遊戯王ガーベラ・レコード (レルクス)
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第一話 創造開始!

 デュエルモンスターズ。

 もともとは単なるカードゲームだったが、ソリッドビジョンシステムの開発、および、それを安価で提供する技術の進歩が積み重なった結果、だれもが認めるほどのエンターテインメントとして認められたカードゲームだ。

 賞金が出る大会やプロリーグも存在し、中には『デッキを持ち、そして勝てるのならばそれだけで生きていける町』が作られているほどの産業となっている。

 

 まあ、ごちゃごちゃした事情は置いておくとして、デュエルモンスターズをプレイするデュエリストの育成学校が存在することとなった。

 

 デュエルスクール・ディスカバー

 

 この学校の公式ホームページを開けば、『切磋琢磨し、新しい発見に触れよう!』というキャッチコピーがでかでかと表示されている。

 ディスカバーが連携しているスポンサーからの膨大な援助金によって運営可能となっているDMP……『ディスカバー・マネー・ポイント』と呼ばれる独自通貨が存在することで、学校側にとって管理しやすい独自経済が誕生。

 競争し、交渉し、切磋琢磨する。というものとなっている。

 

 特典というものがたくさんあるわけだが、その中でも大きいのは『ギルド』と呼ばれるチーム制度だ。

 

 基本的にデュエルは一対一なのだが、一人では気づけないが、それを他人と共有し、その情報を様々な人間が様々な角度から解釈、発展させることで、さらなる成長をする。という理念のもとで行われている。

 結果として、授業の成績が良い生徒にはDMPで優遇処置がとられており、さらに、ギルドが好成績を収めると、ボーナスでDMPを獲得することができる。

 

 デュエルというのは、一枚のカードが戦況をひっくり返すこともある。

 チームで競い合い、時に奇跡を生み出し、下克上を巻き起こす。

 そんなことが期待されてい()学校である。

 

「んあっ!……あー、背中バキッつった」

「突如大声を出されると私は驚く」

「サーセン……驚いてるように見えないんだけどな……」

 

 金がかかっている学校というものは、設備もそうだが、インテリアなどにも金がかかっているものだ。

 男子生徒と女子生徒がベンチに座っているが、そのベンチの周りは、校舎の屋上でありながらもガーデニングが施された庭園になっている。

 しっかりとデュエルスペースも確保されているところを見ると、やはりデュエルスクールなのだということがよくわかるが。

 

 

 男子生徒の方がうーんとベンチに座ったまま背を伸ばしている。

 

 見るからにやんちゃそうな男子生徒だ。

 活発そうな愛嬌のある笑みを浮かべており、黒い髪は基本的に切りそろえられているが、長い前髪を灰色のピンで横に流している。

 制服は下品と言われない程度に着崩しており、それがまたやんちゃそうな少年の印象を増幅させていた。

 

 それに対して、女子生徒の雰囲気は落ち着いたものだ。

 

 腰まで届くであろう長い銀髪に整った顔立ち、同年代の女性に比べて身長はほぼ変わらないが、胸は育っており、少しポーッとしている印象がある。

 特徴というと、首から下げている銀色のコインのようなネックレスだろう。

 

「さてと。そろそろ仮眠も終わりにするか」

「そう。わかった」

 

 男子生徒、創崎遊錬(そうざきゆうれん)の方が立ち上がると、女子生徒、銀丈愛瑠(ぎんじょうあいる)の方も立ち上がる。

 遊錬は屋上の策によりかかった。

 

「おー、早速勧誘合戦だなぁ」

「ディスカバーはギルド対抗イベントが多い学校。とりあえず数が必要になることだってある。とにかく『ブランド』を保ちたいギルドは、こうした人数集めに並走しているのは当たり前」

「だよなぁ」

 

 遊錬と愛瑠は、『デュエルスクール・ディスカバー』に通う二年生。

 この学校は、確かに個人での実力は評価するものの、ギルドを組んで戦うイベントが積極的に行われている。

 

「大きなギルドってのを作って、それを無理やりにつなげようとして躍起になってるところって多いもんなぁ」

 

 屋上を後にして、広場の近くを通ることにした遊錬と愛瑠。

 

「しっかし……本当にすごいな」

「ただ、善意目的でやたらと人を集めているわけではないと思う」

「まあ、それは分かってるけどな」

 

 ディスカバーでは、『DMP』と呼ばれるポイントを獲得できるタイミングがいくつもある。

 大体『1P』=『1円』で、ディスカバーが運営している系列店ではこのポイントを使用できるのだ。

 このポイントを貯めまくった生徒が、ホテルのスイートルームを使用しているという話もある。

 

「メンバーにノルマを課して、それを徴収してるって話だもんな」

「ぶっちゃけ、デュエルするだけで、そこにポイントが発生するのはやりすぎだと思う」

「まあ、デュエルで勝てるのなら何でもできるって言われるくらいだしな。やっぱり優先順位の問題なんだろ。たまに地位と実力が見合ってないところもあるけどな」

「例えば?」

「あそこ」

 

 遊錬はとある場所を指さす。

 そこでは……。

 

「おい!デュエルで僕が勝ったんだ。お前たちは僕たち『決闘貴族連合』の一員だ!」

「ふざけんな!お前らがギルド参加申請書を奪ってきて、アンカーで強制的にデュエルしてきたんだろうが!」

「うるさい!そんな証拠はもうないんだよ!アンカーでデュエルを挑まれようと、要はお前が勝ってたら何の問題もないんだ!お前たちが弱いのが悪いんだよ!」

 

 大勢の男子生徒が、男女の二人組をかこっている。

 口論のように見えなくもないが、かこっているうちの一人が赤い縁の紙を掲げている。

 

「くそっ!そんなのアリかよ……」

「え、炎冶君……」

 

 悪態をつく赤髪の少年に対して、水色のショートヘアをツインテールにしている少女が不安そうに駆け寄る。

 

「さてと、お前たちはギルドをすでに組んでいたようだな。これで、そっちの女も俺たちのギルドの一員だ!」

「え……そ、そんな……」

 

 どうやらもともと。二人でギルドを作る予定だったらしい。

 だが、それを絶好のカモと考えた『決闘貴族連合』の生徒が割り込んできた。という事情のようだ。

 

 通常なら、申請書を強引に奪ったのならそれらは認められない。

 だが、デュエルが行われ、勝敗がすでについてしまっている場合、少々面倒な『例外』が存在するのだ。

 デュエルの勝敗というのは、この学校ではとても大きいことなのである。

 そして、一定以上の規模を持つギルドのメンバーは、部下のメンバーに対するデュエルによる制裁のため、アンカーの所持を認められているため、デュエルという状況を作り出すことは容易なのだ。

 

 彼らがつけているデュエルディスクには、『学校内でのデュエルの対戦結果』がすべて表示されている上に、これをいじることはできないため、知らないふりはできない。

 

 ただし、そんな『強い組織にとって有利な例外』が認められているのにも理由はある。

 

「おいおい、和彦(かずひこ)。まーたそんな姑息なノルマ稼ぎしてるのか」

 

 遊錬はかこっている集団に対して近づきながらそんなことを話しかける。

 『強いだけの組織にとって不利な例外』を行使するために。

 

「な……お前は……創崎遊錬!」

「おう、その通り、創崎遊錬だ」

「チッ……だが、もうデュエルは終わった後だ。今更お前がしゃしゃり出てきたところで、もう何も――」

「俺が何に対して姑息っていったのかわかってねえようだな」

 

 遊錬は和彦と自分が読んだ少年の手首をつかんでひねる。

 すると、袖からカードが十枚程度落ちてきた。

 

「「あっ!」」

 

 被害にあっていた二人が驚く。

 

「ぐっ……放せ!」

「はいはい。わかったわかった」

 

 遊錬が手首を放すと、和彦がパッと離れる。

 

「チッ……だが。すでにデュエルは決まってるんだ」

「何言ってんだ。お前が手首にカードを隠し持ってたのはすでに録画済みだぜ」

 

 和彦が視界に入った愛瑠の方を見る。

 彼女は、スマホをこちらに向けていた。

 

「な……」

「何か行動を起こすときは、録音や録画は必須だぜ。まあ、やましいことをしてる側はボロが出ることが多いから録音データが使い物にならねえことが多いけどな」

「クソ……」

「ただ、お前がデュエルに勝ってるのは事実だからな。入れ替えたであろうカードを使ってる証拠は持ってないし」

「なら――」

「だが、カードを隠し持っていた疑いはあるんだ。完全な形でギルドに入れることはできねえぞ」

 

 和彦が何かを言う前に、ハキハキと自分の言いたいことを全部言う遊錬。

 

「お、お前、ギルド無所属の雑魚デュエリストの分際で、『決闘貴族連合』の二番隊隊長である僕に意見するつもりか!」

「そうだよ」

「クソ。ならデュエルだ!僕が勝ったら、その動画は消してもらう!」

「いいよ。じゃあこっちからは、俺が勝ったらそこの二人のギルド入隊を取り消してもらう」

「な、なんでお前の言うことを聞かなければいけないんだ!」

 

 自分からは要求するが、人の要求を聞くつもりはない。

 だが、そんなことはどうでもいいのだ。

 主導権はすでに握っている。

 

「まあ俺は、別にデュエルする必要なんてないんだよ。この動画をしかるべきところに持っていけば、きっと監査がお前たちの『ギルド全体』に入る。『アンカー所有ギルド』はその責任も重いからな」

「うぐっ……」

「で、ギルド全体に監査が入ることを嫌がるのは誰だと思う?その責任を、だれがとらされると思う?」

「そ、それは……」

「カードを袖の中なんかに仕込んでいたのがお前だってことは録画されてるんだ。お前に決まってんだろ。俺がお前に動画消去のチャンスをくれてやってるんだ。そこのところ勘違いすんなよ」

 

 遊錬はデュエルディスクを構える。

 

「あ、あの……」

 

 赤髪の少年が展開についてこれないのか、不安そうな顔で聞いてくる。

 

「まあまあ、そう不安そうにしないの。ここは先輩に任せな」

 

 再び和彦の方を見ると、和彦もデュエルディスクを構える。

 

「つーわけで、俺が勝ったら二人の入隊の撤回。お前が勝ったら録画した動画の削除だ」

「たたきつぶしてやる」

「やってみろ」

「「デュエル!」」

 

 遊錬 LP4000

 和彦 LP4000

 

「僕の先攻!」

 

 和彦は先攻になった瞬間にカードを使う。

 

「僕は手札から、『ブルーブラッド・ウォリアー』を召喚!」

 

 出現したのは、青い鎧を身にまとった戦士。

 

 ブルーブラッド・ウォリアー ATK1700 ☆4

 

「ブルーブラッド・ウォリアーの効果発動。召喚成功時、デッキから『ブルーブラッド』モンスターを特殊召喚できる。僕は手札から、『ブルーブラッド・スカウト』を特殊召喚!」

 

 ブルーブラッド・スカウト ATK1000 ☆4

 

「スカウトの効果発動。このカードがブルーブラッドモンスターの効果で特殊召喚に成功した場合、カードを一枚ドローできる」

「その流れ、無駄がないよなぁ……」

 

 

 ブルーブラッド・ウォリアー

 レベル4 ATK1700 DFE1000 光属性 戦士族

 ①:このカードが召喚に成功した時に発動できる。デッキから「ブルーブラッド・ウォリアー」以外の「ブルーブラッド」モンスター1体を特殊召喚する。

 

 ブルーブラッド・スカウト

 レベル4 ATK1000 DFE1200 光属性 戦士族

 このカード名の効果は一ターンに一度しか使用できない。

 ①:このカードが「ブルーブラッド」モンスターの効果によって特殊召喚された場合発動できる。デッキからカードを一枚ドローする。

 

 

「当然だ。【ブルーブラッド】デッキを使う上で最も無駄のない初動。そこから繰り出されるこのモンスターに震えるがいい!僕は、レベル4のブルーブラッド・ウォリアーと、ブルーブラッド・スカウトで、オーバーレイ!」

 

 二体のモンスターが光の渦の中に飛び込んでいく。

 

「栄光の血族よ。騎士の力を示し、現れろ!エクシーズ召喚!ランク4『ブルーブラッド・ナイト』!」

 

 ブルーブラッド・ナイト ATK2300 ★4

 

「そのモンスターが出てきたか」

「僕はブルーブラッド・ナイトの効果発動。エクシーズ素材を一つ使い、デッキからカードを一枚ドローする」

 

 

 ブルーブラッド・ナイト

 ランク4 ATK2300 DFE1400 光属性 戦士族

 エクシーズ・効果

 「ブルーブラッド」レベル4モンスター×2

 このカード名の効果は一ターンに一度しか使用できない。

 ①:エクシーズ素材を一つ使って発動できる。デッキからカードを一枚ドローする。

 

 

「フン!僕はカードを二枚セットして、ターンエンドだ」

「そんじゃ。俺のターン。ドロー!」

 

 遊錬はドローしたカードを見る。

 

「ちょうどいいドローだ。俺は『創造国兵ライト』を召喚!」

 

 出現したのは、白銀の鎧を身にまとった兵士。

 

 創造国兵ライト ATK1800 ☆4

 

「フン!そんな攻撃力では、僕のモンスターを倒すことはできない!」

「んなこと言って最終的には負けてるくせに。俺はライトの効果発動!召喚に成功した場合、自分フィールドに、「クリエイトトークン」を特殊召喚できる」

 

 クリエイトトークン ATK0 ☆3

 

 遊錬のフィールドに、自転し続ける茶色のキューブが出現する。

 

「相変わらずそのトークンか」

「その通り」

 

 

 創造国兵ライト

 レベル4 ATK1800 DFE1000 光属性 戦士族

 このカード名の効果は一ターンに一度しか使用できない。

 ①:このカードが召喚された場合発動できる。自分フィールド上に「クリエイトトークン」(岩石族・光・星3・攻/守0)1体を特殊召喚する。

 

 

「そして現れろ。未来を生み出すサーキット!」

「リンク召喚か」

「召喚条件は、レベル3の通常モンスター一体!俺はレベル3のクリエイトトークンを、リンクマーカーにセット!リンク召喚!リンク1『創造国装マテリアル・ビーコン』!」

 

 出現したのは、剣に光り続ける直方体がくっついたようなモンスター。

 

 創造国装マテリアル・ビーコン ATK500 LINK1

 

「マテリアル・ビーコンの効果。このモンスターのリンク召喚に成功した場合、デッキから『創造国マテリアル』を手札に加える。そして、俺はフィールド魔法、『創造国マテリアル』を発動!」

 

 周囲の情景が変わっていく。

 ごく普通のデュエルフィールドから、工房が立ち並ぶ景色に変わった。

 

「ぐっ……」

「さらに、俺はマテリアルの発動処理として、クリエイトトークンを特殊召喚」

 

 クリエイトトークン ATK0 ☆3

 

「さらに、俺は手札から『創造国の精製学』を発動。自分フィールドに、チューナー扱いのクリエイトトークンを一体、特殊召喚!」

 

 クリエイトトークン ATK0 ☆3

 

 

 創造国の精製学

 通常魔法

 このカード名の効果は一ターンに一度しか使用できない。

 ①:自分フィールド上に「クリエイトトークン」(岩石族・光・星3・攻/守0)1体を特殊召喚する。この効果で特殊召喚されたモンスターはチューナーとして扱う。

 

 

「チューナー……なるほど、アレを狙っているわけか。僕は罠カード『ブルーブラッド・プレッシャー』を発動!自分フィールドにブルーブラッドモンスターが存在する場合に発動可能。このターン。相手はレベル6以上のモンスターを特殊召喚できない!」

 

 

 ブルーブラッド・プレッシャー

 通常罠

 ①:自分フィールドに「ブルーブラッド」モンスターが存在する場合に発動できる。ターン終了時まで、相手はレベル6以上のモンスターを特殊召喚できない。

 

 

「なるほどなぁ……それじゃあ俺は、マテリアルの第二の効果!一ターンに一度、1から6の任意の数字を宣言して発動。自分フィールドのクリエイトトークンのレベルは、ターン終了時まで宣言した数値のレベルになる。俺は5を宣言し、クリエイトトークンのレベルをすべて5にする」

 

 クリエイトトークン ☆3→5

 クリエイトトークン ☆3→5

 

「な……だが、その二体のモンスターを使っても、シンクロ召喚は行えない!」

「あわてるなって。ちゃんと意味があることやってるからな。俺は手札一枚を捨てることで、マテリアルの第三の効果!一ターンに一度、デッキから『創造国』魔法・罠カードを一枚、手札に加えることができる。俺が手札に加えるのは、『創造国の融合学』!」

「ゆ……融合……」

 

 驚いている様子だ。

 

「俺はこのまま、手札に加えた『創造国の融合学』を発動。フィールドのクリエイトトークン二体で、融合召喚!現れろ!レベル5『創造国装ブレイズ・ブレード』!」

 

 創造国装ブレイズ・ブレード ATK1000 ☆5

 

「ゆ、融合モンスター」

「ブレイズ・ブレードの融合素材は、レベル5以上のクリエイトトークン二体なのさ。ブレイズ・ブレードの効果!一ターンに一度、自分フィールドの創造国兵モンスター一体に装備させることができる!」

 

 創造国兵ライトが持っていた剣を鞘に納めて、炎の太刀を手に取った。

 

「さらに、この効果で装備されたブレイズ・ブレードの効果により、攻撃力が400ポイントアップする!」

 

 創造国兵ライト ATK1800→2200

 

「フン!まだ僕のブルーブラッド・ナイトには及ばない!」

「慌てるなって、創造国装マテリアル・ビーコンの効果発動!攻撃力300アップの装備カード扱いで、創造国兵モンスターに装備できる!」

「何!?」

 

 

 創造国装マテリアル・ビーコン

 リンク1 ATK500 光属性 サイバース族

 レベル3通常モンスター1体

 このカード名の①②の効果はそれぞれ一ターンに一度しか使用できない。

 ①:このカードがリンク召喚に成功した場合に発動できる。デッキから「創造国マテリアル」1枚を手札に加える。

 ②:自分のメインフェイズ時、自分フィールドの「創造国兵」モンスター一体を対象にして発動できる。フィールドのこのモンスターを装備カード扱いとしてそのモンスターに装備する。装備モンスターの攻撃力は300ポイントアップする。

 

 

 創造国兵ライト ATK2200→2500

 

「な……」

「バトルフェイズ!創造国兵ライトで、ブルーブラッド・ナイトを攻撃!」

 

 ライトがビーコンとブレイズ・ブレードを構えて突撃する。

 

「くっ……」

 

 和彦 LP4000→3700

 

「ブレイズ・ブレードの効果により、装備モンスターが相手に戦闘ダメージを与えた時、俺はカードをドローできる」

 

 

 創造国装ブレイズ・ブレード

 レベル5 炎属性 炎族 ATK1000 DFE1000

 融合・効果

 レベル5以上のクリエイトトークン二体

 このカード名の効果は一ターンに一度しか使用できない。

 ①:自分のメインフェイズ時、自分フィールドの「創造国兵」モンスター一体を対象にして発動できる。フィールドのこのモンスターを装備カード扱いとしてそのモンスターに装備する。装備モンスターの攻撃力は400ポイントアップし、装備モンスターが相手に戦闘ダメージを与えた場合、デッキからカードを一枚ドローできる。

 

 

「よし、俺はカードを一枚セットして、ターンエンド」

「まだだ。エンドフェイズ時、罠カード『ブルーブラッドの敗北昇格』を発動!エクシーズ素材を持つ『ブルーブラッド』モンスターが戦闘で破壊されたターン終了時に発動できる。そのモンスターを墓地から特殊召喚し、素材にして、エクストラデッキからランクが一つ高いブルーブラッドモンスターをエクシーズ召喚する!」

 

 

 ブルーブラッドの敗北昇格

 通常罠

 このカード名の効果は一ターンに一度しか使用できない。

 ①:エクシーズ素材を持つ「ブルーブラッド」エクシーズモンスターが戦闘で破壊されたターンのエンドフェイズに発動できる。そのモンスターを自分フィールドに特殊召喚し、そのモンスターを素材にランクが1つ高い「ブルーブラッド」エクシーズモンスターをエクシーズ召喚扱いで特殊召喚する。

 

 

 ブルーブラッド・ナイトが復活し、そのままオーバーレイ。

 

「栄光の血族よ。男爵の力を示し、現れろ!ランクアップ・エクシーズ・チェンジ!ランク5『ブルーブラッド・バロン』!」

 

 ブルーブラッド・バロン ATK2500 ★5

 

「負けても慈悲で参戦してきて、しかも昇格までされてるのか。お前らの制度の甘さが見えるね」

「うるさい!僕のターン。ドロー!」

 

 ドローしたカードを確認する和彦。

 

「僕はバロンの効果を発動!エクシーズ素材一つと手札一枚をコストに、相手モンスター一体を破壊する!」

「コスト重いけどシンプルな効果だな。墓地の『創造国の融合学』の効果により、『創造国装』融合モンスターを装備している『創造国兵』モンスターが破壊される場合、代わりにこのカードを除外できる」

 

 

 創造国の融合学

 通常魔法

 このカード名の②の効果は一ターンに一度しか使用できない。

 ①:自分の手札・フィールドから、「創造国」融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。

 ②:自分フィールドの「創造国装」融合モンスターを装備している「創造国兵」モンスターが破壊される場合、代わりに墓地のこのカードを除外できる。

 

 

「チッ、しぶといな」

「まあ、学問だしな。蓄積ってもんはいつもしぶといもんさ」

「うるさい!僕は手札から魔法カード『ブルーブラッド・サイン』を発動。墓地から『ブルーブラッド』モンスター一体を特殊召喚する。僕は『ブルーブラッド・ナイト』を特殊召喚!」

 

 ブルーブラッド・ナイト ATK2300 ★4

 

「そして、この効果でエクシーズモンスターを特殊召喚した場合、このカードをそのモンスターのエクシーズ素材にすることができる」

 

 

 ブルーブラッド・サイン

 通常魔法

 このカード名の効果は一ターンに一度しか使用できない

 ①:自分の墓地の「ブルーブラッド」モンスターを対象にして発動できる。対象にしたモンスターを特殊召喚する。この効果でエクシーズモンスターを特殊召喚した場合、このカードをそのモンスターのエクシーズ素材にする。

 

 

「そして、ブルーブラッド・ナイトの効果で、エクシーズ素材を一つ使い、一枚ドロー!」

「なんか……こう……普通に強いよな。【ブルーブラッド】って」

「当然だ!さらに手札から魔法カード、『ブルーブラッド・フォース』を発動。ターン終了時まで、自分フィールドのブルーブラッドエクシーズモンスターは全て、そのランク1につき、攻撃力が200ポイントアップする!」

 

 

 ブルーブラッド・フォース

 通常魔法

 このカード名の効果は一ターンに一度しか使用できない。

 ①:このカードの効果処理時に自分フィールドに存在する「ブルーブラッド」エクシーズモンスターは、ターン終了時まで、自身のランク1につき攻撃力が200アップする。

 

 

 ブルーブラッド・バロン ATK2500→3500

 ブルーブラッド・ナイト ATK2300→3100

 

「ほう……」

「こ、攻撃力3000以上のモンスターが二体……」

 

 後ろの方で赤い髪の男子生徒が驚いている。

 

「そして、貴様のフィールドには攻撃力2500のモンスター一体しかいない。この攻撃力なら、終わりだ!バトルフェイズ!ブルーブラッド・ナイトで、創造国兵ライトを攻撃!」

「俺は罠カード『創造国の武装防御学』を、ライトを対象にして発動!創造国兵モンスター一体を対象にして発動できる。このターン、対象に取ったモンスターが戦闘・効果で破壊される場合、代わりに装備している創造国兵カードを墓地に送ることができる」

 

 

 創造国の武装防御学

 通常罠

 ①:自分フィールドの「創造国兵」モンスター1体を対象にして発動できる。ターン終了時まで、対象にしたモンスターが戦闘・効果で破壊される場合、代わりに装備している「創造国装」カードを墓地に送ることができる。

 

 

 遊錬 LP4000→3400

 

「俺はマテリアル・ビーコンを墓地に送ることで、破壊を無効にする!」

「だが、装備カードがなくなった貴様のモンスターの攻撃力は下がる」

 

 創造国兵ライト ATK2500→2200

 

「続けて、ブルーブラッド・バロンでライトを攻撃!」

 

 遊錬 LP3400→2100

 

「破壊される代わりに、ブレイズ・ブレードを墓地に送る」

 

 創造国兵ライト ATK2200→1800

 

「フン!僕はカードを一枚セットして、ターンエンド。このエンドフェイズ。僕はバロンの第二の効果を発動!墓地の『ブルーブラッド』魔法・罠カード一枚をセットできる。僕は『ブルーブラッド・プレッシャー』をセットする」

 

 

 ブルーブラッド・バロン

 ランク5 ATK2500 DFE1200 光属性 戦士族

 エクシーズ・効果

 「ブルーブラッド」レベル5モンスター×2

 このカード名の①②の効果は一ターンに一度しか使用できない。

 ①:エクシーズ素材を一つ使い、手札を一枚捨てて、相手の表側表示モンスター一体を対象にして発動できる。そのモンスターを破壊する。

 ②:自分のターンのエンドフェイズ、自分の墓地から「ブルーブラッド」魔法・罠カードを一枚対象にして発動できる。そのカードを自分フィールドにセットする。

 

 

「そして、『ブルーブラッド・フォース』の効果が終了時、攻撃力は元に戻る」

 

 ブルーブラッド・バロン ATK3500→2500

 ブルーブラッド・ナイト ATK3100→2300

 

「なるほど。俺のターン。ドロー!」

 

 遊錬はドローしたカードを見る。

 

「いいカードだ」

「なら、発動しない理由はない!罠カード『ブルーブラッド・プレッシャー』を発動。これで、レベル6以上は特殊召喚できない!」

「そうかい。なら、俺はエースモンスターを見せてやる」

「何?」

「俺は手札から魔法カード『創造国の階級学』を発動。自分フィールドのレベル6以下の『創造国兵』モンスター一体をリリースし、デッキからレベル7以上の『創造国兵』モンスター一体を手札に加えることができる。俺はレベル4のライトをリリース」

 

 

 創造国の階級学

 通常魔法

 このカード名の効果は一ターンに一度しか使用できない。

 ①:自分フィールドのレベル6以下の「創造国兵」モンスター一体をリリースして発動できる。デッキからレベル7以上の「創造国兵」モンスター一体を手札に加える。

 

 

「デッキからモンスターを手札に加えて……こいつは、『創造国』フィールド魔法が表側表示で存在する場合、リリースなしで召喚できる。現れろ!『創造国兵長シャイン・ライザー』!」

 

 創造国兵長シャイン・ライザー ATK2500 ☆7

 

「シャイン・ライザーの効果はいたってシンプルだ。召喚・特殊召喚に成功した場合、クリエイトトークン二体を特殊召喚する。以上!」

 

 

 創造国兵長シャイン・ライザー

 レベル7 ATK2500 DFE2000 光属性 戦士族

 このカード名の①②の効果は一ターンに一度しか使用できない。

 ①:「創造国」フィールド魔法が表側表示で存在する場合、このカードはリリースなしで召喚できる。

 ②:このカードが召喚・特殊召喚された場合発動できる。自分フィールド上に「クリエイトトークン」(岩石族・光・星3・攻/守0)2体を特殊召喚する。

 

 

 クリエイトトークン ATK0 ☆3

 クリエイトトークン ATK0 ☆3

 

 

「クッソ強いな」

「その通りだ。そして、マテリアルの効果、俺は5を宣言し、クリエイトトークンたちのレベルをすべて5にする」

 

 クリエイトトークン ☆3→5

 クリエイトトークン ☆3→5

 

「また融合する気か!させないぞ!罠カード『ブルーブラッドの警告書』を発動!ブルーブラッドエクシーズモンスター一体を選択し、そのモンスターのランクと同じ数値以上のレベルを持つモンスターを、相手はエクストラデッキから特殊召喚できない!」

 

 

 ブルーブラッドの警告書

 通常罠

 ①:自分フィールドの「ブルーブラッド」モンスター一体を対象にして発動できる。ターン終了時まで、そのモンスターのランクと同じ数値以上のレベルを持つモンスターを、相手はエクストラデッキから特殊召喚できない。

 

 

「僕はブルーブラッド・ナイトを選択する。これで、お前はレベル4以上のモンスターをエクストラデッキから特殊召喚できない」

「相手ターンに封殺してくる罠カードが多いな……」

「どうだ!これで、先ほどのように融合はできない!」

「で、メインデッキからもレベル6以上は出せないから、レベル7とかを出してエクシーズもできないって言いたいわけか」

「そうだ。そして、お前のエクストラデッキのリンクモンスターに、まともな突破力を持つモンスターがいないことは事前にわかっている。どうだ!これで、僕を倒すことはできない!」

 

 自信満々の様子の和彦。

 

「だが、まだ甘い。今必要なものは、今から作る!俺はレベル5のクリエイトトークン二体で、オーバーレイ!」

「なんだと!?」

「二体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築。エクシーズ召喚!ランク5『創造国装プレート・バンカー』!」

 

 創造国装プレート・バンカー ATK1000 ★5

 

「ば……ばかな……トークンを使ってエクシーズ召喚だと!?」

「創造国マテリアルの第四の効果により、一ターンに一度、俺は自分フィールドの「クリエイトトークン」を、ルールを無視して、『創造国装』エクシーズモンスターをエクシーズ召喚する際の素材にできる」

 

 

 創造国マテリアル

 フィールド魔法

 このカード名の①②③④効果は一ターンに一度しか使用できない

 ①:このカードの発動時の処理として、自分フィールド上に「クリエイトトークン」(岩石族・光・星3・攻/守0)1体を特殊召喚する。

 ②:メインフェイズ中、1から6の任意の数値を宣言して発動できる。効果処理時に自分フィールドに存在する「クリエイトトークン」全てのレベルは、宣言した数値と同じになる。

 ③:手札を一枚捨てて発動できる。デッキから「創造国」魔法・罠カード1枚を手札に加える。

 ④:このカードがフィールドゾーンに存在する限り、自分フィールドの「クリエイトトークン」は、「創造国装」モンスターをエクシーズ召喚する際、その素材にすることができる。

 

 

「そ、そんなことが……」

「まだやったことがなかったからな。まあできないって思ってても仕方ねえけど、相手ターン中はロックデッキを名乗るのならもうちょっと穴を埋めておいた方がいいぜ」

「う、うるさい!」

「まあなんでもいいさ。俺はプレート・バンカーの効果を使い、シャイン・ライザーに装備させる。攻撃力は500ポイントアップ!」

 

 創造国兵長シャイン・ライザー ATK2500→3100

 

「さらに、プレート・バンカーの効果発動!相手モンスター一体の攻撃力を、半分にする!」

「何!?」

 

 ブルーブラッド・バロン ATK2500→1250

 

 

 創造国装プレート・バンカー

 ランク5 地属性 岩石族 ATK1000 DFE1000

 エクシーズ・効果

 レベル5モンスター×2

 このカード名の効果は一ターンに一度しか使用できない。

 ①:自分のメインフェイズ時、自分フィールドの「創造国兵」モンスター一体を対象にして発動できる。フィールドのこのモンスターを装備カード扱いとしてそのモンスターに装備する。装備モンスターの攻撃力は600ポイントアップする。

 ②:自身の効果でこのカードが装備カード扱いになっている場合、相手モンスター一体を対象にして発動できる。そのモンスターの攻撃力をターン終了時まで半分にする。

 

 

「だが……まだだ。まだ問題はない!」

「さあ、どうだろうな。俺はマテリアルの第三の効果を使い、手札一枚をコストに『創造国の還元学』をデッキから手札に加えて、発動!」

「こ、今度はなんだ!?」

「自分の墓地の『創造国装』モンスターを任意の数デッキに戻すことで、その枚数と同じ数の『クリエイトトークン』を特殊召喚できる」

 

 

 創造国の還元学

 通常魔法

 このカード名の効果は一ターンに一度しか使用できない。

 ①:自分の墓地の「創造国装」モンスターを任意の数デッキに戻して発動できる。自分フィールドに、戻した枚数と同じ数の「クリエイトトークン」(岩石族・光・星3・攻/守0)を特殊召喚する。

 

 

「俺はマテリアル・ビーコンとブレイブ・ブレードをデッキに戻すことで、クリエイトトークンを二体特殊召喚!」

 

 クリエイトトークン ATK0 ☆3

 クリエイトトークン ATK0 ☆3

 

「そして儀式魔法『創造国の儀式学』を発動!」

「ぎ……儀式!?」

「自分フィールドのクリエイトトークンのみをリリースして、デッキから「創造国装」儀式モンスター一体を、儀式召喚する!俺は、クリエイトトークン二体をリリース!儀式召喚!レベル5『創造国装アクセル・ブルー』!」

 

 創造国装アクセル・ブルー ATK1000 ☆5

 

「ぶっ壊れ認定されたくないなら儀式モンスターを手札から出せや!」

「やかましい!このアクセル・ブルーを、シャイン・ライザーに装備!攻撃力は600ポイントアップし、一度のバトルフェイズ中にモンスターに二回攻撃できる!」

 

 創造国兵長シャイン・ライザー ATK3100→3700

 

 

 創造国装アクセル・ブルー 

 レベル5 水属性 水族 ATK1000 DFE1000

 儀式・効果

 「創造国」儀式魔法により降臨

 このカード名の効果は一ターンに一度しか使用できない。

 ①:自分のメインフェイズ時、自分フィールドの「創造国兵」モンスター一体を対象にして発動できる。フィールドのこのモンスターを装備カード扱いとしてそのモンスターに装備する。装備モンスターの攻撃力は600ポイントアップし、一度のバトルフェイズ中にモンスターに二回攻撃できる。

 

 

「な……」

「バトルフェイズ!シャイン・ライザーで、ブルーブラッド・ナイトを攻撃!」

 

 和彦 LP3700→2300

 

「続けて、シャイン・ライザーで、ブルーブラッド・バロンを攻撃」

「う……うわあああああ!」

 

 

 和彦 LP2400→0

 

 

「よし、俺の勝ちだ。というわけで、交渉前から全部録画してるから、二人の加入は取り消してもらうぜ」

「く、クソッ!覚えてろよ!」

 

 和彦は加入用紙を投げ捨てると、走って去っていった。

 取り巻きも去っていく。

 

「というわけで、加入の話はなしになった。あーいうことする馬鹿はたくさんいるから、気をつけろよ」

 

 遊錬は加入用紙を拾って二人に渡すと、二人に背を向けた。

 

「あ……ありがとうございます!ほら、炎冶君もお礼言うの!」

「あ、ありがとうございます!遊錬先輩!」

 

 遊錬はそれを聞いて、手を振って去っていった。

 

 ★

 

「さてと、もう今日は大丈夫そうだな」

「私もそう思う。あの二人の近くに富貴委員会がいなかっただけで、今はさっきの場所も配備されてる」

「さて、俺はもう帰るよ」

「わかった。それなら。私は帰るとする」

「おう。また明日ー」

「また明日」

 

 遊錬は歩いていく愛瑠に手を振った。

 そして見えなくなると、胸ポケットから数枚のカードを取り出す。

 カードの縁の色を考えると、融合や儀式、シンクロやエクシーズなど、特殊な召喚方法を用いるモンスターたちだ。

 だが、カード名もイラストもテキストも白紙で、何も書かれていない。

 

「さてと、そろそろ、こいつらの謎を解き明かせるやつに出会いたいねぇ」

 

 そんなことをつぶやいた後、遊錬もカードを仕舞って歩き出すのだった。

 



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第二話 後輩からの勧誘

 成績というものは何を持って判断するかが重要である。

 

 ディスカバーにおける『実技』は、『モンスター討伐』と呼ばれるものだ。

 これは、運営が設定したモンスターがあらかじめCPU側のデュエルフィールドに存在する状態で行われるデュエル。

 そして、この『モンスター討伐』においてCPUのデッキは、基本的にこの特殊モンスターを活かすためのサポートカードで構築されている。

 

 この『討伐モンスター』は、実技中だけではなく、学園が指定する特殊エリアにも存在し、まるで『デュエルモンスターズを軸にしたMMPRPG』といっていい状態となっている。

 まあ、そのあたりの話は良いとしよう。

 

 基本的に実技授業では特殊デュエルを行い、そして勝率で判断することが多い。

 ここ以外に重要な点はないのだ。

 

「さてと、ここだな」

 

 遊錬は一人でブースに入っていた。

 ブースの中では、なんだかとても大きいドラゴンが鎮座している。

 

「俺が選んだ面白そうなモンスターはコイツだな。はじめるか!」

 

 遊月がデュエルディスクを構える。

 すると、コンピュータが反応した。

 

『二年一組。創崎遊錬。以上一名で登録します。よろしいですか?』

「もちろん」

『では、デュエル開始』

 

 遊錬 LP4000

 TA LP4000

 

「俺の先攻だな。俺は手札から、『創造国兵ランプ』を召喚!」

 

 創造国兵ランプ ATK1500 ☆4

 

「ランプの効果、一ターンに一度、デッキトップのカードを墓地に送ることで、クリエイトトークンを特殊召喚できる」

 

 クリエイトトークン ATK0 ☆3

 

 

 創造国兵ランプ

 レベル4 ATK1500 DFE800 光属性 戦士族

 このカード名の効果は一ターンに一度しか使用できない。

 ①:自分のデッキの一番上のカードを墓地に送って発動できる。自分フィールド上に「クリエイトトークン」(岩石族・光・星3・攻/守0)1体を特殊召喚する。

 

 

「そして現れろ。未来を生み出すサーキット!召喚条件は、レベル3の通常モンスター一体!俺はレベル3のクリエイトトークンを、リンクマーカーにセット!リンク召喚!リンク1『創造国装マテリアル・ビーコン』!」

 

 創造国装マテリアル・ビーコン ATK500 LINK1

 

「マテリアル・ビーコンの効果。このモンスターのリンク召喚に成功した場合、デッキから『創造国マテリアル』を手札に加える。そして、俺はフィールド魔法、『創造国マテリアル』を発動!」

 

 無機質なブースが鍛冶工房が並ぶ街並みに変わる。

 

「まずは第三の効果で、手札一枚をコストに、デッキから『創造国の精製学』を手札に加える。そして発動。チューナーのクリエイトトークンを特殊召喚」

 

 クリエイトトークン ATK0 ☆3

 

「俺はレベル3のクリエイトトークンに、同じくレベル3のクリエイトトークンをチューニング。シンクロ召喚!レベル6『創造国装ウィンド・ソード』!」

 

 創造国装ウィンド・ソード ATK1000 ☆6

 

「そして俺はこのウィンド・ソードをランプに装備させる。これにより、攻撃力は500上がる。さらにマテリアル・ビーコンを装備して、攻撃力を300アップだ」

 

 創造国兵ランプ ATk1500→2000→2300

 

「そして、カードを一枚セットして、ターンエンド」

『私のターン。モンスター討伐デュエルのため、『トライアルアクター』モンスターをアクティベートします』

 

 コンピュータがそう告げた瞬間、ドラゴンが雄叫びを上げた。

 そして、目を開いて遊錬の方を見る。

 

「モンスター討伐デュエルの場合、CPUの最初のターンに発生する『アクティベートフェイズ』か。さてと、あのドラゴンの基本ステータスは……」

 

 

 TA(トライアルアクター)イクシード・ガード・ドラゴン ATK4000 ☆10

 闇属性 ドラゴン族

 

 

「攻撃力4000……たっかいなぁ」

『そしてドローフェイズ。ドロー』

 

 これで、相手の手札は四枚になる。

 実は、トライアルアクターモンスターはいずれも高ステータスであり、しかもコストも条件も関係なく最初から存在するため、初期手札が三枚と決まっているのだ。

 

『メインフェイズまで移行します。私はイクシード・ガード・ドラゴンの効果発動。相手に800ポイントのダメージを与えます』

「うおっ!」

 

 遊錬 LP4000→3200

 

『手札から魔法カード『TAブースター』を発動。自分フィールドのTAモンスターが相手モンスターを破壊した時、TAモンスターの攻撃力を800ポイントアップさせることができます』

「てことは、戦闘破壊が重要なモンスターか。800を毎ターン削ってくるのに……攻撃的だねぇ」

『バトルフェイズ。イクシード・ガード・ドラゴンで、創造国兵ランプを攻撃』

「ウィンド・ソードを装備しているモンスターが攻撃表示の時、戦闘では破壊されず、俺が受ける戦闘ダメージは半分になる!」

 

 

 創造国装ウィンド・ソード

 レベル6 風属性 雷族 ATK1000 DFE1000

 シンクロ・効果

 チューナー+「クリエイトトークン」

 このカード名の効果は一ターンに一度しか使用できない。

 ①:自分のメインフェイズ時、自分フィールドの「創造国兵」モンスター一体を対象にして発動できる。フィールドのこのモンスターを装備カード扱いとしてそのモンスターに装備する。装備モンスターの攻撃力は500ポイントアップし、装備モンスターが攻撃表示の場合、戦闘で破壊されず、装備モンスターの戦闘によって自分が受けるダメージは半分になる。

 

 

 遊錬 LP3200→2350

 

 

『カードを二枚セット、ターンエンドです』

「いや、罠カード『創造国の暗躍学』を発動。自分フィールドの、装備カード扱いの創造国装カードの枚数分、相手フィールドの魔法、罠カードを破壊できる!二枚の伏せカードには消えてもらう!」

 

 

 創造国の暗躍学

 通常罠

 このカード名の効果は一ターンに一度しか使用できない。

 ①:自分フィールドの装備カード扱いの「創造国装」カードの数まで、相手フィールドの魔法・罠を選んで破壊する。

 

 

 創造国兵ランプ ATK2300→2000→1500

 

「さてと、多分残ったその手札は蘇生カードかな?俺のターン。ドロー!このままメインフェイズまで入る。俺はランプの効果を使い、デッキトップのカードを墓地に送って、クリエイトトークンを特殊召喚!」

 

 クリエイトトークン ATK0 ☆3

 

「さらに、『創造国』フィールド魔法が存在することで、リリースなしで召喚!現れろ。『創造国兵長シャイン・ライザー』!」

 

 創造国兵長シャイン・ライザー ATK2500 ☆7

 

「モンスター効果により、クリエイトトークンを二体特殊召喚!」

 

 クリエイトトークン ATK0 ☆3

 クリエイトトークン ATK0 ☆3

 

『クリエイトトークンの特殊召喚成功後、墓地に存在する罠カード『TAグラビティ』を除外することで、イクシード・ガード・ドラゴンの効果発動。この効果を発動できます』

「うわ。めっちゃ強力な効果だな」

『TAグラビティの効果により、相手の表側表示モンスター一体を破壊します。シャイン・ライザーを破壊』

「普通に強いなクソッタレ!自分フィールドのカードが破壊される場合、墓地の罠カード『創造国の誘惑学』を除外し、さらにクリエイトトークン一体をリリースすることで破壊を免れる!」

 

 なんだかよくわからない重力波のようなものが、クリエイトトークン一体に激突した。

 

「俺は創造国マテリアルの効果発動。クリエイトトークンたちをレベル5に変更する!」

 

 クリエイトトークン ☆3→5

 クリエイトトークン ☆3→5

 

「そして、俺はレベル5のクリエイトトークン二体で、オーバーレイ!二体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築。エクシーズ召喚!ランク5『創造国装プレート・バンカー』!」

 

 創造国装プレート・バンカー ATK1000 ★5

 

「装備はまだだ。俺は手札から『RUM創造国の七星学』を発動!ランク6以下の創造国装エクシーズモンスター一体を素材に、ランク7の創造国装エクシーズモンスターをエクシーズ召喚する。俺は、ランク5のプレート・バンカーで、オーバーレイネットワークを再構築。エクシーズチェンジ!現れろ。ランク7『創造国装クエイク・セイバー』!」

 

 創造国装クエイク・セイバー ATK1000 ★7

 

「クエイク・セイバーの効果により、シャイン・ライザーに装備!攻撃力は800ポイントアップする!」

 

 創造国兵長シャイン・ライザー ATK2500→3300

 

「魔法カード『死者蘇生』を発動し、墓地から『創造国装プレート・バンカー』を特殊召喚!そのままシャイン・ライザーに装備させて、攻撃力が600アップ!」

 

 創造国兵長シャイン・ライザー ATK3300→3900

 

 遊錬の手札は尽きた。

 これで決めないとかなりまずいことになる!

 

「まずはプレート・バンカーの効果発動!相手モンスター一体の攻撃力を半分にする!」

 

 TAイクシード・ガード・ドラゴン ATK4000→2000

 

「よし、通った!バトルフェイズ!シャイン・ライザーで、イクシード・ガード・ドラゴンを攻撃!プレート・バンカーを装備したモンスターが相手モンスターと戦闘を行う場合、ダメージステップ終了時まで、戦闘を行う相手モンスターの効果は無効になる!」

 

 

 創造国装クエイク・セイバー

 ランク7 地属性 岩石族 ATK1000 DFE1000

 エクシーズ・効果

 レベル7モンスター×2

 このカード名の効果は一ターンに一度しか使用できない。

 ①:自分のメインフェイズ時、自分フィールドの「創造国兵」モンスター一体を対象にして発動できる。フィールドのこのモンスターを装備カード扱いとしてそのモンスターに装備する。装備モンスターの攻撃力は800ポイントアップし、装備モンスターが相手モンスターと戦闘を行う場合、ダメージステップ終了時まで戦闘を行う相手モンスターの効果は無効になる。

 

 

『イクシード・ガード・ドラゴンには戦闘で破壊されない効果がありますが、効果が無効にされたことで破壊されます』

「強すぎるわ!」

 

 TA LP4000→2100

 

「そして、創造国兵ランプで、ダイレクトアタック!」

 

 TA LP2100→0

 

『討伐デュエルクリア報酬として、『MDP』を1000ポイント付与します。加えて、『四千の世界』のリワードタイトルを贈呈します』

「おう!毎度あり!」

 

 いい表情でブースを出ていく遊錬。

 このデュエルにより、日本円にして1000円の価値を持つポイントを手に入れて、さらに、一つのリワードタイトルを手に入れた。

 この『四千の世界』というリワードタイトルは、討伐デュエルにおいて、攻撃力4000のモンスターを五百回倒すことが条件となる。

 リワードタイトルを獲得すると、それに応じたリワードポイントを獲得できるのだが、これに関してはまだ機能が未実装のため、集めるのは自己満足だが、遊錬は遊び感覚で集めていた。

 どのみち、実技授業そのものは勝率しか判断していないので、何を選ぶのかは個人の自由である。

 

「さてと、そろそろ教室に戻るか」

 

 実技デュエルが終了した段階で、一度教室に戻ることになっているのだ。

 特に寄り道する理由もなく、まっすぐ教室に戻っていく。

 

 ★

 

「よーし、全員のデータを受け取ったぞ」

 

 長い間使っていることがわかるくたびれたスーツを着た担任教師の中年男性が、タブレットを見ながらそういった。

 

「さてと、おっ、やっぱり崇城(そうじょう)たちは課題モンスターをノーダメージでクリアか。しかも三人で挑んで一人頭2500ポイント。さすがだな」

 

 担任教師の言葉に、教室で一番後ろに座っている金髪をツンツンと立てた生徒がヘラヘラとだらしない顔で反応する。

 

「ま、俺が入ってるギルド、『竜の先鋭隊(ドラゴニック・リーダーズ)』は、前期から『議席ギルド』の一角を担ってますからね。これくらいは当然ですよ」

「生意気だが、その意気だぞ。この学校で六つしかない『議席ギルド』の一角を担うってことは、この学校の看板を背負っていることと同じだからな」

 

 議席ギルド。

 ギルドの中でも五つしか存在しないカテゴリであり、期末に行われる学園主催のデュエルイベントでのみ奪うことが可能な称号だ。

 

 この議席ギルドにしか使用できない施設は数多く存在する。

 ディスカバーが提携している小さなホテルを丸ごと使用できると聞いたことがある。

 

「このクラスには議席ギルドに所属しているものが二人いる。みんな、この二人を見習うように」

 

 そういうと、クラスメイトの視線は、もう一人の議席ギルド所属者である和彦に向かう。

 だが、和彦はそれに対して何も言わず、一番窓際に座っていることを活かして外の方をプイッとみた。

 どうやら、教師の言葉に対して何かを返答するつもりはないらしい。

 

「さて、それに比べて……」

 

 担任教師の目線は遊錬に移った。

 

「創崎。お前、真面目にやったのか?クラスの中でもDMP獲得量がダントツで最下位だぞ」

 

 かなり踏み込んだ言い方である。

 しかも、クラスメイトの前で。

 

「ん?ああ……まあ、真面目にリワードポイントを集めてました」

「リワード?それって、何の機能も実装されてないシステムじゃないか」

 

 そういってくる担任教師。

 これに対して、崇城が反応した。

 

「おいおい、なんでそんなもん集めてんだよ。しっかりMDPを集めた方がいいに決まってんだろ。この学校内なら、どこでも使える金なんだぜ。カードを買ってデッキを強化して、強くなるチャンスなんだぞ」

「崇城の言う通りだ。しかも創崎、お前はギルドにも入っていないじゃないか。課題モンスターは、複数人でチームを組んで挑むことが前提になっている強いモンスターだ。だがその分、DMPも多い」

 

 担任教師は一度そこで言葉を切って、続ける。

 

「協調性を大事にするんだ。DMPシステムが取り入れられてから、ディスカバーの毎年、優秀なデュエリストを輩出している。実績が証明した優れたシステムなんだ」

 

 だから、と言葉を強くする担任教師。

 

「創崎、みんなと一緒に、より多くのDMPを手に入れるようにしなさい」

 

 ★

 

「思うんだけどさ。愛瑠もギルドに所属してないよな。クラスメイトなのになんで俺ばっかり言われるわけ?」

「さあ?」

 

 校舎の屋上。

 ガーデニングが施されている割に使用率がほぼない場所である。

 まあ、もとよりディスカバーの敷地は広く、さらに屋上は討伐モンスターが出現しないので、DMPを稼ぐのに効率的な討伐モンスターを外部に探しに行く者が多い。

 そのため過疎地帯となっている。

 

 そんな屋上で、遊錬は愛瑠に膝枕をしてもらって愚痴を言っていた。

 愛瑠は膝に頭をのせている遊錬に目を向けずに本を読みながら答えている。

 なお、愛瑠は胸が大きいので、膝枕している遊錬の視点では、愛瑠の顔よりも胸の方が存在感が強いのだ。

 

「まあ、銀丈家は二年前から資金面で大手のスポンサーになったから、そこのお嬢様である愛瑠に対してぐちぐち言うことは単なる教師にはできねえだろうけど、それにしたって俺に言いすぎだって……」

「ただ事実を言うと、先生が言っていることは間違っていない」

「まあそうなんだけどさ。自主性ってもんを尊重してほしいよな。議席ギルドの序列一位のリーダーって、籍を置いてるだけでギルドとしての行動なんて全くしてない話ばかり聞くんだけど」

「そういう人もいる」

「だったら自主性を認めてくださいって……」

 

 先ほどから愚痴ばかり言っている遊錬。

 正直、膝枕をしてもらっているリア充の分際で何を言っているのだろうか。

 

 

 ……十数分後。

 

「zzz……」

 

 遊錬はすっかりご就寝である。

 愛瑠はそんな遊錬を見て、左手で頭をなで始めようとした。

 ……したのだが。

 

「あ!遊錬先輩!?」

 

 昨日聞いたような声が聞こえてきたので、左手は空中で止まった。

 愛瑠が目を向けると、そこには赤い髪の少年と青い髪の少女がいた。

 昨日。遊錬が助けた二人組である。

 

「どうしたの?」

「え、えっと……あの……」

 

 少年の方が膝枕で寝ている遊錬を見て動揺している。

 

「不思議がることはない。いつもこのような状態だから」

「あ、そうなんですね」

「だから、用件は何?」

「あ、あの……俺たちのチームに、入ってほしいんです!」

 

 赤い髪の少年がそういった。

 

 ちなみに、この時点で愛瑠はこの赤い髪の少年の目的と動機を理解していたのだが、この段階では追求しない。

 

「ふむ……まずは自己紹介。私は銀丈愛瑠。君たちは?」

「あ、俺は、神楽炎冶(かぐらえんじ)です」

「私は早乙女水樹(さおとめみずき)といいます」

「わかった。それで、チームに入ってほしいということだけど……」

「はい。俺と水樹が作ろうと思ってるチームに、入ってほしいんです」

「ふむ……遊錬が目的と思っていたけど、私も含めるということは、ギルドとして完全な状態で出場したい。ということでいい?」

「はい」

 

 ディスカバーには様々なイベントが随時行われている。

 ギルドの最低人数は二人だが、実はすべてのイベントに参加しようとすると四人必要になるのだ。

 

 大規模なイベントの場合、人数の多い大手ギルドは、自前のメンバーの中で四人チームを大量に作成し、そしてランキングを独占する。という状態が続いている。

 

「ふむ……」

 

 愛瑠は炎冶と水樹を見る。

 そして、視線を下に向けて遊錬を見る。

 

「一つ、条件がある」

「え?」

「私とデュエルをする」

「愛瑠先輩と……」

「そう。私とのデュエルの内容で判断する。それでいい?」

「は、はい!望むところです!」

「それと……二人纏めてかかってくるといい」

「わ、私もですか?」

 

 いざとなれば自分もデュエルするとは思っていただろうが、急に話を振られて困惑する水樹。

 

「そう。私は一人でいい。二人纏めてかかってくるといい」

「む……遠慮はしませんよ」

「構わない」

 

 というわけで、愛瑠は遊錬を起こさないようにベンチに頭を下すと、立ち上がって屋上の中央に移動する。

 

「それじゃあ。はじめましょう」

「はい!」

「うん!」

「「「デュエル!」」」

 

 愛瑠    LP4000

 炎冶&水樹 LP4000

 

「俺の先攻!」

 

 炎治のターンからだ。

 

「俺は手札から、『装炎竜バーン』を召喚!」

 

 装炎竜バーン ATK1600 ☆4

 

「バーンの効果発動!一ターンに一度、このカードを魔法・罠の中央に、永続魔法扱いでおくことができる!」

 

 炎治が宣言すると、バーンが炎になって、炎冶にまとわりつくように燃え上がり始めた。

 

「装炎竜って、そういう……」

「そうです!俺は、永続魔法扱いのバーンの効果発動!デッキからレベル4以下の『装炎竜』モンスター一体を特殊召喚できる!俺は『装炎竜ゲート』を特殊召喚!」

 

 

 装炎竜バーン

 レベル4 ATK1600 DFE1000 炎属性 ドラゴン族

 このカード名の①②効果はそれぞれ一ターンに一度しか使用できない。

 ①:自分ターンのメインフェイズ時に発動できる。自分フィールドのこのカードをターン終了時まで永続魔法扱いとして魔法・罠ゾーンの中央に置く。

 ②:このカードが永続魔法扱いで魔法・罠ゾーンに置かれている場合発動できる。デッキからレベル4以下の「装炎竜」モンスター1体を特殊召喚する。

 

 

 装炎竜ゲート ATK1200 ☆4

 

「さらに、手札から魔法カード『装炎の心得』を発動!自分フィールドの装炎竜モンスターであるゲートを対象にとって、永続魔法扱いでおかれている装炎竜モンスターを特殊召喚して、対象に取ったカードをターン終了時まで永続魔法扱いでおくことができる!」

「ふむ……なるほど、装炎竜はターン終了時まで自分の力でとどまるけど、逆に、自分からフィールドに出てきて開けることはできないと」

「そうなりますけど、逆に、サポートカードで連打できるんですよ。俺は装炎竜バーンを特殊召喚して、バーンを永続魔法扱いでおきます」

 

 

 装炎の心得

 通常魔法

 ①:自分フィールドの「装炎竜」モンスター1体を対象にして発動できる。永続魔法扱いで魔法・罠ゾーンの中央に存在する「装炎竜」モンスターを特殊召喚した後、対象にしたモンスターをターン終了時まで、永続魔法扱いとして魔法・罠ゾーンの中央に置く。

 

 

 装炎竜バーン ATK1600 ☆4

 

「そして、装炎竜ゲートの効果!一ターンに一度、デッキから『融合』魔法カード……『装炎竜融合』を手札に加える!」

「専用の融合サーチ……」

 

 

 装炎竜ゲート

 レベル4 ATK1200 DFE1700 炎属性 ドラゴン族

 このカード名の①②効果はそれぞれ一ターンに一度しか使用できない。

 ①:自分ターンのメインフェイズ時に発動できる。自分フィールドのこのカードをターン終了時まで永続魔法扱いとして魔法・罠ゾーンの中央に置く。

 ②:このカードが永続魔法扱いで魔法・罠ゾーンに置かれている場合発動できる。デッキから「融合」魔法カード一枚を手札に加える。

 

 

「俺は手札から、『装炎竜融合』を発動!手札とフィールド、または永続魔法扱いで魔法・罠ゾーンに置かれている「装炎竜」モンスターの中から、『装炎竜』融合モンスターに指定された素材を墓地に送ることで、融合召喚を行う!」

「なるほど、そっちからも選べるわけか」

 

 

 装炎竜融合

 通常魔法

 ①:自分の手札・フィールドから、「装炎竜」融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。自分の魔法&罠ゾーンの中央に、「装炎竜」モンスターが永続魔法カード扱いで存在する場合、そのモンスターカードを墓地に送り融合素材とする事もできる。

 

 

「俺は装炎竜バーンと、永続魔法扱いの装炎竜ゲートを、融合!」

 

 バーンと、炎冶にまとわりついていた装炎竜ゲートが渦の中で合わさっていく。

 

「炎の竜よ。今その力を合わせて、さらなる炎をわが手に!融合召喚!レベル7『装炎竜インフェルノ・レイジ』!」

 

 装炎竜インフェルノ・レイジ ATK2500 ☆7

 

「そしてインフェルノ・レイジの効果発動。このカードを魔法・罠ゾーンに置くぜ!」

 

 インフェルノ・レイジが炎となって、炎冶がまとった。

 

「そしてインフェルノ・レイジの効果発動!相手に1000ポイントのダメージを与える!」

「む、純粋に強力」

 

 愛瑠 LP4000→3000

 

 

 装炎竜インフェルノ・レイジ

 レベル7 ATK2500 DFE2000 炎属性 ドラゴン族

 融合・効果

 「装炎竜」モンスター2体

 このカード名の①②の効果はそれぞれ一ターンに一度しか使用できない。

 ①:自分ターンのメインフェイズ時に発動できる。自分フィールドのこのカードをターン終了時まで永続魔法扱いとして魔法・罠ゾーンの中央に置く。

 ②:このカードが永続魔法扱いで魔法・罠ゾーンに置かれている場合発動できる。相手に1000ポイントのダメージを与える。

 

 

「俺はカードを一枚セットして、ターンエンド。この瞬間、俺が装備してるインフェルノ・レイジはフィールドに特殊召喚される」

 

 装炎竜インフェルノ・レイジ ATK2500 ☆7

 

「わかった。私のターン。ドロー」

 

 愛瑠はカードを引いて頷く。

 

「私は手札から、『闇銀貨マウス』を召喚」

 

 闇銀貨マウス ATK0 ☆4

 

 出現したのは、黒いネズミが描かれている銀貨だ。

 

「そして現れろ。私が得するサーキット」

 

 すぐにサーキットが出現。

 

「召喚条件は、闇銀貨モンスター一体。私は闇銀貨マウス一体をリンクマーカーにセット、リンク召喚。リンク1『闇銀貨の契約者スプリング』」

 

 闇銀貨の契約者スプリング ATK1000 LINK1

 

「そして、闇銀貨マウスはペンデュラムモンスター。リンク素材になったことでエクストラデッキに送られる。そして、エクストラデッキの闇銀貨マウスの効果発動。このカードがエクストラデッキに表側で存在しているとき、名称ターン一回で、闇銀貨リンクモンスターのリンク先に特殊召喚できる」

 

 闇銀貨マウス ATK0 ☆4

 

「そ……そんな簡単に……」

「でも、当然制限もある」

「え?」

「私が使っている闇銀貨モンスターは全て、エクストラデッキからしか特殊召喚できない」

 

 

 闇銀貨マウス

 レベル4 ATK0 DFE0 闇属性 悪魔族

 【Pスケール:青1/赤1】

 ①:自分は「闇銀貨」モンスターしかP召喚できない。この効果は無効化されない。

 ペンデュラム・効果

 このカード名の②の効果は一ターンに一度しか使用できない。

 ①:このカードはエクストラデッキからのみ特殊召喚できる。

 ②:このカードがエクストラデッキに表側表示で存在する場合、自分フィールドの「闇銀貨の契約者」リンクモンスターのリンク先に特殊召喚できる。

 

 

「んな……」

「そしてスプリングの効果発動。このカードのリンク先に闇銀貨モンスターが特殊召喚された場合、デッキから闇銀貨ペンデュラムモンスター一体を、エクストラデッキに表側表示で加える。私は『闇銀貨カウ』をエクストラデッキに加える」

 

 

 闇銀貨の契約者スプリング

 リンク1 ATK1000 闇属性 悪魔族

 リンクマーカー 下

 リンク・効果

 「闇銀貨」モンスター1体

 このカード名の②の効果は一ターンに一度しか使用できない。

 ①:このカードはエクストラデッキからのみ特殊召喚できる。

 ②:このカードのリンク先に「闇銀貨」モンスターが特殊召喚された場合発動できる。デッキから「闇銀貨」ペンデュラムモンスター一体を、エクストラデッキに表側表示で加える。

 ③:お互いのターン終了時にこのカードが墓地にある場合発動する。このカードをデッキに戻す。

 

 

 一枚のカードをエクストラデッキに加えた。

 

「そして現れろ。私が得するサーキット。召喚条件は、闇銀貨の契約者を含む、闇銀貨モンスター二体。私はスプリングとマウスを、リンクマーカーにセット、リンク召喚。リンク2『闇銀貨の契約者サマー』」

 

 闇銀貨の契約者サマー ATK1800 LINK2

 

「エクストラデッキのカウの効果。サマーのリンク先に特殊召喚」

 

 

 闇銀貨カウ

 レベル4 ATK0 DFE0 闇属性 悪魔族

 【Pスケール:青9/赤0】

 ①:自分は「闇銀貨」モンスターしかP召喚できない。この効果は無効化されない。

 ペンデュラム・効果

 このカード名の②の効果は一ターンに一度しか使用できない。

 ①:このカードはエクストラデッキからのみ特殊召喚できる。

 ②:このカードがエクストラデッキに表側表示で存在する場合、自分フィールドの「闇銀貨の契約者」リンクモンスターのリンク先に特殊召喚できる。

 

 

 闇銀貨カウ ATK0 ☆4

 

「この瞬間、サマーの効果発動。リンク先にモンスターが特殊召喚された場合、手札の闇銀貨ペンデュラムモンスター一体をエクストラデッキに加えることで、一枚ドローする。私は『闇銀貨タイガー』をエクストラデッキに加えて、一枚ドロー。そしてタイガーの効果、サマーのリンク先に特殊召喚」

 

 

 闇銀貨の契約者サマー

 リンク2 ATK1800 闇属性 悪魔族

 リンクマーカー 右下 左下

 リンク・効果

 「闇銀貨の契約者」モンスター1体以上を含む「闇銀貨」モンスター2体

 このカード名の②の効果は一ターンに一度しか使用できない。

 ①:このカードはエクストラデッキからのみ特殊召喚できる。

 ②:このカードのリンク先に「闇銀貨」モンスターが特殊召喚された場合発動できる。手札の「闇銀貨」ペンデュラムモンスター1枚をエクストラデッキに表側表示で加えて、カードを一枚ドローする。

 ③:お互いのターン終了時にこのカードが墓地にある場合発動する。このカードをデッキに戻す。

 

 

 闇銀貨タイガー

 レベル4 ATK0 DFE0 闇属性 悪魔族

 【Pスケール:青9/赤9】

 ①:自分は「闇銀貨」モンスターしかP召喚できない。この効果は無効化されない。

 ペンデュラム・効果

 このカード名の②の効果は一ターンに一度しか使用できない。

 ①:このカードはエクストラデッキからのみ特殊召喚できる。

 ②:このカードがエクストラデッキに表側表示で存在する場合、自分フィールドの「闇銀貨の契約者」リンクモンスターのリンク先に特殊召喚できる。

 

 

 

 闇銀貨タイガー ATK0 ☆4

 

「そして現れろ。私が得するサーキット。召喚条件は、闇銀貨の契約者を含む、闇銀貨モンスター三体、私はサマー。カウ、タイガーの三体を、リンクマーカーにセット、リンク召喚。リンク3『闇銀貨の契約者フォール』」

 

 闇銀貨の契約者フォール ATK2300 LINK3

 

「そして私は、手札からスケール1の『闇銀貨マウス』と、スケール9の『闇銀貨カウ』で、ペンデュラムスケールをセッティング。それぞれのペンデュラム効果で、私は闇銀貨モンスターしかペンデュラム召喚できないけど、関係ない。ペンデュラム召喚。エクストラデッキから出てきて、マウス、カウ、タイガー」

 

 闇銀貨マウス  ATK0 ☆4

 闇銀貨カウ   ATK0 ☆4

 闇銀貨タイガー ATK0 ☆4

 

「そして、私はレベル4のマウス、カウ、タイガーでオーバーレイ。エクシーズ召喚。ランク4『闇銀貨の契約者セイリュウ』」

 

 闇銀貨の契約者セイリュウ ATK2300 ★4

 

「セイリュウには、特殊召喚成功時、エクストラデッキの表側の闇銀貨ペンデュラムモンスター一体をエクシーズ素材にする効果があるけど、今回は置いておく。私はセイリュウの効果発動。エクシーズ素材のペンデュラムモンスターを一体エクストラデッキに表側表示で加えることで、カードを二枚ドローする」

 

 

 闇銀貨の契約者セイリュウ

 ランク4 ATK2300 DFE1200 闇属性 悪魔族

 エクシーズ・効果

 レベル4「闇銀貨」モンスター×2

 このカード名の②の効果は1ターンに1度しか使用できない。

 ①:このカードはエクストラデッキからのみ特殊召喚できる。

 ②:このカードのエクシーズ素材のペンデュラムモンスターをエクストラデッキに表側表示でおいて発動できる。デッキからカードを二枚ドローする。

 ③:お互いのターン終了時にこのカードが墓地にある場合発動する。このカードをデッキに戻す。

 

 

「ここで手札増強……でも、その二体のモンスターよりも、俺のインフェルノ・レイジの方が、攻撃力は上だ!」

「わかっている。私はフォールの効果発動。このカードのリンク先の闇銀貨の契約者一体につき、相手モンスター一体を選択し、ターン終了時まで攻撃力を半分にできる」

 

 

 闇銀貨の契約者フォール

 リンク3 ATK2300 闇属性 悪魔族

 リンクマーカー 右下 下 左下

 リンク・効果

 「闇銀貨の契約者」モンスター1体以上を含む「闇銀貨」モンスター3体

 このカード名の②の効果は一ターンに一度しか使用できない。

 ①:このカードはエクストラデッキからのみ特殊召喚できる。

 ②:自分メインフェイズに発動できる。このカードのリンク先の「闇銀貨の契約者」モンスターの数まで、相手モンスターを選び、ターン終了時まで相手モンスターの攻撃力を半分にする。

 ③:お互いのターン終了時にこのカードが墓地にある場合発動する。このカードをデッキに戻す。

 

 

「え?」

「私はインフェルノ・レイジの攻撃力を半分にする」

 

 装炎竜インフェルノ・レイジ ATK2500→1250

 

「バトルフェイズ。闇銀貨の契約者フォールで、インフェルノ・レイジを攻撃」

「罠カード『バーン・ガード』を発動。自分フィールドの炎属性モンスターであるインフェルノ・レイジを対象に取って、このターン、戦闘、効果では破壊されなくなる!」

 

 

 バーン・ガード

 通常罠

 ①:自分フィールドの炎属性モンスター1体を対象に発動できる。そのモンスターはターン終了時まで、戦闘・効果では破壊されない。

 

 

「構わない。フォールとセイリュウで攻撃」

「ぐっ……」

 

 炎冶&水樹 LP4000→2950→1900

 

「私はカードを一枚セット、ターンエンド。この瞬間、墓地に存在する闇銀貨の契約者たちは、共通の強制効果により、エクストラデッキに戻る。そして、インフェルノ・レイジの攻撃力も元に戻る」

 

 装炎竜インフェルノ・レイジ ATK1250→2500

 

「私のターン。ドロー!」

 

 次は水樹のターンだ。

 

「私は『リキッドウィザード・リング』を召喚!」

 

 リキッドウィザード・リング ATK1400 ☆4

 

「リンクの効果発動。召喚・特殊召喚に成功した時、デッキから『純水なる秘術』を手札に加えることができます」

「?」

 

 

 リキッドウィザード・リング

 レベル4 ATK1400 DFE1000 水属性 魔法使い族

 このカード名の効果は一ターンに一度しか使用できない。

 ①:このモンスターが召喚、特殊召喚に成功した場合発動できる。デッキから「純水なる秘術」1枚を手札に加える。

 

 

「そして、私は手札に加えた『純水なる秘術』を発動します。その効果で、デッキからカードを一枚ドロー」

 

 

 純水なる秘術

 通常魔法

 ①:自分はデッキからカードを1枚ドローする。

 

 

「ふむ。単なる手札交換?」

「これは単なる途中経過です。私は手札の『リキッドウィザード・ネックレス』の効果を発動。『純水なる秘術』を発動したターンのメインフェイズ。このカードを手札から特殊召喚することができます。そして特殊召喚に成功した場合、デッキから『リキッドウィザード』儀式モンスターを手札に加えることができます」

 

 リキッドウィザード・ネックレス ATK1000 ☆4

 

 

 リキッドウィザード・ネックレス

 レベル4 ATK1000 DFE1500 水属性 魔法使い族

 このカード名の①②の効果は一ターン一度しか使用できない。

 ①:「純水なる秘術」を発動したターンのメインフェイズ中。このカードを手札から特殊召喚することができる。

 ②:このモンスターの召喚・特殊召喚に成功した場合発動できる。デッキから「リキッドウィザード」儀式モンスターを1枚手札に加える。

 

 

「ふむ」

「私は『リキッドウィザード・ハイドロッド』を手札に加えます。そして魔法カード『リキッドウィザード・リチューアル』を発動。リキッドウィザード儀式モンスターのレベル以上になるように、手札、フィールドのモンスターをリリースして、手札から『リキッドウィザード』儀式モンスターを儀式召喚します」

 

 フィールドに存在するリングとネックレスが光に包まれて、儀式台に向かう。

 

「私はレベル4のリングとネックレスをリリース!透明な心は、清く、激しく流れ出す。儀式召喚!レベル7『リキッドウィザード・ハイドロッド』!」

 

 リキッドウィザード・ハイドロッド ATK2500 ☆7

 

「よし!水樹のエースモンスターだ!」

「ハイドロッドの効果を発動。デッキから『純水なる秘術』1枚を手札に加えます」

「ふむ……ドローカードをサーチしてアドバンテージを稼ぐデッキ?」

「いえ、そうではありません。私は『純水なる秘術』を発動します」

「ふむ、一枚ドロー……」

「違います」

「?」

 

 愛瑠は首を傾げた。

 

「ハイドロッドはフィールドに表側表示で存在する場合、『純水なる秘術』の効果を変更する効果を持っています!」

 

 

 リキッドウィザード・ハイドロッド

 レベル7 ATK2500 DFE2000 水属性 魔法使い族

 儀式・効果

 「リキッドウィザード」儀式魔法により降臨

 このカード名の①②の効果は1ターンに1度しか使用できない。

 ①:自分メインフェイズに発動できる。デッキから「純水なる秘術」1枚を手札に加える。

 ②:このモンスターが表側表示で存在する限り、自分が発動する「純水なる秘術」の効果は、「相手モンスター1体を選んで、ターン終了時まで攻撃力を0にする」として適用できる。

 

 

「!」

「ハイドロッドの力を得た『純水なる秘術』の効果!相手モンスター一体の攻撃力を、0にします!」

 

 闇銀貨の契約者フォール ATK2300→0

 

「なるほど、キーカードである『純水なる秘術』を軸にして展開し、そして儀式モンスターの効果で一気に攻めるデッキ」

「その通りです!バトルフェイズ。リキッドウィザード・ハイドロッドで、闇銀貨の契約者フォールを攻撃!」

 

 ハイドロッドが杖を構えて、大量の水をフォールにめがけて放つ。

 

「残念。永続罠『闇銀貨市場』を発動。コストとして、『闇銀貨の契約者』モンスターであるフォールをリリース」

 

 フォールが愛瑠のフィールドから消滅する。

 

「え……」

「そして、発動時の処理として闇銀貨カウンターを一つ置く」

 

 闇銀貨市場 闇銀貨カウンター0→1

 

「か、かわされたけど、私のターンは終わっていません!メインフェイズに、インフェルノ・レイジの効果で、魔法・罠ゾーンの中央に置きます!」

 

 インフェルノ・レイジが炎になって、愛瑠が纏った。

 

「そしてインフェルノ・レイジの効果発動。愛瑠先輩に、1000ポイントのダメージを与えます!」

「ふむ……」

 

 愛瑠 LP3000→2000

 

「私はカードを一枚セットして、ターンエンドです。インフェルノ・レイジの効果で、特殊召喚されます」

 

 装炎竜インフェルノ・レイジ ATK2500 ☆7

 

「ターン終了時、墓地の闇銀貨の契約者フォールはデッキに戻る」

 

 墓地のフォールがデッキに戻った。

 

「そして私のターン。ドロー。まずはセイリュウの効果発動。エクシーズ素材のペンデュラムモンスターをエクストラデッキに表側で加えて二枚ドロー。続けて、私は手札から、『闇銀貨ラビット』を通常召喚」

 

 闇銀貨ラビット ATK0 ☆4

 

「そして現れろ。私が得するサーキット」

 

 すぐにサーキットが出現。

 

「召喚条件は、闇銀貨モンスター一体。私は闇銀貨ラビット一体をリンクマーカーにセット、リンク召喚。リンク1『闇銀貨の契約者スプリング』」

 

 闇銀貨の契約者スプリング ATK1000 LINK1

 

「闇銀貨の契約者モンスターの特殊召喚に成功したことで、闇銀貨市場の効果発動。そのモンスターの効果をターン終了時まで無効にすることで、カウンターを一つ貯めることができる。この効果の対象にしたモンスターと同名のカードの効果はこのターン発動できず、同じ名前のモンスターを二回以上対象に取ることはできない」

 

 闇銀貨市場 闇銀貨カウンター1→2

 

「そして、エクストラデッキのマウスをスプリングのリンク先に特殊召喚」

 

 闇銀貨マウス ATK0 ☆4

 

「そして現れろ。私が得するサーキット。召喚条件は、闇銀貨の契約者を含む、闇銀貨モンスター二体。私はスプリングとマウスを、リンクマーカーにセット、リンク召喚。リンク2『闇銀貨の契約者サマー』」

 

 闇銀貨の契約者サマー ATK1800 LINK2

 

「私はサマーの効果を無効にすることで、闇銀貨カウンターを貯める」

 

 闇銀貨市場 闇銀貨カウンター2→3

 

「エクストラデッキのカウとタイガーの効果。サマーのリンク先に特殊召喚」

 

 闇銀貨カウ   ATK0 ☆4

 闇銀貨タイガー ATK0 ☆4

 

「そして現れろ。私が得するサーキット。召喚条件は、闇銀貨の契約者を含む、闇銀貨モンスター三体、私はサマー。カウ、タイガーの三体を、リンクマーカーにセット、リンク召喚。リンク3『闇銀貨の契約者フォール』」

 

 闇銀貨の契約者フォール ATK2300 LINK3

 

「効果を無効にしてカウンターを貯める」

 

 闇銀貨市場 闇銀貨カウンター3→4

 

「そしてペンデュラム召喚、エクストラデッキから出ておいで、マウス、カウ、ラビット」

 

 闇銀貨マウス  ATK0 ☆4

 闇銀貨カウ   ATK0 ☆4

 闇銀貨ラビット ATK0 ☆4

 

「次は一体何が……」

「現れろ。私が得するサーキット」

 

 再度開いた。

 

「召喚条件は、闇銀貨の契約者を含む、闇銀貨モンスター四体。私はフォール。マウス、カウ、ラビットの四体を、リンクマーカーにセット」

「よ……四体!?」

「リンク召喚。リンク4『闇銀貨の契約者ウィンター』」

 

 闇銀貨の契約者ウィンター ATK2500 LINK4

 

「リンク4……」

「ウィンターに対しては闇銀貨市場の効果は使わない。そして、ウィンターの効果発動。デッキから二枚目の『闇銀貨市場』を手札に加える。まああまり意味はないけど」

 

 デッキから手札に加えてそのまま続ける愛瑠。

 

「そして、私は闇銀貨カウンターを四つ取り除いて、闇銀貨市場の効果を発動」

 

 闇銀貨市場 闇銀貨カウンター4→0

 

「闇銀貨市場は一ターンに一度、二の倍数のカウンターを取り除くことで発動する五段階の効果がある。四つ取り除いた場合。このターン特殊召喚された闇銀貨の契約者モンスターは全て、ターン終了時まで攻撃力が倍になる」

「倍!?」

 

 闇銀貨の契約者ウィンター ATK2500→5000

 

「バトルフェイズ。闇銀貨の契約者ウィンターで、リキッドウィザード・ハイドロッドを攻撃」

「手札一枚をコストに、罠カード『リキッドウィザード・レイン』を発動!自分フィールドに『リキッドウィザード』儀式モンスターが存在する場合に発動できます!デッキから『純水なる秘術』を発動することができます!」

 

 

 リキッドウィザード・レイン

 通常罠

 このカード名の効果は一ターンに一度しか使用できない。

 ①:自分フィールドに「リキッドウィザード」儀式モンスターが存在する場合に発動できる。デッキから「純水なる秘術」を発動する。

 

 

「想定済み。速攻魔法『闇銀貨の取引』を発動。コストとして、エクストラデッキの表側の闇銀貨ペンデュラムモンスター三体……マウス、カウ、ラビットをデッキに戻すことで、このターン。闇銀貨の契約者モンスターは、相手の効果を受けなくなる」

 

 

 闇銀貨の取引

 速攻魔法

 ①:エクストラデッキに表側表示で存在する「闇銀貨」Pモンスター三枚をデッキに戻して発動できる。ターン終了時まで、「闇銀貨の契約者」モンスターは、相手の効果を受けない。

 

 

「そんな……」

「本来の効果である一枚ドローをするといい。手札誘発を引ける可能性はある」

「!……ドロー!……残念でした」

「そう、なら、私の勝ち」

 

 炎冶&水樹 LP1900→0

 

「く、くっそ……俺たちの負けか……」

「ふむ……」

 

 目を閉じて、腕を組んで考える愛瑠。

 

「遊錬。どうする?」

「いやあの、俺さ。デュエル開始から起きてたけど、デュエルが始まる前のやり取り知らないんだけど」

 

 愛瑠がベンチの方を見ると、遊錬は普通に起きていた。

 

「え!?ゆ、遊錬先輩。起きてたんですか!?」

「ああ。デュエルは全部見たぞ。で、どういう状況なんだ?これ」

「この二人、神楽炎冶と早乙女水樹がチームを作りたいといって、私たち二人を誘っている」

「なーるほどねぇ……」

 

 遊錬は二人を見る。

 そして、フッと笑った。

 

「……まあ、さっきのデュエルの内容を考えれば、俺としても問題ねえよ」

「ほ、本当ですか!」

「ああ」

「で、でも、まだまだ私たち、先輩たちのようには戦えないですよ?」

「んなもん、土台さえしっかり学べばいくらでも大丈夫だって。まあ、ほとんど、デッキだけ見てたけどな」

「「?」」

「それで、チームを作るとして、チーム名は決めてるの?」

「あ、はい」

「私たちは、『ガーベラ・レコード』にしようと思っています」

 

 ガーベラ・レコード。

 と頭の中で反芻する遊錬。

 

「ガーベラってなんだ?」

「花の名前です。そして、色によって花言葉がいろいろありますけど、全体的な意味として、『常に前進』っていう意味があるんですよ」

「なるほど。そりゃいいセンスしてるねぇ」

「私もそれで構わない」

「なら、ガーベラ・レコード結成だな!」

「はい。あと、遊錬先輩。ギルドマスターをやってくれませんか?」

「俺が?」

「はい」

「……」

 

 遊錬は愛瑠を見る。

 愛瑠は両腕で×を作った。

 

「私はやらない」

「わかったよ。それじゃあ、俺がギルドマスターだな。まっ、気楽にいこうぜ」

 

 というわけで、遊錬、愛瑠、炎冶、水樹の四人で、新ギルド、『ガーベラ・レコード』が結成することになった。

 



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