テイルズオブシンフォギアザレイズ (光三)
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プロローグ①

新連載始めました。因みに、『神族』や『神の使徒』は出て来ますが落ちこぼれ魔法使い少女の設定を継いだだけの完全新作なので、この作品から読み始めても問題ありません。それでは、ご意見ご感想宜しくお願いします。


「ここは、どこだ?」

 

 俺は、何故か神々しい雰囲気の場所にいた。

 

「あの〜どなたかいらっしゃいませんか?」

 

 すると、目の前に神々しい雰囲気の女性が現れた。

 

「うわあ!ど、どちら様ですか?」

 

「私は、ニーベルングを創造し、管理していた(・・・・)『神族』ニーベルと申します。よろしくお願いします」

 

「済みません、1つ聞きたいことがあります。ここどこですか?」

 

「『神界』です」

 

「『神界』というのは、『神族』が住まう世界という認識でよろしいでしょうか?」

 

「はい、そうです。因みに、この『神界』には基本的に『神族』しか入れません」

 

「『基本的に』ということは『例外』があるんですね?」

 

「おお!流石私が認めた『人間』なだけはありますね!『例外』は、対象となる『人間』に『神族』が許可を出すことです」

 

「だけ?」

 

「それだけです」

 

「そう、なんだ。そんな、ガバガバでだいじょうぶなの?」

 

「大丈夫大丈夫、安心してよ!そんなことより、あなたの名前教えてよ」

 

「(なんか、この『神族』『神』のくせに『人間』くさい気がするな……まあ、俺の錯覚だろう)俺の名前は、(あずま) 光助(こうすけ)だ。宜しくお願いします。ニーベル様」

 

「ニーベル様じゃなくて、ニーベルって呼んで」

 

「は、はい。ニーベル」

 

「よしよし、よく出来ました」

 

「子供あつかいするなよ!」

 

「だってえ、あなた子供じゃん」

 

「20歳以上を大人とするなら俺はまだ子供だけども!」

 

「じゃあいいじゃん」

 

「ぐっ!」

 

「ふふ、それでは、あなたを呼んだ理由を話したいと思います」

 

「理由ですか?」

 

「はい、今『ティルナノーグ』という世界は滅びかけています。2人の『鏡士』と協力して世界を救ってくれませんか?」

 

「わかりました。喜んで」

 

「え?いいんですか?あなたには、関係ない世界の話なのに……どうしてあなたはそこまでしてくれるんですか?」

 

「多分それは、あるアニメの影響だと思います」

 

「あのアニメですか……」

 

「『戦姫絶唱シンフォギア』の立花 響に憧れて、今では人助けが趣味と言えるようになれました」

 

「でも、あなたそれだと心が……」

 

だとしてもっ(・・・・・・)俺には、もはやこの生き方しか無いんだ」

 

「っ!だったらぁ私が、あなたの生きる意味になります。だから、こんな悲しいこと言わないで!」

 

「なんで、ニーベルが泣くんだよ……なんでかわからないけど、ニーベルが泣くと俺も悲しくなる。だから、笑ってくれよ。俺なら大丈夫だからさ、ニーベルの告白を胸に『ティルナノーグ』で頑張っていくから『神界』から見ててよ」

 

「死んだら許さないから」

 

「わかったよ」

 

「そろそろ時間みたい。最後に1つ『お呪い』」

 

「『お呪い』?」

 

「『神族』ニーベルの名において、『人間』東 光助に『加護』を与えよ」

 

「うお!何だこれ、身体が光って!」

 

「これで、あなたは『神の使徒』になりました。能力としては〔念話〕とあなただけの特殊能力が使えます。あとそれから『不老』なので老衰で亡くなることはないです」

 

「そうか……じゃあ、ニーベルとずっと一緒に居られるね」

 

「無事に戻って来れたらだけどね……」

 

「必ず、帰ってくるよここに」

 

「じゃあ、いってらっしゃい」

 

「うん、いってきます」

 

「『特殊異能』〔強制転移〕発動!!」

 

 この言葉を最後に東 光助は『神界』から消えた。これから、始まるのは『鏡映点』と『鏡士』と『神の使徒』のティルナノーグでの戦いの日々であり、多くの人との絆を結ぶ物語である。




お読み頂きありがとうございます。


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プロローグ②

 ——セールンド北部 デレク山——

 

「……どうしたイクス、コウスケ?早く構えろよ」

 

「……マーク……一体、どうして……!?何で、こんな風に戦う必要があるんだよ!?」

 

「もう、やめようぜこんな意味のねえ戦い……それとも何か理由があるのか?」

 

「俺とお前らは、敵同士。ずっと、そうだったろ?」

 

「だったらどうして、この間は一緒に戦ってくれたの?」

 

「ただ、気まぐれに道が重なっただけだ。——深い理由なんか、ないさ。構えねえならそれでもいいぜ。そのまま、死にな」

 

「嫌だね、俺は必ず『ティルナノーグ』を救って、ニーベルの元へ帰る!」

 

「ああ、そういうわけには、いかない。俺は、この世界を救ってみせるって誓ったんだ。だから、この先に進んでみせる!」

 

「うん……私も——イクスとコウスケが進む道を、信じてる!」

 

「(俺も、あの人たちみたいな強さが欲しい)」

 

「(俺も、あいつのように本当の意味で人助けをしてぇ)」

 

「「そうならなきゃ、いけないんだっ!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ——数ヶ月前。オーデンセ港——

 

「……クス。……イクスー?イクス聞こえてるー?」

 

「ああ、聞こえてるよ。どうかした?」

 

「積み荷。それで最後だよ。気を付けてね。急にぼーっとするからびっくりしたよ」

 

「ごめんな。ちょっと考え事をしてたんだ。なんでもないよ。よいしょ……これで全部か。手伝ってくれて、ありがとな。ミリーナ」

 

 イクス・ネーヴェは、ミリーナ・ヴァイスに手伝ってもらいながら荷物を船に積み込んだ。

 

「遠くの海への漁は初めてだから、どうも勝手がわからなくて。1人だったら時間通りに終わらなかったよ」

 

「ううん、全然!——帰ってくるのは4日後、だっけ」

 

「ああ、4日で帰って来られればいいな……みんなは何度も行った事があるって言うけど、どんなトラブルがあるかわからないもんな。まずはやっぱり天候か……大雨、嵐は、ずっと警戒しておくとして……逆に、日照りにも注意しないと。水を多く積みたいけど……過積載は船の転覆に繋がる……そこをクラーケンや『ノイズ(・・・)』にでも襲われたら全滅だ。『ノイズ』はともかく、クラーケン対策は何か用意していたっけ……そうだ、図鑑を持って行こう。生態を知れば、対策が立てられる。やっぱり、遠くの海は危ないな。こんなに沢山の危険を思いつく。——慎重に、漁に出ないと」

 

 どうやら、イクスは考え過ぎるところがあるようだ。

 

「ふふっ。イクスったら、相変わらず心配性なんだから。それに『ノイズ』は滅多に出現しないって王様も言ってたよ。でも、大丈夫。イクスが、それだけ考えて準備してるんだもの。自信持っていいんだよ。頑張って!」

 

「ミリーナ、もう子供じゃないんだぜ。手とか、繋がなくていいよ」

 

「ふふっ。——ごめんごめん。イクスが不安がってると、つい応援したくなっちゃうの。……それに4日も会えないと寂しいし……」

 

「4日なんてすぐだろ?」

 

「うーん。漁、心配だなぁ、ついていけたらいいのに」

 

「何の訓練もせずに乗るなんて、それこそ何が起こるかわからないからダメだよ。それにミリーナは、『鏡士』の修行もあるだろ?」

 

「そうだよね……残念。あ!だったら!ちょうどこの間、習った術があるの」

 

「術?」

 

 ミリーナは、術を発動させた。

 

「わっ!何だそれ?」

 

 突然、現れた妖精のようなものに驚いたイクスは、ミリーナに聞いた。

 

「『具現化の術』よ。『鏡士』にしか出来ない秘術——まだ小さいものしか出来ないけど」

 

「はじめまして、イクスさま。私、ミリーナさまの『鏡精』のカーリャだよ!」

 

「あ、ああ……」

 

「ねえ、カーリャ?私の代わりに、イクスについていってくれないかな?」

 

「ミリーナさま〜。カーリャは、ミリーナさまから離れすぎると力が出なくなっちゃうんだよ」

 

「そっか、そうだよね〜……」

 

「凄いな、ミリーナ。こんなことも出来るようになったのか」

 

「イクスだって、もう遠出に連れていってもらえるようになったなんて凄いじゃない。頑張ってる証拠だよ。お互い順調だね!」

 

「ははっ。そうだな。やっぱり俺は、こっちの方が合ってるんだろうな。さて、それじゃあ一度家に戻ろうかな。図鑑、取ってこなきゃ」

 

「それじゃあ、カーリャも一旦さようなら〜また、いつでも気軽にお呼び出しを。ばーい!」

 

 そう言うとカーリャは消えた。

 

「……なんだか騒がしいやつだな」

 

「ふふっ。元気な子なのよ」

 

 そして、イクスは家に戻ろうとした。その時、イクスは違和感を感じた。

 

「(——うん?何だ……?今の音)」

 

 イクスとミリーナが振り返ると空から火の球が大量に降り注いでいた。そして、イクスはミリーナを抱えて海に飛び込んだ。

 



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プロローグ③

「そいつも、命はあるみたいだな」

 

 何か声が聞こえる。

 

「おい、大丈夫か!?」

 

 まただ、少しうるさいな。

 

「ミリー……ナ」

 

「お前が、抱えていた女のことだな。そっちも無事だよ」

 

 イクスは、目を覚ましまわりを見た。すると、自分と同じくベッドに横たわるミリーナの姿があった。

 

「さっき同じように目を開けて、イクスって——そのまま寝てしまったよ」

 

「よかっ……た」

 

「喋れるなら自分たちになにがあったかわかるか?」

 

「わからない」

 

「お前ら、『オーデンセ』から流れてきたんじゃないかと思うんだが」

 

「『オーデンセ』は……俺たちの故郷だ……」

 

 すると、もう1人の赤髪の男が言った。

 

「……だよな」

 

「遠くだったけど、『救世軍』の船の上から見えたよ——『オーデンセ』に火の玉が降るのがな」

 

「何だ……それ」

 

「でもな、海に漂ってたお前らをマークさんが引き揚げてくれたんだ」

 

「マーク…さん……?」

 

「ああ!お前たちを助けるために、荒波の中に飛び込んでくれたんだ」

 

 あぁ、まるで⬛️⬛️ ⬛️のようだ。

 

「ぐっ」

 

「どうした!?」

 

「少し頭が痛くて……」

 

 何だったんだろ、あの既視感。マークさんを見ていると、名前も知らない筈の女の子を思い浮かべてしまう。一体なんだったのだろうか?まぁ、それは今どうでもいい。マークさんは、俺たちの命の恩人だ。だから………

 

「ありが……とう……」

 

「眠ってろよ、イクス。……あんなところでのたれ死ぬなんてさせねぇさ」

 

 その言葉を聞いた後、イクス・ネーヴェは意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ——数日後、救世軍アジト——

 

「よし……もう大丈夫だ。動けるようになったな」

 

「マークさんのおかげ、だよね。あの人が、回復するまで介抱をって言ってくれたんだって」

 

「ああ。出来れば、直接お礼を言いたかったな」

 

「『忙しい人で、あの後すぐに俺たちに任せて発っちゃった』って言ってたね」

 

「一体、何してる人なんだろう?」

 

「わからないね……でも、どこかでまた会えたらいいな」

 

「ああ。だけどまずは、『王都セールンド』に向かおう。『オーデンセ』に『災害』があったことを王様に伝えなきゃ」

 

「うん。それじゃあ、行こうか」

 

 そのとき、声が聞こえてきた。

 

「よう、お前ら。出発か」

 

「はい。本当にお世話になりました」

 

「……『セールンド』に行くんだよな。道は、教えたよな?」

 

「近くの山道を抜ければ、見えてくるんですよね?」

 

「ああ。そうだ。だが気をつけろよ。この付近には『魔物』が出るからな。後、無いとは思うが……『ノイズ』にあったら必ず逃げろ。絶対に倒そうなんて思うな!」

 

「……え?まさか!凄く危険な道ってことですか?それじゃあ、色々と対策していかないと……!『ノイズ』の対策は逃げ一択として、『魔物』については……どんな攻撃特性を持っているかわからない。まずは、解毒薬の準備をして、それと麻痺対策に、睡眠対策、石化と——」

 

「おい、心配し過ぎだ。『魔物』は多少出るが、小物ばかりだよ」

 

「それだったら大丈夫。イクス、こう見えても漁師の仕事で鍛えてて逞しいんですよ!」

 

 すると、恥ずかしいのかイクスは苦笑いしながらこう言った。

 

「……そうだけど。何でミリーナが、そんなに楽しそうに言うんだよ?」

 

「……??お前漁師だったのか?『魔鏡』をつけてるから、『鏡士』かと」

 

「……まぁ、ちょっと色々ありまして。これは両親の形見だから持っているだけなんです。俺には、『鏡士』の才能はなくって」

 

「何にせよ、海仕事で体力があるなら充分行けるだろうさ。こいつを持っていきな」

 

「これは?」

 

「この中には、ちょっとした旅道具を入れてある。これも、マークさんが渡してやれって」

 

「本当に、何から何まで……ありがとうございます」

 

「『セールンド』に行ったら、絶対に王様に会うんだぜ。……今は、王様が一番信じられる人なんだ」

 

「わかりました。それじゃあ!」

 

 そして、2人は『セールンド』に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「見えてきた!きっとあれが『セールンド』だ」

 

「凄い、大きい街!あの高い建物がお城だよね、きっと?」

 

「ああ。きっとそうだ。……?その横の丸い大きな建物は、一体何なんだ?」

 

「……う〜ん……なんだろう?」

 

 そのとき、男の人が話かけてきた。

 

「あの、すみません。1つ聞きたいことがあるのですが、いいですか?」

 

「はい。何でしょうか?」

 

「この世界の名前は、『ティルナノーグ』でよろしいですか?」

 

「??そうですが」

 

「(この世界?まるで、他にも世界があるような言い方だな。……何なんだろう?)」

 

「ありがとうございます。次の質問ですが、『セールンド』は、あの見えている街ですよね?」

 

「はい。そうです」

 

「ありがとう」

 

 そう言って、男の人は『セールンド』に向かっていった。

 

「そういえば、名前聞きそびれちゃったね」

 

「きっと、また会えると思うけど……」

 

「貴様ら!こんなところで何をしている!」

 

「え?」

 

 2人はいきなり、重武装の兵隊たちに取り囲まれてしまった。

 

「わ、わ!?い、一体何!?」

 

「『救世軍』に暗謀の動きあり、警戒せよとの指令が出されていたこの折に『セールンド』を一望出来る場所にいるなど……」

 

「ええっ!?いや、俺たち別に何も悪いことなんてしてなくて……」

 

「それは、調べてみればわかることだ。我々と一緒に来てもらうぞ」

 

「イクスどうしよう?『セールンド』の兵士さんたちみたいだけど……」

 

「別に、こっちにやましいことはないし、大人しくついて行こう。そのまま『セールンド』につけるわけだし。——わかりました。一緒に行きます」

 

「うむ、賢明だな。……最近、奴らの活動が活発化していてな。悪く思わないでくれ」

 

「『救世軍』ってどうゆう集まり何ですか?」

 

「『救世軍』などと名乗っているが、『宰相ゲフィオン』様を魔女だのと騙り、討とうとする犯罪者どもの集まりだ」

 

「(『救世軍』って確か、マークさんがいたところじゃなかったっけ?そんなことをする人たちには見えなかったけど……それに、まあこれに関しては無関係だろうし今はいいかな?)」

 

「へえ………?イクス、どうしたの。考えこんで?」

 

「いや、何でもないよ。ミリーナ」

 

「そう」

 

「ふむ?しかし、お前たちそんなことも知らないのか?一体、どんな田舎から来たんだ?」

 

「俺たち、小さな島で暮らしてたから世情に疎くて………」

 

「(ん?小さな島…………ま、まさか!!?)」

 

「な、なあ。お前たちどこから来たんだ……?」

 

「私たちは、『オーデンセ』から………」

 

「『オーデンセ』!!それは『ゲフィオン』様がおっしゃっていた……」

 

「ゲフィオン様?(確か、宰相だったっけ?それにしても、なんで兵士たちはそんなに驚いているんだろ?)」

 

「ならば、君たち。詰所までと思っていたが、少々事情が変わった。このまま城まで一緒に来てもらうぞ」

 

「城!!!(『オーデンセ』の名前を兵士たちが聞いた後から何かおかしい……なんだ、何が始まろうとしているんだ!)」

 

 イクスは、なぜか言いようのない不安を感じる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ふふっ、今更気づいたの?おっそーい!!あんた、この世界の(・・・・・)主人公(・・・)なんだよね?

 

「なんだ?誰だ?」

 

『概念世界』、『並行世界』、『異空間』、『α世界軸』、『β世界軸』ふふ、かわいい。もっとイジメちゃお❤️

 

「や、やめろ。何なんだいきなり!お前は何者だ?」

 

 アヌンナキ即ち、『神』よ。はは、うふふふふ。

 

「『神』?アヌンナキ?知らない、知らない知らない知らない知らない知らない知らない!!!」

 

 あらら、もうギブアップなのお。つまんねえやつ………じゃあ、充分楽しんだし死ね(・・)

 

「やめろ、近づくな!やめろやめろやめろやめろやめろ!!誰か助けてくれ!ミリーナ!フィル(・・・)!マーク!誰か、誰でもいい助けてくれぇぇぇぇぇ!!」

 

「おう、まかせろ!」

 

 どこかで聞いたことがある男の声が聞こえた。




『ノイズ』、『カストディアン(アヌンナキ)』が登場してしまいました。この世界『ティルナノーグ』に何があったのでしょうか?因みに『ゲフィオン』でさえこの謎はわかりません。


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プロローグ④

「さて、さっきぶりですね」

 

「は、はい。あの、ありがとうございます」

 

「ううん、気にしなくていいよ。人助けは俺の趣味だから」

 

「俺の名前は、イクス・ネーヴェです」

 

「あ、そういえば名乗ってませんでした。俺の名前は、東 光助です。よろしくな。———さてと、『アヌンナキ』さん………何であんたみたいな奴がこの世界にいるんですか?」

 

『神の使徒』か。ちっ、あの『神族』余計なことしやがって。

 

「あ、あの。アズマさん。さっきから意味がわからないんですが……『神の使徒』とか『神族』とか」

 

「いや、光助でいいですよ。まぁ、『ティルナノーグ』を救うために異世界からやって来たっていうことです」

 

「異世界ですか?本当に存在してたんですね……」

 

「俺も、それは驚きました。でも、『神族』に会って『神の使徒』になってますからね」

 

「非現実的なことが目の前で起こってますけど、現在進行形で」

 

「カッコつけて割り込んだのはいいけど、状況はかなりヤバイです」

 

「まじ、ですか?」

 

「残念ながら、まじです」

 

 ふふっ、じゃあ死ね。

 

『アヌンナキ』が攻撃を加えようとしたその時。

 

「ちょっと、待ってくれないか?」

 

「(急にどうしたんだ?)」

 

 イクスが疑問に思っていると。

 

「いくつか質問があるんです。答えていただけませんか?」

 

『神の使徒』の言葉を聞いてやるのも癪だがまぁいい。冥土のみやげだ。

 

「ありがとうございます。では、どうして『ノイズ』がこの世界にいるのですか?というか、『アヌンナキ』ですらいることに疑問を感じるんですよ」

 

 どうしてだ?『異世界なんだからいる可能性』はあるだろう?

 

「ああ、そうだな。それが本当にこの世界由来のものならな」

 

「へ?コウスケ、一体どういうことなんだ?」

 

「実はな、今宰相さんに話を聞いているところなんだ」

 

「ええ!?そうなのか?」

 

「もちろん許可を得てここにいるから、安心してよ。でだ、宰相さん『ゲフィオン』様に聞いたんだ、この世界に『ノイズ』がいるということを。そこで、俺は質問した。この世界に(・・・・・)ノイズ(・・・)に対抗できる力(・・・・・・・)はありますか?(・・・・・・・)ってね」

 

「そんなものが存在するのか!?」

 

「いや、存在してないよ。この世界には」

 

「あれ、そうなのか?」

 

「そして、それは他の世界にも(・・・・・・)存在してない(・・・・・・)だとさ。因みに、『ノイズ』についても同様でした。これはニーベルの言葉だから確実です。つまり、『ノイズ』も『アヌンナキ』も空想の中の産物でしかないということです」

 

 ぐっ、貴様ぁ!無駄に頭がいいようだな。

 

「空想の中の産物?でも、実際『アヌンナキ』も目の前にいて『ノイズ』も存在してますよ?」

 

「はい。そうですね。でも、『並行世界』———可能性の世界なら存在することができる」

 

「………あっ!そういうことか!たとえ、空想の中の存在だとしても『並行世界』なら存在できる可能性はある。だって、可能性の世界だから(・・・・・・・・・)

 

「そう。そして、『アヌンナキ』がこの世界にやってきて『ノイズ』を創り出した」

 

「そういうことだったのか。だから………」

 

「最後の質問です。『戦姫絶唱シンフォギア』って知ってますか?」

 

『神の使徒』と『端末』ごときが!ここで死ねえぇぇぇ!!

 

「お断りします。(ニーベルあれ(・・)お願い)」

 

「(はい。『特殊異能』〔強制転移〕発動!)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、ここは『セールンド』にある『カレイドスコープ』実験施設である。現在ここには、イクス、ミリーナ、コウスケ、そしてこの国の宰相である『ゲフィオン』の4人がいる。

 

「ここは、一体?」

 

「多分、『ティルナノーグ』を救う方法知ってるんだと思う」

 

「よく来てくれた。『鏡士』たち(・・)そして、異世界から来た『神の使徒』よ」

 

「この世界を救うって、どういうことなんですか?」

 

「お前たちが、この世界の希望なのだ」

 

「すみません。話が見えません。それに『ゲフィオン』様!『オーデンセ』で『災害』があったんです」

 

「へ?マジか」

 

「はい。そもそもあそこにいたのも『セールンド』の王様に『オーデンセ』の『災害』について知らせる為だったんで」

 

「そう、なんだ」

 

知っている(・・・・・)。これから話すことが関係しているのだ。とても、大事な話だ」

 

「この世界『ティルナノーグ』が滅びに向かっているってことでしょうか?『ゲフィオン』様」

 

「『神族』ニーベルから聞いたのか?」

 

「はい、そうです」

 

「!?」

 

「ど、どうゆうことですか!?この世界が滅びに向かってるって……」

 

「お前たちに降り注いだ炎の雨。あれは、その『滅びの危機』と関係している」

 

「そ、それってどういう?」

 

「あれは『破片』なのだ。この世界を滅びから守っていた、鏡の盾『アイギス』のな」

 

「んー??」

 

「(どうしたんだ?コウスケは)」

 

「このままでは、あれと同じことが再び起こる」

 

「「「!?」」」

 

「我々は急ぎ、この『アイギス』を修復しなければならない。その為の任務を、お前たちに託したい。これは、『オーデンセ』の『鏡士』にしか出来ないことなのだ」

 

「『鏡士』にしか出来ないこと?」

 

「あの!『ゲフィオン』様……申し訳ありません。俺は『鏡士』じゃないんです」

 

「(……イクス)」

 

「…………」

 

「……死んだ両親は『鏡士』だったけど、俺自身は、そういう修行はしていなくて」

 

「『オーデンセ』で暮らしながら、その腕の『魔鏡』は飾りだと?」

 

「それは……」

 

「『ゲフィオン』様!私はまだ若輩ですが、『鏡士』としての修行を積んでいます。お話は私が伺いますので……どうか」

 

「(何でイクスは二の足を踏んでるんだ?あの感じだと、過去に何かあったのか?)」

 

「……そうか。わかった。娘1人に託すのは過酷な任だが———それに『神の使徒』もいる。護衛は、彼に任せるか……」

 

「俺は、別にいいのですが……」

 

「そんなに、危険な任務なんですか!?」

 

「命の危険を伴うだろう。もちろん、それに報いるだけの恩賞と支援は与えるつもりだ」

 

「……」

 

「すまぬ。しかし、これはなんとしてもなさねばならないこと。修行をしているならば『鏡士の掟』を学んでいるな?」

 

「……はい。尊き『異能』である『鏡士』の力は我欲の為に振るうのではなく、世の為にその力を振るえと」

 

「世の為、今がまさにその時なのだ」

 

「わかりました。私も、修行中の身とはいえ『鏡士』です。『ゲフィオン』様。どうぞ、お話を」

 

「待ってください!」

 

「(イクスのあの表情……覚悟を決めたな)」

 

「何だ?」

 

「『ゲフィオン』様……少し、よろしいでしょうか?俺の『鏡士』の力のこと」




ヤバイプロローグが終わらん……
でも安心して下さい。次回でプロローグは終わり、本格的に物語が展開して行きます。

お読みいただきありがとうございます。


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プロローグ⑤

「イクス!!」

 

「………」

 

「いきなり大声出すなよ……」

 

「俺……昔、『鏡士』の術を使おうとして、事故を起こしたことがあるんです。溢れた力を、上手く制御出来なくて……」

 

「……それで、『鏡士』の道を断ったのか」

 

「でもさ……それってもしかして」

 

「ああ、裏を返せば潜在的に、強大な力を持ち合わせているという証左でもある」

 

「結局、上手く出来なかったわけですから……それで周りの大人たちにも、ミリーナにも迷惑をかけてしまったし」

 

「そんなこと……」

 

「そんな———そんな俺でも、手伝えますか、その任務?」

 

「!!……イクス……」

 

「『鏡士』の才は、血統に依存する。両親が『鏡士』であり、『魔鏡』を持つお前には充分にその才覚があるだろう。修練の有無で、私の気持ちは変わらぬ。是非、この任を受けてもらいたい。世界を救う為に(・・・・・・・)

 

「わかりました」

 

「良いの?イクス、『鏡士』の力嫌だって……」

 

へいき、へっちゃら(・・・・・・・・・)だ」

 

「へ?……イクス?」

 

「!!!」

 

「なんか知らないけど、たまに知らない女の子が夢に出てくることがあるんだ……今の言葉も……」

 

「その女の子が言っていた言葉か?」

 

「そうなんだよ、コウスケ。その女の子のことを考えると、妙に懐かしい感じがするんだ……不思議だよな」

 

「(なあ、これはどういうことなんだ?ニーベル……そもそもこの『ティルナノーグ』という世界を創造した『神族』は誰なんだ?)」

 

「(………そ、それは)」

 

「(どうした?)」

 

「(『ティルナノーグ』という世界を創造したのは、ダーナという人物(・・)です。そして、『神族』が概念を創造し創られた世界を『概念世界』といいます)」

 

「(……………じゃあ、ダーナという『神族』が創造した『概念世界』が『ティルナノーグ』というわけか)」

 

「(うっ、…………そ、そうよ。流石、私の認めたひとね)」

 

「(…………愛してるよ、ニーベル。たとえ、この先何があったとしてもこの気持ちだけは変わらないから)」

 

「(………………………ありがとう、コウスケ)」

 

 ニーベルとの〔念話〕も適当に、コウスケは話の続きを聞くことにした。

 

「ミリーナ1人で、危険な任務をしなきゃいけないなんてのも嫌だから———だから、俺やってみるよ」

 

「イクス……ありがとう。私、イクスがそう決めたなら絶対やれるって思うよ」

 

「そうだといいな。自信は全然ないけど、ミリーナとコウスケが一緒ならなんとかなる気がしてきた」

 

「『鏡士』のことだったら、なんでも聞いてね。ほら、私ちょっとだけ先輩だし」

 

「元々、その為にこの世界にやってきたからな……任せろ。あなたたちは、絶対に俺が守る!」

 

「ありがとな。宜しく頼むよ。ミリーナ、コウスケ」

 

「改めて、私からも礼を。ありがとう。お前たちの旅に、最大限の支援を約束しよう。では、イクスとミリーナ。この機械に触れるのだ。この『カレイドスコープ』が、お前たちの『魔鏡』の力を増幅させてくれる。維持する為のエネルギーは……『アイギス』を修復し、今のこの世界(・・・・・・)には無い(・・・・)。だが、そのエネルギーを再びこの世界に満たし、世界を滅びから救う為の策がある」

 

「『概念世界』や『並行世界』からそのエネルギーをいただくということか……」

 

「そういうことだ。さぁ、始めるぞ。『アイギス』を癒すエネルギー、『アニマ』に満ちた異世界の具現化を!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ———数日後、セールンド近郊———

 

「いよいよ、出発か。準備は大丈夫か、ミリーナ?」

 

「うん、ばっちりよ」

 

「それじゃあ、準備が本当に万全か、確認だ。「イクス、ストップだ」へ?なんで?」

 

「何回目だよお前のその確認……人間死ぬときは死ぬんだ。慎重なのはいいことだが、慎重過ぎるのもどうかと思うぞ」

 

「ごめん……」

 

「それよりかさっさと行くぞ。具現化した異世界へ」

 

「そうだな」

 

「そうね」

 

「おーい。お前ら、そろそろ行くぞー。急げよー!」

 

「ガロウズさんも呼んでますよ。それでは旅に参りましょうか!」

 

 彼女は、カーリャ。『鏡精』だ。

 

「(でも、なんでだ!なんで、俺はこんなにも『鏡精(・・)を警戒してるんだ(・・・・・・・・)())」

 

「よし。やってみるか!」

 

「うん!一緒に頑張ろう!」

 

「それじゃあ、行こう。まず、『はじめの鏡映点』の場所へ!」

 

 こうして、3人は飛空艇『ケリュケイオン』に乗り込んだ。



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第1話 はじめの具現化世界へ……そして、イクスの決意表明!

「到着ー!」

 

『鏡精』のカーリャが元気よく言った。

 

「これが……『具現化』させた世界。凄い、全然普通と変わらない」

 

「唯一、変わっていることといえば……『概念世界』なのに『神族』がいないことだな」

 

「そうなんですか?そもそも、『神族』って何者なんですか?『神』ということは理解できるんですが……」

 

「ちょっと待ってくれ、ニーベルに聞いてみる」

 

「「わかりました」」

 

「(ニーベル、どうなんだ?)」

 

「(『神族』とは、感情を持ったシステムです。即ち、世界を創造する力を持ったネットワークシステムです)」

 

「(な!)」

 

「(同時に『人間』としての性質も持っています)」

 

「(はぁ!ど、どういうことだよ)」

 

「(『概念創造』と『身体修復機能』と『不老性』を持ち合わせています)」

 

「(『身体修復機能』か………そこに『自動』という言葉がつかないことを考えると、『神族』は『不老』であっても『不死』ではないんだな)」

 

「(本当にあなたは賢いのね、流石、私が認めた『運命の人』……)」

 

「(そ、そして。『概念創造』して形成された世界が、『概念世界』というわけだな?)」

 

「(そういうことよ)」

 

「(じゃあ質問なんだけど、『概念世界』を創造した『神族』が死んだらどうなるんだ?)」

 

「(その『概念世界』は……消えます)」

 

「(やっぱりか………)」

 

「(『概念世界』が滅びる原因は、大きく分けると2つあります。1つは、『概念世界』を創造した『神族』が死ぬこと。こっちは、滅びるというより消える……だけどね。そして、2つ目は、内的要因つまり『概念世界』内部でのトラブルね)」

 

「(『概念世界』内部のトラブル……『人間』同士の争いか………下らないな)」

 

「(そうね…………でも、争いあう気持ちもわかるんだ私)」

 

「(…………)」

 

「(私は、『β世界軸の神族』だから残虐だった(・・・)のよ)」

 

「(『β世界軸』?なんだそれ?)」

 

「(超簡単に言うと、『α世界軸』が命を重く見る世界。『β世界軸』は、命を軽く見る世界なのよ)」

 

「(ま、まさか)」

 

「(今、あなたが想像したことで間違いないわ。でも、『α世界軸』だからといってβの考え方が無いとは言えない……その逆も然りよ)」

 

「(『人間』は、『感情』に従う生き物だから……お互い譲れないものがある限り争いあうか………だとしても、俺は信じたいよ………人は『人間』は話し合いで妥協点を探ることが出来ると……綺麗事だってわかってるんだ、本当は。でもよ、1人ぐらいそういう奴がいないとさ世界はまわらないんじゃないのか?)」

 

「(綺麗事ね、下らない!そんな、下らねぇこと言ってないでとっとと邪魔者消してこい!!………前までの私なら絶対そう言ってた)」

 

「(断言なんだな……)」

 

「(そうよ、昔の私は有り体に言ってクズだったわ。あることがきっかけで、間違いに気づいたんだけどね)」

 

「(そうか………でも、よかった。今は、優しい『神族』のニーベルだから)」

 

「(ありがとう。あなたに会えて本当によかった)」

 

ニーベルとの〔念話〕を切り上げ、『神族』についてわかったことを共有した。

 

「『人間』と『神』が同居した様な存在ですね」

 

「いや、ミリーナ。実際そうなのかもしれない」

 

「どういうこと?」

 

「…………そうか、俺わかったかもしれない。『神族』っていうのは、『人間』と『神』のハーフなんじゃないか?推測でしかないけど………」

 

「その推測は、的を得ていると思う。『神族』ニーベルは何かをきっかけに考え方が変わった(・・・・)。それって言い換えると『心』が成長したとも言えないか?」

 

「なるほど」

 

「『人間』の部分『心』と『身体』と『死』。そして、『神』の部分『ネットワークシステム』と『不老』と『身体修復機能』。それらが混ざりあった存在が、『神族』という種族なのかもしれない」

 

「う〜、ミリーナ様。何言ってるかわかりませんよ〜。そんなことより、『鏡映点』を保護しないと」

 

「そうだな」

 

「飛空艇はどうしておく?」

 

「ガロウズが残って、見張りをしてくれるって。さぁ、行こう」

 

イクスとミリーナと『鏡精』とコウスケは、深い森の中を歩いていた。途中、魔物が出たが特に問題なく進むことが出来た。

 

「事前の探知では、この辺りに『鏡映点』がいるっていう反応だったけど……全然人の気配がないな」

 

「当たり前だろ。『人間』なんだ、『鏡映点』も。いきなり知らないところに放り出されてるんだ、まずは歩きまわるだろ」

 

「まさか、『光魔』に襲われているのか?」

 

「………少し、急ぐぞ」

 

「ええ」

 

それから、ミリーナたちは二手に分かれて『鏡映点』の探索を行うことにした。因みに、ミリーナとカーリャは西側を、イクスとコウスケは東側を探索することになった。

 

「なぁ、コウスケ。1つ聞きたいことがあるんだ。いいか?」

 

「なんだ?」

 

「アヌンナキと対峙している時言ってた『戦姫絶唱シンフォギア』ってなんなんだ?」

 

「あぁ、そうだな。説明が難しいな………どう、説明したものか」

 

「もしかして、元の世界由来のものですか?」

 

「うん、そうだよ。俺が生まれた『概念世界』で1万年以上前に制作された物語の名前だ。その中の立花 響という名前の主人公に俺は憧れてそして、俺の人生は大きく変わった」

 

「立花 響さん、ですか?もしかして………俺の夢に出てくる名前の知らない女の子って」

 

「間違いなく、立花 響のことだろうな。あの時言っていた『へいき、へっちゃら』という言葉は、その女の子の『口癖』の様なものだ。その言葉は、問題を先送りにする為の逃げの言葉でしかない。だが、彼女の父親が唯一残してやれたものだったんだ」

 

「そうだったんですね。でも、不思議ですね。『並行世界』の存在が夢で現れるなんて」

 

「そこもよくわからないんだよな。わからないことといえば、『アヌンナキ』もなんだよなぁ」

 

「へ?どうしてですか?」

 

「俺は、この世界に来る前に『神界』という『神族』が住む『概念世界』を経由したんだ。そして、ニーベルは俺に『加護』を授けた」

 

「なるほど」

 

「そして、ニーベルは『特殊異能』によって俺をこの世界に強制的に転移(・・)させた」

 

「すみません、『特殊異能』ってなんなんですか?」

 

「そういや、俺も知らないや。ニーベルに聞いてみる」

 

「わかった」

 

「(なぁ、ニーベル。『特殊異能』って一体なんなんだ?)」

 

「(簡単に言うと、『神族』が使う技のことですね)」

 

「(なるほど)」

 

「(因みに、『神の使徒』にも『特殊異能』の一部が受け継がれます)」

 

「(わかった。ありがとう)」

 

コウスケとニーベルは、〔念話〕をやめた。そして、コウスケはイクスに『特殊異能』に関する説明をした。

 

「『神族』が使う技で、その一部がコウスケにも流れ込んでいるってわけか……」

 

「あの時、ニーベルが使った『特殊異能』は〔強制転移〕だった。『転移』、『移動』、『召喚』、『転生』これらは異世界に行く為の方法らしい」

 

「じゃあコウスケは、『神界』にニーベルによる『召喚』で行き、ニーベルによって『転移』させられてここに来たってことだね」

 

「そういうことだ」

 

「で、その話と『アヌンナキ』がどういう風に関係してるんですか?」

 

「あの『アヌンナキ』がこの世界に来た方法だよ」

 

「??…………確か、『並行世界』からこの世界に『移動』してきたんですよね。それが、どうかしたんですか?」

 

「ゲフィオン様の話を思い出してみろ、イクス。なんて言ってた?」

 

「———…………!!ほんとだ、おかしい!コウスケ、すぐにニーベルに確認してほしいことがある!」

 

「安心してくれ、イクス。イクスの疑問については俺が違和感を感じた時点で質問してる。で、その答えは不可能(・・・)だってさ」

 

「ヤバイ、何1つ安心出来る要素がない。いや、1つだけある。コウスケがこの世界に来てくれたことだ」

 

「ええ!流石に過大評価し過ぎじゃないか?俺なんか、創作の物語の主人公に憧れただけの只の一般人だぞ!確かに『神の使徒』ではあるけど、俺はαの考え方なんだ………つまり、人殺しをしたくないんだ。たとえ、それが正当防衛だったとしてもな。もし、………いや、なんでもない。でも、『神』は殺せる何の躊躇いもなく(・・・・・・・・)………歪だよな、俺って」

 

「それで、いいんじゃないか?なんで、コウスケがそんな話をしたのかわからないけど1つだけ言えることがある」

 

「なんだ?」

 

「人はそれぞれ色んなものを抱えていて、大なり小なり『心』に傷を受けているってことだよ」

 

「!!」

 

「俺も、抱えているものがある。でも、俺は決めてるんだ!あの時から!もう二度逃げることはしないって。それをもう一度俺に教えてくれたのはお前なんだコウスケ!!だ、だから。俺は、俺は!この具現化した世界の『鏡映点』を保護したら『オーデンセ』のことを『ゲフィオン』様に聞きたいと思う!」

 

「そ、それは。でも、お前!」

 

「十中八九、滅んでいるだろうな」

 

「そこまで、わかって!だったらなんで!」

 

「これが、俺なりの決意表明だからだ。それに、多分『ゲフィオン』様は俺たちに何かを隠してるかもしれない」

 

「へ?どういうことだ?」




今回は、『神族』の正体を書いてみました。そして、イクスの決意表明!原作ゲームでは、終盤にイクスとミリーナが故郷の顛末を知るのですが、この二次小説ではコウスケの影響により『逃げ癖』がなくなりかけています。次回は、『鏡映点』ユーリ・ローウェルとラピードが出てきます。そして、一方ミリーナたち側では………ということで、次回もお楽しみに


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