一夏ちゃんは戦わない (銭湯妖精 島風)
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プロローグ

 

 

桜舞う四月、別れを経て新しい出会いと生活が始まる

 

私こと織斑 一夏(おりむら いちか)は新たな一歩を踏み出す為に世界で唯一、たった一校しかない学園の門を潜り新生活をスタートする所だ

 

学園の名はIS学園、私は この学園に入り絶対に卒業し優良企業に就職する、それを目標にしている

 

私には9つ離れた姉がいる、姉は歳の離れた私を亡くなった両親の代わりに育ててくれた、だから恩返しをしたいし姉に感謝を込めた贈り物をしたいと考えているからだ

 

とはいえ、実は私には弱点と言うか欠点、トラウマがある

 

人が怖い、会話が苦手、人見知りを悪化させた様な状態だ

 

私の姉 織斑 千冬はISの搭乗者で日本代表でありISの世界大会モンドグロッソの初代 総合優勝者だった。数年前 第2回モンドグロッソ決勝を会場で姉が用意してくれた1番試合が良く見える席へ向かう途中で誘拐された

 

理由は姉のモンドグロッソ二連覇を阻止する為、たったそれだけの為に私・・・否、俺は誘拐され 暇を持て余した誘拐犯のお遊びで怪しい薬を注射で投薬され、(おれ)から(わたし)へと身体が造り代わり、純潔を奪われる寸前で決勝を棄権した姉な救出された

 

その後は大変だった、国家代表である姉の行動は問題にならない訳が無く色々あって姉が第一線から退き、モンドグロッソ開催国であるドイツに1年間 指導者として働く事で一応の収束を見せ、私は私で警察とドイツ軍の人に何度も事情聴取され、もう精神的にいっぱいいっぱいで、何を話したかは あまり覚えていない

 

さて事情聴取から解放された訳だが、今までと違う性になってしまった訳で頭は もうパンクしそうだったが、姉の親友でISの生みの親の束さんが何故か現れて色々と面倒を見てくれた

 

うん、そう私が人見知りをするのは、誘拐されたのが原因で軽度の男性恐怖症の様な状態にある

 

慣れれば比較的大丈夫だが、慣れるまでに時間がかかる。まぁ半年程はドイツで軽く引きこもりながら女のイロハを束さんやクロエに教わったりしたんだけどね?うん

 

実質女子校のIS学園なら あまり気にならないだろう、と考えていたが人生は上手く行かないもので、世界初の男性IS適合者が現れてしまった

 

ちょっと うっ ってなったが、彼も好きで そうなった訳じゃ無いだろうから極力 接触は控えたい

 

たとえ、私が束さんからISの整備を直伝されていて、整備・改修機能特化型の専用機を持っていたとしても、だ

 

同じクラスになる可能性だって8分の1だし、仮に同じクラスになっても彼が近くの席になる可能性だって低い筈、多分

 

 

さて色々と前置きが長くなったが、私は深く息を吸い、ゆっくりと吐いて校門越しに校舎を見据えて覚悟を決めて一歩を踏み出す

 

新しい出会いの数々に期待と不安を抱いて、自分の夢への一歩を踏み出す為に、まずは入学式に出なければ

 

そういえば姉は大丈夫だろうか?

 

予期せぬ男性IS適合者(イレギュラー)でゴタゴタが多いって言ってたけど、とIS学園で教師をしている姉を想う

 

うん、放課後とか昼休みにでも顔を見に行こう、流石に心配だし

 

 

 






新作です、頭軽くして書いていますw



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SHR

 

 

入学式を経て教室で頭を抱えてる影が2つ

 

彼は周りの視線に悩まされ、私は真横にいる彼の存在感で落ち着かない

 

どうも人生は上手く行かないものらしい

 

とはいえ、いつまでも頭を抱えていられないので頭を抱えるのを辞めて深呼吸し意識を切り替える為に自己暗示をかける

 

目を閉じて 私は大丈夫、私は大丈夫と自分に言い聞かせ目を開けると目の前に茶髪でツーサイドアップの子が立っていて

 

「大丈夫〜? 気分でも悪いの? 」

 

と少し間延びした喋り方で私を心配してくれた様で訪ねてくる

 

「え・・・あぁ、うん・・・大丈夫、です」

 

突然の事で軽く変な感じになってしまったが、彼女へ返答すると

 

 

「そっか〜良かった〜 あ、私 布仏 本音。よろしくね〜」

 

彼女は柔らかく笑み萌え袖を軽く振って言う

 

「わ、私は 織斑 一夏です。よろしく、です」

 

「じゃぁ、おりむー だねぇ」

 

私が名乗ると彼女はニコニコしながら、いきなり あだ名を付けてきたが、不思議と不快と思わず なんか癒される様な気がする

 

なるほど、これが癒し系か

 

「じゃぁ、貴女は のほほんさん、かな? 」

 

彼女の雰囲気で冷静さを取り戻していうと彼女は嬉しそうにニコニコする

 

それから軽く雑談をしていると始業の鐘が鳴り のほほんさん は自分の席に帰って行き、チラリ隣を見ると彼は頭を抱えて石の様になっていたが、彼には悪いが私に出来る事は無いので そっとしておく

 

それからすぐに先生が入って来てSHRが始まる

 

「皆さん、入学おめでとうございます。私は この1年1組の副担任の山田 真耶です、よろしくお願いします」

 

割と小柄で童顔故に制服を着て私達に混ざっていても違和感が無い山田先生の挨拶を聞く

 

あとでコソッと姉さんが、ちゃんと生活出来てるか聞いてみよう。同僚なら何となく分かるだろう、多分

 

それから山田先生の話が続き、自己紹介の時間になる

 

此処でミスをしてしまうと、自己紹介が事故紹介になってしまうので気をつけないといけない

 

かと言って気合いを入れ過ぎた自己紹介をしてもダメなので塩梅が難しい

 

そんなこんなで私まで順番が回って来たので立ち上がり深呼吸して

 

 

「織斑 一夏、です。整備士を目指しています、特技は家事全般と軽度工作、趣味はプラモデル製作と料理です。よろしくお願いします」

 

可もなく不可もない程度に自己紹介をして一部の凄まじい視線を感じつつ席に座り軽く溜息を吐き、クラスメイトの自己紹介を聞く事に気を向ける

 

ごめん、箒 あとで説明するから待ってて欲しい

 

さて、一向に自己紹介が聞こえなかったので隣を見ると彼は まだ頭を抱えていた、どうやら自分の番だと気付いていない様だ

 

「八月一日 君、八月一日 君? 」

 

「は、はい 」

 

彼の様子に気が付いた山田先生が彼の名を呼び、漸く顔を上げて山田先生を見る

 

「えっと・・・自己紹介、今 八月一日 君の番なのだけど、自己紹介して貰えるかな? ダメかな? 」

 

やや困り顔で前傾姿勢で彼へ言う、うん 少しあざとい・・・本人はそんなつもりは微塵も無いだろうけど

 

「分かりました、すみません」

 

彼は少し慌てた様子だったが少し深呼吸して立ち上がって、もう一度深呼吸し

 

「え、えー・・・八月一日 (ほずみ ) (かおる)です、何の因果か世界初の男性IS適合者になってしまいました。正直、右も左も分からない新参者なので、多少の失敗には目を瞑って貰えると助かります。よろしくお願いします」

 

とさっきまで頭を抱えていた人間とは思えない程、しっかりとした自己紹介をして着席をする

 

「なかなか悪くない自己紹介だったんじゃないか、八月一日? 」

 

音もなく現れ彼へ言うレディーススーツの女性を見て私は思わず

 

「え、えぇ!? 姉さん!? なんで此処に?! 痛っっ」

 

と少し大きめな声で言ってしまい、軽く小突かれ

 

「織斑先生と呼べ馬鹿者」

 

と言われ、はい と返事をするとクラスメイトの8割ぐらいが姉へ黄色い悲鳴をあげる

 

それを聞いて姉は面倒臭そうな表情をしているので、IS学園に勤めてから毎年コレを味わっているのだろうと察しておく

 

 

「静かに、私は織斑 千冬。この1年1組の担任だ。諸君らを在学3年間で世間に出しても恥ずかしくない人材へ教育するのが私の仕事だ、まず此の1年で諸君らにはISの基礎や必須な知識、技術を徹底的に学んでもらう。分かったな? 」

 

と姉は自己紹介をし、再び教室が黄色い悲鳴に包まれる

 

やはり現役を退いて数年とはいえ、まだまだ人気は衰えていない様だ、妹として喜ぶべきか驚くべきか悩むところではあるが

 

「はぁ・・・では自己紹介の続きをしてくれ」

 

軽く面倒臭そうな表情をして姉は指示を出す

 

 

それからクラスメイトの自己紹介は滞りなく進み

 

「それでは全員の自己紹介も終わったのでSHRを終わります、休み時間を挟んで最初の授業がありますから準備をしておいて下さい」

 

と山田先生は締めて姉と共に教室を出て行く

 

 

さて、約6年ぶりの幼馴染とお話しでもしよう、幼馴染だし普通に会話出来るだろう、多分

 

そんな僅かな不安を抱えつつ席を立って彼女の元へ踏み出した

 

 






目標は、2000字ぐらいで書ける様になる事です

試行錯誤しながらチマチマ頑張ります



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涙と最初の授業

 

 

意を決して箒の席へ歩む事 数歩、私をジッと見ている彼女の正面に立ち何とも言えない緊張感を味わいながら口を開く

 

「久しぶり箒、此処だと落ち着かないから移動しない?」

 

内心、心臓がバクバクしているが彼女には悟られない様に勤めて言うと

 

「・・・仕方ないな、屋上に行こう。彼処なら邪魔も入るまい」

 

と鋭い気配を纏ったまま提案し、席を立って歩んでいく

 

とりあえず無言で箒の後に続き、お互い無言のまま屋上に辿りついて

 

 

「え、えーっと・・・改めて、久しぶり箒」

 

久しぶりに会う幼馴染(ほうき)のオーラに少し圧倒されかけるが、勤めて笑顔で彼女へ言うと

 

「・・・貴様、本当に一夏なのか? 本当に私の幼馴染の織斑 一夏なのか? 」

 

箒の纏うオーラが人を2〜3人斬った事のある武士様なモノに変わり少し怖いが我慢して

 

「そうだよ? 今詳しくは話す時間が無いから省くけど、私は正真正銘 織斑 一夏だよ。あ、そうだ私と箒しか知らない秘密の話を・・・」

 

念の為に私達2人しか知らない秘密の話を箒に耳打ちすると、オーラは消え失せ、箒は目に涙を浮かべる

 

「それを知っているのならば、お前は幼馴染の一夏だ・・・うぅ・・・一夏・・・なんで」

 

そう呟き箒はポロポロと涙を流し始めてしまい私は、どうしたものかと慌ててポケットからハンカチを取り出して彼女の涙を拭くと

 

「お前は変わらず優しいな一夏」

 

安心した様な表情で私を見て言う箒に

 

「目の前で幼馴染が泣いてるんだから、当たり前じゃないかな? 」

 

 

と思っている事を、そのまま伝えると箒はクスリと笑い

 

「そうだな、お前は そうゆう奴だ。いつ お前が(そう)なったかは私には分からないが、自分が大変だろうに 他人(わたし)に優しくしてくれる・・・本当に お前って奴は 」

 

そう箒は嬉しそうに、ほんの少し呆れた様に言う

 

「それ、褒めてる? 」

 

私は少し茶化す様に言い肩を竦める

 

「あぁ、褒めているとも」

 

箒は笑んで言い頷く、やはり箒は笑顔の方が似合う

 

確かに箒は、ラスト侍みたいな剣術少女で口下手で感情表情が苦手で他人とのコミュニケーションが苦手だが、根は良い娘だ

 

昔はよく衝突もしたが、今では良い思い出だと思う

 

と少し思い出に浸っていると予鈴が鳴ったので

 

「あ、予鈴だ。戻ろうか箒」

 

「そうだな、ありがとう一夏」

 

「どういたしたして? 」

 

なんかスッキリした表情の箒に突然お礼を言われ不思議な気持ちになって変な返答をして教室に戻る

 

とりあえず箒からピリピリと言うかトゲトゲしたオーラが消えたから多分、クラスメイトも話しかけやすくなった筈だし少しは友達も出来るかな?

 

まぁ私は箒の事を心配していられる程 余裕は無いけどね、うん

 

それから教室に戻って授業を受ける

 

1時間目の授業の内容は、ISの基礎中の基礎 ISの成り立ちや開発者の事を習う

 

ISの開発者の名は篠ノ之 束、箒の実姉であり私の姉 千冬の親友であり、私の恩人

 

心身共に満身創痍の私を姉がドイツで教官をしている1年もの間、面倒を見てくれた私にとって2人目の姉の様な存在だ

 

決して無理に連れ出そうとせず、女の身体に戸惑う私を優しく女のイロハ、言葉遣いや立ち振る舞いを教えてくれ、彼女が気晴らしになるかもと、教えてくれた整備技術は私の目標となり道標になり私に夢を与えてくれた、感謝してもし足りない

 

さて、そんなISの基礎の基礎を学ぶ最初の授業だがIS学園を受験するにあたって知っていて当たり前の知識、つまり復習に近い内容な訳だが、私の隣に座る彼は仕切りに首を傾げては両隣(私と箒)を見て更に首を傾げる、その様子を見て少し疑問に思いつつ ある事に気がつく。彼の机の上には必読の参考書が無い

 

参考書は専門用語の辞書の様な意味もある、というかペラ紙の厚さが5㎝を超える参考書に記載されている全ての専門用語を高々三か月程度で丸暗記なんて普通の人間には、ほぼ不可能だ

 

出来たら苦労しないし、知識だけならIS学園に通わなくても良いんじゃ? ってレベルになると思う

 

まぁそれは置いておいて、まさか初日から忘れ物をしたのか? と思っていると、彼の異変に気が付いた山田先生が彼へ

 

「八月一日 君、何か分からない所がありましたか? 何でも聞いてください 」

 

なんか教師らしく見える山田先生の言葉に彼は恐る恐ると言った表情をして

 

「・・・全部分かりません」

 

「 えぇ!? ぜ、全部ですか? 」

 

その言葉を聞き山田先生は見るからに取り乱して、姉は目付きが鋭くなり黒板の端の待機位置からツカツカと彼の方へ歩み寄り

 

「 八月一日、必読の参考書は読んだか? 」

 

姉は何故か私の机の前で止まり彼に問いかける

 

「必読の参考書、ですか? 」

 

彼は姉の問いに首を傾げて記憶を探る素ぶりをする

 

「すみません、どんなヤツですか? つい1週間前まで検査とか実験とかで よく分からない施設に居て制服とか教科書類も昨日貰ったので 」

 

と彼は困った様な表情で言う、彼の言葉が真実なら必読の参考書を読む時間なんて無かっただろうし、なんだか不憫に思える

 

そんなわけで姉の顔を見ると恐らく私と同じ様に察した表情をしていて、私の参考書を掴み彼へ見せ

 

「これだ、見覚えはあるか? 」

 

「・・・あ、あぁ それ辞書じゃ無かったんですね。すみません、色々と いっぱいいっぱいで読んでません」

 

と彼の言葉を聞き姉は軽く頭が痛そうにしながら参考書を私の机に置き

 

「いや、事情は分かった。八月一日、1週間で必要最低限の事を覚えよう。放課後に補習だ 」

 

「え? あ、はい」

 

正直、必要最低限でも1週間で覚えられるのか? って思うが、覚えないと授業はチンプンカンプンだろうからやらなきゃいけない

 

 

頑張れ八月一日 君、私は君を影ながら応援しているよ、ごめんね? 私は男性が苦手なんだ

 

かと言って、元男子だから女子と普通に話せる訳でも無いけどね?

 

 

 






漸く仕事が落ち着いて執筆時間がガッツリ作れました


ウチの一夏ちゃん、如何ですか?


もしかしたら、オリ男性搭乗者くん の名前を変更するかも知れません、ご容赦下さい



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イギリス代表候補の咆哮

 

 

 

それから彼以外には滞りなく授業は進み2時間目を終え、トイレに行って用を足して戻ると彼に金髪のお嬢様(セシリア・オルコット)が彼へなんか話をしていたが、少し苦手な類の人みたいなので、限界まで気配を消してオルコットさん の後ろを通り文庫本を読んでいる箒の横に移動して屈んで小声で尋ねる

 

「ねぇ、オルコットさん は何で八月一日 君に絡んでるの? なんか凄い偉そうだけど」

 

「さてな? お前が席を立って直ぐに八月一日へ偉そうに絡み始めたんだ」

 

箒は文庫本から目を離さずに小声で答える、その表情は不愉快そうだった

 

「・・・そっか」

 

私は それだけ呟いて立ち上がって、自分の性分と性格に少し嫌気がさしつつ

 

「あ、あの・・・オルコットさん? もうチャイムが鳴るから、そろそろ席に着いた方が良いんじゃないかな? 私が言うのもアレだけど織斑先生のゲンコツは痛いよ? 」

 

と出来るだけ冷静を装って彼女に言うと

 

「仕方ありませんね、続きは改めて。失礼しますわ」

 

とファサァッと自身の髪を翻して自席へ帰って行く、何か様になっていて美少女って凄いなぁと感じつつ私も席に座ると

 

「えっと、ありがと」

 

と彼は私にお礼を言ってきた

 

「え? う、うぅん、別に何もしてないから、気にしないで? 」

 

出会って数時間の仲だが、漸く彼の笑みを見て少し戸惑って変な感じで返答をしてしまったが彼は気にしていない様子だったので良かった

 

 

とはいえ、私が抱える問題故に彼と普通に会話が出来る様になるには暫く時間が必要だろう

 

少なくとも1年は同じクラスなのだから、少しは会話出来る様にならないと彼に悪いだろうから

 

それから数分経たずに3時間目の始業の鐘が鳴り姉さんが教壇に立ち

 

 

「では3時間目の授業を始める前に、クラス代表を決める。毎月の様にある各種行事へ出てもらう他、クラス委員長を兼務して貰う。自薦他薦は問わないが、自薦が望ましい」

 

姉は教卓に自分が持ってきた教科書などを置き教室を見渡して言う、競技者志望なら千載一遇のチャンスな訳だから自薦が居る筈なのだが、一向に挙手する人が居ない

 

おかしいな、間違い無く1人は自薦して当たり前のセシリア・オルコットがいるのだけど・・・まさか、他薦で自分が呼ばれるのを待ってるのか?

 

この状況でオルコットさんの名が上がる訳無い、だって さっきの様子を見たら誰でもクラス委員長にしたいなんて思わない

 

「なんだ、居ないのか・・・仕方ない、他薦で良い。誰か居ないか? 」

 

姉は少し面倒くさそうな表情をして言うと、次々にクラスメイトは彼の名を挙げる、その状況に軽く怒りを覚える

 

私は元来 少々頭に血が上りやすい質だ、特に理不尽に対して

 

これは元々 私が男だったと言うのも有るが私には肉親が姉しか残っていないと言う家庭環境もある

 

この世界は平等に出来ていない、それを物心ついた頃から散々理解して来た、だからこそ 私には許せない事だった

 

故に意見しようとして、声が出なかった。生来の性格と真逆の私に刻まれたトラウマ、それが私に声を出させなかった

 

だが、そのおかげで怒鳴らずに済み深呼吸をして冷静さを取り戻し、言葉を選んで意見しようと考えていると、ガタンと音を立てて椅子から立ち上がって

 

「納得いきませんわ!」

 

と憤慨した表情をしているオルコットさんが吠えていた

 

それを見て更に冷静になり頭の中が妙にスッキリする

 

「なぜ世界初と言うだけの男性が推薦され、イギリス代表候補生の(わたくし)が推薦されないのですか? 全く納得できませんわ!! だいたい・・・」

 

クラスメイトの理不尽を諭してくれるのかと少しだ期待したが、やはりそんな事は無く、自分が推薦されない事に不満が有った様でよく喋る

 

なんでも、文化的に後進的な日本にいる事がどれ程嫌か、とか色々と言ってくれるので、一旦冷めた頭に再び血が上って行き我慢の限界を超え、俺は机に拳を叩きつけ立ち上がり

 

「いい加減 煩いな! そんなに日本が嫌なら国に帰れば良いだろうが、それに お前は そんなに偉いのか? 高々 代表候補生で偉そうに」

 

そこまで言って私は、ハッと正気に戻り軽く後悔する

 

たまに私は昔の自分(オレ)に戻ってしまう事がある、特にキレた時とか極度に頭に血が上ってる時とかに

 

まだ言葉だけだったのでマシな方、多分

 

というわけで出た言葉は戻らないので少し後悔をしつつオルコットさん を見ると私の様子に驚いたのか口を開けて固まっていたが数秒して

 

「な、な、な、なんなんですの貴女! 私は代表候補生、沢山の候補生 候補から選ばれたエリートですわ!! それを貴女は! 」

 

と元々色白の彼女が顔を真っ赤にして憤慨しながは言うが、私は少しも共感出来ず

 

「あー・・・うん、ごめんなさいオルコットさん少し言い過ぎたよ、でもイマイチ凄さが分からないんだ。何せ・・・私の実姉は日本代表で初代ブリュンヒルデ、幼馴染のお姉さんはISの生みの親なんだ。今更、代表候補生で専用機を持ってるぐらいじゃ、ちょっと凄さが分からない」

 

と言ったら私の背後に立っている姉が私を睨む気配を感じ背中に冷や汗をかく

 

ヤバイ、姉さんはブリュンヒルデって呼ばれるの嫌いだったのを忘れていた

 

とりあえず私の言葉にオルコットさんは口をパクパクさせて言葉に出来ない表情をしていたので

 

「え、えーっと・・・オルコットさんがクラス代表をしたいみたいなので、彼女をクラス代表にしたら良いんじゃないですか? 織斑先生? 」

 

と恐る恐る姉の方を向き進言してみる

 

「・・・そうだな、それも良いが推薦した者もオルコットも納得いかんだろう。模擬戦をして白黒つけてクラス代表を決める事にする、八月一日、オルコット両名は そのつもりでいろ。あと織斑、お前は昼休みに生徒指導だ、逃げるなよ? 」

 

私の進言に答え2人へ申し伝えをした後、ギロっと言う効果音が聞こえそうな目で私を睨みながら言われ、実姉の威圧感に少し漏らしそうになるが耐えて頷き自分の席に座る

 

「では授業に入る、テキストの・・・」

 

と姉は直ぐに切り替えて3時間目の授業に入る、ヤバイ昼休みが怖くて集中できない

 

 

どうにか逃げる方法を思案するが全く思いつかなかった、むしろ逃げた方が恐ろしい結末が待っているのは目に見えているのだった

 

 

 

 






こんな一夏ちゃん、どうでしょう?



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生徒指導室で

 

 

 

全く集中出来ないまま3時間目と4時間目を経て昼休みが来てしまい

 

 

「織斑、来い」

 

「・・・はい」

 

と姉の凄味が効いた声に素直に従い断頭台に向かう罪人の様な気分になりながら姉の後ろを付いて行き職員室に辿り着き

 

「少し待っていろ」

 

「・・・分かりました」

 

姉は私に そう言い職員室に入って行き、私は指示に従い職員室の前で待機していると姉は直ぐに紙袋を持って戻って来て

 

「待たせたな、来い」

 

再び移動を始めた姉に着いて行き生徒指導室へ入る様に言われ中に入ると、姉は扉の鍵を閉め

 

「よし・・・座れ一夏、なんだ その断頭台に掛けられた罪人みたいな顔は」

 

と姉に言われ私の頭の中を疑問が支配して喋れずにいると

 

「あぁ、まさか生徒指導を本気にしたのか? お前のアレは別に お前が悪い訳では無い、むしろ姉としては嬉しいと思っている・・・教師としては少し注意はせねばならんが、わざわざ昼休みに呼び出す程では無い。ほら座れ」

 

「う、うん」

 

姉に言われ椅子に座ると姉は紙袋から お弁当を取り出し私の前に置き、私の正面の椅子に座る

 

「織斑先生? 」

 

お弁当を見てから姉を見ると

 

「本当はダメだが今は姉妹で昼を食べるだけだ、この部屋に居る間だけはプライベートの時間と言う訳だな。だから先生はいらん」

 

 

と姉は、家に居る時の優しい雰囲気になって言う

 

「分かったよ姉さん」

 

私は頷き お弁当を開くと中にはサンドウィッチが入っていた

 

「姉さんが作ってくれたの? 」

 

「そうだ、と言えたら良かったが学食で販売されているモノだ。本当は今日ぐらい作るつもりだったが、イレギュラーの対応で時間がな」

 

 

私の問いに姉は肩をすくめて答える、その姿を見て改めて自分は姉な愛されていると感じ

 

「無理したらダメだからね? 姉さんは何でも抱え込みがちなんだから」

 

「・・・善処はしよう」

 

私が本気で心配している事が伝わったのか姉は私から目を少し逸らして自分のサンドウィッチを食べる

 

その様子を見て、相変わらず頑固だな と思いつつ私も自分のサンドウィッチを食べ始め、IS学園の料理のレベルに驚く

 

流石、多国籍の学園だけ有って物凄く美味しい とサンドウィッチを食べながら思い、ふと姉へ尋ねる

 

「ちゃんと洗濯物貯めずに洗濯してる? あと部屋の掃除とか 」

 

「・・・もちろん、している」

 

私の問いに姉は私に目を合わせずに答える、その様子を見て

 

「・・・ 確か寮監だったよね? 姉さん、夕食の後に部屋に行くね? 」

 

にっこり笑み姉へ言うと見るからに、あからさまに汗をかき始め

 

「その、なんだ? ほら機密扱いの書類も有る、だから部屋に入れさ訳には・・・」

 

「行くね? 」

 

明らかに嘘をついている姉に再度 意思表示をすると

 

「・・・わかった」

 

と今度は姉が断頭台に掛けられた罪人みたいな顔をする、つまり姉は嘘ををついていたのを確信する

 

「別にそんな顔しなくてもいいよ、八月一日 君の対応とかで忙しかったのは分かるし。素直に言ってくれれば掃除と洗濯ぐらい私がするから、ね? 」

 

と言うか、多忙で家を空ける事が多い姉の代わりに織斑家の家事の全てをしてきたのは私なんだから、学園に入ったとはいえ やる事は変わらない、と私は考えている

 

まぁ教師としてのメンツを考えると私を頼り辛いのだろうけどね?

 

「いつも すまんな一夏」

 

と姉は少し落ち込んだ表情で言うので

 

「良いよ、姉さんには いつも感謝してる。私が出来る事なんて家事ぐらいだしさ、私こそ ありがとう姉さん」

 

と姉へに笑んで言う

 

 

それから本当に久しぶりに姉妹水入らずの時間を過ごす、他愛無い話をして、笑い合う。そんな有り触れた幸せの時間を過ごしていると昼休みの終わりを告げる鐘が鳴る

 

「む、名残惜しいが時間か。一夏、お前も あまり無理をするな、私に似て お前も抱え込む質だからな」

 

姉は そう言い私の頭を撫でて言う、私が(わたし)になって姉はより一層 優しくなって、頭を撫でる様になった

 

元より たった2人の肉親だ、亡くす事がどれだけ恐ろしい事か私達は知っている

 

「・・・分かってるよ姉さん、大丈夫。この学園には箒もいるし、姉さんも居る、だから大丈夫」

 

と私は姉の手を握り言い、お弁当を片付けて

 

「それじゃ姉さん先に行くね? 」

 

「あぁ、後はやっておく」

 

後の片付けを姉に任せて生徒指導室を後にしトイレを経由してから教室に戻って5時間目の準備をする

 

放課後は購買に行ってゴミ袋とか有るか確認しておかないとな・・・いや、その前に寮の部屋に行って荷解きが先か

 

あーでも、作りかけの百式も組みたいな・・・悩む

 

とりあえず今は5時間目の授業に集中しよう、悩むのは後でも問題ない

 

 

 

 

 





少しだけ職権濫用する千冬さんの巻w


IS学園って模型部ありますかね?←



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放課後の一夏、ルームメイトとの邂逅

 

 

一旦煩悩を放棄して5時間目と6時間目の授業を真面目に受けて帰りのSHRの時間になり

 

「では今日はこれで終わりだ、八月一日は帰り仕度が済んだら職員室に来てくれ、解散」

 

姉は そう締めくくり山田先生と教室を出ていく、それを見送り一旦放棄していた考え事をする

 

入学初日で私は部活に所属していないので比較的時間に融通が利く、なので購買に寄って必要物資の有無を確認して寮の部屋に行き荷解きと同室の娘に挨拶をして、夕食まで百式の組み立ての続きをしよう

 

 

と自分の中で計画を立てて、帰り支度を始めると

 

「一夏、私は剣道部に入部しようと思っているが、これから一緒にどうだ? 」

 

教科書を通学鞄に詰め込んでいると箒が私を誘ってくる

 

「ん〜・・・この後、寮に行って荷解きして姉さんの部屋に行こうと考えてるから今日は遠慮しとくよ。それに暫く剣道してないし・・・」

 

そう言うと箒は少し残念そうな表情をして

 

「そうか、久しぶりに お前と剣を交えたかったが仕方ないな。気が向いたら相手をしてくれ、ではな」

 

「うん、ありがと」

 

そう言う箒に小さく手を振り見送り教科書を詰め終え席から立ち上がると

 

「ねぇねぇ おりむー しののん と仲良さそうだねぇ? 」

 

癒し系の雰囲気を振りまきながら のほほんさん が話しかけてきたので

 

 

「えっと、箒の事だよね? 箒とは幼馴染なんだ、昔 姉さんと通ってた剣道場の娘なんだ箒」

 

と のほほんさん に説明すると

 

「おぉ〜そうなんだぁ、私も幼馴染が4組にいるんだぁ」

 

なんか嬉しそうに、にっこにこ して のほほんさん は言う

 

なんか癒される、妹に欲しい

 

「そうなんだ、機会があれば紹介してくれる? 」

 

「いいよ〜、皆んな仲良しで皆んなハッピーだぁ〜」

 

のほほんさん は、ちょっと独特の感性を持っている様で私の言葉足らずの返答を気にせずに言う、少なくとも のほほんさん は3時間目の一件の事を気にしていない様だ、良かった

 

「私、購買に寄ってく予定だからこれで。また明日」

 

「また明日〜」

 

小さく手を振ると のほほんさん は萌え袖をブンブン振って見送ってくれる、うん やはり妹に欲しい、癒される

 

教科書で物凄く重い通学鞄を持って教室を出て購買へ向かう、IS学園は全寮制の学校なので生活に必要な多種多様な物が売られていて、ゴミ袋も有ったので良かった

 

とりあえず一通り見てからゴミ袋とペットボトルの お茶を購入して寮へと向かう

 

その道中、5月になったら姉さんの夏用のスーツを実家に取りに行かないとなぁ とか考えつつ、ついでに弾の所に顔を出してみようか とか考える

 

そんな感じで最早鈍器として使えそうな通学鞄と戦いつつ寮へ辿り着き、先日郵送されて来た鍵をポケットから取り出し解錠して入室して学園指定の段ボールが2つと自分のボストンバッグが有るのを視認し、2つ並んだ勉強机を確認すると既に同室の娘は荷解きを終えているのを認識し、空いている手前の勉強机に通学鞄と手荷物を置き椅子に座ってペットボトルのお茶を飲んで一息つく

 

「よし、面倒な事は早急に終わらせよう」

 

と気合いを入れて荷解きを始める

 

開封して1番上の物を見て片方を勉強机の下に押し込み、もう片方の荷物とボストンバッグの中身をクローゼットに整えていれて通学鞄から教科書を取り出して勉強机の本棚に綺麗に並べる、荷物自体は それ程多くなかったので直ぐに終わり、机の荷物を一旦退かし下に入れた段ボールの荷物の中身を並べる

 

「えーっと・・・良かった全部有る」

 

未開封のガンプラとプラモ用の工具や その他一式が揃っているのを確認し安心する

 

「あー・・・コレ少なくなってたの忘れてた」

 

塗料の入った容器を持って、百式には塗らない色だから買い足すのを後回しにしていたのを思い出し独り言を呟く

 

流石に購買にプラモ用の塗料は売っていないので週末にでも買いに行こうと決め、作業用のエプロンを取り出して椅子に掛けて制服から汚れても大丈夫な部屋着に着替えエプロンをして勉強机に作業用マットを敷き百式の素組みの続きを始める

 

 

そして百式の素組みが殆ど終わった頃、扉の開く音に気付き扉の方を見ると水色の髪をした儚げな少女が私を見て戸惑いの表情をしていた

 

「あ、えーっと・・・はじめまして、私は 織斑 一夏。ごめんなさい、こんな格好で」

 

前もって腹をくくっていたお陰で比較的スムーズに挨拶が出来た と安心しつつ彼女を見ていると

 

「え、うぅん、大丈夫。流石に同室の子が初日からプラモデル作ってるのは驚いたけど・・・あ、私は更識 簪。苗字で呼ばれるのは好きじゃないから、簪って呼んで欲しい。よろしくね? 織斑さん」

 

と彼女は そう言い扉を閉める

 

「うん、よろしく簪さん。私の事は一夏で言 良いよ? ほら この学園に織斑は2人いるし」

 

そう言うと彼女は私の後ろを通り奥側の勉強机にに 荷物を置き

 

「呼び捨てで良い、同じ部屋で過ごすから、その・・・あまり畏まらなくていい」

 

と、軽く恥ずかしそうに彼女が言ったので

 

「じゃぁ、私も呼び捨てで。よろしくね簪」

 

「うん、よろしく一夏」

 

私が笑んで言うと簪も笑みを浮かべ言う

 

多分、私と簪は趣味が合うと思う、勉強机に並ぶ彼女の私物にニチアサとか勇者王的なアニメのDVDが並んでいるのが見えたし、百式を作ってる私を見て変な目をしていなかったから

 

 

そんな感じで私達の邂逅はスムーズに済み、ふと時計を見ると帰って来てから2時間程経っていた事に気づく

 

なので、ひとまず百式の素組みを終わらせてしまう事にした

 

そして、姉さんの部屋掃除に向けて気合いを貯めよう、そうしよう

 

 






千冬さんの部屋掃除まで書くつもりが、思ったより書けたので次回に持ち越します


少し悩んだのですが、同室は簪にしました

一応、箒と 八月一日 君 も候補でした



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姉の威厳

 

 

アレから百式の素組みを完成させて簪とルームシェアするに当たってのルールの確認をして、用事が有ると言う簪が先に部屋を出て行くのを見送り、作業用のエプロンを畳んで勉強机の端に置いて洗面台で手を洗ってから部屋を後にして食堂に行く

 

多国籍な学園だけあって多種類の料理が用意されているバイキング方式でなかなか、お金を掛けているなぁと感じつつ適当に取って比較的 人が密集していない場所で食べる

 

しっかり噛んで食べ終え姉に携帯でメッセージを送ると部屋に戻っているとの事だったので、食器を片付けたら向かう旨を伝え食器を返却口に持って行くと制服姿の箒と遭遇した

 

「ん? 一夏か、奇遇だな」

 

「そうだね、箒」

 

幾ら同じ学園の寮に居ても同じ時間帯で食事に来て同じ様なタイミングで食器を返却するのは中々にタイミングが合っていると思いクスリと笑う

 

「今から時間あるか? 色々と積もる話も有るのだが・・・」

 

と控えめに箒が尋ねてきたので

 

「あー・・・ごめん、今から姉さんの部屋に行くつもりなんだ。多分 腐海にはなってないと思うけど・・・多分」

 

私が軽く目を伏せて言うと箒は察した様で

 

「そ、そうか・・・よし、私も手伝おう。2人より3人でやれば その分早く終わる筈だ」

 

と箒は言って歩み始める、私は箒を追って歩き出し

 

「それは悪いよ箒」

 

少し困りながら箒に言うと

 

「気にするな、幼馴染だろう? 」

 

なんか箒が本物の武士に見えてきてカッコイイと感じ

 

「ありがとう箒」

 

それから一旦部屋に戻りゴミ袋を回収して姉の部屋へ行き扉をノックすると、ジャージ姿の姉が現れ

 

「・・・なんで箒まで」

 

少し気まずそうな表情をして言う姉に

 

「たまたま食堂で会って、話をしたら助っ人してくれるって」

 

私の言葉を聞き姉は観念したのか首を回しながら部屋に引っ込んで行き、私と箒も部屋の中に入る

 

一応、姉の威厳の為に部屋の扉を閉めてゴミ袋を広げ

 

「予想より幾分かマシだね、始めよう! 」

 

ひとまず私は散らかっている書類を拾い纏めてから姉に渡し床にスペースを作り、落ちている缶ビールの空き缶を不燃物の袋にいれ、箒がクイックルワイパーで床掃除をして行く

 

それから予想したより時間は掛からず掃除が終わったので溜まった洗濯物を見て、ランドリー室と何回か往復する必要がありそうだな と思いつつ洗濯カゴから溢れた洗濯物から下着と色物、ブラウス等を仕分け始める

 

「ありがとう箒、おかげで1時間ぐらいで終わったよ」

 

クイックルワイパーのシートをゴミ袋に捨て袋を縛っている箒にお礼を言うと

 

「気にするな、此処ならば聞ける話を聞くついでだからな」

 

と箒は言い真面目な表情をする、そんな箒を見て姉とアイコンタクトし

 

「・・・近い内に箒には話すつもりだったし丁度良いかな? 」

 

ひとまず仕分けの手を止めて箒を真っ直ぐに見て言い

 

「箒が聞きたい事・・・なぜ私が男から女になっているかを話すね? 」

 

「あぁ」

 

これは必要な事だ、男だった頃(昔の私)を知っている箒には話さねばならない、その上で私が元男だと口外しない様に口止めして貰わないといけない

 

性転換を可能とさせる薬品の存在が明るみに出れば、私は実験動物の様な扱いをされ、最終的にホルマリン漬け・・・なんて事もあり得る

 

 

そんなの普通に嫌だし、普通の生活をしたい

 

とはいえ、箒へ説明すると言う事は私に何が起こったのかを話す と言う事、要は忌まわしき記憶を思い出さないといけない

 

正直に言えば思い出したくも無い記憶だが、忘れる事が出来ないのだからどうしようも無い

 

「・・・何年か前に姉さんがモンドグロッソ決勝を棄権したでしょ? アレ表向きには姉さんの専用機の故障が原因って発表だったけど、実際は私が誘拐されちゃってさ、専用機に乗って私を救いに来てくれたんだ」

 

私は強姦で純潔を失う寸前で姉が監禁先の倉庫の壁をブチ破って助けに来てくれた事に安堵を覚えた事を思い出し、それと同時に強姦され掛けた恐怖を思い出す

 

まさに見せしめ、と言わんばかりに下卑た目と表情で鎖により身動き出来ない私を無理矢理・・・

 

私は恐怖により呼吸が浅くなって身体が震えている事に気付くが、自分では どうしようもない

 

「・・・箒、一夏はな、私のモンドグロッソ2連覇阻止と言う下らない理由で誘拐された挙句に、よく分からん薬を投薬されて女に性転換させられて、見せしめの為に強姦され掛けたんだ」

 

と姉はフラッシュバックで震える私を落ち着かせる為に抱きしめ、箒へ説明をする

 

そして説明を聞いた箒は、怒りを堪えている表情をしている

 

「・・・私は千冬さんが、こんな時に嘘をつかないと信じています。なので全て事実なのでしょう? 」

 

箒の声は怒りに震えていて、まさに怒髪天といった様子だった

 

そして その怒りは投薬を防げなかった姉への怒りではなく、純粋に誘拐犯への怒りだと感じる

 

「嘘ならどれ程良かったか、今は大分良くなったが今みたいにフラッシュバックが起こる時もある。私が側に居てやりたいが、な? 立場上 そうもいかん。箒、悪いが一夏を支えてやってくれ」

 

「もちろん了承です千冬さん」

 

姉の胸に収まる私には姉の表情が見えないが、きっと優しい姉の顔をしているのだろう

 

それに安心して震えは治り

 

「ありがとう姉さん、迷惑かけてゴメンね箒」

 

姉に お礼を、箒に謝罪をすると姉は無言で私の頭を撫でる

 

 

「気にするな一夏、私こそ そんな事になっていたとは知らず、すまない」

 

そう箒は言い頭を下げたので

 

「箒は悪く無いよ知らなかった訳だし、知りようもなかったし」

 

それから姉を交えて3人で勤めて明るい話をする

 

箒が剣道の全国大会で優勝した話とか

 

私がガンプラのコンテストで入賞した事とか、ドイツで出会った少し変わったお姉さんと同い年の少女の話とか

 

とにかく色々な話をした

 

 

部屋に戻ったらIS学園の部活一覧を見よう、模型部が有れば覗いてみるのも悪く無いかも知れない

 

 

 

 

 






途中で目標文字数に到達するか不安でしたが、到達して良かった


と言うわけで、漸く 初日が終わりました

次回の話はプロフを載せる予定


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物語開始時プロフ

 

 

 

 

名前*織斑 一夏

 

年齢*15歳

 

性別*女

 

身長*158㎝

 

容姿*千冬さんとマドカを足して2で割って目付きを丸くしたイメージ

 

B80W56H79(仮)

 

髪は肩を少し越すぐらい

 

備考*

 

本作の主人公にして元男のヒロイン

 

第2回モンドグロッソ決勝の時、姉の千冬の大会2連覇を阻止する為に誘拐され、誘拐犯に投薬された謎の薬で性転換した挙句 強姦されかけた為、軽度の男性恐怖症と軽度の人見知りになる

 

誘拐事件後はドイツにて姉の親友の束に面倒を見てもらい1年を過ごしている、内 半年は引きこもっていた

 

束により女のイロハや立ち振る舞い、言葉遣いを学んでいて、自分が女という事を受け入れている

 

またISの生みの親である束から整備技能などの手ほどきを受けていて、ISの整備士になる事を目標にしている

 

束から護身用を兼ねて作業特化型IS 明石 を貰っていて、明石を用いて作業にあたる

 

キレたりすると口調や態度が男時代の一夏に戻る、だが直ぐに正気に戻って後悔したりする

 

趣味がプラモデル製作でガンプラを主に製作している、コンテストにも何度か入賞する実力がある

 

 

 

 

 

 

名前*八月一日(ほずみ)(かおる)

 

年齢*15歳

 

性別*男

 

身長*175㎝

 

容姿*黒髪黒目の ザ 日本人

 

備考*

 

本作における初の男性IS適合者の少年

 

原作の一夏の立ち位置にいる、とある一点を除けば普通の少年

 

鈍感スキルは保持していないが、年齢=彼女居ない歴である為、女子からの好意が友愛か恋愛感情か分からない上に、顔を合わせて相談出来る同性の友達も学園に居ない為、割と不憫な少年

 

原作一夏が居れば間違い無く親友ポジのモブになるだろう←

 

 

これぐらいしか決まってない、すみません

 

 

 

 

名前*織斑 千冬

 

年齢*24歳

 

性別*女

 

身長*166㎝

 

容姿*原作に準ずる

 

備考*

 

一夏が一夏ちゃんになった経緯故に一夏ちゃんに大分甘くなった お姉ちゃん

 

公私を分ける主義だが、たまに職権濫用して一夏ちゃんとの時間を作ってしまう人

 

一夏ちゃんセコム1号

 

 

 

 

 

 

名前*篠ノ之 箒

 

年齢*15歳

 

性別*女

 

身長*160㎝

 

容姿*原作に準ずる

 

備考*

 

原作に比べて大分マトモになっている、とりあえず照れ隠しで人を殴ったりしない

 

一夏のセコム2号

 

 

 

 

 

 

名前*更識 簪

 

年齢*15歳

 

性別*女

 

身長*154㎝

 

容姿*原作に準ずる

 

備考*

 

本作では一夏ちゃんと同室であり、趣味友

 

原作に比べて多少 姉に対しての劣等感が少ない(予定)

 

また原作と違い、専用機は完成した状態で受領しているが、そこから独自改良のプランを練っている状態

 

なので八月一日 君との確執はない

 

 

一夏ちゃんセコム3号(仮)

 

 

 

名前*布仏 本音

 

年齢*15歳

 

性別*女

 

身長*152㎝

 

容姿*原作に準ずる

 

 

備考*

 

独特の雰囲気と感性を持った間延びした独特の喋り方をする癒し系の美少女

 

 

一夏ちゃんの癒し

 

趣味友(予定)で整備実習などでは相方(予定)

 

 

 

 

 

 

機体名*明石

 

世代*第4世代

 

待機形態*ペンダント

 

外見*艦これ の明石の艤装

 

武装*

 

◯ラピュセル

 

護身用の刃を潰したロングソード、つまり剣の形をした鈍器

 

 

一夏は知らないが、特定の手順を踏むとトンデモ攻撃が出来る機能がある

 

 

◯クラインフィールド発生装置

 

特殊な光学防壁を発生させる装置、ほぼ無敵の防御力を有している

 

単一仕様*

 

◯銀砂精製

 

ナノマテリアルと呼ばれる何にでもなる魔法の様な物質、クラインフィールドの燃料であり明石のチカラの根源

 

ただし一定時間の精製量には限界がある

 

 

備考*

 

本作の一夏ちゃんの専用機

 

実質武装が護身用の鈍器1本だけであり、完全に戦闘行動を捨てている

 

作業専用ISのため他のISと違い、ISスーツを着る必要が無く、服装そのままで腰部あたりに展開される

 

ナノマテリアルを用いた応急修理が出来る他、通常の整備や修理、改修作業も出来る

 

バススロットがスカスカなので前もって大量のパーツ等を格納する事も可能であり、かなり便利

 

ただし完全に戦闘行動を捨てている為、他のISに比べて足は遅い

 

 

 

 

 

 

 

機体名*打鉄 改

 

世代*試作第3世代型IS

 

待機形態*ブレスレット

 

外見*打鉄

 

武装*

 

◯打鉄標準装備一式

 

近接ブレード・葵、アサルトライフル・焔備、対物シールド

 

◯機動強化ユニット (ほむら)

 

機動力強化の為に追加でマルチスラスターと30連装マルチマイクロミサイルコンテナが一体化したバックパックユニット

 

焔 自身の推進用のエネルギーは完全に 焔 側に搭載されているのでユニット換装でエネルギー補給も可能

 

イメージはザクウォーリアのブレイズウィザード

 

 

◯砲撃強化ユニット 雑賀(さいか)

 

元々防御型の打鉄の防御を生かして砲撃戦を主にした砲撃強化ユニット

 

長射程ビーム砲 鳳仙花を1つ と、鳳仙花用のエネルギーパックがセットになっている

 

鳳仙花は、火力と連射性のバランスが取れている

 

イメージはザクウォーリアのガナーウィザード

 

◯近接戦強化ユニット 雷切

 

ビームガトリング砲・弟切草 2門と大型戦斧・菖蒲(あやめ)、小型マルチスラスターにより近接戦強化をしたユニット

 

弟切草は小口径で反動が少ない代わりに倒しきる程の威力を出せない為、牽制や迎撃に用いる。命中精度も弾をばら撒くガトリング砲故にお察し

 

イメージはザクウォーリアのスラッシュウィザード

 

単一仕様*未定

 

備考*

 

八月一日 の専用機

 

第2世代型IS 打鉄の防御型と言う特性を引き継ぎ、第2世代では追加パッケージ等をインストールする作業が有ったが、それを無くす為にユニット化しピットで換装出来る様にした試作機

 

本体とユニットの動力が完全に別になっているのが特徴で、場面に応じてユニットを選択する事で汎用性が高くなっている

 

また量産機がベースな為、比較的整備が簡単になっている

 

ユニット換装には明石を除いて専用の設備が必要ではあるが、試合ぐらいなら問題は無い

 

比較的余裕のあるバススロットには観測機器などが入っているが、まだ余裕がある

 

 

 






とりあえず暫定的な設定です




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新しい朝が来た

 

 

アレから部屋に帰って部活一覧を見て模型部の存在と部室の位置を確認して お風呂に入ってから眠った

 

そんな訳で学園生活2日目を迎える

 

私は髪が長めなので寝癖を直すついでに朝にシャワーを浴びるのが日課になっているので簪を起こさない様に起きてシャワーを浴びてしっかり髪を乾かして浴室から出ると簪は起きているが寝惚けているのかベッドに座った状態でボーっとしていた

 

それを横目で見ながら身支度をしていると簪はメガネをベッドのサイドテーブルに置いたまま洗面台に向かい身支度を始めた

 

 

「簪? メガネを掛けなくて鏡、見えるの? 」

 

それを見て、少し気になったので尋ねてみると

 

「ん? あぁ私は別に目が悪い訳じゃないの、あのメガネはIS整備とかで使うメガネ型のデバイス、どこでも作業出来るから便利で ずっとつけたままにしてるだけ」

 

簪は洗面台で自分の髪をブラシですきながら私の質問に答える

 

「へぇ、そうなんだ」

 

束さんも私も作業用ISを使っているから気にしてなかったけど、普通はISの情報を見るデバイスが必要なのは当たり前

 

流石に専用の工具を使うけどね

 

それから身支度を終え朝食を食べて、簪と途中まで一緒に登校する

 

そんなこんな教室に入ると既に箒が登校していて文庫本を読んでいた、絵になるな、うん

 

そんな事を考えつつ自席に通学鞄から教科書を移し箒に話掛けようと思い席を立った瞬間

 

「織斑、話が有る。来てくれ」

 

と姉が何か神妙な表情をして教室に入ってきて私を呼び出すので首を傾げつつ姉について行き生徒指導室へ入り

 

「少し面倒な事が起こった」

 

と姉は本当に面倒くさそうな表情をして言い

 

「今朝、八月一日の専用機が届いたが少し面倒な仕様で、ユニット換装仕様らしい。専用の設備が必要なんだが手違いで工期がズレてしまった為、お前に白羽の矢が立ってしまった。入学時に明石は学園に登録されているからな」

 

要は私に 八月一日 君の機体換装をやれ、と言えと学園上層部・・・いや政府辺りに言われた様だ

 

まだ少し男性恐怖症気味だが、多分 八月一日 君は悪い人ではないだろうし、ぜひオルコットさんに痛い目を見せて欲しいので

 

「分かりました、やります。資料貰えますか? 」

 

と私が言うと姉は少し心配そうな表情をし

 

「助かるが、無理はするなよ? 人数を確保すれば お前でなくても出来なくは無い筈だ」

 

姉は そう言い教師の顔では無く妹を心配する姉の顔で言う

 

「大丈夫だよ姉さん、なんとなくだけど・・・彼は大丈夫な気がするんだ」

 

そう言うと姉は教師の顔になり

 

「わかった、仕様書などの資料は後程、纏めた物を用意しておく」

 

 

「ありがとうございます」

 

そんな訳で形はどうであれ、実機を触れる口実が出来たのは素直に喜ばしいので少しワクワクしながら教室へ戻りSHRを受ける

 

 

SHRで模擬戦の日時が申し伝えられ、八月一日 君 に専用機が届いた事が伝えられる、私の専門は整備関連だけど彼よりはISに触れている時間は長い、無理のない範囲でアドバイスをする事にしよう

 

いざとなれば4組にいる簪にヘルプをお願いしよう、ん? のほほんさん の幼馴染も4組にいるって言ってた様な? まぁたまたまかな、うん

 

そんな感じでSHRが終わり、少し緊張しながら八月一日 君の方へ向き

 

 

「ほ、八月一日 君、君の専用機の整備や換装を私が任されたんだ。よろしくね? 」

 

少し緊張で頭がクラクラしているが何とか言葉を絞り出して言うと

 

「あ、うん。よろしく織斑さん」

 

と八月一日 君は返答してくる

 

「受領は昼休みだったよね? 先に仕様書とか資料は貰ったかな? 」

 

次第に緊張より実機に触れるワクワクが勝り始めて私は彼に尋ねる、すると

 

「貰ったよ、最初のページからチンプンカンプンだったけど、見る? 」

 

そう苦笑して彼は茶色のファイルを私に見せ、尋ねてくる

 

「是非、整備や調整、換装をするのに仕様を知っておかないとね? 少し借りるね? 」

 

彼からファイルを受け取り軽く目を通す

 

機体名は打鉄 改、バックパックをユニット化し換装する事で防御型の打鉄の特性を生かしつつ汎用性を上げている、と

 

ユニットの部分は別として、本体自体は打鉄と基本構造は変わらない様なので、私でも修理・改修は ある程度可能そうだ

 

流石にオーバーホールとかになると私1人では無理が有るだろうが

 

とりあえずファイルの中身を一通り目を通して

 

「だいたい分かったかな? ユニットは別として本体だけなら何とか出来そう、ユニットの換装作業についても問題は無いかな? あとは実際にやりながらじゃないと分からない所だね」

 

ファイルを彼に返し言うと、彼は驚いた表情をして

 

「織斑さん、凄いな。俺はサッパリだったのに」

 

と言う、そりゃ予備知識も何も無い状態で読んで理解出来る物じゃない、だって仕様書だし

 

「いやぁ予備知識が無い状態なら仕方ないと思うよ? 八月一日 君、それに私は凄くないよ、師匠が教えるのが上手かっただけ」

 

まぁ、その師匠はISの産みの親であり、IS技術の最先端を常に行く人な訳だけどね?

 

とりあえず彼と仲良くなれたみたいだ、良かった

 

多分 短くない付き合いになるだろうから、ある程度は信頼関係を築いておかなければ

 

とはいえ操縦面でアドバイスなんて殆ど出来ないから、誰かにお願いしないとなぁ

 

 

 






模型部まで書くつもりが溢れました、すみません


次回に繰り越しにします



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模型部訪問

 

 

あれからオルコットさんが何故か上から目線で煽りに来たりしたが、特に問題は起こらずに昼休みになり八月一日 君を見送り姉から貰った資料を片手に購買に行って片手間で食べられる物を買い、人気の少ない屋上の東屋で資料を読みながら食事をする

 

特にユニット換装の手順を念入りに読み理解を深める、じゃないと八月一日 君が怪我をしたり試合中に事故が起こる可能性が出てくるからだ

 

「・・・これを作った人はガンダム好きな人だな、絶対」

 

ユニット名や武装名は和名になってあたるが、形状や特性を見て間違いなく影響を受けているのが分かる

 

 

それは逆に言えば、ISの技術を流用すればMSが作れる可能性が有ると言う事でもある、まぁISの方が小回りが利くから優位なのは間違いないだろうけど

 

そんなわけで隅から隅まで隈なく読み、あとは実機を直接確認すれば大丈夫な状態にしておく

 

「さて、専用の設備は いつ設置が終わるかな・・・ん? 待てよ? 」

 

 

専用の設備が必要で設置工事が行われる訳だけど、アリーナ全部のピットに設置工事をする・・・訳は無い、多分一箇所だけだろう。何せ私がいるし、明石が有る

 

つまり下手しなくても、彼のサポート要員に組み込まれつつあるって事だろう

 

「・・・もし そうならバイト代でないかな? 」

 

実は衝動買いで少しやらかしてしまったのでバイトをしたい所なのだが、IS学園は全寮制 故に簡単にはバイトが出来ない

 

とはいえ、しばらく趣味を買い控えれば大丈夫では有るし あまり気にしない事にしよう

 

ちなみに衝動買いしたモノは流石に寮へ持って来れないし場所も無いので実家の自室に置いてある

 

そんなこんなで昼休みを過ごし5時間目、6時間目を受けて放課後になる

 

「八月一日、今日は専用機のフィッティングとパーソナライズ、ファーストシフトをする、場所は第2アリーナだ。織斑、換装などのテストは明日以降になる、頼むぞ」

 

姉の指示を受けて返事をすると、頷いて山田先生と教室を後にしていく、それを見送り

 

「一応 資料には一通り目を通しておいたよ、だから今日も頑張って 八月一日 君 」

 

と自分なりに彼を応援すると

 

「ありがとう織斑さん、また明日」

 

彼は そう言って通学鞄を持って教室を出て行った

 

とりあえず明日の放課後は換装作業の確認とかになるのかな?いやぁ楽みだな

 

とか考え帰り支度をして模型部を覗きに行く事にした

 

学園の簡易地図を見ながら模型部の部室を目指す訳だが、この学園は やたら広い

 

まぁ生徒数も それなりに多いし扱っているモノがモノだから仕方ないと思いはするが

 

そんな訳で道に迷いそうになりながら模型部の部室へ たどり着き、ノックをしてから扉を開け

 

「失礼します」

 

最低限の挨拶をして中を見ると部室は かなり広く壁際には様々なプラモデルが並びISの縮尺された模型も飾ってある

 

残念ながら誰も部室には居なかったので飾ってあるプラモデルを見る事にした

 

「あれ?これって・・・」

 

なんか見覚えのあるガンプラの前に立って、何処で見たかを思い出そうとする

 

割と最近だったはず、と自分の記憶を探り

 

「あ、そうだ。去年辺りに出たコンテストの時だ、優勝作品が此処にあるって事は・・・」

 

そこまで独り言を呟いた瞬間、扉が開き

 

「あれ?知らん子がいる、あぁ1年の子か・・・見学? こう言ったらアレだけど正直 ウチの部は集まり悪いよ? かなり、ね」

 

黒髪でボブカットな先輩が私に言う、集まりが悪い理由は何となく察しがつく、部室以外でも それこそ寮の部屋でも作れるからだ、現に私は昨日作ったし

 

「ははは・・・何となく理由は分かります、あの・・・これを作った方は? 」

 

苦笑して先輩に言い、優勝作品を指し尋ねる

 

「ん? あぁソレ? 私」

 

と答えながら私の横まで来て

 

「あの時の3位の子か、なるほどね。確か・・・織斑 一夏、だっけ? 」

 

先輩は 私を知っていた様で そう尋ねてくる

 

「はい、合ってます」

 

「そっかそっか、これはライバルが増えて張り合いが出て来たなぁ〜 あ、私は八坂 美緒、一応 部長って事になってる。よろしくね? 」

 

と八坂先輩は嬉しそうに自己紹介をしてくれたので

 

「えっと、入部するには? 」

 

こうゆうのは入部届けとかが必要だろうと尋ねると

 

「あぁ、はいはい。ちょっと待ってねぇ・・・はい」

 

なんか書類棚みたいな場所から入部届けを取り出して渡してくれたので受け取り、ささっと記入して八坂先輩に渡す

 

「あとで顧問に提出しとくね? まぁ部員も幽霊ばっかだから顧問も幽霊だけどね? 」

 

と八坂先輩はコロコロ笑う、なんとも皮肉めいた事だなぁと感じつつ愛想笑いをしておき

 

「模型部って何人ぐらいいるんですか? 」

 

「貴女含まずだと10人かな? 私も毎日部室に来る訳じゃないからねぇ、ほら実機を整備する自主練とかに行く事も有るし」

 

私の質問に八坂先輩は答える、その質問を聞き あ、この人は私と同種の人間だと認識する

 

つまり競技者志望ではなく、整備士志望で恐らくある程度の技術を持っている筈

 

よし、八月一日 君の整備関係で人手が必要になったら八坂先輩に声を掛けてみよう

 

ガンプラを見る限り、腕は間違い無いだろう、多分

 

 






やっと模型部まで書けました


さて、次はどうしようか


私ちゃんと、いちかわいい 出来てますかね?


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逃げる生徒会長

 

 

 

アレから八坂先輩とビルダーとして話に花を咲かせて、先輩が3年生で整備科に所属している事が分かった

 

とりあえず色々と情報を得れたのは良かったと思う

 

そんな訳で部室を後にして寮への帰る途中で水色の髪の少女を見つけ声を掛けようとして違和感を感じ思いとどまり観察する

 

 

水色の肩に掛かるギリギリぐらいの長さで外向きの癖がある髪、身長が推定160前後・・・うん、簪に似てるけど簪じゃないな この人

 

 

と自分の中で結論を出して一度ソックリさんから何となく遠くを見て正面を向くとソックリさんが私の目の前に微笑んで立っていた

 

おかしい、10mぐらい距離が有った筈なんだけど!?

 

と私が混乱していると

 

「こんにちは・・・いえ、もう こんばんは かしら? 初めまして、一夏ちゃん? 」

 

混乱する私を知ってか知らずか猫の様な雰囲気を纏い私の名を呼ぶ

 

 

いや、私は貴女を知らないですよ? とか考え記憶を探りつつ彼女を見る

 

ソックリさん、と言うよりは簪のお姉さん、と言った方がしっくりくる気がする

 

「え、えぇっと・・・お名前は? 」

 

やはり記憶に無いので尋ねると

 

「私は更識 楯無、このIS学園の生徒会長をしているわ。まぁそんな肩書きは捨て置いて、貴女に分かりやすい肩書きを言うなら簪ちゃんの姉よ」

 

前半部分までは猫の様な掴み所の無い油断できない人に思えたが、後半で 妹が好き過ぎる お姉ちゃんだと直感で認識した。この人は間違いなくシスコンだ

 

じゃなければIS学園生徒会長の肩書きを捨て置くとか言いださないだろう、多分

 

「その・・・簪の お姉さんが私に何か用でも? 」

 

と恐る恐る尋ねると

 

「簪ちゃんのルームメイトが どんな娘か確かめに来たの、プロフィールは読んで把握しているけれど、こうゆうのは直接会うのが1番だから」

 

と彼女はニコニコしながら答える、恐らく本音を言っているのだろうが、なんと言うか隙だらけの様で微塵も隙がない印象を受けて、少し苦手と感じる

 

とはいえルームメイトの お姉さんを邪険に扱う訳にも行かないので彼女に合わせる事にして

 

「そうですか、実際に会話をしてみてどうですか? 」

 

私は楯無さんに尋ねる

 

「ん〜そうね、貴女の過去は(おおよ)そ把握しているわ、それを踏まえて合格、と言った所かしら? あら、もう行かないと・・・簪ちゃんと仲良くしてあげて? あの子 趣味の合う友達少ないから、じゃぁ」

 

と楯無さんは自分が言いたい事だけ言って瞬きの間にいなくなり、数秒して栗色の髪を三つ編みにしてヘアバンドをつけた眼鏡の先輩が鬼の形相で走ってきて

 

「あの付かぬ事をお聞きしますが、猫の様な生徒会長を見ませんでしたか? 」

 

「え? あ、はい生徒会長なら先程まで此処に居ましたが、瞬きをしてる間にいなくなってました」

 

纏う般若の様な雰囲気に反して歳下である私に丁寧に対応してくれた先輩に、ありのままを伝えると

 

「そうですか、なら まだ近くにいますね。ありがとうございます 」

 

と先輩は走り去って行く、その背中を見送りながらIS学園って色んな人がいるんだなぁと思いつつ寮への帰路を歩き、ふと先程の先輩が のほほんさん に似ていた様な気がする事に気づく

 

なんと言うか多分 お姉さんなんだろうな、多分

 

それから寮の部屋に帰ると既に簪は戻って来ていて机に向かい何か作業をしていたが、一応 声だけ掛けておく

 

「ただいま、簪」

 

「おかえり一夏」

 

声をかけると簪はカタカタとキーボードをタイピングの手を動かしたまま返事をしてくれ

 

「帰り道、変な人に絡まれたんじゃない? 」

 

と言ってくる

 

「あー・・・まぁ」

 

すぐ私は少し返答に困り曖昧に簪へ答えると

 

「・・・やっぱり、姉さんがゴメン。あの人は 少し過保護で」

 

と簪は作業を中断し私に頭を下げてくる

 

「大丈夫だよ、少し話をしただけだから、ね? 」

 

私は簪に頭を上げさせて、簪の様子を見て 今までまも似た様な事が何度も有ったのだろう と察する

 

私にも身近に1人 シスコンを拗らせてしまった人が居るから、なんとなく簪の気持ちが分かる

 

まぁ束さんの場合は、歳も離れているし 束さん自身が人の枠に収まらないから仕方ないのかも知れない、でも箒は束さんを尊敬しつつも悪癖(シスコン)を治して欲しいと言っていたっけ

 

束さんも楯無さんも美人なんだけど、なんか残念な要素がデカイなぁ

 

「えっと、そう確か楯無さんって生徒会長なんだよね? 」

 

「そうだけど、それが? 」

 

話題を変える為に簪に尋ねると彼女は首を傾げ聞き返してきたので

 

「実は楯無さんが急に居なくなって直ぐに、3年の栗色の髪を三つ編みにしてヘアバンドをしていてメガネを掛けた先輩に楯無さんを知らないか? って聞かれてね? 」

 

簪は私の言葉を聞き少し天を仰ぎ見て

 

「多分、それは虚さんかな? 私達の幼馴染で姉さん付きの侍女なんだ」

 

「へぇ、虚さんか」

 

侍女、つまりはメイドだ

 

だから歳下の私にも丁寧な対応をしてくれたのだろう

 

「あ、そういえば1組に虚さんの妹で私達の幼馴染が居るんだよ? 」

 

 

と簪は少し嬉しそうに言う、ここまで来たら 疑いようも無いかも知れない、やはり のほほんさん と簪は幼馴染だろう、多分

 

世界って案外狭いのかも知れない

 





私の中ではアニメの内容をなぞりながら日常描写にチカラを入れて行きたい所存です


ご意見、ご感想、お待ちしております



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試運転

 

 

 

 

また一つ簪の事を知った翌日、八月一日 君とオルコットさんの試合まで今日を含めて4日となった

 

仮にも代表候補生のオルコットさんと試合をするには 余りにも時間が少ない、真っ向勝負が望ましいが専用機を受理して2日、時間にして搭乗時間が2〜3時間の八月一日 君には荷が重すぎる

 

かと言って、奇策を考えるにしても それを実現できる実力が彼に有るのかは未知数だ

 

圧倒的に優位の敵に勝てるのは、相手が非現実的にまで慢心しきっている場合か、フィクションの中だけだろう

 

「では織斑、作業を始めてくれ。最初は 焔 からだな」

 

「はい、八月一日 君、動かないでね? 」

 

「りょ、了解」

 

放課後、私達はピットで八月一日 君のバックパックユニットの試運転と換装のテストを行なっている

 

姉の指示に従い、私は自分の専用機 明石 を展開して、機動強化ユニット 焔 を専用コンテナから量子解凍し明石のクレーンで吊り上げて彼の纏う打鉄 改に慎重に接続させる

 

「ある程度まで近付いたら自動で誘導して適正位置になるのか、興味深いなぁ」

 

空間投影された情報を確認しながらフックを外して呟いてクレーンを格納し、彼の横に回り込み対物シールド裏のマガジンを確認して

 

「異常無し、織斑先生、終わりました」

 

「ご苦労、では八月一日、試運転の相手で山田先生がアリーナに居る、胸を借りてこい。ただ試運転で有る事を忘れて熱くなるなよ? 」

 

「はい」

 

私の言葉を聞き姉が八月一日 君に指示を出して彼は短く返事をしてカタパルトに乗って出撃して行く

 

その背中を見送り、私は次のユニットの準備を始めようとして、ふと姉を見てみると、少しだけ渋い表情をしていたが、今は教師として此処にいる姉に何も言わずに専用コンテナの支度を始めると

 

「・・・一夏、今 八月一日 が居ないから お前にだけ言っておく例の専用設備は一ヶ所だけに設置する事になった、まぁそれ自体は予想していたが、どうも国の上層部に変な思惑がある派閥があるらしい。厄介な事に、その派閥が今IS学園に圧力を掛けて お前に打鉄 改の専属整備士をさせろと要求してきた」

 

敢えて姉に背中を向けた状態で作業をしていると、姉は静かに話始め 私は その派閥の思惑について疑問に感じる

 

変な思惑とは何だろう? 私としては夢の為に経験が積めるのは有難い事だ、だが姉の表情を見る限り そんな簡単な話では無いのだろう と思い

 

「思惑って? 」

 

言い辛そうな思惑の事について尋ねてみると、姉は更に渋い表情になり

 

「・・・お前と八月一日が交際を経て在学中に子を成す事だ」

 

「はぁ?! 」

 

姉の言葉に思わず大きな声を出してしまい、姉の方へ向き

 

「いやいやいや、いくらなんでも飛躍し過ぎじゃないかな? そりゃ高校生の何%かは、そうゆう事になっちゃう人がいるけど、さ? 」

 

あまりの衝撃に姉へ身内の言葉使いで言うと、姉は頭が痛そうにしながら

 

「私も阿呆な奴等だと思うが、事実なんだ」

 

これまで見た事の無い程、頭が痛そうな姉の言葉に軽く阿呆共へ殺意が湧いたが飲み込み

 

「・・・やり辛いなぁ」

 

元男児な私が異性(おとこ)に恋愛感情を抱けるのかも分からないし、軽く男性恐怖症を抱えている

 

確かに 八月一日 君は出会って日が浅いが比較的スムーズに会話が出来ているから友人としてはいいが、彼と交際出来るか? と聞かれたら、分からない と言うのが本音だし、上層部の思惑なんて知らないしクソ喰らえ と思う

 

「とりあえず気をつけろ、学園内に派閥関係者が紛れ込んで居ない保証は無いし、学園の外は更に分からん。まぁ気休めになるが専属整備士として それなりに報酬が支払われるぞ? 」

 

本当に気休めにしかならない事を言う姉を少しだけ睨んでから再び背を向けて作業に戻り

 

「はぁ・・・バイト代は欲しかったけど、なんだかなぁ喜べないなぁ」

 

軽く憂鬱な気分になりつつ呟くと、姉が私の頭を撫でる

 

「ま、上層部の思惑なんて知らんしクソ喰らえだ。お前は お前のしたい事をしろ、それに最終手段になるが束に始末させれば大丈夫だろう。対価に何を要求されるか分からんがな」

 

と良い事を言ったと思ったら不穏な事を言い笑う、恐らく最終手段で束さんに色々と片付けさせるつもりだろう。間違いなく束さんなら証拠も残さずに完遂出来るのを私は知っている

 

「さて、そろそろ八月一日も戻ってくるな・・・次は雑賀の試運転だ、問題は? 」

 

姉は教師スイッチを入れ直して私に尋ねてくる

 

「データを見る限りは異常無し、あとは換装後の状態を確認すれば大丈夫です織斑先生」

 

姉は私の言葉に頷き、アリーナの方を向き

 

「ご苦労 八月一日、織斑 作業を始めてくれ」

 

「はい」

 

丁度戻って来た八月一日を労い、私に指示をだす

 

私は短く返事をして彼を作業区域に誘導してクレーンを展開して 焔へフックを掛けて外し専用コンテナへ入れフックを外して量子変換して雑賀を打鉄 改を装備させ、パラメーターや様々な情報に目を通して異常がないか確認し

 

「よし、全て異常無しです。織斑先生」

 

「よし、八月一日、連戦だが頑張れ。これが終われば少し休憩を入れよう」

 

「分かりました」

 

私の言葉に姉は頷き八月一日 君に指示を出し彼は短く返事をして再び出撃してゆく

 

 

とりあえずバイト代が入るなら趣味への出費も怖くないし、八月一日 君をガンプラ作りに誘うのも良いかも知れない

 

彼も何か気晴らしが有った方が良いだろうし?

 

 






束さん万能説←

そして一夏ちゃんは考えるのをやめたのだった



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八月一日 薫 の 憂鬱

 

 

俺の名前は 八月一日 薫、世界初の男性IS適合者と言う点を除けば難読名字を背負った何処にでもいる男子学生だ

 

今でも何故自分が、と思うが思った所で現実は変わらない事を俺は学び自覚している

 

さて何故、俺がIS学園へ来たかと言えば、受験会場の下見をしに行った時、道に迷って彷徨っていたら たまたまIS学園の受験会場の前を通り掛かりトラックから打鉄の搬入作業をしている人がいたので道を聞こうと歩みよって道を尋ねて教えて貰い お礼を言って去ろうとして、偶然 打鉄に手が当たってしまって、気付けば俺は打鉄を纏い呆然としていた

 

正直、何が起こったか分からなかった、搬入作業をしていた作業員の人も呆然としていたから、俺と同じ様な気持ちだったと思う

 

それから気付けば俺はISの研究施設の一室にいて、国のお偉いさんと向き合って話しをしていた

 

そこで話した内容は あまり覚えていないので纏めると

 

①俺は世界初の男性IS適合者と判明した

 

②他の男性も搭乗出来る様に色々、協力して欲しい

 

③安全の為にIS学園に入学してもらう

 

④生活に必要なお金は毎月定額支給する

 

といった感じだろうか?

 

お偉いさんは一応 拒否権も有るがオススメしないと言っていたので、実施 拒否権が無いと思い了承する

 

研究施設で入学するまで過ごした訳だが、非人道的な扱いはされずに至って普通の扱いをしてくれた

 

と言うか、良い人しか居なかったので居心地は悪くなかった

 

それから3ヶ月ぐらい研究施設で過ごしIS学園に入学したわけだが、正直予想の100倍はしんどい と感じる

 

俺は別に人見知りをする性格でもないが、場違い感が凄い

 

それに加えてニュースなりで俺の存在を知った生徒の好奇の目も突き刺さる

 

小中共学の学校に通っていて女子に免疫が無い訳でもないが、男子1に対し教室内だけでも29、それに加えて廊下にも見物客がいる状況、そんな空間に居て正常な奴は、余程鈍感かトランスジェンダーとかぐらいだろう多分

 

とにかく俺には、かなり しんどい状況なのである

 

そんな状況から現実逃避する為に頭を抱えて様々な事を考える、選択肢が無かったとは言え、俺はやって行けるのか? とか

 

わざわざ普通に教室で授業を受ける必要があるのか? とか

 

そんな答えが出る訳の無い自問自答を繰り返している内に、SHRが始まって居て自己紹介が俺の番まで回って来ていた

 

先生に一言謝ってから自己紹介をすると、数年前に現役引退をした最強のIS搭乗者、織斑 千冬が現れ自己紹介を褒めてくれた

 

それに小さくどうも と言うが隣の娘が

 

「 え、えぇ!? 姉さん!? なんで此処に?! 痛っっ」

 

と割と大きめの声で叫んだおかげで掻き消されたので、織斑 千冬が隣の娘を小突くのを見つつ席に座る

 

なるほど、確かに姉妹と分かる程度には似てるな

 

とか考えつつ、織斑 千冬の自己紹介を聞く。そうでないと、後が怖そうだ

 

 

織斑 千冬 改め 織斑先生の第1印象は出来る女性とか厳しい女上司みたいな印象だった、まぁ俺はつい最近まで普通の中学生だったんだけど

 

でも鋭い目付きだが、その視線には間違いなく優しさが含まれている様な気がする

 

それから1時間目と2時間目を受けて分かったこと、俺には基礎知識が皆無って事、山田先生と織斑先生が放課後に補習してくれるので何とかなる筈だ、多分

 

2時間目が終わり、精神的疲労で机に突っ伏していると、声を掛けられて顔を上げると金髪ロールの如何にもお嬢様なクラスメイト オルコットが立っていて絡んできた

 

やたら上から目線で俺を見下してくるが、ISが登場してから増えた輩だ、特に珍しくもないから聞き流していると、隣の娘・・・織斑さん(仮)がオルコットを追い払ってくれたので お礼を言うと何故か焦った様な感じで返答されてしまった

 

 

それから3時間目になってクラス代表と言う名のクラス委員長を決める事になったのだが、自薦がいなくて何でか俺が推薦されてしまう

 

本音を言えば、面倒くさいからやりたくないが、断れる雰囲気でもないので諦めていると、オルコットがよく分からないが怒り心頭で立ち上がり謎の演説を始める

 

その演説の九割九分聞き流していると、織斑さんが机に拳を叩きつけ立ち上がって見た目から想像出来ない程のドスの効いた声でオルコットに苦言を呈す

 

それを見て、あぁ この娘は 織斑先生の妹なんだなぁと勝手に納得する

 

 

それから何でか俺はオルコットとクラス委員長の座を掛けて模擬戦をする事になってしまった

 

普通なら勝てる訳が無い勝負だが、勝てる可能性がゼロでは無いのでどうにかしてみよう

 

それに負けた所で俺は痛くも痒くもないし?

 

ま、俺が負けるにしても、それなりに頑張らないとオルコットも面白くないだろうからな

 

 

 

 






次回に続くですだ



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八月一日 薫 の 決意

 

 

 

何かと濃ゆい1日を経験して寮の1人部屋に戻ってきて直ぐにベッドに倒れ込みグッタリする

 

学園生活1日目が漸く終わろうとしている、そうまだ1日目だ

 

慣れれば多少はマシになると思うが、こんな事が残り約3年残っているのだから気が滅入る と愚痴を言った所で状況が変わる訳でもない

 

 

ひとまず模擬戦に向けてヤル気は有る、だが身体が気持ちについて行けていない様で倒れ込んだまま身動きが取れないまま睡魔に負けて寝てしまった

 

翌朝、毎日定時になる様に設定したアラームにより目を覚まして朝風呂を浴びて気持ちをリセットして身支度をしていると扉がノックされたので返事をして扉を開けると山田先生が立っていた

 

「あ、八月一日 君 まだ居て良かった。八月一日 君の専用機が届いたので昼休みに受け取りに来て下さいね? これが資料です、空いた時間で少し目を通しておいて下さい」

 

「分かりました」

 

なんとも都合の良いタイミングで専用機が来てくれたもんだ、とか考えつつ山田先生の背中を見送り身支度を完了させてから部屋を後にする

 

校舎に入って教室に向かう道中で織斑先生と織斑さんとすれ違い、なんか面倒事か?とか思いつつ教室を目指す

 

教室に入ると昨日とは違いクラスメイトが話し掛けてくれたので軽く受け答えしたりして予鈴が鳴るまで過ごし本鈴と共にSHRが始まって、模擬戦の日時と俺に専用機が届いた事が伝えられる

 

SHRが終わり織斑さんが俺の整備を任されたらしく話掛けてきてくれたので色々と話し、彼女は凄いな、と感じる

 

専用機・・・打鉄 改の仕様書をパラっと読んだだけで大凡の事を把握してしまった

 

俺には真似できない事なので素直に賞賛すると、何処からかオルコットが現れて

 

「専用機が来て安心しましたわ、練習機では あまりに差があって言い訳にされても困りますし」

 

と煽ってくる、コイツ頭大丈夫か?

 

確かに俺とオルコットでは経験の差が有る、だが慢心すれば足元をすくわれるのが世の常、素人でもラッキーパンチが有るかも知れないのだから

 

「わざわざ それを言う為に来たの? 悪いけど俺は今、織斑さんと意見交換してるから、そうゆうのは後にしてくれるか? 」

 

軽く呆れながら言うと、顔を真っ赤にして怒りながらオルコットは去って行く

。その背中を見送ると丁度 授業が始まる

 

 

それから4時間目まで特に問題も無く終わり専用機を受領する為に織斑先生と共にアリーナのピットへ向かい、専用機を受領して 購買で適当なパンを買って寮の部屋に戻りテレビを見ながら昼飯を食べる、昼ぐらい1人になっても良いだろ?

 

それから放課後に織斑先生と山田先生の指導の元、パーソナライズとフォーマット、ファーストシフトを終わらせる

 

その翌日には織斑さんの協力の元、バックパックユニットの慣らしと換装作業のテストを行う

 

バックパックユニット無しの状態を先に経験したお陰で違いがよく分かって良かった

 

特に、機動強化ユニット 焔はかなり汎用性が高いと感じたので使用率が一番高くなりそうだ

 

それから織斑さんが集めてくれたオルコットの情報を基に対オルコットの戦術を織斑さんと意見交換しながら錬る

 

とりあえず何処から情報を得たかが気になり、さり気なく聞いてみたら、はぐらかされたので、恐らく合法じゃ無いんだろう多分

 

と、まぁ戦術と言ったが経験の差を埋める事は難しい、小細工とオルコットの弱点に漬け込むしかない、という事になり

 

織斑さん、布仏さん、ほか 有志の協力の元 対オルコット戦に備えて訓練を続け1週間があっという間に過ぎていった

 

そして来てしまった模擬戦当日、俺はピットで打鉄 改を纏い、織斑さんに焔を打鉄 改に接続して貰っている

 

今の俺は1週間前の俺とは違い、オルコットに勝つつもりている。この1週間で織斑先生と山田先生を始めとした織斑さんやクラスメイトの有志にお世話になった

 

全てはオルコットに勝つ為の努力をしてきた、もちろん勝利出来る可能性 自体は決して高くない、むしろ負ける可能性の方が高い

 

それでも俺はオルコットに勝ちたいと思っている、その先に面倒な事が待っていても それは今更だし些細な事だと思える

 

 

「八月一日 君、焔の接続 問題なく終わったよ」

 

「ありがとう織斑さん」

 

少し特別なISで制服のまま腰部辺りにISのアンロックユニットが浮いている織斑さんに作業が終わった事を告げられ お礼を言う

 

「気にしないで? いよいよ本番だね? 」

 

対物シールド裏の替えマガジンをチェックしながら織斑さんは言う

 

「そうだね、1週間前なら勝てる可能性は0.1%ぐらいだったけと、今なら5%ぐらいには上がったと思うし、一泡吹かせてくるよ」

 

俺はワザとふざけた調子で言うと織斑さんはクスリと笑い

 

「ふふ、痛いのブチ食らわせてやれってね? 頑張って 八月一日 君、君の勝利を願っているよ」

 

「ありがと、頑張ってみるよ」

 

俺はカタパルトへ進み脚部を接続する

 

 

まっすぐ前を向いて、オルコットとの模擬戦へ意識を集中させる、背中に期待を背負っているんだ、タダでは負けられない

 

 

 






また次回に続くですだ



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八月一日 薫の戦闘

 

 

 

 

真っ直ぐ前を向き深呼吸して身体を前に軽く倒すとカタパルトが作動してピットからアリーナに吐き出され、落ち着いて姿勢制御を行い停止位置で滞空して少し上空にいるオルコットを見上げる

 

「待っていましたわよ、八月一日さん」

 

すでに自身の得物 レーザーライフルを展開して余裕に満ちた表情で俺を見下ろしオルコットは言う

 

「そいつはどーも、遅刻してないからセーフだろ?」

 

俺はアサルトライフルの焔備(ほむらび)を展開し返答すると

 

「そちらの意味ではありませんわ・・・まぁいいでしょう、提案がありますの」

 

俺の返答が気に入らなかったのかオルコットは軽くイラッとした表情をしてから、明らかに見下した目をして言う

 

「この模擬戦、代表候補生の(わたくし)と貴方では力の差は歴然、今日までの非礼を詫び、棄権して在学中 私の小間使いをするので有れば許して差し上げます。私も鬼ではありません、貴方に選択させて差し上げますわ、ボロ雑巾になるか、私に使われる喜びを得るか、を」

 

となんか自信満々に頭がおかしい事を言い出した

 

約1週間前に俺自身が言った、特に珍しくない輩 と言う言葉を撤回させてくれ、コイツはヤベー奴だ、マジで

 

と言うか怒りとかより呆れてしまうレベルだし、クラスメイトじゃなかったら関わりたくない、割と本気で

 

「断る、俺に協力してくれた人達に悪いしな。それに・・・勝つのは俺だ」

 

俺はオルコットに告げ焔備を構え銃口をオルコットへ向ける

 

「・・・そうですか、ならお望み通りボロ雑巾にして差し上げますわ!」

 

オルコットは不機嫌そうに言いレーザーライフルを構え銃口を向けてきた瞬間、試合開始のブザーが鳴り、俺は後退しながら対物シールドを前に出しオルコットの初劇を防ぎ、距離を開けてつつ対物シールドの隙間から焔備で牽制射をする

 

すると織斑さんの読み通りオルコットは距離を詰めて来ず、逆に俺から距離を取って行く

 

オルコットの戦闘スタイルは中遠距離からの射撃、主武装はレーザーライフルを使用し、サブにレーザービットとミサイルビットを使用する、近接用にナイフがあるらしいが使用例は無いらしい

 

「・・・ここまでは織斑さんの読み通り、と」

 

俺は織斑さんの作戦に従い地面に足を着けてオルコットから目を離さない様にしながら弾切れになった焔備をリロードする

 

ある程度の距離が取り、地面に足を着け焔備のリロードも終わったので作戦を次の段階へ移行する

 

俺は焔備をフルオートで掃射しオルコットを牽制してレーザーライフルを撃てなくさせてから焔に装備されている織斑さん製作のマイクロミサイルをフルバーストで放つ

 

「数が多くても私には当たりませんわよ!! 」

 

俺を嘲笑い、オルコットは正確にマイクロミサイルを的確に撃ち落とし、アリーナ内を白い煙が覆って行く、織斑さんの狙い通りに

 

そう、白く僅かに煌めく粒子が混じった煙がアリーナに充満している

 

「隙だらけですわよ? 」

 

フルバーストで隙の出来た俺へオルコットはレーザーライフルの引き金を引く、撃ち出されたレーザーは俺に直撃する前に減衰し届かなかった

 

「え?なぜ・・・そんな、ありえ・・・何でアンチレーザースモーク何て用意出来るのですか!! 」

 

オルコットは代表候補生であり、自身の得物の特性を理解しているだけあって直ぐにタネに気付き叫ぶ

 

「答えるわけ無いだろ? 此処からが本番だ」

 

俺は焔備をリロードしながら言い、焔備でミサイルビットへ照準を合わせながら銃撃しつつオルコットと距離を詰める

 

もちろんオルコットはレーザーライフルを撃ってくるが俺に届く前に減衰して届かないか、直撃しても大した威力じゃなかった

 

 

これが俺がオルコットに勝てる作戦だ、織斑さんが味方になってくれなかったら、オルコットの専用機 ブルーティアーズの情報なんて分からなかったし、アンチレーザースモークなんて代物の存在も知らなかった

 

オルコットの反応を見るに、アンチレーザースモークは簡単には用意出来る物じゃないんだな、知らなかった

 

織斑さん、1セット30発を3グロスぐらい焔にインストールしてくれたけど、よくよく考えたら何処から持ってきたんだろう?

 

とか考えつつ要所要所でマイクロミサイルをぶっ放してアンチレーザースモークを足してオルコットのレーザーを封じる

 

今、オルコットに出来る攻撃手段はナイフによる格闘戦かミサイルビットによる砲撃、どちらにしろ分は悪いんだろうけど

 

何せ打鉄 改は防御型だから硬いし、ミサイルビットを警戒して執拗にミサイルビットを狙って撃ち続けている

 

しかも焔備の弾はビーム兵器でもレーザー兵器でも無い実体弾だ、アンチレーザースモークの中でも減衰しないし、消耗戦前提で弾薬を積んでいて対物シールドや装甲には対レーザー蒸散塗膜加工までされている

 

 

それから1時間以上、撃ち続けてジワジワとオルコットのシールドエネルギーを削り鮮やかな勝利とは言えない勝ち方で俺はオルコットに勝利した

 

 

 






まんしん、だめ、ぜったい





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織斑 一夏ちゃん の 愉悦

 

 

 

オルコットさんと八月一日 君 の模擬戦を私は姉と共に管制室で見ている

 

そして私が予想した通りに事が進む

 

オルコットさんとは1週間に満たない付き合いだが、彼女が彼を見下し油断しきっている事は言うまでもない

 

それに加え、自分は代表候補生と言うプライドがあるから尚更 素人である八月一日 君に負ける訳が無いと思い込んでいる

 

私が八月一日 君に教えた事は 一定距離で戦う事、マイクロミサイルを定期的に撃つ事、絶対にオルコットさんから目を離さない事、出来る限り対物シールドを使う事、それだけ

 

彼女の性格と機体情報は分かっても彼女が格闘戦ができるか迄は分からなかったので、八月一日 君にはオルコットさん が格闘戦が出来ない前提で作戦を伝えておいた

 

ちなみにレーザーを曲げたり操作するフレキシブルと言う技術があるが、アンチレーザースモーク内では曲げようが操ろうが関係無いので、八月一日 君には存在すら伝えていない

 

 

そんな事を考えつつ模擬戦の様子を見ていて、流石に追い詰め過ぎたか? と少しだけ反省する

 

自慢のレーザー攻撃をほぼ無力化された上に、ミサイルビットを使うには集中力が必要、ミサイルはレーザー程の弾速は出ない、しかしミサイルビットを八月一日 君は執拗に狙い下手に撃てば誘爆する可能性が有って簡単には撃てない

 

そして惜しげも無くアンチレーザースモークをパカパカ撃つ八月一日 君を見て焦りと衝撃、絶望が混ざった様な表情をオルコットさんはしている

 

 

確かに万全の状態なら八月一日 君の実力ではオルコットさんに勝てなかった

 

なら補えばいい、相手が慢心しているなら足元を掬えばいい、1人で無理なら仲間を頼ればいい

 

そうして最後は勝てば問題無い、確かに姑息かも知れないし卑怯かも知れない。それでも正面から勝つ為の準備と努力をした、と私は胸を張って言える

 

 

とりあえずオルコットさんに、痛いのブッ食らわせてやれて頬が少し緩むのを姉に見られた様で

 

「・・・織斑、アレを用意したのは お前だろう? どれぐらい用意した? 」

 

軽く呆れた目をした姉が尋ねて来たので

 

「30発1セットとして3グロス程」

 

と何事もない様にサラッと言うと姉が珍しく驚いた目をして

 

「3グロス・・・つまり432セットだな? はぁ・・・流石にやり過ぎだぞ織斑」

 

そう姉は言って溜息を吐く

 

確かに途中から楽しくなって少しやり過ぎたかと思うが、後悔はしていない。だって楽しかったんだから、仕方ない

 

「それにだ、お前 打鉄 改の装甲と対物シールドにも細工してあるな? 幾らレーザーが減衰するとしても、ダメージが少なすぎる」

 

姉が打鉄 改のシールドエネルギーを見て私に問う

 

「はい、対レーザー蒸散塗料で少しだけ。流石に日数が足りなくて完全無効まで加工は出来ませんでした」

 

と言うと姉は再び溜息を吐き

 

「やり過ぎだ、確かにオルコットとの力量の差を埋める為には必要だったかも知れんが、流石にな? 」

 

そう姉は呆れた目をして私に言う

 

「すみません、楽しくなってやっちゃいました」

 

ここでテヘペロ☆としたら姉のアイアンクローかゲンコツを頂戴する事になるので我慢する

 

明石の能力を考えれば難しい作業でも無かったし、そもそも私はビルダーな訳だから、目の前に好きに出来る機体が有ればやりたくなるのは最早本能だ、仕方ない

 

それから軽く姉に説教をされ、山田先生から優しく注意をされ、模擬戦が終わる

 

「では私はピットに戻ります、バックパックユニットを外さないと」

 

そう言い管制室から出てピットに向かう、中に入ると丁度 八月一日 君が戻って来た所だったので停止位置に誘導し

 

「お疲れ様、八月一日 君」

 

明石を展開して焔にフックをかけながら彼を労う

 

「ありがとう、織斑さん。お陰で勝てた」

 

と八月一日 君は嬉しそうに言う、その言葉を聞いて私も嬉しくなる

 

焔を打鉄 改から外し専用コンテナに収め

 

「もう動いて大丈夫だよ」

 

私の言葉に彼は打鉄 改を解除し、こちらを向いて

 

「1週間、ありがとう織斑さん。なんか色々と迷惑かけてしまったよね、ごめん」

 

と彼は少し困った様な表情をしていたので

 

「全然だよ、私も楽しかったし。WIN-WINだよ八月一日 君、それに装甲と対物シールドの加工とかの作業は のほほんさん率いる有志の娘達のお陰だしね? 」

 

私は努めて笑顔で彼へ言う、この1週間 彼は全く笑顔を見せてくれず、常に真剣な表情と困った様な表情ばかりだったので、なんとなく彼には笑顔でいて欲しいと、思うようになっていた

 

「それなら良かった、ホントありがとう織斑さん」

 

そう八月一日 君は私に笑んでくれ、何故か鼓動が早くなった様な感覚を感じ

 

「うぅん、気にしないで? そ、それはそうと・・・その・・・一夏、でいいよ? ほら姉さんが担任だし、ね? 」

 

友達に名前で呼んでと言っているだけなのに、何故なら顔が熱くなってしまう。今日の私は何か変だ と思っていると

 

「う、うん。えっと、一夏さん? でいいのかな? あ、俺も薫でいいから」

 

「うん、分かったよ。薫君」

 

なんとも、ぎごちない会話になってしまった。でも私は彼とまた少し仲良くなれた、そのことは喜ばしい、なんか胸が満たされている様な気がする

 

 

 

やっぱり今日の私は何処か変だ

 

 

 






赤面いれだぞぉー!!←




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セシリア・オルコットの反省

 

 

 

クラス代表を決する為の模擬戦が終わり1人、更衣室のシャワーを浴び私は思いにふける

 

模擬戦で負けた、それも徹底的に、だ

 

負けた事に言い訳など出来ない、模擬戦で負けたと言う事実は変わらないのだから

 

負けた理由、それは単に私が彼を・・・八月一日 薫を見下し、素人だからと碌に情報を収集しなかったのが原因

 

それに彼には優秀な参謀の様な人が居たのだろう、で無ければブルーティアーズの武装情報や特性を理解し、長所を潰しに来れるとは思えない

 

アンチレーザースモークと言う高価で使い所がピンポイントな代物を大量に用意し、使い方を教える事の出来る人物が

 

 

「・・・八月一日 薫 」

 

絶え間なく流れる お湯を見つめながら私は彼の名を呟く

 

今は亡き父と違い、自分の意思と決意を秘める眼をした男性

 

父は母に頭が上がらない人だった、婿養子 故に母を立てていたのかも知れないが、それを差し引いても父は頼りなかった

 

いつも母の顔色を伺ってばかりいた父を見て、私は父を見下す様になっていった、ISが世に出てからは特に

 

だから私は世の男性が全て父と同じと考えていたし、これまで出会った男性は皆 そう だった

 

しかし、例外も存在する と今日知ることが出来た。彼のお陰で自分の未熟さを自覚出来たのだから感謝しなければならない

 

 

決して夫婦仲が良くなかった様に見えた両親が旅行に行き事故死してしまってから今日まで遺産を目当てにすり寄ってきた親戚(ハイエナ)から必死にオルコット家を守るために生きてきた、代表候補になったのも その一貫だった

 

いつの間にか見えなくなっていたモノが彼に敗れた事で再び見える様になった気がしている

 

「貴方には、もっともっと強くなって貰わねば」

 

蛇口を捻りお湯を止め呟く、彼には悪いが彼には私の好敵手になってもらうこにしよう

 

ゆくゆくはモンドグロッソで対戦するのも良いかも知れない

 

そんな事を考えながらシャワー室から出て身支度を整えて更衣室を出ると外は既に茜色に染まっていたので、だいぶ長い時間シャワーを浴びていた様だ

 

 

それから寮へ向かって歩いていると、噴水の淵に金色に光るナニカを置き、カメラで撮影しているクラスメイトを発見してしまう

 

初代世界最強のIS乗り ブリュンヒルデ 織斑 千冬の実妹、織斑 一夏、普段は大人しく温和な雰囲気を纏っているが、怒ると男性の様な口調になる人

 

 

その彼女が何故か金色に輝く人型のナニカを弄っては撮影し、弄っては撮影しを繰り返している

 

流石に無視して通りすぎる訳にもいかないので

 

「御機嫌よう織斑さん、何をしているのですか? 」

 

努めて笑顔で彼女に尋ねると

 

「あ、オルコットさん こんばんは? 次のガンプラのフォトコンテストに出す写真を撮ってたんだ」

 

彼女は黄金に輝く人型のナニカに劣らない輝く笑顔で言う、眩しい

 

しっかりとしていて大人しいイメージだった彼女が無邪気に話す姿は、とても眩しく感じる、私が何処かに置き去りにしてしまったモノの様な気がして直視しづらい

 

「そうですか、ガンプラ・・・か」

 

私は黄金のガンプラに眼を落とし見て呟くと

 

「模擬戦、お疲れ様。オルコットさんは色々と背負ってる顔をしてるね? 」

 

彼女は手袋をした手で黄金のガンプラのポーズ調整をしながら私に言う、その言葉を聞いて、この人は何なんだ? と思う

 

1週間足らずでしかも数回会話した程度で、私が何かを背負っている事を見抜かれた、その事に驚愕してしまい言葉が出ずにいると

 

「ガンプラとか作ってみない? 私が持ち込んだキットが まだ結構な数あるから、分けられるし」

 

彼女はポーズ調整を終え、カメラのシャッターを切りながら言う

 

私は彼女にも失礼な物言いをした筈なのに、彼女は気にする様子も無く私を誘ってくれる、その懐の深さに感謝する

 

「・・・そう、ですわね。ありがとうございます織斑さん、これは何と言う名前なのですか? 」

 

今まで利用価値で選んで来た友人、だが私は初めて損得関係無しに この人と友達になりたい と思えた、だから その一歩として彼女が好きなモノの事を知ろうと黄金のガンプラの事を尋ねる

 

「これは百式って言うんだ、ちゃんと鏡面仕上げにする為に加工もしたんだよ? 」

 

にっこにこ して百式の事を喋り始める彼女を見ていて私に欠けていたモノが満たされて行く様な感覚を覚える

 

もう7割ぐらい彼女の説明が分からないが、彼女が笑顔なら良しとしよう

 

 

とりあえず私もガンプラを始めてみよう、息抜きも必要だ

 

 

 

 






少し短いですが、お許しを


ようこそ沼へ 、 歓迎しよう セシリア・オルコット



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のほほん さん は 動じない

 

 

クラス代表を決める為の模擬戦後、次のクラス代表戦まで余裕が出来た私は噴水に渾身の百式を持って行きガンプラフォトコンテスト用の写真を撮っていると、オルコットさんに声を掛けられたので話をしながら写真を撮る

 

するとオルコットさんに何をしているか尋ねられたのでガンプラについて話をして、オルコットさんにガンプラをオススメしてみると、思いのほか好感触だったので、持ち込んだキットを分けようと思い提案してみる

 

なんか色々と気を張りすぎてる気がしていたし、趣味友は多いと私も嬉しい

 

 

そんな感じでオルコットさんに百式の事を熱く語ってしまい、彼女は内容の半分も理解出来ていない表情をしている事に気付いて、謝ると微笑んで許してくれた

 

それからあっという間に夕陽は沈んでしまったので撮影を終わりにして片付けてオルコットさんと寮へ帰る事になり、道すがら色々と話をして交流を深めた

 

 

なんやかんやで翌日のSHRで模擬戦で勝利した薫君がクラス代表に就任した事が告げられ、オルコットさんが時間を貰いクラスメイトに謝罪をしていてクラスメイトは謝罪を受け入れてオルコットさんを許した

 

オルコットさん、根は真面目で良い人なのを皆んな分かってくれた様で良かった

 

それから何か問題も起こらずに昼休みになり

 

「おりむー ご飯行こ〜、今日こそ しののん を連れて」

 

この1週間でだいぶ仲良くなった のほほんさんの言葉に頷き、私は気配を消して逃げようとしていた箒を確保して のほほんさん の後に続く

 

「くっ・・・離せ一夏、私は1人でいい」

 

軽く抵抗する箒が、そう言うので

 

「ダメだよ箒、人付き合いが苦手なのは知ってるけど、逃げちゃさ」

 

箒を安心させる為に微笑んで言うと諦めた様で大人しくなる

 

それから のほほんさん は4組へ行き

 

「少し待っててぇ」

 

そう言い4組の教室に入って行き、数分も経たずに簪を連れて戻ってきて

 

 

「紹介するねぇ〜、私の幼馴染の かんちゃん」

 

「更識 簪です、苗字はあまり好きでは無いので簪と呼んでください」

 

と のほほんさんに紹介された簪は箒の方を向いて自己紹介する

 

「篠ノ之 箒だ、よろしく頼む」

 

簪に自己紹介された箒も短く自己紹介をしたので

 

「じゃぁ行こっか、早く行かないと4人掛けの席、埋まっちゃうかも知れないし」

 

「そうだね、話は ご飯食べながら」

 

私の言葉に簪が頷き、のほほんさん の背中を押して学食へ歩き始め、私も箒の腕を引きついて行く

 

そんな訳で学食につき、券売機横のメニューを見ながら何を食べるか考えていると

 

「そういえば かんちゃん と おりむー 自己紹介してないよ〜? 」

 

癒し系のオーラを纏い のほほんさん が言い、その様子に癒されいると

 

「本音、私と一夏はルームメイトだからね? 」

 

そう簪は のほほんさん に説明する

 

「おぉ、そうだったのかぁ〜 」

 

なんとも可愛い仕草でリアクションを のほほんさん が取る、うん可愛い

 

「まさか、簪が のほほんさん の幼馴染だったとはね? 偶然ってあるんだね」

 

 

本当は薄々予想をしていた事だが、少し誤魔化して言うと2人は頷く

 

 

「さて・・・何を食べようかな」

 

そう呟いて、再びメニューを見て考える

 

IS学園は多国籍学園だから多種多様のメニューがある、だからこそ少し悩む所だ

 

これでも多忙な姉に代わり織斑家の台所を預かって来た身だ、様々な料理を食べてレパートリーを増やし姉に食べさせてあげたい

 

そう考えていると

 

「そんなに悩むなら、日替わり定食はどうだ? 一夏 」

 

悩む私を見兼ねて箒が提案してきた

 

「そうだね、ありがとう箒」

 

箒に御礼を言って食券を買い列に並び適当な4人掛けの席が空いていたので座り食事を始める

 

ちなみに内容は、私と箒が日替わり定食、簪が天ぷらうどん、のほほんさんが究極のTKG(卵かけご飯)

 

 

「ねぇ〜しののん と おりむー は剣道場で知り合ったの〜? 」

 

TKGを箸でグリグリ混ぜながら のほほんさん が ニコニコしながら尋ねてくる

 

 

「最初は小学校入学した時に同じクラスになったのが最初だな、入学から少しして、千冬さんに連れられて一夏が入門して来て話す様になった・・・だったか? 」

 

のほほんさん の質問に箒は答え、最後に私に振ってきたので

 

「そうそう、その頃 箒はまだ髪短かったっけ」

 

「お前だって、私がイジメっ子3人に囲まれた時、私を助ける為に大立ち回りを演じたじゃないか」

 

私が懐かしんで言うと、箒は私を揶揄うな表情で言う

 

「へぇ〜おりむー は昔から おりむー だったんだねぇ 」

 

と のほほんさん は謎の納得した様な表情で言う

 

「一夏は、昔ヤンチャだったんだね」

 

簪は簪で何か優しい眼差しをしているし、なんだコレ

 

「私は家の事情で引っ越したのだが、約6年の歳月を経て再会して驚いたな少年が美少女に変貌していたのだからな」

 

と箒が言う、その瞬間 それを此処で言うか? と思ったが下手に反応する訳にもいかないので2人の反応を見てみると

 

「ほほぉ〜 おりむー は、昔はヤンチャなボーイッシュな子だったのかぁ〜」

 

 

「織斑先生の喋り方も男の人よりだし、影響受けてたのかな? なんとなく想像出来るかも」

 

 

と2人は良い方向に勘違いをしてくれて良かったが、一応 箒を軽く睨んでおく

 

いつかは2人にも話をする時が来るのかも知れない

 

2人が受け入れてくれるのかは、今は分からない

 

 

でも、2人なら大丈夫な予感はある

 

ひとまず今は、交流を深めよう

 

 

 

 





簪が難しいっす、これで大丈夫ですかね?



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ねーねーズに呼び出され

 

 

 

箒の放り込んだ爆弾が何とか言い意味で勘違いされて何とか処理をした後、昔の話をボカしながら話したり、簪と のほほんさんの思い出話を聞いたりして楽しい昼休みを過ごし、午後の授業を受け放課後になって帰り支度をしていると

 

「おりむー、この後 暇ぁ?」

 

のほほんさんが目の前に立っていて、私に尋ねる

 

「ん〜うん、特には用事も無いけど、どうしたの? 」

 

いくら私でも毎日ガンプラを作っている訳では無いし、用事も予定もなかったので のほほんさん に尋ね返す

 

「良かった〜、お嬢様が おりむー を連れて来てぇーって〜」

 

そう にこ〜 と笑み のほほんさん は言う、可愛い

 

のほほんさん に癒されつつ、お嬢様って誰? と考える。少なくとも簪では無いのは分かっている、だって のほほんさん は簪を かんちゃんって呼ぶし

 

のほほんさん の事だから、危険は無いだろう と判断し

 

「分かったよ、案内をお願い」

 

「ありがと〜」

 

ゆったりとした動きで案内を始める のほほんさんに続き移動を始める

 

十数分移動して生徒会室へと辿り着き、私の疑問は更に深まり首を傾げていると、のほほんさん は前触れも無く私の腕を引き、ゆったりとした動きで扉を開け中に入り

 

「お嬢様〜 おりむー 連れてきましたぁ〜」

 

と私を呼び出した お嬢様なる人に声を掛け

 

「ありがとう本音ちゃん、ようこそ生徒会室へ一夏ちゃん」

 

突然の事に反応出来なかった私へ見覚えのある生徒会長が、歓迎と書かれた扇を広げて そう言う

 

「えぇっと・・・私、何かしましたか? 」

 

のほほんさん が居なかったら逃げている所だが、のほほんさん は私の腕に抱きついているので逃走は出来ないから諦めて私は楯無さんに尋ねる

 

「そんなに警戒しなくて大丈夫よ、昨日のクラス代表選出戦について確認したい事が有ったの」

 

ニコっと笑みを浮かべて扇を閉じて開くと、質問と扇に書かれた文字が変わっていた

 

まって、私からしたら その仕組みの方が興味あるんですけど

 

「なんでしょう? 私に答えられる事なら答えますけど」

 

ひとまず好奇心を封じ込めて楯無さんに返答すると

 

「本音ちゃん、扉の鍵を。(うつほ)ちゃん、一夏ちゃんに何か飲み物を」

 

「はぁい」

 

「畏まりました」

 

楯無さんの指示を聞き のほほんさん は普通の速度で私から離れ扉の鍵をしてに行き、虚さんは生徒会室の一角にあるキッチンスペースで飲み物を用意し始める

 

「さ、一夏ちゃんはソコに座って? そこまで長話をする予定は無いけれど、呼び出して立たせっぱなしはナンセンスよね?」

 

「は、はぁ」

 

相変わらず掴み所のない楯無さんに曖昧な返答をして彼女の正面に座ると、紅茶の注がれた如何にも高そうなティーカップと、一口サイズのクッキーが数枚乗ったお皿が置かれて

 

「どうぞ」

 

と虚さんに言われたのでお礼を言い一口飲んで、あまりの美味しさに驚くと

 

「虚ちゃんの紅茶は美味しいでしょう? 私は世界一だと思っているわ」

 

「はい、とても美味しいです」

 

紅茶の感想を言い、それから3口ほど飲んだあと

 

「早速だけれど本題に入るわね? 単刀直入に・・・対レーザー用備品一式、何処から持って来たの?」

 

楯無さんはティーカップを置き、扇を広げる そこには疑問と書かれている

 

 

それを見て、呼び出された理由を何となく察して、どう説明したら良いかを少し考える。私は別に明石のワンオフアビリティを明かすは構わないと思うが、束さんに出来るだけ秘密にした方が良いと言われている手間、どうするか少し悩む

 

そう悩んでいると

 

「言いづらい場所から持って来たの? まぁ出所よりどうやって持ち込んだ、か の方が重要なのだけど」

 

なんか楯無さんが勝手に話を進めてしまったので

 

「一応お尋ねしますが、なぜ対レーザー用備品一式に疑問と言うか、問題が?」

 

この質問への返答次第では明石のワンオフアビリティを話しても良いかな? と考え尋ねる

 

「そうね、IS学園の備品のデータベースに登録されていない高価で用途もピンポイントな備品が搬入された痕跡が一切ないにもかかわらず使用されているから、かしら? もちろん一夏ちゃん、貴女が整備作業特化の専用機を持っていてバススロットに対レーザー用備品が入っていない事は確認済みよ? 」

 

楯無さんは、そう言い紅茶を飲む

 

そして私は楯無さんの言葉に、そりゃ痕跡がある訳ない と思う

 

当たり前だ、対レーザー用備品一式は明石のワンオフアビリティで生産したのだから、データベースに登録されないし、持ち込む痕跡だってない

 

それに入学前に明石をIS学園に提出して検査して貰っているから、明石の仕様は楯無さんも知っている、ただワンオフアビリティは束さんに寄って閲覧規制がかかっているけど

 

「あー・・・よし、今から理由を答えますが、他言無用でお願いします。師匠から出来る限り秘匿しろと言われていますので」

 

私は真面目な表情をして楯無さんと虚さんを見て言うと2人は無言で頷く

 

ちなみに、のほほんさん はいつの間にか寝息を立てていた

 

「痕跡が無いのは 結論から言うと、私は備品一式を持ち込んでいないから、ですね。学園内で生産して使用しました」

 

そう言うと

 

「学園内で生産? 材料だってバススロットに登録されていなかったわよ? 」

 

と楯無さんは首を傾げて言う

 

「明石・・・私の専用機には、ナノマテリアルと言うモノがバススロットに入っていましたよね? ソレが材料です」

 

そう私が言うと、2人は顔を見合わせてアイコンタクトをして首を傾げてから再び私を見て

 

「銀色の粉よね? サンプルを採取して検査したけれど、謎の粉だったわ」

 

 

と楯無さんは不思議そうに言う

 

「ナノマテリアルは明石のワンオフアビリティで精製された、文字通り何にでもなる魔法の物質です。一定時間内での精製量には限りはありますが、バススロット内に貯蔵が可能なので悪用されない様に明石にのみ操作権が有る様に設定されているんです、だから私以外の人にはナノマテリアルは、ただの銀色の粉でしかない」

 

そう説明すると少し疑う表情を見せたので

 

「実演しますね? そうですね・・・よし」

 

私は席を立って開けた場所に立ち明石を展開して楯無さんの扇をナノマテリアルを使い作る、持ち見よう見まねだから形だけだが

 

そして扇を作成した事で私の説明は信じてもらう事ができ、ナノマテリアルの有用性を認識された事で、他言無用と約束を取り付ける事が出来た

 

 

 

 

 

 





ねーねー は沖縄の方言? で お姉ちゃん とか 姉さん と言う意味です


のほほんさん って可愛いよね?


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空を飛ぶ鋼

 

 

楯無さんと虚さんに他言無用の約束をした後、虚さんが寝息を立てている のほほんさん の頬をつねり痛みで起きた のほほんさん へ軽くお説教を始めたりしたが、特に問題も無く生徒会室から帰る事が出来た

 

 

そんなこんなで翌日、今日は朝からISの実習があるのでSHRが終わったら直ぐに着替えなければならないので、薫君が教室を出て行ったのを確認して着替えを始める

 

始めるのだが

 

「・・・慣れないなぁ」

 

出来るだけ周りを見ない様にしながらISスーツを着て呟く

 

確かに女で有る事、女として生きる事を受け入れているが、なまじ男だった時の記憶があるので違和感と言うか なんか違う感に慣れない

 

 

とはいえ、体調不良でも無いのに見学をする訳にも行かないので諦めてクラスメイトの列に混ざって実習をするアリーナへ向かう

 

それから余裕を持って移動したお陰で遅刻になる事は無く整列して姉と山田先生が来て授業が始まる

 

「では、授業を始める。今日はISの基本的な飛行操縦と完全停止の実演をしてもらう、八月一日、オルコット、前に出て まずISを展開してみろ」

 

姉の指示を聞き2人は返事をして前に出て、安全確認をしてからISを展開する

 

 

そこで ふと疑問が浮かび私は姉に質問する

 

「織斑先生、打鉄改のユニットは使用しないのですか? 」

 

「そうだな、今回は使用せんでも良いだろう」

 

私の質問に少し考えて姉は そう答え、私は 分かりました とだけ答える

 

 

「では飛べ」

 

姉が2人に指示を出すと、僅かに薫君がオルコットさんに遅れて飛び上がりオルコットさんの後ろをついて行く

 

「基本だけあってオルコットにブレはないし、八月一日も搭乗時間を考えると合格と言った所か」

 

と姉には珍しく優しい発言をしていたが、反応すると睨まれるので聞こえなかったフリをしておく

 

「よし、次は急加速からの完全停止だ。山田先生、停止地点の送信を」

 

「はい」

 

姉は三人に指示を出すと、山田先生は返事をしてタブレット端末を操作する

 

 

「ではオルコットからやってみろ」

 

姉の指示でオルコットさんは地面に向けて急加速し地面ギリギリでピッタリ停止する

 

「地表まで8㎝か、合格だが お前なら後2㎝は踏み込めるな、精進しろオルコット」

 

「ありがとうございます、精進しますわ」

 

姉はタブレット端末を見てオルコットさんに そう言いアドバイス?をする

 

「次 八月一日、来い」

 

姉の言葉に薫君は緊張した面持ちで頭を下にして急加速し地上6mぐらいで体勢を入れ替えスラスターを蒸してブレーキを掛けるが地面をズザー削りながらスライディング着地を決め、少し気まずそうな表情をする

 

「・・・失敗だな、まぁグラウンドに大穴を作るよりマシか」

 

今日の姉は妙に優しい気がするが、口にした瞬間 出席簿が飛んで来そうなので黙っておく

 

なんか良い事でも有ったのだろうか?

 

「では次は武装の展開を実演して貰う、オルコット」

 

「はい」

 

オルコットさんは利き腕を真横に突き出し得物のレーザーライフルを展開ししっかり握って正面に構える

 

「流石は代表候補生、展開速度は問題ないが真横で展開して構え直すのは無駄が多いな、直せ」

 

「うっ・・・はい」

 

姉は上げてから落とし、オルコットさんへ眼力を浴びせて返事をさせる

 

「次は近接武装を展開しろオルコット」

 

「はい」

 

オルコットさんはレーザーライフルを格納し目を閉じ両手を前に出す様なポーズで展開しようとするが光の塊がウニョウニョ動いているだけで何秒経っても展開が完了しない

 

「オルコット、何秒掛けるつもりだ? 試合中なら既にお前は斬られているぞ? 早くしろ」

 

「くっっ・・・インターセプター!!」

 

姉の厳しい言葉にオルコットさんは悔しそうな表情をして近接武装のナイフの名前を呼んで展開する

 

武装名を呼ぶと言うのは、かなり初心者用と言える行為だ、だからオルコットさんは悔しそうにしているのだろう

 

「武装は自在に展開・格納出来る様になっておけ、いいな?」

 

「・・・はい」

 

やはり今日は、いつもより優しい姉だなぁと思っていると

 

「八月一日、武装を展開しろ、射撃武装からだ」

 

「はい」

 

薫君はオルコットさんがレーザーライフルを展開した時よりは遅いが、正面に焔備を展開して構える

 

「ふむ、及第点だな。もう少し展開時間を短縮出来るよう練習しろ、次は近接武装だ」

 

薫君は焔備を格納し、対物シールドの天辺を前に倒し手を添えると刀を引き抜く抜刀の様な挙動で葵を展開し、構える

 

「こちらも及第点だな、精進しろ」

 

「はい」

 

妙に優しい姉の表情を見て、なんか良い事が有ったのだろうと確信する、私と一部の人以外が見たら いつもの厳しい表情だが、私には分かる

 

姉さん、めっちゃ機嫌良いじゃん

 

なんだろ? あ、まさか・・・(いおり)さんかな? それだと納得出来る、姉は彼にベタ惚れなのだから

 

よし、昼休みにでも電話して確認してみよう

 

 






予定より少し前倒しで、庵さん(オリキャラ) を出しました

彼の詳細は、近いうちに書きます故、お待ちください



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祝 クラス代表 就任

 

 

姉が上機嫌な理由が気になり昼休みに姉にバレない様に庵さんへ電話をして理由を探ってみると、どうも昨晩は久しぶりに一緒の時間を過ごせたらしい

 

そりゃ機嫌も良くなるな と思い、その後は特に姉の事は聞かずに他愛無い話をして、模型店を営んでいる庵さんからガンプラの入荷情報とか新作の情報とかを聞いたりした

 

そんな訳で朝から機嫌の良い姉は放課後まで上機嫌のままで、本当に嬉しかったのだろうな、と思いつつ 私は見なかった事にしておく。下手に弄ると痛い目(物理)に会うから

 

とりあえず私は のほほんさんと有志に頼まれ、薫君のクラス代表就任祝賀会のお菓子の準備をする

 

準備と言っても事前に仕込みをしていたモノを仕上げるだけだけど、主に のほほんさんに熱烈にリクエストされたプチケーキとかプチシューとか

 

そんなこんなでクラスメイト+αの有志と手分けして準備をして薫君を学食へ連れて来て祝賀会が始まる

 

「八月一日 君、クラス代表就任おめでと〜」

 

クラスメイトの声と共にパンパカパーンとクラッカーが鳴り紙吹雪が舞い、薫君は少しキョトンとしていたが用意されたオレンジジュースを一口飲み

 

「えーっと・・・ありがとう? 」

 

と首を傾げて言う、まぁ普通はこうなると予想は出来ないだろうから、こうなるのは仕方ないと思い

 

「薫君、このプチシュー、私が作ったんだ。あ、甘い物平気?」

 

のほほんさん がニッコニコして頬張っているプチケーキでは無く、自信作のプチシューの入ったバスケットを薫君へ差し出すと

 

「甘いのは平気だよ、ありがとう一夏さん」

 

薫君は1つ摘んで食べ、目を見開いて

 

「これを作ったの? 店で売ってても不思議じゃないレベルだと思う」

 

と褒めてくれる、正直お世辞でも凄く嬉しいと思い

 

「そうかな? ありがとう」

 

とだけ答えると、私の隣に座る箒が ゆっくりとした動きでプチシューをつまみ食べ

 

「・・・一夏、お前は お世辞で言われていると思っている様だが違うぞ、これは本当に店で売っていてもおかしくないレベル・・・否、店で売っていなければならないレベルだ」

 

となんか凄い気迫で箒が言う、なんか凄い褒められて恥ずかしくなってきたんだけど、どうしよう と周りを見ると みんな ウンウンと頷いていた、なんで?

 

 

とか考えいたら

 

「はいはーい、失礼するよ〜? 新聞部でーす」

 

絶妙なタイミングでメガネを掛けた先輩がシャッターを切りながら、そう言い現れた

 

「今話題の学園で唯一の男子生徒の取材に来たんだー、はいチーズ」

 

とか喋りながらシャッターを切り続ける先輩、この人 凄いな

 

「あ、私は新聞部副部長の黛 薫子、はい これ名刺ね?」

 

言葉を挟む間も無く名刺を薫君に渡して来て再びシャッターを切る

 

とりあえず名刺を横から覗き見してみたけど、凄い画数の名前だなぁ書くのが大変そうだ

 

「それじゃ八月一日 君、クラス代表になった感想は?」

 

漸く写真を撮るのを止めた黛先輩は彼にインタビューを始める

 

「そうですね・・・選んでくれたクラスメイトの為にも頑張りたいと思います」

 

彼は少し戸惑いながら先輩に答えると

 

「ふむふむ、なるほどなるほど。当たり障りのない普通のコメントだね! よし少し着色しておこう」

 

おいおいおい、良いのかソレ

 

この先輩、やっぱりヤバイ人なのかも知れない

 

「じゃぁ次はセシリアちゃん、八月一日君と戦ってみての感想は? 」

 

「感想、ですか? そうですわね・・・」

 

先輩はオルコットさんへ質問をし、オルコットさんは語り始める

 

 

とりあえず変な事を言ってはいないが専門的な用語を用いているので薫君にはサッパリ分からないかも知れない

 

「長いからカットで、セシリアちゃんの話は編集しておくね」

 

とオルコットさんの語りに割って入り先輩は言う、その方がいいかも知れないねオルコットさん

 

「それじゃ、整備科の期待の新星 一夏ちゃん。噂によると特殊な専用機持ちで八月一日君の専属整備士なんだってね? 」

 

次は私の方を見て凄くグイグイ来て、少し怖い

 

「あの・・・えっと・・・」

 

「黛先輩、一夏さんは少し内気でシャイなんですよ。いきなりグイグイ行くと戸惑いますから、少し抑えて下さい」

 

八月一日君が先輩に言い、先輩はゴメンゴメンと謝り少し深呼吸し

 

「ゆっくりで構わない、どうかな?」

 

と柔らかく笑み言う

 

「・・・確かに私は整備作業特化の専用機を持っていますし、薫君の専属整備士です」

 

それから黛先輩のインタビューは続き、インタビューを受けながら考える

 

 

さっきの薫君 かっこよかったなぁ と同時に鼓動も早くなっている

 

これは緊張で鼓動が早くなっているのか、胸が高鳴っているのか、どちらなのだろう?

 

と、いうか顔も若干熱いし、なんなんだろう?

 

 

--------------------------

 

 

 

 

夕陽も沈み黄昏時、IS学園の校門に小柄なツインテールの少女が立ち、校舎を見上げてニッと笑みを浮かべ

 

「一夏は驚くかしら」

 

少女は呟きポケットからクシャクシャになった紙を取り出して校門をくぐって歩き出し十数歩で立ち止まって

 

「・・・案内板が無いわね、総合窓口って何処なのよ。地図・・・」

 

そう言いポケットを探り地図を探す

 

「あれ? 無いわね・・・」

 

次は肩に掛けていたボストンバックを開き探す

 

「無い、か」

 

少女は面倒くさそうに頭をかいてからボストンバックを再び持ち自分の勘を頼りに目的地を目指し始め、2時間程で目的地に辿り着いたのだった

 

 

 

 

 





一夏ちゃんの乙女化って順調に進んでますか?これで良いのでしょうか?


めっちゃ不安なんですが



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突撃、隣の中国代表候補生

 

 

アレから何とも言えるない感情を抱きつつインタビューを受けた後、良い時間になったので片付けをしてから部屋へ戻り、予め取り分けて有ったプチケーキとプチシューを簪へおすそ分けしたら喜んで貰えたので良かった

 

 

そんな訳で翌朝、いつもの様に登校すると クラスメイトが輪になって話をしていて、聞き耳をたてるとクラス代表戦の話をしていたり隣のクラス、2組に中国から転入生?が来た、とか そんな話をしている

 

 

中国、か・・・鈴、元気かな メールのやり取りはしてるけど、無理してないといいけど

 

とか考えながら通学鞄から教科書を机に入れて、気配を感じ ふと机から顔を上げると、勝気な目、トレードマークのツインテール、チャームポイントの八重歯を持つ笑顔の親友が仁王立ちで立っていた

 

「りっりっりっっ鈴!? なんで此処に?! 」

 

驚きのあまり少し大きい声が出てしまう、そんな私を見て鈴は満足そうに

 

 

「良い反応するじゃない一夏、あたし の予想以上で嬉しいわ」

 

本当に嬉しそうにしている鈴を見て、とりあえず立ち上がって机を迂回して鈴の前に立ち

 

「理由はどうであれ、また会えて嬉しいよ鈴。久しぶり」

 

そう言い小柄な鈴を抱き上げる様にして抱きしめる、軽い、軽過ぎる

 

「あっちょっと一夏、嬉しいのは分かったから降ろしなさい。一夏? 」

 

攻めは強いが守りは弱い鈴は、照れた様で そう言うが聞こえないフリをしておき

 

「鈴、ちゃんと ご飯食べてる? また軽くなったんじゃない? 」

 

あまりやり過ぎると怒るので鈴を降ろし尋ねる

 

「ちゃんと食べてるわよ、それと あんた は あたし の親? いや親戚のおばちゃんみたいね」

 

そう言い鈴は肩をすくめ時計を見て

 

「惜しいけれど時間みたいね、自分のクラスに戻るわ。つもる話は また後でにしましょう、なんか嫌な予感もするし」

 

「うん、また後でね」

 

すささー と自分のクラスに帰って行く鈴を見送り再び自分の席に座ると姉が鐘と共に教室へ入ってきてSHRを始める

 

もしかして鈴、姉さんの気配を感じとってたのか? だとしたら野生的勘が冴えてるなぁ

 

 

さてと、鈴との再会も嬉しい限りだけど、クラス代表戦は先日の模擬戦とは勝手が違う

 

模擬戦の時は戦う相手はオルコットさんだけだったから対策を盛りに盛ったが、今回のクラス代表戦は今はまだ対戦相手が誰かも分からない

 

ただ今、クラス代表で専用機を持っているのは1組(わたしたち)と4組・・・そして恐らく2組、だ

 

 

入学から約1週間弱と言う絶妙に微妙な時期の転入、恐らく正しくは転入ではなく遅れて入学してきた と考える方が良いかも知れない

 

そうなると、入学が遅れた理由があるはず、と考えると専用機の調整の遅れと考えられる

 

鈴は恐らく中国代表候補生だろう、多分

 

 

そうなると少し予定変更する必要がありそうだなぁ・・・情報収集は簡単だけど薫君の出来る範囲で作戦を組み立てるのは中々に骨が折れる、だって私は整備士であって策士じゃないのだから

 

まぁ束さんから手ほどきを受けているから、ある程度は戦術も身についてはいるけど

 

そんなこんなSHRを受けながら、あれやこれや考え昼休みに鈴がまた現れるだろうと結論をだし、ひとまず目の前の事に集中する

 

それからアッと言う間に昼休みになり、教室を出たら既に鈴が壁に背中を預けて立っていた、うん、似合わないな

 

「お待たせ鈴」

 

「そう待って無いわ、行きましょ? 」

 

そんな有り触れた言葉を交わし並んで学食へ歩き出す

 

「約1年ぶりになるのかな? 」

 

私が鈴へ そう言うと

 

「そうね、1年と少しかしら? 」

 

と鈴は少し考えてから言う

 

「それより、元気そうで良かったわ。実は結構心配してたのよ? 」

 

鈴は少し安堵した様な表情で言う

 

「おかげさまで元気だよ、風邪もひいてないしね」

 

私の親友、鈴こと 凰 鈴音と言う少女は少し直情型で喜怒哀楽がハッキリしている面倒見の良いオカン気質の人間だ

 

ドイツでの一件で日本へ帰って来た後で、色々ガタガタだった私を受け入れ支えてくれたのは鈴だったが、1年前に家の事情で中国へ帰って行ってしまった

 

 

それから1年は弾や数馬、庵さんに色々助けてもらってきたのだけどね?

 

とにかく、私は鈴には感謝している

 

「そう、なら良かったは。弾と数馬は元気かしら? 」

 

「IS学園に来る前に1回会ったけど、元気だったよ? 」

 

鈴の質問に私は答える、鈴にとっても大切な友達の2人の事は気になるのだろう

 

「ねぇ一夏? 今度、一緒に会いに行かない? 」

 

「うん、行こう」

 

鈴は言葉に頷き思う、弾と数馬も鈴に会いたいだろう と

 

私は友達に、親友に恵まれている と思う

 

こんな素敵な親友がいるのは幸せな事だ

 

とりあえず、凄い私達を凝視して後ろを歩いている箒も交えて昼ご飯を食べる事にしよう

 

 





ウチの鈴は良い子にしましたw


少し距離近過ぎますかね?一夏


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楽しい?昼休み

 

 

箒に凝視されつつ学食へ辿り着き、私は とんかつ定食の食券を購入し目にも留まらぬ速さで食券を購入した鈴の後ろに並ぶと箒がピッタリ後ろをついてくる、悪い事をした訳では無いのに何か怖い

 

程なくして順番が回ってきて食券を出しモノを受け取って空いている4人掛けの席を確保し

 

「鈴、箒も一緒に良いかな? 紹介も兼ねて」

 

と鈴に言うと

 

「構わないわよ、あたし も気になってたし」

 

鈴の了承を得たので、箒を見て頷くと箒は頷き返して先に座ったので私は箒の隣に座り

 

「えーっと、まず箒、この子は鈴。箒が転校した時に入れ替わりで転入してきたんだ」

 

既にラーメンに手をつけている鈴を、行儀良く定食を食べている箒に紹介する

 

 

「凰 鈴音よ、みんなからは鈴と呼ばれているわ」

 

麺を飲み込みお冷を飲んでから鈴は自己紹介をする

 

「この子は箒、ほら前に話した幼馴染」

 

私もとんかつ定食を食べながらタイミングを見て鈴に箒を紹介すると

 

 

「・・・篠ノ之 箒だ」

 

口の中の物を飲み込み焙じ茶を飲んで箒が自己紹介すると

 

「あぁアンタが一夏の言ってた剣道を一緒にしていた幼馴染? ふぅん、確かに身体がしっかりしてるわね」

 

鈴はマジマジと箒を見て言う

 

鈴って昔から人を見て筋肉の付き方とか分かる特技が有ったけど、よくよく考えなくても凄い特技だよなぁ

 

箒は箒で驚いた表情をしている

 

「・・・見て分かるモノなのか? 」

 

「あたし は分かるわよ? 教室から学食までの道のり、アンタぜんぜん芯がブレてなかったわね? 体幹も大分しっかりしてるのが分かったわ」

 

そう鈴は箒からの質問に答え、箒は更に驚いた表情になり私を見てきたので

 

 

「鈴は目が良いからね」

 

もちろん視力がいいと言う意味では無いのを箒は分かってくれたようで、そうか とだけ呟いた

 

「今でこそ こんなに落ち着いてるけれど、出会ったばかりの時に あたし が悪ガキに囲まれて困ってた時に大立ち回りしてくれたのよ? 」

 

ラーメンを平らげて丼を置いてお冷を飲み鈴は笑いながら言う

 

「ふふ、変わらんか。私の時も そうだった、コイツは あの頃に比べて目を疑う程に大人しくなったモノだ。もっともお人好しは変わってない様だがな?」

 

 

鈴の言葉に箒は笑い、楽しそうに そう言う

 

「ん〜ほら、私も成長したからじゃないかなぁ? それにお人好しなのかな?私」

 

成長したのも有るが身体に精神が引っ張られている自覚はある、女として生きる事を受け入れたら余計に、だ

 

とはいえ、そんな事を こんな場所(学食)でなんて言える訳が無いので少しフワッとした言い方をしておき、お人好しな自覚は無いので疑問を口にすると

 

 

「アンタは間違い無く、お人好しよ」

 

「お前は間違い無く、お人好しだ」

 

と2人同時に言われてしまう

 

「アンタ、人見知りする癖に困ってる人が居たら助けるじゃないの」

 

鈴は、ビシッと効果音が付きそうな動きで私を指差して言う

 

「イジメを見過ごせず、私が転校するまで何回 大立ち回りを演じたか忘れたのか? 少なくとも10は超えている筈だぞ? 」

 

と箒はヤレヤレと肩をすくめて言われ、自分の記憶を探ってみるが そんなに暴れた記憶は無いが、多分忘れているのだろうと思い

 

「え? いやぁ、困ってる人を助けるのは普通じゃない? ほらイジメは撲滅しなきゃだし」

 

そう考えている事を素直に言うと、2人はクスリと笑い

 

「ほんと、アンタは変わらないわね。あんな目に遭っても そう言えるアンタは強いわ」

 

「変わらないな、お前は。お前が苦しい時は頼ってくれよ? 私もお前に救われた身、今度は私が支える番だ」

 

そう2人は真っ直ぐ私を見て言う

 

「ありがとう2人共、頼りにしてるね? 」

 

そう2人に言うと、力強く頷く

 

「あ、そうだ。鈴、今度 弾達に会いに行く時に箒も連れて行っちゃダメかな? 」

 

「あたし は構わないわよ? 篠ノ之さん が良ければ」

 

私の提案に鈴は了承し

 

「箒で構わないぞ? 凰 」

 

箒は鈴に そう言うと

 

「なら あたし も鈴で構わないわよ 箒」

 

鈴は頷き、そう言い箒は頷く

 

 

「私がついて行って大丈夫なのか?一夏」

 

と箒は少し遠慮がちに尋ねてきたので

 

「弾達なら喜ぶと思うよ? 私、結構 箒の話した事あるし」

 

「確かに、弾と数馬なら喜ぶわよ? それに気のいい奴らだから大丈夫よ」

 

遠慮がちな箒にそう言うと箒は

 

「なら、遠慮せずに同行させて貰おう。神社がどうなっているかも気になるしな」

 

そう箒は柔らかく笑み言う

 

「今週末、どうかな? 空いてる?」

 

善は急げと、今週末の予定を2人に尋ねる

 

「あ〜 ごめん一夏、あたし 2組のクラス代表になっちゃったのよ。今月末にクラス代表戦だし、期待を背負ってる以上は練習しなきゃね? 」

 

と鈴は申し訳なさそうに謝ってくる

 

「うぅん、気にしないで? 箒は? 」

 

「すまない一夏、私も今週末は部活で校外試合が入っている」

 

と箒も予定があるようで謝ってくる

 

「じゃぁ、クラス代表戦が終わってからかな? 確か連休が有った筈だし」

 

「そうね、予定空けとくわね」

 

「うむ、私も空けておこう」

 

そんな訳で3人の予定を合わせる事を決め、他愛もない話を始める

 

 

あ、そうだ。鈴は知ってるけど箒は知らないし、弾達と会わせるついでに 箒にプチドッキリをしよう

 

楽しみだなぁ

 

 





お待たせしました

ウチの鈴は凄い子になってしまったw



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下準備をする一夏ちゃん

 

 

 

あれから2人と色々と話をして、やはり鈴は中国代表候補生で専用機を持っている事が分かり、鈴は努力の天才だと再確認して親友として嬉しい反面、薫君のサポーターとしては、少し頭を悩ませる状況になってしまった

 

と言っても私に出来る事は、あくまでも彼のサポートだけ、戦闘技術に関しては全くチカラになれない、だからパパッと裏技で情報収集して薫君に出来る限り勝率の高い作戦を伝え、アリーナの予約が取れた日は反復練習をしてもらう事にしてオルコットさんに、練習相手をお願いしておいた

 

 

そんなこんなで週末になり、アリーナの予約が取れなかったので私は校外に外出する事にし、外出届を姉に提出して私服を着て校外へ出る

 

制服だと目立つしね?

 

休日だけあって私と同じ様に外出している学園の生徒に紛れて1時間程モノレールに揺られ実家のある最寄りの駅で降り、私は実家では無く箒へのプチドッキリの為の下準備を兼ねて目的地へと向かう

 

駅から徒歩で10分程の目的地に辿り着き、私は いつもの様に入り口の引き戸を引いて中に入ると

 

「いらっしゃいませ、あぁ一夏か。今日はどうしたんだい?」

 

肩に掛かるぐらいの黒髪を襟足で結っている私が会いに来た男性が出迎えてくれた、今日は比較的空いている様で良かった

 

「こんにちは庵さん、お願いしたい事が有って」

 

「お願いしたい事? また千冬に内緒で取り寄せたいキットがあるのかな? 」

 

私の言葉を聞いて庵さんが揶揄う様にクスリと笑み言う

 

「違うよ、実はIS学園に箒も入学してて、ちょっとサプライズをね? ほら、箒は庵さんの事を知ってるけど、姉さんと付き合ってる事を知らないでしょ? 」

 

私の説明を聞いて庵さんは、なるほど と頷き

 

「確かに、サプライズだね? 俺は何をしたらいい? 」

 

と庵さんに尋ねられる

 

「ん〜そうだなぁ・・・箒を連れてくる日に居てくれれば大丈夫かな? 姉さんも連れて来たいけど・・・」

 

私は腕組みして考え呟く

 

姉を織部模型店(ここ)に連れてくるのは難しいかも知れない、何だかんだ多忙を極めているし

 

 

とはいえ、たまには姉も恋人との時間を過ごして欲しい、私の姉は頑張り過ぎる質だし?

 

 

そんな腕組みして頭をひねっている私を見て庵さんは苦笑する、彼も姉が多忙なのを知っているからだ

 

 

織部模型店の店主である 庵さん・・・ 織部 庵は姉の恋人である

 

歳は26歳で姉の2つ歳上、元々は篠ノ之道場の門下生で私達姉弟(しまい)は そこで彼と出会った

 

だから箒は庵さんの事を知っているし、私が(おとこ)であった事も知っている、私にとって庵さんは優しく強い兄貴分であり順調に行けば義兄になる人

 

そして私にガンプラを教えてくれた師匠で、彼を超えるガンプラを作る事が私の目標の1つだ、まだまだ道は長そうだが

 

とまぁ、十年来の中な訳だ

 

「とりあえず姉さんの方は話はしてみる事にしようかな? あ、そうそう 塗料が無くなってて買い足さなきゃいけないんだった」

 

私は腕組みを解き庵さんへ言うと、そうだね と返してくれたので、ガンプラ用の塗料が有る棚へ移動する

 

「今度あるフォトコンテスト、庵さんは出すの? 」

 

塗料の入った容器を手に持ち見ながら尋ねると

 

「もちろん、やっぱりビルダーとしては参加したいからね。ちょっと張り切り過ぎて徹夜しちゃったよ」

 

と庵さんは苦笑して言う

 

「ははは、庵さんらしいね。でも あまり徹夜すると姉さんが怒るよ? 無理するなって」

 

軽く笑って庵さんに言うと彼は だよね〜 と困った様な表情をして言う

 

 

「よし、これぐらいに・・・!!?」

 

減ってきた塗料を幾つか手に持ちレジの方へ進み、あるモノが目に入ってしまい思わず立ち止まってしまう

 

「PG 1/60 ユニコーン 最終決戦仕様だと!? 約4万円、うぅ・・・」

 

前から欲しかったモノを目の前にして私は睨みつける様に目の前の箱を凝視し、自分と戦う

 

手持ちの資金は塗料を買うぐらいのつもりだったから流石に足りない、だが中学時代にコツコツとバイトをして貯めた預金が銀行にある

 

しかし、預金を下ろせば通帳を管理している姉にバレてしまう。自分でバイトして貯めた貯金とはいえ額が額なので多少のお叱りは免れないだろう、姉は その辺り厳しい人だ

 

だからと言って、そうそう巡り会えない代物だ。下手したらプレミアが付く可能性もあるかも知れない

 

「・・・庵さん、取り置きは・・・ダメ? 」

 

レジに立っている庵さんに両手を合わせて少し上目遣いで尋ねてみる

 

「ダメ、身内贔屓をしない。それが爺さんから店を継いだ時に言われた約束だからね」

 

にこり と笑みを浮かべ庵さん言う、それを聞き項垂れ正直泣きそうになりながら考える

 

姉の知らない私の隠し財産は、2週間程前にマグアナック36機セットを買ってしまったから無い

 

だから私の取れる道は、姉のお叱りを受ける か 庵さんを説得するかの2つに1つ

 

「じゃぁ・・・分割はダメ? 流石に姉さんに叱られるから」

 

と尋ねると庵さんは苦笑し

 

「そんなに欲しいんだね、いつもなら諦めるのに。分かったよ、俺が立て替えてあげるから、分割でいいよ? あ、お金の代わりにウチでバイトでもいいけど? 」

 

と今の私にとって神の一言を言ってくれた私は嬉しさのあまり庵さんの隣に走り寄り抱きつきお礼を言う

 

 

早く庵さんが正式に義兄(あに)にならないかな、あとで庵さんに聞いてみよう

 

 





名前*織部(おりべ) (いおり)

年齢*26歳

性別*男

身長*177㎝

容姿*肩に掛かるぐらいの黒髪で襟足で結っている美青年

備考*

一夏ちゃんのガンプラの師匠の様な人で、一夏ちゃんの兄貴分であり義兄(予定)


祖父から受け継いだ織部模型店を営んでいて、一夏ちゃんは常連

大らかな性格故に大変モテる人

千冬さんの彼氏で、篠ノ之道場の元門下生で、千冬さんや束さんには及ばないが、剣士としての実力は相当なモノ


織部模型店は喫茶スペースが併設されているので、プラモを買いに来る以外にも喫茶スペースのコーヒーを目当てに客が来るぐらい繁盛している

喫茶スペースの方は主に彼の妹(名前未定)が担当している、つまり妹が美味いコーヒーを淹れる

それなりに広く、ガンプラ以外のプラモデルもおいてあり、作業場が有って道具や機材の貸し出しもしてくれる

実は奥の部屋にガンプラバトル用の筐体がある、方式はガンダムビルダーズの様にガンプラをスキャンし、ゲーム上に反映させるのでガンプラ本体にはダメージを受けない安心仕様

操作系はコクピットを模しているが、簡略化されている、しかし操作感はリアルに感じる謎仕様




数少ない 千冬さんが頭の上がらない人


10年以上の付き合いな為、一夏ちゃんは普通にタメ口で喋る





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見守る兎

 

 

薄暗い部屋の中、空間に投影された表示枠(サインフレーム)に映る映像を見ながら薄紫色の髪をした美女は人を堕落させそうなソファに座り

 

「今日も いーちゃん は大丈夫そうだね、良きかな良きかな」

 

彼女は安堵した様に呟き、微笑む

 

「束様、一夏の周囲100m範囲に危険因子は確認出来ません」

 

彼女の背後に控えた赤毛で長身の美青年が複数展開された表示枠を見ながら束と呼ばれた美女へ告げる

 

「そっか、ありがとうジー君」

 

「いえ、これが与えられた任務ですから」

 

束の言葉に短く事務的に答える ジー君と呼ばれた青年は姿勢正しく表示枠のチェックを続ける

 

「君は実に真面目だなぁ〜、そこは君の良い所であり、悪い所だね?」

 

にっこにこにー と笑む束に言われたジークフリート(ジー君)は表情を崩さずに

 

「そうなのですか?」

 

と束へ聞き返す

 

「そうだよ〜」

 

束の言葉に少し不服そうな表情になったジークフリートを知ってか知らずか束は表示枠に映る一夏へ再び意識を戻し

 

 

「さてさて、いーちゃん の目的地は・・・あぁ、庵さんの所か。なるほどなるほど」

 

束は一夏の目的地に気付き呟く、彼女もまた一夏と同類のビルダーであり、織部模型店の店主、庵を一夏と同じく師としている

 

彼女が本気を出せば原作を忠実に再現したモビルスーツそのものを創り出すのは造作も無い事だろう、しかし彼女は創り出す事をしない。その理由は純粋に兵器を作る気が彼女に無いからだ

 

代わりに世界が歪む原因になったISを生み出す訳だが、彼女は宇宙開発の為の翼を作っただけで他意はなかった。ただ天才故に技術が何十年単位で先んじてしまっただけなのだから

 

 

「庵さんの所なら安心だね、箒ちゃんは・・・校外試合中っと」

 

空間投影された表示枠が増え、束の溺愛する愛妹(ほうき)の姿が映り、束は妹の成長を感じ嬉しそうにしている

 

「強くなったね箒ちゃん、このまま行けば私の絶頂期は終え、箒ちゃんの絶頂期が重なって良い試合が出来るかも、楽しみだなぁ」

 

同じ剣術を受け継いでいる姉として、妹の最期の壁となりたいと願う姉心を彼女は抱き、成長した妹に負ける事を望む

 

天才故に、天災故に、負けを知る事を彼女は願う

 

 

「いーちゃん も 箒ちゃんも元気な様で良かった」

 

束は優しい眼差しを表示枠に映る2人に向けて呟き

 

「あぁ、そう言えば・・・いーちゃん と件の彼に手を出そうとした生ゴミはどうなったかな? 」

 

先程までの優しい笑みは消え失せ、笑みは浮かべているが そこには殺気が満ちている

 

「例の輩でしたら、現在始末の為に下準備をしています。束様立案の例の作戦です」

 

ジークフリートは束の殺気に気を止める事なく質問に答える

 

「そうだ、そうだったね? 生ゴミとは言え足が付くと面倒だし、バレたら いーちゃん や 箒ちゃんに嫌われちゃうからね、気をつけて始末しなきゃ」

 

束はソファから立ち上がり、芝居掛かった仕草でジークフリートへ言う

 

 

「全てはお御心のままに」

 

ジークフリートは束を真っ直ぐに見て言う

 

「ふふふ、スケープゴートは? 」

 

束は嬉しそうに笑みジークフリートへ尋ねる

 

「全5機製作中の内3機が完成、いつでも投入出来ます」

 

表示枠の情報を見てジークフリートは答える

 

「なるほど、間に合いそうだね? 」

 

「はい、ファフナーもアインからエルフまで調整が完了しています」

 

 

ジークフリートの言葉を聞き、束は上機嫌になり

 

「そっか、なら近い内に演習しようか、君もぶっつけ本番は嫌でしょ? 」

 

クスクスと笑み束はジークフリートへ尋ねる

 

「万全を期すなら演習は必須かと考えます」

 

そんな事務的な答えを返すジークフリートへ笑みを浮かべ

 

「ん〜やっぱ、ジー君は最高だね! いつになったら束さんの嫁になってくれるんだい? 」

 

「お戯れを、俺程度が束様の伴侶になるなど烏滸がましいにも程が有ります」

 

束は全身を使いジークフリートへ愛を表現するがジークフリートは表情を変えずに束へ言う

 

「もー、ジー君は自己評価が低いよー? ジー君はイケメンで仕事も出来るし、ガンプラ作りも上手いし、料理と掃除も出来る、完璧な男じゃないか! 」

 

束はジークフリートに注意する様に、言い聞かせる様に言う

 

「お言葉ですが束様、貴女も出来るではありませんか、故に凄い長所ではないと考えますが? 」

 

ジークフリートは表情を変えずに真顔で束に言う

 

「いやいやいや、普通じゃないからね? 立派に長所だよ、それに私は片付けは苦手だし、色々とやらかしてるから碌な死に方しないと思うよ? 」

 

そんなよく分からない問答が2時間程続き、銀髪の美少女(クロエ)が部屋へ入ってきて

 

「束様、お兄様、夕食が出来ました・・・何をされているのですか? 」

 

2人の問答を見て困惑するのは仕方ない事だ

 

結局、クロエが束の味方をした事で一応の収束を迎えたのだった

 

 





ちょっと挟みたくなったので、入れてみました



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突撃、お部屋訪問

 

 

あの後、色々と庵さんと話しをして隙を見て結婚について探りを入れてみたが、見事にはぐらかされてしまった

 

とはいえ、庵さんの口ぶりや身振りをみて思うに そう遠くない未来に結婚するかも知れない

 

そんな訳で私がIS学園へ入学した事で空いたバイト枠に入った沖田君が庵さんを呼びに来たので、私はユニコーンを大事に胸に抱いて織部模型店を後にし、実家で姉のサマースーツを回収してクリーニングへ出して帰路へつく

 

 

「ん〜、良い買い物出来たなぁ〜楽しみだなぁ〜」

 

もう人目を気にしないでスキップしながら帰りたい程、私のテンションは上がりっぱなしで、頭の中はユニコーンを組み立てる事で埋め尽くされている

 

1日では完成しないだろう、だからこそクオリティの高い物を作りたい

 

 

とはいえ、趣味にばかり目を向けてもいられない。薫君に合わせて打鉄改を調整して、思い付いた打鉄改用の追加ユニットの図面を引いて束さんに添削して貰わないといけない

 

いっそ本体から改修してクシャトリヤ化させてしまおうか・・・いや、ダメだ。薫君にファンネルを扱える適性はあっても、大火力の重装甲のクシャトリヤは彼に多大な負担をかける

 

それにエネルギーの問題も解決する必要があるだろうし、打鉄改の長所を潰すのは勿体ない

 

私が作ったユニットが倉持の目に止まれば、私の夢への近道になる可能性だってある、薫君には少し申し訳ないとは思うが 私には私の事情って事で許してくれるだろう、多分

 

 

それはそれとして、薫君に何かしてあげたい気持ちは有る。私にしか出来ない事もある、私になら出来る事がある

 

学園へ戻ったら薫君と少し話しをしよう、よくよく思えば私は薫君の事をあまり知らない事に気が付いた

 

それではダメだ、彼の専属整備士として薫君と確固たる信頼関係がなければならないと私は考えいる

 

信用出来ない人間に背中を預ける事は出来ないし、私なら御免被る

 

そして私はユニコーンを大事に胸に抱いて早足で帰路を進む、薫君との対話をする為に

 

 

小一時間でIS学園の寮まで戻ってきて部屋に入ると簪の姿は無かったので、クローゼットを開きユニコーンを慎重に置き、時計を見ると針は15時と少し過ぎた場所を指している

 

「薫君、部屋にいるな」

 

よくよく考えると、私が急いで帰って来ても彼が出掛けている可能性がある のを失念していた

 

「・・・分の悪い賭けかなぁ」

 

少しだけ思案してから私は彼の部屋へ行く事にした、本来なら薫君に先に連絡すべきなんだろうけど、何となく改まって話しをしよう なんて何処と無く恥ずかしいから連絡せずに私は歩く

 

流石に手土産の1つでもと思って、パーツ取り用に積んであったガンプラからムラサメと購買に寄って適当な飲み物を買っておく

 

 

そんな訳で薫君の部屋に辿り着き、扉をノックすると はーい と声が聞こえて彼が扉を開ける

 

「あれ? 一夏さん、今日は出掛けるって言ってなかった? 」

 

部屋着の薫君は私を見てキョトンとして尋ねてくる

 

「少し前に帰って来たんだ、少し薫君と お話しようかな? と・・・」

 

なんか少し恥ずかしくなって彼から少し目線をズラしつつムラサメと飲み物を差し出して

 

「こ、これ お土産、よかったら」

 

「う、うん、ありがとう」

 

薫君は私から お土産を受け取り、部屋の中に招き入れてくれた。既に何度か来た事あるが、今日は妙に緊張している気がする。今日の私は何処かおかしい

 

 

「それで、話って? 打鉄改に何か不具合が? 」

 

薫君はムラサメを机に置き椅子に座って、先程渡した緑茶の蓋を開けて一口飲んでから私へ質問してくる

 

「安心して? 打鉄改には問題は無いよ」

 

と彼を安心させる為に言い

 

「ほ、ほら私って薫君の専属整備士じゃない? 操縦者と整備士には確固たる信頼関係が必要だと私は思っているんだ、自分の命を預ける訳だしね? 」

 

私が少し しどろもどろ になりながら言うと

 

「確かに、俺も信用できない人に任せられないしね。それこそ死にたくないから」

 

薫君は納得したようで頷きながら言い

 

「と言っても、俺は一夏さんの事を信用してるけどね」

 

そう薫君はニコっと笑み言い、そんな事を言われ私はかおが熱くなり、胸が満たされた気がする

 

「あ、ありがとう薫君。で、でね? よくよく考えたら私って薫君の事をあまり知らないなって思うんだ。ほら 誕生日とか趣味とか色々、話した事なかったじゃない? 」

 

彼と私が知り合って約2週間、幾度となく言葉を交わしてきたが、プライペートな話をした事が無かった

 

趣味も誕生日も家族の事も、私は何も知らない、だから私は知りたい、薫君の事を1つでも多く知りたい

 

そして私の事を知って貰いたい、そう思う

 

まぁ私は世間一般的の普通な女子高校生とはズレた存在だと自覚しているから、彼が動揺しない事を祈ろう

 

 

願わくば、彼もビルダーであります様に

 

 






さて、この辺りの設定作らなきゃ



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楽しい時間

 

 

 

薫君の事を色々と知る事が出来て少し機嫌が良くなった私は部屋に帰って打鉄改用のユニットの設計図の作成を始めた、流石に1日では終わらなかったので翌日からは昼休みと放課後を使って1週間程で原案を完成させて束さんへデータを送り添削をお願いした

 

まぁ合間 合間で作業をしていたから薫君の練習にも付き合っていたよ?

 

 

そんな訳で、私は部室でメビウスゼロを組み立てながら四苦八苦しながらムラサメを組み立ている薫君に手ほどきをしている、ちなみに鈴もいるけど慣れている為、黙々とザムザザーのディテールアップの為にパテを盛っている

 

箒も誘ったけど、こうゆうのは苦手らしく遠慮されてしまった

 

「えぇっと・・・d3がこれで? あ、こっちか」

 

結構集中しているようで薫君は真剣にムラサメを作っている、その横顔を見て何かカッコいいなぁと感じつつメビウスゼロを借り組みを進める

 

「あら? ごめん一夏、サンドペーパー切らしてるの忘れてたわ。1枚貸してくれない? 」

 

「いいよ? えーっと・・・これだね」

 

トレードマークのツインテールをお団子にした鈴が私に言って来たので鈴が使ってるパテを見てから、それに合ったサンドペーパーを鈴に渡す

 

「ありがと、一夏」

 

鈴はお礼を言って盛ったパテを削り始める

 

鈴も昔は薫君の様に・・・いや、鈴が初めてガンプラ作った時は何故かイライラして吠えていたなぁ

 

今では立派なビルダーになっている、そんな鈴の成長を実感して少し感動していると

 

「IS学園にもガンプラバトルの筐体が有れば、いつでもバトル出来るのだけど」

 

鈴がザムザザーを光に翳しながら削ったパテの具合を確かめつつ言う

 

「そうだけど、鈴みたいにビルダーとファイターの両方が出来る人はなかなか居ないんじゃない? 私はファイターよりビルダー向きだし」

 

メビウスゼロの借り組みを終え、全体のバランスを確認しつつ鈴へ言い

 

「それに、筐体は凄く高いって話だよ? 」

 

と続けて言う

 

「そうよね、あぁ〜簡易版とか出ないかしら」

 

鈴は再びパテを削りながら呟くと

 

「んん〜・・・ ガンプラバトルって何? ガンプラって動かせるの? 」

 

キリのいい所まで作った薫君が伸びをしてから尋ねてくる

 

 

「うん、専用の筐体が有ってガンプラをスキャンして仮想空間で動かせるんだ。 まだまだマイナーではあるし、それなりに準備に出費もあるからね。ガンプラの完成度、つまりビルダーの腕もバトルに影響がでるから」

 

 

「へぇ〜」

 

私の説明に薫君は興味深そうに頷く

 

ガンプラバトルのスキャンシステムはゲート処理や関節の可動域、パーツの剛性、表面加工など ビルダーの腕によって差が出る

 

例えば、薫君が作ったムラサメと私が作ったムラサメでは 私の作ったムラサメの方が扱い易く強い機体になる

 

と言ってもガンプラの完成度が高ければバトルに勝てる訳でもない

 

「バトルに影響は出るけど、素組みでバトルして勝つ人は勝つからね。ファイターの腕も重要かな? 私はファイターとしての腕は自身無いなぁ」

 

あくまで有利になるが、操る人がポンコツなら機体が幾ら凄かろうと負けてしまう、ガンプラバトルはなかなか面白いと思う

 

「一夏、アンタの場合、対戦相手を撃つ事に躊躇いがあるからよ。回避は神がかってるじゃない」

 

ザムザザーのパテを削り終えた鈴がザムザザーを机に置いていう

 

「回避が上手くても制限時間が来たら結局は引き分けで勝ててないからね? それに私は射撃の才能も無いし」

 

肩を竦めている鈴にそういうと

 

「ゲームの中でまで優し過ぎるのよアンタは、射撃だって躊躇いがあるから手首を捻る癖が付いてるだけよ」

 

と、ゲームして中でぐらい割り切れ(意訳)と鈴に言われてしまう

 

私としては、そんなつもりは無いから いつも全力で挑んでいる

 

「まぁいいわ、今度 織部模型店にバトルしに行きましょう? あそこには筐体あるし。八月一日 アンタも行くわよね? 」

 

「是非、俺も興味出てきたから行ってみたいし」

 

と二人のやり取りを見て、何故か胸がチクリと痛み、疑問を感じる

 

体調は悪くない、風邪だって もう3年は引いていないし病気の予兆もない

 

ならば、この胸の痛みはなんだろう? 私には分からない

 

「一夏さん? 大丈夫? 」

 

少し深く考え過ぎた様で薫君が心配した様子で私に尋ねてくる

 

「え? うん、大丈夫だよ、大丈夫」

 

努めて彼に笑顔で返答するが、彼はまだ心配そうだ

 

「本当に? 無理してない? 」

 

「八月一日、あんまりしつこいと 逆に気を使うわ。本人が大丈夫って言ってるのだから、大丈夫よ。一夏の健康に関しては あたし が保証するわ」

 

なんか鈴には見透かされる気持ちになる様な事を言われてしまうが、薫君は 頷く

 

「え、えっと・・・そう、織部模型店にバトルしに行くんだよね? なら鈴に勝てる様にムラサメを作らなきゃね? 」

 

「あら、それは楽しみね? あたし に勝てるかしら? 」

 

私の無理矢理な話題変換に鈴は乗ってくれて、鈴は余裕の表情をして薫君に言う

 

「やってみないと分からないぞ? 俺だってタダで負けるのは悔しいから」

 

薫君は鈴にあわせて挑戦的な言葉を言う

 

その姿を見て、やはり格好いいと感じる

 

 

何か最近の私は変だ、でも悪くない様な気もする不思議な気分だ

 

 





お待たせしました


そういえば、だいぶセシリアが出てきてないな、そろそろ出さなきゃなぁ



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一夏ちゃんの憂鬱

 

 

 

クラス代表戦に向けて一夏さんが持ってきた出所不明の情報を元に作戦立案し、それをこなせる様に練習をしたり一夏さんから貰ったガンプラを組み立てたり、色々と充実した日々を過ごしている

 

そんなクラス代表戦まで1週間を切った月曜日の朝、登校して自分の席に座るとクラスメイトが寄り集まって 今朝方起こった事故や事件でクラス代表戦に招かれていたお役人が数人亡くなったらしい みたいな話が聞こえてきたので気の毒にと思いつつ、いつものように隣の席の一夏さんに挨拶をすると彼女の顔色が悪い事に気付く

 

「一夏さん、顔色悪いけど大丈夫? 」

 

「え? あぁうん、大丈夫・・・」

 

俺の質問に一夏さんは少し辛そうな声で答えるが、俺には大丈夫には見えない

 

 

見た所、何処か怪我をしている様子では無いし、風邪を引いている訳でも無さそうだ

 

「大丈夫そうに見えないのだけど・・・」

 

「ははは・・・そうだよね、でも大丈夫。病気じゃ無いから・・・毎月の事だしね・・・」

 

そう言い一夏さんは机に突っ伏す、それを見て更に心配になり彼女へ声を掛けようとした瞬間

 

「八月一日、今日明日は そっとしておいてやってくれ。一夏は重いらしい」

 

死角から現れた篠ノ之さんが椅子に座っている俺を見下ろして言う、しかし何が重いかが全く分からずに困惑していると

 

「私達に毎月あって、男のお前には無いアレだ。ここまで言えば察する事も出来るだろう? 」

 

なんか睨む様な表情で言われ、よく分かっていないが頷いておく、篠ノ之さんは一夏さんの横に屈み彼女の腰を摩りながら俺には聞こえない程度の小声で何かを話している

 

 

なんか今日の篠ノ之さんは怖いな、何かしたかな? 俺

 

 

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クラス代表戦まで1週間を切った月曜日、私は鈍痛を感じ目を覚まし また来たかと少しイライラする

 

身体を起こし軽い吐き気と気怠さと不愉快な鈍痛を忌々しく思いつつベッドから降りて再度テーブルから薬を取り出して簡易キッチンへ移動し薬を水で流し込んで椅子に座り溜息を吐いて薬が効いてくるのを待つ

 

 

幾ら女である事を受け入れていても、今日の様な日は 何故自分がこんな目に と思ってしまう

 

とはいえ、世の女性は皆 軽い重いの差があるにしても毎月耐えているのだからあまり弱音を吐けない、が 痛いのは痛いし、血が足らなくて軽く吐き気はするし、イライラするし 忌々しく感じるのは仕方ないと思う

 

暫くして薬が効いてきて動ける様になったので身支度をする為にシャワーを浴びる、その途中でお湯と共に流れてゆく紅を見て更に憂鬱な気持ちになり、目の前の鏡に目を向け映る自分を見る

 

 

最強のIS搭乗者、ブリュンヒルデに よく似た黒髪の少女、それか今の自分

 

 

「・・・私は もう俺には戻れない、受け入れたじゃないか」

 

鏡に全力で拳を叩き込みたい衝動を抑え、自分に言い聞かせる様に呟き、頭を冷やす為にお湯から水に切り替えて少し浴びて頭を冷やし、ふと ある事に気づく

 

「今回は、あの日の夢を見なかったな・・・珍しい事もあるなぁ」

 

蛇口を捻り水を止めて浴室を出てバスタオルで手早く身体を拭いてナプキンを装備してドライヤーを使い髪の毛を乾かし始めながら思う

 

毎月この時期に見る悪夢、あの忌々しい日の夢を今回は見なかった、それは今まで1度も無かった事だった

 

トラウマが癒えて来ているのだろうか?

 

数年で癒る傷では無いとも思うが、まだ1日目だ、まだ油断は出来ない

 

髪を乾かしてから出ると毎朝の事だが簪がベッドの上で身体を起こしボーッとしていたので おはよう と毎朝の挨拶をすると、ゆっくりと私の方を向き

 

 

「・・・一夏、今日からアレでしょ? 顔色悪いから休んだら? 」

 

と、何故か簪は的確に言って来たので少し驚く

 

 

「え、いや、薬も飲んだし大丈夫だよ? 流石に実習は見学させてもらうつもりだけど」

 

軽く言い訳みたいな物言いになってしまったが簪へ言うと

 

「あまり無理は良くない、ただでさえ新生活で知らず知らず疲労が蓄積している可能性もあるから・・・とはいえ、私が強制出来る事でも無いから、今は一夏を信じる」

 

そう簪は言うとベッドから降りて身支度を始める

 

 

たまに感じる事だが、簪は何者なんだろう? 勘とか鋭いし、なんで私の状態が分かるんだろう? 

 

そういえば、のほほんさんも時々鋭い指摘とかする時があるんだよな・・・なんだろう? 

 

 

それから朝食を食べて登校したが、薬を飲んだとはいえ無くなった血が直ぐに生成される訳では無いので軽く貧血気味の状態な為、怠くて仕方ない

 

そんな私を心配した薫君が声を掛けてくれたので、大丈夫と 返答するが信じて貰えず、少し濁して伝えるが伝わっていない様子だったが怠さがピークに達し机に突っ伏し、薫君には悪い事をしたな と考える

 

 

とにかく薬を飲んでいても痛いのは痛い、多少はマシになってるが痛い

 

 

これは簪の言う通りにした方が良かったかも知れない、思考が ぼんやり して纏まらないし、何より動くのが凄く億劫だ

 

 

なんか箒が私の横に屈んで小声で話し掛けてきたので、小声で返す

 

 

あぁこれは姉に怒られてしまいそうだ・・・憂鬱だ

 

 





お待たせしました




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一夏ちゃんの鬱屈



前話の冒頭に入れ忘れた文を加筆しました


 

 

 

薄暗い倉庫、鎖に繋がれた俺、見下した眼で俺を見下ろし注射器を持つ女と男達

 

女の手により注射器の針が身動き出来ない俺に刺さり投薬される、数秒後に身体が焼ける様な痛みが襲い、痛みのあまり意識を失う

 

そして冷たさを感じて目を開けるとバケツで水をかけられた様で全身びしょ濡れになっていて、自分の身体の異変に気付く

 

混乱しながら顔を上げると男達が明らかに下卑た目をしている、その視線に恐怖を覚え必死に鎖を鳴らしどうにか抜け出そうとするが、抜け出せず男達の嘲笑う声が響く

 

 

嗚呼、コレは夢・・・悪夢だ。あの日の、忘れられない俺が私へなった日の夢だ

 

この後、鎖を外されたが大の大人数人がかりで押さえ付けられて来ていた服を引き裂かれ、強姦されかける

 

そうゆう記憶だ

 

分かっている、終わった過去だと

 

知っている、彼等は2度と私の前に現れない事を

 

そうだとしても、恐怖は何度でも蘇る

 

 

私は頬を撫でる優しく温もりに気付き目を開ける

 

「・・・ねえ・・・さん・・・? 」

 

私に良く似た頼りになる最強の姉が優しく私の頬を撫でる

 

「む・・・すまん、起こしたか」

 

私が目を覚ました事に気付き謝る姉に いいよ大丈夫 と答えて纏まらない思考で考える

 

何故、私は見覚えの無いベッドに寝ているのだろう? 確か教室の自席に突っ伏していた筈なのだから

 

 

私が そう考えいると姉が

 

「一夏、お前は教室で貧血を起こしたんだ。ここは保健室で もう時期昼休みになる」

 

姉はパイプ椅子に座り言う、その表情は教師では無く姉としての優しい表情だった

 

「ごめん姉さん、心配かけて」

 

私は ゆっくり身体を起こし姉へ言うと

 

「全くだ、お前は・・・と言いたい所だが、アレだろう? 仕方ないだろう、新生活で自覚していない疲れやストレスも有っただろうしな」

 

姉は私の左手を取り両手で包み言う

 

「それに毎日顔を合わせておいて見抜けなかった私に責任がある、不甲斐ない姉で すまない一夏」

 

そう姉は言い少し目を伏せる

 

「姉さんは悪くない、姉さんは世界一 優しい私の姉さんだよ。強くて優しくて最高の、ね? 」

 

私が ニコっと笑み言うと姉は そうか とだけ呟いた

 

 

強くて優しくて 少し不器用で、だけど私を確かに愛してくれる世界でただ1人の姉

 

私は そんな姉を世界一尊敬している、2番目は庵さんと束さん

 

「今日は大事を取って部屋で大人しくしていろ、保健室でも良いが・・・気が休まらんだろう? 」

 

姉はパイプ椅子から立ち上がり私の頭を撫でて言う

 

「・・・分かった、ありがとう姉さん」

 

先程見た夢も含めて(すこぶ)る気分が悪いので姉の言葉に従う事にした

 

「次から無理をするな、お前なら数日授業を受けんでも問題無いだろう? いいな? 」

 

そう言い姉は私に言い聞かせる様に私の頬を撫でて、私の返事を聞かずに保健室を出て行く

 

「・・・姉さん」

 

私の姉は優しすぎる、不器用だから勘違いされがちだが、本当に優しい

 

生徒に厳しくするのは、ISを扱うのは危険が伴う事が多いからだ

 

下手をすれば怪我では済まない事態だってあり得る

 

 

それを姉は知っている、だから厳しい態度を取り厳しい教師として振る舞っているのだ

 

 

まぁ家では、だらしなかったり 庵さんに絡み酒する事もあるのを私は知っている、姉は庵さんにベタ惚れなのだから

 

 

「あ、姉さんに結婚の話を聞いとけば良かったかな・・・まぁいいか」

 

私はベッドから出て保健室を後にし、寮の部屋へ帰る

 

出来るだけ ゆっくりと歩き陽を浴びる、少しでも鬱屈した この精神状態が良くなる様に

 

徒歩10分掛けて部屋に帰り、部屋着に着替えてからベッドに横たわる

 

 

寝てしまいたいが悪夢の続きを見るのではないか? と思うと寝れそうにない、かと言って今の精神状態ではガンプラを組み立てる気持ちにもならないし、集中も出来ない

 

と言うか、薬が切れて来たのか下腹部の鈍痛が増して来た気がするが、身動きするのも億劫になって来た

 

「・・・ここまで億劫なのは束さんの所に居た時以来・・・かな? 」

 

初めて生理が来た時は、自分は死ぬんだ と思う程の痛みと絶望感と諦めを味わったのを思い出す

 

確か女になって3ヶ月ぐらいだったかな?

 

痛くて起きたら下腹部が痛いし、妙に変な感じだし、痛みで碌に動けないし、と本当に死ぬかと思った

 

布団に包まったまま色々と考えていたらクロエが様子を見に来てくれて私の異変に気付いて対処してくれたんだったなぁ

 

そのあと束さんから説明を受けて死なない事は理解したけど、すぐには受け入れ切れなかったから、女として生きる事を受け入れて決意するまで約半年がかかって、それから約半年で束さんとクロエから女のイロハをレクチャーしてもらったり立ち振る舞いを教えて貰ったりした

 

姉さんに会いに行ったりもして徐々に人と話せる様になったっけ・・・

 

 

「・・・クレアさんとラウラ、元気かな? 」

 

シミ1つない天井を見上げながらドイツで知り合った少し変わったお姉さんと同じ歳の娘の事を思い出す

 

 

「クレアさん、またラウラに間違った日本の常識を植えつけてないよね・・・」

 

自称日本通のクレアさんは度々 ある意味で箱入りで世情に疎いラウラに間違った日本の常識を植え付けていた、何度か私が訂正したが、一体どれぐらい効果が有ったかは分からない

 

 

久しぶりに電話でもしてみようかな? と思い、時計を見て携帯を取り出してクレアさんへ電話をかける

 

久しぶりの趣味友への電話で、少しは鬱屈した気分が解消される事を祈って

 

 






お待たせしました


クレアが誰か分かるでしょうか? ちなみにオリキャラではありません、ちゃんと原作キャラですw




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一夏ちゃん、少し復活

 

 

クレアさんと久しぶりに電話をして少し気が紛れて少し機嫌が良くなった、クレアさんは相変わらずズレた日本常識を持っていたので、少しだけ訂正してみたが多分 効果は無いと思う

 

 

電話を終えて携帯の画面を見ると束さんからメッセージが入っていたので開いてみると、PCの方へ添削した設計図を送っておいたから確認してね? みたいな内容だったので、お礼のメッセージを束さんに送ると部屋の扉がノックされ

 

 

「一夏、箒だが起きているか? 」

 

と箒の声が聞こえたのでベッドから降りて扉を開くと、心配そうな箒と薫君が立っていた

 

「えっと・・・いらっしゃい、でいいのかな? 」

 

私は疑問形で2人へ言うと、2人共苦笑して

 

「ま、まぁいいんじゃないか? 」

 

箒が そう言う

 

「一夏さん、ご飯持ってきたんだけど、昼は もう食べた? 」

 

薫君が購買で買ってきたであろう お弁当を私に見せて尋ねてくる

 

「あー、そういえば まだ食べてなかったよ、ありがとう」

 

すっかり昼食の事を忘れていたので薫君から お弁当を受け取り言い

 

「あ、お金、幾らだった? 」

 

「いいよ一夏さん、心配だったから口実作りに持ってきただけだしね? 」

 

財布を取りに行こうとして直ぐに薫君が言う、その言葉が妙に嬉しくて胸が暖かくなりモヤモヤとした気持ちが晴れて行く様な気がする

 

「あ、ありがとう」

 

少し顔が熱くなってきたが、お礼を言うと

 

「今朝より血色も良くなってるし、ひとまずは安心だな? しかし一夏、あまり無理はするなよ? 」

 

私の顔を見て箒は そう言い少し安心した表情をする

 

「それ、姉さんにも似た様な事を言われたよ。ありがとう箒」

 

と苦笑して そう箒に言うと僅かに不満そうな表情を一瞬だけした

 

幼馴染だから分かる僅かな変化だった訳だが、何故 箒が不満そうだったかは分からない、心当たりが無い

 

かと言って聞く訳にもいかないので、見なかった事にした

 

「クラスの皆・・・特にオルコットと布仏さんが心配してたよ、いや1番心配してたのは織斑先生かな? 」

 

「ははは・・・なんかゴメンね」

 

薫君の言葉に苦笑して謝り、少し反省する やはり無理せずに休めば良かったと

 

 

そもそも結果的に早退してしまっているしね? しかもSHRまでしか受けて無い訳で

 

「さて、我々はお(いとま)するとしよう。長居しては休めないだろうしな? 」

 

「そうだね、じゃぁ また。ちゃんと休んでね?一夏さん」

 

「ありがとう2人共」

 

そう言い2人は去って行くので、お礼を言い見送る

 

扉を閉め、机に座り薫君から貰った お弁当を開き食べる、何度か食べた事の有る普通の幕内弁当が なんだか いつもより美味しく感じ頬が緩む

 

 

私は良い友達を持って幸せだな、と思いながら お弁当を食べ終え何となくテレビをつけると、ニュース番組がやっていた

 

内容は、今朝に起こった事故や事件の特集の様だった

 

亡くなった人の名前や写真もながれていて、そこに映る人物の名前に見覚えがあり、不自然に感じる

 

亡くなった人達は全て政治家のお役人であり、私と薫君が交際し在学中に子を成す事を狙った派閥のメンバーだったからだ

 

同じ車や車列にいたなら、まぁ違和感を感じる事はなかっただろうし、別々の場所だから重なった可能性も有る

 

だが、私には どうも不自然に見えてしまった

 

そう、何者かの意図によって起こされたのではないか? と感じてしまったのだ

 

 

「・・・まさか、ね」

 

 

他の派閥によって排除された可能性も有るが、こんな事を計画し隠蔽 出来る人が知り合いに居るので彼女がしたのでは無いか? と心配になる

 

そう、彼女なら痕跡を残さず 事故に見せかけて亡き者にするぐらい造作もないだろう

 

 

「・・・束さんに聞いた所で誤魔化すだろうし、私じゃ嘘を見抜けないしなぁ・・・よし束さんを信じよう、これは偶然だ、偶然」

 

そう自分に言い聞かせる様に言い、薬を飲みゴミを片付けてからテレビを消してベッドへ戻り布団を被る

 

本当はダメだが、今日ぐらいは大目に見てもらう、まぁ誰も見てないんだけども

 

それから直ぐに眠気がやってきて私は夢へ落ちてゆく

 

 

 

薄暗い倉庫、鎖に繋がれた私、見下した眼で私を見下ろし注射器を持つ女と男達

 

 

女の手により注射器の針が身動き出来ない私に刺さる直前で、急に女の顔を鋼の拳が捉え切り揉み回転して飛んでゆき

 

「一夏さん、助けにきたよ」

 

と打鉄改を纏った薫君が鎖を引き千切り私を救ってくれる、その姿に私の鼓動は早くなり、そして違和感を覚えるが それさえどうでも良くなってしまう

 

彼が私を助けに来てくれた、それだけで十分なのだから

 

「ありがとう、薫君」

 

「さぁ、帰ろう? みんなが待っているよ? 」

 

彼の手を借りて立ち上がり お礼を言うと、薫君は微笑み そう言い私をお姫様抱っこをして、いつの間にか壁に空いていた大穴から倉庫を飛び出して空を飛ぶ

 

 

分かってる、これは夢だ

 

そう夢、だと分かっている。だってこんな結末は有り得ないのだから

 

こんな物語のハッピーエンドみたいな終わり方なんてしていない、でも・・・今は気付いてないフリをして彼の腕の中を楽しもう

 

多分、それぐらい許されるだろうから

 

 






よし、次こそクラス代表戦を書くぞ!

予定より2話増えてしまったw



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クラス代表戦 開幕

 

 

 

私が貧血で皆に心配をかけた日から約1週間、クラス代表戦の日がやってきた

 

 

丸一日休養したおかげで次の日からは無理をしない程度に動ける様になったので薫君の練習に付き合う事が出来たので出来うる限りの準備はできたと思う

 

そんな訳で私はピットで明石を展開して打鉄改に近接戦強化ユニット 雷切へ換装している

 

「まさか、1戦目から鈴が相手とは予想してなかったなぁ」

 

 

「そうだね、でも抽選の結果だからね・・・運が悪いのか良いのか」

 

私の呟きに薫君は苦笑気味に言う

 

確かに想定はしていたが、決して確率は高くないと思っていた、まぁ4組のクラス代表である簪と初戦で当たらなかっただけマシかも知れない

 

何せ簪の専用機は打鉄の次世代機、打鉄弍式

 

他の専用機持ちとは状況が違う、簪は打鉄の良し悪しを熟知しているのだから

 

 

それに打鉄弍式のマルチロックオンミサイルは、かなり厄介な存在で薫君は対処しきれないだろう

 

何せ48発のミサイルが別々の軌道で対象へ個別に軌道を変えて飛んでくるのだから、弾幕を張ろうが完全に躱すのは難しい

 

機体相性で言えば、オルコットさんのブルーティアーズのビットで打ち落とすか明石のクラインフィールドで凌ぎ切るしか無い

 

 

「まだ鈴で良かったかも、鈴は近接格闘戦仕様だし」

 

雷切の換装を終え、薫君に言うと彼は少し複雑そうな表情をして

 

 

「俺としては代表候補生と同じ土俵で戦うから不安なんだけどね」

 

と彼は少し弱気な発言をする

 

「大丈夫だよ薫君、対鈴用の戦術は覚えたでしょ? どうにかなる筈だから」

 

 

私は彼に大型戦斧 菖蒲を渡しながら安心させる様に言う

 

実際の所、薫君が鈴に勝てる可能性は低い、だって鈴は代表候補生だしね?

 

でも決して勝てない訳ではない、勝負には絶対は無いのだから

 

「ありがとう一夏さん」

 

私から菖蒲を受け取り薫君は真面目な表情になり鈴が居る方を向き言う、その表情を見て やっぱり カッコいいな と思いながら彼の邪魔にならない様に明石を格納して彼の後ろへ移動すると、出撃の指示がアナウスせれる

 

「頑張ってくるよ一夏さん」

 

「いってらっしゃい薫君、頑張ってね」

 

カタパルトに乗りアリーナへ出撃する薫君を見送り私は彼の勝利を祈り、入り口の方に気配を感じ振り向くと、私にとって2人目の姉の様な人が相変わらず無邪気な笑みを浮かべて立っていて

 

「束さん!? なんで此処に? というか、どうやって入ってきたの?! 」

 

「やぁやぁ いーちゃん、久しぶりだね〜」

 

驚きで固まる私に束さんは、いつもの様に笑みを浮かべたまま私を抱きしめて言う

 

「元気そうで安心した、君は ちーちゃんと同じで色々と溜め込むタイプだからね」

 

少し私より背の高い束さんが抱きしめられながら私の頭を撫でて言う

 

世間では天才だの天災だの人外だのと言われている束さんだが、私からすれば少し人と違う感性を持った お姉さんでしかない

 

確かに束さんは身内にしか心を開かないし、他人と関わりを持つ事を嫌う質だけど、万人に心を開ける人間なんて皆無だと思う

 

束さんは特に利己の為に擦り寄ってくる数多の輩と遭遇してきた、だから人間不信になっても仕方ないのかも知れない

 

「ありがとう束さん」

 

束さんにお礼を言い抱きしめ返すと、彼女の肩越しに赤毛の長身の美青年が目に入る

 

相変わらず無表情で束さんの護衛をしている彼を見て、何となく安心していると、束さんは腕を解き私から離れて

 

「さて いーちゃん、君の質問に答えようかな? まずは、どうして此処に。から」

 

 

そうニコっと笑んで束さんは言うので私は頷く

 

「ちゃんと正規のルートで来たから安心して? ほら私ってIS業界では世界的VIPな訳だし」

 

と束さんはドヤ顔で言う、なるほど来賓として呼ばれた訳か

 

と言うか、ISの産みの親である束さん以上のIS業界のVIPって居ないんじゃないかな?多分

 

「次に どうやって入ってきた? だけど、普通に歩いて来たよ? まぁそもそも此処のセキュリティは私にとって有って無い様な物だしね? 」

 

少し困惑する私にさらに爆弾を落としてくる束さんに少し頭が痛くなったが、いつもの事なのでスルーする事にして

 

「来賓席に居なくて大丈夫なの? 」

 

こんな所で油を売っている束さんに少し気になった事を尋ねると

 

「ん? 良いんじゃない? 私は君達に会う為に来ただけだし、たまに外出しないと身体がカビちゃうからね」

 

そう束さんはコロコロと笑う、これは本当に最初からクラス代表戦を見るつもりが全く無く、私達に会う為だけに来たのを理解する

 

「そ、そっか、大丈夫なら良いんだけど。うん」

 

束さんって基本的に自由人だから行動を制御出来る人が少ない、もちろん私では無理なので諦めよう

 

「それじゃぁ私は そろそろ箒ちゃんに会いに行くね? 」

 

「うん、ありがとう束さん。また今度ゆっくり お茶でも」

 

ニコニコと笑みを浮かべて言う束さんに軽く手を振り言うと

 

「じゃぁ、後で今の根城の住所を送るね? じゃ〜ね〜」

 

と手を振り束さんが去って行き、その後ろをジークさんが着いて行く

 

 

そんな2人を見送りながら、箒は驚くだろうな と思う

 

ついでに姉が溜息をつきそうだ、まぁそれはいつもの事では有るのだけど

 

 





お待たせしました



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クラス代表戦 本番

 

 

一夏さんに見送られ俺はカタパルトによりアリーナへ吐き出される、少し勢いを調整して待機位置で停止すると、すぐに凰さんがマゼンタ色のISを纏い現れて俺と同じく停止位置で停止する

 

「まさか初戦で戦うとは思わなかったわ・・・まぁ正直、あんた とは一戦交えておきたかったし、丁度良いわね」

 

凰さんは自身に満ちた表情で言い、両手に一振りづつ青龍刀を展開し緩く構える

 

「それは どうも」

 

俺も菖蒲を構え、彼女を見据える

 

俺がIS・・・打鉄改に搭乗し始めて約一月(ひとつき)、今日の相手はオルコットの時とは訳が違う、油断は全くない

 

少なくとも凰さんは俺を見下し油断をしていない、だから隙が全く見えない

 

確かに俺は一夏さんから出所不明の情報を元に作戦を教えてもらい、時間が許す限り練習してきた、だが不安しかない。だって目の前の凰さんは間違いなく強い

 

 

俺が強く菖蒲の柄を握り締めると試合開始のブザーが鳴り

 

「さぁ、戦る ()わよ! 簡単に落ちないでよ?」

 

「善処するよ! 」

 

正直、近接戦闘タイプの凰さんの土俵である近接戦仕様で戦いを挑むのは不安だが、シールドがある打鉄は そもそも近接戦仕様が前提だ、やるだけやるしかない

 

俺は不安を抱えながら凰さんと打ち合いを始める、事前情報通りスピードよりパワー重視の戦い方の彼女と雷切は相性が良い

 

「なかなかやるじゃない、これなら もう少し本気を出しても大丈夫そうね」

 

 

と凰さんは獲物を狙う獣の様な眼をして楽しそうに言う

 

「それは どうも、でも余裕を出せるのも今の内かもよ? 」

 

本当は結構いっぱいいっぱいなんだけど、悟らせない様に挑発すると凰さんは更に楽しそうな表情になり

 

「あら、楽しみね・・・やってみなさい」

 

ニィーっと口角を上げ凰さんは笑み、甲龍の両肩のアンロックユニットの装甲がカシャっと開き、まずい と思い対物シールドを前に出して衝撃砲を防ぐ

 

 

「あら、よく防げたわね? 衝撃砲は砲身も砲弾も見えないのが特徴なのに」

 

彼女は楽しそうに言い、俺の出方を余裕そうに見ている

 

 

なんつう威力だ衝撃砲、対物シールド越しでも凄い衝撃だったぞ? そしてなんで嬉しそうなんだ凰さんは、いや試合を楽しむ事態はいいと思うけど凰さんのは何か違う気がする

 

 

立ち止まっていては唯の的でしか無いので、動きながら弟切草(ビームガトリング)を撃つが凰さんは青龍刀を巧みに使い弾を弾き防御すると言う、眼を疑う戦い方を繰り出してきた

 

そんな事、誰が予想出来るだろうか? 出来ていた人がいる・・・一夏さんだ

 

一夏さんの作戦では、とにかく凰さんのテンポに乗らない様に立ち回る事を念頭に、と言われ反復してきた

 

鈴なら、銃弾を剣で弾くぐらい余裕でやってのける と笑う一夏さんの笑顔は可愛かったが、正直冗談だと思っていた・・・のだけど、まさか本当にやるとは

 

 

とにかく的を絞らせない様に動き、弟切草で弾をばら撒き、タイミングを見て菖蒲を振る、それを繰り返していく

 

 

試合が始まり20分が超え、俺のシールドエネルギーは だいたい7割弱といった具合になっている

 

何度も打ち合っているうちに細かいダメージを入れられてしまった、その割に凰さんには全く攻撃を当てられてないので正直まずい

 

「さて・・・充分楽しんだし、そろそろ幕引きにしましょうか! 」

 

「まだまだ! 」

 

一気に距離を詰められ弟切草が間に合わないと判断し、菖蒲と対物シールドで青龍刀2振りを受け止めて鍔迫り合いをすると

 

「もう終わらせるわ、まぁ及第点と言ったところかしら? 」

 

凰さんは少し不満そうな表情で言い、何を言っているか理解が出来ずに尋ねようとした瞬間、側頭部に衝撃を感じて そのまま吹っ飛び地面に墜落する

 

「・・・い・・・今、なにが・・・」

 

軽く脳が揺れたのか少し揺れる視界を感じながら、立ち上がり凰さんを見上げ頭からを振り意識をハッキリとさせる

 

 

「あら、意外とタフね? 八月一日、脳が揺れて立てなくする予定だったのだけれど」

 

と凰さんはカラカラと笑う、つまりさっきのは凰さんの仕業だった訳か・・・何されたかが全く分かんないぞ?

 

「まぁ良いわ、自分が何をされたか理解せずに負けなさい」

 

凰さんは再び間合いを詰めてきたので打ち合いになるが、明らかに意識と挙動にラグが出る瞬間が出てくる

 

まるで、誰かに一瞬だけ掴まれたかの様に

 

 

俺は凰さんの猛攻に削られ続け、消耗した対物シールドが砕かれ そのまま致命打を貰い地面に叩き付けられ負けてしまった

 

 

試合終了のブザーが耳に入り、自分が負けた事を認識しながら思う

 

凰さん、やべぇ と、打鉄は防御型のISで打鉄に装備されている対物シールドは損傷を受けるとナノマシンで自動修復してくれる代物だ、だから 凄い耐久値が高いのだが、凰さんは対物シールドの高い耐久値を削り切り破砕し、尚且つ俺に致命打になり得るダメージ浴びせてきた

 

一夏さんの情報では青龍刀に特出した能力は無かった、だから凰さんなりのダメージの出し方な有るのだろう

 

 

まぁ、なにはともあれ 負けてしまった・・・やっぱり壁は高いな

 

 







お待たせしました



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クラス代表戦 終了

 

 

 

 

束さんが方が箒に会いにピットを去った後、私は薫君と鈴の試合を見ていて徐々にシールドエネルギーを削られて行く彼を見て、やはり実力の差を埋められていないと感じる

 

確かに薫君にもIS搭乗者の才能は有る、だが中国に渡り再会するまでの期間で代表候補生になった鈴と比べると才能も努力も訓練時間も足りていなかった、そう言わざる得ない

 

きっと鈴は途方もない努力をしたのだろうし、オルコットさんと違い薫君を見下す事をせずに同格の相手と認識し、全力で彼と対峙していた

 

暫くして薫君の敗北で試合が終わり

 

「・・・怪我が無くて良かった」

 

私は薫君が怪我をしなかった事に安心する

 

薫君は負けたが、そんな事は正直どうでもいい、彼が無事なら それだけで良い

 

 

「お疲れ様、薫君」

 

明石を再び展開してピットへ戻って来た薫君を出迎える

 

 

「ごめん一夏さん、負けちゃった」

 

悔しそうに少し俯き言う薫君に

 

「うぅん、君が無事なら勝敗なんて気にならないよ。さ、雷切を外して休もう? 」

 

「・・・ありがとう」

 

本当に悔しそうにしている薫君を停止位置に誘導し私は明石のクレーンを使い雷切を打鉄改から外して専用コンテナへ収納して、薫君から菖蒲を受け取る

 

 

「今回は勝てなかったけど、練習を重ねれば勝てる様になるよ、きっと」

 

と彼を元気つける為に笑んで言う

 

「そう、だね。次は勝てる様に練習するよ、ありがとう一夏さん。俺 がんばるよ」

 

私の言葉に薫君は強く頷く、その目はヤル気に満ちていた

 

 

そんな彼を見て、やっぱり カッコいいな と思いつつ

 

「そろそろ行こう? 試合を見るだけでも勉強になるからね」

 

「そうだね、じゃぁ着替えてくるね」

 

彼の言葉に頷き私はピットから出て観覧席へ向かう

 

 

後で試合の反省会をしよう、多分 薫君は鈴に何をされたか分からない事が有るだろうから

 

 

そんな事を考えながら観覧席へ行くと、箒にベッタリ抱きついている束さんと 相変わらず無表情で姿勢正しく立っているジークさんが目に入る

 

周りにいるクラスメイトは どうしたら? と困惑している様子だったので

 

「束さん、皆が困惑してるよ」

 

私が声を掛けると通常の3倍ニコニコしている束さんが振り向き

 

「おや、いーちゃん また会ったね? 今は妹成分を補給中なんだ、もう暫く待ってね? ね? 」

 

あ、ダメだ 人の話聞かないや束さん と思いチラッと箒を見ると、どうにかしてくれ と言う表情で見られたが、無理と首を横に振ると 箒は諦めた様な表情になる

 

束さんを どうにか出来るのはジークさん と姉、庵さんぐらいなのだ、束さんの言葉を信じれば、もう暫くしたら離れるだろう、多分

 

 

とりあえず空いている束さんの横の席を見て

 

「ジークさんは座らないんですか? 」

 

私よりだいぶ背の高い彼を見上げて尋ねると

 

「・・・有事の際に行動が遅れる、気遣いは感謝するが俺の事は気にしなくていい」

 

相変わらず無表情で、そう返答してくるジークさんに、変わらないなぁ と思いつつ

 

それならば と束さんの横の席に座る、ジークさんや姉とか身内以外では落ち着いて座れないだろうしね

 

そういえばクロエの姿が見えないが今日は留守番をしているのだろうか? と思い

 

「ねぇ束さん、クロエが見当たらないけど、留守番? 」

 

箒に頬擦りをしていた束さんが一旦 頬擦りを止め

 

「クーちゃん? クーちゃんなら学校だよ? 」

 

あっけからんと束さんは言い、私は少し驚く

 

何故なら各地を転々としている束さんについて彼女の世話を一手に引き受けているクロエが学校へ通っている、つまり束さんは 何処かに定住している と言う事だ

 

いや、もしかしたら転校とかするのかも知れないが、クロエを娘と言い箒や私と同じ様に可愛がっている束さんが、転校とかさせないだろうし

 

とか考えていると

 

「やっぱりクーちゃんもね、学校に通って色々と学ばないとね? 狭い世界の中では狭い考えしか出来なくなってしまうから」

 

と慈悲に満ちた表情で言う、言っている事は素晴らしいが、箒にベッタリ抱きついている状態では少し格好がつかない

 

普段は破天荒な振る舞いが目に付くが、束さんは凄く物事を考えている人だ

 

 

「いやぁ最近、クーちゃんも気になる男の子が出来たみたいでね? 私には言わないけど、見てたら分かるよねぇ〜」

 

と漸く箒から離れた束さんが凄くニコニコしながら言う、まさに母親の顔だ

 

「そうなの? クロエが・・・」

 

私から見てもクロエは美少女だ、礼儀正しく言葉遣いも丁寧で少し小柄な美少女

 

そんなクロエの心を射止めた男子が居るのか、クロエには悪いけど気になる

 

 

「うん、織部模型店のバイトの子、ほら いーちゃん の後釜に入った彼だよ」

 

「え??! 沖田君? 彼か・・・彼かぁ・・・」

 

 

束さんの言葉に、少し驚く、IS学園に入学するにあたって織部模型店のバイトを辞めた私の穴に彼・・・沖田 響 君が入った

 

織部模型店は時給自体はさほど高い訳じゃ無いけど、とても働きやすい環境だから割と人気が有るんだよね、学業優先にしてくれるし

 

 

少ししか話した事ないけど、彼は悪い人では無かったな・・・少し小柄で女装が似合いそうな子だった、まぁ本人は気にしてるみたいだから言わなかったけど

 

 

と、言う事は束さん、今は篠ノ之神社近辺に居を構えているのかな?

 

これは言わないでおこう、今 居を構えている場所が割れてしまうと引越しをする事になってクロエが転校する事になるかも知れないし、私としても友達の恋は応援したいのだから

 

 

束さんの恋も早く実れば良いな、うん

 

 

 






お待たせしました


おかしい、後半で薫君と束さんを会わせる予定が、クロエの話になってしまったw



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反省会?

 

 

 

束さんとクロエの事について話す事十数分、薫君が制服を身に纏い現れジークさんと束さんを見て少し戸惑っているのが見えたので声を掛けようとすると

 

「やぁ、君が八月一日君だね? ふむふむ・・・」

 

いつの間にか薫君の正面に立ち彼を品定めする様に束さんは上から下まで見て言い、薫君は そんな束さんに困惑した表情をしていた、それを見て少し胸がモヤッとしたので

 

「束さん、もう少し常識的に挨拶して? 薫君が困ってるよ」

 

「ごめんごめん、いやぁ興味深くてねぇ」

 

私の言葉に束さんはテヘペロしながら謝って少しだけ薫君から離れ

 

「ほんと、不思議だねぇ? 君は何故 ISに乗れるのかな? この私でさえ原因究明が終わってないのに、ねぇ? 」

 

束さんはニコニコと笑みながら薫君へ尋ねる、その姿は まるで無邪気な子供の様だ

 

「・・・え? あー・・・なんでですかね? 本当なんでですかね? 」

 

薫君は困った表情で束さんへ返答する

 

「そっか、そうだよね。ごめんね? ナノ単位まで分解して調べたら分かるかも知れないけど・・・いーちゃん と 箒ちゃんに睨まれてるからやめておくよ」

 

はっはっはっ と誤魔化した様に笑う束さんを笑う私と箒は睨む様に凝視しておく

 

「は、はぁ・・・えっと、一夏さんと篠ノ之さんの知り合い、なんですか? 」

 

薫君は、なんとも言えない表情をしていたが、話題を変えようと質問をすると

 

「・・・遺憾ながら実の姉だ、八月一日。遺憾ながら、な」

 

束さんが答える前に箒が疲弊した表情で返答する、こうは言っているが箒は箒なりに束さんを尊敬している、らしい

 

「ん〜私の場合は・・・姉弟子、姉の親友、恩人、歳上の幼馴染、師匠、かな? 」

 

剣道とビルダーの両方 束さんは姉弟子になる、剣道では束さんと箒の父 柳韻先生が師匠、ビルダーとしては庵さんが師匠だ

 

ISのアレコレに関しては束さん直々に教えて貰ってる、でも私的には歳上で幼馴染が1番しっくりくるかも知れない

 

 

「へぇ、そうなんだ」

 

箒の返答には少し微妙な表情をした薫君が そう言うと

 

「私は2人共 可愛い妹かな? 」

 

にこにこにー と束さんは笑みを浮かべて言う

 

相変わらず実年齢に比べて表情が幼く感じる、まぁ昔からだけども

 

「さて・・・少しお節介をしようかな? ジー君? 」

 

と束さんはニコニコしたままジークさんに声を掛けると

 

「観覧室の個室が空いています、其方を押さえました」

 

直立不動のジークさんが、束さんの意図を汲み取った様で そう答える、相変わらず凄いな この人

 

「ありがと、さぁ行こうか八月一日君、いーちゃんも、ね? 」

 

そう言い束さんは歩き出したので、薫君と2人で首を傾げながらついて行く

 

 

数分足らずで個室の来賓席に辿り着き

 

「じゃぁ、八月一日君? 反省会を始めるよ? さて今回の君の敗因はなんだと思う? 」

 

なんか芝居がかった仕草と表情で薫君へ束さんは尋ねる

 

「実力と経験の差、です」

 

薫君は束さんを真っ直ぐに見て言う

 

「そうだね、それも要因だろうね? でも それだけじゃない、八月一日君 君に足りないモノは打鉄改への理解と対話だよ」

 

ビシッと効果音がつきそうな動きで束さんは薫君を指差して言う

 

「理解と対話、ですか? 」

 

薫君は束さんの言った意味が分からない様で困った表情をして尋ね返す

 

「そう、理解と対話・・・ISのコアには人格が宿っている、だからISは搭乗者を理解し最適化して行く、相手を知り自分を知ってもらう。君も信頼関係がしっかりしていない相手に命を預けられないでしょ? 」

 

束さんの言葉に薫君は無言で頷く

 

「と言っても知り合って直ぐに信頼は勝ち取れるモノじゃないからね、努力を惜しまずに研鑽するしかないかな? 」

 

と束さんは真面目な表情で薫君へ言い、彼は力強く頷く

 

「じゃぁ、此処からは いーちゃん の番かな? 」

 

にこ っと私に そう言ったので頷き

 

「薫君、鈴との試合の分析と解説をするね? 」

 

「うん」

 

私の言葉に薫君が頷いたので表示枠を展開して

 

「まず不可視の砲弾を撃ち出す衝撃砲、その利点は砲弾が不可視である事、砲身も不可視で射角を選ばない事、そして空間に圧力を掛けて砲身を形成している特性を応用出来るんだ」

 

「応用? 」

 

表示枠に鈴が龍咆(衝撃砲)を使ってる場面を映し出し説明する

 

「まず序盤の此処、この時は普通の捻りの無い使い方をしている。けれど・・・試合が始まって20分が越えた辺り、この時に鈴と鍔迫り合いをした薫君は真横から側頭部へ攻撃が当たっている、これが龍咆の怖い所」

 

説明に合わせて流す映像を流しながら薫君へ説明をする

 

鍔迫り合いの状態からでも射角に際限が無い以上、好きな場所に不可視の砲弾を叩きこめる訳だ、厄介極まりない

 

「それに空間に圧力を掛けて砲身を形成する特性を利用して、砲身形成を相手の挙動に合わせて行う事で一瞬だけ、ほんの一瞬 挙動を鈍らせる事が出来るみたいだね」

 

本当に僅かに鈍るだけだ、でも試合では そのコンマ1秒の差で防げる攻撃が当たりダメージになり、当たる筈の攻撃が外れたり防がれたりする

 

鈴は自身の専用機、甲龍の事を理解し熟知した戦い方をしている、やはり鈴は凄い

 

普通なら、龍咆は射撃武器でしか無いのに

 

親友としては誇らしいが、薫君の敵となると厄介な相手なので少し複雑な気持ちになってしまう

 

 





お待たせしました



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連休 出発

 

 

クラス代表戦から時は流れ5月に入り大型連休がやってきた、そんなわけで連休3日目、前々から約束していた日がやってきて、私は先日完成されたガンプラバトル用の機体を専用のケースに入れてから明石のバススロットに収納して

 

 

「それじゃぁ行ってくるね? 」

 

 

ここ最近ずっと難しい顔をして机に向かっている簪へ声を掛けると

 

「・・・いってらっしゃい、車とかに気をつけて」

 

少し眠そうな表情で簪は私へ返答をする、そんな簪を少し心配しながら部屋を後にし食堂へ向かう

 

食堂に行くと集合時間15分前なのだが既に薫君が分かりやすい席に座っていたので

 

「おはよう薫君、待たせたかな? 」

 

と声をかけると見ていた携帯から顔を上げ

 

「おはよう一夏さん、さっき来たばかりだから大丈夫だよ。凰さんは? 」

 

にこっと微笑み薫君は返答し、尋ねてきたので

 

「鈴? 途中で会わなかったけど、もうすぐ来るんじゃないかな?」

 

と答え、私は薫君の正面に座り

 

「ムラサメの仕上がりは どう? 」

 

約束をした あの日からアドバイスをしたりして薫君が少しずつ手を加えてきたムラサメについて尋ねる

 

「まずまず・・・かな? 初めての事だしね、戦えるとは思う」

 

薫君は少し不安そうに返答をする

 

「大丈夫だよ薫君、きっと大丈夫」

 

今更だが、1番最初に作るガンプラに可変機を渡したのは失敗だったかも知れない、どうせならザクファントムとかにしておけば良かった と少し後悔する

 

 

でも、薫君がガンプラに興味を持ってくれたのは嬉しいと思う

 

 

それから5分程経って

 

「む? 早いな、おはよう2人共」

 

「おはよう箒」

 

「おはよう篠ノ之さん」

 

箒が合流したので挨拶を返し箒の私服姿に新鮮さを感じる、休日に会っても だいたい部屋着の着流とか剣道着が多いからね

 

こうして見ると、やっぱり箒は美少女だなぁ と感じる

 

「それで一夏、私を何処へ連れてゆくつもりなんだ? 行先は秘密と言われて気になっているのだが」

 

私の隣に座った箒が不思議そうに尋ねてくる

 

「ん〜まだ秘密かな? ついたら分かるし、ね? 」

 

とりあえず微笑んで誤魔化し鈴を待つ、姉は有休を3日間ぶんどり 昨日から庵さんの何処だから現地合流するし、弾と数馬も織部模型店で合流する予定だ

 

それから集合時間ピッタリに鈴が現れたので挨拶も そこそこに織部模型店へ向かう

 

ちなみに箒へサプライズを計画している事は、このメンバーでは私以外だと鈴だけ知っている、じゃないと鈴が姉さんと庵さんが交際している事を口を滑らせて箒に言ってしまう可能性があるからだ

 

そんな訳でワクワクしながら連休とあって少し混んでいるモノレールに乗り込み最寄りの駅まで移動し、弾や数馬へラインをしながら薫君達と逸れない様に駅を出ると

 

「お、来た来た。よ、久しぶりだな一夏、鈴」

 

長髪の赤毛でバンダナをした弾が相変わらずの笑みを浮かべ駐輪場のガードパイプに腰掛けた体勢で片手を上げて言う

 

「お、久しぶり弾。どーしたのさ、織部模型店で合流予定だろ? 」

 

「あら、弾じゃない。久しぶりね」

 

私達も軽く片手を上げて挨拶に応じ、質問する

 

「数馬と先に織部模型店に行ったら千冬さんが居て、軽くガンプラバトルしたんだけど瞬殺されてよ、千冬さんの指示で迎えにな? 鈴がいるとはいえ・・・ほら千冬さんは心配症だから」

 

弾は自身の後頭部を軽く掻きながら言う

 

また我が姉は大人気なく本気でガンプラバトルをしたらしい、いやまぁ本気になるのは良いけど少しは手を抜かないと対戦相手が居なくなってしまうと思うのだ

 

「あーなるほどな、分かった。それじゃ行くか、自己紹介は歩きながら。あんまり待たせると姉さんが弾に電話してくるかも知れないから」

 

「だな、とりあえず俺は五反田 弾、一夏と鈴は中学からの親友だ。気軽に弾って呼んでくれ」

 

私の言葉に皆が頷き織部模型店へ歩み始め、弾が自己紹介をする

 

「俺は八月一日 薫、何の因果かIS学園に入学した男だ。気軽に薫と呼んでくれ」

 

「おう、よろしくな」

 

と薫君は弾と握手する、よかった上手く行きそうだ

 

「・・・篠ノ之 箒だ、一夏の幼馴染だな。よろしく頼む」

 

「あぁ、アンタが一夏が話してくれた幼馴染か、話には聞いていたが美人だな。よろしくな」

 

少し控えめな箒とも弾は握手をする、少し強引な気もするが箒には これぐらいが丁度良いのかも知れない

 

 

10分程歩き織部模型店に着くと、お店の前を庵さんが姉と掃き掃除をしていたので

 

「庵さん、何で姉さんは休みなのに此処で掃き掃除してるのかな? 」

 

「ん〜俺が働いてるのに、自分は見てるだけって出来ない性格だから、かな? 何度も断ったんだけどね? ほら一応 IS学園で教員してるから問題になりそうだし」

 

と庵さんは少し苦笑して言う

 

まぁ恋人と一緒にいる名目なんだろうけど、確かに問題にならないのかな? と思うが 大丈夫なんだろう、多分

 

 

やれやれ と思いつつ薫君を見ると、箒と同じ様な驚いた表情で固まっていた、やはりインパクトはデカい様だ

 

 

当たり前か、IS学園では鬼の様な教官の雰囲気を纏い続けている姉が、今はそんな事が一切なく柔らかい雰囲気を纏い模型店の前を掃き掃除しているのだから

 

知らない人が見たらそっくりさん と疑うんじゃないか? ってレベルで雰囲気が違う、私や鈴、弾は慣れてるから戸惑わないんだけどね?

 

 

 

 

 

 





お待たせしました


すみません、少しとばしました


しまった、セシリアを出すの忘れてましたw

セシリア空気ですまない



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連休 チュートリアル 1

 

 

姉さんの雰囲気の代わり様に驚いて固まる薫君と箒から鈴に目を向けると僅かに頷き

 

「ほら、八月一日 中に入るわよ。あんた 今日が初めてでしょう? チュートリアルをしないと」

 

と鈴が薫君の背中を軽く叩いて有無を言わせずに織部模型店の中へ連れて行くのを見送り、未だに固まっている箒の肩を軽く叩いて

 

「箒、大丈夫? 箒? 」

 

「はっっ・・・私は何を・・・あぁ、庵さん、お久しぶりです。箒です覚えていますか? 」

 

なんとか正気に戻った箒が庵さんに挨拶をし

 

「久しぶり箒ちゃん、もちろん覚えているよ」

 

相変わらず爽やかな笑顔を浮かべ庵さんは箒へ言う、それを横目で見ながら相変わらず変に真面目な姉の方を見て少し違和感を覚えたので姉を凝視してみると、左手の薬指に太陽光を反射する金属が嵌っている事に気付いた

 

普段から最低限の化粧しかしないし、アクセサリーも着けない あまり飾りっ気の無い姉が指輪をしているのだ、これは好機だな と思い庵さんの左手をあからさまにガン見して指輪を確認して

 

「庵さん、指輪はいつ渡したの? 」

 

私の質問に怪訝そうな箒を横目にワクワクしながら笑顔で庵さんに尋ねると

 

「一昨日だよ、入籍と式自体は まだ先だから婚約指輪になるのかな? 」

 

「庵、いくら一夏とは言え、素直に答えなくても良いのではないか? 流石に少し、な? 」

 

素直に答えてくれた庵さんに姉が少し恥ずかしそうにしながら言う、その様子を見て幸せな気持ちになり、箒を見ると混乱しているのか庵さんと姉を交互に見てオロオロしていた、なんか可愛い

 

「落ち着いて箒、2人が婚約したのは私も知らなかったけど、2人は交際しているんだよ」

 

少し可哀想になったので箒の手を握り落ち着かせる様に言う

 

「あ、あの千冬さん、が? いや、めでたいことだが・・・ふぅ・・・おめでとうございます庵さん、千冬さん」

 

オロオロと混乱していた箒は深呼吸をしてから2人に祝辞を言う、流石に切り替えが早いなぁ

 

「ありがとう箒ちゃん」

 

「う、うむ、ありがとう箒」

 

爽やかに笑む庵さんと恥ずかしそうにしている姉を見て思う、姉には幸せになって欲しい

 

これまで姉は私の為に苦労をしてきた、私は もうある程度は自立が出来る、だから姉には自分の幸せを第一に考えて欲しいと思っている

 

そして庵さんならば姉を幸せに出来ると信じている、もし姉の相手が庵さんで無ければ私は安心出来ていなかったと思うし、もしかしたら反対していたかも知れない

 

順調に行けば、私は十代の内に叔母さんになるだろう、それは楽しみだ

 

 

「では、お二人の邪魔になるといけないので、我々は そろそろ店内(なか)に入ります、お話はまたいずれ ゆっくりと」

 

「うん、また今度」

 

箒は そう2人に告げて庵さんの返答を聞き私に目配せをして頷く、私は無言で頷き私達は織部模型店へ入り、ガンプラバトルの筐体が有る店の奥へ向かう

 

「良かったの? 庵さんに会うのも6年ぶりだったよね? 」

 

道すがら箒へ尋ねると

 

「構わないさ、千冬さんがあんなに幸せそうなんだ、せっかくの時間を邪魔をしてはバチが当たるだろう? 」

 

と箒は微笑み言う、私は そっか とだけ言い筐体の並ぶガンプラバトル区間へたどり着く

 

「弾、今どんな感じ? 」

 

左右に筐体が並んでいて中央の壁に備え付けられた大型スクリーンを見上げている弾に尋ねる

 

「今、数馬が薫のチュートリアルの相手してる所だ、鈴はNPC相手に新作のテスト中」

 

私達の方を向き弾は答え

 

「薫、本当に今日が初めてか? ムラサメの出来も操縦技術も初心者とは思えないぜ? 」

 

と弾はスクリーンを見上げて呟く、そこには宇宙空間を縦横無尽に飛び回りデブリをスイスイ避けるムラサメと、それに追従するリゼルC型が映っている

 

「リゼルC型か、見た所 外観は弄ってないみたいだ。あーガンプラバトル用? 」

 

「だな、俺らじゃ本職ビルダーには敵わないからな、ガンプラバトル用に調整してるって訳だ。でも関節とか重要な場所は手を入れてる」

 

 

私の言葉に弾は答え、私はなるほど と思う

 

ガンプラバトルをするだけなら、変に改造をするより素組みに近い状態で関節の可動域を調整したり、ゲート処理を丁寧に処理したりした方が良いわけだ

 

 

確かに観賞用と実践用では差が出るしね?

 

 

「それじゃ、箒もガンプラバトルのチュートリアルを始めよう?」

 

スクリーンに映る映像に見入っていた箒へ声を掛けると

 

「え?! いや、私は・・・ガンプラを持ってないぞ? 」

 

私に話しかけられて驚いたのか少し取り乱した箒が そう答える

 

「大丈夫、箒用のガンプラを用意してあるから」

 

私は箒用に用意したソードインパルスの入ったケースを明石のバススロットから展開し、箒へ渡す

 

 

関節強度と剛性、稼働範囲を高めた都合でインパルスの特徴の合体、分離、空中換装は出来ないが、まぁ問題無いだろう、多分

 

箒がいきなりシンみたいな戦い方したら私はビックリする、絶対

 

 

 

 





お待たせ致しました

繁忙期に突入したため、かなり不定期更新になります、気力がもたない


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連休 チュートリアル 2

 

 

ソードインパルスを箒に渡して半ば無理矢理ガンプラバトルの筐体へ箒を押し込み座席に座る箒の斜め後ろに立ち

 

「まず・・・このヘッドホンみたいなヘッドセットを着けて? これしないとバトル出来ないからね」

 

「そうなのか?」

 

箒に私物のスペアで持っていたガンプラバトル用のヘッドセットを渡し箒がヘッドセットを着けたのを確認して座席から端子を引っ張りヘッドセットへ挿して

 

 

「次は、その球体みたいな奴がガンプラをスキャンする装置だから、それにガンプラを入れて? 」

 

「こ、これか? 分かった」

 

私の説明に箒は恐る恐るスキャナーの蓋を開けて中にソードインパルスを置き蓋を閉める

 

「それじゃ最後にカードを そこの挿入口に入れて? そしたらシステムが起動するから」

 

最後に操縦者の操縦時の癖や戦績や色々が記録されるカードを箒に渡し箒がカードを挿入した事を確認して

 

「私は隣の筐体で準備してくるから、少し待ってて? すぐに通信入れるから」

 

「分かった」

 

箒の返事を聞いて隣の筐体へ移動し入り座席に座って自前のヘッドセットを装着して、と一連の準備をして箒へ通信を繋ぐ

 

「お待たせ、緊張しなくて大丈夫だよ、勝ち負けより楽しめるか否かが重要だと思うし」

 

「う、うむ、そうゆうものか?」

 

少し緊張した状態の箒に気を抜いて大丈夫だと言うが、なかなか難しいらしい、と思いつつ

 

「それじゃチュートリアルを始めよう、大丈夫 私がついてるから」

 

「頼んだぞ 一夏」

 

箒の返事を聞きながらチュートリアルミッションを選択し、起動する

 

 

するとステージ選択の画面からコクピットビューに切り替わり見える風景がカタパルトデッキに変わって各種ステータスが各所に表示され、それを見て確認しながら

 

「箒、右を見てみて? MSが見えるでしょ? 」

 

箒に尋ねながら軽く機体の腕を動かして見せる

 

「あぁ、それが お前の機体なんだな? なるほど」

 

少し緊張が解けたのか、箒は落ち着いた声で答える

 

「それじゃチュートリアルを始めよう、まずはオペレーターの指示を聞いて指示通りに動かしてみて? 」

 

空間投影された表示枠のミッションスタートのボタンを押しながら箒に言うと、すぐにNPCのオペレーターが指示を出して来たので、横目で箒をみながら私も機体を動かしてリニアカタパルトに乗り

 

「織斑 一夏、エグザスストライク 出撃()ます」

 

操縦桿を操作してカタパルトで加速して母艦から宇宙空間に吐き出されスピードを調整しながらマーカーによって誘導された進路を進むと、少し遅れて出撃した箒が追い付き隣を飛ぶ

 

「どうかな? 」

 

「思ったよりは難しくないな、まるでISを扱う様な感覚だ」

 

と箒は感心した様な声色で言う、その言葉に私は あながち間違いでは無いなぁ と思うが口にはしないでおく

 

何故ならガンプラバトル用の筐体とシステムを上手く利用したら性別関係なくISに搭乗出来るかも知れないが、束さんが そんな事に気付いていない訳が無いので、何か理由が有るのかも知れない

 

ガンプラバトルの操縦方法は操縦桿やペダルを使用するがヘッドセットを介して関節思考制御を使っているし、空間投影技術を応用してコクピットから見える風景とかを見せてくれている、だからISと似た部分が割とあると感じる箒の感想は正しい

 

 

「それはよかった、それじゃぁ オペレーターの指示に従って? 私も同じチュートリアルを受けてるから、大丈夫だよ? 」

 

「あぁ、とりあえず このマーカーを辿って行けば良いんだな? よし」

 

私の言葉に箒は少し落ち着いた様子でオペレーターの指示に従いチュートリアルをこなしていく

 

私も その後ろについてチュートリアルをこなしてゆき

 

「移動関係は終わりだね、次はNPC相手に戦闘のチュートリアルだよ、頑張ろう」

 

「まだ移動もままならないのだがな、まぁ仕方ないか」

 

箒は私の言葉に少し不安気に答える、確かに箒の気持ちはわかる 私も初めてガンプラバトルのチュートリアルや戦闘した時は少し不安だった

 

でも、不安よりワクワクが勝るのはすぐだったし、箒もそうだと良いな

 

そう思いながら私はレーダーに映る機影の数と位置を確認し

 

「チュートリアルだから そう簡単に箒が落ちる事は無いから安心して? 大丈夫、落ち着いて対処すれば勝てる相手だから」

 

「分かった、信じてるぞ 一夏」

 

箒は そう言ってエクスカリバーを抜刀し二刀の構えでNPCを見据えて私に言う

 

 

一応と言うか、基本装備のビームライフルとシールドが有るけどシールドはともかくビームライフルを使うつもりは無いみたい? いや、有るのに気付いて無いだけなのかも知れないけど

 

それならそれで私がフォローするだけの事だ、エグザスストライクのテストも兼ねてはいるが箒のフォローをする為に一緒にチュートリアルを受けている訳だしね?

 

 

私は そんな事を考えながらNPCのジムを見据える、上手くガンバレルが動くと良いな

 

 

 





大変お待たせしました


次の話は、使用ガンプラの設定とかを入れようと思います



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間話 ガンプラバトル関係

 

 

△ガンプラバトルの設定△

 

本作のガンプラバトルはガンダムビルダーズの様にガンプラを専用のスキャナーで読み取り仮想現実に投影してバトルする方式なので、ガンプラ本体にダメージは入らない安心仕様です

 

ガンプラバトル用の筐体は、中がコクピットになっていて操縦桿が2つ、フットペダルが2つ、右の操縦桿の横にメニュー選択 及び 決定等に必要なボタンが配置されており、座席正面にスキャナーやらステータスカードなどの装置が配置されています

 

 

ガンプラバトルをする為にはガンプラの他に、パイロットの様々なデータが記録されているステータスカードと専用のヘッドセットが必要

 

ヘッドセットは筐体内に画面が無いので空間投影された視界を見る為に必要で、通信などの機能もついている、見え方のイメージはマブラヴのコクピットに近いです、形はヘッドホンみたいな感じ

 

座席の背もたれ側面辺りにコードと端子が有り、それをヘッドセットに接続して使用する

 

一夏ちゃん達は自前の物を持っているが、店にはレンタルもある

 

 

この筐体 及び ヘッドセットはISの技術が使用されていて、ヘッドセットを介してパイロットの脳波を感知し、機体制御に反映させる機能がありパイロットの操縦の癖や好むバトルスタイルをステータスカードに記録していく

 

公にされていないが、開発者は篠ノ之 束である

 

筐体自体は高価だが、ヘッドセットは安価で中高生でも買える価格

 

 

 

常に世界各地の筐体とネットワークで繋がっていて、対戦が出来る

 

 

△ガンプラの設定△

 

 

 

 

 

機体名*エグザスストライク

 

搭乗者*織斑 一夏

 

武装*

 

=固定武装=

 

⚪︎イーゲルシュテルン

 

ストライク本体に元々装備されている機関砲、特に変更されず頭部に2門装備されている

 

 

⚪︎ビームサーベル

 

腰回りに少し手を加えてウィンダムの様に両腰に1本ずつ配置されている

 

⚪︎アグネアストラ

 

ウィンダムのスティレットを参考に制作された細身の投擲短剣、性能はスティレットと同様で両腰のアーマー内に3本ずつ格納されている

 

 

⚪︎対ビームシールド

 

ストライクの持っているシールドをベースにパイルバンカー機能が追加されていて、主に左腕に装備される

 

 

⚪︎ビームライフルV型

 

通常のビームを発射する銃口の下にグレネードを発射する為の銃口があるビームライフル

 

 

⚪︎ビームライフルショーティー改

 

GNビームピストルII の様にハンドアックスとして使える様に改造したモノ、威力と射程は通常のビームライフルに劣るが連射性能と取り回しに秀でている

 

 

ストライクノワール同様、両腰に装備されている

 

 

=換装武装=

 

#エグザスストライカー

 

⚪︎アンタレス

 

エグザスストライカーに4つ装備されたガンバレル、ビームライフルとビームブレード、ビームシールド発信器が装載されている便利な代物

 

ガンプラバトルがゲームなので、ある程度は緩和されているとはいえ、高い空間認識能力が必要な武装

 

⚪︎リニアレールガン

 

ストライクフリーダムのレールガンをベースに制作された物が2門

 

オオトリ装備の様に可動アームでエグザスストライカーに懸架されていて使用時にはストライクフリーダムの様に折り畳まれた砲身が両腰の横に展開して砲撃を行う

 

⚪︎コンテナガンバレル

 

マイクロミサイルが詰め込まれたミサイルコンテナ型のガンバレル、撃ち切ったらパージ出来る

 

 

⚪︎ゲイボルグ

 

レーゲンデュエルのバズーカストライカーをベースにエグザスストライカー上部に装着されていて使用時は可動アームが展開され担ぐ様な感じで使用する、機体の中央にゲイボルグが位置する為、左右の腕のどちらでも射撃可能、撃ち切ったらパージ出来る

 

 

 

 

 

 

備考*

 

一夏がガンプラバトルをする為に作り上げたガンプラ

 

エグザスをストライカー化した物がベースになっているが、エグザスストライカーに覆われて見えないがGNドライブが搭載されているのでエネルギー不足の問題は心配いらなくなっている

 

 

またビーム兵器が主体の構成だが鉄血MS対策でレールガンとゲイボルグを装備してあるが、どれぐらい役に立つかは未知数

 

 

もちろんトランザムができる

 

 

 

 

 

機体名*ムラサメ

 

搭乗者*八月一日 薫

 

 

武装*

 

⚪︎自動防御火器

 

頭部に2門、左右主翼基部に2門づつ合計6門装備されている機関砲

 

⚪︎イナヅマ

 

背部スタビライザーに装備されたビーム砲、MA形態時のみ使用可能

 

⚪︎空対空ミサイル ハヤテ

 

フロントアーマーに合計4発装填されているマルチミサイル

 

 

⚪︎ビームライフル イカヅチ

 

ムラサメ専用の中距離戦用ビームライフル、MS形態時の主武装でMS形態時にはマウントラックに懸架され、ある程度は動いて射角を取ることが出来る

 

 

⚪︎ビームサーベル

 

左腰部に1本装備されている

 

⚪︎シールド

 

対ビームコーティング処理の施されているシールド、MA形態時には機首としての役割を持つ

 

⚪︎スーパーパック

 

メサイヤバルキリーのスーパーパックを加工して製作されている

 

備考*

 

 

一夏の製作指導のもと製作された薫のガンプラ

 

エグザスストライクと違い、大規模な改造はされていないが可動域や関節強度などは手を加えている

 

 

 

 

 

 

機体名*リゼルC型

 

搭乗者*御手洗 数馬

 

武装*

 

⚪︎バルカン砲

 

頭部に2門装備されている機関砲

 

⚪︎グレネードランチャー

 

量腕に2門づつ装備されている

 

⚪︎ビームライフル

 

リゼル系統の標準装備のビームライフル、通常モードと高出力モードに切り替えて使う事ができ、ビームサーベルの様に使う事も出来る優れ物

 

⚪︎メガビームランチャー

 

可動アームで背部に装着されている高出力ビーム砲

 

⚪︎シールド

 

三点バースト式ビームキャノンを搭載した対ビームコーティング処理のされたシールド

 

備考*

 

一夏の親友 兼 悪友の数馬の使用機体、特にこだわりがないので改造はされておらず、墨入れとゲート処理等を丁寧にしている

 

 

 

 

 

 

機体名*ナタク

 

搭乗者*凰 鈴音

 

武装*

 

⚪︎ドラゴンハング

 

言わずと知れたアルトロンの両武器腕、バルバトスルプスレクスのテイルブレードとローゼンズールのインコムを掛け合わせた様な仕様に改造されていて、良く伸びる、火炎放射器機の威力も強化されているので大抵は大丈夫

 

⚪︎2連装ビームキャノン

 

背部に多関節可動アームで装着されている2連装のビームキャノン

 

⚪︎アルトロンシールド

 

左肩に懸架された対ビームコーティング処理されたシールド

 

 

 

 

備考*

 

鈴がガンプラバトルをする為に製作した自信作

 

一夏に負けず劣らず凝るタイプなのだが、時間が足りなかったので腕のみ改造してある

 

 

 

 

 

 

機体名*ヘビーアームズ・カスタムII

 

搭乗者*五反田 弾

 

 

武装*

 

⚪︎イーゲル装備×2

 

敗者たちの栄光に出てくる火力てんこ盛りの装備、それを2倍載せている

 

 

⚪︎2連装ビームガトリング×2

 

シールド付きのビームガトリング

 

⚪︎胸部ガトリング

 

胸部に2門装備されているガトリング砲

 

⚪︎マシンキャノン

 

頭部に2門装備されている機関砲

 

 

⚪︎ビームソード

 

エピオンのビームソードを流用して装備した武装、専用の小型エネルギーパックと一緒に右手に装備されている

 

全ての弾薬を使い切った後の使用が前提なので滅多に出番は無い、かも

 

 

備考*

 

 

もはや歩く火薬庫になった弾の使用機体、反動やら重量で機動力が下がっているが、近寄られる前に殲滅すれば良かろう精神の機体

 

使い切った火器を捨てて行くスタイルなので、徐々に機体は軽くなって近接戦が出来る程度にはなる

 

 

 

 

 

 

機体名*ソードインパルス

 

搭乗者*篠ノ之 箒

 

武装*

 

⚪︎CIWS機関砲

 

インパルスに標準装備されている機関砲

 

⚪︎対装甲ナイフ

 

両腰部装甲内に格納されているナイフ

 

⚪︎ビームライフル

 

インパルス標準装備のビームライフル

 

⚪︎機動防楯

 

インパルス標準装備の伸縮機能が付いた対ビームコーティングされたシールド

 

⚪︎エクスカリバー

 

ソードインパルスの代表的な武装、二本の大剣を連結して使える機能がある

 

⚪︎フラッシュエッジ

 

二本装備されたビームブーメラン、此方も連結する機能があり、巨大なブーメランを質量兵器として使用できる

 

 

備考*

 

一夏ちゃんが箒の為に製作した自信作、強度や性能を引き出す関係で換装が出来なくなっている

 

 

 

△登場人物追加 簡易ぷろふ△

 

 

名前*織部(おりべ)(しずか)

 

年齢*21歳

 

性別*女

 

身長*161㎝

 

容姿*眼鏡を掛けた黒髪ロングで姫カットの美少女(?)

 

容姿のモデルは蒼き鋼のアルペジオの八月一日 静

 

 

備考*

 

庵さんの実妹で、喫茶エリアを取り取り仕切っている人、性格は穏やかで歳下でも基本敬語

 

見た目インドアだが趣味はサバゲーでアウトドア派

 

 

 

 

名前*沖田(おきた)(ひびき)

 

年齢*15歳(高1)

 

性別*男

 

身長*165㎝

 

容姿*ちょっと女顔の茶髪の少年

 

備考*

 

IS学園へ進学する為に退職した一夏の代わりに織部模型店でバイトをしている男子高校生

 

一人称は僕、正義感が少し強くお人好しな所があり、春休み中にトラブルに巻き込まれていたクロエを助けたのがきっかけでクロエに好意を持たれている

 

 

暇な時に庵さんから剣術を伝授されていたりする

 

 

 

 





大変、お待たせいたしました

追記と加筆修正をしました

箒すまない、忘れていたw


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連休 チュートリアル 3


前話 ガンプラ関係に追記・加筆修正をしました




 

 

箒の操るソードインパルスの位置を横目で確認しながらシールドでコクピットを庇いつつビームライフルを構えてNPCジム4機と距離を詰める

 

「箒、ソードインパルスは近接戦向きだから敵機と距離を詰めないといけない、私が敵機の陽動するから隙を突いて? 」

 

「・・・従おう、落ちるなよ一夏」

 

私の指示に渋々といった様子で返事をして、そう言ってくるので

 

「大丈夫だよ、NPC相手だしね」

 

箒を安心させる様に言い、エグザスストライクのスラスターを全開にして加速する

 

「さて・・・推し量らせて貰うよ、エグザスストライクのチカラを」

 

ある程度NPCジムと距離を詰めた所でガンバレル(アンタレス)を展開し攻撃を始めると、4機は散開してアンタレスへ反撃をして来たので直ぐに動かす

 

 

「・・・なるほど、このままプレイヤーと戦うのは骨が折れそう」

 

アンタレス4機+エグザスストライク本体を同時に操作する難しさを感じながらNPCジム4機を睨む様に見据え、ムゥさんとかキラの凄さを改めて実感しながらデブリ帯を進むソードインパルスの位置を意識してアンタレス4機と機体制御をしてNPCジムに箒の奇襲を悟らせない様に努める

 

「そろそろ良いかな?箒」

 

「無論、大丈夫だ。推して参る」

 

私の言葉に箒は答えて推力全開でデブリ帯を出て1番近くに居たNPCジムをエクスカリバーで3分割に斬る

 

この短時間でソードインパルスに慣れ始めている箒に感心しながら残りのNPCジム3機が箒を囲まない様にアンタレスで牽制しながら

 

「よし、このまま合わせるから箒は好きに動いて大丈夫だよ」

 

と箒へ伝える

 

「了解した、信じてるぞ一夏」

 

私の言葉に頷き箒は動き出したので私は箒が戦いやすい様にサポートを始め

 

 

「少し慣れてきた、っと・・・させないよ」

 

独り言を呟きつつ箒のソードインパルスに気付いたNPCジムがビームライフルを撃とうとしていたのでアンタレスでNPCジム3機のビームライフルを撃ち抜き行動を阻止する、すると箒が回転する様にNPCジム2機を両断して撃破して最後の1機を見据えエクスカリバーを構える

 

その姿を見たNPCジムは近接戦ではソードインパルスに勝ち目が無いと判断したのか私の方へ推力全開へ接近してきた

 

「なるほど、確かに近接戦に限ればソードインパルスよりエグザスストライクの方が下かも知れない・・・けど」

 

NPCジムがビームサーベルを構え突っ込んでくる所をアンタレスで四肢を撃ち抜き無力化して、何となくミドルキックでNPCジムを蹴飛ばして最後にビームライフルで止めを刺す

 

 

 

「・・・一夏、少し足癖が悪いんじゃないか?」

 

箒が見ていた様で少し注意されてしまったので

 

「え〜? そうかな? 私より足癖悪い人はいっぱいいるよ? 鈴とか」

 

エグザスストライクを操作しアンタレスを回収してソードインパルスに近付きながら箒へ反論すると

 

 

「む、他人がやっていたら、やっていいなんて事はないのだぞ一夏」

 

どうも火に油を注いでしまった様で根が真面目過ぎる箒が お説教を始める、こうなっては私が何を言おうと私が反省しるまで箒は 正しさを説く

 

まぁ確かに私が悪いかも知れないから素直に聞いて反省しておこう、少なくとも箒に見られている時はやらない様にしないと

 

 

そんな訳でNPCジムを全機撃破したのでチュートリアルミッションが終了し、ミッションクリアと表示される

 

「ひとまずチュートリアルお疲れ様、どうかな? 」

 

と箒に初めてのガンプラバトルの感想を尋ねてみる

 

「うむ・・・悪くない、な」

 

先程まで緊張していた箒だったが、どうやらガンプラバトルを気に入ってくれた様だ

 

「そっか、良かった。さて一旦筐体から出よう? 」

 

「わかった」

 

私の言葉に箒は頷く、それを確認してからヘッドセットから端子を外してエグザスストライクとステータスカードを持って筐体を出ると

 

「おー、お疲れさん。新作の具合はどうよ」

 

いつもの軽い調子でエグザスストライクの具合を聞かれたので

 

 

「機体の具合は実戦レベルかな? でも操作に慣れるのにもう少し必要かも」

 

 

と素直に弾に感想を言う、親友だし特別隠す必要も無いと思うしね

 

 

「ふーん、そっか。あーそうそう鈴の奴は新作に少し手を入れてくるって言って作業場に行ったからな? あと薫と数馬は休憩するって喫茶の方に行ってる」

 

私の言葉に適当な相槌を打ち、この場に居ない3人の行方を教えてくれる

 

 

ん〜弾って話やすいし気配りも気遣いも出来るし見た目も悪くないんだけど、なんでモテないんだろう?

 

アレかなぁ良い人止まりで友愛で終わっちゃうタイプなのかなぁ?

 

弾、大丈夫だよ、きっと遠くない未来、彼女が出来るから、きっと、多分

 

とか少し弾に失礼な事をひとしきり考えから

 

「なら私達も少し休憩しようか、ガンプラバトルって結構疲れるからね」

 

「だな、あ、篠ノ之さん、ここのコーヒーは旨いって有名なんだぜ? 」

 

「そうなのか? それは楽しみだ」

 

私の提案に弾が乗ってきて箒に話を振り、それに箒が答えたのを確認して私達3人は喫茶の方へ移動を始める

 

そういえば(しずか)さんのコーヒー飲むの久しぶりだな、少し楽しみだなぁ

 

 





お待たせしました

久しぶりすぎて思った様に筆が進みませんでしたw



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連休 小休憩

 

 

数分も掛からずに喫茶エリアへ辿り着き薫君の姿を見つけたが、一緒にいる筈の数馬の姿が見えなかったので

 

「薫君、数馬は? 」

 

薫君に尋ねてみる

 

「あ、お疲れ様一夏さん、数馬なら誰かからメッセージが来たみたいで作業場に行ったよ? 」

 

コーヒーを飲んでいた薫君は私の質問に答え、少し不思議そうにしていたが、私はその疑問を解決出来る答えを持っていないので見なかった事にした

 

「いらっしゃいませ一夏ちゃん、いつものブレンドでいいですか? 」

 

奥の厨房から眼鏡を掛けた黒髪ロングの美少女、静さんが出てきて温和な笑みを浮かべ尋ねて来たので

 

 

「うん、ありがとう静さん」

 

私は頷きお礼を言い薫君の隣に座ると

 

「なら弾君もですね? 貴女は・・・箒ちゃんですか? お久しぶりですね」

 

と静さんはニコニコしながら弾へ尋ねブレンドを入れ始め、箒に気付き そう言う

 

「お久しぶりです静さん、約6年ぶりですね」

 

と箒も微笑み静さんへ言う

 

静さんは庵さんの実妹で少し童顔だから美少女に見えるが、ちゃんと成人していて確か今年で21・・・いや22歳になる筈

 

庵さんの実妹と言う事もあり篠ノ之道場の門下生だった時期があるので箒とも面識がある

 

「もうそんなに経ったのですね、通りで綺麗になったと思いました」

 

「い、いえ、私など」

 

静さんはニコニコして美少女になった箒を褒めると箒は照れたのか少し赤くなってアワアワする、それを見て少し可愛いなぁと思いつつ2人のやり取りから目を離し薫君を見て

 

「初めてのガンプラバトルはどうだった?」

 

 

箒にも尋ねた事を薫君にも聞いてみる

 

「そうだなぁ・・・楽しかった、凄く楽しかったよ」

 

と薫君は笑みを浮かべて言う、その様子を見て私は胸が温かくなる様な感覚を感じ満たされる

 

「そっか、楽しんで貰えたなら私も嬉しい」

 

私は笑みを浮かべて彼へ言い

 

「もう少し休憩したら次は対戦をしようと思ってるんだ、3対3か2人組を3つのチームにするか、バトルロワイアルにするかは決まって無いけど」

 

と、言ってもバトルロワイアルにはならないと思う、なぜなら今日が初めての2人がいるからチーム戦になるだろう

 

そうなると、相方が誰になるかで機体相性で連携が難しくなるかも知れない

 

 

私のエグザスストライクは中距離戦をメインに据えて遠距離と近距離に対応出来る様にしている、だから組むなら同じ中距離戦仕様機より、近距離戦機か遠距離戦機が良いので、箒のソードインパルスだろうか?

 

 

「わかった、楽しみだ」

 

私が機体相性の事を考えいると、薫君は本当に楽しみにしている表情で言う

 

 

その表情は何か新鮮で何故かドキドキして胸が熱くなる、薫君に出会ってからこんな気持ちを感じる様になったのだけど、これがなんなのかを私は知らない

 

 

そして最近よく、彼の近くに居たい と思っている、彼を支えてあげたいと考えている

 

私は、最近 変だ

 

「そういえば、入り口で織斑先生と一緒にいた人と一夏さんは知り合いみたいだったけど・・・」

 

少し考えこんでしまった私に薫君が尋ねてくる

 

「え?あ、あぁ・・・庵さんの事? えっと庵さんは、私と姉さんが6年ぐらい前まで通っていた剣道場の門下生の1人だったんだ。その剣道場は箒のお父さんがやってたんだよ? 」

 

静さんからブレンドコーヒーを受け取り一口飲んで薫君に説明をする

 

「へぇ、だから仲が良さそうなんだね」

 

なるほど、といった表情で薫君が頷くのを見て

 

「まぁね、昔から色々とお世話になってて・・・私にとっては兄の様な存在かな? まぁ順調に行けば姉さんと庵さん結婚するから義兄になるんだけど」

 

「え!? 」

 

「あら、お兄ちゃんは 漸く千冬さんにプロポーズしたんですね? これはめでたいです」

 

私の言葉に薫君は驚愕の表情を、静さんはニコニコと笑みを浮かべ2人を祝福している様だ

 

「そんなに驚く事かな?」

 

「あ、いや、織斑先生って仕事人間なイメージがあったから、ちょっと意外だったんだ」

 

私が薫君へ そう尋ねると彼は理由を答える

 

「あー確かにそうゆう質ではあるけど、姉さんは公私をキッチリ分けるタイプなんだ、見たでしょ?アレが完全にオフの姉さん」

 

薫君の言葉に納得して、姉さんがONとOFFで雰囲気が変わる事を彼に説明すると

 

「学園ではどうか知りませんが、試合の時の雰囲気と此処で寛いでいる時の雰囲気は全く違いますね。まぁ1番は お兄ちゃんといる時が肩の力を抜いている様に見えます」

 

静さんは眼鏡を外して眼鏡拭きでレンズを拭きながら私の説明に補足をすると、薫君は そうなのか という表情をする

 

「あ、今更だけど静さんは、庵さんの妹さんだよ? 」

 

と今更な紹介をすると

 

「改めて、織部 静です。よろしくお願いしますね」

 

私の言葉を聞いて静さんが自己紹介をする

 

「えっと、八月一日 薫です。よろしくお願いします」

 

静さんの自己紹介を聞いて薫君も自己紹介をすると静さんは眼鏡を装着して笑み

 

「八月一日君、一夏ちゃんをよろしくお願いしますね? 一夏ちゃんは少し抱え込むタイプなので」

 

「分かりました、任せてください」

 

割って入る間もなく静さんの言葉に即答で了承する薫君の真面目な表情を見て、嬉しいと感じるのと同時に鼓動が早くなって顔が赤くなって行くのを感じる

 

私の心臓は持つのかな?

 

 





お待たせしました



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連休 初戦

 

 

 

それから少しゆっくり静さんと箒を含めて雑談を楽しみ、コーヒーを飲み切ったので

 

「そろそろ実戦をしてみよう?」

 

私は三人を見て言うと

 

「だな、実戦を経験するのが1番だしな」

 

弾はニッと笑み薫君を見て言う

 

「そうだね、楽しみだな」

 

薫君も笑み返し席を立ち言う

 

「私は、もう暫く静さんと話てから合流するよ」

 

と箒が言うので、それも良いかと思い頷き

 

「わかった、先に行ってるね?」

 

「あぁ」

 

席を立ち箒に そう言い再び私達はガンプラバトルの筐体へ移動し

 

 

「やっぱり鈴と数馬はいねーか、3人・・・奇数か、3人で組んでNPC相手に要塞攻略でもするか? 」

 

と弾が腕を組み思案しながら提案してきた

 

「私は構わないけど、今日初めての薫君には少しキツイんじゃない?」

 

私と弾は、何度か挑戦しているミッションだから有る程度慣れている、だから要塞攻略の難易度が高い事を知っている

 

これが母艦の防衛戦とか敵母艦への強襲の方が、まだ難易度は低いと思う

 

「あーそうだな、なら・・・あ、ガーティ・ルー追撃戦は? 」

 

「その辺りが丁度良いかもね? 薫君、良いかな?」

 

弾とのすり合わせを終え、薫君に尋ねると

 

「構わないよ、俺にはよく分からないし」

 

と薫君は苦笑していう、それもそうか、多分 薫君はガンダム SEED destinyを見た事が無いのだろう、分からないのが当たり前だ

 

「じゃぁ、弾が小隊長ね? 薫君は遊撃、好きに動いて構わないよ、私がフォローするから」

 

私の言葉に2人は頷き筐体に入り準備をする

 

弾を小隊長に3人でチームを組んで、弾の選んだミッションに参加するを選択し準備を終える

 

「これよりボギー1への強襲を行う、デブリの中での視界の悪い戦闘になる、各機の健闘を祈る」

 

ガンプラバトルというゲームと言う都合で設定だとミネルバと共にガーティ・ルーを追撃している僚艦、と言う設定なのでミッション開始前の訓示をしているのはグラディス艦長では無くモブ艦長だったりする

 

そんなモブ艦長の訓示を聞きながら

 

「毎回思うんだけど、発艦はミネルバじゃダメだったのかな?」

 

「さぁな? 俺に言われても分かんねー」

 

私の言葉を聞き弾が肩を竦めて返答しオペレーターが指示を出してきたので母艦から発艦し作戦区域へ移動する

 

「あーやっぱゲタ用意しねーとダメだな、足が遅いわ」

 

移動中なので巡航速度を維持しているのだが、弾の操るヘビーアームズとの距離が徐々に広がって行き弾が呟く

 

ちなみにゲタとはサブフライトシステムの事で、ドダイとかベースジャバーの事

 

「弾のヘビーアームズは弾薬詰み過ぎなんだよ、下手に当たると爆発四散するじゃん」

 

「バッカ、これはロマンなんだよ、なんで分かんねーかな?」

 

いつもの調子で弾に軽口を言うと弾も本気で言っていないのが分かっているので、少しオーバーなリアクションを取り、薫君は軽く笑う

 

「そろそろデブリ帯に入る、薫と一夏は好きに動いてくれ。指示は都度出すから」

 

「りょーかい」

 

「了解」

 

弾の指示に返事をして、薫君はムラサメをMAモードにしてデブリの間を滑る様に飛んで行くのを見つつ私も加速し、デブリの中を進む

 

 

「やっぱり死角が多いなぁ」

 

レーダーを確認しながらデブリの中を進み索敵をしていると、少し遠くで爆発の閃光が見え、レーダーに敵機と弾・薫君が表示されているのを確認する

 

 

「位置からしてカオス、アビス、ガイアの3人かな? となると・・・」

 

私は更に加速して薫君の動きを予想して移動を開始しする

 

「やっぱり宇宙ステーションの所で奇襲かな」

 

奇襲した後に弾がいる方へ誘いこんで面制圧してもらうのも良いかも知れない

 

 

そんな事を考えながら宇宙ステーションの中に入り息を潜めて出るタイミングを図る

 

「一夏、薫がもう時期3兄妹をそっちに誘導する、ミサイルをフルバーストして隙を作る、それを合図に薫と連携して3兄妹を落としてくれ」

 

「了解、任せて」

 

弾の指示を聞いて返事をして

 

「薫君、もう少し頑張って」

 

「分かったよ一夏さん、信じてる」

 

私の言葉に薫君が返事をする、その言葉を聞いて私のヤル気に火がつき胸が熱くなる

 

逸る気持ちを堪えて弾の合図を待つ

 

「一夏!」

 

弾の声を聞き隠れていた場所から飛び出して弾の放ったミサイルの群れを避けている3兄妹を見据え

 

 

「お待たせ薫君」

 

「行こう一夏さん」

 

ヒット&アウェイで3兄妹を翻弄していた薫君が返事をしてくれたので私は頷き、アンタレスを展開し、3兄妹に容赦無い全武装のフルバーストを浴びせアビスを落とす

 

「残り2機」

 

 

デブリに紛れてカオスを見失ってしまったのでガイアを見据え次の手を考えると、ビービーとアラートが鳴り乱入のテロップが表示される

 

「このタイミングで乱入? 無粋だなぁ」

 

やれやれ と思いながら呟き乱入者の名前を確認する

 

「えーっと・・・M、O、S? イニシャルかな?」

 

名前を見たが見覚えが無い、だが過去に対戦経験が有る人が名前を変えている可能性もあるので一旦身を隠す事にして移動して向こうの出方を伺う事にする

 

 

さてどんな輩なんだろう?

 

 





お待たせしました



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連休 乱入

 

 

デブリに身を隠して様子を伺っていると

 

「一夏、乱入者が散開した、Mが薫の方に、Oがお前の方に移動してる。やっこさん こっちの配置を完全に把握してる様だ、やり手みたいだな」

 

弾の言葉を聞き、私も同意見と感じる

 

筐体の外から音がしなかったから別店舗からのネット対戦、乱入した直後に見えた僅かな戦闘の残光で私達の位置を特定し、行動を予想している

 

 

「少し薫君には厳しい相手かも」

 

向こうは、かなりガンプラバトルをやり込んでいる、という前提で考えるならガンプラバトルに慣れていない薫君はMに落とされてしまう可能性が高い

 

 

とはいえ、これも経験として負けるのも一興かも知れない

 

とか考えると、右斜め前に浮かんでいたデブリが爆発四散し

 

「いんのは分かってんだ、出てこいよ」

 

と、丁寧に私が潜んでいる場所の周辺のデブリを撃って挑発してくる、なんか聞いた覚えの有る声の様な気もするが、私の友達にヤンキーみたいな喋り方をする女性は居ないので友達では無い

 

とりあえず出方を考える、このOって人は堪え性が無いタイプだろうから もうそろそろ私が隠れて居る場所に砲撃をしてくる可能性が高い、その前に動かないと不利な状況になってしまう

 

まぁ隙を作れば良いか、と思いコンテナガンバレルを射出してOへ全弾発射する

 

 

「ちっ、ミサイルがありやがったか」

 

Oがミサイルを処理して居る間にデブリから出てコンテナガンバレルをパージしOの機体を確認する

 

彼女の機体はガンダム OOのアグリッサをベースにしている様だ、そこそこ大きい機体なのだが、器用に扱いミサイルを処理していく

 

そんな好機を逃すのは勿体ないのでビームライフルで狙い撃ちしてプレッシャーをかける

 

「小賢しい真似すんじゃねーよ」

 

深い紅色をした機体と相まってOの声は まるで悪鬼を連想する

 

彼女はディフェンスロッドで私の放ったビームを弾き、お返しとばかりにリニアガンを単射で撃ってくる

 

私は余裕を持って回避をしてデブリを利用しながらOの様子を伺う

 

 

巨躯のアグリッサを軽々と扱うOは口は悪いが腕は悪くない、だが巨躯故に中途半端なデカさのデブリの漂う この宙域は私の方が少し有利だ

 

まぁプラズマキャノンとかでデブリを薙ぎ払われたら、その限りでは無いけど

 

「ちっ・・・ちょこまかと、めんどくせぇ・・・だからアタシは嫌だったんだ、Mの野郎・・・」

 

どうやらOは好きで私の相手をしていないらしく、愚痴が溢れている

 

とりあえず隙を見てビームライフルで撃ったり、アンタレスで多方向から撃ってみたりして見るが、巨躯に似合わない挙動で私の攻撃を避けて行く

 

「おかしいな、アンタレスは小さいからOには見えづらい筈なんだけど」

 

ひょいひょい とデブリの間を擦り抜けながら私の攻撃が当たらない事に疑問を抱く、確かにシステム補正である程度は避けたり防いだりは出来る、だが多方向から同時に別々の部位に攻撃をされたら大抵は手が回らずに1箇所ぐらい当たる

 

それなのにOには私の攻撃が当たっていない、考えられるのは違法ツール(チート)を使っているか、全手動制御(フルマニュアル)で操作しているか、尋常じゃ無い程に勘が鋭いか、綿密に私の行動パターンを研究されたか、だ

 

まぁ多分チートの使用は無理だろうから、フルマニュアルか研究されたか、かな?

 

研究したなら、相当に時間を掛けて情報収集したんだんだろうな。扱いやすいからオオトリストライクを使ってたし、バランスが良いのを選ぶ傾向に私は有ると思う

 

研究されていたら厄介だな、物凄く面倒な事になった。このままじゃ泥沼の消耗戦だ

 

仮にフルマニュアルだったら、そろそろ息切れしてきて集中力が切れて被弾してくれると思うんだけど

 

とか考えているとOがデブリにアグリッサを擦ったのが見え

 

「あぁクソ、本当に面倒臭ぇ! デブリごと焼き払ってやる」

 

切れたのは集中力では無く忍耐力だった様で大火力のプラズマキャノンを放ちデブリを焼き払って行く、もうめちゃくちゃだ

 

でも、そのおかげで隙が出来たので加速しアンタレス4機を全部射出し大きいと近距離まで接近してビームライフルを放ち、Oの眼をそちらへ向けておいてアンタレスのビームブレードでアグリッサをバラバラに斬り刻む

 

「クソったれ、何が勝機はあるだ。やっぱ強ぇじゃねーか」

 

刻まれたアグリッサが数拍遅れてOの呟きと共に爆発四散する

 

「ふぅ・・・何とか落とせた」

 

正直、デブリも無い宙域だったらOに勝てなかったかも知れない、アグリッサは開けた場所の方が能力を発揮出来るだろうから

 

「ともあれ、薫君と合流しないと・・・」

 

歩く火薬庫の弾の心配を一切せずに、レーダーを見て薫君の位置を確認して

 

 

「薫君、こっちは終わったから合流するね? 」

 

「一夏さん、コイツやばいっっ、くっ・・・なんで先回り出来るんだ」

 

私の言葉に薫君は答える余裕が無い様で独り言を言っている、それを聞いて とてもヤバイ状況にある事を理解し、薫君の援護へ向かう

 

「待ってて薫君、すぐに行くから」

 

嫌な予感を抱えて少し不安になりながら私は呟いた

 

 





お待たせしました


1話で終わらせる予定だったんですがねw

まぁとりあえず次もガンプラバトルです



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連休 乱入 2

 

 

 

デブリ帯を抜け、遮蔽物の少ない宙域へ出て直ぐに戦闘の光りが見える

 

「お待たせ薫君、もうちょっとで援護出来る距離に入るから、私のいる方向に来て? 」

 

「ありがとう一夏さん、気をつけて、コイツはヤバイ」

 

私の言葉に薫君は返答し、私のいる方向へ退避を始めると

 

「やはり来たか、オータムでは時間稼ぎにもならんかったか。スコール、手出しするなよ・・・コイツは私の獲物だ」

 

「はいはい、分かってるわ。好きになさい」

 

と言うアチラの会話が聞こえて来て、本来なら有り得ないがMの機体から殺意の様な気配を感じる

 

「・・・どうであれ、戦うしかない」

 

有効射程距離に入った瞬間に、アンタレス全機を射出しビームライフルで牽制するが、Mは気にした様子も無く薫君のムラサメを追う

 

回避行動も取らないMを疑問に思い多方向射撃で足を鈍らせる事に決めて撃ち続けながら、Mの機体を良く観察する

 

「色は黒いけど、レギンレイズジュリアの最終決戦仕様をベースにしてるのかな? 足回りとスラスター回りをだいぶ弄ってあるな、コレ」

 

視界外からの多方向射撃を必要最低限の動きだけでヒョイヒョイ避けるMに感心しながら彼女の機体の推測を立てる、見た感じでは外付けの追加武装は無い様に見えるが、シールドに何か仕込んでいる可能性もあるので薫君と連携を取って行こう

 

「薫君、ミサイルの残弾は有る?」

 

「残り3分の1ぐらいなら」

 

Mの非常識な程の機体制御能力に驚きつつ薫君に尋ねると、そう答えたので

 

 

「私の合図でフルバースト、良いかな?」

 

「了解」

 

私の言葉に薫君は返答をしてくれたのでMの動きを見定め

 

「薫君、いま」

 

「当れ!!」

 

マクロス宜しくな機動で急制動をかけてMの背後を取った瞬間に残りのミサイルをフルバーストする

 

そう確かに薫君はMの背後を取った筈だった、だがミサイルは目標を見失い明後日の方向へ飛んでゆき

 

「今のは悪くなかったが、まだまだだ」

 

Mの冷たい声が聞こえた瞬間、薫君のムラサメはMの手によって真っ二つにされ爆散する

 

それを唖然と見ている私の方へMは機体を向け

 

「次はお前だ、織斑 一夏。今日と言う日を私は待ちわびわていたんだ」

 

此方へブレードを向けてMは言う、その様子にただならぬ気配を感じ薫君を落とされて熱くなりかけた頭を深呼吸して冷ましてMを見据える

 

「いくぞ織斑 一夏? 今から私がお前を落とす、そして・・・あの人に認めてもらう」

 

とMが言った瞬間、レギンレイズのアイカメラが赤く光りを纏い火が灯った様に揺らめく、そして物凄い速さで距離を詰めてくる

 

「速い」

 

私はエグザスストライクを動かしビームライフルでレギンレイズを牽制しながらアンタレスで多方向から射撃をするが人がギリギリで躱す様に私の攻撃を避け続ける

 

その姿はさながら阿頼耶識の様で、少し戸惑ってしまい遂に距離を詰められ切り結ぶ距離になってしまったのでビームライフルを捨てビームサーベルを抜きMと切り結ぶ

 

「この程度か? ならば残念だ」

 

その言葉に嫌な予感がしてレギンレイズから離れシールドを前に出すとレギンレイズのスラスターユニットの機関砲から撃ち出された銃弾がシールドに当たる

 

「ほぉ、先程のムラサメよりは歯応えが有るみたいだな? 」

 

「それはどーも」

 

シールドでレギンレイズの銃弾を弾きつつリニアレールガンとアンタレスで反撃をするが、読まれているのか全て紙一重で躱されてしまう、その事に少し焦り始めていると

 

「やれやれ、最初からお前の相手を私がしておけば良かった。先程のムラサメでは準備運動にもならなかったしな? お前もあんなお荷物を抱えて大変だな、織斑 一夏?」

 

そう薫君を小馬鹿にした口調で言うMの声を聴き、私の中の焦りは消えて一気に頭へ血が昇り

 

「お前、今なんて言った? 」

 

怒鳴るのを我慢し怒りで震える声でMへ尋ねると

 

「何度でも言ってやる、あんなお荷物を抱えて大変だな、織斑 一夏」

 

私の声に怒りが孕んでいるのが分かっているMは更に小馬鹿にしたトーンで言う、その声を聞き私の我慢は限界を超え

 

「お前は許さない! 絶対にだ!」

 

「やってみろ、お前に私が落とせるのか?」

 

私は操作を関節思考制御からフルマニュアルへ切り替えてレギンレイズへ吶喊し、切り結び鍔迫り合いをする

 

隙を突いてリニアレールガンでレギンレイズを撃つが掠る程度になってしまったので、そのまま離れてアンタレスでレギンレイズへ牽制をしてゲイボルグを構える

 

「なんだ、やれば出来るじゃないか織斑 一夏。こうでなくてはな」

 

アンタレスの多方向射撃を躱しきれなくなったのか、シールドで受け始めたMが少し楽しそうな調子で言う

 

「そうかよ、ならもっと行くぞ」

 

アンタレスでレギンレイズを囲い追い立て、ゲイボルグを撃ち躱されればリニアレールガンを撃ち、絶え間なく動き続ける

 

そうでなければMには勝てないし、一瞬の隙を突かれて負けてしまう

 

そんな状態、脳をフル活用し続けるとどうなるか、いずれ限界がきて負荷に耐えられずに鼻血が出て頭痛と発熱が起こる

 

しかし、それを無視して鼻血を垂れ流しながらMを追い立ててアンタレス3機を破損、ゲイボルグ、リニアレールガンの残弾の全てを犠牲にレギンレイズをアンタレスのワイヤーを絡ませて身動きを封じマウントを取って

 

「これで私の勝ちだ」

 

「・・・届かなかったか、やれよ」

 

エグザスストライクのシールドに付属されたパイルバンカーでレギンレイズのコクピットを念入りに潰してMを撃破する

 

「・・・あー・・・やり過ぎた・・・」

 

脱力して呟き、袖で鼻血を拭いながら少し反省する、いくら薫君を馬鹿にされたからと言ってキレるのはやりすぎだった、と

 

そこまで考えて、なんでキレたかを考えてみる

 

Mの様な挑発的なプレイヤーはガンプラバトルをしていれば何人も出会ってきていちいちキレたりして来なかった、にもかかわらず私は薫君を馬鹿にされただけでキレた

 

「・・・だけ、じゃないよね」

 

馬鹿にされた " だけ " じゃない " から " キレたんだ、きっと

 

 

だって私は今、後悔していない

 

お気に入りの服を鼻血で汚してしまって、この服は もう着れないかも知れないが、微塵も後悔していないし、彼の為なら惜しくないと思っている

 

「・・・この気持ち、悪くない・・・いや、良い気分だな、うん」

 

 

弾や数馬、鈴に借りて読んだ漫画とかに、こんな展開ってあったよなぁ と考えて、私は気付く

 

漫画の登場人物(かれら)が抱いていた感情を、言葉を、表情を

 

 

そのどれもが、今 私が薫君に抱いている気持ちに酷似している事に、私は気付いてしまった

 

 

私は薫君が好きなんだと、気付きてしまった

 

 

 






お待たせしました

少し無理矢理ですが、気付かせましたw


さぁーて、この作品は2020年内に完結出来るのだろうか?w



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連休 バトル リタイヤ

 

 

 

彼への想いに気づいてしまった私は

 

 

「・・・私は・・・薫君が好きなんだ」

 

 

私は座席に背中を預けて筐体の天井を見ながら呟く

 

 

薫君の声を聞くだけで、笑顔を見るだけで、側に居るだけで私の胸は満たされて幸せを感じている、全ては彼の事を好きだからなのだと私は自覚する

 

 

それと同時に不安と恐怖が私を襲う

 

私は元男なのだ、薫君は その事を知らない。事実を伝えてしまったらきっと薫君は私への態度を変えてしまう、彼を悩ませてしまうかも知れない

 

そうなれば、私は彼の側に居れなくなっていまうだろう

 

ならば、この想いは伝えてはならない。 私の様な半端な存在が彼の人生を狂わせるなんで有ってはならないのだから

 

「・・・それでも・・・私は薫君の側に居たい・・・だから・・・」

 

 

私は薫君の為に・・・否、自己満足の為に彼に尽くそう。いつか彼が誰かと付き合う事になっても、整備士として仕事を全うしよう

 

そう私は結論を出して、薫君への想いに蓋をして俯く

 

真っ赤に染まる自分の服を眺め

 

「・・・痛いな、これが恋、か」

 

ズキズキと痛む頭と熱を持つ頭、まだ流れる血を見ながらチクリチクリと痛む胸の痛みを味わいながら呟く

 

この胸の痛みは私が生きている証、そう割り切り思考を切り替えて考える、この状態じゃ この後の行動は無理だな、と

 

上着だけならまだしもスカートにまで鼻血が付いてるし、顔なんて鼻血で真っ赤だ

 

「どうしよう・・・」

 

どうしようと考えた所で、鼻血が止まらないので袖で押さえて止血するしかない

 

そういえば弾は大丈夫かな? まぁなんも言ってこないから大丈夫なんだろう、多分

 

でも、一応 聞いてみようかな

 

「弾、大丈夫? 」

 

「おー、片付いたか? どーよ」

 

予想通り余裕が有る様で弾は軽い調子で言う

 

「鼻血止まらない、加勢行けないわ」

 

「はぁ? マジか、分かった。リタイヤして安静にしとけよ?一夏」

 

 

弾に ありがと とだけ伝えて血で汚れていない方の手で画面操作をしてリタイヤを選択して軽く深呼吸する

 

ひとまず鼻血が止まらないと動きづらいので止血に専念してボーっとして筐体の天井を眺め

 

「はぁ・・・止まらないなぁ・・・」

 

ボーっと止血していると

 

「おーい、大丈夫か? 」

 

「大丈夫だけど、大丈夫じゃ無いかも?」

 

座席の後ろから弾が現れて尋ねてきたので答えると

 

「なんだそれ・・・って、真っ赤じゃねーか、染み抜き大変だぞ?それ」

 

私の様子を見た弾がウワッて表情をして言うので

 

「そんなの分かってる、悪いけど端子抜いてくれる? 」

 

私の言葉に弾は おう とだけ答えてヘッドセットから端子を抜いてくれる

 

「とりあえず庵さん か 静さんに頼んで横にならせて貰えよ」

 

「大丈夫、もう少ししたら止まるから」

 

弾には そう言い袖で押さえたまま筐体を出ると

 

「あ、一夏お疲れ様・・・って、あんた血が付いてるじゃない、鼻血?」

 

いつの間にか居た鈴に見つかり尋ねられたので

 

「うん、ちょっとね」

 

「もう、袖で押さえたら袖まで血塗れになるじゃないの。ほら手を退けて」

 

相変わらず世話焼きの鈴がティッシュを取り出して私の世話を始める、実は私と鈴は そこまで身長差は無い、だいたい8㎝ぐらいだ

 

 

「よし、とりあえずこれで良いわね」

 

「ありがとう鈴」

 

満足気な鈴にお礼を言うと

 

「気にしなくて良いわ、慣れてるし・・・八月一日、一夏に着せるから あんた のパーカー貸しなさい」

 

心配そうに様子を伺っていた薫君にさながらカツアゲみたいに言い薫君からパーカーを受け取り

 

「それじゃ一夏を家に連れて行くわね? 着替えさせなきゃ」

 

と言い私の手を引き進んでいく、相変わらず見た目よりチカラが強くて抗えない

 

そんな訳で織部模型店のトイレに入り鈴の指示で上着を脱いで畳み明石のバススロットに収納し、流しで手を洗う

 

「あんた、フルマニュアル使ったわね? 」

 

鏡越しに私を睨み鈴は言う、どうやら鈴にはお見通しの様だ

 

「まぁね、なんで分かったの? 」

 

顔についた血を流しながら尋ねると

 

「途中から見てたのよ試合中継をね? そしたら あんた 途中から動きが段違いに変わったじゃないの、だから分かったのよ」

 

どうやら見られていた様だ、それなら仕方ないか

 

「特定の事柄ですぐ頭に血が昇るのは、あんた の悪い癖よ? もう少し冷静になりなさい?」

 

鈴はヤレヤレと肩を竦めて そう言う

 

「・・・無理だよ、鈴 私には無理、それが出来たら もう出来てるしね? 」

 

 

備え付けのペーパータオルで手と顔を拭き鈴を真っ直ぐみて言う

 

「はぁ・・・そうね、そうよね」

 

鈴は呆れた様子で肩を竦めて薫君のパーカーを差し出してくる

 

「でも、ありがとう鈴」

 

薫君のパーカーを受け取り着て鈴へお礼を言う

 

「ほんと、あんた は手が掛かるわね? 全く・・・1人にしたら不安しかないわ」

 

と、鈴はオカン全開で言ってくる

 

なんだかんだと文句を言いながら人の世話を自ら行なっていく、その姿は 正に母親の様だ

 

きっと鈴は素晴らしい母親になる事だろう、鈴には母親になる事が無い私の分まで幸せな家庭を築いて欲しい

 

何気に鈴ってモテるし、家事スキルも高いから恋人もきっと直ぐに出来るだろう、多分

 

 






お待たせしました

なんとか書きましたよ、書きつらかったです

一夏ちゃんを幸せにしたいぃ


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連休 裏方の話


簪 視点


 

 

5月に入り多国籍学園のIS学園も大型連休に入った、私はあまり外出する趣味が無いし自分の専用機の強化改修のプランを練るには持ってこいなので連休初日から部屋に篭り手探りで強化案を考えている

 

 

私には叶えたい夢がある、他人には些細な事かも知れないが、私にはとても重要で生きる道標になっている夢だ

 

 

夢、それは自分の実姉 更識(さらしき) 刀奈(かたな)にモンドグロッソで正々堂々真正面から戦い勝つ事

 

既に自由国籍権を使いロシア代表の地位にいる姉との差は今は大きいが、必ず叶えるつもりでいる

 

とはいえ、そちらばかりに意識を向けてはいけない。なぜなら私には家から命じられてらいる仕事があるからだ

 

IS学園内で織斑 一夏への警護と観察、それが私の仕事

 

私の家、更識家は日本に古くから有る家で対暗部などを担ってきたらしい、と言っても曽祖父の代で要人警護などの仕事が殆どになったと聞いている

 

警護対象が警護されていると感じずに警護できるのが更識家と、その筋の人達には人気らしい

 

確かにプライベートな時間を仰々しい警護を付けたら目立つし楽しめないだろう

 

 

もちろん仕事抜きにして私は一夏を友達だと思っているし、仕事じゃなくても一夏を友達として支えて守るつもりだ

 

 

そんな訳でルームメイトの一夏を見送り、強化案を練っていると携帯にメッセージが届き宛名を確認する

 

 

「・・・お姉ちゃんか、なんだろう」

 

姉、刀奈は割とシスコン気味なので同じ学園内にいる私へメッセージを送ってくる事は少ない、用があるなら実際に会いにくるから

 

まぁロシア代表と生徒会長、更識家当主の仕事を兼務しているから忙しくて会いに来れない時もあるので、今回はソレだろう

 

そう勝手に決めてメッセージの内容を見る

 

「あぁ、そう言えば定期報告の日だった」

 

週に1回、必ず行っている定期報告の事をうっかり忘れていて、姉が心配してメッセージを送ってきた様だったので、すぐに生徒会室へ行く事を返信して部屋着から制服に着替えて早足で生徒会室へ向かう

 

 

連休中でグラウンドからは部活をしている声が聞こえ、私はその中を早足で抜けて生徒会室に到着する

 

「・・・失礼します」

 

さして乱れていないが息を整え扉をノックして生徒会室に入り、書類の山に囲まれた姉の前に立つ

 

「来たわね、報告を」

 

「はい」

 

普段、私に甘い刀奈ではなく更識家当主の楯無として書類を片付けながら私へ指示をする

 

「先のクラス代表戦にて篠ノ之博士と接触移行は特に目立った事はありません、体調面もこの1週間は良好です」

 

「そう、なら良かった。本音ちゃんの報告も同様の内容だから今の所は健康の様ね? 」

 

と私の報告を聞き姉は書類から目を逸らさずに少し安心した様な声色で言い

 

 

「さて・・・定期報告へ遅刻したのは何故かしら? 」

 

書類から目を私の方へ向け、鋭い眼差しで尋ねてくる

 

「・・・忘れていました、申し訳ありません」

 

これは私の非の為、弁明はせずに素直に理由を言い頭を下げる

 

「そう、人間誰しも完璧では無いからミスはあるわ、けれど役目を与えられた以上は責任を持って貰わないとダメなの、分かるわね?」

 

「はい」

 

姉の言っている事は最もなので素直に返事をする

 

「もう同じ間違いはしない様に、いいわね?」

 

「はい、申し訳ありませんでした」

 

私は姉の言葉に再び頭を下げる

 

「立場上、何かしらペナルティを課さないと・・・」

 

威厳の有る声色で姉は言い

 

「助けて簪ちゃん、書類仕事が終わらない!!」

 

次の瞬間には威厳ある更識家当主のメッキが剥げて、夏休み最終日に宿題が全く終わってない小学生みたいな声を上げる

 

これが我が姉、更識刀奈だ

 

「もう、なんでこんなに有るの? 」

 

苦笑して姉のデスクへ歩み寄り尋ねると

 

「それはアレよ、アレ」

 

姉は目を泳がせながらオーバーなジェスチャーで不明瞭な事を言い出したので、生徒会会計のデスクで黙々と作業をしている私達姉妹の幼馴染で姉的存在の虚さんの方を見ると

 

「お嬢様が書類仕事から逃げた結果ですよ、自業自得です」

 

と、キッパリ言い切り再び姉を見るとイタズラがバレた子供の様な表情をしていたので、やっぱりかぁ と思いつつ

 

「お姉ちゃん、なんで毎回逃げて後で苦しむの? 」

 

少し呆れながら姉へ尋ねると

 

「うぅ・・・なんか最近 簪ちゃんが虚ちゃんに似てきた気がするわ」

 

と半ベソかいてよく分からない事を言い始めたので追求を諦め

 

 

「もう、私も手伝うから」

 

「ありがとう、簪ちゃん。流石は私の天使!」

 

そう言い姉はデスクを迂回して私を抱きしめてくる、これはいつもの事なのでスルーして

 

 

「はいはい、分かったから。どれなら私がして大丈夫なの?」

 

と言うと私から離れてファイル2つ分ぐらいの書類を渡して来たので受け取り、机に突っ伏してスースーと寝息とヨダレを出して寝ている幼馴染の横に有る副会長のデスクで書類仕事を始める

 

正直、私は身体を動かすより こうゆうインドアの作業が向いている、対して姉はデスク仕事より身体を動かす方が向いていると思う

 

 

普段は敵わない姉に対して勝てる要素だし、実姉が困っているなら助けたいと思うのは妹として当たり前だ

 

とはいえ、年子だから姉妹とはいえライバルみたいな感じになってしまう、あと心配症の姉を安心させるには、ISで姉に勝つほか無いと思う

 

 

そんなこんな私は書類仕事をしながら、本音が虚さんにどんな起こされ方をするのか少しワクワクして待つ

 

 





お待たせしました


はい、少し逃げました、許してください

連休中のネタが浮かばなかった場合、少し飛ばしてラウラとシャルロットの転入になります




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転入生現る、しかも2人

 

 

 

薫君への恋心を自覚した あの日、鈴に付き添われて自宅へ着替えに行った私は結局、発熱と頭痛が良くならず自宅で鈴に看病(かんし)される事になってさまい

 

その日の夜には姉が帰ってきて鈴と役目を代わってくれた、申し訳なくて謝ると、気にするな と私の頭を優しく撫でてくれた

 

 

そんなこんなで連休が明けて、いつもの様に登校して 自席で何か考え事をしている薫君に挨拶をして鞄から教科書を机に移していると

 

「一夏さん、さっき気になる事が有ったんだけど・・・」

 

薫君は真剣な表情で私に尋ねてきた、その表情もカッコいいなぁと思いつつ

 

 

「気になる事?」

 

表情を繕い少し首を傾げて聞き返す

 

「IS学園の制服ってカスタムが許されてるって聞いたんだけど、どれぐらいまでなら許されてる? 」

 

と真剣な表情と釣り合わない内容の質問をされ、私の頭に??が浮かんだので

 

 

「どこまで・・・ん〜私のがデフォルトとして箒のがスカートを少し弄ってる程度、大体の人が この辺りかな? ほぼオーダーメイドに近いのがセシリア、鈴、簪、のほほんさん、かな? だいぶカスタムしても許されるみたい」

 

 

IS学園はデフォルトの制服の型があり、それをカスタムやアレンジする事が許されている、私は申請するのが面倒だったからデフォルトの制服だ

 

もちろんカスタムやアレンジを頼めば料金も追加されるってのもある、スカートを短くするなら自分でも出来るしね?

 

「・・・極端な話、俺みたいにスラックスを履く事も出来るって事?」

 

私の返答に薫君は、まだ真剣な表情を崩さないで言う

 

「うん、極端な話 そうだね? 私は見た事ないし聞いた事ないけど」

 

私が知らないだけで、先輩達にいるかも知れないが素直に薫君へ言う

 

 

「そっか、ありがとう一夏さん」

 

と軽く微笑み薫君がお礼を言ってくれたので、凄く幸せな気分になり

 

「うぅん、私に出来る事が有ったら何でも言って?」

 

私も笑み、そう言い

 

「所で、なんで制服が気になったの?」

 

もう入学して一月(ひとつき)が経つ訳で、なんで気になったのかを尋ねる

 

「ちょっと職員室に用事があったから行ったんだけど、織斑先生と見覚えの無い俺と同じ制服(・・・・・・)を着た生徒が生徒指導室に入っていくのが見えて」

 

と薫君は不思議そうな表情をして言う

 

「薫君と同じ制服? それは・・・」

 

薫君の疑問は最もだ、何故なら2人目が見つかった(・・・・・・・・)なんて情報が無いからだ

 

確かに薫君と言う前提が居る以上、絶対に存在しないなんて事は無いし、元男(わたし)がISを使えるから更に可能性は有ると思うけど・・・公表しないのはなんでだろう?

 

いや、薫君の時の事を反省したら公表しないか、凄い騒ぎだったしね、うん

 

「2人目、なのかな? いや、うーん」

 

こればかりは予想の域を出ないので少し唸ると

 

「俺としては2人目だと嬉しいかな? みんな仲良くしてくれるけど、やっぱり少し、ね? 」

 

そう薫君は申し訳無さそうに苦笑する、元男ゆえに気持ちが分かるので

 

「少し息が詰まるかな? 2人目だと良いね?」

 

私は彼が幸せなら良いと思っているので、そう言うと薫君は頷いた

 

それから身にもならない話をしていると、チャイムが鳴り姉が教室に入ってきて薫君の言っていた彼(仮)と銀髪で眼帯をしている身長148㎝の美少女が続いて入ってくる

 

 

ごめん薫君、私は2人目(仮)よりドイツにいる筈の銀髪眼帯美少女の方に目が行ってしまう

 

私が驚いた表情してるのが嬉しいのかドヤ顔してるし、この前 電話で話した時は何も言ってなかったし、クレアさんも・・・グルかぁ

 

クレアさん、ラウラに甘い所あるからなぁ

 

そんな訳でドヤ顔してる銀髪美少女(ラウラ)を凝視していると山田先生が

 

「えーHRをはじめます、今日から このクラスにお友達が増えます。デュノア君、自己紹介をどうぞ」

 

約1週間ぶりに山田先生を見たが、相変わらず童顔で成人してる様に見えない、うん 山田先生は のほほんさんと同じで癒し系だなぁ

 

とか考えつつ2人目(仮)へ目を向ける

 

「えー・・・シャルル・デュノア、です。フランスから来ました」

 

と彼(仮)は、声変わりをしていないのか高い声で自己紹介をする

 

体格も高校生男子としては、かなり小柄で多分 私より小さい、それに加えて中性過ぎる顔付きなのだ、いわゆる男の娘という分類だ

 

と考えて、ふと思う。デュノア君は、もしかたら歳下かも知れない、と

 

 

第二次成長期が始まる前、または始まったばかりの年齢ならデュノア君の体格も声も違和感は無い、と考えて とりあえずデュノア君の事は見守る事にしようと決める

 

と私が考え事をしてる間にクラスメイトがだいぶ騒いだ様で姉の一喝が入り

 

「ボーデヴィッヒ、自己紹介しろ」

 

「はっ、了解しました」

 

やれやれ といった表情で姉はラウラに指示を出すとラウラは姉に敬礼をして姿勢を正し

 

「ラウラ・ボーデヴィッヒだ、ドイツから来た。こんなちっこいなりだがドイツ代表候補生をしている、専用機の調整で入学が遅くなってしまったが、よろしく頼む」

 

 

と恐らくクレアさんが考えただろう自己紹介をラウラはする、クラスメイトの何人かはラウラの自虐ネタを気に入った様だ、良かった良かった

 

 

とりあえずなんで、ずっとを見てドヤ顔してるの?ラウラ、そんなにドッキリが成功して嬉しいの?

 

 






お待たせしました

全くネタが浮かばなかったので、飛ばしました


さてシャルをどうしよう、男の娘にしたくなってきたなぁ←



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IS実習 緑は墜落す

 

 

 

それからHRが滞りなく進み

 

「では今日は1限から2組と合同で実習だ、遅れない様にしろ。それと八月一日、お前は同じ男子のよしみでデュノアの面倒を見てやれ」

 

と姉は締めくくり山田先生と教室から出てゆき、薫君は軽くデュノア君と挨拶をして荷物を持って教室から出て行く

 

それを確認してからクラスメイトは実習の為に着替えを始める

 

「久しぶりだな一夏」

 

制服のボタンを外していると既にISスーツ姿のラウラが話しかけてきた

 

 

「久しぶり、実際に会うのは・・・2年ぶりぐらい?」

 

上着を脱いでシワにならない様に椅子に掛けつつ言うと

 

「そうだな、電話は時々していたがな」

 

制服を全て脱いで綺麗に畳み机に置く、実は制服の下にISスーツを着ていたのであとは脚部パーツを履くだけだったりする

 

「そうだね、それはそうと転入のこと、教えてくれても良かったんじゃない?」

 

脚部パーツを履きながらラウラへ抗議すると

 

 

「む? 気に入らなかったか? うむ、クレアがサプライズは喜ばれると言っていたのだが・・・」

 

と言い腕を組み首を傾げるラウラを見て、やはりクレアさんの入れ知恵かぁ と思い

 

「ラウラ、確かにクレアさんは頼れる人だけど、あんまり信用し過ぎない方が良いよ? 」

 

「しかし、クレアは博識だぞ?」

 

私の言葉にラウラは、純粋な目で私を見て言う

 

確かにクレアさんは博識だし頼れる お姉さんだ、しかし少し間違っていたりズレていたりする

 

そしてクレアさん自身、ラウラの事を考えてアレコレして悪気なんて全く無いから悪く言えないのだ

 

それからそれと無く箱入り娘のラウラへ真に受け過ぎるのはやめようと言い聞かせて実習の有るグラウンドへ一緒に向かう

 

「一夏、転入生と知り合いだったのか?」

 

音もなく私の横に現れた箒に質問されたので

 

「うん、ドイツで知り合ったんだ」

 

素直に頷き箒へ返答すると

 

「そうか・・・私は篠ノ之 箒、一夏の幼馴染だ」

 

珍しく箒が自分から初対面の人に歩み寄っている事に、あぁ箒も成長してると感動している私を他所に

 

「うむ、ラウラだ。苗字は発音が面倒だろ、名前で呼んでくれ」

 

にぱっ とラウラは笑み箒に言うと、箒の口角が僅かに上がり目尻が僅かに下がる

 

そうラウラは妹枠なのだ!!

 

「ならば、私も箒と呼んでくれ」

 

「分かった、箒」

 

箒もラウラの可愛さを理解した様なので、きっと仲良くなれる筈だ、うん

 

 

そんなこんなでグラウンドに到着すると、既に鈴が居たので合流する

 

「あら? その娘が噂の転入生の片割れ? あたし より ちっこいわね」

 

鈴は私の横に立つラウラを見て少し失礼な事を言うが、鈴と そんなに身長差は無いんだよ? だいたい2㎝程度だよ?

 

「ふん、身長(そちら)では私の負けだが、バストサイズ(こちら)では僅かに私の方が勝っている」

 

と何故かラウラが勝ち誇った表情で鈴へ言う、その様子に少しヒヤヒヤしながら見守っていると

 

「何よ、誤差の範囲程度の差でしょ? まぁ・・・後でぶっ飛ばすわ、放課後 ツラ貸しなさい」

 

「良かろう、貴様は同学年の中でも上位の様だからな。指標にさせて貰おう」

 

 

なんだろう、少年漫画みたいな展開になったぞ? とか考えていると姉がジャージ姿で現れたので整列すると始業のチャイムが鳴り授業が始まる

 

 

「それでは今日から本格的に実習を始める、実機での実習では些細なミスが怪我や事故に繋がる事もある、肝にめいじておけ! 」

 

ん〜やっぱり仕事中の姉はキリッとしていてカッコいいなぁ、実妹ながら憧れる

 

「では、実機実習に入る前にデモンストレーションをして貰う事にしよう。オルコット、凰、前へ出ろ」

 

姉は2人を呼び前に立たせる、デモンストレーションって何をさせるつもりだろう?

 

というか、2人共 少し不満そうだなぁ

 

「さてそろそろの筈だが・・・ん? ボーデヴィッヒ、山田先生が落ちてくる止めてやれ」

 

「イエスマム」

 

列から出て安全距離を確保してラウラは自分の専用機を展開して、右手を前に出すとキリモミ状態で落ちてくる山田先生が急にビタっと空中で停止する

 

 

「AIC・・・完成していたんだ」

 

私がポツリと呟くと隣に立つ薫君が私の方を向き

 

「一夏さん、知ってるの?」

 

と尋ねてきたので

 

「少しだけなら、ISに標準装備されているPICを発展させたモノ。簡単に言うと目に見えないチカラで対象を捕まえて動きを止める機能かな?」

 

 

本当にザックリ分かりやすく薫君へ説明していると、無事に山田先生が着地し姉の横に並ぶ

 

「これでも山田先生は元代表候補生だ、腕は悪くないのだがな 少し本番に弱いタイプなんだ」

 

と言う姉の横で山田先生は少し申し訳なさそうにしている

 

「では気を取り直して、オルコット、凰には山田先生と軽く戦って貰う。あぁ2対1で気が引けるか? 安心しろ、今のお前達では山田先生に直ぐ落とされる」

 

と姉は2人を煽る、少し心配になって山田先生を見ると 先程と違い目付きが変わっていて、いつものオドオドとした雰囲気では無くなっていた

 

「では残りの者は防護壁の裏へ移動しろ流れ弾に当たれば怪我で済まんしな」

 

と姉は指示を出し、私達は指示に従い移動する

 

ちなみに防護壁と言っているが透明なガラス板みたいな物で透けているからよく見えるし、ちょっとやそっとじゃ傷も着かない凄い物だ

 

 






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IS実習 青と赤も墜落す

 

 

見学者全員が防護壁の裏へ移動が終わったのを確認した姉が

 

「では始めろ」

 

「行きます」

 

姉の言葉にいち早く反応して山田先生は飛び立ち、有意な位置取りを始める

 

 

鈴とセシリアが数テンポ遅れて飛び立ち

 

「出来るだけ私の邪魔はされないで下さいね?」

 

「こっちのセリフよ、アンタは中遠距離専門でしょ? あたし より前に出ないでよ? 邪魔よ」

 

 

なんで普段は仲良いのにISに乗ると、こうも譲り合いをしないのだろう? まぁ元々2人共 個が強いタイプだからなのかも知れないけど

 

 

とはいえ、前衛の鈴と後衛のセシリアと言う配置はバランスは良いので山田先生がどう戦うか楽しみだ

 

 

「よし・・・デュノア、山田先生の使用しているISを説明してみろ」

 

上空で戦闘が開始したのを見た姉がデュノア君へ言う

 

「は、はい。山田先生が使用しているISはデュノア社製第2世代型ISのラファール・リヴァイヴの訓練機仕様です、外見だけなので確定では有りませんが恐らくノーマル装備だと思います。ラファール・リヴァイヴは第2世代型では最後期のISです、特徴は癖が無いバランス型である事、高い拡張性を有しカスタムパーツや追加武装が豊富である事、それにより搭乗者のスタイルによって機体色がガラリと変わるISです」

 

とスラスラとデュノア君はラファール・リヴァイヴについて説明すると

 

「ん、素晴らしい説明だ。今、山田先生が使用しているラファール・リヴァイヴは第2世代型、対して凰とオルコットの専用機は第3世代型だ。IS競技において この1世代の差は非常に大きい、だが1世代程度なら搭乗者に腕で容易に覆せる」

 

 

姉がデュノア君を褒めて、そう言った瞬間にグラウンドへ2つ、土煙を上げるクレーターが出来上がり、それを見た姉が

 

「な? 」

 

と姉はドヤ顔気味に言った

 

いや、な? って何さ?

 

「では、訓練機での実機実習を行う、出席番号順に5人ずつ班を組め ただし専用機持ちは教官役をしてもらうので私の所に集合、織斑、あそこでまだ揉めてるバカ2人を仲裁して連行してきてくれ」

 

 

「分かりました」

 

途中までキリッとしていた姉が鈴とセシリアの様子を見て溜息をつき私へ指示を出したので返事をして防護壁からクレーターへ移動し、モミクチャ状態で掴み合いをしてる2人を見て

 

 

「ねぇー2人共、喧嘩は後にしたら? 早くしないと織斑先生のカミナリが落ちるよ? 私が言うのもアレだけど織斑先生のゲンコツは痛いよ? 」

 

私の言葉に2人は掴み合いを辞め

 

「終わった事ですわ、今日の事を教訓に次に繋げましょう」

 

「そうね、そうしましょう」

 

となんか言い始め、いそいそとクレーターを出てきた

 

「専用機持ちは教官役させるから織斑先生の所に集合だってさ」

 

そう言うと2人は またかぁ みたいな表情をしたが見なかった事にして2人を連れて姉の所へ行く

 

「ん? 来たか、データを各機に転送した。その項目通りにすれば良い、安全第一だ、ISは展開しておけ」

 

と姉が言った瞬間、明石にもデータが転送されてきた事を告げる表示が現れた

 

 

「・・・あの織斑先生、私も教官役なんですか? 」

 

「あぁ、明石も専用機には違いないからな。戦闘機動は無理だが基本的な歩行や移動なら大丈夫だろう? 」

 

と姉は言う、いや確かにそうだけど、明石は特殊だから脚部も腕部も装甲がないから自分の足で歩くから感覚に違いなんて存在しない、とはいえ それを姉に言った所で状況が変わる訳ではないので色々飲み込む

 

 

そんな訳で私が受け持つ班に割り振られた打鉄を眺めながら姉に言われたので明石を展開して

 

 

「えーっと、それじゃよろしくね? まずは順番に装着・起動・歩行をやろう」

 

 

私が受け持つ班はクラスメイトだったので人見知りを発動せずに済んで良かったなぁ とか考えながら説明する

 

「織斑さん の専用機って、確か整備作業用なんだっけ? 」

 

「そうだよ、だからセシリアや薫君、鈴の競技用ISとは形が違うでしょ? 」

 

私の腰辺りに浮かぶ明石唯一のISの部分であるアンロック・ユニットを撫でながらクラスメイトへ言う

 

「全然違うね? 機能も違うの? 」

 

と尋ねられたので

 

「全く違うかな? まず競技用じゃないから武装も護身用のロングソードが1本だけ、あとは整備・改修とかに必要な機能と器具が積載されてる。 一応は飛ぶし浮かぶよ? 」

 

ふよっとクラスメイトの前で浮いて見せると、ありがと〜 と言われたので悪い気はしない

 

 

それから特にトラブルは起こらずスムーズに授業は進み

 

「総員傾注、午前の授業は此処まで。午後からは同じ班で使用した練習機の整備実習だ、専用機持ちは自分の班の訓練機をカートに載せてやれ。人力では少々重いからな」

 

と姉は言うが、人力でISを持てる人はなかなか居ないんじゃないかなぁ? 姉は生身でIS用の近接ブレードを振り回せるから多分、自力で載せられるんだろう

 

 

そんな訳で打鉄をカートに載せて明石を最低限の部分を展開したままカートを押して午後から授業を行う整備室へ向かう

 

 

午後からが私にとっては本番だ、だって公に打鉄を触れる訳だから

 

 

その前に今日は薫君とご飯を食べよう、多分デュノア君も一緒かも知れないし

 

 

少し気になる事も有るしね?

 

 






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昼休みと彼と私

 

 

 

整備室に打鉄を運び入れ、丁度 薫君とデュノア君が居たので昼ご飯に誘い一旦更衣室を経由する事になり、2人が制服に着替えている間、私は少し裏技を使い明石に格納していた予備の制服を展開して着る

 

本来なら推奨出来ない事だけど、明石は作業用で競技用じゃないから多少のエネルギーロスは無視出来るし、エネルギーが足りなければナノマテリアルを内燃機関に入れて作れば良いだけの事だ

 

それから着替え終わった2人と合流して、意外と人が居ない屋上の東屋でお弁当をバススロットから展開して2人の前に並べ

 

 

「少し多めに作ったから遠慮せずに食べて? 」

 

本当は鈴や箒も交えて食べるつもりで、お弁当を作ってきたのだけど、まぁ薫君もデュノア君も食べ盛りだし、多分余らないだろう、多分

 

 

「ありがとう一夏さん、篠ノ之さんと凰さんが一夏さんは料理上手って言ってたけど、これは凄いね」

 

薫君は驚いた表情で私が並べた お弁当を見て手放しで褒めてくれる

 

「ほんと凄い、この入れ物、えーっと・・・重箱? いっぱいにオカズとかお米が入ってて、作るのに時間かかってるよね?」

 

デュノア君は目を輝かせて褒めてくれる、なんか2人に褒められて照れてしまう

 

 

「食べて食べて? ね? 」

 

手を合わせ いただきます して私は おにぎり を食べると2人も食べ始める

 

 

「あ、そういえば自己紹介してなかった。私は織斑 一夏、よろしくね? 」

 

2個目の おにぎり を食べた時に思い出して自己紹介する

 

「シャルル・デュノアだよ、よろしくね? 」

 

ニコっと少女の様な笑みを浮かべるデュノア君を見て、少し失礼を承知で質問をする事を決め

 

「デュノア君、失礼な事を聞くけど、君は男の子?」

 

「あはは、よく間違われるけど僕は男だよ? えーっと日本では僕みたいな人を男の娘って言うんだっけ? 」

 

私の質問にデュノア君は苦笑しながら答えてくれる、しかし言葉ではなんとでも偽れてしまうので、コッソリ明石のスキャン機能を悪用してデュノア君を鑑定すると、紛れもなく男の娘・・・男の子だった

 

「え? あー・・・うん、一部の人の間では言う・・・かな? 多分」

 

やはり世界を動かしているのはオタクの人達なのかも知れない、私もその分類に入るしね?アニメ大好き、ガンダム大好き、ガンプラ大好き!! だもん

 

「だとしたら、シャルルはもっと食べた方が良いんじゃないか? 凄い華奢な気がするんだけど」

 

 

少し身長が高めの薫君がデュノア君へ質問すると

 

「そうかな? フランスでは周りの友達より少し小さいぐらいだったのだけど・・・それに薫は成長期来た後でしょ? 僕はまだ始まってないよ成長期」

 

 

薫君の言葉にデュノア君は少し不満そうに言い反論する、それを聞き

 

「えっと、デュノア君って今何歳? まさか・・・」

 

と私が質問すると

 

「今? 12歳、今年で13歳だね? 日本の学校風だと中学1年生になるのかな? 」

 

そうデュノア君はニコっと笑む、なんか妙に背伸びしてる感を随所に感じてたけど、やはり歳下だったかぁ

 

 

そりゃ薫君に比べて華奢で小柄だよ、だって中学生になったばかりぐらいの年齢だもん、当たり前だ

 

 

「これからに期待だなシャルル、いっぱい食べて大きくなろうな」

 

 

なんかお兄ちゃん化してる薫君がニコっとしながら言うと

 

「薫、僕は君の弟じゃないよ? なんで お兄ちゃん化してるの? 」

 

と言葉では否定しているもののデュノア君の表情は満更でもない様子だ

 

 

「いや、まぁ・・・ウチの弟もシャルルぐらい礼儀正しくて素直だったらよかったんだけどなぁ、生意気だからさ」

 

薫君は肩を竦めながらデュノア君へ言う、そういえば薫君は長男で下に弟がいるらしい

 

兄弟仲は悪い訳ではないが、男兄弟は毎日何かしら喧嘩していたとか

 

 

そういえば私は姉さんと喧嘩した事ないな、9つ歳が離れているし姉さんに育てて貰った恩を感じている

 

それに・・・実の姉とはいえ、霊長類最強のブリュンヒルデに逆らったり楯突こうなんて考えられる程、私は命知らずでは無いし、私は間違いなくシスコンの部類だ

 

それはそれとして

 

「デュノア君は兄弟は? 」

 

場の流れで彼に尋ねてみる

 

「僕は一人っ子、兄弟かぁ良いな。織斑さんは? 」

 

デュノア君は本当に羨ましいと言う表情をして私に聞いてくる

 

 

「元世界最強のIS乗り(ブリュンヒルデ)だった姉が1人いるよ」

 

 

「へぇ、そうなんだ・・・ん? 」

 

私の言葉にデュノア君は一瞬流そうとして首を傾げる、なんだろ守ってあげたくなる・・・これが庇護欲って奴なのか?

 

「元ブリュンヒルデって織斑先生の事だよね? ということは? 」

 

「私は、その織斑先生・・・織斑 千冬の実妹なんだ。あ、歳が9つ離れてるんだよね」

 

と言うとデュノア君は少し驚いた表情をする、私って結構 姉さんと顔が似てるって言われる事が多いんだけど、デュノア君には分からなかったみたいだ

 

 

いや、むしろ自己紹介の時は緊張してたのかも、薫君が居るとはいえ、周りほぼ女子だし、歳上だしね?

 

 

とりあえず暫くは薫君と一緒にデュノア君を見守ろう、もしかしたらデュノア君の専用機も触らせて貰えるかも知れないしね

 

 

アレ? そういえば、デュノア君ってデュノア社の社長と苗字同じだなぁ、もしかして社長子息?

 

 






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セコム集会


箒 視点


 

 

 

賑やかなIS学園の学食の一画、最奥壁際の他人掛けの席に私達は各々の昼食を食べている

 

「・・・そろそろいいかしら? 」

 

中華そば の3分の2を食した鈴が神妙な表情で口を開き言う

 

「そうだな、程よく人もはけた、頃合いだろう」

 

私も自分の日替わり定食を食べ終え焙じ茶を飲んでから鈴へ言う、いつもなら一夏も私達と食事を共にしている事が多いが今は八月一日とデュノアと屋上で昼食中だ

 

だからこそ、私達は ここにいる

 

「連休・・・織部模型店へ行った あの日から一夏の様子が少しおかしい、気付いてるわよね? 」

 

中華そば を完食し お冷やを飲み鈴は 此方を見て言う

 

「無論 気付いている」

 

私達だから気付ける異変を私達は感じ取り、一夏を大切に想う者同士出来うるだけ協力している

 

今日は鈴に誘われたが、私も近い内に誘うつもりだったので丁度良かった

 

「一夏は何かを抱えこんだ、ただし千冬さんが行動していないし姉さんからも連絡は無い」

 

 

そう、一夏は何かしらを私達に知らせずに抱えている

 

 

しかもそれは千冬さんや姉さんが感知、または 出張る必要が無いモノの類いなのだろう

 

千冬さんが動けば目立つし、姉さんなら私に連絡してくれる筈だ

 

 

「そうね、と言っても八月一日絡みと私は予想しているわ」

 

鈴はコップをテーブルに置き真剣な眼で言う

 

「・・・そうだろうな、十中八九は八月一日絡みだろう」

 

あの日、私が静さんと話をしている間に私が知らない何かが有ったのは間違いない・・・とかもっともらしい事を言うまでもなく、実は察しはついている

 

 

「いや、まぁ何となく察しはついているだろう? 一夏は自覚したんだろう」

 

 

「そうね、自覚した顔してたわね」

 

 

私の言葉に鈴は呆れた様子で肩を竦め言う

 

 

そう一夏は八月一日への恋心をアノ日、自覚したのだろう 見ていれば分かる、私は一夏の隣に立って一夏に惚れた者を幾人も見てきたのだから、すぐに分かった

 

一夏は八月一日へ恋をし、そして八月一日を愛している

 

 

「あたし が言えた事ではないけど、良いの? 」

 

 

鈴は真剣な眼で私を真っ直ぐ見て尋ねてくる

 

 

「無論 良いに決まっているだろう? まぁ思う所が無いわけでもないが」

 

 

手に持つ すっかりヌルくなった焙じ茶へ目を落とし私は鈴へ答え

 

「人を愛する方法は1つでは無い、相手の幸せを願い身を引く、というのも 愛する方法の1つだと私は思う。 それに八月一日にならば一夏を大切にし幸せにしてくれるだろうしな」

 

 

「・・・そう、ね」

 

私の言葉に鈴は軽く微笑み頷く

 

私は一夏の事が好きだった、約6年前に離れ離れになってしまい二度と会えないとさえ思っていた、だから私は一夏への恋心を捨てるしかなかった

 

その代わりに私は一夏が幸せである様に願う様になっていた、隣に立てなくても構わない一夏への幸せで有れば良い、そう私は想い続ける

 

 

「は〜・・・早くくっ付かないかしらね? 」

 

 

と鈴はテーブルに頬杖をついて呆れた様子で呟く

 

 

「八月一日は鈍感では無いだろうが、色恋沙汰に疎い様だし互いに好意が伝わっていないのだろう」

 

ヌルくなった焙じ茶を一気に飲み干して鈴へ言うと

 

 

「そうね、見てて分かるわよ? でも こう・・・見ていてもどかしいのよ、分かる? 」

 

 

鈴はウニョウニョとジェスチャーをしてから台バンしそうな勢いで大袈裟な手振りをして私へ言う

 

 

「・・・気持ちは分かるが落ち着け、鈴。これは一夏 及び 八月一日の問題だ、我々外野がどうこう出来る訳でもない」

 

 

「そうだけど・・・」

 

私の言葉に鈴は不満そうに返事をする、これは当人達の問題で私達が介入していい事では無い筈だ

 

「心配しないでも、近い内に付き合い始め・・・」

 

今、私は何を言おうとした? 心配しないでも、なんだ?

 

付き合い始める? そんな簡単では無い、一夏の抱えているモノは容易く消えはしない、一夏を離してはくれない

 

 

そう普通に恋心を自覚したなら自然体であり、様子がおかしいなんて思わなかった筈だ、だが実際は様子がおかしいと異変を感じている

 

 

つまり・・・

 

「・・・前言撤回だ鈴、私の予想が正しければ一夏は八月一日へ告白は愚か交際しない可能性が高い、何かしら我々でしなければなるまい」

 

 

不思議そうな表情をしていた鈴がハッとした表情をして

 

「・・・そうよ、最近の一夏に慣れすぎてて忘れてたわ。一夏は自分より他人を優先するタイプ・・・」

 

鈴は一夏が抱えている問題に気付き、一夏の性格を考えて私と同じ事に気が付いた様だ

 

「・・・一夏は誰かを頼る事に慣れていない、だから自分の気持ちへ蓋をする事、自分を偽る事に慣れている。これは不味いぞ、非常に不味い」

 

 

どうして織斑姉妹は、抱え込むのだろう? いやまぁ千冬さんの場合は立場も責任もあるからなんだろうけども

 

とにかく早急かつ慎重に一夏にバレない様にしながら行動しなければ

 

 

「・・・よし、あたし は八月一日に発破かけてみるわ。月末ぐらいには方をつけたいわね」

 

 

完全にオカンなオーラを纏い鈴は言う、確かに月末ぐらいに方をつけておかないと一夏が潰れてしまうかも知れない

 

私は、そんな一夏を見たくはない。 これは私のエゴだ、ただの自己満足でしかない

 

だからこそ、私は一夏の為と言う免罪符を使い一夏が幸せになる様に暗躍しよう

 

 






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