ヤンデレゲットだぜ! (デンジャラスzombie)
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VSストーカー

ヤンデレ小説もっと増えろ。



 ポケットモンスター、略してポケモン。奴らは火の中や水の中、草の中に森の中、土どころか雲の中まで、挙句の果てにはあのコのスカートの中にすら入っている様々な意味で危険な珍生物達だ。

 

 さらに、その危険な珍生物を捕獲し戦わせるもっと危険な人種がこの世界には存在する。

 彼らの名はポケモントレーナー。ポケモンを捕まえる為には火の中水の中は当然のこと、あのコのスカートの中まで探索するような変質者達だ。

 

 因みにこれらの情報は信頼できる情報筋からの情報でありほぼ間違いないと思われる。

 

 変質者こと、ポケモントレーナーは至るところにいる。それこそ町から出て道路を歩けば一点を見据え微動だにしない少年少女や、クルクルと一定周期で回転する老人まで様々なポケモントレーナーが至れりつくせりだ。

 

 そんなポケモントレーナーの卵こと、シンオウ地方キッサキシティ在住の少年、トリカブトはいよいよ明日ポケモントレーナーとしての第1歩を踏み出そうとしていた。

 

 そう、皆からカブトと呼ばれ親しまれている少年は旅に出るのだ。それ自体は何ら問題はない。年頃の少年少女はポケモンマスターに憧れて旅をすることが多い。

 

 しかし! カブトの目的はポケモンマスターでは無い! カブトはある使命を帯びていたのだ! 

 

 その使命とは、キッサキシティにおける少子高齢化による過疎化問題の解決だ。重い。重すぎる。そして生々しい。10代の少年になんてもん背負わせやがる。

 

 しかしこれは冗談では無い。ここで思い出してほしい。キッサキシティのジムリーダーは誰だったのかを。

 そう、ダイヤモンドダストガールことスズナちゃんである。彼女に実力がある事は周知の事実だ。だが彼女はまだ若い。いくらこの世界の成人が早いとは言え、このくらいの歳ならまだ遊んでいてもいいのでは無いだろうか。

 

 スズナちゃんだけでは無い。他の地方にも必ず存在する……幼女系ジムリーダーを思い出すのだ。一部家の都合でジムを継いだ方もいらっしゃる様だが、幾ら何でも若すぎる。人材不足も甚だしい。幾ら強くても流石にこれは事案だ。

 

 過疎化はシンオウ地方のみならず、様々な地方でも問題視されている。

 その中でも特にキッサキシティは非常に問題視されている。単純にキッサキジム関係者と、漁業関係者、神殿関係者以外住んでいないのだ。

 それもそのはずわざわざシンオウ地方最北端のこの町に住もうなどと考える奇特者はそういない。

 そもそもこの町に来るためにはテンガン山を越えるか、船に乗って来るしか無いのだ。立地条件が厳しすぎる。何故そんな状況でシティを名乗れているのか?それはポケモン世界七不思議の内の一つだ。

 風の噂によるとポケモンリーグはキッサキシティからジムを別の場所に移動させることも検討しているという。

 

 これは不味い、と誰しもが思った。この町からジムが無くなれば割と本気で人が来ない可能性がある。わざわざ湖を見に来る人は研究者以外ではあまり見ないし、立ち入り禁止の神殿を除けば、もはやスキー場しかない観光スポットがない。

 

 このままでは町が滅んでしまう。そんな中白羽の矢が立ったのが彼、カブト少年なのだ。

 

 カブト少年に与えられた使命は、単純にして高難易度。それはチャンピオンシロナを倒し、中継されているテレビの前でキッサキシティの宣伝をする事だ。ハードルが高すぎる。

 

 カブト少年に自己決定権は無い。閉鎖的な地域コミュニティである老人会によって決められた事には逆らえないのだ。これが権力ってやつか……

 

 元よりポケモンと共に旅に出ることに興味があったのでカブト本人としては、なんかやることが増えた、くらいにしか思っていないのだが。

 

 ここでカブト少年について説明をしよう。彼は元々キッサキシティに住んでいたわけではない。彼は元々カントー地方マサラタウン出身の少年だった。キッサキ出身の母を持ち、純血種のスーパーマサラ人を父に持つ、いわばハイブリットといえる存在だ。彼は5歳くらいまでは彼らとマサラで生活をしていた。経済的にもそこそこ恵まれ、それなりに幸せだった事は間違いない。

 

 しかし幸福は長続きしない。

 

 ある日父親に届いた一枚の手紙、それが全ての始まりだった。唐突に現れ、家に突撃をかました郵便配達人カイリューが届けた手紙を読んだ父は、

 

「最強のトレーナーに、俺はなる!」ドン! 

 

 と言うやいなや旅の準備を整えると、ポケモン城なる場所へ旅立っていったのだ。勿論、麦わら帽子も忘れてはいない。

 彼は仕事や、家族などあらゆるものをほっぽり出して最強を探しに行ってしまった。

 

 これには母も悲しんだ。具体的に言うとローンがまだ返済されていないのにも関わらず、カイリューにより粉微塵にされた家について。保険は適応されないらしい。気が利かない奴らだ。

 

 母はこれを機にかつて退職した職場へ戻る事にした。母は元々研究者だったらしく何やら怪しげな事をしていたらしい。そこら辺は機密事項に触れるらしく何一つとして真相に近づくヒントは見つからなかったが。

 

 こうして母は息子であるカブトをキッサキシティに住む祖母に預け、別の地方へと旅立っていったのだ。

 ちなみに彼らからの連絡は今に至るまで一切ない。

 

 カブトの祖母は激怒した。かの暴虐邪智なる息子娘夫婦を許す事は出来ないと。端的に言うと勘当した。当然の帰結。彼女が常識人で良かった。

 

 これにてカブトの受難は終わりを告げ、彼は一般的な子供としての人生を歩み出す…………筈だった。

 

 しかしこのキッサキシティ一筋縄ではいかない町だった! 

 

 前述した通り、キッサキシティは少子高齢化問題による伝統技能の継承が滞っている。

 そこに降って湧いたかのように新しい子供がやってきた。ならばどうなるかは火を見るよりもファイヤー。

 

 技術の継承と言う名目で、このキッサキシティのあらゆる技術がこれでもかと詰め込まれたのだ。

 スキー技術や、雪かきの方法、郷土料理や、釣り。ここまでは分かる。だが、ポケモンを利用した漁業や、木を伐採しその木材の加工の仕方、挙げ句の果てに、キッサキ神殿の番人としての心構えや、ポケモンを使った戦い方、ポケモンの調理法、ポケモンと生身で戦う技術など、もはや英才教育を超えたナニカへと移行しつつあるそれは、一周回って哀れに思える。

 

 その詰め込み具合には気合で『きあいパンチ』を覚えたダイヤモンドダストガールも苦笑い。

 

 だがカブトは齢10にしてその全てをマスターして見せた。

 祝え! トリカブトがキッサキシティのあらゆる伝統技術を継承した瞬間である! 

 

 彼はポケモンバトルについても恵まれた位置で教えを受けている。何を隠そう彼の祖母は先代ジムリーダーであり、かつてジョウト地方のヤナギと氷タイプ頂上決戦を行った仲らしい。ヤナギのデリバードやラプラス、そしてウリムーが強すぎた、と時々遠い目で語る事もある。

 さらに現ジムリーダーのスズナの師匠でもあり、現在はスズナの負担を減らすべくキッサキ神殿の番人をしているらしい。属性の盛りすぎである。

 

 閑話休題

 

 何はともあれカブトはキッサキシティを出て、相棒のポケモンと共に旅に出る。キッサキシティの皆が祝言と共に送り出してくれた。特にスズナは色々と道具を用意してくれたりと、とても世話を焼いてくれた。カブト少年は感謝感激の雨霰である。やたらとカブトの私生活について異常に詳しかった事に疑問を抱くもそんな物は感謝の気持ちの前では塵程度のもの、すぐに吹き飛んだ。

 

 こうして様々な人から期待を託された少年は、記念すべき栄光の第一歩を踏み出したのであった。

 

 

 

 

 

 

 

「行っちゃったね……」

 

 あえて船を使わず、テンガン山を乗り越える選択をしたトリカブトの後ろ姿をじっと見つめながらスズナは呟く。

 

「心配不要じゃよ、あの子はきっと上手くやる。何せこの私が鍛えたからの」

 

 カブトの祖母であり、先代ジムリーダー、そして現在のキッサキ神殿の番人は、スズナの心配を解きほぐそうと言葉を掛けた。

 

 彼女はカブト少年についてあまり心配はしていなかった。彼には一人で生きていく術を教えたし、何より彼はもう一人ではない。信頼できるポケモンが付いているなら何も恐れる事はない。

 

「ええ、それはそうだと思うのですが……その、私が……」

 

 ああ、成る程。と祖母は納得する。このスズナという少女、側から見てカブトに惚れていると断言できるほど彼の事を溺愛していたのだ。

 カブトとスズナは兄弟弟子の関係にあたる。

 最初は、スズナにとって弟が出来たような気分だったのだろう。周囲からは仲の良い兄弟に見えていたし、カブト自身も姉が出来たように接していた。

 いつからだろうか、彼女のカブトに対する気持ちが家族に向ける愛から、異性間の愛に変化したのは。

 

 いつからかカブトが修行中に使用したタオルが無くなる事が増えた。それだけでは無い。彼の部屋に小型の監視カメラと盗聴器が仕掛けられるようになったのだ。

 

 彼女は常に言っていた。

「ポケモンもオシャレも恋愛も全部気合なのッ!」 と。

 気合を入れた結果がこれである。

 これには祖母も流石に呆れた。スズナがカブトに対してそういった感情を抱いていた事は祖母も理解している。しかしこれは流石にやり過ぎだ。そう思った彼女がスズナにそれとなく伝えたところ、

 

「犯罪では無いので大丈夫です!!」

 

 と元気よく返された。いや、犯罪である。

 兎も角、彼女はスズナに監視カメラと盗聴器だけは撤去させ後は様子を見る事にしたのだ。

 

 結局カブトが旅立つまで何一つ二人の関係に進展は無かったが。

 スズナが自分の気持ちに気づいた上で何もしないというのは考え難い。おそらく、カブトが修行中にスズナに告げた言葉が関係しているのだろう。

 

「僕は、ジムバッチを7個集めたらスズナさんに挑戦します!」

 

 何かするならばトリカブトが再びキッサキシティに戻ってきた時だと、そこまで考えて彼女は考えを止める。人の恋路をあれこれ詮索するのも野暮な事。取り敢えず今は様子見をしよう、と。

 

 こうして見送りを終えた彼女らはそれぞれ自身の家に帰っていったのだった。

 

 

 

 

 スズナは家に帰ると自身の部屋に入り電気をつける。そこには壁に貼り付けられた沢山の写真があった。

 その写真は撮った場所も日時もバラバラだがただ一つ共通点がある。それはどの写真にもカブト少年が写っていると言う事だ。ただし、どの写真においても彼は視線をカメラに向けていない。おそらく隠し撮りされた物だろう。

 

「はぁ、しばらく会えなくなっちゃうな。毎日連絡するのは当然だけど本人に会えないのは辛いなぁ。けど発信器と盗聴器入りのお守りも渡せたし、本物に会えない分これで我慢するしかないか……」

 

 名残惜しそうに呟くスズナ。彼女の普段の姿を知っている人からすれば、弟弟子のお守りに発信器と盗聴器を仕込むなど想像できないだろう。

 

「私待ってるからね! カブトくんが私に挑戦しに来てくれる日を! その日になったら、今まで会えなかった分楽しもう!」

 

 濁った目で晴れやかに一人笑うスズナ。果たして彼女の一方的な恋は実るのだろうか。まぁ、気合でなんとかなるでしょう。

 

カブトの受難はこれからも続くのであった。

 

 




一話だからまだ控えめ。


トリカブト
名前から死亡フラグ立っている人。頑張って生き残って(無慈悲)
多分特性『メロメロボディ(病み)』

手持ちポケモン
ポケモン界のヤンデレといえばこの方。多分簡単に予測できる。

母親
ミュウスリーでも作ってるんじゃね?

父親
そもそもポケモン城に辿り着けたかが謎

祖母
設定だけ強い人。戦わないし、しばらく出ることもない。

スズナちゃん
こういう元気そうな明るい子が裏でストーカーしてるとか興奮しませんか?



病みが足りない!全然足りてない!もっと病みを増やさねば……


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VS束縛系

病みラミとか、病ん病んマとか早く出したい


 ポケモンと共に旅をする駆け出しのポケモントレーナーカブト。彼は今薄暗いテンガン山を相棒のポケモンと共に突っ切ろうとしていた。

 

 本来なら、わざわざ山を通らなくても船を使えば他の町へ行くことができる。しかしあえて船を使わず、テンガン山を突っ切るという苦難の道を選択したカブト。この選択にはそれ相応の訳があったのだ。

 

 彼は次のジムまでの間にポケモンのレベルアップを行おうと考えていたのだ。テンガン山は最深部に進むと相当レベルの高いポケモンが現れる。それこそ主レベルの大きさのポケモンも居るという。最深部にさえ入らなければ比較的高レベルのポケモンは出ないが、山の麓であろうとそこら辺のポケモンとは比べ物にならない強さのポケモンは数多く現れる。

 一説によれば、テンガン山の中にあると言われる遺跡による謎パワーでポケモンが強化されているとも言われている。

 

 この山には深度が浅くとも強いポケモンと遭遇できる。それ故に、出会ったポケモンと戦っていけば、ある程度のレベルアップは見込める訳だ。

 

 そして最大の理由が、カブトが旅立つ前に見た映画に起因する。

 彼が見た映画は、ポケウッドで撮られた海上パニックホラー映画。ストーリーは、人間に家族を殺されたサメハダーが同志であるホエルオーやオクタンと共に海の底で修行し、たまたま旅行中だったサンタマリアンヌ号を襲撃、そして乗客を皆殺しにするという恐ろしい映画だ。

 最後はポケモンの力に頼らず、自力でポケモン達を倒した主人公とヒロインが沈みゆく船の船首部分で荒ぶる鷹のポーズを取って締めるという中々の怪作だったが、少年であるカブトは見事にビビリ倒した。そしてスズナは監視カメラでそのビビる姿を見て永久保存版にする事を即決定した。

 

 斯くして、カブトは船に乗る事を恐れてテンガン山を突っ切る事にしたのである。しょうもないとか言うなよ、本人にとっては必死なんだから。

 

 とはいえ、山を通り抜ける事にもそれ相応のリスクがある。

 それは常に野生のポケモンに狙われ続ける事だ。野生ならば仕方がない。トレーナー側が取れる策としては常にポケモンを出して行動する他ない。そして常に奇襲に備えておく必要がある。

 

 カブトの祖母が言っていた。

「ポケモンが出てくる場所は元々ポケモンの住処で、そこを荒らしまわっているのが我々トレーナーだという事を忘れるな」と。

 

 カブトはその言葉を胸に留め、相棒であり現在の唯一の手持ちユキメノコのユキちゃんを側に侍らせる。

 

「ユキちゃんお願いします。この山を出るまで僕を守ってください」

 

 自分のポケモンに深々と頭を下げるカブト。親しき仲にも礼儀あり。例え手持ちであれど、いや、自分の手持ちであるからこそ常に感謝の念を忘れてはならない。

 

『大丈夫よ、カブト。貴方は何時も通りに私を信じて、私を見て、私だけを頼ってくれれば良いわ。貴方を傷つける者、貴方を侮辱した者、貴方に嫌らしい視線を向ける者、何時もの通りに私が全て排除するわ。だから貴方は私だけを頼って、私の言う事をちゃんと聞いてね……?』

 

「おー! やる気満々ですね! 何時もありがとうございます! ユキちゃん!」

 

 一見成立しているかの様な会話。しかし、カブトにはポケモンの声が分かるとかそんな特殊能力は無い。とは言え彼らの付き合いは相当長い。それ故に、カブトはユキちゃんが何を言っているのか何となく分かるのである。

 

 何となく←重要

 

 ちなみに、先程の会話をカブトは、

 

『我、最強のポケモンを目指す者なり! 有象無象に遅れを取る事など断じてあり得ん。我が主カブトよ、我は何時も汝の剣となりあらゆる障害を貫こう!」

 

 と、理解した。大体合ってるが全然違う。そんなトレーナーで大丈夫か? 大丈夫だ、問題無い。そもそも異種間同士で言葉が通じるはずが無い。これは常識な。

 

 とは言え、長年連れ添っているとある種の慣れの様な物で大体何を欲しているのか分かる場面もある。ポケモンの言っている事がわかるトレーナーの9割はこれだろう。残りは本物。

 

 彼とユキメノコのユキちゃんが初めて出会ったのはまだカブトがキッサキシティに来て1年程の頃だった。

 

 何も無いマサラタウンから雪国であるシンオウ地方、しかもその最北端に位置するキッサキシティに連れてこられたカブトはその雪の量に戸惑った。雪というものは見た事あるが、まさか自分自身がすっぽり埋められる程降り積もった雪など見たことが無かったからである。

 

 子供とは未知と冒険を楽しむ生き物だ。大雪を見てテンションの上がった彼は雪をかき分け、スキー場を越え野生のポケモン達の住う山の方へ行ってしまったのだ。

 これは大変危険な行為で、ポケモンも持たない低年齢の子供が山奥に入ってしまうと生存確率は限りなくゼロになる。さらに雪まで降っているなら尚更だ。

 幸いにもカブトは山奥へ入る事は無かった。何故ならスキー場を出てすぐに彼は倒れているポケモンを見つけたからだ。

 そのポケモンはユキワラシ。今の彼の手持ちであるユキちゃんがユキメノコになる前の姿である。

 ユキワラシは外傷が酷く文字通りボロボロの状態であった。そんなユキワラシをカブトは子供の力で必死でポケモンセンターまで運び、一命を取り留めさせたのだ。

 

 ジョーイさん曰く、かなり深い傷であと少し遅ければ助からなかったかも知れないと。

 カブトは毎日ユキワラシの様子を見に来た。珍しいポケモンだったと言うのもあるが何よりも何かほっとけないものを感じたのだ。

 

 傷が治っても、一向に外にも出向かずただひたすらベットの上でぼんやりし続けるユキワラシを見て、幼いながらもカブトは確信した。

 

 彼女もまた、親を失ったのだと。

 

 野生のポケモン世界は限りなく過激だ。食っては食われ、食われては食い。それが生きると言う事。恐らくだがあのユキワラシはポケモンに襲われ、その時に親を失ったのではないだろうか? あのボロボロの体も必死で逃げてきた物だと考えれば辻褄が合う。

 

 厳密に言えばカブトは親を失ったのではない。だ 実の親から不要と言われ家族としての関係を解消させられただけだ。だが、かつて感じていた暖かい物はもう二度と戻ってこない。今ユキワラシの抱えている孤独感、寂しさは、心中察して有り余る。

 

 カブトは考えた。どうすれば彼女の辛さを軽減させてあげられるだろうかと。

 そこで思い出した。自分が辛かった時、一体どうやって乗り越える事が出来たのかを。まだ彼とて完全に乗り越えた訳ではない。だが、祖母やキッサキシティの人々が自分の側に居てくれたことで、自分は寂しさを紛らわす事ができたのだ。

 だからカブトはひたすらユキワラシのそばに居た。少しでも彼女の抱える悲しみが和らぐ様にと子供ながらに色々な策を講じた。一緒に遊んだり、一緒に寝たりと考えられる全てを試した。

 

 

 結果として、ユキワラシは立ち直る事が出来た。

 そして病んだ。

 

 

 ユキワラシは、辛い時、寂しい時、側にいてくれたカブトに対して依存した。

 片時も彼の側から離れず、彼が自分から離れる事に異常な程の拒否感を示す様になったのだ。

 

 しかし、彼女のユキワラシとしての病みはある日突然解消される事になる。

 きっかけは些細な事だった。彼らが遊んでいた時、野生のポケモンが襲いかかってきた。ユキワラシは必死で抵抗したが、なす術なく野生のポケモンに倒されてしまう。

 自分の死を覚悟した、その時だった。カブトはユキワラシを攻撃しようとする野生のポケモンを自力で殴り倒し、そばに居たゴローンを投げつけ退散させたのだ。ちなみにゴローンは大爆発して散って行った。

 またして彼女はカブトに助けられてしまった。

 

 彼女はカブトがポケモンを攻撃した際に受けた傷から流れる血を一滴残らず舐め取りながら考えた。もし、ここに来た野生のポケモンがもっと強ければどうなっていただろうか。またしても大切な人を目の前で失う事になったのではないか。

 

 それだけは、それだけは絶対に避けなければならない。彼女はこれ以上親しい人を失いたくはなかった。

 そこで彼女が思いついたのは自分自身が強くなる事だ。その日から彼女は変わった。最愛のカブトと遊ぶのも程々に、鬼気迫る表情でキッサキ周辺の野生ポケモンを狩り始めた。目のついたポケモンから片っ端に。

 彼女が叩きのめしたポケモンの中には、一段進化したポケモンや、彼女よりもレベルの高いポケモン、挙句の果てにはヌシの様な存在のポケモンも居た。

 

 Q,何故勝てたのか? 

 

 A,愛だよ、愛! 

 

 ちなみに、この光景をカブトが目撃してしまったが故に、カブトはユキメノコの事をラオウ系女子だと思い込む様になってしまったのだ。

 

 カブトに近寄る害虫の駆除も当然忘れては居ない。ジムリーダーであるスズナは、まだ倒す為のレベルが足りていない為一旦様子見。トレーナーズスクールでカブトに告白しようとした女の子は氷漬けにされて今もエイチ湖に沈んでいるだろう。

 そして彼女は湖に沈めた害虫から得ためざめいしを使い、見事ユキワラシからユキメノコへと進化を果たしたのであった。

 

 ユキメノコへと進化し彼女の狂気とも言える執着は薄れたのか。いや、むしろ逆である。

 ユキメノコは気に入った者を氷漬けにし住処に持ち帰って飾ると言われているポケモンだ。

 

 カブト君、ここまで言えばわかるわね? (震え声)

 

 ユキワラシ

 

 タイプ こおり 依存

 

 ユキメノコ

 

 タイプ ゴースト こおり 依存 束縛←New‼︎

 

 

 

 何という事をしてくれたのでしょう!! ゴーストタイプだけでは無く束縛タイプまで追加されてしまったではありませんか!! 束縛タイプってなんだよ……

 

 進化して束縛タイプを手に入れた彼女は、カブトに自分以外の女と話す事、目を合わせる事、触れる事を禁止した。

 しかし悲しいかな、カブトは人間、ユキメノコはポケモン。どこぞの自然数でも無い限り互いの言葉などわかるはずが無いのだ。所詮異種間同士決して本当の意味で互いの言葉を理解し合う事は出来ない。

 

 

 つまり何が起こったか。

 

 勘違いが始まった。

 

 カブトはユキワラシ時代のバーサーカー度を目撃している。その際で彼女のあらゆる言動に世紀末フィルターが掛かってしまうのだ。

 

 カブトは彼女の言葉をこう理解した。

 

『我、最強のポケモンを目指す者なり! 我が主として見定めし者、カブトよ。我々は真なる強者としてこの世に君臨する。それ故凡百との会話は最小限に留め、作り出した時間を全て鍛錬に与えねばならない。女と戯れるなど持っての他だ。さぁ、我と共に来い!』

 

 誤訳の極み。だが、カブトはその言葉に感銘を受けた。常に頂点であろうとする姿勢、決して妥協しない強靭なる精神、その全てが素晴らしいと。

 とは言え、全く話さないという事はこの社会において生きていく事が出来ない。

 ユキメノコは、

 

『私がちゃんと守ってあげるから私以外必要ないわよね?』

 

 といっていたが、カブトの抱擁と頬擦りの必死な懇願の前に折れ、決してユキメノコの側から離れないという条件の元、最低限のコミュニケーションは許可するという妥協を取ってくれた。ただし、女性とコミュニケーションを取る時ボールの中からゴーストタイプ特有の怪しげな攻撃を仕掛けようとしていたが。

 

 こうして、カブトとユキメノコの歪な関係は始まったのだった。

 

 彼と彼女の戦いはこれからだ! 

 




トリカブト
ポケモンと意思疎通をまともにおこなえないトレーナーの底辺。
強くないと死ぬ。

ユキちゃん
ルージュラじゃなくてすまない。自然数が人をポケモンから解放させる事を本気で考え始める程の言動。愛の力でジャイアントキリングできるラオウ系ユキメノコ。

ゴローン
作中通しての不憫枠。




もっと病みが欲しいところ。まだ導入だからと言っても病みが薄過ぎる。勘違いを利用して後々病みをさらに深めたい。




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VS束縛系2

できれば色々なタイプのヤンデレを出したい


 なんやかんやで過去を想起しつつも、テンガン山を突っ切ろうとするカブト一行。

 しかし流石に1日での突破は不可能だった模様。彼らはテントを張り、野宿する事にした。ここをキャンプ地とする! 

 テントを張り終えると、彼らはすぐに夕食の準備に取り掛かる。主に料理を作るのはカブトだ。ユキメノコは料理を作りたがっていたが、いかんせん彼女はこおりタイプ、火を使った料理をしようものなら少なからず体が溶けてしまう。彼女は自分の体が溶けようが気にしないだろうがカブトはかなり心配する。その為、料理はカブトの担当になったのだ。

 しかしこのユキメノコ、何がなんでも自分の料理をカブトに食わせたいという思いを抱いている。そこで彼女が取った方法はアイスを作る事だ。

 彼女は自分で氷を作り出し削り、さらにそれだけでは飽き足らず自分の体を構成する氷まで削って作ったアイスを毎日カブトに食わせている。自分の一部がカブトの中に取り込まれているのを見て、毎日毎日快感に身を震わせる。カブトの体の半分くらいが、自分の体で構成されていると思うと本当の意味で一つに慣れたような気がして喜び悶える。

 カブトは特に気にせず黙々と食い続ける。そもそも気づいていない。これが鈍感系主人公か……

 

 夕食と片付けが終わりカブトがテントの中で寝てから暫く経つと、ボールの中からユキメノコが現れる。彼女は爆睡しピクリとも動かないカブトに馬乗りになり、舌を彼の口に入れその口内を蹂躙する。

 暫くすると彼女はカブトの口から舌を出し、彼の口から彼女の口へと伸びる銀の糸を一滴残らず飲み干す様に丁寧に舐めとると、カブトの手を取りその手を起点に彼の体を凍らせ始める。氷は数分も立たない間にカブトの体を覆い尽くした。

 

『いつ見ても貴方は綺麗だけど、この時が一番綺麗だわ。普段から凍ったままでいてくれたら貴方は私だけを見てくれるし、害虫は寄り付かない、何より守ってあげやすいし、格段に美しくなれるのに……』

 

 そう言いながら、ユキメノコは凍りついたカブトの体を幸せそうに抱きしめ就寝する。

 この行為は彼女なりの愛情表現である。ユキメノコは本来気に入った相手を氷漬けにして持ち帰る性質を持つ。つまり彼女が最愛のカブトを氷漬けにしない訳が無いのだ。

 

 

 翌朝、カブトは起床と共に体を覆い尽くした氷を溶かし尽くす。彼は半分とは言え超マサラ人の血を引いている。故に−50度程度の氷ではその行動を阻害する事などできる訳が無い。さらに、その体はキッサキシティ伝統のゴローン投げつけ祭りにより若いながらも鍛え上げられている。生半可な攻撃ではかすり傷一つ負う事はない。

 やっぱマサラ人ってすげー。

 ちなみに彼女がカブトを氷漬けにするのは彼女がユキメノコに進化してからほぼ毎日である。彼女としては、カブトが氷像になろうが普通に生活しようがどちらの姿でも愛する事ができる自信がある。最初の頃は平然と氷を溶かすカブトの姿に驚愕したものの、今では慣れたものだ。

 

 いや、慣れちゃダメでしょ。

 

 

 何はともあれ朝食を食べ終え、準備を整えた後にキャンプ地を出発するカブト一行。勿論ゴミは残さない。

 

 前日同様山の中を突っ切る作戦に出るもここで問題発生。野生のゴローンの群れに囲まれてしまったのだ。その数は優に20は超える。

 たまたまゴローンの巣を突っ切ったしまったか、それとも昨年のキッサキシティで開催されたゴローン投げ祭り優勝者であるカブトの存在に生命の危機を抱いたのか、ユキちゃんが殺しすぎたか、理由がなんなのか全くわからないがそれを考える時間をゴローンの群れは与えてくれない。

 彼らはカブトとユキちゃんに向けて各々技を放つ構えをとる。それは『じしん』でもあり、『ロックブラスト』でもあり、『ころがる』でもあった。もし、技の発動を許してしまえばカブトもユキちゃんも無事では済まない。最悪、死に至る可能性すらある事は明白だ。

 

 もし、発動させてしまえばの話だが。

 

「ユキちゃん、迎え撃ってください。『ふぶき』」

 

 薄暗い通路を塗りつぶすかの如く『白』が吹き荒ぶ。目も開けていることすら出来ない大自然の生み出した圧倒的暴力の突風がユキちゃんを中心に荒れ狂う。勿論カブトは『ふぶき』に巻き込まれない様にユキちゃんに抱き抱えられている。カブトに接触できてユキちゃんの顔が上気している事は言うまでも無いだろう。

 

 ここは逃げ場の無いテンガン山の内部、しかも密集して襲いかかってしまったゴローンには『ふぶき』を躱す手段はない。技の発動中故に防御をとる事も出来ない。

 

 かくして、無謀にもカブトとユキちゃんに挑戦したゴローン達はほぼ全員氷漬けにされてしまったのだ。

 

 しかしその中で一匹のみ、『ふぶき』に耐え切り、解除不能氷状態にならなかったゴローンがいた。

 唯一生き残ってしまったゴローンは、破れ去っていった仲間の思いを受け継ぎ、その身の全身全霊を込めて『ロックブラスト』を放つ。

 放たれた五つの弾丸の内、4つは明後日の方向へと飛んでいった。しかし最後の一撃のみ、幸が不幸かカブトの髪をかすり、その髪の一部を切り落とすまでに至った。

 

 カブトはビビったが、自分の体が無事な事に安堵する。しかし、ユキちゃんは違う。彼女にとって、最愛ともいえる人物の髪が一部とはいえ切り落とされたのだ。怒らない訳が無い。

 

『私とカブトのデートを邪魔した事は決して許されない。そしてその中でもお前、そう、カブトの髪を傷つけたお前だ。カブトを守る事も、傷つける事も、この私以外許さない! カブトに傷を与えていいのは私だけなんだ! よってお前にはこの世で最も残酷な死を贈ろうッ!!』

 

 激おこブラストバーンである。

 

 怒りのあまり溶けてしまわないか心配であるが、威力は高いが命中率と射程距離に難のある『ふぶき』とは違い、指向性を高めた『冷凍ビーム』で確実に全身凍結させるあたりまだ比較的冷静でいられるのだろう。

 

『許さない、許さない、ユルサナイ!! その罪、死をもって支払ってもらうッ!!』

 

 凍り付き動けないゴローンに『シャドーボール』をゼロ距離で当て、その体を木っ端微塵にすり潰そうとするユキちゃん。しかしその致死性を持った攻撃はすんでのところである人物に止められる事になる。

 

『カブト⁉︎どうして⁉︎どうしてそんなゴローニャに進化させ無いメリットが無い様な奴を庇うの⁉︎私よりそんな団子体系の方がいいの⁉︎私のこと嫌いになったの⁉︎貴方は私よりそんな男だか女だかわからない奴を選ぶの⁉︎ねぇ! 答えてよ! ねぇ!』

 

 鬼気迫る形相でカブトに掴みかかるユキちゃん。精神に大きな動揺を受けたせいか周りの温度が急低下し、周囲の氷漬けゴローンが浮かび上がるゴーストタイプ特有のポルターガイスト現象が発生する。

 

 ここで答えを間違えれば、この場でかき氷トリカブト味が製作されるという惨劇が起こってしまうだろう。

 

「ユキちゃん、僕のために怒ってくれるのは嬉しい。けど君はいつもみたいなクールビューティーな感じの方がもっとずっと可愛いんだ。君に怒りの表情は似合わない。だからいつも通りの笑顔でいて?」

 

 気障ったらしい歯の浮くようなセリフをポンと告げるカブト。これが若さ故の過ち。きっと数年後気障ったらしい自分の言葉に悶絶する日が来るだろう。それまで生きていれば。

 

 だがこの言葉思った以上にユキちゃんにクリーンヒット。先程とは違う感情で顔を赤らめて下を向いてしまう。

 

 先程殺されかかったゴローンは思った。俺たちは何を見せられているんだ、と。だが事態は彼らゴローンの生存ルートに向かっている様だ。彼はひとまずの命の安全に安心し、テンガン山に鳴り響いたポケギアの音に注意を向けた次の瞬間、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その頭蓋を渾身の力で振り下ろされた『シャドーボール』で打ち砕かれた。

 

 ユキちゃんはカブトがポケギアの着信に気を取られ視線をゴローンとユキちゃんから離した一瞬の隙を突き、出来る限り音がならない様にして笑顔でゴローンを殺害した。

 カブトから笑っていてほしいと言われたのだ。だからこそ笑顔でゴローンを排除した。元々カブトに傷つけたゴローンを許すつもりなど毛頭無い。例えそれがカブトのお願いに逆らったとしても、カブトを攻撃するものを見逃すほど彼女は我慢強くない。そしてどさくさに紛れてカブトの切られた髪を回収する。何に使うかは言うまでもない。

 

 カブトを直接攻撃したゴローン以外の排除は簡単だ。氷漬け状態を解除しなければいい。それだけで勝手に邪魔者は死んでいく。自業自得だとユキちゃんは薄く笑った。

 

「はい、おはようございます。連絡早すぎる様な気がしますけど……ええ……まだテンガン山にいます。え!? なんでゴローンに襲われた事を知ってるんですか? …………愛と気合? 気合ってすごいんですね。それでは、また明日に」

 

 ポケギアでの会話を終了させるカブト。そこにユキちゃんが近づいていく。

 

『ねぇ、貴方? 今誰と離していたの? 答えなさい』

 

 その細腕には見合わない強烈な力でカブトの腕を掴み質問を投げ掛けるユキちゃん。一つの嘘も見逃さないようにハイライトの消えた目でカブトをじっと見つめ続ける。もし、女との恋愛を匂わせる様な話をするようならば今の彼女はこの場で心中する事も厭わないだろう。

 

「ん、ユキちゃんも知ってる人だよ。スズナさんが心配して連絡をしてくれたんです。ちょっと過保護過ぎる気がしますけどね」

 

 照れくさそうにユキちゃんに話の内容を告げるカブト。その姿に彼がスズナに対して何かしらの恋愛感情を抱いていない事に安堵する。本来ならこの世のあらゆる女との接触を断って欲しかったが、少なくとも今のユキちゃんの実力では全ての敵を排除出来る訳ではないので現状妥協している。

 

 だが、この旅を終え強くなった暁には、カブトに近づくあらゆる女を抹殺しようと彼女は心に決めている。今は力及ばないがスズナであろうとも例外ではない。

 

『別の女に靡いた訳じゃないなら構わないわ。少なくともこの旅を続けている限り貴方には私しかいないのだから、今はそれで満足するしかないわね』

 

 出来る事なら氷で作った部屋の中に氷像状態で監禁して、外界からの接触を一切経った状態で愛し合いたい。しかし、今のユキちゃんの実力では、閉じ込めたところでカブトには脱出されるだろうし他の泥棒猫どもも救助に来るだろう。

 

『全ては楽しい生活の為。今は我慢よ、私』

 

 カブトの為に顔には微笑みを浮かべたまま、しかしその手は凄まじい握力で握られる。

 

「ユキちゃん、ちょっと痛いです」

 

 無意識のうちにカブトの手を締めつけすぎた様だ。しかしどれほど力を込めても骨が折れるどころか、青痣一つ彼にはつかない。

 

『あら、ごめんなさい貴方。今冷やすわね』

 

 そう言うと、ユキちゃんは氷を作り出し彼の手を冷却する。氷漬けに出来ないにも関わらず、自分がカブトの肉体に何かしらの傷痕を残してマーキングする事が出来ないのは辛いとユキちゃんは考える。できればパッと見でわかる様なそんな目立つ印を刻み付けたいものだ。

 

『ウフフ、待っててね貴方。もう少し私が強くなったら私の物だってすぐわかる様にしっかりと刻み込んであげるから』




トリカブト
鈍感系主人公。伝説の超マサラ人の血を引く者。マイナス50度くらいならセーフ。

ユキちゃん
カブトの体の一部を体内に取り込み、自分の体の一部はカブトに与える無限ループを作り出した。レベルが上がれば害虫を全て駆除し、好きな子を氷漬けにして監禁したい系ガール。
楽しい生活→氷漬け監禁

ゴローン
約束された敗北の死。

スズナ
ストーカー。盗聴してるくせに毎日の連絡は欠かさない。連絡に出ないと追いかけてくる。


次回、やったねカブト君!修羅場系ハーレム要因が増えるよ!

みんなもヤンデレゲットじゃぞー


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VS排除系

新しいヤンデレの追加タイムだ!多分だけど擬人化もされてないこのポケモンを病みヒロイン?枠にしようとしてるのこの作品だけな気がする。

今回でリタイアする人多いかも……どうしても無理な人は適当に脳内擬人化でもしてください


グライオンのヤンデレを考え直せが多すぎて草生えた


 ゴローンの大群を無事突破する事ができたカブト一行。やたらと勝負を仕掛けてくる山男達を軽くいなしながらテンガン山を抜けるべく出口を探す。暗い洞窟の中では外の光は眩しく映る。存外早く見つけることができて彼らは安心した。

 

 遭難なんかすると中々洒落にならないからね。

 

 なんとかテンガン山を抜けたカブト一行。正確には抜けたと言うよりも途中下車、つまり完全に突っ切った訳ではなくハクタイシティの付近で一旦降りる事にした。

 元よりカブトは行うジム戦を、ハクタイ、クロガネ、ミオ、ヨスガ、トバリ、ナギサ、ノモセ、そしてキッサキの順番で回る事を決めていた。順番は特に意味はない。単純に周りやすい様に選んだだけだ。

 

 ジムリーダーは挑戦者の持つジムバッジの数で使うポケモンのレベルを決める。故に自分の苦手タイプを先に消化し、得意なタイプは後に残すのが定石。

 しかしそれで良いのだろうか? とカブトは疑問を投げかける。本当にそれで勝ち上がって真に強いといえるのだろうか。そこでカブトは特に周るジムの順番は拘らなかったのだ。

 カブトがこの様な奇怪な発想に至ったのは、全てユキちゃんをラオウ系女子と勘違いした事に起因するが今回ばかりはユキちゃんは悪くない。

 

 こうして、晴れてハクタイシティ郊外に降り立ったカブト一行。目指すのはもちろんハクタイジム。

 カブトがハクタイシティの中に入る為に足を動かした直後、

 

 

 

 

 

 

 

 

 凄まじい速度で周囲の木をなぎ倒しながら現れたポケモンにカブトが連れ去られてしまう。

 

 余りにも早い誘拐、俺じゃなくても見逃してたね。白昼堂々いとも容易く行われるえげつない行為(誘拐)。余りのことに流石のユキちゃんも呆然とカブトが連れ去られていくのを見守ることしか出来なかった。

 

 一方のカブト。自分に何が起こったのかすらまだ分かっていない。今の彼はいわばポルナレフ状態、文字通りポッポが豆鉄砲を喰らった様な面をしているのだ。

 そのままふわふわと連れ去られること約数秒間、ハクタイの森と思われる場所に到着した。森の木に作られた巣穴の様な場所に押し込まれるカブト。その時彼は初めて自分を誘拐した相手の全貌を確認することができた。

 

 幅広く赤い複眼に全身を覆う深緑の甲殻、常に羽ばたきを止めない二対四枚の羽、そして恐ろしく開かれた強靭な顎。

 

「メガヤンマ……」

 

 虫タイプのポケモンの中でも屈指の実力を誇るポケモン、メガヤンマ。高速で移動し、その強靭な顎を使って敵の首を噛みちぎる戦法を好むと言われている凶悪なポケモン。

 すっごーい! 君は高速で移動して相手の首を噛みちぎるのが得意なフレンズなんだね! 

 ユキちゃんと引き剥がされた状態でそんなポケモンに拐われてしまったとなれば辿る道筋は一つしかない。

 

 即ち死あるのみ。

 

 この世界においてポケモンの攻撃によって人間が死亡する事件は少なくない。現にギャラドスによって町を壊滅させられる事件は確認されているし、遠くの地方では守り神と言われるポケモンの怒りを買ったが故に一つの町が滅びたとも聞いた事がある。カブトはその事を思い出しゾッとした。

 

 せめてユキちゃんがそばにいれば最悪の事態は回避できたかもしれない。カブトは自分の迂闊さに歯噛みしたが後の祭り、今のカブトに出来ることは何一つない。

 いっそ一思いに……と、カブトは目を固く閉じて最後の時を待つが一向にその時は訪れない。不審に思い目を薄く開けて現状を確認しようとするが、運悪くその時顔を近づけていたメガヤンマと目があってしまう。

 

 暫くメガヤンマと見つめ合うカブト。目と目が合う瞬間好きだと気付くことは勿論無い。側から見れば中々に面白い現場だが、本人からすれば必死の行動。目を逸らしたら殺される、とばかりにメガヤンマの不気味な複眼を睨み続ける。

 

 どれほどの間見つめあっていただろうか、カブトはやがて自分がいつまで経っても食われない事に不信感を抱く。

 

「た、食べないんですか……?」

 

 思わず問いかけるカブト。言葉は通じなくとも場の雰囲気的な感じで内容を読み取ってくれることを祈る。

 

『食べないよ! どうしてそんな野蛮な発想になるんだい!?』

 

 律儀に返答を返すメガヤンマ。しかしその言葉はカブトには当然通じない。長い年月を共に過ごしたユキちゃんならともかく、さっき出会ったばかりのメガヤンマの気持ちを理解しろなど無理な話。カブトは案の定口を開けて、頭が悪い人の如くバナナを考えているかの様な表情で虚空を見つめ始めた。

 

『嗚呼、こんな事が偶然であるものか! これはまさしく運命だとも! まさかキミとこんな場所で会えるなんてね。思わず連れてきてしまったよ。手荒な招待ですまなかった。だがキミはあの時から変わらないカッコ良さだね! この状況はまさしく世界が、アルセウスがボク達を祝福しているに違いない! ねぇ、キミもそう思うだろう?』

 

 何やら捲し立てているが当然カブトに言葉は通じない。だがカブトにも、このメガヤンマが自分の事を知っているのだと理解することはできた(驚異の理解力)。

 

 

 

 

 そう、あれはまだメガヤンマがただのヤンヤンマだった頃の話。大量発生によってカントー・ジョウト地方に異常な程の姿を見せた時、彼女は群れから逸れてしまいマサラタウンの付近にまで迷い込んでしまった事があった。

 当時まだ生まれたばかりでもあったヤンヤンマは飛ぶ事に疲れ、木の枝に一休みしていた彼女はまだ幼きカブトを発見したのだ。当時の彼はまだ2〜3歳、おそらく親の目を盗み家から飛び出してきたのだろう。一人であたりを駆け回る幼きカブトを見て、彼女はこう思った。

 

 あ、めっちゃタイプなイケメンだ! 

 

 一応注釈しておくがこれはカブトがヤンヤンマに似た顔をしているからと言う訳ではない。単純にこのヤンヤンマの頭がおかしいだけなのだ。

 

 特に命を助けられたとか、ピンチを救ってもらったとかそんなものは一切ない。一目惚れ、即落ち二コマである。

 彼女がカブトをこのまま連れ去り逆光源氏計画でもやってやろうかと考えていたその時、事件は起こった。

 突如飛来した伝説のポケモン、ホウオウがカブトを拐って行ってしまったのだ。彼女は必死で追いかけたが到底追いつかない。仮に追いついたとしても彼女の力ではカブトを取り返す事は不可能だっただろう。

 

 彼女は自分の無力さを悔やんだ。そして誓ったのだ。いつか必ず強くなって、今度こそ愛する人を仇なす者全てを排除しようと。

 いつか自分に現れるであろう運命の相手、その相手を守る為に彼女は必死で力を身につけた。

 そしてなんやかんやでセルフメガ進化、もしくはリアルゲンシカイキとでも言うべきか、ヤンヤンマの可愛らしかった頃の面影は殆ど残されていない凶悪な形相のメガヤンマへと進化を果たしたのだった! 

 

 余談ではあるが、カブトは自力でホウオウから脱出し家に帰った。色々と強すぎる。

 

 

 

 しかし当然そんな昔の事をカブトが覚えている筈がなく、加えて言うならただその場にいただけのヤンヤンマなど絶対記憶に残らない。

 

 その為カブトは、

『どこかで見た旨そうな人間を拐ってきたから暫くしたら食う』

 と、勘違いをしてしまった。まぁ、当然の帰結ではある。

 

 メガヤンマが過去を回想する際に目を逸らした一瞬、その一瞬の隙をつきカブトは巣穴から脱出する。ビル3階分に相当する高さの木から飛び降りた事で少なからずダメージを受けた。しかしカブトの足の骨は折れていないし捻挫した訳でもない。走れるならば問題ないと考えたカブトは森の中に逃げ込みその身を隠す。今カブトのすべきことはこの森からの脱出、出来れば人の多い場所に逃げ込むこと。一縷の望みをかけてカブトは走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

『あれ、どこ行くの? …………あー、成程鬼ごっこか! いいよ、久しぶりに会えたんだ。キミの遊びに付き合うとも。ハンデはどれくらいがいい? 何分待とうか? けど覚悟してよね、ボクは例えキミが何処に隠れようとも、何処に逃げようとも、必ず追いかけて見つけ出すからね…………?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 走る、走る、走る。一体どれほど遠くへ逃げただろうか、追い立てられる焦りと捕まった時の死の恐怖。この二つがカブトから体力と冷静な判断力を奪い始める。遠くで聞こえる茂みを揺らす音にさえ怯えてしまう。カブトの体は超マサラ人の体とは言えその精神はまだ十歳になったばかりの子供と同じ。このままでは近いうちに限界が来るだろう。

 

 だが、決して逃げきれないといった予想に反していくら待ってもメガヤンマはやってこない。まさか……と淡い期待がカブトの胸に湧き上がる。

 

「もしかして……逃げきれ……!!」

 

 カブトがその言葉を紡ぎ終える前に爆音が鳴り響いた。カブトが目を向けると、そこにはハクタイの森の木々を薙ぎ倒し悠々とカブトの前まで降りてくるメガヤンマの姿があった。

 

『ハンデの時間はもう終わり。案外早く見つかって良かったよ。言ったでしょ? ボク達は運命で繋がっているってね。キミが例え何処の地方に居ようとも、どんな世界に居ようとも、なぞのばしょに隠れ潜んだとしても、必ずボクが見つけてあげる』

 

 そう言いながらじわりじわりとカブトににじり寄るメガヤンマ。カブトはもう完全に逃げ場を失っていた。

 

『アハハ、そんなに怖がらないでよ。ボクはキミには何もしないよ? キミの害悪になるものなりそうなものその全てはボクがちゃーんと壊してあげるから。キミは安心してボクに体を預けてよ。二人で幸せになろ?』

 

 顔と顔とがくっ付きかねない距離まで接近を許してしまったカブト。彼は死を予感して固く目を瞑る。メガヤンマはそんな彼の顔に手を伸ばし、そして…………

 

 

『カブトから離れなさい! 害虫!』

 

 カブトとメガヤンマを仕切る様に地面に細い白い線が描かれる。メガヤンマは何か嫌な予感がしたのか咄嗟にその場から飛びすさり、『みきり』を発動して攻撃を回避する。

 刹那、メガヤンマからカブトを守る様に地面に描かれた白い線から氷でできた巨大な壁が形成されカブトとメガヤンマの空間を完全に分離した。

 

 カブトが驚いて声の聞こえた方向に顔を向けると、そこに居たのは白い和装をした女性の様な姿のポケモン、カブトのユキメノコこと、ユキちゃんだ。

 

 凛々しいその姿、まさに救世主! やったねカブト君! これで助かるよ! …………いや、よく考えたら悪化しただけだったわ。




カブト
存在するだけでヤンヤンマを惚れさせる程度の能力。ホウオウに連れ去られた気がしたがそんな事は無かったぜ!

ユキちゃん
今回ほぼ空気。次回血の雨が降る

メガヤンマ
トレーナーの力を借りずにメガ進化を行うヤベー奴。しかも不可逆。
愛する人に近づく雌を皆殺しにする系ボクっ娘ヤンデレガール

タイプ
虫/飛行/排除

ナタネさん
出番マダー?




次回、純情ジェノサイダーメガヤンマVS凍結保存のクールビューティユキちゃん



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VS排除2

多くの人に評価してもらえて嬉しいです。もっとヤンデレ小説増えろ。
メガヤンマのヤンデレって需要無いですよね……(特殊性癖の持ち主)

ルカリオ人気すぎて結晶化した。


 メガヤンマに襲われるカブトを間一髪で助けたユキちゃん。その瞳には隠しようも無い憎しみが燃え上がっていた。彼女の視点から見れば当然だろう。何せ彼女は最愛のカブトから無理やり引き剥がされただけではなく、その誘拐犯に今まさに襲われようとしているカブトの姿まで見てしまったのだ。

 

 殺意がぐぐぐぐーんと上がった! 

 

『殺す』

 

 一言呟くと彼女はメガヤンマの元へと飛び込んでいく。その手に握られた『こおりのつぶて』を逆手に構え、メガヤンマの頭部と胴体を二つに引き裂くべく振り下ろした。殺意が高過ぎる。

 

 メガヤンマはその攻撃を『みきり』を使い回避し、返す刀で目眩しも兼ねた『ぎんいろのかぜ』を放ち距離を取る。

 

『そうか! そうなのか! キミはカブトっていう名前なんだね! 良かったよ、もしずっとキミの名前を知らないままだったら一体どうしようって思ってたところなんだ! へぇーカブト……か、流石ボクのカブトだよ。いい名前だ……うん、凄く良い……!』

 

 逃げ延びた空中で顔を赤らめクネクネするメガヤンマ。それを見たユキちゃんが苛立ちを隠さずに吐き捨てる。

 

『何が『ボクのカブト……』よ、笑わせないで。カブトはお前みたいな害虫のものじゃ無い! 私の物よ!』

 

『『私の物……』だって⁉︎こんな女に捕まってカブトも可哀想に……。待っててね、今すぐボクがこの女を排除してキミを助けてあげるからね……⁉︎』

 

 どちらが勝とうがカブトに待っている結末はそう変わらない。

 ヤンデレ×ヤンデレ=血の雨が降る、古事記にもそう書かれている。

 

 ユキちゃんは空を飛ぶ力を持たない。よって空にさえ浮かんでしまえばその攻撃は届かないだろう、そう考えたメガヤンマは『れいとうビーム』も届かない程の上空に移動しそこから一方的に攻撃を仕掛けようと技を構えた。

 

 

 

 

 メガヤンマが咄嗟にその場から回避を出来たのは幸運だったのだろう。上でも下でもなく、横に飛びすさるという選択で無ければ彼女は確実に死んでいた。もしかするとこれまでのカブトとの鬼ごっこで特性『かそく』が発動し、素早さが強化されていた事での恩恵かもしれない。

 

 どちらにせよメガヤンマの命が奇跡的に助かった事だけには変わりない。

 つい先程まで彼女がいた場所には巨大な氷塊が位置し、さらに晴れていたはずの天気は『あられ』が降り始めていた。

 

『『あられ』と『ふぶき』を同時展開して射程距離を無理矢理伸ばしたのか……けど残念♪ ボクの方が少し早かった様だね』

 

 まさしく間一髪。『ふぶき』の射程はメガヤンマの逃げ延びた先のほんの数センチ先だった。あとほんの少しだけ遅れていたら……と考えるとゾッとする。

 

「ユキちゃん! メガヤンマは氷タイプが弱点です! この際どんな技でも一発当たることが出来れば大ダメージを見込めます! 範囲攻撃の『ふぶき』を連打すれば幾ら素早くても避けきれません!」

 

 氷の壁越しにカブトがユキちゃんに声援を贈る。ヤンデレVSヤンデレにおいて片方を応援するのはNG。カブトよ、何故そうまでして死にたがるんだ……

 

 カブトの言葉に案の定メガヤンマが反応する。

 

『ねぇ、そんな奴じゃなくてボクを応援してよ。ボクの愛はそいつみたいに自分の事しか考えて無い独り善がりな愛じゃない。何よりもカブトが幸せになる為の行動なんだ。だからさ、そんな奴早く捨ててボクを愛してよ!!』

 

『醜い僻みね。お前は決定的な勘違いをしている。私の愛は独り善がりじゃない。私はお前なんかの数千光年倍以上カブトの事を考えているわ。カブトにとっても私にとっても氷漬けが最も安心安全で幸せな方法なのよ。だからね、ポッと出が私達の間に入ってくるな!!』

 

『…………今はっきり分かったよ。お前を完全に排除しなくてはカブトとの幸せは望めない! 待っててね、カブト。今そいつを殺して正気に戻してあげるから!!』

 

 

 戦いはさらに激化して行く。

 

 

『必中ふぶき』の要であり、ユキちゃんの『ゆきがくれ』を利用した防御にも転用できる万能フィールド『あられ』をメガヤンマが『ふきとばし』で掻き消し、飛行能力というアドバンテージを利用したヒットアンドアウェイ戦法で確実にユキちゃんにダメージを与え続ける。

 

 ユキちゃんは『こおりのつぶて』の攻撃において飛ばす礫の最大数を減らす事で、『かそく』したメガヤンマをも超える速度のを手に入れたホーミング氷礫をひたすら投げ続ける事でジワジワとメガヤンマにダメージを与える。

 

 このまま拮抗状態かと思われたが突然事態は急変する。

 

「ユキちゃん⁉︎」

 

 突如としてユキちゃんが口から血を吐き地面に倒れ伏した。

 

 毒を受けていた訳ではない。メガヤンマの能力だ。メガヤンマは羽ばたいた時の衝撃波で、相手の体の内側に致命的なダメージを与えるという性質を持つ。その為一見外傷は無くとも体の内側はズタズタに引き裂かれているという恐ろしい現象を引き起こすのだ。

 

『随分梃摺らせてくれたね。けどもうお終いだ。キミの内臓はズッタズタのボッロボロ、もう立ち上がる事すらままならないでしょ』

 

 メガヤンマは倒れ伏して動かないユキちゃんに近づきその首元に鋭利な牙の生えた顎を突きつける。

 

『さようなら。じゃあ死ね………………ッ⁉︎って、これは……ッ⁉︎』

 

 何かに気づき、その喉笛を噛み砕こうとする動作を止めるメガヤンマ。その足元に転がるユキちゃんから怪しげな紫のオーラが漏れ出しカブトへと続いていた。

 

『『みちづれ』……だって⁉︎まさかキミはカブトと心中する気で……! そんな事させないぞ! ボクのカブトをキミなんかに取られてたまるか!』

 

 そうは言ったもののメガヤンマに出来る事は無い。地面に這いつくばるユキちゃんを睨む事しか出来ない。

 

『(どうする? 距離を取るか? くそっ! ボクは『みちづれ』の射程範囲も効果時間も知らないぞ!)』

 

 再び膠着状態。しかし今度の膠着はそう長くは続かなかった。

 

「フレンドボール!」

 

 つい先程自分のポケモンに『みちづれ』を受けたがまるで気づいていない鈍感系主人公、カブトがメガヤンマに向けてフレンドボールを投げつける。意外にもオシャボ勢という事が発覚。ちなみにユキちゃんはプレミアボールだ。

 

『ッ! カブト! キミはそこまで熱烈にボクを求めてくれるの! やったー! メガヤンマさん大勝利ー!』

 

 投げつけられたボールを回避するそぶりすら見せず、むしろ積極的に捕獲されるかの様に自らボールに飛び込むメガヤンマ。ボールも3カウント鳴らすことも面倒だと言わんばかりに1カウントだけで捕獲完了の合図を鳴らす。

 

 あれ、これ初手ボールが安定だったのでは? (名推理)

 

 本人からすれば自分のポケモンであるユキちゃんが今にもトドメを刺されそうにみえたから、なんとか回避しようと自棄で投げたボールで幸運にも捕まえられたぐらいにしか思っていないだろうが、何はともあれメガヤンマの捕獲完了。カブトは重症のユキちゃんをボールに戻し、急いでポケモンセンターを探すのであった。

 

 ちなみにハクタイシティのポケモンセンターはあっさりと見つかった。メガヤンマとユキちゃんの戦いでハクタイの森の一部が消滅した事によって見渡しが良くなったのだ。環境破壊ダメ絶対。

 

 

 ユキちゃんをポケモンセンターに預けて1日たった。大事をとってまだユキちゃんはポケモンセンターに預けてあるがカブトにはその前にやらねばならない事がある。

 新しく捕獲したメガヤンマとのコミュニケーションだ。

 

 何故か捕獲時のなつき度が限界突破しているという恐ろしさ。そうとは気付かないカブトは恐る恐るメガヤンマに声をかける。

 

「えー、こんにちはメガヤンマさん」

 

『こんにちは、カブト。ボクらはもうパートナーなんだからそんな堅苦しいのは無しにしようよ』

 

 カブトは想定していた反応より好意的で戸惑ってしまう。カブト視点ではジェノサイダーなお陰で、もっとこう、「目と目があったらジェノサイド!」みたいなヤバい奴を想定していたのだ。例えば出会い頭に『エアスラッシュ』を打たれるとか。もしそうなったらカブトは肉体言語で会話する予定だった様だが。

 何故ナチュラルにメガヤンマと戦おうとするのか……

 

「メガヤンマさんは野生に帰りたい?」

 

『まさか! 折角キミと共に居られるというのにわざわざ野生に帰る訳ないじゃ無いか!』

 

 メガヤンマはそう言うとその体をカブトにすり寄せる。背中にぴったりと張り付かれてカブトは微妙な表情をする。羽音がうるさい。

 

「んー、じゃあ仲間になってくれるなら名前は『メガヤンマ』から『ヤンマ』を取って……メガちゃんだね!」

 

『それなんか違う気がする……』

 

 メガヤンマことメガちゃんにすら呆れられるカブトの知能。何はともあれメガヤンマが仲間として新規加入。これからよろしく、と差し伸べられたカブトの手にそっとメガちゃんは着地する。

 

『じゃあ早速ジム戦だね。ボクとカブトのコンビネーションならどんな相手にも負けやしないよ!』

 

「え? 今日はジム戦に行かないよ? ちゃんとユキちゃんが回復するのを待ってあげたいし、それにジム戦するならみんな一緒が良いよ」

 

 先程まで上機嫌だったメガちゃんはその場で固まり一気に不機嫌になる。

 

『……なんで? なんでボクより弱い女の事なんか気にするの? キミを他の女から守れるのはボクだけなんだよ。だからあの弱いユキメノコなんて要らないでしょ?』

 

『ボクならキミを閉じ込めたりなんかしないし、束縛しようとも思わない。ただキミがボクを愛してくれればそれで良いんだ。その為ならボクは何でもするよ? キミに近づこうとする奴はアルセウスだって噛み殺してやる』

 

 意識してか無意識か、メガちゃんの羽の起こす振動が周りの木々を切り裂き薙ぎ倒す。体を揺らしながらゆったりとカブトに顔と顔がくっつく程に近づいたメガちゃんはさらに言葉を続ける。

 

『キミに付き纏う女はボクが全て始末する。あのユキメノコも他の有象無象もね。あのユキメノコは消えるけどキミにはボクがいる。いや、言い換えよう、キミにはボクさえいれば良い。違うかい?』

 

「違うよ。僕にとってユキちゃんは家族みたいなものなんだよ。家族が居なくなるのはもう沢山だからね。それに折角仲間……いや、家族になってくれたメガちゃんが居なくなるのも嫌だ。すぐ仲良くなってとは言いません。けど互いに傷つけ合うのはやめて欲しいです」

 

 メガちゃんの目から視線を逸らさずに見つめ続ける。かつての様に死に怯えた行動では無く、今度は自分の要求を呑ませるまで引かないという意思を込めた行動だ。

 

『ふぇ! ボクとカブトが家族だって! これはもう実質結婚したのでは⁉︎(ヤンデレ特有の意味不明思考)』

 

 もっとも当の本人であるメガちゃんは途中から自分の世界に入り込んで居たのだが。

 

『取り敢えずあのユキメノコは保留。監視を続けてこれからの行動で判断を決めるとしよう。まぁ、カブトの言う事に従うならなら『家族じゃない』奴なら排除して良いって事だね。なら何の問題も無い。これからもカブトを狙うゴミは容赦無く消させてもらうとしよう』

 

 一見すればカブトの言葉に納得し引き下がった様に見える。しかしメガちゃんの本心は全く別の事を考えていた。

 

『(やりようなら幾らでもある。ただしあんまり表沙汰になる直接的手段に出るとカブトに嫌われかねない。だったらあのユキメノコには自発的に失踪してもらうとしようじゃないか)』

 

 そんな事を考えているとは知らないカブト君。メガちゃんが納得してくれた事に安堵する。本人としてはメガちゃんがカブトに好意を持っているとか過去一目惚れしたとかそんな事情はまるで理解出来ていない。ただ、先程まで敵だった二人が仲良くやっていけるかが心配だったのだ。

 

 

 やったねカブト君! 仲間が増えたよ!




カブト
メガちゃんが納得してくれて嬉しみ
本当の地獄はこれからだ!

ユキちゃん
ポケモンセンター送り。目覚めた時が修羅場

メガちゃん
フレンドボール確定一発。カブトの周囲で女が消えたら大体コイツのせい。ユキちゃんには密かに消えてもらおうと考えている。

ナタネさん
まだなの…?

次回、修羅場確定ガチャSSR!果たしてカブトは生き残れるのか!

みんなもヤンデレゲットじゃぞ〜!


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VS修羅場(お試し版)

修羅場のくせに今回は比較的マイルド。徐々に強くしていこう!

この小説ってちゃんとヤンデレになってますか?自分じゃヤンデレ感あんまり感じなくて……

奥さん、ポケモン小説の癖にバトル適当な小説があるらしいっすぜ!


「と言う事でメガヤンマのメガちゃんが新規加入しました」

 

 治療を終え完全復帰したユキちゃんにカブトはメガちゃんの新規加入を伝える。念の為メガちゃんとユキちゃんが戦闘になっても問題ない場所へと移動してある。

 

『…………どういう事? 貴方には私がいれば十分でしょう? 他の女の力なんて頼る必要は無いわ。私だけが貴方を本当に守れるのよ』

 

「んー、ユキちゃんの一人で頂点に立ちたい気持ちは分かりますが、間違いなくメガちゃんは貴重な戦力になります。あれほど強いユキちゃん相手にタイプ相性をものともしない戦いを出来る以上メンバーに加えたいです」

 

 この期に及んでまだ頓珍漢な事を言うカブト。しかし流石の彼も場の雰囲気が悪くなっている事には気付いている様で警戒態勢を怠らない。

 

『……私じゃ……私じゃ不満だって言うの! カブト、貴方は私よりそんな女の方を選ぶの! 許さないわ! なら、多少強引な手を使ってでも貴方を私の『物』にする!』

 

 怒り狂ったユキちゃんを中心に四方八方へと鋭い冷気が迸る。冷気に当てられた植物は皆一様に凍り付きその生命活動を停止させる。これをただの人間が受ければ間違いなく即死するだろう。……ただの人間であれば。だが生憎とカブトはただの人間では無い。伝説の超マサラ人だ。この程度の冷気、訳もない。

 

『カブト、やっぱりあの女は危険だ。下がっていてくれ。ボクが排除しよう』

 

 カブトの腰につけられたボールから勝手に出てきて臨戦態勢に入るメガちゃん。彼女はかつてユキちゃんに勝利した実績がある。戦いを行えば必ずや今回も勝利を手にするだろう。

 

「いえ、下がっていて下さい。これは僕とユキちゃんの問題です」

 

 だがそこで得られた勝利に意味はない。むしろヤンデレが悪化するだけに終わる。まず間違い無くカブトはそこまで考えていないが、ここでメガちゃんに任せる事がバッドエンドルート真っしぐらな事は生存本能的に理解したのだろう。

 

 拳は握らず、吹きあれる吹雪の中心にいるユキちゃんの元へと足を進める。凄まじい速度で射出される『こおりのつぶて』をその人間離れした動体視力で回避したり打ち落しながら一歩一歩ユキちゃんの元へ歩みを進める。

 

『まだ未完成だけど『絶対零度』ならカブトもきっと溶かしきれずに氷像になってくれるはず。わざわざ私に近づいて来たのは貴方も氷漬けになる事を望んでいるからかしら? 安心して、私は凍りついた貴方をずっと愛してお世話し続ける事が出来るわ』

 

「僕が望むのはユキちゃん達とのこれからの生活です。確かに僕がメガちゃんを仲間にした事でユキちゃんの『頂点に立つのはただ一人計画』を邪魔した事になるのは分かっています。ですが、本当に頂点を目指すなら仲間を増やすことはどうしても必要になって来ます。お願いします。妥協して下さい」

 

 深々とユキちゃんの前で頭を下げるカブト。その足はユキちゃんの放つ『絶対零度』擬きによって凍り付き始めていた。もはやこの場から逃げ出す事は叶わない。

 

『……そんなに頼んでもダメよ! 貴方には沢山の人やポケモンがいる! けど私にはもう貴方しか居ないの! 貴方を失いたくない! 貴方に捨てられたくない! 他の女がいたら貴方はそっちに目移りするじゃない! 貴方が他の女と接触し続けると私に対する興味はいずれなくなる。そんな事になったら私はまた一人ぼっちよ!』

 

 ユキちゃんは自身の秘めたる内面を吐露し始める。親を失い一人になったからこそ孤独を嫌い、暖かさを得たからこそそれを失う事を拒否する。他の物に取られない様に自分の物だと印をつける事に拘り、他の物に靡かない様に氷に閉じ込める事に固執する。

 他者に対する高い攻撃性は失う事に怯え恐る臆病な内心の裏返し。いくら表面を氷の様にクールに取り繕っても隠しきれない程の恐怖心。

 ただし、凍っている姿を美しいと感じるのは本人の趣味。

 その全てとは言えないが、この事に関しては勘違いなくカブトも大体理解出来た。

 

「大丈夫です。僕がユキちゃんを捨てる事なんて決して有り得ない。なんて言ったって君は僕にとっての一番なんだから」

 

『そんな事言ったって信用出来ない! 必ず戻るって言ったパパもママも結局死んじゃったのよ! 貴方だって私からいつか離れてしまう! そうに違いないわ!』

 

「違う! 僕はユキちゃんから離れない! 頼まれたって離れてやらない! 君が一番なんだ! ナンバーワンだ! 何の証拠も出してやらないけど君を一番大切に思っている!」

 

『なら氷漬けで私のそばにいてよ! そうじゃなきゃ貴方の事を信用出来ない!』

 

「氷漬けにはならないですけどずっとこれで生活するなら良いですか⁉︎」

 

 もうここまで来ればカブトも自棄っぱち。自身の手が凍り付くのも気にせずユキちゃんを俗に言うお姫様抱っこの形で抱き抱える。本当に何をしているんだこいつ……

 

『え⁉︎ちょ、やめなさい! 恥ずかしいからやめて!』

 

 顔を赤くしながらペシペシとその色の白い細腕でカブトの顔を叩くユキちゃん。

 

「ダメです。ユキちゃんが分かってくれるまでずっとこうしてます。ユキちゃんは僕の一番大切な家族です。ですので他のポケモンがメンバーに新規加入してもその位置は決して変わりません」

 

『わかった、わかったから下ろして! 許すから! せめてカブトがポケモンマスターになるまでは他のポケモンを使う事も許すから! だからこの格好はもうやめて!』

 

 ユキちゃんはジタバタと腕の中でもがいている。カブトは他のポケモンを使っても良い許可が出た事を理解するとユキちゃんをその場に下ろした。

 顔を赤くしてカブトを睨むユキちゃん。何か、こう、勢いで有耶無耶にされた感が残りまだスッキリとしていない模様。

 

『貴方がポケモンマスターになるまでは他のポケモンを使う事も認めるわ。けど、もし私以外の物に現を抜かす様であれば…………』

 

「分かってますよ。けど意外ですね。ユキちゃんこんなに寂しがり屋な面を持っていたとは思いもよりませんでした」

 

 寂しがり屋の一言で済ませるあたりこいつは今までの話をあまり理解できていないと分かってしまう。まだカブトの中ではラオウ系ユキちゃんなのだろう。

 

 突然、ユキちゃんを地面に下ろしてぼんやりと突っ立っていたカブトの手首に霜が纏わり付き手錠の形を取る。

 

『私が貴方を信頼する為に貴方にはこれをつけて貰うわ』

 

 それとほぼ同じタイミングでカブトの手首を拘束する氷の手錠と同じ物がユキちゃんの手にも形成された。ちょうどカブトとユキちゃんでお揃いの形になる。

 

「お揃いなのは嬉しいけど風呂で溶けちゃわ無いですかねこれ?」

 

『問題無いわ。その腕輪は常に分解と凝固を繰り返しているから伝説のポケモンの炎でも無ければ溶けることは無いのよ。さらにそれは貴方が他の女に対して特別な感情を抱いた時、もしくは邪な気持ちを持つ女が貴方に触れようとした時に反応して貴方の体を瞬時に凍りつかせる機能もあるわ』

 

 圧倒的ハイスペックを無駄に使っている感が半端無い腕輪、もとい浮気絶対許さない手錠をプレゼントされたカブトは特に何も気にする事なくカッコいい腕輪をプレゼントされたと思い込み素直に喜びをユキちゃんに伝えた。

 

 カブトの頭の中はグランデシアの花畑である。

 

『(……成る程、分かったよ! つまりあのユキメノコを排除すればボクが一番になれる、そういう事なんだねカブト!)』

 

 折角イイハナシダナー的に終わりそうだった話に水を差すメガちゃん。やっぱ緑のヒロインはダメだな。

 

 

 

 なんやかんやで修羅場を乗り切ったカブト。チームが一致団結した今がチャンスとばかりにハクタイシティのジム戦へと挑みかかる。予め予約はしておいたので万事抜かりは無い。

 ジムトレーナーさん達を軽く蹴散らして、いよいよジムリーダーとの戦いへと移るカブト。ハクタイシティのジムは草タイプをメインに使う。その為メガちゃんで戦うとタイプ相性上は圧倒的優位が得られる。しかし相手はジムリーダー、その程度の優位は蹴散らして勝利を奪い取られかねない。故に決して油断できないのだ。

 

 今回カブトは今回が初めてのジム戦となる為、ジムバッジを持っていない。ジムリーダーは持っているジムバッジの数で使うポケモンを変更する事が協会によって定められている。つまりジムバッジ0個ならば最もポケモンのレベルが低い状態で相手をしてくれるだろう。

 

 メガちゃんはタイプ相性で不利なユキちゃんを寄せ付けない程の手練れ。足を引っ張ら無い様にしなければ、とカブトは気合を入れるため自身の両頬を軽く叩いた。

 

 

 

 

 ナタネによるバトル開始宣言とと共に、ジムバッジをかけたバトルの火蓋が切って落とされた。

 

 

 

 

 

 メガちゃんは、ナタネのチェリンボが放つ『タネばくだん』に紛れて射出される『やどりぎのタネ』を『かげぶんしん』と『みきり』を併用して回避する。もし一度でも攻撃に当たると、寄生木に絡み付かれてメガちゃんの強みである速度が封じられ最悪制空権すら失う事になっていただろう。

 どちらが先に音を上げるかの戦い。先にスタミナの切れたチェリンボの『タネばくだん』が途切れた一瞬の隙をつき、メガちゃんの『エアスラッシュ』がチェリンボの柔らかな体を引き裂いた。

 

 続く二回戦、メガちゃんは『かそく』の素早さを維持したまま、次の相手であるナエトルへと向かい合う。ナエトルは先程のチェリンボとは異なり、『からにこもる』と『リフレクター』による防御を主軸に置いた戦いを始めた。本来ならその鉄壁の防御を切り崩すのに手こずるであろう相手。しかし、今回は相手が悪かった。メガちゃんの持つ性質である、外皮を無視した内臓への衝撃波攻撃。ジム戦前に行われたコミュニケーションで『ソニックブーム』と名付けられたその技はナエトルの鉄壁の防御を貫通して、カブト達に勝利を齎した。

 

 最終戦、ジムリーダーナタネの繰り出した最後のポケモンはロズレイド。カブトは、ロズレイドの繰り出した『しびれごな』を『ふきとばし』で弾き返す指示をするもそれは罠。『しびれごな』を吹き飛ばしたことでメガちゃんの視界を奪い、僅かに出来た死角から『パワーウィップ』でメガちゃんを拘束する。ジムの床、壁へと叩きつけられた事で、元より防御力の薄いメガちゃんは戦闘不能状態へと陥ってしまった。

 

 ここで満を辞して登場するのが我らがユキちゃん。カブトに手錠をつける事が出来てご機嫌な彼女を止められる者はもういない。ロズレイドが最後の抵抗として放った『シャドーボール』を『シャドーボール』で真っ向から粉砕し、愛の力で手に入れた新技『サイコキネシス』でロズレイドを意趣返しに四方八方に叩きつけて勝利を収めた。

 

 こうしてカブト達は無事に第一のジムをクリアする事に成功したのだった。

 




カブト
ハイスペック手錠をつけられたが特に関係無かったぜ!

ユキちゃん
なんかちょっと病みが消えたみたいな雰囲気出してるけどそんな事ないから(断言)

メガちゃん
今日も今日とてジェノサイド!

ジムリーダーのナタネさん
セリフが一切無い可愛そうな人。ジム戦はこんな感じでカットされる。サクサクプレイとはこの為に……


次回予告!一斉カットされるジム戦!男には興味ねぇ!なんか知らんうちに増える手持ちとヤンデレ!

多分次のヤンデレポケモンは安直だから簡単にわかるかな?

『増えるヤンデレ、減るジム戦』

みんなもヤンデレゲットじゃぞ〜!


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VS催眠

初対面の相手を病ませるとかちょっと無理だったよ……

ナタネファンの皆様、再登場で頑張るから許してください




 ジム戦を終えたカブトはジムリーダーナタネに誘われてナタネの家で一泊させて貰うことになった。キッサキシティの事や、カブト自身の事、今までの旅について等聞きたいそうだ。

 カブトは何も考えずにホイホイ付いていく。その驚異的身体能力で忘れられがちだが、カブトはまだ十代になったばかりの少年だ。何か裏があると考える事は無理なもの。あっさりと家に連れ込まれてしまった。

 

 ここでカブトに手を出そうと考えるナタネを排除すべく、カブトのポケモン達がボールから飛び出してくる。忠誠心、と言うよりはただの独占欲。狂愛によって強化された彼女らは同レベルかつ同じポケモンの中でも飛び抜けた力を持つ。

 彼女らの持つ圧倒的な力、その力を十全に振るうことが出来れば全力のナタネにも僅かながら勝機は見出せたかも知れない。

 しかし哀しいかな、彼女らは繰り出されたキノガッサ一匹の『きのこのほうし』によって深い眠りにつかされてしまった。どれほど強い力を持とうが、その力を振るう機会が無いのであればそれは無意味な事。

 ナタネは熟睡するカブトのポケモン達をカブトから掠め取ったボールに戻した後『つるのむち』の応用でグルグル巻きにして封印してしまった。そしてこれでカブトを守るポケモンは居ない。カブトにはポケモン達は別室で遊んでいるとでも伝えられるのだろう。

 

 何の疑いも無くナタネ家の食事をご馳走になるカブト。この食事の中にはあの伝説の存在、インド像すら昏倒させる程の睡眠薬が混ぜ込まれている。並の人間ならそのまま永眠しかねない代物だが、カブトはまるで気にした様子もなく料理に舌鼓を打つ。

 

 ナタネは思った。え? 何でこの子寝てないの? 

 

 A.気にしたら負けです。

 

 近年、若者の人間離れが増えてきているが、流石のカブトも3皿目で漸く睡眠薬の効果が効いてきたようだ。皿を机の上に置くと、そのまま床に倒れ込んでしまった。

 

 ナタネさん大歓喜。まさかカブトが伝説のインド像3匹に相当するとは考えもしなかったが、兎に角眠り状態のカブトを手に入れる事が出来たのだ。後は地下室に『つるのむち』で縛って監禁するなり、既成事実を作るなりなんなりしてゆっくり落としていけば良い、と。

 

 それ寒く無いの? という服を着る事に定評のあるナタネがこの様な強引な方法を取った事には深い訳がある。

 

 そう、あれは昨日の事だ。ナタネは自身の怖がりを克服する為にも『もりのようかん』へ足を運んでいた。もはや日課となった様な行為。しかしナタネは洋館を遠巻きに見るだけで中には入らなかった。怖がりを克服したいのは本心だが、外からでも十分怖いし別に中に入らなくても良いかなー、と。それで良いと思っていたし、別に無理して入る必要も無い。そう思っていた。

 そんな彼女だが、洋館からハクタイシティへ帰る途中にメガヤンマから逃走する少年の姿を偶然見つけたのだ。

 助けなければ、そう思い少年とメガヤンマの姿を追った。しかしメガヤンマのスピードにただの人間がついていける訳が無い。そして困った事にナタネの今連れているポケモンは育成途中のポケモン達ばかりで、主戦力は全てジムに置いてきてしまっている。その為、メガヤンマのスピードに追いつける様なポケモンに乗って追跡するという事が出来ないのだ。

 

(お願い、無事でいて!)

 

 切実な願いを抱きながらナタネは走った。ジムリーダーとしてあの少年は守らなくてはならないと。

 必死で走ったナタネはメガヤンマと少年に追いつき、木々が薙ぎ倒され平野となった場所へと到着した。そこで彼女が見たものは、震える足を抑えながらメガヤンマと対峙する少年の姿。恐ろしさの余り顔が引きつっているのが遠目でも見て取れる。怖いのだろう、恐ろしいのだろう、それでも少年は前を向いて立ち向かっていた。必死の抵抗が功を奏したのか、彼の手持ちと思われるポケモンが救援へと駆けつけて最悪の事態を回避する事に成功した。

 

 それに比べて自分はどうだ? と、自分自身に問いかけるナタネ。自分は恐ろしい物を前にした時どうしていた? 結局『もりのようかん』には入らず仕舞いだったでは無いか。言ってしまえば、言い訳をして真に自分の弱点に向き合っては居なかったのだ。

 

 その為、今のナタネから見た彼はとても尊敬に値する姿に見えた。恐れながらも恐怖の対象に毅然と向かったその姿勢、それはとても眩しく輝いて見えた。自分には出来なかった事でその輝きは一層輝いて見える。

 

 彼らとメガヤンマとの戦いの結末を見届けた後、ナタネは『もりのようかん』へと向かった。過去の自分を乗り越える為に。今ならなんでもできる気がする。もう何も怖くない! 

 

 結論から言うと、彼女は『もりのようかん』の内部に入ってすぐ出てきてしまった。しかしそれは人類にとって小さな一歩でも、彼女にとっては大きな一歩となったのだ。

 

 

 ナタネはあの少年に感謝していた。彼と出会わなければ一生『もりのようかん』には入らなかったに違いない。ただの一方的かつ異常に美化された物だがこの感謝の気持ちを伝えたい。そう思っていた矢先の事だった。

 

 あの時の少年がジム戦に挑戦に来たのだ。

 

 ナタネは彼に感謝の言葉を伝えた。自分は君のお陰で勇気を持てたのだと。彼は意味が分からないといった様な顔をしていたが。

 

 それはそれとしてジム戦は一切の手加減無しで行った。最初こそジム初挑戦に合わせたが、彼の知識量とポケモンのレベル、それらに押されて初挑戦に対するポケモンでは無いポケモンも使ってしまうことになったのだ。

 何よりも彼女を驚かせたのはこの前のメガヤンマを手持ちポケモンとして従えていた事だった。たった少しの時間でもうあのメガヤンマと心を通じ合わせたのか、と驚愕した。

 

 ジムバッジを渡した後、彼に家に来る様に伝えたのは純然に感謝と興味のみだ。そこに邪な気持ちは入っていない。ただ、彼がどの様な人生を送って来たのか、それが知りたかったのだ。

 

 家でもてなすために料理を作っていた時、少しだけ彼女に魔が差した。あの少年を自分だけのものに出来ないかと。危険に立ち向かう彼の姿はナタネに勇気を与えた。しかし同時に独占欲も与えてしまったのだ。彼が欲しい。どうせならずっと自分の側から片時も離れずに励ましていて欲しい。他の場所へと行って欲しくない。

 

 ちょうど良く睡眠薬もある。これを使えば後はどうにでも……

 

 斯くして、一時のテンションに身を任せ暴走した者がここに。

 今の彼女の心境、それは……

 

(ああああ! やっちゃった! うわぁぁ、どうしよう……)

 

 滅茶苦茶混乱していた。その時は勢いで薬を持ったが、よく考えてみれば犯罪行為だし何より町の顔であるジムリーダーがこんな事をして良いはずが無い。彼女の持つ本来の真面目さと、手元に置いておきたい所有欲。この二つが混ざり合い大混乱を引き起こす。

 

「も、もうここまで来たら引き返せない! こうなったらやるしか無い!」

 

 暫く悩んでいたが、ナタネは悩みを振り切りカブトを地下室へと連れて行こうとその体に手を伸ばす。すると……

 

「凍っちゃった……⁉︎」

 

 突然カブトの体が凍りついた。ユキちゃん式超高性能氷の腕輪が効力を発揮したのだ。

 

「え? うそ、私氷タイプだったの……⁉︎」

 

 突然人の体が凍りつくと人は混乱する。誰だってそうなるし俺もそうなる。しかも、直前まであたふたしていたなら尚更だ。

 

 混迷の極みに達したナタネのとった行動は、取り敢えず地下室に連れて行く事だった。地下室で何とか解凍しようと頑張るもあえなく撃沈。そう簡単に突破される氷では無いのだ。

 困りに困ったナタネは取り敢えず地下室にカブト(氷漬けの姿)を放置する事に決めた。念の為『つるのむち』で体を縛っておいたが。

 

 

 そして翌朝、そこには何事も無かったかの様な姿で朝の挨拶をするカブトの姿が! 

 ナタネは困惑した。もしかして夢を見ていたのは私の方なのか? うん、きっとそうに違いない。人がいきなり凍るとか、翌朝には何事も無く生きているとかあり得ないし。

 

 結局、ナタネはカブトに手を出さずに帰してしまった。今の彼女の心は手を出さなかった事への後悔半分、安堵半分といったところだ。

 彼女の今後に期待です。

 

 

 

 ナタネ宅を出たカブト。ちなみに手持ちのポケモン達はまだ眠っている。

 ジム戦を終えたからハクタイシティを少し観光しようと考えたカブトは、このハクタイシティで最も目立つ前衛的なデザインの高層ビル、通称ギンガハクタイビルへと足を運んだ。

 かつて見たTVのCMで、何やら宇宙の新エネルギーがどうとかこうとか中々面白そうな事を宣伝していたので見学に来たのだ。

 新エネルギーについて興味がある旨を受け付けで伝えると、特徴的なおかっぱ頭の団員さんが快く中を案内してくれた。

 

 ビルの中では主に新エネルギーの研究がメインで行われており、実際の研究は公開されていなかったもののある程度の説明を受けることができた。パンフレットなどを山ほど貰ったのでカブトの残念な頭でもある程度理解できるだろう。

 中には人工的にポケモンを作り出すという新エネルギーと何の関係があるのかイマイチ関連が掴めないものもあったが、特にカブトは気に留めなかった。

 

 一通り見学を終えると服装からいかにも研究者です! と自己主張する白衣の男からポケモンを一体受け取った。聞くところによると、作り出したは良いものの新エネルギーの開発にあまり役立たなかった為育ててくれるトレーナーを探していたという。戦わせてもあまり強く無く、持て余していたので引き取ってもらいたいらしい。

 

 カブトは二つ返事で了承した。

 

 こうしてカブトは新たなポケモン、ポリゴンを手に入れたのだった。

 ここでギンガ団研究者が意外な気遣いを発揮。このポリゴンに『アップグレード』を使用していた事で、カブトの手に渡った途端ポリゴンはポリゴン2へと進化した。角張った体は見事な流線形を描く物へと変化し虚な目はそのままで、より親しみやすい姿へと進化を果たしたのだ。

 

 新たに仲間に加わったポリゴン2をポリさんと命名し、お世話になったギンガ団の皆さんに別れを告げてカブトはハクタイシティを旅立って行ったのだった。

 

 新たな仲間を出迎える事が出来て嬉しそうなカブト。しかし彼の唯一の不満、それはポリさんのボールがただのモンスターボールな点だ。オシャボ勢な彼としては赤と青のカラーリングであるポリさんは、ルアーボールが似合うと思う。ルアー全く関係無いけど。

 

「と、いう訳でこっちに移動してもらえますか?」 

 

『……………………』

 

 ボールを移し替える為だけに態々一度逃したポリさんにルアーボールを近づけて返事を待つ。ここでポリさんがついてくる事を否定したり、ルアーボールが嫌だと言うならば別に強制するつもりは無かったが、別にそんな事もなくポリさんは無言でボールの中へと入っていった。

 

「……気持ちが分かり難いなぁ……まぁ、そのうち何とかなるでしょ」

 

 こうして新しくポリゴン2のポリさんが手持ちに加入したのだった。

 目覚めたメガちゃんとユキちゃんは新しく手持ちを増やした事について文句を言っていたが、ポリさんのあまりの無感情っぷりに次第にその声も聞こえなくなった。多分性別不明な点も関係しているのだろう。

 

 

 ハクタイシティを出たカブトは206、207番道路を通りクロガネシティへと向かう。その途中で出会った腹を空かせたポケモンにきのみを与えたり、見知らぬトレーナーからポケモンのタマゴを渡されたりしながら道路を自分の足だけで走り抜ける。

 自転車? あいつは置いてきた。はっきり言ってこの戦いについて来れそうも無い。

 

 クロガネシティに到着後、観光と休憩もそこそこにすぐさまジム戦へと挑む。幸にも今日は挑戦者がいないらしくすぐさま挑戦できるようになっていた。

 クロガネジムリーダー、岩タイプの使い手。硬い防御に定評があるが、ようはそれを超える攻撃を放てば良いだけのこと。新顔のポリさんには申し訳無いが、タイプ相性が悪くとも今回は連携の取りやすいユキちゃんをメインに戦うつもりだ。

 

 バトル開始と共に互いにボールを投げポケモンを繰り出す。

 

 ジムリーダーの先発はイワーク。別名ポッポ。こちらの一番手はユキちゃんであるから相手から見て相性はそう悪い訳では無い。そもそも岩は氷に強いのだから当たり前ではある。

 だが、とカブトは脳内で思考を続ける。意外と岩単体は少なく大概の岩タイプは何かしら他のタイプと複合している。このポッポも地面タイプが入っている。その為そこが付け入る隙になる、と。

 

 イワークが吠えると同時に空中から数多の岩石が落下する。『がんせきふうじ』だ。落とされた岩はユキちゃんを封じ込めるかの様に蓄積し小さな山を形成した。しかしユキちゃん、ここで自身の作り出した氷像を『みがわり』とする事で押し潰される事を回避。地面を凍らせて作った道を滑走する事で、機動力を上昇させイワークの足元へと潜り込む。超至近距離から放たれた『ふぶき』はイワークを凍り付かせ、叩き込んだ『シャドーボール』によって凍りついたその体をバラバラに粉砕する。

 

 バラバラにされたイワークと交代で繰り出されたのはゴローン。故郷であるキッサキで散々殺害した種族と同類だと認識すると、ユキちゃんは余裕の表情で冷笑した。ユキちゃんは笑顔のまま、ゴローンが『まるくなる』で丸まり『ころがる』前に『ふぶき』で足を凍らせて地面に縫い付ける。そしてゴローンはイワークの二の舞となった。連続バラバラ殺ポケ事件発生。

 

 最後のポケモンは恐れていた岩タイプ単体であるラムパルド。氷タイプを持つユキちゃんでは些か相性が悪い。しかし、かと言ってメガちゃんも相性が良い訳では無い。内臓への直接攻撃は強力だが種がバレれば簡単に対応されかねない危険性と、耐久力の低さに定評のあるメガちゃんがダメージが累蓄するまでの時間で倒される事のリスク、この二つを恐れてメガちゃんへの交換を躊躇する。そして最後の理由。相手のポケモンを残り一匹にした時点で既に勝利は確定しているからだ。『みちづれ』を使えば安全かつ確実に勝利を得ることができる。しかし、カブトは個人的な理由として『みちづれ』の指示は出来る限り出したく無い。

 

 それらを踏まえてユキちゃんで突貫させる事を決定する。

 

 ユキちゃんはイワーク戦と同じく地面に氷の道を作る事でラムパルドの攻撃を躱し続ける。展開した『あられ』による『ゆきがくれ』の効果も発揮している。ちまちま躱し続けるユキちゃんに業を煮やしたのか、ラムパルドは『いわなだれ』を使い範囲攻撃で殲滅しにかかる。

 ユキちゃんは『ふぶき』で氷のドームを作り出し一時的にその中へ避難するが、『とっしん』の勢いを利用して突っ込んできたラムパルドによって叩き込まれた『もろはのずつき』でドーム諸共砕かれ吹き飛ばされ、壁に叩きつけられて動かなくなる。

 敵を粉砕し勝鬨をあげるラムパルド。しかし彼が次のポケモンと戦う事は無かった。勝利を確信したラムパルドの真後ろ、丁度壁にめり込んだユキちゃんの姿を模した氷像の『みがわり』とは真逆の方向から放たれた『ふぶき』がラムパルドを凍らせて戦闘不能へと至らしめたからだ。

 

 ユキちゃんは予めカブトから氷のドームを形成した時は馬鹿正直にその中に隠れず、中に『みがわり』を置いて静かにドームから脱出する事を指示されていた。『ゆきがくれ』の効果も合わさりジムリーダーの意表を突くことが出来たのだ。

 

 何とか2回目のジム戦も攻略しカブトは2つ目のジムバッジを手に入れたのだった。

 




カブト
伝説のインド像三体分。ギンガ団とも繋がりを持っている危険思想の持ち主。

ユキちゃん
カブトからの無茶振りにも応える出来る女。有能の極み。あの日あげた氷の腕輪が意味を成さない事を彼女はまだ知らない。

メガちゃん
寝てた。

ポリさん
もうちょっとしたら滅亡迅雷net.に接続させると決めている。

タマゴ
今夜の夕食だぁ!

ナタネさん
再登場で頑張るからこれで許して…
次は絶対病ませる。

クロガネジムリーダー
安定の適当ジム戦。ジムリーダーは犠牲となったのだ、そう、犠牲の犠牲にな。

ナタネちゃんちゃんと病ませられなくて悲しい…


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VS心中

ユキメノコ、メガヤンマ、ポリゴン2とかいうヤバめな面子のポケモンを手持ちに加えて旅をする主人公がいるらしい。

しかも、そいつらがヒロインだという。萌えもんでも無ければ擬人化もしていないのに。

よく読者さんついて来れますね……


 ユキちゃんの活躍で見事クロガネジムを突破したカブト一行。彼らは次なる町、ミオシティを目指していた。

 

 カブトは、コトブキシティで売り出しをしていた最新式のポケッチを無料で貰えるキャンペーンを無視してミオシティへと一直線に走り抜ける。その姿はまさしく猪突猛進。道中で見かけたボロの釣竿を持った釣り親父に対して

 

「僕、釣り、好き。貴方、私、ベストフレンド。フォースの導きが有らんことを」

 

 と言ってボロの釣竿を強奪し、コトブキシティからミオシティへと向かう為の橋を渡ろうとする。ジュンサーさんこいつです。

 しかしここでトラブルが発生。何と橋が壊れていてミオシティへと渡れなくなっていたのだ。

 

 普通の人ならここで『なみのり』を使えるポケモンを連れてくるか、『そらをとぶ』でミオシティまで飛ぼうと考えるだろう。

 

 だが、カブトは違った! 逆にッ! 海の上を走ろうと考えたッ! 

 

 そしてここで突如として入る回想シーン。最早顔も覚えていないカブトの父親が全体的にぼんやりとしたイメージで現れる。顔は覚えていないので、へのへのもへじで代用済みだ。

 

 なにカブト? ウツボットが恍惚の表情を浮かべながらカブトをくわえてはなさない? カブト、それは無理矢理脱出しようと考えるからだよ、逆に考えるんだ。

「食われちゃってもいいさ」

 と考えるんだ。

 じゃ、お父さんパチンコ行ってくるから後は頑張れよー。

 

 クズ親父じゃねぇか! 余談ではあるがこの後無事脱出する事が出来た。

 

 父親の格言? の様な何かで、何かいける気がするという凄くフワッフワした感じで水の上に一歩足を踏み出すカブト。当然の如く足は水に沈む。だが完全に沈みきる前に足を前に出せば如何だろうか? こうやってただひたすら前に進めばいつかは向こう岸に辿り着く筈だ。何せ前に進んでいる訳だしね(黄金の意思)

 

 いや、そんな訳無いから(断言)

 

 案の定海に沈んだカブトをメガちゃんが回収し、背中に張り付きミオシティまで運搬する。メガヤンマは一見すると非力に見えるが、実は大の大人を運ぶだけのパワーを持つ。故にカブト一人分くらい運ぶ事は造作も無いのだ。最初から使え。

 

『ああ、カブトの体温が、香りが、その吐息が、これほどまでに近く感じられるなんていつぶりだろうか! もうボクは1秒でもキミの側から離れると死んでしまいそうだ! そうだ! カブト、提案なんだけどここで他のポケモン達を振り落としてくれないか? そうすればボクとカブトだけになるから、二人きりのランデブーだね! ボクはキミの頼みならどこまででも連れて行ってあげるよ? そう、何処までだってね……』

 

 背中に顔を押しつけて危険な発言をするメガちゃん。恐らく彼女は頼まれればヤルだろう。背中越しでもカブトにそんな『凄み』が伝わってきた。だが一つ言えるなら前を見て空を飛んで欲しい。

 

「ミオシティまでお願いします」

 

 しかしカブト、メガちゃん必死の告白をバッサリ一刀両断。これが鈍感系主人公の悲しき性。

 

『はい』

 

 ここまでキッパリと言われては仕方がない。渋々ながらカブトを無事にミオシティまで運んで行った。

 

 

 遂に到着したミオシティ。見るからに漁業が発展してそうな雰囲気に加えて、意外にもこの地方最大級の図書館があるなどシティと名乗るのに相応しい格を持つ町だ。町には人が溢れて活気に満ちている。キッサキとは大違いだと、カブトは肩を落とす。

 だが、カブトはへこたれない。全ては我が故郷キッサキに活気を戻す為

 に、是非ともチャンピオンを下してキッサキの宣伝をしなければならない。と気合を入れ直す。

 もう二度と『キッサキシティ、過疎化の最先端』などと言わせない。こんなキッサキの冬より寒いギャグを言わせてなる物か! と。

 

 だが今日はもう遅いので、ジム戦には挑まず休もうと考えたカブトは早めに就寝する。勿論、貰ったタマゴはきちんと布団をかけて温めてから寝た。

 そしてカブトが寝静まると同時にボールから飛び出す二つの影。ユキちゃんとメガちゃんだ。ポリさんはこれから何が起こるのかまるで理解していない。

 

『…………どうしましたか? 何をするおつもりですか?』

 

 殺気立ち互いに睨み合っているメガちゃんとユキちゃんの両方に取り敢えず質問するポリさん。

 

『何って決まっているでしょう? カブトを氷漬けにするのよ』

 

『…………は?』

 

 病んでもなければデレてもいないポリさんには、本気で理解が出来なかった。何故ならポリさんの持つ常識では、自身のトレーナーを氷漬けにするポケモンなど存在しなかったからだ。付き合いは短いがポリさんから見て、彼女はカブトに普通のポケモンが抱く感情以上のものを抱いている様に見えた。だからこそ尚更氷漬けにするという言葉の意味がわからない。

 

『えー、氷漬けにするとカブトさんは死ぬのでは?』

 

『私はカブトが死んだとしても愛することができるわ! 氷漬けの状態で私がずっとお世話してあげるのよ』

 

 ポリさんは頭を抱えた。言っている事がカケラも分からない。ダメだこの雪女、早く何とかしないと……一縷の望みをかけて視線でメガちゃんに救援を送る。その視線を受け取ったメガちゃんは静かに頷いた。

 

『全くキミの言っている事は相変わらず意味がわからない』

 

 ポリさんはホッとする。良かった、まだ話の通じるポケモンがいた。何とかメガちゃんにユキちゃんの暴挙を止めて貰おう、そう考えた時だった。

 

『カブトと結ばれるのはボクだと決まっているのに……。やはり近づく女は全て殺さなければダメか……。カブトの手持ちだから今まで見逃してあげてたんだけどね。ここで死んで貰う』

 

 その鋭い牙でギチギチと不協和音を奏でるメガちゃんを目の当たりにしてポリさんはこの時悟った。常識を持つポケモンは自分だけなのだと。

 ここでポリさんは説得を諦めて寝た。もうどうにでもなれ。

 

 

 

 一種触発の雰囲気。今、ユキちゃんか、メガちゃんそのどちらかが指先一本でも動かせばこの均衡は崩れ去るだろう。永遠の様な一瞬、先に動いたのはメガちゃんだった。しかし想定していた様な戦闘は始まらない。何故なら彼女たちの視線は宿泊施設の窓へと向けられていたからだ。

 

『はぁー、折角此処でケリをつけようと思っていたのに……。悪いけどボクはお仕事の時間だ。キミなんかに頼むのは非常に不愉快かつ、不安だが今頼れるのはキミしかいない。そこでカブトを守っていてくれ』

 

 溜息を溢しながらメガちゃんは、心底嫌そうにユキちゃんにカブトの守護を頼む。視線をチラリと窓へ向けて再び溜息を吐くと、今度はカブトに近づきその無防備な唇を貪った。

 

『ん…………はぁ、行ってくるね、カブト。今からキミに近づくゴミを始末してくるから』

 

 その言葉を告げるや否や、凍りつき始めるカブトを背にすぐ様部屋から出て行くメガちゃん。その後ユキちゃんがカブトの口内を自らの唾液と氷で洗浄した事は言うまでも無い事だ。

 

 

 

 

 

 

 

 私、フワンテ! 花のレベル17! ターゲットにした発電所に住む女の子に毎日会う事で警戒心を消した後、そのまま手を引いてあの世に連れて行こうとしていたら、何と風が吹いて飛ばされちゃった☆

 そのまま風に飛ばされてクロガネシティの近くまで来ちゃうなんて私ついてなーい! 

 

 あーん、遅刻遅刻! 発電所の女の子まだ待ってるかな? もし帰っていたら家までお邪魔しちゃうぞ☆

 ああ、でもお腹空いたなぁ。今、持ち手の部分が木に絡まって動かないからなー、もしかして、私一生何も食べられないままここで死んじゃうの⁉︎そうでなくても、通りかかった山男に私が乱暴されちゃうわ! エロ同人みたいに! エロ同人みたいに! くっ殺! くっ殺! 

 

 1人勝手にフワンテが叫んでいると、そこに救世主カブトが現れる。

 

「あれ? もしかして、引っかかってる? 取ってあげるね」

 

 はぅあ! 何たるイケメン魂! 貴方が私の救世主だったのですね! 何とお礼を申し上げて良き物か! 

 

「お腹空いてるの? じゃあこのきのみあげるよ。じゃね!」

 

 き、きのみまで貰ってしまった。これはもう、あれですね。お礼に私の命を差し出さないといけませんね! 詰まるところ、一緒にあの世に行くっきゃないでしょ! もうこの際あんな小娘などどうでも良い。

 任せちゃって下さい。貴方の魂は私のこの風船の中にずっと留めておきますからね! 実質結婚ですね! 

 そうと決まればレッツゴー! 善は急げ! 

 

 

 そしてフワンテはカブトの後を追ってふわふわ風に流されながら、ミオシティに到着するのだった。

 

 

 へっへっへ……いくら肉体の匂いが消滅しようとも、あの人の魂の匂いが微かだが道中に残されているのだよ。この追跡のプロである、漆黒のチェイサーこと、フワンテ様に見つかったのが運の尽きだな! 

 あの人が泊まっているのはポケモンセンター二階の7号室だ! 間違い無いね! よーし、先ずは窓からお顔を拝見っと。

 

『おほー、何たるイケメン! これはここまでやって来た甲斐があったってもんですよ!』

 

『うんうん、そうだね。キミ、見ない顔だね。ここら辺に住んでるポケモンじゃないでしょ?』

 

 助けて貰った恩返しに、魂を取り込もうとするフワンテの失敗は

 

『あ、分かります? 私この人の魂を何としてでも取り込まなくちゃって思いまして、それで遠路遥々ここまでやって来た訳ですよ』

 

『へぇー、そうなんだ』

 

 部屋を覗き込む不審な自分に気軽に声を掛けて来たポケモンに警戒心を抱かなかった事、

 

『それでですね! 今からこの人の魂を奪っちゃおうと思ってまして……』

 

『うんうん、それで?』

 

『もうこれ実質結婚なんじゃないかなって!』

 

 自分の欲望を抑えずに大っぴらにした事、そして…………

 

『へぇー、そうなんだ……じゃあ、さよならだね』

 

『ええ、サヨナラです! 今から私、集中して魂を奪うので邪魔しないで……………………』

 

 

 狙う相手を間違えた事だ。

 

 

 フワンテがその言葉を言い終える事は終ぞなかった。深夜のミオシティに響いたのは乾いた破裂音。そして少し遅れてから、フワンテの中に閉じ込められていた魂の絶叫がミオの空にこだました。

 

 

 深くは語らない。だが、発電所の女の子がフワンテによって、あの世に連れ去られる事は無くなったとだけ記しておこう。




カブト
頭のおかしい子(直球)まだ水の上を走れないあたりポケモンマスターは遠い。釣竿強奪の前科がついた。

ユキちゃん
氷漬け中毒者。まだ氷の手錠が効果を発揮していて嬉しい。朝起きると氷を全て溶かされるのはそろそろ諦めた。

メガちゃん
いつまで経ってもブレない子。

ポリさん
常識人。いつまで正気で居られるかな?

ウツボット
ヤンデレポケモンの一体。体の中で溶かしてしまう事で、愛する人と一つになろう系ヤンデレ。まだ一応ご存命です。

カブト父
顔など覚えてない。

フワンテ
今日の犠牲者。フワンテは犠牲になったのだ、犠牲の犠牲にな。


次回予告

雑に増える手持ちヤンデレ。以上


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VS崇拝

「つよいヤンデレ、よわいヤンデレ、そんなの人の勝手。本当にヤンデレが好きなら、好きなヤンデレに愛され続けるべき」

皆大好きカリン様の名言。この言葉は今も尚多くの人の心に残り、受け継がれている(適当)

つよいヤンデレ、よわいヤンデレの定義だって?それは自分で見つけるんやで(悟り)


 朝、ミオシティで目を覚ましたカブト。ポケモンセンターの前に転がる風船の残骸に訝しみながらもそれを踏み越え、修行の為に『こうてつ島』へ向かおうとする。

 しかし此処で問題が発覚。カブトはB級サメパニックホラー映画を見てしまったが故にトラウマを植え付けられ、船に乗ることが出来なかったのだ。いざ港までたどり着いたが、これでは修行スポットとして定評のあるこうてつ島に行くことが出来ずに意味が無い。

 カブトはゴースの体重と同じくらい絶望した。メガちゃんに連れて行って貰えるほどこうてつ島は近くに無く、途中でメガちゃんの体力が切れて落下する事は目に見えている。

 

 絶望したカブトはふと手元を見下ろす。その手には釣り親父から分捕ったボロの釣竿が握られていた。此処でカブトに天啓が走る。船に乗れないなら、海を渡れるポケモンを捕まえれば良いんだと。

 心を決めれば後は早い。早速港の近くでワクワクしながら釣り糸を垂らす。何が釣れるだろうか? TVで見た赤いギャラドスなども良いだろう。カイオーガ、ルギアなども良いかも知れない。

 これから訪れるであろう栄光を想像すると、思わず顔がにやけてしまう。しかし釣り糸を垂らす事数時間、一向に釣れる気配が無い。実はこの間にコイキングなら釣れていた。しかしコイキングを頼りにこの海を『なみのり』するなど不可能だ。ビート板代わりにして泳ぐなら話は別だが。

 

 あまりに『なみのり』出来そうなポケモンが釣れなかったので、カブトはおもむろに立ち上がるとボロの釣竿と服を投げ捨てて、最低限の装備を残した状態で海に飛び込んだ。

 海の中は様々なポケモン達が跳梁跋扈する無法地帯。辺りを見渡すだけでも海の幸……いや、『なみのり』が使えそうな強靭なポケモン達がいっぱい溢れかえっている事が見て取れる。通常のダイビングであるならば非常に美しい光景だろう。しかし、カブトはそんな物には見惚れ無い。今、彼の頭には水ポケモンを捕獲する事しか頭に無いのだ。

 

 拳を握り締めると、どうせなら強そうな奴が良いという理由だけで、獲物を追っていたサメハダーに狙いをつけて、紫の液体が漂う水を掻いた。獲物を追い詰め、今まさに食わんとするその無防備な横顔に、カブトの振るった『きあいパンチ』が炸裂する。『さめはだ』でカブトの拳も傷つくが、所謂コラテラルダメージという奴だ、何の支障も無い。

 食事の邪魔をされ怒り狂ったサメハダーが、その大きな顎門を広げてカブトの四肢を食いちぎろうと迫りくる。その口内に見られる鋭利な牙はノコギリを連想させる程鋭く尖り、噛みつかれた際には間違い無く大きなダメージを負ってしまうに違いない。

 普通の人なら此処で横や、上に逃げる事を行うだろう。しかし、今、この場において、カブトの辞書に撤退という二文字は無い。カブトはその右の拳を固く握り締めると、その大きく開かれたサメハダーの口内に向けて、『きあいパンチ』を打ち上げるように突き刺した。

 脳が揺らされる、瞬間における意識の混乱と混濁。一瞬だけ意識が飛んだサメハダーは事態を理解すると、自身の口内に突っ込まれた異物である右腕を噛みちぎるべくその手に牙を突き立てようと勢い良く口を閉じる。しかし、カブトは口が完全に閉じられる前に腕を引き抜き、今度は両手両足を使ってサメハダーに絡みつくことで、口を開けないように押さえつけて攻撃手段を奪った。

 

 しかし此処でカブトは一瞬躊躇する。もしかしてこれは最近話題のポケモン虐待という奴なのではないか、と。だが、ポケモンを捕獲する為に相手にダメージを与える事は必要不可欠。今回の場合は水中で戦えるポケモンがいない為にトレーナーが戦っただけに過ぎない。しかし、世間の評価というのは中々難しいもので、自分が正しいと思っても世間ではそうではない事などありふれている。その為、カブトはどう行動するべきなのか分からずに次の行動に移る事が出来ないでいた。

 

 カブトが思考の沼に嵌っている間にも、サメハダーはもがく事で拘束から脱出しようとする。このままもがき続ければカブトは『さめはだ』によって蓄積したダメージで拘束を維持できなくなるだろう。カブトからすれば両手を使ってしまっているので腰につけたボールを取ることが出来ずにジリ貧だ。

 そんなカブトの窮地を救ったのは先程サメハダーに追いかけ回されていたポケモンだった。そのポケモンが放った『みずのはどう』がサメハダーに直撃し、遂にサメハダーは力尽きる。カブトは咄嗟に『みきり』を使う事で難を逃れた。

 

「何かごめんね、サメハダー」

 

 一言謝罪して気絶したサメハダーの口に『げんきのかたまり』を突っ込んだ後、捕まえようとボールに手を伸ばすがもう海中で息が続かない事を自覚し急いで海面へと上昇しようとする。しかし、サメハダーとの激闘で体力を使い果たしたカブトは途中で力尽きてしまう。そんな彼を背中に乗せて岸まで運んだのは、サメハダーに獲物とされていたポケモンだった。

 全体的にぬめっとして質感を持ち、青と緑の体色を持つポケモン、そして、その愛くるしい顔と鳴き声で一部の界隈での人気の高いポケモンでもあるトリトドンだ。海中に漂っていた紫の液体は、トリトドンが外敵に襲われた時に噴出した物で毒性は無いらしい。

 兎も角、目を覚ましたカブトは交渉の末、水タイプのポケモンであるトリトドンを仲間に加える事に成功した。お世辞にも屈強な体を持つとは言えないが、カブトは自分を助けてくれたこのポケモンをとても気に入ったのだ。後はトリトドンの気持ち次第だが、意外な事にトリトドンも快く了承してくれた。

 こうして、カブトは『トリさん』と名付けられた彼女の背中に乗り、新しい手持ちとして彼女を加えて、共にこうてつ島へと向かうのであった。

 

 

 なんやかんやで海を渡りきったカブトは、島の入り口付近で屯していたビークインとガーメイルを使うスキンヘッズの男達をポケモンバトルで倒すと、彼らを仲間にして島の内部へと乗り込んだ。

 仰々しく修行と言っても、道中現れる野生のポケモンや、同じく修行に来ているトレーナーと手合わせする程度の簡単な物。カブトは出会ってからの経験が浅いポリさんと、トリさんをメインにして上手く連携が取れる事に主眼を置いた修行を行なっていた。

 こうてつ島のトレーナーも粗方倒しきり、残るは最深部に居た、ゲンという名を名乗るルカリオ使いの男のみ。波動を使った攻撃を繰り出すルカリオに酷く苦戦させられるも、ずっと着いてきていたスキンヘッズの応援や僅かな間ではあったが修行の成果もあり、カブトはゲンとの激戦を制する事が出来たのだった。

 

 戦いを終え、一息をつくカブト達。スキンヘッズや、ゲンだけでは無くそこら辺にいたトレーナーをも巻き込んでの夕食とする。カブトが、長時間の戦闘で干からびかけていたトリさんに『美味しい水』をかけて元の柔らかな姿に戻そうとしていると、そこにゲンの連れていたリオルが近づいて来た。このリオルはまだレベルが低いのか、戦闘参加はせずに戦いを遠巻きに見守っていたポケモンだったとカブトは記憶している。お腹が空いたのかと思いきのみを何個か渡すと、そのきのみを持ってリオルは何処かへ行ってしまった。

 暫くすると、リオルはゲンを連れてカブトの元へと戻ってきた。曰く、カブトの事を気に入ったから旅に連れて行って欲しいそうだ。何処に気に入られる要素があったのか甚だ疑問だが、兎も角ゲンの了承も取れた事で新しくリオルの『ルカちゃん』が仲間に加わった。

 さらに嬉しい事に、ゲン直々にルカリオの戦い方や、波動を伝授してくれるという。

 本日2人目の仲間が出来た事や、新たに師匠ポジの人が出来た事にカブトは喜び乱舞する。手持ちポケモンの約2名は状況次第では抹殺も辞さないと決意し、常識人胃痛ポジは、どうせこいつもロクでもない奴だと諦め、新人さんは、ただ粛々と決定に従った。

 協調性が欠片も無い……

 

 夜、此処こうてつ島に於いては皆が寝静まっても決して安心できない。この島には多様なポケモンが生息しており当然夜行性のポケモンもいる。そしてカブトは今、ポケモンのタマゴを持っているのだ。何時もならポケモンセンターに宿泊していたのでタマゴが野生ポケモンに襲われる事は無かった。しかし今は野宿。当然、狙われる可能性が高い。

 

 そこでカブトは、手持ちの中で最も体力や防御力の高そうなトリさんを召喚しタマゴを守るようにして欲しいとお願いする事にした。勿論、時間制限付きのカブトとトリさんの交代制だ。

 

「トリさん、手持ちに加入してくれたばかりなのに申し訳無いけど頼みがあるんだ。二時間だけこのタマゴを守っていてくれませんか?」

 

 カブトの頼みに対してトリさんは、

 

『承知致しました……。この命に変えてでもこのタマゴを守ってみせます……』

 

 非常に畏まった態度で任務を引き受けた。その態度だけで、彼女がどれほどこの任務に全力を尽くそうとしているのかが分かる。

 

 トリトドンのトリさんは感謝していた。

 今日、何時もの様に浅瀬で食事を取ろうとしたのだが、本来もっとあるはずの餌が何故かいつもより少なかった。そこで彼女は餌を食べる為に、多少なら遠くに出ても大丈夫だろうと考えて沖合に出たところをサメハダーに襲われてしまっていたのだ。ずっと追跡され続けて、体力も限界に近づき、いよいよ死を覚悟した時に彼女に救いが現れた。颯爽(?)と現れて彼女を命の危機から助けたカブトの姿は彼女にどう写っただろうか。英雄? 救世主? それとも神? 

 何にせよ、彼女はカブトに対して狂信とも言える感情を抱いてしまった事に違いは無い。

 

 彼女はカブトの命令を忠実に遂行するだろう。その命令の為ならば同族は愚か、家族すらをも切り捨てる事も厭わず、自身の命すらも省みない。そして、カブトに相応しく無い人物とトリさんが判断する様な存在が、彼に近づこうものならば即刻排除する事に躊躇いも無い。例え、その結果彼女がカブトから嫌われようとも憎まれようとも。

 

 故に彼女は容赦しない。それがこれから共に肩を並べる手持ちポケモンとしての先輩であろうとも。

 

 

 皆が寝静まった夜、タマゴを守る様に立ちはだかるトリさん。そして相対するはメガヤンマのメガちゃん。

 

『ねぇ、そこを退いてくれないかな? ボクはそのタマゴを壊す必要があるからね』

 

『何故その様な事を……?』

 

 防御姿勢を一切崩さないままトリさんはメガちゃんに問いかける。その姿を見てメガちゃんは薄く笑い、羽を不規則に羽ばたかせることで不気味な音を奏でながら言葉を続ける。

 

『そんなの決まっているさ。そのタマゴが来てからカブトはタマゴに付きっきり、そいつが孵ったら尚更だ。それは決して許されない事さ。カブトの一番はボクでなければならない。例えそれが生まれたばかりの赤子であろうとも、ボクからカブトを引き剥がそうと言うならば殺さなければならない。キミはボクの行動を見逃すだけ、簡単な話だろ?』

 

『それは許容しかねます……。私はカブト様にこのタマゴを守る様に仰せつかりました……。この命に替えてでもこのタマゴに手は出させません……』

 

『そうか、ならば交渉は決裂だね。遅かれ早かれ死んでもらうつもりだったから丁度良いや。消えろ』

 

 言うや否や、メガちゃんの羽ばたきから生み出された不可視の斬撃がトリさんを襲う。会話を始めた時からこうなる事を見越していたのだろう。殆どノータイムで放たれたその一撃は、トリさんの柔らかな外皮を貫通し彼女の内臓をぐちゃぐちゃに引きちぎる。

 

『—————‼︎』

 

 声にならない絶叫。メガちゃんの持つ圧倒的な力の前にトリさんの柔らかい体は一瞬にして千切れ飛んだ。こうてつ島のゴツゴツした大地に先程までトリさんだった物が飛び散り、辺りに鉄臭い匂いが立ち込めた。トリさんは決して弱くは無かった。しかし、今回は相手が強過ぎたのだ。彼女はその短いポケ生を此処で終わらせてしまう。だが、彼女に任務を達成できなかった事に対する後悔はあれども、カブトについて来た事に対する後悔は無い。彼女は最後までカブトから与えられた任務を喜んでいたのだ。

 

 心優しきトリさん、此処に眠る。

 

 

 

 そしてトリさん殺害の犯人、メガちゃんは上機嫌に体についた血潮を拭っていた。カブトに近づく邪魔者が一人消え、そして今夜もう一人消えるのだ。これを喜ばずに居られるものか。

 

『あはは! やっとあの目障りなタマゴを破壊できる! あの新入りももういない。ならば壊す事など赤子の首を捻じ切るより楽な作業だ! この調子であの雪女も殺そうか。きっとカブトも褒めてくれるさ』

 

 機嫌よく独り言を呟くメガちゃん。彼女の頭の中では近づく女を抹殺すればカブトに褒めてもらえるらしい。流石ジェノサイダー。

 

『汚れも取れたし、じゃあ、いよいよタマゴを粉砕しようかな』

 

 悠々とタマゴに近づくメガちゃん。それは勝者の余裕が感じ取れる堂々たしたものだった。しかしその歩みは意外な存在によって妨害される事になる。

 

 突如として横から湧き上がった、全てを押し流す汚れた流水、『だくりゅう』。メガちゃんは咄嗟に『みきり』を使い攻撃を躱す。

 

『ッ! 誰だ! …………! お前はっ!』

 

『どうしたの……? 幽霊でも見た様な顔して……』

 

 メガちゃんの視線の先、そこには死んだ筈のトリさんがその体を脈打たせながら立っていた。のそりのそりと移動し、タマゴが背後になる様に位置取りをする。

 

『何で! 生きて……ッ!』

 

『そんなに死んだ筈の女が生きているのが珍しい……? 一回死んでみれば貴方も生き返れるかも知れませんよ……』

 

『冗談……ッ!』

 

 何故死んだ筈のトリさんが生きているのか。それは至極簡単な話だ。トリさんは、トリトドンの持つ高い再生能力と自己再生を使用して細切れの状態で一から自分の体を再構築したのだ。いくら再生力に長けたトリトドンとは言え誰しもができることでは無い。体を回復させる度に感じる激痛と、死への恐怖。普通ならこれらの要因で途中で復活を諦めてしまう。本当に恐ろしいのは瀕死からでも元に戻れる再生力ではなく、どんな時でも揺るがないトリさんのカブトへの信仰心。カブトから与えられた任務を遂行する、それだけの想いで彼女は現世に再び舞い戻ってきた。

 

 

 これより交代までの約二時間、タマゴを庇い続けたトリさんはメガちゃんによって、ただひたすらに殺され続けた。

 全てはこの世で最も崇拝するカブトの願いの為に。彼女は何度殺される事になろうとも決してブレる事は無い。例え彼女に彼の愛が向けられずとも、それでも彼女は彼を愛し続けるのだ。

 




カブト
動物愛護法違反者。ギャグ補正が無ければポケモンと戦うとか考えちゃダメ絶対。新興宗教の開祖になる。

ユキちゃん
出番無し。序盤に見せ場あったし是非も無いよね……

メガちゃん
カブトとの中に割り込もうとするならば、このメガちゃん、例え赤子であろうとも容赦せん!

ポリさん
涅槃の境地に達した。どうせ新人も頭おかしいに決まっている、と頭ではなく心で理解した。ある意味真実。

タマゴ
まだ生きていた奇跡に感謝。生まれるのはシンオウヤンデレポケモンとしては外せないあの子。

トリさん
狂信者であり、その実態はデンジャラスゾンビ。命は投げ捨てるもの。
ダイブボール入り。

ルカちゃん
皆大好きあの方。伝説ポケモン詐欺の進化前。ゴージャスボールに入れ直す。

サメハダー
今日の被害者。再登場を震えて待っておけ。

ゲン
手持ちのリオルを何処の馬の骨とも知らない奴に取られた可哀想な人。師匠ポジになる。

スキンヘッズ
波動崩しだか波動殺しだかよくわからない奴ら。舎弟。


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VSお見通し

定期更新出来ない……。色々忙しいぜ……。


ヤンデレのちからってすげー!


主人公が代替わりするたびに新しい町に引っ越してくる男の名言


 タマゴを守る交代の時間になったので起床したカブトは、トリさんに預けていたタマゴを受け取る。

 そして、何故か満身創痍で倒れているメガちゃんと、平気を装っているがその実はボロボロの体をしているトリさんを見て、カブトはこう思った。

 

(自主的な鍛錬か……! 僕も見習って精進しなくては……!)

 

 この男は未だに自分の手持ちを我が生涯に一片の悔い無し系ユキメノコだと勘違いしている男であり、さらに加えてバトルをしている時以外は知能指数が著しく低下する特性『バトルスイッチ(笑)』を持つ。その為、どう見ても仲間に放つにしては強すぎる攻撃が使われた形跡がある事も軽く見逃してしまったのだ。

 

 カブトは、トリさんとメガちゃんを回復させながら彼女達に言葉をかける。鍛錬するのは良いけどその体を大切にして欲しい、と。

 これに対して返す反応は二人とも違っていて面白い。トリさんは自身の身体を案じて貰った事に対する感謝を伝え、メガちゃんは体を大切にして欲しい、という言葉を拡大解釈して頬を赤く染めた。だが反応こそ違えど、奇しくも二人の内心は一致していた。

 

(カブト様にこの様な虫は不要……。カブト様の為に……)

 

(やっぱりボクが一番であり続ける為にも……‥)

 

((コイツはこの世に生かしておけない……))

 

 カブトは昨夜のトリさんとメガちゃんが鍛錬をしているであろうありもしない光景を勝手に想像して思った。

 

(やっぱり僕の手持ち達は仲が良くて頼もしいなぁ)

 

 真逆である。

 

 

 そうこうしている内に夜が明ける。カブト達は朝食を終えると直ぐにゲンの待つであろう場所へと向かった。今日からゲンに、ルカちゃんとカブトを中心としてルカリオの戦い方や、波導の使い方などを教わるのだ。カブト達が波導を教わっている間、他の手持ち達は野生ポケモンと戦ったりして自主鍛錬を積んでもらう。

 当然、波導を完全に使いこなす波導使いになる為の修行などは年単位で行う様な物なので、今回はルカちゃんが上手く扱える様になる為の訓練がメインとなる。

 

 

 

 そして時間は飛んで一週間後、驚異的な速さで色々と重要そうな事を習得したリオルは、波導を操れる様になった事で一気にルカリオへと進化を果たしたのだった。ついでにカブトも元々素養はあった事で多少なり波導パワーを使える様になった。具体的に言うと『はどうだん』を打てる様になった。使いすぎたら死ぬらしい。

 もう教えることは何も無いムーブをしているゲンから課せられた最後の課題は、この島のヌシであるハガネールと戦うこと。話を聞くや否や、カブトはルカちゃんのみを連れてその場を飛び出していった。当然、ゲンはその後を追いかけた。倒してこいとは言ったが、進化したばかりのルカリオだけでは到底敵う相手では無いからだ。

 ゲンが現場に辿り着いた時に待っていたのは異様な光景だった。この島のヌシであるハガネールに対して、タイプ相性が悪くないとはいえ進化したばかりのルカリオが戦いで圧倒していたのだ。

 

 ルカちゃんは『しんそく』を利用した移動法を使い、壁や天井に張り付いて攻撃する神出鬼没な動きでヒットアンドアウェイを繰り返し、攻守が秀でているも鈍重なハガネールを撹乱しつつ、『はどうだん』で確実に蓄積ダメージを与えていく。ハガネールは『ロックカット』を何度も使用して素早さを上昇させる事でルカちゃんに対抗しようとするも、ルカちゃんの『まねっこ』で『ロックカット』を使用されてしまうので実質イタチごっこ。

 

 ルカちゃんがハガネールを圧倒している事も異常だが、何より異様な光景は、カブトが何かしらの指示を口にした様子も見受けられ無いにも関わらず、ルカちゃんがトレーナーからの指示を受けているかの様に動く事だ。

 これは、ルカちゃんが波導パワーでカブトの心を読む事によって発生する声を出さずとも指示を出しているという現象で、相手に、コイツ……出来るッ! と思わせて威圧する高等テクニックだ。実際やると何か強そうに見える。

 

 業を煮やしたハガネールは範囲攻撃かつ、洞窟で使用するのは危険極まりない『じしん』を使いルカちゃんを仕留めようとするが、ハガネールの動きから攻撃技を使うとカブトが見抜いた事で、『さきどり』で逆にハガネールの『じしん』を打ち返す事に成功した。

 流石にヌシといえど効果抜群の技を喰らい続けて限界だったのだろう。『じしん』を受けたハガネールは大地に静かに倒れ伏した。

 

 こうして最終試練を突破したカブトは、今まで面倒を見てくれたゲンやそこら辺のトレーナーに礼を告げてこうてつ島を去っていった。スキンヘッズの舎弟は置いてきた。今頃こうてつ島で仲良く暮らしているだろう。

 

 再びトリさんに乗ってどんぶらこ、どんぶらこと海を渡りミオシティまで帰還する。以前と比べ桁違いに逞しくなったカブト。今ならタイプ相性的に厳しいミオジムもクリア出来るはずだと、ジムの内部へと侵入する。

 

 今回のジムは鋼タイプのジム。トリさんとルカちゃんを手に入れる前なら苦戦は必死だったが、こうてつ島で鍛え上げられた今なら然程問題は無い。カブトは意気揚々とジムトレーナーを蹴散らし、ジム戦へと向かっていった。

 

 いよいよ始まるジムリーダーとの戦い。ジムリーダーが最初に繰り出したポケモンは青銅器を思い起こさせる様な形状をしたポケモン、ドータクン。対してカブトの先発はトリさんだ。

 ドータクンは、確か『ふゆう』か『たいねつ』の特性を持っていた筈だとカブトはその宙に浮かぶ妙な姿を見て思い出す。エスパーパワーで空中に浮いているあたり地面タイプ最強の技である『じしん』が意味を為さない事は一目でわかる。銅鐸に浮かぶ能力があったなんて初耳だよ……と、カブトは内心呆れていた。

 

 

 宙に浮かぶドータクンに地面技を封じられたトリさんは、先ずは様子見として『みずのはどう』で攻撃を仕掛ける。しかし射出された水流はドータクンに届く直前、形成された半透明のバリアである『ひかりのかべ』と『リフレクター』によってその威力を殆ど奪われてしまう。だが、元より大したダメージを見込んでいなかったカブトに動揺は無い。

 ドータクンは反撃とばかりに『じんつうりき』で攻撃を仕掛ける。『じんつうりき』の余波でフィールドが抉れる中、カブトからの指示を信じて待つトリさんは微動だにしない。不可視の念力がトリさんの目前まで迫り、その柔らかい体を今まさに砕かんとするその一瞬、カブトから指示された『ミラーコート』が発動して迫りくる『じんつうりき』を反転させて、その本来の発動者であるドータクンを壁に叩きつけた。ドータクンはこれ以上の戦闘続行は不能とみなされて、先ずはトリさんの勝利となった。

 

 次に繰り出されたポケモンはハガネール。しかしこうてつ島の個体の方が、より巨大でこのハガネールよりも凄まじい力を感じられたので今回の敵は然程恐れるほどでは無い、とカブトは判断した。『じわれ』は特性『がんじょう』で通用しないが、少なくとも『じしん』は通じるので今回は思い切って攻める事にする。

 カブトの指示通り『じしん』を発動するトリさん。しかし、ハガネールの予想外の行動で『じしん』は不発に終わる。ハガネールは『でんじふゆう』を使い空中へと浮かび上がったのだ。これなら素直に『だくりゅう』か『みずのはどう』を使っておくべきだったと歯噛みする。

 だが後悔してももう遅い。重さ400キロから放たれる『ヘビーボンバー』。さらに落下の速度も加わり、キン肉マン理論式に2倍の2倍で以下省略。

 正直考えたくも無い破壊力の一撃がトリさんを圧殺するべく激突する。ジムのフィールドにクレーターが出来て砂煙が立ち上る。結果は両者相討ち。相討ちの原因はトリさんがギリギリのところで使用した『カウンター』。ダメ元ではあったが何とか間に合った様だ。

 

 ジムリーダー最後のポケモンはトリデプス。見た事の無いポケモンだがカブトは焦らない。ルカちゃんならばきっと何とかしてくれるという、全く根拠の無い期待をかけているからだ。その心を読み取ったのかルカちゃんも同調して闘志を燃やす。

 

 勝負は一瞬でついた。ルカちゃんが『しんそく』を使ってトリデプスの背後へ回り込み『インファイト』でトリデプスが動かなくなるまで殴る蹴るの暴行を与える、ただそれだけの行為でトリデプスはダウンした。元よりトリデプスは前面からの攻撃に対する防御力は秀でているが、後ろを取られると残念ながらその自慢の防御力はまるで発揮されない。だから絶滅したのだろう。

 

 カブト達は割とあっさり三つ目のジムをクリアする事に成功したのだった。

 

 

 夜、カブトは手持ちポケモン達を部屋に置くと一人で夜空を見に出掛けた。ポケモン達と一緒にわちゃわちゃ見るのも良いのだが、誰にだって綺麗な景色を独占したいと考える時がある。カブトは月見酒ならぬ月見サイコソーダを一人で行う為に抜け出してきたのだ。

 しかしそんなカブトだが、ここでまさかの大失態を犯してしまう。サイコソーダを買っておく事を忘れたのだ。持ってくる事では無く、買っておく事だ。いや、ホント、何しに来たんだお前、と言われても仕方の無い失敗だ。サイコソーダの無い月見サイコソーダは、例えるなら筋肉の無いカイリキーの様な物。サイコソーダを忘れたカブトは目に見えて落ち込み、せめて月だけでも見ておこうと一人で防波堤に座り込んでいた。そして気がついた、あっ、今夜新月じゃん。ホント、お前何しに来たんだよ。

 

「ウェイッ! 冷たいっ!」

 

 ぼんやりと月の無い夜空を眺めるカブトの頬に何やら冷たい物が押し当てられる。唐突に与えられた冷たさに驚き振り向くと、そこにはサイコソーダをカブトの頬に押し当てたルカリオのルカちゃんの姿があった。

 

「うわぁっ! 何でここにいるってわかったの⁉︎」

 

 カブトはビビった。誰にも行き先を告げずに出てきた筈なのに場所がバレていて、さらに問題のサイコソーダまで持っていたからだ。

 

『フッ、容易きことよ。私は片時たりとも逃さずお前の事を見ているからな』

 

 二本あるサイコソーダの一本をカブトに渡し、もう一本のサイコソーダをその手に持つルカちゃん。あまり発達していない指で瓶を開けるのは一苦労だろうと思ったカブトがルカちゃんにサイコソーダの蓋を開けた瓶を渡そうとするが、ルカちゃんは瓶の上部を『はどうだん』で粉砕して飲むというタイプ・ワイルドな飲み方を披露してみせる。流石にカブトも苦笑い。

 

 普通の人は決して真似しないでください。

 

 二人でサイコソーダを飲みながら夜空を眺める。カブトは月の無い綺麗な夜空を見ながら、ルカちゃんはカブトの横顔を凝視しながら会話をする。

 

「月が綺麗だねー」

 

『現実逃避をするな。そしてその言葉、私以外には言うなよ?』

 

「え? ああ、良いですけど……?」

 

 カブトは何のことやら分からない様子。ルカちゃんはカブトが一切その様な気持ちを抱いていない事を心を読むまでも無く理解した。

 

「まぁ、それより良くここにいるって分かりましたね。後、サイコソーダ忘れたこと。誰にも行き先を言って無いのに……てか、いつから後ろに立ってました?」

 

『些細な事を気にする物だな。順に答えていこうか。場所と目的が分かったのは私が波導の力を活用したからだ。常に何処にいて何を考えているかを把握しておきたいしな。サイコソーダも然り。いつから後ろにと言われれば、最初から居たぞ』

 

 軽く笑みを浮かべながら回答するルカちゃん。最初からと言葉を濁したが、本当はいつからこの場にいたのだろうか。カブトは呑気にも、短い間で随分仲良くなれたなぁ、と質問とは全く別の事を考えていた。

 

『今、お前が私の話を聞いていない事も分かるぞ?』

 

「何っ! き、聞いてましたよ……?」

 

 話を聞いていなかった事を当てられて動揺した事で咄嗟についてしまった嘘。その一言で空気が変わる。

 スッと、ルカちゃんは目を細めると手に持った瓶を投げ捨て、『ボーンラッシュ』で使用する半透明のエネルギーである棒状の物体をカブトの喉元ギリギリに突き出し威嚇した。

 

『私に嘘が通じると思うなよ。私はお前の事なら何でも知っている。お前が今考えている事だけじゃ無い、お前の過去も、ポケモン達との出会いも全てだ。ルカリオに進化した時に全て読み取らせて貰った。だが、それだけでは満足出来ない。これからの事も全て読み取らせて貰う。故に私には隠し事は無意味だ。次は無いぞ』

 

「うー、ごめんなさい」

 

 悪いと思った事は素直に謝れる子、カブトくん。顔だけは良いから後は頭も良くなれば完璧なのに……

 そんなカブトの姿を見てルカちゃんも『ボーンラッシュ』のエネルギー物体をその手から消し去る。

 

『こちらこそ済まない、少し脅かしすぎたな』

 

 少し雰囲気の軟化したルカちゃんにカブトは新たな質問を投げかける。

 

「僕の事わかるって言ってたけど何処らへんまで読み取れるの?」

 

『そうだな……。お前の事限定ならば、例え世界の何処に居ようとも場所を把握し気持ちを理解する事は容易い』

 

「ほえー、凄いんですね」

 

 褒められて機嫌が良くなったのか上機嫌な顔をしてルカちゃんは言葉を続ける。

 

『ああ、今日一日のお前の行動も全て分かるぞ。今日お前は、午前3時にこうてつ島で起床した。トリトドンに任せていたタマゴの管理を交代する為だな。朝食を取った後はトイレに行ったな。そして、私と共にゲンから与えられた最終試練のハガネールを撃破。その後に昼食を取ったな。お前の昼食の内容は、きのみソテーだった筈だ。昼食を取った後は、こうてつ島の皆と別れを告げて海をトリトドンに乗って渡り、ミオシティまで戻ってきた。そしてそのままジム戦を終え夕食を取った後、お前は観光客の話を小耳に挟み、港から見える月が綺麗だと言う事を知った。皆が寝静まった深夜に月見に来て今に至る、と言うわけだ』

 

 何故か自分の事が知り尽くされているという恐怖。普通の人ならばルカちゃんに恐れという感情を抱くだろう。だがカブトは違う。生憎この男、頭の中にグランデシアの花畑を持つ男。あれだけの長広舌を聞かされても、ルカちゃんすっごーい! くらいの感想しか頭に浮かんでいないのだ。

 調子に乗ったルカちゃんは、カブトの既に欠点だらけである一人で月見しちゃおうぜ大作戦の致命的な欠点を指摘する。

 

『そもそも今の時間帯ポケモンセンターは閉まっているのだがお前はその事を理解していないだろう?』

 

「はっ! しまった! 帰れないじゃ無いですか⁉︎」

 

 ルカちゃんからの指摘に何も考えていない事が暴露されてしまった。杜撰、あまりにも杜撰すぎる……。

 そんなカブトの姿を見て呆れた様に笑みを浮かべたルカちゃんは、カブトの隣に座ってその体を密着させ肩に手を回す。

 

『今夜は私の側で寝ると良い。安心しろ、私がお前をずっと見守っておこう。そう、ずっとな…………』

 

 その言葉に甘えてカブトが横になる体制を取ろうとした時、既にルカちゃんが眠りに落ちている事に気がついた。カブトは苦笑して眠ってしまった彼女をボールに戻し、取り敢えず安全に寝れそうな場所を探す事にした。最悪、木の下にでも寝ようと考える。しかし、運が良い事に今夜の寝床はあっさり見つかった。何と深夜にも関わらずまだ明かりの灯った民泊があったのだ。

 

「ふっふっふっ、ルカちゃんや、僕の運の良さを舐めてもらったら困りますね! まだ事情を話して宿泊出来そうな場所がありましたよ! えーっと、何て名前だろ? は……、はと……、はとばの……やど? 何にせよラッキーですとも! それでは、御免ください!」

 

 カブトは今夜の寝床を見つけて意気揚々と民家に入っていったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『いらっしゃいませ………』

 

『貴方をずっとお待ちしておりました……』




カブト
ストレンジャーハウスの女の子の二の舞。次のカブトはきっと幸福で完璧でもっと上手くやるでしょう。すやぁ…

ユキちゃん
すやぁ…

メガちゃん
すやぁ…

ポリさん
すやぁ…

トリさん
すやぁ…

ルカちゃん
ずっと港でスタンバッてました。普通のルカリオより波導パワーで出来ることが多いよ!すやぁ…

タマゴ
すやぁ…


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VS調教1

みんなもダークライ一匹でジムをクリアして、ダークライ一匹で大会を勝ち抜いてポケモンリーグ優勝を目指そう!


 そこは異様な空間だった。1メートル先すらも見えない暗闇の中、辛うじて足元だけが薄明かりに照らされた長い回廊。胸を締め付けるような重苦しい空気。そんな場所でただ一人ポツンと突っ立っていた。いつも身につけている筈のモンスターボールはホルダーに一つもなく、誰一人として彼の呼びかけに応えるものは居ない。

 カブトは混乱していた。何故ならば自分はつい先程まで『はとばのやどや』で宿泊手続きを取っていた筈だったからだ。考えられる可能性として挙げられるのは、何者かに誘拐されたか、これは全て夢かのどちらかだと考えられる。しかし、この場所は夢にしてはやけにリアルな質感を持つ。だが、誘拐だと断ずるには些か無理がある。誘拐について精通している訳では無いが、少なくとも拐った子供を縛りもせずに廊下に放置などあり得ない。何より、荷物がポケモン以外奪われていないのもさらに不審を煽る。ならば此処は何処なのか、何故連れてこられたのか、一体何が目的なのかなどの疑問が溢れ出す。

 

 そして暫く考えた後、カブトは思考放棄した。わからないものは分からない。世の中そんな物だと。だが、ただで思考放棄した訳では無い。自身の身につけた波導パワーを使って探索を試みたのだ。波導パワーなら距離も暗闇も無視して探索できるので頼りにしていたのだが、しかし結果は惨敗。何故か波導パワーが使えなくなっていた。枯れ果てたのなら死んでいる筈だし、封印できるなど聞いた事もない。

 こうして、脳内オーバーフローしたカブトは考える事をやめた。是非もないよね……。

 

 遭難した時は不用意にその場から動かない方が良いと言われているが、彼は左手を壁に添えて出口を求めてこの長い回廊を歩き始めた。救難が期待出来ない以上、彼にはこの場所を探索する以外選択肢は残されていないのだ。

 いくら頭グランデシアとはいえ、訳の分からない現象の起こる、訳の分からない場所に一人放置されたのは中々堪えた様だ。いつものポワポワした顔が今回ばかりは引きつっている。

 

 

 暫く何一つ代わり映えの無い回廊を歩いていると、やがて一つの違和感を覚えた。

 ズルズルと何かを引き摺る様な怪音。何者かが後ろから付いてきている。それだけでは無く、薄らと不気味な赤い霧も出てきた。カブトは一刻も早くこの場から走り去りたい気分に駆られたが、下手に走ると後ろから迫る何者かを刺激する可能性もある。それにまだカブトについてきていると決まった訳では無い。もしかしたら自分と同じ様に連れてこられた人間かも知れない。望みは薄いが……。

 …………この際背中に感じる人ならざる雰囲気は目を瞑る。ちょっとでも後ろの存在に意識を回すと気が狂いそうだった。

 

 

 歩みを止める。

 

 引き摺る音も停止する。

 

 再び歩き出す。

 

 音も再び動き出す。

 

 止まる。

 

 音も止まる。

 

 進む。

 

 音も動き出す。

 

 止まる。

 

 怪音は止まらない。

 

 

 

 

 堪らず全速力で駆け出していた。一瞬だけ視界の端に写った追跡者の姿。およそ生物では有り得ない程ドス黒い赤色の体色をしたそれは、無数に生えた触手を揺らし此方を見ると大きく見開かれた巨大な一つ目を細めてニヤリと笑った。

 

 

 

 どれ程時間が経っただろうか。怪物から出来る限り距離を離す為に常に全速力で走り続けたカブトの体力はもう殆ど底をついていた。幾ら超マサラ人といえど人の形を保っている以上体力には限界がある。遂に地面に膝をつけてしまった。地面に倒れ伏している間に必死で伸ばした距離も徐々に詰められつつある。このままではやがて追いつかれてしまうだろう。

 

 もう、楽になっても良いよね……、思わずそんな言葉が零れ落ちた。無理もない。かなり長い時間、怪物から常に全速力で逃げ回っていたのだ。距離を開く事は出来ても一切見つからない脱出の糸口、怪物の無尽蔵の体力、そして何よりも冒涜的なその容姿。それら全ての要因が合わさり、カブトの精神をゴリゴリと削り取っていく。

 長きに渡るデッドエンドチェイスにより力尽きたカブトは、壁に寄り掛かるとそのまま動かなくなる。もはや指一本たりとも動かせない。怪物がその体を引き摺りながら段々と距離を詰めてくる音が聞こえて来る。

 絶対絶命のピンチ。しかし神はまだ彼を見捨てていなかった。

 

 

『貴方の寄り掛かっている壁は扉になっています。中に避難してください!』

 

 突如として響き渡るこの場に似つかわしくない明朗とした声。大きな声を出されると人は反射的に行動してしまうもの。突然の声に驚き、飛び上がったカブトはなけなしの力を振り絞り背後の壁を全力で蹴り飛ばした。人間版『メガトンキック』により壁に擬態していたドアが開かれ封じられていた部屋が解放される、と同時にその中へとカブトは転がり込んだ。

 

 部屋に入ると自動で閉まるドア。少なくとも此処には怪物は入ってこれないと安心し一息つく。そんな彼に何処からとも無く声が掛けられた。

 

『カブトさん、カブトさん、私の声が聞こえていますか? (ファミチキください)』

 

「(コイツ、直接脳内に⁉︎)」

 

 脳内に語りかけると言う無駄のない無駄な行為を披露してくれた謎の声さん。正直色々なことが起こりすぎて何が何やらさっぱりわからない、と言うのが本音だ。特に救いの手となり得る謎の声が脳内に直接ファミチキください、などとほざき始めた日にはもうどうして良いか分からない。脱出系のゲームにおいてナビゲーターは基本、しかしファミチキを要求するのは前代未聞。

 

『この悪夢から脱出する為には私の言葉に従ってください。此処は一見安全に見えますが長居は危険です。早急に立ち去る事が吉です』

 

「ちょっとまって下さい、貴方は誰ですか? そしてなぜ此処が悪夢だと? 追って来る怪物は何者ですか?」

 

 謎の声はこの部屋からすぐに立ち去る事を勧めるが、カブトは一刻も早くこの訳の分からない状況に対する説明が欲しかった。

 

『分かりました。諸々説明致しましょう。先ずは自己紹介を。私はクレセリア。貴方をダークライの作り出した悪夢から救いだす救世主となるべく参上しました』

 

「ダークライ、クレセリア……聞いた事がないです。どんなポケモンですか?」

 

 キッサキシティという辺境の地に住むが故の無知。ミオシティ周辺にしか出没しないマイナーな幻ポケモンダークライや、クレセリアなどカブトは知る由も無かったのだ。まぁ、出現地方はシンオウ全土だぜ! というのはそれはそれで幻としてどうかと思うが。

 

『悪夢を引き起こすポケモンと、悪夢から覚ますポケモンとでも覚えていただければよろしいかと。今は詳しい説明は割愛致しますが、この悪夢の中で死ぬと現実世界でも死にます。この悪夢に長く留まり過ぎると二度と目覚めません。それだけは肝に銘じてください』

 

「え……何それこわっ……」

 

 悪夢で死ぬとかそれなんてホラゲーだよ、と恐れ慄くカブト。特に今は現実世界での身体能力が発揮できない場所にある。これから先もあんな怪物に襲われ続けるのは流石に勘弁願いたかった。

 

『大丈夫、安心してください。私が貴方を必ず現実世界まで導きますから。私を信じてください』

 

 そう言うと、ナビゲーター・クレセリアはカブトに部屋を出る様に指示をする。カブトはこの頭に流れる謎アナウンスを怪しみながらも、今はこれに縋るしかないのでその指示に従った。

 

『そこの壁を押してください』

 

『右方向から怪物が近づいてきています』

 

『ヒメグマのぬいぐるみの手をもいでください』

 

『手を貸して欲しいと言っている料理人に先程もいだ手を渡してください」

 

『そこの扉に先程拾ったガマガルを入れてください。ハブネークの餌にして囮にします』

 

 指示に従うと、先程までと比べて圧倒的に安全に進める様になった。何やら悪趣味な仕掛けが満載だったが。

 手を貸して欲しいとほざく先程の怪物と似た体色をした人型の料理人には、「他の物で代用しろ。例えば自分の頭を使うとかさ!」とアドバイスを送ると何故か突然自分自身の頭を切り落とした。めっちゃ怖い。

 切り離したヒメグマの手を落ちていたアロンアルファで付け直したら現れた幽霊は成仏し、囮に使ったガマガルはハブネークとのバトルの最中にガマゲロゲに進化した。多分道中の生物(?)とバトルさせたから経験値が貯まったのだろう。バトル中の進化は勝利フラグ、当然ハブネークが勝てる道理は無く瞬殺されていた。ガマゲロゲは子供のオタマロと共に水の中へと帰った。今頃家族揃って幸せに暮らしているだろう。

 

「クレセリアさん、ありがとうございます。貴方のお陰でガマゲロゲは家族の元へと帰れましたし、僕もここまで安全にたどり着く事が出来ました」

 

『何か予想と違う結末ばかりでクレセリアちゃんお口あんぐりなんですけど……』

 

 これがカブト君の右手に宿る異能、シリアスブレイカーですか? まずはそのふざけたシリアスをぶち殺す! 

 

 クレセリアとしては、ダークライの悪夢でSAN値がゴリゴリと削り取られて憔悴したカブトを優しく励まし自分に依存する様に仕向ける計画の筈だったのだ。そしてそのままクレセリアの住処で二人だけで暮らすのだ。クレセリアは無理矢理事を運ぶ事を望まない。望む事はただ一つ。自発的にカブトが自分を求めてきてくれる様になる事、それだけだ。本人から求めてきてくれるなら他の女に靡く心配も無く、縛り付けておく手間も省ける。そして何より自分好みのタイプに塗り替える事が出来る。その為に、まず最初に本来ならもっと早く救出できた所を自分の無力さを痛感して絶望し、心が折れるまで放置しておいたのだ。

 絶対絶命のピンチに助けに来るヒーロー、クレセリアちゃん。吊り橋効果も合わさり確実にクレセリア無しでは生きていけない体になること間違い無しの筈だったのだ。

 しかしどう言う事だ! 与える筈の絶望値が少な過ぎる! 特にここ最近。ハッピーエンドルートの構築に入っているじゃないか! SAN値回復し始めたぞ! もっとちゃんと働け、ダークライ。

 

 自分の事を棚に上げて心中ダークライを罵るクレセリア。しかしダークライを恨んでも仕方がないと察して次の計画へと移行する。

 

『ここから先ですがカブトさん、先ずは…………『デテイケ』…………へ? 『ココカラデテイケ』……今更何を言い出すかと思えばそんな……『ココハ私ダケノ庭ダ‼︎』……ちょっ! まっ! ……うわぁ!』

 

「クレセリアさん⁉︎クレセリアさんどうしたんですか⁉︎返事をしてください⁉︎」

 

 だが幾ら呼びかけてもクレセリアからの反応は返ってこない。この状況から察するに恐らくこれからクレセリア抜きでこの悪夢を攻略する必要があるのだろう。カブトの表情は苦々しい物へと変化する。これは厳しい戦いになりそうだ。

 

 しかし、思ったより早く通信は復旧する事になった。

 

『あー、あー、もしもし、聞こえていますか? カブトさん? 私です。クレセリアです。何とか無事ですので引き続き脱出のお手伝いを致します』

 

「クレセリアさん! 無事だったんですか!」

 

 思わず大声を上げてしまう。カブト自身も本人の認識以上にクレセリアに対して依存していた様だ。あと一押しだったかもしれないのに残念な事だ。

 

『はい、クレセリアです。無事です、全然無事です。では早速行きましょう。余り時間も残されていませんし』

 

 カブトはクレセリアの指示に従い再び悪夢脱出への道を歩み始めたのだった。




カブト
悪夢の中でリアル脱出ホラーゲームを体験中。これが最新式のVRなのか……!

クレセリアちゃん
自分に依存させて自分無しでは生きられない体に作り替える系のヤンデレ。カブトに張り込んでいたからダークライの悪夢はある意味幸運だった。悪夢がなければ、夢の中で色々な物を与えて夢から覚めたくないと思わせて閉じ込める予定だった。

ダークライ
まさかのセリフ数回のみ。映画のイケメンダークライをもっと見習ってどうぞ。


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VS調教2

気に食わなくて何回も書き直してたら遅くなった挙句、文字数がやけに多くなってしまったので再び分割です。ヤンデレ無しになってしまった……。


「これは……どうなってるのですか?」

 

 クレセリアに導かれ、ダークライによって作られた悪夢の世界からの脱出を図るカブト。彼は今困惑していた。館の様な場所から脱出に成功したものの、出口と思わしき扉を潜るとそこは現実世界ではなく新たな悪夢の世界だったのだ。

 目の前にはケッキングを模した先頭部を持つ通常の2倍の長さはあるであろう巨大な電車。先頭部に取り付けられた顔の浮かべる気味の悪い笑顔には全身が拒否するかのような嫌悪感を感じた。

 気がつくと薄暗い光に照らされた電車の座席に座らされていた。突如場面が変更された事に驚くも、カブトは悪夢であるが故に納得する。夢の中では往々にして人智を超えた事が起こる。リアル過ぎてあまりこれが夢であるという実感は無いが、先程と同じく夢の中であるなら何が起こっても可笑しくはないのだ。

 カブトは先ず探索する為に移動しようと試みるが、席を立とうにも不思議な力に縫い付けられた様に一歩も動く事ができない。体は進行方向に固定されているので視線だけで辺りを見渡すと、自分と同じような人が何人も座席に座っていた。窓から見える外の景色は荒廃した街並み。まるで時間が止まった様に世界は灰色に染まって静止していた。

 

「ここ……何処?」

 

 マサラタウンに生まれキッサキシティで育ったが故に電車というものに乗る機会が一切無かったカブト。初めての電車が悪夢の中という世にも奇妙な経験をする。

 

『悪夢の趣向が変わった様ですね。取り敢えずその場からの逃走を推奨します』

 

「動けないんですけどどうすれば……」

 

『気合で脱出してください』

 

 まさかの根性論。意外にもクレセリアさんは脳筋だった⁉︎と、内心驚きながらも、気合を出して脱出をしようとその場でもがいてみる。しかし、必死の抵抗も何の意味を持たない様で、意志に反して体はピクリとも動かない。

 

「ダメです!」

 

『わかりました! 何とかこちらでこの悪夢から別の悪夢へと飛び移れる様にします! それまで何がきても死なないで下さい!』

 

 通信越しにクレセリアの焦った声が聞こえる。その焦りが伝播しここ最近安定していたカブトの精神を再び削り始めた。え、マジ? 今回そんなヤバイの? そんな疑念を抱くと目に映る全てのものが恐ろしく見えてくる。もはや信じられるのはクレセリアさんだけだ、と考えるまでにカブトは追い詰められていた。

 

『次は〜串刺し〜串刺し〜』

 

 気の抜ける様な間抜けな声が車内に響く。電車初体験のカブトには何が何やらさっぱり分からなかったが、恐らくこのアナウンスは次の停車駅を示す物だと推測立てる。しかし、幾ら何でも常識的に考えて『串刺し』という名前の停車駅は無い。『久師崎』の聞き間違えだろうと苦笑いを浮かべる。『串刺し』だなんてそんな物騒な駅があるわけが無い。

 

 そしてアナウンスから暫くして、白と黒の制服を纏った車掌と思わしき二人が車内へとやって来た。その姿形だけを見れば普通の人だ。しかしその顔は、目、鼻、口は無いのっぺらぼうで、どう考えてもその赤黒い体色は人間の物では無い。その色で思い出すのは最初に追いかけ回されたオクタンの親戚の様な怪物、次に頭部を切断した料理人、どちらも同じ体色をしていた。

 素材使い回しかよ……、などとは思っても絶対に口に出さない。分別ある人なら誰だってそうするし、頭のおかしい(直球)カブト君もそうする。

 

 そんな内心を知ってか知らずか、彼らはカブトから二席程前の座席の横に来ると彼らは並んで立ち止まった。そして何処からとも無く徐ろに長い金属の棒状の物を取り出すと、一息にそれを三席前の座席に座っていた人の首に突き刺した。

 

 飛び散った血液が車窓に鮮やかな赤い花を咲かせる。首に棒を突き刺された人は白目を剥き暫く痙攣するとやがて動かなくなってしまった。突き刺した彼らは死体から金属棒を引き抜くと、乗客に一礼して車掌室へと帰っていった。

 電車初体験のカブト、都会の電車って死因の予告をアナウンスで行うのか……と、驚きを隠せない。

 

 いや、都会だろうと田舎だろうと電車で殺害予告は起こらないから。また一つ、カブトに変な認識が植え付けられてしまった……。

 

 カブトが目の前で起こった惨劇を受け止めきれずに茫然自失状態でいると、車内に再び新たなアナウンスが流れ始めた。

 

『次は〜八つ裂き〜八つ裂き〜』

 

 アナウンスと共にまた白黒二色の人型が現れて、今度はカブトの目の前の席に座る人をアナウンス通りに八つ裂きにする。ズタズタに引き裂かれたことで飛び散った血液や臓物がカブトの顔や体にも降りかかった。胸の奥から不快感が込み上げてくるが、血を拭おうにも体が動かせないのでいつまで経っても気持ち悪さを消す事ができない。

 

「クレセリアさんまだですか‼︎」

 

 そんな不快感が段々と迫ってくる自身の死という恐怖に加わり、さらにカブトを追い詰める。その額には冷や汗が浮かび、必死でこの場から逃げ出そうと体を動かそうとする。しかし当然の如く逃げ出すことは叶わない。全てをクレセリアに託すしか無いにも関わらずクレセリアからの返事は無い。こんな状況で冷静で居られるほどカブトは精神が成熟していないのだ。

 

『次は〜活け作り〜活け作り〜』

 

 無情にも流されるアナウンス、そして三度車両内に赤黒い死神が降臨する。死神はカブトを一瞥するとその貌の無い顔で確かに嗤った。

 

「クレセリアさん‼︎」

 

 再三の呼びかけ。しかしクレセリアは答えない。一歩一歩確実に歩みを進める怪物。それは服の内側からいかにも切れ味の良さそうな鈍い光を放つ刃物を取り出すと、動けないカブトの首筋へとそれを添える。そして勢い良くその刃物を—————

 

 

 

 

「はっ! ……無事……なのかな?」

 

 場面が切り替わる。首を切り落とされかけたその瞬間に暗転して世界そのものが変化した。先程の狭い電車内とは違い、今回の夢は電車の車窓から見えた荒廃世界にそっくりな場所。手足は動かし赤黒い車掌は何処にもいない。ただし、胸を締め付ける様な陰鬱な雰囲気はそのままだったが。

 

「クレセリアさん、クレセリアさん、聞こえますか? 何とか逃げ切れました。ありがとうございます!」

 

『何とか間に合って良かったです。悪夢の終わりも近いので油断せずに進んで下さい』

 

 通信が復活した事で、再びクレセリアの指示を受けながら悪夢の探索を開始する。今のところ目立った怪物の姿は無い。世界こそ荒廃しているが、今までの様に明確な敵というものが今回はまるで見つからない。

 

 暫く探索を続けると一人でコソコソと行動する人を見つけた。やっと見つけた人間。人恋しくなっていたカブトは無警戒に近づき話しかけてしまう。そして……

 

「ひっ! ば……化物! くっ……来るなぁ‼︎」

 

 化物呼ばわりされた挙句、石を投げられ逃げられた。理解が出来なかった。先程までの悪夢で出てきた様な怪物達なら兎も角、ただの人間にすぎない自分を化物呼ばわりするのはいくらなんでもおかしい。凄く失礼ってはっきりわかんだね。そして、地面に溜まった汚い水を鏡代わりにして自身の姿を写し漸く気がついた。

 ドス黒い程の赤い体色、ブヨブヨとした腐った肉を連想させる様な体、そして特徴的な貌の無い顔、カブト自身が化物になっていたのだと。

 

 もっと驚くかと思っていたが意外に冷静なカブト。案外化物が見つからない辺りで予想していたのかもしれない。とはいえ、この姿でこれ以上歩き回るのは危険だ。その為にカブトは手頃な建物の中に身を隠すことにした。

 

 倒壊しかけの建物に侵入したは良いものの、運が悪い事にその中には既に先客がいた。勿論、今のカブトの様な怪物的な姿では無いただの一般市民だ。恐らくこの場に避難してきたのだろう。そんな中に化物が侵入してきたらどうなるか、火を見るよりも明らかだ。

 大きな悲鳴を上げながら、カブトから出来るだけ離れようと建物に備え付けられた別の入り口に殺到する市民達。我先にと逃げ出したが故に、何人かの人間が後ろから迫る人達によって押しつぶされる。そしてごく一部の勇気ある人間が、カブトに対してポケモンを繰り出しカブトを倒す為に攻撃の指示を出した。

 

「いけ! カイロス! 『ハサミギロチン』だ!」

 

「任せた! イワーク! 『がんせきふうじ』!」

 

「頼むぞ! ルージュラ! 『ふぶき』!」

 

 珍獣三人衆から繰り出される連携攻撃。これにはカブトも堪らず逃げ出した。特にルージュラが命令を無視して放ってくる『あくまのキッス』は絶対に避けねばならない(確信)。背後から飛んできたキスを紙一重で躱し安心していると、地中に潜り先回りをしていたイワークに逃走経路を塞がれてしまう。ノータイムで頭上から投擲される『がんせきふうじ』をかろうじて捌ききると、後ろから飛んできた『あくまのキッス』が何とイワークに誤爆してしまった。

 通常の『あくまのキッス』は相手を眠らせる効果を持つ。ポケモンやトレーナーの技量によって多少の差異はあるが大体同じ効果を持つ。だがこの『あくまのキッス』は違った。何故か誤爆したイワークが爆散し、その体を構成する岩石一つ残らず腐り落ちたのだ。これにはカブト君も大焦り。目の前で岩が腐食し、その原型をも残さず崩れ落ちるという奇怪な瞬間を目撃してしまったのだ。永眠させるという点では同じ効果かもしれないが……。この事にカブトは怪物に追いかけ回されることよりも恐怖を感じていた。

 

 背を向けて急いで駆け出すカブト。そして彼を追跡するかの様に駆け出す一筋の影。影の名はカイロス、そして今は巨大な顔面による威嚇攻撃に特化したサワムラーフォルムだ。まるで意味が分からんぞ! 

 

 こんな話を聞いたことは無いだろうか? サワムラー、カイロスと同一人物説を! (ありません)

 

 何とかして建物から出て珍獣達の追撃を振り切り、そして自分の安全を確認して一息ついた所で—————全力で横に飛び退いた。

 

 先程まで自分が居た場所を通り過ぎた巨大な緑の影。その見慣れた姿にそれが誰のメガヤンマなのか瞬間的に察知する。

 もしかしたら、と淡い期待がカブトの胸に湧き上がった。メガちゃんなら僕の事をわかってくれるかもしれない、と。しかしその希望は無残にも打ち砕かれることとなる。幾ら声を掛けようと、幾ら身振り手振りを付けようともメガちゃんは自分自身をカブトだと理解してくれる事は決して無かった。

 カブトは必死でメガちゃんの攻撃を躱し続けるが、間違いなく内臓にダメージが蓄積されている事を感じていた。

 倒れるのも時間の問題だと考えたカブトは博打に出る事を決意する。フェイントを入れてその隙にメガちゃんを倒す。仮にも自分の手持ちポケモンにそんな事をしたくは無かったが、このまま続けると自身の体がもたない事をカブトは理解していた。

 

 一世一代の賭け。右に踏み込んだと見せかけてから左に飛び退く。そしてメガちゃんの羽を掴みそのまま戦闘不能へと持っていく。その作戦は成功したかの様に見えた。あるポケモンの介入が無ければ。

 

 左に飛び退いたカブトの軸足に青白色の光線が直撃する。それはカブトの足を氷漬けにして地面に縫いとめた。この技には見覚えがある。これを使うポケモンをカブトは知っている。何故なら一番慣れ親しんだポケモンだから。そのポケモンは……

 

「ユキちゃん……」

 

 カブトにとっての実の家族の様な存在であり一番の相棒。当然その実力も知り尽くしている。生半可なポケモンを一撃で葬り去る程の力を自由自在に操る彼女の前ではただの人間如き数秒も持たないだろう。カブトには知る由もないが、現に彼女は既に何人もの女性にあの世への片道切符を渡している。下手をすれば殺人経験はそこら辺の悪の組織のポケモンより積んでいる程だ。

 

 その培われた実力に弱体化著しいカブトは到底敵うはずもなく、何の抵抗もできぬまま『めざましビンタ』で手と足の骨をへし折られた。痛みに絶叫する口に氷を押し込められてその声が出せない様に細工される。

 

 やけに手慣れた方法でテキパキと処理を進められる。そんな絶望的な状況に、ダメ押しとばかりにルカリオのルカちゃんまでやって来た。ルカちゃんは此方を見るだけで助ける姿勢一つ見せてくれない。恐らく彼女もこの怪物をカブトだと認識できないのだろう。

 

 

 

 本当にどうしようも無い状況。今、カブトにはこの世界に誰一人として味方がいないのだ。信じていたポケモン達にも自分だと認識されず、誰一人としての救援も得られない。

 いや、違う。いる。たった一人だけカブトを助ける事ができる存在が。力と光が失せ、虚になっていたカブトの瞳に光が宿る。そうだ、未だ彼女がいる。彼女なら僕の事を僕だとわかってくれる。そんな希望が彼に宿る——————周到に張られた罠だとも気付かずに。

 

 口は氷で塞がれて声を出せない。だが、彼女とはこの悪夢に囚われたからいつも脳内で会話してきたのだ。ならばきっと念じるだけで彼女に届く。全てを彼女に託して、彼女が来てくれる事を信じて、彼女がカブトを理解し助けてくれる事を信じて、これまで生きてきた人生の中で何よりも強くカブトは叫んだ。

 

「助けてください!! クレセリアさん!!!」

 

 そしてその願いは、

 

『ご指名入りましたクレセリアさんちゃんで〜す!』

 

 アホっぽい言葉と共に当然の如く叶えられた。

 

 ボロボロのカブトを背に、彼を害する三匹のポケモンから庇う様に立ち塞がるクレセリアさん。

 その夜の様な漆黒の体に特徴的な白い頭部。そして夜空に映える星の様な輝きを放つ青い瞳。美しさと同時に禍々しさをも感じるその姿は敵対するものには恐怖を、そして共に戦う者には絶対的なる安心を与える正に優美なる王者の姿。

 彼女は敵対する三匹から視線を外しカブトに対して優しく微笑みかけながら言葉を紡ぐ。

 

『もう大丈夫ですよ、私が来たからね!』

 

 その瞬間、三匹が一斉にクレセリアさんに攻撃を仕掛けた。ユキちゃんが冷気を帯びた光線である『れいとうビーム』を、メガちゃんは広範囲を殲滅する蟲ポケモンの操る波動である『むしのさざめき』を、ルカちゃんは言わずと知れた青い高エネルギー圧縮球『はどうだん』を。それぞれがクレセリアさんに対して爆発的な破壊力を兼ね備えた一撃。加えて使い手も一流であるが故に、それをまともに食らえば普通は間違いなく消滅してしまうだろう。

 

 だが、彼女は普通では無い。元より生まれついた種族がポケモン達の中でも一線を画す存在であった事、さらに彼女自身が異常な強さを誇っている事、そして彼女が自分の居場所となってくれるかもしれない人に助けを求められて今最高の精神状態である事、それらの要因が合わさった今の彼女は何者にも負ける事などありはしないのた。

 

 彼女らがクレセリアさんに向けて放った技、その全てを真っ向から『あくのはどう』で弾き返す。タイプ相性など知らん! といった様なゴリ押しスタイルに三匹があっけにとられた隙をつき彼女は速攻を仕掛ける。

 

 まずはメガちゃんの懐へと潜り込み、その無防備な腹に再び邪悪なる波動を叩き込む。そしてその体を掴むとユキちゃんから再び放たれた『れいとうビーム』の軌道上に投げ捨てて自身の盾とする。しかしその瞬間、背後から『はどうだん』によってその体を撃ち抜かれてしまう。勝ちを確信するルカちゃん。しかし、次の瞬間には自身の影から伸ばされたアッパーカットぎみの『だましうち』に意識を刈り取られてしまった。そして最後に、攻撃のモーションに入ったユキちゃんを、辺りの被害を気にせずに撒き散らした『あやしいかぜ』で仕留めた。当然逃げ惑う市民たちや建物も巻き添えを喰らうが、そんな事クレセリアさんの知ったことでは無い。カブト以外なら誰が犠牲になろうが関係ないのだから。

 

 死屍累々の山を築き上げて満足そうなクレセリアさんは、手足を折られて動けないカブトを抱き抱えるとそのまま彼を何処かへと連れて行ってしまうのであった。

 




カブト君
今日も今日とて夢の中。きれいな顔してるだろ。ウソみたいだろ。眠ってるんだぜ。それで。(平和な世界)

クレセリアちゃんさん
早く病みパートに入って(懇願)お前の悪夢なげぇんだよ!(プチギレ)

悪夢ポッケモン
ゲスト出演の皆さん。多分ポケモン人気投票やったら上位3名に入るであろうお方達。

悪夢手持ちポッケモン
私達は何故生み出されたのか?

A.ネガキャンするため

車掌さん
何やってんだよ、サブウェイマスター!猿夢に就職しました。


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VS調教3

ポケモンは似た性質のトレーナーに集まるらしい。ならばこの作品の主人公も病んでる可能性が……?


 辿り着いたのは『なぞのばしょ』……では無く、何処と無く城のような雰囲気を醸し出す場所。クレセリアさんはその中にズカズカと入り込むと、適当な部屋を開けてそこに備え付けられたベッドに手負いのカブトを乗せた。

 

『今、サラッと治療しますのでご安心を!』

 

 花が咲いた様な笑顔でサムズアップするクレセリアさん。カブトは礼を言って彼女の治療を受ける。すると骨折という重体にも関わらず、あっさりと怪我が治ってしまった。これがマサラ人の力だ! 

 

「クレセリアさん、毎度毎度ありがとうございます。クレセリアさんが助けに来てくれなかったら僕はあそこで死んでました。本当にありがとうございます」

 

『いえいえ、私はただの個人的な感情でカブト君に味方しているだけなのでそこまで畏まらないで下さい。あっ、お茶とお菓子をお出ししますね』

 

 先程までのシリアス感は何処へやら、何やら呑気にお茶会が始まってしまった。テーブルには、後ろ手に縛られて口元に布を噛まされた目隠し状態のマホイップが転がされ、お茶の代わりにポットデスが並べられた。これでどうやってお茶会すれば良いんだ(迫真)! 

 流石にカブト君もこれを食べる気にはなれずにそのまま放置。クレセリアさんはムシャムシャとマホイップを捕食。悪夢かな? 悪夢だったわ。

 

 と、ここでカブトは悪夢に長居しすぎると衰弱死するという話を思い出す。こんなに呑気にしていて大丈夫なのかとクレセリアさんに問いかけると、

 

『まぁ、もうここまで来れば後はそこの扉から出て行くだけで良いんで大丈夫ですよ』

 

 と、あっさり返された。ならばお礼を言ってさっさとこの悪夢から退散しようと考えて席を立つ。しかし、クレセリアさんは俊敏に動いて彼の肩を掴み再び椅子に座らせた。

 

『もう少しだけお話しして行きませんか?』

 

 何処か寂しそうな表情と共にそんな言葉が投げかけられる。カブトにとって彼女は命の恩人。普通ならさっさと出て行ってしまうところだが今の彼は彼女に負い目がある。しかも、こんな悲しいそうな顔をされると内なる罪悪感に締め付けられてしまう。なのでその言葉に従い大人しく席に座ることにした。

 

 そして暫く他愛も無い話をした後、カブトはいよいよ悪夢とおさらばする事を決めた。あの扉をくぐればすぐさま現実世界で目覚める事となる。礼を告げて扉を潜ろうとするカブトの背中を見て彼女は、ここに至るまでの経緯を思い返していた。

 

 

 

 こんな話を聞いた事があるだろうか? 魂レベルでかけられた呪いは死んでも解けることがない、という話を。それは死んで肉体が滅んだとしても魂は呪いから解放されず、死んで苦しみから解放されることも無いまま永遠に苦しめられ続けるという事。そして、普段は決してやらないがダークライはこれと同じ事を悪夢verで行う事が出来る。

 彼女ことクレセリアさん、いや、それはカブトを欺く為の仮の姿。その真の正体はダークライ。カブトを悪夢に閉じ込めた張本人である。

 ダークライは本来カブトを悪夢の世界で殺す事でその中に閉じ込める気でいたのだ。そうすれば、死如きが二人を別つ事など出来なくなるから。

 

 だが、その目論見は予想外の乱入者によって乱されることになる。本物のクレセリアだ。彼女はダークライの悪夢に侵入し、カブトをサポートする様に見せかける事で徐々に弱らせて自分に依存する様に仕向けた。後半のカブトのクレセリアに対する盲信っぷりを見ればその試みは成功したと言えるだろう。

 

 当然の事ながらダークライはその介入を許さなかった。そしてクレセリアを排除した後、彼女にふとある考えが浮かび上がったのだ。

 

『そうだ! このままクレセリアの計画を利用して、カブト君が私に依存する様にすれば良いんだ!』

 

 行き当たりばったりではあるが、当時の彼女にはとても良い考えに思えたし、それこそが乱入者であるクレセリアへの一番の嫌がらせになる。そして、安全に誘導するかの様に見せかけて何度も危険な目に合わせ、最後には最も危険度の高い悪夢へと送り込んだ。

 だが、ここまでしてもカブトはクレセリアを疑う事をしなかった。ここまで信頼を得たことだけはクレセリアを褒めてやっても良い、と思うほどダークライは感心していた。

 

 そして最後の悪夢の世界、とにかく知り合いに攻撃されるだけの悪夢。シンプルだがその効果は絶大だ。皆に裏切られて味方するものが誰一人としていない状況、そんな中に颯爽と登場して味方してくれる存在を信頼しない訳がない。ついでに今の彼の知り合いとの関係性をギクシャクさせることも出来るかもしれない。

 こうして圧倒的信頼感を本来受け取る筈だったクレセリアから掠め取ったダークライ。今回はここで現実世界に帰すが、同じような事を何度も続ける事でカブトがダークライに完全に依存するまでこの作業を繰り返そうと考えていた。完璧な計画だ、穴一つない。ダークライはその計画を考えついた時、自分の事を紛れもなく天才だと思った程だ。

 

 

 そして今まさに、その計画の進行通りにカブトを現世に送り出そうとしている。

 明日の夜、再び彼を悪夢inさせてまた助ける。明後日も明々後日も、これからずっとずっとマッチポンプを繰り返す。勿論そのたびに現実世界の人物へのネガキャンも忘れてはならない。そうすればカブトはやがて起きているより寝ている時間の方が多くなる筈。現実より夢の方が居心地が良くなり、夢の世界で唯一信じられるダークライのみを頼るようになるのだ。

 

 完璧な作戦だ! (フラグ)

 

 だが、その自称天才ダークライでさえも気づかなかった致命的な弱点がその計画には残っていたのだ。それ即ちダークライの性格だ。ダークライは自身の持つ制御は可能な体質のせいで他者と関わる事は基本的に無い。それ故に常に孤独。だが、一人でいる事を好んでいるかどうかは別の話だ。個体差はあるだろうが、自分を受け入れてくれる何者かを心の底では望んでいてもおかしくは無い。そして、このダークライは他人との繋がりを求めていたという事だ。

 つまり何が言いたいのかと言うと、ダークライは折角手に入れたカブトを一分一秒たりとも手放すのが惜しくなったのだ。それがどうせまた戻ってくるものだとしても、手元に無い間が寂しい、だから手放したく無い、そう考えてしまった。

 

 そしてその想いは持ち主の彼女にすら制御出来ないものとなっていた。その結果何が起こったのか、カブトが悪夢世界から現実世界へと一歩足を踏み入れたその瞬間、彼女の奥底の意思を反映して姿を変える悪夢の世界が現実世界へと繋がる扉を閉ざしてしまったのだ。

 

 当然扉が閉ざされてしまえば元の世界に戻る事など出来ない。しかし、カブトは現実世界に半ば足を踏み入れていた訳で————

 

 

 

 

 

 


 

 

「ん……、ハードすぎる夢だった……」

 

 目を覚ますと、そこは『はとばのやどや』……、では無くポケモンセンター。かれこれ3日近く眠っていたが、どうやらその間に発見されてポケモンセンターに運び込まれていたらしい。意識を取り戻して暫くすると、ジョーイさんや、ジュンサーさんなどに何故使われてもいない廃屋で寝ていたのかと聞かれたので正直にここまでの経緯を説明した。

 どうやら『三日月の羽』を持たない旅人がダークライの悪夢に囚われる事は、稀に良くある事らしいので納得してもらえた様だった。

 

 久しぶりに手持ちポケモンと感動の再会を果たすカブト。どうやら彼女達も同じく三日ほど悪夢に囚われていた様だ。彼女達に自身の無事を伝えていると、突然空から一筋の閃光が落ちてきた。親方! 空から変なポケモンが! 

 

『やっと会えましたね。お初にお目にかかります。私がクレセリアです。悪夢から追放された後、カブトさんを探し出して夢から脱出できる様に微力ながらお力添えをしておりました』

 

 着弾地点で凛々しく佇んでいたのはカブトにとって見慣れないポケモン。三日月を模した頭部に全体的に淡い桃色と柔らかい黄色で構成された体を持つ、カブトの知るクレセリアとは明らかに別人であるクレセリアを名乗る何者か。

 

「知ってるクレセリアさんと姿が違うんですけど……貴方は一体誰ですか?」

 

 真実を明らかにするべく謎のポケモンに問いかけるカブト。しかし、その答えは自称クレセリアではなくミオシティの住人からもたらされた。自称クレセリアを繰り出した時、偶々それを見ていた住人Aがこのポケモンはクレセリアだと主張。親切にも図書館からわざわざ図鑑まで引っ張り出してくれたのだ。

 

 ここまでして漸くカブトも納得した。しかし、そうなると夢で助けてくれたあのポケモンは一体何者なのだという事になる。真クレセリアに聞いても知らぬ存ぜぬの一点張り。そもそも途中退場したクレセリアにはあの後何が起こったかさっぱりなのだ。

 

 こうして、多くの謎を残したままこの事件は終わりを迎えたのだった。この事件で一体何が起こったのか、それをこのカブトが知る事は終ぞ無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

「ん……、ハードすぎる夢だった……」

 

 目を覚ますと、そこは『はとばのやどや』……、では無く先程までお茶会をしていた悪夢の世界。何処と無く城のような雰囲気を持つお屋敷のベッドに寝かされていた。

 

「えっ⁉︎なんで! 僕は扉を潜って悪夢から目覚めたんじゃ……」

 

 カブトは額に手を当て記憶を探る。彼の最後に覚えている記憶は、クレセリアさんの指示に従って悪夢世界から脱出できるという扉から現実世界へと歩き始めた所だった。カブトの持つ記憶によれば、確かにあの時扉を潜った。ならばここは現実世界という事になる。しかしカブトは本能的に気がついていた。この胸を締め付けるようなおどろおどろしい雰囲気は間違いなく悪夢の世界だと。

 

『あっ、おはよう! 起きたんだね』

 

 目を覚ましたカブトにかけられた聞き覚えのある声。そう、これはクレセリアさんの声だ。カブトは随分フランクな話し方になった信頼する人(ポケモン)の声を聞き、一先ず安心する。そして次にやるべき事、つまり現状把握を行うために、どうしてこうなっているのかの情報を得ようと彼女に質問を投げかけた。

 

「クレセリアさん、どうして悪夢世界から脱出した筈なのに僕はまだ悪夢に囚われたいるのですか?」

 

『あはは、なんだそんな事か。てっきり体の部位が何処か足りて無いのかと思ったよ』

 

 カブトの質問に対して笑って答えるクレセリアさん。その危機感の無い姿にカブトは若干の苛立ちを覚えたが、次の一言でその全てが吹き飛ぶ事になる。

 

『そんなの私が現実世界に繋がる扉を閉じたからに決まってるでしょ?』

 

「……え?」

 

『まぁ、半ば無意識にやっちゃった事なんだけど……。結果オーライかな?』

 

 クレセリアさんが事も無げに言ってのけたその真実。それはカブトに大きな衝撃を与えた。まず始めに驚き、そしてその次に生じた感情は疑問。何故クレセリアさんがこんな事をしたのか、何故クレセリアさんが扉を閉じることが出来たのか、何故彼女はこんな状況で満足そうに笑っているのか。

 無数の疑問がカブトの脳内を駆け巡る。そんなカブトを見てクレセリアさんは口元に微笑みを浮かべながら自分の行った事を説明し始めた。

 

『ごめんね。カブト君を悪夢に閉じ込めたのは私なんだよ』

 

「……は?」

 

 絶句。言葉は頭に入ってくるがその意味を理解することを脳が拒否する。

 

「……でも、ずっとクレセリアさんは僕を悪夢の中で助けてくれたじゃ無いですか……」

 

 フリーズ状態から回復して、やっとのことで絞り出したその言葉は、

 

『そんなの自作自演だよ?』

 

 クレセリアさんの一言で無惨にも打ち砕かれた。

 呆然として目の前に立つクレセリアさんを見上げる。何を勘違いしたのかクレセリアさんは頬を赤らめた。なんだコイツは。

 

『あー、そうそう、クレセリアって名前も勿論嘘だよ。私はダークライ。ダーちゃんでもクライさんでも悪夢ちゃんでも好きなように呼んでね!』

 

 さらに明かされる衝撃の真実。カブトはただひたすら呆然と見つめるだけ。それ程までに信じていた人に裏切られた衝撃は大きい。

 

『ねー、聞いてるのー? 今から色々と説明するからしっかり聞いて欲しいなー』

 

 口を開けて固まっているカブトの目の前で手を振ってみたり、肩を掴みユサユサと揺らしたりするダークライ。ここに来て漸くカブトも事態を飲み込めた。

 

「意味分からないけどわかりました。取り敢えずこの悪夢から解放してください」

 

『それはダメ。まず私が漸く手に入れた居場所になってくれるかもしれない人を手放す訳ないし、そもそも君はこの悪夢からもう抜け出せないよ?』

 

「抜け出せないってどういう事ですか! 現実世界に帰れるに決まってるでしょ!」

 

 ダークライの態度にカブトは思わず声を荒げてしまう。そんな彼を宥めるようにダークライは優しく抱きしめ耳元で囁いた。

 

『カブト君、もしかしてまだ自分は帰る場所があるとか思ってない?』

 

「えっ? ……なん…だと…?」

 

『そのままの意味だよ。君はね、この悪夢に取り残されたんだ。だからもう現実世界には君の帰るべき体は無いんだよ』

 

「そ、そんな筈ない! 僕は確かにあの扉を通って……もしかしてあの扉自体嘘何ですか……?」

 

 ふと此処でカブトは気付いてしまう。これほど嘘を重ねてきたダークライが、この悪夢から脱出できる方法だけを律儀に教えるとは思えなかったからだ。

 

『いや、あれは本当だよ。さっき言ったでしょ? 私が扉を閉じたって。少し落ち着きなさいな』

 

 ポンポンとカブトの肩を軽く叩くも跳ね除けられてしまう。少し悲しそうな顔をした後で、ダークライはことの顛末を語り始めた。

 

『カブト君はね、確かに悪夢の外に一歩足を踏み出したんだ。けどね、その瞬間私が悪夢と外との接続を切ったの。だから真ん中にいた君は真っ二つになって、半分だけ現実世界に返ってもう半分は悪夢の世界に取り残されたのよ』

 

「なるほど分からん」

 

 分からないと断言する真っ二つにされたらしい少年、カブト。頭のおかしさに定評のある彼も今回は間違っていない。恐らく百人に聞いたら90人くらいが分からないと回答する筈だ。

 

『例えるなら、ゲームで通信交換をしている最中に電源を切ったらバグって二つのデータに交換した筈のモンスター達が残っているのと同じ現象が起こったって事だね』

 

「なるほど、だいたい分かりました。僕は上半身ですか? 下半身ですか?」

 

 お前実は何も分かって無いだろ! 

 

『多分右半身ね』

 

 何を言っているんだこの悪夢ポケモンは……。

 

「じゃあ、何で僕を閉じ込めたんですか? 食べるんですか?」

 

 今世紀史上最大に頭の悪い問答を繰り広げた右半身の少年と悪夢ポケモン。その流れをぶった斬った質問に対してダークライは嬉しそうに答えた。

 

『まずはそうね、私が初めて貴方を見た時のことから話そうかな? そう、あれはまだピカチュウが全体的に太かった頃の話……』

 

 斬新極まりない台詞から始まる回想シーン。ピカチュウが太かった頃から始まる回想とか初めて見た。

 

「一言でお願いします」

 

 何かこれからイイハナシダナー感溢れそうな雰囲気だったにも関わらずズバッと切り捨てるカブト君。強い、これが強者か……。

 

『むー、まぁいいや。こうなったら要点だけ言うね。私は貴方のことが好きだから……いや、違うね、どうしようも無いほど愛しちゃってるからこの悪夢に閉じ込めたの!』

 

「……は?」

 

 カブトにはダークライの言っている事の意味が分からなかった。人間とポケモンとの関係であるにも関わらず、躊躇いなく愛していると言い切った事。それだけでも訳わからないのに、さらに加えて『愛しているから悪夢に閉じ込める』という発言。それらはカブトの知る常識を軽く超えたもので、年相応の精神性しか持たない彼には到底受け入れられる様なものではなかった。

 

「何……言ってるのですか? ポケモンと人間ですよ……? 一緒になれる訳ないじゃないですか。それに愛してるから閉じ込めるって……。貴方おかしいですよ……」

 

『おかしい、ね……。そうだね、確かに私は何処かおかしくなっているのかもしれないね』

 

 現在進行系で恐怖しているカブトの顔をその深い蒼の瞳から離さずに、ダークライは自身がおかしくなっている事を認めた。暫く見つめ続けた彼女はふと視線を逸らす。此処ではない何処か遠くに視線を向けて過去に想いを馳せる。今、彼女が何を考えているのか、それは彼女にしか分からない。

 追憶を終えた彼女は怯えるカブトに再び視線を向けて、その手でなぞるようにカブトの頬に手を当てた。

 

『でも、私がおかしくなったのはカブト君の所為。貴方が居なければ私が狂う事も無かった。だから責任を取ってください』

 

 引き込まれる様な蒼。何処までも深く、暗く、澄んだその瞳はただ一人の最愛の人しか映さない。それは想い人を見つめる乙女の瞳でもあり、同時に獲物を捕らえた捕食者の目でもある。悪夢は彼女のテリトリー。故にカブトには…………

 

『此処は死神すら恐る悪夢の世界。時間は無限にあるの。だから…………貴方も私と一緒におかしくなって?』

 

 逃げ場なんて何処にも無かった。




カブト
やっと悪夢から脱出した主人公君。話の都合で分裂したプラナリア系主人公。此処から先は修羅場だぞ?

ダークライ
唯一の勝ち組。ダークライは強キャラってはっきりわかんだね。

クレセリアさん
実は殆ど出番が無かったポケモン。カワイソス。頑張れ!手持ちに入らなくても夢の中で会えるぞ!

夢カブト君
何故か分裂した右半身。まるで意味が分からんぞ!何故かって?愛だよ、愛。(生きて帰れる可能性は)無いです。



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