石動惣子のヒーローアカデミア (SUN'S)
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日常の序章曲 -オーバーチェア-
第1話『パニックな会場』



惣子「やあやあ、プリティーなガールな石動惣子だぜ!第一回目からあらすじをだな」

焦凍「あらすじもなにも、今から始まりだろ?」

惣子「ショート、私の話を遮らないでよ…」

焦凍「ん?ああ、悪い。俺の幼馴染みである『石動惣子』とのハートフルなラブコメディーが今から始まる」

惣子「尺が無くなっちゃうじゃん!?ううん、『仮面ライダーエボル』こと石動惣子のヒーローアカデミア!」

惣子・焦凍「「どうなる第1話!」」




 

私の名前は石動惣子、いわゆる転生者という存在ですね。今現在は『僕のヒーローアカデミア』という漫画の世界で頑張っているプリティーなガールだ。近所には『雄英高校』とか『轟邸』がある。そう、轟焦凍と幼馴染みなんだぜ?羨ましいだろォ~ッ?

 

「惣子、そろそろ受験会場に行くぞ」

 

「うぃっす!ショートも受かれよ?」

 

「俺は…不本意ながら推薦だ」

 

この世界の轟焦凍は家族関係でギスギスとしたモノは皆無なのだ。簡単に言えば「親馬鹿エンデヴァー」さんだね。あの人と二人っきりになると「焦凍を頼む」とか「焦凍とはどこまで進んだんだ?」とか聞いてくるけど。私達は、ただの幼馴染みだからね?そこは間違えないで頂きたいものだね。

 

エンデヴァーさん、最近では両親にも縁談の話を持ち掛けている。やめろ、外堀を埋めるのはやめろ、ママンは乗り気になっちゃってるんだぞ!?

 

「ネガティブオーラを出すな」

 

「うぃっす。サーセンした…」

 

「ほら、見えたぞ。雄英高校だ」

 

画面越しでも思ってたけど。めちゃくちゃデケー校門だな。頑丈にも程があるでしょうが…。まあ、ヴィランに壊されてたけど。

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

 

マイク先生の説明会が終わり。ショートとは別の会場になってしまった。まあ、そこまで支障を来すことは無いんだけどね。

 

『ハイ、スタート!!』

 

マイク先生の声が試験会場に響き渡り、説教のような言葉を受けた瞬間、私以外の試験生は一斉に駆け出した。

 

「焦らず、ゆっくりと」

 

革ジャケットの内側から『エボルドライバー』を取り出し、腰に押し当てて装着する。『コブラエボルボトル』と『ライダーエボルボトル』の二つを慣れた手付きで上下に振り、『エボルドライバー』に装填する。

 

COBRA(コブラ)!RIDERSYSTEM(ライダーシステム)!

 

『Evolution!!』

 

レバーをグルグルと回転させ、両の腕を胸の前で交差させる。

 

『Are you ready?』

 

「変…身…」

 

COBRA(コブラ)!COBRA(コブラ)!EVOLCOBRA(エボルコブラ)!

 

『フゥーハッハッハッハッ!!』

 

左手首を掴みながら感触を確める。うん、素肌と変わり無いね。

 

EVOL(エボル)PHASE-ONE(フェーズ・ワン)

 

破壊されていない仮想敵へと超高速で近付き、殴り上げて粉々に破壊する。受験生に渡すためのポイントは全て奪い取ってやる。今現在、使えるブラックホールの吸引力を利用して仮想敵を引き寄せると『エボルドライバー』のレバーを回転させ、空中に飛び上がる。

 

『Ready GO!』

 

EVOLTIC(エボルティック) FINISH(フィニッシュ)!!』

 

迸るエネルギーを右足に集束させ、一塊になっている仮想敵を蹴り砕きながら地面に着地する。爆発四散する仮想敵を見上げている受験生の前で変身を解除する。

 

CIAO(チャ~オ~ッ)!!』

 

唖然とした表情を浮かべて此方を見てくる受験生の間を通り抜け、入場口前まで疲れたように歩いて向かう。

 

 

 

 

 

 



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第2話『デンジャーの教室』

惣子「やあやあ、プリティーなガールな石動惣子だぜ!第一回目のサイコーな活躍を見せ付けた!」

焦凍「俺の良い場面は無かったけどな。今回からは俺の活躍する瞬間も見れる…かもしれない」

惣子「ちょいちょい!私の活躍を言わせてよ!?」

焦凍「合格通知を持った惣子は焦凍の部屋へと向かい。そのまま愛の告白を焦凍へと告げた。」

惣子「そんな場面は無かったよ!?捏造はやめてよね!」

焦凍「さあ、どうなる第2話!」

惣子「私の台詞だよね!!」




雄英高校の制服は白色ブレザーと黒色のスカートだった。まあ、ストッキングを履くんだけどな!私は前世も今世も冷え症だったのだ。ちくしょう、神様も冷え症を消してくれれば良いのにさ。酷いと思わない!?

 

「(ストッキング……)似合ってるな」

 

「うぃっす!ショートもカッコいいね!」

 

指定鞄をリュックサックのように背負いながら焦凍の隣に並んで雄英高校まで歩いていく。ちょっと早くに出過ぎたかな?等と考えているとメガネ君やボムヘアーも早くに来ていたようだ。うん、安心したぜ。

 

「ショート、隣の席だな!」

 

「ああ、そうだな」

 

エボルトの細胞を活性化させると教室の前に寝転んでいる生物反応を感知した。ここは原作と同じなんだね。うんうん、ちょっと感動したぜ。

 

そんな事を考えていると女子生徒と男子生徒が廊下へと出て行こうとしていた。置いていくのは酷くない!?単なる更衣室に向かうだけだったようですね。う~む、紛らわしい行為は控えて欲しいぜ。

 

紺色のジャージに着替えるとショートが廊下の先で待っていた。女子生徒の使用している更衣室の前に立つのは変態だと思われるよ?

 

「惣子、行くぞ?」

 

「うぃっす」

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

 

春だけど寒いグラウンドに並んで待っているとボムヘアーが「死ねえぇっ!」とか物騒な言葉を叫びながらメカニカルなボールを放り投げた。

 

「『石動惣子』…。前に出てこい」

 

イレイザー先生の召集命令を聞き、嫌々ながら前に出ますよ。よく見ると試験会場に居合わせたバリバリ君も居るじゃないか。うん、合格していたとは凄いじゃないか。

 

「石動、本気で投げてみろ」

 

「えぇ…っ、地球消えても良いんですか?」

 

出来る限りに抑えた言葉を投げ付けるとボールを奪い取られた。……う~む、冗談じゃないけど。乱暴に取られるのはムカッとしちゃったぜ。

 

「轟…。石動の発言だが「事実です。実際に見知らぬ星を粉々に破壊してました」……そうか。お前を測ることは出来ない。見学していろ」

 

そこからグラウンドの隅っこで砂山を作りながら待っていると焦凍の素晴らしい活躍を見ることが出来た。氷と炎の複合による爆発を利用しようとか常人は考え付かないよね。まあ、私が教えたんだけどね?

 

原付で走る子や腕を増やして握力測定器を握る子や指をエグい色に変えてまで上位に食い込もうとする子を見たけど。やっぱり、焦凍の方が強いな。『PHASE-TWO(フェーズ・ツー)』に食らい付けるまで育てたからね。

 

うん、人外の領域に片足を突っ込んでいるね。

 

 

 

 

 

 



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第3話『ヒーローを欺け』

惣子「やあやあ、プリティーなガールな石動惣子だぜ!第二回目では活躍できなくて悲しいよ!!」

焦凍「俺はそこそこ活躍できた。まあ、惣子の“個性”は化け物みたいなもんだしな」

惣子「酷くね!?もう、ショートにはウチの蕎麦は食べさせないからね!」

焦凍「それは大丈夫だ。……お前の義両親とは話を付けてる」

惣子「エンデヴァーさんと同じことを繰り返してる!!」

焦凍「まあ、お前と俺の(婚約)関係は消えないからな」

惣子「お、おぉう…。いきなり恥ずかしいことを言わないでよ、照れちゃうだろ?」

焦凍「(可愛いな……)さあ、どうなる第3話」

惣子「だから私の台詞だってば!?」




雄英高校の授業は色々と凄そうな雰囲気だったけど。まあ、普通の授業だったことが分かって安心している。しかし、そろそろ、あの漫画ではエグかったシーンに突入すると思う。

 

「わぁーたぁーしぃーがぁー!ドアから普通に来たーーっ!」

 

オール先生の登場に賑わっている教室では出席番号の書かれたコスチュームケースが登場した。焦凍も考えてきたのかな?等と考えながら自分の番号が記されたケースを掴み取る。

 

「惣子ちゃん、行きましょう?」

 

「うぃっす!梅雨ちゃんに着いていきます!」

 

「ケロ?」

 

高校生になって初めてのお友達になった梅雨ちゃんと並んで更衣室に向かっていると先に向かっていた焦凍やバリバリ君達が出てきた。……焦凍のコスチュームが拘束服に見えたのは内緒だぜ。言ったら頬っぺたを引っ張られそうだからな!廃墟ビルを模したステージを映しているデカイテレビに驚きつつ、あみだくじを引こうとしたらオール先生に止められた。解せぬ。ちょっとニヤけてる焦凍の頬を引っ張り、憂さ晴らしする。

 

私の戦闘訓練は「石動惣子VSクラスメイト」とか頭の可笑しいなモノだった。ちょっと待ってほしい。流石に多勢に無勢過ぎませんかね?

 

「オールマイト」

 

「むっ?どうした、轟少年」

 

そうだ!言い返してやれ!女の子をイジメるのはやめろって言ってやれ!

 

「数が足りません」

 

「あ、やっぱり?」

 

コイツら、消してやろうか?

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

 

渋々、廃墟ビルの屋上へと来た訳だけど。クラスメイト全員から倒すって視線と殺してやるって視線が送られてくる。やだ、私ってば注目の的なの?とか考えている間に両の腕に手榴弾のようなアーマーを着けたボムヘアーが一番最初に到着していた。

 

「ブッ殺す!!!」

 

ボムヘアーが手から爆発させながら威嚇してくる。うんうん、私からすれば癇癪を起こした猫のようなモノだね。

 

「死ねエぇッ!!」

 

「あ、じゃあ、死んであげる」

 

態とらしく爆発を受け止め、そのまま屋上から吹き飛ばされてコンクリートの地面へと激突する。うん、意外と背中を打つのは痛いんだね!

 

屋上では口論する声が聞こえてくる。エボルトの目は見逃さないぜ?焦凍がボムヘアーの襟首を締め上げて怒鳴り散らしてた。……随分と感情を剥き出しにしてるね。

 

COBRA(コブラ)!RIDERSYSTEM(ライダーシステム)!

 

『Evolution!!』

 

腰に装着した『エボルドライバー』のレバーをグルグルと回転させ、寝転びながら両の腕を胸の前で交差させる。

 

「変身…」

 

COBRA(コブラ)!COBRA(コブラ)!EVOLCOBRA(エボルコブラ)!!

 

『フゥーハッハッハッハッ!!』

 

起き上がる反動を利用して屋上まで戻るとオール先生も口論に参加していた。この教師、アホすぎね?

 

 

 

 

 

 



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第4話『朝はコールド』

惣子「やあやあ、プリティーなガールな石動惣子だぜ!第三回目ではボムヘアーとショートが喧嘩し始めたぜ!」

焦凍「もう…やめろよな」

惣子「ちょ、くっつかないでよ!?この場所って意外と狭いんだからさ!」

焦凍「次…あんなこと仕出かしたら襲うからな?」

惣子「ショートに怒られるの!?それはいやだな…説教とか長そうなイメージだしね!」

焦凍「……ちげぇよ」

惣子「え?なにが違うの?」

焦凍「どうなる第4話」

惣子「またかよ!いい加減にしないと怒っちゃうぞ!?」




 

ボムヘアーは酷く反省しており、モジャ毛と一緒に教室に帰っていくしな。ちょっとやり過ぎたかな?等と思いながらオール先生に怒られる。

 

説教を聞き終えてから教室に帰ったら焦凍に「家に帰ったら覚えてろよ?」とか言われて複数の女子から詰め寄られてキツかった!!ブドウは「同棲…だと…!?ちくしょおぉぉ!!!」とか叫びながら教室を出ていき、バリバリ君とかメガネ君とか剣山ヘアーから「大丈夫なのか?」と聞かれたぜ。

 

「おい、進化女!!次からは真面目に戦いやがれ!!」

 

そんな事を言い放ってボムヘアーは教室から出ていった。

 

なんと言えば良いんだろうか。そう、ヒロアカの奇妙な冒険「プライドは砕けない」とか出来そうな感じだね。こっそりと計画書を作って提示してみようかな。

 

「惣子ちゃん、もうやめてね?」

 

「うぃっす!梅雨ちゃんの仰せのままに!」

 

「ケロ…。そんなに畏まられると困っちゃうわ」

 

焦凍に手を引かれながら教室を出る。ちょっとゴツゴツとした手の感触に驚きつつ、男の子だなぁーとか考えている間に下駄箱まで来ていた。最早、一種の催眠術みたいな感じだね。

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

 

家に帰ろうとしたら轟邸に引きずり込まれ、そのまま一夜を過ごしてしまった。ママン、パパン、私ってばお泊まりをしちゃったぜ。理由は知らないけど、焦凍が隈を作ってた。夜更かしのし過ぎは身体に毒だぜ?と伝えると「毒はお前だ」とか言われた。女の子に対して毒とか酷くね?

 

「エンデヴァーさん、オハザーッス!」

 

「ああ、おはよう。…焦凍は、随分とヤつれてるな」

 

「…流石に疲れた……」

 

「「あらあら、まあまあ!」」

 

焦凍の母親と姉が嬉しそうな顔を浮かべて私達を交互に見ている。……とりあえずサムズアップを送ってみる。焦凍以外の人からサムズアップを返された。うん、よく分からないけど。みんな、満足そうなので良しとしよう。

 

 

轟邸を出てから15分ほど掛かってしまった。そんな事を考えながら教室に入るとお高い洗顔のおかげて艶々な顔の私と夜更かしのし過ぎでヤつれてるな焦凍を交互に見比べてくる。ちょっと恥ずかしくなり、焦凍にどうしようか?と尋ねてみる。

 

「ウルセェ…。此方はお前のせいで寝不足なんだよ」

 

「その言い方は失礼じゃないか!?ショートから(ゲーム)ヤろうって言ってきたじゃんか!」

 

「はぁ?お前が(ゲームに)勝つまで止めないとか言うからだな」

 

焦凍と言い争っている最中、教室の中を見渡すと顔を真っ赤に染めて俯いている女子生徒と顔を反らしながら話を聞いている男子生徒、血涙を流して焦凍を睨むブドウと眠そうなイレイザー先生が教卓に頭を押し付けていた。

 

 

 

 

 

 



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第5話『リバースな都市』

惣子「やあやあ、プリティーなガールな石動惣子だぜ!第四回目ではショートとのゲームの話だったな!」

焦凍「そうだな。これからはゲームは協力系だな」

惣子「ダンジョンだね!」

焦凍「ダンジョンか…。まあ、面白そうなヤツはその辺りだな」

惣子「だしょー?」

焦凍「だしょ?」

惣子「『だろ?』と『でしょ?』の造語だぜ!」

焦凍「成る程、俺も使ってみるか」

惣子・焦凍「「どうなる第5話」」

惣子「ふっふっふっ、五回目はないぜ!!」




 

ちょっとした小話だけど。性別を反転させる“個性”を持ったヴィランが街に潜伏しているとイレイザー先生から聞かされた。翌日、性別が男になっていた。……まあ、エボルトの細胞を使えば性別を反転させる事は出来るね。

 

「「ウオォォ!!恥じらう地味系女子!エロいぜ!」」

 

そんな事を考えているとバリバリ君とブドウがモジャ毛を見ながら雄叫びを上げていた。うん、まあ、可愛いね。焦凍も可愛い女の子に変身してるし、私ってば男に変わったら“個性”ってどうなるの?疑問を確めるためにドライバーを呼び出したら『ビルドドライバー』が出てきた。…進化の反対は衰退だよね?創造が出ちゃったんだけど。

 

「まあいいや。おい、ヴィラン野郎!俺の幼馴染みに何しやがんだ!」

 

オレンジ色のナックル『クローズマグマナックル』を取り出して『ドラゴンマグマフルボトル』を上下に振り、キャップをドラゴンのロゴに合わせると『ビルドドライバー』に差し込む。

 

ボトルバーン!!

 

クローズマグマ!!

 

私の後ろにナックル型の建造物が現れる。この中に溶岩が入ってんだよね。熱いのかなぁ?

 

『Are you ready?』

 

「変身!」

 

極熱筋肉!!クローズマグマ!!

 

アーチャチャチャチャチャチャアチャーッ!!

 

固まった溶岩が砕け散り、惣子はクローズマグマへと変身していた。

 

「力がみなぎる…!魂が燃える…!俺のマグマが迸る…!」

 

身体の中に抑え込まれたマグマのエネルギーに焼き焦がされながら口上をしっかりと口にする。

 

「もう誰にも止められねぇ…!!!」

 

ピエロ風のヴィランへと飛び掛かり、マグマを迸らせながらラッシュを叩き込む。剣山ヘアー改めサラサラヘアー少女になりながら「かっけぇ…」と口にしている。メガネ君改めメガネちゃんは「凄まじいな」と驚きの声を上げていた。焦凍は顔を赤くして俯いている。…女の身体は慣れないから恥ずかしいのか?

 

ナックルをドライバーから引き抜くと右手のひらに叩きつけるようにスイッチを押し込む。

 

 

ボトルバーン!!

 

ボルケニックナックル!!

 

アチャーーッ!!

 

「ウオォオォオォ!!!」

 

ピエロ風のヴィランにナックルを叩き付けて満身創痍へと追い込んだ。

 

「ハァ…ハァ…!ショート、怪我とか無い?」

 

「お、おう…」

 

焦凍の安否を確認しながら変身を解除すると女の身体に戻っていた。よく分からない“個性事件”だったな。そんな事を考えながら起き上がった。

 

「……夢か」

 

朝、迎えに来ていた焦凍や剣山ヘアー達が顔を赤くしていたのは何故だろうか?

 

 

 

 

 



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第6話『楽園のプレデター』


惣子「やあやあ、プリティーなガールな石動惣子だぜ!第五回目ではクローズに変身しちゃう夢を見たんだ!」

焦凍「俺も…変な夢を見たな……」

惣子「お?なになに、えっちぃ夢でも見たの?」

焦凍「それはないな」

惣子「ふーん、ほーん、へぇーっ」

焦凍「……なんだよ」

惣子「まあ、いいや。どうなる第6話!」




 

 

今現在、私達は『ウソの災害や事故ルーム』へと向かっている。賑やかなバスの中ではボムヘアーを弄り倒すような発言が飛び交っている。それなのに焦凍は面倒臭そうに『無色のギアが付いたボトル』を振っている。そう、私の作ろうとしているオリジナルな『フルボトル』の材料として利用しているのさ。まあ、本人には許可を貰ってるから合法なんだけどね。

 

でかいドーム型の建物を見上げていると、焦凍から『無色のギアが付いたフルボトル』改め『薄い水色のギアが付いたボトル』と『薄い赤色のギアが付いたボトル』を手渡された。名付けるならば『ギアアイス』と『ギアフレア』だな。カイザーシステムの第三作品目として有効的に活用させて貰うとしよう。

 

「石動、それは没収する」

 

「なんでですか!?」

 

「お前の持ってるモノは危険物だからだ!」

 

科学の発展には犠牲は付き物だと思うけどな。ほら、葛城も桐生も言ってたしね。そんな事を考えながら焦凍にイレイザー先生に『エボルト遺伝子』を忍び込ませる。ふっふっふっ、先生の身体を利用して社会的地位を崩してやる。

 

宇宙服姿の先生の話を聞きながら黒い渦の出来ていく階段下へと回り込み。ハンドマンの肩に手を置きながらクラスメイトに手を振る。先生達は叫んでるけど。聞こえないフリに徹しておこう。

 

「……お前、誰だ?」

 

「俺の名前はエボルト。地球侵略のためにやって来た地球外生命体だよ」

 

うら若き乙女の身体なのに渋いオッサンみたいな声を発する少女を警戒したのか。ハンドマンは少女の首に手を伸ばしたが、振り翳した手は少女に当たることなく空振りした。

 

「チッ…。黒霧、あのガキの相手はお前に任せる」

 

「分かりました」

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

 

イレイザー先生の目の前に戻ると帰ったら説教だと言われた。私なりに敵の注意を反らしたつもりだったんだけどな。まあ、私は適当に戦ってれば勝てるけどね。

 

「流石、金の卵ですね」

 

吸い込もうとして来たからブラックホールを生成して宇宙に放出しちゃったぜ。ラビットハッチ擬き(牢獄)の中だけどね。仲間の最後を月面から眺めてると良いね!

 

「……やっぱ、惣子は規格外だな」

 

「アハハ…。僕と同じ個性なのに僕より強そうだね」

 

数多のヴィランと戦っていたイレイザー先生が地面に叩き付けられた。あれは、流石にヤバいよね。うっしゃ、あのアイテムを使うとしようかな!

 

超高速で脳味噌剥き出しマッスル野郎を殴り飛ばし、イレイザー先生の自然治癒能力を最大限まで引き上げる。作中では遺伝子操作を利用した移動方法が有ったからね。使い方次第では回復にもなるのさ。

 

「先生、私と合体しようか!」

 

出来る限りの大きな声で叫び、イレイザー先生の腰に『ビルドドライバー』を押し付ける。装着したかを確認しつつ、先生の右手に『マッスルギャラクシーフルボトル』を握らせると使い方を説明する。

 

「成る程、筋肉には筋肉か……」

 

MUSCLE-GALAXY(マッスルギャラクシー)!!!

 

 

 

 

 

 



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第7話『マッチョな先生』


惣子「やあやあ、プリティーなガールな石動惣子だぜ!第六回目ではイレイザー先生と合体しよう発言をかましたぜ!」

焦凍「……男に対して、あれはダメだぞ」

惣子「そりゃあ、乙女として恥じらいはあるけど」

焦凍「おとめ?」

惣子「お?やるか?破壊してやるぞ」

焦凍「それは困る」

惣子「ふっふっふっ、覚悟しろー!」

焦凍「どうなる第7話+俺の恋路!」

惣子「誰にラブなの!?」




 

イレイザー先生がボトルをビルドドライバーを差し込んだ瞬間、私はゲル状になりながら先生の周りに漂い始め、先生はレバーをグルグルと回転させる。

 

『ブラァ!』「チャオ!」

 

『ブラァ!』「チャオ!」

 

『ブラァ!』「チャオ!」

 

『Are you ready?』

 

「変身」

 

「『銀河無敵の筋肉野郎!!!』」

 

「『CROSS-Z!!(クローズ)EVOL!!(エボル)』」

 

私は先生に取り込まれ、先生を覆い隠すためのパワードスーツに変身する。意外と気持ち悪い異物感に襲われてしまっている。

 

『パネーイ!!!マジパネーイ!!!』

 

本家と違って。ここは私が声を出している。私の声ってばイカしてるぜ。

 

「さあ、授業を再開しよう」

 

イレイザー先生は右手首をスナップさせ、有り余る力を最小限に抑え込みながら脳味噌剥き出しマッスル野郎の土手っ腹に右拳を叩き込み。エナジーを迸らせながら脳味噌剥き出しマッスル野郎を殴り飛ばし、レバーを一回だけ回転させる。

 

CROSS-Z SIDE!!(クローズサイド)

 

『Ready GO!』

 

MUSCLE FINISH(マッスルフィニッシュ)!!!』

 

「ハアァッ!!」

 

ドライバーからエネルギーが右拳へと集束され、クローズドラゴン・ブレイズが強烈な一撃となって脳味噌剥き出しマッスル野郎を上空へと吹き飛ばし、もう一度レバーをグルグルと回転させる。

 

EVOL SIDE(エボルサイド)!!!』

 

『Ready GO!』

 

GALAXY FINISH(ギャラクシーフィニッシュ)!!!』

 

ブラックホールを利用して打ち上げられた脳味噌剥き出しマッスル野郎の背中を殴り付けて地面に叩き落とし、クレーターを作り出した。イレイザー先生は地面に着地すると疲れたような溜め息を吐きながら今まで以上にレバーをグルグルを回転させる。

 

CROSS-Z SIDE!!(クローズサイド)EVOL SIDE(エボルサイド)!!!

 

DOUBLE(ダブル) SIDE(サイド)!!!

 

『Ready GO!!』

 

三匹のエナジードラゴンを纏いながら飛び上がり、脳味噌剥き出しマッスル野郎へと向かって落下する。

 

MUSCLE-GALAXY FINISH(マッスルギャラクシーフィニッシュ)!!!』

 

マッスルギャラクシーフォームの先生の左右にエボルバージョンの私とグレートクローズドラゴンバージョンの私が出現し、三人同時のライダーキックを叩き込んだ。

 

「敵戦力鎮圧完了」

 

イレイザー先生が脳味噌剥き出しマッスル野郎を倒し終えた瞬間、オール先生が天井を突き破って登場した。遅すぎた登場だね!

 

 

 

 

 



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第8話『フィーバー体育祭』


惣子「やあやあ、プリティーなガールな石動惣子だぜ!第七回目ではイレイザー先生との憑依合体的なヤツを繰り広げてやったぜ!」

焦凍「……そうだな」

惣子「なに?拗ねてるの?」

焦凍「……ちげぇよ」

惣子「よすよす、がんばったねー!」

焦凍「(柔らけぇ……)」

惣子「ピンチはヒーローになるための手段だからね!今後からもピンチはぶち壊す!」

焦凍「……地球は壊すなよ?」

惣子「どうなる第8話!」

焦凍「話聞けよ」





 

イレイザー先生に個性を消されたハンドマンは警察の護送車へと運び込まれ、ボムヘアーや焦凍達によって半殺しにされたヴィランは担架に乗りながら刑務所へと連れて行かれた。うん、今日も元気な1日を終えたぜ。

 

「石動、今回はお手柄だ。…コイツは返しておく」

 

二つの『ギア』を手渡されたけど。赤色と紫色のボトルに変色していた。

 

くそぅ…先生のせいでボトルが性質変化しちゃったよ。

 

そんなことを心の中で叫びながらガンメタルブラックとガンメタルグレーで統一された『ネビュラスチームガンⅡ』をイレイザー先生に手渡す。もう、先生のモノだからね。使い方次第ではヘルブロス級には強くなると思うよ。どう考えても『赤色のギア』はエボルト遺伝子が組み込まれてるけど。問題ないと思います。

 

警察の人から事情聴取されていたクラスメイト達から「スゲーな」とか「あのかっけぇ奴、俺でも成れるのか!」とか聞かれたけど。出来るよ。とだけ答えてバスに乗り込んだ。イレイザー先生には最前席で『ネビュラスチームガンⅡ』を弄っていた。やっぱり、男の人は銃とか剣とか大好きなんだね。焦凍の部屋にも剣のキーホルダーとか置かれてたからね。

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

 

まあ、色々な事があったけど。体育祭当日だぜ。焦凍からは優勝したら話があるとか言われたけど。私に勝てると思ってるのかな?随分と愉快な脳味噌になっちゃったね。叶わない夢に現を抜かしてると置いていっちゃうよ?

 

そんなことを考えていると、エンデヴァーさんとレイさんから「がんばれ」と応援された。うんうん、うちのママン達は死ぬ気で負けて来なさい!とか言ってきたからね。娘の優勝を願って欲しかったぜ。

 

「選手宣誓、1年A組石動惣子!!」

 

呼ばれたので壇上に上がると突き刺さるような視線に晒された。うん、ここはインパクトのある宣言を行ってみよう。声を調整して金尾さんの声に変える。

 

「この星に来て10年…色んなことがあったよなぁ。お前たちに触れて、人間がいかに愛すべき愚かな存在かよーく分かったよ」

 

原作の台詞を読んだだけだ。そしたら唖然としたような驚愕したような表情を観客席の奴らも生徒の奴らも教師の奴らも浮かべていた。

 

「フフ、ハハハ・・・!本日をもって、我が国は終了する!俺の名はエボルト。あらゆる惑星を吸収して、自らのエネルギーに変える地球外生命体だ。この地球を滅ぼして、俺の一部にする!」

 

身体を覆い隠していたエボルト遺伝子を剥がし、予め変身していた『エボル』へと姿を変わる。全国中継だったよね。いやぁ~っ、うちの蕎麦屋が繁盛しそうだぜ。生徒達が構えて、観客席からヒーローが飛び降りようとした瞬間だった。

 

「まあ、ウソなんだけどね?」

 

多分、世界中の視聴者は転げ落ちたと思う。

 

 

 

 

 

 

 



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第9話『ランウェイな種目』



惣子「やあやあ、プリティーなガールな石動惣子だぜ!第八回目ではカッコいい宣言を決めてやったぜ!」

焦凍「お前、あれはないだろ?」

惣子「え?サイコーな台詞だったじゃん!」

焦凍「第一、お前は地球外生命体じゃねぇだろ?」

惣子「……案外、違うかもよ?」

焦凍「は?」

惣子「どうなモギャ!?」

焦凍「どうなる第9話」

惣子「妨害反対!」





 

 

第1種目「障害物競争」を行うために配置に着いたら焦凍と梅雨ちゃんが肩に手を置いてきた。……ふふっ、私の仕出かす事が分かってるみたいだね。

 

「スターーートッ!!」

 

開始宣言が聞こえた瞬間、障害物の手前にブラックホールを利用して転移する。カメラに映ってるから問題ない。そして、二人を背中に乗せながら会場へと帰ってきた。

 

『マジか!?マジなのか!?一瞬でゴールしやがった!!!』

 

解説席に座ってるマイク先生とイレイザー先生に手を振り、壇上の前で十数分ほど待っているとモジャ毛がボムヘアーの踏み台にしてゴールしてきた。頑張るって行為は素晴らしいと思うけど。無茶を繰り返して勝つより負けた方が良いと思うな。

 

『石動、次の種目では個性を最小限に抑えろ』

 

イレイザー先生の忠告が聞こえてきた。この場合、警告になるのかな?

 

「先生、これでも2%です!」

 

正しく阿鼻叫喚の声だった。地球に住まう知能を持つ奴らは思いっきり叫んだと思う。溜め息を吐く音が聞こえてきた。酷くない!?酷くね!?

 

『それ以下まで下げることは可能か?』

 

コブラフォームより下位のフォームなんて無いんだよね。よし、焦凍に憑依しよう。

 

「ショート……」

 

第2種目を待っていると生徒達の方へと振り返り、焦凍の前で恥じらう乙女のように頬を染めながら焦凍の左手を掴んで上目遣いになるように見上げる。他の男子生徒も頬を染めながら直視してくるけど。気にする必要はない。覚悟を決めたように言い切る。

 

「あの、ね。…私と……合体しよ!」

 

「いいぞ」

 

あっさりと返答された。しかも勝ち取ったようにガッツポーズ決めてるし、そんなに合体したかったのかな?等と考えながら焦凍の腰に『スクラッシュドライバー』を押し付ける。

 

ドラゴン?ロボット?ノンノン!!今から『第3のスクラッシュライダー』を誕生させるのさ。

 

三日前、焦凍とエンデヴァーさんの個性をゼリー状に変質させた『ブレイズフェニックススクラッシュゼリー』だ。一応、グリス級の性能を兼ね備えたモノだけど。焦凍やエンデヴァーさんとかしかいない。ハッキリと言えば轟の血統者しか変身することが出来ない。

 

『スクラッシュドライバアァァ!!』

 

ちょっとした悪ふざけで焦凍にキスしながら憑依する。女子生徒陣営から黄色い歓声が起こり、男子生徒陣営から妬みの奇声が起こる。焦凍の右手には『緋色』と『橙色』の翼を持つ不死鳥のロゴが描かれたパウチ容器が握られていた。何故か、焦凍から喜びの感情が流れ込んでくる。……これってラブに近い感情だよね?

 

 

 

 

 

 

 



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第10話『飛び立つフェネクス』


惣子「やあやあ、プリティーなガールな石動惣子だぜ!第九回目はショートと合体しちゃったんだぜ!」

焦凍「相澤先生と並んだな」

惣子「なんで、イレイザー先生の名前が出てくんの?」

焦凍「気にするな」

惣子「おけ、いよいよショートの変身だね!」

焦凍「ああ、俺の活躍だな」

惣子・焦凍「「どうなる第10話」」






 

頭の中に流れ込んできた情報を整理しながらパウチ容器のキャップを捻り、スクラッシュドライバーに装填する。

 

ブレイズフェニックスジェリイィ!!!

 

左手を前に突き出し、手のひらが上に来るように捻りながらドライバーの右側に突き出しているレンチを下へと押し込み。

 

燃えるうぅッ!!!

 

沸き立つうぅッ!!!

 

焼き焦げるうぅッ!!!

 

ブレイズ・イン・フェネクスウゥゥ!!!!

 

『ブウゥルアァアァアァッ!!!!』

 

炎のようなゲル状の液体の入ったビーカー型の装置が砕け散り、火山のように真っ赤なゲル状のモノが噴き出しながら装甲へと変化する。ガンメタルシルバーのアンダースーツの上に双翼を拡げた不死鳥の様なクリアアーマーが装着された。新たなヒーロー『仮面ライダーフェネクス』の生誕である。焦凍は首に手を添えながらコキッと首の骨を鳴らした。

 

『おいおい!マジか!?自分の個性を他人に貸せんのよ!?』

 

プレゼント・マイクの驚いたような声が聞こえてくる。仮面ライダーの状態だからなのか。スッキリとした感覚に自分でも驚いているけどな。切島や爆豪から以外から羨ましいとか妬ましいとか、そんな感情の籠った視線を感じる。峰田からは変な視線を感じるが…。惣子と合体している俺で変な妄想でもしてるのか?

 

「先生、進めても大丈夫です」

 

ミッドナイトに声を掛けると第2種目の「騎馬戦」という文字がディスプレイに表示された。……相変わらず、雄英は行動が早いな。騎馬戦を組む仲間を探そうとした瞬間、蛙吹と飯田が俺の方に手を差し出してきた。蛙吹は、惣子の友達だよな?飯田とは接点と呼べるモノが有ったか?

 

「轟君、君や岩動さんとなら優勝できる!」

 

「轟ちゃん、惣子ちゃんとも一緒に戦いましょう?」

 

「オイラも混ぜろ!!」

 

俺の手が二人の手に重なろうとした瞬間、峰田が俺の手の上に手を乗せてきた。

 

「峰田…!?」

 

「ケロ?峰田ちゃん」

 

「峰田君!?」

 

「オイラだって活躍してぇんだよ!!」

 

ふと、頭の中に情報が流れ込んできた。ドライバーの側面にあるボトルをスロットから取り外し、三人に説明しながら手渡す。

 

シャカシャカシャカッ!

 

CASTLE(キャッスル)!!!

 

STAG(スタッグ)!!!

 

OWL(オウル)!!!

 

俺の言葉を信じてくれた蛙吹達は『ハードスマッシュ』へと変身した。峰田の身長も高くなっており、騎馬を組むことは出来そうだ。

 

『マジか!?マジで!?マジなのか!?お前のクラスは何でもありな奴らだぜぇぇ!!』

 

 

 

 

 

 

 



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第11話『荒ぶるフェネクス』


惣子「やあやあ、プリティーなガールな石動惣子だぜ!第十回目はショートの華麗なる変身が見れたぜ!」

焦凍「惣子、このドライバーって専用なのか?」

惣子「そうだよ?ショートへのプレゼントだぜ?気に入ったか!」

焦凍「ああ、すげぇ嬉しいよ」

惣子「しょ、しょうきゃ!?」

焦凍「噛み噛みだな…。大丈夫か?」

惣子「んんっ、気にするな!」

焦凍「そうか」

惣子・焦凍「「どうなる第11話」」

焦凍「(焦り顔も可愛いな……)」






 

三人の組み上げた騎馬に乗りながら開始の合図を待っていると親父や母さんが観客席で手を振っているのが見えた。よく見ると姉さんや兄さんもニヤニヤと笑いながらスマホを構えていた。アイツら、惣子とのキスシーンを写メりやがったな。

 

「第2種目、開始ィ!!」

 

ミッドナイトの声で我に帰り、近くに立っていたB組やらC組やらのハチマキを奪い取る。炎がゲル状になってるおかげで被害を最小限に抑えることが出来てる。流石、俺の惣子は出来る女だな。

 

ゲル状の翼を生やすと上空から滑空するようにキザ顔の奴からハチマキを奪う。……アイツ、態と取らせたのか?振り返ってキザ顔を見ると『スクラッシュドライバー』と『ロゴの無いスクラッシュゼリー』を持っていた。あの野郎ッ、俺と惣子の個性をコピーしやがったのか!?

 

騎馬の奴らに話し掛け、物真似野郎に接近してもらう。使わせるか、そいつは俺達のモノだッ!!!

 

『スクラッシュドライバアァァ!!!』

 

『エンプティジェリイィ!!!』

 

バチバチバチイィッ!!!

 

「アビャアァアァアァ!?!!」

 

キザ顔に青白い電流が迸らせながら落馬しやがった。唖然として見ているとキザ顔が起き上がってきた。

 

「なんだよ!?なんで変身できないんだよ!?」

 

物真似野郎から離れていこうとした瞬間、爆豪のヤツが割り込んできやがった。俺や緑谷、惣子を目の敵にしてくる奴だったな。少し、本気で相手するか。

 

「死ねえぇ!!半分野郎ォッ!!!」

 

「半分野郎じゃねぇ!俺の名前は轟焦凍だッ!!」

 

俺の首から二本のハチマキが奪い取られ、俺の手には三つのハチマキが収まっている。

 

くそっ、最後の最後で油断した!!

 

……だが。一応、惣子も第3種目に参加する事は出来る。峰田や蛙吹、飯田も出場する。前の味方は次は敵か…。そういうのは、意外と堪えるな。

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

焦凍の活躍を眺めてたけど。最後の最後で気を抜いちゃったね。まあ、次からは頑張ってもらうとしよう。勝つのは私だけどね。ボムヘアーは不満そうだけど。一位通過だよ?笑っちゃえば良いのにね?

 

「メガネ君、ブドウ、梅雨ちゃん、ショート。次からは頑張ってね?」

 

三人からフルボトルを回収する。ブドウは名残惜しそうに見てたけど。他人のモノだからね。諦めたようだ。焦凍には『スクラッシュドライバー』を継続的に使って貰えると嬉しいかな。

 

「惣子、俺はお前を倒すっ!」

 

「うん、期待してるぜっ!」

 

コッソリと『ビルドドライバー』と『フルフルフロストブレイズボトル』を焦凍に仕込んだ。私と戦う時に出てくるように調整したモノだけどね。

 

 

 

 

 

 

 



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第12話『エボルトは戸惑う』


惣子「やあやあ、プリティーなガールな石動惣子だぜ!第十一回目ではショートのカッコいい活躍やちょっとした失敗が見れた!」

焦凍「次は勝つ…」

惣子「負けず嫌いな、男の子だね!」

焦凍「惣子、お前にも勝つからな」

惣子「うん、期待せずに待ってるぜ!」

焦凍「……そこはウソでも期待してくれ」

惣子「どうなる第12話」

焦凍「話を反らすな」






 

 

ミッド先生の後ろに現れたトーナメント表を見上げる。

 

第1回戦「緑谷VS心操」

 

第2回戦「轟VS上鳴」

 

第3回戦「爆豪VS飯田」

 

第4回戦「切島VS峰田」

 

第5回戦「蛙吹VS芦戸」

 

第6回戦「瀬呂VS常闇」

 

番外出場「石動惣子」

 

私だけハブられたんだけど。どうしよう、考えているとレイさん達が視界の端に映ったので手を振ってみた。盛大に振り返してくれた。

 

『イレイザー、エンデヴァーと石動惣子ってば知り合いなのか?』

 

『轟と石動は幼馴染みだ。面識があっても不思議じゃない』

 

「石動惣子は、焦凍の許嫁であり!俺の義理の娘となる!!ただの知人では無いッ!!!」

 

え?初耳なんだけど。いやいやいや、許嫁とか聞かされてないよ?ママン達も御贔屓にしてくださいねとか言ってたけど。そういうことなの!?ヒューヒューと黄色い歓声が聞こえてくる。

 

いや、その、あ、うえ、どうしよう!?

 

「親父のせいで予定が狂った」

 

ボソリと呟いたつもりなんだろうけど。観客席まで聞こえてくる。焦凍が、覚悟を決めたように顔付きで振り返ってきた

 

「惣子、ガキの頃からお前が好きだった。俺と付き合ってくれ」

 

うぴゃあぁあぁああぁ!?!

 

焦凍も認知してたの!?私だけ知らなかったの!?仲間外れはやめてよね!寂しくなるでしょうが!?というか、私のこと好きだったの!?

 

えっ、えっ、お、おぉう!?

 

どうすれば良いんだ?告白された経験無いから分かんないんだけど!?そ、そうだ!返事しないとイケないんだ!?返事、返事、返事ってどう返せばいいのよ!?

 

「わりゃひに勝ったら良いじょ!?」

 

……噛んでしまった。テンパりすぎて噛んでしまった。やばい、恥ずかしくて死にそうなんだけど。

 

「死んでも勝つッ!!」

 

死んじゃダメだよ!?空気に耐えられなくて控え室へと続いている廊下に逃げ込み。焦凍だけに黄色い歓声が送られていた。きっと、焦凍の気の迷いとかそんなモノだよね?

 

控え室の中に設置されたモニターを眺めながら全員の試合を観ていく。……精神を統一しようと呼吸を整えているとエンデヴァーさんが控え室に入ってきた。

 

「惣子、勝手な真似をしたことは謝罪する。しかし、しかしだ。焦凍が勝てば焦凍の嫁となる約束は守るようにっ!」

 

「ひゃ、ひゃい…」

 

そんな事を言うために来たの!?とか考えながら焦凍の言動や流れ込んできた感情に納得した瞬間、ストンと身体の中で詰まっていたモノが落ちたような感覚があった。そっか、私も好きなんだ。……えへへっ、そっかそっか、私も焦凍のことが好きなんだ。

 

 

 

 

 

 



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第13話『エボルトの歓喜』


焦凍「……轟焦凍だ。惣子は別室で悶える。色々と言い足りないが、俺は勝つ。誰よりも何よりも石動惣子という女の子のヒーローになることだけを願って生きてきた。それが実ろうとしてる。若干、親父のせいで予定が狂ったけどな。そんなわけだ。俺は悶える惣子の覗いてくる」

惣子「そっかそっか、えへへ……っ」

焦凍「やっぱ…。アイツって天使とか女神なんじゃないか?俺の心臓が飛び出しそうなんだが……」

惣子「ショート……ショート……ふへへっ」

焦凍「……どうなる、俺ッ!?」




 

 

『最後を飾るのはコイツらだァァ!!何でもありな進化する系ガール!!石動惣子!!!バァーーサッス!!ラブな炎とクールな行動で戦うラブウォリアー!!轟焦凍!!』

 

恥ずかしくて頬を染めながらリングに上がると『騎馬戦』以外では使わなかった『スクラッシュドライバー』を腰に装着しようとしていた。……流石、勝ちに来るって言うだけはあるね。『エボルドライバー』を取り出して腰に装着する。エボルボトルを上下に振り、ドライバーに装填する。

 

COBRA(コブラ)!RIDERSYSTEM(ライダーシステム)!

 

『Evolution!!』

 

ドライバーのレバーをグルグルと回転させ、胸の前で腕を交差させる。

 

『Are you ready?』

 

「変…身…」

 

COBRA(コブラ)!COBRA(コブラ)!EVOLCOBRA(エボルコブラ)!

 

『フゥーハッハッハッハッ!!』

 

仮面ライダーエボル『コブラフォーム』になると焦凍が変身するのを待つ。焦凍はパウチ容器のキャップを捻り、ドライバーに装填する。

 

ブレイズフェニックスジェリイィ!!!

 

騎馬戦の時と同じようにドライバーから突き出しているレンチを押し倒す。

 

「変身」

 

燃えるうぅッ!!!

 

沸き立つうぅッ!!!

 

焼き焦げるうぅッ!!!

 

ブレイズ・イン・フェネクスウゥゥ!!!!

 

『ブウゥルアァアァアァッ!!!!』

 

仮面ライダーフェネクスがリングの上で再誕した。向かい合いながら開始の合図を待ち望む。多分、本気で戦う機会は少ない。だからこそッ、この瞬間で思いっきり戦いたい。

 

『スタアァァァット!!』

 

マイク先生の合図と同時に駆け出し、胸部装甲に互いの拳を叩き付ける。リングを取り囲む白線ギリギリまで弾かれ、ゲル状の炎を利用した反動で突進してきた焦凍を躱わす。やっぱり、焦凍の相手はキツイなぁ!!

 

リング中央へと後退しながら『コブラエボルボトル』をスロットから取り外すと『ガトリングフルボトル』に変えてレバーをグルグルと回転させる。

 

GATLING(機関砲)!!RIDERSYSTEM(ライダーシステム)!!

 

『Creation!!』

 

左手に『ホークガトリンガー』を呼び出すと焦凍に向かって乱射する。しかし、ゲル状の炎を盾として展開して溶かされる。『ホークガトリンガー』を投げ捨てると『ドラゴンエボルボトル』を取り出す。

 

DRAGON(ドラゴン)!!RIDERSYSTEM(ライダーシステム)!

 

『Evolution!!』

 

ドライバーのレバーをグルグルと回転させながら飛び上がり、焦凍をリングへと蹴り落とす。

 

『Are you ready?』

 

DRAGON(ドラゴン)!!DRAGON(ドラゴン)!!EVOLDRAGON(エボルドラゴン)!!!

 

『フゥーハッハッハッハッ!!』

 

EVOL(エボル)PHASE-TWO(フェーズ・ツー)

 

既に変身の解除された焦凍へと歩み寄ろうとした瞬間、焦凍から『赤色』と『青色』のエネルギーが放出され始めた。ついに、ついに、ついについについについにっ!!!

 

「覚醒したかアアァァッ!!」

 

 

 

 

 

 

 



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第14話『エボルトの最期』



惣子「やあやあ、プリティーなガールな石動惣子だぜ!いよいよ、私とショートの戦いが終わりを迎える」

焦凍「勝つのは俺だ」

惣子「そうとは限らないよ?」

焦凍「ぜってぇ勝つ」

惣子「アイム・ア・主人公!」

焦凍「どうなる第14話」

惣子「主人公の台詞をとるなぁー!」





 

 

出現した『ビルドドライバー』を装着するとガンメタルブラックと『ワインレッド』と『スカイブルー』の装飾が施された『フルフルフロストブレイズボトル』を上下に振り、折り曲げてドライバーに差し込んだ。

 

BLAZE&BLAZE(ブレイズ・アンド・ブレイズ)!!!

 

ドライバーのレバーをグルグルと回転させ、戦闘続行を訴えるように構える。

 

『Are you ready?』

 

「変…身…!」

 

覚悟を示すように掛け声を口にする。

 

灼熱のダンディヒーロー!!!

 

カッケーイ!!!マジカッケーイ!!!

 

飛んできた火山を背負った赤いドラゴンのような機械が分裂して身体を守る装甲へと変化した。

 

「差詰、仮面ライダーフェネクス『ブレイズフォーム』ってところかァ!?」

 

私は思い付いた言葉を口にしながら焦凍に歩み寄った瞬間、想定していた出力を上回る数値を叩き出して殴り飛ばされた。

 

「……こっからだ。こっからマジの戦いだ!」

 

焦凍は炎を溜め込むように設計した前腕装着型火炎加速装置『ブレイズガントレット』を利用して超高速戦闘を仕掛けてくる。『ビートクローザー』を取り出して応戦しつつ、焦凍の攻撃を紙一重で捌き続ける。

 

一直線に飛んできた焦凍の顎をサマーソルトの様に蹴り上げる、がら空きになった土手っ腹に廻し蹴りを叩き込んで自分の間合いから引き剥がす。

  

『Ready GO!』

 

焦凍は土煙の中から飛び上がり、鮮やかな炎を纏わせたライダーキックを放ってくる。

 

BLAZE-BLAZE FINISH(ブレイズブレイズ・フィニッシュ)!!!

 

焦凍のライダーキックは惣子に直撃した。爆発と共に巻き上がる黒煙を見た者は、焦凍の勝利を確信した。次の瞬間、絶望を振り撒く怪物の産声が聞こえてきた。

 

BLACK-HOLE(ブラックホール)!!!』

 

BLACK-HOLE(ブラックホール)!!!』

 

BLACK-HOLE(ブラックホール)!!!』

 

Revolution(レボリューション)!!!』

 

声が聞こえた瞬間、焦凍は場外へと弾き出されていた。自身の敗北と約束を守れなかった悔しさで呆然としていると両の頬を掴まれながら顔を持ち上げられ、柔らかいモノの感触が唇に伝わってきた。騎馬戦の前にも味わった。甘くて脳を可笑しくさせる唾液の味だ。

 

「勝者、石動惣子!!!」

 

「本気で付き合うなら覚悟してよね!」

 

ああ、俺の幼馴染みが可愛すぎて死にそうなんだけど。どうすればいい?そんな自問自答を繰り返しながら惣子の笑顔に魅入っていた。

 

 

 

 

 

 



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原作の変奏曲 -バリエーション-
第15話『オリジンな世界』




惣子「やあやあ、ショートのラブリーな彼女の石動惣子だぜ!第十四回目では激闘の末に結ばれた!」

焦凍「俺、満足」

惣子「語彙力、失っちゃった!?戻ってこーい」

焦凍「……キスしてくれたら戻る気がする」

惣子「ここでキスはダメだよ!?」

焦凍「どうなる第15話、撤収するぞ」

惣子「ちょ、えぇー!?」




 

 

メガネ君のお兄さんの身体を治したり、オール先生を追い回すヘンテコなストーカーサイコホモをボコってから三日ほど経過した頃、気が付くと彼氏が二人になっていた。容姿や同じ名前だけど。焦凍の方が格好良くて凛々しい。

 

……もしや、原作の世界に迷い込んだのかな?

 

そんな事を考えているとエンデヴァーさんと原作側の焦凍に連れられて居間へとやって来ました。ジロジロと観察するような目は嫌だけど。まあ、慣れれば大丈夫だと思うことにしよう。

 

「それで?なぜ、別次元の焦凍と彼女(?)が此方の世界に来たんだ?」

 

エンデヴァーさんの質問に対して、焦凍は「知らん」としか答えない。いやいやいや、原作の世界では不仲なんだからさ。もう、ちょっと、ぬくぬくとした関係を築こうよ。

 

「なあ、彼女とは(えっちぃこと)済ませたのか?」

 

「ああ、惣子とは(キス)経験済みだな。それがどうかしたのか?」

 

私のことで盛り上がってるところ悪いんだけど。エンデヴァーさんと直面するのはキツいんです。

 

「……ところで母さんは何処にいるんだ?」

 

ほらぁ~ッ、焦凍のせいで空気が凍り付いちゃった。個性とか使ってないよね?

 

「……そっちだと普通にいるのか?」

 

「ん?ああ、親父と毎日デートの話しかしてないな」

 

エンデヴァーさんの炎が倍増した。え?もしかして個性結婚とかじゃなくてラブな方で結婚したんですか!?ニヤニヤと笑いながらスマホを取り出し、エンデヴァーさんに遊園地で遊んでいる時の写真やアーンし合っている時の写真を見せる。

 

スゲー羨ましそうに見てくるんだけど。うぇへへっ、エンデヴァーさんの悔しそうな顔を見れて満足じゃよ。

 

「……学校、行ってくる」

 

「ああ」

 

時系列は体育祭後なのかな?意外と不仲じゃ無さそうだしね。

 

「惣子、俺達も行くぞ」

 

「え?なんで?」

 

「飯田達も来てる可能性、あるだろ?」

 

「成る程、エンデヴァーさん!行ってきますね!」

 

「ああ」

 

未だに立ち直れてないエンデヴァーさんを憐れに思いながらブラックホールを利用して雄英高校までひとっ走りする。座標を間違えて1年A組の教室に転移しちゃった。……私達以外、原作の世界に来ている人はいないようだ。ちょっと残念だな。

 

「……なあ、惣子。相澤先生、目の下に傷なんて有ったか?」

 

「なかったよ?」

 

「やっぱ…。雄英は惣子がいないとダメだな」

 

その一言にカチンと来たのか。クラス中から突き刺さるような視線を受けている。焦凍の言葉は被害範囲が大きいから喋らないで欲しい。

 

「お前達、グラウンド貸してやるから模擬戦でもしてこい」

 

クラス中から「はい!!」という声が聞こえてきた。ボムヘアーから犇々と殺気を感じるぜ。

 

一対一(タイマン)で殺らせろ!」

 

グラウンドで爆発を起こしながら威嚇してくるボムヘアーから視線をイレイザー先生に向ける。面倒臭そうな表情を浮かべていた。

 

 

 

 

 

 

 



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第16話『半熱半冷がフェネクスでやってくる』



惣子「やあやあ、ショートのラブリーな彼女な石動惣子だぜ!第十五回目ではショートと一緒に異世界に飛ばされた!」

焦凍「俺、あの親父はイヤだな」

惣子「たしかに眼光が鋭かったね!」

焦凍「いや、俺が二人になったのを喜んでたからだ」

惣子「流石、親馬鹿なエンデヴァーさんだね!」

焦凍「親父は親馬鹿なのか?」

惣子「親馬鹿だね!」

惣子・焦凍「「どうなる第16話」」





 

 

爆豪に応戦しようとしていた惣子を止める。よく見ると『エボルドライバー』を左手に持っており、出会った頃と同じような目をしていた。…その目は嫌いなんだよ、やめろ。

 

「爆豪、手加減抜きで相手してやるよ」

 

焦凍はドライバーを装着するとパウチ容器のキャップを捻り、ドライバーに装填した。

 

ブレイズフェニックスジェリイィ!!!

 

「変身」

 

左手を前に突き出し、手のひらが上を向くように捻りながらドライバー右側から突き出しているレンチを押し倒す。

 

燃えるうぅッ!!!

 

沸き立つうぅッ!!!

 

焼き焦げるうぅッ!!!

 

ブレイズ・イン・フェネクスウゥゥ!!!!

 

『ブウゥルアァアァアァッ!!!!』

 

炎のようなゲル状の液体の入ったビーカー型の装置が砕け散り、火山のように真っ赤なゲル状のモノが噴き出しながら装甲へと変化する。ガンメタルシルバーのアンダースーツの上に双翼を拡げた不死鳥の様なクリアアーマーが装着された。首に手を添えながらコキッと骨を鳴らし、ボムヘアーに向かって手招きする。

 

「向こうの轟のヤツ、別の個性かよ!?」

 

「んなもんでビビるかぁ!!!」

 

爆風を利用して突進してくる爆豪を往なし、顔面を掴みながら地面に叩き付ける。加減を間違えたせいか、軽めのクレーターが出来ていた。

 

「「「「しゅ、瞬殺!?」」」」

 

惣子以外の奴らは驚いている。そりゃあ、惣子から『ブラックホールフォーム』を数秒とはいえ引き出した相手だぞ?

 

そっちの世界とは出来が違うんだよ。等と考えているとガリガリに痩せたオッサンが、惣子に隣に座りやがった。……変な髪型だな。

 

「惣子、他のボトル使っていいか?」

 

「いーよーっ!」

 

「そうか」

 

ドライバーの側面にあるスロットから『ジェットフルボトル』を取り外し、ドライバーに差し込む。

 

JET(ジェット)!!!

 

DISCHARGE-BOTTLE(ディスチャージボトル)!!!』

 

『潰れなァ~い!!!!』

 

戦意の無くなっていないボムヘアーを空中へと放り投げると『ジェットフルボトル』の特性を利用した超音速での攻撃を叩き付け、満身創痍となった爆豪が焦凍に抱えられて降りてきた。

 

教室で敵意を向けてきた時とは打って代わり、シュンとした感じになっていた。

 

「……サドロキ」

 

「惣子、それはやめろ」

 

「うぃっす」

 

変身を解除してから惣子の頬っぺたを引っ張り、ガリガリに痩せたオッサンから引き剥がす。どことなくオールマイトに似てるような気がすんだよな。

 

 

 

 

 

 



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悪魔の鎮魂曲 -レクイエム-
第17話『禁断のパーティー』




惣子「やあやあ、ショートのラブリーな彼女な石動惣子だぜ!第十六回目ではショートの一方的な蹂躙劇を目の当たりにしたぜ!」

焦凍「蹂躙劇?肩慣らしの間違いだ」

勝己「んだとてめぇ!?掛かってこいや!」

焦凍「入ってくるな。俺と惣子のあらすじシーンだぞ」

勝己「知るかぁ!!さっさとベルト巻きやがれ!!」

惣子「やれやれ、どうなる第17話」





 

 

気が付くと原作の世界から帰ってきていた。林間合宿前日だそうだ。危なかった…。単位を落としたら拳骨を喰らうところだった。必要なモノを大型鞄に詰め込むと林間合宿に必要な持ち物を確認する。

 

テレビを点けるとヒーロー殺しなる人物を殴り飛ばした雄英生の事を語っていた。へぇーっ、アホなことする奴も居たんだね。……可笑しいな、テレビに『エボル』の姿が映ってる。しかもヒーロー殺しなる人物は武器も無くなってグルグルパンチで応戦してるし、ちょっとだけ可哀想に見えてきた。ブッツン!という音と共にテレビの電源が切れ、顔無しがテレビ画面に映っていた。

 

「石動惣子君、君の活躍は耳にしているよ。なにより死柄木弔を降した子だからね。それなりの評価を表しているつもりだ。どうだろう、僕の元へ来る気は無いか?」

 

画面越しに殺気が伝わってくる。どっちを答えても殺す気なんだろうけど。死ぬつもりはないし、『ビルド』以外では死なないんだよね。テレビのコンセントを抜いておいた。……明日の朝は早く起きないとダメなんだよね。変な人の話に付き合うつもりは皆無なんだよ。

 

翌日、スマホに録画していたモノをイレイザー先生に見せたら厳重な警備と共にボッチで林間合宿のペンションへと向かっていた。

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

 

夕刻時、満身創痍となったクラスメイト達が森から出てきた。焦凍に唾を飛ばそうとしたメス猫を放り投げ、濡れタオルで焦凍の顔を付着した土を拭い取る。……ガキンチョがクールな台詞を吐き捨ててたけど。気にする必要はないと思う。

 

「惣子、お前が作ったろ?」

 

「轟君ってば分かるんやね!」

 

「麗日、味噌汁飲んでみろ」

 

「…ズズッ……ゲロマズイィ!!」

 

「惣子の料理、不味いだろ?」

 

味噌汁を飲み干し、沢庵と握り飯を食べようとした。焦凍の口を抉じ開け、熱々の味噌汁を流し込む。振り払おうとしたから腕に胸を押し付ける。

 

「……レボリューション……」

 

「うん、革命だね」

 

メス猫と共に食器を片付け終えると女子全員で温泉へと向かう。途中、ブドウの視線を感じたけど。無視しておくとしよう。

 

脱衣場を抜けて身体を洗い終わってから温泉に浸かっていると男子陣営の口論する声が聞こえてきた。……焦凍の声も聞こえてくる。

 

「石動とは何処まで行ったんだよおおぉぉ!!」

 

ブドウの叫び声が聞こえてきた。視線を感じて振り返ると期待の眼差しを向けられていた。語れと言うのか!?

 

「ヤることはヤった」

 

ンンンンンンンンンンンンンッ!!!焦凍の空気の読めない発言が発動しちゃった。ほら、女子陣営も真っ赤に染まってるからさ!この話は終わりにしよう!!

 

 

 

 



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第18話『復活のレイダー』


惣子「やあやあ、ショートのラブリーな彼女な石動惣子だぜ!第十七回目ではヘンテコなオッサンからラブコールを受けたぜ!」

焦凍「その話、初耳だな」

惣子「おっと…秘密だった」

焦凍「詳しく聞かせろ」

惣子「まあまあ、慌てずに落ち着いてよ」

焦凍「慌ててない。さっさと話の内容を教えろ」

惣子「う、うーん。どうなる第18話!」

焦凍「話を反らすな」





 

個人待機していると頭の中に声が響いてきた。不快な声だと思いながら聞いているとヴィランが「かっちゃん」なる人物を捕まえに来たそうだ。

 

スマホを取り出し、とある人物に電話を掛ける。一通りの事を説明してから外出許可の申請書が受理された事を聞かされた。ブラックホールを利用して電話先へと向かう。「弱肉強食」と書かれたシャツを纏う男とスーツ姿の男に会釈してから戻ると、爆音や炎熱で焦げた木々の臭いが漂ってきた。

 

「仮釈放ではなく慈善行動だ。忘れるなよ?」

 

「ハァ…分かっている。エボルト、早くドライバーを寄越せ」

 

溜め息を吐き出す男に『スクラッシュドライバー』と『エッジスクラッシュゼリー』を手渡しながらペンションの外へと出ると焦凍に抱き着いている継ぎ接ぎ男が見えた。気が付くと腰に『エボルドライバー』を装着していた。ボトルを上下に振り、ドライバーに装填する。

 

COBRA(コブラ)!RIDERSYSTEM(ライダーシステム)!

 

『Evolution!!』

 

ドライバーのレバーをグルグルと回転させ、胸の前で腕を交差させる。

 

『Are you ready?』

 

「変…身…」

 

COBRA(コブラ)!COBRA(コブラ)!EVOLCOBRA(エボルコブラ)!

 

『フゥーハッハッハッハッ!!』

 

本能のままに継ぎ接ぎ男を殴り飛ばした瞬間、腐敗臭を放つ泥状のモノになり消えていた。焦凍を抱き起こし、迫ってくる霧の中へと突入する。

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

 

俺は少女との約束を守るために、この場所にやって来た。惨たらしく未成熟の幼子を襲う筋肉の怪物を蹴り飛ばし、俺を降した少年の前へと着地する。

 

「なんで、なんで此処にッ…ステインがいるんだ!?」

 

少年と幼子の盾となるように筋肉の怪物と対峙する。少女よ、使わせて貰うぞ。

 

『スクラッシュドライバアァァッ!!!』

 

パウチ容器のキャップを捻り、ドライバーに装填する。

 

エッジィジェリイィィ!!!!

 

ドライバー右側から突き出しているレンチを押し倒す。あの時、少年と少女が口にしていた言葉を真似る。

 

「変身」

 

刻むうぅッ!!!

 

裂けるうぅッ!!!

 

断ち切れるうぅッ!!!

 

『エッジイィ・イン・レイダアァァッ!!!!』

 

『ブウゥルアァアァアァッ!!!!』

 

俺に押し寄せてくる三日月状のエネルギーエッジを受け止め、オールマイトと同じ様に魅せられた『仮面ライダー』へと変身を遂げた。

 

(ヴィラン)よ、野望の為の礎となれ…」

 

筋肉の怪物を指差しながら理想の世界に不要なヴィランを粛正する覚悟を決める。

 

 

 

 

 

 



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第19話『マッドな理想主義者』



惣子「やあやあ、ショートのラブリーな彼女な石動惣子だぜ!第十八回目ではヒーロー殺しなる人物が活躍したぜ!」

焦凍「お前、覚えるの苦手だよな」

惣子「そうなのよ、未だに覚えられた人間は少ないのさ!」

焦凍「それなら覚える努力とかしろよ」

惣子「どうなる第19話!」

焦凍「露骨に反らしたな」



 

 

俺は義眼を取り換えようとしている筋肉の怪物へと駆け出し、前腕搭載型『ヴァイブエッジ』の振動を最大限まで引き上げながら筋肉繊維を切り裂く。分厚い筋肉の壁に阻まれるとはいえ長期戦では分が悪い。被弾覚悟の短期決戦で叩き伏せる。

 

「ハァ…覚悟しろッ!」

 

「良いぜぇ!良いぜぇ!ド田舎でアンタと殺し会いが出来るとは思っても見なかったぜぇ!!」

 

筋肉の怪物の突き出した拳打を受け止め、高速で振り下ろした手刀で切り落とす。───否、態と斬らせたと言うべきか。余分な箇所は切り捨てる。このヴィランは戦場を理解しているな。

 

「ゼァッ!!」

 

「ヴイィィジャアァァァッ!!」

 

少年と幼子から引き剥がすように筋肉の怪物を崖下へと道連れの形になりながら叩き落とし、少年と幼子へと振り返る。無傷とは言えないが、軽傷で済んでいるな。絡み付いてくる筋肉繊維を押し退けながらレンチを力任せに押し倒す。

 

SCRAP-FINISH(スクラップフィニッシュ)!!!』

 

「貴様は寝ていろおぉおぉッ!!」

 

右足からボウイナイフ状のエネルギーエッジが放出され、筋肉の怪物を切り裂きながら地面と衝突した。頑丈な木の枝に掴まりながら着地すると、ヴィランの形成していた筋肉の壁は崩れており、首を上げるだけで精一杯のようだな。

 

「ぐっ、ガハァッ!?」

 

「ハァ…ハァ……次こそ…」

 

ヴィランの髪を掴みながらペンションへと向かう。同行者の刑事の無事を願いつつ、辿り着くと攻めてきたヴィラン全員が檻の中に収納されていた。……先ほどの少年と幼子も存命していたようだ。

 

「ステイン、この子達から聞いている。…御協力に感謝します」

 

イレイザーヘッドが頭を下げようとしてきた。生徒の前で頭を下げるなと思いながらイレイザーヘッドの肩を押し上げ、刑事の隣に座る。

 

……インゲニウムの血縁者も見てくるが、憎悪や殺意は籠っていない。あれは疑惑の目だ。不思議なんだろうな、数週間前まで『ヒーロー殺し』として世間を騒がせていた人物が人助けを行っていることが…。ドライバーとパウチ容器を少女に返すと刑務所へと戻ってきた。…今まで以上に有意義な時間を過ごす事が出来た。ゆっくりとベッドに腰掛けながらオリジンを思い出す。

 

誰かが言っていた「理想を抱くことは恥ではない。理想を捨てることは恥ではない。現実を見ないことこそ恥なのだ。理想に生きたければ生きろ。他者を見捨てでも理想に生きろ。否定されようと肯定されようと果て無き理想ほど美しい」。

 

 

 

 

 

 

 

 



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第20話『オール・フォー・ワンの活路』



惣子「やあやあ、ショートのラブリーな彼女な石動惣子だぜ!第十九回目ではショートと見知らぬ男のラブラブな光景に嫉妬しちゃったぜ!」

焦凍「……そうか」

惣子「…なんで笑うのさ!?」

焦凍「さあな」

惣子「ねぇ、答えてよ!」

焦凍「どうなる第20話」

惣子「無視しないでよ!?」








 

 

気が付くと薄汚れた養殖場(?)らしき場所に立っていた。目の前にはテレビ画面に映っていた『顔無し』が社長が座りそうな椅子に腰掛けていた。

 

「石動惣子、ようこそ『僕の実験場』へ」

 

「テレビに割り込んできた顔無し!?」

 

「顔無し…?ああ、これはオールマイトに殺され掛けた時のき「倒せば帰れるんだね!」……最近の子供は年長者の話に耳を傾ける事がないね」

 

OVER-THE-EVOLTION(オーバー・ザ・エボリューション)!!!!』

 

ドライバー上部に『エボルトリガー』を差し込み。ボトルを上下に振るとドライバーに装填する。

 

COBRA(コブラ)!RIDERSYSTEM(ライダーシステム)!

 

Evolution(エボリューション)!!!』

 

ドライバーのレバーをグルグルと回転させ、胸の前で腕を交差させる。するとレゴブロックのようなモノが飛んでくる。次の瞬間、惣子の身体が消えた。

 

『Are you ready?』

 

「変身」

 

BLACK-HOLE(ブラックホール)!!!』

 

BLACK-HOLE(ブラックホール)!!!』

 

BLACK-HOLE(ブラックホール)!!!』

 

Revolution(レボリューション)!!!』

 

『フゥーハッハッハッハッ!!』

 

白と黒で統一された仮面ライダーエボル『ブラックホールフォーム』へと変身を遂げた。

 

EVOL(エボル)PHASE-FOUR(フェーズ・フォー)

 

身長差が無くなると見下ろす形で顔無しに歩み寄り、強烈な一発を顔面に叩き付ける。ボコボコと筋肉が膨張を繰り返している『衝撃吸収』個性を使用したのか?等と考えながら屋外へと顔無しを放り投げると、行き交う人々が興味本意で集まってきた。

 

「フフフッ、見誤っていたよ。君の力は強大すぎるんだ。是非とも僕の個性(モノ)に加えたい」

 

悠長にお喋りしようとする顔無しを写メろうと一人の男が歩み出した。次の瞬間、私以外の人間は上空へと転移していた。

 

「自己犠牲、自己犠牲、自己犠牲、自己犠牲ェ!!君の個性だっ!範囲など気にせずに使えば良いじゃないか!!」

 

叫んでいた顔無しをオール先生が殴り飛ばした。会議中だって話してなかったっけ?等と考えているとエンデヴァーさんやイレイザー先生も続々と目の前に登場してきた。

 

「石動、新フォームか?」

 

「あのクズは俺が焼き焦がしてやる、安心して見ていろ」

 

「オール・フォー・ワン、貴様は私が倒す!!」

 

格好付けてる先生方には申し訳無いけど。顔無しを殴り飛ばす時にエボルト遺伝子が削られた感覚がある。……言いたくないけど。個性の1割を盗られた。

 

 

 

 

 

 



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第21話『逆襲のヴィラン』



焦凍「今回は俺だけなのか?……どうなる第21話」




 

 

「フフッ、フフフッ、フッハッハッハッハッハッ!!」

 

高らかに笑いながら土煙を払い退けて現れたオール・フォー・ワンの腰には『ハザードトリガー』の装着された『ビルドドライバー』が巻かれており、手には『グレートクローズドラゴン』と『コブラロストボトル』が握られていた。

 

MAX-HAZARD-ON(マックスハザード・オン)!!!』

 

GREAT CROSS-Z DRAGON(グレート・クローズドラゴン)!!!』

 

ドライバーのレバーをグルグルと回転させると一瞬にして延びてきたパイプラインによって石動惣子はオール・フォー・ワンへと吸収された。

 

『Are you Ready?』

 

「変身」

 

OVER-FLOW(オーバーフロー)!!!』

 

Wake-up(ウェイク・アップ)!!CROSS-Z(クローズ)!!!』

 

Get GREAT-DRAGON!(ゲット・グレートドラゴン)!!!』

 

『ブラブラブラブラブラァ!』

 

『ヤベーイ!』

 

石動惣子を吸収して変身したオール・フォー・ワン。──否。『仮面ライダーブラッド』はオールマイト達へと両の腕を拡げながら自身の姿を見せ付ける。

 

「僕は手に入れたぞッ!!破滅の力をおぉぉッ!!!」

 

唖然としていたヒーロー達の中から荒々しい赫灼の炎を迸らせながらブラッドを睨み付ける。エンデヴァーは地面を焼き焦がし、怒りによって限界地点を突破していた。

 

「俺の義娘を返せえぇぇッ!!!」

 

高熱を帯びた拳をブラッドへと振り落とし、炎を撒き散らしながらブラッドを殴り続けていると「痛いよぉ…っ、たすけてぇ……」という声が聞こえてきた。次の瞬間、エンデヴァーがビルの外壁を突き破ってオフィス室内に這いつくばっていた。

 

「『良い声だろ?僕としては……。あまり、使いたくないけどね』」

 

「貴様あぁあぁぁあぁああぁあぁぁぁあぁあぁぁぁあぁぁッ!!!」

 

たった一撃で個性を使えなくなる程の攻撃だった。オールマイトはゴクリと唾液を飲み込みながらエンデヴァーの隣へと並び立ち、拳を強く握り締める。

 

「エンデヴァー、私も共に戦おう…!!」

 

「勝手にしろぉッ!俺は奴を完膚無きまでに叩きのめして惣子を救い出すだけだっ!!」

 

炎を迸らせようとした瞬間、足元にアルミ缶のようなモノを見付けた。───『直感』。その言葉しか思い付かないほど、素早くアルミ缶を掴み取った瞬間だった。エンデヴァーの腰にブラッドと同じドライバーが巻かれていたのだ。オールマイトの前に立ち、アルミ缶の蓋を弾き上げる。

 

ORUMAITO(オールマイト)!!!ENDEAVOR(エンデヴァー)!!!

 

 

 

 

 

 

 

 



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第22話『誓いのビー・ザ・ワン』



焦凍「今回も一人か……どうなる第22話」


 

 

ORUMAITO(オールマイト)!!!ENDEAVOR(エンデヴァー)!!!

 

アルミ缶をドライバーに装填すると焦凍や惣子と同じようにレバーをグルグルと回転させる。

 

『Are you Ready?』

 

「エンデヴァー!?私も巻き込まれてるぞ!?」

 

「変身ッ!!!」

 

「待…っ!?」

 

ORUMAITO(オールマイト)!!!ENDEAVOR(エンデヴァー)!!!

 

Be-Th(ビー・)e-One(ザ・ワン)!!!

 

『イェイ!イェェェイ!!!』

 

ヘリコプターに乗っていた報道者もヒーロー達もブラッドさえも動きを止めた。オールマイトとエンデヴァーが一つの肉体へと合体したからだ。

 

「『どういうことだ!?』」

 

「ククッ、フッハッハッハッハッハッ!!最後の希望は合体とは馬鹿にしているのかァ!!」

 

「『黙れッ!お前は()が倒すッ!!』」

 

オールマイトとエンデヴァーの合体して創造された『仮面ライダー』はブラッドへと駆け出し、先程とは桁違いの威力と速度でブラッドを圧倒していく。余裕だったブラッドは攻撃を受け流す言葉しか出来ておらず『仮面ライダー』の猛攻は続いていた。

 

「『オールマイトォッ!俺に合わせろ!!』」

 

「『ああッ!!君に任せる!』」

 

エンデヴァーは身体の主導権を受け取るとオールマイトサイドのエネルギーが集束された蹴りを放ち、オールマイトに身体の主導権を渡す。

 

「『SMASH(スマァァッシュ)!!!!!』」

 

落下してきたブラッドはボールのように弾みながら飛んでいき、瓦礫の中からも這い出てきた。

 

「なぜ、なぜだ!?破滅の力だぞ!?究極の力の筈だッ!!」

 

「『そんなモノで()達を倒せると思うなァ!!』」

 

「「『オオオォオォオオオォオォオオオオォオオォォッ!!!』」」

 

ブラッドと『仮面ライダー』はドライバーのレバーをグルグルと回転させ、夜空へと飛び上がると互いに右足を突き出しながら突進していき、キックとキックを衝突させながら雄叫びを上げる。

 

「『ダアァァァッ!!!』」

 

『仮面ライダー』の蹴りはブラッドの蹴りを突き破り、地面へと向かって落下していく最中、半透明の少女の手を掴んだ。

 

「『()達は愛と平和の為に戦っているんだ!!破滅などに負けてたまるかァァァァッ!!!』」

 

半透明の少女は学生服姿の石動惣子へと変わり、石動惣子を引き寄せながらブラッドを蹴り抜いた瞬間、轟音と共に空中で爆炎を上げたオール・フォー・ワンが落下していった。『仮面ライダー』はアルミ缶を引き抜くとオールマイトとエンデヴァーに別れていき、エンデヴァーの腕の中には気を失っている石動惣子が横抱きにされていた。

 

「「ヴィランよ……。()達を倒せるものなら倒してみろッ!!」」

 

 

 

 

 



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第23話『男達のビクトリー』


惣子「やあやあ、久々に帰ってきた石動惣子だぜ!いやぁ~っ、不覚にも吸収されちゃった!」

焦凍「報道で観たけど。怪我とかしてないか?」

惣子「大丈夫!アイツの中身は抜き取ってやったから!」

焦凍「は?」

惣子「さあ、どうなる第23話!」

焦凍「ホントに抜き取ったのか?」






 

朝日に焼き焦がされながら起き上げると個室タイプの病室に眠っていたらしい。両親が来ていたのか。替えのパジャマや下着が袋に入っていた。…着替えようと貸出用パジャマのボタンを外していたイレイザー先生の使ってるイモムシ姿で寝転がりながら焦凍が見ていた。

 

……さっきまで使っていた枕を顔に押し付けると「良い匂い」とか口にしていた。過呼吸だと思ったけど。無視することにした。

 

テレビを点けるとエンデヴァーさんとオール先生が変身していた『未知のフォーム』が放送されていた。一部では『受け攻め』の議題で暴動が起こっていると話していた。それは気になるけど。

 

聞かなかったことにして見ていると二人のランキングが『同列』になったことを話していた。

 

二人の『No.1』ヒーローだと騒いでおり、ヒーローの本質は『ラブ&ピースだと騒いでいる集団』や『オールエンド商品』が話題となっている事を語っていた。

 

エンデヴァーさんが記者会見に出ていた。聞いていると「俺は信念を突き通しただけだ」と語り終えると最後まで黙っていた。オール先生は「私は笑顔のために戦ってるからね!」と語るとエンデヴァーさんと一緒に会見場を出ていってしまった。

 

「……ショート、大人って凄いね」

 

「…俺は、二人を越えるようなヒーローになりたい」

 

「……うん、なれるよ。ショートは強いし優しいからね」

 

「惣子……俺は…」

 

「「「「目を覚ましたとは本当か!?」」」」

 

轟一家+教員二人が病室に入ってきた。もう少しでキスできたのに、空気を読んで欲しいね。等と考えていると轟兄姉がニヤニヤと笑いながら写メを見せてきた。…私達がキスしようとしてる瞬間の写真だった。

 

「親父、母さん、姉さん、兄さん。今すぐ惣子と結婚したいんだけど。どうすればいい?」

 

焦凍の爆弾発言は被害範囲を知らないようだ。

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

 

翌日、結婚水準年齢が『女子14歳』から『男子16歳』になると報道されていた。…焦凍からバイトで貯めた貯金を全額使って買ってきたらしい指輪を貰った。……晴れてでいいのかな?私と焦凍は新婚学生として雄英に通うことになった。

 

教室に入ると『結婚おめでとう』と黒板に書かれていた。イレイザー先生の入れ知恵と言うことですね?と疑惑の視線を送ると首を横に振られた。

 

隣では焦凍がサムズアップをクラスメイトに向けていた。コイツ、羞恥心とか無いのか?等と考えながら祝福を心地好く思っていた。

 

「相澤先生、結婚すると楽しいですよ」

 

「あてつけか?」

 

「はい」

 

「お前、除籍するぞ」

 

「すいません」

 

漫才してるの?と思いながら近寄ると頭を撫でられた。イレイザー先生、さては親戚のオジサン的なポジションを築くつもりですか?

 

 

 

 

 

 

 





一応、完結しました。番外編を追加する可能性もあります。


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