仙人もどきが異世界から来るそうですよ? (ラッコ21号)
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仙人もどきは異世界に

妄想が爆発してしまい思わず書いてしまった・・・

反省はするが後悔はしない!

ちなみに最初のキャラ達の性格は想像に近いものなので原作と違っても石を投げないで下さい!

宜しかったらご覧下さい!それではどうぞ!




妄想が爆発してしまい思わず書いてしまった・・・

 

反省はするが後悔はしない!

 

宜しかったらご覧下さい!それではどうぞ! 「シッ!!」

 

ズシャャン!!

2人の男が激しい闘いを繰り広げていた。

一方は涼しい顔で刀の音とは思えない音を立てながら刀を振る男。もう一方はヘラヘラ笑いながら刀を何かしらの力で受け流しているアロハシャツを着た男。

「そろそろ大人しく斬られろやコラァー!」

ガキッン!

「はは!だったら当ててみろよ?ああ?」

ギンッ!激しい音を立てて両者が離れる。

「・・・やってやるよ。今度はよけるんじゃねぇぞ帝釈天様よ!」

そう、アロハシャツのこの男は帝釈天、別名インドラと言われる最強の闘神である。それに対するこの男はただの人間。正確には元人間の現仙人である。様々な事情があり人間から仙人へと転生を成すことができた才能の持ち主であるが流石に最強の闘神相手では攻撃は通じない。というか低級の神ですらこの男にしては攻撃を当てることが出来ないというほど別格であり、神ですらない仙人が闘えている時点でおかしいのである。そんな最強の闘神様、帝釈天に対してこの言い分である側から見れば嘲笑者なのだが・・・

「・・・纏、発!」

ドォォォンッと言う音と共に刀を持っている男の体が金色の光に包まれた。これはいわゆる気、仙術と言うもので普通は目視などできないものなのだが、この男の異常なまでの気の量がそれを可能としている。ちなみにこの男の使った纏とは全身の筋肉、骨に気を通し通常時の何倍もの動きを可能にすると言う至ってシンプルな技である。ちなみに技名を言うのは自分の使う技を意識するためである。

「すぅぅぅー・・・はぁぁ!!!」

キィィン!ガキッ!バキッ!

激しい剣撃がまるで嵐のように飛び交っている。だが、

「そらそらそら!そんなんじゃあ、いつまでたっても当たらねぇーぞ!」

アロハシャツの男は全ての攻撃をいなし、弾き、無力化した。

「ちっ!」

舌打ちを打ちながらまた一旦距離を取る。

「流石、腐っても闘神ってことだな。」

「いつも同じこと言ってるぞ?もう分かってんだろ?・・・あれ、使えよ。それしか俺には届かないぜ?」

その瞬間、刀の男の表情が変わる。やはりと言うような、分かっていたと言うかのようなそんな表情に。

「・・・結局こうなるか。分かっていたが、俺にはあれしかお前に届く技がないと改めて思い知らされると少し悔しいものだ。」

「おいおい、俺に届く時点で誇るどころか家宝にしていいレベルのものだぜ?何せ神ですらないお前の攻撃が届くんだからよ。」

アロハシャツの男がそう言い切り少しの間を置くと刀の男は刀を鞘に収めた。諦めたわけではない。己自身のみの力で放てる最強の一撃を放つための納めだ。

「・・・すぅぅぅぅぅ」

納めた刀の柄に右手を添えながら全身に行き渡すように深く、深く息を吸う。手足の指先の先の先、己の肉や骨の隅から隅に行き渡るように息を吸う。すると纏っている光がより濃くなってくる。

「ぅぅぅぅぅぅぅぅ、はぁぁーーーー」

限界まで吸うと一気に吐き出し脱力する。脱力し過ぎで体が前傾に倒れていく。どんどん倒れていき遂には地面と鼻がぶつかる寸前までいく。その瞬間男はその場から消えた。

そして瞬きの時間すら無くアロハシャツの男に肉薄した。

常人ならばそのまま地面とぶつかり転ぶだけだが、この男は実力のみで仙人に至った男である。この状態から相手に肉薄するなど朝飯前で、更には気の力と脱力からの加速も使っているため視認することが不可能なほどの速さを出している。このままタックルしても相当なダメージを与えられるがこの男の攻撃はここからである。添えられていた右手に瞬間的に力が入り、それと同時に体を捻り作っていたタメを解き放つ。流れるような動きで腰、肩、肘、手首を動かし刀身を引き抜く。そうして引き抜かれた刀身の速度は音速になる。これでも必殺の技と言ってもいいがまだだ、その刀身を力が逃げぬよう曲線の動きで振り、遠心力を刀の先端に全て乗せる。すると刀身は音速を超えまるで空間が斬られているが如く波打ち始める。空間を歪ませるほどの居合い斬り、これこそがこの男の最強の一撃。

「————天羽乃斬ッ!!!」

————————————-刀を振り切るが音はしない。あるのは手の平を斬られた男と刀を振り切った状態で止まる男がいるのみである。

「・・・ぷ、ハハハハハ!ったく何度見ても震えちまうくらいの居合いだな?」

アロハシャツの男は愉快そうにそう言うが刀の男は何も言い返せない。あまりの絶技ゆえ精神、身体共に極限まで使うため一撃のみで疲労困憊となる。

「はぁっはぁっ・・・はぁ〜〜、また手の平切る程度かよ!どんだけ硬いんだよお前の身体は!」

汗だくで喋るのも辛そうだが、あまりの悔しさにそう叫んだ。

「ハッ!仙人もどきでそれが出来る方がおかしいんだよ!それにお前、本気じゃねぇじゃねぇか。」

「本気も本気だったよ!嫌味か!」

「ちげぇーよ、アイツらとの技どころか最高出力を使ってねぇじゃねぇかよ?何で使わなかった?」

アロハシャツの男は真面目な顔でそう言ってきた。だから俺はこう言うしかない。

「・・・今が、鍛錬中だからだよこのバカ!鍛錬中に誰が本気で殺しに行くか?そりゃあ本気で戦うが殺し合いとはまた別だろ?そう言うお前だって反撃してこなかったじゃねぇか?」

「ハハハ!馬鹿はお前だ!俺が反撃したら一瞬で殺しちまうだろうが!」

「あぁ!?なんだともう一回やってやろうか!?」

「上等だ!来い来い!」

お互いがお互いを煽りヒートアップし、第2戦が始まる・・・かと思えたが

「・・・はぁ、やめやめ。気分転換に散歩してくるわ。」

そう言い残すと刀の男はアロハシャツの男の反応を待たずに何処かに行ってしまった。

「・・・ったく、勝手な野郎だ。」

「ほほ、丸くなられましたな。」

「あ?あぁ爺さんか。いつも気配消してくるんじゃねぇよ。」

「それは失礼。しかしあの帝釈天が子供1人にそこまで気にかけるとは、長生きはするものですな。」

「はっ子供ねぇ。あれを子供と言えるのは俺や爺さん、それとシヴァや超越者どものような化け物だけだ。よく考えろ、フェンリルの野郎をグレイプニルあれど単独でぶっ倒しやがった時点であいつは普通を卒業しちまっただろうが。」

「・・・酷ですな才能がありすぎるというものも。」

「あぁ酷だな。あの年で世界の頂が見えちまってるのもよ。薄々分かっちまってんだろうな、あと何千いや何百年もすれば俺も超えられちまうだろとな。・・・どんな気分だろうなあいつ、あの年でそんな事まで悟っちまうなんてよ。」

そうまだ消えぬ手の平の傷を見ながら言った。

———————————————————

「るらららららーら、ららるー」

適当な鼻歌を歌いながら散歩する。景色は綺麗で見ているだけで気持ちが洗われる。

「あー平和だなー。このまま茶を飲みながらぼーっとしたいものだ。」

少し前の俺なら言わなかっただろうそんな発言だが、今は少し落ち着いていいかと思っている。

「・・・手応えはあったが、まだまだ届かない。アイツですら敵わない奴がまだ何人もいる。遠い遠い頂きだ。」

半分嘘、半分本当の気持ちでそう言った。

「・・・半端とはいえ仙人なったから無断に時間があるし、それにこれ。」

ジャラッと手首についた黄金の腕輪が音を立てる。

「やる、とか言って渡されたけど、これ貰っていいのか?神具とかいう奴なんじゃあ。」

しばらくそれを見つめると近くの芝に寝転んだ。

「・・・あと一万年程度は生きられるんだっけか。イッセーたちもそれぐらい生きられるから嬉しいが・・・あまりにも時間が。」

武を極める時間が、気を高める時間が、力をコントロールする時間があまりにもありすぎる。

「・・・暇だ。・・・って何言ってんだ俺。」

まだまだやるべき事があるはずなのになぜか呟いてしまった。こんなこと聞かれたら帝釈天様や孫師匠にも折檻されてしまう。だがどうしても胸に空虚感が残ってしまう。

「・・・今度イッセーたちと気分転換に遊ぶかな。」

そう思い立ち上がった。するとパラっと一枚の手紙が落ちてきた。辺りを見回すが落としそうな人はいない。腰にある刀に触れ警戒しながら手紙を拾い、貼られている蝋を開ける。

「・・・『悩み多し異才を持つ少年少女に告げる。その才能《ギフト》を試すことを望むのならば、己の家族を、友人を、財産を、世界の全てを捨て、我らの"箱庭"に来られたし』・・・なんだこれ?」

何を言っているのか分からない。こんなもの見てないふりをして捨てるのが吉。・・・だが少しわくわくしてしまっている。どんな事が待ち受けているのか、どんな出来事が起こるのか。そう思いを馳せた、すると

「ん?な、何だ!?手紙が光ってウォォォォォ!!」

咄嗟に手紙を捨てようとしたが手から離れない!強制ってやつかよ!

シュン。

そんなことを思いながら刀の男、那岐命(ナギ ミコト)はその世界から姿を消した。

 

 

 

『WELCOME TO THE NEWWORLD』

 




続く・・・のか?


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完全無欠に異世界・・・なのか?

どうもラッコ21号です!

取り敢えず二話目を投稿したいと思います!
基本的には原作に沿って書いていきたいと思います。

良かったら評価などをしてもらえますと作者的嬉しいのでしてもいいという方がいらっしゃいましたらよろしくお願いします!

それではどうぞ!


───箱庭二一〇五三八〇外門居住区画 、第三六〇工房 。

「 ・・・うまく呼び出せた ?黒ウサギ 」 「・・・みたいですねえ 、ジン坊っちゃん 。」

黒ウサギと呼ばれた十五 、六歳に見えるウサ耳の少女は 、肩を竦ませておどける 。その隣で小さな体軀に似合わないダボダボなロ ーブを着た幼い少年がため息を吐いた 。黒ウサギは扇情的なミニスカ ートとガーターソックスで包んだ美麗な足を組み直し 、人差し指を愛らしい唇に当てて付け加える 。

「まあ 、後は運任せノリ任せでございますね。彼らにはどうにか素敵な場所だと取り繕い協力していただかなくては!」

「そうだね。じゃあ黒ウサギ、何から何まで任せて悪いけど、彼らのお迎えお願いできる?」

「YES!任されました!」

そういうとピョンと椅子から飛び降り工房の扉に手をかける。すると少年は不安そうに聞いてきた。

「彼らは、僕達のコミュニティを救ってくれるだろうか。」

「・・・それは分かりません。けれど"主催者"はこれだけは保証してくださいました。」

くるっとスカートを靡かせながら愛らしく笑いこう言った。

「彼ら4人は人類最高峰のギフトの持ち主だと!」

———————————————————

あぁ風が気持ちいい。まるで空を自由落下してるような気持ち良さだ。・・・してるなこれ。

そう思い封筒の光に眩んでいた目をゆっくりと開ける。するとそこは本に書かれているようなファンタジーな世界が広がっていた。世界の果てを思わせる断崖絶壁。巨大すぎる天幕に覆われた都市。目の前に広がる世界は完全無欠に異世界・・・なのだろうか?

「何処だここ?異世界じゃあないだろうし、天界・・・とも違うし、冥界がこんなに明るいわけないしな。うーんまさかあの極悪堕天使長様がまたなんかやらかしたか?」

那岐がいた世界も大概ファンタジーだった為驚きはあまりなかっただが

「・・・綺麗な景色だな。これがあの堕天使長が作った場所なら褒めちぎるところだが、あの人のセンスは感じないし。もしかして・・・本当に違う世界に来たか?」

帝釈天が言うには異世界というものは存在するが行くことができないものだと言っていたが、ここは色々考えたが違う世界と考えるのが一番しっくりくる。

「・・・ていうかこんな高いところから落ちてるってのに落ち着いてる自分が嫌になる。」

色々あった。本当に色々あったのでこのぐらいでは動じなくなってしまった。

「さてそろそろ池に着くかな。緩衝材になるか怪しいが水面に膜っぽいものが何層もあるが魔術かなんかか?」

大丈夫な気がするが、一応纏を使い体に気の鎧を作っておく。

「3、2、1、ドボーン。」

とはいかず、ポチャンという水溜りに入ったかのような小さな音がした。

「はぁーあの高さから落ちて、この程度で済むのか。凄いもんだな。・・・ん?猫が溺れてる。」

バシャバシャと猫が溺れている。それに気づくと足裏に気を貯め水中を蹴ると、猫に素早く近づき抱え上げる。

「よっと大丈夫か?」

『じぬがどおもだ』

「よしよし、無事でよかったな。」

無事を確認すると心の中で少しホッと息を吐いた。

「三毛猫!」

すると少し先から声がし、こちらに向かって来ている。どうやらこの猫の飼い主のようだ。

「見た感じ大丈夫そうだから安心しろ。」

そう言い猫をその飼い主であろう女の子に渡した。

「良かった!ごめんね、手を離してごめんね。」

『気にしないでくださいなお嬢。』

「うん。・・・ありがとう三毛猫を助けてくれて。」

「当たり前のことをしただけだから気にするな。」

溺れてる動物がいたから助けただけだしな。

「・・・私、春日部耀。貴方は?」

「ああ、俺は那岐命。よろしく頼む、えーっと春日部でいいか?」

「・・・うん、私も那岐って呼んでいい?」

「OKだ。」

「し 、信じられないわ !まさか問答無用で引き摺りこんだ挙句 、空に放り出すなんて ! 」

「右に同じだクソッタレ 。場合によっちゃその場でゲームオーバーだぜコレ 。石の中に呼び出された方がまだ親切だ。 」

「いえ 石の中に呼び出されては動けないでしょう?」

「俺は問題ない 」

「そう 。身勝手ね 」

春日部と話していると向こう側に人のこえがした。

「・・・向こうにも人がいる。」

「そうだな。取り敢えず合流するか。」

「うん。」

そう言うと池を出る。すると横で春日部が服をギュッと絞っているのに気づいたので少し目線をそらす。

「・・・那岐は服絞らなくていいの?」

「ああ、俺は濡れてないんだ。」

そう言うと纏を解いた。纏は鎧にもなるし、能力も上げてくれるし、雨風をしのげるからとても便利で助かっている。

「・・・那岐も不思議な力があるの?」

「那岐も?春日部は何かあるのか?」

「うん、あるよ。」

「どんな力なんだ?」

「・・・秘密。」

「ガクーン!」

春日部は案外お茶目なようで秘密にされた。

『なんだか今日のお嬢はえらく饒舌ですな!』

「そう、かな?那岐が話しやすいからかも」

「普段はあまり喋らないのか?」

「うん、」

「ちょっと私達を無視するなんていい度胸じゃない。」

春日部が何か言いかけるが、途中で遮られてしまった。どうやら向こうから来てくれたようだ。

「悪い悪い無視はしてなかったんだが、おしゃべりが楽しくてな。俺は那岐命、しがない一般人だ。でこっちが」

「春日部耀。以下同文。」

「私は久遠飛鳥よ。よろしくね春日部さん、那岐くん。・・・そして私の後ろにいる野蛮で凶暴なそこの貴方は?」

そこでふと久遠の後ろを見ると炎のエンブレムが目立つヘッドホンをつけた金髪の高校生が立っていた。

「高圧的な自己紹介をありがとよ 。見たまんま野蛮で凶暴な逆廻十六夜です 。粗野で凶悪で快楽主義と三拍子そろった駄目人間なので 、用法と用量を守った上で適切な態度で接してくれお嬢様。 」

「そう 。取扱説明書をくれたら考えてあげるわ 、十六夜君 」

「ヤハハ 、マジかよ 。今度作っとくから覚悟しとけよお嬢様 」

心の底からケラケラ笑っている逆廻十六夜。

傲慢そうに顔を背ける久遠飛鳥。

腕に抱いた猫と遊んで我関せずの春日部耀。

その様子をニコニコ見ている那岐命。

そんな彼らを物陰から見ていた黒ウサギは思う 。

(うわぁ ・・・なんか問題児ばっかりみたいですねえ 。ですがお一人は常識人ぽいですので、その方をまず味方にすることから始まりですかね。・・・腰に刀を差してますが)

召喚しておいてアレだが ・・・彼らが素直に協力する姿は 、客観的に想像できそうにない 。黒ウサギは道のりの長さに陰鬱そうに重くため息を吐くのだった。

———————————————————

少し先の木陰からため息が聞こえる。おそらくここに俺たちを呼び出した張本人だろうが、呼び出した奴らが問題児ぽいから途方にくれているのだろう。くわばらくわばらっと。

「で 、呼び出されたはいいけどなんで誰もいねえんだよ 。この状況だと 、招待状に書かれていた箱庭とかいうものの説明をする人間が現れるもんじゃねえのか ? 」

「そうね 。なんの説明もないままでは動きようがないもの 」

「・・・この状況で落ち着いてるのもどうかと思う。」

木陰から『パニックになってくくれば出やすいものを!』という念が伝わってくる。

「・・・仕方がねえな 。こうなったら 、そこに隠れている奴にでも話を聞くか ? 」

俺が木陰からの念に気づかないふりをしているとふと十六夜がそう言った。

「なんだ貴方も気づいてたの?」

「当然だ、かくれんぼじゃあ負け無しだぜ?そっちの猫抱いてるやつと刀を差してる奴も気づいてたんだろ?」

「・・・風上に立たれると嫌でもわかる。」

「・・・へぇ面白いなお前。」

「・・・ナ、ナンノコトカサッパリダ。」

「おいおい、とんでもねぇくらい片言だぞ?」

そう俺の言葉に返答をするが、目線は俺を向いておらず少し殺気だった視線で木陰の方を見ている。他2人も同じような感じである。俺は可哀想なので苦笑しておく。

すると木陰の気配は意を決したかのように飛び出してきた。出てきたのはミニスカートとガーターベルトをつけた可愛らしいウサ耳を付けた少女だった。

「や 、やだなあ御四人様 。そんな狼みたいに怖い顔で見られると黒ウサギは死んじゃいますよ?ええ 、ええ 、古来より孤独と狼はウサギの天敵でございます 。そんな黒ウサギの脆弱な心臓に免じてここは一つ穏便に御話を聞いていただけたら嬉しいでございます? 」

「断る」

「却下」

「お断りします。」

「はは、容赦にないなお前ら。俺はべつにいいけど。」

「あっは!取り付くシマもない・・・き、聞いてくださいますか!」

「あ、あぁいいけど。」

作り笑いから一転驚いた表情で俺にそう言ってきた。あぁ問題児だらけかと思ったらまともそうな人がいてよかった!って思いが痛いほど伝わってくる。さっきからそんな感情ばかりだから苦労していることがひしひしと伝わってくる。

「うう〜こんなお優しい方が来てくださるとは!」

黒ウサギは涙ぐみながらそう言った。その表情に苦労してるんだろうなぁと思っていると

「えい」

「ブギャ!」

春日部が黒ウサギの耳を力一杯引っ張った。

「ちょ 、ちょっとお待ちを !触るまでなら黙って受け入れますが 、まさか初対面で遠慮無用に黒ウサギの素敵耳を引き抜きに掛かるとは 、どういう了見ですか ! ? 」

「好奇心の為せる業 」

「自由にも程があります ! 」

「へぇ本物なのかこの耳。」

「私も触りたい。」

・・・はぁ、しかない。効果があるか分からないが、

「ちょ!ちょっと待ーーーー」

パンッ!

「「「「ッッ!??」」」」

「はいはいそこまで。話が進まないから一旦落ち着こうな。黒ウサギ話を進めてくれ。」

「うぅ〜。で、ですがこのお三人方が、」

「ちっ!しゃあねぇな。」

「え!」

「ま、少し大人気なかったわね。」

「えぇ!」

「・・・ちょっとだけなら聞いてあげる。」

「えぇーーー!!いきなりどうなさったのですか御三人様!!?」

「別に。ただそんな気分じゃなくなっただけよ。文句ある?」

「い、いえ!黒ウサギ的には大歓迎です!」

黒ウサギは耳を掴まれた状態でそう言った。

(・・・少しは効果があったようだな)

今3人が引き下がったのは単に気が変わった訳ではなく那岐が行なった拍手、正確には柏手が行われたからである。勿論そのまま行なっただけでは効果なんて微塵もないが、那岐が気を込め叩いたことにより柏手の邪気を払う効果が高められ、結果的に副次的効果で精神を落ち着かせることができた。

(効果があるか賭けの部分もあったが効いてよかった。・・・でもまぁ)

「それでその〜耳を離してもらえませんか?お話がしにくいのですが。」

「それとこれとは」

「話が別よ。」

「・・・ギュッ。」

「プギャ!!」

・・・この3人の自我の強さが半端なくて一瞬しか効果がなかったみたいだな〜。すまん黒ウサギ!

「ピギャーーーー!お、お助け下さいーーー!!」

———————————————————

「うぅ〜まさか話を聞いて下さるまで30分も消費してしまうとは!学級崩壊とはこのような事を言うに違いないデス。」

「いいから早く話せ。」

「うぅ〜分かりました、分かりましたよ。・・・おほん!それではいいですか 、御四人様 。定例文で言わせていただきます!・・・ようこそ 、 〝箱庭の世界 〟へ !我々は御四人様にギフトを与えられた者達だけが参加できる 『ギフトゲ ーム 』への参加資格をプレゼンさせていただこうかと召喚いたしました !」

「「「「ギフトゲーム?」」」

「そうです !既に気づいていらっしゃるでしょうが 、御三人様は皆 ら普通の人間ではございません!その特異な力は様々な修羅神仏から 、悪魔から 、精霊から 、星から与えられた恩恵でございます 。『ギフトゲ ーム 』はその 〝恩恵 〟を用いて競いあう為のゲーム 。そしてこの箱庭の世界は強大な力を持つギフト保持者が面白おかしく生活できる為に造られたステ ージなのでございます! 」

両手を広げて箱庭をアピールする黒ウサギ 。

・・・恩恵、つまり与えられたものって事だよな?そうなるとこの刀だったり、あの厨二病堕天使総督様が作ったこの指輪と、この腕輪、あとは・・・この体とかか?

「まず初歩的な質問からしていい ?貴女の言う”我々 „とは貴女を含めた誰かなの ? 」

自分の恩恵について考えていると久遠はそう質問した 。

「YES!異世界から呼び出されたギフト保持者は箱庭で生活するにあたって 、数多とある 〝コミュニティ 〟に必ず属していただきます ♪ 」

「嫌だね。」

「属していただきます!・・・そして『ギフトゲーム』の勝者はゲ ームの〝主催者 „が提示した賞品をゲットできるという、とってもシンプルな構造となっております !」

その後も黒ウサギの説明と俺たちからの質問は続き、主催者について、賭けるチップについて、そして開催方法についても分かりギフトゲームの大まかな事が理解できた。

「ふぅ、一通りのことは説明し終わりましたが、黒ウサギには皆様に箱庭についての全ての質問に答える義務があります。しかしそれら全てを語るには時間がかかってしまいます。新たな同士候補の皆様をいつまでも野外に出しておくのは忍びない。ここから先は我々のコミュニティでお話しさせていただきたいのですが・・・よろしいでしょうか?」

確かにそのまま野外というわけにもいかないので俺が肯定の返答をしようとすると、

「待てよ。まだ俺が質問してないだろ?」

今まで黙っていた十六夜が口を開いた。

「・・・どういった質問でしょうか?ルールについて、それともゲームそのものについてですか?」

少し警戒した顔つきで十六夜にそう聞いた。

「そんな事はどうでもいい。腹の底からどうでもいいぜ黒ウサギ。俺が聞きたいのは・・・たった1つ手紙に書いてあった事だ。」

さっきまでの軽薄な笑みを消し、少し威圧的な声色でそういうと俺たちや天幕がかかった街などを見渡し、全てを見下すような、何かを求めるかのような視線で黒ウサギに質問した。

「この世界は・・・面白いか?」

「「————————」」

他の2人も同意見だというように返事を待っている。手紙には確か『家族を 、友人を 、財産を 、世界の全てを捨てて箱庭に来い 』と 書かれていたはず。それだけの価値に見合うもの、こいつらにとっては面白さがあるのか?そう黒ウサギに聞いたのである。それに対しての黒ウサギの回答は

「───Y E S 。『ギフトゲ ーム 』は人を超えた者たちだけが参加できる神魔の遊戯 。箱庭の世界は外界より格段に面白いと 、黒ウサギは保証いたします ♪ 」

そんな自信満々、胸を張ったそんな回答だった。

 

 




ご覧いただきありがとうございました!

また次回をお楽しみにして下さい!お願いします!



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