偽りを纏いし転生者とToLOVEるな日々(凍結) (アイリエッタ・ゼロス)
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転生

 アナザーライダーってデザインがカッコいいですよね!!!
 そんなアナザーライダー達をカッコよく書いていきたいと思います!
 是非、温かく見守ってくださると幸いです。


「何処だよここ....」

 

 俺の名前は影宮 蓮。学校帰りに俺の前を歩いていた女性が

 信号無視をした車に轢かれそうで助けた瞬間、意識を失った。

 そして、眼を覚ますとどこかわからない場所にいた。

 

「あ、あの〜」

「っ!」

 

 急に俺の後ろから声をかけられた。

 俺が振り向くと、そこには真っ白なドレスを着た

 銀髪の美女がいた。

 

「(すげぇ美人....)」

 俺が頭の中でそう考えると、

「び、美人だなんて....」///

 銀髪の美女は顔を赤らめた。

 

「....俺の考えたことがわかるのか?」

「は、はい! これでも女神ですから!」

 女神は胸を張ってそう言った。

 

「そうか。それで、女神様が俺に何の用だ?」

 すると女神は、

「助けていただきありがとうございます。

 そして、私のせいであなたを死なせてしまってごめんなさい!」

 と言って、俺に土下座をしてきた。

「....あの、どういうことだ?」

 すると、女神は申し訳なさそうに、

「....そのですね、あの時車に轢かれそうになったのは私なんです」

 と言った。

 

「そうだったのか」

「はい。本当に申し訳ありません....」

 女神は今にも泣きそうな目でそう言った。

 

「気にすんな。あんたは怪我がなかったんだろ?」

「は、はい」

「なら別にいい」

「....ありがとうございます」

 そう言ってもう一度土下座をしようとした。

 

「女神なんだから、土下座はやめろ」

「ですが私の気がすみません!」

「....あんた、強情だな」

「せめてもの償いとして、あなたを転生させてください」

「転生?」

 俺が不思議そうに言うと、

「....もしかして、転生を知らないんですか?」

 女神は驚いたように言った。

 

「あぁ」

「そ、そうですか。なら説明をさせていただきますね」

「おう」

 すると、女神から転生の説明をされた。

 

 〜〜〜

 

「....つまり、選ばれた人間を特別な力を与えて別世界に送るってことか」

「はい、そうなります」

「....そうか」

 俺は話を聞いて、夢みたいな話だと思った。

 

 すると女神は申し訳なさそうに、こう言ってきた。

「ですが、一つ問題がありまして....」

「問題?」

「そ、その、あなたの場合、条件付きの転生なのですが....」

「条件付き?」

「はい。転生場所を私達の方で決める転生になるんです」

「何故だ?」

 すると、女神の顔つきが変わった。

 

「私の祖父が元最高神なのですが、現在の最高神が転生させた転生者達が

 自分勝手な行動を始めて、ある世界のバランスが壊れそうなんです。そのため、

 その転生者を捕獲してくれる人間を探していたのです」

「....で、その捕獲する人間に俺が選ばれた訳か」

「はい。優しく、命の大切さがわかっていて、

 強さと覚悟に満ちたあなたに頼みたいのです」

「買いかぶりすぎだ....」

 俺は女神にそう言った。

 

「そんなことはないですよ」

 だが、女神は優しい笑顔でそう言ってきた。

 

「生前のあなたの行動を見たらわかります。

 あなたは誰かの命を守るために動いていましたよね?」

「....なんのことだか」

「とぼけても私にはわかりますよ」

 女神の目は、まるで俺の心を見透かしているようだった。

 

「はぁ....」

「(下手な嘘ついても意味がなさそうだな....)」

 俺は言い訳をしようと思ったが諦めた。

 

「それで、どうか私達のお願いを聞いていただけませんか?」

「....」

「(ここまで言ってくれているのに、断るのは無粋だな....)」

「わかった。転生、頼んでもいいか?」

 すると女神は、

「は、はい! では、こちらを受け取ってください」

 そう言って、女神は黒い懐中時計のような物を渡してきた。

 

「これは!?」

 俺はその懐中時計を見たことがあった。

「アナザーウォッチ....」

 それは、俺が大好きだった仮面ライダーに出てくる

 敵陣営のアイテムだった。

「知っていたんですか?」

「あぁ」

「そうですか。なら使い方もわかりますか?」

「もちろんだ」

「それなら良かったです。では、あなたの転生特典を

 決めましょうか」

「そうだ....」

 俺が言葉を続けようとした瞬間、

 

 ♪~♪~♪~

 

 手に持っていたウォッチの音が鳴り黒く光り出した。

「え?」

 そして俺はその光に飲み込まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 〜〜〜〜〜

 

 

 

 

『おい、目を覚ませ人間』

「っ!」

 俺は謎の男の声で目が覚めた。

 俺の周りには23体のアナザーライダーの像と

 1人のアナザーライダーが立っていた。

 

「ここは....」

『ここはアナザーウォッチの中だ』

「アナザーディケイド....」

『ほう、俺を知っているのか』

「当たり前だ」

『そうか』

「それよりも、なんで俺はここにいるんだ?」

『俺がお前を呼び出した』

「なに?」

『一つ聞こう。なぜお前は誘いに乗った? 

 今から貴様が進む道は茨の道だぞ』

「....」

『それに、これは神々どものミスだ。お前には一切

 関係がない。なのに何故だ? 何故貴様は誘いに乗った?』

「....確かに、俺には関係がない事かもしれない。

 だけどな、あそこまで嘘偽りのない言葉を無視する事は

 俺には到底できないんだよ」

『....バカな男だな』

 アナザーディケイドは呆れた様に言った。

 

「あぁ、自覚はあるさ。だけど、困っている人を

 見たら助けろって親から教わったんだ。今さらその生き方を

 変えるつもりはない」

 俺はアナザーディケイドに向かって、真っ直ぐにそう言った。

 

『....はぁ』

 アナザーディケイドはため息をつき、

『まさかこんな変わり者を連れてくるとは....

 まるで俺達とは真逆の存在だな』

 アナザーディケイドは俺に向かってそう言ってきた。

 

「そんなことはない」

 だが、俺はその言葉を否定した。

『なんだと?』

「俺はアナザーライダーがただの悪者とは思わない。

 本当の力を使えば、アナザーライダーだって正義の味方に

 なったかもしれないだろ?」

 俺がそう言うと、

『くくく、はっはっは!!』

 アナザーディケイドは笑い出した。

 

『そんなことを言ったのはお前が初めてだ! 

 やはりお前は変わっているな!』

 すると、周りのアナザーライダーの像が光り出した。

『そこまで言うなら証明してくれよ。俺達が正義の味方って事をな』

 そう言ってアナザーディケイドも光り出した。

「あぁ、約束する」

『頼んだぜ』

 そう言ってアナザーライダーの像の光は、俺の持っていた

 アナザーウォッチに吸い込まれていった。

 

 そして、アナザーディケイドもウォッチに吸い込まれそうになった時、

『お前、名前はなんて言うんだ?』

 と聞いてきた。

 

「影宮 蓮だ」

『そうか。なら蓮、お前に一つアドバイスだ』

「アドバイス?」

『あの女神に転生する前に稽古をつけてもらえ。そしたら、

 お前の力はさらに覚醒するはずだ』

「あのゆるふわ女神に?」

『あぁ。精々死なない程度に頑張りな』

 そう言ってアナザーディケイドはウォッチの中に吸い込まれた。

 すると空間が光り出し、俺は意識を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 〜〜〜〜〜

 

 

 

 

「....宮様! 影宮様!」

「っ!?」

 俺は目の前からの大声で意識を取り戻した。

 

「大丈夫ですか? さっきからずっと声をかけていたのですが....」

「すまん。どれくらい経った?」

「へ? まだ30秒ぐらいですよ」

「そうか....」

「(夢、じゃないよな....)」

 俺は持っていたアナザーウォッチを見てそう思った。

 

「どうかしましたか?」

 俺がアナザーウォッチを見ているのを見て、女神は

 不思議そうに聞いてきた。

「いや、なんでもない。それよりも、一つ頼みがある」

「何ですか?」

「転生するまで俺を鍛えてくれ」

 すると女神は慌てたようにこう言った。

「わ、私がですか!? む、無理ですよ!」

「そこをなんとか! 多分、今のまま行っても力の

 使い方がわかってないから余計な犠牲が出るかもしれない」

「た、確かに....」

「だから、どうか頼む」

 俺は女神に頭を下げた。

 

「わ、わかりました! なら、影宮様が力を使いこなせるように

 私もお手伝いさせていただきます!」

「頼む。....ええっと」

「あ、自己紹介を忘れていましたね。

 私はサリューシュ・ルーラって言います」

「じゃあサリューシュ、早速頼む」

「はい!」

 そう言って俺とサリューシュは光の中に消えた。

 

 

 

 〜〜〜〜〜

 

 それから時間的に約一年後....

 俺はサリューシュに戦い方を教わった。

 最初の頃は全く歯がたたなく、ボコボコにやられた。

 だが、二カ月も経つと順調に力を制御できてきた。

 そして、

 

「はっ!」

『負けるかぁ!』

 

 ♪~♪~♪~

「DOUBLE!」

 

「しまっ!」

『もらったぁ!』

 俺は今、転生する前の最後の試合を行なっていた。

 そして、俺の攻撃はサリューシュの首元で止まっていた。

 

「....お見事です」

『ふぅ』

 俺は元の姿に戻った。

「お疲れ様でした。これで私が稽古をつけるのは最後です」

 そう言ってサリューシュは武装を解除した。

 

「本当にありがとな、サリューシュ」

「いえ、気にしないでください。蓮君の力になれたなら

 良かったです」

 すると、俺の体は光り出した。

 

「もう時間ですね....」

「みたいだな」

「蓮君、これを」

 サリューシュは小型の通信機を渡してきた。

 

「私と通信ができる通信機です。

 何かあった場合、これで連絡してください」

「わかった」

「....では、いってらっしゃい蓮君」

「あぁ、いってきます」

 そして、俺はその空間から姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 おまけ(稽古を始めて一ヶ月後)

 

「そういえば、俺の転生先はどんな世界なんだ?」

「ToLOVEると言うラブコメの世界ですね。

 ほんと、最高神も何を考えてライダーの力を持って転生させたのやら....」

「まぁ、ラブコメの世界には物騒だな」

「全くですよ! そのせいでどれだけ処理が大変だったか!」

「お疲れ様」

 




 影宮 蓮 (18歳) 3月19日
 前世では頭脳明晰、運動神経抜群で生徒達からも信頼されている生徒だった。
 しかし、目つきの悪さで不良達によく喧嘩を売られていた。
 だが、不良を軽くあしらうほどの護身術を学んでいたため、最強の生徒として
 不良達に恐れられていた。

 両親は中学生の時に事故で亡くなり親戚の家で生活をしていた。
 困っている人がいたらほっとけない性格で、色々な人から信頼を得ていた。
 この性格は母親譲りのもの。

 特撮物が大好きで、仮面ライダーの知識はかなりのもの。
 サリューシュから、三つの転生特典をもらっている。

 好きなもの 特撮(特にダークライダー) 甘いもの コーヒー
 嫌いなもの 自分勝手に人に迷惑をかけるやつ
 趣味 人助け
 特典 地球の本棚 前世の記憶、身体能力の保持 特典の改造


 サリューシュ・ルーラ(?)
 天界の女神。蓮を転生させた張本人で、蓮の信頼できる師匠。
 普段はフワフワした雰囲気を出しているが、ここぞという時には
 普段とは違った真面目な表情をする。

 天界では[終劇の戦女神]というあだ名がある。

 実は、天界では最上級女神の一人だったりする。

 好きなもの スイーツ
 嫌いなもの 体重 世界のバランスを乱す愚か者
 趣味 ガーデニング





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偽りの赤き龍は少女を守り、蟹を焼き尽くす

転生早々、戦闘です。


後書きに、登場したアナザーライダーの設定を書きました。


「成功、だな....」

 

 俺はある部屋の中にいた。

 どうやら、転生に成功したようだ。

 部屋を見渡すと、サリューシュに頼んでいた大きめの机とパソコン、

 転送装置、財布、携帯、黒のボディバッグが置かれていた。

 その他に謎の箱、そしてダンボールが三つ置かれていた。

 

「(? なんだこれ)」

 謎の箱の上には一枚の手紙があった。

 

「一先ず、頼まれたものは全て置いておきました。冷蔵庫と洗濯機は

 別のところに置いています。他に必要な家具は自分に合ったものを買ってくださいね。

 お金の方は毎月一定額を通帳に入れておきます。無駄遣いをしないように! 

 ダンボールには通ってもらう高校の制服と服、生活に必要なものを入れています。

 後、この下にある箱はお隣さんに挨拶するときに渡してください。

 

 それでは、あなたの新たなる人生に祝福を

 サリューシュ・ルーラ」

 

「(おかんか....)」

 俺は手紙を見てそう思った。

 

「(....一先ず、町を探索するか。挨拶と荷物の整理は帰ってから

 でも良いよな?)」

 時計を見ると、今は午後二時。明らかに迷惑になりそうな時間だ。

 俺はバッグに財布を入れ、携帯を持って玄関に出た。

 玄関には鍵と一足の靴が置かれていた。

 

「さて、行きますか」

 俺は靴を履いて家を出た。

 

 

 

 〜〜〜〜〜

 

「平和そうな町だなぁ」

 俺は町を歩きながらそう呟いた。

 町はかなりの人がおり、特にデパートなどは賑わっていた。

 

「(後は、飯屋と本屋も探さないとな)」

 そんなことを考えて歩いていた時、

 

 キィーン キィーン

 

「っ!」

 突然、近くの鏡から謎の音が聞こえてきた。

 音はだんだん遠くの方に向かっていった。

 

「(来て早々か....丁度いい)」

 俺はすぐに裏路地に入った。そして、腕につけていた時計を外した。

 すると、時計はアナザーウォッチに変わった。

 

「鏡ならコレだな」

 

 ♪~♪~♪~

「RYUKI!」

 

 赤黒い炎が俺の体を包み、“アナザー龍騎”と化した。

 

『さて、追いかけるか』

 俺は鏡の中に入り、音の向かった方に歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 〜〜〜〜〜

 

 ?side

「....」すたすた

 私は一人、図書館から家に帰っていた。

 だけど、

 

「....」すたすた

 後ろから誰かにつけられている感じがしていた。

 

「(何だろう....)」

 私は歩く速度を速めた。

 だけど、

 

「....」すたすたすた

 

 それに合わせてつけている人の足も速くなった。

 

「(怖い....! 早く逃げないと!)」

 私は走り出そうとしたが、その時、

 

 キィーン キィーン

 

 近くの車の鏡から謎の音が聞こえてきた。

 

「な、何!?」

 私は車からすぐに離れた。

 すると、鏡は歪みだし、中から蟹みたいな黄色いロボットが現れた。

 そして、ロボットは私に向かってゆっくりと近づいてきた。

 

「(に、逃げないと!)」

 私は逃げようとしたが、

 

「(な、なんで動かないの!)」

 私の足はすくんで動かなかった。

 

「こ、来ないで!」

 私はそう言うが、ロボットは腕を動かしてゆっくりと近づいてきた。

 

「(誰か....助けて....!)」

 私は目をつぶって捕まるのを覚悟したその時、

 

「STRIKE VENT!」

 

 いきなり車の鏡から機械的な音が聞こえた。

 そして、鏡から赤黒い炎の球が飛んできた。赤黒い炎の玉は

 ロボットに当たり、ロボットは後ろに飛んでいった。

 

「(何が....)」

 すると炎が飛んできた鏡は歪みだし、剣を持った銀色の怪物が現れた。

 銀色の怪物は私を見た瞬間、

 

『早く逃げろ。ここは危険だ』

 と言ってきた。

 

「....え?」

 私はまた襲われると思っていたので、怪物の言葉を聞いて思考が止まった。

 するとロボットは再びこっちに向かってきた。

 だけど、銀色の怪物は左手から赤黒い炎をロボットに向けて放った。

 

「(もしかして、助けてくれた?)」

 私は銀色の怪物を見てそう思った。

 すると、銀色の怪物はこっちを見て、

 

『早く行け』

 そう言ってロボットに向かっていった。

 

「....ありがとうございます!」

 私はすぐに、怪物達と逆の方向に走り出した。

 

 

 

 

 〜〜〜〜〜

 

 アナザー龍騎side

 しばらく鏡の中を歩いていると、一体のミラーモンスターがいた。

 

『(ボルキャンサーか)』

 ボルキャンサーは俺に気づかず、鏡の外に出て行った。

 そして、一人の青髪の女の子を襲おうとしていた。

 女の子は足がすくんで動けていなかった。

 

『(させるか)』

 俺はベルトからボロボロのカードを左腕のバイザーに入れた。

 

「STRIKE VENT!」

 音が鳴ると、俺の左腕には龍の頭を模した武装が現れた。

 そして、俺はボルキャンサーに向かって火球を放った。

 火球はボルキャンサーに直撃し、後ろに吹っ飛んでいった。

 吹っ飛んだのを確認すると、俺は鏡から外に出た。

 出ると、襲われそうになっていた女の子は俺を見ると恐怖に満ちた表情で

 俺を見ていた。

 

『早く逃げろ。ここは危険だ』

 俺は青髪にそう言った。

 だが、青髪は困惑したような表情だった。

 その間にも、ボルキャンサーは立ち上がりこっちに向かって突進してきた。

 

『はぁっ!』

 俺は真っ正面から炎を放つと、ボルキャンサーは転がっていった。

 そして、俺は後ろの女の子に、

 

『早く行け』

 そう言って、俺は倒れたボルキャンサーに近づいていった。

 

 すると後ろの女は、

「ありがとうございます!」

 と言って逃げていった。

 

『(ふぅ、これで遠慮なく戦える)』

 そう思い、俺はボルキャンサーの近くの物陰にドラグクローを向けた。

 

『いい加減出てきたらどうだ?』

 すると、物陰から帽子をかぶった男が現れた。

 男の顔は、怒りに満ちていた。

 

「お前、よくも邪魔を! あと少しだったのに!」

『あと少し、ねぇ....』

「そうだ! あと少しで誘拐できたのに! お前のせいで

 計画が台無しだ!」

『(誘拐って言ってるし....)』

 俺は仮面越しから呆れた目で男を見た。

 

「テメェが誰だか知らねぇが、俺の計画を邪魔したんだ! 

 お前もコイツの力の源となれ!」

 そう言って男は胸ポケットから、カードケースを取り出し

 鏡に向けた。

 すると、鏡からベルトが出てきて男の腰に装着された。

 

「変身!」

 ♪~♪~♪~

 

 男がベルトにケースをはめると、仮面ライダーシザースに変身した。

 

「覚悟しろ!」

「STRIKE VENT!」

 男は右腕にシザースピンチを装備して俺に

 攻撃をしてきた。

 

『(太刀筋甘....)』

 俺はそれを装備していたドラグセイバーで受け止めた。

 

「はぁぁぁぁ!」

 すると、男は何の考えもなしにシザースピンチを振り下ろしてきた。

 だが、俺はそれを全て受け流した。

 

「くそっ! いい加減当たれ!」

『....はぁ』

 俺は勢いをつけて、ドラグセイバーでシザースピンチに

 一撃を放った。

 

 すると、

 

 ガキンッ

 

「なっ!?」

 シザースピンチは真っ二つに斬れた。シザースは斬れたことに

 驚いて懐がガラ空きになった。

『隙あり』

 俺はその隙を逃さず、ドラグセイバーで胸の部分に数回斬りかかった。

 

「グワッ!」

 シザースは倒れたボルキャンサーの方に吹っ飛んでいった。

 シザースは立ち上がろうとしたが、当たりどころが悪かったのか、なかなか立てずにいた。

 そして、俺は倒れている男に近づきこう言い放った。

 

『さて、転生者 須原 雅和だな』

「っ!? なぜ俺の名前を!」

 須原は過去の名前を呼ばれ、焦ったようにそう言い返してきた。

 

『さぁな。神の命により貴様を捕獲する』

 そう言って、俺はベルトから一枚のカードを取り出し、バイザーにセットした。

 

「FINAL VENT!」

 すると、鏡から赤黒い龍が現れ、俺の周りを回り出した。

 俺は少しずつ浮かんで行きキックの体制を整えた。

 

『終わりだ』

 その声を合図にアナザードラグレッダーは俺の後ろから炎を放った。

 キックはそのままシザースに直撃した。

 

「うわぁぁぁ!!」

 シザースは叫び声をあげ、近くにいたボルキャンサーと爆発し、変身が解除された。

 

「お、俺の力が....! 王になる力がぁぁぁ!」

 そう言って叫び声をあげ、須原は倒れた。

 

『....さて、回収回収』

 俺はベルトの横に付いているカードケースから一枚のカードを取り出し、

 須原に向かって投げた。

 すると、カードは須原に刺さり、須原はカードの中に吸い込まれていった。

 俺はそのカードと、須原の持っていたシザースのカードデッキを回収した。

『(一度家に戻ってサリューシュに報告だな)』

 俺はそのまま近くの鏡の中に入り、家に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 〜〜〜〜〜

 

 家に戻ると、俺は変身を解除しサリューシュに通信を繋いだ。

 

『蓮君、何か問題でもありましたか?』

「いや、転生者を一人捕まえた。その報告だ」

『もう捕まえたんですか!?』

 サリューシュの声はありえないと言うぐらいの驚いた声だった。

 

「あぁ、偶然な」

『そ、そうですか。では、こちらに転送をお願いします。

 こちらで責任を持って処罰をつけさせていただきますね』

「あぁ、頼んだ」

 そう言って俺はパソコンを立ち上げ、封印したカードとシザースのカードデッキを

 パソコンの近くに置いてある転送装置に置いた。

 すると、二つは光り出し綺麗さっぱり消えた。

 

『確かに受け取りました。お疲れ様でした』

「おう。じゃあなサリューシュ」

 そう言って、俺は通信を切った。

 

『(今、六時か。今なら行けるか)』

 俺は机の上に置いてある箱を見てそう思った。

 

『(よし、挨拶に行くか)』

 俺は箱を持って外に出て、隣の部屋の前に立った。

 

 ピンポーン

 

「(いないのか?)」

 俺はそう思いもう一度押した。

 

 ピンポーン

 

 すると、中からバタバタと音が聞こえ、一人の女の子が出てきた。

 

「すいません! 遅くなってしまって....」

「(え....)」

 俺は出てきた女の子を見て驚いた。

 何故なら、その女の子はさっきボルキャンサーに襲われそうに

 なっていた子だったからだ。

 

「あの〜、どうかしましたか?」

「え、あぁ、いやなんでもないです。あの、今日から隣に引っ越してきた影宮 蓮です。

 一応、ご挨拶の方に来たんですが....」

「あ、そうなんですね。ご丁寧にありがとうございます。

 私は西連寺 春菜です。よろしくお願いしますね、影宮さん」

「はい。あ、これつまらない物ですが」

 そう言って俺はサリューシュが置いていた箱を渡した。

 

「ありがとうございます。ありがたく受け取らせていただきますね」

「はい。では、今日は失礼させてもらいますね」

「はい、明日からよろしくお願いします」

 そう言って、西連寺は家の中に戻っていった。

 

「(はぁ、慣れないことをするのは疲れるな....)」

 俺はそう感じながら自分の部屋に戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「(にしても、これは偶然だよな?)」

 俺はさっきの女の子のことを考えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 アナザー龍騎
 蓮の持つアナザーライダーの力の一つ
 左腕に装備されたアナザードラグバイザー(赤)で、武装や特殊能力を使って戦う。
 常に右手にはアナザードラグセイバー(赤)が装備されており、接近戦を得意としているが、
 状況によっては遠距離戦も得意とする。

 現在、使えるカードは四枚しかないが、ベルトのデッキにはまだ数枚のカードが
 入るスペースが残されている。

 武器
 アナザードラグセイバー(赤)(常時装備)
 アナザードラグクロー(赤)
 アナザードラグシールド(赤)

 契約モンスター
 アナザードラグレッダー

 所持するカード
 STRIKE VENT
 GUARD VENT
 ADVENT
 FINAL VENT

 特殊能力
 鏡の世界の移動(ただし、一度に移動できるのは15分間)


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転入するのも一苦労/偽りの魔法使いに手加減なし

次は誰を出そうか....


 次の日、俺は朝食を食べ制服に着替えていた。

 

「(しっかし、制服を着るのも久しぶりだな)」

 俺は制服を着ていてそう思った。

 サリューシュに稽古をつけてもらっていた時は、

 稽古専用の服を着ていたので約半年ぶりの制服だった。

 

「よし、行きますか」

 俺はカバンと携帯を持って家を出た。

 

 

 〜〜〜〜〜

 

 携帯の地図を見ながら俺は彩南高校に着いた。

 

「(そこそこデケェな)」

 俺は門の外から校舎を見てそう思った。

 

「(取り敢えず、職員室に行くか)」

 そう思い、俺は校舎の中に入った。

 

 

 

 

 五分後....

 

「(何処だよ職員室....)」

 案の定、俺は校舎内で迷った。

 

「(案内図見てくるんだったな....)」

 だが、今更後悔しても遅い。俺はもう少し探してみようと思い

 歩いていたら、一人の青髪の女子生徒が階段から降りてきた。

 

「(あの生徒に聞いてみるか)」

 そう思い、俺はその生徒に声をかけた。

 

「すまない、ちょっと良いか?」

「はい、何ですか、....って、影宮さん?」

「西連寺....」

 俺が声をかけた生徒は隣に住んでいる西連寺だった。

 

「こんな所で何してるんですか?」

「今日からここに転校してきたんだ。それで職員室に

 行こうと思ったら道に迷ってな....」

「そうなんですか。それなら、私が案内しましょうか?」

「本当か。なら頼む」

「はい。では、ついてきてくださいね」

 そう言って、西連寺は俺の前を歩き出した。

 俺は西連寺の後を追いかけた。

 

 

 

 〜移動中〜

「それにしても驚きました。影宮さん、てっきり

 大学生の方と思っていたので」

「よく周りのやつからも言われた。そんなに

 年上に見えるのか....」

「影宮さん、結構大人っぽく見えますよ」

「そうか?」

 そんなことを話していたら、職員室と書かれた

 札がある場所に着いた。

 

「ここですよ」

「すまん、本当に助かった」

「気にしないでください。では、私は教室に戻りますね」

「あぁ、本当にありがとな」

 そう言うと、西連寺は頭を下げ廊下を歩いて行った。

 

「(さて、俺も担任の人に会わねぇと)」

 俺はそう思い職員室の扉を叩いた。

 

 

 

 

 〜〜〜〜〜

 十分後

 

 俺は職員室に入ってから、担任になる骨川先生と話し、

 現在教室に向かって歩いていた。

 そして、1-Aと書かれた教室の前に着いた。

 

「では、名前を呼んだら入って来てくださいね、影宮君」

「わかりました」

 そう言うと、骨川先生は教室へ入っていった。

 しばらく待っていたら、

 

「影宮君、入って来てください」

 教室から骨川先生が俺を呼んだ。

 

「(ふぅ、行くか)」

 俺は教室の扉を開けた。教室にいた生徒は

 興味津々な目で俺の方を見ていた。

 

 ....一人だけ例外はいたが。

 

「それでは影宮君、自己紹介を」

「はい。影宮 蓮だ。これからよろしく」

 俺がそう言うと教室から拍手が起こった。

 

「はい、ありがとう。じゃあ、何か質問がある人?」

 骨川先生がそう言うと何人かの生徒が手を挙げた。

 

「〇〇君」

「スポーツとか得意ですか?」

「球技なら結構できるぞ」

「そうですか」

「じゃあ、次は〇〇さん」

「何か特技とかありますか?」

「そうだな....料理と格闘技ぐらいだな」

「「「おぉ....!」」」

 俺がそう言うと生徒達は少し驚いていた。

「じゃあ、最後に猿山君」

「はい! 彼女とかっていますか?」

「いや、いないぞ」

「そうっすか!」

 クラスの男子達は半分嬉しそうな、逆に半分ダメージを

 受けたような表情をしていた。

 

「さて、後は休み時間に聞いてください。

 では影宮君はあそこの空いている席に座ってください」

「はい」

 俺はそう言ってその席に座った。

 すると隣に座っていた生徒が話しかけてきた。

 

「よろしくな影宮」

「あぁ、えっと....」

「結城リトだ」

「結城か。よろしく」

「じゃあ、授業始めるよー」

 そう言って授業が始まった。

 

 

 

 

 〜〜〜〜〜

 昼休み

「はぁぁぁぁ....」

「めっちゃ疲れてるな」

「当たり前だ....」

 俺は授業の間の休み時間、クラスメイトから

 質問責めにあった。それも毎時間。

 

「こんなに疲れたので久しぶりだ....」

「ははは、取り敢えず弁当食いに屋上に

 行かないか?」

「別に良いぞ」

「じゃあ案内するからついてきてくれ」

 そう言って結城は廊下に出て行った。

 

 

 〜〜〜〜

 屋上

「「いただきます」」

 俺と結城は屋上に来て弁当を食べ始めた。

 

「にしても、不思議だな」

 俺は不意にそう呟いた。

 

「何がだ?」

「俺の目つきのことに誰もつっこまなかったことがな....

 俺って目つき悪いだろ?」

「あぁー、言われてみたら....」

「前は結構ビビられたからな」

「多分アレじゃないか? 特技で料理って言ったから」

「そこ!?」

 俺は驚いて、結構大きな声が出た。

 

「まぁ、多分....」

「意外すぎて何も言えねぇ....」

「まぁ、ビビられるよりは良いんじゃないのか?」

「まぁ、そうだな」

「なら、それで良いじゃないか」

 そう言って結城は弁当を食べ始めた。

 

「なんか、気使わせて悪いな」

「別に良いって。てか、別に俺は影宮が悪い奴とは思わないしな」

「....ありがとな」

 俺は結城に聞こえないぐらいの声でそう言った。

 

「ん? なんか言ったか?」

「何でもねぇよ」

「そうか。あ、そうだ! 影宮の中学とかどんなんだったんだ?」

「俺の中学か? そうだな....」

 中学での思い出を話しながら俺は結城と弁当を食べた。

 

 

 〜〜〜〜〜

 全ての授業が終わり放課後、

「ここが体育館だ」

 俺は今、結城に校内を案内してもらっていた。

 

「結構広いな」

「バスケのコート二つ分は軽くあるな」

「だな」

「さて、ある程度回ったけど、他に気になるところはあるか?」

「いや、こんだけ分かれば十分だ。ありがとな」

「どういたしまして」

 すると、結城のポケットから携帯の音が鳴った。

 

「誰だ、ってヤバい!」

「どうした?」

 結城は携帯を見ると、だんだん焦りの表情になっていった。

 

「今日、買い出し頼まれてるの忘れてた! 

 悪い影宮! 俺先帰るな!」

「わかった。また明日」

「おう!」

 そう言って結城は教室の方に走っていった。

 

「(さて、どうすっかな)」

 俺も、することがないので帰ろうかと教室の方に

 向かって歩き出した。

 その時、グランドの方からテニスボールを

 打ち返す音が聞こえた。

 俺は窓から外を見ると、テニス部が練習をしていた。

 

「(暇だし、ちょっと見に行ってみるか)」

 俺は方向転換をして、グランドの方に向かった。

 

 〜〜〜〜〜

 グランド

 靴を履き替えてグランドに来ると、テニス部は

 サーブ練習とレシーブ練習をしていた。

 

「(結構部員はいるんだな)」

 そうやって遠目で見ていたら、

 

「影宮さん?」

 後ろから声をかけられた。

 振り向くと、そこには西連寺がいた。

 

「西連寺か」

「何してるんですか?」

「ちょっとテニス部の練習を見てたんだよ。

 てか、さん付けはやめてくれ。同学年に言われると、

 なんかむず痒い」

「そ、そうですか?」

「あぁ。できたら敬語じゃなくて普通に

 話してくれたらありがたい」

「わ、わかりました。頑張ってみます!」

「おう」

 そうして話していたら、

 

「おーい、春菜ー! 何してるのー!」

 テニス部の方から西連寺の名前が呼ばれた。

 

「あ、いけない! 早く行かないと! 

 影宮さ、影宮君も良かったら参加してみる?」

「あぁ....そうしたいのは山々なんだがちょっと

 用事があってな。また今度参加させてもらう」

「そっか。じゃあ私行くね」

「おう、頑張れよ」

 そう言うと西連寺はテニス部の方に向かっていった。

 

「(....さてと)」

 俺は近くにあった鏡を見た。

 そこには、“アナザードラグレッダー”が俺を見ていた。

 

「(....見つけたのか)」

 俺はすぐに校舎裏に向かった。

 そして、鏡にいるアナザードラグレッダーに聞いた。

「場所は?」

「グォォォォ!」

 すると、アナザードラグレッダーの目が光り出し、ホログラムの

 映像を流し始めた。映像には二人のライダーが河川敷で

 戦っている様子が撮られていた。時間を見ると三分前の事だった。

 

「(三分前か....なら、これですぐに向かうか)」

 俺はそう思い、腕の時計を外した。

 そして、俺はアナザーウォッチのスイッチ部分を押した。

 

 ♪~♪~♪~

「WIZARD!」

 

 俺の頭の上に赤黒い魔法陣が現れ、俺の体をすり抜けると

 俺は“アナザーウィザード”と化した。

『(テレポートする間に検索をしておくか)』

 そう思いながら、俺はベルトに右手を当てた。

 

「Teleport!」

 俺はその場から姿を消した。

 

 

 

 〜〜〜〜〜

 河川敷

 

 テレポートした場所は、ちょうど二人のライダーの間だった。

 

「な、なんだコイツ!」

「し、知るか! お前の仲間か!」

「こんな奴知るか!」

 俺がテレポートの魔法で河川敷に現れると、二人のライダーは

 俺の姿に驚いているようだった。

 

『(焦りすぎだろ....まぁ、良い)』

 そして、俺は確認のため二人に聞いた。

 

『お前達、転生者だな?』

「っ!?」

「何故それを!」

『さぁ、なんでだろうな?』

 転生者ということは火を見るよりも明らかだった。

 そうして焦っている二人に、

 

「Explosion!」

 俺は爆発魔法を放った。

 

「っ!」

「は....」

 一人は寸前で躱したが、もう一人は魔法が直撃して吹っ飛んでいった。

 

『流石、仮面ライダーマッハってところか....』

 俺は吹っ飛んだ方を無視して、躱した方を見てそう呟いた。

 すると、マッハは俺の方を睨みつけたように言ってきた。

 

「お前、何者だ! 何故俺達に攻撃してきた!」

『それが俺の仕事だ』

「どういう事だ!」

『俺の仕事はお前達、悪徳転生者の捕獲だ』

「捕獲だと? 何のために!」

『それはお前がよく分かってるんじゃないか? 

 転生者、詩水 剛』

「....何故その名前を! その名前は俺の前世の....」

『お前のことは地球の本棚で既に検索済みだ。

 なかなか色々やったみたいだなぁ、そのライダーの力で....』

「っ!」

『図星だな』

「....なら、お前も消せば良いだけだ!」

 

「ゼンリンシューター!」

 そう言ってマッハは、光弾を放ちながら俺に向かってきた。

 

『抵抗するか....仕方ない』

 俺はベルトに右手を当てた。

 

「Defend!」

 俺の目の前には炎の壁が現れ、光弾を全て受け止めた。

 

「っ! なら....」

 

「ゼンリン!」

 

「これならどうだ!」

 そう言ってマッハはゼンリンを回して炎の壁にぶつけてきた。

 だが、炎の壁には傷一つつかなかった。

 

「嘘だろ!?」

『その程度の攻撃で俺を消そうと思ってたのか....

 舐められたもんだな』

「〜〜っ! 黙れ!」

 

 ♪~♪~♪~

「ヒッサツ! フルスロットル! マッハ!」

 

「はぁぁぁ!!」

 マッハは必殺技を発動し、俺に向かってキックを放とうとした。

 

『....はぁ』

『(脳筋め)』

 俺はため息をつき、ベルトに右手を当てた。

 

「Bind!」

 すると、マッハの周辺にいくつかの魔法陣が現れ、

 魔法陣の中から現れた鎖がマッハの動きを封じた。

 

「なっ! くそっ! 外れろ!」

 マッハは空中で鎖を解こうと暴れたが、

 全くと言っていいほど解ける様子が見えなかった。

 

『(終わりだな)』

『転生者、詩水 剛。お前の人生はここまでだ』

 

「Special!」

 俺のベルトが鳴ると、マッハの上空に巨大な魔法陣が現れた。

 

「や、やめろ....!」

 マッハは危険を感じたのか、命乞いをしたが、

 

『それは無理だ』パチンッ

 俺は無視して指を鳴らした。

 すると、魔法陣から巨大な炎が現れ、マッハを包み込んだ。

 

「うわぁぁぁぁ!!」

 マッハは叫び声を上げながら炎に焼かれていたが、

 しばらくすると声を上げなくなった。

 その時、炎も収まり地面にマッハが落ちてきた。

 近づいて確認すると、マッハの変身が解除されており、

 詩水は気絶していた。

 俺はベルトとシグナルバイクは回収し、カードを詩水に落とした。

 詩水はカードに吸い込まれ、カードは俺の手元に飛んできた。

 

『(後一人も捕獲だな)』

 俺は最初の一撃で吹っ飛んだやつの所に向かった。

 吹っ飛んだライダーのランスは気絶して変身が解除されていた。

『(手がかからずに済んだな)』

 俺はベルトとカードを回収して変身者の禍宮にカードを落とした。

 禍宮も詩水と同じようにカードに吸収された。

 

『(任務完了っと。後は....)』

 俺はスペシャルの魔法を使った場所に、

 

「Return!」

 修復の魔法を使うと、更地になった場所は元通りの地形に戻った。

 

『(よし、これでバッチリだな)』

 俺はそう思い、回収したベルト達をコネクトの魔法で家に転送した。

 

『さて、戻るか』

 

「Teleport!」

 俺は魔法を使い学校に戻った。

 

 

 

 

 〜〜〜〜

 彩南高校 校舎裏

 

 戻って来ると、校舎裏には誰もいなかった。

 俺は変身を解除して、アナザーウォッチを腕時計に戻した。

 

「(さてと、荷物取りに戻って今日は帰るか)」

 そう考え、俺は教室に荷物を取りに戻り家に帰った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 これが、ある宇宙人と出会う日の放課後の事だった。

 

 

 

 

 

 




 アナザーウィザード
 蓮の持つアナザーライダーの力の一つ
 右手にはめている指輪で、さまざまな魔法を使って戦う。
 炎、水、氷、風、雷、土、光の魔法が使え、どのような敵にも対処ができる。
 しかし、魔法の威力が高いため、周辺に人がいる場合は
 加減をしなければならない。
 その他にも、コネクトやエクスプロージョンと言った
 ウィザードや白い魔法使いの魔法も多数使える。

 一応物理戦闘もできるが、基本的に魔法で倒しきるので
 滅多に物理戦闘をしない。

 武器
 右手にはめた指輪

 特殊能力
 魔法


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夜に舞うは偽りの忍び/あの女は何者なのか

タイトルのいい書き方とかないかなぁ....


 その日の夜

 

『ふぅ....』

 俺は地球の本棚の中にいた。“アナザークイズ”の姿で。

 そして、俺の手には一冊の開かれた本があった。

 本の題名は「SIGNAL TOMAーRE」

 仮面ライダーマッハが使うシグナルバイクの一つだ。

 何故この本を読んでいるかというと、“アナザードライブ”に

 この力を組み込もうと思ったからだ。

 

『よしっ』パタンッ

 俺は本を閉じた。

 

『(組み込み方はわかったし、整備室でさっさとやるか)』

 そう思い、俺は変身を解除して地球の本棚と同じ空間にある

 二つの扉のうちの木製の扉を開こうとした。

 

 その時、

 

「グォォォォ!」

 隣の扉から龍の雄叫びが聞こえた。

 隣の金属の扉を見ると、そこにいたのは....

 

「どうした、ブラッカー」

 俺の契約しているモンスターの一体、アナザードラグブラッカーがいた。

 

「グォォォォ!」

 そう言うと、アナザードラグブラッカーは目からホログラムの光を放ち、

 地面に映像を流し始めた。

 その映像は、周りの景色を見るに、どこかの公園の池から撮っている映像だった。

 

「(なんで公園?)」

 そう思って見ていると、二人の男が池の方に向かってきた。

 男達は二人は池の柵にもたれると、こんなことを話し始めた。

 

 

『なぁ、見たか?』

『あぁ、流星が流れたことだろ?』

『....ついに進められるな。俺達の計画が』

『あぁ、俺達の』

『『ハーレム計画が』』

『楽しみだなぁ、雅』

『あぁ。それに、やっと本当の力が使えるな』

 そう言って男は黒い携帯を取り出した。

 

『それは俺もだよ』

 そう言ってもう一人の男もメロンの絵が描かれた

 南京錠を取り出した。

 

『絶対に成功させるぞ!』

『あぁ』

 

「(カイザフォンにメロンロックシードか....)」

 二人の男が持っていたものはどちらも仮面ライダーに変身するために必要なアイテムだった。

 

「(転生者なのは確定。なら....)」

「捕獲しないとな」

 

 ♪~♪~♪~

「QUIZ!」

 

 俺はアナザーウォッチを押し、アナザークイズへと化した。

 

『さて、検索を始めようか』

 

 そう言って、俺はさっきの男達の検索を始めた。

 

『キーワードは、カイザ、斬月、転生者』

 すると、本棚は一斉に動き出し、俺の目の前には黄色と白の

 二冊の本が残った。

 

『(草原 雅巳に呉山 蒼虎、前世もそうだが、この世界でも二人で

 恐喝や窃盗を行なっている、か....)』

 俺は二冊の本をめくり、二人の情報を記憶した。

 

『(面倒なことになる前にとっとと捕まえないとな)』

 俺はそう思い、変身を解除して木製の扉を開けた。

 開けると、そこは俺の家の廊下に繋がっていた。

 俺はそのままの服で家を出た。

 

 

 〜〜〜〜〜

 マンションから少し歩いた裏路地

 

「さて、行きますか」

 俺はアナザーウォッチのスイッチを押した。

 

 ♪~♪~♪~

「SHINOBI!」

 

 紫色の竜巻が俺の体を包み、“アナザーシノビ”と化した。

 

『(公園はあっちだったな)』

 俺は跳んで屋根の上に乗り、公園の方に向かった。

 

 

 

 

 

 

 〜〜〜〜〜

 

 屋根の上を走って俺は三分ぐらいで公園に着いた。

 

『(いた)』

 公園内を探していたら二人の男は池の柵にもたれて話を続けていた。

 そして俺は、気づいていない男に後ろからこう話しかけた。

 

『転生者 草原 雅巳に呉山 蒼虎だな』

 すると、二人は俺の方を向いた。

 二人は俺の方を見ると、まるで異形を見るような目で俺を見ていた。

 

「テメェ、何者だ!」

「なんで俺達の名前を....!」

『さぁ、なんでだろうな?』

 そして、俺は挑発するようにこう言った。

 

『まぁ、それは置いといて....ハーレム計画だったか? 

 ....させるわけないだろ』

 俺がそう言うと、呉山は、

 

「なんでそれを!?」

 ありえないと言うぐらいの勢いで言ってきた。

 

『さぁな』

「....テメェ、俺達の計画を邪魔するつもりか!」

『あぁ、さっきそう言っただろ?』

 俺がそう言うと草原は、

 

「ふざけんな! お前みたいな怪物に俺達の計画を邪魔させるか! やるぞ蒼!」

「あぁ、雅!」

 そう言って二人は腰にベルトを巻いた。

 

「9・1・3」

「Standing by」

 

 ♪〜♪〜♪〜

「変身!」

 

「Complete」

 草原は仮面ライダーカイザに、

 

「メロン!」

 

「ロック・オン!」

 

 ♪〜♪〜♪〜

 

「変身!」

「ソイヤッ! メロンアームズ! 天・下・御免!」

 呉山は仮面ライダー斬月に変身した。

 

「行くぞ怪物!」

「邪魔しようとした事を後悔させてやる!」

 そう言って斬月は無双セイバーで、カイザは拳で

 襲いかかってきた。

 

「オラァ!」

「食らえ!」

 俺は二人の攻撃をわざと紙一重で避け続けた。

 

『(攻撃のコースが読みやすい....)』

 二人の攻撃は単調なので、簡単に避けることができた。

 

「避けてばっかで鬱陶しい!」

「これならどうだ!」

 カイザは腰にあるカイザブレイガンを手に取り、

 黄色の光弾を放ってきた。

 

『甘い....』

 俺は腰に装備していた刀で、光弾を叩き斬った。

 

「んなっ!? ....クソがぁ! 蒼、お前もやれ!」

「わかった!」

 すると、斬月も無双セイバーから弾丸を放ってきた。

 

『だから甘いんだよ....』

 俺は体を回し、自分の周りに紫の竜巻を発生させた。

 竜巻は光弾を消し、弾丸を斬月とカイザに跳ね返した。

 

「ぐわっ!」

「くっ!」

 だが、斬月はメロンディフェンダーでガードしたため、

 あまりダメージが通らなかった。....カイザは結構ダメージを

 受けていたが。

 

『今度はこちらから行くぞ』

 俺は刀を鞘に納め、手から鉤爪を出した。

 そして、俺はカイザに狙いを定め急接近した。

 

「な....」

『懐がガラ空きだ』

 そう言って俺は、鉤爪でカイザを数回切り裂いた。

 

「グハッ!」

 カイザは後ろに吹っ飛んだ。

 

「雅! ....テメェ!」

 後ろにいた斬月はキレて、俺に向かってきた。

 

「はぁぁぁぁ!」

 斬月は無双セイバーを振り下ろしてきたが、

 

 ガキンッ

 

 俺は鉤爪で無双セイバーを止めた。

 

『お前は後回しだ』

 そう言って俺は、足についているクナイを斬月の影に投げた。

 すると、斬月は無双セイバーを振り上げようとしたが、

 

「な、なんで動かないんだ!」

 斬月は無双セイバーを振り上げることができなかった。

 何故なら、さっき投げたクナイで俺が影縫いを発動させたからだ。

 

 

『そこでおとなしくしてろ』

 俺は斬月を放っておいてカイザの元に向かった。

 カイザはすでに満身創痍の状態で立ち上がろうとしていた。

 

「はぁ、はぁ、はぁ....」

『(あっけない....まぁ、そのほうが楽だが)』

『さて、転生者 草原 雅巳、お前の人生はここまでだ』

 俺は鉤爪をカイザに向けてそう言った。

 が、その言葉が逆鱗に触れたのか、

 

「ふざけるなぁぁぁ!!!」

 カイザは逆上し、ベルトのミッションメモリーを手に

 装備したカイザショットに付けた。

 

「Ready」

「Exceed Charge」

 

「こんなところで、終われるかぁぁぁ!!」

 そう叫びながら、カイザは俺の方に突っ込んできた。

 

『....終わるんだよ、お前はな』

 俺は両手の鉤爪に紫の竜巻を纏わせた。

 そして、

 

「あぁぁぁぁ!!!」

『はっ!』

 

 ガキンッ

 

 俺はカイザのグランインパクトを鉤爪で受け流し、すれ違った瞬間

 もう一つの鉤爪でカイザのボディに斬撃を放った。

 

「ガハッ....」

 カイザは倒れ、強制的に変身が解除された。そして、カイザギアとカイザフォンは

 俺の足元に飛んできた。俺は飛んできた二つをカーブミラーから見ていた

 アナザードラグブラッカーに投げた。

 

『持って帰っといてくれ、ブラッカー』

「グォォ」

 アナザードラグブラッカーは手で二つを掴んで

 鏡の奥へと飛んで行った。

 

『(さて....)』

 

 俺は草原の方を見た。草原は血を流して気絶していた。

 俺は草原に近づき、カードを落とした。

 すると、草原はカードに吸い込まれ、カードは俺の手元に戻ってきた。

 

『(まず一人)』

 俺はカードをケースに直し、斬月の方に向かった。

 

 

「テメェ、いい加減これをどうにかしろ!」

 戻ってきて早々、斬月は俺にそう言ってきた。

 斬月は影縫いに引っかかったままだった。

 

『アホか。捕獲対象をわざわざ逃すようなことをするわけないだろ』

 そう言いながら俺は斬月の目の前に立った。

 

『悪いが、これは回収させてもらうぞ』

 そう言って俺は、メロンロックシードを閉じ、ベルトから

 ロックシードを外した。

 外した瞬間、斬月の変身は解除された。

 

「テ、テメェ....! それを返せ!」

『....返すわけないだろ』はぁ

 そう言って俺は腰のケースからカードを取り出し、

 呉山に当てた。

 すると、カードは呉山を吸い込み始めた。

 

「な、なんだよコレ! 助けてくれよ!」

 呉山は俺に懇願してきたが、

 

『それは無理。お前は罪を重ねすぎた』

 俺はそう言ってその言葉を無視した。

 

「ふざけんな! 俺はまだ....!」

 そう言って続きを言おうとしたが、先にカードの中に

 吸い込まれた。そして、カードは俺の手元に飛んできた。

 

『さて、後は....』

 俺は呉山が吸い込まれたところに落ちた戦極ドライバーを破壊した。

 

『(よし! これで任務完了)』

 俺は変身を解除しようとアナザーウォッチを押そうとした時、

 

 ゴズンッ! 

 

 近くから、何か巨大な物が落ちた音が聞こえた。

 

『(なんだ? 今の音....)』

 俺はアナザーウォッチを押そうとしたのをやめ、

 音の方に向かった。

 

 

 

 

 〜〜〜〜〜〜

 

 音が聞こえたところに着くと、スーツの男が二人、私服の男が一人に、

 その男と手を繋いでいるコスプレみたいな女が一人いた。

 そして、その男女の後ろには投げられたようなトラックがあった。

 

『(さっきの音はトラックが投げられた音か....?)』

 そんな様子を木の上から見ていると、スーツの男達と、

 コスプレ女は言い合いを始めた。そして、コスプレ女の隣いる男は

 コスプレ女の方を見て、何か呆れたような顔になっていった。

 その時、男の顔が見えた。

 

『(え....)』

 その男の顔に、俺は見覚えがあった。

 何故なら、

 

『(何やってんだ結城....)』

 俺の隣の席の結城 リトだったからだ。

 結城はコスプレ女に何かを言っていたが、距離が

 遠すぎて聞こえなかった。

 すると、女は急に携帯を取り出した。

 そして、何か操作すると、女の上空が光り出し

 巨大なタコの形をしたマシンが現れた。

 

『(な、なんだアレ....?)』

 俺がそう思った時、タコのマシンはスーツの男達を

 吸収し始めた。

 

『(ヤバイな、あのマシン....)』

 俺は呑気にそんな事を考えていたが、次第にマシンの風は

 強力になり、辺りの木や自販機などを吸い込み始めた。

 そして、なぜか結城までマシンに吸い込まれていった。

 そして、俺の乗っている木もマシンの方に折れかけていた。

 

『(ヤバっ!)』

 俺はとっさに木の影にクナイを投げ、影縫いを発動させた。

 木は斜めの状態になったが、動きは止まった。

 そして、

 

ドカーン! 

 

 少し目を離した隙に、マシンは爆発を起こした。

 爆発したマシンからは、結城を含めた三人の男が飛び出てきた。

 男達は、それぞれ木の枝に引っかかっていた。

 俺は結城を助けに行こうと思ったが、俺より先に

 コスプレ女が結城を助けた。

 ....背中に翼を生やして。

 そして、女は結城を持ってどこかに飛んで行ってしまった。

 

『(....どうなってんだよ)』

 俺は木から降り、女の飛んで行った方を見た。

 結城と女は既に見えないところまで飛んでいってしまっていた。

 

『(結城もそうだが、ここをどうにかしないとな....)』はぁ

 俺は散らかったマシンや木を見てそう思った。

 

 

 

 

 




 アナザーシノビ
 蓮の持つアナザーライダーの力の一つ
 影分身や影縫い、空蝉といった忍術を使いながら戦う。
 さらに、竜巻を操ることができ、相手の攻撃の無効化や
 武器に装備させるなど攻守どちらにも優れている。

 武器
 腰に装備している刀
 鉤爪
 クナイ

 特殊能力
 忍術
 竜巻の操作


 地球の本棚
 蓮がサリューシュからもらった転生特典
 この世界の情報、さらに転生者の情報の全てが保管されている。
 現在、蓮の頭の中に一つ(ただし、転生者の情報のみ)、蓮の家の部屋の中に一つある。
(頭の中にある分はサリューシュからのサービス)
 しかし、頭の中にある本棚はアナザーライダーに変身していないと検索できず、
 部屋の中にある本棚を使うにはアナザークイズでないと検索ができない。


 そして現実世界にある本棚の中には入り口とは別に謎の金属製の扉がある。




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嘘も時には役に立つ/夜を統べる偽りのキング

ご報告です。
おそらく、10月26日ぐらいまで投稿が止まります。
理由としまして、修学旅行で海外に行くからです。
ですので、次回の投稿は早くて27日、遅くて30日ぐらいになると思います。


 次の日の朝

 

「....朝か」

 机の上で寝ていた俺は目が覚めた。

 あの後、ウィザードの魔法で散らかった木やマシンを処理し、

 木の枝に引っかかっていた男をベンチまで運んだ俺は、

 家に帰ってすぐにサリューシュにカイザギアとカイザフォン、

 メロンロックシードを転送した。

 が、転送が終わると気が抜けてそのまま机の上で寝てしまった。

 

「(7時半か....)」

「学校行く用意しねぇと....」

 俺は寝起きで足元がフラフラだったが、壁にもたれながら

 洗面所に行き、顔を洗って歯を磨いた。

 そして、適当に買ったパンを食いながら制服に着替えた。

 それだけ動くと、流石に目は覚めた。

 

「さて、行きますか」

 カバンを持って家を出た。

 ちょうどその時、

 

 ガチャ

 

 隣の家の扉が開いた。

 

「あ、影宮君」

 扉から出てきたのは西連寺だった。

 

「おはよ西連寺」

「うん、おはよう」

「もう出るのか。早いんだな」

「そうかな? そんなに早くないと思うけど」

「そうか? あ、そうだ。よかったら一緒に行かないか?」

 俺は何となく西連寺を誘ってみた。

 

「良いよ」

「そうか。じゃあ早く行こうぜ」

 そう言って俺達はエレベーターに乗って一階まで降りた。

 

 

 〜〜〜

 登校中

 

「にしても、まさか同じクラスになるとはな」

「そうだね。教室に入ってきた時は驚いたよ」

「それは俺もだ」

 そんな軽い会話をしながら歩いていたら、ある道の前で

 西連寺は止まった。

 

「どうした?」

「う、ううん。何でもないよ」

 西連寺はそう言ったが、誰かの家の前にある車を見て

 怯えているよだった。

 

「....車がどうかしたのか?」

「っ! なんでわかるの!?」

「いや、車の方を見てたから関係してるのかと思ってな」

「....凄いね影宮君」

 西連寺は驚いたように言った。

 

「まぁな。....で、なんであの車見て怯えてるんだ?」

 俺は西連寺に聞いた。

 

「....影宮君は、鏡から変なロボットが出てくると思う?」

 西連寺は不思議そうに聞いてきた。

 

「えっ?」

「信じてもらえないと思うけど、二日前にあの車から

 変なロボットが出てきて襲われそうになったの」

「ロボットが?」

「うん。だから、またあのロボットが出てくると思うと怖くて....」

 俺はそれを聞いてこう思った。

 

「(恐怖、無くしてやったほうが良いよな....)」

 そして、

 

「....そのロボットって黄色くて蟹みたいなやつか?」

 俺は上手いこと話しを合わせにいった。

 

「何で知ってるの!?」

 西連寺は驚いたように言った。

 

「そいつ、俺も見たんだよ。二日前に」

「そうなんだ....」

「ビックリしたぜ。急に鏡から出てきて俺を襲うとしたからな」

「怪我とかしなかった?」

「あぁ。なんか変な銀色の怪物に助けてもらったからな」

 すると、西連寺は少し考えたようにして、

 

「....もしかして刀を持ってた?」

 と聞いてきた。

 

「おう。よく知ってるな」

「私もその怪物の人(?)に助けてもらったの」

「そうだったのか。変な縁もあるな」

「ほんとだね。....それで、ロボットってどうなったの?」

「怪物が倒した」

「そうなんだ。よかったぁ....」

 西連寺は落ち着いたように胸に手を当てた。

 

「それと、ロボットも破壊したから現れることはないって言ってた」

「そっか。じゃあ、もう心配はいらないんだ」

「そうらしいぜ。これで安心して通れるな」

「うん。教えてくれてありがとう影宮君」

「どういたしまして」

「(意外とあっさり信じてくれたな....)」ほっ

 俺は心の中で安堵した。

 

「(てか、普通に話してたけど今何時だ?)」

 俺は腕時計を見た。

 

 

「....なぁ西連寺、朝礼って何時からだっけ?」

「8時半からだけど....どうして?」

「急ぐぞ! このままだと遅刻だ!」

「う、嘘!?」

「マジだ! 今8時23分!」

「い、急がないと!」

「とにかく走るぞ!」

「う、うん!」

 そう言って俺と西連寺は学校まで全速力で走った。

 

 

 

 

 

 

 〜〜〜〜

 1時間目と2時間目の休み時間

 

「しんど....」

 俺は椅子にもたれかかってそう呟いた。

 

「影宮、大丈夫か?」

「おう....」

 俺がそうなっているのを見て結城はそう聞いてきた。

 

「それにしてもギリギリだったな、何かあったのか?」

「まぁ、ちょっとな」

「そっか」

 結城はそう言うと、次の授業の準備を始めた。

 

「てか、お前こそ大丈夫なのか? 授業中、上の空だったけど」

「あぁ〜、まぁちょっとな....」

 結城はそう言って遠い目をした。

 

「あ、そう」

「(多分昨日のことだろうな)」

 俺は何となくそう思った。

 

「それよりも、次移動教室だから早く行こうぜ」

「わかった」

 俺はそう言って授業の準備をして教室に向かった。

 

 

 

 〜〜〜〜〜

 昼休み

 俺は購買で買ったパンを持って教室に戻っていた。

 その時、

 

 ザワザワ ザワザワ

 

 何故か靴置き場の所が騒がしかった。

 俺が気になってその場所を見に行くと、目がハートになった

 男子生徒と、

 

「(ア、アイツは昨日の!?)」

 昨日のコスプレ女がいた。

 すると、女は誰かを探しているのか周りをキョロキョロ見ていた。

 そして、

 

「リトー! どこなのー!」

 大声で結城の名前を呼び始めた。

 すると、周りにいた男子の何人かはどこかに走っていった。

 

「(アイツ、結城に用があるのか?)」

 俺は物陰からコスプレ女を見ていた。

 

「出てきてよリトー、ねぇってばー」

 すると、女は校舎内を歩き始めた。

 そして、何故か女が歩くと周りにいた男子生徒達の目は

 ハートになっていった。

 

「(なんか周りに人が増えてきたな....)」

 俺が後ろからそう思って見ていると、女の前の階段から

 結城が走って降りてきた。

 

「ララ!」

「あ、リト! 見ーつけた!」

「何やってるんだ!」

「何って、これ渡しに来たんだ」

 そう言ってララと呼ばれた女はリトに弁当らしき物を渡した。

 

「そ、そうか....悪いな」

「気にしないで!」

「お、おいリト、誰だよその子! どういう関係なんだ!」

 同じクラスの猿山が結城に聞いた。

 

「え、えっと、その....」

 結城は何とか言い訳をしようと考えていたが、

 突然ララと呼ばれた女が結城の腕に抱きついた。

 そして、

 

「私はリトのお嫁さんでーす❤️」

 と言った。

 

「なにぃーーーーっ!!?」

「(マジかよ....)」

 俺は驚いた目で結城を見ていたが、

 周りの男子は結城を殺意のこもった目で睨みつけた。

 

「な、何言ってんだ!?」

「リト....お前....」

「ち、違う! 違うんだ!! お前いい加減にしろよ!!」

 半分キレながら結城が言うと、ララと呼ばれた女が悲しそうな目で

 こう言った。

 

「リト....私のこと好きだって言ったクセに....

 あれは嘘だったの?」

「!」

 ララと呼ばれた女の言葉で結城は絶望した様な顔した。

 そして....

 

「....おいみんな。アイツを捕まえろぉぉぉぉ!!!!」

 周りにいた男子達は結城を捕まえようと追いかけ出した。

 そして、結城はララと呼ばれた女の手を握って逃げ始めた。

 

「「「逃げるなぁぁ!!」」」

「うわぁぁぁぁ!!!」

 そして、結城と男子生徒達はどこかに走っていった。

 

「....教室で待ってるか」

 俺は追いかけようと思ったが、確実に面倒なことになると思い

 教室に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 〜〜〜

 その日の夜

 

「(....アイツ、大丈夫なのか?)」

 あの後、結城は教室に戻ってきたが授業中はずっと

 顔を伏せていた。そして、放課後になると結城はすぐに家に

 帰ってしまった。

 

「(なんか色々とボロボロだったし)」

 結城は教室に戻ってきた時、何故かボロボロになっていた。

 理由を聞こうとしたが、声が聞こえていないのかずっと顔を

 伏せていたので聞けずじまいだった。

 

「(まぁ、明日聞いてみるか。ついでに連絡先も交換するか)」

 そんなことを考えながら俺は、リビングでメールの確認をしていた。

 何故だかわからないが、クラスメイトからのメールが大量に届いていた。

 それにさっき気づいた俺は一件一件メールの確認をして返信をしていた。

 その時....

 

 コンコン

 

 何かが窓を叩く音が聞こえた。

 俺が窓の方を見ると、血の色をしたコウモリが二匹いた。

 

「何かあったのか?」

 俺がそう言うと、二匹のコウモリは俺の前で旋回を始めた。

 それは転生者が現れた合図だった。

 

「....わかった、すぐ行く」

 俺はそう言い、急いで一階まで降りた。

 一階まで降りると、コウモリはマンション前の天井に

 ぶら下がっていた。

 

「それで、何処にいる?」

 俺はぶら下がっているコウモリに聞くと、

 二匹は飛び始めた。

 

「(ついてこいってことか)」

 俺は二匹を追いかけた。

 

 〜〜〜〜〜

 河川敷

 

「(またここか....)」

 コウモリを追いかけた先はマッハとランスを倒した河川敷だった。

 そこには三つの人影を見ているベルトをつけた二人の高校生がいた。

 

「(アイツらか....)」

 すると、二匹のコウモリは高校生に体当たりをした。

 

「うわっ!」

「なんだコイツら!」

 高校生達は追い払おうとしたが、コウモリ達は執拗に追い回していた。

 

「鬱陶しいな!」

「こうなったら....!」

 男達はポケットからそれぞれ赤いガイアメモリとセルメダルを取り出した。

 

「ACCEL!」

「変身!」

 

 ♪~♪~

「ACCEL!」

 ♪~♪~

 

 一人の男は仮面ライダーアクセルに。

 

「変身!」

 ♪~ ♪~ ♪~ ♪~♪~

 もう一人の男は仮面ライダーバースに変身した。

 そして、二人はコウモリにエンジンブレードを振り回したり、

 バースバスターを放ったりした。

 そして、それらはコウモリに当たり、コウモリは真っ赤な液体に変わった。

 

「なんなんだよコイツら」

「さぁな。それよりも、始まりそうだ」

 そう言って男達は人影の方を見た。

 

「じゃあ、予定通りしっかり狙えよ」

「あぁ。計画の第一段階だからな」

 そう言うとバースは人影の方にバースバスターを向けた。

 

「(人を殺す気か....そんな計画、思い通りにさせるかよ)」

 俺は腕の時計を外した。

 そして、俺はアナザーウォッチのスイッチを押した。

 

 ♪~♪~♪~

「KIVA!」

 

 すると、俺の体は血の色をしたコウモリに包まれ、“アナザーキバ”へと化した。

 そして、俺の目の前に三つの彫刻が現れた。俺はその中の緑の彫刻を

 手に取った。

 すると、彫刻は変形していき、バッシャーマグナムになった。

 俺は銃口をバースの背中に向けて水の弾丸を数発放った。

 

「グワッ!?」

 弾丸はバースに直撃し、バースはその場で倒れた。

 

「お、おい! ....チッ、テメェ誰だ!」

 アクセルは俺の方を見るとキレながらそう言った。

 

『さぁな』

「んだと! テメェが後堂を撃ったのか!」

『あぁ、そうだ』

「何をしやがる! せっかく俺達の計画が始まろうって時に!」

『....転生者の思い通りにさせるわけないだろ』

 俺がそう言うと、倒れているバースとアクセルの肩は動いた。

 

「な、なんでそのことを....」

「まさか、テメェも転生者か!」

『そうだな。....ま、ただの転生者じゃないけどな』

「どういうことだ!」

『知りたきゃ俺に勝ってみな』

 そう言って俺は手で挑発した。

 

「なめてんじゃねぇぞ! 龍、援護しろ!」

「わかった!」

 そう言うと、バースは遠距離からの射撃、アクセルは接近での

 攻撃を仕掛けてきた。

 それを俺は射撃はバッシャーマグナムで相殺しながらアクセルの攻撃を躱した。

 

「チッ! 避けんじゃねぇ!」

『ふむ....』

『(力任せの攻撃だな。なら....)』

 俺は一度、アクセルから距離をとった。

 そして、持っていたバッシャーマグナムを彫刻に戻し、目の前に

 三つの彫刻を並べた。

 

『面白いものを見せてやるよ』

 そう言って俺は、三つの彫刻に手をかざした。

 すると彫刻にはキバの紋章が現れ、光り始めた。

 そして、彫刻は三体のアームズモンスターに変わった。

 

「な、なんだそれ!?」

「怪物が、増えた....!」

 アクセルとバースはこの光景に驚いていた。

 

『ドッガ、バッシャーは赤い方を狙え。ガルルは俺と銀色の方だ』

 そう言うと、それぞれ俺の命令通りに動き出した。

 

「ウゼェな!」

 アクセルはキレながら二体と戦い始めた。

 

『さて、こっちも始めようか』

 俺はバースの前に立ちそう言った。

 

「甘く見るな!」

 そう言ってバースはベルトにセルメダルを入れた。

 

 ♪~♪~

「ドリルアーム!」

 バースの右腕にはドリルアームが装備された。

 

「うおぉぉぉぉ!」

 バースは声を上げながらドリルの右腕を振り回してきた。

 俺とガルルはそれを避け続けた。

 

「クソッ! 当たれ!」

『当たるのはお前だ』

 俺は腕でドリルじゃない部分を腕で弾き、がら空きになった

 ボディに蹴りを叩き込んだ。

 

「グフッ!」

『今だ』

 そう言うとガルルはバースのボディ部分に切りかかった。

 ガルルはバースに馬乗りになり、爪でひたすら攻撃した。

 

「うわぁぁ!」

 バースは体は火花を上げ始めた。

 

「龍! テメェらどけぇぇ!」

 そう言うが、ドッガとバッシャーはアクセルを通さなかった。

 

『(さて、名前もわかったし終わらせるか)』

 俺はガルルが攻撃をしている間に頭の中にある地球の本棚で

 バースとアクセルの検索をかけていた。

 

『さて、転生者 後堂 龍太郎、お前はここまでだ』

 俺はバースにそう言った。

 

「ふざ、けるな....!」

 そう言いながらバースは立ち上がった。

 

『ほぅ、まだ立ち上がるか』

「当たり前だ! お前に計画を邪魔されてたまるか!」

 そう言うと、バースはセルメダルを取り出した。

 

 ♪~♪~♪~

「ブレストキャノン!」

 

 バースの胸部にブレストキャノンが装備された。

 そして、バースは数十枚のセルメダルをベルトに装填した。

 

「これでも食らえーーーー!!!」

 

「セルバースト!」

 

 そう言ってバースは俺とガルルに向かってセルバーストを放ってきた。

 

『ガルル』

 俺は隣にいるガルルの名前を呼んだ。

 するとガルルは彫刻になり、そこからガルルセイバーに変化した。

 俺はガルルセイバーを握ると、そのままセルバーストに当て、

 真っ二つに受け流した。

 

「う、嘘だろ!?」

 後ろでドッカ達と戦っているアクセルは驚愕の声を上げた。

 そして、セルバーストは10秒もしないうちに終わった。

 バースはフラフラになっていたが、ギリギリ立っていた。

 

「はぁ、はぁ....」

『終わりだな、後堂 龍太郎』

 俺はバースに近づき、ガルルセイバーで何度も斬りつけた。

 そして....

 

「ガハッ....」

 バースの変身は解除され、後堂は倒れた。

 俺はベルトをガルルに渡し、腰のホルダーのカードを後堂の

 上に落とした。後堂はカードに吸い込まれていき、俺の手元に

 カードが戻ってきた。

 

『(まず一人)』

 俺はカードをホルダーに戻しながらアクセルの方を見た。

 すると、アクセルは何故かバイクモードに変形していた。

 

『逃すな』

 だが、ドッガ達はアクセルの作った煙幕で身動きが取れずにいた。

 

「これ以上、相手していられるか!」

 そう言ってアクセルは水上を走って向こう岸に渡っていった。

 

『....逃すかよ。ガルル、お前は家に戻れ。ドッガ達は一度彫刻に戻れ』

 そう言うと、ドッカ達は彫刻に戻り、ガルルは家の方に走っていった。

 俺は二体を回収すると、背中から翼を生やしアクセルを追った。

 

 

 〜〜〜〜〜

 

『どこに行った....』

 俺は住宅街の上を飛んでいた。

 すると、

 

 ドーン

 

 近くから巨大な音が聞こえた。

 

『あっちか』

 俺は音の聞こえた方に向かった。

 

 

 〜〜〜

 

 音の聞こえたところに着くと謎の鎧を着た男が私服の男を襲っていた。

 そして、その近くにアクセルが身を隠していた。

 

『(見つけたは良いが、何やってんだよ結城....)』

 襲われていた男は、昼から調子が悪そうだった結城だった。

 

『手助けしてやるか....』

 そう思い、俺はバッシャーの彫刻に手をかざした。

 そして、俺は光り出したバッシャーの彫刻を結城の方に投げた。

 バッシャーがアームズモンスターに変わるのを見届けると、

 アクセルの近くに降りた。

 

『鬼ごっこは終わりか? 照山 涼』

「テ、テメェいつのまに!?」

『いつでもいいだろ? さて、ここがお前のゴールってとこだな』

「ふざけんな! 俺は目的を達成するまで終われねぇんだよ!」

 そう言いながら、アクセルはエンジンブレードを振り回してきた。

 

『(力任せかよ....)』

 俺は避けながらそう思った。

 

『(面倒だし、とっとと終わらせるか....結城も心配だし)』

 俺は残っていたドッガの彫刻に手をかざした。

 すると、ドッガの彫刻はドッガハンマーへと変化した。

 

「今度はハンマーかよ! なら、力づくで押し通す!」

 そう言ってアクセルは灰色のメモリをエンジンブレードに

 セットした。

 

「ENGINE!」

「ENGINE! MAXIMUM DRIVE!」

「はぁぁぁ!」

 アクセルはエンジンブレードを構え、真っ直ぐに走ってきた。

 

『脳筋が....』

 俺はドッガハンマーを地面に突き刺し、サンダーフィンガーを開いた。

 そして、その中にある目がゆっくりと開き、アクセルを睨んだ。

 すると....

 

「な、なんで動けねぇ!」

 アクセルの動きは止まった。

 そして、俺はハンマーを振り回し始めた。

 

「や、やめろ! やめろ!」

『そう言ってやめなかったやつの言うことは聞かねぇよ』

 そう言って俺は、ドッガハンマーをアクセルに振り落とした。

 

「ゴハッ!?」

 アクセルはドッガハンマーの下敷きになり変身が解除された。

 だが、照山の意識は少し残っており吹き飛んだアクセルメモリを

 取ろうとしていた。

 

「ま、まだ終わるわけには....!」

『いや、お前は終わりだ』

 俺はアクセルメモリを拾いそう言った。

 そして、ホルダーにあるカードを照山に落とした。

 

『テメェだけは、永遠に恨んでやる....!」

 そう言い残して照山はカードの中に吸い込まれた。

 

『はぁ、疲れた....』

 俺は落ちているアクセルドライバーを拾ってそう呟いた。

 

『(後は結城だな)』

 俺はバッシャーを投げたところに向かった。

 向かうと、なぜか結城はララと呼ばれた女に抱きつかれており

 その横で鎧の男は涙を流していた。そしてバッシャーは一人蚊帳の外だった。

 

『(....どういう状況だよ)』

 すると、

 

「むっ!」

 鎧の男が俺に気づいた。

 男は俺を見ると剣を構えた。

 

「貴様、何者だ!」

『何者か....強いて言うならそこにいるやつの主だな』

 俺はバッシャーを指差してそう言った。すると、バッシャーは

 俺の方に近づいてきた。

 

『ご苦労さん。彫刻に戻りな』

 そう言うとバッシャーと隣にいたドッガは彫刻に戻った。

 

「ちょ、彫刻になった....」

 結城はこの状況に驚いていた。

 しかし、

 

「ねぇ、あなた名前は?」

「ラ、ララ様危険です!」

 ララと呼ばれた女は俺に近づいてきた。

 

『アナザー、アナザーキバだ』

「そっか! ありがとね、リトを助けてくれて」

 ララと呼ばれた女は俺にお礼を言ってきた。

 

『助けた覚えはない。たまたま偶然目に入ったから

 バッシャーを送っただけだ』

「それでもリトを助けてくれたのには変わらないから。

 だからありがと!」

『....そうか』

『(意外と礼儀正しいな....)』

 俺はそう思った。

 

「あ、あの、助けてくれてありがとな」

 結城もそう言ってきた。

 

『おう....』

『(これ以上長居は無用だな....鎧の男の目がヤバいし)』

 俺はそう思い、背中に翼を生やした。

 

「つ、翼が....」

 結城は俺の翼を見て驚いていた。

 

『あばよ』

 俺はそう言い自分の家の近くまで飛んで帰った。

 家の中に入ると、ガルルがすでに彫刻の状態に戻っており、

 バースドライバーが机の上に置かれていた。

 

「(さっさと転送して寝るか)」

 そして、俺はパソコンの前に座り作業を始めた。

 

 




 アナザーキバ
 蓮の持つアナザーライダーの力の一つ
 三体のアームズモンスターを使役しており、状況に応じて
 武器やモンスターとして使う。
 さらにコウモリを使役することができ、偵察や足止めとして使う。
 意外と蹴り技を得意としている。

 唯一の弱点が、太陽が昇っている時はコウモリが使役出来ないこと。

 武器
 三体のアームズモンスター
 コウモリ

 特殊能力
 アームズモンスター、コウモリの使役


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学校と姉と狼

久しぶりの投稿ですので会話文が多めになっているかもしれません。
(流石にテスト明けからの修学旅行はしんどいって....)

後、前回の投稿の際、26まで止まると書きましたが
帰る日を間違えていたので、投稿は今日になりました。



 次の日の朝

 

「あ、おはよう影宮君」

「おはよ西連寺」

 俺が昨日と同じ時間ぐらいに家を出ると、ちょうど

 西連寺も家から出てきた。

 

「影宮君、今日も一緒に行かない?」

「あぁ、別に良いぞ」

「そっか。じゃあ行こ?」

「おう」

 

 〜〜〜〜

 登校中

 

「....なぁ、西連寺」

「どうしたの?」

「なんか、後ろから視線を感じないか?」

「視線?」

 そう言って西連寺は後ろを振り向いた。

 

「....誰もいないよ?」

「そうか....」

「(絶対誰かいるよな....)」

 俺は後ろを振り向いてそう思った。

 

「きっと気のせいだよ。早く行こ?」

「あぁ....」

 そう言って俺は西連寺と学校に向かった。

 

「....」

 

 

 〜〜〜〜

 下駄箱

 

「おっはよー春菜!」わしっ

「ひゃぁ!」

 俺と西連寺が下駄箱に着くと、後ろから声が聞こえた。

 そして、声の主は西連寺の胸を揉み始めた。

 

「ちょ、ちょっとリサ!」

「んん〜! 今日も柔らかいねぇ〜」

「....朝から何やってんだ、籾岡」

「おぉ、名前覚えてくれてたんだ!」

 声の主は同じクラスの籾岡だった。

 

「まぁな....それよりも、朝から何してんだ」

「ん〜、朝の挨拶?」

「どこがだよ....」

 そんなことを言っていると、西連寺の足の力は

 どんどん抜けていき、その場に座り込んでしまった。

 

「おいおい、大丈夫か?」

 俺は西連寺に手を差し伸べた。

 

「あ、ありがとう....」

 西連寺は俺の手を掴み、フラフラ立ち上がった。

 そして、籾岡の方を見て、

 

「リサ、今日の小テストの範囲教えてあげない」

 と言った。

 すると、籾岡の顔はみるみる青ざめていった。

 

「そ、そんな殺生な!」

「(....自業自得だな)」

 俺は籾岡を見て、哀れに思った。

 

「行こ、影宮君」

「あぁ」

 そう言って教室に向かおうとしたら、籾岡のか細い声が

 後ろから聞こえてきた。

 

「は、春菜〜、私達友達だよね?」

「....少しは反省して」

「は、はい....」

 そう言って西連寺は教室に向かっていった。

 

「ご愁傷様」

 俺は籾岡にそう言って西連寺の後を追いかけた。

 

 

 〜〜〜〜

 教室

 

「よ、結城」

「おぉ、影宮。おはよ」

「おはようさん。朝から疲れてんなぁ」

 結城の顔は疲れた表情をしていた。

 

「あぁ....昨日から色々あってな」

「色々?」

「(多分、アレとかアレだろうな....)」

 俺は何となくわかった気がした。

 

「あぁ。変な男に剣を向けられるわ、怪物みたいなやつが

 出てくるわ....」

「....大変だな」

「あぁ、それに....」

「それに?」

「....いや、なんでもない」

「....あっそ」

「(絶対何かあるだろ....)」

 俺はそう思ったが、口には出さなかった。

 

「あ、そうだ」

 俺はある事を思い出した。

 

「どうした?」

「連絡先教えてくれよ。昨日、連絡先の整理してたら

 お前のがなくてな」

「そういえば教えてなかったな。いいぜ、教えるよ」

「サンキュ」

 そう言って俺と結城が連絡先を交換し終わった時、

 

「影宮君、ちょっといいかな?」

「西連寺?」

 学級日誌を持った西連寺が話しかけてきた。

 

「今日、欠席の人がいるんだけどその人が日直でね。

 それで、順番が変わって影宮君が日直になったの」

「そうなのか?」

「うん。だから、日直の仕事を教えるから聞いて欲しいんだ」

「そうか。わざわざ悪いな」

「ううん、気にしないで。それで、今からでいいかな?」

「あぁ。じゃあ結城、また後でな」

「あぁ」

 そう言って俺は西連寺の席で日直の仕事を教えてもらった。

 

 〜〜〜

 放課後

 

 なんだかんだで、日直の仕事をこなし放課後になった。

 俺は教室の黒板を消していた。

 

「(こんなもんか)」

「西連寺、こっちは終わったぞ。そっちはどうだ?」

 西連寺は机の上で日誌を書いていた。

 

「私も書き終わったよ」

「そうか。じゃあ、後は提出したら終わりか」

「そうだよ」

「なら、早く提出しに行って帰ろうぜ」

 そう言って、俺はカバンを持って教室を出た。

 

「あ、待ってよ!」

 そう言って、西連寺も後ろから追いかけてきた。

 

 〜〜〜

 

「今日一日どうだった?」

「西連寺のおかげで仕事とかよくわかった。

 ありがとな」

「そっか、ならよかった」

 俺と西連寺は帰り道を歩きながらそんな話をしていた。

 その時....

 

 ♪~♪~♪~

 

 西連寺の携帯が鳴り出した。

 

「ちょっとごめんね」

「おう」

 そう言って西連寺は携帯を取って電話に出た。

 すると....

 

 ♪~♪~♪~

 

 俺の携帯も鳴り出した。

 

「....なんだ、次狼」

 電話の相手は、俺の使い魔の次狼だった。

 

『蓮か。悪いが、飯を食うから材料買ってきてくれ』プツッ

「....」

 次狼はそれだけ言うと電話を切った。

 

「(相変わらず自由なやつ....)」

 俺は携帯をポケットに入れ、西連寺を待った。

 すると、西連寺も電話が終わったのかこっちに戻ってきた。

 

「待たせてごめんね」

「いや、大丈夫だ....それよりも悪いんだが、ちょっと

 寄るところがあるからここで別れてもいいか?」

「影宮君も?」

「....西連寺もか?」

「うん。お姉ちゃんが帰ってくるから晩御飯の材料を

 買ってきてって」

「なら、一緒に行くか?」

「え?」

「俺も親戚が来てるから晩飯食わせてくれって

 電話がきたんだよ」

「そうなんだ。じゃあ、私がよく行くスーパー

 だけどいいかな?」

「あぁ」

 そう言って、俺と西連寺はスーパーの方に向かって歩き始めた。

 

 

 〜〜〜〜

 

「ごめんね、重いもの持たせちゃって....」

「気にすんな。俺も西連寺にカバン持ってもらってるからな」

 俺は両手にスーパーの袋を、西連寺は俺のカバンと自分のカバンを

 両手に持ちながら家に帰っていた。

 

「にしても西連寺、お姉さんがいたんだな」

 俺は不意にそう言った。

 

「うん。そういえば、影宮君は会ったことがなかったね」

「そうだな。それに、西連寺のご両親にも会ったことがないな」

「それはそうだよ。パパとママは、別のところで仕事を

 しているから」

「そうなのか。じゃあ、お姉さんと二人暮らしなんだな」

「そうだよ。....まぁ、家賃代わりにこき使われてるけど」

「そいつは災難だなぁ」

 そう話していたら、マンションの前に着いた。

 

「着いたな」

「私、鍵開けるね」

「頼んだ」

 

 〜〜〜

 

 501号室前

 

「今、お姉さん居るか?」

「多分居ると思うよ。ちょっと待っててね」

 そう言って西連寺は部屋の中に入っていった。

 

 

 しばらくすると、部屋から西連寺と紫色の髪の女性が出てきた。

 

「お姉ちゃん、この人が隣に引っ越してきた影宮君だよ」

「はじめまして影宮君。春菜の姉の秋穂です」

「影宮蓮です。すいません、挨拶が遅れて....」

「気にしないで。最近、家に帰るのも遅かったからね。

 会うことがなかったのは当然だよ」

「そ、そうですか」

「まぁ、お隣さんだし春菜と仲良くしてあげてね。

 この子、引っ込み思案だからね」

「はい」

「うんうん、いい返事だね」

「お、お姉ちゃん! 余計なことを言わなくていいから!」///

 俺と秋穂さんが話しているのを聞いて、西連寺は顔を赤らめていた。

 

「まぁまぁ、ちょっとぐらいいいじゃん」

「も、もうお姉ちゃんは部屋に入ってて!」///

 西連寺は、秋穂さんを部屋の中に押し込んでいった。

 

「じゃあね〜、影宮君。今度会った時はゆっくり話そうね」

 そう言って秋穂さんは部屋の中に消えていった。

 

 〜〜〜

「お姉ちゃんが迷惑かけてごめんね....」

「大丈夫だ。それよりも、いいお姉さんだな」

「そ、そうかな?」

「おう。しっかり妹のことも気にかけてただろ?」

「そ、そうだね」

「まぁ、よろしく言っといてくれ。俺も帰って

 晩飯作らないと今来てる親戚がうるさいからな」

「そっか。じゃあまた明日」

「あぁ、また明日」

 そう言うと、西連寺は部屋の中に入っていった。

 

「(さて、帰ったらまずは飯だな)」

 そう思いながら俺は自分の部屋の鍵を開け、部屋に入った。

 

「ただいま」

「おう、帰ってきたか蓮」

 部屋に入ると、タキシード姿の次狼がテレビを見ながら

 コーヒーを飲んでいた。

 

「勝手にコーヒーを飲ませてもらってるぞ」

「....そうか。飯作るのに時間かかるけどいいか?」

「あぁ」

 次狼はそう言ってテレビの方に顔を戻した。

 

「(一体何しにきたんだか....)」

 そんなことを考えながら、俺はキッチンで晩飯を作り始めた。

 

 

 〜〜〜〜

 

「おい、できたぞ」

 俺はテレビを見ている次狼にそう言った。

 

「そうか。ではいただこうか」

 次狼は机に並べた料理を食べ始めた。

 

「ふむ、また腕を上げたな」

「そいつはどうも。....で、何の用だ」

 俺は次狼の前に座ってそう聞いた。

 

「大した用じゃない。あの女からコレを渡すように

 言われて持ってきただけだ」

 次狼は机の上に羽根飾りが付いた薄い腕輪を置いた。

 

「これ、直ったのか!」

「あぁ。かなり時間がかかったって言ってたぞ」

「そうか....後で礼を言わないとな」

「そうしとけ」

 そう言いながら次狼は、自分の前に置かれていた料理を

 全てたいらげていた。

 

「ごちそうさん」

「はやっ!?」

「なかなか美味かったぜ蓮」

「そ、そうか....」

「さて、飯も食い終わったし、これで全部終わったな。

 蓮、何か手伝うことはないか? ないなら、しばらく寝るが....」

「....なら、一つ頼まれてくないか?」

「何をだ」

「明日、学校に行く時にこの場所にいてくれないか」

 俺は携帯のマップを見せてその場所を指差した。

 

「別に良いが、理由はなんだ」

「今日学校に行くときに背後から視線を感じた。

 その正体を探ってほしい」

「....良いだろう。お前の頼みを聞こう」

「悪いな」

「気にするな。今日の飯代の代わりだ」

 そう言って次狼はタキシードの上着を羽織って

 玄関の方に向かっていった。

 

「どこに行くんだ」

「町を歩いてくる。登校する時になったらメールしろ」

 そう言って次狼は靴を履いて出ていった。

 

「(頼むから面倒ごとを起こさないでくれよ....)」

 俺はそう祈りながら、ポケットに入れていた

 通信機を耳につけた。

 

 

「サリューシュ、聞こえるか?」

『....どうしたんですか?』

 サリューシュの声は寝起きの人みたいだった。

 

「悪い、寝てたか」

『えぇ、まぁちょっと....』

「じゃあ、後でかけ直そうか?」

『大丈夫です。....それで、用件はなんですか?』

「大した用じゃないんだが、腕輪の修理ありがとな」

『あぁ....数週間徹夜した甲斐がありますよ』

「そ、そうか....」

「(何だ今のストレスが溜まりに溜まった声!?)」

 サリューシュの声を聞いて、俺は背筋が震えた。

 

『すみませんが切りますね』

「あ、あぁ....ゆっくり休んでくれよ」

『ありがとうございます....』

 そう言ってサリューシュは通信を切った。

 

「(....今度、何か差し入れをするか)」

 俺はそう思いながら、晩飯の片付けを始めた。

 

 

 

 

 

 




 次狼
 蓮の使い魔の一人で唯一、言語が話せる使い魔
 戦闘時はアナザーキバの武器や使い魔として戦う

 元々はただの彫刻だったが、蓮がアナザーキバの改造を
 した際、誤作動を起こした為、人間の体を手に入れた。

 口調や態度はクールだが、頼み事などは律儀に聞くので
 蓮やサリューシュに信頼されている。
 基本的に彫刻態でいることが多いが、用事や蓮の頼み、
 コーヒーを飲みたくなると人間態になる。(だいたい一週間に一回のペース)

 好きなもの 美味いコーヒー
 嫌いなもの 不味いコーヒー
 趣味 美味いコーヒー探し


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盗撮と転校生と偽りの鎧武者

スクスタをやってたら書く暇がねぇぇぇ!!


 次の日

 

「次狼、そろそろ出る」

『わかった』

 俺は家を出る時、次狼に電話した。

 

「(さて、どっちだろうな....)」

 俺は部屋の扉を開けた。

 

「おはよう影宮君」

「おう、おはよ」

 家を出ると、西連寺が部屋の前にいた。

 

「じゃあ行くか」

「うん」

 そう言って、俺達は学校に向かい始めた。

 

 

 〜〜〜

 登校中

 

「(そろそろか)」

 俺と西連寺は、昨日俺が視線を感じた道を歩いていた。

 すると、俺と西連寺が歩いた後ろから視線を感じた。

 俺が横目で見ると、一眼レフのカメラを持った男がいた。

 

「(あんな目立つものを朝から....)」

 すると、その付近に身を潜めていた次狼にその男はカメラを奪われ、

 路地裏に連れていかれた。

 

「(さて、白か黒か....)」

 俺は連れていかれた方を見てそう考えた。

 

「影宮君? どうかしたの?」

「何でもねぇよ。早く行こうぜ」

 

 〜〜〜

 朝礼

 

「えぇ〜、突然ですが転校生を紹介します」

 教室に入ってきた骨川先生はそう言った。

 

「このタイミングに珍しいな」

「それを言うなら影宮もだろ?」

「たしかに」

 俺は結城とそう話した。

 

「では入ってきなさい」

「ハーイ!」

 教室の外から女子の声が聞こえた。

 その声に、俺は聞き覚えがあった。

 

「なぁ結城、今の声って....」

 俺は結城に聞こうとしたら....

 

「....」ダラダラ

 結城は顔から汗が流れていた。

 

「(....全然聞いてねぇ)」

 結城には俺の声が聞こえていなかった。

 そして、そんな事を考えていたら、女子は教室に入ってきた。

 入ってきた女は、一昨日学校に来た結城の婚約者(?)だった。

 

「ヤッホーリト! 私もガッコ来ちゃった!」

「ラ、ララ!?」

 

 ザワザワ

 

 クラスの人間はララを見て、ザワザワし始めた。

 

「(コイツは面倒なことになるな....)」

 俺は結城を見てそう思った。

 

 〜〜〜

 休み時間

 

 結城はララを連れてどこかへ行ってしまった。

 

「(アイツも大変だなぁ)」

 そう考えながら外を眺めていたら、ポケットの中の携帯が鳴った。

 

「(次狼....)」

 俺は教室を出て、階段の陰で携帯に出た。

 

「もしもし」

『蓮か。面倒なことになったぞ』

「は?」

 次狼は出た瞬間、そんな事を言ってきた。

 

『とっ捕まえた盗撮野郎、お前の学校のやつに

 依頼されたんだとさ』

「....どういう事だ?」

『簡単に言うと、転生者に頼まれたらしい』

「....まじか」

『あぁ、ご丁寧に名前も教えてくれたぞ』

「そいつの名前は」

 俺が聞こうとした時、

 

 ♪~♪~♪~

 

 授業のチャイムが鳴った。

 

「タイミング悪....」

『....後でメールでデータを送っておく。お前はさっさと授業に迎え』

「あぁ、頼んだ」

 そう言って俺は教室に戻った。

 

 〜〜〜

 授業中

 

 ♪~♪~

 

「(来たか)」

 ポケットの中の携帯が震えた。

 携帯のメッセージを開くと次狼からメールが来ていた。

 

『転生者の名前は 市道 甲斐。高校二年のやつらしい。

 目的は西連寺で、盗撮犯はそいつに金で雇われた。

 そして市道は明日、西連寺を宇宙人から助けて自分のものに

 すると言っていたそうだ。今日中に始末した方が良さそうだぞ。』

 

「(市道 甲斐....)」

 俺は頭の中にある地球の本棚で検索を始めた。

 

「(転生者 市道 甲斐 盗撮)」

 三つの単語を頭に思い浮かべると、黄緑色の本が一冊

 目の前に残った。

 

「(前世の名前は黄蓮 龍之介。前世で盗撮の罪で逮捕。

 趣味は盗撮写真の売買。そして、ブラーボに変身する特典持ち)」

 俺は本を流し読みし、必要な情報を回収した。

 

「(昼休みに始末するか....)」

 俺は本棚を元に戻し、意識を戻した。

 意識を戻すと、結城が前で問題を解いていた。

 

「(....寝よ)」

 俺は顔を伏せ、意識を落とした。

 

 

 〜〜〜〜

 昼休み

 

「リトー! 一緒にお弁当食べよー!」

 ララはリトに近づいてそう言った。

 

「お前な! 自分の席で食べろって!」

「えー、リトのそばがいいもん!」

「だけどなぁ!」

「なぁ、ここの席使うか?」

 俺はララにそう言った。

 

「か、影宮!?」

「いいの!」

「あぁ」

「ありがとう! ....ねぇ、あなたの名前は?」

「影宮 蓮だ。よろしくな、ララ」

「うん、よろしくね蓮!」

「お、おい影宮?」

「悪いな結城。ちょっと用事があってな」

 そう言って俺は席を立った。

 

「んじゃ、また後で」

 俺は二年の教室に向かった。

 

 

 〜〜〜〜

 二年 教室前

 

「あのー、すいません。市道先輩はいらっしゃいますか?」

「甲斐、なんか後輩が来てるぞ」

「ん? わかった」

 教室から、筋肉質な男が出てきた。

 

「市道先輩ですよね」

「そうだが、君は?」

「一年の影宮です。市道先輩に少しお話があって....

 一緒に屋上に来ていただけませんか?」

「別に構わないが....」

「ありがとうございます」

 そう言って俺は屋上に向かった。

 

「(計画通り....)」

 

 〜〜〜〜

 屋上

 

「それで、俺に話ってのは?」

「....こんなに簡単に釣れるとはなぁ」

 俺は扉にもたれながらそう言った。

 

「....何を言って」

「転生者、黄蓮 龍之介だな」

「!?」

 俺がその名前を言うと、黄蓮の顔は驚愕の表情になった。

 

「反応がわかりやすいな」

「なんで俺の名前を!?」

「さぁな。それよりも、貴様を捕獲する」

 そう言って俺は腕時計を外し、アナザーウォッチに変化させた。

 

 ♪~♪~♪~

「GAIM!」

 

 俺の上空から腐敗したオレンジが頭に落ちてき、

 オレンジが開くと、俺は“アナザー鎧武”と化した。

 

「お、お前も転生者か!」

『まぁ、正解だな』

 そう言って俺は黄蓮に手を向けた。

 すると、黄蓮の背後には錆びついたジッパーが現れた。

 そして、ジッパーが開くと謎の森の空間が現れ、中から

 植物のツタが黄蓮に纏わりついた。

 

「なんだよこれ!?」

 黄蓮は暴れて引きちぎろうとしたが、ズルズルと

 引っ張っていった。

 俺もジッパーの方に向かって歩いていき、俺が森の中に

 入るとジッパーは閉まった。

 そして、黄蓮はツタに投げ飛ばされ地面に転がった。

 

「テ、テメェ! よくも俺にこんな仕打ちを!」

『喋る元気はあるみたいだな』

「なめやがって!」

 そう言うと、黄蓮はベルトを取り出しロックシードを開錠した。

 

「ドリアン!」

 

「ロック・オン!」

 

 ♪~♪~♪~

 

「変身!」

「♪~♪~ ドリアンアームズ! ミスター・デンジャラース!」

「はぁぁ!」

 黄蓮は仮面ライダーブラーボに変身し、ドリノコを構えて

 俺に向かってきた。

 

「オラァ!」

 ブラーボが振り下ろしてきたドリノコを、俺は装備していた

 大剣で受け止めた。

 

「オラオラオラ!」

 ブラーボは連続してドリノコを振り下ろしてきたが、

 俺は冷静に一撃一撃を受け止めた。

 

「ハァァ!」

 そして両方のドリノコを一斉に振り下ろしてきた瞬間、

 

『もらった』

 俺は大剣で弾き、ガラ空きになった腹部を斬りつけた。

 

「ガハッ!」

 ブラーボは後ろに吹き飛ばされ、木に叩きつけられた。

 

『弱い、弱すぎる....』

「誰が弱いだと!」

『お前しかいないだろ』

「ふざけるなぁぁ!!」

 

「ドリアン・オーレ!」

 

「だぁぁぁぁ!」

 ブラーボがドリノコを振ると、ドリアンの形をしたエネルギー弾が

 飛んできた。

 だが、俺は大剣を盾の様に使い、エネルギー弾を全て受け止めた。

 

「嘘、だろ....!」

『(所詮はこんなものか)』

 俺はそう思い、大剣を振り、オレンジ色の斬撃を飛ばした。

 

「くっ!」

 ブラーボは避けようとしたが....

 

『遅い』

 斬撃は数十個に分裂し、ブラーボに襲いかかった。

 

「うわぁぁ!」

 斬撃はブラーボに命中し、さらにはドリノコを真っ二つに

 折っていた。

 

「お、俺の武器が!?」

 ブラーボは自分の武器の惨状を見ると、焦りが

 見え始めた。

 

『(変身者によっては武器の強度も変わる可能性がありそうだな....)』

 焦っているのを横目で見ながら、俺の目線は武器の方に向いていた。

 

『(さて、武器の事に関しては後にして、さっさとこいつの

 処理をするか)』

 そう思いながら、俺は大剣をブラーボに向けた。

 

『終わりだな』

 俺はブラーボのボディを真っ直ぐに斬る様に大剣を

 振り下ろした。

 

「ガハッ....!」

 大剣はブラーボに直撃し、ボディは破損、ロックシードは

 吹っ飛び、変身が解除された。

 そして、俺は吹っ飛んできたロックシードをキャッチした。

 

『(破損はしてないな)』

 俺はドリアンロックシードに破損がないのを確認した。

 そして、黄蓮の近くに落ちた戦極ドライバーを踏み潰した。

 

「お、俺の力が....!」

 黄蓮はドライバーの方に腕を伸ばした。

 だが、その腕がドライバーに届くことはなかった。

 そして、俺は手を黄蓮の方に向けた。

 すると、周りの木のツタが黄蓮に纏わりつき、黄蓮は空中で

 縛りつけの状態になった。

 

「は、離せ....!」

 黄蓮は俺の方を睨みながらそう言った。

 

『俺の質問に答えたら解放してやるよ』

「ほ、本当か!」

『あぁ』

『(んなわけねぇだろ....)』

 俺はそう思いながらも口では軽い嘘をついた。

 

『さて、聞きたいことは一つだ。明日、西連寺が宇宙人に

 襲われるってどういう事だ?』

 黄蓮は苦い顔をしたが、大剣を向けると慌てたように話し出した。

 

「げ、原作なら、明日西蓮寺は昼休みに宇宙人に体育倉庫で捕まるんだ!」

『その宇宙人は今どこに?』

「わ、わからねぇ! ただ、その宇宙人は佐清って教師に擬態する!」

『なるほどねぇ....』

「俺の知ってることは全部話した! だからこれを外してくれ!」

『....いいぜ』

 そう言って、俺は腰のホルダーに入っているカードを黄蓮に投げた。

 カードが黄蓮に刺さると、黄蓮の体は光だしカードの中に

 吸い込まれていった。

 

「お、おい! どうなってんだ!」

『約束通り、拘束から解放したからな。

 ....ま、今度はカードの中で封印だけどな』

「テ、テメェェェ!!」

『あばよ』

 俺がそう言うと、黄蓮は完全にカードの中に吸い込まれ、カードは

 俺の手元に飛んできた。

 

『(さて、次は佐清って教師か....)』

 俺は空間にジッパーを開き学校の屋上に戻った。

 俺はアナザーウォッチのスイッチを押し、変身を解除した。

 

「(動くのは明日の昼休み....なら、確実に仕留めるには....)」

 俺はアナザーウォッチを腕時計に戻し、教室に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 




 アナザー鎧武
 蓮の持つアナザーライダーの力の一つ
 剣を使うアナザーライダーの中で最強のアナザーライダー
 大剣を攻撃や防御に使い、接近戦ではかなりの実力を誇る。
 さらに、斬撃を飛ばすこともでき、斬撃を分裂させることもできる。

 ある森の空間に移動することができ、その空間内にある
 植物を自在に操ることができる。

 武器
 大橙丸を巨大化させた様な大剣

 特殊能力
 斬撃の分裂
 ある森の空間への移動
 空間内の植物の操作


 封印のカード
 正式名称不明
 転生者を封印するためのカードで、戦闘時は常に
 アナザーライダーの腰のホルダーに装備されてる。
 転生者を封印するためには、一度対象が変身をしていなければならない。

 封印時のカードに吸い込まれる感じは、仮面ライダー剣の
 アンデッドが封印される感じ。


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宇宙人にも効くらしい

今回は宇宙人を始末するだけです。


 放課後、俺はテニス部の練習風景を見ていた。

 

「(あれが佐清か....)」

 そして、俺の目線の先にはテニスを教えている男が

 目に入っていた。

 佐清の周りには多くの女子生徒が集まっていた。

 

「(さすがに宇宙人かどうかはわからないか....)」

 しばらく観察しているが、流石に初見では人間か宇宙人かは

 見分けがつきそうになかった。

 その時....

 

「ここがテニス部ですよ」

「そうなんだ」

 校舎の方から西連寺とララが歩いてきた。

 すると、ララは俺の方に気づいたのかこっちに向かって

 歩いてきた。

 

「あ、蓮! 何してるの?」

「ん、テニス部の練習を見てただけだ。そっちは何してるんだ?」

「今ね、春菜に部活案内してもらってるんだ〜」

「そうなのか」

 そうして話していると、ララの後ろから西連寺も歩いてきた。

 

「影宮君?」

「よ、案内お疲れさん」

「また練習を見てたの?」

「まぁな」

「(嘘だけど....)」

「そうだ! よかったら蓮も一緒に見て回らない?」

 ララはそう言って誘ってきたが、

 

「あぁ〜、でももう少ししたら帰るからな。遠慮しとく」

「そっか〜、じゃあまた明日!」

 そう言ってララはテニス部の方に走っていった。

 

「ラ、ララさん!?」

「行ってやれよ西連寺。早くしないと全部回りきれ

 ないんじゃないか?」

「う、うん。ごめんね影宮君。また明日」

 そう言って西連寺もテニス部の方に走っていった。

 

「(忙しいな西連寺も)」

 俺は西連寺の後ろ姿を見ながらも、目線は佐清の方を見ていた。

 すると、西連寺とララは佐清の方に向かって歩いていった。

 そして、西連寺は佐清にララの紹介をしているようだった。

 その時、ララと西連寺の顔が佐清の顔から視線を逸らした時、

 

「....」ニヤッ

 佐清の口元が一瞬上がった。

 さらに目は完全に興奮しているような目をしていた。

 

「(....擬態済みって訳か)」

 俺はカバンを持ってその場を離れた。

 

「(動くのは明日....なら、誰にもバレずに処理するタイミングは....)」

 

 

 〜〜〜〜

 次の日

 四時間目

 

「今日の授業はここまで」

「「ありがとうございましたー」」

 

「よっしゃー、飯だー!」

「早く戻ろうぜ」

 そう言って男子生徒達は校舎の方に走っていった。

 

「影宮、俺達も戻ろうぜ」

 結城はそう言ってきたが、

 

「悪い。佐清先生に話があるから先に行ってくれ」

「わかった。じゃあまた後でな」

「おう」

 そう言って結城も校舎の方に戻っていった。

 

「(さてと)」

 俺は片付けをしている佐清に近づいた。

 

「先生、手伝いましょうか?」

「影宮か。ありがとう。じゃあサッカーボールを

 体育倉庫に持って行ってくれ」

「わかりました」

 そう言って俺はサッカーボールの籠を体育倉庫に運んだ。

 

「ありがとう、助かった」

「いえ、お気になさらず」

「そうか。さ、早く教室に戻りなさい」

 そう言って、佐清は俺を倉庫から出そうとしたが、

 俺は扉にもたれかかった。

 

「どうかしたのか?」

「なぁ、いつまで人の皮を被るつもりだ、宇宙人」

 俺が佐清に向かってそう言うと、

 

「な、何故バレた!?」

 佐清の顔は歪み、宇宙人のような顔に変化した。

 

「(黄蓮の言った通りだな)」

「き、貴様も宇宙人か!」

「俺はただの人間だ」

「そんなわけあるか! ただの人間に俺の

 擬態がバレるはずないわ!」

「て、言われてもなぁ....」

「ぐぬぬ! 一体貴様の目的はなんだ!」

「目的....そうだなぁ....」

 すると、俺の目は紫に光り、宇宙人を睨んだ。

 

「お前の削除だな」

「っ!?」

 宇宙人は俺に睨まれ、少し後ずさった。

 

「お前はこれから西連寺を襲う、違うか?」

「な、なんでその事を!?」

 宇宙人は驚愕の表情を浮かべた。

 

「さぁな」

「き、貴様ぁぁ!」

 そう叫びながら、宇宙人は触手の様なものを

 投げつけてきた。

 

「お前を先に人質にして西連寺と並べてやるよ!」

「....はぁ」パチンッ

 俺はその言葉を聞いて呆れ、指を鳴らした。

 すると、投げてきた触手や宇宙人の動きは止まった。

 

「俺を人質にするなら、まずはこれを破らないとなぁ」

 そう言いながら、俺は自分の影から一本の刀を取り出した。

 

「お前の目的は知らないが、俺の周りの奴らに手を出すなら、

 お前を殺す」

 そう言って俺は、周りの触手と右腕を斬り裂いた。

 そして、俺がもう一度指を鳴らすと斬り裂いた触手と

 宇宙人は動き始めた。

 触手はボトボト落ち、宇宙人の腕も地面に落ちた。

 

「ぎゃぁぁぁ!」

 宇宙人は叫び声を上げ、地面に倒れた。

 すると、宇宙人は光り出し、小さい宇宙人に変わった。

 

「さっきのも擬態ってわけか」

 俺はそう思いながら刀を鞘に納め、触手で宇宙人を縛った。

 そして、俺は周りに誰もいないのを確認し、

 ポケットに入れていたアナザーウォッチを起動させた。

 

 ♪~♪~♪~

「GAIM!」

 

 俺は体育倉庫の壁に手を向け、森の空間に宇宙人を投げた。

 森の中に宇宙人が入った瞬間、錆びついたジッパーは空間を閉じた。

 

「よし、これでいいか」

 俺はすぐに変身を解除し、下駄箱の方に戻ろうとした。

 その時、偶然テニス部の部室前に西連寺がいるのが目に入った。

 

「(何やってんだ?)」

 そう思い、俺は西連寺に近づき声をかけた。

 

「西連寺、何してるんだ?」

「あ、影宮君。さっき、佐清先生に部室に来てって

 言われたんだけど....佐清先生が来なくて....」

「(....なるほどねぇ。あの宇宙人、ここで西連寺を

 襲うつもりだったのか。体育倉庫じゃねぇじゃねぇか)」

 俺は昨日の黄蓮が言った事を思い出した。

 

「(さて、こういう時は....)」

「そういえば、さっき佐清先生が西連寺を見かけたら

 用事は済んだって言っておいてくれって言われたぞ」

 俺は西連寺に嘘をついた。

 

「そうなの?」

「あぁ。他の先生がやってくれたみたいだ」

「そうなんだ」

「だから、早く教室に戻ろうぜ」

「そうだね。....そういえば、影宮君は何をしてたの?」

「俺は片付けの手伝いをな」

「そうなんだ。優しいね、影宮君は」

「そうか?」

 そんな事を話しながら、俺と西連寺は下駄箱に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 影正
 アナザービルドが作った人間の時に使う刀
 常に蓮の影の中に装備されており、戦闘時に影に触れる事で
 取り出しが可能。

 刀にはアナザーシノビが持っていた特殊能力、影操作の力が
 込められており影を使った技も使うこともできる。(その力があるため影の中に装備できる)

 羽根飾りが付いた腕輪
 サリューシュが作った腕輪
 指を鳴らす事で周囲の動きを止めることができる。
 さらに、止めた対象を自在に動かすこともできる。
 ただし、止めた対象の意識までは止められない。
 さらに、アナザーウォッチとの併用はできない。

 主に人間の姿で戦う時によく使う。


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女神と休暇と一撃必殺

 宇宙人を処理してから少し経ったある日の日曜日、

 俺は街の方に出ていた。その理由は....

 

「おまたせしました、蓮君」

「久し振りに会うな、サリューシュ」

 サリューシュの休暇に付き合うためだ。

 天界にも休日という概念はあるらしく、サリューシュが

 久し振りに取れた休暇を俺と過ごしたいと言ってきたから

 俺は街に出ていた。

 

「では、行きましょうか」

「あぁ。....そうだサリューシュ」

「何ですか?」

「その服、よく似合ってるぞ」

「....しっかり私の教えも覚えているようですね」ニッコリ

「流石にあれだけ言われたらな....」

「ふふっ。さ、行きましょ」

「了解」

 俺とサリューシュは目的地に向かった。

 

 〜〜〜〜

 水族館

 

「にしても、意外だな」

「何がですか?」

「てっきり植物園とかに行くと思ってたんだが....」

 サリューシュの趣味はガーデニングだったから、てっきり俺は植物が

 多いところに行くと思っていた。

 

「たまに行きたくなるんですよ、水族館」

「そうなのか?」

「えぇ。だって、館内は静かで綺麗じゃないですか」

「まぁ、確かに」

「さ、早く行きますよ〜」

 そう言って、サリューシュは俺の腕を掴んで館内の方に

 引っ張っていった。

 

「お、おい! 痛いから掴むなって!」

 俺は言ったが、サリューシュには聞こえていなかった。

 

 〜〜〜〜

 

「ふむふむ」

「....」

 俺とサリューシュは深海生物のところに来ていた。

 だが、サリューシュは深海生物を見ているのではなく、

 その周りの水草を真剣に見ていた。

 

「....なぁ、サリューシュ」

「何ですか?」

「お前、さっきから水草しか見てないよな?」

「えっ? だって、水族館って水草が沢山あるところですよね?」

「まぁ、そうだな」

「私、水族館は水草を見るところって教えてもらいましたよ」

「誰に」

「お父様です」

「....それ、大嘘だ」

「え....」

 俺の言葉にサリューシュは固まった。

 

「水族館ってのは魚を見るところだ」

「ほ、本当ですか?」

「....何で嘘つかないといけないんだよ」

「わ、私のこれまでは一体....」

 サリューシュはショックを受けた表情になった。

 

「ま、まぁ気づけたから良いじゃねぇか。今日から水族館の

 本当の楽しみ方を知ったら....」

「そうですね!」

 そう言うと、サリューシュの表情は戻り、再び俺の腕を掴み歩き出した。

 

「しっかりエスコートを頼みますよ蓮君!」

「だから腕を掴むなって! それと、エスコートされたいなら

 俺の前に行くな!」

 

 〜〜〜〜

 昼

 

「なるほど、水族館はあのように楽しむんですね」

「あぁ」

 俺とサリューシュは外に出て、サリューシュが作ってきた

 サンドイッチを食べていた。

 

「にしても、やっぱ料理上手いな」

「ふふっ、ありがとうございます」

「それで、次はどこに行く?」

「そうですねぇ....サメでも見に行きますか」

「そうだな....あ、そういえば」

 俺はある事を思い出した。

 

「天界の人達は元気か?」

「えぇ、元気ですよ」

「そうか。なら良かった」

「元気すぎて、ちょっとイラつきますけど....」

 そう言ったサリューシュの気配は黒くなった。

 

「....」

「(怖えよ....)」

 俺は気配に当てられ、何も言えなかった。

 

 

 〜〜〜〜

 

「綺麗ですね〜」

 サリューシュはサメの歯を見てそう言っていた。

 俺も隣でサメを見ていたその時....

 

「影宮?」

 後ろから声をかけられた。

 俺が後ろを見ると、そこには結城とララと西連寺と

 小学生ぐらいの女の子がいた。

 

「あ、蓮だ〜!」

「やっぱりお前だったか」

「影宮君こんにちは」

「結城に西連寺、それにララか。奇遇だな」

「だな。お前も遊びに来てたのか?」

「いや、俺は親戚の付き添いだ」

「親戚?」

「あぁ。おい、サリューシュ」

 俺はサメの歯に釘付けになっているサリューシュを呼んだ。

 

「どうしました?」

 サリューシュはこっちを向くと、四人を見てこう聞いてきた。

 

「貴方達、蓮君のお友達ですか?」

「あ、はい」

「そうですか。蓮君がお世話になってます。従姉妹の

 サリューシュ・ルーラです」

 そう言ってサリューシュは四人に丁寧に頭を下げた。

 

「ご、ご丁寧にどうも。影宮のクラスメイトの結城 リトです」

「ララ・サタリン・デビルークでーす!」

「西連寺 春菜です」

「ゆ、結城 美柑です。リトの妹です」

「そうですか。結城さん、西連寺さん、ララさん、美柑さん。

 蓮君と仲良くしてあげてくださいね。この子、意外と不器用なところがあるから....」

「余計なことは言わんでいい....」

 俺は半分呆れつつ、サリューシュに言った。

 

「ふふっ、ごめんなさい」

「ほら、さっさと次に行くぞ」

 そう言って、次の所に行こうとしたら、

 

「良かったら、一緒に回りませんか?」

 サリューシュは四人にそう聞いていた。

 

「お、おい!」

「いいじゃないですか。それに、普段の蓮君が

 どんな様子か知りたいですし」

「だけどなぁ....あっちの都合もあるだろ」

「俺達は別にいいですよ。なっ?」

「うん!」

「私もいいよ」

「みんなが良いなら私も」

「....だそうですよ」

「(逃げ道がねぇ....)」

「....わかったよ」

 

 

 〜〜〜〜

「へぇ〜、そんな感じなんですね」

「そうですね」

 俺の後ろでは、結城がサリューシュに俺の事を話していた。

 その近くでは、ララと結城の妹が水槽を見ていた。

 そして、肝心の俺はというと....

 

「へぇー、偶然ねぇ....」

「まぁ、私も驚いたけどね....」あはは

 西連寺と話していた。

 西連寺も偶然三人と会い、一緒に水族館に来たらしい。

 

「それにしても、従姉妹さん優しそうな人だね」

「まぁ、見た目通りの人だしな」

「(戦闘時は別だけど....)」

 そう言って話している時....

 

「きゃぁぁぁ!」

 遠くの方から悲鳴が聞こえた。

 

「な、何! 今の悲鳴....」

「....」ちらっ

 俺はサリューシュの方を見た。

 

「....」

 サリューシュは無言で頷いた。

 

「....」はぁ

「(仕方ねぇ)」

「西連寺、様子を見てくるからここにいてくれ」

「あ、危ないよ!」

 西連寺は俺を止めようとしたが....

 

「大丈夫大丈夫、ヤバかったら戻ってくるから」

 そう言って俺は悲鳴の方に向かって走った。

 

 〜〜〜〜

 外

 

 多くの人を避けながら悲鳴の方向に着くと、俺は外にいた。

 そして、そこには水色のライダー、アビスが俺の使い魔のアナザードラグブラッカーと

 戦っていた。

 

「ウゼェんだよ!」

 

「ADVENT」

 

 アビスがアビスバイザーにカードをセットすると、近くの

 鏡からアビスラッシャーとアビスハンマーが現れた。

 二体はブラッカーに向かっていったが、ブラッカーは浮上していき、

 攻撃範囲から離れた。そして、上空から炎の黒弾を放ち始めた。

 黒弾はアビスハンマーに当たり、アビスハンマーは石化していった。

 

「クソッ!」

 アビスはアビスバイザーから衝撃波を放つが、距離が遠すぎて

 途中でかき消えていった。

 

「(これ、ブラッカーだけで終わるな....)」

 そんな呑気なことを考えていたら、上空のブラッカーが俺の方に

 向かって黒弾を放とうとしてきた。

 

「(....お前も戦えってか。はぁ....)」

 俺は仕方なく、腕時計を外しアナザーウォッチに変化させた。

 

 ♪〜♪〜♪〜

「WIZARD!」

 

 俺の頭の上に魔法陣が現れ、それをすり抜けると

 “アナザーウィザード”と化した。

 

『一撃で仕留めるか....』

 俺はベルトの部分に指輪を当てた。

 

「Thunder!」

 

 すると、アビスとアビスラッシャーの上空には黒い雲が現れた。

 そして、俺が手を下に振り降ろすと巨大な黒い雷が二体に落ちた。

 アビスラッシャーは大爆発し、アビスは変身が解除されその場に

 崩れ落ちた。

 

「な、何が....」

 アビスの変身者、釜田は状況を理解できていなかった。

 俺はそんなアビスに近づいた。

 アビスは俺の姿を見ると、恐怖に満ちた表情に変わった。

 

「だ、誰だ!?」

『....転生者、釜田 悠也。お前の人生はここまでだ』

 俺はそう言い、ホルダーからカードを取り、釜田に落とした。

 釜田の体は次第にカードに吸い込まれていった。

 

「な、なんだよこれ! おい、見てないでどうにかしろ!」

 そう叫ぶが、その叫びを俺は無視し、カードに吸い込まれていくのを

 見下ろしていた。

 そして、カードに完全に吸い込まれると、カードは俺の手元に戻ってきた。

 

『任務完了』

 

「Return!」

 

 俺は地形を元に戻すと、変身を解除して五人の元に戻った。

 

 

 

 〜〜〜〜

 

「おーい」

 俺は椅子付近に集まっている五人に声をかけた。

 

「か、影宮!?」

「大丈夫だったの!?」

「おう。かすり傷一つとしてないぜ」

 そう言って俺は腕を見せた。

 

「よ、良かった....」

「お前、心配したぞ....」

「ははは、悪りぃ悪りぃ」

 俺は呑気に笑い、サリューシュに近づいた。

 

「安心してください。記憶の操作はやっておきました」コソッ

「すまん、助かる」コソッ

 俺はそう言って、カードとアビスのデッキケースを渡した。

 

「ご苦労様です」コソッ

 サリューシュはそう言って二つをカバンの中にしまった。

 

「さてと、次はどこに行く?」

 俺は四人に聞いた。

 

「じゃあ、あっちに行こー!」

 そう言ってララは走っていった。

 

「ちょ、おい!」

 結城はララを追いかけていった。

 

「....俺らも行くか」

 そう言って俺達四人も二人を追いかけた。

 

 〜〜〜〜〜

 

「春菜〜、蓮〜また明日!」

「じゃあな」

 俺と西連寺、サリューシュは結城兄妹とララと別れた。

 

「さて、私も帰りますか」

 そう言ってサリューシュも駅の方に行こうとした。

 

「もう帰られるんですか?」

 西連寺はサリューシュにそう聞いた。

 

「えぇ、明日も仕事だから」

「そうですか....」

「次に会った時にもう少し話しましょうね」

「は、はい!」

「(すげぇ仲良くなってんな)」

 俺は後ろから見てそう思った。

 

「では蓮君、また次の休みに」

「おう、じゃあな」

 そう言ってサリューシュは駅の方に歩いて行った。

 

「俺たちも帰るか」

「そうだね」

 俺と西連寺もマンションの方に歩き出した。

 

 



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盗撮犯、再び/偽りの鬼に攻撃は効かない

今回はプールの盗撮編です。


「おはよ、結城」

「....おう、影宮」

「....どした、朝から?」

 朝、学校に来た俺は結城に挨拶した。が、結城の顔は

 何か考え事をしている人間の顔だった。

 

「ちょっと朝に問題が起きてな....」

「問題?」

「あぁ。実はな、朝学校に来る時にララと盗撮犯がいたんだ」

「(またかよ....)」

「それで」

「しかも黒いグラサンの男が二人いてな。追いかけたんだが逃げられた」

「そうか....ま、何かあったら言えよ。手伝える事なら手伝ってやるよ」

「本当か! 助かるよ!」

 結城は立ち上がってそう言った。

 

「行方がわかったら教えろよ」

「おう!」

 

 〜〜〜〜

 授業中

 

 俺は半分寝ながら授業を受けていた。

 

「(....暇だ)」

 前世で勉強はしていたので、話半分に聞いていても

 理解はできていた。

 

「(早く終わんねぇかな....)」

 そんなことを考えていたその時....

 

「あっ! テメェ、授業中まで!」ガタッ

 隣に座っていた結城が急に立ち上がり、教室の外に

 走っていった。

 

「な、何だ?」

「結城の奴、どうしたんだ?」

 クラスの連中は結城の行動に驚いていた。

 だが俺は....

 

「(....授業中も、か)」

 俺は一つ、心当たりがあった。

 

 〜〜〜〜

 休み時間

 

「猿山、ちょっといいか?」

「ん? どうした蓮」

 俺は猿山に話しかけた。

 

「次の授業、遅れるかもしれねぇから先生に

 言っといてくれないか?」

「おう、わかったぜ」

「すまん、助かる」

 そう言って俺は教室の外に出た。

 

 〜〜〜〜

「(さて、どこに行った....)」

 俺は結城の走っていった方向を歩いていた。

 その時、他のクラスの生徒の声が聞こえた。

 

「にしても、凄いな。こんな暑いのに」

「あぁ。黒いフードにグラサンをかけてたな」

「(....まさか)」

「なぁ、ちょっといいか」

 俺は話していた生徒に話しかけた。

 

「なんだ?」

「そのグラサン男、どこに行った?」

「確か、体育館付近だった筈だが....」

「そうか、ありがとな」

 俺はそう言って体育館の方に走り出した。

 

 〜〜〜〜

 体育館付近

 

「(さて、どこだ)」

 俺は体育館付近を探した。

 その時....

 

 ガタンッ ゴロゴロ

 

 近くの部室のところから大きな音が聞こえた。

 俺が音の方に近づくと、中から黒ずくめの男が走って出ていった。

 

「(なんだ、今の奴)」

 俺は走っていった方向を見ていたら、部室の中から別の男が出てきた。

 

「く、くそぉ! あの野郎!」

「....何やってんだ結城」

 出てきた男は結城だった。

 

「か、影宮!」

「....なんかボロボロだな」

「今、外に出て行った盗撮犯にやられたんだよ」

「黒ずくめの男か」

「あぁ! って、それどころじゃねぇ! 急がないとララが危ねぇ! 

 でも、盗撮犯も追わねぇと!」

 そう言って結城は焦り始めた。

 

「はぁ....」

 俺は呆れてため息が出た。

 

「盗撮犯なら俺が取っ捕まえてやるよ。お前は

 さっさとララを助けに行ってやれ」

「い、良いのか!」

「言っただろ? 手伝ってやるって」

「か、影宮....」

「早く行け」

「っ! ありがとな!」

 そう言って結城は走っていった。

 

「(さて、あの方向にあるのは....)」

 俺は黒ずくめの男が走って行った方に向かった。

 

 〜〜〜〜

 屋上扉前

 

「さすがですセンパイ! プールの中に隠しカメラを

 セットするなんて!」

「はっはっは! そうだろ! 時代は水中なのさ!」

「(あれは高二の弄光だったか)」

 俺は扉の前から盗み聞きしていた。

 

「にしても、よくセットしてくれたな譲!」

「ふふふ、簡単でしたよ先輩」

「(あの男....)」

 俺は弄光に話した男を見て違和感を感じた。

 

「(一度、他の連中をどけるか)」

 そう思って俺は屋上に入った。

 

「な、なんだお前は!」

 弄光の取り巻きは俺が入ってきたのに驚いていた。

 

「カメラ、既に破壊しましたよ。弄光先輩」

「な、何を言ってるんだ君は?」

「プールの中に仕掛けるとは考えましたねぇ。

 ですが、残念でした。俺が壊しちまったんで。

 今頃、野球部の部室の中でしょうね〜」

「な!?」

「急いだ方が良いですよ。開けっ放しなんで」

「バカな! 俺がさっきいた時には!」

「先輩が走って出て行った後に置いたんですよ」

「なんでそのことまで....」

「だって走り去っていくとこ見ましたし」

「くっ!?」

 そう言うと、弄光の顔は引きつっていき屋上から出て行った。

 

「ちょ、ちょっとセンパイ!」

「待ってくださいよ!」

 取り巻き達も屋上から出て行った。

 一人を除いて....

 

「お前は動かないんだな」

「....お前、何者なんだ」

 その男の目は信じられない物を見ている目だった。

 

「さぁな」

「なら、何故原作と違う動きになるんだ! 

 ここに人が来るはずは....」

「原作....つまり、お前も転生者か」

「あぁそうだ! こんな筈じゃなかったのに!」

 そう言うと、男は腰に手を当てた。

 

「Driver・On! Now」

 

「そのベルト....」

 

「シャバドゥビ・タッチ・ヘンシーン! シャバドゥビ・タッチ・ヘンシーン!」

「変身!」

 

「Change! Now」

 男は魔法陣をくぐり抜けると、青いメイジに変身した。

 

「(マジか〜。青ってことは緑とオレンジもいるじゃん....)」

 俺は呑気にそんな事を考えていた。

 

「俺の邪魔をする奴は、消えろ!」

 そう言って、メイジは俺に向かってきた。

 

「仕方ない....」

 俺はメイジの攻撃を避け、距離をとった。

 そして、俺は腕時計をアナザーウォッチに変えた。

 

「少しだけ相手してやるよ」

 そう言って、俺はウォッチのスイッチを押した。

 

 ♪~♪~♪~

「HIBIKI!」

 

 俺の体は紫色の炎で包まれた。

 そして、

 

『はっ!』

 俺が腕で炎を振り払うと、俺は“アナザー響鬼”と化していた。

 

『一分やるよ。俺は何にもしない』

 そう言って俺は挑発した。

 

「舐めやがってぇぇぇ!」

 そう言ってメイジは左腕の鉤爪で俺に攻撃してきた。

 だが....

 

 ガキンッ

 

「なっ!?」

 メイジの鉤爪はあっさり折れた。

 

「う、嘘だろ!?」

 メイジは鉤爪のあった腕を何度も見ていた。

 

『おいおい、あと40秒だぞ』

「くっ!」

 

「ルパッチマジック・タッチ・ゴー! ルパッチマジック・タッチ・ゴー!」

「Explosion! Now」

 

「これならどうだ!」

 メイジが俺に手を向けると、俺の体は大爆発を起こした。

 

「たわいもないな!」

 メイジは勝利を確信したように言った。

 

『へぇ、たわいもない、ねぇ』

 だが、俺の体には傷一つできていなかった。

 

「バ、バカな! 俺の必殺技を無傷だと!?」

 メイジは驚いて腰を抜かした。

 

『さて、一分経過だ』

 そう言って、俺は腰の音撃棒に似た棍を構えた。

 そして、棍に力を込めた。

 すると、棍の先端には紫色の炎が灯り出した。

 その炎が先端より大きくなると、俺はメイジに向かって

 その炎を飛ばした。

 メイジは避けようとしたが、俺の飛ばした炎はメイジの

 回避速度よりも速かったので、メイジに直撃した。

 

「ぐわぁぁ!!」

 直撃した炎はメイジの体を包み燃やし始めた。

 メイジは転がり回って炎を消そうとしたが、炎は

 一向に消える気配がなかった。

 

「熱い! 熱いぃぃ!」

 メイジは叫んでいたが、どんどん声が小さくなっていった。

 

『これで終わりだ、飯山 譲』

 そう言って俺はメイジに近づき、棍でメイジを地面に叩きつけた。

 

「グハッ!」

 メイジは小さい断末魔をあげ、変身が解除された。

 変身者の飯山は既に気絶していた。

 俺は腰のホルダーからカードを取り出し、飯山を封印した。

 その後、ウィザードの魔法で屋上を元に戻し、教室に戻ろうとした。

 その時....

 

「うわぁぁ!」

 空から結城が降ってきた。

 結城は地面に叩きつけられたように落ちた。

 

「お、おい! 大丈夫か!」

 俺は急いで結城に駆け寄った。

 

「か、影宮か....大丈夫だ」

「(いや、おかしいだろ....)」

 俺はそう言った結城を見てそう思った。

 

「そ、それよりも、証拠は確保したぞ」

 そう言って結城は俺にカメラを渡してきた。

 

「そ、そうか....お疲れさん....」

「後は、これを校長に持っていったら終わりだ。今から行こうぜ」

 そう言って結城は屋上から出ていった。

 

「ちょ、ちょっと待てって!」

 俺は結城の後を追いかけた。

 

 

 

 

 

 その後、弄光を含めた野球部の何人かは停学になったらしい。

 




 アナザー響鬼
 蓮の持つアナザーライダーの力の一つ
 改造の影響でアナザーライダーの中で最強の防御力を持つ
 主役ライダー最強フォーム以外の必殺技はほとんど無傷で、一切の
 ダメージが通らない(ただし、例外はある)
 例:ブレイブLv100、ダークキバ

 しかし、防御に極振りしたため、攻撃パターンが少ない
 さらに、脚の速さもアナザーライダーの中で最も遅い


 武器
 腰の音撃棒に似た棍

 特殊能力
 鬼火、烈火弾


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恐怖とドキドキの肝試し/楽しみを邪魔しようとする者に偽りの幽霊は容赦しない

リサねぇヒロインの小説書こうか、ゆきのんヒロインの
小説を書こうかと考えている今日この頃です。
(あ、あとスクスタで果南ちゃんが当たりました)


「彩南高校の皆さん! 遠い所からよくぞいらっしゃいました〜!」

 俺達、彩南高校二年は臨海学校に来ていた。

 そして、今俺達がいるのは宿泊先の旅館だった。

 

「会いたかったよ〜! 高美ちゃ〜ん❤️」

 校長は女将さんに飛び込んでいった。

 だが、女将さんは慣れているのか、校長の顔面を

 正確に狙い、グーパンチを食らわせていた。

 校長はそのまま壁に叩きつけられていた。

 

「(あれでよく校長が務まってるな....)」

 俺は叩きつけられた校長を見てそう思った。

 

「さ、大広間の方にご案内しますね〜!」

 そう言われ、俺達は女将さんについていった。

 

 

 〜〜〜〜〜

 大広間で話を聞いた後、俺達はそれぞれの部屋に分かれ、

 のんびりしていた。

 

「そろそろフロに行こうぜ〜」

「おう」

 猿山の言葉に結城が答え、俺と他の三人も洗面器具を

 持って二人の後を追った。

 そして、暖簾をくぐると猿山は急に笑い出した。

 

「へっへっへっ。お前ら、今俺達の入ってる横はどうなってるか知ってるか?」

「は?」

「....確か、女子風呂だよな」

「その通りだ影宮! ならば、やることは一つだ」

 そう言って猿山は俺と結城に顔を近づけてこう言った。

 

「ノゾキだよ」

「ノゾッ!?」

「バカ! 声がでかい!」

 結城の口を他の男が抑えた。

 

「....やるならお前らでやれよ」

「何だよー! 影宮は興味ないのかよ!」

「....面倒ごとはごめんだ」

 俺はそう言いながら、服を脱ぎ始めた。

 

「つれねぇなぁ。お前は興味ねぇ....のか....」

 猿山が後ろからそう言ってきたが、だんだん声が小さくなっていった。

 俺が気になって後ろを見ると、結城も猿山も、同じ部屋の

 三人も俺の方を見て驚いていた。

 

「どうした?」

「お前、その背中....」

「ん....あぁ、昔にできた傷だ」

 俺はあまり気にしてないように言った。

 

「そ、そうか」

「じゃ、先に入ってるぞ」

 俺はそう言って、風呂場に入っていった。

 

 

 〜〜〜〜

 

「(アイツら、マジでやってんのか....)」

 俺は湯船の中から結城達が向かった方を見ていた。

 結城含めたバカ五人は女湯を覗きに行くために岩山の方に行っていた。

 ここの温泉は巨大な岩山で男湯と女湯を区切っているため

 岩山を登りさえすれば女湯の方に行けるというわけだ。

 

「(てか、どうやって登るつもりだろうな....)」

 俺は呆れながらも呑気に温泉に浸かっていた。

 すると、猿山達が悔しそうにこっちに戻ってきた。

 

「覗けたのか?」

「いや、先に校長が覗いててバレて、諦めて戻ってきた」

 結城は安心半分、悔しさ半分な様子でそう言った。

 

「そうか」

「くそーー!」

 猿山は手と膝を地面について、そう叫んでいた。

 

「うるせぇぞ猿山」

「影宮! 少しは同情してくれよ!」

「やなこった」

 

 

 

 〜〜〜〜

 夜

 

 あの後、猿山の叫びや愚痴を聞いた俺達は夕食を食べ

 旅館の前に出ていた。

 何故なら....

 

「では、今から肝試しのペア決めを始めまーす!」

 この臨海学校名物の肝試しをするためだ。

 顔がボロボロになった校長がそう言った瞬間、周りの連中は声を上げた。

 

「なぁ、なんでこんなに周りの連中やる気を出してんだ?」

 俺は隣にいた猿山に聞いた。

 

「影宮は知らないのか。この肝試しでゴールしたペアは

 付き合うって伝説があるんだぜ」

「だからか....」

「先に言っておくが、俺は絶対ゴールするからな!」

 そう言って猿山はクジを引きに走っていった。

 

「(俺も行くか)」

 俺も猿山の後を追った。

 

 〜〜〜〜

 

「5番か」

 引いた結果、俺は5番だった。

 

「誰か5番の人いないか?」

 俺は女子達の方に向かって言った。

 すると....

 

「影宮君」

 後ろから声をかけられた。

 後ろを振り向くと、そこには西連寺がいた。

 

「西連寺。5番なのか?」

「うん。よろしくね」

「おう」

「(取り敢えず、よく喋るやつで良かった....)」

 俺は一人、心の中で安堵していた。

 

 〜〜〜〜

 

「きゃぁぁ!」

「うわぁぁぁ!」

「....」

 スタート地点にいた俺が見たのは、阿鼻叫喚の叫びをした

 生徒達だった。

 

「なぁ、西連寺。西連寺ってこういう、のは....」

 俺は西連寺に、「大丈夫か」と聞こうとしたが、

 

「....」プルプル

 西連寺の体は震えていた。

 

「(大丈夫じゃなさそうだな....)」

 俺はそう思い、

 

「なぁ、西連寺」

 西連寺に話しかけた。

 

「ど、どうしたの?」プルプル

「手、繋がないか?」

 俺は右手を西連寺の前に出した。

 

「えっ?」

「いや、西連寺の肩、さっきからスゲェ震えてたから。

 手、繋いだら少しは収まるかと思ってな....」

 すると、西連寺の肩の震えは少し収まり、

 

「あ、ありがとう。じゃ、じゃあお願いしても良いかな?」

 そう言って西連寺は俺の右手に左手を重ねた。

 

「あ、あぁ....」

「(自分で言ったのに、なんかスゲェ恥ずかしい....)」///

「そ、そろそろだよ」

「あ、あぁ」

 

 その時、俺は気づかなかった。

 

 後ろの奴らに睨まれたり、ニヤニヤされていたのを....

 

 

 〜〜〜〜〜

 

「け、結構暗いね」

「そうだな」

 俺は西連寺の少し前を歩きながら周りをライトで照らしていた。

 

 ガサガサ

 

「ひっ!?」

「大丈夫だって。ただの風だ」

 さっきからもそうだったが、西連寺はかなり肝試しが

 苦手なタイプそうに見えた。

 

「西連寺、肝試しとか苦手か?」

 俺がそう聞くと、西連寺は少し涙目でこう言った。

 

「う、うん。お化けとかほんと怖くって....」

「だよな....」

「影宮君は大丈夫なの?」

「あぁ。お化けとかは大丈夫だな」

「(俺自身、幽霊になるし....)」

「そ、そうなんだ」

 西連寺はそう言うが、まだ表情は怯えていた。

 

「安心しろ。いざとなったら俺が守るから。はぐれないように、

 西連寺はしっかりと俺の手を握っていてくれ」

「う、うん。わかったよ」

 そう言って西連寺は両手で俺の手を握ってきた。

 

「じゃあ進むぞ」

 そう言った瞬間....

 

「ウワァァァ!」

 近くの草むらからお化けのメイクをした旅館の従業員の人が

 飛び出てきた。しかも、かなりのメイクの。

 

「きゃぁぁ!」

 すると西連寺は繋いでいた手を離し、俺に抱きついてきて

 座り込んでしまった。

 

「こ、怖いよ影宮君!」

「お、落ち着けって! お化けはお化けでもメイクした人だから!」

 西連寺も慌てているが、抱きつかれた俺も俺で慌てていた。

 俺はすぐに西連寺の背中をさすりながら、お化け役の人を睨んだ。

 

「ひっ!?」

 お化け役の人は俺の睨みが怖かったのか、すぐに草むらに身を隠した。

 

「(ごめんなさい、お化け役の人....)」

 俺は心の中でお化け役の人に謝った。

 

「さ、西連寺。もうお化けはいないぞ」

 俺は背中をさすりながら西連寺にそう言った。

 

「ほんと....?」

「あぁ」

 西連寺は少しずつ後ろを向き、お化けがいないのを確認すると、

 少し安心したような表情になった。

 

「ほ、ほんとだ....」

「....落ち着いたか?」

「う、うん....」

 そうは言うが、西連寺はまだ怯えた表情だった。

 

「....大丈夫、大丈夫だから」

 俺はそのまま西連寺の背中をさすった。

 

「影宮君....?」

「西連寺が落ち着くまでこうするから」

「....ありがとう」

 

 

 五分後

 

「もう大丈夫か?」

「うん。影宮君のおかげだよ」

「気にするな。俺達はパートナーだろ?」

「....ありがとう」

「さ、早くゴールするぞ」

 そう言って、俺は右手を差し出した。

 

「うん、っ!?」

 西連寺は俺の手を掴んで立とうとしたが、急に手を引っ込めた。

 

「どうかしたのか?」

「ごめんなさい....さっきので足を痛めちゃって....」

 そう言って西連寺は右足をさすっていた。俺も携帯のライトを

 西連寺の足に当てると、さすっていた部分は少し腫れていた。

 

「歩けそうにないよな....」

「うん....」

「....よし。西連寺、暴れないでくれよ」

 俺はそう言って西連寺を抱っこした。

 いわゆるお姫様抱っこの状態だ。

 

「か、影宮君!?」

「じっとしていてくれよ。動いたら危ないからな」

「で、でもこの状態って....」///

「....今はこれしか方法がないから。我慢してくれ」

「う、うん」///

 西連寺の顔も赤かったが、俺の顔も少し熱くなっていた。

 

「じゃあ、行くぞ。しっかり掴まっていてくれよ」

 そう言って、俺は神社の方に向かって走り始めた。

 

 

 

 〜〜〜〜

 道中、他の脅かし役の人がいたが、全員睨みつけて俺と西連寺は

 安全にゴールにたどり着くことができた。

 

「おめでとー! ゴールにたどり着けたのは君達が一組目だよー!」

 ゴールの神社に着くと、校長が大きな声でそう言った。

 

「何とか着いたな」

「そ、そうだね」//

「さてと」

 俺はモニターを見ている女将さんに話しかけた。

 

「あのすいません」

「はい。どうかしましたか?」

「パートナーが足を痛めたんで、応急処置してもらえませんか」

「わ、わかりました! こちらに来てください!」

 そう言われ、俺は女将さんの後を追った。

 

「ここに座らせてあげてください」

「わかりました」

 そう言って俺は西連寺を椅子の上に下ろした。

 

「ありがとう影宮君」

「気にすんなって」

 俺はそう言って、女将さんが見ていたモニターを見た。

 

「(結構脱落者が多いな)」

 ほとんどの生徒はどんどんスタートの方に走っていった。

 その時、あるモニターにとんでもないものが映った。

 

「(....ちょっと待て。あの脅かし役が付けてる腕のやつ)」

 それは、この世界の人間が持っていないはずのものだった。

 

「(....被害が起きる前に処理しないとな)」

 そう思い、俺は西連寺に気づかれないように休憩所を出た。

 

 

 

 〜〜〜〜

 

「(確か、あの脅かし役がいたのはこの辺りだったな....)」

 俺は脅かし役を見た付近にいた。

 すると、近くから機械音が聞こえた。

 俺は近づいて、木の後ろに隠れて様子を見ていた。

 

「テンガン! ネクロム! メガウルオウド!」

 

「(やっぱりか....)」

 俺の予想通り、脅かし役はネクロムに変身した。

 そして、大きな独り言を言い出した。

 

「一体どうなってる....西連寺のパートナーは猿山のはず。

 じゃあ、あの男は一体何者なんだ....」

 

「(あいつの狙いは西連寺か)」

 俺はすぐさま腕の時計を外し、アナザーウォッチに変えた。

 

「まぁ良い。ゴールで襲えばいいだけの話だ」

「(そんなことさせるかよ)」

 

 ♪~♪~♪~

「GHOST!」

 

 俺がアナザーウォッチを押すと、黒い鎧を纏い、

 飛び出したパーカーを被り“アナザーゴースト”と化した。

 そして、俺は姿を消し、ネクロムに向かって飛び蹴りをかました。

 

「グハッ!」

 ネクロムは木に叩きつけられた。

 

「ぐっ! 誰だ!」

 ネクロムは周りを見渡していた。だが、俺の姿は全く

 見えていなかった。

 

『(速攻で終わらせる)』

 そう思い、俺は腰にぶら下がっている眼魂をベルトに入れた。

 

「ヨシツネ!」

 

 すると、ベルトから二本の刀を持ったパーカーが現れ、俺はそれを被った。

 被った瞬間、俺の透明化は解除され、俺はネクロムの前に立った。

 

「だ、誰だお前は!」

『転生者、浅海 亜蘭。お前はここで処刑する』

 そう言って俺はネクロムに斬りかかった。

 

「ぐっ!」

 ネクロムは攻撃を躱したが、

 

『はっ!』

「なっ! ぐわぁ!」

 もう片方の攻撃は避けれずに、再び木に叩きつけられた。

 

「く、くそっ!」

 そう呟き、ネクロムはネクロム眼魂とは別の眼魂を取り出した。

 

「だったらこれで!」

 

「イエッサー!」

「テンガン! グリム! メガウルオウド! ファイティングペン!」

 

「俺の邪魔をするな!」

 そう言ってネクロムは肩のニブショルダーで攻撃を仕掛けてきた。

 だが、俺も両手の刀でその攻撃を受け流した。

 

「くっ!」

 ネクロムは攻撃が当たらないのか、だんだんイライラし始め

 攻撃が雑になってきた。

 

「いい加減に当たれ!」

 

「ダイテンガン! グリム! オメガウルオウド!」

 

 ネクロムは跳び上がり、俺にライダーキックを放とうとした。

 

『(....これで終わらせてやる)』

 俺はそう思い、刀に力を込めた。

 すると、刀身が黒く染まった。

 俺は片方の刀でネクロムの蹴りを受け止め、そのまま上空に

 弾き飛ばした。

 

「バカな!?」

『失せろ』

 俺はもう片方の刀をネクロムに向けた。

 すると、ネクロムに八つの赤い斬撃が直撃した。

 

「ぐわぁぁぁ!!」

 斬撃が直撃したネクロムは地面に落ちてき、変身が解除された。

 俺は腰のホルダーを開き、浅海に向かってカードを投げた。

 カードが刺さると、浅海の肉体はカードの中に吸い込まれ

 カードは俺の手元に飛んできた。

 

『(ったく、なんで臨海学校にまでいるんだよ....)』

 俺はカードをホルダーに直し、変身を解除して眼魂とネクロムオーダーの

 回収を始めようとした。

 だが....

 

「な....」

 俺がグリム眼魂に触れると、急に光り出し、グリム眼魂は砂に変わった。

 

「どうなってんだよ....」

「(ネクロム眼魂とネクロムオーダーは砂にならなかったのに....)」

 俺は初めての事態に困惑した。

 

「(サリューシュに聞かないとわからないか....)」

 俺は一先ず、眼魂とネクロムオーダーをウィザードの魔法で

 家に送り、神社の方に戻った。

 

 

 〜〜〜〜

 

 神社に戻ると、息を切らした結城と仮装したララがいた。

 

「(アイツらもゴールしたのか)」

 俺は横目で見ながら、西連寺がいる方に向かった。

 

「あ、影宮君」

「少しはマシになったか?」

「うん」

「そうか。なら良かった」

 そう言って話していると、後ろから女将さんに話しかけられた。

 

「君、ちょっと良いかしら?」

「はい?」

「確かこの女の子のパートナーよね?」

「そうですが....」

「じゃあ、この子を運んであげてくれない? この子の足、

 まだしっかり治った訳じゃないから」

「わかりました」

「じゃあお願いね」

 そう言うと、女将さんは人が集まった方に行ってしまった。

 

「さてと、じゃあ戻るか」

 俺は西連寺にそう言ってお姫様抱っこをした。

 

「やっぱりこうなるよね....」//

「まぁ、少しだけ我慢してくれ」

「うん....」//

「じゃあ行くぞ」

 そう言って、俺は旅館の方に歩き始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 〜〜〜〜

 

「砂になった、ですか....」

「あぁ」

 西連寺を部屋に送った後、俺は旅館の外に出てサリューシュに

 連絡を取っていた。

 

「それは多分、コピーしただけの偽物ですね」

「偽物?」

「はい。あの愚神が作った物です。おそらく本物の

 グリム眼魂は....」

「ゴーストかスペクターか....」

「そうなると思います」

「そうか。すまん、助かった」

「いえ。....臨海学校、楽しんでくださいね」

「あぁ。じゃあな」

 俺は通信を切り、旅館に戻った。

 

 

 

 

 

 




 アナザーゴースト
 蓮が持つアナザーライダーの力の一つ
 改造のお陰で、魂を吸い取る力は消えたが、その代わりに
 三つの偉人の力を使うことができる

 通常形態では姿を消す、壁抜けなどの幽霊のような能力を使える
 しかし、偉人の力を使っている時にはその能力が使えなくなる

 腰の部分に三つの黒い眼魂が付いており、ベルトに入れると、
 対応したパーカーが現れ、そのパーカーを纏うことで偉人の力を使うことができる

 武器
 三つの眼魂

 特殊能力
 姿を消す、壁抜けなどの幽霊特有の能力
 偉人の力


 ヨシツネ魂
 蓮が作った眼魂の一つ
 ヨシツネの力を使うことができ、跳躍力と近接攻撃を強化する
 刀に力を込めると刀身が黒くなり、斬れ味と一撃の威力を上昇させる

 必殺技は[八艘飛び](イメージはペル◯ナ)





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夜のハプニング

ヒロインアンケートは月末ぐらいまでにしようと
思っています。(てか、5多いな!)


「はぁ」

「(この臨海学校、遊んで食ってばっかだな)」

 俺は一人、ロビーの自販機でコーヒーを飲みながら今日の事を思い出していた。

 二日目の今日は一日中海で遊んでいた。

 だが、泳ぐのが好きではない俺は女将さんから釣り道具を借りて

 一日中釣りをしていた。

 結果としては、海が綺麗だったのか大量に魚が釣れた。

 俺は女将さんに釣れた魚を渡したら、今日の晩御飯に特別に

 刺身として出してくれた。

 

「(にしても美味かったな)」

 刺身は身がしっかりとしていて、いつも食べているのとは

 別物だった。

 そんなこんなで、もう夜になっていた。

 

「(そろそろ部屋に戻るか)」

 俺はそう思い、コーヒーの缶をゴミ箱に捨てて部屋に戻ろうとした。

 だが....

 

「(....あれは)」

 俺はあるものを見つけた。

 それは、謎の笑みを浮かべている男二人と、それについて行っている

 男一人の姿だった。悲しいことに、そいつらは同室の三人だった。

 

「(あいつら、今度は何をする気だ....)」

 俺は気になり、足音が聞こえないように三人の後を追った。

 

 

 

 〜〜〜〜

「(....あのアホども)」

 追っていくうちに着いたのは、女子の部屋の近くだった。

 

「この先が桃源郷か....!」

 猿山と同室の男は満面の笑みを浮かべていた。

 結城も少し困ったような表情をしていたが、少し嬉しそうな

 表情になっていた。

 

「じゃあ、早速....」

「おい」

 猿山が部屋の扉に手をかけようとした時、声をかけた。

 

「っ!?」

「か、影宮!?」

「な、なんでここに!」

「部屋に戻ろうとした時、お前らがどこかに行こうと

 したのが見えたから監視してたんだよ」

「い、いつの間に....」

「てか、監視してて正解だったな。....ほら、教師に見つかる前に

 さっさと戻るぞ」

 そう言って三人を連れ戻そうとした時....

 

「おい!そこの男子!何をしている!」

 後ろから野太い声が聞こえてきた。

 

「げっ....」

 よりにもよって、後ろにいたのは指導部の教師だった。

 

「や、やばい!」

「逃げるぞ!」ドンッ

 三人は逃げるために俺を押しのけて走っていった。

 

「っ〜〜!」

 押しのけられた俺は女子の部屋の前にあったスリッパ置き場の

 部分に頭をぶつけた。

 

「(アイツら....)」 

 俺もどうにかして逃げようとしたが、教師は

 こっちに向かっていたので逃げ場が封じられていた、

 

「(....どうすれば)」

 その時、女子部屋の扉が開いた。

 そして、中から出てきたのは....

 

「か、影宮君?」

「西連寺....」

 肝試しのパートナーだった西連寺だった。

 

「待たんかコラーーーー!」

 俺が少し西連寺と見つめ合っていると、教師は

 どんどんとこっちに近づいてきていた。

 

「や、やば....」

 俺がそう呟いたら、

 

「か、影宮君!早く中に!」

 西連寺は察してくれたのか、部屋に入るように言ってくれた。

 

「っ、すまん!」

 俺は部屋の中に急いで入った。

 西連寺は俺が部屋に入ると、急いで扉を閉めてくれた。

 そして、俺は扉に耳を当て教師が部屋の前を過ぎ去っていくのを

 確認した。

 

「はぁぁぁ....」

 俺は教師が部屋の前を過ぎ去っていくのを聞いて力が抜けた。

 

「だ、大丈夫?」

「あぁ。ありがとな西連寺。お陰で助かった」

「ううん、気にしないで。....それよりも、何してたの?」

「部屋のバカ三人を追いかけてたらここに着いたんだょ。

 多分だが、女子の部屋に忍び込もうとしたんだろうな」

「それで外が騒がしかったんだ」

「すまん。迷惑をかけた」

「だ、大丈夫だよ。私も起きてたし」

「そうか。....それよりも、他の人達は?」

 俺は部屋を見渡したが、部屋の中にいるのは西連寺だけだった。

 

「リサとミオとララさんは自販機にジュースを買いに行ったよ」

「そうなのか。....そういえば、足は大丈夫か?」

 俺は釣りをしながらも気になっていた事を聞いた。

 

「うん。もう普通に歩けるよ」

「そっか。なら良かった」

 俺はそう話しながら部屋の扉を開けて、部屋の外を見た。

 

「げ....」

「どうかしたの?」

 西連寺は俺があげた声を聞いて不思議そうにしていた。

 

「マズイことになった....」

「こ、今度は何が....」

「ララ達が戻ってきやがった....」

「え....」

 俺が外を見て見たものは、呑気に話しながら部屋に

 戻ってくるララ達だった。

 

「ど、どうすればいい?」

「ぎゃ、逆の方に逃げたら....」

「多分結城達が捕まってるから無理だな....」

 そんな事を話していたら、足音がどんどん近づいてきた。

 

「か、影宮君!こっち!」

「えっ?」

 

 

 〜〜〜〜

 

「ただいま〜」

「お、おかえりなさい」

「あれ?春菜、もう寝るの?」

「う、うん。もう消灯時間だし....」

「も〜、そんなこと言って!夜はこれからよ、は・る・な」

「きゃっ!?やめてよ里紗!」

「もぉ〜、そんなこと言って!」ギュッ

「っ!」

「ん....今何か聞こえなかった?」

「き、気のせいじゃない!?」

「えー、そうかなー?」ギューー

「っ〜〜〜〜!」

 

 

 

「(どうしてこうなった....!)」

 俺は今、西連寺の布団の中にいた。

 ララ達の足音が近づいてきたのでどうしようかと思ったら、

 西連寺は自分の布団の中に匿ってくれた。

 そして今、俺は籾岡に指を踏まれていた。

 

「(バ、バレないように少しずつ....!)」

 俺は籾岡にバレないように、ゆっくりと膝に踏まれた手を抜いた。

 

「(ふぅ、危なかった、って!?)」

 俺は手を抜いて、体勢を立て直そうとして回ったら、

 目線の先には西連寺の太ももが見えた。

 しかも、西連寺は少し足を開いていたからパンツまで見えそうになった。

 

「(ヤバいヤバい!?)」

 俺は見えないように頭の向きを変えた。

 すると、急に目の前に携帯が現れた。

 携帯の画面にはこう書かれていた。

 

『みんなが寝静まったら外に出すから。

 だからそれまで、出来るだけ動かないで!』

 

「(寝静まるまで耐えるしかないか....)」

 俺はそう思い、そのままの姿勢で動かないように気をつけた。

 

 

 

 

 〜〜〜〜

 一時間後

 

「(....コイツら、寝る気配がねぇ)」

 あれから一時間経つが、三人はまるで寝る気配が感じられなかった。

 

「(てか、そろそろ体がヤバい....)」

 流石の俺でも、一時間同じ体勢だと体に痛みが走り出していた。

 そんな俺の考えを知らない三人は女子高校生らしい話を始めだした。

 

「ねぇ、春菜」

「な、何?」

「春菜って好きな人いるワケ?」

「きゅ、急になによ!」

「だって、こーゆー夜の定番じゃん」

「(JKっぽい話題だなぁ....)」

 俺は布団の中からそう思っていた。

 

「正直に言いな春菜!」

「さもないと、揉むよ?」

「....私、は」

「何よー、言えないの?」

「あ!まさか、春菜も結城の事が好きなの?」

「な、何言ってるのよ未央!」

「え、そうなの春菜?」

「ち、違うよ!結城君はただの友達だよ!」

「あっはっは!まぁ、結城はタイプじゃなさそうだし」

「そうそう!てか、ララちぃも結城なんかのどこがいいワケ?」

「言っちゃ悪いけど、ララちぃならもっと上の男が狙えると

 思うんだよねー」

「結城ってなんかガキっぽいし」

「女の子の扱いも苦手そうだし」

「頼りがいなさそ〜」

「(結城。お前散々に言われてるぞ)」

 俺は心の中で結城に同情した。

 そんな事を考えていたら....

 

「そんなことないよ!」

 ララが大きな声でそう言った。

 

「リトはね、宇宙で一番頼りになる人だよ。私はそう信じてる」

「(....)」

 俺は布団の中で静かに聞いていた。

 

「(愛されてんな、あのバカ....)」

「ララちぃ、カッコいー!」

「宇宙で一番だってぇー!」

「ちょっと聞いた春菜!」

「あんたもララちぃ見習って好きな男の一人も作ったらー!」

「べ、別に私は....」

「(西連寺、ご愁傷様....)」

 俺は布団の中で手を合わせた。

 

「あ、でも春菜も気になってる男子いるでしょ?」

「え、そうなの?」

「そ、そんな事ないよ!」

「嘘つかないでいいって!春菜の気になってる男子はねぇ、

 影宮なんだよ!」

「(え....)」

「な、何言ってるのよ里紗!?」///

「だって肝試しの時、スタートから手繋いでたじゃん」

「それに戻ってきた時、お姫様抱っこもされたんだよねー?」

「ど、どうしてその事!?」

「いやぁ、女将さんに聞いたんだよ」

「(おい、女将さん!)」

「二人とも、顔真っ赤だったんでしょ?」

「初々しいねぇ」

「で、でもそれは私が足を怪我したから、」

「だからってお姫様抱っこ?」

「そういう時っておんぶじゃない?」

「わ、私に言われても....」

「ララちぃはどう思う?」

「ん〜、私はあまりわかんないなぁ」

「そっか。....そ・れ・で、影宮の事、どう思ってんの?」

「正直にいいなよ春菜〜」

「....わ、私は」

 西連寺が何かを言おうとした瞬間....

 

 ♪~♪~♪~♪~♪~

 

 急に火災報知器が鳴り出した。

 

「非常ベル!?」

「なになに火事!?」

「二人とも待ってー!」

 三人はそれぞれ声を何かを言って部屋を出て行った。

 

「か、影宮君!今のうちに行って!」

 西連寺は布団をめくりあげてそう言った。

 

「....ありがとな、西連寺」

 俺はそれだけ言って部屋を飛び出した。

 だが、俺はその時後ろから西連寺が何かを言っていたのを

 気づけなかった。

 

 そして、俺は部屋に戻った瞬間こう思った。

 

「(しばらく西連寺の顔をまともに見れそうにないな....)」

 

 〜〜〜〜

 

 西連寺side

「行っちゃった....」

 私は影宮君を呼び止めようとしたが、影宮君は

 走って部屋に戻っていってしまった。

 

「(私、影宮君の事どう思ってるんだろう....)」

 私の心に残されたのは、よくわからない複雑な感情だった。

 

 

 

 

 




ヒロイン一人目、わかりましたよね?


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増える面倒ごと

初のオリジナル回
オリジナルの新キャラもでます。


それと、アンケートの回答ありがとうございます。
ちょっと5が圧倒的なのでアンケートは終了したいと思います。


 それは臨海学校も終わり、期末テストが終わって

 夏休みに入ったある日のことだった。

 

「おはようございます、蓮君」

「....なんでいる、サリューシュ」

 俺が朝、目を覚ますと目の前にサリューシュが立っていた。

 

「今日は蓮君に大切な用事があるからここにいるんです」

「大事な用事?」

「はい。だから、早く朝ごはんを食べて動きやすい服に着替えてください」

 そう言ってサリューシュは部屋を出て行った。

 

「(大事な用事って、何かあったけ?)」

 俺はそんな事を考えながらも、さっさと動きやすい服に着替えた。

 そして、俺がリビングに着くとテーブルにはサリューシュが

 作ったと思われる料理が並べられていた。

 

「朝からスゲェな」

「さ、どんどん食べてくださいね」

「あぁ、いただきます」

 俺はそう言い、サリューシュの作った朝飯を食べた。

 

 

 〜〜〜〜

 

「それで、大事な用事って一体なんなんだ?」

 俺は目の前に正座をしているサリューシュに聞いた。

 

「実はですね、お祖父様が蓮君を連れてきて欲しいと言われたのです」

「アルードが?」

「はい。大事な話があるというので天界に一度連れてきて欲しいと」

「....まさか、説教とかじゃないよな?」

「流石にそれはないとは思いますけど....」

「なら良いか」

 俺はそう言って立ち上がった。

 

「では、」

「あぁ。さっさと行こうぜ」

 俺がそう言うと、サリューシュは首に付けている鍵を手に取った。

 

「わかりました。ではゲートを開きますね」

 そう言ってサリューシュは地球の本棚がある部屋に鍵を挿し込んだ。

 

「さ、行きましょうか」

「あぁ」

 俺とサリューシュは扉を開き、光に包まれた。

 

 

 

 〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「....久しぶりに感じるな」

「まぁ、あの世界とでは時間感覚が違いますからね」

 俺とサリューシュは巨大な扉の前に立っていた。

 そして、サリューシュの服は天界での服装に変わっていた。

 

「さて、ではお城に向かいましょうか」

「了解」

 そう言って歩き出したサリューシュの後を俺は追った。

 

 

 〜〜〜〜〜

 城下町

 

「相変わらず賑わってるな」

「それがこの街の良いところですから」

 俺はサリューシュの隣を歩きながらそう言った。

 すると、

 

「ん? ねぇ、君?」

 急に誰かに後ろから呼ばれた。

 

「はい? ....って、ナターシャ!」

「やっぱり! 久し振りだね、蓮!」

 そこにいたのは俺の戦術の師匠、ナターシャ・レイだった。

 

「本当に久し振りだな! いつ以来だ?」

「蓮が転生する二カ月前だったかな〜」

「もうそれぐらいになるのか」

「そうだね〜。てか、今日はどうしたの?」

「なんかアルードに呼ばれたらしいから一度戻ってきたんだよ」

「最高神様に?」

「あぁ。なぁ、サリューシュ」

「えぇ」

「あ、いたんだ。終劇のサリューシュ」

「いるわよ! 破滅のナターシャ! ....それにしてもあなた、こんなところで

 何してるのよ。今日は書庫の整理するって言っていなかったかしら?」

「いや〜それがさ、私も最高神様に呼ばれたんだよね」

「今度は何したのよ....」

「何もしてないよ! 朝、城に来るように言われたんだよ」

「そう。なら、一緒に行きましょうか」

「そうだね! 私も久し振りに蓮と話したいしね。良いよね?」

 そう言ってナターシャは首を傾げて聞いてきた。

 

「別に良いぜ」

「よしっ! なら、城に向かうまでたくさん話そーね!」

 そう言いながら、俺達は城の方に向かって歩き出した。

 

 

 

 〜〜〜〜

 城前

 

「お疲れ様です、兵士の皆さん」

「お疲れ様〜」

「こ、これはサリューシュ様! ナターシャ様!」

「お、お勤めご苦労様です!」

「そんなに硬くならなくて大丈夫ですよ」

「そうそう」

「「そ、そんな無茶な....」」

「まぁ良いです。お祖父様は?」

「最高神様は最上階におられます」

「そうですか。では」

 そう言ってサリューシュは城の中に入っていった。

 だが....

 

「その、サリューシュ様....そちらの少年は?」

 兵士は俺の方を指差してそう言った。

 

「聞いたことはあるはずですよ。この子の名前は蓮君です」

「蓮....」

「って、まさか!?」

「えぇ、その蓮君です」

「こ、これはとんだご無礼を!?」

「申し訳ありません!?」

 二人は武器を置き、その場で正座した。

 

「あぁー、気にしないでください。慣れてるんで」

「君達気をつけなよ〜」

「「は、はい!!」」

 二人の兵士の人は俺達に向かって敬礼をしてきた。

 

「さ、二人とも行きますよ」

「はいよ」

「はーい」

 サリューシュの後に続き、俺達も城の中に入っていった。

 

 

 

 〜〜〜〜

 最上階

 

「お祖父様、サリューシュです」

『入ってくれ』

 サリューシュが扉越しに言うと、扉の中から声が聞こえた。

 サリューシュはそれを聞くと、扉を開いた。

 

 中には巨大な机の上に山のような書類を処理している一人の

 老人がいた。

 

「お久し振りです、お祖父様。終劇の戦女神サリューシュ」

「破滅の謀将ナターシャ」

「「ただいま参上しました」」

 そう言うと、二人は老人の前に跪いた。

 

「二人とも楽にしてくれ」

 そう言うと、二人は立ち上がった。

 そして老人は俺の方に近づいてきた。

 

「久し振りだな、神殺しの蓮」

「....その呼び方はやめてくれ、アルード」

「ほっほっほ、すまんな。つい癖で」

「....はぁ。それで俺に何の用だ」

 俺はアルードの目を見て聞いた。

 

「それはだな....」

 すると、空間の景色が変わり出し真っ白な空間に変わった。

 

「これなら誰にも聞かれないな」

 そう言うと、アルードは近くの椅子に座った。

 

「三人も座るといい」

 そう言われ、俺達三人も近くの椅子に座った。

 

「さて、では話そうか。お主を呼んだ訳を」

「あぁ、頼む」

 

 〜〜〜〜

 

「今回お主を呼んだ訳は一つだ」

「一つ?」

「あぁ。お主の転生した世界に愚神派の奴らが侵入した」

「な....!」

「本当ですかお祖父様!」

「嘘でしょ....」

「全部本当だ。天界と蓮が転生した世界に謎の歪みが生まれていた。

 それを偵察部隊に調べさせたところ、愚神派の連中が侵入した痕跡が見つかった」

「一体何人が侵入を?」

「そこまでは分からん。ただ、歪みを見る感じかなりの人数と思われる」

「....まさかと思うが、そいつらもとっ捕まえろってか?」

「鋭いな」

「お祖父様!」

「最高神様!」

 すると、急にサリューシュとナターシャが立ち上がった。

 

「一体何を考えているのですか! ただでさえ蓮君には転生者達の

 捕獲をお願いしているのに、これ以上の負担をかけようとするのですか!」

「サリューシュの言う通りです! いくら蓮でも....!」

「ま、待て二人とも。話は....」

「「これが落ち着いていられますか!!」」

 アルードは二人の気迫に押されていた。

 

「ま、まぁまぁ二人とも! 話はまだありそうだから....」

 俺はとにかく二人を落ち着かせようとした。

 

「っ!」

「....わかったよ」

「....」ほっ

 二人はなんとか俺の話を聞いてくれて椅子に座りなおした。

 

「それで、続きを話してくれ」

「あ、あぁ。すまんな」

 そう言って一つ咳をし、話を続けた。

 

「それで、蓮に依頼をしたいのだ。愚神派の処刑を」

「....処刑、か」

「あぁ。それで、お主にこれを渡したい」

 そう言ってアルードは一本の剣を俺に見せた。

 

「神殺しの剣....!?」

「最高神様、本気ですか!?」

「あぁ、儂は本気だ。これを蓮に託したい」

 そう言ってアルードは俺に近づいてきた。

 

「お主に無理強いはしない。だが、もしも儂の

 頼みを聞いてくれるならこの剣を受け取ってくれないか?」

「....わかった」

 俺はそれだけ言い、剣を手に取った。

 

「蓮....」

「蓮君....」

 剣を受け取った俺を見るナターシャとサリューシュの顔は

 悲しそうな表情に変わった。

 

「二人とも心配すんなって。ヤバくなったらちゃんと逃げるから」

「....でも、」

「....分かりました」

「サリューシュ!?」

「彼が決めた事です。私達に止める権利はありません」

「それは....そうだけど、」

「それに、蓮君は約束を破りません。そうですよね?」

「あぁ」

「なら、私はこれ以上は言いません」

「ありがとな、サリューシュ」

「....は〜、仕方ないわね」

 すると、ナターシャも呆れた表情でそう言った。

 

「ナターシャ」

「私も何も言わないわ。そのかわり、死ぬんじゃないわよ」

「おう」

「じゃ、これで決まりね」

「では、頼んだぞ。蓮」

「あぁ。任せとけ」

「うむ。それと、サリューシュ、ナターシャ。二人にある任務に

 ついてもらう」

「任務ですか?」

「二人に天界に残っている愚神派の者達の捕獲、処刑を頼みたい」

「了解しました」

「その任務、謹んでお受けいたします」

「うむ。では頼んだぞ」

 

 

 〜〜〜〜

 

「はぁ〜あ。受けちゃったなぁ〜」

「どの道受けるのはわかってただろ? 俺の性格上」

「そうだけどさ〜」

「ナターシャ、そこまでしてあげなさい」

「わかったわかった」

「んじゃ、俺は帰るな」

 そう言って、俺は扉の前に立った。

 

「あ、ちょっと待って」

 すると、ナターシャに止められた。

 

「なんだ?」

「サリューシュの通信機、ちょっと貸してくれない?」

「? 別に良いが....」

 俺はナターシャに通信機を投げた。

 ナターシャがキャッチすると、通信機は光り出した。

 

「はい、これで良いよ」

「一体何したんだ?」

「私にも通信できるようにしたの。愚神派のことで

 何か分かったら連絡するわ」

「了解。こっちも何か動きがあったら連絡するな」

「えぇ」

「じゃあな二人とも」

「お疲れ様でした蓮君」

「じゃあね蓮」

 そう言われ、俺は門を開いて光に包まれた。

 

 

 

 

 




 ナターシャ・シオン
 天界の女神で蓮の戦術の師匠
 サリューシュと同じく最上級女神の一人で、
 [破滅の謀将]というあだ名がある。

 見た目は子供っぽいが、頭脳は天界一だったりする。

 好きなもの 中華料理
 嫌いなもの バカな人間
 趣味 読書


 アルード・ルーラ
 サリューシュの叔父で現在の最高神
 今はひたすら愚神や転生者の件に追われている


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彩南祭 準備

 夏休みが明けてしばらくが経った。

 新学期早々、転校生のレンも来て教室内は賑わっていた。

 そして、俺の隣に立っている奴は熱く燃え上がっていた。

 

「さぁみんな! もうすぐ彩南祭が始まる! てな訳で実行委員の猿山だ!」

「それに巻き込まれた影宮だ....」

 俺と猿山が今やっているのは、近々行われる彩南高校の文化祭、“彩南祭”で

 何をするのかを決めるための司会だ。

 

「まずはじめに、全員にこの前のHRで出してもらった案なんだが、

 隣にいるバカが、“どれも普通すぎであまりにもつまらない! ”と言ったので

 バカが考えた結果、アニマル喫茶という物をしたいらしい」

「アニマル喫茶ぁ〜〜?」

「何それ、コスプレ喫茶みたいなやつ?」

「バカが言うにはそうらしい」

「えぇ〜〜、やだぁ〜〜」

「はやんねーって、そんなの!」

 俺がクラスに向かってそう言うと、猿山に向かっての文句ばかりが出た。

 

「いや、絶対流行る! 流行らせる! 時代はアニマル、弱肉強食の時代だ!」

 そう言って猿山は文句を言ったクラスメイトの反論を大声で言い返した。

 それを受け、クラスメイト達は猿山の圧に押されていった。

 

「一回落ち着け」パシンッ

「痛っ!?」

「一先ずどんな物か見せたらどうだ?」

「そ、それもそうだな。じゃあ女子は今から俺が用意した衣装に着替えてくれ!」

 そう言って猿山は教室に運んだ箱を指差してそう言った。

 女子達は不満げながらも箱を持って教室を出て行った。

 それを見て不敵な笑みを浮かべている猿山を見て俺は呆れた。

 

 

 〜数分後〜

 

「「「うおぉぉぉぉ!! めちゃくちゃ良いじゃねぇか猿山!!」」」

「そうだろ! これこそ俺が求めていたパラダイスなんだよ!」

 教室に入ってきた女子を見て、殆どの男どもは女子の姿に興奮していた。

 女子の格好は肌面積が広く、はっきり言うと際どい。

 

「(あの時、「お前がやってみろ」って言った俺を殴りたい....)」はぁ

 俺は別の意味で頭が痛くなった。

 

「よぉし! じゃあ俺達のクラスはアニマル喫茶で行くぞぉぉ!」

「「「おぉぉぉぉ!!」」」

 さっきまで反対していた奴も猿山の意見に賛成して、俺達のクラスの

 出し物はアニマル喫茶に決まった。

 

「(てか、さっきから誰だろうな。俺達の教室を見てるのは....)」

 俺は一人、校舎から少し離れた木を見ていた。

 

「おーい、影宮! 外を見てないで役割決めていくぞ!」

「....あぁ」

 

 

 〜数日後〜

 

「んじゃ、俺は内装の方見てくるから調理の練習頑張れよ」

「「「はい、チーフ!」」」

「....誰がチーフだ」

 役割分担を決めて数日が経ち、俺は調理班のリーダーになった。

 が、何故か調理班のメンバーからはチーフと呼ばれるようになっていた。

 そして、俺は内装兼接客班のメンバーがいる教室に向かっていた。

 

「おい猿山、そっちはどうだ?」

「影宮か! こっちは良い感じだぜ! そっちはどうだ?」

「調理の方はほぼ問題なしだ。強いて言うならケーキぐらいだ」

「そっか。じゃあ、あと少しで終わるな」

「あぁ。てか、後でケーキの試食に行ってくれ」

「良いのか!?」

「あぁ」

「よっしゃ! じゃあ行ってくるぜ!」

 そう言って猿山は走って教室を出て行った。

 

「....まだできてねぇっての」はぁ

 俺は呆れてため息が出た。

 

「あれ、影宮君?」

「西連寺か....」

 俺が教室の扉の方を見ていたら、後ろから西連寺が話しかけてきた。

 

「どうかしたの?」

「ちょっと様子を見にきただけだ。....そっちは順調か?」

「....ま、まぁまぁかな」

「....やっぱ慣れてないのか、あの服」

「うん。まだ恥ずかしくて....」

 西連寺は少し困ったように言った。

 

「....やっぱこっちの方が良かったんじゃないか?」

「ま、まぁ里紗や未央のおかげで少しはマシだけど....」

「そうか....」

 そう言って話していると、猿山が走って教室に入ってきた。

 

「影宮ぁ! 調理室のメンバーが呼んでるぞ! なんかデコレーションの

 やり方で相談があるって」

「わかった、すぐ戻ろう。じゃあな西連寺」

 俺はそう言って調理室に向かった。

 

 

 そして数日後、"彩南祭"が始まった。

 

 

 

 

 

 



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彩南祭当日/偽りのカブトは瞬殺する

お久しぶりです....
書く気はあるんです!嘘じゃないですから!


「カレー三つ、ケーキセット二つだ」

「「「はい!」」」

 俺は調理室で教室から来る指示を出していた。

 うちのクラスの出し物である“アニマル喫茶”は大盛況で

 長蛇の列ができるほどであった。

 俺も指示をしながら手を動かしていた。

 そうしていると、入り口から猿山が入ってきた。

 

「影宮」

「どうした猿山」

「そろそろ交代の時間だ。こっちは俺が指示を出すから

 お客さんの整理を頼む」

「もうそんな時間か」

 そう言いながら俺はエプロンを脱いだ。

 

「じゃあこっちは頼んだぞ」

「おう!」

 俺は猿山にそう言って教室の方に向かった。

 

 

 〜二時間後〜

 

「はぁ、やっと人が減ったな....」

「だな」

 俺は教室の前に置かれた椅子に座って結城と話していた。

 

「二人とも、お疲れ様」

 すると、教室からお盆にジュースを乗せた西連寺がそう言ってきた。

 

「ありがとう西連寺」

「サンキュ」

 俺と結城はジュースを受け取った。

 

「思ったより楽しいね、アニマル喫茶」

「ん?」

 俺がジュースを飲んでいたら急に西連寺がそう言った。

 

「最初は恥ずかしかったけど、慣れたら何だか楽しくなっちゃった」

「そうか....よかったじゃねぇか」

 そう言って話していると....

 

「ちょっと! いい加減にしてください!」

 急に教室から叫び声が聞こえた。

 

「なんだ?」

「どうかしたのか?」

 俺と結城は教室の中を見に行った。

 教室の中に入ると、一人の男が籾岡の腕を掴んでいた。

 

「ちょっとぐらい良いじゃないか。そんな格好をしているという事は

 誘っているんだろう?」

「そんな訳ないじゃん!」

 籾岡は振り払おうとするが、男の力が強すぎるのか振り払えていなかった。

 周りにいる女子達も男に怯えていた。

 

「....おいテメェ、うちの店員に何してやがる」

 俺は籾岡の腕を掴んでいた男の腕を掴んで捻った。

 

「グワッ!?」

「悪いが、うちの店はキャバクラじゃねぇんだよ。そういう事やりたかったら

 キャバクラにでも行け」ギロッ

「っ!」ビクッ

 俺の睨みで、男は俺に恐怖を抱いたようだった。

 

「....チッ!」

 男は舌打ちをすると走り去っていった。

 

「....大丈夫か籾岡?」

「う、うん。ありがと....」///

 俺がそう聞くと、籾岡の顔は赤くなった。

 

「(さてと....)」

「結城、俺は少し離れるぞ。客が来たら頼む」

「か、影宮....?」

 俺はそう言って教室から出た。

 その時、何故か結城は俺に怯えているように見えた。

 

 

 〜?side〜

 

「くそっ! 何なんだアイツは! あんなやつ原作には....」

 俺の名前は“黒代 剣城”。転生者だ。

 俺は今日、彩南祭に来ていて籾岡をナンパしていたが変な男に止められた。

 その男は原作では一度も見た事がない男で、少し睨まれただけで俺は

 その男に恐怖してしまった。

 

「(アイツ、まさか転生者なのか! だったら早く消さないと俺の籾岡が!)」

 そう考えていたら....

 

「見つけたぞ、転生者」

 後ろから声が聞こえた。

 

 

 〜蓮side〜

 

 俺は今、校舎裏に来ていた。何故なら、さっきの男が転生者の気配をしていたからだ。

 

「な、何の事だ!」

「シラを切るのか? お前の気配、俺に対する殺気が凄いぞ?」

 俺がそう言った瞬間、男は何処からかサソードヤイバーを取り出した。

 

「お前、お前も転生者か!」

「あぁ。だが、お前らのような転生者と一緒にしないでもらいたい」

「さっきはよくも邪魔を! 籾岡は絶対に渡すものか! サソードゼクター!」

 男は何故か逆ギレしてサソードゼクターを呼んだ。

 すると、地面からサソードゼクターが現れた。

 

「変身!」

「HENNSINN!」

 男はサソードヤイバーにサソードゼクターをはめて変身した。

 

「お前なんかに、俺の籾岡は渡すか!」

「....勘違いが甚だしいぞ」

 そう言って、俺は腕時計を外してアナザーウォッチに変えた。

 

「お前らのような転生者は、全て捕獲する」

 そう言って俺はアナザーウォッチのスイッチを押した。

 

 ♪~♪~♪~

「KABUTO!」

 

 俺の体は黒と銀色の鎧を纏うと爆散し、“アナザーカブト”と化した。

 

「醜い化け物め!」

 そう言ってサソードは俺に斬りかかってきた。

 だが、俺はそれを腕で受け止めた。

 

「っ、硬い!」

『喋る余裕がよくあるな....』

 俺はサソードに蹴りを連発した。

 

「グワッ!」

 サソードは地面に転がった。

 

『弱いなぁ....』

 俺は不意にそう呟いてしまった。

 

「っ、黙れ! だったら、これならどうだ!」

 そう言ってサソードはサソードゼクターの尻尾を押し込んだ。

 

「キャスト....」

『させねぇよ....クロックアップ』

『Clock Up』

 俺は腰の横についたスイッチを押した。

 すると、周りの風景は俺に取っては止まっているように見えた。

 

『時間がもったいねぇから終わりの刻だ。転生者、黒代 剣城』

 俺はそう言いながら近づき、脚に力を溜めてサソードに回し蹴りを放った。

 

『Clock Over』

 その音でクロックアップは終わり、叫び声をあげながらサソードはぶっ飛んだ。

 

「バカな....! この力は、神から貰った力のはずなのに!」

『....鍛えなかったら力も何もないだろ』

 そう言って俺はカードを落とした。カードの中に男は封印され、俺はサソードゼクターを

 ウィザードの魔法で縛りサソードヤイバーと一緒に魔法で家に送った。

 

『さて、戻りますか』

 俺は変身を解除して教室に向かって歩き出した。

 

 

 〜ゴミ捨て場〜

 

「これで全部だな....」

 俺は今、教室の片付けで出たゴミを捨てに来ていた。

 何故かはわからないが、俺が戦っている少しの間に教室では何やら

 二年の先輩が来てララと競っていたらしい。

 その結果、教室は荒れに荒れて大量のゴミが出ていた。

 

「あ、影宮」

 そして、俺がゴミを捨てていたら後ろから声をかけられた。

 声の主は籾岡だった。

 

「籾岡か」

「ゴミ捨てまでお疲れさん」

「それはお前もだろ?」

 俺は籾岡が持っているゴミ袋の方を見てそう言った。

 

「貸せよ。重いだろ?」

「あ、ありがと....」

 俺は籾岡からゴミ袋を取ってゴミ捨て場に捨てた。

 

「さて、さっさと戻るか」

 そう言って教室に戻ろうとしたら....

 

「影宮!」

 籾岡が俺の名前を大きな声で呼んだ。

 

「なんだ?」

「そ、その、今日はありがとね。助けてくれて嬉しかった....」///

「気にすんなよ。あれぐらい普通の事だ」

「そっか....春菜が気になる理由もちょっとわかるな....

「なんか言ったか?」

「ううん、何でもない! ほら、早く戻って打ち上げ行くよ!」

 そう言って籾岡は俺の前を歩き始めた。

 

「....そうだな」

 そう言って、俺も籾岡の後ろを歩き始めた。

 

 

 

 

 

 

 




 アナザーカブト
 蓮の持つアナザーライダーの力の一つ
 クロックアップを使った超高速戦闘を得意としており、敵に一切の隙を見せない
 カウンター攻撃を主体としており、一撃一撃が重い
 武器は持っていないため、蓮の純粋な戦闘能力が現れる

 武器 無し

 特殊能力 クロックアップ


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クリスマスパーティー/捕食する赤龍

「....人多いな」

「そりゃな。学校の生徒とか結構集まってるみたいだぜ」

「そうなのか」

「しっかし天条院先輩もいいトコあるよな。別荘でクリスマスパーティー

 するからって俺らまで招待してくれるなんてな」

「ん〜、どうだろう? 俺はあの人の事だから裏があるような気が....」

 俺は今、二年の天条院先輩の別荘にいた。理由は猿山が言った通り、

 クリスマスパーティーに招待されたからだ。

 

「そう言うなって! 美味い飯もあるんだから楽しもうぜ!」

 結城は少し心配してたが、猿山はいつも通り呑気そうだった。

 

「あ、結城君、猿山君、影宮君。ここにいたんだ」

 すると、後ろから声をかけられた。後ろを見ると西連寺、籾岡、沢田がいた。

 

「西連寺か」

「ここ広いから、すぐに迷っちゃいそうだね」

「そうだな」

「あれ結城ィ、ララちぃは一緒じゃないの?」

 籾岡はララがいない事を不思議に思って結城に聞いた。

 

「あぁ、ララならドレスアップしてくるってどっかに行ったぞ」

「そうなんだ」

 そう言って話していたらデカい扉からサンタとトナカイのコスプレをした

 女が三人出てきた。

 

「はい皆さん! ようこそ私のクリスマスパーティーへ! 今日は思う存分

 楽しんで行ってくださいな!」

 そう言うと、周りの生徒達は拍手していた。

 

「あれが天条院先輩か?」

「そういや影宮はあの時教室にいなかったな。そうだぜ」

 すると、近くから歓声が上がった。

 

「うわっ! ララちぃすごっ!?」

 籾岡の声の方を見るとそこには変わったドレスを着たララがいた。

 

「すげぇドレスだなおい....」

「かわいー!」

「ララさん似合ってるよ」

「ありがとー! ねぇねぇリト〜! 似合ってる?」

 そう言ってララは結城に抱きついていた。

 

 

 〜数分後〜

 

「それでは本日のメインイベント、プレゼント交換を始めたいと思います。

 ですが、入場の際に皆様から預かったプレゼントはここにありません」

 トナカイのコスプレをした人が前に立ってそう言った。

 

「?」

「どう言う事だ?」

 周りも意味がわかっていないようだった。

 

「普通に交換し合ってもつまらないでしょう? そこで、私が素晴らしい

 ゲームを思いつきました。名付けてプレゼント争奪ゲーム!」

「プレゼント争奪ゲーム?」

「ルールは簡単。この屋敷のあちこちに隠されたプレゼントを探し出し、

 見つけたプレゼントはその人の物になります」

「へー、面白そう!」

「見つければ見つけるほどプレゼントが増えるってわけか....」

 俺は何となくゲームの内容を理解した。

 

「しかしそれだけではありません! プレゼントの中に一つだけ、私からの

 プレゼントとして“豪華リゾート三泊四日”の旅をご用意しています!」

「「「おぉぉ!!」」」

 その言葉で、会場は盛り上がった。

 

「凄いじゃん! これは狙うっきゃないね!」

「絶対見つけるよ春菜!」

「えっ? 別に私は....」

 西連寺は籾岡と沢田の圧に押されていた。

 

「そして、最後にもう一つ!」

 天条院先輩が何かを言おうとした時....

 

「ふっ! リゾートの旅は俺がいただく!」

 そう言って、この間の盗撮犯が先に走り出した。だが....

 

 ガコンッ

 

「へっ....」

 盗撮犯は床に開いた穴に落ちていった。

 

「お、落とし穴!?」

「このように屋敷の中にはトラップを仕掛けております。プレゼント探しは慎重に

 行くことをオススメします」

「マ、マジか....」

 隣にいた結城は若干引いていた。

 

「それでは、ゲームスタートです!」

 そう言った瞬間、全員扉の方に走り出した。

 

「リト、一緒に行くよ〜!」

「お、おいララ!」

 結城はララに引っ張られていき....

 

「さて、行くよ春菜!」

「ゴーゴー!」

「ふ、二人とも押さないで!」

 西連寺は籾岡と沢田に押されていった。

 

「(全然慎重じゃねぇな....)」

 俺は一人会場に残っていた。他の生徒達は既に扉から出て行っていた。

 

「さてと、俺も動くか....」

 そう思い、俺は会場の中にあった机の裏を見た。

 すると、そこには謎の封筒があった。

 

「やっぱか....」

 俺は封筒を取った。何故俺がここにあるのかが分かったのかというと、

 黒服を着ていた男の人が何かをしているのかを見ていたからだ。

 

「てことは、あそことあそこもだな」

 そう思い、俺は別のところに向かった。

 

 

 〜別室〜

 

「やっぱりあった」

 俺が来た部屋には、赤いリボンが結ばれた箱があった。

 ここはさっき黒服の人が出てきた部屋だった。俺は回収しようとしたが....

 

「....なるほど、これがトラップの一つか」

 俺の前にあった壁が開き、マシンガンが現れた。

 そして、マシンガンからはBB弾が飛んできた。

 

「めんど....」

 俺はプレゼントを回収しようとしたが、マシンガンの弾が邪魔で取れなかった。

 

「(仕方ない....)」

 俺は影の中から影正を取り出し、マシンガンに向かって斬撃を放った。

 斬撃はマシンガンに当たり、真っ二つに割れた。

 

「ふぅ....」

 俺は息を吐いて、プレゼントの箱を回収した。

 

「ん、あれは....」

 俺がマシンガンが出てきた壁の方を見ると、監視カメラがあった。

 

「(見られるとマズイし、壊しておくか....)」

 そう思い、俺は監視カメラをぶっ壊した。

 

「よし、次に向かうか」

 俺は影正を鞘に納め、別の場所に向かった。

 

 

 

 〜廊下〜

 

「にしても、トラップも監視カメラも多いな....」

 俺は別の部屋で拾った袋に見つけたプレゼントを入れて移動していた。

 そして、トラップを躱し、監視カメラを壊していた。

 

「(てか、これいつ終了なんだか....)」

 そう思いながら廊下を歩いていたら、前方に穴が見えた。その穴からは、

 聞いたことがあるような声が聞こえてきた。

 

「お、落ちる〜!」

「頑張ってリサ!」

「む、無茶言わないでよ!」

「大丈夫かお前ら....」

 俺が見に行くと、そこには籾岡と沢田と西連寺がいた。

 籾岡は落ちないように床を手で掴んでおり、沢田と西連寺は

 籾岡にしがみついていた。

 

「か、影宮!」

「嘘っ、影宮!?」

「影宮君!」

「よぉ」

「いや、よぉじゃなくて! 助けて! もう落ちそう....!」

「....わかった」

 そう言って俺は籾岡の手を掴んだ。

 

「よっと....!」

 俺は籾岡達三人を力技で引き上げた。

 

「はぁ、助かったぁぁ!」

「影宮ありがとう! 助かったよ!」

「ありがとう影宮君!」

「気にすんな。てか、よく耐えてたな籾岡」

「ま、リサはテニス部で一番の....」

「み、未央!!」

 沢田が何かを言おうとした瞬間、籾岡が沢田の口を封じた。

 

「モガモガ!?」

「....何やってんだよ」

「ア、アハハ....」

 西連寺もそれを見て苦笑いしていた。

 

「まぁ、理由は何でも良いけど....そういや、三人はプレゼントを見つけたのか?」

「私達はまだ見つけてないよ。それよりも、影宮君の持ってるその袋と刀は?」

 西連寺は俺にそう聞いてきた。

 

「刀はさっき見つけたもので、この袋は中に見つけたプレゼントを入れてるんだよ」

 そう言って俺は袋の中を見せた。

 

「うわすごっ!」

「もうそんなに見つけたんだ!」

「凄いね影宮君....!」

「そうか? 結構わかりやすい場所にあるぞ」

 そう言って俺は袋の中のものを出した。

 

「さてと、お前らなんかいるなら持って行ってもいいぞ」

「いいの?」

「あぁ。まだ見つけてないんだろ? 一個ぐらい持っていっても構わねぇよ」

「マジで! だったら、ありがたく....!」

「サンキュー影宮!」

 そう言って籾岡と沢田はプレゼントを物色し出した。

 

「西連寺も持って行って良いぞ?」

「本当にいいの?」

「あぁ」

「....ありがとう影宮君」

 西連寺もそう言って袋の中を見始めた。

 

「(さて、次どこを見に....)」

 そう考えていたら....

 

 キィーン キィーン

 

「....」

 近くの窓から音が聞こえてきた。

 

「(....誰だこのタイミングでアホな事をしようとする奴は)」

 俺が鏡の方を見ると、アナザードラグブラッカーが俺を見ていた。

 

「....はぁ、行くか」ボソッ

 俺は小さく呟き....

 

「三人とも、俺は今のうちに他のところ探してくるから戻ってくるまでに

 決めておいてくれよ」

「OK〜!」

「了解!」

「わかったよ」

「じゃ頼んだぞ」

 俺はそう言って三人と会う前にいた部屋に入った。

 

「さてと、今日はお前が行くか?」

 俺は鏡にいるアナザードラグブラッカーに聞いた。だが、ブラッカーは

 首を横に振った。

 

「(てことは雑魚か....)」

「わかった。じゃあこれだな」

 

 ♪〜♪〜♪〜

「RYUKI!」

 俺はアナザーウォッチを押してアナザー龍騎に変わった。

 そして、俺は鏡の中に入り音の方に向かった。

 そして、少し歩いた先には大量のレイヨウ型のミラーモンスターがいた。

 

『(相手はインペラーか....)』

 俺がそう考えて見ていると、一体のメガゼールが俺に気づいた。

 すると、そのメガゼールに気づいた他の連中も俺に気づいた。

 そして、レイヨウ型のモンスター達は俺を敵と認識して俺に向かってきた。

 

『(うわぁ、めんどくせぇ事に....)』

 そう思い、俺はベルトからカードを抜きバイザーにセットした。

 

「ADVENT!」

 音が鳴ると、どこからかアナザードラグレッダーが飛んでき、レイヨウ型の

 モンスターをものすごい勢いで捕食し出した。

 

『よしよし。俺も斬りますか』

 俺も何体か抜けてきたレイヨウ型のモンスターを斬り裂いていった。

 そして、全てのレイヨウ型のモンスターを斬り裂いたらインペラーが奥の方にいた。

 

『だ、誰だお前は!?』

『お前こんだけ暴れてて気づかなかったのかよ....』

 俺はインペラーの鈍感さに呆れた。

 

『まぁいい。転生者、佐野 満矢、お前を捕獲する。やれ、アナザードラグレッダー!』

 俺がそう言うと、レッダーはインペラーに襲いかかった。

 

『うわぁぁ! 来るなぁぁ!』

「SPIN VENT!」

 インペラーはガゼルスタップを出してレッダーに対抗しようとしたが、

 一瞬でレッダーにぶっ飛ばされていた。

 

『(弱すぎだろ....)』

『や、やめろ! やめてくれ!』

 インペラーはそう言ったが、レッダーは止まる気配がなかった。

 それに、俺の身体からどんどん粒子が出てきた。

 

『(時間もないか....)レッダー、トドメをさせ』

 俺がそう言うと、レッダーは口から炎を出してインペラーを焼き尽くした。

 

『馬鹿野郎....いくらなんでも火力が強すぎだ』

 炎は俺の近くまで来て俺も少し焼けた。レッダーは少しだけ申し訳なさそうな

 表情をしてどこかに飛んで行った。

 

『はぁ....俺も急いで戻らないとな』

 そう思い、転生者をカードに封印しインペラーのデッキケースを回収して

 急いでミラーワールドから出た。

 

 

 〜廊下〜

 

「戻ったぞ」

「あ、早かったじゃん。なんか見つかった?」

「いや全く。それよりも、何にするか決まったか?」

「私はこれ!」

「私はコレだね!」

 沢田と籾岡は一つの箱を持ってそう言った。

 

「そうか。西連寺は?」

「....まだ考え中かな」

「....そうか」

 俺がそう言った瞬間、何か嫌な予感がした。俺は周りを見渡した。

 すると、天井にヒビが走り出した。

 

「っ! 西連寺、籾岡、沢田走れ!」

「えっ?」

「急にどうしたの?」

「上だ上!」

 俺はヒビが走っている天井を指差した。

 

「へっ?」

「上って....」

「リサ、ミオ! 天井にヒビが!」

「嘘でしょ!?」

「マジじゃん!?」

「だから言っただろ! 早く逃げるぞ!」

 そう言って俺はプレゼントの袋を持って走り出した。

 

 〜〜〜〜

 

「し、死ぬかと思った....」

「危なかったぁぁ....!」

「はぁ、はぁ....」

 俺達が屋敷から脱出すると、屋敷は崩壊し出した。

 

「ギリギリセーフだったな....」

 俺は崩壊していく屋敷を見てそう呟いた。

 

「あ、蓮〜!」

 俺が屋敷を見ていると、後ろからララが声をかけてきた。

 

「ララか。お前怪我しなかったのか?」

「うん! ねぇねぇ、その袋の中ってプレゼント?」

「そうだが? それがどうかしたのか?」

「みんなにプレゼント配るからそれ貸してくれる?」

「あぁ、そういう事ね....ほらよ」

 俺はララに袋を渡した。

 

「ありがとう!」

 そう言ってララは生徒達の方に向かっていった。

 

「(あ、そういえば西連寺はまだ決めてないのに袋ごと渡しちまった....)」

 俺は西連寺の事をうっかり忘れてしまっていた。

 

「(....でもそういえば)」

 俺はポケットの中に入れた封筒のことを思い出した。

 

「西連寺」

「どうしたの影宮君?」

「これ、よかったらいるか?」

 そう言って、俺は西連寺に封筒を渡した。

 

「これは?」

「天条院先輩が用意したリゾートのチケット」

「えっ!?」

「西連寺がプレゼント決まってないのに、俺ララにプレゼントの入った袋を

 渡しちまってな。だから、今俺が持ってるプレゼントこれしかないんだよ。

 良かったら貰ってくれないか?」

「さ、流石にそれは貰えないよ!」

「良いから良いから。秋穂さんと行って来いって。これ二人まで行けるみたいだから、

 俺が持ってても一枚余るんだよ。もったいないから、貰ってくれると助かるんだが....」

「で、でも....」

「何やってんの二人とも?」

 すると、籾岡が俺と西連寺が話しているのに気づいて話しかけてきた。

 

「実はな....」

 俺は西連寺に話していた事を話した。

 

「えぇ!? 春菜貰っておきなって!」

「でも良いのかな....」

「影宮が良いって言ってるんだから!」

「本当に良いの....?」

 西連寺は心配そうに聞いてきた。

 

「あぁ」

「....じゃあ、ありがたく貰うね」

 籾岡の押しのお陰で、西連寺はチケットを貰ってくれた。

 

「ありがとう影宮君」

「別に良いって。じゃあ俺は先に帰るな。ララ達によろしく言っといてくれ」

「わかったよ。じゃあね」

「ありがとね影宮〜!」

 俺は二人に手を振って門の方に向かった。そして、門を出て立ち止まった。

 

「それで、いつまでつけるつもりだ? トナカイさん?」

 俺は木の上を見た。

 

「っ! 気づいていたのか....」

 すると、木の上からトナカイのコスプレをしていた人が現れた。

 

「えぇ、最初から。俺に何か用ですか?」

「君は一体何者だ! 突然刀を出したと思ったらトラップと監視カメラを斬撃で破壊した! 

 刀を振って斬撃を放つなどただの人間に出来るはずがない!」

「....へぇ、見られてましたか」

「当たり前だ!」

 そう言って、トナカイのコスプレをした人はモデルガンを向けてきた。

 

「何者か、話してもらうぞ!」

 そう言った彼女の視線は鋭かった。

 

「....残念ですが、それは出来ませんよ。彩南祭の出し物を決めている時に

 俺達の教室を見ていたトナカイさん」パチンッ

「っ!? 何故それを....」

 俺は彼女が言い終わる前に指を鳴らして彼女の動きを止めた。

 

「それでは、さようなら」

 俺は手で彼女を俺の方と逆向きにして駅の方に向かった。

 

 

 

 

 

 

 〜?side〜

 

「知って....!」

 私が言葉を言い終わると、彼の姿は消えていた。

 

「消えた、だと....!」

「(バカな! どこに行った!)」

 私は周りを見渡したが、彼の姿はどこにもなかった。

 

「(一体、彼は何者なんだ....?)」

 私の頭の中には、彼の嘲笑したような顔がこびりついていた。

 

 

 

 

 

 

 



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偶然と黒龍の怒り

オリジナル回です
すげぇ、数字が2ばかり....


 12月27日の夕方、俺はスーパーにいた。

 

「さてと、今日の晩飯はどうすっかなぁ....」

 俺は呑気に呟きながら晩飯の材料を探していた。

 

「(肉はこの前のパーティーでアホ程食ったしなぁ....魚にするか)」

 そう思い、俺は魚のコーナーに向かった。

 

「(カレイ、ブリ、タラ....)」

 俺は三匹の魚の切り身を見ていた。

 

「(ブリを塩焼きにするか)」

 そう思い、俺はブリの切り身のパックに手を伸ばしたら誰かと手が当たった。

 

「あ、すいません」

「いえ、こちらこそ....って、君は....」

 俺が謝ってきた人の方を見ると、どこかで会ったことがあるような子だった。

 

「確か、結城の妹の美柑ちゃんだったか?」

「は、はい....そういうあなたは、確かこの前水族館で会った....えっと....」

「結城と同じクラスの影宮 蓮だ」

「あぁ! そうでした! 影宮さんでしたね」

 美柑ちゃんは思い出したように手を合わせた。

 

「こんにちは。美柑ちゃんも買い物か?」

 俺は美柑ちゃんの持ってるカゴを見てそう言った。

 

「はい。晩ご飯の材料を買いに来たんです」

「そっか。俺と一緒だな」

「影宮さんもですか?」

「あぁ。美柑ちゃんの家も魚か?」

「はい。リト、この前のクリスマスパーティーでいっぱいお肉を食べたみたいで....」

「そういや、アイツ結構食ってたな....」

 俺はクリスマスパーティーで肉を食ってる結城の姿を思い出した。

 

「だから、今日はブリを塩焼きにしようと思って」

「そうだったのか。....というか、その言い方からして美柑ちゃんが晩ご飯を作るのか?」

 俺は美柑ちゃんの話し方を聞いてそう思った。

 

「はい。ご飯はほとんど毎食私が作っているんです」

「マジか!? まだ小学生なのに凄いな....」

「アハハ....まぁ、海外を飛び回ってるお母さんにリトとお父さんの事を頼まれてますから」

「そうなのか....偉いな美柑ちゃん」

「あ、ありがとうございます....」///

 俺がそう言うと、美柑ちゃんは顔を少し赤くした。

 

「どうかしたのか?」

「い、いえ。何でもないです....」//

「?」

 俺は不思議に思いながらも、美柑ちゃんの買い物を手伝ってあげた。何故なら....

 

「(さてと、一体誰だ? 俺達を睨みつけているのは....)」

 

 

 〜〜〜〜

 

「あの、わざわざありがとうございます」

「気にしないでくれ。女の子が持つには重いだろ?」

 俺は、美柑ちゃんの荷物を持って結城家に向かっていた。理由は、美柑ちゃんの

 買い物を手伝ったが、調味料や味噌などそこそこ重い物を買っていたので、

 俺が家まで持って行くと言ったからだ。

 

「....影宮さんって優しいですね」

「そんな事ねぇよ。普通だ普通」

 そう言って話しながら歩いていると、俺達の前にフードを被った男が現れた。

 フードの男は、俺の事を睨みつけていた。

 

「美柑ちゃんストップ」

 俺は美柑ちゃんの前に手を出した。

 

「ど、どうかしたんですか?」

「少し下がってて」

 俺はそう言って美柑ちゃんをフードの男から少し遠ざけた。

 

「おいお前! なに俺の美柑ちゃんに近づいてるんだ! そこから離れろ!」

 男は俺に向かって大声でそう言ってきた。

 

「....知り合い?」

 俺は一応、念のために美柑ちゃんに聞いた。

 

「し、知りませんよあんな人!」

「だよな....」はぁ

「(絶対転生者だな....タイミングの悪い時に来やがって....!)」

「おい! 聞いてるのか!」

 俺が頭の中でキレていると、フードの男はキレ始めた。

 

「あぁ、聞こえてるよ。お前のやかましい声がなぁ!」

「だったらさっさとそこをどけ! 美柑ちゃんは俺の物なんだぞ!」

 そう言って男はナイフを持って俺に向かってきた。

 

「っ、影宮さん危ない!」

 美柑ちゃんは危険を察知して俺にそう叫んだ。

 

「どかないのなら死ねぇ!」

 そして、俺に向かってナイフを振り下ろしてきた。だが....

 

「お前、ちょっと黙れ....」

「なっ!?」

「嘘!?」

 俺は男が振り下ろしてきた腕を掴んだ。そして、俺は男の腕を捻り始めた。

 

「ぐわぁぁぁ!?」

「人にそんな物を向けてんじゃねぇ、よっ!」

 俺は男がナイフを落とした瞬間、顔面に蹴りを叩き込んだ。

 

「グハッ!?」

 男は壁に叩きつけられた。

 

「美柑ちゃん! 今のうちに逃げるぞ!」

「....」

「美柑ちゃん!」

「は、はい!」

 俺は美柑ちゃんの手を引いて走り出した。

 

 

 〜結城家前〜

 

「はぁ、はぁ....」

「....大丈夫か美柑ちゃん?」

「は、はい....何とか....」

 俺と美柑ちゃんは何とか結城家の前まで来ていた。

 

「そうか。だったら急いで家に入りな。あの男がまた来るかもしれないから

 今日は絶対に家を出ちゃダメだからな」

「わ、わかりました」

「よし。じゃあ俺は交番寄って帰るからもう行くな。はいこれ」

 俺は美柑ちゃんが買った荷物を渡した。

 

「じゃあな美柑ちゃん」

 そう言って俺は走り出そうとしたが....

 

「影宮さん!」

 後ろから美柑ちゃんに呼び止められた。

 

「今日はありがとうございました。それと....気をつけてくださいね」

 美柑ちゃんは心配そうに俺の方を見ていた。

 

「....あぁ。ありがとな」

 俺は美柑ちゃんの頭を撫でてさっきの男がいた場所に向かった。

 

 

 〜〜〜〜

 

「テメェ、よくも俺にこんな真似を! 俺が誰だと思ってるんだ!」

 俺がさっきの場所に戻ると、男は壁にもたれながらも立ち上がって

 俺にそう言ってきた。

 

「黙れこのゲスロリコン野郎。あんなか弱い女の子の前で血を見せる気か」

「うるさい! お前が大人しくどいていればそういう事にならないんだよ!」

「退く前に刺そうとしたのはテメェだろ」

「〜〜〜っ! 黙れ黙れ! 俺の思い通りならないやつはどうなるか教えてやる!」

 そう言って男は胸ポケットから黒いカードデッキケースを出した。そのケースには

 サイのような金の装飾がされていた。

 

「変身!」

 男がカーブミラーにデッキを向けてそう叫ぶと、男は仮面ライダーガイに変身した。

 

「お前を殺して、俺は美柑ちゃんをゆっくりじっくり手に入れるんだ! 

 美柑ちゃんに近づくのは俺だけでいいんだ!」

「調子に乗るなよ雑魚が....」

 俺はガイを睨みつけながら腕時計を外した。

 

「今日の俺はお前のせいで機嫌が悪いんだよ....だから、どうなっても知らねぇからな」

 そう言って、俺はアナザーウォッチを押した。

 

 ♪〜♪〜♪〜

「RYUGA!」

 黒い炎は俺を包み、俺の姿は“アナザーリュウガ”と化した。

 

「な、何だよその姿!」

『お前に話す必要はない!』

 そう言って俺はガイに接近して、左肩のツノを右腕のアナザードラグクロー掴んで

 近くの車の窓の中に引きずり込んだ。

 

『オラッ!』

 俺はミラーワールドに入った瞬間、ガイを投げ飛ばした。

 

「ぐはっ!」

『おい、さっさと立てよ』

「っ、黙れ! この見掛け倒しが!」

 

「STRIKE VENT!」

 ガイはメタルホーンを召喚して俺に向かってきた。

 

「はぁっ!」

 ガイはメタルホーンは俺に刺突してきたが....

 

 ガキンッ! 

 

「なっ!?」

 メタルホーンでの攻撃は俺の身体に傷一つつかなかった。

 

『今度はこっちの番だ....』

 俺はそう呟き、ガイを斬り、殴り、蹴り飛ばした。

 

「ガハッ....!」

『おい立てよ....』

 俺はガイの肩のツノを掴んで無理矢理立たせた。

 

『こんなもんか? 少しは俺を楽しませろよ!』

 そう言って俺はガイを投げ飛ばした。

 

「はぁ....はぁ....だ、だったらこれならどうだ!」

 そう言って一枚のカードを取り出した。

 

「FINAL VENT!」

 その音が聞こえると、ガイの近くにメタルゲラスが現れた。そして、ガイはメタルゲラスの肩に

 乗って俺に突撃してきた。俺はそれを避けようとせず、ただ見ていた。

 そして、ガイの一撃は俺に直撃し爆発した。

 

 

 〜ガイside〜

 

「は、ははは! どうだこれが俺の力だ!」

 俺は爆発した所を見てそう叫んだ。

 

「この見掛け倒し野郎が! 俺に逆らうからそうなるんだよ!」

 俺は無様に食らった男に向かって罵詈雑言を浴びせてやった。

 

「はぁ....無駄な体力を使っちまった。早く出るか」

 そう思って、俺は入ってきた鏡に向かおうとしたその時....

 

 グサッ

 

「えっ....」

 俺の身体には何かが突き刺さった。そして、俺の身体は爆発した。

 俺は吹っ飛ばされ、変身は解除された。

 

「な、何が起こって....!?」

 俺はかすかに開く目で周りを見ると、そこには俺の変身した姿と、メタルゲラスが立っていた。

 

『ザマァねぇな。自分の技でやられるなんて....』

 すると、俺の後ろから聞こえないはずの声が聞こえた。

 

「お、お前! なんで生きて....!」

『死んだと思ったか? ....残念だが、あんな攻撃で死ぬわけねぇだろ』

 そう言った異形は俺を踏みつけた。

 

「がぁぁぁ!?」

『無様な姿だな....まぁ、興味もないが』

 そう言うと、異形は俺の身体に何かのカードを当ててきた。すると、俺の身体は

 光り出しカードの中に吸い込まれ始めた。

 

「お、お前! 俺に何をした!」

『今から封印される奴に話すことはないんだよ....』

 そう言った異形は腕から黒い炎を出してメタルゲラスを石化させた。

 

『これで、お前を守るものはなくなったな....』

「よ、よくも俺の....!?」

 俺は文句を言おうとしたが、異形の目に恐怖して声が出なくなった。

 

『ウルセェんだよ....お前みたいなやつは、一度地獄でやり直してきやがれ....』

 その言葉を最後に、俺の意識は消えていった。

 

 

 〜美柑side〜

 

「(影宮さん、大丈夫かな....)」

 お風呂に入りながら、私はずっと影宮さんの事を考えていた。

 

「(あの時、もしも影宮さんがいなかったら私は....!)」

 そう思うと、私の背中には寒気がした。

 

「(....影宮さん、きっと無事に帰ったよね?)」

 私はそう考えるが、どんどん悪い方に考えが回ってしまった。

 

「(そうだ! リトなら、もしかしたら影宮さんの連絡先を知ってるかも!)」

 そう思うと、私は急いでお風呂から出て、髪を乾かしてリトの部屋に向かった。

 

「リト、今いい?」

「どうかしたのか美柑?」

「リトって影宮さんの連絡先知ってる?」

「影宮のか? 知ってるけど、それがどうかしたのか?」

「じゃあちょっと携帯貸してくれる? 影宮さん、無事に帰れたか心配で....」

「そう言うことか。わかったよ」

 そう言ってリトは携帯を貸してくれた。

 

「ありがとうリト」

 私はそう言って部屋を出た。

 

「えっと、これだよね」

 私は連絡先の中から影宮さんの名前を見つけた。そして、私は通話のボタンを押した。

 

「(出てくれるかな....)」

 そう思いながら待っていると、音が止まった。

 

『もしもし。どうした結城』

「影宮さん....」

『その声、美柑ちゃんか?』

「はい」

『こんな時間にどうかしたのか?』

「あの、影宮さんが無事に帰れたか心配で....」

『あぁ....大丈夫、無事に帰れたよ』

「そ、そうですか....良かった」

『心配してくれてありがとう。あ、そうだ。襲ってきた男、警察に連れて

 行かれていたよ』

「え! ホントですか!」

 私は驚いて大きな声が出た。

 

『あぁ。近所の人が警察に通報してくれたみたいなんだ。だから、安心して

 外に出て大丈夫だと思う』

「そうですか....」

 私は心の底から安心した。

 

『まぁ、それでも気をつけた方が良いのは変わらないから。防犯ブザーとか

 買っておいた方がいいと思うよ』

「わかりました。そうしますね」

『あぁ。それじゃあ、俺はもう寝るから切るね』

「は、はい! あの、今日は本当にありがとうございました! おやすみなさい」

『おやすみ美柑ちゃん』

 影宮さんがそう言うと、電話は切れた。

 

「はぁ、良かったぁ....」

 私は電話が切れた画面を眺めてそう呟いた。そして、私は携帯をリトに返して

 部屋のベッドの中に入った。

 

「(影宮さん、カッコよかったな....)」

 私は影宮さんが私を守ってくれた時の姿を思い出しながら眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 アナザーリュウガ
 蓮の持つアナザーライダーの力の一つで、No.3の実力を持つ
 右腕に装備されたアナザードラグバイザー(黒)で武器や契約モンスターの
 アナザードラグブラッカーを召喚して戦う
 常に左手にはアナザードラグセイバー(黒)を装備しており、接近戦を得意としているが、
 状況によっては遠距離戦も得意とする

 アナザー龍騎と違い、受けた攻撃を倍にして相手に跳ね返す特殊能力を持っている
 そのため防御力はかなり高い
 しかし、その能力があるため、カードは三枚しか所持していない

 武器
 アナザードラグセイバー(黒)(常時装備)
 アナザードラグクロー(黒)

 契約モンスター
 アナザードラグブラッカー

 所持するカード
 STRIKE VENT
 ADVENT
 FINAL VENT

 特殊能力
 鏡の世界の移動(時間制限なし)
 受けた攻撃を二倍にして跳ね返す








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金色の闇

 年が明けた数日経ったある日

 

「あれ? 影宮?」

「結城」

 外に出ていた俺は、偶然結城と出会った。

 

「こんなところで何してるんだ?」

「ちょっと外を歩いてただけだ。お前は何か買い物か?」

「あぁ。親父に買い物を頼まれてな」

「へぇ....」

「そうだ! 影宮に改めて言っておかないとな」

「何をだ?」

「去年の年末、美柑のこと助けてくれてありがとな」

「まだそれを言うのかよ....」はぁ

 結城の言葉を聞いて、俺は少しため息が出た。

 

「お前、メールと電話で散々聞いたから良いって言っただろ」

「だけど、こういうのは実際に言わないとダメだと思ってな」

「そうかい....」

 そう言いながら歩いていると、偶然たい焼き屋を見つけた。

 

「なぁ影宮。たい焼きって好きか?」

「たい焼き? 別に嫌いじゃないが....」

「そうか! じゃあちょっと待っててくれ!」

 そう言うと、結城はたい焼き屋に走っていった。その時....

 

「っ!」

 俺はどこかから視線を感じた。

 

「(なんだ....今感じた視線は....)」

 俺は周りを見渡したが、特に何もなかった。

 

「(勘違い? いや、あの視線から感じられたのは....)」

「影宮? どうかしたのか?」

「っ!」

 俺が視線の事を考えていると、両手でたい焼きの袋を持った結城が声をかけてきた。

 

「....あぁ、何でもねぇよ。それよりも、随分買ったな」

「親父のアシスタントの人にも渡そうと思ってな。ほら、影宮の分も」

 結城はたい焼きを一つ渡してきた。

 

「ありがとな」

「気にすんなって」

 俺はたい焼きを食いながら歩いていると、急に結城が足を止めた。

 

「どうした?」

「いや、あの子が俺の方をじっと見ていてな」

 そう言った結城の視線の先にいるのは、真っ黒な変わった形の服を着た

 金髪の女の子だった。

 

「もしかしてたい焼きが欲しいのかな」

「さぁ....」

 結城は女の子に近づいていった。

 

「えっと、コレいる?」

 結城が女の子にたい焼きを見せると、女の子はたい焼きを受け取って食べた。

 

「....地球の食べ物は変わってますね」

「そりゃ地球の食べ物は....って、地球?」

「あなたが結城 リトですね」

「な、何で俺の名前を....」

「っ! 結城!」

 女の子の質問に結城が答えた瞬間、俺は結城の服の襟を掴んで引っ張った。

 

「うわっ!?」

 すると、さっきまで結城がいた場所には斬撃の跡が残っていた。

 そして、女の子の腕は銀色の剣に変わっていた。

 

「っ! 躱されましたか....」

「....テメェ、一体何者だ」

「コードネーム"金色の闇"....殺し屋です」

「こ、殺し屋!?」

「はい。結城 リト、あなたの抹殺を依頼されました。私はあなたに恨みはないですが、

 ここで消えてもらいます」

 そう言って金色の闇は剣を振り下ろしてきた。

 

「させるか!」

 俺は結城に振り下ろされた剣を影正で受け止めた。

 

「っ!」

 女の子は俺が剣を受け止めると後ろに引いた。

 

「....あなた、何者ですか。一度ならず二度も私の攻撃を防ぐなんて。それに、その刀....」

「生憎だが教えられねぇよ。それよりも、結城は殺させねぇぞ。アイツは俺のダチだからな」

 そう言って、俺は影正を構えた。

 

「なるほど....だからといって、私が引き下がる理由にはなりません」

「そうかい....結城、お前は下がってろ」

 そう言った瞬間、俺と金色の闇は急接近して刀と剣がぶつかった。そして、俺は蹴りを

 放ったが金色の闇は跳んで躱し、店の屋根に着地した。俺も店の屋根を伝いながら

 金色の闇と同じ屋根に着地した。すると....

 

変身(トランス)

 金色の闇がそう言うと、金色の闇の髪は蛇の形になり俺に襲いかかってきた。俺は一瞬

 驚いたが、すぐに気持ちを切り替えて蛇の攻撃を受け流しながら接近した。

 

「おらっ!」

「っ、変身(トランス)!」

 金色の闇に蹴りを入れて飛ばしたが、金色の闇は背中に羽を生やして空中で体制を整えていた。

 

「蛇の次は羽かよ....」

「....ただの人間かと思って舐めていましたが、どうやら私の勘違いですね」

「そいつはどうも。それで、まだやる気か?」

「当たり前です。変身(トランス)

 そう言った瞬間、金色の闇の両腕は剣となり、更には髪からも鋭い剣が二本現れた。

 

「マジかよ....」

「行きます」

 金色の闇がそう言うと、四本の剣が俺に向かって襲いかかってきた。

 

「(チッ! 下に人がいるからアナザーライダーになるわけにはいかない....)」

 俺は下にいる人達に被害が出ないようにする為に、上手いこと剣を受け流しながら躱し続けた。

 

「ちょこまかと....」

 金色の闇は俺がいる場所に向かって一気に剣を突き刺してきた。俺は地面を転がりながら

 その攻撃を躱した。

 

「(流石に一本だとキツいか....だったらあの技で....)」

 そう考えながら俺は影正を地面に突き刺そうとしたその時、金色の闇の上空から何かが

 振り下ろされた。よく見てみるとそれは剣で、鎧を纏った男がいた。

 その男に俺は見覚えがあった。

 

「(あの男は確か....この前ララと結城といた....)」

「影宮! 無事か!」

「おーい、レーン!」

 すると、後ろから声が聞こえてきた。後ろには結城とララがいた。

 

「結城、ララ」

「影宮、怪我してないか!」

「あぁ、何とかな。それよりも、あれお前の知り合いか?」

 俺は金色の闇と戦っている男を指差してそう聞いた。

 

「し、知り合いというか知り合いじゃないというか....」

 結城は何か言葉に迷っているようだった。そんな様子を見ている間に、

 金色の闇の方から何かがぶつかる音が聞こえた。振り向くと、男が電車にぶつかって

 吹き飛ばされていた。

 

「ザ、ザスティーン!」

「....爪が甘いですね」

 金色の闇は俺達の方を向いてそう言ってきた。

 

「むぅ〜! だったら私が相手になるんだから!」

 急にそう言ったララは金色の闇に向かっていった。

 

「お、おいララ!」

「安心してリト。こう見えても私って強いんだから!」

「いやそうじゃなくてだな!」

「いっくよー!」

 ララはリトの言葉を無視して、背中に翼を生やして金色の闇に突っ込んでいった。

 

「か、影宮! あの翼はただの合成で!」

「....その嘘は無茶があるだろ」はぁ

 俺は結城の言葉に呆れながら影正を鞘に収めた。

 

「大方、ララは宇宙人なんだろ?」

「な、なんでその事を!?」

「アイツの行動に運動神経。それにあの変な格好を見たら大体察せる。それに、

 宇宙人には俺も会ったことがあるからだ」

「そ、そうだったのか....悪いんだが、ララの事は内密にして....」

「わかった。それよりも、二人を追うぞ」

 そう言って、俺は二人を追った。

 

 〜〜〜〜

 

 追っているうちに、気がつくと神社に着いていた。

 

「....プリンセス、いつまでお遊びを続ける気ですか」

 金色の闇は身体に巻き付いていたロープのような機械を破壊してそう言った。

 

「お遊びなんてしてないよ! 私はリトを真剣に助けたいだけ!」

「何故あなたがそこまで結城 リトを庇うのですか? 結城 リトはあなたを脅して

 デビルーク星を乗っ取ろうと企んでいる極悪人と依頼主から聞いていますが?」

「はぁ!?」

 金色の闇の言葉に結城はすごく驚いていた。

 

「リトが!? リトはそんな人じゃないよ!」

「....かもしれませんね。ですが、依頼を受けた人物がどんな人物でも殺す....

 それが私、金色の闇の仕事です」

 金色の闇は冷たくそう言い放った。

 

「駄目だよそんなの!」

「温室育ちのプリンセスにはわからないでしょうね....たった一人で、この広い宇宙で

 生きる孤独なんて」

「それは....確かにそうだね」

 金色の闇の言葉に一瞬戸惑いを見せたが、すぐに笑顔になってこう言った。

 

「だから王宮の外に来たんだよ! 私が知らない事、たくさんあるから!」

「....ララ」

 ララの言葉に結城は驚いたようにそう呟いた。すると、次の瞬間、上空から急に

 強風が吹いた。俺が上空を見ると、上空には謎のUFOの様な物が浮いていた。

 そして、UFOから変な声が聞こえてきた。

 

「何やってるんだもん金色の闇! お前の相手はララたんじゃないはずだろ〜!」

 

 

 

 



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王と偽りの王と愚神派

「ラ、ラコスポ!」

 UFOから現れたのはカボチャ頭のチビだった。

 

「何だあのチビ」

「だ、誰がチビだ!」

「いやどう考えてもお前だろ」

 カボチャ頭のチビが怒っていたが、俺はそう言い返した。

 

「おい金色の闇。そこのチビはお前の知り合いか?」

 俺はララと対峙していた金色の闇にそう聞いた。

 

「えぇ。彼が結城 リトを殺すように私に依頼した人物です」

「なるほど....こいつが今回の元凶か」

 俺はそう言いながらチビを睨みつけながら影正を抜いた。

 

「ラコスポ、一つ聞かせてもらいますが....まさかですけど、私に教えた標的の情報、

 嘘だったわけではありませんよね?」

 金色の闇は冷たい目でチビを見ながら腕を剣にしてそう言った。

 

「ボ、ボクたんが嘘を言うわけないだろ! 依頼主を疑うのか〜!」

「えぇ。話しを聞いた限り、結城 リトはプリンセスララを誑かす人間と聞きましたが....

 まるでその様な人間には見えませんね」

「そ、それは....!」

「嘘をついた場合、どうなるか説明しましたよね?」

 金色の闇は腕の剣をチビに向けながらそう言った。

 

「ぐ、ぐぅぅぅ....!」

「....さぁ、どうなんです?」

 すると、チビは急に腕を挙げてこう叫んだこう叫んだこう叫んだ。

 

「い、出でよガマたーん!」

 その言葉とともにUFOからチビに向かって光が発せられ、チビは巨大なカエルに乗っていた。

 

「何だあのカエル....」

「ガマたん、やっちゃえ!」

 チビがそう言うと、カエルは金色の闇に向かって粘液を吐いた。金色の闇は跳んで躱したが、

 地面に跳ねた粘液の一部が服についていた。すると、粘液がついた部分は音を立てて

 蒸発していった。

 

「っ!? 服が!」

「ひゃははは! ガマたんの粘液は都合よく服だけ溶かすんだもん! だからボクたんの

 お気に入りのペットなんだな! さぁ、スッポンポンにしてやるんだもん! 金色の闇!」

「っ、そんな不条理な生物、認めません!」

 そう言って金色の闇は腕の剣でカエルに斬りかかったが、カエルの粘液に攻撃を弾かれて

 吹き飛ばされた。

 

「危ねぇ!」

 俺は落下地点に走って金色の闇を受け止めた。

 

「っ!?」

「おい、大丈夫か?」

「....どうして助けたんですか。私はあなたを殺そうとしていたのに」

 金色の闇は少し困惑したように聞いてきた。

 

「....さぁな。ただ、見捨てるのが嫌だった」

「....あなたは、」

「何をごちゃごちゃと....! ガマたん!」

「っ、避けるぞ!」

 カエルの粘液が飛んできたので、俺達はバラバラに避けた。

 

「(一瞬で接近して真っ二つにするのが良さそうだな....)」

 そう思って刀に手をかけたその時....

 

「ハハハハハ! ようやくこの時になったか!」

 そう神社の入り口から声が聞こえてきた。声の正体は男で、男の腰にはベルトが

 巻き付いていた。

 

「(っ、こんな時にか!)」

「だ、誰だアイツ?」

「見せてやるぜ! 俺の力をなぁ! そして結城 リト! ここが貴様の墓場だ!」

 男はそう言うと、ベルトに三枚のメダルを入れた。

 

「行くぜ! 変身!」

「タカ! トラ! バッタ! タ・ト・バ! タトバ・タ・ト・バ!」

 ベルトの音が止まると、男は仮面ライダーオーズに変身していた。

 

「オラオラ! 行くぞ....」

「っ、行かせるか!」

 俺はオーズに向かって斬撃を飛ばした。

 

「っ、何だテメェは!」

 オーズは俺に気づいて睨みつけてきた。

 

「金色の闇! そこのカエルはお前に任せるぞ!」

「えっ?」

「転生者、テメェの好きなようにはさせねぇ」

 そう言いながら俺は腕時計をアナザーウォッチに変えた。

 

 ♪〜♪〜♪〜

「OOO!」

 俺がアナザーウォッチを押すと、俺の姿は“アナザーオーズ”に変わった。

 

「テ、テメェは転生者狩り!」

『この面倒な時に来やがって....手加減はしねぇぞ!』

 俺はそう言ってアナザートラクローで斬りかかった。

 

「ぐっ!」

 オーズもトラクローを使ってガードしてきたが、俺は空いた腹部に蹴りを放って

 吹き飛ばした。

 

『まだまだ行くぞ!』

 俺はオーズに連続で攻撃を放ち続けた。

 

「くっ! だったら....」

 オーズはトラメダルとバッタメダルをクジャクとコンドルメダルに入れ替えようとした。

 

『っ、コンボなんてさせるか!』

 俺はアナザーバッタレッグの力で一気に接近し、胸部にあるオーラングサークルを

 全力で引っ掻いた。

 

「ぐわぁぁぁ!」

 オーズの変身は解け、変身していた転生者は吹き飛んだ。俺は転生者が落としたクジャクと

 コンドルのメダルを拾って封印のカードを取ろうとしたその時、急に転生者の前に

 白い羽根を生やした女が現れた。

 

『....テメェは』

「この男はまだ殺させないわよ、影宮 蓮」

『....愚神派か』

「えぇ。この男はまだまだ利用価値があるの。だから今回は逃げさせてもらうわ」

 愚神派の女がそう言った瞬間、二人は眩い光に包まれてその場から消えた。

 

『逃げたか....』

 二人の姿が消えたのを見て、俺は変身を解除した。

 

「....おい影宮、お前は一体何者なんだ?」

 すると、後ろから結城の声が聞こえてきた。

 

「....悪いな結城」

 そう言って、俺は指を鳴らして周囲の時間を止めた。そして、俺は影正を地面に突き刺して

 結城、ララ、金色の闇に影縫いを使った。

 そして、俺はアナザーウォッチのスイッチを押した。

 

 ♪〜♪〜♪〜

「QUIZ!」

 

 〜〜〜〜

 次の日

 

「あ、ヤミちゃん!」

「おはようございますプリンセス。それに結城 リトに影宮 蓮」

 学校に着くと、門の前に金色の闇がいた。

 

「ようヤミ。結局地球に残ったんだな」

「はい。一度受けた依頼を投げ出すのは理念に反しますから」

「そうか」

「それと影宮 蓮。あの時はありがとうございます」

 ヤミは頭を下げて俺にそう言ってきた。

 

「別に良い。気にするな」

「そうですか。では、今日のところは失礼します」

 そう言ってヤミは何処かに飛んで行った。

 

「(....記憶の方は問題なしだな)」

 そんな事を思いながら、俺はヤミが飛んで行った方を見ていた。

 

 



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バレンタイン 前編

「あ、おはよう影宮君」

「おう。おはよう西連寺」

 朝、家を出ると俺は西連寺と会った。

 

「今日はいつもより遅いんだな」

 普段西連寺は、俺よりも早くに家を出ている事が多く、俺が通学路を歩いていると前の方に

 西連寺がいて、一緒に登校する事がよくあった。

 

「ちょ、ちょっと色々あってね! 寝るのが遅くなったんだ」

 すると西連寺は、俺の質問にどこか慌てた様子でそう言った。

 

「....? そうか」

 俺はその様子を不思議に思いながらも西連寺と一緒に学校に向かった。

 

 

 〜〜〜〜

 

「あ、春菜に影宮」

「あ、リサ」

「よぉ籾岡」

 靴箱に着くと、ちょうど籾岡がいた。

 

「あ、影宮。これ」

 そう言うと、籾岡はカバンの中から綺麗に包装された箱を渡してきた。

 

「コレは?」

「今日バレンタインデーだからさ。バレンタインのチョコレート。アンタにあげるよ」

「(そういや、今日バレンタインか....)」

「ありがとな籾岡」

「別に良いって。そのかわり、ホワイトデー期待してるよ」

 籾岡は笑いながらそう言ってきた。その時、俺は西連寺がムッとした表情をしている事に

 気がつかなかった。

 

 〜〜〜〜

 

 俺と西連寺、籾岡は一緒に教室に向かっていた。すると、前からバスケットの様な物を

 持ったララが現れた。

 

「あ! 三人ともおはよー!」

「ララちぃおはよー」

「おはようララさん」

「おう。ララ、その手に持ってる物は?」

 俺は気になったのでそう聞いてみた。

 

「これ? バレンタインのチョコだよ! 今日はバレンタインデーっていう日でみんなに

 チョコを配るんでしょ?」

「まぁ間違ってはないが....」

「ララちぃ、これ貰っていいの?」

 すると、籾岡がバスケットのチョコを一個手に取ってララにそう聞いた。

 

「良いよ!」

「ありがと! 春菜と影宮も貰っときなよ」

 そう言いながら籾岡はララのチョコを食べていた。

 

「そうだな....んじゃ、ありがたく一個貰うか」

 そう言って、俺はチョコを一つ取って食べたのだが、チョコの味に何か違和感を感じた。

 

「(何だ....この味....)」

「へぇ~! めちゃ美味しいじゃん!」

「ありがとうララさん」

「いいよいいよ! じゃあ他の人に渡してくるね~」

 籾岡と西連寺は特に違和感を感じていないのか普通の表情をしていた。そして、

 ララは他の人にチョコを渡しにいった。

 

「(....俺の気のせいか? いや、だが....)」

 俺はそう考えながら教室に向かっていたが、教室に着いた瞬間、その疑問が晴れた

 ような気がした。なぜなら、教室にるクラスメイト達が顔を赤らめて抱き合っていたからだ。

 

「な、何この状況....」

 籾岡は教室の様子を見て後ずさっていた。すると、教室にいた男どもが籾岡と西連寺を

 よだれを垂らしながら見ていた。

 

「(明らかに今のこいつらはやばい....)」

「籾岡、西連寺。今すぐ逃げるぞ」

「えっ!?」

「か、影宮君!?」

 そう言って、俺は二人の腕を掴んでこの場から走り出した。すると、後ろから教室にいた

 男どもが俺達を追いかけてきた。

 

「か、影宮! 追っかけてきてんだけど!」

「一回どこかに隠れるぞ!」

 そう言いながら、俺はどこか隠れる所を探しながら廊下を走り続けた。

 

 ~~~~

 体育倉庫

 

「「はぁ、はぁ....」」

「....ひとまず巻いたか」

 走り続けて、俺達はちょうどいい隠れ場所である体育倉庫に隠れていた。

 

「(一体何が起こってるんだ....? 興奮してるようにも見えたが....考えられるとしたら

 ララのあのチョコだが....っ!?)」

 そう考えていた時、突然俺は誰かに抱き着かれた。後ろを見ると、顔を赤くして息が

 絶え絶えの籾岡と西連寺が俺に抱き着いていた。

 

「お、おいどうした....?」

「影宮....何か、さっきから影宮といると身体が熱いんだ....」///

「私も....影宮君といると心臓がドキドキして....」///

 そう言いながら、二人は制服のボタンを外そうとしていた。

 

「お、お前らストップ!」

 俺はとっさに二人の手を胸元から遠ざけた。

 

「(完全にこれ、媚薬か催淫の類だな....)」

 俺はこの二人の様子を見てそう思った。おそらく、ララのチョコに二つのうちのどちらかが

 混ぜられていたのだろう。

 

「ねぇ影宮....この火照り、どうにかしてよ」///

「影宮君....私もどうにかして....?」///

「....二人とも、悪いな」

 俺はそう言うと、一瞬で二人の背後に回って首を叩き気絶させた。そして、二人を体育倉庫の

 奥に隠すと俺は体育倉庫から出た。

 

「(取り敢えずララを探してチョコを配らせるのを止めねぇと....)」

 そう思いながら廊下を走っていると、前から結城が走ってきた。

 

「結城!」

「影宮!? お前は無事だったのか!」

「無事ってのは何のことかは大体わかるが....お前、ララを見なかったか?」

「今俺も探してるんだよ! 多分だけど、この状況が起こったのはララのチョコが原因だ」

「だろうな。とにかく急いでララを止めるぞ」

 俺は結城にそう言ってララを探し始めた。そして数分後....

 

「リトーーー! 何かみんな変になっちゃったよ~」

 クラスの女子に抱き着かれているララを見つけた。

 

「ララ! やっと見つけたぞ!」

「変って、お前のチョコが原因だろ! 一体何入れた!」

「何入れたって....私は御門先生に教えてもらった通りに作ったんだけどなぁ」

「御門先生?」

「って、確か保険の先生じゃ....」

 そう言っていると、背後から誰か近づいてきた。

 

「あらあら、何だか大変なことになってるわね」

 現れたのは、さっきララが言った御門先生だった。

 

「先生! 一体ララに何を教えたんですか!」

「ん? 私はチョコの作り方を教えただけよ。ただ、催淫効果のあるホレ星の薬草を

 入れるように教えちゃってね」

「(この人が黒幕か....それにこの気配、この人も宇宙人か)」

 俺は話しを聞きながら御門先生を見てそう考えていた。

 

「てっきり結城くんにあげるものだと思ってたからねぇ。まぁ安心して。ホレ草の効き目は

 すぐ切れるから」

 そう言いながら、御門先生は笑っていた。その時、御門先生は俺のことを興味深そうに

 見てきた。

 

「....」

「(何だ、先生のあの目は....)」

 俺は先生の興味深そうな視線を不思議に思いながら結城にこう言った。

 

「結城、俺は西連寺と籾岡迎えに行くから先に教室に戻っておいてくれ」

 そう言って、俺は二人がいる体育倉庫に向かった。

 

 

 

 

 



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