東方月読命 (へんなさくらもち)
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夜明けと始まり

あらすじの通りこのまま失踪します(確信)


 

 

 

 

 

あの日は確か、月が美しい夜だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「負けられるかよ…妹に…これ以上…兄貴が……」

 

………………………………

はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ(クソデカため息)

椅子の背もたれに体を預けて、夜だというのにでかでかとため息を漏らす私。

やっと神威終わった…おのれ祐二め…神威出来ないからって私に丸投げしたのマジ許さねぇからな…(ガチ切れ)

私だってそんなほいほい超究極クリア出来るわけじゃないんだよ…まぁカゲロウめっちゃ神曲だから回るのは苦じゃないけど(いつもラスゲまで行けるとは言ってない)

 

「つーかあいつテキーラαもメタαも持ってないのかよ…おかげでめっちゃ大変だったわぁ…」

 

神楽は私も持ってないから許す。

鬼クソテラマジ疲れた…もゥまぢ無理…リスカしょ…

 

「…いやいや、そんなこと考えてる場合じゃないでしょ」

 

時刻はもう23時56分である、さっさと寝ないと明日に響く。

部屋の電気を消して倒れ込むようにベッドに入る。

クーラーをバリバリに効かせた涼しい部屋で掛け布団も掛けずに爆睡する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この時は、まさかあんな事が起こるとは思ってもみなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目が覚めたら、目の前には天井があった。といっても、現代社会によくある洋室の天井ではなく、木目が見えるいかにも木造って感じの天井だった。

え待ってどゆこと?寝てる間に祖父母の住む実家に連れてこられた?

いやいや私の祖父母はだいぶ前に団地に引っ越したはず。つまりその線はないと考えていいだろう。

 

「えっと………じゃあどゆこと?」

 

実家じゃないとすればなんだ?私や私の両親の知り合いに木造の家に住んでる人って居たっけ…

……………というか待て、さっき私の口から聞きなれない声がした気がするんだけど…

 

「あーあー……………やっぱり私の声変わってんじゃん…マジ意味わかんねぇ…」

 

状況が飲み込めないまま、私は体を起こす。

周りを見回すと予想どうり和室で、ちゃぶ台や箪笥があり、空いてる襖の向こうからは、夜明けなのか、まだ多少暗い空が見える。

周囲の状況の把握はできたため、今度は自分の体を見下ろす。

この時期に急に声変わりなんてまず有り得ないので、自分の体にもなにか変化があるかもしれない。

でも正直、確かめるのが怖い。もし自分が全く知らない別人になってたら。

自分が積み重ねてきた十数年は一体どうなってしまうのか。

 

「もしそうだとしても……確かめなきゃ」

 

そうやって自分を鼓舞して、恐る恐る目線を下に向ける。

襟に当たるであろう部分から大きく伸びる黄色いフリル。

上半身は白を基調に胸あたりに黄色いリボンが付いているノースリーブの和服。

黄色いリボンから伸びた紐はお腹の辺りにあるこれまた大きな黄色いリボンに繋がっていた。

その上に羽織っている黄色い枠に囲まれた半透明の水色の羽織り。

手首を覆う水色や紫のリボンと白い勾玉模様が入った紫色の袖。

下半身は、袖よりかは明るい色をした紫色のフリルが入ったミニスカート。

右足は紫のリボンが巻かれたニーソックスを履いていて、左足は膝の少し上に絆創膏が貼ってあった。

ここまで確認して、私は今とてつもない既視感に襲われている。

取り敢えずその既視感は置いといて、床に垂れている、先端に行くにつれ黄色に変色している紫の長物を手に取る。

緩めの力で引っ張ってみると頭が引き寄せられたから、多分私の髪だろう。

 

「もしかしなくてもこれって………」

 

自分の悪い予感を確かめるために、縁側に置かれた黄色いリボンと白いラインが入った紫のロングブーツを履いて境内のような場所に出る。

境内を見回すと、都合のいい所に小さな池を見つける。

池の前でしゃがんで顔を覗かせると、

 

「…………マジかよ………」

 

サイドポニーの髪型。桃色の瞳。フリルの付いたカチューシャ。カチューシャの上に浮かぶ三日月を模した謎の物体。

これってどう見ても……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私、ツクヨミになってるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!?!?」

言い忘れていたが、これは普通の女子高生がモンストの推しキャラに憑依して、幻想の郷で暮らすお話だ。




☆絶対に要らない設定☆
主人公:名前なし。女子高生でモンスト好き。特にツクヨミ推しなんだとか
祐二:主人公の友人。主人公の唯一の友達と言っても過言ではない。良く難しいクエストを主人公に押し付ける。
誤字脱字、こうした方がいいんじゃね的なアドバイスはどしどしお願いします。
最後まで読んでくださりありがとうございました。ぬべもち先生の次回作にご期待ください。


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現状把握とこれから


ま さ か の 第 二 話
感想とかお気に入り登録って貰ったらめっちゃやる気が出ますね。
因みに前回主人公が友人の神威を代行してましたが、実はあれ私の実体験です。
といっても私は友人のではなく姉と父のを代行しましたが(自分の含めて三回クリア、デクあり一回、正攻法二回でした)。


 

前回のあらすじ:朝起きたらツクヨミに憑依して見知らぬ場所に飛ばされてた件。

なんだこれは…たまげたなぁ……(驚愕)

取り敢えずツクヨミ憑依事件から一週間と数日が経った。

その約一週間の間は何をしてたのかというと今の自分、つまりツクヨミに憑依してから見た目や声以外に何か変化があるのかの確認と、今自分のいる場所についての大まかな把握をしていた。

取り敢えず分かったことを纏めると…

まず、私の変化やそれ関係のもので、

 

・ゲーム内やアニメでツクヨミがやってた事は大体出来る(落雷とか)

 

・ツクヨミ零が使ってる目玉模様のビットみたいなのも出せる(短距離の瞬間移動とかもできた)

 

・ツクヨミが乗ってた名状し難い三日月のようなものや持ってた杖は私の意思で出てきたり消えたりする

 

・私の姿や声はアニメの方のツクヨミ

 

・脇と太腿辺りが思ってたより寒い(冬はやばそう)

 

・箪笥の中にモンパニのツクヨミの服(巫女服)が入ってた(ついでに後述する倉庫に目玉ビットがあしらわれた鈴もあった)

 

ここまではいいのだが、

 

・植物を急成長させられる

 

・なんか結構な頻度で変な感覚に襲われる(原因不明)

 

・信仰を集めないと消えてしまうらしい

 

ざっとこんな感じだ。下の三つに関してだが、

一つ目は「神様といえば五穀豊穣的な所があるから植物も同じ感じで出来るかなー」

的なノリでやってみたらマジでできた。かみさまのちからってすげー!

二つ目だが、これはマジでわかんない、日によって頻度もタイミングもバラバラだし…

でも今の所実害はないので特に気にすることはないと思う。

そして三つ目だが、なぜ「らしい」という曖昧な言い方なのかというと、それはーーーーー

 

「おはようツクヨミ、いい朝ね」

 

「うわっ!?………紫さん、驚かさないでって何度も言ったじゃない…それに、今は九時よ」

 

「別にいいじゃない、私が何時に起きても」

 

「そっちじゃないです」

 

びっくりした、びっくりしすぎて思わず素が出てしまった。

今私を驚かしたこの人が、私にさっきのことや私が今いる場所について色々教えてくれた八雲紫(やくも ゆかり)さんだ。

先端付近を何ヶ所か赤いリボンで結わえた長い金髪と金色の瞳。

段々になったスカートが特徴的な長袖の白いドレスのような服の上に、長い長方形や短い長方形などの良くわかんない模様が入ったチャイナドレスっぽい前掛けを着ている。

足には黒い靴と白いタイツなのか足袋なのかは分からないけどなんか履いている。

頭には耳のように見える赤いリボンが特徴的なナイトキャップを被っている。

金色の瞳は全てを見透かしてるようで、見つめられると女の私もドキッとしてしまう美しい女性だ。

ただ、この人……

 

「それで、今日は何の用かしら」

 

「あら、用がなかったら来ちゃいけないの?」

 

「別にそうじゃないけど…貴方そういう所が嫌われてるんじゃないかしら」

 

「嫌われてるなんてひどいわ~しくしく」

 

「前に自分で言ってたじゃないの……はぁ」

 

話してるとめっちゃ疲れるのだ…あと胡散臭い…

あとたまにさっきみたいな三文芝居をしてくる時もある。正直ちょっとウザイ。

嫌われてる云々に関してはさっき言った通り彼女自身が自白している。

こんな性格してたら嫌われてもしょうがないのでは?私は訝しんだ。

 

「うふふ、冗談よ、ちゃんと用事があって来たわ」

 

「あるなら最初からそう言って…」

 

「何事も素直じゃ駄目なのよ」

 

「こういう時は素直でいてください」

 

「さて…話が逸れたわね、本題に移りましょう」

 

「………」

 

「貴方、そろそろ信仰集めをしないと不味いわよ」

 

「……それは、もうじき私が消えてしまうということ?」

 

なんでも私は神様で、神様は信仰がないと消えてしまうんだとか。

 

「いいえ、まだ時間はある、でも前にも言った通りここにはもう神社が二つある、今から割り込むとなれば早めの方が良いわね」

 

「えっと…つまり……」

 

「まずは里からここへのアクセスを何とかしなくちゃいけないわね、入口近くとはいえ、ここ竹林だし」

 

そう。ここ、竹林の中なのだ。しかも紫さんから聞いたところ、ここは「迷いの竹林」何て呼ばれる位には迷うらしい。

 

「そういう事なら貴方に任せるわ、幻想郷については貴方の方が詳しいでしょう?」

 

「貴方どころか幻想郷一詳しい自信があるわよゆかりんは」

 

「そういうのはいいって…取り敢えず、頼んだわよ、紫」

 

「ゆかりんに任せんしゃい」

 

「はいはい、行ってらっしゃい」

 

「行ってくるわ~」

 

そんなことを言いながら紫さんは奥に目玉模様が見える隙間に入っていった。

さて、私も本題に戻ろう。

さっき話してた紫さんが、信仰云々の事やこの幻想郷についての事を教えてくれたのだ。

色々聞いたが、いちばん気になったのはスペルカードルール、つまり弾幕ごっこの事だ。

完全な実力主義をひていするとか美しさに勝るものなしとか言ってた気がするけど、元一般人である私には名前も知らない物なのでどんなものかと胸を躍らせているのだ。

因みに、察しはついてると思うがここは神社である。

神社といっても、本殿の奥の方に生活するための建物がくっついていて、日常生活はそこで行える。他には米俵がある蔵や、境内の掃除や神事に必要な物が入ってる倉庫なんかもある。

何はともあれ、私の神様生活はここから始まるのだ。

 

「よーし、頑張るぞー!」

 

そう言いながら、私は意気揚々と右手を天に伸ばしたのだった。




コンプレックスクリア出来ませんでした、悲しい。
誤字脱字、こここうした方がいいんじゃね的なアドバイスはどしどしお願いします。


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八雲紫の思惑(対して考えてない)

続かない続かないとか言っといてかれこれもう三話目です。
土曜日の降臨でようやくパラドクスを獣神化できました、やっぱり他の轟絶と比べるとパラドクスは割と簡単に感じます(ラスゲから目を逸らしつつ)。少なくともシュリンガーラ極の方が私は苦戦しました。
今回はゆかりん視点です。あと何ヶ所かグダってる所があると思うので注意です。
※見返してみてここ要らないなと思って紫と菫子の会話の所をカットしました。


その日はまさに晴天だった。明るい陽射しを受けて作物も良く育つであろう日の中、幻想郷の賢者にして神隠しの主犯こと八雲紫の心の空模様は、大分雲に覆われていた。

理由は簡単、幻想郷に新たな住民がやってきたからだ。

といってもそれ自体は別に珍しい事ではない、最近で言えば月の兎が二羽越してきて団子屋を営み始めた事だろうか。賢者を住民に入れないのであれば狂気がある振りをしておいてあの三人の中じゃ一番狂気がない退屈なあいつだろうか。

というかそもそも後戸の国って幻想郷の範囲内なのだろうか、それを言うなら私と藍が住んでるこの家も幻想郷の範囲内なのだろうか。

 

「うーん……分からないわ」

 

「紫様、何が分からないのですか?」

 

「藍、後戸の国とか私達の家って幻想郷の範囲内なのかしら」

 

「……………仕事をして下さい、紫様」

 

「自分の分の仕事を私に押し付けるのは止めなさい藍」

 

「嫌なら仕事をして下さい、せめて新しい住民の確認位はして下さい紫様」

 

「はいはい、分かったわよ」

 

額に青筋を浮かべた藍に仕事を押し付けられそうになりながらも私は確認をするべくスキマに飛び込む。

確認というのは、新たにやってきた住民が幻想郷にとって害を成す存在か否かの確認だ。

幻想郷は全てを受け入れる。たとえそれが幻想郷の害だとしても。

受け入れてしまった害をどうにかするのは私達賢者や幻想郷の皆なのだ。

やってきた者に害意があるかどうかの確認は早めの方がいい。

害意があるなら早めに対策を立てて対処すればいいし無いなら歓迎すれば良いだけだ。

閑話休題、話を戻そう。

先程も言った通り幻想郷の住民が増えるのはさほど珍しい事ではない。

問題は別の所にある。

それは……

 

「何で建物ごと此処に来ちゃったのよ……前にもあったけど」

 

そう、その新参者は建物ごと幻想郷にやって来たというのだ。

どんな奴かと新参者がいるであろう場所の上空にスキマを開く。

藍に聞いたところ、その新参者がいる建物は竹林の人里に近い入口を入って直ぐの所にあるのだとか。

開いたスキマを覗いてみると、綺麗に整えられた神社があった。

因みに過去に建物ごとやってきた奴らも神社と一緒に転移して来ていた、なんという偶然だろう。

ふと頭に紫の髪に紅葉の髪飾りをした奴と黄色の髪にバケツみたいな帽子をかぶった二柱の神と緑髪の風祝の姿が過ぎる。

ついでにあいつらのせいで地底の烏が暴走した事とかも思い出す。

あ、思い出したら腹たってきた、後で紫頭の煎餅を拝借しておくとしよう。

そんなことを考えながら上空から神社を見回すが、特に変わった所はない。

 

「じゃあ、そろそろ新参者の顔を拝見させて頂くとしましょうか」

 

境内に立つ人の目線位にスキマを開いてそこから顔を覗かせる。

そうしていたら見つけた。陽射しに照らされる縁側に座るその少女を。

先端に行くにつれて黄色に変色している紫の髪をサイドポニーにし、

紫を基調にしたノースリーブの巫女服の上に半透明の羽織を羽織っている。

右足の方だけ長いソックスを履いていてその上に紫のロングブーツを履いている。

桃色の瞳はぼうと空を見つめていて何を考えているのかあまり分からない。

膝の上に三日月のような杖を置いており、なんと言うか、陽光よりも月光が似合いそうな少女だなと紫は思った。

取り敢えず何か独り言でも呟いてくれないかなと期待して彼女のすぐ側に気付かれないようにスキマを開き、それと自分の両耳付近に開いたスキマと繋げる。

外の世界で言うイヤホンというやつだ。

さて、彼女が何か喋るのを今か今かと待ちわびながら煎餅をパリパリと食べていると、不意に彼女が口を開く。

咀嚼音に声を掻き消されないようにさっさと煎餅を食べきり、彼女の言葉を一言一句聞き逃さないように集中する。

そして、その時は来た。

 

「はぁ…やっぱり理解が追いつかない……」

 

 

しかし耳に飛び込んできたのは、明らかに疲れているような声とため息だった。

 

 

「さっきから頑張って整理しようとしても全然出来ない……訳が分からないよぉ… 」

 

はて、どうしたものかと紫は思考を巡らす。

理解できない事、といえば恐らく此処に転移して来た事だろう。

若い者は、人外と言えどこういった事で困惑してしまうものだ。

つまり彼女は生まれてからまだ大して経ってないのだろう。

彼女の言葉から出来るだけ多くの情報を読み取ろうと、紫はますます集中して彼女の言葉に耳を通す。

そんなこんなでしばらく経ったある時、目の前の少女が意を決したように立ち上がる。

 

「悩んでても分からないものはしょうがない、当たって砕けろ!取り敢えず出来ることからやろう!」

 

「…と言っても何をしたらいいのか分からない、杖から何か出たりするかもしれない、いや出る(確信)」

 

そう言いながら彼女は両手を胸の前で構える。所謂「ぞいの構え」と言うやつなのだろう。

彼女は案外現代っ子なのかも知れない、と紫は呑気な事を考える。

因みに彼女のそういった知識は現世、つまり現代から此処へ夢を介してやって来る女子高生、「宇佐見菫子」から教えて貰ったのだとか。因みにイヤホンも菫子の入れ知恵である。

目の前紫少女はと言うと、杖を力一杯握って唸っている。

 

「何か出ろー何か出ろー何でもいいから何か出ろぉぉぉぉぉぉぉ!」

 

叫びながら杖をブンブン振り回している彼女。

急に杖の先端辺りにある勾玉がカッと光ったと思った刹那、空気が爆ぜた。

目の前で急に激しい光と轟音に襲われ、油断していたのか紫は目と耳を塞いでしまう。

油断していた所の突然の急襲で先程まで紫少女の利用方法を考えていた紫の頭は混乱を起こしてしまう。

どうやら紫はツクヨミの事を害ある存在だとは思ってないみたいだ。

それから暫くして紫は耳から手を離し目をゆっくりと開ける。

 

「え………なにこれ……どゆこと? 」

 

そこに飛び込んて来たものは、

目を真ん丸と開き、尻餅をつく紫の少女。

境内の所々に小さいクレーターの様な穴が出来ており、穴の中心付近が黒く焦げている。

そして先程の激しい光と轟音。

つまり、これが意味するものは……

 

「……何か出ろとは言ったけど落雷は出なくていいよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

先程の尻餅と合わせて考えてみると、この落雷は恐らく彼女も想定してなかったのだろう。

涙目になっておろおろと混乱している彼女とは対照的に、もう冷静さを取り戻した紫は再び考えを巡らす。

 

(さっきまでは問題ないと思ってたけど彼女、まだ力を制御出来てないのね)

 

先程の何か出ろ発言からもそれは察せてしまう。

紫は思った。「普通に大妖怪でも上に入れる位の力を持ってるのに制御出来てないのは非常に不味い」と。

幻想郷を覆う博麗大結界はそこまで頑丈な訳では無い。

力のある妖怪達が戦ってしまうだけで壊れてしまう可能性もあるのだ。

だからこそ今のスペルカードルールがあるのだ。っと、話がずれてしまった。

つまる所、彼女の様な存在は幻想郷の害になってしまうかも知れないのだ。

とここで神算鬼謀の名探偵ゆかりんはある名案を思い付いてしまいます。

それは何かというと、彼女の力の制御を手伝ってあげる、というものだ。

成功すれば、幻想郷のパワーバランスを担える程では無いかもしれないが充分優秀な駒になる。

それに、恩を売っとけば今後何かしら利用するのに助かるかも知れない。

つまる所一石二久侘歌という訳だ。

これはやるしかないと私は意気込み、ぞいの構えをするのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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ーーーーーーーーーーー

 

あれからおおよそ一週間が経った。

あの後もう一日も聞き取り調査(という名のストーカー)をし、

残った約一週間は彼女の制御訓練を手伝った。

初めて直接会ったときは隣に急に現れてみたのだが、彼女の反応は中々に面白く、まだ年若い童の様で可愛げがあったなと思い出す。

そう言えばと私が聞き取り調査をしてた時に彼女が呟いた意外な言葉を思い出す。

 

「おはよ…やっぱり夢じゃなかったかー……」

 

「朝起きたらツクヨミに憑依してて見知らぬ所に転移してるとかこれ絶対夢だと思ってたのに……」

 

憑依や転移と言った言葉。

憑依に関しては例の姉妹が起こした異変のせいでだいぶ耳に新しいが、転移はこのご時世中々耳に入らない言葉である。

だとしてもそこまで意外かと言われれば確かにそうだが、今挙げた二つの言葉はつい最近菫子から聞いた言葉だったからだ。

その話は少し長くなるので割愛したほうがいいだろう。

その話の情報を元に大まかに予測を立ててみたところ、

「ツクヨミは此処に転移してきた憑依者で、彼女の身体には他の誰かの魂が憑依している」、という可能性が高いのだ。

もしそうならやる事を一通り終わらせたら菫子に合わせてあげるのもいいかも知れない、外の世界の人間となら彼女もある程度会話しやすいと思うし、と紫は思う。

因みにだが力の制御に関しては上々である。

 

「さーて、今日もゆかりん頑張っちゃうわよー!」

 

朝にやる仕事を一通り終わらせて、私はスキマに飛び込む。

そして彼女の目の前にスキマを開き、

 

「おはようツクヨミ、いい朝ね」

 

毎日の楽しみであるツクヨミへのドッキリを今日もやる。

今はやる度に驚いてるが、毎日やってたら流石に彼女も飽きてしまうかな、と思いながらも紫は楽しそうな笑顔を浮かべる。

彼女が顔を赤くしているの見ると、私もつられて顔が赤くなってしまいそうだ。

いつもとはちょっと違う気持ちで彼女をからかいながら、紫は笑顔を浮かべていた。

因みにだが、戸棚の煎餅が無くなっていることに気付いた紫頭の神は誰がやったんだ、と憤慨していたそうな。




あれ…勢いに任せて書いたら仄かに百合の香りがする終わり方になってしまったぞ…(不本意)
もしかしたらガールズラブタグが保険じゃ無くなるかも知れませんねこれは……
下手に知的なキャラにしようと思って滑るくらいならいっそネタに走った方がいいのでは?と思い紫はあんな感じになってしまいました。いつスキマ送りにされるか不安です。
あっそうだ(唐突)昨日の降臨でシュリンガーラの極、究極クリアと獣神化を達成できました。
やはりモンストの日は偉大ですね。
誤字脱字、アドバイス等があれば是非感想に書いて頂けると幸いです。

宇佐見菫子:東深見高校の一年生にして超能力を操る程度のオカルトマニア。
幻想郷中に「オカルトボール」という物質をばら撒き、ボールを七つ集めたら願いが叶うと云うデマを吹聴し、ボールを七つ集めた者を鍵として幻想郷を覆う博麗大結界を破壊させようとした「深秘異変」を起こした張本人。因みにこの異変の影響で、幻想郷では都市伝説が具現化する「都市伝説異変」も同時に起こることとなる。オカルトサークル「秘封倶楽部」の会長を名乗っていて日夜オカルト研究に勤しんでいる。実は自分の容姿に自信が無いらしい。異変解決後、夢を見ている間だけ幻想郷に来れる「夢幻病」を患っており、学校にいる間も寝ていて、霊夢からあんまり昼夜逆転してると身体に障るわよと言われる程幻想郷に入り浸ってる。


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