人脈チートだけれども、それに気が付かず、15年間うだつの上がらない生活を送っている(主観)やさぐれ転生者は今日も美人局(笑)を躱して平穏を享受する (KEY(ドS))
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☆☆随時更新☆☆ 登場人物 カネツグ、ヒロイン勢、その他勢について

こんにちはんこそば
KEY(ドM)と申します。

人物紹介、書きまくったゾ

需要あったので

それでは、ご覧ください(KBTIT)


KEY(ドM)


カネツグ

 

転生して、初めて冒険者として組んだパーティーに金と装備をだまし取られ無一文に。

二度、あることは三度あった結果、彼は完全に人間不信+やさぐれに。

元々は明るい性格の今時の青年だったが、

ヤンキーっぽい生き方が結局得をすると悟り、オラオラ系にチェンジ。

朱元璋もびっくりの猜疑心と、童帝も冷や汗のひがみっぷりにて、

地雷を回避し続けている。

 

良縁を結ばれるチートによって多くの女子、女性と知り合いに。

その結果、彼をめぐって水面下の戦争が行われているほど。

 

しかし、彼自身はそれから目をそらし続けているため、

どうにか表立った争いはまだない。

 

才能も、金も、顔もないが、自分にできることをやると決めて、

初歩的なモンスター退治、薬草集め、生態調査のクエストをこつこつとこなし、

老後の資金をため続ける。

 

時折、見返りを期待して初心者を引率したり、助けたりしている。

 

そうした活動を15年間続けてきため、現場の人間や、他の冒険者からは莫大な信頼を得ているが、本人はそれさえも自分をまた利用して、だまそうとしていると疑っているため、距離を置いている。

 

ぶっちゃけ、老後の面倒を見る気満々の女子たちがいるため、

早く冒険者をやめて、自分のヒモになってほしいと彼女たちからは思われている現状。

 

昔助けた冒険者や、教導した者たちは大成しており、

彼が冒険者をやめようとしたら彼らに取り込まれることは必至である。

 

座右の銘は"この世のすべてを疑え。・・・あと、処女は都市伝説"というひどいものである。

 

 

結婚を約束していた惚れていた幼馴染がNTRされてからは、

女性不信に。

伴侶を心の奥底では望んでいるものの、結局みな嘘だろ?と疑い続ける。

 

 

アリス

髪は紫色、瞳は紅く染まっており、恰好は黒のゴスロリ服。

長くのばされた髪は手で触れればちぎれてしまいそうな柔らかさ。

いつもカネツグの"影"の中に潜み、365日24時間監視している少女。

 

 

その正体は、裏社会で知らない人間がいないほど有名なヴァンパイアの女王、

クイーン・ヴァンパイア。

元々は人間だったが、300年前に起こった第7次世界大戦で、家族を失い、

路頭に迷っていたところ、ヴァンパイアに噛みつかれ、同種にさせられた。

その後、力を蓄えた彼女は、裏社会でヴァンパイアだけによる、

モンスターの勢力をまとめあげ、争いばかりし続ける人間を滅ぼすことを計画。

しかし、現代のリーダス王国由来の勇者、サッドに殺されかけ、

命からがら脱走。

 

逃げ出せたはしたものの、そこで力を使い果たした彼女は

他のモンスターの餌になるところに。

そこに偶然通りがかったカネツグが、討伐対象でもあった、

アリスに襲い掛かったマザー・ウォルフと4時間にわたる死闘の末、

撃退。意図せず彼女を救うことに。

彼にとっては、討伐対象のそのモンスターを倒さなければ、

飢え死にするほど食い詰めていたため、必死に戦っただけなのであるが、

アリスからすれば、"どうみてもレベル1しかない弱い人間が、モンスターである自分を命を賭けて守ってくれている"と映った。

 

性格は気に入った相手のことをすべて知らなければ気が済まない依存系。

夜な夜な、睡眠魔法をカネツグに掛けては逆レイプ。

口数は少ないが感情がないわけでもなく、

思いっきりカネツグには心を開いており、隙あらばスキンシップする。

将来の夢は、二人っきりで質素な教会で結婚式を開き、

小さな一戸建ての家に、夫婦だけで慎ましく生きること。

 

 

エル

幼いころに王宮を抜け出したところ、人さらいに遭遇。

 

誘拐されそうになったところをカネツグに助けられた。ちなみにカネツグはその時、彼女を助けるためにリンチされながらも逃がしきり、全治1か月の重傷を負っており、多くの人間が毎日変わりばんこで見舞いに来る状態だった。

そのあと、人さらいたちと似たような人間が複数名、川に打ち上げられている。

 

カネツグに会うために身分を隠しながら冒険者をはじめ、彼につきっきりで戦闘を教わった結果、才能が開花し、今では一流の冒険者の仲間入り。

 

王位継承権第一位なので、彼女が王宮にいないと大騒ぎになるのだが、

影武者と入れ替わっているため、いつも王宮にいると周りからは思われている。

 

魔法、武器、素手での戦闘。すべてがハイレベルなオールラウンダー。

その上、政治が上手く、人を言葉一つで人生を破滅させられるほど、策謀に長けている。

誰もが見とれる美貌。体つきはGカップの爆乳に、身長は155cmというエロボディ。

さすがに王位継承権1位の彼女に粉をかける男はいないが、身分を隠しながらギルドに来ているときはよく、男からナンパされている。

 

ちなみに、自分がナンパされていても、まったく嫉妬もしてくれないカネツグをハイライトがない瞳で見つめていた。

この作戦は効果がない、と判断した彼女は外堀を埋めるため、

周りの人間にそれとなく、"あの人が私の気持ちに気づいてくれないんです・・・"と吹聴して回っている。

 

 

彼女自身は、国家のことは割とどうでもよくなっており、

何かあっても、最悪彼を拉致って、どこか二人っきりで永遠に生き続ければいいや、と考えている。

 

将来の夢は、"オヨメサン"(震え声)

 

 

 

 

レテ

実は"世界最高の鍛冶師"になれるスキルを持っている。

その才能が開花する前、周りからは鉄くずしか生み出せない半端モノ、と言われていたが、

冒険者になったばかりの主人公と出会い、自分が作った剣を買ってもらったことがきっかけで付き合いが始まる。

その後、10年間、1日たりとも休まずに鉄を打ち続けた彼女は世界最高の剣を生み出し、

王家の目に留まることになる。

 

本人も剣を扱う上での心構えができており、

実力は折り紙付き。

 

今回、彼女が作った刀は実は昔彼女が王家に依頼されて作った剣をはるかに上回る、

いわゆる"斬鉄剣"だが、それと買った本人はよく斬れる刀だなー、ぐらいにしか思っていない。

格上のモンスターとか相手にしないから真価がわからず。

 

女のくせに、鍛冶師になるなんて、と周りから言われていた+才能が開花せずに落ちこぼれ扱いをされていたため、村に帰ろうとしていた時、

客としてきたカネツグに剣を買ってもらい、その自分が作った剣でモンスターを倒せたことを知り、自信を持つ。

 

商家とも太いパイプを持っているため、特注の依頼がどんどん来て、とっくに人生遊ぶだけで生きていけるほど金を持っている。

 

が、本人はそれをすべて"結婚資金"として手を付けておらず、

周りの冒険者や、貴族からアプローチを掛けられていても、

"すでに先約がいるから"と一蹴。

 

 

レテが割と軽いと思ったそこのあなた。

有無を言わさず、想い人と結婚できる、添い遂げられると信じて疑わないやべーやつだと言えば、少しはやばさが伝わるはず。

 

マリー

国の債権を保有しまくっている豪商の娘の子。

毒によって意識不明の重体になっていた両親を持つ。

その原因は敵対している商売敵に毒を盛られたため。

彼女自身は小さかったころに両親が意識不明となってしまったため、

親戚に、持っていた資産をどんどん奪われてしまっていた。

とうとう、政略結婚による立て直しをするところまで追いつめられていたが、、

カネツグによって頼まれたギルドマスターにより商売仇の違法行為が露呈、発覚。

あわやといったところで結婚話は消えることに。

 

また、同時期に、彼女に支援を申し出る商家が後を絶たなくなり始めた。

 

カネツグいわく、「・・・あそこのおじさんと、おばさんには、昔助けてもらった。そんだけだ。・・・・それだけに決まってんだろ。」と、酒の席でぽろりとギルドマスターにこぼした。

 

そのことをにやにやした顔つきのギルドマスターによって知らされた彼女は、

両手でほほを抑え、湯気が出そうなほど真っ赤な顔色になりつつ、身もだえしたという。

カネツグの伝手で、腕利きの薬剤師が連れてこられ、

両親のかかっていた毒が解毒され、マリーは再び色んな意味で熟成されることとなった。

 

"カネツグ様。年の差婚について、どう思われます?"とよく、彼に尋ねる姿が。

 

 

両親には事情を説明+根回し済み。

毎日、彼女から、"おいしいご飯食べさせてあげますから、来てください!!"と言われているカネツグは、

"いや、さすがに毎日行くわけにもいかねーだろ・・・"とマジレスされている。

 

両親が回復後、覚醒したマリーの経営手腕がいかんなく発揮され、

商家の規模を全盛期の30倍まで膨らませ、実質、国を支配することに。

 

将来の夢は、"カネツグのためだけに作った家で、カネツグのためだけに作った料理だけを毎日食べてもらい","カネツグだけに見られながら、カネツグだけを見て生きていき"

、"カネツグだけに愛され、カネツグだけ愛し続けること・・・死ぬまで、死んでも"

 

性格は生真面目ながら、ジョークも通じるノリのいいお嬢様。

エルと同レベルの頭の良さを持ち、

本人も魔法使いとして最強クラスの戦闘力を持つ。

基本の5大属性魔法を極めた、スタンダードな魔法使い。

彼女が火属性の魔法にありったけの魔力をこめれば、

それは隕石のような大きさのメテオとなるレベル。

 

 

自室には、カネツグの備品や、似顔絵が所狭しと飾られており

いつも自分と、カネツグに似せた人形と、子供(だと本気で思っている)人形の3人で、将来のあれやこれやについて楽しそうに話している()

 

 

エマ

ギルドにいる受付嬢。

髪は青色。瞳は金色。髪型はポニーテール。

いつも笑顔がステキな受付嬢として、ギルド員、冒険者、

貴族たちからあこがれの的となっている。

プロポーズされまくっているものの、すべて一蹴。

また、彼女自身も一流の冒険者であり、そのレベルは80。

鉄塊と思うほど巨大な大剣、"ドラゴン・キラー"を振るう。

かつて、元十王にして、"剣魔"と恐れられた、アルバーツ連邦の剣士、

"フジワラ・クルツ"が所持していた伝説の剣。

この人物は現、十王の先祖でもある。

 

 

その正体は、かつて、"人間加工牧場"と呼ばれる悪魔が運営する食肉産出場で出荷のために生みだされた人間家畜。

時間魔法の応用によって、0歳から10歳まであっという間に成長させられた。

出荷のために殺されそうになった時、売り上げの分配に不満を持っていた悪魔が反乱を起こし、牧場内が混乱に陥った。

その間に彼女は逃げ出し、一番近くにあった街まで逃げてきた。

 

そこで運悪くというか、良くというか、裸の彼女と出くわしてしまったカネツグは

"クエスト終わって、後は家に帰ろうと歩いていたら、突然、そこの曲がり角から恐ろしいほど美しい、裸の幼女が焦点のあってない目つきでふらふらと歩いてきて、マジで心臓止まるかと思った・・・"と語る。

 

赤子レベルの精神性しかなかった彼女は、その後、

カネツグに保護され、2年ほど一緒に暮らし続ける。

その間に、カネツグは人生において必要な教養、知恵、サバイバル技術、

社会常識を赤ん坊の彼女に叩き込み、普通の社会人レベルまでもっていった。

12歳になった彼女は、"お前が6か月間暮らせるだけの蓄えだ。・・・あと、知り合いに頼んで手続した借り家がある。そこでこれからは暮らせ。・・あばよ、クソガキ。

もう二度と、俺に世話、焼かせるんじゃねーぞ。"と言われて、家を追い出された。

 

 

その時、彼女は自殺を考えていたが、"いや、死ぬんだったらカネツグのために死ぬべきであって、彼のモノである自分の体を勝手に壊しちゃいけない"と考え直した。

それから8年。

時間があるときはまめにカネツグに会いに行き、

変な虫がついていないか確認していた。

合格率5%以下の難関試験を突破し、見事ギルドの受付嬢に。

また、彼女自身も一流冒険者の仲間入りを果たしている。

 

 

カネツグが自分の"父"として、自分を助け、育て、救ってくれたことから、

ならば自分は彼の"嫁"にして、"母"である、と認識している。

(※娘、ではなく母、であろうとしているのがポイント)

 

将来の夢は

"自分と彼以外何も存在しない場所で永遠に生き続けること"

 

 

 

それがだめなら、毎日子供をはらむくらいセックスし、

妊娠すると二人っきりになれないから、雷魔法で精子を殺しつつ、

避妊すること。

自分の子供ができると、カネツグを取られてしまうかもしれないと考えているため。

 

子供のころは無感情、冷淡。

しかし、ずっとそばで彼女に根気よく接し続けたカネツグにより、

よく笑い、よく泣き、"----絶対に幸せになってやる"、と自ら思えるほど、人間らしくなった。

 

貯金は人生10回遊んで暮らせるレベルで溜まっており、

何かあればすぐにカネツグを拉致して、どこかに行こうと思っている。

 

 

ファルバム・シュタラス

元々は戦争に負けて没落した国の元貴族の商人。

お抱えの傭兵を持っていることから、"商家兵団"と呼ばれている。

 

食い扶持に困っていたしがないアラフォーだったが、

カネツグに出会い、とあるものを過去の伝手をもとに売りさばいた結果、

国でトップ5に入る富豪に上り詰めた。

 

信用を第一に考えており、

相手がどんな人間かによって借金の利子を決めている。

 

彼自身は公平な金融屋であり、

グレーに差し掛かることはしても、

違法行為はまずしない。

 

 

 

ちなみに、カネツグが彼から金を借りる場合、

利子はほぼないに等しくなる。

 

 

自分の姪を彼にあてがおうと画策している。

 

 

姪?ヤンデレに決まっているだろ(絶望)

 

 

豪商のマリーとは、ビジネスパートナー。

 

 

アリシア・レティス

孤児院を経営する、未亡人みたいな女性。

実は未婚。しかもこの時点だとまだ未成年。

 

その正体は、帝国最強の呪術師家系、レティスを祖とする

貴族の元跡とり。

 

政略結婚にて他国の有力貴族に嫁入りする予定だったが、

呪術の実験に失敗し、子供が産めなくなった結果、

破断し、実家からも勘当されてしまう。

 

 

孤児院を経営しているのは、

子供を産めないからか、それとも・・・・。

 

心にぽっかりとあいたすき間。

女として死んだも同然の彼女を救ったのは・・・・。

 

 

アルバーツ連邦の"法術"魔法を改造して作られた"呪術"を扱う。

 

彼女が魔力を込めて"死"を願えば、力なきものは瞬く間に死ぬ。

 

呪いすなわち、祝福は使い方によっては人の力を引き出すことも可能である。

 

死者を傀儡とする外法、"禁術"を有する。

("十王"、"聖騎士"ピエール、"酒呑童子"と同じ)

 

彼女の好きなプレイは、仰向けで寝っ転がっている相手の顔に自分の胸を押し付けて、胸で圧迫し、もがくところを見ること。

 

しかし、生娘のため、妄想でしかできていない。

 

カネツグが生きているときも傍に。

死んだらアンデットにして、自分の傍に。

 

とにかく、何もかもが"重い"系のヤンデレ。

 

過去にアリスと2度戦い、引き分けた実力を持つ。

 

 

 

 

 

 

Aランクパーティー。

 

リーダーのアンナ。護衛のレイ。参謀のアンジェラの3人娘パーティー。

とある理由により、金を稼ぐために街にやってきた。

借金で目的は達成したが、返済することができず、

親の形見である装備が質に取られたまま。

 

偶然見かけて、まちで話題の"プロフェッショナル・E"と呼ばれる

カネツグにモンスターの倒し方を教えてもらうようお願いする。

(※カネツグは、冒険者になった人に配られるガイドブックにて、

名前、経歴が詳しく書かれており、こういう冒険者を目指すようお手本として描かれている。駆け出しの冒険者で知らない人間はいないレベル。なお、本人は知らない。)

 

性欲とかがヤバい。

現在はAランクの冒険者として活躍している。

 

 

アンナは独占欲、レイは妄信、アンジェラは依存系のヤンデレ

やったぜ()

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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転生したけれども、レベルはあがらないし、顔はブサイクだし、美人局と罠を避けながら今日も俺はうだつの上がらない生活を送る

神様転生というものは今日ではメジャーだ。

 

死んだ人間が神様と謁見して、

なぜかチートをもらって別の世界に転生するというファンタジーものである。

 

10年前ならいざしらず、今となってはあまりに作品の数が多すぎて、

数えることが不可能なほどである。

 

この俺、カネツグこと、金田嗣臣もそんな転生を果たした人間の一人だ。

 

神様転生させてもらって、無双やハーレムと思いえがいたそこの人。

ちょっと待ってほしい。

 

 

現実はそうも簡単ではないのである。

 

 

 

 

「それじゃ、これを。」

「ういっす。」

 

新たなる世界、リア大陸に転生を果たした俺は、

とある町、エルグランドの冒険者ギルドにて斡旋された仕事を受け取っていた。

 

至って世界の構造は簡単、単純。

 

ドラク●ばりのファンタジーな世界。

 

魔法もあれば、レベル制による強さの違いも存在する。

 

生まれ変わって早30年。

今では立派なアラサーである。

 

村出身の次男坊のため、長男が家を継ぎ、俺は追い出される形で上京してきた。

 

で、今では15年間もスライムやゴブリン相手に戦い続けるベテラン冒険者である。

 

・・・これだけ聞きゃあさぞかし凄そうに思えるだろう。

 

しかし、しかしだ。

 

 

15年間もレベルが上がらない人間が一体何の価値があるのか?

 

そんなことを考えながら、危険事項承諾の契約書に署名をしていると、

受付嬢のエマさんが話しかけてきた。

 

「・・・あの、カネツグさん?」

「・・・・・何でしょうか?」

 

ちょっと身を引きながら、距離をとる。

 

俺の後ろにまた、あいつらがいるのだろう。

だから、エマさんは困った顔をしているのがわかる。

 

 

「・・・・カネツグさん!!」

 

ものすごく振り返りたくない。

ああ、畜生。なんでずっと絡んでくるんだヨ、

と思いつつも名指しで呼ばれたからには無視をするわけにはいかなくなった。

 

 

「一緒に、クエストを受けに行きませんか?!」

「・・・・無理です。」

 

俺の言葉にこの世の終わりのような顔をする美女。

金髪ロングの髪に、碧眼。

騎士を思わせる鉄製の防具。

腰には。業物と思わしき剣を携え、グラマラスなボディを惜しげもなくさらす。

 

そんな彼女の後ろというか、ギルドの入り口の近くに銀髪と、黒髪の同じくロングヘアーの少女たちが俺たちの様子を見守っていた。

 

 

何事かと視線を向けてきていたギルド員や冒険者たちも、

ああ、いつものことかといった風に興味を失くした。

 

というか、一言いいたい。

 

 

「俺はレベル1の最低ランクの冒険者ですよ?

あなたはもっとふさわしい相手と組むべきでは?」

「そんなの関係ないです!!・・・わ、私は、貴方と一緒にいたいんです!!」

 

いや、マジで勘弁・・・と思っていると見守っていた受付嬢のユマさんが、

ずい、と身を乗り出して口をはさんできた。

 

「・・・・・エルさん?カネツグさんが困っているので、

勧誘はそこまでにしてもらえますか?」

「・・・エマさんには関係ないです。」

 

ぴき、と空気が凍る。

途端に、退避しだすギルド員と冒険者たち。

 

 

あー、はいはい。

 

なんか好意を持たれているようだねー。そうだねー。

 

 

 

んなわけねぇだろ。

 

大方からかってきているか、罰ゲームでモーションかけてきているだけだっつーの。

 

昔みたいに女に騙されてたまるか。

 

最低ランクの冒険者がキャリア嬢と、Aランク冒険者から好かれているわけもなし。

言い争いをしている二人を無視して、さっさと冒険に出かけるのだった。

 

 

「おらぁっ!!!」

「ぴぎっ!!」

 

平原まで移動した俺は、スライムに向かって粗末な剣を振るい、両断する。

戦闘力の高くない大人であれば苦戦する相手だが、ステータスが低い俺でもなれれば倒せる相手だ。

 

モンスターをあらかた駆逐したところで、自生している薬草をぷちぷちむしり、

袋に入れていく。

薬剤師や商人に売ればいくらか金になるため、なかなか馬鹿にできないからだ。

 

腰に括り付けてあるナイフで金になりそうな植物を狩り、

ふうと一息ついた。

 

ちょっと早いが、そろそろお昼休憩にすっか。

 

 

がさがさ、と麻製の袋から作っておいた堅麦のサンドイッチを取り出し、

口まで運ぶ。

 

「・・・・・・・・・。」

 

 

----いつの間にか俺の正面に座っていて、俺が食べようとしたサンドイッチを見つめている少女。

髪は紫色、瞳は紅く染まっており、恰好は黒のゴスロリ服。

 

ぱっと見で、こいつやべー奴だとわかる姿だが、

気にせずにもう一つサンドイッチを取り出し、アホヴァンパイアの口の中に突っ込む。

 

「・・・てめぇ、いい加減に俺からタかるのやめろっつーの。」

「むしゃむしゃ。・・・うん、相変わらずカネツグのご飯はおいしい・・・。」

俺の言葉を無視してうっとりとした表情で、俺お手製のサンドイッチをむしゃむしゃするアホに、ため息を吐きながらもう一つのサンドイッチも口に突っ込む。

 

「・・・なんで、俺に絡む?もう、15年以上の付き合いになるけどよ。」

「・・・・・・・なんでだと思う?」

 

むしゃむしゃ、ごくんと食べ物を咀嚼し、

俺の瞳をじっとのぞき込んでくるアホ。いや、ちゃんと名前くらい呼んでやるべきか。

 

 

こういう時、普通の野郎だったら"あ、こいつは俺に気があるんだな"と思うだろう。

だがしかし。しかしだ。

 

俺はすでにそんな勘違いをするほど馬鹿じゃない。

こいつが俺の何を狙って付きまとってくるか知らねーが、

やらせはしねぇ。

 

「知らね。・・・・おら、さっさと帰った帰った。

俺は今からモンスターを退治して、今日の飯にありつかないといけないんだからよ。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

 

俺の言葉に明らかにぶっすー、と不機嫌になるアリス。

 

美形って得だよな。

どんな表情浮かべていても様になっちまうんだから、とぱるぱるぱると嫉妬しつつ、

剣を持ってまたモンスターがいるところまで歩く。

 

 

「・・・・・。」

「・・・・・・・。」

 

てくてくてく。ぴたり。

 

 

 

「・・・・・・・。」

「・・・・・・・・・。」

 

てくてくてくてく。

 

ぴたり。

 

 

「・・・・・・・・ついてくんじゃねえよ!!」

なぜか無言でストーキングしてくるアリスに向かってがああ、と吠える。

うっとおしい。一体何しに来たんだこいつ。

 

「・・・・・カネツグ。何が欲しい?」

「は?なんだよ急に?」

「いいから、答えて。」

 

急にそんなことを言ってきたアリスに向かっていぶかしみながらも、

顎に手を当て真意を探る。

 

・・・ははーん。わかったぞ。

 

(・・・俺に恩を売っておいて、信用を得て、

俺から金をだまし取ろうってんだな?・・・いや、こいつがそんなことを考えるわけもねーから、他の誰かに利用されているって線が高いな・・・・。)

「カネツグ。答えて。早く。」

 

再度問いかけてくるアリスに向かってにやり、と笑みを浮かべながら答える。

こういう相手のあしらい方はわかっている。

 

「・・・・・特になんもねえな。」

「・・・・・・・何も?何もないの?」

「ああ。」

 

下手に何かをしてもらえば、それ以上の見返りを要求されることは必須。

 

だったら、最初から何も受け取らなきゃいい。

 

それが最強にして、最善の護身だ。

 

「・・・・・・。」

「・・・あ?」

 

俺の服のすそをそっと握ってくるアリス。

 

なんだ?何やってんだこいつ?

 

「・・・・・・・・邪魔しないから、モンスター退治するところ、見ていてもいい?」

「あ?・・・ああ、邪魔しねーならいいけど・・・。」

 

変なことを望むやつだなー、と思いつつ、

手を振り払い、両手で剣を持ち、近くにいたスライムに斬りかかる。

 

 

 

じっと、背中に浴びせられる視線を気にしないようにしながら。

 

 

 

「あー。疲れた・・・。」

 

とぼとぼ、と装備をひっさげて平原から町まで戻ってきた。

腕が上がらないくらい剣を振るったからか、

若干ぷるぷる腕が震えている気がする。

 

明日は筋肉痛だな。すげーめんどくせー。

 

いつの間にかいなくなっていたアリスのことを頭の中から追い払い、

今日の実入りについて計算する。

 

ギルドの中に入り、受付嬢にモンスター討伐数カウント用の魔法石を渡す。

 

 

「クエスト終わったので、報奨金のほどを・・・。」

「あ、はい。」

 

そういえば、言い合いしていた二人はどうしたのだろうか。

姿が見えないが。

 

まあ、どうでもいい。

さっさと金だ、金。

 

 

稼いだ金で何を食おうかなー、と考えていると、

会いたくないやつとエンカウントしてしまう。

 

「・・・げっ。」

「・・・・あっ。」

 

近くのテーブルに座っていた、ぬいぐるみを抱えた、

黒髪ツインテールの幼女。

 

俺を見つけた瞬間、笑顔を浮かべながら突進してきた。

 

「お兄ちゃーん!!」

「ぐほぉっ」

 

子供とはいえ、とびかかられるとやっぱりきつい。

ましてや、こちらはクエストを終えたばかりで疲れているので猶更だった。

ロリコンと思われたくないので、さっさと会話を打ち切ろう。

そうしよう。保身、大事。

 

 

「あー。エミちゃん?おじさん、ちょっと疲れているから、今日は・・・。」

「はい、これ!!」

 

彼女が手渡してきたのは、なんか緑の色をした液体が入った瓶だった。

・・・・・・・なんだ、こりゃ?

 

「・・・おい、あれ・・!!」

「ああ・・・・。」

 

なんだか何人かの人間が瓶を見て、ざわついている。

やめろよ。

 

俺が幼女にタカっているわけじゃないから。

 

通報されたら一発で負ける自信があるんだぞ。おい。

 

 

「飲んで!!」

「・・・・・・・・・・・。」

 

ここで?

今すぐに?

 

断ろうものなら、明日からきっと俺は、幼女を悲しませた極悪人としてその名を刻むことになるのだろう。

 

でも、それはそれとして別に飲みたくない。

 

この子に悪意があるとは思わないが、万が一変なもので毒だった場合、

害を受けるのは俺である。

 

しかし、目の間できらきらと瞳を輝かせる幼女に向かってお願いを断れるほど、

俺のメンタルは強くなかった。

 

覚悟を決めてぐいっとキめる。

 

「・・・・・・・お?」

「えへへ・・・。ポーションだよー。」

飲んでみたら体から倦怠感が消えた。

なるほど。ポーションだったのか・・・。

 

わざわざ俺にくれたのか・・・・。

 

ぐしゃぐしゃ、と頭を右手で撫でてお礼を言う。

 

 

「あんがとよ。エミちゃん。」

「お兄ちゃんの役に立てて嬉しい!!」

にへー、と笑顔を浮かべるエミちゃん。

 

あー。悪意のない無邪気な笑みが気持ちいいぜー。

俺の事慕ってくれてるし。

 

「・・・あのね、お兄ちゃん。エミとの約束、覚えてる?」

「・・・・あー。あれね。うん・・・。」

 

べたというかなんというか。

 

俺はこの子に、将来お嫁さんにしてくれと頼まれている。

 

一度命を救ったからか、恩を受けたことを好意と勘違いして、

しきりにこういったことを言ってくる。

 

悪い気はしない。

 

女は基本、クソ、なスタンスの俺でさえ、彼女はある意味聖域である。

 

けどなー。

どうせ数年後には同年代のモテるイケメン相手に貫通式して、

使用済みになるだろうし。

 

過度な期待を持つべきではないことはわかっている。

俺はもう間違えないぜ。

 

「あー。はいはい。守る守る。うん。」

「・・・・・絶対だよ?」

 

抱きかかえているぬいぐるみに顔を押し付けて、

とんとん、と脚を鳴らす彼女。

 

こんないい子も数年後には汚れちまうんだろうなー。

中身とかも含めて。

 

 

 

 

ギルドから帰る道すがら、知り合いたちに声を掛けられ、

立ち止まる。

 

 

「よう。」

「・・・・・・お前か。」

「んな露骨に嫌な顔すんなってー。」

 

あっはっは、と笑う緑髪、ショートカットの美女。

恰好は露出の多い女戦士的なプレートメイルである。

ピンク色の色合いがなんかエロい感じがする。

こいつとの付き合いももう、10年以上である。

名前は、マチという。

 

 

そういえば、そろそろ2x歳

 

 

「・・・・・・今、変なこと考えたか?」

「考えてないっス」

 

無表情で手に持っている槍を突きつけてきたので、

両手を上げて降参の意思を示す。

レベル50超えの一流冒険者に勝てるわけないので強い者には巻かれるべきである。

 

そんな俺の姿を見て、やれやれ、と肩をすくめるマチ。

 

あー。エロい格好だな、しかし。

 

 

俺にもこんな相手がいりゃあなと一瞬思ったが、

ありえないし、ありえても俺のへそくり狙いぐらいの美人局しかないことを自覚し、

改めて雑念を打ち払う。

 

そういうのはイケメンと、金を持った奴の特権だからな。

 

勘違いは恥をかくだけだ。

 

 

「・・・・で、なんだよ?」

「最近調子はどうなんだ?」

「あー。いつも通りだっつーの。

・・・レベルあがらねーし。雑魚くらいしかまともに戦えないし。」

「・・・ふーん。」

 

こいつにとっては至極どうでもいいことだろう。

 

 

くすぶっている同期のことなど。

 

生きている世界が、もって生まれたステータスが違う。

 

「・・・で、明日も行くの?」

「ああ。・・・老後の資金もためとかねーとな。

・・・動けなくなったら飢え死にするし。」

「今から老後のこと考えるの早すぎないか?」

「うるせー。」

 

こっちは必死なんでい。

話も終わったのでさっさと家に帰る。

 

「あ、そうだ。この後暇か?

・・・よかったら一緒に来てくれ。」

 

だが、そうは問屋が卸さないらしい。

大方荷物持ちが欲しいといったところだろう。

 

前も騙されて散々こき使われたからわかる。

 

「ヤダ。今日はもう疲れた。寝たい。」

「・・・・・・。」

「お前が声かけりゃ、荷物持ちの男位、

ほいほいくんだろ。」

「・・・・・・・そうか。」

「ああ。・・・じゃあな」

 

ふああ、とあくびを手で押さえながら今度こそ家まで帰った。

 

 

 

「・・・・・。」

 

そーっと扉を開ける。

何の変哲もない一軒家。

現代日本でいうならば、中間所得層が住んでいそうな木造性の二階建て。

 

俺がローンを組んで得た家だ。

 

俺だけの城ではあるが、そんな城には今、

有能だが厄介なやつが一緒にいる。

 

 

「・・・・・・おかえりなさいませ。」

 

音を立てずに中に入ったが、いつもの通り補足され、

いつの間にか俺の前に立っているメイド服の銀髪美人。

シャロ、というお手伝いさんだ。

無表情だというのに、本人の雰囲気に合っていて、

クールな美人という印象を与える。

 

「・・・・・・ただいま。」

こう言っておかないと、挨拶できないことについてくどくどお叱りを受けるから、

仕方なく言う。

 

あー。家事とか全部ちゃんと完璧にやるだけに解雇もできない。

 

靴を脱いで部屋の中に入ると、テーブルの上にはできたばかりの料理が並んでいた。

 

椅子を引いて座る。

 

すると、俺の横に同じく座り、姿勢のいい状態で待機するシャロ。

 

正面の椅子に座れよ・・・と思いつつも何か言えば言い返されるだろうと予想し、

黙って飯を食おうとスプーンを右手に持つと、がし、と手をつかまれる。

「・・・・いただきますの、挨拶がまだです。」

「あ?それぐらい、いいだ・・」

「・・・・・・・・・・・。」

 

め、めんどくせぇ・・・。

謎のこだわりを発揮するシャロに若干辟易としながらも、

料理を取り上げられるのは嫌なのでちゃんと言う。

 

「いただきます。」

「召し上がれ。」

 

-----結局、食事中に会話らしき会話は特になかった。

 

 

 

「あー。ねむ・・。」

 

自室のベッドに身を投げ出し、ダイブする。

シャロも俺も、さっさと寝ることにして、

それぞれの部屋に戻った。

 

 

変わらない日々。

うだつの上がらないキャリア。

 

活躍する同期。

ちらつく美人局。

 

 

チートなんてもんはなかった。

結局のところ、前の人生と変わりない。

 

(・・・・・・・・・。)

 

夢は夢、か。

 

さっさと老後の資金をためないと、

冒険者をできなくなった時に死ぬことになる。

 

幸い、シャロはそんなに高い給与でもないし、

クエストからは安定して、現代貨幣でいうと24,5万は稼げている。

 

このままいけば後30年後には老後の資金もたまり切るだろう。

 

あまりにも長く思える道のりだが、才能がないなら地道にやるしかない。

 

 

もし、俺にほんの少しでも才能があったら・・・。

胸のもやもやとしたものが渦巻き始める。

 

(・・・・・・・・けっ。アホか。現実は現実。)

 

すぐに自分の中から追い払おう。

ないものはない。

 

才能も、力も、そして、伴侶も。

 

 

(・・・明日も、また、モンスター退治して・・・それか、ら・・・。)

 

明日の予定を立てながら、俺の意識はうっすらとフェードアウトしていった。

 

 

 

「・・・・・・・・。」

「・・・・・・・・・・。」

 

カネツグを転生させた神と、その補佐である天使。

転生後の彼の様子を見守っていたが、

はあ、と手でこめかみを抑えながら神はつぶやく。

 

「・・・・・まさか、渡した祝福によって恩恵をあずかっていることに気がつけない状況とは・・・。」

「最初に組んだ相手に騙されて、その次は美人局。とどめに、

好きだった幼馴染がイケメン、高収入の青年にNTRられ、今に至ると。」

「なんでこうなる?」

 

カネツグはぐっすりとベッドの上で眠っている。

 

 

そして、そんな彼のベッドの下から這い出てくる黒のゴスロリ服を着た美少女。

彼と付き合いの長い、ヴァンパイア、アリスである。

 

じっとカネツグが眠っているベッドを見下ろし、

無表情だった顔つきを一瞬でとろけた笑みに変貌させる。

 

 

『・・・・・えへへへ♡カネツグ、カネツグ、カネツグ・・・♡』

服を一瞬で脱ぎ捨て、カネツグが眠っているベッドにごそごそ、と潜り込み、

ん・・・♡と嬌声を上げ始める。

 

 

「・・・昔、偶然助けたヴァンパイアが、勇者に討伐されて死にかかっていた裏世界で名前を知らない者がいないクイーンヴァンパイアだったと。」

「良縁を結べる祝福とはいえ、偶然恐るべし・・・」

 

おっぱじめたアリスと、睡眠魔法をかけられ、眠らされたまま逆レイプされるカネツグを見て、

苦い顔をする神様。

 

そして、ひとしきりヤって満足したのか、アリスはまたベッドの、

いや、カネツグの影の中に溶け込み、消えていく。

 

「いやぁ、まさか影の中にひそめるとは。」

「マジモノのストーカーとは・・・。」

 

そして、入れ替わりとばかりにドアが開けられ、

ピンクのパジャマに着替えたシャロが部屋に入ってきて、

カネツグのベッドに入り込む。

 

『・・・・カネツグ様・・・♡♡』

 

そして、またもや始まるベッド運動。

 

 

「あの人、数千年を生きた龍なんですよね。」

「どこでどうやったら、偶然出会って、偶然彼女の孤独を癒して、

なつかれて、実は一年中発情期、ってことになるん?」

 

見たくないとばかりに見ざるになる神様の肩をとん、とんと叩く補佐。

世界を救えるだけの器を持つ人物。それがカネツグだったはずなのだが、

なぜかレベルはあがらず、与えたチートの恩恵に気が付けない日々を過ごしていることに、

頭を悩ませていた。

 

「彼の周りにいた受付嬢は、彼が15歳のころに出会って、行き倒れていたところを仕方なく助け、

それから前世の知識を生かして勉強を教えて文字を読めるようにし、現在出征街道を驀進している

キャリアウーマンですね。・・・そして、彼のことが死ぬほど好きで、魔法を使って監視しているようです。

それも、今この瞬間も。」

「あーあーあー!!聴きたくない!!聴きたくない!!」

 

だが、そんな神様もお願いもつゆ知らず、無情にもどんどん地雷がリストアップされていく。

 

「王位継承権1位の姫騎士こと、エル。幼いころに王宮を抜け出したところ、人さらいに遭遇。

誘拐されそうになったところを彼に助けられたとか。・・・ちなみに彼はその時、彼女を助けるためにリンチされながらも逃がしきり、全治1か月の重傷を負っております。そのあと、人さらいたちと似たような人間が複数名、川に打ち上げられております。」

「・・・で。彼に会うために身分を隠しながら冒険者をはじめ、彼につきっきりで戦闘を教わった結果、才能が開花し、今では一流の冒険者の仲間入り、と。」

「そのほかにも、孤児院で虐待されていた少女を偶然助けて以降、本人が気が付かぬ状態でずっとストーキングされていたり。無理やり政略結婚させられそうになっていた豪商の娘を救い、内密に両親公認で許嫁にされてロックオンされていたり・・・・。しかし、本人は女性が近づくとすぐに逃げたり、好意を寄せられていることを知りつつも絶対に認めようとせず、美人局と疑っております。」

 

ざっと並べただけでその数、100人以上。

しかもいずれもがこの世界において実力、権力、財力を持つ人物である。

 

彼のチートは、単純。

 

人脈チート。

それも、自然と力を持った人物とつながりやすくなる幸運の極致である。

 

 

「・・・ちなみにこのまま放置しておくとどうなる?」

「・・・・彼をめぐって、世界大戦が起きます。」

 

ああ・・・と突っ伏す神様とその補佐。

仕方ないと、つぶやき、神様は覚悟を決めたような顔つきになる。

 

「・・今更かもしれんが、テコ入れだ。」

「え。」

「とりあえず、彼のレベルが上がらないことはしょうがないから、

その周りの女性関係、地雷をどうにかするぞ・・・!!

このままでは、修羅場どころか、世界大戦が起きかねん・・・!!」

「・・・・・(大丈夫かな。)」

 

 

つづくとやばいのでつづぬ

 

 

 




カネツグ

転生して、初めて冒険者として組んだパーティーに金と装備をだまし取られ無一文に。
二度、あることは三度あった結果、彼は完全に人間不信+やさぐれに。
元々は明るい性格の今時の青年だったが、
ヤンキーっぽい生き方が結局得をすると悟り、オラオラ系にチェンジ。
朱元璋もびっくりの猜疑心と、童帝も冷や汗のひがみっぷりにて、
地雷を回避し続けている。

良縁を結ばれるチートによって多くの女子、女性と知り合いに。
その結果、彼をめぐって水面下の戦争が行われているほど。

しかし、彼自身はそれから目をそらし続けているため、
どうにか表立った争いはまだない。

才能も、金も、顔もないが、自分にできることをやると決めて、
初歩的なモンスター退治、薬草集め、生態調査のクエストをこつこつとこなし、
老後の資金をため続ける。

時折、見返りを期待して初心者を引率したり、助けたりしている。

そうした活動を15年間続けてきため、現場の人間や、他の冒険者からは莫大な信頼を得ているが、本人はそれさえも自分をまた利用して、だまそうとしていると疑っているため、距離を置いている。

ぶっちゃけ、老後の面倒を見る気満々の女子たちがいるため、
早く冒険者をやめて、自分のヒモになってほしいと彼女たちからは思われている現状。

昔助けた冒険者や、教導した者たちは大成しており、
彼が冒険者をやめようとしたら彼らに取り込まれることは必須である。

座右の銘は"この世のすべてを疑え。・・・あと、処女は都市伝説"というひどいものである。


結婚を約束していた惚れていた幼馴染がNTRされてからは、
女性不信に。
伴侶を心の奥底では望んでいるものの、結局みな嘘だろ?と疑い続ける。


いい具合に煮詰まってきた()



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なんか、最近いつも以上に色んな奴に絡まれたりしてるが、それらすべてを避けつつ、今日も俺は仕事にいそしむ

朝、目が覚めて、朝食を作り、食べる。

今日の予定を確認して、準備をする。

 

俺を見送るシャロと別れて今日は武器屋にやってきた。

 

最近、冒険者を始めてからずっと使っていた剣がそろそろ使えなくなってきて、

新しいものを見繕うことにしたからである。

 

下取りを兼ねてなじみのおっさんがいる武器屋までやってきた。

 

相も変わらずひげを豊かに蓄え、青のバンダナを頭に巻いているおっさんは、

かん、かんと鉄を熱し、うち叩いている。

 

「おっさん。」

「ん?・・・おお、カネツグじゃねえか。」

俺が声をかけると、錬鉄していた手を止め、

笑顔を向けて俺のほうに近寄ってくる。

 

 

暑苦しい。

 

そんなおっさんに腰に差していた剣をわたし、要件をさっそく伝えていく。

 

「今まで使っていた剣がボロボロになっちまった。・・・金貨10枚で新しいの作ってくれ。」

「ははあ・・・。確かにこりゃ、もう駄目だな。」

 

俺が渡した剣の柄や、刃渡りを見ながらそううなるおっさん。

修理しても使えないレベルで使い込んだので、もはや新しいのに変えるしかない。

 

「そうだな・・・。それじゃあ、おススメは・・・。」

「・・・・カネツグ?」

「・・・・・・・・・・げ。」

 

俺とおっさんがやり取りしていると、ひょこりと顔をのぞかせる一人の少女。

紅い髪をポニーテールにくくり、胸にはさらしを巻いて、

豊かな乳を必死に抑えんばかりに締め付けている。

甚兵衛みたいな青色の服装という女らしからぬ恰好だったが、

任侠者と見間違うばかりの似合いっぷりに若干引いた。

 

「レテ。カネツグな、新しい武器を買いに来たんだってよ。」

「へー・・。ちなみに予算は?」

「金貨10枚だ。」

ずずい、と身を乗り出して話に入ってくるレテとなるべく会話しないようにしながら、

おっさんとレテの会話を聞いていく。

 

「じゃあ、ちょうどいいのがあるよ。・・・ちょっと待っててね。」

 

どたどたどた、と嬉しそうに表情をほころばせながら、奥まで何を取りに行ったのか引っ込む彼女。

・・・・あー。油断してた。

今日はいないだろうと思ってたのに、面倒だわ。

 

がしがし、と頭で後頭部をかきむしっていると、

横にたっているおっさんに肘で突っつかれる。

 

「そういや、うちのとはどうなんだ?ん?」

「は?何がだよ?」

「とぼけんなって。・・・あいつ、おめーに気があるんだよ。」

「ねーだろ。」

んなもん知らん知らん。

俺には必要ねーし、釣り合わねーだろうしな。

おっさんのうざったい追及をかわしつつ待つこと数分。

 

レテは一振りの剣を持ってやってきた。

 

「お待たせ!!はい、これ!!」

「?なんだこりゃ?」

「アルバーツ連邦由来の"日輪"だよ!!」

 

いや、これどう見ても刀じゃねーか、と言いたかったが、

使えればどうでもよかったので、金貨10枚をおっさんに手渡す。

 

「あいよ。まいど。」

「私が作ったんだよ!!どう?!どう!?すごいでしょ!!?」

「わかんねーよ。」

 

一ミリもすごさが伝わらず、そうこぼす俺に見る目がないなー、とやれやれと肩をすくめるレテ。

こう言うぐいぐい来る奴は何言っても絡んでくるから、

さっさと会話を打ち切るに限る。

 

「ねえねえ!!今日暇!!?暇!!?この後遊びに行こうよ!!」

 

打ち切る前におねだりされちまった。

こいつ・・・・!!

恩を売った直後に要求してくるとは、なかなか計算高いじゃねーか・・・!!

しかし、しかしだ。

普通の男ならともかく、俺にはもうそういうものは効かない。

飯をおごらされ、荷物を持たされ、こき使われるのがオチだ。

 

 

「暇じゃねーよ。クエストあるんだよ。」

「えー・・。休めばいいじゃん。」

「休めるか、アホ。」

 

老後の資金をためるために、早々休んではいられないんだっつーの。

 

買った刀を腰に差すと、なかなかしゃれた意匠があしらわれた刀なのか、

一目で業物っぽい印象を受けた。

こけおどしにはちょうどいいわな。

 

「おう。また来いよ。」

「ねえねえ!!私もついていっていい!!?」

「自分の仕事しろや!!」

 

引っ付いて来ようとするレテの攻撃をすべてあしらい、

速足で武器屋を後にするのだった。

 

 

 

で、そうしてクエストを受けに来たものの、

最低ランクの俺が受けれそうなクエストが特になく、マジかよ、とため息をつく。

 

クエスト受けなければ金が手に入らない。

 

貯金はあるが、それは老後の資金用なので崩したくない。

その日にクエストを受けて、手に入れた金で生活費を回しているから、

今日何としても受けなければならない。

 

 

募集掲示板の前で必死に探していると、一つだけ俺でも受けられるものがあることに気が付いた。

 

 

「・・・・・・家庭教師?一日で金貨5枚とは羽振りがいいな。」

金貨1枚で一万円相当。

銀であれば千円。

銅は百円といった具合だ。

 

単なる家庭教師の仕事に5万払うバカはどいつか、依頼者の名前を見ると、

うえ、と声を漏らす。

 

やっぱりやめだ、辞め。

一度は手に取った依頼書を戻そうとすると、横から伸びてきた手で、

俺の腕をつかまれた。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

「離せや。」

 

むすー、と不機嫌そうな表情を浮かべる、身なりの良さそうな青色の髪をサイドテールにくくった少女。

こいつか。こんなバカげた依頼をギルドに出したのは。

 

「どうして受けてくださらないのです?」

「報酬が依頼内容に比べて高すぎんだよ。馬鹿マリー。

こんなん、詐欺だと思うわ。」

「あら、心外です。王家お抱えの商家の跡取りであるわたくしが、

そんなことをするとでも?」

「意図が分からない以上、誰も受けたくねーよ。」

 

ちらりと周りを目で見ると、さっと目をそらす薄情者ども。

おいごら、野次馬っているのに、当事者になるのを否定するとはなかなかいい根性しているな?オイ。

 

 

つかまれた手を振り払い、向き直る。

 

「そんなん、王家の騎士団に所属している冒険者にでも頼めよ。

それか、エリートの魔法使い様とかでもいいだろうが。」

「わたくし、堅苦しい人たちは嫌いですのでー。」

マジでめんどくせぇ。

 

「なので、気楽にわたくしが話せるあなたならば、

特別に家庭教師にしてさしあげても・・って、どこに行くんですの!?」

「・・・・。」

「ねえ?!ちょっと!?」

 

だだだ、と背中に掛けられる声を無視して俺はギルドから速足で逃げた。

 

 

「疲れた・・・・。」

 

あの後も色んな奴らに絡まれては、

あれがしたいだの、これがしたいだの要求され、そのすべて突っぱねて川のせせらぎの音を聴きながら、ごろりと木の根元で寝転がっていた。

 

結局、クエスト受けずに日が暮れちまったよ。

 

今日は野宿したい気分だわ・・・。

 

金を得ずに家に帰ったらシャロにお小言を言われそうで嫌だしな。

 

そうと決まれば話は早く、さっそく背中にしょっていたリュックからナイフを取り出し、テントを張る。

 

いやー。

それにしても久しぶりの一人寝だわ。

 

やっぱり独り身が最高だな、と改めて実感する。

 

持ってきたとっておきの干し肉を噛む。

ちょう、しょっぺえ。

腐らないように塩を刷り込みまくっているからか、

健康なんぞしったこっちゃねえとばかりの味になっているがそれがイイ。

 

夜空には星が浮かんでいた。

 

この世界ではよく星が見える。

 

がぶち、と肉をかみちぎり、もぐもぐと口の中で味わって飲み込んだ。

 

あー、と口を開けてもう一つ食おうとすると、

とんとん、と肩を叩かれる。

 

なんだよ、俺のもぐもぐタイムを邪魔するんじゃねーよ。

 

無視してまた食べていると、今度は上からぽたぽた、とぬめった液体が頭に降り注いできた。

 

ぶちり、とキレて後ろを振り向く。

「ゴラァ!!何すんだ・・・よ・・・」

「・・・・・・。」

 

口を大きく開けたオオカミ型のモンスター、ウォルフが俺の周りを取り囲むように、

散開しており、真上には、ひときわ大きな個体の、グレートウォルフがよだれを垂らしながら俺のことを見つめていた。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・。」

「・・・・・・・・・・・・・・わんっ!!」

 

ぐいっとのしかかられ、体の自由を奪われた。

 

 





書いては失踪する



ンギモッヂィィィィィ!!

レテ
実は"世界最高の鍛冶師"になれるスキルを持っている。
その才能が開花する前、周りからは鉄くずしか生み出せない半端モノ、と言われていたが、
冒険者になったばかりの主人公と出会い、自分が作った剣を買ってもらったことがきっかけで付き合いが始まる。
その後、10年間、1日たりとも休まずに鉄を打ち続けた彼女は世界最高の剣を生み出し、
王家の目に留まることになる。

本人も剣を扱う上での心構えができており、
実力は折り紙付き。

今回、彼女が作った刀は実は昔彼女が王家に依頼されて作った剣をはるかに上回る、
いわゆる"斬鉄剣"だが、それと買った本人はよく斬れる刀だなー、ぐらいにしか思っていない。
格上のモンスターとか相手にしないから真価がわからず。

女のくせに、鍛冶師になるなんて、と周りから言われていた+才能が開花せずに落ちこぼれ扱いをされていたため、村に帰ろうとしていた時、
客としてきたカネツグに剣を買ってもらい、その自分が作った剣でモンスターを倒せたことを知り、自信を持つ。

商家とも太いパイプを持っているため、特注の依頼がどんどん来て、とっくに人生遊ぶだけで生きていけるほど金を持っている。

が、本人はそれをすべて"結婚資金"として手を付けておらず、
周りの冒険者や、貴族からアプローチを掛けられていても、
"すでに先約がいるから"と一蹴。


レテが割と軽いと思ったそこのあなた。
有無を言わさず、想い人と結婚できる、添い遂げられると信じて疑わないやべーやつだと言えば、少しはやばさが伝わるはず。

マリー?
前の話に出てきていた豪商の娘この子。
色々あって、こいつもやべーやつだけれども、そこはおいおい。



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モンスター娘に求愛されたが、どうせ最後は食料にされるだろうし、断りつつ、今日の夕食を食べる俺

「・・・え?!"オーガ"が目撃された??!」

 

遠くの支部のギルド・マスターであるゴーレムマスターこと、

ジーノは通信石越しに驚く彼女に続けて話す。

 

『そうなんですよねー。ランクBのモンスターであまり、人里近くにはいないはずなのですが。・・・あ、こちらでは最近活躍中の、"紅蓮の悪魔"と、"紅蓮の騎士"によってすぐさま討伐されたからいいんですけどね。でも、万が一そちらにそういうのがいたら・・。』

「・・・・・・・・・・やばい。」

 

話を聴いていた受付嬢、エマこと、代理ギルドマスターは話の顛末を聴いて、

だらだらと汗を流す。

 

秋は冬眠を迎える前のモンスターたちの気性が荒くなり、別のモンスターを襲うような危険な時期だ。

通常であれば、討伐クエストに向かうのは腕が立つ冒険者くらいだが、

そういう通常に当てはまらない、例外が一人いたことを彼女は思い出す。

 

『もしもし?もしもーし?・・・あれ?切れちゃいましたかね?』

『・・・・・ジーノ?誰と話しているの?』

『あ、ドーナッツちゃん。』

『ドルナッツだっつってんだろぉぉぉぉぉ!!!』

『ああああああああああ!!』

 

なんか、通信石の向こうで絶叫が聴こえたが気にせずに通信を切って、

自分が使っている監視魔法の様子を見る。

 

 

しかし、何かに阻害されたかのように、彼女の魔法では何も見えなかった。

 

 

(・・・・・・カネツグさん・・・・!!)

 

彼に何かあったら大変だ。

そう思い、彼女はフルプレートのアーマーと、

龍を落としたといわれるドラゴン・キラーと呼ばれる大剣を装備し、

ギルドから出撃しようとしたところ、入り口でその人物と出会った。

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・。」

「・・・・・・・・・・・・・。」

 

-----なんか、ちっちゃい獣耳少女を抱っこして、

ぺろぺろと頬をなめられながら困惑して立ち尽くしている姿がそこにあった。

 

 

 

カネツグがグレート・ウォルフと運悪く出会い、

捕縛されていたころにさかのぼる。

 

普通でいえば、モンスターにつかまった冒険者の末路は、

デッド・エンドだ。"死"以外にはありえない。

 

「ぐるるるるるる・・・・・・。」

「」

 

----前足で体を押さえつけられたカネツグは、体長3mのおっきいわんこにしか見えないグレート・ウォルフにぺろぺろされていた。

きゅん、きゅんと、時折甘い声を出しながら、周りにいた小さいウォルフたちも彼を取り囲み、甘えるように体をこすりつける。

 

むちゃくちゃモフられていて、息が苦しい・・。

 

だあああああああ!!

 

ぶんぶん、と体を振るって擦りついているウォルフから逃げ、

ひときわ大きなグレート・ウォルフに向かって叫ぶ。

 

 

「やめろやああ!!暑っ苦しいんだよおおおお!!!」

「・・・・・・駄目?」

 

しゅん、と耳と尻尾を垂れさせ、そうつぶやくグレート・ウォルフ。

いや、今は"名前付き"のさらに上のハイ・ウォルフ。

 

「お前らよぉ・・・。百歩譲って俺に会いに来るのはいいけどよ、

取り囲むのやめろや。生きた心地がしねーんだよ。」

「だって、みんなもカネツグに会いたがっていたし・・。」

 

そう言って、いつもの獣形態から、10くらいの見た目の女性に変身するウォルフ。

周りにいたちびっこどもも、それぞれが10歳くらいの女児に変貌する。

しかし、耳や尻尾は付いたままである。

 

「レンって名前、私につけてくれた。カネツグは私の恩人。

・・・・つがいになってほしい。」

「い・や・だ!!」

いつものこと、いきなりのこと。

こんなことを言われてすぐに承諾する奴なんているわけない。

元々モンスターなのだから本能に忠実なのは仕方ないとしても、

信用できん。

もしかしたら、食料にされちまうかもしれないし。

 

「?町から離れたのはレンに会いに来てくれたからじゃないの?」

「離れてねーから!!一時的な野宿だから!!」

こいつ、俺が文明を捨てて獣になったと思って喜んでやがる。

こちらとちらまだ文明の利器に頼っている人間様なんだよ。

 

つ、疲れた・・・。

どっかりとひいたシートの上に座ると、ちびっこどもが甘えるようにのしかかってきた。

重っ!!

 

「にいちゃーん!!」

「結婚して!!」

「子種ちょーだい!!」

「はらませて!!はらませて!!」

「重い!!熱い!!!」

「・・・・・これが、夫婦の団らん・・・?」

んなわけあるか、と心の中で突っ込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

 

 

 

 

かちかちかち。

時計が針を刻む。

 

 

かちかちかち。

秒針は規則正しく時を刻み続ける。

 

いくら見つめても、それは変わらない。

 

「・・・・・・・・・・・・。」

 

彼女、シャロは無表情で主人の帰りを待ち続けていた。

 

こうして、帰ってこないことはしばしばある。

そして、それがどういう理由によるものかも、

人間社会に溶け込んでいる彼女はわかっていた。

 

クエストが受けられないから、金が入らない。

それが気まずい彼は、どこぞで一夜を明かすのだろう。

 

---もし、それがほかの女のところだったら?

 

「・・・・・・。」

 

ぶわああ、と腕に龍の鱗が露出する。

興奮状態になると、龍は自身の特徴を晒してしまう。

人間状態のまま、しっぽと耳が生えてしまい、

人間ではないことがバレてしまうのだ。

 

殺意。

 

ここではないどこかで自分の主人を癒しているであろう相手に対して、

彼女は嫉妬していた。

 

余談だが、彼女は数千年を生きた古の龍だ。

このリア大陸における最大国家、リーダス帝国の初代国王、"鏖の覇王"と互角に渡り合った猛者である。

ブレスだけで街を滅ぼせる劇物だ。

 

だが、彼女は必死に自制していた。

まだ、そうと決まったわけではないからである。

 

「・・・・・・・・・・。」

 

シャロは、自分が主人から渡されたペンダントを指でいじり、

気分を落ち着かせる。

 

自分は彼のモノである証拠を見ることで、

独占欲を満たされたからである。

 

 

「・・・・・・・・ご主人様。」

 

彼女は、一睡もせずに、彼を待ち続ける。

 

龍人シャロは、今日も自分を抑え、主人の帰りを待つのだった。

 

 

 

 

レンとエンカウントして、無視して寝ようとしたら、

こいつらの集落に連れていかれた。

 

どこもかしこもケモミミが生えた獣人か、獣形態のモンスターしかいねぇ。

 

俺は周りの獣人たちからレンと一緒に歩いているところを見られ、

なんだ、夫婦か・・と言わんばかりの視線を投げかけられた。

 

ちょっとまてや、コラ。

 

「・・・・・・・おい、アホレン。」

「・・・・・なに?」

ママですよー、とちびっこどもを抱っこしながらあやしているアホレンの脇を、

肘で突っつきながら問いただす。

 

「お前、何か変なこと言いふらしてねーだろうな?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そんなことない。」

「おう、こっち見ろや・・・。」

目をそらしながら、パパは疑り深いんですよー、とちびっこに話しかけるレンにいらっとしながら、

頬を引っ張ると涙目になりながら話し始める。

 

「・・・・・私たちが、結婚したって、長老に報告しました・・・。」

「・・・・・・ほーう。」

 

そうかそうか。お前はそういう奴だったんだな?

大方、他の雄どもから求愛されて、体のいい断る理由にするために

俺とつがいだと嘘をついたと?

 

はっはっはっはっは。

 

「----おらぁっ!!!」

「きぃううううん!!?」

鼻に香辛料であるコショウを振りかける。

へぶし、とくしゃみをするレン。

現地調達で捌いた食料を保存させるために持ってきたものだが、

イラっとしたので使った。後悔はしてない。

 

「ったく。さっさと長老のところに行くぞ?

・・・・誤解を解きによ・・・。」

「・・・・・・・DVに私は屈しない・・・。離婚調停には応じない・・・。」

「人聞きの悪いことを言うなや!!!」

 

あほなことを言い続けるレンを引きずりながら、

ここの長である長老の元まで向かうのだった。

 

 

 

 




レン
高度な知性を持ったモンスターだけが取れる"人間形態"への変身ができるオオカミ型モンスターの変異種。
レベルは130。
ぶっちゃけ、そこらへんのモンスターや人間が束になってかかっても勝てない。

まだ弱かったころ、人間の仕掛けた虎ばさみに引っ掛かっていたところをカネツグに救われ、なつく。
それからは、隙を見て彼と一緒にいられる時間を作り、
長老に人間と、モンスターの夫婦はどうだろうかと相談している。

当時、集落にて流行っていた毒を、調剤の経験をもつ彼が薬を作り、治したことにより、人間は餌、から、人間をつがいにしてもいいよね、という価値観に変わった。

既成事実を固めて、自分たちのグループに取り込もうとあの手、この手でハメようとしてくる。

ちなみに、ちびっ子たちも知性は実は高く、幼く、あざといふりをしていればなんだかんだカネツグは優しくしてくれると知っているが故のふるまいである。

シャロ
悠久の時を生き続けるエンシェント・ドラゴン。
リア大陸に存在する五大国家の生まれにかかわる生きる伝説。
レベルは三桁。

闘いに疲れ、人間社会に紛れて生きようとしていたが、
あまりの無表情さと、完璧さゆえに"人形"と揶揄され、
孤独を味わっていた。

メイド職に就いたのは"人間の生態をじっくりと観察できる"と考えたため。
もし、もう一度人類に絶望することがあれば、世界を滅ぼすつもりだった。


しかし、女性不信+やさぐれなカネツグはそんな彼女のことを良くも、悪くも色眼鏡で見ておらず、ちゃんと能力を見て評価した。
そのことを気にしたシャロが一度"自分みたいな者をそばに置いていたらあなたが周りから何か言われないだろうか"と尋ねたところ、"は?何言ってんだお前?いいから俺のために、俺の世話をしろ。俺にはお前が必要なんだよ。"と一蹴された。
その言葉がクリティカルヒットし、彼女の心は孤独から救われることになった。

ちなみに、当の本人はそこまで深く考えて言った言葉ではなく、
"お前がいなくなったら、俺の飯を作る人間がいなくなるだろ、家事とかめんどくさいんだぞ"ぐらいにしか思っていなかった。

カネツグのだらしないところが母性本能をうずかせ、
子宮にダイレクトアタック。
結果、"ママになりたい","胎内回帰させたい","年中発情期"という状態に。

カネツグ・・・お前・・・死ぬ気か・・・?(真顔)


ジーノ
どこかの小説に出てきたゴーレムマスター


ドルナッツ
そんなギルドマスターの奥さん。
特技はプロレス。


なんで、日刊ランキングに載っているのか()

ちゅーかランキング1位ってなんやねん・・・。

ちなみに、この小説は作者が書いているほかの小説と同じ世界観です。

まあ、そっちの主要キャラはでないけれども、サブキャラはちょくちょくでるかも

作中に出てきた"紅蓮の騎士"と、"紅蓮の悪魔は"そっちの主人公とヒロイン。

感想、くれ

れれれのれ


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既成事実積み重ね系獣ロリVS、ストーキングキャリアウーマン ふぁいっ

「それでは!!カネツグと!!レンの婚約を祝って!!」

『『『『『カンパーイ!!!『』』』』

 

「・・・・・・♡」

「」

 

あれ?どうしてこうなった?

レンと一緒に誤解だと説明しに行こうとしたら、

なぜかレンに"今は婚約でいいから・・・・。"と健気な女ムーブされ、

勘違いした長老に、"ならば、婚約の議を開くとしよう!!"と即興で盛大なもてなしをされることになった。

 

ふざけんな、おい。

 

主賓がそんなせせましく座っているなと言わんばかりに、

一番目立つ場所にレンと二人で座らせられ、

お祭り騒ぎになった。

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・やったぜ」

「おうゴラ」

 

ハメられた・・・・!!

この集落に連れてこられた時点で察するべきだった・・・!!

 

一生こいつのために働くATMになるなど、冗談じゃねぇ!!

結婚は人生の墓場だ!!終わりだ!!終末だ!!

 

前世でくそみそ働いていたのに対して顧みられることもなかった、

俺の親父みたいに最後は使いつぶされるだけだ。

 

ここから逃げ出そうとしても、

隣に座っているレンに腕を組まれ、しなだれかかれては難しい。

 

マジで逃げ場がねぇ・・・!!

 

「カネツグ!!レン!!おめでとう!!」

「くう~!!うまくやりやがったな!!このこの!!」

 

そして、次々に俺と知り合いの獣人どもが、

酒とつまみをもって結婚のお祝いを言いに来る。

 

 

「で、子供は何人欲しいんだ?ん?」

「レンちゃん良かったわね~。初恋が実って。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いくらでも、ほしい・・・。」

 

子供を作って、完全に逃げられなくするつもりか・・・!!

こいつ・・・!!

外堀を固めていやがる・・・!!

 

通常であればもう詰み。王手。チェックメイト。

この状況を脱する手などありはしない。

 

 

 

だ・が・し・か・し!!!

 

(俺はチートの力無しにこの世界を自分一人の力だけで生き延びてきたんだよ・・・!!)

※無自覚なだけです

 

これで勝ったと思うのは間違いだぜ、レン!!

 

スッと立ち上がり、酒をぐびぐびと飲み、そして宣言する。

 

「-----聞けえぇ!!!この場にいる全員!!」

 

それまでの喧騒が、俺の叫びによってかき消され、

なんだなんだ?と疑問の視線が集まる。

 

よし、注意をまず引くことに成功した。

次だ。ここからだ。

 

 

「此度は!!俺とレンの婚約祝いに出席してもらって感謝の念ばかりだ!!」

「・・・・・・♡♡」

 

隣でレンが顔に手を当て、いやんいやんと身をくねらせている。

お前は、俺がこの婚約を認めたと思うのだろう。

 

 

 

浅はかだ。

策を弄するのならば二重にすべきだったな。

 

 

「----しかし!!妻をめとるには、俺はまだまだ弱く!!

稼ぎも少ない現状だ!!」

 

女衆はまあ・・・・と頬に手をあて、

男どもはなるほど、とうなずいている。

 

論理は破綻していない。

俺は冒険者としては最低ランクであるし、

所得は月にして23,4万円ほどしかない。

 

さすがにこれだけでは妻と子供を養っていくのは厳しいと、

同意せざるを得ないだろう。

 

 

「-----だからこそ、宣言する!!」

 

レテに作ってもらった刀、"日輪"を引き抜き、

近くにあった岩に向かって振るう。

 

岩を少しでも削り切って、演出をするために。

 

(・・・・そして、修行をする、冒険者のランクをあげると称して、

時間稼ぎ・・・!!勝った!!)

 

だが、ここで予期しないことが起きてしまった。

 

---すぱん

 

 

「・・・・・・・・・・・あえ?」

 

斬りつけた岩がバターみたいにさっくりと切れてしまったのだ。

 

その光景を目にした獣人どもがうおおおおおおおお!!と大興奮。

え?いや、え?

 

手に持った"日輪"と無残にも真っ二つに斬れてしまった岩を交互に見て、

戸惑いながらも、すんでのところで耐え、続ける。

 

「----ち、誓おう!!俺はもっともっと強くなって!!

もっともっと上のランクの冒険者になる!!

----そして、その時に妻たる伴侶を迎えることを!!」

 

俺の言葉にうおおおおおおおおおおお!!!と沸き立つ獣人ども。

騙せたのか、レンも目から涙をこぼして、浸っているようだ。

 

とりあえず、時間は稼いだ。

後は蓄えた金をもって、時期を見計らい、別の国までとんずらするだけだ。

 

 

そう。

俺の目論見は完璧だった。

 

この時までは---

 

 

 

 

「」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

 

冒険者ギルドに帰ってきたら、

なぜかフル装備のエマさんと、レンがにらみ合い、

その間に挟まれて気絶しそうなんだが。

 

ちなみに、レンがついてきた理由は、

"夫の成長を支えるのも妻の務め"だそうであり、

集落にいた獣人どもも快く送り出しやがたった。

 

 

 

糞が!!!

 

ちゅーか、なんでエマさんフル装備なんだ・・・?

 

困惑しながら事の成り行きを見守っていると、

エマさんがレンに話しかける。

 

「・・・えーと。あなたは獣人、よね?

いえ、それは珍しくないのだけれども、

どうしてカネツグさんと・・・?」

いつもの受付嬢スマイルがひきつり、

頬がぴくぴくと動いているエマさん。

 

レンに対して"変なこと言うなよ?"という視線をアイコンタクトで投げると、

わかっている、と言わんばかりにうなずく。

よし、これでもう大丈夫----。

 

 

 

 

 

 

「---初めまして。私は、カネツグの嫁のレン。」

 

 

 

 

空気が死んだ

 

 

 

 

リア大陸に存在するもう一つの世界。

"魔界"

 

そこを収めるのは魔人。

 

そして、魔人たちの王、魔王。

 

魔王が鎮座するは魔王城にて、

支配者たる人物、6代目魔王、シャーリー・エリザベスは憂鬱なため息を漏らしながら、

寝室のベッドで横になっていた。

 

終わることのない魔人たちの権力争い。

衝突、そして戦争。

 

人間たちを相手にどういうスタンスで接するべきか、

戦うべきか、協定を結ぶべきか。

 

そうしたことを先に決めるべきだというのに、

魔人たちは力を求めて、争いことばかりを起こし、

話が進まない。

 

 

こんこん、とドアがノックされ、

それまで寝転がっていた彼女は黒の髪をたなびかせ、

入れ、と一言告げた。

 

「失礼いたします。」

 

黒の鎧を全身にまとった漆黒の騎士が、

部屋の中に入った。

 

「貴様か。"黒騎士"。」

「は。・・定期報告となります。」

「そうか。」

 

定期報告。

彼女は部下たちに魔人や、人間たちの動向を探らせていた。

誰も信用せず、誰も頼らない彼女にとっては、

当然と言えるやり口である。

 

「魔人たちはいつもどおり、領土拡張のため、争っております。

・・・・"魔導王"と"剣鬼"が衝突し、相打ちになり、両者瀕死となったと。」

「・・・あの、馬鹿どもが・・!!」

 

ぞぞぞ、と彼女、シャーリーの周りに魔力が集中する。

地響きが鳴り響き、部屋が揺れ始めた。

 

 

「人間界は変わらず、五大国もこれといった動きはありません。」

「そうか、下がっていいぞ。」

「はっ。」

 

そう命令された黒騎士は部屋から出ていき、

彼女はまた一人となった。

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・疲れた」

 

ぽつり、とつぶやいた彼女は枕に顔を押し当て、

そして壁に向かって枕を思いっきりたたきつけた。

 

 

(なんでみんな私の言うこと聞かないのおおおおおお!!??)

 

あれ?おかしいぞ?魔王なのに?あれ?とシャーリーは憤慨する。

力でほかの魔人どもをぶっ倒して、魔王の座に就いたのはいいが、

いかんせん、魔人には脳筋が多すぎた。

 

---あ、今日から魔王ですか、頑張ってネ

---じゃあ俺たち、殺し合いに行ってきますから

 

え?

 

晴れ晴れとした笑顔の魔人たちにそう言われ、

彼女はその時、何が起こったのか理解できなかった。

 

 

(なんでええええええ?!!)

 

そう。彼女はある理由のために魔王になっただけなのである。

 

いや、正確には、とある人物を確実に手に入れるために。

 

それがどうしてこうなった?どうしたこうなった!!?

必死に特訓を積み重ね、レベルは3桁を優に超えた。

 

幼いころに出会い、今でも連絡を取り続けている、

心の支えとでもいうべき異性を確実に手にれるために。

 

 

---だって、権力者とか外堀埋めやすそうじゃん。

 

(・・・・・・・・・・カネツグううう・・・・・・。)

 

えぐ、えぐ、と彼氏いない歴2x年のシャーリーはしくしくと泣く。

 

そして、ぴたりと動きを止めて、がばりとベッドから顔をあげる。

 

 

(・・・・そうだ!!カネツグに会いに行って、さらってしまえばいいんだ!!)

 

はたから見ればとち狂ったにしか思えない誘拐の決意。

仕事のストレスによる疲れからか、

彼女はその通常であれば取るはずのない手段を選択してしまう。

 

 

「よーし。とりあえずまずは人間界に行こうっと!!」

 

仕事?知らね。と言わんばかりに彼女はその日のうちに荷物をまとめて、

魔王城を出た。

 

 

目指すは、朱元璋もびっくりの猜疑心を持つ男の元

 

 




感想草


もっとくれてもいいのよ?


エロは個別END描写時に濃厚なのを書こうと思ってる
(たぶん)

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~地雷は積み重なり、連鎖するのさ~

台風が怖いので投稿


たすけて


感想あらぶっていて笑う


事情説明を求められた。

主にあのアホレンのせいで。

万年つるペタ腹黒幼女許さん。

 

エマさんににらみつけられながら、

ギルドマスターの部屋にて座る俺とレンとエマさん。

 

レンはすりすりと体をこすりつけてくるわ、

エマさんはにこにこと笑いながらも、

手に持ったグラスにひびが入っているわ、

マジで生きた心地がしない。

 

 

これも誰かの陰謀かと揶揄するが、

そんなことを考えている場合ではなかった。

 

とりあえず、んー、と口をすぼめて無理やり迫ってくるアホレンを押しのけながら、

エマさんと会話することにした。

 

「こいつはレン。腐れ縁です。」

「・・・よろしく。夫がお世話「腐れ縁です」・・・これが、倦怠期・・・?」

「へ、へー・・・そうなんですか・・・。」

ひくひく、と頬がひきつっているエマさん。

そして、背後には鬼が見えるほどの気迫。

クッソ怖い。

 

「・・・・・婚約の儀を、結んだのに・・・。」

ぎゅ、と先ほどまでと打って変わり、

瞳孔が開き、牙をむき出しにしながら俺の腕を痛くなるほど掴んでくるレン。

あの集落で、遠くに逃げるまでの時間稼ぎのためとはいえ、

俺はこいつを婚約した形になっている。

しかし、それはあくまでまだ、"婚約"であり、解消は可能だ。

結婚の予約をしただけであり、こいつにもさっさと他のオスをあてがってしまえば問題ない。

 

 

知り合いにイケメン、高収入のやつらが何人かいたのでそいつらと酒の席を設けさせて、肉体関係を結ばせれば情が移り、いけるはず。

 

隣にいるレンの耳元にそっとささやく。

 

「・・・レン。(俺がこれから紹介するイケメンの)妻になるんなら、

黙ってついてこい。」

「・・・・!!?」

ぴん、と耳と尻尾が直線状に立ち、顔が赤くなる。

・・・・・え?なんだその反応。

普通は気持ちわる、とか言って本音を晒す場面だろ・・・?

ま、まあいい。

 

 

レンの反応は気にかかったが落ち着かせることはできたので、

これでエマさんと落ち着いて話が――。

 

 

「・・・・・・・・・・・。」

―――なんか、親指を噛みながらむっちゃ独り言をつぶやいている。

声がいつもの明るい感じではなく、機械的で、冷たい状態である。

出会った時ばかりによく見たモードだ。

 

このままでは背中にしょっている大剣でぶったぎられかねないので、

彼女も落ち着かせなければならない。

 

「エマさん。」

「・・・・・・・なんでこんな獣人が??私の方が先だったのに。運命なのに。カネツグ様を愛しているのは、愛されているのは私だけなのに・・・・。よし、コロス。」

あれ?

 

それまで何やら独り言をつぶやいていた彼女が、

すっくと直立に立ち上がり、背中の大剣に手を掛けようとする。

 

・・・・・・・・・・・・・え?

あれ?え?待って?なんで抜こうとしてるんですか?

 

(・・・・ほ、呆けている場合じゃねえ!!!)

 

隣でいまだに顔を紅くしながら何かつぶやいているレンを振り払い、

エマさんの両腕を掴む。

 

「離してください!!これは、(カネツグ様と私の愛を)守るために必要なことなんです!!」

「(ギルドの風紀を)守るためなのはわかります!!!けど、さすがに剣を抜くのはまずいですって!!!」

 

これでも、それなりに鍛えているのでか弱い女子位抑えられる。

 

 

そんな自負、自尊心も高レベル冒険者でもあるエマさんの膂力により、

粉みじんと化すことも知らずに。

 

 

ふわ、という浮遊感がいきなり体を包む。

 

 

(・・・・・え)

 

二度見した。思わず二度見した。

彼女は、片腕で70kgはある俺の体を持ち上げた。

 

「カネツグさん!!そ、そんな!!腕を掴むなんて・・・!!(イっちゃいますから)ダメですううう!!」

「おわあああああ!!!」

 

彼女が落ち着くまで、俺はぶんぶん、とエマさんに文字通り振り回される羽目になるのだった。

 

 

 

 

「」

「・・・・・・・・・・おー。疲れてやがんなぁ」

「だな。」

 

酒場にて。

家に帰る前に一杯飲みたくなったので酔ったら顔なじみを発見。

ちょうどいいので酔いどれることにした。

 

疲れた

 

誰か俺を癒してくれ

 

 

「ギルドで人気ナンバーワンのエマさんと、見知らぬ獣人の美少女とで痴話げんかしてたんだって?」

「モテモテじゃねーか!!死ね!!」

「うるせぇえええ!!てめえが死ねやあああ!!」

「ぎゃああああ!!」

いつものからかいも今は受け流す気力もなく、

ブちぎれて嫉妬してきた方の奴にヘッドロックを掛ける。

 

頸動脈は苦しいだろぉ!!?あああん??!

 

「ぎ、ぎぶ・・・。」

「そこまでにしとけ。」

「・・・・。」

「し、死ぬかと思った・・・。」

「こっちは頭がいてーんだよ・・・・。糞が・・・。」

「・・・まじで重症だな。こりゃ。」

 

はあ・・・とため息が漏れる。

なんか最近色々とおかしい気がする。

 

昔から俺がためている金を狙ってか、美人局か近づいてくる女は多かったが、

ここ最近はさらにひどい。

 

さっさと他の男のもとに行けばいいのによ。

 

・・・・あ、そういえば手持ち・・・。

 

クエストを受けることができなかったので手持ちが心もとないことを思い出し、

財布を取り出すも、中は空っからだった。

 

「・・・・・・・・おい、お前ら。」

「あー。そろそろ帰っかな・・。明日、受けるクエストがあっから、またな。

元気出せよー。」

「またなー。」

「・・・」

 

金かしてくれね?

そう言おうと思った矢先、二人は切り上げてさっさと帰ってしまった。

 

財布の中を再度見る。

しかし、相変わらず何もない。

 

(・・・・・詰んだ??俺の人生、詰んだ!!?)

 

マズイ。

無銭飲食が発覚したら、信用を失って、

明日からギルドで仕事をあっせんしてもらえなくなる。

つまり、死ぬ。

 

シャロからはゴミを見るような目で蔑まれるだろうし、

二度とこの町で表を歩くこともできなくなるだろう。

 

だらだらだら、と汗が流れる。

というか、酒場のマスターにぶっ殺されりゅ・・・。

 

「・・・・・・・あ、あの。」

 

どうする?どうする!!?

シャ、シャロに伝えて金を持ってきてもら・・・どうやって???

ここから出れなきゃ連絡の取りようがねーじゃねえか!!?

 

「・・・あの。」

 

ど、どうする?

最悪、何か金目になりそうなものを人質として置いていって、

それから金を取りに行かせもらうか・・・?!!

 

ああああ!!でも、"日輪"くらいしかねええええ!!?

というか金ないのはこれ買ったのが原因じゃねえかああああ!!!!

質に入れたとレテに知られればレベル70のフィジカルでぼこぼこにされるううううう!!!!

 

「・・・・あのっ!!!」

「おひょっぷ!!?」

 

耳元で突然大声で叫ばれ、変な声が漏れてしまう。

な、なんだ??

何が起こった!??

きんきんなる左耳を手で押さえながら声のした方を見ると、

そこには、谷間があった。

 

 

Oh・・・・・。桃源郷・・・。

 

「カネツグさん。どうされたんですか??」

「フィ、フィーネちゃんか・・・。」

 

と思ったら知り合いだった。

子供の頃から知っている子供の体つきに興奮していたことを自覚し、

罪悪感に胃が痛みだした。

気まずい・・・・。

 

というか、金がないことがバレたらマズイ。

ここはごまかすことにした。

 

「な、何でもない!!だいじょうびゅ!!」

「・・・・・・・・あの、そうは見えないんですが。」

 

だよなあああ!!!

俺だってこんな挙動不審な奴がいたら怪しむわ!!

とりあえず、会話を適当なところで切り上げて・・・。

 

 

その時、ぱさり、と俺が膝の上に乗せていたそれが落ちてしまった。

 

「あ。」

「え?」

 

――中が空っぽの財布が、ふたが開いた状態で地面にぽとりと落下した。

 

 

 

 

 

 




フィーネちゃん
ピンク髪、ツインテール爆乳のウェイトレス。
主人公は酒場のマスターに世話になっており、
そのマスターが引き取った養女。
もとは戦災孤児。
泣きもしない、笑いもしない、怒りさえもしない彼女に対して、
マスターは"あいつだったら何とかすんだろ"と無理やり引っ張り、
フィーネの家庭教師にさせる。

カネツグはマスターに調理や仕入れの仕事について教わった恩があるため断れず、
彼女の面倒を見ることに。
子供ならば、さすがに俺のことをだましたりする確率は低いよな?という打算により、
その仕事に対して全力を出すことに。

結果。
ウェイターの仕事、調理の仕事、仕入れ、販売の仕事をこなせるようになった彼女は、酒場の人気嬢として、街でもかなり有名な人物となる。
16歳とは思えないグラマラスなボディー。
まだ中学生に見えるロリコ●歓喜の童顔によって、いろんな男から言い寄られている。
しかし、まだ彼氏はいない。

時折、木製のおもちゃの指輪を左の薬指にはめていることを、なぜかと聞かれると、ただ、うれしそうに微笑み"内緒です"と意味深に返す。

マスターには、近々紹介したい人がいます、と結婚式の準備を進めているとか。



ちなみに、その正体は淫魔、サキュバスと人間のハーフ。

自分の感情を取り戻させるために四苦八苦していた、
年上の兄のような存在は、いつしか彼女にとって、
別の存在となっていった。

貴族から妾になる提案がされているほどの美貌でもあり、
また、カネツグの前では決して出さないが、
カネツグのことを傷つける、不利益をもたらすチンピラや貴族たちを、
調略によって謀殺してきた。

レテ、レン、シャロたちとは違うベクトルのやべーやつその4。


感想が草。


そうなるよなと。

ちなみに、カネツグがレンと婚約の儀で言ったことは、
某英●のような、"ニュアンス次第によって、どうとでも受け取れる言葉"なので、
嘘はついてはいない。


ただし、レンはストレートな性格のため、
ごまかしが一切聞かない。
シャロと同じく万年発情期のため、
そろそろ国外逃亡しないと核爆発()が起きる可能性がある。

ときめきメモリア●の主人公並みの爆弾解体スキルがあればへーき


感想、くれ


れれれのれ


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~【幕間】彼ら、彼女たちから見た、カネツグの評判~その1

こんにちはこそば
KEY(ドM)と申します。


久しぶりの投稿


引っ越しがやっと終わったの(白目)

最近友達(女装子)が来ることになり、
気分がいいので初投稿です(強調)

おいらの部屋で一緒にお昼寝しゅるんだ・・・・

今回は、結構感想で言われていた、周りから見たカネツグの評判に関して

それでは、ご覧ください(KBTIT)

KEY(ドM)


同業者の冒険者たちの場合

 

「・・・・あ?カネツグのことが知りたいって?」

「あー。あいつね。・・・この街で、知らないやつはいないんじゃねーかなー。」

 

新聞の記者に対して、酒場で管を巻いている二人は、

テーブルに持っていたジョッキをどん、と音を立てて起き、

酒臭い息を吐きながら語りだす。

 

「一言で言うなら、"黒子"だな。」

「ああ。アルバーツ連邦でいうところの"忍者"みたいな感じ?」

「別にこれといって、戦力があるわけでも、顔がいいわけでも特にないんだけど・・・。」

 

片方の男は腕を組み、もう片方は顎に手をやり、

すりすりと擦る。

 

「なんというか、"パーティー"や"組織"には絶対欲しくなる人材だな。」

「悪く言えば器用貧乏、良く言えば、器用万能ってところか?」

「何より、あいつ、腐らずに15年間も最低レベルのまま、依頼をこなしつづけてっからなー。」

「普通、そんな状態だったら自暴自棄になると思うぜ?」

「・・・あいつに、昔助けられたってやつらも多いしな。」

 

ちらり、と彼らが目をやると、そこには今はリア大陸では有名となった、

一流の冒険者たちが明日のクエストについて計画を練っている姿が見えた。

本来であるならば、もっと大きな街で、もっとレベルが上のクエストを受けるような人物たちである。

 

「・・・・なんで、あいつら一流の冒険者がここにまだ残ってるか、疑問って顔だな?」

「簡単なこったよ。・・・・・・・どうしても、欲しいやつがいるってことさ。」

 

神妙にうなずき、彼らに礼を告げ席をたった。

 

「あ?もういいのか?」

「みたいだな。・・・・あと、気をつけろよ。

あんたみたいなきれい所がこんな場所に装備もつけずにいると、

襲われちまうぜ?」

 

彼らから背中こしに投げかけられた言葉を受け、

そのまま出口まで向かう。

 

 

途中、桃髪色のツインテールヘアーの美少女とすれ違い、

ぶつかりそうになるも、体をスッと横にずらして躱す。

 

 

「お!!?フィーネちゃんじゃねえか!!」

「我らの女神さまのご出勤だあああ!!」

「や、やめてください・・・。はずかしいですぅ・・。」

 

彼女が酒場に入った途端、わっとそれまで以上の盛り上がりを見せる。

どうやら、ここで人気の人物らしい。

 

・・・・そういえば、彼女の顔を昔、どこかで見たことがあるような気もするが・・・・。

まあ、気のせいだろう。

 

 

喧騒冷めぬまま、酒場を後にするのだった。

 

 

 

彼に昔助けられた人の場合 (匿名Eさん)

 

「あの人、ですか?」

「はい。この街に来た時から、ずっとお世話になっています。」

「まだ、ただの子供だった私に、生きる術を教えてくれた人です。」

「彼よりも強い人はいます。」

「彼よりも賢い人もいます。」

「彼よりも裕福な人もいます。」

「でも、カネツグ様以上に、私を助けて、救ってくださった方はいません。」

「ただのみすぼらしい子供だった私を、見捨てず、結局のところ独り立ちするまでずっとずっと、カネツグ様は守ってくださったんです。」

「そんなことができますか?」

「自分の食事さえ、まともに食べられていない状況で、他の人に施すなど。」

「だから、他の誰がカネツグ様のことを笑おうと。」

「あざけり、レベル1の弱者と罵ろうとも。」

「私は、・・・・私だけがあの方の味方なのです。」

「一番なのです。」

「伴侶なのです。妻なのです。母なのです。半身なのです。

離れてはならない、月と太陽なのです。夫婦なのです。

------」

【以下、匿名Eさんが発狂し始めたため、検閲】

 

 

 

とあるロイヤルな冒険者の場合(E様)

 

 

「カネツグ様のことですか??!!」

「はい!!よく知っております!!」

「ええ!!ええ!!あなたはわかっておりますね!!」

「ギルドのランクがいまだにカッパーで、低くても!!」

「レベルが1からあがらなくっても!!」

「そんなの関係ありません!!」

「今でも私は覚えております!!」

「男どもに乱暴をされそうになった私を、身を挺して庇ってくださったあの方の背中を!!」

「冒険者になったのも、カネツグ様を追ってのことです!!」

「彼はほかの男とは違う!!違うんです!!」

「体目当てで甘い言葉を投げてくることもなく、

セクハラをしてくることもない!!」

「聞いたところによると、15年間もレベルがあがらなくっても、

仕事に取り組み続けているという熱意!!」

「ああ・・・・!!全くもって素晴らしいです・・・!!」

 

【以下、数時間ほど同じような話のループ】

 

 

???の場合

 

『・・・死ぬはずだった。』

『勇者に討たれ、血を流し、倒れる私。』

『自分の体から流れる血を見て、思った。』

『"ああ、死ぬんだ"と。』

『だから、諦めていた。』

『永い生に・・・疲れてもいたから。』

『・・・そんな時。』

『彼が、やってきた。』

『・・・やってきたの。』

『白馬の王子様。』

『・・・そんなかっこいいものでもないけど。』

『ウォルフに喰われるところを、あの人は。』

『レべル1で戦えるはずもないのに、あの人は。』

『・・・助けて、くれた。』

『震える手で、剣を必死に振るって。』

『ウォルフの牙や爪で、体のあちこちを傷つけられても。』

『絶対に私を見捨てることはせず。』

『・・・・助けてくれたの。』

『ウォルフの返り血と、自分の体から流れる血が合わさって、

真っ赤なトマトみたいに全身を汚しながらも。』

『振り返って。』

『・・・私をお姫様抱っこしてくれたの。』

『その時思ったの。』

『・・・ああ。』

『欲しい。』

『こんな弱くて、脆くて、不細工で、情けないこの人が。』

『・・・・ずっとずっと、私だけのものになればって。』

『・・・うん。・・・好き。』

『・・・好き。』

『・・・・・大好き・・・・。』

『死んでもいい・・・。』

『カネツグと一緒に、心中したいくらい・・・。』

 

 

 

 

~とある学園にて~

 

「・・・・・・・。」

「?ルビー?何を見てるの?」

「いや、なあに。留学生制度で他校に行った知り合いがな。

記事の文章にするといって送ってきた草案をな。」

「えーと、何々・・・。

・・・・"ギルドの超ベテラン冒険者、カネツグの噂"・・・?」

 

彼女が見せてくれた記事には、どうしてかひどく親近感を覚える青年が写った写真と、彼の評判を記載した文章が書かれていた。

 

そして、彼の真横に並べられている、目隠しされているがどうもヤヴァイ気配のする女性の写真。

 

それも一つや二つではない。

複数人いる。

 

・・・いるのである。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「素晴らしいな。いや、まったくもって素晴らしい。・・・ん?エド、どうした??」

「ソウダネ・・・。」

楽しそうにそういう彼女に生返事で答える。

確かに、素晴らしいね・・・・。うん・・・・。

頑張って生きてくれ・・・・。カネツグさん・・・・。

 

 

「・・・・おっと。そういえば、今日のエド分を補充していないな。」

「え。」

「・・・・・♡♡」

 

目の前が真っ暗になったかと思うと、急に柔らかな感触が顔いっぱいに広がる。

鼻をつく、甘い香り。女性の匂いだ。

 

「どーだ。今日はいつもの軍服の下に、水着を着てるんだぞ?♡

・・・・一緒にお風呂に入りながら、愛せるようにとな♡♡」

「・・・・き、昨日5回したので・・・・・。」

「は???」

「」

 

ずるずる、と彼女にベッドまで引きずられながら思う。

 

-----自分は、どこで選択肢を間違えたんだっけな・・・。

 

自分と同じような雰囲気のするカネツグという人物に、

十字を切った。せめて、俺と同じ境遇の人が減りますように、と。

 

 

----一晩中、ルビーと、そして途中から乱入してきた他の女性たちに貪られるのだった。

 

 

 

 

 

 




新聞記者

とある帝国の学院に居た学生。
留学生制度で他の学園に在籍中。

そこそこ強く、そこそこ賢い。

もう一つの同じ世界観の小説にも、ちょくちょく出てくる。

とある青年と、ルビーと呼ばれていたとある美女
あれー?おかしいね、知らない人たちが出てきたね(すっとぼけ)


ちなみに、リーダス帝国のギルドマスター、ジーノ・ナッツと、
カネツグが在籍しているギルドのマスターは元同級生。



久しぶりの投稿で、ほぼイきかけました(昇天)


インタビュアーが誰が誰かは

感想、くれ

マジでくれ

KEY(ドM)


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女子からお金を借りるというのは、男にとって、これ以上なく情けなく感じることです()~キニシナクテモイインデスヨ?(ねっとり)~

こんにちはんこそば
KEY(ドS)と申します。


この作品、あんま更新していないのに、
相変わらず伸びっぷりがやばくって草

なんで?(疑問)



それでは、ご覧ください


KEY(ドS)


 

問題です。

 

 

所持金0のまま、怖いマスターがいる酒場で無銭飲食をしてしまった俺は、

一体この後どうなるでしょう?

 

 

A.シャロが金を持ってきてくれるが、

この後、めちゃくちゃ罵詈雑言を浴びせられ、

精神的に死ぬ

B.ツケで何とかできるも、割増料金で、

借金せざるを得なくなる

C.助けは来ない。死ぬ

 

明るい未来が全く思い浮かばず、

体から血の気がサーと引いていく。

 

気のせいか、ぽたりと自分の頬から汗が滴り、

テーブルの上に落ちた。

 

(あばばばあabababababa)

 

 

ここのマスターには昔お世話になって、

どうしても頭が上がらない。

 

しかも、不義理、犯罪を絶対に許さない人だ。

 

前に、飲食代を踏み倒そうとしたチンピラ数名を、

目の前で顔が腫れ上がるまで殴り、

路上に討ち捨てたところを見たことがある。

 

常々、この人だけは怒らせたらまずいと

思っているのに。

 

中身のない財布を落としたばかりか、

それをフィーネちゃんに見られてしまった。

 

すっ、と身を中腰にかがめ、

俺のすっからかんの財布を拾う彼女。

 

 

(終わった・・・・。

・・せめて・・・死ぬなら腹いっぱい高級品食べてから死にたかった・・・。)

 

両手で顔を覆う。

こんなことならもっと金を持ち歩いていたほうがよかった、

と震えていると、ぽすり、と重さを感じさせる音を立てて、

俺の財布がテーブルの上に置かれた。

 

 

(・・・・・・え?)

 

 

しかし、しかしだ。

中身は入っていないはず。

 

そーっと両手で黒革の財布を開いてみると、

そこには、俺が食べた食事分の硬貨が入っていた。

 

 

はっと彼女のほうを振り返ると、

片眼をウィンクして、にこりと微笑んできた。

 

 

(フィ、フィーネちゃああああああん!!!)

 

 

なんという天使。

なんという女神。

 

昔から優しい子であることは知っていたが、

マジでいい子過ぎる。

ヤバい、ロリコンじゃないけどくらっといきそうである。

というか、もう半分落ちたわ、これ。

 

フィーネ大明神の前で小さく両手で合掌し、

何度も何度も、頭を小刻みに下げ、拝み倒す。

 

 

(ありがとうございます!!ありがとうございます!!

・・・これで、マスターとシャロに殺されなくって済みます!!!)

(えへへ・・・・。次からは、気を付けてくださいね?)

 

すれ違う瞬間、耳元で彼女が優しくそうささやき、

次来るときは、もっと高いもん頼んで、

彼女の給料に貢献しようと考えるのだった。

 

 

 

 

これはチャンスだ。

そう、チャンス。

 

カネツグの財布の中身を偶然覗き見た私が最初に考えたのは、

まず、それだった。

 

(顔が一目見てわかるほど、血の気が引いていっている。

・・・・ああ、可愛そうに・・・。

私が癒してあげたぁい・・・・♡)

 

思わず、抱き着きそうになるのをぐっと体に力を入れてこらえ、

次に、思考を張り巡らせる。

 

(おそらく、本当に今、手持ちがない可能性が高い。

・・・ほかにお金を持っているなら、こんなに慌てないはず。)

 

何百、何千とカネツグの表情を観察し、

一目見ただけで何を考えているかわかるようになったフィーネは、

舌でちろりと唇を舐め、熱く息を漏らす。

 

(・・・駄目ね。これだけじゃカネツグ様の人生をもらうには、

全くカードととして足りない。・・・・ここは、恩を売って、

心証を良くする方が合理的。)

 

身をかがめて、彼の財布を右手で拾う。

もちろん、胸がちゃんと揺れて、彼が興奮するようわざとゆっくり。

感じる。

 

みだらな視線を。

他の男ならともかく、それをしてくれているのは、彼だ。

 

 

(んんぅ・・・♡だめぇっ・・・♡)

 

 

ぶるり、と軽く達してしまった。

ああ、これ以上は限界だ。

 

本当に名残惜しい。

残念だ。

 

もっと視姦されていたいし、

何なら今すぐ、二人でベッドでくんずほぐれつなんていい・・・。

 

 

でも、それをするには、現状まだ早すぎた。

 

 

くちゅり、と下着が湿った音を立てたのを感じる。

 

(もどかしい・・・・♡♡ああ・・・カネツグ様ぁ・・・♡♡)

 

震える右手で、自分のポケットから硬貨をそっと取り出し、

彼の財布の中に入れておく。

 

この場はまだ、まだ。

まだお預け。そう、オアズケ。

 

テーブルの上に置き、ぼそりとささやく。

 

彼が一番気楽でいられる言葉を。

 

 

・・・・・・・メスの匂いが彼からほのかにする。

 

 

(・・・・・・・・・。)

 

それまで感じていた幸福感がすー、と後を引き、

完全に消えていく。

 

 

 

(・・・・・・・・さない。)

 

にこにこ、と笑顔を酒場の客に振りまくことを忘れないようにしながら、

体の中に渦巻く情念を抑える。

 

 

(・・・・許さない・・・。)

 

 

彼に触れていいのは私だけだ。

私に触れていいのは彼だけだ。

 

勘違いしている輩が多すぎる。

さっさと、彼を保護しなければ・・・。

 

 

しかし、今はまだ、まだ我慢だ。

 

 

(・・・・うふふふふ・・・・♡♡カネツグ様ぁ・・・♡♡)

 

とある光景を頭の中に浮かべる。

 

小さな教会。

タキシードと、ウェディングドレスをそれぞれ着用し、

愛の言葉を紡ぐ私たち。

 

子供が生まれた。

女の子と男の子だ。

彼は、私が無事に子供を産めたことを、

心から喜んでくれている。

 

時は過ぎ、子供たちが学校に行くようになった。

 

 

 

これで、カネツグ様との時間が増える。

ほぼ、二人っきりだ。

ベッドに生き、彼とまぐわう。

 

 

場面がまた変わる。

子供たちが独り立ちし、

家を出ていった。

 

少しだけ寂しいが、

私とカネツグ様だけとなった。

さあ、お祝いだ。

少なくとも1か月間は彼を家から出さず、

保護しないと。

目いっぱいマーキングしておくのだ。

 

 

 

頭の中を、幸せな情景が駆け巡っていく。

 

何度も何度も。

結ばれて、二人が死んで墓の中に行く場面を、

何度もループさせ続ける。

 

魔力で加速させた思考ならば、1日に1度、

カネツグ様と一生を過ごす疑似体験ができる。

 

(・・・ふふふふ・・・・♡♡・・・・待ち遠しいなぁ・・・・♡♡)

 

 

今日も私は外堀を掘り続ける。

いずれ必ず来る、幸せな未来を確信して。






こいつが一番やばい気がする

補足

フィーネはサキュバスの血を引いているから、
他の生物が持っているエネルギーをこっそり盗める。

それを、何年もやっているため、相当強い
(※レベルでいうと、100近く)

そこから得たエネルギーを魔力として使い、
自分の思考力を速めている。


その結果、カネツグとの疑似結婚生活を何度も何度も堪能し、
想像した世界の中で、まぐあいまくっている。

それをやりすぎたせいで、半分は現実の世界で起こったことだと
誤認している。

ようは、愛のせいで狂い始めてるけど、
愛のおかげで、何とか踏みとどまっている状態。

カネツグが、他の女性と肉体関係を持っていることを知ってから、
嫉妬と憎悪で狂い始めている。

カネツグのことが好きな気持ちは本物なので、
猶更ヤヴァイ。

子供はいてもいなくてもいいけど、
男の子が生まれたらからかい倒して愛でて、
女の子が生まれたら、ライバル認定する模様。

カネツグ君!!ほっとしている場合じゃないぞ、カネツグ君!!



これも全部、読者のせいなんだ(真顔)

KEY(ドS)


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クール爆乳無表情ヤンデレメイド、シャロの一日~お前・・・・お前・・・(畏怖)~

こんにちはこそば
KEY(ドS)と申します


読者から要望のあった、
シャロの一日を書いていくゾ

それでは、ご覧ください(KBTIT)


KEY(ドS)


---私の朝は早い。

 

ご主人様が目を覚ます1時間前にはいつものメイド服を着て、

すでに家の前を箒で掃いて掃除している。

・・・ふむ。これならご主人様があるくにふさわしい道です。

 

花に水をやり、朝食を火魔法で焼いて作っていると、

ようやくねぼすけが目を覚ます。

 

「・・・・おはよう。シャロ。・・・あああ、まだねみー・・・。」

「・・・・・・・おはようございます。ご主人様。

いつにもましてさえない顔ですね。」

「ほっとけ!!」

 

ったくよー、と悪態をつきながらも、

私の箸が置いてある場所の隣に座るカネツグ様。

・・・いい。

 

今日も朝からご主人様のお顔を見ることができた。

ぺろぺろしたい。というか、合体したい。

交尾して、○○して、××して、△△して・・・。

 

 

「・・おい?シャロ?聞いてんのか?」

はっ、とトリップ仕掛けていた自分自身に喝を入れるため、

尻尾で自分のお尻を叩く。

いけない。まだ、トリップするのは早い。

睡眠薬を夜に仕込んでからが本番だ。

 

「なんでしょうか?稼ぎも少ない癖に、

いまだに私を雇い続けている偏屈者のカネツグ様。」

「・・・うるせぇ。お前がいなくなったら、

誰が俺の面倒みるんだっつーの。」

 

 

 

・・・・あああああああああああ。

あああああああああああああああああああああああああ

あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ

 

あああああああああああああああああああああああ

ああ

 

ああ

 

あああああああああ

あああ    あ  あ  あ

ああああああああああああああああああああ

 

駄目、だめ、ダメ、駄目。

 

そんなことを言われてしまっては、

達してしまう。

 

びくん、と体を跳ねさせ、内またでがくがくと軽く震える膝。

顔が熱い。きっと、水面で自分の顔を見れば、

あまりの赤さにびっくりすることだろう。

 

・・・・どうして。どうしてこの人は私を気味わるがらないのか。

必要としてくれるのか。

・・・・・・・・・そばに、ずっとそばにいてくれるのか。

 

 

 

(・・・・好き。)

 

私の胸の中は、その感情ですぐにいっぱいになってしまう。

 

ずるい。

 

ずるいずるいずるい。

貴方を愛しているのに。

どうして、貴方はそんなにそっけなく、恥ずかしげもなくいられるのか。

こんなに恥ずかしいのに。体が熱いのに。

 

---心が、震えているのに。

 

体の表面に浮かび上がった龍の鱗。

それを必死に理性で抑える。

龍化してしまえば、最後だ。

 

「・・・・飯、ごっそさん。・・・相変わらず、腕はいいんだよな。

・・・これで、口のほうもよければなぁ。」

「・・・!!!・・・メイドですので。あくまで仕事です。」

「へいへい。それじゃあ、俺はそろそろ仕事に行ってくるわ。」

「あっ。」

「ん?」

 

いつもの麻袋を右肩にかついで、家のドアに右手を伸ばす彼に、

私は声を漏らしてしまう。

 

---言うのです。

今日こそ、今日という日こそ、シャロ。

貴方は悠久の時を生きたエンシェント・ドラゴン。

 

----行ってらっしゃいと、言うのです・・・・!!!

 

 

「あっ、その」

「・・・ああ。ちゃんとお前の給与はギルドに払っておくから安心しろ。じゃな。」

「あっ・・・。」

 

手を振って、あの人は出かけてしまった。

 

 

 

(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・また、言えなかった。・・・・・あ、カネツグ様が使っていたナイフとフォーク。・・・・おいしい・・・。)

 

 

 

 

メイドの一日は長い。

 

私にはやることがたくさんある。

 

カネツグ様に媚びを売る女を排除したり

カネツグ様を尾行したり

カネツグ様に払われる報酬金を増やすため、ギルド長に"お願い"をしたり

カネツグが昼食で使った食器を回収し、コレクションに加えたり

カネツグ様を傷つけたモンスターを圧殺したり

 

そうして迎えた夕方。

モンスターを討伐して、ぼろぼろになった体をひきずり、

ギルドに戻るカネツグ様の後姿を見る。

 

 

・・・・はあああ・・・・。

思わずイってしまった。

 

 

なんだあの後姿は。

好き。

 

襲ってくれと言わんばかりの無防備ではないでしょうか。

好き。

 

 

・・・私に命じてくれば、世界だって滅ぼして見せるのに・・・。

 

彼は、よくも悪くも私を一人の完璧すぎるほど有能なメイドとしか見ていない。

 

 

・・・それが、悔しくもあり、嬉しくもある。

 

 

ふらふら、と彼が歩くたび、待ちゆく人々が彼に声をかける。

 

 

「カネツグーーー!!新しいポーション原価で売ってやっからまた来いよー!!」

「カネツグさん!!この前のクエストではお世話になりました!!ありがとうございます!!」

「カネツグ様!!父と母が晩餐会に招待したいと言っておりまして・・・。」

 

最後のやつは許さない。

絶対に。

 

 

夜。

 

疲れた彼と一緒に夕飯を摂りました。

 

なんだかんだ言いながらも、私の料理を毎回完食してくださるとは、

全く、プロポーズをそう何度もしないでほしいものです。

私たちは、すでに夫婦なのですから。

 

 

「くあああ・・・。ねる。おやすみー。」

「はい。おやすみなさい。」

 

そう言って、自室に戻る彼を見送る。

十分ほどして、彼の部屋のドアをそーっと開ける。

 

すう、すう、と寝息を立てながら彼がベッドで

横たわっているのが見える。

 

 

「・・・・我慢の、限界、です・・・♡」

 

うっとおしい衣服をすべて脱ぎ捨て、裸になる。

ああ

 

ああああ

 

 

あああああああああああ

 

 

ああ あ  ア  あ  あ

 

 

我慢した

 

我慢しました

 

いっぱいいっぱい今日も我慢しました

 

貴方を襲わないように

 

貴方を傷つけないように

 

貴方が寝るまで、ちゃんと私、"待て"ができました

 

 

だから、もう、イイデスヨネ・・・

 

 

 

 

「なんか、体がだるいんだよなぁ」

「・・・気のせいでしょう。」

 

よく朝、あくびをこらえながらうつらうつらと頭を揺らしながら、

考え事をする彼の顔を見て、今日は昨日の3倍愛し合おうと

思うのでした

 





シャロって、レベル高いし、絶倫なドラゴンだから体力もやばいんだよなぁ・・・

これでも全然セーブしているゾ


シャロはマジモンのヤンデレ、それも王道なヤンデレだから普通にやばい

読者の感想から、こんなのが生まれてしまった

つまり、読者が悪い()


感想くれ


れれれのれ


KEY(ドS)


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いい夢を見ていました(震え声)~水面下の競争~

こんにちはこそば
KEY(ドS)と申します

この作品、あんま投稿していないのに反響が凄いので
また投稿です(半ギレ)

なんで伸びてほしい作品が伸びないんですか(逆ギレ)

今回は、主にギルドでの光景

それでは、ご覧ください(KBTIT)

KEY(ドS)


 

(あー・・だり。)

 

重く、鉛のように動きの遅い体。

足を交互に動かし、地をけって進む。

だが、力はあまり出ない。

 

先日実施した害獣駆除のクエストにて、

体力を消耗したためである。

すでにおっさんの自分には、

何かと体力が削られやすい。

 

 

シャロも今回ばかりは俺を気遣ってか、

悪態をつくこともなかった。

 

いつもの木製の扉を開き、中に入ると、

耳に人々の喧騒の声が聴こえてきた。

 

すでに依頼を受けるために、

受付には長蛇の列ができていた。

 

掲示板のほうに貼られている張り紙も、

そんなに数はなかった。

 

(出遅れちまったか。しゃあない、何か適当なもんでも・・・ん?)

 

余り物の依頼を見ようと、張り紙に目を通す。

 

 

『----ギルドからの公式依頼:冒険者を目指すものへの教導をお願いしたく存じます。募集資格としては、犯罪歴無し、ギルドから10年以上仕事を受け続け、300件以上のクエストを成功させた方のみとなります。報酬金は金貨100枚+出来高制となります。』

 

「・・・・・・・・・。」

 

----もう一度目を通す。

ああ、確かにそれは幻じゃあない。

 

美味しい仕事だと言える。

金貨100枚と言えば、100万円相当だ。

これだけあれば、3,4か月は働かなくても大丈夫だ。

 

しかし、どうも募集資格がシビアすぎる気がする。

確かに金貨100枚なら大金だと思うが、

10年以上もギルドからの依頼をこなしていけば、

毎月数百枚は稼げるはずだ。

レベルでいえば、20あたりが一流のラインである。

Cランクモンスターを倒せば、一体につき金貨数十枚。

一流の冒険者ならば倒せる。

 

それを考えると、いつまで拘束されるかもわからない、

こんなクエストに行くはずもない。

 

そう、俺みたいなレベル1で、ずっとうだつのあがらないやつでもない限りは---。

 

 

「・・・・・・・・。」

 

すぐ隣にある、薬草集めについての張り紙を手に取り、

受付まで向かうのだった。

 

 

 

(・・・・ああああ!!なんで!!?なんでそっちなんですかあああ!!?)

 

ギルドの受付嬢こと、"百花繚乱"エマは意中の人物の行動に、

内心叫びっぱなしであった。

 

 

「エマさん。このクエスト受けるので、同意書を。」

「はーい。」

 

それでも、笑顔を崩さないあたり、彼女は本物のプロであった。

心のうちは、平静どころか嵐真っただ中だが。

 

(もーー!!!そのクエスト、貴方のために取ってきたんですよ!!

早くそのクエスト受けて、たくさんお金稼いじゃってくださいよ!!)

 

「こちらが同意書です。」

「どうも。」

 

彼が同意書に目を落とした瞬間、エマは何とも言えない、

ぐぬぬぬ、というちょっと悔しそうに唇をかみながら、

苦悶の表情を浮かべる。

 

彼女は、カネツグしかできないような仕事をわざわざ作り、

高報酬の依頼を取ってきたのだった。

 

「それじゃあ、行ってきます。」

「はい、行ってらっしゃい。」

(あああああ!!!カネツグ様あああ!!!そんなところも大好きでええええす!!!)

 

カネツグのある意味ブレなさに、股をぐっしょりと濡らしながら、

彼女は妻として見送るのだった。

 

 

 

「ああ。こいつだな。」

「・・・・・・。」

「えーと、次はこいつっと。」

「・・・・・・・。」

「・・・・おい。」

「・・・・・・・・。」

 

むふー、と鼻息を荒くし、中腰で薬草を採取するカネツグの背中に抱き着く少女。

紫色のストレートに降ろされた長髪。

目は紅く、服装は黒色のゴスロリ。

まず、間違いなく美少女である少女、いや、モンスター。

アリスは彼の背中に抱き着き、ふんす、ふんすと堪能をしていた。

 

「仕事中だ、引っ付くんじゃねぇよ。」

「・・・・・ちょっとくらい。」

「おら、どけ。」

 

アリスの上目遣いも気にせず、彼女の首根っこをつかんだカネツグは、

近くにあった木にぽい、と捨てた。

 

そして、すぐまた薬草探しに戻る。

 

アリスは、そんな彼の背中をじっと見つめている。

 

「・・・お、あったあった。良かった。

季節的にはあんま摂れない時期だと思ったが・・・ついてるぜ。」

「・・・・・ねえ。」

「・・・・ああ?」

 

仕事の邪魔を再びされ、眉間に眉を寄せながら、

彼はアリスのほうを向いた。

 

「そんなちまちまとした仕事をカネツグがする必要ない。

・・・私が、ドラゴンでもなんでも殺して、

それを売れば問題ない。」

「・・・・・・。」

 

そう無い胸を張って断言するアリスを、

はあ、とため息をついて視線を切った彼は、

再び薬草を袋に詰め始めた。

 

「・・・ねえ。」

「・・・・おらっ」

「あうっ」

 

しつこいアリスの元まで歩き、

頭にチョップが振り下ろされた。

 

痛くはないが、突然の出来事に彼女は目を丸くしてきょとんとした顔をする。

 

「バーカ。俺は俺の力で何とかする。

ガキがマセたことを言ってんじゃねーよ。」

「・・・私と一緒にいれば、何でもあげる。お金も、

名声も、力も、何でも・・・・。」

「お前からもらいたいと思うものなんてねーよ。

(ガキだしな)」

「・・・!!」

(え?なんでこいつこんな驚いた顔してんだ???)

 

ががーん、という表情を浮かべるアリスに、

若干引いた感じで、ずず、と距離をとるカネツグ。

彼からすれば意味が分からないが、

アリスにとってはもっと意味が分からない状況であった。

 

(???・・・なんで???私がいれば、私だけいればそれでいいのに。

なぜ、何も求めないの??なぜ??なぜ???)

 

想い人に袖にされた(と思っている)アリスは、

首を傾げる。

メスに貢いでもらって、気を良くしないオスはいない。

本能的にそう考え、実行した彼女は間違っていない。

 

ただ、自身の見た目から、カネツグにとってどのように扱われているか、

全くわかっていなかった。

 

「・・・ほれ。」

「・・・あ。」

わっし、わっしと右手で頭をアリスは撫でられた。

繊細に整えられた髪が若干崩れてしまったが、

彼女はぽーっとした顔つきで、乾パンを自身に差し出す

笑顔のカネツグの顔を見やる。

 

「腹減ってんだろ?食え。・・・薬草は集め終わった。

後は、ゆっくり寝て、ぐーたらすっか。

・・・あー、疲れた。」

「・・・・・・。」

彼女は、美少女だ。

その上、クイーン・ヴァンパイアという、

化け物の中の化け物である。

どのような怪物も、彼女の前では赤子同然。

ゆえに、カネツグもその気になれば即死されられる。

 

舐めた態度をとった弱小生物を強者が生かす道理はない。

 

 

----しかし

 

 

「・・・・カネツグ。腕枕して。」

「ああ??・・・ち、しょーがねーな。・・・おらよ。」

彼女は甘えることにした。

肉体関係を夜な夜な持つことにより、

精神的なつながりを強めていたが、

それだけでなく、更に責めることにしたのだ。

 

 

(・・・やっぱり、貴方はバカ。・・・バカ。

・・・そんなところが好き。・・・好き。大好き・・・。

ずっとずっと、一緒にいようね・・・。)

 

 

かくして、今日も彼は命拾いする。

虎と、クマと、狼と、鷹と、蛇と、猪に狙われた獲物のような

立ち位置ではあるが、奇跡的に今は"まだ"、

平穏を保っているのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「---!!?コウモリ風情が、私だけのご主人様とイチャイチャしているような気がする・・・!!」

 





ギルドに行って、こうした仕事を作っても大丈夫なのは、
エマ自体が幹部候補のキャリアウーマンであるからだけでなく、
カネツグ自体の信用度が高いため。

・冒険者の死亡率を数下げた
・自身が持つ伝手を使い、街のトラブルを解決し続ける
・15年以上もレベル1であがらないのに、まったく腐らず、
仕事をこなし続けている。

カネツグがエマからの依頼を受けた瞬間、
エマノーマルENDに突入する。

しかし、レベル1であるからこそ、
リスクをとるのに慎重になり、
怪しい依頼は一切受けない。

そのため、エマの想いは虚しく、
いまだに空ぶっている。

ちなみに、エマが一番サイコパスだから、
皆は騙されてはいけないゾ(忠告)


アリスは、大昔にヴァンパイアになって、
力をつけて頂点に立った努力家。
しかし、人間の汚い部分、
オスとメスの赤裸々、むき出しの欲望を目の当たりにして、
心を凍てつかせていた。

致命傷を勇者によって負わされて、
死にかけていた自分を救った、
はるかに弱いカネツグと出会い、価値観がだいぶ変わった。

カネツグと会ってなかったら、
アリスによって国が一つ滅んでいたゾ

その場合は、アリスBADEND
愛も知らず、最後は再び召喚された勇者に討たれ、
愛を死の間際まで求め続け、狂って死ぬという最期。

この小説では鬱はないからへーき!!(淫夢語録)

自分が貢いだものを受け取らない、
清貧なホストムーブをやっているあたり、
こいつは相当質が悪いと思う。

ちなみに、受け取らない理由は、
"自分より明らかに年下小学生くらいの子供に、
さすがに何か巻き上げようなんざ思ってない"って理由なだけ。

アリスは、
"この人は私の夫。私のすべて。私を、化け物ではなく、
1人の少女のアリスとして見てくれている。好き。いっぱいセックスしよ?"
という感情を抱いている。

ヤンデレのほうではまともだけれども、
こいつがカネツグの影に潜み、
好き勝手やっていることを忘れてはいけない(戒め)

シャロはいつも通り。
こいつホントぶれねーな(誉め言葉)

シャロのヤンデレに対して、
怯える読者に草。

カマキリみたいな恋愛をしようとしているだけだから
安心しロッテ()

感想、くれ


れれれのれ

KEY(ドS)


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とある一幕~彼がもし怪我をした場合~その1

こんにちはんこそば
KEY(ドS)と申します。

久しぶりのこれの投稿

相変わらず勢いが衰えないので最新話を執筆


それでは、ご覧ください(KBTIT)

KEY(ドS)


「いってぇ・・・。」

 

ずずず、と痛む足を引きずりながら、

獲物を右手に街へ進む。

 

害獣駆除のクエストで、獲物を狩ることには成功したものの、

後ろに回り込んでていた別モンスターの攻撃があたり、

痛手を負ってしまった。

 

幸いにして、歩くことができるだけマシだが、

これでは明日の仕事はままならないだろう。

 

左手で血のにじむ腹を抑え、

吐き気をこらえつつ、帰路を進む。

 

 

稼ぎが少なくなって、家に帰ったらシャロにいやみの一つでも

言われるだろうな、と想像したらため息が漏れた。

 

 

 

 

 

 

 

「・・・おい、聴いたか?」

「ああ。・・・あのカネツグがな。」

 

 

カネツグが暮らしているのは、人口10万人程度の街。

決して少なくはないその街にて、人々はとある噂に没頭している。

 

 

---王城にて。

 

「---姫!!いけません!!今夜は殿下と同盟国との会談があるのです!!」

「どきなさい!!!カネツグ様以上に大切なものなどありません!!!!

---カネツグ様あああああ!!!!!今、貴方のエルが向かいますわああああ!!」

とある暴走特急が、とあるしがない冒険者のもとに向かおうとしていたり。

 

 

---とある富豪の商会にて。

 

「マリー。彼がもっといい場所で休めるよう、手を回しておいた。

---あとは、わかるね?」

「はい!!!孫を必ずお見せいたします!!!」

命を救われた両親と、子を産む気満々な娘の豪商タッグが

良からぬことを企んでいたり。

 

 

---とある鍜治場にて。

 

「おーい。レテ。王宮から儀礼用剣の発注が・・・。」

「・・・カネツグ・・・・カネツグ・・・・。アタシが今、最高の防具を作ってやるからな・・・。お前が二度と傷つかないように、一生アタシの防具で包み込んでやるからな・・・・・。・・・へ・・・へへへ・・・・。」

「(・・・・・・・亡くなった家の嫁そっくりになってやがる・・・。)

不眠不休で、最恐の防具を作ろうと、

ハイライトの消えた笑みで、世界最高の鍛冶師が重すぎる愛を胸にくすぶらせていたり。

 

 

---ギルドにて。

「----はい。それでは、そのように・・・・。ああ、カネツグさんが入っている保険から彼の口座に保険金を入金するのも忘れずに。・・・・それから、私の伝手で腕のいい治療師を呼んであります。・・・・いえ、別にそういう関係では・・・。

・・・夫婦になれたらうれしいのですが・・・。・・・・ありがとうございます。

その際は、ご招待いたしますね?」

カネツグの収入が減らないよう手回ししつつ、

ちゃっかりと外堀を埋めている受付嬢がいたり。

 

----とあるモンスターの集落にて。

「それじゃ、気をつけていってくるんじゃぞ。」

「お兄ちゃんによろしくー」「いいなー。私も行きたーい。」

「・・・・みんなの分も含めて、お見舞いしてくるから大丈夫。」

「お姉ちゃん。お兄ちゃん欲しいから私にちょうだい。」

「・・・・・・・・・・・・・」

モンスターなのに、どこから噂を聞きつけたのか、

人間の街に行って、とある人物の看護をしようとしている少女がいたり。

 

 

たかだが一人の冒険者が一時的に離脱しただけで、

街中に衝撃が走った。

 

 

「・・・・・・・・。」

結局のところ、全治1か月。

より詳しく言うと、もっと早く治るだろうが、

経過観察を兼ねての日数だった。

 

街のとある静かな区画にある療養所にて、

俺はベッドでごろごろとしていた。

 

やることがなく、本を読むくらいしかない。

時たま、誰かの視線を感じることはあるものの、

しかし誰も見当たらないので気のせいだと片付けた。

 

仕方ないから、つけた記録を振り返ろうと

羊皮紙の巻物を広げていると、

こんこん、とドアがノックされる音が響く。

 

「・・・・はい?」

『カネツグ様。私です。』

 

きい、とドアが開けられると、

その先には見知った顔があった。

 

「・・シャロ?」

「・・・・・・。」

 

いつもの能面を思わせる無表情。

銀色に輝く長髪を横でサイドテールにくくり、

碧く光る瞳をこちらに向けてくる、

なぜか、背中に寒気を感じる。

 

療養するから、暇を出していたはずだが・・・。

というか、なぜこの場所を知っているのか。

 

「・・・・ご主人様。お昼です。」

そういって彼女が手渡してきたのは、

作った料理が入っているバスケットである。

 

というか、社畜じゃあるまいし、

わざわざ俺のために届けに来たのか・・・と

顔が引きつるのを感じつつ、

お、おう・・・とこぼして受け取る。

 

「俺、お前に休みだしたよな・・・?」

「・・・・・とりあえず、入院中は

ずぼらでのーたりんなご主人様ではまともな生活は難しいでしょうから、

私がすべてお世話いたします。」

「おう、こっちむけや・・・!」

 

目をあわせないよう、横を向きながらしれっと

ここに居座る宣言する駄メイドの両頬を手でつかみ、

ぐぐぐ、とこちらに向きなおさせる。

 

「金がかかるから休職してろっつたったろうが!!!」

「・・・・・・・私に乱暴する気ですか?

・・・・まだ日が高いですよ?」

「話反らしてゴマかしてんじゃねええええ!!!」

 

結局、その日一日はシャロがひっついてきて、

休養どころではなかった。

 





ちなみに、シャロは乱暴されるの好きで、誘い受けの毒舌。
襲われるために毒舌で煽っている。
なお、カネツグは普通にキレる模様。

あれー
おかしいね。
最低ランクの冒険者がケガしたくらいなのに、
なんだか不穏だねー(すっとぼけ)

たとえるなら
地味で、収入そんなにないフリーの個人事業主だけれども、
15年間後輩の面倒見たり、お偉いさんの役に立って、商談を成功させたり、
誰もやりたがらない地味な仕事をこなして、街の生活水準をあげたり、
破滅するはずだった豪商の娘を救って、国の経済を活性化させたりした人間が、
怪我したらそれまでの因果が利子をつけて殴りつけてきた感じ。

シャロ、レン、アリスあたりのモンスター組との縁がとくにやべーんだよなぁ・・・・。

というか、ギルドで今活躍しているAランクのパーティーの7割はカネツグの世話になっているから頭が上がらない状態。

カネツグ自身がその見返りを受け取ろうとすると、まず、誰からの見返りを受け取るかで死ぬほどもめるレベル。

なので、カネツグの疑心暗鬼によって、非常に危うい感じでバランスが取れている。

新興貴族で力をつけつつあるところともコネがある男だからね、こいつ・・・・。

ただ、戦闘方面の才能ないからいまだレベル1という悲哀。

悲しいなぁ・・・・(諸行無常)


感想、くれ


れれれのれ

見てみたいエピソードとか募集中

KEY(ドS)


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寓話~元駆け出しだったAランクパーティーたちの話 その1

今回は、リクエストにあった、

Aランクパーティーたちと、
カネツグのなれそめ話

それでは、ご覧ください(KBTIT)


KEY(ドS)


 

 

冒険者の頂点、Aランク。

 

そしてそのAランクだけで構成されたパーティーは、

人々にとっての憧れである。

 

---現在あるAランクパーティーの7割がとある人物がきっかけで生まれたことを、

本人も含めて、殆どの者は知らない。

 

知る由もない。

 

 

 

それは、今よりも昔のこと。

 

 

時間にして、彼が冒険者生活10年目に差し掛かったころのことである。

 

 

 

私たちは、一つの問題に直面していた。

 

「そんな・・・!?約束は、100万リアだって・・・!!」

「知らねぇな。」

「嬢ちゃん、桁を一個見間違えていたみたいだなぁ?」

 

ぎゃはははは、と下品な笑い方をするごろつきと、

その中心で踏ん反りかえる、カイゼル髭の中年。

名をファルバム・シュタラスという商人だ。

 

ぎり、と握りこぶしを振るおうとする腕を寸でのところで抑え、

思いとどまる。

 

「・・・借金には、利子というものがある。・・・君たちは、

それを返さなければならんのだよ。」

「だからって・・・・!!こんな・・・!!法外な利子・・・!!」

「違法とでも言うのかね?・・・ああ、独り言だが、

信用も、後ろ盾もない相手には相応の利子をつけている。

---君たちにはぴったりの査定ではないのかな?」

「----!!」

「---レイ、だめっ!!」

 

私が何か言うよりも、先に、レイが剣に手を伸ばし、

斬りかかろうとしたのを、その隣にいたアンジェラが必死に止める。

 

「だって・・・!!こんな・・・!!こんな・・・!!」

「・・・・一週間。君たちに猶予をくれてやろう。

・・・その間にもう100万リア持ってきたまえ。そうすれば君たちから預かった装備は返してやろう。」

 

----男の言葉を受けて、目の前が真っ暗になった。

 

 

 

 

 

「-----ふへぇ。」

「ありがとうございました。」

「ああ。いいってこってすよ。」

「兄ちゃん、兄ちゃん。次はいつ来てくれんだ?」

「あ?・・・・まあ、仕事があったらな。」

 

俺の言葉にえー、と残念そうな声をあげるガキども。

全く、孤児院からの仕事は確実な報酬をもらえるんだが、

子供たちが元気すぎて少し疲れちまう。

 

とはいっても、収入源が多いに越したことはないし、

こうして依頼人との縁が切れぬよう、

多少のことには目をつむって依頼を受け続けている。

 

最初のころはあまり信用されておらず、警戒されていたが、

ここ数年、定期的に仕事を受けていくうちに、

互いに信頼関係を築き上げることができた。

 

どっかりと、コテージ近くにある気の丸椅子に座りながら、

庭で駆け回る子供たちを眺めていると、

隣にふわり、と心地よいにおいが沸き立つ。

 

「----ふふふ。子供たちが気になりますか?」

「・・あー。まあ、子供は嫌いじゃないですし・・・。」

 

 

隣にちらりと目線を配ると、俺のクライアントがそこにいた。

いつもにこにこと柔和な笑みを浮かべており、

俺の中でここに来る理由の半分となっている人である。

 

腰まで長くのばされた茶色の髪は先っぽのほうでひもでくくられており、

その顔立ちは、10人が見れば10人が美人と答える顔立ち。

目は金色に光っており、見るものを魅了するグラマラスな体つき。

胸はメロンほどの大きさで、尻も大きい・・・・って俺は誰に対して言ってんだか。

 

 

「・・・カネツグさん?」

「あ、いや、何でもないっすよ、アリシアさん。」

 

ずい、と身を寄せてきたアリシアさんから、近づいてきた分だけ、

そっと距離を取りつつ、慌てて取り繕う。

 

緑色のローブに身を包んでおり、

布面積が多くて健全なはずなのに、

体つきが浮き出て逆にたまらんことになってしまっている。

 

 

「-----いつも、ありがとうございますね。」

「・・金のためっすよ。」

「そうですか。」

「そうです。」

 

いつもの通りと言わんばかりに、

俺たちは決まりきったやり取りをまた重ねる。

それに対する答えも変わらず、

いつもの通りに答える。

 

二人で、子供たちが遊んでいるのを一緒に眺めながら、

物思いにふけっていると、彼女がふ、と嬉しそうに言う。

 

「----あなたが来ると、いつも子供たちが楽しそうなんです。

・・・・身寄りのないあの子たちにとって、私が母親代わりになれますが、

父親の変わりはできませんから・・・。」

「・・・・・・。」

 

ここにいる子供たちはみな、訳アリだ。

 

なんでここに来ることになったのか?

それを聴くことはタブーでもある。

---あまり、愉快じゃない理由を昔、アリシアさんから聞いて以来、

突っ込まないようにしていた。

 

「・・・・あと、その、ですね・・・・。」

「あ、はい。」

 

また、ぼうっと景色を眺めていると、

隣のアリシアさんが、もじ、もじ、と身をくねらせる。

 

 

「・・・・・・私も、嬉しい、です・・・。」

「・・・・・・そうですか。」

 

 

子供たちが元気になって、嬉しいということだろう。

きっと彼女にとって、あの子供たちは本当の息子、娘なんだ。

 

---少しだけ、万年Eランクの俺が、

何かの役に立っていると感じて、誇れるように思えた。

 

 

「-----!!」

「・・・?」

「・・・・ああ、彼らですか?」

「・・・何かあったんですか?」

 

孤児院での仕事を終えて、報酬を受け取りにギルドにやってきて、

受付の人と会話していたところ。

 

騒がしく、少し大きな声で話している3人組の冒険者らしき

集団がいた。

 

「何か、あったんですか?」

「---他の人には内緒なんですけれども・・・。」

 

すすす、と俺の耳元でささやくお姉さん。

 

「--どうも、借金が返せないから、

夜の街に立つ、立たないってもめているみたいでして・・・。」

「・・・ああ・・・。」

 

冒険者に限らずよくあることだが、

金を稼げず、女がそうした職業につくのは不思議なことじゃない。

 

見たところ、あの3人組もそうなのだろう。

見た目はかなり整っているから、

なればすぐに金を稼げるようになれそうだが、

さすがにそれを同じ女性である受付のお姉さんの前で

言うつもりはなかった。

 

「なるなら、さっさとなっちゃえばいいと思うんですけどね。

・・・・信用も、実績も、実力もない冒険者は害虫ですから。

・・・・あ、カネツグさんはもちろん違いますよ!?」

「・・・・そ、そうですか・・・。」

 

ストレートな罵倒にちょっと身を引きつつも、

女ってやつはこれだから・・・・とため息を漏らす。

 

「はい、こちらが報酬となります。

・・・・カネツグさん、いつもありがとうございますね?

・・・あなたがいるから、救われている人もたくさんいるんです。」

「・・・・そーすか。」

 

社交辞令を受け取り、報酬の入った金貨の袋をじゃらじゃらと鳴らし、

中を開いて、一枚一枚数える。

 

「・・いつもより、枚数多くないですか?」

「・・・・どうやら、多少の色をつけてくださったみたいでして。」

「・・・。」

 

アリシアさんもお人よし過ぎる。

俺がもし、悪人だったらころっと騙されてしまうんじゃないだろうか。

まあ、そこがあの人のいいところでもあるんだが。

そうしてじゃらじゃらと数えていると、

後ろからいきなり誰かに抱き着かれ、うぐ、と声が漏れる。

 

「カネツグーー!!お金入ったんだな!!?あたしの剣、買えよ!!」

「だああああ!!ひっつくんじゃねえええ!!うっとおしい!!」

 

ちっこい体で俺の背中にしがみついてきたのかと思うと、

すぐさまよじ登り、勝手に俺の肩に両足を乗せ、定位置と言わんばかりに図々しく居座る襲撃者。

 

「レテ!!重いから降りろっつってんだろうが!!」

「なっ・・あ、あたしは重くないし!!ほら!!見ろよ!!

それは胸と尻がおっきくなったからであって・・・・」

「わーー!!バカバカ!!こんなところで脱ごうとするんじゃねえええ!!!」

 

驚いてレテのほうを見ると、すでに脱いでおり、上半身はさらしだけになっていた。

 

---ん?なんか背中に寒気が・・・・。

 

「・・・・・・・」

「あ」

「あ」

 

後ろを振り返ると、そこには笑顔だが、目の笑っていないお姉さんが立っていた。

 

---結局、レテのバカのせいでギルドのお姉さんにお叱りを受けることになるのだった。

 

 

「・・・・・・・・・・・・あの人。」

 

 

 

「・・・・おい痴女。」

「・・・・なにさ。」

 

ぶすー、と不貞腐れるレテをおんぶしつつ、

街を歩く。

 

こいつの自業自得だというのに、

何を怒っているんだか。

 

 

「お前がアホなのはしっていたが、あそこまでアホだとは知らんかったわ。」

「アホっていうほうがアホなんだぞう!!!」

「はいはい。レテちゃんはえらいでちゅねー。」

「子ども扱いすんなー!!」

 

うがー、と怒るレテをいなしつつ、

今日の夕食のもとになる材料を買っていく。

 

・・・こうしていると、なんか主婦みたいだな、俺。

 

レテみたいな子供は絶対に御免だが。

 

「それで・・・・ん?」

「・・・・。」

 

す、と目を細めてレテがぼそぼそ、と俺にだけ聴こえる声でしゃべりかけてくる。

 

 

「どうした?」

「---つけられてる。」

「---。数は?」

「3人。・・・金属の擦れる音が少し聴こえるから、

武装してるっぽい。・・・やる?」

「やんねーよ。・・・うし、少し脅かすか。」

 

 

 

「・・・あれ?」

「・・・・アンナ、どうした?」

 

 

3人で、"あの人"を尾行していたところ、

いつの間にか、姿が見当たらない。

 

 

「・・・・見失っちゃった?」

「まさか。・・・・けれども、いきなり姿が・・・。」

「よう。」

 

声をかけられた方を見ると、そこには、

私たちが尾行していた人物が立っていた。

 

なに・・・?肌が、なぜかひりつく・・・・。

 

「わざわざ裏通りの人がいないところまで誘導してやったんだ。

・・・・・話を」

「---せいやぁっ!!」

「・・・聞けっつってんだろうが。」

 

私が制止するよりも先に、レイが斬りかかる。

真っ二つになるかと思われ、血の気がさあ、と引いた瞬間、

がぎん、と音を立ててレイの剣が切り払われた。

 

「・・・・・・・お前、今、何をした?」

「・・・・!!?」

 

----レイと、お兄さんの間に紅い影が割り込んだと思ったのは錯覚であり、

それは一人の少女だった。

 

肩まで伸びた紅い髪をたなびかせ、装飾のついていない剣を

レイの首元に突きつけている。

 

 

「レイッ!!!」

「・・・・くっ・・・この私が・・・!?」

「・・・・なあ、聴いてんだよ。・・・・答えろよクソアマ。」

「がっ?!」

 

自分の剣を容易く受け止められたことが信じられないといったレイの腹に膝蹴りを打ち込む紅髪の少女。

 

「レテ。ストップ。やりすぎだ。」

「・・・・・・・・・・・・・ま、カネツグがそういうならいいけどさー。

・・・ああ、そこのもう一人。その懐に伸ばしている手を早くしまいなよ。

・・・こいつの首が飛んでいくのを見たいなら、話は別だけど。」

「・・・・・・。」

 

奇襲しようと懐に手を伸ばしていたアンジェラに殺気を飛ばし、

威圧してくる。

 

----!!ひ、膝が・・・。

 

「・・・・・あー、お嬢ちゃん、いいか?」

「は、はひっ。」

「いや、そんなビビんなくても・・・・。」

 

件の人物が目の前で、私の顔をちょっと心配そうにのぞき込んでいるのに気が付き、

尻もちをついてしまう。

 

「なんで、俺のことつけてたんだ?・・・・ぱっと見、育ちが良さそうだし、

物取りってわけでもなさそうだが。」

「・・・・・あ、あの!!!」

「うおっ。な、なんだ?」

 

がばり、と立ち上がり、頭を下げて叫ぶ。

 

「----モンスターの討伐の仕方、教えてください!!!」

「・・・・・・・・・・・・・はん?」

 

 

それが、彼と私たちのなれそめだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「-----むにゃあ。えへへへへ・・・カネツグさぁん、だめですぅ・・・♡♡

あっ、そんなはげしっ♡♡ママになっちゃう♡♡ママになっちゃううう・・・♡♡」

 

 

 

「・・・・あ、あれ??・・・夢???ああ、夢かぁ・・・。」

 

火照る体を手でいじる。

胸をくりくりと手でもてあそぶ。

あそこはぐしょぐしょに濡れていて、

パジャマが湿り切っている。

 

「ん・・・・♡♡・・・・好きな夢を見られる枕、買ってよかったぁ・・・♡♡」

 

結婚資金を貯めるくらいしか使い道のなかった金をはたいてよかった。

こうして毎日彼と夢の中でまぐわうことができる。

 

・・・隣のベッドで寝ている二人も同じ枕を使っているのは、ちょっといい気はしないが。

 

「さて、と。・・・カネツグさん、おはようございます♡♡」

 

監視魔法の先では、ベッドで寝息を立てて眠り続けるカネツグさんの姿があった。

 

・・・・・・見ているだけで、また・・・。

 

ごそごそ、と服を脱ぎ捨てて、ベッドの上に寝転がりながら、

○○〇に手を伸ばし、指でいじるとううあ、と声が漏れてしまう。

 

「ううっ♡♡だめぇっ♡♡カネツグさんっ♡♡カネツグさぁんっ♡♡」

 

その日は、結局2桁、自分を慰めたのだった。

 

 

 

 

 

 

 





ファルバム・シュタラス
元々は戦争に負けて没落した国の元貴族の商人。
お抱えの傭兵を持っていることから、"商家兵団"と呼ばれている。

食い扶持に困っていたしがないアラフォーだったが、
カネツグに出会い、とあるものを過去の伝手をもとに売りさばいた結果、
国でトップ5に入る富豪に上り詰めた。

信用を第一に考えており、
相手がどんな人間かによって借金の利子を決めている。

彼自身は公平な金融屋であり、
グレーに差し掛かることはしても、
違法行為はまずしない。



ちなみに、カネツグが彼から金を借りる場合、
利子はほぼないに等しくなる。


自分の姪を彼にあてがおうと画策している。


姪?ヤンデレに決まっているだろ(絶望)


豪商のマリーとは、ビジネスパートナー。


アリシア・レティス
孤児院を経営する、未亡人みたいな女性。
実は未婚。しかもこの時点だとまだ未成年。

その正体は、帝国最強の呪術師家系、レティスを祖とする
貴族の元跡とり。

政略結婚にて他国の有力貴族に嫁入りする予定だったが、
呪術の実験に失敗し、子供が埋めなくなった結果、
破断し、実家からも勘当されてしまう。


孤児院を経営しているのは、
子供を産めないからか、それとも・・・・。

心にぽっかりとあいたすき間。
女として死んだも同然の彼女を救ったのは・・・・。


アルバーツ連邦の"法術"魔法を改造して作られた"呪術"を扱う。

彼女が魔力を込めて"死"を願えば、力なきものは瞬く間に死ぬ。

呪いすなわち、祝福は使い方によっては人の力を引き出すことも可能である。

死者を傀儡とする外法、"禁術"を有する。
("十王"、"聖騎士"ピエール、"酒呑童子"と同じ)

彼女の好きなプレイは、仰向けで寝っ転がっている相手の顔に自分の胸を押し付けて、胸で圧迫し、もがくところを見ること。

しかし、生娘のため、妄想でしかできていない。

カネツグが生きているときも傍に。
死んだらアンデットにして、自分の傍に。

とにかく、何もかもが"重い"系のヤンデレ。

過去にアリスと2度戦い、引き分けた実力を持つ。






Aランクパーティー。

リーダーのアンナ。護衛のレイ。参謀のアンジェラの3人娘パーティー。
とある理由により、金を稼ぐために街にやってきた。
借金で目的は達成したが、返済することができず、
親の形見である装備が質に取られたまま。

偶然見かけて、まちで話題の"プロフェッショナル・E"と呼ばれる
カネツグにモンスターの倒し方を教えてもらうようお願いする。
(※カネツグは、冒険者になった人に配られるガイドブックにて、
名前、経歴が詳しく書かれており、こういう冒険者を目指すようお手本として描かれている。駆け出しの冒険者で知らない人間はいないレベル。なお、本人は知らない。)

性欲とかがヤバい。
現在はAランクの冒険者として活躍している。



アンナは独占欲、レイは妄信、アンジェラは依存系のヤンデレ
やったぜ()



ちなみに、レイが斬りかかったのは、
カネツグの影に潜んでいるアリスの殺気に反応して。

才能がある分、体が先に動いてしまったパターン。
"剣王"あたりのレベルなら、殺気を感じつつ、それに反応するかどうかを自分でコントロールできる、

レテが防いでなかったら、
アリスに3人とも殺されていた。

その場合、一瞬で丸呑みにされていたため、
失踪者が3人増えることに


レテはこの時点で50レベルいってるから、
レベル2~3くらいしかないこの時点の3人だと勝ち目無し。

今は互角程度だけど。


アリス?あれはバケモンだからノーカン。


感想がめちゃくちゃ来ていて草。

今回もリクエスト書いていたけど、
他に見たいのあったら、要望を取り入れるゾ

感想、くれ

KEY(ドS)





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寓話~元駆け出しだったAランクパーティーたちの話 その2

こんにちはんこそば
KEY(ドS)と申します

今回は、前回の話の続き。

Aランクパーティーである、アンナ、レイ、
アンジェラの彼女たちの話。

それでは、ご覧ください(KBTIT)

KEY(ドS)


 

 

「---ぶはあ、ぶはあ!!」

「うーし。こんなもんだろ。」

「うええ・・・気持ち悪いよおお・・・。」

「アンナ・・・大丈夫?」

 

草原に寝っ転がるかしまし娘3人を見て、

そうつぶやく。

 

最初に出会ってから数日が経ち、

今、俺は彼女たちの面倒を見ていた。

 

 

どうしても体を売るのはイヤだ、と泣きつかれ、

しかも街中でそんなことを言われて周りの人間に

注目されてしまっては、場をいさめるために首を縦に振るしかなかった。

 

 

なんツー面倒な・・・・と思ったのも杞憂で、

彼女たちは教えれば教えるほどその分吸収する逸材だった。

 

コボルト、スライム、ゴブリンの3連戦でよく最後まで

戦い抜けたものだと思わず感心したくらいだ。

 

 

「コボルトは鼻がいいから真っ先に刺激物を顔に投げつける。

スライムは動きがとろく、目の前にいる人間しか追い続けないから、

1人が囮になり、後ろから別のやつらが袋叩きにする。

ゴブリンはそこそこ素早いが、リーチ、腕力はそこまでないため、

長い獲物か、遠距離の魔法で一方的に嫐る。

ちゃんと言われたとおりにできたな?」

「れ、練習の時より全然疲れるぅう・・・・」

「当たり前だろ。殺す、殺される戦いと、

死ぬ心配がない闘いじゃ、スタミナの減りが違う。」

「・・・・・け、剣の腕に自信はあったのだが・・・。」

「お前、レテを見て同じこと言えんの??」

 

あの刃物キチガイ、一度手に取って剣を100%使いこなしやがるからな・・・。

冒険者の俺にその才能よこせと思う。

刀鍛冶だしいらねーだろ。

 

 

「・・・・ぶ、分析の結果、まずは私たちはとにかく基礎錬してから

モンスター退治したほうがいいと思う・・・・・。」

「間違ってねーけど、お前ら金もってねーだろ。そんな猶予あんのか?」

「うぐ。」

 

アンジェラが上目遣いでそう言ってくるが

ばっさりと切り捨てる。

そもそも、ファルバスのおっさんに金借りて、

それを待ってもらってる状況なんだから、

んな案、寝言にしか聴こえねぇ。

 

 

「モンスター退治すれば、体力もつく、金も手に入る、一石二鳥だろ?

・・・じゃあ、休憩したら次は薬草と毒草の見分け方を実施っすからな。」

「「「」」」

 

 

 

 

「---ってわけだ。」

「・・・・・・・・。」

 

目の前で、無表情に俺の服を折り畳み、

家事をこなしているシャロにそうこぼす。

 

あの3人の面倒を見るために時間、エネルギーが取られちまっているが、

中途半端に見捨てたら恨まれるかもしれないので、止むに得ない状況だ。

 

俺の話を聴いているのか、いないのか、

よくわからない真顔でじーっと俺の顔を見てくるシャロに、

なんだよ、と返す。

 

「・・・・ご主人様は、どうやら若い女が好きのようですね?」

「・・・は???」

 

---え?は?、と唐突に言われた言葉に頭が混乱し、

シャロの顔を見つめ返す。

 

心なしか、ほんの少しだが眉が釣りあがっている気がした。

 

「・・・・なんだよ。自分の主人がロリコンか気にしてんのか?

んなわけねーだろ。」

「・・・・・違わないけど、違います。」

「???」

 

なんだ・・・この・・・なんだ・・・。

 

 

背中に寒気が・・・・・。

 

 

意味がわからないが、

これ以上話していると、シャロがさらにキれそうな気がしたので、

無理やり話題を変えることにした。

 

「と、とりあえずもうしばらくあいつら3人の面倒見るからよ。

実戦のためにフィールドで野宿もしてくっから、2,3日は俺の面倒見なくって大丈夫だぞ。」

「・・・・・・・・・。」

 

ぴたり、とシャロの手が止まり、

ゆっくり、ぎぎぎぎ、と顔を振り向かせ、

俺の目を見つめてくる。

 

 

「・・・・なぜ、出会ったばかりで信用できるかもわからない相手と、

一夜を共にする必要があるのですか?」

「いざというときに野宿も経験させて、夜の見張り番もやらせておかねーと、

今後困るだろ。」

「・・・・・カネツグ様。カネツグ様がそこまでする必要はありません。

・・ここに帰ってくれば、おいしい食事も、清潔なベッドも、完璧なメイドもいます。ほかには何が必要だというのでしょうか。」

「さらっと自画自賛スンナや。」

 

いや、仕事ぶりが完璧なのは数年来の付き合いでわかってっけどさ。

ぼりぼり、と頭をかき、そして不意に数年前、シャロが来る前に面倒を見ていた、

人形のようだった緑髪の子供の顔が思い浮かんだ。

 

『-----これは、なんですか?』

『----お前が今日から住む家だよ。・・・おい、なんで首を傾げる。』

『----体つきは貧相ですが、まだ処女なので痛がる姿を楽しめると思います。

よろしくお願いいたします。』

『ぶっとばすぞごらぁああ!!』

 

---ふいに、胸の奥が痛んだ。

もうここにはいない、あのクソガキが座っていた椅子を見て、

思い出が心の内側から蘇ってくる。

 

「---じんさま。ご主人様?」

 

シャロの声で、はっと我に返り、

首を振るって意識を取り戻す。

 

「・・・・クソガキの面倒見るのは慣れてんだ。生憎な。

心配すんな。俺は大丈夫だ。」

「・・・・・・。」

「・・・・・あ?」

 

話は終わったので、明日に備えて寝ようと椅子から立ち上がろうとすると、

不意にシャロが俺の服の袖をつまんできた。

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・。」

「・・・・・・・・・・・・。」

 

かちこち、かちこち、と時計が針を刻む音が部屋に響く。

 

 

そして、シャロが口を開く。

 

 

 

 

 

 

 

「-----牢屋に収監されたら、私がすぐに迎えに参りますから。」

「手を出すわけないだろうがあああ!!!」

 

 

 

色々と台無しだった。

 

 

 

 

 

 

 




3人娘はれべるあっぷした!!
コボルト、スライム、ゴブリンをたおせるようになった!!
食べられる草と、食べられない草のみわけかたをおぼえた!!
たいりょくがついた!!
こじいんの仕事をできるようになった!!
シャロと、アリスと、レテと、エルと、マリーと、エマに目をつけられた!!
にげられない!!!(くろいまなざし風)



色々と見返すと、シャロが重いことがわかる会話をちりばめたゾ。

ちなみに、カネツグが面倒を見たっていう"人形のような緑髪の子供"は
あの人物だゾ



もちろん、カネツグはその子供が、今は自分が良く行くギルドの受付嬢をやっていることに気が付いていない。
(※手紙でやり取りしていて、どんな仕事をしているか知っているけど、別の場所の別ギルドの受付嬢をやっている思ってる。
本人が"エマ"という戸籍を買っているため、名前が子供の時と違うためでもある。)




メリットに対して、デメリットが大きすぎるんですが、それは


次回はお泊り(意味深)編

へーきへーき。龍人と、ヴァンパイアと、剣聖レベルの鍛冶師が
ハイライトがない目で見つめているだけだから安心しろよ~(慢心)




感想、くれ


れれれのれ

KEY(ドS)





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寓話~元駆け出しだったAランクパーティーたちの話 その3

こんにちはんこそば
KEY(ドS)と申します

今回は、前回の話の続き。

野宿する彼らの運命は(他人事)


それでは、ご覧ください(KBTIT)

KEY(ドS)


 

「おらぁっ!!」

 

手に馴染む剣を斜め上から振り下ろし

水色の物体を切りつける。

 

一体を葬り去ることはできたが、

他にも何体も俺の周りににじりよってきており、

ジリ貧のところ、ついにその時がやってきた。

 

「---先生っ!!できましたっ!!」

「---っしゃ!!ぶっぱなせぇっ!!」

 

全力でその場から走り出し、顔からダイブする勢いで

緊急回避する。

 

次いで、先ほどまえ俺がいたところに

ぴしゃん、と電撃がほとばしり、

その場にまだのろのろとぐずっていたスライムどもを焼き焦がす。

 

「いっちょあがりい!!---レイ!!アンジェラ!!そっちはどうだ?!!」

「---大丈夫だ!!問題・・・・ないっ!!」

「----!!」

 

 

横では、レイがヘイト集めをしてスライムの動きを引きつけ、

アンジェラが遠くから弓を振り絞り、一体ずつ狙撃し、

確実に数を減らしていた。

 

「アンナ。二人の周りを警戒しつつ、増援が来ないか確認をしろ。

俺は打ち漏らしをカバーする。」

「は、はいっ!!」

 

 

----俺たちは今、野宿のために周囲のモンスターを

片っ端から刈っているところである。

 

こいつらは嬉しいことに、俺と違ってレベルがあがるため、

すでにレベル5まで到達していた。

 

そのため、このアルバス平原よりもレベルが一個上の

サンドラ洞窟に行こうとも考えたのだが、

リスクとリターンを計算し、

ここで野宿を経験させた方が今後のためになると判断し、

こうしてアルバス平原に留まり、

モンスターの間引きをして安全確保をしている。

 

 

1時間以上の継続的戦闘のため、

俺も戦線に参加しつつ、

3人に何かあった時のカバーに入れるよう

立ち回っていた。

 

アンナは非力で鈍足だが、魔法の才能があったため、

基礎魔術、ボルトを覚え、遠距離から電撃を放つことができるようになった。

 

レイは自分で言うだけあり、剣の筋は悪くなく、

スライム、コボルト程度であれば数匹は倒せるレベルにまで成長した。

 

 

アンジェラは視野の広さと、その細身以上に蓄えられた筋力から、

弓をメインウェポンにサポートとして才能を開花させつつある。

 

(・・・・上手く行きゃ、Cランクは行けるか?)

 

 

EからあがってDランクにあがる冒険者は70%。

DランクからCランクにあがれる冒険者は50%。

つまり、新規冒険者が100人いるとしたら、

一人前のCランクになれるのは35人。35%である。

 

俺は万年Eランクのため、ランクを上げることは諦めているが、

何とか食っていくことはできるため問題ない。

 

Dランクの平均レベルは10。

Cランクの平均レベルは20。

Bランクの平均レベルは30。

Aランクはそもそも絶対数が少なく、

上下で実力が隔絶しているため、平均というレベルが良くわからない。

 

 

とにかく、久しぶりに面白いやつらに出会ったことは間違いない。

 

(・・・・結局、なんだかんだ俺が面倒見てきたやつらはCランクでいまだにとどまっているからな。)

 

こいつらなら、Cランクの壁も・・。

 

 

お互いがお互いを庇いあい、

欠点を打ち消し、長所を伸ばし合っている理想的なパーティー。

 

しかし、一つ問題点があった。

 

「よし、そろそろ日が暮れてくるから、テントを今のうちにはって、

火を起こしておくぞ。」

「は、はあい・・・・。」

「うー・・・。昨日よりはましだが、右腕が痛い・・・。」

「・・・レイはまだまし。私は弓を引いていて、背中が張っている感覚が取れない・・・・。」

 

それを、俺がいるうちに何とかしてもらわんとな。

 

 

 

軽い保存食を取り、

火がぱちぱちと燃え盛る薪の前で、

俺は3人の前で今後数日の動きを改めて言う。

 

「今日から3日間。つまり明々後日まで。

身を護りながら命がけでこの平原に泊るぞ。

・・・・質問は?」

「----はい。」

俺がそういうと、アンナがしゅば、と右手をあげた。

 

「夜の見張り番はどうするのですか?」

「それはタッグを組みかえてやっていく。

俺とタッグを組む形だ。

最初の日が俺とレイ。

次がアンジェラ。そして最後がアンナだ。

---他には?」

「----。」

 

レイが、す、と無言で左手をあげる。

 

「夜の間にモンスターが出てきた場合

すぐに全員たたき起こすで問題ないか?」

「ああ。それでいい。・・・・いくら眠かろうが

永眠したくなかったらさっさと全員起こせ。

寝言はモンスターを倒した後で言え。

他は?」

「---ん。」

「・・・背中が痛いんだったら、無理して手をあげなくってもいいぞ。」

 

自分であげておいて、身もだえするアンジェラに嘆息し、

質問の続きを促す。

 

「-----いざというときのため、なるべく、身を寄せ合って

寝るべき?」

「!!?」

「あー。そうだな。ペアはすぐに相方を起こせるようにくっついていたほうがいいな。」

「・・・わ、わかった。」

「よし。ほかに質問が無いようだったら、今日はもう寝るぞ。

・・・・・アンナ、アンジェラ。ぐっすり寝とけ。

俺がいるから問題ないだろうが、何かあったら起こさせてもらうからな。」

「は、はい・・・。」

「了解。」

 

すぐに寝床に入ると、すうすう、と二つの寝息がすぐに聴こえてきた。

相当疲れていたのか、それとも、安心したのか。

なんにせよ、野宿の夜は長い。

徹底して間引いたとしても、

モンスターが出るときは出る。

 

そのため、常に最低限身構えながらも、

ある程度は休息を取らないといけない。

レテから買った、愛剣を肩にかけ、

ぱちぱちと燃える火をじっと見つめながら、

明日の予定を考えていると、ぽすん、とレイが隣に腰掛けてきた。

 

「・・・・ん?」

「・・・・・・。」

クール・ビューティーを体現したような、

切れ長の目。青い瞳に、碧い髪の色。

腰と肩の間まで伸びた髪を後ろでポニーテールにくくられており、

まるで女侍のような印象を受ける。

 

何かしゃべるのかと思ったが、

生憎ダンマリのようだった。

 

そして、ぱちぱち、と木が焼ける音が何度も俺たちの耳に届き、

静寂を堪能していると、レイが話し始める。

 

「・・・なあ。」

「なんだ?」

「カネツグは、10年以上も冒険者をやっているんだろう?」

「ああ。」

 

木の棒で、薪の木の位置を微調整しながらレイの話に耳を傾ける。

 

「ずっと、ずっと一人なのか?」

「・・・・・・・。」

 

---かつては、一緒に組もうとした相手もいた。

でも、いろいろとあって、それは叶わくなった。

 

面倒を見ていた子供はいたが、あれは相方ではなく、

養う相手だった。

 

そう考えると、本当に10年も俺は独りで生きてきたことになる。

 

---まあ、家に帰れば口うるさいメイドがいるし、

どこから来るのかやっかみをかけてくるゴスロリ趣味の幼女はいるが。

 

「・・・・。」

俺の返事を聴くと、レイは俯きながらぽつぽつとこぼす。

 

「・・・・私たちは幼馴染でな。・・・・一緒の村で過ごし、

育ったんだ。」

「・・・口減らしか?」

「!!」

 

普通であれば村から出る理由もない。

ましてや、村から出てきた女だけのパーティーなど、

ろくな事情があるわけない。

 

一番多いのが、不作による食糧不足。それが原因で起こる、

村人の口減らしだ。

 

俺も同じ口でこの街にたどり着いたから今でも忘れることはない。

 

「ああ。・・・・昔、父さんたちが使ったといわれる装備とかがあったから

武器はなんとかなったんだ。・・・・でも・・・。」

「・・・・なんで、借金したんだ?」

「・・・・・・・」

 

俺の言葉に目を伏せ、

口を閉ざす彼女。

こりゃ、しゃべる気はなさそうだ。

 

 

 

が、知ったこっちゃない。

 

「おい。」

「え?・・・・あ。」

 

しかめっ面をしているバカの頭を右手でむんずとつかみ、

わしわしと乱暴にかき乱す。

 

「わ、わわ!!な、ななな何をする!!!」

いきなり頭を触られて憤ったのか

立ち上がり、腰につけている剣に手を伸ばしながらうー、と威嚇してくる。

「んな顔すんな。・・・ほれ、騒ぐとあいつらが起きちまうぞ?」

「う・・・。」

 

俺がそう言ってアンナたちが寝ている方を指さすと、

ばつが悪そうにレイはまた座り込み、

しかしジト目でこちらを見ながら警戒してくる。

 

 

「・・・いきなり女の髪を触るとは、変態め。・・・これだから男は・・・。」

「・・・お前、男慣れしてないだろ。」

「にゃ、にゃ、にゃ、にゃにをうっ!!?」

「しー!!うるせぇっ!!モンスターが寄ってきちまうだろうがっ・・・!」

「あ・・・。」

やらかしたレイに冷ややかな目線を送ると、

顔を羞恥でほんのり赤らめながら、恨みのこもったジト目で俺をにらみつけてくる。

 

「・・・真面目なやつだと思ったのに・・・・。変態・・・アホ・・・・。うう・・・。」

「・・・・まあ、なんだ。気にするな。」

「お前が言うなっ!!」

 

結局、俺とレイは喧嘩しながら、

互いの境遇について夜通し語り合ったのだった。

 

 

 

----???

 

 

『---ぎるてぃ?』

『---本来であれば、今すぐにでもあの男女を消し飛ばして、

ご主人様を"私とご主人様だけ"の愛の巣にすぐに連れ帰りたいのですが、

ここは我慢しましょう。』

『---ぶち殺すぞ。ところで、おまえ、最近キャラ変えた?トカゲ畜生。』

『--コウモリ風情が、あまり調子に乗るなよ?』

 

 

 

(・・・なんか、とんでもない化け物二人が、

あいつを監視しているように見えるんだけど・・・・。

気のせいか?)

 

夜の女王と、龍人と、剣聖に片足突っ込んでる刀鍛冶見習いが

カネツグたちからちょっと離れたところで見守っていたが、

気づくはずもなく、夜は更けていった。

 

 

 

 

 

 

 





アンナたちとカネツグが冒険者になった理由は同じ。

レイはクール気取ってるけど
カネツグから見たらまだまだ大人っぽいだけの子供にしか
見えないため、すぐに心の壁も突破した模様。

のちに、"剣魔"と恐れられる血染めの剣士になるゾ


アンジェラとアンナはのちの話で。


シャロたちはあくまで見守るスタンスだから(震え声)

感想、くれ

れれれのれ


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とある一幕~彼がもし怪我をした場合~その2

こんにちはんこそば
KEY(ドS)と申します

今回は、カネツグがもし怪我をした場合、の話の続き

とある見舞客の話


それでは、ご覧ください(KBTIT)

KEY(ドS)


 

「なんというか・・・。君はそういう趣味だったんだな。」

「・・・ちゃうねん」

「?」

 

ベッドで安静にしている所、

ここの長である医者、ジャーグスが部屋に入ってきたかと思うと、

開口一番にそういった。

 

そういう趣味、っていうのはおそらく、

隣にいるメイドのシャロのことだろう。

 

「大丈夫さ。僕は患者のプライベートには興味がないんでね。」

「担当主治医だっていうならこいつをどうにかしてくれませんかねぇ・・・!!」

「・・・・。」

ぴきぴき、と額に青筋が浮かぶのを自覚しながら、

ぐいぐいと服を脱がして着替えさせようとしてくるシャロについて、

ジャーグスに抗議する。

 

「夫婦の喧嘩に水差す気はないんで。ごゆっくり~」

「おいごらあああ!!」

「・・・・ふ・・・ふうふ・・・・・」

 

ひらひらと手を振って、すぐに部屋から出ていく薄情医者。

あいつ、何しに来たんだ、と思っていると、

隣のシャロが動きを止めたことに気づき、声をかける。

なぜかフリーズしている。

 

「・・・?おい、シャロどうした?」

「・・・・・ふ、ふうふ・・・・。・・・えへへ・・・・。」

「うわ・・・・・。」

 

うわ・・・と思わず漏らしてしまった。

いつもは真顔で毒舌を吐くだけのメイドが、

なぜかにまにまと笑みを浮かべて、気持ちの悪い笑い方をしている。

 

「・・・貴方様。私は食事をとってまいります。」

「・・・お、おう・・。」

きり、といつもの顔に戻ったかと思うと、

すくりと俺の隣から立ち上がり、ぎこちなく両手を振って、

ドアに出ようとする。

 

 

---ごちん。

 

「・・・いったぁ・・・」

「」

 

ぶふあ、と思わず噴くと、シャロがぎろり、とこちらを

にらみつけてきたので、慌てて口を両手で抑える。

 

 

「・・・・・・・・。」

そのまま、ドアにぶつかってなどないですよ、と言わんばかりに、

外に出ていった。

顔は元に戻っていたが、顔が羞恥からかずっと紅くなっていた。

 

 

「・・・・・こわっ」

え?あいつなんであんな気持ち悪い笑い方したり、

ドアにぶつかったりとかドジってんの??

シャロ、別人疑惑を抱きつつ、ぶるぶる震えていると、

こん、こんとドアがノックされる。

 

 

「・・・・あいよー。」

はだけていた服を着なおし、

ドアをノックした主に返事をすると、

がちゃりと扉が開かれる。

 

 

 

 

 

「-----カネツグさあああああん!!!」

「ぐあああああっ!!!」

 

 

---ロケット弾のごとく、何者かの頭が俺の腹に着弾し、

絶叫の声をあげた。

 

 

 

 

「おう・・・おうっ・・・」

「あ、あのー・・ご、ごめんなさいっ・・・!!」

 

腹を両手でさすりながら悶絶していると、

俺をこんな状態にした主犯がおろおろとしながら、

こちらを労わるように背中をさすってくる。

 

 

「・・・・・エルさん。」

「・・・・・むー」

「え」

名前を呼んだだけだというのに、

なぜか頬を膨らまし、気に入らないとむくれるエルさん。

え?名前呼ぶのもだめなの?やっぱり万年Eランクに人権は付与されてないの??と頭にいくつもの?マークを浮かべていると、彼女がぼそりとつぶやく。

 

「・・・・エル。」

「え?」

「さんづけしないでって言ってますよね?」

「え、いや、でも、エルさんはAランクで、俺はEランクですし、序列とかが・・・。」

「・・・・・アンナ。」

「」

 

Aランクだが、俺が呼び捨てにしている奴らの名前を突然出されて、

息が止まりかける。

 

 

「レイ、アンジェラ、パースリー、タルジュ、アンドラ、ゾーリン、ウェイブズ、

ローロー、マックス、ラドン、ミ・ミ、ユゴー、ヴェルナルド、フランク、ラング、アム。」

「」

なんで俺のAランクの知り合いの名前知ってんの・・・???

 

「・・・・ねえ、カネツグさん。」

「ハイ」

 

ぷるぷる、と震えていると、

エルさんがいつも、いや、いつもとはどこか違う爛漫とした笑みを浮かべながら、

にこにことこちらを見つめてきて、語り掛けてくる。

 

 

「親しさを表すためには、名前をどう呼ぶかって重要だと思うんです。」

「ハイ」

「・・・・さん付けってどこかよそよそしいですよね?」

「デスネ」

「・・・・・・・。」

「」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

 

かつてないほどのプレッシャーを感じる・・・・!

傷だらけのアリスを庇って、Dランクのウォルフと戦った時のように、

体がこわばり、汗が止まらず流れ出ていく。

 

覚悟を決めて、渇いて仕方がない口を動かして、

その名を呼ぶ。

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・え。」

「え?」

「・・・・・エル。」

「はい♪」

「」

 

平穏は守られた。

主に俺の胃と引き換えに。

 

 

だが、これ以上の危機がこの後すぐにまちうけているなど、

この時の俺には知る由もなかった。

 

 

 

 




Q.なんで他のAランクの人間は呼び捨てできるのに、
エルだけだめなの?
A.(ぺーぺーだったころに面倒をみていた少年、少女たちならともかく、
カネツグ視点では元々Aランクの人間だった女性を呼び捨てとか)
いやー、キツいっす(素)

ちなみに、カネツグは人さらいに誘拐されそうになった時に自分が助けた少女が
エルだったことはしらないゾ
(※成長して、大分容姿が変わっているため)

だから、カネツグ視点だと、自分は単なる派遣社員なのに、
なんで役員クラスのお偉いさんがこんなフレンドリーに接してくるん?
と内心恐怖におびえている感じ。



ブラク・ジャーグス
人を治すことにしか興味のない自称天才医者
まんま、手〇治のアレ
あくまでっぽいなのでそのものではない

5年前、自身の腕に耐えきれる医療器具を探していて、
途方に暮れ続けていたが、カネツグと知り合ったことがきっかけで、
マリーから最高級の医療器具を融通してもらい、弾けた。

主人公にはその件で恩義があるため、
何かあったら自身の診療所に来るように言っている。

重傷を負ったとしても、生きてさえいれば何があろうとも生かし切る。
死ぬの禁止な、というのがモットー

死者を蘇生することには興味はなく、
あくまで瀕死、死に掛けの正者をどうやって延命して見せるか、
といったことにこだわりを持つ

10年前に最愛の妻を亡くし、その時の妻の遺言だけが、
彼を突き動かす原動力となっている

相手の魔力を増幅させ、暴走させて内部から破壊したり、
触れた生物の細胞を変質させ、がんにしてしまうことができる。

その正体は、鎖国を続けるアルバーツ連邦の最強の医者、
"獄楽鳥"の二つ名を持つ"魔人"

10年前にアルバーツ連邦にて起きた内乱によって妻を失い、
他国に移ってきた。


そういえば、シャロは食事をとりに行ってエルと入れ違いになっただけで、
病室に戻ってきたら・・・あっ(察し)


へーきへーき、へーきだから(震え声)

感想、くれ


れれれのれ



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寓話~元駆け出しだったAランクパーティーたちの話 その4

こんにちはんこそば
KEY(ドS)と申します

今回は、Aランクパーティーたちとの話


小説だけ書きながら生きていきたい人生だった・・・・()


それでは、ご覧ください(KBTIT)

KEY(ドS)


 

野宿を進めて2日。

そして、とうとう最後となった3日目の夜。

いつもと違い、年相応のあどけない寝顔で涎を垂らしながら

寝ているアンジェラとレイの様子を確認し、

薪に木を追加でくべていた。

 

「・・・・・。」

隣には、俺と同じく今日の夜番だが、

疲れ切って眠りこけてしまっているアンナが

肩に寄りかかっていた。

 

本来であれば起こすべきであろうが、

安心そうな表情を浮かべて寝息を立てる

こいつの顔を見ると、毒気が抜かれる気がして

放っておくことにした。

 

 

結論から言うと、3人は悪くなく、

---しかし、Cランクの壁を超える見込みが薄いパーティーであった。

 

連携は悪くない。個々の能力も並みの冒険者としてなら

やっていけるレベルであろう。

だが、それだけである。

 

特筆すべきほどではないし、何よりも、

司令塔として命令を出す人間がいないのが痛い。

 

(・・・・こんな小さな子供が、死ぬ、生きるの世界で

的確に命令を下せるほうがおかしいんだろうがな。)

 

ふー、と息を大きく吐く。

少なくとも、こいつらを最低限面倒を見ると約束したからには、

指摘しなければいけない。

 

そしてもう一つ、問題があった。

 

借金についてである。

 

(・・・返さないといけないのが後100万リア。

ゴブリン28体分、スライム19体分、コボルト22体分・・・・。)

そして、その他もろもろの委託収入を足しても、

後20万リアは足りない。

 

返済期限はあと数日。

どう考えても間に合うとは思えない。

 

ファルバムのおっさんは、どんな手を使ってでも金を取りたてるだろう。

それは、あの3人が夜の街に立つことを意味する。

別に俺にとってデメリットはない。失い物はない。

 

だというのに、俺はなぜか胸の奥にもやもやが渦巻き、

近くにあったいしっころを握って遠くにぶん投げた。

そんなことをしても気持ちは晴れなかった。

 

 

「・・・・ん・。」

俺が体を動かしたからか、アンナが目を開き、

ぼーっとした様子で辺りを見回し、

俺と目が合った。

 

「よう。」

「・・・・・~~~~~~!!」

自分が他人に寄りかかりながら寝ていたことに気がついたのか、

ばば、と後ろに飛びずさりわたわたと両手を振っておろつく。

 

 

「カカカカ、カネツグさん!!ご、ごめんなさい!!わ、

私、眠ってしまって・・・。」

「気にすんな。・・・起きちまったんならちょうどいい。

武器を持って、俺の隣に来い。・・・・夜はまだ続いてるんだからな。」

「あう・・・・。」

 

気まずさからか、申し訳なさからか顔を赤らめながら

自身の持つ杖を持ち、俺の隣に腰掛けるアンナ。

長い金色の髪が耳に触れ、こそばゆい。

 

「正直、よく3日間持ったな。・・・・・初日の惨劇見てたら途中で逃げると思ってたわ。」

「あ、あははは・・・。」

俺が言っていることがわかるのだろう、

渇いた笑いをうかべて、アンナは死んだような目で虚空を見つめている。

 

『----おい、レイ!!猪じゃねーんだから考えなしに突っ込むな!!

アンジェラ!!味方が敵の近くにいるときは打つなったつったろうが!!

別方向から来てんのを狙え!!アンナ!!腰抜かしてねーでさっさと魔力貯めとけ!!俺があいつらからモンスターを引き離すから、そしたらぶっ放せ!!!』

 

今考えても、最後まで面倒を見切った俺は我ながら偉いと思うわ・・・。

街に前ったら、酒場でフィーネちゃんのおっぱい見て癒されよう。

シャロへのお土産を何にしようか考えていると、

隣で沈んだ様子のアンナがぼつぼつとこぼし始める。

 

「ごめんなさい・・・・。私・・・・いつもこんなので・・・。

えへへ・・・。・・・・・やっぱり、冒険者、向いていないんでしょうか・・・・。」

「・・・・・・。」

「レイは剣をうまく扱えて、勇気もある。アンジェラは察知能力に長けていて、

ずっと離れた場所から弓矢で射貫ける。・・・・でも、私は人よりほんの少しの魔力しかなくって・・・・。」

 

アンナは自虐している。

恐れずにモンスター相手に立ち回るレイと、

ボーとしているように見えて、冷静に対処できているアンジェラ。

そんな二人と比較してしまっていることが俺にもわかった。

 

冒険者になったやつにありがちなことだ。

他のことではうまくやれなくても、冒険者にさえなれば・・・と。

だが、そんな甘いものではない。

 

誰にも可能性があるからって、

誰にもできるわけでもない。

俺と同じ時期に冒険者を始めたが、

諦めて故郷に帰ったやつも、ここで永住して店を開いて働いている奴も、

--しくじって、モンスターの餌になっちまった奴もいる。

 

正直言うと、これくらいでまいるなら、

冒険者をやめた方がいいとは思う。

 

しかし、こいつらにはほかに道がない。

戦闘技能を磨くしか、当面の収入を得る手段がない。

もっと子供であれば孤児院に相談して入れてもらい

大人になるまでに鍛えておくこともできた。

 

要するに、子供というには年を取りすぎ

大人というにはどこか幼すぎるのだ。

 

とりあえず、何か言っておいた方がいいだろうと考え、

口を開こうとしたその時だった。

 

「・・・・・・アン・・・・!?」

 

 

---何か、良からぬ気配を感じ、

とっさに彼女を抱えて飛びのく。

 

それと同時に、俺たちが先ほどまで座っていたところに、

カツ、とナイフが飛んできた。

 

 

「----へっへっへ。・・・兄ちゃんたち、不用心だなぁ。

こんな街はずれで野宿なんざしていたら、・・・・怖い怖いモンスターにやられちまうぜぇ?」

 

松明をもった男たち、それも身なりからしてよろしくなさそうな風体の

人間が10人以上、俺たちの前に現れた。

 

「あ・・・あ・・・。」

アンナも状況を理解したのだろう。

恐怖からか顔が青ざめ、ぶるぶると小刻みに体が震えている。

 

 

すうう、と大きく息を吸い込み、

そして大声を出して叫ぶ。

 

 

「・・・・レイ!!!!!!アンジェラ!!!!!!

敵だ!!!!!!今すぐ起きろ!!!!!!」

 

声が届いたのか、二人はがばりと瞬時に飛び上がり、

獲物をもって、俺とアンナの近くに寄ってくる。

 

「・・・・・盗賊・・か・・・。」

「・・・・。」

二人とも武器を構えながら、

アンナを庇うように立っているが、

見ればわかる。武器を持つ手が震えている。

 

(・・・・・・・・やべぇな。)

 

 

人間同士の殺し合いに慣れているはずもない

小娘3人に、万年Eランクが1人。

 

盗賊10人以上の相手はどう考えても分が悪い。

 

左鞘に帯刀しているレテから、

もらった剣を右手で引き抜き、

構える。

 

 

「はっはっはぁ!!何?俺たちとやるの?」

「こっちは10人以上いるんだよ?」

「そうそう。大人しくした--」

かぺ、という何かがつぶれる音とともに、

どさりと地面に人間だったものが倒れた。

 

隣にいたアンナたちが信じられないものを見るような目で、

ナイフを振りかぶって投げた俺の顔を見つめている。

そして、盗賊たちも同じようにアホ面をさらして、

呆気に取られていた。

 

「アホか。悠長におしゃべりなんぞして。

ナイフ当て放題じゃねーか。」

 

俺の言葉が癇に障ったのか、

リーダーらしき男が右手に剣を構えながら、

叫ぶ。

「……野郎!!」

「ぶっ殺す!!」

「女は身ぐるみはいでから俺たちの奴隷にしてやる!!」

「やってみろや!!!ゴミどもがああああ!!!」

 

かくして、長い夜が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 




アリス「・・・・・カネツグ、かっこいい・・・。」←3人娘はどうでもいいが、
今はカネツグの動向を見守ることを優先しているスタイル。
レテ「あれー?ここどこー?」←迷子
シャロ「・・・・・・・・・」←加勢しようにも、カネツグに正体を知られたくないため、うかつに手を出せない。

あのさぁ・・・()

シャロとアリスはともかく、レテ、お前・・・・。


へーきへーき。
同じくらいのレベルの人間相手だったら、
いつも汚い手を駆使して殺したりしてたから
大丈夫だって、安心しろよ~(慢心)

カネツグはホームレスやっていた時に
他のホームレスと縄張り争いして殺し合いをしたり、
今回みたいに盗賊に襲われたりして、
よく死にかけていたゾ。

おや、3人娘の様子が・・・・?

感想、くれ


れれれのれ

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寓話~元駆け出しだったAランクパーティーたちの話 その5

こんにちはんこそば
KEY(ドS)と申します

ガンプラの小説のほうの執筆が終わったので、
その休憩にこちらを投稿

それでは、ご覧ください(KBTIT)

KEY(ドS)


「おらぁっ!!」

「ぐげっ!!」

 

ナイフで仕留めた矢先、次の盗賊に自ら斬りかかり、一閃する。

ずる、と胴体が上から滑り落ちて地面へと倒れると、血の川を作りながら、あの世にまた一人旅立つ。

-

 

「わ、わわわわわ・・!?」

「レイ!!アンナをカバー!!アンジェラ!!火を消せ!!」

「そらぁっ!!」

「了解!」

 

慌てて魔法を唱えようとするも、人間相手で躊躇しているのか、ぶるぶると震えているアンナをレイにカバーするよう指示を出し、次いでアンジェラに火を消させる。

-

-

 

「うおっ!?見えねぇ!?」

「畜生!!どこだ!?」

「-----。」

「ぐぎゃっ!?」

 

薪という光源を失い、声を荒げて盗賊達が俺達を探すも、同志討ちを避けてか、動きが鈍る。

-

その隙に、すぐ近くにいて盗賊だとわかる相手を右手に握った剣で首を掻っ切り、絶命させる。

-

 

 

「---アンジェラ!!レイ!!アンナを連れて撤収!!急げよ!!」

「・・・はい!!」

「・・・!!」

「え?え?!」

 

わっせ、わっせとアンナを運ぶレイとアンジェラ。

その人影が俺達であると気付いた奴らが追ってくるのを振り返っては剣を振って牽制し、すぐさままた前を向いて走り続ける。

-

 

「カ、カネツグさん!!」

「---俺にかまうな!!行け!!」

「は、はいっ!!」

 

アンナが俺を心配してか、立ち止まろうとするのを一喝し、また盗賊の方に体の向きを変え、剣を振るって盗賊の足を止める。

-

 

ピキィ、と脚の健が痛んだのか、嫌な感覚が下半身からして、すぐさままた走ろうとしても足がもつれかかって上手く動かせない。

-

 

「--!!」

「うおっと!?」

 

走るのを諦め、剣を構えて横なぎに振り払う。

その動きのおかげか、こちらに向かってきていた盗賊達の動きを止めることに成功し、アンナ達は無事に離脱できた。

 

 

「・・・はっはっは。英雄気取りか?おい・・・。」

先ほどまでとは違い、統率された動きで俺をぐるりと取り囲むように四方に配置し、こちらを武器で軽く牽制しながらじりじりと近づいてくる。

-

 

ただの盗賊じゃない?

軍属に近い集団化された人間の動き・・・。

 

「---傭兵か。」

俺の言葉に、ぴたりと動きを止め、隙ができた。

一番近くに居た人間の剣にこちらの剣を押し当てて、つばぜり合いながら横走りする。

-

 

「ぬぅんっ!!」

「くっ!!」

あちらの方がステータスが上なのか、切り払われると同時に大きく弾き飛ばされる。

-

握っていた剣を手放すことは回避できたが、一撃が重い。

武器の扱いでは向こうの方が上だと認めざるを得ない。

 

「---っち。しぶてぇな。・・・割に合わねぇ。たまたま襲った奴がこんな厄介な奴だったとは。・・・盗賊廃業も考えちまうよ。」

「・・・一つ聞かせろ。」

「・・・あ?」

俺の一つ、という言葉に動きを止め、リーダーらしき人物が疑問を浮かべながらこちらの次の言葉を待つ。

-

時間だ・・・時間を稼がないといけない。

そのために、相手が応えたがる質問をしろ。

傭兵・・・・。盗賊・・・。

北のリルド国家・・・。傭兵国家から身崩れ・・。

 

「・・・なんで、傭兵様が盗賊なんかに身をやつしている?」

「・・・・わからねぇだろうな。俺もこう見えてレベル10は行っているんだがよ。」

思っていた以上に高いレベルだったことに驚愕を内心で浮かべつつ、次の言葉を待つ。

-

一つ情報は引き出せた。頭を狙えば総崩れさせることもできると考えていたが、ここまで実力差があると難しい。

-

 

「・・・戦場で、運悪く出会っちまったのさ。・・・最強の傭兵に。」

「・・リルド最強の傭兵・・・。・・"戦闘王"か・・・。」

「ああ・・・。今から数年前だが・・・。こっちの武器は通らねぇわ、素手で人間が真っ二つにされるわ、地形を利用して分断させられ、各個撃破されるわ・・・。悪夢だったぜ・・・。」

-

その名前は俺も知っていた。

"紅蓮の悪魔"が戦場では特に名前が知られているが、成り上がりで後ろ盾が何もない状態からその身一つで最強の傭兵と言われるまで至った伝説の男。リーダス帝国に君臨する"十王"に匹敵するとも言われている怪物。

-

 

独りで都市を落とした"パペットマスター"、"酒呑童子"、"剣王"ら"十王"と同格と言えば、その底知れなさがすぐさまわかる。

 

「逃げるしかなかった。こいつらを連れてな。・・・負けて、逃げた傭兵を雇う奴なんか居やしねぇ。・・・・だから、こうして盗賊にってな・・。」

「・・・・・。」

こいつも俺と同じようなもんか・・・。

理不尽な目に遭い、心が折れて、落ちぶれた。

俺だって、そんな怪物に襲われたら死ぬ自信がある。

まずは命乞いするために恥も外聞もなく土下座するだろう。

 

じり、じりと俺を囲む盗賊達がすり足で近寄ってきている。

 

「---さて、攻撃の届く位置まで配置出来た。・・・わりぃな。俺達も生きるためなんだ。・・・死んでくれや。」

「・・・・・・。」

 

俺一人ではやはり無理だ。

数が多すぎる。この状況、俺がどうにかできる問題じゃない。

だから

 

「終わり・・・」

「---ああ。終わりだな。」

 

リーダーらしき男の言葉にかぶせて言う。

そろそろ頃合いだろう。街に着いて・・・

戻ってくるはずだ。

 

 

「----ふせてくださいっ!!」

後ろから聴こえてきた言葉に、とっさに身を伏せる。

誰が、何が、どうなってと困惑する表情を浮かべ、身を強這らせる奴らを尻目に、それは放たれる。

-

 

 

「-----"龍聖剣"!!!」

 

 

--夜の平野に、光り輝く馬鹿デカい剣を構えたエマさんの姿が見えた。

 

 

 

 





作中で話に出たヴェルフェゴールは現在
リーダス帝国に居る最強の傭兵。

戦場でたまたま出会ってしまった盗賊たちは不運だったという話。

ちなみに、"十王"は皆推定でレベル60以上はあるから、
まともに戦ったら死ぬ。

実力No.2の"酒呑童子"と、No.1は文字通り次元が違う。




この小説では関係ないんですけどね(ネタバレ)



エマさん?レベル80行っているで。
元々悪魔に作られた人造人間で、
成長促進のタレントを持っているし。
その分、年取るのも早くなるはずだけど、
不老もでもあるから弱点はないという悪夢。

ちなみに、作中に出てきた龍聖剣は衝撃波を放つ範囲攻撃。
身を屈めてよければ問題ないが、あたると死ぬ。

感想、くれ


れれれのれ

KEY(ドS)


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寓話~元駆け出しだったAランクパーティーたちの話 その6

こんにちはんこそば
KEY(ドS)と申します

アンケートで、この小説の続きを見たいという声があったため、
執筆


それでは、ご覧ください(KBTIT)

KEY(ドS)


事の顛末を話すと、エマさんによって

盗賊たちは壊滅させられ、生きている者、

死んでいる者含めてギルドまで連行された。

 

3人娘を逃がしたい理由は俺よりもステータスが上であり、

逃げ足も速いので、助けを呼びに行かせるためだった。

 

結果的に、あの町で最高の戦力が救援に駆け付けてくれ、

俺たちは命からがら助かった。

 

大剣に光を集め、衝撃波を放つその姿は、

さすがのAランク冒険者というべきか。

どのようなモンスターであろうとも、

当たればただでは済まないことをうかがわせる

爪跡が、大地に刻まれていた。

 

 

・・・まあ、威力が高すぎて、地面にクレーターが

出来てしまった、ってだけだが。

 

 

念のため治療と、事情聴取のため、

俺たちもギルドまで同行し、そこで治療と、休息を取らせてもらってから、

一通りの事情を洗いざらい話した。

 

運悪くというか、戦場から逃げ出した傭兵崩れの盗賊団に出会ってしまったのは

仕方がない、とのことだったのでお咎めもなく、むしろ同情を買えたのはましだった。

 

俺も特にひどいけがはなく、そして、あの3人娘はというと・・・・。

 

 

「----師匠っ!!」

「ぐほぉああっ!!?」

 

あのアホ3人の顔を思い浮かべながら、これまでの出来事を回想していると、

ギルドの掲示板前で立っていた俺の後ろから何かが声をあげながら突進してきた。

 

突然の攻撃に対して踏ん張り、どうにか体が倒れないように後ろを振り向くと、

突撃してきた馬鹿一人と、そんなこいつの後ろに立つもう二人。

あの3人娘達だ。

 

 

「師匠!!師匠!!どうしたんですか!?一緒にクエスト受けに行きませんか!!

ご飯食べに行くだけでもいいですよ!!」

「痛ぇよアホ!!」

「あうっ」

いきなり背中からタックルかましてきやがったアンナの頭にげんこつを食らわせ、

そして飼い主である二人に対しても恨み節を炸裂させる。

 

「レイっ!!アンジェラっ!!いい加減こいつの手綱握っとけっていつも言ってんだろうがあ!!」

「いや・・・目を離すとすぐさまいなくなっているもので・・・。」

「・・・・・専門外・・・。」

「つーかお前はことある事にひっつこうとすんなや!!」

「うううう・・・あ~・・・師匠の匂いいいい・・・・。」

 

若干ネコ目になりながら、俺の腹に自分のつむじをおしつけ、

すりすりと体をこすりつけてくるアンナの頭を押さえながら、叫ぶも、

効果はなく、しがみついてくる。

 

当然、そんな姿をギルドで晒せば、周りからも

 

『カネツグー!!誰だそのかわいこちゃんたちーー!!』

『俺らにも紹介しろよー!!』

『ついに本命が決まったのかー!?なんてな!!ぎゃははははは!!』

『・・・・・。』

『・・・・ん?な、なんだこの美少女ちゃんたち・・・・?

目がこわっ』

『ぎゃあああああっ!!指はらめええええ!!』

『なんか恐ろしいほどかわいい美少女ちゃんたちが

カネツグを冷かしていた奴らに関節技を極めてんぞ!!?』

 

 

ここはうるさいし、これ以上いてもからかわれるだけなので、さっさと

ギルドから出ることにした。

 

おまけ+3という余計なやつらもいるが、まあいい。

 

「・・・・おう。そういえばこの近くに値段もそこそこで、

上手い料理屋が最近オープンしたんだが、行くか?」

「!!行きます!!行きます!!」

「私も。」

「・・・・行く。」

 

「うし。飯食ったらクエスト行くぞ。

・・アンナ!!てめぇはいい加減離れろや!!」

 

---こんな日々が、3人娘が出世して、別の街に移るまで

続くことになった。

 

・・・色々と手を焼かされたこともあったが、

それを差し引いても、退屈はしなかった。

 

シャロはこの半年間、ずっと不機嫌だったが、

3人娘がいなくなってから、いつも通りの調子になった。

 

おっさんが若い女を侍らせているようにも見えるし、

不潔だと思うのも無理はないだろうが、わかりやすいやつだ。

 

 

 

 

---時は過ぎ、某国、某所にて

 

 

「なあ、アンナ。本当にここであっているのか?」

 

よどんだ空気を醸し出す、とある廃村の一角にて。

黒髪の長髪をたなびかせ、腰に名刀を差し

伸びた身長と、成長した体つきを強調するような銀色のプレートメイルに身を包む

レイは、となりで白の水晶が先っぽについている杖で探知魔法を使用しながら辺りを伺うアンナに問いかける。

 

「この辺のハズ・・・・。・・・"鬼"・・・・・。一体どこにいるの・・・?」

同じく、辺りを伺いながら、弓を構えつつゆっくりと廃村を進むアンジェラ。

猫背だった立ち姿は成りを潜め、どこか自信を感じさせるまっすぐ伸びた背筋のまま、歩みゆく。

 

「うん。・・・作物や、村を荒らす"鬼"・・・。目撃情報が正しければ、ね・・・。」

アルバーツ連邦にしかいないはずの"鬼"がどうしてこんなところにいるのかは不明だったが、それでも、Bランク冒険者たちが束になってようやく勝てるかというモンスターだ。

Aランクパーティーの彼女らも、自然と体をこわばらせ、

奥に、奥にと進んでいく。

 

「・・・・ん?なんだ、この匂い・・・?」

「・・・・これは・・・お酒・・?」

廃村から少し離れたところにあるひときわ大きな掘立小屋。

そこから鼻をつくようにあたりに広がるアルコールの匂いに眉をひそめながら、

3人は顔を見合わせる。

 

「・・・ここ、もう人はいないはずなんだよな?」

「うん。・・・・過去には"十王"が村を荒らしていたモンスターを討伐して、

平和になった時期もあったみたいだけど、今は・・・。」

「・・・・あそこ・・・・怪しい・・・。」

 

なんで、酒の匂いが・・・・?と疑問を浮かべながら、

3人はそのにおいの元である掘立小屋までゆっくりと近づいてく。

 

 

 

「------ういいいぃ・・・。」

 

のそり、とそれは突然現れた。

気楽に、気軽に、小屋の戸を開け、ずしん、ずしんとその2M、いや、それ以上は優にいっている巨体でふらふらとした足取りで歩きながら歩を進める。

頭には角が2本生えており、腰には飲み物が入っているであろうひょうたんの形をした水筒がかけられている。

黒っぽい紫色の甚兵衛を身にまとい、足には鉄球が嵌められているが、

"鬼"の足取りを重くするにはそれでも、不十分であった。

 

「・・・・あぁ?なんだ、嬢ちゃんたちぃ・・・?

酒の追加かぁ・・・?」

「・・・!?」

「・・・・レイ!!アンジェラ!!」

 

いきなりの事態に硬直した二人に対して、

リーダーであるアンナは即座に名前を呼び、

意識を戻させる。

 

アンジェラは"鬼"の顔めがけて弓矢を放ち、

レイはその胴体にめがけて剣を放つ。

 

 

「----今、何かしたかぁ?」

「・・・!?」

「・・・!!!」

 

だが、矢は"鬼"が口で咥えて防ぎ、

剣はそもそも甚兵衛さえ切ることができず、

カキィ、と金属音を奏でるだけであった。

 

 

すぐさま、二人は正体不明の"鬼"から距離を取り、

アンナが魔力を貯め始める。

 

 

「・・・・・俺が"誰"だか知ってて喧嘩売ってんだよなぁ?

おめぇらぁ・・・・。」

 

それまで、酔っていて足取りがふらついていたはずの

"鬼"からみるみる酒気が消えていき、

ぎらり、と眼光は鋭さを増し、3人をにらみつける。

 

 

 

 

「レイ!!アンジェラ!!時間を稼いで!!

私が一撃で決める!!」

「了解!!」

「・・・・先生の言いつけ通り、無理せず、さぽーと・・・。」

「・・・・ぐわあっはっはっはっはぁ!!!マジかぁ!!!

逃げねぇのかぁ!!肝が据わってんなぁ!!嬢ちゃんたちぃ!!

・・・・いいだろぉ。暇つぶしに、遊んでやらぁ!!!」

 

 

今日も、彼女たちは"冒険"をする。

時には、命を落としてしまいそうになることもあるが、

持ち前の悪運の強さと、師匠から教わった、

慎重さ、生きぎたなさを胸に。

 

 

---意中の男を手に入れるために、力を蓄え続ける彼女たちの戦いは、

まだまだ続く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




????「いってぇ・・・。」
とある聖騎士「?お主がけがをするなんて珍しいでアールな?」
????「久々に楽しめたぜぇ・・・・。ぐわっはっはっはぁ!!」
長身、銀髪の剣士「・・・だから、酒は飲むなと言っているんだけどね。」

人間違いならぬ、鬼間違いだったけど、化け物に喧嘩売って生還した3人娘をほめてあげてください。


3人娘は強くになるにつれて、カネツグを取り囲む女たちに気が付いており、
それらに対抗し、せん滅できるだけの力を求めていったん街を離れている状態。


たぶん、そろそろ戦争が起きると思うんですけど(名推理)

感想、くれ

れれれのれ

KEY(ドS)




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~酔っぱらったところをほいほい食われた場合()~ その1 フィーネの場合

こんにちはんこそば
KEY(ドS)です


今回は、酔っぱらったところを食われた場合


たぶん、大変なことになると思うんですけど(名推理)


それでは、ご覧ください(KBTIT)


KEY(ドS)


例えば想像してみてほしい。こうしたことを。

齢20をとうに超えている一般的な男がいる。

その男は特に趣味も持っておらず、仕事に打ち込むくらいしかやることがない。

人間関係は悪くはない。個人事業主的働き方なので、自己責任ですべてやらないといけないのが厳しいところであるが、自分ですべてを管理できるという魅力もある。

 

「・・・・・・・はあ。」

どん、と手に持っていたジョッキをカウンターのテーブルに置くと、

グラスを拭いていたマスターが、眉を顰め、こちらをいぶかしみながら

目線を飛ばしてくる。

指でジョッキのガラスをはじくと、きぃんと小高い音が鳴った。

鈴に似た音で涼しさを感じる。

 

「・・・・・・・・・・はああ。」

「・・・・どうしたんですかぁ?」

「・・・・うん?」

 

背中からいつもよく聞く声に呼びかけられたので振り向けば

甘いにおいが鼻をくすぐり、桃色の束ねられた髪が跳ねるのが見えた。

そして、何より目立つのが給仕服に収まりきらない、きつそうで、

今にも弾けそうなその胸だ。メロンか、スイカか。

いずれにせよ重厚感が半端ない。

 

「・・・・フィーネちゃんか。・・・・はあ。」

「?お仕事で何かあったんですか?」

 

ピコピコ、とケモノ耳をぴくつかせながらそう首を傾げてくる。

相変わらず、愛くるしい。ああ、こんな娘と、ゴニョゴニョできたらなぁ、

と思えるほどの気立ての良い美少女である。

もう何年もの付き合いになるが、彼女が悪く言われているところを見たことがない。

 

「いや、仕事は上手く行ったんだけど・・・。」

「?」

「依頼主が・・・・な・・・。」

 

 

『ありがとうございます。

これでジョー様を・・・・ふふふふふ・・・。』

『あ・・・・・はい・・・・・。』

 

取り扱いには十分気をつけなければならない、ドラゴマンドラと呼ばれる

毒をもつ薬草の原料となる草を集めてほしい、という依頼を達成し、

依頼主に手渡したとき、見ているだけでじんわりと汗が浮かぶような

口を文字通り三日月にゆがめて怪しく笑う紫髪の少女の事だ。

あれを使って何をするかわからないが、どうやら想い人がいるらしい。

 

あんな子供さえ青春をしているというのに、

俺の周りにはむさい男ばかりだし、何より俺になびきそうな女性と縁がない。

そう思うと不意に胸が痛み、こうして酒を呑みながら管を巻いている所である。

しかし、酒をいくら飲んだところで胸のつっかえがとれるわけもなく、

ただ頭がアルコールによって毒され、痛んでいくだけだった。

 

フィーネちゃんの方をちらりと見ると、?と頭に疑問符が浮かんでそうな

表情のまま、笑みを浮かべ、こちらをじっと見つめてくる。

耐え切れず、目線をそらすと意識しているようで余計気恥ずかしくなり、

それを隠すようにジョッキの中の酒を更に煽る。

 

「飲みすぎは良くないですよぉ?」

「いいんだよ。明日は休みの予定だし・・・・。ひっく。」

 

平気なことをアピールするために立ち上がり、

両手を広げてはっはっは、と笑い飛ばす。

だが、実際のところは視界が揺れ始め、頭の中ではがんがんと

警報が鳴り響いてやまない状況だ。

重心が安定せず、バランスを崩して倒れそうになるも、

横から彼女に支えられる。

 

「あー・・・。」

「しょうがないですねぇ。・・・マスター。彼を休ませてきますね?」

「・・・・・・・・。」

 

何やら彼女が誰かと話しているようだが、頭が上手く働かず、

眠気が急激に襲ってくる。

どうやら肩を支えられたまま、どこかに、移動しているみたい・・だ・・。

 

「・・・・おやすみなさい。次に起きた時はステキなことになっていますからね・・・?♡」

 

意識が完全に途切れる前に、彼女がそんな風にいったような気がした。

 

 

 

「----はあっ♡♡はあっ♡♡」

ベッドに横たわる彼の衣服をすべて剥ぎ取り、自分も同じく裸となる。

ツインテールにほどいていた髪も開放し、ぐっすりと眠っている彼の

おでこに人差し指を添え、呪文を唱える。

 

『-----』

「・・・・zzz」

 

浅い呼吸から深い呼吸に切り替わり、完全に睡魔へといざなわれたことを確認し、

そして彼の唇に自身の唇を重ね合わせる。

「ふっ♡♡むふぅあっ♡ふっ♡♡ふっ♡♡ふっ♡♡」

「・・・・ん・・・・。」

 

両手で頬をがっちりと抑え、彼の口の中に舌を侵入させていく。

歯はもとより、歯ぐきから奥のほうまでじっくりと味わい、

丁寧に自分を刻み込んでいく。

暗く、明かりもない部屋の中、自分と彼だけがいる空間で、

男女の愛を紡いでいく。

一体どれくらいの時間そうしたのかわからないほど、

彼とキスをし、ゆっくりと顔を離すと唾液の意図が自分と彼の間に伸び、

銀色の橋を作り上げた。

 

これは立派な犯罪だ。自覚している。

度数が高い酒をマスターに頼んで彼にふるまってもらい、

酔ったところをあらかじめ用意していた別室に連れていき、

そこで睡眠魔法で絶対に起きないようにし、それからことに及ぶ。

 

その機会がなければそうはしなかっただろう。

しかし、偶々そのチャンスが来て、欲しいものが手に入るのに

手を伸ばさない馬鹿はいない。

 

「・・・んっ♡」

彼の右手を手に取り、自身の胸に触れさせる。

自分でするのとはまた違う感覚に体がしびれ、思わず声が漏れる。

好きな人に触られるというのは、こんな感覚なのか・・・。

これ以上のことをすると、自分はどんなふうに壊れてしまうのだろうか。

自分を抑えていられるだろうか。

 

左手で自分の秘部に触れると、くちゅり、と音が鳴った。

 

「・・・愛してます♡♡カネツグさん♡♡

私、どうしても貴方のことが欲しいんです♡♡

・・・・だから、レイプしますね?♡♡」

 

そう高らかに宣言し、再び彼の方に身を寄せた。

 

 

 

 

 

 




今回はリクエスト多かったエロ話。


カネツグは心が複雑骨折しているから、
自分からは結局手が"出せない"。
"出さない"ではない所がポイント。
他人を助けるために手を差し出すことはできても、
他の人から伸ばされた手を取ることは拒否し続けるメンドクサイ男。


マスターは、フィーネとくっつけば跡取りができるし、
カネツグも相手ができるだろうし、というお節介から。

フィーネが逆レイプするんじゃなく、
よって自制心が緩くなっているカネツグの方から手を出すんじゃないかと
想像していたけれども、現実ははるかに残酷だった()



ちなみに、シャロがこのことに気が付いたら龍化して、
レベル200超えのエンシェント・ドラゴンになり、
世界崩壊の可能性あり。

裏で協定を結んではいるものの、それはそれとして怒り狂うことが考えられます()


感想、くれ

れれれのれ


KEY(ドS)


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