新しい"いつも通り" (空丘ルミィ)
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0話:新しい生活

どうも、寒くて寝る時間が削られてきている空丘ルミィです。

まずは、アンケートへの回答をしていただき、誠にありがとうございます。最初のうちは1作品で止めようかとは思いましたが、書くのが楽しくなったので気が付いたら3作目に手を出すことができてうれしい所存です。

そして、今日から新しい作品を作ることになりました。タイトルは「新しい"いつも通り"」です。小言ですが、最初の5作品は一つの作品ごとに別のバンドとのストーリーを書くつもりです。タイトルから察するにはい、Afterglow回です。

では本編へどうぞ


 

 

『父さんと母さんが海外に出張することになったからこっちに戻ってきてほしい』

 

その手紙は突然だった。普段は携帯に連絡を入れてくる妹なのに手紙を書いてくることなんてなかったんだから。別に仲が悪いわけじゃないから戻るのは構わないんだけど、1年間高校で仲良くなったみんなと別れるのは悲しいことでもある。このことを校長や担任の先生に知らせると…『この1年間、あなたと共に学校生活を送れて幸せでした。向こうでも頑張ってください』と、悲しみを隠したような言葉が返って来た。この学校を出るのは修了式が終わった後だ。普通なら修了式が終わった後はみんなの進路とかを話すのだろうけど…俺にはそんな時間はなかった。修了式が終わり、俺はみんなに東京に帰ることを伝えた。ある人は悲しんで涙を流したり、ある人は俺と写真を撮って思い出を作ったり、ある人は握手をしてきたりと十人十色だった。今日は俺が新しい生活へと踏み出す第一歩だ、どんな生活が待ってるんだろうな・・・

 

 

 

 

 

 

4月20日

 

 

 

【空港】

 

アナウンス「まもなく東京に着陸いたします。シートベルトをご着用の上、席にお座りください・・・」

 

光汰「ん・・・もうすぐ着くか。まあ日本の中心に位置するし2時間あれば着くか・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【空港ロビー】

 

洸汰「今日は妹が学校の卒業式で両親は次の仕事の手続き等で忙しいからタクシーで来てくれって妹から連絡があったな。とりあえずタクシーを拾うか」

 

Hey Taxi

 

運転手「どちらまで?」

 

洸汰「・・・までお願いします。」

 

運転手「わかりました、シートベルトを着用してお待ちください。」

 

(ブロロロロロロ・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【趨鈹宅:玄関前】

 

運転手「ここでよろしいでしょうか?」

 

洸汰「はい、ありがとうございました。」

 

運転手「代金は1000円となります」

 

洸汰「ちょうどで」

 

運転手「ちょうどですね、ご利用ありがとうございました。」

 

(ブロロロロロロ・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

光汰「さて・・・久しぶりの我が家だな。もう妹たちも帰ってきてるだろうし入るか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【趨鈹家:玄関】

 

洸汰「ただいまーっと・・・」

 

??「兄さん、おかえりなさい。向こうでの3年間はどうでしたか?」

 

洸汰「別に特段変わったことはなかったな、どこにでもある普通の高校だし、そういう真燐(まりん)はどうなんだ?花咲川を受験したって父さんたちから聞いたけど」

 

真燐「無事に受かりましたよ。来年からは花咲川学園です」

 

【オリキャラ紹介:趨鈹真燐(すがわまりん)。洸汰の実の妹で、年齢は光汰より一つ下。一人暮らしを始める前はよく姉だと間違われたほどのしっかり者。料理がうまく家庭的・・・なのだが裏の顔はブラコンである。甘えるときは無邪気な猫レベルまで達するほどの猫かぶり。勘が鋭く、兄である洸汰の鈍感さに呆れている】

 

真燐「そういう兄さんこそ、羽丘学園はどうだったんですか?」

 

洸汰「普通に試験勉強をして普通に試験を受けて普通に合格した」

 

真燐「・・・普通過ぎませんか兄さん」

 

洸汰「というかこんなところで立ち話もあれだし、荷物降ろしたいから上がるぞ」

 

真燐「部屋はお父さんたちが使ってた部屋があるからそこに荷物とか降ろしておいて。もうすぐ夕飯の時間だし私は準備するから」

 

洸汰「父さんたちは?」

 

真燐「もう行ったよ、兄さんに会わずに」

 

洸汰「本当にフリーダムすぎないか?」

 

真燐「それが私たちのお父さんとお母さんだからしょうがないって割り切ろうよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【リビング】

 

洸汰「ごちそうさま」

 

真燐「お粗末様でした」

 

洸汰「しかし、料理の腕をまたあげたか?最後に作ってもらったのは小学6年だったか」

 

真燐「兄さんがむこうで一人暮らししてる時に私だけのんびりと過ごしてたわけじゃありませんから。そういう兄さんはどうなんですか料理の腕は」

 

洸汰「いっつも簡単なもので簡単な料理を作ってたから簡単なものならすぐ作れるぞ」

 

真燐「どんなの?」

 

洸汰「炒飯とか餃子とか、中華系のものばかりだけど」

 

真燐「向こうでどんな食生活してたの・・・」

 

洸汰「普通の食生活だぞ」

 

真燐「中華系ばかり作ってる普通の食生活なんてないから。」

 

洸汰「ま、何事も普通な日常がいいんだよ。」

 

真燐「というか、大丈夫なの兄さん?」

 

光汰「何がだ?」

 

真燐「だって羽丘っていったら去年まで女子高だったところだよ?少子化に伴って共学化されたけど・・・今年の転入生とか新入生のなかに男の人はいないみたいだし」

 

光汰「その辺は臨機応変に頑張ればいいだろうし気にすることじゃないだろ。それに真燐とは高校が違うわけだし、俺の心配よりは自分の心配をしたほうがいい」

 

真燐「別に大丈夫だから。普通過ぎる兄さんとは違うわけだし」

 

洸汰「妙に心に刺さるんだが」

 

真燐「私は兄さんと違って忙しいから。それより、今日は長旅お疲れ様。もう休む?」

 

洸汰「そうだな、風呂に入って今日はゆっくり疲れをとることにする。」

 

真燐「じゃあ先に風呂に入ってていいよ。私は花咲川の資料とか読み漁ってるから」

 

洸汰「了解、あがったら呼ぶからな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【風呂】

 

洸汰「しかし、3年も会わなかっただけで真燐は結構変わったな。身長も伸びてたし、料理も上手くなってるし。兄としてはどこか負けた気分だけど嬉しく思う。さて…そろそろ上がるか、真燐を早く休ませてあげたいし」

 

 

 

 

 

 

 

 

洸汰「真燐、上がったぞ」

 

真燐「兄さん、もう上がったの?」

 

洸汰「長風呂は向こうではあまりしなかったからな。それより、真燐も早く入って休んだ方がいいぞ、明日から学校だろ?」

 

真燐「うん、兄さんはいつから?」

 

洸汰「俺も明日からだ、といっても俺の方は転入する形になるけど1時限目から参加しないといけないんだけどな」

 

真燐「兄さんはこれからどうするの?」

 

洸汰「転入初日に遅刻と化したくないし早めに寝るぞ。お休み、真燐」

 

真燐「お休み、兄さん。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

4月21日

 

【午前7時半:洸汰の部屋】

 

洸汰「ん・・・あれ、思ったように体が動かない・・・なんでだ・・・」

 

そう思って周りを見回してみると…

 

真燐「ふみゅー・・・お兄ちゃん・・・まだ起きたらやだー…」

 

・・・とまあ、猫かぶりモード全開の真燐が俺の腕に抱き着いて寝言を言っているものだからどうしようもないわけだ。猫かぶりって結構怖いんだな・・・向こうでも猫を被った奴なんていなかったし。・・・と、そろそろ目を覚まさせないとな。こういう時の対処は覚えてるしさっそく実行に移すか

 

洸汰「おーい真燐、早くしないと猫を被って俺の布団に潜り込んでたことを花咲川の生徒に言いふらすぞー」

 

真燐「・・・」

 

そういうと真燐は何も言わずに起き上がる。ちなみに猫かぶりのことを知ってるのは俺だけだ

 

真燐「兄さんのいけず」

 

洸汰「甘えたいのはわかるけど、こういうのは時と場合を考えて頼む。自分の状況を見てみろ」

 

俺はそういって真燐は自分の状況を見てみる。真燐は寝巻き姿・・・なのはいいんだが腹が出てるし、ボタンが少し外れたりしてる。多分俺の腕にしがみついてる間にはだけたのだろう・・・

 

洸汰「とりあえず真燐の部屋に行って制服に着替えてこい、さすがにこれは俺でも引く」

 

真燐「・・・なんかごめん兄さん」

 

そう言ってしぶしぶと真燐はジブンの部屋に戻って花咲川の制服に着替えた。俺も部屋で羽丘の男子生徒の制服に着替える

 

洸汰「しかし、やっぱり1年間も着てた制服から変わるのはなんか名残惜しい感じがするな。」

 

真燐「しょうがないよ。私ひとりだと心細いし、兄さん一人で向こうに置いておくのは何かと不安だし」

 

洸汰「俺ってそんなに心配の種を振りまいてるか?」

 

真燐「うん」

 

洸汰「おお妹よ、兄は悲しいぞ」

 

真燐「はいはい、早く行こう兄さん。時間は有限なんだから」

 

軽くあしらわれ、俺たちは家を出る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【通学路】

 

洸汰「じゃあ俺はこっちだからまた放課後で。」

 

真燐「じゃあ兄さん、また放課後で。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【羽丘学園】

 

洸汰「実際に見るとなかなか大きいな、去年までいた高校の5割り増しくらいか・・・」

 

??「あれ、あなたは誰ですか?制服を見る限りここの生徒だけど」

 

洸汰「まあ色々事情があってな、深く聞かないでくれると助かる」

 

??「そうですか?じゃあ聞かないでおくけど・・・あなたの名前は?」

 

洸汰「趨鈹洸汰(すがわこうた)だけど、そういうキミの名前は?」

 

??「私は・・・」

 

教師「おーいここにいたのか趨鈹。いつまで経っても学園長室に来ないから迎えに来たぞ」

 

洸汰「すみません、今日から学園に通うのでどのような感じなのか見ていました。」

 

教師「なるほど、視察ですか。それはいい心がけですね。では一度学園長室まで同行をお願いします。時間はそれほど取りませんし、色々と手続きが必要なので」

 

洸汰「わかりました。それじゃあ・・・またな、真面目な感じの生徒さん」

 

??「あ、うん…また。」

 

教師「それでは行きましょうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

??「あの人・・・趨鈹洸汰くんって言ってたけど、もしかしてあの人・・・ううん、気のせいかもしれないからあまり深くは考えないようにしようかな・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【羽丘学園:学園長室】

 

学園長「・・・というわけですが何かご質問は?」

 

洸汰「いえ、特には。」

 

学園長「そうですか、のみこみが早くてこちらとしても助かります。では趨鈹くんには2ーAに編入していただきます。困ったことがあればクラスの人たちや先生に聞いてください。」

 

洸汰「わかりました。」

 

学園長「では、1時限目の担当教師と一緒に2ーAに向かってください、その後は自分で考えて行動してください」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【2ーA前】

 

洸汰「ここですか、なんか教室の中が騒がしいけど・・・」

 

教師「今日は転入生が来るとお知らせしていたものなので、それについて話し合っているのでしょう。それでは呼んだら入ってきてください。」

 

洸汰「わかりました」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【2ーA】

 

??「ねーねー。転入生って誰なんだろうねー?男の人って聞いたけど誰か心当たりあるー?」

 

??「いや、心当たりはないな。でもこの時期に編入してくるってすごいよな。共学になったとはいえ来年あたりに編入すると思ってたし」

 

??「だね。あたしは転入生がいるってしか聞いてないし、誰が来るんだろう?」

 

??「楽しみー!また一人私たちに友達ができるかもしれないね!」

 

??「そうだね、でもどんな人なんだろう…怖い感じの人だったらどうしよう…」

 

??「その時はあたしがなんとしても守るから安心して」

 

??「あたしみたいにマイペースで接せれば大丈夫ー」

 

教師「おーいそこの5人。楽しみなのはわかるがそろそろ来るから静かにしろ―。それじゃあ入ってきてくれ」

 

(ガラガラ・・・)

 

洸汰「・・・どうも」

 

教師「彼が今日からこの羽丘学園に編入することになった趨鈹洸汰くんです。この学校唯一の男子生徒ですが、同じ学園の生徒として接してあげてください。それでは趨鈹くん、自己紹介を」

 

洸汰「先ほど紹介があった、趨鈹洸汰です。去年までは北海道の高校に通っていましたが、家族の都合でこっちに戻ってきました。この学園唯一の男子生徒ですが、一人の学生として接してくれると助かります。趣味は昼寝、読書です。皆さん、これから一年間よろしくお願いします」

 

??「(あれ、さっきの人・・・だよね?)」

 

洸汰「(うん?何か視線を感じるな・・・ってあそこにいるの…もしかしてさっきで会った女の子?)」

 

教師「それでは、あそこの席が空いてるのでそこに座ってください。隣の??さん、教科書を見せてあげてください。彼には昼休み前に教科書を配るので」

 

??「あ、はいわかりました!」

 

教師「それでは、授業を始めます。今日は・・・」

 

授業開始・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

教師「今日はここまでです。それでは趨鈹くん、号令をお願いします」

 

洸汰「起立、気を付け、礼」

 

「「「「「ありがとうございました」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【昼休み】

 

洸汰「さて…と、昼休みの時間みたいだしゆっくりと弁当を・・・」

 

??「ねえ、ちょっと話があるんだけどいい?」

 

??「ちょっと??、いきなり話を持ち掛けたらまずいって・・・」

 

洸汰「話って何だ?」

 

??「あれ、思ったよりソフトな返し・・・」

 

洸汰「ちょっとここじゃあれだから屋上まで行かないか?さっきから教室の外から感じる視線がちょっと痛い」

 

??「じゃあ行こー。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いかがだったでしょうか?

今回は主人公とオリキャラである主人公の妹以外の名前を隠してみました。わかる人にはわかっちゃうのが難点ですが・・・次回にこの??は明らかにします。

小言ですが、妹の名前は以前から決めていました。が・・・いざ名前を漢字にするとなると悩みの種だったのでバンドリのキャラからちょっともらいました。

それでは次回をお楽しみに


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1話:新しい友達

どうも、『思いついたら即日投稿』がポリシーの空丘ルミィです。

うーん・・・どうしよ・・・小説の内容が思いついてもこれからのことが思いつかん!(ダンッ)やっぱ『思い立ったが吉日』は強いんだろうか・・・

とまあこんな風に適当に人生過ごしてます。では本編へどうぞ


 

 

 

 

 

4月21日

 

【午後12時:羽丘学園屋上】

 

今俺は、クラスメイトの5人と屋上で弁当を食べている。前までは一人で弁当を食べていたものだし、それが女の子5人と一緒に食べるのは逆に新鮮でいい・・・のだが

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

洸汰「ところで、キミたちは誰だ?まだ名前を聞いてないんだけど、そっちだけ一方的に俺のことを知ってるのはフェアじゃないと思うんだけど」

 

??「ああ、自己紹介忘れてたよ。あたしは美竹蘭(みたけらん)。知っての通りあんたと同じクラスだよ、よろしく趨鈹。あたしのことは好きの読んでもらって構わないから。」

 

洸汰「ああ、よろしくな美竹。」

 

??「あたしは青葉(あおば)モカっていいまーす。よろしくー、すーくん。モカちゃんのことは『モカ』って呼んでねー」

 

洸汰「すーくんって…ああ、趨鈹(すがわ)だからすーくんなのか・・・まあ適当に呼びたい名前で呼んでくれて構わないけど。よろしく、あおb」

 

モカ「モカ」

 

洸汰「・・・モカ」

 

??「私は羽沢(はざわ)つぐみっていいます!よろしくお願いします趨鈹くん!」

 

洸汰「ずいぶんと真面目な挨拶だな、そんなにかしこまらなくていいのに。まあよろしく、羽沢」

 

??「それじゃあ次はアタシだな。アタシは宇田川巴(うだがわともえ)っていうんだ。よろしくな洸汰!」

 

洸汰「これまた元気いっぱいな挨拶なことで、よろしくな宇田川。」

 

??「最後はわたし!上原(うえはら)ひまりだよ、よろしくね趨鈹くん!」

 

洸汰「またまた元気な挨拶だな。よろしく上原」

 

蘭「ところでつぐみ、何か気になることがあるって言ってなかったっけ?」

 

モカ「おーそういえばー。つぐ、どうしたのー?もしかしてツグってる?」

 

つぐみ「そうだ、忘れてたよ。趨鈹くん、今日の朝のこと、覚えてない?」

 

洸汰「朝って・・・ああ、そういうことか。」

 

ひまり「え、え?なになにどういうこと!?」

 

巴「つぐ、朝何があったんだ?」

 

つぐみ「私、今日実は趨鈹くんと会ってるんだよ。」

 

蘭「どういうこと?」

 

洸汰「今日転入してきたっていうのはみんな知ってるけど、俺は今日朝早くここについて羽沢に会ってるんだ。で、その時話しかけてきたのが羽沢ってわけ。」

 

モカ「おー、青春してるねつぐ―」

 

つぐみ「そんなんじゃないよ!学校を見てたから声をかけただけだよモカちゃん!」

 

蘭「ふーん・・・そんなことがあったんだ。趨鈹、一つ言っておくけどつぐみに手を出したりしたら容赦しないから」

 

洸汰「別にそんなことはしないけどな。普通に高校生らしく普通に学園生活を楽しませてもらうつもりだし」

 

ひまり「ところで、趨鈹くんって何か趣味ってある?」

 

洸汰「趣味って言えるものじゃないだろうけどあるぞ」

 

ひまり「なになに!?」

 

洸汰「昼寝。」

 

巴「あー…確かに昼寝は趣味とは言えないな・・・」

 

洸汰「で、羽沢は他にも何か言いたそうな顔をしてるけどどうかしたか?」

 

つぐみ「うーん・・・何だったかな・・・ここに来るまでに忘れちゃったかも…」

 

蘭「大丈夫?ここ最近無理してるみたいだから疲れてるのかもね。あまり無理しないで。あの人の無茶に付き合いすぎるとつぐみが倒れるかもしれないから」

 

洸汰「あの人って…さっきから視線を感じてたこの人のことか?」

 

そういって俺が制服の首根っこを掴んで連れてきたのは、水色の髪に黄色の瞳をした女性だった。

 

??「あはは、つぐちゃんたちが面白そうな子と一緒に屋上に向かってたから着いてきちゃった♪」

 

つぐみ「日菜先輩!?」

 

洸汰「日菜さんって…生徒会長?どうしてこんなところにいるんですか、書類とかないんですか?」

 

日菜「あはは、大丈夫だよ!放課後に済ませちゃうから」

 

洸汰「それ、後で絶対やらない人の言うセリフですよ」

 

日菜「あ、この玉子焼きもーらい!」

 

洸汰「ってそれは俺の・・・まあ別にいいですけど」

 

蘭「あれ、普通に対応してる。めんどくさがったり逃げるかと思ってたけど」

 

洸汰「こう目を光らせて言われちゃどう対応しても無駄かと思ってな。もう慣れてる」

 

巴「『慣れてる』?」

 

洸汰「俺には妹がいるんだよ、たまに甘えたりしてくるからその対応が身に染みてるせいだろうな」

 

巴「へえー、洸汰には妹がいるんだな。ちなみにアタシにも妹がいるぞ。一つ下だけど」

 

洸汰「俺の妹も一つ下だな。・・・まあ結構変わってるけど仲良くなれるだろ。・・・多分」

 

ひまり「その妹さんはこっちの高校に?」

 

洸汰「いや、向こうの花咲川学園だな。」

 

日菜「おねーちゃんがいるところだ!」

 

洸汰「へえ、お姉さんがいるんですか。というとお姉さんも生徒会長で?」

 

日菜「ううん、おねーちゃんは風紀委員だよ!とっても頼れるから困ったときは呼んだら?」

 

洸汰「本当に困ったときは呼びますけど、さすがに上級生に頼りすぎると面目がたたないんで」

 

モカ「思ったよりしっかりしてるー」

 

洸汰「そんな口調で言われても説得力ないけどな」

 

モカ「しょぼーん(´・ω・`)」

 

洸汰「というか日菜さん、用事があってここまで来たんですよね?」

 

日菜「うん!洸汰くん!キミさえよければ生徒会に入らない?」

 

「「「「「「えっ?」」」」」」

 

ちょっと待ってくれ今この人なんて言った?「生徒会に入らない?」なんで転入初日に唯一の男子生徒の俺を勧誘しに来たんだ?というか生徒会長直々に勧誘しに来るとかこの人どれだけ行動力あるんだ?・・・まあ聞かれたことには答えるけど

 

洸汰「せっかくの申し出、ありがとうございます。」

 

日菜「それじゃあ!」

 

洸汰「すみませんが、この返事は保留にさせてください。まだ俺は転入して初日です。俺がもう少しこの学校のことを知ってからでも遅くはないと思います、違いませんか?」

 

つぐみ「そうですよ日菜さん!もう少し趨鈹くんにこの学校のことを知ってもらわないと…」

 

日菜「つぐちゃんがそういうならあたしは『今は』ひこっかなー。でも今度誘うときは絶対に生徒会に入ってもらうからねー!」

 

そう言って日菜さんはスキップしながら屋上を後にした。

 

洸汰「なんというか・・・変わった人だな」

 

蘭「日菜さんは誰彼構わず連れまわしたりするから、趨鈹も注意しておいた方がいいよ。」

 

洸汰「そうするか」

 

モカ「そーだ蘭―。せっかくだしすーくんを誘ってもいいー?」

 

蘭「誘ってもかまわないけど・・・何企んでるの?」

 

モカ「すーくんにあたしたちのことをもっと知ってもらおうかなーって」

 

ひまり「それいいよモカ!たまにはいいこと言うじゃん!」

 

巴「よし、さっそく誘おうぜ!」

 

つぐみ「うん、そうしよう!」

 

洸汰「で、さっきから何の話してるんだ?」

 

蘭「趨鈹、放課後時間ある?」

 

洸汰「放課後?教科書を受け取るだけだし・・・それが終わってからなら時間はあるけど」

 

蘭「あのさ、あたしたちの音楽を聴いてほしいんだけど」

 

洸汰「『あたしたちの音楽?』」

 

モカ「そうなのですー。モカちゃんたちはバンドを組んでるんだよー」

 

洸汰「バンド?あのギターとかドラムとかを演奏するバンドか?」

 

つぐみ「うん、そうだよ。」

 

ひまり「どうかな?」

 

洸汰「んー・・・せっかくだし聴くか。」

 

ひまり「本当!?じゃあはいこれ!」

 

洸汰「これって…チケット?初めて見た」

 

巴「初めてなのか!?ライブとか見に行ったことは」

 

洸汰「ない。この間まで3年間一人暮らしだったし、普通に過ごしてただけだったからライブなんで見に行く暇なんてなかったし」

 

つぐみ「じゃあこれからライブとかいろんなことを知ってください!」

 

洸汰「そうするか。ところで・・・」

 

蘭「何?」

 

洸汰「チケットが二枚あるんだが」

 

モカ「これはすーくんの妹さんの分なのですー」

 

巴「せっかくだし、妹さんも呼んだらどうだ?」

 

洸汰「せっかくの機会を無駄にはしたくないからな。誘ってみる」

 

蘭「じゃあ放課後にまた」

 

洸汰「ああ」

 

 

洸汰out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Afterglow side

 

蘭「ところでつぐみ、さっき言ってたことって本当?」

 

つぐみ「うん、気のせいなんかじゃなかったよ。」

 

巴「じゃあ・・・」

 

モカ「運命の再開―?」

 

ひまり「まさかあの時一緒に遊んでた男の子だったなんて・・・でも趨鈹くんは思い出したような素振りはなかったよね?」

 

つぐみ「たぶん、趨鈹くんが忘れてるだけだと思うし・・・蘭ちゃんたちはどうしたい?」

 

蘭「それはもちろん・・・あたしたちのこと、思い出してほしいよ。あたし達のいつも通りはあの時洸汰がいたからこそ始まったわけだし・・・」

 

巴「あの時は楽しかったよな・・・洸汰が遊ぼうって言ってくれて色んな所に連れまわしてくれたっけな」

 

モカ「それでー、みんなで叱られたこともあったけど、こーくんは変わらずあたしたちと接してくれて―」

 

ひまり「でも・・・中学校が別々になっちゃって、洸汰だけ北海道まで行かなきゃいけなくなったから・・・あの時はみんな泣いちゃったけど洸汰は笑顔で『また会おうね!』って言ってくれて…」

 

つぐみ「その言葉は今も私の心に残ってるよ。あの時の思い出・・・洸汰くんに話してあげたいのにうまく持ち出せないよ・・・」

 

蘭「それは、あたし達のいつも通りで思い出させるしかないよ。そのためにも」

 

ひまり「今日のライブ、絶対に成功させようね!えい、えい、おー!」

 

Afterglow out

 

 

 

 

 

【午後4時】

 

洸汰side

 

洸汰「さて・・・真燐に連絡してみるか。」

 

洸汰『今日、ライブを見に行こうと思うんだけど、真燐も一緒にどうだ?』

 

真燐『誰のライブ?』

 

洸汰『Afterglowっていって、俺と同じクラスの5人が組んだバンドだって』

 

真燐『じゃあ私も行こうかな。先輩たちもなんかバンドを組んでるって言ってて、昼休みに「ライブに来ない!?」って誘われちゃって』

 

洸汰『じゃあ一回家に集合な。始まるのが5時かららしいし』

 

真燐『じゃあまた後で』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【午後4時半】

 

洸汰「おーい真燐まだかー?」

 

真燐「兄さんが準備するのが早いから・・・もうちょっと待って。ライブなんて初めて行くしおしゃれしないといけないから・・・」

 

 

《5分後》

 

真燐「お待たせ、兄さん」

 

洸汰「そんなお出かけに力入れるものなのか?」

 

真燐「女の子はお出かけに力を入れるものなの!兄さんこそそんな適当に選んだような服で大丈夫なの?」

 

洸汰「失礼な妹だな、俺だってお出かけはしてたし、その時の服で出かけるだけだし大丈夫だよ」

 

真燐「そんな適当だと、女の子に嫌われちゃうよ?」

 

洸汰「一応むこうでは何回か女子とお出かけしたしな。嫌われるというよりは向こうから近付いてきたからむしろ好かれてる方なんじゃないのか?」

 

真燐「うーん…私にはわからないかな・・・」

 

洸汰「あ、あそこじゃないのか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【ライブハウスcircle】

 

洸汰「こんなところにライブハウスなんてあったのか真燐?」

 

真燐「ううん、私は知らなかったよ。外に出ることはあったけどここまではきたことはなかったから」

 

??「あっ、いらっしゃーい!二人はライブを見に?」

 

洸汰「はい、これです。ちなみに俺は趨鈹洸汰っていいます。こっちは妹の・・・」

 

真燐「趨鈹真燐です。今日は兄さんと一緒にライブを見に来ました。」

 

??「洸汰くんとマリンちゃんだね!私はこのライブハウス、circleのオーナー月島まりなです。」

 

洸汰「月島さん、今日はよろしくお願いします。」

 

まりな「ところで、今日はこのチケットをだれに貰ったの?」

 

洸汰「俺は美竹から」

 

真燐「私は牛込先輩からです」

 

まりな「美竹って、蘭ちゃんのことかな?それに牛込先輩ってりみちゃんのことだよね。」

 

洸汰「2人を知ってるんですか?」

 

まりな「蘭ちゃんは個人でもバンドメンバーでもよくこっちに来て練習しに来るし、りみちゃんはたまにだけどみんなでこっちに練習しに来たりするんだよ」

 

真燐「そうだったんですか。」

 

まりな「あ、そろそろ二人とも行った方がいいよ。今からお客さんがなだれ込んでくるから・・・」

 

洸汰「そうですか、ならそろそろ入ったほうがいいかもしれませんね。」

 

真燐「そうだ兄さん、これまりなさんからだって。」

 

洸汰「これは?」

 

真燐「『関係者パス』だって。バンドメンバーが招待した人限定でバンドが終わった後に会うことができるんだって。」

 

洸汰「へえ、そんなものまであるのか。」

 

まりな「それじゃあ楽しんできてねー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いかがだったでしょうか?

Afterglowメンバーとオリ主を混ぜるのは割と疲れますね。大体5人は一緒なのでそこに織り交ぜることはリアルでは仲のいい幼馴染のところに無言で混じりに行くことに似てると思います(主感)

ではここまで読んでいただきありがとうございました!


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2話:新しい体験

どうも、まさかの1日3回の投稿になった空丘ルミィです。

まさかの1日3回投稿になるとは…主的には1日の半分は使った感じです(本当)

ほんっとうに何が起こるかわからないのが人生ってものですよね(哲学)

はい、本編へどうぞ


 

 

 

 

 

4月21日

 

【ライブハウスcircle:観客席】

 

俺は今、妹の真燐と一緒にライブハウスにライブを見に来ている。真燐も俺も同じ学校の友達に誘われてた。それで、月島さんの話によると今日のバンドは4組来ているようで、美竹たちが1組だとすると、真燐の先輩たちで1組ならあと二組は情報が全くない。どこの学校の生徒かもよく知らず、誰が出るかも知らない。・・・おっと、演奏が始まるみたいだな。ちなみにどの辺にいるのかというと、一番前だ。

 

洸汰「もうすぐ始まるみたいだな、最初のバンドはどんなんだろうな真燐」

 

真燐「うん、どんなのが来るんだろう…兄さん、楽しそうだね」

 

洸汰「そんな顔してるか?」

 

真燐「うん、とても楽しそうな表情してるよ。やっぱり初めてのライブを見るから?」

 

洸汰「かもしれないな・・・おっと、周りが暗くなったな。少し会話は控えるか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【ステージ】

 

蘭「Afterglowです!今日は私たちのライブを聞きに来てくれてありがとうございます!」

 

モカ「おー、たくさんの人が来てるー。今日もエモーい」

 

つぐみ「今日はライブを楽しみにしていた皆さんのために、全力で音楽を届けます!」

 

巴「ああ!皆行くぜ!」

 

ひまり「いつものやっちゃう?せーの!えい、えい、おー!」

 

・・・・・・

 

ひまり「ちょっと―!なんでみんなやってくれないのー!?」

 

蘭「これもまた・・・」

 

モカ「いつも通り・・・だね。それでは聞いてください。『Scarlet sky』」

 

ーーーーーーー♪

 

 

 

 

洸汰「これが・・・美竹たちのバンドの音楽・・・なんかみんなの思いが詰まったって感じがする」

 

真燐「どうかした?兄さん」

 

洸汰「いや・・・今日会ったばかりといっても俺としては想像できなかったなって。」

 

真燐「じゃああの人たちが?」

 

洸汰「ああ、羽丘で同じクラスになったみんなだ。」

 

真燐「ふーん・・・兄さん、あの中で誰が兄さんの好み?」

 

洸汰「いきなり何を聞いてくるんだこの妹は・・・別にあった初日に誰が好きとかはないぞ。」

 

真燐「(兄さん・・・鈍すぎでしょ。私はあの子たちのこと覚えてるのに・・・)」

 

洸汰「何か言ったか?」

 

真燐「ううん、何も?」

 

洸汰「(?変な真燐だな・・・昔はこういう話とかしなかったのに、何でいきなり)」

 

真燐「それよりも兄さん、そろそろ曲が終わりそうだよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

蘭「ありがとうございました!いいねcircle!」

 

モカ「ばいばーい。また会おうねー」

 

そうモカが言うとAfterglowはステージから去った。そして次に出てきたのは・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

??「みーんなー!ハロー?」

 

観客「ハロー!」

 

??「いい笑顔ね!今日はライブを見に来てくれてありがとう!私たちは『ハロー、ハッピーワールド』っていうバンドよ!私は弦巻(つるまき)こころ、ボーカルよ!」

 

??「はぐみは北沢(きたざわ)はぐみだよ!ベース担当!」

 

??「ふふ。今日も可愛らしい子猫ちゃんがいっぱいだね・・・おや、今日は気高き狼も来ているようだ・・・儚い・・・」

 

はぐみ「このギター担当は瀬田薫(せたかおる)くん!」

 

??「ふぇぇぇぇ・・・気高き狼って…あ、私は松原花音(まつばらかのん)って言います・・・ハロハピではドラムを担当してます・・・最後は・・・」

 

??「どうもー、ハロハピのマスコットことミッシェルだよー。担当パートはDJだよー」

 

洸汰「これはまたすごい衣装のバンドだな。あれ…マーチングの時に見る衣装だったか?」

 

こころ「それじゃ行くわよー!ハッピー?」

 

観客「ラッキー!」

 

はぐみ「スマイル―?」

 

観客「イェーイ!」

 

ミッシェル「行くよー。」

 

こころ「『えがおのオーケストラ』!」

 

ーーーーーー♪

 

今度はさっきまでと打って変わって、観客も楽しませる音楽だった。マーチングのような衣装に見合った、元気があふれる感じもした。

 

洸汰「何か・・・みんなを笑顔にするって感じがする音楽だな。」

 

真燐「うん、聞いてるこっちまで笑顔になってくるよ。なんだか私も歌いたくなっちゃった。」

 

洸汰「ああ、そうだな。今度カラオケに行くか?」

 

真燐「時間があったら、ね。でも大丈夫なの兄さん?」

 

洸汰「何がだ?」

 

真燐「兄さんの歌うジャンル。小さい頃に行ったときだけどアニメソングしか歌ってないよね?あれから増えたの?」

 

洸汰「いや、まったく?」

 

真燐「・・・これから先大丈夫なの?」

 

洸汰「歌なんて歌わなくてもこれから先生きていけるしな」

 

真燐「兄さん・・・それここじゃ結構問題発言だよ・・・」

 

(歌が終わる)

 

こころ「うんうん!みーんなとってもいい笑顔ね!」

 

薫「ふふ・・・シェイクスピアの言葉にこんなのがある『成し遂げれないものなどない』と。またね、子猫ちゃんたち」

 

洸汰「(いやそれきっとあなたの中だけの言葉ですよ)」

 

真燐「(それ、今じぶんで考えた言葉ですよね)」

 

花音「あ、ありがとうございました!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

??「今日はライブに来てくれてありがとう。私たちはRoseliaよ」

 

??「今日は皆さんに私たちの今できる最高の演奏を聞かせます」

 

??「もー、友希那も紗夜も固いよ?リラックスリラックス♪」

 

友希那「リサ、あなたが緩すぎるのよ」

 

紗夜「そうです今井さん。気楽すぎてもいけません。」

 

??「えー!?リサ姉の言うことももっともですよ友希那さん、紗夜さん!!」

 

リサ「ねー?あこもそう思うでしょ?」

 

??「あこちゃんの言うことも一理ありますけど・・・それでも私たちにできることは皆さんに最高の演奏をすること・・・だと思います・・・」

 

リサ「燐子は固いなー、リラックスリラックス。」

 

あこ「それでは行きましょう!」

 

燐子「うん・・・頑張ろう…」

 

友希那「行くわよ。『Black shout』」

 

ーーーーーー♪

 

今度のバンドはずいぶんと本格的なバンドみたいだ。特にボーカルとギターの二人は厳しそうな感じがするし、他の3人はそれについていくって感じがする。歌もプロに近い何かを感じるし、他の音もそれに同調しているかのように完璧なリズムだ・・・

 

真燐「・・・すごいね、このバンド。他の二つのバンドにはない思いと真剣さがこもってる」

 

洸汰「ああ、俺もそう思う。このバンド・・・数えきれないほどの練習を重ねたって感じがするな。」

 

真燐「なんかこういう人たちを見てると楽器も演奏したくなってくるし・・・今度ギターとか買ってやってみようかな」

 

洸汰「真燐のギター演奏か。悪くないかもな」

 

真燐「兄さんは買わないの?」

 

洸汰「あまり器用じゃないし、俺は買わないかな。」

 

真燐「じゃあ今度ギターを買いに行くから付き合って兄さん」

 

洸汰「真燐に合いそうなギターか・・・ちょっとカタログとかをここから持って帰って見るか」

 

真燐「ありがとう、兄さん」

 

(歌が終わる)

 

友希那「今日は来てくれてありがとう。」

 

紗夜「私たちの他にあと一組あるわ」

 

リサ「最後まで楽しんで帰ってねー♪」

 

あこ「ありがとうございましたー!」

 

燐子「ありがとう・・・ございました・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

??「こんばんはー!私たちはPoppin'Partyです!」

 

??「私たちは、同じ高校の仲間で結成されたバンドです。」

 

??「最初はつまづいたりしたこともあったけど・・・」

 

??「私たちを支えてくれたみんながいるから今私たちはここに立ってます」

 

??「それじゃあいこっか。香澄、有咲、沙綾、りみ」

 

香澄「うん、おたえ!それでは聞いてください!」

 

沙綾「『Happy Happy Party!』」

 

ーーーーーー♪

 

真燐「あ、あの人だよ。黒髪でウェーブがかかった先輩。」

 

洸汰「あの人が真燐をライブに誘った人か?」

 

真燐「うん、昼休みに私と一緒に昼ご飯を食べようって誘ってくれて、このライブに誘ってくれた人だよ」

 

洸汰「ふーん・・・ちなみに、このバンドはどう思う?」

 

真燐「なんだか、とても仲が良くて聞いた中で一番リズムがあってる感じがするよ」

 

洸汰「そうか、真燐がそういうならそうなんだろうな」

 

真燐「そういう兄さんはどう思うの?」

 

洸汰「んー・・・まあいいんじゃないのか?」

 

真燐「そんなありきたりな・・・」

 

洸汰「なんか思った感想はあるんだけど的外れな感じがするから言わないでおく」

 

(歌が終わる)

 

香澄「みんなありがとー!」

 

有咲「ま、まあよかったんじゃねーか?」

 

りみ「うん、良かったんじゃないかな有咲ちゃん。」

 

沙綾「有咲がそんなこと言うなんて珍しいね?」

 

りみ「盆栽の葉っぱでも食べちゃった?」

 

有咲「食べてねーよ!ほらさっさと行くぞ!」

 

香澄「あっ、有咲―!待ってよー!」

 

 

洸汰「・・・なんか騒がしいな、あのバンド」

 

真燐「うん・・・それより兄さん、全部のバンドの曲が終わったけど、どうする?この『関係者パス』、使えるのは今日までみたいだけど」

 

洸汰「せっかくだし顔合わせも兼ねて行くか。月島さんのところに行って伝えておかないとな。真燐はどうする?先に控室に行っておくか?」

 

真燐「私も兄さんについていくよ、一人で行くとちょっと気が引けるし」

 

洸汰「それじゃあ一回月島さんのところに行くか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【ロビー】

 

まりな「あれ、真燐ちゃんと洸汰くん。今日はもう帰っちゃうの?」

 

洸汰「いえ、ちょっとこれからバンドメンバーと顔合わせしたいと思ってるんですけど、着替えの最中に入るとまずいので月島さんに控室の状況を聞きに来たんです」

 

まりな「なるほどね。今は・・・うん、衣装のまま控室にいるから大丈夫だよ。」

 

真燐「ありがとうございます。行ってきます」

 

まりな「いってらっしゃい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【控室前】

 

洸汰「なんか緊張するな、こういうところに入るときって」

 

真燐「私もこういうところに入ったことはないし・・・どうしよう、普通に入ってもいいのかな?」

 

洸汰「それを言うなら俺もだぞ、こういうところに入ったことないし。さて・・・どうしたものか」

 

蘭「あれ、趨鈹じゃん。どうしたのこんなところで。」

 

りみ「真燐ちゃんも・・・どうしたの?」

 

洸汰「誰かと思ったら蘭か。いや、月島さんにこんなもの貰って、期限が今日までって言うものだからせっかくだし顔合わせも兼ねて入ろうかって思ってたんだけど、普通に入っていいのか悩んでてな」

 

真燐「それで、ここでちょっと悩んじゃってて…」

 

蘭「普通に入ればいいじゃん。まりなさんの知り合いっていったら話は通るだろうし」

 

真燐「そんなものなんですか?」

 

りみ「そういうものじゃないかな?とにかく入ったらどうかな?」

 

洸汰「それじゃお邪魔するとしますか。行くぞ真燐」

 

真燐「うん」

 

 

 

 

 

 

 

 

【控室】

 

洸汰「お邪魔しますよ・・・っと」

 

真燐「お邪魔します」

 

つぐみ「あれ、趨鈹くん!?どうしてここに!?」

 

有咲「あれ、真燐じゃん。何でこんなところに来てるんだ?」

 

つぐみ・有咲「「というか隣の人誰(だよ)!?」」

 

あー・・・そういや紹介してなかったな・・・すっかり忘れてた。なんせ妹に連絡は入れてみるって言ったはいいけどあれから報連相(報告、連絡、相談)してなかったし。というか真燐、お前も忘れてたんかい・・・

 

洸汰「とりあえず、軽く自己紹介しておきますか。俺は趨鈹洸汰、羽丘学園の高等部2年に昨日転入してきた羽丘唯一の男子生徒です。で、俺の隣にいるのは・・・」

 

真燐「どうも、私は趨鈹真燐です。花咲川学園の高等部1年に入学しました。そして私の隣にいる趨鈹洸汰は私の兄さんです」

 

蘭「洸汰と真燐って兄妹だったんだ。そうは見えないんだけど」

 

洸汰「それってどういう意味だ美竹」

 

リサ「あれ、キミが昨日転入してきた子?思ったより普通だね。あ、アタシは今井(いまい)リサだよ。羽丘学園の高等部3年なんだー☆」

 

洸汰「今井先輩って先輩だったんですか。なんか同い年に見えたのでちょっと意外です」

 

リサ「ちょっとー、それってどういう意味?ちょっと派手だからってこと?」

 

洸汰「いえ、なんか接しやすいっていうのが印象的なので。」

 

リサ「それならいいけど・・・アタシって名字+先輩で呼ばれるのってなんかこそばゆいから下の名前で呼んでくれないかな?」

 

洸汰「それって先輩命令ですか?」

 

リサ「うーん、遠からず近からずそんな感じかな。」

 

洸汰「じゃあリサ先輩で。いきなりさん付けってなんか抵抗あるので」

 

リサ「じゃあそれで☆アタシはキミのこと洸汰くんって呼ぶね」

 

洸汰「はい、よろしくお願いしますリサ先輩。慣れたらさん付けで呼ぶので」

 

沙綾「それじゃあ次は私かな。私は山吹沙綾(やまぶきさあや)っていうんだ。花咲川学園の高等部2年だよ。実家は「やまぶきベーカリー」なんだ。」

 

洸汰「俺と同い年なのか。どこか大人びた雰囲気があるから一つ上だと思ってたけど」

 

沙綾「あー、それって私にも妹と弟がいるからそう見えちゃうってことなのかもね。私って結構世話好きだし。それよりキミのことはどう呼べばいいかな?」

 

洸汰「好きに呼んでくれて構わないぞ。俺は山吹って呼ばせてもらうから」

 

沙綾「じゃあ私はキミのことを洸汰くんって呼ぶね。よろしく、洸汰くん」

 

洸汰「こちらこそ。今度時間があったらパン買いに行くよ」

 

沙綾「ご来店、心より待ってるからね。」

 

 

 

・・・とまあこんな感じで自己紹介を軽く終わらせた。中には羽丘の先輩後輩だったり、真燐の同級生や先輩もいたりした。ちなみにだが、真燐は同級生のことを名字+さん(ちゃん)呼び、羽丘の先輩は名字+さん、花咲川の先輩のことは名字+先輩呼びで、巴に妹がいると聞いた時は妹のあこを下の名前+ちゃん呼び、姉の巴のことは巴さんと呼ぶことにした(あこからは『マリリン』と呼ばれるようになった)。俺は羽丘の先輩のことを慣れるまでは名字+先輩呼び、花咲川の先輩は名字+さん、同級生や年下は名字で呼び捨てで呼ぶことにした。巴に妹がいると聞いた時はさすがに名字で呼び捨てにはできないので『巴』と『あこ』で区別した。

 

 

 

 

 

 

 




いかがだったでしょうか?

さすがに1日に3話投稿は体にきついですね・・・投稿するのが楽しいので疲れなんてどうでもいいんですが(よくない)

え?どうして他のキャラの自己紹介を次回に持ち越さなかったって?

・・・だって小説内に3話分くらい使って自己紹介するのって正直使いすぎだと思うんですよね・・・あまり使いすぎると今度は今後の展開に支障が出そうなのでさすがに自重しました(謝罪)

ではまた次回をお楽しみに!

ご感想、評価を心よりお待ちしております!


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3話:新しい出会い

どうも、(全略)な空丘ルミィです

台風が接近してきてますねぇ・・・うるさくて眠れねーっす・・・起きたのが昼前なのでそれまで気づかず眠りこけていましたが(小声)主は一回寝ると3時間は起きないので(笑)
では本編へどうぞ


 

 

 

 

 

 

 

 

5月21日

 

あのライブの日から1か月が経った。特に変わった様子もなく、俺はただただ普通の生活をしていた。そんな時・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【羽丘学園:生徒会室前】

 

俺は日菜先輩に放課後、「至急生徒会室に来るよーに!」と言われて今、生徒会室のドアの前にいる。特に俺は何も問題になるようなことはしてないし言ってないはずなんだが・・・呼ばれた経緯は謎に包まれている。

 

洸汰「(本当になんで俺が呼ばれたんだ・・・他にもっと頼りになりそうな人なんているし別に俺じゃなくてよかっただろうに)」

 

つぐみ「あれ、趨鈹くん?どうしたのこんなところで」

 

洸汰「ああ、羽沢か・・・ちょっと日菜先輩に呼ばれてな」

 

つぐみ「日菜先輩に?何かした・・・わけじゃないもんね。」

 

洸汰「ああ、俺は普通に学校生活を送ってるからな。問題でも起こせば場合によっては退学ものだしな。ところで羽沢は何してるんだ?」

 

つぐみ「あ、うん。ちょっと生徒会室に資料を取りに来て…入るのに抵抗あるなら一緒に入る?」

 

洸汰「頼む。俺は生徒会じゃないしこういうところには入らないからな・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【生徒会室】

 

洸汰「お邪魔しまーす・・・っと」

 

日菜「あ、洸汰くんだ!来てくれたんだね!」

 

洸汰「というか俺が帰ろうとしても校内放送で呼び出す気だったんですよね?」

 

日菜「バレちゃった?」

 

洸汰「日菜先輩の普段の行動から大体のことはわかりますから」

 

つぐみ「あのー、日菜先輩・・・あの資料はどこにありますか?」

 

日菜「あれ、つぐちゃん?いたんだ?」

 

つぐみ「ずっといましたよ!それで資料は・・・」

 

日菜「そこの棚の下から二番目の引き出し―」

 

つぐみ「これ・・・ですね。それじゃあ私はこれで失礼します」

 

日菜「もう行っちゃうの?ゆっくりしていけばいいのに」

 

つぐみ「これでも忙しいんですよ・・・資料に目を通しておかないといけないので」

 

日菜「まったねー♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

洸汰「それで日菜先輩、俺を呼んだのは何でですか?」

 

日菜「うーんっとね、この間つぐちゃんに聞いたんだけど洸汰くん、つぐちゃんたちのライブ見に行ったんだよね?」

 

洸汰「ええ、まあ・・・それとこの俺が呼ばれたことに何の関係が?」

 

日菜「だからー、今日はあたしがいるバンドの練習を見にこない―?」

 

洸汰「・・・はい?」

 

日菜「あはは、洸汰くん面白ーい♪鳩がゴム鉄砲食らったような顔してるー♪」

 

洸汰「いやさすがに衝撃的なカミングアウトされるとそりゃなりますって。というか日菜先輩、バンド組んでるんですか?」

 

日菜「うん!芸能事務所発のアイドルバンドだけど。」

 

洸汰「日菜先輩がアイドル・・・ですか普段の行動からは考えられないですね・・・で、俺に拒否権は?」

 

日菜「ないよ?」

 

洸汰「ですよね、ちなみにいつ見に来ればいいんですか?」

 

日菜「うーんっとね・・・明後日って空いてる?」

 

洸汰「空いてますけど・・・」

 

日菜「じゃあその日は空けておいてねー♪妹さんも連れてきていいからねー!」

 

洸汰「・・・まああいつの予定が合えば連れてきますよ」

 

日菜「その日は空いてるって♪」

 

洸汰「ちょっと待ってください何で日菜先輩が妹の連絡先知ってるんですか」

 

日菜「おねーちゃんが教えてくれた!」

 

洸汰「(紗夜さん・・・プライバシーの侵害ですよそれ)」

 

日菜「どうしたの洸汰くん?」

 

洸汰「いえ・・・それじゃあ明後日の何時くらいに来た方がいいですか?」

 

日菜「昼前ぐらいがいいかなー。昼からの仕事が本格的だから」

 

洸汰「わかりました。着いたら連絡入れますね」

 

日菜「わかったよ!それじゃあ今日はお疲れさま!」

 

洸汰「え、それだけのために俺を呼んだんですか?『生徒会の仕事を手伝って―』とか関係なしに?」

 

日菜「そうだよ?」

 

洸汰「・・・それじゃあお疲れさまでした」

 

日菜「まったねー♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【午後7時:趨鈹宅】

 

洸汰「・・・というわけなんだが、真燐も来るか?」

 

真燐「いいの?こういうのって普通兄さんだけで行くものじゃ」

 

洸汰「日菜先輩が真燐とぜひ会いたいって言うものだからな。もちろん、真燐さえよければだけど」

 

真燐「アイドルバンドかぁ・・・女の子の私にとっては憧れみたいなものだしついていこっかな。」

 

洸汰「わかった。できるだけ昼前に来てほしいってことだったから、明日の午前10時にはここを出るぞ」

 

真燐「はーい兄さん。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

5月23日

 

で、今日は日菜先輩が所属する芸能事務所に顔を出す日だ。日菜先輩の話によると、まず事務所のロビーで『臨時事務員パス』というものを受け取り、マネージャーさんが俺たちをパスパレの控室まで案内してくれるということである

・・・なのだが

 

 

 

 

 

 

 

 

【午前9時:洸汰の部屋】

 

真燐「むにゃむふにゃー・・・お兄ちゃん、まだ起きたらやー・・・」

 

とまあ・・・また例の如く真燐が自分の布団から抜け出して俺の布団に潜り込んできていたのだった。そして今回真燐がしがみついているのは俺の腰である

 

真燐「おにーちゃん・・・ぐーすかぴー・・・」

 

洸汰「おーい真燐、早く起きないとお前のこの音声を花咲川の放送室から流すぞー」

 

真燐「・・・おはよう、兄さん」

 

洸汰「おうおはよう。早くご飯食べて芸能事務所に行くぞー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【午前10時30分:芸能事務所前】

 

洸汰「で、ここが日菜先輩の言ってた芸能事務所か。事務所って案外大きいのな」

 

真燐「普通こんなものだよ。というか北海道で事務所とかに研修とかで行かなかったの?」

 

洸汰「参加は任意だったから俺は行ってない」

 

真燐「えぇ・・・これからのことで重要かもしれないから行った方がいいのに…」

 

洸汰「これからのことはこれから考えればいいだろ。とにかく入るぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【午前11時:芸能事務所ロビー】

 

洸汰「お邪魔しまー・・・す」

 

受付「どちらさまでしょうか?」

 

真燐「私たちは氷川日菜さんの紹介でやってきました、趨鈹洸汰と趨鈹真燐です。こちらでまず受け取るものがあるとかで・・・」

 

受付「そうでしたか、ではこの『臨時事務員パス』を受け取りください。これがあればこの事務所の一部を除く場所に入ることができます。入る時はカードリーダーにかざしてください」

 

洸汰「ご説明ありがとうございます。それでは失礼しました」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【午前11時30分:芸能事務所】

 

洸汰「日菜先輩の話だとここ・・・らしいな。普通に入っていいものなのだろうか」

 

真燐「私も入ったことがあるわけじゃないし・・・この前はライブハウスだったからよかったけどやっぱり抵抗あるね」

 

洸汰「だな。さてどうしたもんか・・・」

 

洸汰・真燐「「んー・・・」」

 

などと唸っていたら後ろから声がした

 

??「あら、どうしたのかしらこんなところで。こんな時間に男の人が来るなんて珍しいわね」

 

洸汰「ん?えっと・・・ここの関係者ですか?」

 

??「ええ、そうだけど・・・あなたたちはどうしてここに?」

 

洸汰「俺たちは日菜先輩の紹介でここに来たんです。日菜先輩の所属するアイドルバンドの練習風景を見せてもらえるんだそうで・・・部屋の前に来たのはいいんですがちょっと入るのに抵抗があるんです」

 

??「なら、私と一緒に入りましょうか?それなら自然と緊張なんて解れるものよ」

 

真燐「それじゃあお願いしてもいいですか?」

 

??「ええ、それくらいならお安い御用よ。それじゃあ入りましょうか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

??「日菜ちゃん、連れてきたわよ。」

 

日菜「あっ、千聖ちゃん!やっと来たー!」

 

真燐「あれ、千聖ちゃんって・・・あの『白鷺千聖』さんですか!?」

 

千聖「ええ、そうだけど・・・あなたは?」

 

真燐「私、趨鈹真燐っていいます!私、千聖さんの大ファンなんです!!」

 

千聖「あら、こんな身近に私のファンがいるなんて驚きね。ふふ、嬉しいわ。」

 

洸汰「おーい、二人して自分たちの世界に入らないでくれー」

 

千聖「あなたは?」

 

洸汰「俺は趨鈹洸汰っていいます。先月こっちに戻ってきました、隣にいる趨鈹真燐の兄です。今は羽丘学園の高等部2年です」

 

千聖「これは丁寧なお兄さんね。改めまして、私の名前は白鷺千聖(しらさぎちさと)よ。花咲川学園の高等部に通ってるわ。私は3年生だから一つ私の方がお姉さんね」

 

洸汰「あれ、俺より年上だったんですか。てっきり同年代かと・・・大人びた雰囲気がどことなく」

 

真燐「私も兄さんと同じ年なのかと・・・って花咲川学園の先輩だったんですか!?有名人がこんな近くにいるなんて…私は井の中の蛙状態なんですね・・・」

 

千聖「ここではアイドルとしての私だけど、日常に出れば普通の一般市民よ。」

 

洸汰「世の中って広いんですね。向こうでは箱入りに近かったので」

 

千聖「あなたは一体どんな状況だったの・・・」

 

洸汰「どんな状況も何も、俺はただ普通の学生としてごく普通の生活をしてましたけど。」

 

真燐「だからそれは兄さんの中での普通であって白鷺先輩や私にとっては普通じゃないですよ」

 

千聖「あら、真燐ちゃんは私のことを先輩って呼ぶのね。洸汰くんは私のことを何と呼んでくれるのかしら?」

 

洸汰「無難に『白鷺さん』で。花咲川の先輩たちは名字で呼ぶことにしたんです」

 

千聖「『先輩たち』っていうと・・・花音にも会ったのね?」

 

洸汰「ええ、先月のライブの時にちょっとだけですけど。楽しそうにドラムをたたいてたみたいです」

 

千聖「そう、あの花音が・・・ふふ、本当に変わったわね」

 

??「あのー・・・そろそろジブンたちの自己紹介してもいいですか?」

 

千聖「あら、ごめんなさい麻弥ちゃん。話すのが楽しかったから」

 

??「それでは・・・ジブンは大和麻弥(やまとまや)っていいます。バンドではドラム担当です!学校は羽丘学年の高等部3年です。」

 

洸汰「つまり俺の先輩ってことですか。よろしくお願いします大和先輩」

 

麻弥「なんだか先輩って呼ばれるのは違和感がありますね・・・フヘヘ」

 

真燐「・・・フヘヘ?」

 

千聖「麻弥ちゃんは癖で『フヘヘ』って笑う時があるのよ。機材を弄ってる時はよく笑うわね」

 

麻弥「ジブンは機材とかを弄るのが好きなんですよね。前はスタジオミュージシャンだったんですが、メガネを取ったら千聖さんに誘われたのでそのまま入りました。」

 

洸汰「そうだったんですか、てっきり日菜さんの無茶ぶりで入らされたのだとばかり」

 

日菜「その時はあたしも新参だったからそこまでは言ってないかなー」

 

??「それでは次は私が参ります!私は若宮(わかみや)イヴと申します!パスパレではキーボード担当です!学校は花咲川で、高等部2年です!」

 

真燐「まだ花咲川に先輩がいるんですね・・・本当に花咲川って有名人多くないですか?」

 

洸汰「それを言うなら羽丘も結構有名人多いだろ。湊先輩とか日菜先輩とかいるし」

 

麻弥「ああ、そういえばさっきそんなこと言ってましたね。湊さんたちを見てどうでしたか?」

 

洸汰「結構真剣に歌ってましたね。楽屋でも次のライブのこととか考えていたくらいですし」

 

麻弥「あはは・・・湊さんや紗夜さんは真剣な人ですからね・・・」

 

イヴ「それではお近づきのしるしに・・・ハグハグハグー!」

 

真燐「ええっ!?いきなりなんですか若宮先輩!?」

 

千聖「イヴちゃん、初対面の人にいきなりハグはしちゃいけないって言ったでしょう?ごめんなさいね真燐ちゃん。イヴちゃんはフィンランド人と日本人のハーフなの。」

 

真燐「うーん・・・やっぱり世界って広いんですね・・・」

 

??「それじゃあ最後は私!まん丸お山に彩るよ♪丸山彩(まるやまあや)でーっす、えへっ♪」

 

真燐・洸汰「「・・・」」

 

彩「あ、あれ?もしかして・・・引いてる?うわーん千聖ちゃーん!」

 

千聖「初対面の人にその挨拶をするのはかわらないのね」

 

彩「き、気を取り直して…私の名前は丸山彩だよ。花咲川学園の高等部3年生!パスパレではボーカルやってるよ」

 

洸汰「また花咲川の先輩だな・・・良かったな真燐、まわりに有名人が多くて」

 

真燐「それは嬉しいことだけど、逆に怖いかな・・・」

 

洸汰「有名人の近くにいると何かに巻き込まれることもあるからな・・・俺もむこうでは巻き込まれたことあったし」

 

真燐「どんな時に巻き込まれたの?」

 

洸汰「ちょいとゲーセンに変装した有名人が来てて、バレた時に人雪崩に巻き込まれたことがあった。」

 

彩「あれ、それってたしか・・・」

 

日菜「うん、北海道でロケしてた時に休憩時間を使ってあたしがゲーセンに行ったら一発で見つかっちゃった時のだね。」

 

洸汰「あの時の有名人って日菜先輩だったんですか。確かに髪の色は水色だったのは覚えてますけど・・・」

 

日菜「うーん、見られちゃったかー・・・残念。」

 

真燐「というかよく休憩時間でゲーセンに行きましたね・・・」

 

日菜「だってるんって来ちゃったから!」

 

洸汰「それで、午後からパスパレ・・・でしたっけ、その練習風景を見てもいいんですか?」

 

日菜「うん!マネージャーさんたちも見て行っていいって!」

 

真燐「じゃあ今日はお世話になっちゃいます。」

 

パスパレ練習中・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日菜「どうだった!?」

 

洸汰「なんというか・・・キラキラした感じがしましたね。」

 

真燐「はい、アイドルということもありますし、それぞれのメンバーが別々の輝きを持ってる、そんな感じがしました」

 

千聖「ふふ、初めて練習を見に来た人とは思えない感想ね。ありがとう。」

 

マネージャー「それでは今日の練習はここまでです。皆さんお疲れさまでした。洸汰さんと真燐さんもお疲れ様です」

 

洸汰「マネージャーさんもお疲れさまでした」

 

日菜「ところで洸汰くん、これから時間あるー?」

 

洸汰「ちょっとだけなら・・・何かあるんですか?面倒事なら俺は降りますよ」

 

日菜「そこまで時間はかけないからだいじょーぶ!」

 

洸汰「それならまあ・・・真燐はどうする?」

 

真燐「ロビーで白鷺先輩たちとお話してようかな」

 

日菜「じゃあパスパレの休憩室にゴー!」

 

洸汰「ちょっ、日菜先輩!?行きますから手を放しt・・・」

 

真燐「あーあ、連れて行かれちゃった・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【休憩室】

 

洸汰「ところで、話って何ですか?」

 

日菜「単刀直入に聞くけど、洸汰くんってつぐちゃんのこと。どう思ってるの?」

 

洸汰「どう思ってるって…ただの友達ですよ。よく昼休みとか使って話すだけですし」

 

日菜「ふーん・・・?」

 

洸汰「どうしたんですかこんな話を急に持ち出すなんて」

 

日菜「最近、つぐちゃんがおかしいんだよね。生徒会室でもたまに上の空になっちゃってるし」

 

洸汰「そうですか・・・それはこっちで聞いてみることにします。話はそれだけですか?」

 

日菜「そうだよ?」

 

洸汰「真燐を待たせちゃってますし、そろそろ帰ります。今日は貴重な体験をありがとうございました」

 

日菜「じゃあねー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日菜「(洸汰くん、鈍感さんだね。あたしにはなーんでもおみとおしだよ)」

 

 

 

 

 

 

 




いかがだったでしょうか?

今回で一応メインバンド全員分は紹介を終えました。次回からは普通の日常になる・・・と思います。一応タグにある通り恋愛系ではありますがどのあたりでヒロインと主人公をくっつけるかも検討中です。

それではここまで読んでいただきありがとうございました


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4話:新しい勉強風景

どうも、小説は偉大だと考えている空丘ルミィです。

今日の正午にFilmLive好評記念の有償スター限定でバンド別星4確定ガチャが来ることを知って「ヒャッホゥ」状態です。来るのは明日らしいですが・・・ハヨコイハヨコイ・・・

では本編へどうぞ


 

 

 

 

 

6月7日

 

パスパレの練習風景を見せてもらって2週間ほど経った。学園では毎日のようにAfterglowのみんなと弁当を食べたり、日菜先輩たちに誘われて昼を食べたこともあった。

 

 

 

 

 

 

 

【正午:羽丘学園屋上】

 

洸汰「そういえば向こうではテストとかが1か月ごとにあったけどこっちではどうなんだ?」

 

蘭「そういえばそんな時期だね、今月末だったっけ。ひまりは大丈夫なの?いつも結果が散々じゃん」

 

ひまり「うっ・・・忘れようと思ってたのにー・・・」

 

洸汰「どうかしたのか?」

 

巴「ひまり、バイトのシフトが多くて勉強の時間が削れてるのに今月はまたシフトを増やしてさらに削ってるんだよ・・・そんなことがなくても去年のテストは最低一つは赤点取ってるんだよな」

 

洸汰「ひまり…?」

 

ひまり「(ピピーピピピー~~~~♪)」

 

洸汰「(これ、焦ってるな。しかも口笛下手だし)」

 

蘭「(いつにも増して焦ってるね、口笛下手なんだけど)」

 

モカ「(ひーちゃん、いつも通り―)」

 

つぐみ「(ひまりちゃん・・・焦りすぎだよ)」

 

洸汰「・・・はあ、先輩がそんなんでこの先後輩から白い目で見られるぞ。現にそこの後輩に白い目で見られてるし」

 

??「上原先輩・・・私でも去年は学年10位に入ったのにそれじゃあ先輩って胸張れませんよ・・・」

 

洸汰「まったくだよな明日香。先輩らしい所を見せてほしいとは思わないか?」

 

【キャラ紹介:戸山明日香(とやまあすか)。花咲川学園に通ってる戸山香澄の妹。適当さ加減ができない香澄と違ってしっかり者。1年生ながら進路のことを考え始める勉強家でもある。戸山家にお邪魔して勉強を教えることもしばしば。俺曰く「しっかりした妹」。】

 

明日香「そういう趨鈹先輩って去年までは北海道までいたんですよね?成績はどうだったんですか?」

 

洸汰「まあ普通に勉強して普通にテストを受けて・・・去年の3学期の期末テストは学年1位だったかな。ほれ、これがその時の写真」

 

そういって俺はスマホで去年の成績を見せた

 

蘭「すご・・・こんな点数とれるんだ・・・」

 

モカ「おー、エモーい」

 

巴「北海道ってこんなにレベル高いのか?」

 

洸汰「いや、あまりレベルは高くないところに入ったし、ノートに取る所はちゃんととってるだけだったけど」

 

明日香「ノート何冊犠牲にしました?」

 

洸汰「んーと・・・樋口一枚と野口一枚は犠牲にしたかな」

 

つぐみ「それって一年で6000円は使ったってこと!?」

 

洸汰「そうだけど」

 

ひまり「うぇー・・・それは私には無理・・・」

 

洸汰「で、この話を持ち出すってことは・・・」

 

蘭「うん、みんなで成績アップを図ろうかなって。ひまりの成績が悪いのは今に始まったことじゃないけど、あたしたちもいいとは言えないけど悪いとも言えないし」

 

つぐみ「だから、みんなで勉強会をしようって思ってるんだ。」

 

巴「強制参加じゃないし、みんなで勉強することで親睦も深められるんだ。」

 

洸汰「なるほどな。ここは進学校だし勉強しないと今後に響くしな。そしてひまり、逃げようとしない。この勉強会の目的は上原の成績アップが最優先だからな」

 

ひまり「はーなーしーてー!」

 

明日香「駄々をこねる子供ですか・・・」

 

蘭「じゃあ、明後日つぐの家に集合でいい?各自勉強道具は持参ってことで。」

 

洸汰「了解。ちなみにモカ、上原の家って泊まることってできるのか?」

 

モカ「うーん、ひーちゃんのお父さんたちが許してくれたらー、かな。それがどうかしたのー?」

 

洸汰「上原が逃げ出さないように勉強会の前の日は上原の家に泊まろうと思ってな」

 

巴「真燐はどうするんだ?」

 

洸汰「あいつは寝起きがたまに悪いからな・・・」

 

明日香「悪いってどれくらいですか?」

 

洸汰「それは・・・あれだ、口で説明するより見た方が早いかもな・・・見れるかどうかは真燐次第だけど。それと勉強会の場所だけど、俺の家でもいいか?」

 

蘭「え、大丈夫なの?」

 

洸汰「今年は父さんと母さんが海外出張で家にいないしな。家も俺が北海道に行くまで4人で住んでたし結構広いぞ」

 

蘭「じゃあお言葉に甘えようかな。」

 

洸汰「ちなみに勉強会の前の日にうちに泊まっても大丈夫だぞ」

 

モカ「それじゃあ明日はお邪魔しまーす」

 

つぐみ「時間とかは今日決めておいた方がいいかな?」

 

洸汰「そうだな・・・明日の放課後にうちに集合でどうだ?」

 

蘭「そういえば、まだあたし達は趨鈹の家知らないし・・・どうすればいい?」

 

洸汰「そういえばまだ教えてなかったな・・・明日は着替えをもって学校に来たらどうだ?放課後に直接家に行けるし」

 

巴「じゃあそうするか!」

 

ひまり「(勉強イヤ…)」

 

それから各自は勉強会に誘えそうなメンバーに連絡を入れた。羽丘の先輩後輩から花咲川の先輩後輩など・・・人によっては「楽しそう!行く!」や「忙しいからやめておくわ」など、誘えたり誘えなかったメンバーはいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

6月8日

 

【放課後:羽丘学園校門前】

 

洸汰「羽丘からはこれだけ集まったか」

 

蘭「結構集まったよね、もう少し少ないと思ってたけど」

 

モカ「おー、エモーい」

 

巴「お、花咲川からも来たみたいだな」

 

羽丘から集まったメンバーは俺、美竹、羽沢、上原、青葉、巴、あこ、明日香。

 

花咲川から集まったメンバーは牛込、香澄、市ヶ谷、丸山さん、松原さん、奥沢、真燐。

 

 

みんなで15人だ。・・・多すぎやしないか?てっきり10人くらいだと思ってたのに

 

洸汰「しかし、すごい大所帯だな・・・こんなに集まるとは」

 

ちなみに掛け合ったのは美竹が牛込と市ヶ谷に、羽沢が松原さん。巴があこと奥沢に。青葉は・・・誰も誘っていないという。掛け合ったところを他の参加メンバーが「参加したい!」と言っていたという。真燐には俺が掛け合ってみたところ「やりたい」の一言だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【趨鈹家前】

 

蘭「・・・大きすぎない?」

 

モカ「おっきーい」

 

洸汰「俺の父さんが建築家だったから位置から設計して大きめにした結果がこれだよ・・・ツッコまれるのは慣れてるから何も言わないでくれ頼む」

 

つぐみ「これ、うちの5割くらいまして大きいよね…うちもこれくらい広かったらなあ…」

 

真燐「うちのお父さんがすみません…それじゃあ入りましょうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【趨鈹家:リビング】

 

ひまり「そういえば、布団とかはどうするの?これだけの人数が泊まるなら結構いるよね?」

 

洸汰「あー・・・そこにもツッコまれたか・・・」

 

明日香「あれ、もしかしてその反応ってことは・・・」

 

真燐「うん、父さんがこの大きさで大人数が止まる時のために布団を買い込んだって・・・兄さん、何人分買い込んだって言ってたっけ?」

 

洸汰「たしか・・・あった。このレシートに・・・」

 

松原「ふぇぇぇぇ・・・さすがにこれは買い込みすぎだよぉ…」

 

そこに書かれていたのは・・・

 

りみ「20人分って…」

 

洸汰「本当にうちの父さんが悪いことをした・・・」

 

美咲「いやいや、さすがに20人分は買い込みすぎじゃないですか・・・?仕事仲間を止めてた・・・ってわけじゃなさそうですし」

 

香澄「すっごーい!こんなに広いなら泊まり込みだってできるよ!」

 

有咲「香澄お前今日のこと聞いたのか!?勉強会って言っただろ!」

 

彩「すごい!テレビでカラオケできるみたいだよ!」

 

花音「彩ちゃん・・・」

 

洸汰「とりあえず、今日はうちでゆっくりして明日勉強会ってことだからまずは夜ご飯だな。さすがに俺と真燐で作るのは骨が折れそうだから・・・」

 

そういって俺が手伝いをお願いしたのは・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つぐみ「頑張りましょう!」

 

美咲「ま、あたしは妹に作ってやることが多いですし・・・」

 

明日香「私はお姉ちゃんの弁当をよく作ってるのでできないことはないですけど・・・私でいいんですか?」

 

有咲「私はおばあちゃんが作ってるところをよく見るのでできなくはないけどあまり期待はするなよ?」

 

羽沢、奥沢、明日香、市ヶ谷、俺、真燐の6人で20人分の夜ご飯を作ることになった。何で20人分も作るのかって?青葉が大喰らいだからな・・・余分に作っておかないと俺達が食べる量がなくなりそうなんだよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【20分後】

 

「「「「「いただきます」」」」」

 

香澄「この唐揚げおいしー!誰が作ったの!?」

 

洸汰「そっちのは俺だな、こっちのは羽沢だ」

 

花音「あ、この魚の塩焼きおいしい・・・」

 

明日香「それは私ですね。たまに弁当に入れたりするので」

 

モカ「おー、この野菜炒めエモーい」

 

有咲「それは私だな、ばあちゃんが作ってるのを少しばかりアレンジしたけど」

 

蘭「あ、このハンバーグおいしい・・・」

 

モカ「おー?蘭が嬉しそうにハンバーグ食べてるー」

 

蘭「モーカー?」

 

美咲「それはあたしですね、妹がその味付けが好みなので今日はそんな感じにしてみましたけど」

 

とまあ、みんなおいしそうに夜ご飯を食べるものだから作った側としても嬉しかった。モカは結局6人分くらい食べてたけどな・・・本当にお前の胃袋どうなってんの?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

洸汰「そういえば部屋割り決めてなかったな。部屋は4つだから一部屋だけ3人になるし・・・まず俺と真燐は別室な。後はくじで決めるか」

 

で、くじ引きの結果・・・

 

1組目:俺(洸汰)、明日香、牛込、美竹

 

2組目:巴、あこ、ひまり、奥沢

 

3組目:丸山さん、松原さん、青葉、香澄

 

4組目:羽沢、市ヶ谷、真燐

 

となった。

 

ちなみに部屋の配置だが・・・

 

2階     1組目        2組目

 

 

 

 

1階     3組目        4組目

 

こうなっている。

 

【洸汰の部屋】

 

洸汰「明日は勉強会だし今日はもう休むか。お休み」

 

明日香「おやすみなさい」

 

りみ「お休みなさーい・・・」

 

蘭「おやすみ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

6月9日

 

【洸汰の部屋】

 

今日は勉強会の日だから早めに起きて準備するんだけど・・・

 

洸汰「ま た か」

 

蘭・明日香・りみ「「「zzz・・・」」」

 

幸い俺と同室の3人はよく寝てるからよかったけど・・・やっぱり俺はこういう状況になるのな・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう、いつものように真燐が俺たちの寝ている部屋に入り込んで俺の布団に入ってきているのだ。

 

(バサッ)

 

洸汰「(ん?今布団をどけるような音がしたような・・・これってまさか)」

 

蘭・明日香・りみ「「「おは・・・よ・・・う・・・?」」」

 

真燐「ふみゅー・・・お兄ちゃんまだ起きたらやー・・・今日は真燐とお出かけする日ー・・・」

 

洸汰「あ・・・」

 

さすがにまずい状況だ。牛込はパニくるだろうし、明日香はしっかり者だし、蘭は厳しめな性格だ。まもなくほかのみんなも起きてくるだろう…けど

 

蘭「・・・趨鈹、あんた妹に何してんの?」

 

明日香「洸汰さん・・・」

 

りみ「こ、洸汰くん・・・」

 

洸汰「待ってくれこれは違うんだ俺が起きた時にはすでに真燐が俺の布団に入ってきてな・・・というか俺が前言ったこと覚えてるよな美竹は?」

 

蘭「たしか・・・『寝起きが悪い』んだっけ?それとこれに何の関係があるの?」

 

洸汰「とりあえず・・・みんなを起こしてリビングに集めてくれ、話はそれからだ」

 

明日香「わかりましたけど・・・私たちが納得がいく理由を言ってくださいね?」

 

洸汰「そこは明日香たちの捉え方によるけど・・・お前たちが納得するような理由を言うから早く他のみんなを起こして来てくれ」

 

蘭「わかった。ロクな理由じゃなかったら容赦しないから。」

 

(ガチャ・・・)

 

洸汰「・・・はあ、とりあえず難は去ったけど・・・後は真燐か。おーい真燐、早く起きないと他のバンドメンバーにこの音声流すぞー」

 

真燐「・・・」

 

洸汰「おうおはよう。とりあえずこの状況を説明するからリビングに行くぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【リビング】

 

洸汰「・・・というわけだ。納得したか?」

 

蘭「・・・趨鈹が言ってた意味がよく分かったよ。」

 

明日香「まさか真燐さんにこんな一面があったなんて…」

 

美咲「あたしも妹に注意払った方がいいかもね・・・」

 

あこ「(今度おねーちゃんの布団に潜り込もうっと)」

 

巴「(あこ・・・何か企んでるな?)」

 

とまあ真燐の猫かぶりを説明した。みんな納得したみたいだが・・・真燐は意気消沈していた。あんなことを兄の俺以外に見られたのは痛手だったみたいだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

洸汰「上原、この公式間違ってるぞ」

 

蘭「ひまり、この四字熟語の意味違う」

 

モカ「ひーちゃん、この年号間違ってるー」

 

つぐみ「ひまりちゃん、この実験器具の名称間違ってるよ」

 

彩「ひまりちゃん、この調理法違うよ」

 

花音「ひまりちゃん、この画家の名前間違ってる・・・」

 

ひまり「ぃぃぃぃゃぁぁぁぁぁ・・・!」

 

・・・というかんじにみんなの勉強会というよりはひまりの学力アップに8割くらい時間が持っていかれてしまっていた。途中からひまりの担当を交代しつつ各自学力アップに力を注いだ・・・けど

 

洸汰「・・・ひまり」

 

ひまり「言わないで!」

 

こういう感じに間違えるたびにコンビニスイーツを食べれる期間を延ばすようにした結果、2週間の間上原はコンビニスイーツを食べることを止められた。言い出したのは美竹だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【数時間後】

 

洸汰「お疲れさま、みんな。これで期末テストはいい線いくんじゃないか?」

 

蘭「うん、これはいいところまで行きそう。」

 

あこ「あこも頑張るぞー!」

 

真燐「・・・」

 

洸汰「いつまで意気消沈してるんだ真燐。今日はもう終わったから早く元に戻ってくれ」

 

明日香「いやこうなったの洸汰さんのせいですから・・・」

 

ひまり「・・・」

 

つぐみ「ひまりちゃんもいつまでも突っ伏してないで帰るよ?」

 

有咲「お疲れ様、洸汰さん。泊めてくれてありがとうな」

 

洸汰「いいってこれくらい。困ったときはお互い様だ」

 

りみ「それじゃあ私たちは帰りますね。料理もごちそうさまでした」

 

洸汰「気を付けて帰れよー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

勉強会の2週間後の期末テストの結果・・・勉強会の参加メンバー全員が学年50番以内に入った。俺と明日香は学年1番だった。ひまりは・・・ギリギリ50番だったけどそれはまた別の話…

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いかがだったでしょうか?

テスト期間って割と地獄ですよね・・・ゲームとか没収されたりしたときは勉強をサボったりしましたね・・・途中から授業をまともに聞かなくなった時もありました(大体の教科は平均点取れてましたが)やっぱり勉強は嫌いだ・・・

それではここまで読んでいただきありがとうございました!


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5話:新しい計画

ルミィ「どうも、空丘ルミィです。今日は特別ゲストをお呼びしました」

蘭「・・・ねえ、どうしてあたしなの。」

ルミィ「そりゃ小説のメインバンドはAfterglowなわけだしボーカルの蘭ちゃんを最初に呼ぶのは普通じゃないかな?」

蘭「いや、こういうときって普通リーダーから呼ぶものじゃないの?」

ルミィ「え、蘭ちゃんリーダー違うん・・・?」

蘭「いや、リーダーはひまりなんだけど」

ルミィ「ウソだっ!!(知ってたけどからかってみたのは黙っておくか・・・)」

蘭「はい、主の愚痴はこれまでにして本編行こうか。ああそうだ、FilmLiveの劇中歌コレクション発売したからそっちもぜひよろしく」


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

7月4日

 

羽丘と花咲川のテスト期間が終わって3週間ほど経ったある日、いつものように放課後に屋上に集まった俺(洸汰)とAfterglowの面々。なにやら蘭が話したいことがあるらしく、他のメンバーは頭に?マークを浮かべていた。

 

蘭「あのさ趨鈹・・・あんたって子供の時何してたか覚えてる?」

 

モカ「(蘭―?蘭がその話題を持ち出すなんてエモーい)」

 

つぐみ「(私も気になっていたんだけど・・・まさか蘭ちゃんが持ち出してくるなんて・・・)」

 

巴「(蘭・・・やっぱり気になってたんだな。アタシも気になってたんだよ)」

 

ひまり「(蘭!ナイス!)」

 

洸汰「何してたかって…そんなこと聞いて何になるんだ?」

 

蘭「いいから答えて。子供の時のこと、覚えてる?」

 

洸汰「・・・悪いけど覚えてない。頭の中から抜けているのかもな・・・俺にとって大切な出来事だったんだろうけど…覚えてないんだ。子供の時の記憶でも楽しかったことは一度も忘れないはずなのに・・・」

 

蘭「・・・そっか、変なこと聞いてごめん。さっきのは忘れて」

 

洸汰「でも・・・一つだけ確かなことはある。子供の俺がある日目覚めた時は・・・病院の病室だった。」

 

蘭「!?」

 

洸汰「多分・・・病院で目が覚める前の記憶が抜けてるのは病院で目が覚めた時からだったと思う。何かあったのは間違いないんだけど・・・」

 

蘭「(・・・変なこと聞いちゃったかな、あたし。)」

 

モカ「(これはこれは・・・地雷踏んじゃった?)」

 

ひまり「(洸汰くん・・・私たちの知らないところで苦労してたんだね・・・)」

 

巴「(アタシたちは変わらない日々を送ってたって思ってた・・・でもこれは)」

 

つぐみ「(たぶん・・・あのことが関係してるはず。蘭ちゃんたちは忘れていたのかもしれないけど、私は覚えてる。思い出したくなかったことなのに…)」

 

洸汰「・・・どうしたんだみんなそんな暗い顔をして。」

 

蘭「別に…何でもないから。趨鈹、思い出せない記憶のこと思い出したいって思ったことはない?」

 

洸汰「楽しかったときの記憶が抜けてるのなら・・・思い出したいさ。すぐには思い出せなくても、何かきっかけがあれば…」

 

モカ「(きっかけー?もしかしてー)」

 

つぐみ「きっかけになるかどうかはわからないけど・・・趨鈹くんと私たちは昔遊んだことがあるんだよ。」

 

洸汰「俺とAfterglowのみんなが?・・・すまない、覚えてない。」

 

巴「そっか・・・」

 

洸汰「あー、暗い雰囲気はやめだやめ。普通にしてたほうがAfterglowらしいって言うか・・・美竹たちのいつも通りだろ?」

 

ひまり「そっか・・・そうだよね!今は思い出せなくてもゆっくりと思い出していけばいいよ!」

 

モカ「おー。ひーちゃんにしては珍しいことを―」

 

ひまり「もー!モカは一言余計なの!」

 

蘭「あの・・・さ」

 

巴「どうした蘭?」

 

蘭「うちの父さんがさ、『みんなで今度の夏休みに海に行ってきたらどうだ?』って言ってさ…断るのもあれだし、ここにいるみんなで行かない?海。」

 

ひまり「海!?行きたい行きたい!みんなも行こうよ海!海だよ海!」

 

洸汰「なんかいつもより目が光ってないか?」

 

巴「ひまり、そんなに急がなくても海は逃げないからみんなの都合が合うときに行こうぜ」

 

モカ「あたしもバイトのシフトがない日ならいいかも―」

 

洸汰「俺は特にバイトは入ってないし、真燐が何も言いださなければいつでも大丈夫だぞ。それにもう夏休みの宿題には手を出し始めてる」

 

蘭「さすがに早くない?たしかに宿題の内容はわかってるし宿題も今できる分はもらってるけど」

 

ひまり「へんなところで頑張り屋さんだよね趨鈹くんって」

 

洸汰「面倒事は嫌いなんでな。補修とか居残りは嫌だし」

 

巴「あー、なんだかわかるかもな。ひまりは早めに宿題片づけとけよ?」

 

ひまり「早いよ巴ー!」

 

蘭「だってひまりだし」

 

モカ「ひーちゃんだもんねー」

 

巴「だってひまりだしな」

 

つぐみ「ひまりちゃんだし仕方ないよね…」

 

洸汰「だな、だって上原だし」

 

ひまり「みんなまで!?」

 

蘭「あくまでみんなの予定が合う時だから、無理して合わせる必要はないから。」

 

洸汰「了解。こっちはいつでも行けるように準備はしておくからもし時間が合えば教えてくれ」

 

ひまり「はーい!」

 

つぐみ「うん!」

 

洸汰「話は終わったか?悪いけど俺はこれから寄る所あるから早めにいかないといけないんだ」

 

蘭「どこ?」

 

洸汰「悪いけど場所までは言わない。着いて来ようとしてるのが約2名いるからな」

 

モカ「おやー?そんなことをしようとするストーカーさんは誰かなー?」

 

洸汰「お前だお前。とにかく誰かモカのことを抑えててくれ」

 

蘭「わかった。ほらモカ、暴れない」

 

モカ「蘭のいけず―」

 

蘭「ほら、行くところあるんでしょ?早く行かないと怒られるよ」

 

洸汰「悪いな美竹」

 

洸汰out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Afterglow:side

 

蘭「はあ・・・本当に洸汰、あの時のこと覚えてなかったんだ・・・」

 

モカ「誰にでも知らない方がいいことの一つや二つあるのですー」

 

巴「モカは知ってるのか?洸汰が記憶をなくした原因」

 

つぐみ「私も知ってるよ。多分知らないのは私とモカちゃん以外じゃないかな」

 

モカ「おや、つぐもご存知だった―?」

 

蘭「何のこと?」

 

つぐみ「本当は・・・洸汰くんのご両親はもういないんだよ。」

 

ひまり「えっ…?」

 

モカ「家族でお出かけしてた時だっけー?交通事故に巻き込まれてみんな病院に運ばれた…けどご両親は病院の最新技術を使って治療されたけど息を引き取って…すーくんとマリリンはかろうじて一命はとりとめたって。でも小さい子供に両親の結末を見せるのは残酷だったみたいで…」

 

つぐみ「そこに洸汰くん達の叔父さんたちが来て…先生たちに頼んだんだって」

 

蘭「頼んだって・・・何を?」

 

つぐみ「『2人が生まれてから事故にあうまでの記憶を全部失くしてほしい』って」

 

巴「なんだよそれ・・・二人はなんて言ったんだ!?」

 

つぐみ「2人とも昏睡状態で言葉すら発せなかった状態だったし、このままだと二人も死んじゃう・・・ってお医者さんが言ってたからすぐに治療したんだって・・・」

 

ひまり「だから・・・洸汰くんは私たちのこと、知らなかったんだね・・・」

 

モカ「それから二人は親の顔も知らずに施設に預けられて同じ学校に通うようになったー・・・だよねつぐ?」

 

つぐみ「うん。そこまでは知ってる…けど、それから私たちは洸汰くん達と遊ばなかったんだよ。」

 

蘭「・・・そんなことあったんだ。なら無理して思い出させたくはない…けど」

 

巴「このままじゃ2人がかわいそうだしな・・・なんとかできないのかよ!!」

 

ひまり「『今はまだ』できないよ・・・洸汰くん達が思い出すしかないよ」

 

モカ「このままだと、あの時の"いつも通り"は止まったままじゃないかなー?」

 

つぐみ「うん・・・だから私たちにできることをしようよ。少しずつでも大丈夫、私たちのいつも通りの止まった時間を・・・動かそうよ」

 

蘭「・・・うん、やろう。あたし達のいつも通りであの時のいつも通りを動かそう」

 

ひまり「そうと決まれば、今度の夏休みの海の時は全力で動くよー!えい、えい、おー!」

 

Afterglow:out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

洸汰side

 

で・・・確かここだったな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【生徒会室】

 

洸汰「失礼します」

 

日菜「あ、洸汰くんだ!やっと来てくれたんだね!」

 

洸汰「すみません、さっきまで美竹たちと今後の予定を立てていたので。それに俺から言い出したことなんで守らないのは男としてどうなのかと思ったので」

 

日菜「あはは、変なところで律儀だねー♪それで話って?」

 

洸汰「俺を・・・生徒会のメンバーに加えてください。」

 

日菜「本当!?本当に入ってくれるの!?」

 

洸汰「このままじっとしてても俺の記憶はずっと思い出せないままだと思いますし、何より・・・」

 

日菜「何より?」

 

洸汰「学園のことを知ることができたのはみんなのおかげなので今度は俺が恩返ししたいとも思ったので」

 

日菜「ふーん?それだけ?」

 

洸汰「それだけ、とは?」

 

日菜「何か特別な感情を感じ取ったーとかはないのー?」

 

洸汰「特にはないです。」

 

日菜「そっかー・・・あたしに手伝えることなら言ってね!」

 

洸汰「その時は頼りにしてます。では今日はこれで」

 

日菜「あれ、今日はもう帰っちゃうの?」

 

洸汰「真燐が流星堂で市ヶ谷たちの演奏を聴くって言ってたのでそろそろ連れて帰らないといけませんし」

 

日菜「はーい!じゃあまた明日―!」

 

洸汰「はい、また明日」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【流星堂外】

 

(コンコン)

 

有咲「はーい・・・ってなんだ洸汰かよ。」

 

洸汰「なんだとはなんだ、失礼だな。真燐がこっちに来てるから迎えに来たんだけど」

 

有咲「あー・・・とりあえずなんだ、まずは入ってくれ。めんどくさいことになってる」

 

洸汰「・・・大方察しはついた。じゃあさっさとこの面倒事を片付けて真燐を連れて帰る」

 

有咲「そうしてくれ・・・これ以上はあたしの胃が持たねー・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【流星堂中】

 

香澄「でねー、洸汰くんが―!」

 

真燐「兄さんがどうしたんですかー?」

 

たえ「おー」

 

りみ「か、香澄ちゃん・・・それくらいにした方が・・・」

 

沙綾「そうだよ香澄。そろそろ有咲が戻ってくるころだから」

 

香澄「大丈夫だって!」

 

洸汰・有咲「「ほーう?なーにが大丈夫だってー?」」

 

香澄「だって、まだ有咲は戻ってこないから!」

 

りみ「そ、その辺に本当にしたほうがいいよ香澄ちゃん・・・洸汰くんと有咲ちゃん、来ちゃったから・・・」

 

香澄「大丈夫!洸汰くんと有咲が戻ってきても大・・・丈・・・夫…?」

 

洸汰「市ヶ谷、真燐と一緒に帰る前にちょっと香澄と真燐を借りるぞ」

 

有咲「好きなだけ説教してくれて構わねーけど壊れない程度になー」

 

洸汰「オーケー。じゃあ香澄と真燐、ちょっと話をしようか。大丈夫。SU☆GU☆NI☆O☆WA☆RU☆KA☆RA」

 

真燐「兄さん・・・?これはその・・・あの、目が笑って・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【数分後】

 

洸汰「ふう・・・終わった」

 

有咲「香澄たちの様子はどうだ?」

 

洸汰「ちょっと気絶してるけど3分後には起きてくるだろ。じゃあ俺は真燐を背負って帰るな」

 

りみ「今度はゆっくり聞けるといいね・・・」

 

沙綾「あはは・・・」

 

洸汰「今度来るときはゆっくり雑談でもしたいものだな、じゃあ俺たちは行くから」

 

有咲「気をつけて帰れよー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【流星堂からの帰路】

 

洸汰「なあ真燐、変なことかもしれないけど聞いていいか?」

 

真燐「何?珍しいね兄さんから私に質問するのって。いいよ、私にこたえれるものなら」

 

洸汰「真燐って・・・昔のこと覚えてるか?」

 

真燐「へんな兄さん。私は覚えてるよ?私たちは施設に預けられて同じ小学校に入って…お父さんやお母さんと一緒で・・・」

 

洸汰「それで・・・父さんと母さん、どんな顔だった?」

 

真燐「どんな顔だったって…あれ?おかしいな・・・顔が思い出せない・・・」

 

洸汰「真燐もか。実は俺もなんだよ、父さんと母さんのことを思い出せないの・・・というか俺たちは一体誰のことを知ってるんだ?今日の放課後に美竹たちに聞かれたんだ。」

 

真燐「何を?」

 

洸汰「『子供の時何してたか覚えてる?』って。俺は覚えてないって言ったけど・・・俺は何かこう、大事なことを忘れているような気がするんだ。それは俺だけじゃない。おそらく真燐も・・・俺と同じ内容を忘れている、そんな感じがする」

 

真燐「・・・本当?」

 

洸汰「俺がこれまでに真燐に嘘をついたことなんてあったか?でもこんな、二人して同じ時間の記憶を忘れることなんてないだろ?」

 

真燐「たしかに・・・兄さんは昔の記憶、思い出したいの?」

 

洸汰「大事な記憶も眠っているだろうし・・・俺はできることなら思い出したい。たとえ残酷な記憶が眠っていたとしても・・・」

 

真燐「・・・兄さん、私も頑張るよ。」

 

洸汰「真燐?無理しなくても・・・」

 

真燐「無理なんかしてない。私も昔のことを知りたいし、私は趨鈹洸汰の妹だから。」

 

洸汰「・・・無理はするなよ。真燐まで失ったら俺はどうすればいいのかわからなくある」

 

真燐「大丈夫、私は兄さんを置いて行ったりしないから。」

 

洸汰「・・・わかったよ」

 

真燐「それと兄さん、何か言おうとしてなかった?」

 

洸汰「あ、ああ・・・今度の夏休みにAfterglowの面々と海に行くことになってな。悪いけど真燐は家で留守番だ」

 

真燐「・・・何それずるい。って言っても私じゃ説得力ないかも」

 

洸汰「ん?どういうことだ?」

 

真燐「こっちでも、ハロハピの皆さんと一緒に海に行くことになったんです。一泊二日で」

 

洸汰「俺の方も一泊二日なんだよ。初日は適当に近くをフラついた後にコテージに泊まって2日目に海に行くって感じなんだけど」

 

真燐「それ私もだよ兄さん」

 

洸汰「まさか二人して一緒のところ・・・いやよそう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ルミィ「いかがだったでしょうか?」

蘭「なんだか趨鈹、大変だよね・・・昔の記憶をなくしてるなんてさ」

ルミィ「私の小説で過去に触れることなんて普通だからね(キリッ)」

蘭「あまり過去を振り返る感じなもの用意して大丈夫なの?」

ルミィ「まあ私の脳のスペックが最新なら・・・」

蘭「あんまり無理しないでよね、倒れたら小説どころじゃなくなっちゃうし・・・」

ルミィ「おぉ、蘭ちゃんがデレてる。(カシャ)はい、貴重な一枚いただきました―」

蘭「主ー?いい加減にしないと怒るよ?」

ルミィ「おっと、用事を思い出したんで私はこれで失礼するよ。」

蘭「逃げるな!・・・はあ、BanG Dream!Film Liveは好評上映中だからまだ見てない人も何度か見た人もぜひ見てね。あたし達のいつも通り、見せてあげるからさ」


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6話:新しいお出かけ先

ルミィ「はい、今日のゲストはこの人―」

モカ「どうもー、Afterglowのギター担当のモカちゃんでーす」

ルミィ「いつにも増してマイペース度全開ですなー」

モカ「いやいやー、主さんほどではー」

ルミィ・モカ「「ハッハッハー」」

蘭「(何この人たち・・・)まあいいや、本編行くよ」


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

7月7日

 

【午前9時:洸汰の部屋】

 

洸汰「んー・・・今日は学校が七夕休みとか何とか言ってたから休みなのはいいけど・・・と言っても何もすることないしな・・・生徒会の仕事はないって日菜先輩も言ってたしさてどうするか・・・」

 

(ガンバルゾイ!)

 

洸汰「こんな朝早くにDYNEに連絡?一体誰なんだ・・・」

 

【プチ設定:DYNE(ダイン)。この小説内における現実でいうLINE。バンドの連絡や遊びの誘いなどは大体DYNEで話し合う(着信音はNEW〇AMEの名言)。】

 

洸汰『なんだ、羽沢?こんな時間に連絡入れるなんて珍しいな、しかも個人で』

 

つぐみ『趨鈹くん、今時間空いてる?』

 

洸汰『空いてるけど・・・どうかしたのか?』

 

つぐみ『ほら、今度の夏休みにみんなで海に行こうって話したよね?それで・・・去年までの水着のサイズが合わなくなっちゃったから・・・』

 

洸汰『それで俺に水着選びに付き合ってほしい、と?』

 

つぐみ『恥ずかしい話で、男の子の趨鈹くんに頼むのは変かもしれないけど・・・こんなこと頼めるのは趨鈹くんしかいないから・・・お願い!』

 

洸汰『美竹たちは今日は用事あるのか?』

 

つぐみ『蘭ちゃんたちは今日バイトだって。七夕だから今日のシフトの人たちだけじゃ人員が足りないって…』

 

洸汰『そこまで力強く頼まれたら断るに断れないな・・・いいぞ。』

 

つぐみ『本当!?ありがとう趨鈹くん!じゃあ11時に私の家に集合でいいかな?』

 

洸汰『了解、11時だな。昼ご飯とかはどうするんだ?』

 

つぐみ『ショッピングモールまで行くから昼ご飯はそこで済ませちゃおうよ。』

 

洸汰『わかった。10時50分くらいにそっちに着くように家を出るから準備はしておいてくれると助かる』

 

つぐみ『うん、待ってるね!』

 

(DYNE終了)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

洸汰side

 

洸汰「さて…と、思わぬところで羽沢からお誘いを受けたから行くか。10時30分に着くように羽沢珈琲店まで・・・か。ここからは10分もあれば着くだろうし準備しておくか」

 

 

つぐみside

 

つぐみ「洸汰くん、誘えてよかった・・・あの出来事を知ってるのは私とモカちゃんだけだけど地雷を踏みに行っちゃうのは避けたいからできるだけこの話題は出さないようにして・・・ま、まずはお出かけの服を探さないと…洸汰くんの家からこっちまでは10分近くで着くだろうし・・・あれ?お出かけの服どこー!?

・・・あ、あった。久しぶりのお出かけだからどこにしまっちゃったか忘れちゃってたから・・・よーし、これでいい・・・かな。洸汰くんとのお出かけは初めてだし、何事も最初が肝心・・・よし!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【午前10時15分:趨鈹家玄関】

 

洸汰「(少し余裕を持っていくか)真燐、ちょっと出かけてくるぞ」

 

真燐「あれ、兄さん。今日はどこにもいかないで家でのんびりしてるんじゃなかった?」

 

洸汰「ちょっと近くのショッピングモールまで羽沢と行くことになってな。今度海に行くときのための準備をしたいんだと。」

 

真燐「ふーん・・・兄さんが同い年の女の子とお出かけ・・・ね・・・」

 

洸汰「?変な真燐だな、行ってくるぞ」

 

真燐「行ってらっしゃい兄さん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【午前10時30分:羽沢珈琲店】

 

(カランカラン・・・)

 

洸汰「羽沢―?いるかー?」

 

(ダッダッダッ)

 

つぐみ「あれ、趨鈹くん!?50分くらいに着くって言ってたのに…来るの早いよ!」

 

洸汰「悪い悪い、ちょっと時間に余裕を持って来たつもりだったんだけど・・・もしかしてお出かけの服を選んでたとか?」

 

つぐみ「う、うん・・・初めて趨鈹くんと出かけるし、少しでも力を入れないと…」

 

洸汰「力を入れる?何のことだ?」

 

つぐみ「な、何でもないよ!ほら、早く行こう!」

 

洸汰「お、おい羽沢・・・!?」

 

そういって羽沢は俺の手を掴んで羽沢珈琲店を出た

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【午前11時:ショッピングモール前】

 

つぐみ「ここだよ、今日の買い物のところは」

 

洸汰「羽沢・・・わかったから手を一回離してくれないか?引っ張って行かれるのは慣れてなくて少し息切れしてるから・・・」

 

つぐみ「あっ…ご、ごめんね!初めてのお出かけだったから浮き足立っちゃって…」

 

洸汰「まあ、浮き足立つのはわかるような気がするけどな・・・ちょっと休憩してから行こう。」

 

つぐみ「それなら・・・はい、これ」

 

洸汰「用意がいいな、ありがとう羽沢。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【午前11時30分】

 

洸汰「そろそろ大丈夫か?」

 

つぐみ「うん、私は大丈夫。」

 

洸汰「じゃあ行くか」

 

つぐみ「うん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【午後12時30分】

 

つぐみ「うーん、こんなのはどうかな?」

 

洸汰「ちょっと派手じゃないか?こっちはどうだ?」

 

つぐみ「これはちょっと大胆かも・・・こっちは?」

 

洸汰「これはカラフルだけどさっきのより派手そうだな・・・お、これなんてどうだ?」

 

つぐみ「白いフリフリが付いた薄い朱色の水玉模様が入ってるホルターネック・・・うん、これいいかも。」

 

洸汰「じゃあお金渡すから買ってきていいぞ」

 

つぐみ「え、いいの?でもそこそこ値が張ってるし・・・」

 

洸汰「俺からの初めてのお出かけ記念ってことにしておいてくれ。」

 

つぐみ「それなら・・・ありがとう、趨鈹くん。じゃあレジに行ってくるね」

 

洸汰「ああ、行ってらっしゃい」

 

 

 

 

 

 

【数分後】

 

つぐみ「ただいま、趨鈹くん」

 

洸汰「おかえり。ちょうどいい時間だしそろそろ昼ご飯にしないか?」

 

つぐみ「どんなのがあったかな・・・一回ショッピングモールの地図見直さない?」

 

洸汰「それもそうか。ここに来るのは初めてだし」

 

つぐみ「あれ、初めてなの?」

 

洸汰「まあ、2階をチラッと見た時にたまたま見えたからここまで来れただけだしな。まだここの地図は頭に入ってない」

 

つぐみ「じゃあいこっか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【数分後】

 

洸汰「海に行くなら女の子はスタイルをキープした方がいいとはいうが・・・」

 

つぐみ「やっぱり夏だし体力をつけるためのメニューが多めだね・・・どれにしよう・・・」

 

洸汰「昼からステーキってのもあれだしハンバーガーって言うのもなんか普通だしな・・・ここはクレープとかがいいかもな」

 

つぐみ「クレープかあ・・・うん、いいかも。趨鈹くんはどれにする?」

 

洸汰「俺はこのチョコアイスクレープにしてみる」

 

つぐみ「じゃあ私はこのダブルアイスの夏限定クレープで!」

 

洸汰「なになに…?『夏に食べごろのフルーツを3種類、食べたい味のアイスを2種類選んでもらうだけ!』サイズは・・・これそこそこ大きいけど大丈夫なのか?」

 

つぐみ「女の子にはこれくらいがちょうどいいんだよ!」

 

洸汰「そんなものなのか?」

 

つぐみ「そんなものだよ?」

 

洸汰「(俺には女の子にとってどれくらいが『そんなもの』なのかわからない・・・誰か教えてくれ)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【午後4時】

 

洸汰「しかし、これまたずいぶんと買い込んだな・・・ビーチパラソルに高性能日焼け止め、ビーチボールに砂浜に敷くレジャーシート・・・どれだけ楽しみにしてるんだ」

 

つぐみ「これだけ買えばみんなで遊ぶ分には困らないよ!」

 

洸汰「まあそうだけど、さすがにこれは買いすぎじゃないのか?」

 

つぐみ「みんなで楽しむならこれくらいの出費は安いものだよ?」

 

洸汰「(一体どの範囲が安い出費なのか教えてくれ・・・)そろそろ帰るか、真燐に夜ご飯を作ってあげなきゃいかんかもしれないし・・・ちょっと連絡入れるぞ」

 

《DYNE》

 

洸汰『今から帰るけど、夜ご飯はどうする?』

 

真燐『今弦巻先輩のところで遊んでるんだけど、今日は弦巻先輩の家に泊まることになったから夜ご飯はいらないよ』

 

洸汰『了解』

 

《DYNE終了》

 

つぐみ「真燐ちゃん、どうだって?」

 

洸汰「今日は弦巻の家に泊まるから夜ご飯はいらないんだと。さて俺はどうするか・・・」

 

つぐみ「あの・・・もし趨鈹くんさえよければ私の家に泊まる・・・なんてどうかな?」

 

洸汰「羽沢の家に?でもいいのか?」

 

つぐみ「今日はお父さんもお母さんも夜勤で遅くなっちゃうって連絡があったから・・・今日は家には私ひとりなんだ。」

 

洸汰「そうか、じゃあお言葉に甘えさせてもらうか。ただ着替えとかは今ここにはないから持ってこないといけないし一回羽沢を家に送ってから家に一回戻るぞ。何時に来ればいい?」

 

つぐみ「時間は何時でも大丈夫だよ。」

 

洸汰「わかった、来るときは連絡入れる」

 

つぐみ「じゃあ今はここで解散ってことにして後で私の家だね。」

 

洸汰「ああ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【午後6時:羽沢珈琲店】

 

洸汰「羽沢、来たぞ」

 

つぐみ「はーい、待っててね!」

 

 

 

 

 

 

つぐみ「いらっしゃい、趨鈹くん。今日はゆっくりしていってね」

 

洸汰「そうさせてもらうか。というか七夕なのに今日は店休みだったのか」

 

つぐみ「お父さんとお母さんが朝早くに仕事に行っちゃって…料理は基本的にお母さんが担当してるんだけど、イヴちゃんは今日七夕の収録だからってバイトに来れなかったから今日は休みにしたんだ」

 

洸汰「アイドルもなかなか大変だな・・・」

 

つぐみ「あれ、趨鈹くんはイヴちゃんのこと知ってるの?」

 

洸汰「この間日菜先輩の誘いで事務所まで行ってきてな、その時に知り合った。で、もう一つお知らせがある。」

 

つぐみ「何?」

 

洸汰「俺は羽丘の生徒会に入ることになった」

 

つぐみ「えーっ!?初耳だよそんなの!」

 

洸汰「入ったのが3日前だったし、これといって生徒会の仕事がなかったから知る機会がなかっただけか、まあこれからよろしくな」

 

つぐみ「うん、よろしくお願いします・・・じゃなくて!そういうことは早く言ってよ!」

 

洸汰「悪い、あの後はなかなかいう機会がなくてな。しばらく日菜先輩と昼休みを過ごしてたし・・・といっても日菜先輩が強引に誘ってくるから逆らえなかったんだよ・・・」

 

つぐみ「うー・・・趨鈹くんの意地悪。」

 

洸汰「じゃあ今日一日二回限定で羽沢のいう事を聞くからそれで許してくれ」

 

つぐみ「じゃ、じゃあ・・・今日から私のことを『つぐみ』って呼んで!それと、今日は私の部屋で一緒に寝ること!」

 

洸汰「・・・はい?(今なんとおっしゃいましたかこの人は?『今日は私の部屋で一緒に寝る』?)」

 

つぐみ「こ、これが私の命令だよ!それと、趨鈹くんのことを今日から名前で呼ぶから・・・こ、洸汰くん!」

 

洸汰「・・・わかったよつぐみ。今日から下の名前で呼ぶこととつぐみの部屋で寝るからとりあえず落ち着いてくれ」

 

つぐみ「わ、私はだいだい大丈夫…だよ?」

 

洸汰「最後が疑問形になってる時点で大丈夫じゃなくないか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【午後10時:つぐみの部屋】

 

つぐみ「それにしても、洸汰くんって不思議な人だよね」

 

洸汰「何がだ?」

 

つぐみ「羽丘に入って3ヶ月も経ってないのにみんなと仲良くなって」

 

洸汰「あー、それは向こうでもなんかすぐ仲良くなってたからその影響かもな・・・でもあの時があったからこうしてみんなと仲良くなれたから俺は嬉しいけど。まあなかでもつぐみとこうしてお泊りするまで仲良くなったのは一番うれしいことだけどな」

 

つぐみ「そ・・・っか。ありがとう。」

 

洸汰「何かお礼を言われるようなこと言ったか?」

 

つぐみ「ううん、これは私が言いたかったことなんだよ。洸汰くんは忘れてるって言ったけど、私はこうして洸汰くんとまた会えてうれしいから・・・洸汰くん」

 

洸汰「なんだ?」

 

つぐみ「もし・・・昔の思い出のなかに、あの時私たちと交わした言葉があったら…一番に私に伝えてほしい・・・ってダメだよね。今日何回目なんだろう、洸汰くんにお願いするのって…」

 

洸汰「・・・別に大丈夫だ、1桁範囲なら俺にとって2回の約束は9回と大して変わらないし、それくらいは」

 

つぐみ「え、いいの?」

 

洸汰「何より、真燐も俺と同じ内容を忘れてるみたいだし、俺としても思い出したいんだよ。たとえどんな思い出でも…」

 

つぐみ「洸汰くん・・・私たちにできることがあったら何でも言ってね。私たちでよければ力になるから・・・」

 

洸汰「ああ、約束だ。・・・っと、そろそろ11時を回りそうだしそろそろ寝るか。今日は真燐もいないし普通に寝れそうだしな。お休み、つぐみ」

 

つぐみ「うん、お休み洸汰くん。また明日」

 

 

 

 

 

 




ルミィ「いかがだったでしょうか?」

モカ「おー、つぐ積極的―。」

ルミィ「それがつぐみちゃんのいいところだからね。いい具合にツグってたんじゃないかなモカちゃん?」

モカ「ルーミン、超ツグってたー。モカちゃんもモカっちゃうぞー。というわけでハンバーガー20個いただきまーす」

ルミィ「大食いコンテストかな(すっとぼけ)」

蘭「(モカ、さっき自分で『ハンバーガー10個食べてから来ちゃった』って言ってなかったっけ…まあいいや、これ以上モカたちのペースに合わせると後書きが大変そうだし・・・ここで切った方がいいかもね。)それじゃあお疲れ様」


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7話:新しい仕事

ルミィ「どうもルミィです。今日のゲストはこの人です」

巴「ソイソイソイソイヤッ!」

ルミィ「いやー、今日も元気だな巴姉さん」

巴「元気なのがアタシの取り柄だからな!というか主こそ大丈夫なのか?」

ルミィ「何がでしょう?」

巴「いや、早く進めたい気持ちはわかるけど少しは休まないと倒れちゃいますよ?」

ルミィ「それがどうも、3時間寝たら疲れが吹っ飛ぶ体質みたいなので」

巴「それってすごくないですか?」

ルミィ「でも疲れの蓄積量は常人の1.5倍なので本当に疲れた時は12時間くらい爆睡しますけども」

巴「アタシはそもそもあまり疲れないからな。ダンス部に入ってて体を結構動かしますし」

ルミィ「ええのう、うらやましいのう」

蘭「(これ、前書きで話すことなの?)」


 

 

 

 

 

 

 

 

 

7月8日

 

【午前8時:つぐみの部屋】

 

洸汰「んー・・・(そういや昨日はつぐみの部屋に泊まったんだっけか。つぐみは別の布団で寝てるんだったな・・・あれ、もうつぐみは起きてるのか?じゃあ俺もそろそろ起きるか)」

 

つぐみ「あ、おはよう洸汰くん。よく眠れた?」

 

洸汰「結構よく眠れたな。この間みたいに真燐が猫被ったまま布団にもぐってくることはなかったし」

 

つぐみ「あはは・・・あれは衝撃的だったからね・・・それより今日はどうする?昨日はお店は開けてなかったし、今日はさすがにお店を開けなきゃだけど・・・」

 

洸汰「つぐみの父さんと母さんは?」

 

つぐみ「ちょっと時間が経ったらまた仕事に行くって。今日はイヴちゃんも来てくれるけど、休日だからお客さんが結構来るかもしれないから人員が足りないかも…」

 

洸汰「なるほどな。お店の服って4着しかないのか?」

 

つぐみ「ううん、確かあと5着くらいあったはずだけど・・・それがどうかしたの?」

 

洸汰「昨日は家に泊めてもらったわけだし、今日はお店の手伝いをしたいんだが・・・」

 

つぐみ「そんな、悪いよ!泊めたのは私が言い出したからだし・・・」

 

洸汰「そのご厚意に甘えたのは俺だしな、それにこのまま帰るのもなんか悪いし」

 

つぐみ「そこまで言うなら・・・お願いしちゃってもいいかな?」

 

洸汰「大丈夫だ。お菓子の作り方とかも向こうで教わったし、材料さえあれば作れるだろうな」

 

つぐみ「じゃあ今日は私とイヴちゃんが接客で洸汰くんにお菓子をお願いしようかな。イヴちゃんにも連絡を入れておくね」

 

洸汰「頼む。俺から連絡を入れると誤解を招きかねないし」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【午前9時】

 

(カランカラン)

 

つぐみ「いらっしゃいませー!お好きな席へどうぞ!」

 

客「じゃあここで。メニューはいつもの」

 

つぐみ「わかりました!フルーツタルトとコーヒーの砂糖なしをお願い!」

 

洸汰「了解!フルーツタルトとコーヒーの砂糖なし…と」

 

(数分後)

 

つぐみ「お待たせしました!」

 

客「いつもよりおいしそうなフルーツタルトだね、それじゃあお味は…うん、おいしい!今日はおばさんが作ってないみたいだけど誰が作ってるの?」

 

つぐみ「それは、学校に転入してきたお友達が作ってくれてるんです。今日はお店のお手伝いをお願いしました」

 

客「なるほど、オリジナリティーがあってより一層甘みが引き出されてる感じがするよ。コーヒーとの相性もいいし」

 

洸汰「ありがとうございます、先ほど外に出て果物を買ってきて入れてみたのですが好評なのは作ってる身としては嬉しいです」

 

客「おや、キミがつぐみちゃんが言っていた転入生会かい?」

 

洸汰「はい、趨鈹洸汰です。今日はこちらのお店で仕事を手伝うことになりました」

 

客「オリジナルタルト、おいしかったよ。これはおばさんのタルトにも引けを取らないんじゃないかい?」

 

洸汰「まさか。自分なんて授業で作っていたものに少しばかり改良を入れただけなのに」

 

客「こんなにかっこいい店員さんがいるなんてつぐみちゃんも幸せ者だね。」

 

つぐみ「そ、そんな!今日はお手伝いで来てくれてるだけなのに…」

 

客「はは、それはそれとしてこれお代ね。」

 

つぐみ・洸汰「「ありがとうございました!」」

 

つぐみ「洸汰くんのオリジナルタルト、好評だね。洸汰くんがお手伝いに来たとき限定メニューにしようかな・・・」

 

洸汰「俺がここでバイトを始めるならそれもありかもな。」

 

(カランカラン)

 

つぐみ「いらっしゃいませー・・・あ、イヴちゃん!」

 

イヴ「ツグミさん、おはようございます!今日もブシドーの心得で頑張ります!」

 

洸汰「よ、イヴ」

 

イヴ「コウタさん!?今日はどうしたんですか?」

 

洸汰「昨晩はここに泊まらせてもらってな。そのお礼にでもって思って今日の仕事を手伝ってるってわけだ」

 

イヴ「なるほど・・・これが『一つ屋根の下』ですね!」

 

洸汰「それは違うと思うぞ」

 

つぐみ「イヴちゃん、今日もよろしくね」

 

イヴ「押忍!今日もよろしくお願いします!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【午前11時】

 

(カランカラン)

 

つぐみ「いらっしゃいませー・・・あ、蘭ちゃん達!」

 

蘭「つぐ、いつものお願い。ただひまりのは甘さ控えめで」

 

ひまり「蘭―!私は大丈夫だから―!」

 

モカ「ひーちゃん、この間の勉強会のこと忘れてない―?」

 

ひまり「うっ・・・」

 

つぐみ「それより、いつものメニューだね。イヴちゃんたち、いつものお願い!」

 

イヴ「わかりました!ヒマリの分は甘さ控えめですね!」

 

ひまり「イヴ!?本気にしないでよー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つぐみ「おまたせしました、いつものメニューだよ」

 

蘭「ん、ありがと。あれ、これ頼んでなかったんだけど。」

 

巴「アタシのところにもあるな。これイヴが作ったのか?」

 

モカ「おー、カラフルー」

 

ひまり「うー、見た目は同じだけど・・・本当に甘さ控えめ・・・?」

 

イヴ「いえ、これは私が作ったものではないですよ」

 

蘭「じゃあ誰が作ったの?おじさんとおばさんはもう仕事に出てるんだよね?」

 

洸汰「俺だよ」

 

蘭「え?」

 

巴「洸汰!?」

 

モカ「なんでいるのー?」

 

洸汰「んー、まあ話すと長くなるかもしれないけど」

 

ひまり「聞きたい聞きたい!」

 

つぐみ「ひまりちゃん!?」

 

イヴ「私も聞きたいです!」

 

つぐみ「イヴちゃんまで!?」

 

洸汰「観念して言うしかないな」

 

つぐみ「うう・・・」

 

洸汰「まあ、昨日ちょっとつぐみと一緒にショッピングモールまで海に行くための準備ってことで買い物に行ったんだよ。」

 

蘭「それで?何を買ったの?」

 

洸汰「つぐみの水着とか日焼け止めとか色々だな。」

 

モカ「おー?すーくんがつぐの水着を選んだのー?」

 

洸汰「まあ、二人でちゃんと相談したけどな。で、つぐみも喜んでたし買ってから昼ご飯も一緒に食べた」

 

モカ「ほーほー。」

 

巴「それでどうしたんだ?」

 

洸汰「俺も最初は家に帰るつもりだったんだけど、真燐は弦巻の家に泊まるってことになって」

 

つぐみ「それで、今日は私の家に泊まったらどうかなって誘って・・・」

 

洸汰「で、ちょっとつぐみを弄ったらお返しというかなんというか・・・それでお互いに名前で呼び合うことになったんだ。」

 

蘭「で、それと今の状況とどう関係あるの?」

 

洸汰「泊めてもらってばかりじゃ悪いって俺が仕事を手伝うことにしたんだよ。それで今日のメニューに少しばかり俺がアレンジ入れてみたら思いのほか好評でな。で、これは俺からの普段世話になってる礼みたいなものだ。」

 

蘭「趨鈹、なんか変わった?」

 

巴「だな、なんか雰囲気変わった感じがする。」

 

洸汰「そうか?あまり自覚はないんだけど」

 

ひまり「あーっ!大事なこと忘れてた!」

 

洸汰「どうかしたか?」

 

ひまり「海だよ海!みんな予定とかは大丈夫!?」

 

巴「アタシはこの日なら大丈夫だな」

 

蘭「あたしもこの日なら大丈夫」

 

モカ「モカちゃんもこの日なら大丈夫なのですー」

 

洸汰「この日ならみんな大丈夫そうだしこの日にするか。」

 

ひまり「よーし!そうと決まったら水着買わないと!私も去年のは入らなくなっちゃったから・・・」

 

洸汰「もしかして上原・・・」

 

モカ「太っt」

 

ひまり「言わないで!」

 

蘭「甘いもの食べすぎて太っt」

 

ひまり「だ―かーら―!言わないでー!私が一番わかってるから!」

 

洸汰「だからか・・・さっき甘さ控えめって上原の体重を増やさないためだったのか」

 

蘭「これ以上太ったら体力の低下にもつながりそうだしね。ライブ中に倒れられると困るし」

 

ひまり「だって・・・甘いもの大好きだからついつい食べ過ぎちゃうから・・・」

 

洸汰「こりゃ痩せなきゃ今度の海は上原だけお預けかもな」

 

ひまり「それは嫌!だって楽しみなんだもん!」

 

洸汰「なら少しは痩せる努力をしたらどうだ?スポーツジムに通うとかランニングするとかあるしな。ただするにしてもしばらくは甘いものは禁止だけど」

 

ひまり「うぅー・・・趨鈹くんの目が怖い・・・」

 

洸汰「みんなで楽しむためだろ?そのためなら協力は惜しまない」

 

巴「というかひまり・・・テニス部なんだろ?なんであんなに動いて体重減らないんだ?」

 

洸汰「いや、その後に甘いものを食べるのが原因だろどう考えても」

 

つぐみ「暫くはひまりちゃんのためにメニューを変えないとかな・・・」

 

洸汰「糖分カットなら任せろ」

 

巴「なら運動面はアタシに任せてくれ!」

 

モカ「あたしはひーちゃんの行動チェック―」

 

蘭「じゃああたしは・・・何すればいい?」

 

洸汰「モカと一緒に上原の行動をチェックしてくれ。モカ一人じゃ不安要素がある」

 

蘭「わかったよ。じゃあ今日から早速やろうか」

 

ひまり「今日から―!?明日から!明日からやるから!」

 

蘭「それ、ひまりが言っても何度も後回しにしてきたよね?今回はちゃんとやってもらうから」

 

ひまり「つぐー!趨鈹くーん!助けてー!」

 

つぐみ「頑張って、ひまりちゃん!」

 

洸汰「俺は食生活面でサポートするから俺は今回ばかりは上原以外の味方だ、悪く思うな」

 

ひまり「そんなー!」

 

蘭「じゃああたし達は行くから。これ、代金。」

 

洸汰「ちょうどだな、また今度なー」

 

モカ「今度来たときはゆっくりすーくんのメニュー食べさせてねー」

 

洸汰「またここで仕事するならな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【午後5時】

 

つぐみ「今日の分の仕事は終わりだよ、二人ともお疲れ様」

 

イヴ「コウタさんもツグミさんもお疲れ様です!私は今日はオサラバします!ニンニン!」

 

洸汰「うーん、夏に差し掛かるといってもこの夕方に女の子、しかもアイドルを一人で帰すのは危険だろうし俺がついていくよ」

 

イヴ「ではボディガードをお願いします!では着替えてきますね!」

 

 

 

 

 

 

 

つぐみ「どうだった?初めてのここでの仕事は」

 

洸汰「向こうでもバイトはしてなかったから少しハードかと思ったけどそんなことはなかったかな。久しぶりにスイーツとか作ったし、新しいレシピも思いついたからこれは帰りに材料を買って真燐に作ってあげるか」

 

つぐみ「それならここに・・・あった。はいこれ、ここのメニューだよ。わたしがメモ帳に写しておいたからこれを元に作ってみて」

 

洸汰「ありがとな、つぐみ。」

 

つぐみ「あの・・・洸汰くん」

 

洸汰「なんだ?」

 

つぐみ「これからも時間がある時でいいからうちの仕事を手伝ってみない?」

 

洸汰「つぐみの店の手伝い?バイトってことか?」

 

つぐみ「うん、そんな感じ。今日のオリジナルメニューも好評だったし、洸汰くんがいてくれた方がお母さんたちの負担も減るかもしれないし」

 

洸汰「そうだな・・・いいかもしれないな。仕事に来るときは連絡入れるからその時はよろしく頼む。つぐみの父さんと母さんにもよろしくな」

 

つぐみ「そうだ、これも忘れてたよ」

 

洸汰「これ、今日のバイト代ってことか?こんなの受け取れないよ。俺が手伝うって言いだしたんだし」

 

つぐみ「でも、お客さんもみんな大喜びだったし・・・お客さんたちと私からのささやかな気持ち・・・ってことにしておいてくれないかな?」

 

洸汰「それでも、やっぱり受け取ることはできない。俺はお金が欲しいから仕事を引き受けたわけじゃない。つぐみが困ってるから助けただけだ、それにお客さんの笑顔を見れただけでも満足だしな」

 

つぐみ「・・・そっか。そこまで言われたら渡すに渡せないね・・・ごめんね、洸汰くん。目の前のことに集中して肝心なことに気がついてなかったかも・・・」

 

洸汰「つぐみが謝ることじゃない。俺だって結構楽しかったからな。こういう仕事なら大歓迎だ」

 

イヴ「2人して何をお話してるんですか?」

 

洸汰「俺も時間が空いた時にここの仕事を手伝うことになったんだよ」

 

イヴ「本当ですか!!コウタさんがいてくれれば1000人力です!」

 

洸汰「それじゃあつぐみ、俺はイヴを送ってそのまま帰るぞ。またな」

 

つぐみ「それじゃあ・・・またね洸汰くん。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【イヴの家への帰り道】

 

イヴ「今日はお仕事お疲れさまでしたコウタさん!」

 

洸汰「イヴもお疲れ様」

 

イヴ「少しあまりものだったんですがコウタさんの作ったスイーツをいただきました。すごくおいしかったです!」

 

洸汰「そうか、それはよかった。女性客が多かったから女性に会いそうなスイーツにアレンジしてみたけど好評でよかったよ」

 

イヴ「それにしても、ツグミさんのあんなにうれしそうな顔は今までに見たことがありませんでした!」

 

洸汰「そうだったのか?俺は厨房にいたからあまり見えなかったけどそんなにうれしそうだったか?」

 

イヴ「はい!太陽のように輝いた笑顔でした!」

 

洸汰「太陽のように輝いた笑顔・・・ね。そう言われると少し痒いな」

 

イヴ「あの、コウタさん。」

 

洸汰「?どうかしたか若宮」

 

イヴ「ツグミさんのこと、洸汰さんができるだけ支えてあげてくれませんか?」

 

洸汰「俺が?」

 

イヴ「はい!今日のツグミさんを見て分かったんです!ツグミさんはコウタさんと一緒にいるとあの笑顔はもっと輝くと思うんです!」

 

洸汰「・・・たしかにあの笑顔は絶やさせちゃいけないな。はあ・・・なんだか重大なことを頼まれたような気がするな」

 

イヴ「?」

 

洸汰「なんでもない」

 

イヴ「着きました!ここが私の家です!」

 

洸汰「大きいな・・・さすが外国。」

 

イヴ「では改めて、お疲れさまでしたコウタさん!」

 

洸汰「改めて、お疲れ様若宮」

 

そう言って俺と若宮は別れた。若宮が家に戻る際に若宮が見せた笑顔は太陽とはまるで反対の月のように輝いていた・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ルミィ「いかがだったでしょうか?」

巴「つぐの家で仕事を始めるなんて洸汰も変わったな、バイトとかしたことないってわりに料理上手かったし」

ルミィ「この小説内では多分料理がうまい人5位以内に入っているのはないでしょうか」

巴「そんなにかよ!ん?洸汰が5位なら他の人は誰なんだ?」

ルミィ「1位はリサ姉、2位は沙綾、3位は美咲、4位はひまり。こんな感じだな。」

巴「あー、わかるかもな。ひまりから偶におかずのおすそ分けをもらうけど結構おいしいし、リサさんも家庭的だしなー」

ルミィ「沙綾と美咲は妹と弟がいるっていうし面倒見いいからね。ああ、一度でいいから1週間でいいからお泊りしたい…」

蘭「(主、欲出しすぎでしょ・・・どれだけ行きたいの?)それじゃあお疲れ様」


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8話:新しい楽しさ

ルミィ「今日のゲストはこの人―」

ひまり「ひまりちゃん、さんじょ―!」

ルミィ「モカちゃん以上に張り切ってるねひまりちゃん」

ひまり「だってリーダーの私より蘭と巴、モカが先に出てきてるんだもん!」

ルミィ「いやー、だって最初のうちはきっかけを作ったメンバーからゲスト参戦してもらった方がいいと思いましたし?」

ひまり「もー!こうなったらコンビニスイーツをやけ食いだー!」

ルミィ「あのー、失礼ながらひまり様?」

ひまり「何ー?」

ルミィ「まだコンビニスイーツお預け期間がまだ終わってないんですけど」

蘭「そういうこと。主さん、ひまりは一回連れて行くから進めといていいよ」

ルミィ「サンキュー蘭ちゃん」

ひまり「この人でなし―!」

ルミィ「じゃあ本編へまいりますかー」


 

 

 

 

 

 

 

 

 

7月30日

 

今日はAfterglowのメンバーと一緒に海に行く日だ。一度つぐみの家に移動してから近くの駅までタクシーに乗って移動し、駅から目的の駅まで1時間くらい電車で移動して一度泊まるコテージに荷物を置いてから2人一組になって適当にふらつくスケジュールになっている

 

 

 

 

 

 

 

 

【午前10時:羽沢珈琲店前】

 

洸汰「・・・これは待ち合わせ時間を早くしすぎたか?」

 

つぐみ「まあまあ・・・大丈夫だよ洸汰くん。というか洸汰くんはうちに泊まってたから大目に見てあげようよ」

 

洸汰「でも朝の10時って早すぎた感じがしてな…おっと」

 

蘭「ごめん、モカが寝坊したから遅れた。」

 

ひまり「モカー!今日海に行くって決めてたから早く起きてよー!」

 

巴「まあモカだしな・・・でも今日に限って珍しいなモカ。昨日は何してたんだ?」

 

モカ「うーんと・・・昨日はバイトが深夜までシフト入っててー、それで家に戻ってから寝落ちするまでずっとモバイルゲームしてたー」

 

洸汰「・・・蘭」

 

蘭「わかってる。モカ、今日と明日はモバイルゲーム禁止。」

 

モカ「およよー・・・モカちゃん大ショック―」

 

巴「まあ当然の報いだよな・・・」

 

洸汰「そろそろタクシーが来るだろうから荷物を持って待つぞ」

 

つぐみ「うん!」

 

 

道中、タクシー内で電車の席に座る際の席順を決めるくじ引きをした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【電車内】

 

洸汰「・・・やっぱりくじ引きじゃなくて普通に話し合うべきだったな」

 

蘭「うん・・・そうするべきだったね。あたしも言うべきだったよ。洸汰ごめん」

 

気になる席順は・・・

 

「前  蘭 俺(洸汰) つぐみ

 

後  モカ 巴 ひまり」

 

こうなっている。蘭とモカを正面にしたのは蘭も運がなかったな・・・(ちなみに席は回転できて、席が向かい合ってるという状況)

 

洸汰「これから1時間途中の駅に止まらず目的の駅まで暇だな・・・ん?」

 

気が付いた時にはひまりとつぐみが眠そうな顔をしていた

 

洸汰「つぐみと上原は眠いのか?」

 

つぐみ「うん・・・私は朝早くに起きてから店の仕込みを手伝ったから・・・」

 

ひまり「私は今日が楽しみで1時間ごとに起きてたから眠くて眠くて…」

 

洸汰「こりゃ二人は目的の駅に着くまで寝せた方がいいかもしれないな。向こうで寝ると出かけれないし・・・」

 

蘭「じゃああたしとひまりの席替えする?」

 

洸汰「いいのか?」

 

蘭「別に大丈夫だから(モカの正面だとあたしがつらいし)。ほらひまり、一回立って。」

 

ひまり「眠い・・・」

 

洸汰「こっちの席に座ってからなら寝ていいぞ」

 

ひまりと蘭席交換中・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

洸汰「上原がこっちの席に来てから二人とも寝たな・・・上原は今日と明日を楽しみにしていたんだろうし、つぐみも出発した駅に着くまで楽しそうにしていたしよほど楽しみにしてたんだな・・・」

 

そう、上原は俺の肩に寄り添う感じに、つぐみは俺の膝に頭を置く、所謂膝枕の状態で寝ている。

 

巴「本当に二人とも嬉しそうな顔で寝てるな。これは明日の海で思い切り楽しまないとな!」

 

モカ「ともちん、シー。つぐもひーちゃんも寝てるんだから」

 

蘭「そういう巴だってつぐの家に集まるまでに楽しそうにしてたじゃん。」

 

洸汰「なんだかんだ言って、みんな楽しみにしてたんだな。蘭も楽しそうな表情してるし」

 

蘭「べ、別に楽しそうな顔なんてしてないし・・・」

 

モカ「おー、すーくん蘭の扱いうまーい」

 

洸汰「別に顔を見ただけで考えてることが分かっただけだよ」

 

蘭「というかさ、いつまで趨鈹はあたしたちのことを名字で呼んでるの?もう3ヶ月も一緒にいるのにまだ名前呼びなのはなんか気になるし」

 

洸汰「あー、それもそうか・・・改めてよろしくな蘭、巴、モカ、ひまり、つぐみ」

 

蘭「うん、やっぱり名前で呼ばれた方がしっくりくるね。改めてよろしく、洸汰。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【目的の駅内】

 

洸汰「おーいひまり、つぐみ。起きてくれ、目的の駅に着いたぞ」

 

ひまり「もう目的の駅ー・・・?早い・・・」

 

つぐみ「zzz・・・」

 

蘭「つぐみ、早く起きて。みんな待ってるから」

 

つぐみ「zzz・・・」

 

洸汰「こりゃ一回コテージまで連れて行かないとダメだな・・・仕方ない、俺がつぐみをおんぶしていくからみんなは先に行っててくれ。」

 

巴「じゃあアタシたちは先に行ってるからな!」

 

モカ「お先に―」

 

 

 

 

洸汰「よっと・・・つぐみ、しっかり掴まっててくれ」

 

こうして俺はつぐみをおんぶして駅からさほど遠くない、予約していたコテージに着いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【午後12時:コテージ】

 

蘭「洸汰、駅からここまでお疲れ様。つぐの布団を敷いてるからつぐを寝かせてあげて」

 

洸汰「そうしたいんだが、俺一人で降ろすとつぐみを落っことしそうだから誰か手伝ってくれると助かる」

 

巴「じゃあアタシとひまりでつぐを寝かせるか。ひまり、そっち持ってくれ」

 

ひまり「りょうかーい。つぐ、ちょっとごめんね」

 

つぐみ「zzz・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

蘭「これでこっちに置く荷物は置き終えたね。これからどうする?」

 

洸汰「つぐみが寝るのが予想外だったからな・・・近くに二人一組で買い物しにしても一人は余っちゃうし、二人一組と三人一組で分かれるか・・・組み合わせはどうする?あとコテージの鍵をだれが預かっておくかも決めないと」

 

巴「鍵は洸汰が持っておいてくれないか?洸汰に預けた方が安心だろうし」

 

モカ「さんせー」

 

ひまり「じゃあ後は組み合わせだね!はい、割り箸に印をつけておいたよ!」

 

洸汰「じゃあ全員で一斉に引くか。せーの」

 

「「「「はい!」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【午後1時:商店街】

 

洸汰「くじ引きとはいえまさかこうなるなんてな」

 

蘭「ひまり、絶対くじに何らかの仕掛けしてるでしょ…まあ、一回洸汰とこうして買い物に来たかったし嬉しいけどさ」

 

洸汰「それならそう言ってくれればよかったのに、買い物なんて俺が暇なときはいつでも付き合うぞ」

 

蘭「いや、こうしてお出かけ先で買い物をしたかったってことなんだけど」

 

洸汰「それならそうって言ってくれていいのに。素直じゃないな蘭は」

 

蘭「素直なあたしなんて誰得?」

 

洸汰「さて、誰得なんだろうな。少なくともモカは得してるだろ」

 

蘭「モカはあたしのこと弄ってくるだろうし却下で。洸汰はどうなの?」

 

洸汰「素直な蘭も見てみたいけどな。というかこれ、明日じゃないか?」

 

蘭「何?『明日、この商店街でお祭りやります!時間がある方はぜひお越しください!』だって。浴衣を持ってきてない人は貸してくれるみたいだけど」

 

洸汰「俺は浴衣なんて持ってきてないしな・・・蘭たちは?」

 

蘭「あたし達は明日の夜に花火しようってモカが言い出したから浴衣は持ってきてるよ。じゃあ洸汰だけ浴衣は持ってきてないことになるね」

 

洸汰「でも浴衣を借りたらまた返さなきゃいけないし俺はお出かけの服でお祭りに参加することにするよ。浴衣で来いって決まってるわけじゃないし」

 

蘭「それもそっか。」

 

洸汰「それに、花火は明日ならいつでもできるしお祭りを抜け出してできるだろうしな。」

 

蘭「洸汰、あの店寄らない?お父さんとつぐに買って帰りたいし」

 

洸汰「雑貨店か。そこなら真燐に買っていくのもありだし行くか」

 

そう言って俺は蘭の手を握って雑貨店に入った

 

蘭「い、いきなり何してんの!?」

 

洸汰「人混みに流されたりしたら探すのが大変だろ?それに蘭が一人で買ってもつぐみが必ず喜ぶわけじゃないし、こういうのは二人で探した方がいいんじゃないか?」

 

蘭「だからって手を握るなんて…まあいいけど。」

 

洸汰「じゃあ探して回るか。」

 

蘭&洸汰、買い物中・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

蘭「たくさん買いすぎたような気もするけど、つぐもお父さんも喜んでくれるんじゃない?」

 

洸汰「だな。これだけ買えば真燐も喜んで・・・あ」

 

蘭「どうかした、洸汰?」

 

洸汰「いや・・・この間真燐に蘭たちと海に行くって話をしたら、真燐たちも海に行くとか言ってたのを思い出してな。それも弦巻たち、ハロハピのメンバーと。あいつら、もしかして俺たちと同じところに遊びに行くとかないよなって思ってな・・・」

 

蘭「いや、さすがにそんなことはないんじゃない?日程も場所も同じなんて、あたし達の行動を全把握してないと無理だし」

 

洸汰「第一あいつらが俺たちをずっと監視することなんてありえないだろうしまあだいj・・・」

 

真燐「あれ、兄さんと美竹さん。こんなところで何してるんですか?」

 

洸汰「ゑ?」

 

蘭「・・・真燐?」

 

美咲「真燐さん・・・急に走らないで・・・あれ?洸汰さんと美竹さん?」

 

洸汰「・・・ウソだろ」

 

蘭「・・・なんでこう嫌な予感って当たるんだろうね。じゃあひまりたちの方にも・・・」

 

はぐみ「たぶん、一緒にいると思うよ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

所変わってひまり&モカ&巴side

 

こころ「巴ー!こんなところで奇遇ね!」

 

巴「こころ!?」

 

花音「あれ、ひまりちゃん?」

 

ひまり「花音さん!?」

 

薫「おや、こんなところで会うなんて私たちは運命共同体というものだろうか・・・儚い」

 

モカ「おー、薫せんぱーい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さらに所変わって蘭&洸汰side

 

洸汰「・・・まさかさっき話してたことが現実になるなんてな」

 

蘭「だよね。というかすごい偶然じゃない?」

 

真燐「私たちも今日と明日はみんな都合がよくて来ることに敷いたんだけどまさか兄さんたちと会うなんて…」

 

美咲「こころには黒服は呼ばないでって言っておきましたけどこんな簡単に会うのってなかなかないですよ」

 

はぐみ「だね!こうくんたちと会うなんてすっごい偶然!」

 

蘭「なんか一気に騒がしくなったね洸汰。これからどうする?」

 

洸汰「もう少し出歩くか。真燐、奥沢、北沢、またな」

 

真燐「うん、またね兄さん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

洸汰「なんか今日は散々だな・・・今日の運勢とかはテレビで見てなかったからちょっと確認するか。」

 

洸汰運勢確認中・・・

 

洸汰「・・・やばい」

 

蘭「どうしたの・・・ってこれ本当なの?」

 

画面に映っていたのは・・・「今日誕生日のあなた!今日は意外な人たちと出くわすハプニングな日!何が起こるかわかりません!」とあった。

 

蘭「・・・当たってない?」

 

洸汰「・・・当たってるな。占いなんて信じなかったんだけどこれはひどい」

 

蘭「ところでさ、真燐たちが泊まるところ聞いた?」

 

洸汰「そういえば聞き損ねてたな・・・ところでこれからどうする?」

 

蘭「そうだね、そろそろいい時間だしコテージに戻ろうか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【午後5時:コテージ】

 

洸汰「つぐみ、今戻・・・た?」

 

花音「あ、あれ?洸汰くんと蘭ちゃん・・・?」

 

つぐみ「あれ、洸汰くんと蘭ちゃん。今戻ってきたんだね」

 

蘭「つぐ、これは一体どういうこと?」

 

コテージに帰った俺たちを待っていたのは・・・俺と蘭を除いた羽丘メンバーと真燐+ハロハピメンバーだった・・・占い当たりすぎじゃないか?いやたしかにあの時予約したコテージはだいぶ広いのだったけどな?普通に12人泊まれるとかどういう大きさだよ・・・

 

洸汰「結局は普通のメンバーになったな・・・といっても普通と言っていいのかは疑わしいが」

 

はぐみ「それってどういうことー?」

 

洸汰「お前と弦巻のことだよ。あと弦巻、黒服の人たちはさすがに呼んでないよな?」

 

こころ「呼んでないわ!みんなで楽しむのに黒服さんたちがいてもいつもの私たちになっちゃうでしょ?」

 

洸汰「そこの辺はしっかりしてるのな、普段はハチャメチャなのに。」

 

モカ「ハチャメチャってどういうこと―?」

 

蘭「モカは知らなくていい」

 

美咲「まあ・・・それは置いておいてそろそろ夜食にしましょうか。」

 

花音「お腹減っちゃった・・・」

 

真燐「たしかにお昼は食べましたけどあれだけ動けばお腹が減りました・・・」

 

洸汰「ならそろそろ作るか。さすがに俺一人じゃ無理そうだから・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

蘭「まあこの人数分を洸汰一人に任せるわけにはいかないし手伝うよ」

 

花音「私も弁当を自分で作ったりしてるから多少は作れるけど・・・あまり期待しないでね・・・」

 

とまあ、蘭と松原さんに夜ご飯の手伝いをしてもらうことにした。何人分かって?

・・・18人分だよ。モカも北沢もいるだろ?北沢がどれくらい食べるのは知らないけどモカは・・・な。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「ごちそうさまでした」」」」」

 

モカ「意外にいけちゃいますなー」

 

洸汰「6人分くらい食べたお前が言ってもなにも説得力なんてないぞ」

 

蘭「そうだよモカ。時々他の人の皿から取ってたよね?」

 

モカ「おやー?バレちゃったー?」

 

洸汰「モカだしこれくらいは目をつぶってやるが・・・あまりやりすぎるなよ?」

 

モカ「はいー」

 

洸汰「で、これからどうする?まだ寝る時間じゃなさそうだしトランプとかするか?」

 

薫「それならここにいいものがあるよ。とても儚くて面白そうなのがね」

 

洸汰「麻雀か・・・まあ悪くはないかもだけどルールを知ってる人はどれくらいいる?」

 

蘭「あたしはできなくはないけど点数計算は無理」

 

つぐみ「私も蘭ちゃんと同じで役の作り方は知ってるよ」

 

美咲「あたしもたまにやったりするのでできますね」

 

洸汰「じゃあ俺と蘭とつぐみと奥沢の4人で麻雀するか。他のメンバーは・・・」

 

こころ「こんなのがあったわ!」

 

洸汰「ツイ〇ターゲーム・・・おいこれ本当に大丈夫か?というかどこから持ってきた」

 

薫「私がホビーショップから買って来たんだ。これは儚いだろうからね・・・」

 

洸汰「あー、確かにこれは儚いですかね(主に精神が儚く散りそうという意味ですけど)」

 

はぐみ「じゃあさっそくやろうよ!最初はー・・・」

 

蘭「こっちはセッティングできたから早くやろうよ」

 

洸汰「オッケー、やるか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とまあ、こんな感じに俺たちは遊んだ。麻雀チームは勝ったり負けたりが続き、ツイ〇ターゲームチームは途中から声にならない悲鳴を上げてたけどな・・・




ルミィ「いかがだったでしょうか?」

ひまり「海・・・」

ルミィ「そんなに落ち込まなくてもいいじゃない、だって次は海回」

ひまり「海!!」

ルミィ「いや、海回すっ飛ばしてお祭り回かも・・・」

ひまり「海・・・」

ルミィ「(ひまりちゃんいじるの楽しい)」


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9話:新しい感情

ルミィ「今日のゲストはこの人でーす」

つぐみ「ど、どうも!羽沢つぐみです!」

ルミィ「そんなに緊張しなくても大丈夫でだよつぐみちゃん。最初は誰でも緊張するものだからね」

つぐみ「そ、それはそうですけど・・・こういうのに呼ばれるのって滅多にない機会なので・・・」

ルミィ「そうだね、これを期に慣れないことへの耐性をつけるというのはどうかなと思うんだけど」

つぐみ「そ、そう考えれば何とか頑張れるかも…よーし、頑張るぞー!」

ルミィ「おーう、これはまたツグってますなー。ツグりすぎて倒れないようにしようねー」


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

7月31日

 

【午前8時:コテージのテラス】

 

洸汰「うーん・・・昨日はよく眠れたな。珍しく真燐の猫かぶりもなかったし。早く猫かぶりから脱してほしいんだが・・・いつまでも止めることができるわけじゃないし」

 

(ガチャ)

 

つぐみ「あれ、洸汰くん?もう起きてたんだ、早いね」

 

洸汰「そういうつぐみもな。眠れなかったか?」

 

つぐみ「そういうわけじゃないよ。今日は平日だし学校に行くときの癖が抜けないのもあるし、家の仕事を手伝うときはこういう時間に起きてることが多いから・・・」

 

洸汰「所謂職業病ってやつか、俺は最近バイトを始めたからよくわからないけどそんなものなのか?」

 

つぐみ「そんなものだよ?」

 

洸汰「んー…やっぱり俺にはどんなものなのかわからないな・・・」

 

(ガチャ・・・)

 

蘭「あれ、つぐみも洸汰ももう起きてたんだ。もう朝食ができてるからみんなで食べようかって回ろうかと思ってたんだけど」

 

洸汰「そうか、今行く。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【午前8時30分:コテージリビング】

 

洸汰「ごちそうさまでした」

 

蘭「ごちそうさま。偶にはこういうのもいいよね」

 

モカ「いつもより美味でしたー」

 

ちなみに今日の朝食係はひまり、弦巻、羽沢、瀬田先輩だった。昨日のツイスターゲームでどの組が早く倒れるかって競いあったらしくひまりたちが早く倒れたというのでその罰ゲームで今日の朝食を作ることになったのだとか。蘭と巴が言うには『なんか楽しそうに作ってるから期待してて大丈夫』だという。気になるお味のほどはというと・・・

 

つぐみ「これおいしかったよ!うちの店の新メニューにしたらどうかな洸汰くん?」

 

洸汰「朝からスイーツはどうかと思ったけどこれなら低カロリーでダイエット中に食べれるからいいかもしれないしな。」

 

モカ「その時は来た時に頼むかも―」

 

ひまり「私も―!」

 

巴「ひまりはもう少ししてからだな。まだスイーツのお預け期間があるし」

 

ひまり「じゃあ終わったら食べに行くから!」

 

美咲「というか、これ作ったの誰ですか?」

 

薫「私だよ。私はそれなりに料理を作ることができてね・・・偶に新作を作ったりしてるのさ。儚い・・・」

 

花音「薫さんだったんですか・・・?もしかしたらひまりちゃんと一緒に作ったらプロも顔負けのスイーツが作れるんじゃ・・・」

 

ひまり「それです花音さん!薫先輩、今度時間がある時に一緒に新作スイーツを作りましょう!」

 

薫「構わないさ、子猫ちゃんの頼みとあらば」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とまあ、こんな感じにスイーツの感想がコテージ内に響き、ひまりは特に楽しそうだった。瀬田先輩はひまりにとっては憧れみたいなものらしい(本人談)

 

 

そして朝ご飯を食べてから海にいくのは体に悪いと俺が言ったのでそれまで適当にコテージで話とかをしながら時間まで暇をつぶした・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【午前10時30分:海】

 

洸汰「早く来すぎたか。まあ俺は海パンを履くだけだったから時間はそんなにかからないけど・・・」

 

真燐「お待たせしました兄さん」

 

こころ「待たせたわね、洸汰!」

 

花音「お、お待たせしました・・・」

 

美咲「やっぱり洸汰さんは早いですね」

 

薫「儚くはないが、これは早い・・・」

 

はぐみ「はぐみが一番乗りだと思ったのにー・・・」

 

蘭「・・・やっぱり恥ずかしいんだけど」

 

モカ「蘭もあたしもいつも通り―」

 

巴「まあ蘭の気持ちはわからなくないけどな。アタシはあこと偶にプールまで行くし慣れてるからいいんだけど」

 

ひまり「少し小さい・・・もう少し大きいのにすればよかったかな・・・」

 

つぐみ「洸汰くんがこの水着を選んでくれたのはいいけどやっぱり恥ずかしいよ・・・」

 

洸汰「みんなで来たのか、別々に来ると思ってたんだけど。というかひとついいか?」

 

こころ「何かしら?」

 

洸汰「俺たちの他に人っ気が一つもないんだが」

 

こころ「そうよ?ここはあたしたちのプライベートビーチなのよ!」

 

洸汰「・・・はい?」

 

美咲「あー、言ってませんでしたね・・・ここはこころ・・・基弦巻家のプライベートビーチなんです。」

 

洸汰「・・・もう驚かないけどな、だんだん慣れてきたし」

 

ひまり「それより、もう海に飛び込んでもいい!?いいよね!?いいよね!?」

 

洸汰「ちゃんと準備運動してからな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つぐみ「そういえば砂浜に座ってるけど洸汰くんは泳がなくていいの?」

 

洸汰「俺は見てるだけでも楽しめるからな。みんなが楽しそうにしてるだけでも俺は満足だよ」

 

つぐみ「でも洸汰くん、学校では部活に入ってるわけじゃないし生徒会の仕事のお手伝いばかりで運動してないよね?そんなんじゃ体が鈍っちゃうから一緒に泳ごう?」

 

洸汰「大丈夫だって、たまに家で腕立て伏せとかしてるし」

 

つぐみ「えーい!いいから洸汰くんも一緒に泳ごうよ!みんな待ってるから!」

 

洸汰「お、おいつぐみ・・・!わかった、わかったから手を離してくれ、このままだと勢いd・・・」

 

(バッシャーン!)

 

洸汰「わっぷ!潮水を顔から被ったな・・・ったく。」

 

つぐみ「一人だけ砂浜でじっとしててもつまらないでしょ?それにみんなで海に来たんだから誰か一人が別のことをしてたら思い出にならないし」

 

洸汰「わかったよ、とりあえずさっきのお返しな」

 

(バシャッ!)

 

つぐみ「わっ、冷たいよ洸汰くん!私もお返し!」

 

洸汰「美咲ガード!」

 

美咲「えっちょっと洸汰s」

 

(バシャァ!)

 

美咲「やりましたねー?あたしからお返しですよ」

 

(バシャァ)

 

美咲「あ、あれ洸汰さんがいない?一体どこに・・・」

 

洸汰「呼んだか?」

 

美咲「あ、あれ洸汰さんいつの間にそk」

 

(バシャァ!)

 

花音「ひゃあ!」

 

美咲「花音さん!大丈夫ですか?」

 

洸汰「隙だらけなのが悪いんですよ松原さん。」

 

こころ「洸汰、隙ありよー!」

 

(バシャァ!)

 

洸汰「やったな、お返しだ弦巻!」

 

はぐみ「そういうこうくんだって隙だらけだよ!はぐみの『特大潮水バスター』をくらえー!」

 

(バシャァ)

 

蘭「・・・洸汰ー?」

 

洸汰「悪いな、俺だけじゃ受けきれなかったからついやってしまった」

 

蘭「・・・覚悟してよね。」

 

そんなこんなで長い時間みんなで水をかけあって遊んだ。昼は一旦コテージに戻り昼食をはさんだ後にまた海に行った。途中何名かダウンしそうなのがいたから砂浜にさしていた大きめのビーチパラソルの陰に連れていったりした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【午後4時:砂浜】

 

洸汰「そろそろお祭りに行く準備をした方がいいかもな、確か6時半くらいに向こうに着く予定だったか?」

 

ひまり「あれ、もうそんな時間!?早く浴衣に着替えて行かないと!」

 

巴「お祭りなら早くいかないとな!ソイソイソイヤッ!」

 

はぐみ「なら早く行く準備しないと!コテージにいっそげ―!」

 

洸汰「お前たち、シャワー浴びるの忘れるなよ。潮水で体中ベトベトだし・・・つぐみは大丈夫か?」

 

つぐみ「ちょっとはしゃぎすぎたかも…少し足が疲れて動けないかな・・・」

 

洸汰「なら俺がコテージまで背負ってやるから乗ってくれ」

 

つぐみ「ごめんね洸汰くん・・・」

 

洸汰「少し寝るなりして休んでろ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【午後6時:コテージ】

 

洸汰「こんな服装でいいだろ、お祭りに行くのは予想外だったけど予備を持ってきておいて正解だった」

 

蘭「お待たせ、洸汰。」

 

洸汰「お、みんな来たな。それじゃあ行くか」

 

洸汰以外のメンバー「「「「「うん(はい)!」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【午後6時30分:お祭り会場】

 

洸汰「きっちり時間通りに着いたな。真燐たちのおかげだな」

 

真燐「昨日にコテージからここまでの最適ルートと時間を調べてたので。」

 

洸汰「サンキュー。さて、この人数で固まって動くのはあれだし・・・二人一組がいいかもな。くじはこりごりだから誰と回りたいかせーので指さしてくれ。せーの!」

 

で、決まったペアは・・・

 

つぐみ・俺(洸汰)ペア、蘭・美咲ペア、ひまり・薫ペア、こころ・巴ペア、花音・モカペア、はぐみ・真燐ペアとなった。(実はすんなり決まった)

 

洸汰「じゃあこの組み合わせで回るか。何かあったら誰にでもいいからケータイに連絡を入れること。もし相方と逸れた場合は神社で落ち合うこと。夜9時30分になったらコテージの近くの砂浜に集まること。この3つを決めておくか。」

 

蘭「了解。じゃあ行こうか美咲」

 

美咲「よろしくお願いします美竹さん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【お祭り会場】

 

洸汰「それにしても驚いたな」

 

つぐみ「何が?」

 

洸汰「つぐみは俺とかよりひまりや松原さんと一緒に回ると思ってたのに」

 

つぐみ「・・・洸汰くんの鈍感」

 

洸汰「?」

 

つぐみ「それより早く行こう?」

 

洸汰「お、おいつぐみ…!?」

 

そう言ってつぐみは俺の手を握ってお祭りの屋台を見て回って焼きそばやお面屋さんなどお祭りの定番ともいえる出店を行ったり来たりした。途中ベンチに座って買ったものを食べてはまた動いたりと結構連れまわされた。それにしてもつぐみ・・・さっき『俺の鈍感』って言ったけど・・・何のことなんだ?もしかして昔の記憶と何か関係があるのか?そうだとしたら…早く思い出してつぐみ達を安心させないとだな。そう考えてるうちにつぐみは俺の手を引いてある場所に向かった・・・その場所は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【午後9時:神社】

 

洸汰「ここって逸れた時のための待ち合わせ場所の神社だよな?こんなところに連れてきてどうしたんだつぐみ?」

 

つぐみ「・・・」

 

洸汰「つぐみ?」

 

つぐみ「洸汰くん・・・私のこと、どう思ってるの?」

 

洸汰「どうって・・・大切な友達だよ。最初に俺たちが羽丘学園の校舎前で会ってから、その日の昼休みに俺を昼ご飯に誘ってくれただろ?それからつぐみの家に泊まったりつぐみの家の仕事を手伝ったり…」

 

つぐみ「そういうことじゃなくて・・・私のこと、好き?」

 

洸汰「・・・ごめん、その質問の真意がわからない。好きとか嫌いとか…今まで考えたことがないんだよ」

 

つぐみ「・・・じゃあこれは何?」

 

そう言ってつぐみは自分の手を俺の胸にあててきた

 

つぐみ「洸汰くん、今日ずっと私とお祭りを見て回ってる間、私にはこの鼓動の音が聞こえてたんだよ。洸汰くんは聞こえなかったかもしれないけど・・・私にはずっと聞こえてた。」

 

洸汰「・・・そう言われても俺には何のことかさっぱりわからない」

 

つぐみ「・・・これだけ言ってもわからないなんて、真燐ちゃんから聞いてた通りの鈍感さんだね洸汰くんって」

 

洸汰「真燐から聞いた?・・・さっきから何を言ってるんだつぐみは」

 

つぐみ「・・・洸汰くん」

 

洸汰「なんだ?つぐみ」

 

つぐみ「私は洸汰くんのことが好きなんだよ。学園の校舎前で会った時・・・ううん、初めて一緒に遊んだ時からずっと。私の家で一緒に仕事してくれてる洸汰くんを見て私はもっと洸汰くんのことが知りたいと思ったりもしたよ。だから・・・私と・・・つ、付き合ってください!!」

 

洸汰「・・・悪いけど『今は』それに返事をすることができない。」

 

つぐみ「・・・もしかして蘭ちゃんたちから告白されてる・・・とか?」

 

洸汰「そうじゃない。まだ俺は昔のことを思い出せてないし、まだつぐみの事をいっぱい知ってるわけじゃない。だから・・・俺の答えが出るまで待ってくれないか?」

 

つぐみ「・・・わかったよ、約束だからね?洸汰くんがまだ昔のことを思い出せなかったのならあの時の約束も思い出せてないってことだから・・・」

 

洸汰「・・・悪いなつぐみ、返事を保留することになって。」

 

つぐみ「ううん、気にしないで。いきなり告白した私も私だし・・・でもこういう事をするくらいならいいよね?」

 

そう言ってつぐみは再び俺の手を握ってきた

 

洸汰「・・・別にこういう事なら大丈夫だけどな。ただ他の人の前でつなぐことは控えてくれると助かる」

 

つぐみ「そ、それはさすがに自重するよ!それじゃあみんな待ってるだろうから砂浜まで行こう?」

 

洸汰「ああ、そろそろいい時間だろうしな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから俺たちは昼過ぎまで遊んだ砂浜まで手を繋いで移動した。俺たちが砂浜についてから少し時間が経ってみんなが集まった。蘭たちに言われるまで俺たちは手を繋いでたようで、言われて気が付いたつぐみはパッと手を離した。それから少しの間俺は蘭から『少し話をしようか』と言われお祭りのから今に至る経緯を蘭に話した。最初は少し説教を受けるかと思ったけど蘭も真燐に俺の鈍感さを聞いてたらしく、呆れられた。その話をこっそり聞いていた真燐からも呆れられた

 

 

 

 

 




ルミィ「いかがだったでしょうか?」

つぐみ「うぅー…頑張って告白したのに返事を保留されちゃった・・・」

ルミィ「普通はそんなものだよつぐみちゃん。誰だっていきなり言われると迷うし、告白されるとなるとなおさらだと思うからね」

つぐみ「でも洸汰くん、大丈夫かな・・・?まだ昔のこと、思い出せてないんだよね?」

ルミィ「一度忘れると思いだすのは苦労しますからね、私も昔のことを忘れたりしたものですが少しのキッカケでフラッシュバックとまではいきませんが思い出したりします」

つぐみ「主さんも大変ですね・・・でも嫌な思い出とかも思い出したりしないんですか?」

ルミィ「そこまで心配してくれるのかつぐみちゃんは。でも心配はいらないよ、私は嫌なことは寝て次の日に起きたころにはすでに忘れるからね」

つぐみ「そ、それは逆にすごいですね・・・」

ルミィ「それでは今回はここまでです。」

つぐみ「ここまで読んでくれてありがとうございました!」


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10話:新しい行事

ルミィ「どうも、今回のゲストはこの人―」

花音「ふぇぇぇ・・・私なんかでいいのかなぁ…でもなんで私なのかな主さん?」

ルミィ「まあAfterglowとかかわりが深そうですし」

花音「それなら納得・・・かも?」

ルミィ「それにしてもハロウィンに明日香ちゃんと六花ちゃんが出てきたのには驚きましたがね。だがなぜ花音ちゃんがいないっ!(台パン)」

花音「わ、私はたぶん来年あたりに来ると思いますから・・・」

ルミィ「よしそれなら安心だな(手のひら神速返し)」

花音「ふぇっ!?ほ、本編に行きましょう!」


 

 

 

 

 

 

 

 

 

9月1日

 

【午前7時30分:通学路】

 

Afterglowとハロハピ、真燐たちと海で遊んでから1ヶ月経った。夏休みが終わり、俺は日菜先輩に早朝から呼び出され、つぐみと一緒になぜか花咲川学園に向かっている。

 

洸汰「蘭たちも呼ばれるかと思ったけど俺たちだけなのは生徒会だからだろうか」

 

つぐみ「日菜先輩に呼ばれるってことはそういう事だと思うよ洸汰くん。私も去年は日菜先輩に連れまわされたりしたから・・・それも今日みたいな夏休み明けに」

 

洸汰「夏休み明けって何かすることとかあったか?向こうでも俺は生徒会に入ってたけど特段何もすることがなかったんだが」

 

つぐみ「洸汰くんは生徒会の仕事がない時は何してたんですか?」

 

洸汰「まあ帰ってゲームしたり夜ご飯の買い出しとかに出てたりしてたな。先輩たちが二人分仕事してくれたりとかしてたから俺は置物系メンバーだったけど」

 

つぐみ「それでよく単位取れたね・・・」

 

洸汰「と、そろそろ着くな。日菜先輩は・・・」

 

つぐみ「なんだかあそこに人だかりができてるね。あそこに日菜先輩がいるのかな?」

 

洸汰「その可能性が高いな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【午前8時:花咲川学園校舎前】

 

洸汰「すみません、ちょっと通してください・・・」

 

つぐみ「すみません!ちょっと通ります!」

 

日菜「あ、つぐちゃんと洸汰くん!やっと来てくれたね!」

 

洸汰「こんな時に呼び出すなんて何かあったんですか?それも俺たち二人を呼び出すなんて」

 

燐子「お二人を呼んだのは・・・私・・・です・・・」

 

洸汰「あれ、白金さんなんですか?メッセージの差出人は日菜先輩なのに。」

 

紗夜「私もいます洸汰さん」

 

つぐみ「あれ、紗夜さんまで?」

 

紗夜「いきなり日菜から話があるって言われたので姉として、花咲川学園の風紀委員として話を聞かないわけにはいきませんから」

 

洸汰「そうですか。とりあえず日菜先輩、俺たちを呼び出した経緯を教えてください」

 

日菜「つぐちゃん、おねーちゃん、燐子ちゃん、洸汰くん!羽丘学園と花咲川学園の2校で合同文化祭、しようよ!」

 

つぐみ「へ?」

 

洸汰「はい?」

 

日菜「だから、羽丘と花咲川で合同文化祭、やろうよ!」

 

つぐみ「えええええええええええ!?いきなりすぎますよ日菜先輩!」

 

洸汰「そうですよ、それに白金さんとこのことについて話し合いましたか?」

 

燐子「少しだけですけど・・・話し合いました・・・それに、新しいことに取り組んでみたいので・・・」

 

紗夜「白金さんもやってみたいとのことなので私は話を聞くだけでしたが、いい機会なので私も賛成しました。」

 

洸汰「ということは、あとは羽丘のメンバーにこのことを伝えるだけ、ですか。聞くだけ聞いてみましょうか」

 

日菜「その必要はないよ洸汰くん?」

 

洸汰「それってどういう・・・」

 

日菜「これなーんだ?」

 

つぐみ「それって携帯・・・ですよね?それと今の会話に何の関係があるんですか?」

 

日菜「うーんっとね、今この携帯は通話モードになってて、今羽丘に置いてあるスピーカーの前にこれと同じものを通話モードにしてて、今羽丘にこの会話の一部始終が筒抜け状態なんだー♪」

 

洸汰「それってつまり・・・」

 

つぐみ「今羽丘にはたくさんの生徒が校門をくぐって学園にいるはず・・・」

 

日菜「そういうこと!」

 

洸汰「はあ・・・わかりましたよ。日時は俺とつぐみ、それと市ヶ谷の3人で日程を決めておくので今日はそれくらいにして戻りますよ。そろそろ2学期の始業式で日菜先輩の挨拶もありますし」

 

日菜「はーい!それじゃあ燐子ちゃん、おねーちゃん。まったねー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【午前11時:ファーストフード店】

 

洸汰「はあ・・・また面倒なことを請け負ったものだな・・・まさか合同文化祭を思いつくとは。つぐみ、市ヶ谷」

 

有咲「こんなことに私を巻き込むんじゃねー!私は確かに生徒会だけど書記だぞ!?」

 

洸汰「俺も書記なんだけどな・・・それに俺は市ヶ谷と違ってバンドもやってないしあまり体力はないんだよ」

 

つぐみ「ごめんね有咲ちゃん・・・日菜先輩は思いついたら早く実行に移す人で・・・」

 

有咲「だー!わかったよ!やればいいんだろやればー!で、今日は何の話し合いするんだ?」

 

洸汰「そうだな。まず合同文化祭だし二日は軽く使う、露店をやる場合は各自材料を買っておくこと、劇をやる場合も各自必要なものをそろえること・・・これはまず普通に常識だな。」

 

有咲「だな、必要なものは各自揃えないとそれだとただの文化祭になりそうだし」

 

つぐみ「後は日程、だね。花咲川はどの日が空いてそう?」

 

有咲「うちはこの日とこの日が空いてそうだな。ただ準備期間が必要だから最低1か月はいるし・・・」

 

洸汰「ならこの日とこの日はどうだ?」

 

つぐみ「この日は大丈夫そうかも、有咲ちゃんはどう?」

 

有咲「うちはその日なら大丈夫そうだな。ならこの日とこの日で合同文化祭にするか」

 

洸汰「じゃあ今日は解散ってことにするか。二人はこれからバンドの練習なんだろ?」

 

有咲「げ、もうこんな時間なのか・・・そろそろ行かないとやばいな」

 

つぐみ「蘭ちゃんたちが待ってるから私も早くいかないと…またね洸汰くん!」

 

洸汰「また明日な。市ヶ谷、つぐみ」

 

 

話し合いの結果、文化祭は10月15日と16日の2日間で行われることになった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【ショッピングモールからの帰り道】

 

洸汰「しかし、こうも日菜先輩の思い付きに巻き込まれるとはな・・・まあ日菜先輩だし仕方ないって割り切るか・・・ん?あそこにいるのって・・・」

 

花音「ふぇぇぇぇ・・・また迷っちゃったよぉ…」

 

洸汰「またここで迷ってるんですか松原さん・・・この間のお祭りでもモカとはぐれて神社まで辿り着けなかったって言ってませんでしたか?」

 

花音「あ、あの時はごめんね・・・洸汰くん達が帰りに私を見つけてくれなかったらどうなっていたか・・・」

 

洸汰「その話はもういいでしょう、それよりこれからどこに行くんですか?」

 

花音「ちょっとこれからショッピングモールで文化祭に使いそうなのを買いに・・・でも迷っちゃって…」

 

洸汰「これまでに何度そのショッピングモールまで行きました?」

 

花音「えっと・・・20回から後は覚えてないかも…」

 

洸汰「・・・というか一人で向かってたんですか?」

 

花音「ううん、彩ちゃんと千聖ちゃんと一緒に行く予定だったんだけど、気が付いたら迷っちゃって…」

 

洸汰「とりあえず一緒に行きましょうか、どうせ俺も暇だったんで荷物持ちに付き合いますよ」

 

花音「ふぇぇぇ…ごめんね洸汰くん・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【ショッピングモール】

 

彩「あ、花音ちゃんだ!あれ?隣にいるのって洸汰くん?」

 

千聖「本当ね。でもどうして洸汰くんまで一緒なのかしら」

 

洸汰「どうも、丸山さんと千聖さん。ちょっと市ヶ谷たちと日程の打ち合わせから帰る所に松原さんを見かけたので俺は荷物持ちがてら買い物に付き合うことになりました」

 

花音「そういう事だから・・・迷っちゃってごめんね・・・」

 

千聖「もう慣れてるから大丈夫よ花音。」

 

洸汰「いやな慣れだな・・・まあ俺も似たようなものだし」

 

彩「2人とも、どうしてそんなに普通そうにしてるんだろう…」

 

洸汰・千聖「「慣れてるから」」

 

花音「彩ちゃん、そろそろ行かないと売り切れになっちゃうよ?」

 

彩「そうだったよ!みんな早く来て!」

 

そう言って丸山さんたちはショッピングモールの売り場に向かった。まあ俺も荷物持ちで付き合うって言った手前帰るわけにもいかないのでついて行った。で、どれくらい買ったかというと…

 

洸汰「・・・これはさすがに買いすぎじゃないですか?全員の両手がふさがるくらいの量ですよこれ」

 

千聖「仕方ないわ・・・私たちのクラスでは展示会をするのだけど、材料が不足とは言えない状態だったのよ・・・」

 

洸汰「それでもこの量は・・・堪えます・・・俺は普通の学生ですし・・・体力や筋力は・・・人並みですから・・・」

 

花音「洸汰くん・・・大丈夫?」

 

洸汰「大丈夫・・・です・・・もうすぐ花咲川に着きますし・・・それまでの辛抱・・・ですから・・・」

 

彩「ごめんね洸汰くん・・・今度何か奢るから・・・」

 

洸汰「この疲労感に見合うものでお願いします・・・」

 

それから俺たちは買って来たものを松原さんたちの教室に置いて俺は花咲川を後にした・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【午後4時:花咲川からの帰り道】

 

洸汰「はあ…相当疲れたな・・・体力はもちろん精神力が持っていかれそうだ・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(ブロロロロロ・・・)

 

洸汰「・・・なんだこの音は?車のエンジン音?あそこに見えるのは・・・親子を乗せた車と一人のおじさんが運転する車?おい待ってくれこのままだとあの車・・・」

 

(ドガァァァァァ!!)

 

洸汰「・・・ぐっ!?なんだ、いきなり頭に痛みが走る・・・!これは・・・もしかして俺が失った過去のことに原因が・・・?まずい、意識が飛びそうだ・・・早く家に・・・戻らない・・・と・・・真燐が待ってる・・・ん・・・だ・・・誰にも心配事に巻き込みたくないっていうのに…」

 

・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【午後6時:趨鈹家】

 

真燐「兄さん、遅いなあ…もう6時になったのに…でもおかしいな、兄さんはどれだけ用事ができても6時までには帰ってくるのに・・・」

 

(ピロリロリロリロ)

 

真燐「電話?・・・蘭さん?何だろう?」

 

蘭「真燐・・・!よかった、繋がった。今どこにいるの?」

 

真燐「今ですか?今は家に一人でいるんですけど・・・どうかしましたか?」

 

蘭「聞いて真燐。真燐の兄さん・・・洸汰が意識不明で病院に搬送された。外傷や内傷はないみたいだけど・・・病室について意識は取り戻したみたい。だけど・・・」

 

真燐「だけど・・・なんですか?」

 

蘭「洸汰は今・・・植物状態になってる。瞳の色が何重にも重なって濁ってるように見える。どれだけ話しかけても笑ってくれないし、言葉を交わしてくれない・・・」

 

真燐「兄さん・・・が・・・?兄さん、自分のことは心配はいらないって…」

 

蘭「偶然にもあたしが近くを通りかかったんだけど、近くで交通事故が起きたみたいでそれが原因みたい・・・多分これはあたしの憶測なんだけど」

 

真燐「・・・なんですか?」

 

蘭「多分、真燐と洸汰の昔の記憶に深く関係していたのは交通事故だと思う。何ヶ月か前につぐとモカが言ってたんだけど・・・もしかしてとは思ってたんだ。」

 

真燐「それで兄さんはどこの病院に?」

 

蘭「洸汰の病室は江戸川病院の309号室だよ。今日はつぐが病院に泊まるって。今日は真燐は家でゆっくりしていた方がいいかもってつぐも言ってくれてるから」

 

真燐「わかりました・・・明日そっちに伺います」

 

蘭「洸汰もきっと待ってるから行ってあげて。あまり長電話できないから今日は切るよ」

 

真燐「兄さんのこと、教えてくれてありがとうございます・・・」

 

(ツーツーツー)

 

真燐「(兄さん・・・)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【午後7時:洸汰の病室】

 

洸汰「・・・」

 

蘭「洸汰、真燐が明日来てくれるらしいから・・・早く起きて真燐に元気な顔を見せてあげてよ。」

 

つぐみ「洸汰くん・・・まだ文化祭で何をやるかも決まってないのに、こういう時に洸汰くんが倒れてたら私たち、どうしたらいいかわからないよ・・・こんなの・・・」

 

蘭「・・・今の私たちにはどうしようもないよ、つぐみ。あたし達にできることは文化祭の準備を進めて、洸汰が返って来た時に笑顔で『おかえり』って返すことぐらいしか・・・」

 

つぐみ「わかってる、わかってるよ蘭ちゃん・・・!でも、でも・・・!このままじゃあの時の繰り返しだよ!」

 

蘭「・・・つぐみ、学校には伝えておくからつぐは洸汰が意識を取り戻すまでここに止まったほうがいいよ。真燐も明日から少しずつここに来るって言ってたし、誰かが洸汰のことを見てないと進捗を伝えられないし」

 

つぐみ「でも、文化祭の準備は・・・」

 

蘭「あたしたちでできることを最大限やる。だからつぐみは洸汰の側にいてあげて。」

 

つぐみ「・・・わかったよ蘭ちゃん。」

 

蘭「部屋に鍵をかけておくことを忘れないで。あと知らない人が来たら困るから他のバンドメンバーと区別できるようにドアのノックのリズムを伝えておくから。」

 

つぐみ「ごめんね蘭ちゃん・・・」

 

蘭「つぐみだけの責任じゃないよ。それじゃああたしはもう帰るから・・・」

 

つぐみ「うん・・・またね、蘭ちゃん」

 

蘭out

 

 

 

 

つぐみ「洸汰くん・・・どうしてこんなことになっちゃったんだろうね。あの時のこととは真燐ちゃんがここにいないことしか変わってないよ・・・まだ夏祭りの時の言葉の返事を受け取ってないんだよ?それに文化祭を洸汰くんと一緒に見て回りたいし、いつまでも弱い私じゃイヤなんだよ・・・だから・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【病院外】

 

蘭「(こんな選択は間違ってるって思ってる。でも・・・こんなこと以外に何も思いつかないあたしが許せない・・・あの時、どうすれば洸汰はああならずに済んだんだろう。あたしが車と車の間に割り込むこと?ダメだ、それだとあたしの体に危険が及んでた。・・・洸汰、あたしはあんたのこと・・・2度も守れなかったんだ。でももうこんなこと終わりにしたい・・・だから・・・)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つぐみ・蘭「「早く戻ってきて・・・」」




ルミィ「いかがだったでしょうか?」

花音「洸汰くん、大丈夫かな・・・植物状態って…」

ルミィ「植物状態はいつまで続くかわからないですからね。主も植物状態になりかけたことが一度だけありました。ロクに食事をとらず3日間くらい部屋にこもりっきりでしたし」

花音「主さんも大変だったんだね・・・」

ルミィ「まあ今は普通に生活を送っていますけど、たまに面倒事に巻き込まれたりしてるから若干面倒と感じることはありますが」

花音「そ、それはちょっと…あ、ここまで読んでくれてありがとうございます・・・」


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11話:新しい日常

ルミィ「どうも、今回のゲストはこの人―」

美咲「どうも、奥沢美咲です。今回は花音さんの変わりに来ました。ところで、このコーナーって何するんですか?」

ルミィ「適当に駄弁るだけですね。これまでも駄弁っただけだったので」

美咲「それでよく花音さんは耐えられましたね・・・」

ルミィ「まあ結構緩やかなんで。あまり激しすぎるのはよくないかなーと」

美咲「あー、確かにそうですね。うちのこころが激しすぎるんでしょうね・・・」

ルミィ「こんな緩やかな雰囲気のまま本編へ行こうか」


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

?月?日

 

【時刻不明:???】

 

洸汰「・・・ここは?」

 

洸汰の母「ここはあなたの記憶の世界・・・洸汰、あなたはこの間の交通事故の際に倒れたのです。」

 

洸汰「・・・母さん?俺の記憶の世界って何なんだ?俺は死んだのか?」

 

洸汰の母「いいえ、洸汰は今植物状態で今、危険な状態です。」

 

洸汰「・・・そうか、だからここは俺の記憶の世界ってことなのか。周りが真っ暗だけど・・・」

 

洸汰の母「じきに見えてくるようになります。何か聞きたいことは?」

 

洸汰「・・・母さんが俺の記憶世界にいるってことは本当は俺の母さんは・・・もういないのか?」

 

洸汰の母「ええ、私は洸汰が子供の時に交通事故にあい、治療のかいもなく息を引き取りました・・・今は魂だけの存在ですが」

 

洸汰「・・・やっぱりか。変な感じはしてたんだよ。・・・周りが段々見えるようになってえ来たみたいだな」

 

洸汰の母「そうですか、どこがどの記憶か教えましょう」

 

 

 

 

 

洸汰「・・・この記憶は?」

 

洸汰の母「これは洸汰がお友達と遊んでいた時の記憶です。私が仕事で忙しい時はよく一緒に遊んでいたんですよ。」

 

洸汰「・・・そうなのか、よく見たら見覚えがある人が・・・」

 

洸汰の母「ええ。あそこにいる黒髪のショートカットの子は美竹蘭ちゃん、赤髪の少し長めの子は宇田川巴ちゃん、ピンク髪の子は上原ひまりちゃん、銀髪の子は青葉モカちゃん、茶髪のショートカットの子は羽沢つぐみちゃんですよ」

 

洸汰「そうか・・・どおりで見覚えがあるわけだ。蘭たちが言っていたことは本当だったんだな・・・『昔一緒に遊んだことがある』って言ってたな」

 

洸汰の母「蘭ちゃんたちがそんなことを言っていたのですか。記憶をなくしたのは洸汰と真燐だけなので彼女たちは覚えていてくれたのですね」

 

洸汰「そうみたいだな。」

 

洸汰の母「一人でも多く子供の時の記憶を覚えていてくれてよかったですね洸汰。ほら、あなたたちの会話が聞けるみたいですよ。耳を澄ましてみてはどうでしょう?」

 

洸汰「盗み聞きはよくないって言うけど…俺の昔の記憶に関係があるなら聞くさ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

洸汰「・・・つぐみが言っていたのはこの事だったのか。あの時の約束って…」

 

洸汰の母「思い出したみたいですね。」

 

洸汰「ああ・・・こんなに大事なことを思い出せなかったのは俺ながら情けないよ。まったく、楽しいことを忘れたことはなかったのに」

 

洸汰「あの時は洸汰も笑顔で遊んでいたのを私は覚えています。それが交通事故で記憶を失くした時は私もショックでした」

 

洸汰「・・・母さん、迷惑をかけて悪かった。」

 

洸汰の母「そろそろ私の方が時間のようですね・・・最後にこうして洸汰と話すことができたのは嬉しいことでした。」

 

洸汰「・・・ありがとう、母さん。母さんのおかげで大事なことを思い出すことができた」

 

洸汰の母「ありがとう、洸汰・・・私たちの子供でいてくれて・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【??】

 

洸汰「う・・・ぐっ・・・」

 

つぐみ「洸汰くん!!」

 

洸汰「つぐ・・・み・・・?痛いぞ・・・」

 

つぐみ「ご、ごめんね!ずっと植物状態で私たちの言葉に反応すらなかったから心配で心配で・・・!」

 

洸汰「・・・悪かった、ちょっと母さんと話してきてな」

 

つぐみ「洸汰くんのお母さんと・・・?」

 

洸汰「ああ、それに・・・昔のことを思い出すことができた。」

 

つぐみ「ほ、本当に!?」

 

洸汰「ああ。とりあえずAfterglowのみんなを集めてくれ、みんなもう来てるんだろ?」

 

つぐみ「そうだね、みんな入ってきて!洸汰くんが目を覚ましたよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

蘭「・・・洸汰、おはよう。いつまであの状態だったのか心配だったけど・・・意識が戻って本当によかった・・・」

 

洸汰「蘭?泣いてるのか?」

 

蘭「・・・泣いてない!」

 

モカ「おはよーすーくん・・・ううん、『こうくん』。」

 

洸汰「ああ、おはようモカ。モカは・・・今は泣いてないな」

 

モカ「モカちゃんはそう簡単には泣かないよー?」

 

洸汰「そう簡単に言っても見せてる涙はウソはつけないけどな」

 

ひまり「本当に・・・ほんっとうによかった!このままずっと目を覚まさないまま文化祭が終わっちゃうと思い出も何もないもん…!」

 

洸汰「文化祭・・・そうだ、今は何月何日なんだ?」

 

巴「今日は9月19日だな、文化祭まで1か月を切ってるぞ」

 

洸汰「・・・大体3週間近く植物状態だったのか。明日から準備に取り掛からないと・・・ぐっ!」

 

つぐみ「まだ動いちゃだめだよ!さっきめざめたばかりだ・・・から・・・?」

 

洸汰「つぐみ?みんなも目を丸くして・・・どうしたんだ?」

 

蘭「洸汰・・・あんた何も気が付かないの?」

 

洸汰「そんなことを言われても俺には何のことかさっぱりなんだけど」

 

モカ「はいこうくん、鏡ー」

 

洸汰「そんなものを俺に見せてなんにな・・・る・・・?」

 

巴「わかったか?」

 

洸汰「俺の右の瞳の色が・・・緑色に変わってる?どうして・・・」

 

ひまり「子供の時の記憶を取り戻したことで、昔の瞳の色と混ざって緑色になったんじゃない?」

 

洸汰「・・・そうか、確かにあの時見た俺の瞳の色は藍色だった。黄色と藍が混ざれば緑になる。そういうことか・・・」

 

蘭「たぶんね。というか洸汰、大丈夫?」

 

洸汰「何がだ?」

 

蘭「いや、瞳の色が変わっただけのように見えるけど他に体に異常はない?」

 

洸汰「特に感じられないな・・・肉体的疲労は感じられないし、記憶を思い出した時の精神的疲労が今は来てるって感じだ。」

 

つぐみ「でもこれだけ話ができてるなら大丈夫そうだね。でも今日までは安静にしておかないと・・・」

 

洸汰「それはもちろんそのつもりだ。こんな体で文化祭に臨んだら途中で倒れるだろうし」

 

モカ「それじゃあモカちゃんは帰りまーす」

 

蘭「あたしも今日は帰るよ、父さんが心配してるだろうし」

 

巴「アタシもあこが待ってるだろうから今日は帰るよ」

 

ひまり「私も早く帰って文化祭の劇の衣装の準備をしないと…」

 

つぐみ「私は・・・」

 

洸汰「つぐみも帰ったほうがいい、今日までずっと病院に泊まり込みだったんだろ?叔父さんとおばさんも心配してるだろうしな」

 

つぐみ「でも・・・」

 

洸汰「俺なら大丈夫だ。明日起きた時には学校にもまた通えるだろ」

 

つぐみ「そっか・・・そうだよね。これ以上誰かに心配させたくないし・・・」

 

洸汰「また明日学校でな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

洸汰「・・・行きましたよ先生。」

 

医師「洸汰くん、真実を伝えなくてよかったんですか?」

 

洸汰「どうせ伝えたらあいつらはまた心配の種を増やすでしょうし、何よりあいつらのためです。」

 

医師「そうですか・・・あなたの体は虚勢を張れるほど無事ではないというのに・・・」

 

洸汰「わかっています。俺の体が限界に近いのは俺自身がよくわかっているんですから。」

 

医師「わかっているならいいんですが・・・その内またお話しましょうか。今日はもう休みなさい」

 

洸汰「わかりました。先生もお大事に」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

洸汰「(みんなのために隠したけど・・・そのうちバレるかもしれないな、みんなのことを警戒しながら生活するのか…はは、結局悩みの種は増えるばかりだな。)」

 

そう、俺が倒れてから俺はAfterglowのみんなに気づかないように先生が俺の体の検査をしてくれていた。その様子を魂だけとなっていた母さんが見ていたらしく、俺の容態は先生が言っていたように虚勢を張れるほど大丈夫じゃなかった。不治の病・・・とまではいわないが、治すのが相当困難な病気にかかっていたという。自力で治すこともできるらしいが、できるかどうかは俺の精神次第だと先生は言っていたらしい。だからみんなには秘密にしていたんだ。さて、いつバレるだろうな・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

9月20日

 

【午前11時:病室】

 

洸汰「よ・・・っと。体は自由に動くし問題なさそうだな。それでは先生、ありがとうございました。」

 

医師「あまり無理はしないようにしてください。少しでも体に異常を感じたらすぐにこちらに来てください」

 

洸汰「わかっています。それでは失礼します」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【午後12時:羽丘学園2ーA前】

 

洸汰「ここに来るのも3週間ぶりか・・・他のみんなはどうしてるんだろうな。」

 

(ガチャ・・・)

 

つぐみ「洸汰くん!」

 

蘭「おかえり、洸汰。みんな待ってたよ」

 

モカ「おかえりーこうくーん。」

 

洸汰「ただいま、みんな。ところで俺のいない間文化祭の準備はどうなってたんだ?」

 

つぐみ「それが・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

洸汰「なるほどな、劇の主人公役にピッタリな人がいないからそこで迷ってる・・・と。」

 

ひまり「そうなのー!私は劇の衣装作りで忙しいからセリフを覚えることができなくて・・・」

 

巴「アタシは露店の店員だからそもそも無理だしな」

 

洸汰「蘭とモカとつぐみは?」

 

蘭「そもそもあたしに劇の主人公とか無理。劇のメンバーだけどあたしは裏方だし」

 

モカ「あたしも蘭と一緒で劇の裏方―」

 

つぐみ「私は最初劇の裏方の予定だったんだけど、ひまりちゃんとモカちゃんに言われて劇のヒロインの役に・・・」

 

洸汰「なるほどな・・・さて、俺はどうするか・・・」

 

モカ「それならさー、いっそやってみないー?」

 

洸汰「何をだ?」

 

モカ「劇の主人公―」

 

洸汰「はい?」

 

つぐみ「モカちゃん!?復帰して来ていきなり何言ってるの!?それに洸汰くんがそんなこと受けるわけ・・・」

 

洸汰「別にいいぞ?つぐみさえよければ、なんだけど」

 

つぐみ「洸汰くん!?え、えっと・・・こちらこそよろしくお願いします・・・でいいのかな?」

 

洸汰「ああ、こちらこそよろしくな。今日から復帰だし、準備に参加できなかった分全力で取り組むぞ」

 

ひまり「それじゃあ・・・えい、えい、おー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【午後3時:2ーA教室】

 

洸汰「ふう・・・やっぱり主人公だけあってセリフが多いな・・・」

 

つぐみ「お疲れさま、洸汰くん。はい、うちのコーヒー。」

 

洸汰「ありがとうつぐみ。」

 

つぐみ「こっちに戻ってきて早々劇の主人公役を受けたけど、感想はどう?」

 

洸汰「向こうでも劇をやったことはあったけど、その時はセリフはこう多くはなかったしやりがいがあるな。」

 

つぐみ「そうなんだ?どう、今回の劇は?」

 

洸汰「学園ものの劇はやったことないし、逆に新鮮な感じがする。」

 

つぐみ「ふふ、私は嬉しいよ?こうして洸汰くんと一緒に劇を演じることができるから」

 

洸汰「そうか?」

 

つぐみ「それにまだあの時の答えをもらってないし・・・」

 

洸汰「多分・・・文化祭でこの劇が終わったときに答えは出るかもしれない。その時まで・・・待ってくれないか?」

 

つぐみ「・・・わかったよ洸汰くん」

 

洸汰「ほらつぐみ、もう少し練習するぞ。文化祭まで1か月を切ってるんだ、ただでさえ俺は3週間くらいの間準備に参加できてなかったし、何より早くセリフを覚えて台本なしでもセリフを言えるようにしないと」

 

つぐみ「それなら、バンド練習がない時は放課後にうちでセリフを練習しない?」

 

洸汰「それもそうだな、少しでも時間が惜しいし。今日はどうなんだ?」

 

つぐみ「今日はバンド練習もないし今日から取り組もっか。」

 

洸汰「わかった、放課後に校門前に集合だな」

 

つぐみ「うん、それじゃあまた放課後だね!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【放課後:校門前】

 

つぐみ「お待たせ、洸汰くん。それじゃあいこっか」

 

洸汰「ああ。」

 

【羽沢珈琲店への帰り道】

 

つぐみ「洸汰くん、ありがとう。」

 

洸汰「何かつぐみに感謝されるようなことしたか?」

 

つぐみ「劇の主人公を引き受けてくれたことだよ。」

 

洸汰「ああ、そのことか。別に気にしないでいいぞ。俺が好きで引き受けたことだし、なによりセリフからも男物だしな。蘭は裏方で巴は露店担当だし他にはいなかっただろうしな・・・」

 

つぐみ「うん、だから本当に良かったよ。洸汰くんが引き受けてくれて…ふふっ、なんだか不思議な感じだなぁ」

 

洸汰「自覚はないけどな。そろそろ着くし話の続きは休憩時間にでも話すか」

 

つぐみ「うん、そうしようか。」

 

こうして俺たちはつぐみの部屋で劇の練習をした。つぐみの部屋で練習する時は偶に泊まったりして俺がいなかった時のみんなの雰囲気などとを話し合ったりした・・・

 

ちなみに俺の瞳の色が変わったのを知ってるのはAfterglowメンバーの他に羽丘に通ってるメンバー全員だけだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ルミィ「いかがだったでしょうか」

美咲「あたし達は出てきませんでしたけど、無事に植物状態から治ってよかったですね」

ルミィ「普通はこんな早くに植物状態から復帰することはないですからね(多分)」

美咲「いやいやそれでも3週間くらいで復帰するなんてすごいですから。どう考えても普通に生活してきた人の復帰速度じゃないですって」

ルミィ「それを可能にしたのが過去の記憶との邂逅だからね。過去の悲しみから立ち直った洸汰くんの今後に期待しててください」

美咲「何事もほどほどに・・・ですよ。」

ルミィ「わかってますよ、美咲ちゃんって心配性?」

美咲「あたしは普段から花音さんを探したりしてますから・・・それより、ここまで読んでくれてありがとう。次も楽しみにしてて」


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12話:新しい気持ち

ルミィ「だーれっかなだーれっかな?今日のゲストはこの人」

はぐみ「北沢精肉店より北沢はぐみだよ!」

ルミィ「おお今日も元気のいいゲストだな。」

はぐみ「お近づきの印に北沢印のコロッケどうぞ!」

ルミィ「おお、これはうまそうなコロッケだな。いただきます(モグモグ)おお、うまい。ところでこれは何の肉なんだ?」

はぐみ「熊!」

ルミィ「・・・はい?今なんとおっしゃいましたかこの子は?」

はぐみ「だ―かーら―!熊のお肉だよ!」

ルミィ「道理で後味が・・・グハッ!」

はぐみ「ルーミン!?えーっと・・・ほ、本編にゴー・・・でいいんだよね?」


 

 

 

 

 

 

 

10月15日

 

今日は文化祭初日だ。白金さんや日菜先輩、紗夜さんとつぐみ、市ヶ谷と俺(洸汰)休日を使い2校でどっちが初日でどっちが2日目か話し合った結果初日は花咲川で、2日目は羽丘で文化祭をすることになっていた。つまり今日は花咲川での文化祭の日だ。花咲川でも劇や露店をするらしく、適当に一人でぶらついて時間になったら体育館に移動して・・・という感じのスケジュール・・・の予定だったのだが

 

【午前8時30分:花咲川学園校舎前】

 

洸汰「・・・で、どうしてお前たちは俺に引っ付いてるんだ?」

 

日菜「だって麻弥ちゃんは薫くんと一緒に回るって言ってあたしは暇なんだもーん」

 

つぐみ「私は最初蘭ちゃんたちと回ろうと思ったんだけどひまりちゃんが薫さんたちのグループにいって、モカちゃんたちは3人で回るって言うから・・・」

 

明日香「私は六花たちと回る予定だったんですけどあこが巴先輩たちの方に向かって、六花はこっちに着いて早々とお姉ちゃんたちのクラスに向かったので一人なんです」

 

洸汰「・・・しょうがないな、できるだけ離れないでくれよ?逸れたりしたら探すのは大変なんだし」

 

日菜・つぐみ・明日香「「「はーい」」」

 

とまあ・・・他のメンバーと離れ離れになった3人の面倒を見ることになった。明日香とつぐみはしっかり者だからいいんだけど、日菜先輩は自由奔放だからな・・・大丈夫なのかこの組み合わせ?俺の胃が持てばいいんだけど・・・

ちなみに他のバンドメンバーのことを名前呼びするようになった。これまではどこか他人事みたいだったし親しみを込めて名前で呼ぶことにした。最初は慣れなかったけどどこかの誰かさんたちの言圧で今はもう呼び慣れている。で・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

【花咲川学園:1F】

 

洸汰「なあ、さっき俺はできるだけ離れないようにって言ったよな?なのに・・・」

 

つぐみ・明日香「「どうして日菜先輩が真っ先にいなくなるんでしょうね?」」

 

そう、日菜先輩は校舎に入るなり「るんって来た!」と言って勝手に離れて現在行方不明中だ。最初は明日香が「探しに行きます?」なんて聞いて来たんだけど俺が「こういうのは慣れた方がいいから呼び戻さなくていいんじゃないか」と言った結果明日香は最初は首をかしげていたが納得しそのまま校舎内を回ることにした。

 

明日香「さて、どうしましょうか?お姉ちゃんに校内のマップをもらったので場所は把握しましたけど」

 

洸汰「1階が1年生で2階が3年生、3階が2年生のクラスか。1階は真燐、2階は花音さんや千聖さんたちがいる。3階は香澄たちポピパの面々がいるだろうしな・・・二人はどこに行きたい?」

 

つぐみ「最初は真燐ちゃんのところに行ってみない?ほらここ」

 

洸汰「なになに・・・?『猫耳喫茶:にゃんにゃんカフェ』・・・なんだこれ」

 

明日香「どうやら猫耳を頭に付けた店員さんが接客してくれる喫茶店みたいですね・・・」

 

洸汰「真燐・・・お前の仕業か」

 

つぐみ「なんでわかるの?」

 

洸汰「ほら、勉強会の時の真燐のこと覚えてるか?」

 

明日香「たしか『猫を被ってる』んでしたよね?・・・あ」

 

洸汰「お察しの通り『猫を被ってる』と『猫耳』で掛けたんだろ。」

 

真燐「兄さん、入り口で何をごちゃごちゃ話してるんですか?他のお客さんの迷惑になるので入らないなら他のところに行かないと紗夜先輩呼びますよ?」

 

洸汰「悪い、3名分の席空いてるか?」

 

真燐「空いてますよ、お席にご案内しますね」

 

【小設定:ちなみに真燐は1ーBの学級委員長でもある】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【1ーB:にゃんにゃんカフェ】

 

洸汰「本当に明日香が言ってた通りだな・・・接客する人が全員猫耳付けてるし」

 

明日香「真燐から連絡貰ってましたから」

 

洸汰「そんなホイホイと教えていいのかよ・・・」

 

つぐみ「でも接客はできてるんじゃないかな?みんなどこかでバイトしてたりするのかも」

 

真燐「私たち1ーBの生徒はみんな飲食店とかコンビニでバイトしてるので接客は人並みにできますよ。」

 

明日香「あれ、真燐はいいの?私たちとお話してて」

 

真燐「ここは休憩所としても開放してるので話す分には問題ないからね」

 

洸汰「カフェ=休憩所で成り立ってるお前の頭は一体どうなってるんだ」

 

真燐「深く考えすぎたらそこまでだよ兄さん」

 

つぐみ「でもその猫耳、似合ってるね。うちでも週1でやってみようかな?」

 

洸汰「言っておくけど俺はつけないからな。男の俺が猫耳なんて付けたら笑われる」

 

明日香「残念です」

 

洸汰「何で明日香が残念がるんだよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

洸汰「それじゃあ他のところに行くか、これ代金な」

 

真燐「ありがとうございました、またのお越しをお待ちしております」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

洸汰「次はどうする?」

 

つぐみ「次は2年生のいる3階に行ってみたいかな。沙綾ちゃんたちもいるし」

 

明日香「沙綾さんのいるところって誰がいましたっけ?」

 

洸汰「たしかりみだったな」

 

明日香「お姉ちゃんのところは誰がいましたっけ?」

 

つぐみ「たしか有咲ちゃんと美咲ちゃんだね」

 

洸汰「こころがいるところは誰がいたんだっけな?」

 

明日香「イヴ先輩とたえ先輩ですね」

 

たえ「呼んだ?」

 

明日香「うわぁ!?たえ先輩!?」

 

洸汰「こんなところで何してるんだたえ」

 

たえ「何って、接客だけど?」

 

つぐみ「こんなところまで?」

 

たえ「うん、3回だけ回っても接客の意味ないし他のフロアまで行ってきたらってイヴが。」

 

洸汰「ところで、たえのクラスって何やってるんだ?」

 

たえ「もふもふ喫茶」

 

明日香「はい?」

 

たえ「だから、もふもふ喫茶だよ?」

 

洸汰「そういうことを聞いてるんじゃなくて、どんな感じのところなんだ?」

 

たえ「うちのクラスは私の家から連れてきたウサギたちをもふもふできるところだよ」

 

つぐみ「それって、ウサギさんたちと遊べるところってこと?ちなみに何羽くらい位いるの?」

 

たえ「20羽」

 

明日香・洸汰・つぐみ「「「・・・ごめん、あとで時間があったら寄る」」」

 

たえ「それは残念。また後でねー」

 

そういってたえは残念そうに2階に上がっていった

 

洸汰「まさか学校内にウサギを連れてくるとは…よく学校側も許可したものだな」

 

明日香「花咲川の自由度おそるべしですね」

 

つぐみ「そうだね・・・あ、あそこにいるの沙綾ちゃんじゃない?」

 

洸汰「あれ、本当だな。沙綾、こんなところで何してるんだ?」

 

沙綾「あれ、洸汰くんとつぐみと明日香ちゃん。・・・あれ?洸汰くん、瞳の色変わってない?」

 

洸汰「たえは気が付いてなかったけど沙綾は気が付くんだな」

 

沙綾「おたえは天然だからね・・・何かあったの?」

 

洸汰「昔の記憶が戻ったときに、昔の俺の瞳の色と混ざって片方が緑になった感じだな」

 

沙綾「あれ、そんなことあったんだ。私たちには何も話してなかったけど」

 

洸汰「迷惑をかけるのは嫌な性格だからな。それよりも沙綾のクラスでは何してるんだ?」

 

沙綾「私たちのクラスは焼きそば作ってるんだ。弟と妹に作ってあげたりしてるからせっかくだし作ってみたら?ってりみから提案されちゃって」

 

明日香「りみ先輩がそんなことを?そこまで言うなんてきっとおいしいんですね」

 

つぐみ「せっかくだし買っておかない?お昼ご飯に取っておこうよ」

 

洸汰「そうだな。沙綾、案内頼めるか?」

 

沙綾「了解。3名様ごあんなーい、ってね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【2ーB】

 

洸汰「おじゃましますよーっと」

 

りみ「あれ、洸汰くん?明日香ちゃんとつぐみちゃんもどうしたの?」

 

つぐみ「沙綾ちゃんのクラスが焼きそば売ってるって聞いたからお昼ご飯も兼ねてくることにしたんだ」

 

明日香「今日はお客さん側ですけど明日は接客側ですからね。こういうのも勉強になりますし」

 

沙綾「ところで、3人ともお持ち帰りでいいんだよね?」

 

明日香「あ、はい。お持ち帰りで」

 

りみ「はい、これ。」

 

洸汰「それじゃあお代を・・・」

 

沙綾「それは大丈夫だよ、今回は私たちからの奢りってことで」

 

明日香「いいんですか?」

 

りみ「洸汰くんが入院したって聞いて、気が気じゃなかったし・・・退院祝いも兼ねてってことにしてくれないかな?」

 

洸汰「・・・そういうことにしておくよ。ありがとな」

 

沙綾「また今度やまぶきベーカリーにパン買いに来てね!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【3階廊下】

 

洸汰「残りは香澄たちがいる2ーAだな」

 

明日香「お姉ちゃんのところは有咲さんがいますし多分大丈夫だとは思いますけど・・・」

 

つぐみ「それに美咲ちゃんもいるからね。多分大丈夫だと思うよ」

 

洸汰「場所はここか。なになに?『きゅっとしてキャーッ!なお化け屋敷』・・・お、おう」

 

明日香「お姉ちゃんたちはお化け屋敷かぁ…」

 

つぐみ「ど、どうしよう…入る?」

 

洸汰「そりゃ沙綾たちのところだけ行ってここに入らないわけにはいかないからな、入るか」

 

 

 

 

 

 

 

 

有咲「いらっしゃいませー・・・って洸汰かよ。蘭ちゃんたちはどうした?」

 

洸汰「蘭たちは今頃別のところで遊んでるだろうな。今日は俺たちだけ別行動だ」

 

有咲「他に誰が来てるんだ?」

 

つぐみ「こんにちは、有咲ちゃん。」

 

明日香「お姉ちゃんがお世話になってます・・・」

 

有咲「あれ、つぐみちゃんと明日香じゃん。ロックたちと一緒じゃないのな」

 

【プチ自己紹介:有咲をはじめポピパのメンバーがロックと言ってるのは明日香と同じクラスの朝日六花(あさひろっか)。羽丘学園の高等部に通う1年生で、青い髪を片方に結って下げていて赤いフレームの眼鏡をかけている。ライブハウス『Galaxy』でバイトしている。バンドには入っていないがギターを演奏できる。】

 

明日香「六花はお姉ちゃんたちのクラスに飛んでいきましたけど・・・六花はどこに行ったか知りませんか?」

 

有咲「さあな、お化け屋敷から出てまた別のところに行ったみたいだけどどこまで行ったかはわからねー」

 

明日香「ありがとうございます」

 

洸汰「ところで、美咲と香澄がいないけどあいつらはこの中か?」

 

有咲「洸汰は察しがいいな、その通りだよ。というか片方の瞳の色変わってねーか?」

 

洸汰「まあ色々あってな。そのことは沙綾に聞いてくれ」

 

有咲「わかった。で、3人は入るんだよな?」

 

洸汰「ああ。つぐみ、震えてないで入るぞ」

 

つぐみ「ひゃい!?」

 

洸汰「・・・こりゃダメだな、返事が震えてるけど連れて行くしかないな・・・」

 

有咲「行ってらっしゃーい(私も入ったけどここすっげーこえーんだよな・・・大丈夫か?)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【2ーA:『きゅっとしてキャーッ!なお化け屋敷』】

 

つぐみ「きゃああああああああ!!」

 

洸汰「ほーん、こんな仕掛けになってるのか。勉強になるな」

 

明日香「洸汰先輩、こういう時でも冷静なんですね・・・羽沢先輩はさっきから悲鳴を上げてばっかりですけど」

 

つぐみ「きゃあああああああ!!」

 

洸汰「おい本当に大丈夫なのかつぐみ・・・」

 

とまあこんな感じに俺は冷静に仕掛けとかに感心したり、明日香は普通に驚いたりしてた。つぐみは・・・ずっと叫びっぱなしで近くにいた俺たちよりお化け役の美咲や香澄の方が大声出してたけどな・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【2ーA前】

 

明日香「それじゃあ私は六花を探しに行くのでここまでですね」

 

洸汰「一人で大丈夫か?」

 

明日香「いえ、さっき上原先輩に連絡を取って一緒に探すことにしたんです。瀬田先輩たちとは一旦分かれたみたいなので」

 

洸汰「そうか、じゃあ気を付けて行けよ。それと・・・ほら、明日香の分の焼きそば。」

 

明日香「ありがとうございます、それじゃあまた後で合流出来たら」

 

そう言って明日香は階段のところに待ち合わせしていたひまりと一緒に六花を探しに向かった。そして残された俺たちはというと…

 

つぐみ「うぅ・・・とても怖かったよ・・・洸汰くんは怖くなかったの…?」

 

洸汰「どちらかというとずっと隣で叫んでたつぐみの方が怖かったけどな」

 

つぐみ「そ、そんなに叫んでたの!?」

 

洸汰「5かいくらいは大声で叫んでたな。それから先は数えるのを忘れた」

 

つぐみ「恥ずかしい・・・そ、そろそろご飯食べない?叫びすぎてお腹空いちゃって…」

 

洸汰「そろそろいい時間だし昼ご飯にするか」

 

 

 

 

 

 

 

 

【屋上】

 

つぐみ・洸汰「「ごちそうさま」」

 

洸汰「自分で作った焼きそばとはれるくらいおいしいな。今度俺の作った焼きそばとコラボしてみたい」

 

つぐみ「洸汰くんも焼きそば作れるんだ?一度食べてみたいなぁ・・・」

 

洸汰「うちに来れば食べさせてやるから暇なときにでもきたらどうだ?」

 

つぐみ「それじゃあその時は作ってもらおうかな」

 

洸汰「さて・・・後回ってないのは3年生のフロアだな。彩さんだけ違うクラスらしいけど・・・」

 

つぐみ「そ、それは寂しいね・・・」

 

洸汰「ここに来るまでに紗夜さんからもらったパンフレットによると…彩さんは千聖さんたちと同じところでやってるらしい。そんなに一緒にやりたかったんですか彩さん・・・」

 

つぐみ「あはは・・・ところで、紗夜さんたちのクラスは何やってるのかな?」

 

洸汰「どうやらプラネタリウムみたいだな。」

 

つぐみ「プラネタリウムかあ…行ってみたいかも。」

 

洸汰「じゃあ一緒に行くか。俺もプラネタリウムは初めて見るし」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【3ーA前】

 

洸汰「こんにちは、千聖さん。」

 

千聖「あら、洸汰くんとつぐみちゃん?来てくれたのね」

 

つぐみ「後はここだけだったので」

 

千聖「ふふ、ありがとう。もうすぐ開演だから入って待っててちょうだい」

 

 

 

 

 

 

【3ーA:プラネタリウム】

 

洸汰「綺麗だな・・・時間を忘れそうになるよ」

 

つぐみ「そうだね・・・あ、あそこにあるのが・・・」

 

プラネタリウムをつぐみと一緒に楽しんだ。つぐみは星を見るのが好きらしく、どれがどの星とかの説明をしてくれた。つぐみの説明はプラネタリウムに引けを取らないくらいに説明がうまかったので俺は忘れずに手帳に書き記した・・・

 

 

 

 

 

 

【3ーA前】

 

洸汰「楽しかったな」

 

つぐみ「うん!何度かプラネタリウムを見に行ったことはあったけど学園祭で見るプラネタリウムはすごいなあ…」

 

洸汰「途中で寝そうになっちゃったけどつぐみの説明のおかげで寝ずにすんだよ、ありがとうなつぐみ」

 

つぐみ「ふふ、ありがとう。これからどうしよっか?」

 

洸汰「そうだな・・・」

 

それから俺たちは花咲川での学園祭を満喫した。体育館で劇を見たり、花咲川の生徒で行われたミスコンなども見たりした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【花咲川からの帰り道】

 

洸汰「今日はいろいろとありがとうな、つぐみ」

 

つぐみ「ううん、私の方こそ。今日はずっと一緒に回ってくれてありがとう洸汰くん」

 

洸汰「いよいよ明日は羽丘での学園祭だな。午後からは俺たちも少しだけだけど学園祭を見て回れるし、劇も本番だ。俺たちにできることを全力で頑張ろうつぐみ」

 

つぐみ「うん!・・・ねえ洸汰くん。ちょっとだけでいいから目・・・瞑ってくれないかな?」

 

洸汰「目を?別にいいけど・・・」

 

俺が目を瞑った時…頬に何やら柔らかい感触がした

 

つぐみ「ふふっ、もう目を開けて大丈夫だよ。」

 

洸汰「・・・つぐみ、今何をしたんだ?」

 

つぐみ「何って…予約・・・かな。それじゃあまたね、洸汰くん。」

 

洸汰「あ、ああ・・・」

 

そう言ってつぐみは自分の家に戻った

 

洸汰「・・・今のはキス・・・だよな?昔もこうしてつぐみに頬にキス・・・されたっけな。あの時つぐみが言ってた『あの時私たちと交わした言葉』って・・・もしかしてあの時のことか?もしあの言葉が本当なら…明日が勝負か」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜はなかなか寝付けなかったのは言うまでもない・・・

 

 

 

 

 

 

 




ルミィ「うっ・・・」

はぐみ「あ、ルーミンやっと起きた!」

ルミィ「確か俺は熊肉のコロッケを食べて・・・」

はぐみ「そのままずっと気を失ってたんだよ?」

ルミィ「ところではぐみちゃん、今のこの状況は何ぞ?」

はぐみ「えーっと、『ひざまくら』っていうんだったとおもう」

ルミィ「マ?もうちょっと横になってていいかい?」

はぐみ「ルーミンが落ち着くまで大丈夫だよ!」

ルミィ「zzz・・・」

はぐみ「もう寝てる!?え、えーっと・・・ここまで読んでくれてありがとう!」


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13話:新しい関係

ルミィ「今回のゲスt」

こころ「ハッピー!ラッキー!スマイルー…イェーイ!」

ルミィ「はい、何か遮られたと思いますが今回のゲストは弦巻こころちゃんです」

こころ「うーん、何がいけなかったのかしら?」

ルミィ「というと?」

こころ「私たちのクラスの出し物よ。もふもふ喫茶はみんなが笑顔になれると思ったのに」

ルミィ「ウサギの数が問題だったのでは?」

こころ「そうね!もっと数を増やせばよかったんだわ!」

ルミィ「(いや増やすんじゃなくて減らした方がお客さんも来るんじゃ…)では本編に行きましょう」


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

10月16日

 

今日は文化祭2日目・・・つまり羽丘学園での学園祭だ。俺とAfterglowのメンバーは午前と午後に入れ替わりで教室の露店を担当することになっている。午前は俺とつぐみの二人、午後は劇が始まるまで蘭と巴の二人体制だ。モカ?あいつは自由にしておいていいだろうって蘭が言って来たものだし適当にぶらつかせることにしたよ。まあ薫先輩という見張りつきだけど

 

【午前9時:2ーA】

 

洸汰「そろそろ花咲川の生徒が来る頃だな、準備できたかつぐみ?」

 

つぐみ「うん、こっちは大丈夫だよ!」

 

蘭「じゃああたしと巴は客引きに回ってくるからここはお願い」

 

巴「じゃあ午前中は頼んだぜ2人とも!」

 

洸汰「おう、いってらー」

 

ちなみに俺たちのクラスは午前と午後で別々になっている。つぐみがコーヒーをいれて、俺がクッキーを作る憩いの広場ならぬ憩いの教室となっている。クッキーは糖分を控えめにしてあるから食べ過ぎて太る、という心配もない。午後は巴と蘭で焼きそばを作るという感じになっている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【午前9時30分:2ーA】

 

紗夜「羽沢さんと洸汰くん、おはようございます」

 

洸汰「紗夜さん、おはようございます。今日は羽丘で羽を伸ばしてください」

 

紗夜「ところで、日菜は何か企んでらりはしてないですか?」

 

つぐみ「日菜先輩ですか?そのような素振りは見せてませんけど・・・どうかしたんですか?」

 

紗夜「それが日菜、生徒会室にも教室にもいないのよ・・・まったく、羽丘の生徒会長があんなので本当に大丈夫なのでしょうか・・・」

 

洸汰「あー・・・なるほど。一応注意しておきます」

 

紗夜「それと、コーヒーとクッキーをお持ち帰りしたいのですが・・・」

 

つぐみ「何人分ですか?」

 

紗夜「私と白金さんの二人分で大丈夫です。他の人はそろそろ来ると思うので」

 

洸汰「わかりました。ではこれを・・・」

 

紗夜「ありがとうございます、二人とも。それでは私は白金さんと合流して学園祭を楽しむことにしますので」

 

つぐみ「ありがとうございました紗夜さん。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【紗夜さんがでていってから数分後】

 

彩「洸汰くんとつぐみちゃん、おはよう!」

 

洸汰「彩さんと千聖さん、おはようございます。今日の彩さんはポニーテールなんですね」

 

千聖「今年が高校最後の学園祭だから彩ちゃんなりに力を入れてきたらしいのよ」

 

つぐみ「そういう千聖さんもポニーテールなんですね」

 

千聖「私はいいって言ったけど、彩ちゃんがどうしても見たいって言うから仕方なく・・・」

 

洸汰「でも似合ってますよ。普段のライブでもポニーテールにしてみたらどうですか?」

 

千聖「そうしてもいいのだけど、麻弥ちゃんと日菜ちゃんはショートカットでしょう?」

 

彩「だからといってツインテールにもしたいんだけど・・・ショートカットって他の髪型にするのが難しいみたいだから普段の髪型から変えることはないんだよね…」

 

つぐみ「あはは・・・確かに髪型って悩ましいですよね…」

 

洸汰「俺はそこそこ髪を伸ばしてますからたまに自分で後ろに結ったりしますね。後ろに結うくらいなら気にならないでしょうし」

 

千聖「そういえば洸汰くんって髪がそこそこ長いわね。切ったりはしないの?」

 

洸汰「気にならない程度なら自分で切れますね。真燐に切らせたら前髪がぱっつんになるので自分で鏡を見て切ってます」

 

つぐみ「そんなことできるの!?今度お願いしてもいい?」

 

洸汰「まあ時間があればだけどな・・・生徒会とかの仕事が立て込まなければ」

 

彩「いいなぁ・・・洸汰くんは色んな事が出来て」

 

洸汰「彩さんだっていろんなことができるじゃないですか。エゴサ、自撮りとか色々と」

 

彩「それはそうだけど・・・もう少しだけできることを増やしたいなー・・・後輩にできることの数で負けるのは悔しいし・・・」

 

洸汰「俺でよければできる範囲のことを教えますよ」

 

彩「本当!?嬉しい!」

 

千聖「それよりも、クッキーとコーヒーを3人分お願いしてもいいかしら?」

 

つぐみ「3人分、ですか?でも今ここに来てるのは彩さんと千聖さんだけですよね?」

 

洸汰「あー…なるほど、花音さんの分ですか。ここに来てまた迷ってるんですね・・・」

 

千聖「ええ…ここに来るのは慣れているはずなのにいつも迷ってるから私もそろそろ方向音痴を直してほしいのだけれど…」

 

洸汰「はい、3人分のコーヒーとクッキーです。皆さんで仲良く召し上がってください」

 

千聖「ありがとう洸汰くん、つぐみちゃん。また後でね」

 

つぐみ「はい!それではまた!」

 

それから2時間の間、ポピパのメンバーやらハロハピの残りのメンバーなどが来て少しの時間お喋りなどをしたりして時間を潰した・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【午後12時:2ーA】

 

洸汰「お疲れさま、つぐみ」

 

つぐみ「洸汰くんもお疲れ様。そろそろ交代の時間かな?」

 

蘭「つぐみ、朝から昼までお疲れさま。そろそろ交代の時間だから昼から劇の時間まで二人で楽しんできていいよ」

 

巴「アタシたちは十分に楽しんだしな」

 

洸汰「後は頼む、巴と蘭。蘭は劇の時間にまただな。その時はモカを連れてくるから巴とモカで店番を頼んだ」

 

巴「ああ!二人とも、楽しんでこいよ!」

 

つぐみ「ありがとう。巴ちゃん、蘭ちゃん。それじゃあ洸汰くん、行こう?」

 

そうつぐみが言って俺たちはエプロンを取って教室を後にした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【同時刻:3階廊下】

 

言い忘れてたけど、羽丘も花咲川と同じで1階が1年生で2階が3年生、3階が2年生と割り当てられている。

 

洸汰「さてと・・・どこに行く?一応どこが何をやってるかっていうのは頭の中に入ってはいるんだが」

 

つぐみ「それじゃあ最初はリサさんのところに行ってみない?マッサージをしてくれるんだって。」

 

洸汰「それはいいな、朝からずっと立ちっぱなしだったし少し休憩してから歩くか」

 

 

 

 

 

 

 

【3ーA】

 

リサ「あれ、洸汰くんとつぐみじゃん。二人ともどうしたの?」

 

洸汰「どうもリサ先輩。実はカクカクシカジカメシウマで・・・」

 

リサ「なるほどー、さっきまで店番をやっててちょっと体が疲れてるからここでマッサージを受けてから文化祭を歩き回る・・・ね。友希那―、友希那はつぐみをお願い。アタシは洸汰くんにマッサージするから」

 

友希那「わかったわ。羽沢さんはこっちへ来てちょうだい」

 

リサ「洸汰くんはこっちだね」

 

洸汰「よろしくお願いしますリサ先輩」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《数分後》

 

洸汰「んー…結構体が軽くなりましたね。ありがとうございましたリサ先輩」

 

リサ「いいっていいって♪アタシもみんなの喜ぶ顔を見れればそれでいいからさ」

 

つぐみ「友希那先輩もありがとうございました。」

 

友希那「別に…たまにRoseliaのメンバーにマッサージをしてあげることがあるからしただけよ」

 

洸汰「それじゃあお代はここに置いておきますね。改めてありがとうございました」

 

リサ「洸汰くん達の劇、楽しみにしてるからね☆」

 

洸汰「俺たちの努力の結晶、楽しみにしててください」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【2階廊下】

 

洸汰「結構体が軽くなったはいいがあまり動きすぎると劇で思ったように動けなくなるからな・・・どうする?」

 

つぐみ「それなら屋上に行く?あそこなら今の時間は人はあまりいないだろうし、ゆっくりできるかも」

 

洸汰「それならそうするか。劇の時間まで3時間はあるし少しゆっくりしよう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【屋上】

 

洸汰「・・・あれ、もしかして寝てたか?」

 

あれから俺たちは屋上に着いたはいいが、日陰でゆっくりしていたら眠気が来たみたいで俺たちはすっかり眠りこけていたみたいだ・・・ポケットに入れてた携帯で時間を確認したところ…

 

洸汰「えっと・・・14時45分!?まずいぞつぐみ!そろそろ劇の準備を始めないと!」

 

つぐみ「えっ!?もうそんな時間!?まずいよ!早くいかないと!」

 

そういって俺たちは体育倉庫へ猛ダッシュで移動した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【15時:体育倉庫】

 

つぐみ「ごめんみんな!遅れちゃった!」

 

蘭「大丈夫?そんなに走らなくてもまだ1年生の劇は終わってないのに」

 

洸汰「時間的にそろそろだと思って屋上から走ってここまで来たんだよ・・・久しぶりに全力で走ったからな・・・」

 

ひまり「はい2人とも、スポーツドリンク。これで乾いたのどを潤してね」

 

つぐみ「ごめんねひまりちゃん・・・」

 

六花「先輩たち、もう来ていたんですか!?私たちの劇は終わりましたけど、少し時間が空いてから先輩たちの劇なので頑張ってください!」

 

洸汰「ありがとな六花、お前たちの劇もよかったぞ。」

 

蘭「それじゃ・・・行こうか。あたしたちの劇をみんなに見せよう」

 

ひまり「えい、えい、おー!」

 

つぐみ「よーし、集中・・・集中・・・!」

 

洸汰「さてと・・・みんな、行こう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【65分後】

 

つぐみ「みんな、お疲れ様!」

 

蘭「お疲れ様。つぐみも洸汰もよかったよ。ほら、会場からの拍手が鳴りやまないし」

 

ひまり「うぅー・・・涙が止まらないよー…」

 

モカ「ほらひーちゃん、ハンカチ貸すからこれで涙拭いちゃってー」

 

ひまり「モカー…ありがとー…」

 

つぐみ「あれ、洸汰くんは?さっきまで隣にいたよね?」

 

蘭「そういえばそうだね・・・誰か洸汰のこと知らない?」

 

モカ「あたしは見てないよー?何か飲み物を買いに行ったとかー?」

 

蘭「巴は洸汰見てない?さっきここに来たんでしょ?」

 

巴「多分入れ違いだったんだろうな・・・アタシも見てないな」

 

ひまり「私も見てないよ、私は小道具の整理で忙しくて…」

 

蘭「どこにいったんだろ・・・そんな時間が経たないうちに後夜祭なのに」

 

つぐみ「私が探してこようか?みんなは劇で使った道具の片づけとかしてて大丈夫だから」

 

蘭「つぐだって疲れてるから休んでから行けばいいのに・・・」

 

つぐみ「さっきスポーツドリンクを飲んだから大丈夫だよ。それじゃあ行ってくるね!」

 

そういってつぐみは体育倉庫を後にした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【時刻不明:??】

 

洸汰「・・・やっぱりここが一番落ち着くな。疲れた時も悩んだ時もここに来ると嫌なことが全部なくなるみたいだ」

 

(ガチャ・・・)

 

つぐみ「・・・やっぱりここにいたんだね、洸汰くん」

 

洸汰「ん?ああ、つぐみか。悪いな、心配させて」

 

つぐみ「もうすぐ後夜祭なのに黙ってどこかに行っちゃうんだもん。心配になるよ」

 

洸汰「ここには何度も来てるから自然と足が向いたんだよ。ここは思い出の場所だしな」

 

つぐみ「思い出の場所って…そういえば転入して初日に私たちと昼ご飯を食べたのもここだったね。」

 

洸汰「ああ。あの時は日菜先輩が俺のことをつけてきてるなんて思いもよらなかったけどな。あれがつぐみ達との転入初日の出来事だったな。あれから大体半年か・・・色々あったな。」

 

つぐみ「うん。洸汰くんが私たちのライブを見に来てくれたり、みんなで勉強会したり、みんなで海に行ってその後夏祭りに参加したり…」

 

洸汰「時には俺が植物状態になってみんなに迷惑をかけたりしたこともあったけど・・・悪いことばかりじゃなかった。昔の記憶を思い出すこともできたんだしな」

 

つぐみ「それで洸汰くん・・・あの時交わした言葉…覚えてる?」

 

洸汰「ああ、思い出したよ。それと・・・つぐみのあの時の返事と一緒になるけど」

 

つぐみ「・・・うん、洸汰くんの口から聞きたいよ。洸汰くんの答え、聞かせて?」

 

洸汰「あの時交わした『私たちの中で誰が好きか・・・また会って洸汰くんの心が決まったら聞かせてほしい』って言葉・・・俺は思い出すまでこんな気持ちになったことはなかった。でも、つぐみがAfterglowのみんなを引っ張っていく姿を見て・・・いつしか俺はつぐみのことが好きになっていったんだ。そして昨日つぐみから俺の頬にキスをしてきたとき・・・俺の心は決まったんだ。俺はつぐみのことが好きだってことに。心の底からつぐみと一緒にいたい・・・それが俺の気持ちだ。だから・・・俺と付き合ってくれ、つぐみ・・・いや、『つぐ』」

 

つぐみ「洸汰くん・・・ううん、『洸くん』!私も洸くんのことが大好きだよ!」

 

洸汰「ずっと長い時間待たせてすまなかった、つぐ。俺が昔の思い出を思いだしていなかったって言ったときは心を傷めただろうな・・・でもあんなことはもう繰り返させない。これからは俺がつぐのそばで支えるから・・・」

 

つぐみ「・・・ふふっ、洸くんはあのころと変わらないね。みんなのために頑張ってたあの時の洸くん、かっこよかったなぁ…」

 

洸汰「つぐにとって今の俺はどう見えるんだ?」

 

つぐみ「もちろん、前と全く変わらない・・・ううん、前よりかっこいいよ。」

 

洸汰「そういうつぐも前より可愛くなったよな。昔は今より無邪気さがあったけど可愛さが増したっていうか・・・大人っぽくもなったな」

 

つぐみ「ふふっ、ありがとう洸くん。あの・・・」

 

洸汰「今は思い切り甘えたい、だろ?昔から変わらないな、俺に甘えてきてたところは」

 

つぐみ「でも、そういう時に私のことを支えてくれた洸くんも昔と変わらないから・・・」

 

洸汰「つぐ」

 

つぐみ「何?洸k・・・」

 

つぐみが俺の名前を言い終わる前に俺はつぐみの唇にキスをした。

 

つぐみ「・・・もう洸くん、不意打ちすぎるよ・・・でも、そんなところも大好きだよ!」

 

そういってつぐみは俺に抱き着いてきた。俺はつぐみを優しく抱きしめ、つぐみは俺の胸に顔を埋めて泣いていた・・・俺と両想いになった嬉しさと数年ぶりに戻ってきた幼馴染との再会が込められていたように感じた・・・

 

つぐみ「・・・洸くん」

 

洸汰「なんだ、つぐ?」

 

つぐみ「改めて・・・おかえりなさい!」

 

洸汰「・・・ああ、ただいま。つぐ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ルミィ「いかが・・・だったでしょうか・・・」

こころ「泣けるわね・・・」

ルミィ「こころちゃん・・・泣いてる?」

こころ「そういうルミィだって・・・泣いてるわよ?」

ルミィ「だって・・・幼馴染との再会って泣けない…?」

こころ「そうね・・・もう戻ってこないかもって思った時に戻ってくるのは泣けるわ・・・」

ルミィ「そうでしょ・・・?」

こころ「それじゃあ・・・ここまで読んでくれてありが・・・グスッ」

ルミィ「ありがとうございました・・・グスッ」


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14話:新しい思い出

ルミィ「今日のゲストはこの人であります」

薫「やあ、読者の人たち・・・今日は気高き子犬ちゃんに呼ばれてやってきたよ」

ルミィ「気高き子犬とは私のことなのでしょうか?」

薫「そうだが・・・どこか違ったかい?キミのような人にはぴったりだと思ったのだが」

ルミィ「うーん…私は犬は吠えるので苦手なんですよね。誰にでも懐く猫ちゃんの方が好きです」

薫「む、そうなのか・・・すまない、なら間を取って気高き」

ルミィ「厄介な二つ名を付けられる前に本編行きましょか」


 

 

 

 

 

 

 

 

 

10月17日

 

俺とつぐが付き合いはじめて次の日(合同文化祭の次の日)になった。合同文化祭の後夜祭の後、俺はつぐの家に泊まって俺の昔話やつぐの昔話をしたりして楽しんだ。時には笑ったり、時には弄りあったりした。時々つぐみが顔を赤くして俺の肩をポカポカ叩いてきたときは面白くてつい顔が緩んだりした。その時はからかった罰として次の日の仕事を手伝ってほしいと言われた。まあからかったのは俺だし手伝うことにした

 

【午前8時:羽沢珈琲店】

 

洸汰「おはよう、つぐ。」

 

つぐみ「おはよう、洸くん。ふぁぁぁぁ・・・」

 

洸汰「眠いのか?まだ開店時間じゃないしもう一眠りしてきて大丈夫だぞ?」

 

つぐみ「大丈夫だよ・・・結構眠れたし・・・」

 

洸汰「そう言ってるのは別にいいんだけど目をゴシゴシしながら言っても説得力ないし、昨晩は眠れないからって俺の腕にしがみついてたのは誰だったっけな?」

 

つぐみ「うっ・・・そ、それはごめんね・・・」

 

洸汰「謝らなくていいからもう一眠りしてきていいぞ。仕事中に倒れられるのは困るしな。それに今日はイヴも来るし、おじさんとおばさんも今日はここの仕事を手伝ってくれるって言ってたし」

 

つぐみ「ごめんね、洸くん・・・それじゃあもう一眠りしてくる・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つぐみの母「おはよう洸汰くん。いつもいつもありがとね」

 

洸汰「どうも、おはようございます。ここの仕事は結構好きですし、時々つぐからレシピも教えてもらってますし学校の方でもお世話になってますから」

 

つぐみの父「いや本当に助かってるよ。私たちが仕事でいないときは毎日のように来てくれてるとか」

 

洸汰「それだけここの仕事が気に入ったんですよ。俺は元々誰かのために作るってことが好きなので少しでもお客さんが喜んでくれるので嬉しいですから」

 

つぐみの父「そう言ってもらえてうれしいよ。さて、そろそろ開店時間だから頑張るとしようか。」

 

洸汰「はい、今日もよろしくお願いします」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つぐみの母「洸汰くん、フルーツタルトお願い!」

 

洸汰「はい、フルーツタルトですね!」

 

つぐみの父「こっちはブラックコーヒーとジンジャークッキー!」

 

洸汰「おお忙しい忙しい、ブラックコーヒーとジンジャークッキーですね!」

 

つぐみの母「今度は・・・」

 

こんなことが数時間は続いた。途中からつぐも加わってキッチンは大賑わいになった・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【午後12時:キッチン】

 

 

つぐみの母「ありがとう洸汰くん、少し休憩にしましょうか。」

 

洸汰「いえ、まだ大丈夫です。まだ頑張れますよ」

 

つぐみの母「無理しなくていいのよ?ずっとキッチンで作りっぱなしだったから少しは羽を伸ばすのも仕事のうちよ」

 

洸汰「・・・それならお言葉に甘えます。」

 

つぐみの母「ちょうど蘭ちゃんたちも来てるし、少し話をして来たらどう?」

 

洸汰「そうします」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【同時刻:つぐみの部屋】

 

洸汰「お待たせ、みんな」

 

蘭「遅い・・・って言いたいところだけどさっきまで手伝ってたんだし、とりあえずお疲れ様」

 

モカ「お疲れこーくん。これ沙綾のところのパン―」

 

洸汰「差し入れありがとうなモカ。後でいただくよ」

 

ひまり「私からはコンビニスーツの詰め合わせだよ!」

 

洸汰「詰め合わせっていうよりはただひまりのお気に入りを買って来ただけなんじゃないのか?いつものしか見えないんだが」

 

ひまり「ソンナワケナイヨ?」

 

洸汰「棒読みしても無駄だぞ」

 

ひまり「うっ・・・」

 

洸汰「ま、ありがとな。真燐にも後で分けてやるか」

 

巴「ところでつぐは何してるんだ?」

 

洸汰「さあ・・・おじさんたちと何か話してるみたいだったけどもうすぐ来るんじゃないか?」

 

つぐみ「ごめんみんな!お父さんたちと話してたら遅くなっちゃった!」

 

洸汰「そんな感じだってみんなで話してたところだ。ところでおじさんたちは何か言ってたか?」

 

つぐみ「うん、今日はもう上がって大丈夫だって。『文化祭の疲れも残ってるだろうし、たまにはみんなでお話でもどう?』って丸め込められちゃって・・・」

 

洸汰「つぐって昔からおじさんたちに『今日は休んでいい』とかに弱いよな。昔から無茶してたし」

 

つぐみ「うぅー…何も返せないよ洸くん」

 

蘭「そうだね・・・って洸汰、いつの間につぐみのことを『つぐ』って呼んでたの?」

 

つぐみ「え、えっとこれはその・・・」

 

ひまり「つぐも洸汰のこと『洸くん』って呼んでるよね。いつから!?」

 

洸汰「別に隠すことはないんじゃないか?」

 

つぐみ「それはそうだけど・・・なんか恥ずかしいっていうか・・・」

 

モカ「なになにー?モカちゃん気になっちゃったー」

 

ひまり「つぐ、観念して言っちゃってよー!」

 

巴「アタシも気になるしな。いつからだ?」

 

つぐみ「き、昨日から・・・」

 

蘭「なるほど、昨日・・・は?」

 

洸汰「昨日の文化祭の劇の後、俺は屋上で一人黄昏てたんだよ。そこにつぐが来て、

 

つぐみ「それから少し思い出話とかして・・・」

 

洸汰「で、俺からつぐに告白したんだよ。その時だな、俺たちが互いに呼び方を変えたのは。子供の時はお互いに『つぐ』と『洸くん』って呼びあってたし」

 

蘭「・・・そんなことあったんだ。だから後夜祭の時につぐはとても嬉しそうだったんだ・・・」

 

つぐみ「ごめんね蘭ちゃん、言いだそうとしたけどそんな勇気私にはなくて…そのうち話そうとは思ってたんだけど」

 

蘭「別に謝らなくていいから。・・・ちょっと洸汰」

 

洸汰「なんだ?改まって」

 

蘭「つぐに告白したってことはあの時の言葉、思い出したってこと?」

 

洸汰「ちょっと思い出すのが恥ずかしかったけどな」

 

モカ「何の話ー?」

 

蘭「モカは覚えてないだろうし、改まって話すことじゃないから」

 

ひまり「それより二人とも、おめでとー!」

 

巴「おめでとうつぐ、洸汰!」

 

つぐみ「な、なんだか祝われると恥ずかしいね・・・」

 

洸汰「そうか?どのみちみんなには言うつもりだったしそこまで恥ずかしがることじゃないと思うけど」

 

つぐみ「洸くんはそうかもしれないけど私は恥ずかしいんだよ!(ポカポカ)」

 

洸汰「だから痛いって、つぐは叩くときは強いからな・・・叩かれる身にもなってくれ」

 

つぐみ「うぅー・・・」

 

蘭「じゃああたし達はそろそろ帰ろうか、二人の時間を邪魔しちゃ悪いし」

 

洸汰「あれ、もう帰るのか?もうちょっとゆっくりしていけばいいのに」

 

蘭「あたしたちはまだやることあるしね。つぐたちと違ってあたし達はみんな昼からバイトだし」

 

洸汰「そうか、それなら仕方ないな。また今度ゆっくり話すか」

 

モカ「それじゃあモカちゃんたちはそそくさと退散しまーす。ごゆっくりー」

 

ひまり「甘いお土産話、待ってるからね!」

 

巴「今度はあこも連れてくるからまたその時話そうな!」

 

洸汰「またな、みんな」

 

そう言って蘭たちは羽沢珈琲店を後にした・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【午後12時30分:つぐみの部屋】

 

洸汰「さて、どうしようか・・・昼から休みをもらったとはいっても俺はここで一日中仕事の予定だったし特に何も考えてなかったけど」

 

つぐみ「それなら一度行ってみたいところあるんだけどいいかな?」

 

洸汰「どこだ?」

 

つぐみ「えっと、最近リニューアルオープンした温水プールだって。サウナやお土産とかもあるみたいだよ」

 

洸汰「温室プールか・・・いいかもな。つぐは今の格好のまま行くのか?」

 

つぐみ「さすがに寝間着にエプロンを着けた今の格好じゃ行きにくいからお出かけ用に着替えるよ!」

 

洸汰「じゃあ俺は外にいるから着替えたら呼んでくれ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【五分後】

 

つぐみ「お、お待たせ洸くん・・・服を選ぶのに時間かかっちゃって」

 

洸汰「つぐは女の子だし選ぶのにも時間かかるし別に大丈夫だぞ。ただ俺も寝間着姿で行くのは抵抗あるから一旦俺の家で着替えてくる」

 

つぐみ「私も着いていっていい?」

 

洸汰「別に数分だけだけど・・・まあいいか。リビングで寛いでてくれ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【15分後】

 

洸汰「おまたせ。それじゃあ行くか」

 

つぐみ「うん!」

 

それから俺たちは手を繋いで目的地の温水プールまで歩いて行った。俺の家からそこまで距離はなかったし最初はタクシーで・・・と思ったがつぐが頑なに手を離さないものだからな・・・まあつぐが終始笑顔だったからいいか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【さらに15分後】

 

洸汰「目的地に着いたけど・・・これは想像以上に大きいな・・・」

 

つぐみ「そ、そうだね・・・もう少し小さいかもって思ってたから・・・」

 

洸汰「ここで足踏みしても仕方ないし入るか」

 

つぐみ「うん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【温水プール施設内】

 

洸汰「(俺は海パンを履くだけだったからそんなに時間はかからないけど改めて思うと女の子って水着に着替えるのって時間がかかるものなんだな)」

 

つぐみ「こ、洸くん・・・おまたせ・・・」

 

洸汰「そんなに恥ずかしがらなくてもいいんじゃないか?今日は休日だけど見る限りほかに客はそんなにいない感じだし」

 

つぐみ「それはそうだけど・・・」

 

洸汰「それに、タオルで隠してるけど俺がこの間買ってあげた水着なんだろ?」

 

つぐみ「えっと・・・実は新しく水着を買ってたんだ。この間買ってくれた水着は気に入ってるんだけど、自分で選んで洸くんなら喜んでくれるかなって…」

 

洸汰「どんな水着なんだ?」

 

つぐみ「・・・笑わないでね?」

 

そういってつぐはタオルを取った。つぐが自分で買った水着は・・・

 

洸汰「なんというか・・・とても可愛いな。」

 

フリフリのレースがついたシンプルな水着とは思えないほどカラーリングがとてもマッチしていて俺が買ってあげた水着よりはるかに似合っていた

 

つぐみ「えへへ・・・ありがとう洸くん。じゃあ遊んじゃおっか。」

 

洸汰「ああ、せっかくのデートだしな。おじさんたちの厚意を無駄にしないためにも楽しむか」

 

つぐみ「で、デート・・・うん、デートだよね!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから俺たちは波の出るプールやウォータースライダー、水中迷路などいろんなところで遊んだ。特にウォータースライダーでは二人乗りできる浮き輪に乗り下まで滑っていった。途中からつぐが俺のお腹に手をまわして抱き着きながら声を上げてたけど当の本人は楽しそうにしていたみたいだしよしとするか。

 

【午後4時】

 

洸汰「結構楽しんでたな、つぐ」

 

つぐみ「そういう洸くんだって楽しんでたね。あ、洸くん」

 

洸汰「何かあったか?」

 

つぐみ「うん、こんなのなんだけど・・・」

 

洸汰「なになに・・・『カップル限定でネオンライトを背景に記念撮影』・・・リニューアルした今日限定イベントか。いいかもな」

 

つぐみ「あ、あそこみたい。早く行こう!」

 

洸汰「そんなにはしゃがなくても大丈夫だつぐ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【記念撮影所】

 

写真家「はい、次の人どうぞ」

 

洸汰「俺たちの番だな、そんなに緊張しなくても大丈夫だぞつぐ」

 

つぐみ「でも写真撮影ってなると緊張が・・・」

 

洸汰「しょうがないな・・・ほら、緊張しないように手を繋いでやるから。これなら緊張しないで済むだろ?」

 

つぐみ「(ギュッ)えへへ・・・洸くんの手、とても暖かい・・・確かにこうしてると緊張がどこか飛んでいきそう」

 

洸汰「じゃあ行くか」

 

つぐみ「うん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

写真家「お二人とも、もう少し寄って―。男の子の方は少しかがんでくれるかな?縦向きに撮りたいんだけど少しだけはみ出ちゃうから」

 

洸汰「こうですか?」

 

写真家「そうそういい感じ!それじゃあ撮るね、3・・・2・・・1・・・(パシャッ)うん、二人ともいい表情!もう一枚どう?」

 

つぐみ「もう一枚ですか?いいですよ!」

 

写真家「それじゃあお若い二人ってことでお姫様抱っこいってみよっか!」

 

洸汰「・・・(はい?)」

 

つぐみ「お、お姫様抱っこ!?」

 

写真家「2人とも見る限り高校生だし、こういうのはいい経験になるよ?」

 

つぐみ「・・・わかりました!」

 

洸汰「(安請け合いのような気がするけどつぐが目を光らせてるしいいか)それじゃあお願いします」

 

 

 

 

 

 

 

 

写真家「それじゃあ撮るねー!ハイ、チーズ!」

 

写真家がそう言った次の瞬間、俺の頬に一瞬だけだが柔らかい感触がした。カメラのフラッシュは一瞬だけだったので何があったのか知るのは俺とつぐだけだ

 

写真家「2人ともお疲れさま!写真はロビーで受け取ってね!」

 

洸汰「ありがとうございました」

 

つぐみ「貴重な体験をありがとうございました!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから俺たちは少しの時間遊んで疲れたので帰ることにした

 

【午後5時30分:帰り道】

 

つぐみ「・・・ふふっ」

 

洸汰「さっき撮ってもらった写真を見てずっと顔が緩んでるな。まああんなことがあったしそうなるのは普通か」

 

さっきつぐと一緒に撮った写真の一枚には俺がつぐをお姫様抱っこしていた時につぐが俺の頬にキスしてきた所が写っていた。一枚目は普通に手を繋いだだけの写真だったがつぐの笑顔は背景のネオンライトよりも輝いて見えた

 

つぐみ「あんな体験は初めてだったし、あの写真家さんも言ってたけどああいう機会は滅多にないだろうし・・・」

 

洸汰「そうだとしてもあれは不意打ちすぎるだろ…あんな一瞬のフラッシュの間によくやったな」

 

つぐみ「だって、初めてのデートの思い出を作りたくて…」

 

洸汰「まったく、つぐは思い出作りのときは誰よりも目を光らせてたからな・・・そこも好きだけど」

 

つぐみ「こ、洸くん!?いきなり言われると恥ずかしいっていうか・・・こ、洸くん。少しの間じっとしてて!目は・・・開けててもいいから」

 

洸汰「じっとって…こうでいいのか?」

 

つぐみ「そのままそのまま・・・えいっ!」

 

俺は目を開けたままつぐが何をしてくるのか全く予想がつかなかった・・・次の瞬間

 

つぐみ「・・・んっ」

 

つぐみは少し背伸びをして俺の唇にキスをしてきた。昨日の俺からつぐへのキスはほんの一瞬だったが、つぐから俺にしてきたキスは10秒くらい続いた・・・

 

洸汰「・・・まったく、つぐにはかなわないかもしれないな。不意打ちするのは得意なんだが不意打ちされるのは苦手なんだよ」

 

つぐみ「ふふっ・・・昨日のお返しだよ洸くん。でも自分からするのって…結構恥ずかしいんだね」

 

洸汰「昨日の俺に小一時間ほど問い詰めたくなるようなセリフだな。昨日は一瞬だったけど」

 

つぐみ「ふふっ、昨日は私がびっくりしたけど・・・洸くんはどうだった?」

 

洸汰「もちろんびっくりしたぞ。これでおあいこだな」

 

つぐみ「ふふっ、そうだね。それじゃあまた明日学校で・・・だね。洸くん」

 

洸汰「ああ、また明日だな。お休み、つぐ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そういって俺たちはそれぞれの帰路についた・・・




ルミィ「いかがだったでしょうか?」

薫「つぐみちゃんも変わったね、洸汰と付き合い初めて2日目だとは到底思えないよ」

ルミィ「これも幼馴染のなせることでしょうか。私には幼馴染といえるほどの人脈はありませんが」

薫「おや、そうなのかい?」

ルミィ「はい、私は他の人と比べて昔は友達と遊ぶ機会が少なかったので。今は空いた時間は友達と遊んでますし」

薫「主さんも随分と変わったね。私も昔は・・・」

千聖「あら、何を話そうとしてたのかしら?『かおちゃん』」

薫「っ!?ち、千聖か・・・何って、昔の私の話だよ。昔から仲の良かった人とどんな遊びをしたのか、とかだね。だから・・・その『かおちゃん』はやめてくれないか?」

千聖「そう、私の話をしようと思ったわけじゃないのね。それなら別に構わないのだけれど」

ルミィ「それではここまで読んでくれてありがとうございました!」


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15話:新しい未来

ルミィ「今日のゲストはこの方です」

真燐「どうも、趨鈹洸汰の妹の趨鈹真燐です。」

ルミィ「真燐ちゃんは真面目さんですね。久々のしっかりしたゲストでよかったです」

真燐「久々?誰か最近やらかしてたんですか?」

ルミィ「前話は薫さんに変な二つ名を付けられかけたり、前々々回ははぐみちゃんに熊肉のコロッケをもらうし・・・」

真燐「前々回は誰だったんですか?」

ルミィ「こころちゃんです」

真燐「弦巻先輩ですか・・・何があったんですか?」

ルミィ「その回を見て泣いてました」

真燐「あの弦巻先輩が・・・?珍しいですね」

ルミィ「感情はその時次第で変わりますからね。主はあまり泣いたりとかはしませんのでそういう人が少しだけ羨ましくなったりします」

真燐「苦労してるんですね・・・それじゃあ本編に行きましょうか」


 

 

 

 

 

 

 

 

12月23日

 

つぐと初めてのデートの日から2か月ほど経った。あれから俺たちは仕事がない時は二人で出かけたり、Afterglowのメンバーの練習を見たりした。少しだけ楽器に関する知識もあったため偶に楽器を演奏させてもらったり、セッションをしてみたりもした。ただ演奏はしたことがなかったため教えてもらうことの方が多かったけどな・・・

今学園は冬休みに入り、しばらくAfterglowの練習も学校の生徒会の仕事も休みとこのとなので、冬休みの間は羽沢珈琲店で働くことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【午後2時:羽沢珈琲店】

 

洸汰「ありがとうございましたー」

 

つぐみ「ありがとうございました!」

 

つぐみの母「2人ともお疲れ様。今日は上がっていいわよ」

 

洸汰「え、いいんですか?ここのところ冬休みでお客さんが休む間もなく来てるんですけど・・・」

 

つぐみの母「それはそうだけど、明日はクリスマスでしょ?2人ともクリスマスプレゼントはもう買ったの?」

 

つぐみ「もうそんな時期かぁ…ってプレゼントのことすっかり忘れてたよ!」

 

洸汰「あー、そういえばそうでしたね。向こうではクリスマスとか忘れて過ごしてたんで・・・」

 

つぐみ「本当に向こうでどんなことして過ごしてたの!?」

 

つぐみの母「ほら、早く買いに行かないと売り切れちゃうわよ?」

 

洸汰「ではお言葉に甘えて俺たちは上がらせてもらいますね。今日もありがとうございました」

 

つぐみの母「そうだ、洸汰くんは少しだけ残っててね。渡すものがあるから」

 

洸汰「わかりました」

 

つぐみ「それじゃあ私は部屋で待ってるね!」

 

そういってつぐみは部屋に戻っていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

洸汰「それで、渡したいものって何ですか?」

 

つぐみの母「これ、遅くなっちゃったけど数ヶ月分の給料。」

 

洸汰「そんな、悪いですよ。俺はお客さんの笑顔だけでも嬉しいのに」

 

つぐみの母「これはうちの旦那と話し合って渡したいって言っていたのよ。特に洸汰くんのオリジナルメニューはお客さんからも好評だし」

 

洸汰「でも・・・」

 

つぐみの母「いいから貰っておきなさい、つぐみの彼氏さんだし少しは奮発していい物でもプレゼントしてあげてちょうだい。あの子は洸汰くんからもらえる物なら喜んでくれると思うのよ」

 

洸汰「・・・なら貰っておきますね。ありがとうございます」

 

つぐみの母「いいから行ってらっしゃい、つぐみと仲良くね。」

 

つぐみのお母さんからそう言われた後俺はつぐみの部屋に戻った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つぐみ「あ、洸くん。お母さんとの話って何だったの?」

 

洸汰「ここ数ヶ月分の給料を渡されてな、クリスマスプレゼントに奮発してやってくれって釘を刺されたよ」

 

つぐみ「あはは・・・お母さんって私のことになると嬉しそうにするからね・・・」

 

洸汰「それじゃあショッピングモールに行くか、あそこならプレゼントに向いてるのが結構ありそうだし」

 

つぐみ「うん、早く行こう!早くしないと売り切れちゃうから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【午後3時:ショッピングモール】

 

つぐみ「うぅー・・・寒かった・・・ちゃんと手袋してたのに…」

 

洸汰「冬ってだけじゃなくて雪も結構降ってたからな、手袋だけじゃ寒いだろうし」

 

つぐみ「洸くんはいいなぁ・・・北海道って年中とは言わないけど寒い日が続くし寒いのに慣れてるから・・・」

 

洸汰「まあ昔から寒いのは好きだったし、つぐが寒さに弱いだけじゃないのか?」

 

つぐみ「うっ・・・否定できないよ・・・」

 

洸汰「さて、クリスマスプレゼントを探したいんだが・・・二人で一緒に探してもプレゼントがわかっちゃうからここは別行動で探さないか?」

 

つぐみ「そうだね。じゃあ一旦解散してプレゼント探しだね!」

 

洸汰「プレゼントを買い終わったらインフォメーションセンターに集合ってことにしておくか」

 

そういって俺たちは一旦解散してクリスマスプレゼントを探しに各フロアを回った・・・

 

洸汰side

 

さてと、プレゼントを探すっていってもどんなものがいいかな・・・マグカップっていっても普通すぎるし、かといって真燐とか蘭たちに頼むってのもあれだし・・・ん?あそこにいるのって

 

洸汰「有咲?」

 

有咲「誰だ?って洸汰かよ・・・ポピパのメンバーの誰かと思ったじゃねーか。どうしたんだこんなところで」

 

洸汰「いや、明日ってクリスマスイヴだろ?だからつぐと一旦分かれてプレゼントを買いに来たんだけどどんなのにするか悩んでてな・・・Afterglowのみんなに買おうって思ってるから相談なんてしても無駄だから誰かの知恵を拝借したくてな」

 

有咲「で、偶然見つけた私の知恵を借りたいってことか?」

 

洸汰「そういう事なんだが・・・頼めるか?」

 

有咲「別に構わねーよ。私は一応買い終わってるし大して力に慣れねーかもしれねーぞ?」

 

洸汰「『三人寄れば文殊の知恵』っていうだろ?今は二人だけど」

 

有咲「じゃあさっさと行くぞー。つぐみちゃんに出くわさねーようにしねーとな・・・」

 

洸汰side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つぐみside

 

うーん・・・どんなものがいいかなぁ…洸くんが喜ぶものっていったら数えたらキリがなさそうだし、この中から選ぶっていっても私ひとりじゃ決めきれないかも…あれ?あそこにいるのってもしかして・・・

 

つぐみ「美咲ちゃん?」

 

美咲「あれ、つぐみさん。どうしたんですかこんなところで。」

 

つぐみ「実は・・・」

 

 

 

 

 

美咲「なるほど、洸汰さんへのクリスマスプレゼントを買いたいと…」

 

つぐみ「うん、蘭ちゃんたちへのプレゼントはもう買ってあるんだけど、洸くんが貰って喜びそうなものが思いつかなくて」

 

美咲「洸汰さんが持ってなさそうなものの心当たりはありませんか?」

 

つぐみ「洸くんが持ってなさそうなもの・・・あ、それなら心当たりがあるかも!ありがとう美咲ちゃん!」

 

美咲「どういたしまして・・・でいいんでしょうか」

 

つぐみside out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

洸汰side

 

有咲「ところで、つぐみちゃんの喜びそうなものの心当たりってあるのか?」

 

洸汰「んー・・・正直心当たりがありすぎて困るんだよな。つぐの部屋って綺麗にしてるかと思ったけど棚のなかにいろんなものが入ってるし、すでに持ってそうなのが多いんだよな・・・」

 

有咲「あー・・・確かに何でもありそうだよな。私も一回行ったけど色んなもの見せてもらったし」

 

洸汰「つぐが持ってなさそうなもの・・・か」

 

有咲「食べ物だと残らないから形に残るものがいいんじゃね?」

 

洸汰「形に残るものでつぐが持ってなさそうなもの・・・」

 

・・・

 

洸汰「・・・あった。つぐが持ってなさそうなもので形に残るもの」

 

有咲「ならよかったな。私も着いてきた方がいいか?」

 

洸汰「いや、大丈夫だ。ありがとう有咲」

 

有咲「ベ、別に感謝されるようなことしてねーし・・・ほら早く行けよ!」

 

洸汰「素直じゃないな。ま、ありがとな」

 

有咲「背中が痒くなるからさっさといけー!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【???】

 

店員「いらっしゃいませ。おや、これはずいぶんと若いお客様ですね」

 

洸汰「すみません、・・・ありますか?」

 

店員「はい、ございますが・・・誰かへのプレゼントでしょうか?」

 

洸汰「はい、高価なものであることは承知ですが、少しでも形になるものがいいと思いここに来たんです」

 

店員「なるほど、左様でございますか。プレゼントのお相手は女性ですか?」

 

洸汰「そうですね、同い年で恋人なんです。」

 

店員「それでは、こちらのものなどどうでしょうか?」

 

洸汰「・・・お願いします」

 

店員「では・・・円になります」

 

洸汰「これで」

 

店員「では、お品物です。この箱に入れてあるのでプレゼントの時に渡してあげてください」

 

洸汰「ありがとうございました」

 

そういって俺はある店を後にした・・・

 

洸汰side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つぐみside

 

つぐみ「これなら洸くんも喜んでくれるかも・・・洸くん、こういうのつけていたところを見たことないしそれに・・・ふふっ、洸くんの喜ぶ顔が楽しみだなぁ…」

 

こうして私はお店を後にしてインフォメーションセンターに向かった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【インフォメーションセンター】

 

洸汰「お、つぐも無事にプレゼント買い終わったんだな」

 

つぐみ「洸くんも買い終わったんだね。いい時間だし今日は解散しちゃう?」

 

洸汰「そうだな、今日は解散にして明日にするか。一応他のメンバーには連絡は回してあるし」

 

つぐみ「それじゃあ今日は解散だね。また明日!」

 

こうして俺たちはショッピングセンターを後にしてその日は解散した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

12月24日

 

【午後12時:趨鈹家リビング】

 

今日はクリスマスイブだ。真燐はこころの家でクリスマスを過ごすと一昨日連絡があったので今家には俺一人だ。もうすぐ来る頃だと思うが・・・

 

(ピンポーン)

 

洸汰「噂をすればなんとやら、か」

 

つぐみ「洸くん、みんなを連れてきたよ!」

 

蘭「洸汰、来たよ」

 

モカ「おー、おいしそうなお肉のにおい―」

 

ひまり「新作スイーツのにおい―!」

 

巴「お、飾りつけもできてるな!」

 

洸汰「真燐にも手伝ってもらってな。今日真燐は心のところでクリスマスパーティをするらしいからゆっくりしてていいぞ」

 

蘭「それじゃあお邪魔するよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【午後2時】

 

モカ「それでー、あたしがこの間ハンバーガーを20個も食べたらひーちゃんが―」

 

ひまり「モカー!その話題この前も聞いたよー!」

 

巴「モカ、その話飽きないよな・・・アタシもその時そこにいたからひまりのことはわかるんだけどもうやめてあげろよ?」

 

蘭「モカ、これ以上はひまりが可愛そうだからもうやめてあげて」

 

モカ「えー?じゃああの時のー」

 

洸汰「モカ、それもこの間聞いた。しかもひまりが一番顔を真っ赤にしてた話題だし」

 

つぐみ「これ以上ひまりちゃんの話題を出すとひまりちゃんが洸くんの部屋に閉じこもりそうだから今日はひまりちゃんの話題禁止だよモカちゃん!!」

 

モカ「えー?」

 

蘭「ほらモカ、ひまりが顔を真っ赤にしてるからやめてあげて」

 

とまあ、こんな感じにモカがひまりを弄ろうとしていたので全員でひまりの話題を止めにかかったり、逆に俺たちがモカを弄ったりしてモカの顔を赤くしてやろうとしたりした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【午後5時】

 

モカ「そろそろあれの時間じゃない―?」

 

ひまり「そうだよ!プレゼント交換!」

 

巴「そうだな、みんなプレゼントは持って来たか!?」

 

蘭「持ってきてるに決まってるじゃん、モカじゃあるまいし」

 

つぐみ「私もちゃんと持ってきてるよ」

 

洸汰「ちょっと部屋から取ってくるから待っててくれ」

 

 

 

 

 

 

 

 

【数分後】

 

洸汰「戻ったぞ」

 

ひまり「それじゃあやろう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

適当に音楽を流してプレゼントを交換した

 

蘭「あ、このスノードームいいじゃん。」

 

つぐみ「あ、それ私が買ったのだよ!私へのプレゼントは・・・あ、この写真立て、私がほしかったのだ!」

 

モカ「それあたしのやつだー。モカちゃんへのプレゼントはー?こ、これは・・・」

 

洸汰「そのホラー映画の詰め合わせは俺のやつだな、ひまりに回ると思ってたんだけど。さて、俺のは・・・お、これはマルチサウンドイヤホンじゃないか。これひとつでステレオとモノラル、サラウンドの3パターンが聞ける高性能イヤホンだな」

 

巴「それはアタシのだな!あたしのはスイーツの詰め合わせだな」

 

ひまり「それ私のだー!じゃあ蘭のプレゼントは私のだね!何が入ってるかなー?」

 

蘭「それ、洸汰の買ったやつの別シリーズじゃん。怖さはあたしが買った方が上だから見るときは明かりをつけてみた方がいいよ」

 

ひまり「何で二人とも私の苦手なものを買ってくるのー!?」

 

蘭「だって、昔からひまりは怖いもの苦手だしそろそろ克服しないとって思って」

 

洸汰「だな、そろそろ苦手なのを克服しないとこれから先大変だしな」

 

ひまり「もー!これからが大変だよー!」

 

結局、ひまりが弄られることは変わらなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【午後7時】

 

蘭「あれ、もうこんな時間なんだ。時間が過ぎるの早いね」

 

モカ「それじゃあモカちゃんはお暇しまーす」

 

ひまり「私もそろそろ帰ろうかなー。これから家に貯めてあるスイーツを食べつくすんだよ!」

 

巴「アタシもあこが待ってるだろうから帰るよ。つぐはどうする?」

 

つぐみ「私はもう少しいようかな」

 

蘭「そっか、じゃああたしたちは帰るから二人で楽しんでね」

 

モカ「じゃあねー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【洸汰の部屋】

 

洸汰「・・・」

 

つぐみ「・・・」

 

みんなが帰った後、つぐみと俺は部屋でのんびり外の景色を見ていた。雪が降り、理想のクリスマスイブだった。外に少しだけでもいたかったのだが、外は寒いので風邪を引いたら困るから部屋でゆっくりすることにした。

 

つぐみ「ふふっ・・・」

 

洸汰「どうしたつぐ?」

 

つぐみ「ううん、洸くんと一緒にこうしてクリスマスを過ごすことができて幸せだなぁって・・・」

 

洸汰「俺も幸せだよ。向こうでは一人でクリスマスを過ごしてたし、つぐと一緒にクリスマスを過ごせて幸せだ」

 

つぐみ「そうだね」

 

洸汰「そういえばつぐ、何か渡したさそうにしてたな。蘭たちがいるから渡せなかった、とかか?」

 

つぐみ「うん、さすがに蘭ちゃんたちの目の前で洸くんに渡すのは恥ずかしかったから・・・そういう洸くんも私に何か渡したげだったよね?」

 

洸汰「まあ、な・・・つぐは何を買ったんだ?」

 

つぐみ「うん、これだよ・・・喜んでくれると嬉しいんだけど・・・」

 

そういってつぐみが渡した箱の中には・・・ペンダントだった。しかも二つあり、おそらく一つはつぐの分だろう。二人でお揃い、ということだろう。ご丁寧に写真を入れることができる仕組みになっている

 

洸汰「・・・ありがとな、つぐ。これに一番の思い出になる写真を入れないとな」

 

つぐみ「ふふっ、そうだね。どんな写真が入るんだろう…洸くんのプレゼントってどんなの?」

 

洸汰「・・・多分、つぐは泣くと思うぞ」

 

つぐみ「ええっ!?何か怖い物とか…?」

 

洸汰「そんなのひまりとかを弄る時に買うくらいだ。ほら、これだ」

 

つぐみ「あれ?思ったより小さい箱・・・開けてもいい?」

 

洸汰「もちろんだ」

 

つぐみ「それじゃあ・・・(パカッ)・・・えっ?洸くん、これってもしかして・・・」

 

俺がつぐへのクリスマスプレゼントに選んだのは・・・綺麗な宝石がはめ込まれた指輪だった。

 

つぐみ「こ、洸くん・・・」

 

洸汰「・・・な?つぐが泣くものだっただろ?」

 

つぐみ「こんなもの受け取ったら・・・誰でも泣くよ・・・!」

 

洸汰「俺はずっと考えていたんだ、どうすればつぐのことを幸せにしてやれるのかって。つぐと恋人になってからずっと考えてたけど答えは浮かばなかった。でも、つぐの両親が今日つぐと俺が仲良く仕事をしているところを嬉しそうに見ていたことでわかったんだ。つぐ・・・俺と結婚してくれないか?」

 

つぐみ「こ、洸くん・・・!わ、私も洸くんのことが大好きでずっと洸くんのこと考えてて…でもまたあんなことがあって洸くんと離れ離れになるのかって考えちゃったこともあって…わ、私でよければ・・・!」

 

洸汰「・・・つぐ」

 

つぐみ「洸くん・・・」

 

こうして俺たちは未来への約束をした。子供の時に交わした約束は9年ぶりに果たされる。つぐと子供の時に初めて遊んだ時の笑顔を思い出した時はあの笑顔を守りたいと思っていた。今俺に見せてくれているつぐの笑顔は俺にとってはどんな宝石よりも輝いて見えるのだから。そんなつぐの宝石のような輝きの笑顔に見とれ、俺はつぐとの距離を徐々に詰めていった。そして・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺たちはキスをした

 

 




ルミィ「いかがだったでしょうか?」

真燐「お兄ちゃんも大胆だなぁ…クリスマスにプロポーズなんて…私だったら考えこんじゃうかな」

ルミィ「それよりも真燐ちゃん」

真燐「なんでしょう?」

ルミィ「つぐみちゃんは真燐ちゃんのお姉ちゃんになるのでは?」

真燐「そっか・・・そうなるよね。とうとうお姉ちゃん持ちになるのかぁ…」

ルミィ「おや、もしかして真燐ちゃん泣いてます?」

真燐「泣いてない!」

ルミィ「それは失礼しました。それではここまで読んでいただきありがとうございました」


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最終話:新しいいつも通り

ルミィ「今日のゲストはー?」

蘭「・・・よろしく」

モカ「どもー、モカちゃんだよー」

ひまり「ひまりちゃんさんじょ―!」

巴「ソイソイソイヤッ!」

つぐみ「が、頑張るぞー…!」

ルミィ「というわけで、今回はAfterglowフルメンバーです」

蘭「もう最終話か・・・早いね」

モカ「だねー。もうちょっとかかると思ってたけど―」

ひまり「これは主さんの投稿ペースに感謝だね!」

巴「だな、長くて2日に1話のペースだろ?」

ルミィ「そうですね、疲れが蓄積した時や夜遅い時以外は思いついた時に書いてる感じになります」

つぐみ「すごいなぁ・・・私だったら途中で寝落ちしちゃうかも…」

ルミィ「そんな寝落ちと闘いながら頑張ってます」

蘭「それが主さんにとってのいつも通りなのかもね。じゃあ・・・」

全員「「「「「「本編どうぞ!」」」」」」


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

6月8日

 

あのクリスマスでのプロポーズの日から1年と6か月ほど経った。まだ俺たちは高校生だったので結婚するには早く、『大学生になったら結婚しよう』と俺とつぐみは決めていた。冬休みが明けてから俺とAfterglowのメンバーは全員で同じ大学を受験するために寝る間を惜しんで勉強することもあった。結果はみんな同じ大学へ合格、場所も羽丘からそこまで遠くない(バスで行ける距離)ため皆でまた大学に通えることが嬉しかった。そして今日は・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つぐみ「何だかあっという間だね、あの頃が懐かしいなあ…」

 

洸汰「だな、でも俺は嬉しいぞ。つぐみのその格好を見れて」

 

そう、今日はつぐみと俺の結婚式だ。俺の目の前には純白のウェディングドレスを着たつぐみがいる。

 

洸汰「しかし、あの時『大学生になったら結婚しよう』って言ってたのに気が付いたら大学生だしな。」

 

つぐみ「でも、あんなことを繰り返さなくて今私たちはここにいるんだよ。」

 

洸汰「そうだな、もうあんなことはこりごりだ。」

 

つぐみ「ふふっ、今日の洸くんとてもかっこいいよ」

 

洸汰「そういうつぐだってとても可愛いぞ」

 

(ガチャ)

 

蘭「つぐ、洸汰。結婚おめでとう」

 

モカ「おめでとー」

 

巴「2人ともその格好とても似合ってるぞ!」

 

ひまり「おめでとうつぐ、洸汰!」

 

真燐「兄さんも義姉さんもおめでとうございます」

 

つぐみ「みんな、来てくれたんだ!」

 

蘭「当たり前じゃん。つぐと洸汰の晴れ舞台に行かないわけないでしょ」

 

モカ「そーそー。」

 

真燐「とかいいつつ寝坊しかけたのはどこの人でしたっけ?」

 

モカ「誰のことなんだろー?」

 

洸汰「ま、みんないつも通りだな。」

 

つぐみ「ふふっ、そうだね。」

 

真燐「それにしても私に義姉さんかぁ・・・」

 

洸汰「嬉しそうだな真燐」

 

真燐「だって、私末っ子だったし年上の兄弟って兄さんしかいなかったから嬉しいに決まってるよ」

 

洸汰「それもそうか。二人しかいない兄妹だしな、俺も姉さんとかいてほしかったんだけど」

 

真燐「ない物ねだりしても仕方ないじゃん」

 

(ピンポンパンポーン)

 

蘭「あれ、もうそんな時間なんだ。じゃあ二人とも、また後で」

 

つぐみ「うん、また後でね!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

洸汰「それよりも、言わなくてよかったのか?」

 

つぐみ「この子のこと?」

 

そう、実はつぐみのお腹の中に赤ちゃんがいる。知ったのはつい最近だったし、蘭たちには内緒にしておいた。まだお腹が目立ってるほど大きくなってるわけじゃないので今現在俺とつぐ以外にこのことを知ってる人はつぐのお母さんとお父さんだけだ。つぐのお母さん曰く『私もとうとうおばあちゃんかぁ』とか言っていたので本人は嬉しそうだった。

 

洸汰「俺は蘭たちに教えてもよかったと思うんだけどな」

 

つぐみ「それはサプライズってことにしておこうよ。蘭ちゃんたちの驚く顔も見てみたいし」

 

洸汰「たしかに俺も蘭たちの驚く顔は見たことなかったしな・・・それはそれでありか」

 

つぐみ「あ、そろそろ時間だしいこっか洸くん」

 

洸汰「ああ、行こうつぐ。」

 

こうして俺たちは結婚し、つぐは『趨鈹つぐみ』と名前を変えて俺たちの新しい人生が始まった。つぐのお母さんとお父さんなんかは式の最中もずっと涙を流し、他のバンドメンバーもある人は涙し、ある人は大きい声で祝福してくれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【俺とつぐの結婚式から4年後の7月10日の午前11時:趨鈹家リビング】

 

洸汰「つぐ、準備できたか?」

 

つぐみ「もうちょっと待って!」

 

洸汰「今日はみんなのところに行くってつぐが提案したんだから当の本人が寝坊なんて情けないぞ」

 

つぐみ「よし、これで大丈夫・・・ごめん洸くん!」

 

洸汰「着替えに時間かけたのか?」

 

つぐみ「うん、花華が『これがいい』って駄々こねてて…」

 

花華「だって・・・ママの作ってくれたお洋服だし来たいもん・・・」

 

【キャラ紹介:この子は趨鈹花華(すがわかな)、2年前に俺とつぐみの間に産まれた娘だ。髪の色はライトブラウンのショートカットで瞳の色は薄紫。つぐに似てしっかり者で頑張り屋、人見知りはしない素直な子だ。俺とつぐの作ってるものを気に入ってるので俺もつぐも洋服や小物を作っては身に着けたりする。ちなみに花華のことを知ってるのは俺とつぐ、真燐とつぐのご両親だけだ。真燐には事前に猫かぶりの件を材料に花華のことを教えないように言っておいたから安心だろう】

 

つぐみ「それじゃあ行こうか」

 

花華「うん・・・」

 

ちなみに真燐は彩さんの所属する事務所で働いていて朝からいない。あと今日行くところの人の携帯に通達済みだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【弦巻家:玄関】

 

つぐみ「花音さーん!」

 

花音「あ、つぐみちゃんと洸汰くん。こんにちは、今日はどうしたの?」

 

洸汰「つぐが今日はみんなのところに回ろうって提案してな。ちょっとこっちの事情で2年も会えなかったから」

 

花音「そういえば2年も会ってなかったね。ところでつぐみちゃんの背中に乗ってる子って誰?」

 

つぐみ「ごめんね、それは後で紹介するからみんなのところに案内してもらっていいかな?」

 

花音「うん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【こころの部屋】

 

花音「みんな、ちょっといなくなっちゃってごめんね。迎えに行ってて…」

 

美咲「誰か来たんですか?今日は誰か来るとか連絡来てませんよね?」

 

こころ「誰かしら?あたしも黒服の人たちからは何も聞いてないわよ?」

 

はぐみ「きっとサプライズだよこころん!」

 

薫「それで花音、誰を迎えに行ってたんだい?」

 

つぐみ「こんにちは、みんな。」

 

洸汰「よ、2年ぶりだな」

 

美咲「あれ、洸汰さんとつぐみさんじゃないですか。一言連絡を入れてくれればよかったのに。」

 

洸汰「ちょっとしたサプライズだよ。2年もこっちの事情で会えなかったから久しぶりに会いたくなったってつぐみがな」

 

はぐみ「ところでつぐちんの背中に乗ってる子って誰?」

 

花華「趨鈹花華・・・です、お父さんとお母さんがお世話になりました。」

 

はぐみ「そっかー!こーくんとつぐちんの子供かー!ってえーっ!?」

 

こころ「とってもかわいいわね!つぐみにそっくりだわ!」

 

花華「そう・・・ですか?」

 

洸汰「こころは子供の扱い方がうまいな、今もバンド活動で子供たちに笑顔を届けてるんだろ?」

 

薫「ああ、ほぼ毎日のようにバンド活動で子供たちのところに出向いているよ」

 

つぐみ「最近の活動はどうなんですか?」

 

花音「日帰りで外国にいったりしてるよ・・・」

 

洸汰「はい?」

 

美咲「あはは・・・こころの自家用ジェットですっ飛んでいってますよ・・・」

 

花華「ジェット?あのばびゅーんって空を飛ぶあの?」

 

こころ「そうよ!ばびゅーんって飛んで外国まで行くのよ!ところでどうして知ってるのかしら?」

 

洸汰「結婚記念日の時に飛行機で外国まで行ってきてな。その時から興味津々なんだよ」

 

つぐみ「そうなんだよね。花華は興味津々な性格だから新しいものを見るとこっちが振り回されちゃって…」

 

それから少しの時間、2年ぶりにハロハピのメンバーといろんなことを話し合って俺たちはこころの家を後にした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【ライブハウス:Galaxy】

 

洸汰「よ、六花。」

 

六花「あ、洸汰さんとつぐみさん!連絡は貰っていますので楽屋にご案内しますね!私も少しの間ならお話しできるのでゆっくりとお話したいです!」

 

つぐみ「ありがとう、六花ちゃん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【Galaxy:楽屋】

 

洸汰「こんにちは、リサさん」

 

リサ「あれ、洸汰くんにつぐみじゃん!今日はどうしたの?」

 

つぐみ「2年間も皆さんに会ってなかったので久しぶりに会いたくなっちゃいました」

 

あこ「つぐちん久しぶりー!元気にしてた?」

 

つぐみ「あこちゃんも久しぶり!他の皆さんも元気そうですね!」

 

紗夜「ええ、つぐみさんも元気のようで何よりです。またお菓子作り教室にもいきたかったですし」

 

友希那「ところで、さっきから気になっていたのだけれど」

 

燐子「はい・・・さっきから私の服の袖を誰かに引っ張られているような・・・」

 

洸汰「なんかちょっとおかしいなって思ったら花華はそっちに行ってたのか」

 

紗夜「花華ちゃんってもしかしてつぐみさんたちのお子さんですか?」

 

つぐみ「はい、紗夜さん。ここ2年間は花華のお世話のために会えなかったんです・・・」

 

紗夜「なるほど、だから2年間の間はお菓子教室は開かれていてもつぐみさんと洸汰さんはいなかったというわけですね」

 

洸汰「俺も花華のお世話をしないといけませんでしたし、『お店の方はつぐのお母さんとお父さんとイヴでやるから心配しないで』って連絡が来ましたから」

 

あこ「それよりも花華って子と遊んでいいですかー?」

 

花華「私もお姉ちゃんたちと遊んできて・・・いい?」

 

六花「私も花華ちゃんと遊びたいです!」

 

洸汰「ああ、行っておいで。」

 

それから六花は休憩時間が終わるまで、Roseliaのメンバーは俺たちが次の場所に向かう時間まで花華と一緒に遊んだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【アイドル事務所】

 

洸汰「真燐ー、いるかー?」

 

真燐「そう呼ばなくても私はここにいますよ兄さん」

 

つぐみ「真燐ちゃん、こんにちは!」

 

真燐「つぐみ義姉さん、こんにちは。」

 

花華「真燐お姉ちゃん、こんにちは」

 

真燐「今日は花華も連れてきたんですね。義姉さんの提案ですか?」

 

洸汰「よくわかったな」

 

真燐「伊達に兄さんの妹やってませんから。それじゃあ部屋に案内しますね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【Pastel*Palettesの控室】

 

真燐「みなさん、つぐみ義姉さんと兄さんを連れてきました」

 

千聖「ありがとう真燐ちゃん。」

 

真燐「では私は行きますね。まだやることがあるので」

 

彩「真燐ちゃん、ありがとうね!」

 

つぐみ「皆さん、お久しぶりです。この間の番組見ましたよ!」

 

イヴ「ありがとうございます!トップアイドルになって初めてのライブだったのでとても緊張しましたが頑張りました!」

 

麻弥「最初はとても緊張しましたからね・・・でも日菜さんやイヴさんのおかげで緊張はどこかに行っちゃいました」

 

日菜「ねー♪ところでこの子って誰―?」

 

いつの間にか俺のズボンのすそを握っていた花華が日菜に抱き上げられていた。

 

つぐみ「日菜さん、その子は花華ちゃんっていって私と洸くんの子供なんですよ。」

 

日菜「へー☆つぐちゃんと洸汰くんの子供かー」

 

彩・日菜「「えーーーーーーっ!?」」

 

彩「そんなこと真燐ちゃんも言ってなかったよ!?」

 

洸汰「俺が猫かぶりの件を使って無理やりに伏せさせましたから。たまに猫被って俺の布団に潜り込んでくるのは変わりませんからああでもしないといけないので」

 

千聖「真燐ちゃん、まだ猫かぶりから脱せていないのね・・・」

 

つぐみ「あはは・・・そろそろ真燐ちゃんの義姉さんとして脱してほしいんですけど・・・」

 

イヴ「ツグミさん、妹さんをもってどうですか?」

 

つぐみ「とっても嬉しいよ。私にはお兄さんやお姉さんはいなかったから・・・」

 

洸汰「まあ、猫かぶりさえ脱してくれたら安心なんだがな」

 

麻弥「こっちでもごくまれに甘えてきたりしますからね・・・高卒の職員は珍しくはないんですが猫を被った職員さんは初めてです・・・」

 

花華「お姉ちゃんたち・・・遊ぼ?」

 

千聖「ふふ、いいわよ」

 

洸汰「じゃあ俺はちょっと飲み物を買ってくるからつぐは花華のことを見てやってくれ」

 

つぐみ「うん、わかったよ」

 

俺は控室から出てみんなの分の飲み物を買ってきた。花華は『まだ』コーヒーは飲めないためオレンジジュースを買ってきてやった。少し花華と遊んだパスパレのメンバーは休憩がてらこの2年間どうしていたのか1時間ほど俺たちと話して、俺たちは事務所を後にした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【流星堂】

 

(ピンポーン)

 

有咲「お、洸汰とつぐみちゃんじゃん。今日の朝も仕事お疲れさん。」

 

洸汰「有咲も盆栽の世話お疲れさん」

 

有咲「なっ!なんで私が盆栽の世話してたって知ってるんだよ!」

 

つぐみ「だって有咲ちゃん、盆栽の世話した後は顔が緩んでることがあるって沙綾ちゃんから聞いてたから」

 

有咲「沙綾ー!?はあ・・・とりあえず上がれよ。積もる話もあるだろーしなってあたしの服の袖掴んでねーだろうな?」

 

洸汰「さすがにこの年になって人の服の裾は掴まないぞ。掴んでるのは花華だな」

 

有咲「花華って誰だ?」

 

洸汰「俺とつぐの子供」

 

有咲「はぁ!?」

 

洸汰「いやだから、俺とつぐの子供だって」

 

有咲「聞いてねーよ!」

 

洸汰「だって言ってないしな。」

 

花華「おねーちゃん・・・だっこ」

 

有咲「いいのか?」

 

つぐみ「私や洸くんにだっこしてもらいたいときはよく言われるから今は有咲ちゃんにだっこされたいんじゃないかな?」

 

有咲「んじゃ・・・よっと。じゃあ沙綾たちのところに案内するぞー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

有咲「連れてきたぞー」

 

つぐみ「こんにちは、沙綾ちゃん、みんな。」

 

沙綾「つぐみじゃん!今日は一人?」

 

洸汰「俺もいるぞ。」

 

香澄「洸汰くん!久しぶりー!」

 

りみ「ところで、有咲ちゃんが抱っこしてる子ってもしかして洸汰くん達の子供?」

 

洸汰「ああ、そうだよ。名前は花華って言うんだ。ほら花華、挨拶」

 

花華「趨鈹花華・・・です」

 

たえ「小さくてお人形さんみたい」

 

花華「お人形さん?お人形さんならおうちにたくさんあるよ」

 

洸汰「もっと何かほかのたとえはないのかたえ」

 

たえ「じゃあ・・・妖精さん?」

 

花華「妖精さん・・・いいかも」

 

有咲「何で考え直した時の方がマシな回答になるんだよ!!」

 

りみ「それで花華ちゃん、私たちと遊ぶ?」

 

花華「(コクリ)」

 

沙綾「それじゃあ遊ぼうか。何で遊ぶ?」

 

で、花華はつぐがキーボードをやってたからキーボードを弾いてみたいってキーボードを弾いて遊んでいた。2歳の花華に有咲やつぐが教えてあげたらさあ大変だ。まさかの花華が『きらきら星』を演奏しきるんだからな。そこからさらにいくつかの曲のキーボードのパートも少しながら演奏できていた。これには有咲も悔しがっていた

それから少しだけ有咲たちと話をしてから俺たちはつぐの家に向かった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【羽沢珈琲店】

 

つぐみ「ただいま、お母さん。」

 

つぐみの母「つぐみと洸汰くん、花華ちゃんもおかえりなさい。」

 

洸汰「どうも、お邪魔します。」

 

花華「ただいま・・・です」

 

つぐみ「お母さん、蘭ちゃんたちは?」

 

つぐみの母「部屋で遊んでるよ。早く行ってあげなさい」

 

つぐみ「うん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【つぐみの部屋】

 

つぐみ「みんな、久しぶり!」

 

蘭「つぐ、久しぶりだね。少し背が伸びた?」

 

つぐみ「そうかな?自分じゃよくわからないんだけど」

 

モカ「あたしよりおっきくなってない―?」

 

ひまり「私も甘いもの控えたら今のつぐぐらいに大きくなれるのかな・・・」

 

巴「アタシもそろそろ上を向かなきゃいけないかもな・・・」

 

洸汰「おーい、俺のことも忘れるなよ」

 

蘭「もちろん忘れてないよ。洸汰もあたしたちにとっては大切な幼馴染なんだし」

 

モカ「そうそうー。久しぶりに会ったとしてもこーくんは幼馴染だからねー」

 

巴「ところで、さっきから気になってたんだけど」

 

ひまり「蘭の方に行ってる子って誰?」

 

つぐみ「うん、花華ちゃんっていって私と洸くんの子供なんだ」

 

蘭「へえ、洸汰とつぐの子供・・・は?」

 

ひまり「何で言ってくれないのー!?」

 

洸汰「いやだってお前たちに伝えたら数名ほどこっちに飛んでくるだろ。それにこっちだって花華のお世話で大変だったし構えないだろうから隠していたんだよ。ちなみに結婚式を挙げる少し前に花華がつぐのお腹の中にいたのを隠していたのも事実だ」

 

モカ「およよー、モカちゃん隠し事されてショックだよー」

 

つぐみ「隠しててごめんね、みんな」

 

蘭「別に気にしてないよ。花華があたし達と遊びたさそうにしてるから遊んでいいよね?」

 

洸汰「別に構わないぞ。ただやりすぎたり変なことを吹き込まないようにな」

 

モカ「はーい」

 

花華と蘭たちは持ってきていたボードゲームやトランプでめいっぱい遊んだ。花華はルールののみこみが早く、数戦したら蘭たちを負かすほどに強かった

 

蘭「なんか久しぶりだね、2年だっけ?」

 

モカ「それくらいかなー。つぐと会えなくて寂しかったー」

 

つぐみ「私も早くみんなに会いたかったけど、花華のお世話しないといけなかったから・・・」

 

巴「いいんだよ!こうしてまたみんなで会えたんだしな!」

 

洸汰「『昔があって今がある』って聞くけどまさにその通りだよな」

 

ひまり「えへへー、あの時みんなに出会えて本当に良かったー!」

 

洸汰「だな、一度は思い出を失くしたこともあったけど思い出せて本当に良かった」

 

蘭「そうだね、一度あたしたちのいつも通りは止まった。でも洸汰があたしたちのことを思い出してくれたおかげでバンドを続けることができた。大人になってみんなのやることが変わったとしてもあたしたちは幼馴染。別々の場所にいても心と心は繋がってる。」

 

つぐみ「うん、蘭ちゃんの言うとおりだよ。これからもここにいる7人で頑張っていこう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺はみんなと初めて会った時は話す勇気がなくてブランコで一人遊んでいた。でもそんな時手を差し伸べてくれた5人の少女が今俺の隣で笑っている。今も昔も変わらない笑顔を見せてくれるのはみんながこうして集まったことなんだと思う。そんな中一人の少女は俺の耳元で囁くように言ってくれた。

『おかえり』って。俺もその言葉に返事するように囁く。『ただいま』って。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺たちの新しいいつも通りはここから始まる。たとえみんながそれぞれ違う道に立ったとしても、あの時の約束が俺たちの心の中にある限り俺たちはずっと一緒だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『新しい"いつも通り"』fin




ルミィ「いかがだったでしょうか?」

洸汰「『昔があって今がある』・・・いい言葉だよな」

つぐみ「うん。たった一つの思い出がみんなの心にあるだけでこうしてまた巡り合うことができるからね」

蘭「あたしも洸汰と遊び始めたころはまだ泣き虫だったっけ。でもそんな時洸汰が助けてくれたりして」

モカ「モカちゃんも小さい頃はパン屋さんの真似をして―、こーくんがアタシに付き合ってくれたりー」

ひまり「私も迷子になったことがあったけど遅くまで洸汰が探してくれたっけ…お父さんたちは怒ってたけど洸汰が『ひまりちゃんは悪くない』って言ってくれたこともあったね」

巴「アタシも洸汰と仲良くなるまで時間かかったな、強気な性格だったから少し怖がられてたし」

洸汰「でもあの時みんなと会えたから今の俺がいる。それを思い出させてくれたのはここにいるみんなだ」

ルミィ「昔のことを思い出させてくれる、そんな感じの本作品でしたがどうだったでしょうか?昔は喧嘩してたけど今は仲よく遊んだり、そんなこともあるかと思います。」

つぐみ「それじゃあみんな、せーの!」

全員「「「ご読了、ありがとうございました!次の作品を楽しみにしててください!」」」

ルミィ「ご感想、評価を心よりお待ちしております!」


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番外編:いつも通りの日常に大魔王とその眷属がやってきた

どうも、空丘ルミィです。

これはただの番外編ではありません…なんと、コラボ回なんです!

今回のコラボ相手は『いちばん小さな大魔王!』という作品を書かれているはつひこさんです!
初めてのコラボ作品ですので本編では語られなかった意外な一面が見れるかも!?

それではどうぞっす!







 

 

 

 

 

 

【午前11時:洸汰の部屋】

 

2月8日

 

洸汰「ちょっと遅く起きちゃったな…つぐの家で約束していたから急がないと…」

 

今日はつぐの家で久しぶりにゆっくりしようと昨日つぐと話していて、ゆっくり寝た結果、約束の時間から30分ほど遅れていた…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【午前11時10分:羽沢珈琲店】

 

洸汰「こんにちは。つぐいますか?」

 

つぐみの母「おはよう洸汰くん。でもごめんなさいね…つぐみ、蘭ちゃんたちが朝練しようって言っていたのを忘れてたみたいでごごに帰ってくるからそれまでゆっくりしてていいわよ」

 

洸汰「つぐ、やっぱりどこか抜けていますよね…」

 

(カランカラン)

 

??「こんにちは、おばさん。」

 

つぐみの母「あら、こんにちは竜介くんとあこちゃん。」

 

あこ「こんにちはー!あれ?つぐちんは?」

 

つぐみの母「ごめんなさいね、つぐみは今蘭ちゃんたちと一緒にライブハウスに練習に行ってるのよ」

 

竜介「そうだったんですか。ところでおばさんと話してるキミは?」

 

洸汰「あことは何度も会ってるけどあなたとは初めてですね。俺は趨鈹洸汰っていいます。」

 

竜介「俺は神楽竜介(かぐらりゅうすけ)だ。あこをはじめAfterglowのみんなとは幼馴染だ。」

 

洸汰「俺もつぐや蘭たちとは幼馴染なんです。なんだか気が合いそうですね」

 

竜介「奇遇だな、俺も洸汰とは気が合いそうだって思ってたんだ」

 

あこ「もー!りゅう兄も洸にいもあこをほっといて二人で話さないでよー!」

 

竜介「おっと悪い。」

 

(カランカラン)

 

つぐみ「お母さん、ただいま!」

 

洸汰「おかえり、つぐ。」

 

つぐみ「あれ、洸汰くん!?どうしてうちに!?」

 

洸汰「どうしても何も、つぐに家でゆっくりしたいって言いだしたのはつぐだったろ?」

 

つぐみ「ご、ごめんね!蘭ちゃんたちから朝いきなり練習だなんて言われたから行かなきゃならなくて・・・」

 

洸汰「別に練習くらい大丈夫だよ。」

 

つぐみの母「つぐみ、今日は上がってみんなでゆっくりしてていいわよ。接客は私たちがするから」

 

つぐみ「そ、そんな悪いよ!」

 

つぐみの母「いいから、今日はゆっくりしなさい。洸汰くんとも約束してたんでしょ?」

 

つぐみ「そ、それはそうだけど…朝は仕事を休んじゃったし・・・」

 

洸汰「ほら、つぐのお母さんもこう言ってるし今日はゆっくりしようよつぐ」

 

つぐみ「う、うん…で、でも明日からは頑張るからね!」

 

洸汰「はいはい、つぐは本当に頑張り屋さんだな」

 

あこ「つぐちん、今日は仕事休み?」

 

つぐみ「うん、今日は仕事は休みになったからゆっくり話せるよ」

 

あこ「やったー!」

 

竜介「さて、と。何を話す?」

 

洸汰「まだ俺と竜介さんはお互いのことをよく知らないので何から話したものかよくわかりませんね…」

 

つぐみ「まずは思い出話とかどうかな?」

 

あこ「あこも昔の洸にいのこと知りたいです!洸にいは昔どんな感じだったんですか?」

 

洸汰「昔っていっても、今とは違って引っ込み思案だったってことくらいしか話すことはないぞ?それでもよくつぐみ達と遊んでたっけ」

 

つぐみ「うん。昔の洸くんは今と違って私たちに頼りっきりだったよね」

 

洸汰「そうだったな。でも今はつぐが俺に頼ることが多くなってきたけど」

 

つぐみ「だ、だって洸くん、最近は私よりコーヒーを入れるのも上手くなってるし、お菓子を作るのも上手いんだもん!」

 

竜介「洸汰はお菓子を作れるのか?」

 

洸汰「はい。といってもここのメニューに少し改良を入れるだけでレシピはほぼここのを使わせてもらってますけど」

 

あこ「あ、あれいつものと違うと思ったら洸にいが作ってたんだ!?とってもおいしかったよ!」

 

洸汰「いつもありがとうな。こっちも作る側として喜んでもらえて嬉しいよ」

 

竜介「洸汰が作るオリジナルメニューか…どんなのだろうな」

 

洸汰「食べてみますか?」

 

竜介「いいのか?」

 

洸汰「はい。いつも蘭やモカたちに作ってあげてますが、こうして会えたんですしお近づきのしるしにと。」

 

竜介「それじゃあ・・・このフルーツタルトで」

 

洸汰「フルーツタルトですね、ご注文ありがとうございます。すぐにお持ちいたしますので少しお待ちください」

 

俺はエプロンを着用してキッチンに移動した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

竜介「洸汰の作るフルーツタルトか、どんな味なんだろうな」

 

つぐみ「とてもおいしいよ。子連れのお客さんもよく頼むくらいに」

 

あこ「あこもフルーツタルトを食べたくてこっちに来ちゃうくらいだもん!竜にいも喜ぶよ!」

 

竜介「つぐみもあこもそれくらい喜ぶってことはそんなにおいしいんだな。ところでつぐみ、この前こっちに来た時は指輪なんてつけてなかったよな?」

 

あこ「あっ!本当だ!つぐちん、どういうこと!?」

 

つぐみ「えっ!?こ、これはその・・・!」

 

洸汰「お待たせしました。こちら、フルーツタルトでございます」

 

竜介「あ、ああ。ありがとう。それじゃあ・・・」

 

洸汰「いかがでしょうか?」

 

竜介「・・・うまいな。タルトの甘さは控えめだけど果物の甘さは保たれたまま色んな味がする」

 

洸汰「ありがとうございます。お喜びいただけてよかったです」

 

竜介「ごちそうさまでした。それで、つぐみはどうして指輪を付けているんだ?」

 

つぐみ「こ、これは…!み、見てないで助けてよ洸くん!」

 

洸汰「助けるもなにも事実だしなぁ…」

 

あこ「?どういうこと?」

 

洸汰「つぐは俺の婚約者ってことだよ。」

 

あこ「ええええええ!?」

 

竜介「そういうことだったのか。なるほどな。」

 

つぐみ「もう!私が助けてって言ったのはそういう事じゃなかったのに!」

 

洸汰「悪い悪い。ところで竜介さんっていつもあこと一緒に来るんですか?」

 

竜介「ああ。最近はあこがRoseliaの練習を休むときはよく来るんだよ。」

 

あこ「でもタイミングが悪いのかな?洸にいとつぐちんがいないときにあこたちが来るからオリジナルメニューが食べれなかったんだよー!」

 

洸汰「その時はつぐと一緒に出掛けたりうちにつぐがうちに来たりとタイミングが悪いんだな…オリジナルメニューが出るのは俺がここで働くときだけだし俺が来る日も不定期だからその時はおじさんたちがいつものメニューを作ってるって聞いてるし」

 

竜介「そうか、それじゃあ今度洸汰がこっちに来るときは連絡をくれないか?後で連絡先を教えるから。その時はあこと一緒に来るけどいいか?

 

洸汰「はい、それくらい問題ないですよ。むしろ喜んでくれる人が増えるのなら作る側としても嬉しいですし」

 

つぐみ「そ、それであこちゃんは最近竜介くんとうまくいってるの?」

 

洸汰「ん?『うまく行ってる』?竜介さん、あこと何かあったんですか?」

 

竜介「ん?ああ、俺とあこは付き合ってるんだよ」

 

洸汰「そうだったんですか。ちなみにどうしてあこと付き合い始めたか聞いてもいいですか?」

 

竜介「俺はあこにずっと片思いだったんだよ。」

 

洸汰「え、そうだったんですか?」

 

竜介「ああ。それに幼馴染が多すぎて蘭とかモカにも好意を寄せられてたんだよ。中には有咲とかこころとかリサとかがいるな」

 

洸汰「結構多いですね。俺の幼馴染はAfterglowのメンバーだけなので少し羨ましいです」

 

竜介「でもその幼馴染とかからしょっちゅうアプローチを受けてほとほと困ってたんだよな…」

 

洸汰「そうだったんですか?」

 

竜介「ああ。俺はあこ一筋だったからな。巴が一番の難関だったよ」

 

洸汰「あー…なるほどな。確かに巴は『俺はあこと付き合いたい』とか言い出したら必死に止めそうではあるし大変そうですね」

 

竜介「実際、結構止められたけどな。あとはリサも結構難敵だった」

 

洸汰「リサさんが?リサさんって結構友好的だしお菓子を作るのはうまいんですよね?それがどうしてそんなことに?」

 

竜介「それが、リサは俺に一度告白してきたんだよ。俺はその時は断ったんだけど、リサは俺のことを諦めずに何度もアプローチしてきてな…」

 

洸汰「…それ、本当ですか?」

 

竜介「…ああ。本当だよ。俺があこと付き合う前なんて対バンで勝負だって言いだしてきたんだ」

 

洸汰「竜介さんとリサさんの対バン…ですか。結果はどうなったんですか?」

 

竜介「投票数は同じで引き分けだったな。それでリサは俺に告白してきたけど俺はそれを断った。俺はあこのことが好きだったんだからな」

 

洸汰「それであこに告白した、と?」

 

あこ「うん。でも好きじゃ他の人に取られるかもって思って再契約したんだ」

 

洸汰「どんな契約だったんだ?」

 

あこ「『あことりゅう兄は結婚する』って契約だよ!あこだってりゅう兄のことが好きだったんだし、もうりゅう兄を他の人に渡したくなかったし・・・」

 

竜介「まあ、ここまでが俺たちが付き合うことになった経緯だな。で、そっちはどうなんだ?婚約を結んだってことは洸汰たちも付き合ってるってことなんだしどんなことがあったんだ?」

 

洸汰「うーん、結構複雑なんですけど…どうするつぐみ?」

 

つぐみ「話してもいいんじゃないかな洸くん?」

 

洸汰「つぐがそう言うなら話すか。俺は去年こっちに戻ってきたんです。それで、戻ってきた次の日に俺は羽丘学園に通うことになりました。そこでつぐと出会ったんです」

 

つぐみ「洸くんは自分の名前を私に言ったけど先生に呼ばれて校舎に入って行っちゃって…でも洸くんは私たちのクラスに転入してきたんだよね」

 

洸汰「まさかすぐに再開するなんて思わなかったよ。それから昼休みに屋上で蘭たちとご飯を食べることになったんだけど…」

 

竜介「だけど、なんだ?」

 

つぐみ「洸くん、昔のことを忘れてたんだよ…」

 

竜介「え、それって記憶喪失っていうやつか?」

 

洸汰「はい。俺は昔、大人たちが俺と真燐の…あ、真燐は俺の妹ですね。真燐と俺の記憶をなくしたんです。原因は交通事故で、俺と真燐は奇跡的に助かったんですが…両親は亡くなりました。俺たちは当時子供だったので親の顔を見せるのは辛すぎたんでしょう…それから俺はつぐたちと遊ぶことなく孤児院で育ったんです。それから俺は真燐と一緒に蘭たちがバンドを組んでると聞いて俺はそのライブに誘われました。」

 

つぐみ「あの時は驚いたよ。真燐ちゃんも一緒に来ていたなんて…大きくなってたなぁ」

 

洸汰「でも真燐には一つ困ったことがあってですね…有咲に劣らないくらいの猫被りっぷりなんです」

 

竜介「一体どんな風に猫を被ってるんだ?」

 

洸汰「それは…俺が寝たときに知らないうちに布団に潜り込んできてるんです。その時の音声聞きます?」

 

あこ「聞いてみたいです!」

 

洸汰「んじゃ・・・」

 

(ポチッ)

 

真燐『ふみゅー・・・お兄ちゃん・・・まだ起きたらやだー…』

 

竜介「…これはすごいな(いつかあこにこんなことをされてみたい)」

 

あこ「りゅう兄?顔が緩んでるよ?」

 

竜介「ああ、悪い。想像よりはるか斜め上を行っててな…」

 

洸汰「とまあ、偶にですけどこんなことがあるんですよ。ちなみにほかにもいくつか録音してありますね。それから…俺たちは文化祭で一緒に劇を演じたこともありましたよ。」

 

あこ「いいなー!あこはずっと店番だったから見れなくて…」

 

つぐみ「あとで劇の内容をDVDにコピーしておくから今度竜介くんと一緒に見たら?」

 

あこ「ありがとうつぐちん!それでどうなったの?」

 

洸汰「劇が終わってすぐに俺はとある場所に向かったんだよ」

 

竜介「とある場所?」

 

つぐみ「屋上だよ。私たちはいつも屋上に集まってたから洸くんにとっては一番の思い出の場所だったんですよ」

 

洸汰「そこにつぐみが来て、俺はつぐに告白しました。その時つぐはめちゃくちゃ泣いてたな」

 

つぐみ「だ、だって私も洸くんのことがずっと好きで…私とっても嬉しかったんだよ!」

 

洸汰「とまあ、こんな感じですね。」

 

竜介「お互い苦労してるんだな。俺もあこに結構振り回されるから」

 

あこ「?」

 

どうやらあこが竜介さんのことを振り回していることはまったくの無自覚らしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

竜介「おっと、時間だな」

 

洸汰「これからどこかに行くんですか?」

 

竜介「ああ、ちょっとあことお出かけにな。ちょっとつぐみの家に寄ってから行こうってことになってたのを忘れてたんだよ。話してると時間を忘れがちになるから」

 

あこ「りゅう兄!早く行こうよ!」

 

竜介「ああ。それじゃあ洸汰、またな。それとこれ、俺の連絡先。暇なときにでも話そう」

 

洸汰「はい。これが俺の連絡先です。」

 

あこ「それじゃあまたねー!」

 

そういって竜介さんたちは羽沢珈琲店を後にした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

洸汰&つぐみside

 

洸汰「なんだか不思議な人だったな。あこが惹かれるのもわかる気がする」

 

つぐみ「そうだね。今度は洸汰くんがちゃんと竜介くんをおもてなししないと」

 

洸汰「それまでにまた新しいメニューでも考えておくか。つぐは何を食べてみたい?」

 

つぐみ「私?うーん…クレープ…かな。」

 

洸汰「それ、この間も食べなかったか?」

 

つぐみ「そ、それとこれとは話は別だよ!」

 

洸汰「はぁ…また俺の財布から飛ぶな…」

 

それから俺は自分の家に戻る途中にショッピングモールからクレープの生地を焼く機械を買って帰った。後日、どこからこの情報を仕入れたのか羽沢珈琲店はさらににぎわった。きっと俺が買うところを竜介さんとあこに見られていたんだろう…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あこ&竜介side

 

あこ「りゅう兄、洸にいと会ってみてどうだった?」

 

竜介「そうだな、どことなく昔の俺に似てる感じがしなくもないって感じだ。」

 

あこ「りゅう兄に?」

 

竜介「まあ、今はジェリービーンズの材料を買って帰らないと。あれ?あそこにいるのって洸汰か?あれって…」

 

あこ「クレープの生地を焼く機械だよね?どうしてそんなもの買ってるんだろう?」

 

竜介「大方つぐみにお願いとかされたんじゃないか?これ、掲示板に載せたらどうなるんだろうな?」

 

あこ「すっごくいい考えだよりゅう兄!」

 

竜介「洸汰にあんなにおいしいのを食べさせてもらったんだ。食べ物の恩は食べ物で返さないと」

 

 

 

 

それから俺たちは帰って洸汰がクレープの生地を焼く機械を買ったことを掲示板に載せてみた。後日、羽沢珈琲店は新メニューの『ミックスフルーティークレープ』が大人気だったという・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






コラボしてくれた方

名前:はつひこ
URLページ:https://syosetu.org/?mode=user&uid=193811

はつひこ氏のTwitter
https://twitter.com/kks_akadz?s=09

はつひこさんは私が小説を書き始めることになったキッカケの人であり、例えるなら恩師のような存在です。

そのはつひこ氏が書いてくれた私とのコラボ回の小説はこちらです
ページ:https://syosetu.org/novel/183472/95.html

初めてのコラボだったので結構迷走しました(マジっす)時系列?考えるな、感じろ(時系列は高校2年、つまり洸汰くんとつぐみちゃんが付き合い始めて年が明けた頃です)楽しく書けたので私はオメガ満足♪

感想や評価を心から手が出てくるほど待ってます!

これからも私は頑張ルミィ!応援よろしくお願いします!


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番外編2:新しい誕生会

あぁー、つぐちゃんの誕生日に主がにつぐるんじゃぁー





注:時間軸は15話と最終話の間となっています








 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1月6日

 

【午後12時:趨鈹家リビング】

 

蘭「そういえば洸汰さ、明日が何の日か覚えてる?」

 

洸汰「明日って…ああ、そういえばつぐの誕生日だったな。それがどうかしたのか?」

 

モカ「もー、こーくんお鈍さんー」

 

洸汰「鈍感で悪かったな」

 

巴「洸汰、明日は時間あるか?」

 

洸汰「ああ、明日は特に何もないけど」

 

ひまり「よかったー!明日はつぐの誕生日だからつぐに何かサプライズをしようって集まったから洸汰くんの予定が埋まったら誕生日会が来年に持ち越しになっちゃうもん!」

 

真燐「でも、私が一緒にいていいんですか?」

 

蘭「真燐だって幼馴染なんだし大丈夫だよ。それでサプライズの内容なんだけどさ、つぐみと洸汰が入れ替わる感じでライブをしたらどうかなって思うんだけど」

 

洸汰「俺がキーボードをするってことか?確かに俺は最近休み時間を使ってキーボードというか音楽室にあるピアノを使い始めたけど」

 

モカ「それなら大丈夫じゃないかなー?」

 

洸汰「モカたちからしたら大丈夫だろうけど俺からしたら大丈夫じゃないんだが…」

 

真燐「兄さん、小さいころに向こうでピアノを演奏したことなかった?」

 

洸汰「うげ…真燐覚えてたのか…」

 

巴「あ、それってこっちに来る前ってことか?」

 

洸汰「…ああ、向こうで少しピアノを演奏してて、コンクールに出たことがあったんだよ。まさかその時に真燐もいたのか…」

 

ひまり「それじゃあ明日はライブハウスに集合でけってーい!さっそく予約取るね!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ひまり「あの、明日って何時ごろが空いていますか?…はい、はい!そうです、Afterglowで予約をお願いします!ありがとうございます!」

 

 

 

 

 

 

 

蘭「ひまり、どうだった?」

 

ひまり「バッチリ取れたよ!明日の午後2時からなら大丈夫だって!」

 

洸汰「2時からか。今から練習しないと本番に間に合いそうにないから今からライブハウスにいって練習するか」

 

モカ「そうだねー。高校3年生になって初めてのライブだー」

 

巴「よっしゃ!つぐにサプライズプレゼントだ!頑張ろうぜ!」

 

真燐「私はどうしたらいいかな兄さん」

 

洸汰「そうだな…誕生日ケーキとかを作っててもらえないか?つぐの好きなものとかはこのメモに書いてあるから。スポンジケーキとかの代金も俺が出すよ」

 

蘭「え、いいの?」

 

洸汰「いいって。」

 

モカ「こーくんはつぐのためならツグっちゃうって感じだよねー。アツアツですなー。」

 

洸汰「モカ、そんなことを言ってたら明日食べるケーキをモカの分だけ少なく取るぞ?」

 

モカ「こーくん、そんな殺生なー」

 

ひまり「洸汰くんって怒らせると怖いよね…怒らせないようにしないと…蘭のお父さんより怖いんだもん…」

 

巴「じゃあ今から練習に行くか!」

 

洸汰「そうだな。早く行くことに越したことはないから行こうか。真燐、これがケーキの代金な、メモに書いてあるものも忘れずにな」

 

真燐「はいはい、多分帰ってくる前にスポンジケーキは作り終わってるだろうから兄さんも頑張って」

 

洸汰「ああ、それじゃあ行ってくるよ」

 

俺は蘭たちとライブハウスに向かった。ちなみにこの場につぐがいないのは今日は冬休みだからお客さんが途絶えないらしく、羽沢珈琲店の仕事が忙しいらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【ライブハウス】

 

洸汰「それじゃあ練習しようか。選曲はどうする?」

 

蘭「そうだね…『ON YOUR MARK』と『Y.O.L.O!!!』、『Scarlet sky』でどう?」

 

モカ「そうだねー、モカちゃんは大賛成でーす」

 

巴「じゃあそれで行くか!まあライブっていってもお客さんはつぐと真燐だけだけどな」

 

ひまり「それでもサプライズには十分だよ!それじゃあ頑張れるようにいつものやろうよ!」

 

モカ「おー、いつものやっちゃうー?」

 

ひまり「行くよ!えい、えい、おー!」

 

ひまり以外のメンバー「「「「「…」」」」」

 

ひまり「も―!こういう時くらい一緒に言ってよー!」

 

洸汰「まあ、これも俺たちの・・・」

 

蘭「いつも通り、だね。それじゃあリズム取るよ。1、2、3!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

洸汰「ふう…こんなものかな。どうだった?」

 

蘭「いいじゃん。あたし達とは合わせたことがなかったとはいえここまで合わせれるなんて」

 

洸汰「そうか?まあ俺も蘭たちの練習風景はよく見てたしそれもあって音は合わせやすかったかな」

 

モカ「おー、音を聞いただけで合わせれるなんてエモーい」

 

ひまり「私たちですら結構時間かかったのに…」

 

巴「まあ洸汰は昔から物事を覚えるのが得意だったからなぁ…」

 

洸汰「まあ向こうでもピアノを演奏してたから音を覚えるのは一番得意かな。さて、そろそろ時間みたいだけど」

 

ひまり「え、もうそんな時間!?そろそろ出る準備しないと!」

 

巴「時間が過ぎるのは早いな…これからどうする?」

 

洸汰「俺は家に戻るかな。真燐の方の進捗も聞きたいし、初めて音を合わせたから結構疲れたし…」

 

蘭「あたしも家に帰ろうかな。でもみんな、つぐに誕生日プレゼントを忘れないようにね」

 

モカ「モカちゃんは忘れませーん」

 

巴「何がいいだろうな…どうせならみんなでプレゼントを選んでから解散にしないか?」

 

ひまり「そうだよ!このまま帰っちゃったらプレゼントのこと忘れるでしょ!」

 

モカ「おやおやー?そんなことをしちゃいそうなのはどこの誰でしょうなー?」

 

洸汰「お前だお前…それじゃあ買いに行くか」

 

それから俺たちは近くのショッピングモールでつぐにあげるプレゼントを買ってからその場で解散した。俺が家に戻った時には真燐はスポンジケーキを作り終えて、冷蔵庫に俺が渡したメモに書いてあった果物などが入っていた。これなら大丈夫そうだな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日はつぐの誕生日だ。昨日真燐が作っておいたスポンジケーキにクリームを塗ってフルーツを上に乗せたりスポンジケーキに挟んだりして手作りの誕生日ケーキは完成した。ケーキは朝一に俺と真燐でライブハウスの休憩室に持っていき、後はつぐが来たタイミングを見計らってクラッカーを鳴らすだけだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1月7日

 

【午後1時:羽沢珈琲店】

 

カランカラン…

 

つぐみ「いらっしゃいませ!あっ、洸くんと真燐ちゃん!どうしたのこんな時間に?今日はお店は休みなのに」

 

洸汰「つぐ、今日この後は時間空いてるか?」

 

つぐみ「この後?うん、時間あるよ。どうしたの?」

 

真燐「よかったです。実はこれなんですけど…」

 

つぐみ「これって、ライブハウスのチケット?でも今日ライブがあるとか聞いてないけど…」

 

真燐「いいですから。後でちゃんと来てくださいね」

 

洸汰「あ、ブラックコーヒーを頼んでいいか?」

 

つぐみ「あ、うん!少し待っててね!」

 

数分後・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

つぐみ「おまたせしました!それとこれは真燐ちゃんの分だよ。」

 

真燐「いいんですか?」

 

つぐみ「いいんだよ。私もお世話になることがあるんだし…」

 

洸汰「わざわざありがとうな。それじゃあ真燐、後は任せるぞ」

 

真燐「うん、兄さんも頑張ってね」

 

つぐみ「あれ、もう行っちゃうの?もう少しゆっくりしていけばいいのに」

 

洸汰「ちょっと待ち合わせしててな。それじゃ」

 

俺は羽沢珈琲店を後にした

 

つぐみ「真燐ちゃん、洸くんは何か隠したりしてない?」

 

真燐「いえ、私は何も聞いてないですね…兄さんが私に隠し事なんて珍しいですし…」

 

つぐみ「それにしてもこれ、2時からだよね?そろそろ行かなきゃ間に合わないんじゃ…」

 

真燐「そうですね。私の分もあるみたいなので一緒に行きましょうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【ライブハウス】

 

つぐみ「あれ、私たち以外にお客さんがいないね?ドラムセットとかはあるのに…ライブにしては少ないような…」

 

パッ

 

つぐみ「わあっ!照明が落ちちゃったよ!」

 

真燐「つぐみさん、大丈夫ですよ落ち着いてください」

 

つぐみ「そ、そうはいっても・・・」

 

などと言ってると照明がつきました。瞬間、ステージの上にいたのは…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

洸汰「つぐ、誕生日おめでとう」

 

蘭「ごめんね、つぐみを騙す形になっちゃって。みんなでつぐみにサプライズで何かしようって話してて」

 

モカ「それでこうしてつぐにサプライズでライブに来てもらうことにしちゃったー」

 

巴「ま、楽しんでいってくれよな!」

 

ひまり「それじゃあ行くよ!『ON YOUR MARK』と『Y.O.L.O!!!』、『Scarlet sky』の3曲を続けて聞いてね!えい、えい、おー!」

 

シーン…

 

 

ひまり「も―!こういう時くらい乗ってくれてもいいでしょー!」

 

洸汰「ははは、これもいつも通りだな。それじゃあ改めて・・・聞いてくれ。」

 

それから俺たちは『ON YOUR MARK』と『Y.O.L.O!!!』、『Scarlet sky』の3曲を演奏し、休憩室に移動した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【休憩室】

 

つぐみ「わあ…!すごい!これどうしたの!?」

 

洸汰「俺たち6人で昨日買いそろえたんだよ。ケーキは真燐の手作りで、クッキーはひまりが、モカがやまぶきベーカリーのパンを。巴がはぐみの所からコロッケをもらって蘭はサラダを作ってくれたんだよな。俺は場所の確保と材料の買い出しに行ったよ。真燐の演技もうまかっただろ?」

 

つぐみ「そ、そうだよ!真燐ちゃんの演技がすごかったんだよ!誰から教えてもらったの!?」

 

真燐「いえ、あれは私が全部アドリブで動いてたんですよ。兄さんからは『つぐにできるだけバレないように演技をしてもらえないか』って言われたんですけど…」

 

つぐみ「それでもあの演技はすごいよ!?」

 

蘭「ほらつぐみ、主役はこっちに来て」

 

モカ「つぐー、今日はセンターだよー」

 

ひまり「ほらほらつぐ!」

 

つぐみ「ひ、引っ張らないでよー!」

 

つぐみはテーブルの隅に連れていかれた

 

席順はというと…

 

  つぐみ

真燐    洸汰

 

蘭     巴

 

ひまり   モカ

 

となっている。

 

 

 

 

 

 

 

 

つぐみ「も、もう・・・いきなりすぎて驚いちゃったよ・・・このことを言い出したのって誰?」

 

洸汰「たしかひまりだったか。」

 

ひまり「うん、そうだけど一番張り切ってたのは洸汰くんだったよね」

 

つぐみ「洸汰くんが一番乗り気だったの!?」

 

洸汰「まあ、去年は祝えなかったし今年は楽しみたかったしな。それに付き合ってから1年経ったし祝いたかったんだよ」

 

つぐみ「そう言えばそうだったね。ありがとうみんな!」

 

モカ「おやおやー?つぐ泣いちゃってるー?」

 

つぐみ「な、泣いてないよ!」

 

巴「はは、このやり取りもいつも通りだな。ひまりの誕生日パーティーの時はひまりが泣いてたっけ」

 

ひまり「も―!あれは忘れてよー!」

 

真燐「あはは・・・とても騒がしい誕生日パーティーになりますねこれ・・・」

 

蘭「偶にはいいじゃん、こういうの。」

 

洸汰「そうだな。ただみんなの誕生日が来る毎にこんなに騒がしくなるんだろうな…」

 

蘭「・・・毎回は勘弁してほしいかな。それじゃあみんな、準備して」

 

モカ「オッケー。」

 

つぐみ「みんな?」

 

ひまり「それじゃあ行くよー!せーの!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つぐみ以外のメンバー「「「「「「お誕生日、おめでとう!」」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この日、Aftergrowメンバーと俺、真燐の7人で写真を撮り俺が首にかけているペンダントとつぐの首にかけられているペンダントにひとつの写真が入った。

 

 

 

 

 

 

 




いかがだったでしょうか?

文字数?気にしたら負けですよ…祝うのに文字数なんて関係ないんだよぉ!大事なのは祝うという心意気です(適当)

改めて、つぐみちゃん誕生日おめでとう!これからもツグっちゃって!


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