紅魔のオーバーロード (レクレア)
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プロローグ的な何か
以前なにか書いてた気もするけど消したからノーカン
絶対修正入るプロローグです。
栄光を手に入れたものは、何時か衰退していき廃れてしまう。栄光だろうと、名誉だろうと、評価だろうと、着いたが最後…必ず廃れていく。
ゼロに戻る……いや、無になる。
それが、この世の理のようなものだ。
かつて二十世紀に起きた現代史に残る大きな戦争も、その戦勝国も、二十一世紀、二十二世紀も過ぎると先進国から先進停止国などと言われる様になった。逆に、これから開発が進むはずだった国が、見事にも民族戦争の紛争地域になったことで、地図から消えてしまったなんて事もある。
二十一世紀で言われていた月、火星移住計画なんてモノもいつの間にか頓挫した。
どんなに良かったものも、悪かったものも、全て辿ると結局は終わる…無になる。
何故こんな話をするのかって?
他の奴らにとってはとても小さい事だが、私にとってはとても…いや、非常に死活問題な状況に陥っているからである。
ユグドラシルが今月限りでサービスが終了となってしまうからだ。
しかも今月は今日と明日で最後…
--------キリトリ線--------
状況の整理をしよう。読者の諸君に分かりやすく、尚且つ短く説明しなければなるまい
ユグドラシルと聞いてピンと来ない人のため…いや、まずは今の年が西暦何年かという事を…いやいや、そもそも私の自己紹介すらしていないd……
--------キリトリ線--------
まずは自己紹介といこう。私の名前は真紅麗美
西暦21XX年で近代歴史の教授を務めている
しかし、現代では歴史というものは端末1つあれば簡単に分かってしまう世の中のためか、非常に不人気な学科なのだ。
在籍数はたったの2人、その2人が熱心に講義を受けてくれている。ありがたい話だ
だがまぁ、先程のように端末1つで近代の歴史なら分かりきれるこの時代、掘り下げるものなどない。もう岩盤まで届いている。
話題…もとい、講義内容が日に日に無くなっていくのに対して、講義時間が全く減らない。そんな中で、私でも何を思ったのか全く分からないことを言ってしまった。
「もう単位はあげるから残りの講義時間はオンラインゲームをやろう」
受講者の2人は苦笑いではあったし、最初は冗談でしょ?とかもっと色んなこと学べると思ったから来たんだけど!などと罵倒なんかもされたが、強引にオンラインゲーム…ユグドラシルをやらせると、段々と魅力に取り憑かれたのかズブリズブリとハマっていった。
そうしていくうちに、5歳年下の引きこもりの妹や、同じ学内にいる親友教授なんかも巻き込んでいき、一時期はユグドラシル内のクランランキングでTOP10に入る程にまで、皆のめり込んでしまう。食費を削り、給料の殆どを課金につぎ込むのが数年ほど続く…
それが、遂に、終わってしまうのだ
分かっていた。結局は全てのものは無に還る…分かっていながら給料を注いでいた
キャラアバターは、みんな自分に似せつつも性癖盛々にした。どうしても手に入れたいものがあった時は少人数ながらも全員でPvP戦争を起こして強奪なんかもした。
そんな、思い出いっぱいなゲームに終わるという知らせが来てしまう。
お知らせを読み、ゲーム内で皆残念がっている中、私は一言
「最終日にここに来て、終わりを見届けようか」
そう言いながらゲームからログアウトをする。
そして1人自室で泣いた。
そんな事もあったが、今はサービス終了まで1時間を切ってしまった。私が提案をした通り、皆ログインをしてくれ、ギルドハウス内で好きなように話している。
サービスが終了するからって貴重なアイテムを安売りするのはどうなのか…確かに1年前から運営が金にがめつくなった…新しいオンラインゲームの影響もある…etc……
私は、というとその様子をぼぅと眺めているだけであった。会話に入れない訳ではない、未だにココにもう来れなくなるという現実を受け止めきれないでいただけである
「教授、悲しいのはわかりますけど、せっかくなんですから笑ってサービス終了を迎えましょう!」
受講者の1人が声を掛けてくれた。相変わらず元気のいい。いや、騒がしいと言うべきなのだろうか
「……いや、これが終わってしまうとなると、現代歴史の講義時間をどうするべきか、と考えていただけだよ。ええ、決して悲しくなんt「ダウト」…ちょっと、本音よ?本音!」
親友が私の話に口を挟む。普段から何を考えているか分からない、無口なやつだが…未だに治らないのかそれは
「真紅教授、もうあと1分切っちゃいました。秒読み、そしてゼロになった瞬間に皆さんで『ユグドラシル、お疲れ様でした!』いいのですね?」
もう1人の受講者が私に聞いてくる。いやぁ、お前は相変わらず真面目…なのに茶目っ気があるというかなぁ…
「そそ、クランメンバー全員…あら?1人足りない…」
「……ここ、いるわよ」
「…あ、あーごめん…アナタ時々見えないところにいるから分からなくって」
「…チッ……後で覚えてろお前……」
ヒェッ…相変わらず妹なのにめちゃくちゃ怖い……
「教授!5秒前ですよ!」
4
3
2
1
「「「「「ユグドラシル、お疲れ様でした!」」」」」
……………………
1
2
3…
「…あら?」
おかしい。確かにこの時間を過ぎるとサービスが終了するはずだ。皆、強制的にサービス終了画面にならなくて戸惑っている様だ。
こんな時はイベント情報欄を見るに限る…限る……限……
あれ…?
おかしい…モニターが出てこない。
ヒヤリとした汗のようなものが、背中に感じる……いや、背中だけじゃなく…なにか別のものの感覚が存在する。まさか…
…そんなことは無い……!有り得ない。いや、"有り得ては行けない"!
皆を放置し、急いで部屋にある鏡を覗く
「……嘘、でしょ…?」
鏡には何も写っていない…いや、考えてみれば"写るはずがない"のだ。
恐る恐る背中の違和感に触れる。確かに、存在する
そして、私は理解してしまった。身長が140cmにも満たず、紫髪で、口からは犬歯がちらりと顔を覗かせ、背中からは蝙蝠のような黒く、しかし毛は生えておらずツルツルとした羽根が生えて、桃色と紫のような色合いのドレスを着飾り、極めつけに訳の分からない二十世紀、二十一世紀初頭によく見受けられた所謂「ドアノブカバー」のようなだっさい帽子(なお、二十二世紀現在において何故かブームが起こっていた)を被った幼女……いや、吸血鬼のアバターだったものが私の身体となったことを
シリアスにしたいのか、ギャグにしたいのか自分でもよく分からない
ただこれが面白いと思ってるのが深夜のテンションなのだろう
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プロローグで既に語りつくしてる?まだまだ
お気に入りが増える度に狂喜乱舞しています
追記:案の定わけのわからない文章が発見されました。
……不味い、非常に不味いこととなった
こんな事になるなんて想像していなかった。いや、想像できるはずがない。こんなものは非現実的であり、科学的根拠がないではないか。
この二十二世紀の時代では魔術的なものといったオカルトな内容は殆ど信じられていない。というのも、その殆どが現代科学の力をもってすれば解決するからである。
幽霊なんかはプラズマの集合体であり、ゴーストライダーといった壁をすり抜けるようなものは現代の科学武術で使用される量子歩法を用いれば可能という結論に至った。
だが今、現代の科学では解説、解決の出来ない事態に陥った私は鏡面台で、蝙蝠羽根に触れた瞬間膝を地につき、両手を地面に振り下ろしながら永遠とカーペットを殴っていた。
「嘘だ…こんなこと……ある筈が…オカルトなんて趣味の悪いものは何十年も前で終わった話よ…」
「あ、あの…真紅教授……?」
顔を青くしながら床を叩いている様子を生徒の1人…十五夜に見られた。
十五夜朔夜、彼女のアバターは人間ベースで作られていたためか、容姿も背丈も現実と大して変わっていない。ただ、まぁ…ちょっと髪の毛が二昔前程にいたロックバンドの1人のような染色になっていたり、服装が二十一世紀の秋葉原で流行ったメイド服の格好をしている以外はだが。
「野浦教授が『とりあえず集まって状況の整理をしよう』と、仰ってましたので声をお掛けしたのですが…大丈夫ですか?」
ああ、生徒にこんな錯乱した様子を見せてしまった…死にたい。い、いや…あくまで平静を装って返答しよう…
「あぁ。それが今一番大事でしょう…ありがとう、スグに戻るわ」
大丈夫だ、しっかり平静を装えた。顔から変な汗なんて出てないし、身体も震えていない。本人である私が言ってるのだから絶対にそうなんだ。
背後から生暖かい視線を受けながら先程までいた部屋へ戻る。戻ってみると親友である野浦千春がいた。彼女も、アバター自体は人間ベースに自分に寄せて作っていたため違和感は全くない。
椅子に座り、息切れを起こして今にも死にそうな状態でいる以外は
…あぁ、成程。テキストの設定も反映されているのか。
野浦千春は病弱な子が好きであった。
そのため、テキスト設定で『重度の喘息を患っている』などと書き込んでいた。親友が死にかけているが、若干笑いが込み上げてくる。机の上や床、紫の寝間着のような衣服も明らかに致死量の真っ赤な血で染まっている辺りが相当シュールだ
なぜ死んでいないのか、それは彼女のキャラが人間を卒業した魔女であり、賢者の石を使い、魔力を大幅に上げた上に、その魔力を生命活動と直結させているからだろう。
「千春、そんな状況で整理ってできるのかしら?」
親友だから言える皮肉を込めた疑問を投げつける。野浦は息切れを起こした状態で話す
「こふ…っ、だ…いじょうぶよ……重度でも死にはし…ゥエッフ!エッフ!……っはぁ…やっぱり無理…こんな辛いのが続くなら自害した方がマシかも……」
もうダメだ、笑いを堪えきれない
小さく笑ってもバレないだろう。
「…麗美、アナタねぇ……こほ…ゴホッ…後で覚えてなさいよ……」
おお、怖い。バレてしまったが、まあ仕方ない。喘息は状態異常無効で消えるのだろうか?
確かそんなアクセサリー装備があったはずだ…部屋にあるBOXを漁り、それっぽい指輪を千春に渡して、指に嵌めさせる。
すると、ふっ…と真顔となり、普段の仏頂面となった。これでさっきのことはチャラとなったはずだ
「それで、状況整理と聞いたけど紅珠くんと妹がいないのだけど?」
ある程度部屋を見渡しても、生徒の1人である紅珠涼翔と妹の真紅風蘭が見当たらない。
「アナタの妹ならこの姿を見るなり自室に引きこもり、紅珠くんはこの中で一番元気で、ショックも全く受けてなさそうだったから外の様子を確認してもらってるわ」
成程、彼なら元から好奇心旺盛で何事にも前向きな性格だったから、姿が変わってもショックは大きくなかったのだろう。
紅珠涼翔、彼のアバターは昔のオンラインゲームからある所謂『ネカマ』のようなもので、女性だったらこんな姿だったのだろうという顔と身体をしている。しかし、本人曰く「ゲームでも自分に似たキャラを動かすより女の姿の方が楽しいに決まってる」らしいため、ネカマのように寄ってくる男に対してはしっかりと男であると忠告した上で接している程度には弁えている様ではあった。
問題は我が妹の風蘭である。
元々、引きこもりがちだったのもあるが、こういったイレギュラーや非日常的なことに対して打たれ弱い性格だ。
これはしばらく出てこないことも覚悟した方が良さそうだ。あとでフォローしにも行こう。
……さて、数十分ほど紅珠の帰りを待ちながら、色々と試してみた。
まずは装備。これに関してはユグドラシルで使用してたようにすれば使えた。まあ基本素手と魔術で戦闘は行うが…"切り札"としてあれは使うから、いざと言う時に使えないと困る。
次に呪文やレベルの確認。これに関しても問題なし。敵のレベルや使用呪文の把握出来る道具が、どうやら自身らにも使えるようだったため、使用し、ステータスを確認したが、ユグドラシルでのステータスと何ら変わりはなかった。
最後にこのギルドハウスや我々以外のNPCら。問題ありという結論に至る。NPCとして朔夜が作り出した妖精メイド、千春の作成した下級悪魔である小悪魔らが意志を持っていた。
どうやら、テキスト説明のものがそのまま性格を作成しているようで、皆ギルドメンバーには非常に高い忠誠心を持っていた。少々我々の事を思ってと暴走をしかねないか心配である。
ギルドハウスを回り、家自体には問題がないと判断し、皆のいる室内に戻ると紅珠が帰って来ていた。
「あら、ごめんなさい。待たせてしまったわね」
「いえ、つい今戻ってきたところなので」
紅珠は爽やかな笑顔で返す。現実世界ならイケメンなハニカミだったのだが、今の現状は、どう見ても大人なおねーさんが元気そうな笑顔を見せている。デレステだったらどうやってもパッション属性じゃね?
まあそれは置いておこう。結論を言うと、異世界に転移したと言える内容だった。いつの時代のラノベの話だよ?
周りはさほど深く、迷うことはないであろう森林に、近くには霧の深い湖があり、そこを越えると村が見えるとのことで、紅珠がそこへ向かい、コミュニケーションを取りに行ったらしい。
村の名前は『カルネ村』という名で、我々の言葉が通じるという。暮らしは中世期ヨーロッパのようらしい。文明レベルは我々の時代?いや、世界というべきなのか?そこには全く手が届かないレベルのようだ。
そして、紅珠はこの世界の常識を知るため、短時間村人と話をしたらしい。
掻い摘んで話すと『人物の名前は日本とは違うため、本名を名乗ると変わった名前と思われる』『最近村では野菜果物が豊作』『ここはリ・エスティーゼ王国に属してはいるが、バハルス帝国が近いからか、そこからの攻撃が時折来る』という内容だった
なるほど、その村に関しては我々からしたら無関係を貫きたい…が、まあそれはそれだ。
しかし、名前…名前か。かっこいい偽名を名乗った方がドヤ顔できると思うんだ
とりあえず、皆に提案してみるか?
「私たちの名前を改名するわよ!!!」
紅珠(こうみ)です
追記:カルネ村について脳内でのイメージを修正しました。やはり、酔いながらはだめか
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無茶振りに対するその恥じらいの可愛さったらない
気がするが、区切りがいいからと、私が投稿したくなったからあげる
追記:ご指摘を頂いた箇所を修正しました
「「「名前…?」」」
皆やはり首を傾げる。いや、そりゃあそうだ。なんの脈絡もないからね…あー、ある。ありまくりだ。多分
「聞けばカルネ村では日本を意識した名前が無かったらしいじゃないか。それならば、豪に入らば郷に従え…転移者とバレない為にちょ〜っと新しい名前を考えるだけさ」
事実、転移の原因がわからない以上、誰かがこの世界に何かを目的として我々を呼んだ…という可能性も有り得なくはない。このまま本名で呼び合うのは私自身あまり良くないと思っている。
というのは建前で、どうせならみんな日本人じゃない容姿になったんだから名前もそれっぽくしてやろうって思ったのだった。
考えてもみよう、紫髪×2、赤髪、銀髪、金髪
どう考えても日本人ならみんな染めてるだろうという髪色だ。他に転生者がいるのならちょっと髪色を見られるのは恥ずかしい
「という訳で私から、もう決まったから今後名乗る名前を発表しちゃいます!」
そう言って何処からともなく取りだした紙を広げて
「レミリア・スカーレット!」
と、堂々と大きく書かれた横文字を皆に見せつける。生徒2人は厨二病のような名前に呆れたような顔をし、千春に関しては無表情で聞き流してる
「ねぇ!!みんな反応悪いわよ!次、千h「ノーレッジ」…お、おっす…」
言葉を遮られた。しかし、野浦千春なだけにノーレッジは安直すぎないか?
「ノーレッジだけなの?フルネーム考えて欲しいのだけど」
私がそう言うと、千春……いや、ノーレッジは少し考え込む様子を見せるしばらくして、思いついたかのように顔を上げる
「パチュリー」
…パチュリー?あー…えー、ハーブとかのパチョリ?では無いのか?
「パチュリー…タミル語で『緑の葉』これで満足?」
「じゃあこれから千春の事をパチェって呼ぶことにするわ」
「…そう。私は麗美っていつもの様に呼ぶけどね」
むぅ、ファーストネームに名前を含めたのは間違いだったかもしれない。スカーレットも真紅まんまだし
「さて、次は十五夜ね?」
「…はい……私も、海外のような名前でないと行けないのですか…?」
うぅん、確かに銀髪も染めれば日本人でもいるとはいえ、あまりいいとは私は言いたくない。
「その、あまり偽名は使いたくないなって…苗字だけ変えて、後は漢字を文字るだけでご勘弁を…」
……まぁ、それで妥協するか?出来るのなら『サクヤ・ブランドー』みたいな名前にしてもらいたかったが
「では、私は十六夜咲夜と名乗らせて貰います」
ちょっと頬が赤い。なるほど、厨二病のような名前を付けるのが恥ずかしかったな?チキンなヤツめ。
「じゃー、後は俺ですね!実はキャラメイクした時から決めてたりしてたんですよねー!」
意外だ。アバターを本人に似せて作るようにと言ったからてっきり名前なんてつけるわけが無いと思っていたが
「これからは俺の事、紅美鈴って呼んでください!」
あー、なるほど中国人イメージ…職業もモンクだったな。
風蘭はあとで慰めるのと一緒に決めさせる事にして…近くに村があるのは有難い。
村を拠点として、周りの街や王国の情報、とりあえずこの世界の常識なんかを吸収したいところだ。
私はこの見た目通り吸血鬼だから村には向かうことは出来ない。パチュリーは病弱。確か美鈴も種族は人間ではなく別の、竜人だっただろうか?
となると…ここは咲夜に情報を得てきて貰うのが吉かもしれない。
「咲夜、少しお願いをしたいのだけど」
「なんでしょうか?真紅教授」
「咲夜、私はレミリア・スカーレット。OK?」
咲夜が不満気で恥ずかしそうに顔を赤くしてこっちを向いている。いやぁ、可愛い可愛い。
「…はい、レミリア教授」
「あー、教授もなんか嫌だなー。せっかくここの拠点も屋敷っぽいから『レミリア様〜』とか『レミリアお嬢様〜』とか言って欲しいのだけど咲夜〜?」
可愛い可愛い。涙目で顔を真っ赤にして恥じらってる。いいぞもっとやれ、その顔をもっとよこせ
「……っ、れ…」
「れ?」
「…………レミリア…お嬢様……」
よく出来ました、後で撫でてあげよう。
落ち着いたかな?
「さて、本題よ咲夜。アナタはカルネ村で情報収集をして頂戴」
「情報…どう言った内容を、でしょうか?」
咲夜は涙を拭き、未だにムッとした様子で話しているが、気にせず続けさせてもらう。
「この世界の常識とか、国のことなんかが主ね。あとは私たちと同じようなことが起こったプレイヤーがいないかって確認も。プレイヤー探しに関しては後々、私が吸血鬼って種族を隠すことが出来たら私と一緒に美鈴も参加させて、3人体制でやるから今は気にしなくてもいいわ」
「分かりました。この十六夜咲夜、現在限定とはいえお嬢様にお仕えする以上全力で役に立てる様に致します」
「メイド服を着てるだけあって、メイド職も板についてきたわね?」
「…恥ずかしいので言わないでください」
そんなこんなで、村への偵察と情報収集の担当は咲夜に決まった。
涙目で
歯を食いしばって
上目で
顔を真っ赤にして
恥ずかしがってるのは
超可愛い
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紅魔の常識人
ちょっと幅が空いた理由は頭の中で話がまとまらなかったためと
他の作品を書きたい欲が湧いたためです
博麗の巫女を雄英高校に入れてみようとしたり
不死身のもこたんを大航海時代の世界に送りませたり
もこたんを魔法学校に入学させてみたり
衰退した世界に蔓延る第二の人類を密室で学園生活する空間に放り込んだり
片腕片足義手義足の兄と全身鎧の弟を転生させて素晴らしい世界に行かせたり
英雄になりたかったソルジャーを転生させて雄英高校に入学させてみたり
思いついたはいいけど結局何処かで行き詰まって書けてないもの、いっぱいあります。
これもそのひとつです←
※追記(11/6):多少描写を追加致しました。
皆さん、こんにちは。
真紅教授…元い、レミリアお嬢様の元で助sy……メイドを勤めている十五夜朔夜、改め十六夜咲夜です。
私は今、ギルドハウスの出現してしまった土地の領地であろう、カルネ村まで事情を説明しに向かっております。
勿論、枝の先から根元まで本当のことは言わずに、無い事無い事でっち上げますが。
私は容姿もゲーム内アバターを比較的、現実に寄せていたため、ユグドラシルで使えるスキルや魔法なんかが扱えるようになった以外は驚きがありません
そのため、パチュリー様や妹様、涼翔君…いえ、今は美鈴でしたね。彼女(?)らよりかは精神的ダメージは少なく済みました。
まあ、美鈴の方は明らかにワクワクした眼差しで、この状況を楽しんでいましたが…
服装も中世の給仕係のような清楚で落ち着いた服装…一世紀前に流行ったミニスカで如何にも「かわいい」を意識したエセメイド服とはわけが違います。私はそのエセメイド服が可愛すぎてゲームアバターに着せていたのですけどね。
こんな服装をするのは理由があります。
それはカルネ村の様子を見るに、ここの世界観は中世ヨーロッパの環境に似ているからです。初対面の人と交渉をしに行くのに、第一印象は大切なのです。
これがミニスカエセメイド服で向かって対面したらどうなるでしょう?唐突に現れた摩訶不思議で真っ赤な気味の悪い洋館、そこから出てきたこれまた派手なフリフリとした服装をした女性がこちらへ向かってくる。
絶対に辺鄙な目で見られます。第一印象最悪です。
個人的に友好の関係を結びたいと思ってる我々からしたら印象は大切です。ただでさえ洋館が領地内に侵入しているのに、これ以上相手を怒らせるようなことは出来ません。
そして、何故私なのかという事ですが…私を除いて皆さん、種族レベルにモンスター系統のモノを振っていて、現在人外であるからです
外見では、パチュリー様や美鈴は誤魔化すことは出来るとは思いますが、元いたゲーム…ユグドラシルではアイテムを駆使しての種族判断は安易に行われていました。そう考えると純粋な種族レベルが人間オンリーに割り振られ、現在においても完璧な人間種となっている私がいちばん妥当、となるのです。はぁ、どうせなら私も人外種にレベル振るべきでしたね…
それはそれとして、村の方向が何やら騒がしいです。軽い地鳴りもしている気が…まさか、村に襲撃が…?
ありえる…確かあの村は国境の境にあった。ということはどちらかの国が村を略奪するために……なんて考えるのが妥当です。
ああ、もう!状況整理なんかが終わるまでしばらくゆっくりと、のどかにお世話になろうと思っていましたのに…!
仕方ありません。ここは1つカルネ村に恩を売ることにしましょう。特にお礼を返してもらう気はありませんが!
そう思ったからにはダッシュ!
金や人外系ギルドランキング上位にものを言わせた廃課金と言われても仕方の無い装備を瞬時に出現、身体に装着させて時間を気にせずに前戦に向かいます。
服装のコーディネートも重視して、装備の上に見た目を貼り付けることも出来る。かつてのユグドラシルがそうだったように、今のこの世界においても、ユグドラシルの法則(ゲーム内ルール?)は変わらないようです。
ただ一つ自分自身に物申したいです。
どうして装備はミニスカのThe!エセメイド!というメイド服にしたのでしょうか?
しかし、非常時なので仕方ありません。
光を超える速さ(装備スキルで時を止められるのだから当然)でカルネ村まで到着すると、いるわいるわ。民を虐げる兵士…いえ、この場合は虐げると言うより一方的な略奪のような、山賊的な感じでしょう。
私は物陰に隠れて時止めを解除しまして、助太刀としましょう。
小型ナイフ、これが私の装備です。超接近武器ではありますが、私が時止めを主なアビリティとしているため、投擲物としても活用できると思い、これに落ち着きました。
本当はアーミーナイフだとか、ナイフの中でもかなり大きめな部類のナイフを使おうとは思いましたが、あれは投げられないので、私の使うアビリティとは相性が悪いため諦めました。
そんな感じで、今にも無抵抗な村人に襲いかかろうとしている兵士らに対して、利き手に向けてナイフを投擲。寸前でピタリとナイフが止まります。
指をパチリと鳴らして時を動かせばあら不思議。止まっていたナイフは見事兵士全員の利き手に突き刺さります。これには兵士さんは剣を落としてしまうほどの驚きと痛みの様子です。
「お初にお目にかかります。ワタクシ、この村のハズレに存在する屋敷のメイドを務めます、十六夜咲夜と申します。以後、お見知り置きを」
挨拶は大切です。村人たちにとっては私が恩人として、味方としての認識が高まります。逆に敵である兵士たちには敵としての認識を高くします。
確か昔の忍者を主人公とする物語には『敵と戦う際には深々と礼をしながら挨拶するのが基本である』とされていました。ドーモ、兵士=サン。十六夜です
兵士の皆さん、善良な市民に手を掛けている腐ったミカンではありますが、やはり腐っていても兵士ですね。敵前逃亡せずに、今1番脅威である私へ落とした剣を拾い直して斬りかかってきました。私はもう一度時を止めまして、兵士たちの顔面目掛けてナイフを投擲します。
余談ですが、ユグドラシルPvPにおいて、顔面部は部位ダメージにおける弱点、ダメージ量が大きい部位なため、普段から躊躇なく顔面へ攻撃を狙ってます。相手が手練ならば、その事も分かっているため安易に防いできます。逆に素人であったら、即座にダウン…死亡状態になるので、この顔面目掛けてのナイフの牽制の反応で、戦法を変えています。
そう、私はこの世界でもユグドラシルというゲームの世界を前提に物事を考えていました。運動能力、身体的特徴、技や呪文といったスキル、装備、その他諸々…ユグドラシルと同じなのだからきっと対人戦においても人が死ぬことは無いだろうと。
結論を言いましょう。目の前にナイフを投げた兵士さん、スキル解除をした途端に呆気なく死んでしまいました。
ちょっぴりショック…でしたね。いえ、嘘です。
本当はかなりショックでした。
あぁ、この手で人を殺してしまったって
人を刺す感触こそ無いのですが、骨が砕け、脳まで届き、肉を抉られていくような音が…その痛みに苦悶に満ちた表情をしたまま動かなくなっている兵士の顔が、私の脳裏にこびりついて離れなくなりました
しばらく人を殺したことに実感がわかずに、立ち尽くしていましたが、まだ村人であるだろう人らの悲鳴を聞いて、そっちへ向かわないといけない。そう、思ったんです。
私はまた森の方へ戻り、悲鳴の先へ向かいました
森の中で悲鳴…一体何ンガがいるんだろうか……
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アンデッドとの邂逅
感想なんかを頂けたら執筆の励みになります
ついに原作側の主人公らと接触しますね
果たして私の文章力で彼らはしっかりと喋ることはあるのだろうか……
※追記(11/6)所々文を追加しました
悲鳴を聞き、向かった森奧。そこにいたのは倒れ伏し、動く気配のない死体が複数と、何処か見覚えのある骸骨1人、人の形をしているがその覇気や気配からして人外と見て取れる鎧を着た女性1人、そして見るからに人外2人に助けられたであろう村人が2人いた。
私は今至極冷静です。これが現実であるという実感や、その現実で人を初めて殺したため、感覚が麻痺したのでしょう。
しかし、よく見れば見るほど人外2人に見覚えがあります。もしかして彼らもユグドラシル転生者…?有り得る気がします。
人外女性の方は私と村人2人に対して殺意を抱いて…いえ、これはゴミムシを見るかのような冷たい目…面倒だけどこいつも殺さないといけないのかと思っているような目だ。
これは不味いことになりました。骸骨の方は若干の戸惑いと敵意を感じる。きっと兵士の仲間か何かと勘違いをされてますね。むむむ…ここは敵意がないことを表さないと行けません。
無理に戦闘へとなると、2VS1は分が悪すぎます。それに、先程からチラチラと彼らが殺したであろう死体を見てますが、アレはユグドラシルの第9位階の即死系魔法によるものだと判断できます。かなりの廃人…お嬢様なら1VS1のPvPにおいてはきっとなんとかできるのでしょうが、流石に私の実力だとちょっと無理があります。
や、やはりここは友好的に接しなければ
「これは、お初にお目にかかります。ワタクシ、この近くに存在する屋敷『紅魔館』でメイド長を務めております。十六夜咲夜と申します」
丁寧に、殺意なく、敵意なく一礼。
焦りや戸惑いを見せないように、ポーカーフェイスで彼らと接触します。
その瞬間、隙ができたと思った女性の人外さんが「死ねぇ!」と叫びながら襲いかかってきました。ヒエッ……
カッチッ…
あ、危なかったです。咄嗟に時を止めてなければ即死だったかも知れません。
このまま紅魔館に帰るべき…いえ、そうなるとカルネ村への友好関係を結ぶ目的がおじゃんになります。
数歩歩いて、人外さん2人の背後を取って…よし、解除しましょう。ここはちょっとミステリアスに、アニメとかでよくある強者感を出す…ちょっと面白いですね。
「いきなり刃物を向けてくるなんて、失礼にも程がありませんか?いえ、いえ、あなた方と殺し合いをする気はございません。そうなってしまいますと、ワタクシは一方的に嬲り殺されてしまいます」
人外さん2人が私の声に気づいて振り向きました。
驚いた表情はしてますが、骸骨さんの方はすぐさま冷静になりました。そういえばアンデッドの種族には常時スキルとして状態異常無効というものがあった気がします。きっと動揺が状態異常扱いとなって抑制された…という考え方で合っているかもしれませんね。
ここはとりあえず、共闘を持ちかけてみましょう。同じユグドラシルの転移者なら私の言う真意は伝わるはずです。伝わらずとも、兵士という共通の敵ということにすり替えていけば問題ありません。
「きっとあなた方とワタクシ共の目的は一致しているはず、ここは1度話し合いをカルネ村の方たちを混じえて行うのが良いかと思われますが、どう致しますか?」
「あぁ、そうしてくれると助かるよ。我々と、君らの現状についてもよく聞きたいからね」
骸骨の方はそう思ってたのでしょう。私の提案に同意してくれました。ふむ、これは、確定ですね。
彼らは私たちと同じ、異世界転移者です。
女性の方はブツブツと小言を吐いていました。いえ、きっとあれは私に対しての呪語でしょう。段々と寒気がしてきました。
そんな彼女も、仲間であるだろう骸骨さんに止められて、私のことをずっと睨み続けるだけになりましたが、それでも十分に怖いです。
「それでは、移動を…と言いたいのですが、アナタ、その骸骨の方でございます。一応ここは人間の住む村でございます。その人の形を逸脱した姿を見せながら村に行きますと住人らが恐れてしまいます。どうか、それらを隠してから向かってください」
あくまで私は「人間」であるからカルネ村へ交渉しに来たのです。人外2人を連れながら村に入る、なんて事はしたくありません。
一応人外かどうかを見分けるスキルはユグドラシルで存在はしますが、ナイフ1つ避けられないような兵士のいる世界なので、きっとこのスキルは使える人は少ない。そう思いました。
彼らが姿を隠す作業をしている間に、私は村人2人に忘却魔法をかけてあげます。骸骨の方の容姿を思い出せなくする。これだけで十分でしょう。
私たちは村へと戻りました
アニメ知識ですが、アインズは時止めを駆使した際に『PvPにおいて時止めは予測して対処をしておくべき』と述べていましたが、あれは中階位や高階位の時止め手段における話なのだろうな、と勝手に解釈しました
一方の咲夜さんは、ワールドアイテム(だと思う)装備を使っての時止め行為です。
対処が出来ない。という利点がある反面、敵に対して直接的攻撃は出来ないという制約が付いてるという設定となってます。
だから投げナイフなんて利用してるんですけどね。
ぶっちゃけこんな短い文章はちょっと投稿するのって躊躇する…
他の偉大なる作者さんたちはもっと長い文書をかけると思うんでふ……
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人を殺めるということ
なんていうか、咲夜さん回は修正する所が満載してると思うんです。
走り書きで矛盾所がいっぱいって意味で
そのうち編集作業するため、もし手が入ったらもう一度くらい見て何処が変わったか見て欲しいですm(*_ _)m
p.s.お気に入りがここ2話追加して倍くらいに増えたので踊りに踊っています
追記(11/12):文章を大幅に修正しました。
はぁ、これは…お嬢様にとって非常に良くない報告になりそうです。
引き続きましてこんにちは、十六夜咲夜です。
現在、カルネ村の住宅の一室を借りて人外2人と話をしています。
どうやら骸骨の方はアインズウールゴウンというクランの主であるらしく、女性の方はそのクランのNPCらしいのです。そういえば、私の屋敷にいるNPC妖精メイドも話したりフラフラしたりしていましたね。
骸骨の方も転移までに至るまでは私たちと変わらずの様で、思ったより情報を手に入れる事は出来ませんでした。
それが良くない報告なのか、と聞かれるとそういう訳ではないのです。良くない報告なのはお嬢様率いる私たちクランとアインズウールゴウンは、ユグドラシルにおける二大人外クランという括りとして、お互いにあまり友好的ではない…むしろ敵対関係にあるという点です。
確か…ユグドラシル全盛期の頃にお嬢様とアインズウールゴウンのメンバーでちょっとしたいざこざがあり、何度か多数のクランを巻き込んでのPvP……いえ、あれは戦争以外の何物でもありませんでした。クランランク上位であったアインズや紅魔館は大した被害はなく、寧ろ利益があるまでありましたが、参加していた多数クランは幾つか解散、壊滅、果ては吸収合併するような、まさに世界大戦のようなことが起こりました。
以降、運営者からの警告もあり、今までお互いに不可侵を結ぶという事になりました。
顔を合わせると多少の皮肉を飛ばしあったりしましたが、ユグドラシルが衰退して行く頃には共にクエストへ行く程度の仲になっていました。
そのクラン主である骸骨こと、モモンガさんは今のところは争う気はなく、この世界からの脱出のために協力しようと提案してきました。
なにか、引っかかりませんか?
…そうなんです『今のところは』なんです。
私の知る限り、モモンガさんは常識的で優しい性格だったはずです。聞いたところによると、あの伝説となった大規模PvPも、モモンガさんは最後まで行うのは反対していたみたいでした。
虫も殺さない、は言い過ぎかと思いますが、少なくとも初心者狩りを行う人に対しても殺さないのがモモンガさんでした。
本来、彼なら
『争う気は無い。元の世界に戻るためお互いに協力しよう』
こういうはずです。『今のところ争う気は無い』なんて言うはずがありません。
それに、行動に不可解な点が見られます。
何故、兵士を殺したのかです。私のように不可抗力で兵士を殺してしまったという事もありえるかも知れませんが…
しかし、モモンガさんは第9位階の即死魔法を使用したことから分かるように、明確な殺意を持って兵士を殺したのです。普段の彼ならもっと別にやり用があったはず…眠らせる、麻痺させる、気絶させるetc…
……今更になって私の取った行動が本当に軽率な行動だったのだな、と理解します。
ここはゲームの世界ではない、そんなことはお嬢様たちと話しをしていく中で理解したつもりでいました。それなのに、まだ私の中ではゲーム感覚…命を軽く見ていたのかと、そう思いました。
モモンガさんの取った行動に対しての疑問感、自分の軽率な行動に対しての嫌悪感、他人の命を奪ってしまった罪悪感が入り交じり、俯き黙っていると、モモンガさんが声をかけてくれました。
「急に黙って、どうしたんですか?」
「…モモンガさん、あなたは人を殺してしまった時、どんな気持ちでしたか?」
オブラートに包むような思考は今は持ち合わせていなかったので、私の中にある疑問を直球に聞いてみました。
「あれは村の人を殺そうとした敵です。悪を殺して駄目なんて事は、ありませんよ」
ぞくり、と寒気がしました。意外な返答だったからではありません。むしろ躊躇なく殺害した以上、このような答えは帰ってくると考えていました。しかし、その言葉を発したモモンガさんから、感情を読み取れませんでした。村人を守るための行動だったのなら、兵士に対して敵意や怒りを持つはずです。だが彼…モモンガさんからは何も感じとれません。まるで人を人だと思っていな……
彼はまずい。もう昔のような優しいモモンガさんではない。人を殺すのを躊躇せずに出来るのは、絶対におかしい。私だって殺してしまったと理解した時、何も考えられなかった。いけないことだと思ったんだ。
私としては彼と協力関係を結ぶのは反対だ。
だがそれは私個人の意見であって、クラン主であるお嬢様の意見ではない。
「協力関係の件ですが、お嬢様にお話してから判断致します。それでは、私はここの村長とお話をしますので失礼致します」
もう、私から話すことはありません。
席をたち、部屋を出て早急に村長と屋敷の土地をしばらく借りる件、村の危機などがあれば手を貸す、等の条件を提示しながら滞在の許可を貰い、屋敷へと帰ることにしました。
帰り道、嫌な妄想をしてしまいました。
もしかしたら、私が人間であるから人を殺す事に対して嫌悪感を抱いているのではないか。仮に敵が亜人、人外だったとしたら私は躊躇せずに敵を殺す事は出来るだろう。
人外の目線からしたら、人の命は私目線で言う人外なんかの動物なのでは無いのだろうか。
そうとすると、お嬢様や妹様、パチュリー様、美鈴は人を殺すことに対して躊躇せず…私だって簡単に切り捨てられるかも……
そこまで考え、私は怖くなり考えるのをやめました。
これから、私も躊躇なく人を殺して、平然とした顔をする事が出来るでしょうか?お嬢様たちは、私の事を切り捨てずに仲間として一生接してくれるのでしょうか
書いてて思ったことをずーっと書き連ねただけなんですこれ
咲夜さんがまだ人間種のアバターで転生したからという理由での理屈でもある気がする
咲夜さん、レミリアお嬢様がこんな感じにならないか心配でならない様子
この辺りに関しては後々書きたいです
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自我と設定
途中何か通り過ぎてますが、あれは蜻蛉です。
誰がなんと言おうと蜻蛉なんです
───時は遡り咲夜が村へ向かった直後────
さて、村との交友関係は咲夜に任せて、とりあえずは風蘭の様子を見に行こう。アイツの自室は地下だったはずだ
しかし、パチェを見ていて思ったが…テキストまで設定が反映されてるのは非常に不味い。
風蘭のキャラ設定には色々と盛り込まれている。
確か、姉妹で吸血鬼にしようと話した時に何を思ったのか、二人分の設定テキストを書かせてくれとせがまれた。そして数日後に長々とした文章が送られてきたのは何時のことだったか。
確かにそこそこの年の差は離れているし、風蘭の方が中学二年生の年齢に近いからか、私以上に彼女は拗らせているな。
まあ、何がとは言わない
風蘭の部屋のある廊下まで歩く。
色々な不安を過ぎらせながら廊下を歩き、風蘭の部屋の前までたどり着くと、部屋から啜り泣くような声が聞こえた。
私は慌てながら扉を力いっぱい叩くと、そのまま扉を思い切り開けた。部屋の中で風蘭は……
「ぐず…えへ、本当に……本当に綺麗な羽根が生えてる…っ!それに、染めてた金髪がちゃんと地毛だし、牙もちゃんとある…うぇ、うええぇ…………なれたぁぁ…!!!」
自分の姿を鏡に写しながらティッシュを部屋中に散らかして号泣していた。
なんだこれは
──────────==≡∧(∧ ˙◁˙)∧
…つまり、風蘭は『全員アバターに受肉していたからもしかしたらと思って、部屋にそそくさと戻り、鏡で見てみたら実際に受肉していて、物語だったらこんな種族でこんな姿になりたいと夢見てアバターを作ったから感極まってしまった』ために号泣していたらしい。若干ドン引きした。
それに、風蘭の室内がホラー映画の不気味なシーンの選りすぐりをミキサーにかけたくらいの、ぶっ飛んだ飾り付けのためそれも相まって、啜り泣く姿は本当にホラー映画を見ているようだった。
私は他の面子に話した事を掻い摘んで話し、風蘭にも名前を変えてもらった。
「うーん…フランドール、ね」
フランは本名の風蘭から、ドールは人形のような可愛さ、という意味で付けたらしい。
「とりあえず、しばらくは咲夜の報告次第ではあるけど、現実世界へ帰る方法を探しながらこの世界について調べるつもりなの。アナタもなるべく手伝ってちょうだいね」
「嫌よ、ここの世界の調査はいいけど、現実世界には帰りたくないわ。だってこんなにも素敵な身体を手に入れたんだもの!!」
…若干発狂をしている気がするのは気のせいだろうか?多分気のせいだ。いや、気のせいだと思いたい。
話すことは話たため、私は風蘭改め、フランの部屋を後にし、咲夜の帰りを待つことにした。
────しばらくして
咲夜が帰宅したため、仮ではあるが会議室へ呼び、ティータイムがてらすぐさま現状を教えて貰う。
「では1つ目ですが、村に住むことや土地云々に関しては村長さんから許可を頂きました」
咲夜は軽い笑顔で報告をする
「そうか、それは良かった。もし何かあったら絶対に村の人らを護るように」
「その点なのですが、少し厄介なことに…」
即座に咲夜の顔が暗くなる。
「なんだ?何かあったのか」
「…良いお知らせでもあり、悪いお知らせでもあります。良いお知らせは、我々と同じような経緯で転移したグループと接触したことです」
「なるほど、同じ異世界転移者なら情報は共有出来るな…それで、悪いお知らせとは?」
私は紅茶に舌鼓を打ちながら咲夜の返答を待つ。
「それが、その転移者がアインズ・ウール・ゴウンという組織でして…」
「ぶっふぉ!!?」
思わず口に含んでいた紅茶を咲夜目掛けて吹き出した。咲夜は何故か傘を予め用意していたため、吹き出すと同時に傘を開き、紅茶から身を守った。
「…あー、そうか。アインズ・ウール・ゴウンがねえ…アソコってもう殆ど機能してないクランじゃあ無かったかしら?」
口元からだばーと垂れている紅茶を気にせずに咲夜に疑問をぶつける。
「それが、モモンガさんだけ転移したみたいで…外見もあの骸骨姿でした。我々の現状を見れば当たり前ではありますが…」
「そうか…あそこはNPCもしっかり育ててるからあまり敵に回したくないのよね……咲夜?それで、モモンガとはどんな会話を?」
「元の世界へ帰れるようにと協力して欲しいとのことで…」
何度かクラン戦をしたが、アソコは頭一つ…いや、二つ三つは抜けて強かった。確か勝った時も、若干垢BANを喰らいかねない卑怯な手段を使った上での勝利だった気もする。
しかしクラン主であるモモンガは悪い人では無いのはよく知っている。この緊急時である以上協力はしてくれる筈だ。
「いいんじゃないかしら?私たちで元の世界に帰れるとは思えないし、あの頭のおかしいクランと協力を結べるなら、かなり心強いと思うわよ?」
思ったことを咲夜へ話す。だが咲夜は浮かない表情をしていた。
「…私は、この提案には反対したく思います」
意外な言葉を聞き、何故?と思っていると、咲夜は話し続ける。
「今のモモンガさんは、以前とは全く違った感覚の持ち主です。人は平気で殺せます。私たちに対しても、仲間とは思っておらず、きっと利用するだけしたらすぐに…」
「……咲夜、あの村で何があったのかしら?」
不安気な顔をした咲夜の目をじっと見つめながら、私は咲夜の話を聞いた。
──────────==≡∧(∧ ˙◁˙)∧
…村での出来事を聞き、私は真っ先に咲夜のメンタルを気にした。不可抗力とはいえ、人を殺したのだ。もしかしたら心が折れているかもと思ったが、様子を見るに大丈夫だろう。
だが、話を聞く以上今のモモンガとは協力関係を結ぶのは危険だろう。むしろ、今後において敵対関係になる可能性も有り得る話だ。
なにより人を躊躇なく殺す事ができるのは、既に彼の魂がアバターの設定に喰われ始めているのかもしれない。
設定に自我を喰われている、と考えると我々も不味い事になりそうだ。いや、パチェのあの喘息を見るとヤバいというのは十二分に理解出来る。出来はするが、実感がわかない。
どうしたものかと、考える。とりあえず、転移の諸々はパチェに任せ、私も私でこの世界について調べるとしよう。
何より、この現状を楽しまなきゃ損だろう?
……この時、私は気付いてはいなかったが、かつての私なら一刻も早く現実世界に帰ろうとしていたのだろうが、今の私にはそんな思考は持ち合わせていなかった。きっと、もう既に…
設定とか書きたいけど、職業レベルとか種族レベルとか分からないからどうしようかなって…
fateのサーヴァント的なあれで良ければちょっと嬉々として書いて設定として投稿するマン
フランちゃん、もっと狂気的な内容にしようかとも思ったけど、なんか違うんだよなぁと思って没になった話。
部屋までの道中NPCの妖精メイドを殺しに殺しまくって廊下を血の海にしていたり、実際にアバターの姿になったのが嫌で自室で羽根を切り落としたり、自傷行為し始めたり、レミリアを殺そうとしたりetc……
あ、咲夜さん回はかなり書き直しましたが読んでくれましたかね…
評価やお気に入り追加、感想が私の執筆の励みになります
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カルネ村への訪問
嬉しい反面、このまま失踪出来なくなると思うと胃がキリキリしてきます
私のクオリティは1話2500字弱の駄文を思いついた時に書き込み、投稿する力しかありません。許してください!なんでもしません!
そしてお気に入りに追加してくれた人を見ることが出来るのですが見覚えのある名前が…ファッ!?
これは失踪出来ねぇ…何としてでも完結するからアニメ知識しかない脳に小説知識を埋め込みに行きます……
転移をしてから、大体数日経った。
起床し、まだ完全に機能しきっていない脳を起こすために顔を洗う。寝間着を脱ぎ、普段着ている服装へ着替える。すると丁度咲夜が私を呼ぶため、扉を叩く音が聞こえる。朝食の準備が出来た様だった。
朝食も、なんてことは無い。最初こそ、現代日本では食べられない『本物』の生物の肉類、穀物、野菜、飲み物に皆感動して食い倒れていたが、数日経つと普段通りの食事と変わらなくなっていった。
パチェに至っては
「気が向いたら食べるわ。別にカロ〇ーメイトとサプリメントで栄養は取れるから。それに、食べなくても問題はない身体でもあるし」
そう言って図書館に引き篭っている。そういえば現実世界でも彼女は興味を持ったものがあると満足するまで引きこもり、調べ、研究する癖があった。
……多分あの膨大な量の本を読み切って、知識にするつもりなのだろう…変わらないな。
朝食は白米に鮭の切り身、そして味噌汁と納豆であった。数日ではあるが、これが紅魔館での朝食のテンプレになりつつある。
納豆を掻き混ぜ、醤油を加えてまた混ぜる。
現代にはもう存在していない納豆。初めてその製造方法を聞いた時はドン引きをした。
何故腐らせるのか、何故豆に豆を掛けるのかと、昔の人間は何故こんなものを食べようとしたのだろうかと思った。
しかし食べてみると中々癖はあるものの、非常に美味しかった。しかもご飯との相性が非常に良い。
以降朝食には必ず納豆を付けてもらう様にしてもらった。だが皆には口に合わなかったからか、時々正気を疑う眼差しで見られる。
朝食を済ませ、身支度を始める。
軽く跳ねた髪を整えたり、歯を磨き、指輪を装着。そして日傘を用意する。そうだ、化粧も軽くしよう。
今装着した指輪は、例の人間に擬態化出来るものだ。しかし能力が多少弱体化する上、あくまでも外見だけが人間となる。その為、探知系の魔法を使われると1発で人外であるとバレる。正直、ユグドラシルだったら絶対に使わない装備のひとつだ。
指輪の力で生えた羽根が消え、特徴的な八重歯も気にならない程度の長さ、鋭さになった。
既に準備を終えている咲夜を呼び、カルネ村へ向かう。設定上、陽射しには耐性がありはするがそれでも吸血鬼だ。着実にダメージを受けるため、咲夜が日傘をさしながら森の中を歩いていく。
カルネ村まで到着し、会う村人一人一人に挨拶をしていく。何度かこうして顔を出しているため、村人らも挨拶を返してくれる。
歩いていると人間ではない、緑の皮膚をした筋肉質の男が目に入る。初め会った時こそ驚き、倒してしまおうとしたが、どうやら咲夜とあのモモンガが助けた少女が、モモンガから小鬼将軍の角笛を貰い、使用して召喚したものらしい。
今となっては村人の一人として接している。
「ご無沙汰ね。まだ数日だけしか経っていないけど、作物の調子はどうかしら?人手が足りなければ家から妖精メイドと美鈴を貸すけど」
ゴブリンのリーダーであるジュゲムに世間話を持ちかける。ジュゲムも快くそれに応じ、この村の現状なんかを話してくれた。
「そりゃあ、有難い話だスカーレットさん。あの襲撃のせいで…まああんたんとこのメイド長が助けてくれたから、人的被害は多くは無かったらしいが。それでも男共がかなりの人数減っている。これじゃあ家一つ建て直すのも一苦労って感じだな」
人手を貸してくれるなら是非頼むと言って、土木作業へ戻って行った。後日美鈴と妖精メイドを数体、ここに派遣させるとしよう。
しばらく村を周り、やっと今回の目的であるアンリ・エモットを見つける。軽く挨拶を済ませ、今回ここに来た理由を伝える。
「…モモンガさん、ですか?」
「ええ、ウチの咲夜と一緒にここの村を守ったアイツのこと。何か知らないかしら?」
アンリは疑問を持った顔で私へ言葉を返す。
「……?あの方は『我が名はアインズ・ウール・ゴウン』と仰ってましたが…レミリアさんの人違いでは無いでしょうか…?」
…なるほど、ここでは我々のように名前を偽っていたか。しかしクラン名をそのまま名前として使うなんて、何と言うかダサくないか…?
だってこれを私がすると…『私の名前は紅魔』となる。うわだっさ
「いや、合っている。そいつとは腐れ縁の関係でな、昔はモモンガと名乗っていたのだよ」
「それで、その方がどうかしましたか?」
「ウチの咲夜は物事を全て終える前に帰ってしまったらしくてな。いや咲夜、責めている訳じゃない。あの時は咲夜も敵ではあったし、不可抗力とはいえど人を殺めたんだ。心を休ませ、整理させるのが正解だよ」
見るからに落ち込んでいく咲夜を慰め、アンナに対しても死体の処理の礼を述べて話を続ける。
「それで、アイツが何をしたのか聞きたいのだよ。知ってることを出来るだけ話してもらいたい」
そう言うと、アンナは思い出しながらも色々と話してくれた。
以降の別軍の襲撃、リ・エスティーゼ王国からの軍隊派遣。なるほど、ガゼフという男。コイツは中々に私好みの性格をしているな。1度話を交えたい。
…聞いていけば行くほどこの世界は最高でユグドラシルでいう中堅やその辺りの戦闘力や魔術力しかない様子だ。まさに2000年代に流行った『俺TUEEEE系』の物語そっくりだな。
しかし、モモンガの行動理由がよく分からない。
この村を助ける理由はあったのだろうか?いや、少なくともこの世界の常識を知るために目をつけた村を根城にするという理由があるにはある。しかしそれなら何処かの王国で情報収集をすれば良いはずだ。
分からない。何故躊躇せずに人に手をかけ、平然としていられるのかも。
もうモモンガという男は、私の知るモモンガとは違うのかもしれない。……いや、設定に引っ張られた結果か?どちらにせよ私はアイツと敵対するつもりでいる。
かつてのつかなかった決着を、今ここで付けようじゃないか。
──────────
聞きたい情報を聞き終え、館へと戻るレミリア、咲夜の後ろでじっと見つめる黒い目をした鴉が1羽。その視線を通して1人の女性がその様子を眺めていた。
「ふふふ、あの子たちなら問題無いかしら?ただ種族の本能に性格を引っ張られていく可能性も有り得るわね。それなら、今からでもあの性格を固定しておこうかしら?」
そう言って、扇子で空間に線を引くように手を動かすと空間が歪み、別空間へと通じる穴が開く。
そこに腕を突っ込み、何かを弄り始める女性。
すぐにそれを終えると手を引き抜き、空間を閉じる。そしてまたレミリアと咲夜の様子を眺めた。
「アナタたちの活躍と"こちら"へ来ることを楽しみにしていますわ…ええ、これらは確定事項。全て私が誘導するまでもなく、必ず起こると決まっていることなの。私は少しだけ手助けをするだけ」
そう独り呟く顔は、何処か楽しみで、無邪気な子供の様な表情をしていた。
い、一体どこの金髪の美少女なんだ!?
一応大まかな話の流れは決まってるんです。
ただその話の中に色んなものを詰め込んで行く事が出来ないだけで、執筆速度が亀よりも遅いというわけで…
うぅん、別のクロスオーバーものも書きたい…だが外堀だけ埋まってて中身が埋められねぇ……
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ウォールサクヤと冒険者ギルド
紅美鈴のパートはギャグ回です。深く考えて読むなとは言わないので許してください何でもしますから
ドーモ、皆さん。
紅珠 涼翔改め、紅美鈴です
現在私は、お嬢様の命によりカルネ村の復興のお手伝い中です。
妖精メイドを何人か指示しながら破壊された建築物の修理、畑を耕したりなんかしています。
まあ、私がいなくてもゴブリンさんたちがいるのですぐに復興すると思うのですが…
それはそれとして、私がカルネ村に来たのにはもう一つの理由があります。ここの村の警護をする事です。
なんでも「近いうちにモモンガの所のNPCが来るから根城にしてるこの村を守れ」だそうです。
お嬢様と咲夜さんは王都で情報収集、パチュリー様と妹様は自室で引き篭っているため私が抜擢されたという訳です。なんで来るのかは聞かされてませんが、言われたからには絶対にやり遂げてみせますよ!
とは言いますが、その人が来るのはもう少し後になるみたいなので、その間暇で仕方ありません。どうせなのですから、村に私の拠点を建てて、村を囲う丸太の壁の改修工事とかしちゃいましょうかね?
なに、心配いりません。私には人類史で学んだ建築スキルがあります!この程度どうってこと無く出来ますとも!
──────────==≡∧(∧ ˙◁˙)∧
……出来ました!丸太をベースに石レンガと砂レンガをふんだんに使った絶壁の壁!!
とりあえず見栄えからということで門のみですが、これからどんどんと強度を高めていきますよ!
名前は…うぅんそうですね、絶壁…絶壁……なんか、なんか来ました…!天啓が降りてきました…!名付けて『ウォールサクy((ザクッ
…この時、背後から「駄目じゃない、ここのメイドさんは胸の大きさは無いことも無いでしょうに…?」とクスクス笑いながら話す誰かがいましたが、多分…いえきっとその人が後頭部に刺してきたナイフのせいで意識を失ってしまいました。
──────────
「へっくし…っ」
咲夜が小さくクシャミをする。普段は大人しい性格をしていると思うが、クシャミに関してはあまり大人しさを感じないな。ポケットに入っていたハンカチを渡し、垂れた鼻水を拭かせる。そろそろ到着する頃だろうか
ここは都市エ・ランテル、リ・エスティーゼ王国より東に位置する、カルネ村から一番近い大都市である。
今回ここに来た理由は3つ
1つ目は、この世界の通過の入手
2つ目は、情報収集
3つ目は、ギルドへ登録し冒険者となる
まあ2つ目に関してはいつも行っていることではあるが、3つ目のギルドへの登録。これに関しては2つ目の情報収集も兼ねている。だが、ただ単にこの世界のあれやこれやを聞いて回るのは得策ではない。そんなことをすれば「私はこの世界の常識を知りません」と言い回っていることになりかねない。ならばギルドへ冒険者登録をして、様々な街や王都へ足を運びながら情報を手に入れようという魂胆なのである。
それともうひとつ、あのモモンガも近いうちに冒険者になると、私の力が教えてくれたのだ。
私の力…といってもこの世界に来て、設定テキストから覚醒した能力のため、未だ完璧に操ることは難しい。不意に頭の中に未来の何かが浮かび上がる程度なのだ。
全く、フランも設定で馬鹿みたいな能力を着けたものだ。確か「運命を操ることができる」なんて書かれてたはずである。これがまた非常に鬱陶しい。
先程も言ったようにこの能力を扱う事が困難だ。そのため、やろうと思っても出来ない上、やりたくない時に運命が見えてしまう。
しかも、運命が見える際は非常に頭が痛む。この間は予知夢のような形で見たため、ベッドの上で痛みもがき苦しんだ。
本当に、厄介な能力だ。現段階でどの程度まで、どの時間に起こるのか、など全くわからないため「何時かこいつはこう動く」ということしか分からない。そのうち制御したいものだ
とまあ、そんなこんなで冒険者ギルドに到着する。勢いよく扉を開けると一斉に周りが注目し出す。そのまま咲夜と共に受付カウンターまで歩を進めると周りの目線もそれについて行く。
それもそうだろう。私が言うのもなんだが、お嬢様服とメイド服の2人組がこんな所に来る意味が無い。
私は受付嬢の前に立って一言
「冒険者登録を2名、いいかしら?」
受付嬢は冒険者登録と分かると直ぐに登録用紙を2枚用意してくれる……不味い、言語が分からない。うぅん、とりあえず適当に無いことないことでっち上げるとするか。
「あー…すまないが、我々は遠い異国から態々ココまで来たものでな。ここら周辺の言語がよく分からない。口頭で必要事項は話すから登録は出来ないかな?」
とりあえず適当な事を言って誤魔化す。無理と言われそうになっても吸血鬼のスキルである魅了の力を使えば問題ないだろう。
受付嬢から了承を受け、大方の処理を済ませる。
登録を済ませて、通貨の換金施設も教えて貰い、簡単にナザリックでしか使えないものをこの地の通貨に変える。我々にはもう必要は無いものだ。
「大凡の予定は済みましたが、これからお嬢様はどうされますか?」
道中咲夜が尋ねてくる
「そうね…今からカルネ村まで帰る、なんて事は面倒だからしない。どうせなら宿で1泊しましょう」
そしてそのまま宿屋へ向かう。
到着した宿屋は、どうやら1階は酒場兼、クエストを受注生する所となっている様でかなり騒々しい。
一先ず店主であろう厳つい親父に金貨を数枚渡す。どうせ金には困らないんだ、成金RPでもするとしようじゃないか。
「宿と、酒を楽しみたいのだけど?これで足りるかしら」
「おいおい、冗談はこの金貨だけにしてくれよお嬢ちゃん。宿はともかく、見るからにあんたァ酒は飲めない年頃だろう?」
「あら、人は見かけで判断しては行けないのよ?」
「…こんだけ払うならまあ、いいか。今後も良い上客になってくれよ、お嬢ちゃん?」
「それはここのお酒次第かしらね」
クスクスと笑っていると、唐突にテーブルがひしゃげ、男一人が投げ飛ばされた、騒がしい音が響く。不意にそちらを向くと、全身厳つい鎧を着た男が、身なりの汚い男と喧嘩をしていたらしい…いや、あれは厳つい鎧の男の一方的なリンチか
というか、アイツよく見たらモモンガじゃないか?モモンガじゃん。その隣のやつも、昔NPCキャラの1人って紹介された覚えがある。
うわぁ、なに全身鎧で固めて両手剣を2本背負ってるのだろうか。ダサいことこの上ない。というかアレは舐めプ以外の何者でもないでしょう。だって本来ならネクロマンサーが主な職業だったはずだ。あんな、剣士の格好なんて以ての外。する訳が無い
どうやら男を1人投げ飛ばした際に、女性の大事なものを壊してしまったらしくなにか文句を言われている。モモンガが代わりのものをと言ってポーションを渡してその場は収まったみたいだ
さて、そろそろいいだろう。私は、モモンガへ声を掛けるためそっちへと向かった。
そろそろ紅魔組のステータス書きたいけど書きたくない…
そういえば、フランちゃんって当時はこの姿になれたから感極まって泣くなんて事にする予定無かったんですよね…
ガチで気が狂ってるようなルートにしようとしてました。まあ、没でした
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主と主と
やべーと思う
「やあ、随分と騒がしくしてくれるじゃないか」
「…あぁ、それはすまなか……っ!?」
くくく、私がこうして目の前に現れたことに随分と驚いている様子ね。こんなのを見るとからかってしまいたくなる。
「いやいや、お初にお目にかかるよ。この度冒険者となったバートリーという者よ?その反応は…まるでどこかで出会った様な驚き方だったね。はて…?何処かでおあいしたかな?もしかしたら名前を聞けば思い出すかもしれないが…」
「あ、あぁ…モモンだ。なに、かつての知り合いに似ていたものでな。バートリー嬢、君とは初対面だ」
なんだ、つまらない。もう少し面白い反応が見られると思ったが、感情抑制のスキルだろうか。すぐに平静になってしまった。からかいがいが無くなってしまったな。
「くつくつくつ…いやすまない。もう少し面白い反応が見れると思ったのだが、あまりにもからかいがいが無さすぎて逆に笑えて来てしまったよ」
おっと、モモンガのそばに居るナザリックNPCが睨んでくる。コワイなー
「改めまして、バートリーなんて偽名は捨て置いて…私の現在の名前はレミリア。レミリア・スカーレット…アナタも名前を変えたなんて、驚いたわ?」
「……どうやら自身の目が間違っていなくて安心した。久しぶりだな、レミリア。またこうして話せる事、嬉しく思うぞ」
「心にも無いことを言っちゃって、かつての私たちの関係を忘れたのかしら?」
「いや、忘れてなどない。だが昔は昔だ。私にとってはもう過ぎた話でしか無いのさ」
なんだ、モモンガからしたらあのPvP戦はもう過ぎた話なのか。私はノリノリで喧嘩を売るつもりだと言うのに
「おっと、失礼した。そちらの相棒様への挨拶はまだだったね。レミリアと呼んで頂戴」
「…黙れ、気安くアインズ様と私にに話し掛けるな。この藪蚊が……」
ボソリと呟くが、私の耳を持ってすれば簡単に聞こえる。だが、記憶してる限りこいつのレベルは犬と戯れる程度には差が付いてるはずだ。いやぁ、可愛い遠吠えだな。
「やれやれ、嫌われてしまった様だ。失礼、モモンとはつい最近会ったと聞いているが、私の付き人をしてくれている咲夜だ」
一歩後ろに下がっている咲夜を前へやり、紹介する。ぺこりと綺麗なお辞儀をすると咲夜は喋り出した。
「ご無沙汰しております。私レミリアお嬢様の付き人をしております十六夜と申します。以後お見知り置きを」
さて、適当にこの場の挨拶も済ませたことだ。さっさと寝る事にしよう。
そうだな…少し、モモンガには挑発をしておいてやるか。
「では、私たちはこれで。この身体を見ればわかるだろう?酷く眠くてね」
そう言ってモモンガの横へすれ違う時にボソリと一言話す
「私は、あの時の決着を望んでいる」
モモンガは私の方へ振り返るが、気にせずに宿部屋へ向かう。さて、モモンガもこれで意識をしてくれただろう。近いうちに、アイツの本拠地にでも遊びに行くとするか
一室でワインを揺らし、ゆっくりと香りと味を楽しむ。そしてこの地特有である肴を1口。
非常に美味だ。現実世界ではこれ程まで味の濃いものは存在しなかった。現実世界に戻りたいとはいえ、食事に関してはここの世界は絶品である。
夜空を見上げ、それを肴にゆっくりと酒を楽しむ…まだ何か行動を起こすには早い。何かきっかけとなるものがあるといいが…
不意に頭痛が起こる。グラスを床に落とし、割ってしまう。頭を抱えて苦しみもがいた。
そして、不意に流れ込む情景。モモンガと女性が戦いを繰り広げている。
…そうだな。これがきっかけになる。きっと近いうちにこの出来事は起こるだろう。
しかし、この頭痛は何とかならないだろうか
せっかくの美味い酒が台無しとなった。
割れたグラスの破片を拾い集める。ああ、最高にカッコ悪い光景だ。
そんなこんなで、夜は更けていった
──────────
翌朝、近いうちに起こる戦いに参加するため、しばらくモモンガの近くに居座ることとした。咲夜と共に朝食を取りながらモモンガの行動を確認する。彼は現在、クエストの貼ってある看板を見ている様子だ。
あいつは字が読めるのか?と疑問に思っていると、おもむろに紙を1枚ひったくるように取り、カウンターの受付嬢に話し始める…よく聞いてみると、冒険者の中でもランク付けがされており、入りたての新人は最下位からスタート。そのランク付けを利用してクエストの難易度も変わってくるらしい。
一度はモモンガは「俺の実力に合った仕事がしたい」とか言っていたが、ルールはルールという事で食い下がった。その後しばらくして、受付嬢がクエストボードまで歩いていく。あいつ、文字読めないから受付嬢にクエストを見繕うように言ったな?
咲夜が食後の紅茶を入れてくれ、食後のティータイムを楽しんでいるとモモンガに話しかけてくる冒険者が1組。どうやらクエストの誘いだ。
このまま眺めていると私らは置いてけぼりにされる。咲夜に目配せをして、ティーカップを机に置いてモモンガの元へ歩いていく。
「クエストのお誘い、私らも参加してよろしいかしら?」
モモンガに話していたチームに私が話し掛ける。モモンガはというと、多少気まずい様子をしていたが私には関係ない。
「ええ、歓迎しますよ。人数が多いに越したことはないクエストですので」
チームのリーダー格らしき男が快諾してくれ、とりあえずという形で酒場にある個室を利用し、自己紹介やクエストの内容を話す事となった。
どうやら彼らは『漆黒の剣』と言うらしく、階級は銀等級とそこそこの活躍をしている冒険者たちのようだ。
リーダーであるペテルを始めとして、レンジャーのルクルット、ドルイドのダイン、スペルキャスターのニニャの4人でクエストを受けているという。
途中、チーム内で決めている二つ名をペテルが話していた。なるほど、冒険者となると二つ名を名乗る…まぁそんなわけないか。若干3名は恥ずかしそうにしている。
さて、自己紹介の番が回ってきたか。
「今度は私の番ね。私はバートー・エルジェーベト、二つ名は『永遠に紅い幼き月』もしくは『紅い悪魔』とでも呼んでもらおうかしら?」
くすくすと笑いながら話す。モモンガ含め、周りは二つ名を聞いて呆然としているが…なんだ、ジョークひとつもまともに理解出来ないのか?
次いで咲夜が話す。
「え、えぇ…バートリーお嬢様の給仕長を務めていますジャック・ブランドーです。どうぞよろしくお願いします」
ぺこりと、苦笑いを浮かべながら一礼する。なんだ、咲夜も私の二つ名を微妙だとか思っているのか?
「よろしくお願いします。それで、バートリーさんとジャックさんの主な戦い方はなんでしょうか?」
そうだったそうだった。肝心な職業を言っていなかったな。咲夜はまあ、いいとして私の職業はなんと言うべきか…適当に見繕うとするか
「彼女はナイフを主に扱い、敵の懐に入って切り付けることを主にした、言わばアサシンでしょうか?」
「アサシンですか?確か、我々よりも遥かに上位に位置するチームにそういった人たちがいたような…」
「その方たちと比べ物になるかは分かりませんが、ワタクシも助力出来るように努めますので」
「それで、私の戦法は……ありませんね。軽い身体強化魔法をかけれたり、遠くの敵を発見することは出来ます。言わばサポートでしょうか?近接戦も出来ますが、あまり期待はしないでください」
一応槍兵ではあるが、それはあくまで自身の武器を装備した際のみであり、その装備もこの世界の神具に近しいものだ。ならばと思い、私は爪武器を装備して普段戦っていると話した。
因みにモモンとナーベの自己紹介後、ナーベに向けてルクルットがナンパをしてきたが、ナーベはゴミムシ呼ばわりし、一蹴していた。
クエストの内容は至極単純で、ゴブリンを狩る作業だった。クエストに参加し、酒場の一階へ戻る。しかし少年のひとりが我々の元へ駆け寄り話し始める。そして、その言葉で酒場の連中を集めてしまうのだった。
「モモンさん!どうか僕のクエストの依頼をうけてください!」
曖昧な意識の中で書いたので誤字報告とか待ってます
誤字を修正しました。やはり終盤がお粗末すぎる文章になってました。
そういえば、この作品に評価をしてくれた方にお礼を申し上げます。
若干評価人数が少ないため、バーにはまだ白が残っております。しかしここまでの反響を貰えると思いながら書いておりませんでした。重ね重ね、お礼を申し上げます
また、お気に入り登録者もこの10話で3桁を超えました。
これからも精進致しますので、応援の程をよろしくお願い致します
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クエスト開始
別作品を執筆してしまったためこちらの作成が疎かになってしまいました。
とはいいつつも実際はあまりアイデアが浮かばなかったり……いえなんでもないです
モモンガを名指しで依頼した少年、ンフィーレア・バレアレはこの町で薬師をしているとの事で、今回は薬草採取のためにカルネ村付近まで護衛をして欲しい…という依頼内容であった。
モモンガはその話を聞き、漆黒の剣連中に「雇うのでこの任務に協力して欲しい」とお願いした。彼らは二つ返事で了承する。
……あれ、私たちは?
「ちょ、ちょっと待ちなさい?私たちは?」
「あぁ、バートリーさんたちはどうぞ他の任務を受けてください。我々に付き合う必要はありませんから」
しれっとモモンガから遠回しに「お前らはいらない」と宣告される。その対応にイラつき、どうしてやろうかと思っているとバレアレが助け舟を出してくれた。
「護衛は多いに越したことはありません。どうぞアナタたちも参加してくれませんか?」
有難い。その言葉に私は了承し、モモンガへ向けてざまあみろと言う顔を向けてやる。こうして私たちはカルネ村付近への薬草採取の任務を受けた。
──────────==≡∧(∧ ˙◁˙)∧
道中は特に大した問題は無く、和やかなムードで進んで行った。そんな中、会話でモモンガがこの世界のあれやこれやを遠回しに聞いてくれたこともあり、この世界観をさらに理解する事が出来た。
その話の途中、ルクルットがナーベ、咲夜に何度もナンパを仕掛けていたのは少しだけ引いた。しかも、なぜ私は対象外なんだ。
「え、だって明らかに子供じゃないの」
私はルクルットに1発殴っても文句は言われない権利を得た。
「言っておくけど、身体がその子供の頃に成長が止まったおかげで今も若々しい姿でいられるのよ」
イラつきを必死に隠しながら皮肉と毒をルクルットへ投げつける。
そんな和やかな会話をしていると、おちゃらけていたルクルットが唐突に真剣な眼差しになり、指を立て唇に当てた。どうやら敵…オーガとゴブリンの群勢が寄ってきているみたいだった。
そこからの漆黒の剣の対応は素早く、リーダーが的確に指示をし、戦闘の準備を整えていく。
「では、私は敵の懐に入り込んで暴れ回って来るわ。ジャックは群れの背後に回り込んで奇襲して頂戴」
こうして戦闘が始まる。手始めにルクルットが敵群の目の前に弓矢を放つ。そしてニニャがペテルに防御魔法をかけ、ゴブリンを切り伏せる。
ルクルットは弓矢で敵の頭を狙い放つ。百発百中とまでは行かないが、かなりの精度で刺さっていた。
「さて、久々の蹂躙と行こうではないか」
モモンガ、ナーベ、そして私はオーガの群れへとゆっくりと歩を進める。ある程度距離が詰まった所で私は思い切り足に力を込め、地面を蹴った。
足のあった位置は抉れ、一面原っぱだったのにも関わらず、小さな足跡が土で出来ていた。
目にも止まらぬ速さでオーガの懐へ入り込み、装備した爪武器で腹部を掻っ捌く。単なる人間と比べれば硬い皮膚であり、威力こそ弱ければ簡単には傷のつかないオーガの肌ではあるが、相手はユグドラシル上上位に入るプレイヤー。簡単にオーガの腹部は裂け、大量の血液と傷ついた臓物が地面へと落ちていく。
オーガの血が豪雨のように私へと降り掛かるが気にしない。次の獲物へと目を向け、走る。
次…その次……一通りオーガを狩り尽くす頃には私は血みどろに衣服が汚れていた。
「うぇ…ベチョベチョ。ジャック?着替えを用意して頂戴」
「かしこまりました」
頬に血を着いた咲夜が現われ、ぺこりとお辞儀。彼女も逃げていったオーガやゴブリンを狩る作業をしていた様で、私ほどではないが多少汚れていた。
「凄いですね、モモンさんもバートリーさんもまさかあれほどとは思いませんでした」
ニニャがそういうと漆黒の剣はその言葉に同意をして次々に思っていたことを口にする。中には自分らがまだまだであると痛感させられたというやつもいた。モモンガがそれをフォローしていたが、確かに彼らのチームワークを見れば直ぐにこんな群れは簡単に狩れるようになるだろう。
今日は夜営という事でテントを立て、夕食を作り現在は出来上がったものを食べながら談笑をしていた。
咲夜がいたこともあり、キャンプで作ったものとは思えない程の良い出来で料理が出来上がった事もあり、皆非常に喜んでくれた。しかしモモンガとナーベは食べる様子はない。
確かに、モモンガは骨身だから食べようとすると全てダダ漏れになるよなぁなんて思いながら、どうやって断るのだろうかと思いみていた。
「宗教的な理由で、生命を奪った日の食事は4人以上で食べてはならないというものでして」
意外な言い訳に思わずスープが気道へと入り込んでしまい、スープを吹き出し、むせてしまった。
「ほ、ほう…変わった教えを信じておられるのですな」
その言葉に面白味が拍車をかけ、咳と笑いで過呼吸になりかけてしまう。咲夜が何とか落ち着かせようとしてくれているが、しばらく落ち着く事はできないだろう
しかし、漆黒の剣を見ているとまた皆でワイワイと冒険に出たくなる。落ち着くことがあれば、誘ってみるとしよう。
モモンガも少なからず仲間とまた…と思っていた様で、アインズ・ウール・ゴウンの話をし始めた。しかし、全て過去形だったため、何かを察したニニャが気を使い、またそれに匹敵する仲間が出来ると言った。それをモモンガは否定し、キャンプから少し離れた所へと行ってしまう。
「ニニャの言いたいことも分かるが、あの言葉は『昔を忘れて今の人とより親交を深めようよ』と言っているようなものだ。まあ、私は過去の奴らをズルズル引きずっているアイツの事は理解出来ないがね」
ニニャがモモンガに冷たく接されたことに落ち込んでいたため、私がフォローへはいる。確かにニニャの言葉にも多少ムッと来るところがありはするが、彼なりに気を使ったのだ。それを汲み取らないのはモモンガが悪い。
それから、モモンガの強さの話題となり、彼は冒険者の中でも最上位に位置するアダマンタイト級ではないかと言う話になった。
「あら、じゃあ素早くオーガの命を狩りとった私はどれ程の実力なのでしょうね?」
くすくすと優雅に笑い、咲夜に淹れてもらった食後の紅茶を飲みながら話へはいる。
「バートリーさんもかなりの上位級な実力でしょうね。アダマンタイトまで行くかは…分かりませんが」
この私がモモンガよりも下というのか。ムッとした顔で
「そこはお世辞でもアダマンタイトくらいの強さって言ってくれてもいいのじゃないかしら?」
とむくれた顔で言ってやった。そんな中、バレアレレはモモンガについて詳しく聞き出していた。私は少しだけその行動に引っ掛かりを覚えたが、そこからの恋愛話に私は呆れてしまった。
今後もくっそ遅いですが投稿はしていきます
それはそれとして、誤字脱字をこれより修正して行きます
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ユグドラシル設定:レミリア・スカーレット編
話よりも設定が浮かんでしまったためお茶濁しに投稿します
投稿名を公開致しました。生存確認を取る場合そちらをご覧下さい
名前:レミリア・スカーレット
種族:異形種(吸血鬼)
分類:プレイヤー
異名:永遠に幼き紅い月、赤い悪魔
役職:クラン名『紅魔館』の設立者、クラン主
住居:紅魔館3Fで1番大きな室内
属性:中立~悪 カルマ値[-10]
種族レベル30
ヴァンパイア「吸血鬼」-Lv10
ヴァンパイア「古種吸血蝙蝠」-Lv10
他ヴァンパイア系統-合計Lv10
職業レベル70
ワルキューレ/ランス-Lv20
カリスマ-Lv5
シューター-Lv5
魔術師-Lv5
ほか-Lv35
サブデータ
誕生日:不明
身長:不明(目測で120~135cmと思われる)
体重:不明
性別:女
年齢:肉体年齢500歳(精神年齢20代)
趣味:アフタヌーンティー
作成NPC:妖精メイド、愛玩動物のチュパカブラ
備考:転生前の名前は真紅麗美
能力値
HP:高い
MP:やや高い
物理攻撃:非常に高い
物理防御:高い
素早さ:最速
魔法攻撃:非常に高い
魔法防御:高い
総合耐性:やや高い
特殊:非常に高い
概要
レミリア・スカーレット(真紅麗美)は、本作「紅魔のオーバーロード」の主人公である。
現実世界では20代の身でありながら大学教授を務めていた。専攻は人類学を主としているものの、22世紀になると、過去の歴史は社会科の授業ではオマケ程度の内容。というのも21世紀に比べて情報社会がかなり発達、インターネットさえあれば日本史のあれこれは全て知ることが出来る。さらに全ての歴史を知る必要は無いと現代日本の教育方針により歴史の授業はほぼ廃止、その結果専攻している生徒は2人しかいない。
2人だけという事もあり、教えられる事を生徒に全て教えてしまい、毎度の授業時間にする事がなくなってしまう。しかし単位のために授業は行わなければならない。その結果「もう単位はあげるから授業時間中ネトゲで遊ぼう」と提案したこの物語のきっかけを作った張本人。
この22世紀の現状、ブラック企業が蔓延り、外の空気もガスマスクを装着していないと出ることが出来ない状況から、大学教授や大学生はかなりのお金持ちである筈である。その為か、最終的に妹1人と親友1人も巻き込み、ユグドラシルにのめり込んで馬鹿ほど課金。クラン「紅魔館」が少人数であるにも関わらず人外系クラン上位に食い込み、アインズ・ウール・ゴウンに匹敵するほどに力を持つ事となった。
性格は自由奔放で自分自身が楽しむこと第一。そんな性格からか友人は殆ど出来ない。
ユグドラシルでは主に前衛のアタッカーをしている。世界級装備である「神槍グングニル」を主な武器として使用。個vs個においては持ち槍として使用するが、個vs多の場合、槍に様々なバフを付与し投槍として使用。かつて人外系クラン全てを相手取って3000弱の人間系クランが襲撃した際に投槍グングニルが活躍、それ以降これが伝説となりユグドラシル内で「モーゼの奇跡を起こした女」と有名になった。
戦法は槍だけではなく、シューターとして遠距離攻撃も得意としている。周りに弾幕を張り、敵を近づけさせない、そして近づいてきた敵はグングニルで貫く、そんな戦法である。
お茶濁しでした。思い着き次第、概要内容がどんどん増えていくかと思われます。気にしないでください
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ワクワクしていたのに期待を裏切られた時の絶望感は半端ない
翌朝、ニニャがモモンガに昨晩の件について謝罪はしたものの、昨日とは打って変わって会話は全くと言っていいほど弾まず、無言の状態で歩いていた。
私はというと、日傘を差しながら漆黒の剣グループ寄りにいる。一応隊列を組んではいるものの、開けた道のため全くと言っていいほど意味が無い気がする。つまりは退屈なのだ。話題が振られない、話題も振れる空気ではない、そして歯ごたえのある敵も出てこない。
緊張を常に張り巡らせているのなら話は別だが、ここら周辺に私やモモンガに匹敵する敵が存在するとも思えない。そうなってくると、やはり他愛はなくとも会話をしたくなる。
「しっかし、こうも開けていると隊列を組んだ意味なかったかもなぁ」
私と同じく、ルクルットが沈黙に耐えられなくなったのか話し始めた。しかし他の連中はルクルットの楽観的感覚を注意する。
「可能性が低いとはいえ、ドラゴンが突然襲いかかってくることがあるかもしれないですし」
ニニャがドラゴンについて話し始める。なんでもエ・ランテル近郊には昔、天変地異を操るドラゴンがいたとの事。すると、モモンガもそのドラゴンに興味を持ったのか話題に入ってきた。どうやらこれで昨晩からのギスギスは解消したらしい。
「ドラゴンといえば、私の友人に竜人なんて呼ばれている種族がいるわね」
「竜人…ですか。それがドラゴンとなんの関係が?」
話し出したニニャが私の発言に疑問を浮かべる。
「私の出身地ではドラゴンを竜と呼ぶのよ。と言っても同じ意味ではあるけど括りとしてまだ違ってくる龍なんかもいたり、ここらで出てくるドラゴンとは姿が異なるだろうけれどね」
ああ、こっちではドラゴニアンなんて言うべきだっただろうか。思い付きで言ってみたら納得をしてくれた。
「まぁ、実際にドラゴンと人のハーフだなんて思ってないわ。外見にドラゴンの成分が欠片も無いんだもの」
私がくつくつと笑う。これを皮切りに、ドラゴンについての話題から種族についての話題へと変わっていった。
どうやらこの世界において外見が人間な者以外は動物と括っている様で、種族間のハーフは見ないらしい。それ以前にそんな事をして子供が出来るわけないなどとも言われている。
しかし伝承などにおいてはよく見られているため、外見が恐ろしく人間に近い、もしくは自分自身を変化させて人間に擬態しているなどという仮説も出てきた。
そんなこんなでカルネ村が見えてくるとバレアレはカルネ村の異変に気がついた。
「あれ…?あんな囲い、前来た時は無かったんだけどな…」
カルネ村の周辺に丸太、石レンガで造られた囲い…いや、砦のようなものが出来上がっている。
不審がって警戒をしながらカルネ村へ向かう漆黒の剣とヴァレアレ。私はというと久しぶりに会う美鈴の頑張りっぷりに、なんと感謝を言おうかと考えていた。
カルネ村の門手前で角笛による効果で召喚されたゴブリンと一悶着、と言っても検問のようなものがあったものの、私と咲夜の顔を見るや否や「レミリアお嬢様だ…」「お嬢様が帰ってきた!」とざわめき出す。確かに村の復興を多少手伝ったとはいえ、ゴブリンにまで顔が認知しているとは思いもしなかった。しかし、そのおかげもあり皆無事に村へと入る事が出来た。
「なあ、バートリーさん。さっき、あのゴブリンたちに『レミリアお嬢様』なんて呼ばれてたけど…」
やはりツッコまれるか。モモンガらはともかくとして、漆黒の剣組らはやはり不信感を持たれてしまった。
「あら、私はここの地主(という設定)よ?だけどお嬢様生活ってつまらないのよ、だからスリルも満点でずっと新鮮な新しいを見つけられる冒険者を始めたのよ」
名前はあくまでも偽名で、お嬢様だとバレないようになんて適当を言っておいた。
「それじゃあ、私らはここの古い友人を訪ねてくるから。採取へ向かう時は呼んで頂戴」
そして皆に一言、そう言って美鈴の元へと向かった。
──────────==≡∧(∧ ˙◁˙)∧
「あ、お嬢様に咲夜さん。お久しぶりです!」
「ええ、久しぶりね。そっちは…あの砦のような壁を見ればわかるわ。順調そうね」
「ええ、大学でお嬢様教授に教わったものを生かした結果がこれです!」
ドヤ顔で、胸を張りどうだ私の成果はと言った具合に自慢をしてきた。またしばらく村を見ないでいたら家まで石レンガで建てられそうな気がする。
「有難いことこの上ないわね。今後はこの村を拠点とするのだから、村ではなく、町…街らしくしてもらわなきゃよ」
頑張ってと一言伝え、一人一人知っている顔に挨拶をしていく。一通りそれを終えると、大分時間が経っており皆んな多少ではあるが旅の疲れを癒すことが出来ただろう。
「では、ここから警護をよろしくお願いします」
森の中での薬草採取が始まった。
「まあ、モモンさんにお嬢様がいれば大丈夫だと思いますけど」
「お嬢様って呼ばないでくれるかしら?あくまで今の私は『冒険者、紅い悪魔のバートリー』なのよ」
ペテルが私のことをお嬢様呼びに変えてきた事に私は多少の怒りを感じ、これまで通りバートリー呼びして欲しいと言った。
しかし貴族であることが緊張を与えてしまい、皆に「これまで通りバートリーさん(ちゃん)はちょっと失礼だと思う」とまで言われた。
腹いせにモモンガに物理貫通の腹パンをしてやった。さすがに悶えてしばらく動けなくなってしまい、付き人に睨まれたがヘラヘラ笑ってやった。
森の中でのあれやこれやは大したことは無かった、何故か巨大なジャンガリアンハムスターが森の賢王をしていた以外は。
モモンガが森の周りを歩きながら守護者を呼び、森の賢王を怒り狂わせ、力を見せつけ、手懐けていた。なんというか、なんというのだろうこの感情。森の賢王と言うくらいだから、もっと勇ましいというか、厳つい姿を想像していたのに…
非常に拍子抜けで、期待外れで、興が冷めてしまった。咲夜に紅茶を淹れてもらい、椅子も用意してもらってモモンガとハムスターとのワクワクしない戦闘を眺めている。実につまらない。
「この人には勝てないと分かった。だがそこの呑気に紅茶を啜っている奴に対しては、某は負けぬぞ!」
うわ、こっちに矛先が向いた。ジトりとした目でハムスターを見つつ「咲夜」と一言。「承知致しました」と咲夜が言うと瞬時にその場から姿を消し、ハムスターに跨って首筋にナイフを突き立てた。
「アナタ程度の獣風情に、お嬢様は興味の欠片もないとの事です。どう致しますか、大人しく負けを認めるか、反撃しようとして死ぬか。お選びくださいまし?」
流石のハムスターも自分の命を選び、完全に戦意喪失。モモンガが森の賢王を配下に置くとして話は終わった。
「すごい…なんて立派な魔獣なんだ!」
……は?この時、モモンガと私は同じ反応をしただろう、恐らく咲夜も。どう足掻いても愛玩動物にしか見えず、私はあからさまに困惑した表情を出してしまう。モモンガは防具で顔は見えない、咲夜もポーカーフェイスで表情を読み取れないため、私にだけオカシな感性を持っていると思われてしまった。
モモンガがハムスターを手懐けたとなると、この森にナワバリが無くなる。バレアレはカルネ村の今後について心配をしている様子だった。
ハムスターからの返答は「その可能性はある」らしく、それを聞いたバレアレは不安げな顔つきになる。
「で、でしたら…僕をアナタのチームn…「あら、その必要はないわよ?」
バレアレの言葉を遮るように私が話し出す。
「私はここの土地を間借りさせて貰っているのよ、それならばその恩を返す為に村に貢献をするのは至極真っ当な事じゃあないかしら?ねえ、そう思わない、咲夜?」
「はい、お嬢様の仰る通りにございます。襲撃の際は美鈴が対処するかと思われます」
その言葉にバレアレは納得し、私へ感謝の一言を発した。
どうしても助けたい人が、原作にはいるのですが、私の未来決定論?ドラえもんでいう東京大阪理論ではどう足掻いても死ぬので胸が痛くなりながら執筆しています。
…すまんな、漆黒の剣たち
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