一夏ちゃんは戦わない (銭湯妖精 島風)
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プロローグ

 

 

桜舞う四月、別れを経て新しい出会いと生活が始まる

 

私こと織斑 一夏(おりむら いちか)は新たな一歩を踏み出す為に世界で唯一、たった一校しかない学園の門を潜り新生活をスタートする所だ

 

学園の名はIS学園、私は この学園に入り絶対に卒業し優良企業に就職する、それを目標にしている

 

私には9つ離れた姉がいる、姉は歳の離れた私を亡くなった両親の代わりに育ててくれた、だから恩返しをしたいし姉に感謝を込めた贈り物をしたいと考えているからだ

 

とはいえ、実は私には弱点と言うか欠点、トラウマがある

 

それは一部を除いた異性とマトモに会話が出来ない事と人見知りをする事だ

私の姉 織斑 千冬はISの搭乗者で日本代表でありISの世界大会モンドグロッソの初代 総合優勝者だった。数年前 第2回モンドグロッソ決勝を会場で姉が用意してくれた1番試合が良く見える席へ向かう途中で誘拐された

 

理由は姉のモンドグロッソ二連覇を阻止する為、たったそれだけの為に私・・・否、俺は誘拐され 暇を持て余した誘拐犯のお遊びで怪しい薬を注射で投薬され、(おれ)から(わたし)へと身体を造り変えられ、純潔を奪われる寸前で決勝を棄権した姉に救出された

 

その後は大変だった、国家代表である姉の行動は問題にならない訳が無く色々あって姉が第一線から退き、モンドグロッソ開催国であるドイツに1年間 指導者として働く事で一応の収束を見せ、私は私で警察とドイツ軍の人に何度も事情聴取され、もう精神的にいっぱいいっぱいで、何を話したかは あまり覚えていない

 

さて事情聴取から解放された訳だが、今までと違う性になってしまった訳で頭は もうパンクしそうだったが、姉の親友でISの生みの親の束さんが何故か現れて色々と面倒を見てくれた

 

うん、そう私が人見知りをするのは、誘拐されたのが原因で軽度の男性恐怖症の様な状態にあるから

 

慣れれば比較的大丈夫だが、慣れるまでに時間がかかる。まぁ半年程はドイツで軽く引きこもりながら女のイロハを束さんやクロエに教わったりしたんだけどね?うん

 

実質女子校のIS学園なら あまり気にならないだろう、と考えていたが人生は上手く行かないもので、世界初の男性IS適合者が現れてしまった

 

ちょっと うっ ってなったが、彼も好きで そうなった訳じゃ無いだろうから極力 接触は控えたい

 

たとえ、私が束さんからISの整備を直伝されていて、整備・改修機能特化型の専用機を持っていたとしても、だ

 

同じクラスになる可能性だって8分の1だし、仮に同じクラスになっても彼が近くの席になる可能性だって低い筈、多分

 

 

さて色々と前置きが長くなったが、私は深く息を吸い、ゆっくりと吐いて校門越しに校舎を見据えて覚悟を決めて一歩を踏み出す

 

新しい出会いの数々に期待と不安を抱いて、自分の夢への一歩を踏み出す為に、まずは入学式に出なければ

 

そういえば姉は大丈夫だろうか?

 

予期せぬ男性IS適合者(イレギュラー)でゴタゴタが多いって言ってたけど、とIS学園で教師をしている姉を想う

 

うん、放課後とか昼休みにでも顔を見に行こう、流石に心配だし

 

 

 





新作です、頭軽くして書いていますw



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SHR

 

 

入学式を経て教室で頭を抱えてる影が2つ

 

彼は周りの視線に悩まされ、私は真横にいる彼の存在感で落ち着かない

 

どうも人生は上手く行かないものらしい

 

とはいえ、いつまでも頭を抱えていられないので頭を抱えるのを辞めて深呼吸し意識を切り替える為に自己暗示をかける

 

目を閉じて 私は大丈夫、私は大丈夫と自分に言い聞かせ目を開けると目の前に茶髪でツーサイドアップの子が立っていて

 

「大丈夫〜? 気分でも悪いの? 」

 

と少し間延びした喋り方で私を心配してくれた様で訪ねてくる

 

「え・・・あぁ、うん・・・大丈夫、です」

 

突然の事で軽く変な感じになってしまったが、彼女へ返答すると

 

 

「そっか〜良かった〜 あ、私 布仏 本音。よろしくね〜」

 

彼女は柔らかく笑み萌え袖を軽く振って言う

 

「わ、私は 織斑 一夏です。よろしく、です」

 

「じゃぁ、おりむー だねぇ」

 

私が名乗ると彼女はニコニコしながら、いきなり あだ名を付けてきたが、不思議と不快と思わず なんか癒される様な気がする

 

なるほど、これが癒し系か

 

「じゃぁ、貴女は のほほんさん、かな? 」

 

彼女の雰囲気で冷静さを取り戻していうと彼女は嬉しそうにニコニコする

 

それから軽く雑談をしていると始業の鐘が鳴り のほほんさん は自分の席に帰って行き、チラリ隣を見ると彼は頭を抱えて石の様になっていたが、彼には悪いが私に出来る事は無いので そっとしておく

 

それからすぐに先生が入って来てSHRが始まる

 

「皆さん、入学おめでとうございます。私は この1年1組の副担任の山田 真耶です、よろしくお願いします」

 

割と小柄で童顔故に制服を着て私達に混ざっていても違和感が無い山田先生の挨拶を聞く

 

あとでコソッと姉さんが、ちゃんと生活出来てるか聞いてみよう。同僚なら何となく分かるだろう、多分

 

それから山田先生の話が続き、自己紹介の時間になる

 

此処でミスをしてしまうと、自己紹介が事故紹介になってしまうので気をつけないといけない

 

かと言って気合いを入れ過ぎた自己紹介をしてもダメなので塩梅が難しい

 

そんなこんなで私まで順番が回って来たので立ち上がり深呼吸して

 

 

「織斑 一夏、です。整備士を目指しています、特技は家事全般と軽度工作、趣味はプラモデル製作と料理です。よろしくお願いします」

 

可もなく不可もない程度に自己紹介をして一部の凄まじい視線を感じつつ席に座り軽く溜息を吐き、クラスメイトの自己紹介を聞く事に気を向ける

 

ごめん、箒 あとで説明するから待ってて欲しい

 

さて、一向に自己紹介が聞こえなかったので隣を見ると彼は まだ頭を抱えていた、どうやら自分の番だと気付いていない様だ

 

「八月一日 君、八月一日 君? 」

 

「は、はい 」

 

彼の様子に気が付いた山田先生が彼の名を呼び、漸く顔を上げて山田先生を見る

 

「えっと・・・自己紹介、今 八月一日 君の番なのだけど、自己紹介して貰えるかな? ダメかな? 」

 

やや困り顔で前傾姿勢で彼へ言う、うん 少しあざとい・・・本人はそんなつもりは微塵も無いだろうけど

 

「分かりました、すみません」

 

彼は少し慌てた様子だったが少し深呼吸して立ち上がって、もう一度深呼吸し

 

「え、えー・・・八月一日 (ほずみ ) (かおる)です、何の因果か世界初の男性IS適合者になってしまいました。正直、右も左も分からない新参者なので、多少の失敗には目を瞑って貰えると助かります。よろしくお願いします」

 

とさっきまで頭を抱えていた人間とは思えない程、しっかりとした自己紹介をして着席をする

 

「なかなか悪くない自己紹介だったんじゃないか、八月一日? 」

 

音もなく現れ彼へ言うレディーススーツの女性を見て私は思わず

 

「え、えぇ!? 姉さん!? なんで此処に?! 痛っっ」

 

と少し大きめな声で言ってしまい、軽く小突かれ

 

「織斑先生と呼べ馬鹿者」

 

と言われ、はい と返事をするとクラスメイトの8割ぐらいが姉へ黄色い悲鳴をあげる

 

それを聞いて姉は面倒臭そうな表情をしているので、IS学園に勤めてから毎年コレを味わっているのだろうと察しておく

 

 

「静かに、私は織斑 千冬。この1年1組の担任だ。諸君らを在学3年間で世間に出しても恥ずかしくない人材へ教育するのが私の仕事だ、まず此の1年で諸君らにはISの基礎や必須な知識、技術を徹底的に学んでもらう。分かったな? 」

 

と姉は自己紹介をし、再び教室が黄色い悲鳴に包まれる

 

やはり現役を退いて数年とはいえ、まだまだ人気は衰えていない様だ、妹として喜ぶべきか驚くべきか悩むところではあるが

 

「はぁ・・・では自己紹介の続きをしてくれ」

 

軽く面倒臭そうな表情をして姉は指示を出す

 

 

それからクラスメイトの自己紹介は滞りなく進み

 

「それでは全員の自己紹介も終わったのでSHRを終わります、休み時間を挟んで最初の授業がありますから準備をしておいて下さい」

 

と山田先生は締めて姉と共に教室を出て行く

 

 

さて、約6年ぶりの幼馴染とお話しでもしよう、幼馴染だし普通に会話出来るだろう、多分

 

そんな僅かな不安を抱えつつ席を立って彼女の元へ踏み出した

 

 






目標は、2000字ぐらいで書ける様になる事です

試行錯誤しながらチマチマ頑張ります



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涙と最初の授業

 

 

 

意を決して箒の席へ歩む事 数歩、私をジッと見ている彼女の正面に立ち何とも言えない緊張感を味わいながら口を開く

 

「久しぶり箒、此処だと落ち着かないから移動しない?」

 

内心、心臓がバクバクしているが彼女には悟られない様に勤めて言うと

 

「・・・仕方ないな、屋上に行こう。彼処なら邪魔も入るまい」

 

と鋭い気配を纏ったまま提案し、席を立って歩んでいく

 

とりあえず無言で箒の後に続き、お互い無言のまま屋上に辿りついて

 

 

「え、えーっと・・・改めて、久しぶり箒」

 

久しぶりに会う幼馴染(ほうき)のオーラに少し圧倒されかけるが、勤めて笑顔で彼女へ言うと

 

「・・・貴様、本当に一夏なのか? 本当に私の幼馴染の織斑 一夏なのか? 」

 

箒の纏うオーラが人を2〜3人斬った事のある武士様なモノに変わり少し怖いが我慢して

 

「そうだよ? 今詳しくは話す時間が無いから省くけど、私は正真正銘 織斑 一夏だよ。あ、そうだ私と箒しか知らない秘密の話を・・・」

 

念の為に私達2人しか知らない秘密の話を箒に耳打ちすると、オーラは消え失せ、箒は目に涙を浮かべる

 

「それを知っているのならば、お前は幼馴染の一夏だ・・・うぅ・・・一夏・・・なんで」

 

そう呟き箒はポロポロと涙を流し始めてしまい私は、どうしたものかと慌ててポケットからハンカチを取り出して彼女の涙を拭くと

 

「お前は変わらず優しいな一夏」

 

安心した様な表情で私を見て言う箒に

 

「目の前で幼馴染が泣いてるんだから、当たり前じゃないかな? 」

 

 

と思っている事を、そのまま伝えると箒はクスリと笑い

 

「そうだな、お前は そういう奴だ。いつ お前が(そう)なったかは私には分からないが、自分が大変だろうに 他人(わたし)に優しくしてくれる・・・本当に お前って奴は 」

 

そう箒は嬉しそうに、ほんの少し呆れた様に言う

 

「それ、褒めてる? 」

 

私は少し茶化す様に言い肩を竦める

 

「あぁ、褒めているとも」

 

箒は笑んで言い頷く、やはり箒は笑顔の方が似合う

 

確かに箒は、ラスト侍みたいな剣術少女で口下手で感情表現が苦手で他人とのコミュニケーションが苦手だが、根は良い娘だ

 

昔はよく衝突もしたが、今では良い思い出だと思う

 

と少し思い出に浸っていると予鈴が鳴ったので

 

「あ、予鈴だ。戻ろうか箒」

 

「そうだな、ありがとう一夏」

 

「どういたしたして? 」

 

なんかスッキリした表情の箒に突然お礼を言われ不思議な気持ちになって変な返答をして教室に戻る

 

とりあえず箒からピリピリと言うかトゲトゲしたオーラが消えたから多分、クラスメイトも話しかけやすくなった筈だし少しは友達も出来るかな?

 

まぁ私は箒の事を心配していられる程 余裕は無いけどね、うん

 

それから教室に戻って授業を受ける

 

1時間目の授業の内容は、ISの基礎中の基礎 ISの成り立ちや開発者の事を習う

 

ISの開発者の名は篠ノ之 束、箒の実姉であり私の姉 千冬の親友であり、私の恩人

 

心身共に満身創痍の私を姉がドイツで教官をしている1年もの間、面倒を見てくれた私にとって2人目の姉の様な存在だ

 

決して無理に連れ出そうとせず、女の身体に戸惑う私を優しく女のイロハ、言葉遣いや立ち振る舞いを教えてくれ、彼女が気晴らしになるかもと、教えてくれた整備技術は私の目標となり道標になり私に夢を与えてくれた、感謝してもし足りない

 

さて、そんなISの基礎の基礎を学ぶ最初の授業だがIS学園を受験するにあたって知っていて当たり前の知識、つまり復習に近い内容な訳だが、私の隣に座る彼は仕切りに首を傾げては両隣(私と箒)を見て更に首を傾げる、その様子を見て少し疑問に思いつつ ある事に気がつく。彼の机の上には必読の参考書が無い

 

参考書は専門用語の辞書の様な意味もある、というかペラ紙の厚さが5㎝を超える参考書に記載されている全ての専門用語を高々三か月程度で丸暗記なんて普通の人間には、ほぼ不可能だ

 

出来たら苦労しないし、知識だけならIS学園に通わなくても良いんじゃ? ってレベルになると思う

 

まぁそれは置いておいて、まさか初日から忘れ物をしたのか? と思っていると、彼の異変に気が付いた山田先生が彼へ

 

「八月一日 君、何か分からない所がありましたか? 何でも聞いてください 」

 

なんか教師らしく見える山田先生の言葉に彼は恐る恐ると言った表情をして

 

「・・・全部分かりません」

 

「 えぇ!? ぜ、全部ですか? 」

 

その言葉を聞き山田先生は見るからに取り乱して、姉は目付きが鋭くなり黒板の端の待機位置からツカツカと彼の方へ歩み寄り

 

「 八月一日、必読の参考書は読んだか? 」

 

姉は何故か私の机の前で止まり彼に問いかける

 

「必読の参考書、ですか? 」

 

彼は姉の問いに首を傾げて記憶を探る素ぶりをする

 

「すみません、どんなヤツですか? つい1週間前まで検査とか実験とかで よく分からない施設に居て制服とか教科書類も昨日貰ったので 」

 

と彼は困った様な表情で言う、彼の言葉が真実なら必読の参考書を読む時間なんて無かっただろうし、なんだか不憫に思える

 

そんなわけで姉の顔を見ると恐らく私と同じ様に察した表情をしていて、私の参考書を掴み彼へ見せ

 

「これだ、見覚えはあるか? 」

 

「・・・あ、あぁ それ辞書じゃ無かったんですね。すみません、色々と いっぱいいっぱいで読んでません」

 

と彼の言葉を聞き姉は軽く頭が痛そうにしながら参考書を私の机に置き

 

「いや、事情は分かった。八月一日、1週間で必要最低限の事を覚えよう。放課後に補習だ 」

 

「え? あ、はい」

 

正直、必要最低限でも1週間で覚えられるのか? って思うが、覚えないと授業はチンプンカンプンだろうからやらなきゃいけない

 

 

頑張れ八月一日 君、私は君を影ながら応援しているよ、ごめんね? 私は男性が苦手なんだ

 

かと言って、元男子だから女子と普通に話せる訳でも無いけどね?

 

 

 







漸く仕事が落ち着いて執筆時間がガッツリ作れました


ウチの一夏ちゃん、如何ですか?


もしかしたら、オリ男性搭乗者くん の名前を変更するかも知れません、ご容赦下さい



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イギリス代表候補の咆哮

 

 

 

それから彼以外には滞りなく授業は進み2時間目を終え、トイレに行って用を足して戻ると彼に金髪のお嬢様(セシリア・オルコット)が彼へなんか話をしていたが、少し苦手な類の人みたいなので、限界まで気配を消してオルコットさん の後ろを通り文庫本を読んでいる箒の横に移動して屈んで小声で尋ねる

 

「ねぇ、オルコットさん は何で八月一日 君に絡んでるの? なんか凄い偉そうだけど」

 

「さてな? お前が席を立って直ぐに八月一日へ偉そうに絡み始めたんだ」

 

箒は文庫本から目を離さずに小声で答える、その表情は不愉快そうだった

 

「・・・そっか」

 

私は それだけ呟いて立ち上がって、自分の性分と性格に少し嫌気がさしつつ

 

「あ、あの・・・オルコットさん? もうチャイムが鳴るから、そろそろ席に着いた方が良いんじゃないかな? 私が言うのもアレだけど織斑先生のゲンコツは痛いよ? 」

 

と出来るだけ冷静を装って彼女に言うと

 

「仕方ありませんね、続きは改めて。失礼しますわ」

 

とファサァッと自身の髪を翻して自席へ帰って行く、何か様になっていて美少女って凄いなぁと感じつつ私も席に座ると

 

「えっと、ありがと」

 

と彼は私にお礼を言ってきた

 

「え? う、うぅん、別に何もしてないから、気にしないで? 」

 

出会って数時間の仲だが、漸く彼の笑みを見て少し戸惑って変な感じで返答をしてしまったが彼は気にしていない様子だったので良かった

 

 

とはいえ、私が抱える問題故に彼と普通に会話が出来る様になるには暫く時間が必要だろう

 

少なくとも1年は同じクラスなのだから、少しは会話出来る様にならないと彼に悪いだろうから

 

それから数分経たずに3時間目の始業の鐘が鳴り姉さんが教壇に立ち

 

 

「では3時間目の授業を始める前に、クラス代表を決める。毎月の様にある各種行事へ出てもらう他、クラス委員長を兼務して貰う。自薦他薦は問わないが、自薦が望ましい」

 

姉は教卓に自分が持ってきた教科書などを置き教室を見渡して言う、競技者志望なら千載一遇のチャンスな訳だから自薦が居る筈なのだが、一向に挙手する人が居ない

 

おかしいな、間違い無く1人は自薦して当たり前のセシリア・オルコットがいるのだけど・・・まさか、他薦で自分が呼ばれるのを待ってるのか?

 

この状況でオルコットさんの名が上がる訳無い、だって さっきの様子を見たら誰でもクラス委員長にしたいなんて思わない

 

「なんだ、居ないのか・・・仕方ない、他薦で良い。誰か居ないか? 」

 

姉は少し面倒くさそうな表情をして言うと、次々にクラスメイトは彼の名を挙げる、その状況に軽く怒りを覚える

 

私は元来 少々頭に血が上りやすい質だ、特に理不尽に対して

 

これは元々 私が男だったと言うのも有るが私には肉親が姉しか残っていないと言う家庭環境もある

 

この世界は平等に出来ていない、それを物心ついた頃から散々理解して来た、だからこそ 私には許せない事だった

 

故に意見しようとして、声が出なかった。生来の性格と真逆の私に刻まれたトラウマ、それが私に声を出させなかった

 

だが、そのおかげで怒鳴らずに済み深呼吸をして冷静さを取り戻し、言葉を選んで意見しようと考えていると、ガタンと音を立てて椅子から立ち上がって

 

「納得いきませんわ!」

 

と憤慨した表情をしているオルコットさんが吠えていた

 

それを見て更に冷静になり頭の中が妙にスッキリする

 

「なぜ世界初と言うだけの男性が推薦され、イギリス代表候補生の(わたくし)が推薦されないのですか? 全く納得できませんわ!! だいたい・・・」

 

クラスメイトの理不尽を諭してくれるのかと少しだ期待したが、やはりそんな事は無く、自分が推薦されない事に不満が有った様でよく喋る

 

なんでも、文化的に後進的な日本にいる事がどれ程嫌か、とか色々と言ってくれるので、一旦冷めた頭に再び血が上って行き我慢の限界を超え、俺は机に拳を叩きつけ立ち上がり

 

「いい加減 煩いな! そんなに日本が嫌なら国に帰れば良いだろうが、それに お前は そんなに偉いのか? 高々 代表候補生で偉そうに」

 

そこまで言って私は、ハッと正気に戻り軽く後悔する

 

たまに私は昔の自分(オレ)に戻ってしまう事がある、特にキレた時とか極度に頭に血が上ってる時とかに

 

まだ言葉だけだったのでマシな方、多分

 

というわけで出た言葉は戻らないので少し後悔をしつつオルコットさん を見ると私の様子に驚いたのか口を開けて固まっていたが数秒して

 

「な、な、な、なんなんですの貴女! 私は代表候補生、沢山の候補生 候補から選ばれたエリートですわ!! それを貴女は! 」

 

と元々色白の彼女が顔を真っ赤にして憤慨しながは言うが、私は少しも共感出来ず

 

「あー・・・うん、ごめんなさいオルコットさん少し言い過ぎたよ、でもイマイチ凄さが分からないんだ。何せ・・・私の実姉は日本代表で初代ブリュンヒルデ、幼馴染のお姉さんはISの生みの親なんだ。今更、代表候補生で専用機を持ってるぐらいじゃ、ちょっと凄さが分からない」

 

と言ったら私の背後に立っている姉が私を睨む気配を感じ背中に冷や汗をかく

 

ヤバイ、姉さんはブリュンヒルデって呼ばれるの嫌いだったのを忘れていた

 

とりあえず私の言葉にオルコットさんは口をパクパクさせて言葉に出来ない表情をしていたので

 

「え、えーっと・・・オルコットさんがクラス代表をしたいみたいなので、彼女をクラス代表にしたら良いんじゃないですか? 織斑先生? 」

 

と恐る恐る姉の方を向き進言してみる

 

「・・・そうだな、それも良いが推薦した者もオルコットも納得いかんだろう。模擬戦をして白黒つけてクラス代表を決める事にする、八月一日、オルコット両名は そのつもりでいろ。あと織斑、お前は昼休みに生徒指導だ、逃げるなよ? 」

 

私の進言に答え2人へ申し伝えをした後、ギロっと言う効果音が聞こえそうな目で私を睨みながら言われ、実姉の威圧感に少し漏らしそうになるが耐えて頷き自分の席に座る

 

「では授業に入る、テキストの・・・」

 

と姉は直ぐに切り替えて3時間目の授業に入る、ヤバイ昼休みが怖くて集中できない

 

 

どうにか逃げる方法を思案するが全く思いつかなかった、むしろ逃げた方が恐ろしい結末が待っているのは目に見えているのだった

 

 

 

 






こんな一夏ちゃん、どうでしょう?



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生徒指導室で

 

 

 

全く集中出来ないまま3時間目と4時間目を経て昼休みが来てしまい

 

 

「織斑、来い」

 

「・・・はい」

 

と姉の凄味が効いた声に素直に従い断頭台に向かう罪人の様な気分になりながら姉の後ろを付いて行き職員室に辿り着き

 

「少し待っていろ」

 

「・・・分かりました」

 

姉は私に そう言い職員室に入って行き、私は指示に従い職員室の前で待機していると姉は直ぐに紙袋を持って戻って来て

 

「待たせたな、来い」

 

再び移動を始めた姉に着いて行き生徒指導室へ入る様に言われ中に入ると、姉は扉の鍵を閉め

 

「よし・・・座れ一夏、なんだ その断頭台に掛けられた罪人みたいな顔は」

 

と姉に言われ私の頭の中を疑問が支配して喋れずにいると

 

「あぁ、まさか生徒指導を本気にしたのか? お前のアレは別に お前が悪い訳では無い、むしろ姉としては嬉しいと思っている・・・教師としては少し注意はせねばならんが、わざわざ昼休みに呼び出す程では無い。ほら座れ」

 

「う、うん」

 

姉に言われ椅子に座ると姉は紙袋から お弁当を取り出し私の前に置き、私の正面の椅子に座る

 

「織斑先生? 」

 

お弁当を見てから姉を見ると

 

「本当はダメだが今は姉妹で昼を食べるだけだ、この部屋に居る間だけはプライベートの時間と言う訳だな。だから先生はいらん」

 

 

と姉は、家に居る時の優しい雰囲気になって言う

 

「分かったよ姉さん」

 

私は頷き お弁当を開くと中にはサンドウィッチが入っていた

 

「姉さんが作ってくれたの? 」

 

「そうだ、と言えたら良かったが学食で販売されているモノだ。本当は今日ぐらい作るつもりだったが、イレギュラーの対応で時間がな」

 

 

私の問いに姉は肩をすくめて答える、その姿を見て改めて自分は姉な愛されていると感じ

 

「無理したらダメだからね? 姉さんは何でも抱え込みがちなんだから」

 

「・・・善処はしよう」

 

私が本気で心配している事が伝わったのか姉は私から目を少し逸らして自分のサンドウィッチを食べる

 

その様子を見て、相変わらず頑固だな と思いつつ私も自分のサンドウィッチを食べ始め、IS学園の料理のレベルに驚く

 

流石、多国籍の学園だけ有って物凄く美味しい とサンドウィッチを食べながら思い、ふと姉へ尋ねる

 

「ちゃんと洗濯物貯めずに洗濯してる? あと部屋の掃除とか 」

 

「・・・もちろん、している」

 

私の問いに姉は私に目を合わせずに答える、その様子を見て

 

「・・・ 確か寮監だったよね? 姉さん、夕食の後に部屋に行くね? 」

 

にっこり笑み姉へ言うと見るからに、あからさまに汗をかき始め

 

「その、なんだ? ほら機密扱いの書類も有る、だから部屋に入れさ訳には・・・」

 

「行くね? 」

 

明らかに嘘をついている姉に再度 意思表示をすると

 

「・・・わかった」

 

と今度は姉が断頭台に掛けられた罪人みたいな顔をする、つまり姉は嘘ををついていたのを確信する

 

「別にそんな顔しなくてもいいよ、八月一日 君の対応とかで忙しかったのは分かるし。素直に言ってくれれば掃除と洗濯ぐらい私がするから、ね? 」

 

と言うか、多忙で家を空ける事が多い姉の代わりに織斑家の家事の全てをしてきたのは私なんだから、学園に入ったとはいえ やる事は変わらない、と私は考えている

 

まぁ教師としてのメンツを考えると私を頼り辛いのだろうけどね?

 

「いつも すまんな一夏」

 

と姉は少し落ち込んだ表情で言うので

 

「良いよ、姉さんには いつも感謝してる。私が出来る事なんて家事ぐらいだしさ、私こそ ありがとう姉さん」

 

と姉へに笑んで言う

 

 

それから本当に久しぶりに姉妹水入らずの時間を過ごす、他愛無い話をして、笑い合う。そんな有り触れた幸せの時間を過ごしていると昼休みの終わりを告げる鐘が鳴る

 

「む、名残惜しいが時間か。一夏、お前も あまり無理をするな、私に似て お前も抱え込む質だからな」

 

姉は そう言い私の頭を撫でて言う、私が(わたし)になって姉はより一層 優しくなって、頭を撫でる様になった

 

元より たった2人の肉親だ、亡くす事がどれだけ恐ろしい事か私達は知っている

 

「・・・分かってるよ姉さん、大丈夫。この学園には箒もいるし、姉さんも居る、だから大丈夫」

 

と私は姉の手を握り言い、お弁当を片付けて

 

「それじゃ姉さん先に行くね? 」

 

「あぁ、後はやっておく」

 

後の片付けを姉に任せて生徒指導室を後にしトイレを経由してから教室に戻って5時間目の準備をする

 

放課後は購買に行ってゴミ袋とか有るか確認しておかないとな・・・いや、その前に寮の部屋に行って荷解きが先か

 

あーでも、作りかけの百式も組みたいな・・・悩む

 

とりあえず今は5時間目の授業に集中しよう、悩むのは後でも問題ない

 

 

 

 

 





少しだけ職権濫用する千冬さんの巻w


IS学園って模型部ありますかね?←



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放課後の一夏、ルームメイトとの邂逅

 

 

 

一旦煩悩を放棄して5時間目と6時間目の授業を真面目に受けて帰りのSHRの時間になり

 

「では今日はこれで終わりだ、八月一日は帰り仕度が済んだら職員室に来てくれ、解散」

 

姉は そう締めくくり山田先生と教室を出ていく、それを見送り一旦放棄していた考え事をする

 

入学初日で私は部活に所属していないので比較的時間に融通が利く、なので購買に寄って必要物資の有無を確認して寮の部屋に行き荷解きと同室の娘に挨拶をして、夕食まで百式の組み立ての続きをしよう

 

 

と自分の中で計画を立てて、帰り支度を始めると

 

「一夏、私は剣道部に入部しようと思っているが、これから一緒にどうだ? 」

 

教科書を通学鞄に詰め込んでいると箒が私を誘ってくる

 

「ん〜・・・この後、寮に行って荷解きして姉さんの部屋に行こうと考えてるから今日は遠慮しとくよ。それに暫く剣道してないし・・・」

 

そう言うと箒は少し残念そうな表情をして

 

「そうか、久しぶりに お前と剣を交えたかったが仕方ないな。気が向いたら相手をしてくれ、ではな」

 

「うん、ありがと」

 

そう言う箒に小さく手を振り見送り教科書を詰め終え席から立ち上がると

 

「ねぇねぇ おりむー しののん と仲良さそうだねぇ? 」

 

癒し系の雰囲気を振りまきながら のほほんさん が話しかけてきたので

 

 

「えっと、箒の事だよね? 箒とは幼馴染なんだ、昔 姉さんと通ってた剣道場の娘なんだ箒」

 

と のほほんさん に説明すると

 

「おぉ〜そうなんだぁ、私も幼馴染が4組にいるんだぁ」

 

なんか嬉しそうに、にっこにこ して のほほんさん は言う

 

なんか癒される、妹に欲しい

 

「そうなんだ、機会があれば紹介してくれる? 」

 

「いいよ〜、皆んな仲良しで皆んなハッピーだぁ〜」

 

のほほんさん は、ちょっと独特の感性を持っている様で私の言葉足らずの返答を気にせずに言う、少なくとも のほほんさん は3時間目の一件の事を気にしていない様だ、良かった

 

「私、購買に寄ってく予定だからこれで。また明日」

 

「また明日〜」

 

小さく手を振ると のほほんさん は萌え袖をブンブン振って見送ってくれる、うん やはり妹に欲しい、癒される

 

教科書で物凄く重い通学鞄を持って教室を出て購買へ向かう、IS学園は全寮制の学校なので生活に必要な多種多様な物が売られていて、ゴミ袋も有ったので良かった

 

とりあえず一通り見てからゴミ袋とペットボトルの お茶を購入して寮へと向かう

 

その道中、5月になったら姉さんの夏用のスーツを実家に取りに行かないとなぁ とか考えつつ、ついでに弾の所に顔を出してみようか とか考える

 

そんな感じで最早鈍器として使えそうな通学鞄と戦いつつ寮へ辿り着き、先日郵送されて来た鍵をポケットから取り出し解錠して入室して学園指定の段ボールが2つと自分のボストンバッグが有るのを視認し、2つ並んだ勉強机を確認すると既に同室の娘は荷解きを終えているのを認識し、空いている手前の勉強机に通学鞄と手荷物を置き椅子に座ってペットボトルのお茶を飲んで一息つく

 

「よし、面倒な事は早急に終わらせよう」

 

と気合いを入れて荷解きを始める

 

開封して1番上の物を見て片方を勉強机の下に押し込み、もう片方の荷物とボストンバッグの中身をクローゼットに整えていれて通学鞄から教科書を取り出して勉強机の本棚に綺麗に並べる、荷物自体は それ程多くなかったので直ぐに終わり、机の荷物を一旦退かし下に入れた段ボールの荷物の中身を並べる

 

「えーっと・・・良かった全部有る」

 

未開封のガンプラとプラモ用の工具や その他一式が揃っているのを確認し安心する

 

「あー・・・コレ少なくなってたの忘れてた」

 

塗料の入った容器を持って、百式には塗らない色だから買い足すのを後回しにしていたのを思い出し独り言を呟く

 

流石に購買にプラモ用の塗料は売っていないので週末にでも買いに行こうと決め、作業用のエプロンを取り出して椅子に掛けて制服から汚れても大丈夫な部屋着に着替えエプロンをして勉強机に作業用マットを敷き百式の素組みの続きを始める

 

 

そして百式の素組みが殆ど終わった頃、扉の開く音に気付き扉の方を見ると水色の髪をした儚げな少女が私を見て戸惑いの表情をしていた

 

「あ、えーっと・・・はじめまして、私は 織斑 一夏。ごめんなさい、こんな格好で」

 

前もって腹をくくっていたお陰で比較的スムーズに挨拶が出来た と安心しつつ彼女を見ていると

 

「え、うぅん、大丈夫。流石に同室の子が初日からプラモデル作ってるのは驚いたけど・・・あ、私は更識 簪。苗字で呼ばれるのは好きじゃないから、簪って呼んで欲しい。よろしくね? 織斑さん」

 

と彼女は そう言い扉を閉める

 

「うん、よろしく簪さん。私の事は一夏で良いよ? ほら この学園に織斑は2人いるし」

 

そう言うと彼女は私の後ろを通り奥側の勉強机にに 荷物を置き

 

「呼び捨てで良い、同じ部屋で過ごすから、その・・・あまり畏まらなくていい」

 

と、軽く恥ずかしそうに彼女が言ったので

 

「じゃぁ、私も呼び捨てで。よろしくね簪」

 

「うん、よろしく一夏」

 

私が笑んで言うと簪も笑みを浮かべ言う

 

多分、私と簪は趣味が合うと思う、勉強机に並ぶ彼女の私物にニチアサとか勇者王的なアニメのDVDが並んでいるのが見えたし、百式を作ってる私を見て変な目をしていなかったから

 

 

そんな感じで私達の邂逅はスムーズに済み、ふと時計を見ると帰って来てから2時間程経っていた事に気づく

 

なので、ひとまず百式の素組みを終わらせてしまう事にした

 

そして、姉さんの部屋掃除に向けて気合いを貯めよう、そうしよう

 

 





千冬さんの部屋掃除まで書くつもりが、思ったより書けたので次回に持ち越します


少し悩んだのですが、同室は簪にしました

一応、箒と 八月一日 君 も候補でした



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姉の威厳

 

 

アレから百式の素組みを完成させて簪とルームシェアするに当たってのルールの確認をして、用事が有ると言う簪が先に部屋を出て行くのを見送り、作業用のエプロンを畳んで勉強机の端に置いて洗面台で手を洗ってから部屋を後にして食堂に行く

 

多国籍な学園だけあって多種類の料理が用意されているバイキング方式でなかなか、お金を掛けているなぁと感じつつ適当に取って比較的 人が密集していない場所で食べる

 

しっかり噛んで食べ終え姉に携帯でメッセージを送ると部屋に戻っているとの事だったので、食器を片付けたら向かう旨を伝え食器を返却口に持って行くと制服姿の箒と遭遇した

 

「ん? 一夏か、奇遇だな」

 

「そうだね、箒」

 

幾ら同じ学園の寮に居ても同じ時間帯で食事に来て同じ様なタイミングで食器を返却するのは中々にタイミングが合っていると思いクスリと笑う

 

「今から時間あるか? 色々と積もる話も有るのだが・・・」

 

と控えめに箒が尋ねてきたので

 

「あー・・・ごめん、今から姉さんの部屋に行くつもりなんだ。多分 腐海にはなってないと思うけど・・・多分」

 

私が軽く目を伏せて言うと箒は察した様で

 

「そ、そうか・・・よし、私も手伝おう。2人より3人でやれば その分早く終わる筈だ」

 

と箒は言って歩み始める、私は箒を追って歩き出し

 

「それは悪いよ箒」

 

少し困りながら箒に言うと

 

「気にするな、幼馴染だろう? 」

 

なんか箒が本物の武士に見えてきてカッコイイと感じ

 

「ありがとう箒」

 

それから一旦部屋に戻りゴミ袋を回収して姉の部屋へ行き扉をノックすると、ジャージ姿の姉が現れ

 

「・・・なんで箒まで」

 

少し気まずそうな表情をして言う姉に

 

「たまたま食堂で会って、話をしたら助っ人してくれるって」

 

私の言葉を聞き姉は観念したのか首を回しながら部屋に引っ込んで行き、私と箒も部屋の中に入る

 

一応、姉の威厳の為に部屋の扉を閉めてゴミ袋を広げ

 

「予想より幾分かマシだね、始めよう! 」

 

ひとまず私は散らかっている書類を拾い纏めてから姉に渡し床にスペースを作り、落ちている缶ビールの空き缶を不燃物の袋にいれ、箒がクイックルワイパーで床掃除をして行く

 

それから予想したより時間は掛からず掃除が終わったので溜まった洗濯物を見て、ランドリー室と何回か往復する必要がありそうだな と思いつつ洗濯カゴから溢れた洗濯物から下着と色物、ブラウス等を仕分け始める

 

「ありがとう箒、おかげで1時間ぐらいで終わったよ」

 

クイックルワイパーのシートをゴミ袋に捨て袋を縛っている箒にお礼を言うと

 

「気にするな、此処ならば聞ける話を聞くついでだからな」

 

と箒は言い真面目な表情をする、そんな箒を見て姉とアイコンタクトし

 

「・・・近い内に箒には話すつもりだったし丁度良いかな? 」

 

ひとまず仕分けの手を止めて箒を真っ直ぐに見て言い

 

「箒が聞きたい事・・・なぜ私が男から女になっているかを話すね? 」

 

「あぁ」

 

これは必要な事だ、男だった頃(昔の私)を知っている箒には話さねばならない、その上で私が元男だと口外しない様に口止めして貰わないといけない

 

性転換を可能とさせる薬品の存在が明るみに出れば、私は実験動物の様な扱いをされ、最終的にホルマリン漬け・・・なんて事もあり得る

 

 

そんなの普通に嫌だし、普通の生活をしたい

 

とはいえ、箒へ説明すると言う事は私に何が起こったのかを話す と言う事、要は忌まわしき記憶を思い出さないといけない

 

正直に言えば思い出したくも無い記憶だが、忘れる事が出来ないのだからどうしようも無い

 

「・・・何年か前に姉さんがモンドグロッソ決勝を棄権したでしょ? アレ表向きには姉さんの専用機の故障が原因って発表だったけど、実際は私が誘拐されちゃってさ、専用機に乗って私を救いに来てくれたんだ」

 

私は強姦で純潔を失う寸前で姉が監禁先の倉庫の壁をブチ破って助けに来てくれた事に安堵を覚えた事を思い出し、それと同時に強姦され掛けた恐怖を思い出す

 

まさに見せしめ、と言わんばかりに下卑た目と表情で鎖により身動き出来ない私を無理矢理・・・

 

私は恐怖により呼吸が浅くなって身体が震えている事に気付くが、自分では どうしようもない

 

「・・・箒、一夏はな、私のモンドグロッソ2連覇阻止と言う下らない理由で誘拐された挙句に、よく分からん薬を投薬されて女に性転換させられて、見せしめの為に強姦され掛けたんだ」

 

と姉はフラッシュバックで震える私を落ち着かせる為に抱きしめ、箒へ説明をする

 

そして説明を聞いた箒は、怒りを堪えている表情をしている

 

「・・・私は千冬さんが、こんな時に嘘をつかないと信じています。なので全て事実なのでしょう? 」

 

箒の声は怒りに震えていて、まさに怒髪天といった様子だった

 

そして その怒りは投薬を防げなかった姉への怒りではなく、純粋に誘拐犯への怒りだと感じる

 

「嘘ならどれ程良かったか、今は大分良くなったが今みたいにフラッシュバックが起こる時もある。私が側に居てやりたいが、な? 立場上 そうもいかん。箒、悪いが一夏を支えてやってくれ」

 

「もちろん了承です千冬さん」

 

姉の胸に収まる私には姉の表情が見えないが、きっと優しい姉の顔をしているのだろう

 

それに安心して震えは治り

 

「ありがとう姉さん、迷惑かけてゴメンね箒」

 

姉に お礼を、箒に謝罪をすると姉は無言で私の頭を撫でる

 

 

「気にするな一夏、私こそ そんな事になっていたとは知らず、すまない」

 

そう箒は言い頭を下げたので

 

「箒は悪く無いよ知らなかった訳だし、知りようもなかったし」

 

それから姉を交えて3人で勤めて明るい話をする

 

箒が剣道の全国大会で優勝した話とか

 

私がガンプラのコンテストで入賞した事とか、ドイツで出会った少し変わったお姉さんと同い年の少女の話とか

 

とにかく色々な話をした

 

 

部屋に戻ったらIS学園の部活一覧を見よう、模型部が有れば覗いてみるのも悪く無いかも知れない

 

 

 

 

 






途中で目標文字数に到達するか不安でしたが、到達して良かった


と言うわけで、漸く 初日が終わりました

次回の話はプロフを載せる予定


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物語開始時プロフ

 

 

 

 

名前*織斑 一夏

 

年齢*15歳

 

性別*女

 

身長*158㎝

 

容姿*千冬さんとマドカを足して2で割って目付きを丸くしたイメージ

 

B80W56H79(仮)

 

髪は肩を少し越すぐらい

 

備考*

 

本作の主人公にして元男のヒロイン

 

第2回モンドグロッソ決勝の時、姉の千冬の大会2連覇を阻止する為に誘拐され、誘拐犯に投薬された謎の薬で性転換した挙句 強姦されかけた為、軽度の男性恐怖症と軽度の人見知りになる

 

誘拐事件後はドイツにて姉の親友の束に面倒を見てもらい1年を過ごしている、内 半年は引きこもっていた

 

束により女のイロハや立ち振る舞い、言葉遣いを学んでいて、自分が女という事を受け入れている

 

またISの生みの親である束から整備技能などの手ほどきを受けていて、ISの整備士になる事を目標にしている

 

束から護身用を兼ねて作業特化型IS 明石 を貰っていて、明石を用いて作業にあたる

 

キレたりすると口調や態度が男時代の一夏に戻る、だが直ぐに正気に戻って後悔したりする

 

趣味がプラモデル製作でガンプラを主に製作している、コンテストにも何度か入賞する実力がある

 

 

 

 

 

 

名前*八月一日(ほずみ)(かおる)

 

年齢*15歳

 

性別*男

 

身長*175㎝

 

容姿*黒髪黒目の ザ 日本人

 

備考*

 

本作における初の男性IS適合者の少年

 

原作の一夏の立ち位置にいる、とある一点を除けば普通の少年

 

鈍感スキルは保持していないが、年齢=彼女居ない歴である為、女子からの好意が友愛か恋愛感情か分からない上に、顔を合わせて相談出来る同性の友達も学園に居ない為、割と不憫な少年

 

原作一夏が居れば間違い無く親友ポジのモブになるだろう←

 

 

これぐらいしか決まってない、すみません

 

 

 

 

名前*織斑 千冬

 

年齢*24歳

 

性別*女

 

身長*166㎝

 

容姿*原作に準ずる

 

備考*

 

一夏が一夏ちゃんになった経緯故に一夏ちゃんに大分甘くなった お姉ちゃん

 

公私を分ける主義だが、たまに職権濫用して一夏ちゃんとの時間を作ってしまう人

 

一夏ちゃんセコム1号

 

 

 

 

 

 

名前*篠ノ之 箒

 

年齢*15歳

 

性別*女

 

身長*160㎝

 

容姿*原作に準ずる

 

備考*

 

原作に比べて大分マトモになっている、とりあえず照れ隠しで人を殴ったりしない

 

一夏のセコム2号

 

 

 

 

 

 

名前*更識 簪

 

年齢*15歳

 

性別*女

 

身長*154㎝

 

容姿*原作に準ずる

 

備考*

 

本作では一夏ちゃんと同室であり、趣味友

 

原作に比べて多少 姉に対しての劣等感が少ない(予定)

 

また原作と違い、専用機は完成した状態で受領しているが、そこから独自改良のプランを練っている状態

 

なので八月一日 君との確執はない

 

 

一夏ちゃんセコム3号(仮)

 

 

 

名前*布仏 本音

 

年齢*15歳

 

性別*女

 

身長*152㎝

 

容姿*原作に準ずる

 

 

備考*

 

独特の雰囲気と感性を持った間延びした独特の喋り方をする癒し系の美少女

 

 

一夏ちゃんの癒し

 

趣味友(予定)で整備実習などでは相方(予定)

 

 

 

 

 

 

機体名*明石

 

世代*第4世代

 

待機形態*ペンダント

 

外見*艦これ の明石の艤装

 

武装*

 

◯ラピュセル

 

護身用の刃を潰したロングソード、つまり剣の形をした鈍器

 

 

一夏は知らないが、特定の手順を踏むとトンデモ攻撃が出来る機能がある

 

 

◯クラインフィールド発生装置

 

特殊な光学防壁を発生させる装置、ほぼ無敵の防御力を有している

 

単一仕様*

 

◯銀砂精製

 

ナノマテリアルと呼ばれる何にでもなる魔法の様な物質、クラインフィールドの燃料であり明石のチカラの根源

 

ただし一定時間の精製量には限界がある

 

 

備考*

 

本作の一夏ちゃんの専用機

 

実質武装が護身用の鈍器1本だけであり、完全に戦闘行動を捨てている

 

作業専用ISのため他のISと違い、ISスーツを着る必要が無く、服装そのままで腰部あたりに展開される

 

ナノマテリアルを用いた応急修理が出来る他、通常の整備や修理、改修作業も出来る

 

バススロットがスカスカなので前もって大量のパーツ等を格納する事も可能であり、かなり便利

 

ただし完全に戦闘行動を捨てている為、他のISに比べて足は遅い

 

 

 

 

 

 

 

機体名*打鉄 改

 

世代*試作第3世代型IS

 

待機形態*ブレスレット

 

外見*打鉄

 

武装*

 

◯打鉄標準装備一式

 

近接ブレード・葵、アサルトライフル・焔備、対物シールド

 

◯機動強化ユニット (ほむら)

 

機動力強化の為に追加でマルチスラスターと30連装マルチマイクロミサイルコンテナが一体化したバックパックユニット

 

焔 自身の推進用のエネルギーは完全に 焔 側に搭載されているのでユニット換装でエネルギー補給も可能

 

イメージはザクウォーリアのブレイズウィザード

 

 

◯砲撃強化ユニット 雑賀(さいか)

 

元々防御型の打鉄の防御を生かして砲撃戦を主にした砲撃強化ユニット

 

長射程ビーム砲 鳳仙花を1つ と、鳳仙花用のエネルギーパックがセットになっている

 

鳳仙花は、火力と連射性のバランスが取れている

 

イメージはザクウォーリアのガナーウィザード

 

◯近接戦強化ユニット 雷切

 

ビームガトリング砲・弟切草 2門と大型戦斧・菖蒲(あやめ)、小型マルチスラスターにより近接戦強化をしたユニット

 

弟切草は小口径で反動が少ない代わりに倒しきる程の威力を出せない為、牽制や迎撃に用いる。命中精度も弾をばら撒くガトリング砲故にお察し

 

イメージはザクウォーリアのスラッシュウィザード

 

単一仕様*未定

 

備考*

 

八月一日 の専用機

 

第2世代型IS 打鉄の防御型と言う特性を引き継ぎ、第2世代では追加パッケージ等をインストールする作業が有ったが、それを無くす為にユニット化しピットで換装出来る様にした試作機

 

本体とユニットの動力が完全に別になっているのが特徴で、場面に応じてユニットを選択する事で汎用性が高くなっている

 

また量産機がベースな為、比較的整備が簡単になっている

 

ユニット換装には明石を除いて専用の設備が必要ではあるが、試合ぐらいなら問題は無い

 

比較的余裕のあるバススロットには観測機器などが入っているが、まだ余裕がある

 

 

 






とりあえず暫定的な設定です




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新しい朝が来た

 

 

アレから部屋に帰って部活一覧を見て模型部の存在と部室の位置を確認して お風呂に入ってから眠った

 

そんな訳で学園生活2日目を迎える

 

私は髪が長めなので寝癖を直すついでに朝にシャワーを浴びるのが日課になっているので簪を起こさない様に起きてシャワーを浴びてしっかり髪を乾かして浴室から出ると簪は起きているが寝惚けているのかベッドに座った状態でボーっとしていた

 

それを横目で見ながら身支度をしていると簪はメガネをベッドのサイドテーブルに置いたまま洗面台に向かい身支度を始めた

 

 

「簪? メガネを掛けなくて鏡、見えるの? 」

 

それを見て、少し気になったので尋ねてみると

 

「ん? あぁ私は別に目が悪い訳じゃないの、あのメガネはIS整備とかで使うメガネ型のデバイス、どこでも作業出来るから便利で ずっとつけたままにしてるだけ」

 

簪は洗面台で自分の髪をブラシですきながら私の質問に答える

 

「へぇ、そうなんだ」

 

束さんも私も作業用ISを使っているから気にしてなかったけど、普通はISの情報を見るデバイスが必要なのは当たり前

 

流石に専用の工具を使うけどね

 

それから身支度を終え朝食を食べて、簪と途中まで一緒に登校する

 

そんなこんな教室に入ると既に箒が登校していて文庫本を読んでいた、絵になるな、うん

 

そんな事を考えつつ自席に通学鞄から教科書を移し箒に話掛けようと思い席を立った瞬間

 

「織斑、話が有る。来てくれ」

 

と姉が何か神妙な表情をして教室に入ってきて私を呼び出すので首を傾げつつ姉について行き生徒指導室へ入り

 

「少し面倒な事が起こった」

 

と姉は本当に面倒くさそうな表情をして言い

 

「今朝、八月一日の専用機が届いたが少し面倒な仕様で、ユニット換装仕様らしい。専用の設備が必要なんだが手違いで工期がズレてしまった為、お前に白羽の矢が立ってしまった。入学時に明石は学園に登録されているからな」

 

要は私に 八月一日 君の機体換装をやれ、と言えと学園上層部・・・いや政府辺りに言われた様だ

 

まだ少し男性恐怖症気味だが、多分 八月一日 君は悪い人ではないだろうし、ぜひオルコットさんに痛い目を見せて欲しいので

 

「分かりました、やります。資料貰えますか? 」

 

と私が言うと姉は少し心配そうな表情をし

 

「助かるが、無理はするなよ? 人数を確保すれば お前でなくても出来なくは無い筈だ」

 

姉は そう言い教師の顔では無く妹を心配する姉の顔で言う

 

「大丈夫だよ姉さん、なんとなくだけど・・・彼は大丈夫な気がするんだ」

 

そう言うと姉は教師の顔になり

 

「わかった、仕様書などの資料は後程、纏めた物を用意しておく」

 

 

「ありがとうございます」

 

そんな訳で形はどうであれ、実機を触れる口実が出来たのは素直に喜ばしいので少しワクワクしながら教室へ戻りSHRを受ける

 

 

SHRで模擬戦の日時が申し伝えられ、八月一日 君 に専用機が届いた事が伝えられる、私の専門は整備関連だけど彼よりはISに触れている時間は長い、無理のない範囲でアドバイスをする事にしよう

 

いざとなれば4組にいる簪にヘルプをお願いしよう、ん? のほほんさん の幼馴染も4組にいるって言ってた様な? まぁたまたまかな、うん

 

そんな感じでSHRが終わり、少し緊張しながら八月一日 君の方へ向き

 

 

「ほ、八月一日 君、君の専用機の整備や換装を私が任されたんだ。よろしくね? 」

 

少し緊張で頭がクラクラしているが何とか言葉を絞り出して言うと

 

「あ、うん。よろしく織斑さん」

 

と八月一日 君は返答してくる

 

「受領は昼休みだったよね? 先に仕様書とか資料は貰ったかな? 」

 

次第に緊張より実機に触れるワクワクが勝り始めて私は彼に尋ねる、すると

 

「貰ったよ、最初のページからチンプンカンプンだったけど、見る? 」

 

そう苦笑して彼は茶色のファイルを私に見せ、尋ねてくる

 

「是非、整備や調整、換装をするのに仕様を知っておかないとね? 少し借りるね? 」

 

彼からファイルを受け取り軽く目を通す

 

機体名は打鉄 改、バックパックをユニット化し換装する事で防御型の打鉄の特性を生かしつつ汎用性を上げている、と

 

ユニットの部分は別として、本体自体は打鉄と基本構造は変わらない様なので、私でも修理・改修は ある程度可能そうだ

 

流石にオーバーホールとかになると私1人では無理が有るだろうが

 

とりあえずファイルの中身を一通り目を通して

 

「だいたい分かったかな? ユニットは別として本体だけなら何とか出来そう、ユニットの換装作業についても問題は無いかな? あとは実際にやりながらじゃないと分からない所だね」

 

ファイルを彼に返し言うと、彼は驚いた表情をして

 

「織斑さん、凄いな。俺はサッパリだったのに」

 

と言う、そりゃ予備知識も何も無い状態で読んで理解出来る物じゃない、だって仕様書だし

 

「いやぁ予備知識が無い状態なら仕方ないと思うよ? 八月一日 君、それに私は凄くないよ、師匠が教えるのが上手かっただけ」

 

まぁ、その師匠はISの産みの親であり、IS技術の最先端を常に行く人な訳だけどね?

 

とりあえず彼と仲良くなれたみたいだ、良かった

 

多分 短くない付き合いになるだろうから、ある程度は信頼関係を築いておかなければ

 

とはいえ操縦面でアドバイスなんて殆ど出来ないから、誰かにお願いしないとなぁ

 

 

 






模型部まで書くつもりが溢れました、すみません


次回に繰り越しにします



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模型部訪問

 

 

あれからオルコットさんが何故か上から目線で煽りに来たりしたが、特に問題は起こらずに昼休みになり八月一日 君を見送り姉から貰った資料を片手に購買に行って片手間で食べられる物を買い、人気の少ない屋上の東屋で資料を読みながら食事をする

 

特にユニット換装の手順を念入りに読み理解を深める、じゃないと八月一日 君が怪我をしたり試合中に事故が起こる可能性が出てくるからだ

 

「・・・これを作った人はガンダム好きな人だな、絶対」

 

ユニット名や武装名は和名になってあたるが、形状や特性を見て間違いなく影響を受けているのが分かる

 

 

それは逆に言えば、ISの技術を流用すればMSが作れる可能性が有ると言う事でもある、まぁISの方が小回りが利くから優位なのは間違いないだろうけど

 

そんなわけで隅から隅まで隈なく読み、あとは実機を直接確認すれば大丈夫な状態にしておく

 

「さて、専用の設備は いつ設置が終わるかな・・・ん? 待てよ? 」

 

 

専用の設備が必要で設置工事が行われる訳だけど、アリーナ全部のピットに設置工事をする・・・訳は無い、多分一箇所だけだろう。何せ私がいるし、明石が有る

 

つまり下手しなくても、彼のサポート要員に組み込まれつつあるって事だろう

 

「・・・もし そうならバイト代でないかな? 」

 

実は衝動買いで少しやらかしてしまったのでバイトをしたい所なのだが、IS学園は全寮制 故に簡単にはバイトが出来ない

 

とはいえ、しばらく趣味を買い控えれば大丈夫では有るし あまり気にしない事にしよう

 

ちなみに衝動買いしたモノは流石に寮へ持って来れないし場所も無いので実家の自室に置いてある

 

そんなこんなで昼休みを過ごし5時間目、6時間目を受けて放課後になる

 

「八月一日、今日は専用機のフィッティングとパーソナライズ、ファーストシフトをする、場所は第2アリーナだ。織斑、換装などのテストは明日以降になる、頼むぞ」

 

姉の指示を受けて返事をすると、頷いて山田先生と教室を後にしていく、それを見送り

 

「一応 資料には一通り目を通しておいたよ、だから今日も頑張って 八月一日 君 」

 

と自分なりに彼を応援すると

 

「ありがとう織斑さん、また明日」

 

彼は そう言って通学鞄を持って教室を出て行った

 

とりあえず明日の放課後は換装作業の確認とかになるのかな?いやぁ楽みだな

 

とか考え帰り支度をして模型部を覗きに行く事にした

 

学園の簡易地図を見ながら模型部の部室を目指す訳だが、この学園は やたら広い

 

まぁ生徒数も それなりに多いし扱っているモノがモノだから仕方ないと思いはするが

 

そんな訳で道に迷いそうになりながら模型部の部室へ たどり着き、ノックをしてから扉を開け

 

「失礼します」

 

最低限の挨拶をして中を見ると部室は かなり広く壁際には様々なプラモデルが並びISの縮尺された模型も飾ってある

 

残念ながら誰も部室には居なかったので飾ってあるプラモデルを見る事にした

 

「あれ?これって・・・」

 

なんか見覚えのあるガンプラの前に立って、何処で見たかを思い出そうとする

 

割と最近だったはず、と自分の記憶を探り

 

「あ、そうだ。去年辺りに出たコンテストの時だ、優勝作品が此処にあるって事は・・・」

 

そこまで独り言を呟いた瞬間、扉が開き

 

「あれ?知らん子がいる、あぁ1年の子か・・・見学? こう言ったらアレだけど正直 ウチの部は集まり悪いよ? かなり、ね」

 

黒髪でボブカットな先輩が私に言う、集まりが悪い理由は何となく察しがつく、部室以外でも それこそ寮の部屋でも作れるからだ、現に私は昨日作ったし

 

「ははは・・・何となく理由は分かります、あの・・・これを作った方は? 」

 

苦笑して先輩に言い、優勝作品を指し尋ねる

 

「ん? あぁソレ? 私」

 

と答えながら私の横まで来て

 

「あの時の3位の子か、なるほどね。確か・・・織斑 一夏、だっけ? 」

 

先輩は 私を知っていた様で そう尋ねてくる

 

「はい、合ってます」

 

「そっかそっか、これはライバルが増えて張り合いが出て来たなぁ〜 あ、私は八坂 美緒、一応 部長って事になってる。よろしくね? 」

 

と八坂先輩は嬉しそうに自己紹介をしてくれたので

 

「えっと、入部するには? 」

 

こうゆうのは入部届けとかが必要だろうと尋ねると

 

「あぁ、はいはい。ちょっと待ってねぇ・・・はい」

 

なんか書類棚みたいな場所から入部届けを取り出して渡してくれたので受け取り、ささっと記入して八坂先輩に渡す

 

「あとで顧問に提出しとくね? まぁ部員も幽霊ばっかだから顧問も幽霊だけどね? 」

 

と八坂先輩はコロコロ笑う、なんとも皮肉めいた事だなぁと感じつつ愛想笑いをしておき

 

「模型部って何人ぐらいいるんですか? 」

 

「貴女含まずだと10人かな? 私も毎日部室に来る訳じゃないからねぇ、ほら実機を整備する自主練とかに行く事も有るし」

 

私の質問に八坂先輩は答える、その質問を聞き あ、この人は私と同種の人間だと認識する

 

つまり競技者志望ではなく、整備士志望で恐らくある程度の技術を持っている筈

 

よし、八月一日 君の整備関係で人手が必要になったら八坂先輩に声を掛けてみよう

 

ガンプラを見る限り、腕は間違い無いだろう、多分

 

 






やっと模型部まで書けました


さて、次はどうしようか


私ちゃんと、いちかわいい 出来てますかね?


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逃げる生徒会長

 

 

 

アレから八坂先輩とビルダーとして話に花を咲かせて、先輩が3年生で整備科に所属している事が分かった

 

とりあえず色々と情報を得れたのは良かったと思う

 

そんな訳で部室を後にして寮への帰る途中で水色の髪の少女を見つけ声を掛けようとして違和感を感じ思いとどまり観察する

 

 

水色の肩に掛かるギリギリぐらいの長さで外向きの癖がある髪、身長が推定160前後・・・うん、簪に似てるけど簪じゃないな この人

 

 

と自分の中で結論を出して一度ソックリさんから何となく遠くを見て正面を向くとソックリさんが私の目の前に微笑んで立っていた

 

おかしい、10mぐらい距離が有った筈なんだけど!?

 

と私が混乱していると

 

「こんにちは・・・いえ、もう こんばんは かしら? 初めまして、一夏ちゃん? 」

 

混乱する私を知ってか知らずか猫の様な雰囲気を纏い私の名を呼ぶ

 

 

いや、私は貴女を知らないですよ? とか考え記憶を探りつつ彼女を見る

 

ソックリさん、と言うよりは簪のお姉さん、と言った方がしっくりくる気がする

 

「え、えぇっと・・・お名前は? 」

 

やはり記憶に無いので尋ねると

 

「私は更識 楯無、このIS学園の生徒会長をしているわ。まぁそんな肩書きは捨て置いて、貴女に分かりやすい肩書きを言うなら簪ちゃんの姉よ」

 

前半部分までは猫の様な掴み所の無い油断できない人に思えたが、後半で 妹が好き過ぎる お姉ちゃんだと直感で認識した。この人は間違いなくシスコンだ

 

じゃなければIS学園生徒会長の肩書きを捨て置くとか言いださないだろう、多分

 

「その・・・簪の お姉さんが私に何か用でも? 」

 

と恐る恐る尋ねると

 

「簪ちゃんのルームメイトが どんな娘か確かめに来たの、プロフィールは読んで把握しているけれど、こうゆうのは直接会うのが1番だから」

 

と彼女はニコニコしながら答える、恐らく本音を言っているのだろうが、なんと言うか隙だらけの様で微塵も隙がない印象を受けて、少し苦手と感じる

 

とはいえルームメイトの お姉さんを邪険に扱う訳にも行かないので彼女に合わせる事にして

 

「そうですか、実際に会話をしてみてどうですか? 」

 

私は楯無さんに尋ねる

 

「ん〜そうね、貴女の過去は(おおよ)そ把握しているわ、それを踏まえて合格、と言った所かしら? あら、もう行かないと・・・簪ちゃんと仲良くしてあげて? あの子 趣味の合う友達少ないから、じゃぁ」

 

と楯無さんは自分が言いたい事だけ言って瞬きの間にいなくなり、数秒して栗色の髪を三つ編みにしてヘアバンドをつけた眼鏡の先輩が鬼の形相で走ってきて

 

「あの付かぬ事をお聞きしますが、猫の様な生徒会長を見ませんでしたか? 」

 

「え? あ、はい生徒会長なら先程まで此処に居ましたが、瞬きをしてる間にいなくなってました」

 

纏う般若の様な雰囲気に反して歳下である私に丁寧に対応してくれた先輩に、ありのままを伝えると

 

「そうですか、なら まだ近くにいますね。ありがとうございます 」

 

と先輩は走り去って行く、その背中を見送りながらIS学園って色んな人がいるんだなぁと思いつつ寮への帰路を歩き、ふと先程の先輩が のほほんさん に似ていた様な気がする事に気づく

 

なんと言うか多分 お姉さんなんだろうな、多分

 

それから寮の部屋に帰ると既に簪は戻って来ていて机に向かい何か作業をしていたが、一応 声だけ掛けておく

 

「ただいま、簪」

 

「おかえり一夏」

 

声をかけると簪はカタカタとキーボードをタイピングの手を動かしたまま返事をしてくれ

 

「帰り道、変な人に絡まれたんじゃない? 」

 

と言ってくる

 

「あー・・・まぁ」

 

すぐ私は少し返答に困り曖昧に簪へ答えると

 

「・・・やっぱり、姉さんがゴメン。あの人は 少し過保護で」

 

と簪は作業を中断し私に頭を下げてくる

 

「大丈夫だよ、少し話をしただけだから、ね? 」

 

私は簪に頭を上げさせて、簪の様子を見て 今までまも似た様な事が何度も有ったのだろう と察する

 

私にも身近に1人 シスコンを拗らせてしまった人が居るから、なんとなく簪の気持ちが分かる

 

まぁ束さんの場合は、歳も離れているし 束さん自身が人の枠に収まらないから仕方ないのかも知れない、でも箒は束さんを尊敬しつつも悪癖(シスコン)を治して欲しいと言っていたっけ

 

束さんも楯無さんも美人なんだけど、なんか残念な要素がデカイなぁ

 

「えっと、そう確か楯無さんって生徒会長なんだよね? 」

 

「そうだけど、それが? 」

 

話題を変える為に簪に尋ねると彼女は首を傾げ聞き返してきたので

 

「実は楯無さんが急に居なくなって直ぐに、3年の栗色の髪を三つ編みにしてヘアバンドをしていてメガネを掛けた先輩に楯無さんを知らないか? って聞かれてね? 」

 

簪は私の言葉を聞き少し天を仰ぎ見て

 

「多分、それは虚さんかな? 私達の幼馴染で姉さん付きの侍女なんだ」

 

「へぇ、虚さんか」

 

侍女、つまりはメイドだ

 

だから歳下の私にも丁寧な対応をしてくれたのだろう

 

「あ、そういえば1組に虚さんの妹で私達の幼馴染が居るんだよ? 」

 

 

と簪は少し嬉しそうに言う、ここまで来たら 疑いようも無いかも知れない、やはり のほほんさん と簪は幼馴染だろう、多分

 

世界って案外狭いのかも知れない

 





私の中ではアニメの内容をなぞりながら日常描写にチカラを入れて行きたい所存です


ご意見、ご感想、お待ちしております



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試運転

 

 

 

 

また一つ簪の事を知った翌日、八月一日 君とオルコットさんの試合まで今日を含めて4日となった

 

仮にも代表候補生のオルコットさんと試合をするには 余りにも時間が少ない、真っ向勝負が望ましいが専用機を受理して2日、時間にして搭乗時間が2〜3時間の八月一日 君には荷が重すぎる

 

かと言って、奇策を考えるにしても それを実現できる実力が彼に有るのかは未知数だ

 

圧倒的に優位の敵に勝てるのは、相手が非現実的にまで慢心しきっている場合か、フィクションの中だけだろう

 

「では織斑、作業を始めてくれ。最初は 焔 からだな」

 

「はい、八月一日 君、動かないでね? 」

 

「りょ、了解」

 

放課後、私達はピットで八月一日 君のバックパックユニットの試運転と換装のテストを行なっている

 

姉の指示に従い、私は自分の専用機 明石 を展開して、機動強化ユニット 焔 を専用コンテナから量子解凍し明石のクレーンで吊り上げて彼の纏う打鉄 改に慎重に接続させる

 

「ある程度まで近付いたら自動で誘導して適正位置になるのか、興味深いなぁ」

 

空間投影された情報を確認しながらフックを外して呟いてクレーンを格納し、彼の横に回り込み対物シールド裏のマガジンを確認して

 

「異常無し、織斑先生、終わりました」

 

「ご苦労、では八月一日、試運転の相手で山田先生がアリーナに居る、胸を借りてこい。ただ試運転で有る事を忘れて熱くなるなよ? 」

 

「はい」

 

私の言葉を聞き姉が八月一日 君に指示を出して彼は短く返事をしてカタパルトに乗って出撃して行く

 

その背中を見送り、私は次のユニットの準備を始めようとして、ふと姉を見てみると、少しだけ渋い表情をしていたが、今は教師として此処にいる姉に何も言わずに専用コンテナの支度を始めると

 

「・・・一夏、今 八月一日 が居ないから お前にだけ言っておく例の専用設備は一ヶ所だけに設置する事になった、まぁそれ自体は予想していたが、どうも国の上層部に変な思惑がある派閥があるらしい。厄介な事に、その派閥が今IS学園に圧力を掛けて お前に打鉄 改の専属整備士をさせろと要求してきた」

 

敢えて姉に背中を向けた状態で作業をしていると、姉は静かに話始め 私は その派閥の思惑について疑問に感じる

 

変な思惑とは何だろう? 私としては夢の為に経験が積めるのは有難い事だ、だが姉の表情を見る限り そんな簡単な話では無いのだろう と思い

 

「思惑って? 」

 

言い辛そうな思惑の事について尋ねてみると、姉は更に渋い表情になり

 

「・・・お前と八月一日が交際を経て在学中に子を成す事だ」

 

「はぁ?! 」

 

姉の言葉に思わず大きな声を出してしまい、姉の方へ向き

 

「いやいやいや、いくらなんでも飛躍し過ぎじゃないかな? そりゃ高校生の何%かは、そうゆう事になっちゃう人がいるけど、さ? 」

 

あまりの衝撃に姉へ身内の言葉使いで言うと、姉は頭が痛そうにしながら

 

「私も阿呆な奴等だと思うが、事実なんだ」

 

これまで見た事の無い程、頭が痛そうな姉の言葉に軽く阿呆共へ殺意が湧いたが飲み込み

 

「・・・やり辛いなぁ」

 

元男児な私が異性(おとこ)に恋愛感情を抱けるのかも分からないし、軽く男性恐怖症を抱えている

 

確かに 八月一日 君は出会って日が浅いが比較的スムーズに会話が出来ているから友人としてはいいが、彼と交際出来るか? と聞かれたら、分からない と言うのが本音だし、上層部の思惑なんて知らないしクソ喰らえ と思う

 

「とりあえず気をつけろ、学園内に派閥関係者が紛れ込んで居ない保証は無いし、学園の外は更に分からん。まぁ気休めになるが専属整備士として それなりに報酬が支払われるぞ? 」

 

本当に気休めにしかならない事を言う姉を少しだけ睨んでから再び背を向けて作業に戻り

 

「はぁ・・・バイト代は欲しかったけど、なんだかなぁ喜べないなぁ」

 

軽く憂鬱な気分になりつつ呟くと、姉が私の頭を撫でる

 

「ま、上層部の思惑なんて知らんしクソ喰らえだ。お前は お前のしたい事をしろ、それに最終手段になるが束に始末させれば大丈夫だろう。対価に何を要求されるか分からんがな」

 

と良い事を言ったと思ったら不穏な事を言い笑う、恐らく最終手段で束さんに色々と片付けさせるつもりだろう。間違いなく束さんなら証拠も残さずに完遂出来るのを私は知っている

 

「さて、そろそろ八月一日も戻ってくるな・・・次は雑賀の試運転だ、問題は? 」

 

姉は教師スイッチを入れ直して私に尋ねてくる

 

「データを見る限りは異常無し、あとは換装後の状態を確認すれば大丈夫です織斑先生」

 

姉は私の言葉に頷き、アリーナの方を向き

 

「ご苦労 八月一日、織斑 作業を始めてくれ」

 

「はい」

 

丁度戻って来た八月一日を労い、私に指示をだす

 

私は短く返事をして彼を作業区域に誘導してクレーンを展開して 焔へフックを掛けて外し専用コンテナへ入れフックを外して量子変換して雑賀を打鉄 改を装備させ、パラメーターや様々な情報に目を通して異常がないか確認し

 

「よし、全て異常無しです。織斑先生」

 

「よし、八月一日、連戦だが頑張れ。これが終われば少し休憩を入れよう」

 

「分かりました」

 

私の言葉に姉は頷き八月一日 君に指示を出し彼は短く返事をして再び出撃してゆく

 

 

とりあえずバイト代が入るなら趣味への出費も怖くないし、八月一日 君をガンプラ作りに誘うのも良いかも知れない

 

彼も何か気晴らしが有った方が良いだろうし?

 

 






束さん万能説←

そして一夏ちゃんは考えるのをやめたのだった



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八月一日 薫 の 憂鬱

 

 

俺の名前は 八月一日 薫、世界初の男性IS適合者と言う点を除けば難読名字を背負った何処にでもいる男子学生だ

 

今でも何故自分が、と思うが思った所で現実は変わらない事を俺は学び自覚している

 

さて何故、俺がIS学園へ来たかと言えば、受験会場の下見をしに行った時、道に迷って彷徨っていたら たまたまIS学園の受験会場の前を通り掛かりトラックから打鉄の搬入作業をしている人がいたので道を聞こうと歩みよって道を尋ねて教えて貰い お礼を言って去ろうとして、偶然 打鉄に手が当たってしまって、気付けば俺は打鉄を纏い呆然としていた

 

正直、何が起こったか分からなかった、搬入作業をしていた作業員の人も呆然としていたから、俺と同じ様な気持ちだったと思う

 

それから気付けば俺はISの研究施設の一室にいて、国のお偉いさんと向き合って話しをしていた

 

そこで話した内容は あまり覚えていないので纏めると

 

①俺は世界初の男性IS適合者と判明した

 

②他の男性も搭乗出来る様に色々、協力して欲しい

 

③安全の為にIS学園に入学してもらう

 

④生活に必要なお金は毎月定額支給する

 

といった感じだろうか?

 

お偉いさんは一応 拒否権も有るがオススメしないと言っていたので、実施 拒否権が無いと思い了承する

 

研究施設で入学するまで過ごした訳だが、非人道的な扱いはされずに至って普通の扱いをしてくれた

 

と言うか、良い人しか居なかったので居心地は悪くなかった

 

それから3ヶ月ぐらい研究施設で過ごしIS学園に入学したわけだが、正直予想の100倍はしんどい と感じる

 

俺は別に人見知りをする性格でもないが、場違い感が凄い

 

それに加えてニュースなりで俺の存在を知った生徒の好奇の目も突き刺さる

 

小中共学の学校に通っていて女子に免疫が無い訳でもないが、男子1に対し教室内だけでも29、それに加えて廊下にも見物客がいる状況、そんな空間に居て正常な奴は、余程鈍感かトランスジェンダーとかぐらいだろう多分

 

とにかく俺には、かなり しんどい状況なのである

 

そんな状況から現実逃避する為に頭を抱えて様々な事を考える、選択肢が無かったとは言え、俺はやって行けるのか? とか

 

わざわざ普通に教室で授業を受ける必要があるのか? とか

 

そんな答えが出る訳の無い自問自答を繰り返している内に、SHRが始まって居て自己紹介が俺の番まで回って来ていた

 

先生に一言謝ってから自己紹介をすると、数年前に現役引退をした最強のIS搭乗者、織斑 千冬が現れ自己紹介を褒めてくれた

 

それに小さくどうも と言うが隣の娘が

 

「 え、えぇ!? 姉さん!? なんで此処に?! 痛っっ」

 

と割と大きめの声で叫んだおかげで掻き消されたので、織斑 千冬が隣の娘を小突くのを見つつ席に座る

 

なるほど、確かに姉妹と分かる程度には似てるな

 

とか考えつつ、織斑 千冬の自己紹介を聞く。そうでないと、後が怖そうだ

 

 

織斑 千冬 改め 織斑先生の第1印象は出来る女性とか厳しい女上司みたいな印象だった、まぁ俺はつい最近まで普通の中学生だったんだけど

 

でも鋭い目付きだが、その視線には間違いなく優しさが含まれている様な気がする

 

それから1時間目と2時間目を受けて分かったこと、俺には基礎知識が皆無って事、山田先生と織斑先生が放課後に補習してくれるので何とかなる筈だ、多分

 

2時間目が終わり、精神的疲労で机に突っ伏していると、声を掛けられて顔を上げると金髪ロールの如何にもお嬢様なクラスメイト オルコットが立っていて絡んできた

 

やたら上から目線で俺を見下してくるが、ISが登場してから増えた輩だ、特に珍しくもないから聞き流していると、隣の娘・・・織斑さん(仮)がオルコットを追い払ってくれたので お礼を言うと何故か焦った様な感じで返答されてしまった

 

 

それから3時間目になってクラス代表と言う名のクラス委員長を決める事になったのだが、自薦がいなくて何でか俺が推薦されてしまう

 

本音を言えば、面倒くさいからやりたくないが、断れる雰囲気でもないので諦めていると、オルコットがよく分からないが怒り心頭で立ち上がり謎の演説を始める

 

その演説の九割九分聞き流していると、織斑さんが机に拳を叩きつけ立ち上がって見た目から想像出来ない程のドスの効いた声でオルコットに苦言を呈す

 

それを見て、あぁ この娘は 織斑先生の妹なんだなぁと勝手に納得する

 

 

それから何でか俺はオルコットとクラス委員長の座を掛けて模擬戦をする事になってしまった

 

普通なら勝てる訳が無い勝負だが、勝てる可能性がゼロでは無いのでどうにかしてみよう

 

それに負けた所で俺は痛くも痒くもないし?

 

ま、俺が負けるにしても、それなりに頑張らないとオルコットも面白くないだろうからな

 

 

 

 






次回に続くですだ



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八月一日 薫 の 決意

 

 

 

何かと濃ゆい1日を経験して寮の1人部屋に戻ってきて直ぐにベッドに倒れ込みグッタリする

 

学園生活1日目が漸く終わろうとしている、そうまだ1日目だ

 

慣れれば多少はマシになると思うが、こんな事が残り約3年残っているのだから気が滅入る と愚痴を言った所で状況が変わる訳でもない

 

 

ひとまず模擬戦に向けてヤル気は有る、だが身体が気持ちについて行けていない様で倒れ込んだまま身動きが取れないまま睡魔に負けて寝てしまった

 

翌朝、毎日定時になる様に設定したアラームにより目を覚まして朝風呂を浴びて気持ちをリセットして身支度をしていると扉がノックされたので返事をして扉を開けると山田先生が立っていた

 

「あ、八月一日 君 まだ居て良かった。八月一日 君の専用機が届いたので昼休みに受け取りに来て下さいね? これが資料です、空いた時間で少し目を通しておいて下さい」

 

「分かりました」

 

なんとも都合の良いタイミングで専用機が来てくれたもんだ、とか考えつつ山田先生の背中を見送り身支度を完了させてから部屋を後にする

 

校舎に入って教室に向かう道中で織斑先生と織斑さんとすれ違い、なんか面倒事か?とか思いつつ教室を目指す

 

教室に入ると昨日とは違いクラスメイトが話し掛けてくれたので軽く受け答えしたりして予鈴が鳴るまで過ごし本鈴と共にSHRが始まって、模擬戦の日時と俺に専用機が届いた事が伝えられる

 

SHRが終わり織斑さんが俺の整備を任されたらしく話掛けてきてくれたので色々と話し、彼女は凄いな、と感じる

 

専用機・・・打鉄 改の仕様書をパラっと読んだだけで大凡の事を把握してしまった

 

俺には真似できない事なので素直に賞賛すると、何処からかオルコットが現れて

 

「専用機が来て安心しましたわ、練習機では あまりに差があって言い訳にされても困りますし」

 

と煽ってくる、コイツ頭大丈夫か?

 

確かに俺とオルコットでは経験の差が有る、だが慢心すれば足元をすくわれるのが世の常、素人でもラッキーパンチが有るかも知れないのだから

 

「わざわざ それを言う為に来たの? 悪いけど俺は今、織斑さんと意見交換してるから、そうゆうのは後にしてくれるか? 」

 

軽く呆れながら言うと、顔を真っ赤にして怒りながらオルコットは去って行く

。その背中を見送ると丁度 授業が始まる

 

 

それから4時間目まで特に問題も無く終わり専用機を受領する為に織斑先生と共にアリーナのピットへ向かい、専用機を受領して 購買で適当なパンを買って寮の部屋に戻りテレビを見ながら昼飯を食べる、昼ぐらい1人になっても良いだろ?

 

それから放課後に織斑先生と山田先生の指導の元、パーソナライズとフォーマット、ファーストシフトを終わらせる

 

その翌日には織斑さんの協力の元、バックパックユニットの慣らしと換装作業のテストを行う

 

バックパックユニット無しの状態を先に経験したお陰で違いがよく分かって良かった

 

特に、機動強化ユニット 焔はかなり汎用性が高いと感じたので使用率が一番高くなりそうだ

 

それから織斑さんが集めてくれたオルコットの情報を基に対オルコットの戦術を織斑さんと意見交換しながら錬る

 

とりあえず何処から情報を得たかが気になり、さり気なく聞いてみたら、はぐらかされたので、恐らく合法じゃ無いんだろう多分

 

と、まぁ戦術と言ったが経験の差を埋める事は難しい、小細工とオルコットの弱点に漬け込むしかない、という事になり

 

織斑さん、布仏さん、ほか 有志の協力の元 対オルコット戦に備えて訓練を続け1週間があっという間に過ぎていった

 

そして来てしまった模擬戦当日、俺はピットで打鉄 改を纏い、織斑さんに焔を打鉄 改に接続して貰っている

 

今の俺は1週間前の俺とは違い、オルコットに勝つつもりている。この1週間で織斑先生と山田先生を始めとした織斑さんやクラスメイトの有志にお世話になった

 

全てはオルコットに勝つ為の努力をしてきた、もちろん勝利出来る可能性 自体は決して高くない、むしろ負ける可能性の方が高い

 

それでも俺はオルコットに勝ちたいと思っている、その先に面倒な事が待っていても それは今更だし些細な事だと思える

 

 

「八月一日 君、焔の接続 問題なく終わったよ」

 

「ありがとう織斑さん」

 

少し特別なISで制服のまま腰部辺りにISのアンロックユニットが浮いている織斑さんに作業が終わった事を告げられ お礼を言う

 

「気にしないで? いよいよ本番だね? 」

 

対物シールド裏の替えマガジンをチェックしながら織斑さんは言う

 

「そうだね、1週間前なら勝てる可能性は0.1%ぐらいだったけと、今なら5%ぐらいには上がったと思うし、一泡吹かせてくるよ」

 

俺はワザとふざけた調子で言うと織斑さんはクスリと笑い

 

「ふふ、痛いのブチ食らわせてやれってね? 頑張って 八月一日 君、君の勝利を願っているよ」

 

「ありがと、頑張ってみるよ」

 

俺はカタパルトへ進み脚部を接続する

 

 

まっすぐ前を向いて、オルコットとの模擬戦へ意識を集中させる、背中に期待を背負っているんだ、タダでは負けられない

 

 

 






また次回に続くですだ



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八月一日 薫の戦闘

 

 

 

 

真っ直ぐ前を向き深呼吸して身体を前に軽く倒すとカタパルトが作動してピットからアリーナに吐き出され、落ち着いて姿勢制御を行い停止位置で滞空して少し上空にいるオルコットを見上げる

 

「待っていましたわよ、八月一日さん」

 

すでに自身の得物 レーザーライフルを展開して余裕に満ちた表情で俺を見下ろしオルコットは言う

 

「そいつはどーも、遅刻してないからセーフだろ?」

 

俺はアサルトライフルの焔備(ほむらび)を展開し返答すると

 

「そちらの意味ではありませんわ・・・まぁいいでしょう、提案がありますの」

 

俺の返答が気に入らなかったのかオルコットは軽くイラッとした表情をしてから、明らかに見下した目をして言う

 

「この模擬戦、代表候補生の(わたくし)と貴方では力の差は歴然、今日までの非礼を詫び、棄権して在学中 私の小間使いをするので有れば許して差し上げます。私も鬼ではありません、貴方に選択させて差し上げますわ、ボロ雑巾になるか、私に使われる喜びを得るか、を」

 

となんか自信満々に頭がおかしい事を言い出した

 

約1週間前に俺自身が言った、特に珍しくない輩 と言う言葉を撤回させてくれ、コイツはヤベー奴だ、マジで

 

と言うか怒りとかより呆れてしまうレベルだし、クラスメイトじゃなかったら関わりたくない、割と本気で

 

「断る、俺に協力してくれた人達に悪いしな。それに・・・勝つのは俺だ」

 

俺はオルコットに告げ焔備を構え銃口をオルコットへ向ける

 

「・・・そうですか、ならお望み通りボロ雑巾にして差し上げますわ!」

 

オルコットは不機嫌そうに言いレーザーライフルを構え銃口を向けてきた瞬間、試合開始のブザーが鳴り、俺は後退しながら対物シールドを前に出しオルコットの初劇を防ぎ、距離を開けてつつ対物シールドの隙間から焔備で牽制射をする

 

すると織斑さんの読み通りオルコットは距離を詰めて来ず、逆に俺から距離を取って行く

 

オルコットの戦闘スタイルは中遠距離からの射撃、主武装はレーザーライフルを使用し、サブにレーザービットとミサイルビットを使用する、近接用にナイフがあるらしいが使用例は無いらしい

 

「・・・ここまでは織斑さんの読み通り、と」

 

俺は織斑さんの作戦に従い地面に足を着けてオルコットから目を離さない様にしながら弾切れになった焔備をリロードする

 

ある程度の距離が取り、地面に足を着け焔備のリロードも終わったので作戦を次の段階へ移行する

 

俺は焔備をフルオートで掃射しオルコットを牽制してレーザーライフルを撃てなくさせてから焔に装備されている織斑さん製作のマイクロミサイルをフルバーストで放つ

 

「数が多くても私には当たりませんわよ!! 」

 

俺を嘲笑い、オルコットは正確にマイクロミサイルを的確に撃ち落とし、アリーナ内を白い煙が覆って行く、織斑さんの狙い通りに

 

そう、白く僅かに煌めく粒子が混じった煙がアリーナに充満している

 

「隙だらけですわよ? 」

 

フルバーストで隙の出来た俺へオルコットはレーザーライフルの引き金を引く、撃ち出されたレーザーは俺に直撃する前に減衰し届かなかった

 

「え?なぜ・・・そんな、ありえ・・・何でアンチレーザースモーク何て用意出来るのですか!! 」

 

オルコットは代表候補生であり、自身の得物の特性を理解しているだけあって直ぐにタネに気付き叫ぶ

 

「答えるわけ無いだろ? 此処からが本番だ」

 

俺は焔備をリロードしながら言い、焔備でミサイルビットへ照準を合わせながら銃撃しつつオルコットと距離を詰める

 

もちろんオルコットはレーザーライフルを撃ってくるが俺に届く前に減衰して届かないか、直撃しても大した威力じゃなかった

 

 

これが俺がオルコットに勝てる作戦だ、織斑さんが味方になってくれなかったら、オルコットの専用機 ブルーティアーズの情報なんて分からなかったし、アンチレーザースモークなんて代物の存在も知らなかった

 

オルコットの反応を見るに、アンチレーザースモークは簡単には用意出来る物じゃないんだな、知らなかった

 

織斑さん、1セット30発を3グロスぐらい焔にインストールしてくれたけど、よくよく考えたら何処から持ってきたんだろう?

 

とか考えつつ要所要所でマイクロミサイルをぶっ放してアンチレーザースモークを足してオルコットのレーザーを封じる

 

今、オルコットに出来る攻撃手段はナイフによる格闘戦かミサイルビットによる砲撃、どちらにしろ分は悪いんだろうけど

 

何せ打鉄 改は防御型だから硬いし、ミサイルビットを警戒して執拗にミサイルビットを狙って撃ち続けている

 

しかも焔備の弾はビーム兵器でもレーザー兵器でも無い実体弾だ、アンチレーザースモークの中でも減衰しないし、消耗戦前提で弾薬を積んでいて対物シールドや装甲には対レーザー蒸散塗膜加工までされている

 

 

それから1時間以上、撃ち続けてジワジワとオルコットのシールドエネルギーを削り鮮やかな勝利とは言えない勝ち方で俺はオルコットに勝利した

 

 

 






まんしん、だめ、ぜったい





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織斑 一夏ちゃん の 愉悦

 

 

 

オルコットさんと八月一日 君 の模擬戦を私は姉と共に管制室で見ている

 

そして私が予想した通りに事が進む

 

オルコットさんとは1週間に満たない付き合いだが、彼女が彼を見下し油断しきっている事は言うまでもない

 

それに加え、自分は代表候補生と言うプライドがあるから尚更 素人である八月一日 君に負ける訳が無いと思い込んでいる

 

私が八月一日 君に教えた事は 一定距離で戦う事、マイクロミサイルを定期的に撃つ事、絶対にオルコットさんから目を離さない事、出来る限り対物シールドを使う事、それだけ

 

彼女の性格と機体情報は分かっても彼女が格闘戦ができるか迄は分からなかったので、八月一日 君にはオルコットさん が格闘戦が出来ない前提で作戦を伝えておいた

 

ちなみにレーザーを曲げたり操作するフレキシブルと言う技術があるが、アンチレーザースモーク内では曲げようが操ろうが関係無いので、八月一日 君には存在すら伝えていない

 

 

そんな事を考えつつ模擬戦の様子を見ていて、流石に追い詰め過ぎたか? と少しだけ反省する

 

自慢のレーザー攻撃をほぼ無力化された上に、ミサイルビットを使うには集中力が必要、ミサイルはレーザー程の弾速は出ない、しかしミサイルビットを八月一日 君は執拗に狙い下手に撃てば誘爆する可能性が有って簡単には撃てない

 

そして惜しげも無くアンチレーザースモークをパカパカ撃つ八月一日 君を見て焦りと衝撃、絶望が混ざった様な表情をオルコットさんはしている

 

 

確かに万全の状態なら八月一日 君の実力ではオルコットさんに勝てなかった

 

なら補えばいい、相手が慢心しているなら足元を掬えばいい、1人で無理なら仲間を頼ればいい

 

そうして最後は勝てば問題無い、確かに姑息かも知れないし卑怯かも知れない。それでも正面から勝つ為の準備と努力をした、と私は胸を張って言える

 

 

とりあえずオルコットさんに、痛いのブッ食らわせてやれて頬が少し緩むのを姉に見られた様で

 

「・・・織斑、アレを用意したのは お前だろう? どれぐらい用意した? 」

 

軽く呆れた目をした姉が尋ねて来たので

 

「30発1セットとして3グロス程」

 

と何事もない様にサラッと言うと姉が珍しく驚いた目をして

 

「3グロス・・・つまり432セットだな? はぁ・・・流石にやり過ぎだぞ織斑」

 

そう姉は言って溜息を吐く

 

確かに途中から楽しくなって少しやり過ぎたかと思うが、後悔はしていない。だって楽しかったんだから、仕方ない

 

「それにだ、お前 打鉄 改の装甲と対物シールドにも細工してあるな? 幾らレーザーが減衰するとしても、ダメージが少なすぎる」

 

姉が打鉄 改のシールドエネルギーを見て私に問う

 

「はい、対レーザー蒸散塗料で少しだけ。流石に日数が足りなくて完全無効まで加工は出来ませんでした」

 

と言うと姉は再び溜息を吐き

 

「やり過ぎだ、確かにオルコットとの力量の差を埋める為には必要だったかも知れんが、流石にな? 」

 

そう姉は呆れた目をして私に言う

 

「すみません、楽しくなってやっちゃいました」

 

ここでテヘペロ☆としたら姉のアイアンクローかゲンコツを頂戴する事になるので我慢する

 

明石の能力を考えれば難しい作業でも無かったし、そもそも私はビルダーな訳だから、目の前に好きに出来る機体が有ればやりたくなるのは最早本能だ、仕方ない

 

それから軽く姉に説教をされ、山田先生から優しく注意をされ、模擬戦が終わる

 

「では私はピットに戻ります、バックパックユニットを外さないと」

 

そう言い管制室から出てピットに向かう、中に入ると丁度 八月一日 君が戻って来た所だったので停止位置に誘導し

 

「お疲れ様、八月一日 君」

 

明石を展開して焔にフックをかけながら彼を労う

 

「ありがとう、織斑さん。お陰で勝てた」

 

と八月一日 君は嬉しそうに言う、その言葉を聞いて私も嬉しくなる

 

焔を打鉄 改から外し専用コンテナに収め

 

「もう動いて大丈夫だよ」

 

私の言葉に彼は打鉄 改を解除し、こちらを向いて

 

「1週間、ありがとう織斑さん。なんか色々と迷惑かけてしまったよね、ごめん」

 

と彼は少し困った様な表情をしていたので

 

「全然だよ、私も楽しかったし。WIN-WINだよ八月一日 君、それに装甲と対物シールドの加工とかの作業は のほほんさん率いる有志の娘達のお陰だしね? 」

 

私は努めて笑顔で彼へ言う、この1週間 彼は全く笑顔を見せてくれず、常に真剣な表情と困った様な表情ばかりだったので、なんとなく彼には笑顔でいて欲しいと、思うようになっていた

 

「それなら良かった、ホントありがとう織斑さん」

 

そう八月一日 君は私に笑んでくれ、何故か鼓動が早くなった様な感覚を感じ

 

「うぅん、気にしないで? そ、それはそうと・・・その・・・一夏、でいいよ? ほら姉さんが担任だし、ね? 」

 

友達に名前で呼んでと言っているだけなのに、何故なら顔が熱くなってしまう。今日の私は何か変だ と思っていると

 

「う、うん。えっと、一夏さん? でいいのかな? あ、俺も薫でいいから」

 

「うん、分かったよ。薫君」

 

なんとも、ぎごちない会話になってしまった。でも私は彼とまた少し仲良くなれた、そのことは喜ばしい、なんか胸が満たされている様な気がする

 

 

 

やっぱり今日の私は何処か変だ

 

 

 






赤面いれだぞぉー!!←




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セシリア・オルコットの反省

 

 

 

クラス代表を決する為の模擬戦が終わり1人、更衣室のシャワーを浴び私は思いにふける

 

模擬戦で負けた、それも徹底的に、だ

 

負けた事に言い訳など出来ない、模擬戦で負けたと言う事実は変わらないのだから

 

負けた理由、それは単に私が彼を・・・八月一日 薫を見下し、素人だからと碌に情報を収集しなかったのが原因

 

それに彼には優秀な参謀の様な人が居たのだろう、で無ければブルーティアーズの武装情報や特性を理解し、長所を潰しに来れるとは思えない

 

アンチレーザースモークと言う高価で使い所がピンポイントな代物を大量に用意し、使い方を教える事の出来る人物が

 

 

「・・・八月一日 薫 」

 

絶え間なく流れる お湯を見つめながら私は彼の名を呟く

 

今は亡き父と違い、自分の意思と決意を秘める眼をした男性

 

父は母に頭が上がらない人だった、婿養子 故に母を立てていたのかも知れないが、それを差し引いても父は頼りなかった

 

いつも母の顔色を伺ってばかりいた父を見て、私は父を見下す様になっていった、ISが世に出てからは特に

 

だから私は世の男性が全て父と同じと考えていたし、これまで出会った男性は皆 そう だった

 

しかし、例外も存在する と今日知ることが出来た。彼のお陰で自分の未熟さを自覚出来たのだから感謝しなければならない

 

 

決して夫婦仲が良くなかった様に見えた両親が旅行に行き事故死してしまってから今日まで遺産を目当てにすり寄ってきた親戚(ハイエナ)から必死にオルコット家を守るために生きてきた、代表候補になったのも その一貫だった

 

いつの間にか見えなくなっていたモノが彼に敗れた事で再び見える様になった気がしている

 

「貴方には、もっともっと強くなって貰わねば」

 

蛇口を捻りお湯を止め呟く、彼には悪いが彼には私の好敵手になってもらうこにしよう

 

ゆくゆくはモンドグロッソで対戦するのも良いかも知れない

 

そんな事を考えながらシャワー室から出て身支度を整えて更衣室を出ると外は既に茜色に染まっていたので、だいぶ長い時間シャワーを浴びていた様だ

 

 

それから寮へ向かって歩いていると、噴水の淵に金色に光るナニカを置き、カメラで撮影しているクラスメイトを発見してしまう

 

初代世界最強のIS乗り ブリュンヒルデ 織斑 千冬の実妹、織斑 一夏、普段は大人しく温和な雰囲気を纏っているが、怒ると男性の様な口調になる人

 

 

その彼女が何故か金色に輝く人型のナニカを弄っては撮影し、弄っては撮影しを繰り返している

 

流石に無視して通りすぎる訳にもいかないので

 

「御機嫌よう織斑さん、何をしているのですか? 」

 

努めて笑顔で彼女に尋ねると

 

「あ、オルコットさん こんばんは? 次のガンプラのフォトコンテストに出す写真を撮ってたんだ」

 

彼女は黄金に輝く人型のナニカに劣らない輝く笑顔で言う、眩しい

 

しっかりとしていて大人しいイメージだった彼女が無邪気に話す姿は、とても眩しく感じる、私が何処かに置き去りにしてしまったモノの様な気がして直視しづらい

 

「そうですか、ガンプラ・・・か」

 

私は黄金のガンプラに眼を落とし見て呟くと

 

「模擬戦、お疲れ様。オルコットさんは色々と背負ってる顔をしてるね? 」

 

彼女は手袋をした手で黄金のガンプラのポーズ調整をしながら私に言う、その言葉を聞いて、この人は何なんだ? と思う

 

1週間足らずでしかも数回会話した程度で、私が何かを背負っている事を見抜かれた、その事に驚愕してしまい言葉が出ずにいると

 

「ガンプラとか作ってみない? 私が持ち込んだキットが まだ結構な数あるから、分けられるし」

 

彼女はポーズ調整を終え、カメラのシャッターを切りながら言う

 

私は彼女にも失礼な物言いをした筈なのに、彼女は気にする様子も無く私を誘ってくれる、その懐の深さに感謝する

 

「・・・そう、ですわね。ありがとうございます織斑さん、これは何と言う名前なのですか? 」

 

今まで利用価値で選んで来た友人、だが私は初めて損得関係無しに この人と友達になりたい と思えた、だから その一歩として彼女が好きなモノの事を知ろうと黄金のガンプラの事を尋ねる

 

「これは百式って言うんだ、ちゃんと鏡面仕上げにする為に加工もしたんだよ? 」

 

にっこにこ して百式の事を喋り始める彼女を見ていて私に欠けていたモノが満たされて行く様な感覚を覚える

 

もう7割ぐらい彼女の説明が分からないが、彼女が笑顔なら良しとしよう

 

 

とりあえず私もガンプラを始めてみよう、息抜きも必要だ

 

 

 

 






少し短いですが、お許しを


ようこそ沼へ 、 歓迎しよう セシリア・オルコット



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のほほん さん は 動じない

 

 

クラス代表を決める為の模擬戦後、次のクラス代表戦まで余裕が出来た私は噴水に渾身の百式を持って行きガンプラフォトコンテスト用の写真を撮っていると、オルコットさんに声を掛けられたので話をしながら写真を撮る

 

するとオルコットさんに何をしているか尋ねられたのでガンプラについて話をして、オルコットさんにガンプラをオススメしてみると、思いのほか好感触だったので、持ち込んだキットを分けようと思い提案してみる

 

なんか色々と気を張りすぎてる気がしていたし、趣味友は多いと私も嬉しい

 

 

そんな感じでオルコットさんに百式の事を熱く語ってしまい、彼女は内容の半分も理解出来ていない表情をしている事に気付いて、謝ると微笑んで許してくれた

 

それからあっという間に夕陽は沈んでしまったので撮影を終わりにして片付けてオルコットさんと寮へ帰る事になり、道すがら色々と話をして交流を深めた

 

 

なんやかんやで翌日のSHRで模擬戦で勝利した薫君がクラス代表に就任した事が告げられ、オルコットさんが時間を貰いクラスメイトに謝罪をしていてクラスメイトは謝罪を受け入れてオルコットさんを許した

 

オルコットさん、根は真面目で良い人なのを皆んな分かってくれた様で良かった

 

それから何か問題も起こらずに昼休みになり

 

「おりむー ご飯行こ〜、今日こそ しののん を連れて」

 

この1週間でだいぶ仲良くなった のほほんさんの言葉に頷き、私は気配を消して逃げようとしていた箒を確保して のほほんさん の後に続く

 

「くっ・・・離せ一夏、私は1人でいい」

 

軽く抵抗する箒が、そう言うので

 

「ダメだよ箒、人付き合いが苦手なのは知ってるけど、逃げちゃさ」

 

箒を安心させる為に微笑んで言うと諦めた様で大人しくなる

 

それから のほほんさん は4組へ行き

 

「少し待っててぇ」

 

そう言い4組の教室に入って行き、数分も経たずに簪を連れて戻ってきて

 

 

「紹介するねぇ〜、私の幼馴染の かんちゃん」

 

「更識 簪です、苗字はあまり好きでは無いので簪と呼んでください」

 

と のほほんさんに紹介された簪は箒の方を向いて自己紹介する

 

「篠ノ之 箒だ、よろしく頼む」

 

簪に自己紹介された箒も短く自己紹介をしたので

 

「じゃぁ行こっか、早く行かないと4人掛けの席、埋まっちゃうかも知れないし」

 

「そうだね、話は ご飯食べながら」

 

私の言葉に簪が頷き、のほほんさん の背中を押して学食へ歩き始め、私も箒の腕を引きついて行く

 

そんな訳で学食につき、券売機横のメニューを見ながら何を食べるか考えていると

 

「そういえば かんちゃん と おりむー 自己紹介してないよ〜? 」

 

癒し系のオーラを纏い のほほんさん が言い、その様子に癒されいると

 

「本音、私と一夏はルームメイトだからね? 」

 

そう簪は のほほんさん に説明する

 

「おぉ、そうだったのかぁ〜 」

 

なんとも可愛い仕草でリアクションを のほほんさん が取る、うん可愛い

 

「まさか、簪が のほほんさん の幼馴染だったとはね? 偶然ってあるんだね」

 

 

本当は薄々予想をしていた事だが、少し誤魔化して言うと2人は頷く

 

 

「さて・・・何を食べようかな」

 

そう呟いて、再びメニューを見て考える

 

IS学園は多国籍学園だから多種多様のメニューがある、だからこそ少し悩む所だ

 

これでも多忙な姉に代わり織斑家の台所を預かって来た身だ、様々な料理を食べてレパートリーを増やし姉に食べさせてあげたい

 

そう考えていると

 

「そんなに悩むなら、日替わり定食はどうだ? 一夏 」

 

悩む私を見兼ねて箒が提案してきた

 

「そうだね、ありがとう箒」

 

箒に御礼を言って食券を買い列に並び適当な4人掛けの席が空いていたので座り食事を始める

 

ちなみに内容は、私と箒が日替わり定食、簪が天ぷらうどん、のほほんさんが究極のTKG(卵かけご飯)

 

 

「ねぇ〜しののん と おりむー は剣道場で知り合ったの〜? 」

 

TKGを箸でグリグリ混ぜながら のほほんさん が ニコニコしながら尋ねてくる

 

 

「最初は小学校入学した時に同じクラスになったのが最初だな、入学から少しして、千冬さんに連れられて一夏が入門して来て話す様になった・・・だったか? 」

 

のほほんさん の質問に箒は答え、最後に私に振ってきたので

 

「そうそう、その頃 箒はまだ髪短かったっけ」

 

「お前だって、私がイジメっ子3人に囲まれた時、私を助ける為に大立ち回りを演じたじゃないか」

 

私が懐かしんで言うと、箒は私を揶揄うな表情で言う

 

「へぇ〜おりむー は昔から おりむー だったんだねぇ 」

 

と のほほんさん は謎の納得した様な表情で言う

 

「一夏は、昔ヤンチャだったんだね」

 

簪は簪で何か優しい眼差しをしているし、なんだコレ

 

「私は家の事情で引っ越したのだが、約6年の歳月を経て再会して驚いたな少年が美少女に変貌していたのだからな」

 

と箒が言う、その瞬間 それを此処で言うか? と思ったが下手に反応する訳にもいかないので2人の反応を見てみると

 

「ほほぉ〜 おりむー は、昔はヤンチャなボーイッシュな子だったのかぁ〜」

 

 

「織斑先生の喋り方も男の人よりだし、影響受けてたのかな? なんとなく想像出来るかも」

 

 

と2人は良い方向に勘違いをしてくれて良かったが、一応 箒を軽く睨んでおく

 

いつかは2人にも話をする時が来るのかも知れない

 

2人が受け入れてくれるのかは、今は分からない

 

 

でも、2人なら大丈夫な予感はある

 

ひとまず今は、交流を深めよう

 

 

 

 





簪が難しいっす、これで大丈夫ですかね?



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ねーねーズに呼び出され

 

 

 

箒の放り込んだ爆弾が何とか言い意味で勘違いされて何とか処理をした後、昔の話をボカしながら話したり、簪と のほほんさんの思い出話を聞いたりして楽しい昼休みを過ごし、午後の授業を受け放課後になって帰り支度をしていると

 

「おりむー、この後 暇ぁ?」

 

のほほんさんが目の前に立っていて、私に尋ねる

 

「ん〜うん、特には用事も無いけど、どうしたの? 」

 

いくら私でも毎日ガンプラを作っている訳では無いし、用事も予定もなかったので のほほんさん に尋ね返す

 

「良かった〜、お嬢様が おりむー を連れて来てぇーって〜」

 

そう にこ〜 と笑み のほほんさん は言う、可愛い

 

のほほんさん に癒されつつ、お嬢様って誰? と考える。少なくとも簪では無いのは分かっている、だって のほほんさん は簪を かんちゃんって呼ぶし

 

のほほんさん の事だから、危険は無いだろう と判断し

 

「分かったよ、案内をお願い」

 

「ありがと〜」

 

ゆったりとした動きで案内を始める のほほんさんに続き移動を始める

 

十数分移動して生徒会室へと辿り着き、私の疑問は更に深まり首を傾げていると、のほほんさん は前触れも無く私の腕を引き、ゆったりとした動きで扉を開け中に入り

 

「お嬢様〜 おりむー 連れてきましたぁ〜」

 

と私を呼び出した お嬢様なる人に声を掛け

 

「ありがとう本音ちゃん、ようこそ生徒会室へ一夏ちゃん」

 

突然の事に反応出来なかった私へ見覚えのある生徒会長が、歓迎と書かれた扇を広げて そう言う

 

「えぇっと・・・私、何かしましたか? 」

 

のほほんさん が居なかったら逃げている所だが、のほほんさん は私の腕に抱きついているので逃走は出来ないから諦めて私は楯無さんに尋ねる

 

「そんなに警戒しなくて大丈夫よ、昨日のクラス代表選出戦について確認したい事が有ったの」

 

ニコっと笑みを浮かべて扇を閉じて開くと、質問と扇に書かれた文字が変わっていた

 

まって、私からしたら その仕組みの方が興味あるんですけど

 

「なんでしょう? 私に答えられる事なら答えますけど」

 

ひとまず好奇心を封じ込めて楯無さんに返答すると

 

「本音ちゃん、扉の鍵を。(うつほ)ちゃん、一夏ちゃんに何か飲み物を」

 

「はぁい」

 

「畏まりました」

 

楯無さんの指示を聞き のほほんさん は普通の速度で私から離れ扉の鍵をしてに行き、虚さんは生徒会室の一角にあるキッチンスペースで飲み物を用意し始める

 

「さ、一夏ちゃんはソコに座って? そこまで長話をする予定は無いけれど、呼び出して立たせっぱなしはナンセンスよね?」

 

「は、はぁ」

 

相変わらず掴み所のない楯無さんに曖昧な返答をして彼女の正面に座ると、紅茶の注がれた如何にも高そうなティーカップと、一口サイズのクッキーが数枚乗ったお皿が置かれて

 

「どうぞ」

 

と虚さんに言われたのでお礼を言い一口飲んで、あまりの美味しさに驚くと

 

「虚ちゃんの紅茶は美味しいでしょう? 私は世界一だと思っているわ」

 

「はい、とても美味しいです」

 

紅茶の感想を言い、それから3口ほど飲んだあと

 

「早速だけれど本題に入るわね? 単刀直入に・・・対レーザー用備品一式、何処から持って来たの?」

 

楯無さんはティーカップを置き、扇を広げる そこには疑問と書かれている

 

 

それを見て、呼び出された理由を何となく察して、どう説明したら良いかを少し考える。私は別に明石のワンオフアビリティを明かすは構わないと思うが、束さんに出来るだけ秘密にした方が良いと言われている手間、どうするか少し悩む

 

そう悩んでいると

 

「言いづらい場所から持って来たの? まぁ出所よりどうやって持ち込んだ、か の方が重要なのだけど」

 

なんか楯無さんが勝手に話を進めてしまったので

 

「一応お尋ねしますが、なぜ対レーザー用備品一式に疑問と言うか、問題が?」

 

この質問への返答次第では明石のワンオフアビリティを話しても良いかな? と考え尋ねる

 

「そうね、IS学園の備品のデータベースに登録されていない高価で用途もピンポイントな備品が搬入された痕跡が一切ないにもかかわらず使用されているから、かしら? もちろん一夏ちゃん、貴女が整備作業特化の専用機を持っていてバススロットに対レーザー用備品が入っていない事は確認済みよ? 」

 

楯無さんは、そう言い紅茶を飲む

 

そして私は楯無さんの言葉に、そりゃ痕跡がある訳ない と思う

 

当たり前だ、対レーザー用備品一式は明石のワンオフアビリティで生産したのだから、データベースに登録されないし、持ち込む痕跡だってない

 

それに入学前に明石をIS学園に提出して検査して貰っているから、明石の仕様は楯無さんも知っている、ただワンオフアビリティは束さんに寄って閲覧規制がかかっているけど

 

「あー・・・よし、今から理由を答えますが、他言無用でお願いします。師匠から出来る限り秘匿しろと言われていますので」

 

私は真面目な表情をして楯無さんと虚さんを見て言うと2人は無言で頷く

 

ちなみに、のほほんさん はいつの間にか寝息を立てていた

 

「痕跡が無いのは 結論から言うと、私は備品一式を持ち込んでいないから、ですね。学園内で生産して使用しました」

 

そう言うと

 

「学園内で生産? 材料だってバススロットに登録されていなかったわよ? 」

 

と楯無さんは首を傾げて言う

 

「明石・・・私の専用機には、ナノマテリアルと言うモノがバススロットに入っていましたよね? ソレが材料です」

 

そう私が言うと、2人は顔を見合わせてアイコンタクトをして首を傾げてから再び私を見て

 

「銀色の粉よね? サンプルを採取して検査したけれど、謎の粉だったわ」

 

 

と楯無さんは不思議そうに言う

 

「ナノマテリアルは明石のワンオフアビリティで精製された、文字通り何にでもなる魔法の物質です。一定時間内での精製量には限りはありますが、バススロット内に貯蔵が可能なので悪用されない様に明石にのみ操作権が有る様に設定されているんです、だから私以外の人にはナノマテリアルは、ただの銀色の粉でしかない」

 

そう説明すると少し疑う表情を見せたので

 

「実演しますね? そうですね・・・よし」

 

私は席を立って開けた場所に立ち明石を展開して楯無さんの扇をナノマテリアルを使い作る、持ち見よう見まねだから形だけだが

 

そして扇を作成した事で私の説明は信じてもらう事ができ、ナノマテリアルの有用性を認識された事で、他言無用と約束を取り付ける事が出来た

 

 

 

 

 

 





ねーねー は沖縄の方言? で お姉ちゃん とか 姉さん と言う意味です


のほほんさん って可愛いよね?


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空を飛ぶ鋼

 

 

楯無さんと虚さんに他言無用の約束をした後、虚さんが寝息を立てている のほほんさん の頬をつねり痛みで起きた のほほんさん へ軽くお説教を始めたりしたが、特に問題も無く生徒会室から帰る事が出来た

 

 

そんなこんなで翌日、今日は朝からISの実習があるのでSHRが終わったら直ぐに着替えなければならないので、薫君が教室を出て行ったのを確認して着替えを始める

 

始めるのだが

 

「・・・慣れないなぁ」

 

出来るだけ周りを見ない様にしながらISスーツを着て呟く

 

確かに女で有る事、女として生きる事を受け入れているが、なまじ男だった時の記憶があるので違和感と言うか なんか違う感に慣れない

 

 

とはいえ、体調不良でも無いのに見学をする訳にも行かないので諦めてクラスメイトの列に混ざって実習をするアリーナへ向かう

 

それから余裕を持って移動したお陰で遅刻になる事は無く整列して姉と山田先生が来て授業が始まる

 

「では、授業を始める。今日はISの基本的な飛行操縦と完全停止の実演をしてもらう、八月一日、オルコット、前に出て まずISを展開してみろ」

 

姉の指示を聞き2人は返事をして前に出て、安全確認をしてからISを展開する

 

 

そこで ふと疑問が浮かび私は姉に質問する

 

「織斑先生、打鉄改のユニットは使用しないのですか? 」

 

「そうだな、今回は使用せんでも良いだろう」

 

私の質問に少し考えて姉は そう答え、私は 分かりました とだけ答える

 

 

「では飛べ」

 

姉が2人に指示を出すと、僅かに薫君がオルコットさんに遅れて飛び上がりオルコットさんの後ろをついて行く

 

「基本だけあってオルコットにブレはないし、八月一日も搭乗時間を考えると合格と言った所か」

 

と姉には珍しく優しい発言をしていたが、反応すると睨まれるので聞こえなかったフリをしておく

 

「よし、次は急加速からの完全停止だ。山田先生、停止地点の送信を」

 

「はい」

 

姉は三人に指示を出すと、山田先生は返事をしてタブレット端末を操作する

 

 

「ではオルコットからやってみろ」

 

姉の指示でオルコットさんは地面に向けて急加速し地面ギリギリでピッタリ停止する

 

「地表まで8㎝か、合格だが お前なら後2㎝は踏み込めるな、精進しろオルコット」

 

「ありがとうございます、精進しますわ」

 

姉はタブレット端末を見てオルコットさんに そう言いアドバイス?をする

 

「次 八月一日、来い」

 

姉の言葉に薫君は緊張した面持ちで頭を下にして急加速し地上6mぐらいで体勢を入れ替えスラスターを蒸してブレーキを掛けるが地面をズザー削りながらスライディング着地を決め、少し気まずそうな表情をする

 

「・・・失敗だな、まぁグラウンドに大穴を作るよりマシか」

 

今日の姉は妙に優しい気がするが、口にした瞬間 出席簿が飛んで来そうなので黙っておく

 

なんか良い事でも有ったのだろうか?

 

「では次は武装の展開を実演して貰う、オルコット」

 

「はい」

 

オルコットさんは利き腕を真横に突き出し得物のレーザーライフルを展開ししっかり握って正面に構える

 

「流石は代表候補生、展開速度は問題ないが真横で展開して構え直すのは無駄が多いな、直せ」

 

「うっ・・・はい」

 

姉は上げてから落とし、オルコットさんへ眼力を浴びせて返事をさせる

 

「次は近接武装を展開しろオルコット」

 

「はい」

 

オルコットさんはレーザーライフルを格納し目を閉じ両手を前に出す様なポーズで展開しようとするが光の塊がウニョウニョ動いているだけで何秒経っても展開が完了しない

 

「オルコット、何秒掛けるつもりだ? 試合中なら既にお前は斬られているぞ? 早くしろ」

 

「くっっ・・・インターセプター!!」

 

姉の厳しい言葉にオルコットさんは悔しそうな表情をして近接武装のナイフの名前を呼んで展開する

 

武装名を呼ぶと言うのは、かなり初心者用と言える行為だ、だからオルコットさんは悔しそうにしているのだろう

 

「武装は自在に展開・格納出来る様になっておけ、いいな?」

 

「・・・はい」

 

やはり今日は、いつもより優しい姉だなぁと思っていると

 

「八月一日、武装を展開しろ、射撃武装からだ」

 

「はい」

 

薫君はオルコットさんがレーザーライフルを展開した時よりは遅いが、正面に焔備を展開して構える

 

「ふむ、及第点だな。もう少し展開時間を短縮出来るよう練習しろ、次は近接武装だ」

 

薫君は焔備を格納し、対物シールドの天辺を前に倒し手を添えると刀を引き抜く抜刀の様な挙動で葵を展開し、構える

 

「こちらも及第点だな、精進しろ」

 

「はい」

 

妙に優しい姉の表情を見て、なんか良い事が有ったのだろうと確信する、私と一部の人以外が見たら いつもの厳しい表情だが、私には分かる

 

姉さん、めっちゃ機嫌良いじゃん

 

なんだろ? あ、まさか・・・(いおり)さんかな? それだと納得出来る、姉は彼にベタ惚れなのだから

 

よし、昼休みにでも電話して確認してみよう

 

 






予定より少し前倒しで、庵さん(オリキャラ) を出しました

彼の詳細は、近いうちに書きます故、お待ちください



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祝 クラス代表 就任

 

 

姉が上機嫌な理由が気になり昼休みに姉にバレない様に庵さんへ電話をして理由を探ってみると、どうも昨晩は久しぶりに一緒の時間を過ごせたらしい

 

そりゃ機嫌も良くなるな と思い、その後は特に姉の事は聞かずに他愛無い話をして、模型店を営んでいる庵さんからガンプラの入荷情報とか新作の情報とかを聞いたりした

 

そんな訳で朝から機嫌の良い姉は放課後まで上機嫌のままで、本当に嬉しかったのだろうな、と思いつつ 私は見なかった事にしておく。下手に弄ると痛い目(物理)に会うから

 

とりあえず私は のほほんさんと有志に頼まれ、薫君のクラス代表就任祝賀会のお菓子の準備をする

 

準備と言っても事前に仕込みをしていたモノを仕上げるだけだけど、主に のほほんさんに熱烈にリクエストされたプチケーキとかプチシューとか

 

そんなこんなでクラスメイト+αの有志と手分けして準備をして薫君を学食へ連れて来て祝賀会が始まる

 

「八月一日 君、クラス代表就任おめでと〜」

 

クラスメイトの声と共にパンパカパーンとクラッカーが鳴り紙吹雪が舞い、薫君は少しキョトンとしていたが用意されたオレンジジュースを一口飲み

 

「えーっと・・・ありがとう? 」

 

と首を傾げて言う、まぁ普通はこうなると予想は出来ないだろうから、こうなるのは仕方ないと思い

 

「薫君、このプチシュー、私が作ったんだ。あ、甘い物平気?」

 

のほほんさん がニッコニコして頬張っているプチケーキでは無く、自信作のプチシューの入ったバスケットを薫君へ差し出すと

 

「甘いのは平気だよ、ありがとう一夏さん」

 

薫君は1つ摘んで食べ、目を見開いて

 

「これを作ったの? 店で売ってても不思議じゃないレベルだと思う」

 

と褒めてくれる、正直お世辞でも凄く嬉しいと思い

 

「そうかな? ありがとう」

 

とだけ答えると、私の隣に座る箒が ゆっくりとした動きでプチシューをつまみ食べ

 

「・・・一夏、お前は お世辞で言われていると思っている様だが違うぞ、これは本当に店で売っていてもおかしくないレベル・・・否、店で売っていなければならないレベルだ」

 

となんか凄い気迫で箒が言う、なんか凄い褒められて恥ずかしくなってきたんだけど、どうしよう と周りを見ると みんな ウンウンと頷いていた、なんで?

 

 

とか考えいたら

 

「はいはーい、失礼するよ〜? 新聞部でーす」

 

絶妙なタイミングでメガネを掛けた先輩がシャッターを切りながら、そう言い現れた

 

「今話題の学園で唯一の男子生徒の取材に来たんだー、はいチーズ」

 

とか喋りながらシャッターを切り続ける先輩、この人 凄いな

 

「あ、私は新聞部副部長の黛 薫子、はい これ名刺ね?」

 

言葉を挟む間も無く名刺を薫君に渡して来て再びシャッターを切る

 

とりあえず名刺を横から覗き見してみたけど、凄い画数の名前だなぁ書くのが大変そうだ

 

「それじゃ八月一日 君、クラス代表になった感想は?」

 

漸く写真を撮るのを止めた黛先輩は彼にインタビューを始める

 

「そうですね・・・選んでくれたクラスメイトの為にも頑張りたいと思います」

 

彼は少し戸惑いながら先輩に答えると

 

「ふむふむ、なるほどなるほど。当たり障りのない普通のコメントだね! よし少し着色しておこう」

 

おいおいおい、良いのかソレ

 

この先輩、やっぱりヤバイ人なのかも知れない

 

「じゃぁ次はセシリアちゃん、八月一日君と戦ってみての感想は? 」

 

「感想、ですか? そうですわね・・・」

 

先輩はオルコットさんへ質問をし、オルコットさんは語り始める

 

 

とりあえず変な事を言ってはいないが専門的な用語を用いているので薫君にはサッパリ分からないかも知れない

 

「長いからカットで、セシリアちゃんの話は編集しておくね」

 

とオルコットさんの語りに割って入り先輩は言う、その方がいいかも知れないねオルコットさん

 

「それじゃ、整備科の期待の新星 一夏ちゃん。噂によると特殊な専用機持ちで八月一日君の専属整備士なんだってね? 」

 

次は私の方を見て凄くグイグイ来て、少し怖い

 

「あの・・・えっと・・・」

 

「黛先輩、一夏さんは少し内気でシャイなんですよ。いきなりグイグイ行くと戸惑いますから、少し抑えて下さい」

 

八月一日君が先輩に言い、先輩はゴメンゴメンと謝り少し深呼吸し

 

「ゆっくりで構わない、どうかな?」

 

と柔らかく笑み言う

 

「・・・確かに私は整備作業特化の専用機を持っていますし、薫君の専属整備士です」

 

それから黛先輩のインタビューは続き、インタビューを受けながら考える

 

 

さっきの薫君 かっこよかったなぁ と同時に鼓動も早くなっている

 

これは緊張で鼓動が早くなっているのか、胸が高鳴っているのか、どちらなのだろう?

 

と、いうか顔も若干熱いし、なんなんだろう?

 

 

--------------------------

 

 

 

 

夕陽も沈み黄昏時、IS学園の校門に小柄なツインテールの少女が立ち、校舎を見上げてニッと笑みを浮かべ

 

「一夏は驚くかしら」

 

少女は呟きポケットからクシャクシャになった紙を取り出して校門をくぐって歩き出し十数歩で立ち止まって

 

「・・・案内板が無いわね、総合窓口って何処なのよ。地図・・・」

 

そう言いポケットを探り地図を探す

 

「あれ? 無いわね・・・」

 

次は肩に掛けていたボストンバックを開き探す

 

「無い、か」

 

少女は面倒くさそうに頭をかいてからボストンバックを再び持ち自分の勘を頼りに目的地を目指し始め、2時間程で目的地に辿り着いたのだった

 

 

 

 

 





一夏ちゃんの乙女化って順調に進んでますか?これで良いのでしょうか?


めっちゃ不安なんですが



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突撃、隣の中国代表候補生

 

 

アレから何とも言えるない感情を抱きつつインタビューを受けた後、良い時間になったので片付けをしてから部屋へ戻り、予め取り分けて有ったプチケーキとプチシューを簪へおすそ分けしたら喜んで貰えたので良かった

 

 

そんな訳で翌朝、いつもの様に登校すると クラスメイトが輪になって話をしていて、聞き耳をたてるとクラス代表戦の話をしていたり隣のクラス、2組に中国から転入生?が来た、とか そんな話をしている

 

 

中国、か・・・鈴、元気かな メールのやり取りはしてるけど、無理してないといいけど

 

とか考えながら通学鞄から教科書を机に入れて、気配を感じ ふと机から顔を上げると、勝気な目、トレードマークのツインテール、チャームポイントの八重歯を持つ笑顔の親友が仁王立ちで立っていた

 

「りっりっりっっ鈴!? なんで此処に?! 」

 

驚きのあまり少し大きい声が出てしまう、そんな私を見て鈴は満足そうに

 

 

「良い反応するじゃない一夏、あたし の予想以上で嬉しいわ」

 

本当に嬉しそうにしている鈴を見て、とりあえず立ち上がって机を迂回して鈴の前に立ち

 

「理由はどうであれ、また会えて嬉しいよ鈴。久しぶり」

 

そう言い小柄な鈴を抱き上げる様にして抱きしめる、軽い、軽過ぎる

 

「あっちょっと一夏、嬉しいのは分かったから降ろしなさい。一夏? 」

 

攻めは強いが守りは弱い鈴は、照れた様で そう言うが聞こえないフリをしておき

 

「鈴、ちゃんと ご飯食べてる? また軽くなったんじゃない? 」

 

あまりやり過ぎると怒るので鈴を降ろし尋ねる

 

「ちゃんと食べてるわよ、それと あんた は あたし の親? いや親戚のおばちゃんみたいね」

 

そう言い鈴は肩をすくめ時計を見て

 

「惜しいけれど時間みたいね、自分のクラスに戻るわ。つもる話は また後でにしましょう、なんか嫌な予感もするし」

 

「うん、また後でね」

 

すささー と自分のクラスに帰って行く鈴を見送り再び自分の席に座ると姉が鐘と共に教室へ入ってきてSHRを始める

 

もしかして鈴、姉さんの気配を感じとってたのか? だとしたら野生的勘が冴えてるなぁ

 

 

さてと、鈴との再会も嬉しい限りだけど、クラス代表戦は先日の模擬戦とは勝手が違う

 

模擬戦の時は戦う相手はオルコットさんだけだったから対策を盛りに盛ったが、今回のクラス代表戦は今はまだ対戦相手が誰かも分からない

 

ただ今、クラス代表で専用機を持っているのは1組(わたしたち)と4組・・・そして恐らく2組、だ

 

 

入学から約1週間弱と言う絶妙に微妙な時期の転入、恐らく正しくは転入ではなく遅れて入学してきた と考える方が良いかも知れない

 

そうなると、入学が遅れた理由があるはず、と考えると専用機の調整の遅れと考えられる

 

鈴は恐らく中国代表候補生だろう、多分

 

 

そうなると少し予定変更する必要がありそうだなぁ・・・情報収集は簡単だけど薫君の出来る範囲で作戦を組み立てるのは中々に骨が折れる、だって私は整備士であって策士じゃないのだから

 

まぁ束さんから手ほどきを受けているから、ある程度は戦術も身についてはいるけど

 

そんなこんなSHRを受けながら、あれやこれや考え昼休みに鈴がまた現れるだろうと結論をだし、ひとまず目の前の事に集中する

 

それからアッと言う間に昼休みになり、教室を出たら既に鈴が壁に背中を預けて立っていた、うん、似合わないな

 

「お待たせ鈴」

 

「そう待って無いわ、行きましょ? 」

 

そんな有り触れた言葉を交わし並んで学食へ歩き出す

 

「約1年ぶりになるのかな? 」

 

私が鈴へ そう言うと

 

「そうね、1年と少しかしら? 」

 

と鈴は少し考えてから言う

 

「それより、元気そうで良かったわ。実は結構心配してたのよ? 」

 

鈴は少し安堵した様な表情で言う

 

「おかげさまで元気だよ、風邪もひいてないしね」

 

私の親友、鈴こと 凰 鈴音と言う少女は少し直情型で喜怒哀楽がハッキリしている面倒見の良いオカン気質の人間だ

 

ドイツでの一件で日本へ帰って来た後で、色々ガタガタだった私を受け入れ支えてくれたのは鈴だったが、1年前に家の事情で中国へ帰って行ってしまった

 

 

それから1年は弾や数馬、庵さんに色々助けてもらってきたのだけどね?

 

とにかく、私は鈴には感謝している

 

「そう、なら良かったは。弾と数馬は元気かしら? 」

 

「IS学園に来る前に1回会ったけど、元気だったよ? 」

 

鈴の質問に私は答える、鈴にとっても大切な友達の2人の事は気になるのだろう

 

「ねぇ一夏? 今度、一緒に会いに行かない? 」

 

「うん、行こう」

 

鈴は言葉に頷き思う、弾と数馬も鈴に会いたいだろう と

 

私は友達に、親友に恵まれている と思う

 

こんな素敵な親友がいるのは幸せな事だ

 

とりあえず、凄い私達を凝視して後ろを歩いている箒も交えて昼ご飯を食べる事にしよう

 

 





ウチの鈴は良い子にしましたw


少し距離近過ぎますかね?一夏


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楽しい?昼休み

 

 

箒に凝視されつつ学食へ辿り着き、私は とんかつ定食の食券を購入し目にも留まらぬ速さで食券を購入した鈴の後ろに並ぶと箒がピッタリ後ろをついてくる、悪い事をした訳では無いのに何か怖い

 

程なくして順番が回ってきて食券を出しモノを受け取って空いている4人掛けの席を確保し

 

「鈴、箒も一緒に良いかな? 紹介も兼ねて」

 

と鈴に言うと

 

「構わないわよ、あたし も気になってたし」

 

鈴の了承を得たので、箒を見て頷くと箒は頷き返して先に座ったので私は箒の隣に座り

 

「えーっと、まず箒、この子は鈴。箒が転校した時に入れ替わりで転入してきたんだ」

 

既にラーメンに手をつけている鈴を、行儀良く定食を食べている箒に紹介する

 

 

「凰 鈴音よ、みんなからは鈴と呼ばれているわ」

 

麺を飲み込みお冷を飲んでから鈴は自己紹介をする

 

「この子は箒、ほら前に話した幼馴染」

 

私もとんかつ定食を食べながらタイミングを見て鈴に箒を紹介すると

 

 

「・・・篠ノ之 箒だ」

 

口の中の物を飲み込み焙じ茶を飲んで箒が自己紹介すると

 

「あぁアンタが一夏の言ってた剣道を一緒にしていた幼馴染? ふぅん、確かに身体がしっかりしてるわね」

 

鈴はマジマジと箒を見て言う

 

鈴って昔から人を見て筋肉の付き方とか分かる特技が有ったけど、よくよく考えなくても凄い特技だよなぁ

 

箒は箒で驚いた表情をしている

 

「・・・見て分かるモノなのか? 」

 

「あたし は分かるわよ? 教室から学食までの道のり、アンタぜんぜん芯がブレてなかったわね? 体幹も大分しっかりしてるのが分かったわ」

 

そう鈴は箒からの質問に答え、箒は更に驚いた表情になり私を見てきたので

 

 

「鈴は目が良いからね」

 

もちろん視力がいいと言う意味では無いのを箒は分かってくれたようで、そうか とだけ呟いた

 

「今でこそ こんなに落ち着いてるけれど、出会ったばかりの時に あたし が悪ガキに囲まれて困ってた時に大立ち回りしてくれたのよ? 」

 

ラーメンを平らげて丼を置いてお冷を飲み鈴は笑いながら言う

 

「ふふ、変わらんか。私の時も そうだった、コイツは あの頃に比べて目を疑う程に大人しくなったモノだ。もっともお人好しは変わってない様だがな?」

 

 

鈴の言葉に箒は笑い、楽しそうに そう言う

 

「ん〜ほら、私も成長したからじゃないかなぁ? それにお人好しなのかな?私」

 

成長したのも有るが身体に精神が引っ張られている自覚はある、女として生きる事を受け入れたら余計に、だ

 

とはいえ、そんな事を こんな場所(学食)でなんて言える訳が無いので少しフワッとした言い方をしておき、お人好しな自覚は無いので疑問を口にすると

 

 

「アンタは間違い無く、お人好しよ」

 

「お前は間違い無く、お人好しだ」

 

と2人同時に言われてしまう

 

「アンタ、人見知りする癖に困ってる人が居たら助けるじゃないの」

 

鈴は、ビシッと効果音が付きそうな動きで私を指差して言う

 

「イジメを見過ごせず、私が転校するまで何回 大立ち回りを演じたか忘れたのか? 少なくとも10は超えている筈だぞ? 」

 

と箒はヤレヤレと肩をすくめて言われ、自分の記憶を探ってみるが そんなに暴れた記憶は無いが、多分忘れているのだろうと思い

 

「え? いやぁ、困ってる人を助けるのは普通じゃない? ほらイジメは撲滅しなきゃだし」

 

そう考えている事を素直に言うと、2人はクスリと笑い

 

「ほんと、アンタは変わらないわね。あんな目に遭っても そう言えるアンタは強いわ」

 

「変わらないな、お前は。お前が苦しい時は頼ってくれよ? 私もお前に救われた身、今度は私が支える番だ」

 

そう2人は真っ直ぐ私を見て言う

 

「ありがとう2人共、頼りにしてるね? 」

 

そう2人に言うと、力強く頷く

 

「あ、そうだ。鈴、今度 弾達に会いに行く時に箒も連れて行っちゃダメかな? 」

 

「あたし は構わないわよ? 篠ノ之さん が良ければ」

 

私の提案に鈴は了承し

 

「箒で構わないぞ? 凰 」

 

箒は鈴に そう言うと

 

「なら あたし も鈴で構わないわよ 箒」

 

鈴は頷き、そう言い箒は頷く

 

 

「私がついて行って大丈夫なのか?一夏」

 

と箒は少し遠慮がちに尋ねてきたので

 

「弾達なら喜ぶと思うよ? 私、結構 箒の話した事あるし」

 

「確かに、弾と数馬なら喜ぶわよ? それに気のいい奴らだから大丈夫よ」

 

遠慮がちな箒にそう言うと箒は

 

「なら、遠慮せずに同行させて貰おう。神社がどうなっているかも気になるしな」

 

そう箒は柔らかく笑み言う

 

「今週末、どうかな? 空いてる?」

 

善は急げと、今週末の予定を2人に尋ねる

 

「あ〜 ごめん一夏、あたし 2組のクラス代表になっちゃったのよ。今月末にクラス代表戦だし、期待を背負ってる以上は練習しなきゃね? 」

 

と鈴は申し訳なさそうに謝ってくる

 

「うぅん、気にしないで? 箒は? 」

 

「すまない一夏、私も今週末は部活で校外試合が入っている」

 

と箒も予定があるようで謝ってくる

 

「じゃぁ、クラス代表戦が終わってからかな? 確か連休が有った筈だし」

 

「そうね、予定空けとくわね」

 

「うむ、私も空けておこう」

 

そんな訳で3人の予定を合わせる事を決め、他愛もない話を始める

 

 

あ、そうだ。鈴は知ってるけど箒は知らないし、弾達と会わせるついでに 箒にプチドッキリをしよう

 

楽しみだなぁ

 

 





お待たせしました

ウチの鈴は凄い子になってしまったw



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下準備をする一夏ちゃん

 

 

 

あれから2人と色々と話をして、やはり鈴は中国代表候補生で専用機を持っている事が分かり、鈴は努力の天才だと再確認して親友として嬉しい反面、薫君のサポーターとしては、少し頭を悩ませる状況になってしまった

 

と言っても私に出来る事は、あくまでも彼のサポートだけ、戦闘技術に関しては全くチカラになれない、だからパパッと裏技で情報収集して薫君に出来る限り勝率の高い作戦を伝え、アリーナの予約が取れた日は反復練習をしてもらう事にしてオルコットさんに、練習相手をお願いしておいた

 

 

そんなこんなで週末になり、アリーナの予約が取れなかったので私は校外に外出する事にし、外出届を姉に提出して私服を着て校外へ出る

 

制服だと目立つしね?

 

休日だけあって私と同じ様に外出している学園の生徒に紛れて1時間程モノレールに揺られ実家のある最寄りの駅で降り、私は実家では無く箒へのプチドッキリの為の下準備を兼ねて目的地へと向かう

 

駅から徒歩で10分程の目的地に辿り着き、私は いつもの様に入り口の引き戸を引いて中に入ると

 

「いらっしゃいませ、あぁ一夏か。今日はどうしたんだい?」

 

肩に掛かるぐらいの黒髪を襟足で結っている私が会いに来た男性が出迎えてくれた、今日は比較的空いている様で良かった

 

「こんにちは庵さん、お願いしたい事が有って」

 

「お願いしたい事? また千冬に内緒で取り寄せたいキットがあるのかな? 」

 

私の言葉を聞いて庵さんが揶揄う様にクスリと笑み言う

 

「違うよ、実はIS学園に箒も入学してて、ちょっとサプライズをね? ほら、箒は庵さんの事を知ってるけど、姉さんと付き合ってる事を知らないでしょ? 」

 

私の説明を聞いて庵さんは、なるほど と頷き

 

「確かに、サプライズだね? 俺は何をしたらいい? 」

 

と庵さんに尋ねられる

 

「ん〜そうだなぁ・・・箒を連れてくる日に居てくれれば大丈夫かな? 姉さんも連れて来たいけど・・・」

 

私は腕組みして考え呟く

 

姉を織部模型店(ここ)に連れてくるのは難しいかも知れない、何だかんだ多忙を極めているし

 

 

とはいえ、たまには姉も恋人との時間を過ごして欲しい、私の姉は頑張り過ぎる質だし?

 

 

そんな腕組みして頭をひねっている私を見て庵さんは苦笑する、彼も姉が多忙なのを知っているからだ

 

 

織部模型店の店主である 庵さん・・・ 織部 庵は姉の恋人である

 

歳は26歳で姉の2つ歳上、元々は篠ノ之道場の門下生で私達姉弟(しまい)は そこで彼と出会った

 

だから箒は庵さんの事を知っているし、私が(おとこ)であった事も知っている、私にとって庵さんは優しく強い兄貴分であり順調に行けば義兄になる人

 

そして私にガンプラを教えてくれた師匠で、彼を超えるガンプラを作る事が私の目標の1つだ、まだまだ道は長そうだが

 

とまぁ、十年来の中な訳だ

 

「とりあえず姉さんの方は話はしてみる事にしようかな? あ、そうそう 塗料が無くなってて買い足さなきゃいけないんだった」

 

私は腕組みを解き庵さんへ言うと、そうだね と返してくれたので、ガンプラ用の塗料が有る棚へ移動する

 

「今度あるフォトコンテスト、庵さんは出すの? 」

 

塗料の入った容器を手に持ち見ながら尋ねると

 

「もちろん、やっぱりビルダーとしては参加したいからね。ちょっと張り切り過ぎて徹夜しちゃったよ」

 

と庵さんは苦笑して言う

 

「ははは、庵さんらしいね。でも あまり徹夜すると姉さんが怒るよ? 無理するなって」

 

軽く笑って庵さんに言うと彼は だよね〜 と困った様な表情をして言う

 

 

「よし、これぐらいに・・・!!?」

 

減ってきた塗料を幾つか手に持ちレジの方へ進み、あるモノが目に入ってしまい思わず立ち止まってしまう

 

「PG 1/60 ユニコーン 最終決戦仕様だと!? 約4万円、うぅ・・・」

 

前から欲しかったモノを目の前にして私は睨みつける様に目の前の箱を凝視し、自分と戦う

 

手持ちの資金は塗料を買うぐらいのつもりだったから流石に足りない、だが中学時代にコツコツとバイトをして貯めた預金が銀行にある

 

しかし、預金を下ろせば通帳を管理している姉にバレてしまう。自分でバイトして貯めた貯金とはいえ額が額なので多少のお叱りは免れないだろう、姉は その辺り厳しい人だ

 

だからと言って、そうそう巡り会えない代物だ。下手したらプレミアが付く可能性もあるかも知れない

 

「・・・庵さん、取り置きは・・・ダメ? 」

 

レジに立っている庵さんに両手を合わせて少し上目遣いで尋ねてみる

 

「ダメ、身内贔屓をしない。それが爺さんから店を継いだ時に言われた約束だからね」

 

にこり と笑みを浮かべ庵さん言う、それを聞き項垂れ正直泣きそうになりながら考える

 

姉の知らない私の隠し財産は、2週間程前にマグアナック36機セットを買ってしまったから無い

 

だから私の取れる道は、姉のお叱りを受ける か 庵さんを説得するかの2つに1つ

 

「じゃぁ・・・分割はダメ? 流石に姉さんに叱られるから」

 

と尋ねると庵さんは苦笑し

 

「そんなに欲しいんだね、いつもなら諦めるのに。分かったよ、俺が立て替えてあげるから、分割でいいよ? あ、お金の代わりにウチでバイトでもいいけど? 」

 

と今の私にとって神の一言を言ってくれた私は嬉しさのあまり庵さんの隣に走り寄り抱きつきお礼を言う

 

 

早く庵さんが正式に義兄(あに)にならないかな、あとで庵さんに聞いてみよう

 

 





名前*織部(おりべ) (いおり)

年齢*26歳

性別*男

身長*177㎝

容姿*肩に掛かるぐらいの黒髪で襟足で結っている美青年

備考*

一夏ちゃんのガンプラの師匠の様な人で、一夏ちゃんの兄貴分であり義兄(予定)


祖父から受け継いだ織部模型店を営んでいて、一夏ちゃんは常連

大らかな性格故に大変モテる人

千冬さんの彼氏で、篠ノ之道場の元門下生で、千冬さんや束さんには及ばないが、剣士としての実力は相当なモノ


織部模型店は喫茶スペースが併設されているので、プラモを買いに来る以外にも喫茶スペースのコーヒーを目当てに客が来るぐらい繁盛している

喫茶スペースの方は主に彼の妹(名前未定)が担当している、つまり妹が美味いコーヒーを淹れる

それなりに広く、ガンプラ以外のプラモデルもおいてあり、作業場が有って道具や機材の貸し出しもしてくれる

実は奥の部屋にガンプラバトル用の筐体がある、方式はガンダムビルダーズの様にガンプラをスキャンし、ゲーム上に反映させるのでガンプラ本体にはダメージを受けない安心仕様

操作系はコクピットを模しているが、簡略化されている、しかし操作感はリアルに感じる謎仕様




数少ない 千冬さんが頭の上がらない人


10年以上の付き合いな為、一夏ちゃんは普通にタメ口で喋る





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見守る兎

 

 

薄暗い部屋の中、空間に投影された表示枠(サインフレーム)に映る映像を見ながら薄紫色の髪をした美女は人を堕落させそうなソファに座り

 

「今日も いーちゃん は大丈夫そうだね、良きかな良きかな」

 

彼女は安堵した様に呟き、微笑む

 

「束様、一夏の周囲100m範囲に危険因子は確認出来ません」

 

彼女の背後に控えた赤毛で長身の美青年が複数展開された表示枠を見ながら束と呼ばれた美女へ告げる

 

「そっか、ありがとうジー君」

 

「いえ、これが与えられた任務ですから」

 

束の言葉に短く事務的に答える ジー君と呼ばれた青年は姿勢正しく表示枠のチェックを続ける

 

「君は実に真面目だなぁ〜、そこは君の良い所であり、悪い所だね?」

 

にっこにこにー と笑む束に言われたジークフリート(ジー君)は表情を崩さずに

 

「そうなのですか?」

 

と束へ聞き返す

 

「そうだよ〜」

 

束の言葉に少し不服そうな表情になったジークフリートを知ってか知らずか束は表示枠に映る一夏へ再び意識を戻し

 

 

「さてさて、いーちゃん の目的地は・・・あぁ、庵さんの所か。なるほどなるほど」

 

束は一夏の目的地に気付き呟く、彼女もまた一夏と同類のビルダーであり、織部模型店の店主、庵を一夏と同じく師としている

 

彼女が本気を出せば原作を忠実に再現したモビルスーツそのものを創り出すのは造作も無い事だろう、しかし彼女は創り出す事をしない。その理由は純粋に兵器を作る気が彼女に無いからだ

 

代わりに世界が歪む原因になったISを生み出す訳だが、彼女は宇宙開発の為の翼を作っただけで他意はなかった。ただ天才故に技術が何十年単位で先んじてしまっただけなのだから

 

 

「庵さんの所なら安心だね、箒ちゃんは・・・校外試合中っと」

 

空間投影された表示枠が増え、束の溺愛する愛妹(ほうき)の姿が映り、束は妹の成長を感じ嬉しそうにしている

 

「強くなったね箒ちゃん、このまま行けば私の絶頂期は終え、箒ちゃんの絶頂期が重なって良い試合が出来るかも、楽しみだなぁ」

 

同じ剣術を受け継いでいる姉として、妹の最期の壁となりたいと願う姉心を彼女は抱き、成長した妹に負ける事を望む

 

天才故に、天災故に、負けを知る事を彼女は願う

 

 

「いーちゃん も 箒ちゃんも元気な様で良かった」

 

束は優しい眼差しを表示枠に映る2人に向けて呟き

 

「あぁ、そう言えば・・・いーちゃん と件の彼に手を出そうとした生ゴミはどうなったかな? 」

 

先程までの優しい笑みは消え失せ、笑みは浮かべているが そこには殺気が満ちている

 

「例の輩でしたら、現在始末の為に下準備をしています。束様立案の例の作戦です」

 

ジークフリートは束の殺気に気を止める事なく質問に答える

 

「そうだ、そうだったね? 生ゴミとは言え足が付くと面倒だし、バレたら いーちゃん や 箒ちゃんに嫌われちゃうからね、気をつけて始末しなきゃ」

 

束はソファから立ち上がり、芝居掛かった仕草でジークフリートへ言う

 

 

「全てはお御心のままに」

 

ジークフリートは束を真っ直ぐに見て言う

 

「ふふふ、スケープゴートは? 」

 

束は嬉しそうに笑みジークフリートへ尋ねる

 

「全5機製作中の内3機が完成、いつでも投入出来ます」

 

表示枠の情報を見てジークフリートは答える

 

「なるほど、間に合いそうだね? 」

 

「はい、ファフナーもアインからエルフまで調整が完了しています」

 

 

ジークフリートの言葉を聞き、束は上機嫌になり

 

「そっか、なら近い内に演習しようか、君もぶっつけ本番は嫌でしょ? 」

 

クスクスと笑み束はジークフリートへ尋ねる

 

「万全を期すなら演習は必須かと考えます」

 

そんな事務的な答えを返すジークフリートへ笑みを浮かべ

 

「ん〜やっぱ、ジー君は最高だね! いつになったら束さんの嫁になってくれるんだい? 」

 

「お戯れを、俺程度が束様の伴侶になるなど烏滸がましいにも程が有ります」

 

束は全身を使いジークフリートへ愛を表現するがジークフリートは表情を変えずに束へ言う

 

「もー、ジー君は自己評価が低いよー? ジー君はイケメンで仕事も出来るし、ガンプラ作りも上手いし、料理と掃除も出来る、完璧な男じゃないか! 」

 

束はジークフリートに注意する様に、言い聞かせる様に言う

 

「お言葉ですが束様、貴女も出来るではありませんか、故に凄い長所ではないと考えますが? 」

 

ジークフリートは表情を変えずに真顔で束に言う

 

「いやいやいや、普通じゃないからね? 立派に長所だよ、それに私は片付けは苦手だし、色々とやらかしてるから碌な死に方しないと思うよ? 」

 

そんなよく分からない問答が2時間程続き、銀髪の美少女(クロエ)が部屋へ入ってきて

 

「束様、お兄様、夕食が出来ました・・・何をされているのですか? 」

 

2人の問答を見て困惑するのは仕方ない事だ

 

結局、クロエが束の味方をした事で一応の収束を迎えたのだった

 

 





ちょっと挟みたくなったので、入れてみました



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突撃、お部屋訪問

 

 

 

あの後、色々と庵さんと話しをして隙を見て結婚について探りを入れてみたが、見事にはぐらかされてしまった

 

とはいえ、庵さんの口ぶりや身振りをみて思うに そう遠くない未来に結婚するかも知れない

 

そんな訳で私がIS学園へ入学した事で空いたバイト枠に入った沖田君が庵さんを呼びに来たので、私はユニコーンを大事に胸に抱いて織部模型店を後にし、実家で姉のサマースーツを回収してクリーニングへ出して帰路へつく

 

 

「ん〜、良い買い物出来たなぁ〜楽しみだなぁ〜」

 

もう人目を気にしないでスキップしながら帰りたい程、私のテンションは上がりっぱなしで、頭の中はユニコーンを組み立てる事で埋め尽くされている

 

1日では完成しないだろう、だからこそクオリティの高い物を作りたい

 

 

とはいえ、趣味にばかり目を向けてもいられない。薫君に合わせて打鉄改を調整して、思い付いた打鉄改用の追加ユニットの図面を引いて束さんに添削して貰わないといけない

 

いっそ本体から改修してクシャトリヤ化させてしまおうか・・・いや、ダメだ。薫君にファンネルを扱える適性はあっても、大火力の重装甲のクシャトリヤは彼に多大な負担をかける

 

それにエネルギーの問題も解決する必要があるだろうし、打鉄改の長所を潰すのは勿体ない

 

私が作ったユニットが倉持の目に止まれば、私の夢への近道になる可能性だってある、薫君には少し申し訳ないとは思うが 私には私の事情って事で許してくれるだろう、多分

 

 

それはそれとして、薫君に何かしてあげたい気持ちは有る。私にしか出来ない事もある、私になら出来る事がある

 

学園へ戻ったら薫君と少し話しをしよう、よくよく思えば私は薫君の事をあまり知らない事に気が付いた

 

それではダメだ、彼の専属整備士として薫君と確固たる信頼関係がなければならないと私は考えいる

 

信用出来ない人間に背中を預ける事は出来ないし、私なら御免被る

 

そして私はユニコーンを大事に胸に抱いて早足で帰路を進む、薫君との対話をする為に

 

 

小一時間でIS学園の寮まで戻ってきて部屋に入ると簪の姿は無かったので、クローゼットを開きユニコーンを慎重に置き、時計を見ると針は15時と少し過ぎた場所を指している

 

「薫君、部屋にいるかな」

 

よくよく考えると、私が急いで帰って来ても彼が出掛けている可能性がある のを失念していた

 

「・・・分の悪い賭けかなぁ」

 

少しだけ思案してから私は彼の部屋へ行く事にした、本来なら薫君に先に連絡すべきなんだろうけど、何となく改まって話しをしよう なんて何処と無く恥ずかしいから連絡せずに私は歩く

 

流石に手土産の1つでもと思って、パーツ取り用に積んであったガンプラからムラサメと購買に寄って適当な飲み物を買っておく

 

 

そんな訳で薫君の部屋に辿り着き、扉をノックすると はーい と声が聞こえて彼が扉を開ける

 

「あれ? 一夏さん、今日は出掛けるって言ってなかった? 」

 

部屋着の薫君は私を見てキョトンとして尋ねてくる

 

「少し前に帰って来たんだ、少し薫君と お話しようかな? と・・・」

 

なんか少し恥ずかしくなって彼から少し目線をズラしつつムラサメと飲み物を差し出して

 

「こ、これ お土産、よかったら」

 

「う、うん、ありがとう」

 

薫君は私から お土産を受け取り、部屋の中に招き入れてくれた。既に何度か来た事あるが、今日は妙に緊張している気がする。今日の私は何処かおかしい

 

 

「それで、話って? 打鉄改に何か不具合が? 」

 

薫君はムラサメを机に置き椅子に座って、先程渡した緑茶の蓋を開けて一口飲んでから私へ質問してくる

 

「安心して? 打鉄改には問題は無いよ」

 

と彼を安心させる為に言い

 

「ほ、ほら私って薫君の専属整備士じゃない? 操縦者と整備士には確固たる信頼関係が必要だと私は思っているんだ、自分の命を預ける訳だしね? 」

 

私が少し しどろもどろ になりながら言うと

 

「確かに、俺も信用できない人に任せられないしね。それこそ死にたくないから」

 

薫君は納得したようで頷きながら言い

 

「と言っても、俺は一夏さんの事を信用してるけどね」

 

そう薫君はニコっと笑み言い、そんな事を言われ私はかおが熱くなり、胸が満たされた気がする

 

「あ、ありがとう薫君。で、でね? よくよく考えたら私って薫君の事をあまり知らないなって思うんだ。ほら 誕生日とか趣味とか色々、話した事なかったじゃない? 」

 

彼と私が知り合って約2週間、幾度となく言葉を交わしてきたが、プライペートな話をした事が無かった

 

趣味も誕生日も家族の事も、私は何も知らない、だから私は知りたい、薫君の事を1つでも多く知りたい

 

そして私の事を知って貰いたい、そう思う

 

まぁ私は世間一般的の普通な女子高校生とはズレた存在だと自覚しているから、彼が動揺しない事を祈ろう

 

 

願わくば、彼もビルダーであります様に

 

 






さて、この辺りの設定作らなきゃ



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楽しい時間

 

 

 

薫君の事を色々と知る事が出来て少し機嫌が良くなった私は部屋に帰って打鉄改用のユニットの設計図の作成を始めた、流石に1日では終わらなかったので翌日からは昼休みと放課後を使って1週間程で原案を完成させて束さんへデータを送り添削をお願いした

 

まぁ合間 合間で作業をしていたから薫君の練習にも付き合っていたよ?

 

 

そんな訳で、私は部室でメビウスゼロを組み立てながら四苦八苦しながらムラサメを組み立ている薫君に手ほどきをしている、ちなみに鈴もいるけど慣れている為、黙々とザムザザーのディテールアップの為にパテを盛っている

 

箒も誘ったけど、こうゆうのは苦手らしく遠慮されてしまった

 

「えぇっと・・・d3がこれで? あ、こっちか」

 

結構集中しているようで薫君は真剣にムラサメを作っている、その横顔を見て何かカッコいいなぁと感じつつメビウスゼロを借り組みを進める

 

「あら? ごめん一夏、サンドペーパー切らしてるの忘れてたわ。1枚貸してくれない? 」

 

「いいよ? えーっと・・・これだね」

 

トレードマークのツインテールをお団子にした鈴が私に言って来たので鈴が使ってるパテを見てから、それに合ったサンドペーパーを鈴に渡す

 

「ありがと、一夏」

 

鈴はお礼を言って盛ったパテを削り始める

 

鈴も昔は薫君の様に・・・いや、鈴が初めてガンプラ作った時は何故かイライラして吠えていたなぁ

 

今では立派なビルダーになっている、そんな鈴の成長を実感して少し感動していると

 

「IS学園にもガンプラバトルの筐体が有れば、いつでもバトル出来るのだけど」

 

鈴がザムザザーを光に翳しながら削ったパテの具合を確かめつつ言う

 

「そうだけど、鈴みたいにビルダーとファイターの両方が出来る人はなかなか居ないんじゃない? 私はファイターよりビルダー向きだし」

 

メビウスゼロの借り組みを終え、全体のバランスを確認しつつ鈴へ言い

 

「それに、筐体は凄く高いって話だよ? 」

 

と続けて言う

 

「そうよね、あぁ〜簡易版とか出ないかしら」

 

鈴は再びパテを削りながら呟くと

 

「んん〜・・・ ガンプラバトルって何? ガンプラって動かせるの? 」

 

キリのいい所まで作った薫君が伸びをしてから尋ねてくる

 

 

「うん、専用の筐体が有ってガンプラをスキャンして仮想空間で動かせるんだ。 まだまだマイナーではあるし、それなりに準備に出費もあるからね。ガンプラの完成度、つまりビルダーの腕もバトルに影響がでるから」

 

 

「へぇ〜」

 

私の説明に薫君は興味深そうに頷く

 

ガンプラバトルのスキャンシステムはゲート処理や関節の可動域、パーツの剛性、表面加工など ビルダーの腕によって差が出る

 

例えば、薫君が作ったムラサメと私が作ったムラサメでは 私の作ったムラサメの方が扱い易く強い機体になる

 

と言ってもガンプラの完成度が高ければバトルに勝てる訳でもない

 

「バトルに影響は出るけど、素組みでバトルして勝つ人は勝つからね。ファイターの腕も重要かな? 私はファイターとしての腕は自身無いなぁ」

 

あくまで有利になるが、操る人がポンコツなら機体が幾ら凄かろうと負けてしまう、ガンプラバトルはなかなか面白いと思う

 

「一夏、アンタの場合、対戦相手を撃つ事に躊躇いがあるからよ。回避は神がかってるじゃない」

 

ザムザザーのパテを削り終えた鈴がザムザザーを机に置いていう

 

「回避が上手くても制限時間が来たら結局は引き分けで勝ててないからね? それに私は射撃の才能も無いし」

 

肩を竦めている鈴にそういうと

 

「ゲームの中でまで優し過ぎるのよアンタは、射撃だって躊躇いがあるから手首を捻る癖が付いてるだけよ」

 

と、ゲームして中でぐらい割り切れ(意訳)と鈴に言われてしまう

 

私としては、そんなつもりは無いから いつも全力で挑んでいる

 

「まぁいいわ、今度 織部模型店にバトルしに行きましょう? あそこには筐体あるし。八月一日 アンタも行くわよね? 」

 

「是非、俺も興味出てきたから行ってみたいし」

 

と二人のやり取りを見て、何故か胸がチクリと痛み、疑問を感じる

 

体調は悪くない、風邪だって もう3年は引いていないし病気の予兆もない

 

ならば、この胸の痛みはなんだろう? 私には分からない

 

「一夏さん? 大丈夫? 」

 

少し深く考え過ぎた様で薫君が心配した様子で私に尋ねてくる

 

「え? うん、大丈夫だよ、大丈夫」

 

努めて彼に笑顔で返答するが、彼はまだ心配そうだ

 

「本当に? 無理してない? 」

 

「八月一日、あんまりしつこいと 逆に気を使うわ。本人が大丈夫って言ってるのだから、大丈夫よ。一夏の健康に関しては あたし が保証するわ」

 

なんか鈴には見透かされる気持ちになる様な事を言われてしまうが、薫君は 頷く

 

「え、えっと・・・そう、織部模型店にバトルしに行くんだよね? なら鈴に勝てる様にムラサメを作らなきゃね? 」

 

「あら、それは楽しみね? あたし に勝てるかしら? 」

 

私の無理矢理な話題変換に鈴は乗ってくれて、鈴は余裕の表情をして薫君に言う

 

「やってみないと分からないぞ? 俺だってタダで負けるのは悔しいから」

 

薫君は鈴にあわせて挑戦的な言葉を言う

 

その姿を見て、やはり格好いいと感じる

 

 

何か最近の私は変だ、でも悪くない様な気もする不思議な気分だ

 

 





お待たせしました


そういえば、だいぶセシリアが出てきてないな、そろそろ出さなきゃなぁ



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一夏ちゃんの憂鬱

 

 

クラス代表戦に向けて一夏さんが持ってきた出所不明の情報を元に作戦立案し、それをこなせる様に練習をしたり一夏さんから貰ったガンプラを組み立てたり、色々と充実した日々を過ごしている

 

そんなクラス代表戦まで1週間を切った月曜日の朝、登校して自分の席に座るとクラスメイトが寄り集まって 今朝方起こった事故や事件でクラス代表戦に招かれていたお役人が数人亡くなったらしい みたいな話が聞こえてきたので気の毒にと思いつつ、いつものように隣の席の一夏さんに挨拶をすると彼女の顔色が悪い事に気付く

 

「一夏さん、顔色悪いけど大丈夫? 」

 

「え? あぁうん、大丈夫・・・」

 

俺の質問に一夏さんは少し辛そうな声で答えるが、俺には大丈夫には見えない

 

 

見た所、何処か怪我をしている様子では無いし、風邪を引いている訳でも無さそうだ

 

「大丈夫そうに見えないのだけど・・・」

 

「ははは・・・そうだよね、でも大丈夫。病気じゃ無いから・・・毎月の事だしね・・・」

 

そう言い一夏さんは机に突っ伏す、それを見て更に心配になり彼女へ声を掛けようとした瞬間

 

「八月一日、今日明日は そっとしておいてやってくれ。一夏は重いらしい」

 

死角から現れた篠ノ之さんが椅子に座っている俺を見下ろして言う、しかし何が重いかが全く分からずに困惑していると

 

「私達に毎月あって、男のお前には無いアレだ。ここまで言えば察する事も出来るだろう? 」

 

なんか睨む様な表情で言われ、よく分かっていないが頷いておく、篠ノ之さんは一夏さんの横に屈み彼女の腰を摩りながら俺には聞こえない程度の小声で何かを話している

 

 

なんか今日の篠ノ之さんは怖いな、何かしたかな? 俺

 

 

------------------------------------------------------------------------

 

 

クラス代表戦まで1週間を切った月曜日、私は鈍痛を感じ目を覚まし また来たかと少しイライラする

 

身体を起こし軽い吐き気と気怠さと不愉快な鈍痛を忌々しく思いつつベッドから降りてサイドテーブルから薬を取り出して簡易キッチンへ移動し薬を水で流し込んで椅子に座り溜息を吐いて薬が効いてくるのを待つ

 

 

幾ら女である事を受け入れていても、今日の様な日は 何故自分がこんな目に と思ってしまう

 

とはいえ、世の女性は皆 軽い重いの差があるにしても毎月耐えているのだからあまり弱音を吐けない、が 痛いのは痛いし、血が足らなくて軽く吐き気はするし、イライラするし 忌々しく感じるのは仕方ないと思う

 

暫くして薬が効いてきて動ける様になったので身支度をする為にシャワーを浴びる、その途中でお湯と共に流れてゆく紅を見て更に憂鬱な気持ちになり、目の前の鏡に目を向け映る自分を見る

 

 

最強のIS搭乗者、ブリュンヒルデに よく似た黒髪の少女、それが今の自分

 

 

「・・・私は もう俺には戻れない、受け入れたじゃないか」

 

鏡に全力で拳を叩き込みたい衝動を抑え、自分に言い聞かせる様に呟き、頭を冷やす為にお湯から水に切り替えて少し浴びて頭を冷やし、ふと ある事に気づく

 

「今回は、あの日の夢を見なかったな・・・珍しい事もあるなぁ」

 

蛇口を捻り水を止めて浴室を出てバスタオルで手早く身体を拭いてナプキンを装備してドライヤーを使い髪の毛を乾かし始めながら思う

 

毎月この時期に見る悪夢、あの忌々しい日の夢を今回は見なかった、それは今まで1度も無かった事だった

 

トラウマが癒えて来ているのだろうか?

 

数年で癒る傷では無いとも思うが、まだ1日目だ、まだ油断は出来ない

 

髪を乾かしてから出ると毎朝の事だが簪がベッドの上で身体を起こしボーッとしていたので おはよう と毎朝の挨拶をすると、ゆっくりと私の方を向き

 

 

「・・・一夏、今日からアレでしょ? 顔色悪いから休んだら? 」

 

と、何故か簪は的確に言って来たので少し驚く

 

 

「え、いや、薬も飲んだし大丈夫だよ? 流石に実習は見学させてもらうつもりだけど」

 

軽く言い訳みたいな物言いになってしまったが簪へ言うと

 

「あまり無理は良くない、ただでさえ新生活で知らず知らず疲労が蓄積している可能性もあるから・・・とはいえ、私が強制出来る事でも無いから、今は一夏を信じる」

 

そう簪は言うとベッドから降りて身支度を始める

 

 

たまに感じる事だが、簪は何者なんだろう? 勘とか鋭いし、なんで私の状態が分かるんだろう? 

 

そういえば、のほほんさんも時々鋭い指摘とかする時があるんだよな・・・なんだろう? 

 

 

それから朝食を食べて登校したが、薬を飲んだとはいえ無くなった血が直ぐに生成される訳では無いので軽く貧血気味の状態な為、怠くて仕方ない

 

そんな私を心配した薫君が声を掛けてくれたので、大丈夫と 返答するが信じて貰えず、少し濁して伝えるが伝わっていない様子だったが怠さがピークに達し机に突っ伏し、薫君には悪い事をしたな と考える

 

 

とにかく薬を飲んでいても痛いのは痛い、多少はマシになってるが痛い

 

 

これは簪の言う通りにした方が良かったかも知れない、思考が ぼんやり して纏まらないし、何より動くのが凄く億劫だ

 

 

なんか箒が私の横に屈んで小声で話し掛けてきたので、小声で返す

 

 

あぁこれは姉に怒られてしまいそうだ・・・憂鬱だ

 

 







お待たせしました




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一夏ちゃんの鬱屈


前話の冒頭に入れ忘れた文を加筆しました


 

 

薄暗い倉庫、鎖に繋がれた俺、見下した眼で俺を見下ろし注射器を持つ女と男達

 

女の手により注射器の針が身動き出来ない俺に刺さり投薬される、数秒後に身体が焼ける様な痛みが襲い、痛みのあまり意識を失う

 

そして冷たさを感じて目を開けるとバケツで水をかけられた様で全身びしょ濡れになっていて、自分の身体の異変に気付く

 

混乱しながら顔を上げると男達が明らかに下卑た目をしている、その視線に恐怖を覚え必死に鎖を鳴らしどうにか抜け出そうとするが、抜け出せず男達の嘲笑う声が響く

 

 

嗚呼、コレは夢・・・悪夢だ。あの日の、忘れられない俺が私へなった日の夢だ

 

この後、鎖を外されたが大の大人数人がかりで押さえ付けられて着ていた服を引き裂かれ、強姦されかける

 

そうゆう記憶だ

 

分かっている、終わった過去だと

 

知っている、彼等は2度と私の前に現れない事を

 

そうだとしても、恐怖は何度でも蘇る

 

 

私は頬を撫でる優しく温もりに気付き目を開ける

 

「・・・ねえ・・・さん・・・? 」

 

私に良く似た頼りになる最強の姉が優しく私の頬を撫でる

 

「む・・・すまん、起こしたか」

 

私が目を覚ました事に気付き謝る姉に いいよ大丈夫 と答えて纏まらない思考で考える

 

何故、私は見覚えの無いベッドに寝ているのだろう? 確か教室の自席に突っ伏していた筈なのだから

 

 

私が そう考えいると姉が

 

「一夏、お前は教室で貧血を起こしたんだ。ここは保健室で もう時期昼休みになる」

 

姉はパイプ椅子に座り言う、その表情は教師では無く姉としての優しい表情だった

 

「ごめん姉さん、心配かけて」

 

私は ゆっくり身体を起こし姉へ言うと

 

「全くだ、お前は・・・と言いたい所だが、アレだろう? 仕方ないだろう、新生活で自覚していない疲れやストレスも有っただろうしな」

 

姉は私の左手を取り両手で包み言う

 

「それに毎日顔を合わせておいて見抜けなかった私に責任がある、不甲斐ない姉で すまない一夏」

 

そう姉は言い少し目を伏せる

 

「姉さんは悪くない、姉さんは世界一 優しい私の姉さんだよ。強くて優しくて最高の、ね? 」

 

私が ニコっと笑み言うと姉は そうか とだけ呟いた

 

 

強くて優しくて 少し不器用で、だけど私を確かに愛してくれる世界でただ1人の姉

 

私は そんな姉を世界一尊敬している、2番目は庵さんと束さん

 

「今日は大事を取って部屋で大人しくしていろ、保健室でも良いが・・・気が休まらんだろう? 」

 

姉はパイプ椅子から立ち上がり私の頭を撫でて言う

 

「・・・分かった、ありがとう姉さん」

 

先程見た夢も含めて(すこぶ)る気分が悪いので姉の言葉に従う事にした

 

「次から無理をするな、お前なら数日授業を受けんでも問題無いだろう? いいな? 」

 

そう言い姉は私に言い聞かせる様に私の頬を撫でて、私の返事を聞かずに保健室を出て行く

 

「・・・姉さん」

 

私の姉は優しすぎる、不器用だから勘違いされがちだが、本当に優しい

 

生徒に厳しくするのは、ISを扱うのは危険が伴う事が多いからだ

 

下手をすれば怪我では済まない事態だってあり得る

 

 

それを姉は知っている、だから厳しい態度を取り厳しい教師として振る舞っているのだ

 

 

まぁ家では、だらしなかったり 庵さんに絡み酒する事もあるのを私は知っている、姉は庵さんにベタ惚れなのだから

 

 

「あ、姉さんに結婚の話を聞いとけば良かったかな・・・まぁいいか」

 

私はベッドから出て保健室を後にし、寮の部屋へ帰る

 

出来るだけ ゆっくりと歩き陽を浴びる、少しでも鬱屈した この精神状態が良くなる様に

 

徒歩10分掛けて部屋に帰り、部屋着に着替えてからベッドに横たわる

 

 

寝てしまいたいが悪夢の続きを見るのではないか? と思うと寝れそうにない、かと言って今の精神状態ではガンプラを組み立てる気持ちにもならないし、集中も出来ない

 

と言うか、薬が切れて来たのか下腹部の鈍痛が増して来た気がするが、身動きするのも億劫になって来た

 

「・・・ここまで億劫なのは束さんの所に居た時以来・・・かな? 」

 

初めて生理が来た時は、自分は死ぬんだ と思う程の痛みと絶望感と諦めを味わったのを思い出す

 

確か女になって3ヶ月ぐらいだったかな?

 

痛くて起きたら下腹部が痛いし、妙に変な感じだし、痛みで碌に動けないし、と本当に死ぬかと思った

 

布団に包まったまま色々と考えていたらクロエが様子を見に来てくれて私の異変に気付いて対処してくれたんだったなぁ

 

そのあと束さんから説明を受けて死なない事は理解したけど、すぐには受け入れ切れなかったから、女として生きる事を受け入れて決意するまで約半年がかかって、それから約半年で束さんとクロエから女のイロハをレクチャーしてもらったり立ち振る舞いを教えて貰ったりした

 

姉さんに会いに行ったりもして徐々に人と話せる様になったっけ・・・

 

 

「・・・クレアさんとラウラ、元気かな? 」

 

シミ1つない天井を見上げながらドイツで知り合った少し変わったお姉さんと同じ歳の娘の事を思い出す

 

 

「クレアさん、またラウラに間違った日本の常識を植えつけてないよね・・・」

 

自称日本通のクレアさんは度々 ある意味で箱入りで世情に疎いラウラに間違った日本の常識を植え付けていた、何度か私が訂正したが、一体どれぐらい効果が有ったかは分からない

 

 

久しぶりに電話でもしてみようかな? と思い、時計を見て携帯を取り出してクレアさんへ電話をかける

 

久しぶりの趣味友への電話で、少しは鬱屈した気分が解消される事を祈って

 

 





お待たせしました


クレアが誰か分かるでしょうか? ちなみにオリキャラではありません、ちゃんと原作キャラですw




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一夏ちゃん、少し復活

 

 

クレアさんと久しぶりに電話をして少し気が紛れて少し機嫌が良くなった、クレアさんは相変わらずズレた日本常識を持っていたので、少しだけ訂正してみたが多分 効果は無いと思う

 

 

電話を終えて携帯の画面を見ると束さんからメッセージが入っていたので開いてみると、PCの方へ添削した設計図を送っておいたから確認してね? みたいな内容だったので、お礼のメッセージを束さんに送ると部屋の扉がノックされ

 

 

「一夏、箒だが起きているか? 」

 

と箒の声が聞こえたのでベッドから降りて扉を開くと、心配そうな箒と薫君が立っていた

 

「えっと・・・いらっしゃい、でいいのかな? 」

 

私は疑問形で2人へ言うと、2人共苦笑して

 

「ま、まぁいいんじゃないか? 」

 

箒が そう言う

 

「一夏さん、ご飯持ってきたんだけど、昼は もう食べた? 」

 

薫君が購買で買ってきたであろう お弁当を私に見せて尋ねてくる

 

「あー、そういえば まだ食べてなかったよ、ありがとう」

 

すっかり昼食の事を忘れていたので薫君から お弁当を受け取り言い

 

「あ、お金、幾らだった? 」

 

「いいよ一夏さん、心配だったから口実作りに持ってきただけだしね? 」

 

財布を取りに行こうとして直ぐに薫君が言う、その言葉が妙に嬉しくて胸が暖かくなりモヤモヤとした気持ちが晴れて行く様な気がする

 

「あ、ありがとう」

 

少し顔が熱くなってきたが、お礼を言うと

 

「今朝より血色も良くなってるし、ひとまずは安心だな? しかし一夏、あまり無理はするなよ? 」

 

私の顔を見て箒は そう言い少し安心した表情をする

 

「それ、姉さんにも似た様な事を言われたよ。ありがとう箒」

 

と苦笑して そう箒に言うと僅かに不満そうな表情を一瞬だけした

 

幼馴染だから分かる僅かな変化だった訳だが、何故 箒が不満そうだったかは分からない、心当たりが無い

 

かと言って聞く訳にもいかないので、見なかった事にした

 

「クラスの皆・・・特にオルコットと布仏さんが心配してたよ、いや1番心配してたのは織斑先生かな? 」

 

「ははは・・・なんかゴメンね」

 

薫君の言葉に苦笑して謝り、少し反省する やはり無理せずに休めば良かったと

 

 

そもそも結果的に早退してしまっているしね? しかもSHRまでしか受けて無い訳で

 

「さて、我々はお(いとま)するとしよう。長居しては休めないだろうしな? 」

 

「そうだね、じゃぁ また。ちゃんと休んでね?一夏さん」

 

「ありがとう2人共」

 

そう言い2人は去って行くので、お礼を言い見送る

 

扉を閉め、机に座り薫君から貰った お弁当を開き食べる、何度か食べた事の有る普通の幕内弁当が なんだか いつもより美味しく感じ頬が緩む

 

 

私は良い友達を持って幸せだな、と思いながら お弁当を食べ終え何となくテレビをつけると、ニュース番組がやっていた

 

内容は、今朝に起こった事故や事件の特集の様だった

 

亡くなった人の名前や写真もながれていて、そこに映る人物の名前に見覚えがあり、不自然に感じる

 

亡くなった人達は全て政治家のお役人であり、私と薫君が交際し在学中に子を成す事を狙った派閥のメンバーだったからだ

 

同じ車や車列にいたなら、まぁ違和感を感じる事はなかっただろうし、別々の場所だから重なった可能性も有る

 

だが、私には どうも不自然に見えてしまった

 

そう、何者かの意図によって起こされたのではないか? と感じてしまったのだ

 

 

「・・・まさか、ね」

 

 

他の派閥によって排除された可能性も有るが、こんな事を計画し隠蔽 出来る人が知り合いに居るので彼女がしたのでは無いか? と心配になる

 

そう、彼女なら痕跡を残さず 事故に見せかけて亡き者にするぐらい造作もないだろう

 

 

「・・・束さんに聞いた所で誤魔化すだろうし、私じゃ嘘を見抜けないしなぁ・・・よし束さんを信じよう、これは偶然だ、偶然」

 

そう自分に言い聞かせる様に言い、薬を飲みゴミを片付けてからテレビを消してベッドへ戻り布団を被る

 

本当はダメだが、今日ぐらいは大目に見てもらう、まぁ誰も見てないんだけども

 

それから直ぐに眠気がやってきて私は夢へ落ちてゆく

 

 

 

薄暗い倉庫、鎖に繋がれた私、見下した眼で私を見下ろし注射器を持つ女と男達

 

 

女の手により注射器の針が身動き出来ない私に刺さる直前で、急に女の顔を鋼の拳が捉え切り揉み回転して飛んでゆき

 

「一夏さん、助けにきたよ」

 

と打鉄改を纏った薫君が鎖を引き千切り私を救ってくれる、その姿に私の鼓動は早くなり、そして違和感を覚えるが それさえどうでも良くなってしまう

 

彼が私を助けに来てくれた、それだけで十分なのだから

 

「ありがとう、薫君」

 

「さぁ、帰ろう? みんなが待っているよ? 」

 

彼の手を借りて立ち上がり お礼を言うと、薫君は微笑み そう言い私をお姫様抱っこをして、いつの間にか壁に空いていた大穴から倉庫を飛び出して空を飛ぶ

 

 

分かってる、これは夢だ

 

そう夢、だと分かっている。だってこんな結末は有り得ないのだから

 

こんな物語のハッピーエンドみたいな終わり方なんてしていない、でも・・・今は気付いてないフリをして彼の腕の中を楽しもう

 

多分、それぐらい許されるだろうから

 

 






よし、次こそクラス代表戦を書くぞ!

予定より2話増えてしまったw



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クラス代表戦 開幕

 

 

 

私が貧血で皆に心配をかけた日から約1週間、クラス代表戦の日がやってきた

 

 

丸一日休養したおかげで次の日からは無理をしない程度に動ける様になったので薫君の練習に付き合う事が出来たので出来うる限りの準備はできたと思う

 

そんな訳で私はピットで明石を展開して打鉄改に近接戦強化ユニット 雷切へ換装している

 

「まさか、1戦目から鈴が相手とは予想してなかったなぁ」

 

 

「そうだね、でも抽選の結果だからね・・・運が悪いのか良いのか」

 

私の呟きに薫君は苦笑気味に言う

 

確かに想定はしていたが、決して確率は高くないと思っていた、まぁ4組のクラス代表である簪と初戦で当たらなかっただけマシかも知れない

 

何せ簪の専用機は打鉄の次世代機、打鉄弍式

 

他の専用機持ちとは状況が違う、簪は打鉄の良し悪しを熟知しているのだから

 

 

それに打鉄弍式のマルチロックオンミサイルは、かなり厄介な存在で薫君は対処しきれないだろう

 

何せ48発のミサイルが別々の軌道で対象へ個別に軌道を変えて飛んでくるのだから、弾幕を張ろうが完全に躱すのは難しい

 

機体相性で言えば、オルコットさんのブルーティアーズのビットで打ち落とすか明石のクラインフィールドで凌ぎ切るしか無い

 

 

「まだ鈴で良かったかも、鈴は近接格闘戦仕様だし」

 

雷切の換装を終え、薫君に言うと彼は少し複雑そうな表情をして

 

 

「俺としては代表候補生と同じ土俵で戦うから不安なんだけどね」

 

と彼は少し弱気な発言をする

 

「大丈夫だよ薫君、対鈴用の戦術は覚えたでしょ? どうにかなる筈だから」

 

 

私は彼に大型戦斧 菖蒲を渡しながら安心させる様に言う

 

実際の所、薫君が鈴に勝てる可能性は低い、だって鈴は代表候補生だしね?

 

でも決して勝てない訳ではない、勝負には絶対は無いのだから

 

「ありがとう一夏さん」

 

私から菖蒲を受け取り薫君は真面目な表情になり鈴が居る方を向き言う、その表情を見て やっぱり カッコいいな と思いながら彼の邪魔にならない様に明石を格納して彼の後ろへ移動すると、出撃の指示がアナウスせれる

 

「頑張ってくるよ一夏さん」

 

「いってらっしゃい薫君、頑張ってね」

 

カタパルトに乗りアリーナへ出撃する薫君を見送り私は彼の勝利を祈り、入り口の方に気配を感じ振り向くと、私にとって2人目の姉の様な人が相変わらず無邪気な笑みを浮かべて立っていて

 

「束さん!? なんで此処に? というか、どうやって入ってきたの?! 」

 

「やぁやぁ いーちゃん、久しぶりだね〜」

 

驚きで固まる私に束さんは、いつもの様に笑みを浮かべたまま私を抱きしめて言う

 

「元気そうで安心した、君は ちーちゃんと同じで色々と溜め込むタイプだからね」

 

少し私より背の高い束さんが抱きしめられながら私の頭を撫でて言う

 

世間では天才だの天災だの人外だのと言われている束さんだが、私からすれば少し人と違う感性を持った お姉さんでしかない

 

確かに束さんは身内にしか心を開かないし、他人と関わりを持つ事を嫌う質だけど、万人に心を開ける人間なんて皆無だと思う

 

束さんは特に利己の為に擦り寄ってくる数多の輩と遭遇してきた、だから人間不信になっても仕方ないのかも知れない

 

「ありがとう束さん」

 

束さんにお礼を言い抱きしめ返すと、彼女の肩越しに赤毛の長身の美青年が目に入る

 

相変わらず無表情で束さんの護衛をしている彼を見て、何となく安心していると、束さんは腕を解き私から離れて

 

「さて いーちゃん、君の質問に答えようかな? まずは、どうして此処に。から」

 

 

そうニコっと笑んで束さんは言うので私は頷く

 

「ちゃんと正規のルートで来たから安心して? ほら私ってIS業界では世界的VIPな訳だし」

 

と束さんはドヤ顔で言う、なるほど来賓として呼ばれた訳か

 

と言うか、ISの産みの親である束さん以上のIS業界のVIPって居ないんじゃないかな?多分

 

「次に どうやって入ってきた? だけど、普通に歩いて来たよ? まぁそもそも此処のセキュリティは私にとって有って無い様な物だしね? 」

 

少し困惑する私にさらに爆弾を落としてくる束さんに少し頭が痛くなったが、いつもの事なのでスルーする事にして

 

「来賓席に居なくて大丈夫なの? 」

 

こんな所で油を売っている束さんに少し気になった事を尋ねると

 

「ん? 良いんじゃない? 私は君達に会う為に来ただけだし、たまに外出しないと身体がカビちゃうからね」

 

そう束さんはコロコロと笑う、これは本当に最初からクラス代表戦を見るつもりが全く無く、私達に会う為だけに来たのを理解する

 

「そ、そっか、大丈夫なら良いんだけど。うん」

 

束さんって基本的に自由人だから行動を制御出来る人が少ない、もちろん私では無理なので諦めよう

 

「それじゃぁ私は そろそろ箒ちゃんに会いに行くね? 」

 

「うん、ありがとう束さん。また今度ゆっくり お茶でも」

 

ニコニコと笑みを浮かべて言う束さんに軽く手を振り言うと

 

「じゃぁ、後で今の根城の住所を送るね? じゃ〜ね〜」

 

と手を振り束さんが去って行き、その後ろをジークさんが着いて行く

 

 

そんな2人を見送りながら、箒は驚くだろうな と思う

 

ついでに姉が溜息をつきそうだ、まぁそれはいつもの事では有るのだけど

 

 





お待たせしました



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クラス代表戦 本番

 

 

一夏さんに見送られ俺はカタパルトによりアリーナへ吐き出される、少し勢いを調整して待機位置で停止すると、すぐに凰さんがマゼンタ色のISを纏い現れて俺と同じく停止位置で停止する

 

「まさか初戦で戦うとは思わなかったわ・・・まぁ正直、あんた とは一戦交えておきたかったし、丁度良いわね」

 

凰さんは自身に満ちた表情で言い、両手に一振りづつ青龍刀を展開し緩く構える

 

「それは どうも」

 

俺も菖蒲を構え、彼女を見据える

 

俺がIS・・・打鉄改に搭乗し始めて約一月(ひとつき)、今日の相手はオルコットの時とは訳が違う、油断は全くない

 

少なくとも凰さんは俺を見下し油断をしていない、だから隙が全く見えない

 

確かに俺は一夏さんから出所不明の情報を元に作戦を教えてもらい、時間が許す限り練習してきた、だが不安しかない。だって目の前の凰さんは間違いなく強い

 

 

俺が強く菖蒲の柄を握り締めると試合開始のブザーが鳴り

 

「さぁ、戦る ()わよ! 簡単に落ちないでよ?」

 

「善処するよ! 」

 

正直、近接戦闘タイプの凰さんの土俵である近接戦仕様で戦いを挑むのは不安だが、シールドがある打鉄は そもそも近接戦仕様が前提だ、やるだけやるしかない

 

俺は不安を抱えながら凰さんと打ち合いを始める、事前情報通りスピードよりパワー重視の戦い方の彼女と雷切は相性が良い

 

「なかなかやるじゃない、これなら もう少し本気を出しても大丈夫そうね」

 

 

と凰さんは獲物を狙う獣の様な眼をして楽しそうに言う

 

「それは どうも、でも余裕を出せるのも今の内かもよ? 」

 

本当は結構いっぱいいっぱいなんだけど、悟らせない様に挑発すると凰さんは更に楽しそうな表情になり

 

「あら、楽しみね・・・やってみなさい」

 

ニィーっと口角を上げ凰さんは笑み、甲龍の両肩のアンロックユニットの装甲がカシャっと開き、まずい と思い対物シールドを前に出して衝撃砲を防ぐ

 

 

「あら、よく防げたわね? 衝撃砲は砲身も砲弾も見えないのが特徴なのに」

 

彼女は楽しそうに言い、俺の出方を余裕そうに見ている

 

 

なんつう威力だ衝撃砲、対物シールド越しでも凄い衝撃だったぞ? そしてなんで嬉しそうなんだ凰さんは、いや試合を楽しむ事態はいいと思うけど凰さんのは何か違う気がする

 

 

立ち止まっていては唯の的でしか無いので、動きながら弟切草(ビームガトリング)を撃つが凰さんは青龍刀を巧みに使い弾を弾き防御すると言う、眼を疑う戦い方を繰り出してきた

 

そんな事、誰が予想出来るだろうか? 出来ていた人がいる・・・一夏さんだ

 

一夏さんの作戦では、とにかく凰さんのテンポに乗らない様に立ち回る事を念頭に、と言われ反復してきた

 

鈴なら、銃弾を剣で弾くぐらい余裕でやってのける と笑う一夏さんの笑顔は可愛かったが、正直冗談だと思っていた・・・のだけど、まさか本当にやるとは

 

 

とにかく的を絞らせない様に動き、弟切草で弾をばら撒き、タイミングを見て菖蒲を振る、それを繰り返していく

 

 

試合が始まり20分が超え、俺のシールドエネルギーは だいたい7割弱といった具合になっている

 

何度も打ち合っているうちに細かいダメージを入れられてしまった、その割に凰さんには全く攻撃を当てられてないので正直まずい

 

「さて・・・充分楽しんだし、そろそろ幕引きにしましょうか! 」

 

「まだまだ! 」

 

一気に距離を詰められ弟切草が間に合わないと判断し、菖蒲と対物シールドで青龍刀2振りを受け止めて鍔迫り合いをすると

 

「もう終わらせるわ、まぁ及第点と言ったところかしら? 」

 

凰さんは少し不満そうな表情で言い、何を言っているか理解が出来ずに尋ねようとした瞬間、側頭部に衝撃を感じて そのまま吹っ飛び地面に墜落する

 

「・・・い・・・今、なにが・・・」

 

軽く脳が揺れたのか少し揺れる視界を感じながら、立ち上がり凰さんを見上げ頭からを振り意識をハッキリとさせる

 

 

「あら、意外とタフね? 八月一日、脳が揺れて立てなくする予定だったのだけれど」

 

と凰さんはカラカラと笑う、つまりさっきのは凰さんの仕業だった訳か・・・何されたかが全く分かんないぞ?

 

「まぁ良いわ、自分が何をされたか理解せずに負けなさい」

 

凰さんは再び間合いを詰めてきたので打ち合いになるが、明らかに意識と挙動にラグが出る瞬間が出てくる

 

まるで、誰かに一瞬だけ掴まれたかの様に

 

 

俺は凰さんの猛攻に削られ続け、消耗した対物シールドが砕かれ そのまま致命打を貰い地面に叩き付けられ負けてしまった

 

 

試合終了のブザーが耳に入り、自分が負けた事を認識しながら思う

 

凰さん、やべぇ と、打鉄は防御型のISで打鉄に装備されている対物シールドは損傷を受けるとナノマシンで自動修復してくれる代物だ、だから 凄い耐久値が高いのだが、凰さんは対物シールドの高い耐久値を削り切り破砕し、尚且つ俺に致命打になり得るダメージ浴びせてきた

 

一夏さんの情報では青龍刀に特出した能力は無かった、だから凰さんなりのダメージの出し方な有るのだろう

 

 

まぁ、なにはともあれ 負けてしまった・・・やっぱり壁は高いな

 

 







お待たせしました



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クラス代表戦 終了

 

 

 

 

束さんが方が箒に会いにピットを去った後、私は薫君と鈴の試合を見ていて徐々にシールドエネルギーを削られて行く彼を見て、やはり実力の差を埋められていないと感じる

 

確かに薫君にもIS搭乗者の才能は有る、だが中国に渡り再会するまでの期間で代表候補生になった鈴と比べると才能も努力も訓練時間も足りていなかった、そう言わざる得ない

 

きっと鈴は途方もない努力をしたのだろうし、オルコットさんと違い薫君を見下す事をせずに同格の相手と認識し、全力で彼と対峙していた

 

暫くして薫君の敗北で試合が終わり

 

「・・・怪我が無くて良かった」

 

私は薫君が怪我をしなかった事に安心する

 

薫君は負けたが、そんな事は正直どうでもいい、彼が無事なら それだけで良い

 

 

「お疲れ様、薫君」

 

明石を再び展開してピットへ戻って来た薫君を出迎える

 

 

「ごめん一夏さん、負けちゃった」

 

悔しそうに少し俯き言う薫君に

 

「うぅん、君が無事なら勝敗なんて気にならないよ。さ、雷切を外して休もう? 」

 

「・・・ありがとう」

 

本当に悔しそうにしている薫君を停止位置に誘導し私は明石のクレーンを使い雷切を打鉄改から外して専用コンテナへ収納して、薫君から菖蒲を受け取る

 

 

「今回は勝てなかったけど、練習を重ねれば勝てる様になるよ、きっと」

 

と彼を元気つける為に笑んで言う

 

「そう、だね。次は勝てる様に練習するよ、ありがとう一夏さん。俺 がんばるよ」

 

私の言葉に薫君は強く頷く、その目はヤル気に満ちていた

 

 

そんな彼を見て、やっぱり カッコいいな と思いつつ

 

「そろそろ行こう? 試合を見るだけでも勉強になるからね」

 

「そうだね、じゃぁ着替えてくるね」

 

彼の言葉に頷き私はピットから出て観覧席へ向かう

 

 

後で試合の反省会をしよう、多分 薫君は鈴に何をされたか分からない事が有るだろうから

 

 

そんな事を考えながら観覧席へ行くと、箒にベッタリ抱きついている束さんと 相変わらず無表情で姿勢正しく立っているジークさんが目に入る

 

周りにいるクラスメイトは どうしたら? と困惑している様子だったので

 

「束さん、皆が困惑してるよ」

 

私が声を掛けると通常の3倍ニコニコしている束さんが振り向き

 

「おや、いーちゃん また会ったね? 今は妹成分を補給中なんだ、もう暫く待ってね? ね? 」

 

あ、ダメだ 人の話聞かないや束さん と思いチラッと箒を見ると、どうにかしてくれ と言う表情で見られたが、無理と首を横に振ると 箒は諦めた様な表情になる

 

束さんを どうにか出来るのはジークさん と姉、庵さんぐらいなのだ、束さんの言葉を信じれば、もう暫くしたら離れるだろう、多分

 

 

とりあえず空いている束さんの横の席を見て

 

「ジークさんは座らないんですか? 」

 

私よりだいぶ背の高い彼を見上げて尋ねると

 

「・・・有事の際に行動が遅れる、気遣いは感謝するが俺の事は気にしなくていい」

 

相変わらず無表情で、そう返答してくるジークさんに、変わらないなぁ と思いつつ

 

それならば と束さんの横の席に座る、ジークさんや姉とか身内以外では落ち着いて座れないだろうしね

 

そういえばクロエの姿が見えないが今日は留守番をしているのだろうか? と思い

 

「ねぇ束さん、クロエが見当たらないけど、留守番? 」

 

箒に頬擦りをしていた束さんが一旦 頬擦りを止め

 

「クーちゃん? クーちゃんなら学校だよ? 」

 

あっけからんと束さんは言い、私は少し驚く

 

何故なら各地を転々としている束さんについて彼女の世話を一手に引き受けているクロエが学校へ通っている、つまり束さんは 何処かに定住している と言う事だ

 

いや、もしかしたら転校とかするのかも知れないが、クロエを娘と言い箒や私と同じ様に可愛がっている束さんが、転校とかさせないだろうし

 

とか考えていると

 

「やっぱりクーちゃんもね、学校に通って色々と学ばないとね? 狭い世界の中では狭い考えしか出来なくなってしまうから」

 

と慈悲に満ちた表情で言う、言っている事は素晴らしいが、箒にベッタリ抱きついている状態では少し格好がつかない

 

普段は破天荒な振る舞いが目に付くが、束さんは凄く物事を考えている人だ

 

 

「いやぁ最近、クーちゃんも気になる男の子が出来たみたいでね? 私には言わないけど、見てたら分かるよねぇ〜」

 

と漸く箒から離れた束さんが凄くニコニコしながら言う、まさに母親の顔だ

 

「そうなの? クロエが・・・」

 

私から見てもクロエは美少女だ、礼儀正しく言葉遣いも丁寧で少し小柄な美少女

 

そんなクロエの心を射止めた男子が居るのか、クロエには悪いけど気になる

 

 

「うん、織部模型店のバイトの子、ほら いーちゃん の後釜に入った彼だよ」

 

「え??! 沖田君? 彼か・・・彼かぁ・・・」

 

 

束さんの言葉に、少し驚く、IS学園に入学するにあたって織部模型店のバイトを辞めた私の穴に彼・・・沖田 響 君が入った

 

織部模型店は時給自体はさほど高い訳じゃ無いけど、とても働きやすい環境だから割と人気が有るんだよね、学業優先にしてくれるし

 

 

少ししか話した事ないけど、彼は悪い人では無かったな・・・少し小柄で女装が似合いそうな子だった、まぁ本人は気にしてるみたいだから言わなかったけど

 

 

と、言う事は束さん、今は篠ノ之神社近辺に居を構えているのかな?

 

これは言わないでおこう、今 居を構えている場所が割れてしまうと引越しをする事になってクロエが転校する事になるかも知れないし、私としても友達の恋は応援したいのだから

 

 

束さんの恋も早く実れば良いな、うん

 

 

 






お待たせしました


おかしい、後半で薫君と束さんを会わせる予定が、クロエの話になってしまったw



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反省会?

 

 

 

束さんとクロエの事について話す事十数分、薫君が制服を身に纏い現れジークさんと束さんを見て少し戸惑っているのが見えたので声を掛けようとすると

 

「やぁ、君が八月一日君だね? ふむふむ・・・」

 

いつの間にか薫君の正面に立ち彼を品定めする様に束さんは上から下まで見て言い、薫君は そんな束さんに困惑した表情をしていた、それを見て少し胸がモヤッとしたので

 

「束さん、もう少し常識的に挨拶して? 薫君が困ってるよ」

 

「ごめんごめん、いやぁ興味深くてねぇ」

 

私の言葉に束さんはテヘペロしながら謝って少しだけ薫君から離れ

 

「ほんと、不思議だねぇ? 君は何故 ISに乗れるのかな? この私でさえ原因究明が終わってないのに、ねぇ? 」

 

束さんはニコニコと笑みながら薫君へ尋ねる、その姿は まるで無邪気な子供の様だ

 

「・・・え? あー・・・なんでですかね? 本当なんでですかね? 」

 

薫君は困った表情で束さんへ返答する

 

「そっか、そうだよね。ごめんね? ナノ単位まで分解して調べたら分かるかも知れないけど・・・いーちゃん と 箒ちゃんに睨まれてるからやめておくよ」

 

はっはっはっ と誤魔化した様に笑う束さんを笑う私と箒は睨む様に凝視しておく

 

「は、はぁ・・・えっと、一夏さんと篠ノ之さんの知り合い、なんですか? 」

 

薫君は、なんとも言えない表情をしていたが、話題を変えようと質問をすると

 

「・・・遺憾ながら実の姉だ、八月一日。遺憾ながら、な」

 

束さんが答える前に箒が疲弊した表情で返答する、こうは言っているが箒は箒なりに束さんを尊敬している、らしい

 

「ん〜私の場合は・・・姉弟子、姉の親友、恩人、歳上の幼馴染、師匠、かな? 」

 

剣道とビルダーの両方 束さんは姉弟子になる、剣道では束さんと箒の父 柳韻先生が師匠、ビルダーとしては庵さんが師匠だ

 

ISのアレコレに関しては束さん直々に教えて貰ってる、でも私的には歳上で幼馴染が1番しっくりくるかも知れない

 

 

「へぇ、そうなんだ」

 

箒の返答には少し微妙な表情をした薫君が そう言うと

 

「私は2人共 可愛い妹かな? 」

 

にこにこにー と束さんは笑みを浮かべて言う

 

相変わらず実年齢に比べて表情が幼く感じる、まぁ昔からだけども

 

「さて・・・少しお節介をしようかな? ジー君? 」

 

と束さんはニコニコしたままジークさんに声を掛けると

 

「観覧室の個室が空いています、其方を押さえました」

 

直立不動のジークさんが、束さんの意図を汲み取った様で そう答える、相変わらず凄いな この人

 

「ありがと、さぁ行こうか八月一日君、いーちゃんも、ね? 」

 

そう言い束さんは歩き出したので、薫君と2人で首を傾げながらついて行く

 

 

数分足らずで個室の来賓席に辿り着き

 

「じゃぁ、八月一日君? 反省会を始めるよ? さて今回の君の敗因はなんだと思う? 」

 

なんか芝居がかった仕草と表情で薫君へ束さんは尋ねる

 

「実力と経験の差、です」

 

薫君は束さんを真っ直ぐに見て言う

 

「そうだね、それも要因だろうね? でも それだけじゃない、八月一日君 君に足りないモノは打鉄改への理解と対話だよ」

 

ビシッと効果音がつきそうな動きで束さんは薫君を指差して言う

 

「理解と対話、ですか? 」

 

薫君は束さんの言った意味が分からない様で困った表情をして尋ね返す

 

「そう、理解と対話・・・ISのコアには人格が宿っている、だからISは搭乗者を理解し最適化して行く、相手を知り自分を知ってもらう。君も信頼関係がしっかりしていない相手に命を預けられないでしょ? 」

 

束さんの言葉に薫君は無言で頷く

 

「と言っても知り合って直ぐに信頼は勝ち取れるモノじゃないからね、努力を惜しまずに研鑽するしかないかな? 」

 

と束さんは真面目な表情で薫君へ言い、彼は力強く頷く

 

「じゃぁ、此処からは いーちゃん の番かな? 」

 

にこ っと私に そう言ったので頷き

 

「薫君、鈴との試合の分析と解説をするね? 」

 

「うん」

 

私の言葉に薫君が頷いたので表示枠を展開して

 

「まず不可視の砲弾を撃ち出す衝撃砲、その利点は砲弾が不可視である事、砲身も不可視で射角を選ばない事、そして空間に圧力を掛けて砲身を形成している特性を応用出来るんだ」

 

「応用? 」

 

表示枠に鈴が龍咆(衝撃砲)を使ってる場面を映し出し説明する

 

「まず序盤の此処、この時は普通の捻りの無い使い方をしている。けれど・・・試合が始まって20分が越えた辺り、この時に鈴と鍔迫り合いをした薫君は真横から側頭部へ攻撃が当たっている、これが龍咆の怖い所」

 

説明に合わせて流す映像を流しながら薫君へ説明をする

 

鍔迫り合いの状態からでも射角に際限が無い以上、好きな場所に不可視の砲弾を叩きこめる訳だ、厄介極まりない

 

「それに空間に圧力を掛けて砲身を形成する特性を利用して、砲身形成を相手の挙動に合わせて行う事で一瞬だけ、ほんの一瞬 挙動を鈍らせる事が出来るみたいだね」

 

本当に僅かに鈍るだけだ、でも試合では そのコンマ1秒の差で防げる攻撃が当たりダメージになり、当たる筈の攻撃が外れたり防がれたりする

 

鈴は自身の専用機、甲龍の事を理解し熟知した戦い方をしている、やはり鈴は凄い

 

普通なら、龍咆は射撃武器でしか無いのに

 

親友としては誇らしいが、薫君の敵となると厄介な相手なので少し複雑な気持ちになってしまう

 

 





お待たせしました



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連休 出発

 

 

クラス代表戦から時は流れ5月に入り大型連休がやってきた、そんなわけで連休3日目、前々から約束していた日がやってきて、私は先日完成されたガンプラバトル用の機体を専用のケースに入れてから明石のバススロットに収納して

 

 

「それじゃぁ行ってくるね? 」

 

 

ここ最近ずっと難しい顔をして机に向かっている簪へ声を掛けると

 

「・・・いってらっしゃい、車とかに気をつけて」

 

少し眠そうな表情で簪は私へ返答をする、そんな簪を少し心配しながら部屋を後にし食堂へ向かう

 

食堂に行くと集合時間15分前なのだが既に薫君が分かりやすい席に座っていたので

 

「おはよう薫君、待たせたかな? 」

 

と声をかけると見ていた携帯から顔を上げ

 

「おはよう一夏さん、さっき来たばかりだから大丈夫だよ。凰さんは? 」

 

にこっと微笑み薫君は返答し、尋ねてきたので

 

「鈴? 途中で会わなかったけど、もうすぐ来るんじゃないかな?」

 

と答え、私は薫君の正面に座り

 

「ムラサメの仕上がりは どう? 」

 

約束をした あの日からアドバイスをしたりして薫君が少しずつ手を加えてきたムラサメについて尋ねる

 

「まずまず・・・かな? 初めての事だしね、戦えるとは思う」

 

薫君は少し不安そうに返答をする

 

「大丈夫だよ薫君、きっと大丈夫」

 

今更だが、1番最初に作るガンプラに可変機を渡したのは失敗だったかも知れない、どうせならザクファントムとかにしておけば良かった と少し後悔する

 

 

でも、薫君がガンプラに興味を持ってくれたのは嬉しいと思う

 

 

それから5分程経って

 

「む? 早いな、おはよう2人共」

 

「おはよう箒」

 

「おはよう篠ノ之さん」

 

箒が合流したので挨拶を返し箒の私服姿に新鮮さを感じる、休日に会っても だいたい部屋着の着流とか剣道着が多いからね

 

こうして見ると、やっぱり箒は美少女だなぁ と感じる

 

「それで一夏、私を何処へ連れてゆくつもりなんだ? 行先は秘密と言われて気になっているのだが」

 

私の隣に座った箒が不思議そうに尋ねてくる

 

「ん〜まだ秘密かな? ついたら分かるし、ね? 」

 

とりあえず微笑んで誤魔化し鈴を待つ、姉は有休を3日間ぶんどり 昨日から庵さんの何処だから現地合流するし、弾と数馬も織部模型店で合流する予定だ

 

それから集合時間ピッタリに鈴が現れたので挨拶も そこそこに織部模型店へ向かう

 

ちなみに箒へサプライズを計画している事は、このメンバーでは私以外だと鈴だけ知っている、じゃないと鈴が姉さんと庵さんが交際している事を口を滑らせて箒に言ってしまう可能性があるからだ

 

そんな訳でワクワクしながら連休とあって少し混んでいるモノレールに乗り込み最寄りの駅まで移動し、弾や数馬へラインをしながら薫君達と逸れない様に駅を出ると

 

「お、来た来た。よ、久しぶりだな一夏、鈴」

 

長髪の赤毛でバンダナをした弾が相変わらずの笑みを浮かべ駐輪場のガードパイプに腰掛けた体勢で片手を上げて言う

 

「お、久しぶり弾。どーしたのさ、織部模型店で合流予定だろ? 」

 

「あら、弾じゃない。久しぶりね」

 

私達も軽く片手を上げて挨拶に応じ、質問する

 

「数馬と先に織部模型店に行ったら千冬さんが居て、軽くガンプラバトルしたんだけど瞬殺されてよ、千冬さんの指示で迎えにな? 鈴がいるとはいえ・・・ほら千冬さんは心配症だから」

 

弾は自身の後頭部を軽く掻きながら言う

 

また我が姉は大人気なく本気でガンプラバトルをしたらしい、いやまぁ本気になるのは良いけど少しは手を抜かないと対戦相手が居なくなってしまうと思うのだ

 

「あーなるほどな、分かった。それじゃ行くか、自己紹介は歩きながら。あんまり待たせると姉さんが弾に電話してくるかも知れないから」

 

「だな、とりあえず俺は五反田 弾、一夏と鈴は中学からの親友だ。気軽に弾って呼んでくれ」

 

私の言葉に皆が頷き織部模型店へ歩み始め、弾が自己紹介をする

 

「俺は八月一日 薫、何の因果かIS学園に入学した男だ。気軽に薫と呼んでくれ」

 

「おう、よろしくな」

 

と薫君は弾と握手する、よかった上手く行きそうだ

 

「・・・篠ノ之 箒だ、一夏の幼馴染だな。よろしく頼む」

 

「あぁ、アンタが一夏が話してくれた幼馴染か、話には聞いていたが美人だな。よろしくな」

 

少し控えめな箒とも弾は握手をする、少し強引な気もするが箒には これぐらいが丁度良いのかも知れない

 

 

10分程歩き織部模型店に着くと、お店の前を庵さんが姉と掃き掃除をしていたので

 

「庵さん、何で姉さんは休みなのに此処で掃き掃除してるのかな? 」

 

「ん〜俺が働いてるのに、自分は見てるだけって出来ない性格だから、かな? 何度も断ったんだけどね? ほら一応 IS学園で教員してるから問題になりそうだし」

 

と庵さんは少し苦笑して言う

 

まぁ恋人と一緒にいる名目なんだろうけど、確かに問題にならないのかな? と思うが 大丈夫なんだろう、多分

 

 

やれやれ と思いつつ薫君を見ると、箒と同じ様な驚いた表情で固まっていた、やはりインパクトはデカい様だ

 

 

当たり前か、IS学園では鬼の様な教官の雰囲気を纏い続けている姉が、今はそんな事が一切なく柔らかい雰囲気を纏い模型店の前を掃き掃除しているのだから

 

知らない人が見たらそっくりさん と疑うんじゃないか? ってレベルで雰囲気が違う、私や鈴、弾は慣れてるから戸惑わないんだけどね?

 

 

 

 

 

 





お待たせしました


すみません、少しとばしました


しまった、セシリアを出すの忘れてましたw

セシリア空気ですまない



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連休 チュートリアル 1

 

 

姉さんの雰囲気の代わり様に驚いて固まる薫君と箒から鈴に目を向けると僅かに頷き

 

「ほら、八月一日 中に入るわよ。あんた 今日が初めてでしょう? チュートリアルをしないと」

 

と鈴が薫君の背中を軽く叩いて有無を言わせずに織部模型店の中へ連れて行くのを見送り、未だに固まっている箒の肩を軽く叩いて

 

「箒、大丈夫? 箒? 」

 

「はっっ・・・私は何を・・・あぁ、庵さん、お久しぶりです。箒です覚えていますか? 」

 

なんとか正気に戻った箒が庵さんに挨拶をし

 

「久しぶり箒ちゃん、もちろん覚えているよ」

 

相変わらず爽やかな笑顔を浮かべ庵さんは箒へ言う、それを横目で見ながら相変わらず変に真面目な姉の方を見て少し違和感を覚えたので姉を凝視してみると、左手の薬指に太陽光を反射する金属が嵌っている事に気付いた

 

普段から最低限の化粧しかしないし、アクセサリーも着けない あまり飾りっ気の無い姉が指輪をしているのだ、これは好機だな と思い庵さんの左手をあからさまにガン見して指輪を確認して

 

「庵さん、指輪はいつ渡したの? 」

 

私の質問に怪訝そうな箒を横目にワクワクしながら笑顔で庵さんに尋ねると

 

「一昨日だよ、入籍と式自体は まだ先だから婚約指輪になるのかな? 」

 

「庵、いくら一夏とは言え、素直に答えなくても良いのではないか? 流石に少し、な? 」

 

素直に答えてくれた庵さんに姉が少し恥ずかしそうにしながら言う、その様子を見て幸せな気持ちになり、箒を見ると混乱しているのか庵さんと姉を交互に見てオロオロしていた、なんか可愛い

 

「落ち着いて箒、2人が婚約したのは私も知らなかったけど、2人は交際しているんだよ」

 

少し可哀想になったので箒の手を握り落ち着かせる様に言う

 

「あ、あの千冬さん、が? いや、めでたいことだが・・・ふぅ・・・おめでとうございます庵さん、千冬さん」

 

オロオロと混乱していた箒は深呼吸をしてから2人に祝辞を言う、流石に切り替えが早いなぁ

 

「ありがとう箒ちゃん」

 

「う、うむ、ありがとう箒」

 

爽やかに笑む庵さんと恥ずかしそうにしている姉を見て思う、姉には幸せになって欲しい

 

これまで姉は私の為に苦労をしてきた、私は もうある程度は自立が出来る、だから姉には自分の幸せを第一に考えて欲しいと思っている

 

そして庵さんならば姉を幸せに出来ると信じている、もし姉の相手が庵さんで無ければ私は安心出来ていなかったと思うし、もしかしたら反対していたかも知れない

 

順調に行けば、私は十代の内に叔母さんになるだろう、それは楽しみだ

 

 

「では、お二人の邪魔になるといけないので、我々は そろそろ店内(なか)に入ります、お話はまたいずれ ゆっくりと」

 

「うん、また今度」

 

箒は そう2人に告げて庵さんの返答を聞き私に目配せをして頷く、私は無言で頷き私達は織部模型店へ入り、ガンプラバトルの筐体が有る店の奥へ向かう

 

「良かったの? 庵さんに会うのも6年ぶりだったよね? 」

 

道すがら箒へ尋ねると

 

「構わないさ、千冬さんがあんなに幸せそうなんだ、せっかくの時間を邪魔をしてはバチが当たるだろう? 」

 

と箒は微笑み言う、私は そっか とだけ言い筐体の並ぶガンプラバトル区間へたどり着く

 

「弾、今どんな感じ? 」

 

左右に筐体が並んでいて中央の壁に備え付けられた大型スクリーンを見上げている弾に尋ねる

 

「今、数馬が薫のチュートリアルの相手してる所だ、鈴はNPC相手に新作のテスト中」

 

私達の方を向き弾は答え

 

「薫、本当に今日が初めてか? ムラサメの出来も操縦技術も初心者とは思えないぜ? 」

 

と弾はスクリーンを見上げて呟く、そこには宇宙空間を縦横無尽に飛び回りデブリをスイスイ避けるムラサメと、それに追従するリゼルC型が映っている

 

「リゼルC型か、見た所 外観は弄ってないみたいだ。あーガンプラバトル用? 」

 

「だな、俺らじゃ本職ビルダーには敵わないからな、ガンプラバトル用に調整してるって訳だ。でも関節とか重要な場所は手を入れてる」

 

 

私の言葉に弾は答え、私はなるほど と思う

 

ガンプラバトルをするだけなら、変に改造をするより素組みに近い状態で関節の可動域を調整したり、ゲート処理を丁寧に処理したりした方が良いわけだ

 

 

確かに観賞用と実践用では差が出るしね?

 

 

「それじゃ、箒もガンプラバトルのチュートリアルを始めよう?」

 

スクリーンに映る映像に見入っていた箒へ声を掛けると

 

「え?! いや、私は・・・ガンプラを持ってないぞ? 」

 

私に話しかけられて驚いたのか少し取り乱した箒が そう答える

 

「大丈夫、箒用のガンプラを用意してあるから」

 

私は箒用に用意したソードインパルスの入ったケースを明石のバススロットから展開し、箒へ渡す

 

 

関節強度と剛性、稼働範囲を高めた都合でインパルスの特徴の合体、分離、空中換装は出来ないが、まぁ問題無いだろう、多分

 

箒がいきなりシンみたいな戦い方したら私はビックリする、絶対

 

 

 

 





お待たせ致しました

繁忙期に突入したため、かなり不定期更新になります、気力がもたない


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連休 チュートリアル 2

 

 

ソードインパルスを箒に渡して半ば無理矢理ガンプラバトルの筐体へ箒を押し込み座席に座る箒の斜め後ろに立ち

 

「まず・・・このヘッドホンみたいなヘッドセットを着けて? これしないとバトル出来ないからね」

 

「そうなのか?」

 

箒に私物のスペアで持っていたガンプラバトル用のヘッドセットを渡し箒がヘッドセットを着けたのを確認して座席から端子を引っ張りヘッドセットへ挿して

 

 

「次は、その球体みたいな奴がガンプラをスキャンする装置だから、それにガンプラを入れて? 」

 

「こ、これか? 分かった」

 

私の説明に箒は恐る恐るスキャナーの蓋を開けて中にソードインパルスを置き蓋を閉める

 

「それじゃ最後にカードを そこの挿入口に入れて? そしたらシステムが起動するから」

 

最後に操縦者の操縦時の癖や戦績や色々が記録されるカードを箒に渡し箒がカードを挿入した事を確認して

 

「私は隣の筐体で準備してくるから、少し待ってて? すぐに通信入れるから」

 

「分かった」

 

箒の返事を聞いて隣の筐体へ移動し入り座席に座って自前のヘッドセットを装着して、と一連の準備をして箒へ通信を繋ぐ

 

「お待たせ、緊張しなくて大丈夫だよ、勝ち負けより楽しめるか否かが重要だと思うし」

 

「う、うむ、そうゆうものか?」

 

少し緊張した状態の箒に気を抜いて大丈夫だと言うが、なかなか難しいらしい、と思いつつ

 

「それじゃチュートリアルを始めよう、大丈夫 私がついてるから」

 

「頼んだぞ 一夏」

 

箒の返事を聞きながらチュートリアルミッションを選択し、起動する

 

 

するとステージ選択の画面からコクピットビューに切り替わり見える風景がカタパルトデッキに変わって各種ステータスが各所に表示され、それを見て確認しながら

 

「箒、右を見てみて? MSが見えるでしょ? 」

 

箒に尋ねながら軽く機体の腕を動かして見せる

 

「あぁ、それが お前の機体なんだな? なるほど」

 

少し緊張が解けたのか、箒は落ち着いた声で答える

 

「それじゃチュートリアルを始めよう、まずはオペレーターの指示を聞いて指示通りに動かしてみて? 」

 

空間投影された表示枠のミッションスタートのボタンを押しながら箒に言うと、すぐにNPCのオペレーターが指示を出して来たので、横目で箒をみながら私も機体を動かしてリニアカタパルトに乗り

 

「織斑 一夏、エグザスストライク 出撃()ます」

 

操縦桿を操作してカタパルトで加速して母艦から宇宙空間に吐き出されスピードを調整しながらマーカーによって誘導された進路を進むと、少し遅れて出撃した箒が追い付き隣を飛ぶ

 

「どうかな? 」

 

「思ったよりは難しくないな、まるでISを扱う様な感覚だ」

 

と箒は感心した様な声色で言う、その言葉に私は あながち間違いでは無いなぁ と思うが口にはしないでおく

 

何故ならガンプラバトル用の筐体とシステムを上手く利用したら性別関係なくISに搭乗出来るかも知れないが、束さんが そんな事に気付いていない訳が無いので、何か理由が有るのかも知れない

 

ガンプラバトルの操縦方法は操縦桿やペダルを使用するがヘッドセットを介して関節思考制御を使っているし、空間投影技術を応用してコクピットから見える風景とかを見せてくれている、だからISと似た部分が割とあると感じる箒の感想は正しい

 

 

「それはよかった、それじゃぁ オペレーターの指示に従って? 私も同じチュートリアルを受けてるから、大丈夫だよ? 」

 

「あぁ、とりあえず このマーカーを辿って行けば良いんだな? よし」

 

私の言葉に箒は少し落ち着いた様子でオペレーターの指示に従いチュートリアルをこなしていく

 

私も その後ろについてチュートリアルをこなしてゆき

 

「移動関係は終わりだね、次はNPC相手に戦闘のチュートリアルだよ、頑張ろう」

 

「まだ移動もままならないのだがな、まぁ仕方ないか」

 

箒は私の言葉に少し不安気に答える、確かに箒の気持ちはわかる 私も初めてガンプラバトルのチュートリアルや戦闘した時は少し不安だった

 

でも、不安よりワクワクが勝るのはすぐだったし、箒もそうだと良いな

 

そう思いながら私はレーダーに映る機影の数と位置を確認し

 

「チュートリアルだから そう簡単に箒が落ちる事は無いから安心して? 大丈夫、落ち着いて対処すれば勝てる相手だから」

 

「分かった、信じてるぞ 一夏」

 

箒は そう言ってエクスカリバーを抜刀し二刀の構えでNPCを見据えて私に言う

 

 

一応と言うか、基本装備のビームライフルとシールドが有るけどシールドはともかくビームライフルを使うつもりは無いみたい? いや、有るのに気付いて無いだけなのかも知れないけど

 

それならそれで私がフォローするだけの事だ、エグザスストライクのテストも兼ねてはいるが箒のフォローをする為に一緒にチュートリアルを受けている訳だしね?

 

 

私は そんな事を考えながらNPCのジムを見据える、上手くガンバレルが動くと良いな

 

 

 





大変お待たせしました


次の話は、使用ガンプラの設定とかを入れようと思います



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間話 ガンプラバトル関係

 

 

△ガンプラバトルの設定△

 

本作のガンプラバトルはガンダムビルダーズの様にガンプラを専用のスキャナーで読み取り仮想現実に投影してバトルする方式なので、ガンプラ本体にダメージは入らない安心仕様です

 

ガンプラバトル用の筐体は、中がコクピットになっていて操縦桿が2つ、フットペダルが2つ、右の操縦桿の横にメニュー選択 及び 決定等に必要なボタンが配置されており、座席正面にスキャナーやらステータスカードなどの装置が配置されています

 

 

ガンプラバトルをする為にはガンプラの他に、パイロットの様々なデータが記録されているステータスカードと専用のヘッドセットが必要

 

ヘッドセットは筐体内に画面が無いので空間投影された視界を見る為に必要で、通信などの機能もついている、見え方のイメージはマブラヴのコクピットに近いです、形はヘッドホンみたいな感じ

 

座席の背もたれ側面辺りにコードと端子が有り、それをヘッドセットに接続して使用する

 

一夏ちゃん達は自前の物を持っているが、店にはレンタルもある

 

 

この筐体 及び ヘッドセットはISの技術が使用されていて、ヘッドセットを介してパイロットの脳波を感知し、機体制御に反映させる機能がありパイロットの操縦の癖や好むバトルスタイルをステータスカードに記録していく

 

公にされていないが、開発者は篠ノ之 束である

 

筐体自体は高価だが、ヘッドセットは安価で中高生でも買える価格

 

 

 

常に世界各地の筐体とネットワークで繋がっていて、対戦が出来る

 

 

△ガンプラの設定△

 

 

 

 

 

機体名*エグザスストライク

 

搭乗者*織斑 一夏

 

武装*

 

=固定武装=

 

⚪︎イーゲルシュテルン

 

ストライク本体に元々装備されている機関砲、特に変更されず頭部に2門装備されている

 

 

⚪︎ビームサーベル

 

腰回りに少し手を加えてウィンダムの様に両腰に1本ずつ配置されている

 

⚪︎アグネアストラ

 

ウィンダムのスティレットを参考に制作された細身の投擲短剣、性能はスティレットと同様で両腰のアーマー内に3本ずつ格納されている

 

 

⚪︎対ビームシールド

 

ストライクの持っているシールドをベースにパイルバンカー機能が追加されていて、主に左腕に装備される

 

 

⚪︎ビームライフルV型

 

通常のビームを発射する銃口の下にグレネードを発射する為の銃口があるビームライフル

 

 

⚪︎ビームライフルショーティー改

 

GNビームピストルII の様にハンドアックスとして使える様に改造したモノ、威力と射程は通常のビームライフルに劣るが連射性能と取り回しに秀でている

 

 

ストライクノワール同様、両腰に装備されている

 

 

=換装武装=

 

#エグザスストライカー

 

⚪︎アンタレス

 

エグザスストライカーに4つ装備されたガンバレル、ビームライフルとビームブレード、ビームシールド発信器が装載されている便利な代物

 

ガンプラバトルがゲームなので、ある程度は緩和されているとはいえ、高い空間認識能力が必要な武装

 

⚪︎リニアレールガン

 

ストライクフリーダムのレールガンをベースに制作された物が2門

 

オオトリ装備の様に可動アームでエグザスストライカーに懸架されていて使用時にはストライクフリーダムの様に折り畳まれた砲身が両腰の横に展開して砲撃を行う

 

⚪︎コンテナガンバレル

 

マイクロミサイルが詰め込まれたミサイルコンテナ型のガンバレル、撃ち切ったらパージ出来る

 

 

⚪︎ゲイボルグ

 

レーゲンデュエルのバズーカストライカーをベースにエグザスストライカー上部に装着されていて使用時は可動アームが展開され担ぐ様な感じで使用する、機体の中央にゲイボルグが位置する為、左右の腕のどちらでも射撃可能、撃ち切ったらパージ出来る

 

 

 

 

 

 

備考*

 

一夏がガンプラバトルをする為に作り上げたガンプラ

 

エグザスをストライカー化した物がベースになっているが、エグザスストライカーに覆われて見えないがGNドライブが搭載されているのでエネルギー不足の問題は心配いらなくなっている

 

 

またビーム兵器が主体の構成だが鉄血MS対策でレールガンとゲイボルグを装備してあるが、どれぐらい役に立つかは未知数

 

 

もちろんトランザムができる

 

 

 

 

 

機体名*ムラサメ

 

搭乗者*八月一日 薫

 

 

武装*

 

⚪︎自動防御火器

 

頭部に2門、左右主翼基部に2門づつ合計6門装備されている機関砲

 

⚪︎イナヅマ

 

背部スタビライザーに装備されたビーム砲、MA形態時のみ使用可能

 

⚪︎空対空ミサイル ハヤテ

 

フロントアーマーに合計4発装填されているマルチミサイル

 

 

⚪︎ビームライフル イカヅチ

 

ムラサメ専用の中距離戦用ビームライフル、MS形態時の主武装でMS形態時にはマウントラックに懸架され、ある程度は動いて射角を取ることが出来る

 

 

⚪︎ビームサーベル

 

左腰部に1本装備されている

 

⚪︎シールド

 

対ビームコーティング処理の施されているシールド、MA形態時には機首としての役割を持つ

 

⚪︎スーパーパック

 

メサイヤバルキリーのスーパーパックを加工して製作されている

 

備考*

 

 

一夏の製作指導のもと製作された薫のガンプラ

 

エグザスストライクと違い、大規模な改造はされていないが可動域や関節強度などは手を加えている

 

 

 

 

 

 

機体名*リゼルC型

 

搭乗者*御手洗 数馬

 

武装*

 

⚪︎バルカン砲

 

頭部に2門装備されている機関砲

 

⚪︎グレネードランチャー

 

量腕に2門づつ装備されている

 

⚪︎ビームライフル

 

リゼル系統の標準装備のビームライフル、通常モードと高出力モードに切り替えて使う事ができ、ビームサーベルの様に使う事も出来る優れ物

 

⚪︎メガビームランチャー

 

可動アームで背部に装着されている高出力ビーム砲

 

⚪︎シールド

 

三点バースト式ビームキャノンを搭載した対ビームコーティング処理のされたシールド

 

備考*

 

一夏の親友 兼 悪友の数馬の使用機体、特にこだわりがないので改造はされておらず、墨入れとゲート処理等を丁寧にしている

 

 

 

 

 

 

機体名*ナタク

 

搭乗者*凰 鈴音

 

武装*

 

⚪︎ドラゴンハング

 

言わずと知れたアルトロンの両武器腕、バルバトスルプスレクスのテイルブレードとローゼンズールのインコムを掛け合わせた様な仕様に改造されていて、良く伸びる、火炎放射器機の威力も強化されているので大抵は大丈夫

 

⚪︎2連装ビームキャノン

 

背部に多関節可動アームで装着されている2連装のビームキャノン

 

⚪︎アルトロンシールド

 

左肩に懸架された対ビームコーティング処理されたシールド

 

 

 

 

備考*

 

鈴がガンプラバトルをする為に製作した自信作

 

一夏に負けず劣らず凝るタイプなのだが、時間が足りなかったので腕のみ改造してある

 

 

 

 

 

 

機体名*ヘビーアームズ・カスタムII

 

搭乗者*五反田 弾

 

 

武装*

 

⚪︎イーゲル装備×2

 

敗者たちの栄光に出てくる火力てんこ盛りの装備、それを2倍載せている

 

 

⚪︎2連装ビームガトリング×2

 

シールド付きのビームガトリング

 

⚪︎胸部ガトリング

 

胸部に2門装備されているガトリング砲

 

⚪︎マシンキャノン

 

頭部に2門装備されている機関砲

 

 

⚪︎ビームソード

 

エピオンのビームソードを流用して装備した武装、専用の小型エネルギーパックと一緒に右手に装備されている

 

全ての弾薬を使い切った後の使用が前提なので滅多に出番は無い、かも

 

 

備考*

 

 

もはや歩く火薬庫になった弾の使用機体、反動やら重量で機動力が下がっているが、近寄られる前に殲滅すれば良かろう精神の機体

 

使い切った火器を捨てて行くスタイルなので、徐々に機体は軽くなって近接戦が出来る程度にはなる

 

 

 

 

 

 

機体名*ソードインパルス

 

搭乗者*篠ノ之 箒

 

武装*

 

⚪︎CIWS機関砲

 

インパルスに標準装備されている機関砲

 

⚪︎対装甲ナイフ

 

両腰部装甲内に格納されているナイフ

 

⚪︎ビームライフル

 

インパルス標準装備のビームライフル

 

⚪︎機動防楯

 

インパルス標準装備の伸縮機能が付いた対ビームコーティングされたシールド

 

⚪︎エクスカリバー

 

ソードインパルスの代表的な武装、二本の大剣を連結して使える機能がある

 

⚪︎フラッシュエッジ

 

二本装備されたビームブーメラン、此方も連結する機能があり、巨大なブーメランを質量兵器として使用できる

 

 

備考*

 

一夏ちゃんが箒の為に製作した自信作、強度や性能を引き出す関係で換装が出来なくなっている

 

 

 

△登場人物追加 簡易ぷろふ△

 

 

名前*織部(おりべ)(しずか)

 

年齢*21歳

 

性別*女

 

身長*161㎝

 

容姿*眼鏡を掛けた黒髪ロングで姫カットの美少女(?)

 

容姿のモデルは蒼き鋼のアルペジオの八月一日 静

 

 

備考*

 

庵さんの実妹で、喫茶エリアを取り取り仕切っている人、性格は穏やかで歳下でも基本敬語

 

見た目インドアだが趣味はサバゲーでアウトドア派

 

 

 

 

名前*沖田(おきた)(ひびき)

 

年齢*15歳(高1)

 

性別*男

 

身長*165㎝

 

容姿*ちょっと女顔の茶髪の少年

 

備考*

 

IS学園へ進学する為に退職した一夏の代わりに織部模型店でバイトをしている男子高校生

 

一人称は僕、正義感が少し強くお人好しな所があり、春休み中にトラブルに巻き込まれていたクロエを助けたのがきっかけでクロエに好意を持たれている

 

 

暇な時に庵さんから剣術を伝授されていたりする

 

 

 

 





大変、お待たせいたしました

追記と加筆修正をしました

箒すまない、忘れていたw


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連休 チュートリアル 3


前話 ガンプラ関係に追記・加筆修正をしました




 

 

箒の操るソードインパルスの位置を横目で確認しながらシールドでコクピットを庇いつつビームライフルを構えてNPCジム4機と距離を詰める

 

「箒、ソードインパルスは近接戦向きだから敵機と距離を詰めないといけない、私が敵機の陽動するから隙を突いて? 」

 

「・・・従おう、落ちるなよ一夏」

 

私の指示に渋々といった様子で返事をして、そう言ってくるので

 

「大丈夫だよ、NPC相手だしね」

 

箒を安心させる様に言い、エグザスストライクのスラスターを全開にして加速する

 

「さて・・・推し量らせて貰うよ、エグザスストライクのチカラを」

 

ある程度NPCジムと距離を詰めた所でガンバレル(アンタレス)を展開し攻撃を始めると、4機は散開してアンタレスへ反撃をして来たので直ぐに動かす

 

 

「・・・なるほど、このままプレイヤーと戦うのは骨が折れそう」

 

アンタレス4機+エグザスストライク本体を同時に操作する難しさを感じながらNPCジム4機を睨む様に見据え、ムゥさんとかキラの凄さを改めて実感しながらデブリ帯を進むソードインパルスの位置を意識してアンタレス4機と機体制御をしてNPCジムに箒の奇襲を悟らせない様に努める

 

「そろそろ良いかな?箒」

 

「無論、大丈夫だ。推して参る」

 

私の言葉に箒は答えて推力全開でデブリ帯を出て1番近くに居たNPCジムをエクスカリバーで3分割に斬る

 

この短時間でソードインパルスに慣れ始めている箒に感心しながら残りのNPCジム3機が箒を囲まない様にアンタレスで牽制しながら

 

「よし、このまま合わせるから箒は好きに動いて大丈夫だよ」

 

と箒へ伝える

 

「了解した、信じてるぞ一夏」

 

私の言葉に頷き箒は動き出したので私は箒が戦いやすい様にサポートを始め

 

 

「少し慣れてきた、っと・・・させないよ」

 

独り言を呟きつつ箒のソードインパルスに気付いたNPCジムがビームライフルを撃とうとしていたのでアンタレスでNPCジム3機のビームライフルを撃ち抜き行動を阻止する、すると箒が回転する様にNPCジム2機を両断して撃破して最後の1機を見据えエクスカリバーを構える

 

その姿を見たNPCジムは近接戦ではソードインパルスに勝ち目が無いと判断したのか私の方へ推力全開へ接近してきた

 

「なるほど、確かに近接戦に限ればソードインパルスよりエグザスストライクの方が下かも知れない・・・けど」

 

NPCジムがビームサーベルを構え突っ込んでくる所をアンタレスで四肢を撃ち抜き無力化して、何となくミドルキックでNPCジムを蹴飛ばして最後にビームライフルで止めを刺す

 

 

 

「・・・一夏、少し足癖が悪いんじゃないか?」

 

箒が見ていた様で少し注意されてしまったので

 

「え〜? そうかな? 私より足癖悪い人はいっぱいいるよ? 鈴とか」

 

エグザスストライクを操作しアンタレスを回収してソードインパルスに近付きながら箒へ反論すると

 

 

「む、他人がやっていたら、やっていいなんて事はないのだぞ一夏」

 

どうも火に油を注いでしまった様で根が真面目過ぎる箒が お説教を始める、こうなっては私が何を言おうと私が反省しるまで箒は 正しさを説く

 

まぁ確かに私が悪いかも知れないから素直に聞いて反省しておこう、少なくとも箒に見られている時はやらない様にしないと

 

 

そんな訳でNPCジムを全機撃破したのでチュートリアルミッションが終了し、ミッションクリアと表示される

 

「ひとまずチュートリアルお疲れ様、どうかな? 」

 

と箒に初めてのガンプラバトルの感想を尋ねてみる

 

「うむ・・・悪くない、な」

 

先程まで緊張していた箒だったが、どうやらガンプラバトルを気に入ってくれた様だ

 

「そっか、良かった。さて一旦筐体から出よう? 」

 

「わかった」

 

私の言葉に箒は頷く、それを確認してからヘッドセットから端子を外してエグザスストライクとステータスカードを持って筐体を出ると

 

「おー、お疲れさん。新作の具合はどうよ」

 

いつもの軽い調子でエグザスストライクの具合を聞かれたので

 

 

「機体の具合は実戦レベルかな? でも操作に慣れるのにもう少し必要かも」

 

 

と素直に弾に感想を言う、親友だし特別隠す必要も無いと思うしね

 

 

「ふーん、そっか。あーそうそう鈴の奴は新作に少し手を入れてくるって言って作業場に行ったからな? あと薫と数馬は休憩するって喫茶の方に行ってる」

 

私の言葉に適当な相槌を打ち、この場に居ない3人の行方を教えてくれる

 

 

ん〜弾って話やすいし気配りも気遣いも出来るし見た目も悪くないんだけど、なんでモテないんだろう?

 

アレかなぁ良い人止まりで友愛で終わっちゃうタイプなのかなぁ?

 

弾、大丈夫だよ、きっと遠くない未来、彼女が出来るから、きっと、多分

 

とか少し弾に失礼な事をひとしきり考えから

 

「なら私達も少し休憩しようか、ガンプラバトルって結構疲れるからね」

 

「だな、あ、篠ノ之さん、ここのコーヒーは旨いって有名なんだぜ? 」

 

「そうなのか? それは楽しみだ」

 

私の提案に弾が乗ってきて箒に話を振り、それに箒が答えたのを確認して私達3人は喫茶の方へ移動を始める

 

そういえば(しずか)さんのコーヒー飲むの久しぶりだな、少し楽しみだなぁ

 

 





お待たせしました

久しぶりすぎて思った様に筆が進みませんでしたw



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連休 小休憩

 

 

数分も掛からずに喫茶エリアへ辿り着き薫君の姿を見つけたが、一緒にいる筈の数馬の姿が見えなかったので

 

「薫君、数馬は? 」

 

薫君に尋ねてみる

 

「あ、お疲れ様一夏さん、数馬なら誰かからメッセージが来たみたいで作業場に行ったよ? 」

 

コーヒーを飲んでいた薫君は私の質問に答え、少し不思議そうにしていたが、私はその疑問を解決出来る答えを持っていないので見なかった事にした

 

「いらっしゃいませ一夏ちゃん、いつものブレンドでいいですか? 」

 

奥の厨房から眼鏡を掛けた黒髪ロングの美少女、静さんが出てきて温和な笑みを浮かべ尋ねて来たので

 

 

「うん、ありがとう静さん」

 

私は頷きお礼を言い薫君の隣に座ると

 

「なら弾君もですね? 貴女は・・・箒ちゃんですか? お久しぶりですね」

 

と静さんはニコニコしながら弾へ尋ねブレンドを入れ始め、箒に気付き そう言う

 

「お久しぶりです静さん、約6年ぶりですね」

 

と箒も微笑み静さんへ言う

 

静さんは庵さんの実妹で少し童顔だから美少女に見えるが、ちゃんと成人していて確か今年で21・・・いや22歳になる筈

 

庵さんの実妹と言う事もあり篠ノ之道場の門下生だった時期があるので箒とも面識がある

 

「もうそんなに経ったのですね、通りで綺麗になったと思いました」

 

「い、いえ、私など」

 

静さんはニコニコして美少女になった箒を褒めると箒は照れたのか少し赤くなってアワアワする、それを見て少し可愛いなぁと思いつつ2人のやり取りから目を離し薫君を見て

 

「初めてのガンプラバトルはどうだった?」

 

 

箒にも尋ねた事を薫君にも聞いてみる

 

「そうだなぁ・・・楽しかった、凄く楽しかったよ」

 

と薫君は笑みを浮かべて言う、その様子を見て私は胸が温かくなる様な感覚を感じ満たされる

 

「そっか、楽しんで貰えたなら私も嬉しい」

 

私は笑みを浮かべて彼へ言い

 

「もう少し休憩したら次は対戦をしようと思ってるんだ、3対3か2人組を3つのチームにするか、バトルロワイアルにするかは決まって無いけど」

 

と、言ってもバトルロワイアルにはならないと思う、なぜなら今日が初めての2人がいるからチーム戦になるだろう

 

そうなると、相方が誰になるかで機体相性で連携が難しくなるかも知れない

 

 

私のエグザスストライクは中距離戦をメインに据えて遠距離と近距離に対応出来る様にしている、だから組むなら同じ中距離戦仕様機より、近距離戦機か遠距離戦機が良いので、箒のソードインパルスだろうか?

 

 

「わかった、楽しみだ」

 

私が機体相性の事を考えいると、薫君は本当に楽しみにしている表情で言う

 

 

その表情は何か新鮮で何故かドキドキして胸が熱くなる、薫君に出会ってからこんな気持ちを感じる様になったのだけど、これがなんなのかを私は知らない

 

 

そして最近よく、彼の近くに居たい と思っている、彼を支えてあげたいと考えている

 

私は、最近 変だ

 

「そういえば、入り口で織斑先生と一緒にいた人と一夏さんは知り合いみたいだったけど・・・」

 

少し考えこんでしまった私に薫君が尋ねてくる

 

「え?あ、あぁ・・・庵さんの事? えっと庵さんは、私と姉さんが6年ぐらい前まで通っていた剣道場の門下生の1人だったんだ。その剣道場は箒のお父さんがやってたんだよ? 」

 

静さんからブレンドコーヒーを受け取り一口飲んで薫君に説明をする

 

「へぇ、だから仲が良さそうなんだね」

 

なるほど、といった表情で薫君が頷くのを見て

 

「まぁね、昔から色々とお世話になってて・・・私にとっては兄の様な存在かな? まぁ順調に行けば姉さんと庵さん結婚するから義兄になるんだけど」

 

「え!? 」

 

「あら、お兄ちゃんは 漸く千冬さんにプロポーズしたんですね? これはめでたいです」

 

私の言葉に薫君は驚愕の表情を、静さんはニコニコと笑みを浮かべ2人を祝福している様だ

 

「そんなに驚く事かな?」

 

「あ、いや、織斑先生って仕事人間なイメージがあったから、ちょっと意外だったんだ」

 

私が薫君へ そう尋ねると彼は理由を答える

 

「あー確かにそうゆう質ではあるけど、姉さんは公私をキッチリ分けるタイプなんだ、見たでしょ?アレが完全にオフの姉さん」

 

薫君の言葉に納得して、姉さんがONとOFFで雰囲気が変わる事を彼に説明すると

 

「学園ではどうか知りませんが、試合の時の雰囲気と此処で寛いでいる時の雰囲気は全く違いますね。まぁ1番は お兄ちゃんといる時が肩の力を抜いている様に見えます」

 

静さんは眼鏡を外して眼鏡拭きでレンズを拭きながら私の説明に補足をすると、薫君は そうなのか という表情をする

 

「あ、今更だけど静さんは、庵さんの妹さんだよ? 」

 

と今更な紹介をすると

 

「改めて、織部 静です。よろしくお願いしますね」

 

私の言葉を聞いて静さんが自己紹介をする

 

「えっと、八月一日 薫です。よろしくお願いします」

 

静さんの自己紹介を聞いて薫君も自己紹介をすると静さんは眼鏡を装着して笑み

 

「八月一日君、一夏ちゃんをよろしくお願いしますね? 一夏ちゃんは少し抱え込むタイプなので」

 

「分かりました、任せてください」

 

割って入る間もなく静さんの言葉に即答で了承する薫君の真面目な表情を見て、嬉しいと感じるのと同時に鼓動が早くなって顔が赤くなって行くのを感じる

 

私の心臓は持つのかな?

 

 





お待たせしました



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連休 初戦

 

 

 

それから少しゆっくり静さんと箒を含めて雑談を楽しみ、コーヒーを飲み切ったので

 

「そろそろ実戦をしてみよう?」

 

私は三人を見て言うと

 

「だな、実戦を経験するのが1番だしな」

 

弾はニッと笑み薫君を見て言う

 

「そうだね、楽しみだな」

 

薫君も笑み返し席を立ち言う

 

「私は、もう暫く静さんと話てから合流するよ」

 

と箒が言うので、それも良いかと思い頷き

 

「わかった、先に行ってるね?」

 

「あぁ」

 

席を立ち箒に そう言い再び私達はガンプラバトルの筐体へ移動し

 

 

「やっぱり鈴と数馬はいねーか、3人・・・奇数か、3人で組んでNPC相手に要塞攻略でもするか? 」

 

と弾が腕を組み思案しながら提案してきた

 

「私は構わないけど、今日初めての薫君には少しキツイんじゃない?」

 

私と弾は、何度か挑戦しているミッションだから有る程度慣れている、だから要塞攻略の難易度が高い事を知っている

 

これが母艦の防衛戦とか敵母艦への強襲の方が、まだ難易度は低いと思う

 

「あーそうだな、なら・・・あ、ガーティ・ルー追撃戦は? 」

 

「その辺りが丁度良いかもね? 薫君、良いかな?」

 

弾とのすり合わせを終え、薫君に尋ねると

 

「構わないよ、俺にはよく分からないし」

 

と薫君は苦笑していう、それもそうか、多分 薫君はガンダム SEED destinyを見た事が無いのだろう、分からないのが当たり前だ

 

「じゃぁ、弾が小隊長ね? 薫君は遊撃、好きに動いて構わないよ、私がフォローするから」

 

私の言葉に2人は頷き筐体に入り準備をする

 

弾を小隊長に3人でチームを組んで、弾の選んだミッションに参加するを選択し準備を終える

 

「これよりボギー1への強襲を行う、デブリの中での視界の悪い戦闘になる、各機の健闘を祈る」

 

ガンプラバトルというゲームと言う都合で設定だとミネルバと共にガーティ・ルーを追撃している僚艦、と言う設定なのでミッション開始前の訓示をしているのはグラディス艦長では無くモブ艦長だったりする

 

そんなモブ艦長の訓示を聞きながら

 

「毎回思うんだけど、発艦はミネルバじゃダメだったのかな?」

 

「さぁな? 俺に言われても分かんねー」

 

私の言葉を聞き弾が肩を竦めて返答しオペレーターが指示を出してきたので母艦から発艦し作戦区域へ移動する

 

「あーやっぱゲタ用意しねーとダメだな、足が遅いわ」

 

移動中なので巡航速度を維持しているのだが、弾の操るヘビーアームズとの距離が徐々に広がって行き弾が呟く

 

ちなみにゲタとはサブフライトシステムの事で、ドダイとかベースジャバーの事

 

「弾のヘビーアームズは弾薬詰み過ぎなんだよ、下手に当たると爆発四散するじゃん」

 

「バッカ、これはロマンなんだよ、なんで分かんねーかな?」

 

いつもの調子で弾に軽口を言うと弾も本気で言っていないのが分かっているので、少しオーバーなリアクションを取り、薫君は軽く笑う

 

「そろそろデブリ帯に入る、薫と一夏は好きに動いてくれ。指示は都度出すから」

 

「りょーかい」

 

「了解」

 

弾の指示に返事をして、薫君はムラサメをMAモードにしてデブリの間を滑る様に飛んで行くのを見つつ私も加速し、デブリの中を進む

 

 

「やっぱり死角が多いなぁ」

 

レーダーを確認しながらデブリの中を進み索敵をしていると、少し遠くで爆発の閃光が見え、レーダーに敵機と弾・薫君が表示されているのを確認する

 

 

「位置からしてカオス、アビス、ガイアの3人かな? となると・・・」

 

私は更に加速して薫君の動きを予想して移動を開始しする

 

「やっぱり宇宙ステーションの所で奇襲かな」

 

奇襲した後に弾がいる方へ誘いこんで面制圧してもらうのも良いかも知れない

 

 

そんな事を考えながら宇宙ステーションの中に入り息を潜めて出るタイミングを図る

 

「一夏、薫がもう時期3兄妹をそっちに誘導する、ミサイルをフルバーストして隙を作る、それを合図に薫と連携して3兄妹を落としてくれ」

 

「了解、任せて」

 

弾の指示を聞いて返事をして

 

「薫君、もう少し頑張って」

 

「分かったよ一夏さん、信じてる」

 

私の言葉に薫君が返事をする、その言葉を聞いて私のヤル気に火がつき胸が熱くなる

 

逸る気持ちを堪えて弾の合図を待つ

 

「一夏!」

 

弾の声を聞き隠れていた場所から飛び出して弾の放ったミサイルの群れを避けている3兄妹を見据え

 

 

「お待たせ薫君」

 

「行こう一夏さん」

 

ヒット&アウェイで3兄妹を翻弄していた薫君が返事をしてくれたので私は頷き、アンタレスを展開し、3兄妹に容赦無い全武装のフルバーストを浴びせアビスを落とす

 

「残り2機」

 

 

デブリに紛れてカオスを見失ってしまったのでガイアを見据え次の手を考えると、ビービーとアラートが鳴り乱入のテロップが表示される

 

「このタイミングで乱入? 無粋だなぁ」

 

やれやれ と思いながら呟き乱入者の名前を確認する

 

「えーっと・・・M、O、S? イニシャルかな?」

 

名前を見たが見覚えが無い、だが過去に対戦経験が有る人が名前を変えている可能性もあるので一旦身を隠す事にして移動して向こうの出方を伺う事にする

 

 

さてどんな輩なんだろう?

 

 





お待たせしました



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連休 乱入

 

 

デブリに身を隠して様子を伺っていると

 

「一夏、乱入者が散開した、Mが薫の方に、Oがお前の方に移動してる。やっこさん こっちの配置を完全に把握してる様だ、やり手みたいだな」

 

弾の言葉を聞き、私も同意見と感じる

 

筐体の外から音がしなかったから別店舗からのネット対戦、乱入した直後に見えた僅かな戦闘の残光で私達の位置を特定し、行動を予想している

 

 

「少し薫君には厳しい相手かも」

 

向こうは、かなりガンプラバトルをやり込んでいる、という前提で考えるならガンプラバトルに慣れていない薫君はMに落とされてしまう可能性が高い

 

 

とはいえ、これも経験として負けるのも一興かも知れない

 

とか考えると、右斜め前に浮かんでいたデブリが爆発四散し

 

「いんのは分かってんだ、出てこいよ」

 

と、丁寧に私が潜んでいる場所の周辺のデブリを撃って挑発してくる、なんか聞いた覚えの有る声の様な気もするが、私の友達にヤンキーみたいな喋り方をする女性は居ないので友達では無い

 

とりあえず出方を考える、このOって人は堪え性が無いタイプだろうから もうそろそろ私が隠れて居る場所に砲撃をしてくる可能性が高い、その前に動かないと不利な状況になってしまう

 

まぁ隙を作れば良いか、と思いコンテナガンバレルを射出してOへ全弾発射する

 

 

「ちっ、ミサイルがありやがったか」

 

Oがミサイルを処理して居る間にデブリから出てコンテナガンバレルをパージしOの機体を確認する

 

彼女の機体はガンダム OOのアグリッサをベースにしている様だ、そこそこ大きい機体なのだが、器用に扱いミサイルを処理していく

 

そんな好機を逃すのは勿体ないのでビームライフルで狙い撃ちしてプレッシャーをかける

 

「小賢しい真似すんじゃねーよ」

 

深い紅色をした機体と相まってOの声は まるで悪鬼を連想する

 

彼女はディフェンスロッドで私の放ったビームを弾き、お返しとばかりにリニアガンを単射で撃ってくる

 

私は余裕を持って回避をしてデブリを利用しながらOの様子を伺う

 

 

巨躯のアグリッサを軽々と扱うOは口は悪いが腕は悪くない、だが巨躯故に中途半端なデカさのデブリの漂う この宙域は私の方が少し有利だ

 

まぁプラズマキャノンとかでデブリを薙ぎ払われたら、その限りでは無いけど

 

「ちっ・・・ちょこまかと、めんどくせぇ・・・だからアタシは嫌だったんだ、Mの野郎・・・」

 

どうやらOは好きで私の相手をしていないらしく、愚痴が溢れている

 

とりあえず隙を見てビームライフルで撃ったり、アンタレスで多方向から撃ってみたりして見るが、巨躯に似合わない挙動で私の攻撃を避けて行く

 

「おかしいな、アンタレスは小さいからOには見えづらい筈なんだけど」

 

ひょいひょい とデブリの間を擦り抜けながら私の攻撃が当たらない事に疑問を抱く、確かにシステム補正である程度は避けたり防いだりは出来る、だが多方向から同時に別々の部位に攻撃をされたら大抵は手が回らずに1箇所ぐらい当たる

 

それなのにOには私の攻撃が当たっていない、考えられるのは違法ツール(チート)を使っているか、全手動制御(フルマニュアル)で操作しているか、尋常じゃ無い程に勘が鋭いか、綿密に私の行動パターンを研究されたか、だ

 

まぁ多分チートの使用は無理だろうから、フルマニュアルか研究されたか、かな?

 

研究したなら、相当に時間を掛けて情報収集したんだんだろうな。扱いやすいからオオトリストライクを使ってたし、バランスが良いのを選ぶ傾向に私は有ると思う

 

研究されていたら厄介だな、物凄く面倒な事になった。このままじゃ泥沼の消耗戦だ

 

仮にフルマニュアルだったら、そろそろ息切れしてきて集中力が切れて被弾してくれると思うんだけど

 

とか考えているとOがデブリにアグリッサを擦ったのが見え

 

「あぁクソ、本当に面倒臭ぇ! デブリごと焼き払ってやる」

 

切れたのは集中力では無く忍耐力だった様で大火力のプラズマキャノンを放ちデブリを焼き払って行く、もうめちゃくちゃだ

 

でも、そのおかげで隙が出来たので加速しアンタレス4機を全部射出し大きいと近距離まで接近してビームライフルを放ち、Oの眼をそちらへ向けておいてアンタレスのビームブレードでアグリッサをバラバラに斬り刻む

 

「クソったれ、何が勝機はあるだ。やっぱ強ぇじゃねーか」

 

刻まれたアグリッサが数拍遅れてOの呟きと共に爆発四散する

 

「ふぅ・・・何とか落とせた」

 

正直、デブリも無い宙域だったらOに勝てなかったかも知れない、アグリッサは開けた場所の方が能力を発揮出来るだろうから

 

「ともあれ、薫君と合流しないと・・・」

 

歩く火薬庫の弾の心配を一切せずに、レーダーを見て薫君の位置を確認して

 

 

「薫君、こっちは終わったから合流するね? 」

 

「一夏さん、コイツやばいっっ、くっ・・・なんで先回り出来るんだ」

 

私の言葉に薫君は答える余裕が無い様で独り言を言っている、それを聞いて とてもヤバイ状況にある事を理解し、薫君の援護へ向かう

 

「待ってて薫君、すぐに行くから」

 

嫌な予感を抱えて少し不安になりながら私は呟いた

 

 





お待たせしました


1話で終わらせる予定だったんですがねw

まぁとりあえず次もガンプラバトルです



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連休 乱入 2

 

 

 

デブリ帯を抜け、遮蔽物の少ない宙域へ出て直ぐに戦闘の光りが見える

 

「お待たせ薫君、もうちょっとで援護出来る距離に入るから、私のいる方向に来て? 」

 

「ありがとう一夏さん、気をつけて、コイツはヤバイ」

 

私の言葉に薫君は返答し、私のいる方向へ退避を始めると

 

「やはり来たか、オータムでは時間稼ぎにもならんかったか。スコール、手出しするなよ・・・コイツは私の獲物だ」

 

「はいはい、分かってるわ。好きになさい」

 

と言うアチラの会話が聞こえて来て、本来なら有り得ないがMの機体から殺意の様な気配を感じる

 

「・・・どうであれ、戦うしかない」

 

有効射程距離に入った瞬間に、アンタレス全機を射出しビームライフルで牽制するが、Mは気にした様子も無く薫君のムラサメを追う

 

回避行動も取らないMを疑問に思い多方向射撃で足を鈍らせる事に決めて撃ち続けながら、Mの機体を良く観察する

 

「色は黒いけど、レギンレイズジュリアの最終決戦仕様をベースにしてるのかな? 足回りとスラスター回りをだいぶ弄ってあるな、コレ」

 

視界外からの多方向射撃を必要最低限の動きだけでヒョイヒョイ避けるMに感心しながら彼女の機体の推測を立てる、見た感じでは外付けの追加武装は無い様に見えるが、シールドに何か仕込んでいる可能性もあるので薫君と連携を取って行こう

 

「薫君、ミサイルの残弾は有る?」

 

「残り3分の1ぐらいなら」

 

Mの非常識な程の機体制御能力に驚きつつ薫君に尋ねると、そう答えたので

 

 

「私の合図でフルバースト、良いかな?」

 

「了解」

 

私の言葉に薫君は返答をしてくれたのでMの動きを見定め

 

「薫君、いま」

 

「当れ!!」

 

マクロス宜しくな機動で急制動をかけてMの背後を取った瞬間に残りのミサイルをフルバーストする

 

そう確かに薫君はMの背後を取った筈だった、だがミサイルは目標を見失い明後日の方向へ飛んでゆき

 

「今のは悪くなかったが、まだまだだ」

 

Mの冷たい声が聞こえた瞬間、薫君のムラサメはMの手によって真っ二つにされ爆散する

 

それを唖然と見ている私の方へMは機体を向け

 

「次はお前だ、織斑 一夏。今日と言う日を私は待ちわびわていたんだ」

 

此方へブレードを向けてMは言う、その様子にただならぬ気配を感じ薫君を落とされて熱くなりかけた頭を深呼吸して冷ましてMを見据える

 

「いくぞ織斑 一夏? 今から私がお前を落とす、そして・・・あの人に認めてもらう」

 

とMが言った瞬間、レギンレイズのアイカメラが赤く光りを纏い火が灯った様に揺らめく、そして物凄い速さで距離を詰めてくる

 

「速い」

 

私はエグザスストライクを動かしビームライフルでレギンレイズを牽制しながらアンタレスで多方向から射撃をするが人がギリギリで躱す様に私の攻撃を避け続ける

 

その姿はさながら阿頼耶識の様で、少し戸惑ってしまい遂に距離を詰められ切り結ぶ距離になってしまったのでビームライフルを捨てビームサーベルを抜きMと切り結ぶ

 

「この程度か? ならば残念だ」

 

その言葉に嫌な予感がしてレギンレイズから離れシールドを前に出すとレギンレイズのスラスターユニットの機関砲から撃ち出された銃弾がシールドに当たる

 

「ほぉ、先程のムラサメよりは歯応えが有るみたいだな? 」

 

「それはどーも」

 

シールドでレギンレイズの銃弾を弾きつつリニアレールガンとアンタレスで反撃をするが、読まれているのか全て紙一重で躱されてしまう、その事に少し焦り始めていると

 

「やれやれ、最初からお前の相手を私がしておけば良かった。先程のムラサメでは準備運動にもならなかったしな? お前もあんなお荷物を抱えて大変だな、織斑 一夏?」

 

そう薫君を小馬鹿にした口調で言うMの声を聴き、私の中の焦りは消えて一気に頭へ血が昇り

 

「お前、今なんて言った? 」

 

怒鳴るのを我慢し怒りで震える声でMへ尋ねると

 

「何度でも言ってやる、あんなお荷物を抱えて大変だな、織斑 一夏」

 

私の声に怒りが孕んでいるのが分かっているMは更に小馬鹿にしたトーンで言う、その声を聞き私の我慢は限界を超え

 

「お前は許さない! 絶対にだ!」

 

「やってみろ、お前に私が落とせるのか?」

 

私は操作を関節思考制御からフルマニュアルへ切り替えてレギンレイズへ吶喊し、切り結び鍔迫り合いをする

 

隙を突いてリニアレールガンでレギンレイズを撃つが掠る程度になってしまったので、そのまま離れてアンタレスでレギンレイズへ牽制をしてゲイボルグを構える

 

「なんだ、やれば出来るじゃないか織斑 一夏。こうでなくてはな」

 

アンタレスの多方向射撃を躱しきれなくなったのか、シールドで受け始めたMが少し楽しそうな調子で言う

 

「そうかよ、ならもっと行くぞ」

 

アンタレスでレギンレイズを囲い追い立て、ゲイボルグを撃ち躱されればリニアレールガンを撃ち、絶え間なく動き続ける

 

そうでなければMには勝てないし、一瞬の隙を突かれて負けてしまう

 

そんな状態、脳をフル活用し続けるとどうなるか、いずれ限界がきて負荷に耐えられずに鼻血が出て頭痛と発熱が起こる

 

しかし、それを無視して鼻血を垂れ流しながらMを追い立ててアンタレス3機を破損、ゲイボルグ、リニアレールガンの残弾の全てを犠牲にレギンレイズをアンタレスのワイヤーを絡ませて身動きを封じマウントを取って

 

「これで私の勝ちだ」

 

「・・・届かなかったか、やれよ」

 

エグザスストライクのシールドに付属されたパイルバンカーでレギンレイズのコクピットを念入りに潰してMを撃破する

 

「・・・あー・・・やり過ぎた・・・」

 

脱力して呟き、袖で鼻血を拭いながら少し反省する、いくら薫君を馬鹿にされたからと言ってキレるのはやりすぎだった、と

 

そこまで考えて、なんでキレたかを考えてみる

 

Mの様な挑発的なプレイヤーはガンプラバトルをしていれば何人も出会ってきていちいちキレたりして来なかった、にもかかわらず私は薫君を馬鹿にされただけでキレた

 

「・・・だけ、じゃないよね」

 

馬鹿にされた " だけ " じゃない " から " キレたんだ、きっと

 

 

だって私は今、後悔していない

 

お気に入りの服を鼻血で汚してしまって、この服は もう着れないかも知れないが、微塵も後悔していないし、彼の為なら惜しくないと思っている

 

「・・・この気持ち、悪くない・・・いや、良い気分だな、うん」

 

 

弾や数馬、鈴に借りて読んだ漫画とかに、こんな展開ってあったよなぁ と考えて、私は気付く

 

漫画の登場人物(かれら)が抱いていた感情を、言葉を、表情を

 

 

そのどれもが、今 私が薫君に抱いている気持ちに酷似している事に、私は気付いてしまった

 

 

私は薫君が好きなんだと、気付きてしまった

 

 

 






お待たせしました

少し無理矢理ですが、気付かせましたw


さぁーて、この作品は2020年内に完結出来るのだろうか?w



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連休 バトル リタイヤ

 

 

 

彼への想いに気づいてしまった私は

 

 

「・・・私は・・・薫君が好きなんだ」

 

 

私は座席に背中を預けて筐体の天井を見ながら呟く

 

 

薫君の声を聞くだけで、笑顔を見るだけで、側に居るだけで私の胸は満たされて幸せを感じている、全ては彼の事を好きだからなのだと私は自覚する

 

 

それと同時に不安と恐怖が私を襲う

 

私は元男なのだ、薫君は その事を知らない。事実を伝えてしまったらきっと薫君は私への態度を変えてしまう、彼を悩ませてしまうかも知れない

 

そうなれば、私は彼の側に居れなくなっていまうだろう

 

ならば、この想いは伝えてはならない。 私の様な半端な存在が彼の人生を狂わせるなんで有ってはならないのだから

 

「・・・それでも・・・私は薫君の側に居たい・・・だから・・・」

 

 

私は薫君の為に・・・否、自己満足の為に彼に尽くそう。いつか彼が誰かと付き合う事になっても、整備士として仕事を全うしよう

 

そう私は結論を出して、薫君への想いに蓋をして俯く

 

真っ赤に染まる自分の服を眺め

 

「・・・痛いな、これが恋、か」

 

ズキズキと痛む頭と熱を持つ頭、まだ流れる血を見ながらチクリチクリと痛む胸の痛みを味わいながら呟く

 

この胸の痛みは私が生きている証、そう割り切り思考を切り替えて考える、この状態じゃ この後の行動は無理だな、と

 

上着だけならまだしもスカートにまで鼻血が付いてるし、顔なんて鼻血で真っ赤だ

 

「どうしよう・・・」

 

どうしようと考えた所で、鼻血が止まらないので袖で押さえて止血するしかない

 

そういえば弾は大丈夫かな? まぁなんも言ってこないから大丈夫なんだろう、多分

 

でも、一応 聞いてみようかな

 

「弾、大丈夫? 」

 

「おー、片付いたか? どーよ」

 

予想通り余裕が有る様で弾は軽い調子で言う

 

「鼻血止まらない、加勢行けないわ」

 

「はぁ? マジか、分かった。リタイヤして安静にしとけよ?一夏」

 

 

弾に ありがと とだけ伝えて血で汚れていない方の手で画面操作をしてリタイヤを選択して軽く深呼吸する

 

ひとまず鼻血が止まらないと動きづらいので止血に専念してボーっとして筐体の天井を眺め

 

「はぁ・・・止まらないなぁ・・・」

 

ボーっと止血していると

 

「おーい、大丈夫か? 」

 

「大丈夫だけど、大丈夫じゃ無いかも?」

 

座席の後ろから弾が現れて尋ねてきたので答えると

 

「なんだそれ・・・って、真っ赤じゃねーか、染み抜き大変だぞ?それ」

 

私の様子を見た弾がウワッて表情をして言うので

 

「そんなの分かってる、悪いけど端子抜いてくれる? 」

 

私の言葉に弾は おう とだけ答えてヘッドセットから端子を抜いてくれる

 

「とりあえず庵さん か 静さんに頼んで横にならせて貰えよ」

 

「大丈夫、もう少ししたら止まるから」

 

弾には そう言い袖で押さえたまま筐体を出ると

 

「あ、一夏お疲れ様・・・って、あんた血が付いてるじゃない、鼻血?」

 

いつの間にか居た鈴に見つかり尋ねられたので

 

「うん、ちょっとね」

 

「もう、袖で押さえたら袖まで血塗れになるじゃないの。ほら手を退けて」

 

相変わらず世話焼きの鈴がティッシュを取り出して私の世話を始める、実は私と鈴は そこまで身長差は無い、だいたい8㎝ぐらいだ

 

 

「よし、とりあえずこれで良いわね」

 

「ありがとう鈴」

 

満足気な鈴にお礼を言うと

 

「気にしなくて良いわ、慣れてるし・・・八月一日、一夏に着せるから あんた のパーカー貸しなさい」

 

心配そうに様子を伺っていた薫君にさながらカツアゲみたいに言い薫君からパーカーを受け取り

 

「それじゃ一夏を家に連れて行くわね? 着替えさせなきゃ」

 

と言い私の手を引き進んでいく、相変わらず見た目よりチカラが強くて抗えない

 

そんな訳で織部模型店のトイレに入り鈴の指示で上着を脱いで畳み明石のバススロットに収納し、流しで手を洗う

 

「あんた、フルマニュアル使ったわね? 」

 

鏡越しに私を睨み鈴は言う、どうやら鈴にはお見通しの様だ

 

「まぁね、なんで分かったの? 」

 

顔についた血を流しながら尋ねると

 

「途中から見てたのよ試合中継をね? そしたら あんた 途中から動きが段違いに変わったじゃないの、だから分かったのよ」

 

どうやら見られていた様だ、それなら仕方ないか

 

「特定の事柄ですぐ頭に血が昇るのは、あんた の悪い癖よ? もう少し冷静になりなさい?」

 

鈴はヤレヤレと肩を竦めて そう言う

 

「・・・無理だよ、鈴 私には無理、それが出来たら もう出来てるしね? 」

 

 

備え付けのペーパータオルで手と顔を拭き鈴を真っ直ぐみて言う

 

「はぁ・・・そうね、そうよね」

 

鈴は呆れた様子で肩を竦めて薫君のパーカーを差し出してくる

 

「でも、ありがとう鈴」

 

薫君のパーカーを受け取り着て鈴へお礼を言う

 

「ほんと、あんた は手が掛かるわね? 全く・・・1人にしたら不安しかないわ」

 

と、鈴はオカン全開で言ってくる

 

なんだかんだと文句を言いながら人の世話を自ら行なっていく、その姿は 正に母親の様だ

 

きっと鈴は素晴らしい母親になる事だろう、鈴には母親になる事が無い私の分まで幸せな家庭を築いて欲しい

 

何気に鈴ってモテるし、家事スキルも高いから恋人もきっと直ぐに出来るだろう、多分

 

 






お待たせしました

なんとか書きましたよ、書きつらかったです

一夏ちゃんを幸せにしたいぃ


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連休 裏方の話


簪 視点


 

 

5月に入り多国籍学園のIS学園も大型連休に入った、私はあまり外出する趣味が無いし自分の専用機の強化改修のプランを練るには持ってこいなので連休初日から部屋に篭り手探りで強化案を考えている

 

 

私には叶えたい夢がある、他人には些細な事かも知れないが、私にはとても重要で生きる道標になっている夢だ

 

 

夢、それは自分の実姉 更識(さらしき) 刀奈(かたな)にモンドグロッソで正々堂々真正面から戦い勝つ事

 

既に自由国籍権を使いロシア代表の地位にいる姉との差は今は大きいが、必ず叶えるつもりでいる

 

とはいえ、そちらばかりに意識を向けてはいけない。なぜなら私には家から命じられてらいる仕事があるからだ

 

IS学園内で織斑 一夏への警護と観察、それが私の仕事

 

私の家、更識家は日本に古くから有る家で対暗部などを担ってきたらしい、と言っても曽祖父の代で要人警護などの仕事が殆どになったと聞いている

 

警護対象が警護されていると感じずに警護できるのが更識家と、その筋の人達には人気らしい

 

確かにプライベートな時間を仰々しい警護を付けたら目立つし楽しめないだろう

 

 

もちろん仕事抜きにして私は一夏を友達だと思っているし、仕事じゃなくても一夏を友達として支えて守るつもりだ

 

 

そんな訳でルームメイトの一夏を見送り、強化案を練っていると携帯にメッセージが届き宛名を確認する

 

 

「・・・お姉ちゃんか、なんだろう」

 

姉、刀奈は割とシスコン気味なので同じ学園内にいる私へメッセージを送ってくる事は少ない、用があるなら実際に会いにくるから

 

まぁロシア代表と生徒会長、更識家当主の仕事を兼務しているから忙しくて会いに来れない時もあるので、今回はソレだろう

 

そう勝手に決めてメッセージの内容を見る

 

「あぁ、そう言えば定期報告の日だった」

 

週に1回、必ず行っている定期報告の事をうっかり忘れていて、姉が心配してメッセージを送ってきた様だったので、すぐに生徒会室へ行く事を返信して部屋着から制服に着替えて早足で生徒会室へ向かう

 

 

連休中でグラウンドからは部活をしている声が聞こえ、私はその中を早足で抜けて生徒会室に到着する

 

「・・・失礼します」

 

さして乱れていないが息を整え扉をノックして生徒会室に入り、書類の山に囲まれた姉の前に立つ

 

「来たわね、報告を」

 

「はい」

 

普段、私に甘い刀奈ではなく更識家当主の楯無として書類を片付けながら私へ指示をする

 

「先のクラス代表戦にて篠ノ之博士と接触移行は特に目立った事はありません、体調面もこの1週間は良好です」

 

「そう、なら良かった。本音ちゃんの報告も同様の内容だから今の所は健康の様ね? 」

 

と私の報告を聞き姉は書類から目を逸らさずに少し安心した様な声色で言い

 

 

「さて・・・定期報告へ遅刻したのは何故かしら? 」

 

書類から目を私の方へ向け、鋭い眼差しで尋ねてくる

 

「・・・忘れていました、申し訳ありません」

 

これは私の非の為、弁明はせずに素直に理由を言い頭を下げる

 

「そう、人間誰しも完璧では無いからミスはあるわ、けれど役目を与えられた以上は責任を持って貰わないとダメなの、分かるわね?」

 

「はい」

 

姉の言っている事は最もなので素直に返事をする

 

「もう同じ間違いはしない様に、いいわね?」

 

「はい、申し訳ありませんでした」

 

私は姉の言葉に再び頭を下げる

 

「立場上、何かしらペナルティを課さないと・・・」

 

威厳の有る声色で姉は言い

 

「助けて簪ちゃん、書類仕事が終わらない!!」

 

次の瞬間には威厳ある更識家当主のメッキが剥げて、夏休み最終日に宿題が全く終わってない小学生みたいな声を上げる

 

これが我が姉、更識刀奈だ

 

「もう、なんでこんなに有るの? 」

 

苦笑して姉のデスクへ歩み寄り尋ねると

 

「それはアレよ、アレ」

 

姉は目を泳がせながらオーバーなジェスチャーで不明瞭な事を言い出したので、生徒会会計のデスクで黙々と作業をしている私達姉妹の幼馴染で姉的存在の虚さんの方を見ると

 

「お嬢様が書類仕事から逃げた結果ですよ、自業自得です」

 

と、キッパリ言い切り再び姉を見るとイタズラがバレた子供の様な表情をしていたので、やっぱりかぁ と思いつつ

 

「お姉ちゃん、なんで毎回逃げて後で苦しむの? 」

 

少し呆れながら姉へ尋ねると

 

「うぅ・・・なんか最近 簪ちゃんが虚ちゃんに似てきた気がするわ」

 

と半ベソかいてよく分からない事を言い始めたので追求を諦め

 

 

「もう、私も手伝うから」

 

「ありがとう、簪ちゃん。流石は私の天使!」

 

そう言い姉はデスクを迂回して私を抱きしめてくる、これはいつもの事なのでスルーして

 

 

「はいはい、分かったから。どれなら私がして大丈夫なの?」

 

と言うと私から離れてファイル2つ分ぐらいの書類を渡して来たので受け取り、机に突っ伏してスースーと寝息とヨダレを出して寝ている幼馴染の横に有る副会長のデスクで書類仕事を始める

 

正直、私は身体を動かすより こうゆうインドアの作業が向いている、対して姉はデスク仕事より身体を動かす方が向いていると思う

 

 

普段は敵わない姉に対して勝てる要素だし、実姉が困っているなら助けたいと思うのは妹として当たり前だ

 

とはいえ、年子だから姉妹とはいえライバルみたいな感じになってしまう、あと心配症の姉を安心させるには、ISで姉に勝つほか無いと思う

 

 

そんなこんな私は書類仕事をしながら、本音が虚さんにどんな起こされ方をするのか少しワクワクして待つ

 

 





お待たせしました


はい、少し逃げました、許してください

連休中のネタが浮かばなかった場合、少し飛ばしてラウラとシャルロットの転入になります




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転入生現る、しかも2人

 

 

薫君への恋心を自覚した あの日、鈴に付き添われて自宅へ着替えに行った私は結局、発熱と頭痛が良くならず自宅で鈴に看病(かんし)される事になってさまい

 

その日の夜には姉が帰ってきて鈴と役目を代わってくれた、申し訳なくて謝ると、気にするな と私の頭を優しく撫でてくれた

 

 

そんなこんなで連休が明けて、いつもの様に登校して 自席で何か考え事をしている薫君に挨拶をして鞄から教科書を机に移していると

 

「一夏さん、さっき気になる事が有ったんだけど・・・」

 

薫君は真剣な表情で私に尋ねてきた、その表情もカッコいいなぁと思いつつ

 

 

「気になる事?」

 

表情を繕い少し首を傾げて聞き返す

 

「IS学園の制服ってカスタムが許されてるって聞いたんだけど、どれぐらいまでなら許されてる? 」

 

と真剣な表情と釣り合わない内容の質問をされ、私の頭に??が浮かんだので

 

 

「どこまで・・・ん〜私のがデフォルトとして箒のがスカートを少し弄ってる程度、大体の人が この辺りかな? ほぼオーダーメイドに近いのがセシリア、鈴、簪、のほほんさん、かな? だいぶカスタムしても許されるみたい」

 

 

IS学園はデフォルトの制服の型があり、それをカスタムやアレンジする事が許されている、私は申請するのが面倒だったからデフォルトの制服だ

 

もちろんカスタムやアレンジを頼めば料金も追加されるってのもある、スカートを短くするなら自分でも出来るしね?

 

「・・・極端な話、俺みたいにスラックスを履く事も出来るって事?」

 

私の返答に薫君は、まだ真剣な表情を崩さないで言う

 

「うん、極端な話 そうだね? 私は見た事ないし聞いた事ないけど」

 

私が知らないだけで、先輩達にいるかも知れないが素直に薫君へ言う

 

 

「そっか、ありがとう一夏さん」

 

と軽く微笑み薫君がお礼を言ってくれたので、凄く幸せな気分になり

 

「うぅん、私に出来る事が有ったら何でも言って?」

 

私も笑み、そう言い

 

「所で、なんで制服が気になったの?」

 

もう入学して一月(ひとつき)が経つ訳で、なんで気になったのかを尋ねる

 

「ちょっと職員室に用事があったから行ったんだけど、織斑先生と見覚えの無い俺と同じ制服(・・・・・・)を着た生徒が生徒指導室に入っていくのが見えて」

 

と薫君は不思議そうな表情をして言う

 

「薫君と同じ制服? それは・・・」

 

薫君の疑問は最もだ、何故なら2人目が見つかった(・・・・・・・・)なんて情報が無いからだ

 

確かに薫君と言う前例が居る以上、絶対に存在しないなんて事は無いし、元男(わたし)がISを使えるから更に可能性は有ると思うけど・・・公表しないのはなんでだろう?

 

いや、薫君の時の事を反省したら公表しないか、凄い騒ぎだったしね、うん

 

「2人目、なのかな? いや、うーん」

 

こればかりは予想の域を出ないので少し唸ると

 

「俺としては2人目だと嬉しいかな? みんな仲良くしてくれるけど、やっぱり少し、ね? 」

 

そう薫君は申し訳無さそうに苦笑する、元男ゆえに気持ちが分かるので

 

「少し息が詰まるかな? 2人目だと良いね?」

 

私は彼が幸せなら良いと思っているので、そう言うと薫君は頷いた

 

それから身にもならない話をしていると、チャイムが鳴り姉が教室に入ってきて薫君の言っていた彼(仮)と銀髪で眼帯をしている身長148㎝の美少女が続いて入ってくる

 

 

ごめん薫君、私は2人目(仮)よりドイツにいる筈の銀髪眼帯美少女の方に目が行ってしまう

 

私が驚いた表情してるのが嬉しいのかドヤ顔してるし、この前 電話で話した時は何も言ってなかったし、クレアさんも・・・グルかぁ

 

クレアさん、ラウラに甘い所あるからなぁ

 

そんな訳でドヤ顔してる銀髪美少女(ラウラ)を凝視していると山田先生が

 

「えーHRをはじめます、今日から このクラスにお友達が増えます。デュノア君、自己紹介をどうぞ」

 

約1週間ぶりに山田先生を見たが、相変わらず童顔で成人してる様に見えない、うん 山田先生は のほほんさんと同じで癒し系だなぁ

 

とか考えつつ2人目(仮)へ目を向ける

 

「えー・・・シャルル・デュノア、です。フランスから来ました」

 

と彼(仮)は、声変わりをしていないのか高い声で自己紹介をする

 

体格も高校生男子としては、かなり小柄で多分 私より小さい、それに加えて中性過ぎる顔付きなのだ、いわゆる男の娘という分類だ

 

と考えて、ふと思う。デュノア君は、もしかたら歳下かも知れない、と

 

 

第二次成長期が始まる前、または始まったばかりの年齢ならデュノア君の体格も声も違和感は無い、と考えて とりあえずデュノア君の事は見守る事にしようと決める

 

と私が考え事をしてる間にクラスメイトがだいぶ騒いだ様で姉の一喝が入り

 

「ボーデヴィッヒ、自己紹介しろ」

 

「はっ、了解しました」

 

やれやれ といった表情で姉はラウラに指示を出すとラウラは姉に敬礼をして姿勢を正し

 

「ラウラ・ボーデヴィッヒだ、ドイツから来た。こんなちっこいなりだがドイツ代表候補生をしている、専用機の調整で入学が遅くなってしまったが、よろしく頼む」

 

 

と恐らくクレアさんが考えただろう自己紹介をラウラはする、クラスメイトの何人かはラウラの自虐ネタを気に入った様だ、良かった良かった

 

 

とりあえずなんで、ずっと此方を見てドヤ顔してるの?ラウラ、そんなにドッキリが成功して嬉しいの?

 

 







お待たせしました

全くネタが浮かばなかったので、飛ばしました


さてシャルをどうしよう、男の娘にしたくなってきたなぁ←



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IS実習 緑は墜落す

 

 

 

それからHRが滞りなく進み

 

「では今日は1限から2組と合同で実習だ、遅れない様にしろ。それと八月一日、お前は同じ男子のよしみでデュノアの面倒を見てやれ」

 

と姉は締めくくり山田先生と教室から出てゆき、薫君は軽くデュノア君と挨拶をして荷物を持って教室から出て行く

 

それを確認してからクラスメイトは実習の為に着替えを始める

 

「久しぶりだな一夏」

 

制服のボタンを外していると既にISスーツ姿のラウラが話しかけてきた

 

 

「久しぶり、実際に会うのは・・・2年ぶりぐらい?」

 

上着を脱いでシワにならない様に椅子に掛けつつ言うと

 

「そうだな、電話は時々していたがな」

 

制服を全て脱いで綺麗に畳み机に置く、実は制服の下にISスーツを着ていたのであとは脚部パーツを履くだけだったりする

 

「そうだね、それはそうと転入のこと、教えてくれても良かったんじゃない?」

 

脚部パーツを履きながらラウラへ抗議すると

 

 

「む? 気に入らなかったか? うむ、クレアがサプライズは喜ばれると言っていたのだが・・・」

 

と言い腕を組み首を傾げるラウラを見て、やはりクレアさんの入れ知恵かぁ と思い

 

「ラウラ、確かにクレアさんは頼れる人だけど、あんまり信用し過ぎない方が良いよ? 」

 

「しかし、クレアは博識だぞ?」

 

私の言葉にラウラは、純粋な目で私を見て言う

 

確かにクレアさんは博識だし頼れる お姉さんだ、しかし少し間違っていたりズレていたりする

 

そしてクレアさん自身、ラウラの事を考えてアレコレして悪気なんて全く無いから悪く言えないのだ

 

それからそれと無く箱入り娘のラウラへ真に受け過ぎるのはやめようと言い聞かせて実習の有るグラウンドへ一緒に向かう

 

「一夏、転入生と知り合いだったのか?」

 

音もなく私の横に現れた箒に質問されたので

 

「うん、ドイツで知り合ったんだ」

 

素直に頷き箒へ返答すると

 

「そうか・・・私は篠ノ之 箒、一夏の幼馴染だ」

 

珍しく箒が自分から初対面の人に歩み寄っている事に、あぁ箒も成長してると感動している私を他所に

 

「うむ、ラウラだ。苗字は発音が面倒だろ、名前で呼んでくれ」

 

にぱっ とラウラは笑み箒に言うと、箒の口角が僅かに上がり目尻が僅かに下がる

 

そうラウラは妹枠なのだ!!

 

「ならば、私も箒と呼んでくれ」

 

「分かった、箒」

 

箒もラウラの可愛さを理解した様なので、きっと仲良くなれる筈だ、うん

 

 

そんなこんなでグラウンドに到着すると、既に鈴が居たので合流する

 

「あら? その娘が噂の転入生の片割れ? あたし より ちっこいわね」

 

鈴は私の横に立つラウラを見て少し失礼な事を言うが、鈴と そんなに身長差は無いんだよ? だいたい2㎝程度だよ?

 

「ふん、身長(そちら)では私の負けだが、バストサイズ(こちら)では僅かに私の方が勝っている」

 

と何故かラウラが勝ち誇った表情で鈴へ言う、その様子に少しヒヤヒヤしながら見守っていると

 

「何よ、誤差の範囲程度の差でしょ? まぁ・・・後でぶっ飛ばすわ、放課後 ツラ貸しなさい」

 

「良かろう、貴様は同学年の中でも上位の様だからな。指標にさせて貰おう」

 

 

なんだろう、少年漫画みたいな展開になったぞ? とか考えていると姉がジャージ姿で現れたので整列すると始業のチャイムが鳴り授業が始まる

 

 

「それでは今日から本格的に実習を始める、実機での実習では些細なミスが怪我や事故に繋がる事もある、肝にめいじておけ! 」

 

ん〜やっぱり仕事中の姉はキリッとしていてカッコいいなぁ、実妹ながら憧れる

 

「では、実機実習に入る前にデモンストレーションをして貰う事にしよう。オルコット、凰、前へ出ろ」

 

姉は2人を呼び前に立たせる、デモンストレーションって何をさせるつもりだろう?

 

というか、2人共 少し不満そうだなぁ

 

「さてそろそろの筈だが・・・ん? ボーデヴィッヒ、山田先生が落ちてくる止めてやれ」

 

「イエスマム」

 

列から出て安全距離を確保してラウラは自分の専用機を展開して、右手を前に出すとキリモミ状態で落ちてくる山田先生が急にビタっと空中で停止する

 

 

「AIC・・・完成していたんだ」

 

私がポツリと呟くと隣に立つ薫君が私の方を向き

 

「一夏さん、知ってるの?」

 

と尋ねてきたので

 

「少しだけなら、ISに標準装備されているPICを発展させたモノ。簡単に言うと目に見えないチカラで対象を捕まえて動きを止める機能かな?」

 

 

本当にザックリ分かりやすく薫君へ説明していると、無事に山田先生が着地し姉の横に並ぶ

 

「これでも山田先生は元代表候補生だ、腕は悪くないのだがな 少し本番に弱いタイプなんだ」

 

と言う姉の横で山田先生は少し申し訳なさそうにしている

 

「では気を取り直して、オルコット、凰には山田先生と軽く戦って貰う。あぁ2対1で気が引けるか? 安心しろ、今のお前達では山田先生に直ぐ落とされる」

 

と姉は2人を煽る、少し心配になって山田先生を見ると 先程と違い目付きが変わっていて、いつものオドオドとした雰囲気では無くなっていた

 

「では残りの者は防護壁の裏へ移動しろ流れ弾に当たれば怪我で済まんしな」

 

と姉は指示を出し、私達は指示に従い移動する

 

ちなみに防護壁と言っているが透明なガラス板みたいな物で透けているからよく見えるし、ちょっとやそっとじゃ傷も着かない凄い物だ

 

 






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IS実習 青と赤も墜落す

 

 

見学者全員が防護壁の裏へ移動が終わったのを確認した姉が

 

「では始めろ」

 

「行きます」

 

姉の言葉にいち早く反応して山田先生は飛び立ち、有意な位置取りを始める

 

 

鈴とセシリアが数テンポ遅れて飛び立ち

 

「出来るだけ私の邪魔はされないで下さいね?」

 

「こっちのセリフよ、アンタは中遠距離専門でしょ? あたし より前に出ないでよ? 邪魔よ」

 

 

なんで普段は仲良いのにISに乗ると、こうも譲り合いをしないのだろう? まぁ元々2人共 個が強いタイプだからなのかも知れないけど

 

 

とはいえ、前衛の鈴と後衛のセシリアと言う配置はバランスは良いので山田先生がどう戦うか楽しみだ

 

 

「よし・・・デュノア、山田先生の使用しているISを説明してみろ」

 

上空で戦闘が開始したのを見た姉がデュノア君へ言う

 

「は、はい。山田先生が使用しているISはデュノア社製第2世代型ISのラファール・リヴァイヴの訓練機仕様です、外見だけなので確定では有りませんが恐らくノーマル装備だと思います。ラファール・リヴァイヴは第2世代型では最後期のISです、特徴は癖が無いバランス型である事、高い拡張性を有しカスタムパーツや追加武装が豊富である事、それにより搭乗者のスタイルによって機体色がガラリと変わるISです」

 

とスラスラとデュノア君はラファール・リヴァイヴについて説明すると

 

「ん、素晴らしい説明だ。今、山田先生が使用しているラファール・リヴァイヴは第2世代型、対して凰とオルコットの専用機は第3世代型だ。IS競技において この1世代の差は非常に大きい、だが1世代程度なら搭乗者に腕で容易に覆せる」

 

 

姉がデュノア君を褒めて、そう言った瞬間にグラウンドへ2つ、土煙を上げるクレーターが出来上がり、それを見た姉が

 

「な? 」

 

と姉はドヤ顔気味に言った

 

いや、な? って何さ?

 

「では、訓練機での実機実習を行う、出席番号順に5人ずつ班を組め ただし専用機持ちは教官役をしてもらうので私の所に集合、織斑、あそこでまだ揉めてるバカ2人を仲裁して連行してきてくれ」

 

 

「分かりました」

 

途中までキリッとしていた姉が鈴とセシリアの様子を見て溜息をつき私へ指示を出したので返事をして防護壁からクレーターへ移動し、モミクチャ状態で掴み合いをしてる2人を見て

 

 

「ねぇー2人共、喧嘩は後にしたら? 早くしないと織斑先生のカミナリが落ちるよ? 私が言うのもアレだけど織斑先生のゲンコツは痛いよ? 」

 

私の言葉に2人は掴み合いを辞め

 

「終わった事ですわ、今日の事を教訓に次に繋げましょう」

 

「そうね、そうしましょう」

 

となんか言い始め、いそいそとクレーターを出てきた

 

「専用機持ちは教官役させるから織斑先生の所に集合だってさ」

 

そう言うと2人は またかぁ みたいな表情をしたが見なかった事にして2人を連れて姉の所へ行く

 

「ん? 来たか、データを各機に転送した。その項目通りにすれば良い、安全第一だ、ISは展開しておけ」

 

と姉が言った瞬間、明石にもデータが転送されてきた事を告げる表示が現れた

 

 

「・・・あの織斑先生、私も教官役なんですか? 」

 

「あぁ、明石も専用機には違いないからな。戦闘機動は無理だが基本的な歩行や移動なら大丈夫だろう? 」

 

と姉は言う、いや確かにそうだけど、明石は特殊だから脚部も腕部も装甲がないから自分の足で歩くから感覚に違いなんて存在しない、とはいえ それを姉に言った所で状況が変わる訳ではないので色々飲み込む

 

 

そんな訳で私が受け持つ班に割り振られた打鉄を眺めながら姉に言われたので明石を展開して

 

 

「えーっと、それじゃよろしくね? まずは順番に装着・起動・歩行をやろう」

 

 

私が受け持つ班はクラスメイトだったので人見知りを発動せずに済んで良かったなぁ とか考えながら説明する

 

「織斑さん の専用機って、確か整備作業用なんだっけ? 」

 

「そうだよ、だからセシリアや薫君、鈴の競技用ISとは形が違うでしょ? 」

 

私の腰辺りに浮かぶ明石唯一のISの部分であるアンロック・ユニットを撫でながらクラスメイトへ言う

 

「全然違うね? 機能も違うの? 」

 

と尋ねられたので

 

「全く違うかな? まず競技用じゃないから武装も護身用のロングソードが1本だけ、あとは整備・改修とかに必要な機能と器具が積載されてる。 一応は飛ぶし浮かぶよ? 」

 

ふよっとクラスメイトの前で浮いて見せると、ありがと〜 と言われたので悪い気はしない

 

 

それから特にトラブルは起こらずスムーズに授業は進み

 

「総員傾注、午前の授業は此処まで。午後からは同じ班で使用した練習機の整備実習だ、専用機持ちは自分の班の訓練機をカートに載せてやれ。人力では少々重いからな」

 

と姉は言うが、人力でISを持てる人はなかなか居ないんじゃないかなぁ? 姉は生身でIS用の近接ブレードを振り回せるから多分、自力で載せられるんだろう

 

 

そんな訳で打鉄をカートに載せて明石を最低限の部分を展開したままカートを押して午後から授業を行う整備室へ向かう

 

 

午後からが私にとっては本番だ、だって公に打鉄を触れる訳だから

 

 

その前に今日は薫君とご飯を食べよう、多分デュノア君も一緒かも知れないし

 

 

少し気になる事も有るしね?

 

 






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昼休みと彼と私

 

 

 

整備室に打鉄を運び入れ、丁度 薫君とデュノア君が居たので昼ご飯に誘い一旦更衣室を経由する事になり、2人が制服に着替えている間、私は少し裏技を使い明石に格納していた予備の制服を展開して着る

 

本来なら推奨出来ない事だけど、明石は作業用で競技用じゃないから多少のエネルギーロスは無視出来るし、エネルギーが足りなければナノマテリアルを内燃機関に入れて作れば良いだけの事だ

 

それから着替え終わった2人と合流して、意外と人が居ない屋上の東屋でお弁当をバススロットから展開して2人の前に並べ

 

 

「少し多めに作ったから遠慮せずに食べて? 」

 

本当は鈴や箒も交えて食べるつもりで、お弁当を作ってきたのだけど、まぁ薫君もデュノア君も食べ盛りだし、多分余らないだろう、多分

 

 

「ありがとう一夏さん、篠ノ之さんと凰さんが一夏さんは料理上手って言ってたけど、これは凄いね」

 

薫君は驚いた表情で私が並べた お弁当を見て手放しで褒めてくれる

 

「ほんと凄い、この入れ物、えーっと・・・重箱? いっぱいにオカズとかお米が入ってて、作るのに時間かかってるよね?」

 

デュノア君は目を輝かせて褒めてくれる、なんか2人に褒められて照れてしまう

 

 

「食べて食べて? ね? 」

 

手を合わせ いただきます して私は おにぎり を食べると2人も食べ始める

 

 

「あ、そういえば自己紹介してなかった。私は織斑 一夏、よろしくね? 」

 

2個目の おにぎり を食べた時に思い出して自己紹介する

 

「シャルル・デュノアだよ、よろしくね? 」

 

ニコっと少女の様な笑みを浮かべるデュノア君を見て、少し失礼を承知で質問をする事を決め

 

「デュノア君、失礼な事を聞くけど、君は男の子?」

 

「あはは、よく間違われるけど僕は男だよ? えーっと日本では僕みたいな人を男の娘って言うんだっけ? 」

 

私の質問にデュノア君は苦笑しながら答えてくれる、しかし言葉ではなんとでも偽れてしまうので、コッソリ明石のスキャン機能を悪用してデュノア君を鑑定すると、紛れもなく男の娘・・・男の子だった

 

「え? あー・・・うん、一部の人の間では言う・・・かな? 多分」

 

やはり世界を動かしているのはオタクの人達なのかも知れない、私もその分類に入るしね?アニメ大好き、ガンダム大好き、ガンプラ大好き!! だもん

 

「だとしたら、シャルルはもっと食べた方が良いんじゃないか? 凄い華奢な気がするんだけど」

 

 

少し身長が高めの薫君がデュノア君へ質問すると

 

「そうかな? フランスでは周りの友達より少し小さいぐらいだったのだけど・・・それに薫は成長期来た後でしょ? 僕はまだ始まってないよ成長期」

 

 

薫君の言葉にデュノア君は少し不満そうに言い反論する、それを聞き

 

「えっと、デュノア君って今何歳? まさか・・・」

 

と私が質問すると

 

「今? 12歳、今年で13歳だね? 日本の学校風だと中学1年生になるのかな? 」

 

そうデュノア君はニコっと笑む、なんか妙に背伸びしてる感を随所に感じてたけど、やはり歳下だったかぁ

 

 

そりゃ薫君に比べて華奢で小柄だよ、だって中学生になったばかりぐらいの年齢だもん、当たり前だ

 

 

「これからに期待だなシャルル、いっぱい食べて大きくなろうな」

 

 

なんかお兄ちゃん化してる薫君がニコっとしながら言うと

 

「薫、僕は君の弟じゃないよ? なんで お兄ちゃん化してるの? 」

 

と言葉では否定しているもののデュノア君の表情は満更でもない様子だ

 

 

「いや、まぁ・・・ウチの弟もシャルルぐらい礼儀正しくて素直だったらよかったんだけどなぁ、生意気だからさ」

 

薫君は肩を竦めながらデュノア君へ言う、そういえば薫君は長男で下に弟がいるらしい

 

兄弟仲は悪い訳ではないが、男兄弟は毎日何かしら喧嘩していたとか

 

 

そういえば私は姉さんと喧嘩した事ないな、9つ歳が離れているし姉さんに育てて貰った恩を感じている

 

それに・・・実の姉とはいえ、霊長類最強のブリュンヒルデに逆らったり楯突こうなんて考えられる程、私は命知らずでは無いし、私は間違いなくシスコンの部類だ

 

それはそれとして

 

「デュノア君は兄弟は? 」

 

場の流れで彼に尋ねてみる

 

「僕は一人っ子、兄弟かぁ良いな。織斑さんは? 」

 

デュノア君は本当に羨ましいと言う表情をして私に聞いてくる

 

 

「元世界最強のIS乗り(ブリュンヒルデ)だった姉が1人いるよ」

 

 

「へぇ、そうなんだ・・・ん? 」

 

私の言葉にデュノア君は一瞬流そうとして首を傾げる、なんだろ守ってあげたくなる・・・これが庇護欲って奴なのか?

 

「元ブリュンヒルデって織斑先生の事だよね? ということは? 」

 

「私は、その織斑先生・・・織斑 千冬の実妹なんだ。あ、歳が9つ離れてるんだよね」

 

と言うとデュノア君は少し驚いた表情をする、私って結構 姉さんと顔が似てるって言われる事が多いんだけど、デュノア君には分からなかったみたいだ

 

 

いや、むしろ自己紹介の時は緊張してたのかも、薫君が居るとはいえ、周りほぼ女子だし、歳上だしね?

 

 

とりあえず暫くは薫君と一緒にデュノア君を見守ろう、もしかしたらデュノア君の専用機も触らせて貰えるかも知れないしね

 

 

アレ? そういえば、デュノア君ってデュノア社の社長と苗字同じだなぁ、もしかして社長子息?

 

 






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シャルル君に決定しました←



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セコム集会

箒 視点


 

 

 

 

賑やかなIS学園の学食の一画、最奥壁際の多人数掛けの席に座り私達は各々の昼食を食べている

 

「・・・そろそろいいかしら? 」

 

中華そば の3分の2を食した鈴が神妙な表情で口を開き言う

 

「そうだな、程よく人もはけた、頃合いだろう」

 

私も自分の日替わり定食を食べ終え焙じ茶を飲んでから鈴へ言う、いつもなら一夏も私達と食事を共にしている事が多いが今は八月一日とデュノアと屋上で昼食中だ

 

だからこそ、私達は ここにいる

 

「連休・・・織部模型店へ行った あの日から一夏の様子が少しおかしい、気付いてるわよね? 」

 

中華そば を完食し お冷やを飲み鈴は 此方を見て言う

 

「無論 気付いている」

 

私達だから気付ける異変を私達は感じ取り、一夏を大切に想う者同士出来うるだけ協力している

 

今日は鈴に誘われたが、私も近い内に誘うつもりだったので丁度良かった

 

「一夏は何かを抱えこんだ、ただし千冬さんが行動していないし姉さんからも連絡は無い」

 

 

そう、一夏は何かしらを私達に知らせずに抱えている

 

 

しかもそれは千冬さんや姉さんが感知、または 出張る必要が無いモノの類いなのだろう

 

千冬さんが動けば目立つし、姉さんなら私に連絡してくれる筈だ

 

 

「そうね、と言っても八月一日絡みと私は予想しているわ」

 

鈴はコップをテーブルに置き真剣な眼で言う

 

「・・・そうだろうな、十中八九は八月一日絡みだろう」

 

あの日、私が静さんと話をしている間に私が知らない何かが有ったのは間違いない・・・とかもっともらしい事を言うまでもなく、実は察しはついている

 

 

「いや、まぁ何となく察しはついているだろう? 一夏は自覚したんだろう」

 

 

「そうね、自覚した顔してたわね」

 

 

私の言葉に鈴は呆れた様子で肩を竦め言う

 

 

そう一夏は八月一日への恋心をアノ日、自覚したのだろう 見ていれば分かる、私は一夏の隣に立って一夏に惚れた者を幾人も見てきたのだから、すぐに分かった

 

一夏は八月一日へ恋をし、そして八月一日を愛している

 

 

「あたし が言えた事ではないけど、良いの? 」

 

 

鈴は真剣な眼で私を真っ直ぐ見て尋ねてくる

 

 

「無論 良いに決まっているだろう? まぁ思う所が無いわけでもないが」

 

 

手に持つ すっかりヌルくなった焙じ茶へ目を落とし私は鈴へ答え

 

「人を愛する方法は1つでは無い、相手の幸せを願い身を引く、というのも 愛する方法の1つだと私は思う。 それに八月一日にならば一夏を大切にし幸せにしてくれるだろうしな」

 

 

「・・・そう、ね」

 

私の言葉に鈴は軽く微笑み頷く

 

私は一夏の事が好きだった、約6年前に離れ離れになってしまい二度と会えないとさえ思っていた、だから私は一夏への恋心を捨てるしかなかった

 

その代わりに私は一夏が幸せである様に願う様になっていた、隣に立てなくても構わない一夏への幸せで有れば良い、そう私は想い続ける

 

 

「は〜・・・早くくっ付かないかしらね? 」

 

 

と鈴はテーブルに頬杖をついて呆れた様子で呟く

 

 

「八月一日は鈍感では無いだろうが、色恋沙汰に疎い様だし互いに好意が伝わっていないのだろう」

 

ヌルくなった焙じ茶を一気に飲み干して鈴へ言うと

 

 

「そうね、見てて分かるわよ? でも こう・・・見ていてもどかしいのよ、分かる? 」

 

 

鈴はウニョウニョとジェスチャーをしてから台バンしそうな勢いで大袈裟な手振りをして私へ言う

 

 

「・・・気持ちは分かるが落ち着け、鈴。これは一夏 及び 八月一日の問題だ、我々外野がどうこう出来る訳でもない」

 

 

「そうだけど・・・」

 

私の言葉に鈴は不満そうに返事をする、これは当人達の問題で私達が介入していい事では無い筈だ

 

「心配しないでも、近い内に付き合い始め・・・」

 

今、私は何を言おうとした? 心配しないでも、なんだ?

 

付き合い始める? そんな簡単では無い、一夏の抱えているモノは容易く消えはしない、一夏を離してはくれない

 

 

そう普通に恋心を自覚したなら自然体であり、様子がおかしいなんて思わなかった筈だ、だが実際は様子がおかしいと異変を感じている

 

 

つまり・・・

 

「・・・前言撤回だ鈴、私の予想が正しければ一夏は八月一日へ告白は愚か交際しない可能性が高い、何かしら我々でしなければなるまい」

 

 

不思議そうな表情をしていた鈴がハッとした表情をして

 

「・・・そうよ、最近の一夏に慣れすぎてて忘れてたわ。一夏は自分より他人を優先するタイプ・・・」

 

鈴は一夏が抱えている問題に気付き、一夏の性格を考えて私と同じ事に気が付いた様だ

 

「・・・一夏は誰かを頼る事に慣れていない、だから自分の気持ちへ蓋をする事、自分を偽る事に慣れている。これは不味いぞ、非常に不味い」

 

 

どうして織斑姉妹は、抱え込むのだろう? いやまぁ千冬さんの場合は立場も責任もあるからなんだろうけども

 

とにかく早急かつ慎重に一夏にバレない様にしながら行動しなければ

 

 

「・・・よし、あたし は八月一日に発破かけてみるわ。月末ぐらいには方をつけたいわね」

 

 

完全にオカンなオーラを纏い鈴は言う、確かに月末ぐらいに方をつけておかないと一夏が潰れてしまうかも知れない

 

私は、そんな一夏を見たくはない。 これは私のエゴだ、ただの自己満足でしかない

 

だからこそ、私は一夏の為と言う免罪符を使い一夏が幸せになる様に暗躍しよう

 

 








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龍兎激突

 

 

 

薫君とデュノア君と昼食を食べ、色々な話をして友好を深めたあと、午後の授業を受けて放課後になった

 

 

「やる気満々だなぁ、2人共」

 

どうやってアリーナの使用許可を得たのか分からないが、鈴とラウラはアリーナ内で向き合って対峙していて、完全に戦闘モードだ

 

その様子を観客席から私達は見ている

 

「ボーデヴィッヒさん、なんか余裕そうな表情してるのは何で?」

 

不適に笑んでいるラウラを見て薫君が言う

 

「多分、勝つ自信があるんだよ。むしろ負けると微塵も思っていない」

 

私は薫君の質問に答え言う

 

 

そう、ラウラは自分が負けるとは考えていない。勝てる自信しか無い

 

 

何故ならラウラの専用機シュヴァルツェア・レーゲンと鈴の専用機 甲龍は、その特性ゆえにラウラが優勢だからだ

 

シュヴァルツェア・レーゲンは全距離対応が可能な汎用型で各種武装もラファール・リヴァイヴに比べたら少ないが多種類の武装を装備している

 

そしてシュヴァルツェア・レーゲンの最大の特徴、慣性停止結界ことAICはラウラにとって強力な武器となっている

 

 

「そりゃ負けるつもりで試合をする人は居ないと思うけど・・・」

 

薫君は私の言葉に少し腑に落ちない表情で言う

 

「機体特性だとシュヴァルツェア・レーゲンと甲龍だとシュヴァルツェア・レーゲンの方が有利なんだ、それに鈴は近接戦闘がメインのパワータイプに対してラウラは遠中近を柔軟に見極めて戦うバランスタイプだからね」

 

私の言葉に薫君は、なるほど といった表情をする

 

そして試合開始のブザーが鳴り、試合が開始されラウラがエビ鉈の様な剣を左手に持ち、空いてる右手で鈴へ来い来いと挑発し、鈴が挑発に乗って青龍刀による先制攻撃を行うがラウラは余裕そうに棒立ちのまま右手を鈴に向け青龍刀が自分に当たる直前にAICを使用し、鈴の動きを止め

 

 

「直線的な青龍刀による先制攻撃、実に分かりやすい。これではセシリア・オルコットに試合をお願いした方が良かったか? 」

 

「くっ・・・厄介ね」

 

とラウラは余裕の表情を崩さずに鈴を煽る、普段は可愛い小動物みたいなのにISを纏うと いつも慢心家になるんだよなぁ・・・まぁ強いからなんだろうけど

 

 

ラウラは鈴から距離を取ってからAICを解除し

 

「では仕切り直そう、私を退屈させないでくれ凰 鈴音」

 

 

「望むところよ」

 

ラウラは不適に笑み鈴を挑発し、鈴は熱くなった頭を冷ます為に深く呼吸をして先程とは違うオーラを纏う、どうやら鈴は本気モードになったらしい

 

それを見てラウラは更に不適に笑み鈴を見据える

 

 

さて、鈴が本気モードになったとはいえ近接主体の鈴が不利なのは、全く変わらないのだが、鈴はどう攻めるつもりなんだろう?

 

「一夏さん、AICは全てを停止出来るの?」

 

薫君はAICに興味を持った様で私に尋ねてくる

 

「理論上は止められる、理論上はね? 」

 

私が少し含みを持たせて答えると

 

「じゃぁ、実際には? 」

 

「光学兵器の類いには効き目が薄い、つまり止められるけど凄く面倒臭いって事」

 

そう、AICは完璧ではない。光学兵器の類い、例えばブルーティアーズのレーザーとかは ただでさえ止めるのが大変なのに光速で飛来するからAICで止めるのは現実的に無理と言わざるえない

 

「それにAICは1つ大きな欠点が有るんだ、それは停止対象へ意識を集中し続けないといけない事」

 

「それって、オルコットのビットみたいにって事? 」

 

私は薫君の言葉に頷く、本当はビット操作よりシビアになると思うけどイメージ的には間違ってないから良いかな?

 

 

「AICを完全に使い熟すならマルチタスクの取得が必須だね」

 

そこまで口にして私は少し疑問を抱く、そう簡単にAICが使いこなせるのか?と

 

確かにラウラは勤勉で努力を惜しまない、でも専用機の調整が遅れていたラウラにAICを完全に使い熟せる程の訓練が出来たのだろうか?

 

でも慢心家とはいえラウラが不安を残した状態で鈴に喧嘩を売るかな? いやラウラの性格的には無い

 

「マルチタスクを会得してる? いや、まさか・・・」

 

 

ラウラがAICを使う時、必ず利き手を対象へ向けている。AICは目に見えない と言う特性がある、更に言えば甲龍の衝撃砲の様に大気に変動も見られない

 

 

それなのにAIC使用時に、わざわざ利き手を対象に向けていたらAICを使用しようとしているのが分かってしまう、利点を捨てる理由がある筈

 

 

考えられる理由は、1つめは ラウラが完全にAICを使い熟せていないため、これなら わざわざ利き手で対象へ向ける理由になる

 

2つ目、ブラフの為に わざわざやっている、これもラウラならやる

 

 

3つ目、シュヴァルツェア・レーゲンのコアがラウラと意思疎通出来る程に成長していて、ラウラが利き手を対象へ向ける行動をトリガーにコアがAICを発動させている、この可能性が出てきた

 

IS搭乗者として高みへ登る為に必須な事が自機のコアとの対話と理解、姉さんと束さんは普通にISコアと対話していた

 

私も一応は明石と対話できるが、明石は猫の様に寝るのが好きな様で滅多に起きない

 

 

あとでラウラ本人かクロエかジークさんに聞いてみよう、何かしら分かるはずだ

 

 






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ちょっと仕事がゴタついてしまって更新が遅くなりました




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兎は冷たい床に座る

 

 

試合は本気の鈴の善戦虚しくラウラが余裕を持って勝利した

 

 

「で? 言い訳はある? 」

 

私は整備室の床に直接ラウラを正座させて仁王立ちで見下ろしながらラウラへ尋ねる

 

「・・・・・」

 

私の質問にラウラは無言で目を逸らして私を見ようとしない、そりゃ試合終了後 直ぐに私が有無を言わせずに連れて来て正座をさせた訳だから、目も逸らしたくなるだろうし、ラウラ自身 私が正座をさせている理由を理解している

 

 

「言い訳がないならいいや、私がラウラに正座させてる理由は分かるよね?」

 

 

私の背後で のほほんさん率いる有志が中破状態の甲龍をガントリーに懸架している中、私はラウラへ尋ねる

 

「・・・少々やり過ぎた」

 

消え入りそうな声でラウラは少しプルプル震え言う、正直可愛いが ソレとコレは別問題なので

 

「少々? なんで、わざわざ、フルコンタクトで試合をしたのかな? 次の行事まで時間ないんだよ? 分かる? 」

 

学校行事の公式戦なら兎も角、放課後にやる試合で いちいちISが破損していては維持費も整備費も人件費もバカにならないので普通は損傷が一晩程度で自己修復出来るぐらいで勝敗が決するモードと言うのが有るので、それを使う

 

だが、ラウラは使用しなかった。そしてラウラに限って うっかりなんてしない

 

 

「・・・うっ」

 

私の質問に答えないラウラを見下ろしながら威圧し、反省の色を伺いつつ

 

 

「今回、私が居たから良かったものの、本来なら次の行事に鈴と甲龍は参加出来なかったかも知れないよ? そしたら中国の担当者に報告しなきゃね、試合で専用機を中破させました、そのせいで公式戦に出れませんってね。間違いなく鈴の代表候補生としての評価は下がるよね? 」

 

別に私は試合で甲龍が中破した事を怒っている訳ではない、真剣に本気で戦えば機体は傷付く事も有るし怪我をする事もある

 

 

だから私達、整備士やサポート要員が居るだから

 

 

切磋琢磨して高め合うなら試合を重ねる他がないとも思う

 

だが、これはあくまで自主練の試合であって公式戦ではない、怪我をしない 故障しない、が前提になる

 

多少なら私達サポート要員でドウコウする事も出来る、まぁどうにか出来るから壊していいって訳じゃないけど

 

まぁとにかく私が怒っている理由は、先の事まで考えて試合をしなかった事、それだけだ

 

幸い鈴は疲労と軽い打撲ぐらいだから次の行事に間に合うだろう

 

 

「全く・・・後でクレアさんに・・・いや、ジークさんに連絡しとくから」

 

私がそう言い甲龍の詳細な状態を見ようと背を向けた瞬間、腰辺りに軽い衝撃を受け見るとプルプルからガタガタに震え方が変わったラウラが泣きそうな表情をして抱き付いていて

 

「一夏、それだけは! それだけはぁぁああ」

 

と叫ぶ様に言う、なんでか知らないけどラウラってジークさんに怒られる事を酷く恐れるんだよなぁ、なんでだろう?

 

 

まぁそれはそれとして流石に可哀想になってきたので

 

「次は無いからね? 次やったら警告無しでジークさんに報告するからね? 」

 

 

「分かった、約束しよう。だから兄様(にいさま)には報告しないでくれ」

 

 

もう半泣きのラウラに言い、約束を結び ひとまずラウラの頭を撫でておく

 

 

そのうちジークさんの耳にも入ると思うけど、まぁ私が報告してないし約束を違えた事にはならない筈だ

 

 

「ラウラ、私は今から甲龍の状態を確認するから離れてくれないと明石を展開できないよ」

 

私が苦笑しながら言うとラウラは頷き離れたので安全距離を確保して明石を展開して甲龍の状態を診る

 

 

「左龍咆欠損、両腕部に亀裂と損傷、背部にも損傷・・・これはオーバーホールする様な感じかなぁ」

 

スキャンした情報を見ながら呟く

 

甲龍は次の行事には参加出来ない程のダメージを受けていて甲龍自身の自己修復能力では間違いなく行事に間に合わない、それに整備士の手によって修理をしようにも甲龍の精密な図面が無いし、予備パーツが無い

 

そんな状態なので本来は甲龍は次の行事に参加出来ないのだが、私と明石 そして有志が居るので前提を覆せる

 

 

「それじゃ図面配るね? のほほんさん、腕から始めて? そっちは任せる。私は龍咆から始めるから」

 

「はいはーい」

 

有志にスキャンデータを元に図面をコアネットワーク経由で引っ張り出し転送して、のほほんさん に有志への指示を任せて私は欠損したパーツの精製を始める

 

 

のほほんさん は普段は動きが凄くゆっくりで癒し系なのだが、整備の腕が既に実戦で通用するレベルをしている

 

 

私と仲良くしてくれるし、人当たりも柔らかいから有志メンバーとの緩衝材みたいな役割もしてくれて本当に助かっている

 

 

ちなみに私が整備作業時に有志メンバーを招集したら私の助手扱いで彼女達にはソコソコのバイト代が出る、出所は・・・まぁ姉さんが知ってる筈、多分

 

 

「欠損パーツの生成に1日、オーバーホールで2日、状況見て交換パーツの生成に1日、組み立てに2日・・・早くて日曜日の夕方か、んー」

 

 

そう早くて、だ

 

少しせっかちな鈴を説得するのは骨が折れそうだなぁ・・・オーバーホールと組み立ては人手で解決出来るけどパーツ生成は明石にしか出来ないからなぁ

 

 

まぁどうにか鈴を説得する他ないか、頑張ろう

 

 






お待たせしました


んー有志メンバーの人数と名前を決めようかな?と思います

よろしければ、アドバイスくださいませ



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鈴と夏と

 

 

甲龍のオーバーホールを兼ねた大規模修理をする傍ら、軽傷だった鈴が復活したので整備室に呼び出し

 

「ラウラもラウラだけど、鈴も鈴で熱くなり過ぎ」

 

明石で必要なパーツを生成しながら鈴へ言う

 

「・・・悪かったわよ、それについては反省しているわ」

 

 

こうゆう時、鈴は大抵 言い訳をする傾向にあるので素直に謝った事に驚いていると

 

「あんた の言いたい事は理解しているわ、月末の行事へ参加が絶望的って事よね? 」

 

と鈴は私の言いたい事を理解していた事に更に驚く

 

「思いっきりの良さは鈴の良い所だけど、悪い所でもあるね? 」

 

「うっ・・・」

 

少しからかう様に鈴へ言うと鈴は、あからさまなリアクションを取る

 

 

「ま、今回は 何とかして行事には間に合わせるから。でも次が有る保証は無いからね? 」

 

「ありがと一夏、次が無い様に気を付けるわ」

 

私の言葉に鈴は少し真面目な表情で言う

 

 

「にしても、作業用の専用機を持ってるって聞いていたけど、本当変わったISよね? 」

 

鈴は私の腰部を始めとしたアンロックユニットのクレーン等を見て呟く

 

「そうだね、基本的には整備室の機材とかが無い場所で作業をする事を前提にしているんだ、例えば宇宙空間とかね? 」

 

明石には戦闘用のOSはインストールされていない、必要無いし

 

その代わりに様々な作業が出来る様なOSやソフトが沢山入っている

 

 

「宇宙空間でISの修理とか改修するわけ? なんて無謀な」

 

と鈴が微妙な表情をしたので

 

 

「明石は作業用ISで有って、IS用作業ISじゃないんだよ? やろうと思えば宇宙ステーションだって作製出来るんだから」

 

 

生成したパーツにナンバリングしてブルーシートの上に置きながら鈴に説明する

 

 

「え? だって あんた ISの整備士を目指してるんでしょ? 安定してるし危険も少ないからって 」

 

 

鈴は更に不思議そうな表情をして私へ聞き返す

 

 

「それは勿論そうだけど、明石は宇宙ステーションまで作製出来るスペックが有るって意味で、実際に作る訳じゃないよ 」

 

「そう、それなら安心ね」

 

私の説明に納得したのか鈴は安心した表情になる、ほんと鈴はオカンっぽい

 

 

「ひとまず暫くは甲龍は返せない、まぁ見ての通りバラバラだからね」

 

作業工程的にはオーバーホール中で甲龍はバラバラのパーツの状態なので鈴も見たら分かると思うが一応 説明しておく

 

 

「見たら分かるわよ、むしろ よくパーツ単位までバラバラに出来たわね? 」

 

 

ブルーシートの上にナンバリングされて綺麗に並べられ順番に損傷の有無や洗浄をされているパーツを見て鈴は言う

 

 

「まぁね、のほほんさん を始めとした有志メンバーの腕は折り紙付きだよ。私は師匠が規格外だったし、時間は有ったからね」

 

鈴の言葉に答えて笑む

 

「・・・師匠ってもしかして」

 

鈴は私の師匠について思い当たる様で、また微妙な表情をする

 

「束さんだね、箒のお姉さんだし、姉さんと幼馴染みだから昔から付き合いがあるんだ」

 

と私が言うと鈴は少し頭が痛そうな表情をして

 

 

「・・・ねぇ一夏、IS業界で最高位のVIP、ISの産みの親であり時代の最先端を常に行く稀代の天才 篠ノ之 束がIS整備の師匠で、世界最強のIS乗りであるブリュンヒルデ 織斑 千冬の実妹、あんた とんでもない肩書を持ってるわよ? 自覚ある? 」

 

と鈴は私を指差して言う

 

鈴が言っている事は事実だから否定はしないけど、姉は私が産まれた時から姉であり、気付いたらブリュンヒルデになっていたし

 

束さんは、物心つく頃には既に遊び相手してくれてたし、私に とっては ちょっと変わった個性をした愉快なお姉さん、ぐらいの認識なんだよなぁ

 

 

「まぁ理解はしてるよ? でも実姉だし、束さんは物心つく事からの付き合いだからさ? 」

 

と私が言うと鈴は再び微妙な表情をする

 

「・・・今、あんた が誘拐された理由が分かった気がするわ」

 

鈴は深く溜息を吐いて肩を落とし言う、それを見て私が首を傾げていると

 

 

「いい? あんた は世界的VIPの弱点になり得るのよ、つまり あんた を誘拐して2人に、何かしらを要求して言う事を聞かせる事も可能なの、わかる? 」

 

 

と鈴は真剣な表情をして私を指差して断言する

 

「いやいやいや、まさか〜・・・」

 

流石に話が飛躍し過ぎと思い笑って済ませようとして、似た事が有ったのを思い出して言葉を失う

 

「大丈夫よ一夏、あんた は、あたし達が守るわ必ずね」

 

一瞬だけアノ日の事が頭を過りトラウマが発動しかけた瞬間に鈴は私を抱きしめて優しく語り掛ける様に言う

 

「・・・ありがとう鈴」

 

いつも優しい鈴を抱きしめ返して、お礼を言う

 

 

きっと私が知らない間に、気付かない間に鈴や弾、数馬に私は守られて来たのだろう

 

私に悟らせない様に、私がアノ日の事を思い出さないでいい様に、秘密裏に

 

 

今度、時間を作って何か御礼を作ろう、それぐらいしか私には出来ない、だからせめて お菓子を作って渡そう

 

信頼出来る親友達に感謝を込めた お菓子を

 

 

時間を作るには、まずは目の前の仕事を終わらせないといけない、組み上がって直ぐに搭乗して試合が出来る訳では無いから、次の行事まで結構ギリギリかも知れない

 

 






お待たせしました


仕事が荒れていて今後の更新はおそらく週末更新が主になると思います




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休日を過ごす

 

 

 

 

甲龍の大規模修理を約2週間掛けて完遂し、お菓子を大量生産して鈴を始めとした親友達に配ったり、有志メンバーへ配ったり、薫君へ手渡ししたりした今日この頃、せっかくの日曜日なので久しぶりに ゆっくりする事に決めベッドの上に寝そべり大型連休の時に自宅の本棚からシドニアの騎士を明石のバススロットに格納して持ってきていたのでソレを取り出し読む

 

 

「一夏がマンガを読んでるの初めて見た」

 

朝食を一緒に食べた後、部屋に戻って来てから真剣な表情でガオガイガーを見ていた簪が私の方を向き言う

 

 

「この前の大型連休で家に帰った時に持ってきたんだ、事前に寮のキャパシティ分からなかったからね。割と私はマンガとかアニメ好きだし」

 

 

マンガから顔を上げて簪を見て言うと

 

 

「だよね、一夏もコッチ側だもんね」

 

と簪はニッコリして言う

 

うん、否定しないし実際そうなんだけど、なんか含みが有る様に感じるのは気のせいかな、簪?

 

 

「あ、そうだ。昨日配った余りのクッキー有るけど食べる? 」

 

マンガを閉じてベッドに置き、寝そべった体勢から身体を起こしベッドの淵に座ってバススロットからクッキーを展開し差し出して簪へ尋ねる

 

「食べる、ありがとう一夏。 一夏って結構万能だよね 」

 

私からクッキーを受け取りラッピングを外しクッキーを一口食べて簪は言う

 

 

「ん〜・・・そうかな? お菓子作りは 元々好きだったからなぁ」

 

私もクッキーを食べて首を傾げつつ返答する

 

 

「料理が出来て、成績も優秀、運動神経も上位で、IS整備の腕は既にプロ、おまけに美少女。少し人見知りをするけど、些細な欠点で それが人間らしさを強調する、非の打ち所がない完璧な美少女だね」

 

 

なんか、いつも儚い系の簪が熱弁し始めて正直戸惑ってしまう、おかしいな? 今回は洋酒とか入れてない何の捻りも無いクッキーなんだけど?

 

簪が豹変する様な要素はクッキーには無かった筈、なんだけどな?

 

と言うか、褒め過ぎじゃないかな? 簪、なんか照れるよ

 

 

簪の不意打ちに戸惑っていると

 

 

「・・・立場上、本当は私が出張る事じゃないと思うけれど、一夏? 何か無理してるでしょう? 」

 

 

先程の酔った様な雰囲気の表情からスッと真剣な表情へと変わり簪は言う

 

 

突然の事で理解が及ばずに最初の辺りの言葉は聞き逃してしまったが、真っ直ぐ私を見る簪の視線が私を貫く

 

「そうだなぁ、大規模修理で少し無理したからかな? ありがと簪」

 

 

と私は簪に嘘をつく、実際には私が薫君への気持ちを無理やり蓋をしている事を言える訳がない、誰にも知られる訳にはいかない

 

 

「一夏、実は私は嘘を見抜くのが得意なんだ。 だから今 一夏が嘘をついているのが分かる、私に出来る事なら手を貸すよ? 」

 

 

真っ直ぐと私を見る簪へ そう言われ、私の心は揺らぐ

 

簪になら胸の内を晒してしまえるのではないか? と、決意が揺らぐ

 

 

きっと私が誰の迷惑を顧みずに自分本意に生きれば解決出来る

 

きっと薫君を自分のモノにする為にあらゆる手段を用いれば、容易く解決出来てしまう

 

 

「だから、無理をしないで? ね? 一夏」

 

 

戸惑い、困惑し、言葉を紡げない私に簪は優しく笑み言う

 

 

「私は・・・」

 

そんな簪に甘えてしまいたくなる、でもダメだ、ここで甘えてしまえば間違いなく決意が揺らいでしまう

 

 

「・・・一夏? 本当に、それで良いの? 後悔しない? 」

 

簪は優しい笑みのまま、私へ問う

 

 

「私は・・・」

 

簪には私が何を隠しているかが分かっているのだろう、だから私は考える

 

 

私は薫君への想いを告げない事に後悔するのか、を

 

 

「・・・良くない、絶対に後悔する。だって、私は」

 

 

だって私は薫君を愛しているのだから

 

そう、いくら自分を騙そうとしても私が彼に想い焦がれている事には変わらず、私の胸の内で想いは燃え盛っている

 

決して消えずに想いは強くなるばかりだ

 

 

彼への想いに気付き、蓋をしようと決意して たった2週間程度で揺らぐ程の想いなのだから、後悔するに決まっている

 

 

「・・・でも、私は彼の隣に立つ資格が無い、よ」

 

私は力無く俯き下を向いたまま簪へ言う

 

 

「資格? 資格って何? 人を好きになる事、想いを告げる事、想い人の隣に立つ事に資格なんて必要は無い、必要なのは勇気だけ」

 

ずっと流れぱなしのガオガイガーの様に力強く簪は私を真っ直ぐ見て言う

 

 

簪は間違いなくガオガイガーの影響を今 受けている、でも簪の言う通りかも知れない

 

 

私は勇気が無いだけなのかも知れない、でも簪は私の過去を知らない

 

 

「私は、普通の女の子じゃない。 きっと薫君は・・・」

 

私を選んではくれない、と続けようとすると

 

 

「それが何か問題? 本当は秘密なんだけど、私は一夏がどんな軌跡を歩んだか大体は知ってるよ? だから もう1度ハッキリと言うね? 織斑 一夏、元同性だからと、八月一日 君への想いを封じるのは間違ってる、それとも その程度で見限る男を貴女は愛しているの? 」

 

簪は真っ直ぐ私を見据えて力強く言う、その言葉に私の決意は揺らぎに揺らいで崩れ落ちる

 

 

「・・・そう、だね。私は勇気が足りなかったみたい、ありがとう簪」

 

 

「どういたしまして」

 

 

そう、私には薫君が私の過去を知り受け入れてくれると信じ切る勇気が無かった

 

 

勇気が有れば大体は解決する問題なのだから

 

 

「まぁ、それはそれとして、簪? なんで私の過去を知ってるのかな? かな? 」

 

私はニコニコしながら簪へ近寄っていく

 

 

私の過去は一握りの人間の記憶以外は全て束さんが改竄してくれたから私が元男と言う情報を簪が知ってるのはおかしいのだ

 

「それは、えーっと・・・」

 

簪は少し気まずそうに目を泳がしている

 

 

薫君へ想いを告げるより簪とのお話が先だな、うん

 

 

場合によっては簪の記憶も改竄しないとね?

 

 






お待たせしました


予定ではアニメ鑑賞しながら人生相談ぐらいのつもりが、何故かこんな展開になりましたw




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束の間の休息





簪 視点


 

 

 

 

 

 

一夏が恋の悩みに自分なりの答えを見つけ、その過程で私の失言に対して一夏の追求を何とかした翌日の放課後、私は来月半ばに出場予定の大会の打ち合わせをする為に生徒会室に向かう

 

「失礼します」

 

扉をノックしてから中に入ると、いつもなら書類仕事をしている虚さんがガンプラのパーツをヤスリ掛けをしていて、姉はグッタリとデスクに突っ伏していて

 

「・・・酷い目にあったわぁ」

 

と疲労に満ちた声で呟く、この様子だと姉の所に一夏が来て尋問した様だ、南無

 

 

心の中で合掌しておき

 

 

「お姉ちゃん、来月の事なんだけど・・・」

 

 

「お母さんなら参加出来るって言ってたから大丈夫よ? ついでに虚ちゃんがエントリーを済ませてくれたし、今 作ってるヤツが お母さん用のガンプラよ」

 

 

私の言葉から質問を予想し答えを言う姉に、相変わらず優秀だな と感じつつ

 

 

「いつも有り難う」

 

 

「大した事してないわ、気にしないで」

 

私の言葉に、のっそり起き上がりニコリと姉は笑み言う

 

「虚さんも有り難う」

 

 

「私も大した事してないので、気にしなくて大丈夫です」

 

 

虚さんはヤスリ掛けしていたパーツをガンプラに組み私を見て言う

 

 

「それじゃぁ、打ち合わせを始めましょうか。まずエントリーしたメンバーは私、簪ちゃん、お母さんがファイター、虚ちゃんがオペレーターね」

 

 

 

姉はエントリーシートを片手に持ち眺めながら言い

 

 

「次にルール関係ね、1チーム ファイター3名 オペレーター1名を上限としてエントリーし、事前に申請されていれば補欠を2名申請が可能、エントリー自体はファイター1人でも可能の様ね」

 

 

と姉は続け、私にルールの書かれた紙を差し出して来たので受け取り軽く目を通す

 

 

「ガンプラの事前申請と審査は無し、ただし大型のMAを使用する場合は事前に申請が必要、1/144と1/100キットの使用を推奨」

 

 

私は気になった所を口に出して読み考える、チームでは無くソロで出場するならMSではなくMAを使用するのも有りだろう

 

 

それにオペレーターがいた方が有利に事を運びやすくなる

 

 

「一応、ルールには目を通しておいて? 去年と変わってないと思うけれど念の為にね」

 

「分かった」

 

肩を竦めて言う姉に返事をして

 

 

「お母さんと練習はしないの? 」

 

ふと思った事を尋ねてみる

 

 

「そうね、次の行事の後にしましょうか。一度は連携の確認とかしないとダメだしね? 」

 

「そうだね、わかった」

 

姉の言葉に頷くと

 

 

「そういえば、次の行事はタッグマッチよね? 相手は見つかった? 」

 

姉は何気無しに私に尋ねてくる、そういえば今朝 先生がそんな事を言っていたっけ?

 

 

「今、思い出したぐらいだから見つかってないよ? 」

 

 

「そう、私が探しましょうか? 直ぐに見つかるわよ? 」

 

 

相変わらず姉はシスコン気味な様で言ってくるが

 

 

「相方居なくても問題ないよ、居なければ居ないで当日に抽選で組まされるから」

 

 

それに一部例外を除いて専用機持ちに当たる可能性の方が低いだろうから基本的は負ける可能性は低い、これでも実力で代表候補になったと自負があるから一般生徒に負けるつもりは無い

 

 

「そう、そうね」

 

何故か残念そうな姉を見て、少し呆れてつつ次の行事の事を改めて考える

 

 

次の行事は1年全参加のタッグマッチ戦で整備科志望を確定している人以外は相方を見つけて申請しないといけない

 

 

申請締め切りは今週末まで、行事本番は来週だ

 

私達が試合をしている間に整備科の2年3年と1年の整備科志望が試合で使われた練習機の整備をする、と言うのが今回の行事だ

 

ある意味、戦場は裏方かも知れない、練習機の数は決まっているし、一般生徒には練習機を貸し出すから1試合につき4機、それを試合を遅らせない様に整備したりしないといけないのだから

 

 

「・・・一夏がいるとはいえ、裏方は修羅場か」

 

 

まぁ生徒だけで整備をする訳でもないから、そこまででも無いのかも知れないけど

 

 

「一夏さんは、既にプロと同等の技術を持っていますよ。専用機が有るとはいえ、作業スピードが段違いです」

 

 

自分のデスクの上にジェスタキャノンを3機並べてポーズを取らせていた虚さんが言う

 

「実際に見たって事? 」

 

「えぇ、この目で間違いなく。彼女は1人で4人分の作業を同時に進行させていました」

 

 

作業スピードが速くて正確だから4人分の作業をしていた のではなく、4人分の作業を同時に進行しているから作業スピードが早い、と言うのは凄い事だ

 

 

一夏はマルチタスクを習得している訳だから

 

 

試合においてマルチタスクは必須スキルだ、射撃管制と機体制御を同時にしたりするからだ

 

そして戦闘と整備ではマルチタスクのベクトルは全く違う、難易度も複雑さも整備の方が何倍も高い

 

 

「本音のやる気を上手く出してくれていますし、彼女には感謝しなければ」

 

 

と虚さんはクスっと笑う

 

虚さんの実妹で私の幼馴染で私付きの侍女である本音は、普段はナマケモノの様な眠た気な表情と動きをしているが、高い整備技術を持っている

 

しかし生来の のんびり屋な性格ゆえに基本的にヤル気をあまり出さない、まぁそれはそれで癒し系で良いと思うけれど

 

 

実姉としては、気になっていたのかも知れない

 

 






お待たせしました


裏方の話でした



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緊急セコム会議



続 簪 視点


 

 

ガンプラバトル予選会の打ち合わせをして数日、一夏や本音以外に特別仲の良い友達が居ない私は予想通り誰にもタッグ申し込みをされず、なおかつ申し込みもしないで金曜日の放課後を迎えた

 

元々 私は姉と違い性格は内向的で少し人付き合いが苦手だ、だから最初からタッグマッチの相方は抽選任せにするつもりだったからだ

 

そんな訳で、私はタッグマッチに向けて自身の専用機の調整をしようと整備室を借りる為に職員室へ向かう途中、後ろから現れた2人組に両脇をガッチリ掴まれて驚く、身辺警護を生業としている家に産まれた故に、それなりに訓練を小さい頃から受けた私が反応する事が出来なかったのだから

 

 

「ちょっと付き合いなさい」

 

私の右側のツインテールの美少女が私を軽く見上げて言い

 

 

「大人しく着いてきてくれ、悪い様にはせん」

 

私の左側のラストサムライみたいなポニーテールの美少女が私を軽く見下ろして言う

 

 

とりあえず本気を出せば拘束を外す事は簡単だろうけど、この2人組は自分の為ではなく、一夏の為に動いているのだろうから、無碍には出来ない

 

 

私は少し溜息を吐き

 

「分かった、でも此処では人も多い、静かな場所の方が良いんじゃない? 」

 

 

私の言葉に2人は顔を見合わせてアイコンタクトを取り軽く頷き

 

「では、移動しよう。ついて来てくれ」

 

ポニーテールの美少女(篠ノ之 箒)は拘束を外して歩き始め

 

 

「多分、すぐに終わるわ」

 

ツインテールの美少女(凰 鈴音)も拘束を外して箒の後を追う様に歩き出す

 

 

それを見て私も2人を追い歩き出す、さっさと彼女達が知りたい事を教えて打鉄弐式の調整をしたい

 

 

有る事 数分、IS学園にあるカフェエリアの一角で少し険しい表情の2人を目の前に少し居心地の悪さを感じつつアイスミルクコーヒーの入った容器を手で包みながら座っている

 

 

「・・・それで? 私になんのよう? まさかタッグマッチの相方についてでは無いでしょう? 」

 

 

アイスミルクコーヒーを一口飲んで、意を決して尋ねると

 

 

「・・・そうね、今から幾つか質問、または事実確認をさせて貰うわ。 出来るだけ明確に答えて頂戴」

 

凰 鈴音は試合の時とは、また別の強い意志を感じさせる眼で私を真っ直ぐに見据えて言う、私が静かに頷くと

 

 

「最近・・・具体的には大型連休直後頃から一夏の様子がおかしかったのは気付いていたか? 」

 

箒は私を真っ直ぐに見据え、今にも切り掛かって来そうな雰囲気を纏い尋ねてくる

 

「もちろん、何か悩みを抱えていたのは見て分かったけど、時間が解決する事もあるから暫く様子を見る事にしていたよ? 」

 

私の答えに2人は何かを察したのか感知したのか納得したのか分からないが、軽くアイコンタクトを取り軽く頷き

 

「我々は一夏の悩み解決の為に色々と下準備や根回しをして来たが、今週に入って一夏が妙にスッキリした表情をしているんだ、同室のお前なら分かると思ってな、単刀直入に・・・お前が一夏を改心させたのか」

 

 

と箒がラストサムライの様なオーラを纏って尋ねてくる、なんか怖いのだけど やっぱり余計な事だったのかも知れないと思いつつ

 

「ま、まぁ結果的には? ほら、だって側から見てたら分かるよね? 一夏は八月一日君、好きなのさ? 両思いじゃない? 」

 

箒のオーラに怖い思いしつつ言うと

 

「ナイスよ更識!! 良くやったわ!!」

 

凰 鈴音がサムズアップして私を急に褒めてきて

 

 

「あぁ、正直助かったぞ簪、良くやってくれた」

 

 

と箒も凰 鈴音の様にサムズアップしてくる、その様子に少し混乱しつつ

 

 

「つまり2人は一夏の為に暗躍してたって事かな? 」

 

と私が尋ねると

 

「そうね」

 

「そうなるな」

 

2人は隠す訳でもなくアッサリと白状する

 

「アイツは、お人好しで自分より他人を優先するタイプだから、あたし達で面倒を見てやらないと危なっかしいのよ」

 

凰 鈴音は少し呆れた様子で言い

 

 

「私達は一夏がどんな人間かを良く知っている、だからこそ一夏には自由に生き、幸せを手に入れて欲しい、それに八月一日ならば一夏を任せるに足ると思うしな? 」

 

 

と箒は先程とは違い優しい雰囲気を纏い言う

 

2人は本当に一夏の幸せを心の底から願っているのだと感じる

 

「にしても、あの2人、側から見たら両思い間違いないのに何で2人共気付かないのかしらね? 」

 

と凰 鈴音は呆れた様子で言いアイスティーを飲む

 

 

「一夏は仕方あるまい、アレは元々恋愛関係は鈍感だ。そんなヤツが恋をしただけでも成長した、と褒めるべきだ。まぁ見ていてもぞかしいのは否めないが」

 

 

箒は冷静に凰 鈴音へ言い、抹茶ラテを飲み肩を竦める

 

 

「・・・それはきっと2人共、初恋なんだよ」

 

アイスミルクコーヒーを飲み、肩を竦める箒をボンヤリ見ながら言う

 

「詳しくは話せないけど、私は織斑 一夏が此れまでどんな人生を歩んできたかを大凡知っている。だから一夏にとって、八月一日君への恋が初恋と私は知っている、だから2人して気付かないんだ。まぁ・・・時期に一夏は八月一日君へ告白すると思うよ? 」

 

私の言葉に2人は成る程、みたいな表情をする

 

 

「それじゃ、あたし は八月一日に発破を」

 

「私は、手配したスケットへ状況修正を伝え作戦変更させる。簪、すまないな時間を取らせた、この埋め合わせはいつか」

 

と2人は言うが早いか席を立ちカフェエリアから姿を消す

 

 

「・・・実は知ってるのは一夏の事だけじゃないんだけどね? 」

 

 

誰に向けた言葉では無い事を呟きアイスミルクコーヒーを飲む、これを飲んだら打鉄弍式の調整へ行こう

 

 

 

 






お待たせしました


第二回セコム会議でしたw



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IS学園の大凡 中心で愛を叫ぶ

 

 

 

 

勝手に悩んで勝手に苦しんでいた私を簪が諭してくれた日曜日から約1週間が経ちそうな金曜日の放課後、私は打鉄改の新バックパックユニットの調整と薫君とシャルの連携訓練を兼ねてアリーナへ来ている

 

 

「薫君、どうかな? 」

 

 

私は明石を纏い薫君に新バックパックユニット(不知火)の使い心地を尋ねる

 

 

「一夏さんが組んでくれた補助プログラムのおかげで、操作自体は そこまで難しく無いかな? 」

 

と薫君はニコっと笑んで言う

 

「僕のリィンもだけど薫の打鉄も汎用型だもんね、その新装備の特性も何となく分かったし、戦術の幅が広がるね」

 

 

シャルは興味深そうに呟く、このシャルル・デュノアと言う少年は凄い、実家がIS企業とはいえ既にISについての知識がプロに匹敵していて、リィン・カーネーションの機体性能を引き出している

 

彼の纏うリィン・カーネーションはデュノア主力IS ラファール・リヴァイヴの発展機体で、ラファール・リヴァイヴの汎用性・拡張性・整備性・生産性を受け継いだ第3世代試作量産型ISで、打鉄改の開発コンセプトに似た思想を持っていて大胆な試みもされている

 

 

まぁそれはそれとして、今 薫君に試して貰っている不知火は所謂ビット兵装だ、アカツキのシラヌイを参考に図面を引き束さんに添削してもらい明石の自動生成を使いバススロット内で作り上げたユニットでシラヌイとは違いヤタノカガミ装甲は使用していなくて通常装甲になっている

 

理由は単純に、まだ実弾兵装が主体だからわざわざコストと維持が掛かるヤタノカガミにするメリットがないからだったりする

 

 

それにシラヌイは元々バッテリー駆動のアカツキが運用するストライカーだからエネルギー問題も比較的解決し易かったしね?

 

 

「ねぇ一夏? この不知火ってリィンに装備出来ないかな? 」

 

 

なんか少し期待の眼差しでシャルは私を見て尋ねてきたので

 

「ん〜・・・不可能では無いかな? リィンは打鉄改と開発思想とか仕様とか似てるからね、でも多少は調整が必要かな? 」

 

それに不知火は元々 打鉄改専用を前提に製作した物だから打鉄改以外で使用する事を想定していない

 

まぁ同機種の打鉄とかリィンとかなら少し調整が必要だけど使う事が出来る筈

 

 

と言う感じでシャルに返答すると

 

「一夏、リィン用に不知火を1機作ってくれないかな? ダメかな? 」

 

シャルは目を少しキラキラさせて美少女の様な可愛い仕草で私にお願いして来たので、腕を組み少し考える

 

 

別に造るのは難しくない、パーツの生成から組み上げまでバススロット内で完結出来るし、そもそも材料は明石由来だから資金とか所謂 お金の都合も考える必要は無い

 

かと言って、安請け合いしてしてしまっては色々と問題が起こる可能性だって有る

 

 

此処でシャルが不知火を使って評価されたらIS学園卒業後に有利になるんだよな、多分

 

 

そんな事を考え、シャルに返事は待って貰おうと思い口を開こうとした瞬間

 

 

「シャルル・デュノア」

 

 

シャルの名前を呼ぶ聞き覚えの有る声が聞こえたので其方を見るとピットの淵に立つ見慣れた制服姿の銀髪美少女の趣味友が居た

 

 

おかしい、なんでラウラが此処にいるんだろう? 情報漏洩を避ける為に姉な頼んで時間まで関係者以外立ち入り禁止にして貰ってる筈なんだけど・・・いや それ以前になんか様子がおかしい、妙に頬が赤みを帯びているような気がする

 

 

「何かな? ボーデヴィッヒさん」

 

シャルは少し怪訝そうな表情でピットの淵に立つラウラを見上げて返答をする、とりあえずラウラはシャルに用が有るみたいたがら見守る事にしよう

 

 

そう考えて薫君の方を見ると、薫君は不思議そうな表情で2人の様子を見ていた

 

 

「う、うむ・・・」

 

いつになく緊張した様子でシャルを真っ直ぐ見ていたラウラは1度深呼吸をして

 

「シャルル・デュノア、私と交際を前提に結婚してくれないか? 」

 

とラウラはキリッとした表情でシャルへ告白をした、でもラウラ? それ多分 順序が逆だよね? 余程緊張してるんだね とか思いつつ傍観していると

 

 

「え、えぇっと・・・ボーデヴィッヒさん? 多分だけど、結婚を前提に交際 が正しいのかな? 」

 

シャルは少し戸惑いながらラウラへ指摘すると

 

 

「ん? そうだな? 順序を間違えてたか? まぁ最終的に結婚するなら過程は変わらんだろう? 」

 

なんかドヤ顔気味に凄い事を言い始めたラウラを軽く尊敬しつつ傍観を続けていると、シャルが少し考える仕草をしてから

 

 

「ボーデヴィッヒさん、申し訳無いけれど僕はボーデヴィッヒさんの事をほとんど知らない、そんな状態で貴女と交際するのは貴女に失礼だと思うから貴女と交際は出来ない」

 

とシャルは、普段は可愛い雰囲気だが少しカッコいい雰囲気でラウラへ返事をすると

 

「ふむ、確かに一理あるな? 分かった今日の所は退くとしよう、だがシャルル・デュノア、私は諦めが悪い性分なんだ、覚悟していてくれ」

 

シャルの返事を聞きラウラは そう言ってフッと笑みを浮かべてピットの中へ歩んで去ってゆく

 

 

さてと、とりあえずシャルが受け入れるかは別として、友達の恋路は応援しとこう、多分シャルが堕ちるだろうけどね?

 

 

 






お待たせしました


すまねぇ、入れたかったんですw



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タッグマッチ戦開幕 準備

 

 

ラウラの襲撃(こくはく)から3日が経った月曜日、タッグマッチ戦の日がやって来た、私は薫君とシャルと共にトーナメントの発表を見る為に電光掲示板の前で画面を見上げている

 

ちなみに、私は整備科志望なので試合が始まれば整備室へ向かうので既にツナギを着ていて、薫君とシャルは まだ制服のままだ

 

 

「いよいよだね」

 

私は隣に立つ2人に言うと

 

「そうだね、シャルの足を引っ張らない様に頑張るよ」

 

と薫君は少し冗談ぽく言い

 

「大丈夫だよ薫、僕がキチンと合わせるから」

 

薫君の言葉にシャルはニコリ笑み言う

 

ほんとシャルは底が知れない、詳しくは知らないが薫君と同等の搭乗時間だとするならば、シャルは常識外の操縦技術と器用さを持っているし、知識も豊富だ

 

まぁ普段は可愛い美少女みたいな感じなんだけどね?

 

 

「ひとまず今1番警戒すべきなのはボーデヴィッヒさん、次が更識さんかな? 」

 

 

シャルは真剣な表情をして言う

 

鈴とセシリアの名前が出ないのは、ただ単に2人の事前情報が多いのと戦ったことがあるから、そしてラウラと簪の事前情報が少な過ぎるから警戒度が鈴とセシリアより高い

 

 

それに割と本気だった鈴を余裕を持って叩き伏せているラウラの実力は計り知れない、パートナーによっては薫君とシャルでは手に負えない可能性も有る。それこそラウラと簪がペアになったら、目も当てられない

 

 

「分かってる、ボーデヴィッヒさんに当たらない事を祈ろう」

 

と薫君は少し苦笑して言う

 

「それにしても残念だなぁ、僕も不知火使いたかったよ」

 

シャルは本当に残念そうに言う

 

「ごめんね?シャル、組み上げが間に合わなくて」

 

ラウラのシャルへの告白の後、私はシャル用に不知火を作る事に決め、製作を始めたが、どう急いでも最低7日掛かるので今回はシャルには我慢して貰う事になってしまった

 

私はシャルへ軽く謝っておく

 

「ううん、ありがとう一夏、次の機会が楽しみだよ」

 

シャルはニコリと笑み言う、その表情は年相応で美少女に見える。今度 私の服とか着せてみようかな?

 

シャル、絶対 似合うと思うんだ、下手したら私より女の子になるかも知れない

 

 

 

よし、今度 着せてみよう、そうしよう

 

 

私は勝手に邪な決意をし、電光掲示板を見ると漸くトーナメントの組み合わせが表示される

 

「・・・最悪では無いけど、悪い分類だね」

 

私は写り出された組み合わせ、八月一日 薫&シャルル・デュノアVSラウラ・ボーデヴィッヒ&篠ノ之 箒 を見上げながら呟く

 

初戦から鬼門のラウラと言う難題、これはかなり苦戦しそうだ

 

「決まってしまったのは仕方ないし、やるしかない。頑張ろうシャル」

 

「そうだね、やろう薫」

 

私の心配をよそに2人はヤル気満々で、私の心配は杞憂に終わりそうだ

 

「それじゃ、準備を始めよう? シャルのリィンも換装作業あるでしょ? 」

 

「そうだね、行こう」

 

「うん、行こう」

 

私の言葉に2人は返事をして暫定男子更衣室へ歩み始める

 

「・・・嫌な予感がするなぁ」

 

私は2人の後ろを歩きながら呟く、なんとも言えないがなんとなく嫌な予感がする、具体的に何が起こると分かる訳では無いので少し不安を感じる

 

そんな不安を感じつつ廊下を歩いていると、所々にある電光掲示板に映る来賓や観客席の映像が目に映り二度見する

 

 

「あれ? 今、束さんがいた様な? 気のせいかな・・・」

 

確かに束さんはIS業界のVIPだけど、毎度毎度行事に現れるとは考えられない、だってなんだかんだ束さんも多忙な訳だし?

 

 

いや、束さんの場合、合法的に私達に会う為にスケジュールに都合つけて来る人なんだよなぁ、それに束さんの場合、本業が何かがさっぱり分からないぐらい副業に手を出しているしね、うん

 

 

そんな事を考えつつ2人の後を追い男子更衣室で2人が着替え終わるのを待ってからブリーフィングを始める

 

 

「とりあえず今分かっている事から推測した情報を交えてブリーフィングをするよ? まずラウラの専用機、シュヴァルツェア・レーゲンのコア意識は確実に覚醒している、次にレーゲンの特徴であるAIC、これは不知火のドラグーンに対して耐性は低いからドラグーンを積極的に使って行こう。あと2人の武装やビームライフルを用意してあるよ」

 

「了解」

 

「分かった」

 

私の言葉に2人は頷き思案顔をする

 

 

「レーゲンの武装に関しては遠距離砲撃のレールカノン、中距離射撃のチェインガンを切り替えで使えるみたいだね、あとはワイヤーブレードと腕部プラズマブレード、今分かっている武装は、これが全てかな? 」

 

 

恐らくシュヴァルツェア・レーゲンはAIC使用を前提とした機体だ、だから武装に関して遠中近、全距離対応できるバランスの良い武装をされている

 

でも少し違和感を感じる、AICは発動に集中力を使うから思考トリガーのレールカノンもチェインガンも、どちらかと言えば不向きだ

 

 

でもレーゲンのコア意識が覚醒しているなら話は変わる、AICの操作をレーゲンに任せる事が出来るのだから、その逆も可能だろう

 

 

あとラウラがレーゲンのバススロットに何か隠し持っているかで試合の難易度がかなり変動する

 

 

ひとまず、薫君に怪我がない事を祈ろう、正直に言えば勝敗なんてどうでも良いしね?

 

 







お待たせしました



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簡易プロフ 2


加筆修正の可能性あり


 

 

 

名前*シャルル・デュノア

 

年齢*12歳

 

性別*男

 

身長*154㎝

 

容姿*原作転入時に準ずる

 

備考*

 

2人目の男性IS適応者の美少女の様な少年、年齢の割に落ち着いているものの、時々年相応の反応を見せる

 

また実家がIS企業デュノア社の為、ISに関する知識が豊富で操縦技術も代表候補生と渡り合える程

 

 

成長期を迎える前な為、比較的華奢で所謂 男の娘

 

 

 

 

名前*ラウラ・ボーデヴィッヒ

 

年齢*15歳

 

性別*女

 

身長*148㎝

 

容姿*原作に準ずる

 

備考*

 

原作とは違い一夏ちゃんと趣味友で自己紹介で自虐ネタを入れるぐらいには原作より雰囲気が丸くなっている

 

普段は可愛い生き物(一夏談)だが、ISに乗ると途端に慢心家になり若干口と態度が悪くなり対戦相手を煽る様になる

 

 

ジークを兄様と呼び、クロエを姉様と呼び、ジークに叱られるのを非常に恐れる

 

シャルルへ渾身の告白をして断られたが、諦めずにアタックを継続中

 

 

 

 

 

 

名前*クレア

 

年齢*22

 

性別*女

 

身長*165㎝

 

容姿*原作に準ずる

 

備考*

 

本名はクラリッサ ・ハルフォーフ、クレアは愛称

 

 

ラウラが所属しているドイツ軍管轄IS競技者育成チーム シュヴァルツェ・ハーゼのチームマネージャー兼 試作機テストパイロット

 

元々は競技者だったが、膝に矢を受けてしまったので一線を引いている(本人談)

 

真面目で面倒見が良く手際も良い出来る女だが、度々間違っていたり曲解した日本の知識をチームメンバーに植え付ける少し困った人、ただ本人には微塵も悪意・悪気が無いタイプ

 

 

一夏ちゃんとは趣味友で、時々電話で話をする仲でサブカルに強い

 

 

 

 

名前*マリー

 

年齢*稼働歴5年ぐらい

 

性別*女

 

身長*148㎝

 

容姿*某リリカルな数の子の五女

 

備考*

 

 

シュヴァルツェア・レーゲンのコア意識の具現体、見た目がラウラにソックリではあるがラウラより少し柔らかい喋り方をする(予定)

 

ラウラの影響かサブカルに強く、暇を持て余し待機中はコアネットワークを介してアニメ鑑賞をしていたり色々としている

 

最近のお気に入りは鉄血のオルフェンズ

 

名前の由来はドイツ艦艇 巡洋艦カローラ級から

 

 

機体名*リィン・カーネーション

 

世代*試作第3世代型

 

待機形態*ネックレストップ

 

武装*基本武装はラファール・リヴァイヴ 及び カスタムIIから流用が可能

 

 

⚪︎機動強化ユニット ジビエ

 

 

リィン・カーネーションの機動強化を目的としてマルチスラスターやマルチスタビライザーが組み込まれたバックパックユニット

 

 

打鉄改の焔 同様 ジビエ自身の推進エネルギーはリィン・カーネーション本体とは切り離されジビエ側に搭載されている

 

ジビエは猟鳥のフランス語読み

 

 

イメージはインパルスのフォースシルエット

 

 

 

 

単一仕様*未発現

 

備考*

 

デュノア社が開発した試作第3世代型IS、ラファール・リヴァイヴの良い所を残しつつ技術検証と新たな試みをしている次期主力試験検証機

 

開発思想が打鉄改と ほぼ同じな為、多少の調整が必要だが打鉄改とのユニット共有が可能

 

 

打鉄改の立ち位置がザク系ならリィン・カーネーションはガンダム系のイメージ

 

 

 

 

 

 

 

 

機体名*シュヴァルツェア・レーゲン

 

世代*第3世代

 

待機形態*レッグバンド

 

 

武装*

 

⚪︎レールカノン

 

大型の遠距離戦向きの電磁投射砲、銃身が長く連射の間隔も長いが威力は折り紙付き、肩部装備

 

 

⚪︎チェインガン

 

中距離戦や牽制に用いる為に反動を減らした仕様になっている機関砲、肩部装備

 

 

⚪︎フォルケイトソード

 

エビナタに似た形の重心が剣先にあるトップヘビー型の近接ブレード

 

 

一部使用者からは形からデスサイズと呼ばれている

 

 

 

⚪︎プラズマブレード

 

シュヴァルツェア・レーゲンの両腕に装備された物

 

 

⚪︎ワイヤーブレード

 

搭乗者の意思で操作出来るワイヤーブレードが6本装備されている

 

 

 

⚪︎他、様々な装備がある

 

 

 

単一仕様*未発現

 

備考*

 

原作より少し改造されている機体、AICは勿論使える

 

 

コア意識であるレーゲンが覚醒している為、AICの弱点である 対象への集中 を肩代わりして貰える他、肩部装備を用いた援護もして貰える

 

 

ラウラの全距離対応出来る能力を生かせる様に調整されている

 

 

 





お待たせしました


ひとまず簡易ですがプロフを作りました



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タッグマッチ戦 開戦 前


ラウラ 視点


 

 

 

 

IS学園にやってきて約一月(ひとつき)が経つ今日この頃、私は人気(ひとけ)の無い屋上からアリーナを見据えている

 

「今日は好きに暴れても怒られる心配は無いな? ララ」

 

私の隣に立ち私を揶揄う様な笑みを浮かべた私を鏡写しにした様なのが言う

 

 

「そうだな、色々と気にせずに全力を出せる・・・狙うのは優勝のみ、優勝すればシャルルもきっと・・・」

 

私の言葉にドッペルゲンガー(マリー)は生暖かい目を私に向け

 

「恋は人を変えると言うが、あの箱入り娘がここまで」

 

と、感慨深そうにする。それを見ていて正直良く分からないが、敢えて放置する事にして

 

「出来れば専用機持ちとあまり当たりたくはないな」

 

「1年の総数が約240名、その内 専用機持ちが6名、6名全員がバラけても最大で6チームだ、同じトーナメントブロックになる可能性は低い」

 

 

私の呟きにマリーは そう答える、確かに可能性は低いが低いだけで当たらないと決まった訳ではない。無論 専用機持ちと当たった所で負けるつもりは無い、単純に損耗を考えると、と言う意味だ

 

 

とはいえ、何処かで必ず当たるだろう

 

今、1番警戒するべきは八月一日とシャルル、オルコットだ。正直、3人の専用機とシュヴァルツェア・レーゲンは あまり相性が良くない

 

八月一日とシャルルには一夏がついているから対シュヴァルツェア・レーゲン武装を用意してきているだろうし、オルコットのブルーティアーズはレーザー故にAICが効きづらい、まぁAICを使わずに戦えば良いだけではあるが

 

 

 

とか色々とマリーと話していると、背後の扉が開く音がした瞬間にマリーは消え、私が振り返ると そこには箒が立っていて

 

「ラウラ、組み合わせが発表された。我々の初戦の相手は八月一日とデュノアだ」

 

と箒が私へ報告してくる

 

 

「・・・そうか、初戦からか」

 

 

初戦で警戒していた2人と当たる事になり、少し何者かの陰謀を疑いたくなりつつ呟き

 

「箒、2人は手強い。頼むぞ」

 

「無論だラウラ」

 

この一月で箒とは交流を深め、友人になれたと感じる、少々不器用なようだが根は一夏程では無いがお人好しだ

 

 

「ラウラ、私達は第2試合だ。準備に入ろう」

 

「そうか、少し急がねばな」

 

私は箒の言葉を聞き頷き歩み始め更衣室を目指しながら作戦を考える

 

 

正直、2人の情報は多数有りはする。そして2人の専用機の機体特性を考慮するなら対シュヴァルツェア・レーゲン武装で来る

 

分かっているなら対策を取れるが、八月一日はともかくシャルルの実力は計り知れない

 

そんな事を考えながら歩いていると

 

「ラウラ、また高い場所へ行っていたのですか? 」

 

 

アリーナの入り口前で名を呼ばれて目線を上げると見慣れた美女が笑みを浮かべ立っていた

 

「クレア? 来ていたのか」

 

本国でシュヴァルツェア・レーゲンの姉妹機のテストを行なっている筈のクレアが目の前に居て少し驚いたが、約一月ぶりの再会に喜び歩み寄って抱きしめて尋ねる

 

「えぇ、ツヴァイクのコア意識が休みたいとストライキを起こしたので彼女が休暇中はマネージャーの方の仕事をする事になりました」

 

クレアは苦笑しながら私を抱きしめ返し言う

 

「そうか、クレアが見に来ているなら、ますます負けられないな」

 

私はクレアから離れ箒の横に立ち

 

「箒、紹介しよう。私が本国で所属している育成機関で首席マネージャーをしているクレアだ」

 

私は箒にクレアを紹介する

 

「はじめましてクレアです、本名はクラリッサ ・ハルフォーフと言います」

 

 

クレアはキリッとした表情になり箒に姿勢を正して自己紹介する

 

「篠ノ之 箒です、よろしく」

 

やはり箒は不器用なようで、少し言葉足らずの自己紹介をする、まぁ仕方ないか

 

「よろしくお願いします篠ノ之さん、ラウラの事、よろしくお願いしますね? この娘はISに乗ると人が変わるので」

 

クレアはキリッとしたまま箒へ言う、なんとも失礼なヤツだ

 

 

「分かっています、やり過ぎない様に見張っておきますから安心して下さい」

 

箒はクレアの言葉に強く頷き言う、箒も箒で失礼なヤツだな

 

 

私は自覚無いのだが、そんなに変わるのだろうか?分からん

 

 

「おっとそろそろ試合の準備をしなければ、失礼しますクレアさん」

 

「勝ってくる、期待していてくれ」

 

私達はクレアに そう言い歩き出すと

 

「2人共、御武運を」

 

とクレアが私達へ言う、その言葉を背に私達は更衣室へと歩く、数分で更衣室へ着き中に入り支度を始める

 

「箒、きっと2人は手強い。作戦としては比較的落しやすい八月一日を私が倒すまでの間、箒にはシャルルを引き付けて貰いたい」

 

私は支度をしながら私の背後で支度をしている箒へ作戦を伝える

 

「それは構わないが、正直あまり長くは持たないぞ? 」

 

恐らく箒もシャルルの実力が計り知れないと認識しているのだろう、そう言ってくる

 

 

「大丈夫だ、サポートはする。私の事は心配せずにシャルルを引き付ける事に集中してくれ」

 

とにかく箒がシャルルを引き付けている間に八月一日を倒してシャルルにプレッシャーを掛ける事が出来れば勝てる

 

 

 

 

 




お待たせしました


戦いは次回に持ち越しです、すみません



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タッグマッチ戦 開戦 後 いち



続 ラウラ 視点



 

 

 

支度を終え箒と作戦を煮詰めていると第1試合が終わった事を告げるアナウスと私達へピットへ向かう様に指示がアナウスされる

 

 

「行くか」

 

「あぁ」

 

私達は短く言葉を交わし更衣室からピットへ移動する、本当ならもう少し言葉を交わすべきかも知れないが元々私も箒も口数が多い方では無いから仕方ないかも知れない

 

 

私達はピットに入り箒は事前に申請していた打鉄の方へ行き、私は安全確認をしてからシュヴァルツェア・レーゲンを展開して問題がないか最終チェックを行う

 

『もうすぐ開戦だなララ』

 

「そうだな、箒には少し誤魔化して作戦を伝えたが私には確かめたい事がある」

 

 

私の左肩付近に浮かぶマリーの言葉に答え言う、私は少し箒に真実では無い事を作戦として伝えた

 

 

確かに消耗を考えれば専用機持ちとの試合は避けたかった、だが八月一日は別だタッグマッチ戦で当たらなくても、いずれ試合を申し込むつもりだった

 

 

私は八月一日が一夏にふさわしい男か、一夏を守るチカラを有しているかを確かめる為だ、まぁ箒や鈴が八月一日ならば、と言っている手間 大っぴらに否定も確認もしにくいからな

 

『あぁ、打鉄改のマスターの力量を測るつもりなのだろう? 期待しようじゃないか、一夏が選んだ男が(おとこ)である事を』

 

 

「私が眼帯(コレ)を外す事は無いだろうが・・・外させたら無条件で合格だな」

 

マリーの言葉に頷き、左目を覆う眼帯を撫で言うとマリーは期待に満ちた表情で微笑む

 

 

それから然程の時間も経たずに箒の準備が整ったようで発進の指示がされたのでリニアカタパルトへ乗り

 

「ラウラ・ボーデヴィッヒ、シュヴァルツェア・レーゲン出撃()る」

 

やはり様式美は必要だと私は思うので口上を言ってからリニアカタパルトで加速されピットからアリーナへ吐き出され、滞空から接地までの間に左手にフォルケイトソード、右手にスパイク付き対物シールド(シェルツェン)右肩にチェインガンを展開し、わざと地面を軽く削り滑り着地しフォルケイトソードを軽く斬り払い、滞空している八月一日を見据える

 

 

八月一日は私が思っていたより緊張していないのか、はたまた一夏を信用しているのか、そこまで表情は硬くない

 

さらに言えば八月一日の纏う打鉄改のバックパックユニットは見るからにビーム砲が付いている、やはり一夏が対レーゲン装備を作成していた様だ。幸いリィン・カーネーションを見る限りバックパックユニットは対レーゲン装備ではないが打鉄とリィン・カーネーションのバススロット内にビームライフルとかビーム系の武装が有る可能性が高い

 

 

「・・・しかし千載一遇、逃せん」

 

私の言葉に八月一日は少し怪訝そうな表情をするが無視し

 

「八月一日、悪いが今から貴様を叩き潰す、恨めよ」

 

 

「試合だから全力で戦わせて貰うよ、でも俺ボーデヴィッヒさんに何かしたかな? 」

 

 

少し焦った様な表情で八月一日が言うので少し面白い、と感じつつ

 

 

「いやなに、お前が直接どうこうした訳じゃない・・・これは私のワガママだ」

 

 

フォルケイトソードの切っ先を八月一日に向けて言い、空間投影されたカウントダウンを横目で見て八月一日とシャルルへ視線を戻し配置を確認する

 

 

シャルルの位置は八月一日の左斜め後ろ約3m、八月一日と私の距離は直線距離で約10m、ISを用いれば1秒と掛からずに刃が届く距離だ

 

 

私はシャルルから八月一日へと目線を動かし

 

「頼むぞ? 箒」

 

「あぁ、分かっている。最善を尽くす」

 

箒へ声を掛けて意識を集中させる、普通に考えば対策をされているとはいえ私が八月一日に負ける事は無い、何故なら圧倒的に経験値に差が有るからだ

 

他者より1つでも知識が多ければ答えと至る道を1つ増やす事が出来るのだから

 

だからこそ、格下と侮らずに全力を持って八月一日を叩き潰す、狙うは開幕直後の突貫

 

 

私が初手を決めた数秒後、カウントダウンがゼロになり試合開始が告げられ

 

 

「叩き潰す!! 」

 

「くっっ重い」

 

私は真っ直ぐ八月一日へと突撃してフォルケイトソードを振り下ろすが八月一日は打鉄改の対物シールドで受け止め苦しそうにぼやく

 

 

「ほぉ、受け止めたか。初手は合格と言った所か・・・貴様がふさわしい男か否か測らせて貰う」

 

「よく分からないけど、負けるつもりは無いよ!!」

 

鍔迫り合いの状態でチェインガンで撃とうとした瞬間に嫌な予感がしてフォルケイトソードを持ち上げるようにしながら後ろへ飛び退くと目の前をビームが通過して行く

 

『ビット兵器だな、色が違うから気付かなかったが、アレはアカツキのシラヌイじゃないか? 」

 

 

「なるほど、厄介だな」

 

 

マリーの推測を聞き、私も同じ考えに行き着いたので同調し呟く、やはり一夏のテコ入れが有った様だ、全く惚れた男の為とは言え少々やり過ぎでは無いか?一夏 と思わなくも無いが友より愛する人を優先するのは当たり前だし、一夏には そうして欲しいと思っている

 

そう一夏は、もっとワガママになった方が良い

 

 

ひとまず作戦通り箒がシャルルを引き付けてくれている間に八月一日を測り終えないとな

 

 







お待たせしました




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タッグマッチ戦 開戦 後 に


続続 ラウラ 視点


 

 

右に左にドラグーンによるビーム攻撃を避ける事 約10分、八月一日は私の(ハンデ)に気付いた様で積極的に眼帯で塞がっている左眼側(しかく)を狙ってくる

 

 

『予想よりよくやる、死角と分かっていても左側を狙わない甘い奴と思っていたが、予想外だな』

 

 

「勝つ為に全力を尽くす、悪くない」

 

 

少し面白そうに言うマリーに答えつつ、ビームを躱してチェインガンで反撃をしながら次の手を考える

 

このまま射撃戦をしても良いが、箒が持つかが分からないし、シャルルが何か隠し球を持っている可能性も有る

 

何より八月一日が、まだ4機しかドラグーンを操っていないのも気になる、シラヌイならば全7機のはず

 

それなのに4機までしか使っていない、単に7機同時に操れないだけなのか、または何か思惑があるのか、まだ計れない

 

 

「とはいえ、間合いを詰めればドラグーンも使い難いだろう」

 

左右にフェイントを織り混ぜながら八月一日に突貫してシールドチャージをかます

 

「くっっ・・・ボーデヴィッヒさんって冷静沈着の割に無茶苦茶するね!」

 

 

対物シールドで防御した八月一日が軽くクレームをていしてくる

 

 

「使える手を思考して試しているだけだ」

 

フォルケイトソードで追撃を放つが、もう1枚の対物シールドで防がれてしまい

 

「なら、俺もそうさせて貰うよ」

 

対物シールドで死角になっていた空間からアカツキのビームライフル(ヒャクライ)の銃口が出て来て、反射的に身体を捩りビームを躱すが隙を突かれてドラグーンからのビームに当たってしまうがダメージ的には軽症なので一先ず間合いを開けて回避に専念する事にし、チェインガンを撃ちながら後退し次を考える

 

 

『流石は防御型がベースなだけある、硬い』

 

「確かにな、八月一日は操作技術に関してなら素人に毛が生えた程度だが、対物シールドの扱いだけなら代表候補生に勝るかも知れん、八月一日と打鉄改の相性は良いし、シラヌイとの相性も悪くない」

 

 

打鉄改は防御型の打鉄の後継機、打鉄の特徴である堅牢さに状況によって対応できるバックパックユニットを換装する機能を付けた物だ

 

バックパックユニットを装備していない素の状態は打鉄同様、足が少し遅い部類だ しかし八月一日は目が良いらしい、避ける所は避け受ける所は受けている

 

 

そしてAICによる慣性停止の効き目が薄いビーム攻撃、一夏のサポートは万端と言うわけだ

 

 

『ララ、一夏は張り切りすぎじゃないか?』

 

「そうだな、やはり一夏が味方で無かったのが痛手だな」

 

 

マリーと言葉を交わしながら狙いを絞らせない為に動きまわり、チェインガンで八月一日を牽制しながら手を考える

 

 

「箒、手荒くなるがしっかり着地してくれ」

 

 

「うおっっ?! 承知した」

 

シャルルと鍔迫り合いをしていた箒をドラグーンが狙っているのに気付きワイヤーブレードを箒の胴に巻き付け後方へブン投げ空中で離し言うと箒は着地する前に体勢を整えてサンライズ立ちで着地し、そのままズザザーと少し滑って停止する

 

『ララ、あの着地の仕方はカッコいいな』

 

「そうだな、今度やってみよう」

 

マリーの言葉に頷き、機会が有ればやってみようと計画する、やはりサンライズ立ちはロマンだからな

 

 

『それはそうとして、想定より時間が掛かっているな』

 

「仕方あるまい、まさかこの短期間でビーム兵器をここまで用意しているとは想定していなかったし、八月一日が防御に重点を置いた訓練をしているとはな」

 

 

そうこれは私の見込みが甘かった と言わざるえない、まさか対レーゲン武装を2種類も用意出来ているとは、可能性は考えたが低いと考えていた

 

とはいえ、やりようが無い訳でもない

 

「マリー、仕掛けるぞ」

 

『承知した、武の悪い賭けは嫌いではない』

 

マリーは私が何をするつもりか分かった様で肩を竦めながら笑い言う

 

 

私はAICを使用する為に八月一日へシェルツェンをブン投げて間合いを詰めフォルケイトソードを振り下ろし右手を前に出してAICを使用し

 

「箒!!」

 

「あぁ」

 

私の呼び掛けに箒は答え八月一日を斬りつけた瞬間、私の左側(しかく)からショットガン銃口が見え顔面に衝撃が走り一瞬視界を奪われてしまう

 

咄嗟に後退するが、シャルルは間合いを開けさせてはくれずにピッタリと追い縋ってくる

 

「くっっ不味いな」

 

「逃がさないよ!」

 

 

試合だが思わずキュンとしそうになり隙をつかれ

 

「突貫!!!」

 

シャルルのパイルバンカー(グレースケール)が私の胴体へクリンヒットしアリーナの壁に叩きつけられた挙句、シャルルに容赦無くグレースケールを連続で叩き込まれてシールドエネルギーがみるみる減ってゆく

 

 

「私は・・・負けられない、まだ負ける訳には」

 

 

私は、戦う為に産まれ そして育てられた、私は兵士として優秀だった、ISの登場で兵士からIS搭乗者という立場に変わったが私は上の命令に従う人形でしか無かった

 

毎日訓練漬け、余暇など知らないただの生きた人形、娯楽など何も知らなかった、だからただ強く より強く さらに強くなる為に鍛錬をし続ける毎日を過ごしていた ある日、私は訓練中の事故で左眼を負傷してしまい左眼の視力の殆どを失ってしまった

 

 

育成機関でトップだった私は左側の死角と言う大きなハンデを背負い、トップを維持出来なくなってしまった、失意の底に居た私を救ってくれたのが一夏と教官だ

 

教官はIS技術を始めとした視界に頼る事の無い戦い方を、一夏は誘拐され自身も辛い筈なのに私を心配し私の心を救ってくれた

 

だから私は、まだ負けられない

 

 

『汝、チカラを欲するか?』

 

「寄こせチカラをシュヴァルツェア・レーゲン、全部寄こせ」

 

 

いつか振りに至極真面目なマリーの声に私は答えると機体の各所の装甲が開く、シャルルは異変に気付き距離を取り此方を警戒している

 

 

『良かろう、くれてやる。ただし10分も持たんと思え』

 

「10分有れば充分だ」

 

フォルケイトソードを軽く横に振りマリーへ言うと青い炎の様なモノが装甲が開いた場所から吹き出し機関が唸りを上げる

 

 

一気に方をつけなければ、自滅して終わりだ、少なくとも八月一日を見極めなければならない

 

 

 





お待たせしました


少し無理矢理な展開になってしまいましたが、お許しください



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タッグマッチ戦 試練


薫君 視点


 

 

 

試合が始まった十数分、俺はシャルのおかげで どうにかボーデヴィッヒさんと篠ノ之さんのペアと戦えている

 

 

シャルが篠ノ之さんを引き付けた上で俺のサポートまでやってくれていなければ俺はリタイヤしていたと思う

 

 

そんな事を感じながら刻々と変わる状況に対応しつつ、誰か と会話をしているボーデヴィッヒさんを注視する、彼女には一瞬の油断も許されない

 

 

不知火を装備している打鉄改の機動性は打鉄とあまり変わらないし、回避技術では代表候補生には遠く及ばない、ならばと打鉄改の防御力を発揮させる戦い方にシフトして練習してきた

 

おかげで1対1なら何とか防御が出来る様になった、まぁ防御出来る様になっただけなんだけども

 

 

俺は左眼に眼帯をしているボーデヴィッヒさんの左側(しかく)から行動するのを意識して出来るだけ時間を稼ぐ、俺とボーデヴィッヒさんでは練度の差があり過ぎてシュヴァルツェア・レーゲンのシールドエネルギーを削り切るのが困難だからだ

 

 

そんな綱渡りを続けていると、ボーデヴィッヒさんは愉快そうな表情で 誰か と会話を続ける

 

そういえば試合開始した時ぐらいに ふさわしい男か計らせて貰うとかなんとか言っていたけど、何に対して ふさわしい か測るのだろう?

 

 

IS搭乗者にふさわしいか、とか? なんか腑に落ちない、ボーデヴィッヒさんが いちいち そんな事を気にする人なのか、俺には分からないけど、ボーデヴィッヒさんの眼を見る限り、違う気がする

 

なら、別の何か なのだろうけど見当が付かない

 

そんな戸惑いを抱きながら試合を続けていると、シャルが一瞬の隙を突いてボーデヴィッヒさんへ深手を与える事に成功するが、直ぐに異変を察知して俺の隣まで下がってくる

 

 

「この流れは少しまずいかも」

 

「言わないでよ、僕も思ってたんだから」

 

 

シュヴァルツェア・レーゲンの装甲各所が開き、そこから青い炎の様なオーラみたいな物が吹き出している、何処かテレビで見た既視感を覚える状態になったシュヴァルツェア・レーゲンを警戒していると

 

「八月一日、手前勝手で悪いが悠長にしていられる時間がなくなってしまった、決めさせて貰う」

 

「えっ? なっっ?!」

 

ボーデヴィッヒさんが左右に ゆらりと揺れたと思ったら既に間合いを詰められていて大剣を振り下ろしていた、咄嗟に対物シールドで防ぐが衝撃までは殺しきれないので気合いで踏ん張る

 

「薫!!」

 

「させん! お前の相手は私だ!! 」

 

俺のフォローに入ろうとしたシャルに篠ノ之さんが突撃してゆき、俺達から距離を取らされてしまう

 

 

「どうした、貴様のチカラは この程度か? この程度ならば貴様に任せるのに不安が残るぞ? 」

 

「試合開始の時といい、今といい、何のことかな? 訳が分からない」

 

ギャリギャリと音を立てながら大剣と対物シールドで鍔迫り合いをしながらボーデヴィッヒさんの言葉に対して返答すると

 

 

「・・・察しが悪い様だな、全くもって度し難い」

 

俺の返答が気に入らなかった様で不機嫌そうにボーデヴィッヒさんは言い、飛び退きチェインガンを格納してレールカノンを展開してブッ放してくる

 

 

「察しが悪くて、悪かったね!! でも俺にはサッパリだよ!! 」

 

対物シールドに角度を付けて受け止めずに受け流す様に砲弾を防ぎボーデヴィッヒさんへ苦言をていする

 

「・・・そうか、分かった。ならば察しが悪い貴様に教えてやる!!」

 

再びゆらりと揺れた瞬間に間合いが詰められると思いドラグーンで迎撃するが躱され間合いを詰められて再び対物シールドと大剣の鍔迫り合いの状態になり

 

 

「貴様が一夏に相応しいか否か、だ」

 

少し怖い顔をしてボーデヴィッヒさんはプライベートチャネルで言う、俺は今言われた事に疑問を持ち

 

「なんで一夏さんが出てくるのさ? 」

 

確かにボーデヴィッヒさんと一夏さんは仲が良い、と思うが俺にはサッパリ分からない

 

「・・・本当に度し難いな貴様は、この際だ明白にしてやる。八月一日 貴様、一夏が好きだろう? もちろん異性としてだ」

 

ますます不機嫌そうな表情になった後、呆れた表情になり俺を睨む様にボーデヴィッヒさんは言う、その言葉に俺は驚き

 

「なっなっなんで? なんで知ってるの?! 」

 

と言うとボーデヴィッヒさんは溜息を吐き、哀れな生物を見るような目をして

 

 

「見ていたら分かる、気付かないのは一夏本人ぐらいだ」

 

とボーデヴィッヒさんは言い右手を突き出しAICを使い俺を捕縛し

 

 

「不安は残るものの貴様になら一夏を任せる事が出来ると思っている・・・それはそれとして、少し癪だから貴様を撃たせて貰う」

 

AICで身動き出来ない俺をボーデヴィッヒさんはレールカノンで狙い言う、今撃たれれば致命傷、と覚悟を決めた瞬間にシュヴァルツェア・レーゲンのレールカノンが吹き飛び、ボーデヴィッヒさんが舌打ちをして俺から距離を取っていく

 

「お待たせ、ギリギリだったね」

 

シャルが俺の横に立ちニコリと笑み言う

 

「ありがとう助かった、篠ノ之さんは? 」

 

「箒なら向こうでお休み中、さぁもうひと頑張りだよ」

 

 

ボーデヴィッヒさんは苦虫を噛んだ様な表情で大破したレールカノンをパージして俺達を睨む様にして立っている

 

数は此方が優勢だが、打鉄改のシールドエネルギーの残量は約3分の1ぐらい、最悪を想定してリィン・カーネーションのシールドエネルギーも同量と考えると少し厳しいだろうし、そもそもリィン・カーネーションにはビームライフル以外にシュヴァルツェア・レーゲン対策の武装がないから、俺がリタイヤした場合、かなりヤバイ

 

これは責任重大だな、まったく

 

 





お待たせしました


こんなでいかがでしょうか?



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タッグマッチ戦 試練 続



続 薫君 視点


 

 

シャルのおかげで距離を取ったボーデヴィッヒさんと睨み合いになって数秒、再びチェインガンを展開して、左右にフェイントを入れながら彼女が突っ込んで来て、また大剣を対物シールドで受ける事になった

 

 

「ちっ・・・ダメか、まぁピッチを上げるとしよう。マリー」

 

ボーデヴィッヒさんはシャルへ右手を突き出しシャルへAICを掛けて動きを封じるのを感じてフォローに入ろうとするが、身体が微塵も動かない

 

「くっ・・・まさか・・・」

 

俺がどうにか動こうとしているのを少し愉快そうな表情をして見たボーデヴィッヒさんは

 

「一夏の事だ、レーゲンのコア意識(マリー)の事は気付いているのだろう? 察しの通り、我々は対象を別々に設定しAICが使用が可能だ」

 

 

そう言いニヤリと笑む

 

 

ボーデヴィッヒさんが負けられない様に、俺も負ける訳にはいかない

 

 

そう、俺は弱い。どう足掻いても専用機持ちの中じゃ最弱で実力は一般生徒と差なんて殆どない

 

出来る事をしてきても実力の差は短期間で埋まる筈もない、当たり前だ 俺が努力してきた時間の何倍、何十倍の時間を彼女達は努力してきたのだから

 

 

だったら最初から負ける事を受け入れるのか? 答えは否、俺は必ず負ける試合だろうと全力で挑み、勝ちにゆく

 

それがサポートをしてくれた人達へ報える唯一の方法だからだ

 

 

それに初めて好きになった人を守る力が欲しい、だから・・・

 

「俺は今度こそ負けられない」

 

「気概は良し、だが・・・AICで身動きは出来まい? 」

 

 

俺の言葉を聞きボーデヴィッヒさんは面白そうに笑いながら尋ねてくる

 

 

「それは・・・どうかな?」

 

「ちっ・・・やられた」

 

背面腰部のドラグーンを使ってボーデヴィッヒさんを撃ちAICの発動を妨害し、俺は彼女から距離を取りシャルを見て

 

「・・・シャルは拘束されたまま、か」

 

 

そう呟きボーデヴィッヒさんを真っ直ぐ見て、彼女に勝利する方法を考える

 

 

と、言っても俺単体じゃボーデヴィッヒさんに勝つのは万に一つの可能性しか無い、だが それで充分だ

 

その1万分の1を今、この時に引けばいいのだから

 

 

それに俺は1人じゃない、俺1人では勝てないならば

 

「俺1人じゃボーデヴィッヒさんに勝てない、だからチカラを貸してくれ打鉄改、頼む・・・ボーデヴィッヒさんに勝つ事で選べる未来がある・・・頼む」

 

 

俺はボーデヴィッヒさんを真っ直ぐ見据え打鉄改へ語り掛ける、打鉄改と出会ってからまだ2ヶ月ぐらい、対話も出来ていない

 

今日この時、一瞬でも打鉄改がチカラを貸してくれたなら、必ず1万分の1を引ける確信がある

 

 

「くくく・・・そんな容易くコア意識と対話出来たら苦労はせん、だが悪くない」

 

 

俺の言葉と様子を見てボーデヴィッヒさんは笑い、愉快そうに言う

 

 

頼む打鉄改、ほんの一瞬で構わない。ボーデヴィッヒさんへ一矢報いる為に、頼む

 

 

とボーデヴィッヒさんを見据えながら祈っているとヒャクライが勝手にバススロットへ格納されてゆき黒鉄色の西洋剣が右手(ききて)に収まる

 

 

その事に驚いていると

 

『君の意思、想い、覚悟、全て感じたよ。 愛する人を守るチカラを君に与えよう、盾であり剣のチカラを』

 

 

と声が聞こえて右肩に誰かが触れ、真っ直ぐにボーデヴィッヒさんを指差す腕が見える

 

 

『細かい話は後でゆっくりとするから手短にやる事を伝える、君がやる事は簡単だ。手に持つ剣をしっかり握り絞めて彼女へ振り下ろすだけ、ただそれだけ」

 

中性的なその声は、ただそれだけを言う

 

その言葉に俺は疑う余地も無く信じて黒剣の柄を両手でしっかりと握り絞め

 

「ボーデヴィッヒさん、これが多分最後の攻撃になる。小細工無しに正面から行くよ」

 

「良かろう、ならば私は それに答える他あるまい」

 

ボーデヴィッヒさんは そう言い大剣を両手で握り構える、俺は深呼吸をして黒剣を上段で構えボーデヴィッヒさんへ突貫する

 

『さぁ、振り下ろした瞬間に叫べ』

 

復讐するは我にあり(ヴェンジェンス・イズ・マイン)!!! 」

 

 

俺の黒剣とボーデヴィッヒさんの大剣が交わった瞬間、俺は中性的な声・・・打鉄改の言葉に従いワンオフ・アビリティの名を叫んだ瞬間、目の前が真っ白な光に包まれ気が付いたら保健室のベッドの上だった

 

 

うん、正直なんで保健室で寝てるのか、全く分からない・・・と言うか何が起こったんだ?

 

身体を起こしベッドを降りて、ふと窓の方を見ると そこから見える景色は茜色に染まっていた

 

「え? 夕方? いや、マジで? 」

 

流石に目を疑い時計を見て時刻を確認してみたり目を擦ってみたりするが、夢でも幻でも無く現実である事を認識する

 

「・・・試合は、どうなったんだろう? 」

 

正直、願わくばボーデヴィッヒさんと相打ちになっていてくれればシャルは生き残ってるからチームとしては俺達の勝ちだろう、うん そうであって欲しい

 

 

まぁ相方が保健室に搬送されてるからシャルは2回戦に出られなかったかも知れない、そうだったらシャルには悪い事をしてしまったな

 

 

そんな事を考えながら反省をして、前を向き

 

「・・・想いを伝えよう」

 

一夏さんへ想いを伝えよう、必ず近い内に

 

 





お待たせしました


どうでしょう? 少し無理矢理過ぎましたかね?



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対話と説明と




続 続 薫君視点


 

 

 

 

一夏さんへ近い内に想いを告げる決意をし、この後は どうするべきか考える

 

 

一応 保健室に運ばれている手前、校医の先生に何も言わずに帰ってはいけないだろうから、校医の先生を待つのが最善なのか? とか考えていると

 

 

「漸くお目覚めか、マスター」

 

 

窓から射す夕日を背に、先程まで居なかった栗毛色の髪をツインテールにしたウサミミの生えた少女が立っていた

 

 

「ははは、面目ない」

 

俺は彼女に特別 驚くことはなく、彼女はそうゆう存在なのだと自然に認識し、苦笑しながら答える

 

 

「まぁ大事なくて良かったの」

 

彼女はウンウンと頷き言う

 

「打鉄改、君ならワンオフ・アビリティを使用した後の事を知っているよね? 教えてくれないか? 」

 

 

俺は彼女・・・打鉄改へ尋ねる

 

 

「そうだの、マスターはワンオフ・アビリティを使用した反動で気を失いながらもラウラ・ボーデヴィッヒと相打ちになり試合には勝利した、そして相方が行動不能状態の為、シャルル・デュノアは2戦目以降からは特例でマスターの代役を立てて試合を継続しておったぞ」

 

 

打鉄改は少し身振り手振りを交えて俺に説明してくれる

 

特例を設けてまで試合を継続させているのは少し予想外だったけど、それ程 俺達のIS起動データは貴重なんだなぁ とか考えていると

 

 

「さて・・・吾輩が態々(わざわざ)出てきた本題へ移らせて貰うぞ?マスター、本題というのは打鉄改のワンオフ・アビリティ『復讐するは我にあり(ヴェンジェンス・イズ・マイン)』についてじゃ」

 

 

俺を真っ直ぐ見つめ彼女は真剣な表情で言うので俺は無言で静かに頷く

 

 

「復讐するは我にあり は端的に言うと受けたダメージを蓄積、倍加して攻撃転用するアビリティじゃ、ダメージ蓄積は常時発動型、アビリティ発動時は音声入力が必須で反動制御も必須になる、今のマスターには少々扱いが手に余るアビリティじゃが、耐え忍びひと繋ぎの勝機を掴み取ろうとするマスターにはピッタリのアビリティじゃな」

 

 

打鉄改は最後にニッコリと笑み、そう言う。俺は頷き今まで以上に防御を念頭に入れて鍛錬しようと決意する

 

 

さて、それはそれとして さっきから気になっている事があるので俺は彼女へ質問することにした

 

 

「打鉄改、君さ? 試合中の時とキャラって言うか声とか口調とか違くない? 」

 

 

俺の質問に打鉄改は腕組みし首を傾げて思考し、あぁ と手を打ち

 

 

「それは単に目覚めたばかりで人格形成の途中だったからじゃ、アレから時間はあったからの、おかげさまで形成終了しておる」

 

 

彼女はウンウンと頷き言い

 

「それでは改めて名乗ろう、吾輩の名は陽炎じゃ。打鉄改は機体名であってコア意識(わがはい)の名ではないので気を付けるのじゃぞ? 」

 

 

と彼女はフンスと胸を張り言う、確かに陽炎の言っている事は的を得ている

 

 

俺達人間は服を着るが、その服の名前が自分の名前では無い、そんな感覚だろう、多分

 

 

「よろしく陽炎、これからもよろしく」

 

 

「うむ、よろしく頼むぞマスター」

 

 

俺は陽炎へ右手を差し出すと彼女はガッシリと右手を掴み握手してくれる、その数秒後に保健室のドアが開いて陽炎はスゥゥと透ける様に消えてしまいドアの方を向くと一夏さんが立っていた

 

 

「薫君、目が覚めたんだね? 良かった」

 

一夏さんは本当に心配した表情で俺に歩み寄って来て俺の手をギュッと握って安心した様な表情をする

 

 

「心配かけて ごめん 一夏さん」

 

彼女の表情を見て、改めて守り抜くと自分に誓い、一夏さんに謝ると

 

 

「あまり無茶しちゃダメだよ? ぶっつけ本番でワンオフ・アビリティを使うのはリスクが高いんだからね? 」

 

一夏さんは眼を潤ませて そう言う、どうしよう凄い可愛いんだけど

 

「分かったよ、無茶は出来るだけしない様にする」

 

どうにか表情を繕い一夏さんへ答える、もしかしなくても今なら邪魔が入らないんじゃないか? と

 

近いうちに想いを告げるつもりだったし、それに思い立ったが吉日とも言うし?

 

 

そんな訳で俺は深呼吸して一夏さんを真っ直ぐ見据え

 

「一夏さん、伝えたい事があるんだ」

 

「・・・なにかな?」

 

 

俺の真剣な顔を見て一夏さんは俺の手を離して、真剣な表情をする

 

 

「俺、八月一日 薫は織斑 一夏さん、貴女の事が好きです。俺は他の専用機持ちより弱いし学力も平均で特筆した才能もない、でも、それでも貴女を想い守りたいと思うこの気持ちは誰にも負けるつもりはない、俺は必ず貴女を守り抜くと誓います、だから俺と付き合って貰えませんか? お願いします」

 

 

俺は真っ直ぐ一夏さんを見据えて告白をすると、一夏さんは口に手を当てて目を潤ませ少し震え

 

「はい、こんな私で良ければ よろしくお願いします」

 

一夏さんは涙を流して それを拭ってニコリと綺麗な笑みを浮かべて言う

 

 

いま、俺は一夏さんに了承を得たのか? と脳内の整理をしていると

 

 

「・・・もう良いか? 親友の恋が成就するのはめでたいが、もっと場所を考えて欲しかったな」

 

 

カーテンで仕切られたベッドの奥側からボーデヴィッヒさんが少し辛そうにしながら出てきて言う

 

「え? ちょっっボーデヴィッヒさん、居たの? え? 」

 

「はぁ・・・八月一日、少し考えれば分かる筈だぞ? 未使用のベッドはカーテン開いているしな」

 

と少し混乱している俺を呆れた様な表情で言い

 

「ともかく、一夏 おめでとう」

 

「ありがとうラウラ」

 

と2人はハグし合う、やっぱり仲が良いなぁ こうしてると姉妹に見えなくも無いかも・・・いや流石に無理があるか、黒髪と銀髪だし

 

 

と、まぁ少し想定外の事が起こったけど、俺は一夏さんと交際を始める事ができた

 

 

せめて一夏さんを守れる男になろう

 

 

 







お待たせしました


実は少し先にするパターンもありましたが、今だ!! と思い薫君に告白してもらいました

ちなみに元々の予定では一夏ちゃんが薫君に告白する予定でしたw



あと陽炎のイメージは、アズレンの陽炎です



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浮かれるモノ、沈むモノ




続 続 続 薫君 視点



 

IS学園研究区間D-35と名付けられた多目的倉庫に俺は居る、右を見れば綺麗に飾り付けされた壁と彩取り(いろどり)豊かな様々な料理と飲み物、左を見れば右同様飾り付けされた壁と高級そうなソファーやローテーブルが並んでいる

 

そんなパーティー会場の様な場所の中心地に俺は1人立っていた

 

あれ? なんで此処にいるんだっけ・・・えーっと、一夏さんに告白してOKを貰って、ボーデヴィッヒさんに祝福されて、その後は・・・

 

 

俺は混乱している頭をフル活用して思い出す

 

 

そう、ボーデヴィッヒさんが祝福してくれた後、見計った様に篠ノ之さんと凰さんが保健室に入ってきて、なんか怖い顔で『一夏を泣かしたら殺す(意訳)』とか言われつつ祝福されたんだっけ

 

 

それから校医の先生が戻って来て、簡易的なメディカルチェックを受けて、それから・・・

 

 

そこから何故かモヤが掛かった様に曖昧に記憶を思い出せない、なんだっけ? と必死に思い出そうとしていると

 

 

「こんばんは」

 

 

「え? 」

 

記憶を探る事に集中していた俺の前に、セーラー服姿の銀髪で眼を閉じ真っ直ぐに俺を向き対峙している少女が いつの間にか居て驚く

 

「こんばんは」

 

「え? あ、はい。こんばんは」

 

彼女は再び同じ言葉を発したので戸惑いながら返事を返す、なんかボーデヴィッヒさんと顔の作りの雰囲気が似てる気がする

 

 

「はじめまして、私はクロエと申します。此方の都合で申し訳ありませんがあまり時間もまりません、貴方へどうしても尋ねたい事があるのです」

 

「俺に? 」

 

クロエと名乗った少女は落ち着いた声色で表情を変える事も眼を開く事も無く丁寧な言葉遣いで言い静かに頷く

 

「貴方は一夏の為ならば自分 又は 他者の命を差し出す覚悟がありますか? 」

 

 

クロエは静かに俺へ問う

 

今、俺はクロエに試されている。 間違いなくクロエは本気で一夏さんを救う為に自分の命を差し出すか、外敵を殺せるか を問うている

 

なら、答えは決まっている、だって俺は一夏さんの事を知っているのだから

 

 

「覚悟なら有る、でも俺は一夏さんの為 なんて免罪符を使うつもりは無い。俺は俺がやりたい様に、やれる事をやるだけだから」

 

俺は真っ直ぐクロエを見据えて宣言する様に答えると彼女は一瞬だけポカンとしてクスクスと数秒程笑い

 

 

「なるほど、一夏が貴方を選んだ理由(わけ)が少し分かった様な気がします。 合格です八月一日さん、貴方ならば一夏をお任せできそうですね? もう時間なので最後に1つ・・・一夏を悲しませ泣かしたら貴方を私が殺します、必ずです」

 

 

最初辺りは微笑みながらだったが、最後の方で彼女は眼を開き黄金の様に光る金色の瞳で俺を真っ直ぐ見据えて言う

 

俺、なんでこんなに脅されてるんだろ? もう今日で3人に釘刺されてるんだけど

 

「では私の役目は終わりましたし時間です、では楽しまれてください」

 

クロエがお嬢様然としたお辞儀をして言うと、世界が塗り変わる様な感じで さっきまで人が居なかった筈の場所に人が立っていて、過半数はニヤニヤしている

 

 

「え? な? え? 」

 

 

混乱して周りを見渡すと、顔を真っ赤にして顔を手で覆って微振動している一夏さんと愉快犯みたいな表情の篠ノ之博士、ニヤニヤしている篠ノ之さんと凰さん、 布仏さん率いる有志メンバー、床に正座してガタガタ震えているボーデヴィッヒさん と その前に仁王立ちしてボーデヴィッヒさんを見下ろして居るジークフリートさん、ソファーに丸くなって寝ている緑髪の娘、そして俺を見定める様に見る織斑先生

 

 

うん、よく分からないぞ? 特にボーデヴィッヒさんがなんで震えてるかが、よく分からない

 

「やぁやぁ八月一日君、約一月(ひとつき)ぶりだね? 今日はお疲れ様、なかなか興味深い試合だったよ、さて君が今知りたい事を教えてあげよう。簡潔に説明すると いーちゃん の恋愛成就を祝した会なのだよ!! 君には悪いけどクーちゃんのチカラを借りて君の認識情報を操作させて貰ったんだ、だから ついさっきまで皆んな見えて無かったでしょう? ちなみに束さんは1㎜も悪いと思ってないよ〜 」

 

と篠ノ之博士はニッコニコしながら説明する、なんか最後に人でなし な事を言ってた気がするけど気にしないでおこう、多分気にしたら負けだ、うん

 

 

と、いうか 色々と疑問が有る

 

まずパーティー会場の設備とか料理の手配とか、手際良すぎじゃね? とか

 

 

クロエのチカラって何?とか

 

 

なんで俺の認識情報操作して俺を問いただしたのか? とか

 

 

本当に色々と気になる、いや、マジで

 

「まぁとりあえず建前では、いーちゃん と君を祝う会だからね、楽しんでくれたら嬉しいかな? 」

 

「は、はぁ、ありがとうございます? 」

 

もう色々と情報が多過ぎて混乱している状態で篠ノ之博士にお礼をいうと、ニッコニコしながら織斑先生の方へ移動し、先生の肩を軽く叩く

 

 

「八月一日・・・一夏の姉として、お前に改めて問おう。 一夏を護り続けると誓えるか? 」

 

いつにも増して凄みがある織斑先生の言葉に頷き、真っ直ぐ先生を見て

 

 

「必ず護ります、もちろん死ぬ気もありません」

 

俺の問いに先生は頷き

 

「ならば私から言う事は1つだけだ・・・一夏を悲しませてみろ、私は地の果てまででも、お前を見つけ出し産まれた事を後悔させる。以上だ」

 

 

いや、以上だ じゃ無い、なんでこんなに脅されてるんだろ俺、いやマジで

 

 

まぁとにかく一夏さんを悲しませ無ければ大丈夫だ、きっと大丈夫、多分

 

 

 







お待たせしました


おかしいな、予定では既に千冬さんが酔っ払って酒瓶ラッパ飲みしてるぐらいのつもりだったんですがね?w

まぁいいかw



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告白と宣言

 

 

 

私は薫君の言葉を聞き内心喜びながらも、一部を除いた参加者の生暖かい眼差しに恥ずかしく感じて顔を両手で覆い少し身悶えていると、姉さんが薫君へ質問し、薫君の返答を聞き なんか物騒な事を言う

 

鈴も箒もだけど、なんで皆んな そんなに物騒なの? いやほんと

 

 

さてと、本当なら保健室で薫君に告白された時に話さなきゃいけなかった話がある、私の過去の事だ

 

元々は近い内に私から薫君に告白するつもりだったから、薫君が告白してくれた事に舞い上がってしまって話そびれてしまった、失敗したなぁ

 

改めて薫君へ話す、となると緊張する。でも私は真剣に彼を愛している、彼に隠し事をしていたくない

 

 

「一夏? どうかしましたか? 」

 

声を掛けられ目を向けると、いつもの様に目を閉じているクロエが私を軽く見上げて立っていたのでどうやら少し考え混みすぎた様だ

 

「え? あぁ少し考えごとをね? 」

 

クロエを安心させる為に言葉を繕い言うと

 

「そうですか、八月一日さん絡みでしょう? 」

 

クロエは穏やかな微笑みを浮かべ言う

 

「・・・なんで分かるの? 」

 

言い当てられて少し戦慄して尋ねると

 

「ふふ、これでも貴女よりほんの少し長く生きていますし? 見るからに、ですよ一夏」

 

と、なんか はぐらかされた様な気もするがクロエに舌戦で勝てた試しが無いので諦める事にする

 

「・・・アノ事を彼に話すのですね? わざわざ必要ですか? 」

 

クロエは目を開き黄金の瞳で私を真っ直ぐと見据えて尋ねてくる

 

「必要では無い、かな? でも・・・私は薫君に隠していたくない、かな? 」

 

 

「彼は普通の少年です、受け入れると確信が? 」

 

私の言葉にクロエは一切目を逸らさずに言う

 

本音を言えば不安だ、私の過去を知る事で薫君が私の側から居なくなってしまうのではないか? と、受け入れて貰えないのではないか? と、本当は不安だ

 

 

「私は信じているよ、薫君は受け入れてくれるって」

 

私は真っ直ぐクロエを見据えたまま言う

 

そう私は信じている、薫君は受け入れてくれる事を

 

「・・・そう、ですか。分かりました、私も信じます 貴女が信じる八月一日さんを」

 

クロエは目を閉じて再び微笑み言い私に歩み寄り軽く私の腰を叩き

 

「御武運を一夏、戻ってきたら来月の話をしましょう」

 

「ありがとうクロエ、またあとで」

 

 

力強く頷き私は薫君の元へ歩み寄り

 

「薫君、少し話しがあるのだけど大丈夫? 」

 

「話? うん、大丈夫だよ? 」

 

のほほんさん達に囲まれていじられていた薫君に声を掛けると、薫君を囲んでいたのほほんさん率いる有志メンバーが ささーっと退散していく、なんか凄い気を使わせてしまった様で少し罪悪感があるが、薫君以外には聞かれたくない話ではあるから良いのかな?

 

 

「・・・やはりするつもりか、私もついて行こう」

 

気配も無く現れた姉さんに私は驚く事もなく頷くと、薫君は少し緊張した様な表情になる

 

「私にとって、とても重要な話だから場所を変えよう? ついてきて欲しい」

 

「う、うん。分かった」

 

私の言葉に薫君が頷いたのを確認して歩み出す、ここは研究施設が犇く区画なので誰にも邪魔されない空部屋は沢山あるし、姉さんが居れば大抵の場所に入れる

 

数分も離れていない空部屋に入り窓から見える欠けた月を見上げると薫君に続いて入室した姉さんが扉に鍵をかけて私の隣に立つ

 

「・・・薫君、今から私の秘密を君に話から聞いて欲しい」

 

深呼吸をして私は薫君を真っ直ぐ見て言うと薫君は静かに頷く

 

「私、織斑一夏は数年前まで男だったんだ。具体的には第2回モンドグロッソ決勝の日までは・・・」

 

私の言葉に薫君はキョトンとしてパチパチと瞬きをする、その表情が少し可愛いな、と思ったが直ぐにあの日の記憶がフラッシュバックして身体が震え始める

 

「私は・・・第2回モンドグロッソ決勝の日、姉さんの2連覇を阻止する為って言う身勝手な理由で誘拐されて・・・」

 

そこまで私が言った所で姉さんが私を抱きしめ、大丈夫だ と私を安心させる様に言う

 

「・・・八月一日、誘拐された一夏は性転換する薬を投与され性転換させられた挙句に強姦されかけたんだよ」

 

抱きしめながら私の背中を摩り薫君へ説明をする姉さんの声には、怒りが含まれている

 

「八月一日、今話した事は全て事実だ。 故に今一度お前に問わせて欲しい、一夏が元男だと言う事実を知って尚、お前の気持ちは揺らがないのかを」

 

 

少し震えが治まってきた私を抱きしめたまま姉さんは薫君へ問う

 

 

「織斑先生・・・いえ、ここでは敢えて千冬さんと呼ばせてもらいますね? 千冬さん、正直今聞いた話は衝撃的でした。でも俺の気持ちは揺らいでいません、なぜなら俺は一夏さんが女の子だから好きになった訳じゃ無いと思うんです、俺は一夏さんが好きです 必ず幸せにしてみせます」

 

 

姉さんの腕の隙間から見える薫君は姉さんを真っ直ぐに見据えて言い切る、その表情はカッコ良すぎる

 

「・・・そうか、その言葉が偽りで無い事を信じよう」

 

 

姉さんはフッと笑い、肩の力を抜き そう言い

 

「私には出来過ぎた妹をよろしく頼む」

 

「はい、必ず幸せにすると誓います」

 

 

アレ? なんか結婚の挨拶をしに行った感じの展開になってるよ? なんで?

 

 

まぁいいか、姉さん公認だ、先の事は後に考える事にしよう

 

 






お待たせしました


薫君が漢を見せる話でした



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集合するチーム、酔い猫

 

 

 

薫君の言葉に惚れ直した後、3人で会場へ戻り ふとジークさんに説教をされていたラウラの方を見ると、ラウラが2人に増えていたので三度見していると

 

 

「その表情から察するに、八月一日さんは貴女を受け入れてくれた様ですね? 」

 

相変わらず気配が薄いクロエが死角から現れ言う

 

「うん、受け入れてくれたよ」

 

軽く笑みクロエに言うが、ラウラが増えている事が気になって仕方ない

 

「ラウラとそっくりですが、片方はシュヴァルツェア・レーゲンのコア意識のマリーですよ? 」

 

私がラウラの事が気になっている事に気付いていたクロエが説明してくれる

 

「ソックリ過ぎるんじゃない?」

 

本来なら天文学的な確率だと思う、と言っても私はISコア意識の人格形成やらなんやらのプロセスを完全に把握している訳では無いから、あくまでも予想な訳だけど

 

「ラウラとマリーは、まぁいいでしょう。それより来月の打ち合わせを始めましょう」

 

「分かった、箒と薫君を連れてくるよ」

 

 

仮にも妹と その相棒を まぁいい で片付けたクロエに苦笑しつつ2人を呼びに行き、再集合し

 

「お待たせ、クロエ」

 

私の言葉にクロエは一度頷き

 

「改めて、初めまして八月一日さん、私はクロエと申します。お久しぶりですね、箒さん」

 

相変わらずお嬢様みたいな所作で挨拶をするクロエを横目で見ていると

 

 

「八月一日 薫です、よろしくクロエ・・・さん?」

 

「久しぶりだなクロエ、何度も言うが私の事は呼び捨てで構わないぞ?」

 

 

呼び方を決めあぐねている様子の薫君と普通に返事を返す箒

 

 

「アナタ方に集まって貰ったのは他でも有りません、来月半ばにあるガンプラバトル地方予選会へ参加するに当たっての打ち合わせの為です」

 

クロエは華麗にスルーを決め、話を切り出す。 本当は私から話をするべきなのかも知れないがクロエに任せても良いかも知れない

 

「あぁ、そういえば少し前に一夏さんに誘われてエントリーシートに名前を書いたっけ? 」

 

「・・・そういえば私も書いたな、てっきり補欠だと思っていたんだが」

 

 

そーいえば、みたいな明るめな表情をする薫君とは対照的に少し渋い表情の箒が言う

 

「え? いや箒? 私はキチンと説明したよね? 確かに補欠の枠はあるけど、選手枠お願いって」

 

そう、私は箒にキチンと説明してあったのだが、彼女の中で何か勘違いがあった様だ

 

「えー勘違いも有った様ですが、この場にいる4名で予選会へ参加する事になっています。私はオペレーターに任命されましたので、よろしくお願いします」

 

クロエが頃合いを見て話を続け軽く頭を下げる

 

「私はメカニック兼任でファイターをするから安心して? 実はもうチーム用のガンプラは完成してるんだ」

 

 

と私が言うと薫君は え? と言う表情をし、箒は諦めた様な表情をする

 

 

「箒さん、諦めましょう。こうなった一夏は止められません」

 

「・・・そうだな」

 

となんか失礼な会話をクロエと箒がしているが、聞こえ無かった事にしよう

 

 

「薫君の機体はムラサメの強化型を、箒にはレッドフレームの改修機を用意してあるから、あとで2人に渡すね? 」

 

 

私の言葉に2人が頷いたのを確認しクロエを見る

 

「本当ならば直ぐに慣らしと連携確認をしたい所ではありますが、残念ながら筐体がありませんからね、それはまたの機会にしましょう。顔合わせは終わりですね、では私は お兄様を止めて来ますので」

 

 

とクロエは軽く頭を下げてジークさんの方へ歩いて行く、その背中を見送りつつ視界の端に束さんと飲み比べを始めている姉さんが見えた気がするが見えなかった事にしていると

 

 

「にぁあ マスター、このジュース美味しいにゃ」

 

私の胸ほどまでの身長をした猫耳が生えた緑髪の幼女、私の相棒の明石が やや赤い顔で黄緑色の液体が入ったコップを持ち、私の鳩尾辺りに頭をグリグリ擦り付けながら言う

 

ん〜? 明石からアルコールの匂いがしないけど、見るからに酔いが入ってるよね、うん

 

とか思いつつ明石の頭を撫でながら薫君を見ると、え? 猫耳? みたいな表情をしていたので

 

「この子は明石、ほら専用機の明石だよ」

 

「あ、あぁコア意識の子か」

 

私の説明に薫君は納得した様な表情をして言い

 

「なんか・・・酔ってる、のかな? これ 」

 

ますます猫になってる明石を見て薫君が言う

 

「みたいだね? でも明石からは お酒の匂いはしないんだ、このコップからも」

 

 

スルリと明石からコップを回収して匂いを嗅いで見るが、黄緑色の液体は甘酸っぱいフルーツの匂いがするだけでアルコールの匂いは微塵も感じないので、一口飲み

 

「ん〜・・・キウイジュース、かな? 多分」

 

「キウイジュース、かぁ」

 

味見をした結果、アルコールの味も一切しない、まごう事ないキウイジュースと判明したが、何故 明石が酔っているか疑問が深まるばかりだ

 

 

「マスター、明石のジュース返すにゃ、明石のにゃ」

 

明石はキュウイジュースが余程気に入ったのか、手を伸ばして来たのでコップを返すと両手でコップを持ちキウイジュースを飲む

 

まぁ見ていて可愛いし、良いかな? うん

 

そんな訳で明石を猫可愛がりしながら薫君と雑談を続ける事にした

 

 

 






お待たせしました


本当は打ち合わせだけで埋める予定でしたが、無理だったんで明石を出しましたw


明石が酔ってる理由はキウイジュースです、キウイってマタタビの仲間なんですってw



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激戦

 

 

「八月一日さん、後続との距離が離れ過ぎです、速度25%で6時方向に20秒移動して下さい、箒さんは継続して前進。一夏は両名との間隔を維持を」

 

 

薫君と想いが通じた日から時は過ぎて週末、私達は織部模型店を訪れて慣らしと打ち合わせを兼ねて筐体を動かしている

 

 

練習でフリーミッションを受けているのだが、やはりクロエのオペレーターとしての技能は高く的確な指示を出してくれる

 

 

「八月一日さん、上方向2時に敵影を確認、数は2つ・・・熱紋照合、ジンハイマニューバですね、恐らく母艦か小規模基地が存在する可能性が高いですね」

 

「まだ見つかってないみたいだけど、どうする? 」

 

クロエの言葉を聞き薫君が指示を仰ぐ、クロエの言う通りジンハイマニューバが2機だけで行動するとは思えない

 

 

フリーミッションだから条件次第で様々な状況が起こり得るのだから、少し慎重になる必要がある

 

 

これが大会なら下手に突かずに様子見で撤退、と言うのも有りだろうけど 私達は練習でいる訳だから

 

「一夏が突いてみたそうなので、敢えて突いてみましょうか。八月一日さん、()っても構いませんよ、一夏がフォローします」

 

 

なんだかんだ私とクロエは付き合いが長いから私の思考を読んだクロエが薫君へ指示を出し

 

「了解、釣れたらフォローお願い」

 

「任せて」

 

私は薫君へ返答し、ムラサメと距離を詰めてビームライフル(ヒャクライ)を構えて周辺を警戒する

 

「む? 下方向11時に光が見えた、クロエ」

 

「はい、ただいま」

 

スゥィーとデブリ帯を進んでいた箒がクロエへ尋ね、すぐにクロエは仕事に取り掛かり

 

「熱紋照合、ゲイツが3つですね。八月一日さんと一夏はジンハイマニューバの相手を継続、箒さんは一旦下がって奇襲の準備を」

 

「了解」

 

「了解、行こう薫君」

 

「・・・是非も無し」

 

私達はクロエの指示に返事をし、私は周りを警戒しながらアカツキを操りつつエネミーの出方を予想する

 

 

明らかにジンハイマニューバは陽動なのだろうけど、後詰めにゲイツが3機は少ない気がしてならない、となれば恐らく大量の本隊か各個撃破出来るレベルの強敵が出現 又は 私達を一網打尽に出来るナニカが有る、と予想出来る

 

 

ともあれ目の前のジンハイマニューバを落とさないと箒と合流出来ないので困った物だ

 

 

それから薫君と連携してジンハイマニューバを撃破して箒と合流する為に移動していると

 

 

「敵艦影を確認、熱紋照合・・・ナスカ級? それにミネルバも・・・やはりゲイツも囮でしたか。一夏、タンホイザーの処理を任せますね?」

 

 

「了解、ギリギリ大丈夫だと思う」

 

クロエが指示を出してきたので返事をして言うが正直不安はある、原作では防ぎ切ったが私のアカツキは改造しているから防ぎ切れる保証がない

 

 

でもクロエが私に任せる、と言ったなら多分大丈夫なんだろう、きっと

 

 

「タンホイザー起動を確認、八月一日さん 箒さん両名は射線上より退避 または一夏の後ろへ」

 

此処で退けば2人がタンホイザーの餌食になる、大丈夫だ失敗したら私も一緒に焼かれるだけ、そうそれだけだ

 

 

そう腹を括りシールドを構えてタンホイザーに備える

 

「一夏、信用しているからな? 」

 

「任せてよ箒、ダメだったら一緒に焼かれて落ちるだけだから」

 

と私が言った言葉に信じられない、といった表情を箒がした瞬間、タンホイザーが発射されシールドに当たり粒子を撒き散らす

 

「ほら、大丈夫でしょ? 私って不可能を可能にする女なんだから」

 

防ぎ切り箒へ言うと

 

「・・・あぁ、そうだな」

 

なんか呆れた様な声と表情で返事をされてしまった、なんで? と首を傾げつつ腰部ビーム砲でタンホイザーを撃ち抜き破壊しておく

 

「上方よりミサイル接近、一夏 迎撃してください」

 

「了解」

 

クロエの指示に従い私は腰部ビーム砲とヒャクライ、ドラグーンを用いてミサイル群を一掃する

 

「ドラグーン系にも慣れてきたな」

 

ドラグーンでゲイツを蜂の巣にしながら呟き

 

「クロエ、次は? 」

 

「そうですね・・・ミネルバ攻略でもしますか? 」

 

クロエはミネルバを落とすのは簡単、みたいな軽い調子で聞き返してきたので

 

 

「ん〜流石にシンとかが出て来たら面倒じゃない? 」

 

 

デブリ帯のデブリに身を潜めながらクロエへ言う

 

 

「シンより強い人なんて地方予選会でも本選でも居ます、今日シンに負ける様では勝ち進む事は絶望的でしょう」

 

と何ともスパルタな事をクロエは言う、確かにクロエの言っている事は正しいかも知れない

 

NPCで有るシンに負ける様であれば予選や本選で勝てる可能性が低くなるだろうから

 

とはいえ、素人に毛が生えた程度の2人にシンを相手にしろ、と言うのは少し荷が重いかもしれない

 

まぁ勝つにしろ負けるにしろ、シンとの戦いは2人の糧になってくれる筈だ、多分

 

「それじゃ、第1目標はミネルバを撃沈、第2目標はシンの撃破にしておこうか、薫君 上手く撹乱しながらミネルバのCIWSを破壊して貰えるかな? 」

 

 

「OK、問題無いよ一夏さん、任せてよ」

 

私の言葉を聞き薫君は返事をしてデブリをスイスイ避けてミネルバへ飛んでいく

 

次は大気圏内の具合を見ないといけないかもな・・・まぁ元々ムラサメは大気圏内用だから、あまり気にしなくても良いかも知れないけれど

 

 

 







お待たせしました


気分が乗れば今回の続きを書くかも知れません


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地方予選 序

 

 

 

打ち合わせと慣らしをした、あの日から約2週間が経った今日この頃 私達は初夏の気配を感じながら複雑怪奇な構造をしている市民体育館へ来ている

 

 

受験の時にも来た場所だが、相変わらず迷路の様な内装で少し呆れてしまう

 

 

「本番だね? 地方予選で上位3チームに入れば本選に行けるし、貴重なガンプラも手に入るから頑張ろう」

 

と私はフードコートエリアで飲み物片手に言うと

 

 

「・・・まさか一夏、お前は その貴重なガンプラが欲しいが為に半ば無理矢理 私を連れてきた訳では無いよな? 」

 

 

今日はいつもより眼光が鋭い箒が私を睨む様に見て言う

 

 

「それも有るけど、箒とガンプラバトルしたかったのも本心だよ? 」

 

私はニコリと笑み言うと箒は溜息を吐き諦めた様な表情をし

 

「まぁいい、お前がわがままを言うのは珍しいからな、それに付き合うのも幼馴染(わたし)の務めだろう」

 

 

と、なんだか満更でも無い表情で言う

 

「ありがとう箒」

 

「構わん、お前と私の仲だろう? まぁ私より八月一日にわがままを言うんだな? その方がヤツも喜ぶだろう」

 

箒へお礼を言うと箒は珍しく揶揄う様な表情をして、そう言う

 

 

「そ、そうかな? 」

 

なんか恥ずかしくなってきたんだけど、と言うか箒にしては珍しいなホント

 

 

とか考えていると

 

「お待たせしました、無事エントリーが済みました・・・あら? 八月一日さんは? 」

 

相変わらず清楚なお嬢様の様なクロエが私達の元へ現れ尋ねてくる

 

「薫君なら お手洗いに寄ってくるって・・・あー」

 

クロエを除く私達3人は一緒に、この市民体育館へ来たのだが薫君は お手洗いに行くと言う事で集合場所を決めて一旦別れた訳だけど、別れてから時間が経ち過ぎている事に気付き、私は自分の失策を悔いる

 

「なるほど・・・これは迷いましたね? 多分」

 

クロエが肩を竦めて言う

 

「仕方あるまい、この市民体育館は複雑怪奇な構造だからな・・・下手に探しに行っても二次被害が起こる可能性が高いしな」

 

と箒が軽く頭が痛そうにしているのを見て、本当はいけないが裏技を使う事にした

 

 

「クロエ」

 

「仕方ないですね、分かりました。箒さん隣失礼します」

 

「あぁ」

 

私がクロエを呼ぶとクロエは、やれやれ と言った表情をして箒の隣に座り軽く深呼吸をする

 

「それでは暫く私は無防備になりますので箒さん、よろしくお願いしますね? 行きますよ一夏」

 

「あ、あぁ構わないが・・・」

 

状況が上手く飲み込めていない箒を横目に私は無言で頷きクロエとプライベートチャネルを繋げ視界の端にマップが表示されるのを確認し移動を始める

 

「コアネットワークを介して対象の現在位置を割り出し開始・・・終了、一夏 直進50メートル、右手の通路へ」

 

「了解」

 

私は出来る限り早足で人とぶつからない様に通路をクロエの指示通りに進む

 

 

本当は色々な手続きとかしないといけないんだけど、クロエの専用機 黒鍵は特別製だから色々とスルーして こうゆう事が出来る

 

 

まぁ明石も特別製といえば特別製だけど位置把握までは出来ない

 

それから数分で薫君の背中を発見し、声をかけようと思ったら見慣れた小柄のツインテールの親友(リン)黒髪メガネの悪友2号(カズマ)赤毛の可愛い妹分(ラン)が居て、なんか曲がり角の先を見ながらヒソヒソと話をしていたので歩み寄り

 

「何してるの?」

 

と鈴に小声で話し掛けると

 

「アレを見なさい一夏、弾が3年の先輩に逆ナンされてるのよ。アノ弾が! 」

 

 

鈴は特に私に驚く事もなく私へ状況説明をしてくるが、その内容は少し信じがたい内容だった

 

だって、弾が逆ナンされるなんて、ねぇ?

 

と言うか蘭が凄い形相でブツブツ何か高速詠唱してるんだけど大丈夫かな? 何気に蘭もブラコン気味な所あるし

 

まぁ弾は確実にシスコンだけど

 

 

そんな訳で鈴の言葉が少し信じがたかった私は曲がり角から少し顔を出して通路の先を見る

 

 

そこには見慣れた赤毛のバンダナをした悪友の姿と、のほほんさん と同じ栗毛色の髪を三つ編みにしてヘアバンドをしてメガネを掛けたよく知る先輩が居て、虚さんが弾に積極的に弾へ話掛けている様に見える風景が見える

 

「え? マジで? マジかぁ」

 

あの2人の様子を見る限り、雰囲気は悪くない様だから上手く行けば交際に発展するかも知れない

 

 

「弾にも春が来たかな? 」

 

「否定出来ないわね」

 

「悪友としては祝いたい所だな」

 

「お兄、お兄は何処の馬の骨か分からない女には渡さない・・・」

 

「あの人は確か生徒会の・・・」

 

 

若干1名怖い事を言っている様な気がするが、概ね弾の春の到来を喜ぶ言葉が聞こえる

 

あとで蘭とはお話しておこう、私の話なら聞いてくれる筈、多分

 

 

そんな訳で弾の春到来を祝っているとクロエから帰還指令が出されたので

 

「鈴、悪いけど私達行かなくちゃ、トーナメントで当たったら容赦しないから」

 

「手加減なんてしてごらんなさい?絶交よ絶交、全力で叩き潰してあげるわ」

 

 

私の言葉に鈴は挑発的な笑みを浮かべて言う、それに頷き私は薫君を連れてクロエ達のいるフードコートエリアへと戻る

 

 

よし、気持ちを切り替えて行こう。まずは1勝からだな

 

 





お待たせしました


地方予選回が始まりました、何話になるか決まって無いので、もしかしたら直ぐに終わるかもしれませんw




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大会用ガンプラ設定 暫定

 

 

機体名*ユキカゼ

 

搭乗者*織斑 一夏

 

武装*

 

⚪︎近接防御火器 イーゲルシュテルンII

 

頭部2門と胸部2門 装備された機関砲でイーゲルシュテルンの改良型

 

 

⚪︎双剣型ビームサーベル

 

刀をイメージして作られたビームサーベル、インフィニットジャスティスのシュペールラケルタ ビームサーベルの様にビームサーベル同士を連結し双剣に出来る

 

また後記のビームライフル ヒャクライに銃剣として装着し使用も出来る

 

 

⚪︎ビームライフル ヒャクライ改

 

片手用に調整されたビームライフル、銃剣としてビームサーベルを装着出来る為、最初から装着してある

 

 

⚪︎タマモノシズイシ

 

試製71式防盾をベースに改造をした物、外縁部にヤタノカガミ装甲を配置し内側部には対物用にラミネートコーティングされた装甲材、中心部にはビームシールド発振器が盛り込まれている

 

またシールド裏にビームサーベルが格納されていて格納したままビームサーベルを展開する事も出来る

 

 

⚪︎空宙汎用戦闘装備 ホウオウ

 

アカツキのストライカーパックのオオワシとシラヌイを掛け合わせたストライカーパック

 

高エネルギービーム砲 キリシマを2門、ドラグーンを5機装備している

 

 

装備全てにヤタノカガミ装甲が使用されているため、ビーム兵器には滅法強い

 

 

備考*

 

一夏ちゃんがガンプラバトル大会用に自作した機体、アカツキをベースに中近距離戦を意識した作りになっていて、エグザスストライク同様 GNドライブを仕込んである為、機動力と継戦能力の心配がいらない

 

 

 

 

 

 

機体名*ムラサメ改

 

搭乗者*八月一日 薫

 

 

武装*

 

⚪︎自動防御火器

 

頭部に2門、左右主翼基部に2門づつ合計6門装備されている機関砲

 

⚪︎イナヅマ

 

背部スタビライザーに装備されたビーム砲、MA形態時のみ使用可能

 

⚪︎空対空ミサイル ハヤテ

 

フロントアーマーに合計4発装填されているマルチミサイル

 

 

⚪︎ビームライフル イカヅチ

 

ムラサメ専用の中距離戦用ビームライフル、MS形態時の主武装でMS形態時にはマウントラックに懸架され、ある程度は動いて射角を取ることが出来る

 

 

⚪︎ビームサーベル

 

左腰部に1本装備されている

 

⚪︎シールド

 

対ビームコーティング処理の施されているシールド、MA形態時には機首としての役割を持つ

 

⚪︎アーマードパック

 

メサイヤバルキリーのアーマードパックを加工して製作されている

 

備考*

 

ガンプラバトル大会用に一夏ちゃんが用意した機体で薫に合わせて様々な加工と調整がされている

 

実は此方もGNドライブが搭載してある

 

 

 

 

 

 

 

機体名*アヤナミ

 

搭乗者*篠ノ之 箒

 

武装*

 

⚪︎イーゲルシュテルン

 

近接防御火器の機関砲、頭部と胸部に2門ずつ装備されている

 

⚪︎アマツカゼ

 

アヤナミ専用の日本刀型の実体剣、刺突を考慮し反りが浅い

 

 

⚪︎ヤマカゼ

 

アヤナミ専用の日本刀型の実体剣、両断を考慮しアマツカゼに比べて反りが深い

 

⚪︎汎用戦闘装備 オオトリ改

 

機動力と継戦能力の強化を目的としたストライカーパックで

 

右肩部にビーム実体複合の対艦ブレード、左肩部にビームライフルが、付属されている

 

 

 

備考*

 

 

一夏ちゃんガンプラバトル大会用に箒の為に用意した機体

 

近接を重視する箒の為に近接主体の装備にし、射撃武器が肩部装備だけになっている

 

また箒の二刀流を生かす為にシールドも廃止し機動力の底上げをしている

 

 

例に漏れずGNドライブが搭載されている

 

 

 

 

 





ひとまず暫定の大会用ガンプラ設定を書いてみました


もしかしたら加筆修正するかも知れないです



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地方予選 弍

 

 

箒とクロエに合流して少しすると地方予選会の開会式が始まり、改めてルールの申し伝えや注意事項などが伝えられる

 

「いよいよ本番だね、きっと強敵も居るだろうけど、頑張って生き残ろう」

 

筐体に入る前に2人に笑みながら言うと

 

「やるからには勝ちたいからね、頑張るよ」

 

「・・・勝つさ、お前がわざわざ用意してくれた機体だしな」

 

私と同じ様にワクワクしている表情の薫君と、まさに戦場へ赴く武士の様な雰囲気を纏い硬い表情の箒、と言う対照的な2人にクスリと笑み

 

「クロエ、サポートよろしく。鈴達はともかく虚さんが居たから簪達もいそうだし・・・姉さんが居るかも知れない」

 

 

「任せてください一夏、サポートは私の得意分野ですから」

 

クロエは敢えて姉さんの事には触れずに私へ返答しオペレーター席に座る

 

「チカラが入りすぎだよ箒、大丈夫 私もフォローするから」

 

ガチガチの箒の肩を叩き筐体に入りいつもの手順で準備を整えて軽くペダルや操縦桿を動かして具合を確かめる

 

「・・・いつも使ってる奴より気持ち硬い、かな?」

 

織部模型店で使い慣れた筐体より機材が新しい様で動きが少し硬いなぁと感じつつガチャガチャ動かしたりボタンを押したりして手に馴染ませておく、そうじゃないとミスをした時にヤバイからだ

 

 

それから少ししてバトルの開始時間になり、対戦形式の発表がされる

 

「殲滅戦か、まぁ妥当かな?」

 

「そうですね、対戦チームの名前から これまでの戦績やプレイスタイルを検索しましたが、そこまで強い訳では無いみたいですね、貴女だけで殲滅可能かも知れません」

 

私のひとり言にクロエが返答してくる、なんとも仕事が早い

 

 

「作戦立案をお願い」

 

「はい、今回のフィールドは渓谷地帯の様ですね? 少々死角が多くなる事と重力下と言う事を留意して行動してください、特に八月一日さん、空力制御には注意を、下手に無茶な機動をしたらムラサメ改の翼が折れますので」

 

 

私の言葉にクロエは得た情報を元に注意事項を説明して薫君に念押しして注意を告げ

 

 

「では作戦ですが、八月一日さんと一夏には先行して索敵をしてもらい、箒さんは敵影発見まで待機、敵影発見後には各個撃破または箒さんと連携して撃破を目指します、場合によっては一夏に敵機2つを相手して貰うかも知れません、質問はありますか? 」

 

 

とクロエは、私達の機体特性を把握しているので適切な作戦を立案してくれる

 

 

「私は無いかな? 」

 

「俺も大丈夫」

 

「特に無いな」

 

「分かりました、バトル開始後は状況に合わせて指示を出していきます、場合によっては作戦を変更しますので、よろしくお願いします」

 

私達の返事を聞きクロエが言う、ほんとクロエって優秀だなぁ

 

 

それからバトル開始時間になり、空間投影されている映像がコクピットビューに切り替わり格納庫の様子が見え、カタパルトへと移動して接続し

 

「織斑 一夏、ユキカゼ出撃(いき)ます!!」

 

 

操縦桿を軽く捻るとカタパルトで機体は加速され飛び出し数秒してホウオウの翼を展開して対空すると、薫君と箒が続いて出て来た

 

「それでは状況を開始してください、ひとまず箒さんは足元の岩陰へ」

 

 

私達はクロエの言葉に返事をし、各々の行動を開始する

 

 

「まず八月一日さんは11時方向へ向かってください、一夏は1時方向へお願いします、予想より地形の起伏が激しいので狙撃等に注意してください」

 

クロエの指示を聞き私と薫君は、それぞれの方向へ針路を取り索敵を始める、今更ながら気付いた事だけど、アカツキをベースにしてるユキカゼは金ピカだから結構目立つんじゃないか? と言う事に

 

いや、うん。間違いなく目立つ、うん

 

まぁいいか、ビームなら弾くしね?

 

 

「さて・・・こちら側に居たら良いんだけど、ね」

 

レーダーと見える風景を注意深く見ながら敵を探す、さて敵さんの使用機体はなんだろ?

 

SEED系は優秀で大気圏内外関係無く飛翔出来る機体が割と多いから、こうゆうフィールドがランダムで決まる大会とかだと使用されている率は高い

 

あとOO系とかもかな?

 

まぁOO系なら、ほぼほぼビーム兵器主体だろうから、こちらが有利になるかも知れない

 

 

「ん? おっと・・・クロエ」

 

ロックオンアラートを聞き狙撃を紙一重で躱してクロエの名を呼ぶと

 

「熱紋照合、ゴールドフレーム天ベースの様です。射撃位置特定、暫定ですが移動ルートの予想を表示します」

 

 

とクロエは手早く仕事をしてミラージュコロイドで姿が見えないゴールドフレームの予想位置を表示してくれる

 

 

「3箇所、か・・・まぁユキカゼには関係ないか」

 

 

私はヒャクライ改とキリシマで、ゴールドフレームが居ると予想される3箇所に同時攻撃をすると、ヒャクライ改のビームが不自然に屈折したのを確認する

 

「着弾を確認、敵機捕捉しました。もう逃しません、予想移動経路を表示します」

 

「了解、この後に及んでミラージュコロイドを解除しないとは」

 

クロエが表示してくれたターゲットをロックし、集中砲火しながら呟く

 

 

私ならミラージュコロイドを解除して射撃戦に移行するか、スモークとかで目眩しして狙撃のチャンスを狙うのだけど、ゴールドフレームの人は どんなつもりなんだろう?

 

まぁいいか、勝てば良かろうなのだー

 

 






お待たせしました




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地方予選 参

 

 

 

その後もパカパカと容赦せずにゴールドフレームへ射撃を続けているのだが、ミラージュコロイドのせいでイマイチ決定打を与えられず、少しずつ移動されてしまう

 

「クロエ、薫君の方はどう?」

 

「未だ索敵中です、ただ見つかっていないだけか、または 貴女が誘い込まれつつあるのか、は分かりませんが、可能性は有るでしょう」

 

 

クロエは私の質問に答え、予想を告げてくる

 

うん、正直 そうなんじゃないかなぁ? とは私も思っていた所だった、ミラージュコロイドの利点は そのステルス性能を利用した奇襲や狙撃による敵機撃破だ、しかし1度 存在がバレてしまえば警戒されてしまうし、動きをトレース出来る人がいれば撃破されてしまう可能性も出てきてしまう

 

それにミラージュコロイドは多量の電力を消費するので展開し続けるデメリットもあるにも関わらず展開し続けているのは裏が有るのではないか? と考えてしまうのは必然だ

 

 

「ここで追うのを止めてもつまらないし、罠なら罠でいいかな? 」

 

「仕方ない人ですね貴女は・・・八月一日さんと箒さんに後詰の準備をしてお願いしますから、好きに暴れて下さい」

 

 

クロエの少し呆れた様な声を聞き流しつつ私はゴールドフレームの進行方向の岩壁をキリシマで撃ち意図的に崖崩れを起こしゴールドフレームを煽ると、ミラージュコロイドを解除してフェイズシフトを使用して落石の中を突っ切って行く

 

 

思い切った事をするなぁ とか考えいるとロックオンアラートが鳴り土煙の向こう側からビームが飛んできたのでタマモノシズイシで防ぎヒャクライ改で反撃をするが、手答えが無い

 

「外したかな? 」

 

「外れましたね、ゴールドフレームが再び移動を開始しました」

 

 

やはりNPC相手とは勝手が違うなぁと思いつつパカパカとヒャクライ改を撃ってゴールドフレームを追い詰める

 

「もうすぐ奇襲に適したポイントに差し掛かります、注意して下さい」

 

「了解」

 

クロエの忠告を聞きながらクロエが視界に表示してくれた奇襲の為に潜んで居そうな場所のマーカーを見て位置とりを考えつつゴールドフレームを追うと、高出力ビームがコクピット前に構えていたタマモノシズイシに当たり数テンポ遅れ反射して飛んで行き小規模の爆発が見える

 

 

「おー、ロックオン無しで撃ってコクピット狙って来た、凄いなぁ、」

 

 

「なんで嬉しそうなんですか? まぁ良いでしょう、今ので狙撃地点を特定、爆発の規模からして狙撃に用いた機材は破壊出来たと予想出来ます。あと数分もすれば八月一日さんも後詰めに到着しますからね? あまり無理しない様に」

 

 

クロエに少し呆れた様な声で私に釘をさしてくる

 

大丈夫だよクロエ、無理はしないつもりだからさ? だって私が落ちたら薫君と箒の負担が大きくなっちゃうしね

 

 

ひとまず私の目の前には敵が2人、もう1人が この近辺に潜んでいるか、違う所にいるのかは分からないが、今は目の前の障害を排除する事にしよう

 

 

「どうやら狙撃した人もミラージュコロイドを使っていた様ですね」

 

「そっか、となるとゴールドフレームは奇襲 兼 囮役だったのかな? 」

 

 

クロエの言葉を聞きゴールドフレームへ容赦なく射撃をしながら言う

 

 

「その可能性は高いですね、現にゴールドフレームは奇襲に失敗した後は逃走していますし、その後は狙撃ポイントまで誘導をしています。 と、なれば・・・」

 

 

クロエは私の言葉を肯定し自分の推測を言う、私もクロエの推測は当たっていると思う、少なくとも私なら狙撃ポイントは1つにせずに2つにする

 

 

それにシステムアシスト(ロックオン)を使わずに狙撃を的確にコクピットへ命中させてきた狙撃手の腕は高いし、機材を複数用意する

 

 

でも大会では複数装備を用意は出来てもフィールドへ装備を持ち込むのは少し面倒かも知れない・・・まぁ方法が無いわけではないけど

 

 

例えばデンドロビウムみたいなコンテナ後付け装備を盛れるモノとか、GNコンテナとか、そんな感じの後付けモビルアーマーみたいなモノに装備を複数搭載してフィールドに持ち込んで狙撃位置に装備を設置するみたいな感じで行けるかも?

 

 

そうすればエネルギー問題とかも解決出来るかも知れない、まぁどうにしろ倒すのは変わらないし、もう少し距離を詰めようかな?

 

 

「動体センサーに感、狙撃手が動いていますね? 少し注意して下さい、対鉄血MS用の武装がある可能性も有ります」

 

「そうだね、気をつけるよ」

 

 

確かにクロエの言う通り、装備を複数用意してたら実体装備と光学装備を用意するのは充分に考えられるし、光学装備が効かなかったなら実体装備を試すのは当たり前の事だ

 

「ねぇ、クロエ? 例のヤツ試し撃ちしていいかな? 大気圏内でテストするの忘れててさ」

 

「構いませんが、放熱にどれぐらい掛かりますかね? 大気圏内だと冷却時間も長くなりがちですし、そこも含めて、ですかね? 」

 

 

「そうだね、まぁ大丈夫だよ、私の予想は4秒で冷却は足りると思ってる」

 

私の提案にクロエは答え、私もクロエの質問に答えて少しワクワクしながらスイッチを押し準備をする

 

 

楽しみだなぁ、結構な威力は出る筈だから

 

 






お待たせしました


一夏ちゃんを狙撃した機材は、ビッグガンの予定です



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地方予選 肆

 

 

 

私が製作した大会用ガンプラ ユキカゼ には色々と特殊な要素が組み込んである、ベースとなっているアカツキから引き継いだヤタノカガミ、大気圏内外問わずに戦える様にしたストライカーパックのホウオウ、そしてエグザスストライクから引き継いだGNドライヴ

 

 

そのGNドライブから精製されるGN粒子を制御する機能がユキカゼには搭載されている

 

 

ユキカゼにエグザスストライクの様に対鉄血MS対策の実体装備を搭載しなかったのはチーム戦と言うのもあるし、武装の重量増加と被弾面積を減らしたかったのもあってユキカゼには主にビーム装備を搭載している

 

 

とはいえ完全に対鉄血MS対策を捨てた訳では無く、鉄血MSの特徴であるナノラミネートアーマーの特性であるビーム攻撃への耐性の意味をよく考えて対策を用意してある、そうビーム無効(・・)ではなくビーム耐性(・・)なのだ、つまり許容を超えるビーム攻撃を与えてしまえば良いのだ

 

そしてナノラミネート加工を施されているのは装甲であり、関節や装甲の隙間にはビーム耐性は無いし、装甲が無事でも内部機関は熱によりダメージが入る事になる

 

「GNフィールド形成・・・バレル展開・・・高濃度圧縮粒子解放・・・スターライト、ブレーイカー!! 」

 

 

キリシマの銃身が上下にスライドして展開しユキカゼの周りに黄緑色の粒子の膜が形成され、キリシマの前に緑色の球が出来上がりヒャクライ改で球を撃つとビームの本流となり撃ち出され渓谷の岩を薙ぎ払い、焼き払って行く

 

 

そう、私の用意した対策はGN粒子融合を用いた一撃必殺を旨とした必殺技、やはり過剰砲撃はロマンがあるからね、堪らない

 

 

ロマンにはデメリットも当然ある、過熱したキリシマの砲身を冷却しなきゃならないのと、もう一度使用するには長い時間 再チャージしなければならない、反動制御で足を止める必要がある事だ

 

 

「・・・前回より威力が増してませんか? 」

 

「うん、粒子の圧縮時間も圧縮率も量も前回より多いからね、威力も上がるよ」

 

 

地形が変わった渓谷を見下ろしながらクロエの質問に答えるとクロエは信じられない といった表情をして

 

 

「やり過ぎですよ一夏・・・はぁ・・・あの姉あって この妹なのですね、変な所でソックリですね貴女達は・・・」

 

軽く頭が痛そうな表情をしてクロエは言い諦めた様な口振りで言葉を続ける

 

 

「撃破数2、あと1機ですが、八月一日さんが道すがら見つけて交戦中ですから、貴女は指定座標へ移動して下さい。まぁ恐らく八月一日さんだけで大丈夫でしょうけれど」

 

「了解」

 

私はクロエの指示を聞き薫君が交戦中であろう座標に向かい移動を始め数分移動した所で推進剤が爆発した様な光が見え、バトル終了のテロップが表示される

 

「やはり八月一日さん1人で充分でしたね、皆さまお疲れ様でした、次のバトルまで休息を取って下さい。私は少し所用で離れますので」

 

クロエの言葉を聞きつつ座席に座ったまま軽く伸びをしてからヘッドセットから端子を抜きユキカゼとステータスカードを明石に格納して筐体から出る

 

 

「お疲れ様 薫君、箒」

 

丁度出てきた2人に声を掛けると

 

「お疲れ様、一夏さん、大活躍だったね」

 

「お疲れ様一夏、私は待機していただけだからな、特には疲れていない。次は活躍の場が有れば良いが」

 

 

微笑みながら私に返答する薫君とは対照的に箒は根が真面目過ぎるのか、あまり浮かない表情をしていたので

 

「箒、次は大丈夫だよ、きっと。フードコートに行こう? あそこなら中継流れてるし」

 

そう言い2人と共にフードコートへ向かい自販機でお茶を購入して飲みながら空間投影で映る中継を眺める

 

やはり去年より参加者は増えている様で、4ブロックもの組分けがされている、更に言えば この地区だけで、だ

 

「次はどんなガンプラが出てくるかなぁ、楽しみだなぁ」

 

「そうだね、俺も楽しみだな」

 

 

と薫君は私のひとり言に同調し言う、他愛無い事かも知れないが私は幸せを感じ胸がいっぱいになったのだが、視界に見覚えは無い機体だが見覚えの有る動きをする中継が映ってしまい、頭の中に警鐘が鳴り響く感覚を覚える

 

「・・・単機で三機を相手にしているにも関わらず余裕の有る回避と容赦の無い攻撃と動きの癖・・・まぁ私達が休みだし姉さんも休みだからなぁ、可能性は有ったっちゃあったけどなぁ」

 

 

私の考えうる最悪の敵の存在を確認してしまい軽く気分が落ち込む、そんな私に気付いた薫君が

 

「どうしたの一夏さん? この人が何か問題? 」

 

と首を傾げて尋ねてきたので

 

「私が大会で絶対に対戦相手にしたくない人だよ、私は彼女に全戦全敗の記録を更新し続けてるんだ、機体を変え戦術を変えメンバーを増やしたり変えたりを繰り返したのに、ね? 」

 

「え? 一夏さんの知り合いなの? って言うか全戦全敗って・・・」

 

 

そう私の戦績は、実を言うと そこまで悪くない、敗北回数自体は少ないからだ

 

 

そして黒星の約9割が立派過ぎる姉に付けられたモノだったりする

 

 

うん、我 姉は手加減と言うのを知らない趣味・・・否、遊びに全力を出してしまう288ヶ月児なのである

 

 

 






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地方予選 伍

 

 

 

 

軽く落ち込んだ気持ちを意図的に切り替えようと決意し、姉さん(仮)の機体をよく見る

 

「バイアランがベースかな? 見た所・・・両腕部にビームマシンガン、背中にGNミサイルコンテナとGNドライブがあるな」

 

 

私は機体の機動を見つつ武装を見て、予想を立てる。恐らく両腕部のビームマシンガンはビームサーベル兼用の仕様だろう、とか 機動性を見るに庵さんが製作した姉さん専用機だろう、とか

 

 

恐らく姉さんなら鉄血MS相手にもビーム兵器主体の機体でも圧勝出来るだろう、うん

 

 

「まるで生き物みたいに動くね」

 

私の隣で中継を見ていた薫君が呟く

 

「そうだね、さながら阿頼耶識を使ってるみたいな機動だよね」

 

私は薫君の言葉に同調して言う、姉さんの操縦技術は群を抜いて高い、理論上は阿頼耶識と同じ挙動をする事は可能だ、理論上は

 

短時間なら私でも出来る、ほんの数分が限界だが出来はする、まぁ向き不向きがあるから一概には出来ないが、常識的に考えて常人なら数分が限界だ

 

 

それを平然と軽く1時間はやってのけるのが姉さんだ、そう阿頼耶識と同じ様に自身の思考を直接反映させるフルマニュアルを姉さんは使えるのだ、我が姉ながら人の枠を超えている

 

 

さて、そんな生後288ヶ月児の姉さんだが前回大会で優勝したチームメンバーの1人だったのだけど、あまりに全力でバトルをした結果 チームメンバー全員が無傷で優勝してしまい、チームは出禁を食らってしまった

 

そして大会出場する場合の制約が言い渡された、ファイター単機のみでなら出場を許可する、と 実質の出禁宣告だと私は思っていたのだけど

 

「その結果が目の前の意気揚々と敵機を蹂躙している光景、と」

 

本当に遊びに手を抜かないな288ヶ月児、逆に清々しいぐらいに暴れまわっている

 

 

そんなこんなで、見てわかる範囲の情報収集が終わったと同時に姉さんは最後の1機を撃破しバトルが終了したので

 

「願わくば当たりたくないなぁ」

 

「ははは、確かに」

 

私の呟きに薫君は苦笑し同意をする

 

「千冬さん、やはり出場していましたか」

 

相変わらず気配を感じさせずにクロエが隣に立っていて、そう言う

 

「私的には今回は出場見送るかな? とは思ってたんだけどね?」

 

いつもの事なので特に驚かずにクロエへ言うと

 

「彼女が我慢出来る訳無いじゃないですか、幸い最近 厄介ごとが片付いたらしい と真耶さんも言っていましたし」

 

と少しドヤ顔気味でクロエは言い、私は 真耶さん? となったが そういえば山田先生の名前だったな と思い出して納得する

 

 

それはそれとして、いったいいつクロエは山田先生と仲良くなったんだろう? まぁ私も四六時中 山田先生がIS学園に居るとは思ってないけど・・・ん? 姉さんが月に2回しか帰って来なかったのは寮監してたからだから、一般教員の山田先生は そうでもないのか、最寄りの駅までなら そこまで時間掛からないし、IS学園の職員寮に住んで無い可能性も有るのかな?

 

 

なんだかんだ言ってもIS学園って福利厚生しっかりしてるらしいし、山田先生も実はマイカー通勤とかしてるのかも知れない、少しイメージ出来ないけど

 

 

まぁそれはそれとして、山田先生とクロエがいつのにか仲良くなってるのは驚いたけど、クロエの交友関係が広くなっているのは良かった

 

「さて、そろそろ次のバトルの開始時間になりますね? いきましょう」

 

相変わらず眼を閉じたままクロエは言い歩み始める

 

「そうだね、行こう?」

 

私は薫君の手を引きクロエの後を追いつつ、薫君の手はあったかいなぁ とか かなり私的(してき)な事を考えてしまう

 

ひとまず1回目のバトルが終わってから ずっと渋い表情をしている箒が付いてきてるのを確認しつつ筐体へ向かう

 

 

少しして筐体についてしまったので仕方なく薫君の手を離して筐体に入り準備する

 

「それではブリーフィングを始めます、現在分かっている敵チームの情報は多く有りませんが、チーム名はMOSです」

 

頃合いを見てクロエがブリーフィングを始め、チーム名を口にした瞬間、私と薫君は思わず驚いてしまう

 

「アナタ方が約一月(ひとつき)程前に対戦したチームだと思います、プレイヤーネームも同じ様ですし」

 

とクロエは何故か先月に対戦した事が有るのを知っていて更に言葉を続ける

 

 

「・・・これが運命ってヤツなのかな? 」

 

会いたいと思っていなくても、会いたくないと思っていても、引き合い出会ってしまうのは運命、と言うしかないのかもしれない、とか少し大袈裟な事を考えつつ

 

「出来れば私はMとは戦いたくないなぁ、またキレたら次のバトル出れないかも知れないし」

 

それに今回は実体装備を殆ど積んできてないからMと戦うのは少し分が悪いしね?

 

かと言って箒や薫君に任せるのも悪い気もするしなぉ とか考えていると

 

 

「ならMとは俺が戦うよ、リベンジしたいと思っていたんだ」

 

「では、それでいきましょう」

 

と薫君が力強く言う、その姿にカッコいいなぁと思い少し惚けている間にクロエが方針を決めてしまい、ブリーフィングが終わる

 

Oはともかく、Sがどんな機体を出してくるか分からないので、少し気を引き締める事にした

 

 





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そろそろガンプラ大会の話を終わらせて次のネタに持っていきたいのですが、ガンプラバトルはまだ終わらなそうですw



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地方予選 陸

 

 

 

私は仄かに暗い此の場所が好きだ、ルールが明確で己の力量により全てが決まる此の戦場が好きだ

 

 

私は自分が何者で有るかを知っている

 

私は自分が普通の人間で無い事を知っている

 

私は自分が紛い物として産まれたと知っている

 

私は自分が自分では無い誰かの代用品だった事を知っている

 

私は自分の心の奥底に有る破壊衝動がある事を、闘争を望んでいる事を知っている

 

私は自分がマドカと名付けられた人間で有る事を受け入れている

 

 

私の名はマドカ、織斑マドカ、裏世界のトチ狂った愚かな闇組織により地上最強の生物 織斑千冬のクローンを作り最強の軍団を作る為に産まれた存在だ

 

よくもまぁそんな馬鹿げた事を考えたものだと、今は思う

 

とはいえ、当時の私に自意識や自由意志なんて物は無かったし自分が何者で有るかなんて正直どうでもよかった

 

私は、私達は組織の道具で、私達の価値は それ以上でも それ以下でも無いのだから

 

そして使えないと判断された道具は捨てられるか再利用される、それが私達の日常だった

 

あの日までは

 

 

織斑千冬のクローンを用いた兵士を作る、と言う行為は言葉程簡単には行かなかった、ただでさえクローンを作るのは難しく、織斑千冬の生きた遺伝子を入手する事も難しかった、そして奴等は失敗作(したい)の山を築き完成形である私達を産み出した

 

その最後の最後で産まれたのが私だった、あの日、私が人間になった あの日、私は最終調整の為に装置に繋がれていた、最終調整が終われば私は武器を持ち下された命令を実行する人形になる、そんな状態だったが 最終調整は行われなかった

 

 

ISとは全く違う手足が長い紅いナニカを纏い、やたらブチギレながら怒号を飛ばし壁をブチ抜き現れ組織の戦闘要員を薙ぎ倒す声からして女と、そのブチギレ女を嗜めながらも自身も戦闘要員を打ちのめす 此方も声からして女による襲撃があって最終調整所ではなくなったからだ

 

既に最終調整が済み私以外は実戦テストへの名目で戦場に送られていたから私以外にクローン兵士はおらず、死傷したのは全て馬鹿な野郎達だったのは幸いだったかも知れない

 

 

ブチギレ女は粗方片付いた後も怒りが治らなかったのか組織の施設を破壊し、ありとあらゆる装置を それはもう徹底的に破壊の限りを尽くしているのを ボーっと眺めていると、嗜めていた方が私に優しく話掛けてきて言う

 

貴女を救いに来た、と

 

スコールと名乗った女は、道具として産まれた私の知らない眼をしていた。その眼は強い意志と確かな怒りを映していたが、それは私に対してでは無いのは何となく理解出来てしまう

 

 

スコールによれば、先に戦場に送られた彼女達は既に逝ってしまった、と言われだが、そうか としか私は思わなかった。組織にとって私達は替えのきく道具でしかなかったのだから

 

その組織もスコール達が壊滅させてしまった訳なのだが

 

破壊の限りを尽くしていた方が最後の装置を粉々にして私の方を向き、今日から お前はアタシ達と暮らせ、と妙に偉そうに言ってきたが元より私には自由意志なんて物はなかったし、自主性なんて存在しなかった、故に私は言われるがまま2人についてゆく事にし、裏の世界から表の世界へと足を踏み入れた

 

 

そこは私の知らない事、知らない物が溢れた眩しい世界だった、眩し過ぎるほどに

 

 

オータムとスコールに読み書き、表で生きていく為にしてはならない事、してはならない理由、金銭の種類などを教えてもらいながら、私は2人の上司と言う篠ノ之束博士の治療を受け、私にも自由意志や自主性が芽生え好き嫌いが生まれたが、私は厄介な性格をしているようで、2人には感謝しているが素直に感謝を述べられない

 

口は悪いが不器用に私の事を育ててくれているオータムとは良く喧嘩になるが、口が悪い割に手を上げられた事は一度もない。

 

立ち振る舞いや言葉遣いは優雅だが私と一緒に良くオータムに叱られるスコール

 

こんな紛い物の私の里親をしてくれて2人には感謝しかない

 

 

裏工作して私の戸籍を作り小学校へと入学出来る様にしてくれた篠ノ之博士にも感謝しているし、中学校に進学してからは たまたま仲良くなった蘭先輩にも感謝している、でも会話の内容が6〜7割が蘭先輩の兄の話なのはなんでだろう? まぁ先輩が楽しそうだから良しとしよう、うん そうしよう

 

 

私は闘争を望んでいる、植え付けられた知識と本能が戦いを求めている

 

私は此の仄かに暗い筐体の中が好きだ、適度に硬い座席に座ると落ち着くからだ

 

私は戦争を望んでいない、何気ない日常は尊く美しく掛け替えない物と知っている

 

私は確かめなければならない、あの男が親愛なる彼女にふさわしいかを、私は素直になれない厄介で忌々しい性格をしている。彼女は私を知らない、しかし私は彼女を姉と慕いたいと思っている、故に私は彼女を超える

 

彼女を超えた時、私は胸を張って彼女に会いにいける筈だ

 

まずは

 

「八月一日 薫、貴様の本気の覚悟を見せて貰うぞ? 貴様が愛しき姉(いちか)にふさわしいかを私が見てやる」

 

 

いつか素直になれる様になった時、私は言えなかった感謝を口に出来るのだろうか?

 

まだわからないが、きっといつかは、きっと

 

 





お待たせしました


本当はカット予定だったマドカの話を入れました

手足が長い紅いナニカはティターンモデルです




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地方予選 漆

 

 

 

「マドカ、そろそろ時間よ。セットアップして頂戴」

 

「・・・あぁ」

 

筐体の座席に座り眼を閉じていた私にスコールが後ろから現れ声をかけて来たので眼を開けて返事をして準備を始める

 

 

「それではブリーフィングを始めるわよ? 対戦相手は織斑一夏率いるチーム、前回の対戦からの変更点は使用機体とメンバーが1名代わっている事ね、新加入の子に関しては装備を見る限りでは近接格闘型の様だけど、戦闘を見る事が出来なかったから腕前は未知数ね」

 

 

準備を終えたタイミングでスコールがブリーフィングを始め、今分かっている情報の共有を始める、そうでなければチーム戦の意味が無い

 

 

「それを踏まえてマドカには新加入の子を相手をして欲しいのだけれど、良いかしら? 」

 

 

とスコールは私に提案してくる、私の機体は近接格闘型だから中近距離戦対応型のオータムや中遠距離型のスコールよりリスクが低いと判断したのだろう

 

 

「・・・悪いが私は前回同様 八月一日と戦わせてくれないか? 確認したい事がある」

 

「そう、なら仕方ないわね新加入の子は私が行く事にしましょう。オータム、貴女は前回同様 織斑一夏の相手をお願い」

 

「しゃーねーな、分かったよスコール」

 

 

私の言葉にスコールは直ぐに決断し、オータムへ指示を出す。一体スコールの頭の中では、どんな戦況が巡っているのだろうか?

 

 

「おいマドカ、負けんなよ? お前は直ぐに調子に乗る悪い癖があんだからよ」

 

「ふん、お前こそ少し堪える事を覚えた方が良い、前回負けた原因は短気が原因だったろう? 」

 

 

いつもの様にオータムと軽口を言い合っていると、バトル開始時間になり

 

「2人共いくわよ?スコール、レーゲンセラヴィー 出撃(いく)わよ」

 

スコールは そう言いカタパルトに乗り出撃していく

 

「先に行くぞマドカ・・・オータム、ベイバロンアルケー出撃()る」

 

 

とオータムもニッと笑みカタパルトに乗り出撃していく、全くウチの両親は遊びに全力を出すタイプだから少し大人気ない気もするが・・・私も人の事を言えないな

 

「ふふ・・・織斑マドカ、ナイトメア出撃()る」

 

軽く自嘲し早く戦いたいと逸る気持ちを抑えカタパルトに乗り出撃して2人に合流する

 

「事前情報から予想するに、先方は八月一日君でしょうからマドカ、貴女が先行しなさい? オータムは私と迂回ルートを進行して各個撃破を目指しましょう」

 

スコールは そう言いフィールドマップを私達に転送しルートの指示を出す

 

 

「スコール、今回のフィールドはデブリの少ない宙域だ。遮蔽物が少ないなら三人で直進しても良いんじゃないか? 」

 

 

フィールドマップとコクピットから見える風景を見ながらスコールへ意見すると

 

「そうね、場合によっては それも有りでしょうけど、アチラにはクロエちゃんがいるわ、彼女なら私達の戦力や戦略を読んでくる筈、だから固まるより分散した方がリスクが減る、と私は考えているわ」

 

 

スコールは私の意見に答え、作戦の理由を教えてくれる

 

なるほど、クロエが向こうにいるならスコールの立案した作戦も分かるし、ムラサメを使う八月一日なら単機による浸透攻撃も可能だろうしな

 

「分かった、では行ってくる」

 

私はスコールの説明に頷き八月一日がいるであろうポイントに向かう

 

「さて、アレから約一月(ひとつき)・・・どれほど強くなっているかな。それ如何では認めてやらんでもないが・・・」

 

 

ひとり言を呟きつつ直進していると、何かの光を感知し私は直ぐにロールして飛んできたビームを避け飛んで来た方を見ると、前回よりずっと速いスピードで飛んでくるムラサメが見える

 

 

「来たか・・・前より速い上に重装備とは、な」

 

 

私は操縦桿を握りしめ少し震えながら呟く、この震えは恐怖からではない闘争本能に火がついてしまったからだ

 

「くく、そうでなくてはな八月一日。見せてみろ貴様のチカラを!」

 

私は我慢の限界を超え、八月一日の駆るムラサメへ加速して近付きながらひとり言を呟き肩部のGNバルカンで牽制射撃をすると器用にクルクルとロールして避け、更に私へ接近してくる

 

「前より度胸がついたか? 面白い!」

 

私は八月一日とのチキンレースを敢行し、牽制射撃をしがら尚も八月一日との距離を縮め、可変しMS状態になったムラサメと斬り結び鍔迫り合いをしながら八月一日へオープンチャネルを繋げ

 

「久しぶりだなぁ八月一日、たった1か月で随分と度胸がついたじゃないか」

 

「それはどーも、君は変わらないみたいだね」

 

軽口を叩きながらナイトメアを後退させてGNバルカンで射撃するが、八月一日は返答しながら移動し躱されてしまう

 

 

八月一日の言葉にも行動にも1か月前には無かった余裕が見て取れる、この1か月で八月一日は私の予想を遥かに上回る成長を遂げている

 

「前は直ぐに落ちてしまったからな、今回は楽しませてくれよ? 」

 

軽く軽口を叩きながら八月一日へGNバルカンを連射するが、直ぐにMA状態になり私の攻撃を躱して行き

 

「今回は勝たしてもらうよM、一夏さんとも約束したしね! 」

 

その言葉を聞き私は口角が上がるのを感じる

 

あぁ楽しいバトルになりそうだ

 

 





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MOSのガンプラバトル使用機体を書いておきますね↓


機体名*レーゲンセラヴィー

搭乗者*スコール・ミューゼル

武装*

⚪︎GNバズーカII

元々の武装を流用

⚪︎GNキャノン

元々の武装を流用

⚪︎GNビームサーベル

元々の武装を流用、六刀流が出来る

⚪︎GNビッグキャノン&GNクロー

背部ユニットを改造しラファエルガンダムのセラヴィーIIを使用したバックパック、分離運用が可能である

備考*


スコールが使用する機体で中遠距離戦を念頭においている

実はレーゲンセラヴィー 本体とバックユニットで合計4機もGNドライブが積んであるトンデモ機で、火力と防御力は折り紙つき

とんでもない防御力を使い指揮官を兼任している



機体名*ベイバロンアルケー

搭乗者*オータム

武装*

⚪︎ルガーランス

真紅にペイントされたルガーランス

⚪︎ファング

8機搭載されているファンネル武器


⚪︎GNビームサーベル

爪先に仕込まれたビームサーベル、2機搭載されている


⚪︎GNシールド

左腕に装備されたシールド、すごい硬い


備考*

オータムの専用機、真紅にペイントされている

元々のアルケーがファフナーのベイバロンモデルに似ているので作られたガンプラ、メイン武装がルガーランスなのも それが理由


何気にコイツにもGNドライブが3つ搭載されている






機体名*ナイトメア


搭乗者*織斑マドカ

武装*

⚪︎GNバルカン

スラスターユニットに装備されている武装、火力が低めなので主に牽制に使用される

⚪︎クラレント

GNブレード改をベースに製作された片手剣


⚪︎脚部クロー

ランディングギアの役割を兼任した対象を掴めるクロー

⚪︎脚部ブレード

脚部先端に装備されたGNブレード、切れ味は凄まじい


⚪︎キャメロット

パイルバンカーとワイヤーアンカーが仕込まれたマルチシールド、かなり頑丈


⚪︎ファング

腰部スラスターユニットに合計10機搭載されている

備考*


マドカの専用機で、レギンレイズジュリアとアルケーをミキシングした物がベースになっている

色は黒がメイン

コイツもGNドライブを3機搭載している


マドカの戦闘スタイルに合わせて近接メインに機体調整がされている



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地方予選 捌

 

 

 

八月一日と接敵して十数分、私は未だ八月一日とのバトルを続けている

 

 

「やはり直線加速のスピードでは勝てんし、可変による急減速と急加速を上手く使って一撃離脱は厄介だな」

 

 

言葉では厄介と言っているが、実際に抱いている感情は『楽しい』だ、私は今 八月一日とのバトルを楽しんでいる

 

「とはいえ、やらねばならないのは違いないし・・・そろそろ本気で行くか」

 

 

私のGNバルカンによる牽制をクルクルとロールしながら躱し距離を取って行く八月一日を見据え呟き軽く深呼吸して自分の中のスイッチを入れ、間接思考制御(オートサポート)から完全思考制御(フルマニュアル)へ操作システムを切り替えて

 

「八月一日、そろそろ温まって来ただろう? 本気で行かせて貰う。確認したい事もあるしな」

 

 

「やっぱり本気じゃなかったか、通りで攻撃がヌルいと思ったよ」

 

私の言葉に八月一日は合点が言った様な様子で返答してくる、コイツなかなか目が良いな、と思いつつ

 

「それに気付くとはな、褒めてやる」

 

「それはどーも」

 

完全思考制御に切り替えたので、私の機動は生身のソレに近くなる、八月一日のビームを必要最低限の距離で避けて八月一日と斬り結び

 

「では尋ねよう八月一日、お前は織斑一夏の事をどう思っている」

 

「素敵な人だよ、至らない俺を支えてくれる最高の人だ」

 

鍔迫り合いの状態から離れて躱し撃ち斬り結ぶ、八月一日の挙動に嘘をついている印象は無いから本心なのだろう

 

「次は俺から質問なんだけど・・・M、君は一夏さんと知り合いなの? 」

 

「今それを答える必要があるのか? 」

 

八月一日は本当に気になる様子で尋ねてきたので尋ね返すと

 

 

「え? あー・・・必要はないけど最近、似た質問を複数人にされたからさ」

 

 

八月一日は苦笑しながら言い再びMAモードになり私から距離を取ってゆく

 

 

それにしても『私と似た質問を複数人からされた』と八月一日は言った、つまり私と似た想いを抱いている人間が複数人居るという事だ

 

まぁその事に関しては容易く想像出来る、何故なら一夏は素晴らしい人間だからだ。一夏は見返りを求めずに人助けをする事ができ、尚且つ それを見せびらかさない慎ましさを兼ね備えている聖女の様な人間なのだから

 

そんな一夏の幸せを願うのは当然だろう、中には過激派がいるかも知れない

 

とか思考しつつ八月一日の挙動を注視し

 

「・・・知り合いではない、一夏は私の事を知らない。私が一夏を一方的に知っているだけだ」

 

本当は正直に答える必要も無いが、八月一日と一夏が結婚すれば八月一日は義兄になるので正直に答え

 

 

「ちょっと理由が有ってな・・・まぁ私の話はどうでもいい、八月一日 お前は一夏を守り切れるのか? 」

 

 

「もうその質問を聞くのも4回目だよ、本当 一夏さんはみんな愛されている。だから敢えて何度でも答えるよ、俺は一夏さんを必ず守る、必ず」

 

八月一日からのビームを躱しながら尋ねると力強い声で言う、八月一日の声には一切の迷いも淀みも無く本心である事が分かり、私はコイツなら大丈夫だと自然に思った

 

ならば私のすべき事、言うべき事は決まっている

 

「まだ一夏には秘密なんだが、もはや隠す必要も意地を張る必要も無いだろう・・・織斑マドカ、親愛なる姉の為、今ここで お前を今一度推し量らせて貰う! 」

 

「え? 親愛なる姉? え? え? 」

 

私の言葉に八月一日は少し戸惑っているが敢えて無視し、私は突貫して八月一日と斬り結び

 

「お前の本心は剣を通して理解した、次は実力をしてして見ろ八月一日、私が・・・私達が安心して見守れる様に! 」

 

 

「その言葉も4回目ぐらいだよ!! 」

 

 

私は八月一日の返答を聞きながらナイトメアを操作し回し蹴りの要領で爪先のビームサーベルで斬ろうとするが、八月一日に回避され距離を取られてしまう

 

 

「でも俺は何度でも証明するだけだ!! 」

 

猛スピードで私から距離を開けた八月一日はある程度離れた後に反転してミサイルを掃射してくる

 

「流石に この量では不味いな・・・ファング!! 」

 

私は後退しながらファングを放ちアーマードパックに搭載された尋常じゃない量のミサイル群を撃ち落し始め爆発の閃光と爆煙が一面を覆う

 

「ふん、ミサイルでは私は落とせないぞ八月一日」

 

「分かってるよM、それはただの布石さ」

 

爆炎と爆煙の中から赤紫に光るムラサメが現れ、ナイトメアの左肩から下を斬り落とす

 

「なるほどな、切り札を唯の目眩しに使うとはな、予想外だったよ八月一日」

 

「それはどーも」

 

まだ左腕を無くしただけ、私は そう思いファングを使い迎撃をするが現実は そうでは無かった、八月一日は1か月で急成長していた 否、"いた" ではない "している "が正しい

 

八月一日は私とのバトル中にも成長を続け、私を超えて行った

 

「・・・また勝てなかった、か」

 

「でも、負けても無いよね」

 

ムラサメのビームサーベルがナイトメアのコクピットに突き刺さり、ナイトメアのクラレントがムラサメのコクピットを貫いている状態になっている、まさに痛み分け、刺し違えてしまった

 

「八月一日、私は お前を認めよう。だが覚えておけ、一夏を悲しませて泣かせたら・・・私がお前を必ず殺す、必ずだ」

 

「・・・その言葉も4回目だよM、分かっているよ、うん」

 

私の言葉に八月一日は苦笑している様だったが、私は私で妙にスッキリした気分になったので良しとしよう

 

 

 





お待たせしました




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地方予選 玖

 

 

 

「行きましょう、オータム」

 

「あぁ、今行く」

 

ナイトメアが発する残光を見ているとスコールに名前を呼ばれたなで返事をしてレーゲンセラヴィーの後を追いながら呟く

 

 

「マドカも信念を持てる様になったな」

 

「あら、貴女には珍しく感傷的ね」

 

アタシの呟きにスコールは少し可笑しそうに言う

 

「・・・さっきマドカを引き取るって決めた日の事を、ふと思い出してさ」

 

「そう・・・」

 

アタシの言葉にスコール は それだけ言う

 

アタシもスコールも元は裏世界で仕事をしていたロクデナシだ

 

人を殺す、何かを盗む、何かを運ぶ、そんな仕事をゴマンとしてきたし、たまたま仕事で知り合ったスコールと恋仲になったりもした

 

そんなロクデナシでも自身に課したルールが有る、それは子供を巻き込まない事だ、裏表関係なく

 

そして子供を道具にする奴等を仕事に関係なくてもぶっ殺すと決めていたし、実際にバレない様に始末してきた

 

アタシとオータムが事実婚状態になって数年が経った頃、世紀の大天才 篠ノ之束がアタシ達に依頼を持って『子供を道具にする奴等を駆逐したい』と、そう言いアタシは二つ返事で依頼を受ける

 

そしてアタシ達は、その日から篠ノ之束と契約して世界各地の組織を潰して回る事になる、篠ノ之束はアタシ達に湯水の如くあらゆるバックアップを提供してくれた

 

彼女が開発したISと渡り合えるマルチフォームスーツ、武器、情報、報酬、その全てを惜しみなくアタシ達へ提供し続け

 

今、アタシ達は表向きにはIS企業として経営されている会社の社員と言う隠れ蓑、表の身分を用意してくれた

 

だからアタシは篠ノ之束に感謝している、隠れ蓑だろうが表向きの身分がある事、なによりマドカをアタシ達が引き取る事を許し、マドカの戸籍を工作してくれた事を

 

「まだそんなに経ってないけれど、もう大昔の様に感じるわね」

 

スコールはクスっと笑み言う

 

「そうだな、マドカを引き取って3年ぐらいしか経ってないんだよな」

 

アタシもスコール につられてクスっと笑う

 

マドカと暮して約3年、本当に色々とあった

 

読み書きを教え、道徳を教えて、命の価値を教え、表の世界で生きる為の全てを教えた、最初こそ大人しい人形みたいだったが今ではクソ生意気な反抗期真っ只中の元気なガキになった

 

アタシとよく喧嘩になるが、アタシはそれで良いと思っている、本音でぶつかり合ってこそ家族だと思うから

 

「さて予想だと、そろそろ見えて来るはずだけれど」

 

「頼りにしてるからな、スコール 」

 

「えぇ、任せて頂戴?」

 

いつもの様にスコール に言うと軽い調子で返事が返ってくる

 

スコール の予測は外れる事が少ないが相手チームにはクロエが居る、油断はできない

 

「スコール 、見えたぞ10時上方」

 

「こちらでも確認したわ・・・軌跡が1つ、1人足りないわね?」

 

アタシの言葉にスコールは首を傾げて言い思考し始める

 

「まぁ良いでしょう、オータム、あの機体色は織斑一夏の筈、貴女の好きにして良いわ、私は最後の1人を探すわね? 」

 

「了解だスコール、そっちは任せた」

 

アタシはルガーランスを軽く横に斬り払う様に振り織斑一夏に向かい加速する

 

「前はやられたが、今回は本気の機体だ、負けねぇぞ? 」

 

暫く直進していると此方に気づいた様でビームが飛んできたので躱しつつ反撃で此方もルガーランスで応射するが当然避けられる

 

「ん? よく見りゃアカツキベースか? つーことは・・・ビーム跳ね返すか」

 

 

少し相性が良くないかも知れないと思いつつ、スコールのレーゲンセラヴィー よりはマシと考え直して更に近寄る

 

「GN粒子出してるっぽいな、なるほど」

 

前回の敗因を考慮して冷静に分析しながら射撃戦をしつつ接近し、一気に加速してルガーランスを振り下ろすとシールドで受け止められたので

 

「会いたかったぜ、織斑一夏ぁ! 」

 

「私は会いたくなかったよ」

 

私の言葉に織斑一夏は、そう返答してきた、その声は本当に会いたくなさそうに聞こえる

 

「そう言うなよ、楽しもうぜ? 」

 

ガンガン攻めながら言うと

 

「楽しむ事は否定しないけど、ね? 」

 

と織斑一夏は言い、アタシから距離を取り腰部ビーム砲を撃って来たので躱して

 

「行け、ファング!! 」

 

「行け、ドラグーン! 」

 

アタシがファングを射出した事に気付いた織斑一夏は、すぐさまドラグーンを射出し、ファングから撃たれるビームをドラグーンとビームライフル、ビーム砲で撃ち落とす

 

「おいおい、嘘だろ? どんな目と腕してんだ」

 

目の前で信じられない光景を見て少し引きながら呟き攻撃の手を緩めない様にする、そうしなければ負けるからだ

 

「あ、でも貴女達には少し感謝しているんだ、ほんの少しだけ。あの日、貴女達が乱入してきてくれたお陰で私は自分が抱いていた気持ちに気付く事が出来た。だから、それについては、ありがとう」

 

「そりゃどーも」

 

織斑一夏は穏やかな声で、そう言う

 

そうかコイツ、色々と1ヶ月前と違う、機体が変わったとか、そんな意味じゃなく、内面が変わっている

 

何かに怯える様な雰囲気を感じない、そうか、コイツにも生涯の相方が見つかったんだな

 

そうゆうのがある奴は強いし、強くなる

 

こりゃ、勝てる可能性が低くなったな

 






お待たせしました


オータムの回でした

私の所のオータムさんは、口は悪いが子供好きのお姉さんな設定です



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地方予選 拾

 

 

真っ赤なアルケーベースの機体のOとエンカウントして約10分、彼女は口が悪いがファイターとしての腕は上位に位置していると思う

 

前回のアグリッサ、今回のアルケーを見る限りOは紅が好きな様だし、たまたまかも知れないけどアリー・アル・サーシェスの乗機を使ってるのも それが理由なのかも知れない

 

 

「おらおら、どんどん行くぜぇ? 」

 

「あぁもう、本当は近接戦タイプだったな? 」

 

 

真紅のルガーランスをサーシェス宜しくブンブン振り回してガンガン攻めてくるOにクレームを呟きつつタマモノシズイシで防いだりビームサーベルで応戦したり距離を取ろうとするが、ユキカゼが中距離戦向きの機体だと気付かれている様で距離をなかなか取らせてくれない

 

 

「わりぃな、大会だから本気なんだよ」

 

「なるほど、ね! 」

 

悪びれる様子も無くOは楽しそうに笑い言う、私はドラグーンを射出してOを引き離し漸く距離を取る事に成功する

 

まぁ距離が取れたからと言っても私が有利になった訳ではないのだけどね?

 

 

「ちっちょこさいな、行けファング! 」

 

「何度だって受けて立つよ! 」

 

私はファングから放たれたビームをドラグーンとキリシマ、ヒャクライ改で撃ち落とす

 

「またそれか、本当どうなんてんだ」

 

「あー・・・一種の才能、かな? 」

 

Oが不満そうに言うので、それに答えと

 

「そうかい、ならぶっ潰すだけだ! 」

 

Oは私へルガーランスの切っ先を向け言うと、ルガーランスが展開し嫌な予感がしたのでドラグーンでビームシールドを張ると、ルガーランスからビームは放たれビームシールドに当たり消える

 

「ちっ、やっぱりビームシールドが張れたか」

 

やはり不満そうに言うOの言葉を聞きつつ接敵した時の射撃戦の謎に気付く事が出来た

 

Oの機体には目立った射撃武装が無いので不思議だったんだよね

 

まさか見ただけじゃなくて射撃機能まで再現されてるとは思わなかった

 

 

さてルガーランスの機能が再現されている、と仮定して次の手を考えなければならない、出来たらOを無傷で撃破出来る事が望ましいけどそうは行かないだろう

 

可能なら薫君と合流したい所だけど、それも望み薄いし・・・

 

「一夏、残念なお知らせです。八月一日さんがMと相打ちになりました、また箒さんもSと交戦中につき対処は出来ません、Oは何をするか分からないタイプです、気を付けて下さい」

 

 

「了解、なんとか乗り切るしか無いか」

 

クロエがプライベートチャネルを開き状況を知らせてくれたので、目の前のOを自力で勝つしかないと腹を決める

 

「機体仕様とプレイスタイルの傾向から推測すると、Oは近接戦タイプで貴女は中距離タイプなので距離を保ちつつ射撃戦をする事を推奨します。決して完全思考制御は使用しない様に」

 

「分かってるよクロエ、分かってる」

 

とにかく距離を詰められない様にしながら射撃戦に持ち込み隙を探すが、Oは なかなか隙を作ってくれない

 

 

「と言うか、ルガーランスって照準器付いてない筈なのに精度高いなぁ・・・いや、Oの腕が良すぎる感じかな」

 

ファングのビームを避けたりルガーランスのビームを避けたりしながら応射をしつつ呟く、仮にそうだとしたらOは かなり長時間アルケーに乗り続けてルガーランスを使っているか、実際にルガーランスに似たものを使いこなせる、と言う事になる

 

前者なら納得出来るけど、後者ならOはルガーランス使いのIS搭乗者と予想するしかない、考えたく無いがヤバイ職業の人、と言う可能性もある

 

 

「このまま射撃戦をしてても埒が開かないしな、少し無茶するか・・・トランザム! 」

 

射撃戦に飽きたのかOは、そう言うとトランザムを発動させ距離を詰めて来くる、それをドラグーンで迎撃するが容易く躱されてしまったので、直ぐにビームシールドを張り直す

 

「そんなんじゃアタシは止められないぜ? 」

 

Oは楽しそうに言いビームシールドにルガーランスの切っ先を突き立て、ビームシールドの0.3秒程の抵抗を受けたのちルガーランスはビームシールドを突き破り刀身が展開し、ビームが飛んできたのでタマモノシズイシで防ぎビームを反射して返すとドラグーンのビームシールドに当たり光子が散り一瞬だけ視界が白くなりOを見失う

 

「しまった、どこだ? 」

 

急いで探し、嫌な気配を感じてユキカゼを反転させタマモノシズイシを構えるとビームシールド発信器中央にルガーランスの切っ先が突き刺さり

 

「お、良い反応するじゃねーか」

 

楽しそうに言うOの声が聞こえルガーランスの刀身が展開しビームを撃ち込まれタマモノシズイシと左腕を持っていかれてしまう

 

「マズい、本当にマズい」

 

爆発の影響で左側のヤタノカガミが傷付いて使い物にならないし、ビームサーベルと左側ドラグーンターミナル、左側キリシマが破損した様で使用不可の表示がされている

 

「もう時間ねーから決めさせて貰うぜ? 」

 

「しまった」

 

とOの声が聞こえた瞬間、アルケーの回し蹴りビームサーベルでヒャクライ改が両断され、ルガーランスで突き刺されビームを撃ち込まれて撃墜されてしまった

 

「あー・・・やられちゃった・・・」

 

視界に広がる撃墜の文字を見て項垂れ呟く

 

少しOを見縊っていたのかも知れないな、と反省し溜息を吐く

 

まぁなんだかんだで楽しいバトルでは有ったから良いかな、うん

 

 






お待たせしました


ルガーランスの正しい使い方をしてみましたw



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地方予選 拾壱 出会う

 

 

筐体の中で一通り反省をして悔しいは悔しいが熱くなれるバトルではあったなぁ、と思っているとバトル終了の表示が出て私達の敗北が知らされる

 

 

「やっぱりダメだったかぁ、まぁ仕方ないか」

 

ユキカゼや道具一式をバススロットに格納して筐体を出る

 

「お疲れ様でした、アチラが一枚上手でしたね。やはり経験値の差はありました」

 

クロエが筐体から出てきた私達3人に労いの言葉をかけてくれる、確かに経験値の差が かなり有った、Oは私の数倍はガンプラバトルを経験しているのは間違いない、と感じた

 

「・・・役に立てずすまない」

 

戦で敗走し責任を取って腹を切ろうとしている武士みたいな表情の箒が重々しく言う

 

「気にしないで箒、私も落とされちゃったし。クロエの言った様に経験値の差は覆し難いんだし? 」

 

とりあえず箒を軽く抱きしめて背中をポンポンとしながら優しく言う

 

「そうだよ篠ノ之さん、次勝てば良いんだよ」

 

薫君も箒を励ますと

 

「・・・すまない、ありがとう。次は勝つ、必ず」

 

箒の瞳はヤル気に満ちていて良かったと感じつつ箒から離れ

 

「とりあえずここに居たら邪魔になるしフードコートに行こう? 」

 

3人に提案すると、3人は頷きクロエを先頭に移動を開始する

 

 

次の大きい大会は来年まで無いけど、小さな大会とか交流会みたいなイベントなら夏休み期間に有った筈、次はそれに誘ってみようかな

 

とか考えながら歩いていると、疎らに人がいる通路で姉さんより少し背の高い茶髪の女性、金髪の長身の女優みたいな人、小学生頃の姉さんにソックリな少女とスレ違い、思わず足を止めて振り返ると同じタイミングで少女も振り返っていて、物凄く驚いた表情をしていた

 

「ん? どうしたマドカ・・・あー」

 

茶髪の女性が少女が立ち止まった事に気付き振り返り彼女の名前を読んで、私を見て何かを察した表情をする、なんか聞き覚えがあるなぁ この人の声、しかもつい最近、とか考えていると

 

「どうするマドカ? 」

 

「・・・巡り合わせとは面白い・・・今日、此処が そうだったんだろう」

 

「分かった、スコール。1回移動するぞ」

 

「そうね、分かったわ」

 

何かアチラは話をしているけど、サッパリ内容が分からないので、何て声を掛けようか考えていると

 

「あー・・・少し時間良いか? ウチのがアンタと話したいって言ってるんだけど」

 

「はい、大丈夫です」

 

なんか遠慮気味に尋ねられてしまったが、私としては助かる申し出なので素直に頷き、茶髪の女性を先頭に移動を始め、少し混み合ってるフードコートに辿り着き適当な奥の席を確保して

 

「クロエ、飲み物買ってきてくれるか? 」

 

「構いませんよオータム、事情は知っていますから」

 

オータムと呼ばれた茶髪の女性はクロエと知り合いの様で、クロエにお金を渡してお使いを頼む、事情ってなんだ? と考えていると

 

「今から話す事は他言無用で頼む、そして織斑 一夏以外の2人は出来るだけ口を開かないでくれると助かる」

 

オータムさんの言葉を聞きチラッと薫君と箒の表情を見てみたけど、不信感アリアリな表情をしている、まぁ仕方ないかも知れない名乗っていないのに私の名前を知ってるし、ね?

 

「ひとまず自己紹介な、アタシはオータム。こっちの金髪美女がスコール 、そして・・・」

 

「・・・織斑マドカだ」

 

真面目な表情をしたオータムさんが自己紹介し、スコールさんが笑みながら軽く手を振り、姉さんな似た少女 マドカが緊張した面持ちで自己紹介する

 

それを聞いて私は混乱する、だって私には姉さん以外に肉親が居ないし親戚だっていない。こんなにも姉さんに似ているのに赤の他人な訳がない、赤の他人ならばワザワザ此処に移動して話をする必要がない

 

「やはり混乱させてしまったか・・・すまない。だが、いつかは逢いに行くつもりでいたんだ・・・初めまして親愛なる姉さん」

 

とマドカは緊張と少しの照れが混ざった表情で私へ言う、その表情を見て私の中で何かがストンと嵌り混乱が収まって、目の前のマドカが可愛く思え始める

 

「私は亡くなった両親の子供ではない、私は親戚の子供ではない、私は普通の人の子供ではない、私は作られた存在だ。此処で詳しくは話せないが私は貴女と同じ血が通っているだけの紛い物、それでも私は貴女を姉と想っていたい。それを許してくれないか? 」

 

マドカは私を真っ直ぐと見据え不安そうに尋ねてくる、その姿に庇護欲が湧き出て愛おしく感じるので私の答えはもちろん

 

「君がどんな存在か、私は知らないけど私は君を受け入れる。実は弟妹欲しいなって思ってたんだ、私は末っ子だしね? 」

 

とニコッと笑みマドカへ言うとマドカは安心したのかポロポロと ありがとうありがとう と言いながら泣き始め、オータムさん が良かったな と言いながらマドカの頭を撫でたり涙を拭いてあげたり世話をする

 

なんかオータムさん、お母さんみたいだなぁ

 

あとやっぱり聞いた覚えのある声な気がする、どこだろう?

 

「・・・マドカ・・・頭文字はM・・・もしかして、さっきバトルしたMって」

 

警戒しつつも静かに傍聴していた薫君が何かに気付いた様子で尋ねる

 

「その通りだ八月一日、一月(ひとつき)前とは比べ物にならない程、強くなっていて驚いたぞ? 」

 

マドカは姉さんに似たキリッとした笑みを浮かべ返事をする、つまり・・・

 

 

「オータムさんがO? だから声に聞き覚えがあったのか」

 

バトル中と若干イメージが違うのが少し意外だったけど自分の中で納得出来たから良かった

 

 

とりあえず後で連絡先交換しとこう、オータムさんにマドカの写真とか送って貰おうかな?

 

ん? あれ? マドカの事、姉さんは知ってるのかな? あとで聞いておかなきゃ

 

 





お待たせしました


箒のバトルシーン書くつもりだったんですが、脳内にイメージが浮かばなかったので飛ばしてしまいましたw

許せよ箒w



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前準備

 

 

チームMOSのメンバー全員と連絡先を交換し、オータムさんからマドカの秘蔵写真を内緒で貰ったりした後、姉さんの動向を探るついでにマドカの勇姿を見ていた訳だけど、同じブロックにいた姉さんが私が苦戦し敗退したオータムさんをアッサリと撃破してアッと言う間にバトルが終わってしまった、本当に遊びに容赦無い288ヶ月児だ

 

さて、そのあと順調に姉さんは擦り傷すら負わずに地方予選を勝ち抜き本選への出場権をゲットしていた、これで束さんが参加していたら姉さんを止められたのかなぁ? と思ったが参加していなかったので仕方ない

 

 

そんな訳で288ヶ月児が本気で遊んだ日から約1週間が経ちそうな週末の放課後、私は神妙な表情をした鈴と箒に左右から拘束され屋上に連行されてしまい首を傾げていると

 

「一夏、アンタ水着は持ってるの? 」

 

表情からは予想出来ない言葉が出てきて少し面食らうが、深く考えずに

 

「え? 水着なら持ってるよ? 授業用の奴だけど」

 

と事実を口にすると鈴は『ですよねー』みたいな表情をして溜息を吐き、箒はヤレヤレといった表情をして肩を竦めている、そんな状況に疑問を感じていると

 

「アンタ、来月の臨海学校で旧スク着るつもりなの? 流石に無いと思うわよ? 」

 

ビシッと効果音がつきそうな動きで私を指差し鈴は言い

 

「こうゆうのに私は疎いが、そんな私でも流石に無いと思うぐらいに無いぞ? 一夏 」

 

箒も鈴の援護をする、2人が仲良くなってくれて嬉しいけど、何故 私は責められているのだろう? 旧スクは布面積が大きいし学校指定の水着だし、布面積がISスーツと殆ど同じだから安心感が有るんだけどダメなのかな?

 

「・・・アンタ、ISスーツと布面積同じぐらいだからって考えてるわよね? なら旧スクじゃない布面積同じくらいの奴にしなさい? 流石に旧スクは色物過ぎるわ」

 

鈴は私の思考を読みジト目で言ってきて、箒は鈴に同調しウンウンと頷く

 

「そうは言っても私は(わたし)になってから学校指定の水着以外に着た事ないから水着はよく分からないんだけど・・・」

 

別に水着を買いたくない訳ではない、布面積(ぼうぎょりょく)が下がるのに抵抗を感じるから旧スクを着ようと考えていただけなので正直に打ち明ける

 

 

「あぁ確かにそうよね、分かったわ。明日、一緒に買いに行きましょう? アタシも水着用意しなきゃいけないし、海なら日焼け止めとかも買わないとね? 」

 

 

「では私も同伴させてくれ、実は私も水着の事はよく分からんからな」

 

 

鈴の提案に箒が乗っかり私達は水着を買いに行く事になったので一先ずは一安心かな?

 

そんな訳で翌日、私達は鈴の先導の元、大型複合施設レゾナンスへやってきた

 

「さ、行くわよ? 丁度シーズン直前だから種類は選り取り見取り、1つぐらい妥協点に合致する水着がある筈よ」

 

「うん」

 

「水着か、学校指定以外で買うのは何年ぶりになるだろうか・・・」

 

鈴の言葉に私が頷く隣で箒は少し遠い目をして哀愁を漂わせる、そんな箒の背中を鈴が軽く叩き歩き出したので私達も鈴の後を追う、こうゆう時は良い意味で臆さない鈴の性格が羨ましいと少しだけ感じる

 

 

なんだかんだ と移動して鈴にレクチャーして貰いながら何件かのお店を冷やかしながら私の求める水着を探していると

 

「・・・サイズが、ない」

 

「くっ・・・アタシ初めて箒に殺意を抱いたわ」

 

箒が何度目かの手に取りサイズを確認し元の場所に戻す、と言う行動をした後に呟き鈴が箒の呟きに反応し殺意の波動を放つ、此処で『鈴、気にしてるもんね? 』なんて言った日には私は鈴に噛み付かれてしまうだろうから聞こえなかったフリをする事にしよう、うん そうしよう

 

箒も箒で大変だなぁ、鈴もサイズがあまり無いって苦労してるとか何とか言ってるし、私は並で良かった、うん良かった

 

「とりあえず一夏、アタシは少し癪だけど少し布面積(ぼうぎょりょく)減らし(さげ)た方が八月一日も喜ぶんじゃない? アレも一応 高校男児だし」

 

鈴は本当に少し不服そうに、そう言ってきて 確かに一理あるな、と感じる

 

 

私としても薫君に喜んでもらえるなら布面積を減らすのもやぶさかではない、ないのだが私の場合はトラウマがあって気持ちでどうこう、ってものでもない

 

 

と、そこまで考え、ふとある事に気付く

 

あの日の夢を最近見ていない事に、気付く

 

最後に見たのは約2月(ふたつき)前、それ以降は欠片も見ていない、さらに言えば夢の事を思い出してしまっているのに震えが起こらない事に私は驚く

 

それ程に私にとって薫君は大きな存在なのだと私は改めて自覚する

 

このまま順調に行けば、薫君とあんな事こんな事をできる日がやってくるかも知れない、多分

 

 

それから苦戦しながらも上はタンクトップで下はショートパンツタイプのタンキニを購入する事が出来た

 

ちなみに鈴はオレンジのビキニに近いタンキニ、箒は鈴の口車に乗せられ防御力がかなり低い白いビキニを購入している

 

 

まさか箒が鈴の口車に乗せられるのは予想外だったけど、まぁこれも箒が成長したって事で喜んでおこう、うん

 

 

少し防御力が高いけど、薫君は喜んでくれるかな?

 

 

 





お待たせしました


水着購入回でしたw


さて最近気付いたのですが、私が執筆してる作品で最多話数作が、この作品なんですよねw

お付き合いいただきありがとうございます



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八月一日 薫 の休日

 

 

 

チームMOSとの激戦を繰り広げたガンプラバトル地方予選から約1週間が経った今日この頃、6月も終わりに近付いてきて夏の雰囲気を肌で感じる様になってきたなぁ、と思いつつ7月に入ったら臨海学校があるので、それに向けて準備をしないといけない

 

臨海学校でやることは、確か非限定空間での機動を学ぶための実習と専用機持ちの代表候補生は、2学期にある行事用に試作された追加装備のテスト、整備科志望の人達は換装補助と整備実習、とか色々とやる事が沢山あるみたいだ。噂によると国家代表と模擬戦出来るとかなんとか

 

 

と、そこまで考えて ふと思う、あれ?一夏さんと恋人らしい事が出来てないんじゃね? っと

 

まぁ同じクラスで席は隣だし、打鉄改の専属整備士をしてもらってるから一緒にいる時間は長いんだけどさ? 俺も高校男子、彼女と手を繋いだりデートしたりしたい、と思う訳で・・・

 

よし、臨海学校の自由時間で海水浴出来るから水着を用意しなきゃならないから、それを口実にデートに誘おう と思った瞬間に凰さんと篠ノ之さんに両脇を拘束され一夏さんが連れ去られて行くのを見送り

 

「・・・人生って上手くいかないものだなぁ」

 

と独り言を呟いて、あとでLINEでメッセージを送ろうと決め寮に帰る事にした

 

 

寮へ帰り、すっかり趣味になってしまったガンプラ作りをし、頃合いを見て一夏さんへLINEをしてみたが、先約が居ると返信が返ってきた

 

多分、先約って凰さんと篠ノ之さんだろうな、タイミング的に一夏さんの水着を買いに行こうとしてるんだろうし、これは邪魔しないほうが良さそうだ、と判断し、デートは次の機会にしようと決意する

 

 

そういえばシャルは水着用意したかな? と思いシャルへ連絡してみると、まだ用意してなかったので休日の明日、一緒に行く事にした

 

一夏さんとデートが出来なかったのは残念だけど、たまには男2人で遊ぶのもいいか、と思いキリの良い所までガンプラ(デルタプラス)を組み、机の上を軽く掃除をして就寝する

 

翌朝、いつもと同じ時間に起きてIS学園に入学してから毎朝やっている軽い筋トレをして朝風呂で汗を流し出掛ける支度をする

 

待ち合わせ時間に合わせて外出届を提出して合流地点の噴水へ向かうと、そこには見慣れた銀髪のクラスメイトがいて、普段ズボンを履いている彼女がプリーツスカートを履いていて少し驚きつつ俺に背中を向けている状態の彼女に声をかける

 

「おはよう、ボーデヴィッヒさん、ボーデヴィッヒさんも誰かと待ち合わせ? 」

 

俺の声に反応し振り向く彼女に俺は違和感を感じる、彼女の金の瞳と右目に眼帯をしていて、おかしい、と

 

 

「やぁ、待っていたよ八月一日君。手前勝手で悪いが此処にシャルルは来ない、彼にはララ・・・ラウラとデートへ行って貰う事になったんだ」

 

 

と彼女は俺へ告げる、彼女はラウラ・ボーデヴィッヒ ではない、なぜならボーデヴィッヒさんは俺の事を君付けで呼ばないし、こんな穏和な笑みを浮かべて話をしないし、何かと厳しい

 

目の前の人がボーデヴィッヒさんではないとなると、何者なのだろう? 待てよ? 何処かで見たぞ? 何処だっけ?

 

「あぁ、すまない。まだ自己紹介がまだだったね、私はマリー、ラウラ・ボーデヴィッヒ の専用機、シュバルツェア・レーゲンのコア意識だ」

 

 

俺が思考を巡らせていると、彼女が自己紹介してくると同時に思い出す、篠ノ之博士が主催した会でクロエと初めて会ったあの日だ、結構遠くに見えた筈、確か

 

と、謎が解決したので

 

「よろしくマリー、それで俺を待っていたのは、用件を伝える為? 」

 

「あぁ、あとララが『デートを邪魔されたくない』と言って待機状態の専用機(わたし)を部屋に置き去りにして行ったので、どうせだ連れて行ってくれないか? 交通機関の使い方なんて知らないんだ」

 

なんか若干ドヤ顔気味のマリーに言われ、少し考える

 

今日は休日でIS学園の生徒、特に俺と同じ学年の生徒が臨海学校の水着を買う為に出掛けている筈だ、さっき外出届出しに行った時も結構人がいたし

 

 

そんな中、遠目ではボーデヴィッヒさんにしか見えないマリーを連れて行動したら変な噂が流れる可能性が・・・いや、ないわ

 

 

クラスメイトだし、仲が悪くないのは知られているし? と言うかシャルル除いてクラスメイトも女子しかいない訳だから今更クラスメイトのソックリさんと歩いてるだけで変な噂にならないだろう、多分

 

それに困っているマリーを無碍に出来ないしね?

 

「分かったよマリー、多分行先は同じだろうし同行するよ」

 

「ありがとう八月一日君、君は優しいな? だからこそ一夏は君を選んだのかもね? 」

 

マリーは そう微笑み言い先に歩き出したので、俺も後を追いながら思う

 

 

今回は『一夏を悲しませたら、お前を殺す(意訳)』が無かった、良かったと

 

 

ひとまずはレゾナンスへ向かおう、多分シャルとボーデヴィッヒさんも そこに向かっている筈だし、レゾナンスなら欲しい物が手に入る筈だから

 

 

そういえば臨海学校が終わって少ししたら夏休みか、実家に帰れるかな?

 

 






お待たせしました




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八月一日 薫 の休日 2

 

 

 

 

ボーデヴィッヒさんに比べて幾らか雰囲気が柔らかいマリーを連れてIS学園 最寄りのモノレールに乗り、比較的近場で目的の物が確実に手に入る場所である大型複合商業施設レゾナンスへと向かう

 

ISコア意識のマリーがお金を持っている訳もなく、大した金額では無いので切符代を出してあげたら、マリーにやたら感謝されてしまった

 

 

そんな訳で夏本番間近の休日とあって、レゾナンスに組み込まれた駅も人で溢れていて、少し憂鬱になる

 

別に人見知りをする訳でも人混みが苦手でもないが、真夏間近で少々気温が高いので少し不快に感じてしまうのは仕方ないと思う

 

とはいえ、立ち止まるのも通行の邪魔になってしまうので、マリーを見失わない様に気をつけて一先ずは改札から出て通行の邪魔にならない様に壁際に移動し

 

「とりあえずレゾナンスに着いたね、これからどうするの? 」

 

「そうだな、コアネットワークからリィンの探知を掛けて居場所を割り出し追跡をする、問題が起こらなければ私が出て行く必要は無いしね? 」

 

俺の質問にマリーは答え微笑み

 

「ここまでありがとう、あとは私1人で大丈夫だ。帰りはララに連れ帰って貰うつもりだから」

 

「そう? 分かった、また困った事があったら陽炎に連絡してくれれば、協力出来る事は協力するから」

 

「あぁ、ありがとう。八月一日君」

 

俺はマリーに軽く手を振って別れて駅からレゾナンス本館へと歩き出す

 

 

「結局は1人か、まぁたまには良いかな」

 

 

そういえばIS学園に入学してから自分1人だけで外出したの初めてだなぁ と気付く、これまで外出した時は一夏さんが一緒だったな、と

 

 

とりあえず軽く伸びをして軽く肩を回して何気無しに右手にある通路を見てみると、見覚えの有る赤毛の美少女が探偵みたいに隠れて何かを見ていたので歩み寄り

 

「・・・蘭ちゃん、何してるの? 」

 

「薫さん、邪魔しないで下さい。 私の お兄を取ろうとする馬の骨を尾行してるんですから」

 

 

蘭ちゃんは俺の方を見ずに、少し離れた場所にいる弾と虚先輩を凝視し爪を噛みそうな声色と表情をして言い、俺には聞き取れない声量でブツブツと高速詠唱をしている

 

なんだろ・・・怖いよ、この子

 

「あれ? 今日は1人なんですね? 」

 

軽く屈んだ監視体勢から普通の体勢になり蘭ちゃんは俺を見ていう

 

「まぁね、凰さん達と約束が有ったみたい」

 

「そうですか」

 

と俺の返答を聞き、興味なさげに相槌をうち

 

「薫さん、私にとって一夏さんは お兄と同じぐらい大切な人です。それこそ お兄と一夏さんが結婚してくれたら究極に幸せと思える程に・・・」

 

「う、うん・・・」

 

蘭ちゃんは俺を真っ直ぐ見据えて言う、その目にハイライトが無いのは気のせいだと思いたい とか考えつつ様子を伺う

 

「しかし、一夏さんはアナタを選んだ。お兄では無くアナタを・・・あぁ勘違いしないで下さい、別に不満が有る訳では無いんです。一夏さんの意思が1番大切ですから、私が言いたいのは簡単な事・・・私の、私達の大切な一夏さんを悲しませ泣かせたり傷つけたりしたら、私がアナタを殺します。あらゆる手段を使い産まれてきた事を徹底的に後悔させて、苦しみの限りを尽くしてからアナタを殺します、覚えておいてくださいね? 」

 

「お、おぉう・・・覚えておくよ」

 

これまで何度も『一夏を悲しませたら、お前を殺す(意訳)』宣言をされてきたが、蘭ちゃんのオーラが他の人とは別物だ

 

今までの人は、ただの警告だけの威圧だったけど蘭ちゃんは違う、既に殺意を持ち次の瞬間には俺を殺せる段階にいる、間違いなく蘭ちゃんは俺を信じていない

 

それに彼女は一夏さんが俺を選んだ事に不満が無い、と言っていたが本音の所は不満に思っているし、納得していないのだろう

 

でも、一夏さんの意思を最優先に考えている事は間違いない。だから本音では不満だが口先では納得している風を装っているのだろう、多分

 

 

「それじゃぁ私は尾行を続けますから此処で失礼します、またどこかで」

 

 

纏わり付く泥の様なオーラを纏った蘭ちゃんは、それだけ言うと人混みに紛れて居なくなる、それを確認し深く溜息を吐き

 

「あそこまで殺意の有る目で見られたのは初めてだったな・・・本当に一般家庭の子なのか? あんな殺気出せるなんて」

 

独り言を呟きつつ脱力し精神的に疲れてしまったので、近くに有った休憩エリアの自販機で微糖の缶コーヒーを買いベンチに座り休憩する

 

 

「はぁ・・・これだけ釘を刺されると、そろそろ悪夢を見そうだなぁ」

 

なんで臨海学校に必要な物を買いに来ただけなのに、こんなに疲れなきゃいけないんだろう? と思ったが答えが出る訳が無いので思考を切り替え、臨海学校に必要な物リストを携帯を見て確認する

 

「水着、日焼け止め、念の為に新しい下着とか色々、か」

 

とリストを見て確認し、そういえば海に行くのも久しぶりだなぁ と思う

 

最後に行ったのは小学生の時だったなぁ、中学からは部活してたし行かなくなったっけ とか思い出す

 

糖分を摂取して少し回復したので、水着から買いに行く事に決めベンチから立ち上がり空き缶をゴミ箱に捨てて行動を開始する

 

 

願わくば、これ以上トラブルが起こらない事を切に願いたい

 

 






お待たせしました


釘を刺した面子の中で蘭が1番殺意が高くなってしまったw



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オーシャンズ・イレブン 1

 

 

数時間にも及ぶバス移動を経て臨海学校の目的地へ到着し、私はバスから下車した後 快晴の蒼穹と蒼い海原を眼下に見据え少しのびをして深呼吸する

 

仄かに香る潮の匂いと日差しを感じつつ旅館前に整列している列に加わり暫く待つと

 

「総員傾注、本日より3泊4日の臨海学校が始まる。初日の今日は夕方まで自由時間になっているが明日、明後日と各種実機演習やテストがあるのでハシャギ過ぎて怪我などしない様にしろ、節度さえ守れば存分に楽しんで貰って構わない。それでは8組から荷物を持って旅館へ入り各々の部屋へ行け、従業員の方々への挨拶も忘れるない様に」

 

 

姉さんが拡声器を使い整列した私達の前に立ち説明をして指示を出すと旅館の入り口に1番近い8組から旅館に入っていく

 

流石に1学年丸々240名超が一気に旅館に入れないからこればかりは準備にでないと物理的に無理があるから仕方ないけど、まだ7月になったばかりとはいえ快晴で日差しが強くて日焼けしそうで怖い

 

別に焼けるのが嫌ではないけど、ヒリヒリするのが嫌なんだよね、これなら横着せずに鈴に言われた通り先に日焼け止めを塗っとけば良かったかも知れない

 

と少し後悔していると私達1組の番になり荷物を持って旅館へ入る、中は如何にも旅館といった趣きで少し感動しつつポケットからシオリを取り出して簡易マップを確認して割り振られた部屋へ向かう

 

 

「えーっと・・・突き当たりを右、2個先の角を左? 」

 

パタパタとスリッパを鳴らしながら割り振られた部屋へと向かいつつ廊下から見える日本庭園の様な中庭を見て凄いなぁと感じる

 

そんなこんなそこそこ時間をかけて部屋に到着し中へ入ると、箒と のほほんさん、有志メンバーの五六(ふかぼり)さんと(いちじく)さんが荷物を開き海に行く準備をしていたので適当な場所に荷物を下ろし私も準備を始める

 

 

今回の臨海学校の部屋の割り振りはクラスごとの割り振りになっているので有志メンバーの残り2人、四月朔日(つぼみ)さんと七種(なたね)さんは違うクラスの為、同室にならなかった

 

それに最近治ってきているとはいえ私は軽く人見知りをするから、この割り振りには感謝しかない。ありがとう姉さん

 

 

「おりむー、海行こー」

 

「そうだね、行こう」

 

にこにこにー と満面の笑みを浮かべて言う のほほんさんに癒されつつ返事をして海水浴用の更衣室へ移動して水着へと換装する、その最中 私より少し背の低い のほほんさん の胸部装甲の強さを目の当たりにして少しショックを受けたが、無かった事にしておこうと思う

 

とりあえず、のほほんさん に日焼け止めを塗るのを手伝って貰ったり、のほほんさん に日焼け止めを塗ったり、私とのほほんさん 以上に露出が高い箒に日焼け止めを塗ったりしてから夏の日差しが流石砂浜へと出る

 

ちなみに のほほんさん は白のビキニに上にクズリの着ぐるみの様な水着を着ていて、やはり可愛い

 

 

砂浜に出ると既に同級生が降りてきていて、様々な事をしている

 

日焼けの為にサンオイルを塗っていたり、ビーチバレーをしていたり、砂で謎のオブジェを作っていたり、クレー射撃していたり、岩場の方で釣りをしていたり、縦 鈴3人分、横 2人分ぐらいの大きさのメカ人参が砂浜に突き刺さっていたり様々だ

 

「・・・人参? 」

 

一瞬スルーしそうになったが、明らかに砂浜にあったらおかしい物を見つけてしまい二度見してから隣に立っている箒を見ると、あからさまに渋い表情をしていたので、私と同じ考えに至った様なので

 

「箒、アレ」

 

「知らん、私は何も見ていない、お前も何も見ていない、いいな? 私達は何も見ていない」

 

と私の言葉を飲み込む勢いで少し早口に箒は言い、あからさまなはメカ人参を視界に入れない様にしてクラスメイト達の方へ歩いてゆく

 

 

うん、気持ちは分かるよ箒、でも遅かれ早かれメカ人参(アレ)の持ち主である束さんは現れて、きっと君を構い倒すと思うんだ、うん

 

 

「おーい、おりむ〜ビーチバレーしよー」

 

「今行くよ」

 

のほほんさんに呼ばれたので一旦考えるのは辞めにして今は海を楽しむ事にしよう、束さんの行動予想なんて私には無理だしね?

 

「待ってたわよ一夏、あんたもこっちに入りなさい? 幼馴染の連携を見せてやりましょう? 」

 

ビーチバレーのコートにたどり着くとボールを持った鈴が、やる気満々で言ってくる

 

「私と箒、鈴のチームで良いのかな? まぁこの3人なら連携できるかな」

 

なんだかんだで鈴と箒は一緒にいる事も多いし仲もいいから多分大丈夫だろう、多分

 

「チームは大丈夫ね、サーブ権はジャンケンで決めましょうか・・・袖捲りなさいよ、何出してるか分かんないわ」

 

サーブ権をかけて鈴が のほほんさんとジャンケンをするが、のほほんさんの萌え袖が原因で鈴がツッコミを入れ、軽い笑いが起こる

 

 

これぐらい緩いぐらいが丁度良いのかも知れない、せっかくの海だし満喫しなければ勿体ない

 

明日からは、また少し忙しくなってしまうし羽を伸ばすのは今しかないしね?

 

 






お待たせいたしました




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オーシャンズ・イレブン 2

 

 

ジャンケンの結果、鈴がサーブ権を獲得したので鈴がサーブをする事になった

 

 

「鈴、少し加減してね? 鈴は勝負事に熱くなりすぎる癖があるから」

 

 

「分かってるわよ、怪我をさせないように気をつけるわ」

 

 

私の言葉への返答が怪我を『しない様に』ではなく『させない様に』気をつけると言う自信満々な鈴らしいな、と思いつつ、谷本さんと岸原さんを見据え少し集中する

 

のほほんさんはお世辞にも運動が得意ではないし運動能力が高くない、しかし谷本さんは かなり運動が出来るし、岸原さんは谷本さん程ではないが、それなりには出来る筈だ、それに のほほんさんならミラクルを起こしてもおかしくない

 

 

「行くわよ! 7月のサマーデビル谷本!! 」

 

「受けて立つわ! 来い! 」

 

 

謎の掛け合いが始まって鈴は鋭いサーブを谷本さんへ打ち込み、谷本さんは勢いを殺す様にレシーブをして

 

「理子、お願い」

 

「オッケー、任せて! スマーッシュ!! 」

 

 

「受け止める!」

 

息ピッタリのタイミングで高威力なスパイクを岸原さんが放ち箒が持ち前の反射神経で反応し、勢いを殺してボールを拾う

 

「行くよ鈴」

 

「任せなさい一夏」

 

箒が拾ったボールを私が鈴の打ちやすい位置へトスを上げ、鈴が持ち前の運動神経で高く飛び上がりオーバーヘッドキックでボールを蹴り、のほほんさんの足元にボールを着弾させ、小さなクレーターを作る

 

「・・・えー」

 

おかしいな、ビーチバレーをしていた筈なのに、いつの間にか超時空サッカーみたいになったなぁ、おかしいなぁ

 

 

ひとまず、のほほんさんに直撃しなくて良かった、うん

 

「鈴、危ないから次から超時空サッカーは禁止で」

 

「なんでよ、当てないわよ? 」

 

満足気にドヤ顔してる鈴に言うと、本当になぜ禁止にするか分からない、と言った表情をして言ってくる

 

「鈴が当てるつもりが無くても、当たる時は当たるでしょ? だから禁止、分かったかな? 」

 

「わ、分かったわよ。もうしないわ」

 

少し言葉に圧を持たせて鈴へ言うと、鈴は素直に頷いてくれたので良かった

 

 

それから試合を再開し、常識の範囲内で試合が繰り広げられてゆき私達の勝利で1戦目が終了する

 

 

「お疲れ様、いーちゃん」

 

「うん、ありがとう束さん、なんでさも当然の様にいるのかな? 束さんは部外者でしょ? 」

 

 

完全に南国へバカンスへ来たセレブみたいな装いの束さんからポカリを受け取りつつ尋ねる

 

ちなみに箒は束さんとあからさまに目を合わせない様に不自然な動きで退避していった

 

「ん? あーまぁね? 一々イベント毎に招待状を要求するのも面倒になったし、向こう3年は今の根城を離れるつもりも無いし、少し副業を減らそうと思って、IS学園の非常勤職員になったんだ〜」

 

にぱー と束さんは笑みを浮かべ私の質問に答える、なんか凄い事を言ってるけど、聞こえなかった事にしよう、うん

 

 

「例の試作品の件だって束さんがいた方が、いーちゃんの負担も減るでしょう? 」

 

そう言い束さんは私の頭を優しく撫でる

 

本当、束さんには敵わないな、いつも先回りして私を助けてくれる。感謝してもし尽くせない

 

「ここに居たのか、束」

 

相変わらず凛とした雰囲気を纏いモデルの様にスタイルの良い私の自慢の姉が山田先生を伴って現れる

 

 

「やぁ、ちーちゃん。束さんに何か用かな?」

 

姉さんに名を呼ばれた束さんが姉さんに尋ねると

 

 

「用、と言う程ではないが、お前が乗ってきたニンジンが邪魔だ、早めに片付けておけ。あとお前もハメを外しすぎるなよ? 」

 

「ふふ、分かったよ」

 

姉さんの言葉に束さんは、ニコニコニーと笑み答える。本当に話を聞いてるか不安になるが、まぁ聞いてるだろう、多分

 

「束、たまには身体を動かそう。少し付き合え」

 

「構わないよ、ちーちゃん」

 

 

はたから見たら、いつもと変わらない凛とした表情なんだろうけど、妹である私から見たら束さんと久しぶりに遊べて嬉しそうに見える

 

普段なら絶対に姉さんから束さんを誘ったりしないし? 本当珍しい

 

 

そんな訳で姉さん、束さん、山田先生の3人がチームになり、試合が始まる

 

 

にしてもガンプラバトルと庵さんと一緒にいる時以外で楽しそうにしている姉さんを見たのは久しぶりな気がする

 

 

昔から自分に厳しく律し、他人に不器用ながら優しくしてきた姉さん。姉さんは、また24だから、まだまだ遊びたい年頃でもあるだろうけど

 

まぁ趣味に全力を出してしまうし、ガス抜きは出来てるのかな? その辺りが少し気になってる

 

「・・・篠ノ之博士がいる」

 

ビーチバレーの人集りに引き寄せられたのか薫君が隣にやって来て呟く

 

「IS学園の非常勤職員になったんだって」

 

「そ、そうなんだ」

 

束さんが突拍子も無い事をするのに私は慣れてるけど、薫君は慣れて無い様で少し困惑している様子で言う

 

「・・・八月一日」

 

「え? うん」

 

薫君を挟んだ向こう側に居る鈴が薫君の脇腹を軽く小突き薫君へ耳打ちをして薫君は頷き

 

「い、一夏さん、その水着似合ってる、よ? 」

 

「あ、ありがとう薫君」

 

薫君が少し恥ずかしそうに私の水着を褒めてくれた事が嬉しくて照れながらお礼を言うと、周りから生暖かい目線が注がれて少し居心地が悪くなってしまうが、薫君の隣から動きたくないので我慢しよう、そうしよう

 

 






お待たせしました




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海に着いたら11時

 

 

 

バスに揺られる事数時間、臨海学校の目的地へと到着したのでバスを降りて、なかなかに長時間座っていたかは少し凝ってしまった肩を軽く回す

 

「日差しが強いなぁ・・・」

 

まだ7月になったばかりだと言うのに容赦ない日差しを受けつつ呟くと

 

 

「そうだね、これは日焼け止めないと明日は悲惨な状態になりそうだ」

 

初夏の日差しを浴びて当社比50%程 金髪が輝いている様に見えるシャルが俺の隣に立って軽く空を見上げて言う

 

「確かに」

 

ひとまずシャルの言葉に頷きクラス毎に整列していたので列に加わって少しすると織斑先生が拡声器を使い臨海学校のスケジュールを軽く説明して注意事項を話した後、順番に旅館へ入る様に指示を出す

 

やはり約240人が一気には入れないので俺達が旅館へ入るのに少し時間がかかるので今の内に指定された部屋を改めて確認しておく

 

 

「入り口からエントランスホールを抜けて左側の奥手の通路を進んで突き当たりを左折、か」

 

やはり教職員含めて約260人が宿泊できるだけあって中々に広い旅館だから下手すると迷子になりそうだなぁ、と考えて ふと思う

 

IS学園は多国籍学園、つまり様々な宗教信者が居るわけで宗教によっては禁忌に抵触する食べ物や飲み物があるし、宗教上の理由で大浴室が使えないとか色々とあるんだろうけど、それに対応出来るって凄いんじゃ? と思ってしまった

 

と、人知れず噛み締めていると

 

「薫、そろそろ僕達も行こう? 」

 

「そうだね、行こうか」

 

シャルに声をかけられたので返事をして自分の荷物を持って旅館へ入り靴箱へ靴を収納しスリッパを履いて、日本建築の意匠に目を奪われているシャルと共にエントランスホールを抜けて俺達の割り振られた部屋へ向かう

 

「薫、薫、これが日本庭園ってゆうのかな? 」

 

普段は大人しいシャルが年相応に目をキラキラさせて廊下から見える日本庭園調の中庭を見て俺に尋ねてくる

 

「多分、そうかな? 俺は全く詳しくないから良く分からないけど」

 

割と本気でシャルが弟だったら良かったのに、と思いつつ答え割り振られた部屋へ入り荷物を下ろして、部屋の奥を見ると露天風呂が有って凄いなぁと感じる

 

まぁ俺達は大浴室を使えないから、風呂付きの部屋を割り振られた訳だけどね

 

とりあえず外履きを履いて露天風呂の向こう側の柵に近寄り柵の向こう側を見ると、蒼い海と蒼穹が広がっていて目を奪われてしまう

 

「・・・・・凄い」

 

こんな凄い部屋を用意出来るIS学園は本当凄いな、と言う語彙力の欠片も無い感想を抱きつつ、思う

 

同室がシャルじゃなく一夏さんだったら最高だったな、と

 

いやまぁ、学校行事だから男女混合とか有り得ない訳だけど、俺も男子高校生だ・・・邪な感情だって持ち合わせている。だから欲を言えば一夏さんとこうゆう部屋に泊まってみたい、と思うのも仕方ないじゃないか? うん

 

と、誰に言い訳してるか分からない自問自答? をしてから室内に戻り旅行鞄を開き中から水着と他一式を取り出しなから疑問が浮かんだので

 

「シャル、待機状態のISってアクセサリーじゃん? 海水に浸けても錆びないのかな? 」

 

「うーん・・・事実上、錆はするけど自己修復で修復されるから錆びない、で良いのかな? 」

 

 

俺の背後でガサガサ準備をしていたシャルが少し困った声色で答えてくれたので、ありがとう と伝え制服を脱いで水着へ着替える

 

流石に日焼けが怖いから日焼け止めを全身に塗り込んでからラッシュガードを着て振り向くと、自分の髪を三つ編みにし終わったシャルがいた

 

ちなみにシャルもラッシュガードを着ている、超絶美少年(男の娘)の半裸は俺含め思春期の紳士淑女には刺激が強過ぎるから、理由をつけて説得した結果だ

 

にしても、三つ編みにしたら益々女の子みたいだなシャルは、本当に俺と同じ男か疑いたくなる、まぁ付いてるんだけどね、うん

 

 

と今日は少し思考が邪念に支配されがちだが男の娘なシャルと共に部屋を出て浜に向かう為に移動を始める

 

さて、その道中に俺はアル事に気付いてしまった

 

隣を歩くシャル以外、同級生は女子であり。彼女達も水着姿で浜へ向かっている、普段からスク水みたいなISスーツ姿を見ていて多少は慣れているけど、明らかに布面積が少ない人がチラホラ居るんだ、正直に言って目のやり場に困る、割と本気で

 

そんな感じで意識して意識しない様にして浜に降りると、既に同級生が居て様々な事をしている

 

なんか浜の端でクレー射撃してるんだけど、それは大丈夫なのかな? とか思うけど、多分大丈夫なんだろう、多分

 

とか考えて浜を歩いていると、ビーチパラソルが並んで立ててあり、へぇ良いなぁ とか思い通り過ぎようとしたらミイラが居て二度見して、晒された銀髪を見てミイラ状態の美少女の正体を察していると

 

「ラウラ? どうしたの? 」

 

俺の隣を歩いていたシャルも彼女に気付いた様で声をかけると、ボーデヴィッヒさんはビクッと身体を揺らし

 

「しゃ、シャルル、待っていたぞ!! 」

 

となんかうわずった声でシャルルの名前を呼んだので空気を読み

 

「シャル、俺は一夏さん探しに行ってくるから。また後で」

 

「あ、ちょっと、薫? 」

 

俺は早口で言い返事を聞かずに、その場を後にする

 

 

頑張ってボーデヴィッヒさん、俺は君を応援してるよ?

 

 





お待たせしました



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その境界線上に立ち


一夏ちゃん視点



 

 

クラスメイトを始めとした同級生の生暖かい眼差しに耐えつつ海を満喫し夜になって夕食に海産物を食べた訳だけど、シャルが刺身に添えられていた擦り本ワサビを塊で食べて少し酷い目に遭っていたけど、涙目になっていていて少し可愛いなぁと思ったり、のほほんさん 達とトランプをしたりして就寝した

 

 

そんな訳で翌朝、少し早起きしてお風呂を浴びて身支度を整えた後、のほほんさん を起こしたりして朝食を食べ、臨海学校の主目的の実習が始まる

 

 

「総員傾注、昨日見かけた者も多いと思うが本臨海学校より非常勤講師として教員が増えた。これは我々IS学園職員、ひいては諸君達生徒にも利益に繋がる喜ばしい事となるだろう。主に整備士志望者にはな、では自己紹介をしてもらう」

 

姉さんは拡声器を使い話をして、束さんとアイコンタクトを取ると束さんに拡声器を渡す

 

「やぁやぁ私は篠ノ之 束、君達にはISの産みの親と言ったら分かるかな? 君達には期待しているよ、よろしくね」

 

束さんは珍しくふざけた挨拶をせずに、大人の対応で挨拶をし姉さんに拡声器を返す

 

「それでは実習を始める、各国代表候補生専用機持ちと八月一日 及び 織斑、整備班は指定の場所へ移動し追加装備の起動テスト、残りは実機実習と装備換装の実習を並行して行う、疑問やトラブルが有れば直ぐに私や教師に報告する様に、では行動に移れ」

 

 

と姉さんは指示を出し移動を始めたので、私達も移動を始める

 

 

私が起動テスト組に入っているのは単に私が薫君の専属整備士を任されているのと、他専用機持ちのISをある程度は触る事が出来るからだ

 

 

そんな訳で各国代表候補生宛に送られて来た追加装備の入ったコンテナを移動させて作業をしやすくしてから薫君宛に来たコンテナを開き中身に不備がないか確認する

 

「・・・うん、不備は無いみたいだね。始めようか薫君」

 

「よろしく、一夏さん」

 

明石を展開して薫君へ声をかけると薫君も打鉄改を展開してニコリと笑み頷く

 

 

「行くよ明石」

 

「明石にお任せにゃ」

 

光子が集まり明石が現れて元気よく片手を上げたので頭をひと撫でして作業を始める

 

まず基部ユニットを接続して次に追加プロペラントタンク兼マルチブースターの大を中心部に連結させる

 

「メインブースター接続を確認、と」

 

その後に上下に追加プロペラントタンク兼マルチブースター小を接続してマルチウェポンラックを接続して対物シールドを専用のマルチスラスターシールドへ換装する

 

「追加ブースターの接続完了、違和感はあるかな?薫君」

 

「今のところ大丈夫、かな? バランスはズレてないよ」

 

私の質問に薫君は答える、私は薫君の言葉に頷き作業を続ける

 

上部マルチウェポンラックにバズーカを3つセットし、下部マルチウェポンラックにシュトルムファウストを3つセットする

 

少し弾速は遅いが牽制にはなるだろう、多分

 

 

とか考えつつメインブースター両サイドのサブアームにドラムマシンガンを接続して

 

「よし、全行程終了。どうかな? 」

 

「少し後ろが見えづらいけど、まぁ仕方ないかな? 」

 

 

と私の質問に薫君は苦笑していう

 

「そうだね、確かに基部ユニットもサブスラスターも追加ブースターも大きいし見えづらいのは仕方ないかも知れないかもね? でも直線加速力、火力は向上してるから安心して? 」

 

と言いつつ、実は私も少し思う所があったりする

 

この装備、非限定空間での運用を前提にしているわけだけど、それにしても振り切り過ぎていると思う

 

なぜなら追加ブースターが大き過ぎるしバズーカを3機、シュトルムファウストを3機という大火力火器を複数装備している、これはキャノンボールファストを前提とした仕様では無い気がするのだ

 

まぁ今日はあくまでもテストだから、装備数を削るなり装備変更をするなりは後で薫君と相談して決めよう

 

「マスター、こっちも終わったにゃ」

 

「ありがとう明石」

 

音も無く現れ私の胸元に擦り寄る明石の頭を撫でてお礼を言い

 

「シャル、違和感はある? 」

 

「大丈夫、特に問題ないよ一夏」

 

フルアーマー化したリィン・カーネーションにご満悦のシャルがサムズアップをしてニコリ笑んで言う

 

普段は大人しくて紳士的なシャルも、やはり男の子らしく こうゆう所は年相応の反応をしてて可愛いと思うし、和む

 

「おおよそ最初の換装が終わった様だな? ではテストを始める事にしよう、各員 担当者の指示をよく聞き、慎重に事に当たれ」

 

タブレットPCを見ながら現れた姉さんが拡声器を使い指示を出して忙しそうに移動をする

 

それを見て、やっぱり大変そうだなぁと思いつつ

 

「それじゃぁテストを始めようか、アイドリング開始」

 

甲高い音を響かせて打鉄改とリィンの追加ブースターのタービンが回り始め、轟音へと移行していく

 

「前方、よし。進路クリア・・・発進、どうぞ」

 

「八月一日 薫、打鉄改八龍(はちりょう)・・・出撃()る」

 

「シャルル・デュノア、フルアーマー・リィン・カーネーション、出撃(いき)ます!!」

 

 

推進力が最高潮になったタイミングで2人へ言うと轟音と暴風を残し空へと舞い上がって行き、彼等の後を白い軌跡が追う

 

その軌跡は蒼穹に綺麗に記されていく、なんか綺麗だなぁ

 

 





お待たせしました


なんかグダッた、すみません


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追加設定

 

 

機体名*打鉄改 八龍(はちりょう)

 

搭乗者*八月一日 薫

 

武装*

 

⚪︎ 打鉄標準装備一式

 

近接ブレード・葵、アサルトライフル・焔備、対物シールド

 

 

⚪︎非限定空間戦闘能力強化装備 八龍(はちりょう)

 

マルチバーニアスラスターが搭載された基部ユニットに大型プロペラントタンク兼マルチブースターを1機と小型プロペラントタンク兼マルチブースター2機を搭載する事で直線加速力を強化し打鉄改に装備されている対物シールドを専用のシールドブースターに換装し、機動制御を向上してある

 

=追加武装=

 

*撫子

 

上部マルチウェポンラックに装備されたカートリッジ式6連装無反動砲

 

3機搭載されていてサブアームにより直接手に持って使用する必要がない

 

銃弾に比べて弾速は遅いが、銃弾に比べて威力が桁違いに高い

 

 

*シュツルムファウスト

 

下部マルチウェポンラックに装備された単発式使い捨て型ロケットランチャー

 

 

3機搭載されていて、撫子と同様にサブアームにより直接手に持って使用する必要がない

 

撫子より何割か弾速が速い

 

 

*ツツジ

 

小型プロペラントタンク兼マルチブースター横、左右に1機ずつ装備されたマシンガン、これもマルチウェポンラックのサブアームにより直接手に持って使用する必要がない

 

 

*ツリフネソウ

 

銃身可変式荷電粒子砲、いわゆるビームライフル

 

八龍の常時回っている主機から出る余剰エネルギーを用いて専用ジェネレーターからケーブル直結でエネルギー供給をする八龍使用時のメインウェポン

 

銃身可変で威力と射程を変更できる優れ物

 

 

不使用時は基部ユニット下部の専用ラックに収まっている

 

 

 

 

備考*

 

打鉄改の開発元である倉持技研が作成した打鉄改用の非限定空間戦闘能力強化ユニットを装備した状態、名前の由来は伝説の鎧から

 

 

非限定空間での使用を前提としている為、アリーナなどでの使用は難しい代物になっている

 

 

一夏はISのレース競技、キャノンボールファストに向けての装備だと考えているが、高火力で弾速の遅い武装が多い為、少し疑っている模様

 

追加ブースターのおかげで直線加速力が、かなり上がった代わりに旋回性能が下がってしまったので、補う為に両肩部の対物シールドを専用のブースターシールドへ換装している

 

ただブースターシールドは対物シールドに比べて耐久値が高い訳では無いので、ワンオフアビリティとの相性は、あまり良いとは言えない

 

 

また例の如く打鉄改本体と八龍のエネルギー供給源は別々である

 

 

イメージは、サンダーボルトのサイコザク

 

 

 

機体名*フルアーマー・リィン・カーネーション

 

搭乗者*シャルル・デュノア

 

武装*

 

⚪︎2連装ビームライフル

 

右手に装備された高出力方の2連装ビームライフル、外装に対物シールドを使用している

 

 

⚪︎ロケットランチャー

 

左手に装備された5連装のロケットランチャー、複数の弾頭を選択が可能

 

コイツも外装に対物シールドを使用している

 

 

⚪︎ビームキャノン

 

バックパックユニット右側にサブアームによって保持されている大型荷電粒子砲、火力と射程を優先しているので命中精度は程々

 

 

⚪︎ミサイルポッド

 

6連装のミサイルポッドで任意で弾頭を選択可能

 

 

⚪︎ビームサーベル

 

バックパック下部に1本、リィン・カーネーションに1本格納されている高出力型のビームサーベル

 

 

⚪︎マイクロミサイル

 

追加装甲内に装填されている小型のミサイル、小型故に威力を出す為に爆発力に指向性を持たせている、命中精度もほどほど

 

撃ち切った後は強制的にパージされる

 

 

⚪︎対物シールド

 

サブアームに保持された対物シールド

 

備考*

 

 

名前の通りフルアーマー化したリィン・カーネーション

 

サブアームを複数有した大型バックパックユニット及びプロペラントタンク兼マルチブースターと追加装甲による総合戦闘能力向上を目的としている

 

追加装甲は内部にマイクロミサイルを保持している為、被弾時に誘爆する恐れがある為、被弾した場合はリアクティブアーマーが作動し追加装甲を強制排除する仕組みになっている

 

 

イメージはサンダーボルトのフルアーマーガンダム

 

 

 

 




お待たせ致しました


忙しくて少し時間が取れなかった為、設定だけ先にします


前話を少し修正しました



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ゲット・レディ

薫君視点




 

 

臨海学校の目的の一つである専用機の新装備テストの為に、非限定空間専用バックパックを打鉄改に装備して空へ飛び立って数分、この装備の感想は『扱い辛い』と言うのが本音だ

 

あと、とりあえず作りたかったから作ってみました感もあるし、そもそも八龍に関しては倉持技研製で一夏さんの調整もまだ入ってないから仕方ないのかも知れない

 

 

「少し複雑な表情をしているね? 薫」

 

「まぁね、この装備と俺の適性が合致してないからさ? 」

 

 

安全距離を保ちながら俺の横を飛ぶシャルが気になったのか、そんな事を尋ねてきたので素直に答えると俺の戦闘スタイルや適性を良く知っているシャルは苦笑する

 

 

「そろそろ折り返し地点に差し掛かる・・・ん? 」

 

 

「IS反応? 物凄く速い・・・この海域はIS学園が使用するから海上封鎖をしている筈なんだけど・・・」

 

 

視界の端に映るミニマップを確認しながら呟くと、急にマップにIS反応が表情されシャルが疑問を口にする

 

そう、シャルが言う通り、この海域はIS学園が使用する為に海上封鎖をしている、だから本来なら所属不明のISが此処にいる筈は無いのだ

 

と、するならば・・・

 

 

「噂は本当だったか、ISを強奪した逃走犯に遭遇したか、ダブルブッキングしてしまったか、のどれかかな? 」

 

「僕としては例の噂が本当だった、であって欲しいなぁ」

 

 

俺の呟きにシャルは肩を竦めて答え、俺もそれに同意する。それが1番問題が無いしね?

 

 

「八月一日、デュノア、双方聴こえているな? これより非限定空間における戦闘実修を開始する。目標は前方より接近中のシルバリオ・ゴスペル、アメリカの国家代表だ、胸を借りてこい」

 

「「はい」」

 

どうしたものかと、悩んでいると織斑先生から通信が入り、指示を受けて返事をしつつ今は見えない対戦相手のいる真正面を見据え考える

 

どう考えても八龍を装備した打鉄改は目立つ、なら俺が囮をしても良いかな? と先手を打つ方法を模索していると

 

「フルアーマーであるリィンと重装備の打鉄改じゃ、どう足掻いても直ぐに見つかる、だったら優位な位置を模索するべきだけど島もない空じゃ隠れてる事も出来ないからね、正面から最大火力を浴びせるしか無いんじゃないかな? 」

 

とシャルは覚悟を決めた表情で俺に言ってきたので俺は強く頷く、やるしかない

 

 

「もうすぐ見えて来る筈だよ薫、視認したら直ぐに牽制射を開始して? 」

 

「了解」

 

 

地平線の向こうに見える対象へ当てられる自信は無いけど、牽制射だから当たればラッキーぐらいに思っておこう、そう決めツリフネソウをマウントラックから取り出して構え地平線から現れるであろうシルバリオ・ゴスペルを探す

 

 

「居ない? おかしいな・・・IS反応は間違いなく有るのに」

 

 

マップに表示されたシルバリオ・ゴスペルの反応を見る限りツリフネソウを構えた時には視認出来ていないとおかしいのだが、シルバリオ・ゴスペルの姿を捉える事が出来ていない事に疑問と焦りを抱く、なぜなら今この瞬間にもシルバリオ・ゴスペルは俺達に接近し続けているからだ

 

 

「薫、海の中だ。撃って! 」

 

「了解!! 」

 

思案顔をしていたシャルが答えに至り右肩に装備されたビームキャノンを撃ちながら俺へ指示を出して来たので素直に従いシルバリオ・ゴスペルが居るであろう地点にツリフネソウを撃ち込む

 

すると派手に水柱が上がり、白い天使の様なフォルムのISが海中から現れて光弾を放ってくる

 

「撃ってきたね」

 

「そうだね、まぁ此処からが本番かな? 」

 

まだ少し距離があるため、少し余裕を持って光弾を避けながら次の手を考える

 

 

何せ相手は国家代表、間違いなく織斑先生並みに強いのだから

 

 

「シルバリオ・ゴスペル、和名は銀の福音。アメリカ・イスラエル共同開発の高機動射撃型IS、か」

 

背部アンロックユニットがマルチスラスターと射撃を行う特殊武装、銀の鐘(シルバーベル)と呼ばれるウィングスラスターで、両手足にはマルチスラスターと追加ブースターが設置されている

 

武装自体はシルバーベルだけの様だけど、問題は加速力が俺達と同等で旋回能力がかなり高い事だ

 

あと被弾面積も俺に比べてかなり少ない

 

 

とりあえず牽制射をしながら考えるが、全く良い案が思いつかない、困った

 

 

「薫、左右から攻めるよ、合わせて」

 

「OK、任せる」

 

シャルに何か考えがある様なのでアレコレ考えるのを止めてシャルの指示に従う

 

光弾をギリギリ躱しながらツリフネソウを撃ち続ける、しかし当たらない

 

 

数の理はこちらに有るのだけど、流石は国家代表だ隙が全くない

 

 

それにシルバーベルの連射速度も尋常じゃないから気を張り詰め続けないと、直ぐに落とされてしまいそうだ

 

 

俺の場合、八龍のプロペラントタンク剥き出しだから当たれば引火誘爆必至な訳で、そんな事が起これば1発で撃墜は必然、正直怖すぎる

 

 

「薫!」

 

「了解!」

 

シャルの呼び掛けに応じて、俺達は全武装フルバーストをする。これで少しはダメージを受けて欲しいと思った瞬間、俺は激しい閃光に包まれた

 

 

 

 






お待たせいたしました


実はもう終盤に差し掛かっていまして、あと何話かで本編が終わる予定です


本編終了後にオマケを何話か書く予定ですので、今年中に完結するかも知れません



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ゲット・レディ 2


薫君達を見送った後、私は次の支度を始める

実をいうと、私は事前に薫君達がアメリカ代表と模擬戦をする事を知っていたので私は私で明石で非限定空間用の装備を製作してあったりする

もちろん今回はシャルの分も用意してある

「いーちゃん、リニアカタパルトの準備が出来たよ」

「ありがとう束さん、運搬用の外殻ユニットもありがとう」


「うぅん、気にしないで? 束さんも、その手のロマンは大好物だからさ」


お願いしていた仕事を終えた束さんが、ニコニコと笑みを浮かべて現れ作業完了の報告を口にする

それを聞き少し無理を聞いて貰ったので、お礼を言うとサムズアップして束さんはニッと笑む


「マスター、飛鳥が外殻ユニット(ハヤカゼ)に積み込み終わったにゃ」

少し眠た気な明石の報告を聞き無言で頷く、私の予想が正しければ使いづらい八龍では飛鳥が届く頃には被弾してプロペラントタンクが爆散している事だろう

「・・・間に合って欲しいな」

間に合ってもシステムが上手く機能する保証は無い、それでも私は薫君の為に飛鳥を送ろう

私は成功を祈りながらリニアカタパルトの射出スイッチを押し、飛び立つハヤカゼを見送る




 

 

次の瞬間に訪れた衝撃波を受け俺は海中へと落とされ、八龍のプロペラントタンクが被弾して爆散した事を認識する

 

幸い元々防御型の打鉄だったからか、シールドエネルギーは半分程度残っている状態ではあるが、正直今の状態は非常に不味い

 

 

何故なら素の状態の打鉄改は非常に足が遅い、更に言えば対物シールドもブースターシールドに換装されているから防御力も本来より低い

 

 

「なら、諦めるか? マスター」

 

半透明の陽炎が現れ俺の思考を読み尋ねてくる、答えは決まっているノーだ。断じてノー、諦めるなんてあり得ない

 

 

「ふむ、それでこそ吾輩のマスター。では行こうではないかマスター、なに時期に良い物が届く筈だ」

 

 

陽炎は満足そうに頷きシャルのいる方向を指差して意味深な事を言うが、今は そんな事を気にしている場合じゃないので気合を入れて海中から飛び出して焔備で福音へ牽制射を行う

 

「良かった無事だったんだね」

 

「なんとかね、シールドエネルギーは残り半分くらい。ユニットを失ったから機動力はお察しで」

 

ギリギリ光弾を避けつつ牽制射をしなからシャルへ返事をしながら次の手を考えながらシャルを見ると明らかに追加装甲が無くなっていた

 

「シャル、追加装甲は? 」

 

「あぁ、さっきフルバーストした時にマイクロミサイルを撃ち切ったからパージしたんだ。だから爆装は残弾ゼロ」

 

 

「なるほど」

 

シャルの説明を聞き納得して返事をし、手を考える

 

正直言って戦況は良くない、現状の打鉄改では福音のスピードについていけないからワンオフ・アビリティ(ヴェンジェンス・イズ・マイン)を当てる為に接近が難しい、当てられれば勝機が有るかも知れないけど

 

そして当たれば痛いだろう爆装を使い切ってしまったシャルの残りの武装はビームキャノンと2連装ビームライフル、バススロットにも銃火器があるとは思うけど、幾らシャルとはいえ国家代表相手に何処まで通用するか未知数だ

 

 

さて困ったな、と思っていると

 

 

「来たぞ、受け取るとよい、勝利を掴めマスター」

 

と陽炎がドヤ顔で言った瞬間、勝手に換装シークエンスシステムが起動しデータがロードされ、視界にビーコンが表示される

 

正直、何が何だか分からないけど陽炎が大丈夫だと言うなら大丈夫なんだろうと腹を括り

 

「シャル、これに賭けよう。どうせこのままだと勝てる見込みは薄い訳だし」

 

 

「・・・そうだね、分かったよ」

 

 

俺の表情を見たシャルも腹を括った様な表情になり強く頷き誘導に従い飛び始める

 

直ぐにウェポンコンテナにロケットブースターを付けた物が高速で現れ完全に速度が同期したら勝手に換装が始まりブースターシールドから対物シールドへ換装され、2本の対艦刀と2問のビーム砲、紅い翼を模したウィングスラスターが装備された

 

「・・・ありがとう一夏さん」

 

全領域対応ユニット飛鳥が接続された事で流れる情報を見て俺は呟く

 

俺は本当に恵まれている、なんたってこれほどまでに素晴らしい彼女がいるのだから

 

「行こう、シャル」

 

「うん、行こう薫」

 

シャルも俺と色違いの飛鳥を装備し加速して福音へ攻撃を開始する、飛鳥を装備する前からでは予想出来ないスピードで飛翔し福音を翻弄し始める

 

やはりリィンのポテンシャルは計り知れない

 

 

「八龍に比べて身が軽い上に推力が段違いだな」

 

まぁ多分重量的な奴で錯覚してるかも知れないけど、八龍に比べたら扱いやすい、間違い無く扱いやすい

 

「そうであろう? やはりマスターは分かる奴よな」

 

何故か物凄く嬉しそうな陽炎を疑問に思いつつ福音への攻撃の手を緩めずにいると、福音は明らかに挙動が変化する

 

あたかも手加減を辞めたかのように

 

そう、俺達は銀の福音(かのじょ)に手加減をされていたのだろう、出なければ八龍が爆散した時に俺は撃墜されていただろう

 

その事に気が付いた時には遅かった、気付けば打鉄改のシールドエネルギーは残り15%程度、完全にレッドゾーンだ

 

 

その事を肩で息をしながら認識している訳だけど、やる事は何も変わらない

 

 

「マスター、ヴェンジェンスも必要値溜まった。この辺りが頃合いだろう」

 

 

「・・・そうだね、また俺には届かなかった。これを当てる、必ず」

 

右手(ききて)を前に出すと相変わらず呪われていそうな黒鉄色をした西洋剣が展開され、強く握りしめる

 

 

「さぁこれが最後のチャンスだよ薫」

 

ヴェンジェンスを知っているシャルが福音を見据え言い飛鳥から出る光子で残像を残しながら福音へ突撃していく

 

「分かってるよシャル、俺は弱い。それを俺は知っている」

 

俺も飛鳥の出力を最大にして福音へ突撃し、ギリギリまで間合いを詰め叫ぶ

 

 

「これが俺に、俺達に今出せる出来る最善手の一撃! 復讐するは我にあり(ヴェンジェンス・イズ・マイン)!! 」

 

 

打鉄改のシールドエネルギーが5%を切った瞬間に放ったヴェンジェンス・イズ・マインを福音は右手で受け止め、俺と福音は閃光に包まれた

 

やばい、このパターンは またアレのパターンかも、と思った瞬間 俺の意識は白く染まった

 

 

 






お待たせしました


ん〜無理矢理過ぎたなぁ、反省


飛鳥のイメージはデスティニーシルエットです、悪しからず



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水面と蒼穹


薫君 視点




 

 

 

「・・・ん? 」

 

呼ばれた気がして目を開くと、水面の上に制服を着て俺は立っていた

 

 

「マスター」

 

確かに聞こえた声の方を向くと陽炎が微笑み立っている、見た感じ機嫌は良さそうだ

 

「ご苦労だったなマスター、福音は強敵であったな」

 

「全くだよ・・・流石は国家代表、といった所かな? 序盤と中盤に手加減されていなかったら手も足も出なかったと思う」

 

陽炎の言葉に肩を竦め俺なりに感じた事を口にすると陽炎は愉快そうに笑みを浮かべ

 

「己の力量が劣る事実を受け入れ、それでも尚勝機を探し立ち向かう。やはりマスターは吾輩の見込んだ漢よ」

 

 

と陽炎は本当に嬉しそうに笑い、言う

 

なんでこんなに上機嫌なのかよく分からないけど、上機嫌なのは良い事だから気にしないでおこう

 

 

さて銀の福音と戦った感想を述べるとするなら、まず国家代表の名は伊達では無い、と言う所だろう

 

 

序盤・中盤と手加減されてはいたが、彼女は俺達を格下と侮る事もなく最初から油断なく先手を打ち俺達の動きに合わせて動きを変えていた、その判断力は流石としか言えない

 

 

それに情報によると銀の福音は試作機らしいから起動データの収集もしていた様だから、責められる場面でも敢えて責めて来ない場面め有った、と今考えるとあった様な気もする

 

 

こちらの装備面で感想を述べるなら、真っ先に出てくるのは八龍の扱い難さ、それにつきる。八龍はとにかく扱い辛かった

 

直線加速力は確かに増している、しかし重量故にシールドブースターが有るとはいえ旋回性能がお世辞にも良いとは言えず、搭載火器も弾速が遅めの物ばかり、何を目標に製作されていたのかが分からなかったし、何より推進剤満載のプロペラントタンク兼マルチブースター、つまり弱点になり得る物が剥き出しだったのも致命的と言わざる得ない

 

 

それに比べて空中換装で装備した飛鳥は八龍に比べて、とても扱いやすかった

 

 

被弾面積も八龍に比べて少ないし、俺のファイトスタイルとも相性が悪くないと感じた。まぁ難点があるとするなら推進剤の減りが八龍の比では無いぐらい早い事、だろうか?

 

追加で増槽を積んでいないから当たり前ではあるけど

 

 

単機による長時間戦闘を前提にしている八龍と短期決戦を前提としている飛鳥、と言う印象を受けた

 

今後使うであろう装備は飛鳥だろうから、飛鳥の使用時間拡大を一夏さんと話して検討してみよう、小型ならプロペラントタンクを乗せるのもアリだとは思うし

 

 

「む? そろそろお目覚めの時間の様だの? マスター」

 

「え? それって? 」

 

「じゃぁの、マスター。吾輩はマスターの味方だぞ? 」

 

と陽炎は俺の質問には一切答えずにヒラヒラと手を振り言う、そして急に視界が霞がかり暗転し、次の瞬間 雲が少ない青空と金髪を短めの三つ編みにした女性が目に映る

 

「お? 起きたか、お前なかなかやるじゃねーか」

 

打鉄改は解除されていてISスーツ状態の俺は何が何だか分からない状態で身体を起こすと女性は豪快な笑みを浮かべて俺の肩をバシバシ叩きながら言う

 

 

「いっ痛いですよ、誰ですか貴女。ここは? 」

 

「おー悪い悪い、私の名前はイーリス、イーリス・コーリング。アメリカ国家代表ってヤツだ、そしてここは簡単に言うと回収班の船の上だな」

 

 

俺の言葉に悪びれる事も無く笑いながら女性・・・イーリスさんは名乗り、質問に答えてくれる

 

「お前とナターシャ・・・銀の福音が相打ちになって海に落ちたから回収しに来てやったんだよ、ほれ そこでコーヒー飲んでんのがナターシャだ」

 

 

イーリスさんが指差した先を見ると手摺りに寄り掛かり優雅にコーヒーを飲んでいる金髪ロングヘアの女性がいた、銀の福音で見えたISスーツと同じ柄のISスーツを着ている様だから彼女がナターシャさんなのだろう

 

 

にしても公式でヴェンジェンスを使うの2回目だけど、また反動にやられてしまったみたいだ、次はもっと上手くやらないとなぁ

 

とか考えていると

 

「八月一日 薫君、だったかしら? 2対1だったとはいえ君は なかなか見どころがあったわ。アメリカに来ない? 」

 

といきなりナターシャさんが俺の方を向き言ってくるが、答えは決まっている

 

 

「お断りします、俺はやるべき事、やりたい事がありますから」

 

俺は真っ先にナターシャさんの目を見て言うと

 

「良い眼をしている、初代ブリュンヒルデと同じ、誓いを抱いた強い意志を持つ眼をしている。残念だけれど諦めるしかないわね、貴方の様なタイプの人間は99.9%折れないもの」

 

ナターシャさんは そう言い肩を竦める

 

「そもそもナターシャよー、コイツをアメリカに連れてくの無理だろ、コイツは初代の妹の恋人らしいぜ? いや、初代の妹も一緒ならワンチャン? 」

 

 

とかイーリスさんも何か言い始めて腕組んで唸り始めた、俺ってそんなに価値あると思えないんですけど? いや、マジで

 

 

それはそれとして、回収船って何処に向かってるんだろう? 方角が分からないから、どの方向か全く分からない

 

そういえばシャルは旅館に戻ったのかな? 俺もさっさと旅館へ戻って一夏さんに会いたいなぁ

 

 






お待たせしました


イーリスの一人称って何でしたっけ? 一応暫定で アタシにしてありますが、正解が分かる方がいらっしゃいましたら、教えてほしいです




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エンタープライズへようこそ

 

 

 

 

「あのナターシャさん、この船は何処に向かっているんですか? 」

 

うーんうーん唸るイーリスさんを横目にナターシャさんへ疑問を投げかけてみる

 

 

「私達の母艦よ、この回収船には簡易治療が出来る設備はあるけれど、できても応急処置が限界なのよ、だいぶ強めに海面へ落ちたし念の為に母艦で検査を受けて貰うわ。万が一君に何かあったら最悪私のクビ1つでは済まないのよ」

 

 

ナターシャさんは俺の質問に答え肩をすくめて言う、その様子を見てなんか大袈裟な気がしたので

 

 

「模擬戦して少し怪我したぐらいで大袈裟なんじゃ? 」

 

 

「はぁ、君は自分の希少性、重要性を理解していないのね? 」

 

 

俺の言葉を聞いたナターシャさんは溜息を吐いて呆れた様子で言い

 

 

「八月一日君、君はね? この世界で現段階で確認されている、たった2人しかいないIS男性適合者なのよ? 分かる? 約70億人中2人よ、日本政府を初めとした各陣営が相互監視と情報共有を徹底していて、君がIS学園に入学していなければ君は今頃どこかの薄暗い部屋でモルモットだったかも知れないぐらいなの、理解できたかしら? 」

 

 

とナターシャさんは俺を説得する様な口調で説明してくれる、そう言えば最初に会った役人も似た事を言っていた様な気がする

 

ナターシャさんの表情を見る限り、俺を脅かそうと話を盛ってる様には見えないから、きっと事実、有り得る話なんだろう

 

 

「分かってもらえた様で嬉しいわ、まぁ脅しておいてアレだけれど絶対にモルモットなんかにしないし、させないわ。織斑千冬と篠ノ之束のお気に入りにツバ付けようとしたり危害を加えようとする命知らずの輩も居ないでしょうしね? 」

 

「は、はぁ・・・」

 

 

とナターシャさんは言って笑い、俺は曖昧な相鎚をうち首を軽く傾げる

 

 

織斑先生については、一夏さんと交際を認めて貰ったから、まぁ理解は出来るけど、篠ノ之博士については全く納得出来ない

 

 

そもそも俺は篠ノ之博士と2回ぐらいしか顔を合わせた事がない筈、それなのに気に入られているのか? 俺は

 

 

ん〜アレか? 一夏さんと篠ノ之博士が幼馴染でめちゃくちゃ仲良いから、一夏さんと付き合ってる俺も仲良し認定された的な奴・・・まさか、ね?

 

 

「着いたわね、この(ふね)が私達の母艦、IS空母艦エンタープライズ級1番艦エンタープライズよ」

 

 

ナターシャさんの言葉に顔を上げると、ネットとかで見る航空母艦より2回りぐらい小さい艦が見え、搬入口に回収船で乗り上げる様に入り理屈はよく分からないがエンタープライズの中へ回収船が格納される

 

 

「では行きましょうか、八月一日君」

 

「あ、はい」

 

相変わらずイーリスさんを放置してナターシャさんに連れられ俺は回収船から降りてエンタープライズ内を歩く

 

当たり前だが、様々な人が忙しそうに作業をしていたり通路を歩いていたりしていてキョロキョロしていると

 

 

「珍しいのは分かるのだけれど、一応 君が見ては不味い物もあるからあまりキョロキョロしないでついて来てね? 」

 

「わかりました」

 

軽くナターシャさんに注意をされてしまったので返事をしてナターシャさんの背中だけ見て彼女の後に続く

 

 

それから暫く歩くとナターシャさんは目的地に着いた様で扉を開けて部屋に入ったので続いて入ると、そこは医務室だった。まぁ当たり前か、検査するって言ってたし

 

「ドクター、来たわよ」

 

「待ってたよ、また派手に暴れた様だね? 」

 

はっはっはっと軽い調子で笑うドクターと呼ばれたナイスミドルな男性が俺の方を向き

 

「ようこそエンタープライズへ八月一日君、なに固くなる必要はないさ。念の為の簡単な検査だけだからね」

 

「よ、よろしくお願いします」

 

「それじゃドクター、後はお願いね? 先にシャワーを浴びさせて貰うわ」

 

 

とナターシャさんは返事を聞く前に退室して行き、ドクターは慣れているのか特に気にした様子も無く座っていた椅子から立ち上がり

 

 

「さ、そこに寝て楽にして」

 

「はい」

 

 

ドクターは慣れた様子で処置台?を指差し、壁に設けられたロッカーみたいな場所から機材を引っ張り出したので返事をして台に横になるとドクターは機材を使い検査を始める

 

 

「八月一日君、何処か痛い場所はあるかな? 」

 

「いえ、特には」

 

なんか機材で何度も俺をスキャンしながらドクターが質問して来たので答えると

 

「気分が悪いとかもないかな? 」

 

「はい、無いです」

 

再びドクターの質問に答えると、ドクターは機材を戻し

 

 

「軽く打ち身してる場所はあるけど、内臓も骨も脳も異常は無い様だから大丈夫そうだね。今診断書作るから座って待っててくれるかな? 」

 

「分かりました」

 

ひとまず異常が無くて良かった、と思いつつ誰向けの診断書なんだろう? と考える、学校向けかな? 多分そうだ学校行事、授業中の診察だった訳だし?

 

「はい、お待たせ。これを担任の先生に提出してね? もし体調に変化があったら直ぐに報告する様に、たまにあるんだ時間置いたら異常が出る場合がさ」

 

 

とドクターは優しい顔をして怖い事を口走る

 

 

うん、そうならない事を祈ろう、マジで

 

 






お待たせしました


ドクターの名前は特に決めてません、どうせもう出てこないだろうしw



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帰投

 

 

ドクターの言葉に少しヒヤッとさせられた後、ナターシャさんが戻ってくるまでドクターと会話しているとジャージ姿のナターシャさんが医務室に戻ってきて

 

 

「検査は終わっているようね? 八月一日君、まだ君の専用機は飛べる状態では無いはずだから、此方で送る事になったわ。ヘリの準備も出来てるみたいだからついてきて? 」

 

「分かりました」

 

ナターシャさんの言葉に返事をしてからドクターにお礼を言い、回収船から医務室へ移動した時みたいに出来るだけナターシャさんの背中だけ見て彼女について行き、甲板に出ると そこでも色々な人が忙しそうに行き来している

 

 

「おーい、こっちだ」

 

声のした方を見るとイーリスさんがヘリの横で軽く手を振っていて、ナターシャさんはイーリスさんは迷う事なく其方へ向かい

 

 

「あとはまかせるわね? 」

 

「おう、任せとけ」

 

2人は長い付き合いなのか、それだけの言葉で意思疎通をしてナターシャさんが俺の方を向き

 

「八月一日君、私は検査を受けなきゃいけないから此処まで、あとはイーリスと交代ね。また機会が有れば模擬戦しましょう? 君はなかなかに有望だから成長を期待しているわ」

 

「ありがとうございましたナターシャさん、その時はまた胸をお借りします」

 

ナターシャさんに軽く頭を下げてお礼を言うと

 

「行くぞ八月一日、初代と妹が心配してっぞ? 」

 

「はい、今行きます」

 

ナターシャさんに、もう一度軽くお礼を言ってからヘリに乗りこむと、イーリスさんも乗り込み俺の正面の座席に座り

 

 

「シートベルトは、ちゃんとしろよ? 面倒だが規則だ」

 

そう言いながらイーリスさんは、本当に面倒くさそうにシートベルトをガチャガチャ鳴らしながらロックする、俺も言われた通りにシートベルトをすると、それを確認したイーリスさんが

 

「よし、回せ」

 

とヘリ操縦士に指示を出し、ヘリのエンジンが掛かりプロペラが回り始めバラバラと音を立てて飛ぶ

 

 

んーこう言ってはアレだけど、ヘリって結構煩いな、うん

 

 

そんなこんなイーリスさんに、軽く勧誘されつつ雑談をしていると

 

「お? もうすぐ着くってよ、機会があれば私とも模擬戦しようぜ? 」

 

「はい、その時は是非お願いします」

 

ニッと笑むイーリスさんに返答すると、余計上機嫌になり再び勧誘されたが丁重お断りをして着陸したヘリから降りイーリスさんとヘリ操縦士にお礼を言いヘリから離れて離陸するヘリを見送り、織斑先生の所へ向かう事にした

 

 

「多分、旅館の中・・・かな? 」

 

そういえば今、何時なんだろう? とか考えつつ玄関から旅館へ入りエントランスに差し掛かり

 

「戻ったか八月一日」

 

 

模擬戦前に見た時と同じ教員用のジャージを着た織斑先生がソファーから立ち上がって此方へ歩み寄りながら言う

 

 

「はい、今戻りました。あ、コレ診断書です」

 

「律儀な奴らだな、まぁ気持ちは分からんでも無いが」

 

診断書を渡すと織斑先生は軽く肩を竦めって呆れた様な表情をして言い

 

 

「今日の実習課程は終わっている、打鉄改も直ぐには実習出来る状態では無いだろう? メンテナンスを受けさせておけ、織斑は束と共にいる。場所は今転送した場所だ」

 

と織斑先生はなんか早口気味に説明し打鉄改宛にタブレットPCからマップを転送してくる、その様子に少し違和感を言うか疑問を感じたが、特別触れない方が良さそうなので触れない事に決め、返事をしてマップを頼りに目的地を目指す

 

 

歩く事、5分程度で目的地に辿り着き、篠ノ之博士が居るのは見えたが一夏さんの姿が見えず、首を傾げていると

 

「おや? 八月一日君じゃぁないか、お帰り〜」

 

「ただいま、です」

 

年齢不相応な少女の様な笑顔で、俺におかえりを言う篠ノ之博士に返答をすると

 

「いーちゃん なら旅館だよ? 箒ちゃんと鈴ちゃんに連れて行って貰ったんだ、そうでもしないと私を手伝おうとするからね」

 

「なるほど」

 

篠ノ之博士の言葉に納得し、頷くと

 

 

「打鉄改のメンテナンスなら私がやってあげるよ、最終調整は流石に いーちゃんにして貰うけど、大まかな所は、ね? 」

 

 

「分かりました、よろしくお願いします」

 

 

ISの産みの親と その直弟子以上に信用出来る整備士は居ないだろうと思い待機状態の打鉄改を篠ノ之博士へ渡しす

 

 

「とりあえず夕食までに私の方のメンテは終わらせて いーちゃんに渡しとくね? 君も疲れただろうし、少し休みなよ」

 

 

「ありがとうございます、失礼します」

 

 

篠ノ之博士に軽く頭を下げて旅館へ戻る

 

さて、一夏さんは何処かな? 逢いたい気持ちはあるが、緊張の糸が切れたのか、途端に睡魔が俺を襲い始める

 

 

「せめて部屋までは我慢しなきゃ・・・」

 

睡魔により軽くフラつきながら何とか部屋へ戻るとシャルルの姿は無かったのだが、もう限界だった俺に気にする余裕は無く、布団も敷かずに座布団を枕にして横になる

 

 

今日の模擬戦は、かなり勉強になったな・・・とか鈍い頭で考えている内に睡魔に負けてしまい、シャルルが夕食の時間になったら起こしてくれるのを期待して夢に落ちてゆく

 

 

また陽炎が夢に出てくるかな?

 

 

 






お待たせしました



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上弦の月が浮かぶ星空

 

 

 

ハヤカゼに飛鳥を積み込み薫君達へ送り出してから私は束さんの手伝いをして彼等の帰りを待つ、本音を言えば心配で仕方ない

 

 

そんなこんな気を揉んでいると、リィンを纏ったシャルが戻って来たが薫君の姿が無い事に気付き

 

「おかえりシャル、薫君の姿が見えないけど・・・」

 

「ただいま一夏、薫はヴェンジェンスの反動で相手と相打ちになったから今、回収船だよ。アチラさんが簡易検査までしてくれるんだってさ」

 

シャルは私の質問に答えてリィンを格納して、軽く伸びをする

 

「そう、分かった、ありがとう」

 

ひとまず彼女達に任せておけば安心、かな? と自分を納得させて

 

「飛鳥の具合は、どうだった?」

 

「機動力に限ってならフルアーマーより優れてる、ただ燃費は凄く悪いね」

 

私の質問にシャルは素直に答える、そしてシャルの言った事は私も認識している内容だった

 

 

飛鳥は確かにリィンや打鉄改の本体側のエネルギーを消費しないように飛鳥側に独立したエネルギー供給源を設けていて、エネルギー容量でいえば焔と変わらない、と言うか積み込めるエネルギーパックの容量が焔程度しか無かった

 

 

なので焔の3倍ぐらいは速い飛鳥は焔の3倍 推進剤を消費する訳で必然的に3倍早くガス欠になってしまう訳だ

 

 

この辺りは使用者本人と相談しながら改修をする所だろう

 

 

「それじゃ、箇条書きでいいから改修案を作ってくれる? 口頭だと忘れるかも知れないし」

 

 

「分かったよ一夏、それじゃぁ また後で」

 

 

私の言葉に返事をしてシャルは帰投報告をしに姉さんの所へ向かう、その背中を見送り、薫君が居ると思われる方角へ顔を向けて無事を願う

 

「打鉄改の堅牢さなら八月一日君は無事だよ、かすり傷ぐらいは有るかもだけど」

 

私の表情を見て察したのか束さんが私の横に立って頭を撫でながら言う

 

 

「・・・うん、そうだね」

 

そう打鉄改の基本設計は防御型を汎用機化したもの、その堅牢さは防御型ISの中でも随一だ、それでも心配になってしまうのは仕方無い

 

 

それから、だいぶ気を散らしながら束さんの手伝いをしていると、今日の実習課程が終わったらしく束さんに旅館へ戻る様に言われ渋ると音もなく現れた箒と鈴に両脇を抱えられて旅館へ強制連行され、部屋でのほほんさん+有志メンバーを含めた面子でトランプをする事になり1時間程トランプをした後、一瞬だけ明石が耳元で囁いたのでメンバーに断りを入れて部屋を出てエントランスへ向かうと、姉さんがソファーに座りタブレットPCを使い何かをしていたが、歩み寄ると

 

「ん? なんだ、旅館に戻っていたのか? まだ束の所だと思って其方へ向かわせてしまった、打鉄改を渡しただけなら今頃は部屋かも知れんが」

 

姉さんはタブレットPCから目を離さずに言い

 

 

「とりあえず夕食までは自由時間だ、風紀を乱さない程度にな? 」

 

と姉さんは私の方を向き、ニヤリと笑む。その顔は、いつもの教師としての顔ではなく私の姉としての顔だったので、何を揶揄しているか何となく分かったが敢えて無視する事にして、溜息だけ吐き薫君がいるであろう部屋へ向かう

 

 

エントランスから数分で辿り着き扉をノックするが、何も返事が無いので、まだ戻って来ていないのかと思い束さんの所へ向かおうと思った瞬間、部屋の引き戸が開き、ウサミミの生えた明石と同じくらいの少女が現れ

 

「マスターなら寝ておる、改めるか中で待ってくれ」

 

「あー・・・うん、分かった中に入らせて貰うね? 」

 

と私が言うと少女は うむ とだけ言い中へ入り道を開けてくれる、それから入室し、座布団を枕にしている薫君を発見したので起こさない様に座布団を外し膝枕する、そしてスースーと安らかな寝息を立てている薫君に安心し頬をゆるませる

 

それから陽が地平線を焼き尽くし辺りが暗くなった頃、携帯に姉さんからメッセージが入り夕食の時間が迫っている事を告げる、なので凄く名残惜しいが薫君を起こす事にし

 

「薫君、時間だよ? 薫君? 」

 

「・・・ん・・・?」

 

軽く身体を揺らし声を掛けると、ゆっくり薫君は目蓋を開き、寝ぼけているのか私の顔をボォッと見て数回瞬きをし、カッと目を開き

 

「い、いっ、一夏さん!? 」

 

余程驚いたのか、飛び起きる様に身体を起こして私の正面に座る

 

 

「ふふ、おはよう? いや、こんばんは・・・? ん〜うん、おかえりなさい薫君」

 

 

「ただいま、一夏さん」

 

慌てた様子の薫君が少し可愛いなぁと思いながら言うと、薫君は微笑み返してくる

 

「あ、この部屋って露天風呂があるんだね? 」

 

長時間膝枕をしていたせいで少し足が痺れていて、すぐには座敷まで歩けそうに無いので壁に手を付き立ち上がり露天風呂の方を向き言う

 

「凄いよね、そういえば凄く月とか星がよく見えるんだよ? 」

 

「へぇ、そうなんだ・・・ごめん薫君、少し手を貸してくれるかな? 足が痺れてて」

 

私は薫君にお願いして手を貸してもらい露天風呂へ出て薫君と並び視界いっぱいの星空と妖艶に輝く上弦の月を見て、その美しさに感動していると

 

 

「月が綺麗ですね」

 

と薫君が言ったので彼の顔を見ると、赤くなっていたので意味を察し、私も顔が熱くなるのを感じる

 

「貴方と一緒に見るからでしょう・・・ずっと一緒に月を見てくれますか? 」

 

 

「もちろん」

 

顔の熱さと戦いながら薫君へ返答すると、薫君は赤いまま顔で真剣な表情をして私を見つめてくれる

 

そして私達の顔が近付き唇が触れそうになった瞬間、部屋の明かりがつき、慌てて離れる

 

「一夏、迎えにきたぞ? 全く、時間を守らないとは、お前にしては珍しいな」

 

 

「ほら、早く行くわよ? 」

 

 

部屋に通じる扉が開き、箒と鈴が顔を出したので少し恨めしい視線を2人に浴びせておく

 

 

私は幸せだ

 

これまで、大変な事もあったけど、私は幸せだと思う

 

私を大切にしてくれる姉

 

私に生きる道導を授けてくれた歳上の幼馴染

 

至らない私を優しく導いてくれた親友達

 

そして、命の全てを捧げても構わないと思える最愛の人

 

私は1人ではない、1人では生きて来れなかった

 

私は幸せだ、これまでも、きっとこれからも

 

 

私は彼と共に前に進み続けよう

 

きっと立ち止まる事も、つまずく事も有るだろう

 

それでも私は、私達はきっと前に進み続けられる、そう思える

 

 






お待たせしました


『月が綺麗ですね』のくだりの解説を少し

『月が綺麗ですね』=『アイラブユー』と言うのはよく知られていると思います

しかし案外、返しについてはあまり知らないって言うかセットで使われてないんじゃないかな? って思っています

実は返しには幾つかバリエーションがあるらしいです

今回使った『貴方と一緒に見るからでしょう・・・ずっと一緒に月を見てくれますか?』は、実は2つのバリエーションをくっつけています

細かく説明する能力が私には無いので簡単にすると

『貴方と一緒に見るからでしょう』は『私も貴方を愛しています』

『ずっと一緒に月を見てくれますか?』は『ずっと愛していてくれますか?』

みたいな解釈になります、これは私の個人的解釈ですので悪しからず





さてさて、これにて本作の本編は終了とさせて頂きます


ハーメルンで執筆し始めて色々と書いて来ましたが、文字数も執筆期間も長い作品でした

またかなり楽しく書けた作品でもありました


約1年もの間、本作をお読み頂き誠にありがとうございました


本編は終了しましたが、蛇足を幾つか書きますので、そちらもお読み頂けると嬉しいです


年末〜年明けを目処に次を書き始める予定ではありますが、どうでしょうね?w



それでは、ありがとうございました



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蛇足
ストレス発散戦線


 

 

カツンカツンと俺が背中を預けているバリケードに弾の当たる音を聴きながら思う、完全に目をつけられてしまった、と

 

 

「2時方向、10m、バリケード裏、ごめん一夏さん、目をつけられてるっぽい」

 

「了解、私が前に上がるからカバーお願い」

 

「OK」

 

一夏さんと意思疎通をして俺は立ち上がりバリケードの上からM4を構えて単射で敵がいるであろう場所へトリガーを引き牽制をする

 

そして一夏さんは、その隙に体勢を低くしバリケードからバリケードへ移動し敵本陣へ前進したのを確認し、俺も一夏さんの隣へ移動を行う

 

 

「ふぅ、一先ずフィールドの半分までは上がれたね」

 

「そうだね、とはいえ後続が続かないとフラッグ取れないんじゃない? 」

 

 

俺達は背中合わせに、それぞれ警戒しながら会話する

 

 

「ん〜まぁそれはそうだけど、復活制限あるし無理にフラッグ取らなくても良いんじゃないかな? 」

 

俺の言葉に一夏さんは率直な意見を良い

 

「とりあえず私と薫君で相互援護しながらラインを上げれば後続も来やすくなるんじゃないかな? 」

 

「そうだね、そうしようか」

 

一先ず方針を決め、一夏さんが次のバリケードに移動出来る様に援護射撃しようと、ほんの少し頭をバリケードから出した瞬間、頭に衝撃を感じ

 

「ヒット〜」

 

とヒットコールしてアピールしながら自陣地へ移動を始める、的確に撃たれてしまった、アチラの陣営には凄腕のスパイパーが居るらしい

 

 

とか考えつつ陣地に戻りテーブルの上にあるカウンターを押して、消費した弾の補給と水分を摂取する

 

「真夏真っ盛りだなぁ・・・すっごい晴れてるし」

 

一夏さんが用意してくれたスポドリを飲みつつ空を見上げて物思いにふけていると

 

「お、薫もやられたのか? 」

 

「まぁね、弾も? 」

 

シューティングマスクを外し水分補給をしながら弾が尋ねてきたので答え聞き返すと

 

「おーよ、アチラさんにめっちゃ凄腕のスナイパーが居るわ、ヘッドショット食らった」

 

「・・・実は俺もスナイパーにヘッドショットされたんだ」

 

弾の言葉に俺もスナイパーにやられた事を伝えると、マジかよ と言った表情をし

 

「同一人物、か? いや、まさかな? 薫、どの辺りでヒットした? 」

 

弾がフィールドの簡易マップを開き尋ねてきたので指で示す

 

「俺がヒットしたのが、この辺・・・スナイパーが1人だったら相当の腕してるし、規制ギリギリまでカスタムしてあるライフル使ってるのかも知れねぇな」

 

「・・・まさか本職、なんて事もあるのかな? 」

 

俺と弾がヒットした場所は、そこそこ距離が離れている為、スナイパーの腕は相当と判断し、恐る恐る疑問を弾に投げかける

 

「ま、まぁ否定はできねーな、うん・・・自衛官とかIS国家代表選手だって趣味でサバゲぐらいするだろうし? つか元自衛官と元代表候補が現在進行形でサバゲしてるしな、うん」

 

「あ、あー・・・なるほど」

 

俺は弾の言う元自衛官(静さん)元代表候補(山田先生)の姿が頭を過り納得する

 

にしても山田先生も静さんも見た目からしてアウトドア派に見えなかったから趣味がサバゲって聞いた時は驚いたし、まさか静さんに誘われるとは予想していなかった

 

静さんがサバゲをする事を一夏さんは知っていたらしく、前々から誘われてはいたみたいだけど

 

まぁ一夏さんが行くならと一夏さんの指示の元、準備をしてサバゲーフィールドまで来たら弾は居るし、山田先生は居るし、ボーデヴィッヒさんとシャルも居てビックリした

 

なんでも年数回ある大規模な交流会イベントなのだそうで、アニメやゲームのキャラのコスプレをしている人も何割かいるし、そのコスプレ枠にボーデヴィッヒさんとシャルが入っていて、2人ともよく似合っていた

 

このサバゲーフィールドは、それなりに広く幾つがのエリアに分けられているので、複数のゲームを同時に進行出来るらしく、一夏さんについて行く事だけ決め、一夏さんの指示に従う事に決める

 

「静、背中の留め金ちゃんとハマってますか? 」

 

「大丈夫ですよ真耶」

 

ガチ装備を身に纏い何か静さんと物理的に距離が近い山田先生を横目に俺も支度をしたりした訳だった

 

 

と物思いにふけるのをやめて

 

「それじゃ行こうか、そろそろ制限時間も無くなってきた頃だろうし」

 

「だな、さてさて・・・一夏と合流出来たら御の字だな」

 

俺と弾はM 4を構えて戦線復帰をする、まぁぶっちゃけ楽しければ勝とうが負けようが気にしない、だってサバゲは遊びなのだから楽しんでなんぼだろう

 

 

そんな訳で弾と前線へ向かいながら思う事が1つ、なんかヒットした人とすれ違い過ぎてる気がするのだ

 

「弾、嫌な予感が」

 

「・・・言うな、俺も感じてるんだから」

 

と弾は俺の言葉をぶった斬り言う、多分 弾は俺と同じ事を考えている。先程話したスナイパーが、この先に居るんじゃないか? と

 

そんな事を考えて進み続けると明らかにヒットコールをする声がよく聞こえる距離まで来ていた

 

「さてさて、こっから先が最前線だな。鬼が出るか蛇が出るか、楽しみだな? 」

 

「出てくるのはBB弾だけだよ」

 

ニッと笑う弾に俺もふざけて返すと、弾は気に入った様で更に笑いM4を握りしめバリケードから少し顔を出し様子を伺う

 

とりあえず、さっきのリベンジ出来たら良いな

 

 






話数は未定ですが、オマケを暫く書いていきますので、良かったら読んで下さい



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ストレス発散前線 2

 

 

太陽光が燦々と輝く青空を見上げながら思う、リベンジ出来なかったなぁ〜 と

 

 

うん、普通に格好つける暇も無くヒットしてしまって結局スナイパーの居場所も見付けられなかった

 

 

ヒットした後、少し落ち込みつつ本陣に戻った所で制限時間が来てゲームが終わり、フラッグが取られなかったので、残機数で勝敗を決する事になり俺達のチームは残機数で負けてしまった、なので今はセーフティエリアのベンチに座り1人でボンヤリしていた所だ

 

 

「・・・・腕が良かったなぁ、向こうのスナイパーさん」

 

 

「ふふ、ありがとうございます」

 

 

セーフティエリアなので俺1人しか居ないわけではないが、独り言を呟いた瞬間に声が聞こえてビックリして声の方を見ると、ガチ装備にスナイパー用のマントみたいなヤツを身に付けスナイパーライフルを肩に掛けているオルコットがニコニコして立っていた

 

 

「なんかクラスメイトによく会う日だなぁ、オルコットも参加してたんだ」

 

 

「えぇ、ラウラさんに是非と誘われましたわ。シューティングマスクで顔が隠れていても迅速なクリアリング、牽制射、身のこなしで直ぐに貴方と分かりました、なので遠慮せずに取らせていただきました」

 

 

俺の言葉に答え、オルコットはさっきのゲームに参加していて俺を取ったと言ってくる

 

「え? もしかして二回とも? 」

 

「はい、二回とも、ですわ」

 

 

オルコットはニッコニコして楽しそうに質問に答える、なんか執念をも感じるが多分気のせいだと思う、思いたい

 

 

とか思いつつ、やっぱり代表候補ってすげぇなー と思う

 

 

オルコットの適性が中〜遠距離戦だから彼女とスナイパーライフルの相性は良かったのだろう、チョロっと見た感じ消音器(サイレンサー)を付けてあってただでさえ長いスナイパーライフル(L96A1)がさらに長くなっている

 

 

あれ? L96A1ってサイレンサー付けるためのネジ切り有ったっけ? とか考えていると

 

「次のゲームは同じチームで出ませんか? もちろん一夏さんも一緒に」

 

「俺は構わないけど、一夏さんにも聞いてみないと、ね? 」

 

 

オルコットの提案に肯定しつつ、一夏さんの意思確認をしてからじゃないとなぁと思い言う

 

まぁ一夏さんはオルコットとも仲が良いから断りはしないと思うけど、ね?

 

 

「あれ? セシリアも参加してたんだね? 」

 

「はい、ラウラさんに誘われて」

 

 

何箇所か有るフィールドへの出入り口から一夏さんが現れ、オルコットが居る事に気付き、一夏さんは俺と同じ様な質問をしてオルコットは答え微笑む

 

 

「そうなんだ、ラウラ達は まだゲーム中みたいだよ」

 

「その様ですわね、アチラはイロモノ系の方が多い様ですし、ゲームの内容もイロモノなのでしょうか? 」

 

 

相変わらず仲の良い2人の会話を聴きながら思う、確かにイロモノ系の人が多かったなぁ

 

某軍艦をコレクションするゲームの美少女キャラクターのコスプレをしてる男性陣が大量にいた、まぁ他の作品のキャラクターの人も大量にいたけどね? なんかクラシカルメイドの人も居たし

 

いや、別に否定はしないよ? コスプレも個人の趣味嗜好で自由だしね? でもサバゲーをやるには薄着な様な気もするんだ、うん

 

 

そういやボーデヴィッヒさんは、何のコスプレって言ってたっけ? えーっと確か銃の名前って言ってたな・・・ドイツの銃メーカーで・・・あ、そうG11だ、一部界隈では熱狂的なファンがいる銃らしいけど、よく分からないな

 

 

あと確かシャルがHK416だったかな? フランス軍で使われてるとか何とか

 

 

二人共よく似合ってたなぁ、とくにシャルは女の子にしか見えなかったし、嫌がりそうなイメージだったけど、慣れた様子で女装してたなぁシャル

 

 

とか色々考えいると

 

「薫君、薫君? 」

 

一夏さんに名前を呼ばれたので彼女の方を向き

 

「何かな? 一夏さん」

 

「次のゲーム、受付始まったよ? 行こう? 」

 

 

一夏さんは ニコッと笑み言う、俺は それに頷いて消費してしまったマガジンと予備のマガジンを入れ替えフィールドに持ち込む荷物を持って一夏さんと共に移動を始める

 

 

「今回は制限時間15分の無制限復活戦か、被キルカウントが多い方が負け、と」

 

 

至極分かりやすいルールだ、制限時間内で相手チームを多くキルすれば良いだけだ、もちろんスポーツマンシップに乗っ取りモラルとマナーを守るのが前提だけどね?

 

 

「あれ? そういえば、弾は? 」

 

前のゲーム中に分かれて以来ゲームが終わっても現れていない弾の存在を思い出し一夏さんに尋ねると

 

「弾? 弾なら虚さんが参加してるの見つけて虚さんの所に行ったよ? 」

 

「・・・虚先輩まで居るとは」

 

 

大規模イベントと言うに値する大規模イベントなんだなぁと納得し、弾の恋の行方が良い方向に向かっていく事を祈る

 

「いやぁ今日は蘭が生徒会の用事と被って不参加で良かった、参加してたら あの娘は何をするか分からないから」

 

 

と一夏さんは苦笑しながら言う、その様子を見て あぁ蘭ちゃんって昔からブラコンを拗らせてたんだなぁ と思い、ウチの弟が拗らせてなくて良かったと感じる

 

 

うん、妹ならまだしも、弟は流石に無い、うん、ない

 

 

 






随分と久しぶりにセシリアを出しましたw




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夏休みだよ、実家にGO

 

 

 

まだ早朝なのにジリジリと肌を焼く様な日差しを感じながら日課の朝練を終え、軽くシャワーで汗を流して色々と支度をしてから用意してあったボストンバッグを手に持ち部屋を後にする

 

 

今、IS学園の半数以上の生徒は夏休みに伴い帰省をしている、俺みたいに夏休みに突入しても1週間弱 寮に居るのもいれば、終業式直後に帰省する強者、そもそも帰省する気がない人、さまざまだ

 

 

実を言えばサバゲーイベントも夏休みに突入してからあったんだけどね?

 

 

そんな訳で一夏さんに会えなくなるのが嫌で少し粘ってみたのだけど、一夏さんが用事と織斑先生も夏休みに突入したから帰省する事になったし、親が少々しつこく連絡してきたから帰省する事にした

 

 

と言っても、夏休み中に何度かIS学園かお世話になった研究所に行ってテストやらデータ取りやらをする事になっている、少し面倒だけどね?

 

 

ちなみに制服だと目立つかは私服を着ている

 

 

「・・・今日は一段と晴れてるなぁ」

 

 

頑張りすぎている太陽に少しクレームをつけたくなったが、雨よりはマシだなぁ と言葉を飲み込んで、のんびり歩く

 

 

「不満か?マスター?」

 

 

もう見慣れた栗毛色の髪をした半透明の美少女、陽炎が俺の右斜め上ぐらいに現れ、尋ねてくる

 

 

「不満、不満か・・・そうだね、少し不満かな? 雨よりはマシだけど、暑いからね」

 

 

透けている陽炎がまさに、カゲロウの様にフワフワしてて少し面白いなぁと思いつつ陽炎へ返答すると

 

「なるほどのぅ、しかし夏だからのぉ仕方ないあるまい? 」

 

 

と陽炎は納得した上で俺を嗜める様に言う、うん 分かってるよ陽炎、重々承知しているよ、うん

 

 

そんなこんな陽炎と下らない話をしながら電車に乗り込み地元へと揺られる事、約2時間で地元の駅に到着し、丁度良い時間だったので駅近くのファストフード店の目に付きづらい角の席で実体化した陽炎と一緒に軽く食事を取り実家への道を歩む

 

 

たったの約3ヶ月離れていただけなのに妙に懐かしい気持ちになって、もう何年も帰ってきていなかった みたいな錯覚を感じながら歩く

 

 

約3ヶ月で変わっている所も有って少し変な感じだ

 

「此処がマスターの生まれ育った場所か、案外IS学園から近いの? 」

 

 

再び半透明になって漂い興味津々にキョロキョロしながら陽炎が言う

 

 

「そうだね、此処が俺の故郷だ」

 

 

と陽炎に答えると、見た目相応の反応で少し興奮した様子で質問してきたので軽く答えながら歩き続ける

 

 

駅から徒歩で約15分、俺は大通りから横道に入り実家のある高層マンションの入り口の自動ドアを合鍵で電子キーを外しエントランスに入りエレベーターに乗り実家の有る階のボタンを押す

 

 

あまり大ぴらに言わないが俺の父親は、会社員の中でも かなり高給取りらしく、俺が物心付いた頃には このマンションに住んでいた

 

なんでか分からないが外観も内装も劣化していない様に見えるから不思議だなぁ

 

 

ちなみに母親は俺を身籠ったのを機に専業主婦になったらしい、何の仕事をしていたかは、はぐらかされて聞けていない

 

 

そんな訳でエレベーターを降りて通路を歩き玄関扉の鍵を開けて中に入り

 

 

「ただいま」

 

と居るであろう母親に声をかけ、靴を脱いで廊下を進みリビングへ入る

 

 

「おかえり薫」

 

 

「ただいま母さん」

 

皿を洗っていた所だった様で水仕事をしながら俺に気付いてニコリと笑んだので改めて言う

 

「暑かったでしょう? 冷蔵庫に麦茶あるから飲んで? 」

 

 

「ありがとう、とりあえず荷物置いてくるよ」

 

 

母さんに、お礼を言い自室へボストンバッグを置き、再びリビングへ戻りキッチンへ行って冷蔵庫から麦茶を取り出し飲む

 

やっぱり夏は麦茶だよね、なんかそんな気がする、そんな事を考えながら ふと時計を見ると12時を少し過ぎた頃だった

 

「楓は? 」

 

俺が夏休みで有る以上、(カエデ)も夏休みだから家にいるのか少し気になり母さんに尋ねる

 

 

「楓? 楓なら部活よ、部活」

 

「部活か、なるほど」

 

 

俺は母さんの言葉に納得しながらコップに麦茶を注ぎながら、この後の事を考える

 

 

帰ってきて直ぐに出掛ける気にはならないし、出掛ける用事も無い

 

 

かと言って、何かやらないといけない事も特にない、まぁ課題は有るけど今はヤル気が起きない

 

 

なんか気持ちが盛り上がっていかない、此処数ヶ月は感じた事の無い虚無感?って奴を感じて、なんかヤル気が起きないんだ

 

 

そんなこんな麦茶を冷蔵庫に戻してから自室へ戻り、ベッドに突っ伏す様に寝転びボンヤリする

 

 

そういえば手放しでゆっくりできるのは約3ヶ月ぶりだ、結構疲れていたのかも知れないな、とか考えつつも虚無感を抱く理由は違う気がするな、と思う

 

 

まぁ良い、とりあえず今日はゴロゴロしよう。此処は実家の自室で今は夏休み、1日ゴロゴロして無駄にしても許される、多分

 

 

「・・・一夏さんに会いたいな」

 

 

仰向けになりボンヤリ天井を眺めていると、不意に口から そんな言葉が溢れる

 

 

 

どうやら俺は自分が思っていた以上に一夏さんが好きらしい、実家に帰省しただけでコウなる程に

 

とはいえ実際問題、一夏さんに会うのは難しいだろう。用事が有るらしいし、そもそも家の場所を知らないし?

 

 

「はぁ・・・あんま頼りたく無いって言うか、少し苦手なんだよなぁ・・・あの人」

 

 

が、現状を打開するには あの人を頼る他無いので腹を括り携帯の電話帳から目的の番号を選びプッシュする

 

 

願わくば、普通の対応をしてくれます様に!

 

 






ネタが浮かばなかったので、サバゲーの話から帰省まで飛ばしました




楓、ちゃんと出てくるかな?w




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夏休みだよ、実家から こんにちわ

 

 

プルルル・・・プルルル・・・と、いつもの電子音を聞きながら相手が電話に出るのを待つ事数回、電子音が途切れ

 

 

「やぁやぁ八月一日君、君から電話をしてくるなんて珍しいね? 君は私の事が苦手だと思っていたのだけど気のせいだったかな? いや気のせいではないだろうね? 」

 

 

開幕からテンション高めに挨拶する間も無く篠ノ之博士は喋り出し勝手に結論を出して満足そうだ、まぁ実際 俺は彼女の事が苦手なのは間違いない訳で

 

 

「ははは・・・突然すみません、ちょっとお願いって言うか教えて欲しい事がありまして・・・」

 

 

俺は何とか体裁を保つ為に言葉を紡ぐと

 

「いーちゃん と ちーちゃん の家の場所、かな? 」

 

とまさに聞こうとしていた事を篠ノ之博士に言い当てられてしまい、心臓が一瞬止まるかと思ったが何とか意識を保ち

 

「・・・よく、分かりましたね? 」

 

「はっはっはっ、この天才 束さんには全てお見通しさ! なんたって君が私へ連絡してくるなら、いーちゃん関係しかないしね? 」

 

篠ノ之博士は上機嫌な様で笑いながら楽しそうに言う、いや普通にスゲーな

 

 

「教えてあげるのは簡単、でもタダであげるのは私のポリシーに反するんだよねぇ〜? どうしようかなぁ〜? 」

 

 

本当に楽しそうに篠ノ之博士は俺を試す様な言い方をする、どんな無理難題を言われるか軽く冷や汗をかいていると

 

 

「よし、決めた。私が君へ望む対価は、いーちゃんとデートして来なさい。期限は夏休み中、場所は君自身がリサーチしてデートコースも選定する事、良いかい? 君が自分でデートの計画を練るんだ、それを対価とする」

 

「は、はい。分かりました」

 

 

俺は、あまりに良心的な対価に拍子抜けしてしまい、変な返事をしてしまうが、篠ノ之博士は愉快そうにクスクス笑い俺の様子を見て楽しんでいる様だ

 

 

「それじゃ約束通り、いーちゃん と ちーちゃんの家の場所を陽炎へ転送しておくよ、にしても私より簡単に教えてくれる人が沢山居るはずなんだけど、なんで私だったのかな? 」

 

 

「・・・そうですね」

 

篠ノ之博士は笑いながら俺に尋ねてきて、そこで俺は確かにそうだな と気付いてしまった

 

 

そうだよ、よくよく冷静に考えたら、わざわざ篠ノ之博士に連絡取らなくても弾とか数馬にクロエ、それこそ一夏さん本人や織斑先生も居るし、織部模型店まで行って家の場所を聞く事も出来るじゃないか

 

 

「もしかして気付かなかったの? 」

 

「・・・はい」

 

俺が素直に答えると篠ノ之博士は、クスクスと言う笑いからゲラゲラと笑い方が変わり、それはもう大爆笑していて何とも言えない微妙な気持ちになってしまう

 

 

「い、いやぁゴメン、君は本当 面白いねぇ八月一日君」

 

「ど、どうも」

 

数分後、漸く笑いが引いたのか軽く笑い疲れた様な声で篠ノ之博士に言われ、曖昧な返事を返す、正直 何が正解かよく分からないし

 

 

「おっと、そろそろ行かなきゃ。地図は陽炎に転送したから、あとは陽炎に聞いて? もし分からなかったら、その時は私より優しい人を頼る様に、ね? 」

 

「あ、ありがとうごいました」

 

 

俺が篠ノ之博士へお礼を言うと、彼女は聞いているのか分からないタイミングでバイバーイと言い通話を切る、それから数拍置き俺は深く溜息を吐きベッドに倒れ込み

 

「・・・疲れた」

 

電話1本するだけでこれ程疲れてるとは、やっぱり篠ノ之博士は苦手だ。いや彼女は悪い人ではないのは分かってるんだけど、何となく苦手なんだよなぁ

 

 

「大丈夫か? マスター」

 

ふわり と半透明の陽炎が現れ心配そうに俺の顔を覗き込みながら尋ねてくる

 

 

「大丈夫だよ陽炎、篠ノ之博士と電話して少し疲れただけだから」

 

「母上は個性的だからの、マスターの苦手な分類の人間かも知れぬな? 」

 

と言い陽炎は苦笑し

 

「それはそれとして、母上から織斑姉妹居住地のデータが転送されてきた。 現在地から推定で約2時間程で到着出来ると思うが、どうする? 」

 

 

陽炎は俺を気遣ってくれている様で、そう尋ねてきたので どうしたものかと時計を確認すると、大体15時を示していた

 

「・・・流石に今からはダメだね、早くて明日、かな? 」

 

そもそも突然訪問するのも失礼だろうし? ひとまず一夏さんに連絡してからにしないとな、と答えを出しベッドから立ち上がり喉が渇いてしまったのでキッチンへ向かうと、楓が麦茶を飲んでいたので

 

「楓、俺にも麦茶くれ」

 

「お? おー」

 

楓は自分が使っていたコップに麦茶を注ぎ俺に渡してきたので受け取り麦茶を飲み干す、やっぱり夏は麦茶だなぁ

 

「なぁ、兄貴? 俺の見間違えだと言いんだけどさ? 兄貴って兎の幽霊に憑かれてる? 」

 

「は? お前、何言ってんだよ? そんな訳・・・」

 

珍しく焦った様な表情をしている楓に、とうとうおかしくなったのか? と思いつつ楓の目線の先に眼を向けると、俺の右肩辺りで半透明の陽炎がフヨフヨ漂っているのを見て、楓が言った兎の幽霊が陽炎だと気付く

 

 

「半透明でも見えるんだ、知らなかった」

 

「うむ、吾輩も知らなかった。 もしかしたら此奴も適合者かも知れぬぞ? 」

 

 

と陽炎は少し面白そうに言うが、正直 俺的には笑えない。喧嘩はするが嫌いじゃない弟を、IS学園に入れるのは少し躊躇いがある

 

こう言っては何だが、少々所ではないぐらい息が詰まるからなぁ、本当

 

 

とりあえず楓に陽炎を紹介して誤解を説いとこう、じゃないと後々面倒そうだしね?

 

 






お待たせしたした


電話する相手を間違えた回でしたw


薫君、ドンマイw



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帰省と再会、報告



一夏ちゃん視点


なんか久しぶりな気がする




 

 

IS学園も夏休みに入り約1週間が経った今日この頃、薫君と過ごしていたいけど、実家に姉さんを1人にするのも心配だし、何より行かなければならない場所がある。それに束さんとも約束もあったので、後ろ髪を引かれつつIS学園を離れ実家に帰省する事にした

 

 

IS学園から約1時間で実家に辿り着き、家の窓からと言う窓を全開にして換気をする

 

 

「暇をみて戻ってきて掃除とかしてたけど、やっぱり本格的に掃除しなきゃダメだな」

 

 

仕事の都合で帰りが昼過ぎになると言っていた姉さんが帰ってくる前に掃除を済ませてしまおうと思い、外行の服から汚れて大丈夫な部屋着に着替えて掃除用のエプロンをして掃除を始める

 

 

それから3時間程で大体の掃除が終わり、庭の方を見て草刈りは姉さんに任せよう、と心に決めていると姉さんが帰って来た

 

「相変わらず優秀だな、一夏」

 

 

「ふふ、ありがとう。でも褒めても何も出ないよ? 姉さん」

 

 

何か疲れた様子の姉さんがソファーに座り、私を褒めて来たので軽い調子で返しておく

 

「掃除は大体終わってるみたいだな? 手付かずは庭だけか? 」

 

 

「あぁ、うん。そうだね」

 

ネクタイを緩め、ブラウスの第1ボタンと第二ボタンを外し肩を回しながら姉さんが尋ねてきたので答え、姉さんの後ろに回り肩を揉む

 

「むむ・・・固い、これは強敵だ」

 

 

「あぁ〜・・・助かる」

 

 

臨海学校の時も姉さんの全身揉んでおいたけど、この短期間で こんなに凝り固まるなんて予想外だったなぁ、とか考えつつ念入りに時間をかけてマッサージを続けていると薫君から着信が入り、一旦マッサージを止めて少し期待しながら電話に出る

 

「もしもし、薫君? どうしたの? 」

 

「あ、一夏さん? 突然ごめん、今 大丈夫かな? 」

 

「うん、大丈夫だよ? どうしたの? 」

 

少し疲れた声をしている薫君が少し気になったが一旦気付かなかった事にして、答え姉さんを見ると珍しくニヤニヤしていたので、あからさまに見ない様に眼を逸らしておく

 

「実は、一夏さんの家に行ってみたいなー、なんて・・・思いまして、はい」

 

薫君は、どこか緊張した様子で そんな事を言ってきたので、私のテンションがかなり上がり姉さんを見るとサムズアップしていたので、姉さん公認で薫君を我が家に招ける、と思っていると姉さんがチョイチョイとジェスチャーをしたので、耳を寄せると小声で耳打ちされ、分かったと姉さんに伝え

 

「薫君、急で申し訳ないのだけど、明日でいいかな? って姉さん? ちょっと!? 」

 

 

薫君に説明をしようとした瞬間、姉さんに携帯を取られ

 

 

「八月一日・・・いやプライベートだ、気安く薫と呼ばせてもらうぞ? 薫、急で悪いが明日 我が家に来てくれるか? 服装は上は黒、下は派手ではないズボンで頼む」

 

「あ、はい。分かりました」

 

「すまんな、お前に会わせたい・・・いや、お前を会わせたい人達が居る。その為に必要な準備なんだ」

 

 

と姉さんは薫君に説明し、私に携帯を返して私の頭を軽く撫でてからリビングを出て行く、それから少し薫君と話をして掃除の残りや家事をして就寝した翌朝、私達は支度をして姉さんが運転する車で駅へ向かい薫君と合流する

 

 

「お待たせ、待った? 」

 

「大丈夫、さっき着いたばっかり」

 

挨拶もそこそこに薫君を後部座席に座らせ私も その横に座ると、ルームミラー越しに姉さんが軽くニヤッとしたのが見えたが見えなかったふりをする事にする

 

 

「それで・・・何処に向かっているんですか? 」

 

 

「・・・会わせたい人のいる場所だ、着けば分かる」

 

 

「は、はぁ・・・」

 

 

薫君は軽く戸惑いながら曖昧な返事をする、仕方ないかも知れない、彼女の家に行こうとしていた筈が、彼女の姉が運転する車に乗せられて運ばれている訳だから

 

それに、姉さんは両親の話をあまりしたがらない。それは私に気を遣っているのか、姉さん自身が辛いからなのかは分からないけど、あまり語らない

 

だから私も普段は触れない様にしている

 

 

駅から車で数十分、それなりの広さの霊園へ到着し、車から降りてトランクから諸々一式を下ろし

 

「・・・こっちだ、薫」

 

「はい」

 

さっきニヤニヤしていた人と同一人物か疑いたくなる様な真剣な表情で薫君に言い先導していく

 

 

駐車場から数分歩き、目的地に辿り着き

 

 

「・・・久しぶり、父さん、母さん。今年も夏が来た」

 

姉さんは両親の眠る墓標へ話かける、約10年前の丁度この時期に両親は他界してしまった、私はよく覚えていないのだけどね?

 

 

「・・・会わせたい人って」

 

「私達の両親、だよ薫君」

 

 

少し戸惑っている薫君に、そう言い私は線香に火をつけて供えて手を合わせて

 

 

「父さん、母さん、久しぶり。息子から娘に代わってしまったけど、私はあの頃に比べたら元気になりました。こんな私だけど私を理解し受け入れてくれる人が出来ました」

 

 

両親へ約1年の報告と薫君と言う恋人が出来た事を報告する、仮に両親が生きていたら、どんな表情をするだろうか?

 

手放しで喜んでくれるのだろうか?

 

それとも、真っ向から否定したりするのだろうか?

 

 

そんな想像が私の頭を巡り、答えは出ない

 

 

「・・・はじめまして、一夏さんと交際させて頂いている 八月一日 薫と言います。急な訪問になり申し訳ありません、千冬さんや一夏さんから家庭環境について多少聞き及んでおり、お二人が既に鬼籍に入られている事も知っていました。俺は必ず一夏さんを幸せにして見せます、約束します」

 

 

薫君は両親に向かってまっすぐに力強く言う、その様子に私の鼓動が速くなり、もう幸せ過ぎて倒れてしまいそうなぐらいだし、姉さんは姉さんでウンウン頷き、よく言った みたいな表情している

 

 

あぁ、私は幸せ者だ

 

カッコいい彼氏と強くて優しくて頼りになる姉が側に居てくれる、幸せだ

 

 






お待たせしました


ちょっと無理つめました、すみません





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8月1日



一夏ちゃん視点





 

 

両親への報告を終えた後、再び姉さんの運転する車で自宅に戻り、姉さんはさっさと着替えてニヤニヤしらながら出掛けて行った

 

 

ニヤニヤしてなければ素直に感謝出来た気もするけどなぁ、と思いつつ夕飯は姉さんの苦手なゴーヤを使った料理にしようと心に決めて薫君とお家デートをして幸せな時間を過ごした

 

 

それから約1週間の時が流れ8月1日、私は少し緊張しながら駅の改札を出て薫君と待ち合わせの目印を探す

 

そう、今日は薫君のお家へ訪問する日なのだ、鈴や箒+α(ゆうし)の協力で私達の考えた最強のコーデで今日を迎えている

 

 

ただのお家訪問だけなら、ここまで気合いを入れたりしない・・・多分、気合いを入れている理由、それは薫君の誕生日だからだ

 

 

初めての彼氏、その彼氏の初めての誕生日、ここに気合いを入れなくて何処に気合いを入れるのか? ってぐらい気合いを入れている

 

 

「あ、薫君、お待たせ。待った?」

 

「うぅん、今さっき着いた所だから大丈夫」

 

 

数分掛からずに目印を見つけ薫君と合流する、今日も薫君はカッコいい

 

 

それから お家までの道中で軽く案内をして貰い、薫君が住む高層マンションへ辿り着く

 

そういえば、こうゆう高層マンションに入るのは初めてかも知れない と思い少しキョロキョロしているのを薫君が微笑ましそうに見ていて少し恥ずかしくなってしまった

 

薫君が電子キーで自動ドアを開けてエレベーターに乗る、あぁ緊張で心臓が爆発するんじゃないかってぐらいバクバク言ってる

 

 

エレベーターから降りて、とうとう薫君のお家に辿り着き

 

「ようこそ、我が家へ」

 

薫君がニコッと笑み、玄関の扉を開けて家の中に招き入れてくれる。あぁやっぱり薫君はカッコいい、よし結婚しよ

 

とか少し邪な事を考えつつ、薫君にお礼を言い靴を脱ぎ揃えて予め用意されてた来客用のスリッパを履いて、バススロットに格納していた手製のプリンが入った紙袋を展開して薫君の背中を追い、廊下を進んでリビングへ入る

 

 

「ただいま母さん」

 

「し、失礼します」

 

 

リビングに入ると、黒髪の妙齢の女性がテーブルに座って本を読んでいて薫君は彼女に ただいま と言う、なるほど薫君は お母さん似だな。うん

 

 

「おかえり薫、そして いらっしゃい。一夏さん」

 

 

ニコリと お母さんは笑み本へ栞を挟み閉じて立ち上がって私達の方へ歩み寄ってくる

 

「はじめまして、織斑 一夏と言います。 薫君とお付き合いさせていただいています。あ、良かったら食べて下さい。プリンです」

 

 

「あら、ありがとう」

 

軽くテンパリながら お母さんへ自己紹介し紙袋を渡すと、お母さんはさらに温和な笑みを浮かべる、ヤバイ緊張し過ぎて変な汗かきそうだ

 

 

「今、飲み物を用意するわね? 座ってて? 薫」

 

「あいよ、一夏さん。どうぞ」

 

「え? あっ・・・」

 

 

薫君と お母さんの連携で私は流されるままイスに座らされる、流石は薫君・・・私の事がよくわかってる

 

 

「大したおもてなしも出来ないけれど」

 

「い、いえ、お構いなく」

 

お母さんはニコニしながらアイスティーを私に出してくれる、すごい良い香りのアイスティーだなぁ

 

 

「ふふ、緊張しなくて大丈夫よ? って言っても緊張してしまうと思うけれど、肩の力を抜いて大丈夫よ」

 

 

と、お母さんは優しく私へ諭す様に言われ、少し肩の力が抜けた様な気がする

 

 

「にしても、こんな美人な娘をウチに連れてくるなんて・・・ねぇ? 」

 

 

「美人なんて、そんな」

 

 

「・・・母さん、一夏さんが美人なのは間違いないけど、もう少しオブラートに包んだりしてよ」

 

 

温和な笑みを浮かべたまま言う お母さんに薫君が真顔で言い、嬉しいと思う反面、すごく恥ずかしい

 

 

「可愛い、薫。絶対に一夏ちゃんを離しちゃダメよ? 命に代えても守りなさい」

 

「もちろん、そのつもりだよ」

 

 

恥ずかしくて身悶えている間に薫君と お母さんで何かが締結した様だけどいろと混乱して聞き流してしまった

 

 

「一夏ちゃん、いつでも お嫁に来て良いからね? 」

 

「はぇっっ?! い、いや・・・ま、まだ早いって言うか、まだ出来ないので? したいですが・・・」

 

「母さん! だから、もうちょっとオブラートに! 」

 

 

「あらあらあら〜」

 

 

お母さんの言葉に更に混乱し盛大に本音をブチまけてしまったが、お母さん は『あらあら』と何か嬉しそうに言い薫君は軽く お母さんを窘める

 

そんな軽く混沌とした空間のリビングに、薫君に似た少し髪が短めの少年が入ってきて

 

「あっちぃ・・・あれ? お客さん? ん?? 」

 

冷蔵庫に直行し、冷蔵庫から飲み物を取り出してコップに注ぎながら彼は私に気付き、3度見ぐらいする

 

 

「兄貴、その人って・・・」

 

「楓、お前さすがに失礼じゃないか? まずは挨拶だろ? 」

 

 

普段とは違い、少し強めの口調で口をパクパクしている楓君に薫君は言う

 

うん、普段の優しい口調も良いけど、こうゆう少し強めの口調も良いな、カッコいい。よし、結婚しよう

 

 

「お、おー・・・八月一日 楓、です。その薫の弟で今、中2っす」

 

 

と楓君は、おずおずと自己紹介をする。何か可愛いな、この子

 

「はじめまして、織斑 一夏です。薫君とお付き合いをさせて貰っています、よろしくね? 楓君」

 

 

薫君のおかげで大分人見知りも改善されてきたおかげで、すんなり自己紹介が出来た

 

 

あとは、お父さんだけか、緊張するなぁ

 

 






お待たせしました


どうでしょう? こんなんで良いっすか?



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真夏の攻略戦




薫君視点


 

 

 

 

一夏さんに誕生日を祝って貰い、楓にイジられたから軽く教育的指導(シバい)した日から数日、IS学園でデータ収集をしなければならなかったので実家を離れて寮の自室に一泊

 

次は また1週間後にキャノンボールファスト用のバックパックの調整とデータ取りがあるので、少し面倒だなぁと思いつつ弾が家に招いてくれたので、財布と必要最低限の荷物だけ持って寮を出る

 

 

あまり早く行っても迷惑だろう、と判断して少し ゆっくりして寮を出た訳だけど、真夏だからめちゃくちゃ暑い

 

 

「今日も今日とて快晴だな・・・」

 

 

日影を意識して移動をするが、日差しが真上に近づいているので大した効果もなく歩いてIS学園の最寄駅に辿り着くと、見慣れた栗毛色の髪をした先輩がホームで そわそわ しているのを見つける

 

 

いつも冷静で落ち着いた印象の先輩が、そわそわ しているのが気になり

 

 

「あの〜虚先輩? おはようございます」

 

 

「?! あ、あぁ・・・八月一日さん、おはようございます。お出かけですか? 」

 

少し控え目に挨拶をしてみると、彼女には珍しく近くに(ひと)がいるのに

気付いていなかった様でビクッと肩を揺らしてから、挨拶を返してきて尋ねてくる

 

 

「はい、友達に呼ばれてて。先輩は? 」

 

 

そこまで虚先輩と交流がある訳では無いので、対して私服を見た事もないから彼女が何処に行こうとしているのか、単なる帰省か 分からないので尋ねてみる

 

 

「そうなんですね? 私も似た様な感じです」

 

と虚先輩は、軽く挙動不審になりながら言うので、あ〜これは何か隠してるな と確信を持つが、詳しく問いただす程 興味がある訳でも、先輩と仲が良い訳でも無いので気づかなかった事にし

 

「そうなんですね」

 

軽く流す感じで相槌を打つ、そういえば昨日一緒にデータ収集をした一夏さんは昨日の内に実家へ帰って行った。なんでも翌日に緊急の用事が出来てしまったとか

 

 

また篠ノ之博士絡みか? と思ったが、一夏さんはあまりそうゆうのを話したからないから俺にはサッパリ分からない

 

 

まぁそんなこんなで電車に乗り目的地の最寄駅へ移動し、虚先輩が同じ駅で降りた瞬間、猛烈に嫌な予感がし始め、これはもしや? と思い始める

 

 

いやいやいや、まさか、ね? とか自分を誤魔化しつつ虚先輩の視界から逃れる様に移動し、出来るだけ気配を消して先輩の動向を探る事にしよう

 

 

「・・・これほど、予想が外れて欲しいと思った事はないなぁ」

 

 

「マスター、言霊というものが有ってだな? 」

 

 

いつもの様に唐突に現れた陽炎に言われ、肩を落とす

 

まぁ十中八九、予想通りなんだろうな、と

 

 

「・・・弾の実家って事は蘭ちゃんが居る訳で? あぁ・・・うん、まぁそうか、うん」

 

 

多分、虚先輩と俺の目的地は同じで、一夏さんも多分居る

 

 

三人がかり・・・いや数馬も含めて4人になるのか? まぁ複数人で蘭ちゃんを抑えるつもりなんだな? 弾

 

 

と、友達を疑いつつ虚先輩に察知されない様に移動を始める

 

 

まさか蘭ちゃん、虚先輩に オマコロをかまさないよね? いや無理か、絶対やるは あの娘・・・

 

 

この先の展開を予想し軽く憂鬱になりつつ五反田家へ到着し、居住区の入り口を探す虚先輩に

 

「家の入り口ならアッチですよ先輩」

 

「・・・何故アナタが? まさか」

 

俺の姿を見て何かを察知して少し残念そうな表情をする虚先輩を居住区の入り口へ案内し、インターフォンを押し数秒で扉が開き弾が顔を出して

 

 

「おー悪いな薫、いらっしゃい虚さん」

 

「全くだよ」

 

「失礼します、弾君」

 

全く悪びれていない弾に溜息を吐きながら家に入る、虚先輩は少し緊張している様子だ

 

 

「えーっと、客間に・・・廊下進んで右手の扉が空いてる所だ」

 

 

弾の案内を聞き客間に行くと、予想通り一夏さんが居て既に眼にハイライトが無い蘭ちゃんを撫でていた、ただ数馬の姿が無かったので弾に尋ねる

 

「数馬は? 」

 

「彼女と中国旅行中」

 

「・・・数馬って彼女居たんだ、知らなかった」

 

 

弾の言葉に軽く衝撃を受けつつ、どこに座るか考える

 

 

普段なら迷わず一夏さんの隣なんだけど、今回に限ってはダメだ。一夏さんは既にスイッチが入ってそうな蘭ちゃんの横に座っている、流石に見るからに危なそうな場所に座れる程、俺は肝は据わってない

 

かと言って、1番安全そうな場所には虚先輩を座らせるべきだ・・・仕方ない、虚先輩の横に座ろう、もしもの時 横なら対物シールドの展開も間に合うだろうし、部分展開さえすれば凶器は俺には刺さらないしね? うん

 

 

「虚さん、普通のお茶ですが、どうぞ」

 

「ありがとうございます、弾君」

 

 

とか弾が言いつつ虚先輩の前に冷たいお茶を置き笑む、ふむふむ・・・これは付き合い始めてるな? と考えつつ弾からお茶を受け取り一口飲む

 

 

「えーっと・・・蘭、この人が今、お付き合いさせて貰ってる虚さんだ」

 

「・・・五反田、蘭です。兄がお世話になっています」

 

弾が虚先輩を紹介し、先輩が自己紹介をする間を与えずに纏わり付く泥の様なオーラを纏い蘭ちゃんが自己紹介をして、社交辞令を言う

 

 

やべぇ、めっちゃ怖い・・・一夏さんの事で釘を刺された時より闇のオーラが強い

 

 

ほんと、役目が無かったら逃げ出したいぐらいだ

 

 






我慢出来なかったですw




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真夏の攻略戦 2


薫君視点


 

 

そんなこんなで蘭ちゃんの様子にヒヤヒヤしながら様子を伺っていると

 

 

「はじめまして、私は布仏 虚と申します。弾君とお付き合いをさせていただいています、よろしくお願いしますね? 蘭さん」

 

 

と虚先輩は蘭ちゃんの様子を知っていて気にしていないのか、単に気付いていないのかは分からないが、にこやかに蘭ちゃんへ自己紹介する

 

 

う〜ん・・・心なしか蘭ちゃんのオーラが更に闇になってる気がするなぁ・・・よし陽炎、もしもの時は助けてくれ、と陽炎に伝えておく

 

 

「・・・よろしくお願いします、虚さん」

 

やはり眼にハイライトが無い蘭ちゃんは最早魔王みたいなオーラを纏い言う、本当この姿を見て蘭ちゃんが普通の女子中学生と思えないんだけど、マジで

 

 

「ふふ、お兄さんを取られて嫉妬をする。 弾君は愛されていますね? 」

 

 

と虚先輩が突然 軽く笑い言う、言動からして最初から気付いていた様だ。虚先輩の胆力すげぇ

 

 

「え? はは・・・どうも」

 

 

虚先輩の言葉に弾は反応に困った様で曖昧な返事をし、蘭ちゃんは『何だ、コイツ』みたいな目で虚先輩を見ている、ちなみ一夏さんはキョトンとして可愛い

 

 

「ですが、いつかは来る事は分かっていた事、それが来てしまっただけの事、ですよ、蘭さん?」

 

 

「・・・何を分かった様な事を! 」

 

 

蘭ちゃんを諭す様な言い方で虚先輩は言い、蘭ちゃんは今にも飛び掛かりそうなオーラを纏い言う、虚先輩が気に入らない様だ

 

 

「事実ですよ、別れは必然なのですから」

 

 

先程まで、優しげな雰囲気を纏っていた虚先輩がキリッとした雰囲気に変わり蘭ちゃんを真っ直ぐ見据え言う

 

 

やっぱり俺達より少し長く生きているから言葉に重みがあるなぁ

 

 

「・・・認めない、認められる訳がない。一夏さんだけじゃなく、お兄まで・・・」

 

 

「・・・貴女の心中を察する事は出来ませんが、机の縁に仕込んだ得物を使うのは辞めておいた方が貴女の為です。その程度のものでは私に届きませんから」

 

 

「なら、確かめてあげるわよ!!」

 

虚先輩が突然、そんな事を言い出して俺達が戸惑っていると、蘭ちゃんの我慢が限界に来たのか机の縁からナニカを握り締め机を飛び越えて虚先輩へと襲いかかり、まずい対応しなきゃ と思った瞬間、蘭ちゃんは元いた場所に少し体勢を崩した状態で座っていて、虚先輩は蘭ちゃんから奪ったであろう小型のナイフを光に翳し見ていた

 

「やはりコレで人を殺めるのは難しいですね、強度が足りません」

 

 

と虚先輩は、そう言いながらナイフの刃をバキンと折って使えなくして、ハンカチに包み自身のハンドバッグへしまう

 

 

え? 虚先輩って見た目によらず強い人なの? え? と軽く混乱していると

 

 

「蘭さん、貴女に認めて欲しいのが私の本心です。しかし、認められるかは貴女の決める事、無理強いはしません。 私を殺したいなら殺せば良い、まぁ殺せれば、になりますが」

 

 

と虚先輩は再び蘭ちゃんに諭す様に言い微笑む

 

 

えぇ・・・虚先輩強すぎじゃない? 胆力もあるし・・・虚先輩って実は普通の人じゃないんじゃ? もしかして実家がヤの付く自営業とかじゃないよね?

 

 

いや、のほほんさんを見る限り違うかも、うん

 

 

と言うか、一瞬の事で呆気に取られてしまって、蘭ちゃんもだけど誰も反応が出来てない、なんとも言えない空気が漂ってしまう

 

 

が、次の瞬間

 

「入るわよ? 」

 

と弾と蘭ちゃんと同じ赤毛をした蘭ちゃんを成長させたらコウなるんだろうなぁ?って顔をした女性がニコニコしながら入ってきて

 

 

「はじめまして、貴女が弾の彼女さんかしら? 」

 

「あ、はい。お初にお目にかかります、布仏 虚と申します。ええっと・・・弾君のお姉さん、ですか? 」

 

 

虚先輩は赤毛の女性の質問に答え自己紹介をして質問する、あれ? 確か弾って2人兄妹、つまり妹しかしない筈・・・とか考えていると

 

 

「・・・母さん、店の方は大丈夫なのかよ。まだランチタイム過ぎてねーだろ? 」

 

弾は少しぶっきらぼうに赤毛の女性へ言い、俺は4度見ぐらいする。どうみたって二十代前半ぐらいにしか見えないので驚いていると

 

 

「大丈夫よ、お父さんとお爺ちゃんが頑張ってるわ」

 

とサムズアップして言う、何というか面白い人だなぁ

 

 

「それじゃぁ改めて、私は この子達の母親の蓮、よろしくね? 」

 

蓮さんは中学生と高校生の子供がいる様には見えない若々しい笑みを浮かべて言う、ん〜見た感じ化粧とかで化けているわけでは無さそうだ、うん

 

 

「はい、よろしくお願いします。お母様」

 

虚先輩は数テンポ遅れて軽く頭を下げて蓮さんへ言う

 

 

「弾、逃がしちゃダメよ。虚ちゃん以上の人は、そうそう居ないわよ」

 

 

「お、おう。頑張るよ母さん」

 

 

なんと言うか、面白い人だな蓮さん。 良い意味で遠慮が無い感じだ

 

 

「ん〜それじゃ、君が一夏ちゃんの彼氏かな? 」

 

 

「はい、八月一日 薫です、よろしくお願いします」

 

 

蓮さんは急に俺の方を向き、品定めをする様に見ながら訪ねてきたので素直に答える、事実だし?

 

 

「一夏ちゃんを守ってあげて? この子、結構溜め込むタイプだからさ? 」

 

 

「分かりました、必ず守ってみせます」

 

 

これで通算何回目かの約束を蓮さんとする、そして改めて決意する。必ず一夏さんを守ってみせる、と

 

 

 






無理矢理になってしまった、申し訳ない




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納涼の夜




薫君視点


 

 

 

 

蓮さんの介入により蘭ちゃんの虚先輩襲撃の件は有耶無耶になり、俺と虚先輩は蓮さんに色々と根掘り葉掘り質問攻めにされてしまったが、まぁなかなか有意義か時間だったのかも知れない

 

 

そんなこんなでキャノンボールファストに向けたユニット調整とデータ取りをしたり、束さんに言われた様に一夏さんとデートに行ったり、弾達と遊んだり、課題をしたりと約2週間が経過した今日この頃、嫌いじゃないが苦手な人から携帯へ電話が掛かってきた

 

 

「はろはろ〜薫君かにゃ〜? 束さんだよぉ〜」

 

 

電話を取ると、まだ昼・・・12時を少し過ぎた頃なんだけど、篠ノ之博士は酒でも飲んでいるのでは無いか? と疑いたくなるぐらいテンション高めに挨拶をかましてくる

 

 

あといつの間にか苗字から名前呼びに変わってるし、いや構わないんだけどさ?

 

「あ、はい。こんにちは、何かありました? 」

 

 

「ちょっとお節介をね? 今日、ウチで納涼祭をやるんだよねぇ〜だから いーちゃん誘って行っちゃいなよ」

 

 

と篠ノ之博士は少し危うい雰囲気を出しつつ俺に提案してくる、嬉しい助言? 提案ではあるが、この人マジで酒飲んでるんじゃね? と疑いつつ

 

 

「あ、ありがとうございます」

 

 

「うんうん、いーちゃん をよろしくね? ついでにニャンニャ・・・あー」

 

 

篠ノ之博士が余計な事を言おうとした瞬間、何者かが通話を切った様だ、と言うか絶対篠ノ之博士、酒飲んでたな、うん

 

 

「それにしても納涼祭・・・か」

 

 

篠ノ之博士曰く、ウチ と言っていたから恐らくは篠ノ之神社の事だろう。なら位置的に門限がある寮より実家に戻る方がいいかな? と考え、次に一夏さんの浴衣姿を想像をしてしまう

 

 

見たい、見たいぞ。絶対一夏さんは浴衣似合うと思うんだ! とすればやる事は決まっている、まずは一夏さんに電話だ

 

そう決め、携帯で一夏さんへ電話をする

 

 

「あ、一夏さん? 今大丈夫かな? 」

 

 

「うん、大丈夫だよ? 」

 

数回電子音がした後、一夏さんが電話に出て質問に答えてくれる

 

 

「今日、納涼祭があるらしいんだけど、良かったら一緒に行かない? 」

 

 

「納涼祭? あ、あぁ篠ノ之神社で毎年やってる奴かな? うん、是非」

 

 

やはり納涼祭の場所は篠ノ之神社らしく、一夏さんが把握していた様ですんなり話が進む

 

 

「待ち合わせの場所なんだけれど、篠ノ之神社の境内で良いかな? 実は私、実家で用事があって戻ってて」

 

「え? あぁうん、俺は大丈夫だよ? 一応道は覚えてるから、それじゃ篠ノ之神社で」

 

「うん、ありがとう」

 

 

と一夏さんとの電話を切った後で、浴衣の話をするのを忘れた事に気付き、寮の自室にあるベッドの上でのたうち回り後悔する

 

いや、まだだ、まだワンチャン奇跡が微レ存・・・と言うわけで奇跡を信じる他無くなってしまった

 

 

それから色々と支度をして外出届けと外泊届けを提出し電車に乗り最寄り駅へと向かう、今回は電車で知り合いに遭遇しなかったな、良かった

 

 

とか考えつつ、目的地で有る篠ノ之神社へと歩み出す

 

 

「えぇっと・・・確か、この道をコッチか」

 

 

一夏さんには見栄を張ったが、一回だけ行った場所を完全に覚えてはいないので記憶を探りながら慎重に進む

 

 

少し迷い掛けたが何とか篠ノ之神社に辿り着き一安心していると

 

 

「やぁやぁ薫君、待っていたよ? 」

 

 

「うわぁっっ篠ノ之博士?! 」

 

巫女装束に身を包んだ篠ノ之博士が音も無く死角から現れた言う、いつのまに・・・

 

 

「もぉ〜篠ノ之博士なんて他人行儀だぞぉ〜? さぁ気安く束さんって呼び給えよ」

 

 

「は、はぁ・・・」

 

 

俺と篠ノ之博士の距離は約2m、この距離で呼気から感じるアルコール臭、この人は既に相当量の酒を飲んでるな、こりゃ

 

 

と思い、面倒事に巻き込まれない内に逃げようとした瞬間、篠ノ之博士に腕を掴まれ

 

「1名様ごあんなーい」

 

「ちょっ、離してください。ちょっと!? 」

 

 

引き摺られる様に強制連行される、うん抵抗はしたんだけど話聞かないし離してくれないしだったんだ、うん

 

 

数分歩き、鳥居から境内を抜け居住区の方へ辿り着くと篠ノ之博士は俺の腕を離して少しフラフラした足取りで玄関へ近付き扉を開けて

 

 

「お母さ〜ん、連れてきたよ〜? 予想通り洋服だったぁ」

 

 

なんか喋り方が退行し始めてる気がしてるが、そんな事は捨て置いとくとして 今、篠ノ之博士は『お母さん』と言った

 

 

俺の記憶違いで無ければ、篠ノ之博士の両親は要人保護プログラムで篠ノ之神社(ここ)に居ない筈なんだけど・・・一時的に戻ってきたとか? ん〜分からん とか勝手に考えていると

 

 

「ご苦労様 束、貴女は少し禊ぎで酔いを醒ましてきなさい? いいですね? 」

 

「はぁい、じゃぁね薫君」

 

 

篠ノ之さんを、そのまま大人にした様な女性に篠ノ之博士は言われヒラヒラと手を振って姿を消す、素早いな

 

 

「はじめまして、私は篠ノ之ハタキ、貴方に分かりやすく言うならば箒と束の母親になります」

 

 

「はじめまして、八月一日 薫です。あの・・・どうして俺はここに? 」

 

と、ハタキさんは温和な笑みを浮かべて自己紹介してきたので俺も自己紹介をしてから疑問を投げかける

 

 

篠ノ之博士の言動からして、俺はハタキさんに呼ばれていた様だから、凄い気になる

 

 

 

 







篠ノ之家、母を出しましたよっと、もちろんオリキャラです


柳韻さん出すかは未定



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納涼祭


薫君視点




 

 

「そうですね、シンプルに纏めるならば唯のお節介ですね」

 

 

とハタキさんはニコリと笑み言う、お節介って何でだ? まさか顔も知らない俺の為、なんて事はない筈・・・いや、普通に一夏さんの為か

 

 

「ふふ、その表情からして意図を理解した様ですね? そう貴方が察した様に一夏ちゃんの為です」

 

 

ハタキさんは俺の表情を見て思考を読み言う、普通に凄いな この人

 

 

「まぁ一夏さんの為なら文句は有りませんけど、まだ疑問は残ってます。俺に何をさせるつもりですか? 」

 

 

「簡単な事です、今 箒が一夏ちゃんの着付けをしています。ただ一夏ちゃんだけが浴衣では格好がつかないので、貴方にも浴衣を着てもらいます」

 

 

俺の言葉を聞きハタキさんは笑顔のまま有無を言わせないオーラを発してくる、どんな技術だよ笑顔のまま覇気を飛ばすなんて

 

 

それから俺の返事を聞く事なくハタキさんは俺を家へ引き摺り込み、部屋の一角の和室に連れ込まれ、アッと言う間に浴衣の着付けをされてしまった

 

「これで良し、帰る時に再び此処へいらしてくださいね? 」

 

 

「分かりました、ありがとうございます」

 

 

「さぁ、本番はこれからです。頑張ってきてください」

 

 

何から何までハタキさんに用意してもらった俺はハタキさんに送り出され、草履を履いて境内へ向かい、夕焼けに染まる空をバックに立つ一夏さんの姿を見て見惚れてしまう

 

いつも以上に一夏さんは綺麗だったので、なんて声を掛けようか考えていると俺の足音に気が付いたのか振り向き

 

 

「待ってたよ薫君」

 

「お待たせ」

 

 

一夏さんは嬉しそうに笑んでいたので俺も笑み言う、よし絶対に幸せにしよう。こんな可愛い彼女がいるとか俺幸せじゃないか

 

 

「浴衣、とても似合ってるよ」

 

 

「ありがとう、薫君も似合ってる」

 

 

俺が浴衣姿を褒めると一夏さんは照れたのか少し顔を赤くして、そう言ってくる。めっちゃ可愛いんですけど、やっぱり俺は幸せだ

 

 

まぁそんな感じで一旦お参りをして出店が並ぶ参道へ向かう、篠ノ之神社は この辺りでは大分大きい分類の神社らしく、出店の数も数えきれない程あるし、何より人の人数も尋常じゃないので、一夏さんと逸れたらヤバいなぁと考えていると

 

「人がいっぱいだね」

 

「そ、そうだね」

 

そんな事を言いながら一夏さんが腕を組んできて、少し驚いて彼女の顔を見ると真っ赤だったので恥ずかしいのだろうが、俺も恥ずかしい

 

でも、彼女が勇気を出してくれたのだから俺が受け入れなくてどうするって事で腕を組んだまま散策を始める

 

 

 

ラムネを飲んだり、射的をしたり、かき氷を食べたり、祭りならではの事をしたり食べたり飲んだりして目一杯楽しむ

 

 

これまでも友達と祭に来た事が有ったけど、一夏さんと過ごしている今が最高の時間だ

 

そんな訳で一夏さんとの至高の時間に浮かれていた様でガラの悪いいかにもな お兄さんと肩がぶつかってしまい

 

「痛てぇじゃねーか、どこに目つけてんだ、あぁ? 」

 

「あぁすみません」

 

「すみませんじゃねーんだよ、誠意が足りねーんじゃねーのか? あぁ? 」

 

ぶつかったのが一夏さんじゃなくて良かったと思いつつ謝って立ち去ろうとしたが、どうも俺が気に入らない様で酒気をプンプン漂わせながら俺の腕を掴んで離さないで、めっちゃキレてくる

 

よく見たら缶ビール片手に持ってるから、ぶつかった拍子に少し零れたみたいだ

 

 

「誠意、誠意ですか。 お尋ねしますが、誠意とは? 」

 

不安そうに俺の腕を強く抱く一夏さんの様子に俺は この呑んだくれへの怒りが湧いてきたので少し強めに尋ねてみる、可能なら話し合いで解決したいが、無理なら武力行使も辞さない

 

「あ? そうだなぁ〜てめぇの彼女を貸してくれよ、そーすりゃぁ許してやってもいいぜ? 」

 

と呑んだくれ が良い、一夏さんをヘラヘラ笑いながら見て言う。それを見て堪忍袋が切れて目の前の馬鹿野郎をブン殴ってやろうと思った瞬間、赤髪で長身の男性(ジークさん)が呑んだくれ の頭を掴み地面に叩き付け

 

「・・・貴様は許されない事を口にした、罪を償う機会をやろう」

 

なんかカッコいいセリフを言っているジークさんに呆気を取られてしまっていると

 

「・・・一夏を守れ、それがお前の使命だ」

 

ジークさんは俺を一瞥した後に俺の返事も聞かずに額から出血してる呑んだくれ を担ぎ上げてアッと言う間に姿を消す

 

 

「大丈夫? 一夏さん」

 

「うん、大丈夫。ありがとう」

 

色々と疑問はあるが、一夏さんが最優先と思い尋ねると一夏さんは少し苦笑して言う、ひとまず無理はしていない様子なので良かった

 

 

それにしても、ジークさんは何処から出てきたんだろう? おかしいな、聞いた話ではジークさんはドイツ出身で、忍者じゃ無かった筈なんだけど・・・

 

 

あと篠ノ之博士の身辺警護と助手が仕事だって言ってた筈だから、なんでこんな所にいたんだろう? 篠ノ之博士の指示で見回りしてたのかな?

 

 

まぁ良いか、ジークさんが見回りしてるんだったら もうさっきみたいな事は起こらないだろう、多分

 

正直、次はカッとなって言葉より先に手を出してしまうかも知れないし?

 

 





お待たせしました



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納涼祭 2



一夏ちゃん視点




 

 

 

少し不測のトラブルはあったが私は今、とても幸せを感じている。束さんとハタキさんの協力で薫君と納涼祭を堪能出来ているからだ

 

 

正直、だいぶ良くはなったとはいえ私のトラウマが完全に消えた訳ではないので、あのチンピラの出現は度し難い事ではあったが、私を背に庇い守ってくれる薫君の姿は、とても格好良くて惚れ直してしまうぐらいの威力は軽く有った

 

 

あぁ、私は幸せだ。 こんな私を大切にしてくれる人が側にいてくれるのだから

 

 

 

さてさて、幸せを噛み締めつつ考える。 そう、そろそろ次の段階に進んでも良くない?って

 

 

だって、薫君とお付き合いを始めて約2か月が経過したし、私の両親にも薫君の両親にも挨拶したんだし? もう少し先の段階に進んでも良いと思うんだ

 

 

確かに良くなってきているとは言え、私のトラウマは完治してはいない。そもそもトラウマが完治するかは分からないけど、まぁ良くなっている、間違いなく

 

うんまぁ、恋のABC的なアレで言うなら、いきなりCは無理でも せめてAには到達したい

 

 

だってトラウマが有って中途半端な存在とは私は現役女子高生、人並みに興味はあるし、色々な感情とか煩悩も持っている

 

 

かと言って誰かに相談できないって言うか気不味くてしたくない

 

 

特に姉さんと束さんは論外、何しでかすか分かった物じゃないからね、うん

 

 

 

「大丈夫? 一夏さん」

 

「うん、大丈夫。ありがとう」

 

 

煩悩を練りに練っていたら薫君が心配して声を掛けてくれたので何事も無かった様にジークさんの仕事ぶりに困惑したフリをして返事をする

 

 

そういえば束さん大丈夫かな? 神事前に神酒を(さかずき)で飲んでたけど・・・見るからにベロベロだったよなぁ

 

 

本人曰く『酔うのも早いけど、醒めるのも早いから大丈夫! 』とか言っていたけど、どこまで信用できるやら

 

 

と、そこまで考えて神楽舞の事を思い出し

 

 

「あ、薫君。 神楽舞を見に行こう? 今年しか見れない今年だけの神楽舞なんだ」

 

 

「特別演目みたいな感じなのかな? 分かった、行こう」

 

 

私の提案に薫君は頷き、ニコリと笑む。私は彼と腕を組み、神楽舞のやるヤグラへと移動する

 

 

神楽舞は毎年納涼祭の時に奉納される、私は物心ついた時から毎年欠かさずに それを見てきた、箒が舞える様になるまでは束さんが花形で神楽舞を奉納していたのを覚えている

 

そして今日、束さんは花形を箒に譲り自分は脇へ移ると教えてくれた

 

 

人混みを乗り越えて漸くヤグラへと辿り着くと、何とか間に合った様で緊張した面持ちの箒と久しぶりに真面目な表情の束さんが巫女装束で裾から出て来た所だった

 

 

「あ、ギリギリ間に合ったみたい」

 

「あれは・・・篠ノ之さんと篠ノ之博士? 」

 

薫君は少し意外そうな表情をしているのはなんでだろう? とか考えていると音楽が流れ始めシャンシャンと音楽に合わせて神楽鈴を鳴らし2人は舞う

 

 

「流石は束さん、寸分のズレ無く箒の動きに合わせてる」

 

 

「そうなんだ」

 

 

束は世間一般には科学者や発明家、つまりインドアで頭脳労働専門の運動能力は並みか並み以下なイメージに思われがちだけど、実際は違う

 

 

姉さんとガチな殴り合いの喧嘩をして対等に渡り合えるぐらい運動能力は高い

 

 

中身入り未開封の缶ビールを握り潰せるのは、そうそう居ないと思うけど姉さんと束さんは潰せるんだよなぁ

 

 

そんなこんなで2人の神楽舞を目に焼き付ける事が出来て良かったな、と思っていると

 

 

「凄かったね、毎度やってるの? 」

 

「そうだね、去年は箒の従姉妹の子とかがやってたよ? 」

 

 

薫君が尋ねてきたので軽く説明をして、薫君の手を引きアル場所へ誘う

 

 

本来は立ち入り禁止の場所なんだけど、土地の所有者であるハタキさんに許可を貰っているので大丈夫だし、誰の邪魔も入らない穴場だ

 

 

篠ノ之家 家屋の有る居住区の門を抜け建物沿いに敷地を回り裏手の小道を進むと東家へ辿り着く

 

 

「・・・凄い」

 

「凄いでしょ? 此処から見える風景は絶景なんだ」

 

 

昼間の風景も絶景なんだけど、夜景は もっと絶景で是非 薫君に見せたかったんだよね

 

 

「あ、薫君。あっち見えるのがIS学園の光だよ」

 

 

「へぇ、結構見えるもんなんだね」

 

 

私が指差した先を薫君は言い微笑んで

 

 

「 一夏さん、俺はIS学園に入学して良かったって思う」

 

「うん」

 

薫君は少し真剣な表情になり言う

 

 

「最初は、なんで俺が? って思ったし、大変な事も有ったし、有るけれど。俺は君と出会う事が出来た、IS学園に入学していなければ俺は君に出会う事が出来なかったと思う、だから俺はIS学園に入学して良かったって思う」

 

 

「うん、私も君に会えて良かった。ありがとう薫君」

 

と私が薫君へ言うと、彼は私を優しく抱きしめる

 

あぁ、そんな事されたら私の方が我慢出来ないよ薫君!! とは言うわけにもいかないが、雰囲気は最高な訳で、ね?

 

 

身体が離れ見つめ合い、自然と互いの顔が近くなり唇が触れ合った瞬間、夜空に花が咲き明るく彩り、私達を照らす

 

 

あぁ、私は幸せだ、こんなに素晴らしい恋人を持って幸せだ

 

 

まだこれ以上の事は出来ないけれど、いつかはきっと大丈夫になる筈だ

 

 

そんな願いを抱きつつ私は薫君に寄り添い夜空を彩る花火をながめる

 

 






お待たせしました


多分、次から2学期にはいります。多分



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2学期開始



薫君視点


 

 

 

「やる様になったわね!! 」

 

 

「それはどうも! まだまだ行くよ! 」

 

 

夏休みも終わり新学期の始まった9月、俺はアリーナで久しぶりに凰さんと模擬戦をしている

 

 

青龍刀と菖蒲、対物シールドが打つかり合い火花を散らしながら俺達は打ち合い続ける、まぁあまり近寄り過ぎたら衝撃砲の餌食になるから近付き過ぎない様に距離管理しなきゃいけないけど

 

 

「あたし を本気にさせてみなさい? 」

 

 

と凰さんは楽しそうに言う、その眼はまさに獲物を狙う猛獣の眼をしているが、もう慣れたので弟切草で弾幕を張り後退しながら次の手を考える

 

 

正直、青龍刀2本を器用に使って現在進行形で弾を弾いてる凰さんに勝てる手を思いつくのは難しいかもしれないけど、タダで負けるのは面白くないから頑張るか

 

 

と思っていた矢先

 

「凰、八月一日、終了の時間だ」

 

 

織斑先生のアナウスが入り、凰さんは嘘でしょ? みたいな表情をして不満そうにピットへ戻って行く背中を見て、俺も彼女とは反対側のピットへ戻ると

 

 

「お疲れ様」

 

「ありがとう」

 

 

一夏さんに出迎えられ、いつもの様に換装位置について雷切を外して貰い菖蒲を明石に手渡し打鉄改を格納し軽く伸びをする

 

 

「どうだった? 」

 

 

「ん〜・・・少しは通用する様にはなってきた、かな? 多分」

 

 

一夏さんの質問に答えて少し曖昧に返答する、実際の所 分からないんだよね、凰さんの表情を見る限りは、まだまだ余裕の様だったし もっと練習しないとなぁと思いつつ少し目線をズラすと、さっきまで緑のケモミミだけだったのが、白いケモミミが増えていて、陽炎が明石を撫でたりしていた。仲良いな

 

 

と、まぁゆっくりしている暇も無いので急いで支度を済ませ制服を着て教室へ向かいギリギリでHRに間に合った

 

 

それから1限目が始まり、9月中頃に行われる学園祭のクラスの出し物について話し合いがされる

 

 

「コスプレ喫茶はどうだ? 」

 

なんかボーデヴィッヒさんが1番槍をぶっ込んできた、元々サブカルに強かったけど夏休み中に何かあったのかな? って言うか目付きがガチ過ぎて怖いんだけど

 

 

「喫茶なら資金回収も出来るだろうし、何より我がクラスには利点が2つある」

 

 

軽く騒めくクラスメイトをよそにボーデヴィッヒさんは立ち上がり力強く演説でもするかの様に喋る

 

 

「まず、このクラスには世界でたった2人しかいない男性IS適合者が2人共いる、それ故に2人にホールを担当して貰えれば集客が間違いなく見込める」

 

 

とボーデヴィッヒさんは何かに影響されたのか熱く説明をする

 

「つぎに、軽食なら用意出来る人材がある程度揃っている。一夏は既にプロと同等の製菓技術を有しているのだから、な」

 

 

その言葉を聞き、そういえば一夏さんのお菓子美味しかったなぁと思う、ボーデヴィッヒさんは中々凄いな、このクラスの強みを理解している

 

 

まぁ当人の気持ちは別にして、だけど強みなのは間違いないしね?

 

 

「・・・衣装は私が用意出来るよ? 」

 

腕を組み思案顔だった一夏さんがボーデヴィッヒさんへ顔を向けて言うので少し意外だな と思ったが、そういえば一夏さんもボーデヴィッヒさんサイドの人間だったのを思い出して納得する

 

 

「皆もコスプレ喫茶で異論はないな? ではホールとキッチンの役割を決めよう」

 

 

一応、俺がクラス長なんだけど割と置いてきぼりにされつつボーデヴィッヒさんが中心に色々と勝手に決まってゆく

 

まぁ俺的には楽だから良いけどね

 

 

「よし、キッチンの方は任せたぞ。谷本、材料等の手配は此方で段取りしておく」

 

「任せて、ラウラ」

 

 

俺がボーっとしてる間に話が決まった様で谷本さんがボーデヴィッヒさんにサムズアップしている

 

 

「では本題へと移ろう、誰が何のコスプレをするか、だ」

 

 

とボーデヴィッヒさんはニヤリと口角を上げていう、しまった・・・ここまで来て今更無しには出来ないぞ

 

 

「とはいえ、なんでも良い訳ではない。節度は守らねばならない、なにせ学校行事だからな」

 

 

ボーデヴィッヒさんは真面目な表情のままクラスメイトに言い聞かせる様に言う

 

 

「自分で決めても良いが、面白味がないので一旦全員で衣装を紙に書いてホール担当はクジを引いていく事にしよう。そうすれば公平だ」

 

と口を挟む間もなく話は流れてゆき、山田先生を含めた人間が紙に衣装を書き込んで文字が見えない様に折り箱の中へと入れていく

 

「それでは行ってみようか八月一日」

 

「え? 俺からなの? 」

 

 

ボーデヴィッヒさんはワクワクした様子で箱を持って俺の前にやって来て言い箱を差し出されたので戸惑いつつ1枚取り開いて中身を確認して俺は口を開く

 

 

「・・・引き直しは? 」

 

「認められないな、認めていては決まるものも決まらなくなってしまうからな、で? 何を引いたんだ? 」

 

 

とボーデヴィッヒさんは軽くニヤリとしながら言う、あー絶対着たく無いの分かってて言ってるよ、はぁぁ

 

此処でゴネても仕方ないと諦めて

 

 

「・・・クラシカルメイドドレス、だよ」

 

「ほほう、お前が引いたか八月一日」

 

俺の報告にボーデヴィッヒさんがwktkして言う、あーこれはボーデヴィッヒさんが入れたヤツなんだな、うん

 

 

まぁ逆に、クラシカルメイドドレスで良かったかも知れない。下手にアニメキャラとかのコスプレに当たるよりはマシだ、多分

 

 

そう思う事にしよう、そうしよう

 

 






2学期に入りました


多分、今年中(2020)に終わらないかも知れませんw



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学園祭開始



薫君視点


 

 

 

約2週間しかない準備期間を経て、IS学園学園祭当日がやってきてしまった

 

 

明石の性能をフルに使い机やらなんやらは量子化して格納し、簡易的にリホームを一夏さんと有志メンバーが突貫でやってくれた為、教室が教室じゃ無くなってる

 

まぁそれはそれとして、俺はバックヤードで のほほんさんに最終調整(メイク)されている

 

 

「よーし、カオリちゃん完成だぁ〜」

 

相変わらずチカラが抜けたゆったりとした声で良い、満足そうに のほほんさん は言い手鏡を渡してきたので受け取り見ると、黒髪セミロングのメイド少女が映っていた、まぁ俺なんだけどね、うん

 

 

にしても、のほほんさんの技術すげぇな、メイクで ここまで誤魔化せるとは

 

 

ちなみに髪はウィッグを使っているよ

 

 

そんな訳でバックヤードから出て開始時刻を待っていたクラスメイトに合流すると

 

 

「似合ってるよ、薫君」

 

一夏さんが寄ってきて笑みながら言うが、絶妙に嬉しくないので苦笑しておき

 

 

「今日は頑張ろうね」

 

「うん、まぁローテーションで自由時間あるから、一緒に回ろ? 」

 

 

一夏さんに言うと、ニコニコしながら提案してきたので頷く

 

 

「よし、全員居るな? いよいよ学園祭本番だ、待ちに待った祭の日だ。やるからには1位を目指すぞ、総員持ち場につけ! 」

 

 

何処かの軍服を着たボーデヴィッヒさんが気合いを入れてクラスメイトを鼓舞する、ボーデヴィッヒさん凄いヤル気だなぁ、まぁやるからには俺も頑張りますか

 

「それではシャルル、八月一日、ホールを頼む。箒は入り口で誘導を五六と九はビラを配ってきてくれるか? 」

 

ボーデヴィッヒさんは的確に指示を出して各々仕事に取り掛かる

 

 

「頑張ろうね薫」

 

「だね、頑張ろうシャル」

 

 

そんな訳で始まったコスプレ喫茶の営業は、初っ端から大盛況で直ぐに満席になってしまった

 

 

ちなみに俺がクラシカルメイド、シャルが某騎士王の私服である

 

 

そんなこんな慣れない接客で四苦八苦していると

 

 

「・・・アンタ、似合ってるわね」

 

「嬉しくないよ、凰さん」

 

どうやら様子を見にきた若干引き気味で凰さんに言われ、少し凹むが気を取り直し

 

「いらっしゃいませ、お嬢様。こちらの お席にどうぞ」

 

 

「その見た目で、その声だとギャップがあって脳がバグりそうになるわね」

 

 

凰さんを席に案内すると、褒めているのかよく分からない事を言われてしまう。 これはどっちなんだろう? いやマジで

 

「アレ? なんか、いつもと髪型違うね? 」

 

「あぁコレ? シニヨンよ」

 

「へぇ〜」

 

 

どんな構造かは分からないけど、いつめのツインテール+お団子が2つあって凰さんは器用だな、と感心する

 

 

それから特に問題は起こらずに凰さんはケーキセットを堪能して退店して行った

 

 

ささっと片付けて次のお客さんを入れると、見るからに学園関係者ではない茶髪の女性が入店し、俺の方へ歩み寄ってきて

 

「私は巻紙礼子と申します、少しお時間よろしいですか? 八月一日さん」

 

 

と、名刺を差し出して にこやかに言う、この人・・・どっかで見た事がある様な気がするぞ? どこだっけ?

 

とりあえず空いていた席に通し、オーダーを取り品物を出すと

 

 

「聞く所によると八月一日さんの専用機はマルチロール機、このマルチスラスターとか如何ですか? 」

 

「は、はぁ・・・」

 

巻紙さんは営業の様で、なんかグイグイとセールスをかましてくるが、この辺は一夏さんに任せっきりだから返答に困るし、彼女を何処で見たか凄い気になって話が全く頭に入って来ない

 

 

「スラスターは興味が無いですか? なら、このルガーランスは如何ですか? マイナーチェンジを続けて耐久度も重量も実用性に問題無いですよ」

 

 

スラスターの時より熱くオススメされ、漸く思い出す

 

 

「オータムさん? オータムさん、仕事はIS関係の営業職だったんですね」

 

 

と彼女へ言うと、先程までの愛想笑いが消え少し不機そうか表情へと変わり

 

 

「そーだよ、アタシは あんまり向いて無いからやりたくねーんだけどな? 今日だって上からの辞令だから仕方なくな」

 

 

と巻紙さん改めオータムさんは、ささっとパンフレットを片付けて鞄へ仕舞い込み、コーヒーを飲み

 

「・・・これ、淹れたの誰だ? 行きつけと同じ味がするぞ」

 

「え? 多分、一夏さんだと思いますけど・・・? 」

 

 

そういえば何処から食料品を調達したか聞いてなかったな、もしかして静さんにお願いしたのかな? 確か一夏さんは あそこでバイトしてたって言ってたし

 

 

「八月一日、マジでルガーランスはオススメだぞ? 突いてヨシ、薙いでヨシ、撃ってヨシの万能武器だ」

 

「ルガーランス、か資料見せて貰って良いですか? 」

 

 

「おう」

 

オータムさんは余程ルガーランスを気に入っているのか再びオススメしてきたので、資料を見せて貰う

 

 

全長は打鉄改を装着した俺と同じぐらい、刀身自体の耐久値は問題ないし重量自体も大物ならでは程度で許容範囲内、ただルガーランスの特性 刀身が開閉して荷電粒子砲を撃つ故に、開閉機構の強度が少し気になる所だな

 

 

まぁ幸い打鉄改のバススロットには余裕があるから、破損前提で予備を積めば対応可能かも知れない

 

「一度、担当整備士と話して良いですか? 」

 

 

「あぁ構わない、発注する場合は仕事用の連絡先は名刺に書いてるからソレにかけてくれ」

 

 

とオータムさんは席から立ち上がり、次の仕事が有るから と会計して退店していく

 

 

ほんと、営業職向いて無いと思うんだけど、なんで移動願い出さないんだろ?

 

 

 

 






お待たせしました




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文化祭 続



薫君視点


 

 

 

オータムさんが退店した後もキリキリ働き、漸く交代の時間になったのでバックヤードで着替えようとしたら

 

 

「八月一日、一夏と回ってくるのだろう? ついでに宣伝も兼ねて、そのままで行ってきてくれるか? 」

 

 

「え? えぇ・・・着慣れてないから動き辛いから早く脱ぎたいんだけど・・・」

 

 

ボーデヴィッヒさんにクラシカルメイドドレスを着たまま行けと言われ少し反論してみるが、これはダメそうだ。ボーデヴィッヒさんの表情がガチすぎる

 

 

「気持ちはわかるが、必要な事だ。それにこれはお願いではない、命令だ。行け」

 

「・・・イエス、マム」

 

有無を言わさない圧を受けて俺は反論を辞めて着替えるのをやめ、バックヤードに置いといた私物をポケットに入れ教室から廊下へ出る

 

 

「あー、やっぱりラウラは折れなかったかぁ。まぁ仕方ないか・・・いつになくヤル気だったし」

 

 

「本当、目がガチだったからね。断れなかったよ」

 

 

いつもの制服姿の一夏さんが廊下で待っていて、俺を見た瞬間 苦笑して言ったので俺は肩を落としながら彼女へ言い並んで移動を始めるが、俺の格好が格好だから、かなり目立ってすれ違う人 すれ違う人に めっちゃ見られる

 

 

宣伝効果的には成功だけど、あんまり気が休まらない

 

 

そんなこんなで2組の前を通りかかったので、中をチョロ見してみる

 

「ん〜2組は中華喫茶かな? あれ? 凰さんが居ないね」

 

 

「本当だ、裏かな? あ、いや・・・回ってるかな? 」

 

 

俺の言葉に一夏さんは少し言葉を濁す様に言ったので不思議に思いつつ2組の中華喫茶には入らずに次を見てみる事にし、8組まで見てから校舎を出て中庭エリアの露店を見て回る

 

露店は校舎内と違い、大火力や煙が出ても大丈夫な為か夏祭りみたいなメニューが多く並んでいて少し面白いと感じていると、シニヨン装備の凰さんか腕を組んで見て回っている所にバッタリ遭遇したのだが腕を組んでいる相手に驚いてしまう

 

「か、数馬? え? え?! 」

 

 

「あ、数馬。久しぶり〜、遠距離恋愛は大変だね? 」

 

驚いている俺を他所に一夏さんはニヨニヨと悪戯っ子の様な笑みを浮かべて数馬へ言う、うん可愛いな一夏さん

 

 

「ん? ん?! お前、薫か? マジかよ、一瞬誰か分かんなかったわ・・・あと一夏、その弄りはやめろ、いい加減飽きてきたぞ? 」

 

 

数馬は数馬で俺の格好に驚いたのか少し動揺した後で一夏さんに釘を刺す

 

 

このやり取り的に、一夏さんは知ってたのかな? って事は弾も知ってたな、絶対・・・なんで教えてくれなかったんだろう。めっちゃ驚いたわ とか考えつつ遠くに虚先輩と幸せオーラを撒き散らしている弾を見つけたので、邪念を送っておく

 

 

「俺もだいぶ驚いたんだけど? 」

 

「あれ? 言ってなかったか? すまんすまん」

 

テヘペロとする数馬を見て、別に怒っていた訳では無いので許し、軽く雑談をしてから続きを見て回る事にした

 

 

「にしても、出し物が多いね」

 

「そうだね、1学年につき8クラスのかける3だから最低24クラスにプラス部活で出し物を出してる所もあるから30は軽く超えてるみたいだね? 」

 

 

俺の言葉に一夏さんは答え笑む、そんな他愛ない話をしたりしながら見て回っていたのだが、ちょっと催してしまったので一旦一夏さんと別れてトイレへ行き用を済ませて戻る道中に

 

「ちょっと良いかしら? 道を尋ねたいのだけれど」

 

 

見覚えの有る黒髪の美少女を伴った金髪の女優みたいな人に道を尋ねられる、オータムさんが不機嫌だった理由が今なら理解出来る様な気がする

 

と言うかマドカ、君はそんなに目をキラキラさせてソワソワするタイプの子だったんだね、俺はてっきり織斑先生みたいなクール系だと思っていたよ、うん

 

 

「あ、大丈夫ですよスコールさん。何処に行きたいんですか? 」

 

「なぜ私の・・・あら、君は八月一日君? 似合いすぎてて一瞬分からなかったわ」

 

 

スコールさんは最初怪訝そうな表情をしていたが、直ぐに俺と気付き上から下まで見て感想を言う、相変わらず絶妙に嬉しくない

 

 

「八月一日、姉さん・・・一夏姉さんは何処だ? 」

 

「一夏さんなら、この先のベンチに座ってる筈だよ? 」

 

「そうか」

 

マドカは聞きたい事だけ聞き俺が指差す方へ駆け足で移動していく

 

 

「ごめんなさいね? 八月一日君、あの子 また一夏ちゃんに会えるって凄く楽しみにしていたのよ」

 

「いえいえ、気にしてませんよ。 多少生意気なのは弟で慣れてますし、楽しみにしていたなら仕方ありません」

 

 

年相応な姿に楓より可愛げがあるな、と思いつつマドカを見送りスコールさんへ返答する

 

 

「そう言って貰えると助かるわ、貴方達のおかげで、また1つマドカが普通の女の子へ近付いたわ、ありがとう。本当はオータムも一緒に回れる筈だったのだけど、仕事が入ってしまってね? 残念だわ」

 

 

とスコールさんは苦笑して肩をすくめて言う、この様子だと途中までは一緒に来た様だ、社会人って大変なんだな

 

 

「オータムさんなら、俺の所に来ましたよ? 」

 

 

「あら、そう・・・なら順調に行けば後1時間半〜2時間ぐらいで終わりそうね」

 

 

そんな話をしながら俺とスコールさんは一夏さんの元へ駆けて行ったマドカを追う為に歩き出す

 

 

スコールさんもIS関係の職種についてるのかな? 様子を見て聞いてみる事にしよう

 

 

 






お待たせしました


ネタが浮かんだら文化祭が続きますが、浮かばなかったら次のネタに移ります



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音の その先



薫君視点


 

 

学園祭から約2週間が経った今日この頃、俺は特設ピットでユニット装着をしている

 

 

「いよいよ本番だね? 緊張してる? 」

 

「大丈夫だよ、もう慣れたし。ただ先輩達がいるからいつもと違うし少し不安があるだけだよ」

 

 

キャノンボール・ファスト用のバックパックユニット オオトリを装着作業をしながら尋ねて来た一夏さんに答え肩をすくめる

 

 

そう、もう人目が集まる事には慣れた、行事とかイベントやデータ取りの度にめちゃくちゃ注目されるし

 

 

でも今回は初めて上級生との競技、緊張はしてないけど少し不安はある。そもそも打鉄改・・・否、打鉄は防御型故に足が遅い部類だ。それをバックパックユニットを換装する事で全域対応するのが打鉄改と言う機体だ

 

その打鉄改を使い熟せれば間違いなく強いだろう、使い熟れば

 

 

「安心するが良いぞマスターよ、吾輩と奥方、明石がマスターについておるからな」

 

ふわりと現れて空中に浮かびながらドヤ顔で陽炎は言う、最近よく出てくる様になったな

 

「そうにゃ、マスターと明石 陽炎がついてるにゃ、婿殿は明石達を信じて前だけ見てれば良いのにゃぁ」

 

 

少し眠たげに明石が現れてフンスと胸を張って言う、この子も最近よく出てくる様になったな、うん

 

 

「よし、準備出来たよ薫君。君なら大丈夫、私達がついてるよ」

 

 

「うん、ありがとう。行ってきます」

 

 

俺は一夏さんに送り出され、歩いてスタートラインへ向かう

 

 

キャノンボール・ファスト、簡単に言うならISを用いた妨害ありのレースだ

 

 

会場はIS学園のある人工島、内陸部と海上を使用したコースが伝統らしい。各所のチェックポイントを駆け抜けて最速でゴールを目指す、そんなレース

 

 

燃費と火力バランスを重視して飛鳥より加速力は下がったが充分な力を発揮してくれる筈のオオトリを背にスタートラインへ立ち深呼吸して意識を集中する

 

 

大丈夫、俺には一夏さんを始めとした仲間がいる、大丈夫だ

 

 

と自分に自己暗示を掛けていると

 

 

「あ・・・」

 

「ん? あ、さらし・・・簪さんが対戦者か、これはやり甲斐がありそうだ」

 

「え? あぁうん」

 

聞き覚えのある声が聞こえたので横を見ると一夏さんのルームメイトの簪さんが打鉄弍式を纏いスタートラインに立っていたので、軽く話かけてみるが簪さんの目が何か泳いでいる様な?

 

 

テールユニットと脚部にブースターが装着されている様に見える打鉄弐式を観察していると他の対戦者もスタートラインに揃い会場にアナウンスとカウントダウンが響く

 

 

「武器管制は吾輩に任せておけマスター、お主は飛ぶ事に集中すれば良い」

 

 

「分かった、任せたよ陽炎」

 

俺は半透明で右肩辺りに漂う陽炎の言葉に頷き、まっすぐ前を見て集中してカウントがゼロになった瞬間、アイドリングしていたスラスターの出力を上げてスタートダッシュを図るが、やはり少し不利なのか少し出遅れてしまい薄水色のISが斜め前に見え、ロールしてアンロックユニットとかが格好良く稼働し戦闘機の様なフォルムになって更に早くなって飛んで行くのが目に映る

 

 

「え? 可変した!? マジか、カッコいいな」

 

 

さながらアリオスガンダムとかガンダム ハルートみたいでカッコいいなと感じつつ、いつの間にか可変機になっていた打鉄弐式を始めとする対戦者達の後を追う

 

やっぱり純粋な加速力のあるロケットブースターには加速力じゃ勝てないなぁと思いながら、どこで仕掛けるか考える

 

「マスター、先頭からミサイルのプレゼントだ。吾輩が合わせる、気にせず突っ切れ」

 

「了解、信用してるよ陽炎」

 

 

俺は両腕の力を抜き目の前に迫るミサイルの群れを見て隙間を見定めて飛ぶと、陽炎は焔備と左肩部ビームガトリングを使いミサイルを撃ち落として行く

 

 

何回やっても変な感じがするなぁ、これ と思う

 

 

この分担作業を思い付いたのは、ボーデヴィッヒさんとマリーを見た時だった。 シュヴァルツェア・レーゲンのISコア意識であるマリーがAICを使用出来ているならば、IS自体の操作も可能なんじゃないか? と

 

 

結果的に言えば予想通り、IS操作が可能だったし部分部分を分担する事も可能だった

 

ただ操縦者の意思が最優先されるみたいで少しでも抵抗すると陽炎の操作を受け付けなかった、あと自分の意思で動かしてないのに動くから少し変な感覚に襲われる些細な欠点がある

 

 

「ミサイルの掃討終了じゃ、お? 流れ弾が来るぞ」

 

 

「本格的に始まったね、よし陽炎 反撃宜しく」

 

 

「うむ、任せるが良い」

 

 

流れ弾を躱したり対物シールドで受け流しながら飛び、陽炎が反撃でビーム砲とレールガンを撃つと対戦者達の足並みがブレて少し差が縮まるが、先頭の打鉄弐式までは まだまだ遠い

 

「陽炎、ミサイル使って貰える? 少し身を軽くしたら届くかも」

 

 

「ふむ、一理あるかも知れぬな? 分かった」

 

 

陽炎は俺の提案を聞き数秒だけ考えて受けいれてオオトリに搭載された対ISマイクロミサイルを一斉掃射する、その事で少し軽くなった打鉄改の速度が少し速くなり、更に対ISマイクロミサイルによって対戦者を1人落とす事に成功する

 

 

これなら折り返しまでにギリギリ打鉄弐式に届くかも知れない、よしやるぞ

 

 






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生誕祭


薫君視点





 

 

 

顔を赤らめ酒気を纏う美女2人から肩を組まれ軽く左右に揺さぶられながら、なぜこんな苦行を行なっているかを考える

 

確か・・・結局キャノンボール・ファストで簪さんとの差を詰めはしたけどギリギリで負けてしまった

 

ヴェンジェンスのチャージもままならなかったし仕方ないか

 

 

そんな感じで予選敗退したから一夏さんと一緒に残りのレースを見て、それから・・・

 

そこから何故かモヤが掛かった様に曖昧に記憶を思い出せない、なんだっけ?

 

 

あれ? なんか前にもあったなコレ・・・そう、気付いたらIS学園研究区間D-35多目的倉庫に居たんだ

 

 

なんか既視感の有る配置で料理や飲み物、飾り付けとソファ類があって、なんかダメな大人になってる彼女の姉(千冬さん)その親友 (篠ノ之博士)に絡まれて左右に揺さぶられながら『一夏さんを大切にしろ』とか『泣かせたら殺す』とかループで左右から異口同音を聞かされていると

 

 

「ダメだよ千冬、お祝いだからって飲み過ぎちゃ」

 

「くっころ・・・」

 

 

相変わらず爽やか系の庵さんが俺からダメな大人①(千冬さん)を引き剥がし羽交い締めにしてズルズル引き摺って回収して行き

 

 

「目を離した隙に・・・ほら博士、あっちで水飲もうな、水」

 

 

「えぇ〜やだぁ〜もっと薫君と話する〜」

 

 

「黙れ酔っ払い、スコール」

 

 

「行きましょうね、博士」

 

 

と颯爽登場したオータムさんが篠ノ之博士を説得したが、博士がゴネタのでオータムさんが半ギレでスコール さんを読んで2人で篠ノ之博士の両脇を抱えて強制連行してゆく、2人共 強いなぁ

 

 

「災難だったな、八月一日」

 

名前を呼ばれ、そちらを向くとジャンパースカートタイプの制服を着たマドカが肩を竦めて立っていた

 

 

「ははは・・・本音を言えば、もう少し早く助けて欲しかったよ」

 

 

「無理を言うな、私では千冬姉さんも篠ノ之博士も抑えられない。事態が悪化して私まで餌食になる可能性すらあるだろう? 」

 

 

とマドカは言う、その表情を見る限り本気で思っている様で俺を見捨てる判断をした様だ

 

 

実際会った回数なんて数回だし、これが普通かも知れない

 

 

と思い苦笑しながらチラッと目を動かすと遠くの壁際で先程のダメな大人2名がハタキさんの前で正座して怒られているのを見つけたが見えなかった事にしておく

 

 

「さてと、一夏が お前をまっているぞ? まだ夏の残滓があるとはいえ夜風は冷える、早く行け」

 

 

マドカはツカツカと俺に歩み寄ってきて隣へ立ちバシンと俺の背中を叩き言う

 

 

「分かったよ」

 

 

結構強く叩かれた背中の痛みを耐えながら俺は歩き出す、目的地は何となく分かる

 

 

多目的倉庫を出て少し入り組んだ通路を進み階段を上がった先に有る鉄扉を開き屋上へと出る、そこにはフェンスの上に座り月を眺めている一夏さんがいた

 

 

「・・・来てくれたんだ」

 

「お待たせ、待った? 」

 

「ううん、そんなには」

 

鉄扉の開く音で俺に気づいたのか、一夏さんは振り返ってニコッと笑み言う。うん、可愛い、俺の彼女は可愛いぞ

 

 

「誕生日おめでとう一夏さん」

 

「ありがとう、薫君」

 

俺は一夏さんの隣に座り彼女へ言うと彼女は再び嬉しそうに笑む、それを見つつポケットからラッピングされた包みを取り出して

 

 

「これ良かったら」

 

「ありがとう」

 

誕生日プレゼントを渡すと一夏さんは更に嬉しそうな表情をして、更に可愛いと感じる

 

 

「開けていいかな? 」

 

「どうぞ、気に入ってくれると嬉しいな」

 

 

本当に嬉しそうに一夏さんは丁寧にラッピングのリボンを解き箱を開き

 

 

「これ・・・」

 

「一夏さんの誕生石を使ったネックレスだね」

 

 

月明かりを浴びて蒼く光る石を見て一夏さんが目を丸くしていたのでサラッと言ってみる

 

 

まさか誕生日プレゼントにサファイアとクリソプレーズをあしらったネックレスを貰うとは思って無かったみたいで一夏さんは固まったままだ、可愛い

 

 

まぁ普通なら、ただの高校生が手を出せる代物では無いけど、データ提出の対価に結構な金額を貰っているし、学園生活では中々お金を使わないから それなりに有った訳だけどね?

 

「わ、わ、わ、悪いよ! 絶対高いよね?! 」

 

「まぁそりゃ本物のサファイアだから、ね? 」

 

ワタワタと焦る一夏さんが可愛いなぁと思いつつ答えると

 

 

「ね? じゃないよ?! 嬉しいけど、これはぁぁあ」

 

 

「ちなみクーリングオフは非対応なので悪しからず」

 

 

可愛く焦る一夏さんに笑みながら言い、箱からネックレスを取り出してフェンスから降りて一夏さんの後ろに回って彼女にネックレスをつけ

 

 

「うん、似合ってるよ」

 

 

「あ、ありがとう」

 

 

一夏さんは観念したのか顔を赤らめて言う、やっぱり可愛い

 

 

「まだ残暑が残ってるとはいえ夜風に当たり過ぎるのは身体に悪いし、そろそろ戻ろか」

 

「そうだね、そろそろ姉さんも懲りただろうし、ハタキさんを止めないとね? 」

 

 

俺の提案に一夏さんは答え、クスリと笑み言う

 

 

その表情は、やはり可愛く、綺麗だった

 

 

俺は、この笑顔を守りたいと強く思い、改めて誓う絶対に強くなって彼女を守る事を

 

 

俺は弱い、俺1人では弱い、しかし俺は1人じゃない相棒(陽炎)や仲間がいる、最愛の人がいる

 

彼女達に報いる為にも頑張ろう

 

 

 

目標は高く、モンドグロッソ優勝と言った所かな?

 

 

よし、そうしよう。 目指せモンドグロッソ優勝!!

 

 





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ラストシューティング

※5年後です

真エンディング



薫君視点




 

 

 

もう慣れた換装作業を受けながら俺は集中する、この一戦は負けられない

 

 

「漸く此処まで来たなマスター」

 

「そうだね陽炎」

 

いつもの様に俺の右側を漂う陽炎の言葉に頷き返答する

 

そう、俺達は漸く此処までやってきた。この日まで長い道のりが有った、負けた続きの道のりだった、それでも前を見据えて俺は・・・俺達は此処まで来た

 

 

「今日、ここでマスターが勝てば歴史に名を刻む事ができる。人類初として」

 

 

「それも悪くないかも知れない」

 

 

人類初の男性IS適合者として既に刻まれてる感は否めないけど、少なくとも今日この戦いに勝てば人類初の男性IS搭乗者(シグルド)の称号を得る事が出来る

 

そんな感じで陽炎と会話をしていると

 

 

「準備完了、あとは勝つだけだね」

 

「ありがとう」

 

 

一夏が俺に微笑みながら報告してきたのでお礼を言い、カタパルトの先を真っ直ぐ見据える

 

 

一夏にはIS学園に入学した時からお世話になりっぱなしだな、1年の秋にあった修学旅行で京都に行った時も助けてくれた

 

打鉄改の強化改修を都度してくれたし、私生活でも ずっと俺を支えてくれた、だから俺は今日、今日だけは勝たなければならない

 

「一夏、この試合に勝ったら聞いて欲しい事があるんだ」

 

「分かった、待ってる」

 

俺の言葉に一夏は短く答え、作業をしてた整備士達に声を掛けてピットから待機場へ引き上げていく

 

 

「よし、行こうかマスター」

 

「あぁ、行こう陽炎」

 

 

俺は陽炎の言葉に答え主機の出力を上げてカタパルトの勢いを受けてアリーナへ飛び出し、内壁をなぞる様に飛び待機位置で静止して対戦相手を真っ直ぐ見据える

 

 

「待っていましたわよ、薫さん」

 

「そいつはどーも、遅刻してないからセーフだろ?」

 

真剣と言うよりはワクワクした様子でオルコットが言い俺も少し軽い調子で返答するとオルコットがクスリと笑う

 

 

「そちらの意味ではありませんわ、まぁ言いでしょう。提案がありますの」

 

 

そうオルコットは言い芝居かかった身振りをし

 

 

「漸く念願の舞台、そして今一度 私は貴方を試さねばなりません。あの日 私を救ってくれた彼女と貴方の未来を明るく照らす為にも。故に貴方には全力で戦って頂きます、互いに手の内は知り尽くしていますしね」

 

 

「あぁ、言われなくても全力で死に物狂いに足掻いて足掻いて勝ってみせる」

 

 

オルコットは俺の返答に満足したのか頷き、目つきが戦闘モードになり得物を展開したので俺も焔備を展開し構える

 

そしてカウントが空間投影されカウントダウンが始まり、カウントがゼロになった瞬間、試合が始まる

 

 

「陽炎!」

 

「任せよマスター」

 

俺が陽炎に指示を出すと焔改のミサイルポッドからマイクロミサイルがバラ撒かれアンチレーザースモークが散布される

 

「やはり初手はそうなりますわよね!」

 

「やらなきゃ面倒になるからね!」

 

アンチレーザースモークの中からオルコットが飛び出してナイフを振って来たので対物シールドで受けて身体を捻り距離を作り焔備を撃つが、オルコットは直ぐに体勢を立て直して左右に避けながら俺から距離を空けていく

 

 

「やっぱ一筋縄には行かないか」

 

「そうだの、学園生活での約3年で互いの癖や思考・戦術は把握しておるからな、初手アンチレーザースモークもアヤツも理解しておった」

 

 

そう俺達は互いの手の内を理解している、このモンドグロッソ決勝まで奥の手を隠し切れる程の余裕なんてある訳が無い

 

IS学園での3年間と卒業後の研究、手札の数は互いに分かり切っている状態だ

 

 

そんな状態で勝敗を決するのは、もはや意地と気合いだろう多分

 

 

「マスター、高エネルギー反応じゃ来るぞ」

 

「了解」

 

俺は陽炎の言葉を聞き対物シールドを前面へ出して衰退していないレーザーを防ぐ

 

 

「あらあら、やはりダメでしたか」

 

「よく言うよ、2年前より精度上がってるじゃないか」

 

 

自身の得物を構え楽しそうに言い笑うオルコットに素直な感想を述べてアンチレーザースモークを更に散布し焔備で牽制を図る

 

 

「油断出来ぬな、フレキシブルを用いて弾道を作るとは」

 

「ほんと、厄介だよね」

 

アンチレーザースモーク内ではスモーク内に含まれる微粒子がレーザーに干渉して減衰して威力を著しく低下させる訳だが、干渉した微粒子はレーザーに当たると消失してしまい濃度が下がり効力が下がっていく

 

だから適時アンチレーザースモークを散布し続けなければならない

 

そしてレーザーの通った道を再び塞ぐまで僅かな時間が必要な為、レーザーを連続で放つ事でアンチレーザースモークにトンネルを作る事が可能なのだが、誤差なく通すのは、かなりの技術を要するのだがオルコットは出来るんだよね

 

 

だとしても、俺に出来るのは足掻いて足掻いて足掻いて這いつくばっても足掻いて勝利を諦めずに前へ進むだけなので、出来る事を試行錯誤し続ける

 

 

なんとかオルコットへ応戦する事、2時間と少しが経過し俺もオルコットも肩で息をしながら向き合って真っ直ぐ互いを見据える

 

 

「素晴らしい、やはり貴方が私の好敵手です。もっと戦っていたいですが、次が打止めですわ」

 

 

「それはどうも、もう小細工は無しだ。俺もこれで打止めだしね」

 

 

オルコットは破損したビットやレーザーライフル、装甲を棄てレイピアを構え俺もならい焔備と焔改のミサイルポッドを捨て、呪われていそうな黒剣を右手に握りしめて集中する

 

 

突き穿つ白銀の枝(ミストルティン)

 

復讐するは我にあり(ヴェンジェンス・イズ・マイン)!!」

 

 

互いに放つ死力を尽くし出し切った最後の一撃が交差し閃光が辺りを覆い尽くし俺達の姿を飲み込み

 

 

 

「・・・参りましたわ、私の負けですわね」

 

 

「俺の・・・俺達の勝ちだ」

 

 

大破したブルーティアーズを纏い地面に付しているオルコットが清々しい表情で言い、俺は答えて半分ぐらいしか刀身が残っていない黒剣を突き上げる

 

 

その瞬間、試合終了のアナウンスが響きアリーナは歓声に染まる、これはこれで悪くないかもな、うん

 

 

それから一旦ピットへ戻り打鉄改3を格納してジャージを着て表彰式へ出席してメダルを貰い、その後に特設会場でインタビューを受けていると一夏が明石を伴って通りかかったので

 

「一夏、聞いて欲しい事があるんだ」

 

「なにかな?」

 

まさかインタビューを一旦止めて話かけてくると思ってなかったのか少しキョトンとしている一夏が可愛いな、と思いつつ

 

 

「織斑 一夏さん、俺に貴女を一生守らせてもらえませんか? 結婚して下さい、お願いします」

 

 

「はい、喜んで」

 

 

俺がリングケースを取り出して片膝をつき彼女に言うと、一夏は最初キョトンとしていたが、すぐに満面の笑みを浮かべ返事をくれ、報道陣が騒がしくなったけど、まぁ仕方ないか、うん

 

 

きっと明日の新聞はシグルド誕生と俺の結婚の話が載るんだろう、多分

 

 

俺は漸く人生のスタートラインに立った所だ、一夏と共に1つ1つ噛み締めて生きてゆこう

 

 

それが俺の、俺達の生きる意味だと思うから

 

 

 

 






お待たせしました


今度こそ最終回です


本当は、もっと細かく設定をしていたんですが、描写能力が低くてダメでした。すみません


詳しく書いてない裏設定とか沢山あります、マジで沢山あります。書く予定だったけど削ったネタもありました


明石と陽炎の百合な話とか、マヤマヤと静さんが付き合ってるって設定とか、本当 色々と書けてない話が有ったんですが、削りました。この辺は反省点として次回の教訓にしたいと思います


では改めて、この様な拙い作品を読んでいただきありがとうございました


約15ヶ月もの長い執筆にお付き合いいただき、大変ありがとうございました、コメントや評価を頂けた事、とても嬉しかったです


既に次回作は始動していますので宜しければ引き続き、そちらも読んでもらえたら嬉しいです


本作は今回で最後になります、本当にありがとうございました




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