ウルトラマンタイム (桂ヒナギク)
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1.タイムトラベラー! その名はウルトラマンタイム

 二〇一九年。

 地球は連日襲いくる侵略者の手により、焦土と化していた。

 だが、地球人は諦めることなく、防衛組織を設立し、迫り来る宇宙人と戦っていた。

 そんな惑星を、宇宙空間から見つめている、一人の赤い巨人。

 巨人は意を決して、地球へと飛び込んだ。

(滅びかかってる……)

 地上には何万という生物の死骸が散乱している。

 巨人は地上に降り、遺体の記憶を読んだ。

 地球は半年前まで平和だった。

 だが、突如として宇宙人が現れ、攻撃をしてきたのだ。

 地球はあっという間に焦土と化し、人類は滅亡の一途を辿ることになった。

 巨人は故郷の科学力で作られた時間移動装置を取り出すと、座標を入力して装置を起動させた。

 時間移動を開始する巨人。

 

 

 防衛組織、クロックの戦闘機複数が、星人と交戦している。

 黒崎(くろさき) 芳樹(よしき)搭乗(のる)戦闘機は星人の攻撃をくらい、墜落を開始していた。

 芳樹は脱出を試みるも、どうやらスイッチがいかれているようで、どうしようもできなかった。

 死ぬ、そう覚悟した刹那、(まばゆ)い光の球が戦闘機を包み込み、時間が止まった。

「……?」

 芳樹の前に、赤い異形が現れる。

「君が黒崎 芳樹だね?」

「ああ。君は?」

「私は惑星シガンから来た宇宙人だ。この星を救いたい」

「救うたって、あんなでかい宇宙人……」

「私は巨大化できる。そのために君の体を借りたい」

「僕の中に入るってことかい?」

「ああ、そうだ」

「僕の意識はどうなる?」

「もちろん、残しておく。君と私は一心同体になるんだ」

「この状況を打開できるなら、歓迎しよう」

「私の名は、タイムだ」

 タイム、そう名乗る赤い宇宙人は芳樹の体に入り込んだ。

「うわああああ!」

 戦闘機は墜落を再開する。

「芳樹、右腕の端末を操作するんだ」

 脳裏に響く声。

 芳樹は右腕を見た。

 腕時計型の装置がついている。

 芳樹はそれを操作し、タイムに変身、巨大化した。

「あれはなんだ!?」

 タイムを見た防衛チームが戸惑う。

「シュワ!」

 星人もタイムに気づき、攻撃を仕掛けてくる。

 タイムは攻撃をかわし、反撃する。

 星人が怯んだところに、追加の後ろ蹴り。

 バランスを崩して倒れる星人。

 星人は起き上がり、振り返って気弾を飛ばしてくる。

 タイムは飛び上がってかわす。

「くらえ!」

 腕を十字に組み、光線を放つタイム。

 必殺のタイムインパクトが炸裂し、星人は爆裂霧散して消え去った。

 タイムは、光に包まれると、小さくなって芳樹の姿になった。

「タイム、君はウルトラマンなんだね」

 芳樹は巨大化したときの姿を思い出してそう言った。

「ウルトラマン?」

「昔、漫画で読んだ作品の主人公に似てたから」

「そうか。ウルトラマンタイムか。いい響きだ」

 



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