前世最低の魔王、今世愛した女。 (嘘つき魔神)
しおりを挟む
第0話:死の果てで
「……負ける……とはな……」
「……そうか……」
「あぁ……強くなったな……」
黒い、黒い、人の闇を詰めたような黒が包む空間。そこで、2人の男が話していた。片方は死にかけ、もう片方も肩や足から出血している。もう片方の、白い鎧を纏った男の腕を枕に、金のベルトを腰に巻いた男が話す。
「……いつからだったか……私は……いや、俺は酷く孤独を感じた……」
「……アイツが死んだから、か……」
「アイツは……俺が殺したのだろうな……俺の愛は、一方的過ぎたらしい……」
そう言い、ベルトの男はゆっくり息を吐く。それを、鎧の男は静かに見つめていた。
「……俺はもうじき死ぬ……」
「……っ……」
「……何故、そんな顔をする……?俺はアイツも、アイツらも殺した……」
「……どうやっても、こうなったのかなって……」
「お前が英雄で、俺が魔王である限り……なぁ……」
「何だ……?」
「すまなかった……今さら謝っても遅いか……俺は、お前と
「……そうか……」
「……もし……また会えたなら……お前……は……友であって……くれるか……?」
「……あぁ……」
「そうか、なら……嬉しいよ……俺のようには、なるな……力を……振るい方を……間違えるなよ……英雄……」
「あぁ、分かった……さようなら、
「ならいい……さらばだ……
そのまま、ベルトの男は目を閉じた。その死に顔は、酷く安らかで、なのに、死んでいると確信するものだった。鎧の男……一夏は無線機を取りだし、通信する。
「……千冬姉……」
『……一夏か……?』
「あぁ……終わった……鋼牙は、殺った……ミッション、コンプリートだ……」
『……そうか、お疲れさまだ……』
「……みんなは……報われたかな……?」
『……どうだろうな、迎えは寄越す。オーバー』
その声を最後に、姉……千冬の声は聞こえなくなる。そして、一夏は、ベルトの男……鋼牙に目をやる。
「……お前も……恋に狂ったのかもな……せめて、来世に幸があることを……」
そう言い、一夏は目を閉じ、黙祷する。その脳裏に、かつての仲間たちを想いながら……
「……さようなら……俺は、間違えない……少なくとも、この力は、な……」
そう告げ、一夏は迎えのヘリに乗る。一夏はどこへ行くのだろうか?政府から最悪の魔王を討った英雄に仕立てあげられるのか、それともその力を恐れられ、酷い目にあうのか?だが、確かなことは1つ。
一夏の答えを聞いた鋼牙の頬がわずかに緩んだということだ。
なお一応タグにオーマジオウ入れてますが、(恐らくもうベルトさえも出ることは)ないです。
目次 感想へのリンク しおりを挟む
しおりを挟む
第1話:始まる今世
お気に入り、感想、ありがとうございます!
「うぅ……うあぁ……んぅ……?」
……ここは……?いや、いい……一夏と戦って、久しぶりに生を実感できた……それだけでも満足だ……
「うー……」
毛布、だろうか?暖かい……え?
(な、何で暖かいんだ……?いや、まず毛布があることがおかしい……)
……どうやら、私は起きて、この訳の分からない白昼夢から目覚めないといけないらしい、夢の中で起きるというのも変な話だが……まず、意を決して起きる。
(……普通の部屋か、少々物が少ないくらいだな……)
ここは部屋らしい。物が少ない。パッと見だからよく分からないが……次にベッドから降りて本格的に探索しよう。そう思い立ち、ベッドから降りようとすると、少し滞空した。普段からベッドで寝ていたから分かる。いつもの私ならベッドから降りようとすればすぐ足がつく。
(……身長が縮んでいる……?あり得ない……それが本当なら、若返っていることになるが……)
……こうなればしょうがない。鏡を見る。この手に限る。
「……はぁ……」
ついため息を吐いてしまう。一夏と戦っていたときにはなかったが……あの時以来すっかり癖になったらしい……
私の愛した女。彼女がいなくなって以来、私は腐った。元々復讐に狂っていた、そこにもっと燃料が加わったら、もっと燃え上がるのは必然だった……故に、燃え尽きるのは早かった。一夏の身内を襲い、殺した。一夏は俺に襲いかかり、俺も反撃し、俺たちはもう引き返せないところに来た。俺は八つ当たりぎみに魔王となった。一夏は理性的だった、専用機持ちの義務を果たそうとした、アイツは英雄になった。そんな俺たちが殺し合うのは当然だった。
(……ついに来たか……さぁ、鏡や鏡や鏡さん……私の……俺の姿を写し出せ……!)
そうして、俺は鏡を見た……そこにいたのは……
(……冗談だろう……?何で、何でお前に……!?)
そこに写っていたのは……ピンクの髪に、青の瞳、その顔立ちは俺の知るものより幼い、だがそれでも分かる……
(……不知火……)
俺がIS世界にまで連れてきた、とても、とても、愛しい少女だった……
「……何、で……」
訳が分からない、一夏と戦って、死んで、挙げ句の果てに不知火になっている?頭が溶けそうだ……
「……家族はいないのか……?」
いたらいたでどうごまかそうか……それでも頼れる人がいるなら心強いのだが……
「……はぁ……」
誰が言ったか、「ため息を吐くと幸せが逃げる」だったか……そう言えば、さっきから声が聞き覚えあると思ったら……そういうことか……
「あのISは……やはりない……だが……それでもいい……」
もうあの力はこりごりだ……
『……私は……あなたが嫌いです……その力があなたを狂わせている……!』
「……っ……」
過去の記憶が、過去の言葉が、俺に突き刺さる。
「……不知火になって………生き返って……それで私にどうしろって……?」
あぁ、ため息をはいてもどうにもならない、分かっているのに吐かずにはいられない……こんなときに限って窓から見える空は腹立たしい青色だった。
スヤァ……
目次 感想へのリンク しおりを挟む
しおりを挟む
第2話:嫌な隣人
あれから少し経った。今日も今日とて腹立たしいぐらい暑い……それに、もう1つ嫌なことが出来た。お隣さんと言うやつが出来る、だから、ついさっきスイカを買ってきた……夏にはスイカは合う……
(……はぁ……そう言えば、そろそろ学校も始まる……私口調を定着させねば……)
どうやら、今の私は小学生らしい、それも1年……どうやって学力を誤魔化せと?
(それもそうだが……お隣が誰かも気になる……)
なんというか、嫌な予感がする……具体的に言えば殺し合った奴の子供時代に会いそうな……
『ピンポーン……すみません』
「……え、あぁ、はい」
どうやらもう来たらしい……どうしよう、絶対に出たくないぞ……
「……すぅー……はぁー……よし、はい、どう……ぞ……」
あぁ、会いたくなかった、開けなければよかった。何で、よりによって……
そこまで考えて頭を抱える。まじか、そういえば、しばらくは現状整理のために外には出なかった……冗談じゃない、
「……あの?」
「……何でもありません……えっと、
「織斑千冬です、あぁ、これ、粗品ですが……」
「あぁ、すいません……」
こうして、織斑千冬とのファーストコンタクトは終わったのだ……一夏に会わなかっただけまだいいかもしれない……
------------------------------------------
「織斑一夏です、よろしく!」
「……oh no……(小声)」
フラグ立てるんじゃなかった……子供の時の一夏……ちっさい……殺し合い、本当にしたっけ……かわいい……いやそれより何で俺は織斑家に誘拐されてるんだ?
「……お、織斑さん、どういうことですか……お、ゴホン……私はただの隣人で」
「いえ、せっかくですし……ね」
訳が分からない。ついさっき織斑千冬が家に来たかと思えば「家でご飯を食べないか?(要約)」と言われ、俺はホイホイと着いていってしまった……その結果がこれだよ……
「ん?出来たか……」
……香辛料のいい匂いがする。カレー……そういえば、最近食事はコンビニ弁当だったっけ……手料理、か……
『--、ご飯食べるよ!』
「……っぅ……」
……何で、今思い出すんだよ……懐かしい……またあの肉じゃがが食いたい……
その日のカレーはとても塩辛かった……気がする。
……難産+モチベ上がらない+キャラ設定分からん=遅れた
すいません許してください何でもはしませんけど許してください!
目次 感想へのリンク しおりを挟む