我が家の五匹の小ちゃな家族 (猫又侍)
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ボーカル編 プロローグ
我が家に来た小ちゃな家族


どもども、はじめましての人ははじめまして。そうでない方はお久しぶり!猫又侍です。

さて、色々と言いたい事はあるでしょうがね(他の奴はよ投稿しろなどなど)取り敢えずそちらの方を優先としますがたまに此方を投稿させて頂きたいと思います。

感想でほかの方を早く投稿して欲しいとの意見がありましたらすぐにとは行けませんが投稿できる様頑張りますのでなにとぞよろしくお願いします


俺は笹原冬夜(ささはらとうや)

 

何処にでもいる普通の高校生だ。

突然だがおれは現在、とある公園で日課の散歩をしてる。

 

のだが……

 

「……なんだコイツ」

 

「ミャー!」

 

猫を見つけたのだが、その猫が少し変なのだ。

なんて言うか……人間みたいに髪が生えてる。

 

え? そんなのある訳ないだろ。と、思う人が大半だろう。

 

だが、実際そうなのだ。

しかも誰かにイタズラされたのか、その髪の一部分には赤いメッシュのような物が入っていた。

 

「全く……お前は捨てられたのか?そんな珍しい感じしておいて」

 

「ミ、ミャー!」

 

その猫はそんな事はないと訴えるように鳴く。

まるで俺の言葉が分かってるみたいだ。

 

「んな訳ないよな……」

 

「ミャ?」

 

すると今度は俺の方をジーっと見てくる猫。

なに?連れて帰ってもらいたいの?

 

「おいおい、そんな目で見てくんなって」

 

コイツ……拾ってもらえるような相手の見方を完全にマスターしてやがる!!

 

コイツはかなりのやり手だな?

 

なんてアホくさい考えは止めてその猫を持ち上げる。

 

「ミャー!ミャー!」

 

首の後ろを掴まれて居るからなのか、ジタバタと暴れて居る……可愛いんだけど。

 

でもなぁ……俺猫の飼い方とか知らんしなぁ……でもコイツ何日も前から一人なのか?

 

俺は日課で散歩をするが、ここ最近は忙しく余り出来ていなかった。

 

おそらくその間にコイツは捨てられたんだろう。

 

「……家、来るか?」

 

「ミャー!」

 

おう、なんか薄々勘付いて居たけどやっぱ猫だからミャーなのか。

 

ん?そう言えば猫ってニャーだったよな?

 

まぁ、コイツのことだから珍しい見た目だし鳴き声もそうなんだろう。

 

そう決定して、俺はその猫を少し開いた胸元に入れる。

 

因みに言っておくが、今の季節は冬だ。

そろそろ俺は受験シーズン……と言うか真っ只中。

それなのに何故こんな悠長に散歩してるのかって?そりゃアレだよ……そう、休憩(サボり)だよ休憩(現実逃避)

 

おい、誰だよ休憩(サボり)とか変な振り仮名やってんのは。

 

一応今日は学校休みなんだからすこしくらいサボっても良いじゃねえかよ!!(逆ギレ)

 

……まぁ、それは置いといて。

 

今の季節は冬だから当然寒い

猫が段ボールにまんまで放置

猫震えてる

誰も拾わない

 

オケ?

 

「よし帰るか」

 

「ミ、ミャー///」

 

なんだコイツ照れてんのか?

まぁ、大丈夫か。

 

俺はそのまま家に帰った。

 

_________________________

 

「ただいまー!」

 

そう呼びかけるが返事が無い。

 

「ま、そりゃそうか」

 

俺の親は海外で、仕事をしていて一年に二、三度帰ってくるか来ないかだ。

親の変な考えにより一度は帰って来る事を決めて居るようだ。

 

「ほーら、新しい家だぞ」

 

「ミャッ」

 

俺の胸元からスルッと出て行く猫。

だが、何処かに行く様子はなく俺の着替え等の準備が終わるまでチョコンと座っていた。

 

……可愛い

 

試しに俺は頭を撫でようとしたが地味に拒否られた。

 

ショックだったがその後自分からねだって来た。

 

ツンデレなのかな?

 

てな感じで普通に過ごしていたが、俺はある事に気付いた。

 

「……コイツの名前決めてねぇ」

 

因みにあの後親に連絡した所、快くOKを貰った。

 

親曰く

 

『そろそろ冬夜も寂しい時期なのかしらね?まぁ、良いわよ。お父さんもいいって言ってるし。あ、その子の写真送らないでね、その子の写真を送って貰うより初対面は直でしたいから。その分楽しみが増えて仕事頑張って今年は早めに帰る事にするわ』

 

なんて長々と話を聞かされたが、コイツを飼える事になったので結果オーライだ。

 

「にしてもどうすっかなぁ……」

 

「ミャ?」

 

コイツもコイツで何故か俺の部屋から出ようとしない。

普通猫って家に懐くんだよな?そうだよな?(困惑)

 

ま、まぁ多分俺の部屋が気に入ったんだろう(思考停止)

 

「って、真面目に考えないとな……」

 

そして猫の方をまじまじと見る。

するとふとある名前が出てきた。

 

「……蘭」

 

なんだろう。マジで思いつきなんだけど、どうしよう。

でも流石に蘭は変かなぁ……普通の人っぽいし。

 

でも、飼うからには自分で名前付けろとか言われてるしなぁ……

 

「試しに他の名前を呼んでみるか」

 

俺は猫に向かい名前をいくつか呼ぶ。

 

「た、タマ」

 

「……」

 

「み、ミャー?」

 

「……」

 

こ、コイツ全部シカトしやがる!!

しても最後なんてプイッみたいな効果音が鳴るレベルでどっか向いたぞ?

 

「ら……蘭?」

 

「ミャー!」

 

「そ、そうか……この名前が気に入ったか」

 

な、なんだ意外と普通の人っぽい名前が気に入るのか……まぁいっか。

 

何はともあれ名前が決まって良かった良かった。

 

「それじゃあこれからも宜しくな蘭」

 

「ミャー!」

 

その後は普通に飯を食って寝た。

……のだが、寝る時はクッションの上に居たはずの蘭が朝起きたらいつの間にか枕の横で寝て居た時は驚いてしまった。

 

 

 

 

 

 

 




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我が家の猫は寂しがり屋

まだちょっとだけ蘭と冬夜君の二人だけの物語が続きます


 

突然だが、俺は今日一日我が家のツンデレ猫こと蘭の観察をしてみようと思う。

 

昨日来たばかりではあるが、蘭の好みなどをいち早く知るにはこれが最適だと判断して現在の行動に至る。

 

それは起床から始まる観察でとても苦しい戦いが強いられそうだ。

それでは健闘を祈る。

 

AM6:00

 

俺はこの冬の日曜日を台無しにして蘭の観察を始める。

 

「蘭は……居た」

 

やはり予想通り観察対象は自分の寝床ではなく、俺の枕元に寝ている。

だがやはり猫。

 

朝が弱いらしい。

取り敢えず朝食を取る為に蘭を起こさないようにベッドから抜け出して蘭が起きていない事を確認するとカメラを設置して下に降りる。

 

AM6:10

 

朝食を作り終えて、席に座る。

念の為スマホとカメラを繋げて居たので確認してみる。

 

すると先程まで部屋に居た蘭が居なくなっているではないか。

 

「何処に行ったんだ?」

 

俺は取り敢えずドアを軽く開けてみる。

すると階段からトコトコと何かが物凄い勢いで降りて来るのが分かる。

 

「な、なんだ?」

 

すると見えて来たのは黒い動く物体。

それが俺の方へ一目散に駆けてくる。

するとその物体は俺の足にしがみつく。

 

「……何やってんだ蘭」

 

「ミャー!ミャー!」

 

なんと蘭が俺の足にしがみついて居たのである。

しかもその目には涙が……それを見た瞬間罪悪感が襲って来たが俺はそれに耐えて蘭を足から剥がして降ろそうとするが今度は腕にしがみついて来た。

 

「はぁ……蘭は寂しがり屋なのか?」

 

「ミ、ミャー!」

 

仕方なく俺の腕に居てもらう事にしたが、朝食を取らなければならないので、ひとまず剥がす事は……出来なかった。

 

「ホラ蘭、ご飯だぞ?」

 

「……」

 

「ら、蘭?」

 

先程俺の肩に移ったのだが、そこから全く動こうとしないのだ。

 

「せめて膝の上で食べてくださいな」

 

「……」

 

俺がそう言うと、今度は直ぐに膝の上に移動してキャットフードを食べ始めた。

 

AM11:00

 

大分時間が飛んで、ただ今俺は読書をしている。観察はどうしたのかって?あれは止めだ。蘭が可愛い過ぎてそれどころの騒ぎじゃない。

 

そして今はというと

 

「………」ペラッ

 

「………」スゥ……スゥ……

 

俺が本を読んでいる状態でその腹の上に蘭が丸まってスヤスヤと眠っている。

先程も一回離れようとしたのだが、ずっと鳴いて居たので離れようがなかった。

 

俺は一旦本を閉じて蘭を撫でる。

 

「なんで蘭はそこまで俺についてくるんだ?」

 

「………」

 

まぁ、返事が返ってくる事はなくその後の午後はいつも通りの生活を送って居た。

 

PM 11:00

 

「さてと、寝るかな」

 

「ミヤ〜……」

 

今日は大分疲れたと感じたが、その分蘭の新しい発見もあったのでそれは良しとしよう。

 

俺は電気を消して蘭におやすみを言う。

が、蘭は珍しくそのまま俺の枕元に丸まった。

 

今朝の事がよっぽど寂しかったのだろう。

すこし震えて居た。

 

「……おやすみ、蘭」

 

「ミャー」

 

俺は目を閉じながら蘭が安心して寝れることを願いながら眠る事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

調査結果

 

 

 

 

 

 

 

 

 

蘭は寂しがり屋

 

 




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我が家の猫は付いて来る

一日に何回も投稿したっていいじゃない。どの猫出すかも決まりました。それでは本編をどうぞ


 

ピピピピッと目覚ましの音で目を覚ます。

 

今日も今日とて受験勉強。

もうダルすぎる。

しかも今日は学校ときたダルすぎの極み。

 

うん、もう何言ってるのか自分でも分かんねぇや。

けれどもそんな俺にも最近は癒しが出来た。いわば砂漠の中にあるオアシスの様な存在だ。ほんとマジで。

 

その癒しは毎朝俺の枕元でスヤスヤと寝息を立てている。

俺はそっと抱きかかえてリビングへ向かい専用のベッドに移す。

その癒しは数分後には起きるので早めに朝食を作る。

 

朝食が出来た頃にはもう既に俺の足元にチョコンと座っていた。

俺は愛くるしいその癒しを抱いて頭を撫でる。

 

「おはよう蘭。よく眠れたか?」

 

「ミャー!」

 

言葉が分かるはずもないが答えてくれるコイツには本当に癒し効果があると思う。

 

おっと、その前に餌をやらんとな。

 

俺はさらにキャットフードを入れ机の上に置く。さらに抱いていた蘭を机の上に乗せ俺も朝食を用意する。

用意が出来たら手を合わせていただきますをしっかりと言う。

 

「……」モグモグ

 

「……」カリカリ

 

蘭はちゃんとご飯の時は静かにするという習慣がいつの間にか付いていて静かに食べ終える。

 

「あ、そう言えば今日学校じゃん」

 

「?」

 

あ、コイツは学校なんて知らないもんな。

でも俺は行かねばならないんだ、ゴメンよお前は連れていけないんだ。

俺は学校へ行く支度を終えて玄関から出ようとするが蘭に引き止められる。

 

「ミャ〜ミャ〜」

 

「くっ!ごめんよ蘭」

 

俺は勢い良く家を飛び出して行った。

帰ったらめっちゃ撫でてご機嫌を取ろうと考えながら走って登校した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから学校について時間が経ちお昼になった。俺は購買のパンを食べながら屋上でダラーンと、していた。流石三学年、殆ど受験の為の自習になっているので寝放題。もう最高だね。

 

とかやってるとお昼の時間がソロソロ終わる事に気が付いて屋上から降りていくと、皆ざわついている。

 

俺は何事かと思い近くの生徒に話を聞いた。

 

「おい、こりゃ一体何が起きてるんだ?」

 

「なんだか、猫が学校に迷い込んだらしいんだけど先生が捕まえようとしたら逃げるし生徒が捕まえようとしたら引っ掻くもんで迂闊に手を出せないんだとよ。しかも子猫だから無理やりってのもって話だ」

 

俺は一瞬嫌な予感がしてその生徒に場所を教えてもらった。

 

場所は俺の教室。これは授業に遅れなくても済みそうだと思いながらも俺は走って教室に向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

教室に着くと入り口は人が大勢いて中に入れない状態だったが、なんとか掻き分けて入ることは出来た。

 

「やっぱり」

 

俺の目の前には家に居るはずの蘭を取り囲んで困った表情を浮かべている教師陣が居た。

 

「こら、勝手に入ってくるんじゃない」

 

と先生に注意されたが、その事で蘭が俺に気付き勢いよく走ってくる。

 

「こら!逃げるな」

 

蘭は勢いよく俺に引っ付くとよじ登って来て俺の制服に付いているフードの中に入ってしまった。

 

「おぉ、笹原助かったよ。今からその子猫を届けに……」

 

「これ家の猫です」

 

「はい?」

 

「だから家の猫です」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あらかた説明が終わった後しこたま怒られた。何故だ……次回から連れてこない様にと言われたが、先生の予想だとフードの中にはずっと居座るだろうとの事で仕方なく許可してもらった。

 

学校のマスコットとしても扱う事を条件に。

 

「はぁ……お前も人気もんだなぁ」

 

「?」

 

俺が後ろに話しかけると顔だけひょこっと出す蘭。まじでかわゆす。

こりゃぁマスコットにもしたくなる。なんて納得していると、数人の女子が俺に近づいてきた。

 

と言うよりかは蘭目当てだろう。

 

「……何か用?」

 

「あの……触らせてもらいたくて」

 

予想通りの言葉を受け取った俺はフードから蘭を出して机の上に置く。

痒かったのか後ろ足で顔を掻く仕草をする。マジかわゆす。

 

「ら、蘭ちゃ〜ん怖くないからね〜」

 

それって絶対何かしら怖い事する人が言うセリフだよね?

まぁ、蘭は人を引っ掻いたりはしないから安心だけど。

 

「ミャ〜」

 

「はうぅぅぅぅぅ」

え?なにはうぅぅぅぅぅって。新手の単語ですか?でも普通に撫でてる辺り大丈夫かな。

 

そのあと大勢の人が押し寄せて来た以外は特になにもなかった。

うん、マジで辛かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後

 

「お疲れ、蘭」

 

「ミャ〜」

 

少し疲れた様に言う辺り本当に疲れるような感じだったのが伺える。

蘭は俺のフードの中が気に入った様でずっと居座っている。

 

でもまぁ、恐らく家に着いたら俺の体のどこかに引っ付くんだろうなとか思いながら俺は家に帰った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ?そういえばコイツどうやってここまで来たんだろう?」

 

 

蘭に対する謎が出来た瞬間であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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我が家の猫のとある秘密

感想からの意見をいただいたので蘭ちゃん視点を書きましたどうぞ見てやってください。

初めて赤バーになったかと思ったら黄色バーに変わってて驚いたw


私の名前は蘭。

 

正確に言うと笹原蘭かな。

 

元々の名前は美竹蘭。

 

Afterglowってバンドのボーカルギターをやってたんだけどある日お父さんと喧嘩して家を飛び出してきたんだけど外は思いの外寒くてベンチで座ってたんだけど段々と眠くなって来て目が覚めたら猫だった。

 

普通の人はそんな事ある訳がないって思うけど実際私はこうして猫として生活している。

 

たった今起きて辺りを見回すと、大分馴染んできた景色を見て朝を迎える。

 

そこら辺はやっぱり猫で朝が弱い。

元から朝は弱かったけど、ここまでではなかった。

 

私は一先ずベッドから出て台所に向かう。

台所ではなにかを調理するような音が聞こえる。私はその人を覗くようにひょっこりと顔を出す。するとその人はこちらに気づいたようで私を抱き上げる。こればっかりは慣れない。

 

「お?蘭起きたか」

 

「ミャ〜」

 

言葉は分かるのに言葉が自分では話せない。なんて不便なのだろうとつくづく思う。けど、この猫になったおかけでこの飼い主の笹原冬夜に会う事が出来た。

 

冬夜は、困ってた私を優しく抱き上げて温もりを与えてくれた。

 

そこから私は冬夜にくっついて生活する様になった。最初は恥ずかしい部分もあったけど、それでも冬夜と居るのは居心地がいい。

 

そして最近気づいたのはキャットフードだ。今までは猫を飼った事がないしキャットフードなんて食べようなんて思った事はなかったけど、冬夜にキャットフードを与えられた時恐る恐る食べてみたら美味しかった。でも恐らくこれも猫になったのが原因だろう。

 

やっぱりこの体は変だ。

 

朝食を取ると冬夜は学校に行く準備を始める。その間は私は冬夜の近くで座っている。

 

「はい終わりっと。ほら蘭こっちにおいで」

 

「ミャ〜!」

 

返事をして冬夜の方に駆け寄る。

すると冬夜はまた私を抱き上げて今度はフードの中に私を入れる。

 

このフードの中は案外あったかくて私のお気に入りの場所だ。

でも、この前冬夜の学校にこっそり行ってみたら見つかって捕まりそうになった。

その時は物凄く怖かったけど冬夜が来てくれてとっても嬉しかった。

 

そのあとは何故か分からないけど私はその学校のマスコットになってしまった。

 

でも、その分冬夜と長い時間いる事が出来て嬉しい。

 

けど……お父さんやみんなはどうしているんだろう。

 

よくその事を寝る時に考えてしまい、寂しくなって冬夜と一緒に寝る。

それでも冬夜は嫌がらずに一緒に寝てくれた。

 

「なぁ……蘭」

 

「?」

 

こうして冬夜が話しかけてくれる。

 

冬夜が居てくれる。

 

だから私は寂しくない。

 

でもいつかはみんなの所へ帰らないといけない。

 

だから……

 

 

 

 

「これからも一緒にいような!」

 

「ミャー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だから、今この時間を大切に生きていたい




誤字脱字、感想評価待ってます。

それに評価をして下さった皆さんありがとうございます!


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我が家に来た新たな家族

一日に何回投稿したっていいじゃない(第二回)



「ん、ん〜よく寝た」

 

ただ今の時刻はAM7:30。

え?なんでそんな面倒な表記にしてるのかって?気分だよ、気分。

 

「ミャ〜」

 

「蘭か、起こしちゃったか?」

 

「ミャ〜」

 

となんとか鳴いている様だが俺の膝の上で早速丸くなり眠る体勢をとっている。

こうなると腕に乗せるかこのまま起きるまでこの状態で過ごすかの二択になってしまう。

 

取り敢えず散歩に行く為にフード付きのジャージを着る事にした。勿論冬用。

因みに蘭は俺の肩の上でだらんとツタのように垂れている。

 

やっぱ可愛い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん〜、やっぱ散歩って気晴らしになるわぁ……」

 

俺は今蘭と始めて会った場所の公園に来ている。

ここは他の公園より規模が大きいから、長い距離を長い時間ゆっくり歩く事が出来る。

 

「ミャ〜?」

 

「お?起きたか蘭。だけどフードから出るなよ。落ちるし寒いから」

 

蘭はもう一度「ミャ〜」と鳴くとフードの中でもう一眠りするのか丸まった感触がして数分後寝息を立てて眠った。

 

「いやぁにしても、ここは一段と寒いな。また蘭みたいに捨てられてる猫居たりして」

 

なんて冗談混じりに言った筈なのだが……

 

「……」

 

「ニャ〜」

 

なんで居るのさ。てかまたまた珍しい感じの奴やんけ。

 

今度の猫は銀髪と言っても良いほどの白銀の毛?髪?どっちか分からない物になっている。しかも何処と無く鳴き声が透き通っていて良い感じだ。

 

「……」

 

「……」

 

いかんいかん、余りにも拾って欲しそうに見て来るから危うく拾ってしまおうかと考えてしまった。

だが、今の俺には蘭という癒しが居る。これ以上猫を飼うのは親にも許可されるかも分からない。

それに……それに。

 

「これ以上癒しが増えたら耐えれる気がしない」

 

「ニャ〜ン」

 

だ、ダメだ。コイツも蘭と同じで拾ってもらえる方法を知ってやがる……!しかもこの状態、ベストアングル!

 

それでもどうしようかと俺が唸り声を上げているとL●NEが来た。

 

……しかも母親からだ。

 

俺は恐る恐るメッセージを見てみるとこう書いてあった。

 

『冬夜元気してる? あ、蘭ちゃんをちゃんと可愛がってあげれてるんでしょうね? 因みに私とお父さんは後四匹位は飼って良いと考えています♪私とお父さんは猫が一杯居る家庭を理想としていたのでもしまた捨て猫が居たら拾っても良いですよ♪』

 

うん、なんてタイミングの良いメッセージなんだろうね。

まぁいいや、拾ってもいいって事なんだね。

 

その後すぐ付け足しで『猫ちゃん達の最低限の生活費も送っておくのでちゃんと世話しなさいな』って送られて来た。

 

「……家来るか?」

 

「ニャ〜!」

 

うん、帰ろう今すぐ帰ろう。

 

この猫の事で頭が埋め尽くされた俺はそそくさとその猫を抱き上げて家に帰るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ……やっと着いた」

 

やはり猫は猫でも二匹となると重いな。

でも案外蘭とこの子は猫の中では物凄く軽いんだよな。

 

え?なんでそんな事分かるのかって?それは蘭と会う前には猫カフェなんかは何度か行った事があるからな。

 

「って母さんに連絡は……いっかサプライズとか言っておけば許すだろうし」

 

「ミャ〜……!」

 

「お?蘭起きたか……ってなにやってんだ蘭」

 

蘭は俺のフードの中から眠そうに出てくるなり水の中を泳ぐ魚のごとく俺から降りてもう一匹の猫の方をまじまじと見ている。

 

「ミャー!ミャー!」

 

「なんだ、友達が出来て嬉しいのか?」

 

「ミ、ミャー!」

 

お、おぉ違うのか分からんけど物凄く怒ってるのは分かった。

ん?蘭まさか怒っているのではなく照れているのでは?

 

なんて考えていると拾って来た猫がこちらをまじまじと見ている。

 

あ、名前付けなきゃあかん奴やん。

でもこいつも人の名前みたいな物を好むかも知れない。真剣に考えなければ……真剣に……真剣に……。

 

「友希那……」ボソ

 

「!……ニャッ」

 

え?なに、気に入ったの?てか耳良すぎない?適当に居なさそうな人の名前言ってみたんだけど気に入ったのか?う〜ん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悩む事十分、こいつもキラキラした目でこっちを見ているからもういいかな?

 

「……はぁ。それじゃあ今日からお前は友希那だ」

 

「ニャ〜!」

 

うんうん、気に入った様で何よりだ。

でもさっきから後ろから見られている気がする……

 

俺が恐る恐る振り向くと物凄く不機嫌そうな蘭がこちらを見て居た。

しかも何ですかそれ、爪ヤバくないですか? あの、それをこっちに向けてくるの止めません?

 

「ちょおま……蘭、止めt」

 

「ミャ!」

 

「目が目がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

何でこんな事にならなければいけないのか。俺は目を手で覆いながら考えるのだった。

 

あ、目は両目失明してませんでしたのでご安心を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぃ〜サッパリしたぁ」

 

「ミャ〜」

 

「ニャ〜」

 

俺が風呂から上がるとモフモフ感がいかにも凄そうな蘭と友希那が居た。

ん?一瞬蘭と友希那が天使に見えたんだけど……見間違いじゃないよね?

 

え?見間違い?馬鹿な……そんな馬鹿な!

 

とか一人で馬鹿な事をやっているのは諦めて二人を抱えて自室に向かった。

 

「蘭、友希那仲良く寝るんだぞ」

 

「「ミャ〜(ニャ〜)」」

 

「はい、お休み」

 

俺は明日どの様な状態になっているのかを完全に分かっていたが、あえてこうしている。

 

何故かって?二匹のモフモフ系癒し猫を横に置いて寝れる自信なんてないわい。

 

その日は疲れが溜まったのか直ぐに寝る事が出来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あ、先生に報告しなきゃいけねぇじゃねえかよくそったれ。

 

 

 

 




そろそろアンケート第二弾を実施する予定です


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我が家の猫の争奪戦

いつのまにか黄色バーだったのが赤バーに戻っていて発狂しかけた猫又侍です。

沢山のコメントも頂きお気に入りも増えたのでモチベがめちゃくちゃ上がりすぎてどうにかなりそうです。

それでは本編をどうぞ


 

「………」

 

突然だが、俺は崖っぷちに立たされている。精神的に。

何故なのかその理由をまず話そう。

俺は朝起き蘭を眺めようと起きると、そこには昨日新しく家族になった友希那が寝ていた。

 

勿論写真は五十枚程撮っておいた。

やったぜ。

 

だが、問題はそこからだ。

友希那が寝ていた場所は蘭のお決まりの場所。つまり蘭はいつも寝ている場所を取られたという事になる。

 

「……友希那が寝ているって事は蘭は何処に寝ているんだ?」

 

「ミャ〜!ミャ〜!」

 

俺が声のする方向を見るとベッドの側面にしがみ付いていた。しかも今にも泣き出しそうな顔をして。

 

おそらく友希那がその場に居るとは知らず登って来てしまい、友希那が居てびっくりして落ちそうになったのだろう。

だが、その時俺は寝ている。しかもベッドから落ちたりしたら背中を打ってしまうかも知れない状況に立たされた蘭はずっと俺が起きるまでぶら下がっていたのだろう。

 

「おぉ、蘭ごめんよ気づいてやれなくて」

 

「ミャ〜」

 

蘭は安心したのか直ぐに眠りに落ちた。

 

その時ちょうど友希那が起きた。

そこからがマジで昼ドラの修羅場状態。

蘭が俺の腕の中で寝ているのを見るとすぐに蘭を睨み始め唸り声をだす。

 

「……」

 

「友希那、しー」

 

「……」

 

「はぁ……どうすっかな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして今その事を必死に考えている。

幸い今日は日曜なので学校に行く必要もない。かといってベッドから動かないのは流石に不味い。

 

友希那もなにかとこの部屋が気に入ってる様で大抵はこの部屋にいる事が多いのだ。

だが、今蘭を腕の中に居させる事によって友希那の不機嫌度が上がってしまう。

 

かといって蘭を起こすわけにもいかないが、友希那を放っておくと拗ねてしまう。

 

先程からこの思考の無限ループ。

 

マジで助けて。

 

「そうだ、俺が二匹一緒に腕の中にやればいいだけの話か」

 

そうと思いたったら俺はすぐさま友希那をもう片方の手で抱き上げて腕の中にやる。

 

「ニャ〜」

 

「……」

 

やっべ超可愛い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから結局起きるまでそのままの状態で過ごした。

 

でもここでまた問題が発生してしまった。

 

「おいおい、二人とも止めろって」

 

「ニャー!ニャー!」

 

「ミャー!ミャー!」

 

起きたと思ったらすぐこれだ。

仲良かったんじゃないの?君達。

 

ってそんな事考えてる場合じゃない。

ここは俺が引き止めなければ。

こうなれば最終手段としてアレをやるしかない!

 

「そっか〜、二人が喧嘩するってんだったら俺はもう遊べないな〜」(棒)

 

「「!」」

 

すると二匹は面白い位の速度で頭を下げて仲直りをして俺の肩によじ登って来た。

 

可愛いかよ。

 

それにしても二匹はなぜ喧嘩していたのかがよく分からない。

しばらく唸り声を上げていたが全く何も思い浮かばなかったのでその日は寝る事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜二匹は俺の枕元の左右に寝る事にしたようでどちらに寝返りを打ってもどっちにも可愛いの実体化が居て全く眠れなかったのは内緒。

 

因みに朝になってテレビを見たところ。

 

ニュース番組のとあるコーナーで猫は自分の縄張りを取られるのを嫌うとかいっていたので蘭は自分のポジションを取られた事を怒っていたのかもしれない。

 

ん?そう考えると………

 

俺は改めてそれを考えるとある一つの結論にたどり着いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

可愛いかよ

 




アンケートを実施しておりますのでよろしくお願いします。

期間はある程度一人と二匹の日常を描いたら終了するつもりです。

あ、その間に決まったバンドのキャラクターアンケートも取るつもりなのでよろしくお願いします


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我が家の猫は嫉妬する

今回はシリアス回なのか感動回なのか書いた私でも分かりません。


 

よぉし、今日は待ちに待った学校だ!先生に物凄く怒られる日だ!と、なんとか楽しそうに見せてますけどダメです足が震えて今にも倒れそうです。

 

「よっと、よし。お〜い蘭、友希那〜」

 

「「ミャ〜(ニャ〜)」」

 

うんうん、朝から君達はもふもふだね。

 

でも朝から枕元に居られると幸せ過ぎて動く気なくすから止めようね?ってよく考えれば後三匹飼っていいのか……飼うか分からないけど。

 

もし飼うとなったら俺はもうベッドから動ける自信がない。

 

「二人仲良くフードの中に居るんだぞ〜」

 

「「ミャ〜(ニャ〜)」」

 

うん、マジかわゆす。

 

登校中にやけに静かだなと思っていたがその代わりフードの中でモゾモゾと動かれたから背中が痒くて仕方なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「し、失礼しました……はぁ」

 

案の定と言って良いほど先生に叱られた。

 

友希那が家に来たって言って大体の事を察してくれた大方の先生は有り難いんだけど、後三匹増えるかも知れないと言ったら物凄く怒られた。

 

ある先生はやっぱりかと諦めた表情。

 

ある先生はどんな猫が増えるか楽しみにしている様子。

 

ある先生はこれで学校に入学する生徒も増えるはずと考える先生も居ただろう。

 

最後に関しては今年で俺卒業するんで絶対に有り得ない事なのだがそこら辺は気にしないでおこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時刻は変わってお昼過ぎ。

俺は蘭と友希那用のキャットフードを用意したら、自分の弁当を開く。

因みに俺は学校では一人ではなく友達といる事が多い。だが、最近は色んな人が寄って来て余り一緒に休み時間を過ごすといった時間はなかった。

 

だが、最近やっと人数が減ったと安心して友達と飯を食べようとした時放送が入った。

 

『えー、全生徒にお知らせです。我が校のマスコットキャラクター……猫が増えました。もし見たいという人が居るのであれば3-4に見に行くと良いですよ』

 

と、担任の声が聞こえて俺は顔から血の気が引くような感覚に陥った。

だが、このままでは交友関係が悪くなってしまう。ここは蘭と友希那に悪いが今日は俺は席を外そう。

 

「ゴメンな蘭、友希那。今日は一緒にご飯食べられないや」

 

「ミャー!ミャー!」

 

「ニャー!ニャー!」

 

ゴメン、本当にゴメン。マジで罪悪感で死にそうだけどここは俺の今後を考えた上で仕方のない事だ。

俺は友達と一緒に屋上へ向かい久し振りにゆっくりと話す事が出来た。

 

だが、昼休みが終わる時に友達にこう言われた。

 

「猫って意外と寂しがり屋だから一緒に居てやんないとダメだぞ」

 

「……分かってるよ」

 

俺と友達が屋上から戻って来てもなお人だかりが絶えない教室。

その後先生が来てその場は丸く収まった。

だが、下校中も蘭と友希那はフードの中で全く動かず拗ねているようだった。

 

いや、怒っているのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自宅に着くと珍しく蘭と友希那は俺からすぐ離れていき俺の部屋ではなくリビングの方に向かった。

 

「……流石に嫌われたかな」

 

いや、そんな事はないと思いながらも心の何処かで不安になってしまい溜息がでる。

一応ドアを開けて中を確認したが滅多に使わない猫用のベッドで二人で丸まっていた。

 

「今はそっとしておいた方がいいか」

 

俺はゆっくりとドアを閉め自室に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………」ペラッ

 

アレから一時間とチョット。

未だに蘭と友希那は上に上がってこない。

俺は不安になり、先程から読んでいるラノベの内容が全くもって頭に入って来ない。

 

「はぁ……少し寝るかな」

 

俺が本を閉じてそう思った時だった。

 

「ミャ〜」

 

「ニャ〜」

 

扉の微かに開いている隙間から鳴き声が聞こえて来た。

まさかと思いながら俺はゆっくりとドアを開ける。そこには今まで下にいた蘭と友希那が居た。

 

「……どうした?蘭、友希那」

 

俺がそっと手を伸ばし二匹の頭に手を乗せて軽く撫でる。

すると二匹の喉辺りからゴロゴロと音がした。俺はそこがいいのかと思い指で撫でると案の定気持ち良さそうな顔をしていた。

 

「ゴメンな蘭、友希那。俺はお前達が嫌いなわけじゃないんだ。ただ友達との関係を崩したくなかった……けど、蘭と友希那との関係を崩したらもっと嫌なんだ」

 

自然と目から涙が出てくる。

どれだけ拭っても拭っても絶えず流れてくる。

 

「ミャ〜」

 

「ニャ〜」

 

二匹は少し驚いた様な顔をしたが、直ぐにいつも通りの様になり俺のそばでゆっくりと丸まった。

 

「ありがとな蘭、友希那」

 

寝ている二匹の頭を再度優しく撫でる。

すると二匹はとても気持ち良さそうに眠っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日友達にその事を話してみると

 

「まさか、お前が自分達以外の人と居るから嫉妬したんじゃね?」

 

と、軽く言われた。

 

そうなのか?とは思ったが、明らかに怒りオーラと不機嫌オーラを纏って居た気がしなくもない。

 

でもまぁ、結局蘭と友希那と仲直り?出来たので良かった。これからは友達と飯を食べる時には蘭と友希那を連れて行こうと考えてその日は授業にいつも以上に集中する事が出来た。




そろそろバンドキャラのアンケに移りたいと思います


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我が家の猫のとある秘密Ⅱ

今回少し変になっているかも知れません。許してください。

それと沢山のコメントやお気に入り、評価等でモチベが上がっております!

皆さんありがとうございます!


私の名前は友希那。

 

今は笹原友希那という名前よ。

 

因みにその前は湊友希那。

 

私はRoseliaというバンドのボーカルを担当していたわ。

でもあの日、滅多に……いや殆どしたこのとのない喧嘩をした。

喧嘩といっても口喧嘩。

相手はリサ、理由は歌詞の中身についての事。

 

その日の私はとても変だったわ。

 

最近は Afterglowの美竹さんが幼馴染の人達と一緒に居るのを見ていない。

 

それとは関係ないけれどその日はとても気が立っていたのね。

 

そしてリサとケンカをしてしまって、そのままスタジオを飛び出してしまった。

 

季節はまだ冬。

 

いきなり飛び出して来たものの防寒具一式をスタジオに忘れて来てしまった私は途方に暮れていた。

 

「……どうしようかしら」

 

私はスタジオに戻ろうか戻らないかを考えていた。そして考えて数分経った頃、私は一人の男子に声を掛けられた。

 

「あの……大丈夫ですか?」

 

「え?」

 

「いや、あの……冬なのにそんな薄着だったので気になってつい」

 

私はここで周りの通る人から度々視線が送られて来ていたのはそういう事だったのかと理解した。

 

そして、この男子はそれを心配して私に声をかけてくれたと……世の中にはとんだお人好しも居るものね。

 

「えっと……宜しければコート貸しましょうか?」

 

「え?」

 

「いえ、別に深い意味はないんですけどそのままだと多分風邪ひきますし……」

 

確かに先程から寒い。

彼は初対面の私にここまで優しくしてくれたのだ。人の好意は受け取らなければ失礼だと考えてコートを借りた。

 

「それじゃぁ……お願いするわ」

 

「はい……蘭出ておいで」

 

「蘭……?」

 

今蘭って……いえ、そんなはずないわ。偶々美竹さんと名前が被っただけよ。……被っただけよね?

 

私はその男子のフードから出て来た生き物に目を疑った。

 

「……にゃーちゃん」

 

「え?に、にゃーちゃん?」

 

はっ!私としたことが取り乱してしまったわ。……それにしてもこのにゃーちゃん、とても美竹さんに似ているわね。髪といいメッシュといい、それに私を見る目も何処と無く美竹さんの目つきと似ている気が……。

 

「気のせいよね?」

 

「はい?」

 

「あ、その……知り合いにとても似た特徴を持ったにゃーちゃ……猫で驚いただけよ」

 

「そ、そう?」

 

そのまま少し話そうと思ったけれど男子の上の蘭ちゃんが男子の頭の上で爪を立てて痛がっていた。

 

「痛い!痛いって!分かった帰る、帰るから許して!」

 

「……フフッ」

 

「あ、そのコート使い終わったらこのベンチに置いておいて下さい。俺よくこの公園来るんで」

 

そう言って彼は去っていった。

 

彼と話した事で少しスッキリしたわ。

なんだかリサと喧嘩したのが馬鹿馬鹿しくなって来たわ。数年も居れば少しは喧嘩くらいするものね。

 

「帰ろうかしら」

 

そう思って立ち上がった瞬間。

突然目線が下がった。

 

「ニャ?」

 

え?近くににゃーちゃんが居るの?

 

私は直ぐ様あたりを見回すが周りにそれらしき者は居なかった。

 

気のせいかしらね。

 

「ニャ〜」

 

やはりにゃーちゃんの声だ。

私は不思議に思い携帯を確認しようとする。けれど、携帯が異様に大きい事に気付いた。

 

おかしいわね……そこまで大きい筈はないのだけど……

 

私は暗い画面で自分の姿を確認すると驚きが隠せなかった。

近くににゃーちゃんが居たのではなく、私が猫になっていたのだ。

 

「ニャー!」

 

なんて事、こんなにも可愛らしいのに撫でられないなんて!!

 

と、考えているよりも体が寒い事に気づき近くの段ボールの中で一晩過ごす事になった。

 

朝起きると自分の体は昨日のままで、本当に猫になった事を理解する。

 

どうしようかしら、このままでは凍えてしまうわ。

 

そんな事を考えていた時に彼が……昨日の男子が私を拾ってくれたのだ。

 

名前は笹原冬夜。

 

どこにでも居そうな顔の人だけれど、こんな姿の私にとても優しく……家族として迎えてくれた。

 

だから、私は彼と少しでも長く居るために彼の学校についていく事にした。

 

何故かマスコットになってしまったのは別の話よ。

 

これが私のとある秘密。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ニャ……ニャー!」

 

「ミ、ミャーー!」

 

何故か美竹さんも猫になっていた事にはとても驚いた。

 




最後終わり方変ですみません。これしか思い浮かばなかったんです。


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我が家の猫は風邪を引く

新キャラ出てくると思っていた方すみません、次回登場する予定です。アンケートと感想などでの意見でなんとか決まりました。

それはそうとして今日9/20は私猫又侍の誕生日です。
いわゆる猫又侍誕生祭的なあれです。まぁ、アカウント作った日とは全くの無関係なんですけど……

それはさて置き本編をどうぞ!


「……やっっっっと、終わったぁ!」

 

俺は今、学校から出された大量の課題を終わらせた。こればっかりは体力を消耗するのが激しい。脳内がオーバーヒートしそうなのをなんとか落ち着かせ頭の中を空にする。

 

「……」

 

「ニャー!ニャー!」

 

「ん?友希那どうしたんだ?」

 

というよりいつのまに居たんだい?

 

と、考えている時に友希那が俺のズボンの裾を掴んで何処かに連れて行こうとしている。

 

……可愛い。

 

いやいや、そんな事をしている場合じゃない。友希那がなにかを伝えようとしているのだ。ちゃんと聞いてやらないといけないじゃないか。

 

「友希那、何処かに連れて行きたいのか?」

 

「ニャ」

 

コクンと頷く友希那。

この時はどうしても俺の言葉を理解しているのではないかと錯覚してしまう。

 

そんな事より友希那が俺になにを知らせたいのか気になった。

 

「……友希那、その場所に連れて行ってくれないか?」

 

「ニャー!」

 

すると友希那は付いて来いと言わんばかりに鳴きトコトコ歩き始めた。

 

俺はそれを見ながら友希那が向かう方向に歩いていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

着いた場所はリビングだった。

だが、リビングには別段変わった事はないしそれなりに汚くもない。

蘭や友希那がなにかを散らかした形跡もない。

 

ん?そういえばいつもなら友希那と一緒に居ると飛んで来る筈の蘭が来ない……

 

俺は不思議に思い辺りを見回す。

 

「ニャー!ニャー!」

 

「そこに居るのか?」

 

友希那が鳴いている方向に行ってみると、そこにはとても辛そうな顔をした蘭が横たわっていた。

 

「蘭?!」

 

「ミ……ミャ〜」

 

俺はすぐ様蘭に近づき触ってみる。

少し熱い。しかも声も掠れているように聞こえる。

まさか熱を出したのだろうか。

だが、まだ動物病院に行った事がない為すぐに診察できるわけではない。

 

かといってこのような状態の蘭をそれまで放置出来る自信がない。

 

「……よし、やるか。友希那は蘭を見ていてくれるか?」

 

「ニャ!」

 

まずは体温を測ることから始めよう。

 

猫は人とは違い脇では体温が測れない。

その為取らなければいけない手段は……

肛門に挿入するという方法だ。

これはかなり抵抗があるが、家族の為だ。許してください神様。

 

俺は家の引き出しの中から体温計を取ってきて熱を測る。

 

流石に測るところの説明は省く。

え?何故かって、そりゃ余り説明して居てもいいもんじゃない。

それに今は蘭が第一だ。

 

因みに猫の平均体温は38〜39℃とされている。一応蘭は39.5℃。わずかではあるが、熱が上昇しているのが分かる。

 

次は発熱の経過。

恐らく蘭の状態から察するに午後からの発熱だろう。

午前は俺も下に居て蘭と友希那の相手をして居たのを覚えている。

察するに急に熱が上がったのだろう。

 

「こんなもんか……蘭大丈夫か?」

 

「ミャ〜」

 

先程から辛そうな顔をしていて見ているのが辛い。

友希那も心配しているのか、近くでずっと座っている。

だが、風邪がうつってしまったら元も子もない。

 

「友希那……悪いけど今日は少し離れるか俺を挟んで蘭と寝てくれないか?」

 

「ニャ〜」

 

「うん、良い子だ」

 

俺は友希那の頭を撫でると蘭を抱えて俺の部屋に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

先程まで運動していたせいなのか分からないが、兎に角体を冷やして一晩様子を見よう。

 

幸い明日は月曜だが祝日だ。

 

「おやすみ蘭、友希那」

 

「ニャ〜」

 

「ミ……ミャ〜」

 

二匹とも落ち着いたようでとてもぐっすりと眠っていた。

 

「さて、もう一踏ん張りしますかね」

 

俺は蘭の体調を見ながら試験勉強をする事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝になると蘭の熱が平熱に戻りいつも通りの蘭になっていた。

 

「良かったな、蘭」

 

「ミャ〜!」

 

「友希那も、よく面倒見てくれたな」

 

「ニャ〜!」

 

今日は少し遊ぶのは控えて日向ぼっこでもしようかと考えて気をつけて過ごす事にした。




今回少し短くてすみません。



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我が家に来た新たな家族Ⅱ

今回多分低クオリティだと思いますすみません。

さて、いよいよ待ちに待った新キャラの登場です!
タグに追加するのでネタバレ要素は目次を見ない限りないと思います!


「ほぉ……すごいな」

 

俺は今蘭と友希那を連れて夜の散歩に出ている。

流石に夜になると気温がさらに下がりとても寒い。が、そんな事を打ち消す様に空には満天の星空。

 

俺はそれを見てただただ見惚れていた。

 

「ニャ〜」

 

「ミャ〜」

 

すると突然フードの中に居た蘭と友希那がひょっこりと出て来た。

二匹は空を見上げるなり物凄い目をキラキラさせていた。

 

フフッと少し笑ってしまう。

 

やっぱり、猫でもこういうのは見惚れるのか。なんて思ったが、余り口には出さないでおこうと思い散歩を再開した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから約数分俺は公園のベンチでココアを片手に蘭と友希那を撫でていた。

蘭と友希那は案外寒いのには耐性がある様で、なかなかフードの中に戻らない。

 

前回の風邪の件で色々とヤバかったし定期的にフードの中には入れている。

 

「……ん?」

 

俺はふと蘭と友希那が捨てられてあった段ボールを見つける。

しかも、何か中でうごめいているではないか。

 

俺は恐る恐る近づき中を覗く。

するとそこには…….

 

「ニャァ!」

 

「……はぁ、またか」

 

新たな猫が居た。

 

今度は説明が出来ないほど厄介な猫だ。

そもそも髪?毛?分からないがあるのは分かる。分かるのだが、それが耳なのかそうでないのか分からない。

 

最近の猫ってここまで進化したのかな?

 

いやいや、そんなはずはない。ただ今回の猫が特殊なだけだ。

うん、そうだそうに違いない。というかそう考えないとやっていけない。

 

「……」

 

「ニャァ?」

 

「……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「結局こうなってしまったか」

 

俺はあの後直ぐにその猫を抱き上げそのまま家に直行した。

案の定帰宅中で蘭と友希那に物凄く攻撃された。

痛いけど、心配してくれているのだと考えてそこら辺はなんとか乗り切った。

 

そもそも三回目となると流石に迷わなくなって来た。

 

だってもう捨てられて俺が拾うの確定みたいな感じになって来てません?

え?違うの?アッハイ。

 

なにがともあれ拾って来たのはしょうがない。もう諦めよう。

 

「にしてもどうするかな……」

 

話は変わるが俺はこの猫の名前を考えている。

今回は分かりやすく紙に書いてみたのだが、俺にとってこいつらの良い名前が分からないため下手にチョイスすると流石に悪いと感じてしまう。

 

「よし、この中で何か良い名前はあるか?」

 

「………ニャァ!」

 

俺が紙を差し出して見せた結果、香澄という名前に決定した。

これは余談だが、一応思いついたのを片っ端から書いているだけなので名前に特に深い意味はないが本人が良いのであればそれに誠意を持って答えるべきだ。

 

「そっか……よろしくな香澄」

 

「ニャァ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜。

 

「なぁ、本当にやらなきゃダメなのか?」

 

「ミャ!」

 

俺は絶賛蘭と友希那にお説教をされている。猫だからなにを言っているのか分からないが、兎に角圧がすごいのだ。圧が。

俺はそれを瞬時に感じ取り直ぐ様蘭と友希那の前に正座をしている。

 

香澄はと言えば夜空を窓からずっと眺めている。

うん、星が好きなんだね覚えておこう。

 

「「ミャ!(ニャ!)」」

 

「はい!」

 

うん、やっぱ怖い。

 

あれ?猫ってここまで圧凄いっけ?

俺はよく知らないから分からない。

 

兎に角ご機嫌を取らないと何かしらされるというのは目に見えている。

 

よし、こうなればアレを使うしかない。

 

「よ、よければ今日お二方は俺の服の中で寝ませんか?」

 

「ニャー!」

 

「ミャー!」

 

意外とアッサリ機嫌が取れて安心。

 

その日の夜は俺の肌に直接毛が当たって逝くかと思ったね。

マジで、アレは俺じゃなきゃ逝ってたな。

 

またまた香澄はというと俺の横でグッスリと寝ている。

 

うん、マジでいつか俺に不幸の槍が沢山降ってくるきがする。

 

そんな事を考えながら俺は寝る事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝起きると何故か足が震えていて何故かなと思って考えたら、

そう言えば先生に報告しないといけない事を完全に忘れていてマジで後悔した。

 

「本当は電話で話そうと思ったのに……」

 

なぜそう思ったというと、先生の声がそこまでよく聞こえないからだ。

 

「はぁ……災難だ」

 

こうして俺はまた絶望感を抱くと同時に新しい家族を迎えた嬉しさが朝になって実感できたのであった。

 




新たなアンケートをそろそろやるので見た後でもチェックしていただけると嬉しいです。

あと、私のリアルフレンドがこのサイトで投稿を始めたようでそちらも良かったら見てみて下さい。

https://syosetu.org/novel/202578/


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我が家の猫は留守番をする

今回は短いですごめんなさい。

報告ですが、なんとこの「我が家の五匹の小ちゃな家族」のお気に入りが五百人を突破しました!いやぁ、有難い限りですね。
しかもUAが二万を突破しました!これも皆さんのおかげです!

これからも頑張って行きますので応援宜しくお願いします!

それでは本編をどうぞ!


 

「はぁ……参ったな」

 

突然で悪いが、俺は今超絶やばい状況下に立たされている。

それは……その状況とは。

 

「なんで今日に限って……買い物に誘われるんだよぉ〜」

 

そう、その状況というのは買い物に誘われたという状況だ。

普通の人から考えればそんなのは大したことはないと考えるのだろう。

だが、今回誘われた買い物の場所は近くに新しくできたデパート。

まぁ、イ●ンと考えて貰って大丈夫だ。

 

そこまではいい。

 

だが、問題はここからだ。

 

ペットの持ち込みは禁止。

それが俺にとって重大な事である。

一応ペットショップでは店内に入る事は許されているが、そこ以外では全くペットが居れる様な空間はない。

 

だから、今こうして悩んでいるという訳だ。

 

「どうすっかなぁ……」

 

別に行っても良いのだが、問題は蘭達だ。

蘭達は……特に蘭と友希那は置いていかれるとすぐに拗ねる。香澄はまぁ、どちらかというと離れようとはしないが基本的に日向ぼっこをしている事が多くあの二匹と比べるとそこまで気をつけなくても済む。

 

だが、考え続けかれこれ三十分。

そろそろ決めなければならないが本当に悩む。

 

するとドアの方から蘭と友希那、そして香澄がやって来た。

三匹はこちらにすり寄ってくる訳ではなく行っても良いよと言わんばかりに鳴いた。

 

「ミャ〜」

 

「ニャ〜」

 

「ニャァ」

 

「ははっ、そうか。……よし、決めた」

 

俺は早速意見を固めると部屋に行き出掛ける支度をする。

支度はものの数分で終わり玄関まで来た。

すると三匹が見送りに来てくれたので一人ずつ頭を撫でる。

 

「それじゃぁ行ってくるな」

 

そう言い残し俺は待ち合わせの場所へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガチャっとドアが閉まる音を確認すると私は軽く伸びをする。

 

「行ったわね冬夜」

 

「そうですね湊さん」

 

「蘭ちゃん!友希那先輩!一緒に日向ぼっこしません?!」

 

相変わらず香澄は元気だ。

と言っても、私も猫になってからは大分自由には過ごしている。

勿論湊さんだってそうだ。

 

最近は私達がずっと冬夜の近くに居たりしてあんまり出掛ける事が出来ていなかったから、今回は私達で留守番をする事にした。

 

「……それにしても香澄は慣れるの早いね」

 

「そうね……私は馴染むのに少し時間がかかってしまったもの。戸山さんには、何かしらの適応力があるのかも知れないわね」

 

成る程それはあり得るかも知れない。

 

それにしても香澄はまた日向ぼっこして居る……飽きないのだろうか。

まぁ、日向ぼっこが気持ちいいのは分かるけど……

 

「美竹さん私達も日向のほうに行きましょうか」

 

「……そうですね」

 

こうして私達は香澄がいる方向へ向かって行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ……久し振りに買い物なんかしたから疲れたわ」

 

にしても大分買ったなぁ。

だいたいが蘭達の為なんだけど。

それはそうとして三匹は大丈夫なのだろうか。

その不安感だけが俺を支配する。

 

ようやく家に着き急いで鍵を開けて中に入る。

 

「ただいま〜」

 

俺がそう呼びかけても何も聞こえない。

俺は蘭達の身に何かが起きたのかと思いリビングのドアを開けると、そこには……

 

「はぁ、良かった」

 

「「「……」」」スゥ……スウ……

 

気持ちよさそうに寝ている三匹の姿があった。

俺は安心感と可愛さのダブル攻撃を喰らい瀕死の状態になった。

 

「お疲れ様、みんな」

 

俺は一声掛けると台所に立ち料理を始めた。

 

今日は何を作ろうかな

 




今回は珍しい蘭ちゃん視点を入れてみました。



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我が家の猫は本を読む

最近短くてすみません。

それでは本編をどうぞ


「……」ペラッ

 

「「「……」」」ジー

 

読みづらい。

 

ただ今学校から無事(香澄の事で物凄く怒られたけどね)帰宅して買ったまま溜まっていたラノベの消費をしている。

 

溜まっているとはいえたった三、四冊。

しかもシリーズが全て違うときた。

それでも面白いから読んでいたんだけど、先程から三匹の視線が辛い……

 

俺は一度読んでいたラノベに栞を挟み横に置く。

 

「……読みたいのか?」

 

「「「………」」」コクン

 

三匹はほぼ同時と言って良いほどに頭を縦に軽く振る。

一瞬だけでも赤べこだと思ってしまった俺を殴りたい。

 

俺は一旦ベッドから起き上がり本棚へ向かう。

まぁ、どうせ読めないだろうけど一応読みたがっているし見せるだけ見せておこう。

後々拗ねる人も居るし。

 

俺は手頃な本を取り出して三匹の前に置く。

 

「三匹仲良く読むんだぞ?」

 

「ミャ〜」

 

「ニャ〜」

 

「ニャ〜ア」

 

うん、可愛い。

やっぱコイツらを眺めていても全然飽きる気配がない。もしかしたらずっとみてられるかも……いや、済まん。盛りすぎた。

でも長い時間見ていられそうだから良いんだよなぁ。

 

俺は再度ベッドに寝転がりラノベを読み始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから小一時間ほど経っただろうか。

俺は四冊目に手を伸ばそうとしたら、床の方からパタンという本を閉じる音が聞こえて来た。

 

「え?」

 

「ミャ〜」

 

読み終わった?いや、まさか。

そんなんだったらテレビに出放題だぞ?どっかの足し算できる犬みたいに出演しちゃうんだぞ?

 

「マジで言ってんのか……」

 

「ミャ〜」

 

すると三匹はまた新しい本を見せてくれと言わんばかりにこっちを見た。

なら……これならどうだ!

 

俺はとっておきの本を差し出すと腹が減ったので下に降りる事にした。

三匹は(特に蘭と友希那)珍しく俺にピッタリと付いてこなく、本に見入っている様だ。

だが、その姿も可愛い。

 

「ま、それもそれでいいか」

 

俺はカップ麺を片手に下へと降りて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ごめんってば」

 

「「「………」」」フン!

 

どうしてこうなった……いや、まぁ理由は分かるんですけどね?あの、渡したとっておきが俺が今まで読んできて一番怖かった物を差し出しましたから。

本当に読めてたんだったら怖がるんじゃないかと思って渡したんだけど……

 

「本当に読めたのね」

 

そのため物凄く怒っているのが分かるが、怖い本を読んだ後だからなのか全く持って離れようとする気配がない。

 

もし俺が立って移動しようものなら、足にしがみつかれる。

 

だが、その光景も可愛い……

 

「ハッ!俺は最近頭がおかしい方向に考えがシフトしている様だ。いかんいかん。」

 

「「「………」」」

 

止めてくれ!そんな目で見ないでくれ!

俺が悲しくなるだろ!

 

と、まぁその後蘭達の相手をしているうちに三匹ともお眠になった様で俺が胡座をかいている中に入って来た。

三匹ともやっぱ可愛いなぁ寝顔。

 

「どれ、俺も一眠りするかな」

 

俺は日がよく当たる場所に三匹を抱えて移動して俺も横になり目を瞑って眠りに落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれからどれくらい時間が経っただろうか。眠りから覚めるとまだ三匹は寝ているが、外は薄暗くなって来ている。

 

時計を見ると針は6:30を示している。

 

どうせ買い物は先週済ませているし大丈夫だろうと考えて、

もう一眠りしようと思ったが、まだ読んでいる途中のラノベを思い出し部屋に戻って続きを読んで時間を潰した。

 

そのあと三匹が部屋に突入してきて俺の腹にダイブして来たのは別のお話。

 




感想評価が増えてモチベが上がってきました。

これからもよろしくお願いします


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我が家の猫のとある秘密Ⅲ

遅くなってしまい申し訳ない。

一応彩ちゃんの前に投稿しておくんで宜しくお願いします。


私の名前は香澄。

 

正確には笹原香澄かな。

 

前の名前は戸山香澄。

 

Poppin'party、通称ポピパって言うバンドのボーカルなんだけどね。

ある日みんなとバンドの練習をした後帰る時に階段から滑っちゃってもうダメだって思ったら猫になっちゃってたの。

 

元々猫みたいっとは言われてた気がするけど本当に猫になるなんて思ってなかったから慌てた。

 

突然慌てたせいか、迷ってしまって寒い外を歩き回ってやっとの思いでダンボール箱を見つけて寒さを凌いでたの。

 

その時に彼に会った。

 

「……」

 

最初は無言でこっちを見て来て居たから怖かったけどすぐに私を抱えて家に連れて行ってくれたの。

 

彼の名前は笹原冬夜。

 

私の命の恩人。

 

しかも家には友希那先輩と蘭ちゃんが居たの。

 

そういえば最近見かけないと思ったらここに居たんだと思って、それと同時にみんなは気付いて居ないのかな?なんて思ったりした。

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜は少し寝付けなかった。

 

有咲達の事が心配だったのもあるけど夜空がとっても綺麗だった。

 

満天の星、綺麗に浮かぶまん丸のお月様。

 

私はここでもキラキラドキドキする感覚に陥った。

 

けどベッドの方から声が聞こえて来た。

 

「どうしたんだ香澄、寝れないのか?」

 

「ニャァ」

 

冬夜君だ。

 

わざわざ起きて私を抱き上げてくれた。

 

彼の胸はとっても暖かい。

 

キラキラドキドキする時みたいにこころがそれだけの事を考えてしまう。

 

なんだか友希那先輩と蘭ちゃんになにか言われそうだけど、今夜位は私が一緒に冬夜君と居ても良いよね?

 

そこから数分程冬夜君と星を眺めて居た。

 

私は冬夜君の言葉は分かるが冬夜君が私達の言葉を理解する事は出来ない。

 

とても不便な物だと、再認識した。

 

でも冬夜君は、星の事を私に色々と教えてくれた。

 

その後は直ぐに冬夜君の近くで寝る事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝になると友希那先輩と蘭ちゃんがくっついて居てあんまり一緒には居られない。

 

けど、日向に居るのは中々気持ちが良い。

 

少し経つと冬夜君が私達のご飯を出してくれる。でも、ご飯といってもキャットフード。

 

でもこれが中々美味しかった。

 

その後は冬夜君のフードの中に三人で入って冬夜君が学校に着くまで友希那先輩と蘭ちゃんが冬夜君の事を色々と教えてくれるのと色々と雑談をした。

 

学校に着くなりすぐに職員室に向かい先生になにかを話していた。

 

なにかと思い考えて居ると冬夜君から呼ばれて顔を出してみると先生らしき人達の視線が私に集まって居て驚いて隠れてしまった。

 

あとで聞いたけど友希那先輩と蘭ちゃんはこの学校のマスコット的な存在らしく、今日から私もそのマスコットの一員なのだと言う。

 

 

ご飯の時間になると教室に一斉に人がなだれ込んできて撫でられたりしてとても大変だった。

 

友希那先輩と蘭ちゃんはもう慣れたらしくされるがままだった。

 

その状態が数分続き、その後は冬夜君が追い払ってくれてゆっくりご飯を食べる事が出来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

でも、よく考えてみるとこの生活はいつか終わりを迎えてしまうのだろうと分かってしまう。

 

たとえ猫であれ別れは絶対にある。

 

だから私は冬夜君と少しでも長くいられる様に友希那先輩と蘭ちゃんに、負けないくらいくっついて行こうと考えた。

 

 

 




報告ですが、お気に入りが810とか言う汚い数字になって居ましたが数日で866に行って居たので嬉しかったです。

これからもよろしくお願いします


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我が家の新たな家族Ⅲ

我が家の猫のとある秘密(香澄編)は少々お待ちください。

さて今回はまん丸おyおっとここまで言ってしまうと楽しみがなくなりますかね?

それでは本編をどうぞ


 

「はぁ……疲れた。今日もおつかれ蘭、友希那、香澄」

 

「ミャ〜」

 

「ニャ〜」

 

「ニャ〜ァ」

 

ただ今俺と三匹で学校から帰っている。

 

それにしてもこの三匹の人気は衰えるどころか急上昇。三匹だけでなく俺も疲れる始末だ。

 

でも、一番こいつらと一緒に居て支えたり支えられたりしているのは俺だ。

 

だから、少し辛くても弱音を吐いちゃいけん。

 

その日はちょいとした気まぐれで、公園に寄る事にした。

 

そろそろ十二月が終わるという事で徐々に暖かくなってくるそうだが全くそうは感じない。少なくとも二月には暖かさを取り戻すのではないかと考えている。

 

「ううっ……寒っ」

 

俺も寒いがフードの中に居る三匹も寒そうだと思い軽く通り過ぎようとした時。

 

「ミ、ミャ〜ァ」

 

「ん?」

 

ふとあの箱から鳴き声が聞こえて来た。

いやまぁ、なんだかそろそろ察して来ちゃってるんだけどね。

 

今度はどんなものかなとか、もう考えている時点でもう一種の病気だと考えた方が良いのだろうか。

いや、そう考えた方がいいな。

 

よくよく箱の中を覗いてみると小動物が置いてあるのが見て分かる。

 

「どれどれ………え?」

 

「ミ、ミャーァ」

 

うん、猫なのは分かったよ。

 

もう諦めた。

 

それまでは良い。

 

けどさ?なんで毛がピンクなのかな?

普通に考えてピンクの毛をした猫なんて見たことないよ?というか、そもそもそんな猫存在すらしてないだろ。

 

これはこれでとても珍しいのだが、ここまで来ると反応に困るというかなんと言いますか………もうどうでも良いや

 

思考停止

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………結局こうなるんだ」

 

俺は家にその猫を連れて来ていた。

うん、無意識だからね?流石に前の二匹みたいに視線に耐えられなかったとかそんなんじゃないから。

 

……はい、視線に耐えられませんでした。

 

「……それにしてもお前ら仲良くなんの早いなぁ」

 

特に香澄、なに?初対面じゃないの?そういう事だったら俺怖いよ?

 

でもまぁ、仲良く暮らせるんなら良いんだけど。それとさっきからもう一つ気になってることがある。

 

「あの……蘭さん、友希那さん俺何かしましたか?」

 

「「ミャ(ニャ)!!」」

 

「ちょ痛い!痛い!誰か助けて!」

 

あ、この家俺と猫達しか居ねぇじゃねえか。終わった。

 

てかほんとに痛い。

なんでさっきから引っ掻かれたりかまれたりしなきゃいけないんだよ。と言うより中々猫が噛み付いた時って痛いのな。

 

「って、名前名前」

 

そういえばこの猫パスパレの丸山彩に似てる様な………なんなら似てるから彩で良いのかな?

 

試しに呼んでみよう

 

「あ、彩?」

 

「ミャ〜ァ!」

 

あっ、やっぱ気にいるんですね。

 

気がつけば蘭と友希那の攻撃も止んでお眠りになっていた。ついでに香澄も。

 

「彩は寝なくても良いのか?」

 

「ミャ〜ァ!」

 

「おっ、やっぱ元気あるなうちの猫」

 

その後彩と遊んでいたら起きた三匹も乱入して来てメチャクチャ遊びました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜?そりゃもうモフモフが凄くて快眠だったね。

それでも先生に連絡するのを完全に忘れていてまた叫んでいたのはナイショ。

 




皆さん誤字報告とても有難いです。


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我が家の猫は炬燵で丸くなる

少し空いてしまいましたがご覧下さい。


突然だが、みんなは炬燵は好きだろうか?

 

勿論俺は好きだ。

 

もう中毒というか抜けられない罠と言いますか……兎に角厄介な代物だよね。

だって冬になって炬燵を出すと高確率でみんな集まってくるんだもの。

 

それはうちも同じようで、今年はちょっと賑やかな集まり。

 

「う〜、寒っ」

 

朝からこの調子でようやく炬燵を出す事に成功した俺は軽い勉強道具とココアを持って炬燵に入る。

 

……やっぱ温いわぁ。この気持ちみんなもわかるだろ?

 

だが、少しばかり足に違和感がある。

なんと言えば良いのか……例えるなら何かが足に擦り寄ってくる感じというかしがみ付いていると言うか。

 

試しに俺は布を捲ってみる事にした。

 

するとそこには俺の足の周りを囲むようにして我が家の猫達が丸まっていた。

 

この時俺は初めて『猫は炬燵で丸くなる』を目の当たりにした。

 

「さっきから見かけなかったのはここに居たからか……」

 

そう、炬燵を準備してスイッチを入れた辺りからいつもしがみ付いたりなんだりしている猫(主に蘭と友希那)が、居ないと思ったらスイッチを入れた時に中に入っていったのか。

 

流石に寒いとくっ付くより暖かい方を優先するのか……まぁ、俺もそうなんだけど。

 

今日は休日、とことん勉強しようとは思うが炬燵の睡魔には勝てる気がしない。

 

「でもまぁ、やりますかね」

 

俺は教科書などもろもろを開いて勉強を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから二時間程経過した。

 

流石に炬燵に入って暖かい空間にいるとは言え腹は減る。こうなれば炬燵から出てカップ麺を食べるしか飢えを凌ぐ方法はない!

 

そうとなれば俺はそそくさとテーブルの上を片付ける。

 

片付けてると何やら足を引っ張られる感じになったので、炬燵の中を覗く。

すると、足の感じが何なのか直ぐにわかった。

 

蘭達だ。

 

この目は恐らく自分達のご飯も持って来いと言った感じの目だろう。

 

「はぁ……分かった分かった持ってくる。持ってくれば良いんだろ」

 

それを聞いた瞬間全員の顔がパァっと明るくなった。……守りたいこの笑顔。と、こんな感じで俺はあっさりと蘭達の笑顔に負けて俺+蘭達の分の飯を持ってくる事になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ただ今俺は寒い廊下を歩いております。

一般の家庭であれば床暖を使うのだが、俺の場合は節電を心がけて居るので出来れば使いたくないのが本心だが今年は蘭達が居るからどうしようかと悩む所。

 

「……」

 

「ミャー」

 

突然足元から声が聞こえた。

ゆっくり下を見てみるとそこには蘭が居た。

わざわざついて来てくれたのだろうか。

流石にこのまま冷たい床に居させる訳には行かないのでゆっくりと抱き上げる。

 

「ミャ〜」

 

「別にわざわざ冷たい床を歩いてまでついてこなくても良いんだぞ?」

 

すると蘭は別に平気だよと言っているかの様に「ミャ〜」と鳴いた。

 

俺と蘭は台所に着きひとまずカップ麺は後にして蘭達のご飯を作る。

 

因みに茹でた刺身だ。

 

これならカップ麺を待つ時間も出来るし一石二鳥という奴だ。

 

「……よし、こんなもんか」

 

ピピピピッ

 

「お?丁度か。ほら蘭、行くぞ」

 

「ミャ」

 

蘭達のご飯を作り終えそれと同時に俺の飯も出来た。やったぜ。

 

部屋に戻ると蘭以外の全員がきちんとお座りをして待っていたので「ゆっくり食べるんだぞ」と言ってご飯を渡した。

 

全員美味しそうに食べるので此方もお腹が空いて来た。

 

「そろそろ俺も食べよ」

 

こうして美味しく昼食を取った後みんなで仲良く睡眠をしましたとさ。

 

因みに後日床暖を付けたにも関わらず猫達は炬燵に居座っていたので驚いた。

 

恐るべし『猫は炬燵で丸くなる』




感想評価、誤字脱字のご報告の願いします。


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我が家の猫はホラー映画が苦手

みんな今回のイベやりましたか?勿論私は紗夜さんの狐イラスト&衣装が貰えるとの事でやっております。それに友希那さんの狐衣装も貰えるとかまじ嬉しんす。

それでは本編をどうぞ


とある昼下がり。俺は最近TSU●AYAで借りて来た海外のホラー映画を片手に家のソファーに座っている。

 

因みに目の前にはポップコーンやコーラなどの俺の中では映画の定番とでも言えるような品揃えでテレビに向かっているのだが。

 

「お前らそんなに無理しなくてもいいんだぞ?」

 

「ミ、ミャ」

 

なんと我が家の猫達まで見ようと言うのだ。

因みに少し前にホラー小説を読ませた時大変な事になった記憶があるので、出来れば見せたくないのだが、完全に服にしがみ付いていて離れようがない。

 

因みに友希那に至ってはもうガタガタと震えている。が、しっかりと膝の上を保持している。

あ、蘭と争い始めた。

 

それから数分間蘭と友希那が争って居たらいつの間にか全員で争って居たので結局俺が寝る様にしてみる事になった。

 

それにしても腹が温い。

 

「どれどれ……再生っと」

 

さてさて今回借りて来たのは面白そうだからな、楽しみだなぁ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんて思って居たのは約数分、その後はずっと猫達の悲鳴を聞く羽目になった。

 

最初はプロローグ的な物で登場人物の紹介やその場所に行く事になった経緯などで、全くホラー要素がなく半分呆れて居たが後々からその場所に行くと次々と怪現象が起きると言った感じの内容であり、その怪現象が中々リアルで所々ビクッとさせられた。

 

俺は少しビクッとなっただけなのだが、蘭達が声にならない叫びをし出したり顔にしがみついたり服の中に入ってくるわでもうなんだか鬱陶しいのと温いのとモフモフが一気に来て嬉しいのか嬉しくないのか複雑な気持ちになった。

 

が、俺に全員しがみついて安心したのか眠ってしまいその後はゆっくり見る事が出来た。

 

因みにゆっくり見れたのは映画の後半だけである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜、俺はトイレに行きたくなりベッドから抜け出してトイレに行った。

 

「ふぅ……スッキリした……っておわっ!」

 

俺がトイレから出てきたらいきなり足に重りがついた様な感覚になり足元を見ると四匹全員がプルプル震えて目は泣きそうになりながら俺の足にしがみついて居た。

 

「全く……そんなんになるんだったら見なければ良かったんじゃないのか?」

 

俺はゆっくり全員を足から剥がして彩と香澄を肩にのせ、友希那と蘭を腕に抱えて部屋に戻った。

 

付け加えて言うと、その夜は全員が俺の布団に入って来てモフモフで逝きかけたのはナイショである。

 

そして、今日で分かったのは蘭達が居る場所ではホラー系は止めて置いた方がいいと言う事を改めて実感した。




今回短めでスンマセン


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我が家の猫のとある秘密Ⅳ

皆さんハロハピ生放送見ました?Roseliaとリゼロコラボですよ?

神としか言いようがなくて発狂しましたね。クリスマスイベもあるのにリゼロコラボで石全部砕く事になりそうですね……友希那さんの衣装が完全にエミrゲフンゲフン……いえ、なんでも。

因みに予想ですが紗夜さんはレム衣装だと思います。
本当にそうだったら逝きますけどね、私

さて、長々と話してしまい申し訳ないです。それでは本編をどうぞ!


私の名前は彩。

 

正確には笹原彩。

 

前の名前は丸山彩って言います!私はアイドルバンドPastel*pallet、通称パスパレのボーカルをやってました。

ある日私はいつも通り次のライブに向けて一人で練習したんだけど、頑張り過ぎちゃって倒れちゃったの。

 

あー、またやっちゃったんだなー。

 

なんて思ってまた千聖ちゃんに怒られると覚悟したのも束の間。

 

直ぐに目が覚めたの。

けど、異様に視点が下がっている事に気付いて近くにあった鏡を見てみるとそれは驚いた事を覚えてる。

 

何故なら目の前にはピンク色の毛をした猫……もとい私が居たの。

 

何故瞬時にそう判断出来たのかは、近くに私の服だけが置いてあった事で直ぐに分かった。

 

その後どうにかして連絡しようと思ったら、その時間は生憎スタッフさん達が居なくてスマホの充電も切れていてどうしようもなかった。

 

そしてなんとかして外に出たのは良いものの、今の季節は冬。

外の気温は氷点下までは行かないものの、とても寒い。

 

兎に角何処か寒さを凌げる様な場所を探さないといけないと思って近くの公園に行った。

するとそこには幸運にもダンボール箱が置いてあり中には毛布があった。

 

猫が捨てられていた様な痕跡もあり、それに気付けなかった事を悔やみながらも丸くなって目を瞑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数時間後、目の前に学生さんが通った。

その学生さんは猫をフードの中に入れており、とても懐かれているのが分かる。

 

ここで待っていると凍えてしまう。

 

そう考えると助けを求める様に鳴いた。

 

「ミ、ミャ〜ァ」

 

すると学生さんは此方に気付いて此方に来てくれた。けれど、何故か私を見た瞬間固まってしまった。

 

少し経つといきなり私を抱き上げ、走り始めた。

私はどこに連れて行かれるのか心配だったが、着いたのは学生さんの家らしき場所。

 

中は暖房が付いておりとても暖かい。

そして学生さんは私にご飯をくれた。

とても、とても暖かい感覚に陥った。

けれど、その感覚は悪いものではない。

 

私はその学生さん……笹原冬夜くんに前の名前と同じ彩と名付けてもらった。

 

由来は丁度テレビにパスパレが写っており、私を見て名付けたらしい。

本人なんだけどなぁ……なんて思ったりもした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後はこの家に蘭ちゃんや香澄ちゃん。そして友希那ちゃんもいる事が分かり全員名前は冬夜くんが付けたらしいけど、全員変わらないらしい。

 

この時偶然って怖いなって思った。

 

そしてみんながお昼寝して居る時は眠くならなくて暫く冬夜くんと遊んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

猫になってはじめて感じたのが、猫じゃらしに異様に反応してしまうのはやっぱり猫なんだなって思った。

 

 

 

 

 

 




最後に報告ですが、いつのまにかお気に入り千人以上行ってましたね。
バーの色も赤で埋まりそう……いやぁ、大変申し訳ないんですけど記念のお話はもう少し後になりそうです。ちゃんと百人刻みでやろうと思うんですけどそろそろ千百人いきそうなんで十一話も書かないといけないんですよね……

それとバンドリでフレンドなりたい方はプロフィールの方に貼ってるんで良かったらどうぞ。※これを見てフレンドになろうと思って申請を送る場合、恐れ入りますが今までの作品のいずれかの名前をお入れ下さい。誤って拒否してしまう可能性がございます。

追記
フレンド承認された方は以前の様なコメントに戻して貰っても構いません。

そして新作もボチボチやってるんで良かったらどうぞ

https://syosetu.org/novel/206226/

それではまた次回でお会いしましょう。

次回は花咲川の異空間が?!(出るかも知れないし、違うかも知れない)乞うご期待!


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我が家の新たな家族Ⅳ

お待たせしました。コレでやっとタイトル詐欺から解放されます。

それと報告と私の願望が後書きに書いてあるので是非報告だけを見て行って下さい。

それと今回めっちゃ短いです。許して下さい。


今日も今日とてお散歩中。

 

今は十二月半ば、とても寒い季節に入って来た。まぁ、一月はもっと寒いんだけどね。

 

とりあえず今日は全員をフードに入れて……なんて事は出来ないので彩と香澄をフードに入れて、蘭と友希那は俺の腕の中でうずくまって居る。

 

散歩ってなんだっけ?

 

まぁ、軽い運動にもなるから良いんだけどさ。

 

そんなこんなで今日の散歩は終了して、ただ今家に向かっている途中である。

 

いつも通り公園に立ち寄ったが猫はおらず、安心して今日も暮らせると少し楽な気持ちで家に帰った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんて事も束の間。

 

「ミャォ〜!」

 

「…….はい?」

 

家の玄関に一匹の猫が座っていた。

毛の色は金というなんともセレブが飼って居そうな猫だ。

 

というかなんで家の前に?とか思ったが、蘭達が反応して懐かしむ様な感じになっていたので拾われる前に会ったのかと思い寒い外に置いておくのもあれだから家の中に入れる事にした。

 

「さて、この流れだと俺が拾って飼い主になる流れだが……名前はどうしたものか」

 

え?気が早い?だってなんかもう一連の流れみたいになっちゃってるやん。

 

もう逃れ様の無い運命的なあれじゃん。

 

なんて考えるのは諦めて猫を抱き上げる。

こうなってくると蘭と友希那の攻撃を喰らうのが一連のパターンだが、俺はそんな攻撃はもう食らわないぜ!

 

シュッ!

 

「あまい!」

 

瞬間三つの赤い線が左右の頬に浮き出て来た。

もうコレはお察しの通り引っ掻かれたと察して

もがく様にのたうち回る。

 

「いっ……てぇぇぇぇぇ!」

 

やっぱコレは慣れないんだよな……しかも今回めっちゃ強くないですか?俺なんか悪い事したの?絶対してないよね?ね?

 

「って、こんな事やってるんだったら名前考えろって話なんだけど……」

 

俺は再度猫を見てみる。やはりどこかセレブ感を醸し出して居る……だが、香澄と似ていてとても元気が良い。なんだろう……見てるとこころが癒されると言うか……ん?こころ?

 

「こころなんてどうだ?」

 

「ミャォー!」

 

お?気に入ったんだな。うん、なんとなく分かってた。家の猫は何故か人っぽい名前を付けられると反応するとか言う特殊な猫だもんなぁ……。と、そんな事をするより夕飯の支度をしなければいけない事を思い出してキッチンに向かう。

 

「今夜はどうすっかな……」

 

新しく家族も加わった事だし、いつもは出せない様なものをアイツらに出そうか。なんて考えるとつい夢中になって多く作ってしまった。

 

「コレは明日の弁当行きになるかなぁ……」

 

と、少し作りすぎた事を反省しながら全員で楽しく食卓を囲み食事をした。

 

その夜は最近恒例化して来て居る寝床争奪戦が繰り広げられていたのは違う話。

 

因みに蘭とこころが寝床を勝ち取っていた。

 

その夜は何故か眠るに眠れなかった。

 

そこで俺は目を閉じながら少しある事を考える事にした。

 

蘭達の事だ。

 

恐らく……いや、必ず来る逃れられない現実。別れ。コレはどう足掻いても変わらないのだろう。

 

蘭達は捨て猫で俺は拾い主。一時の飼い主というだけで、本当の飼い主は俺ではなくいつかは違う人になるかもしれない。

 

はたまた俺が本当の飼い主になるかも知れない。

 

それはまだ誰にも分からないコレからのこと。

だが、蘭達がどう判断してどう行動するかにもよる。

 

コレは、俺の問題でもあり蘭達の問題でもある。

 

だから、いつかその問題と向き合う日までは………蘭達と過ごす一日一日を大切にして行きたいと思う。

 

 

 




はい、まずはご報告からさせていただきます。
この度この作品はお気に入り登録者が千百人を突破しました!
コレも皆様のおかげです。

そしてもう一つ今回とその後二話程出したら、この物語のプロローグ は終了となります。

え?とか思う人も居ると思いますが、コレは全員と会うまでの物語であって本編と言えば本編ですが実際はプロローグに入るのではないかと考えております。

まぁ、別にこれからどうこうなるとかはありませんが本編に入ると他のバンドメンバーが出てくるかも知れないので其処だけはご理解下さい。

最後に私の願望ですが……支援絵ってどうやったら貰えるんですかね?まぁ、人気がないから貰えないだけだと思いますけど……私自身画力が無いんで他の人みたいに挿絵を作るなんて出来ないんですよね……まぁ、気にしないでください。

それと今月の二十日から三十日まで質問コーナー的な物をしようかと考えておりますので、何か普段聞きづらい質問があればこの機会に聞いてみて下さい!

それではまた次回でお会いしましょう!


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我が家の猫は元気をくれる

また性懲りもなくなんとなくシリーズを投稿している今日この頃ですが、今日ついにTwitterを開設しました!

まぁ、あんまり投稿はしませんが……ハーメルンss に投稿するときはツイートすると思います。

それではどうぞ!


「あ"〜本当ムリ、疲れた」

 

俺は月に何回かあるテストをようやく終え、家に帰ってくるなりソファにヤムチャの様に倒れ込んだ。

 

高校のテストとなると通常授業もありその中の数時間を使い数日に分けられてテストが行われる。

 

まぁ、中学の時に全時間使ってテストを受けるよりかは大分楽なのだが高校のしかも受験期間真っ只中というのもありとにかく問題数が多いし難しいしでもう立ち上がれる気がしない。

 

明日のジョーのおやっさんに「立てー!」なんて言われても立ち上がれる気がしない。

 

すると何やら顔にモフモフとした感触が伝わって来た。

 

「ん?なんだ?」

 

目を開ければ目の前に広がるのは五匹の顔。

なんで全員で俺の顔を見てんの?今から顔引っ掻くの?なんか怖いんですけど。

 

「ど、どうしたみんなそんな顔に寄ってきて」

 

そう質問すると蘭が顔から離れて猫じゃらしを咥えて帰って来た。

 

あ、遊んで欲しいのね。

 

俺はゆっくりと起き上がり猫じゃらしを受け取りフリフリと猫じゃらしを使い戯れる。

 

蘭達は猫じゃらしをつかもうと必死に飛んだりして居る。

なんとも微笑ましい事やら。

 

「いいな、お前達は気ままに生きる事が出来て」

 

「「「「「?」」」」」

 

別に今の生活に不満がある訳ではない。

別に蘭達に嫉妬している訳ではない。

 

だが、心配になってしまうのだ。

 

このまま、自分は何もないまま生きて行くのか。

 

はたまた誰にも知られず枯れ葉のように朽ちて行くのか。

 

それが心配だった。

 

モフッ

 

手と足、そして頭にそんな感触が伝わって来た。

 

視線を向けると猫じゃらしにはもう反応せず俺の事を心配そうに見上げる蘭達が居た。

 

「なんだか……心配させちまったみたいだな」

 

申し訳なく思いながらも一匹ずつの頭や喉を撫でる。

 

決まって喉を撫でるとゴロゴロ音を鳴らすのが懐かれている証拠だと伺える。

 

「……こんなんじゃ駄目だよな。よし!お前らが心配しない様に頑張るか!」

 

「ミャ〜」

 

蘭が手に擦り寄ってくる。

このモフモフ感は俺にとってご褒美か何かなの?なんて思ったがそんな事は気にしなくても良いかと思い考えるのを止めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから一時間程、物凄く疲れた。

 

なんでこんなに活発に動けるのか分からない程ガッツリ動くから疲れた……。

 

それでもやっぱり蘭達と遊んだり、寝たりするのは楽しい。

 

嫌な事を忘れさせたり楽しい思い出を作ってくれる。

 

「しかも、こころなんかずっと笑顔だからこっちまで笑顔になるしな」

 

この猫達は個性的だと思う。

 

ツンデレだったり、クール系だったり。

はたまた星が好きだったり、写真に写りたがりだし。ずっとニコニコしているし。

 

でも悪くない。

 

むしろ心地良い。

 

「ありがとな、みんな」

 

「ミャ〜」

「ニャ〜」

「ミャ〜ァ」

「ニャ〜ァ」

「ミャォ〜」

 

全員が元気よく返事をする。

まるで本当に言葉がわかっているかの様な返事だ。けど、そんな訳が無い。

 

そんな事はない、夢のまた夢だろう。

 

でも、もし言葉が通じるのであれば……

 

「いつかは話してみたいな」

 

そんな事を考えた1日であった。

 

 

 

 




新なんとなくシリーズ「おんみょう!」

https://syosetu.org/novel/207280/

是非読んでみて下さい

因みにプロフィールの方にTwitterのやつ貼ってるので宜しくです


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我が家の猫と天体観測

リゼロガチャ、四十連爆死。しかもあこすら出なかった。

後に課金をして引くも、あこだけというとても渋過ぎる結果となりました。

……は?確率アップってなんだっけ?

結局三千円を無駄にしただけって話でした。


"冬"

 

そう言われたらみんなは何を連想するだろうか?

 

雪という人も居ればそれ使って雪だるまと言う人も居る。

はたまた、かまくらであったり年越しの時期でもあると言う人も居る。

 

そんな事も思い浮かぶ中で俺はすこし違う物を一番に連想する。

 

俺が一番に連想する物とは………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ザッザッ、ギュッギュッと葉っぱを踏む音や雪を踏む音だけが俺達が居る空間を支配する。

ある程度進んだ場所で一旦休憩。

 

俺がそこら辺に丁度あった木を切り倒した跡に腰を掛ける。

 

すると、少し大きめのバッグから小動物……この場合は蘭達が顔を出した。

 

しかもチャックの隙間を使ってなんとか開けたものの全員で出るのは難しく、全員の顔だけ出ている状態になっている。

 

「……可愛いなおい」

 

普段思っているだけで、周りに人が居ると危ないから口に出さない事を口にした。

 

何故口にしたかと言われれば答えは簡単。

 

俺が今いる場所は山だからだ。

 

そう、俺が一番に連想する物とは『天体観測』。夏に見るのも良いが冬の大三角を見るのも中々良い物だと2、3年前に気付いた。

 

そして、この時期になると一人で山に登り望遠鏡を眺めていたが今年は違う。

 

我が家の小ちゃな家族も居る。

 

「よし、あと少しだし頑張るとしますかね」

 

「ミャ〜」

 

俺は再び立ち上がり少しの隙間だけ開けてバッグのチャックを閉める。

 

蘭達が誤って落ちない事を配慮した出来る限りのことだ。お陰様でここに来るまでに八回程しか落ち掛けていない。

 

因みに毎回落ち掛けるのが香澄とこころだ。

 

全く危なっかしいったらありゃしない。

 

でも可愛いから許す。

 

そんな事を考えながら山頂まであと少しなので、頑張って歩いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

山頂についたは良いものの、流石冬。山頂まで来ると下より寒いし酸素は微かに薄い。

 

全くそれでも見る価値がある星って良いよなぁ……

 

「ミャ〜」

 

「あぁ、悪い悪い。今出してやるからな」

 

そう言いながらバッグのチャックを開ける。

 

すると全員が一斉に俺の方へと飛び込んできた。

 

まぁ、なんやかんやでこれをされるのに慣れてしまった俺はなんなのだろうと思う時もあるがそれは置いておこう。

 

「お〜、すげぇ……」

 

夜空を見上げるなり言ってしまうこの言葉。

 

去年も同じ事言ってたっけ。

 

「蘭達もちゃんと見とくんだぞ。来年のこの時期まで来れないんだから」

 

「「「「「ミャ〜」」」」」

 

「ははっ!元気いいなぁ」

 

そんな事をしながら戯れあっていると、草むらから音がした。

 

俺はとっさに蘭達をカバンの中に入れた。

 

勿論、蘭達も急いで入って行った。

 

「……」

 

しばらくみがまえて待っていると……

 

ガサッ!

 

「ぷはぁ!」

 

「は?」

 

目の前に出て来たのは予想していた熊などとは違いアイスグリーンの髪と、黄緑色の目をした少女だった。

 

あれ?でもなんだかこの人見た事が……ダメだ、やっぱり思い出せない。

 

ただ言えるのは

 

「綺麗だ……」

 

少女と満天の星空はそれぞれ両方をとても際立て目を奪われる程の光景であった。

 

 




本編要素も少し入れてみたり


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本編
我が家の猫と天災少女


テスト終わってノリノリで書いてたら2000字言ってたんだけど……何気はじめてこのシリーズで2000いったなぁ。

あ、それと今回からプロローグが終わり本編に入りますのでよろしくです。

それではどうぞ。


「綺麗だ……」

 

そう言わずにはいられない程、満点の星空と少女の姿はお互いに引き立て合っていた。

 

蘭達もバッグの中で何やらもぞもぞしている。

 

隙間から僅かしか聞こえないがニャーニャー言ってる。

猫語?だから何言ってるかは分からないが、アイツらはアイツらで猫の事情ってもんがあんのかねぇ。

 

「ねぇ……ねぇってば!」

 

「うぇっ!ゲフンゲフン……なに?」

 

いきなり話しかけられて変な声出たんだけど……てかよく見るとやっぱどっかで見た事あんだよなぁ……

 

「ねぇ!君の名前教えて!」

 

「な、名前?」

 

なんだろう、デリカシーがないのか、ただ知りたくてこんな事をしているのか、はたまた俺の考えを遥かに超えるような思考をしているのか分からないがここは答えるべきなのだろう。

 

「俺は笹原冬夜。十八だ」

 

「わたし、氷川日菜(ひかわひな)!十七歳!君、先輩だったんだ〜。じゃあ冬夜君ね!」

 

「あれ?その『先輩だったんだ〜』はなんの意味があったの?」

 

氷川日菜と名乗る少女はどうやら年下らしいが、喋り方は上下関係を知らない様な喋り方だな。

 

まぁ、変に敬語使われるよりかはマシだから良いんだけど。

 

それにしてもこの氷川ちゃんは熱心に星を見るものだ。

普通の人は「綺麗だね〜」とだけ言うだけ言って実際は雑談がメインとなる人も多いだろう。

 

しかも、この時代にわざわざ山に星を見るだけの為に登る人はもう少ないと思う。

 

あ、これは俺の偏見ね。もしそんな人がいたらやばいから謝っておく。

 

スンマセン。

 

「それにしても、氷川ちゃんはなんでここに?ここにくる人はじめて見たんだけど」

 

「え?あぁ、わたし天文部なんだよね〜。だからこうしてたまに部活動を行ってるの」

 

「へぇ、一人で?」

 

そう聞き返すと「そうだよ!」とはち切れんばかりの笑顔を俺に向けてくる。

 

 

止めなさい。そんな笑顔を男子に向けると皆獣になっちゃうからね!俺だったからいいけど普通の人勘違いしちゃうからね!

 

「まぁ、俺も一人で来てるからなにも言えないんだけどな」

 

「あはは!なんだ、人に言えないじゃん!」

 

そんな感じの話をした後、しばらく星の話をしながら夜空を眺めていた。

 

因みにバレない様にこっそりバッグのチャックを開けて蘭達にも夜空を見せている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで氷川ちゃんは生徒会長ってわけなのか」

 

「そうだよ〜」

 

と、氷川ちゃんと話をしていると氷川ちゃんは何かを思い出したのか、おれの方を見てムスーっとした顔になった。

 

え?俺何かしたっけ?

 

「ひ、氷川t「日菜!」はい?」

 

「日菜って呼んでくれないと返事しない!」

 

そう言ってプイっと顔を背けてしまう氷川t……もとい日菜ちゃん。

 

こうして考える中で日菜ちゃんって言うのは問題ないんだけど、本人に言うとなると流石に気がひけると言うか……

 

でも、返事しないって言ってたし。

 

……よし、言ってみるか

 

「ひ、日菜……ちゃん?」

 

「………」

 

ダメだ答えてくれない。

 

というかさっき会ったばかりのほぼ初対面と言っても過言ではない程の人間に何故そこまで名前を呼ばせたがるのだろうか。

 

すると日菜ちゃんはゆっくりと口を開けた。

 

「わたしね、みんなから天才ってよく言われるんだ」

 

「天才?」

 

「そ、一度見た事は全部覚えたり出来たりするの。そのお陰でテストで満点を取らなかった事はないって位にね」

 

「お、おう」

 

なんだろう。羨ましい様な、煽られている様でムカつく様な……まぁ、羨ましいんだろうけど。

 

「そのせいで天文部は一人だしお姉ちゃんとも喧嘩しちゃって……だからなんにもるんっ♪って来ないんだ〜」

 

え?る、『るんっ♪』ってなに?

 

新手のスタンド使いならぬ新手の用語か何か?

 

なんて思っていたけど、そこからはその才能で色々大変だったという事らしい。

 

「そして、何にも考えなくて済むのがこの夜空を見てる時なんだよね」

 

「成る程、それで?俺に名前を呼ばせる理由って?」

 

「んーとね、なんだかるんっ♪って来るから?」

 

「なんで自分も分かんないんだよ」

 

そんな事をしているとバッグの中から耐えきれなくなったのか蘭達が飛び出してきた。

 

「うおっ!」

 

「え?なになに?」

 

蘭達は俺の膝や近くに立ち日菜ちゃんを威嚇する。(主に蘭と友希那。というかその二匹しかしてない)

 

なんだろうデジャブ感が凄いんだけど……あ、でもあの時は猫と猫の威嚇の仕合だったか。

 

なんて考えていると日菜ちゃんが彩を持ち上げて目をキラキラさせていた。

 

「この猫、彩ちゃんに似てる!」

 

「まぁ、名前は丸山彩ちゃんから取ったからな。理由は似てるからなんだけど」

 

「だよね〜……それにしてもみんな知り合いに似てるなぁ」

 

「へぇ……世の中って狭いんだなぁ」

 

その知り合いの人に見せてやりたい位だよ。

 

「でもその知り合いの子達ね、最近行方不明になっちゃっててわたしも探してるんだけど見つからないの」

 

「そりゃぁヤバいな。名前と顔教えてもらっても良い?探すのに協力するよ」

 

「え?本当に?!ありがとう!」

 

そして日菜ちゃんに写真と名前を教えて貰おうとした時。

 

「クチュン!」

 

「へ?」

 

蘭がくしゃみをした。可愛い……じゃなくて前みたいに熱出されても今は医者なんてやってないからそろそろ帰んないと。

 

俺は全員を抱き抱えてそっとバッグの中に入れた。

 

日菜ちゃんには悪いが今度話をしてもらうことにした。

 

「それじゃぁ」

 

「うん!またね〜!」

 

そう言って俺は足早に下山した。

 

その日は無事誰も風邪を引かなかったが家に帰ったらみんなからの攻撃が酷くて大変だったのはまた別の事。

 




多分誤字あるんでよろしくです。私じゃあ見つけられない

ヤバい、Twitterでの質問コーナーの仕方が分からない……!

という事でTwitterやってる人は適当に質問してくれるかこのサイトの感想で質問を添えてくださると嬉しいです。

期間は大体一ヶ月ですかね?

今日から受け付けますので気が向いたらなんでも良いので質問してみて下さい。※答えれる限度もありますのでそこら辺宜しくお願いします


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我が家の猫と頑張り屋さん

なんだか本編を書くと二千字を軽く超えるんだよね……あんまり長く書くつもりはないんだけど……さて、今回はAfterglowのあの子が登場?!いつも通りツグってるらしいのでご覧下さい!

それでは本編をどうぞ!


今日は休日。

 

つまりゴロゴロ出来るという事。

 

だが今は受験生でもある為、勉学を疎かにしてはいけないのでこうやって昼に机に向かって勉強している訳である。

 

因みに蘭達は邪魔にならない様に配慮しているのか分からないがベッドの上で寝ているのも居れば仲良く遊んでいる奴もいる。

 

ちょっとこころ、そんなにジャンプしないの。

てか高過ぎない?普通に三十センチは軽く飛んでるよね?

 

と、こんな感じで蘭達を偶に眺めながら勉強をしているとぐぅ〜とお腹がなった。

 

「そういやまだ昼食べてなかったな」

 

俺は椅子から立ち上がり階段を降りキッチンに向かう。

 

冷蔵庫の中の食材で適当な物を作って食べようかと思い冷蔵庫を開けると中身はすっからかん。

 

「買い物したのいつだったかな……」

 

ここ最近行った覚えはないが蘭達の飯はちゃんと出しているし、なにも心当たりがない。

 

だが現に今冷蔵庫の中身がないのも確かだ。

 

「はぁ……しょうがない、スーパー行くか」

 

俺はため息を吐きながら渋々スーパーに行く事を決断した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

外に出ると辺り一面雪景色に包まれて居る。

ここ最近降っていなかった雪が昨日の夜に大分降ったからだ。

 

それにしても寒い。

 

流石は十二月、吐き出す息を目で認識できるほど気温が低く路面は滑りやすい。

だが、一月はこれよりもっと寒くなるとの事。

 

「来年は初詣どうすっかなぁ……」

 

そんな事を考えていた時にフードからもぞもぞと一匹の猫が出てきた。

 

蘭だ。

 

元々連れてくる気はなかったのだが、フードの中に無理くり入られたら俺は無理に下ろそうとはしない。

一度無理くり下ろそうとした時に危うくフードから友希那が落ちかけたと言う事件が起きた為現在はこうして諦めて居る。

 

「なんだか久しぶりだな、蘭だけとこうして散歩をするのは」

 

「ミャ〜」

 

俺はいつもの公園に立ち寄りダンボールの中を確認した。

 

「よし、今日も捨てられていないな」

 

ここ最近では蘭達と捨て猫がまたいないかの確認を週三回行っている。

 

けれど、あれ以来猫が捨てられる様子はなくなったので最近は来る回数を減らして受験勉強をしている。

 

俺は近くのベンチに腰を下ろしてフードの中にいる蘭を膝の上に乗せて撫でる。

 

「思えばここから始まったんだな」

 

「ミャ?」

 

思えば、あの日俺がここに来なかったら蘭とは会っていなかったと思う。

 

思えば、こうして家の中が賑やかになったのは蘭達が家に来たからだと思う。蘭達のお陰で俺の孤独な毎日は楽しく、家族が居る毎日に変わった。

 

「もし、蘭がこのダンボールの中に居なかったらどうなってたんだろうな……」

 

恐らく、俺は蘭達に会わなければ昔と変わらない孤独な生活を送っていただろう。

 

だからこそ、この一時を大切にしようと思う。

 

「さて、帰るとするかね」

 

「ミャ〜」

 

蘭を再びフードの中に入れて帰路に着く。

 

だが、その道中に張り紙を貼って居る少女が見えた。

 

その手の中には行方不明者のポスターらしきものが束になってあった。

 

しかもそのポスターを見るとそこには蘭にとても髪が似ている(蘭の場合は髪か毛かわからない)少女が写っており「あ」なんて後ろから声を出してしまった。

 

するとポスターを持っていた茶髪のショートカットの髪型をした少女はビクッと肩を少し跳ね上がらせる。

 

なんだか悪い事をしてしまった気がする……

 

そんな事を考えているとその少女は俺に話しかけて来た。

 

「あ、あの……」

 

「え?あ、あぁ……ごめんねいきなり声なんか出しちゃって。そのポスターの子、家の猫に少し似ててさ……ほら、ペットは飼い主に似るだっけ?もしかしたら飼い主がその子かもしれないから声出しちゃって……ごめん」

 

説明しながら謝るとその少女は慌てて「そんな事ないです!」と言ってくれた。

普通ならこんな奴に「あ」なんて言われたら不審者扱いして、俺は即お縄に着かなければならないはずだ。

 

だが、この子はそれをしない。

 

なんとも優しい子なのだろうと思う反面、マジの不審者に会ったらと思うと心配してしまう。

 

「その……貴方が言っている猫を見せてもらってもいいですか?」

 

不意に少女が言って来たので俺は快く承諾してフードから蘭を呼んで胴体を掴む。

そして少女の前に出すとものすごく驚いた様な顔をしていた。

 

やはりその行方不明の少女が飼い主なのだろうか。

 

「本当だ……蘭ちゃんに似てる「蘭?!」ひゃっ!」

 

「あ、ごめん」

 

家の猫と全く同じ名前って……なんでだろう。

なんとなく人みたいな名前付けたけど本当に蘭って名前の人いたんだ……

 

そんな事はよしとして、家の猫の飼い主がその蘭ちゃんなのかを聞かなければいけないので名前の事はもう止めにして質問をした。

 

「それで、その蘭ちゃんの飼い猫だったりする?……その、家の蘭の飼い主だったり……」

 

「あ、同じ名前だったから叫んじゃったんですね……知ってるのかと思いました。で、でも蘭ちゃんは猫飼ってないって言ってたので多分違うと思います」

 

「そ、そうか……なんか悪かったね。この償いはいつかするから。そう言う事で俺の名前は笹原冬夜。まぁ、道で会ったら気まぐれで話しかけてくれ」

 

「え?あ、分かりました。私は羽沢(はざわ)つぐみって言います。もし、蘭ちゃんを見つけたらこの電話番号に連絡して下さい」

 

そう言って差し出されたポスターを受け取るとつぐみちゃんは他にもポスターを貼らなければいけないと言い残してその場を去って行った。

 

それにしても、可愛かったなぁ〜〜

 

「ミャ!」

 

ザシュッ

 

「目がぁぁぁぁぁぁぁ」

 

なんでだろう。

 

最近攻撃される事が多くなって来た気がする。

ヤバイぞ、この流れは家に帰ったら蘭が友希那とかに報告して友希那達からも攻撃を……

 

「怖っ」

 

そう思いながらも寒いので早足で家に帰る事にした。

 

勿論帰ったら直ぐに攻撃されたけどね。

 

最近は体の至る所に絆創膏を貼っている気が……まぁ、そのあとみんな甘えてくるから許しちゃうんだけどね。

 

※この後めちゃくちゃ遊びまくった

 

 

 

 

 




二人の自己紹介は無理やり感が凄く違和感があると思いましたよね?それは書いていても思いました。スミマセンデシタ。これからはもうちょっと片付けて書こうと思います。


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我が家の猫とポテトさん

皆様お久です。最近は部活、部活、部活で疲れてかけて居ませんでしたが今日やっと完成しました。

今回はポテト欲が全開の回となっております。

それではどうぞ


今日は平日。

 

本来なら学校にいるべき時間帯に俺は今、商店街を歩いている。

 

別にサボった訳ではなく祝日と言うやつだ。

 

まぁ予想通りというか、案の定商店街はいつもより賑やかである。

 

祝日は誰もがゆったりと暮らせる日である。だが、その中には部活やサークルといった忌々しい活動に参加している人も中にはいる。

 

因みに俺は部活には入っていない。だが、流石に少しでも運動しなければいけないという使命感に駆られ散歩と言う日課を作ったのだ。一応散歩は運動の部類に入る……と思う。

 

まぁ、そこそこ体力はある方だとは思っているが。

 

「ニャ〜」

 

「おっと、悪かったな友希那考え事しちまって」

 

それはそうと現在俺は友希那をフードの中に入れて街を散歩している。

 

前の蘭の事がきっかけなのか何なのかは分からないが全員がせがんでくる様になった。

 

今回その座を勝ち取ったのが友希那らしく、他全員が羨ましそうな目で見ていた。

 

いや、羨ましそうな目で見られると流石にこっちも罪悪感を覚えちゃうからね?

 

バーサーカーソウル使って俺を何度も攻撃するのも止めてね?

 

まぁ、結局全員と出かける事にはなりそうなので毎週日曜日は空ける様にしようと決めた。

 

「それにしても本当に人多いな。なんかやってんのか?」

 

「ニャ?」

 

流石に祝日とはいえこれまでにないような人の多さが気になり俺と友希那は辺りを見回し、ゆっくりと人だかりを掻き分け進んで行く。

 

結局、なにかのバーゲンセールをやっていたらしくしかもそこの店がそろそろ店仕舞いするようですごい値段で売って居た為にあれほどまで人が増えたようだ。

 

 

「事故とかじゃなくて良かったな」

 

「ニャ〜」

 

そんな事をしているとファーストフード店を見つけた。

 

そういえばそろそろお昼時だ。

昨日もこんな感じだった気がするが、蘭達の飯は置いて来たので問題はないだろう。

 

だが、しかし友希那をフードの中に入れているとはいえ流石にペットを店内に入れるのはダメだろう。

 

しかし、このまま寒い外に友希那を置いて俺だけ暖かい室内に入るのも気が引ける……しょうがない。

 

「友希那、絶対に外に出てくるなよ」

 

「ニャ」

 

俺は友希那にフードから出ないように指示して店の中に入った。

 

店内ではやはりと言っていい感じに人が集まって居た。

ほとんど座る場所がない。まぁ、こちらは元からここで食べる気はないからそこら辺は安心だ。

 

カウンターに行くと店員さんがいそいそとこちらに向かって来た。

 

これほど人が多ければ流石に回すのも一苦労なのかと同情する。

 

……え?なんでこの人髪の色水色なん?あ、家の猫もピンクだから別に良いか。と、俺は考えるのをやめた。

 

「ご、ご注文はなんでしょうか?」

 

「えっと……ポテトLとコーラM、それとチーズバーガーをお願いします。あ、ピクルス抜いてもらえるなら抜いて下さい」

 

因みにここで言うのもなんだが、俺はピクルスが嫌いだ。

え?そんなのどうでもいい?あっはい。

 

その後は特に何事もなく無事にファーストフード店を出る事ができた。

 

因みに接客の人と会話をしているときに地味に背中が痛かったのは内緒です。

 

####

 

さて、ただ今いつもの公園のベンチに座っております。しっかりと途中で友希那のえさも買いました。

 

「よし、友希那毛布を被ってろよ風邪引くと悪いからな……って外で食うのがダメなんだけど」

 

「ニャー」

 

まぁ友希那に雪景色を見せたかったって事もあるし……ありだよね。

 

友希那の前に猫缶を出して俺もチーズバーガーを取り出す。

 

「いただきます」

 

「ニャ〜」

 

友希那は俺と一緒に軽く鳴くと猫缶を食べはじめた。食べ方はハムスターの様にチマチマ黙々と食べて居て見ているだけで微笑ましい。

 

さて俺が食べているチーズバーガーもまた美味い。俺は食レポ出来るほど出来た人間ではないのでここはあえて言わないでおこう。

 

その後友希那は俺の膝の上で寝息を立て始めて寝てしまった。

 

「ふぅ……そろそろ今年も終わりか」

 

スマホを取り出し時刻と日付を見る。

今日は12/8、まだ来年には20程あるがそれでもあと一月もないと考えるとなんとも言えなくなる。

 

そんな事を考えていると道をふらふらと歩いている女性を見つけた。

 

その女性もまた水色と言えばいいのか分からない感じの髪の色をしていて綺麗なアイスグリーンの目をしているがその目の下には僅かにクマが出来ている。

 

しかも先ほどから小声で「ポテト」の単語をずっと連呼している。

 

これはまずいと思いベンチから少し声をかけてみる事にした。

 

「あ、あの!大丈夫ですか?」

 

「ポ、ポテ……え?あ……だ、大丈夫です」

 

女性は俺に気づくと大丈夫と言ったが、明らかに大丈夫そうではない。

俺は仕方なく先程のファーストフード店で購入したポテトを差し出す。

 

「良かったらどうぞ」

 

「いいのですか?」

 

「はい、買ったはいいんですがどうにもお腹がいっぱいでして……よければ」

 

女性はしばらく考える素振りをするとベンチに来て隣に座り「いただきます」と言って黙々とポテトを食べはじめた。

 

####

 

「そうでしたか……それはなんとも言えないですね」

 

「そうなんですよ。何故あれほどまでポテトを食べたくなったのか……お恥ずかしい所を……」

 

俺は先程の女性もとい氷川紗夜さんと雑談を交えて居た。

 

氷川さん曰く一人でギターの練習をしていたら急にポテトが食べたくなったらしい。

しかも今回が初めてではないとのこと。

 

「それにしても氷川さんはギターをやってたんですね」

 

「はい、ソロギターではなくバンドをやってました。Roseliaというバンドです」

 

「ほえ〜、これまた凄いですね。それで今日は一人で練習を?」

 

「はい、ここ最近バンドのボーカルが行方不明になってしまいまして」

 

へ〜、ん?ボーカルが行方不明?デジャブ感がすごい。

 

うっ!頭が。

 

デジャブがそのまんまならもしやと思い俺は友希那をそっと抱き上げて氷川さんに差し出してみた。

 

「もしかしたらこんな感じの人だったりします?雰囲気的に……まぁ、家の猫なんですけど」

 

「?!……はい、とても似て居ます」

 

「ということは多分名前も似てるかもですね。うちのは友希那って言います」

 

「なんと言えばいいのでしょうか……ボーカルの人も同じ名前でした」

 

あ、やっぱり?

 

もうなんだか分かってきちゃったんだよなぁ、この流れ。

 

そんな事を考えているとだんだんと日が落ちて来ているのに気がついて俺は氷川さんに一礼するとそそくさと家に帰った。

 

####

 

「そう言えば氷川って……日菜のお姉さんか妹さんか?雰囲気的には日菜のお姉さんぽかったけど……それより二日連続で美少女に会えるとは俺もなかなか運がいいなぁ」

 

そんな事を台所で呟いたのが運の尽き、勿論ご察しの通り猫パンチを喰らいました。

 

もう感覚がなくなってきたんだけど。

 

まぁ可愛いから許すけどね☆

 




つ、疲れた……


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我が家の猫と発酵少女

深夜テンションなので許して下さい。それとこのつまらない本編もこれを含めて残り三話となりました。

本編が終わり次第また日常を描くと思いますので気長にお待ちいただけると幸いです。まぁ、時系列ごっちゃになりそうですけどそうならないように努力します。


 

早速で悪いが無性にパンが食いたい。

 

そして金がない。

 

「てか、最近は本買ったり蘭達の餌買ったりだので色々買ったからなぁ」

 

心当たりがいくつも出てくるがそもそも蘭達にやるおやつやキャットフードなどを購入するお金というのは父と母が振り込んでくれているらしいのだがここ最近は仕事が忙しい為あまり送れていないようだ。

 

面倒だから月の初めに一月分振り込んだらどうかと言ったところ『そんな金はない』と、返された。

 

そもそもそんな金はないと言う割に一月分振り込んでくるあたりチマチマ送りたいのだろう。

 

その気持ちは全く理解出来ないけど。

 

 

『ミャ〜』

 

「ん?あ、そういえばみんなの分まだだったな。今出すからまって……」

 

そう言いかけた時。

 

グゥ〜

 

あ、ヤッベ。

 

そろそろ俺も空腹感がやばくて、元々ない語彙力が更に低下しそうなのでひとまず蘭達にキャットフードを与えてそそくさと出かける準備を終えて商店街に向かって歩き出した。

 

 

 

 

 

のは良いんだが。

 

「ニャァ〜」

 

「今回は香澄か」

 

毎度、というか最近恒例の一人と一匹のお散歩タイム。

なんだろう、この流れで行くと残るこころとの散歩は近々になりそうだなぁ。

 

まぁ、温いから良いし可愛いから良いや。

 

兎に角腹が減ってはなんとやらと言うので、早速商店街の店を一通り見て回る。

 

一つ思ったのがこの商店街の人達は有能……なんだか人聞きが悪く感じるから良心の塊とでも言おうか。

 

兎に角お客に対する思いというか何というか……なんか凄い。ごめん、すご過ぎて語彙力がどんどん下がってたわ。

 

「お?あそこの精肉店はコロッケも売ってんのか。あそこは確かつぐみちゃんが言ってた珈琲店……ん?『山吹ベーカリー』?」

 

ベーカリーと書いてあるから当たり前だけど、パン屋だよな?と言うかめちゃくちゃパンのいい匂いが……ヤッベ、もっと腹減って来た。

 

「香澄、ちょっとあそこ寄ってもいいか?」

 

「ニャァ」

 

なんだか香澄も興味があるのかじっと見ているので兎に角入る事にした。

 

そういや猫入っちゃダメか聞くの忘れてた。

 

兎に角、それがダメでも外に待たせるのはあれだから店員さんに聞いてみよう。

 

そうとなれば早速俺は店員さんに話してみる事にした。

 

「いらっしゃいませ〜」

 

「いらっしゃいました〜。すみませんけど、このお店って猫連れて来ちゃダメですか?」

 

「え?別に構いませんけど余りオススメはしませんね。毛がパンに付くかもですし……」

 

あ〜、そっか。でもこのまま香澄を外に放り投げるのはなぁ……あ、そうだ。

 

俺はフードから香澄を呼んで店員さんに差し出す。

 

「パン買うまで少し見てもらっても良いですか?」

 

そう言うと店員さんはキョトンとした顔になり意味を理解すると、何故か笑い始めた。

 

「あはは!お兄さん面白いですね。そもそもいつもお客さんは猫なんか連れて来ませんけど……預けると言う発想は意外でしたね」

 

「だ、ダメでしたか?」

 

「え?あ、いや良いですよ。私も店番してて丁度暇でしたし」

 

俺はそれを聞くと良かったと胸を下ろした。

店員さんが優しくて良かった。普通のお店なら直ぐに追い出されていた筈だろう。

 

やっぱこの商店街の人達は優しい。

 

店員さんの名前は山吹沙綾ちゃん。高校一年生らしい。とてもそうは思えないほどお母さん力が高いが、本人はそうは思っていないらしいのでそこは置いておこう。

 

だが、香澄の名前を教えると少し妙な反応をしていたので少し引っかかるところはあったが気にせず店内を見渡す。

 

沙綾ちゃんは香澄と楽しく戯れている。

 

取り敢えずトレイとパンを挟む奴(トングと言うらしい)を手に取り店内を一通り見る。

 

一つ分かったのが異様にチョココロネの減りが目に見えて分かる。

 

そもそもこのパン屋が人気らしくだいぶ売れているが既に完売しているのがチョココロネともう少しで売り切れそうなのがメロンパンやクロワッサン。

 

チョココロネの減りの早さの理由を聞いたが「あ、あはは……」と言ってはぐらかされてしまった。

 

結果トレイに乗っているのは残り僅かだったメロンパンとクロワッサン。そしてフランスパンなどなど……明日の昼の分としても買っておいた。

 

「これでお願いします」

 

「はい!全部で1500円になります。結構食べるんですね冬夜さん」

 

「いやいや、明日の昼に食べる分もあるからね。それよりこんなに買って大丈夫だった?お店のパン結構人気なのか大分売れてたみたいだけど……」

 

「いえいえ、後からまた焼いておくので大丈夫ですよ」

 

沙綾ちゃんがそう言うならと俺は渋々香澄をフードの中に入れて店内を後にしようとした。

 

すると沙綾ちゃんが後ろから話しかけて来た。

 

いやどこのラブコメ展開だよ。

 

「あの……私の知り合いに『戸山香澄』って子が居るんですけど、今行方不明になってて……もし見かけたら連絡してください」

 

そう言って一人の少女が写っている紙を渡される。この子もまた、バンドをやっているのだろうか。そんな疑問が浮かんだが、そんなことを考えて居ても何も変わらないので俺はそそくさと店を後にした。

 

家に帰宅後、沙綾ちゃんはよくよく考えると結構可愛いかったのを思い出して顔がにやけている所に猫パンチではないが鳩尾に猫ダイブを蘭達にかまされて数分間悶えて居たのは内緒。

 

「うぅ……あ、そういえば明日はクリスマスだっけ」

 

何も起こらないと良いけどなぁと考えながら後に、あれ?これフラグじゃね?と気づくのはまだ先の話。

 

 

 

 




明日は本編ではなくクリスマス回、特に何も起きないよ。うん、トクニナニモオキナイヨ。

トングなんて初めて知りましたよ……やっぱTwitterってすげぇなぁ


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我が家の猫とピンクのクマ

すんません、ミッシェル……もっと出したかったんですけど展開的にちょびっとしか出せませんでしたぁぁぁぁ!m(_ _)mスンマセン。

さて皆さん年明けのドリフェス、なんと限定が三体というなんともビッグな仕様になっていますが生憎私は石が十連分しかないので死ぬ未来しか見えませんが頑張ります。

それでは本編をどうぞ


今、俺はとても悲しい状況下に立たされている。

 

え?大分前は精神的に崖っ淵に立たされてたじゃないかって?

 

はっ、知らんな(分からないひとは争奪戦の冒頭を見てみて下さい)。

 

取り敢えず、俺はとても悲しい状況下に立たされているのだ。異論は認める。

 

さて、全く話は逸れていないが話を戻そう。

 

俺は今外に居る。

 

だが、その場所が場所なので俺はこうして悲しい状況下に立たされているのだが、その場所と言うのが実は……

 

「なんで俺が遊園地なんかに来なきゃいけないんだよ……」

 

そう、俺は今遊園地に居る。

 

因みに一人だ。一人で遊園地に居る。大事だから二回一人って言ったんだからな?

だって悲しいじゃん、一人遊園地。

 

まぁ、みんなは予想付いてると思うけど案の定というかお決まりというか……我が家の五匹の猫達も一緒だ。

 

ダメ元で園内の職員に聞いた所オッケーされた。恐らく、最近友達が勝手に載せた写真のせいで妙にこの猫達の知名度が少しずつ上がって来た事もあるのだろう。

 

ネットって怖いなぁ(小並感)

 

そんな事は置いといて。

 

周りには家族やカップルなどなど、ここの遊園地はこの街でも人気な遊園地なので人も多く集まる。

 

よって一人で来ると言う事は自殺行為に他ならない。

 

なんてこったい。

 

因みにうちの猫達は今回は猫を入れて持ち運び可能なバッグの中に入れて居る。

 

流石に今回はフードに入れるのはダメだろうと思ったからだ。

 

「ごめんな。流石に園内に入って良いって言われてても流石にフードの中に入れると目立つから」

 

『ミャ〜』

 

うっ……罪悪感が半端ないって。なんでそんながっかりした感じで鳴くのさ。俺が泣きたくなるよ。

 

「まぁ取り敢えず遊具はなるべく落ち着いた遊具に乗るから安心して貰って良いぞ」

 

『ミャ〜!』

 

あ、やっぱ苦手なんだ絶叫系。こころはそこまでではなさそうだけど他の四匹はホラー映画とかホラー小説とかをどうやって居るのか分からないけど、勝手に見て勝手に鳴いてるからこれは絶叫系もダメだと思ったがマジなのか?

 

まぁ俺自身絶叫系は嫌いだから良いんだけど。

 

話は変わるが、何故俺がこんな場所に来ないと行けなくなったのか経緯を教えよう。

 

 

 

今から約三時間前。

 

俺はいつも通り蘭達と戯れながらテレビを観ていると家の電話が鳴り、出てみるとなんと両親から。

 

内容は『最近暇してるだろうから遊園地にでも行ってこいw あ、しっかり蘭ちゃん達も連れて行く事。連れて行かなかったら……分かるよね☆』

 

と、母からの言いつけ(脅し)を受け俺はこうして遊園地に居る。

 

うん、めっちゃダイナミックな説明になっちゃったわ。ごめんなさいなんでもしますから。

 

え?なんでもするって言った?ナンノコトカナー。

 

「……」

 

にしても先程から人の視線が痛い。

 

そもそもこんな一人で来なさそうな場所に一人で来ているだけですごく目立つのにそれに加えて、猫が入ってるバッグを持ってるとなると物凄い目立つよね。

 

死にたい。

 

「なんて言ってる場合じゃないか。蘭達はどっか行きたい場所とかあるか?」

 

なんて試しに聞いてみたら器用に片方の前足だけ動かしてメリーゴーランドを指差す。

 

うん、中々一人にしてはハードな遊具を選んだねぇ。まぁ遊園地と言えばと言われたら浮かんでくるけども。俺の場合はジェットコースターだけどね。

 

取り敢えず手で場所を指す時に「ミャッ」て言いながら指すの可愛いからもっとやって。

 

いつか倒れそうだけど。

 

「よし!なにはともあれ今は楽しむ事優先だな。片っ端から安全な遊具に乗るぞ〜!」

 

『ニャ〜』

 

……かわゆす。

 

 

 

 

 

空を見上げればいつの間にか夕焼けが地平線に沈んで行くのが見える。

 

あれから大分回ってヘトヘトだ。

 

よくこの猫達は疲れた様子を見せない事。

 

そんな事を思い羨ましくみていると少し離れた所から目線を感じた。

 

「ん?なんだ?」

 

目線をそちらに向けると子供達に囲まれているピンクのクマ。名前は確か『ミッシェル』最近ここら辺では人気になって来ているクマだ。

 

いや、そもそもピンクの時点でクマとは言いがたいか。

 

そんなミッシェルが何故俺をみているのか分からなかったが、取り敢えず手を振っておいた。

 

するとミッシェルは子供達に囲まれながらも、手を振ってくれた。

 

中の人スゲェ。そう思うしかなかったが、中の人に会うことはないだろうと思い口パクでお疲れ様ですとだけ言って最後に乗ると決めて居た、観覧車へむかった。

 

 

 

 

 

 

 

「ほへぇ〜、随分と見ないうちに変わったもんだな」

 

「ミャ〜」

 

ただ今俺は観覧車に乗って久々に街を一望している。

 

因みに蘭達もバッグの中から出してやり、外を一緒に眺めている。

 

友希那に至っては俺の膝の上で丸まって寝ている。まぁ取り敢えず写真二十枚は撮ったよねうん。

 

久々に見る街全体は数年前に乗って見た景色と随分と変わっていた。

 

やはりこう言ったものは時代の流れなのかと考えさせられる。

 

やがて頂上に来ると地平線から僅かに見える夕焼けがとても美しく見えた。

 

また来よう。

 

自然にそう思えてしまった。

 

「そうだな……今年中は流石にあれだから来年にでもまた来るか」

 

『ニャ〜』

 

来年は父と母も一緒だと楽しそうだなと考えながら残りの時間を景色を見ながら過ごした。

 

 

 

 

「いやぁ、良かったな遊園地」

 

うん、良かったけど疲れた。

 

さっさと家に帰って寝たい。

 

そんな事を考えて遊園地のゲートを潜った時、急に目の前に黒い服と黒いサングラスを身につけた人が出て来た。

 

「笹原冬夜様ですね」

 

「は?あんたら一体……なに……者」

 

体が急に重くなり意識も薄れて行く。

 

その薄れ行く意識の中で蘭達の鳴き声を最後に俺の意識は切り離された。

 

 

 

 

 




あと少しで今年も終わりですなぁ。てかあと二日で2020年やん。


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我が家の五匹の真実

そろそろ2019年が余りますねぇ。そろそろお正月回を書かなければ行けませんが本題も残り一話となって参りましたので来年には完結?するのかなぁなんて思っております。

今回少し疲れながらの執筆でしたので少し変になってるかも知れません。

それでは本編をどうぞ!


「ん、ここは……何処だ?」

 

目を覚ますとそこはテレビにでも出てきそうなお城の大広間の様な場所に俺は居た。

 

こんな時こそ冷静に現状把握だ。

落ち着け笹原冬夜。

 

確か俺は蘭達と遊園地に行っていて、そこから最後に観覧車に乗って……そして帰る時に黒服の人たちに話しかけられてそれから……

 

「お目覚めの様ですね、笹原冬夜様」

 

扉の方から声が聞こえその方向を向くと遊園地のゲート前で会った黒服の女性が居た。

 

表情を見せないためなのかあるいは顔を知られたくないのか……どちらにせよサングラスのせいで相手の表情が分かりにくい。

 

「別に警戒なさらなくても宜しいですよ?私達は貴方に危害を加える気はありません」

 

「は? なら何故俺をこんな所に連れて来たって言うんだ」

 

俺としてはこんな場所に連れてこられる様な事はしていない筈だ。

もし何かやらかしていたとしてもここまで大事にはならない筈だ。

 

そもそも俺が何かをやるとしたら学校で友人と何かしらやって先生に怒られる位しか思い浮かばない。

 

なら何故だ?

 

「笹原様はここ最近で行方不明の五人の少女が居るのをご存知ですか?」

 

「え? あ、あぁ。それ位は知ってるよ。知り合いの人に教えてもらっただけだけどな」

 

だが、その行方不明の少女達と俺になんの関連性もない筈だ。

そもそも会ったことすらないんだぞ? そんな事あるわけない。

 

そんな事を考えていた時。

 

「それでは単刀直入に言わせていただきます。貴方の連れている五匹の子猫は……その行方不明の少女達です」

 

「はい?」

 

なにを言っているのかさっぱりわからない。

行方不明の少女達が家のあの猫達? なんて冗談でした。で済む様なものではないだろう。

 

そもそも人が猫になるなんてありえない。

 

「やはり、その様な反応をされるのも分かります。それでは少しばかり昔の話をさせていただきます。あれは確か今から丁度一ヶ月ほど前」

 

 

 

 

 

その日、私達はこの弦巻家のお嬢様、弦巻こころ様のお世話と共に様々なお仕事をこなしておりました。

 

そんな時の事です。

 

こころ様が突然この様な事を言い出したのです。

 

「ねぇ黒服さん!」

 

「はい、なんでしょうかこころ様」

 

今思い返すとこころ様はいつも私達が驚く様な事を幾つも言ってきました。

今となってはもうなれてしまった事、ですが矢張りとても驚く様な発想をされる時もあります。

 

そのとても驚く様な発想をこころ様はその時なさいました。

 

「黒服さん。私、猫になって見たいわ!」

 

「……」

 

始めは言っている意味が少し理解できませんでしたが、数日後にご学友の方から『もし猫になったらどうするか』という話をしたというのが原因だと分かりました。

 

ですが、当時はその様な事が分からなかった故にその要望を引き受けてしまいました。

 

弦巻家は見ての通り俗にいうお金持ちという物です。

 

その財力は未だ私達も分からない程に。

 

そして私達はこころ様の言う通り、猫になれる薬を作ってしまったのです。

 

ですが、その薬が必ずや猫になれるという確証はありませんでした。

そこでこころ様のご学友の四人に試した所全員成功。

 

ですがそこから行方が掴めなくなりました。

 

そしてある日。

 

「黒服さん!これが猫になれる薬なのね!」

 

「はいこころ様。ですが期間が分からないので安易に飲む事は……」

 

そう言った時はもう既に遅く、こころ様は薬を飲んで居ました。

 

するとこころ様の周りに煙が立ち込め、その霧が晴れた頃にはこころ様はその場から居なくなっており服だけが残されておりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……と、言うのがここまでの状況に繋がるという事です」

 

「……」

 

話を聞いただけでは俄かに信じられない様な不思議な話だ。

 

未だ頭の整理が付いていない。

 

だが、それが真実だと言う事は分かった。

 

「……今まで疑問に思って来た事がなかった訳じゃないんです。でも、それから目を逸らしていたのかもしれません」

 

思えば初めから気付くべきだったのかもしれない。

 

何故一緒に本を読もうとしていたのか、何故一緒にホラー映画なんか見ようとしていたのか。

何故家から出てきて学校に来れたのか。

 

何故、俺がやろうとしている事を理解して動いている様に見えるのか。

 

初めから気付くべきだったんだ。

 

家の……我が家の猫達は彼女達だと言うことに。

 

「さて、ここからが本題ですが……」

 

「ここまで言われて察せない人はそこまで居ないですよ」

 

ここまで言われて察せない人はそこまで居ない。そうは言うがそれを頭が許してくれない。

 

でもこれがアイツらに対する最善の方法だと言われればそれは違う。

 

だから、決めなきゃいけない。

 

「貴方達の要望はただ一つ」

 

だから要望からは目を背けない。

 

「"アイツらを元の姿に戻す"って事ですよね」

 

「はい……飲み込みが早い様で何よりです」

 

そろそろけじめを付けなきゃいけない。

 

俺も、きっと何処かで分かっていた事だ。

 

いつかはあいつらと別れることになる。

 

そんな事、昔から分かって居た事だ。

 

だけど……今あいつらと会ったらそれを否定してしまうかも知れない。

 

「いいですよ。いつかは居なくなる事を覚悟して暮らして居たんですから。でも……」

 

「でも?」

 

「その戻す時に、俺は居ないと言う事を理解してもらえると嬉しいです」

 

「………はい、かしこまりました。では」

 

黒服は頭を下げるとドアを開けて外に出て行った。

 

俺の周りには静寂が訪れる。

 

「……帰るか」

 

俺は椅子から立ち上がり部屋を出て弦巻家の豪邸を後にする。

 

よくよく見ると物凄く大きな建造物だったが、そんなのに驚ける余裕はなかった。

 

俺は最後にこの豪邸に頭を下げてその場を去った。

 

「さよなら、みんな」

 

俺の喉からやっとの思いで絞り出された言葉は冬の空に消えていった。

 

 

 

 




そういえば皆さんドリフェスなにでました?私はりんりん狙いで引きましたがあこちゃんでした。

まぁ、あこちゃんも持ってなかったらいいんですけどね


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我が家の五匹の小ちゃな家族

今回で最終話ですが最後にアンケートがありますので宜しくお願いします

恐らくTwitterでも大事な発表があるかも知れませんね( ͡° ͜ʖ ͡°)


黒服の人達から真実を突きつけられて一週間。

 

そろそろ受験本番に差し掛かり、高校や中学の三年生は忙しなく机に向かって淡々と勉強をしなければならない。

 

それに引き換え俺は机に向かう事はなくベッドに横たわり天井を眺めているだけ。

 

少し前まで騒がしかった家の中はあいつらと出会う前の様な静かな空間になっている。

 

そして、俺の胸にもポッカリと穴が開いた気分になってしまっている。

 

「……腹減ったな」

 

一度でも何かの暖かさに触れてしまえば、その沼にはまってしまう。

 

一人でいる事には慣れているはずなのに、一人でいることがおかしい事に思えて来てしまう。

 

下に降りてリビングに向かい、冷蔵庫を開けると猫缶が冷蔵庫の一角を占領している。

 

全く、我ながら未練がましいとさえ思えて来るほどみすぼらしくなったものだ。

 

「そろそろ捨てなきゃな」

 

俺は適当な食材を取り出して料理を始める。

 

いつもと同じ動作を繰り返しているはずなのに、何故か動きがぎこちなく感じられる。

 

そのおぼつかない動作で作ったのはオムライス。

 

無性に食べたくなったとかそういう事ではないがなんとなく出来た。

 

そして慣れた手付きで猫用の皿にキャットフードを……乗せるのをやめ、作った料理をテーブルの上に置く。

 

「今日で八回目……全く、慣れって怖いな」

 

毎度毎度気をつけようと、忘れられない記憶がその動作をさせる。

 

全く……

 

「惨めだな、俺って」

 

こんなに憂鬱になっても仕方ないと思い、俺はいつもの服を着て街を歩く事にした。

 

今回は後ろに頼れるお供は居ない。

 

だから今日、けじめをつけに行く。

 

みんなと会ったあの公園に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「寒いな」

 

久し振りに来た公園はいつも以上に寒かった。

いや、温め役が居ないからかと心の中で軽いツッコミを入れる。

 

しかし、この寒さは案外悪くないかも知れない。

 

 

公園の入り口から暫く歩くと懐かしいダンボールが置いてあるベンチに来た。

 

未だダンボールの中には毛布が敷かれており、他の猫が凍えないようにという配慮なのだろう。

 

いや、そもそもこんな事するなら拾ってあげなよと思ったがこれを設置した人にも何かしらの理由があるのだろう。

 

流石に立っているのに疲れてベンチに腰を下ろす。

 

すると、スマホに珍しくLINEの通知が来る。

 

「そういや、今までは蘭達と居るから控えて貰えないかって言ってたんだっけ」

 

久し振りのメッセージはいつも学校にいる時に一緒にいる友人からのメッセージだ。

 

『なぁ、今からcircleってライブハウスに来ないか? なんだか今ガールズバンドがやばってるらしくてよ? チケット貰えたから一緒に見にいかね?』

 

と、いつもと同じ口調で送られて来たメッセージ。

 

「ガールズバンドか……」

 

スマホで調べた所、今年になってから大航海時代ならぬ"大ガールズバンド時代"が来たらしい。

なんでもつい最近までガールズバンドの中でも人気な五つのバンドのボーカル五人が行方不明になると言う事件があったらしく、今では無事発見されてバンドを再開しているらしい。

 

そして、今回のライブはその復帰ライブとか言うらしい。

 

「Poppin'partyにAfterglow、RoseliaとPastel*palletにハロー、ハッピーワールドか……」

 

恐らく……いや、十中八九蘭達だろうな。

 

黒服にはしっかり伝える様に言ったのだがそこまで信用してあるわけではないので安易に観に行くことは出来ない。

 

けど。

 

「少しは聴きたいかな」

 

そういう気持ちはあった。

 

もう会えなくても良い、あいつらはもう家の家族じゃないんだ。

 

でも、それでも歌声だけは聴いても良いよな?   

なんて思ったが矢張り躊躇してしまう。

 

でもしっかりけじめを付けるって決めたから。

 

もう目は背けない。

 

俺は友人に『分かった。直ぐに行く』とだけ伝えてスマホの地図アプリを開いてライブハウスに向かって走り始めた。

 

 

 

 

 

指定された場所に着いたは良いものの、ライブハウスの受付付近には既に誰もいない。

 

恐らく間に合わなかったのだろう。

 

友人からも『スマン』とだけ送られて来た。

 

しばし遅れてしまった様だ。

 

「……こんなんになるなら少し運動するんだったな」

 

ここは言わずもがな、ライブハウスだ。

勿論防音も完璧になっているため、僅かに聞こえる楽器の音しか聞こえない。

 

歌声は聞こえない。

 

この事実がどれだけ悔しい事か。

 

そんな悔しさを噛み締めて居ると、受付に居た胸元に『月島』と書かれた女性が話しかけて来た。

 

「君、大丈夫? 物凄く落ち込んでるみたいだけど……まさか、ライブに遅れちゃったとか?」

 

「そうなんですけど、生憎友人にチケットを貰って入る予定でしたので……チケットがない限り俺は入る気ないんで」

 

そういうと少しは不安な顔をされたが、俺が大丈夫ともう一度言うと「そう……」と言って受付に戻って行った。

 

「さて……帰るかな」

 

俺が踵を返してライブハウスを出て行こうとした時。

 

「良いのかい? そのままだとアンタ、ずっと後悔するんじゃないのかい?」

 

後ろから声を掛けられた。

 

後ろを振り向くと、言ってはなんだが大分老けた白髪の所々にピンクのメッシュの様な物を入れた老人が立っていた。

 

「……なんか用っすか?」

 

すると先程の受付の月島さんが驚いた様な表情をしてこちらに走って来た。

 

「オ、オーナー! どうしたんですか一体」

 

「いやね、ちょいとこの若造が後悔しそうな選択をしそうでね」

 

後悔しそうな選択…….ね。

 

確かに、会わないのは後悔するかも知れない。この先ずっと、後悔するかも知れない。

 

けど、それがあいつらに辛い思いをさせない選択なら俺は快く引き受けよう。

 

その覚悟はある。

 

だが、今日はけじめを付けに来たんだ。その考えは通用しない。

 

「すんません。俺、行かなきゃいけない場所があるんで」

 

「……そうかい? 後悔はしないんだろうね?」

 

とても鋭い目つきで質問される。

 

だが俺は一歩も引かない。

 

これが俺なりのけじめの付け方だから。

 

「はい」

 

「そうかい……なら行ってきな。アンタのその覚悟をわたしは信じるよ」

 

俺はその言葉を受け取るとあの公園にまた足を向けて走り出した。

 

 

 

 

 

 

あれから数分、やっとの思いで着いた公園。ライブハウスから公園の往復は流石に疲れて少し時間がかかってしまった。

 

俺は先程のベンチの付近にある、あのダンボールを道の真ん中に置いて持っていたライターで火を付ける。

 

勿論、直ぐ近くに水道があるから燃え移ったりする心配はない。

 

「……」

 

これが俺なりのけじめの付け方。

 

このダンボールを燃やす事で俺の未練は晴れる。晴れて俺は未練から解放される。

 

……筈だった。

 

直ぐ後ろに複数人の誰かが走ってくる音が聞こえて来た。

 

「やっと……見つけた!」

 

「本当に……世話の焼ける……人よね」

 

「二人とも……早過ぎ……」

 

「み、みんな……待ってよぉ」

 

「あら? わたしが最後かしら? みんな早いのね!」

 

後ろを振り向くと五人の少女達が立っていた。

初対面の筈なのに何処か懐かしく、そしてあの猫達と同じ雰囲気を醸し出して居る。

 

そして、ポスターで見たボーカルの子達だと直ぐに分かった。と、言う事はつまり……だ。

 

「本当に、あのちっこい猫なのか?」

 

『?』

 

あ、この首の傾げ方。本当にあいつらそっくり……いや、もう認めないといけないのか。

 

「本当に……あの寒い中、この公園で、ダンボールの中で震えてた……あの猫達なのか?」

 

そう質問すると全員は顔を見合わせて笑顔でこちらを向いた。

 

あぁ、矢張りそうか。

 

『はい!』

 

そうか、俺が求めてた温もりは今はこんなに近くにあるのか。

 

俺は雰囲気や髪をみて大体どの人物がどの猫だったのか分かった。

そして、一番初めに出会った猫であろう赤のメッシュを入れた少女を抱きしめる。

 

「っ!ちょっと///」

 

だいぶあたふたするが突き放す様な事はしない様なのでそのまま抱きしめる。

 

「本当に……ありがとう!」

 

「え?」

 

「あの時、俺は君に会わなきゃ今こうして感謝をする事も……孤独を感じて、人の温もりを知る事も出来なかった。そして俺の寂しさを埋めてくれたのも、君……いや、君達だ」

 

そうだ、この子達が居なければ俺は孤独を知る事も他人の温もりを知る事も出来なかった。

出会わなければ今も暗い毎日を送っていた筈だ。

 

そんな毎日に光をくれたのがこの子達だ。

 

けど、もうこの子達は家の家族で小ちゃな猫じゃない。

 

「何言ってんの冬夜」

 

「え?」

 

「冬夜があたしや湊さんを拾わなかったら今頃死んでたかも知れない。それこそ、感謝しかない。そしてあたし達に名前を付けて、楽しい日々を送らせてくれたのも……全部冬夜なんだよ」

 

少女……いや、蘭は猫の時と変わらない笑顔でそう言った。

 

いや、あと少しで泣いちゃう。

 

マジで泣いちゃう。

 

それなのに、銀髪の少女……友希那は追い討ちをかける。

 

「覚えてる? わたしが冬夜の家に行った次の日の朝の事」

 

「え? あ、あの蘭がベッドの横にしがみ付いてた……」

 

「そうよ。あの時、美竹さんと物凄く口論になったのよ。冬夜の横にどちらが寝るのかってね」

 

すると蘭は猫の時と変わらず友希那に突っかかり始めた。

 

「ちょっと湊さん?! それは言わない約束でしたよね?!」

 

「あら? そうだったかしら? まぁ、あの時の口論はわたしの勝ちだったけどね」

 

「ぅ、それを言われたら……」

 

ギャーギャー!

 

なんだろう…今目の前に居るのは猫のあいつらじゃないのに、まるであの猫達が戯れて居る様に見えてしまう。

 

続けて猫耳の様な髪型をして、星の髪留めの様な物を付けた少女……この星の主張が激しいのは恐らく香澄だと思うが、香澄がさらに追い討ちをかけて来た。

 

「わたしね、初めて冬夜くんと夜空を見た時に今まで以上のキラキラドキドキを感じることが出来たんだ。今までは友希那先輩や蘭ちゃんに譲ってたけど、今回位良いよね?」

 

そう言うと香澄は俺に抱きついて来た。

 

あ、やっべ二つの小山が……

 

「「せい!」」

 

「あべし!」

 

何故だ、蘭と友希那からパンチが飛んで来た。しかも今回は猫パンチとか言う可愛らしいものではない。マジで痛い。

 

「戸山さん?(香澄?)」

 

「ひぇ〜!」

 

あ、香澄が二人の標的に……お疲れ香澄。

 

その光景を眺めて居ると、テレビで見たことがあるから速攻で分かる彩が俺の頬を突いていた。

 

なに? 丸山彩ってこんな可愛かったの? この動作でキュン死にするよ?

 

「わたしね、レッスンしてた時に猫になっちゃって。そして戸惑って歩いていたらいつの間にかこの公園のあのダンボールで寒さを凌いでたの。そこで拾ってくれた冬夜くんと蘭ちゃんや友希那ちゃん、そして香澄ちゃんがとっても暖かく迎えてくれて、その時物凄くうれしかったの。だからね? 

冬夜くんには感謝しても仕切れないんだよ」

 

……あ、ちょっとまって。

 

本当に泣く。だからね? こころはそんなに感謝してる目をしないで? 嬉しいけど泣いちゃうからしないで?

 

という俺の願いは届かず、彩は三人のワチャワチャに巻き込まれていってそしてこころが笑顔でこちらに来てしまった。

 

「冬夜! わたしね、世界を笑顔にしたいの!」

 

「お、おう。なんだか壮大だな」

 

「でもね、わたしは冬夜を笑顔に出来ていないわ! とっても感謝して居るのに冬夜が笑顔じゃなきゃ感謝できないわ!」

 

う〜ん、泣きそうになってた筈なのに。

涙が引っ込んで笑顔になりそう。てか、こころの笑顔が半端ない。差し詰め『笑顔の波状攻撃』と言ったところか?

 

「だからね、わたしだけじゃなくてこの五人で必ず貴方を笑顔にしてみせるわ!」

 

あ、やべ。もうダメだ。泣く。

 

そう考えた時にはもう遅く、涙腺が完全に崩壊してしまい止め処なく涙が溢れて出てくる。

 

涙を流すのなんて蘭と友希那を傷つけた以来だな。

 

「ありがとう……ありがとう……みんなありがとう!」

 

「……はぁ、やっぱり冬夜は私達が居ないとダメみたいだね」

 

え?

 

「そうね、しょうがないからこれからも冬夜の家に行きましょうか」

 

ちょ、おま

 

「そうですね!冬夜くんの部屋から見る星好きだなぁ」

 

あの、これ感動シーンだよね? 俺泣いてるよね?

 

「うん! 息抜きに来れる場所だから良いよね!」

 

あれれ〜? おっかしいぞぉ? もうなにがなんだが分かんなくなって来たじゃねぇかよこの野郎。

 

「みんな意見は纏まったかしら?」

 

「いやいやいやいや!ちょ待てよ」

 

『?』

 

あ、これ拒否権ない奴だ。

 

人権ってなんだっけ?

 

もう良いや。

 

兎に角楽しもうぜって事だろ。

 

「あぁ、もう! 分かったよ! 来ても良いよ! なんで感動的なのにそうなるの?!」

 

「「「「「あははは!」」」」」

 

 

 

我が家の五匹の小ちゃな家族は、もう猫ではないし家族でもなくなってしまった。

 

もう一緒に同じベッドで寝たり、フードの中に入れて学校には行けない。

 

でも、それでもあの楽しかった時間は思い出と言うフィルムの中にある。

 

どうやらこのままハッピーエンドで終わらせてくれる程世界は甘くない様です。

 

元我が家の五匹の小ちゃな家族はこれからも俺にとっては小ちゃな家族になるかも知れないし?

 

え? それはない? みんな一人一人ユーザーの推しだ? そんなん知るかい。

 

兎に角、だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これからの日常もまだまだ退屈しないし、一筋縄では行かないようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「これからも宜しくな、みんな!」

 

 

『うん!(えぇ!)』

 

 

これからまた家の中が騒がしくなりそうだな。

そんな事を考えながら俺を含め六人であの家へ向かうのであった。

 

勿論、今回はしっかりと時間を見て家に帰らせたけどね☆

 

「「雰囲気を壊すな!」」

 

「ヒデブッ!」

 

 

こんなの理不尽だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




題名

我が家の五匹の小ちゃな家族

作者

猫又侍

テンディング曲

ピコっと!パピっと!ガルパピコ!

作詞 織田 あすか

作曲 末益 涼太

編曲 末益 涼太

ボーカル

美竹 蘭

湊 友希那

戸山 香澄

丸山 彩

弦巻 こころ


出演

『笹原家』

笹原冬夜

笹原美幸(母)みゆき

笹原隆三(父)りゅうぞう

笹原蘭(美竹蘭)

笹原友希那(湊友希那)

笹原香澄(戸山香澄)

笹原彩(丸山彩)

笹原こころ(弦巻こころ)

『ガールズバンドキャラ』

羽沢つぐみ

山吹沙綾

氷川紗夜

氷川日菜

ミッシェル(奥沢美咲)

『学校人』

友人(本名 山崎康介)やまざきこうすけ



投票者

最高評価☆10

sterven様

みゃーねこ様

九条ユウキ様

づー様

叢雲伸様

torin Silver様

おかかご飯様

アンパン食べたいマン様

フレイド様

神代幽様

ポロロッカ船長様

隣の野獣様

茶番劇様

おとうふキラー様

むにえる様

RTLE様

CHlLDSPLAY様

谷岡戦車長様

☆9

読み専絶対に書かない人様

散歩人様

茨木翡翠様

nesuto様

ちまき様

レイン0012様

SHUNZl様

永遠にループする(読み専)様

餅大福様

菘亜杞様

TOアキレス様

普通の石ころ様

インレ様

漆塗り様

影政様

ルナちー様

藍方石様

さよぽ様

ヘチマ御前様

田中ななな様

マスドラ様

☆8

星空とキノコ様

ディザスター様

橘月様

ボルンガ様

くっ殺大魔王様

政影様

☆6

いかだら様

☆5

MinorNovice様

ぼるてる様

☆4

ハラクリ男様

☆3

ケチャップの伝道師

☆1

水天様

ハーフシャフト様


以下、お気に入り1555人(執筆時)







以上の皆様今まで我が家の五匹の小ちゃな家族を読んで下さり、ありがとうございます。

今回は皆様の応援、感想、そして評価などをいただいてここまで来ることが出来ました。

そして今までにないような経験も積ませていただき、それに加えて今まで書いて来たssの中で初めて赤バーに加え、お気に入り千人を突破する事ができました。

読者の方々にはもう感謝しかありません

これからも色々なバンドリssを書いていくと思いますので宜しくお願いします。

まだまだ文構成やキャラ構成が未熟な部分もあると思いますが、これからも猫又侍を宜しくお願いします。

そしてエンディングロールを貸してくださった小麦こな様。本当にありがとうございます。

それではまた何処かの作品で会える事を楽しみにしております。


それでは









「「「「「「さようなら!」」」」」」






我が家の五匹の小ちゃな家族









FIN







そして、数日が経ち俺は一人でまたあの公園に日課の散歩という項目で訪れた。

今度は流石にダンボールと猫は置いてないししないよな?

「まぁ、置いてあったら面白そうだけどな。はっはっはっ……は?」

そう思っていた時期も俺にはありました。

「ミャ〜?」

「……」

なんでいんの?

俺の目の前には亜麻色の髪、もしくは毛を生やして目の色はエメラルドのような鮮やかな緑。

そして、この猫に似た雰囲気の人を蘭のバンドのポスターで見た気がする。

なんだろうフラグが立った気がするなー。

そんな事を考えていると、突然スマホにメールが来た。

うん、なんだがもう先が見えて来た気がする。

メールを見ると送り主は蘭だった。

『ねぇ冬夜、バンドメンバーのモカって子が居ないんだけど知らない?』

………あっ。

俺は試しに猫の写真を撮って蘭に送ってみた。

『多分それ』

「……はぁ」

俺は大きくため息を吐き、再び猫に視線を向ける。

「ミャ?」

あ〜、なんだかデジャヴを感じる。

こうなったらしょうがないのか。

俺は蘭に『暫く預かる』とメールを送ってそいつを拾い上げた。

「……家、来るか?」

「ミャ〜!」

さて、まだまだ俺の苦労は続きそうです。

さてはて、この先どうなることやら。




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ギタリスト編
我が家に来た小ちゃなギタリスト


ども、みなさんお久しぶりの猫又侍です。 色んな人からのお言葉をいただき最終的に「面倒だから全部くっつけよう」となり小ちゃな家族を章ごとに分けてお送りすることになりました。ベーシストも勿論小ちゃな家族と言う作品の中での我が家の五匹の小ちゃなベーシストと言う章で出しますのでご安心を。まぁ長々と喋るのもアレですし、今回が初めてだって人はどうぞお楽しみくださいませ。もう全部見た人はベーシストが来るのを待つか見返してもらっても構いません。それでは本編どうぞ


久し振りだな皆!

 

俺の名前は笹原冬夜。

 

何処にでも居る高校三年生の受験生だ。

 

まぁ、そろそろ本番だからどっちかというと大学生よりの高校生かな?

 

そんな学生居るか知らんけど。

 

所で、知っている人は知ってると思うがつい最近までは我が家には五匹の小ちゃな家族が居た。

 

だがしかーし、その猫は元人間で弦巻家という謎の金持ちのお嬢様のお願いに寄り不思議な薬の力で猫にされた人達だったのだ!

 

とまぁ、壮大な雰囲気を出して言っているがつい最近になって弦巻家の黒服達により元の姿に戻れたのだ。

 

やったー!これでハッピーエンドだ!

 

なんて上手く行く訳もなく、その五人の少女達の溜まり場になりつつあるのだ。

 

まぁ、百歩譲ってそこまではよしとしよう。

 

だが、問題はここからだ。

 

ただ今俺は元猫で元家族の美竹蘭を家に呼んでとある相談をしていた。

 

「どうだ? やっぱ蘭のバンドのメンバーだったりするのか?」

 

「多分そうかも、このマイペースな雰囲気とか毛の色も物凄いモカに似てる」

 

あっ、そこキッパリ言っちゃうのね。

 

少しは期待を持たせて欲しかった。

 

そっかぁつまりこの子も元人間って事かぁ。

 

え? 原因? 知らん。俺に聞くなよ。

 

「てか、黒服さん達には聞いたの?」

 

「え? 聞いてないけど」

 

「一番聞かなきゃいけない人たちに聞かないでどうするの……」

 

だってしょうがないじゃん。

 

連絡先なんて持ってないんだもん。

 

え? 弦巻家に行けって? 無理無理、あそこ見てると胃が痛くなる。

 

あんな豪邸テレビでしか見た事がないぜ?

 

とまぁ、原因は後で黒服に聞くとしてだ。

 

くぅー

 

「ミャ〜」

 

「お? 腹減ったのか?」

 

「所でなにあげるの?」

 

そう、問題はそこなのだ。

 

蘭達の場合は人間だと知らない状態だったから普通の猫用食品を与えていたが、今回は元人間で今は猫だと分かっているためなにをあげるのが正解なのか分からない。

 

食事は人間と同じでいいのか、はたまたキャットフードなどでいいのか。

 

「う〜ん」

 

「でもキャットフードって意外と美味しいよ?

複雑な味してるけど」

 

え? なに言ってんのこの人。ついに頭が……

あ、そういや元猫でしたね。

 

てか、俺がキャットフード与えとったんやないかい。

 

そしてそこの猫……は流石に酷いから名前どうしよ……モカでいいかな。そもそもこの子達で元の名前以外反応した所を見た事がない。

 

「……モカ」

 

「ミャ〜!」

 

っ?! か、可愛い……だと! 可愛すぎる。

 

可愛いすぎてやば「せい!」

 

「バカンス!」

 

「なにそのやられ方」

 

いや、なんでいきなり殴ってくんだよ。

 

鳩尾の真横だったぞ?もうちょいズレてたら溝に入ってたぞ?

 

あ、スミマセンデシタ。だから拳を構えないで下さい。

 

「ミャ〜」

 

うん、そしてなんでモカはそんなにウルウルした目になってるのかな?

 

あ、もしかしてキャットフード食べたいん?

 

ダメダメ、なに食べさせていいか分からないんだから食べさせるなんて出来る訳ないだろ。

 

「ミャ〜」

 

「………」

 

出来る訳……

 

「………」

 

「………」

 

負けました。

 

何故かこいつらからの押しに弱いんだよな

俺って。

 

そして横には満足そうにキャットフードを頬張るモカが居る。

 

なに? そんなに美味しいの? なんだか俺も食べたくなって来ちゃうじゃん。

 

「お腹壊しても知らないよ?」

 

「アッハイ」

 

……止めとこ。

 

 

 

 

それから数時間後、蘭は家の人が心配するかも知れないからという理由で帰っていった。

 

そして現在、モカはと言うと。

 

くぅ〜

 

なんでまた腹鳴らしとんねん。

 

「はぁ……手頃な奴は……っと。お? これが良いかな」

 

俺が手にしたのは食パン。

 

これなら千切ってあげれば手頃な感じに……

 

瞬間、俺の手にあった筈の食パンがなくなっていた。

 

「…………」

 

そしてモカを見るとせっせと食パンを食べていた。

 

「……」モッモッモッ

 

かわゆす。

 

やっぱ猫の可愛さには抗えないよね。

 

そう言えば確か蘭が『モカはパン大好きだからパンをあげる時はしっかり見ときなよ。パンが無くなるかも知れないから』なんて言っていた。

 

流石にパンは無くならないだろ。

 

なんて考えながらふとモカの方を見るとせっせと二枚目の食パンを食べようとしていた。

 

「ちょっとまてぇい!」

 

「ミャ!」

 

そんなに名残惜しそうに見られてもあげません!

 

てか、あんだけ食ったのに腹膨らんでないとかどんだけ食べるんだよ……まぁ可愛いから許す。

 

 

 

 

 

 

その日の夜。

 

俺は久しぶりに部屋に猫を入れて寝る。

 

因みにモカは疲れた+満腹なのかぐっすりと眠っている。

 

勿論、蘭達が使っていたベッドの方に寝かせたが明日の朝に何処に居るのか分からないため寝る位置を考えて寝る。

 

「よし、寝るか」

 

俺はタイマーをセットして電気を消し、就寝した。

 

 

 

 

 

 

あれから何時間経ったのだろうか。

 

なにか鳴いている。

 

「ミャ〜」

 

「ん……どうしたんだ? モカ」

 

モカの方を見ると何故か涙目になっていた。

 

……やはりいつも一人で寝ている高校生とはいえ、猫になりしかもいつもより広く感じる部屋に加え自分の部屋じゃないもんな。

 

寂しいよな。

 

「……こっち来るか?」

 

「ミャ〜」

 

モカは俺の腹付近に来ると密着して安心したのかゆっくり寝息を立て始めた。

 

「……元に戻るまではしっかりと世話しないとな」

 

今思い出した懐かしい事なんだけど、学校にも報告しないとな!(涙目)

 

因みにモフモフ感が凄すぎて三回ほど逝きかけたのは内緒。

 




今日はこれを後15、6回やります。連続投稿15、6連続です


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我が家の猫はのんびり屋

因みに「我が家の五匹の小ちゃなギタリスト」という章名ではなく「ギタリスト編」となっておりますが中身は変わっておりません。ややこしいと思いますがお許しを


ピピピピッと枕元に置いてある目覚ましが鳴る。

 

あ、そういや今日学校じゃねぇかよこん畜生。

 

因みに俺の通っている学校の名前は羽丘学園。

つい最近まで一、二年の事なんて殆ど気にしてなかったが蘭達が居ると最近知った。

 

そもそも放送で蘭達の名前を出した時にバンドメンバーは気づかなかったのかと言う疑問はあれど、そこまで深く考えてはいけないような気がするので今度つぐちゃんにあったら聞いてみようと思った。

 

「それより飯つくんないとな」

 

俺は掛け布団を剥いでリビングにあるキッチンに向かおうとするが、やけに服が重く感じて見てみるとそこには器用にしがみついているモカがいた。

 

いや、あいつらもそこまでの高等テクは持ってなかったぞ?

 

「……」

 

「って、寝てんのかい」

 

寝てるなら尚更器用じゃねぇかよ。

 

てか、料理する時危ねぇよ。

 

と言うわけで一旦モカをリビングの寝床に寝かせて朝食を作ろうと思ったのだが……

 

「材料がねぇ」

 

そういえば買い出しに行ったのいつだっけ?

 

もう随分と前だった訳でもないんだけどなぁ。

 

しょうがない、今日はトーストにでもしますかな。

 

「食パンとトースターは……」

 

辺りを見回して手っ取り早くトースターを準備して食パンを二枚差し込む。

 

そして、焼いている間にモカの餌をセットする。

 

「お〜い、モカ。飯置いとくぞ」

 

「ミャ〜」

 

俺の問いかけに返事するように鳴き、むくりと起き上がるモカ。

 

これは蘭と違ってずっとそばに居ないからなんか新鮮だな。

 

なんて思ってた時期が俺にはありました。

 

「あの、モカさん?」

 

「……」ピトッ

 

なんで足にしがみつくんですかね?

 

なんで華麗にキャットフード無視して足に来たんですかね?

 

ちょ、噛むのは止めて? あ、これ寝ぼけてるのか? いやいや、目覚めてるだろ。

 

ちょ、くすぐったいから止めてw

 

なんて、モカと戯れあっているとトースターからチンと音が鳴りこんがり焼けた食パンが出てきた。

 

「ほれ、俺も飯食うからな? 大人しくキャットフード食べときな」

 

そんなにトーストを物欲しそうな顔してみてもあげません。

 

てか、トーストあげたら本当に俺の朝飯がなくなるからね?

 

なんて会話をしているうちに登校時間が迫って来ているのに気付いて、慌ててトーストを食べて準備を始める。

 

因みに着替えの間はいつの間にかモカはキャットフードを食べていた。

 

いや、どんだけマイペースなんだよ。

 

なんて考えながら登校の準備を進める。

 

そう言えば玄関にモカが来ない……という事は学校に連れて行かなくても良いと言うことか!

 

やったぜ、叱られなくて済む。

 

なんて思っていた時期が俺にもありました(二回目)

 

「ミャ〜?」

 

「……お前いつから居た?」

 

え? なんでフードの中に居んの? いや、別に悪いとかそんなんじゃないんだけど……音も立てずに入ってるからまじで一瞬びびった。

 

まぁ、可愛いから許すけどね。

 

「そう言えば……蘭達も入ってたからボロボロになってきたな。そろそろ買い換えるか?」

 

でも、大分気に入ってたし父の使っていたものだ。

 

なるべく捨てるのは避けたいが、置けるような場所もない。

 

まぁ、考えるのは帰ってきたからだな。

 

「うし、学校にいくか」

 

「ミャ〜」

 

あ、そういえば職員室に行かないとね☆ 叱られる未来しか見えないや。

 

まぁ別に許してくれるとは思うけど……昼休みがなぁ。

 

俺は昼休みの事を考え憂鬱になるが、学校に行かないと流石に怒られる。

 

うちの担任面白いんだけど遅刻には厳しい人だからなるべく遅刻はしたくない。

 

因みに一度寝坊して遅刻した事があったのだが、その時のうちの担任の顔はまさに鬼の形相と言う言葉が似合う程の顔をしていた。

 

もうあれはごめんだ。

 

「よし、そうとなれば走るのみ。モカ、落ちないように気をつけろよ」

 

「ミャ!」

 

モカの確認を終えると俺は直ぐに玄関を出て走り出した。

 

が、途中で山吹ベーカリーで昼飯のパンを買ったりして遅刻五分前のギリギリについてまじで焦った。

 

しかもモカの事を見つけるなり「笹原、後で職員室に言いにこいよ」などと言われた。

 

勿論、元から行くつもりであった。

 

本当だよ? 別に周りの反応が怖いから今回くらいは報告しなくていいかなとか思ってないよ?

 

一番怖かったのは、蘭達が居なくなった事を伝えた時だった。

 

もうみんな絶望してるのなんの。マスコットキャラ居なくなっただけでそんなんになるのかよ。

 

そんなんになるんなら作れよ、マスコットキャラ。

 

なんて事は出せる訳もなくそのまま帰ったけどね。

 

 

 

 

 

 

 

昼休み、俺の周りには安定の人だかりが出来ている。

 

今回は写真を撮り、インスタなどに投稿するのはダメという決まりを決めてみんなに撫でるなどの触れ合いを許可している。

 

意外とこの子達って繊細なのよ?

 

なんて考えていると、昨日も家に来ていた赤メッシュが特徴の蘭とその幼馴染が居た。

 

何故俺が幼馴染の事を知っているのかと言うと蘭に教えてもらったからである。

 

「どう冬夜、モカなんかしてない?」

 

「ん? 別に何もしてないぞ? な? モカ」

 

「ミャ〜」

 

そんな会話をしている中、蘭の幼馴染の姉感が伝わって来る濃い赤の髪色をした女の子がモカを信じられないような目で見ていた。

 

「凄いな、本当にモカそっくりだ」

 

やはり同じバンドメンバーの人達はそういった雰囲気を感じるのだろう。

 

幼馴染という点も大きいと思う。

 

けれど、俺はそれを知らない。

 

早めに黒服に聞かなきゃな。

 

そう思ったが、どう接触すれば良いのか分からないのでひとまずは蘭達と話す事にした。

 

この後懐かしの猫パンチを喰らったのは内緒。

 



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我が家の猫のとある日常

これ以降は前書きがなくなります。ご注意下さい


あたしの名前は青葉モカ。

 

現在猫になっている超絶美少女なのだ〜。

 

因みに猫になった原因はしっかりあるんだけど、今回はその話はしないよ〜。期待してた人はごめんね〜。

 

話は変わるけど、今あたしはフードの中に居る。

 

誰のフードの中に居るのかというと、蘭が猫だった時に拾ってくれた笹原冬夜くんなのだ〜。

 

あたしも蘭の話を聞いて、猫になったら公園のダンボール箱に入っていた。

案外猫になっても外は寒くてだいぶ後悔してたときに冬夜くんはあたしを拾ってくれて暖かい家に迎えてくれた。

 

蘭からもあたしは元々人間だと説明されても、気味悪がる事もなく猫のモカとしてあたしに接してくれている。

 

冬夜くん

 

そう呼びたいのに口から出てくるのは「ミャ〜」と言う声。

 

蘭から大方の話は聞いていたけど、実際にその状況に立たされると胸が苦しくて仕方ない。

 

「ん? どうしたモカ。腹でも減ったか?」

 

でも、冬夜くんはこうして触れ合って遊んでくれる。

 

声は伝わってなくても気持ちは伝わってるんだって思える。

 

確か蘭も冬夜くんと一緒にいた時の話をしていた時はとても楽しそうだったな。

 

あの時はどんな人なんだろうって気になって、よく分からなかった。

 

けど、今なら分かる気がする。

 

こうして冬夜くんと遊んだり寝たりすると、とっても心がほっこりするし暖かくなる。

 

勿論、暖房が付いているからとかそんな事じゃない。

 

人の暖かさ、心の暖かさ。

 

これが蘭が夢中になる理由かぁ。

 

なんだか不思議な気持ちだな。

 

 

 

 

 

 

今日は商店街にお買い物をしに来ました。

 

冬夜くんのフードの中って意外とあったかいから出たくないんだよねぇ〜。ほら、炬燵に一度入ったら出られない〜って感じのあれになっちゃうんだよねぇ。

 

不思議だなぁ。普段何気なく着ている服がこんなにも暖かいなんてしらなかった。

 

所で、今向かっているのはわたしの行きつけのパン屋の山吹ベーカリー。

 

あそこのパンはどれも絶品。特にチョココロネとかはすぐに売り切れるんだよね〜。

 

「うっす、沙綾。今日も店の手伝いか? 偉いな」

 

お店の中に入るとカウンターに座っているのは山吹ベーカリーの看板娘の山吹沙綾。

 

あたし達Afterglowとは違うバンドで、人気バンドの一つPoppin'party、通称ポピパのドラムを担当している。

 

「あ、冬夜さん!今日は一人ですか?」

 

「いいや、一匹居るよ。ほら、出てこいモカ」

 

沙綾と会話している中であたしが呼ばれる。

そもそも沙綾といつの間に仲良くなってたかは知らないけどそんな人の言う事は聞きませんよ〜。

 

「お、おい。モカ?」

 

「へぇ〜、今回はモカがなっちゃったのか。それじゃぁここに来るのもわかるかなぁ」

 

「え? 俺は別にそんな感じでは来てないけど」

 

「(え? そうだったの?)」

 

てっきり冬夜くんがあたしにパンを捧げてくれるのかと思ってたのにな〜。

 

あたしの事を考えて居てくれなかった事に少しだけ嫉妬する自分が居る。

だから今日は冬夜くんの言う事は聞かずに自由気ままな、日を送ろうと決めた。

 

 

 

 

 

そうと決まれば行動は早く、家に帰ると直ぐにリビングに行き見たいテレビをモタモタしながらもつけて鑑賞していた。

 

「お? モカ、お前テレビなんかつけられるんだな。あ、元々人間か。悪かったな……お? この番組結構面白いよな。一緒に観てもいいか?」

 

「……ミャ〜」

 

結局、冬夜くんには敵わずものの数分でいつもの様に膝の上でゴロゴロしながらテレビをみた。

 

よくよく考えてみれば、こうしてゴロゴロして居る時点で自由気ままなんだなと気づいた。

 

やっぱり、冬夜くんと居ると不思議な気持ちになれて悪くない。

 

 

 

 

日も沈み夕飯時になった。

 

この時間帯になると、家の中はいい匂いに包まれる。

 

意外にも冬夜くんは料理が上手いのだ。

 

因みにモカちゃんもお料理位は出来るからね。あたしが出来ないって思った人はこう……ツグー!ってしちゃうからね(何処かの漫画イラスト参照)

 

そして今のあたしはと言うと冬夜くんの足の下で丸くなって居る。

 

あったかいんだよね〜、この場所。

一度丸くなったら逃げられない罠だよこれは。

 

「よし、出来たぞモカ」

 

「ミャ〜」

 

そうして目の前に出されたのはキャットフードとなにも塗られていないあたしが食べやすい位にカットされたトースト。

 

最近はこれがお気に入り。

 

「………」モッモッモッ

 

「……可愛い」

 

あ、冬夜くんの悪い癖だ。

蘭も言ってたけど、これを言われるとどうしても胸がドキッとなってしまう。

 

これじゃぁ蘭がコロッといっちゃうのも納得だよね〜。

 

そんな事よりキャットフードに目覚めてしまいそうになってしまうこの食事……元に戻っても食べそう。

 

 

 

 

夜、久しぶりに怖い夢をみた。

 

蘭やつぐ達が何処かにいってしまってそして冬夜くんもあたしを置いて何処かにいってしまう夢。

 

そんな夢を見たせいか上手く眠りにつく事が出来ない。

 

怖いんだ、きっと。

 

大切な人の暖かさが感じられなくなるのが。

成長していく幼馴染の背中が遠くなっていくのが。

 

「ミャ〜」

 

「ん……モカ?」

 

どうやら冬夜くんを起こしてしまったようだ。

冬夜くんは最近朝早くに起きるから余り起こしたくはなかった。

 

そんな事を考えていると、フッと体が誰かに掴まれて宙に浮く感じになった。

 

冬夜くんに抱っこされていると気付くのにそこまで長くはなかった。

 

「……!」

 

冬夜くんはあたしをベッドに乗せて、その横に横たわりあたしの頭を撫でてくれた。

 

「怖い夢でも見たか? 前に一度ホラー映画を蘭達と見た事があってな。その夜の蘭達と雰囲気が似てるもんだから心配になってな」

 

そう言いながら頭を撫で続ける冬夜くん。

 

あぁ、やっぱり冬夜くんはずるいや。

 

こんなにも暖かい気持ちにさせてくれるなんて。

 

これじゃぁ蘭を応援出来ないよ。

 

冬夜くんの暖かさに包まれながらあたしはゆっくりと目を閉じて意識を手放した。

 

なんだか今から良い夢が見られそうだな。

 



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我が家に来た新たなギタリスト

突然で悪いがみんなは犬にも似ている猫ってどう思う?

 

何を言っているのか分からないだろ? だから初めに謝っておいたんだ。

 

そして先に言っておこう。これからもっと訳がわからなくなるかも知れない。

 

「はぁ……」

 

毎度毎度の事で慣れてきたは慣れてきたが、一体どうしてそうなるのかと疑問しか浮かばなくなってしまう。

 

この展開は言わずもがな。

 

これからも伝統レベルで続きそうな展開。

 

「ニ、ニャー///」

 

「なぁモカ。コイツも元は人間だったかんじ?」

 

「ミャ〜」

 

あっ、やっぱそうなんだ。

 

今俺の前に居る猫は毛の色が青空の様な綺麗な水色、そして瞳がアイスグリーン。

一度どこかで会った様な気がしなくもないが、最近色々ありすぎて名前が思い出せない。

 

そんな時、スマホのL●NEにメールが届いた。

 

「お? 友希那からだ。珍しい」

 

友希那は基本、バンドの作曲をしているため余り会わない。と言う事はあまりL●NEをする暇がないと、言う事になる。しかし、会った場合はとても可愛らしい仕草を見せてくる。なんだか猫の時と変わらないなとホッコリさせられる。

 

そして友希那から送られて来ると言う事は、だ。

 

俺はL●NEを開き内容を確認する。

 

『冬夜、わたしのバンドのメンバーが居なくなったらしいのだけれどあの場所に居ないかしら?』

 

この内容を見ただけでわかった。

この人も災難だなぁ。猫になるなんて。

 

てか本当に猫か? よく分からんけど、猫って伏せとかしないよな? なのに何故この猫は伏せをしているんだ? 分からん。

 

「取り敢えず、このままにしておくのもあれだしな。家に来るか?」

 

「ニ、ニャー!///」

 

おぉ、なんでそんなに恥ずかしがっているのかは置いといて早くしないと凍えてしまう。

 

俺は猫を抱き上げ早急に家に向かった。

 

 

 

 

 

「ふぅ……取り敢えずこれでよし」

 

俺は家に猫を連れて帰り寒くならない様にヒーターの近くに寝かせた。

 

猫は安心したのかすやすやと眠り始めた。

ついでにモカも寝始めた。

 

やはりこの光景は癒される。

 

一応暑くならない様に少しだけヒーターから距離を開けて寝かせた。

 

そうこうしていると、玄関の方からチャイムの音が聞こえた。

 

「はいは〜い」

 

俺は二匹を確認し、玄関に向かう。

 

「待たせたわね」

 

「いや、こっちこそ済まないな。いきなり呼び出して」

 

玄関先にいたのは友希那。

 

この猫の元を知る俺の知り合いなので、家に来る途中に家に来る様に連絡をしていた。

 

俺は友希那をリビングまで案内してモカと猫を見せた。

 

「……にゃーんちゃん」

 

「え?」

 

「っ! い、いえなんでもないわ」

 

うん、今にゃーんちゃんって言ったよね? ね?

アッハイワカリマシタ分かったからその握り拳をこっちに向けないで? 危ないからね?

 

「はぁ……それで、紗夜はあの場所にいたの?」

 

「あぁ、あの公園に……え? 紗夜?」

 

「そう言えば伝えてなかったわね。このニャーち……猫の元の名前は氷川紗夜。Roseliaのギターをやっていたわ」

 

うん、そこじゃないんだよね。

 

氷川紗夜って……まさか。

 

俺は友希那が紗夜と呼ぶ猫を抱き上げ撫でる。

いきなりやってしまったにも関わらず目を細めて喉を鳴らしてくれる。

 

「ポテトさん?」

 

「ニャ!」

 

その反応で俺はすぐに理解した。

あの人だ。

 

まさか一度会った人が猫になってるなんて……なんだか言葉には表しずらいなにかがある。

 

だが今は猫だ。誰がどう言おうと猫なのだ。

この現実は変えられない。

 

「取り敢えず名前は前と同じでいいのか?」

 

「えぇ、その方がいいでしょう?」

 

「ニャ!」

 

と、言うわけで名前は紗夜に決定。

取り敢えずキャットフードを与えることにした。

 

「………」カリカリカリカリ

 

「「可愛い」」

 

何故か二人揃って同じことを考えていて驚いたが、流石に可愛らしい姿をみてしまえば同じになるなと思った。

 

 

 

 

「それじゃあまた来るわね」

 

「あぁ、紗夜の事は任せてくれ。」

 

俺がそう言うと友希那は「それは頼もしいわね」と言って帰って行った。

 

リビングに戻ると紗夜はモカと何か話している様だった。

 

「ミャ〜」

 

「ニャ!」

 

なんだか学校で注意してる人と注意されてる人みたいな絵面になっている。

 

「そういや、友希那が『紗夜は風紀委員長なのよ』って言ってたな……こりゃ少しは楽になるのかな?」

 

これ以上増えるか分からないが、もし増えるとしたら紗夜も一緒にまとめてくれるだろう。

 

頼もしい事この上ない。

 

「これから宜しくな、紗夜」

 

俺が紗夜の頭を撫でるととても嬉しそうな顔をしてくれた。が、それと同時にモカからもナデナデを迫られた。

 

モフモフが二倍になったぜ!

 

とはいえ食費がちと増えてしまうがそこはまだカバーできるから安心だろう。

 

俺は立ち上がりモカと紗夜のご飯と夕飯の支度を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜。

 

俺はモカと紗夜を寝床に寝かせそそくさと寝る準備を始めた。

 

まぁ、案の定というかモカは既に枕元にスタンバイ。

 

紗夜は、眠ってはいないものの寝床に居る。

 

「やっぱりしっかりしてんのかね、風紀委員長ってのは」

 

しかしここの住人になったのが運の尽き。

素直にこなければ強制連行と昨日決めた。

我慢は毒っても言うし。

 

え? なんで我慢って単語が出てきたのかって? そりゃあ、一緒に寝たそうにしてる顔を見せられたら可愛くて負けちまうだろ?

 

つまりはそう言う事さ!

 

「てな訳で強制連行〜」

 

「ニャ?!///」

 

俺は電気を消してモカと紗夜を布団の中に入れる。

 

「氷川紗夜の時はどうだか知らないが、今は家の家族だ。我慢はさせないぞ?」

 

「ミャ〜」

 

「……ニャ」

 

どうやら分かってくれた様で何より。

二匹はすやすやと寝始めた。

 

因みに毎度の如くモフモフがやばくて俺じゃなきゃ逝ってたね。

 



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我が家の猫はしっかり者

デジャヴな始まり方


ピピピピッとアラームが鳴り響く。

 

だが、今日は待ちに待った土曜日。

 

俺にとっては天国でしかない。

 

部活も入っていなければ、用事も入っていない。それに加えて蘭達も用事がある。

 

これは勝った! というわけで今日はいつもより遅く起きる事にしよう。

 

そう考えて寝返りを打とうとした。

その時。

 

「ニャ!」ザシュッ

 

「痛ったい目がぁぁぁぁぁぁぁぁあ!」

 

突然頬に痛みがはしった。え? 目じゃないのかって? それはほらめ●みんの真似がしたかっただけです、ゆるしてください。

 

てか今何時だよ。

 

スマホの電源をつけて時刻を確認すると午前八時を表示していた。

 

おいおい、誰だい? 俺のハッピーライフを邪魔するのは? …自分でアラームやったんじゃねぇかよ。

 

ベッドからむくりと起き上がり、その張本人を発見する。

 

「……紗夜か」

 

「ニャ〜」

 

爪を立ててるあたり、恐らく紗夜の仕業だろう。全く恐ろしい猫だ事。

 

しかし、紗夜は風紀委員だと聞く。

 

恐らくこう言った時間もしっかりとしているのだろう。

 

「しかし痛ぇ」

 

「ニャ……」

 

うん、明らかにショボンとしないで?

 

俺が悪い様に見えるじゃないか。

 

しょうがないから、もう一度寝よう。

紗夜をベッドの中に引き込んで。

 

あ、この表現はどうなのかな……でもこれが正しい表現な気がする……(猫)って付けとけばなんとかなるかな?

 

取り敢えず紗夜(猫)を引き込んで再度ねる。

 

あったけぇ。

 

胸の方でジタバタしているが、次第にそのジタバタはなくなって行き掛け布団を剥がしてみるとすやすやと寝ている紗夜の姿があった。

 

因みにモカもちゃっかり入ってます。

 

これで当分二匹も起きないだろうしゆっくり寝るとしますかな。

 

俺はゆっくりと目を閉じて意識を手放そうとしたが、念のため目覚ましを枕元にセットしてから意識をゆっくりと手放した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれからどれくらいの時間が経ったのだろう。

 

まぁ、まだ目覚まし鳴ってないからいいかな……

 

そう思った瞬間目覚ましがなりました。

 

冬夜は『一級フラグ建築士』へとランクアップした!

 

「ん……そろそろ起きねぇとヤバイな」

 

俺は、むくりと起き上がりすぐ横を見た。

 

そこには、未だに目が覚めずにスヤスヤ眠っている二匹の微笑ましい姿があった。

 

このまま写真を撮らせてもらおう。

 

「……ニャ?」

 

「あ、悪い」

 

どうやらシャッター音で紗夜を起こしてしまった様だ。物凄く眠そうな顔をしているが、寝ぼけているのかよろよろとベッドを降りようとしているので、慌てて抱き上げた。

 

「紗夜って、起こす時間とかはしっかりしてるけど、こういう時は寝坊助なんだな」

 

なんだか少しホッとした。

 

 

 

 

 

 

さて、場所は変わりリビング。

 

俺は、ぐで〜っとしながらテレビを見ていた。

 

しかしなにも面白いものがない。

 

「仕方ない、勉強でもすっかな」

 

そんな事を考え、勉強道具をとりに行こうとしたとき。

 

ズリズリと、何かを引きずる音が聞こえてきた。

 

「な、なんだ?」

 

その音はドア付近から聞こえてくる。

まさか、お化けとかじゃないよね? いつかみたホラー映画じゃないよね?

 

俺は、恐る恐るドアに近付きドアをゆっくりと開けた。するとそこには……

 

「ニャ〜!」

 

「はぁ……紗夜か。ビックリした」

 

そこには紗夜がちょこんと座っており、隣には勉強道具があった。

 

まさかとは思うが、これを一人で持ってきてくれたのか? なんて思ったが、その後ろにモカも座っていたので、二人で協力して運んできてくれたのだろう。

 

「ありがとな、俺も丁度勉強しようと思ってたところだ」

 

二匹の頭の上に手を乗せてゆっくりと、優しく撫でる。

 

モカは嬉しそうに目を細めているが、紗夜は明らかに照れている。

 

可愛い。

 

「よし、モカも紗夜も中に入れ。廊下は寒いからな」

 

「ミャ〜」

 

「ニ、ニャ〜///」

 

俺は、二匹を抱えてリビングに入り勉強を始めた。

 

 

 

 

 

「これで終わり……っと」

 

時計を見ると、約一時間半が過ぎていた。

それにしてもだいぶ捗ったな。

 

勉強をしている時に、間違えた場所を紗夜が「ニャ!」と言って指摘してくれたおかげで、間違いに気づく事が出来た。

 

なんだろう……こうして指摘されると負けた気がする。まぁ、頭も良いって聞いてたし大丈夫かな?

 

モカに至っては膝上でスヤスヤと寝始めていた。モカの方はもう少し粘ったほうが良いのでは? と考えたが、猫になっている今だ、のんびりさせてやろう。

 

「……ニャ」

 

「ん? どうした? 紗夜」

 

何故かは知らないが、先程からモジモジしている。トイレではなさそうだし、朝食もしっかりとあげた。

 

となると……まさか。

 

「紗夜も膝上、来るか?」

 

「ニャ……///」

 

……乗りたいのか。

 

俺は紗夜を片手で持ち上げ、モカをずらして紗夜を膝の上に置いた。言い忘れていたが、しっかりと胡座をかいているのでしっかりと寝やすい状態にしている。

 

こうして紗夜を見てみると、しっかり者だが、少し我慢してしまうところがあるので心配になる。

 

だが、そのしっかりさでモカも少し、しっかりとしてくれる事を願うばかりだ。

 

まぁ、可愛いのでのんびりしているのはゆるす。

 

「紗夜も、少しはのんびりしてくれてもいいんだからな」

 

スヤスヤと寝ている紗夜を撫でて、俺はもう一度机の上に向き直り、猫二匹を膝の上に乗せて勉強を再開した。

 




偶に入る前書きと後書き


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我が家の猫のとある日常Ⅱ

わたしの名前は氷川紗夜。

 

Roseliaのギターを担当しているわ。

 

けれど、今は訳あって猫になっていますがその理由はまた今度にしましょう。

 

話は変わりますが、今わたしはとある人の膝の上に乗って居ます。

 

「ん? どうした? 紗夜」

 

彼の名前は笹原冬夜。

 

猫のわたしを拾ってくれた優しい人。

 

けれど、一度彼と面識があるんです。

 

確か、あの時はポテトを分けて貰いました。

 

何故ポテトを分けて貰ったのかは深く話しません。聞かないで下さい。

 

それと冬夜さんは、以前湊さんも拾ったとの事で、家に帰ると親に迷惑をかけてしまいそうなので、現在はここに住んでいます。

 

冬夜さんは、わたしの一つ上の三年生らしいです。

 

三年生といえば、そろそろ、大学に進学する人達は受験が間近に迫り、就職する人は、就活に忙しい時期。

 

けれど、冬夜さんは、わたし達の面倒をしっかり見てくれています。

 

流石に、少しは勉強して居るようですが、わたし達を心配する余り、勉強の時間が少ない様な気もします。

 

ま、まぁわたし達の遊びたいという衝動を解放してくれるのはありがたい限りですけど。

 

「ニャ〜」

 

「おぉ、腹をむけるとは珍しい事もあるんだな」

 

ここは、ベストポジションといっても過言ではありません。

 

例えるなら、わたしの妹が炬燵に入ったまま、殆ど出てこなくなる様な感じですね。

 

妹が、炬燵から離れたくないと言って聞かない時はどうしたらいいかわからなかったけれど、この膝の上と照らし合わせればなんとなく分かる気がしますね。

 

それにしても、冬夜さんは人を甘やかし過ぎです! ……わたしも甘えるという事を覚えてしまうじゃないですか///

 

「ニャ!」

 

「うおっ! 今度はどうした?」

 

はぁ……はぁ……危うく何かに取り込まれそうになりましたが、ギリギリ抜け出せました。

取り敢えず、今から冬夜さんの勉強を見る事にします。

 

わたしは、冬夜さんの膝の上から降りて冬夜さんの自室に向かう。

自室に着くと、机の上に座る。

 

「お〜、紗夜さんは、今日も冬夜くんのお勉強見るんですか〜?」

 

「青葉さん」

 

ベッドの上に蹲っていた、わたしより先に冬夜さんに保護された猫、青葉モカさんが居た。

 

青葉さんが猫だと言う事は、美竹さんが両親に伝えたようで、両親の方も承諾したそうです。

 

わたしの両親も同意した様ですが……妹の反応がないのがおかしいですね。

 

「何事もなければいいのだけど……」

 

「? どうしたんですか、紗夜さん」

 

「……いえ、なんでもないです」

 

わたしは、冬夜さんが来るまで夕日が沈んで行く空を眺めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから待つこと数分、下の階から誰かが登ってくる音が聞こえて来る。

 

恐らく冬夜さんでしょう。

 

ガチャっと、扉が開くと同時に冬夜さんが部屋に入って来る。

 

「待たせたな、紗夜、モカ。どれ、勉強するとしますかね」

 

そう言いながら冬夜さんは教科書を開き、机と向き合う。

 

湊さんも言っていましたが、冬夜さんの横顔は……その……見てて飽きませんね。

 

べ、別に深い意味はありません……本当にありませんから!

 

っと、そんな事をしている場合ではありませんね。

 

「ニャ!」

 

「ん? ここか? そういや、なんか違う気が……あ、こう言うことか」

 

「ニャ〜」

 

たとえ、口から発される言葉の意味が通じなくても、こうして彼が理解しようと頑張ってくれている。

 

だから、わたしも、青葉さんもそう言った所に惹かれてしまっているのかも知れませんね。

 

わ、わたしは別にす、好きとか、そんなんじゃないですよ……そんなんじゃ……こ、この話はおしまいです!

 

取り敢えず、今冬夜さんが勉強しているのは、二年生の復習。

 

少なからずわたしもお手伝い出来ます。

 

それはそうと……

 

「青葉さん! いつまで冬夜さんの膝の上にいるつもりですか!」

 

「え〜? いいじゃないですか〜」

 

くっ! 羨まし……いえ、なんでもないです。

 

それより勉強の方を……

 

そう思い再度教科書に目をやると、体が宙に浮いていた。

 

「ほ〜ら、どっこいしょ」

 

「ニャ!」

 

なっ! なんで布団に寝転がるんですか! それと青葉さんはいつの間に寝てるんですか?!先程話したばかりですよ?!

 

「飯も食ったし、今日はもう寝るか……」

 

「ニャ〜!」

 

それはいけません! 受験生たる者、勉強を怠らずにですね……

 

そうやって冬夜さんに伝えようとしましたが、途中で口が止まる。

 

どう伝えようとしても、この声は届かない。

たとえ冬夜さんが頑張って居ようと、それはなんとなくでしかない。

なら、無駄な事は止めよう。

 

そんな事を考える。

 

すると、頭になにか暖かい物が乗せられる。

 

上を見ると、冬夜さんの手が頭の上に乗せられていた。

 

つまりは撫でられている。

 

「別に、そんな考えなくてもいいんじゃないのか?」

 

「っ!」

 

「確かに、俺はお前達の言葉はわからない。どれだけ聞こうとしても「ニャ〜」とか「ミャ〜」とか、そんな感じでしかない。けどな紗夜」

 

冬夜さんはそこで手を止め、此方を向く。

 

「お前達の心は、思いは、少なからず届いてるからな」

 

あぁ、やはりこの人には敵わないですね。

 

どれだけマイナスな考えをもっても、どれだけ否定しようとも、冬夜さんはプラスの考えにして、肯定してくれる。

 

「ニャ〜」

 

「おやすみ、紗夜」

 

だから、わたしはこの人に体を預ける。

 

この温もりを少しでも長く感じられるように。

 

目を閉じて、意識をゆっくりと手放す。

 

さて、明日も勉強のお手伝いをしないといけませんね。

 



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我が家に来た新たなギタリストⅡ

最早寝起きから始まるのがこの物語


「ん〜……ねみぃ」

 

俺は、ピピピピと鳴るアラームを止めてゆっくりと起き上がる。

 

今日は日曜日、今日も今日とて楽園……とはいかず、明日が学校という絶望感を感じながら朝を迎えた。

 

「……ん? 紗夜とモカがいない……」

 

俺は、いつも感じるモフモフ感がないことに気づいて辺りを見回す。

 

すると、珍しくしっかり寝床に寝ている二匹の姿が視界に入った。

 

「珍しいこともあるんだな」

 

少し寂しいが、気持ちよさそうに寝ているところを見せられると起こす気も湧かない。

 

時計を見ると、タイマーのセットする時間がズレたのか、大分朝早くに目覚ましをかけてしまっていた様だ。

 

「はぁ……散歩にでも行くか」

 

俺は、紗夜とモカを起こさないように、そっと部屋を出てから外に行く格好に着替えて散歩に出掛けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そろそろ春になるのか……」

 

今は、二月の中旬。

 

俺も、そろそろ大学受験本番が近づいている。

 

そろそろ真面目に勉強しないとやばいな。

 

そんな事を考えながら、いつもの散歩コースを歩く。

 

勿論、あの公園にも行く。

 

今日は流石に猫は居ないだろう。

 

なにせ一昨日紗夜が増えたばかりだからな。

 

「どれどれ……」

 

俺は、例の段ボールの近くに行き、中身をのぞいた。

 

流石に猫は居ないだろう。

 

そう思っていた時期が、俺にはありました。

 

「……はぁ」

 

なんでいるんだか。

 

「ニャァ!」

 

「フラグなんて立てるもんじゃないな」

 

俺は、その猫に近づき抱き上げる。

 

見た目は紗夜と似ているが、髪? の様な部分が恐らく紗夜より短いと思われる。

 

そして、目も紗夜と同じエメラルドグリーンの綺麗な色をしている。

 

すると、毎度の如くLINEが来た。

 

アイツら俺の事見張ってんじゃねぇのか? なんて思える程に絶妙なタイミングでLINEを送ってくる。

 

そう考えると、うちの親とは最近連絡を取っていない。

 

まぁ、あっちはあっちで忙しいのだろう。

 

それはそうと、今回は誰なのだろうか?

 

何処かで見たような気がしなくもないが……色んなのに会いすぎて頭がこんがらがってる。

 

取り敢えずLINEを開いてみると、彩からのLINEだった。

 

『と、冬夜くん! わたしが居るバンドのギターの子がいなくなっちゃったんだけど……あの場所に居たりする?』

 

「はぁ、やっぱり」

 

俺は、スマホをカメラモードに切り替えその猫を撮って彩に送ってみた。

 

なんな嫌な予感がするが、まぁ気にしないでおこう。

 

なんてフラグを立てたりしたから嫌な予感が当たってしまった。

 

『あ、その子だ。日菜ちゃんにそっくり』

 

え? 日菜ちゃん?

 

俺は、何処かで聞いた事がある気が……あ

 

「もしかして、あの星を見てた? 氷川日菜?」

 

「ニャン♪」

 

やっぱり、しかも氷川日菜って言ったら紗夜と同じ苗字……って事は、前に友希那が言っていた妹か。

 

いや待てよ? 確か仲が悪いんじゃなかったか? いやでも、このまま外に置いていくのもアレだしなぁ……

 

「よし、面倒だから連れて帰るか」

 

「ニャァ!」

 

あぁ〜、今回の奴は面倒な気がするぞ。

 

なにせフードの中でめっちゃ暴れ回ってるからな。

 

取り敢えず、猫を連れてキャットフードを買って帰る事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お邪魔しまーす」

 

「お邪魔だと思うならお引き取り願います」

 

「酷い!」

 

と、開口一番に俺に揶揄われるこのピンクの髪の色をしている少女の名は丸山彩。

 

今をトキメクピチピチアイドル。加えてバンドをしていると言うなんとも劇的アンビリーバブルなアイドルバンドPastel*palettes、通称パスパレのボーカル。

 

「それで……冬夜くんはなにをしてるの?」

 

「ん? なにか変な事でもしてるか?」

 

「してるよ!」

 

う〜ん、俺はなにもやってないんだけどなぁ。

 

今やってる事と言えば、俺の膝の上で紗夜と拾って来た新たなネコが戯れあってるのか喧嘩してるのか分からない状況になってる事くらいかな。

 

あ、またズボン買い換えなきゃいけねぇな。

 

「所で、こいつは本当に氷川日菜なのか?」

 

「うん、多分日菜ちゃんだよ。日菜ちゃんの口癖って『るん♪』なんだけど、この猫ちゃんも『ニャン♪』って文字で表せれてるから恐らく日菜ちゃんだね」

 

お、おう。

 

なんだかいきなりメタイ話をされた気が……いや、こんなバンドリssでメタ発言なんて日常茶飯事と考えなければやっていけない。

 

ん? そういや、バンドリssってなんだ? なんでこんな事知ってるんだ? まぁいいや。

 

こうして、俺は、考えるのを止めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は過ぎて、夜。

 

俺は三匹の猫にキャットフードを与えて自室に戻り、一人勉強に勤しんでいた。

 

「ニャァ〜」

 

「お? 日菜か。紗夜と遊ばなくてもいいのか?」

 

「ニャァ!」

 

因みに、この猫の名前は日菜になった。

 

まぁ、こいつらは自分の名前にしか反応しないからあれなんだけど。

 

それより、親が心配することを考えると流石になにも連絡なしではやばいと思い紗夜と日菜の家に連絡しようとしたが、彩が伝えておいてくれるそうだ。

 

てか、よくこんな奴に自分の子を預けれるよな。

 

今は猫だけど。

 

「……膝の上、乗るか?」

 

「ニャン♪」

 

今日一日過ごして、わかった事がいくつかある。

 

日菜は、薄味の物が嫌いらしい。

 

あまり濃くない味付けがされている猫缶を食べようとしなかった。

 

他には意外と紗夜と仲がいい事。

 

彩曰く、仲直りしているそうだ。

 

「まぁ、悪かったらあんなに仲良く遊ばないか」

 

先程まで、やはり姉妹かと思わされる程仲良く遊んでいた。勿論、モカもその中に入っている。

 

「……そろそろ寝るか」

 

「ニャァ!」

 

「よし、紗夜とモカも呼んできてくれ」

 

「ニャァ」

 

そう鳴いてスタコラサッサと下に降りて行ったと思ったら直ぐに紗夜とモカを呼んで上がって来た。

 

「本当、元気いいよなぁ」

 

これでは明日から忙しくなるな。

 

今まで以上に。

 

そんな事を考えながら、三匹のモフモフに囲まれて寝るのであった。

 

 

 



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我が家の猫は「るん♪」ってする?

窓の外から小鳥の鳴き声が聞こえる。

 

俺は、ゆっくりと目を覚まして体を伸ばす。

 

周りを確認すると、今おれは、机に座っているようだ。

 

「……寝落ちか」

 

昨日は確か、モカや紗夜。そして、日菜についての事を調べていた。

 

「ふぁ〜、ねみぃ……ん?」

 

俺は、ふとデジタル時計に目をやった。

 

そこには『3/2(月曜)7:50』と表記されていた。

 

……ん? 月曜日?

 

「あ……ヤッベ!」

 

俺は、すぐさまイスを立ち、下に降りてリビングに向かい、猫缶を開けて制服を着る。

 

すると、トタトタとモカ達がやって来た。

 

「……どうすっかな」

 

このまま、モカ達を連れて学校に行けば確実に遅刻は免れない。

 

かと言って、置いていっても遅刻は免れない。

 

なら、俺が取るべき選択はただ一つ。

 

「はぁ……ゆっくり食べろよ?」

 

こいつらを待つ事だ。

 

え? 怒られるけどいいのかって? そもそも、遅刻しなかったとして、紗夜と日菜の報告をした時点で怒られるのは確定しているのだ。

わざわざ早く登校する必要はあるまい。

 

と、いう訳で、俺は玄関に座り込みモカ達が食べ終わるのを待った。

 

****

 

「はぁ……最悪だ」

 

そう言いながらため息を吐く。

 

今俺は、学校の前に居るのだが、人っ子一人居ない。そして、俺はたった今思い出したのだ。

 

「今日振り休じゃねぇかよ」

 

完全に忘れていた。

 

今日は振り替え休日、学校が休みなのだ。

 

全く、なぜ俺はここまで早く起きなければいけなかったのだろうか。

 

「あ〜、もう無理。眠すぎて死ぬ」

 

俺は、休みだと思い出すと、すぐさま踵を返して家に向かった。

 

因みに、何故か日菜が肩付近で笑っていた。

 

解せぬ……

 

****

 

「ねーねー、おねーちゃん!」

 

「どうしたのよ日菜、いきなり声を出して……まだ朝よ?」

 

あたしは、目が覚めると、部屋に冬夜くんが居ないことに気づいた。

 

でも、さっきドタドタと下に降りて行く音が聞こえたから、なにかあったのかな?

 

「なんだかるん♪ってする!」

 

「はぁ、日菜あなたは……あら? 冬夜さんは?」

 

「恐らく下に居ると思いま〜す」

 

と、モカちゃんが言うと、おねーちゃんはすぐにドアノブをジャンプして掴みドアを開けた。

 

本当におねーちゃんは、冬夜くんが好きだよねぇ。

 

なんだか羨ましいなぁ……

 

まぁ、あたしも冬夜くんが好きだけどね!

 

「さ〜、ご飯を食べに行こ〜」

 

「おー!」

 

その後冬夜くんは、しっかりとご飯を食べさせてくれたし、あたしたちを待っていてくれた。

 

本当に、冬夜くんは優しいねってモカちゃんと話をしながら、いつも通り冬夜くんのフードの中でモゾモゾとしていた。

 

****

 

学校に着くと、校門の前で冬夜くんが止まった。

 

「あら? どうかしたのかしら?」

 

「パン美味しい〜」

 

「よいしょ……あはは!学校閉まってる〜!」

 

「こら、日菜!」

 

そのあと、冬夜くんはトボトボと帰ったけど、その間あたしはずっとおねーちゃんに叱られてた。

 

****

 

家に帰ると、俺は、直ぐにソファーに座る。

課題も昨日の内に終わらせてたんだけどなぁ ……まぁ、復習するって考えればまだいい方か。

 

「ニャン♪」

 

「にしても、お前は本当に元気いいな」

 

俺は、膝の上でピョンピョン跳ねる日菜を撫でる。

 

紗夜とモカは日向でスゥスゥと寝息を立てている。しかし、こいつはいつまでも疲れる気配がない。

 

「るん♪……ねぇ」

 

日菜の人間の時、パスパレの『氷川日菜』がよく言っていた言葉らしい。

 

でも、コイツは『氷川日菜』じゃない。

 

ただの子猫の……俺の家族の『日菜』だ。

 

「そこら辺はわきまえて生活しねぇとな」

 

「ニャァ?」

 

「いや、なんでもないよ」

 

再度頭を撫でると、流石に日菜も疲れたのか膝を降りて紗夜の近くに行って丸まり寝息を立て始めた。

 

ここはやっぱり双子なのかと思う。

 

「……散歩にでも行くか」

 

俺は、モカ達に毛布を掛けて『散歩に行ってくる』と置き手紙を置いて散歩に出かけた。

 

****

 

「……そろそろか」

 

俺が来たのは、羽丘総合大学。

 

あと数日で、俺が受ける大学だ。

 

緊張はする。

 

しかし、勉強を怠った事はない。

 

全力で取り組むだけだ。

 

「よっし、帰ったら勉強すっかな」

 

あ、その前にNFOしないとな。

 

そう考えながら、踵を返し家に歩を進める。

 

そんな時

 

「やっぱりポピパさんのライブ……凄かった!」

 

「あはは!やっぱりましろは面白いねー!」

 

前から少女達が歩いてくる。

 

会話は少しだけ聞こえてくるが、ポピパのライブの感想らしい。

 

しかし……

 

「ましろ?」

 

その少女が通り過ぎる直前、懐かしい名前が聞こえた。

 

「いや……んな訳ないか」 

 

アイツはもう……あの家は、俺には関係ない。

 

「さてと、帰ってアイツらの飯でも作るかな」

 

俺は、スーパーに寄って猫缶を買ったりなんだりして、家に帰ることにした。

 

****

 

その日の夜、俺はノートに色々纏めながら膝の上に三匹の子猫を置くという高等テクに挑戦していた。

 

しかし、さすがに三匹も乗るわけもなく、結果は一匹ずつローテーションで乗せることになった。

 

「……寝たか」

 

最近のコイツらは纏まって寝る事が多くなってきた。

 

まぁ、仲が良いのは宜しい。

 

「俺もそろそろ寝るかな」

 

俺も、ベッドの中に入ろうと思い、席を立つ。

 

「……ましろ」

 

あの時の少女の名前が俺の予想通りの名前なら……俺は、アイツらと関わるのを(・・・・・)辞めた方がいい(・・・・・・・)のかも知れない。

 

「まぁ、そんな事ないけどな」

 

俺も、コイツらとの生活は好きだ。

 

だから、コイツらとの繋がりは手放したくない。

 

だから……



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我が家の猫のとある日常Ⅲ

あたしの名前は氷川日菜!

 

Pastel*palettesって言うアイドルバンドのギターをやってるんだ〜。

 

猫になった理由はね〜、また今度にする! なんだか、そっちのほうがるん♪ってするし。

 

ちょっと話は変わるんだけどね〜? 今、あたしの目の前で寝息を立てているのは、あたしを拾ってくれた冬夜くん!

 

前に、一緒に天体観測もしたんだ〜。

 

あの時は彩ちゃんとか友希那ちゃんとかが、猫になってたんだって〜。

 

なんであたしは気づかなかったんだろ?

 

「こら日菜、冬夜さんが起きてしまうでしょ」

 

「ちぇ〜、どうせおねーちゃんも見てるんでしょ?少しくらいいいじゃん」

 

そう言うと、おねーちゃんはあからさまに焦る。冬夜くんには申し訳ないけど、こういう時に焦るおねーちゃんは面白い。

 

とは言っても、冬夜くんは疲れて寝ちゃってるし、おねーちゃんも日向ぼっこしてるし……モカちゃんはどうしてるんだろ?

 

あたしは、冬夜くんの部屋を出てリビングに向かってみる。

 

すると、そこにはモカちゃんが居た。

 

「あ! モカちゃん! なにしてるの?」

 

「あ〜、日菜先輩〜、あたしは今ご飯を食べてるんですよ〜」モッモッモッ

 

そう言いながら口を動かすモカちゃん。

 

よくみるとモカちゃんのお皿にだけまだご飯が残っている。

 

「なぁんだ、おねーちゃんもモカちゃんもダメなのかぁ〜……そうだ!」

 

あたしは冬夜くんの部屋に戻って、冬夜くんの机に登り器用に窓を開ける。

 

最近まで開けられなかったけど、つい昨日開けられるようになったんだよね〜。

 

あたしはそこから外に出て屋根を伝って塀に飛び移る。

 

この体になって分かったことはいくつかあるんだ〜。一つは体が小さくてもちょっと高い所ならピョンって飛び越えられること。

そして、着地した時もそこまで痛くないんだぁ〜。

 

そして食べ物はキャットフードが意外に美味しい事。

 

家は猫飼ってなかったから分からなかったけどるん♪ってする味だった!

 

「ふんふふ〜ん、それじゃあまずは彩ちゃんの所に行こっかなぁ」

 

今はパスパレ自体の活動は休止してるみたい。

 

それでも個人で出演するレギュラー番組とかはしっかり出てるみたいなんだよね〜。

 

え? あたしが出演する番組? それはよく分かんないけど、あたしが居なくてもふつーにやってるよ?

 

「まぁいいや、それじゃぁ彩ちゃんの家にしゅっぱーつ!」

 

そこから彩ちゃんの家には、色んな家の塀や

屋根を伝ってそこまで行く事にした。

 

****

 

「この体だと人目も気にしなくてもいいし、涼しいからるん♪ってする!」

 

今までは可愛がって撫でていた猫の言葉も、この体だとなにを言っているかも分かるしここに来るまでにも色んな猫と会って話した。

 

あたしが考えてる猫の喋り方とは全く違ったりしてて色んな発見があって面白かった〜。

 

そして今、あたしは彩ちゃんの家に来ている。

 

来てるって言っても、彩ちゃんの部屋の窓の近くの屋根についた所だ。

 

部屋の中を覗くと、彩ちゃんがなにか台本を持ちながら練習をしていた。

 

「彩〜ちゃ〜ん!」

 

あたしは彩ちゃんを呼びながらドアを叩く。

 

でも、彩ちゃんは練習に集中してるみたいでこっちに気付いて居る様子ではない。

 

「ちぇ〜……冬夜くんの所に戻ろっと」

 

そう思って暫く歩いていた時。

 

「ねぇ見て! あそこに変な猫がいる〜!」

 

「っ!」

 

背後から子供数人がキャッキャッとはしゃぎながらこちらに向かって走ってくる。

 

普段ならこれが普通の状況で、そのまま横を通り過ぎていくのかも知れない。

 

けれど今は違う、『変な猫』つまりはあたしの事だ。

 

「!」ダッ!

 

あたしはここに居てはいけない、逃げなければいけないと理解し、その場から走り出した。

 

「あ! 待てー!」

 

それでもなお子供達は追いかけてくる。

 

おかしいなぁ、猫って意外と速いよね? そう考えていた時足がガクッとなりその場に倒れ込んだ。

 

「あ、やばい」

 

側溝に足が挟まってしまった様だ。

 

早く抜け出さないと、そう考えている内に子供達があたしを取り囲む。

 

「ねぇ! これテレビに出したらどうなるの?」

 

「水色の毛の猫なんて見たことないから、ちゅーもくされるんじゃない?」

 

「なら、家に連れて帰ろうよ!」

 

そう言ってははしゃぎながらあたしに手を伸ばす子供達。

 

「助けて! 冬夜くん!」

 

その時だった。

 

「こらー! 人ん家の猫になにしてんだー!」

 

「うわっ! あれ飼い主だよ! 早く逃げよ!」

 

「えっ、でも……」

 

そう子供が戸惑っている内に、その声がどんどん近づいてくる。

 

それに焦ったのか、子供たちはすぐにその場から立ち去っていった。

 

そして、その後にあたしの元に駆け寄ってきたのは冬夜くんだった。

 

「ふぅ……危なかった〜、大丈夫か? 日菜」

 

「………」

 

あたしは、初めて感じた恐怖と助けてくれたという嬉しさで冬夜くんに抱きついた。

 

「おぉ、怖かったな日菜」

 

「うん……怖かった」

 

「ふふっ、大丈夫だよ。俺が必ず守るから。あ、でも散歩に行く時は今度から俺も行くからな?」

 

「うん」

 

冬夜くんからしたら、あたしは「ニャァー」としか聞こえないだろう。

 

でも、冬夜くんは頑張ってそれを理解しようとあたし達に寄り添ってくれてる。

 

「彩ちゃんの言ってた通り、冬夜くんはるん♪

ってするね!」

 

今までも、これからも、もしかしたら元に戻っても迷惑をかけてしまうかもしれない。

 

でも、冬夜くんなら構ってくれるよね?

 

その日のあたしは、おねーちゃん曰くずっと冬夜くんの側に居たらしい。

 

あたしは眠くてあんまり覚えてないけどね。

 



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我が家に来た新たなギタリストⅢ

季節は春。

 

雪も完全に溶けて、暖かい風が頬をなでる。

 

今日は3/11

 

今日は、俺達三年生の卒業式。

 

今、壇上では代表生徒が卒業証書を受け取り階段を降りている。

 

周りにはちょくちょく泣いているひとが見受けられる。

 

「まぁ、卒業だしな」

 

先生の方を見ても、いつも熱血指導をして居た先生も涙を流して居た。

 

卒業は、別れが訪れる。

 

だが、俺の場合は出会いがあるかも?ってな。

まぁこの発言がフラグにならない様に気を付けるよ。

 

なんて事を考えているうちに、閉会式が終わり。卒業式は幕を閉じた。

 

****

 

卒業式の後は、クラスごとに教室に戻りそこで卒業証書を受け取る。

 

そっから先生のありがたい言葉をいただいた後に在校生に門出を祝われ、校門前でワイワイと喋っている。

 

「よう、我が息子よ!」

 

「げ、親父」

 

そりゃぁ、家の親も子供を祝う為に卒業式に来ている訳だが流石に大声は出さないで欲しい。

 

めっちゃ見られる。

 

「ほらお父さん言ったでしょ。冬夜はお年頃なんだから騒がないで頂戴って」

 

いや、あんたも十分声でけぇよ。

てか二人揃ってオーラ出しすぎなんだよ。

なに? そのセレブ感、海外で仕事するとそうなんの? あれ? 家族の中で大物感出てないの俺だけじゃね?

 

「相変わらずお前の親すげぇな」

 

「親が凄くても自分じゃねぇから嬉しくねぇ」

 

そう答えると隣で笑う俺の友人、山崎康介。

 

こいつは俺と違う医療大学に進む様で、今までの悪ガキみたいな態度からは想像出来ない様な夢を持っている。

 

「お前は何処の大学行くんだっけ?」

 

「ん?俺? 俺は羽丘総合大学」

 

「そっか……頑張れよ冬夜」

 

「あぁ、お前も頑張れよ康介」

 

俺と康介が話し終わったのを見計らう様に、ほかのクラスのやつが康介を呼んだ。

 

「じゃぁ、俺行くわ」

 

「おう、またな」

 

そう言って手を振り別れる。

 

「彼、山崎くんだっけ? 彼はいい子ね」

 

「そうだぞ。あんないい子はそうそう居ないからな、大切にするんだぞ。冬夜」

 

この親は自分のこどもの年齢を幾つだと考えてんだよ……

 

なんて事を考えていると足に何かがしがみ付いた感覚があった。

 

まぁ、こんな事をする奴は家に三匹しか居ないから分かるけど。

 

下を向くと案の定モカ達がしがみ付いて居た。

 

「すまんすまん、流石に卒業式にお前達は出せないから」

 

「ミャ〜」「ニャ〜」「ニャァ〜」

 

「あらあら、モテモテね冬夜」

 

でも、いいだろ? 母さんと父さんは卒業式なんてそっちのけでずっとモカ達を撫でてたのは誰だよ……

 

まぁ、モカ達にまだ会ってなかったみたいだからそれはそれでいいんだけどさ。

 

小中って卒業式で大泣きして恥ずかしい思い出を高校では残さなくて済んだ。

 

****

 

いくら卒業したとしても、俺の日課は変わらない。

 

あの後、家に帰ると親父と母さんは仕事でまたあっちに行った。

 

まぁ、小中って同じ事の繰り返しだったからもう慣れた。

 

「しかも今はこいつらも居るしな」

 

そう言うと、いつも返事が返ってくる場所が頭の後ろだったのが足元から聞こえて来た。

 

「よかったな、もうあったかいから歩けるぞ」

 

「ミャ〜」

 

こいつらが居るだけで大分賑やかになるから、俺は十分だ。まぁ、両親がいないってのもあれだけどな。

 

「っと、今日はめでたい日だしいる訳……アッハイそうですね居るんですね分かります」

 

「ミャァ……」

 

うん? 今回の猫は大人しいな。

 

今回発見した猫は、瞳が赤く紫色の毛をしている。

 

宝塚志望してんのか? さっきからめっちゃオーラ放ってるけど……

 

「まぁ、どうせモカ達と似たようなもんなんだろうなぁ」

 

もうここまでくると前回同様もう一匹増える様な感じである。

 

欲を言えば増えて欲しいが、流石にそれは無理な話だろう。

 

すると、後方からとても元気な声がして来た。

 

「冬夜〜!」

 

「ん? この声は……やっぱりこころか」

 

後ろを振り向き声のヌシを見てみると、案の定とても眩しい笑顔のこころがこちらに走って来た。

 

うん、それにしてもこのまま突っ込んできそうな勢いだね。

 

ねぇ、なんで止まらないの? ねぇ

 

「ダーイブ!」

 

「ゔっ!」

 

は、腹ガァ! ……ま、まぁいいだろう。純真無垢な少女のタックルだ。

意外と痛いんですがそこらへんはカバーしようね。

 

「それで、ここに来たってことはこの猫の事か?」

 

「そうよ! 今度は薫が猫になったみたいなの!」

 

か、薫? え、あの新世紀迎えてそうなロボアニメのカヲルくん? あ、違うのね。

 

って、どう考えてもうちの学校の瀬田薫って雰囲気してるもんなぁ……まぁ、殆ど知らんけど。

 

「取り敢えず、こころの方に預けとくか?」

 

「いいえ! 薫には冬夜の事を知ってもらうために冬夜に預かって貰うわ!」

 

「相変わらず無茶を言いよるわ。まぁ、うちにはもう三匹居るし諦めるしかないのかね……ところで親心配すんじゃねぇの?」

 

いや、こころさん? なに分からない雰囲気出してるんですか? 一番大事よ?

 

俺がこころにツッコミを入れようとおもったが、後ろの気配でそれを止めた。

 

この気配って、黒服じゃね?

 

「ご安心ください笹原様。説明は我々からしております。それと、こころ様の件で安心も得られておりますので大丈夫かと」

 

「ところでなんでこうなってるか知ります?」

 

「……それでは、わたしは用事がありますので」

 

ねぇ、いま目逸らしたよね? 絶対なにか知ってるよね? こころも帰るの? ちょっと、絶対弦巻家関わってんじゃん。

 

「ミャァ〜」

 

「はぁ……取り敢えず連れて帰るしかないのか」

 

今回ばかりは拾わないの選択肢はないと思う。だって、拾わない選択を少しでもしてみろ。俺の命がない。

 

まぁ見る限りモカと何かやってるみたいだし大丈夫だろ。

 

「さてと、それじゃあ家に帰るか。行くぞモカ、薫」

 

「ミャ〜」「ミャァ〜」

 

うん、文字に表すとめっちゃ分かりにくいね。

一応『ァ』を付けてる付けてないで判断出来るようにはしてるけど初見の人は絶対分からないよ? 

 

って、なに一人で考えてんだろ。

 

取り敢えず家に帰ったら親父と母さんに知らせないとなぁ……

 

そんな事を考えながら家に帰るのであった。

 

因みに薫を紹介したら何故か紗夜と日菜がしばらくピッタリくっついて離れなかったのは実に不思議でならなかった。

 

 

 



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我が家の猫と猫カフェ

今日も今日とてうざい程の晴天。

 

俺はいつも通りタイマーで起きた。

 

だが、今日は一味違う。

 

とはいえ、頼んだ人物がいつ来るかは分からないが、取り敢えず超特急で来ることは間違い無いだろう。

 

「取り敢えず、飯食うかな」

 

俺は、ベッドから起き上がり四匹を抱えるとリビングに向かった。

 

****

 

リビングに着くと、猫用の寝具に四匹を改めて寝かせて朝食を作る。

 

みんなもすでに分かっているとは思うが、両親が居ないためほぼ自炊をしている。

 

え? そんなの大分前から知ってる? まぁ、そりゃそうか。

 

「っと、出来た」

 

そんなこんなで、いつも通りの手際で完成したのは目玉焼きにベーコンを添えた簡単な奴。それとレタスも乗っけておいた。

 

「ニャ〜」

 

「ん? 紗夜か。おはよう」

 

やっぱり紗夜が一番早起きだな。

 

偉いぞと言いながら頭を撫でると、喉元をゴロゴロと鳴らしている。

 

矢張りこいつらの仕草は一つ一つが特徴的で、愛らしい。

 

だが、今日はそれを裏切らなければ行けないのだ。

 

なんて事はさておき、全員分のキャットフードをそれぞれの皿にやり、俺も朝食を食べ始める。

 

「ミャ〜」

 

「お? モカ達も起きたか」

 

キャットフードの音で起きたのか、ポヤポヤしながらモカ達はキャットフードが盛られた皿に歩いていく。

 

俺はと言うと、そこまで量がある訳でもないのですぐに食べ終わり食器を片付ける。

 

そこからはいつも通りの感じだ。

 

「ほれほれ〜、日菜、紗夜、届くかな〜?」

 

「「ニャ!」」

 

現在は、紗夜と日菜と戯れている。

 

モカは日向で寝てしまっているし薫はなんかキラキラしてる。うん、薫は説明しがたいものがあるな。

 

って、日菜さんはあっさりと届かないで貰えますか? ほら、紗夜泣きそうになってるからね? なんでそこまで笑顔なの? 逆に怖いよ、その笑みが時に姉を号泣させてるよ? 

 

まぁ、可愛いから許してるみたいだけどね。

 

紗夜も切り替え早いなぁ……

 

「って、そんなことをしてる暇はないな」

 

俺は、急いで部屋に戻り私服に着替えた。

 

なにを隠そう、今日は出かけるのだ。

 

しかも、悲しき事にペットが連れていけないとのこと。

 

と、言うわけでスケットを今日は読んでおいたのだ。

 

なんて脳内で謎の解説を入れていると、インターホンが鳴った。

 

ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポン………

 

「ピンポンうるせぇ!」

 

「冬夜が早くドアを開けないからよ」

 

「早く開けなくても連打することはないだろ……」

 

家のインターホンを連打していた人物は、友希那だった。

 

まぁ、俺が呼んだからここに居るんだけど。

 

俺が友希那を呼んだ理由は簡単。

 

出かけるからその間世話をお願いしたいからだ。

 

「ところで、冬夜は何処に行くの?」

 

「ん? 久し振りに猫カフェにでも」

 

そう言うと、友希那がピクッと反応した。

 

しかし、幾ら猫好きな友希那と言えどこちらでも猫と戯れる事が出来るので特に気にしていない様だ。

 

めっちゃ我慢してる顔になってるけど。

 

「そ、そうなのね」

 

「あぁ、偶にはな。少し前までは常連だったし」

 

あそこのマスターには、世話になったし。

 

そろそろあっちの猫にも会わないとマスターになんか言われそうだし。

 

「まぁ、紗夜達にはバレないように頼む」

 

そう言って、俺は猫カフェに向かった。

 

****

 

猫カフェの店名は『cat cafeteria』

 

マスター曰く、面倒な名前をつけるよりシンプルな方が覚えてもらえるからだそうだ。

 

「マスター、久しぶり」

 

俺がドアを開けながら店のマスターに挨拶をする。

 

マスターはカウンターで接客をしているのだが、強面で最初は近寄り難かったがただの猫好きのおっさんである。

 

「おぉ! 冬夜か、最近顔出さねぇから心配したぞ」

 

「あはは、実は家でしばらく猫預かってまして。色々あって来れなかったんですよ」

 

そう説明すると、今度は猫も連れて来てもいいとの事。

 

俺は早速席に着き珈琲を頼むと、いつの間にか足元に猫が群がっていた。

 

「ニャ〜」

 

「お? 白か、元気してたか?」

 

俺の膝の上に乗って来たのは、この店で一番年上だという白だ。

 

白は、俺がここの常連になりよく通うようになってからよく膝の上に来る。

 

まぁ、大抵俺が鰹節を持参してあげてたからだけど。

 

「よし、遊ぶぞお前らぁ!」

 

「「ニャ〜」」

 

「店だから静かにしてくんね?」

 

****

 

「いや〜、遊んだ遊んだ。遊び過ぎて怒られたけど」

 

久しぶりにあそこの猫と戯れ、珈琲も堪能できたところで夕飯の材料を買って帰ろうと思い商店街付近に訪れている。

 

「ん? Galaxy? こんな所にライブハウスなんてあったんだな」

 

ここら辺にはcircleしかないと思っていたが……新しく出来たのか?

 

「まぁ、いっか」

 

取り敢えず早く帰らないと怒られそうだ。

さっさと材料買って帰りますかね。

 

とはいえ目的の店はこの新しくできたと思われるライブハウスのすぐ近くの八百屋。

 

「うっす、オヤジさん」

 

「お? 冬夜坊か。珍しいな、こんな店に来るなんて」

 

いや、この人自分で自分の店を悪く言ってるよ? 大丈夫この店?

 

とか自分の店を自虐しているこの店のオヤジさんの『佐藤』さん。

 

いかつ過ぎてほんとに八百屋なのか一時期疑った人物である。

 

「で、何買ってくんだ?」

 

「あ、忘れてた。人参とモヤシ……それにキャベツとレタス。大根、ピーマン、ほうれん草かな」

 

「随分と買うな……まさか、また冷蔵庫切らすまで買い出ししてなかったんじゃないだろうな?」

 

「あはは、ナニイッテルカワカラナイ」

 

なんでこんなに察し良いんだよ。

 

とか、思ったけど一度佐藤さんには家に上げてもらって飯を食わせてもらったことがあるのでそこまで強く言えない。

 

「そういや、娘さん元気ですか?」

 

「ん? あぁ、マスキのことか。アイツは最近バンド始めたらしいぜ」

 

へぇ〜、あの情報量が多い子がねぇ……まぁドラム熱心にしてたしそうだよな。

 

「オラよ、全部で3500円ね」

 

「はい、丁度3500円」

 

俺はオヤジさんから野菜を受け取り、家に向かい歩き始めた。

 

「お? あれはマスキちゃんでは?」

 

奥の方から五人位の人が話しながら歩いている。

 

そのうちの一人に、金髪でバイクを引いていると言う明らかにヤンキーが混じっているがしっかりと制服を着ていると言う情報量が凄い女の子が先程のオヤジさんの娘のマスキちゃんだと分かった。

 

「けど、楽しそうに話してるから今日は止めとくかな」

 

俺はそのまま横を通り過ぎて帰ろうとした。

 

「あれ? 冬夜さん?」

 

あっ、詰んだわ。

 

えぇい! こうなったら!

 

「マスキちゃん、今急いでるからまた今度!」

 

逃げるしかねぇ!

 

「あ、ちょっと待って下さいよ!」

 

そんな言葉を背に、俺は全力疾走で家に帰った。

 

家に帰ったら後に四匹のハイライトがオフになっていて怖かったのは内緒

 



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我が家の猫のとある日常Ⅳ

 私の名前は瀬田薫。

 

 ハロー、ハッピーワールド!のギターを務めている。

 

今は訳あって猫になっている……嗚呼、儚い。

 

 みんなに忘れないでいて欲しいのはいつものわたしは瀬田薫を演じている。

 

 しかし、猫の状態では演じる演じないはそこまで関係がなくバレていない。

 

「それにしても、やはり君は凄いね」

 

「ん? どした薫」

 

 私の頭を撫でているのは、以前こころが話していた笹原冬夜。

 

 今の私を保護してくれている人でもある。

 

 そもそもこの体になったのは理由があって……いや、それはいずれ話そうか。

 

 こころは冬夜の事をとても良く話してくれていたし、今もこうして不自由なく暮らせている。

 

 そしてキャットフードが意外にも美味しいことに気づいた。

 

 今度ちーちゃんにも教えてあげよう。

 

 なんて考えて居ると急に体が宙に浮き暖かい何かが私の下に来る。

 

 抱き上げられたのだ。

 

 私もこの手のハプニングには慣れていない。

 

 こうして平然と話して居るが実はかなり動揺して居るんだ。

 

 嗚呼、儚い

 

「薫は大人しくて可愛いなぁ」

 

「っ!」

 

 彼の悪い所は平然と人に可愛いと言う所だ。

 

 こころも話している時は恋焦がれている様なとても儚い顔をしていたよ。

 

 事実、わたしもこうして冬夜の優しさに触れてこころの気持ちがよく分かったよ。

 

 さて、今日は訳あって他の子猫ちゃん達は居ない訳だが……わたしはなにをすればいいのだろうか。

 

 普段どおりとなれば演劇の練習や、ハロハピの打ち合わせ(殆ど雑談)をしている筈だが今の状況が状況……身動きが取れない。

 

 だからこうして冬夜の膝の上にいる訳なのだが……

 

「よし、映画でも見るか」

 

「映画?」

 

 すると冬夜は立ち上がり上の階に上がっていった。

 

 ホラー系の映画でないことを祈ろう。ホラーは劇ではまだ大丈夫なのだが映画などになると中々見る勇気が湧かない。

 

 そんな事を考えていると、冬夜が二階から降りて来た。手にはDVDを持っていて、それをテレビの下のプレイヤーにセットして改めてソファーに座った。

 

「薫、このビデオなんのビデオだと思う?」

 

「ほ、ホラー映画じゃないだろうね?」

 

 不安になりながら聞こうとするも、わたしの今の状態は猫。つまりはニャーとしか聞こえないのだ。まぁ、この手の話は聞き飽きたかも知れないけどね。

 

 冬夜は会話での意思疎通が出来なくても、一生懸命わたし達の事を理解しようと頑張ってくれている。 

 

 恐らく、こころも冬夜のこういう所に惹かれたのかも知れない。

 

 それは、こころしか知らない事だ。

 

 けれど、わたしは彼のこういうところが良いと思う。彼のこういう所にいつの間にか惹かれてしまうものも多いのだろう。

 

「さて、再生するぞ」

 

「あぁ」

 

 冬夜はリモコンを手に持ち、再生ボタンを押した。

 

 その映像に、わたしは思わず見惚れてしまった。

 

 輝く舞台、作り込まれた道具や背景。

 

 そして、なによりわたしが目を引いたのは……

 

「あの子は、冬夜かい?」

 

 届くわけの無い質問をするが、冬夜は恥ずかしそうに頭を掻きながら話す。

 

「いやぁ、この時父さんと母さんが劇にハマっててな? それで俺が学校で劇をするんだ〜って言ったら死ぬ気で色々叩き込まれたよ。役者じゃ無いはずなのに色々知ってるのには驚いたなぁ……」

 

 それを聞いて再度テレビを見る。

 

 舞台の上で一際輝く冬夜。しかし、幼い時のしかも劇を教えられたばかりの冬夜は感情などが所々入ってはいないもののその中では一番輝いて一生懸命に演じていた。

 

「これを見ていると、懐かしく感じるよ」

 

 ちーちゃんに憧れて一緒に練習をしていた日々を思い出す。

 

 あの日々がとても輝いて居て、とても掛け替えの無い思い出だ。

 

 けれど今のちーちゃんと過ごす日々も、ハロハピのメンバーと過ごす日々も、冬夜と過ごす日々も--

 

 何もかもが今のわたしにとっての掛け替えのない、なによりの宝物だ。

 

「こんなのを見せられてしまったら、わたしもウズウズしてきてしまったじゃないか」

 

「ん? どうした?」

 

 わたしは冬夜の膝から降りて、冬夜が作ってくれた小さな薔薇の猫用クッションを咥えてテーブルの上に立つ。

 

「まさか、劇でも始まるのか?」

 

「ふふっ、わたしの自慢の演技を見ててくれ。冬夜」

 

****

 

 その日は久しぶりに演技をした。

 

 『瀬田薫』として、小さな舞台で薫ではない役者として演技をした。

 

 今はベッドの上で冬夜を囲む様にしてみんなが寝ている。

 

 辺りを静寂と闇が包み込む。ただ一つ、窓から差し込む月の光を除いてまるで別の世界にいる様な不思議な感覚になっている。

 

 冬夜の家に来て早三日。

 

 まだ三日しか経過して居ないはずなのに、一日一日が濃くとても記憶に残る一日で、まるで数週間もこの家にいる様な----

 

 でも、そろそろ時間が来てしまいそうで……離れてしまいそうで、寂しくも思ってしまう。

 

 ちーちゃん、今なにしてるんだろう。

 

 演劇部は今頃次の劇の準備をしているかもしれない。

 

 そんな事を考えながら窓の近くに立ち星空を眺める。

 

「さて、そろそろ夢の時間は終わりなのか」

 

 この夢の時間は後一週間。

 

 それまで、今過ごす時間を大切にしていきたい。

 

 

 



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我が家に来た新たなギタリストⅣ

 みんなに突然の質問で悪いが、猫なのか兎なのかよく分からない猫を見つけた時にどう対処すればいいのだろう。

 

 勿論、そんな猫は存在しない。

 

 そう、存在しないはずなのだ。

 

 それなのに、今俺の目の前にその猫がちょこんと座っている。

 

「えっと……どなた様で?」

 

「ミャァ〜ォ」

 

 アッハイ分かりました諦めます。

 

 どうせこの流れだとまだ連絡の来ていない香澄から連絡が来るんだろ?

 

 こちとら経験者なんだよ。

 

 え? 前回の突撃も予想できたのかって?

 

 ま、まぁ? よ、予想できてましたけど?……はい、全く予想してませんでした。

 

 俺は悪くないぞ。

 

「取り敢えず……このままはあれだし一回家に連れてくか」

 

「ミャァーォ」

 

 もうお決まりの展開みたいで慣れて来たんだよね。

 

 だけど今日は珍しく、家から少し離れた電信柱の側にダンボールが配置してあった。

 

 なんだろう、俺が来るのを見計らって置いたかのような……辞めよう、黒服に深入りすると俺が消されかねない。

 

 それだけで死んでも嫌だね。

 

 だってモフれないじゃん? 意外とあったかいし肌触りもいいんだぞ。

 

 一回自宅で猫飼ってる人は爪で皮膚やられる覚悟をしっかりして抱っこしてみるといい。

 

 包容力の化身とはまさにそれである。

 

 取り敢えず猫?兎?を抱っこして早々と帰宅せねば行けない。

 

 流石に帰りが遅いと紗夜に怒られそうだ。

 

 一度帰りが遅かった時には一日中猫パンチを喰らっていた。

 

 意外と痛いんだぜ? 猫パンチ。

 

 そんなこんなしている内に我が家に到着。

 

 さて、紗夜の判定やいかに。

 

 これで遅かったらシビア過ぎる。いや、俺が悪いんだけどね?

 

「ただいま〜」

 

「ニャ〜」

 

 玄関を開けるとそこには紗夜さんが仁王立ちならぬ四王立ちをしてるじゃありませんか。

 

 別に怒ってるわけじゃなさそうだが、その目からは「また猫を拾って来たのか」と言わんばかりの視線を俺に浴びせて来た。

 

 痛くもない視線が何故か痛く感じる、これいかに。

 

「ニャァ〜ォ」

 

「おぉ、すまんすまん。っと、香澄からも連絡来てるな……ん? なんで家の写真が送られて来てんだ?」

 

 え? なに? まさかもう家に来てるとか言うんじゃないよね? そうしたら行動力の化身になっちゃうよ? いや、困惑し過ぎて「?」が大量発生してるけど気にしたら負けだと思うから気にするのは辞めようか。

 

 取り敢えず抱きかかえている猫を床に下ろして、恐る恐るドアを開ける。

 

 するとそこには………

 

「やっほー! 冬夜くん、来ちゃった!」

 

「いや、俺が呼んだしいいんだけどさ。来るの早くない?」

 

 確か送ったのが家の中に入る前。

 

 つまり、まだ五分も経っていないのだ。

 

 香澄は行動力の化身なのか……あ、こころも行動力の化身だよな。

 

「って、そんな事はもういいか。ほら香澄、取り敢えず中入って」

 

「はーい! お邪魔します!」

 

 俺は香澄をリビングに案内して、話をする事にした。

 

 それにしても、この兎か猫か分かりづらい猫はよく懐くな。ずっと膝の上に陣取ってる。あ、紗夜が乱入してきた。

 

「それで? この猫はやっぱ香澄の所の人だったりするの?」

 

「うん! おたえ!」

 

「うん、おたえだけじゃよく分からないかな」

 

 まぁ念のため一通り全バンドの人に目は通しておいた。

 

 これ以上その情報を使う時がないと良いのだが……今はこいつの事に集中しなきゃな。

 

「なら、この猫はたえと呼んだほうがいいのか?」

 

「ニャァ〜ォ!」

 

「ん? なんだ甘噛みなんかして来て」

 

 なんだコイツ、なにが気に食わなかったんだ? いきなり甘噛みなんて。

 

「おたえはおたえだよ! 冬夜くん!」

 

「なに、たえじゃダメなの」

 

「おたえだよ!」

 

「お、おう。分かった」

 

 この呼び方には特別な意味があるのだろうか。

 

 この猫も、香澄もおたえと呼ばせたい様だ。

 

 試しに一回ずつ呼んでみよう。

 

「たえ」

 

「………」

 

「……おたえ」

 

「ニャァ〜ォ」

 

 あ、これおたえじゃなきゃ反応しないやつだ。

 

 俺はこの猫の要望の元、「たえ」ではなく「おたえ」と呼ぶ事にした。

 

 その後は、香澄としばらく話した後、香澄を見送ってから晩飯の用意をした。

 

「で、なんでニンジンを勝手に食べてらっしゃるんですかねおたえさん」

 

「ニャァォ?」

 

 うん、そんなに可愛い目で見られたら怒るにも怒れないよ?

 

 可愛い奴め。

 

「ちゃんとキャットフードも食うんだぞ? ……それと、なんでニンジンを睨みつけてるんですかね紗夜さん」

 

「フシャー!」

 

 おたえはニンジンが好き?で紗夜はニンジンが嫌いなのか。

 

 これはまたご飯を与える時に気をつけないといけない物が増えた様だ。

 

 え? 他に気を付けている事? 一度ポテトを食べようとしたときに紗夜と日菜が飛びついて来てそれ以降はポテトを控えてるよ。

 

 勿論、ポテトはあげてないけどね? 油で揚げたやつは猫にあげるもんじゃないだろ。

 

「ま、いっぱい食べるのはいい事だ。どんどん食べろよおたえ」

 

「ニャァ〜ォ」

 

「ミャ〜」

 

「お前は少し控える事を覚えようか」

 

 モカの食費だけ一度ありえない程あがった事があり、モカにあげる量も調節している。

 

 それでもみんなより少し多いんだけどな。

 

「まぁなにはともあれ、これからよろしくなおたえ」

 

「ニャァ〜ォ!」

 

 父さん、母さん……また猫が増えたよ。



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我が家の猫と猫吸い

ナチュラル犯罪回


 みんなは猫吸いと言うものを知っているだろうか。

 

 主に猫の腹部に目掛けて顔をダイブさせ、猫の匂いを堪能するものらしい。

 

 しかしながら俺はそう言うのを全く知らないタイプの人間だ。

 

 そして、何故そんな俺が猫吸いについて軽く説明出来るかと言うと今朝の学校でこんなことが起きたからだ。

 

****

 

「猫吸いぃ?」

 

「そ、猫吸い。お前猫飼ってんのに知らないのか?」

 

 俺が授業終わりに最近よく話す山岸と言う奴に言われたことがきっかけだった。

 

 山岸は俺と同じ猫を複数匹飼っているらしく、悩みどころも似たり寄ったりと随分と似ている奴だった。

 

 初めて会った時はチャラい奴だと認識していたが話しているうちに結構いい奴なのだと判明し、それ以来は講義で会うたびちょくちょく話す様になっている。

 

「って言ってもなぁ……うちの猫がそれを許すのかどうかが問題なんだよ」

 

「長い事居ると許すんじゃないか? しかも一緒に寝てるんだろ? なら大丈夫だって」

 

「そこまで言われるんならやってみるよ。結構うちの猫モフモフするし」

 

「おう、絶対逝くぜ」

 

「うん、ここでその発言は止めようか。文字なら伝わるけど普通に会話してたら誤解をうむからな?」

 

 そんな事を話していると、山岸の友人らしき人物が山岸を呼び山岸もそちらに行ってしまった。

 

 取り敢えず必要な猫缶とキャットフードを購入して家に帰ることを決め、ペットショップに向かう事にした。

 

  ****

 

 目的の物を買うのに加えて、暇なので本屋に寄り小説を三冊ほど購入してしまった。

 

 別に金銭面がヤバイとかそんな事はないのだが、親の送る額がたまにヤバイので使うのを躊躇ってしまうのだ。

 

 とは言えこの世の中はお金がないと生きていけない世界。

 

 ジャングルであれば別だろうが、こんなジャングルと比べて発展しまくってる場所でサバイバルはできない。

 

 よって、少なからず使っているのだ。

 

「まぁ、そのおかげでモカ達の餌も買えてるしな。感謝しても仕切れないって奴だ」

 

 取り敢えず早く帰らないと、猫達のヘブンズナックルが飛んで来そうなので早く帰らなければ。

 

 ヘブンズナックルなんか食らった日にはデビモン様もビックリの行動不能になる時がある。

 

 主に日菜のジャンプのしなさすぎで金的された時が本当に死ぬほど痛かった。

 

 一生分の金的されたね。

 

「面倒は嫌だし、さっさと帰ろっと」

 

「やぁ!今日はいい天気……だね///」

 

 ……今目の前の小学生に女子高生が教育番組の着ぐるみがやりそうな挨拶してたぞ。

 

 ここはあえてスルーしよう。それが一番の情けって奴だ。

 

 一瞬、こっちをガン見された気がするがそちらを見たら負けな気がした。

 

「人は見かけによらんな」

 

 今の子は花咲川の制服を着ていたので恐らく女子高生。それに加えて、見た目は結構真面目そうだがさっきのあれだ。

 

 これからは人を見た目で判断するのをやめよう。

 

 そう心に誓った。

 

*****

 

 しばらく歩いていたので腹が減った。

 

 そして商店街には甘いパンの誘惑が潜んでいる。

 

 そう、ここ『山吹ベーカリー』こそが誘惑の根源であり言い方はあれだがモカの食料調達場でもある。

 

 取り敢えず二つ三つ買っていこうと思い、店の中に入ると珍しく男の人が接客している。

 

「らっしゃいやせ〜」

 

 なんだろう……チャラい。チャラ過ぎる!

 

 ネームには『山吹』と書いてあるのでここの家の人に間違いはないはずなのにチャラいオーラが半端ない。

 

 ここまで来たら生命エネルギーの星プラチナ出て来るレベルである。

 

 まぁ、先ほど人を見かけで判断しないと決めたのでちゃらっと買って帰ろうと適当にパンをトレイに乗せ会計をした。

 

 ふと気になって店員に聞いてみる。

 

「ここの家の人なんですか? 失礼ですが初めて接客しているのを見たのでバイトかと思ってしまいましたけど」

 

「あぁ、最近店番してなかったんでしょうがないですよ」

 

「は、はぁ」

 

 うん、チャラい。けど、悪い人ではなさそうなので会計を済ませて出ようとする。

 

 そんな時店員さんに話しかけられた。

 

「最近ここらのバンドメンバーが居なくなるって話聞きますんで、見かけたら教えて下さい」

 

「っ……分かりました」

 

 そう受け答えをして、店の外に出る。

 

 春の暖かい風が頬を撫でる。

 

 それなのに俺にはその風は余りにも冷たく感じてしまう。

 

「……来たか」

 

 一人……いや、三人程の足音がカツカツと、聞こえてくる。

 

 来て欲しくないと心の中で願っても、時間がそれを許さない。

 

 世の中は理不尽だ。

 

 だってそうだろ? わざわざペット用品買って、猫吸いやろうって思って張り切ってたのにこれだぜ?

 

「笹原冬夜様、お迎えに参りました」

 

「……あぁ」

 

 黒服が来たと言う事は、アイツらとのお別れの時間が近づいて来たのだろう。

 

 そろそろだと思ってもまだだと否定し、それを避けて来たがもうここまで来れば開き直るしか他にない。

 

「一度、家に帰らせてくれないか?」

 

「かしこまりました」

 

 そう言い残すと、黒服は商店街の人混みに紛れ姿を消した。

 

「……帰るか」

 

 俺は重くなった足を動かし、ゆっくりと家に向かった。

 

****

 

「ただいま……」

 

「ミャ〜」

 

 帰って来てすぐに俺の元に来たのはモカだった。

 

 今の五匹の最初の住人。

 

 もっと言えば六番目だけど。

 

 つまりこいつと過ごした時間が五匹の中では一番長いのだ。

 

「……よし」

 

 俺は意を決し、モカを抱き上げ顔を埋めた。

 

 瞬間、もふもふ感に顔が包まれ今までの苦労が洗い流されていくようになった。

 

「……よし、それじゃ行くか」

 

 外に車のエンジン音が聞こえ、ドアを開ける。

 

 舞踏会の閉会式が始まる。



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我が家の猫のとある日常Ⅴ

書き方を忘れて一年。受験も終わりようやく書けると思ったら、うまだっちする欲に駆られ。挙げ句の果てにはこんなにも期間が空いてしまった。しかも、書き忘れた言われ書こうとしても指が動かなかった。そして久々に書いてみろ、やっぱり書き方を忘れている。今とスタイルが違うから更に描きにくい。だがしかし、いつかは終わらせたい。そしていつかこれを読む人はこう思うんだろうな「なんでここだけ時間空いてるんだろ」って。


 私の名前は花園たえ。

 

 Poppin partyのギターをやってるんだ〜。

 

 今は訳あって猫になってるけど、ほんとはウサギになりたかったな。

 

 でも、冬夜くんの膝の上で寝るのは気持ちいいしこれはこれでありかもって思ってる。

 

「あの〜、たえさん? そろそろおどきになられてもらっても?」

 

「もうちょっと〜」

 

 

「いやね? 彼これ三時間は同じ体勢な訳ですよ。そろそろキツくなってきてる事を察して?」

 

 少し真面目なトーンになってくる冬夜くん。そういえばまだ朝ごはん食べてなかったと思い出し、仕方なく膝から降りる。

 

 みんなよく言ってたけど、本当にキャットフードって美味しいんだね。初めて食べた時は夢中で食べたな〜。

 

 今でも美味しく感じられるけど、それは誰かと食べる事が出来てるからって事は分かってる。だって、冬夜くんやモカちゃんと食べるといつもの何倍も美味しいんだもん。ポピパのみんなでお昼ご飯を食べてる気分になって、つい食べすぎちゃうんだ〜。

 

「おい、キャットフードの袋を漁るんじゃない。まだ皿に残ってるだろ?」

 

「分かってないね冬夜くんは。袋から取り出して食べるからこそ美味しいんだよ」

 

「何故ドヤってるかは知らんが、こだわりがあることは分かった。でもまずは皿の上を無くしてからにしような?」

 

 やっぱり、冬夜くんと生活して行く内に冬夜くんとの会話が成り立たない事が不便に思ってしまう。

 

 猫だから伝える事は出来ない。けど、伝えたい。こんなもどかしい気持ち、初めて。

 

 ご飯美味しいって伝えられないの、結構むずむずするんだよね。

 

 それでも、毎日冬夜くんと一緒にご飯を食べれるのは嬉しいな。だって、一人で食べるより冬夜くんとかみんなと一緒に食べた方が美味しいもん。

 

「お〜、おたえは相変わらず良い食べっぷりしてますなぁ〜」

 

「えっへん、いっぱい食べて大きくならなきゃ」

 

 こころの所の黒服さん達が言ってたけど、いっぱい食べても太らないんだって。凄いよね、猫の体って。何食べても太らないんだって。

 

 ご飯を食べ終わると、ソファーでくつろいでる冬夜くんの所に向かってダッシュ。そしてジャンプからの太ももの上に着地をして、素早く寝る体勢になる。

 

「あのぉ、さっきまでご飯食べてませんでした?」

 

「? もう食べ終わったよ?」

 

「ん? まさか、もう食べ終わったとか……あるんかい」

 

 冬夜くんはお皿の方を見てなくなったキャットフードを見てため息をついた。

 

「まぁ、食べ終わったなら仕方ないか。でも、暫くすると厄介な奴らも……」

 

「あ〜! おたえちゃん、また冬夜くんの膝の上で寝てるー! ズルい!」

 

「ちょっと日菜、もう少し静かに!」

 

「ほら来た」

 

 お昼時の冬夜くんの膝の上は、いっつもみんなで取り合いになるんだよね。みんなフカフカのお膝の上で寝たいけど、流石にみんな乗れるサイズじゃない。

 

 だから、こうして毎日争奪戦が行われているんだ。

 

「今日は仲良く決めような?」

 

「大体、昨日も一昨日も日菜が寝ていたでしょ!」

 

「ぶ〜、だって〜」

 

「そう言って、紗夜さんも寝たいんじゃないですか?」

 

「なっ! そ、そんな事ありません!」

 

「お〜、お耳が動いてますなぁ〜」

 

「あ、青葉さん!」

 

「あの〜、俺の話聞いてます?」

 

 こうなった時は、公平にジャンケン……をしたいけど猫の手だから出来ない。こんな時の決め方は、大体冬夜くんに任せている。

 

「日菜は昨日も一昨日も強制的に乗ってきたからダメな、でモカは今朝乗ってただろ? たえも似た様な物だし、薫は……あそこで一人何かやってるから良いとして。じゃあ今日は紗夜か」

 

「いいな〜おねーちゃん」

 

「仕方ないよ、冬夜くんが選んだんだもん」

 

「結局周りで寝るからね〜」

 

 お膝の上で寝られるのは一人だけだけど、周りにはみんな寝られるから一石二鳥? なんだよね。冬夜くんは困った顔をするけど、最後は皆の頭を撫でてくれるの。

 

「紗夜を膝に乗せるのは久しぶりだな。なんだかんだ日菜に譲ってるし、今日は大人しく膝の上で寝なさいな」

 

「……わかりました」

 

「そうだ、今日まだにんじん食べてない」

 

「たえ、にんじん食べるのは良いけど食べすぎるとヤバいから。皿の上にある分だけにしとけよ?」

 

「分かってる。冬夜くんは心配性だなぁ」

 

「よく分からんけどすごく腹立つ事言われてるのは分かる」

 

 にんじんを食べた後は皆で集まってお昼寝をする。こうして皆で集まると、お日様の暖かさと冬夜くんの暖かさと、皆の暖かさでよく眠れる。

 

 初めて来た時は少し冬夜くんに怯えたけど、今はもうこんなにくっつく様になった。冬夜くんは、私たちが何をしてもあんまり怒らない。だからこそ、そこに甘えちゃう。みんなの争奪戦だって、困った顔に見えるけどやんわりした笑顔でいつも見てくれている。

 

 本当に、冬夜くんには敵わないなぁ。

 

 その後は、お日様が沈むまで皆でぐっすり寝て皆でご飯を食べて眠るんだぁ。

 

 そしていつも寝る前に冬夜くんは、皆が寝るまでずっと起きててくれるの。

 

 だから私も寝る時に言うんだ。

 

「おやすみ」

 




暫くはウマだっちするのでご了承下さい。


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我が家の五匹の小ちゃなギタリスト

これでギタリスト編終了


 富豪や有名人しか乗っている所を見たことがない豪華な車がドアを開けると家の前に止まっていた。

 

 流石は弦巻家。お出迎えも手厚いのか。

 

「それでは冬夜様、こちらに」

 

 そう言って黒服の一人がドアを開ける。

 

 タクシーなんかは自動で開くがこの誰かがドアを開けるという行為が近代化を感じさせなくともその立場が高い様に見えてしまう。

 

 これは単なる思い込みによる物なのか、本当に位の高い人達にしか見慣れない光景なのか。

 

 そんな事を考えていなければやっていられないほど緊張をしている。

 

 以前弦巻家に行った時は驚きが大きかったが、今回は緊張が優っている気がする。

 

「モカ達も行くぞ」

 

『ミャ〜』

 

 なんの抵抗もなく俺に抱っこされるモカ達。

 

 今思い出してみれば先程の猫吸いってよく考えなくても人に置き換えればただのセクハラ。

 

 つまりは立派な犯罪、捕まるという事だ。

 

 なんなら今から賢者タイムに突入できる。

 

 いや、もうこんな思考してる時点で賢者タイムに入ってるな。

 

「お屋敷に到着するまで暫くありますので、ゆっくりとしていて下さい」

 

「は、はい」

 

 黒服達は慣れている様だが俺は一応一般市民。

 

 こんなのでゆっくり出来るほど肝は据わっていない。

 

 しかし、俺の上でスヤスヤと眠るモカと俺の太もも両サイドにいる他四匹がいる事で少し気が楽になる。

 

 やっぱり猫は偉大だなとしみじみと感じた。

 

****

 

 場所は移り変わり弦巻邸。

 

 なんどみてもデカイし広いし。

 

 最早語彙力が損失するレベルでヤバイ。

 

 それが弦巻邸であり弦巻家の権力というものを肌で感じる。

 

「それではこちらへ」

 

 そう言って俺を案内してくれる黒服。

 

 因みにモカ達はバッグには入らずトテトテと俺の後ろをついて来ている。

 

 恐らく周りから見たら親鳥についていく雛鳥に見えているのだろうか。

 

 時折微笑ましい目線が送られてくる。

 

「にしてもここは広いな、何部屋位あるんだ?」

 

「簡単に言えばホテル位の広さですね」

 

 そう淡々と答える黒服だが、普通に考えてホテル並の敷地と建物を所有している事自体驚くべき事だ。

 

 これは始めからそう教育されているのか、若しくはもうそれに慣れてしまっているのか。

 

 その真相は闇の中……真あnおっといけないキリンの仮面をつけた人が出て来そうになった。あの人ってギリギリの発言が多いけどSCPとかよく見るんだよな。

 

 なんて事を考えながら歩く事数分、ようやく部屋についた様で黒服がドアを開け部屋で待機する様に言われた。

 

「これが一部屋ってのがまた凄いよな」

 

 天井を見ればミニサイズのシャンデリア。

 

 まず普通の家庭では置いていないであろう大きさのベッド。

 

 これは下手したらそこら辺のホテルより豪華なのではないだろうか。

 

 暫く部屋を眺めたりモカ達と遊んでいると、トレイを持った黒服が入ってきた。

 

「これは?」

 

「これは元に戻る薬です。青葉様達の場合暫くたてば戻りますがご家庭の期限によりすぐに戻る薬をつくりました」

 

「作りましたって……よくそんなプラモ作る感覚でいいますね」

 

 なんだか別次元すぎて呆れてきた。

 

「それで、冬夜様はどうなされますか?」

 

「どうって?」

 

「見届けるか見届けないか」

 

 その質問に息が詰まる。前回、蘭達の時は思わず逃げてしまい暫く後悔してしまった。でも、今回はそうなりたくはない。

 

 自分の悔いのない方を選ぶ。

 

「見届けるよ。コイツらを……しっかり」

 

「後悔はしませんね?」

 

「ああ、しないさ」

 

 今まで過ごしてきた時間は少ないと思う。周りと比べたらそれこそほんの一瞬くらいの日々だったかもしれない。

 

 けど、俺にとってはとても大きな支えでありかけがえのない思い出なんだ。

 

 そう思えばコイツらも笑ってくれるだろうか。

 

 コイツらは、俺と居て楽しかっただろうか。

 

 まぁ、それも今から聴けるからいいか。

 

「それでは」

 

「………」

 

 俺はコクリと頷き、黒服が元に戻る薬をモカ達に差し出す。

 

 それをモカ達はペロペロと飲み始めた。

 

 するとあら不思議、モカ達は一瞬にして煙に包まれてしまった。

 

 俺はゴクリと息を飲む。

 

 猫としてのあいつらは見てきたが、人としてのアイツらを俺はよく知らない。

 

 だからこそ、緊張している。

 

 そして煙が少しずつ晴れていき--

 

*****

 

「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

 俺は今絶賛腹を押さえながら床にのたうち回っている。

 

 痛い、めっちゃ痛い。

 

「あはは! 冬夜くんおもしろ〜い!」

 

 笑いながら俺を指差す水色髪のショートカットでちょこっと三つ編みしている少女。

 

「あぁ、やはり冬夜は儚いね…」

 

 なぜか先ほどから儚いをなんども言っていて紫の髪を後ろで纏めている少女。

 

「あれは冬夜さんが悪いです」

 

 腕を組み、頬を赤らめながら話す長い水色の髪の少女。

 

「冬夜くんパンいる〜?」

 

 呑気に俺にパンを提供してこようとする亜麻色髪のショートカットの少女。

 

「く、黒服ぅぅぅ……」

 

「後悔はしないと言われましたよね?」

 

 そう言うと黒服はドアから出て行ってしまった。

 

 なぜ俺がこんな状態になっているのかと言うと、元に戻った時に事件は起こった。

 

****

 

「お〜やっと戻れましたね〜」

「もっと猫でいたかったのに〜」

「日菜、そんな事を言うんじゃありません」

「わたしが子猫ちゃんになれるとはいい経験になったよ」

 

 煙の中から声が聞こえて、俺は煙が晴れるのを待つ。

 

 そして晴れた煙の向こうには服を着ていない少女達の姿が……

 

「ここまでです」

 

「うわっしょい!」

 

****

 

見えかかって黒服に目潰し&腹パンを喰らって現在に至る。

 

 モカ達は俺がのたうち回っている内に着替えたそうだ。

 

「全く……着てないなら言えよ黒服」

 

「それは気づかない冬夜くんが悪いですな〜」

 

 なんていいながらも俺の膝の上にちゃっかり頭を乗せているモカ。

 

「ちょ、青葉さん!」

 

「あはは! あたしも混ざる!」

 

「それではわたしも混ざろう」

 

 そこからカオスの膝上争奪戦が始まり、いつぞやの大乱闘が開始された。

 

「はぁ……なんかもう、慣れたな」

 

 俺はため息を吐きながらモカ達の仲裁に割って入るのだった。

 

****

 

 俺達が過ごしてきた我が家はいつも通りの静けさに戻り、なにか足りない様に寂しい。

 

 けれど、これが本来あるべき日常なのだ。

 

「さて、久々にゲームでもしますかね」

 

 俺が軽く伸びをし、二階に上がろうとするとインターホンが鳴る。

 

「ほいほーい」

 

 俺はそのまま玄関に向かい、ドアを開ける。

 

 するとそこにはギターケースを背負った五人の少女が立っていた。

 

「………上がるか?」

 

「「「「「お邪魔します!」」」」」

 

 なんだか少しずつバンドマンの溜まり場になりつつあるこの家だが、案外それも悪くないと思う俺が居る。

 

 この日常がいつまでも続くように珍しく今夜は星に願い事でもしてみようか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

我が家の五匹の小ちゃなギタリスト

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

FIN




なんだろう……二度目の投稿は感動が……


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記念話 ボーカル編
我が家の猫の争奪戦〜猫視点〜


今回はお気に入り五百人記念と言う事です。
取り敢えずここまでお気に入りが増えてしまったと言う事で五百人区切りで記念話を作ろうと思います。

そこら辺宜しくお願いします。

※蘭達の「ミャー」などの鳴き声は翻訳してありますのでご安心を


久しぶりみんな。

 

突然だけど、自分の寝床を取られるとどんな気分になる?

 

まぁ、変な質問だって言うのは分かってるんだけど聞きたいんだ。

 

普段なら自分の寝床を取られるなんてものはないはずなんだけど、この猫という体になってしまった事によりそれは一変する。

 

「……冬夜の所で寝よう」

 

そう思い、いつものようにベッドによじ登り寝ようとした。

 

その時、目の前に友希那さんが寝ている事に気づき反動で手を離してしまいベッドの横に急いで掴みかかった。

 

「ゆ、友希那さんがなんで冬夜の隣に……!」

 

よくよく考えれば直ぐに分かった事だ。

 

元は私一人だけを飼って居た時は二人きりという空間におり、自分の寝床や場所を取られるなんて思っても見なかった。

 

「ど、どうしよう」

 

普通降りても怪我は無いとは思うが、何故か床が異常に下に見えてしまい降りるに降りれないと言った状況になっているのだ。

 

「と……冬夜」

 

そう言おうとするものの、今は猫。

どう考えても気持ちが届く事はない。

 

こうなれば、起きるまで耐えるしかない。

 

そう考えると直ぐに冬夜が起き上がった。

辺りを見回し、友希那さんを見つけると徐にスマホを取り出して写真を撮り始めた。

 

冬夜……後でどうなるか分かってるのかな?

 

だが、すぐに私の事を探し始めた。

 

「……友希那が寝ているって事は蘭は何処に寝ているんだ?」

 

「ここ!ここに居る!」

 

すると私の声を聞いて直ぐに冬夜が私を抱き上げてくれた。

 

「おぉ、蘭ごめんよ気づいてやれなくて」

 

「そうそう、もうちょっと早く気づこうね。冬夜」

 

すると冬夜は自分の腕の中に私をすっぽりと収めてくれた。

 

やはり冬夜の腕の中は暖かく、とても安心できる場所だ。

 

そして直ぐにウトウトし始めた頃、友希那さんが起きた。

 

「美t……蘭さん、なにをしてるのかしら?」

 

「友希那さん、わからないんですか?寝ようとしてるんですよ」

 

いつものノリで思わずドヤ顔して答えてしまったのが悪かったのだろう。

 

直ぐに怒り始めた。でも、それは友希那さんが私の寝床を取った訳で私は悪くない。

どちらかといえば友希那さんが悪いと思う。

 

私は眠かったので寝た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこから小一時間ほどで私は起きたのだが、冬夜の腕の中に友希那さんも居たので少しイラッときたと言うか。なんとも言えない感情になり、二人で言い合いを始めた。

 

「だいたい、友希那さんは私の寝床を取らないで下さい!」

 

「知らないわよそんなの、こういうのは早いもの勝ちと言うものよ」

 

「う"……」

 

ギャーギャー!

 

 

と言い争っていると冬夜の方からある言葉が聞こえて来た。

 

「おいおい止めろって………………………そっか〜、二人が喧嘩するってんだったら俺はもう遊べないな〜」(棒)

 

「「!」」

 

それを聞いた瞬間素早く体が動いた。

 

「「ごめんなさい!」」

 

二人で同時に言い終えると直ぐ様肩によじ登り始めた。

 

こういった物も早いもの勝ちだと今日知った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜は二人で話し合い、結果両端に寝ると言うことが決まりその場はおさまった。




今月はテストがあるのであまり投稿出来ませんがそこら辺宜しくお願いします


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我が家の猫と聖なる夜

今回も夜中のハイテンション執筆だしたのでおかしな所があるとは思いますがクリスマス、クリスマスイブ記念という事で本編から少し離れて前の様な冬夜君と五匹の猫のお話を書かせていただきました。

それではどうぞご覧下さい。


窓の外を見るとだいぶ積もって居た雪山に更に大きく被さるようにして雪が降って居た。

 

そろそろ十二月も後半に入り後一週間もすれば今年が終わる。

 

俺はしんしんと積もる雪を眺めながらぼーっとして居た。

 

「はぁ……今年も一人か」

 

今年も一人、この単語を聞けば何かのイベントに参加する者だとすぐに分かるがなんのイベントだか分からない人たちも多いだろう。

 

だが、この日付を言えば皆すぐに分かるだろう。

 

十二月二十四日

 

この日に行われる行事といえばあれしかないだろう。

 

そう、クリスマスイブだ。

 

毎年一人なのは変わりないが、両親からはクリスマスには帰れるかも知れないと先月連絡があったので少々期待したが、やはりというべきか仕事で帰って来れなくなった。

 

友人を呼ぼうにも家族や彼女と過ごす人達なので容易に誘う事もできない。

 

故に一人クリスマス。

 

だが、今年の我が家は少し違う。

 

「ミャ〜」

 

「ん?蘭か。どうした?腹減ったか?」

 

今年は俺と蘭、そして友希那や香澄。こころや彩を含めた計一人と五匹でのクリスマスとなる。

 

うん、でも一人なんだよね。五匹居るけど。

 

まぁ賑やかになるのは変わりないし楽しいからそれはそれでいいだろう。

 

ただ今の時刻は18:00。

 

そろそろ買い出しに行ってクリスマスパーチーの準備に取り掛からなければいけない。

 

だが、一つ問題が発生する。

 

「街中に居るカップルが……カップルがぁ……」

 

『?』

 

さっきまでは蘭しか居なかったがいつのまにか全員揃っている。

 

が、そんな事は置いておこう。

 

今は街中のカップルをどうするかだ。

 

クリスマスやクリスマスイブは聖なる夜又は聖夜なんて言われているらしい。(言われているとは言って居ない)

 

そしてその聖夜に湧くのがカップルというわけだ。

 

外に出ればカップル、カップル、カップル、カップル……もう嫌になっちまうぜ……はぁ。

 

取り敢えず、家から出なければ良い話なのだが昨日まで色々勉強して居たので完全に忘れていた。

 

「背に腹は変えられないか。よし、買い出しに行くか」

 

『ニャ〜!』

 

え?蘭達も付いてくるの?寒いよ?というか風邪はひかないで欲しいんだよなぁ。

出来れば元気にクリスマスイブをすごしてほしいが……しょうがないか。

 

俺はいつも通りのフード付きのコートを着てフードの中に蘭達を招き入れる。

 

え?どうして五匹も猫が入るのかって?それは俺もよく知らない。ド●エモンの●次元ポケットみたいな物だろ。

 

「って、早くしないと売り切れちまう」

 

俺はそそくさと財布と必要なものだけ持って商店街に向かった。

 

 

 

 

「はぁ……はぁ……あ〜、危なかった」

 

ただ今俺は買い出しを終えて玄関にへたり込んでいる。

 

率直な感想はマジでしんどかったのみ。

 

まぁ唯一の救いが沙綾ちゃんやつぐみちゃんが話しかけて来てくれた事だな。

 

二人が話しかけてくれなかったら孤独死してた気がする。

 

 

「ニャ〜」

 

「あぁ、すまんな友希那。考え事だ」

 

他の猫も集まって来たので俺はテレビの前のテーブルにいろいろな料理を持ってくる。

 

勿論、クリスマスイブという事で特別に猫用のケーキを五つ買ってきた。

 

思ったより高い値段して財布が傷付いたけどこれは我慢だろう。

 

一通り料理を出したところで手を合わせる。

 

「いただきます」

 

『ニャ〜』

 

まずは適当に作ったペペロンチーノ。

 

普通に美味かった。そもそも俺は濃い味付けの方が好きだったのでドレッシングを少し多めにかけたから味が濃くて美味かった。

 

その間に蘭達を見ると猫の中でのお話が始まったのかニャ〜ニャ〜言っていた。

 

可愛い。

 

しかも蘭は黙々とケーキを食べているがその姿も可愛い。

 

まぁ可愛い尽って感じだな。

 

幸せだなぁ。

 

 

 

 

 

 

その後はバラエティー番組を見たり蘭達と戯れたりなどして楽しく過ごした。

 

気がつけばもうすでに23:30になっている。

 

「そろそろ寝るかな」

 

一応風呂や歯磨きは終わらせていたので後は寝るだけだろう。

 

俺は蘭達を抱えて自室に向かう。

 

自室に着くと蘭達をベッドの上に乗せてオルゴールを取り出す。

 

「今日はこれを聞いて寝るとするかね」

 

『ニャ〜』

 

全員の許可が降りたところで俺は数回ネジを回してオルゴールの音楽を流す。

 

その音楽はよくショッピングモールで流れているようなクリスマスソングだ。

 

俺は布団に入り蘭達を招き入れた後ゆっくりと目を瞑る。

 

オルゴールの音が丁度眠気を誘って来た。

 

「おやすみ皆」

 

「ミャ〜」「ニャ〜」「ミャァ〜」「ニャァ〜」「ミャ〜ァ」

 

そう言い終わると俺は意識を手放した。

 

 

 

 

クリスマス、クリスマスイブ。

 

それは人々が笑顔になれる不思議な一日。

 

さて、明日からまた忙しくなるかもしれないからな。

 

ここでみんなに言っておこうと思う。

 

 

メリークリスマス。良い一日を。

 

 

 




こちらからも。

メリークリスマス


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我が家の猫と新たな年

みんなぁ!新年、あけましておめでとぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!


今年も猫又侍を宜しくお願いしまぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁす!


時刻は23:00

 

俺は今、リビングのソファーに座ってテレビを見ている。

 

何故こんな時間にテレビの前に座っているのか。

 

今日は12/31。

 

そう、もうしばらくすれば今年が終わるのだ。

 

「今年も色々あったなぁ……特に家の中が騒がしくなったのが一番の変化かな」

 

思い返せば色々あり、とても暖かい一年になったと思う。

 

まぁ、十一月ら辺から変わったんだけど。

 

そこら辺はあまり触れない方向性で行こう。

 

ただ今俺の隣ではいつもは元気だが先ほどまで全力で遊んで居たため、力尽きてウトウトとしている我が家の五匹の猫達が居る。

 

左右の腕に2:3の割合でくっ付いて寝ているのはいいのだがモフモフ感が凄すぎて、俺じゃなきゃ軽く五回は昇天してるね。

 

「これじゃあオールナイトは出来ないな」

 

「あら? 冬夜、今年は夜更かしするつもりだったの? 悪い子ね、母さんはそんな人に育てた覚えはないわよ?」

 

そういえば今年も両親が仕事から帰ってきている事を忘れていた。

 

全く帰ってきてくれたのは良いのだが兎に角うるさい。

 

なに? 母さんはいつからギャルになったの? 

というよりいつからそんなテンション高くなったの? いつもはもっと落ち着いてたよね?

 

因みにみんなに伝えておくと、家の母は黒髪ロングの清楚系。なんともみんなが夢見そうな理想の人なんだが、身長が150しかないという悲しいコンプレックスをお持ちの様です。

 

すると反対側からは母より声が低く太い声が聞こえてきた。

 

「あ〜、冬夜。それはだな、初めて三人以外で過ごすのが意外と楽しくてそのノリでお酒を大量に飲んでこんな風になってるんだ」

 

「うん、父さんはさらっと解説しないでこの人をどうにかしてくれるかな?」

 

父はスポーツ刈りの黒髪。元のアメフト部のキャプテンをして居たらしく身体つきが半端じゃない。

 

筋肉マンレベル。

 

だが、少しおっとりしているせいか危なっかしい時がある。

 

と、なんとも個性的な両親に囲まれて話していると少しうるさかったのか眠そうな顔のままだけどムクリと起き上がった。

 

「お? 起こしちまったか? ごめんな、この両親がうるさいばかりに」

 

「「いちばんツッコミする時に声がデカくなる人に言われたくないんだけど」」

 

う、うるせいやい! 良いんだよ普段あんまりツッコミなんかしないんだから。

 

あの、猫の皆さん? そんな頷かないで? 悲しくなっちゃうからね?

 

「ミャ〜」

 

「ん? どうした蘭、今日はやけにくっ付いて来るな」

 

まさか甘え時期的な奴?まさかキャッキャウフフ展開来たこれ?! 

 

「ニャ!」

 

「ミャ!」

 

すると友希那が蘭に威嚇を始め取っ組み合いになった。さながらアニメのケンカシーンの様。だが、お互い気を使っているのかポコポコという効果音が聞こえてきそうなほど静かなケンカだ。

 

可愛いとしか言いようがないね。

 

「あらあら、冬夜ったらモテモテねぇ」

 

「いつの間にそんなモテる様になったんだ?羨ましいぞ!」

 

そう言った父の肩を母が物凄い形相で掴み父の顔から血の気が引くのを見て取れた。

 

お疲れ父さん。

 

その間に俺は蘭と友希那のケンカの仲裁をして、残りの三匹も連れて外に出る。

 

今日の夜空はいつぞやの夜の様にとても綺麗な星空だ。

 

「綺麗だな」

 

『ミャ〜』

 

蘭達は俺の首元に集まっているためマフラーみたいになっている。

 

バランス感覚どうなってるのかみんな気になるとは思うけど、そこはあえて触れないで居て欲しい。

 

俺もよくわからないからだ。

 

「……本当に色々あったなぁ」

 

半年以上何もない空っぽの日常だった。

 

そんな日常に光をくれたのがこの猫達だ。

 

一緒に馬鹿みたいな事やって、一緒に色々な場所に行って、一緒に色々な事をやった。

 

思い出せばキリがない程の思い出が出来た。

 

「ミャ〜?」

 

「あぁ、心配掛けちまったか? 安心しろってなにもないから」

 

そういうと安心したのか友希那と蘭がまだわちゃわちゃやり始めた。

 

本当に仲良いなこいつら。

 

香澄と彩、そしてこころは目を光らせて夜空を見ていた。

 

コッチはコッチで楽しそうにしてるなぁ。

 

「みんな、ちょいと散歩に付き合ってくれよ」

 

『?』

 

 

 

 

 

時刻は23:57

 

そろそろ年が明ける。

 

俺達は出会いの場(こころ以外)に久し振りに足を運んでいた。

 

「ふぅ……そろそろ年明けか」

 

近くのベンチに腰を下ろして蘭達を首元からベンチに下ろす。

 

すると首元が寒くなったが、これは耐えなければいけない所だ。耐えろ………耐えるんだ!

 

「ってもう一分切ってんじゃん」

 

スマホを付けると23:59を指している。

 

時の流れは早くて色々と驚かされる。

 

本当に不思議だ。

 

「……」

 

暫く耳を済ませる。

 

そろそろ除夜の鐘がなる頃だ。

両親には散歩に行って来ると伝えてあるから心配はしないだろう。

 

……しないよね?

 

そんな事を考えていると遠くの方からゴーンと鐘の音が聞こえて来た。

 

スマホを見ると0:00と表示されている。

 

新年だ。

 

俺は蘭達を膝の上に乗せて一人ずつ頭を撫でる。

 

全員喉を鳴らしながら目を細める。

 

本当に可愛いなこの野郎。

 

「あけましておめでとう。蘭、友希那、香澄、彩、こころ。今年もよろしく」

 

『ミャ〜!』

 

ものすごく嬉しそうだなあ。

 

今年は良い事ありそうだな。

 

「よし、それじゃあ初詣に行くとしますか!」

 

俺は蘭達をフードの中に入れて家に向かった。

 

今年はいい事ありますように。

 

 

そして皆さんにとっても良い年であります様に!

 

 

 

 

 

 




今年は皆様にとって良い年でありますように心から祈っております!


それではさようなら


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我が家の猫はホラー映画が苦手〜猫視点〜

さて、千五百人突破記念です。

再アンケートやってるんお願いします


とある昼下がり、わたし達は冬夜がTSU●AYAから借りて来たと思われるホラー映画を冬夜と一緒に観ようとして居る。

 

そしてテレビの前にある机の上にはコーラとポップコーンと言った映画館に行ったら買いたくなってしまうような、定番の物を置いて居る。

 

すると冬夜はなにを考えて居るのか、わたし達にこう言って来た。

 

「お前ら、そんなに無理しなくてもいいんだぞ?」

 

「だ、大丈夫」

 

その問いに対しての美竹s……蘭の様子は明らかに怖がっていた。

 

因みに、蘭と呼んでいるのは蘭さんだと美竹さんというより違和感があるからさんを外しただけよ。

 

「蘭、あなた……もしかして怖いの?」

 

「友希那さんだって足震えてますけど? 猫の事言えないんじゃないんですか?」

 

あら? そんな訳ないじゃない。

 

わたしの足がそんなに震えてる訳ないじゃない……ない……

 

足元を見るとものすごくガクガクに震えて居る足が目に入った。

 

体は正直ね。

 

と、言うわけで全員冬夜にしがみ付いて映画を見ることにしたわ。

 

くっ付くと分かるけど、冬夜って案外暖かいのよ。

 

まぁ、わたしは安定の膝の上を占領してるのだけど。

 

「ち、ちょっと友希那さん?! ちゃっかり冬夜の膝の上を占領しないで貰えますか!」

 

「あら? 少し前ので学ばなかったのかしら? こう言った場所は早い者勝ちよ?」

 

「くっ! またもや友希那さんに……!」

 

……悔しがっている蘭の事は置いておいて映画を見ましょうか。

 

「う〜……納得出来ないぃ!」

 

その後香澄、彩も混ざっての争いに発展し、最終的に冬夜が寝るようにして見ることになった。

 

「どれどれ……再生っと」

 

ど、どんなのがきても怖くないわよ。

 

ぜ、絶対に悲鳴なんか上げないわよ?……上げないわよ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後

 

「ゆ、友希那さん? なんかあそこに居ません? あれ? 気のせいだった………いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

「わたしはなにも見てない、わたしはなにも見てない……」

 

そこからわたし達はまともに映画を見る事は叶わず落ち着くまで殆ど叫びっぱなしだった。

 

だって怖いんだもの。

 

ポルターガイスト? なんて体験した事もないし、そもそもわたし暗い所が苦手なんだから仕方ないでしょ?

 

「ゆ、友希那先輩ぃぃぃぃ!」

 

「いやぁぁぁぁ!」

 

わたしは余りの怖さに冬夜の服の中に潜り込んでしまった。

 

その後の事は殆ど覚えていないけど、流石に男の人の肌に触ったと言うことに対しての恥ずかしさが凄かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜、わたし達は目が覚めて冬夜がベッドの上からいなくなって居るのが分かると一目散に下に駆け下りた。

 

「ちょっと、蘭! なんで貴方まで来るのよ!」

 

「ゆ、友希那さんだってなんでそんなに急いでるんですか!」

 

「びぇぇぇぇ!冬夜く"ん"何処ぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

 

「彩先輩! 待って下さい!」

 

と、わたし達が階段を駆け下りて居ると丁度冬夜がトイレから出てくるのを発見して全員でしがみ付いた。

 

「全く……そんなんになるんだったら見なければ良かったんじゃないのか?」

 

なんて言われたけど、やっぱり一緒に居たいじゃない……バカ。

 




あら、キャラ崩壊付け足した方が良かったかしら?(オネェ)


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我が家の歌姫は翼を広げる

Roseliaに最高の感謝を

注意!

今回は猫要素ゼロです。
それでも良いって人はゆっくりしていってね


「わたしの……わたし達のライブに来てもらえる?」

 

その言葉は唐突に放たれた。

 

その日は久し振りに友希那を家に呼んでゆっくりと雑談をして居た。持ち掛けたのは友希那だが、バンドの方は大丈夫なのだろうか? 本人に聞いてみるとそろそろ重大なライブがあるらしい。

 

何故家に来たかと聞くと、息抜きだそうだ。

 

それはそうかと思い、特に気にせず会話をしているとその言葉が発せられた。

 

「ライブって……確か前に言ってたあの?」

「そうよ。『FUTURE WORLD FES』……去年も出場したわ」

 

FUTURE WORLD FESって、確か選ばれたバンドしか演奏出来ないとか言われてるあの?

 

しかし、俺がそんな所に行っても大丈夫なのだろうか? 俺は音楽は聞くが知識が全くない。それこそ、最近友希那のバンドの曲をちょくちょく聞くようになっただけだ。どれが凄いとか、どれがいいとかは全く持って理解出来ない。そもそもチケットを持っていない。

 

「もしそのライブに行くとして、チケットはどうするんだ?」

「それは安心して、わたしのお父さんと一緒に来てもらうから」

「あぁ、分かっ……え?」

 

お父さん? 友希那のお父さん? マジで言ってんの? 気まずい雰囲気しかないよ? だって行方不明の娘を家に置いてたんだぜ? 殺される。

 

だが、友希那は大丈夫よ。とだけ言ってライブの練習があるからと、帰っていった。

 

「大丈夫って言ってもなぁ……こっちが気まずいんだよ」

 

しかし、友希那にとっても重大なライブだと言っていたから、見に行かない訳にもいかない。

しょうがなくここは腹を括って行くしかない。

とは言えライブの日が分からないと元も子もないのでネットで検索を掛ける。

 

「えーっと、FUTURE WORLD FES開催日っと……ん? 今一瞬チケットの価格がエグいサイトがあった様な……」

 

いや、気のせいだろう。

 

俺は再度画面をスクロールしようとしたが、すぐ下になにか書いてある。

それは、ライブチケットの値段だったがどっかの転売ヤーが売っているのだろう、俺なら絶対に手を出さない金額が書いてあった。

 

マジで言ってんのかよ。

 

そして目的の開催日を確認すると、これまた凄い事が書かれてあった。

 

「来週じゃねぇかよ」

 

****

 

その数日後、また友希那から連絡が入った。

今、新曲の良い案が浮かばなくてバンドメンバーで考えているらしい。取り敢えず、家に来て欲しいとの事で場所を教えてもらって行くことにした。

 

 

 

移動中……

 

 

 

俺は辺りを見回して湊と書かれた表札を見つける。

 

「お? ここが友希那の家か……なんか緊張するな」

 

実を言えば女子の家に入るのはこれが初めて。

そもそも女子との付き合いがあまりなかったため、行く機会がなかったのである。

俺は、家のインターホンを押して数秒待つ。

少しすると、家のドアが開き友希那が出て来た。

 

「いらっしゃい。さぁ、上がって」

「お、おう」

 

友希那が促す様に上がってしまったが大丈夫だろうか? というか階段を上る時に下から誰かの視線がやばかった。殺気ではなかったので警戒する様な事ではないだろう……恐らく。

 

「それで、新曲って言ってもなぁ……友希那はどんな曲がいいんだ?」

「そうね……それが上手く纏まらないの。逆に考えれば考える程纏まらないの」

 

成る程、それで俺に相談して来たと。

 

「俺に相談すんのは間違えだな」

「っ! どうして?」

「率直に言えば、俺は友希那のバンドを知らない。曲は聞くがどんなバンドで、どんなライブをするのかも分からない。それならいっそ蘭にでも話してみるといい」

「そ、それでも冬夜の意見を聞いて……「聞いてどうする?」……」

「悪いが、この件には俺は首を突っ込めない。悩むなら悩むで好きにしとけ」

 

俺はドアノブに手を掛け、廊下に出て階段を降りて家から出ようとした。

その時。

 

「君は、娘を傷つけるのかい?」

「……貴方は?」

「わたしは友希那の父親だ。済まないが先程の話を聞かせて貰った。……あれはどういう事だい?」

 

どういう事……か。言ったまんまなんだけどな。まぁ、俺の意思に気づくかどうかは友希那次第だとしてこの人は少なくとも気付いてるって事か。

俺は友希那の父親さんに招かれ、リビングに向かいソファーに向き合う様に座った。

 

「それで? 話を聞かせてもらおうか」

「聞かせてもらおうって……そのままですよ。俺はこの件には首を突っ込まない」

「違う、わたしが聞きたいのはどうして君がそこまでしてくれているのか聞きたいんだ」

 

なんだよ……結局見抜かれてんのかよ。

 

「俺は、友希那の事を全く知らない。そして、友希那が所属するバンドの事も知らない。おまけに音楽の知識もろくにない。そんな奴があそこまで真剣に取り組んでる人にどうこう言えた立場じゃないんですよ」

 

どうせ俺は、何も出来ない。

首を突っ込こむような真似をすれば友希那が苦しむだけだ。それならいっその事蘭に聞いた方が効率がいい。

 

「それに、友希那自身の成長を妨げてしまう」

「友希那自身の成長?」

「なに知らない振りしてんですか。 知ってるくせに……まぁいいですよ。 俺は、友希那に関わり過ぎた。 それ故に仲間を頼らずこうして俺に相談して来た。 勿論、仲間と相談を一切していない訳ではない筈ですが、第一に俺に相談を持ち掛けるのはダメだと言う事です。 あいつは……友希那は周りの仲間と共に成長すべき人間です。 俺なんかを頼っても何も成長しない。ただ暗闇を彷徨うだけですよ……だから俺は今回は関わってはいけない。それだけですよ」

 

時計をみるとだいぶ時間が経ってしまっていた。俺は立ち上がり友希那の父親に礼をする。

 

「それと、友希那の父親さん」

「……なんだい?」

「アイツに、無理に考えるのは止めといた方がいいって……しっかり今と向き合えって伝えといて下さい。あ、俺が言ったって言わないで下さいよ」

 

そういうと、友希那の父親さんは分かったと言ってくれた。優しい人だ。

 

****

 

玄関が閉まり、娘の客は出て行った。

彼はわたしの娘を保護してくれた感謝すべき人間だ。だから、彼が悪役になる必要はない。

 

「聞いていたんだろ? 友希那」

「……」

 

洗面所付近の壁に体育座りになり、膝に顔を埋めている娘の姿があった。

娘もまた、彼が心配なのだろう。

早くくっ付いて欲しいものだ。

 

「わたしは……冬夜の迷惑なのかしら」

「そんな事はないさ。彼は友希那の事を考えてああ言ったんだよ」

 

わたしは娘に今日は早く寝る様に言ってわたしも寝る用意を始めた。

 

『アイツに、無理に考えるのは止めといた方がいいって……しっかり今と向き合えって伝えといて下さい。あ、俺が言ったって言わないで下さいよ』

 

「やはり、彼は優しいよ。友希那」

 

****

 

それから数日が経ち、ライブ当日となった。

俺は、今迎えに来てくれた友希那の父親さんと車に乗って移動している。

 

「……」

「……」

 

二人の間に会話はなく、ただ演奏を待ち望んでいた。未だ会場に到着している訳でもないのに胸が高鳴る。これが高揚感。これが期待。

 

「……冬夜くん」

「はい」

 

友希那の父親さんの声色がいつもと違う様に感じられた。それもそうだろう。今から娘のライブを見に行くのだ。それなりの決意を必要とするだろう。

 

しかし、予想と反して友希那の父親さんは自分の過去を話してくれた。フェスで理不尽を受けてしまってバンドを解散してしまった事、友希那が歌に取り憑かれてしまった理由。全てを。

 

「どうだい? 余りにも馬鹿馬鹿しい話だろう?」

「いえ、そんな……むしろ感謝しかないですよ」

「感謝?」

「はい、もし貴方がバンドをやっていなければ友希那は歌を歌っていなかったかもしれない。バンドを組んで今日を迎えられなかったかもしれない。それに、今の友希那は『歌わなきゃいけない』んじゃないんです。友希那は今、『歌いたい』から今日、あのステージに立つんです」

 

今、この瞬間の出来事に意味がない訳がない。ただ俺達はそれを認識していないのだ。

人は不思議な生物だ。

それ故に感動させる事が出来る。

 

そう考えていると車の速度が落ちた。

会場に着いた様だ。

 

「……」

 

友希那の父親さんは前に進もうとはしない、過去に少し捕われているのだろう。

仕方ない。ここは人肌脱ぎますかね。

 

俺は友希那の父親さんの背中を思い切り叩く。

 

「っ!」

「ほれ、なに突っ立ってんだよ。あんたが叶えられなかった夢を、あんたの娘が自分の意思でステージに立って歌うんだぞ。あんたがそんなにくよくよしててどうすんだ。娘を信じないでどうすんだよ」

「……そうだな。行くか」

 

そうそうその勢い……って敬語使うの忘れてたけどまぁいいか。

俺は友希那の父さんに続いて会場に入って行った。

 

****

 

そしていよいよ、Roseliaの演奏が始まろうとしていた。

友希那達の衣装はこれまでとまた違い、青い薔薇……それに近しい物を感じさせている。

それを感じているのは俺だけじゃない。会場中のみんなも、そして俺の隣に立つ友希那の父さんも。

 

そしてドラムの子がスティックを三回程合わせる。

 

そして、演奏が始まった。

 

その演奏を聞いた途端、頭が真っ白になった。

その演奏以外の雑音は一切入ってこない。

まるで自分だけの世界。

狂いのないギター、息の合ったベース、しっかりとリズムを刻むドラム、流れる様に鍵盤を押すキーボード、そして……眩い程輝いているボーカル。

 

一人一人が、一人一人を輝かせ、より光を強くする。

 

「やっと……そこに辿り着けたんだな」

 

不意に友希那の父親さんが言った。

 

あぁ、そうだ。

 

友希那達は辿り着いたんだ。自分達だけの演奏に、何者にも縛られず、鳥籠の中に捕らえられず……何処までも羽ばたく鳥の様に。

 

「行け、友希那。もっと高く……頂点に狂い咲け!」

 

会場中が湧き上がり、いつの間にか演奏は終わっていた。

 

しかし、体の火照りはまだ冷めない。

周りがどんどんいなくなっていく中、俺と友希那の父さんだけがただ呆然と立っていた。

 

「わたしは友希那の所に行くが……君はどうする?」

「……今は良いですかね。でも一応ついて行きますよ。じゃないと帰れないですし」

 

とはいえ、部屋ではなくステージ側に友希那達がいたのでそちら側に行く事にした。

 

****

 

友希那の父親さんが、友希那とその幼馴染さんと三人で笑顔で話し合っていた。

その時の顔はまるで霧が晴れた様に綺麗な笑顔だった。

 

「全く……妬けるねぇ」

 

俺も久し振りにアレに手を出して見るかな。

 

しばらくすると、友希那の父親さんが話を終えた様でこちらに向かってきた。

今思えば友希那の父親さんってめっちゃダンディーだよな。今更だけど。

 

「冬夜くん……」

「なんですか?」

 

その瞬間、俺は手を引かれ友希那の前へと引っ張り出された。

 

「なっ!」

「君と友希那の話はまだ終わってないだろ?」

 

はぁ……完全にはめられた。

しかし、もう逃げられない。

今はスタッフさんとガールズバンドのメンツに囲まれているから。おいお前らニヤニヤすんな。

 

「………」

「その……なんだ、改めてファンになっちまったよ。友希那。それこそ、オタクになれる程にな」

「ふっ、何よそれ」

「良いだろ? ……やっと辿り着いたんだな」

「えぇ、けれどこれからよ」

 

その友希那の目はとても真剣で、とても嬉しそうだった。

そして、以前の癖で頭を撫でてしまった。が、もう良いだろうヤケクソだ。

 

「っ!///」

「よく頑張ったな、友希那。お前なら……お前らなら、もっと高みへいける筈だ」

「冬夜……」

「あの時は済まなかった、アレしか思い浮かばなかったんだ」

 

そう言って頭を下げると、何やら柔らかい感触が……あれ? 俺抱きしめられてね?

 

「もう、大丈夫。だから見届けて。わたし達の『選択』を……」

「あぁ、それならお安い御用さ」

 

こいつらなら何処までも高く飛べる筈だ。

たとえ挫けそうになっても一人じゃないんだから。

 

だから空高く飛べ、そしてその選択の先にある頂点を見せてくれよ。

 

「それなら……任せてちょうだい」

 

その笑顔は、今まで見てきた友希那の表情よりも、猫の時の可愛い寝顔よりもとても美しい笑顔だった。

 

これからも彼女達の脚は止まらないだろう。

だから俺も、君たちも彼女達の未来を見守っていこうではないか。

 




長文のお付き合いありがとうございます


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我が家の猫の誕生日

皆様、一週間以上もお待たせしてしまい大変申し訳ない


今日は4/10

 

俺も晴れて大学生生活を始めて一週間と少しが経った。

 

そして今日は、元我が家の家族の蘭の誕生日である。

 

しかしながら、今は非常に困惑する状況に立たされている。

 

「………蘭?」

 

「ミャ〜!」

 

何故か一度人間に戻った筈の蘭が、また猫になって家に来たのだ。

 

こんなの、困惑しない方がおかしいぞ? え? お前はもう慣れてるだろって? そこは否定できないのが悲しいね。

 

「冬夜様、それについては私が説明させていただきます」

 

「うおっ! 黒服か……って、玄関の鍵まだ開けてない気がするんだけど?」

 

そう言って背後に何事もなく立っている黒服に声を掛ける。

この黒服は確か、こころにいつも付いている三人の内の一人だったな。

 

「ただ今、美竹様は前回使用した猫になる薬の簡易版を飲んだ様です」

 

「いや、なんでちゃっかり簡易版とか作ってんの? あの後蘭の父親に睨まれて死にそうになったの分かる?」

 

それはさておきと、黒服に話を逸らされた。

 

解せぬ。

 

取り敢えず黒服の説明によると、一日もすれば元に戻るとの事。

 

いや、一日も待たんといけんのか。

 

とはいえ、そのまま野放しにするのもアレだし俺を頼って来てくれたんだ。

 

流石に追い出したりはできないしな。

 

……黒服にハメられてるきがしなくもないが、今回は目を瞑ろう。

 

まぁ、どうせ今後とも財力で目を瞑らないといけないと思うが。

 

「取り敢えず、蘭はうちに居るって事でいいんですよね?」

 

「はい」

 

そう言い残すと、黒服は玄関から出て行った。

 

「あれ? そういや鍵かけてたよな?」

 

「ミャ〜」

 

なんとなく不安を感じながらも、蘭の誕生日に猫の蘭と過ごす事が決定した。

 

****

 

取り敢えず今日は出かける用事は無く家でだらだらしようと思ったが蘭が居ればまた違う。

 

「ん〜、どうすっかなぁ」

 

蘭が猫になったとなれば行ける場所と行けない場所が出て来る。

準備がよすぎる黒服に頼めば元に戻れる薬が貰えそうだが、蘭本人がなぁ……

 

「ミャ〜」

 

「なんでこんなにくっついてるんですかね?」

 

見ての通り乗り気なのだ。

 

まぁ、プレゼントは前々から買ってたし大丈夫だが……

 

そうだ

 

「久しぶりに散歩にでも行くか?」

 

「ミャ!」

 

****

 

久しぶりの散歩と言えど、日課で続けていたのでそこまで疲れているわけではない。

 

ただ、足元に猫が居てトテトテと付いてきている。

 

やっぱ可愛いんだよな。

 

「よし、蘭よ。ここらで飯にするか」

 

「ミャ?」

 

俺は、家から出る前に予め用意していた弁当箱と猫缶を取り出した。

 

勿論、たまたま猫缶はあった。キャットフードは切らしてましたね、はい。

 

「にしてももう直春だなぁ」

 

「ミャ〜」

 

未だにすこし冷たい風が頬を撫でる。

 

少し前ならフードに居るモコモコ達で寒さが凌げていたが、もうそこまで寒がる必要はない。

それ程暖かくなってきた。

 

「そういや、蘭は誕生日だったな」

 

と、わざとらしく言いながら隣に座る蘭を撫でる。

 

「ミャ〜」

 

俺は、ポケットから一つのヘアピンを取り出す。

 

「本当はもうちょいと良いものをプレゼントしたかったんだがな」

 

「ミャ〜!ミャ〜!」

 

いきなり蘭が俺の手目掛けてピョンピョンと飛び始めた。

 

なんだろう? ヘアピンを付けろって事なのか? でも、そんな猫にヘアピンつける人なんていないだろ……

 

「はぁ……ま、誕生日だしな」

 

俺は蘭を膝に乗せて、毛のふさふさな所にヘアピンを付けた。まぁ、ヘアピンなのだから頭付近には付けたけど。

 

「よし、そろそろ帰るか」

 

「ミャ〜!」

 

さてと、今日は疲れたし早めに寝るとしますかね。

 

****

 

家に帰ると、夕食を食べて風呂に入る。

 

「蘭、痒い所ないか?」

 

「ミャ」

 

今まで言うのを忘れていたが、猫とは一緒に風呂に入っている。

 

元々入れる気はなかったんだが、いつの間にか一緒に入るようになっていた。

 

「よ〜し、流すぞ〜」

 

そう言って背中を軽く撫でながら泡を流す。

 

まぁ、これもいつもではないが時々やっていた事なので随分と懐かしく感じた。

 

その後暫く時間を過ごして、ベッドに入って就寝した。

 

****

 

ピピピピッと頭の上のタイマーを止めて俺は起き上がる。

 

「ん〜、よく寝た…………え?」

 

朝起きたら、美少女が俺の隣で裸で寝てました。なんて言っても誰も信じないだろ? そもそも猫になってるって事は毛で覆われているが実質元に戻れば全裸な訳で、それを完全に忘れていた俺は目覚めた蘭に思い切りビンタされる朝を迎えるのであった。

 




それじゃぁまた次回のボーカル組みの誕生日回でお会いしましょう


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記念話 ギタリスト編
我が家の猫の誕生日


これも分からずらくならないようにギタリスト編の記念話という区切りで投稿します


今日は3月20日。

 

今日はとっても特別な日。

 

あ、別に春分の日とかそういう事じゃないからね? あ、分かる? スミマセン。

 

取り敢えず、今日は俺にとってとっても大切な日なのだ。

 

そう、なんたって今日は………

 

****

 

俺は、友希那と彩を連れてとあるショッピングモールを訪れていた。

 

「なぁ、これなんかどうだ?」

 

俺は適当にマグカップを二つ手に持ち彩に聞いてみる。

 

「う〜ん、でもこの前プレゼントした気がするんだよね」

 

「え? マジ? そりゃそうか。マグカップが一番手頃だし長く使えるもんな」

 

となれば、もう少し違う物でなおかつ長持ちする物が必要とされる。

 

そんな事を考えていると、友希那が猫の置物を抱えてこちらにトテトテと走って来た。

 

可愛いかよ。

 

「はぁ……はぁ……冬夜、これなんかどうかしら?」

 

「うん、それは完全に友希那の趣味だよな? それとその置物が置いてあったの直ぐ近くだった筈なんだけど……友希那、運動してるか?」

 

「……してるわよ」

 

そう言って、若干目を逸らす友希那。

……今度一緒にジョギングでもするかな。

 

「はぁ、にしてもむずいなぁ。誕生日プレゼントなんて誰かに渡すのなんていつぶりだ? いや、初めてかもな」

 

「冬夜くん、本当に友達いるの?」

 

おい彩、そんな目で俺を見ないでくれ。一応俺大学生よ? 君女子高生よ? 女子高生が大学生、しかも男を心配そうな目で見るんじゃありません。

こっちが悲しくなってくるでしょうが。

 

とはいえ、今日渡さないと意味のない物になってしまう。

 

みんなには言ってないし、そもそも知ってると思うが今日は紗夜と日菜の誕生日なのだ。

 

「なぁ、彩。日菜ってどんなのが好みなんだ?」

 

「う〜んとね、『るん♪』ってする物?」

 

俺はそのるん♪の部分を具体的に教えて欲しいよ……まぁ、感覚で買えって事なんだろうけど俺には六兆年のエキスパートとスペシャルを二つの端末で片手プレイを同時にするレベルで難しい事なのだ。

 

「因みに、紗夜の好みってなんだ?」

 

「………ポテト?」

 

「なんで疑問形なんだよ………てか、ポテトは食いもんだろ? まぁ、一瞬でなくなる未来が見えるから後で買い足しはするけど」

 

「犬が好きと言っていたわ」

 

うん、紗夜の場合は言ってたんじゃなくてバレたんだね。

 

まぁ、犬の置き物とかグッズは無難だしなぁ……

 

「あ……」

 

「? どうしたのかしら」

 

「分からない……」

 

よし、あれを買おう。

 

俺は友希那と彩に少し待つ様に言って俺はとある場所に向かう事にした。

 

あれはすぐに壊れるかもしれないが、長持ちはする。

 

「よし、これでオッケー」

 

俺は、ラッピングされた二つの箱を持ち友希那と彩の元に戻りお礼をして帰宅した。

 

♪*♪*♪

 

家のリビングでウトウトしていると、不意にインターホンが鳴りハッと起きた。

 

「はいは〜い」

 

俺は急いで玄関に向かい扉を開けた。

 

そこには、二人の少女氷川姉妹が立っていた。

 

「冬夜くん来たよ〜!」

 

「お邪魔します、冬夜さん」

 

「あぁ、悪いな。親とも色々あるんだろ?」

 

「いえ、両親にも行ってきなさいと言われましたので」

 

ご両親、ありがたいな。

 

今度紗夜と日菜の猫写真でもあげよっかな。

 

取り敢えず俺達はリビングに行き、軽い雑談をした。

 

「それでその時彩ちゃんがねー」

 

「そりゃ、彩がやりそうな事だな」

 

「ふふっ、丸山さんそういう事をするのね」

 

っと、そろそろ暗くなってきたし俺は渡す物を渡さないといけないか。

 

俺は時計を確認した後、ソファーを立ち紗夜と日菜にはトイレに行くと言って二階に向かいプレゼントを取りに行った。

 

♪*♪*♪

 

俺はプレゼントが入った袋を手に持ち、ドアを開ける。

 

「あ! 冬夜くん! プレゼント取りに行ったの?」

 

「ひ、日菜!」

 

「ははっ、そりゃバレるよな」

 

 

取り敢えずおれは、紗夜と日菜の向かい側に座りプレゼントを差し出す。

 

「ほい、これプレゼント」

 

「わーい!」

 

「ありがとうございます」

 

「まぁ、バンドのみんなより大層なものは出せないけど。受け取って」

 

そう言うと、早速プレゼントを開ける日菜とやれやれといった感じでプレゼント開ける紗夜。

 

「……じゃーん!ってこれ」

 

「……これは」

 

「ネックレスなんだけど、二人とも付けちゃってるのさっき思い出したんだよね」

 

盛大にミスしてしまったが、日菜には月のネックレス、紗夜には太陽のネックレスをプレゼントした。

 

勿論、夜と日って名前から取ってあげたんだけどね。

 

「無理して付けなくてもいいからな? まぁ、受け取ってもらえるだけでも嬉しいってもん……「冬夜く〜ん!」グハァ!」

 

な、なんだよいったい。

 

突然日菜が抱きつくと言う名の突撃をかまして来て、ギリギリ耐えることに成功した。

 

てか、日菜の一撃重くないですか?

 

そして服に顔をスリスリしない。

 

「このプレゼントるん♪って来た!」

 

「ふふっ、そうですね。私もとても気に入りました」

 

「で、でもバンドメンバーのプレゼントの方が嬉しいんじゃ?」

 

「メンバーからのプレゼントも大切ですが、冬夜さんのプレゼントも大切ですよ」

 

「そうそう! 今年は皆から変装セットもらったんだ〜」

 

ははっ、なんだよ。俺の考え過ぎかよ。

 

こんなに喜んでくれるなら、後悔なんてする必要なかったじゃねぇかよ。

 

「紗夜、日菜」

 

「なに?」「なんですか?」

 

「改めて、誕生日おめでとう!」

 

「「……うん!(はい)」」

 

来年もいい誕生日にしようぜ、氷川姉妹。

 




もう訳ワカメ


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