水人間のヒーローアカデミア (まーしー34)
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個性紹介 オリ主 オリキャラ詳細
プロフィール 個性紹介


オリ主のプロフィールと個性紹介です
今後詳細が増えていくかも
挿絵ありますので良かったら見てください!


主人公

 

水谷(みずたに) 玲奈(れいな) 15歳

 

身長172cm 体重62㌔ 血液型 ない

誕生日 6月10日

 

スリーサイズ

B 87cm W 65cm H 88cm Eカップ

鮮やかな長い青色の髪をポニーテールにしている

傍目から見るとスタイルのいい美人

 

個性「水人間」

身体組織が水で出来ている常時発動の異形型個性

一応人間ではあるので意識のあるうちは人型は保てるが意識を失うと水と化してしまう。

なので寝る時は愛用のドラム缶に入っている

ちなみに水状態でも話せるので結構ホラー

 

能力詳細

自分の身体の体積の水を自由に操ることが出来る

身体の一部を肥大化させる事や身体を水に変えて溶けたり、打撃を無効化することも出来る。

必要ならば敵の身体の中に入り込み身体の中から壊すことができる凶悪な個性

自分を他の水に混ぜることによって一時的に操る水の総量を増やすことも可能。

しかし自分を長時間を溶かしすぎると自分自身が薄まりすぎ人型に戻ることが困難になる

水の特性上 熱や冷気に弱く 特に高熱を受けると身体が蒸発してしまったり温度が下がりすぎると凍ってしまう

 

 

ちなみに身体の水を限界ギリギリまで失うと幼女化してしまう上力も比例して弱くなる。

 

 

水谷 玲奈 人間状態

 

【挿絵表示】

 

水谷 玲奈 液体状態

 

【挿絵表示】

 

水谷玲奈 戦闘服

 

【挿絵表示】

 

戦闘服 インナー

 

【挿絵表示】

 

 

 

両親

 

ヒーロー名 消防ヒーロー「フレイムバスターズ」

ヒーローランキング第38位

憧れの夫婦ヒーロー第3位

 

 

父親 水谷 操英(みずたに そうえい) 40歳

身長186cm 体重84㌔ 血液型AB型

誕生日 8月31日

 

ヒーロー名 「アクアマン」

青髪を短く切りそろえ、筋骨隆々な体躯を持つ

左頬に昔おった古傷がありかなり強面だが家族思いのお父さん

声が大きく助けた子どもに泣かれるのが悩み

 

雄英高校ヒーロー科卒業生

在学中は優秀でヒーローになったあとも講師として何度も雄英高校に招かれている。(ちなみに彼の授業を相澤や山田(プレゼント・マイク)は受けているため顔見知りである)

 

個性は「水流操作」そのまま水流を操る個性

水流を操り火災を消すのが主な仕事だが水を超圧縮してウォーターカッターのように扱うなどヴィラン退治にも応用する技巧派ヒーローでもある

しかし水を生み出すことが出来ないため妻との協力でやっと本来の力を発揮することが出来る

 

 

母親 水谷 溜子 (みずたに りゅうこ) 38歳

身長168cm 体重550㌔ 血液型 A型

誕生日4月5日

 

 

ヒーロー名「タンクガール」

暗い藍色の髪の毛をボブカットにしている

かなりの肥満体型だがこれは個性のために水を溜め込んでいるせいで水を放出しきると驚くほどスタイルの良い美人になる

ちなみに運動神経はバツグンで50mを4秒後半で走れる

ウォーターホースの妻の方、出水 沙紀の親友で洸汰にも面識がある

 

雄英高校普通科卒業生

個性「タンク」自身の身体に水分を溜め込むことが出来る

ちなみに泥水や汚染された水でも彼女が取り込むと綺麗な真水になる

放出の仕方は左手に空いている放出用の穴から ふだんは閉まっているが有事の際には手から放出できる ちなみに取り込むのは右手の穴

 

2人の出会いは雄英高校での文化祭で肥満体型の溜子がいじめられているのを操英が助けたため

卒業後溜子が操英のサイドキックになりそこから交際 結婚となった

 

ちなみに水を放出し切った姿を初めて見た時、操英は「めちゃくちゃ美人やんけ!!」と驚いたそう



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本編
第1話 水人間 雄英高校ヒーロー科を受けるの巻


初投稿です!
小説は今まで書いたことないので駄文だと思いますが、暖かく見守ってくれると幸いです!

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玲奈(れいな)は大きくなったら何になりたいの?」

と幼い頃に両親に聞かれた。

 

「私お父さんとお母さんみたいなレスキューヒーローになりたいの!それでいっぱい人を助けたいの!」

と私は答えた。

 

それを聞いた両親はそうかそうか!玲奈ならきっとなれるぞ!と喜んでいた。

 

 

それから10年経った今でもその夢は変わらない。

両親も卒業した雄英高校の受験を受けるために玲奈は長い青髪のポニーテールを揺らしながら家を出る。

 

 

「じゃあお父さん お母さん行ってきます!!」

「おう!頑張れよ!!」

「お母さん受かるって信じてるからね!」

両親の言葉を胸に私はバスに乗って雄英高校へ向かった。

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

side 雄英高校

 

 

「でっかいなぁ…」

天高くそびえる校門を見て私は思わずそう呟いた。

数々の名のあるヒーローを生み出した名門校にふさわしい圧倒的な存在感だ。

 

あちらこちらで私と同じように圧倒される子や合格するぞ!と意気込む子もいる。

それと共に、

「綺麗な青髪…」

「モデルみたいな体型」

「美しい…」

という声も聞こえてきた。

確かに私の容姿はそこそこ整っていると思う、身長は女性にしては高く170cmを超えるが…

 

ふと周りを見渡すと、視界の端でもじゃもじゃ頭の少年が転びそうになってた。

放っておくと間違いなく、顔面から転んでしまいそうな彼を気の毒に思い、私は思わず『水』になった手を伸ばそうとした。

しかし、彼がいきなりフワリと浮き上がったのを見て手を引っ込めた。

 

どうやら傍に居たボブカットの女の子の『個性』のようだ。

恐らく、手で触ったものを浮遊させる個性だと思う。

私の手が水になったのを見て、近くの受験生がギョッとしていたが、それに気付かないふりをして私は校門をくぐった。

 

 

 

 

 

「受験会場はこちらでーす! 受験される方は受験番号の札を持って受験会場の方へお進み下さーい!」

係員と思しき人に受験番号を見せると受験会場へと案内された

 

分かれた先の受験会場にも100名をゆうに超える受験者が居てさすがの倍率だと感じた。

するとそこに場違いなほどハイテンションな声が響いた。

 

『エビバディセイイエェェェイ!! 今日は俺のライブへようこそだゼー!』

雄英高校で教師を務める『ボイスヒーロー プレゼントマイク』の声だ。

しかし、緊張した受験会場に彼の声にノる余裕のある人間は少なく、ただ静寂だけがが広がった…

 

(プレゼント・マイク ドンマイ)

と心の中で呟く玲奈だったが、彼は静寂にもビクともせず、終始ハイテンションのまま説明を始めた。ヒーローならでは?流石の胆力である。

 

『最後にリスナーへ我が校『校訓』をプレゼントしよう。かの英雄ナポレオン・ボナパルトは言った!「真の英雄とは人生の不幸を乗り越えていく者」と!“Plus Ultra”!それでは皆、良い受難を!』

 

『Plus ultra!!』私はこの言葉が好きだ。尊敬する両親の口癖でもあり

困難に立ち向かうヒーローにふさわしい言葉だ。私はこの言葉を胸に抱きながら試験に望もうともう一度決心した。

 

 

『ハイ、スタートー!』

 

 

周りが『え?』と困惑する中をプレゼント・マイクが叫ぶ。

 

『どうしたぁ!?実戦じゃカウントなんざねえんだよ!走れ有精卵どもぉ!ぼやぼやしていると試験終わっちまうぞぉ!?』

 

 

 受験生たちがその声に慌てて一気に走り出す。私も乗り遅れては行けないと走り出した。

その後ろにポツンと残された、もじゃもじゃ頭の少年を見たが私は特に気にせず走り出した。

 

 

 

私の個性は『水人間』読んで字のごとく身体が水で出来ている。

両親は消防ヒーロー「フレイムバスターズ」というプロヒーローだ。

父が水流を操る『水流操作』 母が自分の身体に水を溜め込む『タンク』

主に火災現場や被災地で活躍するレスキューヒーローである。

 

そんな2人に生まれた私 水谷玲奈(みずたにれいな)は、生まれつき身体全てが水で出来ているという『異形型個性』持ち主だった。

母は流産したのではないかと、出産直後に涙を流したそうだが、水が集まり私が産声を上げると医者も両親も驚いたそうだ。

 

私は両腕を水に変化させ、仮想敵にまとわりつかせることで配線をショートさせ、無力化させていく。

今回の試験は、このロボット型仮想敵を倒すこと。水を使える私には相性が良い試験だ。

 

他の受験者はロボットの大きさにも圧倒されながらも、着実にポイントを稼いでいる。

「私も負けてられないな」と向き直ると、そこには周りのビルを優に超える、「超巨大」なロボが居た。

 

『ハイジョシマス』と機械的な音声と共に巨大な拳を振り下ろす。

「危ねぇ!!」

「雄英ここまでやるか!?」

と様々な悲鳴が飛び交う中私も拳の範囲内から逃げ出した。

 

ボゴォォ!!という、とてつもない豪音と砂煙を見て、私も(マジか)と冷や汗を流した。

 

周りでは「こんなのに勝てるか!!」と言う悲鳴と

『そうそう!言い忘れていたが、その巨大なロボはおじゃま虫だ!!0ポイントだが超強力だゼ!!』とご機嫌なプレゼント・マイクの声が響き渡っていた。

 

(そんな大事なこと言い忘れるなよ)

と内心思いながらも、私は巨大ロボの足元から離れ地道にポイントを稼いでいた。

 

 

途中で危なそうな受験生達も助けながらだったので、思うようにポイントは稼げなかったが、レスキューヒーローを志す以上要救助者は放って置けない。

 

 

 

『試験終了まであと1分!!』

プレゼント・マイクの声がまた響く。

 

 

その時、巨大ロボの足元に瓦礫が挟まって身動きが取れない少女を発見した。

あのままでは間違いなく踏み潰されてしまう。

 

そう思った私は近くにあった池に手を伸ばすと、池の水を取り込み巨大な腕を作り出した、その腕でロボを殴りつけようと思った瞬間。

 

 

何かが飛び出した。

校門前で見つけたもじゃもじゃ頭の少年だと気づいた瞬間

 

 

「SMASH!!!!!!」

 

と拳を振り抜いた。

ロボは装甲を粉々に砕け散らして、もう二度と動くことは無かった。

 

周りも「スゲェェェェ!!」と興奮気味である。

流石雄英高校 凄い個性がいるなと思ったが。

 

「おい あいつ落ちてねぇか?」

「てか気絶してね?」

の声に彼を見る。

ロボットを殴りつけた右腕は、折れてしまったのかあらぬ方向を向き、足からも血を流している。

あのままだと地面に衝突してしまうと思った私は、落下地点に一目散に駆け出した。

落ちても良いようにさっき取り込んだ池の水を使い彼の落下地点に向かって水のクッションを作り出したが。

 

地面に衝突する瞬間に、瓦礫に挟まっていた少女が少年にビンタし身体を浮かせたことで、彼は地面との衝突を免れた。

私は少しホッとしたが 彼らの所に行き怪我の度合いを見ることにした。

 

少年は私の作った水のクッションの上に倒れ込み、少女は青白い顔をしてグロッキーになっていた。

 

『終了!!!!!!』

プレゼント・マイクの声が3度響くと、周りの緊張が一気に解けたことにより。

 

「あいつ、何だったんだ?」

 

「いきなり0ポイントのロボに飛び出したりして」

 

「増強型の個性なんだろうけど…規格外だ」

 

水のクッションの上で倒れ伏し、ピクリともしなくなったボロボロの男子の周りで、ザワザワとしながら話す受験生たちに、

私は「何故助けないんだ」と内心イラッとしながらも、受験生を押しのけて2人に近づいた。

 

私は少女の方に近づくと

「私よりもあの子の方を見てあげて」と言われたので

 

「分かった あなたも気持ちが悪いなら1度吐いた方が楽になるよ」

と伝え、重症の彼の方に向かった。

 

「大丈夫!?」と言いながら少年に近づくと少年は青白い顔でこちらを見た

触ると不味いと思い視診した所、骨がグチャグチャに折れ、内出血が酷く熱を持っていた。これは冷やした方が良いと思い、水を操作し彼の腕を包み込んだ。

 

 

私が応急処置をしていると、受験会場に杖をついた老女が現れた。

「お疲れ様~、お疲れ様~。ハイハイ、ハリボーだよ。ハリボーをお食べ」

 

両親から聞いたことがあるが、彼女は「リカバリーガール」という方だ。

珍しい治癒系の個性の持ち主で、雄英高校の校医をしている医者だ。

 

「すいません!!こっちに重傷者がいます! 右手右足を酷く骨折していると思われます!」と私が叫ぶと

 

「おやおや 本当だねぇ… この水のギプスはお嬢さんのかい?」

とリカバリーガールが近づいてきた。

 

私はそうだと答えると、リカバリーガールは少年に向き直り

『チユーーーーー!!』という音と共に唇を伸ばし、個性が発動される。

内出血で赤黒く腫れ上がり、バキバキに骨折していた手足が一瞬で治癒されていく。

 

(これがリカバリーガールの個性『治癒能力の超活性化』か)と見ていると。

 

「水のギプスねぇ、昔いた少年を思い出すよ。今はヒーローをやってたかね?確かフレイムバスターズって言う」と呟いた。

 

「あ もしかしてそれ父ですかね?」と言うと

「そうかいそうかい! あの水谷の娘か!」と笑い出す。

親娘でもすることは同じかい、と呟きながらリカバリーガールは去っていった。

 

「そうかお父さんも同じことしてたんだ」と思わず嬉しくなる玲奈であった。

 

「へぇ 現役ヒーローの子どもか」

「なるほど水を操る個性か」

と周りから言われていたが、玲奈の耳には届いていなかった。

 

次の筆記試験もこなし、玲奈は帰路に着くのであった。

「お父さんと同じことしてたって話そ」と内心ウキウキしながら…




玲奈ちゃんの受験模様でした。
この時点では他の人達には「水を操る」個性だと思われています
実は『水人間』だと知られたらどういう反応になるのでしょうか?

ちなみに玲奈ちゃんは両親をとても尊敬しているのでややファザコン マザコン気味です。


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第2話 入学試験結果&講評の巻

続きです!
特に書き溜めなどはないのでちょこちょこ更新していきます!


 

 

 

 

 

~時は少し遡り 雄英高校入学試験中

 

 

 

雄英高校 視聴覚室

 

暗い部屋の中にいくつものスクリーンが投影されていた

入学試験の中継を見ながら採点する雄英高校教師陣とプロヒーロー達が倒されたロボ敵の数をカウントしながら『ある』ことを見ていた。

 

それは敵を倒した時のヴィランポイントだけではなく ヒーローとして欠かせない『レスキュー』ポイントを見るためだ。

 

ヒーローはただ敵を倒せば良い訳では無い 人を救ってこその『ヒーロー』なのだ。

ちなみにこのレスキューポイントの存在は受験生には知らされていないが合否に関わるとても大きな要因になっている。

 

 

教師陣いわく『人助けした人間を排斥しちまうヒーロー科など あってたまるかって話だよ!!! 綺麗事上等!! ヒーローってのは命を賭して綺麗事を実践する仕事だ!!』との事である。

 

 

 

 

「実技総合成績が出ました」

その声とともに一際大きなスクリーンに受験生の名前とポイントが表示された。

 

 

「いやーー今年の受験生は特に優秀だね! 良個性のオンパレードだ!」

1人の審査員が興奮気味に声を上げた。

その声に続き審査員が各々の感想を言い始めた…

 

 

「特に成績1位の彼の個性は派手で強力な上に終盤まで敵を倒し続けたタフネスぶりも評価点だな!!」

「しかしレスキューポイント0点とは… 「ぶっ殺す!!!」とか口にしてたしヒーローとしては少し難があるかもしれんがな…」

 

「対象的にヴィランポイント0点で8位の彼だね あの巨大ロボに立ち向かったのは過去にもいたが ブッ飛ばしたやつは久しく見てないね」

「俺は思わず Yeah!!!って叫んじまったよ(笑)」

 

 

「他にも触れたものを浮かす個性を持つ娘だったり珍しい個性もいたな」

 

 

「あーーー彼女もいいとこいってなかった? ほら2位の水谷って娘」

 

スクリーンの左列2番目に『水谷玲奈』の名前があった。

 

「そうそう 見た感じ水を操作する個性かな? 水を上手く使ってロボをショートさせたり 水を纏った腕をふるってロボを叩き潰してたね!」

「いや!入学願書を見たところ個性は『水人間』らしいぞ? どういうことだ? 扱えるのは水流だけじゃないのか?」

「攻撃一辺倒かと思えば 怪我をしそうな受験生を水の壁で守ったりな!あれは周りが見えていないとなかなかできる事じゃないぞ?」

 

彼女についても審査員は色々と話している。

ちなみに彼女の点数は ヴィランポイント33点 レスキューポイント 42点の合計75ポイントでバランス良く高得点となっている。

 

 

「ん? てか水谷って聞いたことないか?」

1人の審査員が名前を見て気がついた。

 

「確か雄英卒業のプロヒーロー フレイムバスターズの娘らしいな ほら父親の方は講師で何度も雄英に来てるだろ?」

 

「なるほどプロヒーローの娘なら納得だわな」

 

 

 

 

(まったく…ガヤガヤと)

興奮が醒めない審査員達がワイワイ話している中で1人の男が、まるで

審査などには興味が無いような無機質な目線でスクリーンを眺めていた。

 

 

 

 

 

 

 

~試験から1週間後 「水谷家」

 

「玲奈〜~!!! 雄英から手紙が来てるわよ〜〜!!」

と1階から母親の声が聞こえる。

 

 

『とぷん……』

と玲奈の部屋にあるドラム缶の水に波紋が広がった

 

「んんーーーーわかったぁぁぁ…」

ドラム缶の水が浮き上がった瞬間そこには青色の髪の毛をたなびかせた

『全裸』の玲奈が立っていた。

 

彼女は『水人間』身体の組織全てが水で出来ている異形型個性の持ち主である。 起きている時は人間の姿だが、寝ている時など意識が途切れている場合は人型を維持することが出来ないため、寝る時はこうしてドラム缶の中で眠っているのだ。

ちなみに服は水ではないため寝る時は裸になる必要がある。

 

 

欠伸をしながら部屋着に着替えると、まだ寝起きのため覚束無い足取りで階段を降りていく。

 

 

リビングの机には 「雄英高等学校」と書かれた封筒が置いてあった。

 

「お!どうだどうだ?」

父が興味津々という様子で近づいてきた。

 

私はソファーに座り封筒を開くと そこには書類と共に1つの小型プロジェクターが入っていた。

 

それを取り出すと「ブン!!!」 という音と共に映像が流れだした

 

 

『私が投影された!!!!!!』

 

という大きな声と共に 大きく跳ね上がった2つの前髪が付いた明らかに画風が違う濃い顔がどアップで映し出された。

 

私は少しギョッとしたが、それが直ぐに雄英高校の卒業生であり現在No.1ヒーローである『オールマイト』だと気づいた。

 

 

『初めまして水谷玲奈くん!私はオールマイトだ!なぜ雄英高校からの手紙に私が投影されたのかって? それは私がこの春から雄英に教師として勤めるからさ!さあ!あまり引っ張ってもしょうがない!早速、君の合否を発表しよう!』

 

 その言葉と共に映し出された画面が暗くなり、オールマイトの立つステージのみがライトアップされる。ダララララ、とドラムロールが鳴り響く。あまり引っ張ってはしょうがないと言った割には少しもったい振ったパフォーマンスだと思ったが、これも1つの様式美だろうと思っていると、「ダン!」と最後のドラムが鳴った。

 

『おめでとう!合格だ!! 実技が75点! 筆記テストも問題なし!! 首席には1歩及ばなかったが、一般入試次席での入学決定だ!!』

 

「やったァァァァ!!!」

 

その言葉に私は思わずガッツポーズを取った、その後ろで

 

「よくやったぞぉぉぉぉぉ!!!!!!!」

「よくやったわねぇぇぇぇ!!!!!!!」

両親も2人そろって同じ言葉で喜びを表していた。

 

私より遥かに大きな声でしかも涙を流しながら喜んでいる父親と私に覆い被さるように抱きつく母親…

(お母さん重たい…といつもなら水になって逃げ出す所だが今日ぐらいはこのまま抱きつかれて居ようと思った)

 

映像のオールマイトもこうなることを予想してか笑顔で拍手を送り続けていた。

しばらくした後、画面のオールマイトがコホンと軽く咳払いをして、佇まいを直す。それに気付いた両親も姿勢を正して画面を見つめ出した。

 

『実は先の実技入試だが、受験生に与えられるポイントは、説明にあったヴィランポイントだけではなく、実は審査制のレスキューポイントも存在していた! ヒーローはヴィラン退治だけにあらず! ヒーローの本分は人助けだ!水谷玲奈くんの内訳は敵ヴィランポイント33点、レスキューポイント42点、合計75点!文句なしの合格だ!水谷少女!改めておめでとう!雄英で待っているぞ!』

 

オールマイトがその言葉を言い終わると投影されていた映像が終わった。

 

 

「これで玲奈もお父さん達の後輩になったわけだな!」

「今夜はお祝いよ!いつも以上に腕によりをかけてご馳走つくるからね!」

「それは楽しみだなぁ…母さんの料理は美味いからなぁ…」

「ちょっとあなた? 今日は玲奈のお祝いなんだから程々にしてね?」

「分かってる分かってる! いやーしかし今日はめでたいなぁ!」

 

 

放っておくと直ぐにイチャイチャしだす両親にヤレヤレとため息をつきながらも玲奈は雄英高校に入学する未来に胸を踊らせながら同封されている書類に目を通すのであった。




ここまで、読んで頂きありがとうございました!
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筆者は単純ですので高評価して下さるとめちゃくちゃ喜んで次の更新も頑張るようになります!(笑)

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あと主人公の水谷玲奈ちゃんの画像を妹に描いて貰ったのでもしよろしければご覧下さい!

水谷玲奈 水形態

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水谷玲奈 人間形態

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第3話 雄英高校入学と個性把握テスト導入の巻

投稿が遅くなってすいませんでしたー!!
リアルで忙しかったのとモチベの問題で遅れてました!
これからも亀更新だと思いますがよろしくお願いします!


 

~4月

中学校の卒業式も終え、そして迎えた入学当日

 

「忘れ物はないか? ちゃんと筆記用具とかも持ったか?」

「ちゃんと水分も持ったかしら?水分なくなったら大変だからね?」

と相変わらず心配性な両親の言葉を聞きながら私は玄関で靴を履いていた

 

「大丈夫よ ちゃんと水筒に持ってるから 私ももう高校生だから心配しすぎよ」

私は靴を履き終えると玄関のドアノブに手をかけて

 

「それじゃ!いってきます!」と笑顔で自宅を出発した。

 

 

 

 

 

~雄英高校

 

 

「確か私のクラスは1-Aよね…?」

雄英高校は外観の広さもさることながら中もとてつもない広さだった。これは校舎で迷子になる人もいるのではないか?と思うレベルで広いため自分の教室に向かうのも一苦労だ。

そうなることを見越して早く家を出て正解だったと感じる。

 

しばらく廊下を歩くと1-Aの教室を発見したが

「トビラでっか… 」

そこには玲奈の身長の数倍はあろう大きな扉がそびえ立っていた。

恐らく個性の関係でバリアフリーにすると大きくならざるを得ないのだな…と考えながら力を入れて扉を空けると思いのほか扉が軽く

 

「スパーーーーン!!」と思い切り開けてしまった

 

中にいた数人の生徒が驚いてこちらを凝視する

 

「あ…あのー…お騒がせしてすいませんでした…」と私が謝ると

 

「まあ確かにその扉思ったより軽いからね」

「気にしなくていいよー」

「席順は前に貼ってありますわ」

 

と何人かがフォローしてくれた

 

ちなみにまだ早かったため教室には今フォローしてくれた女子生徒3人と眼鏡の男子生徒と奥の方にいる髪の毛が紅白に分かれた男子生徒しか居なかった。

 

私の席は窓側の前から2番目だった、自分の席を確認した後にカバンを席に置くと女子生徒の近くに行き自己紹介をすることにした。

 

「さっきは驚かせてごめんね 私は水谷玲奈っていいます これから3年間よろしくお願いします」とお辞儀をした。

 

「ご丁寧にありがとうございます 私は掘須磨大付属中学校から来ました八百万 百ですわ 以後よろしくお願いします。」とポニーテールの少女が言った

 

次は耳たぶがイヤホンジャックのようになっている少女が

「私は耳郎響香 よろしくね」と話した

 

最後は…

「私は葉隠透! 見ての通り透明人間でーす!」

とバタバタと身体を動かして挨拶をしてくれた 顔は見えないが快活な性格だと分かる自己紹介だった。

 

 

しばらく3人と話していると眼鏡の男子生徒が近づいてきて

「ぼ…俺は私立聡明中学校出身 飯田天哉だ よろしく」と挨拶をしてきた

右手を出していたので握手かと思い私が手を握ると

 

「な!? なにをしてるんだね!? い、いきなり僕の手を握って!」

と顔を真っ赤にして焦っていた。

 

「あ ごめんなさい! 手を出していたのでてっきり握手かと思って…」

と手を離して謝ると

「ああ…すまない… これはぼ…俺が話す時の癖みたいな物だから…」

と飯田くんも謝ってきた。

 

なんか今日私謝ってばかりだな…と思う

 

 

 

 

それからしばらくすると他の生徒たちも続々と登校してくる時間になった。

カエルみたいな女子生徒 顔が鳥みたいな男子生徒など、見た目が違う生徒も多く玲奈も異形型個性なため少しホッとした。

 

最後に入学試験の時にロボットをパンチ1発で沈めた緑髪のもじゃもじゃ頭くんと浮かせる個性の女の子が入って来ると廊下の寝袋から声が聞こえた。

 

 

「お友達ごっこしたいなら他所にいけ ここはヒーロー科だぞ」

寝袋の中からゼリーを出すとそれを一瞬で飲み干し 立ち上がる。

 

あまりに衝撃的な登場でそれまでザワザワしていた教室に静寂が訪れた。

 

「ハイ 静かになるまで8秒かかりました 時間は有限 君たちは合理性に欠くね」

先生なのかな?と皆が考える中その大人が自己紹介した

 

「担任の相澤消太だ よろしくね」

 

(((((担任かよ!!!))))) たぶん私以外にも思った人は沢山いると思う…

 

相澤先生は寝袋の中から体操服を取り出すと

 

「早速だが 体操服来てグラウンドに出ろ」

 

「入学式は!? 」「ガイダンスは!?」

 

「さっきも言ったが時間は有限だ ヒーローになるには限られた時間を如何に有効に使うかだ そんな悠長なことしている暇はないんだよ。雄英は「自由」な校風が売り文句 そしてそれは「先生側」もまた然り さあ5分で支度して集まれ」

と言い残すとさっさと歩いていってしまった

 

 

 

 

 

~雄英高校運動場〜

 

 

「俺は5分で集まれって言ったはずだがな…まあいい 説教で無駄な時間を使うことも無い… 早速だが個性把握テストを行う」

相澤は手元の時計を見ながら少し不機嫌そうな様子で話した

 

「流石に5分は無理だよ 初めての校舎なんだしよ…」と身長の低い男子生徒がボソッと文句を言うと、先生の鋭い眼光が飛んできた

 

「…まあいい これからテストの説明をする ソフトボール投げ、立ち幅跳び、50m走、持久走、握力、反復横跳び、上体起こし、長座体前屈… 中学の頃からやってるだろ? 個性禁止の体力テスト 国は未だに画一的な記録を取って平均を出してる… 全く合理的じゃない…」

後半はただの愚痴っぽかったが一通り説明をすると先生がこちらを見て言った

 

「爆豪 中学の時 ソフトボール投げ何mだった?」

「67m」とぶっきらぼうに答える爆豪と呼ばれた男子生徒 さっき飯田くんと言い争ってた人だな どんな個性なんだろ?と考えてたら

 

 

『死ねぇぇ!!!!!』

という叫び声と共に大音量の爆発音が運動場に響き渡った

 

(((((((……………死ね?)))))))

 

「まず自分の最大限を知る それがヒーローの素地を形成する合理的手段だ」

そう言いながら相澤先生の見せた端末には「705.2m」と、とんでもない数字が映っていた。

 

「なんだこれ!!すげー面白そう!」

「705mってマジかよ!?」

「個性を思いっきり使えるんだ!! 流石ヒーロー科!」

とみんなが口々に言うのを聞いて相澤は呟いた

 

「…面白そう、か ヒーローになるための3年間をそんな腹づもりで過ごす気でいるのか?」

私には何か黒いオーラのようなものが見えた気がする…他のクラスメイトたちもその様子に驚いた様子だったが 先生の次の言葉でさらに驚くことになった…

 

「よし トータル成績最下位のものは見込みなしと判断して『除籍処分』としよう」

 

 

「「「「「「「「はああぁぁぁ!?」」」」」」」」

その言葉を聞いて私も含めて思わず全員が絶叫した

 

「生徒の如何は先生の自由 ようこそ、これが『雄英高校ヒーロー科』だ」

先生はそう言うと前髪をかきあげておよそヒーローには見えない邪悪な笑みを浮かべた…

 

 

ついに始まった高校生活だけど早速の試練ね…

私の個性でどうするか考えないと…




ここまで、読んで頂きありがとうございました!
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ちなみにクラスメイトですが青山くんがいません 彼も入れたかったんですが物語の都合上どうしても20名でやりたかったんですよね…
21名にしようか迷った挙句結局こうなりました。
全ての青山優雅ファンの皆様に陳謝致しますm(_ _)m


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第4話 個性把握テストと玲奈の過去の巻

うおおおおお!!
評価バーに色がついている!!
通算UA4000件突破 お気に入り登録140件越え 感想5件
たくさんの反応ありがとうございます!
これからも頑張って更新しますので応援よろしくです!



 

 

 

「さ、最下位除籍って…!! 入学初日ですよ!? いや初日じゃなくても理不尽過ぎます!!」

クラスメイトの中から悲鳴にも似た声が聞こえた。

 

私は除籍という言葉を聞いて覚悟を決めるしかないと感じた、両親のようなヒーローになるにこの試練を越えるしかないんだから…

 

「自然災害、大事故、身勝手な敵たち… いつどこから現れるか分からない厄災… 日本は理不尽に溢れている。 そういう理不尽を覆していくのが『ヒーロー』だ」

かきあげた前髪を整えながら相澤は話を続けた。

 

「放課後マックで談笑したかったらお生憎、これから3年間雄英は全力で君たちに苦難を与え続ける。『Plus Ultra』さ 全力で乗り越えて来い」

校訓を話しながら人差し指で挑発する様子で話す先生は、ここまで上り詰めてみろという激励のようにも感じた。

 

周りのクラスメイトもその言葉に触発されたのかやる気に満ち溢れた顔をしている。緑髪の男子を除いて…

…なんであの子は滝のような汗をかいてるんだろう?

 

「さてデモンストレーションは終わり ここからが本番だ」

相澤先生の号令の下「個性把握テスト」が開始された。

 

 

 

第1種目50m走

 

 

「3秒04!!」

その異次元な記録に見ていたクラスメイトから思わず歓声が出た

 

(あの特徴的なふくらはぎに音… 個性はエンジンかターボという所かしら?確かプロヒーローで同じような個性の方がいたような?)

私はクラスメイトの記録を見ながら個性についても考察をしていた。

個性オタクって程ではないが両親の仕事柄、色々な個性を持った人を見るので個性について考察するのが不思議と癖になってしまっている。

 

「次!爆豪と水谷!!」

先生が私の名前を呼んだ、私と一緒に走るのはデモンストレーションでボールを爆発の個性を使って遥か彼方へ投げ飛ばした爆豪くんだ。彼の個性は強力だけどどう使うんだろう?いけないいけない!まず自分の心配をしなきゃ!

 

半ば思考の方に偏り始めた頭を戻し自分のことを考え出した。

(私の個性は『水人間』、お父さんの『水流操作』とお母さんの『タンク』の特徴が複合した個性 やり方は幾らでもある… これだ!!)

 

 

「では よーい…START!!」相澤が号令をかけると、

 

「爆速ターボ!!!!」

爆豪は両手の平から爆発を起こしその勢いで飛んで行くように走り出した。

 

それに対して水谷は… 後ろを向いた?何をする気だ?

相澤もクラスメイトも頭に疑問符が浮かんだが次の瞬間

 

「ウォータージェット!!!!」

彼女がそう叫んでジャンプした瞬間に手からまるで消防ホースから出る勢いの水が出た。それが校舎の壁にあたると、その反動で飛んでいった。

 

水流の勢いにクラスメイトと相澤も驚いたが1番驚いたのは隣のレーンにいた爆豪だろう、なぜならスタートダッシュでは差をつけたはずなのに隣を瞬く間に玲奈が抜き去って行ったのだから…

 

「いけない!!ブレーキ! ……ぶへっ」

慌てて逆側にも水を噴射しようと思うも時すでに遅し、玲奈はゴールを超えた所で背中から地面にぶつかってそのまま土煙を巻き上げて滑って行った。

 

「いったそー…」「大丈夫かな?」

「水の個性かな?すごい勢いだったね」

あまりのスピードに驚いたクラスメイトが口々に呟いていた。

 

 

「水谷玲奈 記録2秒86 爆豪4秒13」

 

 

「「「「「「2秒台!?」」」」」」

先程の飯田の3秒台を更新する2秒台の記録にクラスメイトは驚愕した。

 

 

「ゲホゲホ… いったぁい…… 」土煙の中から咳き込みながら玲奈が戻ってきた。背中から着地したせいで背中と長い青色のポニーテールが少し乱れていた。

 

「大丈夫だった?背中からいったみたいだけど?」

「髪の毛が乱れてますわよ クシをどうぞ」

響香と百が心配して駆け寄ってくれた。

私はお礼を言って百からクシを受け取ると髪の毛を直した。

(髪の毛に砂が入って解く時に引っかかって痛い…)

と思っていると透が言った。

「あれだけ派手に行ったのに どこも怪我してないね?」

その言葉に

「ああ…うん 受け身取ったからね」と私は少し曖昧な返事をした。

 

 

この『水人間』の個性は両親から貰った大事な個性なのだが玲奈はこの個性が人にバレるのが好きではなかった…

 

 

 

昔、まだ保育園の頃に友だちと個性の話になった時に遡る

 

 

~10数年前〜

 

「なんか玲奈ちゃんの個性って怖い お化けみたい」

「だって体が全部水なんでしょ? 本当に同じ人なの?」

「この前だって転んだ時に怪我してないし…血も出てないもん」

 

今から思えばそこまで気にする事はないことだが幼かった私の心を傷つけるには充分な出来事だった

 

 

「私って本当に人なのかなぁ? お化けじゃないよね?」と家に帰ってから泣きじゃくる私を見て両親が慌ててたなぁ…

 

その話を聞いてお父さんは「うちの可愛い玲奈を泣かせやがって!!」と憤慨してそのクラスメイトの家に殴り込みにいこうとしたし…

お母さんはお父さんをなだめてから

 

「大丈夫よ、貴方はお化けなんかじゃないわよ 正真正銘お父さんと私の娘『水谷玲奈』よ、ちゃんと私がお腹を痛めて産んだ娘なんだから…」

と優しく抱きしめてくれたなぁ…

 

 

それでも私の中にトラウマは残って私は個性を聞かれると『水流操作』と答えるようにしている。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

「どうした? 次の種目に移るぞ」 相澤先生の声で顔を上げるとみんなは既に第2種目の握力の方に移っていた。

 

(考え事している場合じゃないよね…とりあえずテストをクリアしないと)

 

 

第2種目 握力

 

「はぁぁ!!」 私は水の玉を浮かせるとその中に握力計を入れて力を込めた、力を込めると1m程あった玉が徐々に縮んでいった。

 

水圧のせいでミシッという嫌な音が握力計から聞こえたところで先生からストップをかけられた。

 

「備品を壊すんじゃない」とお叱りを受けた、解せぬ…

 

握力「測定不能」

 

(((((測定不能とかあんのかよ!?))))))

 

 

第3種目 立ち幅跳び

 

「ウォータージェット!!」

50m走で使った要領でまた飛んでいった、さっきは着地に失敗したので威力は抑え目で…

 

立ち幅跳び「68m」…んー威力を抑えすぎたかも

 

(((((((異次元すぎるだろ!?)))))))

 

 

第4種目 反復横跳び

 

「ダブルスプラッシュ!!」

今度は両手の平から交互に水を噴射しながら器用に動いていく

片手で水を噴射するため圧力が上手くかけられないので威力は抑え目だがそれでも驚異的なスピードで左右に動く

 

反復横跳び「83回!」こんなものかしら?

 

((((((周りビッショビショ…))))))

 

「水谷…次からは周りに被害を及ぼさないようにしてくれ…あとが困る」

「あ…ごめんなさい…」

相澤がため息をつきながら玲奈に注意をした。

 

 

第5種目 ボール投げ

 

「ウォーターストライク!!」

手のひらにボールを置き、それを水を噴射する勢いで射出した。

 

ボール投げ「130m!」圧縮してないからこんなものね…

 

(((((((普通だ…いや普通じゃないわ!)))))))

 

ちなみに1位は麗日お茶子の『∞だ』

 

「「「「「すげぇ!!∞が出たぞーー!」」」」」クラス一同が声を上げた。

 

(緑髪の子…確か緑谷くんだっけ 彼の記録まだパッとしないけど大丈夫かな?)

 

水谷の次は緑谷の番である、ここまで彼は個性を使ってないため一般的な記録しか出せていない。

 

「緑谷くんはこのままだとまずいぞ…?」

「ったりめーだ 無個性のザコだぞ?」

「無個性!?彼が入試時に何を成したのかしらんのか!?」

「は!?」

私の隣で爆豪くんと飯田くんが話していた。

 

私も見ていたから分かる。彼には『超パワー』がある。しかも自分の身体を壊すほどの『超ド級のパワー』だ、たぶんまだ力の調整が出来ないのかもしれない…

と私が思っていると緑谷くんがボールを投げた。

 

 

 

「緑谷 記録46m」と記録を告げる声が聞こえた

 

「な…今確かに使おうって…」緑谷は何が起こったのかわからない様子だ

 

「個性を消した… つくづくあの入試は合理性を欠くよ…お前のようなやつも入学出来てしまう…」

そう冷たく言う相澤先生の目が赤く光っていた。

 

「消した…!あのゴーグルは… そうか!!」

緑谷くんが相澤先生の正体に気づいたようだ

 

「見ただけで人の『個性』を抹消する『個性』!!抹消ヒーローイレイザーヘッド!!!」

抹消ヒーローイレイザーヘッド、それが相澤消太のヒーローネームだ

 

「イレイザー?俺…知らない」

「名前だけは見たことある!アングラ系ヒーローだよ!」

とクラスメイトがザワついた、ちなみに私はお父さんが雄英高校に講師として行くことがあるため教師名簿で見たことがあった。

 

相澤先生が緑谷くんに近づいて何か話しているようだ…こちらとは距離があるので何を言っているのかまでは分からないが…

 

「まだチャンスはあるよ!!最後まで諦めないで!!」

思わず私は緑谷くんに向かって叫んだ、彼がここで終わるのは勿体ないと思ったからだ…

入試の際、自らを顧みず人を助けたあの姿は正しくヒーローだったからだ。

 

緑谷くんはびっくりした様子でこちらを見ると何かを思いついたような顔をした。

 

(そうか!最後まで諦めない! 最後の最後まで力を貯めるんだ! 全力で!!! まだだ! まだ! 最大限で! 最小限に! 今!僕にできることを!!)

 

『SMASH!!!!!!!!!』

 

叫び声と共にボールは遥か彼方へと飛んでいった

相澤先生の持つ端末には「705.3m」と表示されていた、デモンストレーションの爆豪の記録を僅かに越える大記録だ。

 

「やっとヒーローらしい記録出したよー!」

「指が腫れ上がっているぞ 入試の件と言いおかしな個性だ…」

お茶子は両手を上げて喜び、飯田くんは個性の考察をしていた。

私もその記録を見てホッとした。

 

「どーーいうことだ!ワケを言え デクてめぇぇ!!」

と爆豪くんが手のひらを爆発させながら緑谷くんに殴りかかろうとした瞬間

 

「んぐぇ!!」白い包帯のようなものが爆豪に巻きついて彼の動きを止めた、手のひらの爆発も消えているということは…

 

「炭素繊維に特殊合金の鋼線を編み込んだ『捕縛武器』だ、ったく何度も個性を使わすなよ…俺はドライアイなんだ」 やっぱり先生の個性だった、でも…

 

(((((個性凄いのにもったいない!!))))))

クラスメイト全員がそう思ったことだろう…

 

「時間がもったいない 次準備しろ」

先生はそう言うと個性を解除した。

 

第6種目 上体起こし

 

「ふんっ… んんぅ… んー」声が漏れているのに気づかない玲奈だった。

 

上体起こし「18回」…こういうのは苦手ね

 

(((((((なんか声が…!!))))))

男子は少し顔を赤らめていた、そして峰田は少し荒い息遣いをしていた。

 

「ん?みんなどうしたの?」玲奈が聞くと皆口を濁してしまう

 

玲奈が頭に疑問符を浮かべてると相澤の咳払いが聞こえた。

 

「なにをやってる、次行くぞ、次」

 

第7種目 長座体前屈

 

「んんー! んぅー!」また声が漏れている…

 

長座体前屈「51cm」 水が使えたら行ける気がするけどなー…

 

(((((((…もう耳塞ごう))))))) (耳が幸せだ!!)

もちろん後者は峰田である

 

最終種目 持久走

 

(んーウォータージェットは直線は早いけど、持久力はないし、何よりここまでで水を使いすぎちゃったから普通に走るしかないわね…)

 

持久走「5分31秒」 まあ普通くらいかな?

 

「ねぇ 玲奈ちゃん? 貴方後半から個性を使わないのはどうしてかしら?」

カエルの子…確か蛙吹梅雨ちゃんって言ったかな?

 

「梅雨だっけ? んー使わないっていうか使いすぎると脱水症状になるのよね…最初の方に水を使いすぎちゃったでしょ? そのせいで今喉がカラカラなのこれ以上使うと危ないからセーブしてるだけよ」

 

一応池や消火栓のようなものさえあればそこから水を供給できるのでいいが今回は自分の身体の水を使っているのでいくら水分補給はしているとはいえ消耗が激しいのだ。

 

「梅雨ちゃんと呼んで ケロッ そういうことなのね

教えてくれてありがとね あとごめんなさい、私思ったことはなんでも言っちゃうの」

「ん!いいよ これからよろしくね梅雨ちゃん」

梅雨ちゃんは納得してくれたようだ。

 

 

 

 

「んじゃパパっと結果発表をするか」

全種目が終わったところで皆を並ばせて先生が話し出した。

 

「トータルは単純に各種目の評点を合計した数だ 口頭で説明すんのは時間の無駄なので一括開示する。」

皆がドキドキする中、先生はいたずらっぽい笑みを浮かべて言った。

 

『ちなみに除籍は嘘な 君らの最大限を引き出す合理的虚偽』

 

「「「「「「「「「「「「「「はぁぁぁぁぁぁーーーーーーーー!?」」」」」」」」」」」」」」

今日一の叫び声だった…もちろん私も叫んだ

緑谷くんに至って驚きすぎて残像が見えている…

 

「あんなの嘘に決まってるじゃない…少し考えれば分かりますわ…」

と百が呆れた様子で話した。

 

「そゆこと これにて終わりだ 教室にカリキュラムなどの書類があるから目を通しとけよ それと緑谷、リカバリーガールのとこ行って治してもらえ、明日からもっと過酷な試練の目白押しだ」

と言うと先生はさっさと帰ってしまった…

 

 

とりあえず入学初日の試練は突破なのかな?




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玲奈ちゃんの他のクラスメイトの呼び方は男子は苗字にくん付け
女子には名前呼び捨てがデフォです 唯一梅雨ちゃんは梅雨ちゃんですが

個性の解説

ウォータージェット
手のひらから圧縮された水を噴射する技、片手で噴射もう片方の手で圧縮を行うので両手を使えないと出来ない
威力は圧縮率に比例する 圧縮するにはスタミナが必要

ウォータースプラッシュ
手のひらから水を噴射する技、圧縮をしないため威力は劣るが技の出は早い

…水をゼロから生み出すことは出来ないため、近くに水がない場合は身体を形成している水を使って技を出す。
そのため水を使いすぎふと脱水症状を起こすため水分補給が大事
前話でお母さんが水筒を確認したのはこのせいですね。


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第5話 食堂でのプチ女子会と戦闘服の巻

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昨日の「個性把握テスト」から一夜明け、高校生活の2日目を迎えた。

 

雄英の近くで止まるバスから降り、通学路を歩いてる所に後ろから声をかけられた。

 

 

「おはよー! えーっと確か玲奈ちゃんであってたかな?」

頭には角?触角?が生えておりそれに加えてピンク色の髪の毛に肌、そして目は白目のところが黒目になってるという特徴的な見た目をした少女が声をかけてきた。

 

「おはよう そうだよ 水谷玲奈って言うよ。あなたは確か三奈…でよかったかな?」

あまりに特徴的な見た目だった為、昨日会話をしてなくとも名前は覚えていた。

 

「そそ! 芦戸三奈っていうよ! 同じA組の女子同士仲良くしようね!」

と裏表のなさそうな可愛らしい笑顔で手を伸ばしてきた。

 

私は「よろしくね」と三奈の手を握り返した。

 

 

雄英高校までの通学路を2人で並んで歩いていると三奈が話し出した。

 

 

「ねね! 今日の午後ってさ「ヒーロー基礎学」の授業があるよね! ヒーロー科にしかない特別な授業! アタシ超楽しみなんだ!!」

相当興奮しているようで両手をぶんぶんと振りながらニコニコと話していた。

 

「そうだね ヒーローになるためには落とすことが出来ない授業だからね 今日は初回だけど何をするんだろう? 昨日みたいなのだったらどうしようね…」

と私が話すと三奈も

 

「わかるー! 相澤先生ならやりかねないかもー!」

と答えた。

今どきの子!という感じのノリだ 私はそこまで仲のいい友だちがいなかったのでこのノリについて行けるか少し心配だったが一緒に話していると不思議と元気になれると思う。

こういう親しみやすさもヒーローには必要かもしれないと感じた玲奈だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~1時間目 英語〜

 

「んじゃ次の英文のうち間違っているのは?『おらエヴィバディ ヘンズアップ! 盛り上がれーーー!!』」

とプレゼント・マイク先生の叫びが教室に響き渡る。

 

話し方はマイク先生の独特の話し方だがやっている授業は至極「マトモ」である

 

ヒーロー科と言えども高校なので必修科目はきちんとあるのだ。

 

 

 

 

 

~昼休み〜

 

 

 

「玲奈ちゃんって弁当?私たち食堂いくんだけど一緒にご飯どうかな?って!」

午前の授業が終わったところで透に話しかけられた。

どうやらA組の女子全員で食堂に行くようだ。

 

 

…これは俗にいう「女子会」と言うものでは無いか!?

中学時代に特に親しい友人がいなかった玲奈は少しウキウキしながら食堂へ向かうことにした。

 

 

 

雄英高校にある食堂はクックヒーロー「ランチラッシュ」が直接腕をふるうということでとても好評らしい。

その証拠にこの広い食堂が生徒たちでほぼ満員となっているからだ、先に百達が席を取っていてくれなければ座ることは出来なかったであろう。

 

ところで机の場所取りに使っているマトリョーシカは一体どこから出したんだろう?

 

 

私は日替わりランチを頼むと席に座って食べ始めた。

 

 

「午後はいよいよヒーロー基礎学だね!」

カレーライスを食べながら三奈が話し出した。

 

「ぶっちゃけ午前の授業は普通〜って感じだったし余計に楽しみ!」

私と同じ日替わりランチを食べている透が答えた。

 

(((((食べたご飯も透明になるんだ…)))))

おそらくみんなそう思ったことだろう。

 

「…そうですわね 何を行うのかとても興味深いですわ」

ワンテンポ置いて百が答えた。

 

「ケロッ『ヒーロー基礎学』というにはヒーローに纏わる演習かしら?」

「かもね! 私はレスキューヒーロー志望だから13号先生の授業も受けたいなー」

梅雨ちゃんやお茶子達も楽しみなようだ。

 

ご飯を食べながらみんなでワイワイと話す、両親と3人で囲む食卓も良いがこういう友だち同士で食べるご飯も良いなぁと思う玲奈だった。

 

「そろそろ昼休み終わるし教室戻ろっか」

響香に声をかけられA組女子一行は席を立った。

 

私は午後何が起きても良いように多めに水分を取っておこうと手に持っていたペットボトルの水を一気飲みした。

 

 

 

 

 

 

~午後『ヒーロー基礎学』〜

 

 

全員が席につき予鈴がなったところで廊下から轟音が聞こえた

 

「わーたーしーがーー!!! 普通にドアから来た!!!」

HAHAHA!!という特徴的な笑い声を響かせながらNO.1ヒーロー「オールマイト」が教室に姿を現した。

 

 

「オールマイトだ…!! すげぇや本当に先生やってるんだな!!」

「銀時代のコスチュームだ! 画風が違いすぎて鳥肌が……!」

とクラスメイトが口々に呟いていた。

 

さすがNO.1ヒーロー 人気が桁違いだ、私もオールマイトに教えて貰える幸運に感謝した。

…先生なのに廊下を走って良いのだろうかというツッコミは飲み込んだ。

 

「ケロッ先生なのに廊下走って良いのかしら?」

あ、梅雨ちゃんが言っちゃった。

 

「あー…蛙吹少女すまない… 君たちは廊下を走らないように!!」

オールマイトは少し冷や汗を垂らしながら「ビシッ!」という音がなりそうな勢いで指をさして注意をした。

 

…もしかしてオールマイトは天然なのかもしれない…とNO.1ヒーローの意外な一面を見た気がしたA組一同だった。

 

 

「さあ!気を取り直して… 今日の授業の説明だ!! 『ヒーロー基礎学』とはヒーローの素地をつくるため様々な訓練を行う科目だ!! 単位数も最も多いぞ!

早速だが今日行うのは『戦闘訓練』だ!!!」

 

 

「「「「「「「「戦闘……訓練……!」」」」」」」」

いきなり告げられた戦闘訓練という言葉に不安そうな顔をする者や、待ってましたと言わんばかりの好戦的な表情をする者がいた。

私はさっき水分を十分に補給しておいて正解だと思った。

 

 

「そしてそいつに伴って…こちら!!! 入学前に送って貰った『個性届』と『要望』に沿ってあつらえた…『戦闘服』!!!」

オールマイトが手元のボタンを押すと教室の壁が動き出しそこから『戦闘服』の入った棚が現れた。

 

 

「「「「「「「「「「「「おおぉぉ!!!!!」」」」」」」」」」」」

A組一同思わず立ち上がって歓声を上げた。

戦闘服は自分がヒーローになったら…と考えたら誰しもが1度は考える物だ、それを身につけて授業が受けられるというのを聞いて胸が踊らないわけがない!

現に私も傍から見れば目を輝かせているように見えるだろう、実際とてもワクワクしている。

 

「それでは着替えたら順次グラウンド・βに集まるんだ!!」

「「「「「「「「はーーい!!!」」」」」」」」

オールマイトの指示に従い戦闘服の入ったケースを片手に更衣室に向かった。

 

 

 

 

 

~約3週間前 水谷家〜

 

 

「さてと…入学前にこれを書かないとね、『個性届』と『戦闘服の要望』」

玲奈は自分の部屋の勉強机で2つの書類に向かっていた。

片方は自身の個性の名前と能力を書く『個性届』

もうひとつは訓練で使用する『戦闘服』の案と要望だ。

 

玲奈は過去のトラウマもあり人に自分の個性を伝える時は父親と同じ『水流操作』ということにしているが本当の個性は常時発動型の異形個性『水人間』だ。

学校に提出する正式な書類のため虚偽の申告は出来ないのできちんと『水人間』と記載する。

 

能力としては全身が水で出来ている、その体積分の水を自由に操ることが出来る。近くに水があればその水を使って一時的に操ることが出来る水の総量を増やすことが出来るが操作性は少し落ちる、ぐらいか…

 

我ながら汎用性に富んだ強個性だと思うがその分弱点も多いのだ。

まず水ということもあり一般人より温度変化に弱いという所だ、普通の気温なら影響はないがヒーローなら高温な火災現場など常人が踏み入らないような過酷な状況に身を置くことがある。あるいは敵に火や氷を操る者がいれば太刀打ちできなくなってしまう。

 

 

そこの所を踏まえた戦闘服にしなければならない。

あと水に変化すると着ていた服が全て脱げてしまうという、花も恥じらう女子高生である自分に取って最悪とも言っていい弱点もある…

 

そこの所をどう補うべきか…と考え抜いた私の「戦闘服」がこれだ。

 

 

 

 

 

~雄英高校 女子更衣室〜

 

「うわぁ! 玲奈ちゃんの戦闘服かっこいいね!! まるで忍者みたい!」

お茶子が私の戦闘服を見て感想を言った。

 

 

そう私の戦闘服は『忍び装束』に酷似したものになっている。

首には風にたなびく赤色の長いスカーフ、上は袖のない濃紺の忍び装束、見えてはいないがインナーは身体にピッタリと密着し上下が繋がった黒いスーツ。

肌着は私の髪の毛を編み込んだ特製のサラシとふんどしである。

下は短い濃紺のショートパンツに黒のレギンス、腰には何故かクナイや手裏剣といった忍者道具と水分を貯められる竹筒、足は地下足袋を履いている。

 

凡そ私の依頼したようになっているがただ一つ言わせて欲しいのは…

…ズボンが少し短すぎやしないかということだ

上の忍び装束の丈が長めのためパッと見では下を履いていないように見えるのだ。

(安心してください…履いてますよ)

 

…何か変な天の声が聞こえた気がするが気のせいだろう。

 

ちなみに上下の忍び装束と黒インナーには温度耐性(高温、低温)のある特殊な布で出来ている。

袖が無いのは主に腕から水を出す為動きを阻害しないようにする為だ。

竹筒は一見すると何の変哲もない竹筒だが実は水を高圧縮してあるため見た目よりも水を貯めることが出来るようになっている。

これを使えば水分補給や水がない所でも多く水を操ることが出来るようになる。

サラシとふんどしは主に私の髪の毛で出来ているので水に変化したら水に変化し、そして人型に戻ると脱げずにちゃんと着たままで戻るというスグレモノだ。サラシはともかくふんどし姿は恥ずかしすぎるので上半身しか戻れないと思うが…

(ポロリは無いんか!!!(血涙))

 

また何かが聞こえた気がする…

 

クナイなどの忍者道具はメモによると

「この見た目だったらクナイや手裏剣はマストだろぉ!?」

と書かれていた…サポート会社よ、少し自由すぎやしないか?

 

お茶子を見るとSFものに出てくるキャラのようなヘルメットに身体のラインがくっきりと出るスーツを着ていた。

 

「もっと要望ちゃんと書けば良かったよ…パツパツスーツんなった…」

と顔を赤らめて恥ずかしそうにしていた。

 

「お茶子ちゃん!!すっごい似合ってるよ!カッコイイ!」

と浮かぶ手袋…もとい透が言った。

 

「あれっ?透って手袋だけ? んなわけないよね透明なスーツ?」

と疑問に思った私が聞くと

 

「ううん 手袋と靴だけだよ!! どうせ私透明だから気にしないよ!」

グッっとサムズアップしながら透が答えた。

 

「「「「「「うぇぇぇぇ!?」」」」」」

女子全員が驚きのあまり変な声を出した。

 

「いやいやいやいや!! てことは今裸なんでしょ!? 恥ずかしい云々じゃなくて危なくないの!? てかもう既に色々危ないけどさ!」

響香が赤面しながら透に猛抗議していた。

 

「さすがにうら若き乙女が無闇に肌を晒すのはいけませんわ! 至急サポート会社に連絡して透明スーツを作って貰わなければ!」

と百も狼狽していた。

 

私に言わせれば百も十分肌を晒してるけどね…

 

「八百万ちゃん…あなたも十分露出度高いわよ…」

…梅雨ちゃんが言ってくれた…この子私の心を読んでるとかないよね?

 

「と、とりあえず着替えたんだし早くグラウンドに行こうよー!授業に遅れちゃうよ!?」

と三奈が言うととりあえずみんなは落ち着きを取り戻し、グラウンドへ向かった。

 

 

「こんな調子で戦闘訓練なんて出来るのかなぁ?」

戦闘訓練の前に張り詰めていた緊張が解けるばかりか力も抜けてしまった玲奈であった。

 




ここまで、読んで頂きありがとうございました!
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日常会話なんかも挟んでしまうのでなかなか話しが進まなくてすみません!
自分的にはA組女子がキャッキャウフフしているのを描きたいのでこれからもテンポは悪くなると思いますがちょいちょい日常も挟んでいきたいと思います!
皆さんも気長に待って頂けると嬉しいです!

ちなみに玲奈ちゃんに仲のいい友だちが少なかったのは「頭脳明晰」「容姿端麗」と絵に書いたような「高嶺の花」だった為周りが遠慮していたからです。
ちなみに中学には女子生徒の中では「玲奈様を守る会」男子生徒の中では「玲奈ちゃんファンクラブ」なるものが存在していた模様(もちろん本人は知らない)

戦闘服ですが最終再臨したFGOの段蔵ちゃんを想像して頂けるとよろしいかと…あれのノースリーブ版+第1再臨のスカーフと思ってください。


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第6話 「戦闘訓練」前半の巻


もうすぐ通算UAが1万に届きそうでガクブルの作者です、まさか初めての小説でここまで見て頂けると思っておりませんでした!

これからも更新頑張りますので感想や評価をどしどしお願い致します!




 

 

 

 

~雄英高校 グラウンドβ

 

「さぁ!始めようか有精卵共!! 戦闘訓練のお時間だ!!」

グラウンド全体にオールマイトの声が響き渡った、グラウンドには各々特徴的な意匠が施された戦闘服に身を包んだクラスメイト達が集合していた。

 

顔すら見えないフルフェイスヘルメットを被った生徒、排気口などの意匠が見えるのでおそらく飯田くんだろう。 他にもプロレスラーのようなマスクマン、一見すると私服のような姿など思い思いの姿をしている、私の忍び装束も周りと比べて浮かないほど様々な種類に富んでいる。

 

「先生!ここは入試の演習場ですがまた市街地演習を行うのでしょうか!?」

ガションという音を鳴らしながら飯田くんが先生に質問をした。

 

「いいや!もう2歩先に踏み込む! 屋内での対人戦闘訓練さ!!」

 

え? 今対人戦闘とか言った? てことはクラスメイトと戦うってこと!?

と私が脳中で考えを巡らせていると、先生は続けて話し出した。

 

「敵退治は主に屋外で見られるが統計で言えば屋内の方が凶悪敵出現率は高いんだ、監禁、軟禁、裏商売、このヒーロー飽和社会、真に賢しい敵は屋内に潜む!! 君らにはこれから「敵組」と「ヒーロー組」に分かれて2対2の屋内戦を行ってもらう!!!」

先生は声高々に宣言した。

 

クラスメイトの中にざわめきが生じた。

「基礎訓練もなしに?」と梅雨ちゃんが首を傾げた。

 

「その基礎を知るための実践さ! ただし今度はぶっ壊せばOKなロボじゃないのがミソだ」

オールマイトがガッツポーズをしながら梅雨ちゃんの質問に答えた。

 

 

「勝敗のシステムはどうなりますの?」

「ぶっ飛ばしてもいいんスか?」

「また相澤先生みたいに除籍とかあるんですか……?」

「分かれるとはどのような分かれ方をすればよろしいですか?」

「ピチピチスーツ…くノ一、谷間…ヒーロー科最高!!」

 

クラスメイトが堰を切ったように次々と質問を投げかけだした…てか最後のやつなんて言ってた?

 

「んんん〜〜聖徳太子ィィ!!!」

先生は1度にたくさんの質問を投げかけられて焦っていた。

 

「いいかい!状況設定は「敵」がアジトに「核兵器」を隠していて「ヒーロー」はそれを処理しようとしている! 「ヒーロー」は制限時間内に「敵」を捕まえるか「核兵器」を回収する事、「敵」は制限時間まで「核兵器」を守り抜くか「ヒーロー」を捕まえることが勝利条件だ!」

先生は手元のメモを見ながら訓練の説明を始めた。

 

(((((((((設定がアメリカンだな!!))))))))))

やけに凝った訓練内容にクラスメイト全員が心の中でツッコミを入れた。

 

「ちなみにコンビ及び対戦相手は「くじ」だ!」

どこからともなく取り出した箱を手にして先生が言った。

 

「適当なのですか!?」

飯田くんが盛大にツッコミを入れた。

 

「プロは他事務所のヒーローと急造チームアップすることが多いしそういう事じゃないかな……?」

「そうか…!先を見据えた計らい…失礼致しました!!」

頭に2本のとさかが生えたようなコスチュームに身を包んだ生徒が飯田くんに説明をしていた。

顔が見えてなかったから誰か分からなかったけど「あれ」緑谷くんだったんだ、髪の毛が隠されてるとわかんないや…

 

「いいよ!!早くやろ!!!」

話しが続くと時間が無くなると判断したのか先生が半ば強引に話しを切った。

 

 

~くじ引き結果

Aチーム 緑谷 麗日、Bチーム 障子 轟

Cチーム 八百万 峰田、Dチーム 飯田 爆豪

Eチーム 芦戸 水谷、Fチーム 砂藤 口田

Gチーム 上鳴 耳郎、Hチーム 蛙吹 常闇

Iチーム 尾白 葉隠、Jチーム 切島 瀬呂

 

厳正なくじ引きを経てチームはこうなった、私はEチームでペアは三奈だ。

 

「玲奈ちゃんよろしくね! 絶対勝つよ!」

三奈が笑顔を振り撒きながら私の隣りにやって来た。

 

「もちろん 「ヒーロー」側でも、例え「敵」側でも負ける気は無いよ」

私は三奈の顔を見て真剣に答えた。

 

「おぉ〜気合い入ってんね〜」

三奈はニコニコしながら拳を私に向けてきた、おそらくグータッチだろう。

私も三奈に拳を突き出した。

 

 

「さぁ!!チーム分けも済んだところで早速訓練に入るぞ!! 最初の対戦相手は!! Aコンビが「ヒーロー」! Dコンビが「敵」だ!!」

先生が2つの箱からアルファベットの書かれた玉を取り出した。

 

呼ばれたチームの緑谷くんと爆豪くんの顔つきが変わった気がする、微妙な空気感もあるし…彼らには何かしらの関係性があるのかな?

 

「「敵」チームは先に入ってセッティングを! 5分後に「ヒーロー」チームが潜入でスタートする、他のみんなはモニターで観察するから地下に向かうぞ!!」

先生がクラスメイトたちを誘導し始めた。

 

「飯田少年と爆豪少年は「敵」の思考をよく学ぶように! これはぼぼ実戦!ケガを恐れずに思いっきりな!度が過ぎたら中断するけど… これは全員共通だからね!」

先生がそう言うとDチームの2人はビルの中へと入っていった。

 

「さあ!他のみんなは地下室だ!私に着いてきなさい! 」

先生に先導されてAチーム以外の生徒は地下室へ繋がる階段へ向かった。

 

 

 

 

 

~同ビル 地下室 モニタールーム

 

「地上5階建て+地下…改めて雄英の設備の凄さを感じるね…」

私は思わずそう呟かずにはいられなかった。

「さぁ!みんなもよく考えて見るんだぞ!」

オールマイトがそういうと訓練が開始された。

 

戦闘はビルのあちこちに設置されたカメラを通してモニターで確認することが出来た。

敵チームはビルの最上階に核を置き、それを飯田くんが守る。

そして爆豪くんはヒーローを積極的に叩きに行くという布陣のようだ。

だが飯田くんの慌て方を見ると爆豪くんが勝手に飛び出して行ってしまったというのが近そうだ…

 

一方ヒーローチームは1階の窓から侵入して階段を目指すというオーソドックスな物だった。

 

途中曲がり角の死角から爆豪くんが緑谷くんに向かって攻撃を仕掛けた、右手の一振で簡単にコンクリート製の壁が砕け、その揺れは地下室まで届いた。

あれはクラスメイトに向かってやる威力か?と私は疑問に思った

 

「奇襲とかズルいぞ!」「今のよく避けれたね!」

と他のクラスメイトも思い思いの感想を述べていた。

 

その後も何故か爆豪くんはお茶子に見向きもせず緑谷くんにのみ攻撃を仕掛けていた、やはり2人の間にはなにか因縁のようなものがあるかもしれない。

その隙をついてお茶子が上の階へ上がって行った。

 

 

その後は5階で飯田くんVSお茶子 1階で爆豪くんVS緑谷くんの戦いが続いていた、飯田くんは部屋を片付けることでお茶子の個性を封じて有利に立ち回っていた。

 

膠着状態かと思われた時に爆豪くんが右手を掲げて何かをする動作が見えた、次の瞬間今までとは比べ物にならないほどの大爆発が起きた。

ビル全体が大きく揺れて、カメラも何台かが壊れたのかモニターの一部が黒くなった。

その後も飯田くんの敵っぷりと爆豪くんの猛攻に絶体絶命かと思われたAチームだったが緑谷くんの捨て身のアッパーカットで5階まで天井をぶち抜き、お茶子がその瓦礫に紛れて核を回収した。

 

結果はAチームの勝利だが1試合目からとんでもないことになったと思った。

 

ビルを変えて第2戦目は Bチーム対Iチーム

どんな勝負になるかと思ったが勝負は一瞬だった。

なぜなら轟くんがビル全体を一瞬で凍らせてIチームを行動不能にしたのだ。

 

「仲間を巻き込まず 核兵器にもダメージを与えず 尚且つ敵も弱体化…」

「「「「「「最強じゃねぇか!!」」」」」」

「さ、寒い…ケロッ…」

「梅雨ちゃんが寒さのあまり冬眠しそうになってる!!!」

 

その後も3戦目、4戦目と続きついに私たちの出番となった。

 

 

「最終戦! Eチームが「敵」!Gチームが「ヒーロー」だ!それでは敵チームはセッティングを!!」

先生に呼ばれて私たちはとりあえずビルの最上階へと上がった。

 

 

 

 

 

~5階 大広間

 

「さあ敵チームになったわけだけどどうする?とりあえず個性の確認だね」

三奈が話しを切り出した。

「そだね…私の個性は……「水流操作」周りの水を自在に操ることができる個性よ 三奈は?」

私はいつものように個性を偽って伝えた。

 

「私の個性は「酸」物を溶かす溶解液を分泌出来るの 鉄とかコンクリートもお手の物よ!」

三奈も個性を教えてくれた、容姿からてっきり異形系かな?と思っていたがそうではなかった。

 

「「酸」かぁ… てことは……………よし! ちょっと三奈、耳貸して」

私の脳中に1ついい作戦が浮かんだ。

 

「え?なになに?………………なるほどね!」

三奈も作戦を聞くといけると思ったのか同意してくれた。

 

「さぁ!この作戦ならきっと勝てるね!!頑張ろうね玲奈ちゃん!」

と意気込む三奈に同意して私はセッティングを始めた。

 

「さて…ヒーローのお手並み拝見と行きますか…」

玲奈の顔には不敵な笑みが浮かび上がっていた…




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長くなりそうなので前後半に分けさせていただきます!!
全然話進んでなくてすいません!!出来るだけ早く後編も投稿しますのでよろしくお願いします!!


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第7話 「戦闘訓練」後半の巻

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感想もありがとうございます!いつも楽しみに読んでます!
高評価が更新の励みになっていますので本当にありがとうございます!




 

 

 

 

 

~訓練ビル外 「ヒーロー」チームside

 

 

玲奈たち「敵」チームがビル内でセッティングをしている間、「ヒーロー」チームはビル外で作戦を立てていた。

 

「さてと…上鳴だっけ?私は耳郎響香、よろしく。早速だけど個性の確認をしないとね。私のは「イヤホンジャック」、この耳たぶの先のプラグを指すことで私の心音を衝撃波に変えることが出来るの。他にも微細な音を感知できるから索敵にも向いてると思う」響香が上鳴に自己紹介と「個性」の説明をした。

 

「おう!俺は上鳴電気!個性は「帯電」。 電気を使えるっつっても、俺は纏うだけしか出来ねぇから注意な! 一応放電も出来るけど狙いは付けられねぇから使い所は考えねぇと…」上鳴も響香に自己紹介を返した。

 

「うーん、狙いがつけられないとなると核がある部屋では絶対に放電出来ないね…ほぼ確実に敵を無力化できるのはいいんだけど…」

 

「耳郎ちゃんは索敵出来るんだろ? 今回の訓練にピッタリじゃん? とりあえず最初は耳郎ちゃんが索敵してそれから2人で潜入がよくね?」

 

「うん、とりあえずそれが良さそうだね。私は少し離れて歩くからもし「敵」に出会ったら放電してね」

 

「お前は鬼か!?」

 

 

 

ビーーーー!!!

2人が作戦会議をしているとヒーローチームの訓練開始を告げるブザーが鳴った。

 

「よっし!行くか!耳郎ちゃん頼む!」

「はいはい 分かってるよ…」

上鳴に言われて響香はビルの外壁にプラグを差し込み索敵を開始した。

 

 

 

 

 

~ヒーローチーム潜入の数分前 訓練ビル内 「敵」チームside

 

 

「敵」チームも「ヒーロー」チームの個性を予想していた。

 

「とりあえずヒーローチームの個性考察だね!とりあえずこの間の「個性把握テスト」で2人ともほぼ個性を使ってなかったのを見ると増強系とかでは無いのは確かだね。」

と三奈が玲奈に予想を話すと、

「うん 響香は耳たぶが特徴的だからあれが個性だと思う、形からすると何かに挿して使うのかも…もしかしたら本当のイヤホンみたいに細かな音が聞こえるのかもね。」

玲奈は響香の個性の考察をした。

 

「えー!? それってヤバいじゃん? アタシたちの動きが筒抜けってことでしょ?」

「うん でも逆にそれを利用して罠に誘導することも出来るかもね」

 

「んじゃ上鳴くんは? なんだろう 服の意匠とかから見ると明らかに電気系統の個性っぽいけど…」

「うん…けど電気を自在に操れるのか操れないかによってかなり違うからね…あの入試をクリアするってことは相当な電力は使えそうだけど…」

「てことは気をつけた方がいいかもね…いくらなんでも電撃なんて食らったら動けなくなっちゃう…」

2人で上鳴の個性考察をしていると…

 

ビーーーー!!!

ここでヒーローチームの開始ブザーが鳴った。

 

「よし…んじゃさっきの相談みたいにお願いね」

「了解!」

 

そう言うと三奈は「上の階」へと登って行った。

 

(それじゃ私はトラップの準備にかかりますか…)

もう盗聴されている可能性があるため玲奈は心の中で呟いた。

 

 

 

 

~同ビル 「ヒーロー」チームside

 

 

索敵の結果、4階から5階に上がる足音が1人分しか聞こえなかった為「ヒーロー」チームは1階に潜入した。

 

「余程身体の大きさが違わない限り足音からじゃ個人は特定出来ないからな…」

「どっちかが核を守りに行って、どっちかが奇襲するとかじゃねーの?」

響香と上鳴は奇襲を警戒する為、声を潜めながら1階に潜入していた。

 

 

 

~数分後 同ビル3階

 

「いや!? 何もねぇな!? ここまでなんもねぇと逆に怖ぇぞ?」

と上鳴が思わず声を上げてしまった。

声を出すのも仕方がない…3階まで仕掛けも何も無くスムーズに進めたが、その順調さが逆に「ヒーロー」チームの恐怖心を煽っていた。

 

「んー「個性把握テスト」を見る限り、玲奈は「水を放出して操る」個性、三奈は「酸性?の粘液を分泌する」個性だと思うからそろそろコンタクトがあってもいいと思うんだけどね…さっきから索敵してるんだけど動いてないのか何も聞こえないし…」

響香は時折壁にプラグを差して索敵をしながら上に上がっていた。

 

 

 

~同ビル4階

 

「…次は4階だな 5階に上がるには絶対ここを通過しないと5階には上がれないから仕掛けてくるならここかもな…?」

 

上鳴が4階の部屋の扉を開けるとそこは大広間になっていて部屋の奥には核が無造作に置かれていた。

 

「誰も…いない?」響香がそう呟いた。

「あ!核があんじゃん! あれ触ったら俺らの勝ちだろ?」

そう言いながら上鳴が部屋の中に足を踏み入れた。

 

「ちょ!? バk」

響香が上鳴を止めようと声をあげようとした瞬間

 

 

『ウォーターバインド!!!』

柱の陰からいきなり水流が襲ってきた。狙いは上鳴だ。

 

「うおおおお!?」

上鳴はあまりに突然だったため為す術なく水流に流された。まるで生き物のように動く水流に両手両足を拘束され、瞬く間に身体全体を覆う巨大な水の塊になり、上鳴は完全に閉じ込められてしまった。

 

「上鳴!!!」響香が上鳴を引きずり出そうとするが水の塊はその手を避けて部屋の中心へと移動した。

 

 

「………………ここまで仕掛けが無さすぎて気が緩んじゃったかな?簡単に罠に引っかかってくれてありがとう「ヒーロー」よ……全く拍子抜けだよ…」

核兵器の陰から忍装束に身を包んだ玲奈が現れた、普段の彼女から想像もつかないような邪悪な笑みを浮かべて話す玲奈は「敵」のように見えた。

 

 

「ガボガボガボ!!」(こんなもの俺の放電で!!!)

BZZZZZZZZZZZZZZ!!!!!

「ガボァ!!??」(なんでぇ!!??)

上鳴が水の中で放電するも外まで電撃は届かなかった。

 

 

「なんで!? 水は電気を通すんじゃないの!?」

響香が驚愕するとそれに玲奈が嘲笑しながら答えた。

「…これは純水だからね 普通の水なら電気を通すけど純水はほとんど通さないのよ。私の『ウォータープリズン』から抜け出す方法は無いのよ…」

 

「くそ!! 上鳴を放せ!!」

響香はまだ来るかもしれない水流に警戒しながらそう叫んだ。そう言いながらも反撃をする為にプラグを足元のスピーカーに繋げ音で攻撃をしようとしたが…

 

「おっと?今攻撃するとお前の相棒にまで被害が及ぶぞ? このまま相棒が溺死するのを指をくわえて見ているがいい…」

玲奈は自身のすぐ傍らに水を移動させると響香に向かって言った。

 

「くそっ!!」その言葉に動揺して一瞬響香動きが止まった。

その瞬間玲奈が突然叫んだ。

 

「三奈!!今よ!!」

そう叫ぶと天井がいきなり溶けて5階から三奈が飛び降りてきた。

 

「落下地点ピッタリ!! 耳郎ちゃん覚悟!!」

三奈は持ち前の身体能力を駆使して耳郎に飛びかかると瞬く間に左腕を捻りあげて床に倒して確保テープを巻いた。

 

 

ビーーーー!!!

 

「耳郎少女確保!! 上鳴少年戦闘不能!! よってEチームの勝利!」

オールマイトの声がビル内に響き渡った。

 

「よっしゃ!!…………ん?戦闘不能?」

三奈が後ろを振り向くとそこには玲奈に横抱き、いわゆる「お姫様抱っこ」をされている上鳴が居た。

 

「あはは、上鳴くん酸素不足のせいなのか分からないけど、ぐったりして「うぇーい」しか言えなくなってるの………どうしよう?」

先程とは別人のようなアホ面になった上鳴を抱えて、玲奈が困った笑みを浮かべていた。今の彼女からは先程の威圧感は微塵も感じられなかった。

 

 

「いやいや女の子にお姫様抱っこされるって…」

「ちょっと…いやかなり恥ずかしいねぇ……」

「うぇーーい?」

響香と三奈はその奇妙な状況と上鳴のアホ面に思わず笑ってしまった。




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オリジナル展開と戦闘描写は難しいですね! 玲奈ちゃんは「敵」に成りきってます笑

技解説

「ウォーターバインド」
縄状の水流が相手の四肢を拘束する技、材質が水なだけでほぼ縄と同じような使い方が出来る。

「ウォータープリズン」
巨大な水の塊で相手を拘束する技、当然中は水で満たされているので呼吸は出来ない。中から破るには水を蒸発させるしか無いためほぼ脱出不可能な牢獄と化す。
玲奈は抜け出す方法はないと言ってますがこの技を維持するのにかなり集中力がいるので玲奈に直接攻撃すれば拘束力は弱まります。
(NARUTOの水牢の術そっくりですがあれは術者の腕を水に入れないとダメなので…)


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第8話 「戦闘訓練」講評と学校っぽいのキター!の巻


仕事で忙しく更新が遅れたことをお詫び申し上げます!
見ていない間に通算UA16000突破 感想 評価も頂いたようでありがとうございます!
評価バーの色がオレンジになってたのが少々ショックではありますが更新頑張っていきます!!
そして毎度誤字報告の方もありがとうございます!スマホ投稿なので結構打ち間違いが多いので非常に助かっています!!


 

 

 

 

玲奈達の訓練中

~訓練ビル 地下室 モニタールーム

 

 

「なんかこれまでの中で1番「敵」チームの動きがないね…」

「ここまで何も無いと不気味だな…」

「むむむ…しかし水谷くんや芦戸くんが何もしていないわけはない…これはどういう事なんだ…?」

 

グロッキー状態から復活したお茶子や飯田達が「ヒーロー」チームの進む姿をモニターで見ながら呟いていた。

 

(…どこに罠が仕掛けられているか、そしていつ奇襲を掛けてくるかが分からない、この状況はプロでもかなり神経をすり減らす… そして水谷少女の個性は水、芦戸少女は酸と言う比較的応用の利く個性というのもあって「ヒーロー」チームの足をさらに鈍らせているかもしれないな…)

オールマイトはジッとモニターを見ながら玲奈と三奈の作戦を評価していた。

 

(さあここからどう動くのか見ものだな「敵」チーム!)

オールマイトはそう思うとニッと笑みを浮かべた。

 

 

そしてこの何も起きない状況はいきなり動き出した。

「ヒーロー」チームが4階に足を踏み入れた途端に玲奈の水が襲いかかり瞬く間に上鳴を拘束したのだ。

 

「うおおぉ!? いきなりか!?」

「あんなん避けようがないじゃん!?」

「えげつねぇ!」

「てか水谷の顔めっちゃ怖くね!!?」

 

いきなりの攻撃にクラスメイトが口々に反応をしていた、中には普段の玲奈の顔からは想像できない怪しい笑みに驚く者もいた。

 

そして上から降ってきた三奈によって響香も拘束されてしまい、これまでの膠着状態は嘘のように勝負は一瞬で決着がついた。

 

「やべぇ水谷と芦戸めっちゃ強かったな…」

「てかw あれ見てみw」

「なになに?………ブハッ」

「上鳴の奴w 水谷にお姫様抱っこされてるwww」

「あちゃーあれは情けねぇなぁ…」

ちゃんと上鳴の醜態もクラスメイトに見られてしまっていた…哀れ上鳴

 

(………うらやましいぞぉ!上鳴ィ! そこおいらと代われ!!)

約1名は羨ましさのあまりに血の涙を流していたが…

 

 

 

 

~訓練終了後 グラウンドβ出口付近

 

「お疲れさん!!緑谷少年以外は大きな怪我もなし!しかし真摯に取り組んだ!初めての訓練にしちゃ皆上出来だったぜ!特に水谷少女と芦戸少女!見事な作戦勝ちだな! 何も無いというのも「ヒーロー」チームに取っては大きなプレッシャーになる!それを踏まえた素晴らしい作戦だった!」

 

「「ありがとうございます!」」

急に褒められた2人は少し慌てながらもオールマイトに頭をさげた。

 

「では私は緑谷少年に講評を聞かせねば! 着替えて教室にお戻り!!」

そう言うとオールマイトは砂煙を上げてグラウンドから去っていった。

 

「なあなあ?今日放課後にさ、訓練の反省会しないか?」

「いいねぇ!私、玲奈ちゃんとと三奈ちゃんにも話ききたーい!2人ともチョーかっこよかったから!」

赤髪のツンツンヘアーの男子の言葉に透が乗っかった。

「うん 私も皆と話したいし構わないよ。三奈もいいよね?」

「もっちろん! てかほとんど玲奈ちゃんが考えたしね」

「そうなの!?水谷すげぇ!」

三奈の言葉にクラスメイトの1部が反応した。

あまり人に囲まれて褒められた経験がない玲奈は少し照れながらも楽しそうな笑顔を見せていた。

 

玲奈の笑顔は先程見せた「敵」としての怪しい笑みではなく、まるで「華」が開いたかのような可愛らしい笑みだった。その笑みに釣られA組も全体も笑顔に包まれた。

 

「…うぇぇい」(女子にお姫様抱っこって…)

先程の醜態を知った上鳴を除いて…

 

 

 

 

 

~翌日

 

 

玲奈がいつもの様にバスを降りると、浮かぶ制服とカエル少女に出会った。

 

「おはよ透、梅雨ちゃん」

「ケロッ おはよう水谷ちゃん」「おっはー!」

挨拶を交わすと3人でおしゃべりをしながら雄英へと向かった。

しかし雄英高校は昨日までと少し様子が違った。

 

「……なにこれ?」「たぶん、マスコミかなぁ?」

「…もしかして昨日の新聞のせいかも知れないわね」

昨日の新聞の一面にはオールマイトのヒーロー活動休止と雄英高校に教師として務めることが大きく載っていたからだ。そのためか雄英高校に多くの報道陣が詰めかけ、生徒に手当り次第にインタビューをしていた。

 

そして当然のように私たちの方にもやってきた。

「オールマイトの授業はどんな感じです!?」

「教師オールマイトについてどう思ってます!?」

「てか君たち可愛いね!ちょっとあっちで話聞きたいなぁ!」

捲し立てるかのような勢いに思わず少し押され気味になってしまった。

 

「すみません私たち急いでるので…2人とも行くよ」

何か危険なにおいを感じた玲奈は2人を連れてさっさと校門をくぐり抜けた。

「えー?インタビュー受けないのー?ニュースに映れたかも知れないのに?」

「ごめんね。けどなんか嫌な感じがしたから…」

「ケロッ 確かにマスコミは怖いところもあるからね…」

文句を言う透を梅雨ちゃんと2人で宥めながら教室に向かった。

 

 

 

~雄英高校 A組教室

 

「昨日の戦闘訓練お疲れ Vと成績を見せてもらった。言いたいことは色々とあるが、まあいい。今日のHRの本題は…急で悪いが…」

相澤先生のこの話し方…もしかしてまた臨時テストか!?

とA組全体が思わず静かになった…が

 

『今日は君らに学級委員長を決めてもらう』

「「「「「「「「「「学校ぽいの来たーーーー!!!!」」」」」」」」」」

 

「委員長!!やりたいですソレ俺!!」

「ウチもやりたい!」

「オイラのマニュフェストは女子全員膝上30cm!!」

さっきまで静まり返っていたのが嘘のように全員が手を挙げだした。

てか膝上30cmってなんだ!?ぱ、パンツ見えちゃうじゃん!あいつ何考えてんの!?玲奈は峰田の言葉に思わず顔を赤くした。

 

「静粛にしたまえ!! 」と、いきなり飯田が声を上げた。これは多数決で決めるべき議案だと言っているが、なぜか彼の右腕は真っ直ぐにそびえ立っていた…

 

結局多数決で決めることになったが、

緑谷 3票 八百万 2票 水谷 2票そして芦戸 飯田 麗日 轟が0票で他が1票になっていた。

「僕が3票!!!???」と驚く緑谷

(あれ?私にもう1票入ってる 誰だろ? もしかして三奈?)

玲奈は自分の票はもちろん自分に入れたが他に入れてくれた人がいて驚いた。

 

「これでは委員長1人と副委員長が2人になってしまいますわね…」

百がうーんと唸った。

「まあいいよ、2人でやれば。決め直すのはそれこそ時間の無駄だ」

相澤先生の一言で委員長が緑谷くん 副委員長が私と百になった。

 

 

~昼休み

 

「あれ?今日は弁当なんだ?奇遇だね、私達もだよ」

「うんお母さんが持たせてくれたの」

授業が終わると響香と三奈、そして百が声を掛けてきた。

今日は4人で机を引っつけて教室でご飯を食べることにした。

 

「玲奈さん、2人で力を合わせで副委員長を務めましょうね!」

「ん。まぁ何をするかはまだわかんないけどね。ていうか私にもう1票入ってたのは驚きだよ」私がそう言うと

「ふっふっふっ…実はその1票はあたしが入れたんだよー!」

と三奈が答えた。 ごめん何となく想像がついてた…

 

「でもなんで?なんとなくだけど三奈はこういうのやりたそうに見えたけど」

「だって昨日の「戦闘訓練」で私に指示をして見事に「ヒーロー」チームを確保出来たじゃん?それってリーダーシップだと思うよ?だからあたしは玲奈ちゃんに投票したの」

「確かに納得。ウチら完全にしてやられたからね」

三奈がそういう風に思ってくれていたのを知って嬉しくなった。

と楽しくおしゃべりをしていると

 

 

ウウウゥゥゥゥゥーーーーーー!!!

とけたたましいサイレンと避難を促すアナウンスが学校内に響きわたった。

 

 

「えぇ!?なになになにこれ!?」

「け、警報ですわね…何が起こったのでしょう…」

急なサイレンで慌てる2人

私は外の状況を確認しようと窓を覗いた。そこには朝の報道陣が校舎内に詰めかけている様子が見えた。

「ねえねえ なんかマスコミっぽいよ、これってホントに避難がいるのかな?」

「え?マジ? じゃあマスコミの不法侵入じゃん。これって警察に通報した方がいいかな?」 「たぶん…?」

響香が持っていた携帯で緊急通報をした。

 

程なくして駆けつけた警察によってマスコミは撤退し事態は収束した。

 

 

そして帰りのHRで緑谷くんが飯田くんを委員長に推薦した。なんでも食堂で他の生徒たちを相手に大立ち回りをしたそうだ。私はその場に居合わせなかったから詳しくは分からなかったけど、見ていた切島くん立ちによれば、

「まるで非常口みたいだった」らしい…一体どんなことをしたんだろう?

相澤先生も許可(というか興味無さそうな感じ)した事でA組の学級委員長は飯田くんになった。

 

自分が感じてた嫌な感じはこれだったのかな? とホッとした玲奈だったが本当の恐怖はこれからだということを、今はまだ知る由もなかった…




ここまで、読んで頂きありがとうございました!
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どうしても日常会話を入れると進みが遅くなりますね…ですが日常会話を大事にしたいので拙作はこのようにゆっくり進んでいきます、申し訳ないですが読者の皆様もゆっくりお付き合い下さいますようお願い致します。


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第9話 USJと敵襲来の巻 (1)

皆さんお久しぶりです!
リアルが忙しくなかなか更新出来ませんでした。
更新してない間に通算UA19000越えに感想 お気に入り登録や誤字報告もありがとうございます!
書き溜め等はなく思いつきで書いてますのでこれからも亀更新ですがよろしくです!


~大騒ぎした学級委員長決めとマスコミ事件の翌日

 

 

 

「今日のヒーロー基礎学だが、俺とオールマイトそしてもう1人の3人体制で見ることになった。」

午後のチャイムと同時に相澤先生が話し出した、相変わらず時間にピッタリなところを見ると本当に合理主義者だと思う。

前回はいきなりの「戦闘訓練」だったため今回は何をするのかと期待しつつも少しドキドキしていた。

 

「今回行うのは災害水難なんでもござれ『人命救助(レスキュー)訓練』だ」

相澤先生は「RESCUE」と書かれた札を掲げて宣言した。

(前回は「BATTLE」だったし何種類かあるんだ…)

 

「レスキューかぁ…今回も大変そうだな」

「バカおめーこれこそヒーローの本分だぜ? 鳴るぜ!!腕が!!」

「水難なら私の独壇場ケロケロ」

(私もレスキューヒーローを目指すものとしてこの訓練から学べるだけ学ばないと!)

私は心の中で決意するだけだったが他のクラスメイトは先生の言葉に反応して声を上げていた…先生の説明中に口を挟むと……

 

「おい まだ説明中」

相澤先生の鋭い眼光と低い声に静まり返る教室…思った通りだった。

 

「ったく… 今回戦闘服の着用は各自の判断で構わない、中には活動を限定する戦闘服もあるだろうからな。訓練場は少し離れた場所にあるからバスに乗っていく。以上準備開始」

少し呆れながらも相澤先生は説明を終え、教室の壁に格納されている「戦闘服ロッカー」を動かして教室を出ていった。

 

「さてと、早く準備しないとまた先生に怒られちゃうし早く着替えようか。」

私はクラスメイトにそう声をかけて戦闘服の入ったケースを取った。

 

「そうだね…相澤先生迫力凄いし…」

お茶子が私に続いてケースを取りに来たのを見て他のクラスメイトも次々にケースを持って更衣室へと向かった。

 

「ここはクラス委員長である僕が仕切るべきだった!!」

何故か膝から崩れ落ちてる飯田くんを除いて…

 

 

~屋外 バス乗り場

 

周りを見てみるとこの間の戦闘訓練で戦闘服が破損してしまった緑谷君以外は戦闘服を身にまとっていた。やっぱり自分で考えた戦闘服だからなるべくみんなも着たいのだろう。まぁ私もその1人なんだけど…

 

「バスの席順でスムーズに行くよう番号順に2列で並ぼう!!」

さっきの失態(?)を取り戻すためか飯田くんが先頭で音頭を取っていた。

しかし

「こういうタイプだった、クソウ!!!!!」

バスの席はボックス席ではなくお互いに向かい合う対面席だった為、またしても落ち込むクラス委員長だった。なんか頑張りは空回りしてるけど飯田くんには好感がもてると思った玲奈だった。

 

バスでの移動中に、私の向かいに座ってた梅雨ちゃんが口を開いた。

「私思ったことをなんでも言っちゃうの、緑谷ちゃん」

「あ!?はい!?蛙吹さん!!」

女の子と話し慣れていないのか、顔をほんのり赤くして分かりやすく焦る緑谷君と、

「梅雨ちゃんと呼んで」と相変わらずの梅雨ちゃん。そして梅雨ちゃんは緑谷君に顔を向けると

「あなたの『個性』オールマイトに似てる」と言った。

 

その言葉に緑谷君は酷く驚いたのか「あの」とか「えっと」しか言えずにワタワタしていた。

 

「待てよ、梅雨ちゃん。オールマイトはケガしねぇぞ?似て非なるアレだぜ」

ツンツンヘアーの切島くんが2人の間に口を挟んだ。

「しかし増強型のシンプルな『個性』はいいな!派手で出来ることが多い!俺の『硬化』は対人じゃ強えけど如何せん地味なんだよなー」

腕をガチガチと鳴らして硬化させながら話す切島くんに「すごくかっこいいよ!」と目を輝かす緑谷君。

 

「やっぱ派手で強えっつったらやっぱ轟に爆豪、水谷辺りだな」

「えっ?私?」

切島くんの話す事に耳を傾けていたけどまさか私に話が振られると思わなくって思わず驚いてしまった。

 

「そうだね、水谷さんの『個性』は強力だよね。戦闘訓練でも上鳴くんを封殺してたし底が見えない。一体どんな個性なの?」

「おい緑谷その話はやめてくれ…」

再び目を輝かせる緑谷君と何故か巻き添えを食らって落ち込む上鳴くん。あの戦闘訓練の後上鳴くんは男子にあの醜態を聞かされて落ち込んでいたらしい。少し申し訳なさを感じる…

 

「私の『個性』は…………」

と口を開きかけた瞬間

 

「お前らもう少し静かに出来ないのか?」

バスの助手席に座って居た相澤先生からまた鋭い目線と共に注意された。

 

その姿にまたクラスメイト一同は静まり返ったが正直私は助けられたと思った。『水流操作』と『個性』を騙るのか本当の事を言おうか迷ったからだ、でもまだ私には本当の事を言う勇気は無い…

 

ちなみにその後また『個性』の話になったが矛先は前回の戦闘訓練でビル1つを半壊させた爆豪に移った。またそこで騒ぎ出し相澤先生に

「お前らいい加減にしとけよ…」

と再び怒られるA組だった。

 

 

 

~雄英高校敷地内 USJ

 

相澤先生に一喝されて少しするとバスが止まった。目の前には某テーマパークのような巨大な施設が姿を現していた。

 

「「「「「「すっげーーー!!USJかよ!!!!」」」」」」

その巨大さに驚いたクラスメイトが声を上げていた。やっぱそうだよねUSJだよね(笑)

 

「水難事故、土砂災害、火事etc.、あらゆる事故や災害を想定し僕が作った演習場です その名も『U(嘘の)S(災害や)J(事故ルーム)』!!!」

宇宙服のようなコスチュームを身にまとったヒーローがその言葉と共に姿を現した。

((((((ほんとにUSJだった………))))))

 

「スペースヒーロー『13号』だ!災害救助で目覚しい活躍をしている紳士的なヒーロー!!!」

「わーー!私好きなの13号!!」

何故か誰かに説明している風の反応をする緑谷君と喜ぶお茶子を目にしながら私もテンションが上がっていた。

実は私の両親も主に火災現場を中心に活躍するプロヒーロー「フレイムバスターズ」であり、両親と13号は共に仕事をすることも多いため話はよく聞いていた。

尊敬する両親と肩を並べる13号の事も尊敬しているので、雄英高校の先生だったのを知ってとても嬉しかった。

 

「あれ?オールマイトは?」

「ほんとだ居ないね。まだ来てないのかな?」

この「救助訓練」は相澤先生と13号先生、そしてオールマイト先生の3人で行うと説明があったが、オールマイト先生の姿がどこにも見えなかった。

 

「…不合理の極みだなオイ」

13号先生となにやら会話をした後、ゲンナリとため息をつく相澤先生を見るとおそらく遅れてくるのだろうと思った。

 

「ったく…仕方ない始めるか」

改めて訓練開始を告げる相澤先生に待ったをかける13号先生。

 

「えー始まる前にお小言を1つ2つ…3つ………4つ」

(((((増える…)))))

 

何故か増える数字に少し動揺するクラスメイトを前に13号先生は話し出した。

「皆さんご存知だとは思いますが僕の『個性』は『ブラックホール』。どんなものでも吸い込んでチリにしてしまいます。」

 

「その『個性』でどんな災害からも人を救い上げるんですよね」

緑谷君が13号先生の話を聞いてそう答えた。

 

13号先生はその言葉に答えると落ち着いた声で話を続けた。

「…しかし簡単に人を殺せる力です。皆の中にもそういう『個性』がいるでしょう。超人社会は『個性』の使用を資格制にして厳しく規制する事で一見成り立っているようには見えます。しかし一歩間違えれば容易に人を殺せる『いきすぎた個性』を個々が持っていることを忘れないで下さい。」

「相澤さんの『体力テスト』で自身の力が秘めてる可能性を知り、オールマイトの「対人戦闘」でそれを人に向ける危うさを体験したかと思います。」

「この授業では…心機一転!人命の為に『個性』をどう活用するかを学んでいきましょう。君たちの力は人を傷つける為にあるのでは無い、救ける為にあるのだと心得て帰って下さいな。……以上ご清聴ありがとうございました!」

 

話し終えてぺこりと頭を下げた13号先生に生徒から拍手が送られた。私も思わず拍手を送っていた。やっぱり現役のヒーローからの言葉は心にズンと響くものがあった。

 

「そんじゃあまずは…」

拍手がなりやんだ後に相澤先生が話を切り出そうとした時に私は何かに気づいてしまった。USJの中央にある噴水の水がいきなり不自然に揺れ動いたのだ。そして噴水に目をやると、何か黒い小さな渦のようなものが見えた。

私は個性の関係で水の音や動きには人より敏感であるのだが…

 

「先せ………」

 

「一かたまりになって動くな!!!!!!!」

 

異変を相澤先生に伝えようと声をかけようとした瞬間、相澤先生が今まで聞いたことがない程の大声を上げた。

 

 

「なんだアリャ!? また入試ん時みたいなもう始まってるパターン?」

状況が飲み込めず的外れな事を言う切島くんに再び相澤先生は大声で警告した。

 

「動くな!!あれは『(ヴィラン)』だ!!!!」

 

歪んだ空間から次々に飛び出してくる人影と臨戦態勢をとる先生を目にしてようやく状況を把握したクラスメイトたちに動揺が走った。

 

「13号!!!生徒を守れ!!」

 

現れた『(ヴィラン)』の中心――――――人間の手のような物が身体の至る所に張り付いている男を見た瞬間、私はとてつもない寒気を感じた。

 

これが『(ヴィラン)』。プロヒーロー、そして両親が普段何と戦い、向き合っているのか。それは途方もない『悪意の塊』だった。




ここまで、読んで頂きありがとうございました!
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筆者は単純ですので高評価して下さるとめちゃくちゃ喜んで次の更新も頑張るようになります!(笑)

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はい 毎度の如く進みが遅いです(笑)
原作の話を追っているのでどうしても会話が多くなってしまいますがお許しください!
次回では玲奈ちゃんと敵の戦闘を書きたいと思いますので気長にお待ちください!


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第10話 敵襲来の巻(2)

通算UA21000越えと評価も頂いたようでありがとうございます!
えー、前回あとがきで玲奈ちゃんの戦闘を書きたいとか言いましたけど、そこまで行きませんでした!(笑)
相変わらず場面の進みが遅くてすみません!

その代わりでは無いですが主人公、水谷玲奈ちゃんの「戦闘服」姿の挿絵を掲載させて頂きましたので「目次」か「個性紹介」の所で見られますので見て頂けると有難いです!

それでは本編へどうぞ!


 

「敵ンン!?バカだろ!? ヒーローの学校に入り込んでくるなんてアホすぎるぞ!?」

中央広場の噴水に出現した黒い渦から続々と現れる「敵」を目にして思わずクラスメイトの何人かが声を上げた。

 

「先生!侵入者用のセンサーは!」

「もちろんありますが…!」

動揺しつつも百が13号先生に話しかけた。

 

「現れたのはここだけか学校全体か…何にせよセンサーが反応しねぇなら向こうにそういうことが出来る『個性』がいるってことだな。校舎と離れた隔離空間、そこに少人数が入る時間割、バカだがアホじゃねぇ、これは『何らかの目的』があって用意周到に画策された『奇襲』だ。」

 

轟君が冷静に状況を判断した。氷の個性の如く慌てずクールに振る舞えるのは凄いと思った。私は何故「敵」が入り込めたのかばかりに思考を巡らせていたのでそこまで考えが及んでいなかった。

 

「13号避難開始!学校に連絡を試せ!センサーの対策も頭にある『敵』だ、電波系の『個性』が妨害している可能性もある! 上鳴、お前も『個性』で連絡を試せ!」

既に臨戦態勢に移った相澤先生が周りに指示を飛ばした。

 

「せ、先生は!?1人で戦うんですか!?あの数じゃいくら『個性』を消すっていっても!!イレイザーヘッドの戦闘スタイルは敵の『個性』を消してからの捕縛だ、正面戦闘は…」

緑谷くんが悲痛な声を上げ、相澤先生に詰め寄った。彼のヒーローに対するリサーチはとても細かいため間違ったことは言っていないと思う。いくらプロのヒーローといっても1人であれほどの「敵」を相手するのは無謀としか言いようがない。

 

「一芸だけじゃヒーローは務まらん……13号!任せたぞ!!」

そう叫ぶと相澤先生、プロヒーロー「イレイザーヘッド」は私たちの元から大量の「敵」が蔓延る中央広場へと飛び込んで行った。

 

 

そこからのイレイザーヘッドは凄かった。敵の個性を自らの『個性』で消し、動揺させた後、首に巻いていた捕縛布を器用に相手に巻き付け動きを封じる。そして縛り上げた敵同士を持ち上げると空中で激突させる。

そして異形型個性の大男相手にも正面からの肉弾戦で怯ませた後に捕縛布で吹き飛ばすなど、気だるげな普段の様子からは考えられないような機敏かつ力強い動きだった。

 

「くそっ!!コイツ強えぞ!!」

「なにやってんだ!俺たちの方が数は上だろ!囲んでやっちまえ!!」

「てめぇ!!何様だ!俺に命令すんな!」

 

現れた「敵」たちは統制が取れていないのかお互いに協力せず自分勝手に向かっていくため、イレイザーヘッドに敵わず1人、また1人と無力化されていった。

 

「肉弾戦も強く…その上ゴーグルで目線を隠されていては『誰を消しているのか』分からない…集団戦に於いてはそのせいで連携が遅れをとるな…。なるほど嫌だなプロヒーロー。『有象無象』じゃ歯が立たない」

渦から出てきた「敵」の中央、人の手のようなものを身体中に付けている男が呟いた。

 

 

「…これがプロヒーローの戦闘」

私は思わずイレイザーヘッドの戦闘に見入ってしまった。

 

「凄い…多対一こそが先生の得意分野だったんだ…」

緑谷君も私と同じで先生の戦闘に見入っている1人だった。

 

「緑谷君!水谷くん!何をしてるんだ!分析している場合じゃない!早く避難を!!」

飯田くんが私たちに声をかけて避難誘導をする。

「うん、分かったすぐいk『させませんよ』

 

私の返事を遮るように避難する私たちの前に黒い靄が広がった。そしてその靄が礼儀正しい口調で話し出した。

「初めまして、我々は『敵連合』(ヴィラン連合)。僭越ながら…この度ヒーローの巣窟雄英高校に入らせて頂いたのは、平和の象徴オールマイトに『息絶えて頂きたい』と思っての事でして」

 

今この敵は何と言ったのだ? オールマイトを殺、す?

あのNo.1、最強のヒーローであるオールマイトを殺す?そんなこと出来るわけない。だがさっき轟くんが言ったように、これは綿密に計画された『奇襲』だったってことは曲りなりにも「最強のヒーロー」(オールマイト)を殺す算段がある筈なのだと、私は気づいてしまった。

 

「本来ならばここにオールマイトがいらっしゃるハズ…ですが何か変更があったのでしょうか?まぁ…それとは関係なく私の役目はこれ…」

黒い靄の「敵」がそう言い終わる前に13号先生が『個性』を使うため指先のカバーを開けた瞬間、2つの影が「敵」の前に躍り出た。

 

BOOOOOM!!!

 

「その前に俺らにやられることは考えてなかったか!?」

爆豪くんと切島くんだ。2人は爆破と硬化の『個性』を使って「敵」に肉薄した。普通の人間だったらこの一撃で少なくともダメージを受けるはずだが…

 

「危ない危ない……そう…生徒といえど優秀な金の卵」

「敵」は無傷だった。僅かに黒い靄が霧散したと思いきや、また集まり人型を成した。

 

「ダメだ!どきなさい2人とも!!!」

目の前に現れた2人のせいで13号先生の『個性』が発動できず隙が生まれてしまった。狡猾な「敵」がその隙を見逃すはずもなく、「敵」が『個性』を発動させた。

 

 

『散らして 嬲り 殺す!!』

 

 

「不味い!!みんな私の後ろに!!!」

私は近くにいたクラスメイトを後ろに庇うと腰のポーチに取り付けてある竹筒の口を開けた。

 

『ウォーターシェルター!!!!』

私は周囲に円形の水のドームを形成し、その中に数人のクラスメイトを入れて防御に徹した。

私は周りにある水や自分の身体を構成している水を使って技を使うのだが、周りに水がない所では自分の体積分しか水が使用できないためどうしても水の総量に制限がかかってしまう。

そのためにこの竹筒を作って貰った。見た目はただの竹筒だが、この中には水を高圧縮して詰めてあるため、水の無い所でもある程度の技は使えるようになる。

(水は圧縮出来ないはずだけどお母さんみたいな『個性』もいるしね…)

玲奈はヒーロー社会の謎技術に感服しながらドームの維持に意識を集中させた。

 

霧が晴れると数人のクラスメイトが周りから消えていた。自分の周りには13号先生、飯田くん、障子くん、砂藤くん、瀬呂くん、お茶子、三奈。

そして私の作り出したドーム内にいた常闇くん、口田くん、尾白くんだ。

 

 

「ふぅむ… 思ったより散らし損ねましたね…」

黒い靄の「敵」が悔しそうに唸った。

 

「みんなは!? いるか!?確認できるか!?」

飯田くんが声を上げる

 

すかさず私は水の揺らめきで探知を試みたが…ダメだ。人が多すぎてクラスメイトなのか敵なのか判断がつかない…。

「散り散りにはなっているがこの施設内にいる」

障子くんが複製した耳を使ってサーチしてくれた。良かった、暗黒空間に閉じ込められたとかそういうのでは無いみたい。

 

「物理攻撃無効でワープって最悪の『個性』だぞおい!!」

確かに2人の攻撃を無力化したのを見ると物理攻撃は無効みたいだ。実は私も物理無効なのは黙っておこう。

 

「…委員長、君に託します。学校まで駆けてこのことを伝えてください。警報が鳴らず、そして電話も圏外になっていました。警報機は赤外線式。先輩が下で『個性』を消して回っているにも拘わらず無作動なのは…恐らくそれらを妨害可能な『個性』がいて、即座に隠したのでしょう。とするとそれを見つけ出すより君が駆けた方が早い!」

13号先生が「敵」を警戒しながら飯田くんに指示を出した。

 

「しかしクラスを置いてくなど委員長の風上にも…しかもここには俺より50m走が早かった水谷くんが居ます!」

飯田くんが答えた。委員長として自分だけが離脱することを良しとしない。彼の責任感故の言葉だろう。そして代替案も出したが…

 

「ごめん飯田くん…私の『個性』は短距離は早くても長距離は苦手なの。50m走は、あれは走ったというより飛んだだけだし、現に持久走は普通に走るしかなかった。…ここは君の『個性』が最適だと思う」

私は『走る』ことには向いていないのだ、申し訳ないがここは飯田くんに行ってもらうしかない。

 

「そうだ!いいから行けって非常口!!外に出れば警報がある!だからこいつらはこん中だけで事をおこしてるんだろう!?」

「外にさえ出られりゃ追っては来られねぇよ!お前の脚で靄を振り切れ!!」

佐藤くんと瀬呂くんも後押しした。

 

「救う為に『個性』を使って下さい!!」

13号先生の言葉に飯田くんは覚悟を決めたようだ。

 

「全く…他に手段がないとはいえ敵前で策を語る阿呆がいますか…」

「敵」が嘲るように声を上げると再びこちらに向かってきた。

「バレても問題がないから 語ったんでしょうが!!」

13号先生も『個性』を使って応戦を始めた。

 

「私たちも援護するよ!!みんなで切り抜けるよ!!!」

「「「「「「「おう!!!!」」」」」」」

私もクラスメイトに檄を飛ばした。

 

 

ここから雄英高校ヒーロー科A組と「敵連合」の戦闘が幕を開けた。




ここまで、読んで頂きありがとうございました!
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第11話 敵襲来の巻(3)


長い間更新をせず申し訳ありませんでした!
リアルが忙しいのと更新意欲の低下で半年以上未更新でした。
書き溜め等もないのでこれからも亀更新になると予想され、非常に拙い作品ではありますがお付き合い頂けると嬉しいです。


 

 

 

「あの生徒を逃がしてはいけませんよ!!」

「「「「「「「うおおおおおおおおおぉぉ!!!!」」」」」」」

 

黒モヤの敵がそう叫び再びモヤを展開させるとその中から10数名の敵が一斉に雄叫びを上げ私たちの方へ向かってきた。

 

 

(くそっ!!俺はここの敵を抑えるので手一杯だ…生徒たちを戦闘に参加させるのは不本意だが…)

 

「A組生徒に次ぐ!! 此度の緊急事態に際してプロヒーローイレイザーヘッドの名のもとに「自衛」の為の戦闘を許可する!! いいか!決してここでやられるんじゃないぞ! 13号!そちらの指示は任せた!!」

相澤先生…イレイザーヘッドは戦闘を続けながらも私たちの方に叫んだ。

 

「はい!先輩!」

「「「「「「「「「はい!!!!!」」」」」」」」」

 

13号先生と私たちはイレイザーヘッドの檄に応えると、現れた敵との戦闘に突入した。

 

 

 

 

 

「皆さんは2人組で固まって下さい! 1対1では危険すぎる! その後飯田くんを逃がせるように敵を食い止めるよ!!」

 

「「「「「「はい!!」」」」」」

ここにいるのは私と飯田、砂藤に瀬呂、障子、三奈、お茶子の7人

一応男女で別れ「砂藤、三奈ペア 」 「障子、お茶子ペア」「私と瀬呂ペア」

になり戦闘に臨む。

 

「ヒャッハー!! 美人みーつけ! 這いつくばらせて俺の女にしてやる!」

と言いつつ敵の1人が下心丸出しで私の方へ無防備に突っ込んできた。丁度いい、少し痛い目にあってもらって敵の戦意をくじくとするか…

 

「ウォーターキャノン!!!」

私は手のひらからボーリングの玉ほど大きさの水球を作り出して敵の腹部に目掛けて発射した。それは目にも止まらぬ速さで飛んでいき…

 

「ぐほぇぇぇぇ!?」

敵を階段下まで吹き飛ばした。

 

あまりの威力に敵も思わず動きを止めて私の方を見た。

 

「実力の差も分からない愚かな敵に私が屈するとでも?」

私はそう言いながら敵を威嚇するように睨んだ。

 

「いくぞ!俺らも水谷に続け!」「飯田くんを逃がすよ!!」

私の攻撃を皮切りにクラスメイトも戦闘を開始した。

 

「あなたの相手はこの僕です!!」

13号も敵の司令塔と思われる黒モヤの敵に向かって戦闘態勢をとった。

 

「あの生徒を逃がすとまずい…あなたには早々に退場してもらいましょうか…」

そう言うと黒モヤの敵は13号の後ろにポータルを作り出した。

それに気づかなかった13号が黒モヤの敵に能力を使用した瞬間…

 

「ぐぁぁぁぁぁ!?」

13号の背部が突如チリとなり崩れた。吸い込んだと思った黒モヤが自身の背後のポータルへと繋がっていた為、自分を吸い込んでしまったのだ。

 

「「「「先生!?」」」」

戦闘を終わらせた私と三奈が13号先生へ駆け寄る。

 

「…裂傷が酷い、とりあえず流水で患部を洗い流して包帯で……瀬呂!!大量にテープ出して!」

「おう!!」

「三奈!応急処置するから手伝って!!」

「うん!」

見たところ削れた背部の裂傷と流血が酷いため患部の洗浄と止血帯の代わりにテープで応急処置することにした。

 

「13号は災害救助で活躍するヒーロー。戦闘経験は一般ヒーローより半歩劣る。私の相手にもなりませんね。……では」

黒モヤの敵は飯田へと目を向けた。

 

「飯田!何やってんだ!走れって!!!」

 

「すいません13号先生…済まないみんな!!」

飯田はそう言うとUSJのゲートへと疾走した。

 

「うおおおおおお!!!!」

「逃がしません!!!」

「飯田の邪魔をさせるな!!!」

 

それぞれの戦闘を終わらせたクラスメイトが飯田のフォローにまわる。障子や砂藤が持ち前のパワーとフィジカルで、瀬呂が遠距離からの妨害をする。

そして動きが止まった一瞬のスキを突きお茶子が

 

「こんなん着とるなら実体があるって事じゃないかな…!!」

黒モヤの服らしき物に触れた。

その瞬間黒モヤが制御を失ったように空中へ浮き上がった。

(しまった!身体を!)

 

「いけぇ!!」

すかさず瀬呂がテープで妨害をする。それとほぼ同時に飯田がゲートから飛び出した。

 

「………応援を呼ばれる…………ゲームオーバーだ…」

黒モヤは悔しそうに呟くと、消えていった。

 

「…行ったか?」

砂藤がなんかフラグみたいな事を言ったが本当に消えたようだ。

 

「それより13号先生は!?」

お茶子が慌てて13号先生へ駆け寄った。

 

「とりあえずの応急処置はしたよ。……けど気を失ってるみたい。今のところ命に別状は無さそうだから大丈夫だと思う」

私が説明するとお茶子を始めとしてクラスメイトから安堵の息がもれた。

 

「相澤先生の方はどうなったかな?」

…と広場の方に目を向けた私たちの目に、衝撃の光景が飛び込んできた。

 

 

脳のようなものが剥き出しになった黒い化け物に、へし折れたことで左腕があらぬ方向へ曲がり、血塗れになったイレイザーヘッドが組み敷かれている光景だった…

 

 

 

「対平和の象徴 改人 「脳無」」




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第12話 敵襲来の巻(4)




通算UA約3万! お気に入り登録も約500件!!
たくさんの人に見ていただいて嬉しいです!これからもよろしくお願いします!







 

 

side 緑谷、蛙吹、峰田

 

 

水難ゾーンで敵を一網打尽にしてから、中央広場方面に向かっていた。

 

「いやいや、俺たちがあの敵を倒せたのは運が良かっただけだろ?危ねぇから中央広場に行くのはやめようぜ!?」

 

「ケロッ、確かに峰田ちゃんの言う通りだわ。相澤先生は、わざと敵中に飛び込んで敵を大勢引き付けてくれてる。早く出口へ向かって、助けを呼んだ方がいいと思うわ。」

 

「でも敵が多すぎるよ。いくら『個性を消せる個性』の先生でも限界はあると思う。もちろん邪魔にならないようにする。ただ少しだけでも先生の負担を減らせれたらなって…………ほら、そろそろ中央広場だよ。」

 

この時、僕は自分の力が敵に通じたと錯覚していたのかもしれない。

本物の敵はこんなものではなかった……。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

side 中央広場 イレイザーヘッド

 

 

「『個性を消せる個性』素敵だけどなんてことは無いね、圧倒的な力の前ではただの『無個性』だもの」

大きな黒い敵の後ろで、身体中に手のような物がついている敵が呟いた。

 

 

まるで枯れ木でも折るかのように簡単に腕の骨がへし折れる。

 

(くそっ! 俺の『個性』は身体の一部でも見れば消せる!つまり素の力でこれか!!)

 

 

黒い敵が俺の頭を掴むと強かに地面へと叩きつけた。何かが潰れたかのような音が脳内に響き、そのまま俺は意識を失った…

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

side 中央広場 緑谷

 

 

「緑谷ァ…だからいっただろ?俺たちには無理なんだって…」

水難ゾーンと中央広場の境目から、この光景を見ていた峰田くんが怯えながら僕に話しかける。

 

あす…梅雨ちゃんも衝撃のあまりか一言「ケロ…」と言ってから何も言えない。

 

かくいう僕もあまりの光景に思考が止まってしまい、ただ目の前で起こっている惨劇を見ることしか出来なかった。

 

 

 

 

突如、目の前の空間に歪みが生じた。

「…13号は始末できたのか?」と目の前の敵が呟く。

 

「死柄木弔……申し訳ありません、13号は潰したものの、生徒共の抵抗が予想以上に激しく、1匹逃してしまいました…」

黒い歪みの中から声が聞こえた。

 

 

「は?生徒を1匹逃しただと!? ………くそっ!黒霧!お前がワープゲートでなければ粉々にしたよ!!…………流石に何十人ものプロ相手じゃ敵わない、応援が来るならここで今回はゲームオーバーだ……帰ろっか。」

 

死柄木弔と呼ばれた敵が、突如平静を失って叫んだと思うと、再び静かな声になりでそう言った。

 

 

「今…帰るって言ったのか? 俺たち見逃してもらえるのか?」

その言葉を聞いた峰田くんが安堵の声を漏らした、次の瞬間にまた衝撃の言葉が聞こえた。

 

 

「けど、その前に平和の象徴としての矜持を少しでも、へし折って帰ろう………やれ『脳無』」

 

死柄木の声に呼応して、動かない相澤先生の上から「脳無」と呼ばれた敵が僕を目掛けて殴りかかってきた。

 

 

僕は自分の死を予感した恐怖に、目を閉じることも、身構えることも出来ずただ呆然とするだけだった。

 

 

 

しかし、その拳は僕までやって来ること無く、目の前に突如割り込んで来た人物へと捩じ込まれた。

 

 

あまりの威力に弾け飛ぶ、その人の上半身と、生温かいものが顔へ飛んできたのを、僕は瞬きをすることも出来ず、目の当たりにした。

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

side 出口付近 玲奈

 

 

「おい!!先生がヤバいぞ!! どうする!?」

「どうするも何も…応援が来ないんじゃ全滅だ!!」

 

倒れ伏し、黒い敵の下で動かなくなった相澤先生を見てA組は激しく動揺した。

まだ飯田が助けを呼びに行ってからそう時間が経っていない、応援が来るのはまだ掛かるだろう。

 

 

「それよりも緑谷たちがあぶねぇ!!!あんな近くに居たらやられちまう!!」

誰かがそう叫ぶと同時に黒い敵が緑谷に向かって飛びかかった。

 

 

そこにいる誰もが、次に起こるであろう惨劇を予想する。その結果から目を背けるように目を塞ぐもの。何とか助けに行けないかと駆け出すもの。腰を抜かして立てなくなるとのが居た。

 

 

私も助けられないと顔を背けようとしたが、幼い頃のある言葉が頭をよぎった――

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

『「玲奈は大きくなったら何になりたいの?」

「私お父さんとお母さんみたいなレスキューヒーローになりたいの!それでいっぱい人を助けたいの!」』

 

 

『「なんか玲奈ちゃんの個性って怖い お化けみたい」

「だって体が全部水なんでしょ? 本当に同じ人なの?」

「この前だって転んだ時に怪我してないし…血も出てないもん」』

 

 

 

個性のコンプレックス!?

そんなことを気にしていてヒーローになれるのか!?

 

「お父さんとお母さんみたいなレスキューヒーローになりたい」

その言葉は偽りだったのか!? 違う!!!!

 

…だったら目の前で救える命があるなら救う!!

それが「本物のレスキューヒーロー」だ!!

 

 

 

その瞬間私は両眼を見開き、体内の水を発射し中央広場に向かって飛び、黒い敵の前へ躍り出た。

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

side 中央広場 緑谷

 

 

「邪魔が入ったようだが……まずは1匹……」

上半身が飛び散った人型を見て嘲笑うかのように死柄木がそう言った。

 

 

 

「…このコスチュームは…み、水谷さん…」

目の前に割り込んで来た人のコスチュームは特徴的な忍装束だった。なぜ彼女がここにいるのかと考える前にクラスメイトの「死」に直面し、頭が真っ白になった。

 

 

 

「………どうしたのですか脳無?…死柄木弔、何かがおかしい!」

歪みの中から黒霧の動揺したような声が聞こえた。

 

 

僕が顔を上げると、そこには死んだと思ったクラスメイトと、顔の周りを『水』に覆われ苦しむ脳無の姿があった。

 

 

「『水人間』、これが私の本当の力だ!タダで帰れると思うなよ!(ヴィラン)ンン!!」

 

 

玲奈の叫びが響き渡った。

 

 

これが、『水人間』水谷玲奈が過去のトラウマの殻を破り、ヒーローとしての第1歩を踏み出した瞬間だった。






この小説を書き出した時からこのシーンはずっと書きたいと思っていました!次回は玲奈ちゃん対脳無、そしてUSJ編ラストとなりますので乞うご期待を!



ここまで、読んで頂きありがとうございました!
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第13話 敵襲来の巻(終)



評価欄に評価1がついて傷心の作者ですが前回から3000件以上のUAと、新たに70件のお気に入り登録があるので、もう少し頑張ってみようと思います。

後書きの所に評価と感想に関する作者からの小さなお願いがありますのであとがきの方もご覧いただけると幸いです。

では本編へどうぞ!!(今回本編がちょっと長めです!)










 

 

 

 

 

 

side 中央広場

 

 

「〜〜〜〜〜!?!?」

目の前の人間を殴った途端、顔の周りを水に覆われたことに理解が及ばない脳無が驚愕の叫びを上げた。

水から逃れようと暴れたことにより、顔の周りから徐々に上半身も呑み込まれつつあった。

 

 

「…間に合って良かった、緑谷」

玲奈は緑谷を救えたことに安堵し、笑顔を浮かべながら振り返る。

 

「み、水谷さん!? そ、その姿は!?『水人間』ってどういうこと!?」

緑谷は、玲奈が生きていることに安堵したが、それよりも驚きの方が勝っていた。

 

 

「『水人間』は私の本当の個性、ちょっとトラウマがあって、みんなには嘘ついてたんだけどね、…けど私が目指す『本当のヒーロー』になるにはそんなトラウマなんてちっぽけな事だって気づいたんだ。ここからは出し惜しみしないよ!!…そろそろこいつも動き出す!緑谷は下がってて!!」

玲奈は緑谷にそう告げると脳無の方へ向き直った。

 

 

「!!!!!!!」

脳無は無事だった下半身の力を使い飛び退くことで玲奈を振り払った。そして目の前の玲奈を敵と見定めて突撃してきた。

 

「…くそっ!液体のやつには恐らく物理攻撃の効果は薄いぞ…相性最悪だ…」

と死柄木は歯噛みする。

 

「水谷さん!! その手の付いた敵が恐らく首謀者だよ!さっきそこのワープゲートの敵に指令を出したり、撤退の決定もしてたし間違いない!!」

緑谷が玲奈に向かって叫んだ。

 

「了解! 『ウォーターバインド』!!」

玲奈は両手を水に変化させ、死柄木に向かって伸ばして捕縛する態勢をつくる。

 

「くっ!脳無!!」

死柄木も脳無に指示をして玲奈の腕を弾き飛ばさせた。弾かれた腕は制御を失いその場で落下し地面に染み込む。

 

「全然効かないよ! 緑谷!今のうちに相澤先生を連れて早く安全な所へ!」

玲奈は緑谷に向けて檄を飛ばすと、敵を引き付けるために自ら脳無に攻撃をする。

 

「うん!! あ、梅雨ちゃん!峰田くん!いくよ! 相澤先生は頭を強く打ってるからできるだけ激しく動かさないように!けど速やかに危険地帯から抜け出すよ!」

「ケロッ、分かったわ緑谷ちゃん。けど玲奈ちゃんも無理しちゃダメよ」

「お、俺は逃げられるなら何でもいいよォ!!」

約1名は逃げ腰なだけかもしれないが、緑谷たちは意識を失ったイレイザーヘッドを持ち上げ、撤退を始めた。

 

 

「さあ!お前たちの相手はこの私だ!! 」

玲奈は水難ゾーンに片足を入れると、先程作ったよりも更に大きな水流を生み出し、敵目掛けて叩きつけた。

 

『ハイドロウィップ!!!』

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

side 出口付近

 

「緑谷たちが助かったぞ!!!あれは誰だ!?プロヒーローが応援にきたのか!?」

「まだ応援が来るには早すぎるよ!」

「じゃあ緑谷たちを助けたのは一体誰なんだ?あんな『個性』知らないぞ!?」

緑谷たちが助かったことに喜ぶ一同だが、助けた人物が誰か分からなかった。

玲奈の叫びもこの出口付近までは届いていなかったようだ。

 

「あれ多分玲奈ちゃんじゃない!?あのポニーテール!」

三奈が緑谷を助けた人物の正体に気がついた。確かに腰まで伸びる長い水色のポニーテールは中々居るものでは無い。

 

「ホントや!玲奈ちゃんがおらへん! けど玲奈ちゃんの個性って『水流操作』やなかったの!? どう見ても『水』になっとるけど…」

お茶子が玲奈の『個性』に疑問を持ったが、

 

「今はそんなことを気にしている場合ではない、早く助けに行くぞ。水谷が間に入ったとはいえ、先生と緑谷たちが危機を脱した訳では無い。」

障子が冷静にクラスメイトに指示をした。

 

「おう!そうだな、13号先生の手当に数人を残して援護に行くぞ!」

「「「「「「おう!!」」」」」」

続く砂藤の声にA組一同が同意して動き出した。

 

 

 

 

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side 中央広場 死柄木弔

 

 

「ちぃ!! なんだアイツ!直接攻撃しても全くダメージがない!このまま水流を避け続けてもキリがない! 黒霧!何かいい案はないか!」

自身を捕まえようと、怒涛の如く襲い来る水流を避けながら、黒霧へ叫ぶ。

 

「…1つだけあります。準備に時間がかかる上、確実性もありませんが…それでも実行しますか?」

黒霧は短い感覚でワープを繰り返しながら攻撃を掻い潜っていた。

 

「それしかないなら仕方がない…やれ!!」

確実性がないのは不安だが、何かしなければ状況が好転することはないため渋々了承する。

 

「了解しました…では小娘の動きを止めましょう、『脳無』」

黒霧が脳無に指示をすると、脳無が玲奈に向かって突進した。

 

「 無駄よ!私に物理攻撃は効かない! 溺れさせてあげる『ハイドロプリズン』

玲奈は、戦闘訓練で上鳴を包み込んだ時とは比べ物にならないサイズで、脳無の巨体を完全に飲み込んで尚、あまりが出来る程の巨大な水球を作り出した。

 

 

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」

為す術もなく捕らわれた脳無だったがそれが黒霧の狙いだった。

 

「今です!!!」

巨大なワープゲートが玲奈と脳無を包み込んだ、そしてワープゲートが閉じた瞬間。

 

 

BOOOOOOOOOOOOOM!!!!!

 

鼓膜が破れるかと思うほどのとてつもない爆発音と地響きがUSJ中を襲った。

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

side 中央広場~出口付近へ 緑谷、蛙水、峰田

 

 

 

広場で相澤を担ぎ、出口付近へと撤退中の緑谷たちの前に、突然爆発音と地響きと共に、赤黒い肉片と玲奈のコスチュームだったものと思われる布や竹筒が降ってきた。

 

 

 

「一体何が起きたんだ…? …もしかして」

緑谷は何が起きたのかと一瞬考えたが、このUSJのある施設と玲奈の個性を考察し、気がついた。

気がついた。

 

 

 

「水蒸気爆発…………」

その答えに辿り着いてしまった緑谷は、今度こそ玲奈の命が失われてしまったのではないかと、その場で膝を折ってしまった。

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

side 中央広場 死柄木

 

 

 

黒霧が静かに声を出した。

「……あらゆる事故や災害を想定して作られた演習場、その中にはもちろん『火災』もある。エリア丸ごとを覆い尽くすほどの『火災』を起こし続けることによりあのエリアの上空一体は非常に高温になっている。そこに大量の水を出せば…」

 

 

「…水蒸気爆発が起こる、と。考えたな、黒霧」

死柄木は、黒霧の考えた作戦に感心した。

 

 

「そして脳無は『超再生』だ、少し時間があれば復活する。」

黒霧が再び呟くと肉片が徐々に再生を始めた。

 

「おいおいおい嘘だろ!?どんな化け物なんだよ!!」

峰田は再生をし始めた肉片に怯える峰田。

 

 

 

「……さっきは帰ろうって言ったけどここまでコケにされて逃げ帰るのはね。予定変更だ、皆殺しにしていこう。」

死柄木の双眸から伝わる殺意を前に緑谷たちは震えが止まらなかった。

 

 

しかしその時出口付近から轟音が聞こえた。

 

 

「もう大丈夫」

 

 

僕らが恐怖に押しつぶされそうになったその時、文字通り壁をぶち破って『救世主(ヒーロー)』がやってきた。

 

 

「私が来た」

 

 

「「「「「「「「オールマイトォォォォォォ」」」」」」」」

 

待ちに待った平和の象徴の登場だった。

 

 

「待ったよヒーロー、社会のゴミめ」

しかし待ってたのは敵側もそうだったと、死柄木は不敵に笑った。

 

 

 

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side 出口付近~中央広場 オールマイト

 

「嫌な予感がしてね、校長の話を振り切ってやってきたよ、来る途中で飯田少年とすれ違って、何が起きているかあらましを聞いた。」

…怖かったろう、痛かったろう、この場に始めから居られなかった自分に腹が立つ、しかしだからこそ言わなければならない!!

 

「もう大丈夫!私が来た!!」

 

そう叫ぶと私は一直線に中央広場へ跳んだ。

 

タダでは帰さないぞ、覚悟しろ敵よ。

 

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side 中央広場 死柄木

 

 

ちっ!奴を待っていたとはいえタイミングは最悪だ!

まだ脳無は再生中…時間を稼がないとさすがに脳無無しでは太刀打ち出来ない!

「黒霧ィ!!」

 

「…分かってます、お前たち、少しは時間稼ぎになってくださいね」

黒霧はワープゲートを開くとどこからともなく敵が現れた USJ中に散らばっていた味方を広場へと強制転移させたのだ。

 

 

「…ワープゲートとはまた厄介な『個性』を!」

オールマイトは突然現れた敵にも怯むことなく、次々と意識を刈り取っていく。

 

「ちっ!やはり数合わせのチンピラじゃ歯が立たないか…でも時間が稼げれば。」

死柄木がそう呟くと、ほぼ再生を終えた脳無が立ち上がった。

 

「いけ!脳無!!」

死柄木の号令で脳無がオールマイトに飛びかかった。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

side 中央広場 緑谷

 

 

そこからの戦闘は壮絶としか言えないものだった。

『ショック吸収』と『超再生』の個性で耐える脳無と、それを上から潰そうとするオールマイトの怒涛の攻撃が続いていた。

 

途中黒霧のワープゲートによる援護で、オールマイトが窮地に立たされたこともあったけど、かっちゃんや轟くんの援護で窮地を抜け出したオールマイトが、脳無を1発で殴り飛ばし勝利を収めた。

 

脳無というオールマイトの対抗手段を失った敵は

「次はこうはいかない…首を洗って待ってろ…」

と言い残すと消えていった。

 

しばらくすると飯田くんが他の先生達を伴って、応援に駆けつけてきたが敵は既に立ち去った後だった。

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

side 出口付近 緑谷

 

「まずは安否確認だ!! 怪我をした生徒は居ないか! 各エリアにまだ転移させられた敵や生徒たちががいるかもしれない! プロヒーローは速やかに敵の捕獲、生徒の保護を行うように!!」

校長先生の一声で他の先生達がUSJ中を回って捜索と敵の駆逐をしていった。

 

 

数十分後、中央広場にA組のみんなが揃った。ある1人を除いて…

 

 

「………水谷少女、私は、間に合わなかったのか。」

未だマッスルフォームのオールマイトが、千切れた水谷さんのマフラーとボロボロになった竹筒の前で膝から崩れ落ちた。

 

「水谷さんは1人で脳無を抑えて僕達を守ってくれてたんだ…」

「せっかく仲良くなれたのに、こんなのってないよぉ…」

「僕が…僕がもっと早く助けを呼びに行けていたらこんなことには…」

「水谷…」「水谷さん…」「玲奈ちゃん…」

 

駆けつけてきた先生達、A組一同が水谷さんの死を悼んでいたが、僕は微かに「竹筒」が動いたのに気づいた。

 

 

「…今、竹筒が動かなかったかな?」

思わず僕がそう話した瞬間に竹筒が爆発した。

 

 

また敵の襲来かと身構える先生達と僕らだったがそこに居たのは、

 

 

 

「あーーーー!やばかった!死ぬかと思った!!!!」

 

 

何故か『幼女』になっている水谷さんだった。それもサラシにふんどし姿という、かなり衝撃的な格好で…

 

 

 

「「「「「「えぇぇぇぇぇぇぇ!?」」」」」」

 

 

 

「えっ?何事?」

 

 

USJ中に響き渡る今日一番の叫び声と、何が起きているのかさっぱり飲み込めていない水谷さんの、いつもより高く、呆けた声のギャップが印象的だった。




ここまで、読んで頂きありがとうございました!
少しでも「面白い」と感じてくれた方は《お気に入り登録》や現時点での《評価》をして頂けると、とても嬉しいです。

前書きでも述べさせて頂いた評価の事ですが、低評価も拙作に対する評価としてありがたいのですが、低評価をくださる方は感想欄へ「どこがどうダメだったか」を書いて頂けると今後の改善に繋がりますので出来れば感想欄への批評の方もお待ちしております。

もちろん高評価やお褒めの言葉を頂けると作者は狂喜乱舞しますのでそちらの方の感想もお待ちしております(笑)
誤字報告の方もいつも助かっていますので今後ともよろしくお願いします!
(特に金木犀様いつも誤字報告感謝です!)

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第14話 USJ総括&学校っぽいのキターりたーんずの巻


前話投稿後、やけに評価が伸びていると感じ、初めて日間ランキングを覗いた筆者でしたが、なんと総合59位、二次創作限定では47位にランクインしておりました!
おかげさまでUAも5000件以上増え4万目前に、高評価も多数頂いたようでものすごく嬉しかったです!
これからも投稿頑張りますのでよろしくお願いいたします!





 

 

 

都内 某所 とあるバー

 

 

繁華街から1本裏路地に入ったところに、1軒のバーがあった。外にはいつも「CLOSE」の札が掛かっている少し古ぼけたバーだ。

その中で突如空間が黒く歪んだ。

 

「…ちっ、予想外のことが起き過ぎた。脳無もやられ、手下共は瞬殺、おまけに子どもも強かった。完敗だ… 何よりも、平和の象徴は健在だった。話が違うぞ先生…」

死柄木が、不機嫌そうに首元をガリガリと掻きむしりながらモニターに向かって話しかけた。

 

「違わないよ、ただ見通しが甘かったね。」

「うむ…舐めすぎたな、敵連合なんちゅうチープな団体名で良かったわい…ところで、わしと先生の共作『脳無』は回収してないのかい?」

モニターからは落ち着いた男性の声が聞こえてきた。

 

「オールマイトに一撃の下に吹き飛ばされました。正確な位置座標を把握出来なければ、いくらワープと言えども探せないのです。応援が迫っていることもありそのような時間は取れなかった。」

転移を終え、ワープゲートからスーツを着た人型に戻った黒霧が「先生」と呼ばれた男の言葉に答えた。

 

「せっかくオールマイト並のパワーにしたのに…まぁ仕方ないか、残念。」

口では残念と言っているが、本当にそう思っている様には思えない口調で返答があった。

 

「特になんなんだあの水を使う女子生徒、ものすごく強かったぞ。黒霧が火災エリアに放り込んだから恐らくはくたばったと思うけど。あいつがいなかったらもっと生徒を殺せた筈なのに…」

忌々しげに死柄木が呟く。

 

「ほう、水の個性か、便利そうだが死んだならしょうがないな。それに今回のことを悔やんでもしょうがない!決して今回のことだって無駄では無かったはずだ、精鋭を集めよう!時間をかけてゆっくりと。我々は自由に動けない、だから君のような『シンボル』が必要なんだ。死柄木弔!!次こそ君という恐怖を世に知らしめろ!!!」

そう死柄木に発破をかけるとモニターの電源は落ち、そこには砂嵐が残るだけだった…。

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

USJ内 出口付近

 

 

「えっ?何事?」

竹筒から出てきた玲奈は、周りの状況を把握出来ていなかった。キョトンと小首を傾げる玲奈は、幼女になっていることもありいつもより可愛らしい印象になっていた。

 

 

「え、いやいや、こちらも驚いたんだけどね。皆から聞いたんだけども、あの脳無との戦闘からよく生還してくれたね。君の皆を守ろうとする勇気はヒーローにとっては不可欠なものだよ。でも1人で抱え込みすぎないように。でも本当にありがとう、よくやってくれた。」

オールマイトは、目の前で起きたことに驚きながらも、本当に「少女」になってしまった玲奈の手を握った。

 

 

「玲奈ちゃん!!よかった。うち、玲奈ちゃんが死んでもうたと思って…」

お茶子が真っ先に玲奈の元へ駆けつけて力いっぱい抱きしめた。

お茶子に続いて他のA組クラスメイトも玲奈の元へ駆け寄った。

 

「よかった!!よかったよ!!」

「済まなかった、ボクがもっと早く応援が呼べていれば…」

「…サラシ、ふんどし…はっ!?殺気!?」

「その格好も何ですし、どうぞ。」

上から滂沱の涙を流す緑谷、玲奈が無事だと知っても尚自身を責める飯田。こんな状況でも、脳内ピンクの峰田、個性で上着を作って玲奈に手渡す八百万だ。

 

「すまない、私は刑事の塚内という。すぐに事情聴取という訳にはいかないと思っていたが、水谷玲奈さんだったね。君はあの爆発をどう回避したんだい?聞くところによると、とても生きて帰れるような規模の爆発じゃ無かったらしいじゃないか。あの戦闘を終えて、まだ疲れているだろうに申し訳ないのだが、これだけ教えてくれないか?」

トレンチコートに身を包んだ警察官が玲奈に話しかけた。

 

「大丈夫ですよ、特に私にダメージは無いですし。私の個性は『水人間』身体を構成しているもの全てが『水』なんです。今は人型になっていますが完全に液体になることも可能なんです。なので私の身体が水蒸気爆発で蒸発しきってしまう前に、そこにある竹筒に身を隠したんです。あれは私のコスチュームでとても頑丈に作ってあるので。まぁ、完全に無事って訳でもないんですけどね。」

自身の短くなってしまった手足を見て、玲奈は自嘲気味に笑いながら説明をした。

 

なるほどね、と頷く塚内の横でオールマイトが口を開く。

「時に水谷少女、君はきちんと戻れるのかい?今はかなり縮んでしまっているが。」

 

「はい。私の身体に馴染んだ『水』じゃないといけないので、すぐに元通りとは行きませんけど1週間もしないうちに元に戻れますよ。」

玲奈はオールマイトにそう答えると、クラスメイトの方を向いた。

 

「皆、今までごめんね。私この『個性』のことがあまり好きじゃなくて、皆の前で嘘ついてたの。けどもう自分を偽るのはやめる。そんなんじゃ自分の目指す『本当のレスキューヒーロー』にはなれないからね。こんな私だけど、また仲良くしてくれるかな?」

玲奈は少し遠慮げにクラスメイトに自分の思っていることを伝えた。

 

「そんなの決まってるじゃん!もう私たち友達なんだよ?そんなこと気にしないでいいよ!」

三奈がそう言うと玲奈に抱きついた。三奈が抱きつくのを皮切りにA組女子一同で玲奈を抱きしめ、各々言葉をかけて言った。

男子は輪に入れなかったが、気持ちは同じだった。

 

「皆、ありがとね。」

そう言って笑う玲奈は、お日様のような晴れやかで暖かい笑顔だった。

 

 

「そういえば相澤先生と13号先生は?大丈夫なんですか?」

玲奈がハッとした様子でオールマイトに声をかける。

目の前の玲奈のことで頭がいっぱいだったクラスメイトも、オールマイトや塚内刑事に聞いた。

 

「イレイザーヘッドは両腕の粉砕骨折と顔面骨折だが、意識はもう回復しているらしい、後遺症も心配いらないそうだ。13号も裂傷は酷いが命に関わる怪我という事もない、復帰もすぐできるそうだ。」

大事には至らなかったという状況を聞き、胸を撫で下ろすA組一同に塚内が声をかけた。

 

「さあとりあえず雄英の方に戻ろうか、帰りは私たち警察と先生方で引率しながら戻るから安心してほしい。」

 

 

 

雄英に戻ったあとは、一人一人簡単な事情聴取を行い、今日は下校となった。

敵の襲来があったということで、翌日は臨時休校となったが、敵の襲来や事情聴取などで疲れきったA組一同は泥のように眠った者がほとんどだったそうだ。

 

もちろん玲奈も帰宅すると同時に、自身のベッドであるドラム缶の中に入って眠りにつくのであった。

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

翌日 雄英高校

 

 

 

「皆ーーーー!朝のホームルームが始まる!席につけー!」

「ついてるよ。ついてねーの、おめーだけだ」

クラス委員長と言うことで、張り切りまくっている飯田に瀬呂がツッコミを入れていた。そして予鈴が鳴ると同時に。

 

「おはよう」

顔中や両腕に包帯を巻き、ミイラ男のようになった相澤先生がヨロヨロとしながらも教室に入ってきた。

 

「「「「「「「相澤先生復帰早ええええ!!!!」」」」」」」

無事とは知っていたがあまりの復帰の早さに驚くA組だった。

 

「俺の安否はどうでもいい、それよりもだ。まだ戦いは終わってねぇ」

生徒の心配をよそに教壇に立った相澤先生がそう話した。

 

「戦い?」「まさか…」「まだ敵がーー!?」「なになに?」

各々がそれぞれ反応をすると少し溜めて相澤先生が一言。

 

 

「雄英体育祭が迫ってる!」

 

「「「「「「「「クソ学校っぽいことキターァァァァァ!!!」」」」」」」」

教室に絶叫が響き渡った。今日もA組は賑やかだなと、微笑む玲奈だった。




玲奈ちゃんの活躍もあって相澤先生の後遺症は無し。
そして脳無も水蒸気爆発からの再生途中だったこともあり、オールマイトが滅多打ちをしなくても倒すことが出来たのでオールマイトの活動時間もそのままに!!玲奈ちゃん有能!!
ちなみに玲奈ちゃんは身体が戻りきっていないので、まだロリ玲奈ちゃんです。

ちなみにロリ玲奈ちゃんのサイズは
身長約120cm 体重約20㌔程になってます。ロリ玲奈より小さい峰田ェ…


ここまで、読んで頂きありがとうございました!
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第15話 雄英体育祭の巻 (1)

前回更新から約半年間なんの音沙汰もなくすいませんでした。
モチベーションの問題や仕事、書こうにもこの先の展開などを考えているうちに滞ってしまった次第です。
リアルでも引越しを控えており、これから忙しくなるので中々更新も進みませんがよろしくお願いします。




 

体育祭と言ってもただの学校行事ではない。

 

かつてはオリンピックというものがスポーツの祭典として世界中、もちろん日本でも人気を博していた、が『個性』が出てからスポーツ人口は縮小し、オリンピックはかつての輝きを失い形骸化した。

 

その代わりに今日の日本で、かつてのオリンピックに代わるものとして注目されている。

ヒーローを目指す少年少女が、互いに鎬を削りあう中で数々のドラマを巻き起こす、その姿に人々は熱狂した。

 

そして一般人だけではなく、プロのヒーローからしても、将来有望な原石や、自分の跡を継ぐ後継者を見つけるために全国から人々が集まる一大イベント。

それが『雄英体育祭』だ。

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

「待って待って!?敵に侵入されたばかりなのに大丈夫なんですか!?」

 

相澤先生の一言にクラスメイトは沸き立ったが、先日USJに『敵連合』なるものが侵入してきたばかりだった事により、クラスから心配する声も上がっていた。

 

 

「逆に開催することによって雄英の危機管理体制が磐石だと世間に知らしめる意図があるらしい………警備は例年の5倍に強化するそうだがな。『雄英体育祭』は日本国民の一大イベントである上、何よりヒーローを目指すお前たちには最大のチャンス、逃すことの出来ないイベントだ。敵ごときで中止していいものではない。時間は有限、プロに見込まれればその場で将来が拓ける、年に1度しかない計3回のチャンス逃すのは実に『非合理的』だ。『雄英体育祭』まであと2週間各々準備は怠らないように。」

 

先生が話し終わると同時にHRが終わるチャイムが鳴った。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

~4時間目終了 昼休み

 

「HRで先生が言ったことだけどさ、全国のプロヒーローもスカウトの為に来るんだよな!燃えてくるぜ!!」

「俺たちの『個性』を思う存分アピール出来る機会だもんな!」

 

朝の「体育祭」のことで男子を中心に凄く盛り上がっている。

もちろん私もワクワクしている。小さい頃からこの時期になると、毎年テレビに齧り付いて見ていた『雄英体育祭』。その舞台に私も立てると思うと胸が高鳴ってしょうがない。

 

「みんなノリノリだけどやっぱ玲奈は冷静だね。」

響香が私の机に腰掛けながら話しかけてきた。

 

「そう?私これでもワクワクしてるんだけど」

「えっ!?ごめん、全然表情変わってないから気づかなかった。」

私がそう言うと申し訳なさそうに頬をかく響香、その仕草可愛いね。

 

「私、表情が変わりにくいらしいからしょうがないって、ほらみんなを誘ってご飯食べに行こっか」

そう言って私は響香と一緒に他の子を誘い、食堂へ向かった。

 

 

 

〜放課後

 

 

「なにごとだァァァ!?」

とお茶子が教室から出る際に叫び声をあげた、何故かA組の廊下には大量の人だかりが出来ていたからだ。

 

 

「敵情視察だろ、ザコ。」

爆豪くんがそう言いながら人だかりの前に出た。

 

「敵の襲撃を耐え抜いた連中だもんな、体育祭の前に見ときてぇんだろ……意味ねぇからどけ、モブども」

 

「知らない人のことをとりあえずモブっていうのやめなよ!!」

いつも通りの爆豪くんといつも通りキレのある委員長のツッコミだ。

 

その後、人だかりからでてきた目つきの悪い人(2人)から宣戦布告とも呼べる言葉を聞いた後、これ以上居てもしょうがないと思ったのか、バラバラと人だかりは消えていった。

 

 

(本番まで2週間かぁ…それまでにこれをなんとかしないとね…)

私はいつもより短くなった手足を見てそう思った。

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

〜2週間後、雄英体育祭当日

 

 

「うぅーー緊張するねぇ…さっき外見たけどすっごい人だったよ!」

「結構有名なヒーローも来てるみたいだね。」

「コスチューム着たかったなぁ」

「公平を期すために着用不可なんだってさ」 「ちぇー」

「…何してるの?」 「精神統一だ…」

「やば、お茶無くなっちゃった」「私の飲む?ケロッ」

 

本番前にみんな思い思いの行動を取っている、改めて見るとA組って大分自由というか…それこそ個性的だなぁ…と思った。

 

 

「皆準備は出来てるか!?もうじき入場だ!!!」

一際大きな声で飯田くんが注意を促した。

 

そろそろかと思い、飲んでいた水を置いて立ち上がると目の前を轟くんが通り過ぎた。

 

 

「緑谷、客観的に見ても俺の方が実力は上だと思う。お前オールマイトに目ェかけられてるよな?別にそこを詮索するつもりはねぇが、お前には勝つぞ。」

語気が強く、傍から見れば喧嘩腰のようにも見える宣戦布告だった。

 

「クラス最強が宣戦布告!?」

「急にどうしたんだよ?直前にやめろって。」

とざわめくクラスメイトたち。

私も目の前で起きたことに動揺して思わずキョトンとしてしまった。

 

 

「…轟くんが何を思って僕に勝つって、言ってるのかは分かんないけど…そりゃ君の方が上だよ…実力なんて大半の人に敵わないと自分でも思う…」

緑谷くんは俯きながらそう呟いた。

 

 

「緑谷も、そうゆうネガティブな事は言わない方が…」

その様子に慌てて切島くんが間に入ろうとする。さっきも宣戦布告する轟くんを止めようとしたりと、USJの時から思ってたけど切島くんって凄い気がつくんだな思った。あの爆豪くんにも対等に話しかけられるから肝が据わってるのかも。

 

 

「…でも!!!皆、他の人も本気でトップを狙ってるんだ!僕だって遅れをとるわけにはいかないんだ! 」

僕も本気で獲りにいく!!

 

そう言って顔を上げた緑谷くんの瞳に迷いはなかった。

 

 

「…さあ!!もう時間だ!みんな行くぞ!!!」

「「「「「「「「「おう!!!!」」」」」」」」」

 

飯田くんの号令で全員は控え室を後にした。

 

 

 

(私も負けてられない…)

緑谷くんの言葉に私も思わず拳を握り、決意を新たにするのだった。




今回は完全に状況説明回ですね。

控え室での行動は完全に筆者の想像です。
ですが個性爆発のA組、大人しく待ってるイメージがつきませんねw

次回からは体育祭本番です。体育祭はあらかた筋書きは出来ているので、時間さえあれば執筆の方を進めていこうかなぁ…と思います。

ちなみに前話で縮んでしまった玲奈ちゃんですが、縮んだ程度にもよりますがおよそ1週間程度で元に戻ります。
それまで服は雄英に小さい制服を用意してもらっていたそうです。
ロリ玲奈ちゃんは可愛いと評判でA組女子に大人気だったそうですよ〜

〜以下クラスメイトの反応
お茶子「ぷにぷにほっぺやぁ…」
三奈「おててちっちゃ〜…」
透「可愛い!連れて帰っていい!?」
梅雨「お菓子あげる、ケロッ」
百「これが…萌え…ですの?」
響香(…この状態の玲奈なら胸の大きさ勝ってるかな?)


ここまで、読んで頂きありがとうございました!
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第16話 雄英体育祭の巻 (2)

久しぶりの投稿です、お待たせしてしまいすいませんでした!


 

 

「雄英体育祭!! ヒーローの卵たちが我こそはとシノギを削る年に一度の大バトル!! どーせテメーらアレだろ!?こいつらだろ!? 敵の襲撃を受けたにも拘わらず鋼の精神で乗り越えた奇跡の新星!!

ヒーロー科1年!A組だろぉぉ!?

 

 

放送席のプレゼントマイク先生の紹介の元、スタジアムに入場する私たちに、観客席から数え切れない人々の視線が一度に注がれた。

 

「わあああ…人がすんごい…」

緑谷くんが緊張のあまりか、少しぎこちない歩き方をしながら辺りを見回した。

 

「大人数で見られる中で最大のパフォーマンスを発揮できるか、これもまたヒーローとしての素養を身につける一環なんだな…」

「めっちゃ持ち上げられてんな…なんか緊張すんな爆豪!」

「しねえよ、ただただアガるわ…」

「ふわァァァ…見てみて!玲奈ちゃん!すっごいね!見渡す限り、人!人!人だよ!」

 

上から真面目に分析する飯田くん、ソワソワしながら爆豪くんに同意を求める切島くん、とてもヒーローを目指すようには見えない凶悪な顔をする爆豪くん、興奮した様子で私の肩をバンバンと叩く透だ。

 

「透、痛いって、まあ盛り上がる気持ちも分かるけどね」

私は緊張しながらもこれから始まる大イベントを前にワクワクを隠すことが出来なかった。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

「選手宣誓!!!」

手に持ったムチを鳴らしながら、開会を高らかに宣言するミッドナイト先生、いつ見てもギリギリな衣装だと思う。

 

18禁ヒーロー ミッドナイト

パッと見、その手のクラブの女王様にしか見えないが、れっきとした雄英教師である、近代ヒーロー美術史の担当をしている。

 

 

 

「18禁なのに高校に居てもいいものいいか?」

思わず呟く常闇くんに被り気味に肯定する峰田くん、彼は本当に素直というか欲望に忠実というかなんというか…。

 

 

 

「静かにしなさい!!選手代表!!1-A 爆豪勝己!」

ミッドナイト先生がそう言うと、爆豪くんは朝礼台へ歩き出した。

 

 

 

「せんせー……俺が1位になる」

ポケットに手を入れながら気だるげにだがとんでもない事を言い放った。

 

 

「絶対やると思った!!!!」

「調子乗んなよ!A組オラァ!!!」

「何故品位を貶めるようなことをするんだ!!」

「ヘドロ野郎!!!」

A組のクラスメイトだけでなく、他クラスからも非難轟々だったが、爆豪くんは親指で首を切るポーズをしてさらに外野を煽り立てる。

 

 

「さーて!選手宣誓も終わったし、早速第1種目へ行きましょう!! 所謂予選よ!!毎年ここで多くのものが涙を飲むわ!! さて運命の第1種目!今年は!!これ!!!」

 

 

爆豪くんの選手宣誓(?)を見事にスルーしたミッドナイト先生は背後に投影されたプロジェクターへ向き直る。

 

 

そこには

『障害物競走』

とだけ書かれていた。

 

 

 

「計11クラスでの総当りレースよ! コースはこのスタジアムの外周約4キロ! 我が校は自由さが売り文句、コースさえ守れば何をしたって構わないわ! さぁさぁ位置に着きまくりなさい!!」

 

ミッドナイト先生が説明をするとスタートゲートが開き、スタートのライトが点滅しだした。

 

明らかに人数と見合わない広さのゲート、つまりこのスタート地点で既にふるいにかけられているということ。

 

 

 

てことはやる事はひとつ…!

 

 

 

 

スターーーート!!

 

 

 

案の定、我先にと走り出す一同でスタートゲートはごった返す。

私は混雑に巻き込まれないようにと、後ろに下がると、体力テストの50m走のように後ろに向かって水を噴射した。

 

先頭付近から冷気が漂って来た為、あぁ…やっぱ轟くんがなんかやったんだなと思った。

 

A組のみんなも予想していたようで各々の方法で回避して前へと繰り出して行っていた。

 

 

 

しかしその先には…

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

『さあ!!いきなり障害物だ!!まずは手始め、

第1関門ロボ・インフェルノ!!

 

そこには入試の時に戦った仮想敵が居た、しかも0ポイントのお邪魔敵が大量に。

 

「多すぎる!!向こうが見えねぇぞ!!」

「ヒーロー科のヤツらこんな奴と戦ってたのか!?」

口々にそう叫ぶ他クラスを尻目に抜け道を考える。

 

目の前で1台のロボットがいきなり氷に覆われて活動を停止した、なるほど轟くんは強行突破か…

 

A組のみんなも個性を使いロボットの上を飛び越えたり、戦いながら進み始めた。

 

「まぁ私も上かな?」

私は地面に向かって、水を発射すると、その反作用でロボットの上を飛び越した。

 

ロボット地獄を抜け出す手前で、確認した所、トップとは少し差があるけど大体10位前後にはいると思う。

 

ロボット地獄を抜け出すとそこには…

 

 

 

 

『第2関門はザ・フォール!!! 落ちればアウト!! それが嫌なら這いつくばりな!!』

 

底が見えない大穴を前に、狭い足場にロープがただかけられているだけのステージだった。

 

「これ高所恐怖症の人はダメだね。」

私は第1関門で水を使いすぎた為、とりあえずロープの上を渡ることにした。

 

「まぁ私なら落ちても這い上がってこれるしイケるイケる。」

 

 

 

私が渡り終える頃に、先頭集団は既に最終関門に辿り着いていたようだった。

 

 

 

「…地雷原ねぇ、ここまでやるかねぇ…」

 

目の前で起こる爆発と吹き飛ぶ人間に、思わずため息が出てしまった。

 

 

 

『ちなみに地雷の威力は大したことねぇが、音と見た目は派手だから失禁瀕死だぜ!!』

『人によるだろ、てか俺必要か?』

 

プレゼントマイク先生曰く、怪我をするような威力ではないそうだ、相澤先生がボソリと呟いた一言に思わずニヤけてしまったが…

 

「まあここも飛んでくのが良さそうだね。よーく見ると地雷の位置も分かるけど、避けて進むより強行突破の方が早そうだ。」

 

ただ地雷原を全て飛んで突破するには残りの水分量が心配なので少しずつ飛んで、地雷がない所に着地することで水分量を節約しながら地雷原を突破することにした。

 

「予選って言ってたからガス欠になっちゃいけないしね。」

 

途中、緑谷くんがとんでもない爆発を起こして頭上を飛んで行った以外に特に何も無く、私は障害物競走を完走した。

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

「さあ!順位が出揃ったわよ!確認しまくりなさい!!!」

ミッドナイト先生がそう言うと上から順番にプロジェクターに順位が映し出された。

 

 

 

私の順位は…………

 

 

 

 

水谷玲奈 13位 予選通過

 

 

 

「んー13位か…さすがに10位には入れなかったみたいだね。」

一応後に響かない程度に全力は出したがトップ10には入ることが出来なかった。

 

 

 

 

 

「予選通過は上位42名!!残念ながら落ちちゃった人も安心しなさい!まだ見せ場は用意されてるわ!」

最後に上位42名の顔がプロジェクター映し出された。

 

 

「いよいよ次からは本戦よ!!ここからは取材陣も白熱してくるわよ!キバリなさい! さて第2種目は、コレよ!!!」

 

先程のようにミッドナイト先生がプロジェクターに向き直るとそこには

 

「騎馬戦」と出た。

 

「参加者は2~4人で自由にチームを作って、騎馬を作ってもらうわ! 基本は普通の騎馬戦と変わらないけど、先程の順位に応じたポイントが各自に割り振られるわ!」

 

「入試みてぇなポイント稼ぎって訳だな、わかりやすいぜ」

「つまり組み合わせによって騎馬のポイントが違うってことだな」

ミッドナイト先生の説明中に誰かが補足していた、結構A組のみんなって思ったことすぐ言うよね、でも先生話してる時に話すと…

 

 

「あんたら私が説明してるのにすぐ言うね!!!少しは黙って聞いてなさい!!」

 

ほらミッドナイト先生怒っちゃった…

 

 

「ええそうよ!そして与えられるポイントは下から5ポイントずつ!42位が5ポイントで、41位が10ポイントみたいな感じよ…そして1位に与えられるポイントは…」

 

 

『1000万!!!』

 

 

ミッドナイト先生がヤケクソ気味にそう言い放った途端、予選1位通過の緑谷くんに一斉に視線が注がれた。

 

 

私も思わず見た、私で150ポイント。

2位の轟くんですら205ポイントなのに…

 

 

 

クイズ番組の最終問題みたいなトンデモ倍率に、私は再びため息をついてしまった…

そして一言…

 

 

 

 

 

「ここまでやるか雄英高校…笑」

思わず引いてしまった私は正しいと思う。





ここまで、読んで頂きありがとうございました!
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第17話 雄英体育祭の巻 (3)

初投稿から2年も経つのに未だ原作の4巻までしか進んでいない小説があるらしいですよ(自虐)
亀更新にも程がある筆者で申し訳ございません。
こんな拙作ですが、見てくださる方がいらっしゃる限りは細々とですが投稿していこうと思いますので、暖かく見守っていただけると嬉しいです。

では雄英体育祭、騎馬戦編スタートです!!



「上に行く者には更なる受難を、雄英に在籍する以上何度でも聞かされるよ、これぞ『Plus ultra!』予選1位通過の緑谷出久くん!!持ち点1000万ポイント!!」

ミッドナイト先生が雄英高校の校訓を交え、改めて言い放った。

 

当の緑谷くんは最初はトンデモな点数と周りの目線というプレッシャーに押しつぶされて、顔面蒼白+滝汗という、こちらもとんでもない事になっていたが、さすがヒーローを目指すだけあって覚悟を決めたような顔つきに変化していた。

 

 

その間もミッドナイト先生からルールが説明される。

簡単にまとめると、

 

1、制限時間は15分

2、個人に振り当てられたポイントの合計かわ書かれたハチマキを騎手は頭に巻く。取ったハチマキは首から上に巻く

3、例えハチマキを失っても、騎馬が崩れても、即座にアウトにはならない

4、ただし、通常の騎馬戦のルールと同じく騎手が地面に触れることや、悪質な崩し目的の攻撃は一発退場となる。

 

これが大まかなルールとなる。

 

 

「てことは42名からなる騎馬、10~12組がずっとフィールドにいるってわけか…」

「一旦ポイントを取られて身軽になっちゃうのもアリかもね。」

「それは全体のポイントの分かれ方を見ないと判断しかねるわ三奈ちゃん」

さっき注意されたばかりなのでヒソヒソではあるが、各々が話し始める。

 

「それじゃこれより15分!チーム決めの交渉タイムスタートよ!!」

 

「「「「「「15分!?」」」」」」

 

周りが途端にざわつき始めた、入学間もなくということもあり、同じクラスならともかく、他クラスの生徒の個性を把握してないという事を考えると短い時間だ。

 

「なるほどね、ヒーローになったら、自身のサイドキックとの連携、他事務所とのチームアップだったり、現場での協力は必要不可欠…こないだの戦闘訓練もそうだったしね。」

私がそう言うと、周りにいたA組クラスメイトも、なるほどと頷いた。

 

そして15分の交渉タイムが始まった。

周りでは爆豪くんに人だかりが出来ていた。

確かに、彼の文字通り爆発力のある個性は魅力だ。しかも予選3位通過という事もあって持ち点も200ポイントと高い。

最後に合計が高い騎馬が勝ち残るなら、自身の騎馬が高得点なのは理にかなっている。

 

 

「さてと、私は誰と組もうかな?」

私は『水』ということもあり爆豪くんとは相性が悪い。予選2位通過の轟くんもそうだ。

私の身体は、熱いと蒸発するし、冷たいと凍る。私は意外と組む相手が制限されてしまうのが悩みどころだ…

 

 

私がそう考えていると後ろから男性の声がした。

「おい、そこの水色の髪の女」

とかなりぶっきらぼうな聞き方をする。

 

「なんです……か?……水色の髪って私の事ですか?」

何故か彼の言葉に返事をした途端、少し目眩がした。

 

「なん…だと…」

紫色の髪を逆立て、目元が酷いクマに覆われた男子生徒が、目を見開いて驚いていた。

 

「どうかしたんですか?」

私がそう聞くと、ブツブツと「ありえねぇ…確かに使ったはず」と呟いていた。

 

「…ん?尾白くん?この人と組んだんだね?すぐにチームを組んだってことは知り合いだったの?」

紫髪の彼の後ろに、尾白くんともう1人小さい男子生徒が付いてきていた為話しかけたが、少し様子がおかしい…

 

「ん?尾白くん?どうしたの?」

と私が聞くと、ブツブツ言ってた紫髪が口を開いた。

 

「そいつは答えねぇよ…俺が『洗脳』したからな」

 

「洗脳?」

私が思わずそう聞き返すと彼が話し始めた。

 

「俺の名前は心操人使。俺の個性は『洗脳』俺の言葉に答えたやつを洗脳して自分の言いなりに出来る個性だ。人間になら効くんだけどな…お前には何故か効かなかった…

お前…本当に人間か?

 

 

 

彼の言葉に私は激しい怒りと同時に深い悲しみを感じた…。

 

 

 

私の触れてはいけない弱い所、

嫌な記憶が逆流する………………。

 

 

 

 

 

『玲奈ちゃんって人間じゃないみたい』

 

 

 

 

 

しかし今はケンカしている場合じゃない、私は可能な限り、怒りを押さえ込み口を開いた。

 

 

「それは少なくとも初対面の人に言う言葉じゃ無いよね?アンタも『洗脳』なんて敵みたいな個性じゃん?人のこと言えるの?…………って言うのと同じ事だよ、心操くん?」

 

私が語気を粗めに答えると、紫髪はハッとして、心底申し訳なさそうに顔で「スマン…」と頭を下げて謝ってきた。

 

自分の過ちに気づいて、素直に謝れるとこを見ると、ぶっきらぼうなだけで根は優しくて誠実なんだろうなと思った。

 

 

「…それで?心操くんは私と組みたくて声掛けてきたんでしょ?どうするの?」

私が腕組みをしながら聞いた。

 

 

「ああ…近距離から遠距離までカバー出来る水の個性。攻撃にも防御にも転用できる優秀な個性だと思ったから勧誘したんだ……けどいいのか?お前を侮辱したような奴と組んでくれるのか?」

そうおずおずと話す心操くん、その様子から少し言いすぎたかな?と思うが、まあおあいこだろう。

 

「いいよ、ただ私も条件がある。その2人の洗脳を解いたら仲間になるよ。洗脳されたままじゃ2人の気持ちはどうなるか、それぐらい分かるでしょ?」

私がそう言っても洗脳を解除しない心操くん。

 

 

私がその様子にため息をつきながら、

 

「あのね…多分心操くんって普通科だよね?2週間前にA組に来てた人の中で見た覚えがある、普通科って体育祭の順位によってヒーロー科編入も検討されるって言ってたよね? もし君が体育祭で優秀な成績を収めてヒーロー科に編入したとして、この2人はどう思うかな?」

 

我ながら意地悪な事は言っていると思うが、そう諭すように話した。

 

「分かった…」

と観念した様子で心操くんは洗脳を解除した。

 

2人の虚ろな目に光が戻り、何が起こっているのか分からず、辺りを見回していたが、私はそんな2人に構わず話し出した。

 

「さて、2人には何が起こってるのか分かんないと思うけど、この4人でチームを組むからよろしく、時間もないし、早く自己紹介と個性の説明、作戦も考えるよ」

 

 

「「「えっ!?」」」

3人が驚いた様子で私を見た。

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

「よォーーーし!組み終わったな!準備はいいかなんて聞かねぇぞ!?さァ上げてけ鬨の声!!血で血を洗う雄英の合戦が今!狼煙を上げる!!」

司会のプレゼントマイク先生がそう言うと会場全体でカウントダウンが始まる。

 

「じゃあ行くよ」と私は前騎馬の位置でチームメイトに声をかける。

 

 

「「「「「3!!!!」」」」」

 

 

「尾白くん!」

「おう!」

 

 

「「「「「2!!!!」」」」」

 

 

「庄田くん!」

「はい!」

 

 

「「「「「1!!!!」」」」」

 

 

「心操くん!」

「ああ…」

 

 

「START!!!」

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

プレゼントマイク先生の合図の元、騎馬戦の火蓋が切って落とされた。

 

 

私達のチームは上から

 

尾白猿尾 予選11位通過 160ポイント

水谷玲奈 予選13位通過 150ポイント

心操人使 予選28位通過 75ポイント

庄田二連撃 予選34位通過 45ポイント

 

合計で430ポイントのハチマキを騎手の心操くんがつけている。

全体で見ると上から5番目という高ポイントになった、そして騎手が未だ実力の分かっていない普通科の生徒となると、狙われるのは必至だが…

 

 

 

「実質それの争奪戦だ!!!」

「はっはっは!緑谷くん!いっただくよ〜!」

奪えば勝利が確定する、緑谷くんのハチマキを狙っているチームがほとんどだった。

 

…ていうか透の上半身か見えてないってことは、あの子今上裸ってこと!?

後騎馬の佐藤くんと口田くんがちょっと気まずそうにしてるって事はそうだよね!?

透明だからってガードが薄すぎる、見えてないにしても女の子なんだし、後で注意しとかないと…。

 

「でも流石緑谷くん、いい人と騎馬を組んだね」

重力を操れるお茶子に、全方向中距離攻撃と防御に長けている常闇くん、そして名前と個性は分からないけどサポート科の女の子とサポート科だけに許された装備も相まって、隙のない騎馬になっている。

 

 

「作戦通りやれば大丈夫!気張ってこう!」

「おう!水谷が頭がキレるやつで助かったよ」

私がそう言うと後ろから尾白くんの声が聞こえた。

 

ちなみに私が前騎馬、尾白くんと庄田くんが左右後騎馬、騎手が心操くんとなっている。

 

「それじゃ作戦通り行くよ!!」

「「「おう!!」」」

私の号令の元、近くにいるチームに向かって攻撃を仕掛ける。

 

 

 

 

「左前から来るよ!! A組の女子が前騎馬のチーム! 」

サイドポニーの女子生徒が私たちの接近に気づいて声を上げた。

 

 

「多分B組だけの騎馬だよね!? 庄田くん!個性とか分かる!?」

 

 

「はい!騎手の拳藤さんは『大拳』といって拳を大きくすることが出来ます!パワーもそれに比例して強くなります! ちなみにB組の委員長です。

前騎馬の柳さんは「ポルターガイスト」身近なものを操れます!ちなみに趣味はネットサーフィンだそうです。

後騎馬の1人、取陰さんは「トカゲの尻尾切り」自身の身体を切り離して自在に操ることが出来ます。ちなみに推薦入試枠の1人です。

もう1人は小森さん、個性は「キノコ」です!文字通り胞子を操ってどんな所でもキノコを繁殖させることが出来ます。ちなみに目がしいたけです!」

 

矢継ぎ早に庄田くんはそう言い放った。

 

 

「ありがと!なんか要らない情報もあったけど」

「目がしいたけってどういうこと!?」

「アレだろ、栗みてぇな口のアレだろ」

「そう言う事です!」

上から私、尾白くん、心操くん、庄田くんである、急拵えのチームなのに何故か息ぴったりである。

 

 

「あっ!庄田くんがいるノコ!」

「ヤバいあいつ私たちの個性教えたっぽいよ」

「くっ、なら出し惜しみ出来ないわねやるわよ!」

騎手の拳藤の号令の元、敵騎馬が接近してきた。

 

 

私が取陰さんの飛んできた手を弾きながら接近し、声が聞こえる距離に来た瞬間、心操くんが口を開く。

 

 

「くくっ…口の軽い仲間を持つと苦労すんな、委員長様…」

「なんですっt……」

心操くんの憎まれ口に、思わず反応してしまった拳藤さんから目の光が失われ、動きが止まった。

 

「反応してくれて助かったよ」

通り過ぎる瞬間に心操くんがハチマキを掠め取る。

 

 

「えっ!? 一佳!?どうしたの?」

「ヤバい逃げられるノコ!」

「委員長!! くっ、何かの個性の影響で反応がない!」

慌てふためく敵騎馬から攻撃が飛んでくるも、尾白くんの尻尾や私の水流で軽くあしらうと、範囲外へ脱出する。

 

 

 

 

「よし!上手くいった!!」

私たちの作戦は、A組、B組とメンバーが揃って居るのを利用し、情報を武器に心操くんが挑発し、洗脳した隙にハチマキを取る戦法だ。

 

 

 

「俺の個性が初見殺しだから何とかなってるが、そんな数は取れねぇぞ!第一相手が挑発に乗ってこねぇとダメだ!」

 

「分かってるよ!だから取ったハチマキは絶対死守!私と尾白くんが居れば防御は可能だから!」

 

「3人いるおかげで死角もないからね!」

 

「点数表示を見る限り最低でも1000点以上は確保したい!次は、障子達のとこに行こう!」

 

…やっぱり息がピッタリである

 

 

 

 

その後も…

 

 

 

 

「触手ってなんかエロいよな…複製ってアソコも増やせんのか?」

 

「なっ………!?」(洗脳済み)

「後ろのチビからハチマキを奪え」

「障子てめぇ!!オイラ達を裏切るのか!?」

「………。」

 

 

 

「透明だから服脱いでんのか知らねぇけど、この個性社会で透明なのが見える奴が居るかも…とか考えたことねぇの?雄英体育祭って全世界に放送されてんだぜ?いいのか?上裸で?」

 

「ええっ!?嘘っ/////………!?」(洗脳済み)

「貰ってくよー」

 

 

 

「いやー流石心操くん、私を素で煽るだけあって挑発はお手の物だね…」

「いや…その節はすみませんでした…」

「いや心操の挑発はすげぇよ…あんなん返事しねぇのが無理だ…」

「結構えげつない事言ってますよね…」

 

 

これで拳藤チームの205ポイント、葉隠チームの370ポイント、峰田チームの405ポイント、そして持ち点の430と合計で1410ポイントだ。

 

 

 

そしてそこで…

 

 

「タイムアーーーップ!!!」

 

試合終了の合図がされた。

 

 

 

私たちは心操くんの「出来れば目立ちたくねぇ」との一言で中央の争いに参加しなかった為、実況ではあまり触れられることはなかったが、手堅くポイントを取り、ハチマキを守り抜いた為、高ポイントを維持することが出来た。

 

 

決勝戦進出チームは

1000万465ポイントの轟チーム

1650ポイントの爆豪チーム

1410ポイントの私たち

675ポイントの緑谷チーム

の4チーム、合計16名となった。

 

「以上4組が最終種目へ進出だァァァ!!さあ!これから1時間の昼休憩を挟んでから午後の部だぜ!じゃあな!!!!」

 

 

 

 

「さて、みんなのおかげで2回戦突破が出来たわけだけど…」

私がそう言って今まで共に戦った仲間を振り返る。

 

「ああ…ここからは敵同士だ…」

「もしかしたらこの4人の誰かと当たるかもしれないが…」

「手加減はしませんよ!」

心操くんはニヤリと笑い、尾白くんは尻尾をうねらせ、庄田くんもファイティングポーズを取っている。

 

「うん!誰が勝っても恨みっこなしだからね」

そう言って4人で拳を突き合わせた。

 

 

 

 

 

 

~雄英体育祭最終種目~

 

「トーナメント形式1VS1のガチバトル」

 

 

 

 




〈補足〉
玲奈ちゃんに心操くんの洗脳が効かなかったのは、玲奈の身体が普通の人間のそれとは掛け離れているからですね。
身体を組織する全ての物が水で出来ているので、人間の脳と玲奈ちゃんの脳は構造が違うって事になります。


後、庄田くんがめっちゃ喋ってるのは気にしないでください、書いてる内にいつの間にかこんなキャラクターに仕上がってしまいました…


ここまで、読んで頂きありがとうございました!
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