操縦はしたことないが、騎空挺にはある程度は乗っている。やり方はなんとなくだがわかるぞ」

 な、なんとなくで操縦されたらたまったもんじゃない。この人はなぜこんなに自信ありそうな顔してんだ?

 「心配しなくても俺は結構回数重ねてるんで問題ないですよ。それに相棒もいますし」

 「むう、そうか」

 

 『エンジン、機体ともに異常なし。予想よりも風力若干の誤差有り』

 「OK、問題なしだな。重量予想もいけるな」

 『貴方の予想よりも5キロ程余裕あり。カタリナの重量を多く見積もりすぎたのが原因と推測する。やはりマスターはこちらの予測に従うべきだった』

 「おいこら、余計なこと言わなくて」

 後ろから金属が歪む音が聞こえたんだけど!メキャアッって変な音が!

 「ははは・・でもクレイって意外とおしゃべりなんだね。僕たちがいる前だと全然話さないからもっと機械的なものだと思ってた」

 「しゃ、しゃべる機械さんもいるんですねー」

 「それには訳があんだが…聞きたきゃ後でたっぷりしてやるよ。今はしっかりつかまってろ」

 スタンバイが終わった。ゆっくりとエンジンをかけていく。俺にとっては慣れた駆動音が身体を揺らして周りの風景をただの色彩に変化させていく中、こちらにかけてくる人影が見えた。

 兄として見間違えるなんてことはありえない。あれはミイナだ。

 やっぱりお兄ちゃんがいなくなるのは悲しいんだな。俺のためにあんなに必死で走ってくれるなんてっ。それだけで胸がいっぱいになっちまうぜ。

 

 『音声傍受可能。再現しますか?』

 「頼む」

 

 『帰ってこなかったら兄妹の縁切ってやるーー!』

 「そりゃあ怖い!…本当に怖いなぁ。というかなんで声まで再現できるん?」

 『会話データ収集の際、ミイナ様の音声振動を記録することで再現は容易であると回答する』

 わーうちの相棒無駄にハイスペックー(棒)。おかげでなんとしても帰らなきゃいけなくなっちまった。

 操縦桿を傾けて機体を浮上させていく。離陸は問題ない。あとは島を囲っている山脈を抜けて浮力が発生する高さまでたどり着かないといけない。この島を抜けるのは存外難しい。周りを山脈が囲っているようにあるせいか風が不規則に変わっちまう。それが利点として働いてる部分もあるんだろうが。

 ぶっちゃけ今回はちょっと不味い。この上がり方だとおそらく山にぶつかってしまうのでは?

 『問題発生。現状では十分な上昇が不可。速度低下による船頭傾斜上昇を進言』

 だよね!くそったれ。シュミレーションは大丈夫だったのになぁ!

 「いや!だめだ。今速度下げたら高度上昇も遅れる。それこそ間に合わねぇ!」

 『了解。プランBに変更。速度を維持、左翼の帆角度やや調整』

 「うわわわ!フフフフルトォ!これ大丈夫なの!?」

 「問題はねぇ!黙ってみてろ!」

 

 今まで何回ここらを試験運用で飛んだと思ってんだ。それこそ数えきれないほどやってるっつーの!そろそろだ、クレイが提示したルートで山脈に近づくここは絶好のポイントなんだよ。

 機体の揺れから気流をつかむ。

 

 待つ、まだだ。

 

 額から冷や汗が沸き上がる。

 

 その時気流に変化が生じた。

 

 今ッ!!

 

 機体を右に傾け、山脈の上昇気流を掴んだ。その瞬間にブーストを掛けた船ははすさまじい勢いで右上がりに上昇していく。これ解決策としては間違っていないんだが今気づいた。

 圧がとんでもなくかかるうえに操縦がうまくきかねー!なんでこういうところシナリオでちゃんと書いておかないんだ。おかげでラカムの凄さを今肌で感じてるぞくそったれ。

 『危険を報告』

 まだあんのかよ。目線で促すとクレイはくみ取ったように報告する。こいつ俺の視線に気づいてんのかね、どこで知覚してんのか俺でもわかんねーぞ。急いでる時ほどこういう無駄なことに意識が向いてしまうこと、あると思います。

 『船底が山頂に擦れる可能性大。接近まであと10秒』

 「ふんぬううううう!」

 上がれバカヤロー。渾身の力を込めて引いたまま突っ込んでいく。

 そして山頂を過ぎる瞬間、何かが擦れる衝撃が走る。くそっ、ミスったか!

 「クレイ!船の損害はどうなってる。もしかしなくても穴でも空いたか!」

 『分析完了。離着陸時に使用する降着装置の一方が衝突により破損。飛行に問題なし』

 

 よっしゃああああ!ブーストを掛けたまま上空に上がっていき、雲を抜ける。ここまでくれば浮力が安定するし気流にある程度乗れば燃料を節約していけるな。

 やっと文字通り山場を越えられた。後ろのみんなはどうなっているんだろうか。操縦に集中していたからまったく声が聞こえなかったんだが。

 

 「大丈夫かー、大丈夫なら返事してくれー」

 「こ、これが大丈夫…なわけあるか。馬鹿者ぉ」

 「だからフルトの安全って言葉は信用ならないんだ。うぅ」

 「はわわ頭がくらくらしますぅ」

 「無事抜けられたんだからそういうなよ。落ち込むなーなぁクレイ?」

 『無理がすぎると当機は考えていました』

 「おい、なに自分は反対でしたみたいに言ってんだ。お前と俺は共犯だからな!」

 

 ん?ビィから返事が聞こえねー大丈夫かあいつ。どうやらルリアが気づいたみたいでビィに声をかけている。

 「ビ、ビィさーん?大丈夫ですか?」

 「お、おうルリア。悪ぃ、オイラちょっとダメみたいだ。うぷっ!」

 

 「え?」

 

 その日、門出である艇内では少女の悲鳴とリンゴかをり漂う出発となった。

 

 くちゃい




タグにガバガバ設定付けたそうかな・・・。


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
一言
0文字 ~500文字
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。