復讐の刃 (彼是)
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プロローグ

昔書いていた作品を友人にせっつかれ書き直しました。

はっきり言って気分が害する方も多いと思います。

でも書きたかったんだ。

一応言いますがバラン大好きですよ。




 アルキード王国にロザリーヒルという平和な村があった。

 そこには幸せな家庭があり生活があった。

 

 

 ある日、村の少年ピサロは大都市まで買出しに行った帰り道。

 

 

 

「…ロザリーは喜んでくれるかな……」

 

 

 珍しい銀髪の少年の手には小さな箱が握られていた。その中身は恋人ロザリーへの贈り物だった。

 

「……?」

 

 違和感を感じたピサロは帰り道を急いだ。胸がざわつく。何か取り返しのつかないことが起きているのではないか?

 そんな思いを胸に走り出す。村までまだかなりの距離があるが走らずにいられなかった。

 

 

 

 

「……ぁ……?……ぁぁ」

 

 気がつけばピサロは倒れていた。全身が動かず目はかすんでいた。

 周囲を見れば先ほどの景色は見る影もなかった。

 

「ぁぁ……」

 

 少しずつ意識が鮮明になる。急に光出したと思えば身体が浮き、近くに木に叩きつけられたのだ。

 全身から血を流し、左足は折れてるかもしれない。

 

 目の前にはボロボロになった箱が転がっていた。

 

「…ぁぁ……あぁ…」

 

 涙を流しに手を伸ばす。激痛が走り意識が遠のくがやめる事は出来きなかった。

 

「っ……ふぅ……ふぅ……」

 

 ようやく手にした時には意識は戻っていた。

 

(な、何があったんだ…ハッ!?ロザリー!!)

 

 こんな事があったのだ。ロザリーや村のみんなは無事だろうか?自分が無事なんだ。きっと無事だ。

 

 気力を振り絞り村を目指す。周囲の地形が変わるほどの出来事だったが大きな山脈が見えるので村の方角はわかる。

 

 地面は荒れ、這うだけで激痛が走る。

 

(は、早く……早く行かないと……)

 

 ロザリーが怪我をしていたら?助けを求めていたら?自分が助けないで誰が恋人(ロザリー)を助けるんだ。

 

 次第に感覚は麻痺し、大き目の枝を杖にして折れた足を引き摺りながら村を目指す。

 

 

 

「……ぁ……ぁぁ……そ……ん……な…」

 

 村が見えたピサロは絶望に包まれる。家は軒並み倒壊し、お世辞にも村といえないほどの惨状だった。

 

「ろ……ろざ……りー」

 

 村を進めば動く者は居なかった。家に押し潰された狩人のロジャーさん。火事で焼け死んだと想われるカリア一家。頭が潰された死体。

 

「………」

 

 余りの凄惨さにピサロは夢か現実かわからなくなる。

 

 

 

 

「……」

 

 ロザリーの家に行くとそこには凄惨な死体(・・)しかなかった。

 

「ははは……」

 

 ピサロはぐちゃぐちゃに潰れた頭を愛おしそうに抱える。彼女自慢の綺麗な髪は熱や汚れ(・・)で見る影もなかった。細く病弱だった身体は赤く染まっていた。

 

「っっ……あぁ……ぅぁ……」

 

 信じたくなかった。限界だった。ここに来る前に通ったので家族も見てきた。

 最後の希望だった。

 

 

 ピサロが買ったお揃いのピアスはつけれる場所が無かった……




既にほぼ書き終わってるので見直しが終わり次第投稿します。

次は大きく跳びます。成長過程はみなさんの想像に任せます。


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決戦の時

短編なのでプロローグから凄く飛びます。

酷い戦闘バランスが含まれます。
わかりにくい表現もあるでしょう。
意見などがあれば下さい。次回の作品に影響させます。


準備はいいですか?俺は出来てる。



「ふざけるな!許せるものか!こいつ…こいつは!俺から全てを奪ったんだぞ!村を!友人を!両親を!………ロザリーも!」

 

 白く大きな広間の中心で真っ黒な邪悪な魔剣《ネクロス》に寄生された左耳にピアスを装備した長髪の男が鬼神の如き表情で叫んだ。

 この台詞を聞き、左目に【竜の牙】柄に竜の意匠が施された専用の剣【真魔剛竜剣】を装備した壮年の男は後悔の念に駆られる。

 

「【ピサロ】……」

 

 そう呟いた少年は相当ダメージを負ったのか、ボロボロの身体を光り輝く専用の剣【ダイの剣】を支えに立ち上がろうとする。知り合いと両親が殺し合いをする光景を想像してそれを止めようと気合を入れ立ち上がる。

 

「ふん…余計な事を…」

 

 少年と交戦し腹を裂かれ、中から黒く輝く核昌(コア)が見える様々な魔物の特徴を得た【超魔生物】の男が忌々しそうに呟く。

 しかし男にとってもある程度助かった。強力な自己再生能力を使い身体を治し、一対一で宿命の男と全力で戦いたい。しかし大魔王への忠誠がそれを許さない。残り僅かの命を燃やし大魔王の忠誠と武人の願いを叶える。それが、不気味な男(ピサロ)が乱入してきて、そいつが邪魔な男の相手をする事に異論は無い。

 

「もうすぐだ……もうすぐ…………みんなの仇を討つんだ……」

 

 魔界でも見かけない程の魔剣を持つ男…ピサロは虚ろな目で宿敵である【バラン】を見ながらぶつぶつと呟いている。その光景は異常そのものだがピサロの持つネクロスからギョロリと目玉がいくつも出現し、触手が右半身を侵食し黒く変色していく。

 寄生しているネクロスはドクンドクンと鼓動し、凄まじい暗黒闘気を放つ。その影響が全身に様々な変化が起きる。

 左目は真っ赤な複眼になり、両肩から魔物の腕が生え、右手は深く裂け再生し肌がむき出しになる。身体は蠢き、触手が血管を駆けずりまわる。

 急に進化した為、肉体の一部に亀裂が走る。特に腹部に大きな傷が出来る。その傷はじわじわと再生するが、傷からは不気味な呪詛が聞こえてくる。

 

 知り合いの異常な光景に少年【ダイ】は思わず後退してしまう。ダイの人生は言うなれば光。酷い人間もいるにはいたがほぼ全ての人間が心を入れ替えている。彼の人生にここまで壊れた人間は居なかった。ダイは人としての本能でわかってしまう。この人はもう戻れない。

 

「………」

 

 身体を治していた男【ハドラ-】はこの不気味な男を思い出していた。かつて参謀だった『ミストバーン』に聞いた人間だ。自分もダイに固執し執念で生きていると言っても過言では無いがこの男に比べると本当に執念で生きているのかと疑問に思う。

 

「クッククッ」

 

 思わず笑ってしまう。地位を捨て、魔族の体を捨て、プライドを捨てもダイに勝ちたい。その為に生きていたがこんな事を気にするのか。俺もまだまだのようだ。

 

「うおおおおおおーーーーッ!!」

 

 ハドラーはそんな事を吹き飛ばす様に高熱を持つ闘気【魔炎気】を全身から放つ。地面が吹き飛び、肩の生体バーニアが開き、魔炎気が勢いよく噴出する。その高温と莫大な闘気に近くにいたダイは高熱で顔を顰める。

 

「ハ、ハドラー…」

 

 ダイはこの状況でも闘気を纏わせ戦う意志を持つハドラーに驚愕する。

 ハドラーの身体には魔界でも危険で誰も使おうとしない【黒の核晶】と呼ばれる爆弾が核と融合して、その影響で寿命がもう余りない。残り少ない命を削り、宿敵であるダイと決着をつけようとしている。

 しかしハドラーに黒い核晶を埋め込んだ【大魔王バーン】は魔法力を注ぎ、いつでも爆発させる事が出来きる。ハドラーの意思に関係なくだ。

 

「……」

 

 ダイは剣を強く握る。ハドラーは俺と全力で戦いたいと、全てを捨てる覚悟でここにいるのに俺はどうだ?【黒い核晶】が誘爆する、その為に全力を出せずにこのまま本気になれずいる。更にピサロが実の父であるバランを殺そうとしている。

 ハドラー(魔王)は決断した。ピサロもバラン等よりも(勇者)と決着をつけたいと……

 

「…………」

 

「い、いかん!」

 

 バランはダイを止めようと声をかける。黒の核晶は臨界寸前だ。ダイの持つ【竜闘気(ドラゴニックオーラ)】では黒の核晶が誘爆してしまう。もし爆発してしまえば、この死の大地に致命的なダメージを与え、地上まで吹き飛ぶだろう。

 【竜の騎士(ドラゴンのきし)】ではバランとダイだけならば耐えられる可能性はあるが地上で戦っているダイの仲間は必ず死ぬだろう。

 

『大丈夫……だと思う。今、遠隔で爆発させないって事はまだ時間はあるはずっ』

 

『!?……確かに先ほど爆発させらられば二人共危なかっただろう。…しかし!』

 

「バァァラァァンッッ!!」

 

 二人が思念波で会話している間にピサロの変貌は終わっていた。先ほどは飛翔呪文(トベルーラ)でここまで来た様だが、今ではボロボロのスカイドラゴンの翼が生え浮いていた。更に全身の色が黒緑に変色したネクロスは二回り程肥大化していた。

 

「ッ!」

 

 バランは迫り来るネクロスを神々が作りし最強の剣、真魔剛竜剣で受け止める。真魔剛竜剣はオリハルコンで出来ており、呪文を弾き、世界で一番硬い。更にバランは人、竜、魔の神々が作りし最強戦士竜の騎士(ドラゴンのきし)だ。

 

「!?お、おおおっーーッ!!」

 

 バランは攻撃を受け止めた瞬間に驚愕し踏ん張り、完全に防御体制を取る。その行動に一番驚いたのは、嘗て死闘を繰り広げた息子ダイだ。ダイは自分が知っている中でバランは特別であり、様々な問題があるがその圧倒的な強さは誰よりも信頼している。

 

「ぐっ……なめるなぁっ!!」

 

 バランの額に竜の騎士(ドラゴンのきし)の証であるドラゴンの紋章が浮かび上がり、バランは竜闘気(ドラゴニックオーラ)を纏いネクロスを折ろうとする。

 

「殺す……殺してやるっ!!」

 

「な、なにぃ!?」

 

 竜闘気(ドラゴニックオーラ)とは特殊な闘気だ。ほぼ全ての呪文を弾き、巨大な闘気で貫く以外ダメージを与えられない。更に攻撃力に関しても武器の素材がオリハルコンでなければ、その膨大な力で耐えられない程だ。

 

 

 その竜の騎士(ドラゴンのきし)であるバランが神々が作り真魔剛竜剣で折ろうしてもネクロスは折れることは無かった。

 

 

 

 

 

[ば、馬鹿な……]

 

 大魔王の居城である大魔宮(バーンパレス)の王座に白い闇の衣に包まれた【ミストバーン】の不気味な声が響く。

 ミストバーンは口少なく、一度口を閉ざせば数百年口を聞かないと言われるミストバーンが映像を見て動揺している。

 

「…ふ……ふふふっ……」

 

 

 王座に座る、額に鬼眼を持つ老魔族である大魔王バーンは妖しく笑う。彼からすればこれは全て遊戯。老魔族であるバーンは悠久に近い時を生きた。更にその殆どを地上の侵略の為に費やした。

 更に言えば魔王軍を作り、率いて地上を侵略したが戦力的にはミストバーンとバーンのみで地上侵略は事足りたのだ。

 全ては遊戯。もし魔王軍の中で頭角を現し、後の天界の神々との戦いに参加出来る者が現れればいい。その程度の事なのだ。

 

「まさかあそこまで強くなろうとは……よい拾い物をしたものだ」

 

 バランの妻ソアラが人間に殺され、怒り狂ったバランがアルキード王国を滅ぼした時に拾った青年がピサロだ。バーンはバランを勧誘すると同時にバランの事をピサロに伝え、鬼眼の力を与えた魔剣ネクロスを与えた。

 その後ピサロは鬼眼の力で進化に進化を続け、遂にバランに迫った。彼は様々な魔物を喰らい取り込み、既に人間では無い。

 

「暗黒闘気だけではないな。執念…ハドラーもそうだが想いと言うのは存外馬鹿にならんな」

 

[………想い……]

 

 ミストバーンはバーンと共に魔界から来た。自分の全てをバーン差し出しているミストバーンは主に言葉に考えを深める。

 過去、ヒュンケルと呼ばれる少年を拾い教示した事がある。そのヒュンケルも才能も素晴らしく、両親の敵を討つ為に生きる執念を持っていた。

 

 

 

 ピサロが何度切りかかろうとバランは膨大な経験を元に巧みに受け流してく。その度にピサロの顔が歪み、ネクロスが振るえ禍々しさを増していく。

 

「ギギギッ……殺せ……殺せ……殺せ」

 

「ッガガヵァ!!」

 

「ぐぐぅ……。何っ!?」

 

 バランが振りかぶられたネクロスを真魔剛竜剣で受け止めたが、ピサロの背中からもう一本ネクロスが飛び出てきてバランを襲う。

 咄嗟に紋章閃と呼ばれる紋章から闘気を集束してネクロスの軌道を逸らすが少し肩を切り裂く。

 

「はぁっ!!」

 

「っぐ……」

 

 バランはピサロを蹴り、距離を取る。竜闘気(ドラゴニックオーラ)で包まれたバランの身を切り裂いたネクロスは歓喜の雄叫びを上げる。

 

「ギギギャギャァ!!」

 

「は……ははは……はは……」

 

 ピサロは壊れた表情のまま歓喜の涙を流す。傷つけることが出来た。殺す事が出来る。ピサロの全てを大陸(王国)ごと吹き飛ばした化け物に傷をつけた。その真実に驚愕しているのはピサロだけではない。

 

 

 

 

「そ、そんな……」

 

 ダイはハドラーとの戦いを消極的にこなしていた。誘爆の可能性がある以上、威力のある攻撃が出来ない。更にピサロの件もあり、どうしても後手に回っている。

 更にあのバランが傷付いた。その真実に焦りを覚える。

 

 過去、バランと戦いではバランの竜闘気(ドラゴニックオーラ)を破る為に未熟だったが勇者ダイと獣王クロコダインの必殺技でやっと貫けるほどだった。

 

「余所見とは……余裕だなダイ!!」

 

「!?ぐっ……」

 

 ハドラーが腕に仕込こんだ破邪の剣でダイを吹き飛ばす。ハドラーの一言で咄嗟のガードが間に合ったのでダメージは殆ど無いが回復する隙が無い。

 ピサロが乱入する前の傷すら治せていないので体力も相当減っている。

 

「はぁ…はぁ……」

 

「どうした!なぜ反撃してこない!」

 

「っ………」

 

 ダイは咄嗟にハドラーに真実(黒の核晶)を伝えそうになるが口を閉ざす。ハドラーが真実を知ればバーンに反旗を翻すだろう。そうする前にバーンが黒の核晶を爆発させダイの仲間は死ぬ。

 その為、ダイはハドラーに対して打撃攻撃のみで応戦するしかなかった。

 

「ここに来て怖気づいたか!オレはお前の師の仇だぞ!本気だせダイ!」

 

「うっ…ううっ……」

 

(どうしたらいいんだ!このままじゃ本当に打つ手が無いっ……)

 

 バランの方も早々に決着が付くことも無く、時間だけが過ぎて行く事に焦りを覚えるダイ。その姿を見てハドラーは拳を強く握る。

 

「なぜだ!なぜ本気を出さない!オレは……オレはそんなお前と戦う為にこの身を魔物にしたのではない!!」

 

 ダイの消極的な戦いに、ハドラーは更なる闘志を燃やす。ハドラーは勇者ダイを評価していた。それこそ自分の全て(肉体)を引き換えしてでも決着をつけたかった。だからこそ、何故こうも戦いに消極的なのかわからなかった。

 始めの小競合いはそれなりに戦いに集していた。しかし今はどうだ?ダイは勿論、歴戦の戦士バランですら集中を疎かにしていた。それがハドラーには解せなかった。

 

 バラン達はハドラー達より上空で戦っている。その為ハドラーは一度、地に立ちダイに語りかける。

 

「……お前達が何故全力で戦わんのかは知らん。だが!オレには時間が無い!ダイ!容赦はせぬぞ!」

 

 そう言うとハドラーから魔炎気は噴出させダイに切りかかる。

 

「くっ!」

 

 ダイは剣で捌かずに真正面から受け止めてしまう。

 

「魔炎気!」

 

「なっ!?ぐっ…っぁ!」

 

 ハドラーから高温の魔炎気を浴びせられ、ダイは一瞬怯んでしまう。ハドラーへ竜闘気(ドラゴニックオーラ)での攻撃が出来ないダイは限りある竜闘気(ドラゴニックオーラ)を温存する為、竜闘気(ドラゴニックオーラ)を纏っていなかったのだ。

 

「【爆裂呪文(イオラ)】!」

 

「ぐっぁぁ!!」

 

 ハドラーの溜めが無い【爆裂呪文(イオラ)】でも今のダイには十分なダメージになる。吹き飛ばされたダイをハドラーはバーニアを吹かし追いかけ、右拳で顔を殴りつける。

 

「はぁっ!」

 

「ぐっ!!」

 

 ハドラーは床に叩きつけバウンドさせ再度ダイを殴りつけ踏みつけ地面に陥没させる。油断せず間髪居れずダイの腹を蹴り飛ばす。 

 壁に激突したダイにパラパラと壁の破片が落ちてくる。ハドラーは追撃に両手で火柱を起こし、【極大閃熱呪文(ベキラゴン)】を放った。

 




ロト紋大好きなんですよね。敵がガチで殺すきで来てる感じが……

プロットの練習にオススメな作品があれば教えてください……


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竜魔人

どんどん上げるぞ~


「ディーノ!!」

 

「!【みなごろし】」

 

「!!?」

 

 バランの一瞬の隙を見つけ、ピサロは暗黒闘気を集中し強烈な一撃を放った。辛うじて防御が間に合うがネクロスが纏った暗黒闘気がカマイタチのようにバランを襲う。

 

「ぐっ!邪魔だぁっ!!どけぇ!!」

 

 ピサロの背中のネクロスがバランを更に傷付けるがバランはピサロを押し返し、竜闘気(ドラゴニックオーラ)を放出しピサロを吹き飛ばす。

 【飛翔呪文(トベルーラ)】を使い全力でダイ(ディーノ)の元へ向かうがピサロの腕が触手のように変化してバランの足を掴む。

 

「!?」

 

「まだだぁ!!」

 

「くっ!い、いい加減にしろぉっ!!【上級電撃呪文(ギガデイン)】」

 

「ぐぁぁぁっ!!?」

 

 天空より竜の騎士(ドラゴンのきし)のみ許された巨大な雷がピサロを貫く。瞬時に身体中が焼かれ、激痛が神経を駆け巡る。

 

「ディーノ!!しっかりするんだ!!」

 

「ぅぅ……」

 

(い、いかん。かなりのダメージだ。すぐに回復呪文を……)

 

 抱きかかえたダイ(ディーノ)に回復呪文をかけながらバランは思考する。幸いピサロはまだ復帰せず、竜闘気(ドラゴニックオーラ)で防護膜を展開している為ハドラーも様子見している。

 

(このままでは全滅する……どうすればいい?)

 

 ちらりと床に刺した真魔剛竜剣を見る。刃こぼれまでは言わないがかなりの劣化が見れた。先ほどの【みなごろし】だけが原因とは思えなかった。

 

(いつだ?いや、そんな事よりも今は……)

 

「うぅ……あ、あれ?俺……」

 

「おお!ディーノ!」

 

「あ……そっか……俺のことか……」

 

 回復呪文で多少回復したと言え体力まで回復するには時間がかかる。更に暗黒闘気等で負った傷は回復呪文では治りが非常に遅く効率が悪い。

 【みなごろし】で負った傷は全身に及ぶ。少しの戦闘には差し支え無いがかなり不利になった事は確かだろう。

 

「バ…ラン!!バラン死ね!!【みなごろし】!!」

 

(い、いかん!ここで避ければディーノに当たる!)

 

 身体の再生を終え、更に魔物へ変化したピサロは全力で飛んで来る。背中のネクロスは二つに増え、顔の左はもう原型が無い程変貌していた。

 巨大化したネクロスに膨れ上がった暗黒闘気の【みなごろし】をバランは竜闘気(ドラゴニックオーラ)を全力で受けようとする。

 

「っ!?ぐぁぁっ!?」

 

「ディ…ディーノ!!」 

 

 そんなバランのかばうように飛び出したダイは剣で受けるも身体をズタズタにされる。全力で竜闘気(ドラゴニックオーラ)を展開していたお陰で耐える事が出来たが先ほどよりダメージを受けてしまった事は明らかだ。

  

「なに!?」

 

 そんな行動をしたダイに驚きを隠せない男がハドラーだ。ダイと決着をつけたいハドラーはダイが自分以外に殺される事など我慢出来ない。その為、ハドラーの中でピサロはどうでもいい男から邪魔者になった。

 

「ぐっ……ピ、ピサロ……」

 

「ダイッ!!邪魔をするな!!」

 

「ッッ!!」

 

 ダイはネクロスに耐えながらどうにかピサロを説得しようと試みる。それが如何に無駄な事だとわかっていても、こんなにも悲しい戦いを見届ける事など出来なかった。

 

「ピサロ聞いてくれ!……この人が過去に酷い事をしたのは知ってる……必ず償いはさせる!!さしてみる!!だから……」

 

「償い!?償いだと!!?ならば……全員を生き返らせろっ!!村を!友人、家族……ロザリーを!!今すぐにだ!!」

 

 ダイの言葉にピサロの表情が豹変する。ダイは地雷を踏み抜いてしまう。もう彼はバランを殺す事でしか止められない。

 

「ガアァァッ!!」

 

「ッ!?ぐっ!」

 

 ダイはピサロに吹き飛ばされバランと離れてしまう。それを好機と思ったのかハドラーがダイとピサロの前に降り立つ。

 

「ハドラー!!」

 

「ダイ。因縁の対決同士だ。奴はバラン、俺はお前……決着をつけるぞ!!」

 

 ハドラーは魔炎気を(たぎ)らせ、破邪の剣に全神経を集中する必殺技【超魔爆炎覇】の構えを取る。

 万全の状態のダイでも危険な技だ。今の状態ではほぼ勝ち目は無いだろう。

 

「いかん!!ディーノ!!」

 

 助けに入ろうとするバランの前にピサロが立ちはだかる。バランは先ほどと同じ様に吹き飛ばそうとして、咄嗟に無理だと悟る。

 

(!?こいつ先ほどより強くなっている!!)

 

 長年の経験でこのままではすぐにはダイに駆けつけれないとバランはわかってしまう。

 

 

 

 

 

 大魔宮(バーンパレス)の王座では死神が愉快そうにダイ達の戦闘を眺めていた。

 

「絶対絶命って奴だね~」

 

「でも残念だな~こないだの借りも返せないなんて~」

 

「仕方ないさ。なんたってバーン様のお気に入り君の晴れ舞台だからね。ここは譲ってあげるよ」

 

「ちぇ~アイツもキルバーンと同じように真っ二つにしたかったのに~」

 

 死神姿のキルバーンは相方の一つ目ピエロのピロロは過去にバランに胴切りにされた事がある。その為、復讐の機会を窺っていたが今回は何もしない事にした。

 

「でも、ぼくの呪いは効いてるみたいだけどね。フフフッ……」

 

 キルバーンの身体には魔界のマグマと同じ成分の血が流れている。胴切りにされた時にそれが真魔剛竜剣に付着し、劣化させたのだ。

 

喜劇(舞台)もそろそろ閉幕……爆発か……それともハドラー君の勝利か……フフフッ……見ものだね」

 

「フィナーレだ~」

 

 楽しそうに見るキルバーンの反対にミストバーンは憂いていた。

 

(ハドラー……勝て。見事勇者(ダイ)を打ち倒し、栄光を掴むのだ)

 

 ミストバーンはもしハドラーが勝てばハドラーの延命を願い出るつもりだ。黒の核晶がハドラーの寿命()を吸っているが大魔王バーンの魔力ならばハドラーの延命も可能だろう。

 

 

 

 

 

 

(このままでは……っ!!)

 

 既にハドラーは溜めに入っている。目の前の敵の相手をしていれば間に合わないだろう。

 

(……二度と使うまいと思っていたが……)

 

 目の前で大事な者(ソアラ)を殺された事があるバランは決心する。

 このままでは間に合わない。なら間に合うようにするだけだと……

 

 

 

 額から流れた血が赤から青へ変わり、天空より稲妻がバランに落ち、肉体が変貌していく。

 

 

「ウオォォォッ!!」

 

 額の紋章が広がり、それに応じて髪は逆立ち、身体が膨れ上がり、鎧は弾け、皮膚から竜の鱗が浮きで出来て全身を覆う。

 背中からは一部の魔族が持つ翼が生え、竜闘気(ドラゴニックオーラ)で周囲が震える。

 

「なっ!?あ、あれはまさか……」

 

「りゅ、【竜魔人】」

 

 その変貌にハドラーは慄き、ダイは恐怖した。

 

 

 竜魔人。それは竜、魔、人の神が作り出した竜の騎士の最強変身形態。竜のステータス、魔族の魔力、人間の多様性を突き詰めた形態。

 過去に戦ったダイはその圧倒的強さに冷や汗が流れる。

 

「…………」

 

 ダイの姿を見たバランは安心すると共に心を痛めた。

 過去の事もありダイ(息子)の前では二度と見せたくなったと思っていた最強変身形態だ。その変身にハドラーは構えを解き、超魔爆炎覇は放たれなかった。

 しかしディーの(息子)に恐怖の目で見られたくは無かった。

 

「バランッ!!みなごろし!!」

 

 バランの変身時の稲妻で硬直していたピサロが竜魔人化したバランに切りかかる。

 背中のネクロスも含め放たれた一撃はハドラーの超魔爆炎覇、ダイの【アバンストラッシュ】にも引けは取らないだろう。

 

「………」

 

「ば、馬鹿な……っ」

 

 その声は誰が出したわからなかった。

 ピサロのみなごろしはバランの皮膚を貫けず、薄皮の部分で止まってしまっていた。

 

「っ!!」

 

 バランが無言でピサロに顔面を掴み地面に叩きつける。

 

「ッ!!グアァァァ!?」

 

 ピサロも抵抗するがバランは気にしない様子で背中のネクロスを引きちぎり、右腕を圧し折り、足で踏みつけ再起不能に追いやり地面に陥没させる。

 

「な、なんという……」

 

 バドラーはその圧倒的強さに驚きを隠せなかった。ハドラーから見てもピサロは強者だった。あそこまで一方的に再起不能にまで出来る竜魔人とはどれほどの強さなのだろう。

 超魔生物は竜魔人の能力を研究し作られた形態だ。その為、人工的な竜魔人と言っても過言は無い。

 

「次はお前だ。ハドラー」

 

『ディーノ。お前は上空の穴から仲間の下へ向かえ』

 

『!?な、なんで!!』

 

『……竜魔人化した以上、敵を殺すまで戦い続ける……黒の核晶は私が何とかしよう』

 

『で、でも!!』

 

『早く行け!!』

 

 ゆっくりと近づくバランにハドラーは最大の警戒をする。

 

「ハアァァッ!!」

 

 元より二人相手に一人で戦う覚悟があったハドラーは気合を入れなおす。魔炎気を滾らせバランに切りかかる。

 

「ぐぼあッ!!」

 

 バランはハドラーの攻撃よりも早く懐に入り込み、腹部を強打する。

 

「…死ね!ハドラー!私も地獄まで付き合ってやる……!!」

 

 壁に打ちつけられたハドラーは即座に立ち上がり、破邪の剣を拳へ仕舞い、代わりに小回りの利く(ヘルズクロー)を出し、再度攻撃する。

 

「!!!なっ……!!」

 

 無抵抗のバランにヘルズクローは刺さる事も無く、ハドラーは大きな隙を見せる事になる。

 

「……まだわかってないようだなッ!!ハドラァァーッ!!!」

 

 ハドラーを蹴り上げ、何度も殴りつけ、地面に叩きつける。バランは苦痛に耐えるハドラーの頭を無情にも踏みつける。

 

「…ぅ……う……」

 

「この姿になったからには、お前ごときが如何に背伸びをしても相手にならん!!」

 

 圧倒的な強さのバランはハドラーの頭を砕かない様に足にゆっくりと力を加える。

 

「おっ、おのれぇ!!」

 

 ハドラーは破邪の剣を右手から出しバランに切りかかる。

 

「ぬうんッ!!」

 

「ぐあああッ!!」

 

 剣を避け腕を掴んだバランはハドラーの腕を圧し折る。その痛みにハドラーは後ずさりながら地面に倒れこむ。

 

「……これでしばらくは剣と極大呪文が使えん!!」

 

「はううっ……」

 

(つ、強い……強すぎる!!なぜ!なぜ!!これほど圧倒的にうちのめされるのだ!!なぜ!!なぜまったく歯が立たん!!)

 

 

 

 

 

[……強い……あの二人が手も足もでないとは……!!]

 

 ミストバーンの驚きはもっともだ。現在の二人の強さは強者の多い魔界でも屈指の強さだろう。ハドラーは超魔生物になり武人としても一皮向け、魔界の神と呼ばれる大魔王バーンにも認められる程の強者だ。

 ピサロにしてもハドラーほどとは言えないがかなりの強さだ。

 更に竜魔人のバランは過去ダイ達と戦った時より遥かに強い。

 

「…うかつに獣の巣をつついてしまったな……どんな動物でも巣をつつかれれば怒る。相手が自分より強い動物でも我が子を守る為に凄まじい力を発揮して逆襲してくる……それと同じ事だ」

 

 バーンは冷静にバランの強さを理解しミストバーンに説明する。

 

「早急にダイ()に止めをさせずにバラン()に決断させる猶予を与えた結果だ……これまでかもしれんな……やむをえん……」

 

 バーンは右腕を軽く上げる。その小指の爪にはバーンの紋章が描かれており、そこに魔力を込めるとハドラーの黒の核晶は砕け散る。

 

[!?く、黒の核晶を爆発させるのですか…?]

 

「……残るハドラーに勝ちが無い以上、そうしてやるのが情けというものよ。……違うか?」

 

「………」

 

(…その通り……殴り殺しにされるより……)

 

「…余がこの指先から魔法力を飛ばしただけで…あの核晶は爆発する…!!」

 

 バーンは小指を見つめ笑みを浮かべる。

 

「次にバランがハドラーに接した時…それが…最後の時だ…!!」

 

 バランはゆっくりとハドラーに止めを刺す為に近づく。バーン達は固唾を呑んで見守る。

 

「…ん?」

 

 後一歩という所でバーンは思いとどまる。ハドラーが苦悶の表情で折れた腕を押さえ、バーニアを吹かし上空に飛び上がる。

 

「…ホウ…まだ戦おうというのかハドラー…」

 




とりあえず短編を書きまくって勉強中……


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黒の核晶

読んでいただきありがとうございます。

皆さんに楽しんで貰えるように精進します。


 折れた腕を無理やり押さえ、激痛を堪えながら必殺の構えを取るハドラーにバランは少し驚く。

 

「…折れた右腕で超魔爆炎覇をかけようというのか!?無駄な足掻きだ…!!」

 

「なっ…なんとでも言うがいいっ…!!地に伏したまま死を待つのはこの激痛よりも耐え難い事!!せめておまえに一矢を報いてやるわッ…!!」

 

 ハドラーは気迫で魔炎気が轟々と滾らせる。バランは折れた腕で打てないはずの超魔爆炎覇をハドラーが打てると確信する。

 

「……よかろうッ!!受けてやるぞ!!」

 

 バランは翼を広げ、初めて戦闘姿勢を取りタイミングを計る。

 

「うおおおおーッ!!!」

 

 ハドラーの超魔爆炎覇に対するバランは無手で突っ込む。両者が空中で激突した衝撃で大気が震える。

 

「ぐっ……ハドラー…ッ!?」

 

 飛翔呪文(トベルーラ)で大地に向っていた。ダイは思わず止まり、振り返る。バランの腕がハドラーの腹を突き破った所だった。

 

「…フ…フフフッ…!!は…腹立たしいものだなバランよ…!あと一歩…剣が及ばぬというのは…」

 

 ハドラーはダメージで身体の力が抜けダラリと垂れ下がる。

 

 

 

 

 

 

「…最後の執念…見事であったぞハドラー…だが案ずるな。お前の望み通り…死してもバラン達に一矢を報いてやる…!今…この場でな…!!」

 

 バーンは小指に魔力を注ぐ。これにより地上での戦闘(遊戯)ほぼ(・・)終わり、計画の最終段階に達する(バーンパレスが空中を翔る)と確信する。

 

(……もしやすると竜の騎士共は生き残るやもしれんがな……)

 

「砕け散れッ!!黒の核晶よっ!!」

 

 バーンの小指から膨大な魔力が溢れ部屋に溢れる。その光が収まった時バーン達は驚愕する。

 

「なっ…なにっ!!?」

 

 悪魔の目玉と呼ばれるモンスターのリアルタイム映像では今だバラン達は健在だった。

 

「バ…バカな…!余の魔法力は確かに放たれたはず…!!何故、核晶が爆発しない…!」

 

 バーンは小指を確認すると確かにバーンの紋章が消え、黒の核晶に魔力が送られ爆発するはずだ。

 

 

 

 

「…フフフッ…ぬかったな…!大魔王バーンよ!!この私が何故ハドラーの最後の挑戦をあえて受けたと思っているのだ!!」

 

 バーンは映像から流れてくるバランの言葉に注目する。映像を見られている事は知っていても語りかけてくる事は無かったバランが今このタイミングで語りかけてきた事にバーンは疑問を覚える。

 

「それはこのチャンスを待っていたからだ!!ハドラーの身体をブチ抜き…!!」

 

 バランは腕を捻りバーン達にも見えるよう何かを引き抜いた!!

 

「この黒の核晶の爆発を押さえ込む瞬間をなっ…!!」

 

「!!?」

 

 ハドラーの体内から数本の管で繋がれた星型の爆弾【黒の核晶】。バチバチと放電の様にスパークしている状態で、いつ爆発してもおかしくない状態を押さえ込む為にバランは竜闘気(ドラゴニックオーラ)で押さえつけ黒の核晶の機能を麻痺させていた。

 

「…やりおるわバラン!!元より爆発は覚悟の上!自らの竜闘気(ドラゴニックオーラ)で押さえ込むつもりだったとはな!!」

 

 この数千年間ここまで動揺した姿を見たことがないミストバーンはどうするべきか思考していた。

 

(バラン……危険な男だ。竜の騎士というだけではない。バーン様を出し抜く大胆さ……なんとかしなければ……)

 

 一方キルバーン(・・・・・)の心情はこの中でも異質だ。

 

(ひゅ~。バラン君もやるね。正直あの竜闘気(ドラゴニックオーラ)は厄介だね。ああやって押さえつけられたら爆発しないなんて……改良が必要かな?)

 

 

 

 

 

「こっ…これはっ…!!?」

 

 ハドラーは自分の身体から出てきた物を見て驚愕してた。

 

「これはっ…!!これはなんだああッ!!なぜっオレの身体にこんな物があっ!!?」

 

 明らかな人工物。更に尋常じゃない程の圧迫感を感じるほどの魔力を秘めたそれが自分の身体に有ったなど想像すらしていないハドラーはバランの手にある黒の核晶を目を見開き動揺する。

 

(哀れな…)

 

 バランにとってハドラーは特に意味の無い人物だ。仮初の上司。敵。ダイ(息子)と因縁があるようだが自分には特に無い。

 しかし戦ってみて過去の彼から想像出来ない程の武人に成長したハドラーに哀れみを覚えた。

 

 所詮ハドラーはバーンにとって使い捨ての道具だったのだ。

 

「…魔族のお前なら名前ぐらいは聞いた事があるだろう…!!こいつが黒の核晶だ!」

 

「くっ…黒の核晶ッ!?そ…そんなっ…そんなバカなっ!!あの…忌わしい伝説の超爆弾がっ…オ…オレの中にっ…」

 

 ハドラーの身体が震え、冷や汗が止まらない。現実を受け入れられない。しかし目の前にある物が只者では無いがイヤでもわかってしまう。

 

「……誰がっ!?誰がこんな恐ろしいことをっ…!!」

 

 次に思うのが誰がこんな事をしたかだ。自分(ハドラー)を超魔生物に改造したザボエラか?アイツは小心者でこんな大それた物を使う所か手に入れる事さえ出来ないだろう。

 

(ま、まさかっ…!?)

 

「…知れたことよ…おまえの主…!そして…おまえに地上を与えると言いながら、その実すべてを吹き飛ばすつもりだった非常の男だ…!!」

 

「………バーン様がっ…!!」

 

 ハドラーの中で全てがカチリと噛み合った。どうしてダイ(宿敵)達が急に消極的になったのか。ダイが上空で慌てふてめいているのか。

 

「そうかっ!!お、おまえ達が妙に力を押えて戦っていたのはこの黒の核晶のためだったのか…!!」

 

 武人として一皮剥けたハドラーは彼なりの誇りを汚された怒りと気付かなかった自分の愚かさで気が狂いそうになる。

 

「……なにが…なにが”正々堂々の戦い”だッ!!こんな状況ならおまえ達に勝ち目が無いのは当たり前…!!オレはっ…自らの肉体を捨て…生命を捨ててまでこの闘いに賭けていたのにっ…!!」

 

 唇は怒りで裂け、血が出ても。愚かさの為、握り充血した拳が振るえてもハドラーの感情は抑えられず、涙と言う形で決壊した。

 

「ウオオオオオォーッ!!!!」

 

 

 

 

 

 

(ハ…ハドラー!)

 

 ミストバーンはハドラーの姿を見て申し訳無く思う。もし自分が彼の黒の核晶に気付けていれば…もしハドラーの不調をバーン様にお聞きして黒の核晶の事を知っていれば…

 

「みっともないなぁハドラー君…せっかく勝利のチャンスだったのに…」

 

「見事な男泣きだね!」

 

 二人の台詞に思う所があるミストバーンだが言うこと決して無い。それはミストバーンもわかっているからだ。

 

(全てはバーン様の為……)

 

 ミストバーンにとって拘りや主張等、大魔王の前では意味をなさない。

 

「仕方あるまいキルバーン…竜魔人と化したバランの闘気の力がこれほどまでとは余も思わなかった。余の放った魔法力を弾くとは…たいした奴よ…」

 

 バーンは強者に敬意を表する。だからこそ卑劣、卑怯など弱者の戯言は気に食わない。力こそ全て。強者はそれだけで素晴らしい存在なのだと信じている。

 

「…まあ、いい竜闘気(ドラゴニックオーラ)に覆われているとはいえ核晶を作った余自ら間近まで赴けば爆発させるのはたやすいはずだが…な…!」

 

「[!!!]」

 

 立ち上がるバーンに二人は驚きを隠せない。大魔王バーンが自ら赴くなどこの数千年なかったことだ。

 

「やむをえん……余が直々に出向き核晶ごと消してくるとしよう…」

 

 転移しようとしたバーンに待ったをかけたのが死神キルバーンだ。

 

「まあまあぁ!今度はボクに任せて下さいよ。バーン様にわざわざご足労させたとあっちゃあ、我々は立場ないですよ。ねぇミスト…!?」

 

 キルバーンは相方と呼べるミストバーンに声をかけるも既にその姿は無かった。どうやらバーンが立ち上がった瞬間に転移していたようだ。

 

「…フフッ…行ったのかミスト…。ハドラー君にはかなりご執心だったようだけど、流石に天秤にかける相手がバーン様だと動きが早いね…!」

 

 その一言にバーンは笑みを浮かべる。バーンにとってミストバーンは忠臣。かれこれ数万に及ぶほどの長い年月変わらぬ忠誠を誓う者だ。

 彼には絶大な信頼を寄せている。そして彼なら安心(・・)して任せられる。

 




ピサロが空気なのは後半の為仕方ない。


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変貌

アクルカさん何度も誤字報告ありがとうございます。



 バランは黒の核晶を引きちぎろうと引っ張る。その行動にハドラーは焦る。

 

「バ…バラン!!何をするつもりだッ!!?」

 

「…バーンが次の手を打つ前に…!お前の身体から核晶をもぎ取る…!!」

 

 バランが力を入れるとハドラーと黒の核晶をつないでいる管がブチブチと千切れる。

 

「ぐうあああーーーッ!!」

 

 激痛からハドラーの叫び声が響く。その声にダイは悲しそうな顔をするが突如現れた存在に気付き警戒する。

 

「!!!」

 

 バラン達も気付いたのかその存在を見れば、其処には白い衣姿のバーンの忠臣ミストバーンが空中で佇んでいた。

 

「ミストバーン!!」

 

[……]

 

「…我々を消しに来たようだな…!!」

 

「…ミ…ミストバーンよ…!!」

 

 なんの反応も示さないミストバーンにかすれた様な声でハドラーは語りかける。

 

「おまえも…おまえもバーン様と同じなのか!?オレを道具として始末しに来たのか!?」

 

[………]

 

 ハドラーはミストバーンを初めて見たとき気に食わない不気味な奴だと思っていた。しかしダイ(アバンの使途)達と戦い破れ、生き返させられた。

 更に超魔生物になる時に頼み込む事で人間共の足止めを受けてくれ、更には超魔生物になってからも多少融通を利かしてくれた。

 その寡黙だが友好のあったミストバーンにハドラーは多少信じていた。

 

「…おまえにとってもオレはやはり駒にすぎなかったのかッ!!?」

 

「ハドラー……」

 

 魂の叫びに心を揺らされ声に出したのがダイだ。ダイは師アバンを目の前でハドラーに殺されている。更にハドラーの所為で多くの人達が苦しんでいるのを知っている。

 仲間のヒュンケルの父親もハドラーに殺されている。しかし今のハドラーを見て、ダイは酷く悲しい気持ちになった。

 

 過去、何度もダイ達とハドラー達は戦った。卑怯な手も使われた、後一歩で全滅と言う所まで追い詰められた事もある。

 しかし超魔生物になったハドラーは過去のハドラーとは違う。本当の意味での宿敵(ライバル)だ。

 ダイはそんな彼の姿を見ていられなかった。

 

[…ハドラー。その質問に対する私の答えは常にひとつだ]

 

 

 

 

 

[…大魔王さまのお言葉はすべてに優先する…!!]

 

「!!!!」

 

 ミストバーンの言葉にハドラーは過去を思い出す。

 ハドラーはまだ魔族で魔王軍の六大軍団が健在だった頃、ミストバーンは魔影参謀という肩書きだった。

 そのミストバーンが口を出す時はその言葉を告げる。

 

「…そうか…それがおまえの答えか…」

 

 ハドラーはショックで身体が震える。ハドラーも何度も部下を捨て駒にしてきた。それが逆に捨てられる立場になっただけだ。

 しかし悲しかった。忠誠心、友好…そんな事よりもダイと決着をつけられると信じていた。その全てを無下にされ利用されたのが悔しかった。

 

「…いまさら何をしようとも遅いぞミストバーン!!おまえが出てきたところでこの私は倒せん!!」

 

 圧倒的な自信を持つバランだが内心では最大源警戒していた。バランは始めて見た時からミストバーンを警戒していた。

 

(…変わらず得体の知れない男だ……)

 

 バランの経験からもミストバーンの強さ、性別、正体……その全てがわからなかった。便利上男としているだけで性別があるかどうかもわからない。

 

[…どうかな?私は指一本ふれずにおまえ達をこの世から消すことが出来るのだぞ……!!]

 

 白い衣に隠れ表情はわからないが瞳だけが妖しくと光る。その態度に二人は訝しげにミストバーンを警戒する。

 

 ミストバーンは衣に手をかけ、ゆっくりと見せ付ける様に開いていく。

 そこには真っ黒な空間が広がっており、二人は莫大な暗黒闘気が集合しているのがわかる。

 しかし開かれるごとに強まってくる圧倒的な気配が三人震撼させる。

 

「なっ…なんだっ!!?このすさまじい鳴動はっ…!!」

 

 竜魔人になったバランですらその波動の強さに思わず冷やさせが噴出す。

 

[…バーン様…よろしいですね!]

 

 

 

 

 

 

 

 

「……許す…!ミストバーン…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 衣にかけてあるシンプルな数珠がゆっくりとひび割れていく。

 

ピキッ…ピキッ……ペキィィン!!

 

 割れると同時に先ほどとは比べ物にならない気配が現れる。

 

「…おおっ!!」

 

 そこには目を閉じた上品な優男が衣を羽織佇んでいた。男の額にはバーンの印の様な物が張り付いる。

 

「あっ…あれがっ…!!?」

 

「ミストバーンの……正体…!?」

 

 ハドラーのはその素顔を見て驚いた。男だと思っていたが想像より若い。魔族であろうその男にはなんとも不思議な魅力が出ていた。

 

[……消えよ…!!黒の核晶の閃光とともにっ…!!はあああッ!!]

 

 警戒していたバランを出し抜きミストバーンの魔力が黒の核晶に注がれる。

 

 グオォォォンォォォ……

 

 魔力が注がれた黒の核晶が低い低い唸り声の様な稼動音を響かせ稼動する。

 

「な、なにッ!!?核晶が作動し始めた!!?」

 

(バッ…バカなッ!!竜魔人の竜闘気(ドラゴニックオーラ)ならあらゆる魔法力を防げるはず!!バーン自らは間近に来て魔法力を与えでもしないかぎりはっ…)

 

「まっ…まさかっ…!!!?」

 

[……はじけろ……ッ!!?]

 

 ミストバーンがダメ押しに魔力を注ごうとした瞬間に割り込む存在があった。 

 血管の様な黒い触手が黒の核晶に複数張り付きハドラー体内管を切って取り付いていく。

 

「ガフッッ…ッ!」

 

 ハドラーが吐血し重力に従い地面に落ちていく。

 

「な、なんだッ!?」

 

 黒の核晶から噴出す魔法力でバランが弾かれ、引き合うように触手が集まっていく。

 ドロドロに溶けた黒いモノはゆっくりとオレンジ色へ変貌していく。

 

[バッ…バカなッ!?何が起きているんだッ!?]

 

 ミストバーンはバーンの代わりにここに来ている。その為ミストバーンの中では自分のミスはバーンのミス。

 その失態に慌てふためいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

(どうして……どうして勝てないッ!!?)

 

 バラン()にやられ、朦朧とした意識の中でピサロは考える。

 勝つ為に全てを捧げてきた。魂、肉体は既に人間では無い。しかし心……復讐だけは忘れない。変わらない。変えることは出来ない。

 死んでしまった者。ピサロ。その全てがバランを殺すまで納得しない。

 

(殺せッ!!血を寄越せ!!)

 

 融合したネクロスはバラン(魔族以外)を殺せと叫ぶ。

 

(うるさいッ!!お前ではあの化け物(バラン)を殺せない……足りない…力が足りないッ!!)

 

 彼の中では自分を変化させていった。バーンに与えられたネクロスはバーンの魔力……鬼眼の力で魔剣から進化した物だ。

 その鬼眼の力でピサロが進化していのだ。そしてその力を使い更に変貌していく。

 

「くっ…黒の核晶ッ!?そ…そんなっ…そんなバカなっ!!あの…忌わしい伝説の超爆弾がっ…オ…オレの中にっ…」

 

(超……爆弾?)

 

 凄まじい力を感じ目を再構成して覗けば邪魔者(ハドラー)の身体から出ている黒い何か(核晶)から感じる事が出来る。

 更にバランがそれを膨大なオーラで抑え付けていた。

 

(アレだッ!!アレがあれば!!)

 

 ()を伸ばしそれに触れる。有象無象がいるがそんな事より、これを取り込みバランを殺せ程強くなる事が重要だ。

 

 

 

 

 

 

「あ、あれは……まさか……」

 

 バーンパレスではバーンが身を乗り出し映像を見ていた。

 大魔王であり魔界の神と呼ばれるバーンにとって玩具であった男の姿に聞き覚えがあった。

 

「…バーン様あれは……」

 

 キルバーンの一言にバーンは真剣な表情になる。

 映像では膨大な力を使い身体が膨れ、既に男だった姿は無い。

 オレンジの巨体。角が生え二本の剣を持つ化け物(モンスター)に変貌した。

 

「……過去、魔界を旅をしていた頃、手に入れた魔剣があの【ネクロス】だ。そしてそれは古代遺跡にあり、その遺跡に似たような魔物の王の姿が壁画として描かれていた……太古に存在した魔族の王【エスターク】」

 

「まさかッ!?」

 

「…もしや余の魔法力とネクロスが融合し、それが膨大な魔法力を得て進化したのだろう……」

 

 バーンは面白そうに映像を見る。その顔には余裕があり、太古の魔族の王ですら勝てる自信が満ち溢れていた。

 

「……怖い怖い……太古の魔王でもバーン様には勝てないか……」

 

 キルバーンは冷汗を流す。彼の本来の目的を考えるならそれ(冷や汗)は仕方なかった。




後数話で終わる予定。それまでよろしくお願いします。


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圧倒

諸事情により遅くなりました。
飲み会が多すぎる。


「な、なんだ…あれ…」

 

 ダイはピサロが黒の核晶を融合するのを見ているしかなかった。

 

「……」

 

 ギョロリとバランを見たピサロは徐に二本になったネクロスをバランへ振り下ろす。

 

「ッ!?」

 

 その剣圧にバランは驚きを隠せなかった。先ほどとは別物。

 黒の核晶が爆発せずピサロに取り込まれ完全な化け物になった。

 

(…しかしッ!!)

 

「フッ…!!」

 

「!!?」

 

 バランは剣を白刃取り、叩き折る。竜魔人の紋章閃を放ち顔面を吹き飛ばす。

 

「……人間のまま死んでいればよかったものを……」

 

 あっさりと片付けたバランは次の標的をミストバーンに意思を向けた。

 

「!?危ないッ!!」

 

「なにッ!?」

 

 ダイの一言にバランは攻撃を辛うじて避ける事が出来た。攻撃していたのは首を失い、死んだはずのピサロだ。

 身体が緑に変化し、腹の部分には顔が浮き出てくる。更に首があった部分からもう一つ頭が生えてくる。

 

「あ、ああぁ……」

 

 上部の頭には鬼眼を持ちと同じ両角が生えていた。

 その進化にダイから言葉が漏れる。

 

[バ、バカな……この気配は……]

 

 ミストバーンはこの中で一番バーンに近い。バーンの圧倒的な強さを知っている。そしてその気配も……バーンの魔法力を吸った黒の核晶を吸収したピサロはバーンの気配を持っていた。

 

《……バラン……死ね……【ビックバン】》

 

[「「ッッ!?」」]

 

 ピサロが腕を重ねるとまばゆい光と共に凄まじい爆発が起きる。極大爆裂呪文(イオナズン)と比べるのもおこがましい威力にバーンパレスはボロボロになり、竜闘気(ドラゴニックオーラ)で耐えたダイとバランは壁に叩き付けられる。

 

[…き、貴様ッ!?]

 

 ミストバーンにはダメージが無いようだが激情していた。

 

 

 

 

 

「よい……ミストバーンよ。戻って来い…」

 

 

 

 

 

[!?………]

 

 ミストバーンはピサロをキッと睨むと姿を消す。ミストバーンの心情ではこの姿を見たダイ達を消したかったが大魔王の命令は絶対だった。

 

 

 

 

 

「ググッ……だ、大丈夫かダイ?」

 

「う、うん……でも…」

 

 竜魔人になったバランでもあっさりと吹き飛ばされた技に二人は驚きを隠せない。

 

(な、なんと言う威力だ……アレを連発されれば勝てない…!!)

 

 敵が今まで戦った中でも最大源に強敵なのは瞬時に理解した。

 

「………!!」

 

 近くに刺さっていた真魔剛竜剣(武器)を装備し、竜魔人になってからバランは初めて構えた。

 

《【地獄の業火】》

 

 二つの頭から魔界のマグマが温く感じる程の高温のブレスが吐き出される。

 その高温は真魔剛竜剣を少し溶かしバランの肌を焼き尽くす勢いで襲いかかった。

 

「!?ハアアアアッーー!!」

 

 負傷したダイにこれ以上ダメージを与える事は危険だと判断したバランは竜闘気(ドラゴニックオーラ)を全開にして切り裂く。

 

「バ、バランッ!!」

 

 目の前で庇われ焦るダイ。地獄からの灼熱の炎が竜魔人の圧倒的な防御力を貫き、少しずつ皮膚が焼け爛れる。

 

「グッ……ググ……ガアアァッ!!!」

 

 地獄の業火の威力を上空に逸らし辛うじて耐え切ったバランは肩で息をする。その威力に身体中に火傷が出来るに。しかしその再生力で少しずつ回復はしている。

 

「だ、大丈夫?」

 

「ダ、ダイ…逃げろ…」

 

「えっ!?」

 

 ダイはバランの焦りように心底びっくりする。ダイにとって彼は特別だった。

 急に父親だと言い、仲間を傷つけ、死闘を繰り広げた。

 大魔王バーンとは戦った事は無いがダイの中ではバランが最強だ。

 そんな彼が逃げる事を選択した。その言葉が信じられなかった。

 

「二人で戦えば…!!」

 

「……お前に()を殺せるのか?」

 

「っ!?」

 

 あの見た目だが元は人間だ。ダイは人間を殺したことは無いだろう。バランとは違って……

 

「早く行けっ!!」

 

 再度攻撃を仕掛けるピサロを察知し、武器を構え突撃するバラン。

 

《【ジゴスパーク】》

 

 ピサロの腕を天に掲げると空間が割れ、地面から途方も無いエネルギーが噴出す。黒い雷と思えるエネルギーの塊が全てをなぎ払おうと暴走する。

 空間が割れる程のエネルギーがバーンパレスを破壊していく。

 

「ぐああああッ!!!?」

 

 今まで受けた事が無い程のダメージを受けるが後ろにいるダイにはダメージが無い。

 竜魔人のバランですらこのダメージだ。ダメージを受け竜魔人でも無いダイではひとたまりも無いだろう。

 

「う、うおおおぉッ!!」

 

 ダイが竜闘気(ドラゴニックオーラ)でバランの負担を軽減しようと力を注ぐ。辛うじて耐える事が出来たようだがバランの全身は爛れ、左目は熱で焼け白くなっていた。

 

「あ、ああぁ……」

 

 二人は余りのダメージに墜落し地面に叩き付けられる。

 比較的軽度なダイはバランに駆け寄るが一目見てわかる。大怪我だ。超回復もそれほど機能していない…もう戦える状態ではない。特に回復呪文が使えないダイではこれ以上対処のしようが無い。

 

 

 

 

 

「…………これは………」

 

 魔界を知るキルバーンですら驚愕した。あの竜魔人を圧倒する。ここまでの強者はキルバーンは一人しか知らなかった。

 

「ふふふ……」

 

 ミストバーンへ封印を施し、上機嫌で映像を見ていたバーンは思わず笑いが出ていた。

 

[…………]

 

 封印されいつもの様に無言を貫くミストバーンだが内心は複雑だった。

 バーンに泥を塗り、黒の核晶を取り込んだ男……その男がバーンに近い力を得た。その真実に思う事があったのだ。

 

「……さあ、どうする竜の騎士よ。このまま殺されるか?それとも……」

 

 バーンには切り札がある。今のままではピサロには勝てないだろう。それほどにピサロは強い。

 もしもピサロが生き残りバーンに牙を剥いた時にはバーンは本気を出さざる追えないだろう。




実はちょっと出来に納得がいってません。
もっと戦闘というかうまく描写したかったんですが今の自分ではこれが限界でした……いつか書き直したいですね。
後2話ぐらいですかね。次回もよろしくお願いします。


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結末

皆さん拙い作品ですがお気に入りありがとうございます。
自分ではただこのシーンをやりたかっただけです。


 

 

「は、早く逃げないか……」

 

「そんな!出来るわけないよ!!」

 

 ダイを声を上げる。バランと因縁があっても、ここで見捨てて逃げるという選択は無い。

 

「い、いいか…聞け……今の奴には勝てない……だが奴はもう長くない……」

 

「ッ!?」

 

 見ればピサロの足元が歪んで来ている。あそこまで無茶な進化をした結果、崩壊が近い。

 

「そ、それじゃあ二人で逃げ切れば……」

 

「無理だ……アレを見ろ……」

 

 ピサロは魔力を内部に溜め混んでいる。【マダンテ】黒の核晶の魔力を全て開放するし全てを吹き飛ばすつもりのようだ。

 多少再生して動けるようになったバランはゆっくりとディーノ(ダイ)に語る。

 

「…このままではアレを開放するだろう。そうなれば黒の核晶が爆発したより酷いことになるやもしれん……」

 

「えッ!?」

 

 マダンテは言わば【メガンテ】の魔力版だ。全生命力を破壊力に変化させるメガンテの対になるマダンテ。

 破壊に特化したマダンテは黒の核晶を威力だけなら上回る。

 

 バランは竜魔人化を解き、元の人間に戻る。

 

「…ディーノ……」

 

「ッッ!?」

 

 バランはダイを抱き寄せ抱擁する。ダイにとって意外で酷く驚いた。

 ダイにとって一度親友を殺し、復活させた男。最強の敵だった男。そして自分の父親。

 そんな複雑な関係のバランに抱擁され完全に慌てふためいた。

 

(ディーノ……)

 

「ッ!?」

 

 ダイの身体が光り輝く。ダイの胸にバランの想いが流れ込んでいく。

 

 

 

 

「ディーノというのはどうだろうか?」

 

「ディーノ…アルキード王国の言葉で【強き竜】……うん。凄くいいと思うわ」

 

 小さな赤子を抱く優しそうな女性と若いバランが幸せそうに暮らしていた。

 

「よし!お前の名前はディーノだ!」

 

「おぎゃおぎゃっ!!」

 

「あらあら…そんなにお父さんが怖かったのかしら。よしよし」

 

 ソアラは微笑む。すこしバツの悪そうな顔をするバランを見て

 

 

 

 

 唯一愛した女性ソアラ。その二人の愛の結晶であるディーノが生まれた瞬間の戸惑い。そして少しずつ大きくなる息子への愛情。

 愛する者を貶され、全てを失った悲しみ。その全てをダイは感じ、涙を流した。

 

(私の様になってはならない……正しい心を持つお前なら……我が息子なら新の竜の騎士になれるだろう……)

 

 バランはゆっくりと辛そうに立ち上がる。それを見たダイは駆け寄ろうとするが何故か力が入らない。

 

「待ってッ!!お、俺も……」

 

「……」

 

 バランは悲しそうに……躊躇しつつダイの頭を優しく撫でる。

 

「あっ…ぁ……」

 

 ダイは赤子の頃デルムリン島に流れ着き、モンスターである鬼面道士のブラス育てられた。

 ブラスは愛情を持ってダイを育て立派な少年に育て上げた。

 バランは生き別れた息子を想う。何故生き別れてしまったのだろうか?ソアラが生きていれば……

 

 愛情を知っていても()の愛情は今まで感じた事が無かったダイは今、真の(不器用な)親の愛情を感じた。

 

「……ディ……ダイ……強く……生きるんだ…」

 

「ぁ…そ、そんな…どうして!どうしてみんな!!」

 

 ダイは立ち上がれない。過去、師であるアバンが【メガンテ】によってハドラーと相打ちになった時。自分はどうして大切な人を守れないのだろう、そう思わずにいられない。

  バランが歩き出すのを必死で止めようとズボンのを握る。

 その手を艱難辛苦(かんなんしく)手を解き、頬に伝う涙を優しく指で拭い歩き出した。

 

(………)

 

 バーンパレスが揺れ動く。ピサロの力の波動ではなくバーンの魔力が浸透し、ジゴスパークにより外壁が壊れた事により空中を翔る準備が整ったのだ。

 

「ダーイッ!!」

 

 先ほどの爆発を耐え抜いたダイ(息子)の仲間達が向っている。その事に気がついたバランはふっと微笑む。

 

(仲間が来るか……ダイは一人ではない……もう…大丈夫だ……)

 

 バランは胸を張ってピサロに近づく。その事に気がついたピサロは両方の口からありったけの想い(憎悪)をあらわにする。

 

《死ねバランッ!!私達アルキードの…ロザリーヒルのみんな……家族の…ロザリーのッ!!その全ての仇…許さん…絶対に許さんッ!!》

 

 ゆっくりと近づいてくるピサロに恐れること無く進む。バランは今、過去を清算する。

 数千では聞かない民を皆殺しにしたツケを払う。死者だけならば嘗て魔王だったハドラーを超える。

 全てのモノは行動に責任を負う。バランほどの男が力を振るえば何が起きるかわかっていただろう。

 

「………」

 

 後悔はある。ダイ(息子)の成長を見たかった。ダイ(息子)の為にバーンを打ち倒したかった。

 息子はあの娘(レオナ)と結婚するのだろうか?彼女は(ソアラ)にどこと無く似ている。失った時、ダイ(息子)は私と同じ選択を取るだろうか?

 いや、ダイ(息子)には信頼する仲間がいる。彼らがいるなら安心だろう。

 

 ピサロが無抵抗に近づくバランを両腕で掴み爪を食い込ませ肩を粉砕する。

 

「グッ!!ッッッ!?」

  

 ダイを心配させまいとバランは歯を食いしばり耐える。ピサロはバランを食いちぎろうと大きな口を開く。

 

「あ……ぁ…や、やめて……やめてくれーッ!!」

 

 ダイが大きな声で悲願する。しかしピサロは止める事は決して無い。

 

(…泣くな……ダイ……強く……)

 

「強く生きるのだ……ダイッ!!」

 

グシャリと嫌な音を立てバランの身体はピサロの口に消える。

 

「父さああああんっ!!」

 




次でラストです。短い間でしたがお付き合い本当にありがとうございます。


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エピローグ

これにて完結です。次回は何を書こうかな……


「ここか……」

 

 大魔王バーンが勇者たちによって倒され地上に平和が訪れたある日、二人の男がある滅びた村に立ち寄った。銀髪の青年と金髪の魔族の青年だ。

 

「……」

 

 魔族の男は思う所があり表情が硬い。父親代わりの者を殺した男の故郷にいるのだ。それが殺された方に原因があったとしても納得が出来るわけが無い。

 

 銀髪の青年はまっすぐと村を進み、奥に綺麗な花畑を見つけそこに小さく穴を掘り、薄汚れた壊れたピアスを埋めた。旅をする前、友人に頼まれた事をやり終え青年は黙祷をする。

 

「………」

 

「……奴は……どんな男だったんだ?」

 

 黙祷をする青年に魔族の男が問う。それに青年はゆっくりと語りだす。

 

「奴とは殆ど会話が無かった。復讐に囚われ、全てを捨て、それだけしか出来なかった男だ」

 

「かつてのお前のようにか?」

 

「……そう…だな。まるで自分を見ているようだった。俺には仲間がいて、あいつにはいなかった……俺とあいつの違いはそれだけだ……」

 

 嘗て育ての親を殺され、復讐に身を落とした青年は一歩間違えれば同じ道を歩んでいただろう。仲間が彼を助け道を踏み外さなかった。死んだ彼も自分達ともっと前に出会っていれば変われたかも知れない。

 

 黙祷を終え立ち去る青年に着いていく魔族の男。その二人を風が通り過ぎ花畑の花が小さく揺れる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 青年は重い足取りで前へ進む。そこはうっすらと透けてて変化はあるが今は無き、故郷への帰り道だ。

 

 ズルズルと足を引き摺る様に青年は進む。両腕は無くなり、青年だとわかるのは極僅かだ。それでも歩みは止まらない。それはまるで誰かに運ばれているようだ。

 

(ぁ…ぁぁ…)

 

 村の前にはみんなが青年を待っていた。狩人のロジャーさん、カリア一家、青年の家族。そして恋人も……

 

(ロ……ザ…リー……)

 

 村が見えた頃には青年の身体は後僅かにまで擦り切れていた。そして村に着きみんなに再会した時は殆ど無い状態だ。青年は悲しそうなみんなの顔を見て自分は間違っていたのかと思う。しかし止まれなかった。許せなかった。どうしても……どうしても耐える事が出来なかった。

 

 青年は恋人が悲しい涙を流すのをただ見ることしか出来ない。彼が行った事にで彼女が悲しんでいる事は明白だ。それでも青年は彼女には笑顔でいて欲しかった。

 

(……)

 

 青年は彼女に近づき、自分を保っていたピアスを彼女に付ける。その行為を受け入れた彼女は青年を抱きしめ一層涙を流す。

 

(ロ…ザリー……ただ…いま……)

 

 彼女は腕の中で消えていく青年をただ抱きしめる事しか出来ない。村のみんなも見ることしか出来ない。彼は全てを犠牲にして復讐を遂げた。




これにて完結です。思いつきで書き終えた作品でしたが楽しんでいただけました?

個人的にマダンテを打ちたかっただけ。黒の核晶とマダンテどっちが強いんだろう?から始まった作品で書くうちに設定が生えて結局マダンテ打てなかった作品。

後半飛ばしすぎって人もいるけど流れは変わりません。ピサロとバランで相打ち。バーンのメラ火葬で流れが戻ります。ただ大魔王がダイを説得する会話の変化だったりミストバーンの素顔をダイが見てるけど特に流れに変わりはないです。

本当に短い間ですが少しでも楽しんでもらえたらこんなに幸せな事は無いです。
次回があればまたよろしくお願いします。


またね。


完結してからもお気に入り登録ありがとうございます!
もし要望があれば番外編等のネタはありますのでよろしくお願いします。


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外伝 どうして?

今功殻機動隊のSSを書いてるんですが…余りの進まなさに生き抜きで書きました。
胸糞だけしか残らない為回覧注意。

ふと、思ったことが気になる人なので今回のターゲットはヒュンケルです。


「は?」

 

 俺の一言で場が白ける。隣にいた隊長が青い顔をしているがそんな事はどうだっていい。

 

「姫様……もう一度お願いします」

 

 場の中心。俺の祖国【パプニカ】王家の唯一の生き残りであるレオナ姫にゆっくりと近づく。姫は俺の顔を見て申し訳なさそうに言う。

 

「……もう一度言います。ヒュンケルには残された人生のすべてをアバンの使途として生きることを命じます」

 

 姫様は幼いながら王家の気品を感じるほど堂々と言う。

 

「姫様冗談はよしてくれ」

 

 周囲には気の毒そうに俺を見る同僚、唖然とする勇者様達。そして苦しそうな顔をするクソ野郎がいる。

 

「ウォン……申し訳ないけど」

 

 申し訳ない?(・・・・・)姫様は何を言ってるんだ?はっきり言って不愉快だ。

 

「なぁ姫様。そいつは俺の家族の敵なんだよ」

 

 魔王軍が急に攻めてきて俺の家族は全員殺された。ここにいる奴らも家族は殆ど殺されてる。特に姫様も家族を殺されたのに。

 

「それを……」

 

「許すわ」

 

 何を言ってるんだ?許す?何故?

 

「……ウォン。魔王軍は世界中を攻撃してます。彼らはこれからも人々を襲い、命を奪います。私達は戦わなければなりません。その為には一人でも多くの正義の力が必要なのです」

 

 何を言ってるんだ?正義?

 

「姫様はこいつが正義だと?」

 

「ええ」

 

「……………」

 

 周りを見渡せば俺を気の毒そうに見る奴、呆れ顔の変なジジイ、困惑の勇者様達がいる。

 

「みんな本気か?」

 

 俺の目を見るのはレオナだけだ。それ以外の奴は下を見るか困惑してるだけ。

 

「本気でこいつを許すのか?」

 

 息苦しい。まるで水中にいるようだ。冷や汗も止まらない。

 

「……ウォンわかって欲しいの」

 

「わかれ?家族が無残に殺されてわかれと?」

 

 すまなさそうに言うレオナに殺意が沸く。

 

「……」

 

「「ヒュンケル!?」」

 

 クソ野郎が俺に近づく。こいつが存在してるだけで頭がおかしくなりそうだ。

 

「ウォン…すまない」

 

「……………?」

 

「俺は許されない事をした。それはレオナ姫が許しても消える事は無い。だからこそ俺は少しでも償いをしたい。どうか魔王軍を倒すまで俺が戦う事を許して欲しい……もし魔王軍を倒し平和になった時には貴方に裁かれよう」

 

「ヒュンケル!?」

 

 理解できない。

 

「待ってくれよ!ヒュンケルは確かに悪者だった!でも、今は違う!俺達を助けてくれたし、ヒュンケルが居なければレオナも助けられなかったんだ!だから許して上げてくれよ!」

 

「アバンの使途に目覚めたヒュンケルを許してあげて!」

 

 頭を下げてるクソ野郎にもクソ野郎を庇おうと近づく奴らも。

 

 胸が締め付けられるほど痛い。酸欠で視界がぼやける。

 

「……ふざけるな」

 

 なんなんだこいつら。どうして庇う?

 

「ふざけるなよクソガキ共」

 

 何故みんな驚く。

 

「正義に目覚めたから許せ?」

 

 家族を殺され。

 

「アバンの使途だから?」

 

 友人を殺され。

 

「魔王軍を倒したら裁かれる?」

 

 故郷を滅ぼされ。

 

「ふざけるなよ」

 

 すべてを奪われたのに?

 

「なんで」

 

 俺にはもう何も残ってないのに?

 

 

 

「なんでそいつが守られるんだ?」

 

 

 

「おい!いくらなんでも勇者様に失礼だぞッ!?」

 

「そうだ!」

 

 は? 

 

「黙ってろ。おいクソガキ。俺の家族はそいつの所為で死んだ。そいつが従えたがいこつ剣士に剣で刺し殺された。それでも許せと?」

 

「ッ!…………」

 

 だんまりか?おいおい早く答えろよ。

 

「ヒュンケルは悪人だった。そ、それでも!!今は!今は!仲間なんだっ!!だから許して上げてッ!?ッグッ!」

 

「ダイッ!?」

 

「ぶざっけんな!!仲間だぁッ!?そのクソ野郎がかッ!?」

 

 クソガキの顔面を殴りつけるが俺の怒りは収まらない。勇者の仲間だから、アバンの使途だから許してだと? 

 

「おい!いい加減にしろッ!!」

 

「離せッ!!クソがッ!?ふざけんなッ!?そのクソガキを助けたから許す!?アバンの使途だから!?馬鹿にするのもいい加減にしろッ!?」 

 

 男達に羽交い絞めにされ地面に叩きつけられる。

 

「返せっ!家族を!故郷を!全部返せぇっ!」

 

 男達に担がれて俺は連れて行かれる。

 

「殺させろっ!俺にそのクソ野郎を殺させろッ!!」

 

 クソ女や兵士の謝る目、クソガキの怯える目、呆れるジジイの目。 

 

「ぶっ殺してやる!!てぇめぇら全員ぶっ殺してやるッ!!」

 

 どうして許せる?大切な人達で代わりの居ない人達だった。俺達は幸せを奪われたのに…

 

 

 

 

 

 あれから俺は独房に入れられ、始めの数日は何人かは面会に来た。

 

「…………」

 

 その全員を殺そうとして俺は今、鎖に繋がれてた。

 

『お前の気持ちもわかる』

 

 気持ちがわかる?ならアイツがこの世に存在してるだけで気が狂いそうだろ?

 

『相手は勇者様だぞ』

 

 相手が勇者だから?なんでも許されるのか?

 

『ガキじゃないんだ』

 

 大人だったらなんだ?大切な人が殺されても許せるのか?

 

『諦めろよ』

 

 何を諦めるんだ?復讐をか?俺はただアイツが生きてる事が許せないだけだ。

 

 そんな事を言うクソ共を殺そうとした。意味がわからん。何故、大切な人が殺されたのに許さなければならない。なぜ殺したアイツが許されたんだ?

 

「おい。聞いたか?」

 

「何をだ?」

 

 今日は看守の奴らが騒がしい。鎖に繋がれてどれくらい経っただろうか?暴れすぎて傷付いた腕や足はもう使い物にならない。痛覚も無いので多分腐っている。前に手当てをしにきた奴に噛み付いてから放置されている。

 昨日から食事も無い。今では水をかけられるだけ。

 

「勇者様達が超竜軍団を倒したそうだ」

 

「本当か!超竜軍団と言えば【リンガイア】と【カール】を滅ぼした軍団なのに!」

 

「すごいよな~」

 

「そういえば勇者様達と言えばエイミ様はどうなるんだろうな…」

 

「え?」

 

「え?」

 

「お前もしかしてお前エイミ様がヒュンケル殿に惚れてるの知らなかったの?」

 

 ヒュンケルだと?

 

「マジかよ…ショックだ」

 

「ああ。許されたとはいえパプニカを一度滅ぼした男なんだがな…」

 

 どういう事だ?こいつらは何を言ってるんだ?あのクソ野郎がのうのうと生きてるだけで許せんのに?

 

「~~~~~~~ッッ!!!」

 

「ッ!?うっせぇぞッ!!」

 

 俺が騒ぐと看守は黙らせようとこんぼうで殴りつける。痛みで死にそうだが叫ぶことを我慢出来ない。

 

(ふざけるなッ!!どうして!どうしてッ!?)

 

 勇者の仲間だから、アバンの使途だから。俺の大切な人は食事も、寝ることも、会話すら出来ないのに……

 

(どうしてッ!?どうしてあのクソ野郎がッ!?)

 

 なぜ我慢出来る!魔王の軍勢が強いのはわかる。戦力が足りないのもわかる。だが…だが…

 

(何で許されるんだッ!?)

 

 どうして生きてる事を許されるんだッ!?俺の気持ちは…大切な者を殺された俺達の気持ちはどうなるッ!?

 

(なぁ!?何でお前らは許せるんだ?)

 

 俺は薄れ行く意識の中そう叫ぶ。最後に俺に残ったのは理不尽な事だけだ。




原作を読んで思いましたがヒュンケル、バランは好きですが『?』と思う事が多いですね。
あのヒュンケルが許されるシーンでのパプニカ兵の仕方ないって表情が印象強いです。
子供ながらに『え?許しちゃうの?』と思いました。
勇者達よりバーン様の方が理解出来るし共感出来ましたね。



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