蒸し暑い夜だった。
耳を澄ませれば、蚊の羽音が聞こえてきそうな夏の夜。空には三日月が昇り、姦しいほどの光で辺りを照らす。
そんな熱帯夜に戸を開けていれば、凡そ誰も訪ねてこない時間にも拘わらず、来客が一人。
寝たふりをしつつも薄っすらと瞼を開ければ、開かれた戸口から差し込んでくる月光により、特異な影絵が室内に描かれているのを目の当たりにした。
何の変哲もない女物の着物を纏った影。だが、頭部をよく見れば、普通の人間には生えてはおらぬ二本の角が額から生え伸びているではないか。
まさしく異形。
しかし、そんな彼を余所に、夜分遅くに訪れた者は草履を脱いで上がって来る。
やや荒れた息遣いが聞こえてきた。それには獲物を前にした獣を彷彿とさせる。
熱の籠った吐息が肌を撫でる距離まで近づいてきた者は、寝たふりの彼の眼前に顔を寄せ、血のように真っ赤な強膜の中央に「下肆」と刻まれた瞳を歪ませた。
「―――こんな夜中に戸を開けてなんかいたら、鬼に喰われるわよ」
すると、すでにこれから起こる事柄を想像し、寝間着の上からでも分かるほど雄々しく屹立した剛直が目に入る。
ニヤリ、と鋭く尖った犬歯を覗かせるように笑みを湛えた彼女は、何を考えたのか、横たわる彼の股座に顔を寄せた。
そのまま彼女は、獰猛な息遣いとは裏腹に、慈しむかのような優しい所作で彼の剛直を舐り始めた。
何もない質素な部屋の中、淫靡な水音だけがやけに澄んで響きわたる。
それと共に合いの手を入れるかの如く聞こえてくる、彼女の漏れるような甘い声が、これまた彼の情欲を煽り立てた。
「零余子さん」、と何気なく呼ぶ。
すると、泣き出しそうな声で呼んだ彼の剛直を舐るのを止めた鬼―――零余子が、満足気に妖しい笑みを浮かべる。
彼女は鬼だ。人喰いの化け物。
邂逅は一か月ほど前。ちょうど、今日のような寝苦しい夜のことだった。
余りに暑かったものだからと戸を開けたまま寝ていたら、血の臭いを漂わせる零余子が家に忍び込んできたのだ。
最初こそ、初めて目の当たりにする異形の化け物に命の終わりを悟った。
しかし、彼女からすれば赤子の手をひねるように命を捥ぎ取るのも容易い相手であり、ちょうど腹が満たされていたからだろう。食欲よりも嗜虐心が勝り、彼は零余子に
両親も早くに亡くし、村からも大分外れた辺鄙な土地に一人住んでいた彼は、人ではない化け物に貞操を奪われ―――盛りのついた猿のように彼女を求めてしまった。
見た目こそ妖の類であるが、細部に目を瞑ればほとんど人間の女性と言って過言ではない肉体。
命の危機を目の前にして―――否、命の危機を前にしたからこそ、彼の生殖本能は大いに刺激され、初めて触れる女の性に、彼の剛直はかつてないほどの猛りを見せた。
そのように己を必死に求めてくる愚かな人間を前にし、零余子は愛玩動物を相手にした時のような愛着を覚えたのだろうか。とにかく、その時の気分で喰いもせず殺しもせず、しばらく己の嗜虐心を満たす玩具として弄ぶことにした。
が、時が流れ二人の関係は、当初よりやや変わっている。
「んっ……ふっ……んん……!」
屹立する剛直に鋭い歯が当たらぬよう、舌で奉仕する零余子の姿は健気そのもの。
空いている手で己の疼く下半身を弄り、その快感で腰を左右に振る様もまた、彼の中の雄を勢いづける。
一層熱を持ち、硬く膨張する剛直に、零余子は一瞬目を見張った後、今度は脈打つ肉棒を頬張った。
そのまま口を窄めるように吸い付き、顔を前後へと動かす。
ここ最近は血生臭さも抜け、彼女自身の誘惑的な雌の香りが漂うようになった。髪を振り乱しながら一心不乱に剛直をしゃぶる零余子は、恍惚とした表情のまま、彼の肉棒を味わっている。
「んぅん……! ぷはぁ! はぁ……んっ……ちゅ……!」
息継ぎをする際、酷く湿った吐息が彼の股座を湿らせる。その度、零余子がすぅっと深く息を吸うものだから、彼は自身の体が臭っていないだろうかとその日の湯浴みを思い返す。
ほとんど性知識がなかった当初にしてみれば、排泄器官でしかない陰茎を舐めるなど到底考えられぬ行為であったが、今となっては毎夜の蜜月の時間を愉しむ行為の一つとして理解している。それ故に彼女に不快な想いをさせてはいないかと、男としての配慮が脳裏を過っていた。
だが、それも杞憂なようだ。
熱帯夜に侵されて汗ばむ彼の体の臭いも、今となっては彼女を興奮させる一つの要素に過ぎないらしい。
零余子の下半身から聞こえてくる水音も、はじめは慎ましやかだったが、今となっては誤魔化しがきかないほどに激しく粘ついた液体がかき混ぜられる音を響かせていた。
と、彼は徐に下半身を弄る零余子の手を取る。
ハッと舐るのをやめた零余子は、顔を赤らめつつも、素直に濡れた手を差し出す。
指と指の間には透明な橋が架かっていた。それを為すだけの淫靡な香りもまた、零余子の掌からは漂う。
それを味わうように、彼は零余子の指にしゃぶりつく。
甘いような、しょっぱいような、酸っぱいような―――しかし、舐めるのを止められない濃厚な味わいだった。
鋭く伸びた爪の間も丁寧に舐り、彼女の掌を覆っていた粘着質な液体を舐めとっていく。
その間、一旦動きを止めていた零余子は、切なそうな眼差しを彼に向けたまま、もう一方の手で心細くなる下半身を慰める。
紅玉のような眼に負けぬほどに朱が差す零余子の頬。
薄っすらと彼女も汗ばんできた頃、ようやく彼は零余子の手を堪能し終えた。しゃなりと華奢な指は少女そのものだ。そこへ彼女の蜜が纏わりついていたのを舐め取った訳であるから、彼の背徳感はすさまじいものである。
人と鬼の垣根を超え、口には出さぬものの一つの想いを抱く両者。
甘く切なそうな吐息を漏らした後、ヒュッと息を呑んで一拍。引かれ合う磁石のように、二人の唇は重なり合った。
「んっ……ふぅ……!!」
一心不乱に彼の舌に吸い付く零余子。一見すれば、その必死さは母の乳房を求める赤子に等しいものだ。
それだけ彼との口吸いは零余子にとって待ちかねていたものだった。
濃密に舌が絡み合う間、二人は己の肢体を覆い隠していた衣を脱ぎ捨てる。
唾液を交換する水気を含んだ音を奏でつつ、夏の暑さとは別の理由で火照った体をさらけ出す。
じっとりと汗ばんだ体……普通であれば触れ合うのも億劫になる。
だが、今この時だけは関係ない。
融け込むかのように絡み合う二人は、我慢ならないと言わんばかりにさらけ出した肉体を押し付け合う。
そうすれば、散々舐られた剛直と濡れそぼった秘裂が拙く戯れる。
そのもどかしさを味わうことで、とうとう首に腕を回すまでに至っていた二人は、熱烈な接吻を繰り広げるのであった。
最初は人肉を喰らった口だからと、触れることさえ躊躇われる彼女の口であったが、もう嫌悪感を覚えなくなってきているのは自身の感覚が麻痺しているからだろうか。
それほどまでに彼女との接吻は極上であった。
と、彼が一心不乱に零余子を求めている間、零余子もまた求める彼を受け入れていた。
鬼となり、己を受けて入れてくれる存在など皆無に等しい中、ここまで熱く求めてくれる相手は久しく居なかった。
それだけに、彼との情事の中で鬼となって薄れていた何かが呼び起こされる気がしたのだ。
胸の内で渦巻く、悶々と、しかしながら悪くない感覚。
それを抑えるには、否、発散するには彼とまぐわうより他になかった。
長い口付けを終えた二人は、少しの間互いをじっと見つめた後、何かを察したかのように布団の上で動き出す。
互いが互いの股座に顔を埋めるような体勢に移った。零余子が上だ。見上げれば、慎ましやかな茂みに覆い隠されつつも、淫靡で湿った香りを隠せない秘裂を望むことができる。
しばし見とれていれば、己の秘所を凝視される羞恥心に耐えられなくなった零余子が、再び彼の剛直に口をつけ始めた。
二人の唾液で濡れた唇で竿全体を撫でるように弄んだ後、鈴口から溢れ出る先走った精を、もったいないと言わんばかりに、今度は竿を口に含む。
そこからは再び彼女の尺八が演じられる。
まだ探り探りの所作であるが、都会のように遊べる店もなく、黙々と仕事をするしかないような辺鄙な田舎に住む彼にとっては、この上ない刺激だ。
負けじと零余子の秘裂を舐り始める。一瞬彼女の腰が浮かんだのを目の当たりにすれば、感じてくれたのだろうという満足感が胸に満ちていく。
しかし、まだこんなものではない。
彼女の奉仕に報いるくらい、自分も頑張らなくては。
そう意気込んだ彼は、一心不乱に彼女の秘裂を貪るように舐り回した。幾ら舐め取っても溢れ出る愛液を零さぬよう、舌全体を彼女の秘裂にあてがうように舌を動かしたのだ。
「ふぅ……ふぅ……!」
ざらついた舌が奇妙な生き物のように蠢く感覚に、零余子は彼の剛直を舐りながらも、押し寄せてくる快感の波にとろけそうな面持ちを浮かべていた。
もしも彼に見せていれば、彼のことだ、一層意気込んで自分を気持ちよくさせようと奮い立ってくれることだろう。
そんな想像が脳裏に過る程度に幸福感を覚える零余子は、次第になくなっていく己の余裕を察し、先ほどまでのお淑やかさとは裏腹の獰猛な動きで、彼の剛直をしゃぶり始めた。
艶めかしい水音とは一変、下品で節操のない音が、室内のみならず外にまで響きわたる。
それと共に高まっていく射精感を覚えた彼は、達しようとする頂きを目前とし、自分もまた彼女を共に連れて行こうと、可愛らしくそそり立っていた肉芽に吸い付いた。
「んっ……ひゃあ!!」
刹那、堪らず動きの止まった零余子の口から甘ったるい喘ぎ声が漏れ出た。
鬼とは思えぬ生娘の声。それが一層彼の情欲を煽り立てる。
刻一刻と濃さが増していく雌臭に失神しそうになりつつも、乱暴に零余子の肉芽を舌で転がす。
それまではまだ円運動する程度だった彼女の腰も、この時ばかりは鮮烈な快楽の雷に打たれたかの如く、ビクビクと上下に動いていた。
だが、逃がさないと言わんばかりに、彼は零余子の腰を手で押さえつけ、己の唇と彼女の秘裂との濃厚な接吻を続けさせようとする。
逃げられない。分かっていたことだが、いざ訪れた怒涛の攻勢を前に為されるがままとなる零余子は、余力を振り絞って彼の剛直を根本まで口に含んだ。
すると、ビクビクと脈打つ剛直がただならぬ熱を帯び始める。
と共に、すでに彼の雄臭に満ちていた己の口の中に、一層濃い精の臭いが流れ込んでくるのを感じ取った。
「んっ……んぅぅぅううぅぅううぅうぅうう……!!!」
互いが達したのは、その直後。
くぐもった絶叫を上げる零余子が、己の口腔に解き放たれた精に恍惚とした表情を浮かべる。そうして彼の猛りを受け止めた彼女もまた、彼の顔面を受け皿に、迸った愛液を垂れ流していた。
絶頂の余韻を堪能してから体を起こした二人は、ここしばらくのまぐわいの臭いが抜けぬ布団の上で、じっと見つめ合う。
初めに動いたのは零余子だった。口に含んだままの白濁液を自身の掌の上に吐きだす。
毎夜毎夜搾り取っているにも関わらず濃厚な白濁液は、彼女が気を利かせて採集して来た精の出る食べ物のおかげかもしれない。
そんなことを思いつつ掌に吐きだした白濁液を見せつけた零余子は、盃を煽るかの如く、高々と掲げた掌から零すようにして、再び口の中へと迎え入れた。
彼女の唾液も混じり、粘ついた体液を口へと導き入れるのは難しいものだ。
しかし、糸を引いて零れ落ちるそれを求めて細やかに顔を動かす零余子の所作が、この淫靡な時間とは相いれぬ健気さを醸し出し、一発精を解き放った彼の剛直を立ち直らせる。
万全の状態に戻る頃、荒々しい鼻息を迸らせる零余子は、わざとらしく喉を鳴らして迎え入れた精を呑み込んだ。
初見こそ正気を疑った行為であったが、今となれば分かる。愛する相手の全てを受け入れたいという気持ちは、人間も鬼も変わりはしないのだ。
愛する男の精を受け入れ、花のように柔らかな笑みを湛える零余子。
彼女の体を今一度眺める。額の角や目の色を除けば、ほとんど人間と言って差支えのない体。深窓の令嬢の如く白い肌に玉のような汗を滴らせ、控えめに実った仲違いの果実の先端には、ここまでの前戯で奮い立った桜色が、これでもかと主張している。
体を押し付ければ、一層主張を感じ取れる彼女の体を堪能した後、二人はようやく本番へと移った。
零余子を布団の上に寝かせ、股を開かせる。
散々弄び濡れそぼった秘裂からは、これから迎え入れる剛直を期待しているのか、手で顔を覆い隠している彼女とは裏腹に、ひっきりなしに開閉を繰り返しているではないか。
最早、どこに挿入するかもわからなかった時とは違う。
呼び寄せられるがまま、彼は己の剛直を彼女の秘裂に押し当て、そして肉壁を押し開くようにして最奥なる秘所へと踏み入った。
「はぁ……あぁ……!」
無理やり押し入られる感覚に悶える零余子は、手持ち無沙汰となっている手で自身の胸を慰める。
その間も前後運動を繰り返す彼の動きに合わせて、彼女の口からは耐えがたい快楽に弄ばれる生娘のような喘ぎ声が漏れ出す。
「んぁ! あぁ! ひゃあ!」
激しさが増せば、彼女の声音からは余裕がなくなり、
「ふぅ~~~……すぅ~~~……はぁ~~~……」
ゆっくりと、労わるような動きとなれば、こそばゆいようなもどかしいような感覚と共に流れ込んでくる微弱な悦をしゃぶり尽くすように神経を集中させる。
そこには鬼として―――延いては十二鬼月としての威厳はなく、ただただ夜伽に溺れる女の姿があった。
「イイっ……気持ちいい!」
余裕のない声で心に思っている言葉を吐きだす。
「もっと! 貴方が……欲しいっ!!」
乳房をこねくり回していた腕を差し伸べる零余子に、その手を掴んだ彼は、真摯な表情になってすぐさま彼女を抱き寄せる。
「あああっ!! 激しっ……あっ、ダメ!! こんなのすぐ……!!」
押し殺すような甘露な喘ぎ声が鼓膜を打つ度、彼の動きは苛烈さを増していく。
蠢動する零余子の肉壁を押し広げ、擦り付ける。下半身から全身がバラバラに引き裂かれそうな―――そうした錯覚をしてしまうほどの快楽に蝕まれる零余子は、喘ぎ声を上げ続けているが故に閉じることのままならない口から、牛の如く節操なく涎を垂らす。
「はぁ゛ッ! あぁっ!! っく、ぁぁぁぁああああああ!!!」
ここ一番の絶叫と共に体を跳ねさせる零余子。
そんな彼女の膣内が、受け入れている肉棒を余すところなくしゃぶり尽くす勢いで収縮するものだから、思わず彼も吐精してしまう。
そうして下半身にじんわりと広がる熱を感じ取ったのか、心ここに在らずといった面持ちの零余子は、自然と己の腰を彼の方へと押し付けた。
「はぁー……! はぁー……! はぁー……!」
大げさにも思える息遣いの零余子は、滝のような汗を流す額を拭った後、ようやく彼から腰を引き抜いた。
粘着質な体液が何度も打ち付けられることにより、白濁と化し、あまつさえ泡立った愛液は、数日は抜けないであろう淫靡な臭いを放っている。
すると間もなくして、ヒクついた秘裂からどろりと重湯のような白濁が溢れ出た。
それは重力に引かれ下へ下へと伝い、綺麗な菊門を覆い隠す。人間の頃の名残。排泄をしない鬼にとっては、屁にもならない場所であるが、そこを愛する男によって穢されるのは―――悪い気がしない。
妖艶な笑みを浮かべる零余子は、零れた白濁液を掬い、舐りつつ立ち上がった。
「良かった。貴方も気持ちよくなってくれて……」
額の角が触れるほど眼前に顔を寄せてくる零余子に、彼も思わず頬を紅潮させる。
「でも、今日はもう少し毛色を変えようと思って……」
そう言うや否や、零余子は後ろを向いた。
次の瞬間、彼女の体から鈍い音が聞こえ始める。骨が軋み、肉が裂けるかのような音は聞くに堪えないものであるが、それ以上に目の前で広がる幻想的な光景に、彼は目を離せなかった。
「……ど、どう?」
そこには一回り大きくなった零余子が立っていた。
少女然としていた姿から一変、髪も長くなり、出るところは出て引っ込むところは引っ込んでいるという魅惑的な体。主張が控えめであった果実も、今は収穫する時期を取り逃した代物のようにたわわに実っているではないか。
巷では、女体というものは慎ましやかであるといいと聞くが、これを目の前にすれば世間の常識などどうでもよいと思える魅力を感じられる。
一回りも二回りも(諸々が)大きくなった零余子の姿に、彼の息子はかつてないほどにそそり立っていた。
小さい頃、御伽噺で女の妖に男が誑かされる話を聞き、そんな馬鹿なとは思っていたが、今となっては嫌というほど誑かされた男を理解できる。
まことに魅力的な体を目の当たりにすれば、妖や鬼など関係なしに、本能は反応してしまう。悲しいことに、それが男の性だ。
故に彼は、鬼の擬態能力を応用し成長した零余子に抱き着いた後、理性の
「あっ! やぁっ!」
立ったまま、片脚を持ち上げられて秘裂に挿入される零余子は、まだ慣れていない姿で自身の果実が節操なく暴れる様に頬を赤らめていた。
と、彼女の声を聞き本当に嫌がってはいないかと止まった彼に、彼女は満更でもない顔で「……続けて」と希う。
それがまた彼の情欲を煽り立て、普段よりも熱い絡みを演じた末、両者は三度目の絶頂に達した。
「ん……ふぅ……!」
大人な姿のままの彼女との接吻は、今後如何なる情婦を相手にしても物足りぬと感じてしまいそうな肉厚な味わいであった。
が、お楽しみはそれだけでは済まない。
「んふっ。こ、今度はこれでどう?」
予想以上に受けがよく、興が乗ってきた零余子は、今度は大人とは逆―――つまり子供の姿へと擬態した。
大人の時の山と見間違えるほどの立派な代物とは裏腹の、見事なまでの絶壁。平坦な体にあどけない顔と、一見これっぽっちもそそられない姿ではあるが、子供らしからぬ妖艶な笑みを浮かべる零余子の姿に、不思議と逸物は反応してしまう。
しかし、あと一歩というところで逸物は勃ち切らない。
流石に子供相手に欲情するのは如何なものか?
そうした理性が働く。
だが、
「別に本当の子供じゃないんだから……気持ち良ければいいでしょ。ね?」
「えい」とそれっぽく子供のような声を出した零余子は、仰向けに転がる彼の一物を優しく踏みつけた。
きめ細やかな足裏が、勃ち切らない逸物を心地よく刺激していく。
すると、乗り気ではなかった逸物がみるみるうちに弾力と熱を帯びていくではないか。
それに伴い零余子の踏みつけも興が乗っていき、少ない体重を活かしての遠慮ない踏みつけを繰り返す。
と、これまで生きてきた中で感じたことのない感覚に戸惑いつつも、未知の快感に彼は達してしまった。
「……結局感じてるのね。助平」
蔑むような声を紡ぐ口。
しかし、浮かべる表情は子供とは思えぬ妖艶な笑みであった。
その落差が、彼の胸で渦巻いていた背徳感を大いに刺激する。これは不味い、ハマってしまいそうだ。相手が鬼だからこそ許される情欲を胸にし、彼は腕で覆い隠してしまう矮躯の零余子を抱きしめる。
それからは子供の姿の彼女を愛撫で達させ、体力が尽きるまで彼女との夜伽を心行くまで楽しんだ。
子供の姿の零余子が、そそり立つ剛直を舐る。
大人の姿になれば、今度はたわわに実った果実で剛直を包み込んでくれもした。
そして最後には、いつもの姿に戻って互いの愛を確かめ合うように向かい合い、口吸いをしながら情欲の熱が収まらない秘所を擦りつけ合った。
「はぁ……はぁ……!」
体内で暴れる情欲の熱を吐きだすように、喘ぎ声と共に熱く甘い吐息を出す。
散々体を重ねて混ざり合った二人の体液が、鼻をつくような刺激臭を漂わせるものの、寧ろそれらは二人の情欲を煽るだけだ。
苛烈さと愛しさが入り乱れる中、一杯一杯であった快楽の波をせき止める堤防が決壊する。
花火のようにパァっと視界の中で明滅する光。それは幻覚でしかないが、そう錯覚するほどに、最後の絶頂は落雷のように強烈であった。
「っ、あぁぁああぁぁぁあぁぁあああ!!!」
体を海老のように反らし絶叫する零余子は、そのまま布団の上に倒れ込み、これまた雷に打たれたかのようにビクビクと痙攣する。
「お゛っ! おぉ! あぁ……はぁあ゛ぁ……!!」
涙を流すほどの快楽の余韻に浸る零余子は、女性が発してはならない獣のような声も漏らしていた。
だが、彼はそのような彼女に幻滅することもなく、寧ろここまで彼女の余裕をなくすほどに気持ち良くさせられたという満足感に浸っている。
そうしてドロドロに融け合った二人は、彼が動けなくなった頃にまぐわいを止め、激しく熱い時間とは一変した、しっとりとした時間を共にする。
くたくたになった彼に膝枕してあげる零余子は、慈愛に満ちた微笑みを浮かべ、見上げてくる彼の顔を覗きこむ。
と、彼が不意に問いかける。
「本当に人喰い鬼なのか?」と。
ここで零余子は返答に困った。
確かに今までは己の食欲を満たすために大勢の人間を喰らってきたが、ここ最近はまったくといって腹が減らず、一口も人肉を口にしてはいない。
それもこれも、彼と初めての夜伽を過ごした後から、ふと思い出したかのように蘇ってくる食欲も、体を重ねた後は胸いっぱいに広がる多幸感でどうでもよくなっているからだ。
しばらくう~んと考えた後、思いついたかのようにいじらしい笑みを湛える零余子は一言。
「貴方を喰べてる」
八重歯のように鋭い犬歯を覗かせて笑う零余子。釣られて彼も笑みを零す。
図らずも
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朱紗丸
「遊び続けよう。朝になるまで。命尽きるまで」
それが合図。
二人だけで執り行う夜の遊戯の。
「さぁ……始めようぞ」
無邪気な笑みを湛える鬼―――朱紗丸は、童顔に似合わぬ妖艶な表情を浮かべるや否や、そっと彼に唇を捧げた。
柔らかな感触が唇をこれでもかと圧迫する。
それほど顔を迫らせているのだから、否応なしに彼女の香りもまた鼻を通り抜ける訳だが、決して嫌ではない―――いや、寧ろもっと嗅いでいたいような香しい匂いが二人を包み込んでいく。
何度嗅いでも飽きぬ匂い。
朱紗丸とこうして夜を過ごしたのは今日が初めてではない。
決して裕福ではない家で一人暮らしているところに現れた彼女は鬼だった。
世にも恐ろしい人喰い鬼。子供の姿かたちをしているものの、その本性は醜い人喰いの鬼―――そう聞かされてはいたが、現に彼は鬼である朱紗丸と体を重ねている。
最初は唇を弄ぶような軽い口吸いを繰り返すばかりであったが、次第に息が荒くなっていくにつれて、二人の舌が蛇の交尾の如く激しく絡み合っていく。
それに伴い、室内に響きわたる粘着質な水音も大きくなる。
ついには、口の端から零れ落ちる唾液でさえ吸い取るように情熱的な接吻を交わした二人は、一通り満足したのか、一旦顔を放す。
「ふふふっ、斯様に必死になりおって。安心せい。私から逃げることなどありえんからの」
口の周りにまとわりついた両者の混ざり合った唾液を舌で舐り取る朱紗丸。
やや汗ばんだ彼女の首辺りからは、これまた情欲を誘う色香を含んだ匂いが漂ってくる。
すると、無意識の内に彼は彼女の首根っこへと顔を近寄らせていた。まるで花の香りに誘われる虫のように。
そして窄ませた口で薄く湿った肌に吸い付く。
「んっ」
こそばゆい感触に、朱紗丸が艶めいた声を漏らす。
しかし、その表情に嫌悪感などなく、ただ彼から与えられる掻痒感に似た微弱な快楽に浸っているようだった。
「ほれ……余すところなくしゃぶり尽くせ。私を満足させてみろ」
囁くような声音で煽る朱紗丸。
それも容姿は子供だというのだから、彼にとっては背徳感のような、得も言われぬ感覚を呼び起こす。
だが、体は子供と言っても汁気に富んだ肉体は極上そのもの。
ピタリと時を止めた肉体は、若いハリとツヤを永遠のものとしながら、熟れた精神よりあふれ出す甘露な蜜が詰まっている。
現に、
「ふぅ……ひゃッ!」
体のあちこちに接吻を落とせば、その度に艶めいた声を上げる。
余裕を湛えた笑みと快楽を覚える女の顔が代わる代わる様は、この上なく彼の情欲を煽り立てるものであった。
もっと彼女の感じている様が見たい―――その一心で彼の口吸いは熾烈なものとなっていく。
改めて華奢な首筋へ。
よもすれば折れてしまいそうなほどか細い首に、優しく、そして愛おしそうに唇を落としては、伝い落ちる玉のような汗を舐め取る。
「あぁ!」
ざらざらとした舌の感触を感じたのか、朱紗丸がビクリと体を跳ねさせる。
だが、手足は彼が抑え込んでいたため、快楽から逃げることなどできはしない。
朱紗丸が望んでいる体勢とはいえ、鬼相手に組み伏せるとは彼もまた豪胆な人間だ。
と、それはともかく。
今度は鎖骨だ。くっきりと浮かんでいる出っ張りを舌先で擽れば、朱紗丸の息遣いが荒くなるのを感じ取れた。
そのまま着物を開きながら、露わになった胸の間を舌でなぞる。
僅かな膨らみの間は、これまでの前戯で滲みだした彼女の汗で湿っており、同時に生暖かな雌の匂いが辺りへと広がっていく。
「ふーッ……ふーッ……!」
何かを期待するかのような瞳。
そうした彼女の訴えに従い、器用に着物を上半身だけ脱がせた彼は、ぷっくりと主張している肉の蕾にしゃぶりついた。
「んはぁ!」
興奮で固まった桜色が、彼の口の中でほぐされていく。
広がる輪っかの境目を舌でなぞられた後、果物の種子にこびり付いた果肉を削ぎ落すかのような入念で暴力的な舌遣い。さらには、彼が前歯から奥歯へと順番に用いて噛みついてくるではないか。
「はっ! はぁ! はぁん!」
断続的に襲い掛かる快楽の波は朱紗丸の身をよじらせる。
じたばたと暴れる手足。
そうした抵抗を見せる朱紗丸であったが、それ以上の雄の猛りを見せる彼の前では、甘い抗いにしか過ぎなかったようだ。
もっとも、それもまた朱紗丸が望んでいるのだが。
「そうじゃ! もっと……もっと激しく……!」
自身の未熟な果実を一心不乱に貪る彼の頭を愛おし気に撫でる朱紗丸は、その慈愛に満ちた声音とは裏腹に、もっと乱れ狂うように懇願する。
と、彼は彼女の願いに応えるように、先ほどよりも一層激しい高ぶりを見せた。
ギチッ! と、よもすれば噛み千切るかもしれないほどの咬合で、朱紗丸の肉蕾に歯を立てる。
常人であれば痛みで絶叫し、すぐさま止めるよう暴れるだろうが、鬼である朱紗丸は違う。
「んぎぃ♡ あぁ♡ いいッ♡ そうじゃ♡ もっと♡ 私を虐めてくれ♡」
どれだけ引っ張ろうとも裂ける気配も見せぬ朱紗丸の肌は、本来痛みとして受容するべく感覚を快楽として受け取り、彼女の脳に電流のような衝撃を流し込んでいた。
それにより彼女は、身を捩じらせて焦点の合わぬ瞳を天井に向け、畳の床を掻きむしり、みっともなく涎を口の端から垂れ流す姿を見せていた。
まったくもって煽情的な姿だ。
しかし、町はずれとは言え夜中にここまで騒がれれば怪訝に思った住人がやって来るかもしれない。
「ん、んむぅ♡」
故に彼は朱紗丸の五月蠅い口を唇で塞いだ。
しゃぶり甲斐のある肉蕾から口を放すのは口惜しいが、代わりに彼女の口腔に満ち満ちた甘露な蜜が出迎えてくれる。
淫靡な水音を立てて口付けを交わす間、彼女の肉蕾は彼の両手で弄られていた。
麻縄を作るように繊細かつ力強い指使いで捏ねられれば、朱紗丸の中で高まっていた性感がみるみるうちに高まっていく。
「ふーッ♡ ふーッ♡ ―――ふぁあッ♡♡♡」
来たる絶頂に朱紗丸の体が飛び跳ねる。
思わず口付けを止めてのけ反る彼女の口からは、彼の口との間までに涎の橋が架かっていた。それほどに粘ついた橋も、重力に従っては朱紗丸の体に落ちていく。
しばし、荒い息遣いで呼吸を整えていた彼女は、朱が差した頬をニッと歪ませる。
「私との口吸いがそんなに良かったか?
そう言って片脚を彼の股間にあてがう朱紗丸。
足裏には、これでもかと怒張した彼の一物の硬さと熱さが布越しに伝わってくる。準備は万端。脈打つ逸物は、すぐにでも目の前の女体との戯れを所望しているようだった。
「仕方ないのう……ほうれ、私が慰めてやる♡」
そう言うや否や、今度は朱紗丸が彼を押し倒し上に乗っかった。
立場は逆転したが、だからこそ天を衝かんばかりにそそり立つ逸物の剛直さが分かるというもの。
「ほほう♡ 毎晩搾り取ってやっておるというのに、見事なものじゃのう♡ こんなものを見せられたら私の女が疼いてしまうじゃろうて……ん♡」
鈴口から先走る汁に汚れぬよう髪を掻き上げた朱紗丸は、恍惚とした表情を隠せぬまま、そそり立つ逸物にしゃぶりついた。
逸物全体を包み込む生暖かい彼女の体温。それだけでも絶頂に達しそうなほどの極楽を感じるが、遊びが好きな彼女は、ただしゃぶるだけでは終わらない。
「んんッ、人間の肉とは違う癖になる味じゃ。はてさて、じゃが一番旨いのは……」
徐に逸物の下にぶら下がった胡桃であった。
たぷたぷと弄ぶように掌を上下させていた朱紗丸であったが、徐に胡桃を優しく握って見せる。
「この中に詰まっておるんじゃからのう♡ 今日もたぁ~っぷり搾り取ってやる♡」
逸物の裏筋を舌でなぞりながら笑う朱紗丸は、そのままコリコリと胡桃を揉みしだき始めた。
うっかりすれば痛みに悶絶しかねない行為であるが、何度も夜伽を過ごした朱紗丸にとって、彼が気持ちよく感じる強さで揉みしだくことは朝飯前。
「キャハハッ! 鞠遊びはお手の物じゃ♡ 存分に感じるといい……♡」
次第に快感が高まっている証拠に、朱紗丸がしゃぶっている逸物も、時間が立つにつれてその脈動を激しいものとする。
一方で、口での奉仕にも余念を欠かさない。
全体を絞り取るように前後運動しつつ吸引するだけでなく、時には先端の膨らんだ亀頭だけに吸い付く。その時にはダラダラと節操なく溢れ出る我慢汁を舌で舐り取り、寧ろこちらから出迎えようという勢いで、舌先を鈴口へと突き立てるほどだった。
余りの快感に、これには彼の腰も思わず跳ねる。
その様子を見て、また朱紗丸は満足気な笑みを浮かべて口奉仕に熱を注いだ。
竿と玉。両方への苛烈な責めは、まだ性経験の少ない彼にとっては耐えがたい快感を与えるに至った。
刹那、一層張り詰める逸物の先端から濃厚な雄の臭いが溢れ出す。
何が起こるかを察した朱紗丸は、そのまま逸物を口に含んだまま、口腔をのたうち回る白濁液の感触に恍惚とした表情を浮かべていた。
口が塞がれている以上、鼻で息を吸わねばならぬ訳だが、その度にむせ返るような雄の臭いが鼻を抜けていく。
しかし、朱紗丸はその臭いに嫌悪感を示す訳でもなく、寧ろ蕩けるような顔を浮かべていた。
脳みそが麻痺するほど口に充満する臭い。
頭も心も蕩け、着物の下に隠されている
「んふっ♡ ふーッ……♡♡ ぷはぁ♡♡」
ようやく逸物から口を放した朱紗丸は、何をするかと思えば、その口になみなみと注がれていた白濁液を勢いよく飲み込んだ。
ゴクリ、と喉を鳴らした彼女は、それから雄臭い息を吐きだした後、ニヤリと鋭い犬歯を覗かせて微笑む。
「ご馳走になったの……♡ 今日も一段と濃い味じゃ♡ さて……」
再び仰向けになる朱紗丸。
すると彼女は、女としての恥じらいなどをかなぐり捨てたかのように股を開き、あまつさえ着物の裾を捲り上げたではないか。
次の瞬間、むわりと立ち上る雌の臭い。
暗がりに隠れてよく見えないが、彼女の秘裂はビショビショに濡れそぼっていた。上の口と同じように物欲しげに涎を垂らす秘裂は、とある物を欲するようにパクパクと口を開いていた。
求めるものは当然、
「ほれ、ここからが本番じゃ♡ 私のおめこと戯れようぞ♡」
彼の逸物を求める朱紗丸が、期待する眼差しを彼へと向ける。
人間にも拘わらず、体を重ねることを許した相手。
彼の逸物であればどれだけ激しく遊ばれようが構わない。全てが快楽の内だった。
だが、それを理解しても尚、彼は朱紗丸を大切な女性として扱う。触れれば壊れてしまいそうな泡沫のように。
だからこそ朱紗丸は彼を―――。
「っと、早く挿入れんか……いつまで待たせるつもりじゃ」
流石に大っぴらに股座を開き続けることに羞恥心を覚えたのか、照れ隠しするようにそっぽを向く。
その姿もまた、本来の少女らしい愛らしさを覚えさせるのであるが、彼はあることを決意したのか、家の戸棚からとある物を取り出してきた。
「? なんじゃ、その玩具は」
一見、ただの棒のように見える物。
しかし、よくよく見れば殿方の男根に見えなくもない。
「ふむふむ、張型か。女が一人で慰める時に使うものなのだな? なるほど……確かにお前のより凶悪な形をしておるのう……キャハハッ、冗談じゃ」
布団の上での張型の説明を受けた朱紗丸であったが、なにかを思いついたかのような顔を浮かべる。
「そうじゃ。お前のとコレで同時に責めてみようぞ♡」
それはつまり、後ろの穴にも挿入するという意味だ。
「ん? 『裂けないか不安』じゃと? 何を言う、私は鬼だぞ。裂けたところで問題はない……が、流石に滑りはよくした方が入りやすかろうのう」
張型をねめつける朱紗丸は、徐にそれを彼へと手渡す。
「ほれ。私ので滑りを良くすればいい」
迎え入れるように秘裂が指で広げられた。
鮮やかな桃色の淫口は、今や今やと挿入される物体を待ち構えている。
そんな彼女の期待に応えるよう、彼は狙いを定めて張型を秘裂へと押し入れた。
最初こそ、張型の大きさにより突っかかってしまったものの、「構わん、押せ押せ♡」と強請る朱紗丸の声に従い、グリグリと捩るようにして秘奧に突き立てる。
その際、グチャグチャと音を立てたことも分かるように、彼女の秘奧はすでに溢れ出る蜜に溺れているようだった。
証拠に、無理やり押し込んだ張型と秘裂の間から、ダラリと蜜が零れてしまっている。
もったいないとそれを掬いあげた彼は、そのまま張型に満遍なく塗りたくった。同時に、張型の方で抽送の動作を開始する。
「ひんッ♡ はぁ……これはなんともまた凶悪な……♡」
彼の逸物とも違う感触に、自ら腰をヘコヘコと動かす朱紗丸。
肉棒の弾力とは違い、こちらは木製である以上、どれだけ締め付けても形が変わることなどない。強引に秘奧の形を変えられる―――そんな武骨さに、朱紗丸は艶めいた声を上げる。
しばらく抽送を繰り返していれば、次第に朱紗丸の秘奧も解れてきて、滑らかに張型を迎え入れるようになった。
そうなれば、ここで一度頂きに達したくなった朱紗丸が、彼に囁きかける。
「のぅ。一度私を満足させてくれ♡ それをお前のだと思って激しく……な?」
こうも強請られてしまってはやるしかない。
自分の逸物が怒張するのを感じ取りながら、高まる興奮を発散せんと、張型による抽送を激しくする。
よもすれば手が滑ってしまいそうな程に朱紗丸の蜜で濡れた張型であるが、ここでうっかり手を放してしまえば興が冷めてしまう。
是が非でも彼女を昇天させたい。
そんな彼の抱く想いは、淫らに響きわたる水音となって彼女に伝わった。
「はぁッ♡ い、イイッ♡ ック♡ お゛お゛ッ♡ 奥……潰れるッ♡♡」
鬼とは言え、体格は子供の朱紗丸。
そんな彼女の秘奧に大人の玩具を激しく突き立てればどうなるか―――想像に難くないだろう。
鬼となり、決して開かれることはなくなった子壺の入り口を、張型の先端がこじ開けんとしていた。遠慮など微塵もない抽送が、何度も何度も戸口を叩きつける。
その度にグニッ、と形を変えるか、無理やり戸口を開かれようとする未知の感覚に、朱紗丸はケダモノのような雄叫びを上げて身を捩じらせていた。
「あ、あぁ゛ッ♡ んはぁ゛ッ♡♡ こ、これ……すごい♡♡ しぬッ♡♡ しんでしまうッ♡♡ 気持ち良すぎてしぬう゛う゛う゛♡♡♡」
視界が明滅するほどの快感に、朱紗丸の脳みそはすでに爆発寸前であった。
そして最後―――ここ一番の容赦のない勢いで、子壺の入り口を張型が叩きつけた。
「あ゛……あああああああああッッッ♡♡♡」
絶叫と共に潮が溢れ出す。
生暖かい温度と仄かに鼻をつく臭い。一層室内が蒸し暑くならんとするほどの潮を噴いた朱紗丸は、息も絶え絶えとなりながら、視線だけは彼の方へと向ける。
自分の絶頂した姿に興奮を隠せない様子。
そんな姿を見れば、達したばかりの彼女の体にはみるみるうちに活力が溢れ出し、
「ようし、それじゃあ……
立ち上がり、みっともない蟹股姿のまま秘裂を指で広げてみせた。
しかし、彼にとってはそんな下品な姿もまた興奮を高める行為に過ぎない。いよいよ辛抱堪らなくなっている逸物からは、ダラダラと涎が溢れ出していた。
そんな逸物を握り、ゆっくりと彼女の秘裂へと押し当てる。
けれども、普段とは違い立ったまま―――それも向かい合っての体勢となると、少しばかり挿入しづらい。
と、もたついていれば、
「これ、何をしている。ここじゃここじゃ♡」
彼の手に重ねるようにして逸物を握った朱紗丸が、そのまま己の秘裂の入り口へと導く。
ピトリ、と淫らな
「んッ……来たぁ♡」
灼熱の坩堝を、これまた灼熱の肉棒が満たしていく。
挿入しただけで絶頂しそうになる彼であったが、ここで達してしまってはもったいない。思う存分彼女をよがらせ、そして自分も楽しまなければ。
そう思った矢先に、よもすれば接吻してしまいそうなほど近くにある朱紗丸の唇が動く。
「実はのう……先の玩具で私の肉が解れてな」
ニッと吊り上がる口角。
「たぁ~っくさん出せば、私の子壺をお前の子種で満たせるかもじゃな♡」
それは余りにも甘美で淫靡な誘惑だった。
彼は初めての体位に、最初は動作を確かめるようなゆっくりをしていたのだが、彼女の言葉を聞いた途端、盛った獣のように豪快な抽送運動を開始する。
それもいつもよりも一回り大きい逸物で。
これには朱紗丸も感じざるを得ないが、今日はまだ別の玩具がある。
「っとォ……ほォ♡ これはっ……きついの……♡」
自分の蜜に塗れた張型を、手持ち無沙汰になっている菊門へとねじ込む。
最初こそ抵抗を見せた菊門であったが、彼の熱心な前戯の甲斐あって、張型を包み込む蜜の滑りは格段に良い。
先端が入れば、後は簡単。力に物を言わせてねじ込んだ朱紗丸は、形容しがたい圧迫感を腹部に覚え、一段と息遣いを荒くする。
そして動かす。
「ふッ♡ ふッ♡ ふッ♡ ふーッ♡ はぁ♡ あ゛ッ♡ 中、擦れる……♡」
前門の肉棒に後門の張型と隙の無い布陣が、耐え難い快感となって朱紗丸に襲い掛かる。
膣壁と腸壁―――そのどちらをも圧迫される感覚はまさに甘露。暴力的なほどの快感に身を捩じらせる朱紗丸は、膝をガクガクと震わせながらも、彼の腕に抱きしめられながら、必死に腕を動かし快楽を享受していた。
「あッ、駄目じゃ♡ こんなのすぐにッ……♡」
普段よりも早く絶頂に達しそうになった朱紗丸であったが、寸前で我に返り、ニヒッと悪戯っ子のような笑みを浮かべる。
「あ、あれ……あれをやるぞッ♡」
「あれ」と告げられて察する彼の目の前で、早速朱紗丸の体に異変が起こる。
メキメキと鈍い音を立て変形する彼女の体。
何が起こるのかと思えば、朱紗丸は元の腕に加えて新たに四本の腕を生やしたのだ。血管も浮かび上がり、やや不気味な見た目であるのは否めないが、この姿だからこそ得られる快楽がある。
「お前はあれが好きじゃからのう♡ あれをやれば、きっとたっぷりと精を吐き出せるじゃろうに♡」
言うや否や彼女が生えた腕を彼の腰へ回したかと思えば、なんと菊門に指を入れたではないか。
鬼は勿論のこと、人間にとっても異物感が大きいその行為。
しかし、朱紗丸は器用にとある部位を指の腹で攻め立てていた。
「ほれほれ♡ コリコリと音を立てておる♡ 気持ちよかろう♡」
前立腺―――男しか持ちえぬ器官だ。
性感帯としての役割を持つ器官ではないが、開発次第では感じるようになる部位。それを彼と朱紗丸は二人夜の営みの中で開発していったという経緯がある。
今ではすぐに前立腺の位置を探れるほど、朱紗丸の技量は高くなっている。とは言え、彼にしか通用はしないが―――。
「どうじゃ? もっと気持ちよくなれるようにこっちのタマも弄ってやろう♡」
片や菊門を弄る中、朱紗丸はまた別の腕で前へ後ろへとせわしなく揺れていた肉袋を掌に納める。そのままフニフニと揉みしだけば、これまた彼は気持ちよさそうな表情を浮かべ、朱紗丸の秘奧を押し広げる逸物が一回り大きくなった。
そんな変化を満足気に感じ取った朱紗丸は、張型を握る腕と彼を抱きしめる腕を除き、二本の腕で己の双丘を揉みしだく。
まだまだ未熟な果実ではあるが、彼に弄ばれぷっくりと膨らんだ乳頭をつまめば、電流のような快感が脳へと流れ込んでくる。
「ッ♡ ふぅッ♡ んんッ♡♡」
歯を食い縛り、必死に喘ぎ声を我慢する朱紗丸。
そのいじらしい姿を前に、彼は堪らず彼女の唇に吸い付いた。
「んッ♡ んむッ♡ ちゅ……ぷはぁ♡ はぁ♡」
情熱的な接吻を繰り返す二人は、むんむんとした熱気を体から迸らせながら行為を続ける。
下半身は朱紗丸の秘裂と菊門から溢れ出た体液でびしょ濡れになり、上半身も噴き出る汗が月光を眩く照らしている。かといって頭部が無事という訳でもなく、貪るような接吻を繰り返している二人の唇の間には涎の橋が架かっていた。
そうこうしている内に、存分の彼女の蠕動する秘奧に逸物を包み込まれる彼は、二度目の絶頂に達しそうになっていた。
優しく、しかしながら容赦のない愛撫が前立腺と肉袋を襲えば、早々に達してしまうことは仕方がない。
しかし、それは朱紗丸も同様であった。
彼の逸物のみならず、張型を菊門へと受け入れ、自身で双丘を揉みしだきながら、唇と舌を彼に求められている。
窒息してしまいそうなほど獰猛な接吻は、朱紗丸の思考を鈍く蕩けさせ、快感以外の何物も覚えさせぬように仕立て上げていた。
こうして立っていられるのも、今も自分を突き上げてくる立派な逸物と、愛おし気に抱きかかえてくれる彼の腕があるからだ。
もう―――何も望むものはない。
「んッ♡ い、イクッ♡ イってしまう♡ お前も……♡ お前もぉぉお……っクゥゥゥウウウウ♡♡♡」
込みあがって来る灼熱が秘奧に満ちていく感覚と同時に、朱紗丸も絶頂に達した。
「あ……はぁ゛♡ いっぱい……お前の子種がいっぱい……♡ 溺れそうじゃ♡ まったく……節操なく吐き出しおって♡」
ビクビクと痙攣しながらも、彼の吐き出す白濁液を零さぬよう、しっかりと腰を押し付ける朱紗丸は、全身を支配する多幸感に恍惚とした笑みを湛える。
目の前では、鬼相手に必死になって種付けしようとする一人の雄が居た。
滑稽、だが何故こうも愛おしく思ってしまうのか。
「まだ……できるじゃろ?」
余りの快感に脱力し、手からも―――そして菊門から張型が零れ落ちることにより空いた腕で、彼の頬にそっと手を添える。
「私は……まだお前と遊びたい♡ 構わんじゃろ?」
答えは、秘奧の中でしぼんでいた逸物が膨れ上がる感触で。
夜はまだまだ長いと、二人はそのまま
***
「ふぅ……いい湯じゃのう。極楽極楽」
夜も大分更けた頃、長時間に渡るまぐわいで人様には見せられぬほど汗みどろになった二人は、流石に休憩を挟もうと、そのついでとして風呂を焚き一緒に入っていた。
朱紗丸は湯船の中、彼に背中を預けるような形で入浴を堪能する。
臀部にそそり立った彼の逸物の感触が伝わるが、流石に何度も射精した所為か、幾らか大きさはしぼんでしまっている。
だが、元より風呂でまで致すつもりはない為、二人共純粋に入浴を楽しんでいた。
「はぁ……それにしてもお前との遊戯は楽しいのう。それに気持ちいいしのう♡ また遊んでくれるかえ?」
振り向かぬまま問いかけてくる朱紗丸に、彼は迷わず首肯する。
「そうかえそうかえ。私は満足じゃ。……が、たまには普通の遊びをしたいのう。鞠とか面子とかのう」
体を重ねる以外にも彼と遊びたいと告げる朱紗丸。
彼女の精神もまだ子供な部分が残っている。子供の遊びに興味を抱いているのは至極当然のことだ。
彼女は、たった今口にした遊びに加え、他にも様々な遊びを口にする。
と、その途中のことだった。
「ん? ……『子供ができたらいい母親になりそうだ』じゃと?」
不意に彼が口にした。
言っている意味を理解するため、一拍、二拍、三拍。
ようやく理解した朱紗丸は、みるみるうちにカァーっと顔を真っ赤に染め上げた。
「な、なにを戯けたことを!! 私が母じゃと!? そ、そんなこと……そんなこと……」
狂言だと言い負かそうとした朱紗丸であったが、真摯な面持ちを浮かべている彼を前にした途端、脳裏にとある夢想が過った。
自分が彼との間に産んだ子供と一緒に遊んでいる光景だ。
当然、鬼が子を成すことなどありえない。
しかし、しかしだ。
―――キュンッ。
腹の下が疼いて仕方ない。
湯の中だからこそ分からないが、今の彼女の秘裂からは、今までの比ではない愛液が溢れ出していた。
それは全て、子を成すため彼の子種を受け入れる本能的反応。
「ッ……!」
突然、湯船から立ち上がる朱紗丸。
どうしたのかと首を傾げる彼を前に、彼女は堪え切れない笑みを顔面に張り付けたまま、ドロドロと愛液が溢れ出す秘裂を指で開いて見せる。
「……お前が悪いのじゃぞ。お前がその気にさせたのが悪いんじゃ」
クパクパと物欲しげに淫らな口を開け閉めする秘裂を、彼の顔面へと近づける。
桃色の裂け目からは、これまた彼を刺激する淫靡な雌の臭いがムンムンと溢れ出していた。
湯気に混じり、瞬く間に淫らな臭いに包まれていく風呂場。
そんな中、盛りに盛った二人は見つめ合う。
彼の逸物はすでに回復し、いつでも彼女の子壺へと子種を吐き出す準備が整っていた。
そして朱紗丸は、彼の両頬に手を添え、そっと顔を近づける。
今にも唇が重なりそうな程―――甘い吐息が頬を撫でる距離感で。
「責任をとれ♡ お前の子を孕みたくなった責任をの♡」
次の瞬間、湯船が揺れる激しい水音が風呂場に響く。
その後、風呂場からは絶え間ない水音と喘ぎ声が外まで響きわたっていた。
「んああッ♡ 好き……好きじゃ♡ お前がッ♡ お前の赤子が欲しいッ♡ だからいっぱい♡ いっぱい
数年後、彼の家の周りにてお天道様の下を元気にはしゃぎまわる子供と、そんな子供に鞠遊びで付き合う女性を見かけるようになったとさ。
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母蜘蛛&姉蜘蛛
深い山の中、人の記憶から忘れ去られた襤褸小屋があった。
外からの見てくれは酷いものであり、とても人が住めるような建物ではない。そう、人では―――。
「んッ……ふぅ……♡」
絶えず反響する水音の合間に挟まる、女性の甘い吐息。
部屋の中央に敷かれた布団の上では、一組の男女の鬼が絡み合っていた。白髪に白い着物と似通った風体の彼等は、一見すれば
それもそうだ。彼らは自分たちを家族と称していた。
鬼という本来他の鬼を排斥する本能を植え付けられながらこうして濃厚な愛の営みを繰り広げられているのは、ただいま女の鬼の唇を貪っている少年が、鬼の頭目に気に入られているからであろう。
しかし、それも今だけは関係ない。
「んぁ……ぷはぁ♡」
「がっつき過ぎだよ、母さん。そんなに僕が欲しいの?」
「ん……ええ、累。母さん、累のが欲しくて堪らないの♡」
「そっか。じゃあ、嫌って言うまでしてあげるから」
「んんッ―――!?」
口と口の間に唾液の橋を架けていた両者であったが、「累」と呼ばれた鬼が、今一度女の鬼の唇に己の唇を重ねる。
息継ぎがままならぬ程、口腔の奥深くまで舌をねじ込む累に、彼から「母さん」と呼ばれた母蜘蛛は目を見開きながらもじんわりと広がる快感にその身を委ねる。
母と息子。
本来ならば、こうして性的な交わりをすることが憚られる関係であろうが、血がつながっていない―――そもそも鬼である彼等に、そうした倫理観は通用しない。
最初こそ
それから程なくして、偽りの息子に恐怖しか覚えていなかった母蜘蛛も、彼から与えられる快感に溺れ、次第に愛に目覚めていったのだ。
「んんッ♡ はぁ♡ 累、累ィ……♡」
「んッ……綺麗だよ、母さん」
「愛してるわ、累……♡ 母さん、累のことたくさん気持ちよくしてあげるから♡」
「僕もだよ……」
息継ぎの合間に愛を囁き、再び唇を貪る二人。
人の肉を喰らう時よりも胸を満たす熱い快感。頭の中で蕩けそうな甘い味わいが口の中に広がる度、更なる先を求めて舌を絡ませる。
次第に熱気が籠っていく小屋の中。着物を着ていた彼等も、晒されている素肌にはじっとりと汗が浮かび始めている。
すると、徐に累の手を取った母蜘蛛が、そのまま彼の手を自分の着物の中―――正確には今にも零れ落ちそうな乳房の谷間へと導いた。
刹那、累の手に伝わる柔らかい触感。
小さな手が全てのみ込まれそうな程の心地よさ。それでいてしっとりと指に吸い付く弾力は、まさに極上という他ない。
何度揉みしだいても飽きない逸品だ。
累も母蜘蛛との濃厚な接吻を交わしながら、彼女の要望通り、丸々と実った西瓜のように豊満な乳房を揉みしだく。
「ふぅ……んぅ♡」
分かりやすく吐息が荒くなる母蜘蛛。
感じているのだろう。険しくなる彼女の表情を目の前にしている累は、そのまま荒々しく乳房を揉みしだきながら、視線を下へと落とす。
すると案の定、彼女は下半身をもじもじとさせていた。
これまた魅惑的な太腿をこすり合わせるような挙動。
「濡れてるの? 息子との接吻で」
「ふわぁ! ご、ごめんなさい、累……♡」
突として下半身に手が滑り込んでくることで、甲高い喘ぎ声を漏らす母蜘蛛。
今にも泣き出しそうな潤んだ瞳で累を見つめれば、ふっと微笑んだ累が耳元で囁く。
「淫乱」
「ひッ!?」
「でも、そんな母さんでも愛してあげるよ……とことん」
「きゃあ♡」
突然押し倒される母蜘蛛。
だが、上げる悲鳴には喜色が混じっている。まるでこれから起こることでもわかっているかのような反応だ。
そうした彼女の期待を裏切ることなく、やや乱暴な手つきで母蜘蛛の着物を引ん剝く累。
瞬く間に肉付きのよい白蝋の素肌が露わになる母蜘蛛。
毛が一切生えていない股座は、先ほどの接吻でとことん感じていたのか、すでに雨に打たれたかの如く濡れていた。
しかもかなり粘着質な液体だ。強引に観音開きに開かれた太腿の間に、愛液の橋が架かる程の。
その糸を指で掬い上げる累は、そのまま頬を紅潮させる母蜘蛛の前へと指を持っていく。
障子の間から差し込んでくる月明りに照らされ、指先はテラテラと輝いている。
「嗅ぎなよ。こんな濃い女の臭い垂れ流してさ……母親として恥ずかしくないの?」
「うぅ……」
「ほら、舐めて綺麗にしてよ」
「ええ……♡」
自分の愛液に塗れた指を舐る母蜘蛛。
愛おしそうに瞼を閉じながら丹念に舐る様は、まるで彼の指を別の物に見立てているかのようだった。
そしてそれはすぐに母蜘蛛の前に突き出される。
視界を遮断している母蜘蛛の鼻に、突然濃厚な雄の香りが突き抜ける。
覚醒するように目を見開けば、子供の体形にそぐわぬ雄々しい男根がそびえ立っていた。
青い血管が浮かび上がり、不規則にビクンと跳ね上がる男根。そうだ、これを求めていたんだと指を舐り終えた母蜘蛛はほくそ笑む。
「累ィ……♡」
「母さん……」
「そんなもったいぶらないで、早く……♡」
「駄目だよ、ちゃんとどこに
「そんなぁ、恥ずかしい……」
物欲しげな瞳を浮かべる母蜘蛛の口を指で弄ぶ累。
しばし羞恥心でもじもじとしていた母蜘蛛であったが、快感には抗えなかったのか、意を決した様子で自分の秘裂を広げて見せた。
ドロリと溢れ出した愛液が布団の上に零れ落ちる。
「累の……累のおちんちんをッ♡ 母さんのオメコに挿入てほしいの……♡」
「うん、わかった……よッ!」
「ひゃあん♡♡」
そこにあったのは息子ではなく男を求める一人の女の姿。
これには主導権を握っている累も辛抱堪らなくなり、言葉責めも程々に、痛い程に怒張している男根を濡れに濡れた秘裂へと刺し込む。
膣内を押し広げる快感に思わず喘ぎ声を上げた母蜘蛛であったが、勿論これだけで終わるはずがない。
続けざまに始まったのは激しい抽送。
ドチュドチュと溢れ出した愛液が泡立つほどの勢い。
怒涛の杭打ちと形容する他ない光景だ。累の腰が母蜘蛛の下半身と触れ合う度、肉厚な彼女の体はブルンと波打つ。無論、その上半身にぶら下がっている乳房もまた、自由自在に形を変えながら前後へと震えていた。
「あぁッ♡ る、るいィ♡ んぁ♡ あああああッ♡♡♡」
「くっ……! 母親の癖してこんなにきつい穴で息子のを締め付けて恥ずかしくないの?」
「ごめん、ごめんなさぁい♡♡ でもッ、累のが気持ちいからッ♡♡」
母と呼ばれこそするが、本当の姿は出産等経験したことのない少女。
その締め付けは普段淡々としている累が、快感の余りに余裕のない声を漏らしてしまう程だ。まさしく名器。
「はぁ、はぁ……母さん……!」
「あぁん♡ 累ッ……ダメ、もう……ッ♡」
「いいよ、イっても。ちゃんとその瞬間の顔を僕に見せながらね……」
「い、いや♡ そんな、見られながらなんて……恥ずかしいッ……♡」
「こんなに善がり狂ってる癖して今更何言ってるの? ほら……!」
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ♡♡♡」
絶頂寸前の母蜘蛛に対し、トドメと言わんばかりの猛攻を開始する累。
互いの下半身に纏わりつく体液が部屋中に飛び散り、加速度的に濃厚な性臭が室内に広がっていく。
母蜘蛛も視界がチカチカと明滅する快感の波に、呼吸さえままならなくなり、パクパクと口を開いては閉じるを繰り返す。
そんな母蜘蛛の口を塞ぐように、累は唇を重ねた。
だらしなく涎を垂れ流す彼女の口を塞いでは、暴れる舌を強引に絡めとる。
そうしている内に母蜘蛛の体の痙攣は激しくなり、
「―――――ッッッ♡♡♡♡」
白目を剥き、男根で栓をされている秘裂のすぐ上の穴から生温かい液体が噴射された。
潮だ。息子の男根で善がりに善がった挙句、快感でだらしなく緩んだ尿道から潮が漏れ出たのである。
最早彼女に母としての尊厳はない。だが、そうなるだけの快感は今尚彼女にもたらされていた。
「ッ!!? ん゛ぁ゛♡♡ あ゛あ゛あ゛ッッ♡♡♡ 累ッ♡♡♡ イ、イ゛ってる♡♡♡ イ゛ってるから゛ぁ♡♡♡ 止まってぇ゛♡♡♡」
「嫌だよ、母さん……! だってこんなに具合がよくなってるじゃないか……!」
絶頂しているにもかかわらず抽送を止めない累に、絶叫と言って過言ではない声を上げる母蜘蛛。
絶頂しているおかげか、普段よりも数段締まりが良くなっている母蜘蛛の坩堝は、累の男根をこれでもかと絞り上げるかのような動きを見せている。
これに応えずして誰が男か。鬼としてでも息子としてでもない。一人の男である累が、快楽に悶える母蜘蛛を抱きしめる。
「母さん……! 中で、中で出してもいいよね……っ!?」
「な、中……!? ダメ♡ ダメよ♡ 私は母親で、貴方は息子で……♡」
「今更何言って……―――」
「累? どうし……ッ!?」
突然動きを止めた累に、怪訝そうに眉尻を下げる母蜘蛛。
しかし、すぐさまその理由を知る。あれほど豊満で肉厚な我儘な体を晒していたにも拘わらず、今は胸の谷間も体の凹凸もない。
その理由は単純だ。擬態が融け、元の少女の体に戻ってしまっていたからだ。
途端に青ざめる母蜘蛛。累は顔が戻るのを一番嫌う。
余りの快楽に油断してしまっていた。
折檻されるかもしれないと震える彼女。
そんな母蜘蛛を前にし、累は―――。
「なに? 誘ってるの?」
「え……?」
「そんなに血の繋がりがないこと証明してさ……強請ってるの? 中に出してほしくてさ。そんな……可愛いな、母さんは」
「る、累……♡」
再び始まる情熱的な目合い。
元の姿を晒しても尚受け入れてくれた累を前に、母蜘蛛の坩堝はかつてない激動がもたらされていた。
愛液は絶え間なく膣壁から分泌され、元々狭く締まりの良い肉はぎゅうぎゅうと累の男根を締め付ける。
「くっ……母さん、僕も……!」
「来てェ♡ ほしい♡ 累の精液ほしいのォ♡」
「うん! たくさん……たくさん出してあげるから! くぅ!!!」
「あ、あああああああああ♡♡♡♡♡」
母蜘蛛を抱きしめ、最も奥で精液を解き放つ累。
苦しいほど締め付けてくる膣肉を押し返す程の脈動のままに放たれた白濁液は、そのまま母蜘蛛の坩堝を真っ白に染めていく。
最後の一滴まで絞り尽くされた累は勿論、下腹部に染み渡るように広がる灼熱に蕩けた表情を浮かべている母蜘蛛。
(こんなの……本当の母さんになっちゃう……♡)
下腹部を擦り、フッと微笑む。
肩で息をすること数十秒。ようやく息も整い、母蜘蛛も元の顔に戻れば、二人はしばらく見つめ合った後に濃厚な接吻を始めた。
「母さん……」
「累……愛してるわ」
「僕もだよ」
互いの愛を確かめ合う二人。
「ん、んんーッ!」
と、そこに響いてくるくぐもった声。
「……姉さん、もう我慢できないの?」
接吻を終え、振り返る累。
彼の視線の先―――天井には、なんと吊るされている人影があった。
累の糸で作られた縄で亀甲縛りにされている彼女は、ついでに猿轡を嵌められている。
そして何より全裸であった。あられもない姿を晒し吊るされていた彼女は、このあんまりな仕打ちに嘆いているのではなく、縄が食い込んだ秘裂から一際濃い愛液を床へと垂らしていたのだ。
「ダメだよ、姉さん。姉さんとは昨日散々したじゃないか。今日は母さんの番」
「んんんっ! んんんーッ!」
「あんまり我儘言うなら……」
「んっ♡」
次の瞬間、姉蜘蛛の割れ目からぷっくりと桃色の目が出る。
赤々と充血した陰核だ。よく見れば、そこには累の指先から放たれている糸が括りつけられており、ピンと張っている糸を少しでも引っ張れば―――、
「ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ッ、ん゛ーッ♡♡♡」
「ほんと、姉さんは淫乱だなぁ……」
「ねえ、累。いいじゃない。姉さんも一緒で」
「母さん?」
「三人でシたら、きっともっと気持ちいいから……♡」
「……母さんが言うなら。仕方ないなぁ」
「んぁ゛♡」
母蜘蛛の提言で緊縛を解かれ、下ろされる姉蜘蛛。
すでに満身創痍の彼女であったが、そこは鬼だ。すぐに体力を回復した彼女は、累と母蜘蛛の営みを見下ろして準備万端になっていた秘裂をこれでもかと広げて見せる。
母蜘蛛にあった女としての恥じらいもかなぐり捨て、ただただ男の逸物を求める様はまさしく淫乱と言う他ない。
だが、そのような蔑む考えが彼方に吹き飛ぶほど、彼女の坩堝は仕上がっていた。
母蜘蛛と違い陰毛はふわりと生えており、累以外の者達とも行為を致しているのか、秘裂周辺の媚肉は仄かに黒ずんでいる。
そんな媚肉をめいっぱい広げれば、湧き水のように愛液が溢れ出てくる膣口がパクパクと餌を求めるように口を開いていた。
「累♡ 累♡ お願い♡ 早く姉さんにおちんちん頂戴♡ もう我慢できないのっ♡」
「まったく、節操ないなあ」
とは言いつつも、怒張している男根を膣口にあてがう累。
鬼の体力はほぼ無尽蔵だ。一度達した程度で男根が萎えることなど早々あり得ない。
「さ……挿入るよ、姉さん」
「はぁ♡ キタあああっ♡♡♡」
挿入されただけで歓喜の絶叫を挙げる姉蜘蛛。
「ふぅー……はぅー……いい……気持ちいいよぅ、累ィ♡」
「うん、僕もだよ姉さん……!」
母蜘蛛とは違い、トロトロに解れた膣肉がフワフワとした感触で肉棒全体を包み込んでくる快感が襲い掛かって来る。
加えて、男根が融けてしまいそうな程に中が熱い。
それが抽送の際、外へと抜く際の外気との落差でより熱く感じられ、これまた心地よい。
しかし、
「はぁ♡ はぁん♡ もっと♡ もっと突いてェ♡」
「……」
自分が気持ちいいことを第一に考えている姉蜘蛛の態度が気に入らない。
そこで累は奥で休んでいる母蜘蛛に目配せした。
息子の視線で大体のことを察した母蜘蛛は、秘裂からドロリと精液を零しながら歩み寄ってきたかと思えば、徐に姉蜘蛛の菊門に指を挿入る。
「ひぃ!? お、お母さん……?」
「そんな自分だけ感じちゃダメ。折角の愛の営みなら、お互い気持ちよくしようって頑張らなきゃ♡ 母さんも混ざるから……ねっ?」
「な、何する気なの?」
「何って……ここまでされても分からないなんてことある?」
「ひゃあん!?」
甘い声音で囁いていた母蜘蛛は、途端に激しい指使いで姉蜘蛛の菊門をほじくり回す。
流石に後ろの穴は前ほど使っていないのか、締まりの良い菊門は指をぎゅうぎゅうと締め付けてくる。その締め付けを無理やり押し返すように指を動かし、腸内を指の腹で撫でまわせば、姉蜘蛛は余裕が一片もなくなったような顔で歯を食い縛る。
「くひぃッ♡」
「あぁ、いいね母さん。おかげで姉さんの締まりが良くなったよ」
「そう。よかった……じゃあ、二人で姉さんを気持ちよくさせてあげましょ♡」
「そうだね」
「ま、待って♡ これ、すごい……からァ!?」
前からの突き上げと後ろからの攻め。
逃げ場のない姉蜘蛛は、いつもの数段凄まじい快感と菊門を弄られる新感覚に、累の男根を締め付ける強さも高まったようだ。
愛液のみならず腸液も垂れ流し、意識が飛んでしまうのを必死にこらえる姉蜘蛛。
そんな姉蜘蛛を息の合った怒涛の攻めでイかせようとする累と母蜘蛛。
姉蜘蛛の下半身からむせ返る程の雌臭が辺りに漂うが、今更その程度の臭いで留まる二人ではない。
暫く攻めていれば、途端に姉蜘蛛の締め付けが強まっていく。
「イキそうなんだね、姉さん」
「うんッ♡ もう我慢できないッ♡ だってこんなの♡ 我慢できるはずないもんッ♡♡♡」
「だってさ、母さん」
「仕方ない姉さんね……イカせてあげましょう♡」
「わかった。やっちゃってよ、母さん」
「え? 何する気……ひゃッ!?」
累に跨る体勢―――所謂、騎乗位で淫らに腰を振っていた姉蜘蛛であったが、突然体の自由が利かなくなる。
何事かと母蜘蛛の方に振り返れば、幾度か目にしたことのある構えを彼女がしているのが見えた。
それは指から放つ糸で相手を操る血鬼術の構え。小さな子蜘蛛と繋がっている糸は母蜘蛛に近い程強靭なものとなる。
この至近距離で使われれば、非力な姉蜘蛛にはとても自力で抜け出せないだろう。
「お、お母さん……?」
「さ、イキ狂ってね♡」
甘く囁く母蜘蛛が指で激しく操作を始める。
すると、微動だにしなかった姉蜘蛛が突然豪快な腰遣いで累との騎乗位を再開するではないか。
「は、はぁあ゛ッ♡ はあッ♡♡ お゛、お゛母さん♡♡ 止めてッ♡♡ 止めてェッ♡♡」
「何言ってるの? そんなに可愛い声出してるのに……♡」
「らって♡♡ これッ、激し過ぎるからァ♡♡ 奥まで届いてるからァアッ♡♡」
姉蜘蛛の尋常ではない腰遣いは、母蜘蛛が操ることによって行われている動きであった。
室内のみならず、外にまで木霊する肉を打ち付ける音は轟く。
さらに互いの股座を濡らす体液は、股間を離す度に白濁とした糸を引いては、粘着質で淫靡な音と臭いを辺りにまき散らす。
それほどまでに激しい動きだ。普段なら届かない最奥まで、累の男根は届いてしまっていた。
未知の感覚。亀頭で貫かれそうな痛みを最初こそ覚えていたが、次第にそれは快感へと移り変わっていく。
「姉さん……綺麗だよ」
「累ッ……累ィ……♡」
とことん善がり狂う姉の顔を目の当たりにし、悦に浸ったような微笑みを浮かべる累。
そんな弟に、姉蜘蛛は辛うじて繋ぎ止めている意識の中で口付けを交わす。
しかし、これほど激しい動きの最中だ。少しでも長く口で繋がろうとするのであれば、上下する動きの中で舌を絡めようと突き出すことになるのだから、最早相手の顔を舐め回すと表現するに相応しい淫靡な光景が繰り広げられることになる。
「累♡ ねえ、あたしのこと好き? あたしは累のこと大好きよ♡」
「僕もだよ、姉さん。だから僕の子供を孕んでお嫁さんになってよ」
「えッ!? で、でもォ……あたしたち姉弟だし……」
「関係ないよ。どうせなら本当の家族になりたくないの?」
「本当の……家族……?」
「うん。毎日毎日愛の絶えない関係だよ。僕は姉さんとそういう関係になりたいな」
耳元で囁かれる累の言葉に、姉蜘蛛は体の芯から震え上がるような背徳感を覚える。
姉で、妻で、母になって。
鬼になって諦めた家族というものを、もし彼を受け入れることで手に入れられるのであれば―――。
「な、なりたい♡♡ 累のお姉ちゃんで、お嫁さんで、お母さんになりたいのォ♡♡♡」
「よく言えました。ほら、受け取って……!」
「ひゃああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛♡♡♡」
最後の最後で禁断の最奥へと突き立てられた男根から、大量の子種が解き放たれる。
ビチビチと暴れ狂い子宮を侵していく白濁液に恍惚とした面持ちを浮かべる姉蜘蛛。余りの快感に放心状態となっていた彼女であったが、母蜘蛛の操作で立ち上がらされ、膣から累の男根を引き抜かれた衝撃で意識を取り戻す。
が、まだまだ体に力が入らないのか、ビクリと体を痙攣させてこれといった動きは見せない。
「あぅ……」
「累、見て♡ 姉さんのオメコ、こんなに広げても全然累の精液が零れてこないわ♡」
「あん……♡」
「そりゃそうだよ。一番奥で
操り人形のように吊るされる姉蜘蛛の秘裂を開いてみせる母蜘蛛。
白蝋の肌とは裏腹に、真っ赤に充血した媚肉の隙間からは、愛液が涎のように零れこそするが、累の精液は一滴も零れてはこない。それもそうだ。本来の目合いでは決して届かない場所に流し込んだのだから。
「羨ましいわぁ♡」
「何? 母さんも姉さんみたくしてほしいの?」
「え?」
「だったら遠慮なんかしなくてもいいよ。家族なんだから」
「累……♡」
男前な発言に頬を染める母蜘蛛は、徐に姉蜘蛛を下したかと思えば、仰向けに寝かせられた彼女の上に覆いかぶさるようにして尻を突き上げる。
なんとも豊満で見ごたえのある尻だ。所謂安産型と称される形である。
そんな母蜘蛛の熱々な陰部と姉蜘蛛の蕩けた陰部が重なる光景は、まさに壮観であった。
何度も体を重ねているにも拘わらず、この時ばかりは累も生唾を呑み込んだ。それほどまでに誘惑的。
これほど自身の欲望を駆り立てるものが、今まで人肉以外にあっただろうか?
いや、この光景はそんなものよりもずっと己の欲望を満たしてくれるだろう。累は一種の確信を得ていた。
「母さん……姉さん……」
「累♡」
「来て♡」
「……うん。わかったよ」
誘われるがままに母蜘蛛の秘裂に男根を挿入する累。
すぐに「んんッ」と快感に身悶えする喘ぎ声が聞こえてくるが、構わず抽送を続ける。
依然として緩まぬ締まりに加え、腰を打つ度に波打つ尻肉がこれまた淫らだ。
「こんなに誘ってきて……本当にどうしようもない母さんだなぁ……!」
「あぁん♡ ごめんなさい♡」
「もう……お母さんったら。そんな雌臭い口で喘がないでよ♡ ほら♡」
「んッ!? んんッ、んんん~~~♡♡」
獣のような体位で攻められる一方で、真下に居る姉蜘蛛に唇を奪われ、上からも下からも耐え難い快感が電流のようにして頭に流れ込んでくる。
雷に打たれたかのような衝撃に体が震える中、これほどまでの快感を与えられれば、否応なしに本能が何を為すべきかを悟り、準備を整える。
「母さん……
「んふッ♡ んんッ♡♡」
「射精すからね……ほら!」
「んぎッ、んあああああ゛ッッッ♡♡♡」
とうとう強固な守りに固められていた最奥の鍵を開かれ、息子の子種を迎え入れてしまった子宮。
誰にも穢されたことのない聖域に白濁とした精液を流し込まれた母蜘蛛はと言えば、心の底から幸せそうな面持ちのまま、快感に震えていた。
「はぁー……♡ はぁー……ッ♡」
「ねえ、累……♡」
「分かってるよ。次は姉さんの番だから」
「やぁん♡」
脱力することで圧し掛かって来る母蜘蛛が肉布団として体に覆いかぶさる中、秘裂だけを器用に開閉して強請っていた姉蜘蛛。
そこへ、射精したばかりでも血管が浮かび上がる程に反り立った男根がねじ込まれた。
本日二度目の男根に、身動きが取れない中でも必死に善がる姉蜘蛛が、室内に響きわたる喘ぎ声を漏らしながら、与えられる快楽をひたすらに享受する。
「累、あんなに射精してるのにまだこんな……♡」
「姉さんの中が良すぎるのがイケないんだよ」
散々耕されトロトロに解れた肉畑に突き立てられる累の男根は、まさしく鋼のように硬く、それでいて太陽のように熱い。
ゴリゴリと膣壁を抉るような軌道で出し入れされる男根に為されるがままの姉蜘蛛。
もしもこの営みに勝敗があるとするならば、すでに彼女は負けていた。完敗だ。
血の繋がっていない弟の子種を欲し、あまつさえ妻になり、子を為したいと心から願っているのだから当然と言えよう。
そうした思いもあってか、すでに彼女の最奥は満杯寸前にも拘わらず、限界以上の子種を受け入れる準備を整えていた。
膣壁からも今までの比ではない愛液―――否、本気汁がにじみ出ては累の男根に纏わりついている。
「き、キて……キてぇ……♡」
消え入りそうな掠れ声で求める姉蜘蛛。
「姉さん……くッ!」
「あッ……―――♡」
限界まで腰を前へと押し込む累。
それだけ奥へと突き立てられる男根の先からは、未だ勢いが衰えぬ射精が開始される。みるみるうちに浸食されている下腹部の感触に、姉蜘蛛は恍惚とした表情で、ただただ累の愛を受け入れていた。
出すだけ出した累が萎えることを知らぬ男根を引き抜けば、パックリと開いたままの秘裂からはとうとう許容量を超えて漏れだした精液が溢れ出し、同時に激しい抽送の間で膣中に入ってしまった空気が抜ける。すると、白濁とした泡が膨れ上がっては、下品な音を立てて弾けるではないか。
「はぁ……はぁ……」
息こそ切れているが、まだまだ累は体力が有り余っている。伊達に十二鬼月ではないのだ。
だが、今だけは優れた鬼として得た力を、彼女達へ注ぐ愛として用いよう。
その確固たる決意は、みるみるうちに彼の男根を限界以上に膨れ上がらせる。
「まだイケるよね? 二人共……」
「ええ……♡」
「うん……♡」
それからも累は二人を愛した。
「はぁ……はぁ……!」
犯し、
「はぁ……くッ……!」
穢し、
「はぁ……あぁ……」
「累、泣いてるの?」
「え?」
涙を流し。
布団の上で横たわるようにして目合っていたる途中に落涙した累の頬を優しく手の甲で拭う母蜘蛛は、そのまま柔和な笑みを湛えたまま、豊かに実った双丘の谷間に息子の顔を抱き寄せた。
なんとも触り心地のよい感触と同時に、得も言われぬ温もりが肌から伝わってくる。
それに再び落涙すれば、今度は背中側に横たわっていた姉蜘蛛が、累の体にそっと腕を回して抱きしめた。
「大丈夫よ。あたし達は累のことを受け入れてあげるから」
「姉さん……」
両側からの温もりに抱きしめられる累は、その揺り籠に揺られるかの如き穏やかな心地よさに瞼を閉じ、気が付けば母蜘蛛の中に挿入したままだった男根から嘗てない程の量の精液を解き放った。
散々交わった彼等は、それからしばらく営みを再開することなく、ただ緩やかに流れる安寧なる時間に身を委ねるように布団に横たわっていた。
「ねえ、累」
「なあに、姉さん?」
「もしもあたしとお母さんに赤ちゃんができたら、どっちを一番目の奥さんにするの?」
「え?」
「ちょっと、そんなのどっちでもいいじゃない! ねえ、累♡」
「よくない! この際だからはっきり決めておきたいの! 累ィ……なんだったら、どっちのオメコが気持ち良かったかで決めてもいいのよ?」
「あら、それだったら累は母さんの方を選んでくれると思うわよ♡ いいのかしら?」
「ふんッ! きついだけで気持ちいいと思ってるんだったらお笑いだわ」
「なんですって!?」
母と姉が女としての熾烈な争いを始める。
と、そこへ業を煮やした累が割って入った。
「二人共、いい加減にしてくれないかな? 折角の家族団欒の時をさ……」
「「ひッ!?」」
「喧嘩するんだったら……喧嘩する口を利けなくなるまで犯しちゃうよ? いいの?」
それは絶え間ない絶頂の連続の先を意味する。
不敵な笑みを浮かべる累に、母蜘蛛と姉蜘蛛の二人は―――。
「「来て、累♡」」
一片の迷いもなく、愛する男を受け入れるのであった。
その後、なんやかんやあって本当に子供ができた時、同じような言い争いに発展したのは、また別の話である。
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鳴女
夜伽の艶めいた声は、人の情欲を煽り立てる。
互いの性感を高め合い、その目合いによって得られる快感を昇華させるものだ。
しかし、人に聞かれるのは憚られる。その喘ぎ声を近所にでも聞かれれば、次の日には得も言われぬ視線を向けられてしまうことだろう。
故に、攻める側も受ける側も声を押し殺して励む訳だ。
「っ……ふ……んっ……」
枕に口を押し当て、必死に声を押し殺す女性。
濡羽色の長髪が艶やかであり、時折窺える小さな唇は紅く染まっている。瞳こそ窺えないが、総じて整っていると言っていい風貌の女性だった。
彼女はじっとりと額に汗を浮かべながら、床の上で小刻みに前後へ揺れていた。
と言うのも、彼女は殿方との性行為の真っ最中であった。
程よく肉づいた尻たぶを掴まれ、ぐっしょりと濡れそぼっている秘裂に肉棒を出し入れされているのだ。
「ふぅー……ふぅー……」
彼女の名は鳴女。琵琶を嗜んでいる女の鬼だ。
鬼とは言え感覚は人並みであり、だからこそゆるやかに背骨を伝うように全身を蝕む快感に身を委ねていた。
まだ彼との目合いへの羞恥心を捨てられていないのか、普段着である着物は着衣したままで、致すことができるように裾を捲り上げ、四つん這いになっている。
これでは秘裂も菊門も丸見えであるが、外から差し込む月明りだけが光源の室内では、淫靡に濡れて輝く下腹部ははっきりと見えない。
だが、ムワリと立ち込める匂いまでは誤魔化せない。
男は鳴女の匂いに興奮を覚えながら、ゆっくり、ゆっくりと秘裂へ肉棒を突き立てる。
このように、欲望に駆られた獣のように激しい抽送ではなく、互いの愛を確かめ合うように緩やかな動きをしているのには理由がある。
とは言えども、大層な理由ではない。ここが平屋で遠慮なく下半身を叩きつけ合えば、肉が震える音と喘ぎ声が隣の部屋に響くからだ。
「あっ……はぁ……んっ」
鳴女も、本当であれば膣肉を掻き回すように激しく動いてもらいたいと考えている。
しかしながら、じわじわと膣肉を掻き分け、最奥をこじ開けられる感覚も悪くはない。堪え切れず漏れてしまう控えめな喘ぎ声が何よりの証拠だ。
「もっと……奥に……」
恐る恐る懇願する。
消え入りそうな声色だ。普段自己主張が薄い彼女の求める姿は、男にしてみれば容易く理性を崩壊させてしまいそうな程に情欲をそそる。
もっと愛したい。出来ることならば、性欲の全てをその体に注ぎたい。
頭の中で暴れ回る性欲を何とか抑え込む彼は、長い深呼吸を経てから、鳴女の腰に手を移す。
彼女の願い通り―――そして彼女が逃れられないように、ムンムンと色香を放つ肉の双丘を己の方へ引き寄せる。
「は、はぁぁあああ……あぁ……!」
膣内に肉棒が押し込まれる感覚に、肺の中の空気全てが押し出されそうになる鳴女が艶やかな声で鳴く。
足はピンと伸び、体内を侵攻する肉棒から逃れようとするも、腰を掴まれてはどうしようもない。
ただただ肉棒を受け入れるしかない鳴女は、ガクガクと震える腕で枕を手繰り寄せ、顔を埋める。
「ふすーっ……ふすーっ……!」
だがしかし、顔を埋めれば埋めるほど彼の匂いが、鼻腔を通じて肺を見たし、体中を犯し尽くしていく。
幸福で脳味噌が蕩けそうだ。快楽と幸せで弛緩した口元はだらしなく開き、彼の枕をダラダラと溢れ出る涎で濡らしてしまっている。
普段のお淑やかそうな風貌からは想像もつかない顔を晒す鳴女。とは言え、長い前髪と枕で隠された顔は早々見えるものではない。
が、
「あ……」
不意に上半身を転がされる。
面と向かい合う二人。依然、鳴女は枕で口元を、前髪で目元を隠したままであるが、息遣いの荒い彼が、そんな彼女の守りの壁を取り除いていく。
「や……いけません……見ては……」
慌てて取り返そうとする鳴女であったが、愛する男に鬼の膂力を発揮する訳もにいかない。
華奢な手で顔を隠すいじらしい抵抗を見せるも、そっと彼の手に掴まれて取り除かれる。
そうして晒されることになった鳴女の顔。
どんな端麗な容姿が佇んでいるかと思えば、
「っ……そんなに凝視されては……醜いですから」
鬼である彼女の最たる特徴は、何といってもこれに尽きた。普通、二つある瞳が一つしかなく、それでいて顔の中央に大きく構えているときた。
鳴女本人も、人から離れた風貌に引け目を覚えているのか、少しでも見られまいと顔を逸らしている。
だが、それがどうした。
男は彼女の頬に優しく手を添えたかと思えば、そのまま顔の向きを正し、唇を重ねたではないか。
カッと見開かれる瞳がこちらを覗く。
間近で見ると一層迫力があるが、困惑する彼女の舌を激しく絡めていれば、瞬く間に大きな瞳が潤んでいく。
「んんっ、ふぅ、んふぅ……!」
淫蕩に歪む瞳。
目は口程に物を言うと言うが、まさしくその通りだ。愛する男との口付けに蕩ける瞳の動きが実に賑やかで、見れば見るほど愛着が湧いてくるものだ。
大きな瞳に見合った長いまつ毛が顔を擽る。そのこそばゆい感覚でさえ、今は愛おしく感じてしまう。
熱い口付けと抱擁を交わす間、お預けを喰らっていた下半身であるが、これまた淫靡な性臭を漂わせていた。
きゅう、と肉棒を締め付ける秘裂からは、これでもかと愛液が滴り落ちており、二人の愛を育む場である布団の布地に染みを広げていく。
菊門も、甘い淫蕩を「もっと」と強請るようにぱくぱく口を開けている。
腰を動かしてこそいないが、男との口付けで感じている鳴女の膣内は激しく拡縮を繰り返しており、愛する彼の子種を欲しがっていた。
きゅっ、きゅっ、と締め付ける膣肉は熱い。まるで溶岩のように肉棒を包み込んでいる。
こんな名器に締め付けられれば、瞬く間に達してしまいそうになるが、彼は果てる寸前に愚息を引き抜いた。
突然膣内が寂しくなった鳴女は、「あ……」と寂しそうな嬌声を上げる。
しかし、彼にはやってみたいことがあった。
徐に立ち上がり、鳴女の眼前に愚息を構える。ビンとそそり立っている肉棒からは、先走った汁と鳴女の愛液で、濃厚な性臭が漂っていた。
それにさえ蕩けるような面持ちを浮かべる鳴女であったが、ビクビクと跳ねるように痙攣する肉棒に察したのか、口での奉仕を始めた。
まずはまとわりついている汁を舐め取る。
甘いような、酸っぱいような、苦いような―――複雑な味わいであるが、彼との愛の営みの結晶と思えば美味とさえ感じた。
彼女のおちょぼ口には些か大きい肉棒であるが、懸命に奉仕を続けていた鳴女は、ゴクリと生唾を呑み込む。
意を決したのか、大きく口を開いた彼女は、その慎ましやかな口には余りある肉棒をしゃぶり始めた。
「んっ、んぶっ、ふぐぅ~……!」
気を抜けば顎が外れてしまいそうになる。
しかし、見上げれば気持ちよさそうに顔を緩めている彼の顔が目に映った。
彼が感じてくれている。それだけでも天にも昇るような気持ちになる鳴女は、一心不乱に肉棒をしゃぶり尽くす。
頭だけでは物足りない。上半身を使い根本まで飲み込む鳴女は、窒息しそうなくらい膨らんでいる亀頭を喉で締め付けては、肉棒にまとわりつく己の涎を吸い尽くすような吸引をしながら頭を後ろへと引いていく。
そうやって奉仕を続けていれば、肉棒が次第に膨らんでいくのが分かる。
絶頂する予兆。鳴女もそれを察したのか、ここ一番の吸引力で肉棒を吸う。
余りの刺激に呻き声を上げる彼が腰を引けば、鳴女の口から肉棒がえげつない音を立てて抜かれた。
次の瞬間、爆ぜるようにして鈴口から白濁液が解き放たれた。
ドバドバと溢れ出る精液は鳴女の顔へと降りかかり、艶めく黒髪、大きな単眼、紅く照る唇、絹のような肌―――全てを穢していく。
「はぁー……はぁー……!」
天を仰ぐ鳴女は、彼の精液が少しでも無駄にならないようにと、犬のような荒い息遣いをしつつ舌を突き出していた。
あっという間に真っ白に染まる顔。単眼込みでも端正だった美貌も、今では精液塗れ。娼婦以下の下品な風貌と化していると言っても過言ではない。
「んっ……」
しかし、恍惚とした表情を浮かべている鳴女は、頬を滴り落ちる精液を舐め取る。舌以外にも付着した精液は、指で掬っては口に運んでを繰り返す。
そうして出来上がる精液便所。彼女の口からは精液の熱気と臭いが立ち上がっている。
品性の欠片もない姿であるが、口を閉じた鳴女は、しっかりと男の愛を舌で転がし、じっくりと味わってから飲み込む。
「けぷっ……ご馳走様でした」
口元を手で隠す鳴女は、軽い曖気を出しながら丁寧に食後の挨拶を告げる。
だが、これで二人の営みが終われるはずもない。
口の中の余韻や、身体の内で渦巻く情欲は収まりついておらず、トロリとした瞳で男に上目遣いを向ける鳴女。そうしている間にも秘裂を指で掻き回している彼女は、よもすれば彼を押し倒してしまいそうですらあった。
これに対し、男が拒絶するはずもない。鳴女が発情しているように、彼もまた収まることをしらない性欲が、一度射精して萎れていた肉棒を怒張させている。
言葉は要らず、視線だけで続行の同意を交わす二人。
すると何を思ったのか、鳴女は布団の上から立ち退き、私物である琵琶を手にとった。
そのまま弦を弾いて音を鳴らせば、途端に景色が移り変わる。上下左右がこんがらがった混沌とした和室のような空間だった。
突然訳も分からない場所に連れて困惑する男であったが、控えめに手を取る鳴女が目で訴える。
彼女の視線を辿れば、広大な空間の一角にポツンと布団が用意されていた。
「ここなら声を出しても平気ですので……」
辛抱堪らない鳴女は、そそくさと男を引き連れて布団の上に立つ。
普段は行為の最中でも着物を脱がない彼女だが、この空間に来た途端、今までの恥じらいが嘘であったかのように着物を乱暴に脱ぎ捨てる。否、恥らいを覚えていないというのは嘘のようだ。羞恥心に加え、とうとう全裸で性行為に挑むことへの極度の緊張と興奮から、彼女の体はガタガタと激しく震えている。着物を脱ぎ捨てる手も、どこかおぼついていない。
普段、落ち着き払った妖艶な佇まいを崩さぬ彼女が、このような初々しい姿を晒している光景を見るのも愚息に響いてしまうものだ。
ギンギンと、すでに臨戦態勢に入った肉棒を構えながら布団へ移動する男。
ようやく着物を脱ぎ終えた鳴女からは、着物の中に籠っていた濃密な女の香りがムワリと漂ってきた。
着痩せする方なのだろう。着物姿からは想像もつかない豊満な肉体が、目の前に堂々と佇んでいる。胸や尻もそうだが、腹回りもなんとも我儘な肉付きか。触らずとも触れた時の柔らかな感触を想像できそうであった。
しっとりと汗ばんでいる極上の女体を前にし、ゴクリと唾を飲む男。
鳴女も息遣いを荒くしながら、じっと彼を見つめている。
「そ、その……お好きになさってください」
妙な沈黙を経てから口を開いた鳴女は、上ずった声を発しながら、ゆっくりと体を布団に横たえ、淫らな汁に塗れた茂みと秘裂を隠そうともせず両脚を開いてみせた。
「貴方になら……何をされても、私にとっては嬉しいですので」
なんと光栄な言葉だろう。
ジーンと感極まる男であったが、間もなくして淫靡な雌の匂いが鼻をついた。
あれは雄を逃がさない肉の花弁。一度中へ誘われれば、二度と逃げることはできない。そうして男は今宵まで彼女と体を重ねてきた。
蜜を味わい、肉を貪り、種を吐き出し―――淫蕩に満ちた日々の中で愛を育んでは、より情熱的な夜を過ごしたものだ。
そして今日、彼女に誘われてこの場に至った。人間の自分には、どう抗っても逃げられない空間に。
それでも心が落ち着いているのは、目の前で愛に飢えている女が心を開いて招待してくれた場だと感じているからだろうか。
誰にも邪魔されない二人だけの空間。
最早遠慮はいらない。
もし殺された時は殺された時だ。悔いが残らないよう彼女の一片までをも味わいつくそうと、男は鳴女に襲い掛かった。
「あっ、はぁあん!! あっ、あっ、あっ!! ああああいいぃぃぃいい……!! ふああ!!?」
前戯も必要ないほど濡れそぼった秘裂に肉棒を突き立てれば、グネグネと身を捩じらせる鳴女が、人目をはばかる必要もなくなった所為か、聞いたこともないような喘ぎ声を上げ始めた。
広大な空間に反響する水音と喘ぎ声。
男も躊躇いなく下半身を打ち付け、熱く蠢く鳴女の膣内を堪能する。打ち付ける度に尻たぶは波打ち、秘裂からは糸を引くように愛液が滴り落ちる。
「もっと!! もっとぉ!!」
吼える鳴女の実った双丘も、淫らに形を変えながら前後に揺れていた。
時折、眼前で揺れる乳房にたまらず男がしゃぶりつき、乳首にこそばゆい感覚を覚えてはギリギリと歯を食い縛る。
必死に快楽を堪える鳴女。それも、全ては溜めに溜めた感覚が解き放たれた瞬間、かつてないほどの多幸感と快楽を得る為である。
口の端から涎を垂らしながら耐える鳴女。だが、涎に気がついた男が口付けを求めてくれば、ついつい応えて舌を絡ませてしまう。
「んんっ!! ぷはぁ!! 気持ちいいです……!! 貴方は……?」
男も感じてくれているか気になる鳴女であったが、当然のように彼は頷いた。
「こんな自分には余りある女性を抱いているのだから」―――と。
その言葉にカァーっと顔を真っ赤に染める鳴女は、恥ずかしそうに顔を手で覆った。が、すぐさま手を引きはがされては、頬や首筋に接吻を落とされる。
張りのある肌はいくら吸っても飽きるものではない。
火照る体からにじみ出る汗の塩気が、激しい目合いで疲弊する体に染み渡る。これで、より長く激しく体を重ねられるという訳だ。
「ふぅー!! ふぅー!! ふぅー……んっ、はぁ!!」
男が接吻に夢中となっている間、息を整えようとしていた鳴女。
だが、突然膣内を掻き分ける動きが激しくなり、堪らず艶めかしい喘ぎ声を上げてしまった。
刻一刻と溢れ出す愛液は、激しい抽送で白く泡立っていく。
それがまた濃密な性臭を辺りにまき散らし、互いの情欲を一層煽り立てていくのだった。グチュリグチュリと粘ついた生々しい音も、今の二人にとっては心地よく聞こえている。
パンッ、パンッ、パンッ!
小気味いい音が延々と響く中、途端に肉を打ち付ける音が早くなる。
パンパンパンパンパンッ!
滝のような汗を流して腰を振る男。
鳴女も、絶え間なく膣肉を掻き分けられる快感に表情を歪ませ、敷布団の布地を引っ張っていた。
「はっ!! はっ!! はぁっ!! んあっ!! あぁ!!」
今にも泣きだしそうな顔の鳴女。
彼女の膣内では、陰嚢の中で生み出される子種を吐き出さんと膨張する肉棒が、ギュウウウと締め付ける雌肉を強引に圧迫していた。
「来て……来てください……私もイキますから……!! 私も、イ……イクぅぅぅううう!!!」
絶頂を迎える鳴女が叫ぶ。
絶叫にも似た喘ぎ声と共に全身の筋肉が収縮すれば、秘裂に挿入されている肉棒も締め付けることとなる。
鬼ともなれば締め付ける力も絶大だ。精液の一滴も逃さぬと言わんばかりに締め付ける膣肉に、男もたまらず白濁液を吐き出した。
「あああああ……!!」
じわりじわりと広がっていく灼熱に、今度は全身が脱力する。
だらしなく弛緩した体は、時折痙攣しては、依然射精を続けている肉棒を搾り取るように締め付けた。
そうして搾り取った精液の量は中々のものであり、鳴女は自身の下腹部に、ふわふわとした熱を覚え、思わず穏やかな笑みを浮かべてしまう。
しかし、すぐさま物足りなさそうな顔を浮かべる男が目に入った為、くすくすと笑いながら告げる。
「好きなだけなさってくれて構いませんから」
妖艶な、それでいて慈愛に満ちた笑みを受け、彼女の膣内で萎んでいた男の肉棒は即刻屹立する。
据え膳食わぬは男の恥だ。
折角好きなだけ音を出せる場所に来たのだから、彼女をもっとアンアン喘がせてやらねば。使命感にも似た考えを抱く彼は、知りうる限りの知識を総動員して、彼女との目合いに全身全霊を尽くす。
パシンッ! パシィン!
「あん! あぁん! ご無体な!」
尻を叩く音が木霊する。
四つん這いにされ、後ろから突かれながら尻たぶを叩かれる鳴女は、少々乱暴な扱いを受けながらも新鮮な感覚に快感を覚えていた。
波打つ尻たぶ。赤く染まった傍から元通りになる豊満な尻は、叩かれる度に菊門をヒクつかせている。
それを目にした男は、何を思ったのか叩くのを止め、鳴女の菊門を指で押し広げ始めた。
これには流石の鳴女も驚くように目を見開く。
「い、いけません! そこは……ひんっ!?」
止める間もなく挿入される指。
未知の感覚に放心状態となる鳴女であったが、彼女の意志に反して菊門はきつく指を締めあげていた。
なんと助平な穴か。尚更興奮する男は、そのまま抽送を続けながら菊門を弄り回す。
膣肉の動きも肉棒を絞り上げる淫靡な動きと化すが、一方で鳴女はあれだけ上げていた艶やかな喘ぎ声を発さなくなっていた。
というのも、
「んふー……!! んふー……!!」
菊門で感じていることを認めたくないのだろう。
当初の言葉とは裏腹に声を押し殺すように、顔を布団に埋めていたのだ。
何と愛らしいのだろう。男は彼女の姿に胸をときめかせ、一層腰の動きを激しくする。
「ふぁ……あ、あぁー!! はああ!! んああ!!」
すると程なくして我慢できなくなった鳴女が絶叫する。
快楽に善がり狂う鳴女は、そのまま容赦のない前と後ろの穴への攻めを受け、間もなくして果てるのであった。
「ん……これは……深いところに……」
続いて二人は布団から離れ、立ったまま密着して、体を絡ませ合っていた。
鳴女が柱に寄りかかった状態で、片脚を持ち上げているところへ、男が肉棒を挿入しているという体位であった。
秘裂から溢れ出る愛液は脚を伝い、床へと滴り落ちていっている。
それほど感じている理由は、密着している状態での抽送であることから、男の肉棒が鳴女の最奥まで掻き分けて入っているからだ。鬼の身でありながら、子宮は子種を欲して疼いている。
「さあ、遠慮なく吐き出して……っ!」
蕩けた顔で懇願すれば、間もなくして男が射精した。
広がる熱に満足するような笑みを湛える鳴女。そんな彼女を見つめていた男は、堪らず唇を重ねようとした。鳴女は拒むことなく唇を受け入れ、愛を確かめ合うようにしっとりとした接吻を繰り返す。
それからも性欲と愛情が入り乱れた行為を続ける二人。
鬼の鳴女とは違い、そろそろ残弾が無くなってきた男は、まだ疼きが収まらない鳴女を満足させるべく、奥の手に出た。
「こ、これは……くひっ!」
恥じらいを隠せない鳴女が上ずった声を上げる。
後ろに座る男に寄りかかっていた彼女は、すっかり蕩け切っていた秘裂にそびえ立つ肉豆を爪弾かれていたのだ。
散々行為を重ねて充血していた肉豆だが、こうしてしっかりと弄られた経験はない。
平行して乳首も捏ねるようにして弄られているが、そんな愛撫とは比較にならないほどに、肉豆への刺激は鮮烈であった。
「んんっ!! はぁっ!! んぐっ!! あぁっ!! ふぁ!! きゃう!!」
時には指の腹を押し付けられ、時にはくりくりとこね回され、時にはピンッと爪で弾かれる。
彼女の体を弦とするならば、発せられる喘ぎ声が爪弾かれた弦の
ふざけた例えであることはともかく、肉豆を弄れば面白いほどに鳴女は喘ぐ。
ギンギンに屹立する肉豆とは裏腹に、鳴女はすっかりと脱力して男にもたれかかっていた。
抵抗する力もなく、肉豆を爪弾かれて音を発するだけの楽器を化した彼女―――とことん鳴かさずにはいられまい。
「ふあああ!!?」
乳房を弄っていた手が、突然秘裂の中へと滑り込む。
潤滑油など必要ないほど濡れそぼった膣肉を掻き回す指。苛烈な動きながらも、しっかりと自分の弱いところを責められる鳴女は、目の前が白黒に明滅するほどの快感に絶叫した。
だが、それだけで男は止まらない。片手で膣肉を蹂躙する間、もう片方の手では徹底的に肉豆を弄ぶのだ。真っ赤に晴れた肉豆が潰れそうなほどに圧迫すれば、弾け飛びそうな快感が雷と化して脳天を突き抜ける。
「あ゛あ゛あ゛っ!! っくぅぅううう!!」
乱れ髪を振り回し、身を捩じらせる鳴女。
彼女が絶頂するのにそう時間はかからなかった―――しかし、
「イク!! イってます!! イってますからぁ!!」
絶頂しても尚男の愛撫は止まらない。
ビリビリと流れ込む快感に、許容量を超えた脳は焼き切れる寸前であった。呼吸さえままならず、悲鳴のような喘ぎ声を上げる鳴女の体は、最早彼女本人でさえ制御できない
「―――あ」
ビクリと体が跳ねる鳴女。突然、彼女の秘裂から愛液とは違う生暖かな液体が噴き出た。
「っ、あああああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っっっ!!!」
広大な空間に轟く獣の雄叫びに似た絶叫。
艶やかな体を弓なりに逸らす彼女の秘裂―――正確に言えば、尿道の方から大量の潮が漏れ出した。
プシャアアアと清々しい音を奏でで噴出する潮は、男の掌に直撃し、みるみるうちに二人の周りに水たまりを作っていく。やっと止まったかと思えば、懲りず肉豆を弄られる快感に、再び間欠泉の如く噴き出る。
「あ……あぁ……あが、あぁ……」
ガクガクと震える鳴女は、潮以外にも涙も流しながら、失神しそうな快感の余韻に浸っていた。
最早汗か潮か分からぬほどに濡れた肉体を晒す彼女は、不意に振り向かされるや否や、唇を奪われる。抵抗することもなく、そのまま舌を絡ませる鳴女は、永遠に続くのではと錯覚する淫蕩の余韻をただただ味わうのだった。
「あ、あの……」
とことん乱れた後、二人はいつもの平屋に戻って来た。
散々淫靡な姿を見せた鳴女も、ここに戻って来た途端恥ずかしくなったのか、どこか挙動不審な姿を見せている。
そんな彼女が頬を染めながら紡ぐ。
「私と致したい時は、その……お声を掛けてください。いつでもあそこへお連れ致しますので……」
先の目合いを思い出し、思わずブルリと震える。
同時に搾り取られ尽くした愚息が瞬く間に元気を取り戻し、痛いくらいに腫れあがってしまうではないか。
我慢できない―――男は詰め寄り、鳴女の手を取る。
流石にさっきの今で頼まれるとは思っていなかったのか、目を見開く鳴女だが、艶の出ている唇を歪ませるようにして微笑んだ。
「承知致しました……では、参りましょうか」
じゅん。
想像するだけで秘部が濡れてしまう感覚を覚えながら、鳴女は喜びに弾みながら琵琶を掻き鳴らした。
やがて彼女の生み出す空間が、愛し合う人と鬼の待合茶屋的な場所として使われるようになったとかならなかったとか。
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