我ら艦これ傭兵団 (ヨロシサン製薬)
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その1 もう人類なんて知らん
「一体なんなんだアイツらは……」
「……ホントなんなんでしょうね、司令官」
小笠原諸島・父島の浜辺に打ち上げられた状態でボヤく俺と、その隣で相槌を打つ吹雪。
うつ伏せのまま顔だけを横に向けると、正座した吹雪の疲れ切った表情を隠さない様子が伺える。
たぶん俺も、まるで鏡写しのような顔になっていることだろう。
「100回やって100回とも天寿を全う出来ないとか、クソゲーにも程があるぞ」
「しかも後半戦は、ほとんど暗殺されてましたからねぇ」
深海棲艦に殺されるなら、まだ自分達の力不足と納得出来る。
しかし吹雪の言う通り、最後の方は深海棲艦ではなく人の手によって殺されるのがパターン化されていた。
ちなみに俺が暗殺されると艦娘達が深海棲艦化して人類は絶滅するらしい。ざまぁ。
もともと俺はこの世界の住人ではなく、現代日本の大学生だった。
それが何の因果かある日突然この父島に打ち上げられた状態で艦これ世界へ転移していたのだ。
しかもゲームの中の存在だった艦娘達も一緒にである。
そこから先は一言では言い表せない程に大変だった。
序盤は上手く日本国に接触出来ず、牢屋の中で人類の滅亡を見させられた。
そこをクリアしても、今度は軍や政治家のお偉いさんに足を引っ張られて俺の艦娘達は実力を発揮出来ずに各個撃破され、やがて最後は日本国ごと殲滅された。
もう日本なんか知らんと欧州や米国に行っても、人の変わらない愚かさを確認させられただけだ。
中盤戦以降は、これまでの経験によってミスをリカバリーしてきた。
足を引っ張られることが分かっているのだから、それが致命傷にならないように立ち回ったのだ。
その戦略は一定の成果を挙げ、深海棲艦との戦いを優位に進めることが出来るようになった。
そこからは俺の艦娘を奪おうとする奴らとの戦いだった。
艤装を纏った艦娘のスペックは人類を遥かに凌駕するが、俺自身はただの人間だ。
防衛側が100回守っても、攻勢側が1回でも成功させれば俺達の敗北になる。
派閥争いに注力し過ぎて深海棲艦の侵攻を許してしまうこともあったし、俺の鎮守府に北朝鮮が核を打ち込んできたこともあった。
正直に言おう。
個人的には、もう人類がどうなろうと知ったこっちゃない。
せいぜい味噌と醤油がないと困るから日本は滅亡して欲しくない程度の気持ちだけだ。
何度も毒殺やら射殺やらされているのだから、当たり前である。
ではなぜ100回も人類を守ろうと悪戦苦闘をしてきたか。
それは基本的に善性を持つ俺の艦娘達を納得させるためだ。
「というわけで吹雪、約束の100回だ。もうわかっただろう?」
「……はい」
「そんな顔をするな。別に人類と敵対しようってわけじゃないんだ」
この吹雪は、右も左も分からなかった序盤の頃に海軍の手で誘拐され、解剖された経験を持つ。
その場で暴れれば連中を皆殺しに出来たはずなのに、だからこそ暴れることが出来なかった心優しい少女。
全人類のためなどと説得されて甘んじて解剖を受け入れ、それでも善性を失わない彼女が誇れないような自分になることは出来ない。
人類のために尽くす気持ちはとっくになくしてしまったが、その一線だけは死んでも守ろうと改めて心に誓った。
「Hey、提督ぅー! 妖精さん達が鎮守府を作ってくれたねー!」
「わかった金剛! 今そちらに向かう!」
流石は妖精さん。
101回目の慣れた作業とはいえ、仕事が早い。
のっそりと立ち上がった俺は、服についた砂を叩き落として吹雪に手を差し出した。
「これからまたよろしくな、吹雪」
「はい、司令官! こちらこそ、よろしくお願いします!」
深海棲艦の侵攻から2年。
人類は防戦一方であり、今も世界はその生存圏を脅かされていた。
特に被害が激しいのは日本やイギリスなどの島国である。
日本は戦役が勃発した当初に沖縄が深海棲艦の猛攻撃を受けて陥落した結果、淡路島、小笠原諸島、八丈島などから住人を本州に避難させて小島を全て放棄した。
しかし今では九州四国北海道は本州との交通が遮断され、東京湾沿岸以外は海に面していない内陸部のみが日本人の生存圏となっていた。
深海棲艦に対抗出来る兵器はあるのだ。
護衛艦に積まれた5インチ砲(12.7cm砲)が命中すれば、3連装魚雷が命中すれば、奴らとて沈む。
しかし、その命中させるということが難しい。
深海棲艦は通常の船に比べて遥かに小さいからだ。
コンピュータ制御で砲撃をコントロールしても誘導弾を撃っても、小回りがきくサイズの敵にとっては避けるのが容易い攻撃でしかない。
散弾や機銃などでは威力が足りず、数十発は当てないと効果がなかった。
しかも奴らはそのサイズに見合わぬ強烈な反撃をしてくる。
WW2の頃と比べて劇的に進化した今の護衛艦でも、2発も食らえばダメージコントロールの間もなく沈んでしまうのだ。
航空機によるミサイル攻撃は、沿岸部では有効な対策だった。
とはいえ人的被害を受けない出撃はなく、その損耗も馬鹿にならない。
また攻勢を仕掛けようと沖に出た場合は、敵空母の襲撃がある。
深海棲艦本体より更に小型な、まるでたこ焼きのような敵戦闘機に対抗する手段は機銃しかないのだが、的が小さすぎて当たらない。
こちら側の航空機はなすすべなく撃ち落されるのみだった。
ここ1年ほどは瀬戸際戦術で、陸軍が久里浜と金谷に配備した砲台による飽和攻撃と空軍の基地航空隊により東京湾を死守している状態である。
しかしそれも長くは続かないだろう。
なぜなら日本には資源がないからだ。
燃料と鉄がなければ戦えない。
控えめに表現しても今の日本は既に詰んでいた。
だとしても、日本の指導者階級に属する人々に生存を諦めるという選択肢はなかった。
「かねてより議論を重ねてきた、自動車および農耕車の個人所有禁止法を出すぞ」
「総理、暴動が起きますよ!」
「仕方がないだろう! それにどうせガソリンがなければ動かせないだろうが!」
今日の閣僚会議も喧々諤々、つまり通常運転である。
そんな中、久里浜防衛基地より緊急通信が入電した。
「どうした! 深海棲艦の侵攻か!」
「いえ、違います! 東京湾の海が、赤い海が色を青に戻しました!」
「なんだと! 一体なにが……、いや分かった。諸君らは引き続き警戒を厳としてくれ!」
「はっ、了解しました!」
受話器を置いた総理大臣は、深々とため息をついた。
何かが起きようとしている。
それが吉兆となるか凋落となるか、その一歩目を正しい方向に導くのが政治家の仕事だ。
そのためにも、まずは情報である。
彼はそのまま受話器を持ち上げると、海軍に情報収集のための艦隊を編成するよう指示を出した。
「司令官、ただいま! 今日もちゃんと海軍の人にお手紙を渡してきたわ!」
「ただいまなのです。今日もいっぱい人を助けてきたのです!」
太平洋側の近海を開放して2週間。
出没する頻度が劇的に下がったとはいえ、それでもはぐれ深海棲艦に絡まれて沈没しかけている日本の護衛艦などを救出し、その度にこちらの手紙を渡していた。
任務を果たしてきた第六駆逐隊の面々の頭を撫でながら、タイミングはそろそろかと考える。
俺が出している手紙は、おそらく海軍上層部で握りつぶされている。
この時期、内閣と陸空軍はまっとうな運営をされているのだが、初戦で有能な人材が真っ先に磨り潰されてしまった海軍はウンコなのである。
まともなコンタクトなど、到底期待出来ない。
「この2週間、よく頑張ってくれたな。駆逐艦のみんなは、しばらくバカンス用に整えた母島でゆっくり休んでくれ」
「えー、司令官、もっと私を頼っていいのよ!」
やる気を出してくれている雷には悪いが、ここから先はあまり駆逐艦達に見せたくない。
なぜなら海軍の次の一手は、まず間違いなく父島に制圧部隊を送り込んでくることだからだ。
今まではこういう状況に陥らないよう対処してきた。
しかし今回はもう遠慮をしないと決めている。
積極的に日本と敵対したいわけではないが、海軍の馬鹿共には殴ったら殴り返されるということを教育してやろう。
「貴様らは日本の領土である父島を不当に占拠している! 大人しく投降しろ!」
「なるほど、確かに我々は無許可で父島に拠点を置いている。しかし我々は何度も租借のための話し合いをしたい旨を伝えているし、もしそれが無理ならば大人しく父島から出ていくとも伝えている。君達に投降する謂れはない」
「……数人は確保しろ! 残りは殺せ!」
「総員、反撃を許可する」
金剛と榛名が目の前に立ち、銃弾から俺の身を守る。
人間が手で持てる小銃など、艤装を纏った艦娘達に通用するわけがない。
逆に艦娘達が装備する機銃は、掠っただけで人間の手足ごと持っていく。
出来るだけ殺すなと命令に付け加えなかったのは、そちらのほうがより悲惨な結果になるからだ。
「長門、連中の船に砲撃だ」
「いいだろう」
連中の乗ってきた護衛艦が慌てて出港したが、容赦はしない。
なぜならそこに搭載されている5インチ砲は、俺の艦娘達を傷つけ得るからだ。
「全主砲、斉射! てーッ!!」
長門の41cm三連装が火を噴き、護衛艦が瞬く間に大炎上して沈んでいく。
過去100回の鬱憤が溜まっているため、胸がすくような気持ちだった。
彼女の肩を軽く叩いて労い、艦娘達に生き残りの救助活動を命じる。
「青葉、撮れたか?」
「はい、ばっちりです!」
「じゃあグロいシーンだけ編集して、今まで撮ったものと同じように明石に渡してくれ」
「はーい、青葉了解でーす」
その日、NHKが何者かにジャックされた。
そこに映し出された二十歳前後の男は、自らを提督と名乗り、日本の近海を開放したのは自分達だと主張し、艦娘と深海棲艦の戦闘や護衛艦を救助している動画を公開し、海軍から銃撃を受けて反撃している場面を放映し、捕虜はすべて八丈島に置いたことを伝え、そして次の言葉で映像を締めくくった。
「我ら艦これ傭兵団は、海軍の不当な攻撃に強く抗議する。3日以内にNHKを通して海軍幕僚長の謝罪放送がない場合、我々との話し合いに応じる意思がないと考え、日本国に対して宣戦を布告する!」
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その2 話し合い(物理)
俺達のNHKジャックから2日後、父島に向けて海軍による艦隊砲の飽和攻撃が行われた。
奴らは小さな的には当てられないが、攻撃力自体は持っているのだ。
よってこの飽和攻撃も予想通りである。
当然俺達は父島を出て、駆逐艦が休暇を取っている母島へ避難済みだ。
そして今頃は長門率いる連合艦隊が海軍を食い散らかしている頃だろう。
折角妖精さん達が作ってくれた鎮守府は勿体無いが、先制攻撃をさせるというのは重要である。
いくら恨み骨髄に徹する海軍とはいえ、この時間軸ではまだ何もされていなかったからだ。
やられたらやり返すが、こちらからは攻撃を仕掛けない。
これが101回目の今回、艦娘達と話し合って決めたルールだった。
「だからって提督、挑発して向こうから手出しをさせるのもどうかと思いますよ?」
「いやいや、そんなことを言う大淀だって、微笑みを浮かべながら作戦を立案してたじゃないか」
「正直に言って私も今の海軍には思うところがありましたし……」
海軍のアホさ加減に振り回された1番の被害者は直接間接合わせて100回も殺された俺だと思うが、2番目は間違いなく大淀だろう。
なにせ海軍内では艦娘兵器派という派閥が主流であり、連中は兵器の疲労など考慮に値しないと考えていた。
そんな奴らの出撃命令に対して、艦娘のスケジュールを調整していた秘書官の大淀は何度悔し涙を流したことだろう。
そして俺が過労死した回数は、100回中何回くらいだったか……。
「それに私情だけじゃなく、話し合いのためにもまず殴りつける必要があるだろう」
「確かにそうですね」
まず力を見せないと、日本語が通じない。
それが今の海軍クオリティなのだ。
「じゃあ青葉が海軍殲滅動画を撮って帰ってくる前に、俺のパートを撮影してしまうか」
「わかりました。明石に準備させますね」
明日からの海軍に対する報復を考えると、乾いていた心が潤っていくように感じる。
延べ100年を超える我慢は、自分で思ってた以上に限界だったんだなぁと思った。
「―――幸いこちらに人的被害は0だった。よって我々の報復行為も、出来る限り人的被害が出ないよう予め砲撃時間とその範囲を宣言しよう。
我々は明日の13:00より横須賀海軍基地を更地になるまで爆撃する!
特に民間人は横須賀海軍基地の周辺からは退去することをお勧めする。砲撃が逸れた場合、市街地への着弾も予想されることから、可能であれば横須賀市から離れることだ」
再びNHKがジャックされて流された放送に、総理大臣は度肝を抜かれた。
なぜなら彼は海軍幕僚長に対して、あちらの要求通りテレビ放送で謝罪をするよう指示を出したのだから。
それがまさかの父島爆撃動画と反撃を受けての海軍壊滅動画、そして今の横須賀海軍基地爆撃宣言である。
数日前、彼らは傭兵団を名乗っていた。
つまり雇える存在だ。
深海棲艦と闘って勝てる集団が日本の戦力になるのだ。
更に彼らは日本が放棄した小笠原諸島の租借を要求していた。
これを上手く交渉に使えば、実質無料で戦力化出来たのだ。
海軍の人的被害、しかも反撃されたことによる損害など無視して当たり前ではないか。
軍としてのプライドなど、国の存亡がかかった今、何程のものか!
総理大臣は怒りに震えながら陸軍とのホットラインを繋いだ。
「陸軍の精鋭部隊を横須賀海軍基地へ送れ! 海軍幕僚長、いや軍令部の全員を逮捕拘束するんだ! 今すぐだ!」
「はっ、了解しました!」
そして秘書に車を用意させると、即座に乗り込み出掛けて行った。
目的地はもちろんNHKである。
「提督、内閣総理大臣が謝罪放送してますよ」
「まぁあの人はちゃんと損得の計算が出来る人だったからなぁ」
「それに私達艦娘に対する誠意もありましたよ。すぐに暗殺されちゃいましたけど」
「言われてみれば、暗殺された者同士でなんか親近感がわいてきたな」
「海軍の軍令部要員も全員軍事裁判にかけるって言ってますし、予想の中では最上級の結果ですね」
「じゃあ横須賀への爆撃は取りやめってことで、大和達に通達出しておいて」
「はいっ! 大和さんも内心では気が進まないみたいでしたから、きっと喜びますよ」
嫌な思い出しかない横須賀海軍基地は消滅して欲しかったが、まあ良しとしよう。
海軍の上層部が早い時期に壊滅すると、総理大臣の暗殺イベントがなくなるのだ。
大淀の言う通り、話の通じる総理がトップにいるのは俺達にとって最良の結果だろう。
逆に横須賀基地殲滅からの日本保護国化計画は、俺はすっきりするけど面倒そうなルートだし、支配者と被支配者の間で憎しみの連鎖が、なんて昼ドラのようで疲れそうだ。
それに俺達の大目標は最後まで深海棲艦と戦い抜き、暁の水平線に勝利を刻むことである。
もちろんこれまでの恨みを晴らす機会があれば逃すつもりはないが、それがメインになっては本末転倒である。
今までは同じ陣営のはずの人類に邪魔をされて達成できなかったが、縛りプレイを解禁した今回こそは、明るく楽しく世界を救って天寿を全うしてみせるのだ!
「会談の場所は八丈島で。阿武隈の第一水雷戦隊は周辺警護、神通の第二水雷戦隊は総理大臣を迎えに行って、そのまま島まで護衛するよう通達してくれ」
「わかりました。提督は明石のところに急いでください。こちらが反応を見せるまでテレビで謝り続けるつもりですよ、総理大臣」
「まぁ俺達が横須賀を攻撃したら、その後の関係なんてありえないもんなぁ。そりゃ必死になるでしょ」
「わかっているなら早く行って下さい! 総理大臣が可哀想ですよ!」
総理大臣の目の下の隈に同士的な感情を覚えている大淀だった。
総理大臣との会談の成果は、80点といった所だろうか。
こちらの要求である小笠原諸島の租借、日本領海の自由な航海権、日本との交易権、指揮権の独立と不介入などは飲ませたが、その代わりに日本海側を含む日本近海の開放と定期的な討伐を約束させられた。
日本海側はリ地域が鬱陶しいから開放する気はなかったのだが、今回は別に日本国に所属するわけじゃないから連中への忖度たっぷりな命令に従う必要もない。
自縄自縛もいいところだと思うが、まぁ総理のお手並み拝見といこう。
日本各地へ鎮守府を開いて戦力を分散させることは、断固として拒否した。
そう、これこそが過去の戦闘で最も足を引っ張られた要因なのだ。
舞鶴や佐世保や横須賀や大湊に艦娘を配置することは戦略的に正しいが、戦術的には大愚策なのである。
なぜなら艦娘は俺の指揮下から離れると著しく性能が下がるからだ。
リトライ後半は過去の経験からタイミングが分かっていたため、その度に各地へ移動して艦娘達を俺の指揮下に置いた状態で戦闘を行わせていたが、距離の壁が突破出来ずに沈めてしまった艦娘も最後までゼロにはならなかった。
今回こそ、俺の艦娘達は誰1人として轟沈させない。
そんな俺の気迫を感じ取ってくれたのだろう、総理は自身の考えに固執することなく、戦力分散案を放棄してくれた。
というわけで、これから日本とはウィンウィンの関係を築いていきたいと思う。
ただし海軍てめーはダメだ。
そういえば日本政府への要求のうち、俺の趣味に走った部分もある。
NHKの放送枠を週に1回1時間だけ貰ったのだ。
現代日本での学生時代、ユーチューブという動画サイトがブームだった。
残念ながらこの世界では電気が足りないためネット文化は廃れていたが、その分テレビの影響力が非常に高い。
だからユーチューバーのテレビ版をやってやろうと考えたのだ。
あれ、それってただの芸能人では……?
真面目な話、艦娘の認知度と人気を上げたいという考えもある。
兵器だから戦って当然と考えている奴らのために艦娘の命を懸けさせたくはない。
艦娘に親近感を持ってくれる人達が大勢いるならば、今底辺付近を彷徨っている俺のモチベーションがあがるだろう。
というわけで記念すべき第一回目の放送は「ボノたん世界を釣る」である。
「ハローワールド。君達タンパク質はとっているかい? 大豆だけじゃ物足りない諸君に朗報だ。我々が開放した海には魚が戻ってきているぞ」
「なによ、その恩着せがましい言い草。このクソ提督!」
「さて、今日は艦これ傭兵団きっての釣りの名人、第七駆逐隊のボノたんがF装備で魚釣りのコツを伝授してくれるぞ」
「ボノたんって言うな!」
このあと滅茶苦茶サカナ釣った。
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その3 生命線
日本近海から敵勢力を排除して青い海を取り戻し、海軍に破壊された父島の我が鎮守府も妖精さん達の尽力により無事に再建された。
そんな俺達が今真っ先にすべきこと、それは南西諸島海域の攻略である。
なぜなら東南アジアはWW2における重要な資源地帯、つまり深海棲艦の一大補給拠点だからだ。
深海棲艦にとっての補給拠点は、艦娘にとっても補給拠点となり得る。
海上のパワースポットから資源を集めて輸送する遠征任務こそ、無国籍な我が鎮守府を運営するための生命線なのだ。
もっとも日本国に所属していても、海上護衛任務や対潜警戒任務をしたにも関わらず無報酬だったり、むしろ俺達が獲得した資源を上納させられたりと、鎮守府運営にはマイナスでしかなかったが。
「旗艦、阿武隈。以下、曙、潮、漣、朧、瑞穂は南西諸島哨戒を実施、同海域の敵を排除して南西航路の安全を確保せよ!」
「阿武隈、ご期待に応えます!」
「旗艦、北上。以下、日振、大東、千歳、千代田、日進はバシー海峡に展開、防衛体制を強化せよ!」
「まぁ何ですかねー、気楽にいきますかねー」
「旗艦、蒼龍。以下、飛龍、妙高、那智、夕雲、巻雲はオリョール海に進出、敵通商破壊艦隊を排除せよ!」
「第二航空戦隊、出撃! 戦果を期待してね」
「旗艦、赤城。以下、加賀、摩耶、鳥海、時雨、夕立は沖ノ島海域へ出撃、襲来が予想される敵機動部隊を迎撃せよ!」
「加賀さんと私の一航戦の誇り、お見せします!」
俺と同じ繰り返しの時間で力を培った艦娘達は、全員が練度を極めている。
それでも、これだけは言わずにいられない。
「みんな分かっていると思うが、大破進軍だけは絶対に許さん。例え作戦が失敗しても、必ず全員で戻ってこい!」
「はいっ!」
もちろん南西諸島海域の敵勢力など、鎧袖一触だった。
そんなこんなで祝勝会である。
ここは序盤の山場と言ってよい、決定的なターニングポイントなのだ。
それを最短で達成出来たのだから、祝杯のひとつやふたつ当たり前である。
「赤城、見事なMVPだった。3水戦が取ってきたクジラ肉の竜田揚げが出来立てだぞ」
「ありがとうございます、提督。それでは遠慮なく頂きますね」
「提督、私も頂きます」
「加賀も制空権確保への貢献が素晴らしかったぞ。たくさん食べてくれ」
日本と傭兵契約を結んでいるので、復興や外交のための船団護衛の報酬で米や野菜には不自由しない。
しかし小麦や牛肉豚肉などが日本では手に入らないので、宴会料理に欠かせない肉類はもっぱらクジラ肉に頼ることになる。
「いつものパターンだと黄海沿岸とか大陸沿いに無駄な出撃をさせられるから、南西諸島海域の攻略がギリギリなんだよな」
「まるで私達への嫌がらせのように、毎回ギリギリ足りないという微妙なラインなんですよねぇ」
「久しぶりに艦隊機満載で出撃できました。さすがに気分が高揚します」
無表情がデフォルトの加賀から、「ぱぁぁぁ」という擬音が聞こえそうなくらいの幸せオーラが放出されている。
これまでの100回、空母達には本当に不自由を強いてしまった。
「お前達にボーキサイト不足のまま出撃させるなんてこと、今回は絶対にさせないからな」
「補給は大事」
「第一航空戦隊の本当の力、ようやく提督にお見せ出来ますね」
「ああ、これからも期待しているぞ」
赤城と加賀の前に山盛りの竜田揚げが乗った皿を置き、今度は手にビールを持って摩耶と鳥海を労いに行く。
「摩耶の対空射撃のおかげで、味方艦隊には小破すら出なかった。大物に固執せず空母の打ち漏らしを確実に仕留めてくれた鳥海の貢献も大きかった。2人とも、よくやってくれた」
「へへ、対空戦ならこのあたしに任せときな!」
「私の計算通りだったわ。もちろん司令官さんの戦略だから出来たのよ」
今までは補給の問題が大きすぎて戦術どうこう以前の問題だったから、鳥海には特に今回の戦闘が嬉しかったのだろう。
ニコニコしながら俺の腕を取って、興奮気味に戦いの推移を語ってくれた。
「ぽーい! 夕立も頑張ったっぽい! 提督さん、褒めて褒めてー」
「提督、僕はどうだったかな?」
思いがけず鳥海と長話になってしまったため、痺れを切らしたのだろう。
時雨を引き連れた夕立が、俺のお腹に飛び込んできた。
「夕立は相変わらず駆逐艦とは思えない夜戦火力だったな。時雨も期待通り、魚雷で敵旗艦のフラルに止めを刺してくれた。2人ともよく頑張った、偉いぞ」
「うん、ありがとう」
「ぽいぽいぽーい!」
抱きついてきた2人の頭を撫でながら褒める。
補給が軽い駆逐艦は、これまでの繰り返しの中でこの艦隊の主力を担ってきた。
もちろん十分な補給が出来るようになったからといって扱いは変わらない。
特にこれから先の大規模作戦では大事なフィニッシャーなのである。
そもそも大規模作戦とは何か。
通常の海域攻略は国土防衛という意味合いを持つことに対して、大規模作戦は人類の勢力圏拡大を目的とした攻勢である。
深海棲艦は過去に沈んでいった艦の怨念が実体化した存在だ。
だからWW2をなぞるようにして失敗した作戦を完遂し、彼らの無念を晴らし浄化することで深海棲艦の勢力を弱めることが出来る。
つまり大規模作戦を行わずして、人類の未来を守る術はないのだ。
ようやく自分達で戦略を立て、大規模作戦を実施することが出来る。
今度こそみんなで暁の水平線に勝利を刻むのだ!
そのためにも、やるべきことはただひとつ。
俺は資源の備蓄に励むべく、南西諸島海域への遠征計画と艦隊編成に思いを馳せるのであった。
「ハローワールド。南西諸島海域を攻略したぞ。今日は諸君らに我ら艦これ傭兵団の雄姿をお見せしよう。この戦争の終わりは近い(大本営発表)」
年若い男がテレビ画面から消え、代わりに赤い海が映し出される。
死と絶望の色をした海の上を、艤装に身を包んだ乙女達が駆けていく。
彼女達が放つ矢は攻撃機へと姿を変え、その爆撃は容易く敵駆逐艦を沈めていた。
彼女達の砲撃は、威力こそ人類の持つ兵器に劣るが、ほぼ必中で敵にダメージを与えていた。
そして避けられぬはずの敵攻撃を、彼女達は容易く回避していた。
人類が2年をかけて何の戦果も得られなかった深海棲艦との戦闘。
それを特に苦戦する様子もなく勝利し、実にあっさりと海が青い色を取り戻した所で放送が終了した。
「ふむ、艦娘といったか。見た目は人間だが、確かに全く別物だな」
「日本の外交官の話ですと、WW2時代の艦船を名乗る正体不明の存在とのことです、閣下」
「装備も含めて我が国であれらを研究させれば、より強力で機能的なモノが作れるはずだ」
「では向こうの要請通り日本への支援を実施し、その対価として艦娘を我が国に送らせましょう」
海洋国家が著しく地位を落としたため、相対的に大陸国家が力を増した現代。
忌々しい米国は太平洋に隔てられて極東への影響力を失い、アジアは中国の1強体制となっていた。
そのランドパワーが今、艦これ傭兵団に対して牙を剥き始めたのであった。
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その4 決別
WW2の時、大日本帝国は東西南北の全方面と敵対していた。
それはすなわち深海棲艦が日本を中心とした全方面に大規模な勢力を誇っており、俺達は各地を転戦して海を取り戻す必要があるということだ。
南西諸島海域のとある島にこっそり泊地を作って集中的な輸送遠征を行い備蓄的な意味で一息つけた俺達は、まず南方海域の敵艦隊前線泊地に殴り込みをかけた。
確保した南西諸島海域の安全強化という意図もあるが、主に今後の大規模作戦に繋げるための第1手である。
この作戦、実は今まで何十回も経験している。
当然とても苦い思い出だ。
なぜなら俺が所属させられていた当時の日本海軍には「各資材2万で十分なのよ」みたいな風潮があったからだ。
そのため俺達が遠征で得た資材は、その大半を上納させられていた。
だからラストダンスですら水雷戦隊を主体に編成し、そこに泊地攻撃に必須である三式弾を装備した重巡洋艦を1人混ぜるのが精いっぱいだったのだ。
しかし今回は十分な資材を準備した上での作戦発動なので、艦隊に戦艦や空母を混ぜることが出来る。
それだけで素晴らしく幸せな気分になれる不思議だね。
研究用とか言われて水上観測機や主砲を徴収されてもいないので、なんと主主観弾での弾着観測も可能なのである!
「勝手は! 榛名が! 許しません!」
「私がいなきゃ話にならないじゃない! って、もう泊地棲姫が沈んでるじゃない!」
「あら。もしかしてぇ、お・わ・り? ……今までの苦労はなんだったのかしら」
もともと装備と補給さえあれば、俺の艦娘達が苦戦するような作戦ではないのだ。
以前から溜まっていたフラストレーションが、一気に晴れていくような気持ちだった。
大規模作戦の前哨戦を終えた俺達は、消費した資材を回復しつつ北方海域の攻略へ乗り出した。
南西諸島ほどではないが、北方海域も資材の宝庫と言ってよい。
しかも激戦区の海域の1つなので、日本の防衛という意味でも放置は出来ない海域である。
日本といえば、最近船団護衛の面々から不穏な情報が度々舞い込んでくる。
どうも船団護衛中やその前後に、乗員の外交官や軍人などから詰問を受けていると言うのだ。
君達は日本の艦船じゃないのか、なぜ俺に従っているのか、日本に所属するべきだと思わないのか、エトセトラ。
これがだんだんエスカレートしてくると、「艦娘は日本国の所有物なのだからこちらに引き渡せ」という艦娘兵器派の出来上がりである。
個人的にはそんな奴らのためになど指一本動かしたくない。
しかし艦娘達の大多数は日本の艦船なので、彼女達の思いを汲むと必然的に日本の防衛には気を使わざるを得ないのだ。
もっともそのために無理をして攻略を急ぐつもりはまったくない。
南西諸島海域の時とは異なり、資材を回復しながらちょっとずつ海域を攻略していった。
北方海域のうち開放済のエリアには既に遠征艦隊を送って北方ネズミ輸送をさせていたのだが、ある日ベールヌイが持って帰ってきた大発の中には油ではなく魚介類がぎっしりと詰まっていた。
彼女は護衛退避なのにおにぎりを食べちゃったりと、クールな外見に反してお茶目な所がある。
まぁ資材に余裕は出来つつあるし、こういう気持ちのゆとりも大切なので、目くじらを立てるつもりはない。
暇してそうな艦娘達を呼んで、海辺で浜焼きパーティーだ。
「北の海は海産物が美味いな」
「ハラショー。こいつはいいな。ウォッカにも合う」
「おい、同志ちっこいの。カニミソばかり狙うな。貴様さてはブルジョワジーか?」
「同志ただいまー、楽しそうなことをやっているね。この空色の巡洋艦も仲間に入れておくれよ」
青い色を取り戻した北洋は、世界でも屈指の高漁場である。
今後も定期的に海産物を持って帰って来てもらおうと思った。
3ヶ月程かけて北方海域の完全攻略に成功したら、ターゲットを南方海域に戻す。
この海域は本当に一筋縄では行かないので、作戦も複数回に分ける必要があるのだ。
今回の作戦では南方海域の強襲偵察を実施する。
作戦域は南方海域へ進出するための海峡入口周辺部。
敵の大型戦艦を始めとする敵戦力が門番のように巡回している要所である。
したがって偵察活動で敵艦隊の集結地を発見して無力化し、大型超弩級戦艦を補足、撃滅するのが本作戦の主眼となる。
この大型超弩級戦艦というのが、とにかく硬い。
うちの最終兵器である時雨が四連装酸素魚雷後期型を3積みしても装甲を抜けないことがザラなのだ。
もちろん敵の取り柄は硬さだけでなく、その馬鹿げた攻撃力も脅威的である。
その砲撃は、無傷のフィニッシャーを余裕で一撃大破させるのだ。
俺はこれから始まる大激戦の予感に、身を震わせるのだった。
「アドミラルよ、ここで余のネルソンタッチは流石にずるいのではないか?」
「久しぶりの実戦でした。大和、嬉しい。提督、感謝です」
「相棒よ、まぁ随伴も嫌いではないが、次こそはこの武蔵に旗艦の指名を頼むぞ!」
いやー、南方棲戦姫は強敵でしたね。
いよいよ南方海域の本命作戦といきたいところだが、その前に後顧の憂いを断つべく西方海域の攻略を行うことにする。
次の大規模作戦は一大決戦となるため、全兵力を集中運用したい。
したがって泊地に置く戦力を最小限まで減らすために、西方海域を開放して南西諸島を安置とする作戦である。
また西方海域の解放は、すなわちシーレーンの回復を意味する。
日本では最近、新聞やテレビを中心に艦娘兵器論が幅を利かせているらしい。
そろそろ日本との軋轢も限界が見えてきたことだし、俺達が手を引いたあと日本が滅亡して艦娘達が罪悪感を抱かぬよう置き土産を残すのも悪くはないだろう。
さて、それでは西方海域の攻略戦を始めようか。
ところで西方海域といえばカレー洋、カレー洋といえばインドカレーである。
俺達艦これ傭兵団も、日本海軍と変わらず金曜カレーが大好きだ。
そもそも俺が好きなカレーとは、実は大きく分けて3種類存在する。
インドやネパールなどの国外のカレーと、日本のカレー。
そしてもう1つは、実家のカレー。
だから間宮に無理を言って厨房を貸してもらい、大好きだった実家のカレーの味を再現しようと試行錯誤してみた。
トマト缶、すりおろし生姜、ウスターソース。
そこにひとつまみのインスタントコーヒーを足した時、実家のおふくろの姿が頭をよぎった。
あと一味、その一味とはおそらくこれ、プレーンヨーグルト。これしかない!
え、戦闘の話?
うん、普通に勝ったよ。
「ハローワールド。1年近くお付き合いを頂いたこの番組も、本日が最終回だ。突然のことにびっくりしているかもしれないが、理由がわからないとは言わせない。
まぁ最後だし、ギスギスした感じは止めようか。おーい文月、ここにおいで」
「司令官、何ですか何ですか? えへへ」
「ほら、まずは自己紹介だ」
「あたし、文月っていうの。よろしくぅ~」
世に文月のあらんことを。
「じゃあ文月、そろそろお別れの挨拶だ」
「は~い、見てくれてありがとうね~」
「こちらこそありがとう。ではまたな、文月」
「ばいばーい」
「さて諸君。……こんな可愛い娘が兵器なわけないだろうが! ぶち殺すぞゴミ共!
んっ、んっ、コホン。あー、失礼、つい本音が出てしまったよ。さて、最近日本では艦娘が兵器だの所有権がどうのと、ごたごたしているみたいだな」
俺は水を一口飲み、言葉を続ける。
「君達は一体何を考えているんだ?
日本近海を開放したのは誰だ?
北方海域、南西諸島海域、西方海域を開放したのは誰だ?
中国からの援助と引き換えに俺の艦娘達を引き渡す約束でもしたのか?
それで我々に圧力を掛けようとしているつもりなのか?
だがその援助物資が積まれた船を日本まで護衛しているのは誰なんだ?」
ここで言葉を止め、深呼吸。
さあ、決別の時だ。
「君達には失望したよ。もう契約は終了だ。我ら艦これ傭兵団は父島から出ていくから、後は勝手に生きてくれたまえ。なに、海は我々が取り戻したんだ。護衛なしでも3回に1回くらいは無事に物資を運べるさ。
では、君たちの幸運を祈る」
これで世のしがらみからは解き放たれた。
後は俺達の因縁にケリをつけるだけ。
大規模作戦の本番、その舞台はアイアンボトム・サウンドだ。
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その5 決戦
アイアンボトム・サウンド。
それはWW2のガダルカナル島を巡る激戦で多数の艦船や航空機が沈んだ結果、海底を鋼鉄の残骸が埋め尽くしていることからその名が付けられた海域である。
そして繰り返しの時間を生きてきた俺達がどうしても突破出来ず、途中からは作戦の立案自体をさせぬよう手を打ってきた魔の海域でもある。
しかし深海棲艦との戦いというのは、俺達にとって鎮魂を意味する。
戦闘で沈んだ無念が具現化した存在である深海棲艦を打ち倒して浄化することの他に、そこには艦娘の悔いを晴らすという意味も含まれている。
なぜなら深海棲艦と艦娘は表裏一体であるからだ。
深海棲艦が浄化されて艦娘になるように、艦娘が闇落ちすると深海棲艦になってしまう。
今までも悪雨ちゃんや深通さんなど、無理な作戦で轟沈し深海棲艦に反転化してしまった艦娘達が出てしまうことがあった。
第3次ソロモン海戦で沈んだ比叡、霧島、夕立、綾波、暁を筆頭に、この海域に思いを残す艦娘達は多数いる。
彼女達の未練を断ち切るために、アイアンボトム・サウンドは避けて通れぬ海域である。
今度こそ南方海域を完全攻略して大規模作戦を成功させるのだ。
父島の鎮守府を引き払って南西諸島海域の泊地に移った俺は、早速執務室で作戦準備である。
まずは明石と間宮から、泊地の備蓄状況報告を聞く。
「各資材20万ずつ、バケツも2500個あります」
「食糧などの備蓄も十分ですし、南西諸島からの新たな仕入れルートも確保しました」
「2人とも、御苦労。これで安心して大規模作戦に専念できる」
前回の強襲偵察で南方海域の入口は開いている。
そこを哨戒して確保し、敵の増援を防ぎつつ精鋭部隊を鉄底海峡へ送り込み、制圧するのが本作戦の主目的である。
これは今まで南方海域で行ってきた一連の作戦の総仕上げとなる。
この海域には史実でいうところのヘンダーソン飛行場基地があり、空襲を避けるために夜戦でケリをつける必要がある。
夜戦は大日本帝国海軍の得意とするところだが、当然昼間よりも危険性が高い。
史実艦を思い出しながら、突破率が上がりそうな編成を組んでいった。
夜明けと共に各海域の編成を定めた俺は、全艦娘を外に集めさせた。
事務仕事をしていた大淀と共に、俺は艦娘達の下へと歩いていく。
「今までの時と違い、闘志に溢れているようだな」
「皆なかなか気合が入っています」
「それでこそ俺の艦娘というものだ」
まだ朝日も昇り切っていない薄暗い中、彼女達の目が照明灯のように輝いている。
これならば心配はいらないだろうと、大淀と顔を見合わせて頷く。
「チェック、ワン、ツー……よし。全艦娘は指定の位置に集合して下さい」
マイクを通して霧島の声が響いた。
俺は壇上に上がり、霧島へ声を掛ける。
「マイクを」
「どうぞ提督」
マイクを手に取って服にこすり、目の前の艦娘達を見渡す。
皆がこちらに注目しているのを確認して、マイクを口に当てた。
「おはよ≪ピー≫……おはよう。
ついに皆が待ちわびたアイアンボトム・サウンドを舞台とした決戦が始まる。
我らは総力を結集し、鬼級姫級に挑むことになる。
あの魔の海域であるからには、想像を絶する激戦となるだろう。
だがそれでも無理をせず、時には引く勇気を忘れるな。
勝利が欲しくて、時には無理をするかもしれない。
その気持ちは十分にわかる。だがそこで冷静になって考えてくれ。
ここで自分や仲間達が沈んでしまって、本当にそれで良いのか……と。
いつか手に入れられる勝利と、今ともに戦っている艦娘達。
どちらが大事か諸君にはわかるはずだ。
諸君はこの私が選び、丹精込めて育て、愛した艦だ。
幾多の苦楽を共にした諸君を水底に置いてきて、私がどう思うか。
提督とは何か、改めて考えてほしい。
提督は諸君らを沈める為ではなく生かすための存在だ!
たとえ負けたとしても笑顔で君達を出迎えよう。
敗れ、傷ついた君達にこう声をかけよう。
また行けばいいから、気にするなと。
抜錨!
暁の水平線に勝利を刻みに行くぞ!」
俺の喝に呼応して、大気の揺れるような艦娘達の歓声があがる。
それをドヤ顔で眺めた俺は、壇上を降りて霧島にマイクを返す。
「さあ、開戦だ!」
「第一艦隊いつでも出撃可能です」
「はいっ! こちら準備は全て完了して後は提督の指示を待つだけです!」
大淀の背中から、サボ島へ出撃予定の青葉がチョコチョコと寄ってきた。
そして旗艦で忙しいはずの彼女はなぜか俺にインタビューを始めた。
「提督。前回までずっと無念の撤退でしたが、自信の方は?」
「そうだな……これまでは悔しい思いをしたが、俺の艦娘達ならなんとかしてくれるさ」
だからワレアオバだけはやめてくれよ、と俺は彼女の顔を見つめるのだった。
探照灯を照射した榛名に、敵艦隊の攻撃が集中する。
いくら高速戦艦でも夜間の砲撃を回避することは難しい。
しかし彼女は次女譲りの気合いで、なんとか致命傷だけは避けていた。
「Heyハルナー、あまり無理しちゃNoなんだからネ!」
「榛名は、大丈夫です!」
榛名が一手に砲撃を引き受けているということは、他の艦娘達は狙い放題の打ち放題。
ヘンダーソン基地の守備部隊に次々と命中する。
「ナンドデモ、ミナゾコニ、シズンデイキナサイ……」
「また来世で。さようなら」
夜戦で開始された戦闘が昼戦に変わった頃。
妙高の放った三式弾が飛行場姫に直撃し、彼女を永遠に沈黙させた。
「お姉さまから入電! 敵飛行場の撃滅を確認!」
「流石ね。よーし、霧島艦隊も出撃します」
金剛艦隊が作戦を完遂した今、鉄底海峡への進撃を阻んでいた敵の基地航空隊はもういない。
今度こそ鉄腕海峡を抜けるのだ。
「ソロモンの悪夢、見せてあげる!」
「突撃するんだから!」
敢えて夜間に渦潮を直進することで南方棲戦鬼を避け、露払いの駆逐艦達が意表を突かれた敵艦隊に躍り掛かる。
水雷戦隊伝統の夜戦、その狙い澄ました雷撃で敵最終阻止線を食い破った。
パックリと口を開けた敵防衛ラインの綻びに全速で突っ込み、遂に鉄底海峡を抜けたかに思えた霧島艦隊だったが、やはりこの海域は甘くない。
そこに待ち受けていたのは超弩級戦艦の戦艦棲姫と装甲空母姫2体を擁する敵艦隊である。
「ちっ、完全に作戦が悪いのよ……」
前段作戦による航空戦力の撃滅と夜戦での鉄底海峡突破を考えて編成されたこの艦隊には空母がいない。
だからあっさりと制空権を奪われ、大井が愚痴を零す。
艦隊の頭脳を自任する霧島が選んだ作戦は、ノーガードでの殴り合いだ。
マイクチェックの時間だオラァと言わんばかりに撃ちまくる霧島。
史実では三式弾だった砲弾も、一式徹甲弾に換装済である。
「どうして? 私の戦況分析が……」
「お姉さま譲りの装備をこんなに……」
しかし制空権の喪失は如何ともしがたく、霧島艦隊は昼戦で押し込まれてしまう。
戦闘が夜戦に移行した頃には、戦況の不利は明らかだった。
誰もが諦めて撤退を考え始めた時、ソロモンの鬼神が目覚めた。
「綾波が、守ります!」
最新鋭の試製61cm六連装酸素魚雷を積んだ綾波の一撃が、戦艦棲姫の横腹に突き刺さったのだ。
艦船でいうところの火薬庫に命中したのだろうか、ほぼ無傷だった戦艦棲姫が何かを言い残すことすら出来ず、あっけなく轟沈してしまった。
「や~りま~した~」
「よ、よく、出来ました……」
殺りました?
可愛い声で凄いセリフを吐く綾波に、霧島は震えながら称賛の言葉を口にした。
こうして一連の大規模作戦は、艦これ傭兵団の勝利で幕を閉じたのであった。
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最終話 これから
あの決戦から数ヶ月。
日本にもアジアにも俺達にも、様々な変化が起こっていた。
俺達と縁が切れて海上輸送に再び混乱が出始めた日本は、大規模デモにより現政権が倒れた。
また艦娘兵器論を連日紙面一杯に主張していた朝日新聞は、社屋が暴徒に破壊されたらしい。ざまぁ。
海に囲まれた半島国家のため弱体化していた韓国は、大陸と地続きで国力的にそれほど追い込まれなかった北朝鮮に飲み込まれた。
偽朝(韓国)との講和条約は無効だから改めて謝罪と賠償を要求すると言い出し、日本の新政府はその対応に追われているそうだ。
ちなみに今の新政権は旧第一野党であり、左翼が多くを占めているので日本の未来は暗い。
過去では賠償艦として艦娘を半数引き渡せという要求にあっさり応じてしまうくらい、国防をまったく考えていない頭がラブ&ピースな政権だった。
そして俺達もまた、大変なトラブルに巻き込まれた。
霧の艦隊と呼称される正体不明の艦隊が出現し、成り行きで蒼き艦隊と共闘するはめになったのだ。
ゲーム知識でいう所のアルペジオコラボなのだが、これまでの100回では全く絡みがなかったのでびっくりした。
鉄底海峡の突破が分岐点だったのだろうか。
霧の艦隊はレーザー射出による複数艦同時攻撃をしてくる難敵だったが、イオナ無双のおかげで割と余裕だった。
イオナ神を称え過ぎてうちのシオイが拗ねてしまったのが唯一の被害だ。
「カーニバルだぴょん! ぷっぷくぷー」
「こら、卯月! 待ちやがれ!」
……シオイが拗ねてしまった問題以外にも、まだまだ彼女達が残した爪痕は大きいようだった。
最近は東南アジアの復興が目覚ましい。
自画自賛ではないが、俺達の泊地があるため海の平穏が保たれている効果が大きいと思う。
国と関わるのは懲りていたため、ここの泊地はインドネシア政府に無許可でこっそり建てたものだ。
いつかは咎められて出て行かざるを得ないと考えていたのだが、索敵機によって判明した南西海域沖の敵後方根拠地を殲滅したあたりから流れが変わった。
インドネシアやマレーシア、タイやシンガポールなどが鎮守府の誘致合戦を始めたのだ。
特にシンガポールからの熱烈なラブコールは、こちらが戸惑ってしまうほどだった。
日本の冷遇に慣れきっていた俺達は気づいていなかったが、シーレーンを回復させた辺りから貿易港を持つ国での俺達の評価は爆上げだったそうである。
東南アジアはまだまだ戦役の傷跡が生々しいが、復活しつつある貿易と荒廃した町の復興で人々の熱気が凄まじい。
外貨獲得のため南方海域遠征で手に入れた鉄鋼をたまに売りに行くのだが、賑やかな港町は滞在しているだけでウキウキしてしまう。
周囲からちやほやされてご機嫌な俺達は、すっかりバカンスモードである。
ぼちぼち遠征を回しつつ、後は海辺で泳いだり買い物をしたり間宮特製ナシゴレンを食べたりと休暇を満喫していた。
そんな中、俺は日本に思いを馳せる。
郷愁とかではなく、滅亡から救うべきか否かということにだ。
そろそろミッドウェー方面から深海棲艦が、圧倒的な戦力で日本に押し寄せてくる時期なのである。
以前1度だけ経験したことがあるのだが、無謀な作戦や理不尽な命令で弱体化していた艦隊に抗う術はなかった。
ぼろ負けして逃げ帰り、少数の艦娘達と最後の防戦を行おうとした所で、北朝鮮の核攻撃で敵ごと殲滅されたのだ。
残りの99回?
敗戦やら暗殺やらでこの時期まで生き残れなかったよ!
そんな過去を考えると、日本を見殺しにしたい気持ちになる。
しかし艦娘の大多数は日本の艦船なのである。
善良な彼女達は、きっと日本を救いたいと考えているはずだ。
その証拠に、最近長門の鼻息が荒い。
いつ俺が日本防衛の作戦を言い出すか、一日千秋の思いで待っているのだろう。
ならばその気持ちに答えるのが、彼女達の提督である俺の役割である。
「近日中にAL/MI作戦を発動する」
「どういうことだ、提督! 深海棲艦の大軍に襲われる日本は放っておくつもりか!」
顔を寄せて唾を飛ばしながら叫ぶ長門を宥め、こちらの真意を説明する。
多分連中は、ゲームのAL/MI作戦最終E6に出てくる本土近海に来襲した敵別動隊なのだろう。
ただし当時はAL作戦もMI作戦もやらなかった。
それらの敵が合流した結果が、あの海を覆い尽くすような敵艦隊だったのだと思われる。
AL/MI作戦自体は艦娘にとってアイアンボトム・サウンドと同じくらい大事な意味を持っているため、やらないという選択肢はない。
であるならば、わざわざ敵が集合して日本に攻め込むのを待つこともないだろう。
どういう戦術を選択するか、主導権を握るのは常にこちらであるべきだ。
「ふむ、つまり各個撃破ということか」
「その通りだ。まぁMI作戦なのだから主役は空母機動部隊になるが、お前には万が一の時の日本防衛を任せたいと考えている」
「それこそがこの長門の望むところだ!」
「ああ、その時には頼んだぞ、長門」
AL/MI作戦を完遂した際、ゲームのように敵別動隊が日本を襲ってくるかは分からない。
だが今の艦隊には余裕があるので、主力の長門や陸奥を予備戦力とすることも十分に可能だ。
かつて圧倒的な戦力差で蹂躙された俺達の全力を、深海棲艦に見せつけてやるのだ。
AL作戦の概要を一言で説明すると、いわゆる陽動作戦だ。
史実でいう所のダッチハーバー空襲などで敵戦力の目を引き付ける役割である。
那智、摩耶、龍驤、隼鷹、雷、電の北方部隊に、敵北方港湾を叩かせる。
何度か大破撤退を繰り返したものの、むしろその方が陽動作戦としては成功なように思う。
港湾の強襲に成功して敵の目をAL海域に引き付けたら、いよいよMI作戦が始まる。
史実でのミッドウェー海戦は、日本軍が太平洋戦争の主導権を失い戦局の劣勢が方向づけられた最大の敗戦である。
主役はもちろん一航戦と二航戦で編成した空母機動連合艦隊だ。
「慢心、ダメ、ゼッタイ!」
「対空見張りも減と現と言と、あわわっ」
ミッドウェーの海底に沈んだ南雲機動部隊の誇りを取り戻す戦い。
正規空母の皆は前のめりになり過ぎ、少々テンパり気味である。
こういう時こそ勝利の男飯、カツ丼だ。
クソでかい戦艦空母用の丼ぶりに、俺の気持ちを込めておかずを盛っていく。
戦果も修練も食欲も人一倍の赤城には、ロースカツにヒレカツ・エビフライ・メンチカツをトッピングした全部乗せカツ丼を。
制空の鬼として航空戦を支配する加賀には、チキンカツにタレ替わりの生姜味付から揚げを山盛りに積み込んだタレカツ丼を。
飛行隊長に爆撃王江草を擁する蒼龍には、日本から取り寄せた三元豚と烏骨鶏の卵をふんだんに使った特選カツ丼を。
最後の反撃で帝国の栄光を示した飛龍には、ミルフィーユ状にしたカツにスペシャルソースたっぷりのソースカツ丼を。
「まずはたっぷり食って、英気を養ってくれ」
「は、はい、提督。……あら、美味しい。意外と、あら、いけますね」
口を動かす毎に、緊張気味だった空母達が落ち着いてくる。
丼ぶりの中身が無くなる頃には、すっかり平常心に戻っていた。
「いつも通りの力を出し切ればいい。お前達の思いを全てミッドウェーの敵艦隊にぶつけてこい!」
「はい、提督!」
きりっとした表情で返事をする赤城。
その頬についた米粒をとってやると、彼女は真っ赤な顔で俯いたのだった。
慢心しては駄目。
常日頃から口癖のようにその言葉を発していた赤城の思いが、とうとう報われる時が来た。
彼女の積んでいる彩雲が、先に敵空母を発見したのだ。
「第一次攻撃隊、発艦して下さい!」
赤城の攻撃に合わせて、加賀・蒼龍・飛龍も一斉に航空機を飛ばす。
加賀の戦闘機が制空権を確保すると、赤城や飛龍の攻撃機が雷撃で取り巻きの戦艦や重巡洋艦を潰し、そして蒼龍の彗星江草隊がお家芸の急降下爆撃で敵空母を撃滅した。
魔の5分間、その意趣返しが始まった。
そしてそれは誘い出された敵艦隊がすべて海底に沈み、中間棲姫が護衛要塞ごと殲滅されるまで続いたのだった。
「赤城から緊急入電、敵別動隊の本土への進撃を確認したとのことだ」
「ふっ、後はこの私に任せておけ。旗艦長門、出撃するぞ!」
赤城艦隊はこれまでの連戦で燃料や艦隊機不足に陥っているため、敵別動隊に対する追撃は不許可である。
しかし問題はない。
なぜならこの時のために長門艦隊を予備戦力として待機させていたのだから。
ただし懸念事項もあった。
残念ながら我が艦これ傭兵団は日本と現状敵対しているような関係なので、いつ後ろ弾を食らうか分からない。
そのため日本の勢力範囲で敵を待ち受けることが出来ず、長門艦隊は泊地からの出撃となった。
後は時間との勝負である。
「陸奥よ、この長門に続け! 第一戦隊突撃、主砲一斉射! てーッ!」
「戦艦陸奥、突撃するわ! 主砲一斉射! てーッ!」
長門と陸奥の一斉射が敵侵略部隊主力艦隊を打ち砕いた。
その場所は東京の最終ラインである浦賀水道から僅か50海里、房総半島の目と鼻の先であった。
想定以上にギリギリとなってしまったが、日本を防衛した事実は変わらない。
長門にとって悲願といえる日本防衛作戦の完遂。
その達成感を胸に、艦隊は拠点へと進路を反転させたのだった。
数年後。
俺達は各国の依頼を受けて、相変わらず深海棲艦を打倒する日々を送っている。
「それにしても、こんなに長生きするのは初めてだな」
「司令官、20代前半じゃないですか。まだまだこれからですよ」
「そうだな、吹雪。更なる長寿のためにも、まずは目先の依頼を片付けますか」
結局俺達は、どこかの国に鎮守府を置くことはなかった。
強いて言えば南西諸島に作った最初の泊地が本拠地である。
永遠の友好国はなく、永遠の国益だけが存在する。
かつての世界帝国の言葉だが、それは俺達にも当てはまる。
結果的に判断ミスであったが、友好的だった日本の総理大臣でさえ国益のために俺達を裏切った。
それは欧米だろうが東南アジアだろうが変わらない。
だから今のように各国と付かず離れずの適切な距離感を保った方が、お互いのためというものである。
日本との関係が悪くなれば南西諸島に行き、南西諸島との関係が悪くなれば欧州に行く。
深海棲艦が存在する限り、俺達を必要とする国はなくならない。
日本で思い出したが、隣国がやらかしても国家は引っ越し出来ないので、今わりと大変なことになっている。
周辺国にマウントを取るためだろうか、北朝鮮(南はなくなったが)が日本海で核実験を行ったのである。
その結果、怒った深海海月姫がビキニ諸島からはるばる日本海に住居を移したのだ。
怨念が強すぎてクロスロード組の攻撃すら効果が無く、その怒りが静まるまでは放置するしかない状況だ。
沿岸部は砲台子鬼で埋め尽くされてボロボロだし、最近は朝鮮半島自体が溶けて縮んできた気がする。
日本も放射能と深海海月姫のダブルパンチでいい迷惑である。
「目先の依頼と言うと、日本政府からのですか?」
「それは先月失敗して、今は無理だって答えが出ただろ。後1年くらい放置だ」
「あ、じゃあロシアのやつですか?」
「そうそう、北の痴女。ガングート達にやらせるつもりだけど、まずは作戦を立案するぞ。大淀を呼んできてくれ」
「はい、司令官!」
どこかの国が滅亡しても、国家に属さない俺達の戦いは問題なく続いていく。
我ら艦これ傭兵団は、全ての深海棲艦が浄化されるまで戦い続けるのだ。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
艦これは礼号作戦あたりから始めて、そこから今までずっとプレイしています。
その割にはいまいち世界観が掴めていなくて申し訳ありませんでした。
13年秋(鉄底海峡)や14年夏(AL/MI作戦)への憧れが、これを書くきっかけです。
復刻イベント、いつか実装して欲しいですね。
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