この素晴らしき世界とリュウソウジャーに祝福を! (クロスオーバーマスター)
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第一話 この若きリュウソウ族に転生を!
遂にハーメルンに投稿したクロスオーバーマスターです。ちょっとした思いつきの作品ですが良かったら読んでください!
6500万年前…
ドカアアンッ!ドカアアンッ!
「「「うおおおっ!!」」」
かつてまだ地球に恐竜が生息していた時代。だがこの世界の恐竜時代にはとある二つの種族が戦いを続けていた。
タンクジョウ「うわははっ!!船は破壊した!」
ガチレウス「地球と共に運命を共にするがいい!」
骸骨に戦艦のような鎧を着せたような怪人達、それも山をも簡単に蹴り飛ばせる程の巨体の怪人だった。
「ガオオオオンッ!!」
ガチレウス「むっ!?」
すると凄まじい地響きを立てて、鎧を身に纏い、怪人達とも負けず劣らずの巨体を誇る恐竜のような生き物が二体の蛇のような生き物を従えて突進してくる。
ガチャガチャッ!
「ウオオオオッ!!」
ドガガガガッ!
タンクジョウ・ガチレウス「「うおおおっ!?」」
その恐竜はなんと人型へと変形し、業火と剣撃で怪人達を薙ぎ払った。こんな凄まじい争いより離れた場所…
???「はあっ…はあっ…はあっ…。」
???「ううっ!?」
???「怖い…!?」
13歳位の少年と手を引かれて9歳位の二人の少女が燃え盛る森を駆けていた。だが、
ヒュルルルッ!
ドカアアンッ!!
???「うわああっ!?」
「「きゃああっ!?」」
空から降り注ぐ隕石が無情にも彼を吹き飛ばした。三人の幼い命を奪うにはあまりにもむごたらしかった…。
エリス「目覚めなさい。バロさん…。」
バロ「うっ…はっ!?ここは!?」
目覚めるとそこは何処かの神殿のようだった。そしてこの少年はバロと言うようだ。
バロ「ここは!?恐竜達や皆は!?」
エリス「落ち着いてください。あなたは死んだのです。」
バロ「え…。」
自分が死んだことに実感が湧かないのも無理もない。何故なら死んだと言うのに何故こんなところにいるのか分からなかったのだ。
バロ「死んだって…僕はまだ…。」
エリス「無理もありませんね。最初から説明しますね。まず私の名前はエリス。」
エリスと名乗るこの人物はバロにも理解出来るように話した。
ここは不慮の事故など不幸な死を遂げた人間が来る場所。言わば死後の世界だと言う。何故バロが呼ばれたかと言うとバロがいた世界とは違う異世界で魔王なる存在が暴れていて、それを倒して欲しいと言う。
バロ「そんなことよりも生き返らせて欲しいよ!ここってそう言う世界なんでしょ!?」
エリス「残念ながらあなたの肉体は隕石が衝突した際に完全に消滅してしまいました。そのためあなたを元の世界に送ることは出来ません…。」
バロ「そ…そんな…それじゃあ皆や恐竜は…。」
エリス「恐竜達の方は残念でしたが、あなたの一族は生き残ったようですよ。」
バロ「えっ…そ、そうなんだ…でも僕は生き返らせられないんだよね…。」
安堵するももう戻れないことに再び落ち込むバロ。
エリス「残念ですけどね。でも、その異世界には転生させられますよ?どうします?」
バロ「それは…。」
エリス「その魔王軍はあなた達の一族と戦いを繰り広げた一族と同じくらいの極悪非道な連中ですよ。」
バロ「…!」
それを聞いてバロは目を見開く。
エリス「それに転生する際に何かしら持ち込めますけど…。」
バロ「持ち込める…あ、そう言えば僕の側にいた二人は…?」
バロはここで一緒にいた二人の少女のことを聞く。
エリス「あ、その人達は事情を知った瞬間に喜んで異世界へと転生しましたよ。」
バロ「ええっ!?」
エリス「あなたもまだ若いんですし、どうです?新しい人生、始めてみますか?」
バロ「…分かった…。」
バロも誘惑に負けたのか、それともその二人が心配だったのかそうすることにした。
エリス「では転生させますが、何か持ち込みたい物はありますか?」
バロ「…!それなら僕をリュウソウジャーにして!」
エリス「!?…えっと…はい!何とかしましょう!?」
エリスは慌てて本から何か召喚した。それは恐竜の頭を模した腕時計のような物とこれまた恐竜の頭を模したツカがはめ込まれた剣が出てきた。
バロ「…!遂に僕もリュウソウジャーに…!」
腕時計と剣を受け取ったバロは嬉そうにする。
エリス「えっと…他の肝心な物は実は先に送ったので…。」
バロ「え…もしかして…。」
エリス「はい。実はご想像の通りで…。」
エリスも頬を掻きながら答えた。
エリス「とにかく、異世界へ転生させますね。魔王を打ち倒すために旅立つのです。」
ブウンッ!
バロ「うわっ!?」
魔方陣がバロの足元に出現し、彼の体が沈んでいく。
バロ「ううっ…はっ!?」
目覚めるとそこは見渡す限りの草原だった。
「ゲコッ…。」
バロ「!?」
不意に鳴き声が聞こえ、後ろを振り向くとまるで恐竜のように大きなカエルがいたのだ。
バロ「デカ…。」
バクンッ!
その瞬間、目の前が暗転した。
アクア「いやああぁぁっ!?」
「「「ゲロッ!ゲロッ!」」」
一人の少女が先程の巨大なカエルの大群に追いかけられていた。
カズマ「そのまま…そのまま……今だ!」
めぐみん「エクスプロージョン!!」
ドッガアアアアンッ!!
その途端に凄まじい大爆発が起きて、カエルの大群を一掃した。
アクア「ううっ…ぐすっ…もうイヤよこんなの…。」
逃げ回っていた少女は泣きながら答えた。どうやら囮役を不本意ながら引き受けたようだ。
カズマ「仕方ないだろ。今の俺達にはこれが身の丈にあった戦い方なんだから…。」
この少年カズマは先程の爆発魔法を行っためぐみんと言う少女をおぶりながら答えた。
カズマ「それで…満足したか。」
ダクネス「も、勿論だ!」
一匹のカエルの口からポニーテールに鎧を着た少女が出てくる。彼女はダクネス。こんな目にあったのにとても幸せそうだった。
カズマ「ジャイアントトードのクエストか。これでちょこちょこ稼いでるけど、アクアが全部ダメにするもんなぁ…。」
カズマはため息をついた。彼にはこのパーティー自体に悩みがあった。
アクア「ま、まあ今日は粘液まみれにならずに済んだし…これで…。」
ドバアッ!!
バシャンッ!!
アクア「ぶえっ!?」
だが、一匹のジャイアントトードの腹が切り裂かれ、中から粘液が噴き出してアクアにかかる。
バロ「ううっ…。」
「「「!?」」」
突然のことで驚いたが、そのジャイアントトードの切り裂かれた腹からバロがズルズルと出てきたことに驚いた。
カズマ「おい!?大丈夫か!?」
バロ「君は…?」
この異世界に転生したバロは始めて人に会った。ここから彼らの話が始まるのであった…。
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第二話 この便利ソウルなアイテムを使ってみソウル?を!
そこにいたのはゾンビメーカーではなかった!?そしてアクアがある物を発掘する?
バロ「おおっ…!僕の村よりすごいや…!」
バロは身体中の粘液を落とすためにアクセルの街に来ていた。
バロ「見たことない鎧!リュウソウジャー!?」
「えっ!?」
バロ「あっ!何これ!美味しそう!?」
「っ!?」
鎧や食べ物を見て大興奮が止まらないバロ。
カズマ「とにかくあそこに共有の風呂があるから入ってこいよ!?」
バロ「あ、はい…。」
カズマにどやされ、バロは風呂屋へと向かう。
暫くして…
アクア「それで…あんたはよりにもよってエリスによってこの世界に転生されたってこと?」
バロ「そうです…。」
軽くカズマ達のパーティーと自己紹介していた。
カズマ「で、バロって言ったけ?お前はこの世界でどうするんだよ?」
バロ「とりあえず僕は人を探すよ。」
めぐみん「探すって誰をですか?」
バロ「僕の双子の妹なんだ。先にこの世界に転生してる筈なんだけど…。」
バロの最初の目的はエリスによって先に転生した双子の妹を探すことだった。
カズマ「妹…三人一緒に死んで、俺みたいに転生したのか?どんな仲良し兄妹だよ…。」
バロ「みたい…?もしかしてあなたも…。」
カズマ「ああ、俺はカズマで良いよ。実は俺もお前みたいに転生したんだ。」
バロ「ええっ!?」
自身と同じ境遇の人間に会えて嬉さと驚きで一杯になる。
バロ「ってことは君もリュウソウ族なの!?」
カズマ「は?リュウソウ族?」
バロ「君もリュウソウジャーになれるの!?」
カズマ「な、何のことだよ!?」
バロの思わぬ質問責めにたじろぐカズマ。
めぐみん「私は紅魔族ですが、そんな部族聞いたことありませんね…。」
ダクネス「私も聞いたことがないな…。」
カズマ(元の世界でもそんな部族は聞いたことないな…嘘ついてるともめぐみんのような中二って感じじゃないし…。)
アクア「…ねぇ、カズマ。暫く彼を置いてみたら?」
カズマ「はあっ!?お前何言ってんだよ!?」
突然のアクアの発言に驚くカズマ。
カズマ「只でさえこっちは今日食う飯に困ってて、借金まみれにパーティーメンバーも酷いと来たもんだぞ!?その上更に別の変なメンバーまで加える余裕はない!!」
アクア「でもでも、この人何だか強そうな感じよ!その双子の妹を見つけるまでのお試し期間よ!」
カズマ「あのなぁ…。」
ダクネス「それならアンデッド狩りなんてどうだ?」
ダクネスがクエストを提案してきた。
バロ「アンデッド…何者なんだ?」
ダクネス「生きた屍みたいなモンスターだ。アクアのレベルが低いと前に言ってたがどうだろうか?」
カズマ「う~ん…。」
カズマは悩んだ末に…
バロ「気味が悪いね…。」
アクア「お墓だからね…。」
共同墓地に彼らは来ていた。結局悩んだ末にお試し期間と言うことでバロの了承も得てクエストに来ていた。
カズマ「クリエイトウォーター!ティンダー!」
カズマはインスタントコーヒーの粉を入れたカップに魔法で出した水を入れ、それを魔法の火で熱して即席コーヒーを作る。
めぐみん「初級魔法をそんな風に使う人初めて見ましたよ…。」
バロ「それなんて飲み物?」
カズマ「コーヒーを知らないのか?」
カズマはコーヒーをバロに渡す。
バロ「どれ…っ!?…ぶーーっ!?」
アクア「うわっ!?汚い!?」
一気にコーヒーを飲んだバロはコーヒーを吹き出してしまった。
バロ「苦い!?」
カズマ「そう言う飲み物なんだよ!」
バロ「うへ…ところでさ、そのゾンビメーカーって何なの?」
今回のクエストはゾンビメーカーと取り巻きゾンビ達の討伐だった。
めぐみん「ゾンビメーカーとは死体に乗り移ってゾンビを操る悪霊のことです。」
バロ「死者をそんな風にするなんて…ドルイドンみたいな連中が本当にいるなんて…。」
ダクネス「ドルイドン?」
バロ「僕達リュウソウ族と敵対する一族だよ。」
かつてリュウソウ族と戦闘種族ドルイドンは長きに渡る戦いを繰り広げていた。この世界にはドルイドンらはいないが、達の悪さで言えば魔王軍を始めとする、ゾンビメーカー等のモンスターもバロに取っては負けず劣らずだろう。
カズマ「!来た!何かいるぞ!?」
「「「!」」」
カズマの敵感知スキルで何か感じ取った。その場へ行ってみると…
バロ「あれがゾンビメーカー?」
カズマ「多分な…。」
ゾンビメーカー?「……。」
なだからな丘から覗くとローブを被った何者かが墓地の中央にある魔方陣に立っていて、周りには数体のアンデッドモンスターがいた。
バロ「どうする?」
カズマ「まずはゾンビメーカーを…。」
アクア「ちょっとあんたー!!」
バロ・カズマ「「えっ!?」」
作戦を立てる前にアクアが飛び出し、ゾンビメーカー?目掛けて拳を振り上げる。
ドゴオオンッ!
???「ひっ…。」
そんな悲鳴を出したのは先程のゾンビメーカー?…が今まで被ってたローブが降りて、髪が長く顔色が悪そうな気弱な少女が出したのだ。
バロ「女の子!?」
ボコンッ!キラッ!✨
アクアが地面にめり込んだ拳を引っ張り出すと、そこから何かが掘り出され、一瞬光った。
バロ「あれは!えい!?」
パシッ!
バロはそれをキャッチした。
アクア「リッチーめ!ここで遭ったが運の尽き!成敗してやるわ!」
???「だ、誰ですかあなたは!?」
めぐみん「リッチー…ですか?」
どうやら彼女はゾンビメーカーではなくリッチーらしい。
アクア「このこのこの!」ドスドスドスッ!
アクアは魔方陣を踏んで消そうとしていた。
???「止めて!?それは迷える魂を天に還す物なんです~!?それがないと迷える魂は成仏出来ません!?」
アクア「それなら私がやってあげる!迷える魂なんてこれで一発よ!」
アクアは手をかざすと、
アクア「ターンアンデッド!」キィィンッ!
パアアッ!
アンデッド「「「…!」」」
シュウウウンッ…!
美しい光と共にアンデッド達が成仏していく。
???「え…『スウッ…』はっ!?きゃああっ!?身体が!?消えちゃう!?やめてー!?まだ成仏したくないー!?」
アクア「あははははっ!さあ!愚かなるリッチー!欠片も残さず消滅しなさい!」
カズマ「ま、待てアクア!?」
カズマが慌てて止めようとする。
〈リュウ!ソウ!そう!そう!この感じ!!ノビソウ!ビロ~ン!〉
シュルルッ…バシッ!
アクア「ふぎゃっ!?」
すると何かが伸びてきてアクアの顔に巻き付いた。
カズマ「!?」
バロ「あ…ごめん。」
巻き付いた物はバロの長く伸びた剣の刃だったのだ。
ウィズ「はうっ…ありがとうございます…お陰で助かりました…。」
リッチーと呼ばれていたこの少女はウィズ。ノーライフキングを自称していた。
カズマ「…にしてもあんたはこんなところで何をしてたんだ?」
アクア「カズマそんなのと喋ったらアンデッドがうつるわよ!」
カズマ「バロ、もう一回頼む。」
〈ノビソウ!ビロ~ン!〉
ギュルルルッ…ギチッ!
アクア「ちょっ!?離しなさいよ!?」
またバロの剣が伸びて、アクアをぐるぐる巻きにされる。
ウィズ「ここの共同墓地はロクに供養されずに天に還ることも出来ない魂が毎晩さまよっていて…それで私が定期的に来て天に送っているのですが…。」
バロ「そうだったんだ…ゾンビメーカーは悪い奴だって聞いたけど、全然違うね…。」
ウィズ「ゾンビメーカー…?」
カズマ「俺達ははここにゾンビメーカーの討伐のクエストで来たんだ。」
結局いたのはウィズとアンデッド達だけでゾンビメーカーらしきモンスターはいなかった。
ウィズ「多分、私の魔力に死体が反応したのかも…それでゾンビメーカーと間違えられたのかも…。」
バロ「確かに僕達も最初はゾンビメーカーと思ってたし…。」
ウィズ「私としてはここの魂達が天に還すことが出来れば、ここには来ないんですけども…。」
結局、魔方陣を壊したこともあって不本意ながらアクアがウィズの代わりにアンデッドやさ迷う魂達を浄化することとなった。
カズマ「…で、お前のその剣は何なんだよ。」
めぐみん「魔剣等は色々噂で聞きますが、そんな刃が伸びたりする剣は初めて聞きましたよ。」
カズマ達は共同墓地からアクセルの街へと帰って来て、バロの持つ剣のことを聞いてきた。
バロ「これは僕達リュウソウ族に伝わるリュウソウケン。これを持っている人はリュウソウジャーになれるんだよ。」
カズマ「そもそも何だそのリュウソウジャーってのは…職業か何かか?」
バロ「僕達リュウソウ族の憧れの人達のことだよ!」
バロはキラキラした眼差しでカズマを見る。
カズマ「そ、そうか…。」
アクア「ところで伸びる剣のことなんだけど…。」
バロ「ああ、それ。アクアがこれを見つけてくれたお陰だよ!」
バロの手には恐竜の頭を模した鍵のような物を見せる。
ダクネス「何だこれは…。」
バロ「これはリュウソウル。騎士竜の力が込められた結晶体だよ。」
めぐみん「キシリュウ…?とは何者ですか?」
バロ「騎士竜って言うのは鎧で武装した恐竜達のことだよ。」
カズマ「ぶっ!?きょ、恐竜…?」
思わぬ発言に吹き出すカズマ。
めぐみん「恐竜とは何ですか?モンスターの一種か何かですか?」
カズマ「おま、恐竜って…まあ、確かにモンスターみたいな物だけど…。」
ダクネス「知っているのか?ってことはカズマの国のモンスターなのか?」
恐竜を知らない二人はそれが何なのか分からず首を傾げる。
カズマ「おい、アクア。こいつ嘘を言ってるようには見えんがこいつは一体…?」
アクア「さっきエリスに確認したけど、この人はどうやらあんたが元いた世界とは違う世界の人間みたいなの。」
カズマ「そうなのか?」
アクア「前に言ったけど、結構色々な異世界から呼び寄せてるからこんな人も満更少なくもないのよ。それくらいここの人口不足には悩まされているのよねぇ…。」
実はアクアも元々はエリスと共に死んだ人間をこの世界に転生させていた。アクアはカズマがこの世界に道連れする形でここに呼び寄せたのだ。
そもそもこの世界に人々を転生させているのは魔王軍の侵攻で人口不足が問題になっていて、かなりひっきりなしになっている状態なのだ。
カズマ「じゃあ恐竜と一緒にいる奴が転生してもおかしくないってことか…。」
アクア「そう言うことよ…。」
カズマ「にしても…バロ。そのリュウソウルってのは刃を伸ばすだけなのか?刃が伸びるだけじゃそこまで長所とは…。」
カズマはこれまでの経験からか、どうにもバロの力を不信がる。
バロ「いや、リュウソウルはノビソウルだけじゃないよ。他にもたくさんある筈だけど…。」
カズマ「ノビソウル…伸びそう…まんまだな。」
めぐみん「そのリュウソウルってのはそもそも何処にあるんですか…見た感じだとアイテムみたいですが…。」
バロ「基本は…地面や岩とかに埋まってるけど…。」
ダクネス「そうか。あの時アクアが地面をパンチしたところに偶然そのリュウソウルがあったんだな。」
バロ「そう言うこと!だからリュウソウルは地面や岩とかを探せば…。」
めぐみん「エクスプロージョン!」カッ!!
ドッガアアアアンッ!!
めぐみんが突然、爆裂魔法で目の前の地面を吹き飛ばした。
バロ「…!す…すっごーい!何今の!?」
カズマ「こいつお得意の魔法、爆裂魔法だ。強力だがこいつは1日に一発しか撃てん。おまけに撃った後はエネルギー切れで動けなくなる。他の魔法も使えんこともないがこいつは爆裂魔法しか使おうとしない奴でな…。」
カズマの言った通りめぐみんはその場に横たわっていた。
カズマ「で、何でいきなり爆裂魔法を放った?」
めぐみん「ふふふっ…私の爆裂魔法なら大地を撃ち砕くことなど容易いことです…それに1日1回は爆裂魔法を撃たないと…。」
カズマ「あのなぁ…無闇やたらにそのリュウソウルが埋まってる訳が…。」
ジャイアントトード「ゲコッ!」
カズマ「げっ!?ジャイアントトード!?」
アクア「嘘!?何で!?」
彼らの前にジャイアントトードが現れた。
カズマ「まさかさっきの爆裂魔法で!?」
ダクネス「こ、ここは私に任せろ!また粘液まみれに…!」
ダクネスは嬉々としてジャイアントトードの攻撃を受けようとした。ジャイアントトードが舌をダクネスに伸ばそうとする。
〈リュウ!ソウ!そう!そう!この感じ!ハヤソウ~!ビュ~ンッ!〉
シュバババッ!
ダクネス「なっ!?」
カズマ「うおっ!?」
だが、突然ダクネスがつむじ風と共に消えた。
バロ「危なかったねダクネス!」
アクア「えっ!?バロ!?動きが見えなかったわ!?」
バロ「めぐみんが地面を抉った地面の中に、ハヤソウルを見つけたんだ!」
バロの手にはハヤソウルが握られていた。
めぐみん「ど、どうです私の実力は!」
カズマ「本当にあったのか…てか、こいつひょっとして…。」
カズマはバロを見てある可能性を見出だした。
カズマ(ひょっとして…こんなことあんま言わないが…アクアの言うとおり、バロがいたらウチは安泰じゃないか…?)
ジャイアントトード「ゲコッ!」シュバッ!
ジャイアントトードの舌が今度は倒れてるめぐみんを狙う。
バロ「めぐみん!ノビソウル!」
〈ノビソウ!ビロ~ンッ!〉
シュルルッ…パシッ!
めぐみん「おう…ありがとうございます…。」
間一髪、舌からめぐみんを助けたバロ。
カズマ(いや…安泰どころかお駄賃まで来ちゃうかも!これは…バロさん、ウチのパーティーにいらっしゃ~い!!)
カズマは今この時バロがパーティーに入って欲しいと心の中でほくそ笑んだのだった。
バロの仲間入りを強く願うカズマ達一行。だが、そこにデュラハンが攻め込んでくる!…のはまだ良い方!?
なんとデュラハンの他にも何かが攻め込んでくる!
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第三話 この首無し騎士と進撃の騎士竜に会合を!?
そしてアクセルの街にデストロイヤーもどきが接近していた!!
アクア「何でたったのこれっぽっちなのよー!?」
ある日のギルド。アクアの慟哭とも取れる声が響いていた。
アクア「私キャベツ沢山捕ったわよ!?なのに何で!?」
受付嬢「すみません…アクアさんが捕まえたのがほとんどがレタスだったので…。」
バロ「……何の話…。」
カズマ「お前の世界にキャベツがあるかどうか知らないが…。」
先日、バロがこの世界に転生する前に、空飛ぶキャベツの大群を捕まえる緊急クエストがあった。とても美味しいらしく、冒険者一同こぞってそれを捕まえたのだと言う。
もちろんカズマ達もキャベツの捕獲に参加し、報酬を受け取ってたのだが、アクアの捕獲したのがほとんどがキャベツではなくレタスだったと言う。
アクア「ねぇ~カズマさん、ちょっとご相談が…。」
カズマ「貸さねぇぞ。」
アクア「お願い!?今回の報酬を当てにして酒場にツケしたんです!?」
アクアは土下座して懇願をする。
バロ「何やってんのさ…捕らぬ狸の皮算用って言葉知らないの?」
カズマ「言われてるぞ。」
アクア「こ…こうなったらクエストを…って、何で高難度のクエストばっかしかないのよ!?」
クエストボードには出来そうな依頼等がなく、かなり難しそうな物が多かったのだ。
受付嬢「実はこの街の近くに魔王の幹部が住み着いたみたいで…その影響からか弱いモンスター達は全て隠れてしまって…討伐団が来るまでは高難度のお仕事しか…。」
アクア「な、な、な…!?」
めぐみん「と言う訳で二人には付き合ってもらいますよ。」
めぐみんはカズマとバロを連れて平原に来ていた。
バロ「爆裂魔法を撃つのに僕達まで行く必要あるかな?」
カズマ「バロだけでも良さそうなのにな…。」
アクアはツケを払うためにバイト、ダクネスは一時帰郷していた。暫くして…
バロ「ん、あれは?」
古城だろうか、崖の上にそれなりに大きな城が立っていた。
めぐみん「廃城ですかね…あれを目標にしましょう!」
カズマ「え、マジで?」
バロ「あんな大きな城まで壊せるの?」
めぐみん「出来ますとも!さあ我が力を思い知れ!エクスプロージョン!」カッ!
ドッカアアアアンッ!!
爆炎が城を包み込む。
バロ「すごいねいつも…。」
カズマ「確かに演出と破壊力はさすがだな…。」
こうしてカズマとバロはめぐみんの爆裂魔法発散に付き合っていた。
ドッカアアアアンッ!!
バロ「う~ん、今日はイマイチ?」
めぐみん「確かに少し不調でしたね…。」
またある日
ドッカアアアアンッ!!
カズマ「お、今日は良いな。」
めぐみん「絶好調です…。」
二人は付き合う内にめぐみんの爆裂魔法の良し悪しが分かるようになっていた。
バロ「昨日のは良かったねー。」
カズマ「ああ、ズズン!と骨身に染みる衝撃波が結構良いよな。」
めぐみん「そうでしょそうでしょ?二人も爆裂道と言うのが分かってきましたね!」
意外と楽しくなり、一緒に付き合って遊ぶ友人のように和気藹々と会話する三人。
めぐみん「しかし、あれだけ爆裂魔法を撃ち込んだのに城が全く崩れないんですよね…。」
バロ「確かにあれだけやって壊れないなんて、ボロボロな割には頑丈だよねー。」
ターゲットにしていたあの城が全く壊れないことが唯一の疑問だった。
『緊急!緊急!全冒険者は装備を整え正門前に集合してください!』
突然緊急召集に慌ただしく冒険者一同が正門前に集まる。
「マジかよ!?魔王の幹部が来たんだと!?」
「何でこの街に!?」
正門前に来ていた冒険者が口々にそう唱える。魔王の幹部が来たと。そこには…
デュラハン「……。」
正門には騎士がいた。頭がない馬に跨がった首の無い漆黒の騎士がいた。
バロ「あれが魔王の幹部…。」
ダクネス「あれはまさかデュラハン!?強力な力を持つアンデッドモンスターの…。」
カズマ「そんな奴が何でこんな所に…。」
デュラハン「貴様らに問う。」
デュラハンが静かに重量感のある声を出す。それにより緊張した空気が張り詰める。よく見ると右手には兜を被った頭が抱えられていた。
デュラハン「毎日毎日、俺の城に爆裂魔法を撃ち込んでくる大馬鹿は誰だぁー!!」
「「「ーーー」」」
カズマ、めぐみん、バロは硬直した。
デュラハン「貴様らー!俺はここに調査しに来ただけなのに城に爆裂魔法を撃ち込みやがって!?耳鳴りも酷いし!食事も喉を通らん!俺は魔王の幹部だが、一体これはどういうつもりだーー!?」
デュラハンはうんざりした口調で怒鳴り散らす。状況を説明する辺り、余程我慢ならなかったのだろう。
バロ「まさかあの城って…。」
「「「爆裂魔法…。」」」
爆裂魔法は上級魔法で、このアクセルの街は駆け出し・初心者冒険者達の街なので、そんな上級魔法はそうそう見られない。ただ一人を除いて…。
めぐみん「……。」(・・;)
めぐみんしかいないのだ。爆裂魔法を扱えるのは…
めぐみん「そう!これもあなたを誘き寄せるための作戦だったのです!」
バロ「そうだったの…!?」
カズマ「嘘つけ。」
苦し紛れの嘘をつくめぐみん。バロはまんまと騙された。
めぐみん「私は紅魔族随一の魔法使い!めぐみんです!」
デュラハン「そうか…あのイカれた魔法使いの…おい、今回は警告に来ただけだ。こっちとしては何もちょっかい出さなければ何もせん。もう爆裂魔法を撃つなよ!」
めぐみん「嫌です。紅魔族は1日に1回爆裂魔法を撃たないと死んでしまいます。」
バロ「そうなの!?じゃあ早く撃たないと!?」
デュラハン「嘘つけ!?そんなの初めて聞いたぞ!それとそこのお前も簡単に騙されるな!?」
魔王の幹部と鉢合わせているのに何だか緊張感のない会話が流れる。
デュラハン「おのれ…気が変わった!そこの紅魔族の娘!報いを受けるがいい!?」ビッ!
デュラハンは指先から黒い光を放つ。
ダクネス「危ないめぐみん!?」
めぐみんを庇ってダクネスが前に出る。
バシュンッ!
ダクネス「ううっ!?」
バロ「ダクネス!?」
ダクネス「っ…何ともない…?」
デュラハン「ふははっ!今はな!そのクルセイダーは1週間後には死ぬ!そう言う呪いをかけたのだ!」
なんとダクネスはデュラハンに呪いをかけられたのだ。
バロ「こいつ!?ダクネスをよくも!ハヤソウル!」
バロはハヤソウルを使おうとする。
ダクネス「するとお前は私に呪いを解いて欲しくばどんな如何わしい要求でも飲めと言うんだな!?」
デュラハン「え?」
バロ「え?」
ダクネスの思わぬ発言に二人はキョトンとしてしまう。
ダクネス「私は呪いには屈したりは…見てくれ!あのデュラハンの嫌らしい目を!あの目は私を城へと連れ帰り、呪いを解く代わりにハードコア変態プレイをさせる目だ!?」
デュラハン「え…その…。」
バロ「…どうなってるの…?」
カズマ「すみません…ウチのクルセイダーが…。」
ダクネス「囚われの女騎士…何とも燃える…行きたくないが…行ってくる!?」
ダクネスがデュラハン目掛けて駆け出そうとする。
カズマ「バロ!」
〈リュウ!ソウ!そう!そう!この感じ!ノビソウ!ビロ~ン!〉
ギチッ!
ダクネス「うぐっ!?」
リュウソウケンが伸びてダクネスを押さえつける。
デュラハン「と、とにかく呪いを解きたくば、我が城まで来るがいい!配下のアンデッドを蹴散らせたらな!ふははっ!」
デュラハンは頭の無い馬を駆けさせて、高笑いしながら去っていく。
めぐみん「……。」
バロ「ちょ、めぐみん…何処に…。」
めぐみんは一人デュラハンの城へと攻め込もうとしていた。
めぐみん「今回は私の責任です…私が城まで行ってダクネスの呪いを解かせに行きます!」
カズマ「一発撃ったらすぐに殺られるぞ!?」
ダクネス「いや、私も行こう。自分の呪いを解くのに他人に任せては騎士の名折れだ。」
バロ「さっきは凄く嬉しそうだったのに…。」
ダクネス「そ、それは悪かった…。」
ぐうの音も出なくなるダクネスだったが、やる気は本物のようだ。
カズマ「分かったよ…俺も行く。皆で力を合わせれば何とかなるだろうぜ!」
バロ「右に同じ。僕だって行くよ!」
カズマもバロも行く気は満々。後はデュラハンの城に乗り込むだけだ!
アクア「セイクリッド・ブレイクスペル!」キィィンッ!
ダクネス「!?」
いつの間にかアクアがいて、何か魔法をダクネスにかけたのだ。
アクア「これで大丈夫よ!呪いは解いたから!」
なんとデュラハンの呪いをあっさり解いてしまったアクア。
「「「………。」」」
そのことにやる気満々だっためぐみん、ダクネス、カズマ、バロはガックリ肩を落とした。
ーーー早く言えよ…。ーーー
そう言わざるを得ない雰囲気だった。
カズマ「あー…何かどっと疲れたわ…。」
魔王の幹部と会ったこともそうだが、一番はアクアの解呪だった。カズマ達はギルドでぐだぐだしていた。
バロ「まあ、ダクネスの呪いが解呪されて良かったね…。」
めぐみん「そうですね…。」
取り敢えずは一安心だ。後はあの城にちょっかいさえ出さなければ恐らく問題はないはずだ。
『緊急!緊急!全冒険者達はすぐにギルドに集合してください!?デストロイヤー警報です!?』
「「「デストロイヤー!?」」」
デストロイヤー。その言葉を聞いて冒険者達に緊急が走る。
「おいおい!?魔王の幹部の次はデストロイヤーかよ!?」
「そんな馬鹿な!?」
バロ「…?デストロイヤーって…。」
カズマ「俺もよく知らん。何だデストロイヤーって…。」
めぐみん「デストロイヤーと言うのは…。」
めぐみんがデストロイヤーが何であるのかを説明しようとする。
『一部訂正!デストロイヤーではなく、デストロイヤーもどきがアクセルの街に接近中!?』
めぐみん「デストロイヤーもどき?」
ダクネス「どういうことだ…。」
詳細を探ろうと冒険者達が集まってる場所にカズマ一行も近寄る。
受付嬢「先程、偵察をしている冒険者の方から連絡が入り、どうやら皆さんのご存知のデストロイヤーの姿とはかけ離れているそうです。」
「じゃあ、巨大なモンスターでも攻めてきたのか?」
「それだったらデストロイヤーって言うのは大袈裟なんじゃ…。」
受付嬢A「それでも大きさで言えばデストロイヤーにも匹敵します!」
受付嬢B「絵の上手い人がそのデストロイヤーもどきの絵を描いたそうです。」
受付嬢C「それがこれです。」
ボードにそのデストロイヤーもどきの絵が飾られた。
「何だこりゃ…。」
「これモンスターか…?」
「見たこと無いぞ…。」
「ゴーレムみたいだが…飛竜にも見えるぞ。」
「翼は無いけどね…でもこれがデストロイヤーにも匹敵するほどのサイズだとすると…。」
その絵は確かに翼のない飛竜を思わせるようなゴーレムだった。銀色地に黒色の装甲、頭に二本の角が生えているのが特徴的だった。
めぐみん「飛竜にしては奇妙な形態ですね…。」
ダクネス「ゴーレムだからだろうか…。」
カズマ(…何か、あれに似てるな…。)
唯一カズマだけはそのデストロイヤーもどきに何かしらの見覚えがあった。
バロ「これって…。」
めぐみん「?何か知ってるのですか?」
だが、バロはものすごく見覚えがあるようだ。
バロ「あの!これって本当に直接見て描いたんですか!?」
受付嬢C「え?ええ、そうですけど…。」
アクア「ひょっとして…このデストロイヤーもどきのこと…分かるの?」
このデストロイヤーもどきの正体は…?
バロ「間違いない…これは…騎士竜!」
「ガオオオオオオオンッ!!」
ギルドに獣の雄叫びのような物が鳴り響く。騎士竜がアクセルの街に迫っていたのだ!
遂に現れた騎士竜!その攻撃力はデストロイヤーをも上回る!?
冒険者達はこの異世界から来た騎士竜に勝てるのか?そして止める鍵はリュウソウ族のバロとリュウソウル!この騎士竜の目的とは…?
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第四話 この荒ぶる騎士竜に説得を!
「ガオオオオオオオンッ!!」
凄まじい咆哮にギルドが震える。
「お、おい…何だよこの鳴き声は…!?」
「まさかこれがデストロイヤーもどきの…?」
冒険者達は外に出て様子を見ようと再び正門前に続々と集まる。
カズマ「おい、騎士竜って強いのか?」
バロ「強いよ。騎士竜はドルイドン対抗の最終兵器として、恐竜を特殊な鎧で強化、進化させた恐竜だからね…。」
アクア「!見えたわ!あれが…。」
アクアの指差した先には…
騎士竜「ガオオオオオオオンッ!!」
銀色地に黒色の装甲で身を固め、二本の角が生えた恐竜…いや騎士竜がアクセルの街に迫っていた。
「「グエエエエッ!!」」
その側には二体の翼竜のような生き物を従えていた。
「で、でけぇ!?」
「確かにデストロイヤーに匹敵する大きさだぜ!?」
あまりの大きさにすごむ冒険者達。
騎士竜「ガオオオオオオオンッ!!」
騎士竜は雄叫びを挙げながらアクセルの街に突進してくる。
カズマ「いや早い!?」
めぐみん「数分しない内に街に着きますよ!?」
「このまま街に突っ込まさせてたまるか!?」
「撃て撃て!?」
ドガガガガガッ!
魔法や弓矢を騎士竜に向けて撃ち込む。
騎士竜「ガオオオオオオオンッ!!」
だが、騎士竜の硬い身体には矢は蚊が刺したような、魔法はちょっとした博打でしかなかった。
カズマ「ダメだ!?まるで歯が立たないじゃないか!?」
ダクネス「おのれ!この街には手出しさせん!?」
ダクネスは正門から飛び出し、騎士竜に立ち向かおうとする。
カズマ「おい!?ダクネス!?無茶だあんなデカい相手!?」
バロ「踏み潰される!?」
めぐみん「それなら我が爆裂魔法で…。」
アクア「もうダメよ!?早くこの街を出ましょう!?」
カズマ「だああっ!?お前ら少し黙ってろ!?」
パニックになるアクアと魔法を撃とうとするめぐみんに対して怒鳴るカズマ。
カズマ「何か手は…ダメだ!?やっぱりあんな相手に対抗手段なんてあるのか!?まあ、そもそもこの世界には存在しないはずの騎士竜がいるんだからなぁ…!?」
バロ「せめて言葉が通じれば…。」
カズマ「!?言葉が通じるって…あいつら喋れんのか!?」
バロ「え?う、うん…進化して知性を持つようになったから言葉は理解出来るはずだよ…。」
カズマ「それなら…バロ!あいつに話し掛けてこれ以上来ないように説得してくれ!」
バロ「えっ!?わ…分かったよ!?」
バロは慌ててダクネスの前に出る。
「お、おい!?何をする気だ!?」
「危ないー!?」
騎士竜「ガオオオオオオオンッ!!」
騎士竜がダクネスとバロの前まで来た時、
バロ「止まって!?僕はリュウソウ族だ!」
バロはリュウソウケンを突き出して見せる。
騎士竜「!?」
ダクネス「…!止まった!?」
リュウソウケンを見た騎士竜は急に動きを止めた。
騎士竜「……。」
「と、止まった!?」
「どうなってるんだ…。」
「壊れたのか…?」
バロ「き、君はどうしてこの街に来たの?」
騎士竜「ガオオンッ!ガオオンッ!ガオオオオオオオンッ!!」
騎士竜はまるで何か訴えるように吠える。
カズマ「どうだ!?何か分かったか!?」
バロ「どうしよう…さっぱり分かんない…。」
「「「ズコッ!?」」」
苦笑いしながら答えるバロ。だが、少なくともこの騎士竜には確かに話を聞くだけの知性はあるようだ。
めぐみん「しかしこのデストロイヤーもどき…もといこの騎士竜と言うゴーレム?なのでしょうか…?知性を持っているなんて珍しいですね…。」
ゴーレムは基本的に土や機械の塊のため知性は持ち合わせていないが、見た目が同じようなこの騎士竜に知性があることに驚く。
ダクネス「話が通じるのは助かるな…。」
めぐみん「そうですね…デストロイヤーは話が通じるどころの騒ぎではありませんしね…。」
騎士竜「ガオオンッ!ガオオンッ!ガオオオオオオオンッ!!」
カズマ「しかしこれでは…どうすりゃ良いんだ…?」
知性があるものの言葉が通じなければどうしようもない。
ダスト「しかしあんなデストロイヤーもどきに知性があることにも驚いたが、あいつは一体何者なんだ?」キラッ✨
するとダストと言う冒険者の首もとで何かが光った。
カズマ「!?お前それって!?」
ダスト「わっ!?おい!?」
カズマはダストの首に下がっている物を掴んだ。それは恐竜の頭を模した鍵だった。
カズマ「これは!?」
ダスト「え?ああ、この前のダンジョンで見つけたんだ。これがどうかしたのか?」
カズマ「バロ!これ、リュウソウルだろ!?」
カズマがバロにリュウソウルを投げる。
パシッ!
バロ「ありがとう!でも何のリュウソウルだろ?」
バロはリュウソウルをリュウソウケンの恐竜の頭を模したツカの口にリュウソウルを挿入する。
〈リュウ!ソウ!そう!そう!この感じ!コタエソウ!ペラペーラ!〉
キィィンッ!
リュウソウケンから光が溢れ、騎士竜を包み込む。
カルノーガ「拙者カルノーガでござる!折り入ってそこのリュウソウ族の貴殿に相談してきたのでござる!」
「「「喋ったああぁぁっ!?」」」
突然、喋りだした騎士竜カルノーガ。しかも侍口調で饒舌に話すため余計に驚く冒険者達。
バロ「コタエソウルだったんだ…でも、好都合!」
カルノーガ「この様な風変わりな場所でリュウソウ族の者に会えるとは感激でござる!」
カズマ「あのさぁ…カルノーガって言ったか?何たってこの街を壊そうとしたんだ?」
カルノーガ「む?ああ、そのことか拙者はこの近くの平原の遺跡で眠っていたのだが…。」
カズマ「平原…。」
カルノーガ「眠っていた遺跡で凄まじい爆発音と衝撃波が何度も伝わってきて、ロクに眠れなかったのでござる。」
「「「ーーー」」」
またしても固まるカズマ、めぐみん、バロ。
カルノーガ「拙者はドルイドンとの戦いに備えて眠っていたのだが、先程も申したようにその爆発音で目を覚ましてな…。」
バロ「ど、どうしよう…僕達がこの騎士竜の封印を解いたみたい…。」
カズマ「ま、まあ、話が通じただけでもマシだって…また眠って貰おうぜ…。」
カルノーガ「拙者の眠っていた遺跡が壊れてしまったのでてっきりドルイドンの仕業かと思ってな…。」
「「「ーーー」」」
更に固まるカズマ達。遺跡まで壊してしまったようだ。
カルノーガ「目覚めて外に出たら古い城があって、この街から邪悪な気配を感じ取ってドルイドンかと思ってここまで来たのでそうろう。」
バロ「そうか…デュラハンの城の近くにカルノーガの遺跡が…それをめぐみんの爆裂魔法で壊しちゃったんだ…。」
ダクネス「邪悪な気配とは恐らく先程までいたデュラハンのことだろうな。」
アクア「つまり原因はデュラハンだったのね。」
カズマ(それと俺達のせいでもありますけどね…。)
カズマの顔が罪悪感と責任感で引きつっていた。
「しかしこいつどうする…。」
「こんなデカいのがいたらなぁ…。」
ここまで大きな騎士竜がいたらさすがに迷惑だろう。
カズマ「何とかならないかバロ?」
バロ「ん~?」
バロも考えるが名案は思い付かない。
カルノーガ「まあ、取り敢えず邪魔にならないとこにいるでござる。」
カルノーガはそれだけ言うと何処かへと去っていく。
カズマ「何か…これまた呆気なかったな…。」
バロ「僕達のせいだけどね…。」
めぐみん「むう…。」
何とも言えない状況だった。その後…
バロ「また借金した!?」
カズマ「この駄女神が…肩代わりしたくせしてまた…。」
アクアがまた借金をしたらしい。
アクア「だって!?人は沢山食べないと死んじゃうのよ!?」
カズマ「お前は駄女神だろうが!?」
カズマがアクアに怒鳴り付ける。
アクア「だからクエスト行きましょ!ねっ!?」
カズマ「ったく、バロが入ってからまあまあなパーティーになってきたのにこいつが元からパアに…!?」
カズマは頭が痛そうにする。
バロ「苦労してるんだね…。」
カズマ「お前だけだよ、そんなこと言ってくれるのは…。」
カズマは目尻に涙を浮かべる。
カズマ「で、クエストってのが水の浄化?」
アクア「そうよ!私は水を司る一級の女神よ!こんなの楽勝よ!」
カズマ「どうやって浄化すんだよ。」
アクア「水に浸かって半日経てばオッケーよ!」
カズマ「却下!」
アクア「お願い!?手を貸して~!?」
カズマはアクアを見限ろうとする。
アクア「浄化は本当よ!出来るから!?皆は浄化する湖に居るって言うワニ型のモンスターから守ってくれれば良いのよ!?」
カズマ「あ?ああ、それなら…。」
カズマは何か妙案を思い付く。
アクア「あの~…これは…。」
アクアは檻の中に入り、湖に浸かっていた。これがカズマの妙案でこれならモンスターに襲われないと言うことだ。
バロ「あんなんで大丈夫なの?」
カズマ「安心しろ。モンスター捕獲用の檻だ。そう簡単には壊れん。」
取り敢えず檻に入ったままアクアは湖の浄化をする。
めぐみん「何もなくて暇ですね…。」
バロ「Zzz…。」
カズマ「たまには良いだろ。これで報酬貰えたら万々歳だ。」
アクアの浄化が終わるまで暇を持て余す一行。
カズマ「おーい、アクア。大丈夫か?トイレとか行きたかったら言うんだぞー。」
アクア「平気よー、アークプーリストはトイレに行かないし。」
めぐみん「因みに紅魔族もトイレには行きません。」
カズマ「お前らは一昔前のアイドルか。そんなに言うなら日帰りでは帰れないクエスト受けて本当にトイレ行かないかどうか確認してやる。」
めぐみん「止めてください!?」
アクア「ぎゃああっ!?」
バロ「んがっ!?何!?」
アクアの悲鳴が聞こえてきて、湖の方を見てみるとワニ型のモンスター達が檻にかじりついていたのだ。
アクア「助けて~!?お願い!?」
檻の中から助けを求めるアクア。
ダクネス「待ってろ!?今助けに行く『ガブガブッ!』ぐああっ!?///」
バロ「…何かダクネス、自分からワニに食べられに行ってない?」
カズマ「……。」
もはや何も言わないカズマ。
アクア「た、助けて~!?何か檻がミシミシ言ってる~!?」
ダクネス「くっ…屈する訳には…!?///」
カルノーガ「何やってるそうろう…。」
そこへなんとあの騎士竜カルノーガが湖に来た。
バロ「あ、カルノーガ。ちょうど良かった、そこにいる人達を助けてくれる?」
カルノーガ「任せるでそうろう!はああっ!」ブウンッ!
ドパアアンッ!!
「「ぎゃああっ!?」」
カルノーガは長い尻尾で湖にいたモンスターもアクアもダクネスも薙ぎ払ってしまった。
キラッ!✨
バロ「?『パシッ!』…これは…やった!リュウソウルだ!」
カズマ「お、良かったじゃないか。今度は何ソウルだ?」
バロ「今、試すよ。」
バロはそのリュウソウルをリュウソウケンの恐竜の頭を模したツカの口の中に挿入する。
〈リュウ!ソウ!そう!そう!この感じ!チーサソウ!ミニミニッ!〉
シュルルッ!
カズマ「って、ええっ!?」
めぐみん「騎士竜の身体が!?」
なんと騎士竜カルノーガの身体が三分の一までに縮んだのだ。
カルノーガ「おおっ!?か、身体が…縮んだ!?」
バロ「わあっ!これでもう人に迷惑をかけることないよ!」
アクア「……。」
小さくなったカルノーガを尻目にアクアは檻の中で沈黙していた。
次回、あの冒険者がバロとカズマに決闘を申し込む!?
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