なんか思いついちゃった (極丸)
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S級ヒーローグループ S.O.N.G

となりのヤングジャンプでワンパンマンを読んでいたらシンフォギアの広告が目に入った為出来上がった作品。
なんか親和性高いと思ったんだけどなぁ……


「S.O.N.Gって……なんだそいつら?」

 

 サイタマは突如としてジェノスから聞いたその名に眉を顰める。

 深海王を倒し『B級ヒーロー』へと昇格したサイタマではあるが、その俗世から離れた情報量の無さはB級に上がってからも健在であり、一体何の名前なのかも分らず、その名を告げたジェノスという金髪サイボーグに詳細を尋ねる。

 

「はい、つい最近になって話題になりつつあるアイドルグループの様です。『S.O.N.G』という名前も、彼女らが所属している企業の名前らしく、それぞれ2,3名づつのアイドルグループを編成して、芸能活動とヒーロー活動を兼任している『A級ヒーロー アマイマスク』の2代目と言われて、今世間が最も注目しているアイドルグループです」

「ふーん?で?そいつらがどうしたって?」

「いえ、別にどうという訳ではないのですが……実を言うと、何度か自分のファンの人間が、ファンレターと一緒に彼女たちのCDを同封してくることがあったので、先生さえよければお譲りしようかと。試しにオレも聞いてみましたが、俺にはいらないモノでしたし、曲は全部脳内に記録したので」

「アイドルのCDねー……直筆サイン入りとかだったら値が張るかもしんねーな……やっぱいらねー、ジェノス、お前持っとけよ。おんなじS級ならいつか会えてサイン貰えるかも知んねーぞ?」

「そうですか……まぁ確かに、先生にとっては不要なものだったかもしれませんね。ん?すいません、ヒーロー協会からです。どうした?……」

 

 サイタマはジェノスに差し出されたCDの両面を何度か見返すと中を開くことなくジェノスにCDを返す。ジェノスはその行為を特に気にする事無く受け取ると、ヒーロー協会から支給された電話が震えだし、直ちに出る。

 そして何度か言葉を交わすと、ジェノスは電話を切ってサイタマの方に振りかえる。

 

「先生。でしたら、今すぐサインをもらいに行きますか?」

「あ?どういうこった?」

「S級ヒーローの非常招集です。ひょっとしたら、彼女らに会えるかもしれませんよ?それに、S級が必要という事は先生も必要になってきますし、なんだったら一緒に来てください」

「……おう、いいぜ。暇だし」

 

 そうしてジェノスとサイタマは『ヒーロー協会本部』へと足を進める。何ら緊張感のかけらもなく。

 

 

 

 

 

 ……最初にその人と会ったのは瓦礫の上だった。

 

 ―――――おい、助かったのに何で泣いてんだ?

 

 その人はアタシを助ける頃にはジャージとかがボロボロになってて……

 

 ―――――あ!?そういえばここコンサート会場なんだよな?不法侵入したのは黙っててくんね?

 

 頭からは血が流れててアタシよりも怪我をしてて……

 

 ―――――……いや、なんでずっとこっち見てんだよ?別に怪しい奴じゃねぇからな?

 

 あたしがどうして助けてくれたのって聞いたら普通の事みたいに……

 

 ―――――……人を助けんのがヒーローの仕事だから。

 

 そんな風に答えたら、逃げ遅れた私を探しに来たヒーローさんたちの声が聞こえてきて一目散に逃げたあの人と出会ったのは。

 

「おい!おい!おい!起きろバカ―!」

「うひぁ!?」

 

 私はクリスちゃんの大声で目を覚ます。いつの間にか寝ちゃってたみたい。

 にしても懐かしい夢見たな―。私がそんな風に物思いに耽りながらバスの天井を眺めていると不審に思ったのか、クリスちゃんが問いかけてくる。

 

「お前どうしたんだ響?そろそろヒーロー協会本部に着くっつうのに、そんな呑気でいいのかよ?」

「うう、ゴメン……急な招集だったから昨日の疲れが抜けてなくって……」

「ったく……だから先輩たちの出演番組の録画消費なんてすんじゃねぇって言ったのによ……」

「ええ?!私だけの所為!?クリスちゃんだって途中まで一緒に見てたじゃん!」

「お前の場合は度が過ぎるんだよ!普段からライブのための練習とヒーロー活動でスケジュール詰め詰めで休めるタイミングなんて限られてんのに馬鹿な真似すんじゃねぇよ!」

「うぅ……!正論過ぎて何にも言えない……」

「分かったならいいんだよ……分かったなら……」

 

 クリスチャンの反論にちょっとだけ落ち込むと、クリスちゃんは少し言い過ぎたと思っちゃったのか分かんないけど、照れくさそうに顔を逸らしながら小声でそうやって呟いた。あー、やっぱりクリスちゃんってかわいいなー。

 

「二人とも~、そろそろ着くから降りる準備してね~?」

「「はい!」」

 

 そうやって話してると車を運転してくれてる桜井さんがあたしたちに到着間近を告げる。

 私とクリスちゃんははっきりと返事をすると、荷物を整理する。

 

「そういえば、この非常招集って先輩達来れるんですか?あと切歌ちゃん達とか?」

「ああ、それなら連絡受けてるわ。ツヴァイ・ウイングの二人は当然ながら参加不可。あとマリアちゃんは海外出張だけど、電話での参加よ。それと別行動のF.I.Sの二人は参加可能だから、こっちの方は風鳴さんの方が迎えに行ってる、ってことで現地集合はざっと4人ってところね」

「そっかぁ……さすがに全員集合とはいかないか……」

「そう気を落とさないで、さ、着いたわよー」

 

 そう言って櫻井さんは車から降りる。

 あたし達も早く降りよう。

 

 

 

 この時のアタシはまだ気づけなかった。

 あたしにとっての『ヒーロー』に再会できるなんてことに。

 そして……

 それに気付けないことに……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 書いてみたいこと

 

「おー、あれがS.O.N.Gって奴等?あ、サインペン忘れた」

「おっさん誰だ?ここヒーロー協会だぞ?出口はあっちだ」

「……おいジェノス、なんだこの生意気な奴?迷子か?」

「S級ヒーローのイチイバルですね。巨大なミサイルなどを扱って怪人を撃退するんです。俺もあの兵器の格納方法を再現したいと思っているんですが……」

 

 

 

「おいガングニール、天羽々斬はどうした?アイツの剣が鈍ってないか確かめたかったんだが……」

「ああ!アトミック侍さん!先輩は今日は来れません!すいません!」

「いや、気にするな……風鳴の奴からの頼みで受けてるだけだからな……全く過保護な奴だ。俺以上にな……」

 

 

 

「フフフ、相変わらずのマヌケ面だなサイタマ?私を倒しておきながら生かしたマヌケな男にまた合うとは……お前はどこまでもおかしな男だ」

「なんだお前?おれお前みたいなヤツと合った事……やっぱりねぇな。思い出せねぇ」

「フハハハハ!やはり面白い!私はあれだけ必死に抗いお前に挑んだというのに!すーぱーのせーるに間に合わないと言って私を置いていっただけの事はある!」

 

 

 

「ほんとに覚えてねぇのか!?あんたはアタシらの恩人だってのによ!」

「だから、そんな何年も前の話覚えてねぇよ?つーかヒーローなんだからやって当然だろ?」

「それが出来なかったからあたしは礼がしたいんだ!」

 

 

 

「お願いがある、キングさん。どうか私にあなたの強さの極意を教えてください」

「…………俺に教えられることは何もない。あるのだとしたら、自分の弱さが嫌になる事位だ……」

 

 

 

「あなたはまたそうやって自分の功績を他人に押し付けるのね……押し付けられた側の気持ちも知らないで……」

「俺は自分のやってることが功績だなんて思っちゃいねぇよ?俺がやりたくてやったんだからな。勝手に回りが囃し立ててるだけだろ?」

「それでも……」

「それによ、ヒーローが逃げたらいったい誰が戦うんだよ」

 

 

 

「この地球の代表にしては随分と小物だな?二人がかりでこのザマか?」

「うるさいデス!こっちはまだまだ余裕なんデスから!それにこっちにはまだまだすごい人がいるデスよ!」

「ほう?ならばそいつと出会う為にも、貴様らは早々に始末した方がいいかもしれんな?」

「させない。みんなが毎日笑って暮らせる日常を壊そうとするあなたを、A市を壊したあなたを私は許さない」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい、大丈夫か、お前?」

「はい!へいき、へっちゃらです!サイタマさん!」

 

 

 

ありじゃね?

力尽きました……



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その名は……(ワンパンマン)

あけおめことよろ


「なぁ知ってるか?この怪人協会の噂」

 

 怪人協会本部の地下通路にて、小声で噂話をする怪人達がいた。その怪人達は所詮下っ端レベルで、ヒーロー協会の定める災害レベルで言うところの『虎』レベル、A級ヒーローに瞬殺される様な実力の怪人である。

 

「噂?なんだってんだよ」

 

 話を振ったムシ型の怪人に、隣を歩いていた魚型の怪人が疑問の声を上げる。そもそもの存在が噂や都市伝説の様なこの怪人協会においてまたさらに噂があると言うのは、なんともややこしい話だからだ。そう思うのも、彼等自身もその噂などを耳にしてこの怪人協会にやってきたからではあるが。

 

「なんでもこの怪人協会にはよ、ギョロギョロ様ですら恐れを抱いて命令出来ない怪人がいるらしいぜ?」

「それって幹部の『エビル天然水』だろ?そんなもん噂でもなんでも無いぞ?」

「違ぇよ!エビル天然水は自我を持ってないからギョロギョロ様もそこまで問題視してねぇだろ?もっとヤバいやつって事だよ」

「それが本当だとして、なんで知られてねぇんだよ」

「ああ、なんでもそいつ自身が名を知られたく無いみたいでな?一応は俺たちと同じ末端の構成員って事になってるらしいが、実力は最低でも幹部クラスらしいぞ?」

 

 その言葉に他の怪人達は呆れ返る。それほどの実力を有していながら下克上上等のこの怪人協会にて無名というのはありえないからだ。話を聞いた怪人達は途端に興味が失せる。

 

「つくんだったらもっとマシな嘘をつけってんだ。今、怪人協会は一斉襲撃に備えてピリピリしてんだからよ。下手な嘘でイラつかせんなよ」

「いやいや、オレはこれ嘘じゃねぇと思ってんだよ?」

「どういう事だ?」

 

 ムシ怪人に、虎の顔をした怪人が疑問を浮かべる。ムシ怪人は待ってましたと言わんばかりに喜の表情を浮かべ、話を続ける。

 

「幹部の『ゴウケツ』様がいるだろ?あのお方が一度ボロボロの体になってこの怪人協会に帰ってきたところを見てな?この協会の中じゃ怪人同士の殺し合いは禁止されてるし、ひょっとしたらその怪人がゴウケツ様に手を下して、ギョロギョロ様もそれを見過ごすしかなかったんじゃねぇのかなって思ってな?」

「まじか!?ゴウケツ様を瀕死に追い込める奴なんてそれこそ幹部クラスの誰かだぞ?しかも一方的ってなると、幹部でも出来るヤツは限られてくるしよ、『黒い精子』か『ホームレス帝』位だろ」

「ってことは、幹部クラスのヤツが一人お咎めなしにこの怪人協会の中で暴れまわってる可能性があるって事か?」

 

 虎の顔の怪人の推測に、他の怪人二人も黙り込む。怪人たちは基本的に自分が誰よりも上であることを自負することが多いが、それはこの怪人協会の中では少しばかり変わってくる。『鬼』や『竜』クラスの怪人が大量にいるこの協会内では、『虎』や『狼』は下っ端レベル。怪人になったことにより己の能力に自負を持っていたとしても、『オロチ』や幹部クラスといった上の存在を目の当たりにし、プライドを粉砕された怪人も少なくは無い。少なくともこの3人の怪人はそうだ。しかし中には向上心を持ち続けた怪人もいるわけで……

 

「下らねぇ!!」

「「「!?」」」

 

 突如として聞こえてきた一喝に先ほどまで話し込んでいた怪人三人は肩をびくりと震わせる。振り返ってみると、そこには二足の太い足で佇み、鋼の様な皮膚を身に纏ったレスリングのユニフォームを着込んだサイが頭に血管を浮かび上がらせていた。

 

「サ、サイレスラー……いつから居たんだ?」

「んな事はどうでもいい!おいオメェら!さっきから黙って聞いてりゃ幹部が何だとウザってぇな!!だったら俺がそいつをブチのめしてやるよ!俺の強さの証明になってくれそうだからな!おい!へラクレス大将!」

「な、なんだよ?」

 

 サイの怪人、サイレスラーに話を振られ、少しばかり驚く虫型怪人、ヘラクレス大将。その同様の様子にサイレスラーは苛立ちを覚えながらも、顔をヘラクレス大将に近づけて話を続ける。

 

「俺をその場所に案内しろ!ギョロギョロの奴が怖気づいて手をこまねいてんだったら、誰も咎めねぇだろうしな」

「わ、分かった……連れてく……」

 

 そう言って半ば脅しの様な交渉の結果、ヘラクレス大将を案内に付けてサイレスラーはその場所へと向かう。それを他の2人の怪人も追いかけていった。

 

 

 

 

 

「おや、珍しいね。ここにお客とは。ここは幹部しか知らないし、あいつらもあまり来ることは無いんだけどな?」

「おい!オメェか?ギョロギョロの奴が命令出来ない怪人ってのは!!」

「ああ、たぶん俺の事だと思うよ?ギョロギョロから『なるべくこの存在がばれない様にしていてくれれば、あとは自由にしてくれて構わない』、て言われてるからね?もちろん、オロチ様からの了承も得てるさ。ところで、君たち名前は?」

「俺はサイレスラーだ!」

「……で、君たちは?」

「へ?へ、ヘラクレス大将……」

「タイガーヘッド……」

「カナヅチシャーク……」

 

 サイレスラー達が着いた先は一つの空洞だった。そこに光源は一つしかなく、中心に差し込む一本の光がオペラハウスのスポットライトの様にその怪人を照らしていた。その怪人の見た目は至って怪人らしくなかった。否、怪人らしいところがあまりにも見当たらない。背丈は普通の成人男性より少し高い位で、黒のパーカーに黒のジーンズと言った全身黒のコーデをしており、聊か怪人というよりは非行に走った不良といった印象が強かった。顔はフードを被り、光が顔に影を差している為分からない。サイレスラーはその見た目から肩透かしを食らった。

 

「ふん!やっぱり噂は噂か!こんなひょろい奴が幹部クラスだ?笑わせんな!」

「笑わすつもりは無いんだけどな?で、なんの様だい?君たち?」

「俺と戦え!そして俺は俺の強さを証明してやるんだよ!」

「…………ああ、そういう事?良いけど大丈夫?怪人協会は怪人同士の殺し合いを禁止してるんじゃなかったっけ?」

「そんなモン後で何とも言えんだよ!それによ、てめぇはさっき言ってたよな!『自由にしてくれて構わないって言われてる』てな!だったらてめぇが俺を倒そうと関係ねぇだろ!おれが勝つがな!」

 

 サイレスラーの言い分に、その怪人は笑った、様に見えた。その笑みにサイレスラーは気づかず、虎の怪人も指摘するほどの事ではないと考え、何も言わずにいた。

 

「よし、分かった。それじゃ…………抗ってくれよ?」

 

 

 

数秒後、そこにはサイレスラーの角が無残に転がっているだけだった。

 

 

 

 

「嘘だろ……仮にも最近になって鬼になったサイレスラーだぞ……つーか、あんなやり方……」

 

サイレスラーの最後を見たヘラクレス大将がそう呟く。彼とサイレスラーの戦いはあまりに一方的なものだった。いや、戦いとも言えない様なものであった。そしてそれを行なった彼は角を眺めた後に、残った3人を見る。

 

「さて、後は君達だけだけど、どうする?」

「……どう言う意味だ?」

「俺に挑まなくていいのかって話。俺と言う災害に立ち向かえば、うまく行けば今以上の進化が見込めるかもしれないぜ?どうする?」

 

彼はサイレスラーの事など忘れた様に3人に話を振った。特に疲れた様子も無く、戦闘によって溢れ出たアドレナリンの高ぶりを見せることもないその姿に、3人は恐怖を覚えた。

 

「ふざけんな!あんなもん喰らって生き残れるわけねーだろ!俺は逃げるぞ!」

 

魚の怪人、カナヅチシャークが一目散に元来た道へと帰る。しかしそれは徒労に終わった。

 

「逃げるな」

「んぶぇ!」

 

見えない壁が行く手を阻んだ。それに驚くカナヅチシャークであった。彼はすぐさまその原因に目を向ける。

 

「おお、ギョロギョロ!久しぶり!お前からくるなんて珍しいな?」

「お前のいる部屋がどうにも騒がしいと思ったらこう言うことだったか」

 

それは目玉の化け物だった。人の形はギリギリ保ててはいるが体はブヨブヨに肥えており、頭には謎の突起がイソギンチャクの様に生えていた。顔のほとんどを目玉一つが占めており、その目は監視カメラの様に俯瞰して彼と残った怪人たちを見つめていた。

 

「お前たち、どこからこの場所を見つけ出したかは知らないが、こうなってしまったら仕方がないな……消えてもらうよ」

 

ギョロギョロは手をカナヅチシャークの方にかざすと、カナヅチシャークの体が圧縮され始める。徐々にキューブの様にまとまり始め、体からバキボキと音を立てながらカナヅチシャークは小さくなって行き、何も出来ずにいた。

 

「ギョ、ギョロギョロ様!い、一体何を……」

「こいつの存在は完全なまでに隠蔽しておきたいんだよ。知っての通りだけど、こいつの実力は未知数だ。幹部以上の実力を有して尚且つ遊撃兵としての役割を担ってもらうから、なるべく知られて欲しくないんだよ」

 

そう言ってギョロギョロはカナヅチシャークをルービックキューブほどの大きさに縮め込むと、浮かせたままどこかへと飛ばした。

 

「なんだい?彼もオロチに食べさせるのかい?」

「まぁな。カス程度の力でもオロチ様の力になれるのなら有効活用しなくてはな」

「効率主義だな相変わらず。そんなんじゃ抗えないぜ?」

 

 一つの命が潰えたにも関わらず、二人の間を取り巻く空気は変わることは無かった。それを見て残った二人の怪人は次は自分の番だと感じ取り背中から冷たい衝撃が走る。

 

「さてと……それじゃあさっさと他を処分するか」

 

 ギョロギョロの一言に二人はびくりと肩を震わせる。ギョロギョロは手をかざし、ゆっくりと指を真ん中に引き寄せる。

 

「ぐ、ぐがぁあああ!」

 

 対象はヘラクレス大将であった。ボキボキと先ほどのカナヅチシャークと同様に縮んでいく姿を見つめ、残ったタイガーヘッドは恐怖がむしろ引いていくのを感じた。

 その代わり湧き上がってきたのは、抵抗心。怪人としてどれだけ最後が醜くとも抗おうと決めた瞬間だった。

 次に自分にギョロギョロが手を伸ばそうとしたその瞬間に自分は無駄だと分かっていても、喉元に食らいつこうと決めた。

 

「………………ちょっと待ってギョロギョロ」

 

 その瞬間、先程の怪人から声がかかる。ギョロギョロは手を止める。

 

「なんだ?」

「いや、そこの虎頭の彼。中々に気に入ったよ。オレが指導してもいい?」

 

 男の提案にギョロギョロは一瞬ばかり身体が硬直した。それは()()もそうだが、()()も一瞬ばかりあまりの驚きに操作が鈍る。男は気にする事無くタイガーヘッドに近づきながら独り言のように話始める。

 

「いやー、彼だけど、いい素質を持ってるかもしれない。ただ開花の仕方が良くなかった」

「開花の仕方?」

 

 ギョロギョロは悟られない様操作に意識を集中させながら問いかける。男とタイガーヘッドの距離が半分ほどに縮んだ。

 

「うん、そう。君なら知ってると思うけど、怪人の強さっていうのはその本人の素質も大きいけど、開花する状況も重要だと考えてるんだ。……オロチみたいにね?」

「!!!」

 

 ギョロギョロは驚く。誰にも話していない怪人協会最大の戦力、災害クラス『神』の怪人、『怪人王オロチ』の秘密を知っているのではないかと、ギョロギョロはその大きな目を細める。

 

「まぁ安心してくれ、誰にも言わないから。それに……言ったところで幹部クラスは興味はないだろうし、一般兵レベルじゃそう簡単に見当たらないしね……話を戻そう。どれだけ大きな才能をその怪人が持っていようと、それに会った環境が無かったら意味がない。どれだけ立派な花を咲かせる種であろうと、泥水を浴びせ、日陰に放置し続けたらその花は十二分な開花は出来ない。要するに環境さ。怪人っていうのはどれだけ怪人になることに適した環境に置くかで、同じ才能でも雲泥の差が生まれるのさ」

 

 男の顔を覗き込むことはギョロギョロには出来なかった。男とタイガーヘッドとの距離がまた半分に縮まる。

 

「ギョロギョロ。お前に足りないものは『教育』さ。お前は即戦力を求め過ぎた。それを俺なら補える。何だったらこいつを幹部クラスにまで押し上げることも出来るぜ?」

「…………だったらやってみろ」

 

 男の提案にギョロギョロは裏を読もうとするが、途中であきらめる様にそう言い残して去っていく。去った後には男とタイガーヘッドしかいなかった。

 

「さて、それじゃあオレと君一人になったけど……やるかい?」

「当然だ」

「うん、いい顔だ。才能ある証拠だね。それじゃあ始めるかい?」

「ちょっと待て」

「うん?」

 

 男がタイガーヘッドから去ろうとするとき、タイガーヘッドは男を止めた。男は不思議に思いながら振り返る。

 

「お前の名前はなんだ?」

「んんん?あれ?言ってなかったっけ?オレの名前は……」

 

 男はその言葉と同時にゆっくりとフードを下ろす。

 

 

 

「災害皇。全ての害の頂点に立つもの。オレに認められたって事は、誇ってもいい事だぜ?」



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ALTER EGO

到着点が行方不明


「起きて。いつまで寝ているの?」

 

その声でいつも()()は目を覚ます。そこには色白の肌に冷静さを併せ持った綺麗な瞳を持つ彼女がいた。彼女の名はエス。()()はそれしか知らない。彼女の好きな食べ物が何で、お気に入りの本の名前すら知らない。こんなにも本で埋め尽くされた場所だと言うのに。

彼女にとって読書とは昼寝と同じである。

何もすることがないから本を読むのであり、別に本が好きと言うわけではない。読むジャンルは沢山あるし、どれも統一性のない雑多なものばかりだ。この前なんて表紙に露出度の高い服を着て主人公らしい男子に顔を赤らめながら抱きついた美少女が描かれてた本を読んでた。その時のエスの顔はいつにも増して無表情だったけど。

……あの本って『壁男』の趣味なのかな?

 

「どうかしたの、あなた?随分と気持ち良さそうに寝ていたけど?」

「エスの顔を起きてすぐに見れたからかな?」

 

()()の受け答えにエスは少しばかり恥ずかしげな顔をした。彼女の顔に色があれば赤くしていたんだろうけど、今まで白黒の彼女しか見ていなかったからどんな色かも分からない。

ぼくがこの世界に来てどれほどの月日が流れたか分からない。ここにたどり着いた当初は本がいっぱいの部屋で果てのない廊下を歩き続けていると頭の中でいろんな言葉が直接語りかけてくるなど散々な思いをしたけど、今ではぼくも完全に彼女に影響されて本の虫である。と言ってもまだまだ蛹にも慣れていない幼虫レベルだが。彼女はもう完全に本の虫である。

いや、これは彼女を表すには些か魅力度に欠ける。彼女は『本の蝶』と言った方がしっくりくる。読む姿は花の蜜を吸うアゲハの様に綺麗であり、本棚から自分の探している本を探す姿は花畑で蜜を吸う為に飛び回るシロチョウの様に美しい。時折見せる寂しげなうつむいた表情は蜘蛛の巣に引っかかってしまったセセリチョウの様に儚く、危なげな雰囲気を醸し出していた。

これだけの多様な部分を露わにするのは、彼女が本を読むからだ。だからぼくも本を読む様になったし、本に関わることで見えてくる彼女の新しい一面を見るのが好きだ。まぁ、それ抜きで彼女も好きだが。

そんなことを考えながら彼女をじっと見つめていると、彼女も()()の視線に気づいて、疑問を浮かべる様な顔をこちらに向ける。

 

「どうしたって言うの、あなた?今日は一段と変ね?」

「いんや。ただ、今までこんな狭い場所なのにいろんなことを経験したなって感慨深くなっただけ」

「そう。確かに言われてみればそうね。この場所はあなたが居なければとてもつまらないわ。それでもあなたが来てからはつまらないとも感じなくなった。そう考えると、貴方はとても魅力的な人間なのね。改めてすごいわね」

「あれ?なんか唐突な惚気。まさかの展開でぼく付いて行けてないんだけど?」

「気にしなくてもいいわ。私一人の中で結論づいたことだから」

「それ聞いて無視をしろって?おいおいおい酷が過ぎるぜエスちゃん。話し相手ぼくしかいないんだから無視はできないよ」

「『無視しなさい』という命令じゃないわ。『無視してほしい』ってお願いよ。言わせないで、恥ずかしい」

「唐突なデレ!エスさん上級者向けが過ぎると思うんだけど?!」

 

 エスとの会話は本当に楽しい。この時間は彼女の魅力を見つけることが出来るから。新しく見つけた魅力なら益々彼女が愛しくなるし、既に見つけた魅力なら彼女の一面をまた再確認できる。

 

全く持って楽しい事だ……本当に

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

      自分を殺した彼女も美しかった。

 

 

 

 

            自分を縛る彼女も可憐だった。

 

 

   僕がいなくなることに怯える彼女も儚かった。

 

 

 

  ぼくに依存していく彼女は加護欲をそそった。

 

 

 

 

 ぼくを愛してくれる彼女は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

          全部全部……

 

 

 

 

 キ    レ    イ    ダ



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ハイスクールディスガイア・DD

作品のインフレっぷりがちょうど違和感なく合いそうだと思った。


 俺の名前は藤木 大地。駒王学園に通っている高校二年である。勉強運動別段得意でお不得意でもなく、顔面偏差値も高くも低くもないオレはごく普通とは若干程遠い生活を送っている。その原因は……

 

「おい、藤木。甘口カレー二人前が出来た。早く運んでくれ」

「あ、分かりました。キリアさん」

 

 この出身地の街で個人経営のカレー専門店でアルバイトをしていることが原因だと考えられる。まぁちょっと見て行ってくれ。

 

「甘口カレー二人前のお客様ー」

「おお!オレ様のカレーだ!早く持って来い!」

「ちょっと殿下ー?そういう反応辞めてくださいよー?アタシまで同じやつって思われるじゃないですかー」

 

 注文のカレーを持っていくと、そこには兎の様な独特な長さをした二本のアホ毛を生やした青髪に赤いマフラーをした子供と、同年代のボサついた赤毛が特徴的な少女が待っていた。俺はゆっくりとカレーを殿下と呼ばれた少年の元に置く。すると少年はオレが手を離すと同時にスプーンをカレーに突っ込み頬張る。

 

「んんん!やはりキサマの作るカレーは絶品だな!今後とも精進するがいい!」

「それは作った甲斐があったというものだな。冷めないうちに早く食べてくれ」

 

 少年は一口食べ終わると満足げに笑ってキリアさんに礼を告げる。対岸不遜ともいえる言い方だが、彼の人となりを知ってる身としては彼なりの誉め言葉であることはすぐにわかる。事実、キリアさんも穏やかな笑みを浮かべてカレーの入った寸胴鍋をかき混ぜていた。あれって特製甘口ブラックカレーだよな?30年不眠不休で作るとか言ってた。

 

「はーはっはっはっは!当然だ!このカレーはオレさまのものだからな!だったらオレさまが一番満足の出来る状態で食べてこそだ!」

「殿下ー。そんなこと言ってないでちゃっちゃと食べてくださいよー。この後……えーっと何だっけ?とりあえずなんかデカめの結婚パーティに呼ばれてんですし、もう時間無いんですからねー?殿下のせいでアタシまで恥かきたくないですよ?」

「うるさいぞエトナ!そんな事よりオレさまのカレーの方が先決だ!」

「うわー、さすが殿下。人様の結婚式で大事な役目任されてんのに全無視ですか」

 

 少年の言葉に横にいた赤毛の少女、エトナは呆れたような笑みを浮かべながら楽し気にケタケタと笑っていた。それより俺には気になる部分があった。

 

「結婚式って何ですか?」

「ん?なに?興味あんの?」

「ああ、いや……ただ何となく気になったというか」

「あー別に気にするほどのもんじゃないないない。ただどっかのお嬢様とボンボンが結婚するって事になって殿下も出席する羽目になったのよ。殿下が何も考えなしに了承しちゃうから要らない予定が増えちゃって困っちゃうわー」

「へー」

 

 俺はエトナから告げられる話をどことなーく聞いている様で聞いていない右から左に聞き流す姿勢で聞いていた。自分から振っといてなんだが、そこまで興味深い話ではなかった。

 

「ん?結婚式……ひょっとしてだが、その結婚する両家の名前はグレモリーとフェニックスじゃないのか?」

「あれ?キリアさん何で知ってんですか?」

「少し前にラハールから聞いてな。面倒な予定が入ったと言って俺の前で愚痴をこぼしていたのをよく覚えている」

「……ラハールさん」

 

 キリアさんの言葉に俺は深くため息を吐く。相変わらずこのラハールさんは言動が子供というかガキ大将みたいだ。本人曰く俺よりもかなり年上らしく、以前彼が不良軍団を一方的にボコボコにしていたのを見たので本人の要望通りにさん付けで年上の対応をしているのだが……

 

「人様の結婚式の日程をおいそれと部外者に言わない方がいいんじゃないですか?」

「なんだ?オレさまに文句があるのか?」

「いえ、ないです。なんでもありません」

「ふん、ならばいいのだ」

 

 やっぱり慣れない。オレがラハールさんからの威圧に身体を固くしているとラハールさんは何か思い至ったのか、アホ毛二本をピンと上に張る。そして次の瞬間、口に含んでいたスプーンを口から出してそのまま先端を俺に向ける。

 

「…………そうだ!おい、藤木!」

「は、はい!」

「お前がオレさまの代わりに式に参加しろ!」

「……へ?」

 

 オレがキョトンと立ち呆けていると、ラハール様は腕を組んで高らかに笑う。

 

「そうだ!それがいい!オレさまは今カレーを食べるので忙しいのでな!貴様がオレさまの代理人として参加すればそれで丸く収まる!これだ!」

「い、いやいやいや!なんでそうなるんですか!おかしいでしょ!!」

「おかしくない!オレさまがいいと言ったのだからいいのだ!おいエトナ!紙となんか書くものを持ってこい!!」

 

 ラハール様は顔を俺に向けたままエトナさんに命令する。するとエトナさんは面白そうなものを見る目で答える。

 

「はいはい分かりましたよ殿下。つーわけでなんかかくもん頂戴キリア?」

「ここにあるが?」

 

 途中から話を聞いていたのか、キリアさんが紙とペンを持っていた。ラハール様はそれを見るとひったくる様にとると、その紙に一心不乱に殴り書きでもするように雑な字で分を書き連ねていく。

 

「これを主催者にみせろ。そうすれば大体の奴は言う事を聞くだろうしな。もし不平不満を言う奴が出たならオレさまが直接手を下すと言って脅せ」

「いや、だから行かないって」

「それでは任せたぞ。エトナ、飛ばせ」

「はいはーい」

 

 ラハール様がそう命じるとエトナさんは指を数回振るってその後僕に向ける。何をしているのか気になったが、訪ねようとした次の瞬間には俺の目の前にウェディングドレスを着たグレモリー先輩が金髪のホスト被れと一緒に立っていた。

 

「あれ?どこ此処?」

 

 

 

 

 

 

「皆さま、本日は我がライザー・フェニックスとリアス・グレモリーの結婚式にお集まりいただき、誠にありがとうございます」

 

 横でそう高らかと宣言するライザーの声を聞きながら私はこの状況をどこか他人事のように聞いていた。お互いの婚約を掛けたレーティングゲームに私は負け、いよいよ私はこの男のものとなる。ずっと憧れていたこのウエディングドレスも今はとても憎たらしい存在に見えてしまう。この姿は横にいるライザーのためではなく、あの子のために見せたかった。しかしそんな思いも今は無駄に終わる。こんなことになるならあの子に自分の思いを伝えればよかったと思う。幼いころの危機を救ってくれたあの子。人間界の高校に入学してその姿を見た時にドキッとしたことをよく覚えている。ああ、ダイチ。最後にもう一度だけ…………

 そう思っていると、目の前で突如魔法陣が浮かび上がる。この文様は……

 

「エトナさまだ!エトナさまがいらしたぞ!」

「もしかしたらラハール様も来るかもしれん!急げー!全員準備に入れ―!」

 

 遠くから聞こえてくるその言葉に私はいよいよかと達観し始める。

 魔神エトナ。『超越者』以上の実力を内に秘めているとされている彼女は表舞台に立つことはあまりないとされ、彼女の一言は絶大な影響力を持っているとされるお方らしい。私はお兄様からしか話を聞いたことは無いけど、今回はそんな彼女を従えているラハールというお方が結婚の後見人になっているのだという。彼が来たという事はいよいよもってして結婚までの時間が秒読みで進んできているという事だ。私は受け入れがたい現実を拒否する様に目を閉じた。しかし、聞こえてきた声は、聞きなれた声だった。

 

「あれ?どこ此処?」

 

 その声にパッと目を開けると、そこには『カレー専門店 KIRIA』と白い印刷で書かれた黒いシンプルなエプロンにお盆を持っ大地がぽつんと立っていた。

 

「その結婚ちょっと待った―!……ってあれ?何この空気?」

 

 その後に入ってきたイッセーの大声がなんだか空しく聞こえた。

 

 

 

 一度瞬きしたらなんか知り合い(18)の結婚式会場にいた件について。

 なんでこんな場所にいんの?ひょっとしてここがラハール様の言ってた結婚式場?まじでか。つーか目の前にいるのって……

 

「グレモリー先輩?何してんすか?」

「だ、大地……!」

 

 あれ?なんか泣き出しちゃったぞ?って、そりゃそうか。自分の晴れ舞台にこんな間男みたいな登場したらそりゃ怒るわな。ただグレモリーさん、ちょっと俺の言い分も聞いてほしい。

 

「グ、グレモリー先輩。これには訳がですね……」

「なんだお前は!この俺とリアスの結婚に堂々と割り込んでくるとは!覚悟はできてるだろうな?!」

「か、覚悟?」

 

 なんかとなりのホスト被れが割り込んできたぞ?いやいやていうかちょっと待って。別に割り込んできたわけでは……

 

「いいだろう!だったら容赦はせん!骨も残さず消し炭にしてやろう!」

「ってうぉおおおい!!」

 

 なんで業火球が飛んでくるんですかね?!オレは咄嗟にその場から飛び去るが、再び火球が飛んでくる。

 

「待って待って待って!主催者いません!?ちょっと渡したいものが!!」

 

 オレはラハールさんに渡された紙を高らかに掲げて声を張り上げた。

 

「ライザー君、少し待ってくれ」

 

 その時に響いたその優しい声は火球で轟音響く会場内ではやけに耳に届いた。その方に顔を向けると赤毛の中世の貴族が着ているような鎧を身に纏ったグレモリー先輩似の男性がいた。つー化顔面偏差値やべぇな。

 

「え、えーと……」

「君、名前を教えてくれないかね?」

「あ、藤木大地って言います。この度はご迷惑を……」

「いや、気にしないでくれ。私の名前はサーゼクス・ルシファーという。それより、その手紙を見せてくれるかい?」

「ど、どうぞ」

 

 オレはリアス先輩似の男、ルシファーさんにラハール様の書いた手紙を渡す。それをルシファーさんが受け取って読み進めていると、次第に顔色が変わっていく。

 

「なるほど…………この会場にいるすべてのものたちよ!」

「!?」

 

 読み終えると、ルシファーさんはすぐさま会場にいる全員に聞こえる様に声を張る。急に叫ぶからびっくりした。

 

「これよりここにいる藤木 大地くん。否、藤木大地様はこの場に限り、魔王ラハール殿下の代行人とする!以後、彼の意見は全てラハール殿下のお言葉!これに背くものは全てラハール様の怒りを買う事と知れ!」

「は!?」

 

 唐突な態度の変化に俺が付いて行けず動揺を露わにする。しかしそれを無視して話は進んでいく。

 

「ら、ラハール様の代行人だと!?見ず知らずの人間風情が!?」

「サーゼクス様!これはどういう了見ですか!?この重要なこの結婚の後見人であられるラハール殿下の代理をこんな人間に託すなど!正気の沙汰ではない!!」

 

 ちょっと待って。なにこの動揺ぶり?ひょっとしてラハールさんってすごい人??なんか俺のせいでどんどん話がわけわかんない方に進んでいってるんですけど?!ていうか人間風情ってどういう事?

 

「それは私の管轄外だね。とにかく、ラハール殿下はこの青年を自分の代理人として推薦した。それだけは確かだ。この紙にそう書いてある」

 

 ルシファーさんは会場にいる人たちに見える様に高らかとその紙を掲げる。おれもそれを見る為にのぞき込むと、そこには達筆な(きたない)字で

 

『この紙を持ってきたヤツはオレさまの代わりだ!オレさまは今どうしても片付けねばならない事があって参加できん!なのでそいつをオレさまとして参加させろ!もし文句がある奴がいればオレさまが直接問答無用で叩き伏せる!! ラハール』

 

 と書かれていた。

 

(まじでナニモンなのラハールさん!?)

 

 おれはそう嘆くしかなかった。

 

 力尽きた……

 

 

 

 

 

 書きたいシーン

 

 閣下にウラディ、強さを語る

 

「いいかギャスパー・ヴラディ!お前が真に強さを求めているのならば!魚強(いわし)を食え!そうすれば自ずと強くなる!」

「な、なんなんですかこの人ー!」

 

 

 

 出会ってはいけない二人?

 

「はー!!遂に愛の力に目覚めたんですねゼノヴィアさん!!素晴らしいです!その調子で愛とは何なのか!私と一緒に探求していきましょう!ラーブアンドピース!ラーブアンドピース!!」

「うむ!愛とは何なのか、教えてくれて感謝する!しかし私もまだまだ未熟な身。ご教授を願うぞ。らーぶあんどぴーす!」

 

「おいエトナ。なんだかあの二人は出会ってはいけないような気がしてならないんだが?」

「あれ殿下?今更気付いたんですか?おっそいですねー?」

「気付いたのなら早く止めに入れ!」

「えー?だってぶっちゃけ面白そうじゃないですかー!そんなのそりゃ放置するでしょ!!」

 

 

 

 シスコン三人

 

「今日こそケリをつけようかヴォイド君、セラ。僕のリーアたんが最高だという事を!」

「違うわサーゼクス君。私のソーナちゃんが至高よ」

「下らん言い争いは他所でしてくれ。オレは参加する気はないぞ。姉さんが一という事は変わらんのだからな」

 

「ねぇ、今日で何回目かしら、ソーナ……」

「そうね……百回あたりを超えたあたりから数えるのをやめたかしら」

「相変わらず楽しそうにお話してるわね!アタシも混ざってこようかしら!」

「「辞めといた方がいいと思うわよ」」

 

 

 

 恋バナ

「それがアデルと余の出会いであった。今にして思えば、いい思い出だったかもしれん」

「へー、そんな感じだったんですね。本に書いてある事と全然違いました」

「真実は小説よりも奇なりという奴じゃぞ、アーシア。今まで真実だったと考えていたことが全てそうとは限らん。余も昔はそうであった」

 

「それがきっかけで吸血鬼さんは血を飲まなくなったんですよ。面白い方でしょう?」

「あー!私もそんな出会いをしてみたかったです!!どうして私だけ行き遅れなんて……」

「あらあら、そう気を落とさないでください。あなたは素敵な女性なんですから、きっといい殿方と出会えると思いますよ?」

「ううー!アルティナさーん!!」

 

 

「おい、さっきから何の話してんだ女ども?」

「おいおいアデルちゃんよー!分かってて俺様に話振ってんのかー!?だとしたら買ってやろうじゃねぇかその喧嘩!おんどれどつきまわしたろかい!!」

「うお!やめろってのおまえ!」

 

 

 

イッセーの修行相手

「えっと、よろしくお願いします……」

「キリアだ。よろしく頼む」

「えっと、俺の修行相手って……」

「オレが請け負う事になった。正直言うと、ゼロッケンの方が指導には向いているんだが、生憎予定が合わず俺という事になった。後からレッドマグナスも来る予定だ」

「誰ですその人?」

「俺の仲間だ。とにかく、今日はオレ相手に一対一の訓練といこう。やるからには全力でやるぞ」

「いや、あの……」

 

「おーい!一坊!とっと出てこーい!ぶつかってこなけりゃ超絶強くなれねーぞ!!」

『おい、呼んでいるぞ』

「ふざけんじゃねぇよドライグ!あんな超絶パンチ見た後で対抗できるかっての!」

「…………出てこねーな。よーし、ならオレから仕掛けさせてもらうぜ!キリアからビシバシ頼むって言われてんだよ!…………『魔奥義・超絶轟筋のユニバース』!!」

「へ?」

 

「レッドマグナスの兄貴……なんだそれ?」

「いやー!超絶出力ミスっちまったぜ!!」

 

 

 

 

 

 誰か書いて……手助けするんで




 ディスガイアRPGにはまって書いた。
 誰か続きを……


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