銀河帝国独立艦隊召喚記 (凍結) (ウエストモール)
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設定集
諸設定(不完全)


随時追加します。


主人公

 

セカンド・オーダー

 

対外関係

 

グラ・バルカス帝国

 

各国兵器の意匠

 

小銃

 

 

 

 

 

○主人公 サイモン・ヤムト

肩書

・人間とパウワンのハーフ

・元ジェダイ

・ダークジェダイ

・独立艦隊総司令

・セカンドオーダー最高指導者

 

出身:惑星ウータパウ

年齢:不詳

身長:190cm

体重:80kg

 

○セカンド・オーダー

概要

 元々は、サイモン・ヤムトが銀河帝国に反旗を翻す際に結成するはずだった組織。転移した際、軍事政権的な性質を持つ組織となった。ブラスターライフルの輸出が検討されている。

 

理念

 政治の腐敗を起こした銀河共和国や反乱同盟軍といった反乱勢力を生み出してしまった銀河帝国の轍を踏まないことと秩序の維持者となることを目標としており、圧政を禁止している。もちろん奴隷や差別も禁止。

 

○対外関係

⚪️クワ・トイネ公国

食料の無償提供を条件にSOが軍事力を提供している他、大陸を一周する無料の輸送網を建築しており、割譲されたギムの町がその中心となっている。関係は良好だが、SOの軍事力を恐れている。

 

⚪️クイラ王国

駐屯地と採掘船が配置されている。また、SOから水分農業の技術を付与されたために食料に余裕ができ、発展に力を注げるようになった。

関係は良好。

 

⚪️旧ロウリア王国領ロウリア区

SOに敗北したロウリア王国の成れの果て。

実権は無いが、代表として旧国王が就いている。また、軍は解散させられたが、SO主導で再び軍が再建され、ロウリア区防衛軍とロウリア区海上警備隊が存在している。

 

⚪️トーパ王国

魔王軍が復活した際に、SOが援軍として駆けつけた国家。魔王を倒したサイモンと彼が率いるSOを英雄としている。関係は非常に良好。

 

⚪️フェン王国

国王とサイモンは剣の腕を認め合う仲であり、パ皇監察軍をSOが撃退しているため、関係が良好。

 

⚪️アルタラス王国

SOが初めて武器を付与した国家で、その際に一部の魔石鉱山をSOに渡した他、技術者を派遣している。超兵器に利用する予定の魔石を手に入れるための要地であり、SOが重要視している。

 

⚪️パーパルディア皇国

 

⚪️ムー

 

⚪️神聖ミリシアル帝国

 

⚪️グラ・バルカス帝国

 

○グラ・バルカス帝国関連

⚪️技術力

転移当初の技術力は地球の1945~1960年程の技術となっていて、分野によってバラつきがある。電子系の技術などは原作より高いため、ミサイルの開発にそこまで時間がかかっていない。

 

⚪️年号

独自の年号として帝国暦を使用しており、転移の際は帝国暦1945年。

 

○各国兵器の意匠

ムー

→イギリス軍、フランス軍+旧日本軍

グ帝

→旧日本軍、アメリカ軍+自衛隊、ドイツ連邦軍

ミ帝

→ソビエト+ロシア+若干のナチスドイツ

 

○各国の小銃

グ帝

⚪️半自動小銃

口径:7.7㎜

銃身長:610㎜

装弾数:10発(固定式弾倉)

⚪️自動小銃

ムー

⚪️ボルトアクションライフル

口径:7.7㎜

銃身長:640㎜

装弾数:10発

ミ帝

⚪️魔導回転式小銃

連発可能な小銃が欲しかった帝国が、ムーのリボルバー拳銃の機構をコピーして既存の小銃に合体させた物。使用者が火傷することが多く、失敗兵器となった。

⚪️ボルトアクションライフル

口径:7.62㎜

銃身長:730㎜

装弾数:5発

⚪️魔導機関小銃

高速で連射可能な小銃を求めた帝国が、発掘された魔導機関銃の機構を小銃に合体させた物。弾倉ではなくベルトリンクを使用しているため、携帯性に劣る。しかも、重量が増えたために兵士からの評価は低い。事実上の失敗作。



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陸戦装備・部隊

セカンド・オーダー陣営

 

第7空挺兵団

第212突撃大隊

ハーク中隊

 

第1機動歩兵中隊

 

アーマー

パワードスーツ(仮)

地上ビークル等

AT-DP

AT-DT

AT-STマークⅢ

AT-STマークⅢ

AT-TE

 

TX-225 GAVr 武闘強襲用歩兵戦車

AV-7対ビークル砲

対空ホバータンク

イオン加速式実体弾発射機

AT-DESTROYER

SOホバータンク

 

グラ・バルカス帝国

シェイファー軽戦車

ハウンド中戦車

タイタン重戦車

ヒペリオン中戦車(M48パットン)

アルナスル対空戦車

 

歩兵戦闘車(仮)

 

 

155㎜自走榴弾砲

 

ムー

ラ・ノルー軽戦車

 

94㎜山岳榴弾砲

 

 

 

 

サイモン・ヤムトの装備

・フルフェイスヘルメット

・紺色のローブ

・ライトセーバー(赤)

・サーマルデトネーター(手榴弾)

・DT-57重ブラスターピストル

 

SO地上軍は初期状態で53600人の歩兵が在籍している。

 

○第7空挺兵団

隷下の部隊に、第212突撃大隊が存在する。

 

○第212突撃大隊(アタックバタリオン)

第212突撃大隊は、旧共和国軍の同名の部隊の系譜を受け継ぐ部隊で、コマンダーコーディーから直々の訓練を受けていた。隷下の部隊に、ゴースト中隊が存在する。

 

○ハーク中隊

 

○第1機動歩兵中隊

 

○アーマー(オリジナル)

【挿絵表示】

 

対物理防御が強化され、対物ライフル(アンチマテリアルライフル)*1の12.7x99mm銃弾をも弾くことが可能になっている設定。見た目はOld Repablicに登場するリパブリックトルーパーのアーマー。

 

ペイント部分は階級によって異なり、

大佐は黄色、大尉は赤、中尉は青、少尉は黒、軍曹は薄緑、兵卒はペイント無しである。また、クローキング装置を装備した特殊部隊は全身黒塗りであり、偵察兵やスナイパーは周囲によって迷彩を事前に選択している。

大尉以上からポールドロン(肩甲)を左肩か両肩に装備でき、カーマも装備できる。

 

◯パワードスーツ(仮)

 

 

 

地上ビークル等

AT-DP(全地形対応防衛プラットホーム)

 

AT-DT(全地形対応防衛タレット)

AT-DTは地上戦において施設などを守るために設計された2脚式のウォーカーで、大型の主砲のせいで動きは遅いものの、着弾時に爆発するエネルギー弾を発射できた。エネルギー弾は周囲に衝撃を与えるため、軽装備の標的に有効である。ギムの戦いでは、騎兵隊に対して使用された。また、アルタラス王国に輸出されている。

 

全高:9.11m

武装:主砲(エネルギー弾)

乗員:1名

 

○AT-STマークⅢ

強化版AT-STで、火力と防御力、速度が上がっている。ギムの戦い終盤、ロウリア軍の陣地を制圧した。

 

○AT-MPマークⅢ

高い火力を誇るウォーカーで、ミサイルを装備している。ギムの戦いでは、ロウリア軍に対して面制圧を行った。

 

◯AT-TE

AT-TEは銀河共和国のウォーカー兵器。

6本の短い脚を持ち、高い安定性を持っていた。

対人用レーザー砲を前面に4門、後部に2門装備し、主砲を上面に持つ。トーパ王国にてブルーオーガを撃破した他、リーンノウの森の遺跡に1台残されている。

 

全長:22.02m

全高:9.57m

武装

・マス=ドライバー砲

・対人レーザー砲 6門

・AT-RTウォーカー

 

○TX-225 GAVr 武闘強襲用歩兵戦車

(オリジナル)

TX-225 GAVrオキュパイアをベースにして、市街戦に対応できるように改造したビークルで、歩兵戦闘車みたいな運用をし、元々装備されていた中型レーザー砲に加えてマード38重レーザー砲などを装備する他、車体後部に歩兵が乗る区画を設けており、6人まで乗せられる。

 

全長:7.3m

全幅:1.82m

乗員

・車長

・パイロット兼砲手 2名

・歩兵 6名

武装

・2連中型レーザー砲 3基

・マード38重レーザー砲 1基 車体上部

・Z-6回転式ブラスター砲 1挺

・誘導ミサイル発射装置 2基

 

 

○AV-7対ビークル砲

 

 

○対空ホバータンク(オリジナル)

銀河帝国の地上攻撃ビークルであるTX-225GAVr武闘強襲用戦車を対空用に改造したもの。見た目としては、TX-225の上部にドイツの対空戦車であるヴィルベルヴィントの砲塔を載せたものであるが、天井は蓋されている。

 

全長:7.30m

全高:1.82m

乗員:3名

・車長 1名

・パイロット 1名

・砲手 1名

武装:4連レーザー砲

 

○イオン加速式実体弾発射機(オリジナル)

俗に言う電磁加速砲。イオン砲の機構を実体弾砲に組み合わせ、イオンが帯びる電気を利用して射出する。

 

○AT-DESTROYER(デストロイヤー)(オリジナル)

転移前、独立艦隊によって極秘に開発されていた新型ウォーカー。運用目的はAT-ATの駆逐であり、銀河帝国への反逆に投入される予定だった。

 

 基本的な見た目は、メタルギアに登場するメタルギアREXだが、頭部がAT-ATの流用であったり、レドームが存在しないなど変更がある。武装系もオリジナルから変更され、レールガンの名称がイオン加速式実体弾発射機となり、レドームのあった所にターボレーザーを配置。機銃はブラスター砲となっている。

 

武装

・右側 イオン加速式実体弾発射機 1基

・左側 ターボレーザー砲 1基

・顎部二連レーザー砲

・回転式ブラスター砲 2基

・対ビークル誘導ミサイル 6発

 

◯SOホバータンク(半オリジナル)*2

SOによって開発されたホバータンク。攻撃の面ではプロトン魚雷を改造した砲弾を使用しているため、砲塔の口径以上の威力が出せる。防御面では超電導アーマーと粒子シールドを採用しており、エネルギーと物理の攻撃を両方防げる。

 

全長:10.2m

全幅:7.8m

武装

・90㎜特殊実体弾砲

・ブラスター砲

 

 

グラ・バルカス帝国

 

◯シェイファー軽戦車

九五式軽戦車がモデル。転移した時点で旧式であり、警察に払い下げられた物もある。イルネティア王国に輸出された。

 

全長:4.30m

全幅:2.07m

武装

・37㎜戦車砲

・7.7㎜重機関銃 2挺

 

◯ハウンド中戦車

転移した時点で主力だった中戦車。75㎜砲を装備した後継車両が作られる予定があったが、ミリシアル帝国の戦車が105㎜砲を装備しているとの情報があり、重戦車の後に105㎜砲を装備した戦車が開発されることとなった。見た目はチハ。

 

全長:5.55m

全幅:2.33m

武装

・47㎜戦車砲

・7.7㎜重機関銃 2挺

 

◯タイタン重戦車

ミリシアル帝国の戦車以上の火砲と装甲を持つべくして開発された重戦車。簡単なFCSを持つため、命中率が高い。見た目はM103重戦車。

 

全長:11.32m

全幅:3.76m

武装

・60口径120㎜戦車砲

・7.7㎜重機関銃 2挺

 

◯ヒペリオン中戦車

全長:9.30m

全幅:3.65m

全高:3.10m

装備

・51口径105㎜戦車砲

・12.7㎜重機関銃

・7.62㎜機関銃(同軸)

 

◯アルナスル対空戦車

レーダーと連動する機関砲を備えた対空戦車。見た目のモデルは試製対空戦車ソキ。

 

全長:4.11m

全幅:2.12m

武装

・20㎜連装機関砲

 

◯歩兵戦闘車(仮)

 

 

 

◯155㎜自走榴弾砲

M44がモデル。

 

全長:6.16m

全幅:3.24m

全高:3.12m

 

ムー

◯ラ・ノルー軽戦車

全長:5m

全幅:1.74m

武装:21口径37㎜戦車砲

 

モデルはルノーFT-17。

 

◯94㎜山岳榴弾砲

 

*1
ヘカートⅡに相当

*2
見た目は、HALOに登場するスコーピオン主力戦車だが、リパルサークラフトによって地面スレスレを移動する。



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SO陣営艦艇と舟艇

インペリアルⅠ改級スターデストロイヤー

ヴェネター級スターデストロイヤー

ヴィクトリーⅠ級スターデストロイヤー

 

ヴィクトリーⅠ改級キャリアー

 

アークワイテンズ改級クルーザー

Y-45装甲トランスポート運搬船

ゴザンティ級クルーザー

 

センチネル級着陸船

低空強襲トランスポート(LAAT)

 

プロヴィデンス級潜水バトルシップ

 

機械竜母アルデバラン

水上小型砲艦

 

戦術輸送艦

 

 

 

 

 

◯インペリアルⅠ改級スターデストロイヤー

(オリジナル)

インペリアルⅠ級の弱点である、偏光シールド発生ドームの防御を固め、新型兵器の追加を含めた対空及び対艦能力の強化が為されている。試験中の本級の転移により、帝国が滅亡するまで、これらの改良点を持つスターデストロイヤーが製造されることは無かった。

 

エンジン

・イオンエンジン 7基

ハイパードライブ等級:クラス2.0

最大速度(大気圏):時速975km

動力源

・ソーラーイオン化反応炉

シールド

・偏光シールド発生ドーム

・粒子シールド

兵装(基本形)

・XX-9重ターボレーザー砲塔30基

・NK-7イオン砲 30門

・2連重ターボレーザー砲塔6基

・3連中型ターボレーザー 6基

・局所防衛ミサイル発射装置 30基

・局所防衛レーザー砲 52門

・トラクタービーム

 

同型艦(オリジナル艦)

〈ジ・オーダー〉

XX-9重ターボレーザーを10基追加。

 

〈サンダーボルト〉

プロトン魚雷発射管を追加

 

〈プレッシャー〉

船体下部対艦/対地重砲を2基追加している。

元々は旧銀河共和国地上軍の自走式重砲〈SPHA-T〉のターボレーザーで、全長は140.2m。

 

〈シュトラール〉

プレッシャーとは異なり、重砲を〈SPHA-T(自走式重砲)〉のターボレーザーから〈SPMA-T(自走式中型砲塔)〉のターボレーザーに変更し、計8基(上下にそれぞれ4基)を搭載している。

 

 

◯ヴェネター級スターデストロイヤー

ヴェネター級は銀河共和国の主力艦であるスターデストロイヤーで、クローン大戦に投入された。本級の船体上面の中心線には長大な全長0.5kmのフライトデッキが存在し、上面の巨大なハンガードアが開くと左右には多くの戦闘機やビークルを積載可能な空間になっていた。また、船体下面にドッキングベイ、後方両舷に独立したハンガーベイが存在した。

 

全長:1155m

最大速度(大気圏):時速975km

ハイパードライブ等級:クラス1.0

乗員:7400名

武装

・重ターボレーザー砲塔 8基

・中型2連ターボレーザー砲 2門

・局所防衛レーザー砲 52門

・プロトン魚雷発射装置 4門

・トラクタービーム 6基

・対空ミサイル

艦載装備

・戦闘機192機*1

・ARC-170スターファイター 36機

・ガンシップ 40機

・ウォーカー 24機

・シャトル

・フリゲート艦 1隻

 

同型艦

〈ヴィジランス〉

クローン大戦にて、ジェダイ将軍オビ=ワン・ケノービの旗艦であった。大戦の終盤、惑星ウーパタウへと第212突撃大隊を輸送した。

 

〈ステッドファスト〉

 

〈レゾリュート〉

クローン大戦にて、ジェダイ将軍アナキン・スカイウォーカーの旗艦であった、第501軍団の母艦。

 

〈ロ=ティ=ムンディ〉

オープンサークル艦隊に所属していた艦で、コルサントの戦いにてグリーヴァス将軍の艦隊と交戦した。

 

◯ヴィクトリーⅠ級スターデストロイヤー

ヴィクトリー級は、惑星攻撃や惑星防衛、地上部隊支援、対艦戦闘を目的とした艦で、インペリアル級よりも大気圏内の戦闘に向いていた。

 

全長:900m

エンジン:LF9イオン・エンジン

ハイパードライブ等級:クラス1.0

乗員

・乗組員4798人

・砲手402名

武装

・4連ターボレーザー砲塔 10門

・2連ターボレーザー砲塔 40門

・震盪ミサイル発射装置 80門

・トラクタービーム発生装置 10基

 

・???

 

・2個ファイター中隊(24機)

 

同型艦(オリジナル艦)

名前の由来は全て、シンガポール海軍のヴィクトリー級コルベットから。

〈ヴァラー〉

 

〈ヴァリアント〉

 

〈ヴェンジェンス〉

 

◯アークワイテンズ改級クルーザー

アークワイテンズ級は、通信船として使用された銀河帝国の軍艦。スターデストロイヤーよりも高速で小回りが効き、船体前部の突起部分でセンチネル級着陸船1機やTIEシリーズのスターファイター3機とドッキングが可能。

 

全長:325m

エンジン:3基

武装

・4連レーザー砲塔 4基

・2連ターボレーザー砲塔 1基

・震盪ミサイル発射装置

・トラクタービーム発生装置 1基

・対空ミサイル発射機 10基

・極所防衛レーザー砲 12基

 

同型艦(オリジナル)

〈アクティヴィティ〉

〈アーチャー〉

〈ヴィンデックス〉

〈チャージャー〉

 

◯ゴザンティ級クルーザー

 

全長:63.8m

横幅:32m

全高:14.7m

最大速度:時速1025km

ハイパードライブ等級:クラス3

武装

・上部2連レーザー砲塔 1基

・下部重レーザー砲塔 1基

補助装備

・TIEシリーズ 4機(外部接続)

・AT-DP 2機(外部接続)

 

◯Y-45装甲トランスポート運搬船

別名:ATホーラー

ウォーカーなどのビークルを運ぶ輸送船。

全長

・20.1m(飛行)

・11.2m(着陸)

全高

・6.5m(飛行)

・18.9m(着陸)

エンジン

・イオンエンジン複数

・リパルサーリフト

武装:レーザー砲 2門

補助装備:ウォーカー1機orホバータンク 2機

 

○センチネル級着陸船

 

○低空強襲トランスポート(LAAT)

共和国グランドアーミーの主力ビークルとして活躍したリパルサーリフト・ガンシップで、兵員用と貨物用が存在する。

⚪️兵員用

機体上部から左右に翼が伸びており、機体中央の両側に兵員が乗り降りするスライドドアが存在し、攻撃ヘリのような強力な武装を持つだけでなく、汎用ヘリのように機上の兵員がライフル等で直接攻撃することが可能になっている。

 

全長:17.69m

全高:6.94m

最高速度:時速620km

武装

・対人用レーザー砲塔 3基

・合成レーザー砲塔 4基

・空対空軽ロケット 8発

・マス=ドライバーミサイルランチャー 2基

乗員

・パイロット 1人

・砲手 3人

・トルーパー 30人

 

⚪️貨物用

機体の中央に大きくスペースが空いており、磁気クランプでビークルを輸送可能。共和国ではAT-TE、帝国では帝国軍兵員輸送機の輸送に使用されたが、SOではそれら以外も輸送可能に改造されている。

全長:28.8m

 

○プロヴィデンス級潜水バトルシップ

*2

プロヴィデンス級はSOが初めて建造する水上戦闘艦の1つ。この艦が潜水出来る能力を付与されているのは、半潜水状態でなければ主兵装のターボ・レーザーを当てられないからである。大口径の実弾砲を主兵装として搭載する案もあったが、大口径の実弾兵器に対するノウハウが不足しているため、却下されている。水上艦であるが、飛ぶこともできる。また、魚雷や砲弾を防ぐことが出来るように、強固な装甲だけでなく粒子シールドも装備している。

 

全長:224.9m

最大幅:34.6m

兵装

・XX-9重ターボレーザー砲 5基

・対艦/対地実体弾砲 単装4基

・対空レーザー砲 18基

・対艦/対地/対ガンシップ用ミサイル 15発

 

◯機械竜母アルデバラン

ロデニウス紛争において鹵獲された2隻の竜母の1つで、元はパーパルディアの竜母だった。

※もう1隻はクワトイネに譲渡

SOの技術を合わせることで、機械竜母に生まれ変わった。ロウリア区海上警備隊の所属。

全長:100m

機関:イオンエンジン

兵装

・固定型Z-6回転式ブラスター砲 10基

・航空隊 24機

・パトロールトランスポート 3機

スターファイター及びボマーも着艦可能。

 

◯水上小型砲艦

グ帝のキャニス・ミナー級駆逐艦の船体に、SO製の武装と機関を載せたもの。ロウリア区海上警備隊に配備された。

 

全長:118.5m

最大幅:10.36m

機関:イオンエンジン

武装

・単装実体弾砲(127㎜ぐらい?) 2基

・2連装プロトン魚雷発射機 1基

・ブラスター砲 8基

 

◯ヴィクトリーⅠ改級キャリアー(オリジナル)

 

◯戦術輸送艦

全長:320m

全幅:160m

ハイパードライブ等級:1.5

積載能力

ビークル等 100両

武装

・レーザー砲 複数

 

 

 

*1
単一の機体で満たした場合

*2
見た目は、通商連合のプロヴィデンス級を縮小し、後方に付いている構造物を最大限切り詰めた形をしている



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グラ・バルカス帝国海軍の艦艇と装備

・グラ・バルカスの艦艇は、全ての艦が電探と連動した射撃が可能で、対艦から対空までカバーできる。なお、植民地駐留軍の艦は若干電子装備が旧式であるため、ジェット機やミサイルへの対処に難がある。艦のモデルは原作通り日本帝国海軍だが、新型の駆逐艦や空母は大戦後の米海軍や海上自衛隊をモデルにしている。

・独自の年号として帝国暦を使用しており、転移の際は帝国暦1945年。各種誘導弾及び魚雷の名前の先頭には、自衛隊装備と同様に年号の後の二文字を使い、◯◯年式+種類+誘導弾及び魚雷と命名する。


戦艦

グレードアトラスター級戦艦

ヘルクレス改級戦艦

オリオン改級防空戦艦

 

航空母艦

ペガススⅡ級航空母艦

サダルバリ

ユニコーン級航空母艦(フォレスタル級空母)

ユニコーン

ルシタニア

 

巡洋艦

タウルス改級重巡洋艦

レオ改級重巡洋艦

 

駆逐艦

エクレウス級防空駆逐艦(秋月型駆逐艦)

キャニス・ミナー級駆逐艦

スコルピウス級駆逐艦

グルス級駆逐艦(あきづき型護衛艦・初代)

リブラ級駆逐艦(たかつき型護衛艦)

サジタリアス級防空駆逐艦(あまつかぜ)

 

海軍機

対潜哨戒機(東海)

 

28m級飛行艇(二式飛行艇)

 

ミルファ型噴進艦上戦闘機(F-8)

 

艦載装備

76㎜連装速射砲(Mk.33 3インチ連装速射砲)

375㎜対潜噴進砲

(M/50 375mm対潜ロケット砲)

 

45年式音響誘導対潜短魚雷(MK32)

 

49年式艦対空誘導弾(テリアミサイル)

53年式中距離艦対空誘導弾(ターター)

57年式個艦防空誘導弾

(シースパローBPDMS)

 

57年式対艦誘導弾(ハープーン)

 

対艦自爆型誘導無人機(仮)(桜花)

 

 

 

○グレードアトラスター級戦艦

全長:263.4m

全幅:38.9m

速力:27kt

装備

・45口径46cm砲 3基

・60口径15cm砲 3基

・65口径10cm高角砲 7基

1基は2番主砲の後ろに存在。

・25㎜自動3連装機銃  8基

・13㎜自動連装機銃 2基

・カタパルト 2基

 

 

◯ヘルクレス改級戦艦

 

◯オリオン改級防空戦艦

全長:222m

全幅:31.02m

最大速度:30kt

装備

・35.6cm45口径連装砲 4基

→前甲板2基のみに変更

・15.2cm50口径単装砲 8基

→4基に変更

・12.7cm連装高角砲 6基

→76㎜連装速射砲 6基に変更

 

・25mm自動3連装機銃 18基

・25mm自動連装機銃 8基

・25mm自動単装機銃 20基

 

・連装対空誘導弾発射機 4基

後部甲板に追加。

49年式艦対空誘導弾専用

 

◯ペガススⅡ級航空母艦

ペガスス級航空母艦の改良型で、ジェット機を運用すべく甲板の耐熱改修、アングルドデッキとカタパルトの追加がされている。

 

◯ユニコーン級航空母艦

アングルドデッキとカタパルトが最初から搭載されている航空母艦。米海軍のフォレスタル級航空母艦がモデル。現実のフォレスタル級はエレベーターがアングルドデッキの前部にかかっていて離着艦しづらかったが、本級においてはアングルドデッキの後方に設置している。

全長:325m

全幅:76.8m

最大速度:34kt

装備

・76㎜連装速射砲 8基

・連装艦対空誘導弾発射機 3基

49年式艦対空誘導弾専用

→8連装対空誘導弾発射機 3基

57年式個艦防空誘導弾 専用

(1957年次改装)

 

・戦闘機 72機

・回転翼機 6機

 

○タウルス改級重巡洋艦

 

○レオ改級重巡洋艦

全長:203.76m

全幅:20.4m

速力:34.2kn

装備

・50口径20.3cm主砲 前甲板2基

・65口径10cm連装高角砲 前甲板1基

・40口径12.7cm連装高角砲 4基

・61cm4連装水上魚雷発射管 4基

・25㎜自動連装機銃 6基

・13㎜自動連装機銃 2基

・連装対空誘導弾発射機 後甲板2基

49年式艦対空誘導弾専用

→8連装対空誘導弾発射機

57年式個艦防空誘導弾専用

(1957年次改装)

 

◯エクレウス級防空駆逐艦

全長:134.20m

全幅:11.6m

最大速度:33kt

装備

・65口径10cm連装高角砲 4基8門

・25㎜自動連装機銃 2基

・4連装魚雷発射管 1基

・375㎜対潜噴進砲 2基

・45年式音響誘導対潜短魚雷

 

◯スコルピウス級駆逐艦

 

◯キャニス・ミナー級駆逐艦

 

◯グルス級駆逐艦

 

◯リブラ級駆逐艦

 

◯サジタリアス級防空駆逐艦

 

 

◯対潜哨戒機

 

○28m級飛行艇

 

○ミルファ型噴進艦上戦闘機

 



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サイモン・ヤムト自伝

主人公の経歴です。


俺、サイモン・ヤムトの転移前の経歴を話そう。

 

俺は、惑星ウータパウにて人間とパウワンの間に生まれた。

 

惑星ウータパウは、銀河系の外縁領域であるアウター・リム・テリトリーに存在する惑星で、原住種族のパウワンとウータイ、移住者は地上の巨大なシンクホールの内部に都市を作って暮らしている。

 

人間の血が濃かった俺は、人間に容姿が近かったために、他のパウワンからあまり良く思われてなかったた。だが、動物への親和性や機械いじりの能力が非常に高く、動物の飼育や宇宙船の整備を生業とするウータイからの受けはよかった。

 

そんなある日、ローブを来た人─ジェダイが都市にやって来て、フォースの感応者を探すための検査を始めた。当時はクローン大戦の最中、ジェダイの人員を補完したかったようだ。

 

その検査にて、俺はフォース感応者(フォース=センシティブ)であることが判明。半ば誘拐に近い形で首都惑星コルサントのジェダイ聖堂へと連れていかれてしまった。

 

ジェダイは正義と平和の守護者を騙っておきながら、フォースの素質がある者を誘拐してジェダイにしているのだ。本当に、信用ならない。

 

コルサントに来た俺は、初期の間だけマスターヨーダに師事し、その後はとあるジェダイのパダワンだった。パダワンとは、ジェダイナイトやジェダイマスターに師事する下積みのジェダイのことだ。

 

聖堂内での俺の評価は、フォースとライトセイバーの腕だけならば、ジェダイマスターになれると言われていた。そう、戦闘スキルだけであれば。俺は、素行が悪かったのだ。酒を飲みすぎたりするどころか、ジェダイの戒律(ジェダイ・コード) にて禁じられているのにも関わらず、女性と交際していた。

 

ジェダイ評議会は俺が暗黒面(ダークサイド)に堕ちる可能性が高いとして警戒し、内部の過激派が俺を襲撃した。襲撃者は10人のジェダイで、その内2人の首を得物のダブル=ブレード・ライトセーバーで切り落として逃亡した。その際、名簿から俺の名前は抹消されたらしい。そして、ライトセーバーの色が青から赤に変貌した。

 

逃亡した俺は、ジェダイが追ってくる可能性がある故郷に帰るわけにもいかなかった。ライトセーバーは隠して、ジェダイが野蛮な武器と呼んでいるブラスターライフルで武装して賞金稼ぎになった。賞金稼ぎ時代に傭兵を仲間としていたのだが、その傭兵が今のヴィアーズ大佐だ。

 

その後、賞金稼ぎを1年ほど続けていたが、銀河の歴史が大きく動いた。ジェダイの虐殺(オーダー66)が起こり、クローン大戦が終結したのだ。そして、共和国はパルパティーンの元で銀河帝国に変貌した。この帝国は、最初に平和な銀河を作ると宣言したにも関わらず、非人間種族への弾圧などを開始した。当然、故郷のウータパウにも圧政が敷かれている。

 

この頃から、俺は銀河帝国への反抗を画策していた。幾つかの反乱分子が抵抗を始めていたが、俺は参加していない。反乱分子とは異なり、帝国を内部から崩そうと考え、宇宙軍の士官学校へと入った。士官学校に入れたのも、人間に容姿が近いおかげだ。

 

士官学校での成績は上位で、同じく上位であった女性と恋に落ちた。その女性は、今の副官であり妻でもあるセリシアだ。もちろん、恋愛は禁止だったので、隠れて交際していた。

 

最終的に、俺は首席で卒業して正式な士官となった。優秀だったため、とあるインペリアル級スターデストロイヤーの艦橋勤務となっていたのだが、反乱分子との戦いで俺以上の階級の士官が全滅してしまい、死亡寸前の艦長が権限を残っていた俺に移行し、戦闘が継続された。その結果、反乱分子を撃退することに成功し、その後に正式に艦長に任命された。艦長に登り詰め、次は提督まで登ろうと考えていたのだが、ここで非人間種族の血を引き継いでいることがバレてしまい、未知領域の調査を行う独立艦隊に左遷された。最初は良くない事態だと焦ったが、反乱を起こすに当たって都合が良いと考えるようになった。なんと、同時に独立艦隊に左遷されていた艦長らや陸戦部隊が、帝国への反感を持っていた上に、何人か連れていく人員を好きに決めてよいとのことだったのだ。俺は、傭兵ヴィアーズとセリシア、帝国の兵器開発部門にて厄介者扱いされていたハル博士を連れていった。

 

司令官に就任した俺は秘密裏に規模の拡張を始め、放棄されていた共和国のヴェネター級や独立星系連合の補給船などの軍艦を回収して改造した他、インペリアル級の改良や陸戦用の新装備を開発していた。

 

その最中、独立艦隊は謎のゆらぎに飲み込まれ、異なる世界に転移したのだ。



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プロローグ
第1話 転移



艦隊の構成
インペリアルⅠ改級SD
○ジ・パング
○プレッシャー
○シュトラール
○サンダーボルト

ヴェネター級SD
○ヴィジランス
○ステッドファスト
○トランクィリティ
○レゾリュート
○ロ=ティ=ムンディ

ヴィクトリー級SD
○ヴァラー
○ヴァリアント
○ヴィンジェンス

歩兵:53600人


銀河標準暦0BBYヤヴィンの戦いの頃

 

 ここは、暗黒卿ダース・シディアスこと

皇帝シーヴ・パルパティーンが治めている(圧政している)銀河帝国。銀河帝国軍が究極兵器デス・スターⅠの建造をしている間、試験部隊の性質を併せ持つ独立艦隊の計画が進められ、未知領域付近にて訓練が行われていた。

 

独立艦隊は、改造を加えられた戦闘宇宙艦艇に加えて工場船や採掘船などを有する、部隊単独で兵站を賄える艦隊であった。

 

これは、独立艦隊を任された近人間種族のダークジェダイと女性副官が異世界にて奮闘する話である。

 

 

未知領域の宇宙を往く宇宙船(スターシップ)の集団。それは、銀河帝国軍の独立艦隊であった。

 

構成は、インペリアルⅠ改 級SD4隻、ヴェネター級SD5隻、ヴィクトリー級SD3隻。

加えて、ルクレハルク改級工場船2隻*1

ルクレハルク改級採掘船1隻*2

少数のゴザンティ級クルーザーやアークワイテンズ級司令クルーザーも所属していた。

 

独立艦隊旗艦

インペリアルⅠ改級スターデストロイヤー

〈ジ・オーダー〉瞑想室

 

薄暗い瞑想室。

そこに、黒いフードの男─サイモン・ヤムトは座っている。

 

彼は、謎の不安を感じていた。

 

この感覚は2度目だ…

フォースに近い何かを感じる…

まさか、ジェダイが…?

 

その瞬間、いきなりスライドドアが開く。

咄嗟に私はライトセイバーを起動させ、入ってきた人型の首元に突きつける。

 

「ひぃ!」

 

私がセイバーを突きつけた相手は、ジェダイ…ではなかった。

それは、愛すべき副官─セリシアだった。

 

「すまないセリシア…」

 

「大丈夫です。司令、疲れてませんか?」

 

「少しばかり疲れているかもしれん…」

 

「少し寝てはどうです?司令代理なら引き受けます」

「いや、必要は無い」

 

私が寝てしまったら、誰が彼女を守るというのだ…

 

その日は、何事も無く終わる…筈だった。

 

いきなり、ドタドタとした音とともに将校が駆け込んでくる。

 

「何があった?ジェダイの襲撃か?」

 

「本艦の目の前に、謎のゆらぎが現れました。艦橋に来てください」

 

何だあれは…?ブリッジタワーから、謎のゆらぎを見る。

 

さっきと同じ感覚だ…

 

「いやな予感がする…」

 

「えっ?」

 

「いやな予感がすると言った。全艦回頭!」

 

しかし、それはもう遅かった。

 

あの“ゆらぎ”から閃光が放たれ、我々は気絶してしまう…

***

 

「司令…司令!」

私は、目を覚ます。見ると、副官のセリシアが覗きこんでいた。

「いったい…何…が…?」

 

「私にも解りませんが、閃光による気絶で軽傷者が出たという報告が各艦より来ています。各艦の艦長を集めるべきかと…」

 

「そうだな。すぐに集めてくれ」

 

「了解です」

 

───────────────────

 

ジ・オーダーの艦内に設けられた黒光りする円形の机。

回りには、艦長達が座っている。

 

配置はこうだ。

 

ジ・オーダーの艦長兼総司令のサイモン・ヤムトから時計回りに、

 

プレッシャー(威圧)〉艦長 ギュレル

 

サンダーボルト(雷光)〉艦長 ルーデル

 

シュトラール(光線)〉艦長 ウルトル

 

ヴェネター級艦長5人

ヴィクトリー級艦長3人

陸戦隊司令

と、なっている。

 

「セリシア、判明している状況を説明してくれ」

 

「了解。 現在、独立艦隊はデータベースに存在しない星系の、7番惑星に位置しています」

 

「データベースに無いだと……まさか、銀河の外に出てしまったのか?」

 

そう話すのは、“プレッシャー”の艦長であるギュレルだ。

 

「いえ、その線は薄いと考えられます。亜空間通信を試してみましたが、全く反応がありませんでした」

 

「銀河の外に出たぐらいで、通信が出来なくなるとは考えにくい…」

“サンダーボルト”の艦長ルーデルは言う。

 

「それを考えると、通信が届かないほど遠くにいる。もしくは、異なる宇宙に何らかの力で飛ばされたのどちらかになるな」

私─サイモン・ヤムトはそう結論を出した。

 

「それはともかく、この星系を調査すべきでは?」

“シュトラール”の艦長ウルトルが提案する。

 

「それは必要だ。いつ資源が底を尽くのか?いつ帰還できるのか?一切不明だからな」

 

「現在、星系について判明していることは、6番と7番がガス惑星、5番と4番が砂漠惑星、3番が月を2つ持つ温暖な惑星であり、文明の存在が確認されている。1番と2番は溶岩の惑星であることです」

 

「ガス惑星があったのは幸運だ。ブラスターライフルのエネルギーを用意できる」

陸戦隊の司令が嬉しそうにする。

 

「では、艦艇の配置を発表する。 採掘船1は、ヴェネター級ステッドファストとトランクィリティを護衛として6番惑星に。本艦はインペリアルⅠ改級シュトラール、工場船、採掘船2、ヴェネター級ヴィジランスとともに3番惑星付近に移動。残りの艦艇は、惑星間の警備に付いてもらう」

 

「「了解!」」

 

 

艦長達の退出後…

 

「陸戦隊司令、3番惑星に諜報員を送る準備をしてくれ」

「分かりました」

すぐに指令が飛び、諜報員を乗せたTIEリーパーが発進していった。

 

*1
ルクレハルク級ドロイド司令船の改造

*2
ルクレハルク級コア・シップの改造




○インペリアルⅠ“改”級スターデストロイヤー
インペリアルⅠ級の弱点である、偏光シールド発生ドームの防御を固め、新型兵器の追加を含めた対空及び対艦能力の強化が為されている。試験中の本級の転移により、帝国が滅亡するまで、これらの改良点を持つスターデストロイヤーが製造されることは無かった。

エンジン
・イオンエンジン 7基
ハイパードライブ等級:クラス2
動力源
・ソーラーイオン化反応炉
シールド
・偏光シールド発生ドーム
武装
・XX-9重ターボレーザー砲塔30基
・NK-7イオン砲 30門
・2連重ターボレーザー砲塔6基
・3連中型ターボレーザー3門
・局所防衛ミサイル発射装置 30基
・局所防衛レーザー砲 52門



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第2話 第二の秩序〈セカンド・オーダー〉

中央暦1638年 4月〈転移してから1年〉

 

第4惑星に建設された基地の広大な格納庫にて、艦長や将校が椅子に座り、後ろでは大勢のトルーパーが整列していた。

 

「兵士の諸君。ついに、3番惑星へ進出する準備が整った。その準備は、装備の改良や新装備の開発*1、偵察など多岐に渡り、困難も多くあったと思われるが、優秀な諜報員や技術者達のお陰で全てを乗り越えることができた。これは、称賛に値することだ!」

 

「進出に当たって、我々は銀河帝国の独立艦隊としてではなく、帝国とは全く別の勢力として動く。そこで、新たな名を付けることにした。

その名は、セカンド・オーダー

銀河帝国(ニュー・オーダー)に次ぐ、第二の秩序という意味だ」

 

「3番惑星には、魔法と呼ばれる超常の能力を行使する生命体や、空を飛んで火を吐く爬虫類(ワイバーン)が存在するとの報告があるが、恐れてはいけない。有能な兵士の諸君は必ずや撃ち破ることができると信じている」

「そして、最初に進出するのはロデニウス大陸と呼ばれる地域で、3番惑星の中で文明力が最も低いと言われている。我々は大陸に存在するクワ・トイネ公国と接触し、軍事力を提供する代わりに食料を納めさせることにした。同国で生産される作物は絶品の美味しさを持つという報告が上がっている。入手出来れば我々の食の質が向上し、兵士の士気を保つことが可能になるだろう」

 

───────────────────

集会の終了後

 

「セリシア、君には交渉団の代表及び全権大使として、クワ・トイネ公国とクイラ王国に向かってもらいたい」

 

「了解しました、サイモン様。ところで、なぜクイラにも派遣するのですか?」

 

「クイラ王国が傭兵業に頼っているのは知っているだろう。我々がクワ・トイネに軍事力を提供すると、彼らの商売が赤字となり、こちらへの印象が悪くなる。そこで、水分農業の技術を提供することにしたのだ」

 

「それならば、傭兵以外の仕事ができ、貧困に苦しむことも無くなりますね」

 

「下手に反抗されて、反乱同盟軍やパルチザンのようになられても困るからな」

 

「そういえば、サイモン様は交渉に行かれないのですか?」

 

「あぁ、個人的に立ち寄りたい場所があってな」

 

「いったいどこですか?」

 

「フェン王国と言うんだが、その国の実体剣()を購入しようと考えている」

 

「地上に行くのであれば、仮面を着けてください。サイモン様の種族では怖がられる可能性がありますので」

 

サイモン・ヤムトの種族は純粋な人間ではなく、惑星ウーパタウに居住するパウワンと呼ばれる種族と人間のハーフである。過去の大尋問官*2にパウワン男性が存在し、サイモンとも親交があった。

 

「そうだな」

 

*1
3番惑星の軍備はほとんどが実体兵器のため、対エネルギー兵器しか想定していない従来兵器では歯が立たないと考えられた。

*2
ジェダイ狩りを行う尋問官の内、高位の者。




新装備1
○アーマー
対物理防御が強化され、対物ライフルの銃弾をも弾くことが可能になっている。
見た目はOld Repablicに登場するリパブリックトルーパーのアーマー。


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第3話 砲艦外交

オリキャラ
○マックス・ヴィアーズ
元傭兵の大佐で、歴戦の猛者。



中央暦1638年4月末

クワ・トイネ公国

 

 クワトイネ公国では、パニックが起こっていた。突然、1100mにもなる楔型の飛行船が現れ、そこから発進した空飛ぶ鉄箱(ガンシップ)があろうことか首都に着陸したのだ。

出てきた人々は平和的に接してきたが、政治部会は続行不能な程に混乱し、首相のカナタ自ら応対することとなった。

 

首相のカナタは、椅子に座る2人の人間を見る。

左側には、白地に黄色塗装の鎧を着た歴戦の猛者らしき壮年の男。

そして、右側には蒼い服を着た金髪美女が座る。まさか、色仕掛けでも仕掛けるつもりなのか?

 

美女が口を開く。

 

「私は、軍事政権セカンド・オーダーの使節代表、セリシアと申します」

「陸上部隊所属の大佐、マックス・ヴィアーズです」

 

「今回私達がやって来たのは、貴国で栽培される美味な食料を入手するためです。もちろん、それなりの対価を払います」

 

「その対価とは?」

 

「軍事力の提供と、輸送網の建設になります」

 

軍事力の提供か。ロウリア対策として良さそうだ。あの巨大飛行船のこともあるし、相当強いと思われる。

 

「気になるのですが、あなた方の陸上兵力はどのようなものとなりますか?」

美女と軍人が目配せをし、軍人が箱を机に置く。

 

「それは何でしょうか?」

 

「これは、動く精巧な絵を表示するものです」

 

見ると、ガラスのような部分に何か表示される。

写ったのは砂漠で、光剣(ライトセイバー)を持った剣士(ジェダイ)杖らしきもの(ブラスターライフル)を持つ鎧の戦士(クローントルーパー)鉄の甲虫(AT-TE)が突撃するところであった。

 

「これは、22年前に起きた戦争(クローン大戦)の映像です」

 

今、22年前と言われた。

彼らの力は明らかに列強並みであり、22年経った現在ではさらに強くなっているとカナタは想定した。

 

「許可を貰えるのであれば、すぐにでも軍事力を提供します。ただし、土地を分けていただきたいと思っています」

 

優しめの言葉で言ってはいるが、割譲を要求しているのと変わらない。

 

「割譲ですか。その話は私の一存では決められないので、少しお待ちください」

 

カナタは、落ち着いたであろう政治部会に向かった。

 

政治部会

 

「皆の者、向こうからの要求内容が判明した」

幹部達が、カナタの言葉に耳を傾ける。

「それは、食料と土地の提供だ」

 

怒号が上がる

「領土の割譲などできるわけない!」

 

「徹底抗戦だ!」

 

「皆落ち着け!あの巨大飛行船相手に勝てるとでも?」

 

外務卿リンスイの言葉を聞き、怒号を上げた幹部達は我に返る。

抗戦以前に勝てる訳が無いのだ。

 

「もちろん対価を払うことを約束してくれていて、軍事力の提供と輸送網の構築をしてくれることになった。提供する土地は、駐留が目的となっている」

 

「対ロウリア戦の際は、捨て駒になってもらうべきです」

軍務卿は、そう進言した。

 

「最悪の場合はそうなるな… これに反対する者は?」

回りを見渡すが、反対意見は出ない。

 

この日、双方が契約に同意。

ギム周辺がセカンド・オーダーに割譲された。

 



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EpisodeΙ ロデニウス紛争
第4話 ギムの戦い(1)


クイラとの交渉と主人公がフェン王国に行く話は番外編でやります。

オリジナル兵器
○対空ホバータンク
○TIE/Soファイター
通称、セカンドオーダーTIEファイター。
TIEファイターの改良版。シールドの装備と、装甲の追加によって、パイロットの生存性が上がっている。


 

 ここは、SO(セカンドオーダー)に割譲されたギム特別区。割譲されたとは言っても、高度な自治を認められており、SOの訓練を受けた地元民の防衛隊が存在する他、SO軍の部隊6000人が駐留している。

 

ギム南西部を歩く獣人の男性。その名はモイジ。

元々は西部騎士団団長のギム防衛隊隊長である。

 

「この町も大きく変わったなぁ…」

モイジはそんなことを呟く。

 

1ヶ月前、ギム周辺がセカンド・オーダーとかいう得体の知れない勢力に割譲されると決まった時、モイジら住民達は抗議したが、聞き入れられずに割譲は行われた。

しかし、SOがやって来てからモイジら住民達の態度が変わる。

 

SOは高度な技術─それも、列強並みの物を持ち、継ぎ目の無い壁や塹壕なる穴を設置した。それだけでなく、ブラスターなる銃のような物やウォーカーなる二足歩行のゴーレム、砲台、丸い飛行機械などを持ち込んできており、モイジや1部の住民達は防衛隊としての訓練を受けた。

公国の領土だった時以上に防衛力が上がっている。これならば、ロウリアが攻めて来ても安心だ。

 

そして、11ヶ月後…

ついにロウリアが攻めてきた。

 

「司令、ついに来ました」

ヴィアーズ大佐がサイモンに報告した。

 

「分かった。 塹壕と砲台に防衛隊を含めた歩兵を配置。AV-7対ビークル砲、AT-STマークⅢ、

AT-MPマークⅢ、AT-DT、対空ホバータンクを前線に移動。そして、私のTIEアドバンストを含めたTIE/SOファイター部隊とスターデストロイヤーの艦載機をワイバーンの殲滅に上げる。

我々の力で、敵に恐怖を植え付けるのだ!」

「ラジャー!」

 

 

前線

 

「急げ!」

歩兵が次々と塹壕と砲台に飛び込む。

モイジら防衛隊も、遅れて位置に付いた。

 

モイジが後ろを振り替えると、ウォーカーが歩いてきていた。

「居てくれるだけで安心できるな…」

 

「ブラスターライフル部隊、配置に付きました」

「E-ウェブ重連射ブラスター砲*1も配置完了」

「砲撃部隊も完了!」

「ビークル部隊、問題ない!」

 

「全部隊、配置完了しました」

 

「分かった。 全部隊、合図を待て」

そう言うのは、前線の指揮官である大尉(キャプテン)だった。

 

 

東方征伐軍 本陣

 

「今日、ギムを落とすぞ」

先遣隊指揮官の将軍パンドールは、部隊の将兵達に宣言する。

「戦利品はどのようにいたしましょうか?」

副将アデムが聞いてきた。

 

彼は冷酷な騎士。占領地での残虐性はもちろん、失敗した部下を殺すなど、同胞にも容赦しない。

彼の呼ばれ方は、“鬼” “悪魔”など様々だ。

時には魔獣人間と裏で呼ばれている。

 

彼に関する情報を得たSOは、彼のことを

“異世界のウィルハフ・ターキン”と呼称した。*2まぁ、ターキンのほうが明らかに高潔なのだが。

「副将アデム、お前に任せる」

 

「ありがたき幸せ!」

彼は命令を部下に下す。

 

「ギムでは略奪、暴行、強姦、放火を一切咎めない。そして、恐怖を伝播させるために100人ほど解き放て。騎士団の家族がいた場合は残虐に殺し、見せしめとするのだ」

こいつは人間じゃない。人間の皮を被った怪物だ。そんなことを思いながら、部下は命令を伝えに行った。

 

 

「こちらスカウト、敵部隊約24000人及びワイバーンが接近。地面三分に敵が七分。

地面が三分に敵が七分だ!」

 

報告を受けて、塹壕ではSOトルーパーや防衛隊がブラスターや連射ブラスター砲、タレットを敵の方向へ向け、対空ホバーやウォーカーが砲塔を動かす。さらに、上空をTIE/SOファイターが通過した。

 

異世界の空を、場違いなものが飛んでいる。

それは、サイモン率いる宇宙戦闘機部隊だ。

宇宙から合流したスターデストロイヤーの艦載機72機と合わせて96機。敵より少ないが、こちらは精鋭揃いだ。技術格差もあるため圧勝できる。

 

「全機、私に続け。爬虫類ごときに落とされるな!」

 

「「ラジャー!」」

 

ギムの戦いが、始まる…

 

*1
SWエピソード5にてスノートルーパーが使用

*2
ターキンはレイア姫の目の前で彼女の出身地である惑星オルデラーンを、デス・スターによって破壊した。



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第5話 ギムの戦い(2)~空飛ぶ目玉の恐怖~

東方征伐軍先遣隊 飛竜攻撃隊150騎

 

「クワ・トイネの迎撃騎は確認出来るか?」

飛竜攻撃隊全体の指揮権を任されたアルデバランが前にいる竜騎士に問う。

「いえ、確認出来ません」

 

「まさか、町を放棄したのか?」

 

その時だった。

 

「変な音が聞こえる。怪鳥の声のような音だ」

 

「確かに何か聞こえるな。全騎、警───」

 

「飛行物体を確認!」

 

「ワイバーンか?」

 

「いえ……」

 

アルデバランも前方を見る。

 

飛んできたのは、ワイバーンではなかった。

 

「空飛ぶ・・・目玉?」

竜騎士の1人が言う。

 

アルデバランは咄嗟に命令を下した。

 

「敵はこちらより少ない。全騎、マルチ隊形!」

 

全ての騎が、相手を包囲するように展開する。

 

「発射まで、5…4…3…2…1…発射!」

 

発射された火炎弾は、必ず当たる・・・・・・・

 

 

 

 

筈だった。

 

「外れただと!なんて速さの敵だ…」

 

 

迎撃隊

 

「敵編隊、火炎弾発射!」

 

「各機、レーザーを撃ちつつ、突撃せよ!」

 

「「ラジャー!」」

 

サイモンはTIEアドバンストのレバーを押し込んで速度を上げ、レーザーを撃ちながら先陣を切って突撃を開始した。

 

 

「目玉が突っ込んできたぞ!」

 

「慌てるな、あの飛行物体は明らかに旋回性能が低そうな形をしている。それに、数はこちらが上だ。確実に殺れる」

アルデバランを始めとした飛竜隊の面々は、完全にTIE/Soファイターを完全に舐めていた。

 

アルデバラン達は、その判断が間違っていたことを“死の宣告”とともに知ることとなる。

 

その“空飛ぶ目玉”は光弾を撃ちながら突撃してきて、双方がすれ違う。

 

緑の光弾に撃墜された者やソニックブームで吹き飛ばされた者が続出した。

 

「一瞬でこんなに?!」

すれ違っただけで50騎ほどの損失が出てしまう。

 

「速すぎる!」

 

「化け物!こっちに来るなぁ!グハッ!」

 

「後ろを取られた!助けてくれっ!」

 

若年の竜騎士が悲鳴を上げる。

 

「今助けるぞ!」

 

アルデバランは、若年竜騎士を追う“目玉”に背後から火炎弾を直撃させる。

 

「やったか?!」

 

しかし、火炎弾は謎の障壁によって離散してしまう。

だが、若年の竜騎士は助かった。

 

「助かりました隊長」

 

「お前は逃げろ」

 

「逃げるなんて、そんなことできません!」

 

「お前はまだ若い。どこかへ逃げて自分の人生を生きるんだ。行け!」

 

「隊長のことは一生忘れません!」

彼は全速力で逃げていった。

 

「行ったか…」

 

次の瞬間、アルデバランの目前は緑の閃光に覆われてしまう。

 

この日、攻撃隊150騎は1騎を残して壊滅。TIE/Soファイターの強さは、“空飛ぶ目玉の恐怖”として生き残りの竜騎士によって広まることとなる。

 

 

「司令、1騎逃げました」

 

「逃がしておけ」

 

「ラジャー」

 

「あれが隊長格か。墜ちろ!」

 

サイモンはトリガーを引き、隊長のアルデバランを撃墜した。

 

「制空権確保。繰り返す、制空権確保」

 

空の戦いは終結した…

 




悲報、対空兵器の出番なし。



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第6話 ギムの戦い(3)~無謀なる進軍~(改)

○セカンド・オーダーの理念?
秩序の維持者となることはもちろんのこと、政治の腐敗を起こしてしまった銀河共和国や、反乱同盟軍などの反乱分子を生み出してしまった銀河帝国の轍を踏まないことであり、原因となる日和見主義、圧政、奴隷制度、差別などを禁止する。





ギムから1km地点

 

 先遣隊約24000人はギム付近を目指して行軍していた。

 

「なぁ、相棒」

重装歩兵の1人が仲間に声をかける。

 

「しっ!無駄口叩くと騎士に怒られるぞ…」

 

「わかってる。小声で話そう…」

 

「で、何だ…?」

 

「少し前に味方のワイバーンが行っただろ…?」

 

「あぁ、けれども帰ってこないな…」

 

「全然戻ってこないのはおかしいだろ?」

 

「確かにおかしい。イヤな予感がする…」

 

その時、ワイバーンの声が聞こえてきた。

 

「やっぱり生きていた…」

 

「20騎ほどに減っているな…」

 

「ちょっと待て。ロウリアの紋章が無いぞ…」

 

「まさかな…」

 

「敵だ!」

 

怒鳴り声と同時に、2人より後ろに居た重装歩兵が炎によって焼かれた。

 

「クソッ!死んでたまるか!」

 

「逃げるぞ!」

 

2人は鎧を脱ぎ捨てて走る。

 

騎士の「逃げるな!」という怒号が聞こえるが、そんなのお構い無しに2人は逃げ出した。

 

────────────────────

 

「攻撃成功!」

 

制空権が確保出来たため、ギム防衛隊のワイバーン部隊24騎は対地攻撃の為に出撃していた。

 

「制空権があればこっちのもんだ!」

 

「野郎ども、攻撃はまだ終わっていない。新兵器を使用するぞ」

 

「「ラジャー!」」

 

竜騎士達は、腰のベルトからサーマルデトネーターとブラスターライフルを取り出した。

 

「攻撃開始!」

 

投下されたサーマルデトネーターが、1発当たり歩兵を数十人規模で吹き飛ばし、ブラスタービームが敵兵を穿つ。

 

「結構な損害を与えたな。これより帰投だ。早くしないとミサイル攻撃に巻き込まれるぞ!」

 

ワイバーン隊が撤退した直後に大量のミサイルが着弾し、先遣隊は兵力の3分の1を失った。

 

 

「ミサイル全弾着弾を確認…」

 

AT-MPマークⅢの内部にて、観測手が報告する。

 

「良いぞ。後は、ここに来た奴らを叩くだけだ」

 

ヴィアーズ大佐はヘルメットの下でニヤリと笑みを浮かべた。

 

─────────────────────

 

東方征伐軍 本陣

 

「アデム指揮官、緊急事態です!」

 

伝令の兵士が駆け込んで来た。

 

「何があったのですか?」

 

「それが・・・」

 

「?」

 

「ギムへの攻撃に向かった、アルデバラン隊長率いる飛竜攻撃隊との通信が途絶えました」

 

「詳しい状況は?」

 

「空飛ぶ目玉が迫ってくる」という悲鳴を最後に通信は途絶してしまいました。

 

「空飛ぶ目玉ですか?変なことを言っていると、首を物理的に飛ばしますよ!」

 

「まあまあ、アデム君。怒鳴っても、途絶した結果は変わらない」

パンドール将軍が彼を諫める。

 

そこに、もう1人の伝令が入って来た。

 

「大変です!先遣隊が、ワイバーンの攻撃と謎の大規模な爆発によって兵力の三分の一を失いました」

 

「制空権を握られているのか・・・

 それに、大規模な爆発?エルフの禁術、

  もしくは発掘された魔法帝国の兵器か!?」

 

「将軍、援軍を呼ぶ必要性があります」

 

「確かにそうだな。アデム、王城まで出向いて援軍を要請せよ。こちらは、ワイバーン本陣に連絡する」

 

「了解しました」

 

アデムは馬に乗って、駆け出す。

 

しかし、アデムの行き先は明らかに港町の1つに向かう道であった。

 

「魔導兵器が現れた以上、攻略は失敗だ。

 あの方に報告しなくては」

 

彼は、王国を捨てたのだ。

───────────────────

 

「敵集団、再び前進開始」

 

「対ビークル砲、対人弾装填」

 

対ビークル砲に装填されたのは、新開発された子弾で攻撃する砲弾。俗に言うクラスター弾だ。

 

「対空ホバータンク、水平射撃用意」

 

「撃て!」

 

向かってくる集団の中でも足の遅い歩兵や弓兵が子弾の餌食となり、そこへ、対空レーザーの水平射撃が襲いかかった。

 

「騎兵隊、決して止まるなよ!先ほどの歩兵と同じ末路を辿ることとなるぞ!」

 

騎兵隊は、足の早さを活かしてギムまで300mの辺りに接近する。

 

「よく引き付けろ・・・・・・撃て!」

 

ブラスターライフルやウォーカーの主砲から赤い光弾の雨が騎兵隊へと発射される。

 

特に、AT-DTの放つ弾は着弾時に爆発する強力なエネルギー弾であり、敵に一発で多くの被害を出していた。

 

さらに、近距離で迫撃砲を喰らってしまい、木っ端微塵になる騎兵もいる。

 

騎兵隊の隊長が落馬し、近くにあった弓を拾って矢をつがえた。

 

「一矢報いてやr・・・」

 

しかし、スナイパーによる射撃を受け、最後まで言えずに散っていった。

 

異世界よ、これがセカンドオーダーの力だ。

 

──────────────────────

 

平原を歩く二足歩行のゴーレムらしき物。

 

それは、AT-STマークⅢ。

 

本陣を制圧すべく、機甲部隊に加わって動いていた。

両手のレーザー砲で完全に抵抗を排除し、指揮官がいるであろう建物を包囲する。

 

「将軍、SOを名乗る勢力が降伏を求めています」

 

「クワ・トイネでは無かったのか?」

 

「とにかく、決断を!」

 

「抵抗して死ぬか、降伏してもどうなるのか分からないの二択だ。私は、少しでも生きられる可能性がある降伏を選ぶ」

 

この日、征伐軍先遣隊は降伏した。



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第7話 港を強襲せよ

ワイバーン本陣

 

「先遣隊のワイバーンが全滅?!

 そんなことがあるわけがない。

  こちらには、150騎も居たのだぞ!」

 

「ですが、本当のようです。空飛ぶ目玉に襲われたと言う報告も付いています」

 

「空飛ぶ目玉か。前線の連中は精神を病んでいるみたいだな。どちらにせよ、海戦にワイバーンを多く投入するため、こちらからは多く出せん」

 

「パーパルディア製竜母に載せる分を考えても、50騎ほどしか送れませんが」

 

「それで良いだろう。それにしても、クワ・トイネ風情に負けるとは、陸の連中は情けない」

 

「とにかく、制海権を握れば、陸の損失を取り返すことができましょう・・・」

 

────────────────────

 

竜舎

 

「相棒、元気にしているか?」

 

竜騎士ムーラは相棒のワイバーンに声を掛けた。

 

しかし、相棒はなぜか上空を警戒しており、一定の方向を見続けている。

 

気になったムーラは相棒と同じ方向を見て、目を凝らした。

 

「あれは、いったい・・・」

 

最初はよく分からなかったが、それが近づくと形が明らかになり、富裕層が持っている眼鏡のような形をしていることが分かる。

 

あんな物は見たことがない・・・

 

そうこうしている間に、その眼鏡?はワイバーン本陣の上空を通過。同時に太い棒のような物(プロトン爆弾)を投下する。

 

ムーラは何が起こったのか理解する前に爆風で数十m吹き飛ばされた。

 

 

「陽動成功。シャドウ中隊は港を攻撃せよ」

 

TIEボマーが行った爆撃は、制空権を奪取するだけではなく、港にいるロウリア軍の注意を引き付ける役割も果たしていたのだ。

 

その一方、港に向かって飛んでいる複数の機影が存在していた。

 

「野郎ども、心の準備は出来ているか?」

 

「「おう!!」」

 

「では、作戦をもう一度確認しよう

 今回、我々はシャドウ中隊による小型帆船に対する爆撃の後に、比較的大型な船である戦列艦と竜母にガンシップから直接降り立って制圧する。諜報員によると、10隻の戦列艦と3隻の竜母が停泊しており、出港はまだ先だったために船内には6人ほどが滞在している。

 我々が制圧している間、ガンシップは施設に対して攻撃を行う」

 

兵士達はブラスターにカートリッジを装填し、バイブロナイフとシールドを点検する。

 

「装備の準備も出来たようだな、移乗に備えろ」

 

12機のTIEボマーがガンシップ群を引き離し、攻撃態勢を整える。

 

「こちらシャドウリーダー。各機、サーマルデトネーターを投下せよ」

 

「「ラジャー!」」

 

TIEボマーがガレー船の群の上に差し掛かり、サーマルデトネーターを大量に投下する。

 

多くの小規模な爆発が一斉に起こったことで威力が増大し、ガレー船の群を吹き飛ばす。

 

遅れて来たガンシップが、戦列艦などの上に静止する。

 

「移乗だ!」

 

スライドドアを開く。すると、2人の兵士が腰を抜かしている。トルーパーはブラスターのスタン機能を使用して気絶させた。

 

「クリア!」

 

「盾持ちは前に出てくれ」

 

盾を持ったトルーパーが扉を蹴破り、先陣を切って突入する。

 

「死ね!」

 

突然、剣を所持した水兵が斬りかかる。

 

だが、盾でガードされてしまい、スタンバトンの一撃を受けて昏倒した。

 

「危なかった…」

 

部隊は順調に艦内を制圧し、全ての戦列艦と竜母を掌握した。

 

 

「各機、レーザー砲を使用せよ!」

 

12機のTIEボマーからレーザーが発射され、大量のガレー船を粉砕、炎上させる。運悪く、レーザーや火矢用の油壺の引火による爆散に巻き込まれた水兵もいた。

 

 

船団が燃えている・・・

 

もうダメだ・・・

 

反撃したいが、相棒のワイバーンは木材に挟まれて動けず、ムーラ自身は骨折した。

 

「クソッ!!」

 

ムーラは自らの無力さに苛まれるのであった。

 

 

海軍司令部

 

「シャークン海将、襲撃を受けています!」

 

「何?どうして気付かなかった?!」

 

「爆発したワイバーン本陣の方角に全員が気を取られていました」

 

「先程の爆発は陽動だったのか・・・」

 

「現在の襲撃によりガレー船は激減してしまい、戦列艦と竜母は掌握されました。

 さらに、空飛ぶ鉄の箱(ガンシップ)によって町では兵士達が蹂躙されています」

 

 

「そろそろ降伏を勧告するころだ」

 

搭載されたスピーカーから声が聞こえる。

 

「我々はセカンド・オーダーである。其方には抵抗できる力は無い、直ちに降伏せよ!これ以上の出血は求めていない。捕虜に関しては丁重に扱うことを約束しよう」

 

 

「もはやこれまでか・・・」

 

「海将…」

 

「私は無能の将軍として記録されるだろうが、若い者が生き残れればそれでよいのだ」

 

シャークンらは降伏した。それも、必死に用意したガレー船4400隻のうち港に停泊していた1500隻を犠牲にして・・・

 




次回はクワトイネ側の反応が出ます。

○シャドウ中隊
本作オリジナル部隊で、TIEボマーなどを扱う部隊。


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第8話 クワ・トイネの驚き

クワ・トイネ公国政治部会

 

「セカンド・オーダー軍とロウリア軍の戦闘について、報告します。今回の報告書類は観戦武官からの報告だけでなく、SO側が示した情報と密偵からの情報を織り混ぜています」

 

首相のカナタは頷く。

 

「まずは、ギムの戦いです。最初に衝突が発生したのは空で、SOの目玉型飛行機械─通称セカンドオーダーTIEファイター96騎と、ロウリアのワイバーン150騎が衝突しました」

 

「ロウリアのほうが多いな・・・」

 

軍務卿が思わず呟く。

 

「ロウリアは、上下左右に展開した大量のワイバーンで包囲して一斉に火炎弾を浴びせる多数殲滅隊形─マルチ隊形にて先制攻撃を仕掛けました。しかし、時速1000kmを普通に出せる飛行機械に当たることはありませんでした。

 その後、飛行機械は搭載した魔光砲による攻撃を仕掛け、ワイバーンの反撃はありましたが、直撃した火炎弾は魔導障壁によって弾かれてしまい、ろくな抵抗もできずにワイバーンは壊滅しました。そして・・」

 

「ちょっと待った!」

 

突然、外務卿リンスイが割り込む。

 

「彼らは魔法を使えないと聞いていたが、その説明では魔法系の技術を使えることになるぞ」

 

「説明が足りませんでしたね。確かに、彼らは魔法を使えません。今回、魔光砲や魔導障壁と呼んだのは、彼らの科学由来の兵器を想像しやすくするためでした。報告はまだ続きますが、このような説明を行いますので、ご了承ください」

 

「わかった」

 

「空戦の終了後、ギムからはワイバーンが24騎発進し、地上部隊に攻撃を開始しました」

 

「SOもワイバーンを使用するのだな」

 

「はい。彼らは制空権さえ取れていれば、地上に対する攻撃にワイバーンなどの生物を投入することを戦術の1つとしています。彼ら曰く、前の世界でも生物を戦争に投入することはあったそうです」

 

「だが、格下にしか通用しなそうだな・・・」

 

「ワイバーンの攻撃後、ギムに配備されたゴーレム(AT-MPマークⅢ)から誘導魔光弾が大量に発射され、多くのロウリア兵を吹き飛ばしました。そして、生き残りが突撃を開始しましたが、強力な爆裂魔法や光弾を投射されて壊滅。

 本陣も魔光砲を両手に装備したゴーレム(AT-ATマークⅢ)によって制圧され、将軍が捕縛されました」

 

一方的すぎるな・・・もしも敵対してしまったら、第2のロウリアになりかねん。機嫌を損ねないように対応しなければならない。

 

カナタは内心怯えていた。

 

そうだ、彼らへの食料の提供を増やそう。

それが良い。

 

「実は、SOは本陣を制圧したのと同じころに、別の作戦を行っていました」

 

「「別の・・作戦?!」」

 

「それは、港─それも、ギムに最も近くに存在する港に対する攻撃です」

 

「彼らは速いな・・・」

 

「この作戦の結果、海将シャークンと生き残りの竜騎士1人、大勢の幹部が捕縛され、文明圏による支援で貰ったとされる、戦列艦と竜母が鹵獲されました」

 

「戦列艦と竜母を取られたか・・・」

 

「これにより、ロウリアの侵略は停止しています。そして、SOは王都を攻撃するようです」

 

「ロウリアは災難だ。我々を攻めるつもりが、実際は格上にケンカを売ることになっているとはな」

 

軍務卿はロウリアを哀れんだ。

 



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第9話 王国の最後

 

 王都ジン・ハークから1km地点に、セカンド・オーダー軍は展開している。運び込まれたビークルの中に、一際目立つウォーカーが存在していた。

 

それは、AT-DESTROYER(デストロイヤー)*1

転移前に独立艦隊によって極秘に開発されていた新型ウォーカーであり、肩には大型の実体弾砲が積まれている。それもただの砲ではなく、イオンが含んでいる電気を利用して弾を打ち出す、イオン加速式実体弾発射砲と呼ばれる、事実上のレールガンである。

 

試験中であった一号機は、試射として城壁を破壊するために展開していたのだ。

 

 

王都入り口 関所

 

 関所の前に、幌を取り去った馬車が現れ、黒服と仮面を着用した怪しい人間が降りてきた。門番は止まるように促すが、止まらない。

 

「そこの奴!止まれ!」

 

「黒いお前だ!聞こえているのか?!」

 

馬車を降りたその人間は、槍を交差させた2人の門番の前で止まり、手をヒラヒラさせる動きを見せた。

 

「こいつ、怪しい・・・捕縛するぞ」

 

門番は手をヒラヒラさせている人間に近づく。

すると、人間は声を発した。

 

「私は、怪しい者ではない。ここを通せ」

 

 

「貴様は怪しい者ではない。ここを通そう」

 

先程まで怪しんでいた2人は、なぜか彼を通してしまったのだ。

 

馬車に乗った黒い人間は、そのまま誰もいない路地裏に入り、仮面を取る。その顔は、サイモンであった。

 

さらに、黒い装甲服のトルーパーが12人、サイモンの回りに実体化した。

 

「最高指導者様、今のは?」

 

1人のトルーパーが尋ねる。

 

「今のは、マインド・トリック。精神を操るフォースの技の1つだ」

 

「フォースという物は便利ですな」

 

「だが、マインド・トリックが効かないものも存在する。例えば、ハット族やトイダリアンにはマインド・トリックが効かない。そんなことより、クローキング装置の実戦使用は上手くいったな」

 

「はい。使い方しだいでは、こちらを少数に見せることが可能となります」

 

「作戦開始だ。こちら、潜入隊。砲撃を行え」

 

 

「ラジャー」

 

AT-DESTROYERの加速砲が、1km先の城壁を向く。

 

「イオン、充填完了」

 

「3・・2・・1・・・発射!」

 

甲高い音とともに、砲弾が発射される。

 

砲弾は、城壁を粉砕した。

 

 

「爆発?!」

 

「敵襲!敵襲!」

 

多数の兵士達が、爆発した城壁へ向かう。

 

「陽動は成功だ。行くぞ」

 

守りが手薄となったハーク城へと到着した部隊は、アセンションケーブルを撃ち出し、壁を登る。

 

ベランダに降り立ち、ガラスをE-11ブラスターライフルで破壊して派手に突入した。

 

「半数は、下の兵士を食い止めろ。残りは私とともに来い。いいな?」

 

「「ラジャー!」」

 

Z-6回転式ブラスター砲を装備した者は、下の兵士を食い止めるために、2つだけある階段へと向かった。

 

サイモンが率いる部隊は、王の自室までの廊下を進む。

 

剣や槍、時には、魔法や弓での抵抗は有ったものの、近接武器は射程外から一方的にやられ、魔法や矢はライトセーバーによって弾かれる。

 

彼らに勝つことは不可能である。

 

一方、自室の前では、近衛隊長ランドが立っていた。

 

近衛騎士団は多くが破れ去り、せめてでも王を逃がすために、時間稼ぎをすることにしたのだ。

 

やがて、1人の男が現れる。

見ると、人間とは思えない白い肌であり、黒いアーマーを着ていた。

 

「やあ、こんにちは。近衛隊長のランドと申します。少し、お話ししま・・・カハッ!」

 

浮遊感と共に、首が絞められる。

しかも、相手は一切触れていない。首の前で、手を握っているだけだ。

 

「茶番など要らん。ここを通せ」

 

通せる訳がない。王は我々の光だ・・・グホッ!」

 

さらに強く絞められる。

 

「隊長!」

 

柱に隠れていた近衛兵が出てくる。

 

私に構うな。殺れ・・

 

近衛兵達は斬りかかる。だが、

 

「今だ」

 

高音とともに、複数の光弾が近衛兵に直撃し、近衛兵は死に絶えた。同時に、黒ずくめの兵士が出現した。

 

部隊が・・・1人だと思って油断してしまった

 

「お前の負けだ」

 

壁に叩きつけられ、気絶した。

 

 

6年もの歳月をかけ、列強の支援と服従と言っていいほどの屈辱的なまでの条件を飲み、ようやく実現したロデニウス大陸統一軍、錬度も列強式兵隊教育により上げてきた。

 

資材も国力のギリギリまで投じ、数10年先まで借金をしてようやく作った軍だ、石橋を叩いて渡るかのごとく軍事力に差をつけた。

 

圧倒的勝利で勝つはずだった。

 

しかし、ギムを攻めてから、運命の歯車は狂った。

 

後で判明したが、ギムは所有権がクワ・トイネからセカンド・オーダーに移っていた。

 

SOなる勢力と衝突し、統一軍先遣隊は反撃も出来ずに壊滅した。

そして、王都が攻撃されるに至る。

 

敵は迫っており、扉の向こうでは、高音とともに近衛兵の悲鳴が聞こえる。

 

黒ずくめの一団が自室に雪崩れ込む。

 

「ま・・・まさか・・・魔帝軍か!?」

 

ハーク・ロウリアは恐怖に慄き、尋ねる。

 

1人が前に出て、話す。

 

「魔帝ではない。セカンド・オーダーだ。

 貴様を拘束する」

 

彼の腕に、スタンカフ*2が付けられた。

 

 

たった3日で終結したこの戦争を、

惑星の民は3日戦争と呼び、

SOはロデニウス紛争と呼んだ。

 

*1
オリジナル

*2
抵抗すると、電流が流れる手錠




ロウリア王国は終了しました。


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第10話 戦後

「終わりましたね、サイモン様。戦後処理はどのようにするおつもりで?」

 

「大前提として、旧ロウリア領の主権は全て我々に有るものとし、軍隊は一次的に解散とするが、新たな軍隊を設立するまで、自警団を結成させる。ここまでは良いのだが、我々に反発する者もいるはずだ。そこで、拘留されているハーク=ロウリアを釈放し、形だけの代表とする。さらに、インフラや法律、制度の整備、奴隷解放、スラム街の貧困層支援、マフィアや盗賊などの犯罪組織の撲滅などを行い、支持率を上昇させる。この統治の方法は、後々他の土地を占領する際の基本となるだろう」

 

「この国には、奴隷が存在するのですね」

 

「そうだ。言うなれば、小さなタトゥイーン。そのような国が、第三文明圏には複数存在する」

 

「この惑星から奴隷が無くなってほしいと、私は思っています」

 

「是非、目指したいものだ。だが、我々の知名度は低い。それに、敵対視する国家は多いと思われる。だからこそ、懐柔策が必要だ」

 

「懐柔策ですか?」

 

「あぁ、クワトイネやクイラとの関係は良好であるものの、こちらを恐れている可能性は高い。現に、クワトイネはこちらの機嫌取りのために食料の提供を増やしており、クイラは提供する駐屯地の用地を増やしている。

 いつ、民衆の不満が爆発するかも分からん。

だからこそ、懐柔策なのだ」

 

 

「今回は懐柔策として、クワトイネ=ギム特別区間のコンヴェイエクス輸送車*1の路線を延伸する形として、ロデニウス大陸に環状輸送網(無料)を設置する。さらに、鹵獲したガレー船や戦列艦、竜母の一部を譲渡することにした」

 

「我々に出来るのはそれぐらいでしょうね」

 

「確かにな。だが、問題は戦後処理の後だ」

 

「我々がこの惑星で生き残るには、惑星の勢力との付き合い方を真剣に考える必要があります」

 

「そのことだが、方針の簡単な骨組みは、ロデニウス紛争の前にできていた。この惑星に関して以前より詳しい情報を得た今こそ、方針を完成させなければならない。この方針を名付けるとすれば、ヤムト・プランだ」

 

「サイモン=ヤムトのプラン、

 略してヤムト・プランですね」

 

翌日

 旧王都ジン・ハークのスラム街(悪所)にて、SOの治安部隊が犯罪組織の撲滅と奴隷解放を目標として活動している。サイモンは激励のために訪れていた。

 

「最高指導者様に敬礼!」

 

佐官クラスのトルーパーがサイモンに敬礼をした。

 

「よく頑張ってくれているようだ。君が隊長だな?」

 

「はっ。ヘンリー少佐であります!」

 

「状況はどうだ?」

 

「はっ。スラム街の半分まで進出し、多くの奴隷商人やマフィアを拘束し、押収及び奴隷の解放は順調に進んでいます」

 

「このまま続けてくれ」

 

「最高指導者様、1つ質問してもよろしいですか?」

 

「何だ?」

 

「解放した奴隷や路上生活者をどのようにするおつもりですか?」

 

「いい質問だ。現在の所、奴隷に押収した物を換金して分配することになっていて、奴隷と路上生活者双方に水分農場などの仕事と簡易住宅を与えることにしている。希望者がいれば、SO軍に入隊させることも認める」

 

「それならば安心ですね」

 

支持率が上がり、軍の人員を増やせる。

一石二鳥という奴だ・・・

 

 

解放の終了後、500人の奴隷と路上生活者が職と家を得ることになり、そのうち150人*2がSO軍への入隊を希望し、SOアカデミーに入学した。

*1
正式名称、20-Tレールクローラー・コンヴェイエクス輸送車。ハン・ソロに登場した列車みたいな貨物を運ぶ乗り物

*2
一個中隊規模




次回から番外編(魔王)の話と本編を交互に投稿します。


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閑話Ⅰ
神話の調査


SOトルーパーアーマーのペイント部分は階級によって異なり、大佐は黄色、大尉は赤、中尉は青、少尉は黒、軍曹は薄緑、兵卒はペイント無しである。また、クローキング装置を装備した特殊部隊は全身黒塗りであり、偵察兵やスナイパーは周囲によって迷彩を事前に選択している。

【挿絵表示】


オリキャラ
◯ハル博士
兵器開発部の責任者で、眼鏡をしている。
見た目のモデルはメタルギアのオタコン


1639年9月上旬

クワ・トイネ公国 リーンノウの森

 

 エルフの聖地、リーンノウの森の入り口にて、

2人のハイエルフ、ミーナとウォルは人を待っていた。

 

「人族を入れるなど、

 よく長老様も許可なさったものだ」

 

ウォルが呟く。

彼の生きている間に聖地にエルフ以外の種族が入った事はない。

 

歴史をたどったとしても、エルフの神がいた時代、聖地リーンノウの森が神森と言われていた時代に、魔王が攻めて来た際、種族間連合が最後の砦として利用した事が最初で最後だ。

 

「しょうがないでしょ、ウォル。それに、今回来るのはただの人族じゃない。被害なしでロウリアをたった3日で破った、セカンド・オーダーよ」

 

その時、震えるような変な音が聞こえてきたため、上空を見た。

 

「何だあれは?!」

 

彼らが見たのは、SOのガンシップであった。

 

「ウォル、空飛ぶ神の箱に瓜二つじゃない?」

 

「いや、瓜二つどころか、そのものだ」

 

「銀河の使者に関係があるのかもね」

 

「そうならば、スゴいことだ!」

 

ウォルの警戒心は完全に溶けていた。

 

そして、人族が箱から出てくる。

 

リーダーらしき黒服、黒服の側に付き従う青服の美女、眼鏡を掛けた白衣の男、

白い装甲服を着た兵士が3人─2人は装甲服全体が白く、残りの1人は薄緑のラインが装甲服に入っていた。

さらに、ゴーレムのような何かも降りてきた。

 

「セカンド・オーダー代表のサイモン=ヤムトです。立ち入りを許可していただき感謝します」

 

彼らは腰の低さに拍子抜けした。

 

「1つ聞いてもよろしいですか?」

 

「どうぞ」

 

「そのゴーレムみたいな物は何ですか?」

 

「彼のことか」

 

「彼?」

 

「彼はR2、機械の修理を担当しています」

 

「R2ですか、可愛らしいですね」

 

「♪~」

 

R2は嬉しそうに電子音を出した。

 

 

「では、こちらです」

 

2人の案内の元で一向は森を進み始め、2時間後に建物へ到着した。

 

「この建物の中には、エルフの宝と呼ばれる、銀河の使者が残していった物が複数保存されています。使者は、この聖地に攻めこんできた魔王軍を、巨大な空飛ぶ船や高速の飛行物体を操り、強力な魔導にて焼き払いました。そして、魔王軍をグラメウス大陸まで押し返したのです。その際に使者が使用した物がエルフの宝となりました」

 

彼女は呪文を唱え、

植物に覆われている扉を解放した。

 

一向は中に入り、エルフの宝を視認する。

 

「なっ!」

 

「どうして・・・

 どうしてこんなところににあるんだ!」

 

「セカンドオーダーの皆様、どうしました?

 どうしてそんなに驚いているのですか?」

 

だが、声は届いていない。

 

「ジェダイ・インターセプター・・・」

 

青服の美女が呟いた。

 

「まさか、ジェダイが来ていたのか?」

 

サイモンから、一瞬だけ殺気が出る。

 

「最高指導者様、それだけではありません。

 ガンシップやクローンZ-95スターファイター、ARC-170、AT-TEまでもが存在しています」

 

「つまり、共和国軍が銀河の使者の正体・・・

 ハル博士、R2と共に調べてくれ」

 

ハルと呼ばれた白衣の男は、調査を開始した。

 

「サイモンさん、

 銀河の使者と何か関係があるのですか?」

 

ミーナはサイモンに質問した。

 

「我々が異世界から飛ばされてきた存在であることを知ってますか?」

 

「確か聞いたことがあるような・・」

 

「あなた方が宝と呼ぶ物は、前の世界の軍隊が使用していた物と同一だったのだ。だから驚いていました」

 

「そんなわけでしたか」

 

 

「最高指導者様、調査したところ、ライトセイバーを発見し、インターセプターの持ち主が判明しました」

 

「で、誰だ?」

 

「それが・・・クワイ=ガン・ジンでした」

 

「クワイ=ガン・ジンだと・・・

 クローン大戦前に死んだはずだ」

 

「さらに調べたところ、ここの兵器はコルサントの戦いのころに使用されていたことが判明しました」

 

「ありえんな」

 

クワイ=ガン・ジンは過去のジェダイマスターで、後にオーダー66を生き残る、オビ=ワン・ケノービの師匠であったのだが、ナブーの戦いにてシスのダース・モールによって殺害されていた。

 

そんな彼が、コルサントの戦いのころまで生きているはずが無いのだ。

 

「もしかすると、別の世界線の存在の可能性があります」

 

「そうでなければ、説明がつかん」

 

セカンド・オーダーは、この件について詳しい調査を行うことにした。



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2つの帝国

神聖ミリシアル帝国 情報局

 

「アルネウス局長、文明圏外の諜報員から興味深い報告が送られてきました」

 

「魔帝の遺跡でも見つかったのか?」

 

「いえ、そんなわけでは」

 

「では、何なんだ?」

 

「とにかく、この魔写を見てください」

 

複数枚の魔写が手渡された。

 

「これは?!」

 

見ると、空に浮かぶ楔型の空中戦艦や魔光砲を撃つ目玉のような飛行機械、地面スレスレを浮いて移動する鋼鉄の箱、細身の二足歩行兵器が写されていた。

 

「やはり、文明圏外に遺跡が見つかったのでは?」

 

「そんな情報は確認されていません。調査によるとこれらの兵器はセカンド・オーダーなる勢力が運用しているとのことです」

 

「セカンド・オーダーは魔帝なのだろうか?」

 

「その線は薄いと考えられます。これらの兵器からは魔力が検出されておりません」

 

「我々がこれらと戦うとして、勝てると思うか?」

 

「そうですね・・・・・・・・

 まず、空中戦と海上では、こちらが勝つと見込めます。向こうの空中戦艦は動きが遅いと報告があり、戦闘機も含めてパル・キマイラで圧倒できると思います。さらに、海上戦力が確認できていません」

 

「海と空が取れれば、艦砲射撃などで陸上を袋叩きにできるな」

 

「それどころか、現在開発中の魔導戦車を使えば、あのひょろい歩行兵器も圧倒できるはずです」

 

「だが、油断は禁物だ。向こうも戦車を出す可能性は十分にあり、空中戦艦も武装が判明していない以上、こちらが殺られるかもしれん」

 

「あと、第8帝国のことですが・・・・・・・」

 

 

グラ・バルカス帝国 情報局

 

「何だこれは?」

 

技術技官ナグアノは部下から渡された報告書を見る。

 

それは、ミリシアル帝国の戦車と戦闘機に関する物であった。

 

「フムフム・・・」

 

・ミリシアル帝国の戦車は105㎜程の砲を装備し、無駄を削ぎ落とした形をしている。

なお、試作の段階である。

 

・ジェット戦闘機は存在するが、時速500km程しか速度が出ていない。しかし、音速を出せるようになる可能性有り。

 

なんて強力な戦車だ・・・・・

 

我々の戦車では手も足も出ないだろう。

 

新型の戦車を開発する必要性がある。それも、重装甲で105㎜以上の大口径砲を搭載した戦車だ。

 

戦闘機に関しては、負けることはないだろう。

 

だが、音速を出せるように進化する可能性は大きい。

 

転移により中断されたジェット戦闘機の開発を進めるべきだな。

 

その後、ナグアノの意見は上司を通して上層部へと報告され、重戦車とジェット戦闘機の開発が進められることとなった。

 

セカンド・オーダー、神聖ミリシアル帝国、

グラ・バルカス帝国。この3勢力は最強格として世界に影響を及ぼすこととなる。

 

 




あれ?ムーはどこに?


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新兵器達

ロウリア戦が終結して 1ヶ月

 

SO工場船

 

「最高指導者様、第二次新装備開発計画の試作装備が完成いたしました」

 

開発部最高責任者であるハル博士が報告した。

 

「それでは、部門別に説明いたします」

 

すると、様々な兵器が運ばれてきた。

 

「歩兵部門ではS-19重ブラスターライフル、六連装デトネーターランチャー*1を開発いたしました」

 

「S-19はDTL-19*2の改良型か?」

 

「その通りです。改良点として、バイブロナイフを先端に装着可能になる接続部の追加。フルオート射撃時のエネルギー消費の軽減。スコープの追加を行いました」

 

「白兵戦時に槍として使用出来るわけか。わざわざリーチの短いバイブロナイフを使用するよりもこちらの方が良いな」

 

「ですが、こちらに槍を使用する技能を指導出来る者が居りませんので、旧ロウリア軍人を招く必要がありそうです」

 

「検討しておこう」

 

「そして、デトネーターランチャーはサーマルデトネーターを手投げよりも遠くへ飛ばすための武器となっています」

 

 

「ビークル部門では、SOホバータンク*3を開発しました」

 

「実体弾砲を装備しているようだな」

 

「はい。3番惑星の兵器は実体系が多いことから、このようにしました。ホバータンクの砲弾は、エネルギーを縫うことで、威力を格段に上げています。また、防御に超電導アーマーと粒子シールドを使用し、エネルギー系と物理系の両方に対抗できるようになっています」

 

「そして、ビークルを大量に輸送可能なスターシップとして、戦術輸送艦*4をスターシップ部門が建造中です」

 

「それならば、輸送用ガンシップで1台ずつ運ぶよりもずっと効率的だ。それに、対魔帝として同盟を結ぶ予定の国家の戦車などを輸送することも可能だな」

 

「ファイター部門では、TIEスーパーボマーとTIE/SOディフェンダーを開発しました」

 

「スーパーボマーは、その名の通りTIEボマーの強化型。ポッドを延長し、機首には回転式重レーザー砲を装備しています。さらに、エンジンの改良と翼の大型化によって速度が上昇しました」

 

「TIE/SOディフェンダーは、元々スローン大提督主導で開発されたTIEディフェンダーのSO仕様で、装甲の追加と部分的な粒子シールドの装備、スーパーボマーと同じエンジンの改良が施されています。また、TIE/SOファイターにも同様の改良とミサイルの搭載を行います」

 

「良い機体だ。技術が銀河帝国の上を行っている」

 

「火器・レーダー部門では、新型ミサイルとレーダーを開発いたしました」

 

「新型ミサイルは、従来のミサイルと異なり、視界外の相手を新型のセンサーと組み合わせることによって攻撃可能になっています」*5

 

「わざわざ有視界戦闘に持ち込む必要性が減ったというわけか・・・」

 

「ですが、ミサイルも完璧ではありませんので、最後の手段としてレーザー砲を使用したドッグファイトが必須となるでしょう」

 

「確かにそうだ」

 

 

他にも多くの説明を受け、全ての量産がサイモンによって認められた。

 

 

「博士。忙しいところ悪いが、とある依頼がある…」

 

「?」

 

「それは・・・・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

「超兵器の開発だ」

 

「超兵器?!それは、デススターですか?」

 

「いや、そうではない。我々の力ではそれだけの物を作るのは不可能だ。それに、カイバークリスタルが無い以上、代替品を手に入れなければならない」

 

「目星は付いているのですか?」

 

「無論、付いている。それは魔石だ。魔石の産地であるアルタラス王国に接触する予定がある」

 

「現地人の協力が得られれば問題ありませんね」

 

「大丈夫だろう。スターデストロイヤーを見せつけ、武器の輸出も行う。もしも、アルタラスに攻めてくる存在があれば叩き潰すだけだ」

 

侵略者に対する抑止力

 

魔帝対策の切り札

 

列強に対する威圧

 

それは、エンペラー・デストロイヤー

 

皇帝の破壊者、つまり魔帝を破壊する者だ。

 

しかし、それと同時に列強──ミリシアル帝国などを威圧する存在でもあった。

 

*1
見た目は、グレネードランチャーのダネルMGL

*2
SWエピソード4にて、トルーパーから奪った物をチューバッカが使用していた。

*3
見た目は、HALOに登場するスコーピオン主力戦車。

キャタピラではなく、ホバーで移動する。

*4
ファーストオーダーの兵員輸送船を巨大化したような見た目。

*5
事実上の長・中距離ミサイル




○SOホバータンク
全長:10.2m
全幅:7.8

兵装
・90㎜特殊実体弾砲
・ブラスター砲

○戦術輸送艦
全長:220m
全幅:160m
積載能力
ビークル等 100両

兵装
・レーザー砲 複数


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とある少年

新キャラが2人登場します。


ロウリア区

 

セカンド・オーダーによって占領されたロウリア王国はロウリア区と改名され、SOによって統治されていた。

 

これはロウリア区に住んでいる、とある少年のお話である。

 

少年、バラン・ハーシェルは竜騎士の父親を持っていた。父親が花形の竜騎士だったこともあり、生活に困ることは滅多になかったが、父親がSOとの戦いにて戦死してしまって生活が苦しくなり、成人したばかりの長男はロウリア区防衛軍陸戦部隊に入隊し、母親はSOの水分農場で働いて家計をなんとか維持していた。バランはギリギリ未成年のために働けず、SOが設置した学校で学んでいる。

 

「なぁ、バラン。お前・・セカンド・オーダーの基地に忍び込んでこいよ」

 

「なんで・・・」

 

同級生達にそう言われて、バランは困った表情を浮かべる。

 

「度胸試しだよ。やらないなら仲間外れな、意気地無しだと言われるかもね。で、どうする?やる?」

 

同級生達はニヤニヤしていた。

 

「しょうがないな・・・やるよ」

 

バランは決心した。

 

「じゃあ、頑張れよ」

 

同級生はその場から去っていった。

 

とは言ったけれど、バレたら絶対怒られるに違いない、やらなかったら仲間外れだし、どうしよう・・・

 

 

その後、バランは基地の近くに来ていた。

 

どこから入れるだろうか・・・

 

 

あっ!

 

 

バランの視線は入り口のゲートへと向いている。

 

見るとSOのビークルが行列を作っており、コンテナが複数乗っていた。

 

コンテナの中に入れば・・・いけるかも。

 

バランの行動は速い。

 

兵士が見ていないタイミングで接近し、たまたま蓋の開いていたコンテナに入り、蓋を閉めた。

 

ふぅ・・・・

 

入ったのはよかったけど、中身を確認されたら終わりかもしれない。

 

しかし、検査が行われることはなく、無事に中へ入った。

 

バランの入った箱は、荷台で運ばれており、とある場所で下ろされた。そして、人の足音は離れていった。

 

バランは外に出る。

 

「おぉ、これは凄い・・・」

 

彼が見たのは、TIE/SOファイターやラムダ級シャトル、ARC-170スターファイター、Z-95などだった。

 

そう、バランが来たのは格納庫。たまたま人が一人も居なかったのが幸いだった。

 

彼は戦闘機の1つ、Z-95に近づく。

 

「カッコいいな・・」

 

思わず声を漏らす。

 

ワイバーンを近くで見たことがあるが、それとは違うベクトルのカッコ良さ。無駄を削ったスリムな機体に釘つけになった。

 

夢中になっていた彼の背後から、何者かが近づいていたが、彼は気づかない。

 

「俺の機体に何のようだ?少年」

 

バランは振り替える。

 

目の前にいたのは、顔が亡くなった父親の若い頃にそっくりな大柄の男。父親と異なる所は金髪と火傷している左の頬だけだった。

 

「ご、ごめんなさい」

 

「大丈夫だ、怒ってはいない。この基地に忍び込むとは若いときの俺みたいだな。なぜ入って来たんだ?」

 

バランは、一部始終を話す。

 

「そんなことがあったのか・・・それで、戦闘機に興味があるようだな」

 

「カッコいいと思って・・・パイロットはどうしたらなれますか?」

 

「まずは、成人になる。そして、防衛軍のスカイストライクアカデミーに入るしかない。パイロットになれるのは、一握りだがな」

 

バランはこのとき初めて、パイロットを志した。

 

「僕は、おじさんみたいにパイロットを目指す」

 

「おじさんか・・・俺の名前はリードだ。君を家まで送っていこう。そのほうが、君が忍び込んだ証拠になるからな」

 

「ありがとう、リードおじさん」

 

─────────────────────

 

同級生達は、基地の入り口を見張っていた。

 

「あいつ、遅いな・・・・ん?出てきたぞ、SOの兵士も一緒だ!」

 

彼らは、バランに駆け寄っていく。

 

「バラン!本当に忍び込んだのか!」

 

「そうだよ、見つかっちゃったけど・・・」

 

同級生の視線は、リードへと向く。

 

「バラン、この人は?」

 

「この人はリードおじさん、パイロットだよ。つまり、竜騎士みたいな?」

 

「そう捉えていい」

 

パイロット・・・竜騎士みたいな物だと分かった瞬間、同級生達は興奮していた。竜騎士のような空飛ぶ兵士は花形だという認識があったためだ。

 

「こいつは度胸がある、仲間外れにしちゃいけない。分かったか?」

 

「はい・・・」

 

数年後、バランと同級生達はアカデミーに入り、全員が晴れてパイロットになったらしい。



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魔王の復活:Summon Story
魔王復活


 ここは、グラメウス大陸。

 

大雨が降り、雷が鳴り響く外に、

洞窟から出てくる人型が3体。

人間よりも大きく、身長が3.5m程だ。

 

1発の稲妻が彼らの背後に落ちる。

その時、詳しい見た目が判明した。

 

中央の人型は、角が生えており、全身が黒い。

 

両脇の2体は、中央の人型によく似ているが、左の者は赤く、右の者は青い肌をしていた。

 

黒い人型が叫ぶ。

 

世界よ!私は帰ってきた!

 

稲妻が再び落ちる。

 

そして、翼を生やした何かが降り立った。

 

「魔王様、お待ちしておりました」

 

「マラストラス、生きていたか・・・」

 

「魔王様が戻るまで、魔獣を統率していました。

 回りをご覧ください」

 

「魔王が周囲を見ると、ゴブリンやオーク、さらには赤竜までもが存在していた」

 

「素晴らしい・・・」

 

「魔王様、下等種族を滅ぼしに行きましょう」

 

「そうだな。全ては魔帝様の為に!」

 

赤竜の咆哮が、グラメウス大陸を揺らした。

 

──────────────────────

 

ロウリア区 ジン・ハーク 旧王城

 

「現在、トーパ王国は魔王とその配下である魔王軍と交戦状態であります。ゴブリンであれば、十分に勝機がありますが、魔王やオーガ、マラストラスに対しては勝ち目がありません。そこで、強力な力を持つセカンド・オーダーに依頼したい。奴らをトーパ王国から追い出して欲しいのです」

 

最高指導者─サイモンは考える。

 

魔王か・・・

 

最強だという話は聞いていた。

 

是非、一戦交えたいと思っていたが、これは丁度良い。

それに、新設した外人部隊─ハーク中隊の更なる練度上昇の役に立つかもしれないな。

 

「大使殿。話はよく分かりました。中隊規模を率いて貴国に向かいましょう」

 

「最高指導者様自らですか?」

 

「そうだ。私はSO内で最も強いからな」

 

「SOが居れば百人力。いや、千人力です!」

 

セカンド・オーダーは、トーパ王国にハーク中隊を派遣することを決定した。

 

──────────────────────

 

魔王軍 本陣

 

「しばらく見ないうちに、人間どもは随分と数を増やしたようだな。まあ、人間の肉は美味いので、食料の現地調達はしやすくなるのは良いな」

 

「魔王様、どこまで進出するおつもりですか?」

 

「前回は、下手に海の南の大陸に存在する神森に手を出してしまった結果、銀河の使者を呼ばれてしまった。だから、今回は南の大陸に留めておくことにした」

 

「1つ気になることがあるのですが」

 

「どうした、レッドオーガ?」

 

「銀河の使者と戦った際、我々は破れました。

 音の早さで飛び、甲高い音を発する飛行物体、爆裂する光弾を撃つ甲虫、1000kmは越える空飛ぶ魔導船、そして、戦士を率いていた光刃剣を持つ聖なる騎士。彼らに手も足も出ませんでした。魔法帝国は勝てるのでしょうか?」

 

「心配するな、魔帝様ならば互角に戦える。

 相手が音速ならば、音速である天の浮き舟にて対抗でき、巨大な空飛ぶ戦船も誘導魔光弾の飽和攻撃で沈む。聖なる騎士が現れたとしても、コア魔法で大地もろとも吹き飛ばすだろう」

 

「それが本当ならば、我々が負けたとしても、魔帝様が一掃してくれるはずです。心置きなく戦えます!」

 

夜が明け、魔王軍は再び動きだした。

 



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ハーク中隊出撃

オリキャラ
◯ショット
ハーク中隊所属のエルフ。
DC-15Aブラスターライフルを愛用しており、射撃の腕は部隊の中で1番。


ギム特別区 駐屯基地

 

「ハーク中隊、全員が集まったようだな」

 

最高指導者直轄部隊から外人部隊の教官に転属した、ヴィアーズ大佐が言う。

 

「部隊を集めたのは、諸君らに初の任務を与えるためだ。今回、ハーク中隊はトーパ王国に派遣されることとなった。そして、戦う相手は魔王軍だ」

 

その言葉を聞いたとたん、全体でどよめきが走る。

 

「大佐殿、それは本当ですか?」

 

エルフ族の隊員、ショット少尉が尋ねた。

 

「本当のことだ。実際にトーパ王国は魔王軍の攻撃に晒されている。他に質問は?」

 

「どのような装備を使用しますか?」

 

「歩兵装備は通常通り。ビークルは中隊隷下の武闘強襲用歩兵戦車を1台、兵員輸送機を複数、第212突撃大隊から出向してきたAT-TE1台とその輸送機、対空ホバータンクを1台投入する」

 

その後に質問は無かった。

 

「今回の派遣には、最高指導者様もいらっしゃる。ピカピカ組(シャイニー)の諸君、気を抜かないでくれ」

 

「ピカピカ組?」

 

「経験の浅い兵士達のことだ。アーマーが

 ピカピカに光っているからそう呼ばれている」

 

─────────────────────

 

トルメス城

 

「セカンド・オーダーの方々をお連れしました」

 

騎士モアを先頭にセカンド・オーダーの一同が入室する。

 

「おぉ、よくぞ来てくださいました。

 討伐隊長のアジズです」

 

「代表のサイモン=ヤムトです」

 

「軍祭にてワイバーン10騎をたった1人で倒したという武勇は聞いておりますぞ」

 

「ありがとうございます、

 では、本題に入りましょう」

 

そして、説明が為された。

 

「なるほど、事態は切迫している」

 

サイモンが言う。

 

「とりあえず、準備さえ済めば、いつでも我々はオーガを退治出来ます。作戦会議を行いましょう」

 

その時だった、ガラスを突き破って、黒い羽を生やした物体が飛び込んできた。

 

「魔王の側近、マラストラス!」

 

誰かが叫ぶ。

 

騎士達が抜剣し、トルーパーはブラスターを構えて後方に下がった。

 

「人間の将を打ち取るために、自ら足を運ぶことになろうとは。永き時を経て、随分と進化したようだな、愚かな人間どもよ」

 

マラストラスは、手を隊長に向け、黒い炎の魔力を集中させ、発射する。

 

「ヘル・ファイア」

 

「隊長!」

 

副長がアジズを突き飛ばす。

 

副長は死を覚悟するが、その時は来ない。

 

目を開くと、目の前にサイモンが立っており、右手で黒い獄炎を防いでいる。彼が右手を握り締めると、獄炎は離散してしまった。

 

「人間風情に止められただと・・・」

 

「油断は死を招く。お前の負けだ!」

 

サイモンはライトセイバーを起動させた。

 

「そっ、その剣は!」

 

マラストラスは反応するが、もう手遅れだ。

 

サイモンはフォースダッシュで距離を詰め、

マラストラスの首を切断した。

 

「マラストラスを滅していただき感謝します」

 

「ただ、当たり前のことをしただけです」

 

1時間後に会議が始まり、それは深夜まで続いた。

 

───────────────────

 

ミナイサ地区 広場付近

「こちらアルファ。レッドオーガを確認。民間人が連れていかれそうだ」

 

建物の影から覗いていたアルファ分隊は報告した。

 

「こちらHQ、アルファ分隊は陽動を行え」

 

「ラジャー」

 

アルファ分隊の分隊長は、サーマルデトネーターを投げて、オーガの足元で爆発させた。すると、レッドオーガと一部の魔獣はアルファ分隊へと殺到する。

 

「釣れた!一時待避!」

 

「ショット分隊、掩護射撃を開始する!」

 

アルファ分隊の後方より迫る魔獣に対して、DC-15S(カービン)による射撃が行われ、大半の魔獣が死に絶える。しかし、オーガだけは速度を落とさずに向かって来ていた。

 

このままでは、アルファ分隊が追い付かれてしまう。

 

怯ませるためには・・・・・・目だ。

 

分隊長ショットは、自慢のDC-15Aを構えて狙撃する。放たれた1発の光弾は、オーガの片目に吸い込まれた。

 

目論見通り、レッドオーガは怯む。

 

2つの分隊は合流に成功し、武闘強襲用歩兵戦車の裏に隠れた。

 

「重レーザー砲、射撃開始!」

 

マード38重レーザー砲がオーガに向き、レーザーを発射。中型ビークルの装甲に穴を開けられる重レーザーは、オーガの体を蜂の巣にしてしまった。

 

 

陽動が成功した一方で、別動隊は枯れた上水道を通り、枯れた広場の噴水から姿を現す。

 

「ゴブリンロード15体を確認」

 

DC-15Sによる射撃でゴブリンは倒れ、SO兵に続いてトーパ王国兵も飛び出した。

 

「SO兵に任せっきりにするなよ!」

 

騎士モアや傭兵ガイを含めた王国兵は、プライドのこともあり、SO兵に負けじと次々に増援のゴブリンを斬り倒す。

 

「駆逐完了!」

 

民間人の避難誘導が行われ、一同は城門まで移動を始め、すでに500mほど進んでいる。城門の方からは、騎士団とAT-TEが向かって来ていた。

 

その時、オークを従えたブルーオーガが現れ、民間人はパニックに陥ってしまう。

 

「不味いな・・・・足止めするぞ!」

 

 

ブルーオーガは、逃げる人間を追いかけていた。

 

一部の人間が光弾を浴びせてくる。だが、オーガにとっては痛くも痒くもなかった。

 

そのまま突撃を続けるが、突然足を止めることになる。

 

見ると、人間の後方から、鉄の甲虫(AT-TE)が向かって来ていた。

 

あれは・・・・・使者の甲虫じゃないか!

 

銀河の使者が再び召喚されたに違いない。

 

ここで、潰す。

 

しかし、立ち止まった所を黙って見ているSOではない。

 

ブルーオーガの頭は、AT-TEの主砲であるマス=ドライバー砲によって粉砕された。

 

この日、SO・トーパ連合軍は、オーガ2体と多数の魔獣を撃破し、多くの民間人の救出に成功した。



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魔王、死す

魔王復活編、最終回です。


翌日

 

「最高指導者様、ついに魔王が現れました」

 

「分かった、すぐに行こう」

 

サイモンは、ライトセイバーを持って城門へと向かい始めた。

 

 

「1体で何ができる!数で押す、我に続け!」

 

北方貴族の騎士アボンは、200名の騎兵を従え、魔王に突撃を敢行する。

 

魔王からはどす黒い魔力が涌き出ており、右手を騎士団に翳している。

 

「この下種が・・・・黒き鳥よ、焼き払え!」

 

右手から黒き炎の鳥が発射され、突撃を敢行していた騎士団は焼き付くされてしまった。

 

「騎士団が・・・・」

 

兵士達は、膝から崩れ落ちる。

 

魔王は、さらに魔法を使用した。

 

「古代より眠りし大地の王、エンシェントカイザーゴーレム、その力で我に尽くせ!」

 

魔方陣より、巨大なゴーレムの体が出現した。

 

身長は17m、AT-ATより少し小さい大きさだ。

 

「何て大きさだ!」

 

「勝てるわけが・・・」

 

その時だった。

 

黒いローブを着用し、金環を頭にのせた集団が城壁の上に上がってくる。その数は10名。

 

「王宮戦闘魔導衆特戦隊!」

 

彼らは、エリート魔導士部隊。

 

その力は、勇者を凌駕していると言われている。

 

「一撃必殺・・・全魔力を集中!眼前のゴーレムと魔王をまとめて吹き飛ばす!」

 

リーダー格の男が指示を飛ばし、王宮戦闘魔導衆特戦隊の10名は魔法の詠唱を開始する。

 

「「喰らえ、ドラゴンサンダーストーム!」」

 

雷を縫った巨大な竜巻が、ゴーレムと魔王を飲み込む。

 

しかし、

 

「こんなもの!」

 

魔王の発する強大な魔力が、竜巻を吹き飛ばしてしまった。

 

「そんな・・・・」

 

魔力はすでに尽き、城壁の上に倒れる。

 

「ゴーレム・・・・潰せ!

 

ゴーレムは前進を開始し、特戦隊へと迫る。

 

そして、右腕を高く振り上げ、そのまま城壁に振り降ろした。

 

「どうだ、下種共!いかなる者も、

 我には敵わんのだ!」

 

 

 

「それはどうかな?」

 

「なにぃ?!」

 

魔王がよく見ると、ゴーレムの右腕を押さえる者が1人おり、紺色のローブを着用していた。

 

すると、ゴーレムの体が持ち上がり始め、完全に宙に浮く。しかも、手を触れずにだ。

 

「散れ!」

 

ゴーレムの体が、粉砕されてしまった。

 

「その力は?・・・・まさか、聖騎士か?!」

 

「俺はそんな者ではない。むしろ逆だ、闇の戦士とでも名乗っておこう」

 

「闇の戦士か・・まあ良い、町と共に消えろ!」

 

上空に飛び上がり、騎士団に行使したあの魔法の詠唱を開始する。

 

「対空攻撃開始!」

 

対空ホバータンクのレーザー砲、トルーパーの個人携行誘導弾が魔王に殺到し、詠唱される前に撃ち落とすことに成功した。

 

「下種共が!」

 

魔王は、黒き魔力を左手に縫い、槍先の形にして城壁へと突撃する。

 

城壁の方からは、ライトセイバーを起動させたサイモンが魔王へと走る。

 

至近距離まで迫った両者は、互いの得物で切り結び、激しく火花を散らす。一歩も譲らない戦いだ。

 

魔王の方が体が大きく、力負けするように見えるが、フォースによる身体強化や未来予知によってサイモンは対抗できていた。

 

「そこだ!」

 

魔王が魔力の槍を突き出す。

 

「甘いな」

 

サイモンは姿勢を低くして回避し、距離を詰めてライトセイバーを振り上げる。

 

魔王の左腕は切断された。

 

「腕が!」

 

後方へと飛び退き、距離を取る戦術を取ろうとした魔王は、別の魔法を行使。

 

黒き炎の弾を、銃弾のごとく次々と撃ち出した。

 

「ブラスターライフルの真似事か?」

 

常人では捌き切れない弾幕の中に突入し、自らに当たる弾だけを弾いて魔王に接近する。

 

「あの中を進んでくるとは、面白い奴だ。だが、これはどうだ?」

 

魔力を集束させ、太いビームのように放つ。

 

この魔法にサイモンは対抗し、フォースライトニングを魔法に向けて放った。

 

強力な魔力と暗黒面のフォースが正面からぶつかり合い、その場にクレーターが出来る。

 

 

しばらくして、激しい白兵戦と複数の強力な魔法を行使したことで消耗した魔王が押され始め、ついにはフォースライトニングが魔王に直撃した。

 

「グハッ!・・・チッ、 ここは引かせてもらう。

 また会おう!」

 

魔王は跳躍して逃亡しようとするが、サイモンは逃さない。

 

「逃がすか!」

 

ダブルブレードに変形したライトセーバーを回転させて投合。ダース=モールのごとく胴体が切断され、ブーメランのように帰ってきたライトセーバーによって、魔王の首が切り落とされる。

 

戦場を静粛が支配した。

 

誰もが、トーパ王国軍でさえもその光景を唖然として眺めていた。自分たちは、神話に刻まれし伝説の勇者たちの戦いよりも遥かに強く、強烈な戦いを目撃したのだ。

 

「おのれ!銀河の使いめ!1度ならず、2度までも我の野望を打ち砕きおって!良く聞け!下種どもよ!近いうちに魔帝様の国が復活なさるのだ!おまえら下種の世界も間もなく終わる!圧倒的な魔法帝国軍によって、お前らは奴隷と化すだろう。フハハハ・・・・」

 

声は弱くなり、魔王は死に絶えた。

 

「魔王、貴様のことは忘れぬ」

 

魔王が死ぬと、魔獣は一斉にグラメウス大陸へと逃げ出す。

 

ハーク中隊は、空輸されてきたAT-ATを筆頭に追撃を開始し、境目まで追い散らした。

 

「ウオォォォォォォォーーー!!!!」

 

城壁の上から歓喜の声があがり、民衆を、城塞都市トルメス全体を包み込んだ。

 

─────────────────────

 

トーパ王国軍と魔王軍の戦いを見物に来ていた、誰もが認める世界最強の国、神聖ミリシアル帝国の情報官ライドルカは、驚きに震えていた。

 

伝説の魔獣、オーガのタフさは凄かった。

微弱な回復魔法によって、取り囲まれても生存することが出来るのだ。ただ、倒された瞬間は見られなかった。

 

問題は魔王。

 

強大な魔力に物を言わせて、精鋭騎士団を蹴散らし、強力な魔法すらも吹き飛ばす。最強の存在だ。

 

しかし、とある男の登場で状況は変わる。

 

生身と光剣でゴーレムや魔王と渡り合い、撃ち合いでは電撃で魔王を吹き飛ばした。

 

ミリシアル帝国は、エルフと呼ばれる魔法を得意とする種族が多くを占めているが、魔王に勝てるほどではない。だが、あの男は倒してしまった。

 

彼らが使っていた武器も興味深い。

 

歩兵がもっている銃みたいな武器は、光弾を発射している。帝国が使用している魔光砲と同じようなものだろうが、魔光砲を歩兵武器サイズにする技術など持ち合わせていない。

 

さらに、歩兵が個人で使用できる対空誘導魔光弾までも使用していた。いまだに帝国は対艦用の魔光弾を開発している途中であり、対空用など夢のまた夢だ。

 

さらに衝撃的なことがある。

 

それは、魔法帝国の復活が宣告されたことだ。

 

「帝国に報告しなければ・・・」

 

この出来事は歴史書に記載されることになり、

何よりも、SOとサイモンはマラストラス、オーガ、魔王を倒したことで有名になった。

 



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EpisodeⅡ 野望
第11話 波乱の始まり


オリジナル兵器

◯機械竜母アルデバラン
ロデニウス紛争において鹵獲された2隻の竜母の1つで、元はパーパルディアの竜母だった。
※もう1隻はクワトイネに譲渡
SOの技術を合わせることで、機械竜母に生まれ変わった。
全長:100m
機関:イオンエンジン
兵装
・固定型Z-6回転式ブラスター砲 10基
・ワイバーンボマー 24騎
・パトロールトランスポート 3機
スターファイター及びボマーも着艦可能。


解説追加しました。
○ワイバーンボマー
積載能力強化と垂直離着陸能力付与を施された種で、サーマルデトネーターなどの爆発物や荷物を積載し投下可能な箱を装着可能だ。



「ロウリア王国を占拠している勢力との交渉はどうなったのだ?」

 

パーパルディア皇国皇帝のルディアスは、目の前の第3外務局局長カイオスに問う。

 

「はっ。返還するように要求しましたが、応じる様子はなく、しばらく待って欲しいとのことだったため、数ヶ月後に皇都に使者を送るように要求しました」

 

「すぐに応じないとはな・・・

 カイオス、高圧的に接したんだろうな?」

 

「はっ。最も高圧的に出る者を送り、

 “ロウリアは皇国の保護国である”

 “上位列強が後ろ楯にある”、などといった虚偽の情報を伝えさせました」

 

「そこまでしても応じないとは。流石は情弱な蛮族だ。カイオス、懲罰を行え!」

 

「お待ちください、陛下。遠方のロデニウス大陸より先に、まずは周辺を固めるべきではありませんか?」

 

「それも、一理あるな。今のは撤回する。

 代わりに、素晴らしい提案を断ったフェン王国に懲罰を実施するのだ」

 

「はっ!フェン王国を火の海にしてやります」

 

「まかせたぞ」

 

──────────────────────

 

 フェン王国沖を進む1隻の平らな甲板を持つ船。ムーを知っている人には、ムーの航空母艦と勘違いされるだろうが、違う。

 

掲げられている旗は、ムーの物ではなく、滅んだはずのロウリアの旗とセカンド・オーダーの旗であった。

 

この艦は機械竜母。機械竜母アルデバランだ。

 

アルデバランは、ロデニウス紛争の際に鹵獲されたパーパルディア製の竜母である。SOによって機械竜母に改造され、SO主導で旧ロウリア領ロウリア区に新設された軍の海上部門、海上警備隊に配属されていた。

 

今回は、訓練も兼ねて軍祭に参加することになったのだ。

 

アルデバランは1隻のみで行動しているように見えるが、海中に護衛が着いている。

 

今すぐに説明したいが、今は早すぎるため、後で説明することにしよう。

 

沿岸部に到着したアルデバランは、パトロールトランスポートを発進させ、サイモンと護衛のトルーパーを地上に降ろす。

 

サイモンはそのまま来賓席へと着席した。

 

「お久しぶりですな、サイモン殿」

 

サイモンに話しかけるのは、剣王シハンだった。

 

2ヶ月ほど前、フェン王国との交渉をした際に2人は知りあっており、お互いに剣の腕を認めあっていた。

 

「お久しぶりです」

 

「これから軍祭が始まります。ご覧になってください」

 

沿岸部の広場に各国の兵士達が整列し、SOの機械竜母やアルタラス王国の戦列艦、ガレー船が正面の海に浮かんでいる。フェン王国の剣士による剣舞の後、軍祭は始まった。

 

しかし、パーパルディア皇国監査軍の魔の手は確実に迫っていた。

 

────────────────────

 

 

戦列艦の砲撃や風神の矢の射撃が終わり、ついにアルデバランの出番が来た。

 

「航空隊発進!」

 

風を吹き出す装置を取り付けた甲板から、竜騎士ムーラ主導で新開発されたワイバーンである2騎のワイバーンボマーが垂直に発進し、SOから貸与されたパトロールトランスポートも1機発進した。

 

「こちらムーラ騎、標的に対して爆撃を行う。新人(ルーキー)、貴騎も続け」*1

 

「ターケナイン騎、了解!」

 

2騎が2隻の船の上に差し掛かる。

 

「投下!」

 

レバーを引くと蓋が開き、小型の爆弾が複数落とされる。ターケナインも、もう1つの船に爆弾を投下し、標的は破壊された。

 

トランスポートの方は、地上の標的にロケット弾とレーザーを撃ち、破壊。各国の武官を驚かせた。

 

すぐに航空隊は収納され、ムーラとターケナインはワイバーンから降りる。

 

「良かったぞ、新人」

 

「先輩、これからも精進します」

 

────────────────────

 

パーパルディア皇国 皇国監査軍東洋艦隊所属のワイバーンロード部隊20騎は、フェン王国に懲罰的攻撃を加えるために、首都アマノキ上空に来ていた。

 

軍祭には文明圏外の各国武官や要人がいる。皇国に逆らった国家の末路を知らしめるため、国々が集まるこの祭りに合わせて攻撃の日が決定された。

 

各国は皇国の力と恐ろしさを再認識することだろう。そして逆らう者の末路、逆らった国に関わっただけでも被害が出ることを知らしめる。

 

ワイバーンを寄せ付けないガハラ神国の風竜も首都上空を飛行しているが、風竜が皇国ワイバーンロードを見ると、ワイバーンロードは、見て見ぬふりをして風竜から目を逸らす。

 

部隊長は軍祭の会場を見る。すると、1つの軍艦に目が行った。それは、アルデバランであった。

 

「蛮族があのような軍艦を持つなどけしからん。

 あの軍艦と、来賓席に対して攻撃しろ!」

 

2つに別れ、それぞれの目標へと向かう。

 

「センサーに反応有り、対空戦闘用意!」

 

対空要員が回転式ブラスター砲に着き、ワイバーンロードの方へと砲を向ける。

 

「射撃開始!」

 

戦いの火蓋は・・・・切られた。

 

*1
※今回、ムーラの相棒はお休みです



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第12話 衝突

スターウォーズエピソード9、早く見たい。


「射撃開始!」

 

猛烈な光弾が、ワイバーンロードに襲いかかる。

 

ロード種を落とすことはほぼ不可能だと文明圏外では言われているが、TIEファイター相手に訓練をしてきた対空要員の敵ではない。

 

敵編隊が密集していたこともあり、一瞬で撃墜された。

 

一方残りの10騎は、来賓席に向けて飛行していた。しかし、部隊が発していた殺気を感じたサイモンが待避させており、ワイバーンロード部隊は民間人にターゲットを変えた。

 

「蛮族を殺せ!」

 

10発の火炎弾が、民間人に降り注ぐ。

 

しかし、民間人に当たることは無い。

サイモンが空中で静止させており、逆に押し返されてしまった。

 

「何ぃ?!」

 

火炎弾は正確に誘導され、部隊に迫る。

 

「火炎弾が付いてくるだと?!」

 

自業自得。ワイバーンロード10騎は、自分が放った火炎弾をその身に受けてしまい、堕ちた。

 

 

各国の武官や要人は、開いた口が塞がらない。

 

SOの竜母にワイバーンロードが向かって飛んでいった時、誰もが一方的に対空能力が低い竜母が叩かれると思っていた。しかし、対空能力は予想以上。まるで襲来を予知していたかのように、簡単に叩き落としていた。

 

何よりも凄いのは、来賓席に座っていた

セカンド・オーダーの代表だ。

 

魔力を感じない神通力のような力を使い、飛んできた火炎弾を我が物として、逆にワイバーンロードに当てて落としたのだ。

 

ロード種を落とすには、文明圏外であれば大型弩弓による不意打ちか、フェン王国に伝わるライジョウドウを使用し、文明国であれば、ルーンアローを使用する。

 

しかし、ライジョウドウは使用できるものが3名しかおらず、ルーンアローは輸入すらできない。

 

とにかく、道具を使わずにロード種を落とすのは、驚愕であった。

 

 

この紛争にセカンド・オーダーを巻き込めたのは幸運では無かろうか。剣王シハンは、不敵な笑みを浮かべた。

 

 

路地裏にいたサイモンの元に、後ろからヴィアーズ大佐がやって来た。

 

「最高指導者様、潜水艦隊から緊急の連絡です」

 

「どうした?」

 

「パーパルディア監察軍艦隊が接近しています」

 

「諜報員の情報は正しかったようだな。

 潜水艦隊に攻撃させ、生存者は救助だ」

 

「ラジャー」

 

─────────────────────

 

プロヴィデンス級潜水バトルシップ

〈インヴィジブル〉

 

「艦長、攻撃許可が出ました」

 

「ついに、本艦隊初の実戦だな。2番艦の

 〈アウト・オブ・サイト〉にも伝えておけ」

 

「ラジャー」

 

 

「砲塔の先が出るまで浮上し、2番艦とタイミングを合わせる」

 

「ターボレーザー砲塔、露出します」

 

船体上部から収納されていた砲塔が出現する。

 

戦闘準備は完了。あとは上昇して撃つだけだ。

 

「砲撃深度まで浮上せよ」

 

「ラジャー」

 

インヴィジブルに搭載されたターボレーザー砲塔の一部が、海面に出る。

青に塗られた砲塔は、遠目からは見えにくいようになっていた。

 

「攻撃開始、ファイア!」

 

 

パーパルディア皇国 皇国監査軍東洋艦隊

 

「竜騎士隊との通信途絶」

 

「そんなバカなことがあるか?相手は蛮族だぞ!」

 

提督ポクトアールは信じられない様子だった。

 

「通信が途絶したのは事実です」

 

「まさか、風竜に落とされたのか?」

 

「可能性としては十分にあります」

 

「イヤな予感がする・・・」

 

不安を胸に、東洋艦隊は進んで行く────

 

 

はずだった。

 

 

ズドン!

 

「戦列艦パオス、爆散!」

 

突然、戦列艦が轟沈を通り越して、文字通り爆散する。

 

「何があった?敵はどこだ?」

 

「突然、緑の大きい光弾が突っ込みました」

 

「光弾だと?」

 

提督は、魔光砲を思い浮かべる。

 

まさか、ミリシアルの仕業?

 

もしくは、あの魔帝の復活か?

 

だが、ミリシアルが我々に攻撃する利益はないはず。魔帝の復活だって、まだ先のはずだ。

 

では、敵の正体は?

 

とにかく、回避運動をしながら進むしかない。

 

「回避運動をしつつ、アマノキに針路を取れ」

 

だが、再び戦列艦が吹き飛ぶ。

 

それも、1隻どころではない。旗艦を囲んでいた

戦列艦─ガリアス、マミズ、クマシロを中心とした集団が消えたのだ。

 

「光弾はそこから飛んできています!」

 

「各艦、突撃せよ!仇を取るのだ!」

 

インヴィジブルに戦列艦が殺到する。

 

しかし、次々と消されていく。

 

 

「砲撃は一時停止。完全に浮上して後退する」

 

 

「光弾の雨、停止しました。

 あっ!何か浮上してきます!」

 

浮上してきたのは光沢のある流線型の何か。

 

「海魔?」

 

水兵がそんな言葉を漏らす。

 

戦っている相手は海魔かもしれない。

 

艦隊全体がそのように認識していた。

 

攻撃が止んだ隙に、距離を詰める。

 

「海魔よ、死ね!」

 

だが、予想外のことが起こる。

 

光弾は、後ろから飛んできた。

 

艦隊は、最初から誘い込まれていたのだ。

 

「クソ!」

 

また1隻、また1隻が一撃で消える。

 

「艦長!旗艦だけでも撤退だ!」

 

ポクトアールは、旗艦に撤退の指令を出す。

 

「いいのですか?」

 

「よい。なんとしてもこの敵の情報を持ち帰る。

 仲間の死は無駄にせん!」

 

 

「1隻が撤退を始めました。どうしますか?」

 

「そいつはそのまま逃がせ。

 我々の危険性を彼らの本国に伝えてもらう」

 

東洋艦隊は、1隻を残して壊滅した。

 

生存者は、潜水艦隊やアルデバラン、

アルタラスの戦列艦によって救助された。

 

後にフェン沖海戦と言われた戦い(蹂躙)の後、

セカンド・オーダーは多くの国と関係を持つこととなった。

 

───────────────────

 

「竜騎士隊帰らず」

 

「監査軍東洋艦隊壊滅」

 

この2つの報告は、第3外務局に激震を走らせた。

 

しかも、フェン王国と戦ったのではなく、報告によると緑色の光弾を撃つ海魔から攻撃を受けたとあった。

 

海魔から攻撃を受けるとは、災難である。

 

だが、ワイバーンロードがどうして全滅したのかは不明だ。100m級の大型船を攻撃するという通信を最後に行方不明になった。

 

報告にあった100mの船。文明圏外の国家がそのような軍艦を建造したことなど、聞いたことがない。

 

仮に建造出来たとしても、“風神の涙”の質が悪いため、機動力は劣悪。格好の的になっているはずだ。

 

不可解な点が多すぎるな。

 

東洋艦隊が壊滅したのは、海魔に襲われたためなので、しょうがないことだ。

 

だが、ワイバーンロードが落とされたのは許せるものではない。皇国に泥を塗った者がいるのは確かだ。

 

至急、殲滅する必要がある。

 

第3外務局は「敵」を知るため、情報収集を開始した。

 

──────────────────────

 

機械竜母アルデバラン 艦内

 

「大佐、パーパルディアに関する資料は読んだことがあるか?」

 

「すでに読んでいます」

 

「パーパルディアが銀河帝国に似ていると思わないか?」

 

「確かに似ています。恐怖政治、属領に対する圧政、(第3文明圏内で比較的)強大な軍事力などといったところが同じです」

 

「だが、銀河帝国よりも、たちが悪い点がある。それは、官僚の腐敗だ。銀河帝国では、腐敗した官僚はすぐに追放される。しかし、パーパルディアでは監視が行き届いておらず、犯罪に手を染める者までいる始末だ」

 

「官僚の腐敗・・・まるで、末期の旧共和国のようだ」

 

「パーパルディアは、銀河帝国と銀河共和国、双方の悪い点と一致しているのだ」

 

「救いようがないですな・・・」

 

「だからこそ、我々、セカンド・オーダーが修正しようというのだ」

 




○プロヴィデンス級潜水バトルシップ
同型艦〈インヴィジブル〉
〈アウト・オブ・サイト〉
*1
 プロヴィデンス級はSOが初めて建造する水上戦闘艦の1つ。この艦が潜水出来る能力を付与されているのは、半潜水状態でなければ主兵装のターボ・レーザーを当てられないからである。大口径の実弾砲を主兵装として搭載する案もあったが、大口径の実弾兵器に対するノウハウが不足しているため、却下されている。水上艦であるが、飛ぶこともできる。
 
 主兵装として、スター・デストロイヤーにも搭載されているXX-9重ターボレーザー砲を5基。
その他、AV-7対ビークル砲の砲身を改造した
対艦/対地実弾副砲を4基と対空レーザー砲を18基。さらに、対艦/対地/対ガンシップ用誘導ミサイルを15発装備している。防御としては、魚雷や砲弾を防ぐことが出来るように、強固な装甲だけでなく粒子シールドも装備している。
全長:224.9m
最大幅:34.6m
兵装
・XX-9重ターボレーザー砲 5基
・対艦/対地実体弾砲 単装4基
・対空レーザー砲 18基
・対艦/対地/対ガンシップ用ミサイル 15発

*1
見た目は、通商連合のプロヴィデンス級を縮小し、後方に付いている構造物を最大限切り詰めた形をしている



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第13話 分析のムーと侮りのパ皇

列強ムー 統括軍 情報分析課

 

ここは、ムーの諜報機関。各国の軍事情報を常に収集している。技術士官のマイラスは、レイフォル襲撃の際に撮影された、グラ・バルカス帝国の超大型戦艦グレードアトラスターの写真を分析していた。

 

「大きい戦艦だな・・・」

 

グレードアトラスターは全長が263.4mもある。

ムーが誇る戦艦、ラ・カサミの約2倍だ。

さらに、40センチの三連装主砲を装備していると見られ、速力はおよそ30ノットを叩き出していた。

 

ラ・カサミの2倍の船体と大口径の主砲を持つ上、30ノットで航行する。こちらに、勝ち目は無い。

 

 

マイラスは写真を仕舞おうとするが、新しい報告書が届けられた。

 

「これは?」

 

見ると、ロデニウス大陸からの報告書であり、衝撃的な写真が添えられていた。

 

写っていたのは、巨大な空中戦艦。

 

全長が確実に1500mはあり、船体は楔型で灰色に塗られている。時折、空飛ぶ輸送機らしき物が船体下部の穴から出入りしており、下部に超長砲身の砲らしき物があるが、詳しい武装は不明だ。

 

魔法で飛ばしているかと思えば、魔力センサーへの反応は一切無いらしく、純粋な科学で飛ばしている可能性もある。

 

それだけでも驚きだが、さらに驚くべき所は、

この兵器を、セカンド・オーダーと呼ばれる、ただの武装組織が配備していることだ。仮に魔帝の空中戦艦と同じ強さを持つのだとすれば、脅威になるだろう。

 

本当に科学だけであんな物を飛ばせるのだろうか?もしかするとミリシアル帝国の援助であったり、遺跡を発掘していたりして、魔力センサーを誤魔化す装置を積んでいるのかもしれないな。

とにかく、調査しなければならない。

 

技術士官マイラスの分析は続く。

 

─────────────────────

 

フィルアデス大陸南方 アルタラス王国

王都ル・ブリアス

 

国王ターラ14世は苦渋の表情を浮かべていた。

 

「これは正気か?」

 

パーパルディア皇国からの要請書(命令書)には、とんでもないことが書かれていた。

 

○アルタラス王国は魔石鉱山シルウトラスをパーパルディア皇国に献上すること。

 

○アルタラス王国王女ルミエスを奴隷としてパーパルディア皇国へ差し出すこと。

 

以上2点を2週間以内に実行することを要請する。

 

今まで、王国は屈辱的なものや

双方に利の有るものも含め、皇国からの要請という名の命令を飲んできた。だが、今回はおかしい。シルウトラス鉱山の献上ならば、まだ飲める。しかし、大切な娘であるルミエスの奴隷化は到底許せることではない。

 

国王は、パーパルディア皇国第3外務局アルタラス出張所に出向き、事の真相を確かめる事とした。

 

 

パーパルディア皇国第3外務局アルタラス出張所

 

「待っていたぞ、蛮族の国王!」

 

大使カストは足を組んだまま椅子に座り、あろうことか一国の国王を馬鹿にして呼びつけた。しかも、国王の座る椅子は用意していない。

 

「あの要求のことだが・・・」

 

「あぁ、どうした?」

 

「魔石鉱山の献上であれば、解ります。ですが、我が娘を奴隷にするとは、どういうことですか?」

 

「あれのことか。王女ルミエスは、なかなかの上玉だろ?俺の夜の相手をさせようと思ってな」

 

その言葉を聞き、国王は殺意が沸いたが、まずは冷静に対応する。

 

「それも、皇帝陛下のご意志なのですか?」

 

「何だ?この俺に逆らう気か?俺の意思は皇帝陛下のご意思なのだ。力の無い蛮族は、栄えある皇国に黙って従っていればよいのだよ」

 

国王は、我慢の限界に達し、行動を起こす。

 

「先程から蛮族、蛮族と愚弄しおって!

 永遠に沈黙していろ!」

 

国王は隠していた何かを取り出す。

 

「そっ・・それは?!」

 

ムーの拳銃のような物(ブラスターピストル)が、カストの頭部に向けられる。

 

「誰か!来てくれ!」

 

しかし、やって来たのは気絶した武官と変な装備をした兵士達だった。

 

「地獄に落ちろ」

 

彼が最後に感じたのは、謎の高音と頭部の熱さだった。

 

「こいつの死体と武官をボートに乗せて捨てろ」

 

「了解です」

 

「皇国との全ての接点を断ち、資産は凍結しろ!

 要求は全て無視だ!」

 

国王は吼える。

 

「軍を召集し、沿岸部の守りを固めろ!

 新生アルタラス王国軍の力を見せる時だ!」

 

7ヶ月前、王国はセカンド・オーダーを名乗る勢力と接触した。目的は侵略かと思いきや、違った。

 

交渉すると、“少数の魔石鉱山の譲渡”と

“魔石技術者の派遣”を要求された。

 

もちろん、見返りもあり、彼らの所有する強力な兵器の譲渡と、安全保障条約の締結であった。

 

王国陸海軍の兵士達は、ロデニウス大陸へと渡航し、武器の扱いや戦術を学び、さらに強くなった。*1

 

パーパルディア皇国は、こちらに簡単に勝てると思って攻めてくるだろう。侮りが死を招くことを教えてやる。

 

────────────────────

 

パーパルディア皇国

 

「皇帝陛下、アルタラス王国は、やはり要請を断ってきました」

 

「武力侵攻の口実ができたか・・・」

 

「加えて、資産凍結と国交断絶を伝えてきており、大使の死体と武官を乗せたボートが沿岸に流れ着きました」

 

「蛮族はすぐに人を殺す・・・

 規律を物理的に教えなければならないな」

 

まぁ、皇国はそれ以上に大量虐殺(ジェノサイド)をしていて、軍や官僚の規律は多くが乱れているため、言えたものではないのだが。

 

「アルタラス王国全土を我が手に!」

 

この日、パーパルディア皇国はアルタラス王国に宣戦布告した。これは、侮りから始まる皇国崩壊の序章にすぎない。

*1
海軍の兵士も歩兵として訓練を受けている。俗に言う海軍歩兵または海兵隊と呼ばれる兵士たちである



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第14話 アルタラスの逆襲

ムーの多砲塔戦車を軽戦車に変更しました。
見た目は、ルノーFT-17の予定です。

戦闘描写って、難しいね。


アルタラス王国 北東130km沖

 

 パーパルディア皇国軍陸海合同部隊は、要求を断ったアルタラス王国を滅するために進んでいた。

 

砲艦211隻、竜母12隻、揚陸艦101隻、

ワイバーンロード240騎という、文明圏外国家を滅ぼすのに十分すぎる戦力。この部隊を任されていたのは、冷血将軍と呼ばれる男、シウス。

 

彼の乗艦は、皇国のスターデストロイヤー(主力艦)とでも呼べるフィシャヌス級戦列艦の派生艦級である、超フィシャヌス級戦列艦の「パール」であった。

 

「まもなく、王国の防空圏に入ります」

 

「その割りには、ワイバーンが飛んでこないようだ。対空魔振で探知し、直掩騎を出せ。発見次第、迎撃騎を上げるのだ」

 

「はっ!」

 

「それと、魔信を貸してくれ」

 

「え?」

 

「王国に対して、皇国式の慈悲を与える」

 

シウスは、王国方面へとメッセージを飛ばした。

 

「アルタラス王国の蛮族よ、これは最後の慈悲だ。最初から、こちらも無駄に血を流したくはない。今すぐに降伏し、王族を拘束すれば、軍事的な暴力を振るうことはない。男は功労者(鉱山奴隷)として、女は名誉人(性奴隷)として生きられることを約束しよう。拘束した王族に関しては丁重に扱い、王女は皇帝陛下の元にて、寵愛を受ける(ベッドに飼われる)こととなるだろう。3分だけ待ってやる、良い返事を期待しているぞ」

 

このメッセージは、王国沿岸部に到達し、

官民問わず伝わった。

 

 

「何なのだこの言葉は!明らかに嘘だ!」

 

ターラ14世は、拳を机に叩きつけた。

 

「民の様子はどうだ?」

 

「はっ。変わらず徹底抗戦を訴えています」

 

側近が言う。

 

「勝手に降伏する心配は無さそうだな。

 あのバカども(皇軍)に魔信を送れ。“馬鹿め”とな」

 

「御意」

 

「そして、ライアル隊長。全軍を臨戦態勢にし、援軍に来てくださったロウリア区防衛軍航空隊の方々に協力を要請してくれ」

 

「了解しました」

 

 

「“馬鹿め”か。蛮族は滅ぼされたいようだ」

 

「はい。さらに、“こちらに地の利が有る”

 “貴様らの負けだ”と言っています」

 

「皇軍の力を見くびるな!我々が攻め込めば、

 王国の未来など一瞬で消せるのだ。

 愚弄したことを後悔させてやる!」

 

シウスは激怒し、

全部隊に無慈悲の全力攻撃を命じた。

 

──────────────────────

 

 アルタラス王国のワイバーン滑走路に、見慣れない騎。いや、機がいた。見た目こそ、反乱同盟軍が運用していたT-47エアスピーダーだが、機体の左右はイータ2アクティス級軽インターセプターのようになっており、スピーダーとは思えないほどの能力を持っていた。

 

「ロウリア中隊、出撃する!」

 

全機が垂直に離陸し、北東へと向かった。

 

 

一方、パーパルディア艦隊の竜母からは、直掩の50騎を除いた190騎が制空権の確保及び対地攻撃のために発進していた。空の王者と呼ばれるワイバーンの改良であるロード種は、対非列強戦では最強である。

 

だが、それを打ち砕く者達がいた。

 

「現在高度4500m、下方に敵騎確認」

 

祖国(ロウリア王国)に屈辱的条件を飲ませた奴ら・・・」

 

「今こそ、復讐の時だ!」

 

「1匹残らず狩り尽くす。行くぞ!」

 

ロウリア中隊は降下を開始した。

 

 

「王国本土を確認。警戒を怠るな」

 

その時、報告が入る。

 

「後方上空に敵騎!」

 

「そんなバカなことがあるか?こちらは最大高度を飛んでいるのだ。これるはずが・・・」

 

中隊の12機から2連レーザー砲が編隊に向かって撃ち下ろされ、20騎程が消える。

 

「味方が喰われただと?!」

 

「クソ・・・アルタラスの新型騎だ!」

 

「散開し、高度を下げろ」

 

最高高度にいるせいで上にいる敵に反撃出来ないため、高度を下げるしかなかった。

 

直ぐに敵味方入り乱れての格闘戦が始まったが、双方の速度差が勝敗を分けた。ワイバーンの火炎弾は全く当たらず、逆に背後を取られて撃墜される。運良く背後を取れても、機体の後方に付いているレーザー砲によって撃墜されていた。

 

「こいつら、後方にも攻撃できるのか?!」

 

通常、ワイバーンが後方に攻撃する場合、振り向かなくてはならず、効率が悪いために相手の背後を取る戦法を使用する。しかし、目の前にいる奴は振り向かずに光弾を撃ってきた。

 

やがて、ろくな抵抗もできずにワイバーンロード隊は全滅した。

 

 

「全滅だと?!役立たずが・・・」

 

「将軍、ここは陸海空同時侵攻にしましょう」

 

「そうだな。ここで退いては、皇国の恥となる。

 前進あるのみだ!」

 

愚かな将軍は、ただ進むことを選択した。

 

この選択は、将軍の運命を分けることとなる。

 

──────────────────────

 

「艦隊を視認、竜母も後方にいます」

 

双眼鏡を覗いた見張りが見たのは、沿岸部に迫る戦列艦と揚陸艦、後方にいる残った僅かなワイバーンロードを載せた竜母。この情報は、

すぐにライアルと国王のいる司令部に伝わった。

 

「奴らも必死のようだ」

 

「はい王様。皇国の連中は劣勢を知らないため、最強のワイバーンロード隊が負けたことに焦っているのでしょう」

 

「奴らに負けと屈辱を教えてやろうではないか」

 

国王は笑みを浮かべた。

 

 

「皇国軍戦列艦隊、砲撃を開始する模様。歩兵は塹壕にて待機し、砲兵は反撃の用意をせよ」

 

 

「対地砲撃開始!」

 

将軍シウスの命令で、自身の乗艦を含めた戦列艦10隻程が砲撃を開始する。砲弾にはぶどう弾も含まれており、隠れている歩兵にダメージを与える目的があった。

 

煙が晴れると、揚陸艦が沿岸に乗り上げ、地竜を先頭に歩兵が上陸した。横隊で進んでおり、マスケットの一斉射撃と地竜の火炎放射で蛮族を殲滅する手はずだった。

 

 

「命令あるまで発砲を禁じる」

 

塹壕の中で歩兵達は発砲の命令を待っていた。

 

「敵部隊、突撃破砕線に到達。発砲を許可する」

 

「撃てっ!」

 

 

「アルタラス王国万歳!」

 

王国の為に(For the kingdom!)!」

 

「屈辱を教えてやれ!」

 

王国兵は狂ったかのように撃ち始める。

 

横隊は格好の的。

 

陸戦隊に恨みを込めた光弾が襲いかかる。

 

予想外の攻撃に、陸戦隊と地竜はバタバタと倒れていき、残ったのは運良く岩の後ろに隠れることのできた少数の兵士と部隊指揮官のみであった。

 

「蛮族がこんな武器を持っているとは・・

 ワイバーンによる航空支援を要請する」

 

「了解、50騎全てを向かわせる」

 

「助かる」

 

 

「ワイバーン編隊接近中、対空攻撃準備!」

 

レーザー砲塔が地面から出現し、仰角を上げた。

 

「いかに強力な武器を持っていようと、空からの攻撃に敵うはずがない・・」

 

ワイバーン部隊長は、王国兵が燃やされるさまを想像していた。が、自分が墜ちるところまでは想像できなかった。

 

「各騎、急降下攻撃」

 

降下したワイバーンロードの口に火炎が集束し、火炎弾となる。そして、発射されるはずだった。

 

突然、地上から打ち上げられた光弾に隊長の周囲の騎が撃墜される。

 

「魔光砲だと?!おのれミリシアル!」

 

そう叫んだ瞬間、隊長騎も撃墜された。

 

──────────────────────

 

「またしても全滅か・・・」

 

「ですが、揚陸艦は数多く残っていますので、同時多発的に攻撃すれば、対処能力を越えて侵攻できるはずです」

 

「これで最後にしよう。戦列艦隊、砲撃準備」

 

再び、縦一列の戦列艦の片側の蓋から、大砲が露出してくる。

 

「砲撃開s─」

 

「沿岸より飛来物!」

 

アルタラス王国軍は、敵が砲撃するまで待つつもりはなく、AV-7対ビークル砲で攻撃を始める。

 

「こちらに当たるはずはないだろう」

 

そう言った矢先、エネルギーを纏った砲弾は

シウスの乗艦「パール」に飛んできており、

彼がいた所に直撃。彼は消し飛び、砲弾は

対魔弾鉄鋼式装甲を貫通してパールを破壊した。

 

パールを沈めたのを皮切りに、他の戦列艦と揚陸艦にも砲撃が行われ、上陸前の陸戦隊と竜母を除いた艦隊は全滅。竜母は全て鹵獲された。

 

これは、パーパルディア皇国が宣戦布告した相手に始めて惨敗した戦いである。



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第15話 開戦直前


今作のカイオスは完全なる悪人(変態)です。


パーパルディア皇国 第3外務局

 

 第3外務局長カイオスは、セカンド・オーダーの使者を待っていた。数ヶ月前、若干の脅しをしつつ、旧ロウリア王国領を返還するように要求したが、その場で決定されることはなく、今日まで持ち越されていた。

 

カイオスは、黙って返還してくれれば、特に要求はしない・・・なんてことはなく、どっちにしろ別の要求を加えるつもりだった。

 

そして、使者が来る。やって来たのは、護衛らしき紺色の服の男と青い服の若い金髪美女だった。

 

この女が使者・・・なかなかの上玉だ。

歳も20代ぐらいか?セカンド・オーダーを下した際には是非、私の愛人(奴隷)にしたいものだ。

 

護衛の男は別の部屋に入れておくことにして、

カイオスは使者を部屋にいれた。

 

 

別室

 

表向きは護衛として副官セリシアに同行していた最高指導者サイモンは、別室に入れられていた。

 

あの男、何かを企んでいるな・・・

 

セリシアを見るカイオスの目付き。

異様な別室への兵士の配置。

 

全てが怪しい。こちらに戦争を仕掛けてこようとしているのは分かる。戦争以外に何かを仕掛けてくるのは確定しているが、分からない。

 

サイモンは、最大限警戒することにした。

 

 

局長室

 

「こちらに対する返事はどうなりましたか?」

 

カイオスがセリシアに言う。

 

「最高指導者様の伝言を預かっていますので、

 今から代読します」

 

果たして、最高指導者とやらは賢明な判断を下したのだろうか・・・?まぁ、いつかは滅ぼすことになるのだがな。その時は、この女を・・・

 

「では、読み上げます。

 

我々セカンド・オーダーは、貴国からの要求を蹴ることにした。ロウリア王国が保護国とは言っていたものの、実際は保護国でもなく、ただの搾り取る対象でしかなかった。他の列強の後ろ楯があると言っていたが、列強ムーはそれを否定している。つまり、貴国は嘘を付いていた。そんな国家とは付き合うことは不可能だ。

 さらに、パーパルディア皇国は周辺の国家及び属領に対して、恐喝と見てとれる外交や搾取を繰り返しており、世界の秩序を乱している。我々はその姿勢を許すことができない。よって、

我々セカンド・オーダーは、貴国に対して宣戦を布告する」

 

「宣戦布告だと?!それに、列強に対して宣戦布告する貴様らのほうが世界の秩序を乱しているではないか!この世界は列強こそ正義(ルール)。特に、この第3文明圏内にて、皇国は秩序そのものだ!」

 

「皇国を破り、我々が秩序となります」

 

「武装勢力風情が列強に勝てるとでも?

 現在、皇国はアルタラス王国と戦争に突入し、王国本土に派兵しているが、もうじき陥落するだろう。文明圏外国家が勝てないのだから、ましてや武装勢力では勝てるはずがないのだよ」

 

「実際に戦えばわかるでしょう」

 

「もし皇国に敗北すれば、首脳陣はほとんどが処刑。領地の民も、全てが奴隷となる。貴様も、名指しで私の奴隷となり、屈辱を味わうこととなるぞ」

 

「そんなことは分かっています」

 

これだけ言っても変わらぬか・・・

 

弱いゴブリンこそよく吠えるものだ。

 

そうだ・・・どうせ向こうが敗北するだろう。今の内にあの女を奴隷としてしまおう。

 

カイオスは兵士を呼び、小声で耳元に囁く。

 

命令して数分後、3人の兵士が局長室に入ってくる。そして、セリシアに銃を突き付けた。

 

「何の真似ですか?」

 

「助けを呼ぼうとしても無駄だ。護衛の男も、今ごろ死んでいるはず・・・・・・え?」

 

見ると、あの護衛が立っていた。

 

「貴様は死んだはず!」

 

「お前に、俺は・・・殺せない」

 

「今度こそ殺せ!」

 

兵士が発砲しようとするが、何故か銃身が曲がってしまい、謎の衝撃波で兵士は吹き飛んだ。

 

「貴様・・・何をした!」

 

「知る必要はない。痛い目に遭ってもらう」

 

「え?」

 

「喰らえ」

 

サイモンの手からフォースライトニングが放たれ、カイオスに当たる。長時間照射され、彼は醜いしわくちゃの顔になっていた。

 

「私の顔が・・・」

 

「それでは、帰らせてもらう」

 

2人は、出ていった。

 

「おのれ・・・・決して許さんぞ!

 

──────────────────

 

皇宮

 

「皇帝陛下、カイオス様が来ています」

 

主従長が、皇帝ルディアスに報告した。

 

「通せ」

 

ルディアスの前に、フードを被ったカイオスが現れた。フードを被っていることを疑問に思ったため、ルディアスは彼に尋ねる。

 

「その姿はどうした?」

 

「まず、セカンド・オーダーの使者が来たことを知っておいでですか?」

 

「あぁ」

 

「奴らに宣戦布告されました。さらに、あろうことか使者の護衛がいきなり電撃で攻撃してきたのです。その結果がこの醜い顔になります」

 

彼はフードを取った。

 

その顔は恐ろしいほど青白く、目は白目の部分が黄色い。深い皺も合わさって異形のようであった。

 

「酷いな・・・奴らもそこまで反抗するか。

 攻めてくるのならば、滅するのみだ」

 

「皇帝陛下、セカンド・オーダーを制圧するのであれば、その際に捕らえた人間から1人だけ、特に上層部の人間を奴隷として私が選ぶ権利をいただきたいのです」

 

「いいだろう。そういえばカイオス、

 アルタラス攻略に関して報告はあったか?」

 

「いえ、ありません。おそらく、戦利品に夢中で報告を忘れているのでしょう」

 

「それでも報告がない場合は、こちらから人間を送って確かめることとしよう」

 

「それでは、私はこれで・・・」

 

カイオスは出ていった。

 

「アルデはいるか?」

 

「はっ、アルデはここにいます」

 

玉座の後ろの柱から、軍の最高指揮官アルデが

現れた。

 

「我が命じる。ロデニウス大陸を制圧せよ」

 

「大陸を・・・ですか?」

 

「そうだ。成功すれば、現地の国土と人間を好きに扱うことを許そう。ただし、人間に関しては現地の上層部の人間以外だけだ」

 

「ありがたき幸せ!」

 

「準備はどのくらい掛かるか?」

 

「はっ、大陸を制圧するには大兵力が必要なため、集結に1週間は掛かります。たとえその間にこちらへ攻めてきたとしても、相手は文明圏外なので簡単に蹴散らせるでしょう」

 

「分かった。では、頼んだぞ」

 

 

後の歴史書には、この日が皇国の運命を決めた分岐点として、記されている。



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第16話 作戦前夜

内容の変更点
装備紹介:トルーパー装備の設定追加
第1話:独立艦隊の小型艦艇追加
・ゴザンティ級クルーザー
・アークワイテンズ級司令クルーザー
第15話:マイラスによる考察
異界の帝国:グ帝側の年号を追加


アルタラス王国上空

ヴェネター級SD ヴィジランス

 

ヴィジランスのブリッジにて、サイモンを中心に作戦の説明が行われており、3番惑星付近に展開している艦の艦長や陸戦部隊の幹部が集結していた。

 

「今回の作戦で重要なのはスピードである。

パーパルディア皇国の侵攻軍は1週間後に工業都市デュロへと補給のために集結し、ロデニウス大陸に攻撃しようとしていることが、諜報員によって明らかになった」

 

「1週間後に侵攻とは遅いな。

 こちらも相当舐められたものだ」

 

インペリアルⅠ改級SDシュトラールの艦長ウルトルが言う。

 

「本土に攻められても楽に撃退できると考えている奴らだからしょうがない。集結前にデュロを壊滅させて、それと同時に皇都エストシラントの強襲を行い、本土攻撃とセカンド・オーダーの恐ろしさを教えてやるのだ」

 

カイオス、お前だけは許さん・・・

 

捕らえて社会的・精神的に殺し、

生き地獄へと送ってやる。

 

さすがの皇国人も、祖国崩壊の原因の1つとなるお前の下劣さには呆れるだろう。

 

 

サイモンは説明を始める。

 

「最初に行うデュロへの攻撃では、最初にヴィクトリー級スターデストロイヤーとアークワイテンズ級司令クルーザーによる威力偵察から入り、その後にギュレル艦長の乗艦、プレッシャーに搭載された重砲によって、工場と基地を纏めて吹き飛ばす。威力偵察の際、ムーからの観戦武官が司令クルーザーに乗艦することになっている」

 

「観戦武官を威力偵察部隊の艦艇に乗せてよろしいのですか?もし何かあれば、最悪・・観戦武官が死亡する可能性があります」

 

プレッシャーの艦長、ギュレルが言う。

 

「問題ない。ムーもそれぐらいは分かっているはず。そもそも、最前線を希望したのはムーだ。まぁ、我々の世界では観戦武官が存在していなかったから、心配するのも無理はない」

 

元の世界には銀河帝国が1国しかなかったため、観戦武官は存在していなかったのだ。

 

説明は続く。

 

「そして、最も重要な皇都の強襲だ。最初に、

ロウリア区海上警備隊の機械竜母アルデバラン、小型水上砲艦と我々のプロヴィデンス級潜水バトルシップを皇都に接近させ、皇国の水上艦隊を誘い出す。その後、砲撃とアルデバランから発進したワイバーンボマーやエアスピーダーによってこれを殲滅する。その一方で、ヴェネター級SDヴィジランスから発進した攻撃隊を皇都周辺の軍事基地に差し向け、それと同時に要人の邸宅を急襲し、要人を人質とする。その後、沿岸部に陸戦部隊を強行着陸させて完全に制圧し、完了だ。

なお、陸戦部隊にはロウリア区防衛軍なども含むものとする。この作戦について、質問はあるか?」

 

「私の乗艦は、参加しないのですか?」

 

シュトラール艦長、ウルトルが質問する。

 

「一応、強行着陸の際に上空へ展開してもらう」

 

「他に質問は?・・・いないな。これで説明は終わりとしよう。奮闘を期待する」

 

───────────────────

 

翌日

 

アルタラス王国のルバイル空港の滑走路に着陸する1機の4発レシプロ機。ムー国の長距離輸送機、ラ・カオスだ。

 

その機体から、技術士官マイラスは降り立った。

 

「ふぅ、やっと着いた・・・」

 

第2文明圏から第3文明圏付近までの長い距離を飛んできたのだ。時差ぼけもあり、疲れるのも当然だ。

 

「お待ちしておりました。こちらへ・・・」

 

彼はセカンド・オーダーの兵士に案内された。

 

案内された先には、300mほどのくさび型の船が置いてある。そして、横の丸い扉が開いていた。

 

「これもスターデストロイヤーですか?」

 

「いえ、これはクルーザーのアークワイテンズ級で、補助艦艇です」

 

クルーザーが何だか知らないが、おそらく巡洋艦や駆逐艦みたいな物だろう。

 

マイラスはスターデストロイヤーを戦艦や空母、クルーザーを巡洋艦や駆逐艦として捉えた。

 

彼は案内されるままにクルーザーへ乗り込んだ。

 



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第17話 雷神の鉄槌

アークワイテンズ級司令クルーザー

 

「来る途中で見た大きいのは、インペリアル級とヴェネター級と呼ばれる艦級なんですね」

 

マイラスは、案内役の将校から説明を受けていた。

 

「隣を航行しているのは?」

 

「あれはヴィクトリー級で、スターデストロイヤーの中で最も小さく、全長900mです」

 

今、最も小さいと言ったな。それでも900mを誇っているらしい。最近国交を樹立したばかりのグラ・バルカス帝国の戦艦、グレードアトラスターの3倍以上の全長であり、リパルサーリフトと呼ばれる反重力装置で飛ばしていると説明を聞いた。案内の将校いわく、スターデストロイヤーは戦艦としてだけではなく、空母や強襲揚陸艦としても使用可能である汎用性の高い主力艦であり、セカンド・オーダーがいた世界に存在している銀河帝国は、25000隻のスターデストロイヤーを含めた数百万隻の宇宙軍艦を保有しているらしい。なんて恐ろしい世界だ。恐らく、戦争が絶えなかったのだろう。

 

「マイラスさん、威力偵察を行います」

 

始まるな・・・武装は魔光砲みたいな兵器らしい。武装が火を吹くのが楽しみだ。

 

 

「前方より、ワイバーンロード多数接近!」

 

「迎撃開始」

 

クルーザーの4連レーザー砲塔4基と2連ターボレーザ砲塔が動き、高い命中率でワイバーンロードを叩き落とす。

 

すごい・・・ミリシアル帝国との海軍合同演習で見た対空魔光砲よりも高い命中率だ。

 

隣を航行するヴィクトリー級からは震盪ミサイルが複数発射され、繋留されている戦列艦や竜母、建造ドック、軍の基地が破壊された。

 

これは威力偵察に当たるのだろうか?これだけで相当な被害がデュロ防衛隊側に出ている。しかも、ヴィクトリー級に関しては、対地用の誘導魔光弾を搭載している。仮にこの2隻がムーに攻めこんだとすると、戦闘機マリンは簡単に撃墜され、海軍に対しては上空から誘導魔光弾が投射され、海軍は全滅する。補給がある限り攻撃は続き、ムーは亡国となるだろう。

 

「威力偵察完了、後退する」

 

回頭しようとしたその時だった。

 

 

「地上よりレーザー来ます!」

 

レーザーらしき光弾がクルーザーの偏光シールドに当たり、消散した。

 

「パーパルディアが何故レーザーを・・・」

 

クルーザーの艦長は悩んだ。だが、マイラスの

発言で疑問は解決する。

 

「おそらく、ミリシアル帝国の魔光砲です。

しかし、皇国に譲渡するはずが無いため、密輸か複製で入手した型落ち品でしょう」

 

「つまり、魔法式のレーザー砲か」

 

「そう捉えることもできます」

 

 

「空中戦艦に命中!」

 

デュロ防衛隊兵士の歓声が上がった。

 

「さらに撃ち続けろ!」

 

連続して光弾が当たるが、ダメージは入らない。

 

「効いていないだと・・・」

 

魔力切れも起こったため、防衛隊は魔光砲の放棄を余儀なくされてしまった。

 

 

「敵のレーザー、停止しました」

 

「どうやら、型落ち品のために早く魔力が切れてしまったようです」

 

インペリアルⅠ改級SD プレッシャー

 

重砲(重ターボレーザー)、起動」

 

全長140.2mの砲塔が工場地帯の中心部へ向く。

 

「エネルギー充填完了!」

 

「撃て!」

 

超高出力の2本のターボレーザー・ビームが中心部に命中する。着弾地点の工場は消滅し、周囲の工場は衝撃による崩壊と火薬の引火によって最悪な状況となった。

 

何て兵器だ・・・この2隻にすら勝てる気配がないのに、こんなのを持ち出されたらお手上げだ。

マイラスは震え上がる。

 

仕上げとして地上部隊が降下し、抵抗らしい抵抗を受けずにデュロは制圧された。

 

デュロに発射されたビームの様子を目撃した歴史家は、この光景を「まるで雷神の鉄槌であった」と記している。

 

 

マイラスの報告書(一部)

 

セカンド・オーダーはリパルサーリフトと呼ばれる反重力装置を使用して船や飛行機を飛ばしており、そのために航空力学を無視した形の兵器が多い。SOの空中戦艦の中には戦艦、空母、強襲揚陸艦の機能を兼ねることのできるスターデストロイヤーと呼ばれるくさび型の艦種があり、全長は小型であるヴィクトリー級であれば900m、航空機搭載数が多いヴェネター級では1155m、最も大型のインペリアル級は1600mである。インペリアル級の中でもプレッシャーと呼ばれる船は、大型の科学式光学兵器を搭載しており、発射された光線は簡単に地上を焼き払っていた。また、ヴィクトリー級には科学式の誘導魔光弾が搭載されていることが確認できる。対空能力も高く、ミリシアル帝国の対空魔光砲より命中率が高い・・・・・・

・・・・・彼らの技術は恐ろしく高く、我々では勝利は不可能。こちらに取り入れられる物は無いと言えるが、このような技術が存在することは知っておいて損はない。技術を学ぶのであれば、

グラ・バルカス帝国のほうが良いと思われる。



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第18話 皇都強襲作戦(1)

エストシラント沖を進む1つの艦隊があった。

それは、ロウリア区海上警備隊の艦艇で構成される陽動部隊である。旗艦の機械竜母アルデバランにて、ある男が指揮を執っていた。

 

彼はシャークン。そう、元はロウリア王国海軍の海将であり、セカンド・オーダーに捕らえられていたものの、海上警備隊設立にあたって雇用されたのだ。

 

「海軍本部の警戒区域までどのくらいだ?」

 

「はっ、本部直属ワイバーン部隊の哨戒区域はもうそろそろです」

 

「わかった。ワイバーンに発見されたとしても、撃墜せずに放置する。皇国海軍主力艦隊がある程度離れたことを確認できしだい反転し哨戒機を撃墜。そして、潜水艦隊に連絡だ」

 

「了解」

 

 

海軍本部直属哨戒部隊 1番哨戒騎

 

「1番騎から本部へ。謎の艦隊を確認した。

指示を請う」

 

「本部より哨戒騎へ。謎の艦隊に接近し、

判明したことを報告せよ」

 

「了解」

 

ワイバーンロードは謎の艦隊へと近づく。

 

やがて、艦隊の全貌が明らかになった。

 

「哨戒騎より本部へ。謎の艦隊は、帆無しの100m級竜母を中心とし、その回りをムーの小型砲艦に酷似している艦が30隻囲んでいます」

 

「了解した。貴騎はそのまま謎の艦隊上空に空中待機し、何か動きがあれば連絡せよ」

 

「了解」

 

哨戒騎からの報告は、海将バルスの元に届いていた。

 

「謎の艦隊?」

 

「はい。哨戒騎から報告がありました。

これが報告書です」

 

バルスはそれを見た。

 

「帆無しの100m級竜母に、ムーのものに酷似した小型砲艦か・・・おそらく、セカンド・オーダーの部隊だろう。もしかすると、ムーが兵器を輸出したのかもしれんな」

 

これは、苦戦するぞ。数で押すしかない・・・

 

「第1、第2、第3艦隊に出撃命令!

物量で押し潰すのだ!」

 

 

「偵察機より入電、艦隊が出撃したとのこと」

 

「わかった。全艦反転!また、上空の哨戒騎を撃墜せよ!」

 

すぐにアルデバランの回転式ブラスター砲が火を吹き、哨戒騎が撃墜された。

 

「偵察機より再び入電、竜母艦隊よりワイバーンロードが出撃、確実に200騎以上はいるとのこと」

 

「航空支援を要請せよ!」

 

航空支援が要請され、大気圏上層に待機しているヴェネター級ヴィジランスから130機、インペリアルⅠ改級シュトラールからは72機のTIE/SOファイターが。アルタラス王国のルバイル基地からは、アルタラスの戦いにおいて活躍したロウリア区防衛軍所属のエアスピーダーが50機発進した。

 

 

「謎の艦隊を補足、全機突撃せよ!」

 

ワイバーンロード部隊250騎は、海上警備隊の艦隊へと突撃を開始した。が、

 

 

 

 

艦隊の奥から何かが飛んでくるのに気づいた。

 

「何か来るぞ!」

 

確かに、奥から├◯┤の形をした物が多く来ている。そして、緑の光弾が大量に襲いかかった。

 

「前衛が喰われた!」

 

陣形が崩れたところに、すかさずTIE/SOファイターが突っ込み、格闘戦にもつれ込む。遅れて到着したエアスピーダーが下からワイバーンを追い込み、上からTIEが襲いかかる、肉食獣の狩猟とも呼べる一方的な虐殺だった。

 

「ワイバーンロード250騎、全て撃墜されました」

 

「やられたか・・・」

 

第3艦隊提督、アルカオンの表情が暗くなる。

 

「本部より連絡、竜母は温存のため後方に下げ、3艦隊は密集して敵艦隊に突撃せよとのことです」

 

この本部の指示で3艦隊は、突撃を開始する。そして、本部から離れた所まで陽動に掛かって移動してしまっていた。この時点で、海軍本部を守る物は沿岸砲のみとなる。

 

 

海軍本部の港

 

本部の港を掃除していた掃除夫シルガイアは、沖に出ていく艦隊を見ていた。

 

あのバルスがこの大艦隊を指揮しているのか。

 

「あいつは出世したなぁ・・・」

 

学生時代、彼とバルスはライバルだった。

能力はほぼ変わらなかったが、運とセンスの面で負けており、それがつもり積もってこの差となっている。

 

「あいつは、全てを手に入れたが、俺は、何も手に入れられなかった・・・」

 

彼はため息を着き、再び海を見る。

 

 

すると、何かが湾の中に浮上してきた。

 

「何だあれは!?」

 

それは、青い色をしている。

 

彼は、監査軍の兵士から聞いた話を思い出した。

 

それは、フェン王国に懲罰攻撃を仕掛けた際、青色の海魔に襲われたという内容だ。

 

目の前にいるのは海魔に違いない。

 

まずいぞ・・・・ここから離れよう。

 

その瞬間、海魔から緑の光弾が複数飛来し、沿岸の砲台群が文字通り蒸発してしまった。

 

やはり、例の海魔だ。緑の光弾を撃ってくるという特徴が一致している。

 

 

「敵の沿岸砲台、完全に消滅」

 

「よし、海軍本部へ誘導ミサイル発射!」

 

プロヴィデンス級インヴィシブルから、紫の光と煙を引いた3発の誘導ミサイルが発射され、海軍本部へと飛ぶ。

 

誘導ミサイルを見たシルガイアは、それが海軍本部へ向けられた攻撃であると理解し、海将バルスの死が近いことを察してその名を叫ぶ。

 

「バルス!」

 

直後、ミサイルが全て直撃して爆発する。

 

彼の叫びが原因となったかどうかは分からないが、海軍本部はバルス以下本部職員を巻き込んで崩壊した。

 

「あいつが呆気なく死んだ・・・」

 

この時点で、海軍の指揮能力は失われた。

 

一方、そんなことはいざ知らず、皇国主力艦隊は突撃を敢行していた。

 

 

「インヴィシブルより入電、沿岸砲台及び海軍本部を破壊したとのこと」

 

「全艦再び反転、敵艦隊に攻撃する。本艦の航空隊は発進せよ!」

 

アルデバランより、ワイバーンボマーと低空強襲トランスポートが発進する。

 

ワイバーンボマーは急降下爆撃をし、爆弾を喰らった艦は船体を真っ二つにへし折られた。

 

トランスポートはミサイルを叩きこみ、対人レーザー砲で船体に穴を空けつつ、合成レーザー砲で対魔弾鉄鋼式装甲を溶断する。

 

小型砲艦も攻撃に移り、主砲の絶え間ない攻撃が艦隊を襲う。

 

「戦列艦マルタス、レジール、カミオ、ターラス轟沈・・・・・被害はさらに増大中!」

 

 

「全艦、プロトン魚雷発射!」

 

小型砲艦の後甲板より各艦2発、合計60発のプロトン魚雷が発射された。

 

赤い光の矢が、次々と艦隊に突き刺さって爆発する。

 

「本艦にも飛んできます!」

 

「取り舵いっぱい!」

 

回避を指示するが、遅い。

 

第3艦隊旗艦、超F級150門戦列艦デュオスにプロトン魚雷が2発当たり、デュオスは轟沈した。

 

第1第2艦隊も突撃してくるが、やることはほぼ同じだ。

 

航空攻撃、砲撃、プロトン魚雷。作業のように行われる。ルバイル基地から補給を終えて再出撃したエアスピーダーも加わり、主力艦隊は竜母を残して壊滅した。

 

これは、海の戦い。

 

この一方で、陸軍基地への攻撃が始まっていた。

 



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第19話 皇都強襲作戦(2)

 

 海上警備隊が海軍本部を攻撃している一方、陸軍基地に対する攻撃が始まろうとしていた。

 

「攻撃部隊、出撃」

 

ヴェネター級ヴィジランスとゴザンティ級クルーザーより、爆撃機であるTIEボマー40機とその強化型のTIEスーパーボマーが20機、護衛のTIE/SOディフェンダーが10機発進した。

 

 

皇都エストシラント 北東空域

 

 第18竜騎士団 第2中隊のワイバーンオーバーロード20騎は、北東の空域を飛行していた。隊長のデリウスは、ベテラン団員のプカレートと魔信で会話する。

 

「プカレート、セカンド・オーダーについて知っていることはあるか?」

 

「確か、皇国を倒して新たな秩序になるという、大層なことを宣言した蛮族だったような・・・」

 

「それが、共通の認識だな。で、セカンド・オーダーについてなんだが、とある情報が海軍本部から回ってきている」

 

「なんですか?」

 

「それが、セカンド・オーダーらしき艦隊が南方より接近しているという情報だ。そして、帆無しの100m級竜母と多数の小型艦で構成されているのだが、全ての艦がムーの軍艦と似通った部分があるらしい」

 

「まさか、列強ムーが背後に?」

 

「その可能性がある。となると、100m級竜母の艦載騎は飛行機械マリンかもしれない」

 

「本当にそうならば、第3艦隊のロード種だけでは太刀打ちできません」

 

「とはいっても、竜母は1隻だけ。物量で押すことは可能なはずだ。仮に竜母戦隊が敗北したとしても、皇都防衛隊がいる。オーバーロード種はマリンに対抗するために作られた種。マリンを必ず落とすだろうな」

 

「ですね」

 

隊長が再び前方を見ると、前方より何かが飛来してくるのを感じた。

 

「各騎、警戒せよ」

 

双眼鏡で前方を確認。

 

すると、球状で3枚の板を付けた物体が10体、かすかに見える。

 

隊長は記憶を総動員して、物体の正体を探る。

 

士官学校の教本、昔話・・・いずれにも、一致するものは一切無い。いや、待てよ?元ロウリア軍の竜騎士が、隣国に攻めた際に2枚の板を左右に付けた空飛ぶ目玉に襲われて、自分以外が死んだと言っていた。だが、あの物体は3枚の板を付けている。もしかすると、目玉の上位種かもしれない。とは言っても、負けるつもりはない。こちらは第3世代のオーバーロード種で、最新で、最強なのだから。

 

「各騎、あれは敵だ。必ず落とせ!」

 

「「了解!」」

 

 

 

「あの動き・・・こちらに気付いたようだ」

 

「そのようです。目の良さだけは褒めてやりたいですな」

 

「各機、対空用のミサイルを用意しろ。相手は20騎、こちらは10機、各機それぞれ2発だ。相手との距離、500mで撃て」

 

「「ラジャー!」」

 

 

「火炎弾、発射準備。至近距離で撃つぞ」

 

ワイバーンオーバーロードの部隊は、あろうことか至近距離で撃つことを選択してしまった。ミサイルを知っていないことから起こる弊害だ。

だが、ミサイルを知っていたとしても、最新鋭戦闘機TIE/SOディフェンダーには、逆立ちしても勝てない。

 

ついに双方の距離が500mになる。

 

「撃て」

 

ディフェンダーの上部に設置されたソーラーコレクターとコックピットの間から、ミサイルが2発発射され、オーバーロードに向かう。

 

「敵機、何かを発射!」

 

「散開せよ!」

 

全ての騎が回避機動を取るが、ミサイルはそのまま追尾する。

 

無慈悲にミサイルは命中し、部隊は全滅。

肉片が市街地に降り注ぐ。

 

戦場など知らない住民達は、悲鳴を上げ、気絶する者もいた。最強なはずのワイバーンオーバーロードが簡単に落ちた。絶望しかない。

 

「全騎、撃墜を確認」

 

TIE/SOディフェンダー部隊はTIEスーパーボマーと合流し、通常のボマーを後方に置いて滑走路を破壊しに向かった。

 

─────────────────────

 

北方陸軍基地

 

「緊急事態発生!北東空域を飛行中のワイバーン部隊の反応が消失した。待機中の第3中隊は緊急発進(スクランブル)して確認に向かい、必要ならば敵騎を要撃せよ」

 

滑走路を第3中隊のワイバーンオーバーロードは縦一列で走り、離陸を試みる。が・・・・

 

「敵接近!」

 

隊員が叫ぶ。

 

「目玉の化け物だ!」

 

聞きなれない音とともにTIE/SOディフェンダーに搭載された6門のレーザー砲が火を吹いた。

 

 

「第3中隊が殺られた!」

 

皇都防衛隊陸将であるメイガは、いきなりのことに驚いて叫んだ。

 

10体の空飛ぶ目玉は、そのまま高度を上げて空へと消えていく。

 

基地に警戒アラートが鳴り響き、戦闘体制へと移行する。そして、ワイバーンの発進が再び始まろうとしていた。しかし、敵は待ってくれない。

 

「第2波、来ます!」

 

今度は中心に棒を付けた眼鏡の化け物が20体だ。

 

「攻撃開始!」

 

TIEスーパーボマーの機首に搭載された回転式レーザー砲 が、滑走路へと発射される。これは、ただのレーザー砲ではなく、AT-DTの主砲のエネルギー弾を参考に強化されており、爆発するレーザーを撃てる砲となっている。そのため、攻撃を受けた滑走路はボロボロになってしまった。

 

TIEスーパーボマー編隊は反転し、滑走路を完全に破壊するために震盪ミサイルを発射する。

 

ミサイルが滑走路に多数着弾し、爆発とともに大きな振動が起こる。メイガの目の前のガラスが割れてしまい、彼の目に突き刺さった。

 

「目が、目がぁ~!!イッタイ、メガァ!!!」

 

あまりの痛みに、彼は転げ回りながら絶叫する。

彼は完全に失明した。

 

「状況はどうだ!」

 

「滑走路が破壊され、使用出来ません!」

 

「何だと?ワイバーンオーバーロードを飛ばせないではないか!」

 

「陸将、まだ滑走路はあります」

 

「そうだった。まだ、離れた所に緊急用の地下滑走路があったな。それを使って一矢報いるとしよう。また、基地の要員は防空壕に避難させておけ」

 

「了解」

 

避難した直後、TIEボマー編隊40機が襲来。

 

彼らの邪魔をする者は、現時点では存在しない。大量のプロトン爆弾を降らせて、基地を完全に破壊した。

 

────────────────────

 

「皇国が・・・皇国が・・・終わる・・・」

 

レミールは悪夢を見ていた。

 

それも、皇国が滅亡の危機に瀕するというもの。

 

爆発の起こる基地から黒煙が立ち上ぼる。空を見れば、轟音を響かせる白い大型の飛行機械が爆弾の雨を大量に降らせていた。

 

場面が変わる。

 

ムーのラ・カサミよりも巨大な鋼鉄の軍艦がエストシラント湾に浮かんでいた。

 

その軍艦は船体を横に向けて、装備された3連装の巨砲3基を横に向ける。そして、皇都へ向けて巨砲を発砲した。しかも、市街地もお構い無しの無差別攻撃である。

 

皇城も吹き飛び、ルディアスの頭部が彼女の目前に落ちていた。

 

再び場面は変わる。

 

逃げる皇国民達。後方からは連発銃などを装備した兵士が迫っていた。銃撃を受けて人々は倒れ、命乞いをした一家が問答無用で焼き殺される。

 

「やめろぉぉぉぉぉぉ!」

 

 

彼女は目を覚ました。

 

「夢か・・・外の空気を吸おう」

 

そのままベランダへと出る。

 

「なっ!」

 

驚くのも無理は無い。だって、悪夢の最初の場面で見たところに似た状況になっていたのだから。

 

悪夢と同様に、基地は爆発し続けて黒煙が上がり、上空を眼鏡の形をした飛行機械が飛んでいる。

 

「まさか、セカンド・オーダーか?」

 

レミールは皇城へと急ごうとしたが、背中に銃のような物を当てられている感触があった。

 

「何者だ!」

 

大型の鏡を見ると、黒いアーマーを着た人間に銃を突き付けられているのが写っている。

 

彼女は護身用のナイフを抜こうとするが、そんな気はすぐに起こらなくなった。なんと、さらに3人の人間が実体化したのだ。これで4対1、逃げるのは不可能。

 

「皇族のレミールで間違いはないな?」

 

「その通り、私はレミールだ」

 

「大人しく付いてきてもらおう」

 

「私は辱しめなど受ける気はないぞ!」

 

「人質になってもらうだけだ。眠っていろ」

 

レミールは注射器を打たれ、眠ってしまった。

 

「こちら、デルタ分隊。要人を1人確保した。

迎えを頼む」

 

「了解。陸戦部隊の着陸と同時に迎えをそちらに寄越す」




レミールの悪夢は、原作に加えて他の二次創作の皇都攻撃シーンがモデルになっています。


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第20話 皇都強襲作戦(3)

主人公を尋問官から、フォースとライトセイバーを扱う技能を持っている艦隊司令にしました。

何故なら感想(削除済み)にて、“疑り深い皇帝が尋問官に大層な艦隊を与えるはずがない”と指摘を受けたためです。


エストシラント上空 大気圏上層部

 

「エストシラント上空に敵無し!」

 

「揚陸部隊は降下せよ!本艦はその後に続く!」

 

ヴェネター級SDヴィジランスの広大なフライトデッキから発進したセンチネル級着陸船と周囲の輸送船が降下を始め、ヴィジランス自体もそれに続いた。

 

 

エストシラント 皇城

 

「何故、参上しないのだ!」

 

皇帝ルディアスは怒りの表情を浮かべ、怒鳴る。

 

皇都が攻撃を受けていることが発覚したため、緊急御前会議が召集された。しかし、集まったのは軍の最高司令アルデ、第2外務局長リウス、臣民統治機構長パーラスだけだった。

 

「レミールがいないぞ!連絡は取ったのか?」

 

「それが、邸宅との通信が途絶えており、他の幹部や皇族の方々に関しても同様です。ただ、第3外務局とは連絡が付いていますが、局長が行方不明です」

 

メイド長が答える。

 

「レミール・・・・すぐに探し出せ!他の幹部もだ。拐われたとしても遠くには行っていないはずだ!」

 

皇城の近衛兵が捜索に出発した。

 

「状況を説明するのだ」

 

アルデが話し始める。

 

「30分前、海軍本部からの定時連絡が途絶え、南方にて黒煙が確認されています。北方ではワイバーンオーバーロードの中隊の反応が消失しました。そして、北方基地が飛行機械による空からの爆弾攻撃を受け、壊滅しました。負傷した陸将の指示で、基地の人員は防空壕へ、オーバーロードに関しては地下滑走路に3個中隊が移動したため、反撃は可能です。15分前には、海軍主力艦隊と連絡が取れなくなりました。この一連の被害は、セカンド・オーダーの攻撃によるものだと思われます」

 

「セカンド・オーダーだと?!確か、カイオスが交渉していたはずだ!あの男は逃げたのか!」

 

「おそらく・・・」

 

「リウス、講和は可能か?」

 

今度はリウスに話が飛ぶ。

 

「講和ですか?!蛮族と?」

 

「馬鹿者!敵の陸軍が上陸してくれば、レミールを探している場合では無くなるではないか!お前は皇族を見捨てるのか?」

 

「滅相もありません・・・」

 

「で、講和は可能か?」

 

「難しいと思われます。現在、彼らとの正式な国交ルートはありません。そもそも、交渉担当のカイオスが行方不明です」

 

その時、軍服を来た者が部屋に入って来て言う。

 

「大変です!空飛ぶ多数の鉄の箱と、空中戦艦が襲来しました!」

 

「遅かったか・・・もう、講和はほぼ不可能だ。レミールは諦めよう」

 

「陛下・・・・」

 

「狼狽えてはならん!空と海では負けたが、我々が本領を発揮するのは陸であり、地の利がある。しかも、ワイバーンオーバーロードは3個中隊も残っているのだ!」

 

「まだ、我々は戦える!」

 

アルデも同調した。

 

────────────────────

 

まさか、パーパルディアに反撃する時が来ようとは・・・あの時は、想像すらしていなかった。

 

ヴィジランスの艦内にて、元ロウリア王国陸軍の将軍であったパンドールは、そんなことを考えていた。

 

彼も、海上警備隊提督のシャークンと同様に、ロウリア区防衛軍の指揮官として雇用されている。彼が連れてきた部隊は第1機動歩兵中隊と呼ばれ、防衛軍の中で最も練度が高いとされている部隊である。

 

 

「沿岸部着陸地点に敵多数!直ちに排除せよ!」

 

センチネル級着陸船に搭載されたレーザー砲やブラスター砲、イオン砲が火を吹いて敵兵を薙ぎ倒し、54人が搭乗可能な複数の同級から兵士が降り立って、敵兵の排除を行う。

 

Y-45装甲トランスポート運搬船からSOホバータンクや対空ホバータンクが降ろされて、着陸地点はクリア。海面スレスレまで接近したヴィジランスの後部ベイからスロープが延び、防衛軍の第1機動歩兵中隊とSO地上軍の第212突撃大隊が上陸した。

 

「命令あるまで待機し、地点の維持を継続せよ」

 

 

地下滑走路

 

「オーバーロード部隊、全騎出撃。皇国を荒らす奴等を駆逐せよ!!」

 

「「了解!」」

 

「任せてくれ!」

 

「皇国の興亡、この一戦にあり!」

 

発進しようとする3個中隊60騎の士気は高い。そう・・・・士気だけは。彼らは、精神だけでは勝てないことを理解していなかった。

 

60騎が出口から次々と飛び立つ。

 

「センサーに反応有り、ワイバーンです」

 

「まだ残っていたのか?!」

 

「こちら地上対空部隊、迎撃は任せろ」

 

対空ホバータンクの4連装レーザー砲が動く。

 

 

「敵の空中戦艦、海面付近に存在!」

 

「故障したようだな、あれを沈めれば敵は総崩れを起こすに違いない、攻撃せよ!」

 

彼らの注意は完全にヴィジランスへと向いてしまっている。

 

「迎撃開始!」

 

4連装レーザー砲が部隊へと発射された。

 

 

「第3中隊全滅!」

 

突然、20騎が消える。見ると、複数の鉄の塊から光弾が発射されている。

 

「魔光砲だ!避けろ!」

 

レーザー砲は部隊へと次々と命中し、全てが撃墜された。

 

現実は非情だ。士気があっても、結局は技術の差が勝敗を分けるのだ。そもそも、格上と戦ったことすらない彼らが勝つのは不可能であるのだが。

 

────────────────────

 

「もう1隻来たぞ!」

 

ヴィジランスの次に現れた、インペリアルⅠ改級SDシュトラールを見た市民が叫ぶ。中には、気絶する市民もいた。灰色の巨大な船体、冷酷さがひしひしと伝わってくる。スターデストロイヤーを止められる者は、無い。

 

そして、市民が集まる場である広場の上空にシュトラールが移動。船体下部のベイを開いた。

 

「開いたぞ!」

 

「何をする気だ?」

 

「あれは?!」

 

ベイから降ってきたのは、大量の紙。

 

地面に落ちた紙を拾い上げる。

 

「これ・・・は・・・?」

 

「第3外務局長カイオスの悪事だと?」

 

書いてあるのは、SOの使者に手を出そうとして宣戦布告をされたことに加え、調査で判明した汚職や人身売買に関することだ。なお、使者に手を出す前にSOが宣戦布告をしたことは伏せてある。

 

市民達は激怒した。この男のせいで皇国が攻撃を受けてしまっていることに。

 

そして、思う。

 

「こいつを捕まえて、差し出してしまおう」と

 

市民達は、すでにもぬけの殻となった第3外務局へと動きだした。

 

 

「どうして・・・どうしてこんなことに!」

 

カイオスは後悔していた。宣戦布告を受けた際、簡単に勝てるとばかりにあんなことを言ってしまったことを。

 

そして、皇国が攻撃を受けてこの有り様である。

 

とにかく、辺境へ。隠れなければならない。

 

あの男だって、辺境までは追ってはこれないだろう。そんなことを思っていた。だが、ダークサイドは執念深い。

 

コツ・・コツ・・と足音が近づく。

 

空気が抜けるような音の後、蜂の羽音のような音がした。彼が後ろを振り替えると、赤い光の剣を持った紺色のローブの男がいる。

 

「見つけたぞ・・・」

 

カイオスの顔が青ざめ、ひきつる。

 

「おっ・・・お前はあの時の護衛か・・」

 

「3分の1は正解だ」

 

「3分の1だと?」

 

「残りの3分の2を教えてやる。俺は、セカンド・オーダーの最高指導者。そして、あの使者は俺の愛人だ。つまり、お前は1番怒らせてはならない奴を怒らせた」

 

「私をどうする気だ?」

 

「すぐには殺さない、後で殺す・・・」

 

「未開の地の蛮族が列強の・・外務局の・・局長を殺すというのか!!ふざけるな!」

 

カイオスは逆上した。

 

「強力な武力を持つ者が正義だ。我々に殺されても文句は言えない。もしかして、怖いのか?」

 

「愚弄しやがって!!」

 

カイオスはナイフを取る。

 

「てめえなんか怖かねえんだよ!!野郎、ぶっ殺してやらぁ!!」

 

猪突猛進、突っ込んで来た。

 

「地獄に堕ちろ、カイオス!」

 

─────────────────────

 

「前進開始!」

 

SOホバータンクを先頭に、部隊は城までのメインストリートを進む。その先には、バリケードが複数作られていた。また、反乱同盟軍やパルチザンとの戦いの経験から、裏道にも部隊を侵入させて事前に伏兵を倒す行動にも出ている。

 

「緑色の鉄地竜が来たぞ!その後方には歩兵だ!」

 

皇国兵が叫ぶ。

 

「発射準備!」

 

各々が弾薬を込める。

 

「銃隊構え!」

 

銃先が揃う。

 

「撃て!」

 

銃兵隊が白い煙に包まれて丸い銃弾が複数飛び、ホバータンクや歩兵のアーマーに直撃した。

 

「やったか?」

 

煙が晴れる。

 

「目標・・・健在・・・・・」

 

「嘘だ!この銃は皇帝陛下より賜った銃!どんな鎧でも魔物であろうと貫けるというのに!」

 

「フッ・・・フハハハハ!」

 

あまりの絶望に、現実を見失う者や発狂する者もいる。もはや、カカシだ。

 

「撃て」

 

銃撃が止まっているところに、すかさずDTL-19ブラスターライフルが撃ち込まれる。

 

逃亡する者も多くおり、防衛ラインは簡単に瓦解。城付近まで撤退した。

 

追撃は続き、城を完全に包囲する。

 

 

皇城

 

「陛下、もはやこれまでのようです」

 

アルデは、暗い声でルディアスに進言した。

 

「そうだな・・・・大陸統一の夢も終わりか」

 

すすり泣く皇族や幹部、召し使いもいる。

 

「私が自ら出よう」

 

「陛下?」

 

「これ以上、国に忠義を尽くしてくれている兵が死ぬのは御免だ。終わりにしよう・・・」

 

中央暦1640年、威勢を誇ったパーパルディア皇国は降伏した。

 



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第21話 事の始末。そして・・・

戦後処理よりも軍拡やその他の話が多くなった件・・・


エストシラント 皇城

 

皇帝ルディアスは自室に軟禁されていた。

 

扉がノックされ、セカンド・オーダーの兵士2名と紺色のローブを来た魔術師らしき色白の男が入室してくる。その男は、明らかに自分より少し若く見えた。

 

「そなたは誰だ?」

 

「私はセカンド・オーダーの最高指導者、

サイモン・ヤムトだ」

 

この若さで・・・

 

「最高指導者とやらが、敗北者に何用だ?」

 

「戦後処理に関する交渉をしに来た」

 

やはり・・・

 

「私は殺されるのか?」

 

「貴方には、皇帝のままで居てもらいます。この戦争の責任はあくまでもカイオス、あの男に全て被ってもらう」

 

「では、皇国は残るのだな?」

 

「確かに、皇国は残します。ただ・・・」

 

「ただ?」

 

「こちらの要求を飲んでもらいます」

 

ルディアスに紙が手渡される。

 

「これは?!」

 

紙には、これらの内容があった。

 

○皇国は軍事指揮権を放棄し、軍の最高指揮官はSOの指示の元で軍を動かす。

 

○皇国の政治、外交はSOの許可を得て行う。

 

○皇国は属領を全て放棄する。なお、統治軍及び統治機構は解散とする。

 

○皇国はデュロをSOに割譲する。

 

○皇国は監査軍を解散する。

 

○皇国は辺境以外の陸軍を解散し、代わりにSO地上軍及び宇宙軍の駐屯を認める。

 

○皇国は保有する先進的技術を全て、独立した元属領を含めた第3文明圏国家及び文明圏外国家に開示する。

 

○皇国は余剰となった装備を、文明圏外国家に譲渡する。

 

 

「属領の放棄だと!穀倉地帯を失ってしまえば臣民が餓死してしまう!」

 

「それに関してですが、各国に対して皇国が食料支援をしてもらえるように交渉してあります」

 

「それは助かる。これを機に、残った領土で農業をするのも良いかもしれぬな」

 

ルディアスは安堵の表情を浮かべる。

 

「この要求でよろしいですか?」

 

「この要求を飲もう」

 

「分かりました。それでは、失礼します」

 

サイモンは部屋から出ていこうとする。

 

「サイモン殿!聞きたいことが」

 

何を思ったのか、サイモンを呼び止めた。

 

「レミールの所在を知っているか?」

 

サイモンは、少し静止した後に答える。

 

「あの皇族か。彼女なら今、こちらに向かっている筈だ」

 

「よかった・・・」

 

今度こそ、サイモンは出ていく。

 

扉が閉じた直後、扉がまた開いた。

 

入って来たのは、あのレミールだ。

 

「陛下!お怪我はありませんか?」

 

「レミール・・・私は大丈夫だ。そちらこそ、怪我は無いか?」

 

「私も大丈夫です。陛下・・・」

 

2人は熱い抱擁を交わした。

 

────────────────────

 

「体が痛む・・・」

 

カイオスは振動と痛みで意識を取り戻した。

 

「いったい何が・・?」

 

ナイフであの男を刺し殺そうとした時、衝撃波で吹き飛ばされた。そこまでは覚えている。

 

今、自分は牢屋付きの馬車に乗せられているらしい。

 

そして、道の両側にいる人々から罵声が浴びせられた。

 

とある老人が声を張り上げる。

 

「責任を取れ!カイオス!」

 

とある婦人が叫ぶ。

 

「あんたのせいで夫は海の底だよ!」

 

少年が叫ぶ。

 

「竜騎士のとーちゃんを返せ!」

 

さらに少年は投石を行い、他の人々もそれに続く。

 

カイオスは投石を受け、醜い顔から血を流す。

 

やめてくれ・・・やめてくれ・・・

 

「どうして私だけが・・・・・カハッ!」

 

彼は投石の末、ついに昏倒する。

 

その後、カイオスを見た者は誰もいなかった。

追放されたとも、衰弱死したとも言われている。

 

────────────────────

 

「軍事大拡張計画・・・ですか?」

 

ヴィアーズ大佐がサイモンに言う。

 

「そうだ。皇国を下したとはいえ、いまだに火種になりそうな物が存在するからな。それに、各国に展開できる戦力に限りがある」

 

「アニュンニール皇国は火種になりそうです」

 

「奴等は、謎が多い。分かることと言えば、大きな隠し事をしていること。そして、魔帝に関する案件であることだ」

 

「それで、どのように拡張するのですか?」

 

「まずは、人員の面だ。我々の保護しているロデニウス大陸を含めた文明圏外からは正規軍の地上兵と艦船クルーとして、第3文明圏からは外人部隊として募集を出すつもりだ。これに伴い、ハーク中隊は外人部隊では無くなる」

 

「これで私は、再び第212突撃大隊(アタックバタリオン)の所属ですね」

 

「そういうことだ。そして、人員の拡張に伴って各種装備の増産も行う。スターシップに関してだが、アークワイテンズ級軽クルーザーは練習艦としてだけではなく、対空用のミサイルと対空レーザー砲を追加させた護衛艦として、複数隻を新規建造する。ヴィクトリー級は、航空機(スターファイター)運用に特化した艦として改修した物を2隻建造し、片方は各国の航空機も運用可能な共同運用の艦とするつもりだ。ヴェネター級、インペリアル級に関しては新規の建造はコスト面から断念するが、ヴェネター級に対空用のミサイルを搭載する」

 

「流石に、1kmを越える大型艦は難しいですね」

 

「その面では、銀河帝国に負けている。だが、反乱同盟軍のように、航空機(スターファイター)で翻弄することは可能だ。航空機に関してだが、TIEシリーズのパイロットから苦情が寄せられている」

 

「いったい?」

 

「視界が悪い点だ。直接目視可能なのが前方だけだからな。センサーだけでは不満らしい。そこで、パイロットのヘルメットに改良を加えることにした」

 

「ヘルメットですか・・・」

 

「ヘルメットを通して外が透けて見えるようにする。ただ、センサーの増設はコストが上がってしまう。だから、視界が元々良い機体であるクローンZ-95スターファイターを改修した物も運用するつもりだ」

 

「それで、どんな改修を?」

 

「Z-95の改修では、翼の強度の強化と対空用ミサイル運用能力を付与したⅠ型、翼をTIEファイターの物として、外人部隊やロウリア区の部隊への配備、他国に輸出するⅡ型の2つに分ける」

 

「工場や研究の連中が過労死しそうですが」

 

「適度に休むように徹底させよう」

 

────────────────────

皇都エストシラント

 

「また、無職だ・・・」

 

シルガイアは途方に暮れていた。

 

彼は、海軍本部の壊滅によって職を失ってしまったのだ。

 

新たな職を探すものの、復興作業関連の職は既に埋まっている。彼以外にも、職を失った者が多数いるのだ。一部の軍の解散、属領の放棄など、原因は多い。

 

しばらく歩いていると、とあるポスターが目についた。

 

「これは?」

 

内容は、

 

“SO外人部隊募集中、SOは君を求めている”

 

「これだ!」

 

思わず、ガッツポーズを決める。

 

バルス、空から見守っててくれ。

 

俺は、お前の分まで生きる。

 

────────────────────

「何!」

 

サイモンは驚く。

 

彼に入ってきた情報は、愛人でもある副官のセリシアが体調を崩して倒れたとのことだった。

 

彼は、運び込まれた医療施設へと向かった。

 

 

「それで、ドクター。セリシアは病気なのか?もし何かあれば、大変なことだ」

 

「指導者様、落ち着いてください。彼女は病気ではありませんでした。なんと・・・」

 

サイモンの額から、汗が垂れる。

 

「妊娠しています」

 

「つまり・・・」

 

「最高指導者様のお子さまです」

 

俺の・・子供・・・

 

俺は、父親になれるのだろうか?

 



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閑話Ⅱ
超兵器開発の始まり


設定変更点
・スターデストロイヤーの装備及び名称
・採掘船のクイラ王国への配置
・過去に召喚されたジェダイを、サイフォ=ディアスからクワイ=ガン・ジンに。


アルタラス王国沖

 

アルタラス王国の港から出港した、アルタラス王国海軍の武装商船タルコス号は、セカンド・オーダー統治下の旧ロウリア王国ロウリア区へと針路を取っていた。

 

タルコス号の甲板に立っている男が2人。

2人は、魔石関連の専門家である。

 

「どうして俺達は僻地(ロデニウス大陸)に送られることになったんでしょうね?」

 

若い方が、堅苦しそうな専門家に言う。

 

「しょうがない、王国の為だ。それに、奴らの空中戦艦を見ただろ?」

 

「セカンド・オーダーの空中戦艦、あれは恐ろしかった。そんなに強力な兵器を持つ彼らは、何のために魔石を求めているのでしょうか?」

 

「政府の連中も知らないようだが、奴らの一部兵器の譲渡と軍事同盟を提案されたら、要求を呑まずにはいられないだろうな。俺の見立てでは、魔石を兵器に利用するのではないかと予想している」

 

「現に、王国も魔石を兵器(風神の矢)に使っていますから、彼らが使っても可笑しくはありませんね」

 

「奴らは軍事勢力だから、軍事力に力を入れるのが当たり前の筈だ。そもそも、この世界では力が全て。強力な兵器は列強への牽制・・いや、圧力となる」

 

「国家ではない1つの武装勢力が、列強を越える力を持っている。これは、戦乱の予感がするな・・・」

 

 

2日後、タルコス号はロウリア区北部の港に到達した。

 

2人は、港に降り立つ。すると、彼らの知るSOトルーパーとは異なる装備をした一団が近付いてきた。

 

「お待ちしておりました。我々は、ロウリア区防衛軍第1保安小隊です。お迎えに上がりました」

 

「ロウリア区防衛軍というのは何だ?」

 

堅苦しい専門家が尋ねた。

 

「はい。ロウリア区防衛軍は、セカンド・オーダー軍の傘下の組織で、旧ロウリア兵士や志願したロウリア人で構成されています。装備する兵器は旧式ではありますが、SOから付与された物を使用しており、下位列強ぐらいなら普通に相手ができます」

 

負けた筈のロウリアの軍事力が上がっている・・

もし、SOが防衛軍に対してアルタラス王国を攻めろと命令したとしたら、祖国に勝ち目は無いだろう。はっきり言って、恐ろしい。

 

2人の専門家は、4人乗りのスピーダーに兵士と乗り込み、護衛も含めた3台のスピーダーでビーグルのSO研究施設へと移動した。

 

ビーグル SO研究施設

 

施設へと入った2人を出迎えたのは、白衣を着た眼鏡の男だった。

 

「お待ちしておりました、私はセカンド・オーダーの兵器開発の最高責任者、ハル博士です」

 

兵器開発・・やはりそうだったか。

 

「あなた方に開発する物を説明する前に、こちらをお渡しします」

 

2人は、金属製のケースを渡された。

 

「これは?」

 

「報酬の前払い兼口止め料になります」

 

開けると、金の延べ棒が入っていた。

 

ここまでするのか・・・

 

「そして、開発するものは、超兵器です」

 

「「超兵器?」」

 

「出力しだいでは、都市を簡単に消すことが出来るような兵器で、あなた方には、その主兵装の動力源を担当していただきます。あっ、もちろんサポートを付けますので安心してください」

 

俺達は、ヤバイものに関わってしまったのかもしれないな・・・

 




ロウリア区防衛軍の兵士である、ロウリアトルーパーの装備は、体のアーマーはスワンプトルーパーとし、ヘルメットは反乱同盟軍の物を灰色にしたもの。武器はクローントルーパーとほぼ同じ。


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グ帝編+番外編
異界の帝国


グラ・バルカス帝国 帝王グラ・ルークス

 

 我が帝国が帝国暦1945年に異世界へと転移した後、さまざまな困難があった。例えば、蛮国(パガンダ王国)による皇族の処刑や列強(レイフォル)との戦争などだ。

 

だが、それら以上にあの日は衝撃だった。

 

 あの日、早朝の帝都ラグナに、久しぶりの空襲警報が発令された。帝都防空レーダーによると、

約1600m程の機影が写り込んだらしく、誤作動かと思われたが、念のために警報を発令し、

転移前にケイン神王国(狂信者ども)の戦略爆撃機から帝都の空を守っていた、帝都防空隊の高高度迎撃機が緊急発進(スクランブル)した。

 

 惑星ユグドに存在したケイン神王国は、陸海軍こそ我が帝国よりも劣っていたが、帝国には存在しない第3の軍である空軍に力を入れており、特に高高度爆撃機(空中要塞)による戦略爆撃に頭を悩ませた。そこで誕生したのが、高高度局地迎撃機だった。それは、機体の後部にプロペラを搭載しており、本土の防空にて活躍したが、反抗作戦へと移ろうした時に、帝国は異世界へと転移した。

 

数分後、緊急発進した迎撃機から、耳を疑うような報告が、帝王府に入った。

 

 全長1600m程の灰色に塗られた楔型航空機(スター・デストロイヤー)、それも砲台が多数の物が飛んでいるとのことだった。その特徴を聞いて思い浮かべたのは、帝国で流行っている漫画、“星球大戦”に登場する敵勢力である、銀河王国の宇宙戦艦であった。

 

敵勢力の宇宙戦艦に似ているとあって、侵略の可能性を考えるのは自然のことだ。帝都に近衛軍を始めとした部隊が展開した。

 

そして、その空中戦艦はラグナ湾上空に現れ、下部の四角い穴から、3枚の翼を持つ航空機(ラムダ級シャトル)が現れる。いきなり侵略ではなく、交渉をする余地があるようだった。

 

セカンド・オーダーを名乗る勢力の使者を帝王府まで案内し、謁見させたところで、とある要求をされた。

 

それは、イルネティア王国に対する植民地化中止の要求だった。想定していた、こちらに対する植民地化要求ではなく。それどころか、表沙汰にはなっていなかった植民地化要求の予定が外部に漏れていたのだ。

 

彼ら(セカンド・オーダー)のほうが1枚上手だった。彼らの軍事力は確実に上。何を言われても従ってしまうかもしれない。私はそう思った。

 

次の要求は、予想外の貿易であり、クイラ王国という国で取れた石油を輸出し、代わりに駆逐艦の船体のみを輸入するとのこと。どうやら、植民地の海上警備隊に配備したいらしく、船体だけ購入して彼らの兵器や機関などを載せるとのことだった。

 

船体と言えども、兵器の輸出となると、議会を通さなければならない。審議した結果、輸出の代わりにSO側の軍事技術の1部を入手する方針になった。

 

星球大戦に登場する歩兵は全て光線銃を装備し、アーマーを着ている。実際、SOの護衛の装備は類似しており、現在進めている防弾チョッキの開発計画に、彼らのアーマーの技術を取り込む意向で、考えは纏まった。

 

この案を使者に示したところ、こちらが光線銃(ブラスターライフル)の存在を知っていることに驚いていたが、取り敢えずアーマーの技術の1部を提供してくれることになった。

 

ここまでは、公にされたやり取りだ。

 

SOは公にされた情報以外に、列強の軍事情報を流してきた。それは、空中戦艦、アトラタテス砲、誘導魔光弾なる兵器の情報だ。アトラタテス砲や誘導魔光弾は、科学で再現することを決定したが、空中戦艦に関しては、SOとの技術交流を待つのみとなった。

 

一方、イルネティアに対しては友好的に接触し、国交を締結。インフラや旧式兵器の輸出が始まった。侵略をすることは無くなったが、主戦派は植民地化することを主張しており、まだ少数であったため、意見が通ることは無かったが、主戦派がいつ暴走するか分からないため、警戒が必要である。

 

────────────────────

 

レイフォル地区

 

レイフォルのとある建物にて、とある組織の集会が開かれていた。

 

「国家でもない奴等に対して、そこまで弱腰になるとはな。使えない内閣だ・・・」

 

「そうだな。空中戦艦が現れたと言ってはいるが、あれは飛行船にハリボテを着けた物に違いない。陛下は内閣に騙されている」

 

「第一、帝国よりも強い勢力など存在しない。

 ユグドでも、完全に負けることはなかった」

 

「陛下の目を覚まさせなければならんな」

 

「だが、本土で行動したとしても、陛下によってすぐに反逆罪に問われてしまう」

 

「だったら、こことパガンダ地区でやれば良い」

 

「各方面から主戦派の人間を集めればできないことはない。そもそも、ここに駐屯している部隊は、基本的にグレードアトラスター以外、主戦派だ」

 

「ここだけでも、第1、第8打撃群、イシュタム、第8旅団、第4師団、これだけいれば・・」

 

「後は、主戦派の技術者がいれば問題ない。

 工場や鉱山もあるため、しばらくは持つ」

 

「陛下に対して行動で示し、

 陛下の目を覚まさせるのだ!」

 

「それで、いつ決行だ?」

 

「頃合いを見て動くことにする」

 

「では、対外強硬会の集会は一時的に解散だ」

 

帝王の知らない所で、見えざる脅威(ファントム・メナス)は少しずつ蠢いていた。



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帝国のロケット開発

 グラ・バルカス帝国のロケット開発のきっかけは、転移前の世界であるユグドに存在した小国、スヴァルト帝国(ドイツもどき)にあった。彼の国は東側に大国の1つであるニヴル連邦(ソビエトもどき)、海を渡った西側にケイン神王国が存在していたため、周辺の小国を纏めてそれらの大国に対抗しようとしていた。“物量で無理ならば質で対抗する”そのような考えの元で数々の兵器を開発しており、ある時は強力な列車砲やロケット迎撃機を開発、ある時は対潜兵器の発展を促すことになる潜水艦の強化を行い、最終的には列車砲にとって変わるロケット兵器を開発していた。

 

 グラ・バルカス帝国はロケットに関心を持ち、兵器としての側面だけでなく、宇宙に進出するという側面からも開発は進められ、初の宇宙ロケットとロケット兵器は同時に10年後の帝国暦1946年に完成する見込みがあったが、1944年にケイン神王国との戦争が始まったことにより、宇宙ロケット開発は停止し、開発の費用はロケット兵器の開発に注ぎ込まれることとなった。しかし、1945年に帝国は異世界に転移してしまった。

 

 転移後の帝国は、生き残ることを最大の目標としており、開発を停止して他国との接触を開始したが、1年後に列強レイフォルと戦争になった。もし、この際にロケット兵器が完成していたら、レイフォルに撃ち込まれていた可能性もあったと言われている。同年にセカンド・オーダーと接触すると、国内では宇宙開発を推進する世論が多くを占めるようになり、誘導弾やジェット戦闘機の開発と同時に両方の開発が再開された。

 

 1947年には、通信衛星を載せた宇宙ロケット1号が打ち上げられた。その際にはセカンド・オーダーから宇宙の情報を提供してもらったことで成功につながり、情報提供の引き換えに軽巡洋艦の船体を提供することになった。翌年には開発された47年式試製巡航噴進弾(巡航ミサイル)がジェット戦闘機などと共に実戦にてテストされることになり、フィルアデス大陸東方のとある列島に発射基地が建設され、SO・グ帝のグラメウス大陸共同出兵にて、着弾に誤差はあったものの魔獣に初擊を加えることに成功。今後の兵器や電子技術の発展に寄与している。

 

 47年式試製巡航噴進弾を見た各国の反応は様々だが、SOは保護地域と艦艇を防御するために、それぞれ特大の粒子シールドを配置することを決定し、ムーにはグ帝と長期にわたって友好的に接することを決意させることとなり、神聖ミリシアル帝国はコア魔法に近い物を持っているとして最大限に警戒するとともに、魔帝技術の解析を急ぐこととにした。

 

 その後、グラ・バルカス帝国は、巡航噴進弾を大陸間弾道弾に発展させるとともに、コア魔法や弾道弾の迎撃手段としてSOと共同で迎撃用誘導弾の開発を開始した他、有人の宇宙船を打ち上げることに成功している。

 



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集結

パ皇戦の後の話です。

オリジナル兵器
○アルゴル型噴進戦闘機
グラ・バルカス帝国が2番目に開発したジェット戦闘機で、後退翼を備えている。F-86がモデル。
12.7㎜機関銃装備のⅠ式、20㎜機関砲装備のⅡ式、レーダーと対空ロケット弾装備のⅢ式(20㎜機関砲も装備可能)が存在する。


ムー 統括軍 情報局

 

「えっ?また観戦武官をやるんですか?」

 

技術士官マイラスは、驚きの表情で上官へと言う。

 

「すまんなマイラス君。今回は、戦術士官のラッサン君と共にグラ・バルカス帝国の兵器を見てきてもらう。」

 

「グラ・バルカス帝国は戦争でも始めるんですか?」

 

「実は、セカンド・オーダーと帝国が共同でグラメウス大陸に出兵することになったらしい」

 

「グラメウス大陸って確か、魔王討伐軍が派遣された場所でした。どうして彼らはそこに出兵するんでしょうか?」

 

「おそらく、第1の目的は軍事協力体制の構築。そして、第2は魔帝関連の物品を探すことだろうな」

 

「魔帝案件となると、あの国も観戦武官を送ってきそうですね」

 

「あぁ、模倣帝国(ミリシアル帝国)が観戦武官を送るという情報はすでに入っている」

 

「それで、また航空機で行くんですか?」

 

「大陸へと向かうグラ・バルカス海軍がマイカルに寄港した際に拾ってくれるそうだ」

 

商業都市マイカルの港湾施設は、帝国によって拡張工事が行われており、グレードアトラスターが停泊できるぐらいになっていた。

 

「できれば、グレードアトラスターに乗艦したいところです」

 

「今回の出兵は、世界から注目されていて多くの観戦武官が来る。力を見せつけるためにグレードアトラスターを出すはずだ」

 

 

1週間後、マイカルの港にグラ・バルカス海軍の東方艦隊が停泊していた。艦隊の中でも最も目立つのは、監査軍から海軍に転属したグレードアトラスターだ。

 

マイラスとラッサンは、そのグレードアトラスターの艦橋へと案内されていた。

 

「東方艦隊司令長官のカイザルです」

 

艦隊司令直々か・・・

 

艦隊司令長官だと名乗ったため、観戦武官の2人は思わず敬礼した。

 

「観戦武官のマイラスです。ご足労いただき、ありがとうございます。こちらは・・・」

 

「同じく観戦武官のラッサンです」

 

「これから本艦隊は、第3文明圏の各国の港を経由してフィルアデス大陸東方の列島まで向かいます。あなた方には将校用の部屋を割り当てますので、何か困ったことがあれば申し付けてください」

 

「ミリシアル帝国には立ち寄らないのですか?」

 

あの国も観戦武官を送ると知っていたマイラスは尋ねる。

 

「ミリシアル帝国の観戦武官は航空機で向かうと聞いています」

 

やはりミリシアルはプライドが高い。

 

ミスリル級戦艦よりも大型で強力なグレードアトラスターをあまり自国に入れたくないのだろう。

 

────────────────────

 

卵形のエンジンを吊り下げたテーパー翼を持つ胴長の白い機体、ゲルニカはロデニウス大陸の西方を飛んでいた。目的地はクイラ王国にグラ・バルカス帝国が建設した滑走路である。

 

ゲルニカはミリシアル帝国が保有している旅客機型の航空機(天の浮き船)。ゲルニカには観戦武官だけではなく、外交官を含めた使節が乗っていた。

 

「間もなく、クイラ王国の領空です。先導のためにグラ・バルカス帝国海軍とSOの戦闘機が接近します」

 

 

ペガススⅡ級航空母艦 サダルバリ

 

「レーダーに感あり。大きさからして、ミリシアル帝国の旅客機と思われます」

 

「来なさったか、エスコートの機を発進させろ」

 

甲板上へと出されていた2機の後退翼の機体、

アルゴル型噴進戦闘機Ⅱ式にパイロットが乗り込み、機体はそのままカタパルトで射出された。

 

「兄貴、SOの機体もエスコートに来るそうです」

 

片方の機体のパイロットが、兄貴と呼ばれたパイロットに言う。

 

「そうなのか?どんな形だ?」

 

「球体を2枚の板で挟んだ形です」

 

「あぁ、SOの主力戦闘機か」

 

兄貴と呼ばれたパイロットは、特徴を聞いてすぐに理解した。

 

────────────────────

 

「はぁ・・・第1位列強国の外交官が文明圏外勢力と交渉するなんて、本当に屈辱でしかない。頭が痛くなりそうだ。とは言っても、ワイバーンではなく戦闘機が来ると聞いたときは本当に驚いた。さすがは、ムーの恩恵を受けている勢力だ。レイフォルやパーパルディアの下位列強を破っただけはあるな」

 

外交官フィアームは、グラ・バルカス帝国やセカンド・オーダーのことを、たかが下位列強を破っただけの勢力と捉えていた。

 

「フィアームさん、彼らに対しては先入観を絶ち切ったほうがいいですよ」

 

帝国軍情報局の人間で観戦武官の1人として派遣されたライドルカはフィアームに忠告する。

 

「分かりましたよ」

 

「彼らの戦闘機がどんなものなのか興味が沸きますねぇ・・・」

 

技官ベルーノも会話に入ってくる。

 

彼らがしばらく外を眺めていると、突然4機の機体がすれ違った。

 

1機は前方に付き、残りは左右に付く。

 

「「速い!」」

 

最初に右側へ付いた1機を見る。

 

「赤丸に刻まれた白十字のマーク、グラ・バルカスの機体か!」

 

「プロペラがないぞ! あれ?空気の取り入れ口がある・・・まさか、魔光呪発式空気圧縮放射エンジンを実用化しているのか?!しかも、翼型が後退翼じゃないか!あの機体は少なくとも音速に達するはずだ!」

 

技官ベルーノは、興奮して話す。

 

 

一方、フィアームは左側の2機を見ていた。

 

「なんて面妖な機体・・・こんな形の物が飛んでたまるか!」

 

フィアームは頭を抱えた。

 

「こちらはセカンド・オーダーの戦闘機でしょうが、航空力学を無視している形ですね」

 

そう言うのは、もう1人の観戦武官である

アルパナだ。

 

彼らが見ている機体は、セカンド・オーダーのTIE/SOファイターである。

 

「こんな形の物を飛ばす方法はあるのか?」

 

フィアームはアルパナに尋ねる。

 

「そうですね・・・1つだけ心当たりが」

 

「何だ?」

 

「空中戦艦パル・キマイラのことは、もちろん知ってますよね?」

 

「もちろんだ。存在は公にされていないが、名前と姿を知らない帝国臣民はいない」

 

「その空中戦艦ですが、形は明らかに航空力学を無視しており、反重力魔導エンジンを使用しています」

 

「まさか・・・」

 

「私は、

あの機体にも使用されていると見ています」

 

「独自開発か遺跡からの発掘になりそうだ」

 

「おそらく、発掘でしょう。我々ですらコピー出来ていないのですから、あの機体は少数しか存在していないはずです」

 

そんなことを抜かすが、そんな幻想は打ち砕かれることになる。

 

そして、ゲルニカは滑走路に着陸した。

 

彼らを出迎えたのは、グラ・バルカス帝国砲兵隊の祝砲と、左右に道を作るように展開したSO・グ帝合同の儀仗隊。

 

そして・・・・・・上空を通過した100機ものTIE/SOファイターの大群だった。

 

「訂正します・・・これは発掘じゃない。絶対に独自開発です・・・」

 

「あぁ、認識を改めたほうが良さそうだ」

 



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上陸

フィルアデス大陸東方列島

 

「やっと着きましたね、マイラスさん」

 

グレードアトラスターから移乗した内火艇の甲板上にて、ラッサンがマイラスに言う。

 

「そうですね。ですが、我々の保有するラ・カサミ級や、最近建造が完了した初の蒸気タービンを搭載した新型のラ・ドレド級すらもこの日数では来れません。やはり、蒸気タービンに関する技術は彼らのほうが上です」

 

「そうですね。そう言えばマイラスさん、毎日のように砲塔を見ていたような・・・」

 

「確かに、見てました。今後のムー海軍の参考にするため・・・と言うか、ほとんど自分の趣味です」

 

マイラスは照れくさそうに返す。

 

「マイラスさんらしいですね。それで、何か参考になることはありましたか?」

 

「電波探信儀と呼ばれる探知装置と連動する砲です。複数の野生のワイバーンが襲ってきたときに、65口径10cm砲が高い命中率を叩き出していました」

 

「砲撃どころか対空もムー海軍は負けてますね」

 

「せめて、旧式のオリオン級だけでも譲ってもらえれば、ミリシアル帝国海軍とも渡り合えるほどになると思うけれど、甘いことは言ってられません。帰ったら軍の研究所に電波探信儀と砲を連動できる装置を開発させよう。テレビの技術を応用すれば、開発できると思ってます」

 

「ムー国軍の課題は、軍の装備の電子化ですね」

 

会話をしている間に、内火艇は港に到着した。

 

────────────────────

 

東方列島合同基地

 

グラ・バルカス帝国とSOが合同で駐屯している基地にて作戦の説明が行われており、各国の観戦武官もその場に居た。

 

「私は、セカンド・オーダー軍のヴィアーズ大佐です。“グラメウスの夜明け作戦”第1段階である上陸作戦の説明を行います」

 

ヴィアーズが話し始めた。

 

「我々の攻撃型偵察機170スターファイターの偵察によると、上陸地点の砂浜に大量の肉食海獣型魔物が、そして少し内陸に入ったところにワイバーンの巣が確認されました。これは、上陸時の障害になります。その為、航空戦力や遠距離攻撃手段で排除しておく必要があります。その攻撃は、グラ・バルカス帝国軍に行っていただきます」

 

その言葉の直後、グ帝軍の制服を着た男達が3人立ち上がって順に話し始める。

 

「帝国戦略軍司令官のパトラー大将です。上陸作戦の際は、我々が試作した47年式巡航噴進弾を使用してワイバーンの巣を事前に破壊します」

 

後ろの画面には、巡航噴進弾が地上から発射され、海を越えて陸地に着弾する合成映像が流れた。

 

その映像を見た観戦武官達は、驚きの表情を浮かべている。

 

特に驚くのは、ミリシアル帝国のライドルカだ。

 

遠距離から海を挟んで攻撃するとは、コア魔法みたいじゃないか!その面でもミリシアル帝国よりも進んでいる・・・

 

「ペガススⅡ級航空母艦サダルバリの艦長、ジョウシ大佐です。噴進弾の攻撃の直後、艦載のアルゴル型噴進戦闘機Ⅱ式で砂浜の魔物を掃討します」

 

「第7師団長のナカム少将です。攻撃の後、戦車揚陸艦とドック搭載型の揚陸艦を使用して、合同部隊を上陸させて地点を確保します。」

 

画面には、直接砂浜に揚陸(ビーチング) する戦車揚陸艦や、揚陸艦のドックから発進する揚陸舟艇が映る。

 

「説明は以上です。上陸後の動きは、沿岸部確保の後に説明します」

 

────────────────────

 

SO軍 クイラ王国駐屯基地

 

ミリシアル帝国の外交官、フィアームは駐屯基地の一室に通されていた。

 

「セカンド・オーダー最高指導者のサイモン・ヤムトです。先進11ヵ国会議の説明のために辺境までお越しいただき、ありがとうごさいます」

 

「説明を始める前に、最高指導者様に個人的な贈り物をお渡します」

 

フィアームは、持ち手の付いた四角いケースから、小型画面付きのブレスレットと、パソコンのディスプレイにそっくりな機器を取り出してサイモンに渡す。

 

「それらは、我が国の最新式の映像通信装置で、そちらのブレスレットとディスプレイの間で、音声だけではなく映像でも会話が出来ます」

 

「ほぅ・・・」

 

どうだ!驚いたか?反重力装置の量産化で遅れを取っているとはいえ、通信技術では負けないのだよ!

 

「どうです?音声だけの通信と異なり、情報が伝わりやすくなるのは、民間だけでなく軍事の面でも優位に立てます」

 

「それは一理ありますね。一応、我々も映像による通信が可能な装置を持っています」

 

「そうなのですか?」

 

「はい。この机には、その装置が組み込まれています。実際に通信してみましょう」

 

机に青白い半透明な人の形が浮かぶ。

 

「立体映像・・・だと・・・」

 

カラーではないが、立体の映像を映している。

 

さらに、サイモンはその人と話し始めた。

 

「ヴィアーズ、作戦の説明は終わったか?」

 

「もちろん、完了しています」

 

「分かった」

 

フィアームは唖然とする。

 

「どうですか?」

 

「すっ、素晴らしい・・・」

 

彼は内心、悔しがっていた。

 

「そっ、それでは説明を始めます」

 

────────────────────

夜明け前 グラメウス大陸東方海域

 

揚陸作戦に参加する艦艇が薄暗い海に浮かび、観戦武官達は空母サダルバリに乗艦していた。

 

「夜明けまであと5分です!」

 

サダルバリの飛行甲板には、すでにアルゴル型噴進戦闘機Ⅱ式が16機並んでいる。

 

そんな中、基地のある列島の方角の空から、火を吹く長い槍のような物が飛んできて、艦隊の上空を通過しようとする。

 

「観戦武官の皆さん、あれが巡航噴進弾です」

 

観戦武官達は、巡航噴進弾の動きを目で追う。

 

噴進弾は山なりの軌道を描き、ワイバーンの巣へと向かう。

 

「着弾まで、3・・・2・・・1・・・今!」

 

着弾と同時に1000kgの弾頭が起爆し、広い爆発でワイバーンの巣を破壊した。

 

「爆破閃光を確認、航空隊発艦せよ!」

 

1機ずつカタパルトで打ち出される一方、東の水平線から太陽が頭を出し始め、銀色の機体を輝かせる。

 

「朝日を背に突入、各機続け!」

 

「「おぅ!」」

 

パイロットは操縦桿のトリガーに手をかけ、地上の目標を照準に入れてトリガーを引く。

 

「機関砲発射!」

 

機首に装備された20㎜機関砲が砲弾を高速で発射し、その場の魔物は鮮血を吹き出して倒れたり、肉片に変わる。

 

4つの4機編隊が代わる代わる機銃掃射を仕掛け、砂浜は血に染まった。

 

航空隊が引いたタイミングで戦車揚陸艦が榴弾砲を発射し、汚れた砂浜を掃除する。

 

戦車揚陸艦はそのまま乗り上げてハッチを開き、ヤヌス中戦車と随伴歩兵が上陸して警戒。あきつ丸にそっくりな揚陸艦からは、両方の歩兵が搭乗した上陸用舟艇が発進して揚陸を開始した。

 



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接触

クイラ王国 SO軍駐屯基地

 

「そっ、それでは説明を始めます」

 

狼狽えたフィアームは、気を取り直して話し始める。

 

「先進11ヵ国会議は、2年に1度開催される世界規模の会議で、次回は約1年程で開催され、会場は我が国の港町カルトアルパスとなります。参加国は基本的に文明国と列強だけとなっていますが、列強であるパーパルディア皇国の縮小とレイフォルの滅亡によって席が空いています。そこで、その空席をセカンド・オーダーとグラ・バルカス帝国で埋めることが、会議で決定されました。世界の国々はあなた達に注目しており、出席すれば大国として認定されるでしょう。また、各国は代表を護衛するために艦隊を送り込んで、力を示す習慣がありますので、舐められないようにするために艦隊を送ることを推奨します」

 

「説明ありがとうございます。我々セカンド・オーダーは国家ではありませんが、会議に参加することを表明します。後、1つ質問があるのですが」

 

「何ですか?」

 

「護衛についてですが、部隊をカルトアルパスの上空に侵入させることは可能ですか?」

 

「上空・・・ですか」

 

彼はサイモンの質問に首を傾げる。

 

「はい」

 

「もしかして、あなた方の戦闘機ですか?」

 

「戦闘機・・・もありますが、大型の空中戦闘艦です」

 

空中戦闘艦だと?!バカな、そんなものを持っているのは我が国だけのはずだ!

 

「実物を見せていただくことは?」

 

「今日は不可能ですが、翌日ならば可能です」

 

「分かりました・・・」

 

───────────────────

 

「これからの進軍に関しては、お互いの技術体系が異なるため、2つに分けようと思います。ただし、双方の連絡のためにお互いに武官を送る形にしましょう」

 

第7師団長ナカムは提案する。

 

「確かに、それが良さそうです」

 

ヴィアーズは、その提案に賛同した。

 

1時間後、2つに分かれた部隊はそれぞれ動き始め、魔物と戦闘を始めた。

 

「弾種榴弾、装填!」

 

ヤヌス中戦車の47㎜砲に榴弾がセットされる。

 

砲塔が回転し、ゴブリンとオークの混成集団へと向く。それも、27両の物が。

 

「全車、撃て!」

 

榴弾が発射され、魔物の集団を吹き飛ばす。歩兵が前進し、倒れている魔物に銃弾を叩き込んで確実に殺していく。

 

「我が戦車大隊は最強だ。魔物など恐るるに足らず!」

 

戦車大隊長トウサはそんなことを言う。

 

「何を言っているんだ、トウサ。強力な魔物が出現する可能性もある。油断していると死ぬぞ」

 

すかさず第7師団長ナカムが注意した。

 

「以後、気を付けます・・・」

 

部隊が暫く進むと、岩が多く転がっているエリアに見えてくる。

 

「敵影無し・・・・え?」

 

突然、地面が揺れだす。岩が動き始め、複数の大きい岩の腕が地面から生えてきた。そして、全貌が明らかになる。なんと、岩の腕はゴーレムの腕だったのだ。大中小のゴーレムの数は明らかに100を越えている。

 

「まずい・・・数で負けている。一度撤退だ!通信兵、航空支援を要請しろ!」

 

ナカムは通信兵に命令した。

 

「了解」

 

歩兵が撤退を開始するのを援護するため、中戦車大隊は榴弾を撃つが、小型のゴーレムぐらいしか撃破できず、中型は足を破壊する程度で、大型に至っては割れ目が出来るだけだった。

 

「無理を言ってでも最新鋭の戦車を持ってくるべきだったか・・・」

 

本国には、120㎜戦車砲を装備したタイタン重戦車が存在する。ナカムは後悔した。

 

暫く経った後、通信が入る。

 

「こちら、海軍特殊作戦航空隊。これより支援を開始する」

 

上空を見ると、二式飛行艇にそっくりな大型の機体─28m級飛行艇Ⅱ式*1が大きく左旋回しており、突然機体の左側が煙に包まれる。次の瞬間、大型のゴーレムが派手に吹き飛んだ。機体の左側に装備された100㎜榴弾砲で砲撃したのだ。

 

「助かった!」

 

「いいぞ、もっとやれ!」

 

攻撃は暫く続き、大中のゴーレムは全滅する。小型のゴーレムに関しては、前進した中戦車に撃破されていた。

 

「あの機体、砲撃が出来るのか・・・」

 

同行していたライドルカは、自国には存在しない種類の機体に興味を持っていた。

 

ゲルニカを改造すれば、我々にも作ることは可能かもしれないな。

 

一方、セカンド・オーダー軍第212突撃大隊とハーク中隊は特に強力な魔物に当たることなく進み、大きな岩壁に突き当たった。

 

「大佐殿、岩壁に隙間が存在していたのですが、隙間から町が見えました」

 

ショット大尉が報告する。

 

「町だと?グラメウス大陸には文明が存在していたのか?」

 

ヴィアーズは困惑する。

 

「とにかく、人間がいるのであれば接触しなくてはならない。さて、どのように入るべきか・・・」

 

だが、接触は岩壁の向こうから来た。

 

「貴様ら何奴だ!魔物か?!」

 

丘の上で、馬に騎乗した男が叫ぶ。その後ろから歩兵も接近していた。

 

ヴィアーズは前に出て言う。

 

「我々はセカンド・オーダー、グラメウス大陸の調査に来た!」

 

「本当に人間か?!」

 

その男は騎馬から降り、歩み寄る。しかも、剣を抜いていた。

 

「怪しい・・・」

 

そのまま、剣先をヴィアーズの首に突きつけた。ショット大尉がライフルを構えるが、手で制する。

 

「人間だと誓うか?」

 

「もちろん人間だ。フォースに誓おう」

 

その言葉を聞いたとたん、男はきょとんとした目付きに変わる。

 

「フォース・・・か。中に入ることはまだ認められないが、付近への滞在は許そう。私は、貴様らのことを陛下に報告する。もしかしたら、中に入ることが許可される可能性もある。一応、貴様の名を聞こう」

 

「マックス・ヴィアーズだ」

 

「ヴィアーズか、覚えておこう。

私の名はジャスティードだ」

 

男は、馬に乗って去る。

 

あの男、フォースを知っているのか?

 

その直後、遅れる形で第7師団が到着した。

 

───────────────────

 

サイモンは変な夢を見ていた。

 

それは、白い空間を歩く夢だ。

 

「ここは・・・どこだ?」

 

永遠に広がる白い空間、いくら歩いても行き止まりはない。

 

突然、彼の目前に青白い光を纏ったジェダイらしき男が現れる。茶色の長い頭髪に、青い目だ。

 

「誰だ!」

 

「まぁまぁ、落ち着け。君たちをこの世界に呼んだ張本人、クワイ=ガン・ジンだ」

 

「クワイ=ガン・ジン、あんたには聞きたいことがある」

 

「そう来ると思っていた。いいだろう、好きに聞いてくれ」

 

「まず、あんたは別の世界線のクワイ=ガンなのか?そうでないと、クローン大戦終盤の装備の共和国軍をあんたが率いていて、銀河の使者として召喚された証明にならない」

 

「そのことか。確かに、君の世界線にて私はダース・モールに殺されている。だが、こちら側の世界線では私が勝利し、クローン大戦に参戦している。その最中、私は部隊ごと召喚されたのだ」

 

「なるほど、ジェダイが勝利したのか。俺の世界線より平和だろうな」

 

「いや、そんなことは無い。ジェダイによるダークジェダイへの弾圧が始まったのだ。無理矢理ライトサイドに変えさせたり、ある時は拷問までしていた。ジェダイは変わってしまったのだ、ダークサイドを無くすためなら手段を選ばなくなった。しかも、独立星系連合の残党とダークジェダイが結びつき、反乱軍まで出現している」

 

「何だと?!」

 

「こうなった理由は1つ、ジェダイが大きな勘違いをしているからだ」

 

「勘違い?」

 

「そうだ、ジェダイオーダーはシスを倒すことがフォースにバランスをもたらすとしているが、シスを倒してもバランスは訪れない。光があるところに影はあり、影があるところに光があるのと同じで、完全に一方だけが存在することは不可能。共存しなければならないのだ」

 

「そうか・・・もう1つ聞こう、俺はもとの世界に帰ることが出来るのか?」

 

「可能ではある。魔法帝国を倒せば、世界間を移動できる装置の設計図が見つかるはずだ。それを解析すれば、行き来が可能になる」

 

「それは良いことを聞いた」

 

「だが、問題点がある。この世界と元の世界の時間の流れ方が、魔法帝国の存在による空間の歪みのせいでズレているのだ。この世界が1年進むと、元の世界が2年進むといった具合にな。帝国を倒せばズレは無くなるが、1度進んだ時間は元に戻せない。つまり、戻る頃には元の世界の技術が相当発展していて、セカンド・オーダーでは対処不可能になる可能性がある。十分に注意しろ」

 

「分かった。頭に入れておこう」

 

「そろそろ時間だ、失礼する」

 

クワイガンの体が消え始めた。

 

「待ってくれ!聞きたいことがまだある!」

 

「さらばだ。フォースと共にあらんことを(May the Force be with you)

 

クワイガンは消え、空間も消失した。

 

*1
二式飛行艇をガンシップ化したイメージ。機銃は少し減ったが、機体の左側後方に100㎜榴弾砲を1門搭載している。また、着水時に錆びることを防ぐために榴弾砲は防錆びになっている。オリジナルよりも防水性は高い。




○28m級飛行艇
全長:28.13m
全幅:38.00m
全高:9.15m
⚪️Ⅰ式
・20㎜旋回銃5門
・7.7㎜旋回銃4門
・魚雷2本or爆弾2t
⚪️Ⅱ式(ガンシップ)
・20㎜旋回銃4門
・7.7㎜旋回銃3門
・100㎜榴弾砲1門



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驚き

この章の設定は基本的にウェブ版に準拠してます。


エスペラント王国 王城

 

貴族出身の正騎士ジャスティードは、来訪者のことを国王に伝えるため、王城へと参上していた。

 

「陛下、城壁の外に人間の集団が現れました」

 

「それは本当か?」

 

国王ラザロ・エスペラントは、驚きの表情を浮かべる。

 

「本当であります。彼らは、セカンド・オーダーと名乗っており、グラメウス大陸の調査に来たと申していました」

 

「魔物の偽装や幻術ではないのか?」

 

「それについてですが・・・彼らに対して、本当に人間かどうか問いただしたところ、彼らの代表は“フォースに誓う”と話しました。魔物はフォースという言葉を知りません。人間である可能性は十分にあります」

 

「フォースを知っていたか・・・異世界より来訪せし銀河の使者の長、聖騎士(ジェダイ)クワイガンが使用していた理の力・・・種族間連合や魔王討伐軍の合言葉にもなっていた」

 

銀河の使者は戦いの直前に必ず、とある合言葉を言っており、種族間連合も真似をしていた。

 

それは、「フォースと共にあらんことを」だ。

 

「彼らの代表を城壁内に迎え入れる。その後、城壁外に学者セイを派遣して銀河の使者に関係しているか調査させよう。ジャスティードよ、交渉は任せた」

 

「はっ!」

 

城壁の外

 

「というわけで、ヴィアーズ殿。陛下は代表を王国に招くことを許可なさった。ところで、隣の茶色の服を来た者はセカンド・オーダーの人間ではなさそうだが・・・」

 

「紹介していませんでしたねジャスティード殿、こちらの方はナカム少将。我々と合同で調査をしているグラ・バルカス帝国軍の将校であられます」

 

「他にもいたのですか。代表は双方から1人ずつ、護衛も1人ずつでお願いします」

 

彼は、再び城壁内へと戻っていった。

 

────────────────────

 

「グラメウス大陸に集落が?」

 

サイモンは、ホログラムを通じてヴィアーズから報告を受けた。

 

「はい、集落というよりは城塞都市でしたが。そして、都市の騎士と接触しました。そこで、興味深いことが・・・」

 

「何だ?」

 

「向こうの騎士は、フォースという単語を知っていました。銀河の使者に関する情報を持っている可能性があります」

 

「分かった。交渉に関しては、お前に任せる。私は、ミリシアル帝国の外交官にスターシップを見せなければならないからな」

 

「はい。向こうから城壁内に入る許可が降りているため、私とショット大尉で向かいます」

 

「頼んだぞ。事が済んだら私も向かう」

 

サイモンは、ホログラムを切った。

 

さて、外交官を案内しなければ・・・

 

場所は変わってギム特別区。

 

空は雲が多く、所々に切れ目がある。

 

「空中戦闘艦とやらは本当に来るんですか?」

 

外交官のフィアームは、怪しむように尋ねる。

 

現在、空にそんなものは存在していない。

 

「少し待てば来ます・・おっと、来たようだ」

 

サイモンの視線が向いた方向を、フィアーム自身も見る。彼は、円形の艦が来るものだと思っていた。

 

だが・・・

 

「三角形!しかも、全長が300mは有る!」

 

驚きを隠せない。

 

雲の切れ目から姿を見せたのは、アークワイテンズ改級クルーザー。対皇国戦の後に、護衛艦として対空ミサイルや極所防衛レーザー砲を設置する改造を受けていた。

 

「驚くのは、まだ早いです」

 

「え?・・・あ、あぁ!」

 

クルーザーの隣に、全長900mのヴィクトリーⅠ級スターデストロイヤーが出現する。

 

「さっきの奴の倍はある!」

 

フィアームは、これで終了だと思っていた。しかし、次に現れた艦が、彼の心に致命傷を負わせる。

 

「バカな・・・こんなに・・・大・・・」

 

全長1155mのヴェネター級スターデストロイヤーを見た彼は、気絶してしまった。

 

倒れたフィアームの体を、サイモンがフォースで支える。

 

こんなので驚くか・・・もし、スタードレッドノートを見たとしたら、死んでしまいそうだ。やれやれ・・・

 

サイモンは倒れている彼を一瞥すると、衛生兵を呼んだ。

 

───────────────────

 

ヴィアーズ達は王城に案内され、国王に謁見していた。

 

「そなた達が外より来た者達か?」

 

国王は尋ねる。

 

「セカンド・オーダー軍のヴィアーズと申します」

 

「グラ・バルカス帝国軍のナカムです」

 

「私はエスペラント王国国王、ラザロ・エスペラント。壁の外から人が来るとは、驚きだ。外の世界についての情報を教えてもらいたい」

 

「分かりました。ですが、まずは王国についての情報を教えていただけませんか?私達としては、この大陸に人が居たことに驚いています」

 

「良いだろう。一万数千年程前に銀河の使者によって魔王が撃退された後、勇者の率いる討伐軍がグラメウス大陸に派遣された。一応、魔王を封印することは成功している・・が、討伐軍自体は遭難してしまった。天然の要塞に籠城し城壁も築いていたのだが、捜索の部隊は全く現れずに数年が経過した。最終的に、自分達以外の人類は滅亡したと考えるようになり、魔物との戦いの末に討伐軍隊長を王としたエスペラント王国が建国されたのだ。しかし、そなた達が現れたことによって、状況が変わった」

 

「そのような成り立ちが・・・確か、魔王討伐軍に関する資料がトーパ王国にあった筈・・・」

 

「ヴィアーズ殿・・トーパ王国は残っていたのか!」

 

「はい。最近になって魔王が魔物を率いて侵攻を始めて来ましたが、我々セカンド・オーダーが魔王もろとも魔物を壊滅させました」

 

「なんと・・・で、そなた達のことも教えてくだされ」

 

「そうでした。では、我々についてお話しましょう」

 

ヴィアーズとナカムは、転移してきた勢力であることなどを伝えた。

 

「ほぅ、是非国交を結びたいものだ。しかし、我が国は滅亡の危機に瀕しています」

 

「危機?」

 

「そうです、あなた方に援軍を要請したい。とは言っても、あなた方の装備を知らない・・・視察として学者を送ってもいいだろうか?」

 

「勿論、どうぞ」

 





空気となったグ帝・・・


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第22話 世界会議、開催。

○レオ改級重巡洋艦
全長:203.76m
全幅:20.4m
速力:34.2kn
装備
・50口径20.3cm主砲 前甲板2基
・65口径10cm連装高角砲 前甲板1基
・40口径12.7cm連装高角砲 4基
・61cm4連装水上魚雷発射管 4基
・25㎜自動連装機銃 6基
・13㎜自動連装機銃 2基
・連装対空誘導弾発射機 後甲板2基
49年式艦対空誘導弾専用
→8連装対空誘導弾発射機
57年式個艦防空誘導弾専用
(1957年次改装)


グラ・バルカス帝国 帝王府

 

「カイザルよ、先進11ヵ国会議への護衛艦隊の編成と準備は済んでいるか?」

 

「はっ、陛下。既に編成は完了し、準備も翌日には完了する予定です。護衛艦隊はグレードアトラスターと最新型のユニコーン級航空母艦2番艦ルシタニア、武装貨客船を中核とし、護衛として49年式艦対空誘導弾を搭載したオリオン改級防空戦艦とレオ改級重巡洋艦をそれぞれ1隻、エクレウス級防空駆逐艦を4隻付けます。また、ルシタニアの艦載機としましては、アルゴル型噴進戦闘機を搭載し、20㎜機関砲を搭載するⅡ式とします」

 

カイザルはスラスラと説明する。

 

「各国の反応が楽しみだ。辺境にこんな戦力を保有する国家が存在するとは、考えたこともなかろうな」

 

帝王グラ・ルークスは、笑みを浮かべた。

 

「はい、陛下。レイフォルのような国がいない事を願うばかりです」

 

「レイフォルの一件は残念だった。だが、世界規模の会議に出席し、認められることが犠牲となった彼への弔いとなるだろう」

 

「外交官の派遣を許可願います、陛下」

 

外務省長官モポールが発言する。

 

「正式に許可しよう。ただ、我が息子も使節に入れてもらう。見聞を深めて欲しいからな」

 

「はっ!」

 

 

レイフォル区 とある建物

 

「ついに、我々が動くときが来たようだ」

 

仮面を着けた男が話す。

 

「そのようですな」

 

「帝国は最強であり、帝王陛下の率いる帝国こそが世界を統一するのに相応しい。そのことは、レイフォルとの戦いにて実証された。だがしかし、軟弱な内閣は弱腰な協調外交を展開し、帝王陛下と兄上もそれに乗せられている。これは、セカンド・オーダーと列強の仕業だ。今回の作戦では、列強の1つであるミリシアル帝国の最新鋭艦隊を叩き、最強ではないことを知らしめることにある。これを知った国民は一気に主戦派へと傾き、陛下の目を覚ますことに繋がるであろう。カオニア提督、この作戦を一任する。ただ、カルトアルパスへの攻撃は一切するな。グレードアトラスターの相手をするのは骨がおれるからな」

 

「了解しました、殿下」

 

「そして、第八旅団長ガオグゲルと第四師団長ボーグは、数ヵ月後にムーへ資源確保の為に侵攻するので、準備を行え」

 

「「はっ!」」

 

世界秩序を揺るがす騒乱は、確実に迫っていた。

 

───────────────────

 

神聖ミリシアル帝国 港町カルトアルパス

 

「ついに、この年が来たか・・・」

 

港湾の管理責任者であるブロンズは、先進11ヵ国会議を心待ちにしていた。何故なら、使者を護衛するために各国の最新鋭艦が集結するからで、軍艦オタクの彼にとってはお祭りのような物だからだ。今年は、新たな2ヵ国が初参加なため、どんな軍艦で来るか楽しみにしていた。

 

彼の元には、艦隊到着の情報が次々と入る。

 

「トルキア王国軍が到着しました。戦列艦7隻、使節船1隻です」

 

「アガルタ法国軍が到着。魔法船6隻、民間船2隻です」

 

この辺は、いつも通りだな・・・

 

「ムー国軍、到着しました。機動部隊16隻で、新型らしき戦艦が1隻含まれています」

 

ムーは護衛部隊の旗艦として、ラ・カサミの次世代艦であるラ・ドレド級を投入していた。

 

2年前に見たラ・カサミよりも、30mほど長いな。しかも、砲塔が整理されている。これならば、指揮や砲弾の補給が混乱することはないだろう。

 

ブロンズの推測は当たっている。

 

実際にムーは、前級では対戦列艦用として搭載していた40口径7.6cm単装砲と47㎜単装砲を廃し、45口径30.5cm連装砲5基と45口径7.6cm砲27基に限定しており、指揮の混乱を防ぐだけでなく、砲弾の種類を減らすことによる、補給の負担減少に貢献していた。

 

彼が気付くはずはないが、レシプロ機関の前級とは異なり、ラ・ドレドでは初の蒸気タービンを導入していて、速力が18knから21knに増加した他、体当たり用の衝角を廃していた。

 

「グラ・バルカス帝国軍、到着!大型戦艦1隻、戦艦1隻、大型航空母艦1隻、巡洋艦1隻、小型砲艦4隻、武装貨客船1隻です」

 

「デカイ・・・・」

 

ブロンズは、思わず声を漏らす。

 

あれが、噂のグレードアトラスターか。あの砲塔、おそらくミスリル級よりも強力だろう。もしかしたら、ミスリル級が圧倒されるかもしれないな。

 

右隣の航空母艦を見る。

 

ユニコーン級航空母艦2番艦ルシタニア。全長325m、搭載固定翼機数72機。グレードアトラスターよりも巨大だ。

 

我が国のロデオス級とは設計思想が異なっているな。ロデオス級はコの字に飛行甲板を配置した双胴航空母艦となっているけど、目の前の大型航空母艦は単胴型。進行方向の飛行甲板と合体する形で、船首方向に対して斜めに甲板が付いている。何故そのようにしているのかは、正直言って謎だ。そもそも、空母をあそこまで巨大にしたら、速力が落ちてしまうだろう。

 

彼は知らないが、ユニコーン級の最大速力は34knであり、現時点では世界最速の軍艦である。

 

彼の意識は、この2隻に集中しており、他の艦まで考察する余裕は無かった。

 

だが、そんな彼が驚くほどの艦が出現する。

 

「せっ・・セカンド・オーダー軍到着!300m級空中戦艦1隻、900m級大型空中戦艦1隻、1000m級超大型空中戦艦1隻です!」

 

息を切らしたような声で、報告が入る。

 

「なんだこれは!まるで魔法帝国だ!」

 

SOが送り込んだのは、アークワイテンズ改級クルーザー、ヴィクトリーⅠ級スターデストロイヤー、ヴェネター級スターデストロイヤーの3隻。インペリアル級を出さなかったのは、これらの艦だけでも十分に力の誇示が可能だと判断されたからだ。

 

「世界が・・・変わるな」

 

ブロンズは、そう確信するのであった。



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閑話Ⅲ
原点回帰計画



けっこう先の話です。


 マグドラ沖海戦及びバルチスタ沖大海戦の惨敗後、神聖ミリシアル帝国の技術者の1部がとある意見を出した。

 

「これまでの戦いで惨敗してしまったのは、

プロペラ機等の古い技術を軽視した上に自らの力で技術を発展させた経験が浅く、技術の本質を理解していないからである」

と言う意見だ。

 

その意見を元に、天の浮き船を始めとした機械が専門のルーンズヴァレッタ魔導学院にて、とある計画が動きだした。

 

それは、原点回帰計画

 

原点であるプロペラ機に回帰し、進化をやりなおす計画だ。

 

開発グループは主に戦闘機、攻撃機の2つに分かれて活動を始めた。

 

エンジンを開発するに当たって、ムーのマリン複葉戦闘機のエンジンをコピーするなんて狡いことはせず、魔導戦車の魔導エンジンが参考にされている。

 

戦闘機グループが最初に悩んだのは、機体の形状だった。さすがに、グラ・バルカス帝国の機体をパクるわけにはいかない。エルペシオ3の機体をそのままにプロペラ機にしたものの、両方ともジェット機の形状をしており、プロペラ向きではなかった。そんな中、グ帝が前にいた世界であるユグドに存在した大国、ニヴル連邦の戦闘機の写真を入手することに成功。それを参考にして作られたのだが、見た目が完全にソビエトのYak-3だった。

 

攻撃機グループも同じく、現行の機体のジグラント3を形状そのままにプロペラ機にしたのだが、戦闘機グループとは違って何故か上手くいき、速度は落ちたものの安定性が明らかにジグラント3を上回っていた。このことにより、ジグラント3の逆ガル翼とH字尾翼は空気圧縮放射エンジンよりもプロペラに向いている構造であることに、この期に及んでようやく気づくことが出来たのだ。その後、大型化したプロペラが地面に接触するのを防ぐためや爆弾装着の作業効率を上げるために固定脚式の主脚を逆ガル翼の曲がり角の部分に取り付けたり、構造を頑丈にした結果、試作機群はドイツのスツーカやアメリカのコルセアみたいな機体になってしまった。

 

その一方、魔導学院で変人と呼ばれていたとある技術者がロマンを求めてプロペラ式の巨人機を開発していた。機体の全長は28m、両翼の長さは53m、主翼の厚さは2.33m。重量を支えるために降着装置は4軸の車輪。巨大な翼には7発のエンジンを搭載。さらに、爆弾搭載量は9000kg。恐ろしいゲテモノ機体である。“こんな物は無駄だ”と他の技術者から馬鹿にされたが、魔帝対策省がこの機体に目を付けた。魔帝対策省は損失してしまった空中戦艦パル・キマイラと同等の武装を搭載できる空中兵器を作ろうしていたが、反重力エンジンのコピーすらできていなかった。そこで、この巨人機になら大型魔導爆弾ジビルや15cm三連装砲を搭載出来るかもしれないと考えたのだ。実際に搭載した所、両方を同時搭載するのは不可能だが、片方だけなら搭載出来ることが分かり、最終的に空軍へ採用された。

 

そして、4年後。ついに音速の機体を開発することに成功した。そう、原点回帰計画はついにプロペラ機からジェット機相当の時代に移行したのだ。エルペシオ3などではエンジン出力の問題で速度が出ず、やむを得ず後退翼ではなくテーパー翼を採用していたのだが、出力の問題が解決したため、後退翼を採用出来た。新型機には2つのタイプが存在し、MIG-15そっくりな戦闘機タイプであるエルペシオ4、Su-7そっくりな戦闘爆撃機タイプであるジグラント5が産み出された。

 

なお、ライバルのグ帝は第2世代ジェット機をすでに開発しており、早急な新型機開発が急務となっている。

 




ミリシアル帝国が露国面に染まっている・・・

魔法帝国戦後に、グ帝との冷戦が起こるのは確定事項。


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