僕は幻想郷に入ってはいけなかったかも知れない。 (敗北勇者)
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壱 本当の愛は
第一話


僕は立ち尽くしていた。

というかどうしてここにいるのか全く理解ができない。

教えてくれる人がいるならば、順を追って説明して貰いたい。

 

僕は死んだのだ。死因は餓死だと思う。

僕は誰からも愛されなかった自信がある。

両親は能の歌舞伎役者だった。が、僕は、顔が悪い、と言う理由で虐待を受けた。警察に駆け込んだことも、数度ある。しかし、そのあとの虐待が酷かったので行くのをやめたが。

学校でも顔を理由にいじめられた。

どうやら天性で人に嫌われる性質を持つらしい。

先生からも、親族からも嫌われ、家を飛び出した僕をまっていたのは、空腹と、絶望だけだった。

そのまま餓死をした僕は、死んだとき能面を持っていた記憶がある。

 

なのに。

どうしてまた生きているんだ?

ワケわからん。しかも見たことない景色しかない。

どこだよ、ここ。

と、とりあえず、近くの家っぽいところにいかなくては......

しばらく歩いた僕の目に入ってきたのは、神社だった。

神社ですか。いやどうしろと。

神社の鳥居をくぐり、本殿に声をかける。

「あの、すいません......え?」

赤い服が、ちらりと見えた刹那、僕の視界は黒一色で塗りつぶされた。

いや、なんで?

 

 

 

能面は愛の歌を歌う。その能面を死ぬまで愛した少年に。

 

 

 

僕は呆然としていた。

いや、つっこむところ多すぎて何も言えないのだが。

一番つっこむとすれば。

僕、なんで縛られてんの?

てか、ここどこ?

さっきから何もかも理解が追い付かないなかで、こんなに縛られたりすれば、もう、つっこむ気力さえ失せてくる。

すると、目の前のふすまがカラリと開いて、赤い服―巫女服だろうか―に身を包んだ少女が現れた。

「あ、起きてた」

もうだめだ。脳処理が追いつかん。

いきなりあった人に起きてた、とか正気か?

もしこの人が僕を縛ったとするならば、迷惑きわまりないのだが。

「えと、なんで僕は縛られてるんですか?」

「あなたのことが好きだからよ?」

は?

いや、え?

「いま、なんて?」

「だから、あなたのことが好きだから、って言ったのよ。」

えっと、僕は夢をみている?

何をいってるんだこの人は。

好きな人を縛るのか?愛人は縛っておくものなのか?

「だから、あなたのことが好きだから、一生私から離れないように縄で縛っておいたの。」

意味不明。確かにこの少女は可愛い。

が、一生私から離れないように、とか害悪か。

僕に自由はないのか?

「えと、とりあえず解放してくれませんか?」

「私に永遠の愛を誓うならね。」

なんでそうなる?

でもきっとこれが愛、なのか?

何か違う気がするが......

でもこんな可愛い少女に愛されるなんて悪くない。

「じゃ、じゃあ誓います......」

「ほんと?じゃ、これからよろしくね、零悟!」

なんで名前しってんだ?

でもこれからの生活は悪くないものになりそうだった。

 

 

 

 

 

 



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第二話

「ほら、零悟。もう起きる時間よ?」

「ん......まだ眠いよ......」

「私と布団どっちが大事だって言うの!?永遠のアイハ......?」

「ああ、ごめん。もう起きるよ」

「おはよ♪零悟」

「うん...おはよ」

 

こんな毎日が続いている。

 

永遠の愛を誓ったので縄から解放され、こんな毎日が続いている。毎朝彼女のキスで出迎えられる。普通に可愛いので悪くないのだが。

 

彼女に愛され僕は幸せだ。

 

そういえば、まだ彼女の名前を紹介していなかった。彼女は霊夢。ここ、博麗神社の巫女だ。

普段は全く参拝者が来ないこの神社で彼女は、掃除をしたり、のんびりしたり、のんびりしたり。

しかも彼女は、霊力?とかいうものを使えるらしく、空をとんだり、尋常じゃないことをしている。

 

そんな彼女にせかされ、僕は朝食へ向かう。

まだ眠いんだが。

何もすることないのに、早く起きる必要はないと思うんだがなぁ。

「はい。朝食。美味しく食べてね♪」

 

「いただきます」

 

食事は霊夢が僕に食べさせてくれる。俗に言うあーんってやつだ。最初はガチガチに緊張していたが、いまでは馴れてしまった。朝御飯はごく普通の日本人の朝御飯。でもこれが一番落ち着くのだ。

「はい、あーん」

「ん、おいひいよ」

「そう。それはよかったわ。」

こんな感じで朝御飯を食べ終わり、

「ごちそうさま。」

「お粗末様♪」

「じゃあ私は人里いってくるから。はい。ここ座って。」

僕の体を慣れた手つきで縛る霊夢。

霊夢が人里にいくときは、帰ってくるまで縛られて座っていなければならない。

なんでも、逃げないように、と言うことらしい。

これが愛なら仕方ないな。

縛られて座ってる間、僕はやることがないので、寝ていることが多い。時々考え事をしたり。

 

 

しかし。最近、僕が座っていると外で音がするときがある。階段を上ってくる音や、なにかが、空から滑空してくるときの空気の音など、今まで聞こえなかったような音が聞こえている。

あるときは、障子の隙間から、黄色がちらっと見えたりだとか。この神社に黄色は少ない。参拝客が来ているのだろうか?

「じゃあ、いってくるわね♪」

「いってらっしゃい」

行ってきますのキスと共に霊夢は出ていった。

神社が静かになったとたん、猛烈な眠気が襲ってきた。

そのまま僕は眠ってしまった。

 

ガタガタガタガタガタン!

その大音量で僕は目が覚めた。

うるさい。せっかく人が安眠してたのに。

誰だこんどは?

と、涼しい風が流れ込んできた。

僕が目を開けると、目の前には大空がって...何で障子破れてんの?

しかし、その疑問は、目の前にたった人を見た瞬間、雲散霧消した。

黄色い髪に、黒と白を基調とした帽子。手には魔法使いよろしく箒が握られていた。

 

 

 

 

「......誰?」

 

 



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第三話

「誰?」

「いや、まあそのだな。そんなに単刀直入に言われても逆に答えづらいってもんだぜ」

 

 

うーん、また頭が混乱しそうだ。

疑問しかない。

なぜここに来たのか。

なぜそんなコスプレを?

考えればきりがない。

 

「えっと、私は霧雨魔理沙。魔法使い。」

「ま、魔法使い?」

そんなバカな。魔法使いはこの世には存在しないはずだ。

魔法なんて使えてたら、さも生きやすそうだ。

「信じられないなら見せてやるぜ。おらよっと」

僕は今度こそ開いた口が塞がらなくなった。

 

自分に巻かれていた縄がするするとほどけ、引き締められていた体が解放感に騒いでいるのを感じる。

マジもんだ。この世界には変な人が多い。巫女だったり魔法使いだったり。

「じゃあこっちから逆に質問させて貰うぜ。何でお前は縛られてたんだ?」

僕はその問いに対する答えを優越感とともに即答した。

 

「なぜって。僕はここの巫女に愛を受けているんだ。」

これは、といって自分の横においてある縄を指差す。

 

 

「これは霊夢の僕に対する愛の象徴なんだ。」

 

 

「........................」

魔理沙は黙ってしまった。深刻な顔をして。

やはりこの魔法使い、愛を知らなかったか。愛、と言うことに関して後輩ができたような気がして、僕は少し嬉しくなる。

 

「お前の名前は知らないが。」

と魔理沙は前置きをして。

「これは少なくとも愛ではないぞ。私みたいに愛に疎い人でもわかる。これは、歪んでいる。」

「私はもう行くが、一つだけお前に言いたい。」

「愛とは一方的なものじゃない。双方が理解しあうことが愛だと思うぞ。この形ではいつか終わりがくる。とても悲しい終わりがな。」

 

そういうと、魔理沙はもう行くな。といってすべてを一瞬で元通りに戻して去っていった。

僕は自分と霊夢の愛を汚されたような、そんな不快感を感じた。この愛は、と僕は口中に呟く。

決して一方的じゃない、と。

 

しばらくして霊夢が帰ってきた。

「ただいま♪」

「おかえり」

 

僕が縛られた部屋に入ってきた霊夢はただいまのキスをしてから一瞬、不思議な顔をした。

しかし、すぐに笑顔に戻り、縄をほどいた。

「夕飯作るから待っててね♪」

そう言ってキッチンに向かう霊夢の後ろ姿に僕は呟く。

一方的じゃない。双方が愛し合ってると。

夕飯を食べ終えると猛烈な睡魔が襲ってきた。

おかしいな。さっき寝たばっかなのに......

あ、でもあいつが来てたからそんなに寝てないのか。

やっぱり食って寝ての生活だと体調が悪くなりそうで怖い。朝、運動するのはどうだろう。

「霊夢ー」

「ん?」

キッチンで片付けをする霊夢に尋ねる。

「このまま食って寝ての生活だと健康に悪いから、朝、走りにいってもいい?」

「それはダメよ。」

ん?なんでだ?

「あなたが事故にあったらどうするの?他の女に弄ばれたらどうするの?」

「う、ううん、そっか。やめておくよ。」

 

ここで僕は少し違和感を感じた。

過保護すぎないか?と。

その考えと、さっきの魔理沙が言ったことが重なり、僕は慄然とした。いつか終わりが来る......?

そんな、そんなはずはない!僕は霊夢に永遠の愛を......

でも、これは一方的な愛じゃ......

 

布団に入っても僕の葛藤は続いた。

心の奥に隠していた違和感が溢れ出す。

いつか終わりがくる?

嫌だ。また誰からも愛されずに生きるのは嫌だ。

でもこのままだと、いつか終わってしまうかもしれない

 

僕は布団の中で頭を抱え、呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

どっちが真実だ?

 

 

 

 

 

と。

 



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第四話

その日の後、魔理沙は来なくなってしまった。

霊夢が人里にいっている間僕は考え続けた。これが本当の愛なのかと。

愛人が外に出ることを拒否することが本当の愛なのかと。

しかし、魔理沙の言葉を信じたくはなかった。

何度も言い聞かせた。これが愛だと。

初めて僕に愛を教えてくれた霊夢を否定したくなかった。

でもいつか終わる、と深刻な顔で呟いた魔理沙を思い出すと、どうしようもない気持ちになるのだ。

でも、そんなことを言ったら霊夢に嫌われてしまう。

せっかく手にいれた愛を失うのは嫌だ。

結局霊夢に言い出せないまま、今日も縛られながら答えを探すのだ。愛とはなんなのか。僕はこのままでいいのか。

答えが出ないまま日は過ぎる。

僕はだんだん精神が疲労していくのを感じていた。

霊夢には相変わらずしたがっていたが、すれ違いが多くなっていた。

「ねぇ、最近どうしちゃったの?」

「うん?いや、どうもしてないよ?」

「なんか最近私に冷たくない?永遠のアイh...」

「大丈夫だって。僕は霊夢のことが大好きだよ?」

「それならいいんだけど...なにかあったら必ず私に言うのよ?」

 

 

「邪魔者は排除しなキャ...」

「うん?なんかいった?」

「いいや、大丈夫よ?」

 

霊夢と話すのが億劫になり、毎日が疲れていた。

これは魔理沙の言う通りだ。

でも、霊夢には言い出せないよ。

誰か、誰か......

 

 

 

 

 

何ヵ月たっても答えは出なかった。

もうどうだっていい、と思い始めていた。

今日も縛られている。もう馴れてしまったため、苦痛を感じることはないが、肉体は絶えず解放を求める。

それらを押し込んで、眠りにつこうとした時。

 

バァーン、となにかが吹き飛ぶ音とともに、ガラッと障子が開かれた。爆発音とともに発した強烈な光に目を潰されていたが、

「よぉ」

と聞き知った声はしっかり聞き取ることができた。

「......魔理沙」

「どうした。いつもの元気はどうしたんだ?」

まさか、と魔理沙はニヤリとし、

「私の予言が当たったな?」

「どうやらそのようだよ。もう疲れちゃった...」

「霊夢もお前への執着心がえげつないな。ここの博麗神社の回りに結界が張られてたんだ。パチュリーとかに頼んで壊してもらおうかと思ったんだができなくてな。最終的には霖之助につくってもらったミニ八卦の強化版で破壊したんだ。ってなに泣いてんだ?」

久しぶりに孤独から解放されたようで、自然と涙腺が緩んでしまっていた。

「ほらほら、見苦しいぜ。はい、私のハンカチ。」

「うう、ありがとう......」

僕が泣き止むと、魔理沙はまた来るな、といって帰っていった。

頑張れ、と言葉を残して。

 

僕は魔理沙の言葉に勇気付けられ、霊夢に言い出すことにした。

 

別れよう。と。

 

 

 

 

 

 

 



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第五話

魔理沙が帰っていった後、僕は別れの言葉を考えていた。

どうにかして霊夢を押さえつつ別れたいのだ。

普通に別れよう、と言ったのではダメだ。

考えに考えを重ねた僕は、幻想郷に来た理由がわかり、帰ることになった、と言うことにした。

これなら霊夢にも納得してもらえる。

何時でもここにこれる、と言えばさらにだ。

 

そんなことを考えている内に、霊夢が帰ってきた。

「ただいま...」

「お帰り~」

霊夢の声に何時もの元気がなかったことさえも僕は気づかなかった。

ガラッといつものように障子をあけ、入ってきた霊夢は、僕の前に座った。

ん?どうしたんだ?

「零悟。ちょっとお話があってネ」

「ん?どうしたの?」

これは霊夢の方から言い出してくれるかもしれない。

だとしたらこれは素晴らしい。

 

 

 

「今日、ここに魔理沙が来たでしょ?」

「えっ?」

な、なんで知ってるんだ?あの時確かに霊夢は人里に...

「あのね。私が人里にいっている間あなたを見ていない訳じゃないの。貴方が逃げないように、離れていてもずっとそばにいられるように...私は工夫してるのよ?」

そう言って霊夢が取り出したのは、カメラと盗聴器だった。

「これに貴方の画像と音声が入ってるわ。貴方が魔理沙のハンカチで涙を拭いているところや、寂しいと泣きじゃくっているところもね...」

僕は冷や汗が背中を伝うのを感じていた。

これはヤバイ。僕がやっていることは正真正銘不倫だ。

魔理沙の言う通り、僕に執着してるのだとしたら、これは本当にヤバイことになる。

「ねえ。聞いてもいい?私と魔理沙。どっちが好き?」

僕は即答出来なかった。

霊夢は確かに僕に愛を与えてくれた。

が、その愛はなにか違うような気がする。

魔理沙との関係はあまりないが、短い期間でも、なにか別の愛を感じた。

「すぐに答えられないのね。気持ちが動揺している証拠だわ。」

さっきから墓穴ばっか掘っている。

今のは考えずに霊夢、と即答すればよかった。

「ねえ、貴方は私に永遠の愛を誓ったんじゃないの?なんでそれを魔理沙なんかに崩されるの?私たちの永遠、はそんなに儚いものだったの?」

「ネェ、コタエテヨ...」

「違っ違うよ!そんな訳じゃ...」

霊夢のマジトーンに怯えながら必死で抵抗する。

「これが、最後よ?」

 

 

「私と魔理沙。どっちが好きなの?」

この問いは僕が何ヵ月たっても出せなかった、どっちが本物の愛か、と言うのに繋がっている。

僕は頭を抱えた。ここで、霊夢、と即答したら、僕の未来は押し潰されてしまいそうだった。

どっちが、どっちが本物の愛なんだ......?

 

そして僕は。

 

 

 

「......魔理沙。」

と呟いた。霊夢の愛は本物ではない。魔理沙がいっていた通り、これはただ一方的に愛されているだけ。

僕はそれに惑わされていたんだ、と。

「貴方は魔理沙を選ぶのね。」

 

長い沈黙の後、霊夢は口を開いた。

その目には涙がたまっていた。

「どうして?貴方はそんな人じゃなかった!私に永遠の愛を誓ってくれた。違う!貴方はそんなことを言う人じゃない!返せ!カエセ!この偽物が!私の零悟を返せ!」

「お前は零悟なんかじゃない!シネ!シネ!コノニセモノガ!」

僕は避ける暇なんかなかった。あっと言う間に血走った目の霊夢が包丁をもって接近し。

グサッグサッ

「シネ!ニセモノ!」

グサッ

グサッ

グサッ

グサッ

僕は断末魔の叫びをする暇もなく。

グサッ...

 

 

 

 

 

 

 

その後、黄色い服を着た少女と、赤い服を着た少女が折り重なって死体になっているのを近隣の住民が発見。

赤い服を着た少女は、首を吊っており、

黄色の服の少女は、首が無惨に切られていた。

 

 

 



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弐 忍び寄る歪み
第六話


能面は歌う。死んでしまった少年を生き返らせる為に。

能面は歌う。まだ少年が知らない愛を教えるために。

能面は歌う。新たな幻想郷を作り直すために。

 

 

..................

 

 

「......ん?」

ここは、どこだ?

まず感じるのは美味しそうな匂い。

雑多な物がたくさんならんだ部屋。

どうして僕はここに?

......なんか思い出せそうで思い出せないな...

覚えているのは、赤い服。なんだ?赤い服って。

すると足音が聞こえた。そちらを振り向くと。

「う、うわっ...起きてたんなら一言声かけてなんだぜ..」

黄色い服の少女が。

どっかで見たこと有る。絶対に。

なんだっけ?あの赤い服と関係があったようななかったような。

「......君は?」

「私は霧雨魔理沙。お前は道端に転がってたから拾ってきたんだぜ?」

道端で転がる理由が全く思い付かないが、取り敢えずありがとうと返した。

てか何でこいつはさっきから顔が真っ赤なんだ?しかも僕の顔ずっと見てるし。

「えと、僕の顔になんかついてる?」

「え??あ、いやなんでもないよ...それより、はい、これ。」

霧雨魔理沙と名乗った少女はお粥を渡してきた。

「気分悪そうだからこれを飲んで少し落ち着いてよ。」

「いいの?ありがとう!」

「い、いや、これはお前が可哀想だなとかそう言うこと思って渡してるんじゃな、ないからな!ただ材料が余ってたから、作っただけだからな!」

え、えぇ、唐突になにを言ってるんだ?そういうことされると余計つっこみたくなるんだが...

いや、て言うか可愛いな、普通に。

こんな少女の家にいれるだけでも幸せだ。

「じゃ、じゃあ私はまた家事をしてくるから、お前はゆっくり寝てるんだぞ?疲れてるだろうから。」

そう言って魔理沙は部屋を出ていった。

なんなのだろう。久しぶりに心が温かくなった。

僕は冷えた手を暖めながら早速いただくことにした。

「いただきます。 ふぅ、やっぱりあったかい物は落ち着くな...」

魔理沙、ほんとに大丈夫かなぁ?顔真っ赤だったけど...

いや、普通に可愛かったな...

「......なにニヤニヤしてんだ?」

「ふぇ?」

思わず変な声が出てしまう。

「ま、魔理沙?ずっと見てたの?......魔理沙?どうしたの?僕の顔見て。」

「い、いや。なんでもないんだ。ただ、可愛いなって(ボソッ)」

「ん?なんかいった?」

「いや、なんでもない。それより、まだお前の名前を聞いていなかった。名前、なんて言うんだ?」

「そういえば言ってなかったね。僕は零悟。よろしくね」

「よし零悟。これからよろしくな?」

 

......あれ?これから?僕は1日だけにしようと思ってたんだが......

 

 

 

 

 

 

まあ、いいや。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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