淫獄都市ブルース 外伝集 (ハイカラさんかれあ)
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淫獄都市ぶる~ちゅ (魔界都市ブルース×対魔忍アサギ 小ネタ集)

外伝NG集


▼もしも、もときに元々『私』の人格搭載だったら。

 

「その程度かね失望させないでほしいのだが?」

 

腕を抑えて膝をついて腕を抑える、天与の美をもつ男、秋もときは抑えた腕から滴り落ちる赤い雫で大地を僅かだが染めつつあった。

漆黒のコートに身を纏う男はそういって泰然とした姿でもときを見下ろしていた。

クラシカルなその服はさながら映画の世界から抜け出した吸血鬼ドラキュラである。

実際彼は吸血鬼、それもノマドの首魁にして対魔忍の宿敵エドウィン・ブラックであった。

 

「たしかにその美くしさは私でも言葉を失うほどだが、実力はそう大したものではないな」

 

もときの操る妖糸はもときの手によることで鋼さえ断ち切る殺戮の刃と化す。

その神業と言える手先の繊細極まる動きと力によって成り立つのだ。

エドウィン・ブラックは重力を操りその微細な力を阻害して妖糸の動きを狂わせる。

もときの技の天敵ともいえる存在だ。

 

 

無言で糸を振るうもときだが、その糸が敵を切り裂く前に断ち切られる。

 

「いくら顔が良くても所詮は人間、私だけでも十分すぎます」

(Bチクみえてるじゃん痴女か!)

 

糸を断ち切ったのは魔界騎士の異名を持つ美女イングリッドである。

悔しげに唇を噛みしめるもとき。

そしてその護衛のイングリッドももときの不可視といえく極小の妖糸を見切るという恐るべき剣技を誇る。

もときは追い詰められていた。

 

「終わりかね?」

「確かに『僕』の技は通用しないようだ」

 

そういったもときを見て二人は驚愕した。

眼の前の美しい男に劇的な変化が起きたわけではない。

目の前に佇む男は、先程まで戦いを繰り広げていた秋もときに他ならなかった。

だが違う、それまでの秋もときとは明らかに違う。これは誰だ!?

 

「『僕』では確かに敵わないだろう」

 

その声の恐るべき冷たさと、無慈悲極まる人間性(なかみ)

眼の前に居たのは同じ顔を持ちながら春風駘蕩な表情をする男ではなく。

凍りつくような残酷さを持った死の体現であった。

 

「なら今度は見きれるか? 『私』の技を」

 

そういって先ほどと同じように糸を振るうもときに意識を再び戦闘用に切り替えたイングリッドは先程と同じように糸を両断しようとした。

―――斬れない。 

その目が驚愕で見開かれた。

先程まで容易く切断された糸が今度はしなやかにこちらの斬撃を弾いたのだ。

そして腕を斬られたイングリッドはこの腕に負った傷の箇所が先程もときを斬り裂いた箇所と寸分違わず同じことに気づき戦慄した。

 

「不運だな二人共」

 

そう、彼こそは、魔人・秋もとき。

人知を超えた術や技を使う恐るべき魔人たちですら絶対に敵に回してはいけないとされた人間。

神や悪魔をも真っ二つに裂いて殺す程の技量と残酷さ――美しさを持つ魔界都市の化身である。

 

「お前たちは『私』と出会った」

「――おもしろい、おもしろいぞ秋もとき!」

 

そういい興奮を隠せないエドウィン・ブラック。

ようやく自分が全力を出しそれでも倒せるかわからない強敵の出現にこの上なく滾っていた。

ここに魔人たちの想像を絶する宴が今始まる。

 

ボツ理由『インフレしすぎてさくらとか他の対魔忍が話にいらなくない?と思ったから』

 

▼もしも、転生したのが黒衣の人探しでなく、白衣の魔界医師だったら。

 

「助けて、誰かお姉ちゃんを助けて!」

 

そう叫ぶ少女の足は裂け、抱えている姉らしき女性は白を通り越して土気色で死神の手にその魂が渡るのは時間の問題であった。

 

「ブヒヒッ、お嬢ちゃんよ! こんなところに来たらどうなるかわかんねのかよぉ」

「俺達みたいに、悪い大人にあーんなことやこーんなことされちまうんだぜぇ!」

 

少女達には親はいない、もはやこの世に姉と二人だけの家族だ。

事故でなくなった両親は二人に生涯働かずに数回暮らせる程の財産を残して逝った。

二人は悲しみに沈んだが、お互いに支え合って生きようと強く決心した。

 

だがそこからが不幸の始まりであった。

莫大な遺産を自分のものにしようと親類達がイナゴのようにたかりに来たのだ。

自分たちが生きる分だけ必要なお金があればそれでいいと思ってた姉妹は。

それで平穏になるならと、生きるのに最低限のお金だけ確保して後は好きにさせた。

 

しかし人の欲には限りがない。

自分達では稼げない金を稼いだ肉親へのコンプレックスを晴らすためかもしれない。

虐待じみた養育すら我慢しつづける健気な姉妹を『こちら』と『魔界』を繋ぐゲートを通じて流れ込んだ、魔界由来の毒を用いて殺害して最初に比べて激減した少女二人の財産すら全て物にしようとしたのだ。

 

妹を庇い毒を飲んだ姉を助けるために妹はすべてを投げ出し家を出た。

魔界の毒は普通の病院では治せない。

東京キングダムにはあらゆる病を治せる名医がいるという都市伝説がある。

――曰く死者の蘇生さえ可能にするらしい。

そんな眉唾な話だが姉を助けるためにそんな噂にすがるしか少女に選択肢はなかった。

そして街に入った途端にオークたちに目をつけられ弄ぶように必死の鬼ごっこを始めることになった。

オークたちの悪趣味な遊びから逃げ続け、ついに力尽きたのか少女が転んでそのまま立ち上がれなくなる。

 

「お願い、お姉ちゃんを、お姉ちゃんを!」

「知ったことねえな、穴だけ使ったあとのことはオレたちの管轄外だ!」

「―――――――急患か、私の助けはいるかね?」

 

瞬間、世界が静止する。

白いケープを身に纏ったその男は、無感情にそんな事を言った。

見た瞬間に答えの解る数学の方程式をこれから解こうとするような、無聊な態度。

北の果ての海に浮かぶ氷塊を球状にして眼窩に嵌めた様な、鋭く冷たい澄んだ瞳。

垂直に伸びた鼻梁、一文字に結ばれた唇。薄く伸びた眉。

その輝きは太陽さえも恥じて、雲ひとつない真夏の日差しさえも薄暗い豆電球のように感じる。

 

「ど、ド、クター……メフィスト…」

 

オーク達が戦慄する。 眼の前の存在の美しさ、その恐ろしさに。

東京キングダムに生けるものすべてにとっての不文律。

曰く、白い医師とその患者に手を出すな。

この背徳の街における生と死を司る魔人、ドクターメフィストその人であった。

 

「あ、あなたが、ドクターメフィスト……お願いお姉ちゃんを、どうか!」

「ふむ、よかろう」

 

そう言うと最高級の白檀すらその辺の枯れ木に見える指を少女の姉に当てる。

そして驚くべきことにその指がまるで液体に入れるかのように体に沈んでいくではないか!

少女の姉の顔色が土気色からだんだん赤みを帯びて、呼吸も正常へと戻っていく。

 

「応急処置は完了した、あとは我が病院で治療を受けたまえ」

 

そういうと少女の姉を抱えて、メフィストは立ち上がった。

気がつけば少女が負った足の傷もいつの間にか消えていた。

そのあまりの神々しさに少女は神の奇跡を目撃した預言者の如き眼差しを送った。

 

 

「そこまでだよ!」

 

そして目を向けると、いかにも成金趣味といった服装をする男女達数名が銃を持った人間を引き連れていた。

 

「おばさん……」

 

少女はキッとその先頭に立っている化粧の濃い中年女性をにらみつける。

自分と姉を虐待して毒を盛った憎んでも憎みきれない養母である。

 

「とっととくたばっちまった方がよかったのに悪運の強い子だよ」

 

そういうと少女に銃を向けさせる。

 

「この街は治外法権だ、金も力もないあんたじゃ餌になってもしょうがないのさ。この街に来て魔獣に殺されたと死亡届には書いておくよ」

 

欲に塗れた脂肪と金と嫉妬で形成された醜い顔を歪めて笑った。

 

「さあ、やってしまいな!」

「――私の患者に手を出そうというのかね?」

 

そういってメフィストは少女に彼女の姉を預けて前にでた。

 

「おいおい、死んだわあいつら」

「ほう、メフィスト病院に臓器提供ですかやりますね」

「なんでもいいけどよー、相手はドクターメフィストだぜ?」

 

まだいたオークが物見遊山だ、面の皮が厚い連中である。

そうでもなければ東京キングダムの住人はやっていられないのかもしれない。

 

「患者には手を出させんよ、魔界医師の名にかけて」

「ッ、バカめ死にな!」

 

美しさに魂が抜けたような顔をした少女の養母はメフィストの迫力に気圧されたのを振り切るように命令した。

そしてその弾丸は白いケープの美魔人にすべて吸い込まれるように命中した。

 

「……終わりかね?」

 

そういったメフィストの手からジャラジャラと撃ち込まれた弾丸がこぼれ落ちた。

そして手を握ると残った弾丸が同じ質量の黄金に変わる。

 

「我が病院の臨時収入としようか、もっとも黄金錬成は一日しか保たないが」

「な、な、な」

 

あまりにも非常識な光景に少女の親戚一同が絶句する。

 

「返そう」

 

そういうと、手のひらの黄金が弾丸として音速に近い速度で飛んでいった。

バタバタと命中した先から、相手はどんどん倒れていく。

 

「欲の皮の突っ張った連中だ、黄金で死ねるなら満足だろう」

 

まるで科学の実験で予想していた通りの結果がでた科学者のようになんの感慨もなくメフィストは嘯いた。

 

「た、助けて、お金なら、いくらでも払う、だから命だけは!」

「断る」

 

そして生き残った少女の養母の元に歩き出すメフィスト。

 

「私の患者に手を出したものは何人たりとも許しはしないし、何よりも私は金なぞに興味はない」

 

そして少女の養母へと手を伸ばした。

 

「興味があるのはおまえの臓器だ、我が病院には常に新鮮な臓器が不足している。

醜く太った体だが、その臓器で我が病院の患者が何人も助かる」

 

手をかざすと太った女はそのまま動かなくなった。

そして手に嵌めた指輪を振ると、空間が切れ、わずかに砂嵐の画像が流れると人の顔が浮かび上がる。

 

「どうしましたかドクター」

「臓器を手に入れた、スタッフにいって回収させろ、場所は…」

「了解しました」

 

そういって空間に投影された映像通信が切れる。

 

「では、我が病院に行くとしよう」

 

そうメフィストは告げた。

 

ボツ理由『転生者要素が入らない、対魔忍が絡ませられないため』




独立しました


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性春姫その1(魔界都市ブルース×対魔忍ユキカゼ)

学生時代編<性春姫>です戦闘パート増やすと分量が増えすぎてまとめられぬぇー!
そりゃ菊地先生も短編だと敵がヤクザ中心で瞬殺しますよね。
魔界都市ブルース風にすると<性春鬼>のヒロインであるゆきかぜ、凜子の二人死んじゃうんで、終わり方とか考えたら間違いなく長くなるのでしばらくお待ちください。戦闘重視の作風にしたら分量がおかしくなったのでプロローグのみ投稿します。
ちなみに性春姫で「せいしゅんき」と読みます


近未来の日本。

人間達の世界と魔族と呼ばれる魔物が住む魔界が隣あった世界、古に結ばれた人と魔の間での相互不可侵の約定が人の堕落(だらく)により破られ、魔界の住民達が人間界で活動を始めた魔都東京。

両者が結託した企業や犯罪組織の登場によって、時代は混沌(こんとん)と化していった。

しかし闇の勢力に対抗できる者が現れ、いつしか人々は其の者たちを対魔忍と呼んだ。

 

1、

 

月が出ている。 魔都東京キングダムの一角にあるビルは月光の下で影絵(かげえ)のように見えた。

そこに佇む一人の男、闇が生んだような漆黒(しっこく)のコートを着たあどけなさを残す少年。

もしもこの場に画家や彫刻家(ちょうこくか)がいたのなら、その月に照らされた少年の姿を永遠に残そうとすべてを美に捧げるであろう。

たとえ叢雲(むらくも)がなくとも月さえ(かす)美貌(びぼう)を誇る少年の名前は秋もときといった。

 

「おい、秋! 聞こえているのか!?」

「うーん……?」

 

耳につけている無線に答えようとしたが、銃声が雷鳴(らいめい)のように響き渡り通信を遮った。

もときは音を生み出している無骨な人型の金属の(かたまり)へ視線を向けた。

 

強化外骨格(きょうかがいこっかく)

 

陸上自衛隊が開発した純日本製の新世代兵器だ。 

ヘリや戦車に対抗しうる火力を持ち、テクノロジーの(すい)を集めた最新鋭兵器である。

先日盗まれ責任問題が紛糾(ふんきゅう)していたが、どうやらここで使われていたようだ。

 

もときの姿を見つけ銃弾を放った強化外骨格のパイロットは月の光を浴びるもときの姿を改めて見たことで少しの間、陶然(とうぜん)とするがすぐに正気に戻り再び銃口をもときに向けた。

 

爆音と真紅の炎が闇夜に刻まれる。

右手に構えた五十口径自動砲の猛打(もうだ)である。

アスファルトを打つ空薬莢(からやっきょう)(ひび)きを聴きながらパイロットは(うめ)いた。

戦車に匹敵する装甲を持つ強化外骨格の右腕がぱっくり口を開け、鮮血(せんけつ)が溢れた。

五十口径自動砲は半ばから斜めに切断され、右腕と共に残骸(ざんがい)が大地に轟音(ごうおん)を響かせる。

 

あたればその箇所が挽肉(ひきにく)になる威力の五十口径の銃弾の雨を浴びせようと引き金が引かれたはずだが、もときは先程と同じ様に月光に濡れ、神殿の奥で静謐(せいひつ)と佇む偶像のように立ち尽くしていた。

常と変わらぬその姿はあまりの美しさに銃弾さえも意志を持ち、少年を傷つけまいと避けてしまったのだろうか?

 

「化け…物……」

 

そして強化外骨格はパイロットごと頭頂(とうちょう)から股下(またした)にまっぷたつに両断された。

 

「『糸鎧(いとよろい)』」

 

死の刹那(せつな)、彼の目はもときの前に出現した銀色の盾を目撃したかもしれない。

nm(ナノメートル)の妖糸を凝集(ぎょうしゅう)させれば、あらゆる火器を()ね返すチタン(こう)(とりで)()すのだ。

 

「こちら、C班、敵の排除完了しました」

「了解、いきなり持ち場を離れて何やってるんだ。 後で間違いなく説教コースだぞ」

「はーい、でもそっちも無線で名前呼んだから説教コースだね」

 

噂のパワードスーツを見たくて目視できる距離までつい近寄ったら、敵に捕捉されたとはいえないもときである。

 

「先行部隊が目的に接触! 国家機密漏洩罪(こっかきみつろうえいざい)により指名手配犯、元大蔵大臣を処理完了。

現時点をもち作戦行動を終了する。 各自撤収命令のもと即時合流ポイントに集合せよ!」

 

作戦終了の連絡があがり、もときは指揮車に向かって歩き出したが足を止めて空へ視線を向ける。

 

「東南東より急速に接近する生体反応を確認!」

 

その声が通信により伝わる前に、もときは先程うっかり敵に察知されたために警戒して張り巡らせた糸でそれを察知した。

 

そしてもときから十メートルほど離れた位置に『それ』は着地した。

鈍い銀色の兜を被り、同色の鎧を(まと)い身の丈ほど大剣を担いだ中世の騎士然とした巨漢だ。

 

「間違いない魔族だ! 増援が来るまで時間がかかる、その場から離脱しろ!」

「逃してくれそうにないけどね」

 

そうもときがつぶやくと騎士は刃渡り一五〇cmを優に超す大剣をまるで小枝を振り回すかのように軽々と振るった。何と恐るべき膂力(りょりょく)だろうか。

このままではもときの体は大剣によって切り裂かれ、否、切り砕かれ原型を留めないであろうと思われた。

 

しかし兜の下の顔が僅かな驚きに彩られる。

剣を振った先にあるもときの美貌(びぼう)に対してだろうか?

魔族であろうと人間に近い感性があるなら、もときの美を見て何も思わぬ者など存在する筈がないのだから。

否、振り抜いた大剣から肉を斬り、骨を断つ感触が伝わらないのだ。

 

騎士が見るともときは数十メートル先の位置に移動していた。

妖糸を使いスリングショットがゴム紐を弾と一緒につまんで引っ張り打ち出すように自身を撃ち出し移動したのだ。

 

そのまま妖糸をネットのように使い、衝撃(しょうげき)を殺してふわりと着地する。

その動きを契機(けいき)に、チタン妖糸の一本が軽く地面に落下した、刹那(せつな)

地面を張っていた妖糸の全てが無音で跳ね上がり、稲穂に集る飛蝗のように騎士に襲いかかった。

 

そして今度はもときが驚きに目を見張る、上段に構えた大剣をそのまま振り降ろしたのだ。

もときが驚いたのはその凄まじい勢いで振られた大剣がビルを砕く威力をだしたことではなく。自分の糸が断ち切られ、攻撃が無効化されたことに驚愕した。

 

「面白い技を使う、糸か?」

 

転生してから初めて自分の技を初見で見抜く相手がここにいた。

 

「ええ、まぁ」

「我が名はナハトムジーク、名を聞こうか美しい少年」

「秋もとき、Nacht(夜の)Musik(音楽)ですか雅ですね」

 

つい応じて名のってしまったが言う必要なかったなー、と思うもとき。

この手の戦の作法は男のロマンだからしょうがない。

 

「つまらん仕事だと思ったが、お前のようなものがいるからこの仕事はやめられん」

 

見た目と同じくなかなかに古風な価値観をもっているようだ。

もときは僅かなやりとりで相手が技術と身体能力を高いレベルで組み合わせた高位の剣士であると確信した。

明らかに強者である眼の前の騎士姿の男、ナハトムジークに強烈な覇気(はき)が高まるのを感じて戦闘狂というわけでもないもときは内心うんざりした。

もときは好奇心で前線に踏み入ってしまったことを正直後悔したがもう遅い、そのまま戦闘に突入した。

 

ナハトムジークは大剣を、己の手足の如く振っていた。

大きい得物程、振い(づら)く扱いにくいが常識であるが、超常の粋に達した武人にその様な理は通じない。

まるで小枝でも振っているような俊敏さで両手で大剣を振い、もときが繰り出す妖糸を断ち切っていた。

 

もときも負けておらず不可視の糸を大剣を振るう軌道上(きどうじょう)に展開させ、先端が音速を超える(むち)を上回る速度で迫る大剣の軌道を逸らす、余裕があれば切断しようとするなど。

妖糸で行う事が可能な種々様々(しゅしゅさまざま)な防御を行い、(さば)いて行く。

 

もときの妖糸は指先に乗る程度の大きさの糸球で、2万km。

もときはこの大きさの糸球(いとだま)をコートのポケットや裏地のみならず、体内にすら隠し持っている。

手持ちの糸全てなら地球を何周しておつりがくる程の長さを(まか)う事が出来、 いくら斬られても大した問題ではないとはいえ、こうも容易(たやす)く斬られるのは良い気分ではない。

 

一方ナハトムジークも内心舌を巻いていた。自分に届く攻撃を大剣で切り裂いているが、チタン鋼の妖糸をもときは己の身体の周辺にさながら鉄条バリケードの要領(ようりょう)で張り巡らせている。下手な攻撃を仕掛ければ、何が起きるか解ったものではない。

しなやかな盾にして鋭き刃という矛盾を両立する攻防一体の戦闘技術。

ナハトムジークはそう認識していた。

 

常人には何が起っているのかも理解不可能な程の速度と密度で行われている、もときとナハトムジークの攻防の応酬(おうしゅう)

どちらが有利でどちらが不利なのかなど理解するどころか目視することすら不可能であろう。

超人と魔人の闘いの舞は理外の外にあるのだから。

 

しかしどちらが不利かといわれたらそれはもときである。

なにしろ今迄に妖糸がこうまで通用しない相手は初めてで、また長期戦も同様に初めてである。

妖糸を操るのに力はほとんどいらないが、常人なら発狂寸前になる程に追い込まれなければでない領域の集中力が必要だ。

単純に考えるなら大剣を振り回しているナハトムジークの体力の消費が激しいが人間と基本構造が違う魔族では筋力、耐久力など基礎能力が段違いである。

 

もっとも持久戦になれば援軍がくるので凌ぎきればもときが勝つが、それは相手も承知のはず。

そろそろなにか状況を変える為の一手を仕掛けてくる筈だ。

 

そう考えた直後、ナハトムジークの大剣が炎に包まれる。

次に振るわれた斬撃はチタン鋼の妖糸を斬り裂くだけでなく、触れた先から溶かしていった凄まじい高熱だ。

 

「なるほどこれが切り札か」

 

大剣に包まれた炎が剣先に集まり、火球となってこちらには飛んできた。

直撃すれば全身が燃え尽き灰も残るまい、しかし糸を束ねて盾にしても溶かされかねないともときは刹那(せつな)で判断して糸を使い高速回避をする。

それを予測していたのか炎を背に集め爆発させてロケットの様に推進力に変えてもときの退避先に廻り込みナハトムジークは大剣を振り下ろそうとした。

 

「終わりだ…!」

 

しかし炎を宿す騎士の動きがピタリと止まった。

そしてその隙を見過ごさず振るった妖糸の一閃が首を跳ね飛ばした。

その直後に空から降り立ってきた何かが鎧ごと騎士の体を両断した。

 

「遅れたわね」

 

最強の対魔忍と名高い井河アサギである。

 

「もうちょい、早く来れません? 死ぬかと思いました」

「自分で片をつけておいてよくいうわね高位の魔族よ。遠目からみて私でも正直勝てるかどうか怪しいレベルだったわ」

「へぇ」

 

どうやらこの騎士は魔族でも有数の猛者(もさ)だったようだ。

正直ほっとした、このレベルがゴロゴロしているようだったら対魔忍世界で生きていける自信がなくなるところであった。

アサギは勝てるかどうか怪しいとはいうが、話にエロ要素を入れる都合のせいでこの人は実力が結構ブレるのであっさり負けたり、逆にあっさり勝つかもしれないのであんまりそこら辺の情報はあてにならない。

 

「けどどうして途中で攻撃を止めたのかしら、あなた何をしたの?」

 

生半可な攻撃では対応してしまうであろう魔剣士がいきなり攻撃をやめたことに疑問を持ったアサギはもときに尋ねた。

その言葉にもときは微笑(ほほえ)んだ。

アサギの顔が一瞬で紅くなる、なにもしないでも歴戦の対魔忍ですら見惚(みほ)れてしまうもときの美貌(びぼう)で柔らかく笑ったのだ思わず動きが止まってしまった(、、、、、、、、、、、、、、)

 

「こうやって」

「――えっ、なにかしら?」

 

どうやらあまり美の衝撃に脳がフリーズしてしまったらしい。

 

「決め手は顔の差、ですかね。ハンサムに生まれて得しました」

 

そういって、もときは帰還するためアサギに背を向けビルから飛び降りた。




バトルメインの予定でつくりましたが現在は対魔忍RPG時空に入った性春姫です。
過去編の予定がパラレル時空にいっちゃうとは作者でも読めなかった(節穴


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ポルノ13 『淫獄都市ブルース<深者の章 後編2>』(対魔忍アサギ×ゴルゴ13?)

深者の章で出したオーク・東郷の受けが良かったので独立した作品です。




ポルノ

13part1 「あの男に連絡だ!!」

 

「約束の時間だと言うのにまだ来ないとは、時間に正確な男と聞いていたのだが……」

「……もう居る、あんたがこの部屋に入る30分前からな」

「! そうでしたな、依頼人であっても事前の観察は欠かさないのが貴方のルールでした」

「……要件を、聞こうか」

「はい、実は……」

 

ポルノ

13part2 奴の名はポルノ13

 

「なに! 魔界都市ブルース要素が狙われているだと!?」

「はい、確かな情報です。対魔忍アサギと魔界都市ブルースのクロスオーバーとして連載されている淫獄都市ブルースですが、<深者の章>に入ってから対魔忍要素が不足しており、その原因である魔界都市ブルース要素の排除しようとする動きが強まっています」

 

「話には聞いていたがそんな事態に……。しかし魔界都市ブルース要素は歴戦のプロだ、そう簡単にやられるやつじゃない」

「ええ、これはある筋からの情報ですがとんでもない大物が動いているそうです。 ……この男です」

 

「!? ぽ、ポルノ13!!!」

「ええ、生年月日・年齢・国籍・経歴、いずれも不明。 人種がオークと対魔忍のハーフである事しかわかっていない世界を股にかける超A級スナイパーのオーク、東郷です」

 

ポルノ

13part3 突然の銃弾

「対魔忍要素、殺されたはずじゃ!?」

「残念だなぁトリックだよ」

「復讐か、蛇より執念深いお前の考えそうなことだ」

 

「い〜や、ビジネスさ。あんたはやり過ぎたのさ、あんたが生きていると不都合が多いって奴が世の中何人もいるんだよ魔界都市ブルース大佐」

「ふん、随分と俺も嫌われたものだな」

 

「『ある男』があんたを殺そうとしてると聞いて俺もどうしようかと悩んだんだがタイミングよく俺に依頼した奴がいてな、渡りに船ってやつだ」

「『ある男』?」

「俺にとっても都合がいいんで別にタダでもよかったんだが10万ドルをポンとくれたぜ! 

やっぱりあんたを殺す権利は誰にも譲れねぇ!」

 

ズキューン!

 

ザザザザザザ、キィー―。

バタン、バタン。

 

「誰か倒れています、もしや……」

「魔界都市ブルース要素、無事か!?」

「将軍! これはどういうことです?」

 

「こ、これは対魔忍要素の眉間が撃ち抜かれている……、一体どういうことだ!?」

「この周囲は狙撃できるような場所はありません!」

「い、いや、できる場所はある、が。 あ、あそこからはここまで1km以上離れている、大口径の対物ライフルなら可能だが弾痕からみるに小口径、その距離からこんな正確な狙撃など、あ、ありえん不可能だ!?」

 

「……いや、出来る、そんな不可能を可能にする男が、世界に一人だけいる」

「ポルノ13……、だがなぜ奴は魔界都市ブルース要素ではなく対魔忍要素を?」

 

 

ポルノ

13part4 投稿者の恐れ

 

「依頼は対魔忍要素の抹殺です」

「……お前は対魔忍要素の不在を、憂えてる、のではなかったか?」

「ええ確かに対魔忍要素の不在は解決すべき問題です。 いつかは解決すべきことですが 今では不味いタイミングが悪すぎる!」

 

「作劇の都合…か」

「ええ、まだ表だって活躍して貰うのは困るのです、然るべきタイミングでなければ下手をすればR-15からR-18になって運営に処分されてしまうのです」

「………元々18禁ゲームとのクロスオーバーなのに身勝手な話だ」

 

「なんとでも言ってください私には作品を守る義務があるのです、そのためにもYesと言ってくださいミスター東郷!」

「…………入金が確認されしだい仕事に入る」

「おお! それでは……」

「後でこちらから連絡する」

 

ポルノ

13 part5 プロへの賞賛

 

(そうか、あれほど情報に気を配る慎重な男の動きがあっさりバレたのか不思議だったが、狙いは魔界都市ブルース要素でなくそれを狙う俺をおびき出すためだったのか、ポルノ13が動いていると聞いてその前に俺が魔界都市ブルース要素を仕留めようとすることまで読んで、わざと情報を流したんだな。 ふふ、さすがだよポルノ13……、殺人機械といわれていた俺だが…あんたこそ…マシーン……だ)

 

ポルノ

13part6 偽りの代償

 

「ふふふ、これでクトゥルフクロスの作品を作るのに都合の悪い対魔忍要素を排除して新しい作品を築くという私の真の計画が滞りなく進む、ポルノ13様々だな」

 

トゥルルルル

 

「はい、もしもしどちら様?」

「……俺が、依頼人に二度接触することがあるのは、どういう時か知っているな?」

「ぽ、ポルノ13!?」

「俺は依頼内容に偽りがあることを許さない」

「ま、待ってくれ……これには訳」

 

ズキューン!

 

 

ナレーション『淫獄都市ブルース<深者の章>で対魔忍要素が解禁されるのは後編2からだと評論家達に言われていたが現在に至るまでそのような事実は確認されていない』

※以上の資料はイメージです実際の人物像とは異なる場合があります。




本編がこのペースで書けたらなぁ……
外伝のほうが筆が乗って困る


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ポルノ13-依頼成功率99.89%のハーフオークになったけれど、有給ないの?-(対魔忍アサギ×ゴルゴ13?)

『オーク、東郷(自称) ポルノ13(通称)』

生年月日、国籍、経歴はいずれも不明、オークと元対魔忍の娼婦との混血と言われるが憶測の域を出ない、世界を股にかけて活躍するフリーランスの超A級狙撃手である。

通称のポルノ13はポルノように一般的には忌避されるが、裏では世界中どこにでも熱烈な需要があるからといわれている。*1

依頼人が真実を語れば、各国の首脳から財界人、軍人、同業者、犯罪組織、犯罪者、老人、子供まで、階級、人種、性別、職種、思想、宗教を全く問わず依頼を引き受けるが 依頼人に裏切りや嘘が発覚した場合、死の報復へ繋がる。


20ヶ国語以上の言語を自在に操り、様々な武器操作、格闘技、乗り物の操縦はもちろん、
文化・科学・政治・経済・歴史・医学ほかその他諸々に詳しく時にはその分野のプロフェッショナルが舌を巻く知識と技量である。

依頼の過程で知り合ったのか世界中に協力者がおり、自分の習得していない技術や専門知識が必要な場合は協力者に金を出し惜しまず高額の報酬*2を払い協力してもらっている。

様々な分野で天才といえる能力を有しているが最大の特徴は長距離狙撃である。

通常の狙撃では例えば風速4メートルの横風に晒されて重弾丸を発射すると、100m先で2cm、500m先で68cm、1km先なら3mもの偏差が生じる、さらに風の方向、風速、気温や湿度すら火薬の燃焼と空気抵抗に影響するためそれを考慮する精密さが要求される。

ポルノ13は取り回しに優れるが狙撃に向くとは到底言えないM4カービンライフルカスタムを主に使い、軽量で風の影響を受けやすい5.56x45mm NATO弾で500mの最大射程距離内での狙撃を、強風と豪雨が激しい嵐の中であっても、車などで対象が高速移動していても、自身が船などの不安定な位置からだろうと、一度の射撃で同時に別の狙撃対象を撃ち抜くなどの複雑な射撃だろうと、どのような条件下であろうと確実に成功させるという恐るべき技量を持つ。*3



オークと対魔忍のハーフなので非常に高い身体能力を持つが、混血ゆえ魔族としても対魔忍としても半端で並の一流程度に留まり彼を超える人物は多数いる。

しかし対魔忍や魔族の存在により混沌とする裏世界で依頼成功率は驚異の99.89%*4
死神とも称されるその腕は名・実共に世界一である。


『この資料は実在の人物像と違う部分が多々あります』
ーとあるハーフオークー


*1
13は依頼前に寄る娼館が少女専門で13歳ぐらいばかりだからとか、ロリコンは病気です。

*2
依頼の口止め料を含む

*3
それ以上の射程であれば条件に適した銃を躊躇いなく使いこなし確実に成功させるため、特にM4カービンライフルに拘っているわけではない模様。

*4
不発弾による狙撃失敗のみで本人のミスは一切ない

ポルノ

13part1 撃ち込まれた一弾

 

「んほぉぉぉぉっぉぉぉ! だめぇぇぇえぇぇえぇぇ!」

「オラオラ! まだまだ犯りたりねぇぞ対魔忍様よぉ!」

「お前が殺しまくった仲間の分までたっぷり奉仕してもらうからなぁぁ!」

 

女は起伏に富み男なら誰しも目を引いてしまう体に破れた服をかろうじて纏っただけの扇情的な格好のまま、粗暴ないかにもチンピラですといった風貌の男がする乱暴な行為に悲鳴を上げていたが、その顔は明らかに恐怖ではなく快楽による朱色であった。

 

「ふぅ、元気な奴らだ」

 

先ほどまでの激しく腰を動かしてかいた汗を拭い、初老の男はマホガニーの机の前に座った。

肘掛椅子を回転させ部屋一面の窓ガラスからは複数のビルが夕焼けで赤く染まりつつある光景を眺める。

 

「しかし警備が厳重なこのビルを正面突破しようするとはどんな奴かと思えば、話に聞いた対魔忍とはな。 噂には聞いていたがとんでもない強さだ危うく本当に一人で私の首を取られる所だった」

 

そういって、先程までとは違う種類の汗が頬を伝った。

単騎で銃火器で武装した警備の者を文字通り千切っては投げを繰り返して、大部分を壊滅させるとは悪い冗談にしか思えない。

 

「しかし駄目元でしかけてあるガス室の罠にあっさりひっかかって戦闘不能になるとはとんだ猪武者だったな」

 

ガスで麻痺したまま動かせない体をそのまま性処理の道具扱いにされた対魔忍の女を男は嘲った。

 

「しかし、いくら強いとはいえ本当に一人だけで攻めるとは考え辛いです、この女を囮にした陽動作戦か何かでは?」

「こんな化け物みたいに強い女を囮に? 仲間がいるなら一緒に行動するだろう、セオリー通りならヘリか何かで建物の上と下から同時に攻めてくるだろうがここは複数のビルに囲まれて吹く強烈なビル風でヘリさえ近寄れん、下から入るしかないのだ」

 

頭の禿げた中年の秘書が先程までの騒動の恐怖にまだ顔を青くして別の襲撃があるのではないかと怯えていた、太った男はそれを鼻で笑った。

 

「し、しかしでしたらここは窓から中が丸見えです狙撃されたりとか?」

「ここに狙撃? わかってないな君は、いいかね一番近いビルでも数百メートル以上あるのにその距離から狙撃など現実的でないよ」

「は、はい?」

「弾丸は真っ直ぐ飛ぶわけではない。 遠くになればなるほど軌道は重力によって下に沈み、風により横に逸れる。 それを考慮して修正して命中させるのが狙撃だ、私は趣味で猟銃で狩猟をするが数十メートルでもなかなかに当たらん。 百メートル以上など訓練した人間でも命中させるのが難しいしさらにその数倍ならいわずもがなだ」

 

手をひらひらと振って秘書の言葉を否定する、危うく殺されるかもしれない恐怖から解放されてその上、犯人を相手に直接鬱憤を晴らせたためいつもより気分が良く男は笑いながら説明した。

 

「はぁ、ですがプロなら銃で2km以上の距離から当てたという話も聞きますよ?」

「2kmの長距離射撃か、建造物や軽装甲車両、重陣地、航空機、ヘリコプターなどを対象にした対物用ライフルなら確かに可能だな、対物ライフルは大口径の銃弾による勢いと質量から人間が掠めただけで千切れる威力があるため風や重力の影響を振り切ってある程度無視できるし身体の末端にでもあたったら即死だ」

 

肩を竦めて杞憂だと秘書に語りかける太った男は興が乗ったのか饒舌になって楽しげに解説をし始めた、無知な人間に自分の得意とする分野の知識を授けるのは中々に得難い美酒である。

 

「しかし対物ライフルは大型で持ち運びが難しく発射音や巻き上がる煙が凄まじいため、隠密性を重視する暗殺などの用途には向かん、それにここのビル周辺はヘリさえ近寄れない強さで風が吹いているため大口径の銃弾であろうと風の影響を受ける、しかも風の軌道は複雑で読みきれん。 

ましてや今は夕方で一番視界が悪い時間だ見てみたまえ、隣のビルの窓に人間がいるかどうか光の反射で見えないだろう?」

「なるほど、たしかに!」

「さらに分厚い窓ガラスもある、弾丸の入射角度が悪ければガラスで銃弾の方向がずれる。 それらの要素を読み切り正確に針に糸を通すような条件で人間を的に狙撃など不可能だよ」

 

ズキューンンンン・・・・・・!

 

一発の銃弾が窓ガラスを破って外に顔を向けていた男の眉間を貫いた。 男は地面に倒れ込み撃ち抜かれた脳天からは空いた穴から垂れた血が絨毯を赤く塗り替える。

 

「う、うわぁぁぁぁ! だ、誰かぁぁぁぁ!」

「そ、狙撃だと! しかも着弾の音からすると小口径だと、そんな馬鹿な!?」

 

場が騒然となった隙を見て犯されていた対魔忍の女が目の前の男の首をへし折りそのまま近くの人間の方へ突き飛ばし部屋から飛び出した。

 

「女が逃げたぞ!」

「追え、追えー!」

 

数名がそのまま、女を追いかけて外に飛び出した。

 

「もうガスの効果が切れたのか化け物め!」

「化け物といえばボスを殺した狙撃手もだ、こんな狙撃を一発で成功させるなんて、くそっ!!いったい何者がこんな狙撃を…………!!」

 

部屋に残った警備員が狙撃手の正体に思い至り、畏怖と納得の表情を浮かべた。

 

「いた……な! 一人だけ………やつなら……やつなら不可能すら可能にするだろう!!」

「知っているのかこの犯人を!?」

「……ああ、こんな狙撃を出来るのは世界でただ一人だけだ、オーク、東郷」

「オーク、東郷?」

「生年月日・年齢・国籍・経歴、いずれも不明。 人種がオークと対魔忍のハーフである事しかわかっていない世界を股にかける超A級スナイパー、またの名をポルノ13!」

 

ポルノ

13part2 死神の産声

 

うぃーす、こんにちはロドリゲス・東郷です。 

テンプレ神様転生でゴルゴ13のスペックゲットしたのはいいけど何故か種族オークになっちゃいましたわー。

しかも対魔忍世界とかマジでねーっすわー、オークとかやられ役の戦闘員じゃないっすか。

 

無駄に対魔忍とのハーフとか設定ついて皮膚が緑色じゃなくてスマートで人間よりだけどゴツくて悪役ヅラだしどうせなら見ただけで女性にニコッとしたらポッと顔を赤らめるような美形になりたかったっすわー。

 

しかも何だよ、ロドリゲス・東郷って? ロドリゲスは性であって名前じゃねぇから!

トーゴ・ロドリゲスってゴルゴ13が偽名として名乗ってたけど確か泥棒の演技してごまかそうとしてキャラ設定が屑すぎて呆れられて殺されかけた時の偽名すわー!

 

そもそもゴルゴはメンタルが超人なんで身体能力や学習能力などのスペック与えられても中身が一般人だったら意味ないし怪物揃いの対魔忍世界に転生とか嫌がらせにしかおもえないっすわー。

 

まあ愚痴ってもしょうがない殺し屋は男子が一度は憧れる職業だし転生したせいかゲーム感覚でロールプレイできるんで人としてはどうかと思うが自分を殺人マシーンと言い聞かせて血と謀略の世界を泳ぐとしますわ。

 

仕事しまくって金をバリバリ稼いで対魔忍世界特有の娼館落ちしたエロい美女・美少女とウハウハライフ!

……しかし毎回娼館に行くと当たりの子はロリ系ばかりなんすかね? それ以外はハズレばかりなんでロリ系選びまくってたら13歳以下にしか欲情しないロリコン扱いはひどいっすわ!

それはさておき、今日も一日エロエロライフのためにがんばるぞい!

 

ポルノ

13part3 失われた安息

 

死ぬ、このままだと働きすぎて過労死してしまう(白目)

 

おかしい、平均相場300万$(現在のレートだと日本円で約3億2700万)の法外な依頼料なのにほぼ毎日休みなく働いているっておかしくないっすか?

仕事してないときは大体世界中を移動するか、集めた情報の整理、世界情勢の勉強、トレーニングetc.マジでほとんど仕事しかしてねぇ!

 

血と謀略の世界なめてたっすわー、しかもそれだけの大金貰っても特殊な依頼に使う準備資金や世界中につくった協力者への毎月の支払いや各地に作ったセーフハウスの施設管理費とか、たまに俺を狙う組織に口座が凍結されたりするんで世界中の金庫にいざという時の軍資金として預けたりとか仕事の経費に大部分が消えるっすわ。

 

残った金は金払いが悪いと恨みを買いやすいこの業界では命にかかわるんでチップとして大量に配ったりして自由に使える金はほとんど手元に残らないっすわー。

 

仕事で有能を証明し続けて恐れられ敵対するよりも利用した方がいいと思われないと、いくらチートスペックでもやってけないし、泳ぎ続けないと生きてけないマグロのように殺し屋家業で成功し続けないといけないしまじ辛いっすわ……。

 

しかもそれでも世界一の殺し屋だからと名声狙いのバカに命を狙われ依頼と偽って罠にはめようとする奴が後を絶たないってね、殺し屋ロールプレイは男子の憧れとかほざいてた自分を殺してやりたい、憎んでも憎みきれないアイツを始末したいんですYESといってくださいミスター東郷!

俺が東郷でしたワロスww

 

笑えねぇよ(マジギレ)

 

本当、仕事の合間に行く娼館だけが癒やしっすわー。 

抜きゲー世界の美形エロエロ娼婦をチートエロテクとオーク由来の媚薬精液でベッドの上で無双してストレス解消できるのがこの世界に来て本気でよかったと思える唯一の事っすわー。

 

何故最初に娼館の用心棒として生きることを選ばなかったのか、これがわからない。

働きすぎて、もぅマヂ無理。 休みにしょ・・・。

 

 

「予約していた……東郷だが…」

「はい、東郷様ですね。 お待ちしていました、滞在の予定はどれほどでしょうか?」

「期間は決めていない……ゆっくり…羽を伸ばしたいんでな(マジでゆっくりしたい)」

 

とりあえずホテルの受付に10日分ほどの料金を前払い、レッツエンジョイバカンスタイムっすわ!

周囲にこのホテルを狙撃できるような場所はないのは確認済み、よーし仕事を忘れて休暇だぜーーーーーー!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あんたのことは知っているミスター東郷、………こういう依頼の仕方はあんたのルールにないのは承知だが……そこを曲げて頼む! 急な仕事の為、特別料金として相場の倍払う! どうか引き受けると、YESといってくれ!」

 

今休暇中なんですけど!? 前も休みのときに別荘でのんびりしてたらどこぞの工作員が迷い込んでそれを追いかけてきた軍隊ともめて潰れたし、ヨットでクルージングしてたらいきなり潜水艦が現れて仕事を頼まれたし、自前の医療船で健康診断してたら刑事が乗り込んできくるし……、また貴重な休暇を潰す気かよ!?

 

「…………話を…聞こうか…(話は聞くけど聞いたら帰れ、休暇ぐらい休ませろよ!)」

「おお! 引き受けてくれるかありがとう!!」

 

またか!?

 

ハーフオークボディは喋りづらいんで、どうしても言葉が少なくなくなるせいかたまに意思疎通に齟齬がでてしまう!?

話だけ聞いてバイバイの予定がどうやらまた飛び入りの仕事で休暇が潰れるみたいです(白目)

 

 

ナレーション『その日、とある政治家が死亡しているのが発見された。 死因は銃弾により頭部を撃ち抜かれての即死。 調べたところ1Km以上離れた場所からの狙撃だと思われるが死亡時間から計算した所、その時間帯は豪雨の中激しい風が吹いておりそのような状況の狙撃は不可能と判断し警察上層部は捜査の中止を決定、現場の職員たちから反発があがった。あまりにも不自然な捜査打ち切りの裏にはなんらかの政治圧力がかかったと噂されるが詳細は不明である。』

 




愉快なオーク・東郷連載版一回目。
ゴルゴ13モチーフで対魔忍が合言葉。
いうほど対魔忍してないけどね!


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ポルノ13-依頼成功率99.89%のハーフオークになったが痛いのは苦手なんで、マジ勘弁して欲しいっすわ-(対魔忍アサギ×ゴルゴ13?)

血と謀略と暴力と陵辱の対魔忍世界を依頼成功率99.89%のハーフオークが駆けるポルノ13
第二話はじまーるよー!


「わかった引き受けよう……、報酬が振り込まれたのを確認次第仕事に移る」

「あ、ちょっと待ってくれ」

 

そう言ってその場を立ち去ろうとした男に後ろから声がかかった。

 

「……なんだ?」

「すまない仕事の話は先程ので全部なんだが、アンタに前から聞いてみたいことがあったんだ。

――なあ、あんた程のプロフェッショナルが考える裏世界で生きていくための秘訣って何だい?」

 

氷を思わせる冷たい視線に依頼人はゾクリとするが好奇心を抑えられなかった。

眼の前にいるのは裏世界でNo.1の呼び名も高いプロ中のプロ、ポルノ13なのだ。

その男が思うプロとしての条件を聞けるならいっそ死んでもいいとすら思えてしまった。

 

「……10%の才能と20%の努力……そして、30%の臆病さ……残る40%は……『運』だろう……な……(正直運がないんで他の60%で補うのマジキツイっすわー)」

 

 

 

ポルノ

13part1 囚われた男

 

「しぶといやつだ!」

「……ッ!」

 

墓石のような冷たく静かな目。

鋼のように引き締まった肉体に様々な経歴を雄弁に語る複数の傷跡を持った男。

その男は今現在天井から縄で繋がれ鞭で打たれていた。

 

「タフな奴め! もうかれこれ4時間も責められてるというのに呻き声一つ上げやしない!」

「これじゃこちらが先に参っちまうぜ」

 

長時間の責め苦を味わいながらも唇を噛み締めながらいまだに野生の獣のような眼光を男は宿していた。

その精神力と体力の前に汗を拭いながら拷問している二人組のほうが音を上げてしまいそうな顔をしていた。

 

「……ッ!」

 

とはいえさすがに男は限界だったのか鞭の一撃に体が弛緩した、失神したのだ。

 

「情報を吐く前に気を失いやがったか」

「本当にこいつ人間か? オークとか魔族なんじゃないのか?」

 

そういいながら鞭を振っていた男は無線を取り出した。

 

「ボス、聞こえますかボス?」

「――どうした私の可愛い部下達よ」

「捕らえてた捕虜が……」

「何か情報を吐いたか?」

「いえ、呻き声一つ出さず今の今まで拷問に耐えてました」

「死んだのか?」

「いえ、息はあります。ただ気絶しただけです」

「ほう……」

 

無線の先にいる上司の男が興味深そうな声を上げた。

 

「只者ではないな。 興味が湧いた、私自身が手を下そう」

「ぼ、ボス自らが、ですか?」

「ああ、そうだ」

「わ、わかりました。 ではコイツは別室に運んでおきます」

 

そういって無線が切れる。

無線で威圧され緊張していた男はふーと思わず息を吐いた。

 

「可哀想にこいつ、ボスに目をつけられるとは……」

「そ、そんなにやばいのか?」

「……ああ、お前は知らなかったか」

 

横で無線のやり取りを聞いていた男がそう尋ねた。

明らかに怯えていると言うか、ひいている表情で失神している男を見ているのだ。

最近この仕事を始めた身としては興味を惹かずにはいられない。

 

「ボスはなサディストなんだよ」

「まあそりゃそうだろ、拷問好きなのは知っているが」

「しかも『ゲイ』だ」

「Oh……、もしかして」

 

尋ねられた男は指で○を作ってもう片方ので手で♂の形を作って○に♂を入れた。

 

「ですよねー!」

「ボスに目をつけられる前に死んだほうが幸せだったのに哀れな奴だ」

 

失神した男、オークの東郷はぴくりとも動かず沈黙していた。

 

ポルノ

13part2 困難な依頼

 

「標的はリチャード・フェニックス、この街のギャングのボスです」

 

 

公園でベンチに座りながら依頼内容を話す男の側で大木に背を預けて紫煙をくゆらせながらオークの東郷は無言で聞いていた。

 

「私の前の市長は暗殺されました、この街で育った私も他に候補が居ないため市長に就任しましたがさっそく脅迫されました。 まさしくこの街に巣食うガンです」

「……警察は?」

「この街では警察とマフィアが癒着しており蜜月の中というやつです、それに奴らは拠点に下手な軍隊よりも強固な警備を敷いておりとても手が出せるような相手では……。

お願いですミスター東郷! この男さえいなければあとは烏合の衆です、なんとかしてください!」

 

追い詰められて後がない依頼人に真実の光が見えたと判断したのか。

冷徹な目で依頼人を見据えた後に東郷は依頼人にとって救いとなる言葉を発した。

 

「……他にこの男の情報はないのか?」

「おお! 引き受けてくれますか!? ……そうですね、臆病とも言えるほどに慎重な男で拠点の奥から出ていこうとはしません、例え用事があっても本人ではなく代理人を使ったりして数年は外に出てません。

あと、残虐な男で逆らうものを嬲ることを好み、その光景をビデオや写真に撮って被害者の身内に送ったり、指や耳など体の一部を送りつけるなどの手段をとって恐怖で周りを支配しています」

「拠点から出ようと、しない、か……。 それでは、女に不自由するだろう、恋人関係は、どうなっている?」

「それがまったく……、噂では女に興味がなく同性愛者ではないかといわれてるぐらい女の影がありません」

「――それだけわかれば十分だ」

 

吸っていた葉巻を指でピンッと弾いてベンチの横の灰皿に入れる。

 

「資料は受け取っておく、振り返らず先に帰るんだな。 あまり長時間寄り道をしていると奴らに目をつけられる」

「は、はい。 資料と依頼金はここに置いていきます、後は任せました」

 

市長はベンチの上に資料が入った封筒と依頼料の入ったカバンを置くと言われるままに公園の出口に向かった。

出口の前に待機してある車に乗ろうとしてふと振り返ると先程座っていたベンチの上にはすでに何もなかった。

 

(頼んだぞポルノ13!)

 

ポルノ

13part3 目覚めた『死』

「この男か……、なるほど只者ではないな」

 

ギャングのボスは倒れている東郷の身体に視線を這わせた。

その身体は重厚な肉の鎧に覆われかつボディービルダーのように観賞用に余分な筋肉は積んでおらず。

運動機能を損なわないギリギリまで無駄を省いて鍛え抜いた身体は戦士の肉体といえた。

先程まで受けた拷問より前から刻まれているであろう古い傷跡から歴戦という言葉を感じさせる身体であった。

 

「この肉体を蹂躙できるとは正に僥倖」

 

そういって懐から無針注射器を取り出した。

注射器の中身は魔界の植物から生成された3000倍の感度を手術なしで得られる特製の媚薬である。

たとえ同性に興味のない異性愛主義者であろうが泣いてヨガること間違い無し。

 

だが使用後には副作用により廃人になる劇薬であった。

商品としては欠陥品であるがたっぷり楽しん上に対象を始末できるという歪んだ嗜好を満たすことの出来る特殊な用途にはもってこいの薬だ。

嗜虐的な表情を浮かべて薬を注入しようとして東郷の首元に注射器を近づけた瞬間に東郷の目が開かれ腕を掴まれた。

 

「――リチャード・フェニックスだな?」

「き、貴様! 拘束は!?」

 

一瞬にして注射器を持った腕を後ろに回されて関節をきめられたボスは縄で手を縛られている筈の東郷の手が自由になっていることに驚愕した。

ボスの位置からは何らかの刃物で切断された縄は見えなかった。

 

「ば、馬鹿な真似はやめろ! たとえ私を殺したとしてもここからは生きて出られないんだ無駄な抵抗は――」

「侵入が強固な場所ほど脱出に対する備えは甘いものだ……」

「!? そうか貴様、最初から私を狙ってワザと捕まって…ッ!」

 

暴れようとするボスの手に持っている注射器を奪ってそのまま東郷は首に注射器をうちこんだ。

目を見開くと「おっお、おおっ!」と叫び関節の痛みすら快楽に変わるのか一瞬にして絶頂に達した。

そして廃人になるほどの濃度の媚薬が暴れた身体に一瞬で回ったのかボスは白目を向いて倒れた。

倒れたボスを冷たい目で眺めた東郷はその首を踏みつけた。

ゴキリと音がなりそのまま絶命したのを確認した東郷はボスの服を奪い身につけるとそのまま部屋を出た。

 

ポルノ

13part4 明かされた正体

カタカタとPCのキーボードを叩く音が部屋に響いていた。

古ぼけた蛍光灯の光とPCのライトが薄暗い部屋を照らしている。

 

「今頃ボスはお楽しみ中か、俺たちに興味を持たれないのはいいことだ」

「まるで捕虜がいなくなったらボスは俺たちに興味を持つような言い方だな?」

「…………。」

「なんかいえよ(動揺)」

 

思わずキーボードを叩くのをやめて相棒の方を振り返ったら儚げな表情をしていた。

 

「――そういえばさっきから何を調べているんだ?」

「(話をそらした!?)いや、あの捕虜の顔をどこかで見た気がして特徴を調べているんだが……」

「そんなに簡単に出るものじゃないだろ?」

「いや今の時代、顔の画像データがあればそこからデータベースにアクセスしてたどることは可能だ、特に犯罪者に関してはな」

「犯罪者?」

「あれだけ体中傷だらけの男がこの警備の厳重なこの場所に来るんだ、明らかに堅気じゃなくて前科持ちだろ」

「まぁ、それもそうか。 で、見つかったのか?」

「いや、それがおかしいんだよ。 どこを探してもそれらしいのがない」

 

再びキーボードでコードを打ち込んでデータベースにアクセスしているがそれらしきデータは一向に出て来ない。

電子技術が発達した現代ではよほど未開の地でもない限り免許証などの資格の取得や住民登録といった。

なんらかの形で個人情報は登録されて残るはずなのだ。

それがないということは……。

 

「どこぞの未開の地から連れてきた切り捨て用の小物か、逆にとんでもない大物かもしれない」

「ほーう、でどうするんだ?」

「少々リスクが高いが政府機関のデータにアクセスしてみよう」

「……それだけの事ができる才能があるんだったら職場を選んだほうがいいんじゃないかお前?」

「貧乏ってのはそうやって選ぶ事のできる自由はないんだよ……、こ、これは!?」

 

そうやって驚愕している相方が開いたデータを覗き込む。

そこに表示された情報は……。

 

「セキュリティーコード・レッド。 なんだ全然情報がないじゃないか」

「トップシークレットの情報で、しかもこれだけしか情報がない!?

オーク、東郷、通称ポルノ13……」

 

そこに書かれている様々な経歴をみる内に二人の顔がどんどん青ざめていった。

そあまりにも荒唐無稽な犯罪行為とそれらを成功させるありえない技量の人物の情報だった。

しかも恐ろしいことにすべての事件に推測されると書かれていることから。

明確に彼が犯人であると証明できるような証拠は一切残していないということがわかる。

 

「う、嘘だろ? 今どきフィクションでもこんな無茶苦茶な奴居ないぞ……」

「い、いや最上級のセキュリティをくぐって見れるデータだ、嘘じゃない」

「も、モンスター……。 こいつは怪物だ!?」

 

震える手でアクセスした痕跡を残さないようにデータベースからログアウトさせた。

 

「こんな化物がいるとは……、しかしそんな男が何故簡単に捕まるような真似を?」

「!? そうかボスが危ない!」

 

ポルノ

13part5 それは嵐のように過ぎ去って

 

人を連れて牢屋に行くとそこには全てが終わった後だった。

牢屋の前には監視の死体、牢屋の中には服が脱がされたボスの死体があった。

そして牢屋の中にはそれを実行したと思われる人物は影も形もない。

 

「……そうか! ボスが施設から出ないと聞いてワザと捕まって拷問を受けたたのか!?」

「ボスに会うためにワザと捕まったというのか!?」

「そうだ、あいつはボスが反抗的な男を一人で嬲るのが好きという趣味嗜好を事前に知っていたんだ……」

 

周囲がボスを殺した犯人を探すために慌てふためいている中で拷問を担当した二人は思いつめたような顔をしていた。

この場でボスに死を与えた死神と一番長く時間を過ごしていたのはこの二人なのだ。

そして真実に気がついたのも自分たちだけであった。

 

「それじゃなにか? 下手をすればボスに会う前に殺されるかもしれないというリスクを犯して、

生き残っても拷問を受けてまともに動けなくなる可能性が高いというのに捕まったというのか?

ボスが直接自分を拷問しに会いに来る時に訪れる殺しのチャンスを掴むというだけの理由で?  

クレイジーだ! リスクが高すぎる! 失敗する可能性の方が遥かに高いというのにありえない!?」

「ならこの結果をどう説明する? 自分の体力に絶対の自信があったんだろうがこんな無謀な計画を成功させるとは……。 

なんて……、なんて男なんだ…ポルノ13というやつは!?」

 

ポルノ

13part6 真実の裏側

 

 

うぃーっす、ポルノ13ことロドリゲス・東郷でーす。

仕事続きでだんだん口数が少なくなっていくのを感じます。

オパーイを重力から守るために両手で支える仕事とかしたいです。

キョヌー美女、美少女が多い世界なんだから需要が会ってもいいと思います!

ハタラキスギテオデノカラダハボドボドダ!

あっちは久々に登場して人間になったというのにどういうry)

 

ウッ、ふぅ……、娼館に行く暇も最近なくて取り乱してしまいました。

ネット放映されている対魔忍の公開プレイ見て頭を冷やしましたわ。

しかしアサギさんとかこんなのネットで流されて冷静な顔して仕事とかメンタル凄いっすわ……。

 

これみた連中に『澄ました顔しやがって動画であんなに乱れていたのに!」とか思われたりするとか自分が女だったら自殺もんっすわー。

対魔忍は色々とタフじゃなきゃ生きられない!

んじゃいつも通り仕事に行きますかー。

 

 

 

クエスト『悪徳マフィアを始末せよ』を受領しました!

 

 

『おはようポルノ13。

今回のターゲットはリチャード・フェニックス。

街を支配するギャングのボスよ。

彼によって街は麻薬や武器の密輸などが横行する現代のソドムとゴモラとでも言うような惨状になっているわ。

 

彼は非常に残虐で逆らうものに拷問などをして死に至らしめてその死体や体の一部などをその仲間や身内に送りつけて恐怖で街を支配しているわ。

今回の依頼者は彼が拠点にしている街の市長よ。

街の警察や軍隊ですらが手を出せないのであれば外部の人間に、ということのようね。

準備は一任するわ(ダミ声)』

 

 

虚しい…ぼくにハゲ頭にバーコードの暗殺者みたいに情報をサポートしてくれる女性はいません。

これは全部ぼくの声マネです。 

ぼくはいつも一人です。 

 

ひ と り で す !(嗚咽)

 

ふっ、涙が出ちゃうだって女っ気がまったくなしなんだもん……。

近づいてくる女は娼婦か殺し屋ばっかし、本家はよく逆ナンされてるのに……。

仕事が終わったら俺、娼館でエロエロタイム送るんだ、羞恥プレイもいいな。

故郷のマジックマッシュルームも使ってもらおう!

 

 

【悲報】ポルノ13は捕まってしまいました!【無念の虜囚】

 

 

くっ、ハリウッド仕込みのメイキャッパーが旅行中だから自分で変装したのがいけなかったか!?

本家はメガネにヒゲをつけただけでもなんとかなっていたのに!

ちょ、やっ…ヤメロォー! おぉぅお前らには人の心が無いのかよ! 鞭はその、ちょと、あの、や、やめ、え、待って、待ってら、らめぇぇぇ! そんなに打たれたら逝っちゃうのホぉぉぉぉ!

男の子の体は乱暴に扱っちゃらめぇぇぇええええええええええええ!

なんだか痛みが消えて感じるというかちょっと気持ちよくなってきちゃうのほっぉぉぉおぉお!

んあぁぁぁぁぁーーーーーーー! と、(とき)が見える(失神)

 

 

ば、馬鹿な真似はやめろヒロミちゃん、そ、そんな大きいのを入れるように人間は出来て…はっ!

ううーん、むにゃむにゃどうやら気を失ってしまったようだ、しかし……

 

 

空気がまずい!

体が重い!

あんまりだ!これが、(ぜつぼう)が迫る感触というものかッ!

 

まあ、捕まって死んでないだけマシなんですけどね!

今は生きているだけで幸せさ!

 

 

 

さーて気持ちを切り替えて状況の確認だ。

ええーと服装は拷問を受けていた時と同じで上半身裸で下半身はズボンを履いている、靴もある。

体の方はぼこぼこで切創や打撲があって痛いけど命に関わる傷はなし。

手は後ろ手に縛られている、縛っているのは麻縄で手錠ではない。

足は特に縛られていない。

 

身体を動かさずに視線だけで部屋を見渡す。

場所は牢屋だな、確か侵入前に見た資料だと監視カメラがこの場所からだと…あれか。

 

 

おっ、腕時計は付けたままだ。

下っ端にパクられてる可能性が高かったので嬉しい誤算だこれでなんとかなるぞ!

監視カメラの位置は体の正面を撮しているはず。

身体をあまり動かさないようにして…と。

 

ふふふ、腕時計の胴をスライドさせると……いて! 仕込んである刃物でちょっと切れた……。

縛られた手は後ろなのでカメラから見えないので刃物を使って縄をギーコギーコと切断して……、出来た!

 

後は監視の注意力が下る深夜まで体力を温存して脱出の機会を……。

――あれ? 誰か来た。 目をつぶって狸寝入りしよっと。

聞こえてくる会話の内容からしてターゲットのボスかな?

 

んんん? なんで監視カメラをきるように指示しているの?

ねっとりとした視線を感じる、何故生唾を飲むような音が!?

んんん???カチャカチャとベルトを緩める音が?

――もしや俺の体が狙われているのでは!?

 

目をカッと開くと肥大化した男性器が入った。

 

いやぁー!?!?!? 犯される!?

予想通り見覚えのある顔だ同性愛者だという噂のボスでしたね!

確か名前はリチャード・フェニックスだったか?

ホモに狙われるのは東京キングダムの人探しの役目のはずではッ!?*1

サキュバスとか女魔族ならともかく男はやめろぉ!!!!!!!

 

 

高速で相手が動作に移る前に取り押さえる。

お前ボスだろ、なあボスだな! よし殺す! 死ねぃ!

あぁーん、無駄なことはやめろ脱出は出来ないって? 

こーゆー侵入が困難な場所は脱出のほうが簡単なんだよ!

お前はこの薬を自分で使っとけ!

 

 

うぉ! 無駄に白濁液出しおった!?

一体俺に何を注射する気だったんだ(戦慄)

リチャードよお主は性の野獣(モンスター)、しからばダメ押しィ!(ゴキリ)

 

……ふぅ、助かった。 しかし早く脱出しなければ怪しまれるな。

ホモはせっかちで困る。 夜まで待てないのかね?

正直嫌だが外で上半身裸は目立つのこいつの服を貰って……。

あっ監視の人ちーっす! ♂プレイは中止になりましたんで帰りまーす(打撃)

よーしばれないうちにスタコラサッサだぜ!

任務完了、ふっ、また生き残ってしまったぜ敗北を知りたい(精一杯の強がり)

 

 

ポルノ

13part7 男は蛇へと挑む

 

【SMクラブ 華と蛇】

 

はわわっ!? 何故俺はこんな場所に、俺にはそんな趣味は……

 

『ハッ、嘘をつけ。ではなぜ貴様はここにいる? 誰に強要されたわけでもなく何故ここまで来た?……俺が代わりに言ってやろう、虐げられるのを楽しんでいるんだよ貴様は!』

 

何を!

 

『違うとでもいうのか!? 貴様は鞭にうたれていた時にだんだんと気持ち良くなっていたじゃないか?』

 

――ええい! 幻聴風情が何をいうか!? ただ性欲を持て余している今だけの気の迷いだこんなのは!

 

「あらぁお客さん? 楽しんでいかないのぉ?」

 

……初心者なんでソフトなコースあります?

 

ナレーション『日本国内では自らの手で窒息したり、手足を拘束することによって性的快楽を得るひとりSMによって年間300人の死亡事故が起きているとの報告がある』

*1
「描写されてるのが男なだけで普通に女にも狙われてるんだけどね」-元対魔忍の人探し談-




第一話と同じく導入に捕まったシーンが続いてマズったと思ったが捕まって調教受けるのが対魔忍なので問題がないという事実。
淫獄都市ブルースはエロなしサイバーパンクで魔界都市のノリになってるのでなんかこっちの方が対魔忍やってる気がするのが困る。
同一世界観なのに不思議!
……いや、「んほっ」てなければ大概ダークな世界観なんですよ対魔忍も、うん。


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性春姫その2(魔界都市ブルース×対魔忍RPG?)

対魔忍決戦アリーナ完全終了記念にもとき君の愉快な五車学園時代のエピソード性春姫シリーズ第二話いきまーす!



1、

 

銃声が夜の闇に響く、Special operations forces Combat Assault Rifle Hevy通称 SCAR-H。

FN社ことFNHが創ったアサルトライフルの奏でる殺戮の旋律だ。

 

標準口径は7.62mm。精密性に長け、ロングバレルに付け替えるなどしてマークスマンライフルとして使用されることが多い。

標準型はMK.17 Mod.0の名前でかつての米軍に調達されているが、それ以外にも、銃身やレシーバ、ストック等の換装用のパーツを調達してMk.20に組み替えての運用も行われていた。

 

更に、大は小を兼ねるということで、H型は5.56mm弾用のコンバージョンキットを使用して5.56mm口径のアサルトライフルに組み替えることができる汎用性の高い銃だ。

その名の通り特殊部隊のために生み出されたということがよく解る多機能性と汎用性を持つ。

この銃を訓練された人間が扱えばどんな敵でも無事ではいられまい普通の相手なら(、、、、、、、)

 

「ちくちょう! 当たらねぇ化物かよぉ!?」

「たった一人だぞ、たった一人に!?」

「ちくちょう、死にたくねぇ、死にたかねぇ、来るな、来るんじゃねぇぇええええ!?」

 

先頭に立って泣きわめきながら銃を乱射していた男の首がポトリと落ちる。

それを成したのはただの幅広の分厚いナイフである。

 

現代では自動火器の発達で、ナイフに頼らずとも近接戦闘を行うことが容易になったため、純粋な戦闘用ナイフは求められなくなってきている。

そこで軍隊で用いられる戦闘用ナイフは「ナイフとしても使える銃剣」という形で一本に集約され、銃剣自体もワイヤーカッターや鋸刃が付く等、多機能化する傾向にある。

これらのナイフの多くは刺突能力を向上させるため、諸刃の構造を持つ“ダガー”形状になっている。

 

しかしこの使い手が扱うナイフは時代を逆行したかのように「く」の字に曲がっているナイフというより鉈に近いククリと呼ばれるものだ。

 

「セポイの乱において、グルカ朝(現在のネパール)の兵士が、ククリを携え凶猛な白兵戦を行ったことに注目したイギリスが、彼らを傭兵として雇った」という経緯から、英語圏ではグルカナイフと呼ばれることがある。

 

切れ味は鋭いであろうがナイフ一本で銃火器で武装した軍隊を一人で蹂躙するその姿は常識の外にある異能の輩であることは間違いなかった。

 

で、あるならばこの出会いは必然であろう。

類は友を呼ぶ、同類相求む、Birds of a feather flock together(同じ羽の鳥は群をなす). 古来より似たようなもの同士は惹かれあい集うものである。

 

「行くべきか帰るべきか、それが問題だ」

 

シェイクスピアのハムレットの有名な句をもじったセリフを呟きながら血風漂う鉄火場に秋もときが現れた。

 

2、

「話せばわかる、話をしよう……無理? ですよねー」

 

若い頃は汚い大人の事情に関わりたくないと対魔忍になるのを拒否していたというのに、今では薄汚い駆け引きを日常的にするデスクワークの仕事をしている学園長のアサギからの頼みで米連の訓練兵の護衛を頼まれたもときであったが、いつまで経っても迎えが来ないので直接職場に辿り着いたらこの有様である。

 

よくあるテロ予告に対する形だけの護衛ということで受けた任務であるが大事になっている。

苦労人な上司に同情して下手にかけた情けが仇になるという無情な世の中にもときが美しい顔を憮然とさせて話が違うと文句を言うのもしょうがない現状であった。

 

もときは後で誠意を言葉でなく金で示してもらおうと心のなかで決めた。

 

 

そんな心の動きを知らぬ存ぜぬとナイフを片手にヘルメットの女(、、、、、、、)がこちらに斬りかかってきた。

顔は見えないが特撮に出てきそうな厳ついマスクとはち切れんばかりに自己主張する女性らしい胸部と臀部のふくらみをこれでもかと見せつける肌面積が多いスリングショット水着のような恰好だ。

 

つまりいつもの対魔忍世界の定番コスチュームである。

 

これまでに血祭りにした兵士たちの返り血で深紅に濡れるその肢体はさながらスプラッター映画の殺人鬼だ。

 

学園でもちらほらこの手の露出過多な格好を見かけてさすがにどうなのよと一緒に仕事したことのある先輩に尋ねたところ『能力の都合でこういう格好じゃないと体に負担がかかる』といわれた。

世界が露出を求めているとしか考えられない能力の代償である。

 

このナイフの女性も刃物を扱うのにものすごく素肌晒しているけど、返り血を後で洗い流しやすいからとか痴女みたいな格好になんらかの理由があるのかなーと現実逃避しながらもときの指が本人にしかわからないほどわずかに動く。

 

その意を受けて1000分の1ミクロン、ナノサイズ程のチタン製の糸が踊るようにしなり殺意の一閃となって襲いかかった。

人間の視力では捉えることなど不可能な不可視の斬撃を危なげなく(、、、、、)(かわ)した。

 

次の瞬間にしなやかなバネのような鍛えあげられた筋肉によって生じた雷光のような速さで美影を斬り裂くための動作はその美しさは傷つけるどころか触れることさえ世界が許さないとでもいわんばかりにあっけなく空を切った。

 

常人にはあるかどうかすら知覚できない僅かな隙に瞬時に対応してもときの指先は揺らぎ、操る糸は命じられるままに操者を移動させたのだ。

二人を挟む距離は一足一刀の間合いから外れ、戦いは仕切り直しとなった。

 

「常々思うんだけど見習いの身なのに相手が一騎当千の猛者ばっかで割りを食ってる気がする」

 

先日の戦闘でまだまだ実力不足を実感して鍛えなおそうとは思っていたが運があるのかないのかあっさり手練にぶつかってしまったもときであった。

登場人物は物語の構造上搦手に弱い女性が多いが逆に言えばそうでもなければ倒せない猛者が多いのが対魔忍世界である。

 

「うん?」

 

真面目に戦うとめんどくさい相手なので色仕掛けでもしようと考えたもときはそこで違和感を感じた。

不可視の妖糸をかわす手合いはこの世界で何度か出会ったことがあるが自分の容姿に何の反応もない相手というのは今目の前にいるのが初めてだと気付いた。

 

気合や根性で耐えるとかそんな次元の美しさではないのだ、同様の美を持ち主でもなければ精神的に対抗できない。

歴戦の戦士であろうとその魔性の美にまったく反応しないのはありえない。

ということは見えていない(、、、、、、)のだろう。

 

その事に思い至ったとほぼ同時にもときの操るチタン鋼の糸は死刑を命ぜられた処刑人がギロチンを作動させたかのように無音(、、)で相手の首を斬り落とすべく動き出す。

それと同時に(、、、、、、)相手はその場から大きく新体操の選手顔負けのバク転をして回避した。

 

「ふーん、大体わかった(、、、、、、)

 

そういうと口うるさい幼馴染達にしかわからないであろうわずかばかりいつもより緊張していた顔が常日頃の春風駘蕩たる表情に戻る。

当然見えていないであろう相手にはその変化がわからないが次にもときが始めた行動に大いに困惑した。

 

「僕だよ、僕!今米連施設が襲撃されてる困っているから慰謝料を振り込んで!……え、預かっているウルフィーが騒がしいけどどうしたらいいか?……そもそもペット預けてないけど」

 

もときが任務時に愛用している黒コートのポケットから取り出した通信機でコントを始めたのであった。

隙を誘う為というには過剰かつ無防備な仕草にどうしたものかとわずかに考え、ナイフを構えてそのまま突撃した。

自分の能力に対する絶大な信頼によりどんな行動をとっても対応できるという自負があるからである。

 

その考えが誤りであると彼女が知ることは永遠になかった。

もときに対してナイフで斬り込める間合いに入る直前に首が落ちた(、、、、、)からである。

 

「……おや終わった? いやこちらの話それはそれとして本当に手当ぐらいは頼みますよ、ではまた」

 

懐に通信機を仕舞い首なしになった死体を眺めた。

どういう理屈かは知らないが相手は攻撃される直前には回避行動をしていた。

攻撃が届く瞬間にはもう別の位置に移動しているのなら当たるはずもない。

もしかしたらヘルメットになんらかの仕組みがあるのかもしれない。

視力を封じるかわりになんらかの察知能力があがるといったところであろうか?

 

音も出さないように工夫し斬りかかる妖糸の攻撃を避けたことから聴覚ではないと分かった。

となるとわざわざ露出度の高い格好にしていることから触覚の類だと判断。

攻撃の直前に避けたことから敵意や害意の類を文字通り()で感じていたのだろう。

なら敵意や害意の感じられない方法を取ればいい。

 

「本当にこの糸は便利」

 

つまりこちらから攻撃するのではなく相手が自ら武器に飛び込ませればいい。

ワイヤートラップの要領で相手と自分の間に妖糸を張っていれば攻撃手段がナイフによる接近戦しかできない相手はいずれ自ら切断される。

 

間にある糸を見抜いてそれを考慮した行動したとしたらこちらから攻撃を続けて仕掛けた位置へと誘導すればいいだけの話である。

 

それが通用しなくてもやろうと思えば一度に数千もの斬撃を時間差で放てるもときは手数で圧倒できるためどちらにしろ敵ではなかったのだ。

 

「対人戦では有利だけどドローンとか無人兵器と地雷やワイヤーなどの罠には悪意もなにもないので効果はないし装甲を纏えない分不利なんでいささか浪漫がすぎたね」

 

そう言って死体に背を向けて歩きだした。

美しい顔にはもはやなんの感情もなく。

その背後で戦場後に漂う硝煙と血の臭いは風に導かれ月と星が輝く夕闇の空へと向けて旅立ち始めたのだった。

 

 

3、

「小太郎ちゃん何読んでるの?」

 

教室でいつものように本を読んでいたら声をかけられたので本から顔をあげると馴染みの人物である蛇子がいた。

その後ろのにはいつものように鹿丸もいる。

無言で本の背表紙を見せる。

 

「『サービス終了前に無料ガチャ祭りしているソシャゲで最上級レアキャラを揃えた瞬間に異世界に!?』」

「ああ、『なれた』系小説ってやつか面白いの?」

 

『なれた』とは素人の小説投稿サイト『作家になれた?』のことである。

素人が書いたので相応の出来な作品が大部分を占めているが中にはプロ顔負けの作品もあり、そこから実際にプロになりアニメ化や実写化もしたりする作品もあるサイトである。

様々な作品があるがランキング上位は異世界へ転移したり転生したりする『強くてニューゲーム』な内容な作品が多いので『異世界』ということばが出てタイトルが長いと『なれた』系作品と呼ばれたりする。

 

「思ったよりは面白かった。 ゲームのバランスがトップレアキャラ揃いの重課金前提で無課金や微課金勢が居着かなかったせいでサービス終了になったけど無料ガチャをヤケグソ気味に確率上げて大量に配布した結果、キャラが揃ってバランスが取れて実はゲーム自体はシナリオもシステムもいい難易度だけが問題な名作だったという設定が割と面白いな。

仲間は強いけど主人公がゲームのことを全く知らないでやったので実質『なれた』系というよりも普通にファンタジーな作品だったけど」

「それだったら最初から異世界に行ってファンタジーをするのじゃだめなの?」

「よくわからんがゲームの世界へ強い状態で行くという様式美が大事らしい」

「ふーん」

 

時子に財布を握られて日々の小遣いのやりくりに苦心している身からすると無料でガチャを回して最高レアを揃えるという設定は非常に憧れる。

無断でゲームに課金しようものならどんな目に合わされるか……。

 

「あー課金しても困らないぐらいの小遣い欲しい」

「そういえば知ってるか? こんな噂があるんだけど」

「噂?」

 

 

「おい、秋! 聞こえているのか!?」

「うーん……?」

 

もときは自分を呼ぶ声に目を覚ました。

教師がなるべく授業中に視界に入れないように教室の窓際の隅の席にいるため、窓から差し込む暖かい日差しについ眠気を誘われてうたた寝をしたようだ。

 

目をこすり顔を上げると、秋山達郎の姿があった。

その目をよくみるとコンタクトレンズをはめているのが分かる。

しかも周囲を見渡すとクラスメイトの全員が装着済みである。

もときの美貌を直視して眩暈(げんうん)の虜にならずにすむ唯一の方法だ。

特殊なコンタクトレンズでもときの顔がぼやけて見えるので授業中は装着を義務付けられている。

もときを見たことのないものは技術と予算の無駄遣いと叫ぶが、それ以外のものは必需品として非常に重宝している。

 

「お前、今朝説教されたばかりなのに授業中に寝るとかほんと図太いな」

「ん〜、そう? でも任務で疲れてるからしょうがないし」

 

先日の任務でも持ち場を離れたりして効率のいい方法があれば命令無視の常習犯だるもときには日常的に注意や警告など指導が絶えないのだが「だったら仕事を回さなければいいのでは?」とまったく気にせずにいるので反省の色が全く見えないもときに対して説教の時間は日々記録更新しつつあった目指せ授業時間超え。

しかし当の本人はそんなことなど忘れたかのように教室に戻った後にすぐ授業中に昼寝をしているのである。

 

「しょっちゅう寝てばかりなのになんで成績がいいのか……」

「テストの点はちゃんととってるから?」

「だからなんで点とれるんだよ!」

 

本人も忘れつつあるが秋もときは転生者である。

生まれ変わった体があまりにも前世とかけ離れすぎた美貌なのと、魔界都市<新宿>ほどではないがこちらも大概な世界での非日常を送ったことでもはや前世の記憶は朧気ではあるが知識は一応保っている。

教師がこちらをなるべく見ないようにしているため内申点はテストだけで判断しており前世が勉強家だったのか、戦闘関連の授業が中心で学業は最低限の基礎ぐらいしかやらない対魔忍の授業内容ぐらいは昼寝しても問題ないのであった。

 

「まあいいや、学園長が呼んでるからさっさと行ってこい」

「はぁ」

 

 

「『深夜学校の屋上で携帯電話に特定の番号で電話を掛けると願いが叶う』?

……よくある学園の怪談では?」

 

「ええ、問題はそれで実際に試すと言っていた生徒が行方不明になっているのよ」

「はぁ、……それを探せと?」

「ええ、いつもそういうことの解決を頼んでる子がその当事者になって行方不明になって……困ったものだわ」

 

対魔忍世界も魔界都市並にオカルト要素が強いなと思いながら、行方不明になった生徒の写真をもときは手にとった。

そこには「ふうま小太郎」「上原鹿之助」「相州蛇子」の姿が写っていた。

 

 

性春姫その3 に続く?




「決戦アリーナ軸の世界といったな? あれは嘘だ」

いや、完全にIFにするか性春姫の世界だけにするか考え中なので
もしかしたら別タイトルに区切るかもしれません。


対魔忍RPGはゆきかぜの実家がお城みたいだとか面白い情報が出てるので
ストーリーは面白いですが
決戦アリーナみたいに携帯のブラウザでプレイできないのが難点ですね

まさかこの時点でアクション対魔忍がでるとは読めんかった。


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ポルノ13-休日を殺した中年の翼とかタイトルが付きそうな連続勤務記録更新のお知らせ前編 (対魔忍アサギ×ゴルゴ13?)

「4月と5月と6月の時と! 7月と8月と9月と10月と11月の時も僕はずっと!待ってた!!」
「な、なにを・・・?」
「作品投稿だろ!!」
「ああっ・・・!?」
「活動報告もだ! 悪性隔絶魔界都市<新宿>の続きだって待ってた!!
あんたはクリスマスプレゼントの替わりに、また未投稿記録更新するのか!?」
「そんなに忘れてる・・・っ!?」


とジョナサンに怒られそうなのでクリスマス終了直前ですが投稿します。


みなさんおひさしぶりです某感染症の影響でいろいろ日常に不便を強いられていると思いますがいかかでしょうか?

ぼくは仕事が激減して苦労している方々に分けてあげたいぐらい仕事が忙しいです。

日々マスクを義務付けられて外出しづらい環境になって皆さんイライラしているんですかね? 

殺伐とした世の中に弾丸をシュート! (世界情勢は)超! エキサイティンッ!!!

……うん、不謹慎だね正直すまんかった。

 

 

けどこんな時期に何が悲しくて世界中を飛び回らなければいけないんでしょうかねー。

そう思って一度テレワークで自宅からでも狙撃できるシステムを考えてそれで狙撃したんですよ、カメラでインターネットを通してリアルタイムで現場の光景を撮影したのを見ながら、マジックハンドで手術できる医療メカを改造した奴に銃を持たせて操作して狙撃するマシーンを!

 

 

……まあ作ったのはいいけど大型のマシーンを使用する関係上どうしても狙撃ポジションの確保が難しいという問題と、ただでさえ機械を使ってのリモートコントロールの時点で精密射撃が困難なのにネットを通しての映像だと数秒のラグがあるので狙撃の難易度が高くなっちゃうんですよね。

最大の問題は医療メカの値段が億単位で費用がかかりすぎなのに、

 

 

『任務完了、……自爆する』 

デデン♪ デレレンデレレン♪(任務遂行のBGM)

 

 

して証拠隠滅しなきゃいけないんですよねー、主人公が『お前を殺す』と一話でヒロインに暴言吐いたロボットアニメの翼生えた主役機ヒロインは死なないがこの機体は何度も殺されたも憐れむ使い捨て仕様という結局下手に機械任せにするより熟練した人間のほうが費用効果が高いという教訓を大金を払って得たのであったマル。

米連がサイボーグ東郷とかクローン東郷でも作ってかわりに仕事してくんないかな……。

 

ポルノ

13part1 社畜の宴

 

 

そんなこんなで溜まってた依頼を完遂してようやく得た休みを満喫するために現在某国のホテルに滞在中です。

断崖手前にあって狙撃者がいたら丸見えのため実質狙撃不可能な位置にあるホテルのテラスから広大な山々を眺めながらのトルコ葉巻『トレンド』が美味い。

体が軽~い、空気がうま~い、なるほどこれが休日の感触か! 仕事後でダラダラゴロゴロするのって、……最高だな!

さて優雅な朝食後の一服を終えたんで新聞でも見ながら日光浴でも楽しみますかね。

 

 

 

『13年式P型トラクター買いたし 至急の面談求む。但し中東への輸出仕様。 委細は面談にて』

 

『敬愛するP氏へ予定があればフォンデューを二人だけで食したいと思いますがどうでしょうか? 連絡を待ってます』

 

『英国R、P&M商会、船員募集のお知らせ』

 

『某国未登録の人工衛星が原因不明の爆発、13個の流れ星になり世界中に観測される』

 

 

……フィーヒヒヒ(゚∀。)これ全部仕事依頼のお仕事のお知らせ、ついでにラジオから賛美歌13番も流れてるぞー(白目) 

 

「おや、東郷様お出かけですか?」

「……宿泊はキャンセルだ、残りの予約はそのまま宿泊している扱いにしてくれ」

 

長期予約のキャンセル料と手数料として札束を渡して泣く泣くホテルを出て空港へ向かうのであった、これじゃ一泊二日と変わらないんですけど~!

 

「日本経済は衰退していると聞いたけれども……」

「彼に関しては別らしい、相変わらずの仕事中毒(ワーカーホリック)だな」

 

依頼主の素性調べてからコンタクトの予定組み込んで直接会いに行かなきゃいかん、まーた移動中の飛行機のビジネスクラスの席で寝泊りだよ! ……休みとはなんだ、どんなタイミングで発動する? 緊急依頼の発動によって休みは打ち消されるってのは知っているんですけどね(嗚咽)

 

ポルノ

13part2 狙う男と狙われた女

 

 

「遅いな時間に正確な男だと聞いていたが・・・・・・」

「いや、まだ時間まで3分ある」

「!? ……失礼、貴方が」

「東郷だ」

「おお、では早速依頼の話をするのでどうぞ車へ」

「……」

「おっと失礼、貴方は人に背中を向けるのを嫌っていましたね」

車の中に入ると男はゆっくりと続いて車に入った。

「出してくれ」

 

運転手に依頼主が命令するとゆっくりと車は動き出す、しっかりと整備され高性能なサスペンションは車内によけいな振動をまったく感じさせなかった。

 

「すでに調べて知っているとは思うが名乗らせてもらおう、内務省公共安全庁の山本信繁だ」

「……対魔忍を動かせる立場に、いる男がなぜ俺に、依頼を頼む?」

 

どうも今晩は師走の忙しい時期は殺し屋家業も多忙で困っているオークのロドリゲス・東郷ことポルノ13です。 日本絶体絶命無理ゲーの中の最後の希望こと山本さんに依頼を受けることになりました。

アサギさんの上司でまともに国防をやっていて愛想があれば総理大臣になれたといわれる有能な人物でアサギさんとは互いに強い信頼関係を築いている人物ですこの人がいなかったら日本は正直詰んじゃうんでめっちゃ重要な人物。

 

「最初から君に頼めばよかったのだがうちの凄腕が二名事前に解決に動いたが死体で発見された、そのため警備が厳重になり君に頼むしかなくなったのだ」

 

なんで難易度を上げた状態で依頼を頼むのかソレガワカラナイ、公式最強対魔忍さんいるでしょその人に頼んでくださいよー! 

 

「……他にも人材はいるだろう」

「ああ、井河アサギのことか各組織は彼女の動向を常にチェックしているので簡単には動かせない。 ――なにより今回の任務は不向きなのだ」

 

なぜ美人のアシスタントとかくれないんですか!?

本家の13の人は依頼で女性が着いてきていきなり服を脱いで裸になって。

 

G13「それも報酬のうちか?」→「ふふふ、楽しませてくれるんでしょ?」→「オォー! 東郷……怪物(モンスター)!」

 

とかいわれちゃったりしているのに何故、巨乳美人美少女揃いのこの世界で毎回ソロ任務なんだYO! 

まあ女助手が内通者で射殺してENDとか途中で死んだりとかやってるんでいっそいない方が気持ちも楽かもしれないけどさ。 爆乳ツンデレ対魔忍が調子に乗って捕まってたのを助けてウコチャヌプコロしたいです……。

ヨミハラあたりにロリきょぬー魔女でもいないかなぁ……。

 

チャキ

 

そんなことをポーカーフェイスのまま考えていると相手が懐に手を入れたので瞬時に懐のガンホルダーから『S&W M36 2インチモデル』を抜き照準を眉間に合わせた。

突然こちらが銃を向けたことに動揺し冷や汗をかきながら動きを止めた。

 

「た、ターゲットが移っている写真を渡そうとしただけだ……」

「……ゆっくりだ、ゆっくりだして貰おう」

「あ、ああ……これだ」

 

相手に敵意がないのを確認し、写真を受け取り銃を懐にしまう。

写真に写っていたのは容姿は切れ長のツリ目で、ストレートの黒髪が腰まで伸びた女性だった。

スタイル抜群でかなりの爆乳であり、紫のスリーブレスボディスーツを着用し妖艶な雰囲気を漂わせている。

うーん、これはどうみても井河アサギですね本当にありがとうございました。

 

ポルノ

13part3 完全なる複製

 

「驚いたと思うが彼女は……」

「――クローンか」

「なぜ!? ……そう、思ったんだ?」

「例え写真を撮られているとはいえ、最強の対魔忍、と呼ばれる女がする表情ではないと、思っただけだ」

 

急所を外して狙撃して欲しいって依頼かもしれないんでちょっと悩んだけどね!

 

「……もう一度尋ねる、何故本人を使わない?」

「先程言ったとおり……」

 

嘘乙、注目浴びててもアサギだったら忙しくてもむしろ率先してクローンを始末するであろうから、明らかに何か別の意図があるよねコレ、面倒くさそう帰ってもいいですか?

 

「……本当のことを話せないなら、ここまでだ、降ろしてもらおう」

「わ、わかった、正直に話そう」

 

えー、別に話してくれなくて帰らせてくれてもいいのよ? 休みたいし

「さすが噂通り鋭い男だな」と小さく呟いて評価を高めないでもいいんで帰らせてください。

 

「知っていると思うが最強の対魔忍と言われる井河アサギのクローンは過去に何度も製造されている、がことごとく本人の再現は失敗に終わっている」

 

作ったのはいいけど失敗したんで娼館に売っぱらったりしてるんですよねー、高い金払って作ったのになんで娼館に売るのかがよくわからん、そんなにこの世界の娼館って娼婦単価が高いのかね?

 

「このクローンは井河アサギの能力を完全に再現したパーフェクトクローンだ」

「……能力は再現できても、経験までは再現できない、それこそ本人が対処すれば、いいだけの話だ」

「ところがそうはいかないのだ、井河アサギ本人が出て始末しても、『本人以外には止められない生物兵器』という実績により量産される可能性が高い、……恥ずかしい話だがすでに何度も排除に失敗しているためある程度優秀な兵器だという証明がされているのだ」

「……殺し屋程度にやられるならば、対峙した人材の能力不足なだけ、としたいわけか」

「察しが良くて実に助かる」

 

一応A級スナイパーとして有名ではあるけど『知る人ぞ知る』的な感じでアサギ程知名度ないんで時々普通に喧嘩売られたりするんですよね、なんでガタイの良くて目つきが鋭いどうみてもカタギに見えないであろう自分を平気で挑発するのだろう? この世界治安が悪スギィ!

 

「依頼内容は井河アサギのパーフェクトクローンの排除、及びそのクローン製造に関わるデータの消去だ。

近距離のスペシャリストである井河アサギのクローンを倒せるのは遠距離のスペシャリストの君しかいない、頼む引き受けると言ってくれ!」

「……わかった、やってみよう」

「おおっ!」

 

 

ポルノ

13nextpart 後編へ続く

 




鬼滅の刃RTA風作品とか対魔忍RTA風作品とかジョジョの奇妙な冒険第五部『スタンド<世界>』で始めるギャングスターRTA、とか『エロゲ世界の特殊能力を持って転生したけど質問ある?』という掲示板風作品書いてたり対魔忍の作品資料を求めてamazonで注文しようとしたら間違えて電子書籍版を買ってしまって電話でキャンセルをしたら日本語が片言な女性に対魔忍を連呼されたりとかしてましたがとりあえず生きてました。

このままだと年明けまで投稿できないような気がしたので未完成で申し訳ないがクリスマスなので投稿しまーす。

……うん、久しぶりに書いたので作者本人も作風を忘れ気味ですね。


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