ぬらりひょんの航海記 (ハッタリピエロ)
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第一章 大海賊時代
海賊王との対談


新たに始めます


インペルダウンLEVEL6

 

そこは大監獄の最深部に位置し、世界から存在を揉み消された程の凶悪犯が収容されている場所。

 

無間地獄と呼ばれ囚人には無限の退屈という苦痛の中を生きなければならないというものだった。

 

彼の海賊王、ゴールドロジャーも例外ではなかった。海軍に自首した彼は、そのままLEVEL6へと送られて無限の退屈に暇していた。

 

そんな日々がある日突然破られた。

 

・・・・

 

看守が時折見回りにくるが、それも2時間に一回来る程度のもの。

 

囚人たちはそれである程度の時間間隔を計算していた。

 

ロジャーもそうやって暇を潰していた。

 

だが彼はなにかに気づく。

 

看守が開けた扉から一人の少年らしき男が入ってきたのだ。

 

看守はすぐ隣にいるはずの少年に気づかなかったのを不思議に思うロジャー。

 

そして牢獄に彼は近づくがロジャーを除き誰も不審に思わなかった。

 

そして彼は牢獄の前で座ると

 

「こんにちは。ロジャーさん。話に来ました」

 

「おめえは誰だ?誰も気づいてないようだが……お前の能力か?」

 

「そうです。今日は貴方と話したくてここに来ました」

 

「バカかおまえ!それだけのためにこの大監獄に来るだと!はっはっはっ!面白え!」

 

ロジャーが馬鹿笑いするが遂に可笑しくなったのかと誰も特に気にすることはなかった

 

「で?何を聞きに来たんだ?冒険の話か?」

 

「まあそうですね。貴方は誰も知らないことを知ってそうですし」

 

「そうだな!だがラフテルへの行き方だけは教えねえぞ?」

 

「何を。自分で行くのが筋でしょう」

 

「言うじゃねえか!」

 

そしてロジャーは話した。

 

巨人の島での物語……小人族の存在……黄金郷シャンドラ……空に浮かぶ島……深海の魚人島……海を歩くゾウの大陸……などなど幻想と思えるような冒険記の連続に少年は目を輝かせた。

 

「まあここまでだな!」

 

「ありがとうございます!とっても面白かったです!俺、昔からそういう冒険に憧れてたんだ~!」

 

「気に入ってもらえたならなによりだ!」

 

「ロジャーさん話を教えてもらった代わりといっちゃあ何ですが……ここから出たいと思いませんか?」

 

「……成程。確かにお前の提案はいいものだが……断らせてもらう」

 

「……なぜですか?」

 

「俺ぁ……もう長くねえんだよ……」

 

ロジャーが悟った様に語る様から少年は察した。

 

「代わりといっちゃあなんだが小僧。一つ頼まれてくれねえか?」

 

「……出来る範囲でなら」

 

「シャボンディにいるレイリーに伝言を伝えてくれねえか?」

 

「いいですけど……何をですか?」

 

「……今までありがとう」

 

「……わかりました。必ず伝えます」

 

「絶対だからな!小僧!」

 

「ええ」

 

そして作業員に乗じてエレベーターに乗り込もうとする彼に

 

「おい小僧!名前は!」

 

「……シルバー・D・リク」

 

「リクか!確かに覚えたぞ!」

 

そして海賊王ゴールドロジャーは数週間後、ローグタウンで処刑される直前、大海賊時代を作り上げた。

 

これは大海賊時代をぬらりくらりと自由に生きる男の物語である。

 

 




シルバー・D・リク

ロジャーとの対談時11歳




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修行と旅立ち

シャボンディ諸島の無法地帯にあるシャッキーボッタクリBAR。

 

レイリーはシャクヤクに貰った酒を飲んでいた。

 

「レイさん。どう?」

 

「ああ……いい酒だ」

 

特に言葉を発することなくグビグビと酒を飲むレイリー。

 

そして新聞をみて黄昏る。

 

「ロジャー……おまえは満足だったのか?」

 

新聞を机に置くと再び酒を飲む。

 

「レイさん。ロジャーも満足だったんじゃない?」

 

二人はお互い、特に語ることもなくその静寂の中にいた。

 

とシャクヤクはあることに気づく。

 

「……レイさん?机に置いてあったチョコ食べた……?」

 

「いや?食ってないぞ」

 

「でも私も食べてないわよ?」

 

「じゃあ誰が?ここには私たち以外いないんだぞ?」

 

「一体……」

 

二人が謎に包まれていると

 

誰もいないはずの机からポロポロとチョコの食べかすが落ちているのを目撃し、目を見開いた。

 

そしていきなり白髪で赤目の少年が現れたのに理解が追いつけなかった。

 

「あらら……見つかっちゃった」

 

そしてあどけた笑いを見せる少年、シルバー・D・リクはポリポリとチョコを頬張っていた。

 

 

 

・・・・

 

「「わっはっはっは!」」

 

あの後レイリーとリクの二人は見事に意気投合して、レイリーとお酒ではないが飲みあっている。

 

シャクヤクも楽しそうなレイリーを見て笑みがこぼれるが

 

「それにしても君……私の店でつまみ食いするなんて……いい根性してるじゃないの……」

 

「がっはっはっは!確かにシャッキーからつまみ食いを成功させたのは君が初めてだな!」

 

「いや~それほどでも~」

 

本気で照れているリクに対してさらに豪快に笑うレイリー。

 

「それにしてもロジャーに会うためだけにインペルダウンに忍び込んで、シャッキーの店でつまみ食いするとは……ロジャーが気に入るわけだ」

 

「あの~?俺がウソをついているって思わないんですか?」

 

「君の心を覗かせてもらったが君がウソをついていることはないとわかったよ」

 

「そうですか……あとロジャーさんから伝言です」

 

「なにかね……?」

 

「……ありがとう」

 

「ふっ……ロジャー……おまえの人生は悔いがなかったんだな」

 

「レイリーさん……」

 

そんな二人を見てシャクヤクは

 

(あんなに笑ったレイさん……久しぶりだな……)

 

「しかし……君はこれからどうしたいんだ?海賊になりたいのか?それとも違うのか?」

 

「それは……まだわかりません。でも……」

 

「でも?」

 

「俺は……今はまだいないけど……いつか最高の仲間をつくって……一緒に冒険したい……そのために……誰にも負けない強さが欲しい……」

 

「……」

 

「強くなくたっていい……一緒にいたい仲間のためにも……俺は……逃げたくない……一つわかることは……今よりも強くなりたいです!」

 

「そうか……ならリクくん。一つ提案があるのだが……」

 

「?」

 

「私の元で修行しないか?」

 

「え!?いいんですか!?」

 

「ロジャーが認めた君だ。それに……ロジャーの頼みを聞いてくれた礼もせんとな」

 

「本当ですか……!やったー!」

 

「その代わり私は甘くないぞ?」

 

「望むところです……!」

 

「はっはっは!なら善は急げってことだ!早速行くぞ!」

 

「はい!」

 

そういって出ていく二人を見送ったシャクヤクは

 

「リクくんか……気に入っちゃったな……」

 

そして……

 

「もう二年か……」

 

ルスカイナ島での修行を終えたリクはシャボンディ諸島へ向かうと

 

「おお!久しぶりだなリク」

 

「久しぶりね」

 

「お久しぶりです。レイリーさん。シャッキーさん」

 

レイリーは初めの一年は一緒に修行していたが独自性を持たせるために途中からは一人で修行させたのだ。

 

元々持っていた見聞色と覇王色の覇気は更に磨きを増して、武装色も新世界で上位に食い込めるほどにまで腕を増していた。

 

そしてレイリーに教えてもらった六式も完璧というほどまでになっていた。

 

軽く挨拶を交わすと

 

「もう行くのか?」

 

「はい。お世話になりました」

 

小舟に乗り込んだリクは一人で準備を済ませていた。

 

「そうか……リクくん。これを」

 

そういって刀を鞘ごと渡す。

 

「これは……?」

 

「それは最上大業物の一つ、祢々切丸だ。持ち主の流桜を高めて能力者に対して絶大な力を発揮する刀だ」

 

「そんなものを……どうして……?」

 

「私からの餞別だ。遠慮なく受け取ってくれ」

 

「っ!はい!」

 

そして出ようとするリクに対して最後にレイリーは

 

「リクくん。今の君なら……どんな困難や壁だって乗り越えられるはずだ」

 

「はい!」

 

「じゃあな!頂点まで行ってこい!」

 

「レイリーさん……!」

 

「いつかツケ代払いなさいよ!」

 

「シャッキーさん……!」

 

二人に見送られながら大海原に旅立つリク

 

そしてシルバー・D・リクの伝説が、今始まる!

 




修行シーンはカットさせていただきました!すみません……


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武器ハンターニードル

リクがシャボンディ諸島を出て一週間、ログポースもなく気ままに旅を続けているが、かれこれ遭難していないのはリクの航海技術の高さだろうか。

 

カームベルトにさしかかるも能力(・・)でボートと自分の認識を隠す。

 

そして時折釣りをして海王類を海からおびき寄せて、倒して食糧にする。

 

そんな繰り返しをしながら二週間、新世界を経てカームベルトを抜けた。

 

西の海(ウェストブルー)の海は穏やかだったが船員はリクしかいないので気が抜けなかった。

 

しかし疲れが溜まっていたのか甲板で仮眠を取るリク

 

スヤスヤと眠っていたが何者かの気配を感じて跳び起きた。

 

「おっ!起きたようだな!俺はニードル!賞金稼ぎでもあり武器ハンターさ!おまえのその腰の刀!頂かせてもらうぜ!」

 

そう言って高らかに宣言する男ニードルに対してリクは

 

「……じゃあおまえが俺に勝てたらこの最上大業物、祢々切丸をやるよ」

 

寝起きなのか少々不機嫌ながらもちゃんと対応するリク。一方ニードルは

 

「最上大業物か……!いいねいいね!燃えてきたぜ!それを手にすれば益々俺の名が挙がるってわけだ!」

 

「ただし俺が勝ったら言うことを一つ聞いてもらう」

 

「いいぜ!そうこなくっちゃつまらねえからな!乗ったぜ!」

 

意外と真っ直ぐな性格なんだとリクは思った。

 

そして立ち上がって欠伸をするリクとは対照的にニードルは元気よく

 

「さあ!おまえも刀を抜いた!抜いた!」

 

と言いつつも刀がないニードル。それを思ったのかリクも

 

「おまえは……?」

 

「俺はな……こうさ!」

 

そして何もない空間から刀が突然現れた。

 

それを見たリクは

 

「能力者か?」

 

「そうだ!俺はポケポケの実の収納人間!俺は空間ごとあらゆるものを自分の時空間に収納させることができる!そして瞬時に取り出すこともできる!」

 

自分の手の内をペラペラと明かすニードルにリクはよっぽどの自信家かそれともなにも考えていない奴だと認識した。

 

「ふあ~あ……さて、やるか」

 

「準備はいいようだな……じゃあ行くぜ!」

 

とニードルは凄まじい速さでリクに迫ろうとするがその前にニードルはリクを認識することができなくなってしまった。

 

それを感じたニードルは

 

「おまえも能力者か……大方姿を消す能力らしいが……俺は覇気も習得してるんだぜ!おまえは……そこだ!」

 

と覇気で感じた方へ刀を振るうがニードルが視えたリクは振り抜いた刀をすり抜けた。

 

「なっ!?」

 

そして首筋に感じる感覚を前に敗けを悟った。

 

そして思った。なぜリクの刀はなにもないところに突き出しているはずなのに感じるのか。

 

と少し横にいたリクの姿が消えてすぐ横にリクが現れた。

 

「なっ!?どういうことだ!?」

 

「鏡花水月。認識をずらす技さ。例え見聞色でも俺の纏った覇気を越えなければ正しい認識を読み取ることはできない」

 

「そんな技が……くくっ……はっはっはっ!負けだよ!俺の負けだ!いやー!世界は広いなー!」

 

「じゃあ言うことを一つ聞いてもらおうか」

 

「いいぜ。なんだ」

 

「俺の仲間になってくれないか?」

 

「おまえの仲間にか?一つ聞くがお前って海賊か?」

 

「う~ん……まあ今は小さな冒険家かな」

 

「成程……まあ負けたのは俺だ!いいぜ今日から俺はおまえの部下だ!頼むぜ?船長」

 

「これからよろしくな?ニードル」

 

こうしてリクに初めての仲間ができた。

 

 



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二人目の仲間

初めての仲間として船に乗船したニードル。

 

リクは改めて剣を交えてみたがニードルの腕はグランドライン、いや新世界でも通用するほど高かった。

 

覇気も武装色と見聞色を習得していた。

 

一人で賞金稼ぎをしていたことから航海術や料理と船大工の腕もあるらしい。

 

リクもある程度の技術はあったがニードルは航海術を除けばリクよりも上だった。

 

そしてリクより特に優れていたのが

 

「オハラ?」

 

「ああ、政府の船がバスターコールをかけるって話らしいぜ。さっき盗聴に成功した」

 

そう。情報収集能力である。

 

リクは能力の性質上、潜伏には得意だが盗聴や暗号解読などはニードルのほうが数段も上だった。

 

「オハラって確か学者たちが集まって研究をしているって島だよな……師匠も世界の秘密を知ろうとしている人たちって」

 

「師匠?」

 

「ああ、俺に剣術など教えてくれた人。で?そのオハラを潰そうってこと?政府は」

 

「まあそんなとこだな。それでどうする?」

 

「……政府の性質上まず生かしてはおかないだろう……島の全員を殺すつもりだと思う……」

 

「確かにな……俺も政府はそうすると思う。奴らは古代兵器の復活よりも空白の百年を知られることを恐れているって話だぜ」

 

「俺たちには関係ないが……でも俺は見過ごせない!」

 

「……」

 

「力を貸してくれないか?ニードル」

 

「何を今更。付き合うぜ?船長」

 

「よし!じゃあニードル、おまえが掴んだ情報を教えてくれないか?」

 

そして盗聴した内容を全て事細かに伝えるニードル。

 

「じゃあそのポーネグリフって石が見つかると不味いんだよな?」

 

「ああ、政府は100%あるって確信してるぜ」

 

「よし……じゃあこういうのはどうだ?」

 

「成程……悪くないな……」

 

こうして作戦を決行する二人

 

・・・・

 

一週間後

 

ーオハラ

 

政府は全知の樹で捜索を開始していた。中の本を散らかながらも、血眼になって隠し扉を発見しようとしていた。

 

女性、オルビアはCPによって重傷の傷を負わされながらも娘、ロビンとの再会に心から嬉しく思った。

 

とその時爆発音が全知の樹から鳴り響くのを聞いた学者たちは顔が青ざめた。

 

そしてプルプルとなる音にCP9長官スパンダインは嬉しそうにデンデンムシの受話器を取る。

 

「スパンダイン長官!」

 

「おう!どうだ!ポーネグリフは見つかったか!?そうだよな!?」

 

「いえそれが!地下室がありましたが……中には!」

 

「おうおう。中には?」

 

「中には……何もありませんでした!」

 

「……はあ?」

 

と間の抜けた声の後に

 

「はあああああああああっ!!?どういうことだおらあ!ポーネグリフはあったんじゃねえのかよ!!」

 

「いえ……それが中には何もなく……ポーネグリフも見つかりませんでした……」

 

「そんな訳ねえ!別の隠し扉があるはずだ!もっとちゃんと探せ!」

 

「いえ!怪しいところは全て探しました!もうこれ以上は……」

 

スパンダインや海軍たちは気づいてなかったが学者たちもその報告に顔には出さないものの驚いていた。

 

「どういうことだテメェら!隠しやがったな!」

 

「……そんなわけないじゃろ。ワシらはソナタらにずっと見張られておったではないか」

 

「ぐぬう……!」

 

オハラの考古学者、クローバー博士の言葉になにも言い返せないスパンダイン。

 

「どうしますか長官!」

 

「うぬぬぬぬぬ……!撤収だ!撤収しろ!」

 

スパンダインは納得しないものの何も出てこないんじゃどうしようもなく海軍やCPたちを引き上げさせた。元々島にいた学者たちは連行されなかったがオルビアは再び捕まった。

 

そしてその場に取り残された博士は

 

「どういうことじゃ……」

 

と誰もが思ったことを一人呟いた

 

・・・・

 

海軍が撤収したのを見た後、学者たちは散らかされた本たちを片付けていたが地下室も調べていた。

 

そこには確かに何もなかった。勿論ポーネグリフもだ。

 

そして図書館に集まった学者たちは議論を始めた

 

「なんでポーネグリフがないんだ!」

 

「どういうことなの……」

 

「誰かに盗まれたとかは?」

 

「いや。その可能は低い。あの時誰も隙がなかった」

 

「なんにしても助かったわけじゃね?」

 

「それは確かに……」

 

「しかしどこにいったんだろ……?」

 

答えのでようのない議論を続けること30分

 

クローバー博士が

 

「これ以上話しても仕方あるまい。それより今は皆無事であったことに感謝せねば」

 

その言葉に学者たちは

 

「確かにな」

 

「本当だな」

 

「でも誰の仕業だろ?」

 

と落ち着き始めた時、図書館の扉をコンコンとノックする音が聞こえた。

 

「誰じゃ?こんな時間に……」

 

クローバー博士は怪しみながらもドアを開けると

 

そこには誰もいなかった。

 

「イタズラか……?」

 

そして再びドアを閉めてロビンの元へ向かうと

 

「ロビン……」

 

「博士……」

 

「……今まで黙っていて悪かったのう……でも、お前を巻き込みたくなかったんじゃ。今日海軍に連行されたのも」

 

「お母さん……ですよね?」

 

とロビンの言葉に博士は静かに頷いた。

 

「ワシらの研究には危険が付きまとう……おまえのお母さん、オルビアも罪人として捕まってしまった」

 

「罪人かなんて関係ないよ……お母さんに……!もう一度会いたいよ……!」

 

そう言って涙を流すロビン。学者たちも会わせたいと思っていたが自分たちではオルビアにたどり着けないとわかっていた。

 

そんな時

 

「なら俺が連れてってやろうか?」

 

「誰じゃ!」

 

図書館内に突然聞こえた声に警戒する博士

 

と急に二人の少年が現れた。

 

まるで最初からそこにいたかのように

 

「やあやあ。初めまして。話は聞かせてもらったよ」

 

「……何者じゃ?」

 

「俺はシルバー・D・リク。んでこっちが」

 

「ニードルだ。よろしく」

 

突然気配を感じた得体の知れない少年たちに博士は

 

「一体何の用じゃ?」

 

と目的を聞こうとする。

 

「返しものをしにきたのさ。ニードル」

 

そう言ったリクに反応してニードルは指を鳴らすと

 

巨大な石が何もない空間から現れた。

 

それを学者たちは知っていた

 

『ポーネグリフ!?』

 

皆が驚きを隠せない中で博士は

 

「まさか昼間の件は……」

 

「そう俺たちがやったのさ」

 

そう。リクたちは海軍が調査に入る前に地下室に侵入して、ニードルの能力で収納して盗んだのだ。

 

「感謝の言葉しか出ん……じゃがなぜワシらを助けたのじゃ?」

 

「まあ、海軍の反吐が出る行いを見逃せなかったのさ」

 

「そうか……」

 

そして学者たちはポーネグリフを地下室へと運ぶ中でリクが

 

「それで?ロビン。俺たちとくるか?」

 

「え……?」

 

「俺たちと旅をしてお母さんを救けないか?って話だよ」

 

「私は……」

 

「まあ無理強いはしない。来るも来ないもお前の自由だ」

 

「行く!連れてって!」

 

「即答かよ。まあいいけどさ。博士もいいですよね?」

 

「おまえさんなら……わかった。頼みましたぞ」

 

「任せてください」

 

そして隠しておいた船に乗り込む俺たちとロビン。

 

「じゃあ皆!行ってくるね!」

 

「気をつけろよ!」

 

「ロビンちゃんは任せた!」

 

こうしてリクは新たな仲間、ニコロビンとともに母親を探す旅に出た

 

 



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魚人島、そして白ひげ

リクはロビンを仲間にしてから目的のためにグランドラインに戻る決意をした。

 

ニードルの収集した情報によるとオルビアはグランドラインの海軍本部かインペルダウン、または他の大きな支部に連れていかれたということだからだ。

 

正確な居場所が特定できなかったのは前に、海軍中将サウロによるオルビア脱走があり、正確な情報が極一部の権力者にしか知らされなかったからだ。

 

ウェストブルーからグランドライン前半に戻るにはまず新世界を経て魚人島を経由しなければならない。

 

シャボンのコーティングはレイリーから習っていたのでなんら苦はなかった。

 

そして海底の海流に流されないように舵をとるリク。一方ニードルはロビンに覇気を教えていた。

 

ロビンの能力は視界にすら入ってしまえば遠距離による確実な攻撃が可能となり多数の相手にでも有利を取れるため、武装色の覇気を覚えれば、格上でなければ相手を仕留められるうえに、見聞色を覚えれば、視界に入っていない敵でも正確な場所を把握して捕まえることができる。

 

そしてリクたちはクローバー博士からロビンの事情を聞いていたので、ロビンと積極的に接するようにした。

 

そのおかげかロビンとの仲は縮まってよく遊ぶようになった。

 

しかもリクによく懐いているのだ。

 

リクも悪い気はしなかったのでそのままにしておいた。

 

だが

 

「お兄ちゃーん!」

 

「ぐはっ!」

 

ここ最近ロビンが積極的だとリクは思った。

 

最初は兄妹感覚だと思っていたが先日は頬にキスまでされたのでわかってしまった。

 

リクは鈍感ではない。ロビンが自分に恋愛感情を持っていると気づいた。

 

ロビンは嫌いではない。将来はきっと美人になるだろう。

 

だが自分より小さいロビンに邪な考えを持たないようにはしたかったが、最近のロビンのわざとらしいハニートラップに動揺を隠せずにはいられなかった。

 

そんなことを思い出して溜息をついたリクに

 

「おい!島が見えたぞ!」

 

ニードルの一言で現実に戻されるリク。

 

そして港に寄港して船から降りるとリクは気づいた。

 

街の人間の感情が負に寄っていると

 

「なにかあったのか?」

 

ニードルがそんなことを呟いた。

 

彼も気づいたらしい。

 

船の見張りにニードルを残してロビンと二人で街を散策する。

 

「みんな元気がないね……」

 

ロビンの言う通り皆の顔には活気がなくどこか絶望しているようだった。

 

と港にある別の船にいた奴らが何かを話していたので声をかけてみると

 

「あ?なんだ?」

 

「おい。なんでここの皆元気がないんだ?」

 

「そりゃあ最近、人魚や魚人の人身売買が盛んだからな。人攫いの手によって多くの人魚たちが奴隷にされる。おかげで皆恐怖してるんだとさ。全く胸クソ悪い話だよ。俺たち海賊よりたちが悪いぜ」

 

「成程……それでか」

 

「おまえらもあんま関わんなよ。目つけられたらただじゃ済まねえからな」

 

「ありがとよ」

 

礼を言って海賊たちと別れるリクとロビン。

 

リクは奴隷の話を聞いて苛立っていた。

 

自由を奪うという人の道を外れた行為に彼が我慢できるはずがなかった。

 

「お兄ちゃん……」

 

「……大丈夫だよ」

 

とその時歓楽街から悲鳴があがった。

 

それを聞いたリクは

 

「……ロビン。存在を消すからおまえは早く船に戻るんだ。必ず帰ってくるから」

 

「……わかった」

 

そういって現場に向かうリク

 

だがそこでリクが見たのは

 

「ウソだろ!?なんでアイツが魚人たちの味方を!?」

 

「助けてくれえええ!もう魚人も人魚も攫わねえから!!」

 

人攫いたちが必死に命乞いをしている光景だった。

 

そこにいたのはロジャーやレイリーに聞かされた伝説の海賊

 

「白ひげ……」

 

彼の大海賊白ひげが人攫いたちから魚人や人魚達を守っていたのだ。

 

リクは知らないが白ひげは若き日の魚人島の王ネプチューンと友情の酒を酌み交わしたのだ。

 

そして人攫いたちは白ひげの逆鱗に触れてしまったのだ。

 

一方白ひげたちは

 

人攫いたちを次々と倒していったが、何名か取り逃がした奴らを機動力の高いマルコに追わせようとした時

 

突如逃げ出そうとした人攫いたちが血を噴き出して倒れたのだ。

 

胸には斬られた傷があった。

 

これに白ひげは

 

「誰だ……?」

 

「相当な速さの持ち主だよい」

 

「いや……覇気でも捉えられねえ……というより認識できねえ……いったい誰だ?」

 

次々と何者かによって倒されていく人攫いたち。

 

そして人攫いたちが残りわずかになりそうな時に白ひげが覇気で威圧すると

 

幻が晴れたように少年……リクが現れた。

 

「あらら……見つかっちゃった」

 

 

 

 




白ひげが魚人島を縄張りにしたのは二十年以上前だというので二十二年前にしました!


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リクVS白ひげ

認識阻害を覇気で破られたリクはすぐさま体勢を整える。

 

リクも白ひげと戦う気はないのだが念には念を入れてのことだ。

 

と白ひげが

 

「おめえか。こいつらをやったのは」

 

「ああ」

 

とリクが答えると

 

ブウン!

 

と白ひげが一気にリクに接近して薙刀をふるうがリクは覇気を纏った祢々切丸で受け止めた。

 

「ほう……」

 

「危っぶねえだろ!ジジイ!」

 

リクはあまりにも咄嗟すぎることに思わず口調が荒れてしまった。

 

その様子を見ていたマルコたちは

 

「親父の攻撃を受け止めた!?」

 

「ただのガキじゃねえってことかヨイ」

 

「しかも親父をジジイ呼ばわりとは……まあ今のは親父の悪い癖だけどよ……」

 

白ひげも攻撃を止めたリクに興味を示していた。

 

彼も当たる直前で止めようとしたのだがまさか10歳ぐらいの子供に受け止められるとは思ってもいなかったらしい

 

「グラララララ!やるじゃねえか!おい小僧!俺と勝負してくれねえか!?」

 

「いきなり仕掛けておいて何言ってんだか……まあ逃げるのは嫌だし……受けてやるよ」

 

「そうこなくっちゃな!」

 

次の瞬間白ひげが再び薙刀を振るおうとするがそのまえにリクは明鏡止水で認識を消した。

 

「また消えたぞ!」

 

「いや、消えたというより感じられなくなってるな」

 

「確かに……感じられねえ……だが!」

 

そして白ひげは後ろに薙刀を突くとガキィン!といった音が鳴り響きリクが吹き飛ばされるのが見えた。

 

「わかりやすいんだよ。小僧」

 

リクは倒れるもすぐに立ち上がって白ひげを睨む。

 

「やっぱり一筋縄じゃ行かねえか……なら!」

 

そして今度は認識を隠さずにそのまま神速の速さで突っ込んだ。

 

だが白ひげも薙刀を横薙ぎに振るうがリクは当たる直前で薙刀に飛び乗って、そのままジャンプして更に高い位置から祢々切丸を横に振り抜いた。

 

その一閃は白ひげを斬ると思われたが白髭は左腕を武装色で防いだ。

 

しかし祢々切丸は能力者に対して絶大な効果を発揮する刀。徐々に白ひげの腕に食い込んでいった。

 

 

それをみた白ひげは薙刀を地面に突き刺して右腕に能力を発動させるとリクに向かって右腕を振るった。

 

「ヌゥン!」

 

危険を感じたリクは咄嗟に後ろに下がって攻撃を回避した。と先ほどまで自分がいた場所に物凄い衝撃が走ったのを見て息を飲んだ。

 

白ひげは若くして自分と対等に渡り合える目の前の少年に心を躍らせていた。

 

マルコたちも

 

「親父に能力を使わせるなんて……」

 

「底知れねえ奴だ」

 

「剣術も相当なものだぞ」

 

白ひげはこれ以上ないほどに笑って

 

「グラララララ!面白れえ!おいおまえ!名前は!」

 

「……リク。シルバー・D・リク」

 

「リクか……おいリク!そろそろ決着をつけようぜ」

 

「……いいだろう」

 

 

そしてリクは刀を鞘に収めて抜刀の状態になると

 

「ふっ!」

 

剃で駆け抜けて白ひげの間近まで接近する。

 

白髭も真上から薙刀を振り下ろす。

 

そしてリクが反応できないと思われたとき薙刀はまるで幻を斬るようにリクをすり抜けた。

 

「なっ!?」

 

「鏡花水月・斬!」

 

そしてすり抜けたリクが抜刀すると何もないとこ目掛けて振り抜いた刀に反応するように白ひげの右腕が鮮血を巻き散らしながら切り傷を作っていった。

 

それにいち早く気づいた白ひげはなにもない虚無を掴むと抜刀されたリクの刀が止まると同時に切り傷の進行が止まった。

 

そして能力を纏った左腕で予想した場所に拳を振るうとリクが吹き飛ばされ、ずらされた認識が元に戻った。

 

「はぁ……はぁ……認識をずらす技か。最後の最後で使ってくるとはな……どうすんだ小僧。まだやんのか?」

 

リクは立ち上がったが白ひげと同じく疲労困憊の状態だった。

 

そして……

 

「いや……まいった。俺の負けだ」

 

そして大の字に寝転がるリク

 

とそこに

 

「リク!」

 

「お兄ちゃん!」

 

ニードルとロビンがやってきた。

 

「まさか……白ひげ!?くっ!」

 

ニードルはまだ自分たちが敵う相手じゃないと舌打ちしたがリクを救けようと構えた。

 

「おいおい……俺は別にこの小僧と決闘してただけなんだがな……」

 

「そうだ……ニードル。大丈夫だ」

 

「大丈夫じゃねえだろ!おまえも勝手に挑発に乗るんじゃねえよ!」

 

「ははは……ごめんな」

 

「随分仲がいいじゃねえか。小僧」

 

白ひげが差し出した手を掴んで立ち上がるリク

 

ここに白ひげ対リクの対決が終了した。

 

・・・・

 

「「「わっはっはっは!」」」

 

あの後白ひげは魚人島を自分のナワバリにすると宣言した。

 

これにより魚人島での人魚誘拐率が激減したそうだった。

 

んで現在、リクは白ひげたちたちの宴に参加している。

 

「小僧!親父と張り合うとはやるじゃねえか!どうだ!親父の息子ならねえか!?」

 

黒ひげの男、ティーチがリクにそう話しかけるが

 

「う~ん……いい話だけど……さっき言った通り俺たちロビンの母ちゃんを探さなきゃならないわけだわ」

 

「いいじゃねえか!なれよ!」

 

「やめろティーチ。でも俺としてもおまえは気に入った!」

 

そう言って豪快に酒を飲む白ひげ。

 

「ところでよ?おまえの悪魔の能力ってなんなんだ?」

 

ティーチが再び話しかける。

 

「あ、それは俺も気になったヨイ」

 

「俺もだ」

 

マルコとジョズも頷く。

 

リクはう~んと考えながらも話すことにした。

 

「俺の能力は”ヒトヒトの実 モデル ぬらりひょん”。相手から自分や他者の認識を消したり、ずらすことができる」

 

「成程……だから突然消えたように感じることができなかったのか……」

 

五番隊隊長ビスタが納得する。

 

そして一晩中騒いだ後、出航しようとしたリク達を見て

 

「もう行っちまうのか」

 

「はい。ロビンとオルビアさんを早く合わせてあげたいんです」

 

「そうか……おい小僧!また飲みあおうぜ!」

 

「その時は極上の酒を用意してくださいよ?」

 

「言うじゃねえか!」

 

そして魚人島を出航しようとした時

 

魚人や人魚達がリクの元に来て

 

「ありがとうな!」

 

「気を付けて!」

 

「また来てくれよ!」

 

と感謝の言葉に見送られながらリクはグランドラインに戻った

 

 

 

 

 

 

 



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自分の正義

グランドライン前半に戻ったリク達は見つけた海軍支部をしらみつぶしに散策しているがオルビアは見つからない。

 

そして消耗品補給のために近くの島に停泊しようと決めたがリク達は一つ問題視していることがあった。そこは人身売買が盛んな島であった。

 

なぜならグランドライン前半より遥かに難易度が増す、新世界から逃げ帰った者たちを捕らえ、天竜人に渡そうという悪しき風習が根付いてしまっているのだ。

 

ロビンとニードルを一緒に船に残して一人で買い物をするはずだったが

 

ロビンがリクから一向に離れようとしなかったのだ。

 

そして上目遣いで

 

「嫌……なの?」

 

とお願いされてしまい

 

仕方なく連れていくことにした。

 

ロビンを連れているのでヒューマンショップからは離れて行動しようと思っていた時

 

ヒューマンショップの方から歌が聞こえてきたのを不思議に思って興味が湧いたのか気配を消して近づいて行った。

 

そこには檻にいれられた見惚れるような容姿の金髪の女性と先ほどの歌を歌っていたであろうスーツ姿の男がいた。

 

「相変わらずいい歌ね?テゾーロ」

 

「そう言ってくれるのはステラだけだよ」

 

照れくさそうに笑みを浮かべるテゾーロ

 

端から見ても二人が相思相愛だというのがわかる

 

「それよりさ!もう少しで君を自由にしてやれるんだ!」

 

「大丈夫なの?貴方無理してるって聞いたけど……」

 

「平気さ!君を自由にできるんだから!」

 

その様子を見ていたリクは思った。

 

自分なら簡単にあの女性、ステラを自由にできると。だが彼女はテゾーロに助けられることを望んでいる。ならば自分が出るのは水を差す行為だとこの場から離れることにした。

 

・・・・

 

必要なものを買ったリクはさっさとこの島から出ることにした。

 

がさっきのヒューマンショップから騒ぎが聞こえてきたので気配を再び消して向かった。

 

そこで見たのは

 

「やめろ!ステラを離せ!」

 

テゾーロがSPに押さえつけられてステラが天竜人に引っ張られている光景だった。

 

恐らく自由にできそうだったところに天竜人が来たのだろう。

 

そしてさっきまでの光景を見ていたリクにとっては眼前の天竜人がなによりも敵に見えた。

 

戸惑うこともなく一瞬で天竜人の首を撥ね飛ばした。

 

それを見ていたテゾーロとSPは目を見開く。幸いなことにステラはその惨劇を見ることがなかった。

 

と次の瞬間にSPをリクは蹴り飛ばした。

 

他のSPたちはなにが起こったのかと戸惑っていた時、

 

SPたちの身体から多くの腕が手が生えてきて関節を決めた。

 

そして全員が気絶したのを見たリクは気配遮断を解除した。

 

テゾーロとステラは目の前にいきなり現れた二人に驚きを隠せなかった。

 

「お、おまえは……」

 

「早く来い。逃がしてやる」

 

「え……?」

 

「どうした?来ないのか?」

 

「いや!連れてってくれ!」

 

そして二人にも気配遮断をかけて船に向かう。

 

「マズい!海軍だ!」

 

「いやこのままでいい」

 

「なんでだよ!?」

 

気にせず走るリクを見たせいかそのまま走っていくテゾーロとステラは横を走っているのに海軍たちが気づかないのに

 

「なあ……なんで気づかないんだ?」

 

「それは……俺がぬらりひょんだからだよ!」

 

「ぬらりひょん……」

 

ステラが呟くと

 

「そう!誰よりも自由に生きる男なのさ!」

 

船が見えたのを見て喜ぶテゾーロたち。だが……

 

「マズいな……」

 

「どうしたんだ?」

 

「ロビン……テゾーロたちを連れて先に船に戻ってくれ」

 

「それは……わかった!」

 

テゾーロたちも船に向かって再び走り出す。

 

リクは見聞色で感じた気配の方へ視線を向ける。

 

「あらら……気づいてるってばれちゃった?」

 

そこに座っていたのは気だるそうな男だったが強者独特の気配を感じた。

 

「……海軍か」

 

「そうだな」

 

「クザンさん?誰と話ししてるんですか?」

 

「いや……何でもない。おまえらはさっさと犯人を捜せ」

 

「はっ!」

 

そしてその場から離れていく一般兵たち

 

二人になったリクと海軍中将クザン

 

「……行かせてよかったのか?」

 

「いや~海賊には容赦しないってんだがおまえはどうやら違うようだしな……それで?なんでこんなことをしたんだ?」

 

「……あんたは海兵にしては話がわかるな。……俺はただ理不尽に奪われるのが見過ごせなかったんだよ……アンタも天竜人ってやつが人のためにならないってわかるだろ?」

 

「………そうかもしれねえな。でも……俺だって!立場があるんだよ!」

 

クザンはそう叫ぶとアイスブロック”パルチザン”を放ったがリクは祢々切丸で全て捌いた。

 

「そのためなら!人の自由を!奪っていいのか!」

 

そして縮地でクザンに急接近して覇気を纏った突きを放つリク。

 

だがクザンも海軍中将、ロギアの特性を活かして体の形を変えて攻撃を躱した。

 

「立場がなけりゃ!誰も救えないんだよ!」

 

そのクザンの叫びからリクもわかっていた。誰かを救うためにも地位や立場が必要で、組織に属さなければならないと。そしてわかっていながらも見ぬふりをしなければならない彼の辛さも。世界を変えるには力や名声も必要なことも。でもリクにはテゾーロたちを見捨てるということができなかった。

 

だからこそお互いのエゴがぶつかるこの場において全力を出さなければならないと理解していた。

 

だからリクは目の前の敵を全力で屠ると決意した。

 

後ろに飛び退いたリクは能力を発動して認識を消した。

 

それを見たクザンは

 

「アイスフィールド!」

 

全包囲に放たれた氷がリクを飲み込まんとばかりに襲うがリクは飛ぶ斬撃を放ち、氷結を相殺した。

 

だがそのせいで場所が割れてしまいクザンがアイスサーベルで現れたリクに斬りかかるが当たると思われた攻撃はリクをすり抜けた。

 

「鏡花水月・突!」

 

そしてリクの放った突きが無防備のクザンに命中する。流桜で受け流すことも敵わずまともに突きを食らったクザンはそのまま前のめりに倒れる。

 

「アンタの正義も……わからないわけじゃあない……でも……天竜人の行いだけは……許せない……」

 

「……」

 

「急所は外した……死ぬことはないだろうよ」

 

そう言ってその場から離れるリク

 

翌日、リクは認識されなかったおかげで写真付きの指名手配にはならなかったが、存在はバレてテゾーロとステラには懸賞金がかけられた。

 

翌週からクザンがだらけきった正義を掲げるようになった。

 

 

 

 

 



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井の中のチャンピオン

時は少し前、リクがテゾーロたちを救けて船に乗り込んだ後

 

「ありがとう!この恩は忘れねえ!」

 

「ありがとうございます!ありがとうございます!」

 

ようやく落ち着いたのか自分たちを救けてくれたリクに必死に礼を言うテゾーロとステラ。

 

しかし自分たちが指名手配になったことと現段階では禄に航海もできないことからしばらくリクの船にお世話になることになった。

 

海軍は血眼になってテゾーロやリクたちを探したが、クザンがリクの存在を隠したことやリクの気配遮断によって見つからないことに半分諦めかけていた。

 

しかしそれは思いもよらないところで破られた。

 

・・・・

 

テゾーロたちが指名手配になってから3年、リクたちもオルビアを探すもなかなか見つからなかった。

 

そして海軍支部を調査するためにある島に停泊するリク。

 

テゾーロとステラと船番のニードルを船に残して、ロビンと一緒に島を散策することにしたリク

 

久しぶりにロビンの我儘を聞いてやることにしたリクは調査を後回しにして街に出向いた。

 

なぜだか海軍が多いのに警戒したロビンだったが

 

「俺の正体は誰にもばれないよ」

 

と大丈夫だと言い聞かせる。

 

花屋や化粧品や呉服店など回り、ロビンが満足していた時なにやら騒がしいのが聞こえてきて見に行くと

 

「ウィーハッハ!そんなもんかあ!?」

 

チャンピオンベルトを腰にまいた10代前半らしい顔つきだが年齢とは正反対の巨漢が海賊らしき者たちを打ちのめしている光景だった。

 

「すみません。なんですか?あれ」

 

「ああ、奴はこの町きっての暴れん坊だ。無法者に挑んではボッコボコにして勝っちまうこの町のチャンピオンだよ。だが実力は確かでな。億越え相手にも余力を残して勝っちまう」

 

「ふ~ん……」

 

と興味がないのかその場から離れようとするリクだが

 

「おい!そこのおまえ!暴れたりねえんだ。俺と勝負しろ!」

 

チャンピオンがリクに向かって勝負を挑もうと声を張り上げた。

 

リクは溜息を吐きながらもステージに立つ。

 

周りの者たちは

 

「かわいそうに……あいつで犠牲者何人目だ?」

 

「生きて帰れるかどうか……」

 

とリクに対する同情の声だったがロビンは気にすることなくリクを見ていた。

 

「さあ!行くぜ!」

 

「……」

 

開始のゴングと同時にリクに向かってその剛腕が振り下ろされた。

 

周りの者たちは一瞬の出来事だったがリクが無事ではいられない……

 

と誰もが思ったが

 

「な……!?に……!?」

 

「……」

 

振り下ろさた剛腕をリクが片手で受け止めているのをみたチャンピオンは目を見開き、観客たちは信じられないようなものを見る目をしていた。唯一動揺してないのはロビンだけだった。

 

「確かにパワーはすごいが……それだけだ」

 

と次の瞬間、リクはその腕を蹴り飛ばすと

 

「痛テテテテテ!!!」

 

チャンピオンが悲鳴を上げている様にどよめきが起こったも一瞬、リクはバージェスの頭を掴んで地面に叩きつけた。

 

地面が割れるほどの衝撃を食らったバージェスをみた審判は

 

「そ!それまで!」

 

とリクの勝ちを宣言した。

 

そしてチャンピオンが負けたのを理解した観客たちは

 

「うおおおおおおおお!!!」

 

「なんだアイツ!!」

 

「すげえええええええ!!!」

 

「チャンピオンに……勝ちやがった!!」

 

これまでないほどにリクを称賛した。

 

そしてその拍手の中座間、倒れているチャンピオンは

 

(バカな……この俺が……手も足も出なかっただと……俺は……自分が最強だと疑っていなかった……だがなんだ!このザマは……!俺は井の中の蛙だったのか……!このままでいいのか!?いや!違うだろ!今、俺がすべきことは……!)

 

そして立ち上がるとリクに向かって

 

「なあ!アンタ!頼みがあるんだ!」

 

「うん?」

 

「俺は……自分が最強だと疑ってなかった……!でもアンタという上の存在を知った!だから頼みがあるんだ!俺を……アンタの弟子にしてくれ!」

 

土下座までしたチャンピオンを見たリクは

 

「なら一つ条件がある。俺の仲間になってくれないか?」

 

「……っああ!もちろんだ!」

 

そしてガッチリと握手をするリクとチャンピオンを見た観客たちは盛大な拍手を送ったその時、

 

空から観客たちを巻き込むほどのマグマの雨が降り注いだ。

 

そこにいた殆どの者が死を覚悟したがその雨はステージから放たれた斬撃によって全て相殺され観客席に落ちることはなかった。

 

勿論撃ったのはリクだ。

 

と次の瞬間、その場にいる海賊たちを捕まえようと海軍が流れ込んできた。

 

その中にいた一人が

 

「なんじゃあ……?今のは……どこの誰か知らんが……邪魔するんなら殺しちゃる……」

 

逃げ惑う一般人をを気にすることなく無差別に銃を撃ちまくる海軍をみたリクは認識を消して全て斬り捨てた。

 

誰も居ないはずなのに海兵が斬り捨てられていくのをみた海軍中将サカズキは見聞色を発動させてリクをようやく認識できた。

 

「なんじゃあ……!?おまえは……!そうか……さっきの攻撃を防いだのも……」

 

「……あの攻撃……どう見ても一般人を巻き込む規模の攻撃だったぞ……海兵が……関係ない人を殺していいのか!」

 

「海賊を捕らえるためじゃあ。正義の犠牲となるなら本望じゃろ!」

 

「……俺の嫌いな部類の人間だな……おまえ」

 

「邪魔すんなら……貴様も殺しちゃる!」

 

そしてマグマの右腕を振るってくるサカズキだがリクは明鏡止水で認識を消して攻撃を躱すと一瞬でサカズキに近づき縦から一刀両断しようとしたが

 

「ぬうううう……!認識を消す能力……そうか……!貴様が例の件の……!クザンめ……!やはり……!」

 

サカズキは武装硬化した左腕で辛くも防いだ。

 

そして再び右腕を振るおうとしたので後ろに退くリク。

 

左腕を押さえながらリクを睨むサカズキ。

 

一方残った海兵と海賊との乱闘が始まっていたが

 

八輪咲き(オーチョフルール)クラッチ!」

 

武装色を纏わせた腕で海兵たちを拘束して関節技を決めるロビン。それを見たのか

 

「ヌゥン!」

 

「ふっ!」

 

海軍少将オニグモが六本の剣でロビンに斬りかかったが

 

二十輪咲き(ペインデフルール)!」

 

腕に生やした六本の覇気を纏った腕で剣を受け止めると

 

八十輪咲き(オチエンタフルール)……ハッグ!」

 

オニグモの身体から連結した腕を生やしてベアーハッグを決めるとオニグモはダウンした。

 

・・・・

 

「オンドレぇ……!」

 

サカズキは全身傷だらけになりながらも眼前のリクを睨みつけていた。

 

「……先に仕掛けたのはそっちだぞ。文句は言うな」

 

「これで殺しちゃる!大噴火!」

 

大振りの攻撃を仕掛けようとしたサカズキを見たリクは抜刀の状態に切り替えて目を閉じて精神を集中させ、覇気でタイミングを見切ると

 

「覇道一文字!」

 

鞘から抜いた突きは巨大な風圧を生み出してマグマを吹き飛ばし、サカズキの右肩に風穴を開けた。

 

「あ……!く……!」

 

それでもなお、残った左腕で攻撃を仕掛けるサカズキ。

 

だが少しでも恐れを抱き、認識をずらされたサカズキの攻撃は当たることはなく

 

「鏡花水月・魔閃!」

 

上から振り下ろされた剣撃は左肩から一直線に大きな傷跡を作ると、サカズキに膝をつかせた。

 

「グゥゥゥゥゥ……!!」

 

倒れながらもリクを睨みつけるサカズキに対してリクは

 

「クザンだったっけ?あいつは助けたが……お前は別だ。死ね」

 

そして刀を振り下ろそうとしたリクだったが横からの気配を感じて一歩退くとその人物は大気に穴を作るとサカズキを連れてその中に入っていった。

 

リクは納得しないものの残った海兵から逃げることを優先させることにした。

 

チャンピオンも海兵たちを片付けていたがリクが来るのに気づくと

 

「ウィーハッハ!終わったのか!?」

 

「ああ、さっさと逃げるぞ」

 

「なんだよ!まだ暴れたりねえぞ?」

 

「いいから」

 

そして認識を消してその場から撤退するリク。

 

「そういや名前聞いてなかったな」

 

「俺はバージェス!ジーザス・バージェスだ!これからよろしく頼むぜ?船長」

 

「ああ」

 

と船に戻ってきたリク達をみたテゾーロたちは

 

「無事だったんだな!」

 

「あれ?そっちの人は?」

 

「新しい仲間だ。それよりさっさと撤収するぞ!」

 

こうして追っ手を躱したリクたち

 

だが翌日、運よく生き延びたサカズキの報告により遂にリクに写真付きで懸賞金がかけられた。

 

シルバー・D・リク

 

懸賞金1億5000万ベリー

 

ニコ・ロビン

 

懸賞金8000万ベリー

 

そして新たに仲間になったバージェスには5000万という懸賞金がかけられた。

 

 

 

 




ちなみにサカズキを助けたのはブルーノです。



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音越えと鬼保安官

新たに仲間にしたジーザス・バージェスだったが彼はその怪力を買われて操舵手として活躍することとなった。

 

穏やかな海域で海軍の追っ手もなし。というわけなので久しぶりに私情に時間をさけることとなった船員たち。バージェスは甲板で無理を言って作ってもらった10tのダンベルを使った筋トレ。ニードルは武器の手入れ。ロビンはガーデニング、テゾーロはステラに歌を聞かせていた。

 

リクは久しぶりにハンモックで昼寝をしていた。

 

波の影響でユラユラと揺れるハンモックが心地よさを出し、リクの眠気を誘っていた時

 

「……なんだ?こんな時に」

 

リクは遠くからの殺気を感じて甲板に向かった。

 

「あ?どうしたんだ船長」

 

バージェスが筋トレを止めてリクが来たのに疑問を感じているとニードルも

 

「なんかあったのか?」

 

二人の疑問に対してリクは

 

「……気をつけろ。誰かに狙われている」

 

「誰かって誰だ?俺も覇気を使えるがこの辺りに気配なんて感じねえぞ?」

 

「いや……確かに……来るぞ!」

 

と叫んだ次の瞬間にリクは刀で飛んできた弾丸を撃ち落とした。

 

「「なっ!?」」

 

「気を抜くな!マークされてるぞ!」

 

「おいおい……リクの言ったとおりかよ……」

 

「ウィーハッハ!どこのどいつだあ!?」

 

そして次々と放たれた弾丸を撃ち落としているうちにリクは

 

(急所は外して撃ってきている……?試されているのか……?)

 

と冷静に状況を分析していた。

 

と一方、無人島にいるリク達を狙っていた男は

 

「……これ以上しても仕方ないようだな」

 

「ホホホ。そうですね」

 

ともう一人の男の腕が白い翼に変わると飛び立つとその背に乗って島を後にした。

 

リクは弾丸が飛んでこないことに気づくと同時に見聞色が近づいてくる二つの反応を察知して、その方角を見ると

 

「なにか……飛んでくる」

 

「「あ?」」

 

そしてリクの言う通り二人の男が飛んできて船に降り立った。

 

どちらも長身の男で一人はステッキを持った紳士的な人物で、もう一人は身長の半分ほどはある銃を持っていた。

 

それを見たリクは

 

「……先ほど俺たちを攻撃したのはお前らか。何の用だ」

 

「ホホホ。そう警戒しないでください」

 

「警戒するなっていうほうが無理だろ」

 

「……先ほどは試すような真似をしてすまなかった。だがどうしても実力が知りたくてな。単刀直入に言おう。俺たちを仲間に入れてくれ」

 

「……理由は?なぜ俺たちだ」

 

「我々は今後台風の目となる者たちの傘下につきたいのです。そして貴方方が今後、時代を動かす風雲児となることを見込んでのことです」

 

「……俺よりも懸賞金が高い奴は山ほどいるぞ」

 

「ホホホ。とぼけないでください。天竜人を迷わず斬り捨てた世界政府を恐れない豪胆さ。更に自然系の中将二人を相手に圧勝する実力。私たちはそれらに惹かれて貴方方の仲間になりたいと愚考したのです」

 

「……俺たちが台風の目になると?」

 

「必ず時代の頂点に立つでしょう」

 

だがニードルは

 

「仲間になりにきたいならなぜ攻撃してきたんだよ……」

 

未だに半信半疑だった。

 

「それについてはすまなかった。しかし俺は上となる者の力を感じたくてな。故に挑ませてもらった」

 

「……リク、どうする?」

 

リクはニードルの質問を聞きながらも疑問に思っていたことを口にした。

 

「……先ほどの攻撃……ワザと外していただろ」

 

「ほう!気づいていましたか!流石です!」

 

「観察眼も素晴らしい」

 

「……そうなのか?」

 

「ああ、狙いが外れたとは考えにくい。軌道が一切ブレてなかったからな。おそらく致命傷にならないように狙ったんだろ?」

 

「そこまで気づいてるか……やはり我が主に相応しい……先ほどの無礼を承知した上で頼む。俺たちを仲間の末端に加えてくれないか?役には立つ。俺は武装色、見聞色を使える。特技はわかっているとは思うが狙撃だ。体術もそれなりにはできる」

 

「私は戦闘はあまり得意ではありませんが海図に関しては自信があるつもりです。あと催眠術も少々……」

 

二人が頼んできたのに対してリクは

 

「……お前らは俺の仲間になりたいと……そういうことか?」

 

「ああ」

 

「ええ」

 

そして二人の目から信念を感じ取ったリクは

 

「……わかった。いいよ」

 

「おいっ!いいのか!?」

 

ニードルが不安になるがリクは見聞色で二人の感情を読むとそこには一切のブレがなかったことから信用することにした。

 

「それではこれからよろしく頼む。船長。紹介が遅れたが俺の名はヴァン・オーガーだ」

 

「ホホホ。よろしくお願いします。ちなみに私はラフィットと申します」

 

二人が仲間になるのが決まるとバージェスは

 

「ウィーハッハ!面白れぇじゃねえか!」

 

「それで?おまえらどっから狙撃してきたんだ?」

 

「先導するからついてきてください」

 

ラフィットは能力を発動させると

 

「能力者か」

 

「そうです。ちなみに能力は”トリトリの実 モデル スワン”」

 

そして案内された無人島は4㎞も離れた場所に位置していた

 

「ここから狙ったっていうのか!?」

 

「ああ」

 

「すげえな……」

 

ニードルが感心しているとバージェスが

 

「船長!こいつら仲間に入れるのはいいが、これからどうすんだ!」

 

「しばらくはこの島で待機だな」

 

「どうしてだ?」

 

「この島は独自の進化を遂げているのがわかる。旅に役立つものもあるはずだ」

 

「流石船長。気づいていましたか」

 

こうしてリク達は無人島にしばらく滞在することとなった

 

 

 

 



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九蛇の三姉妹

リク達が無人島に停泊してから一か月が過ぎた。

 

この島は広く山や海にも食糧が豊富なので食うのには困らなかった。

 

そしてリクはジャングルで巨大イノシシと対峙していた。

 

イノシシは弾丸のように突っ込んできたがその突進はリクに当たることはなく

 

「鏡花水月・魔閃!」

 

横から一刀両断された。

 

そして息絶えたイノシシを担いで浜辺に戻ると

 

「船長」

 

「どうだオーガー。なにかあったか?」

 

オーガーは視力の高さ、リクよりも強い見聞色の覇気から見張りの大半を担っていた。

 

「今のところは……あっ」

 

「どうした?海軍か?」

 

「いや……違うな。だが面倒なものだ」

 

「面倒?」

 

「アマゾンリリーのところから少女が三人、人攫いの手によって連れ去られた。以上」

 

「……」

 

「船長?」

 

「……お尋ね者の俺が言うのも……なんだが……人身売買なんて気に食わねえ。そいつらを救けにいくぞ」

 

「船長……」

 

「皆もついてきてくれるか?」

 

「何を今更」

 

「お兄ちゃんについていくよ!」

 

「ウィーハッハ!暴れてもいいんだよな!?」

 

「船長の決定なら……」

 

「よし。じゃあ行くぞ。出航だ!オーガー。そいつらから絶対に目を離すなよ」

 

「了解」

 

こうしてリク達は見えない距離を保ちながらシャボンディ諸島まで尾行に成功した。

 

だが島に入ってから見失ったそうだった。

 

「この島であることは間違いないんだよな?」

 

「はい」

 

だが以前来たリクはシャボンディ諸島の大体の地理を理解していた。

 

「おおかた1番グローブだろうが……念のためだ。オーガーとラフィットは俺と来てくれ。二手に分かれよう」

 

そしてしらみつぶしに探していると

 

「ホントに高くで売れたよな!あの三姉妹!」

 

「あ~あ!俺も味わいたかったぜ!」

 

「そりゃそうだな!ギャハハハ!」

 

と会話の内容に我慢の限界がきたのか正面の一人を蹴り飛ばすリク。

 

人攫いたちは突然ふきとんだ仲間といきなり現れたリクを前に震えていた。

 

「おい。素直に答えろ。その姉妹をどこに売った?」

 

「ひええええっ……!」

 

「素直に答えた方がよろしいですよ。船長は寛大ですが敵と決めたら容赦しませんから」

 

恐怖から素直に答えた人攫いたちをリクはもう用がないとばかりに放り捨てた。

 

「おい、バージェスたちを呼べ。1番グローブに向かうぞ」

 

「了解しました」

 

リクたちは1番グローブで合流すると

 

「敵はわかったんだよな!?じゃあ遠慮なく暴れるぞ!?」

 

「俺も腹が立っていとこだ。いいよな?リク」

 

「ああ……この際だ。好きなだけ暴れろ」

 

どうやら皆やる気満々のようだ

 

そしてヒューマンショップの前に立つと

 

「行くぜ!波動エルボー!」

 

バージェスの右肘から放たれた波動はヒューマンショップの正面扉を破壊して店内にまで影響を与えた。

 

「なんだあ!?」

 

「キャーーーー!!!!」

 

悲鳴をあげる客たちを他所目にリク、ラフィット、ロビンは認識を消して店内へ侵入した。

 

衛兵が出てくるのを見たバージェスは

 

「ウィーハッハ!まとめて相手してやるぜ!ガレオンラリアット!」

 

雑兵たちをゴミのように吹き飛ばした。

 

ニードルも

 

「暗鬼黒演武」

 

右腕の裾から剣や刀、薙刀など無数の武器を矢のように繰り出して、惨劇を生み出した。

 

この技はポケットに収納した武器を弾丸のように放つ中距離用の技である。

 

そして繰り出した武器を投げつけ、衛兵たちを片付けるニードル。

 

オーガーも得意の早打ちで打ち漏らした敵を確実に仕留めていた。

 

外が騒がしくなっている隙に奴隷を解放させる魂胆であった。

 

とリクは目的であった三姉妹を見つけて喜んだが

 

天竜人の一人が姉妹たちに鍵を持って近づいたのを見て迷うことなく一刀両断した。

 

天竜人が斬られたことに悲鳴をあげる客たち

 

そして鍵を奪ったリクは姉妹たちにだけ認識を見せると

 

「あ、あなたは……」

 

「それは後で。逃げるぞ」

 

「はっ、はい!」

 

「させるか!」

 

それをさせんとばかりに雑兵たちが三姉妹を捕らえようと動くが

 

「クラッチ!」

 

ロビンによって関節を決められ、倒れた。

 

そしてラフィットが他の奴隷の鍵を回収すると

 

「船長」

 

「ああ、ありがとう。後はゴミ掃除だけだ」

 

そして雑兵たちを覇王色の覇気で気絶させると残りの一人の天竜人が

 

「き、貴様ら!こんなことをしてタダですむと思うなえ!貴様らはグヘッ!」

 

「……もういい。耳障りだ」

 

手刀で黙らせると

 

「船長。殺さなくてよかったんですか?」

 

「そいつを使って伝言頼むぜ。内容は……--------だ」

 

「ホホホ。流石船長です」

 

ラフィットが天竜人に催眠術をかけている間に俺は奴隷たちを解放した。

 

「ありがとう!この恩は忘れねえ!」

 

「俺たちの英雄だ!」

 

「本当にありがとう!」

 

奴隷たちの認識を消して船まで行くように言う。

 

と奥からラフィットとロビンが現れて

 

「船長。悪魔の実です。ここのオーナーが持っていました」

 

「こっちも大漁だよ!」

 

幾つかの悪魔の実と宝の山をリクに見せた。

 

リクは迷ったが全部奪うことした。

 

「バージェス。終わったか?手伝ってくれ」

 

「わかった!任せとけ!」

 

そして船に着き出航するとリクの元に先ほどの姉妹たちがやってきた。

 

「「「あの……たっ、助けてもらいありがとうございました!」」」

 

「別にいいよ。それに」

 

「うん?」

 

「怖い中でよく頑張った」

 

そういってリクが頭を撫でると姉妹の長女、ハンコックは頬を赤く染めてモジモジとしていた。

 

ロビンはこの時ライバルが増えたと本能的に感じ取っていたそうだ。

 

その後リクたちは奴隷たちをそれぞれの故郷に送り届けることにした。

 

ハンコックは残りたがっていたが妹、サンダーソニアとマリーゴールドの説得もあり、アマゾンリリーの戦士になるために帰ることになった

 

一方その頃、マリージョアでは

 

「全く!手に負えん奴らだ!」

 

「それで?殺されなかったハルマド聖は?」

 

「はあ……命に別状はないと……ただ……」

 

「ただ?」

 

「突然喋りだして……なにかに操られているみたいに……その……いいにくいのですが……『いつか俺たちはおまえらを引きずりおろしてやる。楽しみにしてろ』……と」

 

「…………」

 

「はっ!こ、これで失礼します!」

 

五老星の迫力に圧倒された伝達係は怖くなって逃げだした。

 

「催眠術で我らに伝言とは生意気な!」

 

「これだからDは……!」

 

「だが奴らを軽視するわけにはいかん。クザンやサカズキを下すほどのやつだ」

 

そして翌週、リク達の懸賞金があげられた

 

シルバー・D・リク

 

懸賞金5億ベリー

 

ニコ・ロビン

 

懸賞金1億3000万ベリー

 

暗殺破壊者 ニードル

 

懸賞金2億ベリー

 

チャンピオン バージェス

 

懸賞金3億8000万ベリー

 

音越え ヴァン・オーガー

 

懸賞金1億1000万ベリー

 

鬼保安官 ラフィット

 

懸賞金1億1000万ベリー 



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ゴーストガール

元奴隷たちを故郷に送り届け始めてから一か月。

 

リク達は最後の一人を送り届けるために西の海で航海をしていた。

 

その目的も果たしたのでお祝いしようとレストランにはいった。

 

と客たちがリクに気づくと皆血相を変えて蜘蛛の子を散らすように逃げていった。

 

「なんだかなあ……」

 

「ホホホ、船長。我らは名があがっているので当然のことかと」

 

「ウィーハッハ!俺たちも世間に恐れられているってことか!」

 

「俺はただその場の状況に流されているだけなのにな……」

 

「船長、それも運命かと」

 

「まあこのさいだから海賊になるのもありじゃね?」

 

「お兄ちゃんと一緒ならなんだっていい!」

 

「俺は何にもしてないんだけど……」

 

「諦めなさい。テゾーロ、船長さんがはっちゃけしすぎているからよ」

 

「おい待て、それどういう意味だ。俺がただ考えなく暴れまわっているだけってことか?」

 

「「「「「「「そう(だろ)(でしょ)」」」」」」」

 

リクはなにも言い返せないのか誰も居なくなった席に座り、皆も席についた。

 

と店主がメニューを持ってやってくると

 

「町の皆がすまんね……でも今は恐怖に対して敏感なんだ……」

 

客を逃がしたはずのリクらを責めたりせず謝ってくる店主にリク達は好感が持てたが

 

「なんで、ここの住民たちはそうなんだ?」

 

と疑問に思ったことを聞いてみた。

 

「ゴーストの噂だよ」

 

『ゴースト?』

 

「最近、この辺りに出てきた幽霊のことだよ。なんでも夜の町にフワリと空を飛んで現れ、人々をネガティブにしたり、退治しようにも触ることができないっていうらしい」

 

「だから幽霊……ね」

 

リクはそう呟いたがリクを含め船員たちは悪魔の実の能力者だと考えた。

 

「おまえさんらもあんまり長居するもんじゃねえぞ。呪われてしまう」

 

リク達は店主の言葉を半分無視して注文を頼む。

 

「リクどうする?」

 

ニードルがリクにどうするのかを聞く。

 

「その幽霊は悪魔の実の能力者ってのは間違いなさそうだな……問題はどんな能力かってことだが……」

 

「おや船長。この件に関わるのですか?」

 

「根も葉もないデマで悪評つけられるそいつが可哀想だろ?それにどんなやつか興味あるしな」

 

「流石お兄ちゃん!」

 

ロビンが満面の笑みでリクに抱きつく。

 

ニードルたちはもう慣れた光景だと気にすることはなくなった。

 

「そう決まれば情報収集ですね」

 

「今度は幽霊が相手か!腕が鳴るぜ!」

 

皆もなんやかんやでやる気のようだ。

 

そして準備をしているうちに夜になった。

 

「やっとか!」

 

そして幽霊がよく出る森を回るリク達

 

「不気味ね……」

 

「大丈夫だ。ステラ」

 

「怖いよ……」

 

「心配するなロビン」

 

「それにしてもこれほど光が通らない森とは」

 

「俺の目でもよく見えん」

 

と話し合っていると

 

『ホロホロホロ……』

 

「出たか!?」

 

リク達が警戒するがすでに白い霊体のようなものが特徴的な声をあげながら宙を漂っていた。

 

『ホロホロホロ……』

 

「よっしゃあ!行くぜ!」

 

「待てバージェス!」

 

リクが静止するもバージェスは幽霊に突っ込んでいき剛腕を振るったがすり抜けた。

 

そして……

 

「ダメだ……俺なんか所詮ダメ筋だ……死のう……」

 

『あのバージェスがネガティブになってる!?』

 

「どうやら人をネガティブにするってのは本当のようだな」

 

しばらくすると……

 

「ウガーっ!!!」

 

「落ち着けバージェス!気持ちはわかるが!」

 

暴れだしたバージェスをニードルが押えていた。

 

どうやらネガティブの時の記憶はあるらしくバージェス曰く悪夢を見てた気分だったらしい。

 

「それにしても……武装色で斬ってもすり抜けるとは……もしかしてこいつらとは別に本体があるんじゃね?」

 

「!流石船長」

 

「だとしたら早く見つけなくては」

 

そして散策すること3分

 

「いた!」

 

「どこだ!?」

 

「あの方向だ!」

 

「わかった!」

 

そしてその方向に向けて覇気を放つと

 

「ああっ!」

 

覇気に飲まれたところをみるとやはり誰かがいるのだろう

 

急ぎで向かうとそこにいたのは

 

「女の子……?」

 

そこにいたのはゴスロリ姿のピンクの髪の6歳ほどの女子だった。

 

と怒り狂っていたバージェスを見て恐怖したのか

 

「ま、待って!降参!降参だよ!」

 

必死に命乞いをする女の子に対して流石のバージェスも気が引けたのか徐々に怒りが収まっていた。

 

「ごめん……」

 

「やはりおまえが例の幽霊で間違いないな。それで?なんでこんなことしたんだ?」

 

「だって……お母さんに捨てられてからって!誰も私に構ってくれないから!寂しかったから!だから構ってほしかったんだ!」

 

その少女の訴えにリク達は何となくの状況を理解することができた。

 

この少女は悪魔の実の異質さのせいで親に捨てられて、周りからも恐れられた。その孤独から人を襲うようになったと。

 

「ごめん……でも……私は……友達が欲しかったんだ……」

 

「……そうか。なら俺たちの仲間にならないか?」

 

「え……?」

 

「だからさ。俺たちと一緒に来ないか?お前の帰れる場所になってやるよ」

 

「いいの!?でも……私は化け物だよ!」

 

「それなら大丈夫だ。うちには化け物ぞろいだ。お前のことなんて気にしねえよ」

 

「そうだよ」

 

ロビンが少女の前に出て

 

「?……」

 

「私も妖怪って言われたことがある。でもお兄ちゃんたちはそんな私を受け止めてくれた。見て」

 

ロビンが腕から手を生やすと、少女は驚いた目で見ていたが

 

「だからここには貴方の場所があるよ。だから一緒に来よ?」

 

「っ!うん!」

 

少女は満面の笑みでそう返した。

 

「あなた名前は?」

 

「ペローナ!」

 

「よろしくね!ペローナ!」

 

その様子を見ていたリク達は

 

「また仲間が増えるけどいいか?」

 

「いいんじゃね?」

 

「能力とはいえ俺に膝をつかせたやつだ!面白くなりそうだ!」

 

「この出会いも運命の歯車……」

 

「これを機に海賊になるのはどうでしょう?」

 

「俺は乗せてもらっている身だからな。何も言わねえ」

 

「私もいいかな……女友達が増えるもの♪」

 

「よし。じゃあ来いよペローナ!」

 

「うん!」

 

こうして西の海のゴーストガール、ペローナはリクの仲間となった。



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天上革命と百鬼夜行

ペローナが仲間になってから4年の間、ペローナは能力の鍛錬を怠っていなかった。

 

リクは初めはしなくてもいいといったがペローナの目に決意が宿っているのを見て特訓に付き合うことにした。

 

その結果、能力は覚醒して、あらゆるものにホロウを与えることで自分の支配下に置き操る技を得た。リクはこの技を『ソウルスペクター』と名付けた。

 

強くなったのはペローナだけではなく、ニードルとバージェスも以前にも増して武装色の覇気が強まり、リクとオーガーの見聞色も更に強くなりリクは未来予知、オーガーは更なる広範囲把握が可能となった。

 

 

そして西の海からグランドラインに戻ることなったので魚人島に立ち寄ったリクたち

 

すると

 

「リク様だ!」

 

「いらっしゃ~い!」

 

と魚人や人魚から歓迎された。

 

とリクは折角なのでアロマに会いに行くことにした。

 

彼女はリクがハンコックたちを助けた時にいた人魚で顔見知りなのだ。

 

とマーメイド喫茶に立ち寄ると

 

「あらいらっしゃい」

 

「お久しぶりです。マダム・シャーリー」

 

握手をするとお互い座った。

 

そしてリクが

 

「そういえばアロマはいませんか?」

 

「……」

 

「……どうかしたんですか?」

 

「あいつは……あいつは……!」

 

「シャーリー!?なにがあったんですか!?」

 

「人攫いに……連れてかれちまったよ……!」

 

「え……」

 

リクはシャーリーの言ったことに納得ができなかった。

 

「なんでも……魚人島の外に買い物に出かけたときに……人攫いに……!」

 

「ウソ……だろ……」

 

そして次の瞬間、

 

「そういえば……宣戦布告したんだったな……」

 

「リク!?どこに行くんだい!?まさか……!」

 

リクは喫茶から出ていき向かった先は

 

「おや?船長」

 

「……ラフィット。至急皆を集めてくれ」

 

「……わかりました」

 

リクのただならぬ気配をまえにラフィットもすぐに了承した。

 

そして船員全員が集まると

 

「どうしたんだ?船長」

 

「……前に……政府に宣戦布告したのを覚えているよな?」

 

「ええ……」

 

「俺は……マリージョアを襲撃する」

 

『!!?』

 

「リクッ!?」

 

そして事情を説明するリク。

 

「正直……完全な私情に皆を巻き込みたくないんだ。だから!嫌な者は参加しなくていい!この船から降りてもいい!」

 

「……なーに今更水臭いこと言ってんだよ」

 

「え……?」

 

「おまえの諸事情だろうが関係ねえ。あの日から俺はお前と共に道を行くって決めたんだ。それを今更嫌なら引き返せってか?俺……いや、俺たちを舐めんなよ」

 

「ニードル……」

 

「そうだぜ!船長!水臭いじゃねえか!俺たちも頼ってくれよ!」

 

「バージェス……」

 

「なにを今更。俺はあの時から船長と共にすると決めたのだ」

 

「オーガー……」

 

「そうです船長。私は貴方に全てを懸けたのですよ?」

 

「ラフィット……」

 

「任せてお兄ちゃん……いやリク!」

 

「ロビン……」

 

「そうだ。俺もリク達に救われた身だ。地獄まで付き合うぜ?」

 

「テゾーロ……」

 

「ホロホロホロ……そうだぞリク。私たちはどこまでもおまえについていくつもりだ」

 

「ペローナ……皆……ありがとう!」

 

「よし!じゃあ作戦会議を行うぞ。闇雲に襲撃しても全ての奴隷を解放できるわけじゃねえ。綿密なプランが必要だ」

 

「ホホホ、確かに」

 

「じゃあまずは俺が単独で忍び込んで内装を確認するわ」

 

「まあ妥当な作戦だわな」

 

こうしてまずマリージョアに忍び込むことになったリク。

 

・・・・

 

マリージョアにある邸宅の中の一つの部屋。

 

そこにいたのは緑色の髪のどこか儚げな感じの少女だった。

 

彼女はここでの生活ですっかり希望を忘れてしまった。

 

いずれ来るであろう性奴隷の仕事に対しても恐怖というものを感じることすらできなくなっていた。

 

そんな彼女の隣の部屋に

 

「ちょっと……いいか?」

 

「え……?うん……」

 

「君、名前は?」

 

「……モネ」

 

「いい名前だね」

 

「……ありがとう」

 

その後沈黙が流れたがモネが

 

「……そういう貴方は……?」

 

「俺はクリークだ」

 

「クリーク……うん……覚えた。……ねえ?クリークはなんでこんなとこにいるの?」

 

「売り飛ばされたんだよ……」

 

「そういう君は?」

 

「私も……お父さんに……」

 

「そうか……」

 

「……ねえ?」

 

「なに?」

 

「クリークは怖くないの?」

 

「……怖いさ」

 

「いいね……」

 

「なんでだ?」

 

「私には……もう怖いと思うこともできない……生きることに……疲れた……」

 

「……」

 

「私には……もう……」

 

「モネ」

 

「なに……?」

 

「確かにここでの苦しみは入ってきたばかりの俺にはわからない。でも……」

 

「でも……?」

 

「でもな。絶望したとしても笑顔があれば少しは幸せになれるんだ」

 

「……」

 

「だからな?笑ったらいつか希望が持てるさ」

 

そしてこの日からモネとクリークの少しずつ話し合うようになり……

 

「それでさ……」

 

「…………ふふっ」

 

「え……?」

 

「なんでだろ……もう感情なんて捨てたはずなのに……笑えた……」

 

「モネ……」

 

「……ありがとう」

 

「え?」

 

「クリークのおかげで……まだ私にも……感情があるんだな……ってわかった」

 

「……いえいえ」

 

2日後

 

「妹がいるのか」

 

「うん!」

 

3日後

 

「それでさ」

 

「ふふふっ!なにそれ……!」

 

モネの失われた感情が蘇ったのだ。だがそれは

 

「笑えるようになったのは嬉しいけど……怖いよ……!」

 

「!」

 

「これから自分がされることを考えると……怖いよ……!」

 

そうなのだ。感情を取り戻した代わりに恐怖の感情も戻ってしまったのだ。

 

「……大丈夫だ。モネ」

 

「え……?」

 

「俺が……いつかここから出してやる」

 

「ホント……?」

 

「……ああ!」

 

そして決行の日

 

クリーク、いやリクは

 

「集まったな」

 

「ええ」

 

「よし……じゃあ作戦はこうだ。俺がまず全ての奴隷たちに盗んだ鍵を渡す。そして合図を教えておいてバージェスが暴れる」

 

「ウィーハッハ!任せとけ!」

 

「逃がした奴隷たちを用意した船に乗せてペローナの能力で下まで運ぶ」

 

「ホロホロホロ……わかった」

 

「そしてマリージョアの宝や財宝をいただき……海賊として名乗りをあげる!」

 

「ホホホ、畏まりました。船長」

 

「作戦は必ず成功させる!いいな!」

 

『おう(はい)!』

 

こうしてリク達はまず気配を消してシャボンゴンドラでマリージョアに潜入する。

 

リクが鍵を盗んでいる間にラフィットたちは宝を強奪する。

 

そして……

 

「モネ」

 

「誰……?」

 

「俺だよ」

 

「まさか……クリーク!?どうやってそこに!?」

 

「その話はあとだ。これを」

 

「これって……鍵!?」

 

「それがあれば今すぐ脱出できるだろう。だが合図があるまで決して使わないでほしい」

 

「……」

 

「信じてくれ」

 

「……わかった」

 

そして全ての鍵を渡し終えると

 

「じゃあ行くぞ」

 

「ああ……!」

 

合図の音を出す目にバージェスが邸宅に向かって波動エルボーを撃った。

 

ドゴォン!

 

その合図と同時に奴隷たちは解放された。

 

衛兵たちはバージェスには気づくが横を走っている奴隷たちには気づかなかった。

 

気配遮断様様である。

 

そしてバージェスが衛兵を相手にしている間にラフィットたちは財宝と悪魔の実を運び終わり、奴隷たちが全て乗り込んだと確認すると

 

「行くぞ!覇道一文字!」

 

リクが特大の斬撃を放つとマリージョアの地面が分断された。

 

そしてペローナの操作する船に乗り込んでマリージョアから脱出した。

 

こうして本来フィッシャータイガーが起こすはずだった襲撃事件はリクによって完全成功した。

 

一方海軍本部では

 

「何!?奴隷が全て脱走!?マリージョアが半壊!?」

 

報告を聞いたセンゴクは誰の仕業だと必死に考えたが

 

「アイツか……!」

 

ある一人の少年が頭に浮かぶと

 

「やはり奴を軽視するわけにはいかん!すぐさま手配書を更新しろ!」

 

・・・・

 

リクが甲板で物思いにふけっていると

 

「クリー……いやリク」

 

モネが顔を赤らめながらリクの前に来た。

 

「なに、うむっ!?」

 

モネによっていきなり唇を奪われたリク

 

30秒ほどのかけてその行為は終わった。

 

「なっ、いきなりなにすんだよ!」

 

「助けてくれたお礼……と告白♪」

 

「なっ……!なっ……!?」

 

「あのとき……リクが……私と話してくれてなかったら……私は本当の意味で救われなかった………そのお礼♪……と!わかるわよね?私リクが大好きなの♪」

 

「え……え……」

 

「勿論リクのことを好きな女の子がいるってわかってる。でもその子たちに負けないぐらい愛してみせるから♪」

 

「あの……」

 

「嫌……なの?」

 

涙目の上目遣いでリクを見るモネ。

 

突然の不意打ちにリクはたじろぐだけだった。

 

「嫌……嫌いじゃない」

 

「ならよかった!これからよろしくね?」

 

とモネが腕を絡ませるとひんやりとした感触を感じたリクは

 

「能力者か?」

 

「そう!私はユキユキの実の能力者」

 

そして地上に着くと元奴隷たちは歓声を上げた。

 

それを見たリクは

 

「どうするんだ?これから」

 

元奴隷たちの中にはすでに故郷を失っている者たちもいる。

 

そんな彼らに対してリクは

 

「行く宛てがないなら俺たちと一緒に来るか?」

 

元奴隷たちは目を見開いていた。

 

「俺は……この腐った世界をいつか変えようと思っている……だから!俺についてくる者はいないか!?」

 

そう声を張り上げると

 

『うおおおおおおおお!!!』と100をも超える元奴隷たちが声を張り上げた。

 

「よし!なら今日から俺たちは仲間だ!よろしくな!」

 

そしてこの日盃を交わした彼ら……後に世界政府や四皇すらも恐れる大海賊、百鬼夜行海賊団の誕生であった。

 




人魚のアロマはオリキャラです


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模擬戦

シルバー・D・リクによって結成された百鬼夜行海賊団は後に四皇をも恐れる海賊団になるのだが今はまだ小さき木の葉のような存在である……まるで小さき台風が成長するように大きくなるであろう……

 

・・・・

 

マリージョア襲撃から約一年半が経過したが未だにオルビアさんはみつかっていない。

 

結成された百鬼夜行海賊団のメンバーは大半が元奴隷だがその中にも特に腕の立つ人物もいた。

 

だが戦闘経験のない者たちもリクへの忠誠心からか訓練を怠っていない。

 

そしてリクはオーガーとバージェスを招集している。

 

「何の用ですか?船長」

 

「また戦いでもあるのかあ!?」

 

「来てもらったのは他でもない。奪ってきた悪魔の実だが……」

 

リクたちはマリージョアにあるとてつもない財と一緒にイブに生えている悪魔の実を根こそぎ奪ってきたのだ。

 

だが一つ問題があった。

 

宝の方はともかく奪ってきた悪魔の実は図鑑にも載っていないという問題アリのやつだったのだ。

 

「それで?まず俺たちに食わないか?ということですね」

 

「ああ。だがはっきり言ってこれは博打だ。どんな能力かもわからん」

 

「ウィーハッハ!船長がいいなら食わせてもらうぜ!?」

 

「俺もだ。新たなる力をつけるべきだ」

 

「じゃあ選んでくれ。自分の判断で決めるんだ」

 

並べられた悪魔の実を見た二人だったがバージェスは即決で決めて手にしたが、オーガーはまるで悪魔の実の声を聞くかの如く精神を集中させている。

 

そして端の悪魔の実をとると

 

「決まったか。水、おいとくから」

 

その言葉を聞いた二人は意を決したかのように悪魔の実を口にした。

 

食った感想は

 

「マジィ……!」

 

「酷い食感だ……」

 

「あはは……まあ俺も初めて食った時はそうだったな」

 

リクは悪魔の実を片付けると二人を連れて訓練場に向かった。

 

「あ!総大将!」

 

船員たちがリクに気づき礼をする。

 

「おいニードル!」

 

「なんだ?リク」

 

「バージェスが悪魔の実を食った」

 

「あー……なるほどな俺にその相手をしろと」

 

「話が早くて助かる」

 

そしてお互いが構えると

 

「どっちが勝つ?」

 

「普通に考えれば、能力を使いこなせているニードル様だろう」

 

「だがバージェス様の怪力も相当なものだ。わからんぞ……」

 

「始め!」

 

「波動エル「暗鬼影乱舞」ちょおっ!?」

 

バージェスがエルボーを繰り出す前にニードルはバージェスの後ろの空間から刃を繰り出した。

 

この二年の間にニードルの能力は覚醒し、一定の範囲内なら自分のポケット空間に収納させたものを任意の場所で出現させることができる。

 

後ろから飛び出してきた武器を横に跳んで躱す。

 

だが予想していたのかバージェスの躱した先に手裏剣を投げつけるニードル。

 

バージェスも咄嗟に左腕で風圧を起こして手裏剣の軌道を変えた。

 

隙をつくらないとばかりに接近して右腕に纏った武器や死角からの武器の出現で攻撃するニードルを前に攻勢に出れないバージェス。

 

そしてニードルの裏蹴りがバージェスを吹き飛ばし、その先に出現させた武器を待機させていた。

 

決着が決まるかと未来を視たリクを除き誰もが思った。

 

武器が放たれた瞬間、ニードルも勝ちを確信した。

 

だが……

 

「なっ……!?」

 

バージェスの背中から生えた4本の腕が放たれた武器を受け止めていた。

 

「これは……!」

 

「まさか……!」

 

「そうだ、それがお前の能力。見たところ……”ヒトヒトの実 モデル 阿修羅”といったとこかな」

 

「……ハ、ハハハハハ!ウィーハッハ!いいじゃねえか!俺にピッタリの能力だぜ!」

 

そしてバージェスは掴んだ武器を逆にニードルの方に投げつけた。ニードルは撃ち落とすもバージェスが接近する隙を作ってしまい、間合いを詰められたニードルは右腕のパンチで吹き飛ばされた。

 

「そこまで!勝者バージェス!」

 

「ウィーハッハ!!俺が勝ったぞ!!」

 

三個ある両腕を振り上げて叫ぶバージェス。

 

満足したのか試合場からさっさと出て行った。

 

「次は俺の番だな。相手は……」

 

「俺がやろうか?」

 

『総大将が!?』

 

「ほぅ……船長自らが相手になってくれるとは……」

 

そしてリクは祢々切丸を鞘から抜き、オーガーは愛銃『千陸』を構える。

 

「始め!」

 

ニードルの合図とともに発砲するオーガー。勿論急所は外した攻撃だ。

 

だがリクは当たる直前で躱すと

 

「明鏡止水」

 

威圧による認識阻害を発動させる。

 

「うわっ!また消えた!」

 

「どこにいるんだ?」

 

と見物していた船員たちはリクを捉えなかったがオーガーは

 

「……そこだ!」

 

覇気による一瞬だけの感知で狙撃したオーガー

 

ガキィン!と甲高い音が鳴り響いて認識阻害が破られた。

 

「いた!」

 

そして逃がさんとばかりに連続で発砲するオーガー。

 

リクも祢々切丸で弾丸を全て捌いた。

 

やはり決定力や機動力が欠けていると感じたオーガー。

 

だが同時に危機的状況だからこその昂ぶりが自分を更なる高みに連れていくとも確信した。

 

そして危機的状況に陥った時こそ、動物系の本能が目覚める。

 

と先ほどよりもより鋭い銃撃がリクを襲った。リクは驚きながらも咄嗟に受け流した。

 

そしてオーガーも自らの変化に気づく。

 

「これは……!」

 

「それがお前の能力か。”トリトリの実 モデル カラス天狗”」

 

「そうか……!これが……俺の力……!」

 

オーガーが手に入れた力とは暗闇の中でも寸分たがわず見える夜目。狙撃ポイントを瞬時に変えてのトリッキーな戦法を可能とする機動力。そして自らの銃撃に足りなかった決定力を遠心力によってあげる風の神通力。

 

カラス天狗とは剣が得意な妖怪だったが、オーガーの戦法とはベストマッチしていたのだ。

 

「では……行くぞ!船長!」

 

再び千陸を構えて銃撃を放つ。リクが祢々切丸で防いだのを見るとその一瞬で死角まで移動して再び銃弾を放った。

 

そしてリクが死角から外れた位置に移動しようとすると銃撃が襲い、格段に上がった機動力によって死角から抜け出せないのだ。

 

追い詰められていくリクを見た船員たちは

 

「すげえ……」

 

と声を漏らした。

 

オーガーが止めの一撃を放とうとした時

 

グワッ!

 

「グゥ……!」

 

覇気と能力による威圧を同時に受けてしまい怯んだがすぐに銃弾を放った。

 

だがその一瞬で体勢を立て直したリクはオーガーに間合いを詰めようと向かってきた。

 

誰もが銃弾を受けて倒れるリクを想像した……

 

がこの時オーガーすらも威圧を受けていたので認識をずらされていたことに気づかなかった。

 

放った弾はリクをすり抜けて訓練場の壁に当たった。

 

オーガーは一瞬で間合いを詰められたことに気づいたが

 

「鏡花水月・撃!」

 

流桜を纏った拳がオーガーのモロにめりこんで吹き飛ばした。

 

「ぐほっ……」

 

「それまで!」

 

船員たちはよほど見入っていたのかしばらくは静かなものだったが

 

『うおおおおおおおお!!!』

 

とこれ以上ない絶叫をあげた。

 

「流石は船長……」

 

「いや、危なかったよ。流石だね」

 

こうしてバージェスとオーガーの能力確認は終了したその時

 

「大変です!」

 

「どうしたラフィット」

 

「これを……見てください!」

 

新聞を見てみるとそこに書かれていたのは

 

『ニコ・オルビア、脱走!』

 

そして5000万ベリーの懸賞金がかけらている手配書だった。

 

「それに……俺たち!?」

 

百鬼夜行海賊団総大将 百鬼将リク

 

懸賞金10億ベリー

 

百鬼夜行海賊団 暗殺破壊者ニードル

 

懸賞金4億ベリー

 

百鬼夜行海賊団 ニコ・ロビン

 

懸賞金3億3000万ベリー

 

百鬼夜行海賊団 チャンピオンバージェス

 

懸賞金5億5000万ベリー

 

百鬼夜行海賊団 音越えヴァンオーガー

 

懸賞金2億5000万ベリー

 

百鬼夜行海賊団 鬼保安官ラフィット

 

懸賞金2億5000万ベリー

 

百鬼夜行海賊団 ギルド・テゾーロ

 

懸賞金5500万ベリー

 

百鬼夜行海賊団 悪霊憑きペローナ

 

懸賞金6000万ベリー

 

こうしてオルビアが脱走したことでまた波乱が巻き起こる予感がしたリクであった。



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北の海へ

久しぶりになってすみません!

あと13年前を13年半前に変えました。急ですみません……


「くそっ!!また奴らか!!」

 

海軍本部大会議室にアフロヘアー男、センゴクの怒号が響く。

 

その剣幕に一部の将校たちはビビり、機嫌を損なわないようにしようと心の奥底で思った。

 

ブランニューもその一人で、ビビりながらも報告を続けた。

 

「さ、サイファーポール長官スパンダインの汚職事件が、海賊シルバー・D・リクの手によって世間に情報が暴露されました……なお情報を公開した新聞社は……」

 

会議の内容は諜報機関の長官が海軍支部の支部長とともに海賊に海軍の情報を金と引き換えに渡していたということが世間に知られたということだった。当然政府はすぐにスパンダインたちを処分して揉み消すつもりだったが、百鬼夜行海賊団の総大将であるリクがスパンダインのいた海軍支部を壊滅させると同時にスパンダインが海賊と違法取引していたという証拠である音声と写真を世経の社長を初め大手新聞社に情報を提供したのだ。

 

幾つかの新聞社は政府の圧力を恐れて載せなかったが世経の社長モルガンズが情報を載せると同時にリクに情報を渡された新聞社たちはこぞってリクに渡された情報を公開し始めた。

 

すぐさま政府は誤報として処理しようとしたが、海軍が情報を揉み消そうとしていた事実も録音されていたため収集がつけられなくなっていた。

 

「ブワッハッハッハ!まーたやりおったようだの!」

 

端の席では海軍本部中将、ガープがおかきを食いながら面白がっていた。

 

この場には本部の将校全員が集められていたが、一部の過激派たちはガープとは真逆でイライラしているようだった。中でも過激派随一と呼ばれ、かつてリクに手傷を負わされているこの男、サカズキは

 

「全く海軍の恥さらしどもめ……!それに……!この小僧……!」

 

サカズキが右腕の拳を怒りを抑えるように握りしめると溶岩と化して机を溶かした。

 

その迫力に怯むもブランニューは報告を再開する

 

「せ、世間からの反応は……わ、我々海軍に対する評価は下がり……ぎゃ、逆に奴隷を解放し、今回の件を世間に告発した百鬼夜行海賊団は……その……世間からの支持を得ています……」

 

ブランニューの報告に苛立ちが募ったのかサカズキの右腕は更に赤く燃えていた。

 

「まあ~、でも今、支持を得ているこいつらを捕まえたらうち等更に、世間から責められるよな?どうするんですか?センゴクさん」

 

だるそうに欠伸をしている男、クザンの発言にセンゴクは納得できるのか、はぁ……とため息をはいた。

 

「クザンの言うとおりだ。世間からの支持を得ているこいつらを捕まえでもしたら、我々に対する世間からの評価は地に落ちる。そこで奴に王下七武海への加盟を提案する」

 

・・・・

 

そんな世間から最も注目されている百鬼夜行海賊団はグランドライン、ウォーターセブンで船のメンテナンスを船大工トムにしてもらうために停泊してある。

 

リクは船長室のソファーで本を読んでいた。

 

「リク、お茶です」

 

モネがリクのカップに紅茶を淹れているのに気づいたリクは

 

「モネ、ありがとな」

 

「いえいえ。リクのためだから♪」

 

そういって微笑むモネにリクは内心ドキッとした。

 

モネにファーストキスを奪われてからリクはモネに対する感情が前とは違うものだとわかっていたのだがやはりドキドキしてしまう。ちなみにファーストキスを奪われたとロビンに知れてからはリクは油断しすぎと説教され、モネは警戒されることとなったが、接しているうちに二人でリクを狙う同志となったらしい。後にこのメンバーにペローナも入ることになるのだが今は知らない。

 

今のモネは奴隷の時のようなボロボロの格好ではなく、雪景色を思わせる白い和服を身に纏っておりその妖艶な雰囲気から世間に氷帝と呼ばれている。

 

そしてリクの隣に座り、腕を絡ませてきた。

 

「ふふっ♪」

 

「……」

 

リクも嫌ではないのか更に絡ませてくる。

 

だがその二人っきりの桃色空間に

 

「あーっ!ずるい!モネだけ!私も!」

 

ロビンが入ってきてモネとは反対の席について腕を絡ませてきた。

 

「むー……!」

 

モネは二人っきりの時間が終わってしまったのか少々不機嫌なようだったがすぐに機嫌が直りリクに甘える

 

リクもそんな二人の期待に応えるかのように更に力強く抱きしめた。

 

とそんな中で

 

「すみませーん!総大……将……」

 

油断しすぎたせいか伝令の船員に気配に気づかずに見られてしまったのだ。

 

「……邪魔しました」

 

「ちょっと待てよ!」

 

・・・・

 

10分後リクはある人物を面談をしていた。

 

「来てくれてありがとう。モルガンズ」

 

「何を!リクに情報を提供してもらっている身だ!それに取材したいと頼んだのは私の方なのでな!」

 

リクとモルガンズは互いの情報交換から関係が始まって今では友達にも近い関係にまでなっていた。

 

そして取材が終わるとお互いに愚痴を語り合っていたが

 

「ちょっとここだけの話だが……聞いてくれるか……?」

 

「うん?」

 

モルガンズが普段とは違う真面目な顔でリクを見ると

 

「……ニコ・オルビアと思われし女性が北の海にいるとの情報を掴んだ」

 

「!」

 

「……海軍に情報源を話さなければ……詳しい情報を教えても構わないと思っている……」

 

リクがオルビアを探しているのをモルガンズは掴んでいたためあらかじめオルビアの情報を掴もうとしていたのだ。

 

「……教えてくれるのは感謝するが……なぜだ?おまえにメリットなんてないだろう?」

 

「取材の礼というのもあるが……友達のためさ!それぐらいはするさ!」

 

「モルガンズ……ありがとな」

 

「いいさ!それでニコ・オルビアの情報だが……」

 

そして情報を教えて、取材を終えたモルガンズは去っていくとリクは幹部たちを集めた。

 

「ロビン……お前の母さんに会えるかもしれない」

 

「ほんと!?」

 

「モルガンズの話が本当ならだが……奴はウソはついてなかった」

 

「じゃあ……!」

 

「ああ、行くぞ!北の海へ!」

 

「ウィーハッハ!初めてだな!北の海ってのは!」

 

「情報によりますと、今北の海ではドンキホーテファミリーいるとのこととか」

 

「奴らに会うのも……運命なのか……」

 

「会いたくはないがな」

 

「ホロホロホロ……面白そうじゃねえか」

 

「フフフッ!リクと一緒ならどこまでも……」

 

こうしてリク達は北の海に行くことになった。

 

 




誰か和服姿の可愛いモネの挿絵を書いてくれる人はいないかな~……


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対峙

久しぶりに投稿できました!

お待たせして申し訳ありません!


オルビアがいるかもしれない北の海を目的地に決めたリク

 

既に魚人島を通り抜け、パドルシップでカームベルトを渡っていると

 

「うわー!海蛇だー!」

 

甲板でくつろいでいたリクの隣にいたオレンジ髪の女の子が海王類を見てはしゃぐ

 

「楽しいか。コアラ(・・・)

 

「うん!でも、こっち見てるお魚さんは怖いな……」

 

「そうか……だったら」

 

ドクン!

 

リクが少女の指さした海王類を睨むと同時に覇気を放つと海王類は一目散に海に逃げて行った。

 

「もう怖くないか?」

 

「うん!ありがとうお兄ちゃん!」

 

はしゃぎながら自分に抱きつく少女をの髪リクは思いっきり撫でる。少女もキャーといって嬉しそうにはしゃぐ

 

その様子を見ていた者たちは

 

「ウィーハッハ!船長はコアラに対して随分と過保護だな!」

 

「ホホホ、まるで御兄弟のようですね。なんとも微笑ましいものです」

 

「むー……」

 

「モネ、ロビン。そんな羨ましそうにするなよ。仕方ないだろ?コアラの境遇を考えたらさ」

 

「でも……」

 

「ま、確かにモネとコアラの境遇は一緒だったけどさ?そりゃああの子のほうがさ?」

 

リクの横ではしゃぐこの少女。そう。彼女もモネと同じく元奴隷だったのだ。

 

元奴隷のなかでも精神的傷が特に深く、最初の方は何があっても笑みを絶やさなかったのだ。そうしないと殺される環境にあったからだった。

 

だがリク達と船で共に過ごして少しずつ元の感情を取り戻してきたのだ。

 

そんな彼女を知っているのか彼らもこの状況にも見慣れたものだったのだ。

 

だからよほどのことがない限りモネたちもリクのの元へ横入りしないことにしてあるのだが……

 

「お兄ちゃんだーい好き!」

 

遂にコアラがリクに抱きついて頬ずりまでし始めたのを見た二人は

 

「船長!肩を揉んであげる!」

 

「リク!一緒にクレープ食べましょう!」

 

と大人気なくリクを取り合おうとしたのを見たニードルたちは

 

「なあバージェス……俺、女が怖いってのを知ったよ……」

 

「ウィーハッハ……俺もだ」

 

「ホホホ……確かに同感です」

 

「誰のものになるか……運命のみぞ知る……」

 

そしてカームベルトを抜けて北の海についたリク達は目的の場所、スワロー島へと船を停める。

 

「ここなの!?お母さんがいるって島は!」

 

「モルガンズの情報によるとこの島のバレルズ海賊団の手によって捕まってるらしい」

 

「じゃあ早く助けなきゃ!」

 

船から飛び出そうとしたロビンだったがニードルが

 

「待ってくれロビン。その前に皆に話がある」

 

「なんだ?ニードル」

 

「さっき海軍の情報を盗聴したんだが……奴らはさっき話していたバレルズ海賊団の持っているオペオペの実の取引するらしい」

 

「オペオペの実?」

 

「究極の悪魔の実とも呼ばれている代物だ。能力の汎用性だけでなく使い方によっては永遠の命をも得られるほどものらしい」

 

「へー……奴らに取られるぐらいなら……ついでに頂くか!」

 

「ホホホ。流石船長」

 

「それでメンバーだが今回はモネにバージェス、オーガーとロビンにハルキの俺の6人で行こうと思う」

 

「ホホホ。異論はありません」

 

「わかったわ。リク」

 

「ウィーハッハ!大暴れしてもいいんだよな!?」

 

「よし……じゃあ行くぞ!」

 

リク達は見張りの者たちを残してスワロー島に乗り込んだがそこは既に

 

「おいおい……なんだありゃあ……敵襲か?」

 

アジトと思われし場所からは煙が上がっていて燃え盛っていた。

 

「そのようだな……む?」

 

「どうした?オーガー」

 

「ドンキホーテ海賊団が……来ているな。バレルズ海賊団と戦闘中だ」

 

「ちっ!不味いな。急ぐぞ!」

 

リク達がドンキホーテファミリーを見つける数分前

 

「はぁ……はぁ……」

 

謎の襲撃者により混乱状態となったアジトから雪の中を掻き分けながら小さな女の子を抱えて必死に逃げるオルビア

 

「いたぞ!」

 

だが手負いの状態では上手く走れるわけもなくすぐに取り囲まれてしまった。

 

がオルビアの目が光るとバレルズ海賊団の者たちは倒れてしまった。

 

「はぁ……サウロ……ありがとう……」

 

そして岩にもたれかかるオルビアの姿は昔と変わっていなかった。

 

そう。オルビアは悪魔の能力者にとなっていたのだ。

 

サウロが偶然見つけた悪魔の実が”ネコネコの実モデル化け猫”

 

その悪魔の実を食らった者は不老となり、神通力を得るとされている。

 

神通力による催眠術で海軍の牢からも脱走できたのだ。

 

とそこに

 

「おまえは……ニコ・オルビア!?」

 

「ドンキホーテ・……ドフラミンゴ……」

 

「ふっふっふっ……どういうわけか知らねえが……随分やられているみたいだな……だがおまえには利用価値がありそうだな……でもその前にコラソンだ。バイス。そいつを連れてこい」

 

「わかったい~ん!」

 

「うっ……!」

 

「オルビアさん!」

 

そしてドフラミンゴは実の弟コラソン……ロシナンテの元の前に来た。

 

「半年ぶりだな……コラソン……!!」

 

「ハァ……!ハァ……!」

 

ロシナンテは手負いの状態ながらでも拳銃をドフラミンゴに向ける

 

「マリンコードー01746…『海軍本部』ロシナンテ中佐……ドンキホーテドフラミンゴ……お前がこの先生み出す惨劇を止めるために潜入していた……俺は海兵だ」

 

「…………」

 

「……ウソをついて悪かった……お前に嫌われたくないもんで……!」

 

その言葉はドフラミンゴではなく宝箱に隠れているローに向けられたものだった。

 

「そんなのとっくに知ってるよ!」

 

宝箱の中でローは叫ぶがコラソンの能力ナギナギの実でローの出す音は無音となってしまうので誰にも届かない

 

「つまらねえ冗談言ってないでさっさと答えろ!オペオペの実はどこにやった!」

 

ドフラミンゴは激昂したが

 

「オペオペの実は……ローに食わせた。あいつはもう能力者だ……」

 

 

 

「なんだと……!」

 

「上手く外に逃げて……今頃海軍に保護されているだろうよ」

 

「若様!さっき海軍が少年を保護したって通信が!」

 

「なぜそれを早く言わねえ!」

 

「まさかローだとは……!」

 

(少年を?なんの冗談だ!?ローはここにいる!)

 

「確認を急ぐ!”鳥かご”を解除する!出航の準備だ!事実なら海軍の監視船を沈めてローを奪い返す!」

 

「よせ……ローを追ってどうする……」

 

「ローをどうするかって?オペオペの実を食っちまったんなら……俺のために死ねるように教育しねえとな!」

 

コラソンの問いにドフラミンゴは冷たく答えるとローは背筋が凍った

 

「余計なことしやがってコラソン!なぜ俺の邪魔をした!?何故俺が実の家族を二度も殺さなきゃならねえんだ!?」

 

そう言ってドフラミンゴは銃口をコラソンに向ける。

 

「オマエに俺は撃てねえよ……父によく似てる……」

 

 

コラソンも立ち上がって銃口を向けながら

 

「ローは……お前に従わねえよ……3年後に死ぬって運命にアイツは勝ったんだ……!破壊の申し子の元へ迷い込んだ……あの日のローじゃねえ……もうほっといてやれ!あいつは……自由だ!」

 

「ふざけやがって……!」

 

ドフラミンゴが引き金を引こうとした時に

 

バァン!

 

「バイス!?」

 

オルビアを捕まえていたマッハ・バイスが何者かに狙撃される。

 

咄嗟に逃げたオルビアが見たのは

 

「……?あっ……!」

 

「あらら……これどういう状況?」

 

百鬼夜行海賊団と

 

「お母さん!」

 

「ロビン……!」

 

最愛の娘の姿だった。

 

 



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救い

赤のコートを風になびかせてドフラミンゴの前に立つリク

 

緊張が張り詰める中でドフラミンゴが

 

「……なぜここにいる……百鬼夜行海賊団総大将……シルバー・D・リク……これは身内の問題だ」

 

「いやな。俺はそこのロビンの母さんのオルビアさんを助けにきたわけでな。ついでといっちゃなんだがオペオペの実も奪いに来たわけだが……どうやらそっちも同じ狙いみたいだな。それで?オペオペの実はどこだ?」

 

「……ローってガキに食わせたんだとよ。コラソンが」

 

「そうか……」

 

それを聞いたリクはコラソンの元へ行くと

 

「おい。ローはどこだ?」

 

「はぁ……今頃……海軍に保護されているだろうよ……」

 

それを聞いたリクはドフラミンゴに聞こえないぐらいの小さな声で

 

『その宝箱にローが入っているだろう?』

 

「!?い、いや……!」

 

『奴には言わないし安心しろ……』「それに……ついでといっちゃあなんだが……守ってやる」

 

それを聞いたコラソンは目を見開いて驚きドフラミンゴは

 

「なぜ邪魔をする……!これは俺たちの問題だ……!」

 

「そういうわけにもいかないでしょ……おまえらにオペオペの実を渡すわけにいかないから……ここで仕留めさせてもらうわけだし……」

 

そう言ってリクは縮地で一気にドフラミンゴまで距離を詰めると抜刀した。

 

「ぐううっ……!」

 

咄嗟に後ろに飛び退いたドフラミンゴだったが手傷を負ってしまった。

 

「ハルキ。治療頼むわ」

 

「任せとけ総大将」

 

ハルキはエネエネの実の能力のエネルギー人間である。自分自身から光のエネルギーを放つことができるが他人に自身のエネルギーを分け与えることで治癒力を活性化させることもできる能力でもある。

 

そしてコラソンにエネルギーを与えて身体を再生させていると

 

「そいつは俺たちが殺すんだ!邪魔をするな!」

 

ドンキホーテファミリーのグラディウスにセニョール、ラオGがハルキの前に立ちふさがるが

 

「ウィーハッハ!暴れてもいいんだよな!」

 

「…………」

 

「リクの邪魔はさせない!」

 

一方のリクの前にはドフラミンゴに加えディアマンテ、ピーカ、トレーボルの三幹部が立ち塞がっていた。

 

「最高幹部が相手か……」

 

「卑怯とは言わせねえぜ?ドフィに手傷を負わせるほどのアンタが相手じゃあな」

 

再び剃と縮地を合わせた複合技でドフラミンゴに斬りかかるが

 

「蜘蛛の巣がき!」

 

ドフラミンゴは咄嗟に糸で防御したがそれも一瞬。すぐに防御壁は斬られて刀がドフラミンゴに襲い掛かるが

 

ドフラミンゴは後ろに逃げ、分身を作って相手させるが速すぎるリクを相手に出来ず瞬殺された。

 

「速すぎる……!」

 

「任せろ!陸軍旗(アーミーバンテラ)!」

 

最高幹部ディアマンテはヒラヒラの実の(フラッグ)人間であり、あらゆるものをはためく物質に変えることができる。

 

「どうだ!移動しづらいだろ!」

 

「…………」

 

リクは縮地の移動を止めた。地面が動いている状態での縮地の移動は体力を消耗するからだ。

 

「”半~~月~~”グレイブ!」

 

剣を上に掲げて一気に振り下ろし剣圧を放つディアマンテだったが

 

「覇道一文字!」

 

リクが抜刀して放った斬撃はディアマンテの斬撃を撃ち飛ばしてそのままディアマンテに直撃した。

 

「ディアマンテ!」

 

直撃したものの威力が軽減されていたせいか死にはしなかったがどう見ても戦闘不可能の状態だった。

 

「おのれ~!」

 

ピーカが自身の能力、イシイシの岩石を動かす能力を発動させて島の地面を動かしてリクを潰そうとしたが

 

「時雨一文字!」

 

リクが上下に交互に降り抜いた斬撃が岩を砕いた。

 

「なあっ!」

 

ディアマンテがいなくなったことから縮地が可能となったリクが一瞬で詰め寄るとピーカを斬り殺そうとしたが、

 

「ぐうっ!」

 

「…………」

 

横からドフラミンゴが割り込んできたため後ろに飛び退いた。

 

そして少し戻ってー

 

「ヌゥン!」

 

「ウィーハッハ!」

 

ラオGとバージェスが拳をぶつけるとその余波は雪を吹き散らした。

 

一見拮抗しているように見えたがー

 

「グぬぬ……!」

 

ラオGの手にはダメージが蓄積し、これ以上拳をぶつければ手が砕ける可能性があった。

 

「ウィーハッハ!そんなもんかあ!?ガレオンラリアット!」

 

「ぬおわっ……!」

 

そして島の彼方まで吹き飛ばされたラオG

 

一方オーガーとグラディウスは

 

「はあっ……「ドゥン!」はあっ……!」

 

一瞬で勝負がついた。

 

引き金を引こうとしたグラディウスの指より早くオーガーがその指を狙撃して撃ち落とした。

 

そして頭をぶちぬかれて絶命した。

 

「ウィーハッハ!ロビン!そっちは大丈夫か!?」

 

ロビンの方はセニョールがスイスイの実の遊泳人間であることから狙いが定まらないでいたが

 

千紫万紅・巨大樹(ミル・フルール・ヒガンデスコ・マーノ)……ストンプ!」

 

巨大な足を作り出して雪をまき散らすと、セニョールの姿を認識してスパンクで島の端まで吹き飛ばした。

 

モネはというと

 

「シュガー!」

 

「お姉ちゃん!」

 

「ああよかった!よかった!」

 

そう。オルビアに保護された女の子こそモネの妹シュガーだったのだ。

 

「ウィーハッハ!粗方終わったか!お?船長!」

 

「リク。ドフラミンゴは?」

 

「分身作って逃げやがった。それよりモネ。よかったな」

 

「ッ!ハイ!」

 

そして治療を終えたコラソンが

 

「はぁ……ありがとな……」

 

「まあいいけどよ。それで?これからどうするんだ?おまえら」

 

「はぁ……俺も仲間に加えてくれないか……もう海軍には戻れねえからな……」

 

「……わかった。いいよ」

 

「いいの?」

 

「せっかく助けたんだ。どこかで死なれても困る。それよりロー、大丈夫か?」

 

「あ、うん……ありがとな!」

 

「よし……戻るぞ!」

 

こうしてリク達はオルビアとシュガーを救出してコラソン……ロシナンテとローを新たな仲間に加えた。

 



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東の海へ

久しぶりになりましたァァァァ!!!


マリンフォード海軍本部。

 

世界最高峰の海兵たちが集うこの島の元帥室でアフロヘアーの元帥センゴクと老練さを感じさせる女中将おつるが向かい合って座っていた。

 

「ロシナンテと一緒にいた子は百鬼夜行海賊団と行動を共にしていたよ。きっと拾われたんだろうね」

 

「そうか……」

 

センゴクは机に組んだ手を置きはぁー……と息をはいた。

 

我が子とも思っていた海兵が海賊の元にいったのだ。心配になるだろう。だがそれでも落ち着いていたのは百鬼夜行海賊団が市民を脅かすような存在ではなかったからだ。

 

彼らは市民から略奪を行うモーガニアなどではなくどちらかというとピースメインに近い。それに彼らが海賊になった経歴はシルバー・D・リクによる奴隷解放によるものであったので世間からは海賊にならざるをえなかった者たちとされてむしろ彼らを庇う声もでているぐらいだ。

 

そんな彼らの元ならたとえ海賊になったとしてもロシナンテが苦しい思いをしなくてもいいと考えていたのだ。それに我が子とも思えた彼だからこそ自由に生きてほしいとも願っていたのだ。

 

「心配ないさ。海兵の私が言うのもなんだが彼らは……シルバー・D・リクは優しい……あの子をきっと仲間として受け入れてくれるさ」

 

「おつるさん、彼のことを知っているのか?」

 

「ドフラミンゴを取り逃がした後に乗り込んできてね。飄々とした雰囲気だったけどあの子の言葉には優しさと覚悟が感じられたよ。それとロシナンテからの伝言とアンタへのメッセージも受け取っているよ」

 

「……なんと?」

 

「ロシナンテからの伝言は『恩を仇で返すような真似をして申し訳ありません。センゴクさん。ですがあの子を……ローを……助けたかったんです……あの子はもう兄のようにはなりません。俺が海兵として最後に出来ることといえば……』この手紙を届けてくれ……だとさ」

 

「ロシナンテ……!」

 

「それとあの子からのメッセージは『おたくの優秀な海兵を奪ってしまい申し訳ない……ですが彼を責めないでやってください……後から聞いた話ですがローはフレバンス出身ですよね?心が壊れた者に出来ることは手を差し伸べるぐらいだ。簡単に見えてそうでもありません。とっても難しい事です。時には差し伸べた手を弾き返されることもあるでしょう。時には侮蔑の視線を向けられることもあるでしょう。時には向けようのない怒りにさらされることもあるでしょう。それでも彼を……ローを救おうとした彼は俺から見れば最高の海兵です。海賊の俺が言える資格なんてあるとは思えませんが、海兵に一番必要なのは力……確かに間違ってはいないでしょう。力がなければなにも守れないのですから。ですが手を差し伸べるという心がなければそれは海兵であっても、誰かにとってのヒーローじゃありません。そんな優秀な海兵を奪ってしまい深く……深く……お詫びを申し上げます……だからこそ彼を俺は責任をもって見させてもらいます』だとよ」

 

「…………そんな海賊も……いるものなのだな」

 

こうして今日もマリンフォードの日々は過ぎていく

 

 

・・・・

 

そして1年半後

 

話題の百鬼夜行海賊団は

 

『東の海に行くぅ!?』

 

「ああ、ロジャーさんの生まれ故郷だとよ。一度見てみてえ」

 

「全く……ウチの船長の気まぐれっつうのはどうも……」

 

「ウィーハッハ!いいじゃねえか!なんか面白そうなことが起きそうな気がするぜえ!?」

 

「ホホホ、確かに興味ありますね。ロジャーだけではなくあのガープをも輩出したという海。きっと未来の台風の目が潜んでいる可能性があるかと」

 

「だからといったって……」

 

「諦めましょうテゾーロ。船長の気まぐれは今に始まったことじゃないわ」

 

「ふふ……リクと一緒ならどこでもいいわ♪」

 

モネが妖艶な笑みを浮かべてソファにいるリクの隣に座って腕を絡ませると

 

「むー……!」

 

ロビンも対抗するように逆の隣に座る。

 

膝の上にはコアラ。後ろからはペローナが抱きつき重装備となったリクは

 

「なあ……どうしたらいい?」

 

とクルーに助けを求めるが

 

「……自分でなんとかしろ」

 

とあっさりと切り捨てられてしまった。

 

そんな中でも百鬼夜行海賊団は海を行く。

 

次に目指すは東の海



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次代の覇者たちの邂逅

遅れて申し訳ない……!!

それとお気に入りが1000を超えていました!これも皆さまのお陰です!

ありがとうございます!


リクたちがカームベルトを渡ってから1週間、百鬼夜行海賊団は目的地の東の海にいた。

 

「やっと着いたか」

 

「ウィーハッハ!随分とのどやかだなぁ!」

 

「センゴクさんが平和の海って呼ぶだけはあるな」

 

「どうかな?わかってるだろ。この先行くドーン島のゴア王国の闇……おまえも知らないわけじゃないだろ?」

 

「ああ……」

 

ニードルの言葉にロシナンテも苦い顔をする。

 

ゴア王国は東の海で最も綺麗な王国と呼ばれているがその実態は王族や貴族に不要なものを全て、不確かな駅(グレイ・ターミナル)と呼ばれる場所に追いやって隔離している表面上の美しさだけを取り繕っている国で無法地帯や病気が蔓延している場所も少なくない。

 

リクも顔には出さないものの内心では嫌悪感を露にしていた。

 

「まあリクも嫌そうなオーラを出すなよ。別にゴア王国に行くわけじゃないんしさ」

 

「……バレたか?」

 

「当たり前だ。何年コンビ組んでると思ってんだよ。なんなら俺たちでゴア王国を滅ぼしてやろうか?」

 

「冗談止めろ。クソ王族や貴族たちは殺るとしても一般市民を巻き込む気か?」

 

「それもそうだな。ん?お前まさか……」

 

「あ?殺るに決まってんだろ?まあといっても物理的じゃねえ。精神的に殺ってやるんだよ。そうだなあ……どこかの無人島に強制バカンスか、国王の食事に死ぬほど苦い薬物を混ぜてやるか、催眠術でジワジワと悪夢を見せてやるか……ん?なに皆引いてるんだ?」

 

リクが嫌がらせを口にしていると全員がドン引きしている。

 

「よくそんな嫌がらせ思いつくよなあ……」

 

「ホホホ、私でも引きましたよ?」

 

辛辣な言葉に少し落ち込むリク。本人がそれをできるだけあって猶更タチが悪い。

 

「まあやるかどうかは置いといてそろそろ見えるか?オーガー」

 

「ああ……あと少しでつく」

 

ドーン島のフーシャ村に話題No. 1の海賊団が降り立とうとしていた。

 

だが運命とはどこまでも波乱を待ち望むものでドーン島にもう一つの船が近づいていた。

 

・・・・

 

「シャンクスまた航海に連れて行ってくれなかったなー!」

 

フーシャ村の少年ルフィは酒場で愚痴を呟いていた。

 

「ふふ……ルフィがもっと大きくなったらきっと連れて行ってくれるわよ」

 

「俺は今すぐ行きてーんだよ!」

 

酒場の主人マキノは笑ってルフィの愚痴を聞いていた時

 

「おい!海賊が来たぞ!」

 

村人の一人が息を切らしながら酒場のスイングドアを開けてそう言う。

 

「シャンクスか!?」

 

「いや違う!この辺りで暴れまわっているブルージャムの部下だ!ルフィ!マキノさん!逃げろ!」

 

それだけ言うと男は村へ戻っていった

 

「ルフィ!すぐに逃げましょう!」

 

「えー!」

 

「相手はシャンクスさんたちとは違うのよ!殺されるかもしれないわ!」

 

「うっ……わかった……」

 

ルフィたちが酒場の外へ出ると隠れていたコルボ山から下りてきたブルージャム海賊団が暴れまわっていた。男たちも応戦するがやはりというか実戦経験は海賊の方が上のようだ。次々に傷ついて倒れていく

 

「魚屋のおっちゃん!おまえらぁああ!」

 

「ダメよルフィ!」

 

ルフィが突っ込んでいくが簡単に蹴り飛ばされてしまった。

 

蹴り飛ばされたルフィにマキノは駆け寄って抱えて逃げようとするが

 

「死ねえ!」

 

振り下ろされる剣を見て死を覚悟したが

 

シュバッ!

 

「が……!?」

 

剣は振り下ろされることなく男は胸に切り傷を受けて倒れた。

 

「あ……貴方は……?」

 

「誰だ……?おめえ……」

 

「……ただの通りすがりの海賊だよ」

 

・・・・

 

ー少し前

 

「あー!気持ちいい風だな~」

 

リクがデッキチェアにもたれていると

 

「船長、村が見えましたが……」

 

「……なんかあるってことか?」

 

「村人たちが海賊に襲われています。以上」

 

「ウィーハッハ!どうするんだ船長!?」

 

「う~ん……拠点となるところの人たちを殺されたら困るし……助けますか!」

 

そう言ってリクは月歩で一人で村に向かう

 

「相変わらずだな…船長は」

 

「ふふっ……!でもそんな優しいリクが好き♡」

 

「ホロホロホロ……そうだな」

 

オーガーは背中の翼で、モネもユキユキの能力で腕を翼に変えて飛び立つ。ペローナは自らの能力で浮かして島へと飛ぶ。

 

ハルキもエネルギーを推進力にして飛び立つ。

 

「俺たちも迅速に総大将の元へ向かうぞ!」

 

『おおー!』

 

一方島に着いたリクは認識をマキノとルフィ以外に見られないようにしていたが、

 

「……折角だ。海賊ごっこをしている奴らに格の違いを教えてやる」

 

能力を解除すると海賊たちはリクを視認でき、

 

「テッ、テメェか!仲間を殺ったのは!」

 

「ああ」

 

「ぶっ殺してやる!」

 

海賊の一人が大斧を持って振りかぶってきたが左手で掴んで受け止める

 

「なっ!?」

 

次の瞬間にリクが力を少しだけ込めると斧の刃の部分はバキリと壊れ、同時に目にも見えない回し蹴りを食らって男は村の外れまで吹き飛ばされた。

 

「さてと……さっさと終わらせるか」

 

彼が祢々切丸に手をかけたと瞬間

 

リク以外の者たちは彼が一瞬で移動したようにしか見えなかったが

 

「あ……れ……?」

 

海賊たちの首が次々とゆっくり落ちていった。

 

そしてリクは抜いてないはずの刀を鞘に納める

 

マキノは目を見開いていたが誰の仕業かすぐに気づいた。ルフィも驚いてはいたがリクの攻撃には気づかなかった

 

リクが近づくと一瞬ビクッとなるマキノだったが助けられたとわかっていたので変に警戒はしなかった。

 

「大丈夫か?」

 

「ええ……ありがとうございます……」

 

「そりゃよかった」

 

リクに手を取られ、立たされて赤くなるマキノ。

 

一方ルフィは

 

「おめえ誰だ?」

 

「まず名乗れ。それが礼儀だ」

 

リクにそう言われると

 

「モ、モンキー・D・ルフィ!海賊王になる男だ!」

 

リクは虚をつかれたような顔になったがすぐにニヤリと笑って

 

「そうか。俺はシルバー・D・リク。現役の海賊だ」

 

後に、世界の覇権を争うほどの大海賊になる二人が今、邂逅を果たした

 

 



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百鬼夜行海賊団と赤髪海賊団

シルバー・D・リクとモンキー・D・ルフィが初めての体面をしている時

 

フーシャ村の港にいる百鬼夜行海賊団のクルーたちは

 

「何の用だ?赤髪海賊団」

 

バージェスやニードルを隊長とする百鬼夜行海賊団の鬼部隊と呼ばれる者たちが、同じく港に停泊していた赤髪海賊団を睨みつけて、いつでも戦闘に入れる体制をしていた。

 

ちなみにこの部隊は幾つかの隊長たちにより編成されており、隊員のほとんどが元奴隷の海賊や傭兵、賞金稼ぎなどでも名の知れた奴らである。

 

赤髪海賊団も戦闘には入ってなかったが警戒は怠ってなかった。

 

「まさかあの百鬼夜行海賊団に覚えていてもらえるとはな……嬉しいぜ」

 

「はっ、元ロジャー海賊団の化け物が率いるお前らを知らねえはずがねえだろ」

 

赤髪海賊団の副船長、ベン・べックマンの陽気な言葉に、何を言ってるんだという風に返すニードル

 

「おやおや……知っていたのか。元賞金稼ぎにして情報屋のニードル。流石の情報網だな」

 

「ッ!赤髪のシャンクス……!!」

 

シャンクスが船から降り立つと、並の海賊とは格が違う威圧感をニードルたちは感じた。

 

あのバージェスも冷や汗を流していた。

 

そして何名かの戦闘員はその覇気に耐えられずに気を失う。

 

「失礼……少し威嚇させてもらった」

 

「これが少しの威圧かよ……ったく……」

 

悪態をつくニードルだったが難なく耐えてみせた彼にシャンクスは興味を示していた。

 

「それよりお前らはこの村に何の用だ?俺たちはここを拠点としているんだが……そういえば誰も居ないな」

 

「船長が突っ走っていったから追いかけてきたんだよ。それよりお前ら……いや違うか。あの赤髪海賊団が、何もしてない民間人を襲うとは思えねえ」

 

「……どういうことだ?」

 

「やっぱり違ったか。オーガーによれば今、ここの村人が海賊に襲われてるんだとさ」

 

「ッ!それは本当か!?」

 

顔色を変えたシャンクスがニードルの肩に掴みかかるが

 

「本当だ!だから船長が向かったんだよ!」

 

「クソっ!ルフィ!」

 

そしてニードルを放って村へ駆けだすシャンクス

 

「……なんだったんだ?」

 

「あー……船長が済まねえな。この村に船長が可愛がっている少年がいるんだよ。それで……」

 

「あー……大体わかったわ。とりあえず俺たちも向かうが……アンタらはどうする?」

 

「俺たちも船長を追う。ルフィも心配だしな」

 

「じゃ、お互いよろしく」

 

「ああ」

 

こうしてルフィを追って村へ向かったシャンクスと、それを追う赤髪海賊団に付き添う百鬼夜行海賊団がドーン島に足を踏み入れた。

 

・・・・

 

一方ルフィとリクは

 

「海賊!?シャンクスと同じなのか!?」

 

「ああ。うん?おまえ赤髪のシャンクスと知り合いなのか?」

 

「ああ!シャンクスは俺の憧れだ!」

 

「へ~……あの赤髪がね……」

 

とそこへ

 

「ルフィ!」

 

「あっ、シャンクス!」

 

「ほぅ……あの名高い赤髪がなぜ東の海に……」

 

「……百鬼将がここにいることの方が驚きだ」

 

リクとシャンクスはお互いを睨んでいた。その様子を見ていた村人たちや、先に村に来て人々の治療をしていたモネやハルキたちは息を飲んでいた。

 

「やるのか?」

 

「……そちらがやる気なら」

 

お互いに顔を見合わせていた次の瞬間

 

ドウッ!!

 

覇王色の覇気がぶつかり合い、大地が、天がピリピリと震える。モネたちも一瞬その威圧に飲まれそうになった。

 

 

「「……ブワッハッハッハ!!やるなお前!!」」

 

この状況を引き起こした当の本人たちは、先ほどまでの威圧感はどこへ行ったのか、肩を寄せ合って笑いあっている。

 

村人たちはポカーンとして、モネたちはハァ……と緊張がとけたせいか、それとも呆れているのか溜息を吐いた。

 

とそこに

 

「船長!」

 

「総大将!」

 

赤髪海賊団と百鬼夜行海賊団の船員たちが、船長を前にしてそれぞれ向かい合ったが

 

「待て待て、俺たちは別にやるつもりはねえ」

 

「そうだ。落ち着けお前ら」

 

リクとシャンクスが笑いながらそういうが

 

『『覇気を全力でぶっ放していた奴らが言うことか!!!』』

 

と船員たちに全力で非難された。

 

この後、二人はこっぴどく怒られたと後のルフィは語る

 

・・・・

 

フーシャ村のその日の夜

 

『『ハッハッハッハッハ!!』』

 

百鬼夜行海賊団と赤髪海賊団がマキノの酒場で飲みあっていた。

 

あの後、村人たちは助けられたこともあって、リク達を暖かく出迎えてくれた。

 

そしてリクとシャンクスは意気投合して友達のように飲みあっていた。

 

船長同士が仲良しになった両海賊団に争う理由はなく、外ではオーガーとヤソップが早撃ち対決をしたり、酒場ではラッキー・ルウとバージェスが大食い対決をしたりと、こうして笑いあって飲みあっている。

 

「おめえらリクの仲間なのか?俺はルフィ!海賊王になる男だ!」

 

「ホロホロホロ……随分とデカくでたな……アタシはペローナだ」

 

「ローだ。海賊医者見習いだ」

 

「ロビンよ。よろしく」

 

一方ルフィは年少組に混ざりあっていた

 

それを見たシャンクスは

 

「リク~!随分と若え奴らもいるようだが、おまえの子供か~?」

 

「違えよ……まだ未経験だ」

 

ニヤニヤしたシャンクスにイラっとしたのか不機嫌そうに答える。

 

「ていうかなんで東の海に来ることにしたんだ?」

 

「んん?ああ、ロジャーさんの生まれ故郷ってのもあるが、あの人が話していた子供にも会ってみたくてな」

 

その瞬間シャンクスは噴き出した

 

「うわ!汚え!」

 

「ゲホッ!ゲホッ!せ、船長に子供いたのか!?ていうかなんで知ってるんだ!?」

 

「あー……それはだな。一回インペルダウンに潜ったことあるからな」

 

ブブゥー!

 

今度は赤髪海賊団の船員たちが噴き出した。

 

「お、おまえインペルダウンに乗り込んだことあるのか!?」

 

「まあ、ロジャーさんに話を聞きたくてさ。一回だけ忍び込んだ」

 

あまりにも常識はずれなリクの言葉に、赤髪海賊団はポカーンとしていた

 

「まあ……総大将の奔放さは気にしない方がいいよ」

 

百鬼夜行海賊団の船員の一人がそう言うと、皆ウンウンと頷く

 

「はー……驚いたぜ……まあともかく」

 

「うん?」

 

「……ありがとな。ルフィを助けてくれて」

 

「……どういたしまして」

 

そして二人はジョッキをぶつけ合う

 



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孫バカスーパージジイ

遅くなって申し訳無いィィィ!!

これから更新していくので!!


東の海、ゴア王国の辺境にあるフーシャ村と王国に不必要なものを押し込んだ格差社会の象徴と言うべき不確かな駅(グレイ・ターミナル)の間にある山、コルボ山

 

不確かな駅のように不衛生な環境ではないが、一歩踏み入ればルスカイナにも劣らない猛獣たちがウヨウヨしている危険な環境

 

そんな環境にも関わらず鼻歌混じりに歩く男二人と彼等の従者たち数名

 

男二人……リクとシャンクスは友人のように話を弾ませていた

 

「んでガープの爺さんに預けたのか?船長は」

 

「ああ、俺も『なんで海軍に大事な息子を預けたんですか?』って聞いてみたんだけど、『アイツを信頼しているからだ!何度も殺しあったアイツのことは仲間と同じぐらいにわかっている!』って」

 

「ハハハ……まあ俺もガープなら安心できるけどよ……」

 

なぜ二人ともここにいるのか……それは数日前に遡る

 

 

 

航海から帰ってきた百鬼夜行海賊団は手に入れた物資を下ろしていると

 

「リクー!リクー!」

 

「あらら……ルフィ、何の用かしら?」

 

妖艶な笑みを浮かべてルフィに対応するモネ

 

和服姿ではなくラフなシャツが最近の彼女のお気に入りなのだ

 

「またリクに稽古つけてくれるように頼むんだ!」

 

最近ではルフィが航海に連れてってくれるように言うことはなくなった

 

なぜかというとシャンクスが困っているのを見たリクがペローナとローにルフィと模擬戦をするように命じた。

 

ルフィも勝てば連れてってくれるというリクの言葉にやる気を出したが結果……ペローナたちが本気を出すまでもなく秒殺された

 

その時リクがルフィに

 

『ルフィ、こいつらと戦って今の自分の弱さがわかっただろ?だが世界はこいつら以上に強いやつらが山のようにいる。そんな奴等でも命を落とすのは珍しくない。それが海という怖さだ。お前が連れてってほしいというなら……まず強くなれ。大事なものをどんな脅威からも守れるぐらいにな』

 

それからというものルフィはローやペローナに、時にはリクに特訓をつけてもらい腕を上げて勉強も嫌々であるが(モネやロビンの恐怖からか)真面目に取り組んでいる

 

そんなルフィを見てモネは弟が成長しているような嬉しさを感じていた

 

「リクはどこだ!?」

 

……年上に対しての言葉遣いは直ってないと思いながら……

 

「リクなら……いつものように一人散歩よ……」

 

船員たちに黙ってブラリといなくなるのがリクなのだ

 

もう慣れたかのようにモネがため息を吐いた時

 

ドゴォン!!!!と地響きのような轟音が鳴り響き、その直後になにかがコルボ山から飛んできた

 

「ッ~!!あのガキめ!!年寄相手なんじゃからもうちょい手加減してもよかろうに!!」

 

砂煙が晴れて現れたその人物にルフィを含めその場にいた百鬼夜行海賊団の面々は驚きを隠せなかった

 

『英雄ガープ!!?』

 

「じいちゃん!!?」

 

そう。彼こそがルフィに実祖父にしてかの海賊王と張り合った海軍の英雄、モンキー・D・ガープであった

 

「おっ!!ルフィ!!久しぶりじゃのぅ!!会いたかったぞ!!」

 

敵である自分たちの前でルフィに抱きつくガープを見て呆然としている百鬼夜行海賊団の船員たちであったが数分後、フーシャ村の奥から現れる海兵たちに警戒を強めるモネたち

 

「ガープ中将!!大丈夫ですか!!」

 

将校と思われし海兵がガープの元へ駆けよる

 

抱きつかれ苦しがるルフィとは対照的に警戒を止めないモネたちを見たガープはルフィを離すと

 

「おおう。そう警戒せんでもええぞ。なにも捕まえに来たわけじゃないからな」

 

普通なら信じ難い言葉だったが相手が腹芸ができそうにないガープだからというのもあって警戒を解いたモネは

 

「海軍の英雄が何をしに来たの……?」

 

「おう!お主等を王下七武海に勧誘しに来たのじゃ」

 

その言葉に百鬼夜行海賊団船員たちは驚きを隠せない

 

「なあ?王下七武海ってなんだ?」

 

今一理解できていないルフィがモネに聞くと

 

「王下七武海ってのは政府が略奪や犯罪行為を認めた海賊のことよ。その代わり政府の緊急時の招集には応じたりしなければいけないし、略奪した金品などを政府に納めないといけないけれどね」

 

「まあその通りじゃの!!じゃから来た!!」

 

ガープが笑い飛ばすがモネたちは思った。なぜこうも交渉に不向きな人材を寄越したのか。海軍の行動が理解できなかったが次に誰かが発した言葉を聞くと

 

「ったく……それは建前で本当は可愛い可愛い孫たちに会いに来たかだろ!!え!!」

 

「ゲゲッ!!?なぜバレた!!?って……リク!!お主よくも!!」

 

驚くほど理解できると同時に

 

「「「アホか、己は!!」」」

 

と盛大なツッコミを入れた。流石に海兵たちもこればっかりは庇えなかった

 

「っていうかリク……どこ行ってたの……?」

 

モネに問い詰められたリクの心境はというと

 

(ヤベェ……笑ってるのに目に光がねえ……!!)

 

恐怖という黒一色だった

 

「い、いやな……俺はちょっとコルボ山で鍛錬を「ウソ言わないでください。そのジジイと楽しそうにタイマン張ってたじゃないですか」グレース!!」

 

黒いゴシックロリータ風なドレスを着ている銀髪の美少女が主の思惑に背いて真実を暴露した

 

まあ彼女の言う通り、フーシャ村の別の港に船を泊めていたガープだったがコルボ山にいるロジャーの息子に会いに行こうとしていた。最早建前など理由にならないぐらいの自由奔放ぶりである。そしてその道中コルボ山をブラリ散歩していたリクと出くわした結果、数時間に及ぶ死闘へと発展した。(ちなみにリクがガープがここに来た理由を知ったのはこの時の戦闘で本音がダダ洩れだったからである)

 

一体どうしたらそうなるのかここにいる全員が思った。真実を知る二人は

 

(書類仕事のイライラをぶつけたかったからなんて言えないわい……)

 

(ヤベェ……シャンクスとの賭けに負けたイライラをぶつけたかったからなんて言えねえ……)

 

二人ともこれほどまでもないぐらいくだらない理由である

 

そして二人とも

 

((どうかバレませんように……!!))

 

と祈るのであったがガープはともかくこの場に誰がいるのかをリクは忘れいた

 

そして案の定グレースによって心の中を覗かれて全員に理由を暴露された

 

彼女が食した悪魔の実はカミカミの実”モデル死神”

 

その能力は周囲の生物のエネルギーを奪ったり、特殊な武具を召喚したり、黒い羽根で空を飛んだり、様々な能力を持つが見つめた相手を金縛りに出来るほかその人物の心の中を読み取ることもできるのだ

 

それを知らなかったガープ、及び忘れていたリクは彼女に見られないようにするべきだったが何もかもが遅すぎた

 

その結果……

 

『ガープ中将……』

 

「は、はい……」

 

何をやってるんですか?

 

と部下であるはずの将校たちから説教されることとなった

 

勿論リクも

 

「リク……」

 

……ニコッ

 

「は、はひ」

 

「……正座」

 

モネによって正座させられ数時間に及ぶ説教を受けることとなった

 

この時の様子を見たルフィは後に語る。

 

……百鬼夜行海賊団最強はモネだと……

 

・・・・

 

と建前とはいえ政府からの七武海勧誘の使者であるガープからの内容を聞いたリクは

 

「……なぜ俺たちに話が来る?そちらさんの上層部を何度も殺している男だぞ?」

 

そう。リクはなぜ世界政府の上層部である天竜人を何度も手にかけた自分たちに話が来るのかを聞くと

 

「勿論あのクズどもは反対してたわい。じゃが、お主等に好きに動かれると海軍にとっても都合が悪いのも事実……それにお主等ほど世間から支持を得ている海賊もおらん」

 

確かに政府公認とはいえ海賊。そうそう世間に認められるわけがない。ただ強いだけの海賊を七武海にしても政府にとって害に成りうる。

 

天竜人を手にかけたとはいえ世間から支持を得ている上、後に四皇に匹敵するといわれるまでになる潜在力を秘めた百鬼夜行海賊団はこれほどまでにないぐらいピッタリな人材だった。

 

それよりモネたちは上層部である天竜人をクズと呼びつけたガープに絶句していた

 

唯一驚かなかったリクは

 

(やっぱりロジャーさんの言ってた通りの人だな)

 

とガープの正義をを内心で評価していた

 

「それでどうするんじゃ?反対派もいるが……ワシとしては受けてもらいたい」

 

「……正直なところすぐには決められない……一ヶ月ほど待ってくれないか?」

 

「ふむ……確かにすぐに決めるのは難しいじゃろうな。……わかった」

 

「ガープ中将よろしいのですか!?」

 

「構わん。こちらから束縛されるような位置につけたいうのじゃ。それなりに考える時間も必要じゃろう」

 

ガープたちは船室から出ると

 

「おっ……お前はロシナンテ……」

 

「ガープさん……」

 

二人の間に沈黙が流れるが

 

「……お前になにがあったかはワシは知らんが……お前は自分が信じる正義を貫いたと思っとる」

 

「……!!」

 

ガープが去った後、一つの船室からは誰かの鳴き声が聞こえた……

 

・・・・

 

と長くなったがなぜ二人がコルボ山にいるのかというのは……

 

ー昨日の夜

 

家屋の屋根に座っているガープのところに

 

「なあガープさん……」

 

「……なんじゃ」

 

リクがやってくると聞きたかったことを口にする

 

「アンタが会いに来たのって……ルフィだけじゃなくてロジャーさんから任された息子もいるんじゃないのか?」

 

「!!?」

 

「……図星のようだな」

 

しばらく沈黙が流れるが

 

「……はぁ~……そうじゃ。じゃがエースにロジャーの話はするな。あいつは……ロジャーを死ぬほど嫌っとる」

 

「…………」

 

ガープの言葉を聞いてどこか納得したリク

 

この大海賊時代を切り開いて海賊という恐怖を広げたのは間違いなく彼だ

 

当然世間からも恐れられるだろう

 

だが子供にまで罪はあるかと言われれば別だろう

 

そして誰も知らなかったとはいえ世間からの冷たい罵倒を受けたのだ。

 

父を恨まないはずもない

 

しかし……

 

「……そいつに……エースにロジャーさんの話はしたのか?世間からの風評を聞かせてばかりではロジャーさんからの息子への愛情は伝わらないぞ?」

 

リクはあのインペルダウンの中でロジャーの本質を見た。暴れされば凶暴。だが仲間を想う気持ちは誰よりも強く、人を本質で視れる男だということ

 

だからこそ敵であるガープに息子を預けたのだと……

 

「そうじゃが……」

 

リクの言葉に納得できるところがあるのか考え込んでいるガープ

 

「……例えアンタが止めようが……俺は伝えなきゃならないことがある。だからここまで来た」

 

リクから言われてエースについての対応を考えていたガープだったがふと何かに気づく

 

「ん?それよりも小僧。どうやってロジャーからその話を聞いたんじゃ?」

 

どこか抜けているリク

 

案の定白状させられると

 

「……今回は見逃しといてやるわい」

 

「すみません……あっ、口止め料といっちゃなんですが……」

 

「……煎餅か」

 

「……要りませんか?」

 

「……貰っとく」

 

月夜の下では二つのバリバリとした音が響いたそうな




キャラクタープロフィール

グレース

元は傭兵の頃に戦場で出会った国王である恋人への愛を信じていた王妃だったが彼の浮気現場に出くわしてしまい、国王を殺した結果奴隷に身を落とし、愛というものを信じられなくなっていた。奴隷時代にリクと出会って、話しているうちに人への愛を取り戻すと同時に彼への恋心が芽生えた。奴隷から解放され、告白しようとしたがモネやロビンが同じ気持ちを抱いているのを知って、積極的にスキンシップする彼女たちとは対照的に彼から振り向いてもらえるように必死に自分を鍛えることを決意。そんな経緯で4年間の修行が終わるまでリクに会いたい気持ちを必死に抑えた

現在の懸賞金 なし 原作開始時 8億ベリー

現在15歳 原作開始時27歳 2年後29歳

原作開始時の異名 サタン

カミカミの実幻獣種”モデル死神”の能力者

能力 イメージモデルである水銀燈とほぼ同じ能力

使用武器は召喚した武器(主に使っているのは鎌)

北の海出身

イメージモデル 前述に書いてある通りローゼンメイデンの水銀燈

趣味

・鍛錬
・好きな人にメイドで奉仕すること

好きなもの

・リク
・歌を歌うこと

嫌いなもの

・元恋人
・天竜人


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閑話 番外編
節分記念!百鬼夜行の鬼退治!①


どうしても節分の話が書きたくて……!未来の話をちょおっと書いちゃいます!

この世界の節分は和の国の伝統行事とさせていただきます

ちなみに番外編とありますが今回の番外編は本編の未来になります。多分……




いつも気ままな旅を楽しむ彼等……百鬼夜行海賊団だったがある無人島に停泊している

 

停泊している船は艦隊と呼べるほどの数であった

 

その中で一番大きな船でデッキチェアにもたれている男が持っていた新聞のある記事に目を通す

 

「来たか……ルフィ」

 

記事の写真に写っていたのは麦わら帽子を被った彼が昔出会った頃と変わらない覇気を纏った青年

 

その様子を見ていた船員たちは

 

「ウィーハッハ!!船長は随分とご機嫌だな!!」

 

「ホホホ、穴が開くというほどご覧になっていますね」

 

「でも貴方たちも満更じゃないでしょ?」

 

「それは……そうだな。あの時の出会いも巡り合わせだったのだからな」

 

「ホロホロホロ……あれから随分経ったな……元気でなによりだ」

 

「麦わら屋か……懐かしいな……」

 

昔を振り返って、様々なことを口にするも彼に対する気持ちは皆同じ

 

(元気そうで何よりだ……ルフィ/麦わら屋)

 

ちなみにその記事に書いてある文面は麦わらのルフィがバラティエで海賊艦隊ドン・クリークを討ち取り2000万ベリーの懸賞金が首についたというものだった。現場にいた海兵による証言から彼の危険性が示唆された結果だった

 

続く文面ではローグタウンで道化のバギー、金棒のアルビダや海軍本部大佐スモーカーと抗争を繰り広げながらも雷に助けられ、嵐のおかげで脱出できたという天が彼を生かしたというファンタスティックな表現で書かれていた

 

満足したのか男……リクは新聞をゴミ箱に捨てると

 

「さあ!冒険の再開だ!出航するぞ!!」

 

『オオー!!!』

 

船長の合図で彼らは再び海へ出る

 

これは歴史には決して語り継がれることがなかった物語である

 

・・・・

 

彼の国の海は常に悪天候、波は荒れ、潮が渦巻くとされた外界と閉ざされた新世界の辺境

 

国の奥には延々と煙が排出される工場によって土は汚染され、水は毒された緑無き大地

 

その国にはこんな言葉がある

 

ー堕ちた者は這い上がるべからず

 

ー絶対的支配者の前では逆らうべからず

 

ー生き残るには従うか、逃げ続けるか

 

自由という言葉などないような国であった

 

彼の国から出るということはタブーでもあった

 

正に鎖国国家

 

過去にそれを実行した男は嵌められ、その名は地に落ちた

 

弾圧された者にとっては藁にも縋るような希望の名ではあるが……

 

そんな弱肉強食の国から飛び出した一人の少女によって運命が変わっていく

 

・・・・

 

リク達が新世界でも比較的穏やかな海域を航海していると

 

「あ?」

 

「あれはなんだ?」

 

見張りをしていたオーガーとリクが何かの接近に気づく

 

と空から落ちてきた正体を見て慌てて受け止める

 

「どうしたのですか?船長」

 

「なんでか知らないが……子供が落ちてきた。ロー!」

 

「なんだ、船長」

 

「この子を診てやってくれ」

 

「どれどれ……これは栄養失調だ。とりあえず俺に任せてくれ」

 

リクは空から落ちてきた子供がボロボロだったためローに預けて診てもらうことにした

 

翌日……

 

「船長、あの子が目を覚ました」

 

リクはローの知らせを聞いて船位室へ向かった

 

ノックをして軽い返事があったので中に入る

 

「あ、あの……ありがとうでやんす」

 

「おう、お前もしかして和の国の生まれか?」

 

「え!?あ、はい……」

 

少女はなぜわかったのかという顔だったが、和の国特有の着物と特徴的な口調だったのですぐにわかった

 

ふとここで疑問が生まれる。和の国は鎖国国家だったはずだ。外界と接触が禁止された独立された国

 

そんな国から一人で海に出たとなると訳アリだと見たリクは

 

「なあお前……って呼ぶのは失礼か。名前教えてくれないか?俺はリク。シルバー・D・リクだ」

 

「た、お玉でやんす!」

 

「なあ、玉はなんで海にいたんだ?」

 

「実は……」

 

お玉の話はこうだ

 

2年前、和の国の九里にある村、編笠村は多くの村民が飢餓状態だったが遭難した海賊を縛り上げて彼らの食料を食い生き長らえた。

 

完食の後、いとも簡単に拘束を解いた海賊を見た村民は復讐されるかと思っていたがその海賊の船長は言った。

 

『どこに行けばデザートが手に入る?』

 

あっけにとられた村民

 

遭難した海賊に救われた村民は彼らを受け入れた

 

その中の船長にお玉は特に懐いた

 

海賊が出航する時、お玉も連れていってもらえるように頼むと彼は約束した

 

『今度来た時、妖艶なくノ一にでもなっていたら連れてってやるよ!』

 

 

その後も村で過ごしていた玉だったが海岸に流れ着いた遭難船から彼の活躍した新聞を手に入れると居ても立っても居られなくなり自身の能力を使って和の国から出た

 

「……とこんなところか?」

 

「は、はい!!」

 

色々と気になるところがあったが

 

「なあお玉、その船長……もしかしてエースって名前じゃないだろうな?」

 

「え……!!?そうでやんすが……なんでわかったでやんすか!!?」

 

リクは過去に彼から聞いた覚えがあったのだ

 

『なあ、リク!和の国で面白そうな奴に会ったんだよ!』

 

1年前、自分に会いにきたエースとリクは宴を開いていた時のことであった

 

ちなみにこの時、エースは和の国の内情をリクに話さなかった。

 

話せばきっと友達想いのリクは協力してくれるだろう

 

でもそれは家族のような繋がりを持っていたからって正式な家族ではない彼を巻き込みたくなかったからだ

 

『俺たちは強くなって、アイツが来た時に誇れるような海賊になるんだ!』

 

この時リクはわかってしまった

 

エースが和の国を変えるために強くなろうとしていたことを

 

そして自分たちを巻き込まないように言わなかったことを

 

リクもエースの気持ちがわからないわけではないが……

 

「……どうして言ってくれなかったんだよ……親友じゃねえか……」

 

「え!?リクとエースって友達だったでやんすか!!?」

 

「……ああ、そうだ。今でも俺の大事な親友だ」

 

彼のビブルカードを手に取ってそう返す

 

「なあお玉、お前はエースと海に出たいんだよな?」

 

「は、はい!!」

 

「でもだったら……今、海に出るってのはエースとの約束を破っているんじゃないのか?」

 

「え……?」

 

「俺は知ってる。あいつが約束を破るような男じゃないと。そのために今でも強くなろうとしていることも。でもお前が約束を破ったらアイツの気持ちはどうなる?」

 

「そ、そんな……」

 

「お前の気持ちもわからなくはない。でも友達との約束は友情の証のようなものだ。お前はエースのことが好きじゃないのか?」

 

「そ!そんなことないでやんす!アタシは優しいエースと……」

 

「だったらお前がすべきことは?」

 

「……エースを待つことでやんすか」

 

「そうだ。お前との約束を果たそうとエースは今でも強くなろうとしている」

 

「わかったでやんす……リク!」

 

「うん?」

 

「ありがとうでやんす!!」

 

「……そうか」

 

船位室から出たリクは

 

「ということだ。和の国に行くぞ」

 

「ウィーハッハ!!面白そうじゃねえか!!」

 

「ホホホ、カイドウとひと悶着ありそうな予感がしますね」

 

「ま、仕方ないか」

 

「フフフ……」

 

「わかった!」

 

「よし……行くぞ!!」

 

彼等が次に目指すは和の国編笠村

 

・・・・

 

和の国を目指して数日後

 

すっかり皆の中に馴染んだお玉

 

「そういえばお玉ってどうやって和の国から脱出したんだ?」

 

「ああ!それはでやんすね……」

 

とお玉が言いかけた時

 

『Gyaaaaaaaaaaa!!!』

 

海から海王類が姿を見せると戦闘態勢に入る船員たちだが

 

「ちょうどいいでやんす!見てるでやんすよ!」

 

『??』

 

お玉が自分の頬っぺたをつまむように指で挟むと

 

「キーびだーんご!」

 

『ええ!!?』

 

つまんだ頬っぺがきびだんごになり

 

「えい!」

 

放り投げたそれを海王類は口にすると

 

『Kuuuuu……』

 

『えーっ!!?懐いた!!?』

 

船員たちは驚いたが

 

「悪魔の実の能力者か」

 

リクはこれが悪魔の実の能力だと理解した

 

「ああ、そうか!それで鳥を従えていたんだな!」

 

「そうでやんす!でも、途中で効果が切れて……」

 

「なるほど……ていうか備えもなしに海に出るなよ……」

 

「うっ……面目ないでやんす……」

 

そうこうしてるうちに和の国近海に辿り着いた

 

「すごい潮の流れだな……」

 

「舵を取れ!」

 

転覆しないように舵を取るが潮の流れはどんどん速まる

 

「バトルシップだ!」

 

帆を閉じてバトルシップに変え、なんとか耐えていた時

 

「っておい、リク!」

 

「なんだなんだ!!?って、鯉!!?」

 

淡水魚であるはずの鯉が潮の中を泳いでいる光景だったがそんな余裕はなかった

 

そのまま流れ流れていくと

 

「おい……まさか……」

 

「どうやらそのようだな……」

 

彼等の視界に入ったのは

 

「鯉が滝を登ってるぅぅ!!?」

 

「ウィーハッハ!!まさかあの鯉を捕まえて滝を登るってんじゃねえだろうな!!」

 

「バージェス……その通りだ!!」

 

「やっぱり~~!!?」

 

リクが綱を鯉たちに引っ掛けると船もそのまま滝を登っていく

 

「滝を登れ~!!」

 

『ウオオオオ!!』

 

そのまま滝を登った先に待ち構えていたのは

 

『渦潮~!!?』

 

「ペローナ!」

 

「少ししか持たないぞ!!」

 

ペローナが能力を発動し何十ものホロウが船に乗り移ると、船が浮かび和の国に向かって飛んでいく

 

数分後に見えたのは

 

「あっ!九里でやんす!」

 

「よくやった!!」

 

「はぁ……限界……!」

 

そのまま船がお玉が案内した隠れ岬まで移動されて下ろされた

 

今こうして、百鬼の群れが百の獣を従える鬼の巣窟に辿り着いた

 

 

 

 

 

 




本作の活動報告を書いておきますので希望があればコメント待っています


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