QS-00 (丁寧な乱暴者)
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ども。前書きって何書けばいいんだろ、、、?
小説自体初めてだから書き方とかも手探りだったし結局投稿に至るまで結構かかった気がする。取り敢えずこれを読んでる皆さん、この小説のタイトルをクリックなりタップなりしてくれてありがとうございます!楽しんで頂ければとても嬉しいです!楽しめないのなら全然ブラウザバックしていただいて構わないです!


ポツポツと点在する街灯、それに群がる蛾達。ネオンの輝きが遠目にぼんやりと、まるで蜃気楼のように映り、漂うのは都会の埃くささ。そしてその埃臭さを搔き消すように沸き立つ鼻をつく血の匂い。真っ赤に濡れた人気のない住宅地の路地でそれは夜空を見上げて立っていた。

白いロングコートに灰のような髪。そして赤黒い右眼。形は人間であるはずなのに人間離れした風格。果てしなく綺麗なそれは無言で星のない夜空を見つめ続けた。

 

 

 

 

芦名 雅 Qs−00

天敵である喰種の機能を人間に組み込んだ新設実験体集団、クインクス(以降Qs)を実戦投入するために作成された試験体。赫包を取り込み、フレームを段階ごとに下げていった結果、フレーム2からフレーム1へと変更したときにRC値が異常増殖。そして18000まで上昇したが、18000を目処にRC値は安定。しかしその三週間後RC値は下降。さらにその三週間後、RC値は0になり、完全に反応はなくなったかと思われたが数時間後、30000を越える異常なRC値と両目に赫眼、そして赫子を確認。以降彼の意思で自在に変化するようになったRC値とこれほど急激なRC値の変化を経ても尚自我が存在していることからRC細胞に対して喰種以上に適応したと考え、廃棄される予定を変更。様子を見て可能であれば条件付き実戦投入。

 SS+レート喰種と同等、若しくはそれ以上の力を持つと考えられる為、もし暴走の予兆が見られた場合は殺害対象喰種として迅速に殺処分(現段階においてQS-00が暴走する可能性は極めて低いと推測)

 

追記 有馬班からクインクス班への配属が決定。

 

 

 

 

 

「こっちの荷物まとめ終わりましたよー」

 

背後から聞こえる聞き慣れた女性の声。寂しくなった部屋を見回していた自分は声の方向へと向かいピンク色の髪の女性に缶コーヒーを投げた。

 

「ありがと。ハイル」

 

「でも急に異動なんて、どうしたんですかね?」

 

「さぁね。まぁでもほら、これだからじゃない?」

 

紫から赤黒くなった片目を指差してみせる。なんとも言えない苦笑いを浮かべた(ハイル)は投げられた缶コーヒーを開けた。

 

「でもこういったらダメですけど真戸班なんかでミヤビを扱えきれるんですかね?」

 

「それは俺も思うよ」

 

ほんのりと笑みを浮かべながら言う(ミヤビ)

 

「ミヤビが暴走しちゃった時に止められる人がいるの思えませんしね。しかもミヤビって案外頑固なんですよねー」

 

「頑固ってどうゆうことだよ」

 

そしてむっとした顔になる。ほんの些細な表情の変化を読み取ったハイルはそれを見て笑った。

 

「まぁ頑張って下さい」

 

「うん。頑張るよ。そっちも頑張って」

 

親しいものにしか理解できない本当に些細な変化でも感情によって変わる表情、それは人ならざる怪物のものではなく紛れも無い人間の姿だった。

 

 

 

 

「あっ。ミヤビくん!今日から君のメンターになる佐々木排世です!よろしくね」

 

そうして物語は始まる。

 

 

 

 

 

 

 




今回は設定&導入という形にさせていただきました!本編に入るのは次回からで!それではありがとうございました!


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しmove

 暗い道にバイクの音が響く。

 

「よぉこんくらい飛ばしちまっていいのかぁ!?」

 

「大丈夫。事故っても再生できるし」

 

 陽気な声の男の運転するバイクは風を切り裂き、法定速度を何キロもオーバーして進む。

 

「おぉ見えてきたなぁ!」

 

「瓜江くん単独行動はよくない」

 

 バイクの後ろに乗るのは灰色の髪の青年。彼は丸眼鏡を指で上げて、右手に持ったアタッシュケースを開いた。たちまち、アタッシュケースから不可解な物体が出てきて、それは歪で美しい大きな弓となった。そして灰色の彼は弓の弦を慣れた手つきで引く。弓は弦を引くうちに煌々と妖しく、紫に光る螺旋の矢を形成してやがてそれは仕留めるべく標的の元へと音もなく、銃弾より疾く空中を駆け抜けた。

 バイクは急ブレーキで止まる。彼はバイクから降りると、自分が射抜いた標的に目を向けた。矢は標的の左肩を貫通して左腕を跳ね飛ばしたあと地面をも貫いたらしく、輝きを失って地面に刺さっていた。

 

「うーりーえーくーん」

 

バイクを運転していた彼は標的の横にいる青年、瓜江に絡む。

 

「芦名一等、シラズ三等、貴方方の攻撃が掠ったんですが」

 

「射線に出てきた君が悪い」

 

 そう話しているとうずくまっていた標的が急に声を上げ、触手のような物体、赫子を蠢かせてシラズを刺した。

 

「ごぉあああああ!」 

 

呆気なく死んだ。瓜江と芦名と、シラズの亡骸を軽蔑するように見下す。

 

「次はお前だ」

 

そして何事も無かったかのように悲しむ様子もなく瓜江は素手で標的へと立ち向かう。標的の左腕は無いが、その目は赤黒い色に染まり戦う意志に満ちている。

 

「素手で何が出来る!!」

 

飛びかかってくる瓜江を前に標的は赫子をうねらす。そして切り掛かろうとしが瓜江はそれを素手で掴んだ。驚愕した顔で瓜江を見る標的。彼の視界には片目を自分と同じように赤黒く染めて、肩から大きな剣のような赫子を生やして大きく振りかぶった瓜江、そして自分の赫子に刺されて宙ぶらりんになった状態で中指を立てる不知。

 

「喰種!??」

 

同種なのか。それともニンゲン(捕食対象)なのか。思考が乱れ、気づいた時には標的の腹は大剣に貫かれていた。

 

「オレの手柄だなぁ!」

 

「は?ふざけるな。こいつは俺があぶりだした喰種だ。」

 

そう瓜江と不知が言い合ってるのを尻目にしていると突如、迫る気配を感じて当たらないように身を引いた。

 標的の最後の一撃で放たれる赫子、そしてそれを押さえつけるようにして真上から垂直に剣を刺すもう一人の捜査官。白と黒の不思議な髪色が揺れる。

 

「油断しない」

 

安心なのか焦りなのか変な汗を拭いながら彼は立ち上がる。標的は死んでこそいないもののもう立つことも出来ないようだ。

 

「トドメやります」

 

「駄目だ。必要以上に痛めつけないって喰種対策法でも決められてるでしょ。聞き出せるかもしれないんだし。それよりも!単独行動はダメだって言ったでしょう!」

 

瓜江の提案を即座に拒否した拝世に呆れた様子で瓜江と不知は歩き出す。雅はその場に残って拝世の方に振り向いた。

 

「ミヤビ君も!単独行動は良くないよ!」

 

「ずっと不知くんのバイクに乗ってた」

 

「そうだったの?」

 

拝世の近くにいる捜査官、自分達と同じクインクスの六月に頷く。

 

「はやく帰ろ。お腹空いた」

 

「そうだね」

 

雅は拝世達にそういうと彼等も同感のようで歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 



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