この素晴らしい世界に鍵使いを! (アセどん)
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第1章 見通す悪魔とキーブレード使い
第1話 ぼっち少女との出逢い


勢いあまって作ってしまいました。
悔いはありません!!
では、どうぞお楽しみに下さい!!

ツカサのイメージキャラが完成しましたので付け足しました。


通り魔によって17歳という若くして死んだ俺こと黒塚(くろつか) (ツカサ)は、天使からとある鍵の形をした武器(・・・・・・・・・・・)を貰い、異世界へ転生したのだが、

 

 

「あ……ヤベ」

 

ゲ〜コ〜

 

とてつもないカエルに喰われかけている。

 

 

 

 

ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバ——イ

ヤバ——————————————イ!!!

 

 

転生して開始数分後に即ゲームオーバーは嫌だ。

というか死ぬのは嫌すぎる!

 

全神経を両手両足にチカラを入れて、喰われない為にカエルの粘液で滑らないようにカエルの唇?辺りで踏ん張る。

 

「ふぬぬぬっ!ヌメヌメするなお前の口! 後、クセェな! お前の口の中!!」

 

グェ〜ゴォ〜!(怒)

 

 

ツカサのヤケクソの言動に怒りを感じた巨大カエル(全長3メートルくらい)はさらに口へチカラを入れて、必死に飲み込まれないように踏ん張る彼を食そうとしていると、

 

 

「パラライズ!」

 

 

凛とした声と共に巨大カエルの動きがピタリと止まった。

 

突然、目の前で起きたふしぎな出来事に思考停止を起こしていると、先ほど声の主が叫んできた。

 

「今のうちに逃げて下さい!」

 

 

これが、のちに紅魔族の長となる恥ずかしがり屋のボッチ少女と、短い人生を閉じ天使によってとあるキーブレード(・・・・・・・・・)を与えられた少年の出会いである。

 

 

 

 

 

 

★★★★★★★☆☆☆☆☆☆☆★★★★★★★

 

 

遡ること一時間程前。

突然、真っ白な空間の中で綺麗な純白の翼をした女性つまりは天使と対面で椅子に座っていると、自身の死因を聴かされた。

 

 

「———という訳で黒塚 士さん。貴方は先ほど亡くなりました」

「でしょうね。かなりの血を流したので」

 

腹部を包丁で何回も刺された記憶は鮮明に残っている。明らかに普通の状態ではなかった男の顔を思い出したことで何処か苦虫を噛み潰したような表情を浮かべる。

 

「心中をお察します。まだまだ若すぎる年齢で亡くなってしまった貴方に3つの選択肢が与えられます」

 

ツカサの心中に同情しているのか、天使は丁寧に彼が話の内容を理解し易い様にその選択肢の詳細を説明していく。

 

「それではまず1つ目は、天国へ行くこと。2つ目は記憶を消され、赤子からやり直すこと。そして、最後は異世界へ記憶と体をそのままにして向かうことです」

 

と、いわゆる人生(先ほど終了したが)最大の選択的なことを迫ってきた。

 

とはいえ、それぞれの詳細を確認してから選択することにするため話を続けてもらう。

 

「1つ目の天国という場所について教えて貰えないでしょうか?」

「承知しました。こちらで言う天国とは、ほのぼのとした場所であり、娯楽と言ったモノがなく、自身の肉体がないため先人の霊たちと年中日向ぼっこをするか、他の霊たちとお喋りすること以外にやることはありません。ツカサさんほどの年齢の方にはオススメは致しません」

 

なるほど。と言っても記憶を消して赤子からやり直すのもな………それはそれで嫌だな。

 

「最後の異世界へ行くということは、一旦どういうことなのですか?」

「魔王軍の侵攻により、邪悪なモンスターが蔓延り人口が減ってしまった此方とは異なる世界に、応援または戦力としてツカサさんを転移させることです。尚、即死対策として此方の一覧表から何かお好きな武器または能力を与えます。そして、貴方が見事魔王を討伐に成功したあかつきにはどんな願いも一つだけ叶えて差し上げましょう。しかし、闘う以上死のリスクは常につきものとなり、今までに魔王討伐を果たせず、もう一度亡くなってしまった方または、討伐を諦め残りの人生を謳歌する道を歩んだ方もおります。そのため、闘う以上チート級の武器を持っていても死の恐れは充分にあります」

 

因みに私がこの責務を担当して以降、誰も異世界には行っておりませんと付け加えながら、何処か残念そうな顔をする天使さんのご丁寧な説明を聴いて思った。いや思ってしまった。

この大変真面目な人?なんだな……と。

デメリットまで話していては誰も行きたがらないだろう。

 

「はぁ〜俺としてはキングダムハーツ3の結末を知りたかったんだがなぁ〜。記憶を無くして赤ん坊からやり直しても、転生した俺がやるとも限らないしな。天国や異世界に行っても知ることができないからなぁー」

 

「ふふふっ本当にツカサさんはキンハがお好きなんですね。私も休暇の日は、仲間の天使と一緒にゲームをするのですがキンハは中々神作ですものね。これまでのツカサさんの人生書を拝見させていただきましたが、本当に大好きなのがよく分かりました」

 

ッ!?今、この天使さんキングダムハーツの事をキンハって言ったぞ!?

 

目の前の天使が割とゲーム好きな事にかなり驚いて思考停止を引き起こしているツカサを見て、静かに話を聴いているのだと勘違いしたのか淡々と話を進めていく。

 

「そちらに関しては安心して下さい。詳細は言えませんが」

「え? 気になる言い方はズルいですよ」

 

「此方にも口外出来ないこともあります。さて、話を戻しますが貴方は異世界へ転移することをご希望しますか?」

「ハイ」

 

「受けたまわりました。それでは、転移する前に重大な注意事項をご説明します。彼方の世界の言語は私達がツカサの脳に付加をかけることで解消されます。危険があるとすれば運が悪いのなら、転移した際に頭がパァーッになることだけです」

「いやいやいやいや!!中々ヤバいワードが出ましたよ!!」

 

「大丈夫ですよ。ツカサさんは中々の運の持ち主であるので。それにパァーッになってしまった方なんて100人に1人くらいの割合ですから、アクア様なみに運値がなければ大丈夫ですよ…………多分」

「多分って言ったぁぁぁぁ!!」

 

「それでは、この一覧表からどれかお好きなモノを選んで下さい」

 

途中から一方的に話を進めていく天使に口元を引攣らせながら改めて手渡された一覧表に目を通していく。

 

 

◯身体が炎となるが泳げなくなる能力

◯無限の魔力

◯スタンド

◯あらゆる魔法を習得できる才能

◯消えない炎を宿す魔剣

◯輝く聖槍

◯あらゆる武器を生み出すチカラ

 

 

中々のチート級の能力ばかりの一覧の中から自身がときめく物を探していると、とんでもない項目を見つけてしまった。

 

「え゛ッ!? あの〜なんで一覧表に貴方があるんですか?」

 

そう。手渡された一覧表の中には目の前にいる天使もまたこの場所から持っていけるモノとして含まれていた。あまりの斜め上の内容に困惑しながら問い掛けると、天使もまた何処か焦って表情で応える。

 

「そ、それはですね。私の前任者である水の女神アクア様がある方(・・・)の死因をストレス発散目的でからかい、その方の怒りを買い、モノとして彼方の世界へ旅立ってしまったのです」

「そ、そうですか……御心配なく天使さんを連れて行ったりはしませんからそんな貌しないで下さい」

 

 

天使の焦った反応の意図を察し、そんなことをしては可哀想だと思い改めて持っていくどれにするのか頭を悩ませてる。

すると、

 

 

「すみませんお見苦しい所を。そちらの一覧表以外にもアニメ、ゲームまたは漫画の武器・能力をお望みも出来ますよ?」

「マジですか!?」

 

 

ツカサにとって半端なくテンションが上がる提案を提示する。

 

「マジです。ツカサさんの様にゲームまたは漫画の武器を扱ってみたいと言う方々のご意見により武器、能力、才能などを与えることが可能です」

「ということは……まさか!?」

 

 

自身が心から欲するモノと共に第2の人生を送ることができるのでは…という期待の表情をするツカサにつられてクスクスと口元を緩めてしまいながら、彼が望むモノを口にする。

 

「もちろん。キーブレードも大丈夫ですよ」

「よっしゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 

自身が最も好きな作品の武器を持って行けることを聴いたツカサは、まるでコレ以上喜びなぞないのではと思えるほどの歓喜の声を上げる。そんなツカサを穏やかに眺めていた天使はツカサにさらなる説明を行う。

 

「注意点としてツカサが使う事になるキーブレードの形状と能力はランダムとなります。運が良ければ主人公達が扱うモノと同じ形状になる可能性もあります」

「そこも運次第とは。背に腹は変えられないな……よし!ソレでお願いします!!」

 

「承りました。天界規定に則り、ツカサさんがキーブレードを受け取ることが受理されました。彼方の世界でどの様な形状なのか、ご確認下さいね」

 

そう言った後、天使さんは何かを唱えると足元に魔法陣が浮かび上がった。

 

「これで異世界へ向かうためのすべての準備が完了しました。

それでは……

 

 

 

さあ、旅立ちなさい!あまたの勇者候補の中から、貴方が魔王を倒すことを心から願っております……‼︎」

 

 

 

 

 

 

★★★★★★★☆☆☆☆☆☆☆★★★★★★★

 

 

 

 

 

 

こうして、俺こと黒塚士は異世界への転生を果たしたのだった。

これまでがここへ来る前のハナシ。

そして、近くの街へ向かう前に自身のキーブレードの形状を確認し、又もや半端なくテンションが上がっていると、

 

 

ドオ゛ォォォォォォォォォォォォン!!!!

 

 

 

という、何処かで起きた爆発音に驚きフリーズしていると近くから全長2、3メートルくらいはある巨大カエルに喰われそうになるが、キーブレードで何とか撃退することに成功。

 

しかし、初のモンスター撃退に浮かれてしまい背後から来ていたもう一匹によってキーブレードを喰われ、芋づる式に現在喰われかけている現在に戻る。

 

 

「今はカエルの動きは停止していますから口から逃げれますから飛び降りて下さい!」

「だ、誰かは見えないけどわかった!」

 

 

後ろに声的には少女と思われる指示に従い飛び降りて雪の積もった地面へ着地する。そして、目の前にいるフードを深く同年代と思われる少女は光を纏った手刀を身動きが取れないカエルへ向けて一直線に振り下ろす。

 

「ライト・オブ・セイバー!!」

 

振り下ろされた手刀の先から発された光の剣は瞬く間に巨大カエルを一刀両断し、撃退してみせた。

 

 

 

そして、カエルに呑み込まれたキーブレードを呼び出し、ある程度粘液を拭き取り、助けてくれた少女に改めてお礼を言う。

 

「危ない所を助けてくれてありがとう」

「良かったぁぁ間に合って!」

 

そう言って深く被っていたフードを脱ぎ素顔を見せてくれた。まるでルビーの様に輝く瞳をした整った顔立ちに数秒もの間眼を奪われていたツカサは、きちんとお礼を言いたいのだが目の前の少女の名を知らないので、自ら名乗り出る。

 

「本当に危ない所を助けてくれてありがとうございます。俺はクロツカ ツカサ。冒険者になりたくて街へ行こうとしていたんだ。ちゃんと君にお礼をしたいのだが、すまない名前を教えて貰えないだろうか?」

「そ、そんなお礼だなんて…!な、名前…です…か」

 

何故だ。変な事でも聴いてしまったのだろうか?

何処か目の前にいる彼女はまるで恥ずかしそうに頰を赤らめ、モジモジし始めた。

 

「すまない。何かマズいことでも聞いてしまったのか?なら、無理せずなn「だだだ、だいじょうぶですから!!」……そ、そうか」

 

無理せず名乗らなくていいぞと言おうとしたのだが、何処かヤケ糞気味に遮られてしまった。それと全然大丈夫そうには見えないな。

 

心なしか先ほどよりも瞳が紅く輝いている様に見えるのだが、何故か薄っすら涙を溜めている様にも見える。そして、ヤケクソ気味の彼女はとうとう顔を真っ赤に染めながらバサっとローブをひるがし、

 

 

「……わ、我が名はゆんゆん!アークウィザードにして上級魔法を操る者!やがては紅魔族の長となる者!」

 

 

独特の自己紹介をしてくれた。

 

 

 

コレが俺とゆんゆんのはじめての出逢いであり、これから波乱に満ちた異世界生活がすでに始まっていたということは、この時の俺たちは全く知りもしなかった。




最後まで読んでくださりありがとうございます!

いちようチョットした主人公紹介です。

黒塚(くろつか) (ツカサ)

年齢17歳
黒髪黒目
顔立ちは普通。
近眼な所為で時折鋭くなる。
イメージキャラはめだボクの球磨川禊。
服装は学ランにマフラー。

性格は普通だが時折ドライ。キ◯ハが大好きで、その話になるとめちゃくちゃ瞳を輝かせる。

通り魔によって殺され、天使によってとあるキーブレード(・・・・・・・・・)をもらい転生した。


ツカサのキーブレードについては多分次回にその形状が明らかになります。


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第2話 キーブレード使い

よ、ようやく完成しましたので投稿します。
中々の難産でしたぁぁ……
前話でのアンケートの答え合わせが出ますので、ツカサのキーブレードがどんなのか、ぜひ本話を読んでみてください!!
因みに今回もアンケートがありますので、そちらの方もぜひぜひ!
それでは、『このすば』ならぬ『この鍵』第2話をお楽しみください。


天使によって異世界転生したツカサは危ない所をアークウィザードのゆんゆんによって助けられた。

そして、自己紹介をしたツカサは目の前で独特な名乗り方をしたゆんゆんに困惑していた。

 

「……わ、我が名はゆんゆん!アークウィザードにして上級魔法を操る者!やがては紅魔族の長となる者!」

 

 

………………………………ッハ!?

 

「なるほど!コレが此方での挨拶だったとは……

……でh「ちちちちち、違います!違いますから!コレは私達紅魔族特有の名乗り方であって、この町の挨拶ではありませんからマネしなくて大丈夫ですから!!」………そ、そうか…すまない」

 

どうやら違っていたようだ。

さっきの名乗りが恥ずかしかったのか、ゆんゆんは先ほどよりも紅く輝く涙目で詰め寄って静止してきた。少し怖い。

 

「では改めて。ありがとうゆんゆんさん。君のおかげで助かりました」

「そ、そんな頭を下げないでください。私の方が多分歳下だと思うので、敬語はいいですよ」

 

「ん、そうなのか? てっきり17歳前後だと思っていたのだが違うのか?」

 

ツカサはきっちりと頭を下げ、ゆんゆんにお礼の言葉を述べたのだが彼女が同年代ではないことにきょと顔をしてしまう。

 

「私まだ14歳ですから!そんなに大人じゃありません!!」

 

流石に女性相手に年齢ワードはまずかったようで、ブスッと頰膨らませながら怒られてしまった。ちょっとコレはコレで子供っぽくって可愛いと思ってしまったのは余談である。

 

「すまない。レディ対して失礼だったな」

「そ、そんな謝らなくてもいいですよ。そ、その……あ、あの…」

 

砕けた口調で謝罪すると急にゆんゆんは、またもやモジモジしながら上目遣いで言葉を濁しながら尋ねる。

 

「そ、その……わ、私の名前を聞いても………わ、笑わないんですか?」

「命の恩人をいきなり笑うだなんて、そんな恩知らずではないよ。俺もツカサで良いよ。ゆんゆん」

 

「そ、そうですか…あ、あの、もももし!宜しければ……あ!ご迷惑でなければですけど……アクセルの町を…案内しましょうか?」

「いいのかい?」

 

渡りに船とは正にこのことだな。

数分前に転生したばかりで此方の世界の常識が全く知らない状態なので彼女の提案は天からの授かりモノと思ってしまうほどのものだった。実際には天からの授かりモノはキーブレードなのだが………

 

「はい。ツカサさんがご迷惑でなければですけど……やっぱり……ご迷惑でしょうか?」

「いいや。此方から改めて頼みたいよ。ゆんゆん、俺に町を案内してくれ」

 

すると、パァーッと輝かしい笑顔となったゆんゆんは心底嬉しそうにツカサと一緒にアクセルの町へ向かう。

 

「(とても表情が豊かな子だな…)」

「それでは早速行きましょう! 私も先ほど急に冬眠から目覚めた一撃グマの討伐の報告に行くために冒険者ギルドへ行くところでしたので」

 

そして、ゆんゆんと共にアクセルの町の外門へ向かう途中で先ほどから気になっていたことを彼女はツカサへ尋ねる。

 

 

「そういえばツカサさんがさっきまで持っていた剣…?いえ鍵?ですか……見たこともない武器な上に、どうやって出現させているんですか?」

「ん?そうだな……実物を見ながら説明した方がいいな……じゃあ、ゆんゆん。よく見ていてくれ」

 

 

キーブレードの構造を初見で理解するのはやはり原点を知らない彼女には無理であったようなので、ある程度説明できる範囲を話すためにもう一度自身のキーブレードを強く念じる。

 

すると、掲げていた右の掌から青白い閃光と共に矢のような二条の黒色と水色の配色をした光が螺旋を描くようにツカサのキーブレードが彼の呼びかけに応じ顕現する。

 

 

「来い、キーブレード!」

 

 

光の中から顕現したキーブレードの剣身は長く、その切っ先には時計があしらわれており、その持ち手にはまるでナニカの歯車を想起させるナックルガードが付き、柄頭にはストラップの様な水色の砂が入った灰色の砂時計型のキーチェーンが付いてる。

 

コレこそがツカサのキーブレード。

 

名前は《ノーネーム》

 

KH(キングダムハーツ)BbSFM(バース バイ スリープ ファイナル ミックス)に登場する裏ボス《謎の男》を倒すと貰えるイカすキーブレードであり、青年ゼアノートが使用するキーブレードと酷似したモノ。

ツカサは生前気の合う友人の誘いでキンハにハマり、その経緯で彼はⅢまでに登場するキーブレードは全て覚えているというマニアでもある。このためツカサは自身のキーブレードがこの形状をしていた現実に対して有頂天にとなっていたのは余談。

 

「改めて見ると本当に不思議な剣?…いえ鍵?う〜ん時計?ですね」

「一様キーブレードという鍵の形をした剣なんだ」

 

「でも、切っ先は時計が内蔵されていますよね?」

「ん〜デザインの方は何でこんな風になっているのかはわからないんだ」

 

ノーネームのデザインは言葉にすることは出来ない。

 

だが!

 

キーブレードはロマンなのだからデザインは言わない!!

コレは鉄則である!!

※ただ説明できないだけである

 

「キーブレードは一言で説明するなら……コレは俺の心が武器として形を成した破魔の剣と言えるかな」

「ツカサさんの……ココロ…ですか?」

 

「だから、俺の中と外の世界を行ったり来たりできるってハナシ」

「な、なるほど。スキルでもないのにそんな事ができるなんて不思議ですね」

 

「キーブレードはその資格を持ち、強い心の持ち主が顕現させることができるからもしかしたら、ゆんゆんも出せるようになるかもな」

 

 

そんな無理ですよ〜と2人でたわいない話をしていると、外門付近で三匹の巨大カエル(正式名称はジァイアントトード)に追われている大荷物を背負ったドワーフ風のオッサンが発見した。見知らぬ人とは言え、見過ごすことは出来ないのでゆんゆんと供に助けに行き見事無傷に倒すことができた。主にゆんゆんが二匹、ツカサが一匹という比率であった。その結果、ドワーフのレングスさんに大変感謝され、謝礼を貰ってしまった。要らないと言ったのだが、ゆんゆんがレングスにツカサが無一文であることをうっかり漏らしてしまったため、強引に渡されてしまい、ご好意に甘えることとなってしまった。町の門まで送るとレングスは鍛冶屋なので何か武具を買い来れば、サービスもすると言って自身の店へ行ってしまった。

 

そんなこんなでゆんゆんに案内されながら冒険者ギルドにつき、カウンターで冒険者登録を済ませようとしたが、手続き料として1000エリスも掛かるようだ。危うくお金を稼ぐためにアルバイトへ行きかけたが、レングスから貰った封筒の中に7000エリスも入っていたため事なき終えた。セーフ。

 

以上の回想を終え、現在ツカサはギルド職員のお姉さんに冒険者登録の手続きを説明させてもらう。

 

「こちらのカードに、レベルと言う項目があります。ご存知の通り、この世の様々なものは魂を体の内に秘めています。そして、どんな形であれ他の何かの生命活動にとどめを刺すことで、その存在の魂の記憶の一部を吸収できます。此方が経験値と呼ばれるものですね。それらは普段は目で見ることはできません。しかし、このカードを持ってると、 その経験値が表示されます。それに応じてレベルと言うものも同じく表示されます。これは冒険者の強さの目安になり、どれだけの討伐をしたかもここに記録されます。そして、経験値を貯めていくとある時突然、急激に成長します。これが俗に言うレベルアップと言うものです。要約しますと、このレベルが上がると、新スキルなどを覚えるためのポイントなど、様々な特典が与えられるので、頑張ってレベル上げしてくださいね」

 

なるほど。

どうやら、この世界はRPGの様な仕組みでこのカードはステータスを示すのと同義の様だ。分かりやすくて助かるな。

 

「それでは、此方の書類に身長、体重、年齢、身体的特徴などのご記入をお願いします。」

 

お姉さんに渡された書類に自分の身体のことを書いていく。

身長:167cm 体重:58kg 年齢:17歳 髪:黒髪 目:黒色

………これで完了。

 

「はい、結構です。それではカードに触れてください。これで、あなたのあなたのステー タスがわかりますので。これにより就く事ができる職業が決まってきます。また、その 職業専用のスキルなども出て来ますのでそこの所も注意して選んで下さいね」

 

日本からこっちの世界に来た時にキーブレードをもらったとはいえ、俺自身の能力が一体ス テータスにどれくらいの影響を与えているのかと、若干不安と緊張しながらカードに手 を触れると、ステータスの数値欄に変化が現れる。

 

「はい、ありがとうございます。クロツカ ツカサさんですね。えーと………これは、知力と幸運と生命力は普通ですね。筋力、魔力、敏捷性は上級職クラスとはいきませんが それなりに高めですね。でも、器用度は上級職クラスですよ!これなら……確か———ん?」

「どうかしました?」

 

「いえ……ツカサの冒険者カードに見たこともない職業が選択欄が入っているので……何でしょうか?」

 

手渡されたカードをよく見てみると《?????》という項目があり、クリックしてみると、

 

「「「キーブレード使い??」」」

 

見事にキーブレード使いという文字が浮かび上がった。

ちょいちょい!?ドユコト??

ギルド職員のお姉さん、俺、ゆんゆんの三人は見事にハモった。

 

「どういうことでしょうか?………なぜ、ツカサさんだけに……?」

「こんな職業…はじめて見ました…」

「ま、コレでいっか」

 

軽いノリでツカサは冒険者職業を《キーブレード使い》に選択する。

 

「「ええぇぇぇぇぇぇ!!!!」」

 

当然、未知の項目にもう少し慎重に選ばせようとしたゆんゆんとギルド職員のお姉さんは、揃って驚愕の声を上げてしまう。そんな2人に何処か達観した様な表情を浮かべながらツカサは、2人を落ち着かせる。

 

「まぁ〜まぁ〜一応キーブレードを持っているんだし大丈夫でしょ?」

「そんな楽観的すぎますよ〜」

「ま、まぁ〜職業はレベル上げて行けば変更させることも可能ですから、もしも御不満がありますのならその時ご変更下さい」

 

「はーい」

「それでは改めまして、クロツカさん。冒険者ギルドへようこそ これからあなたが冒険する中でわからないことやご相談したいことがあるのなら、ぜひ来てくださいね 」

 

こうして俺は、お姉さんの笑顔を見送られながら、冒険者となって第2の人生をスタートしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大丈夫なんですか、ツカサさん?」

「何とかなるよ。なんとかさ♪」

 

と、自身を心配するゆんゆんにヘラヘラした笑みを浮かべながら、ツカサはキーブレード使いとしての一歩をようやく踏み出すのであった。

 

全ては、

 

鍵が導く心のままに

 

 




最後まで読んでくださりありがとうございます!!
ツカサのキーブレードは、ドルルル……バン!!

ノーネームでしたぁぁ!!

またアンケートをしますので是非ご協力くださいね?

余談ですが、ツカサのイメージキャラが裸エプロン先輩ですので中々冒険者衣装が思い浮かばないのがちょっちヤバイっす。ガンバ私♪


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第3話 初クエスト《ゴブリン狩り》

前回のアンケート結果によって、本作のちょむすけ的マスコットキャラクターが決定しました!!

栄えある第1位はなんと!!

チリシィでした!!

fgoのマーリン死すべしでお馴染みのフォウさんとかなりの差をつけて、本作のマスコットキャラクターにチリシィを決定しました。
アンケートにご協力いただきありがとうございました。
フォウさんを推してくださった方々には申し訳ありませんが、その内ひょっこり登場するかもしれませんので。

それでは第3話どうぞ!!


「ふぅ〜早朝とは言え、中々野菜狩りは堪えるな」

 

朝日に照らされながら、額から流れる汗を拭い少々疲労したのかツカサは独り言を漏らす。

 

「いやいや。アンちゃんのお陰でワシらの作業はかなり楽になったよぉ。近頃の若者にしては、中々の根性じゃったよ」

 

そんなツカサに同じく額の汗を拭い、感謝の言葉をかけながら近づいてきたのは、この農家の主人のおじいさんだった。

 

「そう言って貰えるとありがたいです」

 

なぜ、こんな朝からツカサは農家のお手伝いをしている理由は単純明解。

 

アルバイトだ。

 

先日、助けたレングスからお礼として7000エリスを貰っていても生活費というモノであっという間に減っていくため、ツカサは早朝から何故かは判らないが、跳びはねまくるサツマイモの引っこ抜きアルバイトを行うこととなったのだ。加えて、冒険者登録を終えた後ゆんゆんと町を一通り案内されながら、食事をとったりしていたためあっという間に4500エリスまで減ってしまった。流石にマズいと感じたツカサは近くにあったチラシの内容から、この農家のお手伝いとして日払いのアルバイトを行うこととなった。そして、午前の仕事が一段落終えた後に午後からゆんゆんと共に装備品を整えた後にクエストをする約束のためにツカサは労働の汗を異世界でも流している。

 

「午前の収穫はもうコレで全部じゃからもうえぇぞぉ〜」

「わかりました。また、明日もよろしくお願いしますね」

 

「了解じゃ!」

 

使った道具を片付けたツカサは、おじぃさんにアルバイト代を貰い銭湯へ向かう。流石に年頃の女の子であるゆんゆんの前で汗臭くては失礼であるため、そそくさとツカサは身体を洗い、着替えて待ち合わせ場所の冒険者ギルドへ向かう。

 

 

すると、数あるカウンターの一番隅っこにモジモジしながら周囲を凄まじいスピードでキョロキョロと見渡す彼女を発見した。

そして、待ち合わせ相手であるツカサを発見するや否や、マッハ近い速さで彼の目の前で詰め寄るように駆け寄る。

 

「こんにちは!ツカサさん!!」

「あ、あぁゴメンよ。待たせてしまったかな?」

 

「いえいえ!私も今さっき来たばかりですから!」

「そっか。なら良かった。今日もよろしく」

 

「は、はいぃ!!」

 

ゆんゆんの異様なまでのテンションの高さに若干ながら引き気味になりながらだが、ツカサは先日助けたレングスの武具店へ向かう。

道中、ツカサは野菜達や昨夜寝泊まりした馬小屋の愚痴を混ぜながらゆんゆんとたわいない会話を弾ませていく。

加えて、誰かとここまで楽しくお喋りしながら街を回ったりしたことがなかったゆんゆんは嬉しさのあまり泣きかけしまったのは余談である。その結果、周囲の誤解を解くのにかなりの時間と精神を浪費したのは仕方ないこと。

 

そんな風に道中ドタバタしつつも2人とも楽しそうにクエストに必要となるアイテムも買って行く。

そして、ようやく予定して時間を過ぎてしまったが、2人ともが楽しんでいたので気にせず、レングスの店へ入っていく。

 

「おう!ようやく来たか、ツカサの坊主に紅魔の嬢ちゃん」

「今日は装備品を値引きしてもらいますかね〜」

「ちょっ!?ツカサさん、いきなりですか!?」

 

中へ入ると片手剣を丁寧に磨いているレングスが2人を心良く出迎える。

 

「かっかっか!気にすんな元々坊主にはサービスする予定だ」

「よっ!デブっ腹!」

 

「そこは太っ腹と言え。いくらドワーフがズングリ体型だからって言葉に気遣え」

「そ、そそそそうですよ!!失礼ですよ!」

「まぁ〜まぁ〜。はじめて装備品を買うんですけどオススメってあります?」

 

話を切り替え、取り敢えず聞いてみる。

 

「そうだな……ステータスとの兼ね合いにもなるが、まぁ〜前衛職の片手武器を持つ初心者なら胸当てと籠手があれば十分だな。重すぎても鈍くなるだけだし、この辺のモンスターはそこまで攻撃力は高くはない。だが、まあ一応冒険者カードを見せてくれるか オススメを聞かれると、お前さんのステータスに合わせないと行けなくなるからな」

 

そう言われると、やけに内容に実感がこもってるな。

 

「あの、レングスさんって冒険に出てたことはおありだったんですか?」

「ああ。まぁな嬢ちゃん達同様に若い頃は色々とヤンチャしていたが、引退した後は色々と造る側に回りたくてな。ある人の元で鍛治者としての修行を積んでから店を出したってわけだ」

 

やっぱりな。

 

「何はともあれ。改めてよろしくレングス。俺の職業はキーブレード使いだ」

「ん?なんだそりゃ??」

 

頭の上に多数の?マークを浮かべるレングスにゆんゆんのフォローを受けながら、説明を行い改めて冒険者カードを拝見して貰う。

 

「ふむふむ。器用度はかなり高く、筋力、魔力、敏捷性は平均より上かぁ〜となると確かぁ〜」

 

と、ブツブツ何かを呟きながらレングスは奥へ入り、胸当て、黒手袋、二本の片刃型の双剣に加えて……

 

「黒コート?」

 

見るからに身軽そうな黒コートを持って来てくれた。

双剣や胸当てなどはわかるが、何故コート?

それにこれは、前に親友と一緒に観たSAOに登場するキリトがUW(アンダーワールド)で着ていた上級修剣士時代の服装であった。

 

「おっと、コレはな只のコートじゃないぜ。コレは、魔法に対する抵抗力の高いスライムの体液を染料と一緒に染み込ませているから、魔法に対してそれなりの防御力を発揮するんだ。お前さんのステータスなら、鎧でガチガチに固めるよりも、これと急所を守る装備に、後は速度でよけるか、キーブレードか双剣で軌道を晒す、または相手を翻弄する方がお前さんには合ってる」

 

さらにレングスはキーブレードがもしも使えない場合も考えて、自衛用として双剣を付け加えてくれた。

そして、代金の支払いとなった。早朝のバイト代は2万3千エリスであったが、道中にポーションなどを買ったため只今の所持金は、2万5千エリスとなっている。流石にこんないい素材を使った装備品なので若干冷や汗を流していると、

 

「ざっと35760エリスだな。なぁ〜に心配すんな。坊主たちはあの時助けてくれたからな。分割払いで構わないさ」

「え!?お店的に大丈夫?」

 

代金を聴いて表情が真っ青になっていくツカサに背後からそっと財布を取り出して、自身のお金を渡そうとしたゆんゆんにレングスは手で待ったをかける。待ったをかけられた2人にレングスはフッと笑いかけ、ツカサに願ってもないサービスを提示する。

 

「心配すんな。お前さんに心配されるほどその日暮らしなんざしてねぇーよ。有り難く、この老害の好意を受けろ」

「ありがとうございます。レングス、代金は必ず支払わせていただくよ」

「私からもお礼を言わせていただきます。ありがとうございますレングスさん」

 

「やめろよ。ケツが痒くなっちまうから、さっさとクエストに行け!」

「行こうか、ゆんゆん?」

「はい! ツカサさんの借金完済の為に!」

 

 

グサッ!

 

 

改めて装備品を整えた若輩者のキーブレード使いのツカサは、ゆんゆんと供に初心者向けのクエストであるゴブリン退治へと向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆★★★★★★★☆☆☆☆☆☆☆

 

 

 

双剣を腰に交差させるように巻きつけ、ゆんゆんと供に今回狩るゴブリンに対して情報をまとめていく。

 

「確か、ゴブリンは10〜30匹近くで群れをなして行動して、知能は低めだったな?」

「その通りです。でも、気をつけて下さいね。ゴブリンの様な低級モンスターを囮に襲ってくる初心者殺しもいますから」

 

「了解!もうすぐ、目撃されたっていう場所だね」

「はい!気を引き締めていきましょう」

 

そう言って2人は各々の武器を取り出す。

ツカサは逆手双剣を、ゆんゆんは杖をそれぞれ構え周囲を警戒しながら進んでいくと、ゴブリンの群れを発見した。その数はおおよそ18匹で、それぞれが棍棒、斧、短剣、弓などを持っている。

物陰に息を潜めながら、此方に気づいていないゴブリンたちへ攻撃するタイミングを伺う。

 

「……よし。コッチには気づいていないから、ゆんゆんが魔法を撃ったと同時に、俺が駆け出して弓を持っていのをヤるってことで」

「……わかりました。それで行きましょう」

 

コソコソ話で作戦を決め終えた2人は隙だらけのゴブリンへ向けて先ほどの話の内容通り作戦を実行する。

 

「行きます!ライトニング!!」

 

ゆんゆんの杖から放たれた雷撃はゴブリン達の群れの中心に着弾し、群れの三分の一を黒焦げにかえる。突然の奇襲に慌てふためくゴブリン達へ向けて駆け出しながら、ツカサは覚えたての魔法を使用する。

 

「パワースト!」

 

魔法を発動させたことでツカサの身体を暖かな光が包み込む。この魔法の効果はキーブレード使いのスキルにあった初級魔法で、身体強化の効果を含んでいる。これによりツカサは普段よりもより早いスピードで弓を持っていたゴブリンへ詰め寄り双剣で斬り捨てる。

そして、中距離型であるアークウィザードであるゆんゆんに近寄らせない様に、近くのゴブリンの首を刎ねる。背後から棍棒で殴りかかってくるゴブリンに対して、横目だけ動かし左手に持っている剣を相手の額目掛けて投げつける。投げられた剣は寸分違わぬのように鮮やかにゴブリンの頭に突き刺さり絶命させる。また、自分の死角を魔法で援護してくれているゆんゆんの背後の草むらから一匹のゴブリンが飛びかかろうとする。

それを見たツカサは残っている剣を構え、ゆんゆんに警告する。

 

「ゆんゆん!伏せろ!!」

「っ!?は、はい!!」

 

僅かに動揺しているが、自分では反撃するには速さが足りないためツカサに対処を任させることとし、頭を低くし彼の言葉通り伏せる。

ゆんゆんが伏せたことで軌道を確認し、もう一度残った剣をゴブリンへ投げつける。すると、投擲された剣はゴブリンを土手っ腹を貫通し近くの木へ串刺しとする。

これによりツカサの武器がもう無くなったと思うゴブリン達は一斉にツカサへ飛びかかろうとするが、ゆんゆんが行く手を阻む。

 

「ライト・オブ・セイバー!!」

 

放たれた光の剣によってツカサの背後から飛びかかろうとしていたゴブリンを消し炭にする。しかし、ツカサの真正面から襲いかかってくる三匹のゴブリンに慌てることなく、最後の武器をココロから呼び出す。

 

「来い!ノーネーム!!」

 

ツカサは利き手に現れたキーブレードを手に取り、未だにかかっている身体強化でパワーアップした脚力を使い、空中へと飛び上がりゴブリン達の頭上を通りすぎる。斬り捨て御免と言わんばかりに一番近くにいたゴブリンを真っ二つにし、そのままの勢いに乗せて振り向くゴブリンの左肩から右脇腹までキーブレードの斬撃を一線、残った最後の一匹の心臓目掛けてキーブレードを突き立て絶命させる。

これによりゴブリンの群れをゆんゆんと供に殲滅したツカサは改めて周囲にモンスターの影がないのかを確認する。

 

「ふぅー終わったぁ終わったぁーお疲れ様ゆんゆん。援護ありがとうね」

「いえいえ、私もツカサさんとの初クエスト浮き足になっちゃって背後から奇襲の気づきませんでしたから。此方の方こそありがとうございます」

 

「何はともあれ、初クエストクリアだな?」

「無事に帰るまでが、お仕事ですよ」

 

確かに〜と双剣を回収しながらゴブリンの死骸の処理を行い、ツカサはゆんゆんと供にアクセルの町へ帰っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちなみに、早朝の農家での野菜達との激闘?にツカサはすでにレベル3となっており、この初クエストによりレベルは5まで上がった。

まだまだキーブレード使いとしては若輩者すぎるなと密かに思いながら、コツコツ頑張ろうと誓うツカサであった。




最後まで読んでいただきありがとうございます!!
ちなみにですがレングスの見た目は転スラのカイジンさんをもう少し老けさせた感じで、ツカサの双剣はテイルズのカストールです。


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第4話 頭のおかしい紅魔!?

よ、ようやく書ききれましたので投稿します!
今回は、このすば最強の運の持ち主と、頭のおかしい方の紅魔が登場します。



 

ゴブリンの群れを討伐し、アクセルの町がすでに目と鼻の先まで来くると、いつぞやのとんでもない爆発音が鳴り響く。

 

ドオ゛ォォォォォォォォォォォォン!!!!

 

 

「っ!?びっくりしたァァ!!」

「…………コレ絶対めぐみんだ」

 

突然の爆発音にツカサは驚き、ゆんゆんは心当たりがあるのか目が少々死んでいる。そんな状態となっているゆんゆんに気づいていないツカサは、かなり離れた距離に苦い思い出しかない巨大カエル(ジャイアントトード)に追われている同年代の少年を見つけてしまった。

 

「なぁゆんゆん。あの爆発音で出て来たのか、俺と同い年くらいの冒険者が追われているのは目の錯覚ではないよな?」

「………大丈夫ですよ、私も誰かと一緒にクエストができた嬉しさのあまり『コレは夢なのでは!?』と思って何度も頰を引っ張っていましたから現実ですよ」

 

「色々ツッコミたいワードが出たけど気にしないでおくとして、助けた方がよさそうだな。あの人の顔、かなりバテてきている顔だから」

「いえ、そもそも近くの三匹の口元をよく見たら!?女の人が食べられかけていますよね!?」

 

「……しょうがない。クエスト帰りだけどサポートとよろしく」

「はい!任せて下さい!!」

 

しばらく静観していたのだが、流石にヤバい状況になってきていたのでパワーストで身体強化を行い凄まじいスピードでツカサは駆け出す。かなりの距離があったのだが一瞬にしてその距離を詰める。そして、しばらくの間逃げ続けていたのだが、とうとう体力限界により転んでしまった冒険者を喰おうとしているジャイアントトードの背後からキーブレードで斬り捨てる。

パワーストによって強化されたことで普段よりもキレのある斬撃を繰り出せる様になったおかげで、一撃で倒すことができた。

そして、残りの三匹の方を見てみるとゆんゆんの魔法によって喰われかけていた三人は救出されていたためひとまず安堵の息を漏らす。

 

「大丈夫、怪我はないかい?」

「…あ、っあぁ助かったよ。ええーと……」

 

とりあえず自己紹介は雪が積もった地面に尻餅をついている目の前の冒険者を立たせてあげてからでもいいだろう。

 

「俺はツカサ。黒塚士、若輩者のキーブレード使いだ」

「マジか!?」

 

どうやら俺が思っていた通り、この人も同郷人つまりは日本人であっていたようだ。キーブレードって単語でここまで反応してくれているようだ。

 

「マジもマジ。冒険者としての職業もキーブレード使いだよ。あと、きみの魔法使いっ娘がぐったりしているけどほって置いて良いのかい?」

「あっヤベ忘れてた」

 

今この人……カズマ(後でちゃんと教えてもらった)はゆんゆんと似た容姿をしている魔法使いの少女を忘れてたと言ったよ。(−_−;)

そして、カズマは改めてゆんゆんにもお礼を言うと、彼女は頰を赤らめて恥ずかしそうにしながら、ボソボソと呟く。

 

「た、助けた訳じゃないですから。ライバルがカエルなんかにやられたりしたら、私の立場がないから仕留めただけで……」

 

俺の時とは違い、目の前にライバル?がいるためなのか素直にならずいる。さらにカエルから救出した青髪の女の人が、どうやらゆんゆんとライバルっ娘の関係に興味津々なようで尋ねる。俺もそれは気になるためカズマと供に静観することとする。

 

「知り合いというか、ライバルといいますか……。久しぶりねめぐみん!約束通り、修行を終えて帰って来たわ!今の私は見ての通り、上級魔法だって使いこなせる!さあ、今こそあの時の約束を果たす時!今日こそは、長きに亘った決着をつけるわよ!」

 

ふむふむ……あの爆裂っ娘ことめぐみんはゆんゆんの友達っぽいようだ。少し安心した。ゆんゆんと会話していく中で、察してしまったが彼女はその…ボッチ気質である。しかし、今の言葉を聞いてどうやらめぐみんとは友達なようなのでホッとしてしまった。

と、ツカサは内心安堵の息を漏らしていたのだが、

 

「………?どちら様でしょう?」

「ええっ!?」

「(うそ〜ん(゚Д゚)!?)」

 

粘液まみれのめぐみんは何気なく言った言葉によって困惑する。

そして、内心困惑しているツカサを置いてカズマ、めぐみんは言い合いを開始し、そこへ涙目のゆんゆんが参加するというカオスな空間と化していく。そんな4人を置いて、ジャイアントトードの死骸を手配してもらう準備のために青髪の女の人アクア、私はあなたを信用していません……という何やら物騒な捨てゼリフを吐く黒髪の女性の粘液まみれの2人は街へ帰っていった。

 

「ところで、貴方はどちら様なのでしょうか?何やら、ウチのカズマと盛り上がっていたようですが」

「ねぇ!?なんで私は無視するよの、ねぇ!めぐみん!?」

 

流石にカズマにしか名乗っていなかったため、めぐみんはゆんゆんをワザと無視しながらツカサに尋ねる。

少々可愛そうになってきていたためゆんゆんをどうどうと慰めながらツカサは自己紹介をする。

 

「俺はツカサ。黒塚士。昨日、この街付近で起きたとんでもない爆発で目覚めた巨大ガエルに喰われそうになっていたところを、君のライバルのゆんゆんに助けてもらったんだ。で、今は冒険者としてまだまだぺーぺーだから彼女にレクチャーしてもらっているから一緒にいるんだ。よろしく」

「それはどうも、ご丁寧に。では、此方も改めて………我が名はめぐみん!アークウィザードを生業とし、最強の攻撃魔法〈 爆裂魔法 〉を操りし者!」

 

「あ……ぅん。よろしく、めぐみん」

「おいこら。私の名乗りに文句があるなら聴こうじゃないか!」

「よせって、コレが本来あるべき反応だ」

 

ゆんゆんと違い全く恥ずかしいの『は』の字もないめぐみんにどうしていいのか微妙な反応をしてしまったツカサに突っかかろうとしたが、カズマによって止められる。そして、しばらくカズマとめぐみんの取っ組み合いが終わり、どこか煽る様に紅魔族特有の名乗りをめぐみんに強要される。

 

「ちょ、ちょっと待ってよ、!わ、分かったわよ。知らない人の人の前で恥ずかしいけど、名乗るわよ!」

 

これによってゆんゆんもヤケクソ気味になりながら、めぐみん同様にバサッとマントを翻し、

 

「わ、我が名はゆんゆん!アークウィザードにして上級魔法を操る者!やがては紅魔族の長となる者!」

 

頰を真っ赤に染めながら名乗り切った。

紅魔族というのは、こうもオーバーアクションをしながら名乗らないと死ぬ呪いでもかかっているのだろうか。

 

「とまあ、彼女はゆんゆん。紅魔族の族長の娘で、いずれは紅魔族の族長になる、学園時代の、私の自称ライバルです」

「「覚えてたんかい!!」」

 

思わずカズマと一言一句同じのツッコミを入れてしまった。仕方ない。

 

「ちょっとちゃんと覚えているんじゃない!……あ、あれ?ツカサさんと同じで、カズマ……さんも?私の名前を聴いても笑わないんですか?」

 

どうやらカズマはめぐみんのおかげ?で、紅魔族特有の謎の挨拶に耐性があるのか笑ったりしたりはしなかった。

 

「名前がちょっと変わってるぐらいで、本人の人格には関係ないだろ?それに世の中には変わった名前をしているうえに、頭がおかしい爆裂娘なんて不名誉な通り名で呼ばれてる奴もいるんだよ」

「私ですか?それって私の事ですか?私が知らない間に、いつのまにかその通り名が定着していたのですか!?」

 

 

 

 

んん!?

 

 

 

「………なぁ〜カズマくぅ〜ん?今、とぉ〜ても気になるワードが聞こえたんだけどぉ〜?」

 

 

 

 

 

 

 

ヤバいヤバいヤバいヤバい!

あれ?ツカサの眼からハイライトが消えた!?

ちょいちょい!?

ゆんゆん、めぐみん逃げるな!!

 

 

「お、お落ち着け!とにかく落ち着け!確かに昨日の爆裂はコイツの仕業だが、仕方がない事情があるんだ!だから、キーブレードを構えながらにじり寄って来るなぁぁぁぁぁ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆★★★★★★★☆☆☆☆☆☆☆

 

 

 

「————という訳だから、めぐみん達は俺を逃がそうとしてくれただけなんだ。でも、本当にすみませんでしたぁぁぁぁ!!」

「うん。理由はわかったから、土下座しないで!」

 

 

何が怖かったのか涙目のカズマは綺麗な土下座をして来たため、なんとか立たせるように奮闘する。

そんなツカサとカズマの後ろでは、

 

 

 

 

 

 

「………あれほどの圧力なら土下座したくもなりますよ」

「というか、まだネタ魔法以外覚える気はないの!?」

 

「なにおう!!」

 

という、此方は此方で違う激戦が始まりそうになっていた。しかし、ツカサたちは、それどころではないので聴こえていない。

 

しばらくして、カズマとツカサのおバカなやり取りは終わり、ゆんゆんたちの方へ戻ると、

 

「いいでしょう!我が爆裂魔法をネタ魔法とのたまうのなら、勝負を受けてあげますよ!」

「よ、よかったぁ〜じゃなかった!それでこそ私のライバル!」

 

何やら2人が勝負をすることになっていた。

 

「どうするコレ?」

「いいんじゃね?」

 

そして、俺たちは俺たちで他人事なため傍観に徹する。

 

「まぁ〜私はもう魔力がありませんので貴女が得意な体術勝負で、どちらかが降参するまでで。どうですか?」

「いいの?体術の授業はロクに出ないのに、昼休みになるとこれ見よがしに私の周りをウロウロして、勝負を誘って私からお弁当巻き上げていた貴女が?」

「………お前、ロクでもないな」

「……流石にそれはダメでしょ」

 

だが、明らかに一言物申さねばならないワードが出てしまったためカズマとツカサは、半ば呆れながら各々の意見を口にする。

流石にコレはめぐみんもバツが悪そうし、加えて少々申し訳無さそうにしながらも小さめの声音で反論する。

 

「……私だって、死活問題だったんです。家庭の事情で彼女の弁当が生命線だったのですよ。自分から勝負を持ちかけたらカツアゲみたいなものでしょう?」

「「(イヤイヤわざと勝負を誘っている時点でOUTだろ)」」

 

心の中でそんなことを密かに思いながら、出会って数分で思考をシンクロさせている2人を置いてゆんゆんとめぐみんの勝負が始まってしまった。

しかし、その勝負はアッサリゆんゆんの敗北で幕を閉じた。

 

それも仕方がないことなのだ。

なんと、めぐみんの身体は先ほどゆんゆんとツカサが倒したカエルの分泌物(ヌルヌル)によって、中々エグいことになっていたのだ。勝負を開始して数秒で漸くめぐみんの状態を思い出したゆんゆんは、めぐみんの狙いが自身をヌルヌルにして戦意を無くさせることであることに気づいた。コレによりゆんゆんは一目散にめぐみんから逃げるが、めぐみんの謎の行動力の前に無駄となり、彼女もヌルヌルされてしまった。色々眼福であったのは、健全な男子たるカズマとツカサだけの秘密である。

そして、泣きながらダッシュでアクセルの街へ帰るゆんゆんを追いかける様にしてカズマたちと別れたツカサは、何とか未だに紅く光る瞳に涙を溜めているゆんゆんと合流し、一旦彼女を銭湯まで送り届けようとした所で、彼にまたもや災難が降りかかる。

 

「そこの黒コートを着たキミ!待ちたまえ!」

「……ん?」

 

振り返ると、何処かキザったらしい雰囲気を匂わせるナルシスト感がある鎧に身を包んだ青年が取り巻きと思われる女性を侍らせて、絡んできた。

 

どうやら、キーブレード使いであるツカサの初クエストはまだ完全には終了しないようだ。




中々、オリジナルを交えながら原作の登場人物を登場させて会話を考えるのは、やはり骨が折れます。
二次創作を書いていながら何を言っているんだ?と思うかもしれませんが、すみません。単なる弱音です。

それでは次回も楽しみに下さい!!


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第5話 メンドクサイ転生者

この鍵もようやく第5話に突入しました!!
そして、タグで既にある様に2人目のヒロインはロード・エルメロイⅡ世のバトルヒロインことグレイさんに決定しました!!
私自身、個人的に好きなキャラであるシノンさんとどちらを出そうかと悩みに悩んで、皆様にご協力していただきました。そして、投票数40人中、シノンさん派19名、グレイたん派21名という中々の接戦の中でアンケートを終了しました。
アンケートにご協力くださった40名の方々には本当に助かりました。私1人では決められませんでしたので。
それでは、第5話もお楽しみ下さい!!
感想、お気に入り登録をお待ちしております!!


「そこの黒コートを着たキミ!待ちたまえ!」

「……ん?」

 

めぐみんによってヌルヌルされたゆんゆんを慰めながら銭湯まで送り届けようとしたツカサの前に、見るからにメンドくさそうな青年とその取り巻きと思われる女性×2が現れた。

 

「………知り合い?」

「いえ知らない方々です」

 

「じゃあオレか?」

「最初からそー言っているだろ!」

 

念のため、ゆんゆんの知り合いかを確認したのだがどうやら彼女の知り合いではないようだ。まぁ〜さっきまでのめぐみんとの会話や所々の彼女との会話でボッチなのはある程度把握していたのだがここまd……ちょーっとゆんゆん様…さりげなく首を絞めにかからないで下さい!!失礼なことを考えたことは謝りますかーら!!ヤメテェェェ!!

 

「そこの黒コートのきみは彼女に何をしたんだ!そんなにもヌルヌル塗れにして、キミまで彼の様に(・・・・)カエルを使って女の子に酷い仕打ちをしているのか!恥を知りたまえ!!」

「いや、してないし。さっきまで首絞められていたのに、どういう思考回路すればそんな妄想を出せるんだ?バカか?病院に行け」

 

「ば、バカだと!?ま、まぁいい自己紹介が遅れた。ボクはミツルギ キョウヤ。とある女神様より魔剣を授かり、この地に来た勇者だ。キミではそこのアークウィザードの女性を不幸にする。キミもそんな男と一緒にいて大変だっただろう。これからはソードマスターの僕と彼女達が付いている。何なら、高級な装備品も全て買い揃えよう。僕たちと一緒に行こう」

 

……あ゛あぁ一々イラつく言動をしないと生きられないだろうか?それにゆんゆんをこんなにエr……はしたない姿をしたのはめぐみんであってオレは無実だ。一様、今はゆんゆんが誘われているので彼女に確認を取ってみる。

 

「って言ってるけどどう「丁重にお断りします」……か、かしこまりました」

 

こちらが言い切る前にゆんゆんはキッパリ笑顔で断ってきた。そして、彼女の笑顔を真近で見てしまったツカサは、心底ゆんゆんに対して怖れを抱いてしまった。それも仕方がないことなのだ。何故なら、彼女は口上を三日月の様に上げて入るが、眼が全く笑っていないのだ。いや寧ろ、紅く輝く瞳の奥には殺意がある。コレを真近で見て怖れを抱かないのはいないのでは?と思ってしまうほどの殺気が彼女にはある。

 

「お断りだって」

「なるほど。どうやら、無理矢理そう言う様に命令されているようだね。仕方ない……」

 

「(あ゛あぁぁメンドクセェ。絶対、アレを仕掛けてくるパターンだな)」

「…僕とアークウィザードの彼女を賭けて勝負だ!」

 

「(やっぱり。そもそもオレはゆんゆんと正式にパーティーを組んでもいないし、彼女の意志は無視か?こうゆう奴とはなるべく関わるだけ無駄なんだけどなぁ〜)……分かった。なら、オレが勝ったらどうする」

「はぁ!?アンタみたいな奴がキョウヤに勝てる訳ないでしょ!」

「そうよ!そうよ!」

 

リーダーがウザい奴なら、その取り巻きもウザいな。声を聴いているだけでもイライラしてくる。

 

「わかった。君が勝てば何でも言うことを聞こう」

「よし。なら、その魔剣を貰って売っ払う。と言う訳で勝負開始な」

 

「ちょっ!?ちょっま!?」

「はい始め」

 

相手は高レベルなのに対してコッチはぺーぺー冒険者なので先手必勝。

 

メンドくさいミツルギが構えを取る前にツカサは逆手に持ったままパワーストで身体強化を行いながら双剣の内、右手に持っている剣を投げつける。投げつけられた剣は高速に回転しながらミツルギに方へ向かうが、流石の高レベルの上級職たるソードマスターなことだけあって、背に持った魔剣で弾く。弾かれる事を予想していたツカサは飛んでいく剣を気にすることもせず、助走に乗せてミツルギのムカつく顔面目掛けて蹴りを放つが、

 

「っち!」

 

放たれた蹴りは魔剣の刀身でカバーされてしまい防御された。とっさに防御されたことに腹立ちながらも、ツカサはバックステップで後退し、もう一度パワーストを重ねがけし、突っ込む。

 

「あのサトウ カズマ同様に容赦のない」

 

初心者に向けてどの口が!と言ってやりたいがどうでもいい。

そして、ミツルギへ向けて剣を投擲し、自身は丸腰状態だと思わせる。

 

「なっ!?自分から武器を全て捨てるのか!?」

 

ツカサの行動を理解し切れないミツルギは驚愕の表情を浮かべ、高速に回転する投擲された剣を先ほどよりも明らかにワンテンポ遅れた状態ながら弾く。コレによって生まれた隙を見逃すツカサではない。

 

「武器はこれだけじゃないんだよ。記憶しておけよ?」

 

何処かの炎使いの口癖を真似ながらツカサは右手にノーネームを呼びだし斬りかかる。

 

「なにっ!?」

 

驚愕の表情を浮かべながらもミツルギは、何とか魔剣でツカサのノーネームによる振り下ろしに反応しようとする。

 

しかし、コレは悪手である。

 

「き、消えた!?」

 

剣と剣がぶつかり合う直前でツカサはノーネームを消し、ミツルギの脇を通り過ぎ、圧倒的に不利な鍔迫り合いを回避してみせたのだ。

 

「パワースト(3回目)+エンチャント・サンダ」

 

そして、先ほど出来た小さな隙をより大きな隙へと繋げたツカサはミツルギの背後を取り、自身が生前たった1人の親友から教わった史上最強の体術奥義(・・・・・・・・・)の構えを手に雷撃を纏いながら取る。

 

 

 

 

 

 

①手を組む

 

 

 

②両方の人差し指だけをつきたてる

 

 

 

 

③狙いを定める

 

 

 

 

「喰らえ!超究極体術奥義!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

千年殺しィィィィィィィィィィィ!!!!」

 

 

 

雷撃と身体強化の魔法を三重にも重ねがけした

 

ただのカンチョーである(・・・・・・・・・・・)

 

 

「ギャア゛ア゛ア゛ァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!!!!!!」

「「「えええぇぇぇぇぇぇ!!??」」」

 

「よぉぉぉぉぉし!!」

 

ミツルギのお尻に雷撃を纏ったツカサの指がブスっと刺さった彼はまるでこの終わりを想起させるほどの悲鳴を上げながら星となった。

 

 

 

 

嘘である。

10メートル近くふっ飛んで気絶しただけだ。お尻のダメージは恐らく深刻だが死にはしない。椅子に座るのはひと苦労するだろうが、ツカサも読者の皆さまも知ったことではない。そして、恐らく皆様をこう言うだろう。

 

 

「ざまァァァァァァァァ〜」

 

 

クソ虫死すべし!慈悲はない!!

 

☆☆☆☆☆☆☆★★★★★★★☆☆☆☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ〜スッキリしたァァ♪(´ε` )」

 

クソ虫撃退後、こんな勝負は無効だの、卑怯者呼ばわりする取り巻き×2はそろそろカエルの粘液が乾きそうになって来ていたゆんゆんによってパラライズによる拘束魔法によって動きを止められた。そして、動きが止まった2人の脳天にチョップを落としてから、ゆんゆんを銭湯へ送り届けたツカサは戦利品である魔剣を別の武器屋で売っ払い、そのお金をレングスの借金へ宛てた。借金の内、3分の2を魔剣のおかげで返済でき、ムカつくクソ虫へ制裁を落とせたことで気分上々なツカサはゆんゆんを待っていると、

 

「お待たせしました!」

「別にそんなに待ってないよ。そろそろ夕食にしよっか?」

 

いい匂いを漂わせるお風呂上がりのゆんゆんが来た。

そして、ツカサはゆんゆんにヌルヌル状態で暫く放置してしまったお詫びとして、夕食のお会計は自分がし、ゴブリン退治の報酬は3分の2はゆんゆんへと渡した。流石にゆんゆんも粘ったが、迷惑をかけたとして断固として引かなく、ゆんゆんが折れる形となった。

 

「えへへ、お友達とごっ飯♪ごっ飯♪」

「さてさてさ〜て、どれにするかな〜」

 

冒険者ギルドでメニューを選んでいると、

 

「クロツカ ツカサァァァァァァ!!」

「うるさい」

 

クソ虫改め負け犬ミツルギが又もや現れた。ちなみに何か言いたげな取り巻き達は、ツカサの有無を言わさぬ睨みで物陰に隠れた。

 

「何の様だ。勝負に難癖か?なら、コッチも盛大にお前を泣くまで論破するぞ」

「いや、勝負は勝負。僕の完敗だ。みっともないかも知れないが魔剣を「売っ払った」……ま、マジなのか?」

 

「当たり前だろ。コッチはまだまだ金欠の初心者なんだ。あんな物売り飛ばすに決まっているだろ?バカか?」

「チックショォォォォォォォォォォォ!!」

 

「二度と来るな」

 

負け犬ミツルギは売り払われた魔剣を取り戻すため、間抜けな捨てゼリフと共に走り去っていった。

 

「やっと落ち着いて食べれる。ごめんよ、ゆんゆん。俺のせいであの変なのに巻き込まれて」

「いえいえ!そんな!!ツカサさんのせいじゃないですから!!それに今日は楽しかったですから♪」

 

「そう言って貰えると幾分にも助かるよ」

 

気をとりなおして、ルンルン気分なゆんゆんと供に楽しい会話を弾みながら、職員さんから持って来て貰った御飯を食べていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、夕食を済ませた2人は次の予定を決めるために提示版の前で頭を傾けながら、難儀していた。

 

やっぱり冬は、どの世界でも厳しいな……。

 

「明日、薬草の採集をしに行くにしても吹雪とかが怖いしな…」

「はい。視界が真っ白で何処にいるか分からなくので」

 

レングスから出来れば鉄鉱石などの石類は取りに行って欲しいと言われていたが、冬の山に行くのは厳しいので流石に遠慮したい。我ながら馬鹿げた考えだとは思うが、また頭のおかしい爆裂狂による爆裂魔法の衝撃による大量発生があればと思ってしまいそうだ。

 

「なあ、ゆんゆんってどこかのパーティーに入ってたりする?」

「い、いえ……1人です。その…めぐみんの言う通り、この街だとぼっちで…声をかけようとはしたんですが、それだと迷惑になるかなって……」

「いないってことになるのか。そうなると……」

 

何処かのパーティーに入るか?

年の近そうな金髪の冒険者は、職員さんにセクハラして他の職員さんに袋叩きにされている。バカだ。バカがいる。

他の冒険者に視線を向けてみるがどれもこれもパーティーとしてガッチリ構成されているのか、入れる雰囲気ではない。

ツカサは周りをジィ〜と見ていく中であることに気づく。

 

そうだ!俺の目の前には凄まじい人材がいたのだ!

 

「あ、あの…どうしたんですツカサさん?私の方をじっと見つめて…」

 

今目の前にいるゆんゆんはアークウィザードという魔法使い。つまり、キーブレード使いである俺が前衛、彼女が後衛のツーマンセルが組める。普通のパーティーは4〜6人らしいが、それは恐らく各々のステータスのばらつきを補完し合うためだろう。それに対してゆんゆんは多種多様の魔法が使えるに加えて、遠・中・近距離のバランスが良く筋肉がついてスラッとした体躯や腰に差している短剣がある事から、恐らくは万能型だ。つまり、この時点でうまくいけば2人分の働きは期待できる。流石に頼りすぎるのはNo!!だが、それは職業的に俺にも当てはまるから、これで4人パーティー並みの動きができると言うことだ。更には2人なら報酬の配分も4人での配分の2倍だし、緊密に連携を取りやすい。更にはこの世界で一番付き合いの長いゆんゆんなら、変に気兼ねすることもない!!

 

「あ、あの... 」

 

暫く顔を見つめたまま動かなかった俺に少し顔を赤くし、涙目になってきていたゆんゆん に慌てて手を振り訂正する。

 

「あ、あぁゴメンゴメン。今思いついた事があってね」

「えっと……そのなんですか?」

 

改めてゆんゆんと目線を合わせ、しばらく間を作ってから、

 

「ゆんゆん。俺と、パーティーを組んでください」

 

できるだけはっきりとゆんゆんに聞こえるように告げる。




最後まで読んでいただきありがとうございました!!
グレイさんの登場は第7巻である王宮編あたりで、アッドと一緒に登場しますので、それまではゆんゆんとツカサのイチャつきをご堪能ください。うまく書けるかは別ですが。

それでは次回もお楽しみください!!


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第6話 パーティー結成

半年以上も休んでしまっていた………。
大失態です。
それにしてもキングダムハーツ3 remindサイコーでした!!
特に私個人としては、ロクサスとシオンとアクセルの共闘の際に異端の印を絆と称して取り戻す所がエモいです!!
後、リクとテラの十数年ぶりの会話と共闘もよかったですね!!

さて、それでは第6話どうぞ!!


「ゆんゆん。俺と、パーティーを組んでください」

 

改めてツカサは真剣な顔つきで、ゆんゆんに手を差し出しパーティーを組んでほしいことをハッキリと告げる。

 

「…………………………」

「まさかのフリーズ!?」

 

呆然と固まってしまったゆんゆんの目の前で手を振るものの反応はなく、素っ頓狂なまでにツカサも驚きの声を上げてしまう。

 

「……ほぇ!?」

 

ツカサの声に漸く気づいたのか、ゆんゆんは口を開く。鳩が豆鉄砲を喰らったような顔のままだが。

 

「あ、あのツカサさん、今、私にパーティーを組んで欲しいって言いましたか ?」

「ああ、言ったよ。俺とパーティーを組んで欲しい」

 

もう一度言うと、ゆんゆんは信じられないと言ったような顔で、

 

「…嘘とか、ドッキリとか冗談の類じゃないんですよね!?本当に、本当に私なんかとパーティーを組んでくれるんですか…!?」

 

ツカサに詰め寄る。

 

疑いすぎでしょ…少し傷つくなぁ〜まぁ、ゆんゆんは今までが今までだから無理もないか。

 

「嘘でもないし冗談でもないよ。それにしっかり理由もある」

 

先ほどまで考えてたパーティー構成について、ツカサはゆんゆんにかいつまんで説明していく。

 

「カクカクシカジカ…と言うわけだから。改めて、ゆんゆん。俺とパーティーを組んで下さい」

 

そして、説明をし終えた後、もう一度きちんとツカサはゆんゆんに手を差し出しつつ、パーティーを組んでくれるように誘う。しけし、ゆんゆんはどういう訳か、泣き出してしまう。

 

「い、嫌なら無理は言わないが…」

 

慌てて宥める様にハンカチを渡そうとするのだが、ゆんゆんは嬉しげにツカサの手を両手で包み込む。

 

「い、いえ!嫌じゃないです、むしろとても嬉しくて…」

 

そう聞いて胸をなでおろす俺の前では、ゆんゆんは特有の紅い瞳を輝かせ、涙をぬぐっていく。

 

「今まで募集の張り紙を張っても誰も来なかったし、来たとしても変な人しか来なかったから、こんな事を言われたのが初めてで…だから、つい…嬉しくて」

 

鼻をすすりながらのゆんゆんからの少し重めの告白に『そうか…』としか返せない。 なにせ経験がないのだから。

 

「ゆんゆん、大丈夫か 」

「は、はい。あの…ツカサさん…」

 

泣き止むまで待っていると、少し落ち着いたように顔を上げて、

「ん 」

「えっとツカサさん。私なんかで...良いんですか 」

 

その、不安と期待を込めて紅く輝いてるような視線に、安心させるように精一杯微笑みながら、

 

「もちろんだ。むしろバッチ来いってんだ 」

 

ドンッ!と胸を空いている手で叩くツカサを見たゆんゆんは、

 

「はい!ツカサさん不束者ですが、よろしくお願いします!! 」

 

これ以上ないほどの嬉しそうな笑顔を見せて、ツカサの手を強く握り返してくれた。

これにて、異世界生活2日目で優秀なアークウィザードであるゆんゆんとパーティーを組むことが出来たキーブレード使いのツカサであった。

 

後に、彼女がツカサのココロを救うことになるのを、この時の2人はまだ知らない。

 

 

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

……ハヤク…ハヤク…………

 

 

…ハヤク…ボクヲ………ヨンデ…

 

 

———誰なんだ?

 

 

……ボクハ————ダヨ……

 

 

———いや、ゴメン…マジで聴こえない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………………ツンボ…………

 

———オイ!貌も見えてない相手に何だその物言いは!

 

 

…イヤ…ボクノホウカラハバッチリミエテルカラ……

………キミノマヌケヅラ…………

 

 

———誰だテメェ!!姿見せろやコラぁぁぁぁぁ!!

 

 

…ソロソロジカンダカラ……バ〜イバ〜イ♪

 

 

———ふざけんな!ボロクソに言いやがってぇ!!

———出てこいやァァァァァァァァァァ!!

 

 

…コンドハ…ボクノ…ナマエガ…キミ二トドクとイイね

 

 

———オイ!聴いてんのか!?オイ!オォォォォイ!!

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

 

転生して、早々カエルに喰われかけることとなったが、ゆんゆんに助けられることで彼女と出会えた。更に、気の良い鍛冶屋のレングスとも出会え、彼と個人契約を交わすことができた。

そして、2日目にして気が合いそうな同郷の少年カズマに加えて、ゆんゆんの友達であるめぐみんにも出会うことができた…………ん?ミツルギを忘れてるって、ダレソレ?そんなナルシのクソ虫との記憶は御座いません。イイデスネ?

 

さて、こんな感じて異世界生活が順調に行き過ぎている。そのため、ちょっとゆんゆんと夜ご飯を食べている途中で、『今度ドデカイ不運が降りかかるのでは……』に呟いてしまったため、コワイ笑顔のまま思いっきり両頬をツネり倒されたのは余談である。

めちゃくちゃ痛かったよぉぉ(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)

 

そして、異世界生活3日目。

早朝からジャガイモに加えて、サツマイモの収穫のバイトを行った。ジャガイモたちは相変わらず人の顔面目掛けて、アタァァァク!して来たのだが、何とかスレスレで躱すことには成功した。また、サツマイモたちは何故か、収穫者たちのケツを狙ってくるので色々大変であった。

もう、どうなっているのこの世界の野菜達は!?

元気良すぎるだろ!!

 

そんなこんなの朝の仕事を終え、汗を銭湯で流した後ギルドへ向かっていると、見知った顔がいた。

 

「あれ?めぐみんじゃん、どしたの?」

「ん?ツカサではないですか。今私は、賠償金を払うための金策をゆんゆんと考えるべくここに来たのです」

 

「賠償金……なるほど。お前が爆裂魔法で迷惑かけた人達へのか」

「ち、違いますよ 私ではなく、カズマの死刑判決がチャラになる為の条件として、この街の領主に払わなくてはいけないのです!」

 

「そ、そうか…ゴメンよ」

 

いきなり重い話をされてしまったので、どう反応すればいいのか困ってしまいツカサは思わず謝ってしまう。

 

「あ!おはよう!めぐみん!!…あれ、ツカサさんも一緒なんだ。ツカサさん、おはようございます!」

 

ナイスタイミングでゆんゆんが来てくれた。

ナイス!ゆんゆん!!女神か!?

 

「ありがとう…ゆんゆん。そして、おはよう」

「え?何でお礼を言うですか??」

 

頭にハテナマークをいくつも浮かべ始めるゆんゆんを置いて、めぐみんは話を切り替える。

 

「まあ、こんな所で話すのもなんですし、ゆんゆんが来たので屋敷に行きましょう。誰かに聞かせるような話でもありませんし」

「リョーかーい」

 

折角逢えた同郷のカズマが困っているので、助けないわけにいかないためゆんゆんとともにめぐみんに案内される様に、彼女達が暮らしている屋敷へ向かう。

 

「それで、カズマが死刑判決を食らったとか、領主への賠償金とか言ってたが、あいつは何をやったんだ。そんな極刑が下るほどの悪さが出来る様な奴には見えないだがな」

 

屋敷の応接間にて俺が切り出すと、めぐみんはこんな事を話しだした。

 

1、数日前に、機動要塞デストロイヤーがやってきたのでカズマ達冒険者はそれをなんとか撃退した。

 

2、その時に、デストロイヤーの動力源だったコロナタイトという石が爆発寸前だったので、魔道具店の店主であり助っ人として来たウィズと言う人がランダムテレポートと言う適当なところに何かを転送する魔法でその石を転送したが、その転送先が領主の屋敷だったらしく、それによりその作戦を指示したカズマが国家転覆罪、並びに魔王軍のスパイとして逮捕された。

 

3、領主が権力をちらつかせた事で死刑判決を受けたカズマだったが、ダクネスというもう1人のパーティーメンバーのおかげにより、その罪が帳消しになる為の条件付きで釈放されたが、その条件が屋敷の修理代の弁償と魔王軍のスパイではない事を証明する事である。

 

という事なのだ。

思っていたよりも緊迫した状況のようだ。

((((;゚Д゚)))))))ヤベェ〜

 

後、領主といい監察官といい、街を救った功労者に対する対応が酷いな………。

 

「……なる程な」

「そう言うわけで、何かいい策はないかと、ゆんゆんと話し合おうと言うわけですが、ツカサも何かいい案ありませんか 」

 

「う〜ん、難しいな………」

 

一昨日異世界転生したばかりであまりコッチの常識が分からないが多分払う金額にもよるが

 

「それにしてもデストロイヤーの被害を被った農家とかへの補填とかほっぽり出して自分の屋敷かよ。クソかよ領主」

 

昨日から見ていた農地や防壁の惨状を見た後だからか、どうにもその領主にいい感情が持てない。多分、日本でそんなことやったら大バッシング待った無し決定であるのに。

 

「ええクソですよ……この街の領主は評判が悪いことで有名なんですよ。だから、こんなことも平気でやるんだと思います」

 

絵に描いたような悪代官かいって今は領主の話は置いておいて、

 

「金策と言ったら、大物賞金首を狩るとかどうだ?うまくいけば短時間で簡単に稼げるぞ。お前たちは魔王幹部討伐に、デストロイヤー破壊も出来たんだし、かなりイケるんじゃないか?」

 

ちょっと適当っぽいが意見を出してみることとする。

 

「まぁ私達はこの街でも有能ですからね!それに私も爆裂魔法をぶっ放せるからそれが良いんですが、あの男ときたら危ないところには行かないと駄々をこねてるのですよ!!自分の命が危ないってのにあの男は…全く、いざって時には頼りになるのにどうして普段はあんなにもダラしないのですかね!」

 

カズマのステータスは知らないが、お世辞にも強そうとは言えなかったからきっとそこが、理由だろう。あと、途中からちょっと惚気にも聴こえなくもないのだが気のせいにしておこう。

 

「なら、何か新しいものを開発して、その利権をどっかに高く売りつけるとかはどうだ?少し時間はかかるが」

「それなら危なくはないですけどクエストより難しくないですか?それに、そんなに時間はないんでしょ、めぐみん?」

「そうです。だからこうして相談しているんじゃないですか」

 

………ギルドの受付嬢さん達に協力を仰ぐか、功績はあるに加えて、この街を救ったカズマ達を見捨てる様なマネはしないだろ。

 

「とりあえず、俺はもう一回ギルドに行って、何かいい案は無いのか訊いてくる」

「すみません、ツカサ。どうか、よろしくお願いします」

「私は、こっちでめぐみんともう少し話をしておきますので、よろしくお願いしますね、ツカサさん」

 

そう言って俺は、カズマ達の屋敷を出て、ギルドへ向かって行くのであった。

 

 

 

そして、後に異世界生活3日目のツカサが受けることとなったクエストは想像絶するよりも過酷なモノとなるのであった。

 

 

 









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第7話 新たなるクエスト







カズマの賠償金への金策として、ギルドの職員たち助力を求めに向かったツカサだったのだが、結果は芳しい策は出なかった。

 

1、高難易度のクエストによる大量の達成金。

2、危険が少ないクエストを片っ端からやりまくりコツコツ貯める(書類整理とか、手続きとかメチャクチャ増えるがやってほしい)。

3、博打ではあるもののギャンブル(オススメはしない)。

 

と言った感じでゆんゆんたちと案を出し合ったときと似た内容であった。後、何故か他の冒険者に対する愚痴、領主に対する愚痴、婚活が上手くいかないことへの愚痴、書類整理の際に生じる後輩の記述ミスに対する愚痴といった愚痴という愚痴を二時間近く聞かされる羽目にもなってしまった。また、この時から密かにギルド職員たちの間では、紳士に話を聴くツカサに今度けら色々ぶちまけようと思う者が増えたのは余談である。

 

ギルドからカズマの屋敷へ向かう途中で、カズマ、アクアと見知らぬ金髪の女性がいた。

 

「お、ツカサじゃん。どした?」

「昨日ぶり。ところで、そこの金髪の女性はどうしたの?拉致ったの?」

 

「するかよ、こんなドM。コイツは、ダクネスって言うウチのパーティーメンバーだ。後、ドMかつ変態クルセイダーだ」

「…お、おう。そ、そうか」

 

普通に美人な上にまともそうに見えたのだが、どうやらカズマの目が死んでいく辺りからマジなようだ。

 

「ンンッ!! おいカズマ、初対面の相手に対してまで妙なことを吹き込んで……だ、だが、この男の珍獣を見るかのような視線にゾクゾクするのだが私はもう末期かもしれない」

 

完全に自分のことを珍獣と認めているにも関わらず、身悶えてしているダクネスを見てしまい、手遅れと認識してしまう俺は果たしてマトモであるのか。見た目は本当に美人なのに、ここまで中身が残念とは、世の中は本当に不条理だな。そんなことを思っていると、カズマが何も言わず、そっと肩に手を置いてくれた。

 

「……カズマ…お前とは昨日会ったばかりだが、よく頑張っているんだな!」

「うぅ…分かってくれるのか!友よ!!」

 

「暇があれば、俺が奢ろう。色々ぶちまけてくれていいぞ」

「お前が男でなく、女の子なら俺はお前に飛びつきにいくところだぞ……」

 

「それはヤメロ。友達になれるそうなお前でも飛びつきに来たら、キーブレードで叩き斬る」

 

今にも泣き出しそうなカズマを胸の中で何とか宥め離し、変態もといいダクネスにきちんと自己紹介をする。

 

「俺の名前はツカサ、黒塚士だ。キーブレード使いって言うシークレットみたいな職業で、俺以外誰もいないクラスだ。分類的に言えば、魔法も使える前衛職だ。あと、一昨日冒険者になったばかりのペーペーだ。改めてよろしく」

「うむ、珍しい職業もあるのだな。私はダクネス、クルセイダーを生業としているものだ。これからよろしく頼む何か分からない事があれば聞いてくれ」

 

紅魔族みたいに変な名乗りもなく、一見すると普通の常識ある人に見えるのだからなおさら残念さが際立つ。本当に残念だ。

 

「ところでさ、何でツカサはウチの屋敷に来ようとしてるの?」

 

今まで、黙っていたアクアがひょっこりカズマの後ろから不思議そうに話しかけてくる。

 

「めぐみんとゆんゆんが金策を練ってるんだよ。俺は途中でギルドの職員さんたちに何かいい案がないのか、意見を聞きに行っていたんだ。で、用が済んだから戻ろうと思って、歩いているカズマたち御一行に遭遇という感じだ」

「そうか、悪いな。知り合ったばっかなのに」

 

「いいよいいよ。ウチのゆんゆんがそっちのめぐみんにお世話になってたみたいだし、カズマとはコレからも付き合いは長そうだから困った時はお互い様だよ」

「……アカン、めっちゃツカサがイイ男に見える…顔はフツメンなのに」

 

「オイコラ、喧嘩売ってんのか?キン◯バスターかけんぞコラ?」

「すいません、死んでしまいます」

「ねぇねぇツカサ、やるんならバイキン◯バスターもやってみせてよ!もちろん、カズマで」

「あのカズマが恐るほどの技だと……!?ぜ、是非私で試し撃ちを!」

 

「「うるさいドM」」

「くぅー!!会って間もないツカサとの連携プレイとは!これはこれで……ぃぃ!」

 

ちょっとウキウキし出すアクアを置いて、興奮したように荒息を上げるダクネスをカズマとともに残念な者を見るかの様な眼差しを向ける。そして、4人の間に微妙な空気が流れていると、アクアが別の話を切り出す。

 

「そう言えば、さっきダクネスに凄い要求をするって言ったけど、どんな事をさせるの?ねえ、ダクネスが心配かけた事でイライラしてたのは知ってるけど、あんまり凄い要求 はしないであげてね 」

 

凄い事とは首を傾げている俺と、期待に満ちたダクネスの視線、非難するようなアクアの視線に晒されたカズマが、

 

「そ、その辺は、屋敷に帰ってからゆっくりと……」

 

目を泳がせつつその場しのぎなセリフを吐きながら屋敷のドアを開ける。

 

「うぅ〜!……ぐすっ!あ、あんまりよぉぉぉぉ!!めぐみんのバカぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「いい加減泣き止んでください そろそろカズマたちが帰ってくる頃です、こんなタイミングで帰ってこられて見られた日には、どう見ても私が悪者に……あっ」

 

玄関で泣きじゃくるゆんゆんと、それをなだめるめぐみんがいたのでカズマはそっとドアを閉めた。

 

「な、なぁツカサ、お前達は金策を練ってくれていたんだよな……」

「そ、そのはずなんだけど………」

 

呆然とした様に聞くカズマになんとか答えてると、ドアがバン!! と開けられる。

 

「見なかったことにしないでください ちゃんと説明しますから 」

「いやいいよ、お前がいじめっ子なのは今更だし」

 

慌てて出てきためぐみんに、全て分かっているとばかりにカズマが言うと、

 

「違いますよ!むしろ私は学生時代ゆんゆんを……いえその事は、今はどうでも良いのです ゆんゆんの事で騒いでる場合では……」

「どうでもいいって何よ!どうでもいい…私のことで騒いでる場合じゃないって、うわ、わああああああーんっ!!」

 

「ああっ まったくもう、なんて面倒臭い!ちょっとすいません、しばらく2人にしてくださいね 」

 

めぐみんが言いながら再びドアを閉め、ゆんゆんと2人で屋敷の中で何やら話をしている。しばらくすると、やがて再びドアが開き、鼻をグズグズいわせるゆんゆんが出てきた。

 

「お、お騒がせしました……」

 

そう言いながら、ぺこりとお辞儀をして去っていくゆんゆん。 俺がいない間にナニがあったんだよ( ゚ー ゚* )

そんな光景に顔を見合わせる俺達が改めて屋敷に入ると、そこにはグッタリとした様に絨毯に座り込むめぐみんだったが、カズマ達の顔を見るとバッと起き上がると、

 

「大変です、大変なのです 」

「いや、色々大変なのはさっきの様子を見れば大体わかったが」

 

うんうんと頷く俺と全て分かっていると言わんばかりのカズマを見て、

 

「ち、違います 今はゆんゆんの事は置いといて下さい!これはまあ内輪揉めみたいなもので、あまり気にしなくていいですから 」

 

顔を真っ赤にし、否定してくるめぐみんであった。

 

「(…今度そっとゆんゆんにナニがあったか聞いてみようか)」

 

そんな事を呑気に考える俺とは対照的にめぐみんは、それどころではないといった焦った様子で、

 

「今は本当に、それどころではないのです!!例の検察官がセナとかいったあの人が、現在こちらに向かっています!今度こそ、カズマを逮捕するとかなんとか息巻いて 」

 

カズマの危機を知らせるのであった。

 

「うそ———————ん!! ヾ(0д0∥)ノ!!?」

 

 

その事実にカズマのココロの底から叫びが屋敷中に響き渡る。

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

「サトウカズマー!サトウカズマはいるかあああああ!! 」

 

 

先ほどのめぐみんの予告通り、怒声とともにやってきた司法系の服を着た黒髪の女性セナが屋敷に飛び込んできた。というか、昨日アクアとともにカエルに喰われかけていた女性であった。

 

「なな、何だよ!?またカエルか それとも、別の問題でも起こったのかよ!?」

 

若干気圧された気味にカズマが尋ねると、

 

「ダンジョンだった街の近くのキールのダンジョンから謎のモンスターが大量に湧き出しているそうだ」

 

疑い眼差しをやめないセナは説明をきちんとしてくれる。

そして、キールのダンジョンのことを知らないツカサはどこだそこはとめぐみんに視線を投げて尋ねると、

 

「街から少し離れたところにある初心者用ダンジョンですよ。そして、私たちは前にそこに行ったことがあるのですが……特に何事もなくダンジョンの主であるキールを浄化し、クエストを達成させたのです」

「なるほど、だから最後にクリアしたカズマ達に疑いの目を向けるのか」

 

そんなやりとりをする俺たちの前ではカズマが、

 

「いや待てよ、確かに潜ったが俺たちには関係ないぞ!何でもかんでも俺たちのせいにされちゃたまらないな!!」

 

いい加減疑われ続けることにイライラしているのか、キレ気味に怒鳴り返す。

更にカズマは聴き、他の3人も何もしていないと頷いているあたり覚えはないため、コレは清廉潔白であることがわかる。

 

「そうは言っても、最後にあのダンジョンに潜ったのはあなた方だという話なのですが。前例から言ってとてもあなた達以外が原因だとは考えにくいのですが……」

 

セナの言葉にどんだけぇぇぇ評判が悪いんだよと思ったが、

 

「そんな理不尽な事言われてもと言うか、今回はまったく心当たりが無いぞ」

 

カズマの言動には全く嘘は感じられないことから、カズマたちのヤラカシではないことが見て取れる。そんなカズマ達の言動を訝しげな顔をしつつも、一様納得したようである。

 

「そうですか、そうなると困りましたね。てっきりあなた達がまた何かやらかしたかと思っていたもので。となると、誰か人を雇って調査をしなくてはならないのですが……」

 

と言いながらカズマ達を見ていたセナと視線が重なった時、セナの目が怪しく光った気がした。何を考えたかは大体わかる。わかるからこそ勘弁してほしい。

 

「そこの貴方、この屋敷にいましたがサトウさんのパーティーメンバーではありませんね」

「そうですよ。というか、昨日おたくの命を救ったこの子のパーティーメンバーです。あと、ついでに一昨日冒険者になったペーペーですけど」

 

露骨にセナの視線に対し嫌そうな表情をするツカサは、ゆんゆんの頭にポンと手を置きつつ、どうにかしてセナから巻き込まれないよう策を練ろうとする。

 

「そうでしたか、その説はありがとうございました。申し訳ありませんが、謎のモンスターの調査に協力していただけませんでしょうか?」

「どうしますか、ツカサさん?」

「メンバーは俺達だけなら、やりませんよ。俺はまだまだ初心者なのでゆんゆんにおんぶに抱っこの状態です。そんな状態のまま彼女に負担が掛かるようなクエストはご遠慮しますよ」

 

出来る限り、トゲが無いようありのままの事実を述べて、お引き取り願おうとする。そして、心なしかゆんゆんがモジモジする様に照れ始めたをめぐみんだけが気づき、ゆんゆんに杖をグリグリと当てつつチンピラの様な悪そうな笑みを浮かべ始める。

 

「いえ、他の冒険者の方々にも声をかけさせていただきますので、お二人に負担を集中させませんので安心してください。それに報酬もきちんとした価格でお支払いさせていただきます」

 

ゆんゆんへの負担にならないのであれば、大いに越したことはない上に他の冒険者がサポートに来てくれるのであれば彼女への危険も減るというもの。後、他の冒険者と連携してゆんゆんのボッチ体質を解消するのにもいい機会かもと思ったのは余談とする。そして、念のためにめぐみんに弄られていたゆんゆんにどうするのかを訊く。

 

「ゆんゆん、受けても構わないかい?」

「は、はい!ツカサさんの他にも冒険者さん達が一緒なら、心強いですので受けましょう!!」

 

「という訳で、ウチのパーティーはクエストに受けることとします」

「ご協力くださり感謝します。私はこれから他の冒険者にも声をかけに行きますので、お二人のタイミングで調査メンバーに合流してください。では、自分はこれで」

 

ドタドタと来た時とは違い丁寧に帰って行ったセナを見送りつつ、ツカサとゆんゆんもそれぞれ支度をするべく屋敷を後にする。

 

「という訳だから、俺達は行くから」

「お邪魔しました」

「またなぁ〜お前ら〜」

 

 

宿へ戻ったゆんゆんを送ったツカサは、馬小屋にある装備品を早々に身につけレベルが上がっていることを確認していた。そして、冒険者カードには自身のレベルが既に10まで上がっており、スキル習得欄にも新たなる魔法があった。魔法説明を深く読んだツカサは、興味深い効果を持つ『タイム・コンテニュー』という魔法を覚えらのであった。

 

 

 

後に、この魔法によってツカサはキールのダンジョンにいる謎のモンスターを創り出す“見通す悪魔”との闘いにおいて、大きな活躍を見せることとなる。

 









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