グリーングリーンNEO (凍結) (灰崎 快人)
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山奥でどっきどき『前編』

ある日のこと、三人の男子が校舎の鐘が設置されている所に昇り双眼鏡片手に山道を眺めていた。

「あー・・・遅いっしょ・・・」

「まーだこない・・・」

「んー・・・でゴワス。」

「来ないよまだ・・・」

そんな三人を叱る声が聞こえ梯子のかけてある所に目を下ろす。

「何だ祐介か、サボっちゃ駄目っしょ!」

「それはこっちの台詞だ、何やってんだよ。」

三人を叱った男子の名前は高崎 祐介(たかさき ゆうすけ)、鐘の音学園生の一人であり常識人。基本的な体格であり四人の中では普通である。(原作での主人公である)

「これからおいどんの妹となる一年生が沢山くるでゴワス、待ちきれぬでゴワス。」

「そう、この俺に恋のいろはを教えてもらう女共がな!」

「そうそう、豊満な胸の女子とかぱわぱわな胸の女子とかプリンプルンの胸の女子とかどんな胸の女子が来るか気になるっしょ!」

左から一番星 光(いちばんぼし ひかる)伊集院 忠知(いじゅういん ただとも)天神 泰三 (てんじん たいぞう)である。

 

一番星 光、通称一番星。外見からすればハンサムであり毎日雑誌を読んでいるイケメンである。しかし性格に難があり、毎日読んでいる雑誌は通販で購入した「男のヘアー最強」「これでおしゃれ度アップモテモテに」「未知のパワー!?幸運を呼ぶアクセサリー」などを呼んでいる。相当女の子にもてたい様子である。

 

伊集院 忠知、通称バッチグー。由来としては入学当時から「バッチグーっしょ!」と連発していたことからあだ名が定着した、"エックス"と書かれたTシャツを愛用している。はっきり言って三人の中でもっとも背が小さく太っている。

 

天神 泰三、通称泰三。三人の中で一番体格がごつく、一番背が高い。妙な鹿児島弁を操る九州男児で語尾に「ゴワス」がつく。頭が悪く極度のロリコンである。

 

「あぁそう、それでさ歓迎会の準備手伝って欲しいんだけど・・・」

そう言うと三人は屋根の上に降りてきてこういってきた。

「いいか?男と女ってのはさぁ、第一印象で決まるもんなんだよ。これから一ヶ月間、女子の皆さんに気持ち良ーく過ごして貰うためにも。歓迎会はビシッと決めてもらいたいわけよ!ビシッッッと!」

 

 

 

 

 

「お前に!」

「何で俺だけなんだよ!」

「考えてみるっしょ祐介!こんな海でもないのにイカ臭い男子校に、もうすぐ女の子がドカーン!っとあふれかえるっしょ!」

そう言った次の瞬間、バッチグーは右手を広げて見せてきた。

「なっ!何だその手は!?凄いたこが出来てる!」

「この男子校に来て唯一この手が救いだったっしょ。一秒間に二十六回の速さまでマスターしたっしょ・・・これはある意味高橋名人以上っしょ!でもこの苦労ももう終わるっしょ、今日からは違うっしょ、それこそ!寄せて上げてあふれかえる胸のようにお前が俺たちの為に盛り上げなくどうするっしょ!」

「・・・だから何で俺なんだよ?」

「正直になるっしょ!正直に!」

そういうと三馬鹿はきれいに横一列に並んだ

「なっ・・・何?」

「祐介だって・・・」

「あ~んな事とか。」

「そ~んな事とか。」

「こ~んな事とか。」

「「「したいだろ!」っしょ」でゴワス」

「あっ・・・ハハッ、そりゃあまぁ・・・・」

テレながらも本意はしっかりと言う祐介。

「したいんならしょうがないっしょ。」

「我が鐘の音学園で一番責任感のある男が歓迎会実行委員長を勤めるのは当然~」

「俺たちはお前の手足となって女を見張るっしょ。祐介良い人っしょ!」

「祐介どん良い人でゴワス~」

「よっ!良い人~」

「はぁ・・・そういえば咲夜は何処にいったか知ってるか?」

「さぁ?またいつも通りバス停から学園までランニングしてるんじゃないか?」

「そうか、わかったよ。」

そういうと祐介は梯子を降りていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ブゥゥゥゥゥゥン

 

一台のバスが山道を登っている、バスの中ではわいわいと仲良くお喋りをしている女の子達の姿が映っていた。すると前席で座っていた女子教員が立ち上がった、女子生徒たちは皆女性教員に注目する。

「もうまもなく鐘の音学園に到着です、皆さん~心の準備はよろしいですか~?」

「「「は~い」」」

皆心の準備は出来ているようだ、するとある生徒が・・・

「質問~!」

「はい春乃さん。」

「あの!何で男子校と女子校が統合されるんでしょうか?」

「うん、元々男子校の鐘の音学園と内の女子校も来年度から男女共学を検討してたのよ。それで統合と言う話になったんだけど・・・とにかくあっちは女子との、こっちは男子との付き合いが全然無かったから、試験的に今日から一ヶ月鐘の音学園との共同生活をして検討することになったわけ。」

「だったら向こうがこっちに来ればいいのに・・・」

ロングで紫色の髪の女の子がそうつぶやいた。

「たまには自然にあふれた環境も楽しいでしょ?」

そういわれると女の子はつまんなそうに窓の景色を眺めていた。

「まぁ、あんまり難しく考えないで楽しい一ヶ月を過ごしましょう。私たちは来年度からの生徒たちの為のモデルケースなんだから。」

「て言うかアダムとイブですね!」

全然違います。

「ねえねえ、双葉ちゃんはどう思う?」

「・・・」

「ねえ~双葉ちゃん聞こえてる?」

「・・・」

「お姉さま?」

「なに?」

「どんなところかしらね鐘の音学園」

「もうすぐわかるわよ。」

それはそうでしょう、つい先ほど教員が話したのだから。

「鐘の音学園なんてロマンチックな名前なんだもの、きっと儚げな美少年たちがいるにきまってるわ~」

妄想を語りだしたので全てカットさせていただきました。

「どんな出会いが待っているか楽しみだわ~」

メガネっ子が話している間も双葉と言う子はつまんなそうに風景を眺めていた・・・すると男の子が走っているのが見えてきた。

「一人で走ってる人が居る・・・鐘の音学園の生徒かな?若葉、あそこに居る男子見える?」

「誰も居ませんけど・・・何処ですか?」

「何処って・・・すぐそこに・・・」

彼の姿を見れたのは彼女一人だけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

祐介たち(三馬鹿を除く)が歓迎会の準備を行われている、数個のテーブルを並べテーブルクロスを敷くもの、歓迎のために料理を作るもの、飲み物などを用意するものなど役割分担しながら準備をしていると・・・

来たっしょ!

来たぁ!

来たでゴワス!

 

「「「女の子様ご一行様ご到着!」っしょ!」でゴワス!

 

ウオォォォォォォ!!!

一斉に正門に走っていく、準備もまだ終わっていない中一斉に走り出した。

「あぁ、ちょっと準備がまだ・・・・!」

そう叱ろうとしていた時、三馬鹿が屋根からグラウンドに下りきたせいで下敷きにされてしまった。

「ぐぁ・・・・」

正門からバスが入ってくる、男子は女子との女子は男子との初対面である。男子はニヤニヤ、女子は不安そうな顔をしている。あるものは嫌そうに、あるものは怖そうにしている。勿論男子は祐介を除く全ての男子がニヤニヤしている。

「どうどう?儚げな美少・・・・年はどこよ・・・」

「なんかぶさい・・・」

数人の女子が顔を縦に振った。

 

 

 

「あれ?祐介は何処っしょ?」

「うぇ・・・?」

「あそこに居たっしょ!」

そういうとバッチグーたちは祐介をバスの前まで引きずっていた。

「よろしく歓迎委員長!」

「まずはばしっとご挨拶でゴワス。」

バスの入り口前に放り出される。

「だからなんで皆俺に面倒なことばっかり俺に押し付けるかな・・・」

バスのドアが開き女性教員が降りてきた。

飯野 千種(いいの ちぐさ)です、これから一ヶ月間よろしくお願いしますね。」

「鐘の音学園代表の高崎 祐介です、こちらこそ一ヶ月間よろしくお願いします。我々皆様がいらっしゃるのを心待ちにしておりました、つきましては歓迎会を開きたいと思っていますのでよろしかったらどうぞ・・・」

緊張もあるため変なことを言っていないか不安になるが飯野さんの反応を見る限り大丈夫そうだ。

「ありがとう、それじゃあ皆さんバスから降りてください。」

「「「はーい・・・」」」

嫌そうに聞こえるのは気のせいだろうか、いや気のせいであってくれ。

「それでは飯野先生を職員室にお送りいたしますのでどうぞ着いてきてください。」

飯野先生を轟先生の元に送ろう、その間に男子と女子で仲良く歓迎会をしてもらえればいいかな。あとはいつ咲夜が戻ってくるかが問題だけどな・・・

「それじゃあバッチグー達、あとはよろしく。」

「わかったっしょ!」

「任せとけでゴワス!」

よし、後はあいつらに任せた。しっかりとしてくれたらいいんだけど・・・

 




グリーングリーンの二次創作って誰も作ってないなと思ったので作ってみました。


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山奥でどっきどき『後編』

祐介が飯野先生を職員室に送っている間にバッチグー、一番星、泰三の三人は目当ての女子を探すべく歓迎会を見回っていた。

「よーし!力いっぱい女の!」

「力いっぱい胸の!」

「力いっぱい妹の!」

「「「海に飛び込むぞぉぉぉぉ!!!」っしょ!!!」でゴワス!!!」

そんな三馬鹿が楽しそうに女子のグループに突っ込んでいった。さてここで女子生徒たちの様子を見ていこう。まずは不機嫌そうに椅子に座っている朽木 双葉(くちき ふたば)とその隣で両手でサボテンを持っているのは妹である朽木 若葉(くちき わかば)である。

 

朽木 双葉の学年は祐介と同じ二年でありあの三馬鹿とも同じ二年である。はっきり言って気の毒ではあるが五人と同じ教室になる。

 

朽木 若葉は双葉の妹のため当然学年は一つしたの一年である・・・泰三に教われないか不安である。

「若葉、ジュース持ってきて。」

「はい。」

二つ返事をして若葉は一旦その場を去って飲み物を取りに行った。・・・まるで舎弟のような扱いである。若葉が飲み物の置いてあるテーブルの近くによると、黒髪ロングの小さな女の子が若葉の近くにやってきた。

「若葉ちゃん。」

「あ~早苗ちゃん、お薬の時間?」

「はい。」

「さっきはびっくりしちゃったね。」

「男子たちのこと?」

そう言いながら早苗と呼ばれた子はコップに水を入れていく。

「そう。ねぇ大丈夫?疲れてない?」

そう言って若葉もコップにオレンジジュースを入れていく。

「大丈夫、ありがとう。空気凄く澄んでるし来て良かったかも。」

自然に目を向けながら早苗はそう言い薬を飲んだ。

 

美南 早苗(みなみ さなえ)、若葉と同じ一年であり若葉より背が低い。無口で病弱

のためいつも常備薬入りのケースを持ち歩いている。・・・この子もまた泰三に教われないか不安である。

「うん、そうだね・・・それじゃあ私お姉さまに飲み物届けてくるね。」

そう言って早苗の元から離れていった。

 

 

 

 

「はいお姉さま。」

先ほど入れてきたオレンジジュースを双葉に渡す。

「はぁ・・・全く人騒がせな奴らよね、ここの男子どもは。」

「そうですね・・・」

 

 

 

 

 

プオォーーン

 

 

 

校舎に設置されているスピーカーから高音が発せられる。その音に女子も男子も注目する。すると・・・・

「え~あ~注目~!え~歓迎実行委員長が現在飯野先生を職員室に送って居ないため!こ↑こ↓は一つ学生会長であるこの俺に任せてもらうべ!」

そう言い切った瞬間何人かの女子の目が涙目になり、既に泣いている女子の姿もしばし窺える。

「あぁん?」

異変に気づいたとしてももう遅い、既に泣いている女子の中には早苗の姿も確認できた。すると若葉が・・・

「トゲ村さん、あの人顔が怖いですね。」

真正面から正直な言葉を言える辺り流石である。

「あぁ~おなごが皆泣いちゃったでゴワス。」

「う~ん、さすが恐るべし。」

「鐘の音学園最強生物その名は総長・・・」

 

黙っているのは総長こと堀田 健一 (ほった けんいち)、鐘ノ音学園の現総長であり。学園の校則もある程度変えられるほどの力を持つ。(理不尽な事が多い)髪型は微妙なリーゼントで、これを侮辱されると非常に怒る。(誰かさんには怒れない)こんな見た目だが実は勉強も良くできる。

「泣くこたねーべぇ!」

総長がそう言うと涙目になっていた女子すら悲鳴を上げるてしまった。

 

 

 

 

 

さてここで場面を変えてみよう。祐介が飯野先生を職員室に送り、歓迎会に戻ろうとしていた時だった・・・

「祐介君!」

後ろから祐介を呼ぶ声が聞こえ振り返って見ると・・・

「ええっと、どちらさまで?」

「覚えてないの?中学まで一緒だった千歳 みどり(ちとせ みどり)だよ!」

「千歳・・・?あぁ!みどりちゃんか、久しぶりだね!」

 

千歳 みどり、髪型は茶髪であり髪型はショート、祐介の幼馴染であり中学では一緒に登校していたほど、とても仲が良かった。(祐介のことが好きである)

「みどりは女子校に入学していたのか~知らなかったよ。」

「私もまさか祐介君がこの男子校に入学しているとは思わなかったよ、これから祐介君と一ヶ月過ごせるなんて嬉しいよ!」

「あぁ、俺も久しぶりにみどりと学園生活を送れると思うと嬉しいよ。一ヶ月の間だけどこれからよろしくね。」

久しぶりにみどりと会えたことでテンションが一気に上がっているが大丈夫だろうか?

 

 

 

「みどり~何処に行ったの?」

「みどり、誰かに呼ばれてるよ?」

「もしかして・・・おーい麗華(れいか)ちゃん!こっちだよ~!」

「麗華?」

「ここに居たのね・・・歓迎会に居なかったから迷子になったのかと思ったわよ?」

「ごめんごめん、祐介くんが居たからさ~」

「あぁ、いつも話に出てくる幼馴染君が居たのね。その幼馴染って人があなたの隣に居る彼ってこと?」

「そうだよ、高橋 祐介君、私の幼馴染なんだ!」

「祐介です、みどりの言った通り幼馴染です。ええっと・・・」

「私の名前は森村 麗華(もりむら れいか)、みどりのクラスメイトで親友です。一ヶ月の間ですがよろしくお願いします。」

「こちらこそよろしくお願いします。」

「それじゃあ祐介君会場に戻ろ!麗華ちゃんも!」

「勝手にこっちに来た人が言わないで・・・まぁいいわ、それじゃあさっさと行きましょう。」

三人揃って会場に戻っていった、さてまた場面は会場に戻る。

 

 

 

 

 

 

男子と女子が親睦を深める中、一番星はバーベキューで焼かれた食材を片手に双葉へと声をかけていた。

「ん?」

いきなりお皿を差し出されて困惑している双葉。

「鐘の音学園へようこそ、二年一番星 光です。よろしく。」

前髪を横に動かし、いつもより声のトーンを低くして声をかけた一番星、かっこつけ過ぎである。ここで彼の心の声を聞いて見よう。

『くぅ~~!俺のダンディーぶりに吸い込む女はこの子に決めた!』

はぁ・・・やはり中身は一番星であった。

「はぁ・・・こっちも二年、朽木 双葉。」

めんどくさそうに自己紹介を済ませる双葉、しかし彼女の判断は最適である。

「あっ・・・同じクラスになれるといいっすね。」

一番星的にはこの反応は想定外だったらしく、普段の一番星に戻ってしまった。

「あっ、あの・・・これ・・・」

自分が持ってきた食べ物を渡そうとするも双葉は受け取らない。

「お姉さま。」

すると食べ物を持ってきた若葉がやってきた。

「サンキュー」

どうやら若葉に持ってくるように行っていたらしい、一番星のを受け取らないのも納得がいく。(他に理由があると思うが)

「そう言うわけだから別に気を使わなくてもいいわ。」

「あっ・・・ははっ・・・」

乾いた笑みを浮かべる一番星。

「じゃあ君、これどう?」

隣に居た若葉に食べ物の乗ったお皿を渡そうとする。

「貰ってあげれば?」

特に興味ないように双葉がそうつげる、はいと言って一番星のお皿を受け取る若葉。一番星も笑顔になった。

「二年一番星 光、君の名は?」

「その子は私の妹、若葉って言うの。」

「若葉ちゃんか、鐘の音学園へようこそ。(イケボ)」

そういって若葉の型に手をかけようとする。

「悪いけど、妹に手を出したらただじゃあ済まないわよ。」

一様の脅しはしておく双葉、それを聞いた一番星は少し顔を青ざめ引き笑いをしていた。

 

一番星の様子を見たところで今度は泰三の様子を見て見よう。見たところ量の少ないお皿を持っているが誰に渡すつもりなのだろうか?

「あっあの・・・良かったらこれどうぞでゴワス。」

泰三が声をかけた相手は早苗だった。

「あっ・・・ありがとう。」

受け取ってくれた喜びか、泰三の顔は赤かった。そして次にこう言った。

「あの~い・・・い~~~!」

 

「妹になって欲しいでゴワス!!!」

 

いきなり何を言ってるんだあいつは・・・早苗も困惑しているようだった。

さぁ最後にバッチグーを見て見よう、両手にお皿を持っているところを見ると所かまわず声をかけている様だ。彼のメガネには女子たちの胸しか映っていなかった・・・

「おぉ!良い・・・・」

どうやら目当ての者を見つけたらしい、すると左から一番星がやってきた。

「確かにEだな!」

「え?」

「カップだよ、カップ!」

「そうEっしょ!何度見ても良いしょ!」

「Eの千種先生、女子のメンタルケアで一緒に来たんだってさ。」

そう、彼らが目をつけたのは飯野先生だった。

「Eの千種先生!」

「そうそう!Eの千種(乳房)!」

「俺あの先生に決めたっしょ!」

どうやらバッチグーは飯野先生に目をつけたようだ。

「そういえばさっきお前髪の長い子どうしたっしょ?」

「あぁ、焦らずじっくり・・・」

「そうでゴワスか~」

ふわふわした雰囲気の泰三が右からよってきた。

「あれ?天神妹出来た?」

普通はそんな事聞かない、だが彼の場合別だ・・・なぜなら泰三はロリコンなのだから!

「ばってん、今回は名前だけゲットして来たでゴワス。あぁ~早苗ちゃ~ん」

泰三の雰囲気に二人はどん引きであった。その三人の前を通るものが居た。

「うわぁ~!あれはEっしょ!」

「本当だEだ!」

「プルプルでゴワス!」

三人とも胸にしか目が行っていなかった。その視線に気づいたのか女子は三人のほうを見て微笑んだ。

「こんにちは、あたし森村 麗華って言います。よろしくです!」

女の子の正体は祐介たちと話していた麗華であった。

「雄介君のお友達よね?もう戻ってきたみたいだから行ってあげたら?」

「「「あっは~い」」」

三人ともふわふわしながら祐介の所へと向かっていった。それと同時に白髪の少年が鐘の音学園に戻ってきた。

「あれ?もう歓迎会始まってたか。」

彼に気づいた総長が寄ってきた。

「お前今まで何処に行ってたんだ。あん?」

「うるせえな、いつものランニングだけど文句あっかよクソリーゼント。」

「テメェ!その呼び名をやめろって行ってるだろうが!」

「はっ!やめて欲しけりゃあそのダサいリーゼントをどうにかするんだな!」

そう言って彼は寮へ向かっていった。

「おい音咲!何処にいくべぇ!」

「シャワー浴びてくるに決まってんだろ、汗でべとべとして気持ち悪いんだからよ!」

「お前そのまま戻ってこない気じゃあねえよな!」

しかし音咲は総長の言葉を無視して言った、そしてこの同時刻に祐介とみどりが話しているところを三馬鹿に見られボコボコにされてしまったのはまた別の話。



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露天風呂ですってんころりん『前編』

歓迎会の翌日、祐介はとある夢を見ていた。

「祐介君・・・」

そう言ってみどりがキスしようとした瞬間・・・みどりが泰三に変わった。そうキスを迫ってきていたのは夢を見ている泰三であった、ちなみにこの現象は女子寮でも起きておりみどりがキスをしようとしていた相手は麗華だった。みどりは麗華に起こされキスはしなかったが、祐介は泰三の豪腕に掴まれ抵抗できず頬にキスを受けてしまう。

「ええい!離れろ!」

大きな声で叫ぶと泰三も流石に起きる。

「あれ?祐介どん、どうしたでゴワスか?」

「寝ぼけるな!」

祐介の頬にはキスマークが出来ていた。

「あぁ~ビックリした。」

そう言いながらも少し残念そうな顔をするみどり。

「ビックリしたのはこっち!全く・・・寝ぼけないでよ。同じ部屋になんかしなきゃ良かった。」

「じゃあ千種先生に言って部屋変えてもらう?私は何処でもいいんだも~ん。」

「だ~め。」

はぁ・・・とため息をつくみどり。

「本当に彼が大好きなのね、何度も祐介君って言ったわよ?」

「うん、私祐介君大好きだもーん!」

幼馴染というだけはあるようだ。

 

 

起床時間になり歯ブラシを持って洗面台に向かう祐介、しかし何故か洗面台の周りには大勢の男子たちが・・・髪形を決め口内スプレーを使い口の匂いを消すものなど、皆自分磨きをしているようだった。

「な・・・なんなんだ?」

祐介が困惑している中後ろから声をかけられる。

「みーつけた。」

「え?」

振り返るとそこには白いタキシードを着て髪型を決めていた一番星の姿があった。

「やっと会えたわね。」

「え?何だその格好と台詞・・・」

「男共に負けられないからね、俺も勝負かけてみたのよ。」

一輪のバラを持ってかっこつける一番星、黙っていればイケメンである。

「見ろ!アンニュイにまとめたこの髪の毛!さりげなくあしらったバラの花・・・極めつけはこいつ!幸運を呼ぶ水晶のペンダントだ!」

全て雑誌に書いてあったことを信じすぎている。

「へへっ、これで女のハートは思いのままだぜ」

「あっ・・・ははぁ・・・」

祐介が困惑していると異様な匂いが近づいてくるのを感じた。

「うえ!?何だこの匂いは!」

すると近づいてきたのは体中に芳香剤をつけた泰三であった、右手には『トイレ用キッモクセイの香り』と書かれた芳香剤を持っていた。いやトイレ用って芳香剤扱いでいいのか?

「おはようでゴワス。」

「うわぁ!近づくなよな!」

「女子は良い匂いが好きでゴワス。」

そう言いながらトイレ用の芳香液を身体につけていく泰三。(良い子じゃなくても絶対に真似しないでください)

「あれ?バッチグーは?」

「そう言えば見てないでゴワスな。」

「確かに見てないな、あいつが一番気合入ってたのに・・・」

いったい何処に行ったのだろうか・・・

「おい祐介、何でこここんなに混んでるんだよ?あとこの臭いは何だ?」

祐介に話しかけてきたのは白髪の少年であった。

「おはよう咲夜、皆女子にアピールするために自分磨きだとさ、それで今洗面所がこの有様。臭いは・・・そこに居る泰三が原因だ。」

「・・・ロリコンお前身体に芳香剤は、いやまず何でトイレ用の芳香剤・・・いやそれ洗剤だぞ。そんなもん身体につけてんじゃねーよ。」

「なっ・・・しかし女子は皆良い匂いが好きと・・・」

「お前が思ってやった匂いは『匂い』じゃなくて『臭い』なんだよ、さっさと臭い落としに行け!」

咲夜に臭いと言われたのがショックだったので泰三は気を落としながら浴室へと向かっていった。

「全く、どいつもこいつも浮かれすぎだろ・・・あとが閊えてるんだ、さっさと終わらせろ!」

怒りながら咲夜は男子たちに注意をした、すると男子たちは一斉に支度を終わらせて洗面台を譲った。

「流石『白髪の錬金術師』の二つ名を持つだけあるな。」

「その二つ名を言うのをやめてくれるか?はっきり言って嫌なんだが。というか何で錬金術師なんだよ、そんな二つ名言われる覚えないんだが・・・」

「いやいや、故障した電気製品ほとんど自己流で直してたやつが何言ってるんだよ。あんなの俺には絶対無理だね。」

「コツさえつかめれれば意外といけるもんだぞ?祐介でも簡単に出来るし・・・」

「それじゃあ今度教えてもらおうかな。」

「時間があったらな。」

錬金術師といっても咲夜はそこまでのことをしていない、ただ廃品の線やパーツなどを繋げているだけに過ぎない。さてバッチグーが全く来ないので何をしているか見に行って見よう。どうやら食堂に居るらしい・・・

 

「パーン・・・パーン・・・パパーン!!!」

何故かズボンを履かずにバナナを腰にくくり付けている・・・変態である。

「女子の皆おはようっしょ!鐘の音学園にようこそっしょ!食後はバナナをどうぞっしょ!」

そう言いながら腰にぶら下げたバナナを一つずつ女子の頭に乗せていく。

「「「「キャァァァァァァ!!!」」」」

一斉に女子たちが悲鳴を上げる、その声は男子寮からも聞こえていたため祐介たちは食堂に走っていった

「あっ!あいつ!」

「一人で抜け駆けしやがって!」

「許せんでゴワス!」

そう言って泰三が取り出したのは釜飯だった。

「おいどんも負けんでゴワス!」

そう言いながら女子の匂いを嗅ぎながら釜飯を食べている・・・はっきり言って気持ち悪い。

「さて、俺もどの手で女子を落とすか!」

「いや~食堂に~入れない~」

メガネの女子が騒いでいる後ろには一番星の狙っていた双葉と若葉だった。

「お~!双葉ちゃん!」

そういいながらメガネっ子を突き飛ばし双葉たちの前によってくる。

「双葉ちゃん、若葉ちゃん僕と一緒にモーニングランチなんてどう?」

そういいながら一輪のバラを投げる、しかし双葉はバラを投げ返す。バラは一番星の舌に刺さった、痛そうである。

「おはよう~あっ!祐介君!」

みどりが食堂に入ってくると女子からざわめきが起きる、それもそうだろう馬鹿二人によって鐘の音学園の男子は最低だと思われていたからだ。

「おう、おはようみどり。良く眠れたか?」

「うん、床が少し固かったけど寝れたよ。」

「そうか、それは良かった。」

朝からイチャイチャを無自覚で見せてくる辺り流石幼馴染である。

「はぁ・・・たく、朝から騒ぎを起こしたのは誰だよ・・・」

双葉達の後ろから咲夜が出てきた、ちなみに咲夜は結局歓迎会に出なかったので女子とはこれが初対面である。せっかくなので咲夜の紹介をしておこう。

 

音咲 咲夜(おとさき さくや)、白い髪が特徴であり祐介よりも身長は低い。顔は少し女っぽくからかわれたりする時があったが、口が悪いため脅して黙らせている。総長に唯一反論できる人物である。(この小説のもう一人の主人公の癖に全く出てこない)

 

 

 

 

先ほどの通り歓迎会には一切出なかったので女子たちからの視線が集まってくる、特に見ていたのは双葉だった。

[もしかして昨日の朝バスの中から見かけたのはこの男?この学園の生徒だったんだ・・・]

そう考えている矢先、三馬鹿と馬鹿ップル(仮)が仲良く話していると・・・

「他の女子たちも皆一緒に朝飯食べるっしょ!」

「さぁ、朝ごはんを食べるでゴワス!」

「さぁ双葉ちゃんもご一緒に!」

一番星の言い方が気に入らなかったのだろう、拳を強く握り締めている。

ちなみに先ほどの咲夜の説明に入れなかったのだが、咲夜は朝からうるさくされると切れる体質であった。

その為、三馬鹿の顔に双葉と咲夜のストレートパンチが炸裂した、三人まとめて壁にたたきつけられる。

「おい、大丈夫か?」

祐介が三馬鹿に生存確認をする、まさかいきなり殴るとは思わなかったのだろう食堂に居た女子たちは困惑していた。しかし一番困惑していたのは双葉であった。同じタイミングでパンチを入れるとは思わなかったらしい。

「お前ら朝くらい静かにしてくれよ・・・ただでさえ夜うるさいんだからよ。」

半切れ状態で咲夜が言うと三馬鹿は大人しく首を縦に振るしかなかった。

「・・・女子もうるさくして悪かったな。」

そう言って双葉の前を通り過ぎようとした時・・・

「あっ、君結構良いストレート決めるね。名前は?」

「朽木・・・双葉。」

「そうか、俺は音咲 咲夜。好きに呼んでくれ。」

さらっと一番星の狙っていた双葉に声をかけて気楽に自己紹介までしてしまったため、一番星が悔しそうに涙を流していた。




今思いましたけどグリーングリーンって知ってる人居るんですかね?


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露天風呂ですってんころりん『中編』

「いいかお前ら、今からわしが公式を書くけんの!よーく見とくんじゃ、プチエレガントな公式じゃけんの。」

そう言いながら轟先生が数学の公式を書いていく中一番星は・・・

「うへへへ・・・」

女子の後姿を下着雑誌に被せて見ていた・・・

「おおっ!」

ここで何か一番星が見つけたらしい。双眼鏡を持って何かを覗いていたが、何かのショックを受けて机にひれ伏してしまった。

「どうした一番星?」

「いや・・・」

祐介が心配するが大丈夫と状態だけ伝えた。祐介の右側の席にはみどりが居るため、授業中に目が合うと手を振ってくる。ちなみに左側の席には咲夜がいてその左側には双葉が居る。双葉は授業に集中しつつも咲夜のことを見ていた、するとその視線に気づいたのか咲夜がこちらを向いてきた。

「・・・俺の顔に何かついてるか?」

そう言ってきた、双葉は少し驚きながらも「い、いやなにも・・・」と言い返すと。

「そうか、なら授業に集中したほうが良いぞ。見てないとやかんが飛んでくるからな。」

そう警告され双葉は黒板に目線を合わせた。

ついで程度に泰三とバッチグーの様子も見ておこう。まずは泰三から、机の上には教科書やノートは無く釜飯とお茶碗が用意されていた。

「ふへへ、女子の香りは良いおかずでゴワス、飯何万杯でもいけるでゴワス。あっでも出来れば一年生の教室でやりたいでゴワスな。」

そう言いながら両隣の席の女子の匂いを嗅いで白飯を食べていた。

続いてバッチグーを見て見よう、机にひれ伏して何かを一生懸命書いている。既に出来上がっているのが何枚もあるのか同じものを沢山作っていた、顔が少しにやけてるところを見るとまたろくでもないものを書いているに違いない。バッチグーは授業が終わるまでその作業を続けていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

授業が終了して双葉達女子が席を外している中、バッチグーは女子の席につい先ほど作っていた用紙を配っていた。そして女子たちが帰ってくる中双葉が用紙を手に取った。

「なによ・・・これ・・・?」

「女子の皆さん~注目~!」

すると黒板の前に三馬鹿が集まっており、女子の視線を注目させた。

「皆さんのことをもっと知るためのアンケートに答えてもらうっしょ!」

どうやらバッチグーはアンケートを作っていたらしい。

「・・・双葉、少し見せてくれるか?」

「別に何も書いてないからいいけど・・・」

咲夜はアンケートの内容が気になったらしい、そして咲夜が見たアンケートの内容は次の通りだった。

 

お風呂で一番最初に洗うところを書いてくださいっしょ。

今日の下着の色と形と匂いを書いてくださいっしょ。

あなたのsexアピールを二十文字以上でお願いするっしょ。

 

 

 

全て最低なことしか聞いてこないアンケートだった、通りでバッチグーがにやけていたはずだ。

「女子の皆さん!書き終わったら俺の机の上に提出するっしょ!」

「・・・お前これ答えれるのか?」

心配そうに双葉を見た咲夜

「答えるわけ無いじゃない、どうせ変なことしか書いてないんだから。」

「そうだろうな。」

そう言ってアンケート用紙を粉々に破く咲夜。

「あー!俺のアンケート用紙に何するっしょ!」

「馬鹿、あんなアンケート答えるやつが居るわけないだろ。」

そんなやり取りをしているとみどりが祐介にアンケートを持ったまま近づいてきた。

「祐介君、これでいいかな?」

そう言ってアンケートを見せてきた。

「え?」

「見てくれない?」

「なっまさか本当に書いたのか!?」

「うん。」

みどりから用紙を受け取り、内容を確認していく祐介。

「流石みどりちゃんでゴワス。」

「ありがとうね~」

「早速見せてもらうっしょ。」

「「「ぐへへ・・・」」」

三人が悪い顔で祐介の持つ用紙を見ている。

「これは駄目だ!絶対駄目!」

そう言いながらみどりの書いたアンケートを破いていく。

「俺のアンケート・・・」

「自分だけ見るなんて反則だぞ!」

「俺だって見てねーよ!」

そうは言っているが祐介の鼻から血が出でいる。

「何だその鼻血は!」

「やっぱり見たでゴワスな。」

一番星と泰三に詰め寄られる祐介、バッチグーはアンケート用紙を何とか修復しようとしているが・・・

「細かすぎてわからないっしょ・・・」

どうやら無理っぽい。

「ちょっと来て。」

双葉がみどりを廊下に連れて行った

「あんた一体何考えてるの?何であんなこと書くのよ?」

「だって女子と仲良くしたいっていうから・・・」

「あんたあいつ等と仲良くしたいっていうの?出来るわけないじゃん!大体あんた男子に近づき好き過ぎよ、あいつら調子付かせるとろくな事にならないわよ。」

「私はただ祐介君と・・・・」

「どうせあの三人の仲間でしょ?一体何考えてることやら・・・」

「そんな事無いもん!」

強気にそう返すみどり、双葉は少しあっけに取られるが・・・

「なによ・・・」

無言でにらみ合う双葉とみどり

「とにかく、気をつけなさいよ。」

そういってその場を去る双葉

 

 

 

 

 

 

そして場面は夜へと変わる。

「「「あっつ~~い」」」

「はぁ~この寮ってエアコン無いんだよね~」

「トイレは元々男子トイレだし~」

「コインランドリーだけはましかと思ったら洗濯機の半分は二年前から故障中。」

「おまけに携帯もPHSも県外、はぁ~もう退屈で気がめいっちゃう。」

そんな事をずっと言っていたときだった。

「退屈で悪かったな。」

そういって咲夜が入ってきた。(※女子寮)その為女子が一気にざわめきだす。

「あっあんたなんで入ってきたのよ!というかどうやって!?」

「どうやってと言われても普通に正面から入ってきたが?」

「そうじゃなくて、どうしてあんたがここに居るのよ。」

「轟先生から女子寮に扇風機を持っていってくれって頼まれてな。」

そう言うと咲夜は持ってきた扇風機を部屋のコンセントに繋げた。

「確かにうちはエアコンも無いし携帯の電波だって繋がりにくい、その上学園にある機材の大半は壊れてる。都会の人からしてみればつまらないだろうな。」

その言葉を受けると全員黙ってしまう。

「でもまぁ、風呂だけは気に入ると思うけどな?そうだろ、飯野先生?」

何故飯野先生に話を振った。

「そうね、皆お風呂だけは気に入ると思うわよ?」

「・・・そういえばまだ風呂の電気は直ってなかったと思うんだが、暗くはありませんでしたか?」

「えぇ、大丈夫だったわよ。でもこの子達が入るころには真っ暗になってると思うけれど・・・」

「それじゃあ蝋燭式のランタンを渡すのでそれに火をつけてもらえればいいかと、たしかかけれるような場所があったはず・・・」

「そうなの?それじゃあお願いしてもいいかしら?」

「わかった、少し時間はかかるから先に皆に風呂を見せてあげてくれ。」

そう言って女子寮を去っていった。

「それじゃあお風呂に移動しましょうか。」

飯野先生がそう言うと女子の皆で浴室に向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

「暗くてよく見えないけど露天風呂なのかな?」

皆が不安そうに眺めていると

「男子と交代制なんでしょ?」

「安心しろ、女子が先だからよ。」

手に数個のランタンを持った咲夜が現れた

「流石にこの時間になると暗いな。」

そう言いながら露天の屋根にランタンを引っ掛けていく

「これで良いか飯野先生?」

「えぇ、一定の明かりが取れているから問題ないと思うわ。」

「それじゃあ俺はこの辺で、他の男子に見つかったら覗きだと思われるからな・・・」

そう言って少しの間壁を見つめて咲夜は浴室から出て行った。

「じゃあ、時間までごゆっくり。」

「先生もいっしょに入りましょうよ。」

「私はもう済ませたから。」

そう言って飯野先生も浴室から退出して言った。

「・・・一様目隠しはしてあるようね。」

「ねえねえ、早く入りましょう!」

「そうね。」



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露天風呂ですってんころりん『後編』

ここは露天風呂の目隠しにあたる場所、そこに三馬鹿と祐介が何かしていた。

え?女子のお着替えシーンは何処かって?そんなもの無いです。作者の実力不足なんです、許してくださいなんでもしますから。

さて、三馬鹿が何をしているのかというと・・・勿論覗きである。

つかむなっしょ!

抜け駆けは許さんでゴワス!

そうだそうだ!

三馬鹿は覗きをする気満々である、しかし祐介は・・・

おい、よせよって・・・見つかったらとんでもないことになるぞ!

そう注意するが・・・

「早苗ちゃんをもっと知りたいでゴワス・・・」

「女子と仲良くするにはどんなことも知ることが不可欠!アンケートが駄目なら生で見るしかないっしょ!」

自分たちの欲望に従順な三馬鹿であった。

「ひっひぃ~この日の為に作っておいた覗きポイントっしょ!」

覗きポイントをわざわざ作る辺り流石バッチグーである。女子の着替えシーンが無かったので入浴シーンだけは作っておきましょう。

 

「いいお湯ですね、お姉さま。」

「そうね~」

双葉と若葉が話していると浴室の扉が開いた、現れたのはバスタオルを身にまとった麗華であった。その姿は勿論覗き穴で見ていたバッチグーにも見えており・・・

「あ”~来たっしょ!」

そうバッチグーが言うと麗華はバスタオルを取って湯船の中に入っていった。しかしこの光景はバッチグーには見えなかった、丁度覗き穴の近くの草が邪魔をしており麗華の脱衣姿を見ることが出来なかった。しかし草を小枝で退かすことに成功したバッチグーが見た景色は湯船に入ってお風呂を堪能していた麗華の姿であった。

「いい気持ち~」

麗華が目線をそらすと今度は若葉が早苗の元へと寄っていた。

「ねえねえ早苗ちゃん、お湯熱すぎない?大丈夫?」

「うん大丈夫・・・」

その瞬間覗き穴の主導権が泰三に変わったり、一番星に変わったりしていた。

「おぉ!妹!」

「おい、俺にも見せろよ・・・おぉ!!双葉ちゃん~」

双葉が湯船から立ち上がり浴室から出て行こうとする、一番星は双葉の裸を見るために覗き込むがここでまた、草が邪魔をしたため一番星が双葉の裸を見ることは無かった。双葉との入れ替わりで今度はみどりが浴室に入ってきた。

「ほんとお前らいい加減にしろって・・・」

「やっぱりお前らか・・・何してるんだ?」

「あぁ良かった咲夜、お前もいっしょに止めてくれ・・・」

「止めるって・・・何を?」

「覗きだよ、あいつら今女子が風呂入ってるから覗きをしてるんだよ!」

「はぁ、やっぱり覗きか・・・これだから三馬鹿は・・・おいお前ら、そんなくだらないことやめておけ!」

祐介と咲夜が警告するが・・・

「馬鹿、何言ってるんだ次はお前の番だぞ祐介。」

「はぁ?」

「あっ来た来た!」

「みどりちゃんでゴワス!」

「み・・・みどり!?」

そう驚くと祐介を三人がかりで持ち上げる

「ほらほら、お前が薄めた胸がまってるっしょ。」

悪い顔で言うバッチグーそう言って壁に祐介を押し付けると・・・

「祐介君?」

何故かみどりがこちら側に気づいた、そのお陰で祐介は驚いてしまい一歩引き下がった。三馬鹿が我先にと覗き穴を見るが、誰も譲らないのでどんどん目隠しである壁が傾いてくる。

「おっおい!そんなに押したら壁がぶっ壊れるぞ!」

咲夜が注意するが三人はお構いなく押すため浴室側からでも確認できるほど傾き始めた。

「あぁ、これは駄目だな。」

目隠しが異様な音を立てるため女子たちも不振そうに目隠しを見つめる。そして目隠しである壁は戻せないほど傾き・・・浴室側に倒れた。一斉に湯船から出て行く女子たち、祐介たちが姿を現すと悲鳴を上げながら桶を沢山投げつけてくる。当たらなかった桶は下にいた咲夜に当たっていた。みどりだけは呆然として動かなかったが、祐介に裸を見られた恥ずかしさのあまりか浴室から逃げ出してしまう。そのことにショックを受けたのか祐介は「ち、違うんだ!」と言って立ち上がろうとするが目隠しが傾き全員湯船の中に落ちてしまう。

「あ~女子の残り湯だ!」

「あ~早苗ちゃ~ん~」

「女子がなめつくしたお湯っしょ!」

そう言っているとバッチグーはお湯の中に顔を突っ込んでお湯を飲み始めた(性感染症などの病気になる可能性があるためやめましょう)すると見る見るうちに浴室にあったお湯は半分にまでなってしまった。

「・・・お前らな、どうするんだよこれ?壁ぶっ壊しやがって。」

ちなみにこの目隠しは咲夜が作ったものである(誰も手伝ってくれなかった)それを簡単に破壊してくれたため咲夜は半切れ状態である。しかしそんな咲夜を無視している三馬鹿。

「しっかし祐介も酷い目にあってるな?何でこんなのとつるんでるんだよ?」

「俺だって好きで一緒にいるわけじゃ・・・」

「わかってるよ・・・」

祐介と咲夜は自分勝手な三人を見ることしか出来なかった。

「流石に女子の味つきのお湯は旨いっしょ!」

そんな事を言うバッチグーの頭に何かが叩き付けられた。するとそこに立っていたのは掃除用ブラシを持ちながら仁王立ちしていた双葉であった。

「またあんた達なの!」

そう言って四人の頭にブラシを叩き込む、勿論四人はその痛さに気絶してしまう。今度は咲夜に矛先が向いたため双葉が容赦なくブラシを振り回す。

「まさかあんたまでこいつらの仲間だとは思わなかったわ。」

「仲間?何言ってんだ俺h「言い訳しなくて良いわ。」・・・いや違うって。」

何とか弁解しようとするが光景が光景のためあえなく脳天にブラシが叩き落とされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

咲夜の目が覚めると屋根に吊るされていた、他四人も同様に吊るされていた。前には女子たちが、後ろには男子たちが揃っていた。

「祐介君・・・」

「だから言ったでしょ、こいつだってこの三人の仲間だって。」

双葉からそういわれると悲しげな表情をうかべるみどり、祐介の隣で吊るされているバッチグーは何とかして双葉のパンツを見ようとしていた。相変わらずである。

「もう少し、もう少しで見えるっしょ・・・」

流石に双葉も気がついたため容赦の無い膝蹴りがバッチグーの顔面に直撃する。

「このお風呂は男子なんかに使わせないから!」

「え”~!?」

「じゃあ男子は風呂なしでゴワスか!?」

そういうと双葉が睨みつけながら・・・

「男子が帰るまでここを動かないから、いいわね若葉。」

「はいお姉さま!」

すると男子から沢山のブーイングが聞こえてくる・・・

「何言ってるんよ!」「俺たちだって女子の残り湯楽しみに待っていたんだぞ!」

「あんた達って本当最低!」 「絶対に入れてあげないからね!」

そんな事を言い合っている中、咲夜は何かゴソゴソしていた。

「お、おい咲夜・・・何してるんだ?」

「何って、俺は関係ないから縄を解こうとしているんだが?」

「そんな一人だけずるいでゴワス!」

「知るか!お前らが勝手に覗き行為しただけじゃねーか!俺は関係ない。」

そんな事を言っているが双葉には丸聞こえの為・・・

「そんな事させると思うわけ?」

っと睨まれながら言われた・・・そしてある人物が浴室入ってきた。

「静かにしろや!」

女子も男子もその声に黙ってしまう、現れたのはそう・・・知る人ぞ知るあの総長であった。

「話はわかった!ここは鐘の音学園の伝統に乗っ取り、さしの勝負で決めるべ!主犯はどいつだ!?」

「「「祐介です!」」」

三馬鹿が祐介を犠牲にした、全くこいつ等は・・・仕方ない、祐介の身代わりになってやりますか。

「祐介、身代わりになってやるから俺を指名しろ。」

「はぁ!?何言ってんだよ、悪いのはこいつらであってs「いいから早くしろ!」分かったよ・・・」

「いや咲夜だ!咲夜に命令されたんだ!」

「・・・咲夜?それは本当か?」

「・・・」

「沈黙は肯定と受け取るけんのぅ。」

祐介が咲夜を身代わりとしたため咲夜が湯船の中に落とされる、とりあえず総長は後で一発ぶん殴る。

「お前が朽木と勝負しろやぁ!」

「はいはい、わかったよクソリーゼント。」

「チッ・・・音咲が負けたら俺たちは引き上げるべ、それでどうだ!」

「はいはい・・・」

「望むところよ!」

咲夜と双葉が了承すると総長がポケットから鍵を取り出し、それを湯船の中に投げ込んだ。

「あれを先に取ったほうが勝ちだ!勝っても負けても後腐れはなしだ!」

そう総長が言うと双葉がこちらを睨みつける・

「負けないからね・・・」

「・・・」

「始めぇ!」

総長が手を挙げ合図を出すと同士に双葉が湯船に入った、対して咲夜は何もせずただ見ているだけだった。双葉が一生懸命鍵を探している中でも咲夜は動かず、その場にたたずんでいた。

「双葉ちゃん頑張って~!」 「男子なんて凹ましちゃえ!」

「音咲!何で動かないんだよ!」 「さっさと鍵探せよ!」

「・・・チッ、うるせえな。わかったよ探せば良いんだろ。」

そう言って咲夜もやっと湯船に入り鍵を探し始めた、すると先に探していた双葉の服がだんだん透けてきており男子たちはその服に視線を集中させていた。そのため咲夜を応援する者が祐介ただ一人になってしまった。

両者ぽ互いに未だ見つけておらず、この勝負は長くなりそうである。

 

チッここには無いか・・・だがまだあいつだって見つけられてないんだ、落ち着いて探せば見つかるはず!

はぁ・・・何で俺がこんなことしなくちゃ行けないんだか、まぁ祐介を庇ったことは良しとするか。

 

二人の思惑がぶつかる中ここで咲夜が思いっきり飛び込んだ

「よし、鍵発見。」

咲夜がそう言った次の瞬間、見ていた男子から石鹸やシャンプーの容器などを投げられてしまい手から鍵を落としてしまった。

その隙を双葉は逃さず一気に飛び込む、咲夜も取り返す為に一気に飛び込んだ・・・・

少しの沈黙が流れてから両者起き上がった。鍵を持っていたのは咲夜だった。咲夜は少し双葉のほうを見てから振り向いて

「・・・おい、誰かタオル寄越せ。」

と言った。咲夜が言うと誰かからタオルが投げられる、すると投げられたタオルを自分にではなく双葉に直接渡した。

「それ使って身体隠せ。」

何故そんな事を言うのか双葉は一瞬分からなかったが、すぐさま自分の服が透けていることに気がついた。

「勝負あった!男子の勝ちだ!」

「・・・わりぃ鍵落としたわ。」

そう言って両手を広げる咲夜

「何?どこに落とした?」

「言ったって無駄だろ、あいつが持ってるし。お前の目は節穴か?」

そういいながら双葉の手を指差す、そこには確かに鍵があった。

「だから男子の負けだ。」

「そうか、それじゃ男子は引き上げるべ!」

そう言って男子たちは総長の言葉通りに引き上げていく、三馬鹿を引き降ろし祐介の縄も切っていく。

「何で庇ったんだよ・・・」

「別にいいだろ、たまにはさ・・・それより壁直すの手伝ってくれるか?」

「え?」

「男共全員引き上げちまったし、俺一人じゃ無理だからよ。」

「あぁ、分かった。」

そうして二人だけで壁を直し浴室を出て行こうとした時だった

「何でわざと鍵を落として私に譲ったのよ、あのままだったらあなたの勝ちだったのに・・・」

「別にいいだろ、悪いのはこっちの側の責任なんだからよ・・・はぁ、透けて見えたときはビックリしたぜ・・・

「・・・なにか言った?」

「何にも言ってねえよ、そんじゃあな。」

そう言って咲夜は浴室から出て行った・・・

「お姉さま大丈夫ですか?」

「大丈夫よこれくらい、それにしてもあいつ・・・」

「何で鍵譲ったんでしょうね?」

「私が分かるわけ無いじゃない・・・」

 

 

 

ちなみに双葉には咲夜の言ったことは聞こえていた為、双葉の中で咲夜は[口の悪いシャイな男]と言うイメージを持ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「おらぁ!お前たちも入れ!」

三馬鹿が総長に蹴り飛ばされる、蹴り飛ばされたのは学園から少しはなれた小さな滝であった

「ワリィ、遅れた。」

「何してたんだお前ら?」

「何って壁直してきたんだよ、誰も手伝ってくんねーからよ。」

「そうか、そんじゃあお前らもとっとと入りやがれ!」

そう言って祐介に蹴りを入れ、今度は咲夜に蹴りを入れにくる総長、咲夜はその蹴りを受け止め持ち上げる。

「テメェも一緒に落ちるんだよクソリーゼント!」

そう言って総長と咲夜は一緒に滝に落ちて行った。

「テメェ!何しやがる!」

「はっ!どうせ俺らを蹴り飛ばしてテメェだけ入らずに済ませようって考えだったんだろ?見え見え何だよ!」

そう言って総長の顔面にストレートパンチが繰り出される。この後総長VS咲夜の殴り合いが始まったのは言うまでも無い。



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森の中でどっこいしょ『前編』

その日、男子寮からは謎の奇声が上がっていた。余りにうるさい為祐介と一緒にその部屋に言って見ることにした。

「・・・あいつらの部屋か、またろくでもない事してるんだろうな。」

「今度は何を企んでるんだか・・・」

恐る恐る部屋に入って見ると、泰三と一番星が悪い顔をしながら手に筆を持っていた。そして筆でバッチグーに何かを書いているみたいだった。

「・・・何やってんだお前ら。」

「パイ拓を取る練習!」

「・・・パイ拓?」

「つり番組を見て閃いたでゴワス。魚拓ならぬパイ拓を取って女子を胸から知っていくでゴワス。」

「女と仲良くする為には女を知らなくっちゃな。」

「・・・いや、覗きしてる時点で仲良くもクソも無いだろ。」

「もう無理っしょ!くすぐったいっしょ!早くとるっしょ!」

どうやらバッチグーには墨を塗っていたらしい、気持ち悪いな・・・

「おらぁ!」

そう言って一番星がバッチグーの胸に紙を叩き付ける。するとそこにはきれいに取れたパイ拓が・・・まぁ男のなんて見る価値無いけど。

「グッレイト!完璧だ!これなら本番も上手くいくぜ!よし記念すべき一人目は双葉ちゃんだ!」

「え?おいどんは早苗ちゃんが良いと思うのでゴワスが・・・」

「まずは千種先生っしょ!」

三人の意見がバラバラである・・・いやまず実行するな

「「「最初はグー!じゃんけんポン!」っしょ!」でゴワス!」

「はぁ・・・くだらねえ、戻るぞ雄介。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んであるからして、ここがこうなってあーなってそうなって・・・」

場面は一気に最終授業に変わっていく・・・何故かと言うと特に何もおきなかったからだ。

みどりは授業中に相合傘の落書きをノートにしている、やはり幼馴染であるが故なのだろうか?

祐介は普段通り授業を聞いている、流石にやかんは喰らいたくないらしい。

そして俺の隣の双葉は・・・ぼーっとしていた。

「おい、授業聞いてないとやかんが飛んでくるぞ?」

そう言っておくと双葉は我に返ったのかノートを書き出した。

ちなみにあの三人は・・・

(全く双葉ちゃん、君の全てを知ってあ・げ・る・よ。)

(決まったからには全力を尽くすっしょ・・・)

(力の限りやるでゴワス・・・)

悪い顔をして双葉を見ていた、勿論先生からやかんのプレゼントをされていた。

その視線に気づいたのは双葉を含めた二名だった。

鐘が鳴ると三馬鹿は急いでどこかに走っていった。

「祐介君帰ろう~」

「みどり、祐介君の手を引っ張らないの。そんな事しなくても祐介君は一緒に帰ってくれるわよ。」

「そうだぞみどり、そんなに引っ張らなくてもいいからな。ほら、帰るぞ。」

「もう、照れなくてもいいのに~!」

 

下校中、双葉の前に立ち塞がる男共が居た。言わなくても分かるであろう、あの三馬鹿である。しかし泰三の姿だけは見えなかった。

「何かよう?」

「双葉ちゃんに練習の成果を見せてやるぜ!」

「は?」

双葉が困惑していると上から釣り針が投げ出され制服に引っかかる。

「「今だ!!!」っしょ!!!」

そう言うと泰三が釣竿を引き上げる、双葉の制服が引き上げられる。

「ちょっと何よこれ!?」

「なずけて『パイ拓ゲット!引き釣り作戦』っしょ!」

「パイ拓!?ふざけるのもいい加減に・・・」

双葉が殴りかかろうとするが制服が引き上げれらて居る為思うように動けない。

「もう一息だ泰三!」

「行くっしょ!!!!」

二人の声援に答えるべく泰三は思いっきり竿を引き上げた。双葉が持ち上がってしまうほどの力を出す泰三。

「これが九州男児の意地でゴワス!!!」

そう言って竿を最後まで引き上げると双葉の制服が全て脱げ、釣り上げられる。一番星とバッチグーは上を見つめ脱げたことを確認するとゆっくりと双葉に目線を合わせようとしたがそれは出来なかった。

先ほど視線に『気がついたのは二人』と言いました、つまりもう一人が双葉の前に出たということです。

「全く、ろくな事しねぇなお前らは・・・・」

そう言いながら双葉に制服の上着を渡す。

「とりあえずそれで隠しておけ、後で全部取り返してやるから。」

双葉はすぐに上着を受け取り前を隠した。

「さてお前ら、覚悟は出来てるんだよな?」

「何で邪魔するっしょ!せっかく良い所だったのに!」

「そうだそうだ!良い所だったんだぞ!」

「知るか!第一これが仲良くする為の手段ですってか?こんなことして仲良くなれるわけ無いだろ!」

「もしかしてお前も双葉ちゃんを狙ってるのか!?絶対に譲らないからな!」

「譲るもクソもあるか!今お前らがやっていることは最低なんだよ!いい加減に分かりやがれ!」

そう言って三馬鹿に殴りかかり双葉の制服を取り返すことに成功した。

「はぁ・・・ほれ、お前の制服だぞ。」

そう言って双葉の制服を目線を逸らしながら渡す咲夜。

「何で助けてくれたのよ・・・」

「何でって言われても、あいつ等がまた悪いこと考えてお前を標的にしたからだ。それ以上のそれ以下の理由は無い。」

とっとと着替えろ、誰かに見られるぞ。と言われると大人しく着替える双葉。

「それじゃあな。」

そう言って帰っていく咲夜、双葉はその後ろ姿をただただ見つめるしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

「若葉、うちに帰るわよ!もうこんなところ一秒たりとも居たく・・・」

どうやらあの後また三馬鹿に絡まれたらしい・・・

「早苗ちゃんが健康になる、早苗ちゃんが健康にならない・・・・」

若葉はトゲ村さんを使って花占いならぬとげ占いを早苗と一緒にしていた。その光景を見た双葉は何も言うことなくその場を去っていった。

「どいつもこいつも・・・」

そう言いながら双葉は鐘の音学園から出て行った。

 

場面変わって男子寮、祐介は咲夜が殴り飛ばした三馬鹿たちを介護していた。

「ここまでやること無いだろ咲夜・・・」

「ここまでしないと反省しないやつらなんだよ・・・」

そんな事を話していると窓からみどりが現れた。

「祐介君大変!双葉ちゃんが出て居ちゃった!どうしよう・・・」

「「え!?」」

祐介と咲夜両方が驚いた

「俺が探してくる、祐介はこいつらの介護を続けておいてくれ。」

「一人で大丈夫か?」  

「あぁ、大丈夫だよ。それじゃあ後はよろしく。」

そう言って双葉を捜しに咲夜は出かけて行った。

「もう日が落ちる時間だから大丈夫なのかな・・・」

「やっぱり俺らも探しに行ったほうが・・・」

すると横から・・・

「何言ってるっしょ!早く探しに行くっしょ!」

「双葉ちゃんは大事な仲間じゃないか!」

「何故すぐに助けに行こうって言わないでゴワスか!」

つい先ほどまで重症で動けなかった三馬鹿が復活していた。

「冷たい、冷たすぎるでゴワス!」

「この人でなし!」

「冷血漢っしょ!」

言いたい放題である、双葉が出て行く理由を作ったのはこの三人であるということを自覚していない・・・

「「「さぁ迎えに行こう!」っしょ!」でゴワス!」

そう言って祐介を持ち上げて双葉の捜索へと向かっていった。

 

 

 

「大体最初から来たくなかったのよ試験編入だかなんだか知らないけど勝手に決めて有無も言わさずにこんな山奥につれてこられて・・・ろくでもない男の中に放り込まれて・・・それになんでこんなにバス停まで遠いのよ!どんなに歩いても歩いても付かないじゃない!」

そう愚痴を零しながら山道を下っているとガードレールが無い別の道を発見した。

「道がこう曲がってるから・・・こっちを通れば少しは近道になるわよね・・・」

そう言って暗い森の道を歩いていった・・・

 

「出て行ったとするなら大体はこの道を通る、だがもうこんな遅くになってしまったな・・・」

双葉が通ったであろう道を咲夜は辿って行った、するとここで咲夜もガードレールの無い道を発見した。

「まさかとは思うが・・・ここを通った訳じゃないよな?」

この道はどんどん深い森の中に入っていくから危険なんだよな・・・だがこの道を慣れていない双葉のことだ、きっとこの道を通っただろう。

「・・・行くしかないか。」

 

 

 

ピクッピクピクッ

三馬鹿と祐介はヘルメット(ライト付き)を装備しながらバッチグーのダウシングロッドのような装置を頼りに双葉を探していた。

「なぁ・・・そんなの当てになるのかよ?」

「俺の本能で女の子を探知するダウンチング様に対して失礼っしょ!」

「それを言うならダウジングだろ・・・」

「いや、この場合ダウチング。」

「あーもう、そんなもん使ってたら日が暮れちゃうよ!先行こう、バス停って分かってるんだから!」

そう言って祐介は一足先にバス停へと向かった。

「気が短いっしょ・・・」

「大丈夫なんでゴワスか?」

「俺もそう思う・・・」

と後ろから二人が心配しているがここでバッチグーのダウチング様が反応した、指している方向はガードレールの無い方向・・・バッチグーの装置も馬鹿に出来ないらしい。



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森の中でどっこいしょ『後編』

皆さんは台風は大丈夫でしょうか?


日が暮れ辺りは真っ暗になる、森の中ではフクロウの鳴き声川の流れる音が響いていた。双葉はそれ以外にも何かを感じているらしく、酷く怯えきっている。

「嫌だ・・・この森・・・居る・・・」

そう言いながら辺りを見回す双葉、双葉は何が居ると感じたのであろうか・・・

 

一方バス停に着いた祐介、辺りを見回すが双葉の姿は無い。

「居ない・・・それにあいつらもいつの間に・・・」

一旦バス停周辺を捜索することにしたらしい。

 

ガサッ・・・ガサッ・・・

「朽木~!」

「双葉ちゃ~ん!」

「返事するでゴワス~!」

三馬鹿が大声を上げて双葉を捜索する中、迷子の双葉は何かから逃げるように走っていた。すると双葉の前に三つの光が現れる。

「「「おーい朽木ー!」何処でゴワスかー!」返事してー!」

三馬鹿が必死に双葉を捜索している姿であった、その事に気が付いた双葉は光に向かって走っていく。

 

 

 

しかし、足元が急斜面になっていることに気が付かず双葉は下へと落ちていってしまった。

「朽木ー!」

「迎えに来たでゴワスー!」

「双葉ちゃ~ん!」

 

祐介が戻ってくるとバッチグーお手製のダウンチング様が捨てられていた。

「バッチグーのダウチング様・・・なんでこんなところに・・・」

すると祐介の持っていた携帯が鳴り始めた。

「誰からだ・・・・もしもし?」

「よし繋がったな。祐介、俺だ」

「その声は咲夜かどうかしたのか?」

電話の相手は咲夜であった。

「今双葉を捜しに森の中に居るんだがここまで見つからないと谷に落ちた可能性があると俺は考えるんだが・・・お前はどう思う?」

「・・・仮に落ちてしまっているかもしれないから周囲の確認くらいはしておいたほうがいいと思うぞ、もしかしたら何か落ちているかもしれないし・・・・」

「わかったありがとう。」

そう言って咲夜は電話を切った

「ここは咲夜に任せて見るか、あいつはいつもこの道走ってるから詳しいはずだし・・・」

祐介は咲夜に双葉の捜索を任せ、三馬鹿の捜索をしにいった。

 

「おーい朽木!何処だ!」

咲夜は祐介のアドバイス通りに崖際になっている方向を捜索していた。

「・・・チッ、相変わらず返事は無いか。何か落ちていたり足跡が残っていたらわかりやすいんだがな・・・」

ここには居ないと思ったのかその場を離れ別の場所に移動していく咲夜。

「足元の捜索と声・・・後は直感しかない。」

そういえば祐介が電話に出たときあいつ外に居たな・・・と言うことはあいつも探しに?まさかとは思うがあの三馬鹿も捜索している可能性があるかもしれないが、あいつらに見つけられるとは思わないし・・・俺が何とかして探すしかない。

「おい朽木返事くらいしやがれ!」

少しずつ声が荒くなる咲夜、しかししっかりと捜索をしている辺り心配しているらしい。

「あん?何でこんなところに靴が・・・あいつのか?」

片方だけの靴が咲夜の目の前に落ちている、見たところ女性用の靴のようだ。

「この下に朽木が・・・?」

そう言って咲夜は崖を下っていった。

 

 

 

崖から落ちた直後、双葉は脚を痛めてしまったらしく立ち上がることが出来ずに木に寄りかかっていた。

 

ガサッガサッ

 

近くで何かがうごめく音が聞こえ双葉は辺りを見回している、しかし辺りには何も居ない。だが双葉には何か感じるらしい・・・

「駄目・・・それ以上来ないで・・・」

双葉がそう言うと今度は別方向から音がする、次第にその音は双葉の周りを囲むように鳴り響く。

「嫌ァ!あっち行って!」

そう言って双葉は泣き出してしまった・・・

 

三馬鹿たちは森の中を一生懸命走り回り、双葉の捜索を続けていた。

「俺のハ-レムっしょ!」

「早苗ちゃんのお兄ちゃまになるでゴワス!」

「双葉ちゃん待っててよー!」

三人は自分の理想になるべくそう言いながら捜索していた、するとここで草むらでなにやらうごめく影が見えた。

「あれは!」

バッチグーが発見すると残り二人も反応し草むらを見つめる。

「ハーレム」

「早苗ちゃん」

「双葉ちゃん」

そう心に言い聞かせながら、三人は一団となって草むらを這いずって行く。

「「「迎えに来たよ」でゴワス」っしょ」

三人がそう言って草むらを飛び出るとそこに居たのは・・・熊であった。

「「「嫌ァーーー!!!!」」」

三人の悲鳴が夜の森に響き渡った。

 

 

 

 

 

「嫌だ来ないでー!」

そう言いながら耳を覆い悲鳴を上げていると・・・

「朽木ー!何処だ!」

誰かが双葉を呼んでいる声が聞こえてきた。双葉もその声に気がつき自分を見つけてもらうために声を張り上げ、一生懸命返事をした。

「私はここに居るわ!誰か助けて!」

そう言うとどんどん声が近づいてくる。

「朽木!大丈夫か!」

そう言って目の前に現れたのは咲夜であった。咲夜を見た瞬間に双葉は咲夜の胸の内に飛び込みそして泣いた。

「・・・朽木?大丈夫か?」

再度安否の確認をする

「怖かった・・・」

そう言いながら泣き続ける双葉、咲夜は泣き止むまでずっとそのまま動かなかった。

 

「落ち着いたか?」

「うん・・・ありがとう。」

「とりあえず無事でよかった、落ちたみたいだが歩けるか?」

咲夜がそう聞くと双葉は首を横に振る。

「落ちた時に痛めたみたい・・・」

「そうか・・・おんぶとお姫様抱っこ、どっちが良い?」

意地悪そうな顔をして咲夜はそう聞いてきた。

「なっ!何言ってるのよ!・・・・おんぶでお願い・・・」

「了解した。」

双葉をおんぶしながら山道を登っていく咲夜、するとここで双葉がこんなことを話し始めた。

「ねぇ音咲、言わないでね・・・?」

「あん?何のことだ?」

「・・・・私が泣いたこと。」

恥ずかしそうに頬を赤らめながら双葉は言った。

「・・・・どうしようかな~?」

意地悪そうな笑みを浮かべながら答える、双葉が睨みつけていることに気がつくと

「冗談だ、言わねぇよ。特にあの三人にはな。」

「ありがとう。」

双葉がそう答え少しの沈黙が流れる・・・すると双葉が再び話し始めた。

「あたしの家ね代々陰陽師なんだ、あたしも少しだけど力継いじゃって、いろんなモノが見えちゃうの。」

「見える?見えるって言うとあれか?幽霊とか・・・」

「うん、怖かったんだ。」

「そうか、それは大変だったな。見たくも無いものが見えるってのは相当きついだろうに、まぁともかくお前を早急に見つけ出すことが出来てよかったよ。出なければ熊に殺されていたかもしてないし、猿に追剥にあってたかもしれないからな。」

「そうなんだ・・・ごめんね、迷惑かけて。」

「それはお前のことを心配してくれた千歳や祐介に言っておけ、俺には良いよ。」

「でも見つけてくれたのはあんただし・・・お礼くらいは言わせてよ。」

「そうかよ、それじゃあそうだな・・・名前呼びしていいか?」

「別にそれくらいいいわよ、減るものでもないし・・・私も名前呼びしていい?」

「問題ないぞ、それじゃあ双葉・・・あと数週間だがよろしくな。」

「えぇ、よろしく咲夜。」

二人仲良く話しながら鐘の音学園へと帰っていった。さて完全に忘れられてる三馬鹿はと言うと・・・フラフラ森の中を歩きながら鐘の音学園へと帰っていた。

一番星の言う通り死んだフリしたら酷い目にあったっしょ・・・・

木の枝を杖代わりにしながら歩くバッチグー・・・酷い姿である。

まさか、あんなあんな事されるなんて・・・どのガイドブックにも・・・

自慢の髪型はボロボロになり、左目に丸い跡が出来ている一番星・・・酷い姿である(二回目)

おいどんの理想が・・・

泰三だけは特に大きな怪我をしてはいないが服が所々破かれている・・・酷い姿である(三回目)

「もう忘れるっしょ、もう逃げ切れたっしょ・・・・」

そんな(フラグ)を言っていると三人の目の前に大きな影たちが現れる。

 

 

 

 

ドォーン!!!

 

 

 

三人の前に現れた影は勿論先ほどの熊、さらに二体追加で現れた・・・・この後再び三人の大きな悲鳴が夜の森に響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ、しっかり寝ろよ?そうじゃないと怪我は早く治らなくなるからな。」

「わかった、ありがとう・・・手当てまでしてもらって。」

「良いんだよ別に、それじゃあ双葉おやすみ。」

そう咲夜が言うと少し頬を赤らめながら双葉も「おやすみなさい・・・」と答えて女子寮に戻っていった。

 

 

 

 

「早苗ちゃんが健康になる・・・早苗ちゃんが健康にならない・・・」

まだ続けていた早苗と若葉・・・・そんなに時間かかったのか・・・・

「・・・・健康になる!」

そういって最後のとげを抜き終えると早苗と双葉は笑顔で喜んでいた。

「良かったね~」

「ありがとう若葉ちゃん。」

「安心してね、良く当たるのとげ村さん占い。早苗ちゃんきっと元気になるわよ。」

「わ~い!・・・でもとげ村さん平気?」

心配そうに聞く早苗。

「うん~大丈夫、すぐ復活するよ若いから~」

そんな事を話していると飯野先生が部屋に入ってきた。

「早く寝なさい。」

「「は~い。」」

先生の言葉に笑顔で答える二人であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハーレムに熊は居なくて良いっしょ・・・

全身包帯でぐるぐる巻きにされているバッチグー・・・・

双葉ちゃ~~~ん

右目をガーゼで覆い隠し、口元を包帯でぐるぐる巻きにされている一番星・・・・

走馬灯が走ってるでゴワス・・・妹、早苗ちゃんとの幼い戯れ・・・・「待っておにいちゃま~!」「捕まえてごらん早苗。」「え~い!」「お~と捕まったでゴワス。」「もうおにちゃまったらワザと捕まったでしょ!」「バレタでゴワスか~」

そう言って精神崩壊していると急に落ち着き涙を流しながら・・・・

「楽しかった夏の日・・・」

今にも死にそうな泰三である

「あ~ん!双葉ちゃん!」

壊れてきている一番星、ちなみにこの三人を運んだのは祐介である。本人曰く「一番大変だった。」とのことである。

 

 

 

 

夜の中、双葉は寝られずに夜を景色を眺めていた。



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女子寮にてんてこまい『前編』

とある日の授業終わりの日、双葉は男子生徒と話をしている咲夜のことを見ていた。双葉の脳裏には自分が咲夜におんぶされながら助けてもらったことが浮かび上がっていた。

「なっ・・・なんでわたしあいつのこと見てるの・・・?」

「双葉?」

「え?なに?」

「日直たしか双葉だろ?チョークが無いから取って来てくれるか?」

「わっわかった、取って来る。」

「・・・なんかお前今日変だぞ?体調でも悪いのか?」

「大丈夫・・・」

そう言って咲夜にぶつかりながら教室を出て行く双葉。

「・・・双葉のやつどうしたんだ?」

 

 

「ちょっとちょっと、あの二人良い雰囲気じゃない?」

麗華がみどりにそう話しかける

「そうだね、双葉ちゃんが学園から戻ってきたときに何かあったのかもね。」

「そうとしか思えないわ。」

「でも何があったんだろうね?」

「もしかして音咲と朽木はもう他人じゃなかったりして~?」

「それもあるかもしれないね~私も早く祐介君とああなりたいな~」

「・・・あんた達はあれを既に超えているわよ。」

「・・・そうなの?」

「自覚無かったのね、男女が名前同士で呼び合うなんて事あなた達以外なかったんだから・・・・」

 

 

 

 

 

 

「いよ~し誰かこの図の面積を・・・う~ん・・・朽木やって見ろ。」

轟先生が双葉に問いをやらせて見ようとするが、双葉は何も言わずに下を向いているだけであった。

「・・・朽木」

聞こえていない様子なので咲夜が双葉の肩を叩く。

「双葉?」

しかし返答は無い

「おーい双葉?」

「朽木!おんどれ良い度胸じゃのう!」

そう言いながらやかんを投げてくる轟先生。そのやかんは双葉ではなく咲夜の手で止められた。

「そらよっと!」

咲夜はやかんを轟先生に投げ返す、カンッと言ういい音がした。先生直撃である。

「ん?そう言えば雄介たちは何処行った?」

 

 

 

 

 

 

 

 

三馬鹿と祐介は現在木に登って女子寮を見ていた。

「あのさ・・・マジであそこに?」

双眼鏡を持ったバッチグーに聞く祐介。

「何故女子寮に突入するか・・・それは、そこに女子寮があるからだ・・・」

カッコつけて言ってるバッチグー・・・言ってることは馬鹿馬鹿しいが・・・するとそよ風が四人を通り過ぎていく

「「「お~・・・女子寮の香りが・・・」」」

一斉に匂いを嗅ぐ三馬鹿共・・・

「マジで言ってるのか?」

「早苗ちゃんの枕の香りもしたでゴワス~」

「うっそだ・・・」

「甘美極まる夢の世界!それを女だけの物にしとくのは、勿体無いっしょ!」

「「うんうん」」

「女だけだから女子寮って言うんだけどな・・・じゃあ俺授業があるから帰るわ。」

そう言って木を降りていこうとしていたときであった。

「待つっしょ!」

そうバッチグーが言うと祐介の上から泰三が降ってくる

「ここまで来て抜け駆けは許さんでがゴワス!」

そう言いながら真っ逆さまに落ちていく祐介と泰三

「行かないよ俺は!」

そう言いながら逃げる祐介、しかしその前にバッチグーと一番星が降りてくる、するといじけながら・・・

「良いよな祐介は~一人だけ女の子と仲良くできて~」

「所詮自分さえ良ければ、ぞれで良いって薄情なやつなんっしょ~」

愚痴を零すように言う二人

「・・・あのな~」

祐介も何か反論しようとしているが・・・

「お前が居れば~万が一見つかっても許してもらえる。」

そんな戯言を言う一番星

「んな訳あるか!」

祐介が勿論反論する

「あ!祐介!この指の誓い忘れたとか?

「そーだ!忘れたとは言わさんぞ!」

「こんじょう据えて返答してもらうでゴワスよ!」

 

「「「さぁ!さぁ!さぁ!さぁさぁさぁ!」」」

三人で人差し指を突き出す馬鹿共・・・どこかで見たことのある光景だ。

「あそこの誓い?・・・そんな誓いしたっけ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場面は夜へと変化する、女子寮付近の林から忍び寄る四人の影。言わずもがな祐介と三馬鹿である

「あっ・・・あのさ、確認していいか?女子寮に一歩でも入れたらそれで良いんだよな?」

三人に聞く祐介、よっぽど不安なのだろう。

「「「あん!?」」」

三人が睨みつけるように雄介を見る

「おいおい祐介・・・」

「行けるとこまで行く・・・それが男っしょ・・・」

「・・・ゴワス。」

カッコつけて言う三馬鹿・・・そもそも服装がバッチグー以外可笑しい。一番星は赤いマントのようなものを羽織っており、泰三においては風呂敷を顔に巻いて何かを背負っている、口元にはペンで書いたであろう髭がある。

「時間確認!」

そう言って一斉に時計を出す三人、一番星とバッチグーは腕時計・・・しかし何故か泰三は目覚まし時計である。

「確認!消灯をもって突入っしょ!」

「「ラジャァ!!!」

三人の意気込みが強すぎて圧倒される祐介

 

 

 

 

 

「熱い・・・」

団扇で風を煽る麗華、その隣には祐介の写真を持ちながら笑顔にしているみどり。

「あ~暑苦しいね、いつになったら祐介君に告白するわけ?」

そう麗華に言われると顔が赤くなり恥ずかしそうにするみどり

「共学中にはするよ・・・」

「本当に出来るんだか・・・そう言ってしなかったなんてことにならないようにね。」

「分かってるもん、何時か絶対に祐介君に告白してみせる。」

そう言いながら布団に入るみどり。消灯の時間になり女子寮の電気が消えていく・・・彼らが動き出す

 

 

突入するっしょ!!!!

 

 



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女子寮にてんてこまい『中編』

夜、双葉は寝られずに居た。今でも咲夜のことが頭に思い浮かんでくるからであった。その度に目を閉じ何かを考える、すると突然何かの気配を感じたのか起き上がる。そうして布団の右側に置いておいた護身用の木製バットを手に取り女子寮の入り口へと移動していった。

現在入り口付近では怪しげに動くダンボール箱がゆっくりと女子寮に近づいていた、その目の前に現れたのはバットを持った双葉であった。ホットパンツにノースリーブの下着姿である。

すると一つのダンボール箱の穴からキラーンっと光何かが・・・次の瞬間ダンボール箱が双葉に襲い掛かってきた。はっ!っとした顔で箱を見ていると中から現れたのは異様な格好をした一番星であった、まるでドラキュラのような格好で双葉を襲い掛かってきた。

「双葉ちゃーん!」

鼻の下が伸びている状態で言っている為怖さは全くと言って良いほど無い。

「即効っしょ・・・」

ダンボールの中から見守るバッチグー。双葉は顔色を変えずに打つ構えになった

「でりゃぁぁぁぁぁ!!!」

大きな声でバットを振り回す双葉、バットは確実に一番星を捕らえ夜の彼方へと飛ばしていった。

「殉職したっしょ・・・」

「早っ!」

無言で睨みつける双葉、流石にこれでは不味いと思ったのか退却するダンボール達。

「そこ!出てきなさい!」

双葉がそう言うが一切のアクションも起こさない三人

「ど・・・どうするんだよ?」

二人に聞く祐介・・・

「出てこないとこっちから行くわよ!」

双葉がそう警告する。

「おい、お前の出番っしょ」

「行くでゴワス。」

「ちょっと待て!」

祐介の声は残念ながらも二人には届かず、蹴り飛ばされ双葉の目の前へと叩き出される。

「・・・高崎。」

「ギクッ!・・・・ちっ、違うんだ!これは!」

土下座しながら一生懸命弁解しようとするが時既に遅し・・・

「最低・・・・」

その言葉が祐介の胸に突き刺さり、祐介は地獄の鬼ごっこへと参加させられるのであった。その内にバッチグーと泰三は窓から女子寮へと侵入した。

「突入成功っしょ・・・」

「・・・祐介どんの尊い犠牲、無駄にはしなかったでゴワス。」

泣きながら言う泰三・・・

「・・・いざ。」

そう言って女子寮を捜索する二人。

 

 

 

 

 

 

 

 

お腹を出しながら寝ているショートパンツの女の子やシャツから胸が出てしまっている女子、ワンピースのような下着などを着ている女子の寝顔を拝んでいる馬鹿二人。

「寝つきと下着の趣味がいいしょ~」

鼻の下を伸ばしながら言うバッチグー、次の部屋へと足音を立てずに移動していく。

「おっじゃましま~す」

そう言いながら入っていく

「こんばんは~」

するとバッチグーの顔に何かが当たる。

「こッ・・これは・・・!!!!」

バッチグーに当たったものは部屋干されている女性用下着であった。匂いを嗅ぐバッチグー・・・・猿みたいである・・・猿でもそんな事しないか

「なるほど・・・Eカップ以上のブラジャーは高価でとてもコス楓は毎日の着替えも変えたいと、胸の大きな女子高生にとってブラジャーを洗濯することは日課しょ・・・」

匂いを嗅いだだけで何故こんなことが言えるの不思議でならない。

「記念っしょ・・・チーズ!」

そう言ってカメラを取り出し自撮りするバッチグー、何が記念なのであろうか。一方泰三の方はというと・・・

 

 

 

「早苗〜ちゃん」

そう、お目当ての早苗の部屋へとやって来ていた

「こんばんわでゴワチュ〜♪」

ニヤニヤしながら入っていくが、絵面が完全にアウトである、早苗はスヤスヤと寝息をたてながら静かに眠っている。

「もうお兄ちゃま、我慢できないでゴワチュよ〜」

如何せん絵面が酷すぎる、せめて服装をなんとかして欲しかった

「早苗ちゃんの寝顔・・・オカズにするでゴワチュ♪」

そう言うと風呂敷を下ろし包んだ物を取り出す、取り出されたのは勿論釜飯・・・なんで持ってきたんだろうね?別で容器を取り出し釜飯をよそっていく、いつもの白米ではなく今回はお赤飯である。早苗ちゃんの寝顔をオカズにしながら食べれる飯が来るとは思わなかったんだろうね、良かったね泰三・・・・じゃないよ!気持ち悪いな!早苗の匂いを嗅ぎながらお赤飯を食べていく泰三、何真剣な顔して飯食ってるんだよ・・・少し経つと突然泰三が食べるのを辞め、頭に巻いている風呂敷を外した。泰三の頬には涙が流れていた。

「美味かったよ・・・早苗ちゃん・・・お兄ちゃま、こんな美味い飯は初めてでゴワした・・・」

号泣し箸を握りしめながらそう言う泰三・・・早苗が五月蝿そうに反対側に寝返りを打つ

「おぉ!いかんいかん・・・起こしては可哀想でゴワチュ。さぁ!お兄ちゃまが添い寝してあげるでゴワチュよ〜」

そう言いながら早苗の頭の匂いを嗅ぐ泰三・・・気持ち悪い。すると今度は全身満遍なく匂いを嗅いでいく泰三・・・本当に気持ち悪い

「・・・・幸せでゴワチュ。」

 

 

 

 

 

 

カシャッ!カシャッ!何度も写真を撮るバッチグー、全て女性用下着を着用した上で撮影している・・・この事を女子が知ったらどうなるであろうか?

「たまんないっしょ・・・」

スケベ顔で部屋を巡るバッチグー、すると目の前に生地の薄い下着が・・・こんなの着る人居るの?

「なっ・・・なんでキワドイ、一体誰のっしょ?はっ!ひょっとして!」

バッチグーの脳裏には保険担当である飯野千種先生が・・・

「Eのちっ!ちぶさ先生!?」

布面積の薄い下着を引っ張りながら恐る恐る部屋に入っていくバッチグー、するとそこにはスケスケの下着を着た女子が眠っていた。

「ちぶさ先生っしょ!間違いないっしょ!」

そう言いながら何故か持っていた下着を自分につけるバッチグー

「こっ・・・これは!同じサイズっしょ!バスト92のEカップっしょ・・・こんな、こんな幸せがあったっしょ〜!」

・・・・何が幸せなのか全く分からなかった、するとバランスを崩したのか眠っている女子の方向に片足で向かうバッチグー

「ダメっしょ!ダメっしょ!今までの努力が水の泡っしょ!」

そう言いながらなんとか体制を戻そうとするが結果的に女子の隣へと転んでしまう。すぐ近くで音がした為眠っていた女子も起き上がってしまう、電気がついていないためその顔を確認することは出来ないが月の光に照らされているバッチグーの顔は確実に見られているだろう。

「おっ・・・お願いっしょ!貴女の魅力という名の蜘蛛の巣に捕まったこの俺を少しでも哀れと思うなら、このまま見逃して欲しいっしょ!・・・・でもあ〜んな事とかそ〜んな事とかこ〜んな事とかヤラせてくれたらもっと嬉しいっしょ!」

(約 ヤラせて下さい)

 

 

 

少しの沈黙が流れると女子が静かに顔を・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

縦に振った。

 

 

相手が了承したことに驚きを隠せないバッチグー、目が泳いでしまっている。状況を飲み込めるとすぐさま着ている物を脱ぎ裸になるバッチグー・・・子バッチグーの角度は45°、標準は女子に向いている。

「いっただきまーすっしょ!!!」

そう言いながら女子に飛びかかるバッチグー、子バッチグーの角度は60°に達した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう言えば双葉に吹き飛ばされた一番星はと言うと・・・

「マイハニー・・・フタバ・・・♪マイスイートピーチ・・・フタバ・・・♪」

一番高い木に引っかかり何かをブツブツと言いながら夜の空を眺めていた・・・・触れないであげよう。

 



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女子寮にてんてこまい『後編』

「だから!話を聞いてくれってば!」

そう言いながら双葉に追い詰める祐介

「違うんだぁ!」

「煩い!・・・全く男って、ちょっとでもあいつの事を気にした私が馬鹿だった・・・」

双葉は顔を伏せながらそう呟いた

「へっ?何?」

その呟きはどうやら祐介にも聞こえていたらしい、聞こえてしまったのが相当嫌だったのか、双葉はバットを振り回しながら祐介に詰め寄っていく。

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

双葉のバットが祐介を直撃しようとした瞬間、何かがバットが当たるのを防いだ。

「・・・祐介に双葉、お前らこんな時間に何してんだ?」

「さっ、咲夜!お前こそなんでこんな所に!?」

バットを受け止めたのは咲夜であったしかし服装がおかしい、何時もは黒いTシャツを着て短パンを履いているがこの時だけ何故かスポーツブラのような上着と左右非対称の長さのズボンを履いていた、さらに普段縛っている髪の毛をといている状態であった。咲夜は双葉からバットを取り上げると現在起きている状態を2人から聞き始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・それでこの現状になっていたという訳か。」

「スマン、まさかこんな事になるなんて・・・」

「スマンで済むわけあるか、大体祐介お前はあの3人に利用され過ぎだ、ちゃんとした接し方をして行かないとまた同じ目に遭うぞ・・・」

「面目ない・・・」

「とりあえずこの現状を引き起こしたのはこちら側の責任だ、双葉申し訳ない。」

そう言って双葉に頭を下げる咲夜

「・・・別に咲夜が謝ることじゃないでしょ?あの馬鹿共にちゃんと謝らせないと意味は無いのよ。」

「あぁ・・・そうだな、祐介あの馬鹿どもは今どこにいる?」

「えっと、一番星は夜の彼方へ消えていったしあとの二人は・・・」

「二人は?」

「多分女子寮の中に・・・・・」

「・・・・双葉」

咲夜が双葉に向かってアイコンタクトをする、双葉も何かを読み取ったのか

「分かったわよ咲夜」

と言い返す

「祐介、お前は先に帰ってろ・・・処理はこっちでしておく。」

咲夜は睨みつけるように祐介を見る

「わっ・・・・わかった。」

そう言って女子寮を去っていく祐介

「さぁ、始めるとするか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガァァァァ・・・・・ガァァァ・・・・

 

 

早苗の部屋から異様ないびきが聞こえる、もちろん原因は部屋に侵入した泰三である。早苗は五月蝿そうになんども「う〜ん・・・」と唸っていた。

 

 

この状態に気がついた女子が一名だけいた。

キィーーーン

と何かのアラームのような何かがサボテンから発せられる、するとサボテンの持ち主の女子が起き上がり何者かがこの寮に侵入していることに気がついた。サボテンを手に取り部屋を出ていく女子、迷わずに向かった先は泰三が侵入した早苗の部屋。女子は早苗の隣で寝ている泰三を見ると

「はっ!熊!」

泰三を熊と勘違いしたらしい。

「トゲ村さん、一緒に退治しましょうね。」

若葉はそう言うと「トゲ村さ〜んキーック!」と言いながら泰三のケツにトゲ村さんを突き刺した。その痛さに起きる泰三。気がついたのもつかの間、今度は「トゲ村さん〜チョーップ!」と言いながら泰三の顔に突き刺す若葉。

「トゲ村さんローリングサンダーミラクルアタッーク」

そう言いながら突き刺したトゲ村さんを泰三の顔にグリグリと押し付ける若葉、泰三はあまりの痛さに大声を上げる。

その声は絶賛盛りあいのバッチグーの元にまで届いていた。

「てっ!天神のやつドジったっしょ!くそぉ!まだこっちは途中・・・」

そう言っているとバッチグーの右頬に手が添えられる

「なぁに〜?どうしたの?火傷するわ♪よ♪」

その声を聞き不思議そうにするバッチグー、それもそのはずだバッチグーは相手が飯野先生だと思っていたのだから。

「「メガネメガネメガネメガネメガネメガネメガネメガネメガネ」」

2人ともメガネを探し、同じタイミングでメガネをかける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

両者初の顔見せである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イヤァァァァァァァァァァァァァ!!!!

 

 

 

 

 

 

 

女子寮全体に声が響き渡る、すると女子寮の電気が一斉に付き始める。

「あそこか!急ぐぞ双葉!」

そう言いながら声のあった方へ向かっていく咲夜、置いていかれぬようについて行く双葉。二人が辿り着き見たものは・・・・

 

 

「あ〜んいや〜ん怖かったわ!美しいってなんて罪なんでしょう!」

そう言いながら恥ずかしがる女子、顔を赤くしながら今回捕まった侵入者2人を見ている女子生徒達。何故顔を赤くしているのかと言うとバッチグーは何も着ずに全裸で縛りつけられているからである・・・・言わなくとも分かるであろう。

「害虫よ害虫!」

「早苗ちゃん大丈夫だった〜!?」

様々な非難の声が侵入者の心をボコボコにする、すると今度は物理で二人をボコボコにする女子達、彼女達が持っているものは辞書や扇風機挙句の果てには何処から調達してきたかわからないフライパンである。

「・・・・扇風機で殴らないでくれよ、どんだけ直すのに苦労したと思ってるんだ。」

涙目になりながらそう呟く咲夜

「あいつらを侵入させるために高橋を利用して私を遠ざけたって事ね・・・」

「恐らくそうだろうが・・・バットより硬いフライパンで殴られてるな、どこから持ってきたんだか・・・とりあえず女子達が殴り終わるまで待ってるとするか。」

「・・・・そう言えば咲夜、あんたのその服装は一体何?」

「ん?あぁこれか?いや〜最近暑くてさ下着の状態で寝ても暑いから極力布面積を減らした下着を作ったんだよ、まぁ着るのは今日が初めてだけどな。ズボンは適当に作ったから意味は無い。」

「あっ・・・そうなんだ。てっきりあたしは咲夜にそんな趣味があるのかと・・・・」

「・・・・・そんな物ない。多分

少し顔を逸らしながら言う咲夜・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

女子がボコボコにし終わった後、咲夜は後処理を済ませ二人を双葉が迷い込んだ森へとくくりつけて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一番星は翌日の朝いない事が(忘れていた)判明し捜索され木の上から救い出された



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保健室でばたんきゅー『前編』

朝日が強い日の平日、授業に集中できず外を眺めている咲夜。外では現在一年のクラスが体育の授業を行っているところである。

ピィ~ッ

「はい次!」

体躯教師が声をかけると並んでいる女子が手を挙げ走り始める、両足で踏み台を踏みつけ障害物を越えていく。その姿勢は綺麗でありもう少し高くしても飛べそうである。

「やった!飛べたわ!」

そう言いながら嬉しそうにその場を退く女子、やる気の無い教員の声がまた発せられ女子はその言葉に答えていく。ちなみに体育の授業内容は跳び箱である、皆さんは何段まで飛ぶことが出来るだろうか?教室に視線を戻して見ると祐介が眠そうにあくびをしている、それもそのはずだ祐介は前回の三馬鹿の看病を遅くまでしていたのだから。しかしこの三人の回復力は恐ろしく早く既に傷も治っており授業に出ている。

「いいか~?ここは試験に出るからお前ら頭によ~く叩き込んでおくように。」

轟先生が言う中祐介は話を聞かず意識は上の空へと行っていた。もう一人集中できていない人物が居た・・・・

「早苗ちゃん、早苗ちゃん、早苗ちゃん・・・・」

泰三である、先ほどから何度も早苗の名を呼んでおり授業は全く聞いていない。こいつら・・・と思いながらも視線を再び外へと向けると、体育に参加していない生徒を発見した。黒髪のロング・・・そう泰三がさっきから名を連呼している早苗である。

咲夜が外ばかり見ているとここで祐介の頭にやかんが叩き付けられた。

「高崎、ワシの授業はそんなに退屈かいの?」

怒りマークを額に浮かび上がらせた轟先生が祐介に問う。

「え・・・別に・・・」

「だったらキチンと前を見んかい!」

そう言いながら祐介の頭に本日二度目のやかんが振り落とされた。

 

 

 

 

 

 

 

ゴーンゴーンと昼をあらわす鐘が鳴ったところで昼食の時間である、祐介は頭に出来たたんこぶを気にしつつも昼食を摂っていた。三馬鹿は何かを考えているようで昼食中ずっとボーっとしていた。

「んー・・・なんだか見えない壁があるみたいっしょ。」

「この間の女子寮潜入が響いてるな・・・天神もあれ以来この調子だし・・・」

そう言って泰三に目を向ける二人、そこには酷く落ち込んでいる泰三の姿があった。

「早苗ちゃん・・・早苗ちゃん・・・」

するとここでバッチグーが立ち上がり・・・

「こんな状態はよくないっしょ!もっともっと男女は仲良くしないといけないっしょ~」

「その通りだな!・・・っと言うことで期待してるよ高崎!」

そう言いながら味噌汁を飲んでいる祐介の背中を思いっきり叩く一番星、背中を強く叩かれたことに驚いたのか祐介は口に含んだ味噌汁を噴出してしまう。

「なんで俺なんだよ!」

「お前とみどりちゃんが仲良くすることで、自然と男女の仲が縮まっていくのだよ~」

「そんな訳n「そんな訳ねーだろ、現実を良く見ろ馬鹿が・・・」・・・・」

祐介が反論しようとしたがすぐに言葉を返したのは咲夜であった。

「テメェらがやったことを何でテメェらが直さずに祐介に任せてるんだよ、いい加減祐介を酷使するのもやめろ。テメェらのしたことで何の関係も無い男子がテメェらと同等の扱いを受けている事態なんだよ、いい加減に考えろ馬鹿が・・・」

そう言って食堂を後にしようとする咲夜。

「咲夜、何処に行くんだ?」

「着替えだ、お前に味噌汁吹きかけられたからな・・・」

「・・・・すまん。」

「気にするな、悪いのはお前じゃないんだから。」

そう言って咲夜は食堂を出て行った、咲夜と入れ替わりでみどりが祐介の近くへと寄っていく

「祐介くん!」

元気に祐介に話しかけるみどり、一番星は祐介の隣を空けるために奥へと詰めていた。

「みどりちゃん~どうぞどうぞ!」

「みどりちゃんの予約席だっしょ!」

「ありがとう!」

笑顔で返すみどり、二人の顔がそこはかとなくイラつくがまぁいいだろう。

「ねえねえ、さっきやかんで殴られたところ大丈夫?」

「なんでもないから大丈夫!」

「なんでもなくないよ~」

男女の見えない壁は二人には関係ないらしい。

 

 

 

「どうしたんですかお姉さま?」

そう若葉に言われてビクッとする双葉、どうやら何か考えていたらしい。

「なんでもない。」

相変わらず愛想なく返事を返す双葉。

「でもさっきから全然食べてないです。」

「関係ないでしょ?」

「ちゃんと食べないと胸に栄養が行かなくなっちゃいますよね~」

トゲ村さんにそう言葉をかける若葉、しかしトゲ村さんの反応はなく変わりに双葉からの頭ぐりぐりの刑が与えられた。

「若葉~~~?」

「トゲ村さん助けて~~~!」

 

 

「ごちそうさま。」

「ちょっと待ってよ・・・」

みどりの制止も聞かずに席を立つ祐介

「上手くやれよ、祐介!」

「全てはお前にかかってるっしょ・・・」

咲夜に考えろと言われたのにもかかわらず二人は相変わらず祐介を利用するらしい。しかし泰三だけは違うらしく・・・いきなり立ち上がり

「おいどん、行ってくるでゴワス!」

そう言って食堂を出て行った。

「・・・あいつ、何処に行ったんだ?」

「さぁ・・・っしょ。」

二人が呆気に取られている中、祐介とみどりは・・・

「ねぇ、追いかけて見ない?」

「え?」

「食後の散歩!」

と、仲良く話していた。

 

 

「どう見ても変ですお姉さま。」

「そんなこと無いって!」

そう言って食事を再び取り始める双葉。

「あんまり食べると太っちゃいますよね~」

再びトゲ村さんに話しかける若葉、そして本日二度目の頭ぐりぐりの刑が下される。

「うがぁぁぁぁ!」

「トゲ村さ~ん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

木製のベンチに座っている早苗、日光は隣の木が遮っていてくれている為当たる心配が無い。早苗は身体が弱いがこういった場所ならば体調も崩さずに済むであろう。

薬の時間なのか水の入ったペットボトルを開けようとすると横からいきなり泰三が現れた。

「早苗ちゃん!」

いきなり現れたことにビックリしたのか声を上げる早苗、それに構わず目をそらしながら話す泰三。

「あっあの夜は悪かったでゴワチュ。」

「・・・」

「おいどんは早苗ちゃんの顔を見てご飯を食べると、幸せを感じるんでゴワス。あぁ~ただそのことで頭がいっぱいで・・・早苗ちゃんの事を考える余裕が無かったんでゴワチュ。」

「・・・」

「そこで今日はその幸せを早苗ちゃんにも分けてあげたいんでゴワチュ!」

そう言って取り出したのは釜飯、それを泰三は早苗の隣に置いた。

「早苗ちゃんもおいどんを見ながらご飯を食べるでゴワチュ~きっと幸せな気持ちになるでゴワチュ~さぁ!」

そう言って大盛りのご飯を早苗に渡そうとする泰三、しかし泰三のことが怖いのか受け取らない早苗。

「さぁ!さぁさぁさぁ!」

そう言ってご飯を持ちながら詰め寄る泰三・・・そこに祐介とみどりが現れた。

「何やってんだよお前は!」

それもそう言うであろう、二人は今来たことにより何があったかはわかってはいないが、泰三が早苗にご飯を持って詰め寄っているという事は理解できている。

「お前、女の子を怖がらせてどういうつもりだよ!」

「怖がらせてなんかいないでゴワス。」

「どう見たって怖がってるだろ!」

「そんな事ないでゴワチュよ~」

そう言って早苗に目線を移すが早苗は酷く怯えきっていて涙が出そうである。

「わぁ~ご飯だ!」

みどりが泰三の釜飯を見ると泰三は焦りながら釜飯のフタを閉めた。

「あぁ!駄目でゴワス!これは早苗ちゃんの分でゴワス!!!」

そう言いながら強くフタを閉めたので驚いたみどりが後ろに下がってしまい、早苗に当たってしまう。すると早苗の持っていたペットボトルが飛ばされ水が零れてしまう。

「あぁ~!」

そう言って泰三を睨みつけるみどり。

「みっ水でゴワスな!すぐに持って来るでゴワス!」

そう言ってその場を去る泰三。

「水を持ってくるよりかは買ったほうが早いから一旦食堂に戻ろう、あそこに確か自販機があったと思うから。」

祐介の提案によって三人は食堂に移動し、自販機で水を買うことにした。

 

 

 

「ごめんね・・・」

そう言いながら水を渡すみどり。

「いえいえ・・・」

そう言ってポケットから薬の入ったピルケースを取り出し、中に入っている薬を一錠口の中に入れてみどりから受け取った水を飲み薬を体内へと流し込んでいく。

「私、小さいころから身体が弱いんです。この学校に来たのだって綺麗な空気のところで暮らす為なんです。」

「まぁここは豊かな自然しか褒めるところ無いからな。」

「お陰で私、最近ちょっと調子が良いんです。」

「よかったね。」

みどりにそう言われると笑顔で言葉を返す早苗、その笑顔からは本当に来てよかったと思っている様子が窺える。

 

 

 

ゴーン・・・ゴーン・・・

 

予鈴が鳴り響く、三人は急いで教室へと戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちなみに泰三はと言うと・・・

「うおぉぉぉぉぉ!!!早苗ちゃん!!!待ってるでゴワチュぅぅぅぅぅぅ!!!」

叫びながら沢山のやかんへ水を入れていた。



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保健室でばたんきゅー『中編』

授業も終わり、時間は夜へとなっていた。

「祐介どん酷いでゴワス、早苗ちゃんと何処行ってたでゴワスか?おいどんが何杯水を汲んだと思ってるでゴワスか?」

泣きながら祐介に言う泰三、その横には山積みにされた水入りやかんが存在していた。

「人の恋路を邪魔するとは!」

「見下げたやつっしょ!」

心に無い言葉を祐介にかける一番星とバッチグー。

「違うって!ただあの子が怖がってたから・・・」

「本当かっしょ~?」

疑いの目を向けるバッチグー、すると一番星が・・・

「もしかしてお前・・・」

「何だよ・・・」

「早苗ちゃんのことを・・・」

どうやら祐介が早苗を狙っていると思っているらしい。

「そんなんじゃないよ!」

「じゃあ何なんだっしょ!」

声を荒げて祐介に問うバッチグー、その目は先ほどよりもよりいっそう強くなっていた。

「何だといわれても・・・」

返す言葉がなかなか見つからない祐介、後ろで泣いていた泰三がはっとした顔になり祐介に・・・

「祐介どんも早苗ちゃんに、お兄ちゃまと呼ばれたいんでゴワスか!?」

鬼の形相で詰め寄る泰三、どん引きしている三人・・・

「それは断じて違うー!」

祐介の声が夜の男子寮に響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 

「祐介の声か・・・またくだらない事をあの三馬鹿にやれと言われているんだろうな・・・」

そう言って懐中電灯を持ちながら巡回を行う咲夜、何故巡回を行っているかと言うと・・・あの三馬鹿が昨夜騒ぎを起こしてしまった事により総長から「まともなやつは寮を巡回しろ!」と言われた為である。しかし巡回しているのは咲夜一人だけである、巡回を利用し女子寮に潜入すると言った作戦を立てた男子たちは総長のストレートを貰い現在気絶しているからである。

咲夜が巡回を行っていると誰かが懐中電灯を持ち何かを探しているような動作をしているのが目に入った。

「おい、お前こんなところで何してる?」

そう咲夜が話しかけるとその少女は咲夜の方へと振り向いた。

「えぇっと・・・」

「何か落としたのか?」

「・・・はい、薬のケースを。」

「何処で落としたか覚えてるか?」

少女は顔を横に振った。

「そうか・・・探すの手伝ってやるよ、この時間じゃあ見つかりにくいからな。」

「ありがとうございます・・・えっと・・・」

「あぁ、俺の名前は音咲 咲夜。お前の名前は?」

「美南 早苗です。」

「分かった、美南手当たり次第にこの周囲を捜索するぞ。」

そう言って咲夜はベンチ方面、咲夜は周囲にある木々方面を捜索し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「駄目だ、見つからない。こう暗いと流石に見つからないか・・・」

「でも・・・あの薬がないと・・・」

「はぁ・・・しかし熱いな、休憩がてらに飲み物買いに行くか。」

「はい・・・あっ、もしかしたら・・・」

「何か思い出したのか?」

咲夜がそう言うと早苗は昼間にあった出来事を話した。

「・・・なるほど、祐介がね・・・しかし泰三がそんなことするとは。まぁいいそれじゃあ食堂に向かうぞ。」

そう言って二人は食堂へと向かい自販機周辺を捜索し始めた。

「机の下とかを美南は探してくれ、俺は狭いところとか自販機のしたとかを調べるからよ。」

「分かりました、それしゃあお願いします。」

食堂内を捜索し始め約三分後、咲夜が自動販売機の奥に落ちてしまっている小型のケースを見つけた。

「あったぞ。」

そう言って腕を入れてケースを掴みそのまま腕を引き戻す。その手にはウサギの描かれたケースが入っていた。

「これで間違いないか?」

「はい、これです・・・ありがとうございます。」

そう言って安心したようにケースを受け取る早苗、しかし咲夜が何かを感じ取ったらしく声をかける。

「どうした?体調でも悪いのか?」

心配そうに話しかける咲夜。

「いいえ・・・うれしいんです。」

「そうか・・・何か飲むか?奢るぞ。」

「良いんですか?」

「あぁ、構わねえよ。

「ありがとうございます。」

 

 

 

 

休憩を取り終えた二人は食堂から出て行く。

「もう大丈夫か?」

「はい、ありがとうございました。」

「別にたいした事じゃない、気にするな。」

「あっ・・・」

早苗が何かを見つけたらしい、咲夜が後ろを振り向いて見るとそこには大きな満月が。

「大きな月・・・」

「あぁ、今日は満月だったか。ここら一体は森に囲まれている影響で星が綺麗に見える、良いもんだろ?」

咲夜は笑顔を向けてそう言った、早苗もそれに続くように次第と笑顔になっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「こう熱くちゃあジュースでも飲まなきゃなれない・・・」

一人の女子生徒が食堂に向かっていると咲夜と早苗が話しているのを目撃した、邪魔にならないようにそっと影に隠れて会話を盗み聞きしている。

「何?何なのよこのツーショットは!今度(・・)は早苗ちゃん?あんたにはいつも仲良くしている双葉ちゃんが居るでしょうが!音咲咲夜!」

そう心の中で思っていると正面の影から誰かが同じように二人のことを覗き見していた。

「咲夜どんまで・・・抜け駆けとは卑怯でゴワス・・・」

悔しそうにハンカチを握り締めている泰三の姿であった。一旦二人の様子を窺うのをやめる麗華。

「なんだかややこしいことになってるみたい・・・これは見なかった事にするしかないわね。」

そう言ってその場を去って行った。

 

 

 

 

 

 

次の日のお昼休み、泰三を含む三馬鹿は校舎の裏へと集まっていた。

「おいドンは悔しいでゴワス!祐介どんだけではなく咲夜どんも早苗ちゃんのことを狙っていたなんて!」

「祐介にはみどりちゃんと言う相手が居るのにもかかわらずに早苗ちゃんに手を出しやがって・・・咲夜にいたっては俺の双葉ちゃんに手を出した挙句、早苗ちゃんにまで!」

「おのれ祐介、咲夜許すマジっしょ!」

「おいドンは早苗早苗ちゃんが編入したときからずっと見守ってきたでゴワス、それを・・・それを・・・」

そう言って泣き出す泰三、まぁ確かに泰三が一番最初に早苗に接触したことは確かではある。しかし泰三が早苗に今までしてきたことが良い事とは限らないが・・・

「祐介と咲夜にばかりおいしい思いをさせておくには行かないな!」

そう一番星が言うとえ?っとした顔でこちらを見てくる泰三とバッチグー

「え?どうする気っしょ?」

バッチグーが一番星に問うと、何処からか取り出したバラを銜えカッコつけこう言った。

「この一番星様が全力を上げて、天神と早苗ちゃんの愛の花を咲かせてやるのさぁ!」

「あっ・・・・愛の花・・・」

その時泰三から見えた一番星はまるでキリストのようであったらしい。

「おぉ神よ、私の願いはほんのささやかな物なのです。愛の花だなんて・・・そんな大それたこと・・・」

すると恥ずかしそうにこう言った。

「おいどんはただお兄ちゃまと呼ばれたいだけでゴワス。」

「「えぇ?」」

せっかく一番星が張り切っていたのだが泰三が成したいことは早苗に「お兄ちゃま」と呼ばれたいだけであった。

「とにかく妹と言えど、女の子に変わりはないんだ。女の子のことならこの一番星 光に任せなさい!」

そう言って取りだしたのは1つの雑誌。

「えーっと・・・何処だったかな?」

そう言って雑誌をめくっていく一番星、はっきり言って不安しかない。

「これだ!女の子を振り向かせる時はプレゼント!これに限る!」

「でもプレゼントは受け取って貰えなかったでゴワス・・・」

悲しそうな顔をしながら話す泰三。

「一様念のために聞くが・・・何をプレゼントした?」

「炊きたてのご飯!」

その言葉を聞いた一番星がガックリとしたのは言うまでもない、炊きたてのご飯をプレゼントする人など聞いたことないからである。

「流石天神!意表をついてなおかつ愛情たっぷりのプレゼントっしょ!・・・それを受け取らないとは早苗ちゃんもなかなかガードが硬いっしょ。」

「おいどんは一体何をプレゼントすれば良いでゴワスか?」

その言葉聞いたバッチグーがなにか閃いたようにメガネを光らせる。

「こうなれば・・・・・自分自身をプレゼントするしかないっしょ!

その瞬間何故かバッチグーは亀甲縛りにされていた。続けて何か言っていたが二人は論外と悟り何をプレゼントするか考えていた。

「ここは無難に人形なんてのはどうだ?テリーベアーなんかオススメだぞ!」

「おー!早苗ちゃんにテレーベアー!良い感じでゴワス・・・・ところでテレーベアーってなんでゴワスか?」

一番星の案が良いと思ったのはいいがテリーベアーを知らないらしい、その言葉を聞いた一番星はズッコケ、バッチグーは縛られていたロープが千切れた為地面に落ちてしまった。

「なんだ知らねーのかよ!」

「熊っしょ!熊の人形の事っしょ!」

「熊ぁ?そんなもので女子が喜ぶでゴワスか?」

「流行ってんだよ今、手作りオリジナルティディベアとかよ!」

その言葉を言った一番星が何かを思いついたように声を上げた。

「そうだ!手作りだよ!」

「手作りティディベアで早苗ちゃんのハートをGET!バッチグーっしょ!」

2人の話を聞き、どうするか悩む泰三。

「・・・・分かったでゴワス!命をかけてテデェとやらを手作りするでゴワス!」

そう意気込んだのはいいがテデェではなくティディである。

「プレゼントは渡す場所も重要だぞ!どこか2人っきりになれる所が良いな・・・」

「あぁ、それならいい場所があるでゴワス。」



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保健室でばたんきゅー『後編』

次の日になり生徒たちが登校する。この日は3人が泰三の為に編み出したプレゼント作戦を実行する日でもある。まず最初に校舎へと到着したのは祐介とみどり、祐介が上履きに履き替えようとロッカーを開けるとそこには一通の手紙が入っていた。

「手紙?」

「誰からだろう?」

「わからない・・・俺得に何もしてないと思うんだけど・・・」

「ねぇねぇ、その手紙私も読んでいい?」

「ダメだ、一様俺ところに入っていたしみどりは関係ないと思うよ。」

「少しくらい見せたって良いじゃんケチ〜」

仲が良いのは相変わらずである、しかし手紙の差出人が誰かは謎である。二人が教室に移動すると同時に到着したのは咲夜であった。

「ふぁぁぁ〜ねみぃ・・・」

何故か眠たそうにしていた、学校の備品でも弄っていたのであろうか?咲夜もまた祐介達と同じように履き替えようと開けると一通の手紙が入っていた、どうやら祐介と同じようなものである。

「・・・誰からだ?」

不審に思いながらも手紙を手に取り教室へと向かった。

ちなみにあの3人は遅刻ギリギリで入ってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

授業が終わり昼休みになった。何故授業の描写を書かないかと言うとめんどくさいからである。

「祐介君、お昼食べに行こ・・・」

みどりが隣の席の祐介に話しかけるが既に祐介は席を外しておりその場には居なかった、みどりが祐介を探している中何をしているかと言うと・・・階段の狭いスペースで手紙を読んでいた。

「・・・誰からなんだろう?行ってみるしかないか。」

そう言って手紙に指定された場所へと向かっていた。同じく咲夜もその場所へと向かっていた最中であった。

「プール前のベンチ・・・か、一体誰が待っているんだ?」

 

 

 

 

「早苗ちゃんは昼休み必ずここで薬を飲むでゴワス。」

「よく調べてんなぁ〜」

「流石お兄ちゃまっしょ。」

そう言われると泰三の顔がにやけてくる。

「もっと色々聞きたいでゴワスか?」

それ以上は少し遠慮しておくとしよう、泰三がストーカーのように見えてしまう・・・手遅れだと思うが。

 

 

数分後、泰三の言った通り早苗が水を持ちながらこの場にやって来た。

「よし、来たぞ!」

その言葉を聞き泰三が気合いを入れる。

「早苗ちゃん〜!」

その言葉に反応した早苗が正面を向くと目の前には両手にプレゼントを持ちながらこちらに全力疾走してくる泰三の姿であった。その姿に早苗は怯えつつもその場に留まる、泰三は早苗の目の前で止まりプレゼントを差し出した。

「今度はちゃんとしたプレゼントを持ってきたでゴワス。おいどんテディベアを作ったでゴワチュ、一生懸命自分で作ったでゴワチュ。ぜひ受け取ってほしいでゴワチュ。」

そう言ってプレゼントを目の前で開ける泰三、背後からは泰三を見守る中バッチグーと一番星。

「よし行け!」

「決めるっしょ!」

二人がそんな言葉をかける中、プレゼントから出てきたものは・・・

 

 

 

 

熊の木彫りであった。

 

 

 

熊の木彫りはてでーと文字が掘られている。それを見た二人は遮蔽物の後ろでずっこけた。すると咲夜と祐介がやって来た。

「祐介どん!咲夜どんまで!?」

「何やってんだお前・・・」

泰三が早苗に渡そうとしたであろう物を見てため息をついていた。

「祐介くん見ぃ〜けっ!」

その声が聞こえ振り向くとみどりがこちらを指さしていた。

 

 

今の現状を整理しよう、泰三は早苗にプレゼントを渡そうとしている。バカ2人は遮蔽物の後ろでコケている。何も知らない咲夜と祐介がやって来た。祐介を探しにみどりがやって来て祐介を見つけた。こんな所であろう。しかし当の本人達は全員意表をつかれたようであり黙ってしまっていた、するとその場の空気に耐えられなかったであろう早苗がその場に倒れてしまいそうになった。その瞬間近くにいた泰三は瞬時に行動することが出来ず動けなかったため、早苗は地面に倒れてしまった。

「美南!」

「早苗ちゃん!」

「しっかりするでゴワス!」

「早苗ちゃん〜!」

皆が呼びかけるも返答がない、自体にすぐ様気づいた咲夜が早苗を抱きかかえて保健室へと向かっていった。同様に三馬鹿とバカップルもどきも保健室へと向かった。

 

 

 

「飯野先生!」

そう言って保健室を開けるが席を外していたのか先生が居なかった。

「居ない・・・祐介!先生を呼んでこい!」

「わかった!」

「俺達も行くぞ!」

「「ブラジャ!」」

祐介と三馬鹿に先生を連れてこさせる内に咲夜は早苗をベットへと寝かせていた。

「とりあえず呼吸が出来やすいように制服のボタンを外しておいてくれ、男の俺がやったら誤解を招くかもしれんからな。」

「うん、私がやっておくよ。」

みどりにやってもらい早苗の様子をチェックくる咲夜。

「顔が赤いな・・・熱でも出したか?」

数分ほど咲夜がみどりと一緒に早苗の様子を見ていると・・・早苗が目を覚ました。

「みどり先輩?咲夜先輩まで・・・」

「気がついた?今祐介くん達が先生を連れてくるからね!もうちょっと我慢してね?」

「はぃ・・・私大丈夫ですから・・・」

そう言うと再び目を閉じ眠ってしまった。

「だいぶ辛そうだな・・・何か力になれたらいいんだが・・・」

そう言うと何かを思い出したようにその場を去り何かを持ってきた。

「何を持ってきたの?」

「お守りだ、と言っても早苗の身体に効果があるとは言えないがな・・・」

そう言って早苗の手の内にお守りを入れ、両手で手を握りしめた。

 

 

 

 

 

頑張れ

 

 

 

 

 

「俺がやれる事はこの位だからな、身体のことはどうしようにも出来ん。こんなもので身体の調子が良くなったりでもしたら奇跡だがな。」

なんの力にもなれないのが辛いのか悔しそうな顔で呟く咲夜。するとみどりが同じように手を握りしめてきた。

「私も早苗ちゃんにはこれくらいしか力になれないよ、でもいつかはちゃんと力になれるようになりたいな。」

「祐介の言っていた通りか、お前らしいな・・・」

そんなことをしていると三馬鹿と祐介が千種先生を連れてやって来たようだ。

 

 

 

 

「じゃあ後は私に任せて、あなた達は授業に戻りなさい。五限目はもうとっくに始まってるわよ。」

「「「「「「はーい」」」」」」

そう言って保健室を後にしていく三馬鹿、祐介、みどり、咲夜。

 

 

 

 

 

 

 

 

夕暮れになり下校時間となった、咲夜が一人帰っていると木に背を預けている早苗の姿があった。

「美南?」

「あっ・・・咲夜先輩。」

早苗の体調を考え近くのベンチで座りながら話をする事にした。

「体調はもう大丈夫なのか?」

「はい、大丈夫です・・・あの時」

「ん?」

「あの時、咲夜先輩の声が聞こえた気がするんです。頑張れって言ってくれましたよね。」

「・・・あぁ、言ったな。」

「先輩の声が聞こえて何だか凄く暖かかったんです。あれはきっと先輩の心だったんですね・・・」

「心ね・・・どうだろうな?」

「あの時全部わかったんです、私の事心配してくれてることも、高崎先輩たちの事も心配してくれてること。」

そう言われると少し驚いたような顔を見せる咲夜。

「そこまで言われると少し恥ずかしいな・・・」

「あっ・・・そうだこれ。」

そう言って早苗が取り出したのは手に握られていたお守りだった。

「これ咲夜先輩にお返しs「いや美南、君が持っていた方がいい。」でも・・・「でもじゃない、それは俺が美南に渡したんだ。返さなくていいよ。」・・・分かりました。」

「さぁ、それじゃあ帰りますかね。」

「はい!」

早苗が持っていたお守りには健康祈願と書かれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

男子寮で一人テディベアの雑誌をみている泰三。

「ふむふむ・・・なるほど・・・」

「何やってんだ?」

祐介が何をしているのか気になり声をかけてきた。

「早苗ちゃんが元気になったら、そのお祝いにプレゼントしようと思うでゴワス。」

「お前ね・・・」

「心配無用でゴワス、ちゃーんと相手のことを思い、尊重することが大事だとわかったんでゴワス。女子との関係はそこから始まるんでゴワス。」

そう言って作業を再び始める泰三、その手には彫刻刀が握られていた。

「早苗ちゃん〜待ってるでゴワスよ〜おいどんのピュアなハートがふんだんに入ったテデェベアーをプレゼントしゃるでゴワス。」

祐介が気になり覗いてみると顔を真っ青にした。

「お前・・・そのピュアも渡さない方が良いぞ・・・」

祐介が見たものはテディベアではなく熊の木彫り(仁王立ち)であった・・・

「なんででゴワスか!?これの何処が悪いんでゴワスか!?これの何処が悪いんでゴワスか〜!?

 

 

 

 

 

〜番外編〜

「咲夜、頼むテディベアを作ってくれ!」

「・・・いきなりだな、どうかしたのか?」

「実は天神のやつがテディベアを全く理解してくれなくてだな・・・」

「へぇーそれで?テディベアを作ったところでどうするんだ?」

「プレゼントするのさ!」

「誰に?」

「早苗ちゃんに!」

「・・・作り方だけあいつに教えれば良いな?」

「いや、最悪の場合に備えて咲夜も1つ作っておいてくれ。」

「はぁ・・・分かったが俺はそこまで上手ではないぞ?」

「大丈夫大丈夫、あいつよりはマシだからさ!それじゃあお願いね!」

「・・・素材と作り方くらいは教えてやるとするかな。」




ここで一旦投稿を停止します、理由としてはリアルの方がだいぶ忙しい為です。12月終わり頃に再会できればいいなと思っています。それまでしばしお待ちください。


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体育倉庫であっちっち『前編』

「デート!?祐介くんと!?」

いきなり大声を上げる麗華。

「じゃーん、お弁当!祐介くんと一緒に食べるんだも〜ん。」

かなり服装に気合を入れている様子のみどり、まぁデートだからな・・・(皆さんはデートした事ありますか?え?私ですか?・・・( ˆᴗˆ ))

「でもいきなりね?何かあったの?」

「うん、実はね・・・」

 

 

〜回想中〜

 

 

「男子と女子、仲が悪いと思わない?」

「まぁ・・・」

「男女交際は禁止だけど喧嘩しろとまでは言ってないのよね・・・」

「そうですよね〜」

「そこでね?近日中にでもレクリエーションをしようと思うのよ。」

「男女合同のですか?」

「そう、それで二人には男子と女子をまとめる委員になって欲しいの。」

「私達が?」

「なんで俺なんすか?」

「見るからにまともな男子なんて貴方と音咲くんくらいしか居ないじゃない?それに貴方は千歳さんと息も合いそうだし。」

「まぁ、幼馴染ですし。」

「そういう訳だから宜しくね。」

「祐介くんと頑張ります!堂々お任せ下さい!」

「高崎くんもお願いね。」

「分かりました。」

 

 

〜回想終了〜

 

 

「それでね?これからレクリエーションが盛り上がりそうな場所を探しに行くの。」

「なるほどね〜」

「ねぇねぇ、髪変じゃない?」

「いつもの通り、大丈夫よ。だけどさ・・・」

「だけど?」

「この辺り森だから迷いやすいんじゃないの?」

「大丈夫だよ!祐介くんも居るし!」

「だと良いけど・・・」

「あとお願いがあるの。」

「お願い?」

「そう、祐介君と私がデートしてるとき誰かに邪魔されないようにして欲しいの。」

「まぁそれくらいだったらいいわよ。」

「ありがとう麗華ちゃん!」

 

 

 

 

 

場面変わって男子寮、祐介がみどりと合流するため部屋を出ていく。次の瞬間祐介は驚いた、そこに居たのは髪型をワックスで硬め、歯は全て金色全て塗ったのであろう。ワイングラスを右手に団扇を左手に持ちサングラスをかけ紫色のバスローブを着ているバッチグーの姿であった。

「やぁ祐介くん、どうしたっしょ?浮かない顔して。」

「お前こそ、どうしたんだよその格好。」

「ふふふっ、ズバリテーマは夜の帝王、ミッドナイトナポレオンっしょ。」

「・・・はぁ?」

するとバッチグーが小指で近づくようにジェスチャーをした。

「なんだ?」

「実はこれから麗華ちゃんとおデートしょ、おデート!」

「はぁ?」

「しかも、だれーも居ない体育倉庫で会うっしょ。」

「はぁ?体育倉庫?」

「これがどういう事かわかるっしょ?」

「は?」

「またまた・・・」

「は?」

祐介の態度にイラついたのかアッパーカットを叩き込むバッチグー。

「は?じゃないっしょ!誰もいない部屋、そこで密会する男と女!男が殻を破り捨てれば女は自らの恥じらいにgood luck、やがて蛹が蝶に!お米がお餅に!あさりがアワビに!砂金が金の延べ棒に!ガッチンコ!」

次の瞬間バッチグーが号泣し始めた。

「あぁ〜さらば蒼き春の日、俺は大人になるっしょ〜母さん産んでくれてありがとうっしょ・・・だっしょ。」

「まぁ・・・でも2人っきりになるからってそうなると決まった訳じゃあ・・・」

「あ''?あのな?男と女が2人っきりになって何も起こらないわけがないっしょ!」

「・・・そうか?」

「ふっ・・・お子ちゃまには分からないか・・・良いっしょ、じゃあ君も楽しい夜を過ごしてくれたまえっしょ。このことは他の連中には秘密っしょ。」

そう言って高笑いをしながら去っていくバッチグー。

「・・・なんだかなぁ〜?」

呆れながらもバッチグーを見送った、しかし彼らは知らなかった・・・背後から二人の会話を聞いている二人組が居たと言うことを・・・

「独り占めは許さん・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわぁ~!ねぇ!キャンプファイヤーするのにいいと思わない?」

みどりが祐介に元気良く問いかける、しかし祐介は咲夜に渡された周囲の地図を確認しながら適当に返事をした。

「花火も面白そうだよね~」

「あぁ。」

「お昼の場所にするのもいいかも。」

祐介の方を向いて話しかけるも、祐介は以前地図を見ていた。

「ちょっと休憩しない?」

そういい荷物を降ろして芝生で横になるみどり、とても気持ちが良いのかいつもよりも良い笑顔である。

「いい気持ちだよ~お弁当も作って・・・」

振り返って見ると別の場所に移動しようとしていた祐介の姿が目に入った。

「ねぇ!祐介君!」

「さぁ次いくぞ~」

少しふてくされながらも祐介の後についていった。

 

 

 

 

同時刻バッチグーは体育倉庫で赤いマットを敷き、二つの枕を上に置いた後大きな箱型ティッシュを抱きかかえながら麗華が来るのを待っていた。

コンコンッ

体育倉庫の扉が叩かれる。

「はーいっしょ。」

扉が開きその先に居たのは、チャイナ服を身にまとい片手に扇を持っていた麗華であった。

「お・ま・た・せ。」

その姿を見たバッチグーの鼻からは赤い液体が流れていた。麗華に視線を戻して見ると既に裸になっており何処から取り出したかわからないパンダのぬいぐるみを抱きかかえていた。

「来て・・・」

その言葉を聴いた瞬間のバッチグーの行動は早かった。すぐさまバスローブを脱ぎ捨て、ふんどし一丁担った。そしてバッチグーは麗華の胸の中に・・・飛び込んでは居なかったむしろ箱ティッシュに飛び込んでいた、そのお陰で箱はぐしゃぐしゃに・・・全てバッチグーの妄想であった。

 

 

 

 

少し時間がたつと体育倉庫のドアがノックされた、すぐさま扉に飛びつくバッチグー

「麗華ちゃーん!!!」

しかし扉の前に立っていたのは一番星であった、一番星はすぐさま状況を理解し扉から離れる。次の瞬間扉の前に現れたのは泰三であった、泰三は瞬時に行動することが出来ずバッチグーとぶつかる形になってしまった。部屋の隅に転がるティッシュ、その隣では泰三がバッチグーを押し倒すように重なっていた。かなり近距離であったのだろう・・・二人の唇が重なり合っていた。

二人がその事に気がついたのはそれからまもなくのことだった・・・

 

 

 

 

 

場面戻って祐介とみどり、現在二人は鉄格子で閉ざされた廃鉱へとやってきていた。

「ねぇねぇ、この洞窟とかって肝試しに使えない?中に入れるかもしれないよ!」

「うーん・・・一様入れるらしいけど準備が面倒だな。」

「え~?それが楽しいのにな・・・」

「さぁ、帰るぞ。」

「え~!?」

「天気予報によるともうすぐ雨が降ってくるらしいからな。」

「わかった、帰ろう・・・」

少し落ち込んでしまったが祐介の言葉に同意して校舎へ帰ろうとするみどり。その矢先であった、突然空が雲に覆われ雨が降り始めた。

「急いで校舎に帰るぞ!」

「うん!」

二人は森の中を走って行った。



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体育倉庫であっちこっち『中編』

雨が降り老朽化している体育倉庫では雨漏りが起きていた・・・

「はぁ・・・暑苦しいっしょ・・・もう汗だか雨だか分からないものがベトベト付いてるっしょ、折角の勝負服が台無しっしょ!」

「あ”~来るんじゃなかった~」

するといきなり泰三が大声を上げ泣き出した。

「おいどんのファーストキスでゴワスのに~!」

「気持ちの悪いこと思い出させるなっしょ!」

泰三初めてのキスの相手がバッチグーと言うことがとてつもなく嫌だったらしい。それはバッチグーも同じだったようだ・・・

「早苗ちゃん・・・お兄ちゃまは穢れてしまったでゴワス・・・」

そう言いながら手に持った木彫りの熊に涙を垂らしていた・・・流石に木彫りの熊にテデーは無理があると思うが・・・

泰三がそうつぶやいた時女子寮の方では早苗が何かを感じ取っていたようだ。

「どうかしたの?」

急に早苗の調子が悪そうになったので声をかける若葉。

「なんか・・・急に寒気が・・・」

「今、この部屋に向かって禍々しい気が飛んできたわ。」

姉の言葉に不安を覚えた若葉は手に持っているとげ村さんに話しかける。

「とげ村さん、何か分かりませんか?」

 

 

「大体お前ら何のようっしょ!」

ジメジメとした体育倉庫がイヤになったのかふんどし一枚になるバッチグー。

「それはこっちの台詞だよ!お前だけいい思いをしようとした罰さ。」

あぐらを掻き腕を組みながらバッチグーに強く言葉を発した。

「見苦しいっしょ!男の嫉妬は!」

それに反抗するように声を荒げるバッチグー。

「抜け駆けやろうには言われたくないね!」

バッチグーの言葉が借に触ったのか大声で反論する一番星。

「良いっしょ!こうなったら決着をつけるっしょ!」

このままでは埒が明かないと思ったのか一番星に対して勝負を仕掛けた。

「お~!」

バッチグーからの勝負を受けることにした一番星、今ここで男二人による勝負と言う名の決闘が始まろうt「早苗ちゃ~~~ん!!!」

「「「うるさ~~~い!!!!」」」

 

 

 

一方みどりと祐介の二人は大雨の森の中で迷子にへとなっていた。何故地図を渡したのにもかかわらず迷子になってしまったのだろうか・・・

「みどり、右側の道の向こうに山小屋があるみたいだ。そこで雨宿りしようぜ。」

何とか地図で現在地を理解した祐介が雨宿りを提案してきた、大雨の中を走るのは危険だと判断を下したようだ。

「そうだね、一旦雨宿りしよう。」

祐介の言葉に素直に従うみどり、服は今もなお濡れており少しずつ透けてきている。

「咲夜には感謝しておかないとな、あいつが作ってくれた地図がなければ今頃遭難してたからな。」

「音咲君ってどんな人なの?」

「いきなりだな・・・あいつは凄いよ誰もやらない仕事はするし壊れた機械は直すし、とにかく手際が良いからなこの地図だって咲夜が描いてくれたものだし。」

「それは凄いね、音咲君なら何でもできるんじゃない?」

「うーんどうだろうな?さっさと山小屋行くぞ。」

そう言って小屋の方へと走っていく二人であった。

 

 

 

 

 

「だから!三人も居たら麗華ちゃんが来てもムフフな展開にならないっしょ!」

水溜のバケツを扇で叩きながら話をしているバッチグー、どうやら三人でムフフな展開の議論をしているらしい。

「それはそうだな・・・」

「おいドンh「勝負するっしょ?」「なるほど勝った者だけが残る訳だな。」そげん汚らわしいことh「けど腕力勝負は御免だぜ。」

泰三の事を無視しながら話を進めていく二人、どのような勝負をするのかを考えているらしい。

「そんなもんで男の器は決められないっしょ。」

「ほほぅ?じゃあどんな勝負だ?」

「本能の技の勝負っしょ。」

「本能と技とは?」

「ずばりバーチャル口説き合戦っしょ!」

説明しようバーチャル口説き合戦とは!自分の脳内に好きな人のことを浮かび上がらせどのようにしてその人を口説くかと言うものである。つまり妄想である。

「勘弁でゴワス!早苗ちゃ~ん!」

そう言いながら扉の方へと向かっていく泰三、扉を開けようとすると・・・

「あっ、開かないでゴワス!」

何故か鍵がかかっていた。

「何~!?」

そう言って一番星も扉を開けようとするも扉は開かなかった。

「あっ!鍵がかかってる!」

そう言って無理やりにでもそこから出ようとして扉を蹴り飛ばしたりしているが、扉はビクともしない。理由は簡単この扉は過去に一度壊れていたところを咲夜が勝手に直したからである、壊れにくい素材を使っている為三人の蹴りやタックルはほとんど効いていない。

「あけて欲しいでゴワス!早苗ちゃ~ん!」

「居ないだろ!」

「麗華ちゃ~ん!」

三人は自分たちであけることが出来ないとわかったのか外の人に助けを求めるがこの日は休日、休日に体育倉庫に来る人なんて滅多に居ない。そう・・・鍵をかけた一人の少女以外は。

 

 

「・・・」

三人の会話を全て聞いていた麗華はとてつもない形相をしながら自身の右手に持っている体育倉庫の鍵を握り締めてこう呟いた。

「こいつら燃やしたろうか!」

 

 



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体育倉庫であっちこっち『後編』

警告
この話にはゲロキモゾーンが何回かあります。
気分が悪くなりましたらすぐさまブラウザバックしてください・・・
念のため場面が変わるときには警告が出ます


大雨の降る森の中に一つだけぽつんと立っている山小屋がある、この小屋には今現在二人の学生が雨宿りに使っていた。二人は濡れた服を棒に吊るし決してお互いの下着姿を見ないように背中合わせの状態で雨が止むのを待っていた。

「くしゅん・・・」

「大丈夫か?」

みどりが突然くしゃみをした為、心配しているような声で問いかける祐介。

「うん・・・」

「全く付いてないよな、まさかここまで早く雨が降るなんて。風邪でも引いたらどうするんだよ・・・」

「そうだね、早くこの小屋に着いたとは言ってもかなり濡れちゃったし・・・」

「そうだな・・・」

少しの沈黙が流れ気まずい空気になりそうであったが、みどりがまたもやくしゃみをした。

「くしゅん・・・」

「おい大丈夫かよ・・・」

その場を立ち上がりみどりの方を見る祐介。

「見ないでよ~!」

祐介がこちらを見ているのにすぐに気が付いたみどりは声を上げる。

「わっ分かったよ!」

そういい元の場所に座りなおす祐介。

「・・・本当に見ないんだ。」

少し残念そうに呟いたみどり、その呟きは祐介にも聞こえていた。

「え?」

「双葉ちゃんのは見たのに・・・」

「あっあれは偶然で!俺は別に・・・!」

必死に弁解しようとする祐介、実際あれは偶然でありガッツリ見てしまったのは咲夜である。

またも少しの沈黙が流れると祐介の膝元にタオルが投げられる。

「ん?これ・・・」

「風邪引かれたら困るし・・・」

「・・・ありがとよ。」

素直にお礼を言った瞬間、祐介のお腹から腹鳴が起きた。

すると横からバケットに入れられたサンドイッチが流されてきた。

「どうぞ、食べてもらう為に作ったんだから。」

「いいよ、腹壊したくないし。」

「失礼ね!」

そう言って祐介に詰め寄るみどり。

「馬鹿!前隠せ前!」

下着姿のみどりに早く身体を隠すように促す祐介、冷静に状況を判断したみどりの顔は少しずつ紅く染まっていた。

「あー熱い熱い!今夜は蒸すな!」

そう言いながらみどりから背を向け渡されたサンドイッチを食べる祐介

「雨、早く上がらないかな・・・」

祐介がちゃんとサンドイッチを食べてくれたのが嬉しかったのかみどりは少し微笑んでいた。

 

 

 

 

 

「かぁ~蒸すっしょ~!」

「熱帯夜だな~」

「さっ・・・早苗ちゃん・・・」

「こうなったら麗華ちゃんが助けに来るのを待つしかないっしょ。」

「おいどんを、おいどんを助けに来てくれるのは天使の早苗ちゃんだけでゴワス!」

そう言うと泰三は自分だけの仮想世界へと突入して行った。

 

「おにいちゃま~」

何処からともなく早苗がこちらに走ってきていた、が服装が明らかに可笑しい。制服姿ではなくピンク色の下着姿に透明な服をまとっている、明らかに普通ではない。

 

「来ないっしょ!大人しく麗華ちゃんを待つっしょ!」

泰三を仮想世界から強制的に連れ戻したバッチグー、泰三は自分だけの楽園を破壊されたことに涙を浮かべていた。

「仕方ないよ~こんな蒸すわ臭うはむさ苦しいはの地獄で夜を過ごすくらいだったら、誰でもさぁ~」

すると今度は一番星が自分だけの仮想世界へと飛び立っていった。

 

「一番星君~!お注射ですよ~!」

すると現れたのは双葉。双葉も早苗と同じくこちら側へと向かってきているがやはり服装が可笑しい、双葉の服装はスカートの短いナース服であり左手に注射器を持っている。ちなみに注射器の中に入っている液体は蛇毒である。

 

「あん!駄目!お注射は嫌堪忍して双葉ちゃん~!」

そう言って尻を出して四つん這いになる一番星。

「はん・・・かわいそうなやつらっしょ。」

二人を見下すように呟くバッチグー。

「そういうお前だって麗華ちゃんに遊ばれてるだけなんじゃないか~?」

何とか正気を保っている一番星が馬鹿にするように言葉を投げかける。

「まさかっしょ。」

一番星とは違い自分の実力で麗華のハートをゲットできていると思っているバッチグー、余裕の表情である。

「本能で生きているようなお前に麗華ちゃんが訪れるとは思えないんだがな~?」

「ほう、本能と言えば男の器の勝負を決めるはずだったな?どうする?マニュアル本には書いてないがな。」

ここに来て余計なことを思い出すバッチグー(正直あのシーンはキツイ)

「勿論、受けて起とう。」

「じゃあ見せてあげるっしょ、女を磁石のように吸い付ける必殺のラブトークを!」

こうして男二人による勝負が始まった。

 

 

日が暮れ月の光が小屋へ差し込んでいく。

「雨上がったみたいだよ!」

「じゃあ帰るか。」

「あっ!」

そう言って小屋を飛び出していくみどり。

「おい、みどり!どうしたんだよ!」

祐介は飛び出ていったみどりを追いかけに行った。

みどりに追いつくと一面に湯気が立っている、そこでみどりが見つけたものは・・・

「凄い~!温泉だよ、祐介君!」

そう温泉であった。

「何でこんなところに温泉が・・・」

この温泉実は咲夜が見つけた天然の温泉である、つい先ほど二人が居た山小屋は咲夜がこの温泉を利用する為に作られた小屋であった。

「天然の温泉見るの初めてなの!」

「俺もだよ!」

「入ろうよ祐介君!」

突然そんな事を言い始めるみどり、その言葉に戸惑いを隠せない祐介。

「何で!」

「レクリエーションの一調べだよ!」

「レクリエーションに混浴は無いだろ!」

勿論混浴はレクリエーションの内には入らないが・・・三人ほど喜びそうな人物が居そうだ。

「は・い・ろ・?」

上目遣いで祐介にお願いするみどり。

「帰る・・・」

すぐさま後ろを向いて小屋へと戻ろうとする祐介。

「私は入って行こうっと~」

祐介が帰ろうとしても自分だけは温泉に入ろうとするみどりは自分の下着を脱ぎ始める。

「俺は帰るからな!」

少しずつ声が震えていく祐介、足取りもだんだんと悪くなっていく。

「俺は・・・」

「ねぇ~気持ち良いよ~!祐介君も入ろうよ~!」

みどりが何度も祐介に対し一緒に入ろうと言葉をかけていく、祐介は惑わされないように歩みを進めていく・・・

「ね?良い気持ちでしょ?」

「うっ・・・うん。」

温泉の方向に・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[[注意!!!]]

ここから先は吐き気がする描写があります。そういった表現が無理と言う方はここから先を読まないでください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私・・・初めてなの・・・」

「フフフッ・・・俺に全てを任せるっしょ。」

パンダの着ぐるみを着ているバッチグーが麗華の前へと現れ、麗華の下着を脱がしていく・・・

「あん!」

脱がされたのは一番星であった。

「さぁさぁ、レッツゴー編っしょ。」

すると一番星が突然麗華へと変わっていった・・・そうこれがバーチャルくどき合戦である。

「嫌ッ・・・」

「じゃあニーハオ極楽っしょ~」

「ふぅ~」

幻影の麗華の耳に息を吹きかけるバッチグー、そして幻影は麗華から一番星へと変わっていく。

「あん・・・もうこれ以上は・・・」

再び一番星から麗華へと変わっていく

「許して・・・」

「何を言うっしょ?これからっしょ。」

「でも・・・でも・・・!」

またまた麗華が一番星に変化する・・・

「でも・・・でも・・・」

「えーい!じれったいっしょ!この俺様を誰と思いっしょ!一見紳士な立ち振る舞いとその裏に隠された真の姿!ひとよんで劇場の旅人、パッションパンダっしょ!」

麗華(一番星)の対応に痺れを切らしたのか麗華に飛びついた。

「駄目ッ!」

「さぁさぁさぁ!」

一番星に・・・

「駄目ッ!」

「さぁさぁさぁ!」

麗華に・・・

「だっ駄目・・・!」

「嫌ァァァァァ/ァァァァァァァ!」

途中から現実へと戻りバッチグーが一番星を押し倒し襲っているようにしか見えない・・・

「良いだっしょ!良いだっしょ!」

二人の勝負を無言で眺めている泰三は・・・

「・・・早苗ちゃん、おにいちゃまは変になりそうでゴワス・・・」

心が壊れかけているのか目が血走っていた・・・

 

 

 

 

一時祐介、みどりサイドになります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結果的にみどりと一緒に温泉に入ってしまった祐介、けしてみどりの裸を見ないように岩壁に隠れている。

「祐介君!こっちに来ない?こっちの方が広いよ~?おいでよ~」

岩壁のほうよりもみどりも方が広いのは確かだが、祐介はみどりの裸を見るのを我慢している為決してみどりの方には行かないと決めていたが・・・

「早く~」

何度も催促してくるため覚悟を決めてみどりの方へ向かおうとするものの、みどり側に三匹の猿が居り顔が何処かの三馬鹿にしか見えなくなった祐介は・・・

「・・・やめた。」

その場に止まることにした。

 

 

 

 

 

 

[[注意!!!]]

ここから先は吐き気がする描写があります。そういった表現が無理と言う方はここから先を読まないでください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やめないで・・・」

「やめるもんか・・・」

ナース姿の双葉の胸を揉みまくる一番星。

「やっぱりやめるっしょ~!」

勿論双葉は幻影であり、被害を受けているのはバッチグーであった。

「嫌だ双葉ちゃん~」

既に冷静ではない一番星にはバッチグーの声は届かない。

「もっとやさしくして?」

「双葉ちゃん、なんて愛いやつ・・・」

再びバッチグーに戻るが既に一番星は壊れていた。

「あんなこと!そんなこと!こんなこと!」

「アァァァ!!!!」

一番星に食われるバッチグー

「地獄!地獄でゴワス!」

その光景を見ていた泰三は逃げ出すように部屋の隅へと移動しようとするが・・・

「さぁさぁ・・・」

つい先ほど食べられたバッチグーが泰三の脚をつかみ引き寄せていく・・・

「うわぁぁぁぁぁ!!!!早苗ちゃん!おにいちゃまを助けて欲しいでゴワチュウ!!!」

泰三の叫びもむなしく泰三は二人が作り出した地獄へと引きずりこまれていく・・・・

 

 

 

祐介、みどりサイドになります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日は最高~!祐介君と久しぶりにお湯に浸かれるなんて幸せ~」

「・・・みどり。」

「何~?」

「俺、昔お前と一緒に風呂なんて入ったけ?」

みどりが発した「久しぶり」と言う言葉に疑問を覚えた祐介・

「入ったよ、小学校のときまでだけど。家が隣だったから一緒に遊んだり一緒にお風呂入って身体洗いっこしたり・・・」

「待てっ!もうそれ以上は良い・・・」

恥ずかしくなった祐介はそれ以上は話さないで欲しくなったためみどりの言葉をとめようとする。

「恥ずかしいの?もっと言ってあげようか?一緒に小さいプールで遊んだり、親が居ないときは服を交換して着てみたり・・・キスして見たり。」

しかしみどりは気にせずに会話を続ける・・・そして幼い時の祐介とみどりが触れ合っていた事が明らかへと成った。

「ちょっと待て、今なんていった?」

「キスしたり・・・」

「俺小学生のときにお前とキス・・・してたのか?」

「そうだよ?覚えてないの?」

「・・・全く覚えてない。」

「まぁ中学生になったら全然遊ばなくなっちゃったからね。仕方ないのかな?」

「・・・そうかもな。」

再び沈黙が流れた・・・すると突然!

「あっ!流れ星!」

みどりが立ち上がりながら大きな声で叫んだ。

「ウェッ!?」

いきなり叫んだみどりに驚きを隠せず、祐介は振り向きみどりの裸を見てしまう。

「キャッ!凄い!ねえ見た見た?きっと良い事あるよ!」

嬉しそうに言うみどり、しかし祐介からの返答はなかった。

 

 

 

 

[[注意!!!]]

ここから先は吐き気がする描写があります。そういった表現が無理と言う方はここから先を読まないでください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「麗華ちゃん・・・揉み応えあるっしょ~」

「早苗・・・早苗ちゃん大胆でゴワス、おにいちゃまは・・・」

妄想の世界へようこそ・・・

「おにいちゃまは・・・」

「おにいちゃま、早苗ね?こうしてるととってもフワフワして気持ちが良いの。」

「いけない子でちゅね、早苗ちゃんは・・・」

そう言って駆け出していく早苗と泰三。

「待つでゴワチュ~!」

「おにいちゃま~!」

「捕まえたでゴワチュ~早苗ちゃん!」

そういって早苗を話さないようにする泰三。

「おにいちゃま~!」

「捕まえたでゴワチュ~早苗ちゃん!」

「おにいちゃま~!」

そして現実へ・・・

「好きでゴワチュ~!」

「すまない・・・双葉ちゃん、許してくれ!」

一番星も妄想の世界へ・・・

「どうしても行ってしまうの?」

双葉が悲しそうな表情を浮かべながら問う。

「あぁ、悪いが俺のことは忘れてくれ。」

「どうして?」

「男には時として女よりも大切にしなければならない物があるのさ。」

「あたしより大切なものって何?何なの?」

「所詮女のお前にはわからな・・・」

「なーに?あたしより大切なものって?」

双葉が全裸で問いただしてきた。

「ない!」

「でしょ?一番星君の意地悪。」

「双葉ちゃん・・・」

そうしてキスを交わす二人・・・

「双葉ちゃん、ファーストキスからそんな・・・」

なお現実では一番星は泰三の脚を口に銜えていた・・・完全に地獄絵図のためこれ以上は語りません。

 

 

 

「むしむしして嫌な夜じゃのう・・・」

体育館を見回りしている轟先生、いつもお気に入りのやかんを片手に巡回を行っている。

すると・・・

「なっ・・・なんじゃ?」

体育倉庫からかすかだが声が聞こえてくる。

「誰か居るんかの?」

少々怯えつつもマスターキーを懐から取り出し体育倉庫の扉を開いた。

「誰だ!」

大声で恐怖をかき消しながら目の前の光景を目の当たりにする

 

 

 

 

「「「Oh....yeah.....」」」

 

馬鹿三人が全裸で絡み合っている様子であった・・・

 

 

 

轟先生も呆気にとられてしまい、お気に入りのやかんが手元から落ちた。

その音は体育館中に響き渡った・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

良く耐えられましたね、作者は耐えられずにエチケット袋へと顔を入れました・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で?どうだったの?祐介君とのデートは。」

布団に入りながら今回のデートの感想を聞く麗華。

「凄い楽しかったよ~」

こちらも同じく布団に入りながら満面の笑みで答えるみどり。

「どんなことしたの?」

具体的に聞きたいらしい。

「一緒にお弁当食べたり、温泉に入ったり・・・」

「ちょっと待って!一緒の温泉に入ったの!?と言うか温泉があったの!?」

年頃の男女が同じ温泉に入ったということに驚きを隠せない麗華。

「そうだよ~天然の温泉があるとは思わなかったけど、祐介君と一緒に入れたから楽しかったよ!」

笑顔でそう答えるみどり、裸を見られたことなどもう忘れているようだ。

「そ、そう・・・それは良かったわね。」

少し引きながらもみどりが安心してデートを楽しめたことに安堵する麗華、ちなみに麗華は三人のことをすっかりと忘れていたがどうでもいいのでそのまま放置と言う形をとった。

 

 

 

同時刻、男子寮では咲夜と祐介がトランプゲームをしながら語り合っていた。

「今日はありがとうな咲夜。」

「地図のことか?気にするな、迷子にでもなられたら困るだけだ。」

そう言いながらも確実にジョーカー以外を抜いていく咲夜。

「そういえば祐介、温泉に入ってきたのか?」

突然そんな事を言い出す咲夜、何故そんな事を聞いてくるのか不思議であった祐介。

「お前が帰ってきてから風呂入って無いからだ。」

「あぁ、そういえば入ってないな。」

「それじゃあやっぱり温泉に入ったんだな。」

「なんで咲夜が温泉の事知ってるんだ?」

温泉は祐介たちが始めて見つけたものだと思っていたらしい。

「地図に書いてあっただろ、山小屋の近くに温泉があるって。」

「すまん、全然見てなかった。」

「まぁ楽しめたのならいいんだ。はい俺の勝ち、それじゃあ電気消すぞ。」

トランプを片付け、就寝に入る祐介と咲夜。

「あぁ、おやすみ咲夜。」

「おやすみ祐介。」

お互いに言葉を交わして深い眠りへと落ちていった・・・

 

 

 

 




ますます忙しくなりそうです。
早く更新できればいいな・・・前、中、後が出来上がり次第随時投稿していきたいと思います
追記、つい最近やっと後半まで書けるようになりました


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プールサイドでびっしょびしょ『前編』

明けましておめでとう御座います。
今年もよろしくお願い致します。



雲のない青空、絶好のプール日和である。

現在音咲達はプールを使った水泳授業を行っていた。

「早苗ちゃん熱くない?」

日陰で休んでいた早苗に対して言葉をかける若葉。

「うん、大丈夫。」

自分は大丈夫だと伝える早苗。

「トゲ村さんは早苗ちゃんと一緒に見学しててくださいね。」

更衣室に置いてくるのが嫌だったのかトゲ村さんを連れてきた若葉。

「トゲ村さん、私が元気になったら一緒に泳ぎを練習しようね。」

 

「うらぁ!きりきり泳がんかい!おら!途中で溜まるな!ちゅうか千種先生!あんたが居よると授業にならんけん保健室に戻っとってつかせい!」

そう言って千種先生に指を指す轟先生。

「はぁ~?」

何を言っているんだ・と言わんばかりの返事をする千種先生。続けてこう話した。

「私は保健体育の教師ですよ?日射病、熱射病、心臓発作・・・もしもの場合に備えて待機するのは当然です。」

多くの男子生徒に見られながらも冷静に話す。

「しかしそんな・・・」

轟先生が何か言おうとしたタイミングで千種先生が脚を組みなおす、轟先生を含む男子の鼻の下が伸びる。轟先生はそれによりバランスを崩しプールに落ちた。

「千種先生!俺の身体を使って俺の女にするっしょ!」

何処からともなくバッチグーが現れる、身体に大量のオイルを塗っているためプールサイドを滑るように移動している。

「え?」

オイルでどろどろのバッチグーが千種先生に飛び掛るも、千種先生は冷静に姿勢を低くしバッチグーを回避する。飛びついたバッチグーは勿論止まれるわけがなくプールサイドを滑っていく、その先には早苗に見とれている泰三の姿が・・・

「「どぅあぁぁぁ!!!」」

勿論回避できるはずもなく二人は衝突してしまった。

二人とは違い一生懸命授業を取り組んでいる祐介、泳ぎ終わり少し休憩していると・・・

「えへへ~」

うえから声がした為聞こえた方向を見て見るとそこにはみどりが座っていた、祐介の角度からみどりを見ると水着が食い込んでいる場所が見えている状態だ。

「うえっ・・・」

視線の先が色々と不味い為祐介は再び泳ぎ始める。祐介が水中を見るとそこにはみどりがこちらを笑わせるような動作を行っていた、みどりを見た祐介は思わず身体の中の空気を吐き出してしまう。

「ゲホッゲホッ・・・」

「ぷはぁ~」

苦しそうに咳をしている祐介の横にみどりが現れる。

「お前な・・・」

「あはっ!ビックリした?」

笑顔で祐介に尋ねるみどり。

「ちゃんと泳げよ・・・」

「は~い。」

祐介に注意されるも反省していなさそうな様子である。

「こら~!」

「祐介君~!」

仲良くじゃれあっている祐介とみどり、一方この小説の本来の主人公である咲夜は・・・

「・・・微笑ましいな。」

水着姿ではなく制服姿であり木の陰で二人を見守っていた。

 

 

 

「ただいま。」

プールで水泳を終えた若葉が早苗の元へと戻ってきた

「おかえり、どうだった?」

今回の水泳の成果を若葉から聞きだす早苗。

「やっぱり上手く泳げませんでした、一往復でへとへとです。」

「ふふっ~」

二人仲良く話していると若葉の前にある人物が映りこんでいた。

「あっ!お姉さま!」

若葉の目先に居たのは若葉の姉である双葉、彼女に声をかけようとする若葉・・・しかし丁度手にしていたトゲ村さんが突然震え始めた!とげ村さんが震える理由が未だに分からない・・・

「どうしたんですか?お姉さま何か物思いしてらっしゃるみたい?」

何かに反応したであろうトゲ村さんに話を聞いたところ双葉は何か物思いしているらしい・・・双葉の視線は制服姿の咲夜へと向かっていた。咲夜へと視線を向けている双葉に向かってとある金髪が視線を向けていた。

 

「プールサイドで女の子を口説くには声をかけるときは右斜め前方から接近し「君、どっかで会ったよね。」で口説き文句は「眩しいな、日差しじゃなくて君の美しさが。」で必ず正面30センチから相手の目を見つめながら言うこと。彼女がじゅんと感じたところで優しく肩を抱き、とどめに首筋に熱い息を・・・」

ぶつぶつと呟きながらじっと双葉を見つめる・・・

「はぁ~」

いつの間にか手につかんでいたデッキブラシに息を吹きかける一番星、勿論彼の近くに居た女子たちはどん引きであった・・・

「双葉ちゃん!一番星君!完璧だ!俺の暗記力スッゲー!」

そう言いながら何処から取り出したのかさえ分からない雑誌のページを捲っていた。

「お前何やってんだよ。」

誰がどう見ても馬鹿なことをしている一番星に対して声をかける咲夜。

「なんだ音咲か、お前に双葉ちゃんは渡さないからな!」

双葉と仲良くしている咲夜をライバルだと思っている一番星は咲夜にそう言葉を吐き捨てながら睨みつけるように去っていった。

「・・・あいつは何を言っているんだ?」

一方何故一番星に睨まれたのか分からない咲夜はその場にぽつんと立っていることしか出来なかった。

 

「咲夜、何で制服のままなんだ?着替えて一緒に泳ごうぜー!」

みどりと一緒に咲夜の元へと現れる祐介、何故咲夜が制服姿のままなのかが分からない祐介とみどり。

「え”?泳ぐのか?」

一緒に泳ぐと言う言葉を聴いた瞬間に少し体が震えたように見えた・・・

「嫌だったかな?」

「いや、そう言う訳じゃないんだが・・・」

みどりの問いに対して曖昧な言葉を返す咲夜、プールが苦手なのであろうか?

 

つい先ほど咲夜の元を去った一番星は手にしていた雑誌通りに双葉を口説く作戦へと踏み込んでいた。

「はぁ~い。君、どこかであったよね。」

雑誌に記載されていた通りの言葉を双葉にかける一番星・・・雑誌に記載されている通りに物事が進むとは限らない。

「あんた馬鹿?」

冷酷な視線を一番星に向けながら彼の顔を手で押しのけ咲夜の姿が確認できるようにする。

「眩しいな、日差しもとい・・・日差しじゃなくて君の美しさが・・・」

しかし一番星も負けずに双葉の手を抑える。

「退いてってば!」

一番星が邪魔で邪魔で仕方ない双葉はついに堪忍袋が切れたのか声を荒らげる。

「じゃあ止めいかせて頂きます。」

しかしそんな双葉をものともせずに肩に手をかけ、息を吹きかける・・・

「グエッ!」

一番星が宙を舞った・・・どうやら双葉に殴られたらしい、一瞬だったのだろう動作が全く見えなかった。

「さっきのは双葉にやろうとしていたのか、お前馬鹿だな・・・」

宙を舞いプールに落ちていった一番星の脚を掴み引き上げて呆れたように呟く。

「馬鹿とは何だ馬鹿とは!俺の華麗な口説きを邪魔しやがて!」

殴り飛ばしたのは双葉のはずなのに咲夜に当たる一番星、三馬鹿の一人だけはある。

「いや、どう見ても双葉は嫌がっているようにしか見えなかったんだが。そもそも何処か華麗な口説きなんだよ。」

未だに呆れたような口調で会話を続ける咲夜、一番星の口説きがどう見ても華麗ではなかったと思うらしい・・・

「フッ・・・音咲のようなやつには分からないのさ。」

馬鹿にしたように言っている一番星・・・

「いや、誰もわからないと思うんだが・・・」

はっきり言ってしまえば一番星の口説きは雑誌そのままであったため華麗もクソもない、咲夜の言葉に同感なのか祐介とみどりも首を縦に振っていた。

「じゃあお前が双葉ちゃんを口説いてみろよ!」

どうやら華麗な口説きというものを理解してもらえずにイライラしてしまったようだ。

「・・・お前は何を言っているんだ?」

いきなり双葉を口説いて見せろと言われた咲夜、困惑するのも当たり前である。咲夜は女性を口説くなどの行為には全く知識がないためどうすればいいのかが分かっていない・・・

「俺の口説きが華麗ではないと言うのであれば、お前は華麗な口説きをすることが出来るんだよな!?だったらやってみろよ!さぁさぁさぁ!!!!」

そう言いながら咲夜を双葉の方へ突き飛ばす一番星、その後ろで心配そうに咲夜を見つめるみどりと一番星に対して呆れを持っている祐介の姿があった。

 

 

「うおっ!」

いきなり突き飛ばされた咲夜は突然のことに身体が動かなかった為双葉とぶつかってしまう。

「大丈夫?」

咄嗟に咲夜を受け止める双葉、表情からして心配そうにしていた。

「・・・なんかごめんな双葉。」

受け止めてくれた双葉に対して申し訳なさそうな表情をする反面、受け止められたときに密着してしまった為頬が少しだけ赤くなっていた。

「気にしなくてもいいわよ、いつもの事だし。」

本当に気にしていないのだろう笑顔で言いながら手を離す双葉。

「いや気にしろよ・・・授業時間も余りないし少し泳いできたらどうだ?」

こんなことを日常茶飯事で受けている双葉にとってはこんなことは小さな出来事なのだろうが、咲夜は気にした方がいいと忠告をした。

「それもそうね・・・咲夜も一緒に泳ぐ?」

制服姿の咲夜に対して一緒に泳ぐかと聞いてきた双葉、遠まわしに一緒に居たいだけなのだろうか?それとも気を使ってくれた咲夜に対して気を使ってきたのかは不明である。

「いや、それは・・・」

「嫌なの?」

祐介達と一緒に居たとき同様に答える咲夜、それに対して不満を覚える双葉。

「嫌ではないんだが、俺泳げないんだよな・・・」

苦笑いしながらそう呟く咲夜、水泳の授業に参加していなかった理由はなんと泳げないからであった。

「なら今度から私が泳ぎ方教えようか?」

泳げないのなら泳げるようにすれば良いという思考回路により双葉はそう提案してきた。

「授業時間を使わせるわけには行かないからいいよ、俺は日陰で座ってたほうが・・・」

自分のことよりも双葉のことを優先させたいと思っている咲夜。

「じゃあ放課後に教えてあげる、それならいいでしょ?」

どうしても咲夜と一緒に泳ぎたい双葉は放課後に泳ぐのはどうかという考えを出してきた。

「いやd「良いわよね?」・・・はい。」

双葉の気迫に押された咲夜に残された答えはYESorはいであった、第三の選択肢などは存在しなかった・・・

「じゃあちゃんと放課後来てね、私は若葉と一緒に来るから。」

「あぁ・・・それじゃあまた後でな。」

笑顔でその場を去っていった双葉に対して咲夜が出来ることは約束を守ることだけであった。

 

「ふっ双葉ちゃん?一体何をお話されていたのかな?」

咲夜と仲が良さそうに話していた双葉に対して話しかける一番星。

「あんたには関係ないでしょ。」

先ほどまで笑顔で会話していたとは思えないほどの冷ややかな目線が一番星に向けられる。

「そんな!せめて教えてくr「うるさいっ!ったくもう・・・」

一番星の言葉が最後まで続くことはなく双葉の蹴りが顔面にヒットした。

「双葉・・・ちゃん・・・」

見事に喰らった一番星は双葉と言い残して力尽きた。

 

 

 

 

 

 

 

「作戦その一が万が一失敗したときの第二次作戦、ポイントは迅速なる気持ちの切り替えとダチョウもビックリの瞬発力!」

先ほど双葉に蹴られたのにも関わらず再び双葉を口説く為の作戦を考えているらしい・・・だが一番星は一体何処にいるのだろうか?妙に暗く狭いところに居るらしいが・・・

 

 

 

 

 

 

「フフ~ン。」

「この間のデートの影響で祐介君あなたを見るたびに顔を紅くしていたわね。」

みどりと祐介が同じ温泉に入ったことを知っている麗華、どうやら水泳の授業中に二人の観察をしていたらしい。

「そうだね、私を見る視線が他の子よりちょっと違うんだから。」

少し恥ずかしそうにそう答えるみどり、温泉で混浴したときの記憶が蘇ったのだろうか?

「本当にその後何もなかったの?」

「教えないよ~だ。」

実は何かあったのであるが何も話そうとしないみどり・・・

 

 

 

 

何か書くかもね?

 

 

 

「作戦一の失敗から二十一分三十八秒後きっぱりに声をかけよう、現れ方は限りなく唐突に・・・台詞は「さっきのことは忘れてくれ。」」

未だに作戦を考えている一番星、いい加減にそんなところから出て来いよ・・・

「やっぱりあの二人以外馬鹿男ばっかり、この学校。」

咲夜と祐介以外まともな男子が居ないことを再確認した双葉であった。

「けだもののもの欲しそうなしせんがありさのボディーにグサグサッと・・・どうしよう!」

などとモブメガネが言っているが・・・いやモブではないんだがバッチグーに襲われた女子ではあったな。

「カウントダウン、10!9!8!7!6!5!4!3!2!1!」

どうやらその場から動くことを決めたらしい、しかし本当に一番星は何処に居るのだろうか?

「キエェェェェ!!!」

奇声を上げて飛び出す一番星、ロッカーからいきなり飛び出してきた・・・女子更衣室のロッカーから!

「「「・・・」」」

飛び出してきた一番星に対して唖然とする女子たち・・・一瞬の沈黙が流れる。そして状況が理解できた女子たちがとった行動は・・・

「「「きゃぁぁぁぁ!」」」

悲鳴を上げることであった。

「痴漢よ!変態!」

一番星にかけられる罵詈雑言、しかし一番星はそこまで気にしていなかった。なぜならば一番星の前にお着替え中の双葉の姿があったからであった。

「えっ!ちっ!さきっ!・・・さっきのことは忘れてくれ」

その光景に戸惑いをを隠せないのか台詞を忘れてしまう一番星であったが、何とか心を落ち着かせて台詞を思い出したようだ。一番星の計画によればこのあとは双葉が許してくれるというプランであるが・・・

「忘れられるわけじゃない!」

そう言われて今度は顔面にストレートパンチを貰う一番星、その威力は凄まじく隣の男子更衣室にも響く一撃であった。

「なんの騒ぎでゴワスか!?」

「パーティなら俺もまぜるっしょ!」

更衣室に響いた音を聞きつけ女子更衣室に侵入して来たバッチグーと泰三

「「「嫌ァァァァ!!!」」」

勿論彼女たちが悲鳴を上げたのは言うまでもない。

 

「まさかプールに突き落とされるとは思わなかったな・・・」

馬鹿二人に突き落とされ制服がびしょびしょに濡れている咲夜、勿論着替えもタオルもないため天日干しするために上半身を脱いでいた。

「あいつらこの時間だけ凄い元気だったからな。」

そう言いながら水着から制服に着替えていく祐介。

「そのお陰で俺の制服はびちゃびちゃなわけなんだがな・・・」

「まぁ何だ、ドンマイ!」

「「「嫌ァァァァ!!!」」」

「なんか女子の方騒がしいな。」

そう呟いた瞬間咲夜の前の壁から強い衝撃が起こった。

「あっ!バッチグーたちが居ない!もしかしてあいつら!」

「祐介、俺が行って来る。お前はここのやつらを外に出すなよ!」

三次被害を出さない為に祐介に見張りを頼み女子更衣室へと向かっていく咲夜。

「わかった!気をつけろよ!」

そう言って男子更衣室から水着姿で抜けようとしている獣達を抑えていく祐介、咲夜は悲鳴の聞こえた女子更衣室へと向かっていく。

すると女子更衣室前でメガホンを持った轟先生の姿が目に映った。

「うらぁぁぁ!何騒いどんのじゃ!」

女子更衣室が騒がしかったのに気がついた轟先生は手に取っているメガホンを使い怒鳴り散らす。

「轟先生!どんな騒ぎですか!?」

怒鳴り散らした後にすぐさま咲夜が駆けつけた、大体状況は理解しているつもりだが確実な情報を得るためにも先生に情報提供してもらう。

「わからん!」

勿論轟先生は今来ただけなので全く状況が分からない状態だ、そう話をしていると轟先生の目の前にバケツが放たれる。

「大丈夫ですか?」

バケツが轟先生に当たることはなく、条件反射でバケツを蹴り飛ばした咲夜によって壁へと突き飛ばされた。

「おう、助かったぞ音咲。」

「ここは自分が行きます、先生は物が飛んでくるのでここから一旦出たほうが良いかと。」

こうして言葉を交わしている状況でも物が飛んで来ている、一部を上げるが先ほどと同じバケツ・デッキブラシ・そして何処にあったのか分からない木製バットなどである。

「すまんな音咲、頼んだぞ!」

自分では対処が出来ないと判断したのか、咲夜に処理を任せ轟先生は万が一の為に千種先生を呼びにその場を後にした。

「おらぁ!三馬鹿共!何処に居やがる!」

飛んでくる障害物を受け流しつつ女子更衣室に潜入していく咲夜。

「どぅぁ!」

「ぐふぁ!」

殴られているであろう声が一番奥で聞こえた・・・

「女子更衣室の奥・・・これ行っても大丈夫なのか?」

大きな不安を覚えつつも前進していく咲夜、そこで見た光景は・・・

「この変態!」

数々の罵倒を受けながら女子達に殴られ蹴られを繰り返されている三馬鹿の姿であった、既に一番星は意識を失っているのか白目を向いたまま無抵抗である。

「ほんと信じられないこの学校・・・」

ドン引きしつつもしっかりとタオルで身体を隠す双葉、万が一見られたら大変なことになるのは間違いないだろう。

 

コンコンッ

 

双葉の付近にあるロッカーから謎のノックが起きる、恐る恐る近くへ寄ってみるとそこには咲夜の姿があった。彼を見つけた瞬間に叫ぼうとしたが咲夜は人差し指を口元に移動させ静かにするようにするアクションを起こした。

「咲夜、なんであんたまでここに・・・」

どうして咲夜がこの場に居るのかが理解出来なかった、最初はアイツらと同じように覗きをしに来たのかと思ったが、彼の反応を見るにどうやら違うらしい。

「隣の男子更衣室から悲鳴が聞こえたんだ、その後あの馬鹿共が居ないことに気がついてこっちに来たって訳。」

双葉に目を向けずにそっぽを向いたまま咲夜はそう話した、何故咲夜が双葉に目を向けなかったのかといえば答えは簡単である。

双葉がタオル1枚で身体を隠しているからである。

咲夜はなるべく直視しないようにするために双葉の方ではなく壁に目を向けていた。

「とりあえずあの馬鹿共を回収するからこのロープで縛り付けてくれないか?無理なら俺がやるから他の女子達に移動するようにお願いして欲しいんだけど・・・」

そう言って隠し持っていたロープを取り出す咲夜、上半身を脱いだ上で隠し持っていたなんて・・・何処に隠してたんでしょうね?(無知)

「でもそんなことしたら咲夜が入ってきてるのがバレるわよ?それでもいいの?」

「・・・それは勘弁して欲しいかな。」

困ったように呟く咲夜、仕方が無いのでロープを受け取って着替え終わった女子達のみで馬鹿共を縛り付けることにした。

 

 

「終わった・・・?」

再び扉をノックして入ってくる咲夜、その表情はとても心配そうだった。

「着替え終わったし大丈夫よ。」

「あいつ等が居る上で着替えたのか!?」

そう言って双葉の肩を掴む咲夜、とても不安そうである。

「ちゃんとゴミ箱で蓋したから大丈夫よ。」

その言葉を聞き安堵した表情を浮かべる咲夜、本当に心配だったのがよく分かる。

「そうか、それじゃあ回収させてもらうよ。」

そう言って三馬鹿を女子更衣室から引きずっていく咲夜、そして気絶している状態の彼らをプールへと投げ込んだ。

しばらくすると一斉にプールから飛び出してくる、3人とも苦しそうな表情を浮かべながらプールサイドで横たわっている。

「おい馬鹿共。」

横たわっている馬鹿三人に声をかける咲夜、手には双葉から譲り受けたデッキブラシがあった。

「さっ咲夜!助けに来てくれたっしょ!?」

「いや違u「流石咲夜!頼りになる男だぜ!」・・・」

助けた訳ではなく死にかけのところを回収し、プールに沈めただけである。

「音咲どん!ありがとうでゴワス、今度は一緒に覗きをしようでゴワス。」

「黙れ・・・お前らを助けた訳では無い。とりあえず・・・」

そう言ってデッキブラシを構える咲夜、その姿に三人は恐怖を覚え顔を真っ青にしていた。

「いっぺん死んで見ようか!」

「あがぁ!」

「ゴフッ!」

「グ八ッ!」

次に3人が目を覚ましたのは昼食の時間であった。

 



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プールサイドでびっしょびしょ『中編』

「だからさー!俺はドクター田中の教えに従って正しいナンパをしただけなんだ!」

そう言いながら手元にある雑誌を見せてくる一番星。

「ドクター田中の本は4億人の若者に愛読されてるんだ!」

胸誇らしげにそう言う一番星だが、実際のところ4億人もの若者に愛読されているかは不明である。それなりに有名ならば週刊集やテレビに出ても良いのだが今現在もドクター田中という人物が表舞台にたった形跡などはない。

「すっ凄い・・・」

一番星の言葉を聞き軽く引きながらも、何とか言葉を返す祐介。

「だろ?」

「いや、そうじゃなくて・・・」

どうやら祐介もドクター田中などという人物名は聞いたことがないらしい・・・

「そんなことしている場合じゃない、二次作戦が失敗した時の三次作戦は・・・」

そう叫んで所持していた雑誌に手をつけページをめくっていく一番星、あんな作戦に続きがあるとは到底思えないのだが・・・

「終わってる・・・」

どうやらこの雑誌は途中で終わっているらしく、一番星の意識は絶望の淵に真っ逆さま。

「そんなぁ!俺はこの先何を頼りに生きていけば良いんだ!」

机に泣き伏せる一番星、はっきり言ってこんなものが役に立つとは思えない。

「ちょっと見せて・・・」

そう言って一番星が大事そうに持っていたドクター田中の雑誌を手に取り内容を確認するみどり、女子からしてこの雑誌はアリなのかナシなのか?

「これさえ読めばどんな女の子でもイチコロ・・・はぁ・・・」

全て読み終えたみどりの出した答えは、雑誌を捨てることであった。ため息をしながら後ろに設置されているゴミ箱へと雑誌は投げ捨てられる。

「ナイスしょ!」

「でゴワス。」

「俺のBibleが!」(Bible=聖書)

見事ゴミ箱に一番星の聖書が入ったことを確認した三人、泰三とバッチグーは無心でゴミ箱を見つめ、一番星は自分の聖書が捨てられた事に再び涙を流し机に泣き伏せてしまった。

「一番星くん、こんな他人の書いた筋書きに頼ったら駄目よ。自分の恋なんだから。」

確かに誰かの筋書き通りに物事進むわけが無い、あの雑誌はドクター田中の恋愛経験であって一番星光の恋愛経験の参考にはほぼならないと言っても過言では無いのだから。

「ほっといてくれ!男には女には分からない世界が・・・」

よわよわしい声で呟く、だいぶ心に来てしまっているらしい。

「そうだ!女の子と仲良くなる方法なら私が教えてあげる!」

そう提案してきたがみどりの恋愛経験が3人の力になるとは思えない・・・しかし女子の気持ちを知ることが出来るので良いかもしれない。

「「「みどりちゃん!」」」

みどりからの提案が会った瞬間3人とも助けられたような顔をみどりに向ける。

「あっあの・・・」

いきなり距離を詰め寄られたことにより戸惑いが隠せないみどり、そりゃあそうだいきなり距離詰められたら誰でも戸惑う。

「女の子から恋愛のレクチャーを受けるなんて生まれて初めてゴワス。」

「俺らは迷える哀れな子羊っしょ!どうか優しく導いてくださいっしょ・・・」

「手取り足取りどうかよろしく!」

3人とも満面の笑みをみどりに向ける、自分の力では恋愛など出来ないと言うことを理解しているからこそ、みどりに全てを託しているようだ。力がないのなら力をつけたはどうなのだr・・・いや無理だな。

「おいおい・・・」

馬鹿三人に呆れしか出てこない咲夜、もう何を言っても無駄だと思ったらしくその場を去っていった。

「ありがとうみどりちゃん、生きる希望が湧いてきたぜ・・・」

涙を流しながらみどりに感謝を伝える一番星。

「あっうん、任せといて!」

少々戸惑いながらも三人の期待に応えれるように努力しようとする誠意は見える。

「辞めといた方が・・・」

みどりが少々無理をしていると思っている祐介がなんとか阻止しようとするも・・・

「黙らっしゃい!それとも一緒にみどり様のお告げを頂戴するっしょ?」

阻止されぬようにするため祐介を黙らせるバッチグー、よほど恋愛のレクチャーを受けたいらしい。

「・・・勝手にしろ。」

これ以上こいつらに何を言っても無駄だと思った祐介は咲夜と同様にその場を去っていった。

「後光がさしてるっしょ!」

「あははっ・・・」

みどりを庇うものが居なくなったため少々苦労はするであろう。

 

 

翌日の早朝馬鹿3人とみどりがベランダで最初のアドバイスを教えていた。

「いい?1番大事なのは大きな声で『好き』って言いつずけることよ?とにかく好きって言いつずければ思いは伝わるから!」

このアドバイスはみどりが祐介にしてきたことだが、この3人にこのアドバイスが通用するだろうか?

「よっしゃ!」

どうやらみどりのアドバイスを実行するのは一番星に決まったらしい。

「鐘の音〜!」

「「「「ファイトオゥ!」」」」

 

 

 

 

朝会の呼び鈴が鳴り、いつも通りに咲夜が朝の放送を流すはずであった。

「あー本日は晴天なり。」

何時もより少し早い時間帯に朝の放送が始まった、この放送をしているのは声的に咲夜では無いようだ。教室の皆が困惑している中・・・

「えーいきなりですがこの場をお借りしまして、私2年1組一番。一番星熱いあつーい思いを告げさせて頂きます。」

どうやらこの放送をしているのは一番星の様だ、どうやら放送を使って双葉に対して気持ちを伝えるようだ。

好きだァー!双葉ちゃん!愛しているんだァ!

放送器具が悲鳴をあげるほどの大声を上げる、教室に居たクラスメイト全員が耳を塞ぐ。

「続きましてわたくしめ昨晩より眠らずに作り上げましたラブソング、題して『双葉ちゃんに捧げるバラードPart1・情熱のシングルマグナム2003』をお聞きください!」

そう言ってギターを構えながら歌おうとした時。

「おい」

丁度放送室に入ってきた咲夜が睨みつけるようにこちらを向いていた。その声はマイクにも入っていたため、何が起きているのか教室の皆にも分かる状態であった。

「なんだよ咲夜!今から始まるんだから静かにしてくれよ!」

咲夜が入ってきたことによって自分の予定を崩された一番星、これ以上予定を崩されないようにするために咲夜を黙らせた。

「・・・」

仕方が無いのでとりあえず黙っておくことにした。

「My honey Futaba.

my sweet peach honey,nice body dynamite body milkybody wonderful body・・・」

『超適当訳 ・・・私のハニー双葉。 私の甘い桃の蜂蜜、素敵なボディダイナマイトボディミルキーボディ素晴らしいボディ・・・』

簡単な訳なので誰かきちんとした訳をお願いします・・・

センスのない歌が教室中に響き渡る、教室だけでなく職員室などにも繋がっているため学校全体で響き渡っていた。

「one,two,three,four!」

「もういいか?」

カウントダウンを始めた一番星の間に割り込む咲夜、早いところ朝の放送を始めたいらしい。

「だからこれからなんだってば!大人しくしてろよ咲夜!」

咲夜を再び黙らせる一番星、先程よりも切れている。

「はぁ・・・」

これ以上何を言っても反抗されるだけだと思ったのか大人しく待っていることにしていた。

「〜〜〜〜!」(作者には解読不可能でした。)

一番星が一晩で考えた歌を熱唱しているが、何を言っているのか理解が出来ない咲夜の頭の上にはハテナマークが沢山浮かんでいた。すると放送室のドアが強く開けられる。

「あっ双葉。」

放送室に入ってきたのは双葉であった、次の瞬間素早いストレートパンチが一番星の顔面にクリーンヒットした。

「ちょっ!双葉落ち着け!」

無言で一番星を殴り、蹴り飛ばしを繰り返している双葉を止めるために声をかける・・・いや声をかけなければならなかった。

「待って!その機械は最近直したばかりだからァ!」

一番星をタコ殴りにした後近くの放送機材や修復中の機械類を投げ飛ばしていたからであった、勿論この機械たちは咲夜が頑張って直していた物であった為再び壊されるのは勘弁して欲しかったからである。

 

 

一方、一番星の歌を聴いた3名は・・・

「歌、イマイチだったね。」

「「うんうん。」」

一番星のセンスが無いということが分かったらしい。

 

 

 

 

「えっとね・・・」

再びベランダで作戦会議を行う4人。

「体?」

「そう!言葉で伝わらない時は身体でぶつかっていこう!」

今度は身体を使っていくらしい、これもまたみどりが祐介に行ってきたことである。

「成程でゴワス!」

「流石みどり様!」

何かに納得した様子の3人。

「しっかしな・・・俺、この体じゃあ今はなぁ・・・」

一番星は実行しようにも早朝に双葉によって大怪我を負わされてしまった為、この作戦は実行できそうにない。

「よーし今度は俺様の出番っしょ!」

そんな一番星を見てか自分から行動していくバッチグー、実際のところ身体を上手く使えるのはバッチグーかもしれない。

「鐘の音〜!」

「「「「ファイトオゥ!」」」」

 

 

 

 

「ぎゃぁぁ!堪忍堪忍しょ!お注射は嫌っしょ!」

バッチグーが勢いよく保健室から飛び出てくる、服装は乱れておりズボンが少々脱げている、その理由はお尻に太い針の注射器が刺さっているからであった。

「血の気が多くなったらまたいらっしゃい、また抜いてあげるからね。」

そう言って先程よりも5倍ほど大きな注射器を手に持っていた、何処から取り出したのか全く分からない・・・

その注射器を見たバッチグーは恐ろしさのあまりその場から素早い逃げ足でその場を去っていった。

そんなバッチグーを見ていた3名は・・・

「身体の使い方は向こうが上でゴワしたな。」

「「うんうん。」」

バッチグーよりも千種先生の方が力関係は上だとはっきり認識したようであった。

 

 

「言葉もダメ、身体もダメ・・・そうだ!プレゼントならどうかな?」

既に2つの案が失敗してしまっている為、最終手段であるプレゼントを提案してきた。

「「おー!」」

「ばってんおいどんプレゼントには苦い思い出が・・・」

そう言って泰三が懐から取り出したのは木彫りの熊であった。前回と同様の物であるのだろうが美しい艶が出ていた。

「おー手垢でいい艶出てるしょ!」

「ホントだ見事に光ってる!ってまだ持ってたのかよ!」

未だに持っていることに驚きを隠せない一番星、あれ以来捨てたのかと思っていたがそうでは無いらしい。

「苦い思い出をあまーく変えればいいじゃん。」

「そうだ!女の子は甘いものに目がないっしょ!甘くて美味しいものをプレゼントするしょ!」

バッチグーの提案は甘い物をプレゼント。という事であったがそもそも泰三は料理ができるのであろうか?

「おぉ!その手があったでゴワスか!」

バッチグーの案に賛同する泰三・・・不安しかない。

「鐘の音〜!」

「「「「ファイトオゥ!」」」」

 

 

 

「なーんだ?甘い物ってぼた餅か?」

食堂のテーブルに用意されていたのは白いぼた餅であった。これが甘いとは思えないのだが何故か泰三は胸を張っていた。

「なんで餡子とかついてないわけ?」

ぼた餅には餡子などがついているものもあるが、泰三作のぼた餅には何も着いておらず甘さの欠片も見えなかった。

「それは食べたら分かるでゴワス。」

やはり何か隠しているのであろう泰三、これは食べてみないと分からないらしい。

「何やってんだお前ら。」

「まだやってたのかよ。」

そこに祐介と咲夜がやってきた、2人が何をしに来たのかは分からないが咲夜の手には水着とタオルの入った袋を手にしていた。

「おぉ!祐介どんに咲夜どん!いい所に来たでゴワス。」

そんな彼らを見つけた泰三は作ったぼた餅の試食に巻き込んでいく。

「俺はいいよ・・・」

「俺もいらない。」

2人とも泰三が作ったと聞いた瞬間に言葉を発した、それ程までに不安なのであろう。

「そう言わずに早く試食するっしょ。」

しかしバッチグーによって食べることは確定してしまった・・・

「「「「頂きます!」」」」」

「・・・」

皆で仲良く(1名除く)泰三の作ったぼた餅を頬張る・・・

次の瞬間4人の目が点となり口から無限の唾液が流れてきた。

「「「「おぇぇぇぇ・・・」」」」」

それ程までに泰三の作ったぼた餅は甘かったのだ・・・

 

 

『しばらくお待ちください。』

 

「大丈夫か?」

未だに口から液体を出している祐介の背中を擦りながら質疑する咲夜。

「無理・・・バケツくれ・・・」

どうやらダメらしい、未だに祐介の口から液体が止まることは無い。

「馬鹿3人は?」

「「「こっちにもクレェェ」」でゴワス・・・」

一様三馬鹿にも声をかけてみたが絵面が恐ろしく直視は出来なかった・・・

「千歳は?」

1番不安なのはみどりだ、彼らがこれだと彼女は大丈夫ではないと思っていたからだ。

「私は大丈夫・・・」

何故か大丈夫だったらしい。

「なんで咲夜は平気なんだよ・・・!」

不思議そうに質疑してくる祐介、全員で食べたはずなのに何故咲夜は大丈夫かが分からなかったのである。

しかしその疑問の答えは簡単であった。

 

 

 

 

 

 

 

「食べてないからな。」

 

 

 

 

 

 

 

そう、咲夜はぼた餅を食べていなかったからである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『再開します。』

 

「お前!飯の中に何入れたんだよ!」

なんとか一命を取り留めた一番星が怒鳴りながら泰三を指さす。餡子無しで何故ここまで甘くなるのか全く検討がつかなかったから。

「沖縄産特製サトウキビの粉末とカナダ産特上メイプルシロップと・・・」

泰三の口からおぞましい物が聞こえてくるが、聞こえなかったということにしておきたかった。

「分かった!もう喋るな!」

バッチグーはこれ以上聞きたくなかった為、泰三を静止させする。

「なんだかどうしようもない所で違ってるような気がするんだよね・・・」

アドバイス通りに思っていた事が全く出来ていない事に困惑していく。

「えぇ・・・ドクター田中に見放され、みどりちゃんにも見放されたら俺はどうしたらいいんだ!」

最善を尽くしてこのザマである。三馬鹿は机にひれ伏しながら大声で泣き叫んだ。

 

そしてみどりの口からとんでもない言葉が発せられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱり女の子の気持ちになるしかないのかな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「閃いたでゴワス。」

「いやぁ盲点だったしょ。」

「基本に戻れってことだよな。」

「でゴワスな。」

みどりの言葉を聞いた瞬間、3人が一斉に泣くのをやめ何か閃いたような顔をしていた。

「お前らまたくだらないことングッ!」

次の被害者が出ないようにするため阻止しようとするも、泰三のぼた餅を口に詰められる。

「咲夜どんは黙ってるでゴワス、ついでに祐介どんも。」

咲夜の口にぼた餅を詰め、ついで感覚で隣にいた祐介にもぼた餅が詰め込まれた。ぼた餅の激的な甘さによって咲夜と祐介は気絶してしまった。

「今度こそバッチリ!」

そう言って立ち上がる一番星、先程よりも生き生きとした表情を浮かべていた。

「そっそう?」

突然元気になった三馬鹿を戸惑いの目で見る、感情の振れ幅が広い・・・

「じゃあみどりちゃんまた後で!」

「お世話になったしょ!」

そう言って気絶ている咲夜達を引きずりながら食堂を去っていった。

「???」

彼らが何をしようとしているのか全く分からないみどりは彼らの後ろ姿をただ眺めていることしか出来なかった。

 

 



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プールサイドでびっしょびしょ『後編』

生きてるよ!まだ失踪してないよ!
はい、お待たせ致しました。かなりの時間が空いてしまい申し訳ございませんでした。言い訳をさせて頂くと、この会の最後のまとめが思いつかずに放置していたらこの有様でした。大変申し訳ございませんでした!
ぜひ楽しんでいただけたらなと思います!


食堂から走って自分たちの部屋へと戻ってきた3人、気絶している2人をその場に投げ捨て大きなクローゼットの前へと立つ。

「女の子の気持ちになってみるには。」

「女の子になってみるでゴワス。」

そう言ってクローゼットに仕組まれた紐を強くバッチグー、すると上からは大量の衣服が降り注いでくる、中にはどこかで見たことあるようなマスクなどがある。

「「「oh!Jesus!」」」

「将来お嫁さんに着てもらう為に集めたものがこんな所で役に立ったしょ!」

この衣服は全てバッチグーが集めたらしい・・・

「早速フィッティングの実験をするでごわす。」

そう言って横たわっている2人に目をやる。

「天神のぼた餅は凄いっしょ!まだ気絶してるしょ!」

未だに気絶している祐介と咲夜、それ程までに泰三の作ったぼた餅の破壊力は凄まじいと言うことであった。

そして3人は気絶した2人に衣類を着させ始める、まず最初に着替えさせられたのは祐介であった。

「おー!良いんでない!?良いんでない!?」

祐介に着させられたのはバスガイドの服であった、普段の祐介とは違い肌の色も少し薄く、唇にリップも付けられている。そして祐介の次と言ったら勿論咲夜である。

「くぅ〜!そそられるっしょ!」

咲夜に着せさせられたのはバニーガールの服、これもまた祐介と同様に肌の色を少し薄くされており、結ばれた髪もとかれている状態であった。

「祐介どん!お兄ちゃまを!お兄ちゃまは!」

またしても祐介が着替えさせられていた、服装は・・・ゴスロリ?だと思われる真っ黒な服装であった、リップの色も先程とは少々違い紫であった、その姿に泰三は喜びを隠しきれないらしい。

「「「だァー!たまんない」っしょ!」でゴワス!」

そして最後は咲夜、服装は青色のメイド服であった。どこかで既視感があるようなものであるが、気にしないで行こう。

「行けるっしょ!祐介と咲夜がここまで綺麗になれるなら!俺達ももっと美しくなれるしょ!」

確かに祐介と咲夜が女装すると凄く綺麗ではあるが、この3人が綺麗になれるとは限らない・・・

「勿論でゴワス!」

ハッキリと自分たちはこの2人と同じように綺麗になれると断言した泰三。

「おっ、おい!そのゴワスつうのは・・・」

いつもの泰三の口癖ではダメだと思った一番星が直すように注意する。

「あぁ〜女子はゴワスとは言わないでゴワスな。」

確かに女子はゴワスなど言わないと理解出来たようでなんとか口癖を直そうとする泰三。

「えーっと、ゴワスわよ!ゴワスくてよ!」

ゴワスくてよ!という言葉をごついゴリラのような外見の男が言っているという・・・

「「・・・」」

そのギャップに冷や汗が止まらない2人・・・

「これで良いでゴワスわね!」

「はえぇな入り込むの・・・」

確かに恐ろしく泰三の入り込みは早かった、既にオカマの様な口調に染まっている。

「じゃあ、早速お着替えするっしょ!」

そう言ってお着替えを始める3人、果たしてどんな姿を表すのであろうか?

 

 

 

 

 

 

 

着替えが終わったようだ。

 

 

 

 

 

 

 

「いや〜ん!そんなに見つめちゃ!」

短いスカートのナース服を身にまとい、肌の色を真っ白に塗っている一番星。

「貴方のハートにズッキュン!でゴワスわよ。」

体格とは全くあっていない女子物の体育着を来ている泰三、こちらも肌の色を真っ白にしている。

「どうしょわ?イケてるしょわ?」

元がなにか一切分からないほどのカオス。袖のない上着、短すぎるスカート、濃すぎるメイク・・・どうやらバッチグーらしい。

「と、言うことで。」

「3人とも女の子の気持ちになれるしょわ。」

3人とも化け物のような見た目である、こんなもので女の子の気持ちになれるのだろうか?

「で、ゴワスわね。」

「じゃあ行くわよ。」

「あっちょっと待っててしょ!」

何処かに移動しようとした一番星を止めるバッチグー、まだ何か仕込むつもりなのだろうか?

「あ〜これが憧れのGカップなのでしょ!」

バッチグーはそう言って自分の胸(偽乳)を揉み始めた。

「あ〜ら?何入れたのあんた?」

自分の胸に何を入れたのか問う一番星、ここには何も詰めるものなんてないため何を仕込んだのか気になっているらしい。

「いちご大福3kg。」

バッチグーが詰めたものはいちご大福であった・・・これを女子のプレゼントに渡せばよかったのでは!?

『挟んじゃうぞ?』

何やってるんですか千種先生・・・

『私の出番少ないから暇なのよ。』

だとしても急に出てこられるとびっくりするんでやめてもらっていいですか?

『じゃあ私のセリフ多めにしてよ?暇なんだから。』

善処します・・・

「千種先生より大きいんだから〜っしょ!あぁ〜ん良いわァ〜」

そう言いながら胸を寄せるバッチグー、大福が割れ中身の餡子が飛び出ているのがちらほら見えた。

「ヤダァ!なにやってんのよ!もう!」

本当に何やってるんだろうね!食べ物を粗末にしては行けないんですよ!

「バッチグーはほっといて行くわよ、天神子ちゃーん。」

もうバッチグーはダメだと思った一番星は泰三を連れていこうとする、しかしその泰三も祐介と咲夜の姿を眺めていた。

「あぁん、待ってお姉様〜・・・ん?お姉様?」

あぁ〜泰三が妄想の世界へと入っていった・・・こうなったら誰も止められない。

『お姉ちゃま〜待ってぇ〜!』

妄想の世界では和気あいあいと追いかけっこをしている泰三と早苗の姿が、泰三は女装のままであるが・・・

「おっほほほ〜」

『だ〜い好きお姉ちゃま〜』

「それは行かんでゴワスな、おいどんはお兄ちゃまになりたいのであって、お姉ちゃまでは無いのよでゴワス。」

早苗の言葉を聞いてほんの少しだけ現実へと戻ってくる泰三、お兄ちゃまと言われたい気持ちが大きいようだ。

「早苗ちゃ〜ん!」

そして早苗を抱きしめる泰三、しかし実際に抱きしめるのは早苗ではなく・・・

「ちょっと!天神子ちゃん!そんなに噛みつかないで!やだァ!」

一番星の脚であった、泰三もバッチグーと同じく現実へと戻ってくるのには時間が掛かりそうだ。そして一番星も、妄想の世界へと突入して行った。

「やだぁ!待ってぇ双葉先生!私を置いてどこ行く気!?」

こちらの世界では一番星の脚に鎖が繋がれていた、叫ぶその先にはロングコートを身にまとった双葉の姿があった

『ふっ・・・女には男には分からねぇ、たどり着く場所ってものがあるのさ。』

そう呟いて船へと乗り込んでいく双葉。

「嫌よ!置いていかないで!」

そう嘆くも一番星の脚には切れない鎖が巻きついている状態であった。

「双葉先生!ほら!コレ見て!コレェー!」

何を思ったのか突然上半身を脱ぎ出す一番星。

「ねぇ〜!見てってばぁ〜!」

そういってガムテープとみかんで作った胸を揉む一番星、こんなもので偽乳が作れるとは思えないのだが・・・

「はっ!やだ、私ったら何言っているのかしら〜もうこの人たちのせいよ!私ひとりで行っちゃうからね!知らない!」

すぐさま現実へと戻って来ることが出来た一番星、脚に巻きついている泰三を蹴り飛ばし何処かへと向かってしまった。

「Gカップも良いけどHカップももっと良いっしょ!」

いつの間にか妄想の世界へと入っているバッチグー、1番戻ってこないのがこいつである。なので世界に入ってしまったら放置するしかない。

「この姿、早苗ちゃんにも見て欲しい。けど見せられない、悩ましいでわ!ゴワスくてよ。」

そして一番星の蹴りを喰らっても戻ってこない泰三、この2人は手遅れかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スク水姿でプールへと向かっていく若葉、手にはいつものトゲ村さんを持っていた。若葉がプールへと向かうということは彼女も咲夜同様泳ぎが苦手らしい。その為の練習ということであろう。

「若葉ちゃ〜ん!」

そんな若葉の背後から自分を呼んでいる声が聞こえてきた。

「あっ、先輩。」

振り返ってみるとそこには女装姿の一番星が立っていた。

「若葉ちゃん、お姉様はどこに行かれたのかしら?」

左手を頬に当てて尋ねる一番星、女の子を意識した動作をしているらしい。

「これから私とトゲ村さんと音咲先輩に水泳を教えてもらう約束なんですけど。」

一番星の服装を無視して答える若葉、彼女らしいというかなんというか・・・・

「あらそぅ〜双葉ちゃんプールに居るのね、ありがとう 」

そう言ってプールへと向かっていった。

 

 

 

 

 

「見せたい、でも見せられない・・・どうしたらいいでゴワスか咲夜どん!」

メイド姿の咲夜に問いかける泰三、しかし咲夜は未だに気絶している状態である。

「咲夜どん、お姉ちゃまは・・・いやお兄ちゃまはね、いやお姉ちゃまはねいやお兄ちゃまはね・・・」

泰三何を思ったのか顔を近づけていく、絵面がとてつもなく酷いことになっておりこのままでは咲夜の初めてのキスが泰三となってしまう。

「うわぁ!」

突然目覚めた咲夜、目の前にはキスをしようとしていた泰三の顔があったため勢いよく突き飛ばした。

「ゴハァ!」

その一撃により泰三は頭を打って気絶してしまった。

「なんだよこいつらの格好は!それに祐介まで・・・」

部屋に居るもの全員が女装しているという地獄のような状態であった。

「とりあえず祐介の服装は戻して置くとして・・・一番星は何処に?」

祐介が酷い目にあっているという事だけを理解した為一旦彼の服装だけを戻しておくことにした、祐介の着替えを終わらせた後自分が何故ここに居るのかという疑問に頭を悩まされるが、一つだけ忘れては行けないものを思い出した。

「こんな事している場合じゃない!双葉との約束守らないと!」

そう、双葉との約束である。彼女が咲夜の為に自分の時間を割いて作ってくれた貴重なものであった為、無駄に出来ないと思った咲夜はプールセットを手に取り急いでその部屋から去っていった。

 

 

 

 

 

 

一方その頃、咲夜よりも先にプールへと到着していた双葉は水に浮かぶ自分の姿を眺めていた。その姿には何故が哀愁漂うものであった。

「お姉様〜!」

するとプールの入口から双葉を呼んでいる声が聞こえてくる。

「若葉?」

その声に違和感を感じたようで若葉なのかと声に出てしまう。

「双葉お姉様〜あっはぁーん。」

すると現れたのはナース菅田の一番星であった。彼の姿を見た双葉の反応は勿論、ドン引きである。

 

 

 

一番星と別れた後再びプールへと足を運んでいく若葉。

「若葉!」

するとまたもや声をかけられたようだ、振り返るとそこには白髪のメイドさんが立っていた。

「えっと・・・どちら様ですか?」

全くの身に覚えのない他人から話しかけられたと思っている若葉、確かに鐘の音学園には白髪のメイドなどは存在しない。

「咲夜だよ!音咲咲夜!」

「あっ、音咲先輩でしたか。」

なんと白髪メイドの正体は咲夜であった!って読者の皆さんは既に知っているでしょうけどね。

「そうだよ、ところで双葉との練習って何時からだっけ?」

どうやら約束の時間を忘れているらし、まぁ気絶してから結構な時間が過ぎているので仕方ないのかもしれない。

「この後直ぐですよ。」

「マジかよ!急がないと!」

そう言って若葉よりも早くプールへと向かっていった。

「可愛いメイド服でしたね、今度トゲ村さんにも作ってあげますわ。」

笑顔でトゲ村さんに伝える若葉、しかし彼女も急がなくては行けないのでは?

 

 

 

 

 

 

 

 

「痛ァい!私、女の行動をしたら双葉ちゃんと分かり合えると思ってたのに!」

「うるさい!もう!何考えてるのよあんた!」

一番星を縛り付けて行動力を抑えて蹴り飛ばしている、縛り付けるということはそれなりの事をしてしまったという事だ。

「痛ァい!でもちょっと良いかも!」

双葉に蹴られて喜んでいる一番星、それならと双葉は一旦更衣室に入っていった。その後彼女の手元にはプール掃除用のデッキブラシが握られていた。

「あっ!じゃなくて双葉ちゃん!私、いや俺の話を聞いてくれ!」

今にも自分の頭にデッキブラシを振り下ろそうとしている双葉を止めようとする一番星、流石に彼でもこれはまずいと思ったらしい。

「双葉!」

またもプールへとやってきた人物がいるらしい、双葉が振りかざすのを辞め声の方へと目線を移動させるとそこには。

「咲夜!?あんたまでそんな格好を!?」

女装した咲夜の姿があった。

咲夜は何故「あんたまで」と言われたのかが理解出来なかった。しかし良く考えてみると今自分の身につけているものが制服とはかけ離れているということに気がついた、フリフリの着いたスカート、腰に大きなリボンが着いている服、そしてカチューシャ。全て自分の所有物ではない。

「なんだこれぇ!」

今の自分に驚きを隠せない咲夜

「あぁ、これは俺とバッチグーと天神で着せたメイd「何してくれてるんだァ!」グハァ!」

一番星の台詞が最後まで続くことはなく、咲夜の恐ろしく早いジャブによって彼の意識は暗闇へと堕ちていった。

「咲夜・・・そんな趣味があるの?」

「女装なんて趣味は持ってないよ!」

恐る恐る聞いてきた双葉の問に対しての答えは勿論NO、咲夜には女装などという趣味はない。

「ちょっと服持ってくる、いつまでもこの服装は嫌だからな。」

咲夜はこの格好がとてつもなく嫌らしい、まぁ誰だってそうだろうけども。

「・・・咲夜、少しここで待ってて。」

何を思ったのか双葉がそんなことを言い始める。

「え?どうしt「いいから待ってて」・・はい。」

自分の服装をいち早く戻したい咲夜に対して、双葉はここに留まっているようにと圧力をかけた。勿論本気手間キレている時の彼女を知っている咲夜は大人しくするしか無かった。

双葉が更衣室に入ってから数秒後に戻ってきた、彼女の手元には携帯電話が握られていた。

「あのー双葉さん?何故こちらに携帯を向けているのかな?」

何故がこちらに携帯を向けているのか理解できなかった咲夜、気になった為質問してみると・・・

「あんたは気にしなくて良いのよ。」

彼女はそう言って携帯のボタンを押した、すると携帯からはシャッター音のようなものとフラッシュがたかれていた。

「いや、気になるよ!というか写真撮らないでよ!」

そう言って双葉の携帯を取り上げようとする咲夜、渡してなるものかと距離を離す双葉。

このままでは埒が明かないと思った咲夜は一気に近付くように行動を始めた。しかし彼の足元にはある障害物があった、そう一番星だ。彼によって気絶させられた一番星光が丁度咲夜の足元に転がっていたのであった。

咲夜は一番星に気が付かず足が引っかかってしまった為、大きく前のめりになるように躓いてしまった。勿論彼の目の前には双葉が・・・

「うおっ!」

「きゃあ!」

結果的に言ってしまえば咲夜が双葉を押し倒すという形になってしまった。この程度ならばまだ良かったのであろう、某LOVEるの主人公はこれに胸タッチor脱がしが付与されるが、勿論彼にはそこまでのスキルは無かった。しかし今日の咲夜は運が無かったらしい。

 

 

 

 

咲夜と双葉の唇が重なってしまっていた。

 

 

 

 

 

2人の時間が停止する、何故こんな事になってしまっているのかという脳処理が追いつかない。ただ静かな時間が過ぎていくだけであった。

 

 

 

やっと状況が理解出来た咲夜はすぐさま距離を空け、顔を赤らめる。

「ごめん!僕!じゃなくて俺!こんな事しちまって・・・」

「・・・気にしてないから大丈夫。」

一瞬咲夜の一人称が変わったことに少し疑問を持ちながらも返答する。

未だに口づけの事が脳裏から離れない2人はただその場でじっとしている事しか出来なかった。

「こんな状態じゃあ練習は出来なさそうね、私も色々と疲れたし。」

この気まずい空気を何とかしたかったのか、双葉はそう言って更衣室へと向かって行った。

「ごめん色々と・・・」

咲夜は弱々しくそう言ってプールを去っていった。

道中スク水姿の若葉と会い、声をかけられたが何も答えずに咲夜は男子寮へと帰っていった。

 

 

 

 

 

 

咲夜が無言でプールから出てきた事に違和感を覚えながらも約束の時間通りにやってきた若葉。

「あっ!お姉様!」

双葉を見つけた彼女はすぐさま声をかける、しかし本来ならばスク水姿であるはずの姉の姿が何故か着替えてしまっていた。

「若葉悪い、サボテンに泳ぎ教えるの今度にして。今日はもう疲れちゃった。」

そう言って双葉はプールを去っていった、咲夜といい双葉といい何処かおかしいと思っている若葉、すると手に持っていたトゲ村さんが急に反応し始めた。

「え?どうしました?」

何かを伝えようとしているトゲ村さんに耳をすませる若葉、すると少し不思議そうに・・・

「お姉様なにかドキドキしてる?もしかして音咲先輩と何かあったのでしょうか?」

約束の泳ぎ練習も中止となった為、若葉も2人と同じようにプールを去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

たった1人プールへ放置された一番星が目を覚ましたのは日が半分沈みきっているときであった。周りには私服を着ている祐介、みどりの姿があった。

「お前なぁ・・・」

全てを理解した祐介は作戦が失敗したという事を理解した一番星に呆れの声を漏らした。

「本当だよ、女の子の格好したいんだったら私がちゃんと手伝ってあげたのに。」

みどりは何処か抜けているらしい、しかしそれはいつもの事であるため触れはしない。

「そう言えばお前らなんでこの場所がわかったんだよ?」

一番星がそう問いかけてきた。本来は咲夜、双葉、若葉の3人以外は知らないはずなのだが、何故この3人がこの場を突き止めることが出来たのか?

「寮母さんから預かったものがあるって言われて、一番星くんを探してたの。」

「そしたら咲夜がお前の居場所を知ってたんでな、教えて貰ったというわけだ。ほら一番星お前のだぞ、通販で何買ったんだ?」

そう言って小さな小包を一番星に渡す、彼がゆっくりと小包を開けるとそこには・・・

「だぁっハッハッハ!ゲットォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!神は俺を見捨ててはいなかったァァァァァ!」

彼の手元には「ドクター田中のナンパ道『飛翔編』」というものが握られていた。

「これで双葉ちゃんのハートは俺のもんだ!ありがとうドクター!!だぁっハッハッハァァァ!!」

そう言って高笑いを続けている一番星、しかしこの雑誌が活躍することは全くと言って無かったという・・・

 

 

 

 




次回はあの伝説の朝風呂ですね。

追記。ますます忙しくなってしまいほとんど書けてません!ごめんなさい!


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朝風呂ですったもんだ

えぇ、皆さんの言いたいことは分かります。2ヶ月も更新せずに申し訳ございませんでしたぁぁぁぁ!
本文自体は2月の辺りで既にある程度固まって居たのですが、様々な行事等あり完成させるのに約1ヶ月かかってしまいました・・・
こんな駄作でも楽しめて頂けたら幸いです、それではどうぞ。


雀がちゅんちゅんと鳴く夏の朝、この学園にはクーラーは無く扇風機もわずかでありとても暑苦しい。その為生徒のほとんどは下着を着用せずに寝るということが多かった。

「・・・やっぱり朝は暑いな。」

高崎祐介もそのその内の1人である。朝日を部屋の中へ入れようとカーテンを開ける、やはり朝早いということで寮内は静かであった。

「ん?咲夜が居ない・・・こんな朝早くにどこに行ったんだ?」

部屋を見回すと咲夜の姿はなく、彼の使っている布団すら既に干されていた。よく見ると汗で湿っている部分がある。今日は特に予定もないはずなのだが・・・咲夜を探しに祐介は部屋を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

祐介が目覚める30分前、咲夜は汗だくになった身体を起こした。

「うわっ・・・こんなに汗かいてたのか。」

自分の布団が湿っている事に気がついた咲夜はシートと布団を分けて外干しにかけた。彼は最低限の布面積を持っている下着とボクサーパンツで睡眠に入っていたがそれでも汗をかいてしまうほど今日の朝は暑いらしい。

「さっさとシャワー浴びて着替えるとするか。」

そう言って服の着替えを持ち、咲夜は浴室へと脚を動かしていた。

 

「そう言えば浴室の鍵は飯野先生が所持していたな・・・取りに行くにしても迷惑だろうし、ピッキングして開けるか。」

そう言って懐から器具を取り出し浴室の鍵を解除した。

「さてと、時間は沢山あるしゆっくりするとしますか。」

本来は夜の入浴時間以外は進入禁止である、しかしピッキングしてしまえば簡単に入れてしまう。咲夜は色々と経験があるためピッキングもお手の物であった。

「あ"ぁ〜朝からお風呂はかなり気持ち良いなぁ〜」

さっさと着替え終わった咲夜は既に湯船に浸かっており、身体を大の字にしてゆったりとしていた。

「あの時鍵渡さなければ良かったかもなぁ・・・でもあの勝負はなぁ・・・」

双葉達と出会った時のことを思い出した咲夜、何度考えてもあの時の勝負はどうしようもなかったとしか思えなかった。

「渡したもんは仕方ないか・・・」

ため息混じりにそう呟いていると・・・

ガラガラッ

「あら?鍵が掛かってない、私鍵かけ忘れたのかしら?」

浴室の扉を開ける音が聞こえた、この時間に起きている生徒は余りいないが女子が入ってきた場合を考えるとどうしても咲夜が変態扱いされてしまうという未来しか見えない。しかし彼は気が付かずにのんびりと湯船に浸かっていた。

「飯野先生どうしたんですか?」

飯野先生の近くに4人の生徒が近ずいてきた。

「あら森村さん、美南さんに朽木さんそれに双葉さん。こんな朝早くに珍しいわね。」

麗華に早苗そして朽木姉妹であった、皆汗をかいたのであろう髪の毛がベッタリとしている。

「起きたら汗だくで身体がベッタベタですよ。」

「森村さん達も同じ理由かしら?」

「そうですね、暑くて寝苦しいし・・・」

「ならさっさとお風呂で汗を洗い流しましょう、授業中臭ったら嫌ですもんね。」

「そうしましょう。」

一見すれば5人の女性が仲良く着替えて浴室に入って行こうとしているように見えるが、浴室には咲夜が既に入っていた、咲夜にはこの状況が伝わっていなかった為・・・

 

 

 

「音咲くん!?どうして貴方がここに?」

「えっ・・・」

「なんで男子の貴方が浴室に居るの、その前に前を隠しなさい!」

 

 

 

あっさりと見つかってしまった、咲夜の目の前にはバスタオルで身体を隠している飯野先生の姿が。

 

 

 

 

「じゃあ浴室の鍵を開けたのは貴方ってこと?」

「はい、そうです・・・」

「でも鍵は教員の私が持っているのにどうやって?」

「ピッキングして鍵を開けました・・・」

タオル1枚の状態で正座させられている咲夜、飯野先生は次々と質問責めをしていた。

「全く、入浴時間は夜なのに勝手に開けて入っちゃダメでしょ?」

「はい・・・」

何も言い返せずに俯く咲夜、こればかりは流石にフォローも出来ない。

「今すぐこの場を立ち去るので・・・」

そう言って更衣室に戻ろうとするが、更衣室には双葉達が居ることを先生から伝えられ、既に詰んでいる状態なのだと理解しため息をついたのであった。

 

 

 

その後双葉達から再び質問攻めを受けた咲夜はぐったりとしながら、浴室を去っていった。咲夜と入れ替わりでみどりが浴室にやってきた為、飯野先生、双葉、若葉、早苗、麗華そしてみどりの6人でのんびりとお湯に浸かっていった。

 

 

「皆どう?鐘の音学園で暫く過ごしてみて。」

飯野先生の問に対し、みどりは良い所だと言う。しかし双葉にとっては不便な所だと嫌そうに呟いた。

「不便だし携帯は繋がらないし、エアコンは無いし、トイレは元々男子トイレだし、コインランドリーだけはマシかと思ったら洗濯機の半分は故障中。環境が最低ならそこにいる人間も・・・」

 

 

 

【過去の回想】

『森の中でどっこいしょ『前編』』より。

 

下校中、双葉の前に立ち塞がる男共が居た。言わなくても分かるであろう、あの三馬鹿である。しかし泰三の姿だけは見えなかった。

「何かよう?」

「双葉ちゃんに練習の成果を見せてやるぜ!」

「は?」

双葉が困惑していると上から釣り針が投げ出され制服に引っかかる。

「「今だ!!!」っしょ!!!」

そう言うと泰三が釣竿を引き上げる、双葉の制服が引き上げられる。

「ちょっと何よこれ!?」

「なずけて『パイ拓ゲット!引き釣り作戦』っしょ!」

「パイ拓!?ふざけるのもいい加減に・・・」

双葉が殴りかかろうとするが制服が引き上げれらて居る為思うように動けない。

「もう一息だ泰三!」

「行くっしょ!!!!」

二人の声援に答えるべく泰三は思いっきり竿を引き上げた。双葉が持ち上がってしまうほどの力を出す泰三。

「これが九州男児の意地でゴワス!!!」

そう言って竿を最後まで引き上げると双葉の制服が全て脱げ、釣り上げられる。

 

『女子寮にてんてこまい『中編』』より。

 

ダンボール箱が双葉に襲い掛かってきた。はっ!っとした顔で箱を見ていると中から現れたのは異様な格好をした一番星であった、まるでドラキュラのような格好で双葉を襲い掛かってきた。

「双葉ちゃーん!」

鼻の下が伸びている状態で言っている為怖さは全くと言って良いほど無い。

「即効っしょ・・・」

ダンボールの中から見守るバッチグー。双葉は顔色を変えずに打つ構えになった

「でりゃぁぁぁぁぁ!!!」

大きな声でバットを振り回す双葉、バットは確実に一番星を捕らえ夜の彼方へと飛ばしていった。

早苗の匂いを嗅ぎながらお赤飯を食べていく泰三、何真剣な顔して飯食ってるんだよ・・・少し経つと突然泰三が食べるのを辞め、頭に巻いている風呂敷を外した。泰三の頬には涙が流れていた。

「美味かったよ・・・早苗ちゃん・・・お兄ちゃま、こんな美味い飯は初めてでゴワした・・・」

「いっただきまーすっしょ!!!」

そう言いながら女子に飛びかかるバッチグー

 

『体育倉庫であっちこっち『後編』』より。

 

「「「Oh....yeah.....」」」

馬鹿三人が全裸で絡み合っている様子

 

『プールサイドでびっしょびしょ『後編』』より。

 

「いや〜ん!そんなに見つめちゃ!」

短いスカートのナース服を身にまとい、肌の色を真っ白に塗っている一番星。

「貴方のハートにズッキュン!でゴワスわよ。」

体格とは全くあっていない女子物の体育着を来ている泰三、こちらも肌の色を真っ白にしている。

「どうしょわ?イケてるしょわ?」

元がなにか一切分からないほどのカオス。袖のない上着、短すぎるスカート、濃すぎるメイク・・・どうやらバッチグーらしい。

 

【回想終わり】

 

「あ〜ヤダヤダ。」

大方あの3人のせいである・・・

「確かにここの男の人、怖いです。」

早苗も何か思ったことがあったらしく珍しく双葉に同調した。

「でしょ?」

やはり自分の言っていたことは正しいと確信し深く頷く。

 

 

 

談笑していた六人のうち若葉、みどり、早苗の3名は身体を洗いっこするために湯船から出た。

「「「ゴシゴシゴシゴシ」」」

3人が洗いっこをしている中、湯船に残された飯野先生、双葉、麗華の3人は変わらずに談笑を続けていた。

「ヤダ先生、エッチなところ蚊に刺されてる。」

「どうしてそんなところ見てるのかしら〜?」

とてもお風呂を楽しんでいる6名だが、このお風呂にはもう3名の生徒が潜んでいたという事を彼女たちは知らなかった。

 

 

 

 

 

 

「くぅ〜!オーマイゴッドっしょ!とんだミステイクっしょ!挿入に成功、基侵入に成功したのは良いが・・・」

突然としてお風呂場の岩壁がまるで人のように動き始めた。謎の岩壁が大きな岩の頂点まで達すると動くのを辞めた・・・

「これじゃあ見えないっしょ!」

そうして岩壁から顔を出したのは三馬鹿の1人であるバッチグーである。どうやら飯野先生達の覗きをする様である。

「双葉ちゃん!生まれたままの君の姿が後ろに居るのに振り向けないよ・・・顔を塗るのを忘れたから振り向いたらバレちゃうよ・・・」

続けて壁から顔を出したのはバッチグーと同じ三馬鹿の1人、一番星光である。彼らは覗きをするために背後を岩壁を模したペイントを施した様だが、肝心の顔を塗るのを忘れてしまったらしい。ここが馬鹿と呼ばれる由縁でもある。

「あぁ早苗ちゃん、お兄ちゃまはここでゴワちゅよ。お兄ちゃまは早苗ちゃんの姿を見ることは出来なくても、気配だけでご飯何杯でもいけるでゴワスよ。あぁ・・・お櫃、お櫃があれば!」

またまた顔を出したのは2人とおなじ三馬鹿の泰三であった、こんな状況でもなおお櫃を求める辺り本当に馬鹿である

「若葉ちゃんお肌ツルツルだね、何か秘訣とかあるの?」

若葉の背中を洗っているみどりが笑顔で問いかけてくる。

「毎晩のトゲ村さんのエキスが効いているのかもしれませんね。」

若葉の言う事にはトゲ村さんというサボテンからのエキスを貰っているという事らしい。ちなみにサボテンには、アミノ酸やビタミンB、C、カルシウム、βカロチン、マグネシウム、鉄分と、肌に良い成分が豊富に含まれています。

「へぇ〜」

興味深そうに話を聞くみどり、女子にとってお肌は大切なものですからね。

「でも早苗ちゃんの方がツルツルですよ?背中も下も。」

若葉が突然そんな事を言い始める、早苗の下の何処がツルツルなのであろうか((* ̄ii ̄)ハナジブォォォ)

「何が!?何がツルツルでゴワスか!?」

どうやら同じ心境の人物が居たらしい、勿論その人物の正体は早苗好きの泰三である。

「双葉お姉様もツルツルですよ。」

更に標的が双葉にまでまわっていく。

「背中も前も。」

背中は分かるけれど前がツルツルということは言わない方が良かったのではないかと思いました(他人事)

「何がどうツルツルだって!?」

勿論若葉の言葉は双葉の耳に届いており、見事にお仕置を喰らうこととなった。

「みっ・・・見たい!」っしょ!」

早苗での反応がなかった残り2名が反応し、これで馬鹿三人は更に振り向くことが出来ないことを悔やみ始める。

「おぅ・・・岩の窪みにジャストフィットっしょ・・・」

バッチグーの大きなイチモツが岩壁の窪みにハマってしまったらしい

・・・こうなるとそうそう抜けない。

「早苗ちゃん、やっぱり指三本は無理だよ。」

突然としてそんな事を言い始める若葉、これは確実にク○ニ間違いない。

「指!」「三!」「本!」

いや指三本とか間違いなくク○ニと確信した。

「でも2本なら第2関節まで入ったよ?」

ほら第2関節とかこれっスゥー来ちゃってますね。

「我慢して、最初は痛いものなの。」

「これは!」「一体何をやってるっしょ!」

だからク○ニだって!間違いないよ、女子同士がやり合うのってなんかいいよね!(これを友人に見せたら「この中に入りたい」と言っていました、その後の友人の姿は見ていません。)

「ぬぉぉ!お兄ちゃまも岩の窪みにジャストフィットでゴワスよ。」

「俺もだ。」

一番星も泰三もバッチグー同様にイチモツが窪みにハマってしまったらしい・・・この3人はもう助からない。さてここで彼女たちが一体何をしていたのか答えを見てみよう。

「ふぇぇぇ・・・」

若葉が早苗の口に指を入れて引っ張っていただけであった。おっと読者の皆さん言わなくても分かりますよ、作者は初見の時に完全にアレだと思っていました。変態ですね(自虐)

双葉に何故そんなことをしているのかと問われるが3人は何故そんな事をやり始めたのか忘れてしまったらしい・・・

「でもね〜嫌でももう暫くは一緒に居なくちゃ行けないんだから、少しは男子と仲良くしたら?」

あと少しの期間は嫌でも我慢しておきなさいと気を宥める飯野先生。

「嫌よ、アイツらの獣っぷりと来たら・・・今だって覗いてるかもしれないのよ?」

しかし双葉はこの学園の男子に嫌な思いをされた事しか思い出にないため不貞腐れたように呟く。

「「「うぐっ・・・」」」

ちなみに先程の双葉の発言の通り、三馬鹿が彼女達の入浴行為を覗いていた。

「最低なのよ。」

「そこまで嫌わなくても・・・ね?」

「そうよ、それにここいい所だもん。」

「どうしてよ?」

「だって裕介くんと咲夜くんが居るもん。」

「「「!」」」

裕介と咲夜の名前に反応する早苗、双葉、若葉。実際に3人は先程名前を上げた2名の男子と意外と関わっている。双葉と若葉は主に咲夜と、早苗は裕介と咲夜平均的に関わっているため、みどりの言葉にとっさに反応してしまった。特に強く反応してしまったのは双葉であった、彼女は最初に咲夜とぶつかり合い、助け合って一緒に泳ぎの練習をするほど仲が良くなって行った。更にキスをしてしまっている、あの事はただのアクシデントだと双葉の心の中で押さえ込んでいるようだが、どうにもキスしてしまった事だけが頭から離れないようだ。

「ねぇ先生。」

そんな事を思い浮かべ、覚悟を決めたように口を開く双葉。

「ん〜?」

「少しくらいなら・・・男子と仲良くしてやっても良いわよ?」

双葉の答えは共存であった、たしかに嫌なこともあるかもしれないが、それよりも楽しいことがあったらしい。

「私もそれがいいと思います。」

「そうだよね!ね!」

早苗も双葉同様の答えを見出した、みどりは自分の述べた意見が2人に通ったことが嬉しかったようだ。

「そうね、何か考えるわ。」

3人の考えをしっかりと受け取り、何か男子と女子で楽しめる行事を近日に作ってくれることを約束してくれた。

「さて、そろそろ出ましょうか。」

「そうね出ましょう、お腹も空いたし。」

「出よ」「「出ます」」「出よ」

そうして女子全員が浴槽から出始める

「ううっ・・・出るでゴワス。」

「一目でも見ないと・・・岩の窪みにハマったまんま・・・もう出そうだ。」

「ドピュ!・・・ハァハァ・・・出たっしょ。」

そして三馬鹿も何とか岩の窪みからイチモツを取り出せたようである、そして女子たちが浴室から出て行きドアを閉めると同時に・・・ザッバァァァアン!浴槽へと落ちていった。

 

「あら?」

着替室へと戻るとそこには6本の牛乳瓶が置かれており「お詫びです」と書かれている紙が添えてあった。

「音咲さんが気を使ってくださったみたいですね、皆さんで頂きましょう。」

「そうですね、咲夜には感謝しておきましょう。」

「やっぱりお風呂上がりは牛乳だよね。」

「それじゃあ今日も1日頑張っていこう!乾杯!」

「「「「「乾杯!」」」」」

咲夜の残していった牛乳を頂いて今日も元気に過ごすことを決意した6名であった。

「アハアハア~」

「ウヘウヘウヘ〜」

「アヘアヘアヘ〜」

そして浴槽に残された3名は女子たちの残り湯に浸かりながら絶頂へと達していた。

 

そして登校時間になり校舎へと生徒が集まっていく。

「あ〜!裕介くん!」

みどりはいつも通り裕介を見つけ抱きついていく。

「うん?」

「おはよう〜!」

こうして今日も平凡な一日が過ぎていく。

 




次回はどのくらいの月日をかけてしまうか分かりませんがなるべく早く出せるように頑張っていきたいです、実は混浴させるか悩んだのですが絶対に無理だと判断したのでこのような形となりました。そのうち直します。


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