凄く普通の決闘者が幻想入り (うー☆)
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第一話 ハロー幻想郷

小説初投稿です。期待せずに生暖かい目で見てくださって下さい。


 

 

「えーっと……一体どういうことだ?俺は確かに家の布団で寝てたはず……」

 

キョロキョロと周りを見渡す。木、木、木、木。見渡す限りの森である。

 

「落ち着け……こんな時こそ落ち着け……まずは思い出せ……」

 

〜回想〜

 

「うー……寒い寒い」

 

やぁみんな、俺の名前は伊藤大輔。普通の人間だ。俺にはこれといった特徴がない。学校の成績は至って普通、デュエルの腕も友達の中では中くらい、顔もイケメンでもなければブサイクでもない。何処にでもいるあまり特徴のない人間だ。そして今はカードショップでデュエルを終えて帰宅するところだ。

 

「やっぱりシンクロモンスター相手にコートオブアームズはきついか……」

 

俺は家に帰る途中今日のデュエルの反省をする。おい誰だ今コートオブアームズなんか弱いとか言った奴。そこに直れ今すぐ叩き潰してくれる。俺が一番好きなモンスターはコートオブアームズだ。なぜかって?かっこいいからさ。

 

「だからといって抜くなんて考えられないしな……おっと雪まで降ってきやがった。さっさと帰ろう。」

 

――――帰宅――――

 

 

「ただいまー……って俺一人暮らしだった。」

 

誰もいないボロアパートの一室に彼の声が響く。両親は早くに事故で亡くなり、兄弟もいない。頼れるような親戚もいないため俺はバイトなどをしながらなんとか生きている。……飯が食えないなんてのはもう慣れてしまった

 

「食料も金ももうないな……そろそろ働かないと不味いかな。」

 

ここ最近はずっとバイトをしていない。先日まで風邪でずっと寝込んでいたためバイトに出れず、薬代で金が底をついてしまった。それならカードショップなんかに行ってる暇があるなら働けという話になるのだが。

 

「仕方ない……朝は苦手だが、明日からちゃんとバイトに出よう。」

 

はぁ、とため息をつきながらそう言った。

 

「まぁとりあえずそんなことよりも!」

 

俺はつい最近買ったパソコンの前に座る。

 

「今日こそはクリアしてやるぜ!待っていろフラン!」

 

これまた最近買ってきた東方紅魔郷に没頭する俺

……だが

 

ピチューン

 

「…………」

 

すぐさまゲームオーバー。どうやら俺にはゲームの才能もないらしい。

 

「もうダメだ……この世界で生きていける気がしない……いっそのこと幻想郷に行きたい……まぁそんなの無理だけど。」

 

ブツブツと独り言を言いながら俺は布団にはいる

 

「明日も早いしさっさと寝よう……」

 

その言葉を最後に俺は眠りについた……

 

はずだった

 

〜回想終了〜

 

「全く分からん……何故俺はこんなところに居るんだ……まさか誘拐か!?いや家族もいない俺なんか誘拐してどうするんだ……」

 

一人で自問自答を繰り返し、今の状況を整理する

 

「俺の名前は伊藤大輔、よしちゃんと記憶はあるな。そして此処は何処だ?全く分からん。そして今は冬のはずだよな?なんでこんなにファッキンホット(糞暑い)なんだ。」

 

そして俺は一つの結論に達する……

 

「……夢だな、俺も疲れているんだな。こんなにリアルな夢を見るとはな。さて、もう一眠りするか」

 

そう言ってまた眠りにつこうとするも……

 

「……あぁ暑い!暑い!糞暑い!なんでこんなに暑いんだチキショー!」

 

そう言って地面を転がり回ってると、何やら変なものを触った気がした。

 

「ん?なんだこれ……ってあれ?これって……」

 

俺はそれに見覚えがあった

 

「なんでこれがここにあるんだよ……」

 

……No.69紋章神 コートオブアームズ……俺の相棒だ。そうはいっても俺が勝手に呼んでいるだけだが。おお、痛い痛い。とりあえず拾い上げてみる。すると

 

「……?なんだ今の感覚」

 

何かが俺の中に入ってくるような感覚がした気がした。

 

「まぁいいか……とりあえずこうも暑いと寝れないし、せっかくだから探索してみるか。滅多に出来る体験でもないし」

 

とりあえずコートオブアームズはポケットに入れる。拾えるものは拾っとかないとね!

 

まずは適当に歩いてみる。誰もいない。そりゃそうか、こんなクソ暑い中森を歩いてる奴なんて……いた。いたよ。でも……

 

「なんだあれ……女の子か?なんで浮いてるんだ?……まぁいいか。あのー、すみませーん!」

 

するとその少女は俺の声を聞くとすぐに来てくれた。助かった。まさかこんな森の中で人に出会えるとは思わなかった。これで恐らく命は助かるだろう。……と思っていた。金髪で黒い服、そして赤いリボン……まさか……いや、そんなはずはない。あれはゲームの中の話だ。現実であるはずがない。俺がそんなことを考えているうちにその子は俺の目の前まで来ていた。

 

「お兄さん、どうしたのだー?」

 

口調までそっくりだ。これは一体どういうことだ?

さか本当にこの子は……

 

「ねぇ、君の名前ってルーミアだったりする?」

「お兄さん、よくわかったねー。そうだよ私はルーミアだよー、でもなんでお兄さんは私の名前を知ってるの?」

「ということは……ここって幻想郷だったりする?」

「無視なのかー。そうだよーここは幻想郷だよー」

 

その答えを聞いた俺は嬉しさの余り絶叫した

 

「我が世の春が来たーーーーー!!」

 

 




見てくださってありがとうございます。うp主のうー☆です。頑張って行きますのでどうかよろしくお願いします!!


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第二話 紅霧異変

相変わらずの駄文です。まぁとりあえずどうぞ!


――――伊藤とルーミアがであった頃――――

 

――――とある屋敷――――

 

「フフフ……もうすぐこの幻想郷はわたし達の物になる わ……紅い霧で幻想郷を包めば私達吸血鬼は昼間でも活動 が出来る……人間共、妖怪共、せいぜい恐れおののくがい い。フフフ……」

「お嬢様、一体誰に説明してるのですか?」

「画面の向こうにいる人間と……そこに居るんでしょう? 隠れてないでさっさと出てきなさい。」

「……こいつは驚いた……まさか見つかっていたとは なぁ。子供だと思って少々甘く見ていたようだ。」

 

その男は突然黒い霧と共に現れた

 

「!?何者!?」

 

そう言って従者はナイフを投げる……が

 

「まぁ落ち着けよ、別に襲撃に来た訳じゃあないんだ ぜ?」

 

 

はいとも簡単にナイフを弾き飛ばした

 

「何!?」

「落ち着きなさい咲夜……じゃあ何しに来たの?計画を聞 かれた以上、無事で返すわけには行かないけど。」

「「聞かれた」じゃなくて「聞かせた」じゃないのか?」

「……何の為に?」

「まぁ大方今日起こすやつの前祝いとして俺を血祭りにあ げようとでも思ってたんだろ?それの口実として聞かせた んだろ?」

「……中々鋭いわね。で?そんな貴方はここに一体何をし に来たの?」

「まぁ只の暇潰しと言ったところかな?この世界に来てま だ間もないし、このまま奴に回収されるのもつまらない し、そこでこの館に来たというわけさ。」

「……回収?それに貴方のその言い方だと、外から来たよ うね。」

「まぁそんなとこだ。で、どうするんだ?俺を倒すか?」

「……止めとくわ、貴方は恐らく強い。……それも私に匹 敵するほどにね。」

「まぁ賢明な判断だな。だがさっきの計画、あれは中々面 白そうだ。どうだ?俺で良ければ力を貸してやってもいい ぜ?」

「誰が貴様の助けなど……」

「落ち着きなさい咲夜。それで?その提案はこちらの戦力 の底上げが出来るとしても、そちらへ何のメリットがある のかしら?」

「言っただろ?只の暇潰しだって。このままコソコソとし ていてもいつかは奴に見つかって回収される。だったらお 前の計画に協力して楽しんだ方がいいだろ?」

「……なるほどね。じゃあ貴方はこの計画に協力して、わ たし達の邪魔はしないのよね?」

「ああ、その通りだ。」

「……そう、じゃあよろしく、えっと……」

「……まだ名前を名乗ってなかったか。まぁ、お前らに名 乗る必要はないとだけ言っておくか」

「ふん、まぁいいわ、わたし達の邪魔だけはしないでね」

「…………」

従者はじっと銀色に光るナイフを持ったまま男を睨んでいる

 

――――伊藤&ルーミア――――

 

「へー、伊藤は外からきたのかー」

「うん、そうだよ」

「そーなのかー、で、伊藤は食べてもいい人類?」

「その質問何回目だ……だからダメだよ。俺なんか食べた ら腹壊すぞ?最近ロクな物食ってないし」

「へー、そーなのかー」

「……本当に分かってるのか?はぁ……ってんん?」

「どうしたのだー?って一体なんなのだー?」

 

突然空が紅い霧に包まれる。太陽の光が遮られ、辺りがど んどん暗くなっていく。そのうちあんなに暑かったのが嘘 のように肌寒くなってくる。

 

「この霧って……まさか……ルーミア!この霧が出ている 場所に案内出来るか!?」

「できるのだー、こっちなのだー」

「(まさか本物の異変を間近で見られる日が来るとはな! オラわくわくすっぞ!)」

 

伊藤とルーミアが霧の発生源に向かってる時――――

 

――――とある神社――――

 

「この霧って……はぁ異変かしらね。めんどくさいけど ちゃちゃっと行きますか」

「私も行くぜ!」

「なんであんたも来るのよ。私一人で十分よ?」

「面白そうだからだ!」

「はぁ……今のあんたに何を言っても無駄そうね。いい わ、ついてきなさい。その代わり私の邪魔をしたらただ じゃ置かないから」

「私がそんなことをする魔法使いだと思うか?」 「思う」

「酷いぜ……」

 

紅白の巫女と白黒の魔法使いが異変解決に向かうところ だった――――

 

――――伊藤&ルーミア――――

 

「ちょ、ちょっとタンマ!」

「そんなこと言われて攻撃を辞める⑨がどこにいるかし ら!さいきょーのあたいに目をつけられたことにせいぜい 後悔しなさい!」

「ちょ、ルーミアヘルプ!マジでヘルプ!」

「めんどくさいからいやなのだー」

「お前ええええ!!」

 

⑨に追われていた

 

(た、確かあいつはチルノ!そして⑨のはず!だった ら……!)

 

「あー!あんなところに紅白の巫女服を着た人が空を飛ん でるー!」

「何!?ついに来たか霊夢!あたいの真の力を見せ て……ってあれ?いない?ま、まさか!」

「い、今の内に逃げるぞ!ルーミア!」

「逃げるのかー」

「あー!こら待てー!……ってあれ?あれってまさか!」

 

紅白の巫女服に身を包んだ人間と白黒魔法使いが箒に乗って飛んでくる

 

「ん?あれチルノじゃないの?こんなところで何してん の?」

「ほ、本当にきたー!」

「?一体なんの話よ。それにさっさとどいてくれない?打ち落とすわよ?」

「へへーん!そんなことはこのあたいを倒してからいうんだな!」

「……あっそ、じゃあ遠慮なく殺らせて貰うわね」

「れ、霊夢漢字がおかしいぜ……」

「魔理沙、別に先に行っててもいいのよ?どうせすぐに終わるしね」

「そうか、それじゃあ先に行かせてもらうぜ」

「あー!こら待て!」

 

そう言って白黒の魔法使いは先を急ごうとする、チルノは 追いかけようとするも、後ろから大量に放たれた弾幕に よって魔法使いを逃してしまった

 

「で?やるの?やらないの?どっちなの?」

 

霊夢が札を構えながら聞いてくる

 

「もちろんやるわよ!さいきょーのあたいの力を見せてや るわ!」

 

五分後、その場所にはボロボロになったチルノが倒れてい た

 

――――伊藤&ルーミア――――

 

「到着なのだー」

「ここが紅魔館……(目痛い)」

 

そこには目に悪そうな真っ赤に染められた館があった。 まぁ吸血鬼が住んでるんだから俺たち人間の常識が通用するわけないか。

 

「ところでもうそろそろ帰ってもいい?」

「ん?ああどうもありがとう。おかげで助かったよ。」

「お兄さんも早く帰りなよー。食べられちゃうよー」

「うん、わかった。もう少し見たら帰るよ」

「お兄さんまた会えたらいいねー。バイバーイ」

 

ここでルーミアとは別れた。なんだかんだあったが別に悪 い妖怪ではなかった。今度あったときに恩返ししないとい けないな。

 

「さて……どうするか……」

 

案の定門番と思われる妖怪は寝ている。しかし名前が出て こない。俺の原作知識(笑)を総動員する。……そうだ思い 出した

 

「あのー門番の中国さーん」

「むにゃ……わたしはめいりんですよさくやさぁん……」

 

どうやら名前は中国ではなく美鈴だったようだ

 

「どうにも起きる気配がないな……えい」

 

ちょっとしたいたずら心でほっぺをつついてみる。

 

「ファッ!?な、何者!?まさか敵襲!?って誰ですか貴方 は!?」

 

凄いテンパり具合である。どうやら効果は抜群だったよう だ

 

「あ、おはようございます。俺は伊藤大輔と申します。只 の通りすがりの一般人です

「あ、これはどうも……って私寝てないですよ!」

「いえ思いっきり寝てましたけど……」

「そ、そんなことより!貴方は何しにここにきたんですか!」

「いや、一度でいいから異変というものを間近で見てみた くてですね。つい来てしまいました。」

「では貴方はここに襲撃にきたわけではないのですね?」

 

襲撃なんて滅相もない。そんなことしたら命がいくつあっ ても足りないわ

 

「いえいえそんなことは全く考えておりません!」

「そうですか。この道をずっと行くと人里に出れる筈で す。帰るならさっさと帰りなさい」

「あ、はいわかりました。それではさようなら」

 

これでやっとこの森から出られる……と思っていたその 時、後ろから突然声がした

 

「つまらないな」

「……?あの、何かいいました?」

「いえ?私は何も言っておりませんが……」

 

突然美鈴が臨戦態勢をとる。何事かと思い後ろを振り返る と……

 

「久しぶりだな。我が主よ」

 

そこには俺の相棒、コートオブアームズがいた




はい、今回もありがとうございました!ようやくコートオブアームズが喋りました……次回はバトルの予定です!


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第三話 \ 神光臨! /

今回はバトルです。相変わらずの駄文です。それではゆっくり見ていってね!


まぁとりあえず落ち着け俺。こんな時こそ落ち着こう。まずは今の状況だ。俺は美鈴さんと少し話したあと、人里に行くために紅魔館を離れようとした。そしたら(自称)相棒コートオブアームズが喋った。な、何を言ってるかわからねーと思うが(ry

 

「えっと……?いきなり主って言われても……」

「……お知り合いですか?」

臨戦態勢のまま美鈴は聞いてくる

 

「一応……ね。でもなんでこんなところにお前がいるんだ?」

「ここは幻想郷だぞ?常識に囚われてはいけないのだ!」

 

何処ぞの緑髪の巫女が言いそうな言葉だなおい

 

「ところで貴方達、特にそこの妖精?みたいなやつ。貴方に戦う意思はあるの?ないんだったら今すぐ帰りなさい。今は忙しいのよ」

 

お前さっきまで寝てたろ……とツッコミを入れたくなるのを我慢して答える

 

「ああ、勿論戦う意思なんてないy『勿論戦うさ』…………はい?え?お前何言ってんの?」

「それは貴方が一人で戦うということかしら?」

「いや、勿論私の主が戦うに決まっているだろう」

「…………はい?え?何?ドユコト?」

「その言葉の通りの意味だ。早く準備しろ、グズな男は嫌われるぞ?」

「ちょっと待てえええ!!準備って何!?俺戦うの!?弾幕も打てないよ!?スペルカードも使えないよ!?更には空も飛べないよ!?どうやって戦えっちゅーねん!?」

 

こんなこと言われれば誰だってこんな反応をするだろう。俺はシューティングゲームが苦手だ。ゲームならコンテニュー出切るが、これは現実だ。コンテニューなんて出来ない。やっぱ勝てる気がしない……もうダメだ……おしまいだぁ……

 

「……なんか見てるこっちが可哀想になってきました」

「まぁ落ち着け主。正確には主が戦うわけではない。私が主に取り付いて戦うだけだ」

「あ、そう言う事ね……って納得出来るかー!?それでもダメージは俺にダイレクトに来るんでしょ!?」

「まぁ大丈夫だ。ものは試しだ!男は黙ってゴー♂!」

「ギャアアアアア止めろ入ってくるなぁぁぁぁ!!」

 

物凄い勢いで相棒(白い目)が俺の中に入ってくる。すると何と言うことでしょう。みるみるうちに力が湧いてきて、更には空も飛べるようになったではありませんか。

「おお……すげぇ……ってということはまさか……」

「なんだかんだいって大丈夫そうですね!それでは紅魔館が門番、紅美鈴。いざ参らん!」

「やっぱりそうですよねぇぇぇ!」

 

あ、ダメだこれ。スペカも弾幕も使えないんじゃあお話にもなりませんな。ああ、俺の人生短かったな……

早くも諦めムードの俺に相棒(苦笑)は1枚のカードを渡す

 

「まぁそう諦めるな。まずはこれを使え」

「何これ……スペカ?」

「私の能力はそのカードに封印されてある。そのカードさえあればいつでも何処でも私の能力を使えるぞ!」

「何それ凄い。まぁ期待はしてないけどとりあえず使ってみるか」

 

カードを頭の上に掲げ、スペカの名前を読み上げる。

 

写符『ゴッドメダリオン・ハンド』

 

その瞬間、俺の背中から突然巨大な手が現れた。その手はまっすぐ紅美鈴へと向かっている

 

「その程度で本当に当たるとお思いですか!」

 

ごもっともだ。確かに凄いとは思う。しかしこうもまっすぐ飛んでいっては本人に当たる前に弾幕でかき消されると思っていた。案の定紅美鈴は大量の弾幕で手を破壊しようとした。しかし

 

「な、何!?」

 

巨大な手はまるで意思を持ってるかのように弾幕の僅かな隙間を抜けて紅美鈴へと伸びてゆく。そしてそのまま美鈴を拘束した。しかしその程度で動揺する紅美鈴ではない。すぐさま力を込めて手を吹き飛ばそうとしている。

 

「あー……あのままじゃあ時間稼ぎにもならないよ」

「……ふむ、もう十分か」

「?」

 

すると紅美鈴は拘束していた手を破壊し、再び俺の目の前に現れる。

 

「なかなかやりますね……それではそろそろ本気を出しましょう!」

 

そう言って美鈴はポケットからカードを1枚取り出す。

 

「これやばくない?」

「大丈夫だ、このスペカを使え」

「へいへいわかりましたっと!」

 

俺と美鈴は同時にスペカを発動する

 

「「華符「芳華絢爛」」」

「「……へ?」」

 

これには美鈴もさぞかしびっくりしたことだろう。なにせ今自分が放ったスペカと今相手が放ったスペカは全く一緒の物だったからだ

 

「ちょ、どういうことですか!何で貴方がこのスペカを使えるんですか!」

「俺にも分からん!おいどういう事だ!」

「私の能力を忘れたか?私のOCG版の能力はフィールド上のエクシーズモンスターの効果を発動できる……つまり、さっきのスペカで

の娘のスペカをコピーさせてもらった!」

「そんなのチートや!」

「フッハハハ!どんな手を使おうが!最終的には!勝てばよかろうなのだぁぁぁぁ!」

「お前そんなキャラだったのか!」

 

二人の弾幕が飛び交っている時――――

 

 

魔理沙side

 

「……なんかもう戦闘が始まっているみたいだぜ」

 

魔理沙は遠くから戦闘を眺めている。

 

「霊夢はすぐに来るから大丈夫だと言ってたし、私も行くか!」

 

魔理沙は箒に乗り、窓から館に侵入する。幸い門番は他の人間と戦っているため、見つからずに侵入出来た

 

「邪魔するぜー……」

「しんにゅうしゃだー!」

「むかえうてー!」

「ヤロウブッコロシテヤァァァ!」

 

すぐに中の妖精メイド達に見つかり、攻撃を受けるが、魔理沙はいとも簡単にそれを避ける

 

「お?攻撃したな?よっしゃあ!正当防衛だ!悪く思うなよ!」

 

魔理沙はポケットからミニ八卦炉を取り出し、妖精メイド達に向けて構える

 

「マスタァァァァスパァァァァク!!」

 

辺りが閃光に包まれる――――

 

伊藤side

 

「くっ……」

「貴方の弱点は分かりました……いくら私と同じスペカが使えても、消費する霊力は同じはず。つまり持久戦に持ち込めば外来人の貴方は私よりも先にエネルギーが切れる!その瞬間を狙って攻撃すれば貴方の負けです!さぁどんどん行きますよ!」

 

相棒のおかげで何とか戦えているものの、そろそろ美鈴の言う通りこちらの霊力が切れそうだ。これは不味い。早く何とかしなければならない

 

「おい!何とかならないのか!?」

「ふむ……仕方ない。これを使え」

 

相棒からスペカが渡される。今までのスペカと違い、凄まじい力だ

 

「……またコピーしたスペカか?」

「いや、これは私のオリジナルのスペカだ。お前の霊力からしてこれが最後の攻撃だな。思いっきりやってやれ!」

「……わかった。これが最後の攻撃だ!思いっきりぶっぱなすぜ!」

「勝負に出ますか!ならばこちらも行きますよ!」

 

俺は美鈴よりも先にスペカを発動する

 

神怒『ゴッド・レイジ』

 

スペカの発動と同時に雷のようなものが空に向かって放たれ、雲を突き破る。突き破った部分だけ霧が晴れ、少しだけ光が差し込む。刹那、雲の上から先程の雷のようなものとは比べ物にならないほどの大砲撃が放たれる。これは凄い。アニメさながらの迫力だ。それを見て美鈴もスペカを発動する。

 

彩符『極彩颱風』

 

二つのスペカがぶつかり、爆発を起こした――――

 

 




どうも、毎日がつまらない主です。久しぶりにデュエルしたいな……最近やってないし。それよりも、今回も見て頂き、ありがとうございます!
今回で美鈴の出番は殆ど終わりです。それでは!


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主人公設定

今回は主人公の設定についてです。それ以外の何者でもない


《主人公》伊藤大輔

 

《身長》170くらいかな?

 

《体重》57kg

 

《年齢》16歳の高2

 

《服装》ジーパンにワイシャツ、ジャケットを適当に合わせただけ。オシャレ?そんなことよりデュエルだ!

 

《性格等》色々と大雑把な性格。ある程度のコミュ力はある。

 

《能力》No.を操る程度の能力:No.を自分の体に取り込み、その能力を使用できる。1度に使える能力は1つだけ。コートオブアームズは何故か取り込めない。

 

《その他》両親は大輔が小学生の頃に通り魔に殺された。大輔はそのことで自分をずっと責めている。兄弟もおらず、頼れる親戚もいなかったため、当時仲の良かった友達の家に引き取られる。その友達の影響で東方に興味を持つ。キャラの名前は一通り分かるが、細かいところまではわからない。高校生になって一人暮らしを始めるも、生活が苦しいためバイトの毎日。そのせいで殆ど学校にも出られない。因みに学力は平均より若干高い。勉強してないのに。一人暮らしの為、家事と料理スキルは中々のもの。それ以外は人並み。顔はイケメンでもないしブサイクでもない。運動も人並みに出来る。性欲などはほとんどない。

 

《ちょっとした裏話》

主:はい、こんな感じです

大:何でこんな名前なんだ……もう少し弾けた名前でも良かったんじゃないのか?

主:俺もそうしようとしたさ。でも思いつかなかったんだ!仕方ないだろ!

大:へーそーなのかー

主:お前は何処の人喰い妖怪だ

大:ところで主は一体どんなデッキを使っているんだ?

主:よくぞ聞いてくれた大輔君!俺の使用するデッキは紋章獣とBKだ!

大:あ、俺と一緒なんだな。で、実力は?

主:友達の中では若干強い方に入るよ。……まぁやっている友達も少なくなってきちゃったんだけどね……はぁ……

大:まぁ仕方ないだろ。で、友達はどんなデッキを使ってるんだ?

主:友達はBF、氷結界、カオスBF機械、カオスドラゴンくらいかな?

大:おい途中にあったやつ何だ

主:カオスBF機械のことか?その名の通りだよ

大:どうやって回すのか全然分からん……

主:簡単に説明すると、カードガンナーでデッキからカードを落とし、墓地を肥やしながらBFでモンスターを展開。強力なモンスターが出てきたらカオスソーサラーや開闢の使者で除去。頃合を見てパワーツールドラゴンを召喚し、大量に装備魔法をサーチし、装備する。そしてその後ライフストリームドラゴンを召喚。この時墓地に大量の装備魔法があるので戦闘で破壊されにくくなる。そしてまた装備魔法で強化。攻撃力を大幅にあげてパンチしてくる。こんな感じかな?

大:よくそれで回るな……

主:本当……よくあんなので回るよな……

大:あ、そろそろ時間だぞ

主:あ、本当だ。それじゃあ

主、大:次回もゆっくり見ていってね!




因みに大輔君は俺をモデルに作りました。でもちゃんと両親も生きてるし、学校にも通ってますよ!


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第四話 俺の記憶

注意。今回ギャグは全くと言っていいほどありません。


――――ここはどこだ?俺は一体何をしてるんだ?……ってあれは……

 

「お父さん!お母さん!早く行こうよ!」

「そんなに早く歩くと転ぶぞ。もう少し落ち着いたらどうだ?」

「いいじゃないのお父さん。男の子は元気が一番よ」

 

あれは子供の頃の俺?それにあれは父さんに母さん?ということはこれは俺の記憶?……しっかしまぁ無邪気だな……俺にもあんな時があったのか……

 

「早く早く!こっちこっち!」

「ハハハ、もう少し待ってくれよ。母さんが大変だろ?」

「ごめんなさいね。私のせいで」

「いいんだよ。大輔、もっとゆっくり歩こう。母さんのお腹にはお前の弟がいるんだぞ?」

「うん、わかった!」

 

そう言えばこの頃母さんは妊娠してたんだっけな……友達のお母さんから聞いたのすっかり忘れてたな……

 

「ねぇねぇ、次はどこ行こうか!?」

「んー?そうだな……母さんは行きたいところあるか?」

「いえ別にありませんよ……貴方は?」

「うーん俺もないなぁ……それじゃあこの辺をブラブラするか!」

「賛成!」

 

……いい親子だな……すっかり忘れてしまってた……俺にもこんな記憶があったんだな……こんな毎日がずっと続いていればいいのに……

 

しかし俺の思いは次の瞬間無残に砕かれてしまう

 

 

 

 

 

ズブリ

 

 

 

…………!?!?!?

 

 

 

異様な音を聞き俺はすぐにそこを見る――――

 

 

 

――――そこにはナイフで刺されて血まみれの父さんが倒れていた

 

「おとう……さん……?」

「ククク……アーッハッハッハッハ!皆死ねばいいんだ……てめぇらなんか皆死んじまえばいいんだ!」

 

狂ってやがる……こいつ……間違いなく狂ってやがる……

 

「大……輔……」

「お、お父さん!」

 

父さんが最後の力を振り絞り、自分の息子の名前を呼ぶ

 

「逃げ……ろ……」

 

それっきり父さんは動かなくなった――――

 

……嘘だろ?おい嘘だと言ってくれよ。さっきまであんなに元気だったじゃないか。なんで今はピクリとも動かないんだ?……そうだこれは夢だ。そうに違いない。だってこんなことある筈がない。さっきまであんなに元気だった人間が死ぬなんて。そうだこれは夢だ。夢だ夢だ夢だ夢だ夢だ夢だ夢ダユメダユメダユメダユメダユメダユメダユメダユメダユメダユメダユメダユメダユメダユメダユメダユメダユメダユメダユメダユメダユメダユメダユメダユメダユメダユメダユメダユメダユメダユメダユメダユメダユメダうわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!

 

俺は頭を掻きむしりながら叫ぶ。目の前のことから必死に目を背ける。

 

「おとう……さん……お前ェェぇぇぇぇ!!」

 

少年の叫びで俺はハッと我に返る。

 

!?バカやめろ!お前で敵う相手じゃない!!お前まで死ぬぞ!!

 

少年に届く訳がないのに俺は必死に叫ぶ。「止めろ」と――――

 

「あぁ?何だこの糞ガキ、舐めてんじゃねぇ!!」

 

少年は信じられない程遠くまで殴り飛ばされた

 

「ガハッ……」

「そうか……そこまでパパの所に行きたいか……じゃあ今すぐ送ってやるよぉ!!」

 

男は少年に向かってゆっくりと歩みを進める……そして目の前で立ち止まる

 

「あばよボウズ!!」

 

男はナイフを振り上げる――――

 

っ!!やめろぉぉぉぉぉぉ!!

 

そして――――

 

ズブリ

 

…………っ!?

 

そこには息子を庇ってナイフに刺された母さんの姿があった――――

 

「大……輔……」

「お……かあさん?」

「貴方は……生きな……さい……」

 

その言葉を最後に母さんはピクリとも動かなくなった――――

 

俺はその光景を見て何も言葉を発することが出来ない……

 

「ちぃっ!!邪魔だ!!」

 

男は母さんをまるでゴミのように投げ飛ばす

 

「待たせたな……今度はお前の番だ!!」

 

男がナイフを振り上げる――――その瞬間

 

「っ!?ガハッ!?」

「確保!!」

「僕、大丈夫か!?」

 

突然銃声と共に警察官たちが駆けつける

 

そこで俺の意識は途切れた――――

 

 

 

 

 

 

 

「………………っ」

「お、気がついたか」

 

目の前には俺の相棒――――のような奴がいた

 

「……何だその格好」

「ん?あぁこれか?あの姿のままだと色々と不便でな。姿を変えさせて貰った。」

 

そこにはまるで人間の騎士のような格好をしたコートオブアームズがいた

 

「……そんなこと出来るのか」

「一応な。所でさっきまで酷くうなされていたが大丈夫か?」

「……あぁ、大丈夫だ」

 

さっきの話を上手く話せる自信がない。それにこいつに話したところでなんの得もないだろう

 

「……そうか。まぁいいだろう。とりあえずどうする?」

「?どうするって……あぁそうだったな」

 

ちょいと目をやるとそこには地面に倒れている紅美鈴がいた

 

「そうか……俺たち戦っていたんだよな……」

「……お前本当に大丈夫か?って誰か来たぞ」

「ん?あれは……」

 

紅白の巫女服に身を包んだ人間が飛んでくる――――

 

 

霊夢side

 

「……ようやく見えてきたわね」

 

先程チルノを倒した霊夢が空を飛んでいる。そして目の前には目に悪そうな真っ赤な館があった

 

「……あそこに今回の異変の首謀者がいるのね。魔理沙はもう侵入してるかしら。私も急がないとね……ってん?」

 

門の所に誰かいる。二人。しかも片方は倒れている

 

「……少し急ぎましょうか」

 

そう言うと霊夢は飛ぶスピードを上げる――――

 

 

 

伊藤side

 

紅白の巫女が飛んでくる。恐らくあれは霊夢だ。いつもの俺だったら嬉しくて踊っていただろう。しかし……今はそんな気分じゃない。そうこう考えていると、霊夢は俺の前に降り立つ

 

「……あんた誰?」

 

いきなりそれか。まぁ一応知らないふりだけでもしておくか

 

「俺は伊藤大輔。ここに来たばかりの人間だ

「来たばかり……ということは外来人ね。それで?貴方はここで何してるの?」

「ここの門番と戦っていた」

「……成程ね。貴方も異変の解決にきたというわけ?」

 

霊夢がちらと目をやると、そこには門番らしき妖怪が倒れている

 

「まぁそんなところだ」

「ふぅん……何で外来人の貴方がこの異変の解決をしようとしてるのかしら?

「……何でだろうな。俺にも良く分からない」

「……貴方はもう帰りなさい。異変解決は私の仕事よ。」

「乗り掛かった船だ。最後までやり通したい」

「……私の邪魔をしないのなら、ついてきてもいいわ」

「俺がそんな人間に見えるか?」

「みえるわ」

「……見えてるのか」

 

こうして、なんだかんだで霊夢と組むことになった俺だった――――

 




どうも、主です。今回は少し重い話になってしまいましたね……。反省はしていない(キリッ)
まぁとりあえず、次回もゆっくり見ていってね!


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第五話 館に侵入

相変わらずの駄文です


???side

 

「……お嬢様、どうやら客が来たようです。」

 

銀髪のメイドが自分の主に報告する

 

「……そう、で?お客様は何人?」

「三人です。一人は館の妖精メイド達を一人で全滅させました。そいつの相手は今パチュリー様がしています。残りの二人は今入ってきました。男と女です」

「パチェが……そう、なら咲夜、残りの二人は貴女がもてなしてあげなさい。」

「かしこまりましたお嬢様。」

「ヒャッハハハ!頼りにしてるぜ咲夜さんよぉ!」

 

男は笑いながら話しかける。メイドはどうやらそれが気に食わないようだ。男をずっと睨み続けながら、準備を始める――――

 

 

 

魔理沙side

 

「邪魔だ邪魔だー!魔理沙様のお通りだぜ!大人しく道を開けろー!」

「ぎゃあああ(ピチューン」

「ちょ、おま(ピチューン」

「俺、この戦いが終わったら結婚す(ピチューン」

 

一人館の中の妖精メイドを駆逐していた

 

「うーん……さっきのでほとんど倒しちゃったかな?少しやり過ぎた気もするぜ。まぁこの魔理沙様、過去の事は振り返らないぜ!」

 

館の妖精メイド達を大量虐殺しておいてよく言うものだ

 

「……なんか殺人犯呼ばわりされた気がするぜ。お?何だこのでかい扉は?折角だから入ってみるか!」

 

勢い良く魔理沙が扉を開けるとそこは

 

「うわぁ……何だこの本の数は……まるで図書館だぜ」

 

そこは巨大な図書館だった。暫くはその巨大さに唖然とするものの、すぐに我に返る。同時にここは、魔法使いの魔理沙にとってここはまさに宝の山だった

 

「凄い数の本だな……ん?おお!この本は私が欲しかったやつじゃないか!これも何かの運命だな!よしちょっと永久に借りていこう!」

 

何処からともなく取り出した袋に本を詰め込もうとしたその時、突然背後から声を掛けられた

 

「……何してるの貴女」

「げっ!」

 

不味い、人に見つかった。このままではこの本を借りる(盗む)ことが出来ない。いやそんなことよりもこの紫もやしは誰だ?もしかしたら偶然ここに居合わせたただの少女かもしれない。そんな希望を抱きつつ恐る恐る聞いてみる

 

「……あ、あのーひょっとしてこの図書館の関係者様ですか?」

「……関係者も何も私がこの図書館の主よ」

「うげっ!」

 

最悪の答えが帰ってきた。まさかここの主だったとは。……こうなったら実力行使しかないか――――

 

 

 

???side

 

この白黒……妖精メイド達を全滅させるだけでは飽き足らず、まさか私の大事な本まで盗もうとするとは……少しお仕置きが必要ね。あ、そうだ。ちょうど今使い魔の召喚に必要な人間の素材が足りなくなっていたんだった。こいつには少し材料を分けてもらいましょうか……必要なのは脳と心臓だからそれ以外は消し炭でも構わないわね。

この盗人をどうするか一通り考えたあと、紫もやしは1枚のカードを取り出す。

 

木符『シルフィホルン』

 

「うわっ!?ちょっといきなりは反則だろ!」

 

目の前の白黒は必死に弾幕を避ける。それがなんとも滑稽だ。そう思ってると白黒は1枚のカードを取り出す

 

「クソっ!これでも喰らえ!」

 

魔符『スターダストレヴァリエ』

 

白黒のスペルカードが私のスペルカードを相殺する。……中々やるわね。流石は一人で館の妖精メイド達を全滅させただけのことはある。少しこの人間に興味が湧いてきた。

 

「……貴女、名前は?」

 

スペルカードを発動したまま聞く

 

「え?私か?私は霧雨魔理沙!普通の魔法使いだぜ!」

「霧雨魔理沙……ね。覚えておくわ。それなら私も自己紹介しないとね。私はパチュリーノーレッジ。貴女と同じ魔法使いよ。突然だけど貴女には私の実験の材料になってもらうわ」

「いきなりか!?そんなのお断りだぜ!」

「そう……なら無理矢理にでもなってもらうわ!」

 

魔理沙とパチュリーの弾幕ごっこは始まったばかりだ――――

 

 

 

伊藤&霊夢side

 

「……静かね」

「確かに……こうも静かだと逆に不気味だな」

 

おかしい。敵が一人も出てこない。もしかしたらもう既に誰かが片付けたのか(魔理沙が全員駆逐しました)?そう思った時、前方から人の足音が聞こえてくる

 

「……待て、誰か来る」

「そのようね」

 

足音は確実にこちらに近づいている。あと20m…………15m…………10m……っ?

突然足音が消えた!?急いで後ろを振り返る。誰もいない。少なくとも背後を取られていなかったようだ。ほっと胸をなでおろしたその時

 

「!?あんた後ろ!」

「え?……っ!?」

 

振り返った俺の目の前には銀色のナイフが飛んできていた。俺は咄嗟にナイフを避ける。少し頬を切ったが、大したことはない。俺はナイフが飛んできた方向を見つめる。……誰かいる。目を凝らすと、その人間がメイド服を着ていることがわかった

 

「ほう……中々やるわね。あの状況からの突然の回避行動……褒めてあげるわ」

「そりゃどうも……」

 

その人間がゆっくりと近づいてくる。銀髪、メイド服、そして両手に持ったナイフ……俺の記憶に該当する人間がいた。……十六夜咲夜。時を操る程度の能力をもつ人間だ。時を操れる時点でもはや人間ではないと思うのだが……そこは気にしたら負けである。

 

「本当に今日は来客が多いわね……あの変な男といい白黒といい……」

 

俺はその言葉の中に変な単語が含まれているのを聞き逃さなかった

 

「……変な男?」

 

俺の記憶が正しければ、この異変に男など出てこなかったはずだ。

 

「その男の特徴は?」

「貴方に教える必要はないわ。なぜなら貴方は私に殺されるのだから。」

 

咲夜はナイフを構える。……あの夢を思い出す。あの時の凶器もナイフだった。俺は必死にそれを忘れようとする。……うむ大丈夫。そのまま霊夢に聞く

「霊夢、ここからあの扉までどの位で着く?」

 

そう言って俺は奥にある大きな扉を指さす

 

「……やってみないとわからないわね。でも何故?」

「こいつはメイドだ。だから恐らくこいつの主人はあのメイドよりも強いはず。そしてそいつはあの扉の向こうにいると見た。こんなところで体力を消耗してしまったらいくら君でも勝てないだろう。」

「成程ね。分かったわ。それでは先に行かせてもらうわよ」

「あ、そうだ。さっき言ってた男には気をつけろよ。」

「分かったわ。」

 

霊夢は凄いスピードで飛んでいくが、咲夜がそれを許す筈がない。

 

「させない!」

 

咲夜はナイフを投げようと構える、しかし

 

「後ろががら空きだぜ!ゴッドメダリオンハンド!」

 

俺の背中から巨大な手が現れる。それはまっすぐ咲夜に伸びていき、拘束した。

 

「くっ!?こんなもの……っ!」

 

咲夜は巨大な手をナイフで切り裂き、脱出する。しかしその間に霊夢は奥の部屋に入れたようだ。

 

「……やってくれましたね。まさか貴方がこんな技を使えるとは知りませんでした。」

「しっかりとコピーさせて頂きましたよ……それではやりますか」

「ええ……そうね」

 

そう言うと俺と咲夜は臨戦態勢に入る

 

「コートオブアームズ……大丈夫か?」

「あぁ、大丈夫だ。それよりもお前霊力の回復が早いな。」

「ん?確かにそうだな……門番との戦闘でほとんど霊力を使い果たしたはずなのに……」

「まぁとりあえず今は目の前のことに集中しないと死ぬぞ?」

「おっと……そうだったな」

 

俺は思い出したかのように咲夜の方を見る。

 

「……それではメイド長十六夜咲夜、いざ参る!」

「伊藤大輔!思いっきりやってやるぜ!」

 

こうして二人の戦いは始まった――――




眠いです。ひたすら眠いです。それに文章力もありません。いつものことだね仕方ないね


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第六話 VS咲夜

昨日は出せなくてすみませんでした。相変わらず日本語がおかしいですが、どうぞ!


霊夢side

 

あの男――――伊藤とか言ったか。大丈夫かしらね。恐らくあのメイドは外にいた門番よりも遥かに強い。私を先に行かせるためとはいえ、危険な賭けに出たものね。……死ななければいいけど。

 

そういったことを考えながら霊夢は奥に進む。すると突然霊夢は歩みを止める。

 

……誰かいる

 

そこには窓越しに紅い霧に包まれた空と真っ赤に染まった月を眺める少女がいた。しかしただの少女ではない。背中にコウモリのような羽を生やしている。

霊夢はゆっくりと声を掛ける

 

「……貴女がこの館の主?」

「ええ、そうよ。私はレミリア・スカーレット。この館の主よ」

 

レミリアがゆっくりと振り返る

 

「……咲夜はどうしたの?ここに来る途中にいたはずだけど」

「ああ、あのメイド?あいつなら今他の人間と戦っているわよ」

「……そう。それで?ここは私の館よ?一体何をしに来たのかしら?」

 

レミリアは不機嫌そうに問う

 

「単刀直入に言うわ。迷惑なのよ。さっさと出ていって頂戴」

「ここは私の城よ?出ていくのはあなたの方だわ」

「この世から出ていって欲しいのよ」

「仕方ないわね。今私お腹いっぱいだけど……」

 

レミリアはうんざりしたように言う

 

「護衛にあのメイドを雇っているんでしょ?そんな箱入りお嬢様なんて一撃よ!」

「咲夜は優秀な掃除係、お陰で首が一つも落ちていないわ」

「……貴女、強いの?」

「さぁね。あまり外にだしてもらえないの。私が日光に弱いから」

「……中々出来るわね」

 

こいつはかなり強い。そう確信した

 

「こんなにも月が赤いから……本気で殺すわよ」

「こんなにも月が赤いのに」

 

「楽しい夜になりそうね!」「長い夜になりそうね!」

 

そう言うと二人は同時にスペルカードを展開する。

 

……そう言えばあのメイドの言ってた男がいない。ひょっとしてあのメイドの言ってたことは嘘だったのか?まぁとりあえずは目の前の敵に集中しますか!

 

霊夢とレミリアのスペルカードが激しくぶつかり合い、部屋の外にも衝撃が走る――――

 

 

 

 

伊藤side

 

どうやらあちらも始まったようだ。部屋の外からでも衝撃がビリビリと伝わってくる。どんなに激しい勝負なのか、気になるところだ。しかし

 

「よそ見なんかしてる暇あるのかしら!」

「くっ!」

 

ナイフが飛んでくるのを間一髪で避ける。

 

「中々やるわね……ならこれはどうかしら!?」

 

咲夜さんがスペルカードを発動する

 

奇術『幻惑ミスディレクション』

 

「どわっ!?」

 

先程とは変わって様々な方向からナイフが飛んでくる。しかし、これなら何とかよけられる。俺は大量のナイフを投げる咲夜さんを何とかして捕まえようとする。ナイフを投げながら移動する咲夜さんをじっと観察する。すると少しずつ減速してきた。俺はそれを見逃さない

 

「今だ!ゴッドメダリオンハンド!」

 

巨大な手は咲夜さんを捕まえようとナイフをよけながら飛んでいく。もう少しで捕まえられる。そう思った時、視界から咲夜さんの姿が消える

 

「なっ!?消えた!?」

「こっちよ!」

「何!?」

 

後ろから声がして、振り返るとそこには大量のナイフを放つ咲夜さんがいた。不味い、このままではよけられない。やむを得ず俺はカードを1枚取り出す

 

「目には目を、歯には歯を、ナイフには、ナイフだ!」

 

俺は咲夜さんと全く同じスペカを発動する

 

奇術『幻惑ミスディレクション』

 

これで何とかよけられる。そう思っていた瞬間

 

「っ!?何だこの霊力の消費量は!」

 

おかしい。今までのスペカよりも圧倒的に霊力の消費量が大きい。すぐにスペカの発動をやめる。すると、少しはよけられるように隙間が空いていた。さっき俺が発動したスペカのお陰で少しは相殺できたらしい

 

そして俺はよけながら理解する

 

「そうかナイフ!咲夜さんは本物のナイフを使ってるからその分霊力を消費しなくていい。しかし俺はナイフなんて持ってない!つまりその場合ナイフは自分の霊力から作らなければならない!一つ一つが大したことない消費量であっても、大量に作ればその分だけ霊力を消費してしまう!」

 

それに普通の弾幕とは違い玉がナイフの形に自動的に整形されてしまう。それだけでも結構な霊力を消費してしまう。それに加え咲夜さんは時を止めてナイフを回収したりすることができるが、こちらのナイフは霊力の塊であるため、回収なんてできない。つまりその分も多くの霊力を消費してしまうのだ。

 

「くっ……仕方ない!一気に勝負を決める!」

 

俺はスペカを発動する。先程門番に放った俺の最強のスペカだ

 

神怒『ゴッド・レイジ』

 

スペカから光が放たれ、空に向かって雷が発射される……だが

 

「そ、そんな!?」

 

雷は天井に直撃し、そのまま霧散してしまう

 

「これは屋内では使えないのか……クソ!攻撃方法がない!どうすれば……」

「逃げてばかりでは勝てないわよ!さぁ次よ!」

 

そう言うと咲夜さんは新たなスペカを発動する

 

幻幽『ジャック・ザ・ルドビレ』

 

赤い巨大な弾が数発飛んでくる

 

「これならよけられる!」

「本当にそうかしら?」

 

俺は弾をよける為に体を大きく動かす。すると

 

「なっ!?」

 

突然目の前に大量のナイフが出現する。不味い、よけるのに体を大きく動かした為急な方向転換ができない。俺は無理に体を動かしナイフを避ける。しかしそのせいで体のバランスを崩してしまう。

 

「今よ!」

 

第二波が押し寄せる。このままでは恐らく被弾してしまう。そう考えた俺は危険な賭けに出る

 

「うおおおお!」

「なっ、血迷ったの!?」

 

赤い弾幕を抜け、俺は咲夜さんに向かって飛ぶ。確かコートオブアームズにはもう一つ技があったはず。それに賭ける!

 

「なら、望み通り串刺しにしてあげるわ!」

 

目の前に大量のナイフが出現する。間一髪の所でナイフを避けながら進み、とうとう咲夜さんの目の前にたどり着く

 

「くっ……調子に乗るな!」

 

咲夜さんが俺に向かってナイフを数本投げる。これはよけられない。焦った俺は頭を守るため本能的に右腕を前に出してしまう

 

「ぐああああっ!」

 

右腕にナイフが数本刺さる。とてつもなく痛い。しかし俺は怯まない。右腕からナイフを一本引きき、咲夜さんに向かって投げる

 

「きゃあっ!?」

 

咲夜さんは突然の反撃に焦ったのか、体を大きく動かしてナイフを避ける。しかしそのせいで体のバランスを崩す

 

「今だ!」

 

俺はいつの間にか左手に握られていたスペルカードを発動する

 

射撃『ゴッド・シャーター』

 

俺の右側と左側に光の玉のようなものが4つずつ出現する。そして次の瞬間、それぞれから細いレーザーが発射される。それも全て咲夜さんに向かって

 

「きゃあああああっ!」

 

バランスを崩していた咲夜さんは全てのレーザーに当たってしまい、地面に落ちてゆく

 

「だ、大丈夫ですか?」

 

俺も地面に降り、つい聞いてしまう。ついさっき右腕をナイフで串刺しにされたのに

 

「まだ……まだよ……」

 

咲夜さんはゆっくりと立ち上がり、また新しいスペルカードを発動しようとしていた。しかしその瞬間、奥の扉が突然開き、黒い嵐がこちらに向かってくる。

 

「危ない!」

 

俺は咲夜さんに体当たりし、一緒に壁際に寄る。すると俺たちの居た所は嵐に飲み込まれる。

 

「この嵐……嫌な予感がする。行くぞ!」

「待ちなさい!まだ終わってないわよ!」

「あんたの御主人様が危険な目にあってるかも知れないんだぞ!いいからとにかく行くぞ!」

「わ……分かったわ」

 

俺はすごい剣幕で咲夜さんに怒鳴る。黒い嵐、変な男……まさか、あいつがここに?もしそうだとしたら霊夢も危ない!急がなければ!

 

俺は咲夜さんと共に奥の部屋に走る――――

 

 

 




恐らく次回で紅霧異変終了です。男の正体はアニメ遊戯王を見てる人ならわかるはずです。


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第七話 真打登場

感想が着くって嬉しいですね。


霊夢side

 

黒い嵐が吹き荒れる直前――――

 

 

呪詛『ブラド・ツェペシュの呪い』

 

レミリアがスペルカードを発動する。それと同時に私もスペルカードを発動する

 

霊符『夢想封印』

 

「めんどくさいから一気に決めるわよ!」

「くっ……人間が……調子に乗るな!」

 

実力は互角だが、若干こちらが優勢と言ったところか。これなら思ったよりも早く異変を解決出来そうだ。さっさと帰ってお茶を飲みたいところだ。そう思っていた矢先、突然レミリアの後ろに男が出現する

 

「あれぇ?劣勢かなぁお嬢様ぁ?」

 

……人を小馬鹿にする言い方が何とも気に食わない

 

「うるさい!手伝わないなら黙ってなさい!」

「おお怖いねぇ……まぁ手伝う気は毛頭無いんですけどねぇ」

「だったら引っ込んでなさい!」

 

何やら険悪な空気である。話からすると、この男はこの異変に加担しているのか?なら問答無用でぶっ潰していいわね。ポケットから新たなスペルカードを取り出そうとしたその時

 

「……だがお嬢様、あんたではこの幻想郷を支配するなんて無理なことだなぁ」

「なっ……どういう事よ!」

 

幻想郷を?支配?何この厨二病たち

 

「何故なら……この俺が支配するんだからなぁ!」

 

そう言うと男は真っ黒いスペルカードを掲げる

 

触手『ブラックミラージュウィップ』

 

「何!?貴方まさか私を裏切る気!?」

「そのまさかだぜ……お嬢様ァ!!」

 

男の手が分裂し、私達に襲いかかる

 

「くっ……ふざけるなぁ!」

 

レミリアがスペルカードを発動する

 

紅符『スカーレットシュート』

 

レミリアのスペルカードが男の触手を一つ残らず粉砕する

 

「へぇ!中々やりますねぇ!」

「吸血鬼舐めんな!それに貴方が裏切るなんて私の運命には無かったはず!」

「運命?そんなもの捻じ曲げることなど造作もないわぁ!」

 

何だか私蚊帳の外な気がする

 

「ククク……次はこれだぁ!」

 

そう言うと男はまた新しいスペルカードを発動する

 

奪力『シャドーゲイン』

 

カードから黒い嵐が吹き荒れる。しかもそれは私達に向かっている。あれに巻き込まれてはいけない。そう本能が叫んでる。すぐに私はスペルカードを発動する

 

夢符「封魔陣」

 

私達の前に結界が張られる。しかし

 

「っ!?結界が!?」

 

結界に亀裂が走る。嵐が強過ぎるのだ。すぐに結界は粉々に破壊され、嵐の中に飲み込まれる

 

「「がぁっ!!」」

 

嵐に巻き込まれて暫くすると、私達は嵐からはじき飛ばされ、地面に叩きつけられる。

 

あの野郎……ぶっ潰す!

 

私は怒りをあらわに立ち上がろうとする、しかし

 

どういうこと?体に全く力が入らない。

 

まるで腰が抜けたかのように立ち上がることが出来ない。どういう事だ?

隣にいるレミリアも同じようなことになっている。私はあの男に視線を移す。

 

「ヒャッハハハ!力が、力がみなぎるぜぇ!まさかてめぇらこんなに力を持っていたとはなぁ!」

 

そこには先程とは比べ物にならない力を放つ男がいた

 

「くっ……まだ、まだよ!」

 

そう言って私はスペルカードを発動しようとする。しかし

 

「ど、どうして!?何でスペルカードを発動できないの!?」

 

全く霊力がみなぎらず、そこにはただの紙となったスペルカードがあった

 

「教えてやろうか!?さっきの嵐、あれは巻き込まれた奴の力を奪うんだよ!」

「そ、そんな!」

「そして奪った力はそのまま俺のものになるのさ!ヒャッハハハ!この力があれば幻想郷を支配するなんてこと訳ねぇな!」

 

博麗の力と吸血鬼の力を吸収した男は高らかに笑う。その瞬間、誰かが入口で叫ぶ

 

「お嬢様!!」

「さ、咲夜!」

「霊夢!!」

「あ、あんた!生きてたの!?」

「俺が死ぬとでも思ったか!」

 

伊藤とメイドが入ってくる

 

「へぇ……お仲間かぁ。おっと咲夜さん、そいつは敵じゃないのか?何で一緒にいるんだ?」

「そんな事教える必要はない!」

 

メイドがナイフを構え、男に投げる。ナイフは男に向かって真っ直ぐ飛んでいく

 

「そんな物で俺を倒せると思ってるのか?」

 

男は飛んできたナイフを片腕で粉々にする

 

「まぁ落ち着けよ。お前らの相手はこいつらを始末してからゆっくりとしてやるからよ!」

 

男はまたスペルカードを発動する

 

触手『ブラックミラージュウィップ』

 

先程の数倍の量の触手が向かってくる。このままでは間違いなく死ぬ。

 

「動け、動きなさいよ!私の足!」

 

私の叫びも虚しく、足は全く動いてくれない。私は男の方を向く。もう目の前まで触手が迫ってきている。私は足を動かすことを諦め、覚悟を決めた――――

 

 

伊藤side

 

――――また人が死ぬのか?俺が無力なせいでまた人が死ぬのか?あの時だってもっと俺が強ければ母さんが死ぬことは無かったのかもしれない。……嫌だ。もう人が死ぬのを見たくない。考えるよりも先に体が動いていた――――

 

写符『ゴッドメダリオンハンド』

 

俺がスペルカードを発動すると、巨大な手が霊夢とレミリアに伸びていき、間一髪のところで二人をこちらに引き寄せることに成功する。二人が元いた場所は触手により地面が大きくえぐれている。あれをまともに喰らえばまず命はないだろう。

 

「ちっ……余計な真似をしやがって……なら……てめぇらも一緒にぶっ潰してやるよ!ブラックミラーz「させないぜ!マスタースパーク!」チィっ!」

 

突然魔法陣が出現し、そこから出てきた白黒は男に向かって光の砲撃を繰り出す。男は突然後ろから放たれた砲撃に驚きながらも、何とか避けることに成功する

 

「ま、魔理沙!」

「よぉ霊夢!大丈夫か?……その様子だと全然大丈夫じゃ無さそうだな」

「全くよ」

 

そして、魔法陣からもう一人出てくる

 

「レミィ!」

「パ、パチェ!?」

「パチュリー様!?どうしてここに!?」

「簡単に説明するとね……」

 

 

 

魔理沙&パチュリーside

 

男が出現する直前――――

 

「どうする?まだやるか?」

「くっ……まだまだよ!」

「そう来なくっちゃな!」

 

二人がスペルカードを発動する直前、図書館に警告音のようなものが鳴り響く。

 

「な、何だぜ!?」

「この音は……くっ!中断よ!」

 

そう言うとパチュリーは急いで下の机の近くに降り立つ。そして机の上にある水晶を覗き込んでいる。魔理沙も急いで下に降り、パチュリーに尋ねる

 

「一体何なんだぜ!?」

「これを見なさい」

 

パチュリーは水晶を魔理沙の前に置く

 

「なっ……霊夢!?」

 

そこには嵐からはじき飛ばされ、地面に激突する霊夢ともう一人の姿があった

 

「おい!これは一体どういう事だ!」

 

魔理沙はパチュリーに掴みかかる

 

「この状況から考えるに……反逆、かしら。ここを見なさい」

 

パチュリーは水晶の一部を指さす。魔理沙はそこを覗き込む

 

「な、何なんだこの男は!」

 

そこには二人の力を吸収して高らかに笑う男の姿があった

 

「……行くわよ」

「は?どこに?」

 

パチュリーは突然呪文を唱え始める。すると突然目の前に魔法陣が出現する

 

「もしも反逆が起きた時のために作っておいたこれが役に立つ時が来るとはね……」

「ちょっと待て!これは一体何なんだ!」

「これは今貴女のお友達がいる場所まで瞬時に移動できる、言わばテレポーターよ。ここに入ればすぐにあの場所まで行けるわ。」

「何!?だったら今すぐ……」

「話を聞きなさい。確かに行けるわ。でもこれは一方通行よ。ここに入ったらもうあの場所から戻れなくなる。つまり、貴女も私もあそこで死ぬかもしれないのよ。それでもいいの?……死にたくないなら無理せず帰りなさい。」

 

それを聞くと魔理沙は黙ってしまう

 

「私は……死ぬのは嫌だぜ」

「……そう、だったら「でも親友がここまでやられているのを見て、何にも出来ずに帰るのはもっと嫌だぜ!」……それでこそ親友よ。さぁ行くわよ。もし無事に帰ってこれたらさっき貴女が盗もうとした本、譲ってあげてもいいわよ」

「マジか!?よっしゃあ!俄然やる気が出てきたぜ!」

「ふふっ。単純ね。さぁ行くわよ!親友を助けるために!」

「おう!」

 

そして二人は魔法陣に飛び込んだ――――

 

 

 

伊藤&その他side

 

「という訳よ」

「パチェ……あんた……本当に馬鹿ね。私なんかほっといて逃げればいいのに……」

「親友がこんなにやられているのに、何にも出来ずに逃げるのは嫌なのよ」

「あんた……あの白黒に影響されてるわね」

「誰があんな奴に影響されるもんですか」

 

そう言うと、二人は笑う

 

 

 

「ククク……こいつはすげぇや……あの二人までとは行かなくとも、かなりの実力者たちが勢揃いだァ……いいだろう!冥土のみやげに教えてやるよ!我が名はNo.96!この幻想郷の、いや、世界の支配者となる男だ!」

「No.!?」

「ほう……お前はNo.を従えているのか……」

 

俺が驚いたようにいうと、No.96はこちらを向く。どうやらコートオブアームズの存在に気づいているようだ

 

「……中々の力だ。ククク……それでは次は貴様の力を吸収させてもらおうか!」

「やれるもんならやってみな!」

「ハッ!右腕がそんなんじゃあ、相手にもならねぇなぁ!」

 

そうだった。先程の咲夜さんとの戦いで右腕はほとんど動かなくなってしまっているんだった。この状態ではとてもあいつには勝てないだろう。そう思っていた時

 

「ならば私が貴方の右腕になりましょう」

「な、咲夜さん!?」

「貴方の腕がそんなになってしまったのは私の責任でもあります。それに、お嬢様に刃を向けるものは誰一人として許さない!」

 

咲夜さんの覚悟は本物だ

 

「それなら流れ弾の処理は任せな!」

「ええ、咲夜、それにあんた……あいつを思いっきりぶちのめしてやりなさい!」

「承知しました、パチュリー様!」

「あんたじゃなくて、俺には伊藤と言うちゃんとした名前があるんだぞ!」

「別れの挨拶は済んだか?さぁ、楽しもうじゃねぇか!」

 

最後の戦いが今始まる――――――――

 




今回で終わると言ったな?あれは嘘だ


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第八話 紅霧異変、完!

今回でようやく紅霧異変が終了です。長かったような短かったような……それではどうぞ!


伊藤side

 

「ブラックミラージュウィップ!」

 

No.96から大量の黒い触手が放たれる。攻撃方法は二つしかないようだが、どちらもかなり厄介だ。どちらもに当たればまず無事では済まないだろう。俺は触手をよけながらスペルカードを発動する。さっき霊夢たちを助けたときちゃっかりコピーさせてもらったスペルカードだ

 

霊符『夢想封印』

 

スペカから光の玉が出現し、No.96を取り囲む。

 

「ほう……これはあの巫女の……」

「吹き飛べ!」

 

瞬間、光の玉が爆発する。あれなら多少のダメージは与えられるだろう……そう思っていたが

 

「ハッハァ!効かないねぇ!」

「何!?」

 

煙の中から飛び出してきたNo.96はピンピンしていた。何故だ?

 

「それならこれはどうかしら!?」

 

そう思っていると、続いて咲夜さんがスペルカードを発動する

 

幻世『ザ・ワールド』

 

突然No.96の前方に先程とは比べ物にならない量のナイフが出現する。まだあんなスペカを隠し持ってたのか……今咲夜さんと戦ったら……間違いなく死ぬね。うん。そう確信した

 

「くどいねぇ!そんな攻撃効かないんだよぉ!シャドーゲイン!」

 

No.96が黒い嵐を巻き起こす。嵐はナイフを全て吹き飛ばし、咲夜さんに向かっていく

 

「くっ!時よ止まれ!」

 

嵐に巻き込まれる直前、咲夜さんは自身の能力を発動したようだ。時を止め、一瞬で嵐の外に移動する。

 

「な、何で攻撃が通じないの!?」

 

咲夜さんが困惑した表情で叫ぶ。そんな中俺は必死にNo.に関する記憶を掘り出す。そして一つの仮説を立てる

 

「……まさか」

 

その声を聞くと、No.96は笑いながら俺達に説明する

 

「クッハハハ!ようやく気付いたか!No.はNo.でなければ倒せないんだよ!つまり!俺を倒すにはそんな他人からコピーした技なんか使わず、てめぇが持ってるNo.の攻撃でないと俺は倒せないんだよ!」

「そ……そんな!?それじゃあ私は……」

「そうさ!てめぇはこの戦いではただの!あ、し、で、ま、と、いなんだよ!」

 

足手まといと言う言葉に咲夜さんはかなりのショックを受けたようだ。呆然とその場に立ち尽くしてしまう。

 

「だが安心しな!足手まといなあんたの力は、俺がしっかりと受け継いでやるからよ!シャドーゲイン!」

 

また黒い嵐が咲夜さんに向かって吹き荒れる。しかし咲夜さんは呆然とその場に立ち尽くしていて動こうとしない。このままでは咲夜さんはあの嵐に巻き込まれてしまう。俺は考えるより先に行動を起こす

 

「くっ!ゴッドメダリオンハンド!」

 

咲夜さんに向かって巨大な手を伸ばし、何とかこちらに引き寄せる。しかし、少し行動が遅かったようだ。咲夜さんの体の一部が嵐に巻き込まれてしまった。嵐はゴッドメダリオンハンドを消し飛ばし、咲夜さんを壁に叩きつける。

 

「がはっ……」

 

咲夜さんは口から血を吐き、苦しそうに呻く

 

「チィっ……力を完全に吸収出来なかったか……まぁいいだろう。どうやら咲夜さんはもうリタイヤのようだしなぁ!」

 

No.96が勝ち誇ったように笑う

 

「咲夜さん!」

「私は……足手まとい……」

 

ダメだ、完全に心がやられている。早くどうにかしなければ咲夜さんも危ない

 

「違う!咲夜さんは足手まといなんかじゃない!あんな奴の言葉に惑わされるな!」

「もういいんです……私なんか放っておいて下さい……」

「っ!いい加減にしろ!」

 

俺は咲夜さんに平手打ちをする。パァン、と部屋に音が木霊する。咲夜さんは驚いたように俺の顔を見る。

 

「いい加減にしろ!こんな怪我をしている以上、俺一人ではあんな怪物に勝てない!勝つには咲夜さん、あんたの力が必要なんだ!」

 

俺は咲夜さんに串刺しにされた右腕を見せる。血がボタボタと流れ落ち、少しずつ冷たくなってきている。

 

「で、でも私では……」

「それに!あんたはあのお嬢様のメイドだろ!そのお嬢様があんなにやられているのを見て何も思わないのか!?」

 

咲夜さんはハッとしてレミリアの方を見る。そこには力を吸収され、その場にへたれこんでいるレミリアの姿があった。それを見て咲夜さんは再び目の色を取り戻し、No.96に向き直る。

 

「私は十六夜咲夜……お嬢様を守りし最後の砦……。お嬢様を、いや、私の家族を傷つけるものは、誰一人として許さない!」

 

ナイフを構え、再び臨戦態勢に入る

 

「それでこそ咲夜さんだ!そこに痺れる憧れるぅ!」

「ふふっ……貴方、面白いわね。どう?この戦いが終わったら一緒にお茶でも?」

「お言葉に甘えて!それよりも……まずはあいつを何とかしますよ!」

「ええ、そうね!」

 

俺たちは再びNo.96の方向を向く。

 

「チィッ……立ち直りやがったか。だが、てめぇらの圧倒的不利な状況は変わらねぇぜ!さぁ一体どうする!?」

「確かにそうね……勝算はあるの?」

「いや……せめてこれが使えればな……」

 

俺は持っているスペルカードを見つめる。ゴッド・レイジ――――俺の最強のスペカだ。こいつは屋内だと天井などに阻まれて使えない。どうすればいい――――

 

そして、俺は気付く。そうか、そうすればいいのか。

 

「……いや、咲夜さん、一つ思いついた。」

「何かしら?」

 

俺は咲夜さんに作戦を伝える

 

「成程……確かにそれなら……。でも今の私は奴に力を奪われて能力も、スペルカードも使えなわいわよ。せいぜい飛ぶことぐらいしか出来ないわね」

「それで十分だ。さぁ行くぞ!」

「別れの挨拶は済んだか?なら……あばよ!ブラックミラージュウィップ!」

 

No.96の攻撃をかわし、俺達は別々の方向に飛ぶ――――

 

 

 

魔理沙&パチュリーside

 

「マスタースパーク!」

 

こちらに向かって押し寄せる触手に向かって魔理沙はマスタースパークを放つ。マスタースパークは触手に直撃し、軌道が変わる。触手はそのまますぐ脇の地面を大きくえぐる。もし私があそこにいたら、と思うと寒気がする。

 

「ロイヤルフレア!」

 

黒い嵐を炎が包み、そのまま消滅させる。攻撃が一通り落ち着いた所でパチュリーは咲夜を見る。……大丈夫だろうか。力を完全に吸収されてないとはいえ、今の咲夜では飛ぶことだけで精一杯だろう。

 

「何だ、心配なのか?」

「……そりゃあね。何せ私達の家族ですもの」

「家族、ね。なら信じてやろうぜ。その家族が今からする事をよ」

「言われなくとも分かってるわよ。ほら!またきたわよ!準備なさい!」

「おう!任せろ!」

 

咲夜……死なないでね――――

 

 

 

咲夜side

 

触手が押し寄せる中、私はNo.96に向かってナイフを投げる

 

「何だ?まだわからないのか?そんな攻撃、俺には通じねぇよ!シャドーゲイン!」

 

No.96がナイフを吹き飛ばすために黒い嵐を起こす。私はそれを間一髪で上に飛んで避ける。しかし、それを見てNo.96はほくそ笑む

 

「馬鹿が!その程度の行動俺が読めてないとでも思ったか!消えろ!ブラックミラージュウィップ!」

 

触手が私に押し寄せる

 

「「咲夜!!」」

 

パチュリー様とお嬢様が同時に叫ぶ。

 

触手が押し寄せる。私はそれを見て、そっと目を閉じる――――

 

触手が天井を粉々に砕いた――――

 

 

 

No.96side

 

天井が音を立てて崩れていく

 

「ククク……アーッハッハッハッハッハ!!」

 

やはり人間なんて所詮はこんな物。威勢のいいことを言っても、最後に勝つのはこの俺。この俺こそが神になるのに相応しい!他の奴らに力なんて要らない。愚民どもは皆この神たる俺に力を差し出せばいいのだ!さぁ次は……あいつらか

 

俺は白黒の魔法使いと紫もやしの方を向く。

 

「ククク……待たせたな。「「次にお前(貴方)はこう言う!「次はお前らだ」と!」」次はお前らだ……な、何!?」

 

俺は急いで後ろを振り返る。煙が晴れていく――――するとそこには先程殺したはずのメイドと男がいた――――

 

 

 

伊藤side

 

「なっ……どういう事だ!何故てめぇが生きている!」

 

No.96が俺に問う。そして俺は答える

 

「簡単なことだ……俺が時を止めた。そして咲夜さんを助けた。ただそれだけのことだ」

「時を止めた?何故そんなことが……そうか、お前のNo.か」

「そうだ。俺のNo.……いや、俺の相棒の力で咲夜さんの能力をコピーさせてもらったのさ!そしてお前に次なんてものはない!」

「なっ……どういう事だ!」

「俺は待っていたのさ……天井に穴が開く、この瞬間を!」

 

No.96は驚いたように先程破壊した天井を見上げる。そこには真っ赤に染まった月が顔を出していた

 

「これが俺の最後の攻撃だ!受けてみろ、No.96!」

 

そう言って俺は右手を咲夜さんに支えてもらい、スペルカードを掲げる

 

神怒『ゴッド・レイジ』

 

スペルカードから光が放たれる。今度は天井に阻まれる事無くまっすぐ空へ伸びていき、紅霧を突き破る。刹那、門番に放った一撃の数倍の威力を持ちそうな大砲撃が空より放たれる。

 

「「俺たち(私達)の怒りを受け取れ!!No.96!!」」

 

空より放たれた大砲撃は、まっすぐNo.96に向かっていく――――

 

 

 

No.96side

 

あれに当たってはいけない。そう本能が叫んでいる。逃げなければ。逃げなければならない。――――落ち着け、この距離ならまだ余裕でよけられる。そして俺はほくそ笑む――――

 

「馬鹿が!その程度の攻撃、俺がよけられないとでも思ったか!」

 

これをよけて、奴等をぶっ殺せばこの戦いは俺の勝ちだ!そう、神たる俺が負けることなんて有り得ないのだ!そして砲撃をよけようと体を動かそうとしたその時、突然周りに結界が張られる。

 

「な、何!?」

 

俺は急いで後ろを振り返る。そこにはお払い棒をこちらに向け、肩で息をしている紅白の巫女がいた。

 

「ハァ……ハァ……い……いくら力を吸収されていても、結界を張る程度の霊力ぐらいはとっくに回復してるわよ!」

「クッ……!」

 

俺は再び前を見る。砲撃はもう目の前まで迫っていた

 

「馬鹿な……この俺が……この神たる俺がぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

砲撃が結界を粉砕し、俺の体に直撃する――――

 

「ぐがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

 

そん……なバカ……な。この……俺が……人間なんぞに……負ける……なん、て……

 

 

 

伊藤side

 

俺はNo.96がいた場所に走る。するとそこには男の姿は無く、一枚のカードが落ちていた。……No.96 ブラックミスト。やはりこいつだったか。俺はそのカードを拾い、能力と力を吸収する。すると凄まじい量の霊力と妖力が流れ込んでくる。……成程、これが霊夢にレミリア、そして咲夜さんの霊力の一部か。……本当に凄まじい力だ。これなら本当に世界を支配できるかもしれない。しかし俺はパチン、と指を鳴らす。すると

 

「「「戻った……」」」

 

音と共に俺の中から力が消える。どうやらみんなの体に力が戻ったようだ。これで一件落着、かな

 

「……貴方は一体何者かしら?私の運命に、貴方なんて出てこなかったわ」

 

レミリアが俺に問う

 

「俺か?俺は伊藤大輔!普通の決闘……者……だ……?」

 

突然視界がぼやける。まずい、流石に血を流しすぎたか。皆の声が聞こえるが、少しずつ遠くなっていく。はは……遂に俺もおしまいか……疲れたな……少し……休も……う……

 

そこで俺の意識は途切れた――――

 




紅霧異変、終了!お疲れ様でした!そして今回伊藤君がやばいことになっています。果たして次回どうなってしまうのか……。それでは次回もゆっくり見ていってね!


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第⑨話 紅魔館にて

タイトルの⑨は今回出てきません


――――此処はどこだ?俺は確かNo.96との戦いで死んだはず……

 

俺がゆっくりと目を開けると、そこは知らない天井だった。そしてちらと横を見る

 

「……咲夜さん?」

 

体中に包帯を巻いた咲夜さんが、俺が寝ているベッドの隣の椅子に座って寝ている。続いて俺は怪我している右手を見る

 

「……あれ?」

 

そこには無傷の、綺麗な右腕があった

 

「え、一体どういう事だ?」

「ん……?あ、気がついたのね。」

 

椅子に座っている咲夜さんが起きる

 

「大丈夫?貴方、あれから三日もずっと目を覚まさなかったのよ?」

「げっそんなに寝ていたのか」

 

そして俺は咲夜さんに問う

 

「咲夜さん。この腕は一体どういう事なんだ?」

 

俺は咲夜さんに右腕を見せながら疑問を率直に投げかける

 

「ああ、その腕?」

「うむ」

「……言った方がいいかしら?」

 

咲夜さんが困った表情で俺を見る

 

「頼む、教えてくれ」

「……わかったわ。あの戦いが終わったあと、貴方は血を流しすぎて倒れてしまったのよ」

「ほう」

「あのまま放置していたら間違いなく貴方は死ぬ。そう思ったお嬢様は自身の血を、つまり吸血鬼血をあなたの体内に入れたのよ」

「ああ成程……て吸血鬼の血!?」

 

俺の言葉を無視して咲夜さんは話を続ける

 

「吸血鬼の血を人間の体内に入れた場合、血が入れた人間に上手く適合すればその者は吸血鬼になる……貴方は吸血鬼になった事で、吸血鬼特有の驚異の再生力を手に入れ、その怪我を治したのよ。」

「えっと……つまり今の俺は……」

「お嬢様と同じ吸血鬼よ」

 

咲夜さんはきっぱりと言い切る。えっとつまり、俺は吸血鬼になった事でこの世に生還した、ということか?ということはもう俺は昼間外に出歩けない上に海や川で泳ぐ事も出来ないということか?もう俺はあの空に輝くお天道様を拝むこともできないのか?ああ、さようなら人間の俺、こんにちは吸血鬼の俺。そう思ってると咲夜さんは俺の表情から全てを悟ったように説明する

 

「ああ、大丈夫よ?吸血鬼になったとはいっても、貴方は昼間外も出歩ける。川で泳ぐ事も出来るわよ?」

「え?何で?吸血鬼って日光とか流水とかって駄目なんだろ?」

「それがよくわかってないのよ……お嬢様が血を吸い取った相手は普通の弱点を持った吸血鬼になるのに、血を入れた相手は何故か弱点を持たない吸血鬼になるのよ」

「ということは俺は……」

「弱点を克服した無敵の吸血鬼、という訳ね」

 

何だそのチート。今度からアルティメットシイング伊藤とでも名乗るか。

 

「で、さっき血が適合したとか言ってたが、もしも適合しなかった場合どうなるんだ?」

「……血が体内で暴走して、ゾンビになっていたわね」

「げっ……」

 

ゾンビになった俺の姿を想像する。……吐きそうになったので止めた

 

「あ、もしも俺が血に適合せずゾンビになっていたら咲夜さんはどうするつもりだったんだ?そんな近くにいたら真っ先に殺されるだろ?」

「……信じていたもの。貴方は死なないって」

「へ?」

 

咲夜さんが顔を赤らめる

 

「まぁでもなんだかんだで俺はそのおかげで助かったんだしな。ありがとう咲夜さん」

「わ、私は何も……それはお嬢様が……。あ、お嬢様といえば貴方が目を覚ましたら連れてこいと言われてたのすっかり忘れてたわ。立てる?」

「大丈夫だ。……先に行っててくれないか?後で俺も向かうから」

「?分かったわ。これが紅魔館の地図よ」

「地図って……ここそんなに広いのか……」

 

そう言って俺は咲夜さんから地図を受け取る。うわ、めっちゃ広い。地図にびっしりと部屋が書いてある。こんな広い館のメイド長を咲夜さんはしているのか……大変そうだな

 

「それじゃあ後でね」

 

そう言って咲夜さんは部屋から出ていく。部屋から遠ざかっていくのを聞き、俺は声を掛ける

 

「……いるのは分かってるんだぞ。出て来い」

「……またバレてたのか……俺って気配を隠すの苦手なんだな……」

「まぁそう気を落とすな」

 

突然空中に現われた人間の騎士の様な格好をコートオブアームズとNo.96。コートオブアームズはともかく……

 

「何でお前がここにいるんだ?お前は俺が吸収したはずだが?」

「それが俺にも良く分からないんだよねぇ……何で此処に俺がいるのか、俺の方が聞きたいよ」

「へー、それで?お前はまた何かやらかすつもりか?」

「とんでもない。あの時みたいに何か起こすよりも、あんたと一緒にいた方が色々と楽しそうだしねぇ」

「へー。そーなのかー」

 

ルーミアの口癖が俺にうつったようだ

 

「まぁ今度何かしたら本気で叩き潰すからな。覚悟しとけ」

「落ち着けって。本当に何もする気なんかねぇからよ」

 

一応信じてみる事にしよう

 

「とりあえずレミリアの所に行くぞ」

「そういえば何であの娘の名前を知っているんだ?」

 

コートオブアームズが俺に問う

 

「俺の原作知識(笑)を舐めるなよ」

「お、おう」

 

~数十分後~

 

「えーっと地図だと……此処か」

 

俺は迷いながらも何とかレミリアの部屋に到着する。コンコンとノックをすると部屋の中から返事が帰ってくる

 

「入りなさい」

「じゃあ遠慮なく」

 

俺が部屋に入ると、ようjゲフンゲフンレミリアが椅子に座り、足を組んでいる。その隣には咲夜さんが慎ましく立っている

 

「まぁ座りなさい

「お言葉に甘えて」

 

俺が椅子に座るとレミリアは話を始める

 

「まずはお礼を言わなきゃダメね。あの時貴方がいなかったら私は死んでたわ。心から感謝するわ。本当にありがとう」

 

レミリアが俺に向かって一礼する

 

「別にいいんだよ。それにお礼を言うならこいつに言ってくれ」

 

俺が言うと突然空中に人間の騎士の様な格好をしたコートオブアームズが現れる。それを見てレミリアはすこし驚いたようだ。しかしコホンと咳払いをして

 

「た、助けてくれてありがとう。お陰で助かったわ」

「いや、お礼を言われる程ではない

「ところであんたたち名前は?」

「俺は伊藤大輔」「私はNo.69 紋章神コートオブアームズだ」「そして俺がNo.96 ブラックミストだ!」

「「てめぇは引っ込んでろ!」」

 

俺とコートオブアームズが一緒にNo.96に殴りかかる

 

「ち、ちょっと!何でこいつがこんなところにいるのよ!」

「いや、これには少し深い訳が……」

「問答無用!グングニル!」

「いやちょっと待っt アッーーー!!」

 

~数分後~

 

「……なるほどね。そう言う事」

「いきなりグングニルは酷いよ」

「悪かったわよ。それにあんたは吸血鬼なんだからその程度の怪我は何ともないでしょう?」

「まあな……」

 

俺は先程グングニルに当たった左腕を見る。もう再生を始めている。吸血鬼って凄いね

 

「それで?俺に話があるんじゃなかったのか?」

「あ、そうそう。それで話というのは貴方の今後についt「パチュリー!!この本借りてくぜー!!」」

「あー!!こら待ちなさい!!その本は読みかけなのよ!!それに本を借りるならこの前借りた本を返しなさい!!」

「あれはまだ読みかけなんだぜ!!だから返すわけにはいかないんだぜ!!」

「宜しいならば戦争だ!!」

 

下の階から凄い音が聞こえてくる

 

「……一体なんなんだ?」

「ん?あれは魔理沙が本を借り(盗み)に来てるのよ」

「あ、そうなんだ……ってうぉっ!?」

 

いつの間にか隣に霊夢がいる。全く気がつかなかった

 

「おや、霊夢じゃない。一体何の用?」

「こいつの今後についてよ」

 

ビシっと俺を指さす

 

「え?俺?」

「そうよ。あんた一応外から来てるようだし、どうするか決めないとね」

「ち、ちょっと!あんた何勝手に話を進めてんの!」

「ああ大丈夫よ。こいつについて一通り決めたらちゃんとここに返すから」

 

俺を置いて勝手に話が進んでいく

 

「ほら、さっさと行くわよ」

「え?お、おう」

「ちゃんと返しなさいよ!」

「へいへい、わかってますよ」

 

そう言うと俺と共に霊夢は部屋を出て、歩き始める

 

「えっと、今後のことについてって、何処で話すんだ?」

「そんなの決まってるじゃない」

 

俺の前を歩いていた霊夢は振り返る

 

「私の神社でよ。ほらさっさと行くわよ」

 

今後のことについてって、一体どんな事を話すんだろうか。そんなことよりも俺は一つのことで頭がいっぱいだった

 

(やった!本物の博麗神社に行ける!)

 

紅魔館を歩いてる途中、魔理沙に撃墜されたのか、パチュリーが地面にうずくまっていたが、俺は何も見ていない

 




なんだかんだで生還した伊藤君!次回は霊夢と一緒に白麗神社で話し合い!それでは次回もゆっくり見ていってね!


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第十話 博麗神社にて

いいタイトルが全然思いつかない……


~博麗神社~

 

「はい、到着よ」

「おー此処が……」

 

少しずつ太陽が沈んでいく中、目の前にはイメージ通りの博麗神社があった

 

「とりあえず上がりなさい。貧乏だけどお茶くらいは出すわよ。」

「貧乏って……ここ神社だろ?お賽銭とか入らないのか?」

「お賽銭ね……そんなもの久しく見てないわ……。」

 

霊夢が乾いた笑みを浮かべながらこちらを見る。外の世界にいた頃の俺と似てるな

 

「まぁ何もないところだけどどうぞ。」

「お邪魔しまーす。」

 

中はそれなりに片付いている。……まあ散らかすほど物がないともいえる

 

「ちょっと待ってて、今お茶入れてくるから。適当にくつろいでていいわよ。」

「りょーかーい。」

 

俺が適当に返事をすると霊夢は奥に引っ込む

 

「ふぅ……。」

 

とりあえずくつろいでていいと言われたのでゴロン、と横になる。……畳のいい香りがする。そういえば俺がここに来てから外の世界ではどんな事があったのだろうか。突然俺が居なくなってバイトはどうなったのだろう。

 

「こんばんわ。」

「どわぁっ!?」

「「ぎゃっ!?」」

 

突然目の前に女の人の顔が現れ、びっくりして頭をぶつけてしまう。物凄く痛い。

 

「待たせたわね。……って紫、あんた何してんの?」

「れ、霊夢……すごく痛いわ。助けて。」

「あーそれはもうどうにもならないわね。諦めなさい。ほいお茶。」

「いてて……あ、こりゃどうも。」

 

左手で頭を抑えながら、右手でお茶を飲む。うむ美味い。

 

「霊夢ー私のお茶はないの?」

「あー?あるわけ無いでしょ。欲しかったら自分で入れてきなさい。」

「そんなこと言わずにさー。頼むよ霊夢ー。」

「あーこら暑いんだからベタベタ触るんじゃない!もうわかったわよ!入れてくりゃいいんでしょ入れてくりゃ!」

 

霊夢はめんどくさそうに奥に引っ込む。なんだかんだでやってくれるのな。

 

「で?あんたは誰?」

「え?ああ自己紹介が遅れたわね。私は八雲紫。妖怪よ。」

 

八雲紫……ああ、あのスキマ妖怪か

 

「ふーん。俺は伊藤大輔。吸血鬼兼決闘者だ。」

「吸血鬼ってどういう事か知らないけど、名前は知ってるわよ。何せ貴方をこの幻想郷に導いたのはこの私なんだから。」

「へ?」

 

そんなことを話していると、奥から霊夢が出てくる

 

「はいはいお茶ですよ!」

 

指を入れたままのお茶を

ちゃぶ台に置く。熱くないのだろうか。

 

「霊夢ーそんなことしてたらお嫁に行けないわよ?」

「あー?そもそもこの幻想郷に男なんて……あ、霖之助さんがいたか。でも霖之助さんとはそんな事にならないだろうから安心しなさい。」

「もう一人いるじゃない」

「え?」

「貴方の目の前に。」

 

そう言って紫は俺を指さす。

 

「あ、大丈夫ないない。」

「即答かよ」

 

霊夢は即答した。……何か若干傷ついたな。

 

「まずはなんで俺がこの幻想郷にいるか説明して欲しいんだが。」

「あ、そうね。紫、さっさと説明なさい。」

 

霊夢がちゃぶ台を挟んで俺の前に座る。図で表すとこうだ。

 

霊〇俺

 

そしてゆっくりと紫が話し始める

 

「貴方は人一倍カードとの絆が強い。貴方をあのまま外の世界に放置していたら、間違いなく能力が覚醒してしまう。そう思った私は貴方をこの幻想郷に連れてくることでカードとの絆を断ち切ろうとしたのよ。でも……」

「でも?」

「……誤算だったわ。まさかあんなにカードの力があんなに強かったなんて。カードの中でも特に強力な「No.」と呼ばれるカードは私のスキマを無理矢理こじ開け、この幻想郷にやってきたのよ。貴方の後を追うように」

「ゆ〜か〜り〜」

「な、なに霊夢?そんな怖い顔しないでよ」

「あんたのせいで……」

 

霊夢は紫の両肩をがっしり掴む

 

「私はそのNo.に殺されかけたのよ!私が死んだらどう責任取ってくれるんじゃオラァァァ!」

「れ、霊夢落ち着いて!そんなに激しく揺らさないで!あ、ヤバイ吐きそう。い、伊藤くんヘルプ!ガチでヘルプ!」

 

紫の顔がどんどん青くなっていく。このままだと本当に吐きそうなので助けることにした

 

「まあまあ霊夢。結果的に助かったんだからいいじゃないか。」

「……それもそうね。」

そう言うと霊夢は紫から手を離す

 

「げほっ……死ぬかと思ったわ。」

 

紫が涙目で言う

 

「そういえばさっき俺の能力が覚醒するとか何とか言ってたよな?それってどんな能力なんだ?」

「ん?貴方の能力?それはね……」

「うん」

「……「No.の力を操る程度の能力」よ。」

「えーっと……具体的には?」

「No.をその身に取り込み、そのNo.がもつ能力を使えるの。」

「……成程、紅魔館で戦った時に使ったのはその能力か。」

「正確には違うな。」

「ん?おお相棒。正確には違うってどういう事だ?」

 

突然相棒が俺の体の中から出てくる。……なんかちょっと嫌だな。

 

「あの時は主に戦う意思がなかったため、無理矢理主の体に憑依させてもらったのだ。まぁ幻想入りしたてでな。力を試してみたかったのだ。反省はしている。だが後悔はしていない。」

「駄目だこいつ早く何とかしないと……」

 

俺は頭を抱える。……まぁあの戦いがあったから紅魔館にも行けたし、そして今は白麗神社でお茶を飲んでいる。あまり攻める気にもなれない

 

「あんた誰?」

「申し遅れた。私はNo.69 紋章神コートオブアームズ。先程話していたNo.の1枚だ」

「意外と礼儀正しいのね。あいつみたいなやつじゃなくて助かったわ。」

「あいつ?」

 

そう紫が言うと突然No.96が現れる

 

「呼ばれた気がした。」

「「呼んでねぇ!!」」

 

俺とコートオブアームズがNo.96一緒に殴りかかる

 

「ち、ちょっと!何でこいつがこんなところにいるのよ!」

「いや、これには少し深い訳が……」

「問答無用!夢想封印!」

「いやちょっと待っt アッーーー!!」

 

〜数分後〜

 

「……なるほどね、そう言う事」

「いきなり夢想封印は酷いよ……ってこんな感じのやりとりが前もあった気がする。」

「まぁとりあえずそいつをぼこらせなさい。」

「ち、ちょっと待て!今戦ったら俺死ぬぞ!」

「……どういう事?」

「今こいつの力は俺が封印してるんだ。だから今のこいつと戦えばそこら辺に飛んでいる妖精でも勝てるだろうな。」

「へぇ……そう言う事……」

「な?だからとりあえずその手に持っている札を降ろしてくれないか?お嬢さんよ。」

「お嬢さんじゃなくて……私は霊夢よ!夢想封印!」

「え、ちょっとm(ピチューン」

「あ、殺っちゃった。」

「大丈夫でしょ?どうせまた復活してくるわよ。」

「それもそうか。」

「ま、まぁそんな訳で貴方を外の世界に出すわけにはいかないわね……そういえば貴方、今夜の宿は決めてあるの?」

 

今まで蚊帳の外だった紫が無理矢理話に割り込んでくる。

 

「決めてあると思うか?」

「でしょうね。霊夢、貴女泊めてあげなさいよ。」

「何で私が?紫の家に連れてけばいいじゃない。」

「貴女一応その人に命を助けられたのよ?その事について貴女は何にも思わないの?」

「ぐっ……分かったわよ、今日はここに泊まっていいわよ。」

「マジっすか!?感謝するぜ!!」

「あ、それとここに食べ物とかは無いからね。我慢して寝なさい。」

「大丈夫だ!空腹には慣れている!」

「あんた……一体外でどんな生活をしてきたのよ……。」

「ふふふ。それじゃあ私は帰るわね。それじゃあね。」

「おやすみー。」

「あーさっさと帰りなさいそしてもう来んな。」

「酷いわ霊夢。まぁツンな霊夢もそんなにキライじゃないけどね。」

「さっさと帰れ!」

「そんなに怒らないでよ……。あ、そうそう霊夢。」

「今度は何よ?」

「いい事すると、必ず自分にもいい事が返ってくるわよ。」

「?どういう事?」

「何でもないわ。それじゃあ今度こそさようなら。」

 

そう言うと紫はスキマを閉じる

 

「ほら!さっさと寝るわよ!布団の準備なさい!」

「え!?俺が準備するの!?」

「当たり前でしょう!ほらさっさとしなさい!」

「何か思ってたのと違う気がする。」

「何か言った?」

「イエベツニナニモ」

 

こうして俺達は眠りにつき、夜は老けていった――――




何か思っていた霊夢と違った伊藤くん!次回の内容はあんまり決まってない!それじゃあ次回もゆっくり見ていってね!


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第十一話 親方!!賽銭箱の中に金が!!

学校めんどくさいでござる。いっそのこと風邪ひいて休みたい。


〜博麗神社〜

 

「うーん……」

 

俺が目を覚ますと、もう朝だった。隣の布団を見ると、霊夢はまだ寝ている。残念ながら顔を向こうにして寝ているため、寝顔を拝むことは出来ない。

 

「……何しようか。」

 

暇である。外の世界ならば遊戯王のデッキ調整なりバイトなりとやることは山ほどあるが、ここでは何をすればいいのかわからない。勉強?何それ美味しいの?

 

「……散歩でも行くか。」

 

とりあえず外の世界ではあまりしなかった散歩をしてみる事にした。顔を洗って歯を磨いて外に出てみると

 

「朝ってこんなに清々しいものだったのか……」

 

空気ってこんなに美味しい物だったのか、と思えるほど外の世界に比べて空気が澄んでいる。俺は何となく隣にあった賽銭箱を覗いてみる。うん、やっぱり空か……ってあれ?

 

「え?どういう事だ?」

 

そこには小銭がぎっしり詰まった賽銭箱があった。中には野口英世もいる。

 

「うー……おはよー。」

 

そんな時、寝起きで髪がボサボサの霊夢が起きてきた。

 

「あ、霊夢。ちょっとこれ見てみろよ。」

「え?そんな空っぽの賽銭箱見たところで……ってうそぉ!?何これ!?」

 

霊夢が驚いて声を上げる。そりゃそうだろう。だって今まで空っぽだった賽銭箱の中に沢山の金が入っていたのだから。

 

「え!?何で!?まさかあんたどっかから盗んできたんじゃないでしょうね!?」

「何で俺なの!?いやいやそんなことしないよ!?」

「説明しよう!!」

 

また俺の体の中から人間の(ryコートオブアームズが出てくる。なんかもう慣れてきてしまった。

 

「説明ってどういう事?」

「主よ。No.は人の希望を写す鏡だと何処ぞのブラコンが言っていただろう?」

「そんな一部の人にしかわからないネタを……それで?」

「心が荒んでいる人間がNo.を手にすると、その心を利用され体を乗っ取られてしまうが、心が綺麗な人間がNo.を手にすると、体は乗っ取られず、むしろ様々な運勢が上がるのだ。これは恐らくNo.のせいで主の「金運」が大幅に上昇した結果だろう。」

「へー。それでさっきのブラコンの迷言はなんの意味が?」

「特にない。言ってみたかっただけだ。」

「それじゃあ私がそのNo.を手に入れればこれからもお賽銭が入るのね!!」

 

霊夢が目を輝かせながら御札とお払い棒を俺達に向けて構える。

 

「……いや、お前は少々金に対する欲が強過ぎる。お前がそのままNo.を手にしてもその欲を利用され、体を乗っ取られてしまうだろう。」

「そ、そんな……。」

 

霊夢ががっくりと肩を落とす。

 

「まぁ主がここにいる限り毎日この箱に金は入るだろうg「あんた!宿がないって言ってたわよね!?それじゃあここに住まわせてあげるわ!!いえ、神は言っているわ!!あんたはここに住む定めだと!!」な、なんだ?」

 

霊夢が物凄い勢いで俺の目の前まで近づく。鼻と鼻がくっつきそうな勢いだ。それにいきなり過ぎてコートオブアームズが困惑している。

 

「あ、えーと……それじゃあお願いs「いよっしゃあ!!」お、おう。」

 

答えを最後まで聞かず霊夢はガッツポーズをする

 

「霊夢ーちょっと聞きたいことがあるんだがいいか?」

 

魔理沙が空から箒に乗って降りてくる。

 

「?ど、どうしたんだぜ霊夢?その満面の笑みは。」

 

魔理沙は霊夢が今までにないほどの笑みを浮かべている事に少し恐怖を覚えた。

 

「あ、魔理沙〜。これ見なさいよ〜。」

「え?な、何だぜ霊夢そんな空っぽの賽銭箱を見たところで……ってうそぉ!?」

 

魔理沙も霊夢と同じく驚きの声を上げる。

 

「い、一体どういう事なんだぜ……ん?それにあいつは誰なんだぜ?確か異変の時に……」

「え?ああそうか魔理沙にはまだ伊藤のこと話してなかったわね。」

 

そう言うと魔理沙は俺に近づいてくる。

 

「あの時は霊夢を助けてくれてありがとうな。私は霧雨魔理沙。普通の魔法使いだぜ。」

 

うん、知ってる。外の世界でも人気だしね。

 

「俺の名前は伊藤大輔。吸血鬼兼決闘者だ。」

「ん?吸血鬼ってどういうことなんだぜ?どっからどう見ても人間にしか見えないんだが……。」

「ああそれは……」

 

少年説明中……

 

「というわけだ。あの賽銭箱のことについても今話した通りだ。」

「なるほど。……そもそもNo.って何だぜ?」

「そこからか……えっとNo.っていうのはあの時俺達が戦った奴のことだ。」

「あの時の……あああの黒いやつか。」

「俺の事か?」

 

そんな話をしてるとまた何処からともなくNo.96が出てきた

 

「マスタースパーク!」

「またかy(ピチューン」

 

魔理沙はすぐにミニ八卦炉を取り出し、No.96に向けてマスタースパークを放つ。なんかいい加減可哀想になってきた。

 

「つい反射的に殺っちゃったけど……大丈夫か?」

「まぁNo.はNo,じゃないと倒せないとか言ってたから丈夫だろ。」

 

とりあえず適当に何か言っておこう

 

「へー。あ、そうだ霊夢。異変解決の宴会いつやるんだ?」

「あー……そうだった。すっかり忘れてたわ。」

「宴会って?」

「ん?あああんたは知らなかったわね。幻想郷では異変が解決したらここで宴会をするのよ。」

「へー。中々楽しそうだな。」

「準備も今までは私一人でやってたんだけど、今度からはあんたがいるから少しは楽になりそうね。」

「それでいつやるんだぜ?」

「うーん……それじゃあ一週間後でどう?」

「わかったぜ!それじゃあみんなに言ってくるぜ!」

 

そう言うと魔理沙は箒に乗って何処かへ飛んでいく。

 

「何ぼーっとしてんの?ほらあんたも行きなさい!」

「え?魔理沙一人で大丈夫じゃないか?」

「紅魔館はどうかしら?あいつかなりの量の本を盗んでいるから門前払いを食らってもおかしくないわよ。」

「あー……なるほど。」

「それにレミリアがあんたに話があるとか言ってなかったっけ?それを聞くためにも行ってきたら?」

「そういやそんなこと言ってたな。じゃあちゃちゃっと行ってきますか。」

「宴会のこと言うの忘れないでよー。」

 

こうして俺はまた紅魔館へと向かうのであった――――

 




今回大分適当だった気がする……。次回はまた紅魔館!それでは次もゆっくり見ていってね!


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第十二話 妹様とアソボウ

今回はバトルです。


〜紅魔館〜

 

一日ぶりに紅魔館に来た。相変わらず館は真っ赤に染められており、目が痛い。そして門にはいつも通り門番がいる。

 

「あっ!貴方は!」

「ああえっと確かちゅ……美鈴だったかな?」

「今中国って言いかけましたよね?まぁそんなことは置いといて、あの異変以来ですね。まともに言葉を交わすのは。」

「そうだな。俺が紅魔館にいた時もあまり会わなかったからな。」

「そんなことより、今日はどんな用で?」

「レミリアに宴会のことを伝えに来たのと、後は話があるとかなんとか言われてたのを思い出したから来た。」

「そうですか。まぁ入れても大丈夫そうですね。どうぞ。」

 

そう言って美鈴は門を開ける。

 

「ところで今日は寝てないんだな。何かあったのか?」

「ええまぁ……色々と。」

 

〜紅魔館内部〜

 

中に入ると、咲夜さんが鋭い目つきで俺を見る

 

「っ!……貴方でしたか、申し訳ありません。」

 

入ってきたのが俺だと分かると、すぐに頭を下げて謝る。

 

「いや別にいいんだけど……何かあったのか?」

「……まぁ、色々と。それで今日はどんな用で?」

「ああ、宴会のことと、後レミリアの話を聞きに来た。」

「わかりました。それではこちらにどうぞ。」

 

〜レミリアの部屋〜

 

レミリアの部屋の前に着くと、咲夜さんがノックをする。

 

「お嬢様、伊藤さんがお見えになりました。」

「……入りなさい。」

 

部屋に入ると、そこには片手にグングニルを持ったレミリアが椅子に座っていた。

 

「まさかこんな大変な時に戻ってくるとはね……。」

「……なぁレミリア、話しをする前に……教えてくれないか?何で皆こんなに緊迫しているんだ?まるで何かに怯えているみたいに。」

「怯えている、ね……あながち間違いじゃないわね。いいわ、教えてあげる。」

「お嬢様……」

「大丈夫よ咲夜。こいつは巻き込まれてもすぐに死ぬような男じゃないのはあなたも知っているじゃない。」

「ですが……」

「大丈夫だ。教えてくれ。」

 

俺がそう言うと、レミリアはゆっくりと話始める

 

「私にはね……妹がいるの。フランドール・スカーレットという、ただ一人の妹がね……。」

「フランドール……」

 

聞いたことがある。外の世界のシューティングゲームで何度もピチュられたのを覚えている。

 

「それで?その子がどうしたんだ?」

「フランは……貴方が霊夢と一緒に博麗神社に向かった後、突然おかしくなったの。……まるで何かに取り付かれたように。」

 

何かに取り付かれたように、という言葉を聞いて、俺は嫌な予感がした。

 

「今までも何度か暴れることはあったんだけど……今度は今までの比じゃないわ。下手したらこの館にいる人間を全て殺せるかもね。」

 

冷や汗が頬を伝う。

 

「今はパチュリーの魔法で何とか押さえ付けているけれど……破られるのも時間の問題ね。」

 

その時だ。ズン、と紅魔館全体が揺れる。震源地は……ここの地下、か。

 

「……まさか、こんなに早く破られるとはね……。仕方ないわね、私が行くわ。」

 

レミリアが椅子を立った時、再び紅魔館が大きく揺れる。そのせいでレミリアはバランスを崩し、床に倒れてしまう。

 

「……レミリア、ここは俺に行かせてくれないか?」

「あ、あんた!何言ってんの!?さっきの話聞いてた!?死ぬかもしれないのよ!」

「俺も成りたてだが、これでも吸血鬼だ。少しは戦えるだろう。それにこれは俺の推測だが……」

「何よ?」

 

そして俺はゆっくりと口を開く

 

「……フランドールは恐らくNo.に取り付かれている。」

「「なっ……!」」

 

〜紅魔館地下入口〜

 

地下の入口にはパチュリーがいた。今まで魔法でフランドールを押さえつけていたらしいが、ついさっき破られてしまったらしい。かなり疲弊している。

 

「レ、レミィ……もうダメだわ。私の魔法じゃフランを押さえつけられない。このままフランを外に出したら不味いわ。ここでなんとかしないと……。」

「伊藤……本当に大丈夫なの?」

「……大丈夫だ。念の為皆は外に避難しててくれ。幸い今は曇りだ。レミリアも今なら外に出られるだろう。」

「……分かったわ。フランの事、頼んだわよ。」

「伊藤さん……。」

 

咲夜さんが今にも泣きそうな目で俺を見つめる。

 

「咲夜さん……大丈夫だ。俺はそう簡単に死なないさ。あ、フラグじゃないからな?」

「でも……」

「咲夜。……こいつに任せましょう。悔しいけど本当にフランにNo.が取り付いてるなら、私達は無力……。頼んだわよ、伊藤。フランを……妹を取り戻して頂戴。」

「……行ってくる。」

 

そう言って俺は地下への階段を下っていく。

 

「勝算はあるのか?」

 

また体の中からコートオブアームズが出てくる。今は突っ込む気にもなれない。

 

「フランドールにNo.が取り付いてるなら、No.を持っていないレミリアや咲夜さんでは勝てない。それならNo.を持っている俺の方が勝機はあるだろう?」

「だが……。」

「俺を信じろ。ほら、こんな時こそいつものノリで!」

「……そうだな。心配するだけ無駄か。ところで主よ。そんな装備で大丈夫か?」

「大丈夫だ、問題ない!さあ行くぞ! 」

 

〜紅魔館地下室入口〜

 

「……ここか。」

 

中からとんでもない量の妖力が溢れている。これには俺も少し驚いたが、直ぐに落ち着きを取り戻し、重い扉を開ける。ズゥン、と低い音がする。あちこちがボコボコになった部屋の中央には金髪の少女がいた。フランドールだ。少々歪だが、背中に羽も生えている。

 

「っ!この気配は!」

 

フランドールを見て、コートオブアームズが驚きの声を上げる。

 

「ああ、No.だ。だが……」

「ああ……」

 

俺とコートオブアームズが同時に言う

 

「「二体も憑依してやがる……」」

「……ダレ?」

 

フランドールが振り向く。無表情だが、その目は鋭く俺を見つめる。

 

「俺は伊藤大輔。君と同じ吸血鬼だ。」

「ドウミテモニンゲンナノダケレド……マァイイワ。トコロデオニイサン。ワタシトアソバナイ?」

 

そう言うとフランは真っ赤に燃える剣を右手に持つ。あれがレーヴァテインか。

 

「望むところだ……フランドールスカーレット!」

 

俺は新しいスペルカードを頭の上に掲げる

 

「吸血鬼となった俺の新しい力……受けてみろ!」

 

紋章剣『メダリオン・ソード』

 

スペルカードに光が集まり、やがて真っ白く光る剣へと変わってゆく。

 

「フフフ……アハハハハハハハ!!アソボウ、アソボウヨ!!」

「行くぞ相棒!お前の力を貸してもらうぞ!」

「勿論だ!!」

 

そして俺とコートオブアームズが同時に叫ぶ。

 

「「あいつをNo.の呪縛から解き放つ!」」

 

 

 

咲夜&美鈴&パチュリー&レミリアside

 

「……大丈夫でしょうか……。」

 

咲夜が大きく揺れる紅魔館を見て呟く。

 

「館は私が防御魔法をかけているとはいえ……これでは正直持つかどうかわからないわね。」

 

同じくパチュリーが呟く。

 

「伊藤さん……どうかご無事で……!」

 

美鈴が両手を合わせて祈る。

 

「大丈夫よ……信じなさい。あいつが簡単に死ぬものですか……。」

 

レミリアが自分に言い聞かせるように呟く。

 

「フラン……」

 

 

 

 

伊藤side

 

「うおおおおおおおおお!」

「グッ……チィッ!!」

 

今の所、俺が優勢だ。俺が一方的に攻撃する一方、

フランは防戦一方だ。

 

「これで――――」

「!!」

 

フランのレーヴァテインを破壊しようと、俺は剣を思いっきり振り上げる。

 

「終わりだ!!」

「キャアアアアアア!!」

 

俺の渾身の一撃がフランのレーヴァテインに直撃し、粉々に粉砕する。そしてその衝撃でフランを床にたたき落とす。これで多少はダメージが入るだろうと思っていたが――――

 

「ククク……アハハハハハハハ!!オモシロイ、オモシロイヨオニイサン!!」

「何!?」

 

粉塵の中でフランが立っていた。まるでダメージを受けていないようだ。

 

「ソレジャア……ワタシモソロソロホンキヲダサナイトネ!!」

 

そう言うとフランは右手を天井に掲げる

 

「キナサイ……No.40!」

「なっ!?」

 

突然フランの右手の甲に40という数字が現れる。その瞬間、天井に暗雲が立ち込め、雲から細くて赤い糸が降り注ぐ。

 

「これは!?」

「不味い!!避けろ!!」

 

俺は空から降ってくる糸を一つ残らず剣で叩き切る。

 

「この糸は……ヘブンズストリングスか!!くそ!!厄介な物を!!」

 

ヘブンズストリングスの効果はフィールド上のモンスターをすべて破壊するという恐ろしい効果を持ったモンスターだ。恐らくあの糸に捕まったら……俺は死ぬだろう。

 

「ナンデ!?ナンデコワレナイノ!?ソレジャアワタシガコワシテアゲル!!」

 

フランが今度は左手を俺達に向ける。

 

「キナサイ!!No.15!!」

「げっ!?」

 

今度はフランの左手の甲に15という数字が現れる。するとフランの左手の指一本一本から赤い糸が俺達に向かって放たれる。

 

「今度はジャイアントキラーか!!これも不味いぞ!!」

 

俺に向かってくる糸を一本残らず叩き切る。すると今度はまた空から糸が降り注ぐ。

 

「げぇぇぇぇぇ!?またかよ!?」

「アハハハハハハハ!!モット、モットアソボウヨ!!」

 

またフランの左手の指から糸が放たれる。

 

「チィッ!うおおおおおおおおお!!」

 

俺はなんとか全ての糸を叩き切ることに成功するも、また糸が降ってくる。

 

「クソっ!!キリがない!!」

「モット、モット、モットアソボウヨ!!オニイサン!!」

 

 

 




二体のNo.の力を手に入れたフランドール!!伊藤は果たして勝てるのか!?次回、フランドール戦、決着!!それでは次回もゆっくり見ていってね!!


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第十三話 新たな未来

今回でフラン編終了です。編って言うほど話数もないですけどね。


「ニゲナイデヨオニイサン!!」

「だが断る!」

 

降り注ぐ赤い糸の隙間をギリギリのところでよけながら部屋の中を逃げ回る。

 

「くっどうすれば……!」

 

フランに憑依しているNo.は二体、ヘブンズストリングスとジャイアントキラーだ。ヘブンズストリングスは赤い糸に捕まったモンスターを次のターンにすべて破壊するという強力な効果を持つモンスターだ。

 

「コッチニキテモットアソボウヨ!!オニイサン!!」

「どわっ!危ねぇ!」

 

フランが左手の指の一本一本から赤い糸を放つ。それは俺のすぐ目の前を飛んでゆく。もう少し早く飛んでたら捕まっていただろう。あれはジャイアントキラーの効果だ。ジャイアントキラーは指から糸を放ち、それに捕まったモンスターを引き寄せ、粉砕するこれまた恐ろしいモンスターだ。粉砕される自分の姿を思い浮かべ、冷や汗を流す。

 

「……ヤッパリオニイサンモニゲルノネ。」

「え?」

 

突然糸が降ってこなくなる。それと同時にフランの動きが止まる。

 

「イツモ、ミンナソウ……ワタシガアソボウトスルト、ミンナニゲル。ワタシハモットミンナトアソビタイダケナノニ……」

「フラン……」

「ナノニナンデ?ナンデミンナニゲルノ?ワタシハタダアソビタイダケナノ!ナンデミンナスグニコワレチャウノ!?モット、ミンナト、オニイサント、アソビタイヨ……!」

 

フランの頬に涙が流れる。そこにはもう先程までの残虐な彼女の姿は無かった。その姿はただ悲しみに暮れる一人の少女だった。

 

「……」

 

俺は何も言わずに剣をおろす。そして彼女の近くまで歩み寄る。

 

「……!」

 

俺は無言でフランを抱きしめる。

 

「オニイサン……コワクナイノ?ワタシ、オニイサンヲコワシチャウトコロダッタノヨ?」

「壊れる?あの程度で壊れるほど俺は弱くないさ。」

「オニイサン……」

「フラン……もっと遊ぼう?No.の力なんて、もういらない。俺は君と、フランと純粋に遊びたい。」

「オニイサン……ワタシ、モッと、お兄さんと遊びたいよ……。」

 

フランの中からNo.の力が消えてゆく。どうやら自力でNo.の呪縛を解いたようだ。まったくすごい子だな。

 

「……余計な事を。」

「「!」」

 

突然フランの背後にNo.40が現れる。

 

「フランドール。貴様はその能力のせいで人々から嫌われ、我々に目を付けられたのだろう?我々の力を拒絶したところで、一体何が変わるというのだ?人間なんて信じるだけ無駄だ。そんな事も分からないのか?」

「……っ!」

「フラン!惑わされるな!」

「そいつもそんな事を言っているが、どうせいつか貴様を裏切るのだ。それが人間という生き物だ。」

「違う!俺は君を裏切らない!そんな奴の言葉を信じるな!」

「フランドール。私と手を組んで世界を作りかえようじゃないか。人間なんていない、新しい世界を。」

「フラン!そんなのダメだ!」

「お、お兄さん……」

「「フラン(ドール)!!」」

 

俺とNo.40が同時に叫ぶ。

 

「私は……私は……!」

 

フランの右手に再びレーヴァテインが握られる。そして次の瞬間、フランが動いた。

 

「フ、フランドール……貴様……っ!」

 

俺が見ると、そこには頭から両断されたNo.40の姿があった。

 

「私は……お兄さんを信じる。お兄さんと一緒に新しい未来へ歩む!あんたなんて必要ないのよ!」

「フラン!よく決断した!後は俺に任せろ!」

 

俺は一瞬でNo.40の目の前まで移動する。そして剣を掲げ、あたりの光を集める。光が集まり、剣はより一層輝きを増す。

 

「ぐおおおっ……貴様らぁ……っ!」

「消えろ!No.40!」

 

掲げた剣をNo.40に向けて突き刺す。

 

「ぐおあぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

断末魔と共にNo.40が剣に吸い込まれる。No.40がいたところは空中に剣が浮かんでいた。

 

「ふぅ……まったく手を掛けさせやがって。」

 

俺は空中に浮かぶ剣を取る。すると剣は光となって消え、俺の手にはカードとなったNo.40があった。

 

「お兄さん……終わったの?」

「ああ、終わったよ。全て、な。」

 

俺がそういうと、フランが俺に抱きついてきた。ヤバイ、可愛い。そんな事を思いながら俺はフランの頭を撫でる。そして一つ思い出す。

 

「そういえばフランにはもう一体No.が憑依してたよな?」

「あ、この子はいいの。この子も私と同じように人々から遊んでもらえなくなって、捨てられた人形がNo.となったものらしいの。ね?そうでしょ?」

 

フランがそういうと、返事をするように左手の甲の15という数字が淡く光る。

 

「……そうか。じゃあそのままでも問題ないかな。」

「うん!」

 

フランが嬉しそうに頷く。

 

「さぁフラン!遊ぼうぜ!」

「え!いいの!?」

「ああ!だが手加減はしないぞ!」

「ふふーん!その言葉後悔させてあげるわ!」

 

俺達は笑いながらスペルカードを展開する。

 

射撃『ゴッド・シャーター』

禁弾『スターボウブレイク』

 

 

 

~紅魔館外部~

 

「フラン!!」

 

俺達がボロボロの姿で外に出ると、レミリアが真っ先に飛びついてきた。よほど妹の事が心配だったのだろう。目には涙を浮かべている。

 

「お姉様……心配かけてごめんね。もう大丈夫よ。」

「フラン……馬鹿……ばかぁ……。」

 

俺はレミリアに今までの事を説明した

 

「……知らなかったわ。フランがそんな事を思っていたなんて。私がフランを大事にしすぎるあまり、人を殺さないよう地下に幽閉したのが……フラン、本当にごめんなさい。」

 

レミリアが涙を流したままフランに頭を下げる。その姿はいつものカリスマ溢れる吸血鬼ではなく、ただ妹のことを思う姉の姿だった。

 

「お姉様……もういいのよ。顔を上げて。」

「フラン……私を許してくれるの?こんなダメなお姉ちゃんを?」

「お姉様はダメなお姉ちゃんじゃないわ。お姉様は私の事を大切な家族だと思ってくれていたんでしょう?」

 

フランがそういうと、レミリアは無言で頷く。

 

「それで私は十分よ。これからもよろしくね。お姉様。」

「フラン……」

「伊藤さーん!」

 

俺がその光景を見てると、突然咲夜さんが飛びついてきた。

 

「どわっ!?」

「どれだけ心配したと思っているんですか!私の気持ちも考えないで!」

「う、うん。悪かったよ。ごめん。」

「ごめんで済むと思っているんですか!本当に償いたいんなら私と……」

「あー!咲夜!お兄さんは私のものよ!離しなさーい!」

「いいえ!いくらフランお嬢様でもこれだけは譲れません!」

 

フランと咲夜さんが俺の両腕を掴んで、別々の方向に引っ張る。

 

「いてててて!ちょっと!俺ちぎれる!頼むから離して!」

「「駄目(です)!!」」

「ぎぃやぁぁぁぁぁ!」

 

「……青春ね。」

「ええ、そうですね。」

 

パチュリーと美鈴がこちらを見てニヤニヤと笑っている。

 

「モテモテだな。主は。」

「なんだ?羨ましいのか?お前ひょっとしてロリコンか?お前がそんな奴だったとはな。意外だぜ。」

「……殺すぞ(ボソッ」

「え?」

「なんでもない。」

 

コートオブアームズとNo.96が何やら物騒な会話をしている。コートオブアームズの裏の性格を垣間見た瞬間だった。

 

~数分後~

 

「うー……死ぬかと思った。」

「ごめんなさい……お兄さん。」

「本当にすみません。つい取り乱してしまいました。」

 

フランと咲夜さんが俺に頭を下げて謝る。

 

「別にいいよ。あ、そうだ忘れるところだった。」

「何かしら?」

「一週間後、博麗神社で宴会があるんだ。その事を伝えにここに来たんだけど……危うく忘れるところだったよ。」

「えー!宴会!?」

 

宴会と言う言葉に真っ先に反応したのはフランだった。ずっと地下に幽閉されていたからこういう行事は珍しいのだろう。

 

「うん。フランも来るか?」

「行く行く!絶対行く!」

「分かった。霊夢に伝えておくよ。楽しみにしとけよ?」

「うん!お兄さんに会いにいくよ!すっごく楽しみ!」

「それじゃあ俺はそろそろ帰るよ。フラン、またな。」

「えー!お兄さんもう帰っちゃうの?」

「流石にそろそろ帰らないと夜になって危ないからな……」

 

辺りはもう既に暗くなり始めていた。夜は妖怪の活動が活発になるらしいからあまり出歩かないほうがいいらしい。

 

「伊藤。」

 

レミリアが俺の目の前に立つ。

 

「フランを救ってくれて、本当にありがとう。感謝するわ。」

「いやー、別に感謝される程でもないよ。」

「貴方、紅魔館に住む気はない?フランや咲夜も貴方にご執心のようだし。」

「あー……いやすまん。もう既に博麗神社に住むことが決まっているんだ。」

「そう……残念ね。まぁ何かあったらいつでもここに来なさい。私達は貴方を歓迎するわよ。」

「霊夢と喧嘩したらここに来ようかな?」

「ええ。いつでも来なさい。歓迎するわよ。」

「分かった、ありがとう。まぁそろそろ帰るよ。じゃあな!」

「お兄さーん!またねー!」

 

俺が空を飛んで帰ろうとすると、皆が手を振って見送ってくれた。俺は皆に手を振り返し、神社に帰っていった。

 

~博麗神社~

 

「あんたねぇ……何で宴会のことを伝えるだけなのにそんなにボロボロになっているのよ。」

「ちょっと遊んでた。」

「はぁ……まぁいいわ。風呂湧いてるからさっさと入ってきなさい。そのままだと汚いから。」

「おう、そうさせてもらうよ。」

 

傷だらけの体で風呂に入るとお湯が傷口に染みて凄く痛かった。うん、当たり前だね。

 




[今回手に入れたNo.]

No.40 ギミックパペットーヘブンズストリングス

昨日は出せなくてすみませんでした……小説書いてたらまさかの寝落ち\(^o^)/以後気をつけます。さて次回は博麗神社で宴会!それでは次回もゆっくり見ていってね!


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第十四話 宴会だヨ!全員集合!

( ゚∀゚)o彡゜えんかい!えんかい!


紅魔館での事件から一週間後。諸君は今日がなんの日だか分かるだろう?そう、宴会だ。俺は外の世界で宴会なんてした事ないから実は結構楽しみだったりする。まぁ未成年だから酒は飲めないけどね。そうそう宴会といえば――――

 

「あんたさっきから何ブツブツ言ってんの?はっきり言って不気味よ。」

「え?俺なんか言ってたか?」

「言ってたわよ。今日は宴会だとかなんとか。」

「それだけ楽しみなんだよ。別にいいじゃないか。」

「へー。まぁとりあえずこれ持ちなさい。次行くわよ!」

「ゑ、これも持つの?」

 

今は霊夢と共に人里に宴会に必要な物を買いに来ている。必要な物も言っても料理の材料とか酒とかその辺だ。

 

「というかどんだけ買うんだよ!」

「まだまだよ!今回は収入(お賽銭)が多かったから豪勢に行くわよ!」

 

その賽銭も入ってたのは俺のおかげなんだがな。

 

「買ったものを持つ俺の身にもなれよ!」

「あんた男でしょう?この程度のことで弱音を上げてたらどうするの?ほらさっさと行くわよ!」

 

傷はもうすっかり癒えたとはいえ、もう少しいたわって欲しいものだ。

 

「うー重い……そうだ!おいちょっと出てこいNo.96!」

「はいはい呼ばれて出てきましたよっと。」

 

やっぱり体の中からNo.96が出てくる。アニメみたいにペンダントとかに収納しといた方がいいかな?

 

「なぁNo.96だと呼びにくいから今度からブラックミストでいいか?」

「別にいいぜ。で?何か用か?」

「おう、これ持て。」

「へ?って重っ!?」

 

俺はNo.96改めブラックミストに自分が持っていた買い物袋を渡す。

 

「え、なんで俺が持つんだよ!」

「お前の力は俺が封印してるんだぞ?今のお前の力はそこらへんの妖精にも負ける程の弱さだ。つまり俺はいつでもお前をこの世からおさらばさせる事が出来るんだぞ?それが嫌ならさっさと運べ!」

「ぐっ……こ、こいつ……」

「あんたら何してんの?早く行くわよ!」

「そんな事でよろしく!」

「あ、コラ待ちやがれ!てか買い過ぎだろ!っておい待てって!」

 

~数時間後~

 

~博麗神社~

 

「ふー……これだけあれば十分ね。」

「買い過ぎじゃね?」

 

俺たちの目の前には山盛りになった食材と大量の酒、そして汗だくのブラックミストがいた。

 

「お、お前らぁ……俺を誰だと思ってるんだ……俺は……神、だぞ……(ガクッ」

「死んだのかしら?」

「まぁほっといて大丈夫だろ。それで次はどうするんだ?」

「そうそう、やることはまだまだあるわよ!料理作ったりテーブル出したり食器並べたり!」

「お、多いな……間に合うのか?」

「人が集まる夕方までに出来れば問題ないわ。」

「夕方って……」

「さあ喋ってる暇は無いわよ!あんた料理出来る?」

「一人暮らしの男のスペックを舐めないで頂きたい!」

「そう、じゃあ問題ないわね。よし、やるわよ!」

「ラジャー!」

 

こうして俺達はそれぞれの仕事に取り掛かった――――

 

~夕方~

 

「ま、間に合った……」

 

俺の目の前には俺と霊夢が必死に作った料理と酒が並べられていた。

 

「まあこれだけあれば十分ね。しかしまあよく頑張ったわね。」

「これだけの数の料理作ったの俺初めてだぞ。俺って凄いかもな。」

「はいはい頑張ったわねー(棒)」

「というかもうそろそろ人が来る頃じゃないのか?」

「そういえばそうn「霊夢ー!来たぜー!」噂をすれば何とやらね。出迎えよろしく。」

「了解っとな。」

 

「おお!伊藤じゃないか!久しぶりだな!」

「久しぶりって程会ってないわけじゃないだろう。それより宴会の準備出来てるぞ。」

「おお!それじゃあ上がらせてもらうぜ!」

「どうぞー」

「お兄さーん!」

 

突然背後からフランが飛びついてきた。ということは……

 

「おお、レミリア達じゃないか。」

「こんばんわ。もう怪我は大丈夫なの?」

「大丈夫どころか絶好調だぜ!」

「そう。それなら問題ないわね。」

 

レミリア、咲夜さん、パチュリー、美鈴、そしてフランと紅魔館メンバーが勢揃いだ。皆できて館のセキュリティは大丈夫なのだろうか。

 

「今夜は楽しませてもらうわよ。期待してもいいのよね?」

「勿論。楽しんでいってくれよ。」

「私はお兄さんがいれば十分だけどね~♪」

 

足に抱きついているフランの頭を撫でると、まるで猫のように目を細める。……なんだか妹ができたような気分だな。

 

「い、と、う、さ、ん?」

「げっ……」

 

咄嗟に振り返ると、そこには殺気を放つ咲夜さんが立っていた。

 

「後で、ちょっとお話しましょうか♪」

「あ、はい。」

 

咲夜さんの顔は笑っていたが、目は笑っていなかった。物凄く怖かった。

 

「それじゃあお兄さん、また後でねー!」

「おう、じゃあなー」

 

俺がフラン達に手を振ってると、突然カメラのシャッター音がした。

 

「ん?」

 

俺が振り返ると、カメラを構えてニヤリと笑う女性がいた。

 

「どうも!新聞記者の射命丸文です!今日は貴方の取材にきました!」

 

射命丸文か……確か文々。新聞とかいう新聞を作ってるとかなんとか。

 

「へー、取材って一体どう言ったものをするんだ?」

「簡単です!私が質問をするので、それを全て「はい」と答えてくれればいいのです!」

「おい。」

「冗談です。そんな怖い顔しないでください。」

「で?それじゃあ一体どんな事を聞きたいんだ?答えられる範囲でなら答えるよ。」

「ありがとうございます!それじゃあまずはフランさんや咲夜さんとの関係を……」

「そういったものはノーコメントで。」

「むー……それじゃあ貴方が幻想入りする前の生活について聞かせてもらえますか?」

「その程度なら別にいいよ。」

「本当ですか!それじゃあ早速……」

 

「……ありがとうございました!おかげでいい記事が書けそうです!」

「そりゃ良かったね。」

「さて、それじゃあ私も宴会に参加させてもらいましょうか!それではまた!」

 

そう言って文は奥に消えてった。そんなこんなでどんどん人が増えていき、遂に宴会が始まった。

 

~数時間後~

 

皆程よく酔いが回り、あちらこちらで騒いでいる。まぁ俺は酒飲んでないけどね。

 

「あー伊藤!もっと酒持ってきなさい!」

「霊夢……飲みすぎだろ。もうその辺にしといたらどうだ?」

「いいじゃないのこういう時ぐらい!ほら台所にあるからさっさと持ってきなさい!」

「へいへい、わかりましたよっと。」

 

~博麗神社台所~

 

「えーっと確かここら辺に……あったあった。」

「こんばんわ。」

 

俺が台所で酒を探していると、突然背後で声がした。何処か聞き覚えのある声だ。これは確かBB……もといお姉さんの声か。

 

「紫か。何の用だ?皆と一緒に飲まないのか?」

「貴方に話があって来たのよ。」

 

そう言って紫は俺に近づく。

 

「……話って?」

「私……見てたのよ?あの吸血鬼の妹との戦い。」

 

あの時のことか。フランにNo.が憑依して暴走していた時の。

 

「……それで?」

「あの戦いを見て……貴方に頼みたいことがあるの。」

「頼みたいこと?」

「ええ……「No.の回収」を頼みたいの。」

 

No.の回収?いきなり何言ってんだこのBB……もといお姉さんは。

 

「元々No.は私が幻想入りさせたも同然……だから全て私が回収しようとしてたのよ。でもね……」

「でも?」

「何故かNo.は私の前に姿を現してくれないのよ。いや、私の前では姿を消している、と言った方がいいかしらね。」

「姿を消している?」

「ええ。No.は私に対して強く警戒してるわ。無理もないわね。何しろ私は貴方と彼等を引き離そうとしたのだから。」

「……なるほど、だから俺に頼んでるのか。」

「ええ、そうよ。それで返事は?」

「……まぁNEETというのも嫌だし、別にいいぞ。」

「貴方ならそう言うと思ってたわ。ありがとう。手に入れたNo.の使い道は貴方に任せるわ。」

「さて、俺はそろそろ戻るぞ?いいか?」

「これは申し訳ないわね。ささ、霊夢が怒ってるわ。早く行きましょう。」

 

 

「遅いわよ!一体何してたのよ!」

「まぁ色々とな……あ、はい酒。」

「よろしい!」

 

霊夢は俺から酒を奪うと、コップに酒を勢い良く注ぎ、飲み干した。

 

「霊夢ー。飲みすぎよ?もうそのへんで辞めといたら?」

「あー?いいじゃないの別に!ほら!あんたも飲みなさい!」

「え!?俺!?」

「そうよ!あんた以外に誰がいるの!」

「いや俺未成年だし……」

「私の酒が飲めないって言うの!?そんなもんどうでもいいから飲みなさい!」

「霊夢ってこんなに酒癖悪かったんだ……」

「うるさいわね!ほら!さっさと飲みなさ……い?」

 

霊夢が突然後ろにバタンと倒れる。どうやら飲みすぎたようだ。すやすやと寝息を立てて寝ている。

 

「うふふ。霊夢の寝顔は可愛いわね。」

「とりあえず奥の部屋に寝かしておくか……」

「それじゃあ私はそろそろ帰るわね。No.の事、よろしくね。」

「はいはい分かりましたよ。」

 

突然空間が裂け、目玉が沢山こちらを覗いている空間が現れる。紫はその中に入り、別れの挨拶をすると空間を閉じてしまった。

 

「さてと」

 

俺は霊夢を奥の部屋に連れていき、布団に寝かしつける。そして宴会に戻り、皆の話相手をしていた。

 

~深夜~

 

「それじゃあ私はそろそろ帰るぜ!」

「気をつけて帰れよー。」

「へっへ!心配ご無用!この魔理沙様が酔って事故なんかに遭うわけ無いだろう?」

「魔理沙、知ってるか?そういうのをフラグっていうんだぞ?」

「だったらまずはそのふざけたフラグをぶち殺す!」

「だいぶ酔いが回ってるな……気をつけろよー。」

「今日は楽しかったぜ!またな!」

 

魔理沙はそう言うと箒にまたがり、空を飛んで帰ってしまった。

 

「それじゃあ伊藤、私達も帰るわよ。」

「えー!?まだお兄さんと一緒にいたーい!」

「フラン。我がままいうんじゃないの。帰るわよ。」

「はーい……お兄さん!またねー!」

「おう、またな!」

「伊藤さん。」

「あ、咲夜さん。」

「私は諦めませんよ?」

「え?」

「ふふふ、それではまた。」

 

そう言って紅魔館の住民は皆帰っていった。その後、レミリア達に続くように皆次々と帰っていき、そして誰も居なくなった。

 

「ふぅ……さて。」

 

俺はテーブルや畳を見る。

 

「……これ俺一人で片付けるのか……。」

 

そこには零れた酒や料理が並んでいる。霊夢は酔い潰れて寝てしまったため、必然的に一人で片付けなければならない。もう少し綺麗に騒げないものなのか。そう思いながら一人で片付けをし、終わったのは太陽が登り始めた頃だった。

 

 

 

 




紫にNo.の回収を頼まれた伊藤君!とりあえず引き受けるも、それは吉と出るか凶と出るか!んなもん知らぬ!次回は特に決まってない!それでは次回もゆっくり見ていってね!


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第十五話 完全で瀟洒な計画

~紅魔館・咲夜の部屋~

 

「俺は緑茶派だけど……偶には紅茶もいいな」

「でしょう?」

 

今俺は紅魔館に異変の時約束したお茶を飲みに来ている。俺は日本人だから緑茶派だが……中々どうして紅茶もいいな。何と言うか、お茶とはいえ緑茶とはまた違う旨みがある。……何か少し変な味がするんだが、これも紅茶の味だろうか?

 

 

咲夜side

 

むふふふ……掛かったわね。今伊藤さんが飲んでいる紅茶にはパチュリー様からパクッtゲフンゲフン拝借した薬を入れてあるのよ。この薬を使って既成事実さえ作ってしまえばフランお嬢様を出し抜ける!ああ、何て完全で瀟洒な計画なのかしら!自分で自分が恐ろしいわ!フランお嬢様……どうか今回だけは諦めてください!彼は私が……

 

「なぁ……何か体が熱くなってきたんだが……」

「(キターーーーーーー!)か、風邪ですかね?こじらせるといけないですね。どうぞそこに横になってください」

「え?ああ、ありがとう」

「熱はありますかね?(頭ピトー」

「あ、ありがとう」

 

今ここでキスしてもいいのだけれど……我慢よ、十六夜咲夜。もう少しで……むっふふふ。

 

「とりあえず水とか取ってきますね。あっどうぞ休んでてください。すぐ戻りますので。」

「ありがとう、そうさせてもらうよ。」

 

もちろん水を取ってくるというのは嘘である。折角だから色々と道具を取ってこよう。

 

「それでは少々お待ちください。」

 

そう言って私は部屋から出る。もう少しで……もう少しで……

 

 

伊藤side

 

「うーん……」

 

さっきからやたらと体が熱い。これは本格的に風邪を引いてしまったか?

 

「……ふむ、なるほどそう言う事か。」

「ん?どうした相棒?」

 

相棒こと人間の(ryコートオブアームズが俺の飲んでた紅茶と俺を見比べながら何やら考え事をしている。

 

「主よ、詳しく話すとこの小説のタグにR-18が付くため言えないが、ここから逃げた方が良さそうだ。」

「おお、メタいメタい……何でここから逃げる必要があるんだ?」

「詳しくは言えないのだ……だが信じてくれ。」

「ふーん……」

 

 

咲夜side

 

さぁ準備は整ったわ!私の完全で瀟洒な計画も、もうすぐで完了よ!

 

「伊っ藤さーん!」

 

私は勢い良く扉を開け放つ。ベットには伊藤さんが布団を頭までかぶって寝ている。本当に風邪だと思っているのかしら……ふふ、そんな単純な伊藤さんも大好きですよ!

 

「さあ起きてください!」

 

私が布団を勢い良くめくる。するとそこには伊藤さんではなく、ブラックミストが白目を剥いて横たわっていた。

 

「…………」

 

私は無言でナイフを構える。

 

 

伊藤side

 

~博麗神社~

 

俺が間一髪の所で紅魔館から博麗神社へ逃げ帰ると、縁側で霊夢がお茶を飲んでいた。

 

「あれ?あんた紅魔館のメイドに誘われてお茶飲みに行ったんじゃなかったの?」

「色々とあってだな……逃げ帰ってきた。」

 

身代わりに使ったブラックミストには悪い事をしたと思っている。……まぁ嘘だが。

 

「ふーん。あ、お茶飲む?」

「頂こうかな。」

 

霊夢がお茶を入れに奥へ引っ込む。体の様子はだいぶ落ち着いたようだ。さっきのは何だったのだろう?

 

「はいお茶。」

「ありがとう。」

 

霊夢が入れたてのお茶を俺に渡し、俺がそれを飲む。……美味い。やはり俺は日本人だな。紅茶もいいが、なんだかんだ言って緑茶が一番落ち着く。

 

「そういえばブラックミストはどうしたの?折角だから団子買って来てもらおうと思ったのに。」

「あーあいつは……うん、大丈夫だろう。それに団子なら俺買ってくるぞ?」

「そう?悪いわね。はいお金。」

 

霊夢が俺に金を渡す。何だか最近賽銭が入るようになったおかげで霊夢の機嫌がいい。

 

「それじゃあ行ってくるよ。」

「醤油でお願いね。」

「ガッテン承知!」

 

 

咲夜side

 

「ふぅ……」

 

私の目の前にはナイフで串刺しになったブラックミストの姿があった。……もう少しだったのに……いや、諦めてはダメよ。またいつかチャンスはあるはず。某バスケの先生も言ってたじゃない。『諦めたら、そこで試合終了だよ。』と!

 

「ねぇ咲夜。」

「あっパチュリー様、どうしました?」

「私が昨日作った惚れ薬のことなのだけれど……何だか量が減っているみたいなのよね。貴女、何か知らない?」

「そ、そんなの知りませんよ!だ、誰ですか!盗みなんて働く輩は!私が成敗してくれる!」

「……何だか怪しいわね。ところで咲夜。さっきまであの男が来てたみたいだけど……貴女まさか、彼に……」

「そ、そんな事しませんよ!既成事実を作ってフランお嬢様を出し抜こうとか、そんな事は全く、微塵たりとも思っていません!」

「……咲夜。」

「あっ……」




何とか危機を脱した伊藤君!次回は人里まで団子を買に行くよ!それでは次回もゆっくり見ていってね!


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第十六話 人の物を馬鹿にするのは良くないよ!

~人里~

 

「おじさーん、団子3本頂戴。」

「まいど!」

 

どうやらここの団子屋はかなりの人気らしい。凄い行列で、注文するのに30分以上もかかってしまった。俺は待つのは嫌いなんだが、霊夢の頼みだし、仕方ないね。

 

「ん?おお伊藤じゃないか?」

「あ、慧音先生。こんなところで何してるんです?」

「何してるかって……見ればわかるだろう?団子を買いに来たんだよ。ここの団子は有名だからな。」

 

今俺に声をかけたのは上白沢慧音。人里で教師をしているワーハクタクらしい。俺は外の世界で少しだけ教師を目指したこともあり、尊敬の念を込めて慧音のことを先生と呼んでいる。

 

「へい兄ちゃん、団子3本一丁上がり!」

「あ、おじさんどうも、はいお代。」

「気をつけて帰れよ!どうも最近怪しい男がそこら辺をうろついてるみたいだからな!」

「わざわざどうも。それじゃあまた「てめぇふざけんじゃねぇぞ!」……言ってるそばからか。ちょっと行ってくるよ。」

「私も行こう。人間が危ない目に合っているのを黙って見過ごすわけには行かない。」

 

どうやら今の怒声は路地裏から聞こえてきたようだ。俺は慧音先生と共に怒声が聞こえたの方へ向かう。

 

 

~人里・路地裏~

 

「ご……ごめんなさい。」

「ごめんで済むと思ってるのかおい!」

 

人通りの少ない路地裏で、一人の子供と大柄な大人が言い争いをしている。その男の右手を見て、俺は確信する。俺は隣のコートオブアームズにささやく。

 

「おい、あの男……」

「ああ……No.が憑いてる。」

 

男の右手に20という数字が光っている。20ということは……ブリリアントか。大したことないな。安全を確認して、俺は男に近づく。

 

「まぁお兄さん落ち着いて。」

「あ?誰だてめぇ?」

「只の通りすがりの一般人ですよ。それより一体何があったんです?」

「どうしたもこうしたも、こいつが俺にぶつかってきて謝りもしねぇんだよ!」

「だ、だからさっきから謝ってるじゃないですか……」

「うるせぇ!ぶつかってきた時に謝らないのが悪いんだよ!とりあえず治療費として100万よこしやがれ!」

「そ、そんなにもってませんよ……」

 

いわゆる当たり屋か。こんなのってどこにでもいるんだな。まったく大人気ない。

 

「まぁまぁ落ち着いてくださいよ。」

「てめぇはさっきからうるせぇんだよ!」

「うぐっ!?」

 

突然男が俺の腹部に拳を入れる。突然のことで体がよろめく。

 

「大丈夫か!?」

 

慧音先生が心配して声をかけてくれる。

 

「大丈夫……少し油断しただけだ。」

「あまり無茶はするなよ?怪我でもされたら困るしな。」

「心配にはおよばんよ。」

 

俺を心配してコートオブアームズも声をかける。

 

「あ?なんだそいつは。ああ、俺の中にいるこいつとおんなじようなもんか?」

 

男が20という数字が光る右手の甲をこちらに向ける。

 

「まぁそんなとこだな。」

「はっ!てめぇのなんかより、俺が持ってる奴の方が断然強そうだな!」

「……今、何つった?」

「ああ!?聞こえなかったのか!?じゃあもう一回言ってやるよ!てめぇみたいな雑魚、俺になんかかなうはずが……え?」

 

男はようやく気づいた。俺の体から発せられる膨大な霊力+妖力に。しかしもう遅い。男は、俺の逆鱗に触れてしまったのだ。

 

「てめぇ……人が折角穏便に済ませてやろうと思ってたのに……慧音先生、下がっててください。すぐ終わりますので。」

「え、ああ、頼んだぞ。」

 

明らかな殺意を男に向け、俺は男に近づく。

 

「き、今日のところはこれで勘弁しといてやる!あばよ!」

「逃がすか!ゴッドメダリオンハンド!」

 

巨大な手が逃げようとする男を掴み、持ち上げる。男は無駄だとわかっていながらも、何とか抜け出そうと空中でもがく。

 

「ここだと人家に迷惑がかかるからね……場所を変えようか……」

「おいおい……少しは手加減してやったらどうだ?」

「めんどくさいから嫌だ。」

「お、おう。」

 

 

~人里の外の広場~

 

ここに来る前、男の子は家に返した。さぁショータイムだ。

 

「ここならいいだろう。」

 

手を消して、男を地面におろす。男は今にも泣きそうな顔で俺に懇願する。

 

「ゆ、許してくれ……つい、つい言っちまったんだ……頼む、許してくれ……」

「もう、遅いよ?さぁゆっくり死んでいってね♪」

 

俺は冷たい笑いをうかべたままスペルカードを発動する。

 

神怒『ゴッド・レイジ』

 

空から放たれた砲撃は男に直撃する。土煙で良く見えないが、まだ大丈夫だろう。

 

「まだまだぁ!!ゴッド・レイジ!!」

 

また空から砲撃が放たれ、やはり男に直撃する。

 

「サンレンダァ!!」

 

また空から砲撃が(ry

 

「ヨンレンダァ!!」

 

また空から(ry

 

「グォレンダァ!!」

 

また(ry

 

「どんどんいくぜ!ロク「もうやめて!男のライフはもうゼロよ!もう勝負はついたのよ!」HA☆NA☆SE!」

 

慧音先生がボロボロになった男を見かねて俺を止める。俺が我を取り戻してあたりを見ると、俺の攻撃によりあちこちがボコボコになっている。

 

「なんか……やり過ぎたかな。」

「やり過ぎだ!!もう少し限度というものを考えろ!!」

 

慧音先生が俺の頭をグーで殴る。このあと慧音先生にこっぴどく怒られ、博麗神社に帰ったのは日が落ち始めた頃だった。因みに帰り際ちゃっかりNo.は回収させて頂きました。

 

 

~博麗神社~

 

「あんたねぇ……なんで団子を買ってくるだけなのにこんなに遅くなるのよ!」

「いや、これには訳が……」

「問答無用!夢想封印 集!!」

「ぎゃあああああ!!」

 

幻想郷は今日も平和です。

 

 




[今回手に入れたNo.]

No.20 蟻岩土ブリリアント

何かもう次回予告的なものがめんどくさくなってきたよ!別にやんなくてもいいよね!?それでは次回もゆっくり見ていってね!


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第十七話 新聞記者とNo.

~妖怪の山~

 

幻想郷の季節ももう冬だ。木や植物が枯れ、吹き付ける風は体にこたえる。やはり外の世界と季節は同じようだ。何?季節が変わるのが早すぎると?知らんそんな事は俺の管轄外だ。

 

「ここにはあって欲しいものだが……」

 

そんな中、俺はNo.の回収にあちこちを奔走している。俺が最後に回収したNo.はあの人里で暴れてた男から奪ったNo.20で最後だ。それ以来他のNo.は見かけていない。……そもそもNo.を幻想入りさせたのは紫なんだから自分で回収して欲しいのだが……職業が自宅警備員というのだけは嫌だからな。嫌々ながらもやっている。

 

「止まりなさい。そこの人間。」

 

おおっと、いきなり背中に剣を突きつけられてしまった。ふむ、ここは下手に抵抗すると背中をずっぷりいかれてしまうな。大人しくしておこう。

 

「ま、まぁ落ち着いてくださいよ。そんな物騒な物しまって……って椛じゃないか?」

「あ、伊藤さんでしたか。これは申し訳ありませんでした。御無礼をお許しください。」

 

ぺこりと頭を下げるのはわんわn……白狼天狗の犬走椛。この妖怪の山の番k……番妖をしている妖怪だ。

 

「伊藤さんはどんな用でここに?」

「うむ、実は……」

 

~少年説明中~

 

「……なるほど、No.ですか。」

「うむ。何処かでそういったものを見かけたりしなかったか?」

「いえ、残念ながらそういった類の物は見かけていません。」

「そうか……うーむここにはあるかと思ったが……仕方ない、別の場所を探すか。仕事中わざわざごめんな。それじゃあ。」

「……ちょっと待ってください。一つ心当たりが。」

「心当たり?」

 

諦めて帰ろうとした俺を椛が引き止める。

 

「ええ。とりあえず歩きながら説明します。こちらへどうぞ。」

「え、仕事はいいのか?」

「いいんですよ。ここで見張っててもどうせ誰も来ませんし。」

「そういうものなのか……」

「そういうものです。」

 

~少年少女移動中~

 

「――――文の様子がおかしい?」

「はい。どうも最近何か拾ったようで。この前私に自慢してきました。あまりにしつこくてはっきり言って鬱陶しかったです。」

「……どう思う?」

 

俺が問いかけると相棒のコートオブアームズが空中に出現する。

 

「ふむ……さっきの話を聞く限り、その拾ったものがNo.である可能性は極めて高いな。」

「やっぱりか……一戦交えることも覚悟しとかないとな……。」

「……見えてきました。あそこが文さんの家です。どうかお気を付けて。」

 

椛に案内されて着いたのは、木製の小さな小屋だった。人が住むのにはちょうどいい広さだろう。

 

「……いくぞ。」

「ああ……」

 

俺達が覚悟を決め、扉を勢い良く開け放つ。すると――――

 

「あーっ!!伊藤さんじゃないですか!!ちょうどよかったです!!取材させてください!!まずは霊夢さんと貴方の同居生活について……」

 

目をキラキラと輝かせて文がカメラのフラッシュを焚きながら俺達に突撃してきた。

 

「ち、ちょっと待て!言っておくが霊夢と俺はお前が思っているような関係は何一つないからな!おいコートオブアームズ!どういう事だ!?」

 

突然の出来事に俺は動揺を隠せない。

 

「こ、これは……まさか、No.の影響で『記事を作りたい』という欲求が増幅されたのか?まさか、こんなこともあるとはな……」

 

コートオブアームズも困惑しながら俺に説明する。

 

「ちょっと文!お前に質問があるからとりあえずカメラのフラッシュを焚くのをやめろ!眩しくて目も開けられん!」

「あ、はいそうですか。で?質問とは?」

 

カメラのフラッシュを焚くのをやめ、文は俺に向き直る。

 

「うむ。お前に聞きたいのはNo.のことについてなんだが……お前、持ってるよな?」

「げっ…………」

 

文が図星な表情で俺を見る。ふむ、ビンゴか。

 

「それなら話は早い。それを渡して……」

「嫌です。」

 

俺が言い終わる前に文はきっぱりと言い切る。

 

「え?ちょお前……」

「これは私が拾ったものです!誰にも渡しません!欲しいなら力づくで奪ってみなさい!」

 

右手の甲の25という数字が光ったかと思うと、すごい勢いで文が外に飛び出していく。それを俺が追いかけると、文は待ち構えていたかのように俺に向かって弾幕を放つ。

 

「ちょ、いきなりかよ!」

「これは私のものです!さぁ覚悟してください!」

 

そう言うと文はスペルカードを展開する。

 

岐符『天の八衢』

 

「嘘ぉ!?いきなりスペルカード!?」

「くるぞ!気をつけろ!」

 

青い弾が大量に空中に出現したかと思えば、それらはまっすぐこちらへと向かってくる。それをよけながら、俺もスペルカードを展開する。

 

「ああもうめんどくせぇ!さっさと決める!文、悪く思うなよ!」

 

神怒『ゴッド・レイジ』

 

ここまでこの小説を見ていただいてる皆様にはこのスペカについてもう説明するまでもないだろう。天より放たれた光はまっすぐ文へと向かっていく。

 

「その程度の攻撃、烏天狗の私によけられないとでもお思いですか!」

「だろうな!だがこれならどうだ!?」

 

俺はすぐさま次のスペルカードを展開する。

 

写符『ゴッドメダリオンハンド』

 

巨大な手は逃げようとした文をがっしり掴み、離さない。文は抜け出そうともがくが、手はびくともしない。そうこうしてるうちに光が文の目の前まで来ていた。

 

「きゃあああああああああああ!!!」

 

光はゴッドメダリオンハンドごと文に直撃する。文はその衝撃で地面に落下し、気絶してしまった。

 

「……強すぎたかな。手加減したつもりだったんだけど。」

「まぁそういう事もあるさ。それでどうする?」

「とりあえず家の中に運ぼう。このままだと風邪引くかもしれないし。」

「意外と優しいんだな。」

「意外って何だ意外って。」

 

コートオブアームズとそんな会話をしながら、文をお姫さまだっこして家の中に運び込む。

 

~数十分後~

 

「う、うーん……」

「あ、気がついた?」

 

文がゆっくりと目を開ける。どうやら大した怪我はしてないようだ。

 

「え!?い、伊藤さん!?何故こんな所に!?まさか私伊藤さんに犯され「それはない。」……ですよねー。」

 

きっぱりと言い切ると、文はホッとしたような残念がるような微妙な表情を浮かべる。

 

「それで?何故伊藤さんはこんな所に?」

「……お前、覚えてないのか?」

「へ?何をですか?」

 

~少年説明中~

 

「なるほど。そのNo.というものが私の中に……」

「うむ。それでどうする?文がよければそのままでもいいんだが……」

「いえ、No.如きに頼るほど、私は落ちぶれちゃいませんよ!これは貴方にお渡しします!」

 

そう言うと文は手に持っていたNo.を俺に手渡す。

 

「何か……急に物分かりが良くなったというか……」

「恐らくさっきまではNo.に心を支配されていたのだろう。それがさっきの一撃でNo.を心から追い出したことにより、No.の呪縛から開放されたのだろう。」

「なるほど……それじゃあこのNo.は貰うぞ。」

「ええ、どうぞ!それではさっそく取材を!」

「え、取材するのか?手短にして欲しいんだが。」

「わかりました!それでは……」

 

~数日後~

 

「伊藤さーん……頼みます。あのNo.もう一度貸してください!」

「お前さぁ……No.如きに頼るほど私は落ちぶれちゃいないって行ってなかったっけ?」

「うぐっ……そんなこと言わずに、頼みますよ……私の体をどうにでもしていい「却下。」私って……そこまで魅力がないんでしょうか……」

「いや、俺に性欲がないだけで別に文に魅力がないわけではないぞ?」

「そ、そうですか?ってそれより!あのNo.貸してくださいよ~。」

「うーん……わかったわかった。すぐに返せよ?」

「おお!ありがとうございます!よっしゃあ!すぐに取材行ってきます!」

「行ってらっしゃーい。」

 

その後、文に貸したNo.25が帰ってきたのは3ヶ月後だった――――

 




[今回手に入れたNo.]

No.25 重装光学撮影機フォーカス・フォース

次回からは春雪異変だよ!それでは次回もゆっくり見ていってね!!


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第十八話 春雪異変

 

「また、この夢か。」

 

目の前で父と母が殺される。この夢はいつ見ても慣れない。いや、慣れたら逆におかしいのだろうか。しかし、今日の夢はいつもと違った。

 

「俺に……もっと力があれば……」

「……力、ねぇ。」

「っ!?誰だ!」

 

突然背後から男の声がした。とっさに振り返ると、俺は驚愕した。

 

「何だ?俺の顔に何かついてるか?よぉ……もう一人の俺。」

 

ニヤニヤと俺を見る男は、まるで鏡に写したかの如く、俺にそっくりだった。違うところといえば、目が赤いことと、幽霊のように足がないことだ。

 

「……誰だ、お前は。」

「あ?まだ気付かないのか?平たく言えば、俺はお前の心の中の闇といったところだ。」

「心の闇?」

「ああ。人は誰しも心の中に闇を持っている。お前はこの事件で普通の人間よりも心の闇が深くなり、さらにNo.の影響でそれが増幅され、俺が誕生したってわけだ。はい説明終了。お疲れさん。」

「それで、そんなお前が俺に何の用だ?」

「さっき力が欲しいと言っただろう?くれてやるよ。……全てを破壊する、『C(カオス)』の力をな。」

 

『C』の力……か。確かにその力を使えば、皆を守れるかもしれない。

 

「……条件は何だ。」

「とても簡単だ。俺をここから開放してくれればいい。」

「開放?」

「ああ。俺はこんな事を言ってはいるが、所詮はお前から生まれた存在。俺はお前から離れる事が出来ないんだ。……お前が俺を開放しない限りな。」

「開放したら、どうするつもりだ。」

「さぁな……お前に教えるつもりはないね。で?どうするんだ?条件はお前にかなり有利だと思うんだが?」

「断ると言ったら?」

「別に何にもしないさ。……最も、それで困るのはお前なんだけどな。まぁ、いずれ俺の力が必要になる時がくるさ。」

「それはどう言う意味だ?」

「クックックッ……そのままの意味だよ。じゃあな。またいつか会おうぜ。もう一人の俺。」

「おい、ちょっと待て――――」

 

俺は自称心の闇に手を伸ばすが、突然辺りが光に包まれ、目を瞑ってしまう。

 

 

~博麗神社~

 

「――――ほらさっさと起きなさい!うちはNEETを養うほど甘くはないのよ!」

「うーん……れ、霊夢……後3年寝かせて。」

 

霊夢にたたき起こされ、俺はゆっくりと目を開ける。……寒い。そうだった。今は冬なんだった。俺はもう一度布団に潜り込む。冬の朝ほどオフトゥンが恋しくなる季節はない。あのもふもふの布団に、ふかふかの枕。ああ、オフトゥンこそ至高。ビバ、オフトゥン。

 

「お前はどんだけ寝るつもりなんだ!いいからさっさと起きろ!」

「寒っ!」

 

霊夢に掛け布団を引っペがされ、俺はようやく体を起こす。……やはり、あれは夢だったのか。そりゃそうだよな。心の闇なんかある筈がない。そんな事を思っていると、霊夢がどこにあったのかスコップを俺に差し出す。

 

「はい、これ。」

「ん?なぁにこれぇ。」

「見りゃわかるでしょ。雪かきよろしくね。」

「え……雪?」

「そうよ。昨日の夜だいぶ降ったらしいのよ。このままだと参拝客が転んで危ないからよろしくね。」

 

外を見ると、確かにどっさりと雪が積もっている。これを一人でやるのはきついな。

 

「霊夢はやらないのか?」

「私?かよわい乙女にそんな事をさせるつもり?」

「かよわいってお前……素手で妖怪を殴り飛ばす人間がそんな事を言っても説得力ないぞ?」

「ナニカイッタカシラ?」

「イエベツニナニモ。それじゃあやってくる。」

「気をつけてね~。」

 

霊夢に手を振られ、俺は玄関に向かって歩き始める。

 

「はぁ……いつになったら春が来るんだ……」

「春?春ならもう来てるわよ。」

「え?」

「カレンダー見なさいよ。」

 

霊夢に促されてカレンダーを見ると、確かに春だ。外はこんなんだが、カレンダーによると今は5月の始めらしい。

 

「何で春なのに雪が降ってるんだ?ひょっとして異変か?」

「そんな訳ないでしょ。今年は少し冬が長引いているだけよ。それよりさっさと頼むわよ。」

「へいへい。」

 

 

~博麗神社・外~

 

いざ外に踏み出してみると、足首がすっぽり埋まるほど雪がつもっている。これは全て片付けるのにはかなり時間がかかりそうだ。

 

「さて、よっと……」

 

まずは石畳の上の雪を掻き出す。……中々大変な作業だ。これを全て終わらせるにはかなりの時間が必要だ。

 

「主よ、まさか雪で滑って転ぶなんていう漫画のようなことは起きないよな?」

 

相棒こと、人間の(ryコートオブアームズが心配して出てくる。

 

「心配すんな。そんな事あるわけ……どわぁっ!?」

 

どうやら雪の中で何かふんづけてしまったようだ。そのせいで俺はギャグ漫画の如く盛大に滑り、そのまま倒れて石畳に頭をぶつけてしまう。

 

「……今のは笑うところなのか?」

「うるせぇ!おーいてぇ……」

 

ぶつけた頭をさすっていると、俺がふんづけたと思われる物がひらひらと俺の腹の上に落ちてきた。どうやらそれは黒いカードのようだった。……ん?黒いカード?

 

「あれ?これってまさか……」

「No.のようだな。まさか雪の中に埋まってたとはな。」

 

俺がそれを確認する。

 

「……タキオンドラゴン、か。」

 

No.107 銀河眼の時空龍(ギャラクシーアイズタキオンドラゴン)。通常のNo.とは少し違うオーバーハンドレットナンバーズの一枚だ。それにしても、さっき踏んづけた筈なのに全くの無傷であることに俺は驚いた。ただの紙の筈なのに、どうしてここまで強度があるんだろう。

 

「なぁ相棒、どう思う?」

「ふむ……このNo.からは全くと言っていいほど力が感じられない。偶然幻想入りしたただの紙という可能性もある。」

「ふーん……とりあえずもっとくか。」

 

とりあえず銀河眼の時空龍は俺のポケットに突っ込んどいた。

 

「さて、やりますか。……ってどわぁっ!?」

 

体を起こし、再び雪かきを再開しようとする俺。しかし今度は雪で滑り、顔面から地面に落ちてしまう。

 

「だ、大丈夫か?」

「……もう、うんざりだ。」

「え?」

 

 

~博麗神社・居間~

 

「霊夢!」

「え?何?雪かき終わったの?」

 

俺が今に入ると、霊夢は煎餅をかじりながらお茶を飲んでいた。

 

「霊夢!これはやっぱり異変だ!春なのに雪が降るわ、雪で滑って顔面から地面に落ちるわで最悪だ!」

「へ、へー。大変だったのね。」

「霊夢、いくぞ。」

「へ?どこに?」

「決まってるだろう?この異変の首謀者をぶっ〇しに行くんだよ!」

「え!?ち、ちょっとぉ!」

「問答無用!さっさといくぞ!」

 

俺は霊夢を炬燵から引っ張り出し、外に引きずり出す。

 

「寒っ!わかったから!わかったから少し準備させて!」

「よかろう。」

 

 

~数十分後~

 

「お待たせ。うー寒い……」

「よし、じゃあいくぞ!」

「はいはい。」

 

なんだかんだで俺と霊夢は異変解決に出発した。

 

 

 

 




[今回手に入れたNo.]

No.107 銀河眼の時空龍

なんだかんだで異変解決に動き出した伊藤と霊夢!次回予告?何それ美味しいの?それでは次回もゆっくり見ていってね!


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第十九話 四人の勇者(笑)

~紅魔館~

 

咲夜side

 

「ぶぇっくし!!」

「お嬢様……大丈夫ですか?」

「ふ、不覚だわ……この私が風邪なんか引くなんて……」

「うーん……お兄さんが添い寝してくれれば治る気がする……」

「妹様、それだけは許すわけにはいきません。」

「これはかなり厄介ね……引いてみてわかったけど、このウイルスは寄生した人間の魔力や霊力を吸い取って成長するわ。まあウイルスでは私達の力を吸い取りきれずにそのうち自滅してくれるでしょうね……うう寒気がする……。」

「パチュリー様、説明ありがとうございます。あ、もう水がないわ。美鈴、キッチンから水を持ってきて頂戴。」

「わかりました!」

 

お嬢様、妹様、パチュリー様と紅魔館屈指の実力者達が風邪を引いてしまったわ……この状態でもしも敵(魔理沙)が攻めてきたら、図書館の本の被害は甚大ね。来ない事を祈るばかりだわ。というか吸血鬼も風邪を引くものなのね。……はっ!?ということはまさか伊藤さんも風邪を引いてしまっている可能性もある!?これはまずいわ。あのグータラ巫女が伊藤さんの看病なんてできる訳が無いわ。というかさせてなるものですか!急いで伊藤さんをここに連れてきて看病しなくては!そしてそのままここに永住してもらって……ぐふふふ。

 

「咲夜、鼻血出てるわよ。」

「え?うわっ!?テ、ティッシュ!」

「……大丈夫かしらこのメイド。」

「大丈夫じゃない、大問題よ。」

「フラン、あなたどこでそんな言葉覚えたの?」

「お兄さんに教えてもらったの。結構便利よこの言葉。お姉様も使ってみる?」

「やめとくわ。」

 

鼻血がなかなか止まらないわ……妄想も程々にしとかないとね。

 

「ん?何かしらあれ。」

「どうしましたパチュリー様……ってあれは!」

 

窓の外を見ると、伊藤さんと霊夢が仲良く空を飛んでるではないか。……妬ましいわね。パルパル……

 

「……お嬢様、暫く出かけてきます。」

「え?咲夜一体どうしたの……ってあなた顔凄く怖いわよ。どうかしたの?」

「ちょっと巫女を駆逐しに行ってきます。」

「駆逐ってどういう……ってどわぁっ!?」

 

全て壊すんだ、といわんばかりに窓ガラスを見事に突き破ると咲夜はまっすぐ伊藤と霊夢のところへ飛んでいってしまった。

 

「……寒いわ。」

「咲夜、どうしたのかしら。」

「とりあえず部屋を移りましょう。ここにいると風邪が悪化するわよ。……は、ハックション!!」

 

 

伊藤side

 

誰かが凄まじい殺気を放ちながらこちらに向かってくる。げっ……あれは……

 

「や、やぁ咲夜さん。」

「伊藤さん?そこの女と何してるんですか?」

「い、いや、別に何かしているわけじゃないぞ?だからそのナイフを降ろしてくれないか?」

 

こちらに飛んできたのは紅魔館のメイド長、咲夜さん。しかし手には銀色に光るナイフが握られている。下手な回答をすれば間違いなく体に穴が一つ増える。それだけは避けたい。

 

「そうよ。私はこいつと異変解決に来ただけよ。」

「異変解決?」

「ええ。といってもそいつがこれは異変だと言って聞かないのよ。」

「いやだってそうとしか思えないだろ?もう春だというのに何で雪なんか降ってるんだよ。」

 

ナイス霊夢。上手く話をそらすことができた。このままなんとか穏便に……

 

「そうですか、異変ですか……。わかりました。それではその異変解決、私も協力させて頂きましょう。」

「うん、そうか……ってはい?」

「聞こえなかったの?だから、この異変の解決を私も協力するって言ってるの。」

「それはいいわね。その方が早く蹴りがつきそうだし。」

 

おい霊夢、お前まで何言ってんだ。

 

「それじゃあ決まりね。改めてよろしく伊藤さん。」

「え、ああ。よろしくな。」

 

咲夜さんと固く握手をする。もうどうにでもなれ。

 

 

魔理沙side

 

~アリスの家~

 

「アリス、大丈夫か?」

「うーん……だ、大丈夫よ魔理沙……ゴホッゴホッ。」

「大丈夫じゃあなさそうだな、ほい水。」

 

アリスまで風邪を引いてしまうとはな……。紅魔館の連中も風邪を引いてるから本も借りにいけないぜ。風邪の時に本を強dゲフンゲフン借りに行っても面白くないしな。

 

「ありがとう……それにしても今年は何でこんなに春が来るのが遅いのかしら……」

「本当だよな……うーん、何か面白いことは無いものか……」

「ふふっ……魔理沙らしいわね。それじゃあ私は少し寝るわ。魔理沙も一緒に寝る?」

「そんなことしたら私まで風邪を引いてしまうぜ。それじゃあアリスお大事にな。」

「ありがとう魔理沙。それじゃあまた。」

 

アリスは家から出てく私を見送ると、頭から布団を被って寝てしまった。

 

「うーん……何しようかな……紅魔館にも行けないし。……霊夢のとこにでも行くか。」

 

霊夢のとこなら退屈しないだろう。そう考えながら箒にまたがり、曇り空に向かって飛ぶ。

 

「しかし寒いな……お?あれってまさか霊夢か?それに伊藤までいるな。……何故かあのメイド長までいるぜ。面白そうだな。ちょっと行ってみるか!よし、トップスピードだ!」

 

魔理沙が叫ぶと、箒が伊藤たちに向かって物凄い速さで飛ぶ。

 

 

「おーい!霊夢ー!伊藤ー!PA……咲夜ー!」

「ん?おお魔理沙じゃないか。」

「何でこうゾロゾロと人が来るのかしらね……」

「魔理沙……さっき何を言いかけたの?返答次第ではあなたの頭からナイフが生えるわよ。」

「やめてください死んでしまいます。い、いやえーと……パ、パチュリーの様子はどうなのかなーと思ってだな。」

「あらあなた、パチュリー様が風邪を引いてること知ってたの?」

「これでも一応図書館の常連だからな。それくらいのことは既に知ってるぜ。」

「へー。まぁパチュリー様は寝てればそのうち治ると言ってたわ。」

「お、そうか。じゃあ治ったらまた本を狩りに行くか。」

「……魔理沙、漢字間違ってるわよ。」

「気にするな!」

「あんたは何処の魔王様だ。」

「そんなことより伊藤たちはこんな寒い中何してんだ?」

「ああ、ちょっと異変解決にな。」

「ほう、異変とな?」

「ああ。春になってもこの雪の量。どう考えてもおかしいだろ?」

 

異変か……なるほどなるほど。……中々面白そうだな。

 

「フフフ……ならばこの私もその異変解決を手伝わせてもらうぜ!」

「え、いいのか?」

「ああ!それになんだか面白そうだしな!」

「面白いかどうかはともかく、これでまた戦力が増えたわね。」

「この魔理沙様がいれば100人力だぜ!そんなことより、異変の首謀者がどこにいるのかわかってるのか?」

「それが……」

「どこにいるのか……」

「まったくもってわかりませぬ\(^o^)/」

「顔文字やめい。……ってあそこにいるのは文じゃないか?」

 

私が指差す方向には新聞記者こと射命丸文が買物袋を抱えて飛んでいる。

 

「あいつなら何か知ってるかもしれない!行くぞ!」

 

 

伊藤side

 

「おーい!文ー!」

「あやや?伊藤さんじゃないですか。霊夢さんに魔理沙さん、それに咲夜さんまでいるじゃありませんか。一体どうしたんですか?」

「ちょっとこの異変について聞きたいんだけどいいか?」

「異変って、この異常気象についてですか?うーん……それが私にも原因はわからないんですよね。冬の妖怪や氷精などが起こしているとも考えたのですが、彼女たちの力ではここまですることはできません。それに本人から直接話を聞いたところ、「冬がこんなに長引いて嬉しい!!」と、喜々として答えてましたからね。」

「うーん……そうか。ありがとう。」

 

文でもわからないか……うーんどうしよう。

 

「……ただ、少し気になるものが。」

「気になるもの?」

「はい。ちょっとついてきてくれます?」

「うむわかった。」

 

そういうと文は雲に向かってまっすぐ飛ぶ。それに続いて俺、霊夢、咲夜、魔理沙という順に飛び、雲を抜けると文がそのさらに上を指差す。

 

「ほら、あれです。」

「んー?何だあれ?」

 

文が指差す方向にはまるでブラックホールのような真っ黒い穴にピンク色のなんだか良く分からないものが吸い込まれている。

 

「ふーむ……これは少し調べてみる必要がありそうね。」

「文も来るか?」

「私はやめときます。椛が風邪を引いてしまったらしく、その看病に向かう途中だったんですよ。」

「椛も風邪引いたのか。そんなことも知らずにわざわざ呼び止めてすまなかったな。」

「いえいえいいんですよ。その代わり、これが異変だったときはしっかり取材させて頂きますからね!覚悟しといてください!」

「元からそのつもりだよ。それじゃあ俺達は行くからな。」

「はい!帰ってくるのを楽しみにしてます!それではまた!」

 

そういうと文は背中の羽を羽ばたかせて雲に突っ込んでいってしまった。

 

「さて、行くぞ!」

「さっさと蹴りつけて炬燵で寝たいわ。」

「お嬢様のこともあるし、早めに終わらさないとね。」

「なんだか面白くなってきたぜ!さあ行こうぜ!」

 

それぞれの思いを胸に、俺達は黒い穴に突っ込んでいった――――

 

 




風邪よりリターン・フロム・リンボしました。どうも俺です。これからなんとか投稿ペースを戻していきます。しかし今週末にはテストがあるのでまた休む可能性があります。ご了承ください。

さて次回からはバトルの予定!次回もゆっくり見ていってね!


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第二十話 VS妖夢

~冥界~

 

空のブラックホールのようなものから侵入した俺達は、目の前に突然現れた頂上の見えないとてつもなく長い階段を登っていた。

 

「長い階段ね。」

「……ここの設計者頭おかしいんじゃないか?」

「それな。何でこんなに長い階段なんだか。これじゃあ客も来ないだろうに。」

「でももうすぐ着くわよ。ほらあそこ。」

 

咲夜さんが指差す方向、そこには階段は続いておらず、何やら道が続いている。ようやくそこに到着すると、石畳でできた道がずっと先まで続いている。

 

「やっとついたぜ……ひー私はもう疲れたぜ……。」

「ほら根性見せなさい。さっさと先に進むわよ。」

「そこの人間達、止まりなさい。」

 

周りに何やら白いものが浮いていることと腰に刀を装備していること以外は普通な少女が俺達を制止する。

 

「おっと、中ボスといったところか?」

「貴方達は何者ですか?何故ここに?」

「俺達はただの通りすがりの勇者だ。幻想郷に春がこないんでね。その原因を調べに来たのさ。」

「勇者って自分でいうものですかね……。しかしそういう事ならばここを通す訳にはいきませんね。」

 

少女は刀を鞘から抜き、俺達に向けて構える。

 

「おおっと、これはまさかビンゴか?」

「さて……誰から斬られたいですか?」

 

少女は鋭い目つきで俺達を睨む。

 

「ふむ、それでは俺が相手になろう。」

「あんた、大丈夫なの?」

「心配すんな。」

 

相手は剣士か……それならフランと遊んだ時使ったあのスペカを使うか。

 

「メダリオンソード……」

 

右手に握るスペルカードに光が集まり、白く光る剣を構築する。

 

「……太刀モード!!」

 

右手に握られる剣が再び強く光を放ち、日本刀の形へと整形される。

 

「霊夢、魔理沙、咲夜さん……皆は先に行け。」

「……わかったわ。死なないでね。」

「伊藤……奴は間違いなく強い。油断するなよ。」

「伊藤さん、私、信じてますから。必ず勝つって。だから、先に行って待ってますね。」

「皆そんなに心配するなって。後でちゃんと行くからよ。」

「行かせませんよ!!」

 

少女が俺たちに向かって勢い良く斬りかかる。

 

「おおっと、お前の相手はこの俺だ!」

 

少女の振りおろした刀をメダリオンソードで受け止め、すぐに反撃する。

 

「くっ!!」

 

少女は後ろに移動することで俺の一撃を寸分のところで回避し、再び俺を睨む。

 

「今だ!!行け!!」

「わかったわ。ここは頼んだわよ!」

 

少女がバランスを崩した隙に霊夢達はさらに先へと向かっていった。

 

「……ほう、貴方一人でこの私に勝てるとでも?」

「その慢心は自身を滅ぼすぞ。さて……やろうか。一対一の、決闘を。」

「決闘?違いますね。」

 

少女は一瞬で俺の目の前まで移動し、俺に斬りかかる。

 

「くっ!?」

 

瞬時に後ろに移動し、何とか事無きを得るが、後少し避けるのが遅かったら間違いなく俺はもうこの世にはいなかっただろう。

 

「……殺し合い、でしょう?」

「面白い。……名前は何だ?」

「私の名は魂魄妖夢……。そして貴方の最後の相手です。」

「フフフ……ますます面白くなってきた。俺の名前は伊藤大輔。決闘者兼吸血鬼兼ナンバーズハンターだ!!」

 

お互いに自己紹介すると、二人とも臨戦態勢に入りじりじりと距離を詰めていく。

 

「「……いざ、参る!!」」

 

二人が同時に叫ぶと、まるで疾風の如く激突し、刀と刀が火花を散らす――――

 

 

霊夢side

 

「なあ霊夢。」

「何よ魔理沙、どうしたの?」

「伊藤のことなんだが……大丈夫かな?凄く心配なんだが……」

「大丈夫よ。紅い霧の異変だってあいつ物凄い怪我してたけど、なんだかんだ言って助かってるじゃない。あいつはきっと悪運が強いのよ。」

「でも……」

「……他人の心配をするよりも、自分の事を心配した方がよくなくて?」

 

その女は私達の話を遮り、扇子を開いて口元を抑えながら現れた。

 

「あらまぁ。三人もいるのね。うふふ。」

「あんた、誰?」

「私?私の名は西行寺幽々子。この冥界の管理人ですわ。」

「冥界?」

「あら貴方、ここが何処だかまだ分かってなかったの?それじゃあ冥途の土産に教えてあげるわ。ここは冥界。死した魂がさ迷う場所。あなた達も魂だけの存在になってみる?」

「遠慮しとくわ。まだまだこの体でやりたいこともあるしね。」

「あらまぁ残念ね。」

「……ちょっといいかしら?」

 

咲夜が突然私達の話を遮り、前に出てくる。

 

「ん?あんた、どうしたの?」

「何かしら?」

「あの桜の木……何やらおかしな妖気を放っているのだけれど。」

 

咲夜が幽々子の後ろにある全てではないが、枝中に花をつけた巨大な桜の木を指差す。桜にはここに入ってくるときに見たピンク色の良く分からないものが吸い込まれている。咲夜の言うとおり、確かに何か変な妖気を感じる。まるで紅い霧が幻想郷を覆った夜、紅魔館でブラックミストと戦った時のような……

 

「あれは西行妖。美しいでしょう?でもね、まだ完全に花をつけてないの。もっと春が必要なの」

「春が……」

「必要?」

 

私と魔理沙が声を上げる。

 

「そうよ。この西行妖が花をつけるには、ただ待っていてるだけじゃダメなの。もっと春を……もっとたくさんの春度が必要なの。」

「もっと春を……まさか!!」

「やっと気づいたようね。そうよ、幻想郷に春が訪れないのは、この西行妖が貴方達の春を吸い取っているのよ。」

「……ならばあんたをぶっ倒せば幻想郷に春は戻るのかしら?」

 

私はお払い棒と戦闘用の札を幽々子に向けて構える。

 

「ええ、いいでしょう。あなたがもし私に勝てたのならば、幻想郷に春はお返ししましょう。その代わり負けたら……どうなるかわかってるわよね?」

 

私は無言で頷く。もしも冥界で死ねば、その魂は天国にも地獄にも行けず、ここで永遠にさ迷うことになるだろう。そんなのはまっぴらごめんよ。

 

「……さぁ行くわよ!あんたたち!」

「「ああ!!」」

「……え?」

 

三人が幽々子に向かって同時に弾幕を放ち、幻想郷の春を取り戻す戦いがついに始まった――――

 

 




次回からは本格的なバトルの予定です。それでは次回もゆっくり見ていってね!


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第二十一話 No.の影

――――強い。伊藤は妖夢の繰り出す斬撃を紙一重でかわしながら感じる。少しでも気を抜けば間違いなく俺の胴と頭が離れてしまうだろう。

 

「この程度ですか!?」

「さあ……どうだろうね」

 

伊藤がそういうと、妖夢はその発言に少々怒りを覚えたらしく、より一層斬撃が激しくなる。

 

「妖夢、と言ったか!?」

「ええ、言いましたとも!」

 

剣を交えながら伊藤は妖夢に問う。

 

「お前はこの戦いが始まる前に言ったな!『これは殺し合いだ」と!」

「ええ言いましたよ!それがどうしました!」

「何故だ!何故こうやってなんでも剣で解決しようとする!」

「話し合いでもするつもりですか!?どんな人間でも、切ってみればわかる!それが私のモットーです!」

「……切ってみればわかる?」

 

突然伊藤が妖夢から離れ、剣を構えたまま睨む。

 

「……未熟だな」

「……何?」

 

伊藤の突然の発言に妖夢は怒りを覚えた様子だ。

 

「私が……未熟?」

「ああ。未熟だ。何が切ってみれば分かるだ。そんな人間は剣士と呼ばない。そいつはただの、辻斬りだ」

「……何だと?」

 

伊藤の発言に妖夢は怒りをこらえるのに必死な様子だ。

 

「お前は誇り高き剣士などではない。……未熟者が」

 

伊藤が言い終わるやいなや、妖夢が怒りをこらえきれずに切りかかる。

 

「私は未熟なんかじゃない!!私が幽々子様を守るためにどれだけの努力をしたと思っている!!それをお前が、お前なんかに分かるものか!!」

「……やはり未熟だな。自身の感情のコントロールもできないとはな」

「黙れ!!黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れぇっ!!」

 

妖夢が我を失い怒りの赴くままに剣を振るう。その目には涙がにじんでいる。

 

「……どりゃぁっ!」

「!!」

 

伊藤が妖夢の振るう刀を蹴りあげる。その衝撃で妖夢は倒れ、持っていた刀は妖夢の手を放れ、綺麗な放物線を描きながら地面に突き刺さる。

 

「くっ!!」

「無駄だ」

 

妖夢は飛んでいった刀を取りに行こうとする。しかし伊藤は妖夢の首にメダリオンソードを突きつけ制止する。

 

「……完敗です。私は剣の腕も、心も貴方ほど強くなかった。悔しいですが、確かに貴方の言うとおり私は未熟でした。……どうぞ、お好きなように」

 

妖夢は落ち着きを取り戻し、覚悟を決めたように目を閉じる。

 

「……いい刀だな」

 

伊藤は無言で地面に突き刺さっている妖夢の刀を抜き、呟く。

 

「……それは楼観剣と言います。とある妖怪が鍛えた刀で、ひと振りで幽霊十匹分の殺傷能力があると言われてます」

「幽霊十匹分って言われてもよく分からんな……はい」

 

伊藤が刀を妖夢に渡すと、妖夢は驚いた様子で刀と伊藤を交互に見る。

 

「……私を殺さないんですか?」

「殺す?何で?」

「私は貴方を殺そうとしたんですよ?それも、切ってみれば分かるなどという理由で。私はあと少しのところで人の道を踏み外す所でした。それを正してくれた貴方に切られるならば、私も本望です。さぁ、どうぞ」

 

妖夢は再び覚悟を決め、目を閉じる。

 

「……殺さないよ」

「……どうしてですか?」

「そもそも殺す必要がない。俺はただ春を取り戻しに来ただけだし、それにお前が死ぬことで悲しむ人間もいるはずだ」

「そ、そんな物は私には……」

「それじゃあお前が死んで、さっき話してた幽々子様とやらはどう思う?」

「……っ!」

「何と言うかさ……うまく言えないけど、そこまで気に病む必要はないんじゃないか?間違いなんて誰にでもあるんだから。それにそんなこといちいち気にしてほら、人生は楽しんだ者勝ちってどこかの誰かが言ってた気がする」

「人生は……楽しんだ者勝ち……」

 

 

 

 

「――――でやぁっ!!」

「ほっほっほ。妖夢、精が出るのう」

「し、師匠……」

「それにしても妖夢、お前は少々力が入りすぎだと思うのじゃが?」

「師匠もいつまでもここにいるとは限りませんし……その時は私が幽々子様をお守りしなければならないので」

「むっ。妖夢、わしはまだまだ現役じゃぞ」

「し、しかし……」

「まぁそう気を張るでない。お前ももうそんな年なんじゃし、そろそろわしも孫の顔を見てみたいのう」

「まっ……まままままま孫ぉ!?し、師匠!?一体何を言ってるんですか!?」

「ほっほっほ、冗談じゃよ。まぁ、そんなに気を張らずともいいということじゃ。ほら、人生は楽しんだ者勝ちとよくいうじゃろ?」

「人生は楽しんだ者勝ち……ですか」

「うむ。……おっと、もうこんな時間か。お嬢のために晩飯を作らねばな。妖夢、少し手伝ってくれんか?わし一人ではさすがにお嬢の胃袋を満腹にすることはできないからのう」

「は……はいっ!――――」

 

 

 

 

「ん?どうした?おーい」

「し……」

「え?」

「師匠っ!!」

 

妖夢が目を輝かせながら突然立ち上がり、伊藤の目の前まで顔を近づける。

 

「伊藤さん、いえ師匠!!貴方のことはこれから師匠と呼ばさせていただきます!!」

「え、ちょ、何があったし。いやいや、俺あんな偉そうなこと言ったけど実際は人間なんかほとんど出来てないからね?感情のコントロール?何それ美味しいの状態だからね?」

「それでも構いません!貴方は私に大切な事を思い出させてくれました!!それだけでもう十分です!!」

「いや、そもそも俺師匠っていうキャラじゃないというか……」

「それではお友達から!」

「ヨウム、マイフレンドってか?まぁそれならいいかな?」

「はい!!よろしくおねがいします、伊藤さん!!」

「うん、こちらこそ」

 

伊藤と妖夢が固く握手をする。

 

「ところで先に行った霊夢達はどうなったんだろう?」

「はっ!この先には幽々子様が!」

「それなら急ごう。こっちで合ってるよな?」

「はい!行きましょう!」

 

 

その頃――――

 

「ち、ちょっと!!三対一なんて卑怯じゃないの!?」

「なんとでも言いなさい!!」

「どんな手を使おうが!!」

「最終的には!!」

「「「勝てばよかろうなのだぁぁぁぁぁ!!」」」

 

三人が同時に叫ぶと、一斉にスペルカードを発動する。

 

霊符『夢想封印 集』

恋符『マスタースパーク』

幻符『殺人ドール』

 

「きゃあああああああああああっ!!」

 

幽々子は三人の放ったスペカに直撃し、地面に落ちてゆく。

 

「オーライオーライ……っと」

「ナイスキャッチです」

 

落ちてきた幽々子を既に下でスタンバッてた伊藤と妖夢が受け止める。

 

「う、うーん……あら?妖夢じゃないの」

「幽々子様……申し訳ありません。私があの者達を止めていれば……」

「本当よ。博麗の巫女一人で戦うと思ってたのにまさか三人一緒に来るとは思わなかったわ」

「いいじゃない。勝ちは勝ちよ」

 

霊夢達が俺達の元に降りてくる。

 

「汚い、さすが巫女汚い」

「うるさいわね。ほら、約束よ。春を返してもらうわ」

「うーん……仕方ないわね。一応約束だものね」

 

幽々子は伊藤と妖夢の手の中から降りると、蕾をつけている西行妖まで歩み寄る。

 

「残念ね……貴方の満開を見れると思ったのに」

 

幽々子は残念そうに西行妖に手を当てる。……しかし、何も起こらない。

 

「……おかしいわ。西行妖が……」

 

その瞬間だった。西行妖の幹に大きく101という文字が浮き出てきたのだ。

 

「っ!?幽々子!!そこから離れろ!!」

「え?……きゃあっ!?」

 

伊藤が叫ぶが、時すでに遅しだった。突然意思を持ったように、西行妖の枝が幽々子を掴み、空中に持ち上げる。

 

「くっ!!皆!!ここから離れろ!!巻き込まれるぞ!!」

「ゆ、幽々子様ぁっ!!」

 

妖夢が我を忘れ、幽々子を救けるために飛び出していってしまった。

 

「妖夢!!駄目だ!!戻ってこい!!」

「妖夢!!こっちに来ては駄目よ!!」

 

伊藤と幽々子が叫ぶが、妖夢はそれを無視して西行妖に向かって突っ込んでゆく。

 

「西行妖ぃっ!幽々子様を離せぇっ!」

 

妖夢は楼観剣を使い攻撃してくる西行妖の枝を一つ残らず叩ききる。

 

「幽々子様!!」

「妖夢、後ろ!!」

 

妖夢は幽々子に手を伸ばすが、幽々子に気を取られていたせいで後ろから迫り来る鋭く尖った枝に気づかなかった。

 

「!!」

 

妖夢が気づいた時には、もう枝は妖夢の目の前まで迫っていた。――――避けられない。妖夢は反射的に目を瞑る。

 

ズブリ

 

……そう音はしたが、妖夢は痛みを感じない。恐る恐る妖夢は目を開ける。そして、驚愕した。

 

「い……伊藤さん!!」

「が……はっ……!」

 

妖夢の目の前には、腹部を枝に貫かれた伊藤の姿があった。枝からは伊藤から流れた真っ赤な血が滴り落ちている。

 

「い、伊藤さん……何で……?」

「もう、人が死ぬのは……見たくないからな……体が、反射的に……がはっ!!」

 

伊藤が口から血を吐き出す。かなりの重症だ。いくら吸血鬼とはいえ、急いで止血しなければ命に関わるだろう。

 

「伊藤!!待ってなさい、今行くわ!!」

「い、伊藤さん!!」

「おい伊藤!!大丈夫か!!」

 

霊夢達が急いで伊藤の元に飛ぶ。

 

「れ、霊夢……駄目だ、来るな……!!」

「そんなこと言ってる暇無いわよ!!急いで止血を……きゃあっ!?」

「れ、霊夢!!どわぁっ!?」

「くっ!!何よこの枝!!」

 

霊夢達が伊藤の元に飛ぶが、西行妖の攻撃によって近づくことが出来ない。

 

「くっそぉ!!邪魔なのよ!!どきなさい!!」

 

霊夢達が枝に悪戦苦闘していると、伊藤を貫いていた枝と幽々子を掴んでいた枝は空高く持ち上げられ、西行妖の幹に何やら巨大な穴が開いた。

 

「くっ……!!ブラックミスト!!」

 

伊藤は力を振り絞り、No.96のカードを空中に投げる。するとカードに黒い霧が集まり、ブラックミストが現れる。

 

「お、おい!!お前、どういうつもりだ!!」

「ブラックミスト……!!力を解放する!!皆を守ってくれ!!」

「お、おい!!ちょっと待て!!」

 

ブラックミストの言葉も虚しく、西行妖は伊藤と幽々子を巨大な穴に放り込む。すると瞬時に穴は閉じ西行妖についていた蕾が一気に開き、まだ全てではないがほとんどの花が咲いた。

 

「な、何!?」

 

霊夢は気づいた。花が咲いた瞬間、一気に西行妖の妖力が膨れ上がったことに。

 

「まずいわ。もしもあの桜が完全に花開いたら!!」

「私達では止められないぜ……!!」

「ど、どうすれば……!!伊藤さんは西行妖の中に!!」

「っ!?てめぇら来るぞ!!急いで避けろ!!」

 

ブラックミストが叫んだ直後、先ほどの攻撃の倍近くある量の枝が襲い掛かる。

 

「……仕方ないわ。皆!!やるわよ!!」

「まさかの連戦か……!!」

「伊藤さん……絶対に助けます!!」

 

三人が同時にスペルカードを発動する。

 

霊符『夢想封印 集』

恋符『マスタースパーク』

幻符『殺人ドール』

 

三人のスペルカードが西行妖に直撃する――――




西行妖に取り込まれてしまった伊藤と幽々子!二人の運命はいかに!それでは次回もゆっくり見ていってね!


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第二十二話 新たなる力、カオスエクシーズチェンジ

「うっ……ぐっ」

 

ぼんやりと明るい西行妖の中で、腹部の激痛と共に伊藤はゆっくりと目を開ける。血を流しすぎたのか、視界がぼやけている。体を動かそうとするも、まるで金縛りにあったかのように体の自由が利かない。

 

「な、なんだ……体が動かない……こ、これは!?」

 

まるで棒のように動かない手に目をやると、伊藤の手は西行妖にくくりつけられ、固定されている。それだけではなく、もう片方の腕も、両足も木に固定されている。いくら足掻いても傷口から血が吹き出てくるだけで、事態の解決には至らない。

 

「主よ、大丈夫か!?」

「こ、コートオブアームズか……だ、大丈夫だ……がはっ!!」

「大丈夫ではなさそうだ。待っていろ!今私が助ける!」

 

人間の騎士の格好をしたコートオブアームズが伊藤が使っていたものと同じ真っ白な剣を握り締め、俺を拘束しているものに向かって思いっきり振り下ろす。

 

「「ぐっ!?がああああああああああ!!」」

 

コートオブアームズが振りおろした剣と伊藤を拘束している木が接触した瞬間、伊藤とコートオブアームズに電流のようなものが走る。その威力は凄まじく、まるで雷に打たれたような感覚だった。

 

「ぐっ、あっ……だ、大丈夫か……?」

「な、なんとか……しかしこれでは迂闊に手を出せない……。どうすれば……」

「……うっ……ここは……?」

「幽々子!!」

「あ、貴方は……私は確か西行妖に……。か、体が動かない……!」

 

たった今気がついた幽々子も伊藤と同じように、両手両足を西行妖によって固定されている。

 

「クソッ、一体どうやって脱出すれば……」

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

「――――やったかしら……?」

 

一方こちらは霊夢達。

西行妖に向かって、三人同時にスペカをぶつけ、前が見えない程に土煙が舞っている。

 

「てめぇら!!そこから一歩たりとも動くんじゃねぇぞ!!ブラックミラージュウィップ!!」

 

突然ブラックミストが叫ぶと、大量の触手を霊夢達に向かって放つ。

 

「お、お前!!私達の味方じゃ――――え?」

 

ブラックミストが放った触手は魔理沙のすぐ脇を通り、背後で何かを粉砕する音が聞こえる。

 

「こ、これは……」

 

魔理沙が振り返ると、土煙が晴れたそこには、粉々に粉砕された木の枝が宙を舞っていた。

 

「チッ、やはりか……」

「どういう事よ!?」

「……紅魔館で俺と戦った時のことを忘れたのか?」

 

ブラックミストが静かに言うと、咲夜がハッとした表情でゆっくりと答える。

 

「No.はNo.でしか倒せない……!!」

「……そういうことだ。しかも相手はオーバーハンドレットナンバーズ……俺ですら勝てるかどうかわからねぇ……」

「オーバーハンドレットナンバーズってそんなに強いの?」

 

霊夢がブラックミストに疑問を投げかける。

 

「ああ。こことは違う世界の神が作りし呪いのNo.……。その力は通常のNo.を遥かに上回る」

「そ、そんな……私達では、伊藤さんを助けられないの……?」

 

咲夜が言葉を失い、その場にへたり込んでしまう。

 

「っ!!おい!!また来るぞ!!」

 

ブラックミストが叫んだ時には、もう既に霊夢達を吸収しようと西行妖の枝があちこちに張り巡らされていた――――

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

「――――駄目、全然外れないわ」

「クソッ、こっちもだ。なんて頑丈な作りなんだ……!!」

 

西行妖に囚われている伊藤と幽々子が、なんとか脱出しようと試みてはいるものの、事態は一向に好転しない。

 

「早く、なんとかしない、と……」

「貴方、大丈夫!?」

「ハハッ……さっきからなんとか再生を試みてはいるんだがな……。どうも、再生が間に合わない。……死ぬのかな、俺」

「貴方……」

 

伊藤が諦めたように呟くと、幽々子が決心したように表情を変える。

 

「……私が西行妖の命を終わらせる」

「……え?」

「私の能力を使って、西行妖を殺す。貴方の怪我、今すぐに治療すればなんとかなるかもしれないわ」

「幽々子……お前……」

 

そう語る幽々子の目は、何処か悲しげだった。

 

「さようなら……西行妖……」

 

幽々子がゆっくりと目を閉じ、呪文のようなものを唱え始める。その瞬間だった。

 

「がぁっ!?ぐああああああああ!!」

「ど、どうしたの!?うっ!?ぐああああああああっ!!」

「二人とも!!なっ……があああああああああっ!!」

 

突然伊藤、幽々子、そしてコートオブアームズまでも苦しみ出す。

 

「こ、これは……まさか!!」

「自分が死ぬ前に、俺達の力を根こそぎ奪うつもりか……!!」

「ま、まずいぞ……このままでは力を吸収し尽くされ、我々は消滅する……!!」

 

伊藤がちらと横を見ると、そこには伊藤達と同じように壁にくくりつけられ、白骨化している人間の死体があった。

 

「クソッ……!!どうすれば……!!」

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

「てめぇら離れてろ!!シャドーゲイン!!」

 

ブラックミストが、紅魔館で伊藤達と戦った時に苦しめた、あの黒い嵐を巻き起こす。相手の力を奪うことが出来る強力な効果を持った恐ろしい嵐だ。

しかし西行妖は黒い嵐に包まれても、少し花を散らすだけで、力を失っている様子は無い。

 

「どういう事だ……何故力を奪えない……何!?」

 

ブラックミストが疑問を口にした瞬間、激しく吹き荒れる嵐を物ともせず、先端が恐ろしく尖った枝が襲いかかってきた。

 

「チッ!!ブラックミラージュウィップ!!」

 

ブラックミストが負けじと大量の触手を放つも、枝をさばききれず、数弾被弾してしまう。

 

「ぐっ!!てめぇらはここから離れろ!!巻き込まれるぞ!!」

 

ブラックミストが叫んだ瞬間、まるで生きているかのように枝がブラックミストを掴み、地面に叩きつける。

 

「ガッ……ハッ!!」

 

叩きつけられた場所の石畳が割れ、破片が宙を舞う。

 

「ブラックミスト!!」

 

ブラックミストが動かなくなると、今度は霊夢達を狙って恐ろしい数の枝が襲いかかる。

霊夢が目を瞑った瞬間、西行妖の根元で大きな爆発が起きた――――

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

「ぐっ……幽々子、大丈夫か……?」

「え、ええ……なんと……か……」

 

幽々子が返事をすると、突然気絶するかのようにガクン、とうなだれてしまう。

 

「幽々子!!」

「まずいぞ……力を吸い取られすぎて酷く弱っている!!今すぐにここから脱出させなければこの女は……!!」

「クソッ!!何とかしないと!!」

 

その瞬間、伊藤の目の前に黒い光が集まり、人間の形を構築していく。

 

「クックックッ……無様だなぁ」

 

突然声が聞こえたかと思うと、伊藤の目の前に、一度夢で会った伊藤の心の闇が出現する。

 

「お、お前は……!!」

「よう、久しぶりだな。もう一人の俺よ」

「何をしに来た……!!」

「おいおい、せっかく助けに来てやったのに何をしに来たはねぇだろ?」

「……助けに来ただと?」

「ああ。で?考えておいてくれたか?俺を開放するかどうかは?」

「本当にここから脱出出来るのか……?」

「それはてめぇの返答次第だ。てめぇが俺を開放して、自由にしてくれるならてめぇら全員をここから脱出させてやるよ。どうだ?いい条件だとは思わねぇか?」

「全員……脱出……」

「クックックッ……さぁ選びな!!俺の力を借り、ここから脱出するか!!それともここでみんな仲良くくたばるか!!二つに一つだ!!」

 

伊藤がちらと幽々子の方に目やる。幽々子は壁にくくりつけられ、額に大量の汗を浮かべながらぐったりとうなだれている。

俺は……皆を守りたい。その為の力を……!!たとえそれが破滅の力であろうとも……!!

 

「……わかった。お前を開放する!!」

 

伊藤が叫んだ瞬間、伊藤の心の闇がニヤリとほくそ笑む。

 

「力を貸してもらうぞ、もう一人の俺!!」

 

その瞬間、鎖が破壊されるような音が響き、もう一人の伊藤に黒い光が集まってゆく。

 

「ヒャッハハハ!!力がみなぎるぜ!!約束通りてめぇらをここから脱出させてやるよ!!」

 

黒い光の塊から現れたもう一人の伊藤は、先程までは幽霊のように足が無かったのに対し、今は立派な二本の足がはえている。

 

「とはいっても……このままだとここから脱出する前にてめぇがくたばっちまいそうだなぁ?」

 

もう一人の伊藤がピンピンしているのに対し、本物の伊藤の腹部からは大量の血が流れていた。

 

「仕方ねぇ……ちょっくらてめぇの体を貸してもらうぜ」

「な、何を……ぐっ!?があっ!?」

 

もう一人の伊藤が突然黒い光となって消えたかと思うと、いきなり本物の伊藤が苦しみ出す。

 

「あ、主よ、大丈夫か!?」

「がっあ……ぐっ…………」

 

伊藤が突然ピクリとも動かなくなる。しかし次の瞬間、伊藤はいきなり顔を上げ、両手両足を固定していた木を一瞬で粉砕する。

 

「一体何が起こってるのだ……?」

「てめぇがコートオブアームズか……クックックッ」

 

不気味に笑う伊藤の目は、先程までは優しい黒目だったのに対し、今はまるで炎のように真っ赤だ。

 

「コートオブアームズさんよ……てめぇの力を使わせてもらうぜ!!」

 

伊藤が右手を高く掲げると、手の中に何やらカードのようなものが構築され、赤い光を放つ。

 

「――――カオスエクシーズチェンジ!!」

 

西行妖の中を、真っ赤な光が覆い尽くす――――

 

 




投稿が遅れてしまい、大変申し訳ございません。土曜日はテスト勉強に、日曜日は大量に積もった雪の処理に追われていました。え?テストですか?もちろん玉砕されました。英語と数学消えろ。

さて次回は春雪異変、完結!!それでは次回もゆっくり見ていってね!!


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第二十三話 混沌の力、そして時を遡る龍

西行妖の根元が突然爆破され、土煙が舞い上がる中、霊夢達のもとに歩みを進める人影が一つ。いや、担がれている幽々子を含めれば二つの影。

 

「あ、あれはまさか!!」

「無事だったんですね!!」

「あれが……伊藤?」

 

皆が驚きの声を上げる中、気付いたのは霊夢だけだった。伊藤から放たれる、今までに感じたことが無いほどの禍々しい妖気に。

 

「伊藤さん、幽々子様!!」

「半人半霊!待ちなさい!」

 

霊夢の制止を振り切り、妖夢が伊藤らしきものへと近づいていってしまう。

 

「……ああ?」

 

その瞬間だった。突然伊藤の右手に、今まで使っていた白い剣とは対照的な漆黒の剣が握られ、妖夢の首筋に突きつける。

 

「な、何で……?」

「何で?そもそも誰だてめぇは」

 

今までと違う伊藤の様子に、妖夢、魔理沙、咲夜もようやく気づく。『こいつは、伊藤ではない』ということに。

 

「……ああ、ひょっとしてもう一人の俺のお友達かい?悪いな、今の俺は、いや伊藤君は、伊藤であって伊藤じゃないんでね。……殺されても悪く思うなよ?」

 

伊藤はまるで殺人鬼の如く、冷たい笑いを浮かべながら、剣に力を込めてゆく。剣は妖夢の首に少し刺さり、一滴の血が流れ落ちる。

 

「ガハッ……!!てめぇら、また来るぞ!!」

 

気絶していたブラックミストが起き上がって叫ぶと、伊藤ではない何かを亡き者にしようと先端の尖った枝が伊藤ではない何かに襲いかかる。

 

「……しゃらくせぇな」

 

伊藤は持っている黒い剣を枝に向かってひと振りすると、凄まじい音と共に、枝が木っ端微塵に粉砕される。

 

「ほう……あれがNo.か……」

 

幽々子を地面に寝かせ、伊藤は西行妖に向かって歩みを進める。

 

「な、何を……」

 

無言で歩みを進める伊藤を阻止すべく、またも大量の枝が次々と襲いかかる。

 

「貧弱貧弱ゥ!!この程度か!?つまらん!!」

 

伊藤が剣を地面に突き刺すと、漆黒のバリアが展開され、襲いかかる枝を全て弾く。

 

「ハッハッハッ!!消えろ!!」

 

枝がバリアに弾かれた瞬間、バリアから黒い焔が吹き出し、近くの枝を全て焼き尽くす。

 

「……へぇ?まだやるのか」

 

伊藤を守るバリアが消えると、また懲りずに枝が押し寄せる。

 

「めんどくせぇな……さっさと終わらせてもらうぜ」

 

襲いかかる枝を全て紙一重でよけ、妖しく光るスペルカードを発動する。

 

混沌『カオス・デス・ドゥーム』

 

伊藤の手の中に禍々しい妖気の塊が出現する。しかもそれは周りの空気をどんどん吸い込み、少しずつ大きくなってゆく。

 

「な、何よあれ……!!」

 

初めは小石程の大きさだったその塊は、数秒後その数十倍の大きさにまで膨れ上がっていた。

 

「てめぇではその力を使いこなせねぇよ……。大人しくその力を俺によこしな!!」

 

伊藤が宙に浮かぶ妖気の塊に向かって拳を繰り出すと、その塊から極太のレーザーが放たれる。レーザーは途中にある枝を物ともせず、まっすぐ西行妖の幹へと伸びてゆく。

 

「ヒャッハッハッハァッ!!砕けろぉぉぉ!!」

 

レーザーが西行妖の幹を貫き、爆発する。この世のものとは思えないほどの爆音が響き、土煙が激しく舞い、その爆風は遠く離れた霊夢達を吹き飛ばす程、強力であった

 

 

 

 

 

 

 

 

「うっ……皆、大丈夫?」

「な、何とか……」

「一体何なんだぜあれは……私のマスタースパークでもあそこまでの威力は出ないぜ……」

 

爆風に吹き飛ばされていた霊夢達が起き上がる。あれほどの威力だったのに対し、幸い誰も怪我をしていないようだ。

 

「あ、あれは!!幽々子様!!」

 

妖夢が少し離れたところに寝かせられている幽々子を見つけ、すぐに駆け寄る。

 

「幽々子様!!しっかりしてください!!」

「うっ……妖夢……」

 

幽々子がうっすらと目を開け、自分の従者の名を呼ぶ。

 

「幽々子様……!!ご無事で、本当によかったです……!!」

「貴女も、よく無事だったわね……。流石うちの庭師ね……」

 

幽々子が泣いている妖夢の頬を右手でゆっくりとなでる。

 

「ゆ、幽々子様……起き上がって大丈夫ですか?」

「大丈夫よ。そもそも一体何が……」

 

幽々子がゆっくりと起き上がり、西行妖の方を見る。先程の爆風で大量の土ぼこりが舞い上がり、どうなっているのか良く分からない。

 

「あ、あれは……!!」

 

幽々子が突然言葉を失い、舞い上がる土煙を見つめる。

土煙が晴れたそこには、仁王立ちしている伊藤、そして無残に倒れている西行妖。

 

「西行妖が……」

 

目の前の光景に、霊夢達も言葉を失う。先程まで見事な花を咲かせていた枝に花はついておらず、もう既に西行妖は死んでいた。

 

「ハッ、この程度か」

 

伊藤が吐き捨てるように呟くと、突然気絶するように倒れてしまう。

 

「伊藤!!」

 

霊夢達が伊藤に駆け寄る。体が地面につく前に霊夢が伊藤を抱きかかえ、ゆっくりと地面に寝かせる。するとその瞬間、もう一人伊藤のような物が現れ、倒れている西行妖のもとに近づいてゆく。

 

「クックックッ……No.の力とやらはこの程度か?いや違うはずだ。だったら俺がその力をもっと有効に使ってやるよ……!!」

 

伊藤のような物が西行妖に手をかざすと、折れた部分から一枚のカードが飛び出してくる。それを伊藤のような物は二本の指でキャッチし、ニヤリと笑う。

 

「じゃあなてめぇら。もう一人の俺をよろしく頼むぜ?……他の奴なんかに殺られないようにな」

 

もう一人の伊藤はそう言い残すと、黒い光の粒子となって消えてしまった。

 

「うっ……ここは……?」

「伊藤!!あんた大丈夫なの!?」

 

もう一人の伊藤が姿を消したと同時に、地面に寝かせられている伊藤がゆっくりと目を覚ます。

 

「霊夢……それに皆……」

 

皆の名前を呼ぶ伊藤の目は、先程までの燃えるような赤い目ではなく、いつもどおりの優しい黒目だった。

 

「おい伊藤!!腹の傷は大丈夫か!?」

「腹の傷?……あれ、治ってる」

 

伊藤が自分の腹を手でさすると、そこに傷などなかった。確かに服には大きく穴が空いており、大量の血がべっとりとついてるが、肝心の傷が塞がっている。

 

「そうだ!幽々子は!?」

「大丈夫よ。ここにいるわ」

 

伊藤は幽々子が生きていることを確認すると、ホッとしたような表情を浮かべる。

 

「でも……西行妖が」

「いいのよ。皆が無事ならそれで十分よ……」

 

幽々子は伊藤達に笑顔を向けるが、無理に笑っているのだろう。顔が引きつっており、その目には涙が滲んでいる。

 

「幽々子……」

 

その時だった。突然伊藤のズボンのポケットが眩い光を放ちはじめる。

 

「な、何!?」

「これはまさか……!!」

 

伊藤が急いでポケットに入っているカードを取り出す。すると伊藤の思ったとおり、ポケットに入っていたNo.107 銀河眼の時空龍が光り輝いている。

 

「ギアオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォッ!!」

 

カードは伊藤の手を独りでに離れ、カードから巨大な黒い竜が出現し、その咆哮は大気を震わせる。

 

「ギアオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォッ!!」

 

時空龍がもう一度咆哮すると、赤と青の宝石のようなものがついた黒い四角錐へと変形し、鮮やかな眩い光を放つ。

 

「うわぁぁぁっ!?」

「ま、眩しいっ!?」

「一体何が……!!」

 

光に包まれた瞬間、伊藤達の意識が途切れた――――――――




今回で終わらなかった……。ノープランで突っ走った結果がこれだよ。しかも、話が結構早すぎて自分でも何だか物足りない感が……。本当に次回で春雪異変は終わる予定です!!まぁ次回もゆっくり見ていってね!!


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