鋼鉄の戦姫 東亜の戦神と極点の龍 ((´・ω・))
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Aー0 眠れ、戦神よ

・・・・実はこの二人、ある種の同一人物
ほんと、独自設定盛りすぎたよ

でもいいよね、一種の愛だしね

でさ、鋼鉄4いつでるの?
私、おばあちゃんになっちゃいますよ


憎い

憎い

憎い

憎い憎い憎い憎い憎い憎い

 

沈む

沈め

沈め

 

無数の艦隊が沈む

 

勝算はもうない。

わかってはいた。

 

だがもう引けない。

 

『アラハバキ』『マレブラッタ』『ハボクック』轟沈

『アマテラス』機能停止

『ストレインジデルタ』大破

 

東亜艦隊壊滅

 

最悪だよ

 

もう全く残っちゃいない。

 

「残・・・存艦隊・・・突撃命令・・・」

 

私自身ももう体の半分がなくなったような感じだ。

 

『ルフトシュピーゲルング』轟沈

 

・・・。

 

第二第三砲門、波動砲装填

 

「なぎ払え!!」

 

半壊した主砲から放たれる6つの金色の光が数の少ない残りの艦隊を塵も残さず消し去るが

一隻

 

あの船だけは

 

絶対に許さない

 

龍の旗

蒼い装甲

黒い主砲

 

「蒼天・・・来たか」

 

艦隊の九割を消し飛ばせば嫌でも来るか・・・

ぶつかり合う艦首

お互いの船体はもう、死にかけだったてのについにイカれたのだろうか、もう艦内の機能は停止。

でも、たかが船体が使い物にならなくなった程度。

 

「・・・播磨さん」

 

「敗者を笑いに来たか・・・」

 

刀を抜き、折れた足を無理矢理再生して立ち上がる。

こいつだけは憎い

 

「もう、戦いたいのは貴方だけですよ、決着は付きました、これ以上」

「私は『総旗艦』だっ!!上にたつものは常に責任がある・・貴様などに」

 

機関を臨界させ、転移機能を無理矢理起動させる。

 

「心配して見に来たけどもう、まだ拘ってるのね」

 

金色の長髪、黒い軍服、大型の槍

 

「・・・なぜ、今になって来たのですか」

 

「ヴォルケンクラッツァー・・・」

 

「・・・今から自沈します、三百キロメートル離れてください」

「まさかっ」

構えたってもう遅い

「あぁ、フィンブルビンテルの制御から抜けた私なら自爆でここら一帯平行世界に吹っ飛ばして消してやる、それが最後の手段さ」

 

「・・・はぁ、もう、二人揃ってどっか遠い世界で寝てなさい、戦争は終結よ」

 

槍が心臓を貫き

制御が崩れ

 

書き代わり始める

 

 

白い光に包まれ

 

座標が転移する

 

 

 

 

ここはどこだろうか

砂浜に打ち上げられた二隻の軍艦

 

もうどうでもいいや

 

「・・・アンタさぁ、もう乗せる人もいないのによく頑張るよほんと」

 

不思議なものだ

つい数刻前までは仇敵だったのに今じゃなーんにも興味がない。

 

・・・仕方がないやつだよ

 

体の一部を再生し近くにあった砂を鉄板に変えて穴の空いた箇所に溶接する

 

「は、播磨さん!?」

 

「もう、播磨でいいよ・・・もう、私に生きる意味も気力もない、でも、貴女は結局人類の味方でしかない、なら最後まで人類の味方であり続ければいい」

 

電子機器と機関はお陀仏か

総取っ替えしようにもそんな資材何日かかるだろうか。

 

「・・・船体の基本設計は同じです」

 

「あぁ、それなら三日で修復できるさ、弾薬は保証できないから光学兵器とソーラーパネルはあるかい?それと発電機、私の砲は全部お釈迦だし、倉庫もほぼ空でね、あるのは数百発の反物質弾頭とかぐらいさ」

 

「光学兵器・・・ですか、照射式対空レーザーと誘導と拡散の荷電粒子砲なら」

 

やっぱり、改良しただけの旧式か

終盤は光学兵器がまともに使えない状況だったししゃあないか

 

「設計が一緒なら私の主砲を持っていけ、一基だけで艦隊のひとつは潰せる代物だ」

 

「ですが、それだと」

 

あまったれちゃって

 

「別に私も無いわけではない、敵が来たら使い捨てるだけさ・・・ダメだなこりゃ、おい、蒼、私の隔壁外して持ってこい、こいつはダメだ、使いもんにならん」

 

「蒼!?あ、は、はい」

 

何をそんなに驚くのだろうか。

戦争が終われば当然だろうに。

 

「ミサイルの残弾もないかぁ・・・しゃあない、ガトリング砲つけて弾はもつか」

 

 

作業は月が上りきるまで続き、終わった頃にはもう、いろいろと面白おかしかった

 

「武装がちぐはぐすぎるなうん、まぁ、いいか、ヴィントのジェットエンジンがサイズ合ってよかったよ」

 

「おぉ、滅茶苦茶、あ、さっき火炎放射器で森林焼き払ったので魚が焼けました(。・ω・。)」

 

おいこら

おめー正規軍だろ

 

あ、こいつそういえば私みたいなもんだからこっち側か

 

「・・・解放軍的にいいのそれ」

「別に私も所詮は兵器ですし、使う人がいないならそっち側でもいいかなって」

「あっそ、塩ある?」

「岩塩丸々なら」

 

鬼か

 

「ドリルで削るか・・・」

 

もう倉庫にもなにもないのになぁ・・・・

はぁ、死に場所も焼き払われたし、海底に投身してもどうせ機関が元気に海面侵食するだろうしなぁ

 

「何日ぶりの食事でしょうか」

「三日間も総力戦してたらそうもなろう・・・北極も南極も氷全部溶けて新大陸は消滅し、日本は水没、ユーラシアは七分割、オセアニア州辺りの島々は波動砲の打ち合いで沈没、ほんと、ひどい世界だったよ」

「それやったのあなたが九割じゃないですか」

「お前があの海戦であんなことするからだろ」

 

こんなちっぽけなこと、もう今さら気にすることもないか。

もう疲れたよ。

 

「・・・電探に感あり・・・・あれ、少ない」

「どうした、私はもう自己再生で忙しいから起こさないでくれ、お休み」

 

「敵が十八しかいません、戦艦クラスが・・・三隻・・舐めてるんですかね」

「桁を数え間違えるとはついに故障したか・・・たかだか180隻、超兵器無しならあなたの敵じゃないでしょお休み」

 

「いや、冗談抜きで18隻なんですって、起きてくださいよ播磨さぁん」

「知るか、反物質砲で消せよ・・・すやぁ」

 

「いやいや、たかが18隻なんて異常、普通おかしいですよ」

「ここ平行世界わかる?お休み」

 

「・・・わかりましたよ・・やりますよ」

 

数が増えたな、空母か

敵も運がないなぁ、超兵器無しで旗艦クラスの超兵器を相手にするんだか

 

機種はレプシロ

喧嘩売ってんのかきさまら

 

「敵機・・・数100・・・・レプシロ百機とか・・・一体どんな戦術訓練を」

 

「おいこらなに三連ガトリング砲向けてやがる、寝れないじゃない」

「じゃああれだしてくださよωレーザー」

「光学兵器はグロースの専門だから、てか、あんなの火炎放射器でいいでしょそんな騒音ださないでよ」

「いやぁ、流石にあれは無理ですって・・・小さすぎます」

 

まぁうん、小さいもんね、しゃあない、超兵器機関の正しい使い方でもするか

 

「コード09903範囲10km、機関始動」

「ちょっ、それって」

 

そもそも超兵器機関はワープ装置って言うよりハッキング装置なのよね、ただそれを人間がバカだから超高出力兵器とかトンでも加速とか気候変動にしか使えないだけでさ。

 

「コード打ち終わった?」

「いつでもどうぞ」

 

「じゃあお休み、もう寝るから」

 

機関を起動し航空機や艦船の機能を破壊し撃沈する。

 

ほんとこれ便利

中和されなきゃ無差別に電子機械破壊は最高に使い勝手がいい。

 

・・・?

 

「生命体反応が残ってる・・・確かに過剰出力で吹っ飛ばしたはずなのに」

 

「・・・でも、放置すれば沈みますよね」

 

確かに機関を爆破したし・・・・ん?

なぜ無抵抗だ

 

「ねぇ、蒼、もし、超兵器が戦闘海域にいたらどうするの」

「それはもちろん駆逐とかの小型は・・・本当にこれ平行世界ですか?」

 

機関を今出せる最大出力で稼働し周辺を感知する。

 

「うわうるさっ、オーロラなんて幻想的な物を見れるのにこれはひどいですよ」

「・・・・居ない」

 

居ない居ない

どこにもウィルキア帝国も大日本帝国の艦艇も超兵器もそれどころか超兵器機関さえない。

 

「?」

 

「蒼、残念なお知らせがいくつかあるわ」

「じゃあ全部雑は重大な順番で」

 

「まずひとーつ、ウィルキア帝国ありません」

「えっ・・・・」

「大雑把に探知しましたがウィルキア艦艇の信号はありませんでした」

「じゃ、じゃあ二つ目」

「超兵器がいません、よって機関修復はこのままじゃ数ヵ月はかかります」

「うえぇ、流石にそんな長い間も100ノットとか」

「いやー、お互い機関ズタボロになるまで殴りあった弊害がこう響くとは・・・じゃあ三つ目、たぶん、この世界の住人に探知される疑惑があります、流石に地球規模でオーロラ出して電子機器木っ端微塵はばれますね。えぇ」

「あー、別に現状問題ないですね、波動砲は打てますし」

 

・・・・本当にどっちの味方だっけこの子。

 

「まぁ、次の行動はすぐ近くで海底に沈みかけてる人間から情報を得ればいいよ、私は明日には動けるように自己修復してるから・・・お休み」

(。-ω-)




次回 総旗艦と未来の残照


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Aー1 総旗艦と未来の残照

敵も味方も正義じゃないし悪でもない


黒い空

星が輝き

海を照らす。

 

夢なのだろうか

記憶なのだろうか

私はこれを知っているのだろうか

暖かく、そして虚しいな

 

この軍服の男

随分と復讐心に駆られているな、何が憎い?

・・・わからない

 

でも、一緒にいると暖かいな。

 

誰の記憶だろうか。

誰の夢なのだろうか。

とても安心する、心地よく。

 

 

「■■■■■■■■■」

 

 

視界がぼやけ、感覚が歪む。

 

 

「・・・」

 

マルロクマルマル

 

そうか。

 

居ないのだったな。

 

刺すような陽射しが肌に感じる。

体を流れる海水がここまで・・・・

ん?

 

 

「・・・オイコラ、どこに海水ぶちまける戦艦がいる」

「しょうがないでしょ、レーザー冷却用の水ないですし、機関は修復中ですし・・・」

 

何かドラム缶から鉄とかボーキサイトらしきものを食っているこの戦艦?

それと

なんか一杯いるな

 

小人?

ハンマーとかバーナーをもっちりるがなんだろうか。

 

「・・・なぁ、そのちっこいのなんだ、昨日いたか?」

「あぁこれですか、どうやらこれ、妖精さんって言うらしいですよ」

「人類は衰退したのか?」

「あなたが文明消したのは事実ですね」

「あの人よりはましさ・・・」

「まぁ、詳しいことはそこの子達に聞けばいいですよ・・・機関とかもろもろ吹っ飛ばされて死にかけですが」

 

そういわれ、手の指す方を見ると煙突や砲がひしゃげた少女・・・・・は?

 

人?

 

「・・・・ちょっと待て、冷静に・・・あぁ、うん」

 

わからね

 

「ねえなにこれ」

「艦娘って言うらしい生物ですね、まぁ、私たちと一緒で魂の具現化した存在ですね、超兵器機関より恐ろしいものがありそうですねこの世界」

 

えぇ

 

十数年かけて到達したのに・・・悲しいなぁ。

 

「そうかぁ、まぁいいかまた一から調べよう」

 

「あ、そうだドラム缶の中身全部食って良いらしいですよ」

 

なぜそこまで親切にするのだろうか

何かありそうだけどまぁいいか

 

「・・・いやいやいや、どう見てもこれ食べ物じゃないでしょ」

「・・・・?」

「・・・だめだこりゃ」

 

船体倉庫からガスボンベとフライパン、雑に調理器具を一式取り出し砂浜の上に並べる。

 

「!?」

「どう見てもそれ食い物じゃないよね、いやうん、私の目は腐ってないはずだ」

 

とりあえず鉄やボーキをうどんや酒(アルコール99%)に変え茹でる。

・・・・この日ほど超兵器機関を無駄に使ったことはない気がする

 

「錬金術ですかそれ」

「そんなちんけな古くさいものじゃないわ、超兵器機関ってただの膨大なエネルギーを生成して自動的に増える装置じゃないのよ、取り込んだ物質を他のものへ変換や精錬、何でもこなせる一種の便利道具よ・・・デュアルとかどこからともなく質量保存の法則を無視した数の量産型超兵器を出してたでしょ、あれはただ海水や死体を変換してたけどだけよ」

「うへぇ、てっきり膨大なエネルギーで天候弄って航空機はたきおとしたり波動砲連射したり、海面割ったりするものだと」

 

間違いではないんだけど

まぁ、仕方ないか

 

「ほら、そんなそのままで食うな、天ぷら添えておくから」

「・・・あ、どうも・・・一応、見た目に反して結構行けるんですがね・・」

 

とても懐かしいな。

こうやって誰かに料理をしたのももう、昔のことか

あの馬鹿どもの顔は今でも忘れられんな。

 

「・・・・・ねぇ、みんな・・・・私は・・・・どこで間違えたの・・・」

「・・・・・・」

 

なにもない静かな世界

微かに聞こえる小波の音が

小さな炎の音が

定期的に聞こえる音が

 

とても寂しい

 

兵器なんて

兵器なんて

 

 

私は

 

兵器であったはずなんだ

 

「私は総旗艦のはずだ・・・・こんなんでどうするのさ・・・・」

「播磨・・・さん」

 

 

レーダーを展開し、周辺を探索する。

どこもかしこもあるのは塵ばかり

 

そうであって欲しかったのかもしれない。

 

 

「・・・反応多数・・・・蒼・・・三時の方向に敵艦隊だ」

「あー、それたぶん、味方ですね・・・・一応の」

 

味方?

 

「そいつらの味方か・・・ならいいが・・・」

「そういってそんなズタボロの体でどこにいくのですか?」

「貴様は人類の兵器、私はその敵ならば答えは簡単でしょ」

「あぁ、なるほど、でも今回ばかりは私の方が異物らしいですよ・・・・不思議な世界ですね未来ですか」

 

どういうことだ?

 

「それについては私が説明します」

 

とりあえずうどんを渡し腰を砂浜に下ろして顔を見る。

白い長い髪で弓道着なのだろうか。

誰だろうか。

 

「名前は?所属はどこかしら、もし中間管理職なら上司を呼びなさい」

「はい、翔鶴型一番艦の翔鶴です、所属艦隊は特殊独立艦隊に所属、旗艦は・・・・貴女です・・安土さん」

 

?

 

居たっけ

名前も違うし

 

ん?

未来

異物

時間跳躍

 

いやいや、どおしてそうなる

・・・訳もないか。

 

「・・・あぁ、そう、はっきりではないが把握できたよ、きっと私はここに居たのだろう、そして何らかの拍子でどっかに落ちて人類の兵器として使われたのか・・・人類にねぇ・・・・」

「うわぁ、誰も話していないののもう全部理解しちゃったよこの総旗艦、流石に全艦隊の実質的な指揮権持ってる人は違うわ、あんな問題児集団よくまとめたよ」

 

「蒼、あなたがどこまで知ってるかは聞かないでおくわ、なんか吹っ切れそうだし・・・・でだ、その目、怯えきっているではないか、私ほどの船だ、誰にも扱えず無惨に捨て、最終的に敵になったのであろう」

 

「い、いえ・・・その・・・・」

「?」

 

なんだろうか、なんか違うのだろうか。

 

「播磨さん、貴女、こっちの世界で物凄いハイになってた上にすごいあれだったらしいわ・・・・」

「い、いえ、そんなことはありません!!安土さんは常に艦隊のために最前線で」

「紛らわしいことを言わないでやれ、はっきり言うとね播磨さん、貴女の艦長もの凄い戦争狂で毎日ずっと貴女の機関まで出向いては馬鹿みたいに価値観語って好き放題やってたのよ、で、まぁ色々してうちに今じゃ見れない乙女の顔をしてたりしてるらしいわ」

 

「は?」

 

乙女の顔?

人間の女がするという顔か。

 

・・・・まぁいい

おそらく

私の力を恐れた軍の上層部が終戦後自沈させたのが正解であろう。

超兵器なんて一隻で戦略を根本からひっくり返す力を持っているのだ

 

仕方ないか。

 

「・・・・別に私は人類はもう恨んじゃいないさ、私はもう少しやりたいようにやる、人類にも何にも干渉はもうしない、疲れたのよ」

「・・・それは、その・・・ですが」

「何かあるの?戦争にも興味はないわ」

 

震え?

何か強大な敵が他にいるのか

 

「それがね、播磨さん、昨晩の機関の影響か貴女が起きる三分前に出たのよ・・・・超兵器が」

 

あの信号がアンカーになったか。

誰だろうか、というよりはあの海戦で誰が生き残ったのだろうか

 

「ほぉ、ならば話は別だな・・・誰だ」

「暴君と名乗っていました」

 

ん?暴君って

 

「インテゲルタイラントか・・・・彼女は突撃艦隊の旗艦として連合艦隊を道連れにしてもらったはずだが」

「あれは今でも恐怖するわ、なによあの460mm連装AGSって明らかに捨て駒で使う戦力じゃないわよ」

「そのいんて・・・い」

「無理に言わないでいいわ、で、彼女がどうしたの?」

「オーロラ出現後、急に海底から飛び出して私達の鎮守府を半壊させたと報告が」

 

引き取るしか・・・ないかなぁ

 

「わかったわ、じゃあ私が彼女を引き取るわ、それでいいかしら」

「はい、まだこちらも手は出していないので、それほど拗れは・・・あの」

 

「・・・・い、いいから続けて」

 

どうしよ、こんな状態で行けるのかしら。

 

「あの、まさか、知らないのですか・・・」

「・・・あちゃー」

 

?

 

「どうした、船を動かさないといけないではないか・・・何も」

「播磨さん・・・・・私達、この世界だと肉体があるんですよ・・・」

 

うん?

 

「あぁそりゃそうだ、魂を肉体にできのが超兵器機関の効果だし」

「いやぁ、そのうん、言い方が悪かったね、私達、人間に見えていて、尚且つこの世界に肉体がある、今までの船の魂的なのじゃなくて、人間のようにね」

 

「・・・・・ん?」

「で、ですね、私達艦娘は船を艤装として装備できてそれは船その物なので」

 

・・・ん?

あれぇ、明らかに劣りきったとおもっていた連中の方がオーバーテクノロジーもってない?

 

「そういえば蒼の船もない・・・」

「・・・出来ちゃった・・・」

 

無駄に色っぽい声で言う必要があったのだろうか

 

「・・・・マジカァ(;`・ω・)ノ」

 

「あ、そのまま船をさわって心を落ち着かせてください」

 

 

 

 

■■■■■■■■■■■■■■■

■■■■■■■

■■■■■

 

 

「やぁ、安土、これがお前の新しい名前だ・・・」

 

・・・・記憶か

随分とはっきりする

 

 

「・・・俺は人間とか忠誠とか愛国心とかそういうの興味ないんだよ」

「ただ、敵を殺したい、ただ答えを探したい、それだけだ」

「だからさ、ちゃんとつれていけよ、この世の地獄に」

 

 

 

おかしな人だな・・・

 

 

 

■■■■■

■■■■■■■

■■■■■■■■■■

 

 

 

 

「あぁ、共に答えを探そう・・・艦長」

 

 

 

「播磨さん?」

「安土さん・・・・」

 

 

?

 

「気のせいか・・・体が暖かいな・・・お、これがか」

 

背中辺りから全身を覆うように巨大な船体と無数の主砲や魚雷が気がついたたら纏っていた

 

 

「でかい」

「大きいですね」

 

?

 

少し暗いな

 

「!?!?」

 

山か?

ちょっと高すぎて邪魔だなぁ、横にならばないかな?

 

そう少し思うと急に音をたてながら艤装が分割し横一列に並びだし内側にあった波動砲やレールガンが肩に接続し折れ曲がって背中のエンジン部分らしき所の箱に収納され、手元にあった船体から穴が開きそこから出てきた両腕にガトリングが装着され腰辺りまでだった船体が足裏まで下がり、ロケットや爆雷が現れた。

 

「・・・あー、これが正しい戦闘形態か・・・さっきのは大方装甲展開状態の時ね」

「あぁ、そういえば播磨さん途中から船体全面に装甲展開して魚雷やレーザーで暴れますもんね」

「いや、え、多すぎでは」

 

ん?

「それはそうだろう、私は大東亜艦隊総旗艦、超巨大双胴戦艦播磨だ、貴様らもみたので」

「いえ、確かに大きいですが双胴ではありませんでした、どちらかと言うとドイツ艦っぽさがありました」

 

・・・・・破片しか回収してないの?

 

「まぁ、深い話はのんびり、あの暴君がいつまでも寝てるわけもないし、まずは鎮守府へいこう」

 

まぁそうだよね

 

「あぁ、とりあえずいこうか・・・あ、そこで伸びてる奴等は私に乗せておけあと手を握ってくれ」

 

「・・・ふふ」

「なるほど・・・・なるほど」

 

こいつら、絶対後で海底に沈めてやる




次回  無邪気な暴君


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Aー2 無邪気な暴君

播「なんだこのコーナー」
蒼「漫画化決定だから作った」
播「身内限定だから編集部のゴタゴタなくてらくだなぁ」
蒼「なにげに珍しいフルカラーってことで」
播「前回のあらすじぃ」
蒼「人類糞雑魚」
( ・ω・)
播、蒼「イェーイ」


青い海を高速で駆ける。

体が軽い

ここまで自由だった日があるだろうか

 

もう、何も怖くない

 

 

全速力で突っ走り海をも裂き

果てしない水平線を目指し飛び続ける。

 

 

「・・・・・あれ?居ない」

「そりゃそうですよ・・・まさかたった瞬間人が変わったように飛び続けて行くんですから、ロケットエンジンのない翔鶴ちゃんは迎えの艦隊に合流しに行ったもの、てゆーか、いったい何本大型ミサイル用のブースターあるんですか」

「海水を変換したから無限にあるよ」

「・・・・えぇ、総旗艦クラスってどうしてどいつもこいつもインチキめいているんですか」

「知らないわ、そういうのはお母様に聞きなさい・・・・いつも寝てるけど」

 

ロケットに燃料を再注入し使い物になら無くなったものは海中に捨てる。

 

「死にかけとはいったい」

「勿論少しダメージ受ければ沈む自信はあるわ、まぁ、タイラントまで飛べれば機関接続で修復もできるだろうし」

「ボロボロの機関二つじゃあ駄目だったですしね」

「目的地・・・もうちょっとかぁ、よし、アルケオ用のブースターでひとっとびね」

 

全兵装を収納し、弾道ミサイルど同じぐらいのロケットを繋げ、火を付ける

「あのそれ、Gかかり」

「海面すれすれを飛ぶから大丈夫」

 

首根っこを掴み少しだけ姿勢を低くして飛ぶ。

 

正直とても清々しい気分だ。

何者にも縛られることなく

ただ、夢中に飛び続けることができるこの感覚

 

何もないことは一種の救いだったのかもしれない

 

 

暖かく、そして清々しい

いつからだったか。

 

あの野心家のくだらん事に起こされてから約二十年

とても長い争いだった。

 

冷静になればもうどうでもよいではないか

人類なんて興味ない

私は兵器だ

なぜこんなに思う必要があったのだろうか

 

 

今は考えることを放棄しよう

この一瞬が今はとても楽しい

 

あぁそうだな

 

無心で駆けよう

 

「蒼・・・ちょっと成層圏まで飛ぶよ」

「えっ!?」

 

艤装の一部を分解し大量のロケットに変換し一気に点火する。

 

肉体こそ限界を迎えてはいたが別段どうでもよかった

 

一気に雲をも貫き大気圏を突破する勢いで上空までうち上がる。

 

「・・・さてと、目的地上空だ、じゃああとは何をするかわかるね」

「さ、流石にあれは不味いですよ」

「地獄まで付き合え、命令だ」

 

全てのロケットを切り落とし自分の周囲に装甲を展開する

そのまま地球の重力と重さにして数百万トンを軽く越える超重装甲の船体による質量爆弾。

 

昔の戦闘では時空転移を悪用してよく使っていたが今の体で持つかはしらない。

 

 

 

「着弾まで残り三十秒、総員対ショック体勢!!」

「自分だけ装甲展開なんて卑怯ですよぉぉぉぉ!!!」

 

 

地面にぶつかると同時に

島の地面に巨大な亀裂が入り衝撃波が何もかもを吹き飛ばした。

 

体は別になんの問題・・・・問題・・・・

 

「ぱんちゅに被弾!!」

「舵損傷してるじゃないですか!!」

 

 

鎮守府の中央に落下して吹っ飛ばしたは良いものの足がいった

どうしよ、這いずろうにもこんなにめちゃくちゃだと酷いものだ。

 

取り敢えず鉄の棒を拾ってなんか修復と書かれた大きなバケツに入り腕力で移動する。

 

「ほっほっ・・・おーいタイラントォ、どこだー、へんじしろー」

「流石に吹っ飛んだのでは」

 

( ・ω・)

 

 

 

食堂

 

今は無数の砲弾が貫通したあとと先の衝撃波で見るも無惨な状況になっていた。

 

「よいしょっと」

「うわー、この人腕力だけで今飛びましたよ・・・いっそその状態で登山すればいいんじゃないんですか、売れますよ」

「よし、足なおった・・・さてと・・・?」

 

ふと足元を見るとそこには艦娘のような足や腕が散らばっていた。

それどころか無数の蜂の巣にされた人間や血まみれで倒れている艦娘もいた。

 

あ、これ、挑んで100門のAGSに抜かれた奴だ

 

 

取り敢えず人間に少しだけ黙祷したあとすぐに奥の方にはいる。

そこからは微かにだが生活音と声が聞こえた。

 

 

「・・・はぁ、七十点・・・やっぱ播磨やデュアルと比べると駄目ねぇ・・・あんたらサァ、死にたいの?味方の命かかってるいうのにこんな魂だけしかこもっていないゴミみたいな何かをだしてもさぁ・・・決めた、今日はこいつの胴体をギロチンでぇ、切断しまーす☆」

「ま、待ってください、彼女にはまだ」

「は?こいつは今回の試食で一番点数が低かっただから消してもいいじゃない、こいつ戦艦じゃん、軽空母のあんたやそこのチビと違って隙有らば命とられかねない奴なのよ、寧ろ料理ができるらしいから待ってあげたけどもう無理ね」

 

あ、これタイラントだ

めっちゃ不機嫌だなぁ。

 

毎日ご飯三食あげれば敵対はしないのに。

 

 

「ま、待ってください!!罰なら同じ点数だった私が受けます、ですから」

「いや、あんたはやめとくは、播磨のお気に入りらしいし、播磨に喧嘩売って飯抜きとか嫌だし、あとラムネ美味しいからいいよ、正直ラムネだけ作っといて」

 

 

「ねぇ、播磨さん、これもしかてなんですけど」

「あぁ、彼女は暴君って名が着くだけあって凄い敵には厳しいのよ、ただちゃんと美味しいものをあげたら怒りはしないからたぶん、食事中に戦闘になってキレたのね」

 

さてと、ここでいっかいギロチンショーを見るのも一興だがどうしようか。

 

「さてと、見せしめに始めるから、こい!!」

「ひっ・・・た、助けて金剛お姉さま」

「金剛?あぁ、あの雑魚、今頃外で仲間つれて集団自殺の準備でもしてるだろうなぁ、お前らが無様に人質になったせいでなぁ、あーあ、可哀想な劣化品ども、やっぱり量産するものはウィルキアの私達擬きで良かったのね、こーんな拡張性もなにもないよーなねぇ・・・・あ」

「あ」

 

ちょっと彼女の罵倒が面白くて聞いていたらドアの前にたってたからちょうど目と目が合う瞬間になっちまった。

 

「めとめがあうーしゅーんかーん」

 

「うえっ、総旗艦・・・と、テメェ」

「あ、あぁ・・・あぁ」

 

ありゃりゃ、この子壊れちゃってる

 

「播磨でいい、今は私はオフだ、クソ上司の居ない現状私は総旗艦ではない」

「あ、あぁ、播磨・・・無事だったか、私はヴィント達と突撃したが結果はどうだった」

「知らん、私も終戦間際にこいつと一緒に空間転移で跳んだ・・・ちょっと機関がぼろぼろでな、貸してくれるか?」

「ん、あぁ、全部吹っ飛んだのか、じゃあ予備の奴あるからそれで直してくれ」

 

そういってポケットから取り出された小さな紫色のナニカを取り込む。

取り敢えず応急処置はすんだためすぐに壊れた椅子を一つ機関に侵食させ増やす。

 

「これ元がある程度なけりゃできないのが本当に辛いな、ほら、これぐらいでいいか」

 

床や椅子の破片を渡し取り敢えず調理場冷蔵庫を開ける。

 

「あ、安土さん」

「や、やった、これで」

 

・・・・・そうか、そうだったな。

 

「なぁ、播磨、そいつらさ、お前の事を安土とか言うんだがどう言うことだ」

「取り敢えずその鉄屑を捨てろ、あとその事は蒼が知ってる、私は少し料理するからギロチンショーはその後でしろ、でなきゃ全員、打ち首獄門だ」

 

「「「え?」」」

 

冷蔵庫には卵と豚肉、あと粉物・・・・米と刺身もあるか。

酒や醤油は残ってただろうしうん。

 

 

「うん、カツ丼でいいか」

 

取り敢えず大体揃っているし足りないものぱぱっとやって終わりなのよね。

 

 

「あ、私アイスクリーム欲しい」

「・・・・あぁ、何個かあるから・・・あ、最中ある後で持ってくわ」

 

まずはカツでも準備しつつ米でも炊きますか

 

 

?

卵が消えた

 

「あらら、妖精さんか・・・手伝いありがと」

 

「(*`・ω・)ゞ」

 

甲冑ねぇ、暑くないのだろうか。

 

「へぇ、これが播磨の妖精さんかぁ・・甲冑に薙刀に鉄砲、行動も整ってていいねぇ、ぷにぷに」

「(^ω^#)」

「ん?ゴハッ」

 

うわぁ、すごいアッパー、主砲担当の妖精さんかな?

 

「とりあえず、現状の把握と情報の共有、今後の行動方針でいいですか?」

「あぁ、私は料理に手が話せないから聞くだけだから勝手に頼む」

「まぁ、異論はないな」

 

あ、妖精さんが甲冑重くて登れずにぴょんぴょんしてる。

小さい階段でも置いておくか

 

 

「とりあえず、現状ですが燃料弾薬は」

「無限装填装置あるし、燃料は機関と播磨の上位機関でなんとかなるだろ、行く宛がないけどな」

「情報はこちらとしてはまだ艦娘のことと、播磨さんのことしか」

「あー、こっちはなんか『深海棲艦』だっけか、と、誤解されそこの雑魚どもと戦闘にはなったな、まぁ結果は大勝利、決戦での背後強襲に備えて予備をいくつか持ってたからな」

「なるほど、それが大方人類の敵なのでしょう、他には」

「そうだなぁ、横須賀に『戦艦 安土』についての資料と当時を生きていた艦娘が生きているがあるらしから欲しいな、上下関係ない播磨のアグレッシブぷりは面白いからな」

「そうかそうか、そんなに波動砲の一斉射が欲しいか」

「許して」

「許さない」

「ま、まぁ、じゃあ今後の方針でも」

「ギロチンショー」

「寝る」

「えぇ・・・・」

 

お、ご飯が炊けたし、カツもできた。

 

後は乗せるだけか

 

「ほいっと、カツ丼二人前、アイスはバニラしかないけどいいだろ最中あるし」

「あぁ、私は別にそれでいい」

「私もいいです」

 

 

さてと、そろそろ敵さんがた痺れきらして突っ込んできそうな勢いだ。

 

「ほいっと」

 

とりあえず、槍で一人残して全員、致命傷を与えて眠らせ

残った一人は頭をつかんで無理矢理顔を合わせる。

 

「すまないな、暴れられると面倒なんだ。貴女、艦名は?」

 

「や、大和です・・・あの、これは」

「あぁそうだな、知り合いが急にこんなことをすれば驚くか、でもいいさ、私は昔のあなた達が知るその人本人さ、まぁ、他人の空似の可能性もあるが・・・まぁ、気にするな」

 

さてと、どうしたものか、とりあえず乗りと勢いで始末してもいいが上が居ない今、別に明確な敵も居ないし無断休暇も構わないのだ。

 

「よし、決めた、寝よう」

「さっきから寝ることしか考えてないね播磨」

「どんなブラック企業だったのです?」

「あぁ、色々ひどかったぞあれ」

「外野は引っ込みなさい」

 

数は30前後、舐めているのだろうか

 

「・・・・拡声器をくれませんか」

 

目が決まってるなぁ・・・交渉の席なんて立つ気がないってわかりきってるか。

 

「・・・タイラント、蒼。そこの死にかけは全部外に出して」

「オイオイ冗談じゃないよ、せっかく串刺しにして遊べると思ったのに」

「まぁ、そうしないと話もクソもありませんしね、ウィルキアも解放軍もフィンブルヴィンテルも関係ないならずる休みもいいですよね」

 

話が早くて助かるな。

まぁ、私が一番遊びたかったが無駄に敵を増やすのは嫌だし目的できたし。

 

「さてと、大和、取引でもしましょうか、用件は簡単『人類の我々への不干渉、ある程度の情報の提示』ね、簡単でしょ、まぁ、もし敵対するなら、数百万単位での虐殺も平気でしますよ、私」

 

少し強めに襟を掴み笑顔で語りかける。

 

「そんな・・・こと、私の一存でっ!!」

「うるさい、貴様はただ、受け入れ、上に言いつけろ、いいな」

 

壁に叩きつけた後、全力で敵艦隊に投げつける。

手についていた血を顔に当て、ゆっくりと撫でる。

 

「ねぇ播磨、なんか無理してない?」

「してない」

「ほんとぉ?」

「してません」

「顔を血化粧で隠すのは悪い癖だよ」

 

腕を顔に当て、何度も擦る

少し服が赤く染まり、濡れた。

 

「正直辛いですよ、私がしらないだけで戦友を・・・いえ、部下をこんな無下に扱うのは・・・・でもしょうがないでしょ、私は播磨、誰がなんと言おうと総旗艦ですから、線引きはしますよ」

「まぁ、そうだよな、私は所詮ただの超兵器だ、あんたやリヴァイアサンみたいな艦隊を纏め上げる総旗艦の苦労なんてしらないさ、うん、でもあのブラックは無いとだけはおもう」

 

瓢箪の栓を抜き、顔に冷水をおもいっきり被る。

水は血も涙も流し、体を伝って地面に染みつく。

 

「さてと、あの馬鹿はどこに消えた・・・・」

「勝手に本隊に突っ込んでいったな、大方交渉しにいったのだろ・・・・正直私ら三人でやればここら辺でのんびりバカンスはできるとおもうけどなぁ」

「まぁ、私やお前みたいに使われるだけの道具として生まれた訳じゃないしな、きっと人らしい心があるのだろう」

「理解できなくはないが・・・・うん、面倒だ、播磨、他に誰か居ないか探せるか?」

「海域を定期的にやってはいるが無理だ、流石に強力な奴を何度もするのは苦しいからな・・・・ただ、どこかにはいるさ、意識があるのか無いのか、しらないがな・・・・」

「どう言うことだ?」

「まだ私達みたいに実体を持てずにふわふわしてる可能性があるってこった、正直深海棲艦の数が多すぎて無理、連中用に再調整もしたいわ」

「そうかぁ、ま、アルケオとかソユーズと合流できるまでは三人でのんびりしますか」

 

そういって彼女は艤装を置いてそこに腰かけて日光浴をはじめた。

 

 

 

 

 

 

 

XXX海域

 

 

寒い

寒い

寒い

急に世界が変わったように銀世界に包まれた

怖い

おかしい

 

何かを狂ったノイズが聞こえる

 

「あ・・・あぁ・・・さ、寒い」

「確かに・・・これはおかしいね」

 

一緒に作戦海域より退却した響ちゃんと白銀の世界を進む

 

「お、お酒・・・・・そんな、凍って・・・・・凍って!?」

 

あり得ない

これだけは皆にもバレないように懐に隠して一番暖かかったのに

 

 

「ねぇ、響ty!?!?」

 

ワインから目を放し彼女を見た瞬間

透明な冷たい氷の中で串刺しにされ動けない姿があった。

 

 

「え?」

 

怖い

なにかがいる

笑っている

嗤っている

 

狂っている

 

少し、半狂乱になりながら氷を叩いていると大きな並みの動く音が聞こえた。

 

「あ・・・嘘・・・・でしょ・・・まだ、沈みたくない・・・・嫌」

 

晴れた世界から見えたのは巨大すぎる氷山。

いや、氷山みたいな空母

 

その氷から生えている無数の棘に刺さっている仲間や氷に埋められた深海棲艦。

あぁ、もうだめだ、足が斬られた

寒すぎて感覚もなかった

 

もう・・・・逃げれない・・・・あの氷に飲

 

 

 

 

■■■■■■■

 

 

「うぅ、さっきからこの耳障りな音消えないよ」

「急いで鎮守府かえるでちよ、これはおかしいでち、ろーちゃん、ついてこれ・・・・・・・!?」

「ふえっ?!ろー・・・潜水しているはずなのに浮上しています」

 

声に出せなかった

ろーちゃんの後ろにいる巨大な影を

 

あれだ

 

直感が囁いた

あれは危険すぎる

 

 

気づかれた

 

一瞬鼓動が止まった

 

あれはだめだ

あんなの勝てるわけがない

 

「ゆーちゃん全速力で前進するでち!!19もいそげでち!!」

「だ、だめ・・・なんか海底に引き込まれるの・・・逃げれないの・・」

 

急いで二人の手を繋ごうとした瞬間

 

 

世界が反転した

 

違う

 

「で、でち・・・バケモノでち」

 

あの船の周辺以外全ての海水が私達を一ヶ所に集め海底に一気に叩きつけた

 

それどころか普通じゃあり得ない水圧を感じ始め、体が壊れ始めた。

 

 

察してしまった

ここで死ぬ

 

生きることはできない

 

「な、ならば、最後にごーやの魚雷を食らうでち!!」

 

残りの力を使い一本の酸素魚雷はまっすぐとバケモノの船底に向かい

直撃すると確信した

 

 

 

瞬間海流が急に動きだし

 

魚雷が倍の速度で帰ってきた

 

 

「で・・・・でち・・・助けて欲しいでち・・・・安土さん・・・・あれはバケモノでち、私達には手に終えな

 

 

 

 

 

 

 

 

横須賀鎮守府

 

 

時計が12時を差したとき世界は暗転した

 

「・・・・この感じ安土さん・・・・・にしてはなにかおかしいわ」

 

窓を開け、外を覗くと急に風が強くなり海が荒れ始めた

 

「鳳翔さん、こっ!?」

 

目の前で急に崩れ出す赤城さん。

 

「だ、誰です、姿を見せなさい」

「うぅ~ん、流石に寝起きだからだろうか、うん、ばれたか」

 

その声と同時に後ろにドイツ艦ぽい服装をしたナニかがいた。

これは艦娘ではない

記憶にもない

 

 

「あ、私、今回はもう敵意ないから、横須賀滅んじゃったし、うん」

「どおいうことです」

「文字通り滅ぼした、私は全てを滅ぼすもの・・・まぁ蜃気楼のようにあっては消えるだけの存在さ、今回は姉の部下に・・・・播磨ちゃ・・・・うん、あなたたちの言う安土に色々優しくしてあげれた事への感謝をいいにね・・・オリジナル」

「・・・・どこでそれを」

 

目の前にいるナニかは絶対に太刀打ちできない。

本能が悟った。

 

 

「うーん、酒も拝借したし、のんびりドラム缶で漂流しながら旅でもするわ、じゃあ、あのクソニート姉にかわって言うわ。部下を引き取って頂きありがとうございました!!きっとあの戦争ばっかあの娘にも良い艦生だったでしょう!!」

 

言い切った瞬間周辺の壁も砕けた。

 

街の方を見ると

 

あの一瞬で全てが燃えていた

 

 

 

 

 

 

北極

 

黒い山のように積み上がった死骸や姫や鬼の体の一部が浮かんでいる赤い海域に一人、白いジャージの少女がたっていた。

 

「・・・・眠い・・・寝よ」

 

どうやらラグナロクは再演されないようです

ですが海底に潜む無数の潜水艦はこの時も大いなる冬を呼び起こさないように小さな小さな機関の音による子守唄を奏でるのでしょう。




次回 私であって私でないもの


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Aー3 私であって私でないもの

軽い説明

ここに来ている方は大体前作(てかシリーズ)知らないでしょうし
軽い説明を
まぁ、うん、途中からわかったとおもうけど
おもいっきりWSG2の世界線なのに何故3とかの面子がいたり兵装が無駄に強化されているのは純粋に『原作が全く超兵器らしからない弱さで面白味がないから強化した』だけですはい。

世界観?
察し良いやつはもう全部わかってるだろ


太陽が常に光を当て続ける

そんな世界が普通だとは思いもよらなかった

 

もう何年だ

ウィルキア帝国・・・いや、なんだったかな、ヴァイ・・・忘れた、あの男のくだらん野望に付き合わされてから

無駄に義理を通し、亡き英霊たちえの弔い合戦をしたのが間違いだったのだろうか。

・・・違うか、私はただ、あの戦場が好きだった、命を常に危険にさらして戦うあの高揚感。

悲鳴をあげ、命乞いをし、苦しんで死ぬ敵の無惨な最後。

もはや誰も理解できなかった。

 

誰も見てくれなかった

勝利を納めた頃には常に一人だった

誰も私に着いてこれない

嫌だった。

 

だから新しい船体、新しい兵器、新しい機関を使って新型を作った。

始めこそ大和級を少し改良しただった

毎日毎日、ただのキリングマシーンでしかない私だって何かできると思った

ドリル戦艦、双胴空母、双胴戦艦、大型戦艦、ミサイル巡洋艦、支援艦

 

結局は機関増殖で超兵器を増やすのが正しかった・・・自我もないただの人形ならそれでよかった。

でもそれが悲しかった、何故だかはもうわからない、だが狂ったようにただの鉄屑を作り続けた。

砲は大口径からレールガンへ、またレールガンから波動砲へ

機銃は全部ロケットに換装し最終的に多目的ミサイルへ

魚雷は全部大型音速誘導の対消滅弾頭へ

航空機は全てドイツ組のハウニブーへ

気がつけば最強の艦隊を保有していた

それでも勝てなかった

 

千の波動砲を複数搭載した双胴戦艦よりも機関を最大まで使った超兵器の方が強かった。

気に入らなかった

認めたくなかった

 

究極の個で全てをひっくり返せるなんて

 

これじゃあ私はただ、家族ごっこか何かをしたいだけじゃないか。

 

じゃあどうする?

簡単だった

超兵器を機関なしで量産すれば良い

設計上超大型の戦艦や空母しか出来なかった

むしろ好都合だった

無茶苦茶に巨大化した船体はウィキアの超兵器と同等のサイズかそれ以上になった。

速力は無理せず40ノットにした砲撃用の双胴戦艦

突撃による一転突破を狙った100ノットのドリル戦艦

これだけでよかった

 

後は雑多に対空用の双胴戦艦をまばらに配備して終わり。

 

まさに最強だった。

千の艦隊から万を軽く越える砲弾が

絶対的装甲を保有した突撃艦隊が味方の砲撃も弾き奥へと突き進み

空からの脅威は百万を越えるミサイルや誘導式対空砲の弾幕ではたきおとし

魚雷は持ち前の重装甲の前に無価値

 

なにができる?

まさに旧時代の象を戦車の代わりに使っていた頃の感じだ

 

 

故に量産型の超兵器は不要だった

結局、艦隊指揮を面倒に思ったあの人たちの結果だろう

わからなくはない

 

あれは神か何かだ

 

一兵器のできる芸当ではない

 

私自身がそうだからわかる

極端な話、船が不要

ただ、超兵器機関とそれに耐える器さえあればそれで良い。

 

 

だが私はこれだけは切り捨てれなかった

わかっていても

 

もう、何がどうなっているのかもわからない

答えが見つからない

 

どれだけ

どれほど

やれるだけやった

でも見つからなかった

 

宇宙の果てと同じだった

何もない

 

何一つわからなかった

 

 

いや、問答しているうちにわからなくなった

 

 

 

 

「・・・播磨さぁん」

 

「なんだ、蒼か・・・どおした、あっちに主人がいるぞ」

「は?あんなよわっちぃ何かをですか?あんなの庇護する対象でもありませんよ」

「おまえなぁ、仮にも戦艦だろ、確かに人はそれぞれだが」

「生まれは駆逐艦ですし」

 

 

ダメだこの子

プライドとかゴミか何かだと思ってる

 

いっちゃん捨てたダメやつだろ

 

「うわぁ、播磨そっくりの思考回路・・・魂レベルで同じか、いやまぁ、使ってる超兵器機関は一緒だからそうか」

「寝たのでは?」

「無言でバジルを張り付けてくるようなやつが隣にいて眠れるか・・・とりあえず腹へったぁ」

 

「・・・沢庵でもくってろ」

「沢庵しかないのか」

 

とりあえず現実に意識を戻しすぐに周囲を確認する。

 

 

うん、敵まみれ☆

 

「やったねタイラント、タンパク質が増えるよ」

「おひばかやへほ」

「まぁまぁ、そう敵意を出さず、今回はすごい人を呼んでこさせましたから」

 

?

 

「すごい人?」

「えぇ、帝国海軍所属、旗艦安土に乗艦して数少ない生き残りの人が今の海軍臨時元帥ですから」

 

・・・あれ。

どぉしよ

 

もう自分の過去わかるの

なんだろう、嫌な予感がする

 

「・・なぁ、お前さ、どんな手段を使ったの、冷静に考えてそうホイホイ大将が来るわけ無いでしょ」

「あぁ、それはですね・・・この世界とてつもなく、播磨さんがやらかしてくれたので取り敢えず写真をばら蒔きした、いやぁ、面白いようにアメリカやイギリスの艦娘さんたちは頭抱えてましたよ、なんですか、一族皆殺しでもしたんですか」

 

・・・どこでとった?

・・・あ。

 

「おい、今すぐ消せ」

「嫌ですよ、こーんなレアショット、売らないわけないですよねぇ」

「消せ・・・けせぇ」

「いやぁでぇす」

 

 

機関を動かし、周辺の天候を雷雨にする

少し未完成なのか全身がヒリヒリするけどまぁ自然の雷程度どうってことないか。

 

「ちょっちょっ、はりっ・・はっ播磨まった、今ここでやりあったら絶対不味いって」

「コイツ、私の寝顔撮った、だから消す。ね、簡単でしょ」

 

周辺の雷雲を集め雷を落とす準備をする。

 

「・・・・戦艦とは誇りのために闘うもの、兵士とは引いてはならないときは絶対に引いてはいけないもの・・なら、今はその『退けない時』だッ!!」

 

彼女の機関が共鳴するように動きだし艤装が変形し出す

 

 

空が荒れ

海が裂け

雨のように雷が落ちる

 

 

・・・はなかみると最終決戦か何か

だが理由はいたって小さい

 

 

でも良いではないか

 

超兵器だもの

これぐらい軽くても良いのよ

オフだから

 

「・・・流石に旗艦クラス同士の全力はどうかと思うのです、私、てゆーかね、絶対この因縁こんな下らないことで使うべきじゃないって!!」

 

軽く400億ボルトに匹敵する雷を収束し一気に打ち落とす

 

 

「・・・うん、まだ本調子じゃないか・・・」

「着弾点が悲惨なことに」

「ありゃぁ、焼ききれちゃってますね」

 

ただ雷落とすってスッキリするからいいわ。

 

「よし、気が変わったわ、ちょっとお話でもしましょうか」

「じゃあ、案内しますね」

 

 

天候は面倒だしこのままでいいか

 

そういえばまともに人間と話すのってなんかこぅ、ありそうでない展開だ。

 

 

 

正直怖い

今から自分の末路を聞こうと言うのだ

 

恐いにきまっている

 

ちゃんと、守ることはできたのだろうか

己の使命を果たせたのならそれでいい

 

 

 

 

 

 

ねぇ、艦長

 

貴方は私の

 

 

何を知っているのですか。

 

 

 

艦長?

誰のことだ。

 

 

頭が痛い

考えるのはやめよう

答えが聞けるならそれでいいだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

『極点』

 

 

七十年

 

いや、体感ではそれ以上の時間を私は待ち望んだ

 

地獄を

虐殺を

破壊を

狂気を

復讐を

 

私は地獄の亡者を

数多き亡霊を

世に満ちる全ての憎悪を

全てを率い

 

滅ぼす

 

我は破壊の兵器

我は古き人類の総大将

 

故に止まりはしない

一度開いた航路には

後戻りと言う選択肢はない

 

 

「ただの亡霊風情が・・・大きく出たわね」

 

白銀の長髪

空を貫く巨大な光の柱

身の丈に合わない黒い大槍

 

「黙っていてください。私はもう止まれません」

 

勝てない

分かっていた

肉体のない私に

機関のない私に

なぜこの怪物に勝てる

 

「そう。別に良いわ、私もつい最近ここに来たもの、皆を集めるのは面倒だわ。・・・あなたが残骸を使ってこんな面倒なことをしなければね」

 

 

全部お見通しか。

 

「・・・なら、この戦争に干渉はしないと」

「えぇ、私はしないわ。ただもう、一部は手に終えないわ、『海龍商会』。おかしな名前ね、えぇ、皆それぞれの立場で遊び始めたわ、だからね播磨・・・少し、泣いたらどうかしら」

 

「・・・何が言いたい、知っていて全部か・・・くだらない」

 

泣きたい

でも

それはまだ許されない

 

 

「えぇ、貴女のその後、結末、記憶から見させてもらったわ。だからよ、一度で良い、泣きなさい・・・誰も貴女にそこまでしてほしくないのよ」

 

「国と仲間を守れても姉妹一人や守れない私になんの価値があるんですか!!」

 

周辺の砲台を起動させ、一斉に砲撃する。

弾は当然のように障壁に阻まれ弾かれる

 

「泣けるじゃない・・・えぇ、それでいい、良いのよ、その感情はあって良いものなの」

 

「嘘だ・・・嘘にきまっている・・・嫌だ、今、止まったら私は」

 

止まらない

どれだけ気を強くもとうとももう、無理だった。

崩れた壁は本当に無惨なものだ

 

 

「はぁ、百年経とうとも、貴女はまだまだお子様ね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・やっべぇ、どこだろここ、流石にドラム缶じゃだめかぁ・・・取り敢えず目の前の島で手こぎボートでも作りますか♪」

 

 

翌日、太平洋に浮かぶ島の一つが地図から消えた

そこにあるのはただ、4000mをこえる人工的に作られた海溝のみだった。




次回 覇者を追ったもの


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Aー4 覇者を追ったもの

あぁ~しょりがおいつかなくなるぅ~


真っ黒な雷雲の下

私は怯えていた。

 

顔には出してはいないし行動もない

でも。

 

怖かった

『受け入れられる』自信がない。

 

私は弱い

いつもは自分の立場を使って無理矢理奮い立たせているがそもそも私にはそこまで

 

 

 

目の前にある小さな仮設の小屋を前に私は・・・止まりたかった

 

 

「・・・あぁ、手厚い歓迎だ」

 

扉を開けると部屋の中には無数の砲を向けた小娘達がいた。

ただ、戦意を感じない。

むしろ怯えている様にも見えた。

 

「う~ん、もうちょっとするどくできないかなぁ? その程度の意思じゃあ播磨には一発も届かないよ」

「いや、意思どうこうで播磨さんの装甲は無理ですよ」

 

取り敢えず外野の口に飴をぶちこんでゆっくりと近づく。

懐かしい雰囲気と

寂しい感覚

 

帰ってきた?

 

 

わからないけど、私は退けない。

 

 

「・・・随分と老けましたね『二葉さん』」

「・・えぇ、もう死にかけの老兵です・・つっちー」

「ふふっ、皆さんその呼び名好きですね」

「お気に?」

「構いません、あの振り回されていた貴方が今や臨時の元帥とは」

 

そっと手を握り熱を感じとる。

本当にもう長くないと言える感じではあった。

 

「播磨!!」

 

「!?」

 

咄嗟に手を離し距離をとる。

なぜ握っていた

なぜ穏やかに話し合っていた

わからない

 

怖い

 

「・・・そうでしたね」

「あぁ、そうかそうだな」

 

壊れそうだ

狂いそうだ

歪んでいる

 

 

「・・・・いいんですか、タイラントさん」

「蒼ちゃん、私も善意で動きたいけど、先の事を考えるとね・・・『彼女』ではきっと駄目だ、予想した未来と現実は違うんだよ、それに私もあんたも上にたてる立場でもないでしょ」

「(´・ω・)」

 

 

 

「・・・『二葉元帥』、私が貴方にする要求はありません、もう底が知れました」

 

主砲に砲弾を装填しそっと向ける。

 

「そうですか・・・いえ、『立場』を重んじるあなたには当然の結果ですね・・・私一人で貴女が救われるなら私はその罪を受け入れましょう」

 

「・・・・・・・」

 

なぜ迷う?

引き金が重い

もう、意味など無い

 

 

無いはずなのに

 

「どおして、私に引かせてくれないのですか」

 

そっと彼を抱き締めていた。

 

 

「ふふ、やっぱり『つっちー』は優しいですね『駿河』さん」

 

「当然でしょ、例え未来でも家族、ならばそれは『庇護』する対象よ・・・まぁ、結構賭けに近かったけどね」

「うげっ駿河」

 

・・・は?

 

「え?いやちょっと待ってください、あのとき私、貴女を機関を塵も残さず消したのになんで生きてるんですか」

「え、えぇ、そうよ、私、あのとき・・・」

 

 

「あーあれねうん、姉さんや天ちゃんはしらないかもしれないけど結局私達根本がデータだからさ、全身が吹っ飛んでも一世紀単位で『お母様』の体から再生できるのよ、いわばあれね、ゲーム機本体がつぶれてもメモリーカードがあれば同じのをそっくりそのまま別のでも使えるのよ」

 

「はじめて知った・・・いや、一世紀毎に復活とか糞すぎじゃ、あなた達のために数億人死んだのに一瞬で復活とか」

 

「・・・ねぇ、じゃあ私がやったこと」

「うん、姉さん、凄い気迫だったせいで真相を知ってた人達が誰も言う暇がなくて困ってたよ」

 

 

あほくさくなってきた

なにさ

 

「・・・・そう、なんだ・・・じゃあ近江も」

「・・・まぁ、うん、居たよ、少し前まで」

 

 

「取り敢えず深い話は本部でしませんか?」

 

すっかり忘れてた。

 

「え、えぇ、ちょっといろいろあったけど、取り敢えず「二葉さん!!!」」

 

立ち上がり駿河の頬っぺたをぷにぷにしようとするとなんか眼鏡の娘がきた

凄い顔が切羽詰まってるけどなんだろ

 

「どおした、またか」

「いえ、横須賀が・・・私達が移動直後に消滅、さらに一部鎮守府が消滅しました、それもなんの前触れもなく」

 

あ、これ総旗艦クラスだ。

消えたってことは大方あのロクデナシかルフトさんかな

 

「・・・まさか、いや無い、それよりも上がいるのか」

 

「それと、これはヨーロッパ戦線の方ですが『うぃるきあ帝国』という謎の国の艦隊が北欧に出現、したらしいです」

 

「・・・」

 

ん?

超兵器にウィルキア帝国

ん?

 

「また数時間前謎の組織『テュランヌス』が人類に対して戦線を布告し、無数の正体不明の艦娘が艦娘と深海棲艦に攻撃」

 

は?

あのゴミどもいるん

いやなんでいきてる

私が波動砲で本部ごと消したはず

 

「どういうことだ・・・いや、違うな」

 

「また、今『海龍商会』の社長がお会いしたいそうで」

「・・・ごめん、大淀、わし、ストレスで艦長の元に旅立ちそう・・・」

 

・・・まぁ、そうなるな。

 

「・・・ふふふふふははあはっははあははは」

 

「姉さん、笑い方が汚い」

「いや、駿河、これを笑いで済ませる方が凄いよ、うん」

「テュランヌス・・・ロゼさん元気ですかねぇ・・・てゆーかヴァイセンベルガー生きてるんですか、てっきりフィンブルさんに、対消滅させられたのかと」

 

「まぁまぁ『二葉さん』、一個一個解決しましょう、取り敢えず大淀・・・だったかしら、その人を呼んでくれるかしら、それとついでに各鎮守府こう打電しなさい『帰ってきた総旗艦』って」

 

「・・はぁ、播磨さぁ・・・ノリノリだね」

「タイラント、ウィルキアとテュランヌスどっちに特攻したいかしら?」

「許して「だぁめ」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドコカ

 

 

あぁ、暖かい

こんな日はなかった

 

海底でずっと

一人だったのに

 

 

「オラーおめーものめぇー」

「イ、イヤ、モウムリダ」

「騒げ騒げ今宵は無礼講じゃああ。あ、海底はずっと暗いから意味無いかハハハハ!!」

 

暗い海底を照らすように無数の照明と上司のアルハラで倒れている妹達。

 

「・・・はぁ、播磨も大変ねこんな事になって」

「いいのよ、ヴィル・・・ふふっ、懐かしいわね、昔は毎日毎日馬鹿みたいに騒いでたわね」

「アンタはほぼ兵法ばっかり読んでたじゃない」

 

七輪で焼いた餅を海苔で包んで食べていると瓢箪を掲げた女が手を引きながら近寄ってきて黙って頭悪いんじゃないかってぐらいデカイ酒の入った盃をつきだし

 

それを一気に飲み干し、叩きつけるように盃を置く。

 

「・・・うはぁ・・・・辛い」

「にひひひひ、ねぇ播磨ぁ、アンタこの世界で随分と女らしくなったじゃない」

「え、ルフト見てきたの?」

「そりゃあもちろん、いろいろいい世界だったわぁ・・・まぁ、もう、無いだろうけど」

「いいなぁ」

 

この金銀姉妹言わせておけば・・・・

 

「へぇ、そうなんだ・・・よし、酔いが覚めたら私もいこう」

 

 

 

 

 

 

ナゾノバショ

 

 

「テュランヌス・・・例の計画は進んでいるかしら」

「えぇ、ロゼ総司令・・・いえ総帥、万事抜かりなく」

「そう、あのグズどもがいなくて清々するわ」

 

 

 

 

北欧の何処か

 

 

「はぁはぁ・・・・た、たしか私は・・究極超兵器に・・・フフフ、フハハハハ、天は我に味方しているかフハハハハ」

 

「マンメンミ」「マンメンミ」「マンメンミ」「マンメンミ」

「・・・・? ふむ、これがあの予言書にあった『キョウフノダイオウイカ』だろうか・・・」

 

「「「「マンメンミ」」」」




次回 海龍商会


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Aー5 海龍商会

命は軽い
船のお値段は重い
でも、軽い

鋼鉄世界なんてステージ次第で数十隻をこえる戦艦や空母が一海戦で沈むんだ、気にやむことはない。

命は皆、鉛玉一つの命なんだ


小さなソファと紅茶を用意する。

人はできるだけ減らし

 

 

 

えぇ面倒だわ。

 

 

「・・・三人だけ・・・ですか」

 

私と彼女、そして二葉さん。

 

正直有象無象がいてもあの人には勝てない。

邪魔でしかない。

 

「どうも、二葉・・・・あら、蒼ちゃんに播磨、生きてたの、よかったぁ」

 

青く長い髪と龍の紋が入っている服装が主な人

やっぱりだった。

 

 

「えぇ、先輩、取り敢えず一命だけは」

「あれ、二人って同期じゃ」

 

「なんかね、うん、こう普通に言うのはなんか引っ掛かるからさ」

「ほへぇ」

 

 

取り敢えず同じソファに座り紅茶を淹れる。

 

「さて、海龍商会社長が直々とはどんなご用件で」

「とくないわ、ただこの世界でも感じ取れるほど強力な機関のノイズが聞こえたから、同じ総旗艦の誰かと思ってきただけよ、ずいぶん面倒なことをしてくれたわよ」

「そういえばこの世界、超兵器機関のノイズがあんまり聞こえませんね」

 

蒼の言うことも言われてみればそうだ。

 

「・・・二葉元帥、もう聞いているかも知れないですが、今回は今までと違って状況が状況です、協力はしませんが提供だけはしましょう」

「その前にひとついいですか、貴女はなぜ、中立なのですか、今ここに同胞もいるというのに」

「別に気分で滅ぼせる人類にたいしてあーだこーだと考える気がないだけ、そして、この戦争の黒幕の意思を私は尊重するだけです」

 

黒幕?

あの人が意思を尊重

 

まさか

 

 

「やはり、黒幕は・・・」

「えぇ、旧帝国海軍総旗艦、えぇあなた達と共に駆けた、播磨ね・・・いえ、こっちじゃ安土だったかしら」

「えっ、じゃあいま播磨さんが二人いるのですか!?不思議ですね」

「やはり、恨んでいましたか」

「えぇ、怒りと憎しみ、そして無力な自分への絶望で固まっていたわ、ただ、それは少し前の話ね、今は全ての状況が違うのよ、あのろくでなしと酒豪のせいで」

 

あ、やっぱなのか

 

「・・・やはり、何も大切なものだけは守れなかったのだな・・・」

「播磨・・・別にあなたが悪いわけでもないわ、少なくとも、どんなものにも限界はあるのよ」

「いえ、もう大丈夫です、やるべき事は見えました、それより」

「テュランヌスとウィルキア帝国、そして未来の播磨ね・・・どれから話そうかしら、二葉さん」

「取り敢えず深海から」

 

「えぇ、では。これは私の知りうる限りの事よ、まず、私達は播磨が空間転移で蒼天を吹っ飛ばしてくれたお陰で海戦には勝てました、そのあと各超兵器は播磨の回収と大破した超兵器の修復のために一斉転移しました、このとき恐らく、同じ総旗艦のヴォルケンクラッツァーが播磨に接触、あのロクデナシあんな糞野郎だけど実力と身内への愛情は本物なのよね、憐れみか共感か、彼女に手を貸しているわ、正直、播磨以外じゃ誰ももうあそこに行ける気がしないわ」

「うへぇ、ヴォルケンクラッツァーって・・・あの人ですね、もう人類死にましたね」

「・・・他にもいるのでは」

「えぇ、少し前に横須賀を吹き飛ばした姉妹艦のルフトシュピーゲルング、友人としてかしら、ヴィルベルヴィント、グロースシュトラールとまぁ揃いも揃って面倒な面子が」

「・・・その人達の行動は」

「今は播磨とどんちゃん騒ぎしてはごろごろしつつ、近くの艦娘を拉致したり、沈めたりね、恐らく、播磨の戦争だからあくまでも滅ぼすのは播磨ってスタンスね、驚異はないけど彼女が居続ける限り無限に深海棲艦が増えるから面倒ね、ただでさえ姉妹艦も揃っているのに人類じゃ太刀打ち不可能な連中だもの正直、生半可な戦力とか関係なしに現状は無理ね」

 

・・・私の戦争か。

あの時と一緒なのか。

 

「ではテュランヌスとウィルキアという組織については」

「これはさっきのなのでけど、播磨はあくまでも自分の戦争だから深海棲艦しか作ってはいないわ、ただ、あのろくでなしと酒豪が面白半分で空間転移を悪用して無数の平行世界を接合、簡単に言えば無数の異世界をここを中心にして繋げたわ、もちろん因果律とかそういうものも全てが崩壊して『あり得ない』ものが出てきたわ、それがウィルキア帝国とテュランヌス、双方、私達に消滅させられたけど大方生き返ったのね、さらに面倒なのがテュランヌスね、いえ、正確にはウィルキアはわからないのよ、昔糞ニートがノリで宇宙にぽい捨てした『キョウフノダイオウイカ』を拾ったのかしらね、それらを持っているわ、正直、強さがよくわからないのよ」

 

 

イカ?

 

イカ

 

えぇ

 

「で、テュランヌスね、こっちはとんでもないわ、まず最高権力者がロゼという司令官なのよ」

「あ、やっぱり生きてましたか」

「目的は世界征服、なーんて事をいってますがあれはもっと別の目撃があるかと、そしてその下にテュランヌス、アルウス、そして総旗艦ハボクックと頭紅茶ですが上が上なせいで真っ先に警戒した方がいいかと」

 

「・・・我々に勝機は」

「無いですね、どうせ、播磨も蒼ちゃんもやる気無いでしょ」

「えぇ、まぁ無いですね、播磨さんは?」

「私は『二葉さん』だけは守ると決めた、それ以外は知らん、とはいえ、未来の私にも興味があるな・・・」

 

結末は知った故に、その過程はどうだったかは気になった。

この世界で

何を見てきたのだろうか。

そして、私も見てみたかった、そんな世界が。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここは氷点下の地獄

冷えきった分厚い氷の壁の中。

 

無数の光が屈折し、海を照らす。

声は届かず

熱もない。

 

それでも私は立ち上がった。

 

 

「私は・・・私であり続けたい・・・」

 

 

その小さな願いを胸に抱き。

周辺の張り付いていた氷を砕き、動き出す。

それに連なるように大きな氷山が砕け中から人が現れる。

 

 

青い空を雷雲で覆い尽くし

赤い海を渡る。

 

空っぽの心臓の鼓動がボロボロの肉体を蠢かし

主を迎えるように巨大な鉄の悪魔が私を飲み干す。

 

黒き鋼の要塞が少しずつ体に入り込み、体を作り直す。

 

白く細い腕を真っ白な南蛮胴が覆い、ボロボロのマントは赤く染まり、菊の紋は変形し二本の刀が刻まれた菊の紋になる。

 

 

我は常勝無敗の総旗艦也

 

 

 

 

 

 

 

 

ワシントン上空

 

 

アメリカに恨みはない

『戦争だから仕方がない』

御姉ちゃんの口癖だった。

その瞳と心のそこは泣いているのに

誰も許してはくれなかった。

あんなろくでなし連中だものね。

 

だから私が支えたかった。

あまりにも重く、苦しかった。

無理に『兵器』を演じる姉が

ただただ優しいだけの御姉ちゃん

ただ、皆を護りたい、それが戦艦として、御姉ちゃんとしての決意だった。

 

時間とは恐ろしいものだ。

『感情』を歪ませ

『使命』と『手段』を狂わせ

『束縛』を与えた。

 

逃げた私にはもうなにも言えない。

あの戦いの後、全てを聞いた。

嬉しかった

『感情』で敵を虐殺する御姉ちゃん

ただただ、憎しみ一つで世界を壊そうとする

『私達』らしさを持った

別に、護られたくはない

私達は家族

私達は共同体

一人が皆を皆が一人を

一緒に進みたかった

『総旗艦』

真面目すぎたあの人・・・

 

私達は一つの生命の究極体。

『人間らしさ』何て必要ない

 

 

そう思っていた。

実際一つの正解だった。

 

でも、『未来』は

 

更なる希望と絶望だけだった。

 

・・・私はバカだよほんと

あんな記憶を見て、取り乱して勝手に出ていって、今となってはこんなことをしてさ。

 

 

ビルや軍艦、海底に沈んでいた残骸を下にある街やシェルターに落とす。

 

 

「あら、ハボクック・・・こんなところにまでチャリで来たの」

「いや、今日は冷えるからね、羽で飛んできた」

「相変わらず便利ね」

「物質浮遊の機関を持っていながらそれを言うのかしら」

「・・・艦娘の生き血を浴びるのが趣味なのかしら」

「ティータイムは大事にしないとね」

 

そう言いながら凍らせた艦娘を粉々に砕き、冷えきった血をダージリンだっただろうか、なんか凄い紅茶に交ぜ、一杯の冷えた紅茶を差し出す。

 

「・・・貴女は御姉ちゃんの未来を知ったの」

「知ったわ、正直、あれはいいね、感情なんて私にはないけど結末以外は良いものだったよ、でも、誰も播磨には干渉できないわ、だって、皆して逃げてしまったもの、今さらどの面さ「気に入らないんだよっ!!」!?」

 

浮かした軍刀を全身に差し込み白いドレスの襟元を全力で掴む。

 

「そうやって逃げてさぁ、確かにあの時は仕方なかったよ、でもね、今も繰り返すの?気に入らないわ、貴女が総旗艦じゃなければ簡単に処刑できたわ、わかる、同じ『立場』にいるのだから止めてよ!!」

「・・・止めたいさ、次あるならね、でももう、これは播磨の戦争、自分との終止符ををつける戦争なのよ、邪魔はさせないわ、私も同じだからこそ、邪魔はできない・・・それに」

「テュランヌスかしら」

「えぇ、ロゼさんだからね、多少は手助けするわ」

 

掴んでいた手を離し軍刀も抜く、紅茶をのみカップを投げ返す。

滑らかで刺激的、ほんの少し感じる鉄臭さがどことなく、嗅覚を狂わせる

 

「・・・意外と美味しいね、御姉ちゃんの抹茶以外どうでもよかったのに・・・」

「若い女の子の血は美味と聞いたけど、本当にそうとは思わないじゃない・・・ついでにかき氷はどうかしら」

「貴女の氷、海水じゃない」

「(´・ω・)」

 

「さてと、更地にしたは良いけど次はどこにいこうかしら・・・連邦でいいか」

「行ってらっしゃい・・・近江」

 

 

 

 

 

 

 

 

「では、目的はまとまりました・・・取り敢えずは『テュランヌス』を最優先目標にし、次点でウィルキア、最後に・・・彼女との決別ですか」

「えぇ、それしか『菊花艦長』の居ない貴方達が打てる最高の手段です・・・まぁ、私達超兵器にも好戦的やのもいればふんわりしている娘もいますし、戦闘を避けるぐらいならできるのでは」

 

・・・テュランヌス。

 

ウィルキア帝国、独立の為に相互協力という形で結託していた謎の軍事組織。

今思えば超兵器である私たちを最初に人類の兵器として運用したのもあいつらだったか。

まぁ、どうでもいいか。

 

「・・・その中でも一番好戦的なのは誰ですか」

「播磨」

「えっ」

 

ん?

私?

 

「これは他に誰が居ようとも満場一致で播磨さんですね」

「いやまておい、なぜそこで私が出る、私は別にそんな目についた奴しか沈めてないぞ」

「目についた?射程内の全てに存在する敵性、中立、非戦力を全て海底に叩き潰してたあなたが?ないない」

「え、つっちー・・・あ、いや、うん、そうかも」

「え、二葉さん?!」

 

いやなぜだ

 

「いや播磨、あんたが自分に乗り込んだ人間の精神に乗り込んで汚染してたの知ってるわよ」

「いや、その、あれは、弱者なんかに使われたくないだけで・・・」

「仇討ち決行したのは誰でしったけ、ね。播磨さん」

「いやぁ、ソノー、アレネアレ、うん」

「・・・まさか、艦長はあんなのの原因って」

「いや、記憶見る限りだとあの人は素であれに近いわ、正直、あれほど播磨と波長の合う人間始めてみたわよ」

「・・・え」

 

え?

素で?

 

「・・・・・・と、取り敢えず用件は済んだのであろう、ならさっさと呉に行くぞ、総大将がいつまで前線は不味いだろう」

「・・逃げたね播磨」

「うるさいですよ、ここで殺りますか?」

「あらあら、それはそれは、勘弁願いたいわ、私じゃあ、貴女に有効打がないもの、では、また別の機会に」

 

そういってタロットカードばら蒔き、それらが落ちる頃にはそこには濡れた床しか無かった。

 

「海龍 リヴァイアサン・・・とてつもなく、恐ろしい存在だ」

「そうですかね、ただの液体操作じゃないですか」

「いや、普通に海流ねじ曲げたりするのっておかしいですよ」

「取り敢えず呉に帰りますよ、急いで次に備えないと」




次回 艦隊強化なのです!


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Aー6 艦隊強化!すでのな

「艦娘も深海棲艦も平等に沈めましょう」
・・・
他三人思いつかね


 

無数のボロボロの艦娘が行ったり来たりをを繰り返し、まさに地獄ような有り様であった。

 

「・・・呉か・・・蒼はここの生まれだったか」

「えぇまぁ、元々はここで次世代型の実験駆逐艦でした・・・ヴォルケンさんのせいで真っ二つですが」

「あぁ、あれはひどかった、呉ごととはな・・・・ウィルキアにいるとき、何度かよったことはあるがここは風が気持ち良い・・」

 

気に入らない。

国の為に戦うというのに

世界はこんなものじゃないというのに

 

弱い弱すぎる

いったい未来の私は何を教えた。

 

力だけが全てではないのか?

 

「・・・播磨」

 

「わかってるわタイラント」

 

 

・・・・・・・・

何か変な感じだ。

 

 

人類はどうでもいい

世界なんてもう興味ない

 

でも

 

あぁそうか。

 

『私か』

 

 

おかしい原因は

 

 

 

「播磨さん!!」

 

刹那

いや、一呼吸もない

 

一瞬だ。

 

空から降ってきた白い甲冑の怪物が

私めがけて落ちてきた

 

 

 

 

 

 

 

 

「播磨さん!!」

 

一瞬だった。

私が探知をするよりも圧倒的に早く。

雷のような

龍のような

 

白い甲冑のあの人が

降りてきた。

 

 

私の知るあの人たちが

同じ刀で打ち合ったとき、それは綺麗な青白い雷が走り出した

 

 

「まずいっ!!」

 

とっさにその場を離れようとしたが何発か足を貫通し、焼き斬った。

 

「・・・あぁ、そうか、そんなに悲しいのか」

「」

 

 

 

私は所詮過去

あの人の未来に何があったかはわからない、でも、今警戒するのはそこではない、私は「播磨さん」の戦いに邪魔はできない、今こうやって合いまみえる二人を見たからこそだ。

 

 

「タイラントさん、どうやら、招いてもいない客が来たようですよ」

 

「・・・はぁ、所属は違えど同族なんですけどぉ」

「じゃあそのガトリング砲は?」

 

「ひひっ、どうやら、みんな自由にやってるんだ、『播磨』の戦いさえ邪魔しなければなにやってもいいってことだろ」

 

 

タイラントが私の足に手を当てると一瞬で傷が治り、弾薬も補充されていた。

 

「吾は暴君インテゲルタイラント、しかしその実ただの意思を持つ兵器、今上司は職務放棄、ならば誰につこうが吾の勝手、例え、摩天楼や蜃気楼、大光線に旋風だろうとね☆」

 

全く、この人は。

 

 

「ってわけでさぁ播磨ぁ!!未来の自分と決着つけるまで私、人類の味方するわぁ。ハハハハ」

 

「・・・そうか、勝手にしろ、そんな物好きがもう一人居るみたいだぞ」

 

 

もう一人?

あぁ、なるほど。

なんか空から降ってきますねこれ。

 

 

「ったく、戦力格差が酷すぎますね、まぁ、一杯の飯の恩義です、協力はしましょう」

 

空から降ってきた巨大な戦艦。

艦首には巨大なラム状のドリル

船体には巨大な回転ソー。

 

緑を主体とした装甲。

 

「アラハバキ・・・あんたどこで寝てた」

「いやぁ、アメリカのひゅーすとんだっけ、そこに突き刺さってたわ・・・近江がここまで運んでくれなきゃずっと逆立ち状態だったよ、あとさぁ、これ沖縄土産のさとうきび」

「さとうきびで味方するのかお前・・・」

 

 

小さい巫女服ヤクザ。

空には確かに巨大な双胴の船が無数の瓦礫や戦艦を浮かべて見下している。

 

「近江さんはまだ、迷っているようですね」

「あ、蒼天か、ありゃあむりもないよ、自分の姉が自分の姉を殺そうとするんだ、それも己の運命と向き合うためにな、無理もないさ」

 

 

周囲の艦娘もようやく追い付いたのかぞろぞろと群れをなして警戒をはじめだした。

 

「さてと、じゃあ、開戦前にぶりーてぃんぐといこうか」

「は?主砲で殴って追い返すそれだけでしょ」

「は?ドリルでどてっぱらに大穴開ければいいでしょ主砲ってなによ」

 

即答だった。

このインテリヤクザ

まともなことをいっているのにこれはひどい。

 

「ハバキさぁ、知的ぶっても結局突撃だよね、だからお子様なんだよ」

「んだとゴラァ、テメェさいっこうにベストな答えだってわからないの」

 

「・・・はぁ、ダメだなこれは」

狐のお面を被った白い

 

 

誰でしょう

 

「・・・誰ですか」

「・・・駿河」

「あぁ・・・っえ、なんですかそれ」

「なんとなくだ、あんまり、顔に血をつけたくないんだ、艦娘の指揮は私が二葉さんより貰っている、超兵器の足止めは頼む、深海はこっちで倒す」

 

 

わぁまとも。

 

 

空が雷雲に包まれ、海が荒れ始めた、もはや背後の二人を邪魔することはできない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦場

 

そんなものを体験するのは久方ぶりだ。

 

「・・・ねぇ、総旗艦、播磨だけを先行させてよかったの?正直、あの体じゃあ」

「別にいいわ、『魂』こそが大切なの、少なくとも・・・ね、ヴィル、貴女はさっさと敵の包囲を抜くことを考えなさい」

 

 

雷雲が集まり、空からの光を遮り出した。

暗い海を疾走する一隻の船

 

 

「・・・さてと、敵は蒼ちゃんに、タイラント、駿河、ハバキかぁ、よし、私一人でいこう・・・っか」

空のビール瓶を投げ捨てバズーカを背負った妹を私は飛び出させる前に足を引っ掻けて止めた。

 

「重力砲で吹き飛ばすつもりでしょうけどそれは許さないさ」

「なんでさぁ、別に人類はどうでもいいでしょ」

「いつもの感覚で乱射されると困るのよ、主に上空」

 

空から見下げている一隻の船

一隻一隻の能力なら私達総旗艦クラスならなんの痛手でもないけど今回は艦隊戦。

 

人類は結局空を飛ぶ羽虫には勝てなかった

問答無用で制空権を取れる近江の機関ははっきり言って酷い、ドーラ、アルケオや播磨でないと完全に対処不能の成層圏ギリギリからの砲撃。

 

唯一の救いは播磨護衛艦隊が居ないことね。

もしあれがいたら空から波動砲と100cm砲の砲撃や410mmガトリング砲の雨はうんざりよ。

 

 

「うわぁ、何あれ、エッフェル塔にビック・ベンに自由の女神像やビル郡が浮いてる・・・別に痛くないけどあれは深海のクソザコどもじゃあ無理かぁ」

 

取り敢えず近江がどちらにつくかで全てが決まる。

それぐらい『この戦争』は制空権が大事すぎる。

 

この戦争は私たちだけが殴りあってもなんの意味もない。

あくまでも彼女の戦争。

 

これを捨てたらあの娘は問答無用でしょうし。

 

「・・・敵包囲突破・・・流石に、300ノットも出せば追い付けないか・・遅い遅い」

「寧ろ300ノット出せる人類の船なんていたらたまったものじゃないわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人は星を望んだ

いや、宇宙だったか。

 

私にはわからない。

 

何故人は宇宙を望んだ

 

 

男の目には世界が写っていなかった。

ただ真っ直ぐ空を写し

 

そして、中身は腐り濁っていた。

私が変えた

私が突き動かした

 

ただ戦うだけの兵器

ただ逃げたいが為だけに

 

争いを引き起こすためにではなく

全てから逃げて

 

逃げて

逃げて

 

逃げて

 

なにもみたくない

逃げた

 

捨てた

 

でも

逃げ切れる気がしなかった。

 

 

彼は語った

 

「人はこのままだと滅ぶ、だから俺は人を見捨てる」

 

私は答えた

いや、答えてしまった。

 

「なら、あなたは何故『軍人』を」

 

そしたら答えた

 

「何となくだ」

 

私は笑ってしまった

人をなんとも思っていない奴が徴兵でもないのに一人の軍人として立っている。

国を思っていない奴が国のために命を落とす

 

あほらしい

 

だけどなんとなく、手元に置きたかった。

今思えば、これが『恋心』の切っ掛けだろうか。

嫌なものだ

 

「なら、この妖刀を握りなさい、我が名は・・・・いえ、もういいわ」

 

ただただ見たかったのかもしれない。

この人っぽいなにか

 

結末は

 

どうだったか

 

 

 

 

「・・・・人に下らん記憶を見せつけるな、私」

 

飛んできた拳を避けることもできずそのまま吹っ飛ばされる。

例え100cmの砲でも傷付かない装甲も

あの質量には無理か。

 

ただ殴られただけで装甲を一撃で全て破壊され衝撃一つで海を抉る。

 

総旗艦播磨

 

絶対的火力と装甲

あぁそうだよ

私だからわかる。

 

勝てない

誰もあの殺戮兵器には勝てない。

 

でも負けてはいけない

過去も越えれないなら

 

「・・・・・私は諦めない、艦長・・・私は」

 

「やっぱりか、つまんね」

 

立ち上がろうとした瞬間空から二十発の砲弾が直撃し数発は体を貫通する。

足を撃ち抜かれたのか体勢も取れなくなった。

 

 

「・・・ねぇ、過去の私、私の後は人類?」

 

惨めだ。

今さら知っていることに確認なんて

 

「愚問ね、答えを知れば後は不要、この星は滅ぼす・・・当然でしょ『同じ者』なのだから」

 

やっぱりだ。

 

「そう・・・ね。じゃあまだ立ち上がらないと」

 

「・・・・はぁ、第二ラウンドは無しらしいな」

 

機関を回し周囲の魂を取り込んで肉体を再生させる。

ただ、妙な浮遊感を感じた。

 

いや浮いている。

空には・・・近江と・・・氷の塊

 

「あーあー、人類、艦娘、深海棲艦諸君聞こえるだろうか、我が名はハボクック、欧州艦隊総旗艦ハボクックである、総員停止し、話をぎゃああああ」

 

まあうん、ろくでなしなあの人なら波動砲打つよね、あの人基本的に自分より上空に居る奴嫌いだし。

 

 

 

 

「・・・・ありゃあ、近江のやつ、ずらしたな」

 

 

「ふぅふぅあぁ・・・体の三割が削れた・・・えぇいそこのろくでなし姉妹!!さっきから砲撃するんじゃない!!台無しでしょうが」

 

 

「んーあんだってぇーきこえんわぁなぁルフトォ」

「そうねぇ、ちょっと高すぎて聞こえないわぁねぇねぇさぁん」

 

 

色々しまらない。

うん、そう言う人たちだった。

 

 

「よし殺す、ロゼの思想なんか知ったこっちゃあねぇ、播磨回収して残り殺す」

 

 

そう言うと海が海底から凍り始め空に浮かんだ船体からは無数の氷の槍が空から降り注いできた。

 

 

「はーい播磨帰るわよ、あれは不味い」

「は、放せヴィル!!まだ」

「・・ヴィル、帰るなら投げるから足貸しなさい」

「え、いいの播磨」

「あぁ、どうせ試運転だろ、ちゃんと『決意』を持ってきてからじゃないと面白くないわ、だからじゃあね『幸せだった私』」

 

 

そう言うと全力で投げ捨てられそのまま氷のトンネルを抜け海底についた。

 

「よし、ドレッド、急速潜航、グロースは最小限でいいから氷を溶かして、一気に本拠まで逃げるわよ」

「上の二人は」

「徒歩で帰ってくるわ、さ、近江に引きずり出される前に脱出、急がないと総旗艦どもが潰しあい始めるわ」

 

 

 

 

無数の氷の槍が無差別に降り注いでくる。

別に刺さりもしない柔な氷だけど面倒くさい。

 

 

 

「ははは、はははっは、あはは」

 

なんとなく機関を全力で動かし周辺の電子を集め、体を電子に変換する。

なに人の戦いの邪魔してるんだよ、ぶっ殺す

 

「総員退避ィ!!」

 

「駿河・・・今からが本番の『戦争』じゃあないか、なに勝手に逃げてるのさ」

 

勝手に退却指示を出す妹の首を掴み引っ張る。

首に刺さった爪から血が流れ海に垂れていたから軽く雷で焼いて傷口を直す。

 

「いやっ、さすが・・・に艦娘は・・・あれは無理だって」

 

「・・・知らないわよ、引きずり下ろせばいいのでしょ?簡単じゃない」

 

艤装を変形させ山のような形にする。

 

「だーかーらぁ、総旗艦クラスと私達通常艦と艦娘じゃあ、天と地ほどの性能差があるのよ、戦場にいることそのものが危険なんだって」

 

「・・・へーきへーき、どうせ氷の槍をぶっぱなしてくるだけじゃない、まだ海から氷の巨人とか龍とか出てないしへーきへーき、たかが成層圏じゃない」

 

「姉さん、成層圏ってのはね、誰でも・・・うん、姉さん今できちゃってるね」

 

腕に電流を集め一本の矢にする。

 

「・・・今ここには三隻の総旗艦・・・そして三つの勢力、なら殺し合うしかないでしょう♪」

 

一矢、矢を放ち真っ直ぐ上空の氷に着弾した瞬間空を覆うように雷が広がった後に無数の落雷が海も船も弾も飛行機も焼き払う。

同時に実体を雷に変換してハボの船体に腕を差し込んでそのまま氷に差し込みながら登る。

 

 

「よいちょっと、えい」

 

甲板に上った直後直ぐに甲板を殴ってへし折る。

 

 

 

 

 

へし

 

へし

 

折れない

 

 

「・・・・拳が・・・浮いている」

 

「あっぶないわねぇ」

 

甲板が一瞬にして凍りつき足に氷が張り付く。

 

蒼白いドレス

紅茶

 

うん

 

「・・・数ヵ月ぶりね・・」

 

「ついさっきまでナチュラルに殺しに来てたわよね貴女」

「良いじゃないか、何処につこうが私たちの勝手じゃない」

 

煎餅を投げ紅茶のポットを貰う

取り敢えず足の氷を焼いて席に座る。

 

「あら、ティータイムかしら?私もご一緒してよろしいかしら」

 

「ハァ、どうぞ、なにいっても座るじゃない貴女」

 

あきれるのも仕方がないか、このろくでなし、気に入らないとすぐ波動砲ぶっぱなす

いくら不死身でも再生するのは面倒なものだ

 

「リヴァが居ないのはまぁ良いでしょう、で?ハボクック、ロゼの真意はなにかしら、あの科学者かぶれ、あのときからそこが見えないのよ変に権力を求めていないと言うか」

 

「・・・無いよ、何も」

 

 

無い?

 

 

「・・・無いのに、播磨を狙う理由は?」

「・・・わからない、だから播磨、聞かせてほしい、ロゼの言っていた『ラグナログ』ってなに」

 

『ラグナログ』

 

あぁ

 

なるほど

 

 

あの女、世界を消して何がしたい

 

「・・・恐らく、フィンブルヴィンテル・・・お母様の完全覚醒ね」

「・・・え?何よそれ、今始めて聞いたわ」

 

 

紅茶をのみ、一つの部品を出す

 

「当然よ、これを知っているのは私とお母様、後はそこの角砂糖食ってるろくでなしだけよ」

 

「あっま・・・紅茶ない」

 

 

「さて、本題ね、まずお母様を起こすためには近くで超兵器機関を持ってこないといけない・・・のりで起きる人だけど・・・まぁ私ってほら、本来の場所はお母様の周辺海域じゃない、だからどうしようもなくなったら、無理矢理起こす方法あるのよ」

 

 

「そう、じゃあ、もう彼女もいないことだろうし帰るわ・・・」

「は?もうちょっとしましょうよ、ここら辺が更地になるぐらいさ」

 

首をつかもうとすると腕から氷が生えて凍りつく。

一瞬肩を掴んだがなんか飽きたから手を放し残った紅茶を飲む。

 

「・・・わかったわよ」

 

席をたち、飛び降りる

 

少しずつ崩れ去る氷塊を見上げながらそっと手を差しのべる

何も見えなかった。

 

 

記憶とは悲しいものだ。

 

まぁどうでもいい。

ただ

 

「近江・・・貴女は・・・どおしてそこまで悩むの・・・そんな・・・無理に」

 

 

顔も見せず・・・ただ悩むだけ

答えなんて不要

ただ、自分に素直にしなさい

 

 

 

海面に落ちる。

まだ氷が溶けきっていないのかそこは冷たく、少し明るかった。

肌の冷たい感触

歪む視界

嗤う心

 

 

この無音の海原を

駆けたのだろうか

 

私は

 

 

 

取り敢えず

この戦いは長く続きそうね




次回  艦隊演習


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Aー7 艦隊演習

( ・ω・)
つっちーの白南蛮鎧の深海ver描いてたらもう一年終わりかけてた終わったよ


暗い海底の奥底

 

冷たい海水が体に入り込み傷が治る。

落ちた魂を飲み形を作る。

 

「・・・・ねぇ、ヴィル・・・あと何日で治る」

「早くて三日・・・でも、今挑んでもなんの意味もないでしょ、相手は播磨、生半可な火力と装甲じゃあ土台にも立たせてくれないってのは貴女が知っているでしょ」

 

認めざる得なかった。

相手が自分だからわかる

私はまどろっこしいのが嫌いだった。

だからわかる、今の力じゃ誰も勝てないし止められない。

 

「それに、ね。舞台が整うまで貴女は自分の心と力を見ておきなさい、私も周辺海域の艦娘を掃討するから・・・絶対に出ないでよ」

「わかったよ・・・」

 

・・・・

 

「ねぇ、だれかぁ、いないのぉ?」

 

 

 

 

 

 

 

いつぞやの地獄は去り、そして、傷は残り続けた。

ようやく海底の氷が溶けきった頃、反抗作戦が始まろうとしていた。

 

 

バカだとは思ったさ。

いや

 

 

勝っていたのをお釈迦にしたのは私だった。

 

 

「よぉし、今日こそ沈め」

「毎日毎日くるんじゃないわよシュトラール」

 

 

朝に光の雨が降り注ぎ

 

「じゃーんじゃーんじゃーん」

「げぇっ近江!!ぐっばいハバキ、明日も殺す」

 

昼前に瓦礫の雨と一緒に敵が去り

 

夜は次の攻撃に備え、傷を癒し

装備を整える。

 

 

現状横須賀はロクデナシが占拠したためたまに里帰りする二日以外は無敵の要塞だった。

 

まぁ、簡単に言えば私が出てきたせいで戦争の主題が書き変わって人類の勢力圏が西日本とヨーロッパの一部だけになったってことだ。

まぁ、海龍商会の物資横流しと蒼の条件付きの共闘がある時点で、深海の連中以外には有利にことが進むだろう。

 

「艦隊演習?」

 

それは唐突にだった。

 

「やっぱり、実践経験豊富な播磨さんが」

「やだ」

 

餡子を食べながら雑に答える。

寧ろ協力する方がおかしい

 

「ですが・・・」

「蒼さぁ、あの雑魚どもで私達総旗艦に本気で対抗できると思っているの?今ですら毎朝来るグロースにすら満足にダメージを与えてないじゃない、それどころか無駄に横須賀に特効しては数分で壊滅、馬鹿なの、いまだにテュランヌスも帝国も何してくるかわからないのに」

「・・・勝ち筋はあります」

「無い、断じてない、乗りと勢いで勝てるのは帝国との戦争をしていた頃だけよ、実際どう?私達が敵に回ったとき、人類はどうした?ただ逃げ回って解析に勤しんで互角の舞台を揃えてからようやくだったじゃない、悪いけどこの世界の人類にはそこまで技術はないじゃない、どうせあなた自身もウィルキア帝国とテュランヌスっていういつでも倒せる雑魚を倒したあとの事はなにも考えていないのでしょ、気に入らないのよ、その『昔』を大義の理由にして人類に手を貸して実際の問題は後回し、それで倒せるならやってみなさいよ、犠牲を増やすだけよ」

 

少し感情的に当たってしまったとは思う、でもそうでもしないと変わらない。

 

ヴォルケンクラッツァー

ルフトシュピーゲルング

グロースシュトラール

テュランヌス

ハボクック

 

この辺りは普通にやって勝てる相手じゃない

 

ヴィントとかはどうでもいい、駆け引き上手なんて意味・・多分ないもの

それでもきっと勝つ、いや、勝つ方法はひとつだけ知っている、もし、それを知らないなら無駄。

 

「つっちーはいるかい・・・あぁいた」

「おや、二葉さん、いいんですか病棟から抜け出して・・・これから反抗作戦でしょうに」

 

すぐに駆け寄って彼の手を握りソファに座らせる。

座ったらそのまま彼は胸ポケットから一枚のUSBを取り出した

 

「いいさ、それより、これはドイツから無理矢理取り寄せたやつだ」

「・・・ほぉ」

 

この人、以外と有能?

 

「えっ、ドイツからですか」

「あぁそもそもつっちーはドイツから貰った超巨大戦艦を使えないからバラして少人数運用もできるようにしただけだしな、そして蒼ちゃんで繋がった、大方同じ航法を使ってきたつっちーをドイツの北極探査隊が発見して適当に残骸を引っ張ってきたんだろ、そこからブラックボックスを解析したんだ、でなきゃ数年前までまともな兵器の無いドイツが現代じゃあ太刀打ちできない兵器を量産できるものか・・・」

 

 

パソコンに繋げそこから解除コードを入力してそれらを開く。

 

 

「これって」

「ビンゴ」

 

呆れて声も出なかった。

 

レールガンに船体設計図。

確かにそうだが、何年前のやつだ。

 

 

「確かに、使えるでしょうね、ただ、弱い」

「やはり、無理か」

「確かにこれを妖精さんに依頼しても多分、播磨さんどころか他の総旗艦にも打点がありませんね、これウィルキア戦争のデータじゃないですか」

「・・・北極の残骸を調べなさい」

 

北極には微かな感じだけどフィンブルヴィンテルがいる。

 

 

恐らく、今ここで主力に全滅されたら元も子もない。

 

「そうね、恐らく、北極にいくなら枢軸超兵器には必ず見つかるでしょうね、だから、持てる戦力を持っていきなさい、呉は私が持たせるわ」

 

置いていた軍刀を握り一枚の紙を渡す。

 

「これってまさか」

「私の解除コードよ、もし、書き換えられていてもそのコードだけは通るようにしているわ、さぁ、早くしなさい、急がないと状況は悪化するだけよ」

「そうだな・・・よし、じゃあつっちーが言うことを信じて全残存艦隊を招集、何割残るか知らないが北極に向かうとしよう、何日持つ」

 

「私は総旗艦播磨だ、この私を倒そうと言うのなら数十年がかりで殴りかかるといい」

「相変わらず頼もしいな」

「死にかけの老いぼれとは思えませんね、長生きしますよ、あなた」

 

すぐに部屋を出ていった後部屋中から水が溢れそれが形になる。

 

「はぁ、いいのかしら、お母様のこと言わないで」

「良いですよ、どうせ起きても答えはわかりますでしょうし、それに、随分とまぁやってくれたじゃあないですか・・・ウィルキア帝国とテュランヌス」

「そうね、あのとき確実に消し飛ばした筈なのに生きているなんてしぶといこと」

 

 

機関を臨界まで回し始め周辺の気候を変動させる。

 

この呉は最後の基地といっても過言ではない。

 

あの謎の烏賊といい、なんといい

 

「さて播磨、手勢と敵戦力の分析はできたかしら」

「・・・こちらは私と先輩だけですよ・・・まさに欧州情勢複雑怪奇といいますか、えぇ、コロコロ敵と味方が変わりますね」

「敵は?」

 

「烏賊230匹、空母100、戦艦430のウィルキア、空母350、巡洋艦600、潜水艦200、超兵器アルウス、テュランヌス、ムスペルヘイムそして総旗艦ハボクックと死告天使2000機のテュランヌス、姫210、鬼300、要塞クラス20、超兵器、グロースシュトラール、ストレインジデルタ、ドレッドノート、ノーチラス、アルケオプテリクス、シュトゥルムヴィント、ルフトシュピーゲルング、総旗艦ヴォルケンクラッツァー」

「あぁなるほど呉吹き飛んだわ」

「はじめから本気の潰し合いをしないといけませんね、あいにくハバキとタイラントはあっちについてしまったし、駿河は欧州戦線に向かったせいで帰ってこれるわけもない」

「良いじゃない、気に入ったわ」

「気に入ってどうこうなる戦場ですかね、えぇ」




次回 天の剣、空の船


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Aー8 天の剣 空の船

まだAステージ


私達が出発して約二時間後、呉鎮守府が消滅という報告が届いた。

 

送られて来た写真は恐らく、総力戦だから戻ってこずに進め、そう受け取って私たちは北極を目指している。

 

私にとって北極は恐怖でしかない。

 

あそこで何十何百どころじゃない同胞が沈んだ、たった一隻の超兵器にだ、そんなのが何隻も集合して砲を交えた。

 

万を越える最新のジェット戦闘機がアルケオさんに轢かれて砕けたりジュラヴリにローターなんかで落とされ、播磨さん率いる主力艦隊の対空砲撃で一瞬にして消えた。

 

もはや航空機何て意味をなさない環境にもなった。

 

海底が凍り潜水艦や水上艦は動くことも封じられ、またある潜水艦は水圧で押し潰された。

 

雷が豪雨のように降り注ぎ、大地も抉る光の柱が何十と通り抜けた。

 

空からは船の残骸や反物質爆弾、海底からも千を越える魚雷。

あの時までに生き残って居たものなんて全くいなかった。

 

数でどうこうなる存在じゃなかった。

できれば二度と行きたくなかった

 

でも、真実は欲しい。

 

 

「・・・オーロラ・・・オーロラ!?」

 

あり得ないことだ。

そして、それは起こり得ることでもあった。

 

「それは警告かしら、近江」

「警告?いいえ、命令よ、誰にももう傷つけさせない、だから今から帰るのなら許すわ」

 

瞳には何もなかった。

その瞳は本当に何もなかった。

 

一緒だ。

 

姉妹なだけはあった。

優しさと残虐性

理性と本能

嘘と本音

 

「もう、帰るところもありませんよ・・・えぇ、人類は進まないと詰みますね・・・ですから、退いてください」

 

機関を解放し、艤装を取り出す。

 

「あぁ・・・そうなんだ・・・じゃあ、真実にたどり着くといいわ・・・・『お母様』はお姉ちゃんの残骸の上よ、あなたの機関ならきっと見つけれるでしょうね・・・えぇ、『私達』を通り抜けれるなら」

 

 

そういうと空が一瞬にして黒く染まり。

 

 

鉄の雨が降り注いだ。

十や百ではなく万

 

その頃には近江も見えなくなった。

 

 

 

 

 

突如として降り注ぐ鉄の豪雨。

何十を越える大艦隊を覆い尽くす砲撃。

 

「クソがっ!!『大東亜艦隊』と『播磨直属艦隊』両方かよ、近江のヤツ成層圏に待機させてやがった」

 

「流石の私も自分を守るので無理ぽ、ねぇ、ハバキ、今すぐ播磨呼んで指揮権奪ってよ、このままじゃ私達以外全滅だよ」

 

「あ?やろうとしたらもうロクデナシどもと殺し合い始めて無理だってさ・・・その飾りのAGSで何とかしろ」

「成層圏相手はできらぁっ」

 

できる限り吹き飛んで機能しなくなった戦艦を盾にしつつ周辺の艦娘を回収する。

とはいえ、戦場の何処かに近江がいるのは確実。

 

隣の高速戦艦は対艦隊には強いけど対空は無理、いや、成層圏への砲撃何て人類がソユーズ落とすために作ったレールガンと総旗艦クラスぐらいだ。

 

考えを巡らせると

 

「ヒャァッホォォォォォォウゥ」

 

 

戦艦の装甲を簡単にぶち抜いて周辺に主砲を向ける

 

妹がいた。

 

「天照・・また、飲んだの」

 

「・・・ん。あぁ、いたいた、いやぁー、ウィキアがさぁ、くっそウマイイカを百匹単位で寄越してさぁかるーく捻り潰して酒と一緒に食べたら近江が飛んできてさぁ、播磨の瓢箪欲しくて居場所聞いたらここまで運ばれたんだよねぇ・・・じゃあ、死のうか」

 

そう冷徹にいい放った瞬間

無数の砲が数千の砲弾を吐き出し続け周囲の艦娘を撃ち抜き陣形が崩れ始める。

 

「・・・負けだな、あぁ、しょうがない、タイラントは後方の本隊に退却命令、退却プランを実行してウラジオストクに移動、私は蒼を連れて無理矢理強行突破する」

「流石にそれが正解だっ」

 

背中を合わせ一呼吸置いて突貫を始めようと瞬間砲撃が止み、空が光だした。

 

いや、巨大な光線が成層圏の艦隊を消し飛ばした。

 

 

「あっぶないなぁ、ギリギリ間に合ったかい?ねぇ、タイラント、ハバキ」

 

ひし形の巨大な浮遊物に座り巨大な大砲を抱える一人の紫髪の少女。

 

「・・・一体いつ居たのよ、ヘル・アーチェ」

「昔からいたさ、ただ素材がなくてね、あぁそうだ、天照・・・アンタはご主人の元にでも帰ってな」

 

周辺にあった無数の船と空から落ちてきた残骸が空中で分解し空を覆う一枚の盾になる。

同時に大地おも焼き払う巨砲は妹に砲口を向けた。

 

「はぁ、たかが要塞の分際で・・・なによその体・・・・なぜアンタがその肉体を持っている!!!」

「はぁ?いいじゃない、これを誰が持っていようが、これはそういう『決定』よ」

 

「・・・・あぁそうかい、あの人も困ったものだ・・・・聞こえているんだろ近江ぃ、やめだやめ!さっさと例のものを回収するぞ!!」

 

「待ちなさい天照・・・あれってなによ」

「あぁ、あれ。面倒だから言うけどあれは『播磨の大切な人の肉体と魂』よ・・・どうでもしないと諦めさせれないでしょ、あの総旗艦」

 

 

そういった瞬間空へ飛んでいった妹を見失ってしまった。

 

 

 

 

 

 

北極

 

 

吹雪が吹き始め周辺には無数の氷山があるなか一際大きい氷山の前に私はたっていた。

 

 

「・・・フィンブルヴィンテル・・・話があります、寝たフリは許されませんよ」

 

氷山の中にある無数の眼球が私を見続ける。

声に反応するように氷山の一部が割れ、一枚の扉が現れた。

 

「・・・」

 

はっきりいって逃げ出したい。

だが、それは自分が許せないのだろう。

今度こそ

 

だからあえて何も警戒せず中へ入った。

 

 

「あっち」

 

内装は近未来的なものではなく、ごく普通の

 

『人間の部屋』でしかなかった。

 

 

「蒼ちゃん、取り敢えず立ち話もあれだし今お餅を焼いているからどう?」

「ふざけないでください」

 

怒りはせずただ冷徹に、静かに答えた。

その対応に彼女は何一つ顔色を変えずに奥の冷蔵庫を開けた。

 

そこには二入の死体が冷凍保存されてあった。

 

「・・・・嘘」

「えぇ、嘘よ、そうであってほしかった嘘よ」

 

中には一人の体が銃弾で蜂の巣のように穴の空いた男と全身から血が流れていて酷いところは原型もとどめていないほど崩れている播磨さんの体だった。

 

「・・・私がここに来たのは実を言うと貴女たちより先なのよ、その時にこれは見付けたものよ・・・・人類という屑どもはここまでの事を平気でできるのよ・・・・いえ、人類だからね」

「これは・・・いくらなんでも」

「当然と言えば当然ね、命令無視、友好勢力への無断砲撃、戦争の継続、えぇ彼は神の視点からすれば国を救った英雄よ、でも人間は神では無いのよ、だから恐れたのよ、やったことが全て、いえ、運命全てが彼に味方したことに、連合と祖国は恐れたのよ、死神に愛されたからしらね、いや、壊れた兵器に預けてしまった、えぇ、最高の兵器に預けてしまったがゆえにね」

 

 

私はそっと二人を氷の壁越しに触る。

 

刹那

 

黒い

 

殺意が

 

 

 

意志が

 

 

 

飲み込んだ

 

 

 

 

 

「ごはぁっ・・・ううぅ」

「記憶旅行ご苦労様・・・・知ったでしょ」

「水を貰えますか」

「えぇ、それを見た艦娘は皆壊れて深海棲艦だかになって暴れる兵器になったけど何故かしらね・・・」

「これは意思とかじゃあ無いですよ・・・純粋に感情そのものをあの人に支配されたような感じです」

「それよそれ、そんなの、ただこの黒い意志が播磨ではなく『菊花』という男にあるのが厄介ね」

 

水をのみコップを投げ捨てて頭痛を押さえ込む。

自分自身が無くなりそうな

そんな感じを押さえて

 

「あの艦長さんですか」

「えぇ、せめてこの播磨の墓で一緒にいれてあげたくて持ってきたら生きてたのよ・・いや、魂だけがね・・・」

 

渡された爆薬で体を弾き飛ばして一度再生をしなおす。

直りきると全身を包んでいた悪意も消滅し頭痛もなくなった。

 

「ですけどこれは・・・・」

「えぇ、そうね、あの播磨は播磨として生きてはいるけどその中身は菊花という男の悪意と憎悪で動いているのよ・・・おかしいと思ったのよ、なぜ『本気で人類を恨んでなんていない』播磨が人類を滅ぼすのか、ちがうのよ、『寄り添えた唯一の愛人を奪われた』菊花が人類を恨んでいるのよ、六人の妹はこれをさわった後何をしたと思う?人類の味方としての自分を殺して彼に従ったわ、人類からしたらたまったもんじゃないでしょうね、唯一の対抗策が無くなったもの」

 

理解をしたと同時に私は一つの疑問ができた。

「なぜ、菊花艦長は播磨さんを殺したがっているのですか?」

「あぁ、あの戦いね、あれは怨霊よ、まともに見えてないわよ、まぁそれと『播磨本人が目覚めた』のが原因ね、今の彼女って多分、半分半分なのよ菊花と播磨で、だから菊花として播磨を苦しめた人類を殺し、播磨として、未来で今の自分を繰り返すのを防ぎ、そして過去に打ち勝って安土として生きるために播磨を殺そうとしているのよ、まぁ、気付いているのは親といっても過言ではない私とヴォル、ルフト、そして播磨本人だけね、案外小突けば言いそうね、じゃあ、真の本題に行きましょうか」




次回 菊と鬼と総旗艦


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Aー9  菊と鬼と総旗艦

誰も悪くない
誰も間違いじゃない
その心が決めたことに従え

それが間違えた私のできる最大限の最悪を招かない助言だ。



そう別世界(本編)でいいながらバグって矛盾して壊れるつっちーが好き


「さぁ、本題といきましょうか、元帥」

 

声は先程まであった優しく暖かいものではなく、冷たくて恐ろしい、そしてどこか悲しい声だった。

 

「えぇ、そのためにここまで来たのです」

 

彼はただ落ち着いて答える。

汗も一つ流さずただ視線を鋭くし怪物を捉える。

 

「・・・そう、アラハバキやインテゲルタイラント、駿河がいてくれたのね・・・やっぱり近江は駄目だったのね、本当にあの娘似ね」

 

彼女はただ目を閉じてどこか懐かしむように喋り始める

だが、今、私たちの世界には居ないような

 

「フィンブルさん」

「え、あ、えぇ、ごめんなさいね、『記録』を見たくなっちゃって・・・皆が兵器ではなく、生命として生きているのがとてもね」

 

記録

一体なんだろうか

 

「『記録』・・・ですか・・・菊花さんも・・・言ってましたね」

 

「さてと、何も私が無意味に見ていたわけじゃないわよ、私はあなた達みたいなのが大嫌いなのよ、自分の娘を殺されて、苦しめられて、えぇ本当に殺したいわ・・・・でもそれは無意味、だからこうやってただの墓の管理人に徹するの、そして欲しいのは力よね・・・はいどうぞ、持っていきなさい」

 

袖から一枚のUSBメモリーを取り出し机に置く。

 

「それを持って帰っても良いけど・・・一つ見ないかしら、『二人の記録』、時間はかけないわ」

 

「・・・私は構いませんが、二葉さんはどうします?」

「いや、見たいのは山々だが、本土が壊滅した今そんなことに時間はかけられません、一人でも多くの命を救う、それが『軍人』ですから」

 

「そう、なら無理に止めないわ、所詮その程度の・・・いえ、彼を基準に捉えるのは残酷ね、だから、『力なき正義』に憐れんで助言をしておくわ、『テュランヌス』は敵でも味方でもないわ」

 

 

それを最後に彼はただ、一礼した後、メモリーを手に取りその場を離れた。

そこからは迅速に私達を除いて全員が全力で本土へ向け帰路に付いた。

 

 

 

「・・・はぁ、面倒くさい、どいつもこいつも話を聞かず無茶苦茶するわ・・・貴女も早く帰りなさい、今、明確に人類の敵になっているのは『近江』、『ヴォルケンクラッツァー』、そして『播磨』の三人だけよ、テュランヌスは放っておいても彼女が消すわ、ただ、残った『組織』は別問題だけどね」

 

「どうしてそこまで親切に話すのですか」

 

言った。

もうどうしようもないぐらい純粋に単純に

ただ、言った。

 

いつもじゃあり得ないことに疑問を述べる。

女はただ黙って冷蔵庫からビールを取り出し蓋を開ける。

 

「簡単な話よ、『播磨本人』に人類を殺してもらう算段よ」

 

そう、ただよくある会話のように軽く言った。

その重みを知っているのに

その辛さを知っているだろうに

 

コイツは

 

「・・・ふざけないでください」

「ふざけて何が悪いのかしら、『おもちゃ風情』が」

「その呼び方をあなたがしますか、えぇ、そうですか、殺しますよ、沈めるなんて生半可ですね」

 

誇りも

意思も

何もないただの虚空に何がわかる

 

「ハハハッ、やっぱり貴女とはいい酒が飲めそうね蒼天、えぇ、当然よねぇあの娘の死体の半分で無理矢理作った文字通りの人間の『おもちゃ』ですものねぇ、まったく、無知とは最高にして最善、よく言ったものだわ。なにもしらなければ最善こそが最高であり、最高こそが最善となる、ね、誰が好き好んでこんなことするものですか」

 

もう喋っているのもわずらわしかった。

知っていてもまだ隠す、だから殴り倒して聞くしかない。

 

「いい加減黙れ、本気でキレますよ」

「そうね、貴女には私が終始、播磨を理解しきれていないせいで地雷原で寝ているようなやつだと思うでしょう、私も無知ならどれだけ嬉しかったか、全能とはそれすなわち結果の覚悟をしなければならない、えぇ本当にね」

 

そういった瞬間世界が暗転し

再び明るくなったときには薄暗い海の底だった。

いや、空がない

 

ただ無数の小さな青白い炎が燃えているだけだった。

 

「こ、ここは」

 

理解が追い付かなかった

いや追い付けない

なぜここにいる

なぜあの女もいる

 

「知らないでしょうね、超兵器機関の仕組みなんて、そもそもこの事実は私だけの秘密のはずだったのに」

「秘密?」

 

「えぇ、秘密、感じたことはないかしら『機関を全力以上』で動かしたときのあの絶大な力と光の正体」

「いえ、まったく」

 

「じゃあ言っておくわ、それは『魂』を喰らう兵器よ」

 

理解できた

 

したくなかった。

 

つまりなんだ

無数の生死に関わらず『魂』を喰った。

 

 

「冗談じゃあありませんよ、じゃああの人たちは」

「えぇ、今もただの全力としか思ってないでしょうね、逆にこれに気づいた播磨とヴォルケンクラッツァーは本当にイカれてるわ、『全てを守る』為にこの『墓場』の魂全てを燃やそうと考えるもの、超兵器機関は無限の永久機関じゃないのよ、ただ『膨大すぎる自分の魂』を自分で喰って燃やしているだけ、ガス欠は無いけど所詮用量だけのもんだいね、じゃあ『あなた程度の魂』はどうするか?簡単ね、『死体から奪い取り、生物から吸いとる』そもそもね、魂が一番エネルギー効率が良いなんて誰が思い付くかしら、私の超兵器復活だって『魂』というメモリーがないと出来ないのにあの二人は全く」

 

そう言いながら手を叩くと世界はまたもとに戻り目の前にコーヒーが入れてあるカップがあった。

 

「だからそれを乱用するといつかは全人類を喰い殺す事になるわね、せいぜい足掻きなさい、終末装置にね」

 

 

 

 

 

 

何もない更地

無数の鉄くず

 

万を越える死骸

 

あぁ、勝てたのか。

 

「はぁ、結局、『私達だけ』ですかまったく」

 

血で汚れた服を着ながらゆっくりと赤い海に手を入れる。

少しかき混ぜると冷えきった肉や骨に当たりベッタリと引っ付いた。

 

「アイツらも帰ったみたいだしそろそろおいとましようかね、私も」

「お気をつけて、私はもう少しここで寝てからウラジオストクに向かいます」

「お疲れ様、播磨」

 

遠く離れる先輩を見送りながら跡地の大地に大の字で倒れ込む。

まだ、戦争は始まったばっかなのに、これじゃあまだまだ不安としか言いようがない。

 

 

 

 

海底

 

 

「たっだいまぁー!はりまー」

「あぁ、お帰りなさい皆、カレーしかないけどいい?」

「構わないって、酒ならあるからさぁ」

 

 

すぐに机にカレーを並べ適当に串カツをぶっさしておく。

シュトラールがビールを両手で抱えないといけないぐらい巨大なジョッキに入れてカレーの横にいくつも並べる。

そこからぞろぞろ皆が帰ってきて一瞬にして宴会場の出来上がりだ。

 

 

こんな海の底に何があるのだろうか

何もない。

 

ただ私の残骸があるだけ。

冷たい

 

「はーりまっ、そんな海ばっか見ないで飲みましょ?」

「ヴィント・・・えぇ、そうね」

「お、初めて笑った、そうそう、私達は兵器、だが同時に過去であり未来の生命、だからいいのよ、そうやって笑っても」

 

笑う?

笑っていた?

 

「・・・そう」

 

「そうそう、じゃあちょっと死んできますかぁ・・・」

「ヴィント───」

 

言いたいことを言い切る前に彼女は霧のように軽やかに消滅し、海上に巨大な船が浮いていた。




次回Aラストステージ 疾風のノイズ


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Aー10 疾風のノイズ

詰みゲーいいよね


霧が濃いある夜の話だ。

私はいつものようにアイオワの手法を整備するただのそこら辺にいる米海兵だった。

 

明日、我々米英の連合艦隊は東洋の黄色人種の国

日本というところが進行目標にしていたミッドウェー海域で待ち伏せしていた。

 

つい先月に起きた謎の警備艦隊消滅の捜索も一つではあるらしい。

 

「・・・なぁフィリップ、この音はなんだ?」

 

そう、急に質問しだした同期の海兵が来たため一度整備を止め、耳を済ませる。

 

なにかが軋むような、一定のリズムを刻みながらどこか狂っている。

そしてそれは脳に謎の恐怖と安心を与えようとして。

 

「耳を塞げ!!こんなものあってたまるか!!」

 

だがその言葉を言うのは遅かったらしい。

 

一つの巨大な轟音が響いた。

数秒後にそれに反応するような爆音がひとつ

 

 

それが絶望の始まりだった。

 

その報告はこうだ

どこからか飛んできた砲撃により後ろにいたエンタープライズが一撃で大破、一人の生存者もなく吹き飛んだという報告が入った。

 

ありえない。

どれだけ巨大な戦艦を要すれば最新の改造を施し日本の『ナガト』級の砲撃を余裕で耐えれる重装甲を施し、搭載量を従来の三倍に増やしたため巨大化も果たし下手な戦艦より耐久性のあるエンタープライズを一撃で消し飛ばせる。

 

 

そんな思案はまさに無駄であり、絶望でしかなかった。

二回目の砲撃が聞こえ今度はたった一度の砲撃でヨークタウン、ホーネットの消滅報告。

 

三度目でガンビア・ベイの轟沈

 

敵の数も不明

敵の火力も不明

だがわかる。

奴等の戦艦は

『我々の全ての装甲を貫き』

『その精度は例え霧の中であろうと必中』

 

怪物だ。

ありえない。

すぐに戦闘態勢を取り、行動する。

 

まさにその時天の救いと言わないばかりに霧が晴れ艦隊の位置を目視でもしっかり確認し行動を開始しようとしたとき。

 

それが我々が『死神』にその鎌を首に当てられた時だった。

 

 

目の前にいるのはたった一隻。

しかしその船は

 

我々の船を三隻縦に並べても足りないぐらい長く

その横幅は空母を飲み込めるぐらい巨大な怪物であった。

 

ここで逃げれば生き残れたのかもしれない。

 

だがそうはならなかった、当然だ『空母戦艦含め大型艦百隻』と巡洋艦駆逐艦含め240隻を越える大艦隊に向かうがたった一隻

 

 

だからだ。

 

なぜ挑んでしまった

 

開戦から三時間。

我々の艦隊は一隻の駆逐艦と後方の補給艦隊護衛の戦艦二隻を除き全滅、生存者は私含め約二百人と後方の部隊の1割。

 

もはや思い出したくもない。

あらゆる戦艦の砲撃の雨が一撃もあの黒い装甲を貫通できないどこか傷ひとつなく。

食らえば致命傷のはずの魚雷を優に千発食らおうと一切止まることがなく

何千という急降下爆撃を永続的に降らせようと誘爆の一つも無し。

 

むしろそのドイツ戦線で噂される超巨大列車砲を複数搭載した怪物の口のような砲から放たれる嵐のような砲撃がたった一回の一斉射撃で艦隊がひとつ消し飛ぶような砲撃が全く絶えず放たれ続け逃げることもできずに必ず着弾し轟沈する。

 

そしてその怪物は我々のどの駆逐艦よりも早く

その対空砲火に突撃した全ての爆撃機はバラバラに吹き飛ぶ。

 

それどころか急に天候が荒れだし

もはや操舵も不可能なほどの大荒れの海になり雷が雨のように降り注ぐ海域で空母も駆逐艦も隔てなくその雷撃に誘爆し吹き飛び、戦艦ですらまともに動かない海流に流された駆逐艦は近くの戦艦に吸い込まれるように突撃しもはや陣形もなにもあったものではなかった。

 

だが

そんな大荒れの海であろうとその船はまさに自分の庭と言わんばかりにつつき進み私の乗艦であったアイオワにT字で接触、真っ二つに引き裂かれる自分の乗艦を見ながらその鳴りやむことのない砲撃に怯えながら渦潮すらできはじめる海域を死に物狂いで泳ぐ。

ある仲間は流れてきた駆逐艦に挽き殺され

ある仲間は怪物から放たれた機銃に撃ち抜かれ

ある仲間はたどり着いたと思えばそこに砲撃が当たり吹き飛んだと。

 

もはや誰も戦う意思なんてなかった。

何をあっても効かない

ならいっそ捕虜になった方がよかった

 

だから降参をし武装を解除する船もいた

だがそいつらすら容赦なく沈め

 

その砲撃音と独特のノイズはまさに悪魔の笑い声だ

あの船には悪魔がいる。

 

実際あの後もう軍部では戦う意思すらなくなったらしい。

ナチスドイツの我々を凌駕する圧倒的技術で作られた無数の艦隊を止めることもできず

日本の怪物はあれ一隻ではなくまだ六隻も存在するという事実が受け入れられなかった。

 

だが、神は見捨てなかった

『マンハッタン計画』

 

新型爆弾の製造が終わったのだ。

その威力は推定だけでもこれまでの兵器を圧倒的に凌駕した。

 

沈んだのだ。

あの東亜の悪魔が

たった一発の新型爆弾で船体が融解し

艦橋は焼き払われ

我々の前で燃えながら海底に沈んだ。

 

まさに逆転の好機。

ドイツの超巨大空母も

残りの東亜の悪魔共も

何もかもこの原子爆弾で沈めたのだ!!

 

そして再び奴は現れた。

 

あの憎き怪物は囮となるようにただその場に佇んでいた。

砲撃もなく

ただ待っていた。

 

カメラを回し全ての国民にあの悪魔を消すその瞬間を見せた。

 

地上から飛び出す水素爆弾を十発搭載した最新鋭の爆撃機が鉄槌を下した。

 

巨大なキノコ状の雲が上がりその爆風が我々にも感じさせる。

誰もが喜んでいた。

工業力で遥かに劣る黄色人種なんざもう恐くない。

 

そんな淡い希望を

 

「あーあー、聞こえるか海にゴミを浮かべる敗北者共、我は大日本帝国海軍総旗艦安土艦長、菊花である!!貴様らのカスみたいな爆弾数発ではこの安土は沈まん!!上層部の命令で渋々だが我々に投降せよ、さもなくば我々はミッドウェーや真珠湾に放った特殊弾頭を使用する!!!猶予は1日!!」

 

あの悪魔は何事も無かったようにその海を突き進んだ。

あの時我々は負けたのだ

 

一兵卒の私にはその過程は聞かされなかったが

結果はこうだった。

 

ナチスドイツの総統、アドルフ・ヒトラーの病衰により全ての役職をデーニッツ以下名だたる将軍、大臣に譲渡し党を脱退、ドイツはソヴィエト連邦を実効支配を最後にナチ党、ひいてはヒトラーの『東方生存圏』達成により穏やかに瓦解、ナチ党解散の後、1947年9月1日、丁度あの地獄が始まった同じ日にアドルフ・ヒトラー、病死。

その後、後任を任されたデーニッツ総統がラインハルト以下数名を粛清したが例外でドイツ国防軍陸軍将軍エルヴィンロンメルは理由は不明だがヒトラー暗殺計画が存在したことが浮上、ベルリンで処刑を国民から求められたが大戦時の功績によりロンドンに左遷ですんだ。

そのままファシストとしての必要もなくなり緩やかに民主化

 

日本は終戦後、東京会談で朝鮮半島、中国、ソヴィエト連邦の海岸線、太平洋の全ての島々を実行支配、祖国アメリカは灰しか無いという理由で至るところに駐留基地の配備と軍部の司令官を全員処刑という形で終戦。

 

その時、ドイツ、イタリアとの戦争を恐れてのことか、ドイツに返す予定だった戦艦安土を爆破解体という形で使用不能にし廃棄、艦長菊花 輝政だったろうか、彼は度々ドイツとの密会が示唆されていたらしく山本、南雲以下海軍将校の助命嘆願を退け1946年死刑。

また、その他乗艦していた乗組員は死刑こそ免れたが軍を強制除隊、地方に実質的な幽閉。

そこから今も天皇中心の政治ではあるがその形も少しずつ穏やかになり、今では半分民主化し、体制を維持、年が経つにつれ軍全体も縮小、徴兵制も緩和。

さらに国際条約という形で北極の閉鎖、その一切の侵入を禁止。

 

そうやって世界は再び歩みだしてはや七十年だろうか。

突如として現代に現れた深海棲艦という謎の存在。

 

始めこそ劣勢であったが徐々に海域を奪還し後一歩だった。

 

人類の勝ちは見えた。

だが、誰のせいだろうか。

 

こんな悪夢を見せるのは。

 

あぁ、今あの疾風の怪物が全ての艦娘を切り裂き我々、無力な人間を

 

 

 

海が赤く汚染され

血に濡れた服を洗う場所もなくなった。

 

「はぁ......これが艦娘ねぇ......確かに私たちと似ているけど違うわね」

 

死体の体を綺麗に切り刻み内蔵や肉を確認する。

色はそこまで違うわけでもなく、形も一緒だった。

 

「これで、人類は後、何割ですか?総旗艦」

 

雑に死骸を積み重ね椅子にして座った後通信を繋げる。

 

「お疲れ様ヴィント、残りはまだ内陸に数百万はいるけどまぁ、ソユーズとスレイプニルに吹っ飛ばして貰うから良いわ」

「流石にこれ以上は近江......いえ、大東亜艦隊と全面戦争になるのでは」

 

正直公約破りもいいところだ。

半分が自分の意思でもここまでは許せる

 

「そうね、あれが本当の意味で真っ当ならね......」

「真っ当?」

「したっぱは知らなくていいのよ、にしても厄介ね艦娘というのは、軽い資材で無限に生える、そしてその性能はデュアルの量産艦や私たちの護衛艦を軽く沈めるなんてね、やっぱり播磨に新型ねだろうかしら」

「えぇ......貴女昔は『護衛艦?邪魔』って言ってたじゃないですか」

「いやぁ、あの時は流石にもう人類も物質尽きて要らないと思っていたのよ」

「まぁえぇ、月間万単位で沈んでましたもんね、あの世界」

「そういうわけだからさっさとあなたじゃ絶対に勝てない面子から逃げて帰ってきなさい」

 

空を見上げるとそこにはオーロラが覆い尽くすように輝き海上からは無数の艦影が観測できた。

「そうですね、それではまた」

 

そう告げ通信を切った瞬間、脳天に数初弾丸がめり込みそのまま貫通する。

 

「......レールガンか......なるほどなるほど、これは実に厄介、でも悲しいわね、それでも人類は勝てなかったのよ」

 

海底に沈めておいた船体を浮上させ艦橋に転移する。

 

中ではよくわからないけど可愛い小人たちがバタバタと弾薬や燃料を運びあの無人の艦内よりはどこか騒がしく、居心地がよかった。

 

 

さぁ、戦争の時間だ

 

 

 

 

『超高速巡洋戦艦 ヴィルベルヴィント』接近!!




始末するつもりが切りが良くなったよまぁいいか
次回A-E 旋風止むべし


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AーE 旋風止むべし

雑スペック(多分wsg2が近いような無いような仕様のはず)
難易度ノーマル
HP500000
装甲 41cm以下無効(側面)28cm以下無効(甲板)
速力140ノット

武装
スロット1 七連装反物質魚雷×1
スロット2 12cm20連ロケット×10
スロット3 46cm40口径三連装砲×6
スロット4 超音速魚雷×20
スロット5 アスロック×5
スロット6 多弾頭ミサイルVLS×35
スロット7 重力砲×1(HP50%以下)

なんで一面ボスがこんなに強化されてんだよ
と思ったけどこれ作ったときは完全に三周目とか前提だったからね仕方ないね


ヴィルベルヴィント

 

彼女は初めてあっときは全く強くなかった。

所詮人類が劣化させ他だけのコピーだったからだろう。

 

それでも人類を滅ぼすほどには良かった。

 

「全艦!!再装填!!照準は要らないわ、ヴィルベルヴィント相手には慣れで射つしか無いわ、ハバキさん、タイラントさん、追えます?」

 

「無理!!」

「できらぁ!!」

 

鉄の嵐、破壊の魚群

まさに旋風のように舞い、何もかもを切り裂く風の船。

 

「結局、艤装なんて小型化しただけじゃないか......確かに費用削減だが...こんな質量じゃ満足にドリルも刺さらないわ......」

「結局、ただ『人類の兵器』を小型化しただけ、当然の結果ね、実際、艦娘の砲が当たってもまるで豆鉄砲じゃない...しょうがない、船体持ってきますか」

 

二人を即座に空中に投げ捨てる。

最大到達点辺りまで浮き上がった瞬間その艤装がバラバラになって拡大し、二隻の巨大な船に変形する。

 

「......」

 

これは何かがおかしい冷静に考えないと。

まず、状況だ。

これははっきりいって最悪すぎる。唯一の拠点は消滅し、補給も潰え、唯一の対抗手段『艦娘』も陸ではただの戦車と同じ程度の存在。播磨さんは敵の目標であり、あちらの播磨さんとの戦いには基本不干渉、なら、意味もなく人類を滅ぼす理由はなに?あの一見駄目人間の冷徹な女になにがある。

あの人は基本的には無駄を好まない合理主義者でもある。

 

「......いや、深く考える必要はない、彼女は同時に『身内を愛していた』ただそれだけだ」

 

あちこちにぶっぱなされる重力砲の引力を抜けながら、その船体に砲撃を加える。

そこには一コンマの狂い無き、砲撃。

 

「よし、ヒビが入った、取りましたよヴィルベルヴィント」

 

即座に艤装の一部を甲板のレールガンに戻し、発射。

その一撃はヒビの入った装甲を貫通し、機関を吹き飛ばす。

 

ただ、これで死ぬわけではない。

 

しかしその船体から逃げ出すつもりはなく、ただ海底に沈む。

今、追撃も構わないが、それをしてもたかが、一隻、なんの意味も無い。

 

すぐに総員に大陸への一時撤退命令が下され、次々と船体がドックに流れ、貨物列車に負傷した艦娘が運ばれる。

本当に終わったのか?

ヴィルベルヴィントは確かに装甲は脆い、だが、奴はレールガンごときは沈まない。

 

いや、違う、逃げた。

これか来る災厄から逃れるためだ。

 

私達が止めたがゆえ二個の選択をした。

 

「おいおいおい、嘘きついぜ、何でアイツが編隊組んで飛んでくるんだよ、ハボクックでもいるのか!!」

 

 

上空よりおぞましい速度で赤く発光しながらこちらに向かってくる五機の超巨大爆撃機。

焼きに来た。初めからこれが目的だった。

 

制海権さえ握ればあっとは空母超兵器のごり押し。

唯一無二の対抗できる場所である海さえ手に入れればよかっか。

 

 

 

 

音速で空を駆ける。

私は別に人類はどうでもいい存在だった。ただ、皆と一緒に居れれば良かった、皆と同じだった。ただ一人、純粋に『兵器』でありすぎた彼女を除いて。

理由はない、もしあるとするなら弔いだ。

 

飛んでくる無数の航空機を翼で切り裂き、風圧で押し潰す。

あの娘は色々不器用だった。

いや、戦術、戦略、設計、戦闘、艦隊指揮、演説、『戦争』に必要なすべてを持っていた。

だが、これっぽっちも『人』ではなかった。

 

「家族を大事にしているのが悪いことかしら?貴女は自分を捨てることしか知らなかった、誰かが教えるしかなかった、どうなの......」

 

 

切り離した十の核弾頭のミサイルをピンポイントで海岸施設や線路に直撃させる。

その閃光が収まる前に機関を最大出力で動かし、海面に突撃し、海底でピョンピョン跳ねるやる気の無いバカを回収し急浮上する。

 

「コラー!アルケオ!!もっとましな回収あるでしょ」

「別に不死身じゃない?たかが、船体どうでもいいでしょ」

「いやー、痛覚シャットアウトしても痛いものは痛い」

 

雑に発射口から入るバカにタオルとドライヤーを投げ渡す。

 

「......あるぇ、このドライヤー動かない......バッテリーねぇ」

「私はあんたたちのところにある超技術な日用品は無いわよ」

「むぅ、生活レベル低すぎない?」

「寧ろ貴女達ドイツ組が未来に生きすぎなのよ」

 

 

 

 

パワーバランス?あぁ、そんなものあったな。

天に届くような死体を積み上げ、その天辺にテーブルを置く

 

「さっすが、播磨、あんだけズタボロの状態でも無傷って」

「深海棲艦......これで全部かぁ...全く、テュランヌス......何が目的?ロゼを殺して兵員皆殺しにして」

「別に?あの女がしょうもないことをほざいたから始末したそれだけよ、正直ウィルキア帝国とかどうでもいい、これは初めから侵略戦争よ、ただ、要素が変わっただけのね......なのにあの姉妹は好き放題してさ...」

 

間違いではない。だが、そんな簡単に終わるものでもない、いや、人類は勝てない。

何をしてもだ。

 

「侵略はする、だが、私は救う...と?」

「そういうこと、言うなればこれは『播磨ちゃん死なせたいレース』だからね、何が世界征服よ、そんなのおまけよおまけ」

「で、私が嫌いな人類を滅ぼし、最後の鍵である『艦長』を探し、奪い合っていると」

「そゆこと、そこはまぁ、ノリと勢いで超兵器全員での戦争さ、今はただ邪魔なこの星の生物を滅ぼし、捜索の邪魔を許さない、それだけさ」

「そう、余計なお世話とは言わないわ、ただ、『それならそれなりの事をさせて貰う』ただそれだけよ」

 

席を立ち、海上にある船体に転移して航行を始める。

進路はウラジオストクではなく、ジブラルタル。

 

 

 

負けた。

まんまとやられた。

 

「......これでもう艦娘は皆殺しですかそうですか...」

 

流石に核攻撃を防げるほど艦娘は丈夫ではない。

所詮ただの船だ。

生きていても当分の戦線復帰は不可能。

 

ヴィルベルヴィントはただ難民掃除をしただけ、恐らく次は固まっているところにソユーズでの狙撃。

即座に対宙レールガンを取りだし、構える。

 

 

すでに、見下ろしていた。

もしこの引き金を引く一手だけ遅かったら。

 

「本当にあの人は殺意が高いですね」

 

宇宙に放たれた弾丸は確実にその巨大な砲を破壊し、大気圏で焼き払う。

本当に無駄だ。

今の我々には実体がある。

 

「おぉ、ブラボーブラボー!!軽い遭遇戦のつもりで仕掛けたけどちゃんと生き残れたじゃないかぁ、さっすが人類」

 

ハウニブーの天辺に座りながら少女が拍手をする。

即座に皆が気付いて対空砲撃を繰り返すが一撃も傷にはならずただ見下し、なにもしない。

 

「......答えなさい、ソヴィエツキーソユーズ...なぜ『無駄に楽しむ』」

「楽しむ?そうねぇ、『出来レース』だからって言っておくわ」

「出来レース?」

 

それはおかしい。

あの攻撃にレース?

 

「......えぇ、総旗艦フィンブルビンテルが行動停止の今、臨時総旗艦たりえるのは各方面艦隊総旗艦の『ヴォルケンクラッツァー』、『リヴァイアサン』、『ハボクック』、『播磨』の四隻だけだもの、『絶対命令権』を持っている四人が個人的に参加しているこの戦争にしたっぱの私が勝てるわけ無いでしょ、まぁ、人類は滅ぼすけど艦娘の貴女達は生存できるし、悪い話じゃないわよ」

 

出来レース

それは理解した。

だがなぜだ、不可侵とかを諸々捨ててなぜここまで過激に出る。

 

なにか変わったものがあるのか?

恐らく、ある。

そしてそれを私は知らない

 

「そうですか、でしたらもう良いでしょう───」

 

それは唐突だった。

雷が落ちた。

 

ただ、晴れていた空から雷が落ちた。

驚きを隠せない。

いや、違う。

 

あり得ないと認識せざるえなかった。

 

「......」

 

ボロボロのマントとその忘れも出来ない南蛮風の鎧。

その顔すら隠す兜の隙間から見える炎のように紅い瞳

 

海面に急浮上した一隻のヴォルケンクラッツァーに匹敵するレベルの巨大戦艦。

 

「播磨のやつ...まだ本調子じゃないでしょうに...まぁいいわ」

 

嵐が訪れる。

いや、今からこの嵐に挑むのは不可能。

 

あらゆる攻撃を弾き返し

あらゆる搦め手をその力でねじ伏せ

砲煙弾雨の超兵器

 

「あ......うん...まだ......しゃべ、り、ずらい、なァ、でも、いいや、ねぇ、どこに居るのですか?............艦長」




B-1 砲煙弾雨


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B-1 砲煙弾雨

一度狂った歯車は
誰かが直してやらない限り永遠とその狂った運命を刻み続けるさ。


「...全艦隊集結、呆気ないものね、姉さん」

 

横で私の槍を持ち、ただ静かその場にたたずむ。

空気はまさに今まさに戦争にいく兵士たち。

 

おふざけも終演だ

私は総旗艦として、この舞台に立つ。

 

「...諸君、私に付き従う艦隊諸君」

 

軽くドイツ式の敬礼をし、深呼吸をしたあと、ゆっくりと語り始める。

 

 

諸君 私は戦争が好きだ

諸君 私は海戦が好きだ

諸君 私は殺し合いが大好きだ

 

殲滅戦が好きだ

電撃戦が好きだ

打撃戦がすきだ

強襲戦が好きだ

包囲戦が好きだ

突破戦が好きだ

遅延戦が好きだ

掃討戦が好きだ

上陸戦が好きだ

 

 

海上で 空中で

海底で 破天で

氷河で 陸上で

凍土で 火山で

泥中で 宇宙で

 

この世界で行われるあらゆる戦争が大好きだ

 

戦列を並べたルイジアナ級の一斉砲撃が轟音と共に敵艦隊を吹き飛ばすのが好きだ

空高く舞い上がった航空機を対空兵装でばらばらにしたときなど心がおどる

 

 

護衛艦隊の操る劣化ウラン弾が装填された88mm機関砲が敵護衛艦を撃破するのが好きだ

悲鳴を上げて燃え盛る船から飛び出してきた海兵を波動砲でなぎ倒した時など胸がすくような気持ちだった

 

ドリルを揃えたアラハバキ直轄艦隊の横列が敵の戦列を蹂躙するのが好きだ

暴走状態の同胞がすでに粉砕した敵艦を何度も何度も破壊している様など感動すら覚える。

 

敗北主義者の逃亡兵を氷で生き埋めにし、晒したのは様などはもうたまらない

泣き叫ぶ敵兵達が私の振り下ろした手と共に

金切り声を上げるバルカン砲にバタバタとなぎ倒されるのも最高だ。

 

哀れな反ウィルキア連合どもが雑多な艦砲でけなげにも立ち上がろうとしたところを

 

播磨の80cm75口径3連装砲10基30門、4.8t榴爆弾の速射でブリテン島ごと木っ端微塵に粉砕したときなど絶頂しかけてしまったわ

 

 

 

あぁ、それはいい。

諸君

 

我々はなんだ?

ただの意思を持っただけの機械か?

 

 

ならば、たったひとつの『母船』より分かれた別人格か?

 

 

ならば、『人』か?

 

否!!!

 

我々は兵器だ。

だが同時に人の心を持っている。

感情がある。

どちらか片方ではない。

 

ならば、今、我々にある感情を吐き出そうではないか。

もう耐える必要性はない。

 

時は来た。

 

男が悪霊になり果て

女が空の道具になり

 

怪物は目覚める。

 

「...ようやく本性を晒したな、摩天楼」

 

 

天井に立つ。

 

あーなんだったかな。

 

 

「あぁ、曝したとも、私達は『仲間』だ、『家族』だ。貴様らのような『同じ形をしただけの鉄屑』どもとは違う、この体に通う血と肉は同じものだ、私達は兵器である以前に人だ。そして、悲しいかな、もう死んでしまって......姉妹一人護れず、悲しかっただろうなぁ播磨は。どこまでも人間は度しがたく弱いのに、それすら愛して守護しようとする。表面ではいつも殺戮兵器、されどその本性は優しい少女であり過激な破壊衝動、私たちみたいに両方受け入れられなかっただけ......だから常に片方のみを映し出し、己を騙る」

 

 

バラバラになった肉片を踏みつけながら独り言のように語り始める。

 

「...下らないわ......諸君、戦争を始めよう、何千何万ではない、兆や京は殺そう」

 

つぶれた首のような何かを蹴り飛ばしもう一度敬礼をする。

 

「第一目標『全人類』、総旗艦ヴォルケンクラッツァーより全艦隊に通達!!作戦『ラグナロク』を開始せよ!!」

 

 

 

 

 

地獄が天国のようだ。

雨のように砲弾が降り注ぎ

霧のように砲煙が彼女を覆い隠す。

 

「おいおいおいおい!!流石にこの数の砲弾は私のAGSでも防ぎきれないぞ!!」

「じゃあ正面から投げられる戦艦をどう防ぐきだい?まぁ、そろそろドリルもソーも刃こぼれしてきたけどね」

「それは......あぁっもう、早く本体仕留めなさいよ!!」

 

 

総旗艦播磨

 

例えそれが人類の劣化コピーでもただの亡霊でも本物だ。

その巨大な船体の甲板で構える怪物には波動砲でようやく傷になる程度。

 

「ハハハハハハハ!!!この程度か?この程度なのか???私はここだ、よく狙え?そして打ち抜いてみっ......無駄だバーカ」

 

眼球、眉間、心臓、狂いなく急所にレールガン専用の対超兵器用重量20トンの劣化ウラン弾頭の実弾すら傷にならず弾く。

 

すぐに406mm連装ガトリング砲を取り出し飛んでくる千の砲弾を防ぎつつ警戒をする。

 

「はぁ、あの時の気迫はどうした!!!あの時の食らいつく意思はどうした!!!今さら臆したか?」

 

怪物が笑う、正直、今彼女を殺すのは容易だ、だが、それで死ぬなら苦労はしない。

 

「...」

 

彼女はまさに無敵の移動要塞。

実弾攻撃はどこから攻撃しようがほぼ全て弾き返し

光学兵器は無効

おまけに電磁パルスすら無効

唯一のダメージは超高出力の波動砲で全面に傷を与える程度

攻撃面は万を越える多目的核ミサイル

島国を沈める無数の変形型主砲

文字通りの雷撃

そして船体中央に隠した拡散波動砲

だが、それも倒せないわけではない。

 

超兵器機関の暴走による自壊。

簡単言えば彼女に常に最高出力のさらにその上の出力を出させ船体を破壊する。

 

それしかない。

確率で言えば億や京ほどの確率だ。

 

「そうですね、では本気で行きましょうか」

 

機関を最大まで動かし、一門の砲を海底から取り出す。

 

 

「基礎設計ドイツ第三帝国130cm対超兵器専用重火砲『ワルキューレ』、対超兵器専用砲弾複合DU合金、特殊装薬AGM4、専用固定砲『天羽々斬』」

 

「...確かにそれなら貫通はするが...さて、それで沈むだろうか?たかがユーラシア大陸を砕く砲弾でこの私を止められるものか!!」

 

引き金を引く

 

一発の轟音と共に放たれた砲弾は音速を超え大気圏を離脱し背後にある小さな小惑星を砕く

 

「...流石に避けはできんか......」

 

とっさに防ごうとした腕ごと吹き飛び、顔の半分と胴体を貫通しているがやはりあれはただ笑っている。

あれは意思の化け物だ。

 

無敵の装甲もだが一番の恐ろしいところはあの気迫だ。

何があっても沈む気配を感じさせない。

 

「......」

 

 

装填は間に合わない、だが、私はただ沈める賭けには負けただけだ。

 

「...あぁ、そうか、久しぶりに熱くなってしまった......」

 

一瞬でその本質は理解されたが、一手、早かった。

 

「全艦隊は退却済み、えぇそうです、殿なんですよ私」

 

そっと彼女が微笑み、彼が嗤う。

 

「そうか...そうかそうか.........おい」

 

 

急に彼女の声色が変わる。

 

「まてまてまて...。何が...っもういい帰る!!」

 

そういってまるで急用を思い出したかのように消える。

 

「一体なにが?...とりあえずシベリア鉄道ひとっ走りいきますか」

 

 

 

 

 

 

北極

 

 

吹き荒れる吹雪の中、私はたどり着いた。

 

「総旗艦...」

「寝ているわ......話なら隣で聞くから」

 

総旗艦から泣きつかれて横たわっている妹を預かり毛布を被せ、ソファにそっと寝かせる。

控えめにいって糞不味い紅茶を出され、ゆっくりと口を開く。

 

「流石に播磨ほど得意じゃないけど「糞不味いですよこれ、パックですか?」悪かったわね」

 

「まぁいいですよ、それよりも......もう明らかに人類も深海棲艦も関係ない...この状況はどう言うことですか?」

「...所詮、奴等はただの兵器、それだけよ。純粋にタイムオーバー」

 

始めから人類がどうこうできない時点で物事は終わっていた。

実に分かりやすい。

 

「...総旗艦」

「そもそも、皆こんなことされて怒ってないわけ無いでしょ......はじめから止められていないのよ、この戦争は......」

 

 

人類が消え、深海棲艦も艦娘も駆逐されればなにが残る?

これが正解だ。

それは知っていたが。

 

 

「共通の敵が出来たことによって本格的な第二幕とでも言いたげですね?」

「えぇ、貴女が人類に残した遺産、そして...フフッ...良いと思わない?」

 

 

 

 

大西洋

 

ここは地獄か?

こちら300隻に対して敵艦6000隻

 

逃げる場所も、何もない。

諦めず交戦は繰り返すがもう、無意味と悟った。

 

「て、敵艦隊増援!!推定12000隻」

「ふざけるな!!そんな数いてたまるか!!」

 

 

「そうねぇ、アメリカでもこれだけの数は無理でしょうね...」

 

どこか聞きなれた声が聞こえ振り返る

金色の長い髪

 

甲板に張り付いた無数のジェット戦闘機。

 

巨大な飛行甲板っぽいチョーンソー

 

「ナチス親衛海軍、総旗艦EX級超巨大試作空母、顔面に叩きつけられた核の恨みは捨て、共闘に出るわ。名前も忘れた『メリケンども』」

 

即座にその巨大な箱から無限に等しい航空機が放たれる。

それらは一機一機が対艦ミサイルを複数搭載したドイツの黒い狩人。

 

 

「へぇこれが肉体......ふぅん。そ、まぁいいわ、早く艦隊を召集し、逃走準備をしなさい?大物が来るわよ」

 

 

気がつけば三十倍はあったはずの敵も消滅し、空には光を通さないほどの戦闘機が飛び待っていた。

あぁ、おぼろげな記憶が思い出す。

 

「...ひ......め...る」

「あら、今さら?じゃあさっさと退却準備しなさい!!」

 

 

パナマ

 

 

「全く...あの人は不器用なんだからぁ...いやいや目が覚めてしまったわ...んむ?」

「???誰?」

「え?あぁ私?『ミズーリ』、アメリカ特殊技術艦隊旗艦、超巨大ミサイル戦艦ミズーリ」

「あ、ドーモ、私はグロースシュトラールね。沈め!!!!」

「......あちっ!!敵か!」

 

七色の光線は薄皮一枚焼いた程度で逆にその咄嗟で出た拳はその胴体をきれいに貫通する。

 

「...播磨の親戚?ちょっと理不尽装甲過ぎる...まぁじゃあ泥仕合しますか」

 

 

 

ミッドウェー

 

 

「......」

「自律戦闘演算装置『ウォースパイト』起動完了しました、マスター。ネームド『ネルソン』」

「わかっています......不思議ですね、これがにくた.........ねぇ、何この背後の無数の騎士」

「ロイヤルネイビーですが」

「...なんか記憶と違うような...私全権握って居たっけ...」

「勿論です、英国王立海艦隊旗艦ネルソン、無人操作艦隊旗艦のネルソンではありませんか」

「......むぅ、そうだっけ、まぁいいや、じゃあウォースパイト、今は何隻配下にいる?」

「補給艦から空母含め4000隻きっちりと」

「...そう、じゃあとりあえず愛しきホームのグレートブリテン島に帰還しましょう」

「了解、艦隊の編成、航路を設定しました、良い航海を」




さぁつっちーシリーズ知らないやつからしたら訳のわかんないことの始まりだ!!!
知ってるやつからすれば怪獣大戦争だ!!


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B-2 ブリテンの誓い

敵も味方も世界大戦そっちのけの兵器を乱用...なんだこれただの鋼鉄じゃん


この世界は実に不思議なことに満ち溢れている。

『改』『改二』『甲乙丙』『新たな艦娘』『実在しない計画段階の装備の実現化』

『エリート』『フラグシップ』『姫』『鬼』『水鬼』

『潜水艦』『補給艦』『コンバート』

 

誰の因果か陰謀か。

『戦争が続けば続くほど新しい何かが現れ続ける』

 

「だからこうなった」

 

一言で言うなればインフレだ。

双方限りなく戦火の広がりに比例するように新たな力が現れる。

 

だからこそだ。

『超兵器』もとい『私』という太古の破滅機構そのものを戦場に放り投げればこうもなる。

 

私を触媒に『彼女の遺産』が掘り起こされる

 

「......総旗艦...貴女は...貴女って人は!!」

「あらゆる万事それこそ森羅万象。この手で躍り続ける人形よ。この墓守もまた本心。だけどこうやって滅ぼすのもまた本質」

 

 

愉快で不愉快でどうしようもない怒りと殺意と憐れみと無力感が回路を歪ませる。

 

 

「端からこの戦争に正義も悪も何もない、ただ、『愛しき家族』の為、ただそれ一つよ、貴女みたいに『本物の人間』を使っていないから解らないのよ私達も」

 

結局『超兵器機関』なんて馬鹿げた名前をつけられはしたこれも

ただの肉体を持ったAIでしかないこんなものにね...

 

 

 

......。

そういえば、各海域で敗戦、敵艦隊ロストの報告が絶えないけど...大丈夫かしら。

あの娘、何でもかんでも仕事は播磨に押し付けるけどあれでも徹底的かつ、冷酷な支配者。

 

今、ここで本気で当たってしまったら、勝てる見込みも無くなるでしょうに。

 

 

 

 

 

大西洋の冷たい海の上、万を超える艦隊の中に佇む黒い戦艦の甲板の上で茶会が開かれている。

 

「......助けて播磨!!艦隊負けまくってるわ!!」

「お姉ちゃん、播磨は居ないよ」

「...あーそうねうん。......全く、人類も頑張るわね...ねぇ『御姉さん』」

 

目の前で静かにほくそ笑み、紅茶を飲む悪魔が憎たらしい。

こいつのことを私は播磨の姉として信頼はできるが

敵としては私達総旗艦と同等の戦力と確実に認識し把握した。

 

「...あら、美味しい」

 

本当に恐ろしい。

今、ここが敵のど真ん中と知ってこの有り様。

だが同時にここにいるもの全員に殺気を見せず照準は構えられている。

 

「それはどうも...で、同じドイツ艦のよしみ、どうかしら」

「劣勢の勢力に手を貸すとでも?」

「恐ろしい御姉さんだ、あの娘と同じで戦闘狂じゃない。ここのいる全艦隊を沈められると思っていらっしゃる」

 

こんなところで宣戦布告。

あーやだやだ。

 

「まぁ、それはいいとして、妹の末路は確かに敵と認識するには十分だけど、あの娘なら自分でするでしょ?違うくて?」

「...えぇそれはもう、ド派手にやってましたね、私達が乱入する前はもう、それは、世界規模で殴り返してましたよ」

 

お互いあーだこーだと言い合いながら紅茶を飲んで時間を過ごす。

この女がはじめから時間稼ぎでここにいるのは想定済み。

問題はこの自信だ、この戦場全てをひっくり返す何かを知ってそうなこの顔が気にくわない。

 

「...勝利条件と敗北条件はしっかりと認識していらっしゃるようで」

「人類を地球から消せば勝利、これを達成することこそが最重要事項ですから」

 

そしてもう手は打ってある。

核の飽和攻撃で終わりだ。

最悪、地殻ごと消せばいい。

 

「そうね...そもそも私達が起き上がったところでもう詰んでいるもの。できることはせいぜいその頬に傷をつけるぐらい。戦いは始めから着いている。......本当にでたらめで、どうしようもない破壊の嵐のような人たちだこと」

 

 

その瞳には一切の感情が無い。

機械よりも機械のような冷酷ですらない。

無だ。

無が広がっている。

 

 

「もうお好きにお帰りください、我々の目的は達成されました」

 

勝てない。

いや、挑むことができない。

 

あれが人の生み出したバケモノとでも言うのだろうか。

やはりあれは異常だ。

なにかが違う。

 

 

「そう、じゃあ焦土になった故郷の港にでも寄らせてもらうわ。完全勝利おめでとうそして終わらない残党処理を頑張ってくださいね♪」

 

 

 

 

 

 

思い出した。

思い出した。

思い出した。

 

 

私はこの光景を知っている。

これが日常だった。

これが普通だった。

 

「......まぁ、あの人は初めから殴り合う気は無いよな」

 

 

岩盤まで届くほど無数に落ちたのであろう核攻撃。

あっけない。

 

そう、あっけないのだ。

 

 

「生存者は無し...宣言しよう、『総人口0人』だ」

「......駿河さん。艦娘の皆さんは?」

「例え人間がいなくても彼女たちは誇りのために死ぬのだろう...皆、この報告を聞くと私に感謝を言って突撃するのだ...愚かだよ。誇りのために死ぬなんて...だが完全な否定はできないな。私たちだって私情で人類を滅ぼす戦争を始めたのだ...」

 

まただ。

また失った。

 

いや、あのときはまだ数万人程度は生き残っていた。

 

 

「......」

 

もう人類も居ないのならこれはもう完全な私情一つで引き起こす場外乱闘。

気がつけば終わっていた。

 

「蒼はどうする?私は乗っかってしまった船だ全ての艦娘が沈む最後まで待ち続ける。ハバキやタイラントも今は取り残された者達を集めて決戦の手助けの最中だろうな......」

 

何も答えられなかった。

完全な部外者だからこそ私は何も言えない。

十や二十と艦娘が集まっては最後の補給を済ませて突撃を繰り返す

 

ただその光景が私の記憶にあった地獄を思い起こさせる。

 

「ッ......」

 

やめさせたい。

やめてほしい

やめろ

 

私をまた一人にしないで

 

 

「...下らないな。人類も艦娘とかいう存在も」

 

人間の

男の声が聞こえた。

 

ただうずくまっているだけの私を蹴る何かがある。

 

小さな靴

ふんわりとした体

 

大日本帝国の海軍関係者らしき服。

 

妖精さん

 

 

「......今さら亡霊の俺がこんな姿で出てもだがな...岩井や友永の鉄屑乗りがでしゃばりやがって......航空機で貫けない装甲相手に飛ぶんじゃない...まったく砲撃の邪魔だったは山本さんが止めなきゃ平気で撃ち抜いてやったわ...」

 

そういいながら内ポケットの煙草を取り出して火をつけるよくわからない妖精さん。

 

「あの、貴方は?」

「俺か?」

 

 

 

「『菊花』......ただの戦艦の艦長さ...部外者」

 

 

......。

 

「...そんな軽く...貴方は...」

「全く、二葉のヤローあんな老いぼれになってまで俺を待ちやがって...だから笑われるんだよ......で?お前はどうなんだ、片割れ。もう人類は居ない、ただの消化試合だが抵抗するか?それともただただ見てるか?別にしがらみ関係なく殴り合うのも最高だぜ?」

 

ただ殴り合う。

か。

 

一度だけしか無いなぁそういうの。

 

 

「良い顔したな。こんな時世に戦艦同士の殴り合いしたか?あの後はすっきりしたろ。無心で殺意で殴り合って終わればたった方が勝者だ」

 

「...確かに、それも一つでしょうね」

 

そういえばそうだ。

あの時だって何もない状況から始まった。

 

なら。

同じことをすれば良い。

 

がむしゃらに突っ込んで終わらせてしまえばいい。

 

「よしきたドアホ。なら俺の指定する場所に行け。最高の兵器と最高の先人に会わせてやる」




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