ダンまち×鬼滅 (猫丸2号)
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番外編1

全然関係ないけど渡先生お疲れ様でした!

少し俺ガイルっぽさを入れてみました

 

※ 読まなくても本筋的には問題無い話になっています

 

 

 

────────────────────

 

 

 

 

休日

それは数多の人間を堕落させてきたものである

その響きの前ではどんなに生真面目な人間でも堕落していってしまう

皆にも経験があることだろう

例えば─テスト前、久々の部活のない休日

明日からは丸一日勉強が出来ると意気込んではいたものの、予定していたよりもずっと遅くに起きてしまうとか、何となく携帯を弄っていたらお昼過ぎになっていた、もしくはキリの良い時間までと決めていたのに気付けば夕方になっていて、

あれ、俺何してるんだろう...と思う等々

例を挙げればキリがない

え、お前の時代に携帯なんて無いだろって?

細かい事を気にするやつは持てないぞ!

 

と、まあこんなに長々と語ってきたが何が言いたいかと言うと....

 

俺が午前中で終わる筈だった予定を昼過ぎに終わらせることになったのは全て休日が悪いのであって俺は悪くないはずだ!ということだ

 

そもそも何でこうなったのか

それには深いわけがある

 

数日前、リリの一件が終わり、改めてダンジョン探索を行うにあたって俺達は本格的に十一階層の探索を進めよう、ということになった

それにともない各々が事前に調べたり、必要なものの用意をするということになった

ベルはエイナさんの所にアドバイスを貰いに行き

リリはポーション等の準備、俺は下調べということになっていた

のだが、休日ということでついついダラダラしてしまったという訳なのだ

 

ハ~ア...

今日は早めに終わらせてミアハ様達とお昼でもって思っていたのに何時もより遅く起きて良いという誘惑に負けて寝坊してしまった

お陰ですっかり昼過ぎになっちゃったし、これじゃあもう食べちゃってるよなー

最近稼ぎが良くなってきてるから日頃の感謝を込めてご飯をご馳走しようと思っていたのに...

 

まぁ、こうなってしまったのは仕方ないしその辺をブラブラ散歩するのも良いか

 

そう結論付けて歩いていると不安そうに周りを見回している幼い子供がいた

 

もしかして...迷子か?

ほっとくわけにもいかないし、話でも聞いてみるか

 

「ねえ、君。さっきからキョロキョロしているけど、どうかしたの?」

 

「あのね...今日お姉ちゃんとお出掛けに来たの。でも、はぐれちゃって...。」

 

「そっか。それじゃあ俺と一緒に探さない?」

 

「いいの?」

 

「もちろん。迷子になって不安そうな子を放っておけないからね。」

 

「ありがとう。お兄ちゃん。」

 

「どういたしまして。それじゃあ早速探しに行こうか。君のお姉ちゃんはどんな人なの?」

 

「お姉ちゃんはね、私と同じで茶色い髪をしてるの。それでね白い服を来てるの。あと、とってもキレイなんだよ!」

 

「そっか。それで、君のお姉さんとはどこら辺ではぐれちゃったのかな?」

 

「あっち。」

 

女の子は西の方を指さす

 

「分かった。それじゃあ行こっか。っと、その前に君の名前は何て言うの?俺は冨岡優真っていうんだ。」

 

「私はエマっていうの。お姉ちゃんはミラ。」

 

「よし。お姉さんを探しに行こうか。エマ。」

 

「うん!」

 

 

 

 

 

▼▽▼▽▼▽▼

 

 

 

 

という訳で今、西のメインストリートに移動し、エマを見つけて貰える様に肩車しつつエミリーさんを探しているのだが....

 

「意外と人が多いな。」

 

まだ夕方前位だけどもうダンジョンから帰ってきてる人がいるからか?

どっちにしろ直ぐには見つけられそつにない

 

「ねえねえ。お兄ちゃんって冒険者なの?」

 

「そうだよ。まだ駆け出しだけどね。それで、それがどうかしたの?」

 

「お兄ちゃんの冒険のお話聞かせて欲しいの!」

 

冒険話か

そういえば俺はオラリオに来てからどんなことしてきたっけ

 

「そうだな~。例えば────

 

俺はオラリオに来てからの短いとはいえ中々に濃い日々を思い出しつつ話していった

 

────ってことも合ったんだよ。」

 

「へー、冒険者ってスッゴいんだね!」

 

「そうだろ。でも、第一級冒険者の人たちはもっとスゴいことをしてるんだよ。」

 

「お兄ちゃんが話してくれたよりも?」

 

「あぁ、比べ物にならない位スゴいことをしてきてるんだよ。」

 

エイナさんに聞いた限りだと深層の階層主を一人で倒しにいった人がいるらしいし...

あれ、それもはや人間やめてね

 

「そうなんだ!じゃあさお兄ちゃんも──」

 

「エマ!」

 

誰かがエマに対して声をかけてくる

声のした方を見てみるとそこにはエマと同じ茶色い髪をした優真と同い年ぐらいの少女がいた

おそらくエマが言っていた姉のミラさんだろう

確かにエマの言っていた通り美人である

 

「あっ、お姉ちゃん!」

 

「エマ、良かった。心配したのよ。」

 

エマの姉ミラさんに俺はエマを預ける

 

「あっ、えっと...あなたは?」

 

「お兄ちゃんはね、一緒に姉ちゃんのこと探してくれたんだ。」

 

俺が質問に答えるより先にエマが答えてくれる

 

「そうだったんですね。ありがとうございました。エマは人懐っこくて危ない人にも付いていきそうで心配だったんです。」

 

「そうだったんですか。それなら見つかって良かったですね。」

 

「ムー、エマは危ない人に付いてったりしないもん。」

 

エマは不服とでも言いたそうに頬を膨らます

何それ、かわいい

えっ、ロリコン?違うよ、本当だよ

ユウマ、ウソ、ツカナイ

 

「もうあんまりお姉さんに心配かけたらダメだよ。自慢のお姉さんなんだろ?」

 

「うんっ!お兄ちゃんにいった通りお姉ちゃんとってもキレイでしょ!」

 

「あぁ、そうだな。とてもキレイだと思うよ。」

 

ミラ「っな...ちょっとエマ、あんまり変なこと言わないの。その...すみません変な気を使わせてしまって。」

 

「?気を使ったりなんてしてませんよ。お世辞とかじゃなくて本当にキレイだと思ってますよ。」

 

なるべく嘘じゃないということが伝わるように微笑んでみる

 

すると、何故かミラさんは俯いてしまった

心なしか顔が赤い気がするが...

何か変なことを言っただろうか?

思ったことをそのまま言っただけなのだが

まあ、とにかくやることは終わったしそろそろ別れよう

 

「それじゃあ、俺はこれで。」

 

「あっ、その...えっと、名前を...ひっ。」

 

ミラさんは何かを言おうとして止める

ていうかひっ、て何かに驚いたのか?

 

「あのっ、今日はありがとうございました。お礼は後日必ずさせてください。それでは。」

 

「お兄ちゃんバイバーイ。」

 

去っていく二人に手を降る

 

ミラさん最後の方何かに怯えていたような?

慌てて帰っていってしまったからお礼とかは気にしなくて良いってことも伝えれなかったし

そういえば俺の後ろを見てたけど後ろに何かあるのか?

そういう結論に至り後ろを見てみれば

 

「こんにちは、冨岡さん。」

 

それはそれはとてもキレイな、でも目だけが笑っていない笑顔を浮かべたリオンさんが立っていた

 

後に姉妹の姉は語る

あの時彼の後ろには般若がいた、と

 

 

 

 

 

▽▼▽▼▽▼▽

 

 

 

 

あの後俺はリオンさんと並んで歩いているのだが

 

ヤバイ、ヤバすぎる

何がヤバイかって?

リオンさんの浮かべている笑みが怖すぎる

何故かは分からないけど絶対に怒っている

ソースは変なことを言ったりした時の父さんに対する母さんの笑顔

 

「冨岡さん。」

 

「ひゃっ、は、はい。」

 

「あんな往来の真ん中で女性を口説く何て何を考えているんですか?女たらし岡さん?」

 

「別に口説いてた訳じゃ...」

 

「はい?言い訳ですか?」

 

「いや、言い訳っていうか...」

 

何だろうこの気持ち

何もやましいことなんて無いのに何だか浮気がバレた夫の様な気分になってきた

いや、浮気何てしてないけど

そもそも誰かと付き合ってすらいないし

 

そういやアオイさん元気かな

ずっと結婚のことで悩んでたし、早く誰か貰ってあげて!主に猪の被り物をしたイケメンの人!

 

「冨岡さん、聞いてるんですか?」

 

「き、聞いてますよ。」

 

俺が現実逃避をしているのがバレたのかリオンさんは訝しげな視線を向けてくる

 

「最近お店であるお話を聞く様になったんです。」

 

「お話?」

 

「ええ、殆どが女性の方からお聞きしたことなのですが。曰くナンパに困っていたところを青い羽織を着た極東の少年が助けてくれて更に美人だ何だと言われたそうです。どう思います?冨岡さん。」

 

「えっとー。」

 

何故だか分からないが、冷や汗が背中を伝う

しかし、そんなことは知らんとばかりにリューの話は続いていく

 

リュー「それだけではありません。迷惑なお客に絡まれていたところを助けられたと言っていた人も、物を盗られた時に取り返して貰ったと言っていた人も同様に甘い言葉を囁かれた、と。青い羽織を着た極東の少年何て冨岡さんくらいしかいませんよね。これでもまだ認めませんか?」

 

「いや、あの、本当に口説いてた訳じゃなくてですね。ただ元気づけようとしただけで。その、母親に女性を元気付けるときはとにかく誉めろと言われていたのでついそんな風に。」

 

「そうでしたか。それなのに変な事を言ってしまい申し訳ございませんでした。」

 

リオンさん本当に申し訳なさそうに頭を下げてくる

 

「ちょっ、頭を上げてください。元々は誤解させる様なことをした俺のせいな訳ですし。俺は気にしてませんから。」

 

「いえ、そういうわけには...つ!と、冨岡さん!?」

 

その時何でそんなことをしてしまったのかは今でもよくわからないが、恐らく俺は何とかリオンさんを元気づけようとしたのだろう

道場の子供達によくやるように頭を撫でていた

 

「あっ、そのすみません。急に。嫌でしたよね。」

 

リュー「いえ、その嫌ではないと言いますか...私個人としてはもっとやって欲しかったのですが流石に人前だと恥ずかしいです...」

 

言われてよく見ると周りの何人かの人達がこちらを暖かい目で見守っていた

 

もう何人かは射殺さんばかりに睨んできていたが

 

「冨岡さんは他のかたにもこのような事をしてきたのですか?」

 

「いや、流石に頭を撫でたりはしてませんけど。」

 

「そうですか。私だけ...ふふ。」

 

何故かリオンさんは少しだけ嬉しそうにはにかむ

 

何だろうさっきまでの笑顔と違ってスゴい可愛い

 

「冨岡さん。」

 

「何ですか?」

 

「先程までの事改めて謝罪させてください。何故だかは分からないのですが冨岡さんがそういうことをしていると思うと心がモヤモヤしてしまって、そのせいであんな態度をとってしまったんです。なので貴方は気にしてないとのことでしたがせめて何かさせてくださいませんか?」

 

リオンさんがここまで言ってきてくれているのだここは甘えてしまって良いだろう

そう思い俺は一つの提案をする

 

「それじゃあ、俺の修行に付き合って貰えませんか?」

 

「それだけで良いのですか?」

 

「はい。それにさっきもいった通り俺のせいでもあるので。」

 

「分かりました。でしたらお店の開店前に来ていただけませんか?実は私も体が鈍らないようにトレーニングをしているんです。なのでその時に、というのは。」

 

「是非お願いします!」

 

「でしたら早速明日から始めましょう。よろしくお願いしますね冨岡さん。」

 

「はい。よろしくお願いします。」

 

そうして俺とリオンさんは師弟の関係になったのだった

 

 

 

 

この後自分のやったことを思いだし家のベッドで思いっきり悶えた

 

 

 

 

 

 

 

──────────────────

 

冨岡 優真

 

最近耐久の伸びが著しい

人助けは女性だけという訳ではなく男性も助けてはいるが比率が女性の方が多いだけ

無自覚の女たらし

因みにロリコンではない

本当だよ、ユウマ(ry

 

リュー=リオン

 

何故だか優真が他の女性と仲良くしている話を聞いたりしてしまうと心がモヤモヤしまう

今度シルにでも相談してようか?

修行では二日で優真を三回気絶させている

耐久の伸びが著しいのはこの人のせい

私はいつもやり過ぎてしまう

 

 

エマとミラ

 

オリキャラ

今後どうなるかは不明

ミラはあの後リューの服装から豊穣の女主人の事を突き止めそこに通えば会えるんじゃないかと考え通い始める

後の常連

エマは十才

ミラは十五才

 

 

 

 

 

 

────────────────────

 

 

 

遅くなってしまい申し訳ございませんでした

リアルが立て込んでいるので暫くはこのペースになってしまいそうです

 

今回もお気に入り登録などをしてくださった方々ありがとうございました

次回もよろしくお願いします!

 

 

 

 



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設定

流行りに便乗しただけの小説です

細かい設定とかダメダメだと思いますがそれでもいいと言ってくださる方むけです❗

誤字脱字は教えて頂けると嬉しいです

 

因みに初投稿です(^o^ゞ

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

キャラ設定

 

冨岡 優真 (15)

主人公

義勇としのぶの子供

この作品ではしのぶは生きている設定

顔は中性的な美男子 髪は黒髪の少し長めくらい

義勇とは違い会話は成立はする

性格は若干の天然と恥ずかしがりな一面が

でも会話は成立する

優真は勘がスゴくいい 産屋敷家の様な先見の明ではなくそこに誰かいるなーとかこんなことしそーだなーと言うのが分かる fate/staynightのセイバーみたいな感じ

いつも表情が乏しい義勇が鮭大根が出た時は満面の笑みになることから鮭大根に無限の可能性を感じている でもそこまで好きって訳ではない

両親の様に誰かを守ったり助けられる様になりたいという理由からオラリオへ

小さい頃から呼吸の練習をしていたため常中をすでに習得している

使う呼吸は蟲と水たま~に花 もしかしたらオリジナルの呼吸が出来るかも

 

冨岡 義勇

天然ドジっ子の元水柱

無限城の後からしのぶと付き合い始める

無口無表情が若干直ってきたがまだまだ言葉が足りずキレられることもしばしば

子供に対しては親バカな一面があるが修行はキッチリとつけていたため少し嫌われていた時期があったりなかったり

今は剣術道場を開いているがスパルタ過ぎて門下生の何人かはまじで怯えている

怯えているだけなら嫌われていないと言ってしのぶや炭治朗たちを戦慄させた

痣の設定なんてしーらない 

 

 

胡蝶 しのぶ

元蟲柱

無限城の後義勇に全力アタックを仕掛けなんとか付き合いその後結婚まで持ち込んだ凄い人

義勇の性格矯正や優真が天然ドジっ子にならなかったのは全部しのぶが頑張ったから

今は蝶屋敷にて治療院を開いている

ぎゆしのって良いよね❗

 

 

竈門 炭治朗

原作主人公

カナヲと結婚している

今は蝶屋敷の近くに住んでいてちょくちょく遊びに行っている

子供は二人いて男の子と女の子が一人ずつ

男の子が一番上

ヒノカミ神楽を普通の踊りとして皆に教えている

 

 

栗花落 カナヲ

炭治朗と結婚して幸せいっぱい

最近子供が可愛すぎる 可愛すぎる

蝶屋敷でしのぶの手伝いをしている

 

 

竈門 禰豆子

鬼から人に戻って善逸と結婚した

ずっと竹を咥えていたせいで口に何か入っていると妙な安心感を感じるようになった

蝶屋敷の近くでお料理教室を開いている

 

 

我妻 善逸

禰豆子と結婚出来た時嬉しさのあまり騒いでいたら義勇に殴られた 地毛なのに 鬼滅学園参照

今でも禰豆子にデレデレしていて炭治朗たちに少しひかれている

剣術道場で義勇の手伝いをしている

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

時系列的にはダンまちの原作開始後

豊穣の女主人の一件の後ぐらいにオラリオにつく

他の鬼滅キャラについてはそのうち絡みがあったら書くと思う多分絶対

ヒロインはリューさんでいく予定

たぶんハーレムにはならない

 

 

 

 



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プロローグ

プロローグです❗

キャラの口調が難し過ぎる(。>д<)

 

 

───────────────────

 

 

 

 

「優真、忘れ物はありませんか?何処か悪い所はないですよね? 何かあったら直ぐに相談するんですよ? 1週間に1回は手紙を送ってくださいね?」

 

元々鬼殺隊の治療所であり、現在は一般の治療院となっている蝶屋敷の前で屋敷の主であるしのぶは義勇や炭次郎達と一緒に息子の優真の見送りをしていた

 

「しのぶ、心配し過ぎだ。」

 

「でも義勇さん、優真はあなたみたいに天然ドジっ子なところがあるから心配なんです!」

 

「俺は天然ドジっ子じゃない。 それに優真はしっかり準備していたから大丈夫だ。」

 

夫婦漫才を繰り広げながらも心配そうにしているしのぶを安心させようと優真も口を開く

 

「そうだよ母さん。それに俺はもう子供じゃないんですから。」

 

「私からすればあなたはまだまだ子供ですよ。いつまでたってもかわいい私達の子供です。だからいつでも帰って来ていいんですからね。」

 

そう言ってしのぶは優真の事を抱き締める

 

「うん。ありがとう母さん。」

 

抱き締められた優真は人前ということもあり、恥ずかしそうにしながらもしのぶにお礼を言い、他の人達に別れの挨拶をする

 

「皆さん、父さん達の事よろしくお願いします。」

 

「もちろん!義勇さん達の事は俺達に任せてくれ。」

 

「うん、姉さん達のことは心配しなくていいからね。」

 

「はい。」

 

炭次郎、そしてカナヲは笑顔で2人の事は任せろと言ってくれる

 

「オラリオは危ないらしいからな。気を付けるんだぞ。」

 

「無茶しすぎは駄目だからね?」

 

「栄養を考えた食事をしてくださいね。」

 

「お怪我には気を付けてくださいね。」

 

「毎日ちゃんと寝てくださいね。」

 

「変なことに巻き込まれないようにね。」

 

「はい。ありがとうございます。」

 

善逸、禰豆子、アオイ、なほ、きよ、すみは優真自身の事を気遣ってくれる

 

「優真。これは俺としのぶからだ。」

 

そう言って義勇が差し出したのは義勇の使っていた日輪刀と蝶の模様が入った青い羽織だった

 

「父さん、母さんありがとう。大事にするよ。俺頑張ってくるから」

 

「ああ、元気でな。」

 

「身体に気をつけてね。」

 

「はい。いってきます。」

 

そう言って優真は旅立っていき、皆はその後ろ姿を見送っていた

 

「大丈夫でしょうか?やはり心配ですね。」

 

優真の後ろ姿が見えなくなった時しのぶがふとこぼした言葉に義勇は昔と違いしっかりとした答えを返す

 

「心配など必要ない。俺たちの子供だ。大丈夫に決まっている。」

 

「ふふ、そうですね。私達の子供ですからね。」

 

そう言ってほほえんだしのぶの笑顔は姉を真似していた時のものではなく心からの笑顔だった。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

神崎 アオイ

今でも蝶屋敷で働いている

最近の悩みはそろそろ結婚しないと生き遅れになってしまうんではないかということ

主人公のことは年の離れた弟感覚で見ている

蝶屋敷の常識人担当

 

なほ きよ すみ

原作ととくに変更点無しの今でも仲良し三人組

蝶屋敷の癒し担当

 

優真

服装は黒を基調とした着物のうえに貰った羽織を着ている

義勇に貰った日輪刀意外に普通の刀と短刀を一本持っている

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

次回はオラリオについてベルに会う予定

早くリューさんと絡ませたいなー

そして、ここまで読んでいただきありがとうございました。

 

 

 

 

 



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オラリオにて

アンケートの回答ありがとうございました✨

凪は使えるということにしようと思います。

ただ使うのは結構先になると思います。

そしてお気に入り登録や感想をくださった方々ありがとうございました。

 

 

 

 

 

─────────────────────

 

 

迷宮都市オラリオ、別名『冒険者の街』

沢山の神々や種族を問わず沢山の人が住んでいる

オラリオにはダンジョンと呼ばれる迷宮があり、冒険者は日々そこに挑んでいる。

そのためオラリオは都市外と比べて冒険者の質が段違いに高く街も発展している。

そしてそんな街の中を一人の少年が歩いていた。

 

「スゴい!見たことないものが沢山ある。」

 

今まであまり家の回りから外へは出なかったので次々と目に映る新鮮な光景に思わず声が出てしまう

中心にそびえ立つとてつもなく高く大きい建物や日本では殆ど見ることのなかったエルフやドワーフ、獣人などの異種族が当たり前の様に行き来している様子は壮観だった

 

とはいえ、いつまでも物見遊山をしているわけにもいかない

冒険者になるため、延いてはここに来た目的を果たすため、早く『神の恩恵(ファルナ)』を貰わなければいけない

いけないのだが

 

「どうすれば良いんだろう...」

 

よくよく考えたらどうすればファミリアに入れるのかをちゃんと調べていなかった

取り敢えず周囲を見回してみるが皆目検討もつかない

そんな優真の様子が目立っていたのか声をかけられる

 

「あのー?」

 

「は、はい。何ですか?」

 

「さっきから回りをキョロキョロ見ていますが何かお探しですか?」

 

そう言って優真に声をかけてきたのは白いワンピースに麦わら帽子をかぶったヒューマンのかわいい女の子だった。

 

「ひゃ、はい。実は冒険者になるためにここに来たんですけどどうすれば良いか分からなくて。」

 

美少女に声をかけられテンパってしまい噛んだことに優真がへこんでいるとその少女は少し微笑んでからどうすれば良いかを教えてくれた

 

「そうだったんですか。それでしたらあの大きい塔の様な建物の所に行って下さい。あそこはギルドと言う場所なんです。そこで話を聞くと良いと思いますよ。」

 

「そうなんですか。教えていただけて助かりました。ありがとうございます。えっと....」

 

「ああ、自己紹介がまだでしたね。私はシル、シル=フローヴァです。」

 

「俺は冨岡 優真です。よろしくおねがいします。フローヴァさん。」

 

「シルで良いですよ。こちらこそよろしくお願いしますね?優真さん。」

 

シルさんは見る人を魅了するような笑顔で言う

 

「それで、優真さんはどこのファミリアに入るかとかもう決められてるんですか?」

 

「具体的にここっていうのは決めてないんですけど、実家が治療院をやっていたので医療系のファミリアに入ろうと思ってます。」

 

「そうなんですね。あ、それでもし良かったらなんですけど冒険者になって多少の余裕ができたらぜひ豊穣の女主人という酒場にいらしてください。私はそこの店員なんです。」

 

「そうだったんですか。じゃあ頑張ってファミリアに入ってなるべく早く行きますね。」

 

「はい。お待ちしておりますね。それではまた会いましょう。」

 

「はい。ありがとうございました。」

 

そうしてシルさん可愛かったな~、なんて事を考えながら教えてもらった建物へと向かっていった

 

 

▽▼▽▼▽▼▽▼▽

 

 

 

「やっと着いた。」

 

ギルドの建物はデカイから迷いはしなかったけど予想以上に距離があった

それにしてもギルドの建物って何でこんなにでかいんだろう?まあ考えても分からないだろうし、とりあえずギルドの職員の人に話を聞いてみよう

 

「あの、すみません。冒険者になろうと思ってきたんですけど。」

 

「はい。冒険者登録の方ですね。ファミリアには所属していますか?」

 

「いえ、まだです。」

 

「でしたらまずはファミリアに所属してもらうことになります。ご希望のファミリアはございますか?」

 

「できれば医療系のファミリアがいいんですけど。」

 

「でしたらこのリストに載っている場所を訪ねてみてください。簡単な情報も入っているので活用しみてください。

それからファミリアに所属することができたらまたここに訪ねに来て下さい。その時は私ミィシャ=フロットがアドバイザーを担当させていただきます。」

 

「分かりました。俺は冨岡 優真です。これからよろしくお願いします。」

 

「はい。よろしくお願いします。また会えることを楽しみにしてしていますね。」

 

「はい。それでは失礼します。」

 

とりあえず情報は手にはいったからまずはどんなファミリアがあるのかを確認することから始めよう。

 

ディアンケヒトファミリア

医療系ファミリアの中では最大の派閥

団長のアミッド=テアサナーレは希少な全療魔法の使い手であり戦場の聖女(デア・セイント)の二つ名を持つレベル2の冒険者

他にも多数の優秀な団員がいる

が、主神は団員思いではあるが金にガメツイ

 

ミアハファミリア

昔は中堅派閥であったがある時期から団員が減少

現在は団員が一人でありディアンケヒトファミリアに対して借金がある。

ただし団長のナァーザ=エリスイスはレベル2の冒険者であり現在はダンジョンには入っていないが弓の腕と製薬技術は確か

二つ名は医神の忠犬(ミーヤル・ハウンド)

さらに主神のミアハはかなりの神格者でありオラリオ内でも(特に女性から)の人気が高い

 

入るとしたらこの二つのどちらかだよなー

都市最大派閥は魅力的だし、優秀な団員が多くいるディアンケヒトファミリアに入るのが普通なんだろうけど主神が金にガメツイってどうなんだろう?

そもそもお金持ちになるために来た訳ではないしやっぱり主神がいい神の方が長く付き合っていく上でも良いよね

よし、ミアハファミリアにしよう

そうと決まったら早速ホームに行ってみよう

 

 

 

▼▽▼▽▼▽▼▽▼

 

 

 

「ありがとうございました。ナァーザさんミアハ様。また来ますね。」

 

青の薬舗

ミアハファミリアのホーム兼お店

その前で優真は白い髪、赤目のウサギみたいな少年とすれ違った

 

お店から出てきたってことはあの子も冒険者なのかな?冒険者は見た目で判断できないって聞いたことがあるけどあの子もスゴい強かったりするのかな?

なんて事を考えていると長い青髪を後ろで結わいたイケメンの男性が話しかけてくる

 

「少年。店の前で立ち止まっているが何か用があるのかな?ああ、私はミアハという。神でありこのお店の店主の様な者だ。」

 

「実は今日オラリオに冒険者になるために来たんです。それでもし良かったらミアハ様のファミリアに入れて頂きたいんですが。」

 

「本当に?うちは借金とかもあるけど良いの?」

 

クリーム色の髪をした犬人族の女性が確認をしてくるがそういう面で選んだわけではないので大丈夫と答える

 

「そう。なら私からは何も。私は団長のナァーザ=エリスイス。よろしく。」

 

「こちらこそよろしくお願いします。俺は冨岡 優真です。」

 

「では一度中に入ろう。そしたら早速恩恵を刻んでやろう。」

 

そうして三人で中に入っていき寝室の様な場所に着いたとき

 

「では服を脱いでくれ。」

 

ミアハ様はとても良い顔でそう言った

 

「えっと、服を脱げっていうのはどういうことでしょうか?」

 

まさかミアハ様ってそういう趣味

だから女性からの人気が高いのに浮わついた話が無いのか?

 

「ああ、すまない。説明が足りなかったな。恩恵とは背中に直接刻むのだ。だから上の服だけを脱いでくれれば良い。」

 

なんだそういうことだったのか

良かった主神がそういう趣味じゃなくて

 

「分かりました。これで良いですか?」

 

「では早速刻むぞ。」

 

ヘッドの上でうつぶせに寝ている優真の上にミアハが跨がり、小さな針で自分の指を刺し神の血、別名『イコル』を優真の背中に垂らす

恩恵はそうやって刻むらしい

 

「む、これは?」

 

「どうかしましたか。」

 

「いや、何でもない。これが優真の最初のステータスだ。」

 

そんな中ミアハが何やら呟いた為、不安になって聞いてみたが何でもなかったらしく、1人ホットしているとミアハがステータスの写しが書かれた紙を渡してくれる

 

 

冨岡 優真

 

力 : I 0

 

耐久: I 0

 

器用: I0

 

敏捷: I 0

 

魔力: I 0

 

 

《魔法》【】 【】 【】

 

 

《スキル》

 

【鬼滅の血筋】

守るものがあったり、人を助けようとしている時ステータスに高補正

格上を相手にしている時にもステータスに高補正

感情の丈により効果上昇

誰かを守る、助けたいと思っている限り効果持続

 

 

 

 

「最初からスキルがあるのは珍しいことだ。良かったな。主神として私も鼻が高い。」

 

「本当ですか?嬉しいです。」

 

「それじゃあ、ギルドに冒険者登録をしに行こう。私も付き添いとして一緒にいくよ。」

 

「はい。ありがとうございす。では、ミアハ様早速行ってきます。」

 

「行ってきます。」

 

「ああ、気を付けるんだぞ。」

 

優真達が出ていった部屋でミアハ難しい顔をしながら考えこんでていた。

 

《スキル》

 

【鬼滅の血筋】

守るものがあったり、人を助けようとしている時にステータスに高補正

格上を相手にしている時にもステータスに高補正

誰かを守ったり助けた場合ステータス更新の際にボーナスポイントを付与

感情の丈により効果上昇

誰かを守る、助けたいと思っている限り効果持続

 

 

 

この事が知れたら優真にちょっかいをかける神が出てくるかもしれない

そう考え本人はもちろん、ナァーザにも伝えなかった

これからの事に頭を悩ませつつも、今は家族が1人増えたことを喜ぶようにしたのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

────────────────────

 

シル=フローヴァ ヒューマン

原作と相違点なし

メインヒロインより先に出た女性キャラ一人目

正直シルさん経由じゃないとリューさんを出す展開が思い付かない 

主人公に声をかけたのは回りをキョロキョロ見ていたせいで少し怪しまれていてかわいそうだったから

尚、主人公のことは手のかかる弟として見ている

あくまでベルくんが好き

 

ミィシャ=フロット ヒューマン

こちらも原作通り

メインヒロインより先に出た女性キャラ二人目

あの後直ぐに来たから驚いていた

その後担当アドバイザーにも関わらずダンジョンに関する知識を教えるのはエイナに丸投げした

だってエイナの方が教えるのうまいからとは本人の談

 

エイナ=チュール ハーフエルフ

ダンまちの主人公ベルくんのアドバイザー

ミイシャに丸投げされた後優真のトラウマになるレベルでダンジョンに関する知識を覚えさせた

現在は18階層まで覚えさせている

優真にはベルくんと同じで無事に帰った来て欲しいため冒険者は冒険してはいけないを徹底させようとしているがあまり上手くいっていない

 

ミアハ 神

優真の主神

優真に言われてポーションを配り歩くのではなく割引券を配り始めた

これにより少しだけ家計が回復した

優真と似たようなスキルがベルにもあることを後に知り、ヘスティアと一緒に対策を考えている

あとイケメンで天然の女たらしさらにイケメン

 

ナァーザ=エリスイス シアンスロープ

ミアハ様大好きのミアハファミリア団長

優真には割引券の件でとても感謝している

優真は弟の様に思っていて弟のためにも頑張らなければと、新ポーションの開発に勤しんでいる

スキルのことについては知らされていないがなんとなく察しはついている

必要な時には言ってくれるだろうと考えて敢えて何も聞かない大人の女性

メインヒロインより先に出た女性キャラ三人目

因みにここではあの事件は起きない(原作推奨)

 

ベル=クラネル ヒューマン

ダンまちの原作主人公

この作品では優真のライバル的立ち位置

大きい変更はなし

次回はちゃんと絡ませます

ごめんなさい

 

冨岡 優真 ヒューマン

全然原作主人公ともメインヒロインとも絡めていない今作の主人公

かわいい女の子に急に話しかけられるのが苦手

だって緊張しちゃうとの事

義勇やしのぶとは違い猫や犬等が大好き

回りが引くほどの甘党であり、糖尿病になるんじゃないかとミアハやナァーザに密かに心配されている

スキルに関しては自分のオラリオにきた理由が反映されていて喜んでいた

エイナさん怖い 早くダンジョンに行きたいが最近の口癖

ただ怖がってはいるものの自分のことを本気で心配してくれているとわかってはいるので感謝はしている でも怖い

 

リュー=リオン エルフ

全然出てこないメインヒロイン

早く出番来ないかなー

 

 

 

 

《スキル》

 

【鬼滅の血筋】

名前は鬼殺隊の子供だからという理由

効果は上述した通り優真のオラリオにきた理由が反映されたものとベルくんのライバル的立ち位置でいるための措置

 

 

 

 

 

 

 

 

──────────────────

 

 

 

 

最初にベルと絡ませるみたいなこと言ったのに絡めていなくてごめんなさい 

魔法はとりあえずスロット最大数で保留

スキルに関しては最初はこんなものだろうという感じにしたつもりです

これから魔法やスキルが増えていくとは思いますが自分はチートがあまり好きではないのでチートにはしません

成長補正は許して 

それから感想等で要望があったら言ってくれると助かります

最後にここまで読んでいただきありがとうございました

 

 



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白兎と豊穣の女主人

 

戦闘描写がまじで難しいそして相変わらずキャラや口調が迷子状態です

そしてお気に入り登録等をしてくださった方々ありがとうございました✨

 

 

 

 

────────────────────

 

 

 

拝啓 お母さん

 

オラリオに来てから一週間、

一昨日ようやくダンジョンに入れました。

初日だったので三階層までしか行ってはダメ!

との事だったのであまり深くは潜れませんでしたが、ダンジョンがどういう場所なのかを直接見ることが出来たので良かったと思っています。

今日は五階層まで行って来ました。

さらに明日からは七階層まで行こうと思います。

というのも、俺をファミリアに入れてくださったミアハ様の神友である神ヘスティアの眷族、ベル=クラネルに誘われてパーティーを組むことになり、二人でなら七階層まで行って良いとの許可をもらえました。

ベルも最近冒険者になったばかりらしく年も近いので仲良くしていけそうな気がしています。

とりあえずは元気でやっていけそうです。

母さん達も身体に気を付けてください。

 

敬具

 

冨岡 優真

 

 

 

 

 

 

 

「よし。これで良いだろう。」

 

ミアハファミリアホーム【青の薬舗】の一室、

優真に与えられた部屋で彼は母との約束である手紙を書いていた

 

ベルとはエイナさんとの講習会であった

何でもベルのファミリアも零細ファミリアであり、パーティーを組めずにソロで潜っていたためエイナさんは心配していたらしい

この事をナァーザさんやミアハ様に報告したところとても喜んでいた

そしてヘスティア様を紹介された

ヘスティア様、眷族思いでスゴいいい神さまなんだろうけどベルへの愛が重すぎる気がする

終始

 

「優真くん。僕のベルくんを頼んだよ。僕のベルくんをね!」

 

って言ってたし

意外と神様達ってあそこまで眷族思いだったりするのだろうか?いや、ないな

 

「優真。少しいいか?」

 

考え事をしていると扉の外からミアハ様が声をかけてくる

 

「はい。何でしょうか?」

 

「今日もダンジョンに入ってきたのだろう。だからステータスの更新をしようと思ってな。どうだろうか?」

 

「是非お願いします。」

 

「では、ベッドに寝そべってくれ。」

 

優真は服を脱ぎベッドに寝そべり背中をさらす

そこには五体満足の人の体が描いてある

ミアハはその上に股がり指を針で指す、するとそこから血が流れ出す

 

「ダンジョン探索はどうであったのだ?何か変わったことはあったか?確かベルとパーティーを組んでいるのだろう?」

 

「いえ、特には。アドバイザーさんに言われた通り五階層で戦っていました。」

 

「そうか。大きな怪我もなく安心だ。」

 

「ありがとうございす。あ、そういえば僕達と同じ駆け出しの冒険者を助けました。」

 

「そうか。早速人助けとは良いことだ。よし、出来たぞ。」

 

「ありがとうございす。」

 

 

 

 

冨岡 優真

 

力 :I 0→H 142

 

耐久:I 0→I 72

 

器用:I 0→H 124

 

敏捷:I 0→H 164

 

魔力:I 0→I 0

 

 

《魔法》 【】 【】 【】

 

 

《スキル》

 

【鬼滅の血筋】

守るものがあったり、人を助けようとしている時ステータスに高補正

格上を相手にしている時にもステータス高補正

感情の丈により効果上昇

誰かを守る、助けたいと思っている限り効果持続

 

 

 

 

上昇値トータル500オーバー

たった二日のダンジョン探索でここまで上がるのは明らかに以上だ

やはりスキルの影響と見るべきだな

聞けばベルにも同じ様な事が起こっていると聞く

一度ヘスティアと話してみるべきだろうな

 

「終わったぞ。」

 

「ありがとうございす。結構上がってると思うんですけどどうなんですか?」

 

「ああ。最初は上がり安いがそれでもスゴいことだ。もしかしたら優真は才能があるのかも知れないな。」

 

「本当ですか?嬉しいです。」

 

「して、優真よ。私は明日出掛けてこようと思う。だから明日のご飯は好きに食べてくると良い。ナァーザはナァーザで食べてくると言っていた。ベルを誘ってみてはどうだ?」

 

「そうですね。そうしてみます。」

 

「では。お休み。」

 

「おやすみなさい、ミアハ様。」

 

明日ヘスティアと一度話をしてみよう

そう考えながらミアハは部屋を出ていった

 

 

 

▼▽▼▽▼▽▼▽

 

 

 

 

バベルの前の噴水広場

そこで優真はベルを待っていた

 

「ごめん、優真。待たせちゃったね。」

 

しばらく待っているとベルが小走りでこっちに向かってくる

 

「気にしないで良いよ。それより速くダンジョンに行こう。今日は七階層まで行くんだろ?」

 

「うん。今からたのしみだよ。早速行こう。」

 

そうして二人はダンジョンに入っていった

 

 

 

ダンジョン七階層

ここは駆け出しの冒険者が迎える最初の関門と言われている、何故ならこの階層付近からは新米殺しといわれる『ウォーシャドウ』

硬い甲羅をもちピンチになるとフェロモンを発し仲間を呼ぶ同じく新米殺しといわれる『キラーアント』

即効性はないが毒の鱗粉を撒き散らしながら攻撃してくる『パープル・モス』

など特殊なモンスターが出てくるからである

 

「ベル、前から三体敵が来るぞ。」

 

優真がいった通りウォーシャドウがこちらに三体向かってきた

 

「お互いに一体ずつ引き受けて、早く倒した方がもう一体相手取ろう。」

 

「分かった。じゃあ僕は左」

 

「なら俺は右だ。いくぞ。」

 

そう言って駆け出す

あまり長い時間をかけることは出来ない

だから型を使って一気に決める

 

全集中 水の呼吸 肆の型 打ち潮

 

ウォーシャドウの長い腕をギリギリでかわして間合いに入った瞬間に一気に連撃を叩き込む

両腕を切り飛ばし最後に頸をはね飛ばした

 

よし、ここでも呼吸を使えば戦える

そう考えたのがいけなかった

 

「優真危ない!」

 

その声に反応して振り返ってみればウォーシャドウが腕を振り下ろそうとしていた

 

「くそっ!」

 

間一髪避けることが出来たが体勢が崩れてしまいそこを狙われる

刀では防ぎきれず僅かに頬を爪が掠める

不味い、そう思った時ウォーシャドウの右腕が無くなった

ベルが切ったのだ

ウォーシャドウはそれに驚き、俺はその隙をついて相手を切ることに成功した

ウォーシャドウは魔石だけを残し灰になった

 

「ありがとう、ベル。助かった。」

 

「ダンジョンは危ないんだから油断しちゃダメだよ。でも優真があまり大怪我してないようで安心したよ。」

 

「ベルのおかげだ。やっぱりパーティーを組んで良かったよ。ありがとな。」

 

「そんなにお礼を言われると少し照れちゃうかも。でも、とにかくここから先は油断せずに行こうね?」

 

「そうだな。気を引き締めて行こう!」

 

そうして俺達はダンジョン探索を再開した

この時俺はまだ知らなかったのであるここから先にダンジョンより恐ろしい地獄があることに

 

「一度休憩にしない。実は僕お弁当を貰っているんだ。一緒に食べよう?」

 

あれから怪我もなくしばらくモンスターを狩っていた時ベルがそう言い出したのが発端だった

 

「言いのか?ありがとうベル。」

 

そうしてベルが取り出したのはバスケットに入ったサンドイッチだった

 

「おお!美味しそうだな。」

 

「沢山食べて良いからね。」

 

「それじゃあ遠慮なく。」

 

アムッ、モグ、モグ、

ん、これは美味しくない、むしろ不味いスゴい美味しくない

何だろう炭治郎さんの絵を見たときのような気持ちになってきた

 

「なあ、ベル。これってー?」

 

「あはは...味は独特だけど食べれなくはないと思うから沢山食べてくれると嬉しいかな?」

 

「せっかく貰ったのを残すのも悪いしな。」

 

「うん、そうだね。」

 

とはいえ見た目は美味しそうなのに何故こんな食間と味になるんだろう?不思議だ?

それから俺達は無心でサンドイッチを食べ続けていった

 

 

 

▼▽▼▽▼▽▼

 

 

 

 

すっかり日がくれちゃったなー

ダンジョン内だと時間が正確に分からないからな

 

「優真ー、換金終わったよ。今日は16000ヴァリスも稼げたよ。」

 

「ありがとう。ベル。今日はかなり稼げたな。今日も昨日と同じで二等分で良い?」

 

「うん、もちろん。」

 

「そうだ、ベル。今日はミアハ様がいないから外でご飯を食べようと思っているんだが一緒に行かないか?」

 

「もちろん。僕も今日は神様がいないから外で食べようと思ってたんだ。それで、どこで食べるかはもう決めてるの?」

 

「うん。実はシルさんって人との約束があって豊穣の女主人ていうお店に行こうと思ってるんだけどベルはそこで良い?」

 

「もちろん。実は僕にお弁当を作ってくれてたのはシルさん何だ。」

 

「え、そうなの。なんか一気に不安になってきたんだけど。」

 

「大丈夫だよ。作るのはシルさんじゃないし、前に行ったけどちゃんと美味しかったよ。」

 

「そうか。なら良いんだけど。」

 

「うん、そうと決まったら早く行こう。」

 

「そうだな。」

 

 

 

▽▼▽▼▽▼▽

 

 

 

豊穣の女主人

昼は喫茶店夜は酒場になるという変わったお店

働いているのは全員女性で見た目が良い

そしてほとんどの人が訳ありである

さらにほとんどの店員が強い

因みにこの店で店員にてを出したり騒いだりした客は全員店員達によって締め出されている

尚この店では店では店主がルールであるため絶対に逆らってはいけない

 

 

そんなベルの説明を聞きながら優真達はそのお店

豊穣の女主人に向かって歩いていた

 

「本当に大丈夫かそのお店。」

 

「騒ぎさえ起こさなければ大丈夫だよ。」

 

「あっ!ベルサーん。」

 

ベル「シルさん。こんばんは。」

 

「はい、こんばんは。それで今日はどうされたんですか?」

 

「今日は優真と一緒にご飯を食べに来たんです。あと、お弁当箱も返しておかなきゃとおもいまして。」

 

「こんばんは、シルさん。お久しぶりです。あの時はありがとうございました。お陰でファミリアに所属出来たので約束通り来てみました。」

 

「優真さん。お久しぶりです。約束通り来てくださってとても嬉しいです。それにお二人ともお知り合いだったなんて。」

 

「それは色々ありまして。」

 

「そうなんですか?では、立ち話も何ですし席にご案内しますね。今日は楽しんだいってくださいね。」

 

俺達が通されたのカウンター席だった

 

「また来たのかい?坊主。それにあんたは見ない顔だねー?」

 

そう言って俺達に話しかけてきたのはドワーフっぽい女の人だった

多分この人が店主さんなんだろうな

逆らったらいけないって俺の勘がいつにもなくそう言ってきている気がする

 

「こんばんは、ミアさん。この人は僕の友達です。」

 

「はじめまして、冨岡 優真と言います。オラリオにきた際にシルさんに少しお世話になったのでそのお礼もかねて来ました。」

 

「そうかい、あたしはミア=グランドっていうんだ、よろしくね坊主。それから今日はジャンジャン食って沢山金を落としていきなよ。その分うまい飯を沢山食わしてやるかやな。」

 

「はい、楽しみです。」

 

そうしてしばらく俺達は食事を楽しんだ

ここの料理は高いけどスゴい美味しかった

 

「どうですか?楽しめてますか?」

 

「はい、この騒がしい感じが実家にいたころと似ていて凄く安心します。」

 

「優真は大家族だったの?」

 

「そういう訳じゃないよ。ただ、治療院をやってたし親戚やお手伝いの人とよく一緒にご飯を食べてたから。」

 

「そうだったんだ。だからミアハファミリアに入ったんだね。」

 

「ああ、そういうことだ。」

 

「ところでベルさん、今日の探索はどうでしたか?何かありましたか?」

 

シルさんがベルと話し出している

さっきから思ってたけどもしかしなくてもシルさんはベルに気があるのでは?

なんて事を考えていた矢先、唐突に話しかけられる

慌てて振り返るとエルフの女性がいた

美人だ、取り敢えずスゴい美人

 

「ひゃい、にゃんでしょうか?」

 

「驚かせてしまいすみません。私はリュー=リオンと言います。見ての通りここで働かせて貰っているものです。失礼ですがあなたはクラネルさんとどの様なご関係ですか?」

 

「俺とベルは主神同士の仲が良かったこともあって今はパーティーを組んで一緒にダンジョンに潜ってるんです。それから俺は冨岡 優真って言います。よろしくお願いします、リオンさん。」

 

「こちらこそよろしくお願いします。それにそういう理由であれば私も安心です。私が言うまでもないとは思いますがクラネルさんのこと、よろしくお願いします。」

 

「もちろんです。リオンさんもベルのこと心配してくれてるんですね?」

 

「当然です。クラネルさんは将来シルの伴侶になる人ですから。」

 

それは気が早すぎるんじゃないだろうか

知的に見えて案外石頭だったりするのだろうか

等どくだらない事を考えつつも、会話を続けていたのだが、何故だか分からないがリオンさんと話していると落ち着く事に気づく

前に会ったことがあるっけ?

顔をじーっと見てみるが思い出せない

 

「あの、どうかされましたか。先程からこちらをずっと見ていますが?」

 

「え、ああ、すみません。えっと、そのー、リオンさんがあまりにもキレイだったので見惚れてたと言いますか、そのー、リオンさんと話していると落ち着くのでつい。」

 

「ッ、そうだったんですか。その、ありがとうごさいます。」

 

優真「いえ、その変なこと言ってすみません。」

 

「そんことはない。今まで何度か言われたことはありましたがその時とは違い貴方に言われたのはその、う、嬉しかったので...。」

 

優真「それは良かったです...。」

 

そしてお互い照れたまま俯く

気まずい誰か何とかして!

 

「それじゃあ、そろそろ帰ろっか。」

 

「そ、そうだな。」

 

ナイスだ、ベル!

 

「もう帰ってしまわれるんですか?」

 

「シル、無理を言ってはいけない。遅くなってしまっては明日の探索に響いてしまいますし、ファミリアの仲間を心配させてしまう。」

 

シル「うん、そうだね。ではまたいらしてくださいね、ベルさん、優真さん。」

 

「はい、また来ますね。」

 

「お気を付けて。」

 

「はい、ベルのことは任せてください。」

 

「あなたもですよ、冨岡さん。また、いらしてくださいね。」

 

そう言って少しだけ微笑んだリオンさんの笑顔は今まで見てきたなかで一番美しい笑顔だった

 

 

 

 

 

 

────────────────────

 

 

 

 

 

リュー=リオン エルフ

 

ようやく出てきた今作のメインヒロイン

設定の変更は特になし

リューさんが冨岡さんていうとデジャヴがスゴい

今のところ優真のことは何か気になる異性どまり

ここからどうしていこうか考え中

やっぱりリューさんが一番かわいい

クーデレ最高

因みに料理の腕は壊滅的(シルほどではない)

何となくで次の日優真にお弁当を作ってあげたが量が多く渡しているのを見ていた店員達は軽く引いていた 私はいつもやり過ぎてしまう

 

ミア=グランド ドワーフ

 

神に対してですら自分の店では物怖じしないまじでスゲー人

騒ぎを起こした冒険者締め出すなとしているが基本的には良い人

たとえ訳ありであろうと一度従業員になっのなら絶対に守ってくれる

 

冨岡 優真

 

また噛んだ今作主人公

リューのことは美人の従業員位に思っている

ダンジョンに入る際は日輪刀は置いていっている

理由はナァーザに駆け出しの冒険者が良い武器を持っていると危ないと言われたから

豊穣の女主人にはまた行こうと思っている

因みに手紙を運んでいるのは義勇や炭次郎達に着いていた鎹烏かチュン太郎(うこぎ)である

周一で優真の所に来ることになっているらしい

 

 

 

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今回ようやくベルとリューを出せました

ここから先も基本的には原作沿いに行きます

なので次はモンスターフィリアをやっていきます

最後にここまで読んでくださった方、お気に入り登録などをしてくださった方々、ありがとうございました!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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女神の視線

前回モンスターフィリアをやるといったな、あれは嘘だ

長くなりそうだッので分けました ごめんなさい

 

アンケートが接戦でどうしようか迷ってます

鬼滅の刃要素これで足りてます?

スキルを少し変更しました

ただ、特に影響は無いです(ヾノ・∀・`)

 

 

 

 

 

 

─────────────────────

 

 

 

 

冨岡 優真

 

 

力 :H 142→G 279

 

耐久:I 72 →H 158

 

器用:H 124→G 253

 

敏捷:H 164→F 334

 

魔力:I 0

 

 

《魔法》 【】【】【】

 

 

《スキル》

 

【鬼滅の血筋】

(守るものがあったり、助けようとしている時ステータスに超高補正)

格上を相手にしている時にもステータスに高補正

感情の丈により効果上昇

思いが続く限り効果持続

 

 

 

「今回も凄く上がりましたね。」

 

ミアハファミリアのホームでステータスの更新結果を見ながら、優真とミアハはステータスの伸びについて話し合っていた

 

「そうだな。ここまで早くステータスが上がるのは私も見たことがない。」

 

「何でこんなに早く上がるんでしょうか?」

 

冒険者になってからそれほど日が経っていない優真だがそれでもこの上がり様はおかしいと思ってしまう

 

「その事なんだが、少し前にヘスティアと話してみたのだがベルにも似たようなことが起きているらしくてな。ヘスティア曰く成長期の様なものらしい。」

 

「そんなことが在るんですね。知らなかったです。」

 

勿論そんなこと(成長期)など在る訳が無いのだが優真はそれで納得したらしく、新たな話題を振る

 

「そういえば、ミアハ様はヘスティア様にお会いしたって言いましたよね?」

 

「そうだが?」

 

何故ヘスティアについて聞いてくるのか解らず首を傾げるミアハに優真は事情を説明していく

 

「今日ベルから聞いたことなんですが、ヘスティア様が帰って来ていないらしいんです、何かご存知ないですか?」

 

「そうなのか。残念だかヘスティアとは最初に話したきりでな。私もすぐに帰ってしまったからよく分からないのだ。」

 

「そうなんですね。分かりました。」

 

「力になれなくてすまないな。」

 

申し訳なさそうに頭を下げてくる主神を止めつつ、お礼を言い、明日もダンジョン探索があるためそろそろ戻ろうかと思案する

 

「ミアハ様、明日もダンジョン探索があるので自分は部屋に戻りますね。お休みなさい。」

 

「ああ、お休み。」

 

優真が出ていった後、自分の眷属の為とは言え嘘をついてしまったことに後ろめたさを感じつつ、ミアハは数日前にヘスティアと会ったときの事を思い出していた

 

 

 

 

「ヘスティア、少しいいか?」

 

「どうかしたのかい、ミアハ。」

 

「ベルと優真のことで話があるのだが。」

 

「分かったよ。少し移動しよう。」

 

2人の名前が出た事で派閥に関わることだと察してくれたらしく人気のない所へと移動する

 

「それで、話ってなんだい?」

 

どう言おうか考えるも、人気がない場所とはいえいつ人が来てもおかしくはないため単刀直入に聞くことにした

 

「最近ベルの成長が早いそうだが、何かそういうスキルが発現したのではないか?」

 

「な、なんのことだい?ボクにはミアハの言ってることがわからないなー。そ、そもそも、そんなスキルが在るなんて聞いたことないよー。」

 

ギクッ、と効果音がつきそうな反応をしながらも惚けるヘスティアにミアハは自分の状況を説明していく

 

「実は優真にそういったスキルが発現してな。ベルもそうかと思ったのだが。」

 

「そうだったのかい?なら隠す必要もないか。そうだよベルくんにも似たようなスキルが発現している。それも、それも、あんな理由で!」

 

「その理由がどんなものかは知らないが、ベルには何て説明しているのだ?」

 

「ボクは成長期の様なものだって、言ってあるよ。ミアハはどうなんだい?」

 

「私は特に何とも。しかし二人とも同じ様な理由なら話を合わした方が良いだろうな。」

 

「うん、そうだね。とりあえず二人が成長するまではこの事は隠しておこう。」

 

「分かった。相談に乗ってくれて助かった。ありがとうヘスティア。」

 

「ボクの方こそ助かったよ。」

 

「ではな、ヘスティア。」

 

「またね。ミアハ。」

 

そうして二人はわかれた

だからミアハは知らないのだ、この後ヘスティアがヘファイストスに土下座していたことを

そしてそれが原因でヘスティアが帰っていないことを

 

 

 

 

 

 

▽▼▽▼▽▼▽▼▽

 

 

 

 

「はい、ベルさん今日の分のお弁当です。」

 

「ありがとうごさいます。シルさん。」

 

豊穣の女主人の前で繰り広げられているそんなやとりを優真は見つめていた

相変わらずベルに好意MAXなシルさんとそれに気づいていなさそうな鈍感系主人公のベルを見ているとシルさんの思いが届く日はくるのだろうか、と心配になってしまう

 

「おはようございます。冨岡さん。」

 

しかし、そんな心配は不要だとでも言うかのようなタイミングで後ろから声をかけられる

振り返ってみればエルフの店員のリオンさんがいた

 

「おはようございます、リオンさん。この前はお弁当を作ってくれてありがとうございました。とても助かりました。」

 

「お力になれたのなら良かったです。それで今日も作ってみたのですが貰って頂けませんか?今日はちゃんと量を考えたつもりですし、私の料理練習に協力して欲しいんです。」

 

「そうなんですか、ありがとうごさいます。でも、貰ってばかりだと悪いので今度何かお礼をさせてください。」

 

「いえ、お礼などは。練習に協力してもらっている訳ですし。」

 

「そういうわけにはいきません。考えてみるので楽しみにしていてください。」

 

「分かりました、楽しみにしています。」

 

「はい、では行ってきます。」

 

「お気をつけて。」

 

何だろう、この会話だけ聞いていると夫婦のやり取りみたいに思えてきてしまう

リオンさんと夫婦...悪くない!むしろウェルカム!

そんなバカみたいな事を考えていると、自分の話が終わったベルが話しかけてくる

 

「話は終わった?」

 

「うん、待っててくれてありがとう。」

 

「それじゃあ行こうか。」

 

 

 

 

▼▽▼▽▼▽▼▽▼

 

 

 

 

 

 

 

前からは二体のコボルトとパープルモス、後ろからは二体のゴブリンとウォーシャドウ二体

 

ベル「僕が後ろを引き付けるから優真は前をお願い。」

 

優真「分かった。」

 

パープルモスは戦いが長引くだけ不利になる、

だから真っ先に倒す

 

蟲の呼吸 蝶の舞 戯れ

パープルモスに向かって飛び上がりつ突きを放つ

突きはパープルモスの頭を貫く

そして落下する勢いを利用し、そのまま次の型に繋げていく

 

水の呼吸 捌の型 滝壺

刀をダンジョンの床が割れる程の勢いで叩きつけることによりその余波でコボルト二体を吹き飛ばす

 

刹那、前方の壁が割れる音がダンジョンに響く

見ると壁の中からゴブリン四体が出て来てこちらに飛びかかってくる

 

それに対し、優真は相手の動きを読みつつ攻撃していく

 

水の呼吸 参の型 流流舞い

揺らめく流水の様に動きつつ斬りつける

四体もいたゴブリンはその全てが床に着地することなく灰になった

 

「優真、こっちは終わったよ。」

 

「俺の方もいま終わったよ。」

 

「やっぱりパーティーを組んでいると分担できて負担が減るし、ダンジョン探索が捗って良いね。」

 

「そうだな。薦めてくれたエイナさんやミィシャさんに感謝しないとな。」

 

「うん。それじゃあ気を取り直してダンジョン探索を続けよう。」

 

そうして俺達は持っていたバックが一杯になるまで狩続け、そこで今日は終了ということになった

 

「ねえ、優真。荷物も多くなってきたしそろそろサポーターを雇ってみない?」

 

地上へ帰る途中ベルがそう話しかけてきた

 

「サポーターって何だっけ?」

 

「バックパックを持ってくれたり、戦闘中に倒したモンスターが邪魔にならないようにどかしてくれたり、モンスターの魔石回収までやってくれる人のことだよ。」

 

バックパックを運ばなくてよくなるのはでかいな

俺達はパーティーを組んでるからまだなんとかなっているけど確かに一人で運んだりするのは大変だしな

それに戦闘中に倒したモンスターの死骸に躓いたりしなくなるのも助かるし

 

「良いんじゃないか。俺たちのパーティーに入ってくれる人がいればの話になるけど。」

 

それだけ利点が有るなら既に何処かのパーティーに属してそうなんだよな

 

「た、たしかに。僕達みたいな駆け出しのパーティーに入ってくれる人いなさそうだよね。」

 

「まあそんなに急がなくても良いんじゃないか?俺達はパーティーを組んでるからどちらかがやれば済む話なんだし。」

 

「そうだね。ん?....ねえ優真。あれって何だろう?」

 

ベルの目線を追ってみる

するとそこにはモンスターがケージに入れられ運ばれている光景が広がっていた

 

「何だろうな?俺にもよく分からないや。」

 

「そっか。僕も優真もオラリオに来たばかりだもんね。」

 

「気になるならエイナさんにでも聞いてみたら良いんじゃないか。」

 

「そうだね。戻ったら聞いてみるよ。」

 

その後は他愛もないはなしをしながら地上に戻っていった

え、お弁当はどうだったって?

黒焦げでした

 

 

 

▼▽▼▽▼▽▼▽▼

 

 

 

 

 

「ベル、換金終わったぞ。エイナさん達に話は聞けたか?」

 

「それが取り込み中みたいだったから明日にしようかなって。」

 

「そうか。じゃあ帰ろっか。」

 

そうして二人でホームのある方向に向かって歩き出す

 

そこで違和感を覚える

誰かに見られているかのように感じ思い振り返ってみる

しかしこちらを見ている人は見つからない

隣を見るとベルは困惑したような顔で問いかけてくる

 

「優真も感じた?誰かに見られてるような、そんな不気味な感覚。」

 

「ベルもか。二人とも感じてるってことは気のせいじょないよな?」

 

「でも一体誰が?」

 

「分からない。けど悪意は感じなかったし誰かはわからない以上は放っておくしかないよ。」

 

悪意というよりも興味や好奇心の様だったし

 

「そうなの?ならしょうがないね。」

 

「そんなことより明日はどうする?明日もダンジョンに行くのか?」

 

「もちろん。明日も僕が優真の所にいくよ。」

 

「いいのか?毎日大変そうだし明日は俺がベルの所に行っても良いんだぞ?」

 

「大丈夫、気にしないで。」

 

「分かった。ありがとな。」

 

「うん。....あ、話してたら優真のホームに着いちゃったね。」

 

「じゃあここでお別れだな。またなベル。」

 

「うん。また明日。」

 

ベルと別れて入っていく

 

「ただいま。」

 

「「おかえり」」

 

オラリオで出来た二つ目の家族のいる場所に

 

 

 

 

 

 

▽▼▽▼▽▼▽▼▽

 

 

 

 

 

少年達が帰った道を見つめながらバベルの頂上で女神は側に控えているボアズの従者に話しかける

 

「オッタル、あなたから見てあの二人はどう?一人は今まで見たこともない位純粋で、もう一人の子はとっても澄みきっているの。」

 

「今のままでは何とも。」

 

「そう、あなたでも分からないのね。でも、ただ待っているだけなんて出来そうにない。明日はモンスターフィリアでしょ、そこであの子達を試そうと思っているのだけどその為に会わなきゃいけない神がいるの。着いてきてくれるかしら?」

 

「もちろんです。この身は全てフレイヤ様の望みのために。」

 

「ありがとう、オッタル。フフ....あの子達はどんな風に輝くのかしら?今からとっても楽しみだわ。誰にも邪魔はさせないわ。だからあなた達の輝きを私に見せて。」

 

そうして女神は微笑む

見るもの全てを虜にしてしまう様な顔で

 

 

 

 

 

 

 

──────────────────

 

 

 

 

冨岡 優真

 

ベルの事を鈍いと言いつつ自分にブーメランが帰って来ていそうな主人公

フレイヤの視線が悪意を持ったものではないと判断できたたのは勘が良いから

 

フレイヤ

 

変更点は特になし

ベルと優真に愛のムチを与えていく

キャラの中で口調が一番迷子状態

 

オッタル

 

こちらも特に変更なし

相変わらずフレイヤ様大好きだし、相変わらず都市最強のレベル7の冒険者

 

 

 

 

 

 

 

 

次回はしっかりモンスターフィリア編に入ります

いつ出せるかは分かりませんが次回もよろしくお願いします

 

最後にお気に入り登録などをしてくださった方々ありがとうございました



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モンスターフィリア

二つ名についてですが、取り敢えずは自分で考えてみます

アンケートのご協力ありがとうございました

 

 

 

 

──────────────────────

 

 

今日もダンジョンへ行く為いつもの道を歩いていたのだが豊穣の女主人の近くに来た辺りで呼び止められる

 

「オーイ!待つニャ白髪頭、青着物。」

 

声をかけて来たのはリューさんやシルさんと一緒に働いているキャットピープルのアーニャさんだった

 

「どうかしましたか?アーニャさん。」

 

「白髪頭、おミャーにこれをあのおっちょこちょいに届けてきて欲しいのニャ。」

 

アーニャさんが差しだ来てきたのは財布だった

ていうかおっちょこちょいって誰のこと?

 

「えっと...届けて欲しいと言われても...」

 

「アーニャそれでは説明不足です。クラネルさんも困っています。」

 

「あっ、リオンさんおはようございます。」

 

「おはようございます。」

 

「白髪頭の察しが悪いだけニャ。ミャーは財布を忘れて出かけたおっちょこちょいのシルにこれを届けてきて欲しいと言ったのニャ。」

 

「ということです。」

 

「なるほど。それで、シルさんはどこに出掛けたんですか?」

 

「シルはモンスターフィリアに言ったのニャ。」

 

「モンスターフィリアって何ですか?」

 

「毎年この時期にガネーシャファミリアが主催しているお祭りです。ダンジョンから連れてきたモンスターをテイムして戦わせます。一種の見世物のようなものです。」

 

「なるほど。そういうことなら仕方ないよな。」

 

「うん、シルさんにはいつもお世話になっているからね。早速行こっか?」

 

「え、俺も?ベルだけじゃないのか?」

 

意外な発言に驚いてしまう

 

「僕だけ?何で?」

 

何でって、ベルが届けた方が喜ぶからだよ

 

「白髪頭は鈍いのニャ。いいから行ってくるャ。」

 

「でも...。」

 

そう言ってベルはこっちを不安そうに見てくる

もしかして俺のことを気にしているのか?

やさしいやつだな

 

「俺のことは気にしなくて良いよ。俺は俺でやることがあるから。」

 

「分かった。じゃあ行ってくるね。」

 

「よろしくお願いします。この道を真っ直ぐ行けば人混みに出ると思うので後はその人混みに従って闘技場まで行って下さい。シルはさっき出たばかりなので走れば間に合うはずです。」

 

「頼んだのニャー。」

 

それを聞いたベルは走っていった

俺はどうするか

一人でお祭りに行こうかな?

でも行ってもやることないんだよな~、と考えていた所で1つ思い当たる

 

「リオンさんは今日の夜も仕事ですよね?」

 

「ええ、そうですが。それが何か?」

 

「いえ、何でもないです。それじゃあ俺も行きますね。夜にまた来ます。」

 

「はい。夜にお待ちしております。」

 

「待ってるのニャ。」

 

そして俺も闘技場の方へ歩いていく

 

お祭りってことは出店もあるはず

リオンさんにはお弁当を作ってもらってるし何か良いものでもあればお礼として買っていこう

そんな事を考えつつ闘技場への道を歩いていった

 

 

 

 

▼▽▼▽▼▽▼

 

 

 

 

モンスターフィリアに出るモンスターが保管されている闘技場の地下そこでフレイヤはモンスターを閉じ込められている檻から出そうとしていた

 

「貴方はツインテールの女神を追って。」

 

フレイヤがそう言ったのはシルバーバック

十一階層以降から出現する大猿のモンスターである

 

「あの子がいるということはもう一人の子もいるはず。そちらは誰にしようかしら?」

 

周りを見渡し良さそうなモンスターを探す

 

「あなたが良いわ。あなたは青い着物を来た極東の男の子を襲いなさい。」

 

そうフレイヤが命令したのはオーク

十階層以降から出現する豚頭人身のモンスターである

 

「それから他の子達は暴れまわって冒険者達の気を引いて。それじゃあ行きなさい。」

 

フレイヤはモンスターが入った檻を奪った鍵で開ける

するとモンスター達はフレイヤに言われたとおり駆け出していく

 

「フフ....たのしみね。あの子達はどんな輝きを見せてくれるのかしら。」

 

 

 

 

▽▼▽▼▽▼▽

 

 

 

「シルさん見つからないな。」

 

「やぁベルくん、久しぶりじゃないか。こんなところで会うなんてもはや運命だね。」

 

「か、神様。今までどこに行ってたんですか?」

 

「そんなことよりデートしようぜベルくん!」

 

「いや僕、実は今人を探してて。」

 

「それなら大丈夫さ。デートしながら探せば良いんだよ。さぁいくぞベルくん!」

 

「ちょ、神様引っ張らないでください。」

 

等とヘスティア達がやっているのとどう時刻

優真は一人出店を回っていた

 

リオンさんにいつものお礼をとは思ってたけどなかなか良いのが見つからないな

高い物だと遠慮させちゃうだろうし、

かといって蝶屋敷の皆以外の女の人に贈り物とかしたことないから何を贈れば良いかも良くわからないんだよな

そこでふと雑貨店が目に入った

 

あそこなら何か良いものが見つかるかもと思い物色してみるとあるものに目が止まった

 

これなら気を使わせなくて良さそうだしリオンさんに似合いそうだし、これにしよう

 

 

 

 

▼▽▼▽▼▽▼

 

 

 

無事に目的を達成し、優真はウキウキ気分で歩いていた

リオンさん喜んでくれるかな?

やることもやったし夜までは一人でダンジョンに潜ろうかそう考えていたときだった

周りが急に騒がしくなる

 

「おい、あれ。」

 

その視線の先にいたのはまだ優真が見たことはないがエイナさんの講習会で学んだことのある豚頭人身のモンスター『オーク』だった

 

何でこんなところにモンスターが、まさかモンスターフィリアで使う予定だったのが逃げ出した?

とにかく街の人に被害が出るのはまずい

見たところ他に冒険者はいなさそうだし俺が何とかしなきゃ、そう思いオークの気を引くためオークに向かっていき斬りつける

するとオークはこちらに気付き追ってきた

 

よし、かかった

とりあえずここで戦うのはまずい

どこか人気の少ない場所に行かなきゃ

 

「こいつは俺が引き付けるので皆さんは逃げてください。」

 

「ありがとう。すぐに応援をつれてくるから。」

 

そして優真は駆け出す

少しでも人気のない場所へと走っていきようやく近くに誰もいない場所にたどり着いた

着いた場所はダイダロス通り

オラリオの貧困層が住む場所であり、度重なる区画整理により馴れていないと冒険者であっても迷ってしまうことから地上のダンジョンとも呼ばれている

 

ここなら戦っても大丈夫そうだな

普通に考えれば逃げるべきだけど、ここでこいつから逃げてしまってはこの辺の人達が危なくる

だからこいつはここで倒す

 

そう決意し優真はオークへと向かっていく

オークは向かってきた優真に向かって持っていた太い木の棒を振り下ろす

優真はそれをかわすもその余波で体制を崩してしまいそこを狙われる

 

「くっ...」

 

刀で防ぐも吹き飛ばされ近くに積んであった箱に激突し破壊してしまう

さらにその破片で手の甲や頬等を切ってしまう

 

実際に戦ってみて分かったけどパワーだけじゃなくて腕の長さも厄介だな

このままだと自分の間合いに持っていけない

 

そう考えている間もオークは攻撃を仕掛けてくる

直撃こそしていないものの少しずつ傷は増えていく

 

まずいなこのままだと先にこっちの体力がなくなっしまう

何とか間合いに入らないと

考えろ、相手は力は強いが動きは遅いそれなら速く動いて攻撃をかわしつつ近づいていけばなんとかなるはず

となればあの型を使えば行ける

 

水の呼吸 玖の型 水流飛沫・乱

 

周りの壁や洗濯物が干してあるロープなどあらゆるものを足場として活用しつつ着地時間を最小限にすることでオークを翻弄しヒットアンドアウェイ戦法でオークの体を傷つけていく

するとオークはだんだん苛立ってきたのか動きが今まで以上に単調になり振りも大振りになっていく

 

今なら決められる優真はそう考えわざとオークに正面から突っ込む

 

オークは優真が正面から突っ込んできたため避けられないだろうと思い優真に向かって棒を上から叩きつける

しかしそれを完璧に読んでいた優真は斜め横に飛び上がることで回避し、とどめをさすべく技を繰り出していく

 

水の呼吸 弐の型 水車

 

飛び上がった勢いのまま型を放ち相手の左腕を斬る

それにより追撃をしようとしたオークはバランスを崩す

そして優真はその隙を狙う

 

水の呼吸 壱の型 水面切り

 

両腕をクロスさせ振り返り様に一閃

オークのお腹を切り裂く

そしてオークは倒れて動かなくなった

 

勝った?優真がそう考えたとき、周りで歓声が上がった

 

「ありがとう。倒してくれて助かったよ。」

 

「君とあの白い髪の子は僕らの恩人だよ。」

 

白い髪の冒険者...まさか、そう思い騒ぎの一際大きい場所へ移動してみる

するとそこでヘスティア様が倒れていた

 

「ベル、何があったんだ?」

 

「あ、優真。それがシルバーバックに襲われて神様のお陰で何とか倒せたんだけど神様が倒れちゃって。どうしよう?」

 

「一旦どこか休める場所に運ぼう。」

 

「うん、ここからだと....」

 

「うちのお店が近いですよ。」

 

「し、シルさん。」

 

いきなりの登場にベルが驚いた声をあげる

態度にこそ出ていなかったが優真もビックリしていた

 

「さぁ、急いで運びましょう。」

 

「はい。ありがとうごさいます。」

 

そうして三人は駆け出していく

そんな三人を見下ろしている神物がいた

 

「ヘスティアには悪いことをしちゃったかしら。でもやはり良かったわ。二人とも益々欲しくなってしまったわ。また遊びましょうね...ベル、優真。」

 

 

 

 

 

 

▽▼▽▼▽▼▽

 

 

 

 

「────ということなんです。」

 

「なるほど、それは災難でしたね。」

 

優真は自分で治療を終え、豊穣の女主人にて今日の事をリューに説明していた

 

「でも、死んでしまった人はいないそうなのでそこはよかったかなと思ってます。」

 

「そうですね。ところで何故冨岡さんはそこに?やることがあると仰っていたので私はてっきりダンジョンに潜っていたのかと思っていましたが。」

 

「それなんですけどね、実はこれを探してたんです。」

 

そう言ってリオンさんに買っておいたプレゼントを手渡す

 

「私に...ですか?」

 

リオンさんは驚いた表情になって聞いてくる

 

「はい。いつもお世話になっているお礼です。」

 

「開けてもよろしいですか?」

 

「もちろんです。」

 

そこから出てきたのは鮮やかなエメラルドグリーンの様な色の羽をした蝶の髪飾りだった

 

「その色だったらリオンさんの綺麗な髪に似合うと思ったんですけど、どうですか。」

 

「その...男性に贈り物を貰うのは初めてなのでなんと言ったら良いのかよく分からないのですが...その、とても嬉しいです。ありがとうごさいます、冨岡さん。」

 

「い、いえその...喜んでもらえたのなら良かったです。」

 

笑ったリオンさんの笑顔が眩しすぎて思わず顔をそらし、照れくささから頬を掻いてしまう

するとリオンさんが何かに気づいたらしく話しかけてくる

 

「冨岡さん。まだ手当していない傷が残っていますよ。」

 

「え、どこですか?」

 

「ここです。少しじっとしていてください。」

 

そう言うとリオンさんは俺の手を掴み治療を初めてくれた手の甲の傷が残っていたらしい

ただ、蝶屋敷の皆以外の女性の人に手を触られるのは初めてなので少し緊張してしまう

 

「終わりました。...どうかしましたか?」

 

俺の緊張が出てしまっていたのかリオンさんが聞いてくる

 

「いえ、その...手が」

 

「手?...はっ。」

 

そこまで言ったことでようやく気づいたらしくみるみる内にリオンさんの顔がリンゴのように赤く染まっていく

 

「こ、これは...その、いえとにかくすいません。」

 

「いえ、治療の為でしたし。それにその...リオンさんの様な綺麗な人に触られても嫌ではないので。」

 

「ッ...。あ、ありがとうごさいます。その...私も貴方に触れるのは嫌じゃない...です。」

 

お互いテンパってしまっているのかかなり大胆な言葉を発してしまう

その結果お互いに照れて黙り混んでしまったのだが、すぐにリオンさんが話題を変えてくれた

 

「その、あまり味に自信はないのですがまたお弁当を作ったら貰っていただけますか?」

 

「もちろんです。いつでも大歓迎ですよ。」

 

「そうですか。では約束ですよ。」

 

「はい、約束です。」

 

そう言って二人は微笑んだのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

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冨岡 優真

 

プレゼント選びが失敗しなくて安心している

ベルと同じくダイダロス通りのあの近辺にいた人達からは英雄のように思われている

 

リュー=リオン

 

プレゼントを貰った嬉しさから無意識の内に手を触ってしまったが全く嫌悪感がせず気づかなかった

優真からのプレゼントは本当に気に入っていて早速次の日からつけている

最近親友の離しちゃダメよ、という声が聞こえてくるらしい

 

フレイヤ

 

何故シルバーバック達を操れたかというとフレイヤの様な美の女神はチャーム(魅了)という能力を持っていて見たものを意のままに操れるから

今回もそれを利用した

 

アイズ

ベルの想い人で剣姫の二つ名をもつ

優真とどう絡ませようか思案中

 

ロキ

 

二大派閥の一つの主神

 

 

 

 

 

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というわけでモンスターフィリア編でした

長かった特にフレイヤとロキの下りが以外と長かった

冒頭でも言ったとおり二つ名は自分で考えてみます

どんなものになるのか楽しみに待っていて下さい

 

次回予告(あてにならない)

 

サポーター

ついにあの子が出てきます

 

それでは次回もよろしくお願いします

最後にお気に入り登録などをしてくださった方々ありがとうございました

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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サポーター

台風が凄かった

風で家ってこんなに揺れるんですね!!( ; ロ)゚ ゚

 

 

 

 

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モンスターフィリアの事件から数日後優真はその日のダンジョン探索がベルが買い物にいくことになったので中止になってしまった為ナァーザのお使いをしていた

 

パンは買ったし、調味料も買ったから後は野菜だけだな

そんな事を考えながら八百屋まで歩いていく

 

えーっと....にんじん、じゃがいも、レタス、

玉ねぎ、あとは...と考えていたときに声をかけられる

 

「こんにちは。冨岡さん。」

 

声をかけて来たのは豊穣の女主人の店員でありエルフのリューだった

 

「こんにちは、リオンさん。」

 

そこで優真はリューの髪に自分があげた髪飾りが着いているのに気づく

 

「その髪飾り早速使ってくれてるんですね。」

 

「ええ...変ではないですか?」

 

少し不安そうな顔で聞く

 

「スゴく似合ってますよ。」

 

「そうですか...ありがとうございます。ところで冨岡さんもお買い物ですか?」

 

「そうです、ダンジョン探索が休みだったのでファミリアの団長に頼まれたんです。」

 

「そうでしたか。冨岡さんは何処のファミリアに所属しているんですか?」

 

「ミアハファミリアです。ご存知ですか?」

 

「ええ、主神の神ミアハはとても良心的な神だと聞きます。冨岡さんが良いファミリアに入れているようで安心しました。」

 

「心配してくれてたんですか?ありがとうございます。」

 

「いえ、お礼を言われるほどでは。」

 

そんな会話をしつつ店を出る

 

「リオンさんはもう買い物は終わりですか?」

 

「ええ、そうですが?」

 

「だったら荷物持ちますよ。」

 

「お気持ちは嬉しいのですがそんな事をしていただく訳には。」

 

「気にしないで下さい。それに女性と買い物をした時は荷物を持てって親に言われてますから。嫌でなければさせてほしいです。」

 

「私の様な者でも女性としてあつかってくれるのですね。」

 

リオンさんはそう少し嬉しそうにいってくる

 

「当たり前じゃないですか。リオンさんみたいな綺麗な人を女性として扱わないわけないじゃないですか。」

 

「そ、そうですか。その、少し照れてしまいます...。ですが、...ありがとうございます。そう言って頂けて嬉しかったです。」

 

リオンさんは少し嬉しそうに微笑む

その笑顔が素敵で少し見惚れてしまう

 

「いえ、本当のことですから。だから荷物は持ち任せてください。」

 

「あっ...」

 

リオンさんの持っていた荷物を少し強引に持つ

 

「ありがとうごさいます。お優しいのですね。」

 

「そうですか?」

 

リュー「ええ、とても。」

 

「そう言われると照れますね。ところでこれはお店に運べばいいんですか?」

 

「そうです。ついてきてください、近道を使いましょう。」

 

その言葉に従いリオンさんについていく

 

「こちらです。」

 

リオンさんが入っていったのは人通りの少ない路地だった

 

「いつもこの道を使ってるんですか?」

 

「ええ、そうですが?」

 

「危なくないですか?人通りも少ないですし。」

 

「心配してくれているのですか?それならば大丈夫です。その辺の暴漢どもに後れを取ることはありませんから。」

 

「そういう問題じゃ...リオンさんって冒険者だったんですか?」

 

「ええ...ですが昔の話です。」

 

そう話すリオンさんの顔は見たこともないくらいに悲しそうで辛そうだった

あまり触れて欲しいことではないのだろうと思い、話題を変える

 

「そうなんですね....話は変わるんですけどタケミカヅチフアミリアについて何か知りませんか?」

 

「タケミカヅチフアミリアですか。そうですね....少し前にレベル2にランクアップした冒険者の中にそのファミリアの名前があった気がします。たしか...何処かの長屋をホームにしていると聞いたことがあります。」

 

「本当ですか?ありがとうございます。」

 

「礼には及びません。お知り合いがいらっしゃるのでしょう?」

 

「そうなんです。実は、知り合いがお世話になって───「やっと見つけたぞくそパルウムが!」

 

飛び込んできた怒声に会話が遮られる

言葉遣いや声音からただ事じゃないと判断してリオンさんの方を見ると目が合う

 

「リオンさん...」

 

「ええ、行きましょう。」

 

二人で声の聞こえた方に向かって走り出す

 

急がなきゃって、リオンさんはっや!

 

「急いでください冨岡さん。」

 

「は、はい!」

 

荷物を持っている事を差し引いても圧倒的過ぎるほどに速いリオンさんを必死で追いかける

 

声のした場所に着くとおそらく追いかけられていたであろうパルウムと追いかけていたと思われる冒険者の男、そして何故かその二人の間にベルがいた

 

何で?

いや、とにかくベルを助けよう

 

「大丈夫か。ベル?加勢するぞ。」

 

ベルの横に護身用に持っていた小刀を抜く

 

「優真。ありがとう、心強いよ。」

 

そんな優真達の様子を見て男は苛立ったように声を荒げる

 

「どいつもこいつも邪魔ばっかしやがって。何なんだお前らそのパルウムの知り合いか?」

 

「ち、違います!」

 

え、違うの?

驚きの顔でベルを見る

同じことが気になったのか男が何故助けるのかと問うとベルは驚きの理由を口にした

 

「お...女の子だから。」

 

「「.......」」

 

「は?」

 

「え、な、何?」

 

予想の斜め上?をいく答えに俺とリオンさんは何とも言えない表情、そして無言になってベルを見つめる

それは男も同じようで、間抜けな声を出して固まる

そしてベルはそんな周りの反応に混乱している

状況はまさしく混沌(カオス)である

 

只、ベルの衝撃よりも怒りの方が勝ったらしく、男は再起動を果たす

 

「意味わかんねー事ばっかり言いやがって、邪魔するんならテメーらからやってやろうか。」

 

剣を抜いて向かってくる

俺とベルも武器を構えて迎撃しようとした時

 

「やめなさい。その二人に手をあげることは許さない。」

 

相手を鋭く睨み付けながらリオンさんが冷たい声でいい放つ

先程までの表情とはまるで別人である

しかし冷静さを失っているのか尚も突っかかるが

 

「黙ってろ、この....」

 

「吠えるな。」

 

「なっ...」

 

「私はいつもやり過ぎてしまう。」

 

リオンさんは再度睨み付ける

相手にはそれで充分だったらしい

 

「ち、クソが。」

 

男はそんな言葉を残し逃げていった

 

「ありがとうございます、リューさん。優真もありがとう。1人じゃどうにもならなかったかも。」

 

「いえ、私が出すぎた真似をせずともクラネルさんなら何とかできていたでしょう。」

 

そこでふと、気づく

 

「あれ、あのパルウムの女の子は?」

 

「そう言えばいなくなってるね。怖くなって逃げちゃったのかな?」

 

「まあ、逃げれたなら良いんじゃないか?」

 

「うん、そうだね。」

 

何だかんだで一件落着したため、ベルと笑い合っているとリオンさんが真剣な顔でベルに話しかける

 

「ところでクラネルさん。」

 

「は、はい。」

 

「あなたは将来シルの伴侶になる人です。人助けは良いことですが女の子だからという理由で助けるのはいささか自覚が足りませんよ。」

 

えっ、ベルとシルさんってもうそこまで進んでたの?

 

「ちょっ、そんな事聞いたの初耳なんですけど。」

 

「おや、そうでしたか。」

 

「そもそもシルさんとはそういう関係じゃないです!」

 

このまま放っておくと話が変な方向へ進んで行きそうなのでベルに助け船を出す

 

「それよりベルは何でこんなとこにいたんだ?エイナさんと買い物に行くんじゃなかったのか?」

 

「買い物の帰りにこの道を通ってたんだよ。優真達こそどうしたの。」

 

「ナァーザさんのお使いをしていた時に偶然あったんだよ。今から豊穣の女主人に行くんだけどベルも一緒に来るか?」

 

「うん、もちろん。」

 

「では行きましょうか。シルも喜びます。」

 

何より、とリオンさんは続けてベルに目を会わせる

 

「買い物について詳しく聞きたいので。」

 

「あっ、」

 

そこで自分の失言について気づくがもう遅く、リオンさんはお店の方に歩き出していた

困ったようにこっちを見てくるベルに申し訳なさを覚えるがどうにか出来る気がしないので、さっきの失言についてはご飯を奢る事で許してもらうことにした

 

 

 

 

 

▼▽▼▽▼▽▼

 

 

 

優真「それが昨日言ってた買い物?」

 

昨日何だかんだ合ったが無事食事を済ませ、待ち合わせ場所でベルの格好について話していた

 

「うん、どうかな?」

 

そう聞いてくるベルは白いライトアーマーと緑のサポーターを腕にはめていた

 

「良いんじゃないか。冒険者っぽいし、それなら簡単な攻撃じゃ傷もつかないだろうし。」

 

好評価だったのが嬉しかったのか笑顔になりつつも、本題を思い出したのか今日の探索について聞いてくる

 

「それで今日は何階層まで言ってみようか?」

 

「そうだな...九階層位まで行ってみないか?」

 

「良いね。それじゃあ今日はそこまで言ってみようか。」

 

予定が決まりダンジョンの入り口に向かおうとしたところで呼び止められる

 

「お兄さん方、お兄さん方。」

 

「ん?」

 

「そこの白髪の冒険者様と青い着物の冒険者様。」

 

「えっと...僕たちのこと?」

 

「ええ、そうです。おや、混乱されているのですか?なら簡単です。貧乏なサポーターが冒険者様のおこぼれを与ろうと自分を売り込みに来たところです。」

 

声のした方には小さい、おそらくはパルゥムの子が居た

ていうかこの子って昨日の子じゃ?

ベルも同じ事を考えたらしくその子に訪ねる

 

「君...昨日のパルウムの子じゃ」

 

「パルウム?私は獣人・シアンスロープですよ。」

 

その子は被っていたフードをとる

その下から出てきたのは確かにシアンスロープ特有の耳だった

でも何故か俺の勘がどこかおかしいと訴えている

 

「それで、どうですか?サポーターお探しじゃありませんか?」

 

「サポーターは丁度雇いたいとは思ってたんだけど...」

 

「でしたら今日1日お試しでというのはどうでしょうか?」

 

「う~ん...ボクはいいと思うけど...優真はどう?」

 

「まあ、とりあえずお試しでってことなら良いんじゃないか。」

 

きっとどこかおかしいと思ったのは気のせいだろうし

 

「でしたら決まりですね。私の名前はリリルカ=アーデと言います。気軽にリリと読んでください。よろしくお願いしますねお二人とも。」

 

「ボクはベル=クラネル。よろしくねリリ。」

 

「俺は冨岡優真です。よろしく。」

 

そうしていつもより一人多くなったパーティーでダンジョンに入っていった

 

 

 

▽▼▽▼▽▼▽

 

 

 

 

「ふっ!」

 

ダンジョン9階層

そこで襲ってきたキラーアントを仲間を呼ばれないように確実に倒していく

 

「優真さま、後ろからウォーシャドウ二体とコボルトが二体来ています。ベル様は右からパープルモスが三体です。ベル様は援護するので優真さまは後ろを抑えてください。」

 

「了解」

 

「わかった。」

 

リリがいるから後ろには通せないため確実にかつ素早く倒そうと試みる

 

蟲の呼吸 蜂牙ノ舞(ほうがのまい) 真靡(まなび)

 

強力な踏み込みから一瞬で間合いを詰めてウォーシャドウの頭に突きを放つ

 

そのまま流れるようにもう一体のウォーシャドウを斬りつけてたおしていく

するとコボルトは同時に襲いかかってくる

それに対して優真は型を出すことで対応する

 

水の呼吸 陸の型 ねじれ渦

 

体をおもいっきり捻りその反動を利用して襲いかかってきたコボルト二体を一斉にぶったぎる

 

よし、こっちは終わったけどベル達は大丈夫かな

ベル達の方を見るとキラーアントが天井から出てこようとしているところだった

 

「ベルっ上だ!」

 

「!...ふっ」

 

何とベルは飛び蹴りでキラーアントが出てくる前に倒してしまった

 

「スゴい倒し方だなベル。天井にめり込んじゃってるけど。」

 

「あはは...魔石とれるかな?」

 

「お二人ともおスゴいですね。駆け出しの冒険者だと聞いていましたがそうは思えないほどの動きでしたよ。」

 

「そんなことないよ。リリがいたおかげだよ。」

 

「モンスターが何処にいるかとか倒したモンスターが邪魔にならないように退けてくれたりしてくれてたから戦いやすかったよ。」

 

「本当ですか?それは良かったです。ですが今日は魔石を回収して終わりにしましょう。」

 

「え、もう?」

 

「ベル様良いですか、今は何ともないかもしれませんがパープルモスの鱗粉をかなり浴びてしまっています。なので今すぐバベルで治療するべきです。」

 

「そうなんだ。」

 

「ええ、それではベル様はその埋まっているキラーアントから魔石を回収して下さい。リリは向こうのを優真様はあちらの魔石を回収してください。本来はリリの仕事ですが早い治療の為に手伝っていただけますか?」

 

「分かったよ。」

 

「それじゃあ俺はあっちに行ってくるね。」

 

「はい。」

 

モンスターの死骸からナイフを使って魔石を回収していく

冒険者の中にはこういう行為が苦手で挫折した人もいるらしいが、実家の手伝いで似たような光景を見たことがあるためそこまで苦には思わない

 

よし、こっちは終わったな

ベル達はどうだろう

見るとベルはもう少しで終わりそうでリリはその近くにいた

でも何でだろう?今一瞬だけリリがニヤついてたような

 

「よし、こっちは終わったよ。」

 

「俺の方も終わったぞ。」

 

「では帰りましょう。帰りは出来るだけモンスターに会わない所を通りますがもし出くわしてしまったら優真さまに戦闘をしていただいてもよろしいですか?」

 

「良いけど...どうして?」

 

「優真さまの刀はベル様のナイフに比べてリーチが長いので鱗粉も浴びずらいですしそこまでパープルモスとも戦闘をしていませんから。」

 

「そっか、分かったよ。」

 

「ありがとうごさいます。」

 

「あ....今更だけどリリって何処のファミリアなの?僕たちと組んでて大丈夫?」

 

「それなら問題ありません。リリの所属しているソーマファミリアのソーマ様は未来永劫他のファミリアに興味を持つことはありませんから。」

 

「そっか、それなら良かったよ。」

 

「はい。では帰りましょうか。」

 

その後リリの言ったとおりの道を通って帰ったが一度も戦闘をすることはなかった

 

 

 

 

「「さ、39000ヴァリス!」」

 

「スゴいです、お二人ともレベル1の冒険者五人組のパーティーが1日に平均して稼げる額を越えていますよ。」

 

「いやーウサギも煽てりゃ木に登るっていうじゃん。それだよそれ。」

 

「リリにはベル様が何を言いたいのか全く理解できませんが取り敢えず便乗しておきます。ベル様も優真様もおスゴいです。」

 

ベル「ありがとう、リリ!」

 

あれ、ベル結構酷いこと言われてるのに気づいてない!?

 

「それで、分け前のこと何ですが...」

 

「うん、そうだったね。はい。」

 

ベルは3分の1の入った袋をリリに渡す

 

「えっ...」

 

リリは驚いた様な声を上げて俺達を見てくる

 

「どうかしたの?」

 

「良いんですか?お二人とも。リリがこんなに貰ってしまって?」

 

「もちろんだよ。リリがいたからここまで稼げたんだもん。」

 

「そうだよ。遠慮なんてしなくていいんだよ。」

 

「でも...リリはサポーターですよ?」

 

「関係ないよ。だから貰って。」

 

未だに躊躇うリリにベルが更にもう一押しする

 

「分かりました。それでは遠慮なく頂きますね。ありがとうございます、お二人とも。」

 

「どういたしまして。」

 

「ところでベル、エイナさんに聞くことが合ったんじゃないのか?」

 

「あっ、そうだった。それじゃあね、リリ。」

 

「はい。またお会いできることを願っております。リリは普段は今日お会いしたところにいますので。」

 

「ああ、またな。」

 

リリとはそこで別れた

今はソーマファミリアについてとこれからリリと一緒にパーティーを組んでいいかをベルがエイナさんに聞きにいっているのを待っている

 

「終わったよ、優真。」

 

「どうだった?」

 

「エイナさんも良いと思うって。」

 

「そうか。それじゃあ明日から一緒に来てもらうのか?」

 

「うん、そうしようと思ってるよ。」

 

そこでベルの格好に、というより腰の辺りに違和感を覚える

本来在るべき物が無いのだ

 

「ベル、お前...ナイフはどうした?」

 

「あれ...?」

 

ベルはホルスターを触るがそこには鞘しか残っていなかった

 

まさか...と最悪の予感が頭を過る

 

「お、落とした~~!」

 

夕方オラリオの街にはベルの絶叫が響き渡ったのだった

 

 

 

 

 

 

 

────────────────────

 

 

冨岡 優真

 

リリのことは漠然と何かおかしいなとは思っているが優真もベルに負けないくらいお人好しな面があるのでリリを普通に信用している

今回の一件でベルのことをおっちょこちょいだと思うようになった

 

リリルカ=アーデ

 

サポーターの自分を対等に扱ってくれる二人のことは変な人だと思っている

今までいくつかのパーティーと組んでダンジョンに入っていた為知識は豊富

リトルバリスタを使って戦闘を補助してくれたりもする

 

ベル=クラネル

 

今回ナイフをなくしたおっちょこちょい

あのナイフがどれだけするかを正確には分かっていないが神様がくれた大事な物なので必死に探している

 

 

 

 

 

────────────────────

 

 

 

 

 

次回予告(外れるかも)

 

魔道書と精算

 

行けたらリリの話を終わらせたい

いつになるかは分かりませんが次回もよろしくお願いします

そしてお気に入り登録などをしてくださった方々ありがとうございした

 

 

 

 

 



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魔導書事件

リリ終わんなかった...

全然予告が役立ってない気がします

すみませんでしたー...

 

 

 

 

──────────────────

 

 

 

ミアハファミリアのホーム兼お店の青の薬舗にフラフラした足取りで優真が入っていく

 

「ミアハ様、ナァーザさん...今戻りました。遅くなってしまってすみません。」

 

「よく帰ったな。して、どうしてそんなに疲れているのだ?」

 

いつも以上に疲れている優真の様子を心配し、ミアハが訪ねると優真は愚痴でも言うかのごとく話始める

 

ベルが大切なナイフを無くしたこと

そのナイフはパルゥムが持っていたらしく、偶々見かけたリューが奪い返し、追いかけていたのだがいつの間にか犬人族のリリと入れ替わっていたらしく逃げられたらしいと言うこと

そして優真はその後もベルに会うまで必死に探し回っていたらしい

 

「フフ..そうか、それは災難だったな。」

 

取り敢えずは大事なかった事に安心し、つい笑ってしまったのだが本人にとっては中々の災難だったらしく、拗ねながらまた話始める

 

「笑い事じゃないですよ。ナイフを探して街中走り回ったし、リオンさんの手をベルが握ったのを見てシルさんが拗ねたり大変だったんですよ。」

 

「でも、ナイフは見つかったんでしょ。良かったんじゃないの?」

 

「それが...そのナイフを持っていたパルウムがリリにそっくりだったらしくて。」

 

「その子が盗ったってこと?でもシアンスロープだったんでしょ?」

 

「そうなんですけど...いろいろ心当たりがあって。」

 

ナァーザと話ながらも考え込む様な仕草をする優真を見て、ミアハは話を進めるため事の顛末をたずねる

 

「それで、そのあとどうなったのだ?」

 

「明日からも一緒に潜ろうってことになったんです。」

 

「そうか...それで優真はどう思ってるんだ?」

 

未だに考え込む仕草を続ける自分の眷属に対して諭す様に話しかける

 

「どう...とは?」

 

「その子を信用するのかってこと。やっぱり契約は無しってことにするのか、そうしないのか優真はどう考えてるの?」

 

質問の意味を掴みきれなかった優真にナァーザが補足をする

暫く悩んだ後、少年はハッキリと自分の意思を口にする

 

「俺は...信じたいです。まだリリだって決まった訳じゃありませんし、それにもしそうだったとしても俺はベルの優しさがリリに届いてくれるって信じます。」

 

きっとリリは誰かに優しくされたことがないんだ

だから今日も三等分した時にあんなに驚いていたんだろう

 

「大丈夫?こんなことが今後も起きるかも知れないよ。」

 

「大丈夫です。今後は俺もベルも気をつけはしますし、きっと変わってくれます。」

 

「そうか。なら私からは何も言わん。ただ、ソーマファミリアの冒険者はどこか必死だと聞く気を付けるんだぞ。」

 

「はい、ありがとうごさいます。」

 

「それじゃあご飯にしよっか。」

 

自分を信じてくれた2人の優しさに感謝しつつ、リリともこんな風になりたいと、漠然と思った

 

 

 

 

▼▽▼▽▼▽▼

 

 

 

 

「お早うございますお二人とも」

 

待ち合わせ場所の噴水広場でリリが笑顔で挨拶をしてくる

 

「おはよう、リリ。」

 

「おはよう。」

 

あれから何回かリリと潜っているが特に変わったことはなかった

気のせいだったのだろうか?

それならそれが一番なんだが

 

「どうかされましたか、優真様?」

 

「あのさ、リリ。」

 

「はい、なんでしょう。」

 

「気のせいだったらごめんね」、と付け加えてから話始める

 

「今はまだ信じられないかもしれないけどベルは本気でリリのことを信頼してるから...そんなベルをリリも信じてあげて欲しいな。出来たら俺のことも、ね。」

 

「っ...!」

 

「優真、リリ何してるの?」

 

「いや、何でもない。行こっか。」

 

「はい....」

 

前を歩く2人についていきながらリリは先程の言葉について考えていた

優真様は気づいている?

でもそれなら何故あんな事を?

信じて欲しいなんて...リリには出来ないのに

リリは冒険者が大嫌いだから

横暴で傲慢で自分勝手でいつもリリの事を虐げて蔑んで弱者であるリリからいつも奪っていく

なのにどうしてあの2人はリリに優しくしてくれるのだろうか

どうしてリリはあの2人の事を....

いや、同じだどうせあの2人も....

どうせ冒険者なんて....

 

 

 

▽▼▽▼▽▼▽

 

 

 

「今日もスゴい稼げたね。」

 

「そうだな。リリのお陰だよ。」

 

「それじゃあはい。今日の分ね。」

 

今日も皆で3等分していくのだが、リリは申し訳なさそうに聞いてくる

 

「あの...本当によろしいのですか?ありがたく貰っているリリが言えたことじゃないですけど。」

 

「そんな事ないよ。ね、優真」

 

「ああ、3人いたからこそだよ。」

 

「そんな事より早く帰ろう。」

 

「ああ。」

 

ホームで心配して待ってくれている人達を安心させる為早く帰ろうとしているとリリに呼び止められる

 

「あ...ベル様、優真様、相談があるのですが。」

 

「どうしたの?」

 

「実は明日ファミリアの集会のような物がありまして、探索をお休みさせて欲しいのですが。」

 

「そっか、それじゃあ仕方ないな。」

 

「うん、そうだね。」

 

「ありがとうございます。お2人とも。」

 

「うん、じゃあ行こっか。」

 

その後3人でメインストリートの方へと歩いて行った

 

 

 

 

 

▼▽▼▽▼▽▼

 

 

 

バベルの最上階から2人の事を見つめながら美の女神はうっとりした様に呟く

 

「そう、また強くなったのね。それでいい、あなた達はもっと輝ける....」

 

そろそろ良いかもしれないわね

 

「オッタル。」

 

「は、御用でしょうかフレイヤ様。」

 

「これをあそこに置いてきてちょうだい。」

 

フレイヤは本棚から二冊の本を取り出し、フレイヤの腹心であるボアズの武人に渡す

 

「は、仰せのままに。」

 

その言葉を残しオッタルは部屋から出ていった

 

「魅せてもらうわね。あなた達の中に眠っている力を...」

 

 

「「.......」」

 

何かの視線を感じ二人はほとんど同時に振り替える

またあの視線、いったい誰が

 

「ねえ、優真...」

 

「ああ、分かってる。」

 

「どうしたんですか?お2人とも。2人してバベルを見上げてらっしゃいますが。」

 

「あ、いや...」

 

「バベルって何でこんなに高いんだろうな?って。」

 

余計な心配をかけるわけにはいかないので、前々から気になったことを何となく口に出しつつ話をそらす

 

「それはお2人もご存知のとおりバベルは空いたスペースを貸し出しています。ですがそれは二十階層までです。」

 

「じゃあその上はどうなってるの?」

 

「その上は神様達が住まわれているんですよ。」

 

「へー、そうなんだ。」

 

「はい。プライベートルームだと考えてもらえば良いと思います。孤高が好きという神様もいるわけですから。」

 

「う~ん...そういう話を聞くと思うんだけど神様達ってもしかして暇なの?」

 

「下界へ降りたいって思っちゃうぐらいだしね。」

 

「どうなんでしょうか。もしかしたらお仕事が嫌になって逃げ出してきたのかも知れませんよ。」

 

「それって...」

 

「はい、亡くなった人の進路です。まあ、最終的にはほとんどの人が転生させてもらえるようですけど...」

 

「......」

 

「でも、リリは死ぬことに憧れていた時期がありましたよ?」

 

「...え。」

 

「.....」

 

「一度神様のもとに還れば次に生まれてくるリリは今のリリよりマシになっているのかなぁ、なんて───」

 

「リリ....!」

 

悲しそうに呟かれるリリの言葉に耐えきれなくなってベルが話を遮る

 

「ごめんなさい。変なこと言って。真に受け取らないで下さい。リリはこれでもたくましくなりました。今はそんな事思ってませんよ。さあ、お2人とも遅くなってしまいますから早く帰りましょう。」

 

「うん....」

 

「.....」

 

最後に見たリリの顔は辛いのに無理をして笑っているようなそんな顔だった

 

 

 

 

 

▽▼▽▼▽▼▽

 

 

 

 

 

「ごちそうさまでした。いつもありがとうございます。」

 

豊富の女主人

そこで優真はリューにお弁当の箱を返していた

 

「いえ、いつも残さず食べていただいているのでこちらとしても作り甲斐があります。それに、私の料理の練習にもなりますので。」

 

「少しでもお役にたててるなら良かったです。」

 

「そう言えば冨岡さんは明日お休みなんですよね?」

 

「そうですけど?」

 

「でしたら何か装備品でも見に行ってはどうでしょうか?見たところ冨岡さんは防具を着けていないようですし。」

 

「ああ、それなんですけど速さを活かした戦いかたをしてるのでどうしようか迷ってて。」

 

「でしたら鎧などではなく一部だけを守るものにしてみはどうでしょうか?」

 

昔の経験を活かしたアドバイスに確かに、と納得する

 

「なるほど...参考になります。ありがとうございます。」

 

「いえ、それほどでも。」

 

「優真、話終わった?」

 

シルさんとの話が終わったらしいベルが声をかけてくる

 

「えっと...」

 

「フフ...今日はここまでですね。では冨岡さん、クラネルさんまたお越し下さい。」

 

「はい、また。」

 

「さようなら。」

 

「お帰りですか?」

 

「はい。」

 

そこで唐突に気づく

 

「ベル、お前そんな本持ってたっけ?」

 

「お客さんの忘れ物らしいんだけどシルさんが貸してくれたんだ。」

 

「よろしかったら優真さんもどうですか?」

 

そう言ってシルさんはベルのと同じ表紙の本を持ってくる

 

「良いんですか?」

 

「はい、読み終わったら返していただければ。」

 

「ありがとうございます。それじゃあお借りします。」

 

「はい、また入らしてくださいね。」

 

「はい。さようなら。」

 

「ありがとうございました。」

 

そうして店から出てベルと並んでいつもの道を歩いていった

 

 

 

 

▼▽▼▽▼▽▼

 

 

 

 

「戻りました。」

 

「お帰り、優真。ご飯はもうすぐ出来るよ。」

 

「分かりました。いつもありがとうございます。」

 

「気にしなくていいよ。私はダンジョンに潜れないからね。その分優真は頑張ってくれてるから。」

 

「そうですか。ありがとうございます。ところで、ミアハ様はどうしたんですか?」

 

「出掛けて来るって言ってた。ヘスティア様が話があるんだって。」

 

「そうなんですか。じゃあご飯が出来るまで好きにしてて良いですか?」

 

「うん、いいよ。」

 

「ありがとうごさいます。」

 

早速借りた本を読んでみよう、とウキウキしながら小走りで部屋に戻る

 

『ゴブリンにも分かる現代魔法』?

スゴいタイトルだな

まあ、いいか えーっと...

 

「魔法は種族により素質として備わる先天性と神の恩恵、ファルナにより目覚める後天性とがあり....」

 

だんだんと意識が朦朧としてくる

なのに本の内容だけがしっかりと頭に入ってくる

 

「後天性とは云わば自己実現である。何に興味を持ち、認め、憎み、憧れ、嘆き、崇め、誓い、渇望するか...。」

 

回りの世界が変わっていく

 

「引き鉄は常に自分の中にある」

 

目の前には自分がいた

 

「じゃあ、始めよう。俺にとって魔法って何?」

 

「目には見えないけど確かにそこにある不思議な力」

 

「俺の思う魔法ってどんなもの?」

 

「自分にできないことをできるようにする力」

 

「魔法に何を求めるの?」

 

「繋がりを。俺はいろんな人がその命を繋いできたはてに生まれてきたらしいから。だからそんな人たちの託してきた思いを、願いを継いでいきたい。」

 

「それだけ?」

 

「もし、叶うのなら...俺も繋いでいきたい。そんな人たちの様に誰かに託せるように、そんな風になりたい。」

 

「わがままだね。」

 

「うん、でも....」

 

「「それが俺だ」」

 

 

──ま。─うま。」

 

「起きて、優真。ご飯だよ。」

 

声に反応して重たい瞼を持ち上げると、ナァーザさんの顔が近くにあった

 

「すみません。寝ちゃってました。」

 

「ううん、疲れてるんでしょ。早く食べて早めに休みな。」

 

「はい、ありがとうごさいます。」

 

「うん、じゃあ行こう。」

 

その後ナァーザさんとご飯を食べて部屋に戻るとミアハ様が帰って来たらしく訪ねてくる

 

「ただいま、優真。」

 

「おかえりなさい、ミアハ様。ヘスティア様と出掛けたそうですけど何かあったんですか?」

 

「散々愚痴を聞かされたよ。何でもベルが小さい女子と歩いているのを見たらしくてな。」

 

「ああ、それって...」

 

「ああ、そういうことだ。それより最近ステータスの更新をしていなかっただろう。一度やってみるか。」

 

「はい、よろしくお願いしまさ。」

 

部屋のベッドにうつ伏せに寝て待機する

 

「任せておけ。ではやるぞ。......む、これは。」

 

「どうかしたんですか?」

 

「魔法が発現しているな。」

 

「ほ、本当ですか!」

 

1種の憧れのようなものを抱いていた魔法が発現したと知り、ついつい興奮してしまう

そんな優真にミアハは少し落ち着けと言わんばかりにステータスの更新用紙を渡す

 

「ああ、ほらこれが新しいステータスだ。」

 

 

冨岡 優真

 

 

力 : G 279→ C 635

 

耐久: H 158→ D 524

 

器用: G 253 → C 668

 

敏捷: F 334→ B 752

 

魔力: I 0

 

 

《魔法》

 

【シンゼステ】

詠唱:リンク+属性

2属性目から コネクト+属性

 

エンチャント魔法

纏った属性によりステータスにも影響

繋がりがある者により属性追加

他者にも付与可能

ただし他者に付与した属性は自分に纏わすことが出来なくなる

出力は魔力と込めたマインド、登録された人数に依存

 

使用可能

[氷(フィンブル)] [光(ルクス)]

 

 

【】

 

【】

 

 

《スキル》

 

【鬼滅の血筋】

 

 

 

 

 

「これが...俺の魔法。」

 

付与魔法(エンチャント)か。...それ事態は聞いたことはあるが属性が増えるというのは聞いたことがないな。」

 

「普通の付与魔法は違うんですか?」

 

「普通は一属性だけだし、増えると言うことはない。間違いなくレア魔法だ...よかっな。」

 

「ありがとうごさいます。魔法って一度使ってみたかったんです。」

 

「そうか。明日は休みなのだし少しだけ試しに行ってみてはどうだ?いきなりいつも探索してるところで試すのはリスクが高いだろう。」

 

「そうですね。明日行ってみます。」

 

「そうか。では今日はもう休むといい。お休み優真。」

 

「お休みなさい、ミアハ様」

 

そうしてその日はワクワクしながら眠りについた

 

 

そして次の日

 

「おはようございます。」

 

「おはよう、優真。」

 

「おはよう。休みなのに起きるのが早いんだね。」

 

「実は昨日魔法が発現したので今日はそれの試し打ちとかをしようと思ってるんです。」

 

「本当に?スゴいじゃん。」

 

「はい。なので今日はダンジョンに行ってから防具を見に行ってみます。」

 

「そっか、じゃあ昨日言ってた本は読まないの?」

 

「本?何の本なのだ?」

 

「これです。『ゴブリンにも分かる現代魔法』って本なんですけど知ってますか?誰かの忘れ物をシルさんが貸してくださったんです。」

 

本をミアハ様に手渡すとパラパラと巡り始め、そして何故か首を傾げる

 

「そうか...優真、本当にこの本を読んだのか?何も書いていないが。」

 

「え?そんなはずは...本当だ...」

 

ミアハ様に本を返してもらい見てみると、本当になにも書いていなかった

おかしいな~、と優真も首を傾げ始めるとナァーザが何かに思い当たったのか、みるみる青ざめながら優真に訊ねる

 

「優真...それってまさか...魔導書(グリモア)じゃ...」

 

「魔導書?」

 

「魔導書というのはだな、簡単に言えば魔法を強制発現させるアイテムだ。そして効果は一度きり。使ったらこのように白紙になる。」

 

そのミアハの説明を聞いて優真は恐る恐るといった風に問う

 

「それって貴重なんじゃ...」

 

「低く見積もっても一億ヴァリスはいく。」

 

今度は優真の血の気が引いていく

 

「と、とにかくお店に行ってみます。あとベルも同じものを持っててまだ間に合うかもしれないんでそっちにも行ってみます。」

 

「大丈夫?」

 

「何とかしてみます。それじゃあ行ってきます。」

 

ホームを飛び出しヘスティアファミリアのホームへ全速力で走る

すると半分ほど行った辺りでベルが見えた

 

「おーい、ベル。」

 

「優真!昨日貸して貰った本どうした?」

 

「読んだ...ベルも...」

 

「読んじゃった...」

 

「読んじゃったかー...」

 

どうやら互いに思っていたことは同じらしく落胆してしまう

 

「どうしよっか?」

 

「取り敢えずシルさんの所に行こう。持ち主の人が来てるかもしれないし。」

 

「そうだね...行こっか。」

 

「何とか...なるかな...?」

 

「どうだろうね...」

 

こうして、朝から二人して肩を落として豊穣の女主人に歩いて行った

 

 

 

▽▼▽▼▽▼▽

 

 

 

「....ということだったんですけど。」

 

豊穣の女主人でベルがシルさんに説明をしている

 

「それは...大変なことをしてしまいましたね...」

 

「いや、シルさんにも少しは責任があるんですけど。魔導書ってこと分からなかったんですか?」

 

「それは...うっかりしてました。ごめんなさい。てへっ。」

 

と可愛く舌を出しす

 

「スッゴい可愛いですけど誤魔化されませんよ。」

 

ベルは若干やられかけているが、ここで俺までやられるわけにはいかないので

何よりこれ以上借金が増えたら終わる

 

「えー...それじゃあ...」

 

シルさんが横にずれてリオンさんが出てくる

何だろう何か打ち合わせをしてたような

 

「えっと...」

 

リオンさんはどこかモジモジと照れくさそうにしていたが意を決した様に顔を上げ

 

「てへっ...」

 

「っ....!」

 

っと可愛らしく舌を出した

 

思わず息を飲む

普段クールな人がこういう可愛らしい事をしてくると更に可愛く思えてしまう

 

「か、かわいい...」

 

「なっ...!か、かわ...」

 

「えっ?」

 

「声...出てたよ。」

 

「す...すいません。」

 

リュー「い、いえ。」

 

少し気恥ずかしくてリオンさんが直視出来なかったので顔をそらすとこっちをニヤニヤ見ているシルさんと目が合う

 

「ふーん...へえー...」

 

「な、何ですか?」

 

シルさんがニヤニヤしてるときって大抵ろくなことじゃない気がするんだが

 

「いーえ、何も。」

 

「そ、それより!どうしましょうこれ。」

 

再起動しているベルが話を戻してくる

 

「持ち主が分からないんじゃどうしようもないですよ。」

 

う~ん。と皆で悩んでいるとミアさんがこっちにやって来た

 

「さっきから何騒いでんだい?」

 

「実は...」

 

ミアさんに一から説明する

すると聞き終えたミアさんは一言

 

「忘れちまいな。」

 

とだけ言って魔導書をゴミ箱へ投げ捨てた

 

「ええ!で、でも...」

 

「良いんだよ、こんなもん落とす方が悪い。得したと思ってさっさと忘れちまいな。」

 

「本当に良いんですか?こっちとしては有り難いんですけど...」

 

「ああ、良いよ。そしてとっととダンジョンにでも行ってくるんだね。」

 

「それじゃあ、ありがとうごさいます。失礼しますね。」

 

「あ、ありがとうございました。」

 

「ベルさん、優真さんまた来てくださいね。」

 

「お待ちしております。」

 

そうして店を出てベルと別れ一度ホームへ報告に行きその後ダンジョンに潜って魔法の試し打ちをしに行った

 

 

 

 

▼▽▼▽▼▽▼

 

 

 

三階層の正規ルートから外れた小さなルーム

優真はそこで魔法を試していた

 

「リンク・フィンブル」

 

途端優真の体が青い冷気によって包まれる

丁度都合よく出てきたゴブリンに向かって行く

 

心なしかいつもより速くなっている気がする

 

そして刀を振ってみる

すると刀がゴブリンを切り裂く所まではいつもと同じだったが切ったところからゴブリンが凍っていった

 

 

フィンブルは相手を凍らして敏捷のステータスを上げることができるのか

次はルクスを試してみるか

 

そう考えフィンブルを解きルクスに切り替える

 

「リンク・ルクス」

 

今度は白い光に包まれる

軽く動いて刀を降ったり壁を蹴ったりしてみる

どうやらルクスは全体的にステータスが上がっているように感じた

ただ、敏捷の上がり具合はフィンブルの方が上だった事から恐らく一属性で上がるステータスの合計値や限界量が決まっているのかもしれない

 

ということは二属性を同時に使ったらどうなるのだろう?

使ってみるか

 

「コネクト・フィンブル」

 

白い光の奥から青い冷気が出てくる

軽く動いてみて分かったがルクスのステータスアップにフィンブルのステータスアップが上乗せされているみたいだった

 

ただ、同時に使うと消費がデカいな

マインドダウンになるならないように気をつけないとな

 

それから暫く魔法を試していたが疲れてきたので素直に帰ることにした

 

 

 

 

▽▼▽▼▽▼▽

 

 

ダンジョンでの魔法の確認を終え、まだ日が頂点に位置している頃に優真はホームに帰っていた

 

「ただいまです。」

 

「よく帰ったな。して、魔法はどうだった?」

 

「いい感じでした。」

 

「そうか。それは良かった。」

 

「お帰り。魔法は良いけど防具はどうしたの?」

 

「あ...忘れてました。」

 

「また今度休みになったら買いに行くんだよ。」

 

「はい。」

 

「それで、明日は探索に行くのか?」

 

「そう思ってます。」

 

「そうか。くれぐれも無茶だけはするなよ。」

 

「でもお金はちゃんと稼いでくるんだよ。」

 

ミ「ナァーザはぶれんな...」

 

「フフ...そこがナァーザさんらしいですけどね。」

 

「そうだな。」

 

「どういう意味ですか?」

 

「ファミリア想いということだ。」

 

「本当ですか?」

 

ナァーザさんがジトーとした目でミアハ様を見つめる

その光景に思わず吹き出してしまう

 

「何で笑うの?」

 

「いや、こういうの良いなぁーって。」

 

「そうだな。この日々が続くようにこれからも頑張っていこう。」

 

「はい。」

 

「もちろんです。」

 

リリの問題やその背景にあることやるべきことはたくさん有るけれどそれでもこの日々を守っていこうと、この時優真は誓ったのだった

 

 

 

───────────────────

 

 

 

 

冨岡 優真

 

魔法を手にする

魔法のイメージは自分なりに鬼滅ってこんな感じダナーっていうのをもとに作りました

因みにルクスはベルからです

 

 

 

リュー=リオン

 

メインヒロインのくせに出番が少なすぎるのではと思ってはいるがなかなか出せない

まあ、ランクアップしてからがメインのはず

 

 

 

 

 

 

 

 

────────────────────

 

 

 

魔導書が終わり魔法が発現しました

なんか違くねって方もいるとは思いますが今作はこれでいくのでよろしくお願いします

リリは次回で絶対終わらせます

 

最後にお気に入り登録などをしてくださった方々ありがとうございました

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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リリルカ・アーデ

かなり遅くなってしまいましたが最新話です

 

 

 

 

────────────────────

 

 

 

 

 

リリは生まれたときからそこにいた

親がソーマファミリアだったからリリもソーマファミリアに入るしかなかった

両親はお金を稼ぐためにダンジョンに潜って死んでいった

それからは一人だった

生きるために足掻いた

それでもむしりとられ、虐げられた

そんな状況が嫌で逃げたしたこともあった

親切な花屋の老夫婦が面倒を見てくれた

けれど、見つけられて居場所は壊された

だからリリは冒険者が嫌いです

リリは────

 

「どうしたのリリ?なんか上の空みたいだったけど。」

 

心此処にあらずの様な状態だったリリを心配してベルが声をかける

 

「大丈夫です。少しボーッとしていただけなので。」

 

「本当に?何かあったら相談してね。」

 

「はい。ですが本当に大丈夫です。探索を続けましょうベル様、優真様。」

 

「わかった。」

 

「そうだね。」

 

前を進んでいくリリに、心配そうな表情をしているベルと一緒に付いていきながら、俺は今朝の事を思い出していた

 

 

▼▽▼▽▼▽▼

 

 

 

ベルと一緒にいつもの場所でリリを待っている時、この前パルゥムを追いかけいた男が話しかけ、リリを嵌めようと言い出してきたのだ

勿論反対したのだが何か企んでいそうだったので、警戒する羽目になったのだった

 

 

 

 

 

▽▼▽▼▽▼▽

 

 

 

 

ベルのアドバイザーにして優真のアドバイザーであるミィシャの友人、エイナは悩んでいた

理由は一重に彼らが最近雇ったサポーターについてである

 

神ヘスティアとはさっき話してベルの考えは分かったのだがそれでも心配なのである

あの二人はお人好しなだけじゃなくて多少無茶をする癖があるから

 

「あの....」

 

いつの間にか考え込んでいたのか誰かが近づいてきた事に気づけなかった

こんなことではいけないと頭を切り替え話しかけてきた相手に対応しようと顔を上げると思わず声が出てしまう

 

「....っ!ヴァ、ヴァレンシュタイン氏。こんにちは。先日はありがとうございました。」

 

「いえ...」

 

「それから先日は言いそびれてしまいましたが、私の担当冒険者を助けてくださったそうですね。ありがとうございます。」

 

「担当...冒険者?」

 

何の事か分からないらしく首を傾げているアイズに説明していく

 

「覚えていらっしゃいませんか?五階層でミノタウロスに襲われているところを助けて頂いたと。」

 

その話をした瞬間アイズは急にしょんぼりとしだす

 

「あの...わたし...怖がられていませんか?」

 

「そ、そんなことありませんよ。ヴァレンシュタイン氏に助けて頂いた事を本当に感謝していました。」

 

何故そんなことになっているのか分からないが、へこんでしまっているアイズを必死にフォローしつつ、ベルに何をしたら憧れている相手にこんな誤解を与えるのかを問い詰めなくては、と頭の中で考えを纏める

 

「そっか...良かった。」

 

嬉しそうに微笑むアイズにホットしていると、彼女達の横を4人の冒険者が通りすぎていく

 

「そろそろアーデはあのガキどもを────」

 

「そうなりゃアイツは一人になる。その時がってことだろ。」

 

その会話が微かに聞こえていたエイナは焦る

 

今『アーデ』って

まさかベルくん達が...

 

「あの、ヴァレンシュタイン氏。こんなことをお願いするのはマナー違反だというのは分かっているのですが、今私の担当冒険者とそのパーティー仲間がやっかいごとに巻き込まれているかもしれないんです。どうか助けて頂けませんか?」

 

「任せてください...まだちゃんと謝れていないので....」

 

「謝る?...それはともかく白髪の冒険者と青い着物の冒険者、あとは大きいバックパックを背負ったサポーターの三人組です。」

 

「分かりました。」

 

「よろしくお願いします。」

 

「...はい。」

 

今度こそしっかり謝ろう

そう心に決めながらアイズはダンジョンに入っていった

 

 

 

 

▼▽▼▽▼▽▼

 

 

 

 

朝の事について警戒しつつも、いつも通りダンジョン探索を進めていたおり、リリはある提案をしてくる

 

「ベル様、優真様今日は11階層まで潜ってみませんか?」

 

「11階層って確か...」

 

「大型のモンスターが出るところだな。」

 

「僕たちが行っても大丈夫かな?」

 

「おふたりなら大丈夫です。先日見せていただいた魔法をありますし。十一階層まで降りたことのあるリリが保証します。」

 

不安から漏れたベルの呟きに、リリは自信を持って大丈夫だと告げる

 

「それなら僕はいいと思う...けど。」

 

「俺もいいと思うよ。」

 

「でしたら決まりですね。では、ベル様11階層まで降りるにあたってこれをお使いください。」

 

リリはナイフよりは長く剣よりは短い両刃の武器を取り出す

 

「これは...バゼラート?」

 

「その通りです。優真様は大丈夫ですが大型のモンスターの相手をするにはベル様のナイフは短すぎますので。」

 

「でも...いいの?」

 

「気にしないで下さい。ですが気を使っていただけるのであればその分稼いでくださると嬉しいです。」

 

「分かった。ありがとう、リリ。」

 

「もう移動できるか?」

 

「ちょっと待って。これをしまわないと...って思ったんだけど...どこに仕舞えば...」

 

バゼラートを何処に仕舞えば良いかを迷っているらしい

 

「では、そのプロテクターに収納してはどうでしょう?」

 

「そうだね。っとそうなるとナイフが...ここでいいか。」

 

ベルはプロテクターに収納していたナイフを腰のポーチに入れてそこにバゼラートを仕舞う

 

「よしっ!行こっか。」

 

「あぁ。」

 

「はい。」

 

ベルの掛け声を合図に11階層への連絡路へ移動していった

 

 

 

 

▽▼▽▼▽▼▽

 

 

 

 

ダンジョン11階層

 

オークやシルバーバツクなどの大型のモンスターが初めて出る場所であり、ダンジョンギミックと呼ばれる階層特有の地形や気候が初めて出てくる場所である

 

 

「スゴい霧だね。」

 

辺り一面を埋め尽くすかの様な切りに対してベルの呟きが漏れる

 

「10階層でもそうだったけど、はぐれると合流するのは難しそうだな。」

 

「はい。ですので霧の薄い階段付近で戦いましょう。」

 

「分かったよ。ところでリリ、あれってランドフォーム?」

 

ベルが指差したのはダンジョンから生えている白い葉のない木だった

 

「そうです。あれが迷宮の武器庫とも言われるランドフォームです。」

 

「斬っておいた方がいいんじゃないか?」

 

「本当ならそうしたいのですが...どうやらそんな時間はないみたいですよ。」

 

ズシン─ ズシン─ ズシン─とダンジョンに足音が響き、霧の奥から豚人頭のモンスター『オーク』が現れる

2匹のオークは地面から木を引き抜く

するとその木は棍棒のような形に変形した

 

「ベル、なるべく離れすぎずに戦うぞ。」

 

「うん、リリもあまり離れないでね。」

 

「わかっています。お二人ともお願いしますね。」

 

ベルと目を合わせタイミングを図り同時に別々の相手へ向けて駆け出していく

 

オークが振り下ろしてきた武器を横にずれて回避しすれ違い様に足を切りつけて動きを鈍らせる

 

「ヴォォォォー」

 

「...っ!」

 

このまま一気に畳み掛けようとしたがオークが武器を地面に叩き着けたためその余波で後退させられてしまう

 

やっぱりスゴい力だ

でも速さや身軽さでは俺が勝ってる

その二つを活かす戦い方を!

 

再びオークに向かっていく

今回は前回と違いオークの攻撃範囲ギリギリで止まり

 

「ッフ!」

 

思いっきり上に飛ぶことで回避する

武器を振り下ろした体制のため無防備な状態のオークに急接近し技を放つ

 

水の呼吸 肆の型 打ち潮

 

オークの腕や首を一瞬の内に切り払う

首から上を失ったオークは魔石だけを残して灰になった

 

「よしっ。」

 

モンスターフィリアの時と違ってほぼ無傷で切り抜けられたその事実に自らの成長を実感し、ダンジョンの中だというのについ嬉しくなってしまう

 

しかし、そんな喜びもベルからの一言により一瞬で焦燥へと変化した

 

「優真!リリがどこにもいない。」

 

「っ!まさか...」

 

脳裏にあの冒険者の下卑た笑みがよぎる

まさかアイツに?

 

「とにかく探そう。まだ近くに...」

 

そこで動き出した足に何かが当たる

 

「これって...モンスターを誘き寄せるためのアイテム。でも、なんでこんなところに?」

 

そう考えていたときだった

 

バシュ──

 

そんな音と共にベルのポーチに矢が刺さる

矢には紐が繋がっていてそれが手繰り寄せられる

その先にはいなくなったと思っていたリリがいた

 

「リリ...何を?」

 

「お別れです。二人とも。あの男にすべて聞いたのでしょう。」

 

「聞くって何を?」

 

「...ベル様、優真様、頃合いを見て逃げ下さいね。」

 

リリは優真の問いには答えず少しだけ悲しそうな顔をしながら、その言葉を残して階段の向こうへ消えていった

 

 

「とにかく追いかけるぞ。理由は直接聞こう。」

 

「うん。」

 

急展開に若干テンパりつつあるベルに指示をだし、急いで追いかけようとしたのだが

 

「ヴォォォォーーー」

 

「「っ...」」

 

アイテムのせいで大量のモンスターが集まってくる

このまま囲まれてしまえば追うのは難しくなる、何より朝のこともあるため、リリを1人にするのは不味いとはんだんし、ベルに意見を言う

 

「ベル!リリを追え。ここは俺が何とかする。」

 

「でもっ...それだと優真が...」

 

「俺は大丈夫だ。こっちが終わったらすぐに追いかける。それにあの冒険者のこともある。だからベルが先に行っておいてくれ。」

 

「...ごめん。ありがとう。」

 

 

若干躊躇いながらも優真の言い分を理解し走っていくベルを見送り、優真は前を見る

近づいてきているのはオークだけではなく、シルバーバツクやインプ、ハードアーマード等この階層付近から出現するモンスターの殆どだった

 

深呼吸をしながら考えを纏めていく

霧に紛れて戦えば数の差は関係ない

早くリリを追いたいけど、それでやられてベルのとこにコイツらを行かせてしまったら元も子もない

焦らず確実に仕留める

初めて見るモンスターばかりだけどエイナさんの講習会のお陰で特徴は分かっている

 

「よし、行くぞ!」

 

気合いを入れて霧に突っ込んで行く

 

「リンク・フィンブル、コネクト・ルクス」

 

魔法を唱え冷気と光を体に纏う

魔法によって強化されたステータスを最大限に活かしつつ敵を屠っていく

最初に見えたシルバーバツクはこちらを認識する前に胸を切り裂き灰に変える

続けざまに近くにいたインプ三体を滝壺でまとめて吹き飛ばし、後ろから突っ込んできたハードアーマードは振り返り様の一閃で真っ二つにする

そのまま戦闘を続け新たに何体かのモンスターを倒した辺りで優真に焦りの色が浮かぶ

 

不味いな

結構倒したはずなのに一向に終わりが見えない

このまま戦い続けたら間違いなく俺が先に精神疲弊(マインドダウン)になってしまう

そうなったらベル達のところへは行けないし、

こんな状況でマインドダウンになんてなったら間違いなくやられてしまう

だからといって魔法を解いて戦ったらベル達のところへ行くのが遅くなってしまう

いったいどうすれば?

 

そんな事を考えていたとき、近くにいたシルバーバツクが一瞬で倒された

そしてそれをやった人物、金色の長い髪をした女性は回りにいたモンスターを凄まじい速さで倒していく

 

スゴい

あれだけいたモンスターをあっという間に

でも、とにかくこれでベル達のところへ行ける

 

「助けてくれてありがとうございました。すみませんが急いでいるのでお礼はまた今度。」

 

「あっ....」

 

優真は急いで上の階へ繋がる階段へ走っていく

だからこそ優真にはその女性がベルの想い人

アイズ=ヴァレンシュタインであり、彼女が呼び止めようとしていたことにも気づけなかった

 

「声をかけることすら..出来なかった。」

 

アイズは落ち込んでいた

やっと謝れると思っていた相手は居らずその知り合いと思われる少年に話をしようとしたが無視されてしまったからである

 

やっぱり...怖がられてる...のかな

 

そう思い落ち込んでいると足元に落ちているものがあることに気づく

 

これは...サポーター...

もしかして...あの子達の...

これを届けるときに、ちゃんと謝ろう

心の中の小さいアイズは「よしっ!」決意を固めていた

 

 

 

 

 

 

▼▽▼▽▼▽▼

 

 

 

 

 

ベル達に追いつき優真が見たのは大量の魔石と灰

そしてその中心で泣きながら謝り続けているリリとそれを慰めているベルだった

 

「ベル、大丈夫だったか?」

 

「一応何とか。優真こそあの数を相手してたんでしょ。大ケガとかしてない。」

 

「あぁ、途中で助けてくれた人がいたんだ。」

 

「そうだったんだ。今度会ったらお礼を言わないとね。」

 

お互いの無事を確認し、安堵しているとリリが泣きながら謝罪をしてくる

 

「優真さま...申し訳ございませんでした。リリは...ずっとお二人2の事を...」

 

「大丈夫だよ、リリ。俺もベルも分かってた上でリリを助けたんだよ。そんな事よりもリリの方が大事だから。」

 

「でも、リリは許されないことをしました。」

 

「確かにリリがしたことは許されないことかもしれないけど俺もベルも、もう気にしてないよ。それでも、もしリリが自分を許せないって言うんだったらこれからどうするべきかを一緒に考えていこ。ね?」

 

笑いかけながらそう言い、リリの小さいを頭を撫でる

 

「そうだよ。三人で一緒に考えよう。」

 

「優真さま、ベル様...っ...フ...っ...」

 

今まで溜まっていた物が溢れだしてしまったのかリリの目からは沢山の涙が溢れでる

暫くの間そこにはリリの泣き声だけが響いていた

 

 

 

 

 

 

▽▼▽▼▽▼▽

 

 

 

 

 

あの事件から数日後、俺とベルはもう一度リリと契約するために噴水広場に来て、リリを探していた

 

「優真。あっちにいたよ。」

 

先に見つけたらしいベルに着いていきながら確認をする

 

「ベル、打ち合わせどりにな。」

 

「うん。」

 

噴水の縁に腰掛け、下を見ているリリにゆっくりと近づいていきあのときの事を思い出しながら2人で話しかける

 

「サポーターさん、冒険者をお探しじゃありませんか?」

 

「えっ」

 

「おや、混乱しているのですか?なら状況は簡単です。駆け出しの冒険者達がサポーターさんの力を借りようと自分達を売り込みに来ているんです。」

 

「僕達と一緒にダンジョンに潜ってくれませんか?リリ。」

 

2人でリリに笑いかける

すると、リリは少し考え込むようにしていたが、すぐに顔を上げ満面の笑みで答える

 

「はい。ベル様、優真様リリを一緒に連れていってください。」

 

また3人でダンジョンに行けることが嬉しくて、ついつい笑ってしまう

すると、リリとベルの2人もつられて笑いだす

 

「それじゃあ行こう。3人で!」

 

そうしてダンジョンへ歩きだすその3人の姿は回りから見ても、とても幸せそうだった

 

 

 

 

 

 

 

▼▽▼▽▼▽▼

 

 

冨岡 優真

 

事件の後気が抜けたのか若干マインドダウン気味になり寝込んでいたため、リリと再開するのが遅れてしまった

 

 

リュー=リオン

 

あれ、今回出番が...

 

 

リリルカ=アーデ

 

優真達を嵌めた後ソーマファミリアのメンバーにヘスティアナイフ以外の全財産を奪われ、

キラーアントの群れに放り込まれ死にかけた所をベルに助けられた

その為、優真達と再開するまでの間は自分に繋がる形跡を消したりしていた

現在はノームのお爺さんの家に住んでいる

ヘスティアやミアハと話し合った際に優真達が変な人に騙されないよう任された

ベルに好意を寄せており、優真とは仲の良い兄妹のような関係性になっている

 

 

ベル=クラネル

 

バゼラートを手に入れた

代わりにエイナさんに貰ったサポーターを無くした

 

 

アイズ=ヴァレンシュタイン

 

今回やっと主人公と絡ん...だ?

一人で階層主を倒すヤバイ人

天然

 

 

ノームのお爺さん

 

リリが盗品を売っていた店の店主

ヘスティアナイフもここで売ろうとしていた

精霊の1種?でなにげにすごい人

 

 

 

 

────────────────────

 

 

リアルが忙しい...

更新頻度は落ちますがこれからも投稿はしていくのでよろしくお願いします

 

 



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霞のあの人

鬼滅の刃毎週ハラハラしています

 

 

今回は(から?)短めです

 

 

 

────────────────────

 

 

 

 

 

 

まだ太陽が昇り始めたばかりの早朝

オラリオの半分くらいの人々が未だに眠っている様な時間に、優真はある人物に会おうとオラリオ内でもかなり異質な外観をしたファミリアのホームに向かっていた

 

着けば一目で分かるって言ってたけど、どんなホーム何だろう?主神にちなんでゾウとか居たりして。いや、流石にそんなブッ飛んだホームはないか。

この角を曲がったら直ぐのはず。お、あっ...た

 

「オッフ」

 

そこにはゾウの仮面を被った巨大な人(変態)の、いや多分神の巨大なモニュメントが建っていた

いや、立っていた

 

 

 

 

 

▽▼▽▼▽▼▽

 

 

 

色々あってホームの外観に言葉を失っていた所を

ガネーシャファミリアの団長シャクティさんに助けてもらい、ついでに案内してもらっている

 

因みにホームの名前は『アイアムガネーシャ』と言うらしい

何と言うかそのまんまである

ていうかダサい

 

「着いたぞ。この部屋の中に居るはずだ。」

 

「案内していただいてありがとうございました。」

 

「礼はいい。私は仕事があるから失礼するよ。」

 

「はい。本当にありがとうございました。」

 

「ああ。」

 

シャクティさんとの挨拶を済ませ扉に向き直る

コン、コン、コンとノックを三回

 

「入っていいよ。」

 

その声に続いて中に入る

 

「失礼します。」

 

部屋の中には腰ほどまで伸ばした髪と淡い青色の瞳を持つ青年

鬼殺隊の元霞柱 時透 無一郎さんがいた

 

「お久しぶりです。無一郎さん。」

 

「うん、久しぶり優真。オラリオに来てからは初めて会うね。」

 

「そうですね。本当はもっと早く会いたかったんですけど、ここの生活になれるまで時間が掛かっちゃいまして。」

 

「僕も来た当初はそうだったよ。それはともかく、今日はどうしたの?何か用があって来たんでしょ。」

 

「はい。あの、他派閥の人に頼むのもどうかとは思うんですけど呼吸の派生について教えて欲しいんです!」

 

「呼吸の派生?それだったら僕に聞かなくても蝶屋敷とか他の人達に聞いて出来たんじゃない?」

 

「ああ...その...やろうとはしたんです。いろんな人に話を聞いたりしたんですけど───

 

「呼吸の派生はね、こう自分が使ってるとキュンキュンする感じで───」

 

「呼吸の派生を教えてほしい?いや、その前にお前今甘露寺に話を聞いたといったな。言っておくが甘露寺は────」

 

「他の呼吸とは違ってこれだーって感じがしていつも以上に肺がボーってなって力がギュワーンってなる感じがして───」

 

───って感じでして。」

 

「何でその人たちに聞いたの...。しのぶは何て言ってたの?」

 

「母さんは元の呼吸の中から自分に合った動きを見つけるしかないって言ってました。」

 

「大体それで合ってるよ。でも、僕に聞きに来たってことは見つけられなかったってこと?」

 

「いくつか見つけはしたんですけど、型にしようと思うとイマイチになっちゃうんです。」

 

「う~ん。優真はさ、確か色んな呼吸を試してたでしょ。だから一つの呼吸だけじゃなくて幾つかの呼吸を合わせて欠点を補ってみたり、長所を組み合わせてみたりしたらどう?」

 

「呼吸を...合わせる...」

 

「難しいとは思うけどやってみる価値はあると思うよ。」

 

「分かりました。やってみます。」

 

「うん、頑張ってね。もし練習相手が必要だったら相手になるけど?」

 

「そこは大丈夫です。今日は本当にありがとうございました。」

 

「僕も久しぶりに会えて嬉しかったから気にしなくて良いよ。」

 

「そういえば、母さんたちが久しぶりに会いたいって言ってました。」

 

「そっか。じゃあ、里帰りでもしてみようかな。」

 

「それがいいと思います。炭次郎さん達も喜びますよ。」

 

そう言うと無一郎さんの表情が柔らかくなる

本当に炭次郎さん達と仲が良いんだな、と実感する

 

「帰るときは優真も一緒にいこうね。」

 

「もちろんです。」

 

そこでガネーシャファミリアの人が無一郎さんを呼びに来て仕事の時間だと告げる

 

「じゃあ悪いけど僕は仕事に行かなきゃいけないから、修行頑張ってね。それから困ったことが有ったらいつでも来なよ。個人的にだけど力になるから。」

 

「はい。ありがとうございます。」

 

そこで無一郎さんは何かを思い出したらしく「そういえば」と、話始める

 

「優真は日輪刀持ってきてる?」

 

「日輪刀ですか?持ってきてますけど、それがどうかしたんですか?」

 

「いや、何でもないよ。」

 

何故そんな事を聞かれたのか分からず聞いてみたが何でもないらしい

まあ、もし何か合ったら教えてくれるだろうと考えて深く考えないようにした

 

「分かりました。お仕事頑張ってください。」

 

「うん、ありがとう。」

 

そうして優真は無一郎と別れ、ベル達との探索の準備をする為、急いでホームに帰っていった

 

 

 

 

 

─────────────────────

 

 

 

 

 

冨岡 優真

 

自分に合った呼吸を見つけようと頑張っている

伊黒は話がそれるし、他二人は感覚派過ぎて参考に出来なかった

無一郎にアドバイスを貰った翌日からリューとの特訓中に試したりしている

その甲斐合ってか幾つか型になってきているが、実戦ではまだ使えない

最近耐久がAを越えた

 

 

時透 無一郎

 

ガネーシャファミリア所属

レベル5の第一級冒険者

優真にとっては親戚の叔父さんみたいな人

二つ名は『霞初月(かすみそめづき)』 正月の異名らしい

これにした意味は無し

 

 

シャクティ ヴァルマ

 

ガネーシャファミリア団長

レベル5の第一級冒険者にして優秀な調教師(テイマー)

二つ名は『象神の杖(アンクーシャ)

 

 

胡蝶 カナエ

 

超感覚派その1

元花柱

胡蝶しのぶの姉にして優真の叔母

今は蝶屋敷の近くに住んでいる

 

 

甘露寺 蜜璃

 

超感覚派その2

元恋柱

見るもの大体すべてにときめいている

 

 

伊黒 小芭内

 

元蛇柱

ネチネチしてるけど意外とイイ人

甘露寺が好き

 

 

 

 

───────────────────

 

 

 

優真の呼吸適性

 

ピッタリ 独自の呼吸

 

まあまあ 水 蟲 花

 

イマイチ 雷 霞 炎 蛇

 

適性無し 日 風 獣 音 恋 岩

 

 

まあまあは型は使えるけどピッタリではない

 

イマイチは炭次郎が雷の呼吸の高速ダッシュみたいなやつを使えた感じ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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アイズさんと...

サブタイトルは思いつかなかったです

適当になっちゃった テヘペロ

許して(。>д<)

 

えっ、何でって?

そんなの決まってるだろ‼️

原作がショックだったんだよ!

 

えっ?いつもそう?

......確かに

 

 

今回から仕様を変えてみました

 

───────────────────

 

 

 

無一郎さんとの再会から早数日

あのアドバイスのお陰で自分の呼吸がかなり纏まってきていると思う

ステータスの伸びも悪くないと思っている

特に耐久が...耐久が!

 

いや、まあそれは良い

それは良い...のだが...

最近ベルがいつもボロボロで集合場所に来る

俺もそれなりに怪我をしていく時は在るがそれを上回るレベルのを毎日してくる

理由を聞いても「ちょっとね。」としか言わず結局分からずじまいなのである

 

その時俺は思ったよ

(いや、集合時間結構朝早いのにそれより前にそんなボロボロに成る程何やってるの?と。)

 

別に探索に支障が出たとか明らかに後遺症が残りそうな怪我をしてきた訳ではないが心配なのだ

そしてそれはリリも同じでずっと心配している

 

そして今は日が昇るよりも早い時間

いつもならもう少し後でリオンさんとの特訓をするのだが今日はお休みである

理由はもう分かっているだろう

そう尾行だ!

理由はもちろん心配だから

ついでに面白そうだから 勘だけど

 

という訳で尾行をしていたのだがベルが急に鬼ごっこを始めだした為若干困惑してしまっている

相手は誰だろう?

エルフの女の子だということは分かるんだが

何処のファミリアだ?

等と考えていた間にベルとその子との鬼ごっこは続いていき見失いそうになってしまう

急いで後を追った優真だが辺りはまだ暗く優真がベルに集中していた、というのもあり誰かと勢いよくぶつかってしまった

 

「いてて、すみません。大丈夫ですか?」

 

そう言ってぶつかってしまった拍子に尻餅を着いてしまった相手に手を差しのべ立ち上がらせようとする

 

「ありがとうございます。こちらこそ不注意でぶつかってしまってスミマセン。」

 

そこで気づく(あ、この人ベルと追いかけっこしてた人だ...と)

 

どうしたものだろう?

出来ればベルが何をしているのか聞きたい所ではあるのだが、追いかけっこをしていた所をみる限り確実に仲が良いとは思えないのだ

後、初対面の女の子と喋るのはちょっと緊張する

 

そんな事を優真が考えていた間にそのエルフの女の子は慌てて優真に質問を浴びせる

 

「あの、この辺で超絶美人で綺麗なロングの金髪で女神の様な美しさを持った人かウサギみたいな外見をしたコソコソしたろくでもないヒューマンの男を見ませんでしたか?」

 

「あー、うん、え~っと・・・」

 

前半はともかく後半は百パーセントベルだよな

ベルもこっち来てからそんなに経ってないって言ってたのにこんなにボロクソに言われるって何したんだよ...

と言うか前半も絶対美化されてるだろ!

その人がベルが何してるか知ってる可能性高いのに探しづらい

とにかくここでベルと知り合いだとバレると絶対ろくなことにならない

ここは!

 

「いや、ごめん見てないかな。」

 

誤魔化そう

 

「そうですか。...ハア。」

 

エルフの女の子が残念そうに溜め息をつく

保身の為に嘘をついて誤魔化した為罪悪感が津波の様に襲い掛かってくる

 

「いや、なんかホントごめん。」

 

「何であなたが謝るんです?見失ったのは私の落ち度ですし、あなたが謝ることは無いのでは?」

 

女の子は不思議そうに首を傾げる

 

(それはそうなんだけど...

嘘をついたからだよ。とは言えないしな~)

 

「まあ、何となくかな。」

 

「フフ、不思議な人ですね。

そう言えばまだ自己紹介していませんでしたね。

私の名前はレフィーヤ・ウィリディス。

ロキファミリアに所属しているレベル3の冒険者です。」

 

ロキファミリア?!

2代派閥の1角の!

そんな人に追い回されるって...

 

「俺は冨岡優真って言います。

ミアハファミリア所属の駆け出し冒険者です。」

 

エルフの女の子もといウィリディスさんの正体に驚きはしたものの取り敢えずは挨拶を返しておく

 

「優真さんと言うんですね。

私の事はレフィーヤと呼んでください。

ファミリアの皆もそう呼ぶので。」

 

「分かりました。ところでレフィーヤさんは何でこんなところに?」

 

そう質問するとレフィーヤさんは忌々しげな顔をしながら話してくれた

 

「実は───

 

要約すると自分のファミリアの憧れの先輩がベルに指導をしていることを知り、ベルが付きまとっているのではないか?無理矢理なんじゃないか?と勘違いしてしまっている様だった

 

勿論俺は

(あなたの先輩ってことはレベル4とかでしょ?

それを無理矢理はムリがあるんじゃ...)

と、思ったが言わないでおいた

だってもっと拗れそうだし

 

という訳で俺は此処で1つの結論に至った

(逃げよう。)

ベルを探さなくちゃいけないし

 

「レフィーヤさん、悪いんだけど俺やることが有って今から行かなきゃいけないんだ。」

 

「そうだったんですか。引き留めてしまってスミマセン。」

 

「いや、良いんだ。

俺も幾つか質問に答えて貰えたし。

それじゃあ俺はこの辺でまたねレフィーヤさん。」

 

「はい。また会いましょう!優真さん。」

 

そうして別れる

最初にベルの事をおもっいきり敵視していたことから多少警戒していたが素直で優しそうな子だったな、と思う

そして、そんな子にあそこまで言われている辺り本当にそれだけ(修行を着けて貰っている)なのか?と思ってしまう自分がいた

 

 

──────────

 

 

そんなレフィーヤさんとの出会いの後ベル達?を探しに探し、鎹烏まで使って探した結果、市壁の上にいることが分かり来てみたのだが

 

「ベルくんは僕の物なんだぞヴァレン某ー!」

 

と叫んでいるヘスティア様と

 

「....?」

 

と小首をかわいらしく傾げている、おそらくレフィーヤさんが言っていた金髪の人と

 

「ちょっ、神様何言ってるんですか?!」

 

そんな2人の間に挟まれて困っているベルがいた

 

ていうか金髪の人全然レフィーヤさんの誇張とかじゃなかった!

めっちゃ美人!

て、そんな事は後回しだ

取り敢えず今は

 

「何してるんだ?ベル。」

 

 

 

──────────

 

 

結果金髪の美人さんはあの剣姫

アイズ・ヴァレンシュタインさんだった

 

そしてベルが毎日怪我をしてきていたのはレフィーヤさんから聞いていた通り指導してもらっていたからだった

ここで分かった事なのだがアイズさんはリオンさんバリに手加減苦手な様で、ベルが何度も宙を舞っていた

あの怪我の多さも納得である

 

その後俺はアイズさん達と少しだけ話し、夕方前には帰宅した

何でって?

早起きし過ぎて眠いからだよ~

 

因みに話の流れでレフィーヤさんの事になったのだが、あの人明後日に遠征があるのにあんなことをしていて大丈夫なのだろうか?と思ったのだが...

 

まあ、取り敢えずもう眠いし良いか

という訳で考えるのを放棄した今日この頃だった

 

後日聞いた話だがあの後ベル達は冒険者の集団に襲われたらしい

無事で良かった

 

──────────

 

 

 

冨岡 優真

 

特になし

レフィーヤと知り合った

良かったね。以上

 

 

ベル

 

2人に挟まれ更にその後襲撃された人

頑張れ苦労人

これも強くなるためだ

 

 

アイズ

 

ヒューマン レベル5~6になる

二つ名は《剣姫(けんき)

金髪の美人

レフィーヤとベルの憧れでありロキファミリアの幹部

ベルに指導をしている

天然 基本無口 超強い

なのに嫌われていないのは何でだろう?

義勇さんと共通点多いのに!

 

 

レフィーヤ・ウィリディス

 

エルフ レベル3

二つ名は《千の妖精(サウザンドエルフ)

アイズさん大好きな期待の星

魔力バカの異名を持つほどの魔力を持っている

ベルの事はライバル視している

優真とは仲良く出来そう

因みに優真の心配通り師匠兼ママに怒られた

ぐすっ、これもあのヒューマンのせいだ~

 

 

リュー

 

あれ、今回も...出番が...

 

 

 

 

───────

 

 

 

 

という訳で更新が大幅に遅れて申し訳ございません

理由は受験です

いや、まだ終わってはないんですがこれからは少しずつ投稿していけたらと思っています

 

作品の文の構成などについては自分なりに読みやすいようにと考えてやってみました

出来ればご意見が欲しいです

 

因みに次回は遂にダンまちのメインヒロインが登場します

 

戦闘描写難しいんだよなー

でも頑張ります!

 

最後にここまで読んでくださった方、そしてお気に入り登録などをしてくださった方ありがとうございました

 

 



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メインヒロイン登場

 

書いてて思ったんですけどサブタイトルと話の内容が噛み合っていない様な....?

 

───────────

 

 

ベル達が冒険者の集団に襲われた日

ダンジョンの中層には都市最強の冒険者オッタルがいた

何故彼がそんなところにいるのか?

理由は1つで、全ては主神の為である

彼の主神フレイヤは今2人の冒険者を気に入っている

そしてその内の1人ベル・クラネルが抱えている問題、主神曰くその輝きを鈍らせているトラウマを乗り越えさせるための準備をしているのだ

 

但し今回に限っては彼の私情も含まれている

というのも、もう1人の方、冨岡 優真は武人だと考えている

そしてオッタル自身が武人で在るため気になってしまうのだ

彼は追い詰められた時どんな冒険をするのか、どんな輝きを見せてくれるのかを

 

ヴゥオオオオーーー

 

ダンジョンにモンスターの産声が響く

生まれ落ちて来たのは2体の牛頭を持った人形のモンスター

オッタルはその2体に近づいていく

主の願いを叶えるため

そして自らの好奇心のため

 

「さあ、見せてみろ。お前達の冒険を。」

 

オッタルはこれから起きることを想像すると口角が上がるのを押さえられなかった

 

 

 

──────────

 

 

 

今日はロキファミリアの遠征の日である

といっても俺達には特に関係が有るわけではない

強いて言えばベルとアイズさんの特訓が、終わってしまう事ぐらいだろうか

 

という訳で今日も今日とてダンジョンに潜る

変わったことと言えばモンスターが少ない

既に九階層に居るのだが殆ど遭遇しなかった

 

「何か、おかしいよね?」

 

「はい。モンスターが少なすぎます。」

 

俺と同じ事を考えていたのかベル達が話し始めた

 

「どうする?2人とも。今日は止めておく?」

 

俺は何か嫌な感じがしたため、止めておくかどうか2人に聞いてみる

 

「うーん、リリはどう思う?」

 

「リリの方からはなんとも。ロキファミリアの遠征のせいで倒されてしまったという考え方もありますから。」

 

「そっか...」

 

「どっちにしろこのパーティーのリーダーはベルなんだからベルがしたい方で良いんじゃないか?」

 

「分かった。...続けよう。それで──

 

ズシンー ズシンー

 

ベルがしゃべっている最中にモンスターの足音が響く

 

「音の大きさからして大型かな?近いな。」

 

「そんな!何で大型のモンスターがこの階層に?」

 

等と話している間にベルの顔色は悪くなっていた

 

「大丈夫か、ベル?顔色悪いぞ。」

 

今のベルの顔色は薄暗い中でも分かるくらいに悪くなっていた

 

「大丈夫。でも今日はもう止めようと思う。

大型が上がってくるなんて普通じゃないし。」

 

「そうですね。リリは賛成です。」

 

「俺も賛成だ。そうと決まれば早く───っ!」

 

早く行こうと言おうとした時すぐ横の道から足音が響いた

話すのに夢中になって大型が何処にいるのかをちゃんと確認していなかった

 

「取り敢えず来ちゃったもんは仕方ないしどうせオークとかだと思うからそれだけ倒して帰ろうか。」

 

稼ぎとしては不足も良いところだが命には代えられない

 

「そうですね。手早く済ませてしまいしょう。リリも今日はあまり長居したくありません。それで良いですよね?ベル様。」

 

ベルからの返事がない

不思議に思いベルの方を見ると顔色が更に酷くなっていた

呼吸も荒い

まるで何かに怯えているかの様なそんな様子だ

 

そしてそんなタイミングで足音の主がルームに入ってくる

慌ててそちらに振り返り迎撃しようとして愕然とする

何故なら、そこにはこんな上層にいるはずのないモンスターがいた

 

ギルドの推奨ステータスレベル2以上

中層から出現するモンスターにして迷宮(ダンジョン)と言われればまず真っ先に出るであろうもの

ミノタウロスが何故か2体そこにいた

2体とも手に大検を持っている

 

「何でミノタウロスがここに...」

 

リリが呆然と呟く

 

「そんことは後だ逃げるぞ!」

 

俺は即座に撤退を選択する

勝てない相手と戦う事はない同じルームに居るとは言えまだ端と端にいるため距離は結構ある

これなら逃げられるかもしれない

そう思っていた、が

 

「ベル様、しっかりしてください!逃げますよ」

 

ベルが動かないのだ

呆然としていて動こうとしない

その間にもミノタウロスは近づいて来て此方を攻撃しようとする

 

(不味い!)

 

「しっかりしてください、ベル様!」

 

1体の攻撃はリリがベルを突き飛ばすことで回避

もう1体の攻撃は俺が刀で防いだ

しかし、その衝撃で全員吹き飛ばされてしまう

俺はリリ達とは別の方向に飛ばされてしまったため、リリ達がどうなったのか確認するため声をかける

 

「リリ!ベル!大丈夫かっ!」

 

「ゆうま...さま?」

 

リリが返事をするがどこかボーッとしている

(頭を打ったのか?不味いぞ、ベルだけじゃなく、リリまで...)

 

「リリっ!しっかりして!」

 

そう思っていたがどうやらベルが戻ったらしい

なら、

 

「ベル!リリをつれて逃げろ!」

 

「優真はどうするの?」

 

「俺はここに残る。」

 

ベルがリリを抱えて逃げなきゃいけない以上は絶対に逃げきれない

それなら俺がここに残るしかないだろう

 

「ダメです、優真様。」

 

「じゃあ、どうするんだよ!」

 

焦っているためか語尾が荒くなってしまう

 

「僕も残る。2人なら1人よりも時間が稼げる。」

 

「そんなベル様まで...」

 

「良いんだ。リリは早く逃げて。」

 

「イヤです。」

 

ベルが逃げるように言うがリリは頷かない

 

「ベル、もう時間がない。やるぞ!」

 

「待ってください、優真様!ベル様!」

 

「早く行け!」

 

ベルの最後の一言でリリは漸く走り出した

そしてミノタウロスとの戦いが始まった

 

ミノタウロスが振り上げた剣を真上から振り下ろしてくる

それを何とか避けたが剣が地面に当たっただけで砕け散り破片が飛ぶ

 

(速い、そのくせ威力も高い。

まともにくらったら一撃でヤられる!)

 

続く横凪ぎの一閃を低く屈んで回避し、出来た一瞬の隙に『水面切り』を放つ...が、

 

(浅い!)

 

型まで使ったというのに与えた傷は僅かに血を出させる程度のもので、とても有効だにはならない

 

(クソッ、速くて、力も強いクセに硬いとか反則だろ!)

 

最初はベルと連携をと思っていたが、もはやそんな余裕はない

目の前の相手の攻撃を避けるので精一杯になってしまっている

更に悪いことに攻撃をくらってはいないのだが、飛び散る破片のせいで既にあちこちに傷を負ってしまっている

 

「ヴゥオオオオー」

 

「っ!...」

 

鳴き声とともに放たれた攻撃を避ける事が出来ず刀で受けるも前回同様吹き飛ばされ背中から壁に激突してしまう

 

「カハッ...」

 

肺の空気が一気に抜ける

頭からも血が出ているが気にしていられない

後背中が痛い

そして、この状況を打開するため攻撃によって出来た距離を利用する

 

「リンク・ルクス()・シンゼステ」

 

魔法を発動させ光を纏う

それによって強化させたステータスを用いて相手(ミノタウロス)に攻撃を仕掛ける

 

水の呼吸 肆の型 『打ち潮』

 

すれ違いざまに一瞬で4回の攻撃を放つ、しかし

 

(これでも浅いか!)

 

前回の『水面切り』よりはダメージを与えられたがそれでもまだ浅い

 

(それなら!)

 

相手の蹴りを前に転がって避け、後ろに回り込む

振り向きざまの横凪ぎの攻撃をしゃがむのではなく上におもっいきり飛んで回避

がら空きになった相手に水の呼吸の中で最大威力の技を叩き込もうとする

狙うは急所(あたま)でなく剣を持っている右腕

 

(片腕さえ奪えればバランスが取れなくなる筈だ

そうなれば後は速さで押しきれる!)

 

「『滝壺』っ!」

 

落下中の自分の体重も合わせた上段からの全力の一撃

相手(ミノタウロス)は振り切った体制

蹴りも左手でのガードも間に合わない

 

(取った!)

 

しかし、優真の渾身の一撃が決まらなかった

優真は忘れていた、イヤ失念していた

戦ったのが初めてというのもあるし、知識として覚えていただけだった為最も注意すべき物をしていなかった

ミノタウロスの最大の武器は力でもなければ硬さでもない、最大の武器は角だった

 

優真の一撃はその角によって阻まれる

どころか衝撃によって刀が半ばから折れてしまう

入ると思った一撃が入らなかったこと、さらに刀まで折られてしまった驚きで一瞬だけ思考が停止し、動きが止まってしまう

 

(っ、しまっ──)

 

動きが止まったのはほんの一瞬

しかし今の優真では戦っていた相手はその一瞬が命取りになる相手だった

 

角と刀がぶつかり合った衝撃で中に浮いていた優真を、驚きで動きが止まった一瞬の隙をついてミノタウロスが右足で蹴り飛ばす

 

蹴り飛ばされた優真は勢い良く跳ねながら転がっていく

漸く止まり立ち上がろうとするも左半身に鋭い痛みが走り口から血を吐いてしまう

 

(不味い、骨が何本か逝ってる。それに刀も折れた。どうする、このままだと...)

 

そんな事を考えていたとき直ぐ側にベルも飛ばされてくる

 

ベルは着ていたアーマーも剥がれていて見るからに傷だらけで戦える状態には見えない

 

(このままだと2人ともヤられてしまう...何か打開策を──)

と考えたとき、ミノタウロス達の動きが止まる

前を見ると、俺達をミノタウロス達から庇うようにアイズさんが立っていた

 

「良く頑張ったね。今助けるから。」

 

(助かった...!)

 

その言葉を聞いて優真はそう思った

正直死ぬだろうと覚悟していた為優真に取っては全員が生き残れるという最高の結果になったと思えていた

 

ベルが立ち上がるまでは

 

「...ないんだ。」

 

「ベル?」

 

ベルがアイズさんの腕を掴みながら叫ぶ

 

「もうアイズヴァレンシュタインに助けられる訳には、いかないんだ!」

 

「...っ!」

 

その言葉を聞いて思い出す

自分が何のためにここ(オラリオ)に来たのかを

 

(そうだ。俺は誰かに助けてもらいに来たんじゃない。誰かを助けられるぐらい強くなるためにここ(オラリオ)に来たんだ!)

 

ベルがミノタウロスに向かっていく

その姿は英雄の様に思えてしまう

 

(それなら俺も冒険をしよう。)

 

そう思いながら優真も彼を待ち構えているかのように佇んでいるもう1体のミノタウロスの方に歩いていく

 

(俺も冒険者なんだから!)

 

ミノタウロスは獰猛に笑う

優真は折れた刀を鞘にしまい予備の小刀を取り出し構える

 

(さあ、始めよう。俺の冒険を!)

 

「「ああああああーーーー」」

 

「「ヴゥオオオオーーーー」」

 

4つの雄叫びが響き渡った

 

 

 

 

────────────

 

 

 

冨岡 優真

 

今回ベルのお陰?で冒険者として一歩成長した

独自の呼吸を使わなかったのは完成していないのを使うのは良くないと思ったから

平行詠唱はまだ出来ない

後やっぱり背中が痛い

 

 

ベル

 

やっぱりカッコいい原作主人公

あそこで立ち上がる姿は何度見てもカッコいい

 

 

アイズ

 

ベル達の事が分かったのは他にも襲われた冒険者がいてその人たちに話を聞いたから

遠征を抜け出して助けに来てくれた

あと、かわいい(´・∀・)

 

 

リリ

 

あそこで逃げようとしない所とかを見るとやっぱり良い子ダナーって思う

 

 

リュー

 

いや、忘れてないです

覚えてます

もうすぐ出るから木刀を置いて!!

 

 

 

 

────────────

 

 

 

メインヒロイン?のミノタウロス登場回でした

原作でもここでの戦いアチアチでしたね

この作品でも出来る限り近づけたいと思っています

 

 

 

ここで大正コソコソ噂話

 

前回存在だけ出てきた優真の鎹烏は義勇のヨボヨボ烏の子供らしい

名前は黒助 いつもはクロって呼ばれてる

好きなものは干しイチゴ

 

 

 

 



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冒険

ミノタウロス戦終了します❗

 

あとUA20000越えました!

ありがとうございます

 

 

 

 

──────────

 

 

 

砂塵が舞う

4つの金属音がルームに響く

その4つの金属音のうちの2つ

優真とミノタウロスの戦いは優真の劣勢が続いていた

 

小刀で切りつけるも皮を薄く裂く程度でもはや傷とも呼べないようなダメージしか与えられない

対して相手(ミノタウロス)は攻撃を避けられようとその余波でダメージを与えることが出来る

 

(このまま同じ事をしていても勝ち目はない。

とにかく受けるダメージを減らしつつ、相手の隙を見つけ出す。)

 

水の呼吸 玖の型 『水流飛沫』

 

『水流飛沫』は水の呼吸の中でも回避や移動に特化した技であり、横の動きだけでなく天井等も用いた縦の動きで相手の攻撃をかわしつつ、敵の隙を探っていく

 

(今まではギリギリで避けるしかなかったから気づかなかったけど、剣での振り下ろしの攻撃をした後の次の動き出しまでに少しだけ時間が他の攻撃よりもかかってる。)

 

立ち回りを変え、回避に専念している為これまで見えなかったものが見えてきたり、考える余裕が生まれてきていた

 

(とはいえ攻撃をするチャンスがあっても今のままじゃダメージを与えられない。手詰まりか。)

 

そう考えたがそれでも思考を止めない

 

(考えろ。俺には何がある。武器は小刀と折れた刀だけ、これだけじゃ致命傷は与えられない。

なら、他には何がある?持っていたポーションはさっき吹き飛ばされた時に全部潰れた。

後は魔法...そうか!直接傷が付けられなくても魔法を使えばやりようはある)

 

そう考えた優真はミノタウロスから距離を取った場所で動き回るのを止める

 

そして紡ぐ

勝利のための詠唱(うた)

 

「リンク・フィンブル・シンゼステ」

 

魔法によって周りに冷気を出現させる

そして、それを小刀に集中させる

 

(先ずは攻撃を避けつつ、手数重視の連撃で相手を削る!)

 

フゥゥゥ───

 

呼吸を深める

短い時間でより多くの攻撃を与えるために今までとは違う呼吸の型を繰り出す

 

相手の剣での振り下ろしの攻撃を横に避け、相手の懐に近づいて行く

 

只でさえ負けていた間合いの長さが武器が変わったことにより、更に開いてしまっている

そのせいで前よりも近づくまでに受ける攻撃の回数が増えてしまっている

 

追撃として繰り出された蹴りを斜め上に飛んで回避し、すれ違いざまに自分が使える技の中で最大の連続攻撃を放つ

 

花の呼吸 伍の型 『徒の芍薬』(あだのしゃくやく)

 

腕、胴体、足に向けて一瞬の内に合計9回の連続攻撃を放つ

さらに、武器に纏わせておいた魔法により傷口ごと凍らせていく

 

「何なんだあの動きは...」

 

狼人(ウェアウルフ)の青年ベート・ローガはその動きにベルの時と同様に驚愕する

 

「ああ、確かにレベル1とは思えない動きだ。」

 

小人(パルゥム)のフィン・ディムナもそれに同意する

 

「だが、白髪の少年とは違い武器が弱すぎる。あれではろくな傷も与えられないぞ。」

 

ハイエルフのリヴェリア・リヨス・アールヴは冷静にそう呟く

 

「それじゃあ手詰まりってこと?」

 

「あの子にこれ以上出来ることが無ければね。」

 

アマゾネスの双子の少女、ティオナとティオネのヒュリテ姉妹がそう言う

 

「ティオネの言うとおりこれ以上出来ることが無ければいずれヤられてしまう。恐らく魔法を使って相手の動きを鈍らせたいんだろうけれど、あれでは浅すぎてあまり効果が出ないだろうね。」

 

フィンはそう呟く

 

それは優真自身も分かっている

故に自分が持っている全ての手札(カード)を切る

 

「コネクト・ルクス」

 

再び優真を光が包み込む

(フィンブル)(ルクス)の二重のエンチャント

正真正銘、今の優真が出せる全力

それを以てミノタウロスを倒しにかかる

 

強化されたステータスを最大限に活かし、攻撃を避けつつミノタウロスの懐に潜り込む

 

花の呼吸 肆の型 『紅花衣(べにはなごろも)

 

下から上へとまるで衣のような捻れる斬撃を放つ

 

狙うは関節

膝や肘等を攻撃し凍らせていく

 

「魔法の同時使用だとっ!」

 

ベートはその光景に眼を疑う

 

「いや、もしかしたら元々二属性のエンチャント魔法だったのかもしれない。」

 

「そんな事有り得るの?」

 

「無くは無いんじゃない?魔法だけじゃなくてスキルも人それぞれな訳なんだし。」

 

リヴェリア、ティオナ、ティオネがそれぞれ自分の考えを言っていく

 

「確かに魔法には驚かされたが、それ以上に注目すべきは彼の技だよ。」

 

「技?それだったらアルゴノゥト君もスゴいじゃん?」

 

フィンの言葉にティオナが疑問を口にする

 

「確かに白髪の彼もスゴいが、着物の彼はあの武器でミノタウロスに傷をつけている。

いくら魔法で強化されているとはいえ、そうそう出来ることではないよ。」

 

「だが、どれだけ技が優れていようと、あれじゃあ何時までたっても決定打は与えらんねえぞ。」

 

「確かにその通りだが、効果は出てきているようだぞ。」

 

そう言ったリヴェリアの視線の先

ミノタウロスは見るからに動きが鈍り始めていた

 

蟲の呼吸 蜻蛉の舞(せいれいのまい)複眼六角(ふくがんろっかく)

 

強烈な踏み込みから一気に間合いを詰めミノタウロスの左足に一瞬で6回の突きを放つ

突き技だった為かなりの深さの傷が入る

 

「左足を奪った!」

 

ティオナが興奮しながら言う

 

だがこの技でも致命傷を与えることは出来ない

だからこそ『滝壺』の更に上

特殊な条件とはいえ、それを上回る威力の技を繰り出す

 

水の呼吸 拾の型 『生生流転(せいせいるてん)

 

優真は回転しながらミノタウロスに向かって行く

相手の攻撃をかわしつつ、すれ違いざまに攻撃をする

最初は皮を切る程度だった優真の斬撃は徐々に威力が上がっていき血を出させる程になる

 

「成る程。回転するごとに威力が増していく斬撃か。」

 

フィンは観察眼を持ってその技の性質を見抜く

 

「だが、隙も大きい。恐らくだが細かい攻撃で相手の動きを鈍らせたのはこのためだろう。」

 

「じゃあ、このままいけば勝てる?」

 

「それは無理だろ。そのうち対応され出し始める。多分だが、あの技を出している間はさっきまでの様な動きは出来ないんじゃねえか。」

 

リヴェリアが感心したように呟き、ティオネがそれに質問をし、ベートがそれに答える

 

ベートの言った通り『生生流転』を使っている間は水の呼吸の持ち味である変幻自在な歩法が使えなくなってしまう

 

だからこそ、優真はそれを決め手とするのではなく次に繋ぐための布石とする

 

ミノタウロスの振り下ろしの一撃を避け、すれ違いながら右足を切りつけ凍らせる

両足を奪われた為、ミノタウロスの動きが一段と鈍くなる

 

そして優真を見失わないようにと振り返ったミノタウロスの魔石がある胸へ向けて持っていた小刀をおもっいきり投擲した

 

『生生流転』によって溜まっていた遠心力全てを乗せての全力の投擲

ミノタウロスの体が僅かに浮くほどの一撃が胸に突き刺さる

 

だが

 

「浅い...」

 

優真の放った小刀は確かに胸に突き刺さったが、魔石には届かなかったのだ

 

「武器を失ったのに倒せなかったら、もう...」

 

「いや、まだだ。」

 

ティオナの諦めた様な言葉をフィンが否定する

そのフィンの視線の先では優真が前傾姿勢になり、折れた刀を両手に握りしめている

 

地を割るほどの踏み込み

その踏み込みを以てミノタウロスとの間合いを一気に詰めにかかる

 

「バカが。どれだけ速くてもその動きじゃあ良い的だ。」

 

「そんな、優真様っ!」

 

ベートの呟きにリリが悲鳴ともとれるような声をあげる

 

ミノタウロスは向かってくる優真に狙いを定めようとする

その刹那、優真の姿がブレた

 

ムカデが地を這うかの様な四方八方にうねる動きで相手に的を絞らせず、地を割るほどの踏み込みで一気に間合いを詰める

 

ミノタウロスは優真を見失った為、一瞬動きが止まってしまう

そしてその一瞬がミノタウロスに取っては命取りだった

その一瞬のうちに優真はミノタウロスの懐に入り込む

狙うは胸に突き刺した小刀

その柄の部分にピンポイントで全力の突きを放つ

 

蟲の呼吸 蜈蚣ノ舞 (ごこうのまい)百足蛇腹(ひゃくそくじゃばら)

 

優真渾身の突きが狙い通り柄に当たる

元々刺さっていた小刀を更に奥まで射し込む

ピシッという魔石が割れる音とともにミノタウロスの体は灰になって崩れ落ちた

 

(勝った...のか?)

 

朦朧とする意識の中で呆然とそう感じる

 

(ベルは...どうなって...)

 

ベルのことを探そうとするも、心身ともにボロボロだった優真はベルの叫び声とその後に響く轟音を最後に、意識を手離した

 

 

 

──────────

 

 

 

「信じられないな。」

 

フィンは目の前の光景に対して呆然と呟く

レベル1のそれも駆け出しの冒険者がそれぞれ単独でミノタウロスを撃破など考えられないからだ

そしてもう一つ青い着物の少年の戦い方がどことなく彼らに似ているのが気にかかる

 

「リヴェリア、あいつらのステータスは?」

 

「私に盗み見をしろというのか?」

 

「あんなの見てくださいって言ってるようなもんだろ。」

 

上半身の衣服が無くなり、立ったまま気絶しているベルを示しベートがリヴェリアに言う

リヴェリアは仕方なくベルに近づき、そのステータスを見て息を飲む

 

「何してんだ、早く言え!」

 

急かす様に言うベートに対しリヴェリアは微かに笑いながらその結果を告げる

 

「アビリティオールS」

 

「「っ!」」

 

それを聞き全員が驚きをあらわにする

 

「彼らの名前は?」

 

フィンのその質問にリヴェリアが答える

 

「青い着物の子は恐らくだがレフィーヤが話していた冨岡優真という少年だろう。白髪の子は分からないが...」

 

「ベル。」

 

リヴェリアの言葉に反応するようにアイズがベルの名前を口にする

 

「ベル・クラネル」

 

彼女にしては珍しく、少しだけ嬉しそうに───

 

 

 

 

────────────

 

 

冨岡 優真

 

取り敢えず頑張った 超頑張った!

お疲れ様✨

今まで花の呼吸を使わなかったのに、特に理由はない

忘れてたとかそういうことはない

ないったらない

 

 

フィン・ディムナ

 

ロキファミリアの団長にして『勇者(ブレイバー)』の二つ名を持つレベル6の第一級冒険者

一族再興のためオラリオに来て冒険者となる

何か危険な事とかが起きそうになると親指がうずき、それによって回避している

頭脳明晰で勘が良い

 

 

リヴェリア・リヨス・アールヴ

 

ロキファミリアの副団長

九魔姫(ナインヘル)』の二つ名を持つ第一級冒険者

オラリオ最高の魔導師と言われている

将来的に世界を見て回りたいと思っているためレフィーヤを自分の後釜として育てている

エイナの母親とは友人

 

 

ヒュリテ姉妹

 

アマゾネスの双子の姉妹

姉がティオネで妹がティオナ

見分け方は簡単で巨乳が姉でまな板が妹

ティオネの二つ名は『怒蛇(ヨルムガンド)

ティオナは『大切断(アマゾン)

ティオネはフィンが大好き

ティオナは英雄譚が大好き

 

 

ベート・ローガ

 

ツンデレ狼

口は悪いけど根は良い人?みたいな人の典型

二つ名は『凶狼(ヴァナルガンド)

 

 

リュー

 

ちょまっ....ゴシャッ...グシャ

 

 

 

 

 

──────────

 

 

 

はい、という訳でミノタウロス戦終了

倒し方は予想できましたか?

何か出しきった感が有って疲労が....

とはいえまだまだ続くのでこれからもよろしくお願いします

 

最後にお気に入り登録等をしてくださった皆様ありがとうございました

 

 

 

 

 

 

 

 



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二つ名

あ~~~~~~

 

短いです。

 

 

─────────────────────

 

 

 

 

 

 

「『リトル・ルーキー』?それがベル様の二つ名ですか?」

 

「うん...どう思う?」

 

「なんというか無難だな。」

 

「やっぱり優真もそう思う?」

 

豊穣の女主人のテーブルの1つ

ランクアップ祝いという事で集まったベル、優真、リリの三人の話題はやはり二人に与えられた二つ名についての事だった

 

「神様は普通で良いって言うんだけど...」

 

「そうですか?私は好きですよ『リトル・ルーキー』」

 

声のした方を向くとシルとリューの二人が飲み物と料理を持って来ていた

 

「ランクアップおめでとうございます、冨岡さん。それからクラネルさんも。」

 

「今日はたくさん御飲みになっていってくださいね。なんといったって今日は御二人の祝賀会ですから。」

 

その会話を聞いて周りが騒がしくなってくる

 

「おい、まさかアイツらって。」

 

「ああ、最速でレベル2になった奴らだ。」

 

「もしかして僕達の事言ってる?」

 

「ええ、名を挙げた冒険者の宿命みたいなものです。」

 

ベルの不安そうな問にリリが答える

 

「見られるのあんまり好きじゃないんだけど...」

 

「人気者になったと思えば良いんですよ。」

 

「それに、この先冒険者として活躍していくのであればこんな事は日常茶飯事になってきます。早めに慣れた方が良い。」

 

そう言いながらシルさんとリオンさんの2人は席に着く

ちなみに席は

リリ・ベル・シル向かい側に優真・リューの順番

 

「あれ、御二人はここに居て良いんですか~?」

 

ベルに気があるシルに敵対心剥き出しのリリが二人に聞く

 

「私達を貸してやるから、存分に笑って飲めと、ミア母さんからの伝言です。」

 

(ミ、ミア母さん...!)

 

リオンさんから聞いた言葉に感動しミアさんを見るとサムズアップを返してくる

 

どことなく大人の男のカッコよさを感じる

例えるなら、どこぞのアラサー独身教...ゲフンゲフン

この例えは止めておこう

抹殺のラストブリットが飛んできそうだ

 

そんなふざけた事を考えながらもしていた感動はリオンさんの次の言葉で苦笑いへと変わる

 

「後は金を存分に使えと。」

 

(ミ、ミア母さん...)

 

此方をニヤニヤしながら見てくるミアさんに何とも言えない視線を送るが、これもあの人なりの優しさなんだろうというのは勿論わかっている

 

「じゃあ、遠慮なく。」

 

そんな言葉と共にグラスを上げるベルに続き各々が自分のグラスを掲げ

 

「「乾杯!!」」

 

その掛け声でパーティーが始まった

とは言っても話の内容は二つ名に関する事のままである

 

「そういえば優真の二つ名は何になったの?」

 

「確かに優真様のは聞いていませんでしたね。」

 

「どんな二つ名になったんですか?すごく気になります。ね!リュー。」

 

「ええ。」

 

(何だろう、期待されてる感が有って言いづらい...)

 

しかし隠すようなことでもないので答える

 

「俺の二つ名は───

 

 

 

 

「『青い蝶(ユリシウス)』、ですか?」

 

「ああ、それが優真の二つ名だ。」

 

豊穣の女主人に行く日の昼過ぎごろ

ミアハファミリアのホーム『青い薬舗』で優真は主神であるミアハから自分の二つ名を聞いていた

 

「由来は俺の羽織の柄ですか?」

 

「それも有るが、優真の人助けが街で結構話題になっているらしい。それに見れば幸せになれるという青い蝶を重ねてこうなった。」

 

 

 

─────て感じです。」

 

ベル達にその由来も含めて二つ名を教える

 

「カッコいい!カッコいいよ優真!」

 

「そうですね。それに優真様っぽくてぴったりだと思います。ただ、人助けをしていたというのは知りませんでした。」

 

「そうなんですか?私達はお客様からたまに〈青い蝶柄の羽織を着た冒険者が困っているところを助けてくれた〉って話を聞くので知っていましたよ。」

 

「ええ、顔を赤くさせた女性が多いですが。」

 

リオンさんは何故か此方をにらんでくる

 

「あの、何で睨んでくるんです?」

 

「知りません。」

 

聞いてはみたがリオンさんがプイッと横を向いてしまった為、前に座っている三人に助けを求めるが、ベルは俺と同じで何も分かっていないらしくキョトンとしていて頼りにならず、両隣に座っている二人にはやれやれという風に呆れられてしまった

 

解せぬ

 

 

 

その後近くに座っていた冒険者達と一悶着在ったが、ミアさんの一喝で終了

俺達は中層に行く前にパーティーメンバーを増やした方が良いというリオンさんのアドバイスに従い新しいパーティーメンバーを探すことになった

 

余談だがその次の日のリオンさんとの修行は、ランクアップした事を差し引いても過酷でしたまる

 

 

 

 

 

────────────────────

 

 

 

優真

 

二つ名が決まった

やったね( ≧∀≦)ノ

新しい日輪刀を手にいれる為ベルと一緒にヘファイストスファミリアを訪ねる予定

 

 

リュー

 

何となく優真にムシャクシャして修行を厳しくしてしまった事を反省中

やはり私はやり過ぎてしまう

 

 

ここで大正こそこそ噂話

 

優真の二つ名が大きい派閥じゃないのにまともな物になったのはミアハの人(神?)柄故

やはりミアハ様は偉大である

 

 

 

─────────────────────

 

 

 

という訳で二つ名が決まりました

結構良いと思うんですけどどうでしょう?

 

次回は新しい日輪刀を手にいれる予定

予定!

 

 

最後に、此処まで読んでくださった方、お気に入り登録等をしてくださった方ありがとうございました!

 

 

 

 



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ヴェルフ・クロッゾ 1

 

 

 

 

「やっぱり無いな~。」

 

バベルのとある階

ヘファイストスファミリアの新人が作った武器や防具が売られている部屋で優真は一人そう愚痴る

ミノタウロスとの戦いで優真は刀が、ベルは防具が壊れてしまった為二人で探しに来ていたのである

 

日輪刀なんて然う然う有るわけ無いか、と思いベルを探していると店の近くのベンチに赤髪の青年と一緒に座っているのを見つけたので近くに行ってみる

 

「何してるんだ?ベル。ヴェルフ・クロッゾさんって人の防具を探すんじゃなかったのか?」

 

「あっ、優真。実はね」

 

「俺がそのヴェルフ・クロッゾだ。ヴェルフって呼んでくれ。よろしくな。」

 

ベルの隣にいた青年がクロッゾさんだったらしい

まさかの本人に会うというベルの幸運にビックリしながらも優真も自己紹介をする

 

「冨岡優真です。こちらこそよろしくお願いします、ヴェルフさん。」

 

「お前もさん付けか...。まあ、良いか。それよりお前もしかしてユリシウスか?」

 

「そうですけど、俺のこと知ってたんですね。」

 

「当たり前だろ。剣姫の記録を大幅に塗り替えたお前ら二人は有名人だからな。」

 

どうやら自分が思っていたよりもかなり有名になっていたらしい

何だろう人に有名人って言われると照れくさい

 

「そういえば優真は探し物見つかったの?」

 

「それがさ~、無かったんだよ。予想はしてたんだけどさ。」

 

「なんだ、何か探してるのか?」

 

「日輪刀って名前の刀を探してるんです。」

 

質問に答えた瞬間ヴェルフさんは驚いたような表情になる

 

「優真、お前って鬼殺隊の関係者か?」

 

ヴェルフの口から出てきた予想外の言葉に今度は優真が驚きの表情を浮かべる

 

「ヴェルフさん鬼殺隊知ってるんですか!?」

 

「まあな。俺の師匠の様な人がここに来る前は鬼殺隊で刀を打っていたらしくてな、鍛治の技術を教えて貰ってるときに鬼殺隊についても色々聞いたんだよ。」

 

「そのヴェルフさんの師匠の人に会うことって出来ますか?後、名前も教えて下さい。」

 

急に巡り会えたチャンスについつい食いぎみに質問する

 

「鋼塚って名前だよ。ただ、鋼塚さんは今ロキファミリアの遠征に同行していてな、暫くは会えないと思うぞ。どうした?そんな顔して。」

 

ヴェルフが指摘した通り優真の顔は何とも言えない表情になっている

 

「いや、なんというか鋼塚さんちょっと苦手で。」

 

「ああー、なるほどな...」

 

ヴェルフさんは納得してくれたようだがベルはキョトンとしているので説明をする

 

「炭次郎さんっていう人から教えて貰ったんだけど、鋼塚さんの刀を折ると包丁持って追いかけて来るんだって。」

 

「ええ...流石にそれは冗談なんじゃ...」

 

「本当だぞ。あの人が冒険者を追いかけてる所を俺も何回か見たことあるからな。」

 

ベルの疑問にヴェルフさんが答えてくれる

 

(て言うかあの人ここでもそんなことやってんの?!大丈夫かな~...)

 

なんてことを考えているとヴェルフさんが驚きの提案をしてくる

 

「なあ、良かったらなんどけどさ、俺が打ってやろうか?お前の日輪刀。」

 

「ヴェルフさん日輪刀打てるんですか?」

 

予想していなかった事態に思わず聞き返してしまう

 

「ああ、鋼塚さんに教えて貰ったからな。材料の特殊な鉄も貰ってるから優真さえ良ければ売ってやれるが、どうする?」

 

「お願いします。」

 

二人揃ってヴェルフさんと専属契約を結びましたまる

 

えっ、何で鋼塚さんじゃないのかって?

鋼塚さん怖いんだもん

俺の胃がもたない

 

 

 

 

────────────────────

 

 

 

 

「それでお二人は買収されてしまったのですか。」

 

所変わって11階層

ヴェルフさんが鍛治のアビリティイを手にいれる為やって来たのだが、リリに知らせずに専属契約を結んでしまった為拗ねてしまったのである

 

「なんだ~、チビスケ。そんなに俺が邪魔か?」

 

「チビではありせん!リリにはリリルカ・アーデという名前があります!」

 

「そうか、よろしくなリリスケ。」

 

「もういいです!」

 

「ごめんねリリ。勝手に決めちゃって。でも僕気に入ってるんだヴェルフ・クロッゾさんの作った防具。」

 

「クロッゾ!?今クロッゾと仰いましたか?」

 

「え、うん。」

 

「ヴェルフさんの名前がどうかしたの?」

 

「知らないんですか、優真様!クロッゾというのはかつて強力な魔剣を作る能力で名を挙げた鍛治一族の名です。今はその力を失い没落したそうですが。」

 

リリの反応が気になったので聞いてみたのだが、どうやらかなり有名な名前だったらしい。

 

「ああ、唯の落ちぶれ貴族の名だ。」

 

ヴェルフさんはうんざりしながらリリの言ったことを肯定する

 

「今はそんな事どうでも良いだろ。」

 

「でも...」

 

ビキビキビキ───

 

リリが言及しようとした瞬間地響きが起こり地面からモンスターが涌き出てくる

 

「どのみちこんな話してる場合じゃねえな。よし、オークは俺に任せろ。こいつらなら俺でも当てられる。」

 

「では、リリも微力ながら援護します。」

 

太刀を抜きながら言うヴェルフに続きリリもボウガンを構えながら提案する

 

「俺が気にくわないんじゃなかったのかリリスケ?」

 

「勿論嫌っています。ただ、御二人のお邪魔にはなりたくないだけです。」

 

「じゃあ、僕はインプを。」

 

「なら俺はシルバーバックの相手をするよ。」

 

ベルと優真も武器を構えつつ分担を決めていく

 

「よし、行こう!」

 

そしてベルの合図で敵に向かっていく

 

優真は突出してきたシルバーバックをすれ違い様に首を切り飛ばし倒すとそのまま群れに突っ込んでいき『打ち潮』で全滅させる

 

(リオンさんと修行していたお陰でランクアップした直後より動けるようになってる。)

 

というのもランクアップした直後の冒険者は急に上がったステータスに精神が追い付かず思うように動けない事があるらしい、とリオンさんがどや顔で言っていたので心配だったのだ

 

そんな事を考えながらベル達の方を見てみるとそっちも終わったようでヴェルフさんが話しかけてくる

 

「スゴいなお前ら、あの数をあっという間に倒すなんて。」

 

「ヴェルフさんがパーティーに入ってくれたお陰ですよ。」

 

「いつもより動きやすくなりました。」

 

「パーティーの利点だな。余裕が生まれれば動きもモンスターへの対処も変わるからな。」

 

「皆さん、他のパーティーが集まってきましたのでリリは今のうちに魔石をあつめてきますね。」

 

「分かった、ありがとうリリ。」

 

「それじゃあ、リリスケが魔石を集め終わったら昼飯にしよう。モンスターはアイツらに頼んでな。」

 

そうしてリリは魔石を集めに行き三人で話しているとベルの異変にヴェルフが気づく

 

「ベル、お前の右手光ってるぞ。」

 

「えっ!」

 

言われて初めて気づいたらしい

 

「何、これ?」

 

「ベルも分からないのか?」

 

「うん。」

 

なんてことを話していると急に悲鳴が聞こえてきたので声のした方を向くと逃げる冒険者達、そして後ろには上層で一番強いモンスター、インファントドラゴンがいた

 

「あれ、リリは?」

 

ベルに言われて探してみるとリリはインファントドラゴンの近くにいた為追いかけられようとしていた

 

「リリスケ逃げろ!」

 

ヴェルフに従って逃げ始めるリリだが、歩幅が違いすぎるため直ぐに追い付かれそうになる

 

「リンク・フィンブル・シンゼステ」

 

普通に走っては間に合わないと判断し魔法を走りながら発動

強化されたステータスを使い全力で踏み込み、

リリをキャッチ

ここからどうしようかと思ったとき、驚く事にベルが魔法でインファントドラゴンの頭を吹き飛ばした

 

「スッゲ...」

 

その光景に驚いているとリリが焦ったように声を出す

 

「優真様前!前!」

 

「えっ?」

 

リリに言われて前を見ると地面が迫っていた

どうやら思っていた以上に勢いが出ていたらしい

そういえばランクアップしてから魔法使ったの初めてだったな~と考えながら顔から地面に突っ込んだ

 

 

 

 

─────────────────────

 

 

優真

 

リリを庇うことは出来たが自分は体勢を立て直す事が出来ず、顔から地面に突っ込み血だらけになった

 

 

鋼塚 蛍

 

常にひょっとこの仮面を着けている炭次郎の日輪刀を打っていた人

レベルは4 二つ名は『刀匠(とうしょう)

刀を作る技術はオラリオでもトップクラスで、オラリオにいる鬼殺隊の日輪刀は鋼塚が全部打っている

たまにする奇行から『歌舞伎者』とも呼ばれている

 

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

二つ名考えるの難しいです

ネーミングセンスが欲しい!

次回もヴェルフの話しになります

 

 

最後にここまで読んでくださった方々、お気に入り登録等をしてくださった方ありがとうございました。

 

 

 



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ヴェルフ・クロッゾ 2

悲鳴嶼さんってステータスとか呼吸無くてもミノタウロスぐらいなら殴り倒せそうw

 

茶々丸愛してる

 

 

──────────────────────

 

 

 

 

顔から突っ込み事件の翌日

リリがお世話になっているノームのおじさんが風邪を引いてしまい看病をしたい、という事でダンジョン探索が中止に

 

それなら装備を新調しようというヴェルフさんの提案で、俺とベルはヴェルフさんの工房に行くことになった

 

いつも通り人の往来の激しいオラリオの道を歩きながら、優真は昨夜ミアハとしたヴェルフに関する会話を思い出していた

 

 

 

「ミアハ様はクロッゾという名前について何かご存知じゃありませんか?リリはすごい魔剣を作る能力で名を挙げた鍛治一族の家名で今は没落してしまったって言ってたんですが。」

 

「クロッゾという一族については概ね優真がリリルカから聞いた通りだ。クロッゾの一族が作る魔剣は森を焼き、海を割ったとまでは言われている。」

 

思っていたよりも遥かにスケールの大きい話しに唖然としてしまっている自分にミアハ様は更に驚きの情報を伝えてくる

 

「それから、これはヘファイストスから聞いたことなのだが、そのヴェルフという者はクロッゾの魔剣を打てるらしいのだ。」

 

「ええっ!」

 

「ただ、その子は魔剣を打たないそうだ。」

 

「何でですか?」

 

「そこまでは教えてもらえなかったが、どんな条件だろうと頑なに打つことはないそうだ。」

 

「そうですか...。」

 

何でヴェルフさんは魔剣を打たないのだろうか?

何か訳があるんだろうか?

等と考えていたのだがどうやら着いたらしいので取り敢えず考えるのを止めてヴェルフさんの工房に入った

 

 

 

 

工房の中は鎚等の鍛治道具や槍や剣などが置いてあったりと、典型的な鍛治場の様な感じだった

 

「それで、お前らはどんな装備が欲しいんだ?専属契約を結んだんだ、何でも作ってやるぞ。」

 

「僕はこのライトアーマーを頂けただけで充分です。」

 

「俺は日輪刀を作って貰えれば。」

 

「なんだお前ら、それだけで良いのか?もっと欲張った方が良いぞ。最善の用意をするのも冒険者の仕事だぞ。」

 

ヴェルフさんの言葉に確かに、と納得したのだが自分の戦闘スタイル的に防具はあまり適さない

 

その為どうしようかと思っていたた時ふと、ヴェルフさんがいつも手に何かを着けていたのを思い出したので聞いてみることにした

 

「あの、ヴェルフさんがいつも手に着けてるやつ有るじゃないですか。」

 

手甲(てっこう)の事か?」

 

「そうです。それを作って欲しいです。」

 

「手甲だけで良いのか?鎧とかも作れるぞ。」

 

「その事なんですけど、自分の戦闘スタイル的に鎧とかの体を圧迫する物はちょっと。」

 

「それなら戦闘衣でも作ってやろうか?それなら体も圧迫しないし、多少は傷も防げるぞ。」

 

「本当ですか。お願いします。」

 

「ああ、任せろ。後はベルだが...。ベルそれは何だ?」

 

ヴェルフの視線の先にはベルの腰に巻き付けてあるミノタウロスの角があった

 

「これはミノタウロスを倒した時のドロップアイテムです。換金しようにも何だか手放せなくなっちゃって。」

 

「なら、それを素材にして作るか?」

 

「そんな事も出来るんですか?」

 

「ああ、出来るぞ。」

 

「お願いします。」

 

「おう、任せろ。」

 

 

それからヴェルフさんは武器を打っている間にいろんな話をしてくれた

 

武器とは最後まで持ち主と共に在る物なのに、持ち主を残して先に砕けてしまう魔剣が嫌いだということ

魔剣は使い手を腐らせ、鍛治師の矜持すら無くしてしまう、だから気にくわないんだと

魔剣を名を挙げる為の道具としか見ていない人ばかりで辟易していたと

だから魔剣を打たない

 

そして俺達がヴェルフさんの事を知っても魔剣を欲しがらなかった事が嬉しかったとも言ってくれた

 

 

 

 

「よし、出来たぞ。」

 

日が暮れ始めたころ、俺達の武器が完成した

ベルはナイフにしたみたいだ

 

「それじゃあ名前をつけないとな。ベルのはミノタウロスの角から作ったから牛若丸...いや、ミノタンにしよう。」

 

「いやいや、牛若丸で良いじゃないですか!」

 

ヴェルフの口から出てきたかなり変わった名前にベルが必死に抗議する

 

自分の時はどんな名前になってしまうんだろうか?という不安を抱きながら見ていると、何とか牛若丸に決定したらしく、ベルが本気で安心していた

 

「さて、次は優真のだが...取り敢えず日輪刀の色を見てから考えるか。」

 

「刀の色ですか?」

 

日輪刀をよく知らないベルが疑問を口にする

 

「ベルは知らないのか?日輪刀は持ち主によって色が変わるんだ。赤だったり青だったりピンクだったりもするんだぞ。」

 

「そうなんですか。何かカッコいいですね。」

 

「そうだろ。俺も優真の色が気になるんだ、一気に抜いてみてくれ。」

 

「それじゃあ、いきますよ。」

 

二人に見つめられながら優真は日輪刀を引き抜く

すると刀の色は変わっていき黒と青紫の間のような色になった

 

「変わった色だな。青とか赤が多いって聞いたんだが。まあ、いいか。さて名前は暁夜(あかづきよ)...いや、よっちゃんに──「暁夜で!」

 

ヴェルフさんが言い切る前に食いぎみで言う

 

「そうか、ならまあ、暁夜でいくか。」

 

何とか普通の名前になってホッとしているとヴェルフさんが話しかけてくる

 

「なあ、ベル、優真。会ったばかりの俺に信用全部預けろっていうのも無理だと思うけどさ、俺のこともリリスケみたく仲間っぽく呼んでくれないか。」

 

お互いに会ってから間もなかったから遠慮してしまっていたので、その言葉に嬉しくなり、ベルと顔を見合せ思わず笑ってしまう

 

「「分かった、ヴェルフ。」」

 

その瞬間優真はヴェルフと本当の仲間になれた気がした

 

 

 

 

──────────────────────

 

 

優真

 

日輪刀の色が判明

星の様な模様が入ってる

炭次郎の刀程黒ではないけど、義勇の刀よりは黒よりな感じ

先っぽが黒が濃くて、持ち手に行くに連れて青が濃くなってる

 

 

ヴェルフ

 

鋼塚さんに弟子入りしているので原作よりも刀を打つ技術が遥かに高い

優真の戦闘衣は直ぐには作れないので出来たら渡すつもりでいる

ベル達のパーティーでは兄貴分的な感じ

 

 

 

 

──────────────────────

 

 

 

 

最初は優真の色を白にしようと思ってたんですけど無一郎が白だったのを思い出して難航しました

 

優真の色が分かりづらいと思いますが、田舎の星空とか調べて貰えれば大体そんな感じです

たぶん...

 

 

 

最後にここまで読んでくださった方々、お気に入り登録等をしてくださった方ありがとうございました

 



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中層へ

技名考えたり仕様を変更したりドラクエしたりFGOしたりしてたら結構な時間が経っちゃってましたごめんなさい(;>_<;)

 

 

 

─────────────────────

 

 

 

 

「中層に向かう前に、ここで最後の確認をします。」

 

12階層から13階層へと繋がる階段の前で、優真・ベル・ヴェルフ・リリの4人は中層での動きについて打ち合わせをしていた

 

「ここから先は定石通り隊列を組みます。前衛をヴェルフ様、中衛を優真様、ベル様には遊撃を担当してもらい、リリは消去法で後衛です。」

 

リリの言葉にそれぞれが頷く中ただし、とリリは続ける

 

「この隊列は中衛の優真様に最も負担がかかる事になってしまいます。なので、そこをベルさまが様子を見つつフォローしてください。」

 

「うん。」

 

「それから、サポーターが後衛をしているので他のバランスの取れたパーティーに比べて火力が低く...って、何笑ってるんですかベル様!緊張感が足りてないんじゃないですか!」

 

大事な確認中なのににやけているベルにリリがすかさずツッコミを入れる

 

「いやぁ、皆で力を合わせて1つの事に取り組むのって何か良いなって、思ってつい。」

 

「確かに、仲間と力を合わせるのってワクワクするよね。」

 

「分かるぞ、それでそうならなきゃ男じゃねーもんな!」

 

優真とヴェルフもベルの気持ちに賛同する

 

「リリは共感しかねますが...でも、お気持ちは分かります。」

 

笑顔でそう言ったリリにつられて皆も口元が緩んでしまう

しかし、やることはやってしまわなければいけないため、しっかり者であるリリが話を再開する

 

「まず中層に入ったら一直線に進んで1つ目のルームを目指します。中層の通路はここよりも広いですがモンスターにはあっという間に囲まれてしまうので極力戦闘は避けます。もし、エンカウントしてしまった場合ですが、真っ先にヘルハウンドを狙ってください。」

 

「火炎攻撃、だよね?」

 

ベルの質問を「その通りです」、と肯定しながらリリは狼の様なモンスター、ヘルハウンドの注意点をあげていく

 

「サラマンダーウールを着ているとは言え、ヘルハウンドの火炎攻撃は充分な脅威です。ヴェルフ様は見つけたら真っ先に対処してください。」

 

火の攻撃を軽減してくれる『火の精霊の護布(サラマンダーウール)』に触れながらのリリの言葉にヴェルフは「任せろ」と力強く頷く

 

「ここから先は簡単には後戻り出来ません。皆さん準備は良いですか?」

 

リリの問いかけに優真達は頷くことで返事を返す

 

「よし、それじゃあ行こうぜ!」

 

かけ声を上げたヴェルフを先頭に優真達は中層へと進んでいった

 

 

 

 

▽▼▽▼▽▼

 

 

 

ダンジョン入口の前にある噴水広場

そこで1柱の神が自分の眷属達を見送っていた

 

「それでは行って参ります、タケミカヅチ様。」

 

「あぁ、気をつけて行ってこい。アイツらがいない分、桜花の負担が大きくなるがしっかりな。」

 

「勿論です。」

 

背中に大きい斧を背負った大柄の冒険者は主神の言葉に堂々とした様子で返事をする

 

「命もランクアップしたからといって、あんまり気張り過ぎるなよ。」

 

「はい。」

 

和風の戦闘衣に刀を提げた少女はハキハキとした声で返事をし、それを機に各々がタケミカヅチに挨拶をしてダンジョンに向かって行った

その6人の眷属達を見送っていると後ろから声をかけられ、振り返ると神友のヘスティアとミアハがいた

 

「今のがタケの所の子ども達かい?」

 

「そうだ。今日が中層初挑戦なんだ。確かお前達の所もそろそろだったよな?」

 

「あぁ、今朝早くに出発した。」

 

「そうか。心配だが俺達には信じて待つことしかできないからな。」

 

「そうだね。...?」

 

唐突にヘスティア達の立っていた地面が揺れ、遠くでは驚いた鳥達が一斉に飛びたって行く

 

「今のは地震か。」

 

「最近多い気がするな。これが何か不吉な事の前触れでなければ良いのだが。」

 

その様な心配をしているミアハの横でヘスティアも同じように何か嫌な事が起きるんじゃないかと感じていたが、タケミカヅチの行った通り、自分の愛すべき眷属とそのパーティーの仲間達が無事に帰ってくるよう願うことしかできなかった

 

そして、そんな彼女達を旅行帽を被った1柱の男神が、口元で弧を描きながら見つめていた

 

 

 

 

 

 

 

 

────────────────────

 

 

タケミカヅチ

 

タケミカヅチファミリアの主神で極東の神

鬼殺隊のある人物と関わりがある

ていうか直ぐ判明する

極東に居た頃は鬼殺隊とは関わりを持っていない

 

 

 

見直してたら優真の発展アビリティ出してなかったので載せときます

 

発展アビリティは『直感』

ランクはH

幼少期の頃から無意識ながらも使っていた為、最初にしてはランクが高い

 

 

 

 

 

 

 

書くのが遅くなってしまいすみません

暇になるとやる気がなくなる性格なのでだらだら後回しにしちゃいました

あと、ソシャゲのシナリオ期待してたのにう~んって感じで萎えてましたw

これからも更新はしていくつもりなのでよろしくお願いします

感想などお待ちしています

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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怪物進呈(パスパレード)

────────────────────

 

 

 

ダンジョン13階層

別名『最初の死線(ファーストライン)』とも呼ばれる中層最初の階層

そこに優真達は足を踏み入れていた

 

「何と言うか薄暗い感じだね。」

 

「そうですね。上層と比べて光源が乏しいように思えます。」

 

ベルの呟きに素早く周囲を確認したリリが反応する

 

「その上落とし穴まで有るからね。」

 

「そうだな。穴に落ちて正規ルートから外れて帰れなくなりましたとか笑えないからな。」

 

優真とヴェルフも軽口を叩きながら周囲の様子を確認していく

床や天井、壁に至るまで岩で構成されており、湿った空気も相まってさながら洞窟の様である

 

「取り敢えず最初のルームまで向かっちゃいましょう。ヴェルフ様、この通路は一本道なのでガンガン進んじゃってください。」

 

リリの指示に従って進むヴェルフについていきながらも、優真はモンスターが潜んでいないか周囲を警戒していく

13階層は辺りに岩が転がっていたり、薄暗かったりするため、目ではなく耳と発展アビリティに成るほどの直感を使って索敵をする

 

するとステータスによって強化された聴覚がべたらっべたらっ、という何かが駆けてくる音を捉える

その瞬間全員が臨戦態勢をとる

 

「いきなりか...」

 

ヴェルフの呟きの通り、通路の前方からヘルハウンドが3体現れる

3体の四足獣はこちらから50M程の間合いをとって低く唸っている

 

「なあ、この距離は詰めた方がいいのか?」

 

「アドバイザーさんは、ヘルハウンドの射程は甘くみない方が良いって言ってたけど...。」

 

「じゃあ叩くしかないないなっ!」

 

ヴェルフは開戦の狼煙を上げ自ら突っ込む

50Mの間合いを一気に詰め、手前の1体に斬りかかるが素早い動きで回避されてしまう

 

「ヴォォォォォ」

 

「っ...!」

 

その隙をつき、横にいた1体がヴェルフに襲いかかろうとする

しかし、すかさずベルが左手に装着したバックラーで受け止め、ヴェルフが胴体を真っ二つにする

その隙に優真は炎を放とうと頭を低く構えていたヘルハウンドに接近し、胴体から首を斬り離した

 

「ウゥゥゥゥゥ」

 

残った1体は離れた所で発射準備を整える

開いた口の隙間からは大粒の火の粉が散っていて、正に爆発寸前といった様子だった

 

「ちょっと遅いです。」

 

しかし、その言葉と共に放たれたリリの矢がヘルハウンドの右目に突き刺さる

ヘルハウンドを倒せるほどの威力は持っていなかったが、的確に急所を射ぬいたその一撃は幾ばくかの隙を生んだ

そして彼にとってはそれで充分だった

 

「フッ!」

 

逸早く駆け出していたベルが紫紺の輝きを一閃させる

ベルの渾身の一撃をもらったヘルハウンドは数瞬前迄とはうって代わって静かになり、やがて灰になっていった

 

「よし、幸先は良さそうだな。」

 

「にわか仕込みの連携も、そろそろ様になってもらわないと困りますからね。これくらいは当然です。」

 

「でも、良い感じだったよ。」

 

「確かにお互いの穴を埋め合えてた気がするな。」

 

戦闘を終えた安心感からか、パーティーの空気が少し緩む

最警戒だったモンスターを軽く屠れたため、1回しか戦闘をしてはいないとはいえ、中層でもこのパーティーでなら通用する、それが分かっただけでも、大きな意味を持った戦闘だった

 

魔石を回収しに行ったリリを待つ傍ら、優真は頭の中で情報を整理する

 

この戦闘での1番の収穫は火炎攻撃に関しては、溜めがいると分かったこと、そしてそれがどのくらいなのかを体感できた事だ

 

此れくらいならなんとか対応できそうだ、と考えていた所でモンスターの気配に因って現実に引き戻される

 

「っと、また来たな。」

 

そう発したヴェルフの視線の先

奥に続く通路から出てきたのは赤い目に、額に1本の角を持った兎の様な生き物だった

 

「あれは...ベル様?!」

 

「違うよっ!」

 

何言ってんの、と言うかの様にリリに突っ込むベルを尻目に、もう一度目の前の相手を観察する

 

ピョコピョコと揺れる長い耳に、白い毛並みの毛、ふさふさの尻尾、それを見て確信する

 

「ベルだな。」

 

「間違いないな。」

 

「アルミラージだってば!」

 

確信したように呟いた優真の言葉を、ヴェルフが間違いないと断定する

それを必死に否定するベルは見ていてちょっと面白い

 

「これだけ可愛らしいと、倒すのを少し躊躇してしまいますね。」

 

「あぁ、ベルが相手とか冗談きついぜ。」

 

「完璧に冗談だから!」

 

ベルいじりが面白かったのか尚も続行するリリとヴェルフ

それに業を煮やしたのか、はたまたベルと比べられるのが嫌だったのか、アルミラージ達は「キイッ」と言いながら一斉に飛びかかってくる

 

「うおっ、ベル来た!」

 

「やれやれ、ベル様はせっかちですね~。」

 

「せっかちな男はモテないらしいよ。」

 

「えっ、そうなの?!って、だから!アルミラージなんだってば!」

 

冗談を言いつつも、しっかり臨戦態勢をとっていた優真達は、『天然武器(ネイチャーウェポン)』片手に襲いかかってくるアルミラージ達と本物のベル決定戦を開始した

 

 

 

 

▽▼▽▼▽▼▽

 

 

 

 

オラリオの一角

出店などが立ち並ぶ西のメインストリートで、馬車や人々が往来する雑踏に紛れて、1人の眷属が主神に話しかける

 

「例のリトルルーキーについてですが、懐疑的な意見が多いようです。運良く魔法が当たっただけだとか、ロキファミリアの獲物を横取りしただけだとか。まあ、剣姫の記録を抜ける筈がない、というのが大きいと思いますが。」

 

「ははははっ、皆手厳しいな。ただ魔法を当てただけ、瀕死のモンスターに止めを刺しただけで昇華させて上げるほど、俺たちの恩恵は甘くないんだけどな~。」

 

燈黄色の髪に、旅行帽を目深に被った男神ヘルメスは笑いながら、その程度でランクアップは出来はしないと語る

 

「そう言えばアスフィ、ベルくんと一緒にランクアップした子がいただろう、その子はどうなんだ?」

 

アスフィと呼ばれた水色の髪を持つ少女は、美しい顔に掛かった眼鏡を直しながら答える

 

「名前は冨岡優真。リトルルーキーと同じく運が良かっただけだという意見が大半です。」

 

「冨岡...もう少し詳しく教えてくれ。」

 

アスフィの答えに気になることが合ったのかヘルメスは詳しい情報をアスフィに求める

 

「所属はミアハファミリア。極東出身の少年で、リトルルーキーとは友人関係のようです。」

 

「極東出身か、それは1回会ってみないと行けないかもしれないな~。」

 

旅装の男神はその切れ長の瞳を細める

それに対して、白いマントを羽織った従者は「どういうつもりなのか。」と問いかける

 

「というと?」

 

「急に情報収集なんかさせて、何かするつもりなのですか?ヘルメス様にしては随分と関心がおありのようですが。」

 

「おいおい、最近かまってやれないからって嫉妬か?」

 

「誰がっ!」

 

主神のからかってくる様な声音に、つい語気が荒くなってしまうも、この神相手にはするだけ無駄だと判断し、深呼吸をする

1度落ち着いたアスフィは、額に手を当て、主神の自由奔放ぶりによる長年の疲れを滲ませながら、ヘルメスに文句を言う

 

「面倒事はごめんだと、そう言ってるんです。あなたの我が儘に振り回される此方の身にもなってください。」

 

「他の団員は皆アスフィに感謝しているぞ。勿論俺も頼りにしてる。神からも仲間からも頼りにされて、役得ってやっだな。」

 

ポンポン、と子供でもあやすかの様に頭に手を置きながら言ってくる主神に、「もう、やだぁ~。」と素の自分を出してへこんでしまう

 

そんな己の従者に対して、ヘルメスは笑いながら歩みを再開させる

 

「何処に行かれるおつもりですか?」

 

直ぐ様立ち直ったアスフィがヘルメスに問う

 

「会っておきゃなきゃいけない(かた)がいる。だから、今からアポを取りに行くのさ。」

 

そうして、歩きだしたヘルメスの足は豊穣の女主人へと向かっていた

 

 

 

▼▽▼▽▼▽▼

 

 

 

暗い通路を5つの人影が、追い縋ってくる兎を撒こうとひた走っていた

 

「桜花殿、千草殿の容態は?」

 

「芳しくないな。手持ちのポーションで足りるかどうかも際どい。何より落ち着いて治療できる場所が欲しい。」

 

長い黒髪を後ろで1つに束ねた少女、ヤマト・命が横を走る大柄の男、桜花に問うと彼は背負ったいる少女、千草の様態について、苦々しそうに語る

彼女の背中にはアルミラージによって投げられた石斧(トマホーク)が深く食い込んでいた

 

「それでは...。」

 

「ああ、1度上層に戻る。お前にばかり負担をかけて悪いな。」

 

「そんな事を言わないでください。自分たちはパーティーです。」

 

自分たちはパーティーなのだから助け合うのは当然だと言わんばかりに、命は桜花に声を荒げた

しかし、状況は良くなるどころか悪くなる一方であり、彼らを追随する影の中にはヘルハウンドの姿までもが加わっていた

 

「急げ!」

 

桜花の切羽詰まった声に、団員達は必死に地を蹴る

暫く進むと1つのルームが見えてきた

ドーム型の空間で、天井がとにかく高く、何組ものパーティーが優に活動出来るほどの広さを有している

 

「他のパーティーが戦闘を...」

 

そんなルームに近づくに連れて段々と戦闘音が聞こえてくることに気づく

よく見てみると、ルームの一角では4人組のパーティーが大量のアルミラージと交戦をしていた

 

ヒューマンの男性3人とパルゥムの少女という今まで見なかった組み合わせから、新規進出したパーティーだと当たりをつける

 

「突っ込むぞ、あそこに。」

 

「なっ...!?」

 

桜花の呟いた言葉に、命は振り向き思わず声を荒げてしまう

 

「待ってください、桜花殿!今自分達がそんな事をしてしまえば彼らは...。」

 

桜花の言わんとしている事は理解できた

できたからこそ命は反対をする

怪物進呈(パスパレード)

敢えて他のパーティーに突っ込む事で、自分達のモンスターを押し付ける緊急回避

ダンジョンの中では度々行われている常套手段でもある

 

これを今からあのパーティーに向けて行おうと言うのだ

命から見ても、あのパーティーは余裕がない

アルミラージの巧みな連携に対して、対応がギリギリなのである

自分と同じ刀の冒険者と、白髪の冒険者がかなりのスピードでアルミラージを狩り、他の二人が穴を埋めることで辛うじてもっているに過ぎない

命達がモンスターを押し付けでもしたら、あっさりと崩れるのは誰の目から見ても明白だった

 

「俺は他の誰とも知らないやつらの命より、お前達を優先する。」

 

「っ....。」

 

「胸糞悪いってんなら、後で腐るほど罵ってくれ。」

 

仲間を生かすために非常な決断をする桜花の、感情を押し殺したような声に何も言えなくなってしまう

 

「行くぞ。」

 

駆け出した桜花に他の仲間も続いていく

命は「御免...」と心の中で謝りながら、パーティーの最後尾について走り出した

 

 

 

▽▼▽▼▽▼▽

 

 

 

 

「キイッ」という声と共に灰になっていくアルミラージを尻目に、優真はまだまだ残っているは敵に向かっていく

 

「息つく暇もないっ、てな!」

 

「無駄口を叩く暇もないです!」

 

悪態を吐くヴェルフが大刀を振り回し、愚痴を言うリリが後ろから矢を頻りに放ち援護をする

優真は魔法を行使して、アルミラージの群れに突っ込み、連携をとられる前に片っ端から数を削っていく

ベルは他3人の様子を見ながら、素早い動きで的確な援護していく

 

近付いてきていたアルミラージを、左手に填めた手甲で殴り飛ばした所で、此方に近づいてくるパーティーに違和感を覚える

ダンジョンでは無駄な争いを避けるため、必要以上の接近はしない、という暗黙のルールがあるからだ

 

今にも泣きそうな青紫色の瞳が、優真達を見つめながらスレスレを掠めていった瞬間、リリが焦った声をあげる

 

「いけません、押し付けられました!」

 

盗賊時代、冒険者とのイザコザにより、嫌というほど汚いやり口を知っているリリは明確に今の行為の危険性を読み取る

 

「パスパレードです!」

 

一瞬呆然としていた優真達も、その言葉に危機感を覚える

そして、それを肯定するかの様にモンスターの群れがルームに押し寄せる

 

「退却します!ヴェルフ様は右手の通路へ!」

 

「おいおいおい、冗談だろ!?」

 

混乱に陥りながらも、指示に従うヴェルフに続いて優真達も人1人分程の通路に体をねじ込む

 

必死に走り続けながらも、優真は何度目とも分からない焦りを覚えていた

入った通路は一本道であり、幅も段々と広くなってきている

さらには、優真やベルはともかく、リリやヴェルフのスピードでは、いずれ追い付かれて囲まれてしまうだろう

 

「皆先に行って!」

 

同じ考えに至ったのか、ベルは転身し、左手を突き出し吠える

 

「【ファイアボルト】!」

 

瞬間、三条の雷炎が走る

通路は一瞬にして炎に埋め尽くされ、殺到していたモンスター達は断末魔によって死の曲を奏でていく

(やったか)、と思ったのも束の間、今も燃え盛る炎の中から5つの影が飛び出してくる

飛び出してきたのはヘルハウンド

 

「ヴォォォォォォォォォ!」

 

ヘルハウンドは比喩抜きで燃えていた

しかし、性質故に耐性が有ったのか、全身を焼かれた状態で猛り狂った様に飛びかかる

 

「っ!」

 

ベルは最初に飛びかかってきたのを短剣で切り払い、2匹目をバックラーで受け止めるも、残りの3匹に横を抜かれる

 

襲いかかってくる3頭の魔犬に対し、優真はリリを後ろに下げ、迎撃のために自らは前に出る

 

花の呼吸 陸の型 『渦桃』

 

空中に飛び上がりながら体を捻って斬撃を浴びせていく

回転しながら放たれた斬撃は正確にヘルハウンドの命を刈り取っていったが、1匹だけ腹を軽く斬りつけるだけで突破を許してしまう

 

「舐めんなあっ!」

 

残った1体に対し、ヴェルフは大刀を構えて迎え撃った

 

「二人とも平気?」

 

「はい...。」

 

「なんとか、な。」

 

自分の相手を倒し終わったベルが二人に無事かを問うと、リリは平気だったが、ヴェルフは腕を押さえていた

 

それを見てベルと優真は自責の念を感じるが、リリ達の後方から近づいてくる気配に目の色を変える

 

そんな優真達に対してリリ達は此方を、正確には後方を見つめながら苦々しく声を出す

 

「挟み撃ち...。」

 

「気が滅入るどころじゃないな...。」

 

炎が弱まった一本道から大量のモンスターが近づいてくる

 

「何で中層ってのはこうもモンスターが湧いてくるのが早いんだ。休む暇がないぞ。」

 

「中層だから、でしょうね。」

 

軽口を叩きながら背中合わせになる

リリがくれたポーションを飲み、体力を回復させるが集中力の低下だけはどうにもできない

 

「皆さん、リリは逃げるのを上策とします。1度息をついて、態勢を立て直しましょう。」

 

「反対はしないけどな、この数はどうする。」

 

「片方を強引に突破?」

 

「それしかないだろうな。」

 

ベルの意見に優真が同意する

その間もモンスター達は我先にと一斉に押し寄せてくる

 

「行こう!」

 

時間が無いと見たベルの声を合図に、今も押し寄せてくるモンスター達の迎撃を始める

 

「っ...。」

 

大量のモンスターと戦っている優真の脳裏に、師でもあるリューの言葉が思い出される

 

「ダンジョンは狡猾です。一つ一つはとるに足らない出来事でも、積み重なればやがて、抱えきれない重荷となって表面化します。」

 

際限なく押し寄せてくるかの様なモンスター達に、回復したばかりの体力が遠慮なく削られていく

 

「覚束ない足を崩すのは、砂を城を崩すより簡単でしょう。」

 

ベル達の洗い呼吸音が優真の耳朶を叩く

呼吸を幼い頃から使っていた為、普通より体力が高い優真はまだ耐えられるが、ベル達はそうもいかない

 

「態勢は直ぐには立て直せません。獲物が息を上げ、苦痛に喘ぎ、弱り果てた姿を見せたとき、ダンジョンは満を持してその牙を剥きます。」

 

罅割れるような音が頭上から響く

まさか、と思い頭上を見上げる

天井から夥しい数の『バットバット』が生まれ落ちるのと同時に、穴だらけになったことにより崩落した

 

「「「「──────!?」」」」

 

優真達は驚きに声を上げる暇もなく必死に大地を蹴りつける

頭上から降り注ぐ死の雨から逃げ惑う優真達を嘲笑うかの如く岩石や土砂、時には岩盤そのものが降り注いだ

 

「が、あっ...ぐっ!」

 

岩の雨がようやく止んだとき、優真は痛む体を叱咤して、仲間の安否を確かめるため立ち上がる

いくつか岩が直撃した為にクラクラする頭を必死に持ち上げ仲間を探す

 

「ぐっ、う....」

 

呻き声のする方に体を引き摺っていくと、ヴェルフが倒れているのを発見する

息があるのを確認して安堵したのも束の間、ヴェルフの下半身に目をやって息をのむ

ヴェルフの右足は落ちてきた岩の下敷きになっていた

 

「待っててヴェルフ、今どか───」

 

「ヴォォォォォォォォォ!」

 

言葉を言い切る前に吠え声が響く

かつてない焦燥感を感じながら、声の方を向けばヘルハウンドの群れ

信じられない、いや、信じたくない光景に数瞬の間優真の思考が止まる

 

「ガァ....」

 

その間にヘルハウンド達は頭を低くし、口内に大量の炎を収束させていく

 

(不味いっ!)

 

優真がそう感じたのと同時に火炎攻撃が放たれる

 

「これが...中層。」

 

近くでベルが呆然と発した言葉を、優真は痛いほど実感した

 

 

 

 

 

 

 



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そして18階層へ

 

 

 

 

「うっ、ぐぅ...」

 

薄暗いダンジョンに弱りきった冒険者の呻き声が響く

 

「大丈夫?」

 

右足を負傷したヴェルフに、肩を貸しているベルが心配そうに尋ねる

 

「ああ、すまん。たく、ついてないよな。早く上に戻りたいってのに縦穴に落ちちまうなんてな。」

 

「あの崩落の中全員が生きているのは奇跡です。」

 

「うん、ヘルハウンドの群れを切り抜けられたのも、サラマンダーウールのお陰もあるけど、本当に運が良かったよ。」

 

アドバイザーと類い希なる幸運に感謝しながら優真がリリの言葉に反応する

 

こんな状況でも、なんとか平静を保とうと考えていたが目の前の角を曲がったところで思わず顔をしかめてしまう

 

「行き止まり...。」

 

ベルが呆然と呟いた通り、目の前には只ゴツゴツした壁が広がるだけだった

何度めとも知れない行き止まりは、まるでダンジョンが逃がさないと行っているかのようであり、否応なしにこちらのメンタルを削ってくる

 

「一旦休もう。」

 

全員の疲労が無視できない程に高まってきていることと、ヴェルフの怪我の様子を診るため、優真は休みを取ることを提案し、ベル達も頷いたため休憩にはいる

 

アイテムの確認等をしているベル達を尻目に、優真はヴェルフの右足の容態を確かめていく

 

ヴェルフは足は骨が砕けてしまっており、本来なら直ぐにでもちゃんと治療をしたいのだが、道具がなく、武器の鞘を添え木代わりにして包帯を巻くことしかできず、その事に不甲斐なさを覚えてしまう

 

「悪いな、足引っ張っちまって。」

 

「気にしないで。」

 

謝ってくるヴェルフに気にするな、と言いながら包帯をきつく巻き直していく

一巻き事にヴェルフは痛みに喘ぐが、今は我慢してもらうしかない

 

「ヴェルフの怪我はどう?」

 

「結構不味い。できれば早くちゃんとした治療をしたいけど、アイテムが足りない。」

 

リリとの作業を終えて、ヴェルフの容態を聞いてくるベルに優真は苦々しげに答える

 

ベル達によると、残っているアイテムは回復薬(ポーション)が4本と解毒薬が2本、後は各自が持っているものだけで、回復用のアイテムは他にはないらしい

 

「お前ら、いざとなったら俺を置いていけ。」

 

「何バカなこと言ってるんですか...」

 

「そんな事出来ないよ!」

 

要らない忠告をするヴェルフにリリは呆れたように、ベルは声を荒げて反対する

 

「どのみちこの様じゃ足を引っ張るだけだろ。」

 

「ダメだよヴェルフ。絶対に皆で帰るんだ!」

 

「っ!いだっ....」

 

尚もくだらない事を言ってくるヴェルフに反論しながら、巻いている包帯を気持ち強めに絞める

ヴェルフが恨みがましい目で見てくるが、知らないったら知らない

 

「とにかく全員で帰るための方法を考えよう。」

 

ベルの提案に全員が頷く

そして、1番ダンジョンの知識や経験が豊富なリリが最初に口を開く

 

「ベル様、優真様、ヴェルフ様、落ち着いて聞いて欲しいのですが...。リリ達が今いるのは15階層の可能性が高いです。」

 

「.....!」

 

その言葉に優真達は背筋が凍るような感覚を覚える

一刻も早く上層に戻りたい状況で、自分達の想定より不味い状況に陥っていたという事実が精神を蝕んでいく

 

「ですが本題はここからです。上層へ戻るということが絶望的なこの状況で、敢えて下の18階層へ向かうという手があります。」

 

「....っ!」

 

何を言われているのか分からない、というようなベル達の横で、リューに教えを請いていた優真はハッとしたように呟く

 

「アンダーリゾート...」

 

「その通りです。」

 

「どういうことだ?全然分からないぞ、説明してくれ。」

 

優真の発言を肯定するリリに対し、話ついていけてないヴェルフが説明を求める

 

「18階層というのは、ダンジョンの中でもモンスターが生まれない珍しい階層です。そのため下層へ向かう冒険者は間違いなく拠点にしているはずです。なので、そこへ行けば安全は確保されます。」

 

リューとの特訓の合間に、ダンジョンの話を聞いていたので知っていた優真は、最初は成る程と思ったが1つの疑問が生まれる

 

「リリ待って、この階層からも生きて帰れるか分からないのに、さらにしたの階層に向かうなんて....」

 

それはベルも同じだったらしく、優真の思っていたこととまったく同じ内容の質問をする

しかし、それはベルの質問への返答で氷解した

 

「縦穴を利用します。現在地も分からない今の状況で1つしかない上層への階段を探すよりも、中層の至るところに在る縦穴を利用して下へ向かった方が遥かに効率的かと。」

 

「階層主はどうする?17階層だろ、あのデカブツが居るのは。」

 

リリの的確な分析に納得している優真達の横で、足の痛みに耐えながら、ヴェルフが階層主について言及する

その名の通り通常のモンスターとは規格が違い、『迷宮の孤王(モンスターレックス)』と呼ばれる程の強さを有している

 

「階層主は遠征に向かったロキファミリアが倒しているはずです。復活するまでのスパンを考えてもギリギリ間に合うはずです。」

 

今ならまだ間に合うかもしれない

反対に、今を逃せば次はない、リリは言外にそう告げていた

 

「本気か、お前...?」

 

いきる残るために敢えてより危険な場所に飛び込むというリリに、ヴェルフが呆然と正気を疑う

 

「あくまで選択肢の一つです。ベル様のおっしゃる通り上層へ向かった方が、取りあえずは安全なことに変わりはありません。もしかしたら他のパーティーに助けを求めることもできる可能性はあります。」

 

しかし、その可能性は限りなく低い

上層と違い、中層は上級冒険者が主なため、そもそもの数が少ない

その上それらは全て『運任せ』になってしまう

それ故の18階層へ向かうという提案だったと理解する

 

「このパーティーのリーダーはベル様です。ご決断はベル様に任せます。」

 

リリがベルを真っ直ぐに見据えて放った言葉の後に、ベルが息を呑む音が聞こえてくる

 

「何で...ゆ、優真は...」

 

ベルが縋る様に此方を見てくるが、その期待には答えることが出来ない

 

「俺をパーティーに誘ったのはベルだし、このパーティーの精神的支柱は間違いなくベルだよ。だから、責任を押し付けるようで悪いけど、ベルが決めてくれ。ベルが決めたことなら俺は文句は言わない。」

 

「でも...」

 

ベルは尚も悩みヴェルフに視線をやる

 

「いい、決めろ。どうなったって俺達はお前を恨みはしない。」

 

ヴェルフは笑いかけながらベルに選択を託す

ベルが緊張しているのは優真から見ても明らかだった

パーティー全員の命を背負うのだから相当なプレッシャーなのだと思う

それでもベルは瞼を閉じて、開くと強い意思を持って全員に告げた

 

「進もう。」

 

 

 

 

▼▽▼▽▼▽▼

 

 

 

空が茜色に染まり、夜に備えて人々が忙しなく動いている頃、ミアハファミリアのホーム『青の薬舗』にミアハ、ヘスティア、ヘファイストス、タケミカヅチとその眷属達が集まっていた

 

「では、この者達が優真達にモンスターを押し付けたと言うのだな。」

 

ミアハの視線の先には神友であるタケミカヅチとその眷属が立っていた

 

「こいつらも必死だったとはいえ本当にすまない、ヘスティア、ミアハ。」

 

「「.....」」

 

タケミカヅチの謝罪にヘスティアは目を瞑り、ミアハは苦々しい顔をする

命達はタケミカヅチの後ろで懺悔するように俯いて立っていた

優真達が帰ってこない事で、ミアハやヘスティアは都市中を走り回り、ギルドでクエストを発注した後、タケミカヅチに助けを求めに行ったところでパスパレードをした相手が優真達のパーティーだと発覚、事の顛末を打ち明けたことにより今に至った

 

そんな中、今まで黙っていたヘスティアが青みがかった瞳を開き、子供達の顔を見回しながら告げる

 

「もしベルくん達が戻ってこなかったら、君達の事を死ぬほど恨む。でも、憎みはしない。約束する。」

 

その言葉に命達は驚いたように顔を上げる

それに対し、ヘスティアは慈愛に満ちた顔で子供達に己の願いを告げる

 

「今はどうか、ボクたちに力を貸しておくれ。」

 

「仰せのままに。」

 

一糸乱れぬ動きでタケミカヅチの眷属達は膝を床につけ、頭を垂れる

そんな子供達の行動にタケミカヅチ目を細め、ヘファイストスは普段とは違う神友に笑みを送る

 

「では話を進めよう。今は時間が惜しい。」

 

前に出たミアハの言葉にヘスティアも頷く

 

「捜索隊、だったな。ヘスティアやミアハの子供が生きていることは間違いないんだな?」

 

「ああ、生きていることは確かだ。」

 

「ボクの方も同じだよ。ヘファイストスはどうなんだい?」

 

「ちょっと待ちなさい....ええ、生きてるわ。」

 

タケミカヅチの確認がミアハからヘスティア、ヘファイストスに渡り、ほぼ全員が生きていることが確定した

そんな中ミアハがヘファイストスに尋ねる

 

「ヘファイストスの子に協力は頼めないか?」

 

「生憎腕利きの子はロキの所の遠征に預けちゃってるの。今いる子じゃ少し心許ないわね。」

 

「ごめんなさいね」、と頭を下げてくるヘファイストスをミアハとヘスティアが必死に止める

 

「うちから送り出せるのは桜花と命、後はサポーターとして千草だけだ。他はどうしても足を引っ張ってしまう事になると思う。悪いな。」

 

「ううん、充分だよ。ありがとう、タケ。」

 

「でも、3人だけというのも不安です。」

 

「確かにな。」

 

中層で死の淵をさ迷った経験の在るナァーザの言葉にミアハだけでなく、全員が頷く

 

「だったら俺も協力するよ、ヘスティア、ミアハ!」

 

全員の訝しげな視線が集まるなか、そんなものはどこ吹く風とでも言うように、その神ヘルメスはヘスティアとミアハの前に颯爽と到着する

 

「やあ久しぶりヘスティア、それからミアハも。」

 

「ヘルメス...何しに来たんだい?」

 

目の前に来たヘルメスにヘスティアは怪しげな視線を向け警戒する

対してヘルメスは口端をつり上げ、懐から1枚の羊皮紙──ヘスティア達が出した冒険者依頼(クエスト)の依頼書を取り出す

 

「困っているんだろう?俺が力を貸すよ。」

 

「.....」

 

ヘルメスの狙いが分からず何も言えないでいると、代わりにタケミカヅチが問いかける

 

「何故ベル=クラネル達を助ける?言え、ヘルメス。」

 

「おいおい、俺はヘルメスだぜ。神友のヘスティアやミアハが困っていたら助けるのは当たり前だろう。」

 

「そう言う割には貴方、下界に来てから碌にヘスティアと関わり持ってないじゃない。ミアハとも暫く会ってないんでしょ。」

 

「これは痛いところを突いてくるな、タケミカヅチ、ヘファイストス。」

 

神友だ何だと胡散臭いヘルメスにタケミカヅチとヘファイストスから呆れた声がかけられる

しかし、ヘルメスは「でも」と付け加えてから真面目に顔になってヘスティアとミアハに告げる

 

「オレもベルくんを助けたいんだよ。勿論優真くん達もね。どうかな?ヘスティア、ミアハ。」

 

ヘスティアを見つめながら笑いかけるヘルメスに、数秒見つめ合った後、ヘスティアは口を開く

 

「分かった。お願いするよ、ヘルメス。ミアハもそれでいいかい?」

 

「勿論だ。今は優真達の安全が最優先だからな。私からも頼むぞ、ヘルメス。」

 

「ああ、任されたよ。」

 

了承するヘスティア達に対し優男の笑みを向け、隣にいるミアハの肩をバシバシと叩きながら今後の話を再開する

 

「捜索隊にはこのアスフィを釣れていく。うちのエースだ、安心してくれ。」

 

その一言でアスフィの同行が決定し、当の本人は周りの目を気にすることもできず重いため息をついていた

 

「となると、出発は今夜辺りね。」

 

「桜花、命、千草、お前達はもう準備を進めろ。」

 

「はい!」

 

タケミカヅチの号令のもと命達が準備に取り掛かり、ミアハはヘファイストスと細かい時間に関して打ち合わせを行っていく

 

「ボクも連れてけ!」

 

その最中、ヘスティアの声が聞こえてきたため、何事かと聞いてみれば、ヘスティアとヘルメスが捜索隊同行するつもりらしい

 

「ベルくんの事を誰かに任せておくなんて出来ない!ボクも助けにいく!」

 

「あんたねぇ...」

 

「無理するなよ。」

 

ヘスティアの意志が固いことを悟ったヘファイストスとタケミカヅチはヘスティアに呆れと苦笑いをそれぞれ浮かべる

 

「ミアハはどうするんだい?一緒に来るかい?」

 

「いや、私は大丈夫だ。行ったとしても優真やナァーザに怒られそうだからな。その代わり伝言を伝えてほしい。」

 

「分かったよ。」

 

ミアハからの頼み事にを了承し頷くヘスティアに、ナァーザが袋を持って話しかける

 

「ヘスティア様、これを。」

 

彼女の手から渡されたのは何らかのメモとポーションが沢山入った小鞄(ポーチ)だった

 

「私はこれ位しか出来ないから...優真とベルの事、よろしくお願いします。」

 

「充分だよ。ありがとう、ナァーザ君。」

 

心に傷を負い、モンスターにトラウマが有るため、直接ダンジョンに入ることの出来ない少女の、出来る限りの心遣いに感謝する

 

「私からもこれを渡しておくわ。」

 

「お、おおっ!」

 

ヘファイストスからヘスティアに白布に包まれた長い棒状の物が渡される

 

「危なくなったら使ってもいいけど、ヴェルフを見つけたら渡してちょうだい。伝言付きでね。」

 

そのヘファイストスの言葉にヘスティアは辛うじて頷く事しか出来ない

非力なヘスティアにはあまりにも重すぎたらしい

 

「不味いなぁ...」

 

一方で、その輪の外にいるヘルメスはポツリと呟く

 

「俺とヘスティア、二人同時に守りきれるか?」

 

「正直保証しかねます。」

 

ヘルメスの問いかけに、アスフィは淡々と事実だけを告げる

 

「だよなぁ~。」

 

同意の言葉をだし、やや黙考した後、しょうがないとでもいうかのように呟く

 

「もう1人連れてくるか。」

 

そう言ったヘルメスの脳内には、とある酒場で働く1人のエルフの姿が浮かんでいた

 

 

 

 

──────────────────

 

 

 

ヘルメス

 

ヘルメスファミリアの主神で旅の神でもある

普段はオラリオの外をフラフラと旅をしながら情報収集等をしている

中立を気取るヘルメスファミリアは多くの団員のレベルを詐称している

 

 

アスフィ=アル=アンドロメダ

 

ヘルメスファミリアの団長にしてレベル4の冒険者

二つ名は『万能者(ペルセウス)

貴重な発展アビリティ『神秘』を有している希代のアイテムメーカーでもある

ヘルメスの我が儘にいつも振り回されて団員達からもかなり心配されているらしい

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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迷宮の楽園(アンダーリゾート)

三周年イベント良かったです

遅くなってごめんなさい

 

───────────────────

 

 

 

薄暗い迷宮の道に冒険者達の足音が響く

最初は四つだった足音は半分になり、比例するかの様に歩みが遅くなる

はっ、はっ、という荒い呼吸音がベルのものなのか、それとも自分のなのかを判別する余裕も無いほど二人は疲れきっていた

 

18階層へ向かう事を決めてからの序盤は、今考えるとまだマシだったと言える

リリがナァーザと共同開発した『強臭袋(モルブル)』によりモンスターとの遭遇はかなり避けられた

それに加えてヴェルフの【ウィル・オ・ウィスプ】という『魔力暴発(イグニスファトゥス)』を引き起こす、魔導師からすれば反則とも言える『対魔力魔法(アンチマジックファイア)』によってヘルハウンドの対処が楽に出来たことが大きい

 

しかし、魔法の多用によりヴェルフはマインドダウンに陥り、もともと体力の少ないリリは限界に達したらしく今は気を失ってベルに背負われている

そして二人も余裕が無い

体力にはそれなりの自信がある優真も自分より背の高いヴェルフを背負って歩くのは楽じゃないし、度重なる戦闘で体力は使い果たし、精神的にも限界が近づいていた

 

「ここって...」

 

ベルの呟きに半ば沈みかけていた意識を引き上げる

下がり気味だった視線を正面に向ければ、そこには白い大理石のような物で構成された巨大なルームが広がっていた

 

「『嘆きの大壁』...」

 

「間違いないよ。エイナさんに教わった通りだ。」

 

優真の漏れ出た言葉に反応するベルの声は、漸くゴールが見えたからか、僅かに弾んでいる

それもそのはず、『嘆きの大壁』は17階層と18階層を繋ぐ連絡路の前に鎮座している

本来なら其処には階層主が居座っており、最後の難関となるが、今はリリの予想通り存在しない

助かる、という思いが二人の中に生まれ、ボロボロの体を突き動かす

 

しかし、ダンジョンは狙ったかの様なタイミングで冒険者達に絶望を突きつける

バキリ、と音がなる

 

「────」

 

瞬間優真の口から声にならない悲鳴が漏れる

音の出所は優真のやや後方

壁が罅割れ、その音は徐々に大きさを増し、遂に原因が姿を表す

 

「っ!」

 

思わず息をのむ

壁から現れた赤い目がしっかりと此方を見つめている

その瞬間に理解する

階層主は居なかったのではなく待っていたのだと

油断して入ってきた獲物を仕留めるためにじっとしていたに過ぎなかったのだ

 

「走れっ!」

 

それでもやることは変わらない

ベルの叫び声を合図にその背中を必死で追いかける

 

広大な大広間の中程を過ぎた辺りで、遂にゴライアスがその巨体を顕にする

そのまま優真達に狙いを定め、その剛腕を大きく振りかぶった

 

通路まであと少しというところで優真は異変に気づく

振り返ってみれば巨人の右腕が迫っていた

 

ギリギリで間に合わない...

 

刹那の思考の中でそれを悟った優真は一つの賭けに出る

 

「頼むベルっ!」

 

「えっ?!」

 

連絡路の目の前まで辿り着いたベルに向かってヴェルフを思いっきりぶん投げる

怪我人にそんな事をするのは気が引けるが、今は構っていられない

 

巨人の一撃から逃れるために軽くなった身体に必死で鞭を打ち、足を動かし続ける

 

「オオオオオオオオオオオオッ!」

 

18階層へ繋がる洞窟の直前で鉄槌が炸裂する

 

「かはっ...」

 

直ぐ後ろから発生した暴風に殴り飛ばされる様に宙に舞う

 

「ぐっ!」

 

次に背中を衝撃が襲う

肺の空気が一斉に吐き出される

洞窟に吹き飛ばされたのか、体が二度三度とバウンドするかのように打ち付けられる

 

「あっ...」

 

身体が地面に投げ出される

全身を打ち付けられ、意識が朦朧としだす

必死で瞼をこじ開けるも視界は真っ赤に染まり、周囲の状況を掴むことも難しい

それでも助けを呼ぼうと身体に力を込めるも、その意思に反して優真の意識は暗闇に沈んでしまった

 

 

 

 

▽▼▽▼▽▼▽

 

 

 

クチャクチャという何かを咀嚼する音が響く

目を開けてみるも、視界がボヤけて良く見ることが出来ない

自分の意思とは関係なく身体は震え、涙が頬を伝う

周りは薄暗く、僅かに開いた扉の隙間から光が射し込んでいるため、押し入れの中に居るのだろう

扉の隙間から見える光景は凄惨だった

全身血塗れの男が一心不乱に何かを食べ続ける

 

「姉...さん...。」

 

自分の口から自分のものではない声色の声が漏れる

それを合図にするかの様に段々と意識が遠退いていく

見覚えのある柄の布地が視界に入り込んだのを最後に、意識は再び失われた

 

 

 

▼▽▼▽▼▽▼

 

 

 

ズキズキという痛みに意識が一気に覚醒する

痛みに呻き声を上げながら重たい瞼をこじ開けると布地の天井が視界に映る

寝起きでホワホワしている頭を働かせながら周囲を見回せば先に起きていたベル達が話しかけてくる

 

「優真起きたんだね。かなり魘されてたし、このまま目を覚まさなかったらどうしようかと思って心配したよ。」

 

「俺達のせいでかなり無理をさせちまったからな。とにかく目が覚めてくれて良かった。」

 

「そうですね。御二人にはまた助けられてしまいました。」

 

「気にしないで。パーティーなんだから助け合うのは当たり前だよ。それに、このメンバー全員が居たから生き残れたんだよ。」

 

申し訳なさそうにしているヴェルフとリリに笑いながら返事をする

全員無事に生き残れたという事実に、安堵と笑顔が込み上げてくる

 

「そういえば此処ってどこなの?見た感じテントの中みたいだけど。」

 

ふと疑問に思ったことを聞いてみれば、ロキファミリアの人達が助けてくれたらしく、思わぬ大物ファミリアの名前に絶句してしまう

リリとヴェルフもまだ聞いていなかったらしく、リリは頬がひきつり、ヴェルフはマジかという顔をしている

 

「おい、入るぞォ。」

 

「は、はい。」

 

テントの外からかかった声に慌てて返事を返すと、白髪の男が入ってきた

 

「ひっ...」

 

「よお、起きたかァ。」

 

入ってきた男の人相を見てベルとリリが短い悲鳴を上げる

それもそのはず顔は傷だらけで目付きはきつく、如何にもな顔をしていた

因みにリリはちゃっかりベルに抱きついている

 

「さ、実弥おじさん!」

 

「はぁっ!」

 

急に動かなくなった優真を心配して、声をかけようとしたヴェルフは思わず驚きの声が出てしまう

ベルとリリも同様に驚いた顔をしているが、当の二人はそんな事に気づかず話を進めていく

 

「いきなり担ぎ込まれてきたから心配したぞォ。もう身体は大丈夫なのかァ。」

 

「まだ痛みはあるけど、大分良くなりました。ありがとうございます。」

 

「そうかァ。治したのはリヴェリア達だから礼はそいつらに言ってやれ。」

 

優真とは似ても似つかない人物を叔父と呼び、楽しそうに会話している姿にベル達が言葉を失っていると、再びテントの幕が開き、アイズが入ってくる

 

「あ、実弥...此処に居たんだ。それに、君達も...起きたんだね。」

 

「どうしたアイズ。何か用かァ。」

 

いきなりの第一級冒険者の登場に度肝を抜かれるヴェルフとリリや「お久しぶりです。」と挨拶する優真を尻目に実弥はアイズに問いかける

 

「食事の用意ができたから、呼びにきたの。実弥こそ、どうして此処に...。」

 

「俺は甥の様子を見に来ただけだァ。」

 

「甥...っ!」

 

瞬間アイズに雷が走ったかのようにある可能性が浮かぶ

空に浮かぶ雲のように白い髪、どことなく似ている顔つき、そして時々見せる戦闘センス

 

(ベルは、もしかして実弥の...)

 

そこまで考えてアイズは悲しくなってくる

もし実弥の甥がベルだとするなら、ベルが態々アイズに戦いかたを教わる理由がなくなってしまう

そうなってしまえば、あの癒しの時間もとい膝枕タイムもなくなってしまうだろう

それは嫌だった

心の中の小さいアイズが涙目になるくらい嫌だった

故に確かめなくてはいけない

もしそうだった場合はアイズ達が帰還するまでに会う理由を取り付けなくてはいけないからだ

 

(善は...急げ...)

 

階層主と単独で戦うと決めた時以上の決意をもって問いかける

 

「実弥は、もしかして、ベルの...」

 

「違ェ。」

 

小さいアイズは跳び跳ねた

 

 

 

▽▼▽▼▽▼▽

 

 

 

夕食の為に実弥とアイズに続いてテントを出てみれば、辺りは夜の様相を呈していた

天井や壁から生えているクリスタルは暗い中でも光を放ち、ダンジョンでは見ることの出来ない星の様でもある

優真達が居た天幕の周囲には他の天幕が多数設置されていて、幾つかの魔石灯を配置してオレンジ色の光を灯している

真ん中のスペースには大きい焚き火が置いてあるため、キャンプファイアの様でもある

 

「っ!」

 

初めて見る光景に目を奪われ、あちこち見回していた優真の視界にある人物が映り込む

何処にでも居そうな平均的な顔立ち、男性としてはサラサラ過ぎる髪、そして優真達と同じく日輪刀を腰に差している

 

「む、村田さん!」

 

優真が最もなついている鬼殺隊士、村田が居た

 

「おっ、優真か。起きたんだな。」

 

「はい。村田さん、叔父さんと一緒に居たんですね。」

 

笑顔で駆け寄った優真が疑問に思った事を言えば、村田はどこか所在なさげに呟く

 

「ああ、何でか知らないけど指名されちゃってさ。優真の前でこんなこと言うのもなんだけど、風柱様面倒見は良いんだけど怖いんだよ。て言うか水柱と恋柱様以外の柱は全員怖いし。だから気が休まらなくて...」

 

普段は口に出せない愚痴を言いながら村田は大きくため息をつく

たまの休みの日も稽古でシバかれているらしく、疲れが滲み出ていた

 

「みんな座ってくれ。」

 

そこでフィンさんの号令がかかる

何かの話を始めるらしく、各々が移動していく

焚き火を真ん中にして円形の様に腰を降ろす

ベルのサイドにはアイズとリリが、リリの隣にヴェルフ、優真、実弥、村田の順に座っていった

 

「改めて聞いてほしい。彼等は───」

 

全員が座ったのを見計らってフィンさんが改めて俺たちの説明をする

その内容は無駄な衝突を防ぐ為にそれぞれの自尊心に訴えかけるような物で、リリも感心していた

 

そして話が終わると直ぐに食事が始まった

シチューの様な食べ物にパン、18階層で採れたらしい果実等だった

 

取り敢えず黄色の綿花に似た果実が甘そうなので手に取ってみる

何でも雲菓子(ハニークラウド)と言われているらしいそれを口に含めば濃厚な甘い風味が口に充満する

 

ウマイ、控えめに言ってウマ過ぎる

この口に広がる強烈な甘みとふわふわの食感に頬が緩んでしまう

こんなに美味しい物が採れるダンジョンの神秘に感激しながら二つ目に手を伸ばそうとしたところで実弥に止められ、小言をもらう

 

「先に主食を食えェ。甘い物を先に食ったら腹がいっぱいになるだろうが。ちゃんと食べねえと大きくなれねえぞォ。」

 

「...はい。」

 

外見からは予想できない面倒見の良さを発揮する実弥に従い渋々パンやシチューを口に運ぶ

その最中、甘い物関連で伝えなきゃいけないことを思い出した為、口の中の物を急いで飲み込み話しかける

 

「そういえば、叔父さんが残していったおはぎま──ふぐっ!」

 

「ほーら遠慮せずに俺の分も食えェ。」

 

実弥の飼っていたカブトムシの話をしようとした瞬間パンを口に突っ込まれ声が出せなくなってしまう

実弥の顔を見てみれば、「それ以上は言うな。」と目だけで訴えてくる

どうやらカブトムシが好きなことは秘密にしているらしい

それを察して首を縦に振ると、漸くパンが離れていった

何をしているんだという周りの視線を無視しながら口に突っ込まれたパンの一部をモシャモシャしていると、遠くからどこかで聞いたような女性の悲鳴が響いてくる

 

「っ!すいません。行かせてください。」

 

という言葉を残してベルが走り出し、リリとヴェルフ、更にはアイズもそれに続いて声のした方へ向かっていく

 

「もげもいっへひまふ。」

 

「飲み込んでから喋れェ。あと俺も行く。」

 

ベル達を放ってはおけないので「俺も行ってきます。」と実弥に伝えれば一緒に来てくれるらしく、並んで走り出す

17階層への連絡路がある方から音がするので向かってみれば、リリと何故かいるヘスティアが取っ組み合っていた

 

「どういう状況?」

 

「俺にも分からん。」

 

何が起こっているのかを近くに居たヴェルフに聞いてみたものの、どうやらヴェルフも分からないらしく、げんなりとした様子で答える

 

「冨岡さん。」

 

「...リ、リオンさん!?」

 

突然耳元で囁かれた最近はほぼ毎日聞いている声に、まさかと思いつつそちらを見れば、覆面で顔を隠し、いつもとは違う冒険者の装備に身を包んだリューが立っていた

 

「無事で良かった。」

 

「...っ。」

 

覆面を少しだけずらして、優真の無事に安堵するように微笑むリオンさんに思わず見惚れてしまう

反応が薄い事を不思議に思ったのか、かわいらしく首を傾げるリオンさんに何とか気になっていることを聞く

 

「リオンさんはどうしてここに?」

 

「あの神にあなた達の捜索に参加するように頼まれました。」

 

リオンさんが指差す方向を目で追うと、一柱の男神がベルと話していた

 

「あの神は二枚舌の権化と言っても過言ではありません。充分気を付けてください。」

 

神相手に堂々と二枚舌と言い切るリューに思わず苦笑いが漏れる

ぱっと見た感じでは爽やかイケメンの様な見た目をしているため、とてもそんな風には見えない

 

「私は訳有って此処に居るのが知られる訳にはいきません。なので失礼しますね。」

 

「?...はい。ありがとうございました。」

 

どんな事情なのか不思議に思いつつも、態々こんなところまで来てくれたリオンさんにお礼を言って別れる

するとさっきまでベルと話していた男神様が此方に歩み寄り、笑顔で話しかけてきた

 

「やあ、君が優真くんかい?」

 

「そうです。」

 

「そうか。俺はヘルメス。よろしくね。」

 

「はい。よろしくお願いします。」

 

差し出された手をとって握手を交わす

こうして少し喋ってみたがやはりリオンさんの言っていた様な胡散臭い感じはしない

優真がそんな事を考えている中ヘルメスは優真の横に居る実弥に笑いかける

 

「実弥も久しぶり。無事に帰ってきてくれて嬉しいよ。」

 

「よく言う。何で優真の捜索にきたんだァ。」

 

「冨岡って名前を聞いてもしかしたらって思ってね。元々ベルくんの捜索には行くつもりだったし、鬼殺隊には借りがあるからね。関係者を見捨てるわけにはいかないさ。」

 

「そうだったんですね。助けに来てくれてありがとうございます。」

 

ヘルメス様と鬼殺隊に繋がりが合ったのに驚くも、お礼を言うとヘルメス様は感謝は彼等にしてほしいと18階層の入り口を指差す

 

「アイツ等は...」

 

逸速くその方向を見て苦々しく呟くヴェルフの視線を追って優真は二つの事に瞠目する

 

一つは優真達にパスパレードを仕掛けた冒険者達が居たこと

そして、それ以上に驚いたことはというと

 

「おいおい、揃いも揃ってド派手に俺のお出迎えか。分かってるじゃねえか。」

 

等とほざく左目に眼帯をした長身の男、自称祭りの神・宇随 天元が居た

 

 

 

 

──────────────────

 

 

 

 

不死川 実弥

 

level6の風柱で優真の叔父

ロキファミリアの遠征に同行してたけどロキファミリアには入ってません

というよりオラリオのファミリアに入ってません

おはぎ大好き、カブトムシ大好きのアラフォー

カブトムシの名前はおはぎまる

お嫁さんは分かるよね!

子供は五人居て、寿美・貞子・こと・就也・弘

家族仲はメチャクチャ良いが数年前から殆ど家に帰れていないので、久しぶりに帰ると拗ねられて冷たくされることがある

単身赴任は大変

そして全力で凹む

ベートと仲が良い

 

 

 

村田さん

 

一部のファンに宗教的人気を誇るlevel3

階級は丙

無限城の一件で実弥に目をつけられ、義勇の推薦も有って補佐役に任命された苦労人

level3だけどlevel4とそれなりに戦える

ラウルと仲が良く、頻繁に愚痴を言い合う中らしい

独身

 

 

宇随 天元

 

level5の音柱

耳がメチャクチャ良い

子供は九人居て家族仲は良好

何時もはオラリオ内外の情報収集をしていて、タケミカヅチの所に下宿している

因みに宇随も単身赴任

 

 

 

 



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白巫女(マイナデス)

 

全然戦ってないな~と思う今日この頃

多分次回も戦闘ないです

 

 

 

 

───────────────────

 

 

 

 

 

「申し訳ございませんでした!」

 

色々と有ったものの、取り敢えず落ち着いて話をするため、フィンさんに滞在許可を貰いに行ったヘルメス様とアスフィさん、天元さんがやらかしそうで心配だからと付いていった叔父さん、そして訳が在ると言っていたリオンさん以外の全員でテントに戻ったのだが、命さんがいきなり土下座を繰り出したため気圧されてしまっていた。

いや、ベルとヘスティア様は「おお...」とか言って感心してたが。

 

「いくら謝られても簡単には許せません。リリ達は死にかけたんですから。」

 

「リリ殿達の怒りはもっともです。好きなだけ糾弾してください。」

 

「あの、本当に、ごめんなさい。」

 

気圧されこそしたものの、リリは剣呑な雰囲気を崩さず、ヴェルフも半ば睨み付けるような目で命さん達を見ている。

 

「あれは俺が出した指示だ。責めるなら俺を責めろ。俺は今でもあの指示が間違っていたとは思っていない。」

 

「それをよく俺たちの前で言えたな、大男。」

 

命さん達を庇うように前に出て言い張った桜花さんにヴェルフが眦を決っして詰め寄る。

一触即発の雰囲気をどうにかしなければと考えを巡らせるも良い案が浮かばず、横に居る村田さんに助けを求めるもお手上げというように首を横に振られてしまう。

ベルともどうしたら良いか分からない様でオロオロしており、ヘスティア様も腕を組んで唸っている。

優真が若干の諦めの境地に入ろうとしたと同時にテントの幕を上げて誰かが入っててくる。

見れば、滞在の許可を取りに行っていたヘルメス様達が戻ってきており、今の状況を見て不思議そうにしていた。

 

「これは地味にどういう状況だ。説明しろ村田。」

 

ヘルメスに続いて入ってきた宇随は近くにいた村田を捕まえて説明を聞くと、「まだやっていたのか。」と言わんばかりにため息を吐く

ヘルメスも同じ考えだったらしく、パンパンと手を叩いて全員の注目を集めると場違いなほど明るく話し始める

 

「そんなに難しく考えなくても良いんじゃないかな。命ちゃん達のせいで酷い目に遭ったのかも知れないけど、君達を助けに来たのは彼女達の意志であって、誰かに命令されて来た訳じゃない。彼女等には罪滅ぼしをする意思が有るんだ。いざという時には馬車馬の様に働いて貰えば良いんじゃないかい?」

 

話し終わるとヘルメス様はリリとヴェルフに「どうかな?」という様に視線を送る。

 

「そういうことでしたら...。」

 

「割り切ってはやる。ただ、納得はしてないからな。」

 

「ああ、それで充分だ。」

 

渋々といった感じではあるが、リリとヴェルフも怒りを鎮めてくれたらしく、桜花さんもそれを見て神妙な顔で頷く。

 

「それじゃあこれからの話をしようか。」

 

あっという間に場を収めたヘルメス様は何でも無いように話を進めようと提案する。

異を唱える人が居なかったため、ヘルメス様の後ろに控えていたアスフィさんが前に出てこれからの予定を話してくれた。

 

アスフィさんが言うには、地上に向けての出発はロキファミリアがゴライアスを倒した後になるため、それまでの間は時間が空くらしい。

結果としては明日一日は自由時間となった。

 

話し合いが終わり、男性陣は見張り兼野宿の為テントから外に出る

そこで優真は少し疑問に思っていた事を実弥に訪ねる

 

「そういえば何でロキファミリアは18階層(ここ)に留まることになったんですか?」

 

「団員の何人かが厄介な毒を貰ったんだァ。それで足のある奴が地上まで解毒薬を取りに行っててなァ、戻ってくるまでは動けねえんだァ。」

 

それを聞いて、少し考え込むような仕草をしていた優真は一つの提案をする

 

「だったら俺も協力しますよ。」

 

「あァ?......いや、そうか。お前もそうだったなァ。」

 

最初は怪訝な顔をしたものの、何かを思い出した実弥は数秒間考え込んだ後に「着いてこい。」と言って今出たテントとは別の、フィン達首脳陣の居るテントにに向かって歩いていった

 

 

 

 

 

▽▼▽▼▽▼▽

 

 

 

 

「此処だ。入ってくれ。」

 

すっかり喧騒のなくなった夜営地にリヴェリアの凛とした声が響く

あの後フィン達に実弥が事情を説明し、毒の治療のために優真達は負傷した団員達が居るテントに来ていた

 

リヴェリアさんに促されるままに中に足を踏み入れると、その惨状に顔をしかめてしまう。

天幕の中には大勢の団員が寝かされていて、額に玉のような汗をかき、息苦しそうにしている。

試しに近くにいた兎人(ヒュームバニー)の首筋に触れてみれば、普通よりも遥かに速い脈動と自分の体温よりも高い熱が伝わってくる。

 

「どうにか出来そうかァ。」

 

「やってみないと分からないですけど、何とかなりそうな気はします。」

 

実弥に返事を返した後、優真は早速準備に取り掛かる

とは言っても、やることは多くなくない。

最近は護身用として常に持ち歩いている義勇から貰った日輪刀『水月(すいげつ)』を腰から引き抜き、自分の手を軽く切って出血させる。

看病をしていた団員達の何をしているんだという視線を受けながら、優真は血を新しく持ってきた水桶に入れてかき混ぜ、近くに居る団員に飲ませる。

 

「疑うわけではないが、俄には信じがたいな。」

 

「まァ、そうだろうなァ。」

 

実弥達の話を信じきれていないリヴェリアに同意しながらも、実弥は詳しい説明を始める

 

「優真はなァ、俺と同じで稀血なんだよ。理屈はよく分からねェが、毒にたいして異常な免疫力を持っててなァ、その辺のモンスターの毒じゃァ効かねェどころか治せちまうんだよ。」

 

実弥の言葉を肯定するかの様に血液入りの水を飲んだ団員の熱が段々と引いていく。

流石に完治させる事はできなかったが、呼吸も安定してきていて息苦しさは軽減出来たように見える。

 

「凄まじいな。本当に毒に対して作用するとは....。」

 

全員の意見を代弁するかのようにリヴェリアは僅に目を見張り驚きを露にする

 

当の優真はというと実弥によくやったと頭を撫でられて顔を綻ばせている

 

「ともかく本当に助かった。例を言わせてくれ。」

 

「いえ、元々助けて貰ったのは此方ですし。」

 

改まってお礼を言ってくるリヴェリアさんに「これくらいはさせてほしい」と返答する。

 

「それは助かる。ともかく今日は疲れも有るだろうからもう休んでくれ。また明日頼むかもしれないがよろしく頼む。」

 

「分かりました。」

 

「それじゃあな。」

 

微笑みながら言うリヴェリアさんの言葉に甘えてその場を後にする。

実際中層をさ迷い続けた事による疲労は半日爆睡しても抜けきっていなかったらしく結構眠い。

だから別のテントに引き摺られていくヴェルフを見なかった事にしても良いだろう。

 

「おい優真ァ、あれって───」

 

「知らないです。」

 

そうして、寝床に戻るとヴェルフの悲鳴を危機ながら、あらゆる事から目を閉じた。

 

 

 

 

 

▼▽▼▽▼▽▼

 

 

 

 

18階層の入り口付近の木陰に立ちながら、変なとこに出くわしちゃったな~、とどこか他人事の様な感想を抱く。

 

というのも、朝食の時に皆でリヴィラの町に行くことを聞かされたのだが、ナァーザさんからのメモに取ってきて欲しい薬草が書いてあってので泣く泣く断り今まで探していたのだが、少し休憩をと思って木陰に来るとレフィーヤさんとエルフの女性が喧嘩をしていたのである。

 

「私はフィルヴィスさんにとってどーでも良い存在なんですかっ!」

 

「そ、そんな事は言っていないっ!」

 

訂正しよう─痴話喧嘩をしていた。

今もレフィーヤさんがフィルヴィスと呼んだ黒髪の白い戦闘衣を着たエルフの女性の手をつかみ、帰る、帰らせないのイチャイチャを始めていた。

目の前の光景は百合一色である。

このままでは変なものに目覚めてしまいそうだったので立ち去ろうとした矢先、百合百合な光景に気をとられていたのか足元に落ちていた枝を踏んでしまう。

 

「っ、誰だっ!」

 

その瞬間フィルヴィスさんが腰から素早くナイフを引き抜き投擲する。

投げたナイフは見事に俺の顔の横を通りすぎ、後ろにあった木に突き刺さった。

 

「優真さん?!」

 

「お久しぶりです、レフィーヤさん。」

 

此方の正体にに気がついたレフィーヤさん達に苦笑いで近付きながら挨拶をする。

 

「い、いつから聞いていましたか...?」

 

「ツンデレの辺りから。」

 

「ほとんど最初からじゃないですか!」

 

恐る恐るといった風に聞いてきたレフィーヤさんの質問に答えれば、恥ずかしさからかエルフ特有の長い耳を先端まで真っ赤にして座り込んでしまう。

隣を見ればフィルヴィスさんも俯いてしまっている。

表情こそよく分からないが、耳の先端がほんのり赤く染まっているので、恐らく聞かれたのが恥ずかしかったのだろう。

自分が原因ではあるのだが、こういう雰囲気は正直気まずい。

 

「えっと、俺はまだやることがあるのでこの辺で失礼しま──」

 

「ダメです!」

 

そんな気まずい空気から逃げ出そうとしたところをすかさず復活したレフィーヤさんに手首をがっちり掴まれて阻止されてしまう。

無理矢理振りほどこうにも自分よりも高位の冒険者なので振りほどけない。

レフィーヤさんは後衛職なので本気でやればなんとかなるかもしれないが、流石に女性に手荒な真似は出来ないので力での解決を断念し、言葉での脱出を図る。

 

「あの、心配しなくても誰かに言いふらしたりはしませんよ。」

 

「ダメです!優真さんに聞かれたというだけでかなり恥ずかしがったんですから!なので責任を取って貰います。」

 

咄嗟に聞きたくて聞いたわけではない、と言いそうになったが、確かに個人的な会話を聞いてしまったのも事実だし、レフィーヤさんなら無理難題は押し付けてこないだろうと考えて了承する。

 

「では私からのお願いは優真さんにフィルヴィスさんと仲良くしてもらうことです。」

 

「「は?」」

 

自信満々と言った様子でレフィーヤさんが発した言葉に間抜けな声が漏れてしまう。

それはフィルヴィスさんも同じだったらしく、ほぼ同じタイミングで横からも同様の声が聞こえてきた。

そんな俺達を置いてけぼりにして、レフィーヤさんは話を続ける。

 

「優真さんが聞いた通りフィルヴィスさんはツンデレで自分の事を直ぐに卑下するんです。でも本当はとっても良いエルフなんです。だから優真さんにはフィルヴィスさんと仲良くなってもらって、フィルヴィスさんの良いところを沢山知って欲しいんです!」

 

どうでしょう、とばかりに胸を張るレフィーヤさんだが、その提案に直ぐに頷くことはできない。

というのも、なんとなく言いたいことは伝わったし、仲良くなることは良いのだが、不安な点が一つだけある。

 

「そんな必要はない。」

 

その不安を体現するように、仲良くして欲しいというレフィーヤさんの提案をフィルヴィスさんが一蹴する。

レフィーヤさんの提案自体は良いことなのだが、本人がそれを求めていないと実現しないのである。

 

「どうしてですか?」

 

「私は汚れている。そんな私と仲良くすれば彼にも迷惑がかかってしまうだろう。お前も私が何と呼ばれているか位は知っているだろう?」

 

「いや、知りませんけど。」

 

レフィーヤさんの言うとおり、どこか自分を卑下しつつ聞いてきたフィルヴィスさんに全く知らないと返すと驚いた様な表情になる。

気になったのでレフィーヤさんに聞いてみれば驚きの答えが返ってきた。

 

曰く、フィルヴィスさんは闇派閥(イヴィルス)のせいで起こったとある事件の唯一の生き残りだということ。

その事件以来彼女とパーティーを組んだ冒険者は例外なく死んでしまったらしい。

そのためフィルヴィスさんは『死妖精(バンシー)』などと呼ばれ冒険者から疎まれ、それ故に自己評価が低くなってしまったと。

 

そんな中レフィーヤが優真に説明している光景を一人見つめていたフィルヴィスは少し寂しげに眉を閉じる

レフィーヤがそんな風に思っていてくれたことは少し気恥ずかしくもあるが純粋に嬉しかった

しかし他の冒険者達はそうはいかないのだ

彼女の正体をしれば殆どの者は絶対に関わろうとはせず、彼女もこれ以上自分と関わることで誰かを不幸にしたくないがために他者を拒絶する

だからこれで良いのだと、一抹の寂しさを感じる自分に言い聞かせる

きっとあの冒険者も自分の事についてしれば関わろうとはしないだろう

ディオニュソス様とレフィーヤだけが特別であり、これからも変わらないと考えていた

だからこそ、優真の発言は彼女にとって信じがたいものだった

 

「分かりました。是非仲良くしましょう。なんなら友達になってください!」

 

「なっ...、正気か?!レフィーヤの今の話を聞いただろう。その話は全て真実だ。私は良いエルフではない。周りに不幸を撒き散らすだけの存在なんだ。だからもう私にかまうな!」

 

「イヤです!」

 

フィルヴィスさんの言い分を真っ向から否定する。

正直フィルヴィスさんの事は殆ど知らないが、短い間でも分かったことがある。

 

「今もそうですけど、フィルヴィスさんは俺の事を気遣って関わるなって言ってるじゃないですか。そんな人が汚れている訳ありませんよ。」

 

「何故そんな事が言える。私とお前は今会ったばかりだろう。こんな短い時間で何が分かると言うんだ。」

 

「だったら、これから仲良くなって良いところを沢山見つけます!」

 

瞬間フィルヴィスの顔が驚きに染まる

優真の放った台詞は彼女がレフィーヤと初めて会ったその日に今と同じく、関わるなと言った自分にに対して言った言葉と同じだったからだ

数秒項垂れた後、フィルヴィスはどこか諦めたかの様な面持ちで言葉を紡ぐ

 

「お前達はいつもこんなに強引なのか?」

 

すると、先程までとは対照的に二人はどこか気まずそうにしながら問いに返答を返す

 

「えっと...アイズさん達にはこんなこと出来ないっていうか、フィルヴィスさんだけ?」

 

「俺も他の人にはあんまり...」

 

片や目をそらし、片や苦笑いで答える少年少女にフィルヴィスは「どうして私だけなんだ!」と、悲鳴にも似た絶叫を打ち上げる

しかし、彼女は不思議と嫌な気持ちにはなっておらず、喜びの様な感情を抱いていた

その事を自覚し、原因となった同族の少女を恨みがましく見つめながら口を開く

 

「お前と出会ってから、私はどんどんおかしくなっている。」

 

自分が変えられてしまったことに対する恨み節を言った筈なのに、当の本人は何が嬉しいのか「えへへっ」とだらしなく頬を緩ませている

そんなレフィーヤを見て暖かい気持ちになった自分はもうとっくに毒され切ってていたのだと彼女は漸く理解した

 

「それじゃあ、もうフィルヴィスさんも納得したみたいですし、お互いに自己紹介を済ませちゃいましよう。」

 

未だに笑顔をやめられないレフィーヤさんの提案に従ってフィルヴィスさんに近づいて自己紹介を始める。

 

「冨岡優真です。ミアハファミリア所属のレベル2です。よろしくお願いします、フィルヴィスさん。」

 

「.....フィルヴィス・シャリア。ディオニュソスファミリア所属でレベル3だ。...その、まあ、なんだ....よ、よろしく頼む...優真。」

 

どこか恥ずかしそうにしながらも精一杯歩み寄ってくれたフィルヴィスさんの姿についつい破願してしまう。

見ればレフィーヤさんも嬉しそうに笑って此方を見ている。

フィルヴィスさんは俯いてしまっているが、少なくとも怒っている気配はしなかった。

 

結局、恥ずかしそうに耳を赤く染め俯くエルフの少女と、それを笑顔で見つめる少年少女という奇妙な光景は、フィルヴィスが逃げるように立ち去るまで続いていた

 

 

 

 

 

 

───────────────────

 

 

 

 

フィルヴィス・シャリア

 

ディオニュソスファミリア団長

二つ儺は『白巫女(マイナデス)

主神のディオニュソスを崇拝していて恥ずかしい命令でも大体聞いてしまう

戦闘では二つの超短文詠唱魔法と白い短杖(ワンド)と短剣を使い近中距離をこなす

団員達からの人望はあまりないが、ディオニュソスからは一番信頼され、頼りにされている

 

 

 

 

 

大正こそこそ噂話

 

 

優真の持っている『水月』は鋼塚が打ち直したもので、デュランダルにも関わらず第二等級武装と同等の切れ味を持ち、ロキファミリアが遠征用に椿に用意させた武器と同等の性能をしている

義勇は本来ここまでの物にする予定ではなかったのだが、しのぶの親バカが暴走しこうなった

優真がレベル1の時に『水月』を持っていなかったのはこの価値を正確に見抜いたナァーザに止められたかららしい

 

 

 

 

 

 



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