おっさんモニカミリン (MISUTO)
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おっさんモニカミリン
「今日はお茶会に誘って頂いて感謝する」
「気にするな。俺様もただ好意で集めたわけじゃない」
「と申しますと、拙者達は目的があって集められたと?」
「そういうことだ」
腕を組んで頷く少女。
とある騎空艇の部屋の一室。
そこにカリオストロ、モニカ、ミリンという名の3人の美少女がお茶会のために集まっていた。
全員金髪ロングヘアーの少女で服装や体つき等の違いはあるものの、ここに男がいれば黙ってはいないだろう。
ちなみにお茶会の主催者はカリオストロである。
「ところで些か気になってたのだが……カリオストロ殿は何故水着なんだ?」
紅茶の入ったティーカップに口をつけつつ、モニカが聞いてくる。
「ふっ、俺様の可愛さを余すところなく見せるにはやっぱり水着でしょ☆……と言えればよかったんだがなぁ……」
カリオストロは一瞬ニコと笑い、ぶりっ子ような仕草でかわいさアピールしたが、すぐに顔を下げてため息を吐いた。
そんな様子の彼女にモニカは何かに納得するように頷く。
「……ふむ、そういうことか」
ミリンはモニカの言葉に反応して口を開く。
「なにやらモニカ殿は察したご様子ですが、何かお分かりになり申してござるか?」
「いやなに、私も女性だ。それに秩序の騎空団副団長としては毎日の身だしなみを整えるわけで鏡も当然使うわけだが……」
「ござる?」
ミリンはいまいち状況を把握できず首を傾げる。
「ま、見ちまった方が早いだろ。そこに3人は余裕で写せる姿見がある。二人ともそこに立ってくれ」
カリオストロは考えるより早いというように立ち上がり、二人にも席から立つように促す。
それから布の被った大きなものの前に二人を立たせた後、カリオストロは布を全て取り外し、文字通り3人は余裕で全身を映す姿見が現れた。
カリオストロが錬金術でちょちょいと用意した者である。
「こ、これはっ!?」
その姿見に3人が写った時、最初に声を上げたはミリンだった。
「分かったか? 呼ばれた理由がよ」
「はい、でござる……」
カリオストロの問いにミリンは戸惑いの表情を浮かべながら答えた。
そこにモニカが言葉を付け加えてくる。
「私はある程度分かってたつもりだが、実際こう見ると驚きだな」
そして3人は――。
「あぁ、俺達は」
「私達は」
「拙者達は」
『似すぎてる』
声を重ねて言った。
姿見に写った3人の同じといっても過言じゃないくらい似ていた。
そんな状況にカリオストロは苦虫を噛むように言ってくる。
「体つきと瞳の色についてはまったく違うが、顔つきとか髪の雰囲気が似すぎだろ」
「たしかに、髪を解いてみるとそれがよりハッキリするな」
モニカもツインテ―ルを解いてから改めて見つつ、言う。
「……今まで気づかなかったでござるが、いざ意識しだすと自分が3人いるように見えてきたでござる……」
「姉妹でも通じそうだな」
ミリンの言葉に他2人は頷いてくる。
「まったく、唯一にして最高のかわいいを追求してきたってのに他にドッペルゲンガーが居たっつーのは最高に悪い冗談だな」
「お、怒ってるでござるか?」
「当たり前だ!」
ミリンはびくっと体を震わすが、怒り口調のカリオストロはあっと気まずい表情になる。
「あー勘違いするなよ? 同じ顔のお前らにじゃねぇ。同じ顔を生み出した運命の神にって奴だよ」
ミリンと違い、流石の貫禄という感じでモニカは冷静に告げる。
「ま、落ち込んでいても仕方あるまい。せっかくのお茶会だ、お茶と菓子を楽しみつつ慰め合おうではないか」
「……そうだな、モニカの言う通りだ」
モニカの言葉にカリオストロはすぐにどうこう出来ることでないと悟り、彼女に同意する。
それから軽く握りこぶしを作って、力強く宣言する
「だがいつか必ず誰も追及出来ない究極のかわいさっての完成させてやるぜ!」
「うむ、その意気だ」
モニカは柔和な笑みを浮かべて頷いた。
そして決意を胸にカリオストロは部屋の外に出る扉に向かいつつ2人に言う。
「つーわけで、ちといつもの服に着替えてくるわ。水着のままでお茶会ってわけにもいかねぇしな。ミリンもいつまでも固まってないで、くつろげよ」
「か、かたじけないでござる」
カリオストロの怒気に当てられて半金縛り状態だったミリンは舌足らずながら答えた。
そうして少ししてカリオストロは普通の服装に着替えて戻り、お茶会は始まった。
普段ではない組み合わせのお茶会に話は弾み、3人はとても楽しんだ。
しかしながら同時に同じ顔が3つという事実が小さな針として3人の心にちくりと突き刺さった。
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