ドラゴンクエストーダイの大冒険ー ~忍者に憧れた転生者~ (KANDAM)
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第000話 転生

読みにくかったので少し修正させてもらいました。主人公の話も少しシンプルにしました。


オレは大学受験を控えた高校生・・・のはずだった。

高校2年生の時までオレは勉強も何もできない高校生だった。

高校入学の頃から好きだった女の子に告白したところ別に好きな男がいると言われて振られてしまった。その好きな男は成績学年トップの男だった。オレはそいつにどうしても負けたくなくて一念発起し、東大を目指し始めた。

当時偏差値は40前半だったが、NARUTOの八門遁甲の陣の死門を開いたかの如く勉強した結果、高3の夏には偏差値が70後半まで達していた。

 

朝の4時~夜中の2時まで。。。栄養摂取は最低限・・・。

こんな事をやっていたら普通ならどこかで限界が来るはずなのだが、対抗意識を燃やしている男に勝ちたいという執念から並外れた集中力、精神力を発揮し、それを可能にしていた。

 

しかしそんな事がいつまでも続くわけもなく、直前の11月、勉強していると強烈な睡魔に襲われ、気付くとあたり一面真っ白な世界にいた。

 

「んん・・・。ここは?」

 

「気が付いたか。」

 

「オレは確か勉強していたはず・・・」

 

「やりすぎじゃ・・・」

 

「えっ、意味がよく分からないんですが・・・」

 

「やりすぎて死んだんじゃよ。」

 

オレはしばらく事態が飲み込めず考え込んでいた。そして一時間くらいしてようやく事態が飲み込めた。オレは死んだのだ。

 

「はぁぁぁぁ!?、ここまで頑張ったのに!?」

 

どうやら八門遁甲の陣の死門を開いたかの如く勉強していたのがまずかったらしい・・・

 

「あんな無茶が続くわけなかろうに。何事も過ぎたるは及ばざるがごとしじゃ。でもお前の事は気に入った。どうじゃ、別の世界で生きてみんか?」

 

「あんたは一体?」

 

「ワシはお前の世界で言うところの神じゃ。お前さんのような自分の能力の限界を超えてくるような奴に別の世界で生を与えてそれを見るのを楽しみにしておる。」

 

「う~ん、また勉強漬けで死にたくないしなぁ。いっそのこと昔読んだマンガのドラゴンクエスト-ダイの大冒険-の世界で生きていくとかってできるの?」

 

「もちろんじゃ。だが過酷な世界じゃぞ?超人的な能力が必要な世界じゃ。」

 

「う~ん、じゃあ、NARUTOの世界の忍術とかの能力を持ってそっちの世界で生きるというのは?」

 

「可能じゃ。六道仙人モードとか強力すぎるやつじゃなければな。あと血継限界は一個まで。」

 

しばらく考えて

 

「じゃあ、血継限界は写輪眼で!」

 

(あとは・・・)

 

悩んだ末、こんな感じにした。

 

01.仙人モード

02.雷遁刀

03.手裏剣影分身の術

04.結界・天蓋法陣

05.百豪の術

06.木ノ葉旋風

07.木ノ葉昇風

08.木ノ葉剛力旋風

09.激・木ノ葉剛力旋風

10.獅子連弾

11.八門遁甲の陣

12.影舞葉

13.蛙組手

14.螺旋丸

15.大玉螺旋丸

16.超大玉螺旋丸

17.口寄せの術

18.口寄せ・蝦蟇口縛り

19.影分身の術

20.多重影分身の術

21.飛雷針の術

22.飛雷針・導雷

23.変わり身の術

24.四紫炎陣

25.封火法印

26.霧隠れの術

27.穢土転生

28.隠れ蓑の術

29.変化の術

30.火遁・火龍炎弾の術

31.火遁・豪火球の術

32.火遁・豪火滅却の術

33.火遁・豪火滅失の術

34.火遁・蝦蟇油炎弾

35.火遁・炎弾

36.火遁・大炎弾

37.火遁・鳳仙花の術

38.火遁・豪龍火の術

39.土遁・おとし蓋

40.土遁・加重岩の術

41.土遁・軽重岩の術

42.土遁・山土の術

43.土遁・土矛

44.土遁・地動核

45.土遁・土流割

46.土遁・土流壁

47.土遁・土流城壁

48.土遁・黄泉沼

49.水遁・水陣壁

50.水遁・水陣柱

51.水遁・水龍弾の術

52.水遁・水断波

53.水遁・大瀑布の術

54.雷遁・チャクラモード

55.雷遁・雷幻雷光柱

56.雷遁・雷獣追牙

57.麒麟

58.雷切

59.封邪法印

60.三方封印

 

と、ここまで考えてふと疑問に思った。

そもそも身体レベルとか水面歩行とかチャクラ量とか術名のないものはどうなるのかと・・・

 

「身体レベルとか水面歩行とかのチャクラコントロールとかチャクラ量とかはどうなるんだ?」

 

「いいところに気が付いたな、何もなければそのままだ。」

 

「えっ、一介の高校生がそんなところで生きれるわけないでしょ!」

 

「そうだな、じゃあ、忍術・体術の設定をこれでおしまいにするならそっちの方も何とかしてやってもよいぞ?」

 

「ちょっと、風遁がまだ・・・」

 

「じゃあ、身体能力とかはそのままで突っ込めば?」

 

「分かった・・・あとは、終盤のナルト並みの体力、チャクラ、体術全般、イタチ並みの手裏剣術、サクラ並みの医療忍術、水面歩行等の基礎的なチャクラコントロール、あとクナイ・手裏剣、兵糧丸とかの無限の在庫も・・・」

 

「そんな強すぎるのはダメに決まっておろう。初期値はサスケが里抜けしたあたりのナルトくらいの状態にしておいてやろう。だから、最初は術は持っていてもお主の指定した術のうち強力なものは最初のうちは使えん。お主の鍛錬次第ではお主の言うようなレベルに達する事も可能じゃ。クナイ・手裏剣、兵糧丸とかの無限の在庫については腕に術式を組んでおいてやるからそこから取り出すが良い。ダイの大冒険の世界にはこれらはないからの。そこだけはサービスじゃ。」

 

「あと、それから・・・」

 

「つべこべ言ってないでそろそろ行くのじゃ!」

 

「ちょっとまだ・・・うわ~」

 

 




次回から本編の始まりです。

2019/10/19
本編のストーリーに影響しませんが、読みにくいところ、台詞、術等を修正しました。


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第001話 ダイの大冒険の世界

「んん・・・、ここは?」

 

どうやら森の様だ。しかも相当大きい森のようだ。

自分の格好を見ると木ノ葉隠れの忍の格好をしている。しかも額当てに木ノ葉のマークが入っていた。

 

「転生したんだよな?ドラゴンクエストの世界だったよな?ダメだ肝心のところがぼんやりしてる。」

 

どうやらダイの大冒険の世界に関する知識はごっそり削られているようだ。まあ、変に知っててもやりずらいだけだ。とりあえず、現状を確認するためにあたりを調査する事にした。転生後の能力も気になるけどまずはライフラインを確保するのが最優先だ。金は1文もないようだし・・・。

 

(軽重岩の術で空を飛んで調べてみたいが、変に目立つのも避けたいな・・・。取りあえず歩いて調べるか。)

 

3時間後・・・

 

「どこまで行っても森だな・・・。仕方ない、軽重岩の術で空から探ってみるか。」

 

とその時向こうから人が歩いてきた。桃色の髪をした15歳くらいの少女だ。

 

「人?珍しいわね、こんなところに人が来るなんて。」

 

正直に自分の身元をいう訳にもいかない。言ったら頭がおかしいと思われるだけだ。

 

「仕事を探しに街へ行こうとしてたんだけど道に迷っちゃって。」

 

「ここから北の方にロモス城の城下町があるわ。」

 

と指をさして教えてくれた。

 

「ありがとう!」

 

「あなたこの辺の人じゃないわね?」

 

「うん、ずっと向こうのの方にある村から来たんだけど、森に入ったら迷っちゃって。ありがとう!助かったよ!」

 

「待って、あなた仕事を探してるのよね?力に自信はある?」

 

「そこそこある方だと思うけど?」

 

「実はこの前の雨で村の近くの川が溢れそうで今村の人達が土手を作っているんだけどあなたも手伝ってくれない?報酬はいいと思うわよ」

 

土遁を使える俺にとってはそんなの朝飯前。

 

「やるやる!やりたい!」

 

一文無しのオレは天から降ってきたような突然の提案にオレは思わず興奮気味に答えてしまった。

 

「え、えぇ・・・そう。じゃあ、村に案内するわ・・・(変な奴誘っちゃったかなぁ・・・)」

 

「私マァム、この森の東にあるネイル村の者よ。あなたは?」

 

「オレ?オレは・・・・」

 

前の世界の名前だと違和感バリバリだ。ここは・・・

 

「リョーマ」

 

NARUTOの誰かの名前にしようかとも思ったが、自分とのイメージがあまりにも違い過ぎて違和感バリバリだ。忍者という事でドラクエの世界でも違和感のない和風の名前にした。

 

「ふーん。」

 

(やべ、間があったからな。怪しまれたかな?服装も木ノ葉隠れの忍の格好だし・・・)

 

若干後悔しているマァムをよそにオレは当面の不安が解消されることに興奮していた!

村に着くと村長から説明を受け、川に案内された。

オレを不審に思っているマァムも心配になってついてきた。

 

川を見てオレはありったけのチャクラを練り土遁の印を結んだ。

 

「土遁・土流城壁!」

 

広範囲に渡って土手が出来ていく。

作業をしていた村人達から驚きの声が上がった。

 

「スゲー!あんた魔法使いだったのか?一体何の魔法だ?」

 

「いや、これは魔法じゃなくて・・・」

 

マァムが出てきて

 

「スゴイ!あなた魔法使いだったのね!ありがとう!助かったわ!」

 

「いや、だからこれは魔法じゃなくて・・・」

 

誰もオレの話は聞いていなかった。

 

(この世界で忍術は目立ちすぎるな。剣と魔法の世界だもんな。今回は喜んでくれたからいいが、これからは人前で忍術を使うのは止めよう。)

 

村へ戻ると村長が当初の予定を遥かに上回る報酬をくれた。

 

(これがどれくらいの価値なのか分からないが、村長たちの反応を見るに当面困らなそうだな。)

 

「ありがとう、マァム。マァムのおかげで助かったよ。」

 

「こちらこそ助かったわ。みんなあなたに感謝してるわ。また村に遊びに来てね。」

 

「うん、また来るよ。じゃあ」

 

(マァムか、感じのいい子だったな・・・)

 

オレはネイル村を後にし、マァムに教えてもらった通りにロモス城へ向かった。

道中、急に立ちくらみがオレを襲った。

 

(どうも今のオレのチャクラ量だと大きな術はあまり使えそうにないな・・・。せっかく持ってる術が宝の持ち腐れだ。修行してチャクラ量を増やしといた方がいいな。)

 

城下町についたオレはもらったお金を使って早速宿に泊まった。

 

「さてと。まずは情報だな。ドラゴンクエストの世界のはずなのにモンスターが一匹もいないし、人々の様子も平和そのものだ。これは勇者が魔王を倒した後か、それとも魔王が現れる前か・・・、いや倒した後でも復活ってパターンもあり得る。」

 

次の日から変化の術でこの世界の旅人に変化して、外国人のふりをして色々な情報を集めた。

得た情報等をざっとまとめるとこんな感じだ。

 

・ハドラーという魔王がいたが勇者が倒したという事。

・ロモス城の城下町はどちらかというと田舎であるという事。軍隊もそんなに強くはない。

・陸続きでない国へ行くためには通常船で行く必要がある事。

・仕事はギルドという場所に様々な依頼が集まり、その依頼をこなすと報酬をもらえる事。

・正直食事に関しては決してまずくはないが、人々の関心が高くないのか前世の世界なら決して評判にはならないレベル

・魔法が発達しているせいか、医療技術が原始的。

 

「とりあえずネイル村でもらった報酬が尽きる前に安定した収入を確保しないと・・・。世の中が平和だと前世の世界とやることが変わらないなぁ・・・。」

 

「医療技術が原始的なら、医療忍術を生かして医者はどうだろうか?いやいや、この世界には回復魔法があるし、今のチャクラ量でそんな大量の患者をさばけるかどうかも不透明だ・・・」

 

「食事に関しては高校1、2年の時、そこそこ有名な中華のレストランでバイトしていた事もあって、少なくともこの国のレストランより遥かにうまい飯を作る事ができる。レストランでも開くか?でも元手が・・・」

 

「ギルドの仕事は忍術を使えば簡単にできそうだけど、人前で忍術を使って目立つのは避けたい・・・」

 

と色々考えた結果、収入面についてはギルドで人前で忍術を使わなくても済みそうな仕事を選んでお金を稼ぎ、元手を稼いだらレストランを開く事で生計を立てることにした。

 

 




この世界での方針の決まった主人公。次回は2年後のお話です。

2019/10/19
本編のストーリーに影響しませんが、読みにくいところ、台詞等を修正しました。


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第002話 レストラン忍飯店開業

ギルドでお金を稼ぎ、元手を稼いでレストランを開くことにした主人公。今回はレストランの運営についてのお話です。



この世界に転生してから2年の月日が経った。

ギルドでそこそこお金を稼いだオレはレストランを開業していた。

レストランの名前は忍飯店だ。一人で回せるレベルの小さなレストランだ。

 

ジャンルはもちろん中華。

ファミレスのような形態も考えたが、中華以外は素人に毛の生えた程度。

味で勝負する事にし、中華一本で勝負する事にした。

ラーメン、肉まん、ちまき、回鍋肉、麻婆豆腐、餃子・・・

この世界にないメニューの数々。最初こそ奇異の目で見られていたが、口コミで評判が広まり、城下町中で評判になった。

 

お世話になったネイル村の人達も遠いところよく食べに来てくれる。

マァムもお母さんと一緒に食べに来てくれた。

 

「へー、あなた魔法だけじゃなくて料理もできるんだ。」

 

「まあね、こう見えて料理には結構自信があるんだ。」

 

「初めてうちの村に来た時に作ってもらえば良かったかしら?」

 

「ありがと、また来てよ。サービスするよ。」

 

とこんな感じだ。

 

評判になってくると流石に一人では店が回らず、ウェイトレスのバイトを2人雇い、オレは調理に専念した。時々2号店の出店の話ももらうのだが、コックを養成するのは流石に時間と手間がかかりすぎるため断念した。

 

レストランの運営だけじゃなくて忍術等の修行にも力を入れたかったからだ。ここがドラゴンクエストの世界である以上このままレストランだけをやっていられる訳がない。だからレストランの営業が終わった後や休業日は修行にあてている。今では写輪眼の状態で雷切を四発撃つことができる。まあ、それをやるとへとへとになって動けなくなるのだが・・・。

 

そんなある日、ロモス城の王様ロモス王はオレのレストランの評判を聞きつけ、パプニカ王国の来賓への接待をするため、コース料理を作ってほしいという依頼をオレにしてきた。オレはパプニカの姫様はかわいいという噂を聞きオレは二つ返事でOKした。後でこの決断を後悔することになるのだが、それは少し後のお話。

 

 

会食の当日。

大人数のコース料理を一人で作らなければならない。しかし、そんな事は物理的に不可能だ。そこでオレは企業秘密と称して調理場を立ち入り禁止にしてもらい、影分身の術で8人がかりでコース料理を仕上げていった。今のオレのチャクラ量で調理時間中影分身を維持するのはかなりきつかったが、兵糧丸も使用し、何とかコース料理を仕上げた。

 

デザートを給仕した後、ロモス王達の前で挨拶をし、お褒めの言葉をもらった。パプニカ王も満足されたようだ。料理人冥利に尽きるとは正にこの事だ。ただ、その場にパプニカの姫様が座っていなかったのが少し残念だった。

 

調理場に戻ると後ろから女の子に声を掛けられた。

 

「あなたずいぶん変わった魔法を使うのね。」

 

「えっ、何のことかな?」

 

(ヤバい、見られた!)

 

「とぼけないでよ、あなたが8人になって料理してるところ見ちゃったんだから」

 

「いゃあ、なんかの見間違いじゃないかな?」

 

「ふうん、とぼけるんだ。じゃあ、みんなに言っちゃおうかなぁ♪」

 

あまり忍術で目立って面倒に巻き込まれたくないオレは焦った。

 

(よりにもよって王宮関係者に見られるなんて。影分身を長時間維持しててていっぱいいっぱいだから全然気づかなかった。)

 

「待って、お願い!誰にも言わないで!何でもするから!」

 

「じゃあ、今度私の誕生日の時にパプニカに来てあなたの料理作ってよ。私はパプニカの姫レオナ。」

 

「あ、あなたがあの・・・」

 

今回の依頼引受の決め手になったレオナ姫だ。確かにかわいい。

 

「わ、分かりました!レオナ姫の誕生日の際には必ず腕を振るわせていただきます!」

 

「ありがと。よろしくね♪ところで、あなたのその何人にもなる魔法ってなんなの?」

 

「あれは魔法ではなくてですね、忍術というものでチャクラという体内で精神エネルギーと身体エネルギーを練ったものを先ほどのように術として発現させるものなんです。これはあまり人には言わないでください。あまり騒がれると色々と面倒なことになりかねないので・・・」

 

「分かったわ、これは2人だけの秘密よ♪」

 

というとレオナ姫は会食の会場に戻って行った。

 

「オレも修行が足りないなぁ・・・」

 

会食が終わりオレのレストランも通常営業に戻った。再びレストラン営業と修行の日々だ。

 

そして会食から3ヶ月が経ったある日、空気が急に嫌な空気に変わり、外からドーンという音が聞こえた。

 

 

 

 

 




マァムとレオナ以外のキャラは魔王復活前に絡ませるのは条件的、キャラ的に難しいなぁと感じます。次回から魔王軍が登場します。

2019/10/19
本編のストーリーに影響しませんが、読みにくいところ、台詞等を修正しました。


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第003話 魔王軍襲撃

外からドーンという音が聞こえたので外へ出てみると、森からモンスターの群れが街に向かってくるのが見えた。

 

「やっぱりこの時が来たか。」

 

オレはすぐさまレストランのアルバイトと客を避難させ、城下町に来て以来着てなかった忍装束に着替えた。森の入り口付近に行くと、城の兵士がモンスターと闘っている。幸いモンスターの群れの規模はそんなに大きくないようだ。

 

(忍術は人目に付くところでは使用したくないな。体術と忍具で何とかするか・・・)

 

オレは転生してから2年と少し、こちらの世界での暮らしにも愛着が出てきていた。こちらの世界にない忍術を使う事で人々の自分を見る目が変わり、今の生活を失う事にオレは少なからず恐れを抱いていた。レストランを経営している手前怪しげな術を使えるって事が知れたら少なからずオレの生活に影響がでるだろう。

 

「加勢します!木ノ葉旋風!」

 

モンスターに蹴りを入れると、モンスターは昏倒した。

 

(よし!オレの体術は十分通用する!)

 

「あんた、スゴイな!」

 

兵士達から称賛の声が漏れた。

 

「みなさん、まだいます!気を付けてください!」

 

こんな調子でオレは体術とクナイ、手裏剣を駆使してモンスターを次々倒していった。モンスターは不利と判断したのか森へ逃げ帰っていった。

 

「あれ、あんたは確か忍飯店の・・・」

 

兵士の中の数人の人がオレが誰なのかに気付いたようだ。

 

「ええ、私は忍飯店のオーナーです。ネイル村の方が気になるのでこれからそっちに向かいます。」

 

転生して真っ先にお世話になったネイル村の人々が気になった。兵士に挨拶をするや否やネイル村に走った。

 

「くそ、こんな事ならネイル村に飛雷針の術の印をつけとくんだった・・・」

 

ネイル村に着くと、村はどこか緊張しているものの思いの他無事だったようだ。

どうやらネイル村の村長が事態をいち早く察知し、村の周りに聖水を撒いていたようだ。

 

「さすが、村長。」

 

「ほっほっほっ、伊達に前回の魔王襲撃の頃から生きとりゃせんよ。こんなこともあろうかと村の倉庫に聖水をため込んでおいたのじゃ。」

 

と村長と話しているとマァムがやってきた。

 

「リョーマ、あなたも無事だったのね?その格好は・・・」

 

「ああ、これ?非常用の装備ってところかな?これを着たのは久しぶりだよ。」

 

「あなたやっぱりただものじゃなかったのね。」

 

「ま、まあね」

 

と歯切れ悪い返事をした。まあ、流石にこれをとぼけるのは無理がある。それにマァムなら大丈夫だろう。

 

「城の方はどうなっているの?」

 

「今のところ被害はないよ。モンスターの群れが襲ってきたけど、城の兵士とオレで撃退したから。相手も様子見って感じだったし。」

 

「そう、良かったわ。あなたはこれからどうするの?」

 

「マァム達の無事が確認できたから、オレはまた城の方へ戻るよ。レストランの方も心配だし。」

 

「心配して来てくれてありがとう。」

 

村の人達に挨拶して村を離れると飛雷針の術で早々とレストランの中に戻った。どうやらオレがネイル村に向かってからから襲撃はなかったようだ。

 

モンスター襲撃から数日、人々はどこか緊張しながらも通常生活へ戻って行った。

 

オレはというと案の定というべきか、お城から遣いがきて、城へ招かれた。大方、先日のモンスター襲撃の件についての事情聴取と軍への勧誘だろう。

 

「リョーマ殿はおられるか、ロモス王が城へお呼びである。早速で申し訳ないが来ていただけないか。」

 

「分かりました。今いらっしゃるお客様がお食事を終えられましたらただちに伺います。」

 

お客がいなくなると準備して早速お城へ向かった。

 

お城につくと国王の間まで丁重に案内された。以前コックとして来た時と何も変わらないが、やはり緊張した空気だ。国王の間ではロモス王が玉座に座っていた。

 

「おお、よくぞ参った。」

 

「ご無沙汰しております、陛下。」

 

「先日の料理は中々の美味であったぞ。だが、今回は料理の依頼で呼んだ訳ではないのじゃ。先日のモンスター襲撃の際にお主が加勢してモンスターを撃退したという報告があっての。その真偽を問いたい。それは真か?」

 

「はい、真でございます。私にとってこの王都は大切なお客様の住む地、そして小さいながらも私が始めたレストランがある地でございます。その地を守るのは私にとって当然の事でございます。」

 

「ふ~む、真であったか。料理人であるお主がまさかあんなマネができるとはのぉ。聞いたときは仰天したものじゃ。」

 

「恐れ入ります。」

 

「どうじゃ、わが軍に入って我が国を守ってくれまいか?」

 

「恐れながら申し上げます。軍は私の性分にあっておりませんし、私にはお客様に料理を提供するという大事な仕事がございます。その代わり、王都の危機の際には先日同様微力ながら王都の防衛に力添えさせていただきたいと思います。」

 

「そうか、分かった。お主の料理が食べれなくなるのも辛いしの。王都が危機の際には頼むぞ。」

 

「はっ、有事の際には微力ながら全力を賭して王都の防衛に加勢させていただきます。」

 

軍への勧誘を辞退するとオレはレストランへ帰っていった。

 

オレは自分がどうするべきか迷っていた。

 

(魔王が復活したのか?ならドラクエみたいに勇者になりきって魔王退治に出るべきか?いや、今の力量でそんなことができるのか?持っている術も全然使いこなせていないのに?)

 

(そもそも魔王を倒すために苦難の旅に出るような覚悟はオレにはまだできていない。何が何でも魔王を倒すんだという思いがない。感覚的にまだどこか他人事だ。今の生活を捨てる事に抵抗がある。こんな状況で魔王退治の旅に出る等自殺行為だ。もしやるなら東大を目指して勉強していた時のような執念、覚悟が必要だ。)

 

(しかし、勇者というものが存在せず、誰も何もしないのであれば、状況はどんどん悪くなっていく一方だ。何もしないで状況が悪化し、後で後悔することだけは絶対やりたくない。)

 

こんな感じでモンスターが現れてからずっと迷っていた。

そんなある日、夜中に扉をノックする音が聞こえた。

 

「はーい(誰だろうこんな夜中に)」

 

出るとそこにマァムと少年2人がいた。

 

 

 

 

 




遂に次回はダイが登場します。

2019/10/19
本編のストーリーに影響しませんが、読みにくいところ、台詞等を修正しました。

2019/10/25
本編のストーリーに影響しませんが、読みにくいところ、台詞等を修正しました。


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第004話 百獣魔団襲来

オレが玄関に出るとそこにはマァムと少年2人がいた。

 

「こんばんはリョーマ、夜遅くにごめんね。突然で悪いんだけど私たちを泊めてもらえないかしら?」

 

「構わないけど、そっちの二人は?」

 

「ダイとポップよ。私の兄弟弟子ってとこかな?」

 

「こんばんは、はじめまして。オレ、ダイっていいます。」

 

「ども、はじめまして。オレ、ポップっていいます。」

 

「はじめまして、オレはリョーマ。リョーマって呼んでくれ。このレストランでコックをやってる。よろしく。ところで腹は減ってないか?今日の余りものの材料で良ければなんか作るよ?」

 

ダイとポップは顔を明るくして、口をそろえて

 

「お願いします!!」

 

と答えた。

 

(あの顔、よっぽどお腹すいてたんだな・・・)

 

オレは3人を空き部屋へ案内し、厨房へ向かった。

 

料理が出来たので3人をダイニングに呼び4人でテーブルを囲った。

料理を見るダイとポップの顔は輝いていた。

 

「うわー、オレこんな料理見たことないや。いただきまーす!」

 

「いただきまーす!」

 

ダイとポップが料理にがっつきはじめるとマァムが遠慮気味に

 

「急に訪ねてきたのに、なんかごちそうになっちゃってごめんね」

 

「いやいや、命の恩人の頼みとあらば」

 

「もう!おおげさなんだから(笑)」

 

「ところで、どうしたの急に?弟弟子と3人でこんな夜中に」

 

「実は・・・」

 

とそこでマァムから聞いた事情はオレの想像をはるかに超える話だった。

 

・マァムとダイとポップはハドラーを倒した勇者アバンの弟子であること。

・アバンの修行卒業の日にハドラーが復活し、勇者アバンが死んだこと

・ハドラーの背後にはさらに強大な大魔王バーンがいること

・ダイとポップはアバンの敵を討つための旅を始めたこと

・ダイとポップは面識のあるロモス王に会うためにロモスまで来たこと

・来る最中に偶然マァムに会い、一緒に旅をする事になったこと

・百獣魔団の軍団長クロコダインと交戦し、これを退けたこと

 

「それで森を抜けてきたらすっかり夜になっちゃって、宿も満室だったからあなたのところに来たの。突然ごめんね。」

 

「全然かまわないけど・・・・なんかすごいことになってたんだね・・・」

 

「うん・・・」

 

一通り事情を聴いた後、オレ達はそれぞれの部屋で寝た。

事情を聴いてオレの抱えてる悩みはますます加速した。

 

(どうする?オレも彼らについていって魔王を倒すのに協力すべきか?オレに彼らと同等の覚悟があるのか?覚悟がなければ行っても足を引っ張るだけなのは分かってる。)

 

(もちろんオレだって魔王を倒したいと思ってる。ただ世界を救うとかそんな感覚はない。せいぜいこのレストランやお客、自分の親しい人を守りたいとかっていうその程度の話だ。それも命を懸けるほどの覚悟はない。今の生活が惜しくて人前で忍術を使うのを恐れている有様だ。)

 

オレは夜更けまで自問自答を続けていた。

 

朝になるとドーンというものすごい音がして

 

「モンスターの大群が攻めてきたぞー!」

 

という声が聞こえた。オレ達はその声に目を覚ました。外に出てみるとモンスターの大群がロモス城に向かっている。

 

ダイは素早く着替えて急いでレストランを出ようとしていた。

 

「あっ、ダイ待って!待ちなさい!」

 

マァムが制止するのも聞かずにダイは飛び出してしまった。

 

「早く、ダイの後を追わないと!」

 

「えぇ!何でだよ~!」

 

ポップは渋っていた。

 

「さっきのクロコダインの目を見なかったの?あの復讐に狂った目を!あいつはダイを殺すことしか頭にないのよ!助けなきゃ!」

 

「だけどよ、あいつの強さはハンパじゃないんだぜ・・・行ってもムザムザ殺されに行くようなもんだ・・・」

 

「だから!私たちが加勢しないとダイが殺されちゃうでしょ!3人で力を合わせなきゃ」

 

「し、心配ねぇよ・・・いざとなったらダイの奴はめっぽう強いし・・・死にゃしねえよ・・・」

 

「ポップ?あなたダイの友達でしょ!仲間でしょ!彼がどうなってもいいの」

 

マァムはポップの返答に激怒してポップの胸倉を掴んだ。

 

「うるせぇな!だいたいオレは魔王軍となんて戦うつもりはもとからなかったんだよ!好きでたたかってきたんじゃねーんだ!」

 

ポップはマァムの手を振り払って怒鳴った。

マァムはそのポップの返答を聞いてポップを殴り飛ばし、目に涙を浮かべた。

 

「ポップ、あなたアバン先生から一体何を習ってきたの?ダイもあなたも先生の敵を討つために命をかけて戦っている・・・。そう思ったからついてきたのに・・・。仲間になったのに・・・。」

 

「マァム・・・」

 

「あんたなんか最低よ!二度と顔も見たくないわ!」

 

マァムもダイを追いかけて出ていった。

 

正直オレにはポップの心境が痛いほど分かる。やはり強い覚悟がなければ命懸けの戦いはできない。まぁ彼の場合恩師が殺されているのでもう少し強い覚悟があっても良さそうなものだが。だが、このやり取りはオレに一つの思いを再確認させた。

 

(もしこれでポップが何もせず、ダイ達が殺されたらポップは一生後悔する事になるのだろう。オレがポップの立場なら絶対御免だ。それよりは友達のために命を懸けたい。今のオレの置かれている状況と何も変わらない。オレもここでレストランやお客様等を含めた今の自分の環境を守るために闘わず、それを失ったとすれば、きっと一生後悔することになるだろう。)

 

「ポップ、オレに何かを言う資格はないのかもしれない。ただ、これだけは言わせて欲しい。もしここでダイ達を助けに行かず、ダイ達が死んでしまったらポップはあとになって何もしなかったことを後悔するんじゃないのか?」

 

「うるせー。実際に闘わないあんたに何が分かる!」

 

「いや、これから闘いに行くよ。オレもレストランやお客様達を含めた今の自分の環境を守りたいからな。」

 

「えっ、あんた闘えるのか?」

 

ポップは忍装束に着替えたオレを見て目を丸くした。

 

「少しね。」

 

オレもダイ達の後を追いかけてレストランをあとにした。

 

 




原作と違うのはダイがアバンの修行を7日目まで終えているところです。
次回いよいよクロコダインと対決です。

2019/10/19
本編のストーリーに影響しませんが、読みにくいところ、台詞等を修正しました。

2019/10/25
本編のストーリーに影響しませんが、読みにくいところ、台詞等を修正しました。


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第005話 対決クロコダイン

オレはダイとマァムを追ってロモス城へ向かった。

道中モンスターが襲ってきたが、クナイと体術でこれを退けた。覚悟ができたと言ってもまだ人目に触れる場所で忍術を使う事には抵抗があった。

 

「少しは覚悟が決まったと言ってもまだこの程度か・・・。」

 

ダイ達の話を聞く限り、クロコダインの強さはこれまでのモンスターとはケタ違いだ。とてもじゃないが忍術なしで相手ができるとは思えない。

 

ダイ達を追いかけてついに王様がいるであろう玉座のある部屋にたどり着いた。ダイは倒れ、マァムは変な目玉の触手に捕まっていた。そして王様たちは広間の隅っこで家来に守られ、ダイ達の前には敵と思われるクロコダインと鬼面道士が立っていた。

 

「ダイ!マァム!大丈夫か?!」

 

「リ、リョーマ、来てくれたのね・・・」

 

「こいつらが街を襲ったやつらか?」

 

「待って、その鬼面道士は狙わないで・・・、その鬼面道士はダイの育ての親なの・・・」

 

「何だって!」

 

(昨日ダイ達から聞いたダイの育ての親とはこの鬼面道士か。)

 

オレはクロコダインの方を見た。

 

「貴様はダイ達の仲間か?」

 

「そうだ。お前がクロコダインか。ずいぶん話に聞いていたのと違うな。ダイ達が束になってかかっても手ごわい強敵だったと聞いていたが、人質を取るような小物だったとはな。」

 

「なんだと!言わせておけば!」

 

その時マァムを捕まえている目玉から声が聞こえた。

 

「クロコダイン!挑発に乗るな!魔王軍内での立場を失っても良いのか?」

 

「むぅ・・・」

 

(ちっ、挑発には乗ってくれないか・・・)

 

どうやら挑発には乗らず二人がかりでオレに向かってくるようだ。

 

(王様達からオレの顔は死角になっている。この角度なら誰も見えない!これなら!)

 

「写輪眼!」

 

オレはクロコダインと鬼面道士に写輪眼の幻術を試みた。うまくいけば鬼面道士の動きを封じるだけでなくクロコダインの動きを封じれるかもしれない。

 

しかし、クロコダインは一瞬幻術に反応しただけで、鬼面道士にいたっては何の反応もなく、チャクラの流れにも一切の乱れがなかった。

 

「貴様、今一体何をした?なんだ今のその眼は?」

 

「さあね。」

 

写輪眼で見るとクロコダインのチャクラの流れが力強く、今のオレの力量ではチャクラの流れを乱すのが難しかったようだ。しかし鬼面道士のチャクラの流れはそんな強くないにも関わらず幻術には一切反応しなかった。

 

(クロコダインの方はともかく、鬼面道士の方は一体なぜ幻術が効かなかったんだ?)

 

オレは幻術で止めるのは難しいと判断して王様達に気づかれる前に写輪眼を引っ込めた。オレは幻術を諦め、クロコダインに攻撃を試みようとした。すると鬼面道士が攻撃を遮ろうとした。どうやら鬼面道士はクロコダインを守るように命令されているらしい。

 

「死ねい!」

 

「ケケケケ!メラミ!」

 

クロコダイルは斧を持ってオレに襲いかかり、鬼面道士はオレに呪文で攻撃してきた。オレはクロコダイン達の攻撃をかわしつつ攻めあぐねた。

 

「ええい!ちょこまかと!だがこれはかわせまい!唸れ、真空の斧!」

 

斧から発生した無数の風の刃がオレを襲ってきた。

 

(マズイ!これは避けきれない!)

 

オレは直撃を受け壁にふっ飛ばされた。転生するときに強い体をもらい、2年以上に渡って鍛え続けてきたはずなのにまるでアメフトのラインが一斉にオレに体当たりしてきたような衝撃があった。

 

(なんて衝撃だ、これはあと2、3発くらったらマズイ・・)

 

「ぐふふ、良い様だな!」

 

(クソ!鬼面道士を何とかしないと!)

 

オレが立とうとしたとき、あるものが目に入った。王様の家来が付けていた眼鏡だ。

 

(そうか、これだ!可能性の一つだが、鬼面道士の視力が悪く、写輪眼で幻術を試みたときに鬼面道士にはオレの写輪眼が見えていなかった可能性がある。それなら鬼面道士のチャクラに乱れがなかったことにも説明がつく。鬼面道士に接近してもう一度試すか?)

 

(でもクロコダインと鬼面道士の攻撃をかいくぐって接近するのは至難の業・・・どうする?)

 

その時、レストランでダイを追いかけるのを渋っていたポップがやってきた。

 

「ポップ!どうしてここに?」

 

「へっ、見損なうなよ。俺だってアバン先生の弟子なんだ。友達や仲間を見捨てて逃げるなんて選択肢はねぇ!」

 

(どうやら本当に覚悟を決めたようだな。オレも覚悟を決めなければ・・・)

 

「ポップ、いいところに来てくれた。あの鬼面道士は・・・」

 

「知ってるよ。顔見知りだ。」

 

「オレに考えがある。クロコダインを10秒足止めできるか。」

 

「へっ、見損なうなよ。10秒と言わず15秒でもやってやるぜ!」

 

「頼む!」

 

とポップとオレが耳打ちしているとクロコダインがポップに話しかけてきた。

 

「誰かと思えばいつぞやの小僧か。しょせん貴様はダイとは比べ物にならん小物だ。今引き返すなら見逃してやらんでもないぞ。」

 

「ふざけんな!誰が仲間を見捨てて逃げるもんか!アバンの使徒にゃそんなフヌケはいねぇぜ!クロコダイン!オレとサシで勝負しろ!それともオレみたいな"小物"が相手でもきたねえ人質作戦を使うのか!」

 

「なんだと!よかろう!そんなに死に急ぎたいのなら仲間と一緒にあの世へ行くがいいわぁ!ブラス!お前は手出しする出ないぞ!」

 

(うまいぞ、ポップ!)

 

ポップは腰から魔法の杖を取り出すと魔法を唱えた。

 

「メラゾーマ!」

 

巨大な炎がクロコダインに襲い掛かる。

 

「うぉぉ・・・・」

 

(いまだ!)

 

オレはクロコダインがポップの魔法に気を取られている間に鬼面道士に接近した。

そして写輪眼を発動させ、鬼面道士の目を覗き見て写輪眼による幻術を試みた。

 

「写輪眼!」

 

今度は鬼面道士がオレの幻術に反応した。

(よし!今度は手応えあった!鬼面道士のチャクラに幻術特有の乱れが見える。)

 

クロコダインの方を見るとクロコダインは巨大な炎に包まれていた。

 

(これならクロコダインも・・・)

 

と思ったのも束の間炎の中から竜巻が発生し、炎を消し飛ばしてしまった。

 

「・・・腐ってもアバンの使徒だな・・・まさかメラゾーマを使えるとは思わなかったぞ。だがオレは命中の瞬間、真空の斧で空気流のバリヤーを作り直撃を防いでいたのだ・・・。」

 

(くっ、なんて奴だ。でも鬼面道士の動きは封じた!)

 

 

 




次回クロコダイン戦決着です。

2019/10/19
本編のストーリーに影響しませんが、読みにくいところ、台詞等を修正しました。

2019/10/25
本編のストーリーに影響しませんが、読みにくいところ、台詞等を修正しました。


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第006話 決着クロコダイン

ポップの協力を得て何とか鬼面道士に幻術をかけて動きを止める事に成功したが、ポップ渾身のメラゾーマはクロコダインに防がれてしまった。


「ブラス、そこの妙な恰好をしたやつを攻撃しろ!」

 

クロコダインは鬼面道士にオレを攻撃するように命令した。でもオレの幻術に掛かってる鬼面道士はクロコダインの命令に反応しなかった。

 

「どうしたブラス!聞こえないのか?」

 

「無駄だ。ポップがお前に攻撃している間にちょっとこちらも色々と細工させてもらった。」

 

「おのれ―!貴様!一体何をした!」

 

「さあね。」

 

あとはマァムを助けて、ダイを回復させれば一気に形成逆転だ。

 

(あんなに怯えてたポップだって覚悟を決めたんだ。オレも覚悟を決めるか。オレだって後悔は絶対にしたくない!これは東大に受かろうと勉強していた時と同じくらい強い思いだ!)

 

「影分身の術!」

 

オレは初めて人目につくところで影分身の術を使った。誰の目から見てもみんなが知っている魔法でないのは明らかだ。しかもその見ている人々の中には王様もいるのだ。オレは自分のこの世界に来てからの楽しかった日々を守るために忍術を使う覚悟を決めた。

 

「なんだぁ?その魔法は?」

 

ポップがオレの影分身の術を見て驚いた。

 

「驚くのは後だ!クロコダインに攻撃するぞ!」

 

影分身一体をクロコダインに突っ込ませ、オレはマァムを縛っている目玉のモンスターにクナイを投げつけた。クナイはモンスターの目玉を貫通し、マァムは触手から解放された。

 

「けほけほ、ありがとう、リョーマ。」

 

「後は・・・」

 

「リョーマ、ダイは私に任せて」

 

と解放されたマァムは足元に落ちている大きな銃のようなものを拾い、ダイに向けて銃を発射した。

 

「えっ?」

 

マァムがダイを銃で撃ったのを見てオレは呆気にとられた。

 

「大丈夫よ!」

 

銃で撃たれたダイは立ち上がった。どうやら先ほどまでダイを動けなくしていたダメージは回復したらしい。

 

その頃、クロコダインを攻撃していたオレの影分身とポップはクロコダインの反撃によってふっ飛ばされ、影分身は消えてしまっていた。

 

「貴様、妙な魔法を使いおって、許さんぞー!」

 

クロコダインはマァムを解放され、ダイを回復された事で完全に逆上していた。

だが本当に怒っていたのはダイだった。

 

「クロコダイン!たとえどんな理由があったとしても・・・オレのじいちゃんに悪いことをさせ・・・オレの仲間を傷つけたあんたを・・・許すことはできない!」

 

回復したダイは今までのクロコダインのやったことに対して完全に怒っていたのだ。そしてダイの額には竜のような紋章が輝きだした。

 

(なんだ?ダイのやつも写輪眼のような魔法以外の力があるのか?)

 

「来い!」

 

ダイはクロコダインに向かって吠えた。

 

「死ねぃ!」

 

クロコダインはダイに向かって真空の斧を振り下ろす。

ダイはなんとそれを素手で受け止めてしまった。そしてそのままクロコダインごと壁に向かって投げ飛ばしてしまった。

 

(あれを素手で受け止めて投げ飛ばしただと?なんてパワーだ!)

 

オレはダイのパワーに驚愕した。

 

「オレは!死んでも負けるわけにはいかぁん!むうぅぅぅん!」

 

投げ飛ばされて起き上がったクロコダインは右腕に力を込め始めた。オレの写輪眼にはクロコダインの右腕に危険なエネルギーが溜まっていくのが見える。それに対してダイは回復したばかりで武器を持っていないのに気が付いた。

 

(まずい!ダイは今丸腰だ!)

 

オレは土遁の印を組んだ。

 

「土遁・山土の術!」

 

クロコダインの両側からクロコダインを挟み込むように地面が盛り上がった。

 

「うぉぉ、なんだこれは!」

 

クロコダインは両側から盛り上がった岩に挟まれ動けなくなり、右腕からもエネルギーが逃げていった。

 

(今だ!)

 

オレは雷遁の印を組んだ。

雷状のチャクラがオレの右手から放出されているのが見える。そしてそのままクロコダインに向かって突っ込んだ。

 

「雷切!」

 

オレは雷状のチャクラを帯びた右手でクロコダインを貫いた。

 

「ぐふぅ!見事だ!お前たち人間の絆の力見せてもらった・・・できることならお前らと正々堂々と闘いたかった・・・」

 

そしてクロコダインはポップの方を見た。

 

「小僧おまえにも教えられたぞ・・・男の誇りの尊さをな・・・例え力が及ばなかったとしても自分の誇りに準じることの大切さをな・・・お前の勇気無くしてお前たちに勝利はなかった・・・」

 

「お前たちのような相手に敗れたのであれば全く悔いはない。むしろ誇るべきことだ・・・目先の勝利に狂ったオレはバカだった・・・」

 

クロコダインの目から涙があふれた。どうやら鬼面道士を人質に取って闘うのはクロコダインの本意ではなかったのだろう。そしてクロコダインは穴の開いた壁の方に向かった。

 

「負けるなよ・・・、勇者はつねに強くあれ・・・」

 

クロコダインはそう言うと壁の穴から外に雄たけびとともに飛び降りた。

すると街を襲っていたモンスター達は一斉に撤退を始めた。

 

クロコダインの飛び降りた所にカプセルのようなものがあった。察するにこれでダイの育ての親である鬼面道士を連れてきたのだろう。ダイがカプセルを拾うとそれを鬼面道士に向けた。

 

「じいちゃん、ごめん。もう少しこの中に入ってて。イルイル!」

 

ダイがそのカプセルを鬼面道士に向けて合図を唱えると鬼面道士はカプセルの中に吸い込まれていった。

 

「やった!やったぞぉ!魔王軍を追い払ったぁ!」

 

城の下から歓声が上がるのが聞こえてきた。

 

闘いが終わって、ロモス王が玉座に座り、オレ達はロモス王の前に膝をついた。

 

「ダイ・・・ポップ・・・マァム・・・リョーマそしてわが城の兵士諸君。みんな良く戦ってくれた。」

 

「特にダイ、リョーマ、この度の勝利はまさにお前たちのおかげじゃ、今日から勇者を名乗るが良い。」

 

「やったな、ダイ、リョーマ」

 

「おめでとう!ダイ、リョーマ」

 

ポップとマァムが祝福してくれた。

 

「ロモス王恐れながら申し上げます。この度の私の活躍は彼らの勇気や覚悟に触発されてのこと。私だけならここまでの事は出来なかったでしょう。勇者を名乗るのはダイ一人がふさわしいかと」

 

オレはこの闘いで覚悟が決まったのは彼らの覚悟、思いの強さに触れたからだ。そんなオレが勇者を名乗るなどおこがましいにも程がある。だからその思いをロモス王に伝えた。

 

「・・・王様、オレ・・・まだいいです。」

 

ダイも言った。

 

「何言ってんだよ!お前ら!」

 

ポップがオレ達の発言に驚いて言った。

 

「オレ一人の力じゃ勝てなかった・・・ポップ、マァム、リョーマそれにお城のみんなが力を合わせたから勝てたんだ!オレが勇者だっていうならみんなが勇者だよ。」

 

「だから・・・せめてもう少し強くなってみんなに迷惑かけずに戦えるようになるまで・・・勇者なんて呼ばないで下さい・・・」

 

「あいわかった!さらに大きな成長を期待しておこう!」

 

そしてオレ達はオレのレストランへと戻った。

これからの事を話し合うために・・・。




ちょっと今まで書いてたものを読み返してみましたが、文章のひどいことひどいこと。やはり大学受験時代の国語の成績が偏差値40台だったのはだてじゃないですね(笑)
余りにひどいので今後ちょくちょく文章を直していきます。基本的にストーリーは変わらないです。

2019/10/19
本編のストーリーに影響しませんが、読みにくいところ、台詞等を修正しました。

2019/10/25
本編のストーリーに影響しませんが、読みにくいところ、台詞等を修正しました。


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第007話 パーティー結成

クロコダインに勝利したダイ達はレストラン忍飯店へと戻って行った。

幸いにもレストランに被害はなかったようだ。

 

「みんな、腹減ってないか?」

 

とオレが聞くと

 

「減ったー」

 

と口を揃えて返事が返ってきた。

オレは厨房へ向かい、急いでご馳走の準備をした。

そして料理ができるとみんなでテーブルを囲った。ダイ達はオレの用意した食事をみるみる食べていく。疲れを押して作った甲斐があるってもんだ。

 

「ダイ達はこれからどこへ行くんだ?」

 

とオレが尋ねるとダイは

 

「オレ、パプニカに行こうと思って。友達が心配で・・・」

 

と答えた。ポップはそれを聞いて

 

「こいつ、パプニカの姫さんにぞっこんなんすよ」

 

とちゃちゃを入れた。オレはそれを聞いて

 

「ダイはレオナ姫と友達なのかい?オレも近々レオナ姫の誕生日会の料理をしにパプニカへ向かうつもりだったんだ。この前レオナ姫がロモス王国に来ていた時にレオナ姫達の料理を作ったんだけど、その時脅は・・・ごほごほ・・・頼まれてね。」

 

オレは思わず脅迫と言いかけてしまったが、慌てて言い直した。ダイはそれを聞いて笑顔を引きつらせながら

 

「はは・・・、レオナらしいや・・・」

 

と苦笑した。

 

「・・・オレも大魔王退治の旅に一緒に行っていいかな?もしオレに力があるのならば、自分の大切なものを守るために自分にできる事をしたい。後で後悔しないようにしたい。でも世界を救いたいなんて崇高な事は考えていない。ただ自分の大切なものを守るために戦いたいんだ。」

 

オレの仲間に入れて欲しいという願いに対して

 

「オレだって一緒さ、アバン先生の敵を討ちたい、レオナを助けたい。目の前の人やまわりの人をを助けたいだけさ。世界を救うなんて言われてもピンとこないや。リョーマがオレ達の仲間になってくれるなら大歓迎だよ!」

 

とダイは快諾してくれた。

 

「同感!強い仲間はいればいるほどいいぜ!」

 

とポップも賛成してくれた。

 

「まさか、あなたと大魔王退治の旅をする事になるなんてね。初めて会った時は想像もしなかったわ。よろしくね。」

 

とマァムも了承してくれた。どうやらオレは大魔王退治の仲間として受け入れてもらえたようだ。

 

次の日。オレ達が起きて朝飯を食べているとロモス王の使いがやってきた。

 

「ダイ様御一行およびリョーマ様、ロモス王がおよびです。後ほどロモス城へおいでいただけないでしょうか?」

 

オレ達は何だろうと思いながらロモス城へと向かった。

ロモス王の前まで来て、オレ達が膝をつくと王様の家来たちがオレ達の前に宝箱を持ってきた。

 

「おお、よくぞ参った。この度来てもらったのは他でもない。ロモス王国を救ってくれたそなた達にワシからささやかな贈り物をしようと思っての。ささ、目の前の宝箱を開けてみてくれぬか。」

 

宝箱を開けると、オレの宝箱には調理着と包丁が入っていた。ただの調理着と包丁ではない、ロモス王国で一番の料理人に与えられる栄光の証だ。

 

「こ、これは」

 

「気に入ってもらえたかの?お主の料理は味わったワシがよく知っておる。間違いなくロモス一じゃ。さらにこれさえあればお主が例え何者であろうと気にするものなどおらぬ。」

 

どうやら先日の闘いの中でオレが王様達の目の前で忍術を使う事をためらっていたのを見抜かれていたようだ。オレは忍術を使う事で人々のオレを見る目が変わるのを恐れていた。王様はそれを見抜き気遣ったのだろう。

 

「あ、ありがとうございます!」

 

オレは王様の気遣いに涙した。

 

ダイには鋼の剣と旅人の服。ポップには魔法の杖と旅人の服。マァムには旅人の服がそれぞれ与えられた。

 

「ところでダイよ、これからどうするつもりなのかの?」

 

「パプニカに行こうと思っています。友達のレオナが・・・レオナ姫が心配なんです・・・」

 

「ほう、パプニカか・・・あそこは魔王軍の侵攻で今大激戦区になっておる。くれぐれも気を付けていくのじゃ。ロモスの軍艦でパプニカまで送らせよう。安全にパプニカまでつけるはずじゃ。」

 

「ありがとうございます!」

 

ダイは喜びながらお礼を言った。

そしてオレは前へでた。

 

「ロモス王、私もダイ達について行こうと思います。もし自分に力があるのならば、自分の大切なものを守るために自分にできる事をしたいと考えております。」

 

「なんとお主も行くのか。あい分かった。ただお主の料理が食えなくなるのはさびしくなるな。」

 

ロモス王は少し寂しそうな顔をしてオレのダイ達の大魔王退治への旅の参加を承諾してくれた。

 

「世界が平和になった際にはまた存分に腕をふるわせていただきます。それから・・・」

 

「口寄せの術!」

 

オレは印を組んで人間の膝くらいまである蝦蟇を口寄せした。

 

「もしロモスに危機が迫りましたらその蝦蟇にお知らせください。忍術ですぐ戻ってまいります。」

 

「おぉ、かたじけない。なるべくならそのような事にならないように願っておるがの。」

 

王様への挨拶を終えると、オレ達は準備をしてロモス王の用意した軍艦に乗り込みパプニカへと向かった。




ここらへんで文章のおかしいところ等の修正を行いたいと思います。基本的にストーリーは変わりません。ただ忍術リストは少し見直そうかなと考えています。これまでほぼ毎日のペースで更新してきましたが、見直しに伴い、明日は新しい話の更新を行いませんのでよろしくお願いいたします。

2019/10/19
本編のストーリーに影響しませんが、読みにくいところ、台詞等を修正しました。


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第008話 パプニカ到着

オレ達はロモス王の厚意でパプニカまで軍艦で送ってもらえることになりパプニカへ向かっていた。魔法の筒に一旦閉じ込めたダイの育ての親の鬼面道士はというとパプニカへ行く途中デルムリン島に立ち寄りアバンの遺したマホカトールの結界の中で魔法の筒から出したようだ。ダイは育ての親の鬼面道士とはあえて挨拶せず、オレ達は出発した。別れの挨拶は一度済ませたし、もう一度となるとまた別れがつらくなるからだそうだ。

 

ロモス王の軍艦は聖水を放出しながら進んでいた。そのため途中何度かモンスターが現れたがモンスター達は手出しできなかった。

 

「すげー豪華だな、流石王国保有の軍艦だ。」

 

ポップが感嘆していた。オレも同感だ。個人レベルで聖水を放流しながら船を進めるなど考えられない。

 

「まあ、モンスターが現れてもオレの呪文でパーっとやっつけてやるぜ!」

 

とその時海系モンスターが船の縁に乗りかかってきた。

 

「のわーーー!」

 

ポップは驚きで後ろにひっくり返った。

しかしモンスターは聖水に焼かれすぐさま撤退していった。

 

「パーっとねぇ・・・」

 

マァムの冷たい視線がポップに突き刺さる。

マァムのツッコミにみんな苦笑した。

 

「君達はパプニカに行きたいんだってね。大きな国は他にいくつもあるのにどうしてパプニカにいくのかね?」

 

船長はオレ達の行き先を不思議がっていた。

 

「へへへ、そりゃあなんたって、憧れのお姫様に会うためよ!なぁ~ダ・イ!」

 

「ええっ、べつにそれだけじゃないさ・・・!」

 

「そうか・・・よりによってパプニカの姫様とはな・・・」

 

「なんかまずいんすか?」

 

「魔法軍はその軍団をそれぞれの大陸に送り込み侵略を続け取るが、中でもパプニカは最大の激戦区と言われているんだ・・・聞いたところによるとパプニカのあるホルキア大陸は15年前魔王軍の拠点だったらしい・・・」

 

「ハドラーの?」

 

「それゆえか魔王軍の中でも最も恐るべき軍団がホルキア大陸奪還のために送り込まれているそうだ・・・だんでも不死身の軍隊だとか」

 

「不死身の軍隊?」

 

オレ達は驚いた。ダイの顔が強張っていく。よほどレオナ姫が心配なのだろう。

 

「おーい、そろそろ着くぞー!」

 

軍艦の乗組員の一人が声をあげた。

パプニカに着くと船長達は驚愕した。

パプニカの港町がゴーストタウンになっていたのだ。

 

「バカな!あの活気溢れるパプニカの港町が・・・。」

 

オレ達は港で軍艦を降りた。

 

「ありがとう!オレ達はここまでで大丈夫です。」

 

「うむ、君たちも気を付けてな。」

 

「なぁ、ダイ・・・、帰るまで待ってもらったほうがいいんじゃないかな・・・」

 

「何言ってるのポップ、船の人達を危険にさらすわけにはいかないでしょ!」

 

マァムはポップの提案を一蹴した。

 

ダイは船長達に挨拶するとお城の方へ向かって駆け出した。きっとレオナ姫の事が心配でたまらないのだろう。城に着くと城は敵の攻撃で廃墟と化していた。ダイは愕然としていた。

 

「ダイ、まだ無事じゃないと決まったわけじゃない。情報を集めるぞ。レオナ姫を助けに行くんだ!」

 

オレはダイを励ました。しかし実際のところ城がこの様子じゃ無事だとはとても言えない。

 

「うん、そうだね。こんなところで落ち込んでられないや。早くレオナを助けに行かなきゃ。」

 

(なんにせよ、取りあえずこの大陸の情報が欲しいな。このままじゃ何もできない・・・。)

 

「オレは一旦みんなと別れてハドラーのかつての拠点を調べて来ようと思う。オレなら変化の術を使って忍び込めるし、いざとなれば飛雷針の術でこっちに一瞬で戻ってこれる。もしそこが敵の拠点になっていたとしたらそこにレオナ姫が捕まってるかもしれない。」

 

オレはダイ達に情報を集めるためにオレ一人でハドラーのかつての拠点へ潜入する事を提案した。

 

「そんな!危険よ!」

 

「だったらオレも一緒に。」

 

「ダメだ!人数が多くなると敵に発見されやすくなるし、場合によってはレオナ姫を危険にさらすことになる。」

 

ダイが一緒に行くと食い下がったがオレはなんとかダイを説得し、マァムとポップもしぶしぶ了承した。

オレは一旦ダイ達と別れ、ロモス王にもらった地図をもとにハドラーのかつての拠点へと向かった。

 

ハドラーのかつての拠点にはガイコツのモンスターがたくさんいた。

 

「どうやら船長の言っていた不死身の軍団はハドラーのかつての拠点を拠点として使っているようだな。忍び込んでみるか。」

 

オレは変化の術でガイコツのモンスターに変化し、敵の拠点に侵入した。

 

どうやら敵のボスは出かけているようだ。

 

(今のうちにレオナ姫がいるか調べるか・・・)

 

モンスターは自分の知らない手段でコミュニケーションを取っているようだ。

 

(入るときは変化の術でなんとかごまかしきれたが、長時間はぼろが出るな・・・)

 

オレはモンスターの気配がないのを確認して通気口らしきところへと入り込んだ。流石に通気口にはモンスターがいない。

 

(ここからなら色んなところを探れそうだ・・・)

 

かつてのハドラーの拠点だけあって流石に広い。5時間くらい捜索したが、とても隈なく探したとは言えない。

 

(クソッ、これは完全に長期戦になりそうだ。だがレオナ姫がどこかにいる可能性がある以上放っておけない!)

 

通気口を探索していると隠し部屋のようなところを見つけた。隠し部屋には宝箱が一つ置かれていた。

 

(罠?いや、こんなところでありえないか・・・でも念のため・・・写輪眼!)

 

罠でないかを確認するため写輪眼で宝箱を確認した。中から弱々しいチャクラを感じるがどうやら罠ではなさそうだ。オレは宝箱を開けた。すると貝殻らしきものが入っていた。どうやら地獄の騎士バルトスというハドラーの側近がヒュンケルという子供に対して遺したメッセージらしい。地獄の騎士バルトスはアバンではなく、ハドラーに殺されたようだ。そしてアバンを恨むなと・・・。

 

(まあ、これはヒュンケルという子供に渡さなければならないな・・・。どこかで会えればいいが・・・)

 

しはらくするとモンスターの動きが何やら慌ただしくなってきた。

 

(ボスが帰ってきたか?)

 

オレは騒がしくなっている方向へ向かった。するとオレは信じられないものを見た。マァムが縛り上げられ、ミイラに担がれている。




2019/10/25
本編のストーリーに影響しませんが、読みにくいところ、台詞等を修正しました。


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第009話 ヒュンケルの真実

マァムが縛り上げられているのを見てオレは驚いた。

 

(マァムが捕まった?ダイ達はどうなった?)

 

オレは通気口沿いにマァムの行く先を追った。マァムは牢屋に入れられ、ボスらしき男は別のところへ行った。

 

オレはこの拠点のボスらしき男が去ったのを見てオレは通気口からマァムに声をかけた。

 

「マァム、マァム。オレだ。リョーマだ。」

 

「リョーマ!」

 

「再会の挨拶はあとだ、何があった?」

 

オレはマァムからオレと別れたあと何があったのかを聞いた。まとめるとこんな感じだ

 

・パプニカを攻めているのは不死騎団という軍団で団長がヒュンケルという人間であること

・ヒュンケルはアバンの弟子であったこと

・ヒュンケルは父バルトスをアバンに殺され、父の仇であるアバンを恨んでいること

・オレと別れた後、ダイ達はヒュンケルと交戦し、敗れたこと。

・ダイ達は無事らしく、マァムはダイ達をおびき寄せる人質であること

 

「少なくともアバンがそのヒュンケルという奴の父の仇であるっていうのは完全に誤解だ。うまくいけば、闘わなくて済むかもしれない。」

 

「どうして?」

 

「オレがこの城でレオナ姫がいないか探っていた時に偶然これを見つけた。」

 

と先ほど見つけた貝殻をマァムに見せて、内容を聞かせた。

 

「これは彼のお父さんの遺言?」

 

「ヒュンケルがどういう決断を下すか分からないけど、オレは奴にこれを渡してやりたい。勘違いで自分の父の仇の手下になって人間を滅ぼそうとしているなんてあまりにも悲惨すぎるからな。」

 

「そうね・・・。」

 

さて、ここからが問題だ・・・。オレの力量では飛雷針の術をオレ一人にしか使えない。マァムを逃がすにはどうやったって力技しかない・・・。

 

「マァム、オレが騒ぎを起こす。そのスキにここを脱出してくれないか。」

 

「そんな、あなたが危険よ!」

 

「大丈夫。オレには飛雷針の術がある。飛雷針の術を使えばダイ達と別れた地点に一瞬で戻る事が出来る。飛雷針の術はオレの力量だとオレ一人にしか使えないし・・・」

 

「分かったわ、必ず無事で戻ってね。」

 

「マァムもね、パプニカ城跡で落ち合おう。」

 

オレは起爆札をマァムに渡すと、ヒュンケルの向かった方へ向かった。

 

(とりあえず、オレはヒュンケルにこれを渡すか・・・)

 

オレはヒュンケルの部屋らしきところにたどり着くと見張りを倒し、部屋の中に入っていった。部屋の中には銀髪の男が一人座っていた。

 

「だれだ!」

 

「オレはダイ達の仲間リョーマだ。ヒュンケルというのはお前か!」

 

「そうだが、あの女でも取り返しに来たか。」

 

「マァムはもう既に返してもらった。」

 

「何!では何をしに来たというのだ?」

 

「この城を探らせてもらったときに偶然これを見つけた。これを見つけてしまった以上オレはお前にこれを渡さなければならない。」

 

オレは貝殻をヒュンケルに渡した。

ヒュンケルは貝殻を耳にあて、父バルトスの遺言を聞いた。

聞いている最中、ヒュンケルの顔がみるみる変わっていくのが分かる。

 

「今さら!今さら!そんな事が信じられるかーー!」

 

ヒュンケルは剣を構えた。

 

「くらえ!ブラッディースクライド!」

 

オレはかろうじてヒュンケルの技をかわした。後ろにあった壁が何層も貫通した。

 

ヒュンケルが精神的に動転している状態で撃ったのでなければかわせていたかどうか分からない程スゴイ技だった。

 

(なんて威力だ!・・・だが、騒ぎを起こすことには成功した。マァム、うまく逃げてくれよ・・・)

 

オレは飛雷針の術を使ってダイ達と別れたポイントに戻った。

別れるときにはなかった戦闘痕がある。

 

(どうやらここで闘ったんだな、とりあえずダイ達を探さないと・・・)

 

ダイ達を探していると後ろから鎧を着た老兵が現れた。

 

「お主何者じゃ?」

 

「オレはロモスから来た旅人です。はぐれてしまった仲間を探してるんです。」

 

「それはダイ君達の事かの?」

 

「知ってるんですか?ダイ達は今どこにいるんです?」

 

「こっちじゃ、ワシはパプニカの剣豪発明家のバダックじゃ」

 

「オレはダイ達の仲間のリョーマです。」

 

オレはバダックさんに案内されてダイ達のところへ向かった。

ダイ達は傷つき横になっていた。

 

「ダイ、ポップ、大丈夫か?」

 

「うん、でもマァムがさらわれちゃって・・・助けに行かなきゃ!」

 

「それは多分大丈夫。敵の拠点に忍び込んだ時に偶然マァムを見つけて逃がしてきた。うまく逃げていてくれるといいんだけど・・・」

 

「てめー、何でマァムも一緒に連れてこなかったんだよ!」

 

ポップがスゴイ剣幕でオレを責めた。

 

「ゴメン、オレの力量じゃ飛雷針の術はオレ一人が限度で・・・牢屋から出して騒ぎを起こして逃がすのがやっとだった・・・」

 

「くっ、この役立たずめ」

 

ポップは毒づいた。ポップの気持ちも分からんでもないが、オレもベストだと思って判断したことだ。そう言われてオレも内心カチンときた。とにかく今は情報を話し合う雰囲気じゃないみたいだ。

 

「マァムとはパプニカ城跡で落ち合うことになってるからこの後オレはしばらくそこにいるよ。」

 

「待って、リョーマ。レオナは?レオナはいたの?」

 

ダイもすごい心配そうな顔でオレに聞いてきた。

 

「オレが探した範囲ではいなかった。広すぎて全部はまだ探せてない。探してる最中にマァムが運び込まれてくるのを見えてそれでマァムの救出に切り替えた。ゴメン・・・」

 

「そっか・・・」

 

ダイは大きく落胆した。オレはダイ達の落胆を見て自分の非力さを呪った。医療忍術でダイ達の傷を治療し、マァムとの待ち合わせ場所に向かった。

 

 




2019/10/25
本編のストーリーに影響しませんが、読みにくいところ、台詞等を修正しました。


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第010話 決戦 vs ヒュンケル

オレはマァムと落ち合うためパプニカ城跡へ向かった。

しばらくするとマァムがやってきた。どうやら無事に脱出できたらしい。

 

「マァム!無事で良かった!」

 

「えぇ、リョーマも無事で良かったわ。」

 

オレ達はダイ達のところへ向かい合流した。そしてそれぞれの持っている情報を交換した。

 

・アバンがヒュンケルの父の仇であるというのは誤解で、実はヒュンケルの父はハドラーに殺されていたこと

・ヒュンケルはその誤解をヒュンケルの父の遺した貝殻の遺言を聞き知ったこと

・誤解を知ったうえでオレに襲い掛かってきたこと

・ダイ達がヒュンケルに敗れたとき、クロコダインがやってきて助けてくれたこと。

・クロコダインはダイ達をかばって生死不明の状態であること。

・ヒュンケルの剣は鎧にもなり、魔法が一切通用しないこと。

・ヒュンケルは空裂斬を修めてないにも関わらず放ったアバンストラッシュは空裂斬を修めているダイのアバンストラッシュよりも威力が高かったこと。

・ヒュンケルの剣技は恐ろしくレベルが高いこと。

 

「あとレオナ姫の事なんだけど、オレの探した範囲では見つからなかった・・・」

 

「そう・・・ごめんね。私が捕まったばかりにあなたの調査を中断させちゃって・・・」

 

「いや、マァムが無事に脱出出来て良かったよ。」

 

ダイの表情は複雑だったが・・・

 

「なあに!姫様なら無事なはずじゃ!ワシは途中で別れてしまったが、姫様にはパプニカ最強の三賢者が常についておる。」

 

とバダックさんが言った。それを聞いてダイの表情が少し明るくなった。

 

すると外から大きな声が聞こえてきた。

 

「聞こえるか!アバンの弟子どもよ!オレは貴様らに決闘を申し込む!明日の正午、オレの居城の闘技場まで来い!」

 

「どうするダイ?オレ達はこんなの受ける義理はないぜ?」

 

とポップが言った。

 

「でももし万が一レオナが捕まってたら・・・」

 

「そうだよな。このまま奴をほっとくのもって感じもするしな。」

 

オレ達はヒュンケルの決闘を受ける事にした。

 

 

 

次の日の正午。

 

オレ達はヒュンケルの指定した闘技場までやってきた。

そこには既に鎧を纏ったヒュンケルがいた。

 

「ヒュンケル!あなたお父さんの遺言を聞いたでしょ?どうして私たちが闘う必要があるのよ!」

 

マァムがヒュンケルに訴えかけた。

 

「うるさい!オレにいまさら・・・いまさらどうしろと言うのだ!オレはもう魔王軍には戻れん。だがお前たちとの決着を付けねばならん!」

 

「分かった。ヒュンケル!オレはお前の決闘を受けて立つ!」

 

「ダイ、オレじゃなくてオレ達だ」

 

オレはダイの言葉を修正した。

 

ダイ達の話を踏まえるとヒュンケルの鎧は魔法じゃなくても火遁が効くかどうかはだいぶ怪しい。ダイが手も足も出ない程の剣の腕前となれば写輪眼を使ったとしてもいきなり接近戦を持ち掛けるのは危険すぎる。

 

(ここは・・・。)

 

オレは手裏剣を腕の術式から取り出して雷遁のチャクラを纏わせ手裏剣をヒュンケルに向かって投げた。そして印を組み

 

「雷遁・手裏剣影分身の術!」

 

雷遁を纏った手裏剣が分身し、雷遁を纏った無数の手裏剣がヒュンケルを襲った。

 

(鎧を着てたとしても雷遁を纏わせれば防ぎきれないはず!)

 

だがヒュンケルは剣で全て切り払ってしまった。オレは雷遁で切れ味と強度を上げていた無数の手裏剣がいとも簡単に切り払われてしまったことに驚愕した。

 

「強度と切れ味を高めた刃による攻撃か。確かにスゴイ魔法なのかもしれんが、オレの剣は魔界の名工によって鍛えられた一振り。オレの剣技と合わせて貴様ごときに敗れる代物ではない。」

 

(魔法じゃないんだけどな・・・、もうその辺のツッコミはなしだ・・・)

 

ダイは鋼の剣でヒュンケルに襲い掛かった。ヒュンケルはいとも簡単にダイの攻撃を捌いていく。まるで相手になっていない。ポップは何か呪文を唱える準備をしていた。マァムは戦闘態勢を取っていない。どうやらまだ説得を諦めていないようだ。

 

(こいつ相手に様子見はチャクラの無駄みたいだ・・・なら!)

 

「雷遁・影分身の術!」

 

オレは雷遁で作った影分身をヒュンケルに襲わせた。かなりチャクラを消耗する影分身だが、影分身がやられたとしてもヒュンケルが雷遁に感電して一瞬のスキを作る事が出来るはず。

 

「さらに、雷遁・雷獣追牙!」

 

ダイと雷遁で作った影分身と雷遁で作った雷獣の波状攻撃だ。これには流石のヒュンケルも余裕で捌くというわけにはいかなかったようだ。対応に余裕がなくなっている。

 

「なめるな!」

 

ダイをふっ飛ばし、雷遁で作った影分身を切払った。その瞬間オレの狙い通りヒュンケルは雷遁に感電し、硬直した。

 

「ぐぁぁ!」

 

「いまだ!行け!」

 

雷遁で作った雷獣がヒュンケルを襲う。

 

「こんなものでオレを倒せると思うなぁ!ブラッディースクライド!」

 

ヒュンケルは硬直を一瞬で解き、雷獣を操っているオレにブラッディースクライドを仕掛けてきた。オレは写輪眼でその動きを先読みし、辛うじてヒュンケルの攻撃をかわしたが、雷獣は消えてしまった。

 

オレの攻撃が失敗するや否やポップが呪文を唱えた。

 

「ラナリオン!」

 

上を見ると上空が積乱雲に覆われていく。

 

「ダイ!いまだ!」

 

「分かったポップ、ライデイン!」

 

上空から雷がヒュンケルを襲う!

 

「うぉぉぉぉ!」

 

流石のヒュンケルも雷はかわせなかったようでライデインの直撃を受けていた。そしてヒュンケルはその場に倒れこんだ。

 

「やった、やったぞぉ!予想通り鎧は壊せなかったが中身は黒焦げだ!」

 

どうやらポップとダイの間であらかじめ作戦があったらしい。

しかしヒュンケルはすぐさま立ち上がり、ポップを殴り飛ばした。

 

(あの鎧は雷も防ぐのか?いや、効いている。ヒュンケルの防御力が並外れているだけだ。ならば!)

 

「ダイ、ポップ、マァム、伏せろ!雷遁・麒麟!」

 

オレは上空の雨雲を利用して雷遁・麒麟を使った。だが、雷遁は発動しなかった。

 

「バカな!なぜ発動しない!」

 

(麒麟はチャクラを必要としないはずだ!なぜ発動しない!)

 

「どうやら命運尽きたようだな、ダイ!リョーマ!闘魔傀儡掌!」

 

ヒュンケルの手から闘気の糸が発生し、オレとダイの手足を捉えた。

 

 




2019/10/25
本編のストーリーに影響しませんが、読みにくいところ、台詞等を修正しました。


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第011話 ヒュンケル死す!

ヒュンケルの闘魔傀儡掌に捕まったオレ達は身動きを取れずにいた。

 

「おっと動くなよ。こいつらがどうなってもいいのか?」

 

ヒュンケルは攻撃しようとしたポップに対してけん制した。

 

「くっ!」

 

「ヒュンケル、もうやめて!」

 

マァムがヒュンケルに闘いをやめさせようとしていた。だがヒュンケルが今さらそんなもの聞くわけもなく、オレとダイの縛りをきつくした。

 

「ぐぁぁぁ!」

 

オレとダイは闘魔傀儡掌の攻撃に必死で耐えていた。

 

(ダメだ!ふりほどない!飛雷針の術で飛ぶか?いや・・・飛雷針の術を使うと闘技場の外に出てしまう・・・。そうしたらダイは確実に殺される!)

 

オレは闘技場内に飛雷針の術のマーキングをしておかなかった事を後悔した。術のノウハウはあってもオレは実戦経験が少ない。オレは自分の実戦経験の浅さを痛感していた。

 

(こうなったら・・・)

 

「八門遁甲の陣。傷門 開!」

 

オレは八門遁甲の陣を使い、力づくで闘魔傀儡掌を破りにいった。

 

「うぉぉぉぉ!!!」

 

「無駄だ!闘魔傀儡掌は力づくでは逃れられん!」

 

「うぉぉぉぉ!!!これならどうだ!杜門 開!おらぁ!」

 

オレの方は闘魔傀儡掌の糸を力づくで無理矢理引きちぎった。

 

「ば、バカな!」

 

そしてオレはダイを解放するため、闘魔傀儡掌の糸が出ているヒュンケルの腕をめがけて手裏剣を投げた。

 

「くらえ、影手裏剣の術!」

 

ヒュンケルはいとも簡単に剣で切り払ったが、切り払った手裏剣の影からもう一枚の手裏剣がヒュンケルに襲い掛かる。ヒュンケルは手裏剣をかわすため闘魔傀儡掌を解除した。ダイは闘魔傀儡掌から解放された。

 

「おのれ、貴様!」

 

ヒュンケルはオレの影手裏剣に逆上したようだ。

 

オレはダイを解放するとその場に倒れこんだ。とうとう八門遁甲の効力が切れたようだ。

 

(もう限界か・・・)

 

「あとは任せたぞ、ダイ」

 

闘魔傀儡掌から解放されたダイの様子がおかしい。どうやら意識が飛んでいるようだった。

 

(マズイ、くそ!もう体が動かない!)

 

意識が飛んでいるダイはそのままヒュンケルに切りかかった。しかし、ヒュンケルはそれをいとも簡単に捌いていく。

 

「ムダだ!剣ではオレには勝てん。」

 

とその時、ヒュンケルの鎧にキズが入った。

 

「何だと!この最強の鎧にキズが!」

 

ダイの剣を見ると剣が炎を帯びていた。

 

「やった!ダ、ダイのやつ・・・この土壇場で新しい技を編み出しやがった!魔法も剣も効かない敵に対してその両方を合わせた。魔法剣を!」

 

ダイが魔法剣で再び切りかかるや否やヒュンケルは再びダイに闘魔傀儡掌を仕掛けた。

 

「やべえ!なんとかしなきゃ!」

 

ポップは上空の雨雲が残っているのに気が付いた。

 

「ダ、ダイー、イナズマだ!イナズマを呼べ―!」

 

「させん、ブラッディースクライド!」

 

ヒュンケルは呪文を唱えられる前にダイに向かってブラッディースクライドを放った。

 

「ダイー!!」

 

ダイは信じられない事に闘魔傀儡掌を力ずくで破り、ブラッディースクライドをギリギリのところでかわした。

 

「バカな、また闘魔傀儡掌を力ずくで破っただと!」

 

「ライデイン!」

 

ダイは呪文を唱えた。雷がダイの鋼の剣を覆っていく。そしてアバンストラッシュの構えからヒュンケルに技を放った。

 

「ライデインストラッシュ!」

 

ダイはライデインの魔法剣でアバンストラッシュを放ったのだ。ライデインストラッシュはヒュンケルに直撃し、ヒュンケルの鎧は粉々に崩れ落ち、ヒュンケルはその場に倒れこんだ。そして意識を失っているダイはそのままヒュンケルにとどめを刺そうとしていた。

 

そこにマァムが割り込んできてダイを止めた。

 

「ダイ!もうやめて!決着は着いたわ。あなたの勝ちよ。」

 

「マァム?ヒュンケル?あれ?どうして?」

 

どうやらマァムの声を聞いてダイの意識が戻ってきたらしい。

 

「・・・もう・・・アバンの使徒同士で傷つけあうのはやめて・・・!」

 

マァムは泣きながら訴えた。どうやらマァムはこの闘いに相当心を痛めていたようだ。

 

「なぜ・・・敵であるオレを?」

 

「敵なんかじゃないわ・・・」

 

マァムは拾ってあったヒュンケルの捨てたアバンのしるしをヒュンケルに渡した。

 

「まさか・・・オレの・・・?それをずっと・・・持っていたのか・・・?」

 

「あなたが私たちの前に現れてあなたが捨てたときに拾ってね。いつかあなたにこれを返す時がくる・・・そんな気がしたの・・・」

 

ヒュンケルはマァムの優しさに涙した。

 

「オレの・・・オレの負けだ・・・」

 

ヒュンケルは負けを認めた。

 

「ところでレオナはここにいるの?」

 

ダイはずっと気になっていたレオナの消息についてヒュンケルに尋ねた。

 

「レオナ?パプニカの姫か?ここにはいない・・・。まだ殺されたという話も捕まったという話もない・・・」

 

「良かった~、レオナは無事なんだ!」

 

ダイの表情が急に明るくなった。

 

(まあ、そりゃそうだよな。あれだけレオナレオナって言ってたもんなぁ・・・)

 

その時、どこからか氷のツララが飛んできてヒュンケルの胸を貫いた。

 

「クックックッ・・・クックックッ、ざまぁねぇなヒュンケル」

 

「・・・貴様は・・・氷炎将軍フレイザード・・・」

 

「てめえがもし勝っていたらぶっ殺して上前をはねてやろうと思っていたが負けていたとは好都合だぜ!生き恥をさらさずに済むようにオレが相打ちってことにしといてやるよ!泣いて感謝しろい!!」

 

フレイザードは炎の槍のようなものをオレ達の地面に打ち込んだ。

 

「クカカカカ!ちょいとここらの死火山に活をいれてやったのさ、もうじきこの辺りはマグマの大洪水になるぜ!」

 

地面から地鳴りがする。どうやらハッタリではないようだ。

 

「おのれ!・・・フレイザード!ブラッディースクライド!」

 

ヒュンケルは胸を貫かれながらも遠く離れたフレイザードにブラッディースクライドを撃ったが、フレイザードに難なくかわされてしまった。

 

「おっと、怖い怖い。オレはこの辺で退散させてもらうぜ!せいぜい人生最後の溶岩の海水浴を楽しみな。あばよ!」

 

フレイザードはそう言い残してどこかへ行ってしまった。

 

「だめだ!もう逃げられない!」

 

「何とかあの上へ!」

 

「みんなそんな体力残ってねぇよ。」

 

オレ達はマグマの噴出に右往左往していた。

 

(これはマズイ・・・)

 

「うまくいってくれよ!土遁・土流城壁!」

 

オレは残ったチャクラを絞り出すように土遁を発動させた。オレ達のいる地面がせり上がり高いところへ行く道ができていく。八門遁甲の陣と土遁で動けなくなったオレとヒュンケルを抱えてダイ達はオレの作った土遁の道を伝って安全な高いところへと避難した。

 

次の問題はヒュンケルだ。フレイザードのツララが完全にヒュンケルの心臓を貫いている。マァムが必死にベホイミをかけているがもう助からないだろう。

 

「マァム・・・もういい・・・すまなかった・・・・。オレは・・・死んでも償えない事をしてしまった・・・できることなら・・・お前たちの力に・・・なりたかった・・・」

 

ヒュンケルはここまで言うと息絶えた。

 

「ヒュンケル?ヒュンケル?ヒュンケル―!!」

 

マァムは涙を流しながらベホイミをかけ続け、ヒュンケルの名前を呼び続けた。

 




原作と違いヒュンケルはここでお亡くなりになりましたが、また出てきます。多分ほとんどの方が想像ついていると思いますがアレです(笑)

2019/10/25
本編のストーリーに影響しませんが、読みにくいところ、台詞等を修正しました。

2019/10/26
本編のストーリーに影響しませんが、読みにくいところ、台詞等を修正しました。


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第012話 リョーマの過去?

オレ達はヒュンケルの墓を作った後、レオナ姫の無事を報告しにバダックさんのところへ向かった。もちろんヒュンケルの墓はオレの土遁だ。

 

「おぉ!姫は無事じゃったか。」

 

バダックさんにヒュンケルから聞いた話を話すと安堵の表情を浮かべた。やはりいくら三賢者が付いてると言っても心配だったようだ。

 

「何か、レオナと連絡する手段はないんですか?」

 

ダイはバダックさんに尋ねた。

 

「ふーん、そうじゃなぁ・・・・、そうじゃ確か城の地下に連絡用の信号弾があったはず。それを使えば・・・」

 

オレ達はパプニカ城跡へ向かった。パプニカ城跡の地面はガレキで覆われていて、ガレキの中から地下への入り口を探すのは至難の業だ。

 

「たしかこの辺だったと思うのじゃが・・・」

 

「よし、オレに任せてくれ!土遁・軽重岩の術!」

 

オレは軽重岩の術でがれきを軽くし、バダックさんの指示通りどかしていく。

 

「リョーマ、スゲー!」

 

「ホント、忍術って何でもありだよなぁ」

 

どうやらダイ達は忍術が万能だと思っているらしい。

 

「いやいや、一長一短だよ。例えば呪文のルーラだったらパーティー全員で移動できるけど、オレの飛雷針の術だったらオレ一人にしか使えないし。熟練してもあと1人か2人飛ばすのが限界だと思う。医療忍術だってホイミ系に比べたら回復に時間もかかるし・・・。」

 

「リョーマって忍術をどこで覚えたの?」

 

(きた・・・一番聞かれたくない質問だ。)

 

「子供の時に両親が死んで、家を整理したら忍術の書物が出てきてね。どうも両親は忍術を研究してたみたいで、それを両親の形見だと思って忍術の修行をしてたんだ。忍術を駆使して人の為に影で活躍する人の事を忍者っていうんだって。だからオレは忍者っていうことになるのかな?」

 

オレはあらかじめ用意していた答えを言った。

 

「へー、そうだったのね。最初会ったときなんかすごいお金に困ってそうだったから何かと思ったわ。」

 

マァムがオレと最初に会った頃の事を思い出して言った。

 

「そういや、そんな事もあったね。あれは忍術の修行にばっかりしてたら、両親が遺したお金も尽きちゃって・・・村で仕事を探そうとしたけど、村も廃村が決まってて、それで仕事を探しにボートで街に行こうとてたんだ。そしたら遭難して・・・たどり着いたところでさまよっていたらマァムに会ったんだ。」

 

「そうだったのね・・・、あなたの村は何て村だったの?あなたみたいに忍術を使える人がいっぱいいるの?」

 

「木ノ葉隠れの里っていう村で、昔は忍術を使えた人がたくさんいたみたいなんだけど今は多分オレだけじゃないかな?」

 

ツッコミどころいっぱいの説明にみんなとりあえず納得してくれたようだ。

もちろん完全な嘘だ。転生したなど言えるはずがない。

 

(ちょっと心が痛むけど、みんなごめん!)

 

「ねぇ、忍術の修行ってどんな事するの?」

 

「色々あるけど、手を使わずに木登りしたり、水の上を歩いたりとかしてたなぁ・・・」

 

「水の上を歩けるの?今度見せてよ!」

 

ダイは好奇心いっぱいにオレに言った。

 

「いいよ、今度ね。」

 

「忍術の修行って厳しそうだよなぁ。」

 

(あぁ・・・、厳しかったよ。転生したときに修行の知識があったから、こっちに来てから2年くらい修行してたけど、転生前に死ぬまで勉強したっていう実績がなかったらまず無理だっただろうな。高1の時に転生してたら絶対無理だった。)

 

軽重岩の術でガレキをどかしながらみんなでオレの話をしているとバダックさんが地下への入り口を見つけたようだ。

 

「おぉ、あったぞここじゃここじゃ。」

 

バダックさんは地下から信号弾を取り出してきて信号弾を打ち上げた。

 

しばらくするとパプニカ王家の家紋が入った気球がオレ達のところへやってきた。

 

「バダックさん、あなただったのね。」

 

気球から若い美しい女の賢者らしき人がおりてきた。

 

「エイミどのではないか!」

 

「なんだい、知り合いかよ!なぁ・・・じいさん紹介しろよ、なっ、なっ。」

 

ポップが女賢者に鼻の下を伸ばしてバダックさんにせがんだ。

 

「バカモン!おそれ多いぞ!この方こそパプニカの三賢者の一人エイミ殿じゃ!」

 

「えぇ、こ・・・こんな若い娘が・・・」

 

ポップは驚愕していた。それはオレも同じ思いだ。もっと年配の賢者だと思ってた。オレ達がそんなやりとりをしているとスゴイ剣幕でダイがやってきてエイミさんにレオナ姫の安否について訊ねた。

 

「レオナ!レオナはどこにいるんですか?」

 

「あなたは?」

 

「おれダイっていいます。レオナとは友達なんです!」

 

「ダイ!あなたが?」

 

「そうじゃ、この子が姫様がいつも話とった勇者の少年なのじゃ!すでにこの大陸を襲っとった不死騎団はこの子と仲間たちによって滅ぼされとる!みんな、もう安心なんじゃよ!」

 

「本当にあなたが・・・勇者ダイなの?」

 

エイミさんは確認するように聞いた。

ダイは腰の後ろから変わった形のナイフを取り出した。

 

「これ、レオナからもらったんです!」

 

「これは!まぎれもなくパプニカ王家の武具!」

 

エイミさんはダイがレオナ姫の話していた勇者ダイ本人だという事を確信したようだ。

 

「わかったわ、行きましょう!姫の待つバルジ島へ!」

 

「バルジ島?なんであんなところに!」

 

バダックさんが驚いていた。どうやらよほど辺鄙な場所らしい。

 

みんなでエイミさんの乗ってきた気球に乗りレオナ姫のいるバルジ島へと向かった。

 

「いや~しかし驚いちゃいましたよ、エイミさんが気球で空から降りてきた時には。ボクァまたあなたがお姫様なんじゃないかと」

 

ポップが鼻の下をのばしながらエイミさんに話しかけた。

 

「まあいやだ、姫様はわたしなんか比べ物にならないくらいお美しい方よ」

 

「そりゃ早くお会いしたいですねぇ・・・でへへ」

 

「やーね鼻の下のばして・・・・」

 

ポップのあまりに情けない態度にマァムがツッコんだ。

 

「うるせぇないいだろ!相手はお姫様なんだぞ!憧れてトーゼンじゃねーか!きっとだれかさんと違っておしとやかでカワイイんだろ~な~。」

 

とポップが妄想全開モードで語っているとマァムはムスッとした。

 

「レオナはかわいいけどおしとやかって感じじゃないぞ。言いたいことはなんでもズケズケ言うし・・・マァムより性格キツイんじゃないかなぁ・・・」

 

ポップの妄想に対して、ダイは自分の持っていたレオナのイメージとの違いについてツッコんだ。

 

「え?そーなの、それ・・・本当に女なのか・・・?」

 

妄想を崩されたポップは残念そうにマァムを見ながら言った。

 

「どーゆー意味よ!」

 

(まったくこの二人はあきないなぁ・・・)

 

しばらくするとバルジ島が見えてきた。バルジ島から煙が上がっているのが見える。

 

「見ろ!何か様子が変じゃぞ!」

 

「急いで早くあそこへ!」

 

ダイは大声でエイミさんに催促した。

 




2019/10/25
本編のストーリーに影響しませんが、読みにくいところ、台詞等を修正しました。

2019/10/26
本編のストーリーに影響しませんが、読みにくいところ、台詞等を修正しました。


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第013話 脱出バルジ島!

バルジ島から煙が上がっているのが見える。

 

「オレは先に行く。土遁・軽重岩の術!」

 

オレは気球を飛び出し軽重岩の術で先にバルジ島へ向かおうとしたところダイに呼び止められた。

 

「待って、リョーマ。オレも行く!」

 

オレはダイを背中に乗せ軽重岩の術でバルジ島へ向かった。

 

バルジ島から聞き覚えのある声が聞こえてくる。フレイザードの声だ。

 

「ヒャヒャヒャヒャ、これでパプニカもおしまいだな!」

 

バルジ塔ではフレイザードが自分の作ったツララでレオナ姫に突き刺そうとしていた。

オレはクナイをフレイザードに投げて止めようとしたが、それよりも早くダイは自分の持っていたナイフをフレイザードに投げていた。ダイの投げたナイフはフレイザードに突き刺ささりフレイザードの注意がこちらに向く。

 

「てってめえら、生きていやがったのか?」

 

フレイザードはどうやらオレ達が死んでたと思っていたらしい。

 

「フレイザード!レオナから離れろ!」

 

ダイがフレイザードに向けて凄い気迫で言い放った。

あたりを見るとエイミさんと同じ服を着た三賢者らしき男女が倒れている。早く手当をしないとまずそうな状況だ。

 

「ダイくん!来てくれたのね!それにあなたは・・・」

 

「ご無沙汰しております。レオナ姫、お約束通り誕生日会の料理を作りに参りました。」

 

ダイは鋼の剣でフレイザードに斬りかかった。オレも写輪眼を発動させ、クナイでフレイザードに斬りかかる。フレイザードは応戦するがオレ達の攻撃を捌ききれていない。どうやらフレイザードの接近戦能力はヒュンケルよりかなり下のようだ。

 

(この石をつなぎ合わせたような体の構造・・・。コイツの防御力を試してみるか・・・)

 

オレはフレイザードの体を見て防御力が低いと感じ、螺旋丸で攻撃した。

 

「螺旋丸!」

 

螺旋丸はフレイザードにヒットし、フレイザードの右腕がふっとんだ。どうやらフレイザードは見た目通り防御力も高くないようだ。

 

(このまま押し切ればこいつは倒せる!)

 

オレ達がフレイザードと闘っていると、ポップ達の乗った気球が到着した。

 

「ダイ、リョーマ大丈夫か?」

 

みんなバジル塔に到着したようだ。

するとフレイザードが突然不敵に笑い始めた。

 

「グワーハッハッハッ。ウヒャヒャヒャ。かかったな!貴様らが全員そろうのを待ってたぜ!」

 

フレイザードはオレのふっ飛ばした右腕を再生した。

 

「氷炎結界受法!」

 

フレイザードがそう唱えるとバルジ島の西と東から地鳴りとともに炎と氷の棟が現れた。

 

「これぞわが氷炎魔団の不敗を支える究極の戦法。もはやてめえらにゃ全く打つ手はねぇ!なすすべもなくのたまうちまわりながら全滅するしかねぇのさ」

 

「ふざけんな!ちょっと地震をおこしたぐらいでなんでオレ達を全滅できんだよ!」

 

ポップはフレイザードのセリフに反論した。

 

「じゃあ、試してみな!」

 

「吠え面かくなよ、メラゾーマ!」

 

ポップは呪文を唱えたが呪文が発動しない。

 

「どうなってるんだ?」

 

マァムも魔弾銃を試みたが発動しない。次にダイもフレイザードに斬りかかったが、先ほどと違い、フレイザードに全く効いている様子がない。フレイザードはそのままダイを地面に叩きつけた。

オレも螺旋丸を試みたが螺旋丸が発動しない。

 

「ククク、ようやくルールが飲み込めたようだな!あの炎魔塔とあの氷魔塔がオレの体の核に作用してこのあたり一帯に強力な結界陣を張っているのさ。この結界陣の中ではオレ達以外の奴は力も呪文もすべて封じられてしまうのさ!つまりお前らの戦闘力は今並みの人間以下って事なのさ!」

 

「くっ、きたないぞフレイザード!正々堂々と闘えないのか!」

 

「うるせぇな、オレは闘うのが好きなんじゃねぇ!勝つのが好きなんだよぉ!」

 

そのままダイをオレ達の方に蹴り飛ばした。

マァムがダイを受け止めた。

 

「ダイ!逃げるのよ!生き残ったひとだけ何とか救って気球でこの結界の外に逃げるの!それしか手はないわ!」

 

「おれはいやだよ!あんな卑怯な奴に負けたくはない!」

 

ダイとマァムが口論しているとフレイザードはレオナ姫の方向へ向かっていった。

 

「冗談じゃねぇ、せっかく結界を張ったのに逃げられちゃ元も子もねぇ・・・」

 

フレイザードはレオナ姫の首を掴んで上に掲げた。するとレオナ姫の周りを氷が覆っていく。

 

「絶対逃げようなんて気が起こらないようにしてやるぜ!クカカカカカ!」

 

「レオナ~!」

 

ダイは今にもフレイザードに斬りかかりそうなのをマァムが必死で止めている。

 

「こいつは伝説の禁呪法で凍り付かせたものだ。どんな力でも砕けねぇし、どんな呪文でも溶かせねぇ。オレの命を絶たない限りこの場から動かせねぇってわけだ。ほうら、これでも逃げるのかい?お姫様を見捨ててとっととずらかるなんてそんなこたぁできねぇだろぉ?勇者はつれえよなぁ~!」

 

ダイは地面に伏して悔しがっていた・・・。

 

(落ち着け・・・、このままだと全滅だ・・・。状況を確認するんだ。奴は力と呪文を封じると言った。チャクラはどうなる?螺旋丸は発動しなかった・・・。だが写輪眼は発動したままだ。仮説でしかないが、忍術については体外で発動できないだけで、体内で発動させる術については封じられていないのではないか?これに賭けるしかない!)

 

オレはダイの後ろから手刀でダイを気絶させた。

 

「リョーマ?」

 

みんなが驚いておれの方を見た。

 

「マァム、みんなを連れて気球へ行ってくれ!ここはオレが食い止める!」

 

「あなた一人で危険よ!」

 

オレは飛雷針の術のマーキングが入ったクナイを見せた。

 

「オレは後でコイツで撤退する。」

 

そしてマァムにそのクナイを渡した。

 

「マァム達が脱出した後オレはそこに向かって飛ぶ!それを持って脱出してくれ!」

 

「待って、あなただって忍術が封じられているんじゃないの?飛雷針の術使えるの?」

 

「大丈夫!オレの目を見てくれ、写輪眼は発動したままだ。忍術に奴の結界は効いていない。」

 

オレは半分嘘をついた。オレの力は抑えられているし、螺旋丸も発動しない。ただ写輪眼が発動し続けているだけだ。

 

「待たせたな、フレイザード!オレが相手だ!」




2019/10/25
本編のストーリーに影響しませんが、読みにくいところ、台詞等を修正しました。

2019/10/26
本編のストーリーに影響しませんが、読みにくいところ、台詞等を修正しました。


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第014話 大魔導士マトリフ

オレはダイを気絶させ、みんなの避難をマァムに任せてみんなが逃げる間、フレイザード相手に時間稼ぎをする事にした。

 

(写輪眼が発動し続けているという事は体内で発動する八門遁甲の陣なら使えるはず!)

 

「いくぞ!八門遁甲の陣、傷門 開!」

 

オレは八門遁甲の陣で引き上げた身体能力でフレイザードにクナイで斬りかかる。フレイザードは左腕で受けたが受けきれず、オレの攻撃で左腕を切り落とされていた。。

 

(よし!思った通りだ!やはり体内で発動する八門遁甲の陣は発動している。元々チャクラで体内のリミッターを外すだけの術だ!写輪眼が発動していてできない道理はない!)

 

「貴様!なぜこの結界でそこまで動ける?」

 

「フレイザード、お前の結界にも穴があったって事だ。」

 

(この禁呪法を作ったやつも忍術相手に試したことはないだろうからな、当然そこに穴がある可能性は高い。でも傷門を開いてもいつもくらいか・・・。ここは・・・)

 

「杜門 開!」

 

オレはさらに八門を開き、フレイザードに斬りかかる。フレイザードはさらに力が強くなったオレに完全に動揺していた。

 

「くそっ、どうなってやがる!」

 

(よし、いまだ!)

 

オレは目でマァムに合図を送った。

 

「みんな、リョーマが闘っている間に脱出よ!」

 

マァムはみんなを連れて気球に乗り込み始めた。少しすると、マァム達の乗った気球が出発したのが見えた。

 

(よし、うまく脱出したな。あとは・・・)

 

オレはポシェットに入っている光玉を取り出し、地面に投げつけた。光玉から強い閃光があたりを包む。

 

「ぐぉぉ!」

 

閃光にフレイザードの視界が奪われているうちにオレはバジルの塔から脱出した。バジルの塔から出たあたりで八門遁甲の陣の効力が切れた。

 

(あと少し遅かったら危なかったな・・・あとは結界の外に出て・・・)

 

オレは八門遁甲の後遺症が出ている体を押して何とか結界の外に出て飛雷針の術を使った。

 

 

飛雷針の術を使うとオレは薄暗い洞窟の中に出た。

 

「ここは・・・・部屋?」

 

「リョーマ!無事だったのね。」

 

「リョーマ、ゴメン・・・オレついカッとなっちゃって・・・」

 

どうやらみんなも無事に脱出できたようだ。ダイ、マァム、ポップ、三賢者にバダックさん。そしてパプニカの兵士の皆さんもいた。みんなはオレを見て安堵の表情を浮かべた。ダイだけは自身が取った行動に対して申し訳なさそうだったが・・・。

 

「いやいや、あそこで怒ることができてこその勇者さ、それにあの場合誰かが足止めしないと逃げきれなかったろうし。ところでここは?」

 

「バルジ島の対岸にある洞窟よ。父の仲間だったマトリフさんが住んでるの。」

 

オレの疑問に対し、マァムが答えた。

 

「あなたがマトリフさん?はじめましてオレ、リョーマっていいます。」

 

オレは初めて会う魔王使いのローブらしきものを着た老人に挨拶した。

 

「おう、お前もアバンのやつの弟子か?」

 

「いや、オレは違いますけど・・・」

 

「でも、リョーマはスゴイ強いんですよ。スピードもあるし、忍術っていう不思議な魔法を使うんですよ。」

 

ダイが何だかよく分からないフォローを入れてくれた。なんかここではアバンの弟子以外は人に非ず的な空気でもあるんだろうか?

 

「ほ~、そいつは興味深いな。今度見せてくれや。」

 

「は、はぁ」

 

(だから、魔法じゃないって言ってるんだけどな・・・)

 

どうやら話を聞く限りマトリフさんはダイ達の先生のアバンや自分の仲間以外の人があまり好きじゃないらしい。昔勇者アバンの仲間としてハドラーを倒したらしいが、その後王宮に仕えた際に、勇者の仲間だったという事で周りからねたまれて散々な目にあったということだ。だから普段は他人に力を貸すことなどまずないらしい。でも今回はオレ達に力を貸してくれるようだ。おそらくはダイの事を気に入ったのかアバンの弟子であるダイ達の力になりたいのかだろう。

 

オレ達はマトリフさんに事情を話した。

 

「・・・ふむ、伝説の禁呪法だなそりゃ・・・禁呪法ってのはあまりに汚ねえ手段なんで使用を禁じられている呪文なんだ。使うと魔法使いの間じゃ外法として仲間外れにされちまうのさ。」

 

マトリフさんはフレイザードの結界について説明してくれた。

 

「どうすればよいのですか?」

 

「結界の外から回っていってこの2本の塔を破壊するしかないな。そのためには爆弾が必要だ。」

 

「そういう事ならワシにまかせてくだされ!」

 

爆弾づくりにバダックさんが名乗り出た。

 

「そんな爆弾なんかなくても平気だよ!オレの呪文でポーンとふっ飛ばしてやるからさ」

 

ポップがうそぶくと、マトリフさんはポップの方を見た。

 

「なんだありゃあれもアバンの弟子か?」

 

マトリフさんはマァムに訊ねた。

 

「ええ、まあ・・・」

 

「・・・あいつオレにあずけんか?」

 

「素質ありそう?」

 

「いんや逆だ。あんな弱そうな魔法使いはじめて見るぜ。オレがなんとかしてやらんとあいつ死ぬぞ。まあまかせてみな、一日ひとつのペースで呪文を覚えさせてやるぜ ケケケ」

 

どうやらポップは少しの間マトリフさんが指導してくれるようだ。ポップはポテンシャルは高いと思うんだが、精神的にもろいところがあるからな。マトリフさんのような方に見てもらうのも一手だろう。

 

ダイとマァムは魔法剣の特訓をするらしい。八門遁甲の陣を使ったオレとケガをした三賢者の二人はエイミさんの回復魔法でお休み中だ。

 

オレ達がそうやって過ごしていると洞窟の外から大声が聞こえてきた。

 

「アバンの使徒のガキども―!」

 

フレイザードの声だ。

 

「いつまでコソコソ逃げ回ってやがんだよぉ、えぇ!てめえらまさかお姫様が凍らされたままいつまでも無事だと思ってんじゃねぇだろうな?残念だがあの氷の中で姫様の生命力はどんどん失われてんだぜ!もって明日の日没までだ!早く来いよ、早くなぁ!ウヒャヒャ」

 

オレ達はフレイザードの声を聞いて、今晩バジル塔に攻撃を仕掛ける事にした。まず二手に別れて結界を形成している二つの塔を破壊し、フレイザードを倒し、バジル塔に凍らされているレオナ姫を助ける。これがオレ達の作戦だ。

 

バジル塔には周辺に大きな渦があり、舟ではいけないため、マトリフさんのボートを借りて、マトリフさんが魔法力でバジル塔まで飛ばしてくれる事になった。

 

「オレのボートには詰め込んでも4人しか乗れんが誰が行く?」

 

ケガ中の三賢者も含めて誰が行くか揉めたが、最終的にダイ、ポップ、マァムそして爆弾を作ったバダックさんがマトリフさんのボートで行くことになった。オレはダイ達に飛雷針の術のマーキングの入ったクナイを持って行ってもらい、ダイ達が着いた後、飛雷針の術でバジル塔へ飛ぶことになった。

 

「師匠、世話になったな。また修行付けてくれよ。」

 

「へっ、生きて帰ってこれたらな」

 

ポップは短い間、マトリフさんに大分いい鍛えられ方をしたのかマトリフさんの事を師匠と呼んでいた。

 

「よしっ、行くぞ!ぬううううっ!」

 

マトリフさんが魔法力でボートを浮かしていくとボートがバジル塔めがけて凄いスピードで飛び始めた。

 

(よし、着いたかな?)

 

オレはボートが着いた頃合いを見計らって飛雷針の術でダイ達のもとへ飛んだ。

 

 

 

 




2019/10/26
本編のストーリーに影響しませんが、読みにくいところ、台詞等を修正しました。


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第015話 ミストバーンの恐怖

バジル塔についたオレ達は二手に別れることになった。

オレとマァムは炎の塔、ダイとポップとバダックさんは氷の塔をそれぞれ攻めることになった。呪文・忍術での攻撃のできるオレとポップが別チームになり、戦力的な均衡をとるためオレとダイが別チームになった。オレは念のためダイにも飛雷針の術のマーキングが入ったクナイを渡した。いざとなればオレはそれで行き来できる算段だ。

 

ダイ達と別れるとオレとマァムは敵に会うことなく、炎の塔に着いた。オレ達は塔を爆破するため爆弾の準備に入った。

 

(おかしい・・・、これだけバレバレの奇襲なはずなのに待ち伏せが一切ない・・・一応調べるか・・・)

 

「結界・天蓋法陣!」

 

(!これは・・・!)

 

「マァム!伏せろ!」

 

「えっ、どういう事?」

 

塔の影からツララが飛んできた、フレイザードだ。オレはマァムを伏せさせ、辛うじてフレイザードのツララをかわした。

 

「へへへ、ようやく来たな。待ちくたびれたぜ!予想通り2手に別れて出てきたな!てめえらを結界内で始末するのには失敗したが、これで結界を張った甲斐があったというもんよ!」

 

「フレイザード!この前の闘いでお前の力は見切った。悪いが結界なしではお前に勝ち目はない。」

 

「ウヒャヒャ!言ってくれるじゃねぇか。だがな、あれがオレの全力な訳がないだろう!オレの前に再び現れた事を後悔するがいい。」

 

「強がりを!」

 

「強がりかどうかはこれから判断するんだな。」

 

「くらえっ、弾岩爆火散!」

 

フレイザードの体を構成している岩石がバラバラになり、オレ達に襲い掛かる。

かわすスペースのない広範囲攻撃だ。オレ達はフレイザードの攻撃をかわすことはできず、そのまま受けてしまった。

 

「くっ」

 

(言うだけあって大した威力だ・・・。これは何発もくらっていられない・・・。マトリフさんから聞いた話だとどこかにコアとなる部分があるはずだ・・・、それを探すしかない!)

 

「写輪眼!」

 

オレは写輪眼で飛んでくるフレイザードの岩石を見た。岩石の中にチャクラの強い岩石がある。

 

「そこだ!」

 

オレはチャクラの反応の強い岩石に向かって雷遁で覆ったクナイを投げた。クナイを受けた岩石が真っ二つに割れる。フレイザードは弾岩爆火散での攻撃を終えると再び岩石で体を構成していった。構成し終わると奴は体の違和感に気付いたようだ。

 

「ウギャァァァ~!やべえ、左右の体が維持できねえ!」

 

奴の体が氷と炎の境である真ん中で真っ二つに割れていく。オレはそれを見て胸から巻物を取り出し目の前に広げた。

 

「いまだ!封印術・封火法印!」

 

フレイザードの半分の炎が巻物の中に吸い込まれていく。どうやら炎の岩石のコアも巻物に封印できたようだ。オレは前回奴と闘った後再戦に備えて、封火法印の術式の入った巻物を用意していた。

 

(よし!うまくいった。)

 

「マァム、いまだ!」

 

「任せて!」

 

マァムは魔弾銃を構えメラゾーマの詰まった弾を残ったフレイザードの氷の半身めがけて撃った。

 

「ま、待て!グァァァァ!」

 

メラゾーマを受けた氷の半身は一瞬で蒸発した。フレイザードの最後だ。

 

「フレイザード、お前はヒュンケルやクロコダインの足元にも及ばない・・・。そしてお前はオレの最も嫌いなタイプの奴だったよ・・・。」

 

「マァム!炎の塔を爆弾で爆破するぞ!」

 

オレ達が爆弾を用意しようとすると、空から白いフードを被った魔物と共に鎧騎士や大量に表れた。

 

「フレイザードめ・・・・功を焦って自滅したか・・・」

 

白いフードを被った魔物がぼやいた。

 

「誰だ、お前は!」

 

「我が名はミストバーン・・・魔影軍団の軍団長・・・」

 

「リョーマ!鎧騎士は私に任せて・・・、あなたはミストバーンを!」

 

「分かった!」

 

オレはミストバーンと対峙し、写輪眼でやつを見た。

 

(何だこのチャクラは・・・体にチャクラの流れが見えない・・・傀儡か?・・・)

 

オレは手裏剣で攻撃し、ミストバーンの反応を見る事にした。

 

「手裏剣影分身の術!」

 

投げた手裏剣が分身氏、無数の手裏剣がミストバーンを襲う。ミストバーンは手をソード状にして手裏剣を捌いていくが、何発かはミストバーンにヒットしていた。

 

(どうやら、接近戦はヒュンケルほどじゃないな・・・なら接近戦だ!)

 

オレはクナイを持ってミストバーンに接近戦を挑んだ。オレのクナイとミストバーンのソード状の手が切り結ぶ。オレはミストバーンのスキを見つけ、螺旋丸での攻撃を試みた。

 

「螺旋丸!」

 

オレの手のひらに螺旋丸が形成され、ミストバーンに襲い掛かった。螺旋丸はミストバーンにヒットした。

 

(よし!)

 

しかし、ミストバーンにダメージがないのか何事もなかったようにオレに攻撃を続けた。

 

(螺旋丸が効いてない?確かに手応えはあったはず・・・)

 

ならこれはどうだ!

 

「火遁・豪龍火の術!」

 

宙に浮いているミストバーンに向かって龍の形を模した炎が連続でミストバーンに襲い掛かった。ミストバーンはその炎を交わしていく。オレはあえてかわせる速度で術を撃っていた。

 

(よし!準備は整った。今度は行ける!)

 

豪龍火の術で空気が急激に暖まった事で空には積乱雲が発生している。

 

「(いまだ!)雷遁・麒麟!」

 

巨大な雷がミストバーンを襲う。ヒュンケル戦のときに麒麟が発動しなかったのは積乱雲がポップの魔法によって作られたため、雲にチャクラが通っていなかったからだ。今回は豪龍火の術で雲を発生させており、オレのチャクラが通っている。

 

(仮に奴が傀儡だったとしてもこれなら関係ない!)

 

しかし雷の落ちた跡から衣だけが焦げたミストバーンが現れた。

 

(ありえない!麒麟を食らって何のダメージもないだと!?)

 

オレは今自分にできる最大の威力を持つ術が全く通じなかったことに驚愕した。

 

「・・・どうやらお前の本体を叩かなければ勝てないらしいな・・・」

 

オレがそう言った瞬間ミストバーンの様子が変わった。

 

「き、貴様どうしてそれを・・・どうやら貴様をここで始末せなばならぬようだ・・・闇の衣を脱ぎはらいお前たちを消す!」

 

そう言ってミストバーンは闇の衣と呼ぶ自分のローブを脱ぎ始めた。

 

(な、何だこの威圧感は?)

 

異様な雰囲気があたりを包んでいく。その時、突然大鎌をもったピエロの使い魔を肩に乗せ、仮面をかぶった男が現れて大鎌をミストバーンの首にかけた。

 

「はい、スト~ップ!そこまでにしておきたまえ、ミスト・・・」

 

「キ・・キル・・・」

 

「い~けないんだいけないんだ♪バーン様に怒られる♪」

 

「そうだともキミの本当の姿はいついかなる場合においてもバーン様のお許しがなくては見せちゃいけないんじゃなかったっけ?それを破ったらいくら親友の君でもただじゃすませられない・・・」

 

「そ・・・そうであった・・・」

 

「おっと君達とは初対面だったね、はじめまして僕はキルバーン。また君達と会う事になると思うけど今日のところは失礼させてもらうよ。」

 

仮面の男がそう言うとミストバーンと仮面の男は忽然とその場から消え去った。

 

(た、助かった・・・あのまま続けていたらやられていたのはこっちだった・・・)

 

「大丈夫?リョーマ。顔が真っ青よ・・・」

 

「あぁ、うん、大丈夫・・・」

 

(あのキルバーンとかいう男も体にチャクラの流れを感じなかった・・・それに頭部のありえない熱量は何だ・・・オレ達はコイツら相手にどう闘っていけばいいんだ?)

 

オレはこれから闘うであろう敵の強大さに恐怖していた。

 

 




今回の話には原作ネタも含めて色々と伏線が入っています。全部分かったらスゴイです(笑)


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第016話 救出!レオナ姫

マァムをヒロインにという声を複数いただきまして・・・。だからという訳ではないですが、今回はちょっとそれっぽいお話です。


フレイザードとミストバーンを退けたオレ達は炎魔塔をバダックさんの作った爆弾で爆破した。同じころダイ達も氷魔塔の爆破に成功した様だった。

 

オレ達はレオナ姫の凍らされているバルジ塔へ向かった。向かっている最中オレはミストバーンとキルバーンの事について考えていた。

 

「・・・なぁ、マァム・・・、オレ達はあのミストバーンとキルバーンに勝てると思うか?」

 

「どうしたのよ急に?」

 

「さっき闘ったミストバーンにはオレの術の中で最大の威力を持つ麒麟が全く通用しなかった・・・奴はまだ奥の手を持っていたのにだ・・・。オレ達はこのまま闘っててバーンを倒せるのかなって・・・」

 

「あなた一人じゃなくても、みんなで力を合わせればいいじゃない。」

 

「攻撃の効かない相手にみんなで力を合わせても何か変わるとは思えない・・・オレ達このまま勝ち目のない闘いを続けて意味があるのかなって・・・マァムもそう思ったんじゃないの?」

 

オレはミストバーンと闘って感じた恐怖をそのままマァムにぶつけてしまった。

 

「何よ!あなたらしくない!私たちが勝てなきゃ地上は大魔王バーンに支配されちゃうのよ?あなたそれでもいいの?敵が強いのは最初から分かってたでしょ?」

 

「分かってた・・・いや・・・分かってたつもりだった・・・。手も足も出ない相手に闘うって事がどういう事か分かってなかったんだ・・・」

 

マァムは立ち止まってオレの頬をはたいた。

 

「しっかりしなさいよ!あなた私たちの仲間になるときに言ってたわよね。『自分の大切なものを守るために自分にできる事をしたい』って。あれは嘘だったの?私は最後まで闘うわ。先生の仇も討ててないし、このまま大魔王に支配されるなんてまっぴらよ!」

 

マァムは目に涙を浮かべながらオレに言った。オレはハッとなった。

 

(そうだ・・・そうだった。オレは自分の大切なものを守るために自分にできる事をしたい・・・そう思って旅に出たんだった・・・)

 

「ゴメン、マァム。オレ最初に思った一番大切な事を忘れてたよ。例え敵がどんなに強くても自分の大切なものを守るために自分にできる事をしたいと思って旅に出たんだった・・・」

 

「ったく、そうよ・・・しっかりしてよね。あなたとダイが私たちの中心なんだから・・・でも少し安心したわ。」

 

「どうして?」

 

「あなたっていつも冷静沈着でどこか遠くから私たちを見ているような気がして・・・ちょっと身近じゃないようなところがあったのよね・・・でもあなたも私たちと同じように不安を感じたり、悩んだりしてるっていうのが分かったわ。」

 

(オレってそんな風に思われてたのか・・・まぁ転生した人間だからな・・・どこか遠くで見るようなところもあったかも・・・でも何だろうみんなと旅を始めてから自分の感覚が段々こっちの世界の人間になってきている気がする。同じことに対して怒って、同じことに対して笑って・・・。)

 

「ゴメン!恰好悪いところ見せちゃった。みんなには内緒にしといて。」

 

「さ~、それはどうかしらねぇ~。これからのあなたの心がけ次第ね。ふふ」

 

マァムはオレのお願いに対して意地悪く笑った。こうは言ってもマァムはこの事をダイ達にいう事はないだろう。

 

(もっと強くならないとな・・・あれを完成させるか・・・)

 

バジル塔に着くと氷漬けになったレオナ姫の前にダイ達がいた。フレイザードを倒して氷が解け始めているが日没までもう時間がない。ポップはメラゾーマで必死に氷を溶かしている。ポップのメラゾーマでも少しずつ溶けないところをみるとフレイザードを倒してもただの氷ではないようだ。

 

「だめだ~。クソ―!溶けねぇ!」

 

「頼むよポップ!」

 

「頑張れ!姫様の命がかかっとるんじゃ!」

 

ポップの呪文がついに止まってしまった。魔法力が切れたのだ。

ダイとバダックさんがポップに檄を飛ばすが、ポップは見るからに限界だ。

 

(無理もない、ポップ達の方も激戦だったに違いない・・・。)

 

オレは火遁の印を組んだ。

 

「次はオレがやる!火遁・豪火球の術!」

 

オレの口から大きな火の玉が発生し、氷を溶かしにかかる。が、それでも中々溶けない。

 

(豪火球の術でも溶けない・・・こうなったら残りのチャクラで・・・)

 

「みんな、ちょっと危ないからどいててくれ。火遁・豪火滅失!」

 

オレの口からオレのバジルの塔からはみ出るような巨大な炎が発生し、氷をみるみる溶かしていく。

 

(よし、これなら!)

 

「よぉし!ええぞ!そのまま溶かすんじゃ!」

 

豪火滅失で氷を溶かしていると突然術の発動が止まった。

 

(あと少し!あれ?)

 

チャクラが切れたのだ。オレはチャクラが切れてその場に倒れこんだ。

 

「クソ!あと少しのところで!」

 

「マァム、魔弾銃は?」

 

「ダメ!メラ系、ギラ系は使っちゃった。それに普通の魔法じゃ溶けない・・・。そうだわ、魔弾銃の弾の中にメラ系、ギラ系を数発分入れれば普通の魔法以上の効果が得られるかも」

 

「よせよマァム!そんな事をしたら魔弾銃が壊れちまうかもしれねぇぞ!」

 

ポップはマァムの提案に意義を唱えた。

 

「なにを言っとるんじゃ、姫の命がかかっとるんじゃ」

 

「魔弾銃はなぁ、先生の形見なんだぞ!」

 

「う・・・」

 

「やってみましょう!先生は言ったわ・・・これは人を救うための武器だって・・・きっと先生はこういう時のためにこれを作ったんだわ!」

 

「よし、分かった。貸しな・・・」

 

と魔法を魔弾銃の弾に詰めようとしたポップはそのまま倒れこんでしまった。

 

(無理もない・・・もう魔法力も空だろうに・・・)

 

その時、ダイの額に再び竜の形をした紋章が浮かぶ。

そしてマァムの魔弾銃の弾を握ると呪文を唱えた。

 

「ベギラマ!ベギラマ!」

 

ダイは魔弾銃の弾にベギラマを2発分詰める。マァムがそれを受け取るとすかさず氷漬けのレオナ姫に向かって発射した。氷は魔弾銃の2発分のベギラマの威力で蒸発し、レオナ姫は氷から解放された。

だが、その瞬間魔弾銃は音を立てて壊れてしまった・・・。



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第017話 リョーマの決断

オレ達は魔王軍を退け、レオナ姫を助け出し、パプニカを取り戻すことに成功した。どうやらダイ達の方も相当厳しかったらしい。ダイ達の話によるとこんな感じだ。

 

・氷魔塔にはハドラーとザボエラが待ち構えており、かなり厳しい闘いであったこと

・ハドラーは倒したがザボエラは逃げてしまったこと

・ヒュンケルとの闘いでオレ達を助けてくれたクロコダインが生きていて今回もオレ達を助けてくれたこと

・クロコダインはヒュンケルとの闘いで生死不明のダメージを受けたが、ヒュンケルによって治療されていたこと

 

「そっちはどうだったの?」

 

ダイが尋ねてきた。

 

「こっちもフレイザードとミストバーンが襲ってきたわ。特にミストバーンの強さは底知れない・・・。」

 

「あぁ・・、ミストバーンにはどんな攻撃もまるで効いてなかった。しかもミストバーンはさらに奥の手を隠してる感じだった・・・」

 

(やはり今後の事を考えるとやはりどうしてもあれを実戦で使えるようになっておく必要があるな・・・。)

 

今夜はパプニカ城跡でパプニカ解放のパーティが開かれるらしい。ちょうどレオナ姫の誕生日も近いのでそれを兼ねるようだ。オレもかねてからのレオナ姫との約束通りオレが料理することになった。

 

(久々の料理だ。腕がなるぜ。)

 

「レオナ姫、今日は約束通りオレが腕をふるわせていただきます。」

 

「ありがとう。でもね、そのレオナ姫っていうのと敬語はなし、これからはレオナって呼んでよね。」

 

「分かりまし・・・、いや、分かったよ、レオナ。」

 

オレは街で食材を調達し、無事だった城の厨房に入った。今回はロモス王にもらってから着る機会のなかった調理着と包丁を持って腕をふるうことにした。

 

「影分身の術!」

 

今回はパーティーの参加者全員分の料理を作らないといけない。オレは影分身で20人に分身し、料理をどんどん仕上げていった。もう忍術を人前で隠すとかそういうのはなしだ。

 

「おいしー」

 

「こんな料理見た事ないぞ」

 

外から声が聞こえてくる。まさに料理人冥利に尽きるって感じだ。料理を全て出し終えてしばらくするとオレはレオナに呼ばれた。どうやらみんなの前で挨拶するらしい。

 

「彼が今日の料理を作ったロモス王国の忍飯店のコック、リョーマです。」

 

「おぉ~、今度ロモス王国にいってみるか。」

 

等と聞こえてくる。

 

「そしてパプニカ王国を救ってくれた勇者でもあります。彼は勇者ダイとともに世界を救うための旅をしています。なので残念ながら忍飯店は今休業中です。世界が平和になりましたらまた再開するようなのでぜひごひいきにしてあげてください。」

 

「おぉ~、こんな料理が作れて勇者の仲間だって?オレ平和になったら絶対行くよ。」

 

等と兵士達が話しているのが聞こえてくる。そこまで褒められると照れくさくて仕方なかったが悪い気はしなかった。

 

オレは裏に行くとパプニカの兵士たちと飲んで盛り上がっているクロコダインを見つけた。

 

「クロコダイン、久しぶりだな、オレとはロモス王国以来か?」

 

「おぉ、リョーマか、久しぶりだな。」

 

「パプニカではオレ達を助けてくれたんだってな。ありがとう。」

 

「気にするな、オレはオレを倒した奴等が他の奴に倒されるのがガマンならなかったのでな。それにお前らと闘ってオレは人間の素晴らしさに気付いた。だからオレはお前らに味方することにした。お前たちが良ければな。」

 

「とんでもない。大歓迎さ。これからよろしくな。クロコダイン」

 

「おう!」

 

 

 

数日後。

 

傷の癒えたオレ達はパプニカ城跡のある一室で今後の事について話をしていた。

 

「みんな、オレは一旦みんなから離れて修行しようと思う。」

 

オレはこの数日間の決心をみんなに伝えた。

 

「え~、どうして?」

 

みんなは驚いて一斉に声をあげた。

 

「この前の闘いでオレの攻撃はミストバーンに一切通用しなかった・・・。そしてまだ大魔王バーン、キルバーンもいる。他にもどんな強者がひかえているのかも分からない・・・。さらなる強さがいる。だからオレは未完成の術を完成させるためにレストラン時代に修行してたロモスの山で修行しようと思ってる。」

 

「確かにな・・・。この前の闘いでは超竜軍団も参加していなかったようだしな。戦力の増強は図れるときに図っておいた方がいいだろう。分かった。しばらくの間、お前の代わりにオレがダイのパーティーに加わろう。それでいいか?」

 

クロコダインはどうやらオレの考えに賛成なようだ。

 

「頼んだぞ、クロコダイン」

 

「おう、任せておけ!」

 

その後マァムが驚きの発言をした。

 

「ねぇ、みんな。私ずいぶん考えたんだけど・・・私もしばらくみんなとお別れしようと思うの・・・」

 

みんなも驚いていたが、オレも驚いた。

 

「私思ったわ。このままじゃ絶対みんなの足手まといになっちゃうって・・・魔弾銃が壊れた今攻撃呪文は使えないし・・・回復呪文だってレオナの方がずっと上手いし・・・」

 

「足手まといだなんて・・・そんなことないよ!」

 

ダイがすかさず否定した。

 

「いえ、分からないわ。たしかにこれからはより強力な相手が次々と現れるはずだしね。もっと強い攻撃能力がないと本当に足手まといになりかねないわよ」

 

レオナがマァムの発言を受けて言った。

 

「ハッキリ言うのね。あなたのそういうところすごく好きよ、レオナ。だから、だからね!故郷のロモスに帰って修行して武闘家になろうと思うんだ。」

 

「武闘家!?」

 

みんな口を揃えて驚いた。

 

「あたし聞いたことがある。確かロモスの山奥には武術の神様みたいな人がいるって」

 

どうやらレオナも知っている有名な武闘家に弟子入りするようだ。

 

「そういう事ならオレがリョーマとマァムをロモスまでルーラで送ってやるよ。リョーマの飛雷針の術だとリョーマしか行けないんだろ?」

 

どうやらポップが送ってくれるらしい。

 

「ありがとう。助かるわ」

 

「ありがとう。それからダイ達に渡しておきたいものがある。」

 

そう言ってオレはダイ達に巻物と小瓶を渡した。

 

「もし何かあったらその巻物を広げて巻物に書いてある術式の上ににその小瓶の中に入ってるオレの血を掛けてくれ、小瓶の中の血にはオレのチャクラが練りこんであって、チャクラが使えなくてもオレを口寄せできる。」

 

「分かった。でもなるべく使わないようにするよ。修行の邪魔しちゃ悪いからね。修行頑張ってね」

 

ダイはオレ達にエールを送ってくれた。

 

 

オレ達は準備をするとポップのルーラでロモスへ飛んだ。

 

「ルーラ!」

 



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第018話 ポップとの約束

ポップにルーラでロモスまで送ってもらえる事になったオレとマァムはポップのルーラでロモスの魔の森にやってきた。どうやら目標地点から若干ずれたところにたどり着いてしまったらしい。

 

「へへ、悪いな、覚えたてのルーラでちょいとずれちまった。」

 

「うぅん、ありがとう。ポップ」

 

「ありがとな、ポップ」

 

オレとマァムは送ってくれたポップにお礼を言った。

 

「あとそれからリョーマ、ちょっとこっち来い。」

 

オレはポップにマァムから離れたところに呼び出された。

 

「リョーマ、オレ達のいないところでマァムにちょっかいかけたら承知しねぇからな!」

 

(やはりポップはマァムの事が好きなのか・・・。そう言われてみればオレはマァムの事どう思ってるんだろう?この世界に来て一番最初に出会った人間だけに特別な思いがあるのは確かだが・・・。)

 

「さあ、どうしよっかな?」

 

オレはちょっとしたいたずら心からこんな事を言ってみた。

 

「てめぇ!まさかマァムの事!」

 

「冗談だよポップ。オレは未完成の術を完成させるために来たんだ。それが終わったらすぐポップ達のところへ戻るよ。」

 

「絶対だぞ!」

 

「おぉ、男と男の約束だ!」

 

そういうとポップはルーラでダイ達のところへ帰っていった。

オレもマァムのところへ戻って行った。

 

「ねぇ、何だったの?」

 

「べ、別に何もなかったよよ。」

 

「ふ~ん、怪しい・・・」

 

話題になってた当人にいきなりこの話を振られるとつい意識してしまう・・・。

 

(いかんいかん、オレが意識してどうする。ポップに言われるまで何も意識してなかっただろ。しっかりしろオレ!)

 

「ところでマァム、バルジ塔ではありがとう・・・。マァムのおかげで今回の修行の決心がついたよ。マァムに言われてからオレずっと考えてた。オレ達が勝つために自分になにができるかって。ミストバーン達に勝つためには今よりさらに上の次元の力がいる・・・。そのために今オレにできることはオレの未完成の術を完成させる事だって。」

 

「それは私もよ。あなたがバルジ塔で弱ってるのを見て私は今まであなたやダイに頼り過ぎてたんだって気付いたの。それで私も私にしかできない私にできることをしようって。私ももっとバーンを倒せる力になろうって」

 

「なぁ、マァム、オレ・・・す・・・スゴイ修行して必ず術を完成させてみせるよ。」

 

「私もよ。」

 

オレ達は途中で別れそれぞれの目的地に向かった。

 

(あぶない、あぶない、思わず雰囲気に流されて告白するところだった・・・。オレはマァムの事が好きなのか・・・?いやいや、マァムがこの世界に来て一番最初に出会った人間だから特別な思い入れがあるだけでそれは違う可能性もある。卵からかえった雛が一番最初に見たものを親だと思うみたいな・・・)

 

(いやいや、今は修行修行!なんとしても実戦で使えるようにならねば、仙人モードを!)

 

オレは転生したときに自分の希望した術を使えるようにしてもらったはずだが、実際には最初から全部の術が使えたわけではなかった。正確には術をどうすれば使えるかを知っていたのだが、知識をそのまま実行できるかというとそういう訳ではなく、それ相応の練習が必要だった。

 

仙人モードについてもどうすればいいのかは分かっていた。しかし実際には仙人モードを発動するまでの時間が30分もかかってしまう上、発動しても発動時間が5分しかなかった。とてもじゃないが実戦では使えない。

 

それを解消するためには仙術チャクラを素早く大量に練れるようになることが必須だ。オレはそのためにみんなと離れてその修行をすることにした。

 

(仙人モードが実戦で使えるようになればオレの術の威力が段違いに上がる上、身体能力も上がり、使える術も増える。この修行を完成させれば今後の闘いの大きな力になる。)

 

オレは来る日も来る日も影分身をして仙術チャクラを練る修行をした。影分身をしながら修行すれば経験値が本体に還元するため何倍にもなるからだ。

 

ダイ達と別れて3週間たつ頃には仙人モードの発動までの時間が3分まで短縮し、発動時間も10分に伸びていた。

 

そんなある日、オレはダイ達に渡していた口寄せの巻物で口寄せされた。口寄せされた場所はどこかのお城だろうか?オレの前には深刻な顔をしたレオナ、ポップ、クロコダインがいた。

 

「リョーマ、大変よ!ダイ君が、ダイ君が!」

 

「一体何があった?」

 

レオナに状況を説明してもらった。何が起こったかをまとめるとこんな感じだ。

 

・今いる場所はテラン王国の城であること

・ダイ達が装備を揃えにベンガーナに買い物に行くと超竜軍団が襲ってきて超竜軍団のモンスターを撃退したあとその縁で知り合った占い師にダイの正体が竜の騎士である事を教えてもらったこと

・ダイ達はダイが何者かを知るためにベンガーナの近くにある遺跡に行ったところ超竜軍団の軍団長である竜騎将バランと遭遇したこと

・バランも竜の騎士でダイの実の父親だったこと

・バランと一戦交えたこと

・バランの強さは圧倒的であること

・人間に味方するダイに激怒し、紋章の力でダイの記憶を消してしまったこと

・記憶を消した後記憶を消すのに力を使ったバランは一度撤退したこと

・ダイは記憶をなくしているため闘えず、安全な場所という事でテラン城の牢屋に匿われていること

 

オレはレオナの説明を聞いて絶句した。

 

 



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第019話 バラン強襲

レオナ達に口寄せされたオレは今の状況を聞いて絶句した。ダイ、ポップ、クロコダイン、レオナが束になっても敵わなかった相手がいつオレ達に再び襲い掛かってくるか分からず、今度はダイ抜きでそれらを相手にしなけらばならないというのだ。

 

(くそ、せめて修行が完成していたら。まだ仙人モードはあてにはできない・・・。このままバランを迎え撃つしかないのか?)

 

オレ達は作戦会議を開いていた。作戦会議は長々と続いたが妙案は出てこなかった。

 

「じゃあ、リョーマとクロコダインで接近戦を仕掛け、ポップくんが呪文で援護、私は回復役に徹するわ」

 

オレ達は不安を抱えつつも今できる最善の布陣を敷いた。

 

その時、城の外からただならぬ空気を感じた。恐らくバランだ。

オレ達は城の外に出た。そこには白い腰までのマントに刀を背負った男がいた。

 

「ディーノを渡してもらおうか・・・」

 

察するにディーノとはダイの事だ。

 

「いやよ!」

 

「この前から一人増えたくらいで私をはばめると思っているとしたらこの間の闘いがまるで教訓になっとらんということか・・・それとも何か策でもできたか?」

 

「そんなものはない、勝負だ!バラン!」

 

クロコダインがバランに襲い掛かった。オレも続いて写輪眼を発動し、クナイで襲い掛かる。バランは背中の刀を抜いて応戦した。クロコダインの一撃は重いが、スピードもなく、スキも大きい。一方オレの方はスピードはあるが、パワーはクロコダインに及ばない。今のところオレ達の攻撃にバランは防戦一方だ。しかしバランの表情には余裕がうかがえる。

 

「調子に乗るなぁー!」

 

バランの体からエネルギーのようなものが発せられ、オレ達はふっ飛ばされた。そしてバランはオレに斬りかかった。オレはクナイで防ごうとしたが、バランはオレのクナイでバランの刀を防ごうとしたが受けきれず、クナイが折れてオレはクナイごと斬られてしまった。

 

クロコダインはその状況を見て、力ずくでバランをふっ飛ばした。ポップもその瞬間バランに向かってメラゾーマを唱えた。

 

「竜闘気!」

 

バランは先ほどのと同様のエネルギーを発し、ポップの呪文は阻まれてしまった。

 

(これが話に聞いていた竜闘気か・・・)

 

「姫、リョーマの回復を」

 

クロコダインはレオナにオレの回復を促す。

 

「分かったわ、ベホマ!」

 

レオナはオレに駆け寄り回復呪文を唱える。

 

(あの刀、普通の刀じゃないな。普通のクナイの強度じゃ受けきれない。これからは雷遁で覆ってから受けないと・・・)

 

レオナに回復呪文を受けたオレはクナイに雷遁を覆わせ再びクロコダインと共に攻撃を仕掛ける。雷遁で覆われたクナイはバランの刀をうけることを可能にはしたが、戦況は変わらない・・・。ポップも呪文での援護の機会をうかがっているが竜闘気に阻まれては打つ手なしだ。

 

「そろそろ片を付けてくれるわ!ギガデイン!」

 

バランが呪文を唱えると雷がバランの刀に落ち、バランの刀は雷を纏っていた。

 

「くらえ、わが秘剣ギガブレイク!」

 

バランはオレに襲い掛かった。

 

(マズイ・・・かわし切れない!)

 

体勢を崩していたオレがギガブレイクを食らいそうになるとクロコダインがバランとオレの間に入りオレの盾になった。

 

「ぐぁぁぁ!」

 

「クロコダイン!どうして?」

 

「オレの方が防御力が高いからな。」

 

「レオナ、クロコダインの回復を!」

 

「分かったわ」

 

オレはクロコダインの回復時間を稼ぐため足止めのため土遁・山土の術を使った。

 

「土遁・山土の術!」

 

バランの両脇の地面がせり上がりバランを挟もうとする。しかしバランから出る竜闘気がバランを挟ませなかった。

 

(くそ、こうなったら・・・)

 

「影分身の術!」

 

オレは4体に影分身し、それぞれ雷遁を纏ったクナイで襲い掛かる。流石に手数が多い分こちらが押していく。いけると思った瞬間バランの額の紋章が光りオレの影分身2体を貫いた。貫かれた影分身はそのまま消えてしまった。その攻撃のスキを狙ってオレは本体と残った影分身で螺旋丸を仕掛けた。

 

「螺旋丸!(竜闘気が強力でもこの術は防げないはず!)」

 

螺旋丸がヒットすると思われた瞬間バランは呪文を唱えた。

 

「バギクロス!」

 

「ぐあ!」

 

オレの本体と影分身はその呪文にふっ飛ばされ、残った影分身は消えてしまった。

 

オレがバランと闘っている間にレオナはクロコダインにベホマを掛け終わったようだ。

 

(もう未完成とか言ってられない。仙人モードしかない!)

 

「クロコダイン、ポップ、3分稼げるか?オレはこれから仙人モードに入る!」

 

「修行してたやつか、心得た。」

 

「へっ、任せとけ!」

 

オレは仙人モードに入るため動きを止めた。その間クロコダインが必死でバランに攻撃を仕掛け、ポップは効かないと分かっている呪文を唱え続けた。

 

 

3分が経った。

クロコダインとポップは傷つき、立っているのがやっとといった感じだ。

 

オレの目の周りに隈取が出来ていく。仙人モードに入る事に成功したのだ。

 

「よし!仙人モードに入った!」

 

「ほう、では先ほどと何が違うのか見せてもらおうか。」

 

バランはオレに斬りかかってきた。オレは雷遁で覆ったクナイで受け止め、空いている手で大きな螺旋丸を作った。

 

「くらえバラン!仙法・大玉螺旋丸!」

 

オレは螺旋丸でバランに攻撃した。バランは先ほどと同様バギクロスを唱えたがオレはその場にとどまることができた。仙人モードになると耐久力・身体能力が大幅に上昇する。オレはそのまま大玉螺旋丸をバランにヒットさせた。

 

「うぉぉぉぉ!」

 

バランは大玉螺旋丸で大きく後ろに吹っ飛ぶ。この闘いでバランに初めてダメージらしいダメージを与えることができた。オレはふっとんだバランに対してさらに火遁で追い打ちをかけた。

 

「火遁・豪火滅失の術!」

 

オレの口から大きな炎が発生し、バランに襲い掛かる。バランは竜闘気を展開するが防御しきれずまともにダメージを受けた。バランは体中から血を流し、火傷を負った。

 

「・・・まさか人間如きがここまでやるとは思わなかったぞ・・・認めてやる・・・。貴様はオレが闘った人間の中で最強だ・・・。だが、所詮人間では竜の騎士に勝つことはできん!見せてやろう、竜の騎士の真の力を!」

 

バランは左目に着けているアクセサリーのようなものを手にとり握りしめた。するとそこからバランの血が出血し、その血の色が赤から青に変わっていく。

 

「グゥオオオオ!」

 

バランが叫んで左目に着けてたアクセサリーを空に掲げた。すると空からバランに落雷し、バランがドラゴンを模した魔獣のような姿に変わっていった。

 

 




お気づきの方も多いと思いますが、この話では竜騎衆は出てきません。小説で出すとどうしても話が冗長になってしまい、話が中々進まなくなると思ったからです。話のテンポを大事にしようと思います。


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第020話 竜魔人 vs 仙人モード

バランの姿がドラゴンを模した魔獣のような姿に変わっていく。

 

「おおあう・・・!」

 

「まさか!?これが竜の騎士の真の姿なのか?」

 

ポップとクロコダインがバランの変わった姿を見て驚愕した。オレも同じ思いだ。

 

「そうだ。竜と魔人と人の力を合わせ持った竜の騎士の最強戦闘形態・・・それがこの姿・・・竜魔人と呼ばれる姿だ!」

 

(まずい・・・まだ奥の手を持っていたのか。それになんだあの強大なチャクラは?仙人モードはもうあと5分くらいしか維持できない・・・)

 

オレの写輪眼にもやつの強大な力が見て取れた。

 

「悪いが竜魔人となった私はただ目の前の敵を全滅させるだけの魔獣に等しい存在だ。あまりに強大な力ゆえ自らの意志でセーブができん。だが誇るがいい、貴様の強さが私のこの姿を引き出したのだからな。」

 

そう言うと竜魔人となったバランはオレに斬りかかった。先ほどとは比べものにならないスピードだ。オレは写輪眼で先読みし、辛うじてバランの攻撃を雷遁を纏ったクナイでうける。パワーも先ほどとレベルが違う。

 

「ほう・・・この姿のパワーにも耐えられるのか・・・だがどこまでそれが続くかな?」

 

オレとバランはクナイと刀で斬りあった。ややバランが押している。

 

(く、・・・このままだとこの仙人モードでも押し切れない・・・)

 

オレは距離を取り、火遁の印を組んだ。

 

「火遁・豪火滅失!」

 

再び巨大な炎がバランを襲う!

 

「竜闘気!」

 

バランは自らを覆う竜闘気を大きくし、豪火滅失を防いだ。

 

「これならどうだ!仙法・超大玉螺旋丸!」

 

オレは仙術チャクラで自分の体よりもはるかに大きな螺旋丸を作り、バランに襲い掛かった。バランは再び竜闘気を全開にし、超大玉螺旋丸を防御した。これは流石に受けきれなかったと見えてバランはそれなりにダメージを受け後ろに大きく吹っ飛んだ。だがこれも致命傷には至らなかったようだ。

 

(くそ、これでもだめか!)

 

「まさか・・・この形態でこんなにダメージを受けるとはな・・・・この姿にダメージを与えたものは魔界を入れても数えるほどしかいない・・・それを誇りにあの世へ行くがいい!この形態でしか使えぬ竜の騎士の秘呪文・・・ドルオーラでな!」

 

バランは背中の翼を広げ、空へ高く飛んび、手を前で竜の形に組み、オレ達の方へ向けた。

 

(あのチャクラの流れ・・・大砲の様なものを発射するのか?マズイ・・・)

 

オレは飛雷針の術のマーキングの入ったクナイを地面に刺し、軽重岩の術で空に飛んだ。

 

「ほう・・・感のいいやつだ。味方を巻き込まないように飛んだか・・・だが順番が少し遅くなるだけ・・・貴様のあとすぐに仲間ともどもあの世に送ってやるわ!」

 

オレは飛雷針の術のマーキングの入ったクナイを取り出し奴に向けて構えた。飛雷針の術で奴の攻撃をそのまま奴に飛ばすつもりだ。

 

「勝負だ、バラン!」

 

バランは構えをオレの方へ向けドルオーラを放った。

 

「ドルオーラ!」

 

(いまだ!)

 

「飛雷針・導雷!」

 

オレはバランのドルオーラをクナイで受け時空間忍術で先ほど地面に刺したクナイに飛ばした。バランの真下にさした飛雷針の術のマーキングの入ったクナイからバランの放ったドルオーラがバランに襲い掛かる。

 

「うぉぉぉぉ!」

 

(これだけの呪文だ、いくらバランもまともに食らえばただではすまない!)

 

ドルオーラが終わると目の前にバランはいなかった。

 

(よし!バランは消し飛んだか?)

 

「ギガデイン!」

 

上空から急に稲妻がオレを襲った。

 

「ぐあぁぁぁ!」

 

オレは稲妻をまともに受けそのまま地面に墜落した。

 

(何が起こった?)

 

前を見るとそこにはドルオーラを受けたと思われるバランがいた。

 

「まさか、あんな手でドルオーラをしのぐとはな・・・・私もダメージを負わされたぞ・・・だが直撃の瞬間、私はルーラを使いドルオーラの全ては食らわなかったのだ・・・」

 

(くそ、なんてやつだ。)

 

そしてその時オレの目の周りにできていた隈取りが消えた。仙人モードの持続時間が終わったのだ。

 

「どうやら貴様のその力には制限時間があったようだな。今度こそ終わりだ!」

 

バランは再び上空に舞い上がりドルオーラの構えを取った。

 

(ダメだ!やられる!)

 

だが、バランは途中でドルオーラの構えを止めた。周りを見ると記憶を無くしたダイがいた。

 

(ダイは牢屋に閉じ込められていたはず・・・どうして?)

 

バランは地上に降りてきてダイの前に立った。

 

「お、おい!ダイ!逃げろ!城の中へ逃げるんだ!」

 

ポップはダイに必死に呼びかける!だがダイにその声は届いていないようだった。

 

「おじさんなの?僕を呼んだのは・・・。」

 

記憶をなくしたダイはバランに訊ねた。

 

「そうだ」

 

「おじさんは誰?」

 

「私はお前の父親だ!」

 

「でも・・・おじさんは僕と違う姿をしているよ。まるで怪物みたいだ・・・」

 

その時バランの額の紋章が輝きだし、それに呼応してダイの紋章も輝き始めた。

 

「わ、分かるよ!おじさんはウソをついていない!」

 

(マズイ・・・このままだとダイはバランのもとに行ってしまう・・・この状況で何ができる?仙人モードに入る時間もない・・・奴に対抗できる術は・・・、あった!)

 

オレはギガデインのダメ―ジを受けた体を引きずってダイの前に立った。

 

「やめて!リョーマ!」

 

レオナがオレを止めた。

 

「なんの真似だ。先ほどの力のない貴様では私の相手にならんぞ。ディーノと出会い、人間の心が強く表面に出ている今が最後のチャンスだ。大人しくディーノを渡せ!」

 

「お前にダイは渡さない!ここでダイを渡せばオレはその事を死ぬまで後悔することになる。オレはそんな事絶対耐えられない!そんな事をするくらいなら死んだ方がましだ!」

 

「なら死ね!」

 

オレはポップ達の方を見た。

 

「みんな、オレは今から奴を倒す。でもみんなとはここでお別れだ。マァムによろしく。」

 

「待って、リョーマ!一体何をする気?」

 

そしてオレはダイに向かって話しかけた。

 

「ダイ、覚えてないかもしれないが、お前はオレの大切な仲間で友達だ。オレはお前からその大切な記憶を奪った奴を許せない。お前はみんなにとっての希望なんだ・・・。オレはここでお前とお別れだ・・・。オレは奴をここで必ず倒す。その後、お前は自分が何者か絶対思い出すんだぞ!いいな!絶対だぞ!」

 

ダイに話し終えるとオレは再びバランに対峙した。

 

「いくぞ!バラン!八門遁甲の陣、死門 開!」

 



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第021話 決着バラン戦!

バランに勝つには八門遁甲の死門を開くしかないと思ったオレは心臓のツボを押し、死門を開いた。オレの体から赤い蒸気が湧き出る。

 

「いくぞ!バラン!」

 

オレは猛スピードでバランに襲い掛かり、強烈なボディーブローを食らわせた。バランは反応できず、宙にふっ飛ばされた。

 

「グフッ!な、何だと!」

 

オレは宙に舞ったバランを追って空気を蹴りながら空を駆け上がっていく。そして空気を蹴りながら空を縦横無尽に動き、四方八方から空気を殴る事で衝撃波をバランに浴びせた。バランは手も足も出ない。

 

「ば、バカな、この形態で手も足も出ないとは・・・・グアァァァ!」

 

バランはオレの攻撃に驚愕していた。

 

「す、すげー。圧倒的だ!このまま簡単に倒しちまいそうだぜ!」

 

ポップが喜んで言った。

 

「バカ!そんな簡単な話な訳ないでしょ!もしそうならなんで今までこの力を使わなかったのよ!」

 

レオナが自分の思ってた不安をポップに言い放った。

 

「リョーマの先ほどの言葉から察するに自分の命と引き換えに一時強大な力を手にする技のようだ・・・。」

 

レオナの不安に対してクロコダインは自分の思ったことを言った。

 

オレは四方八方から衝撃波でバランを攻撃した後、上空から諸手打ちでバランを地面に叩きつけた。

 

 

 

(もう、これ以上は・・・これで最後だ!)

 

オレは上空からバランに跳び蹴りを試みた。

 

「終わりだ、バラン!」

 

オレの最後の攻撃がヒットするその瞬間バランは呪文を唱えた。

 

「ルーラ!」

 

バランはすんでのところでルーラでオレの攻撃をかわし、少し離れた場所に移動した。オレの跳び蹴りが地面に直撃し、大きなクレーターになった。

 

「はぁ・・・はぁ・・・危なかった・・・。まさか、人間ごときがこの形態の戦闘力を上回るとは思わなかったぞ・・・だが、その技・・・貴様にもそれ相応のリスクがあったようだな・・・。」

 

(く・・・あと少しのところで・・・)

 

オレはバランの声を聞きながら意識が遠のいていった。どうやら八門遁甲の陣の効果が切れたらしい。

 

「ぐふっ!」

 

再び気付くとオレはオレが気を失ったところにいた。目の前ではレオナが涙を流している。

 

(なんでオレは生きているんだ?死門を開いたのに?)

 

だが体中の骨が折れていて起き上がれそうにない・・・・。

 

(レオナがザオラルでもかけてくれたのか?バランは?)

 

オレは再び気を失った。

 

 

オレは再び気が付くとベッドの上にいた。体中の骨折が治っている。目の前ではレオナが寝ていた。ダイとポップもオレの横で寝ている。そして傍にいたクロコダインが何が起こったかを説明してくれた。

 

・オレが死んだ後、オレが死んだのを見てダイが記憶を取り戻したこと

・ダイは再び紋章の共鳴で記憶を失うのを避けるために紋章を右拳に移したこと

・ダイが死闘の末バランを倒したこと

・闘いの後バランがオレに自身の血を飲ませオレが復活できたこと

・骨折だらけのオレにレオナがベホマを掛け続けてくれたこと

・バランは再戦を誓い去っていったこと

・今はテラン王国の城の近くの森にある小屋を借りてバラン戦で受けた傷を癒していること

 

「なるほど、バランには借りができてしまったな。あとレオナにも起きたらお礼を言わないと」

 

オレの体は不思議と調子が良かった。

 

「クロコダイン、見張りはオレが変わるよ。体の調子が不思議と良いし。」

 

「バカを言うな。お前は全身の骨が折れて死んでいたんだぞ!」

 

「じゃあ、見てな!」

 

オレは一瞬で仙人モードに入ってみせた。オレの目の周りに隈取ができた。

 

「おぉっ!聞いたことがある・・・。古来より伝説の竜の血を飲んだ人間は不死身の力を得るとか・・・。恐らくバランの血を飲んだことでリョーマの能力が底上げされたのだろう・・・。」

 

(ん?このチャクラは・・・・)

 

オレは仙人モードに入った事で周囲に近づいてくるチャクラに気が付いた。仙人モードは広範囲でチャクラを感知することができる。

 

(どうみても味方のチャクラじゃないな・・・・)

 

「なっ、という訳でここはオレに任せてクロコダインも休んでくれ。」

 

オレはクロコダインに気付かれないように見張りを代わってくれるよう申し出た。

 

「分かった・・・。任せたぞ!」

 

(よし!あとは・・・・)

 

 

 

オレはチャクラの反応のあった方向へ向かった。するとそこにはマァムがいた。

 

「リョーマ!久しぶりじゃない!」

 

マァムはオレに話しかけてきたが、オレにはそれがマァムではなく敵が化けたものだという事が分かった。

 

「久しぶりじゃなくて初めましてだろ、マァムに化けたつもりだろうがバレバレだぞ!」

 

「キヒヒヒヒ!よく分かったな・・・せっかく懐かしい顔に会わせてやってあの世に送ってやろうと思ったのに・・・」

 

「仙人モードはチャクラの感知能力が今までとはレベルが違う。お前のその禍々しい気配でバレバレだ。」

 

すると茂みから魔族らしき男が出てきた。

 

「ザボエラ、もうよい、あとはオレがやる!どのみちバランとの闘いでボロボロになった貴様等など赤子同然!」

 

「貴様誰だ!」

 

オレは初めて見るその魔人に問いただした。

 

「オレは魔軍司令ハドラー!貴様らを地獄に叩き落としにきた。」

 

オレはダイ達から話に聞いていたハドラーと初めて対面した。

 

「ダイ達から聞いているぞ!バルジ塔でダイ達に敗れたらしいな。正面からでは勝てないと踏んで今度は弱っているところを闇討ちか?」

 

「うるさい!オレにはもう手段を選んでいる余裕はないのだ!オレもお前の事は聞いているぞ、ダイ達に加担してよくも散々オレの邪魔をしてくれたな!手負いの貴様一人などすぐに片づけて、その後でゆっくりダイ達を始末してくれるわ!」

 

ハドラーは失敗続きで魔王軍内で立場を危うくしていると見える。

 

「いくぞ!ハドラー!」

 

オレは写輪眼を発動し、ハドラーに攻撃を仕掛けようとした。その時オレの写輪眼にはとんでもないものが見えてしまった。

 

(な、何だ?あの大きな熱量は?キルバーンと同じ熱量がハドラーの心臓に見える・・・)




原作の設定とかを大事にしようとすればするほど原作から離れるのが難しくなりますね・・・。今のところそんな大きな原作からの乖離なし・・・。


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第022話 ハドラーの秘密

オレは写輪眼でハドラーを見たとき、キルバーンの頭部に見たものと同じ熱量をハドラーの心臓に見てしまった。

 

(何なのかは分からないがとりあえず火遁は止めた方がいいな・・・何とかハドラーの動きを止めてあれを封印する!)

 

「いくぞ!影分身の術!」

 

オレはザボエラをけん制しておくためオレは2体に影分身し、本体でハドラーに攻撃を仕掛けた。ハドラーは拳から爪のようなものを出して応戦するが、仙人モードの力には遠く及ばない。オレはハドラーに強烈なボディーブローを食らわせ、蹴りで遠くへふっ飛ばした。森の木がふっ飛ばされたハドラーによって何本も折れていく。ハドラーはオレとの力量差に驚愕しているようだ。

 

「き、貴様!情報では貴様にそこまでの力はなかったはず!」

 

「襲ってきたタイミングが悪かったなハドラー。オレはバラン戦でパワーアップしたばかりなんだよ」

 

(よし、今だ!動きを止める!)

 

「土遁・山土の術!」

 

ハドラーの両側の地面がせり上がりハドラーを挟み込む。ハドラーは挟み込もうとする地面を両腕で支えた。

 

「ぐぉぉぉぉ!」

 

仙人モードで強化された山土の術はハドラーでも支えきれないようだ。

 

(今だ!)

 

オレはクナイでハドラーの胸に切れ込みを入れ、胸ポケットから封火法印の術式の入った巻物を取り出した。前回キルバーンを写輪眼で見たときにキルバーンの頭部に危険な熱量が見えたので、念のため何本か用意しておいたのだ。オレは巻物を地面に開き術を発動させた。

 

「封印術・封火法印!」

 

ハドラーの心臓あたりからどす黒い熱量のエネルギーが巻物に吸い込まれていく。吸い込み終わるとオレは巻物を胸にしまった。

 

「な、なんだこれは?貴様一体何をした?」

 

(ん?自分で何か分かっていないのか?それに封印しても奴のチャクラに変化がない・・・一体なんだったんだ・・・?まあいい、とどめを刺させてもらう!)

 

その時、ダイ達が休んでいる小屋で何かの破壊音がした。どうやら伏兵を仕込んでいたらしい。自分達が不利になったらこっちの注意をそっちに引くつもりだったのだろう。

 

「くははは、残念だったな・・・、今オレの相手をしている暇はあるまい!」

 

「ちっ!」

 

オレはハドラーへのとどめを諦め、飛雷針の術で小屋へ戻った。するとアークデーモンが小屋を襲っていた。オレは螺旋丸でアークデーモンを倒し、再びハドラーのいたところに戻ったが、ザボエラ共々ルーラで逃げだしたようだった。

 

(何だったんだ?ハドラーのあの胸の熱量は?今度マトリフさんに聞いてみるか・・・)

 

小屋に戻るとみんな起きていた。どうやら先ほどのアークデーモンの攻撃でみんな起きたようだった。

 

「一体何だったの?」

 

レオナが尋ねてきた。

 

「ハドラーとザボエラが襲ってきてた。まあ、逃げられちゃったけど・・・」

 

「ってお前ひとりで撃退したのか?」

 

ポップが驚いてオレに尋ねた。

 

「うん、バラン戦の後パワーアップしたみたいで一瞬で仙人モードに入れるようになった。クロコダインの話によるとバランの血を飲んで復活したのが原因らしい。」

 

「すっげぇな!じゃあオレの血を飲んだらみんな強くなるのかな?」

 

ダイがオレ達の話を聞いて自分の血をみんなに飲ませる事を思いついたようだ。

 

「ハハハ、お前は人間の血の方が濃いとバランは言っていたよ。」

 

クロコダインはダイの思いつきに対して答えた。

 

しばらくするとマトリフさんが尋ねてきた。

 

「よお、生きてるかお前ら」

 

「師匠!どうしたんだよ、急に。」

 

「お前からダイの話を聞いたとき、ひょっとしたらダイは竜の騎士かもって思ってな。もしそうならダイとお前たちが精神的に傷つくことが予想できた。そんな時にゃオレは何もしてやれん!救ってやれるのは・・・あいつしかないと思ってな、これを探し出してきたんだ・・・」

 

マトリフさんはオレ達に一冊の本を差し出した。

 

「なんだい?この汚い本は?こっ、このマークは!」

 

ポップはマトリフさんの差し出した本を手に取って、本のマークを見て驚いた!

 

「そう、これが有名なアバンの書だ。世界を救った勇者アバンがその武芸、呪文、精神の全てを構成のためにしるしたこの世に一冊しかない手書きの本さ・・・」

 

その本には正にバランの事や竜の騎士の事で精神的に傷ついたオレ達を奮い立たせる事が書かれていた。

 

(勇者アバンか・・・生きているときに会ってみたかったな・・・)

 

「ところでマトリフさん、ハドラーを写輪眼で見たとき、心臓付近に円形の凄い熱量を感じた。以前キルバーンとかいう仮面の男の頭部にも同じものを感じた。何か心当たりはないか?」

 

「もうちょっと具体的な話がないと分かんねぇな・・・。せめて具体的な形とか色とか分かればいいんだが・・・」

 

「キルバーンはどうか知らないが、ハドラーのはオレが切り開いたときに見えたのは黒い円形のものだった。」

 

「確かか・・・?」

 

マトリフさんの顔色が変わった。

 

「そりゃ、もしかしたら黒の核晶かもしんねぇぞ・・・!」

 

「黒の核晶ってなんだい?師匠」

 

ポップが聞きなれない言葉を聞いて尋ねた。

 

「言ってみれば爆弾さ、ただし大陸が消滅するレベルのな・・・。」

 

「なんでそんなものが魔王軍の幹部とも言えるハドラーとキルバーンに埋まっているの?」

 

レオナがマトリフさんに尋ねた。

 

「分からん、裏切った時のためか、もしくはお前達を道ずれに葬り去るために埋め込んどいたのかもな・・・」

 

(バーンめ、ひどいことしやがる・・・いずれにせよハドラーのはオレが封火法印で封印した。また埋め込まれない限りは・・・。あとはキルバーンの方か・・・)

 

 

オレ達はパプニカに戻ることになった。アバンの書にある言葉を見てレオナは何かを思い立ったようだ。特に次のあてがあるわけではなかったオレ達はレオナに付いて行くことにした。



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第023話 再会マァム

オレ達はレオナに付き添ってパプニカに戻ってきた。レオナはパプニカに戻るや大忙しだ。三賢者もレオナの指示を受けて忙しそうだ。レオナは何をやっているかはある程度形になるまで秘密だそうだ。

 

オレはパプニカ付近で修行をしていた。

 

(正直バラン戦では仙人モードでもバランの竜魔人に押され気味だったからな・・・。これから竜魔人と同等かそれ以上の相手をしなければならない事を考えるともっと強くならないといけない・・・。)

 

修行の目的は新術の開発だ。バラン戦では超大玉螺旋丸でも竜闘気の上からでは大きなダメージを与えることはできなかった。もっと強力な術、仙人モードをもっと使いこなす事が必要だ。

 

新術のアイデアはこうだ。螺旋丸にチャクラの性質変化を加えることだ。発想は風遁・螺旋丸手裏剣と同じだ。だが、転生時に風遁を入れる事はできなかったため、同等の術を自力で開発する必要がある。

 

(一番得意な雷遁を螺旋丸に組み合わせてみるか・・・)

 

オレは螺旋丸に雷遁の性質変化を加えてみた。すると螺旋丸が雷状に霧散した。

 

(ダメだ・・・失敗だ・・・雷の性質変化を加えるとチャクラの形態維持の難易度が格段に上がる・・・)

 

(よし!今度は!)

 

「影分身の術!」

 

オレは次に影分身を使い、分身と本体で形態維持と性質変化を役割分担して試みた。先ほどよりはできそうな気配があったもののやはり先ほど同様に螺旋丸が霧散した。

 

(失敗か・・・でもさっきよりは・・・。こうなったら練習あるのみ!)

 

オレは30体に分身し、15組に分かれ練習を続けた・・・。

朝から修行を始めると昼休みを挟んで夜にはチャクラが切れて動けなくなっていた。

 

3週間程してもわずかに性質変化を加えれるようになっただけで実戦投入には程遠く、修行が行き詰っていた。

 

(くそ!どうやっても雷遁のチャクラを練りこむと形態維持が途端に難しくなる・・・)

 

そんなある日、修行しているオレのもとにダイとポップが尋ねてきた。

ダイは右拳に紋章を発現させ、竜闘気全開で闘ったときに使える武器が無い事に悩んでいた。普通の武器では竜闘気に耐えられないのだ。バラン戦ではバランがオレと闘った時に既にかなりのダメージを負っていたので素手でも何とかなったが、次はそうはいかないだろうということらしい。

 

(八門遁甲の死門を開いた状態のオレと闘った後、何事もなくダイと闘われたら流石にオレがたまらないけどな・・・)

 

それでオレがバランと闘う時にクナイに雷遁を纏わせてクナイを強化して闘っていたのを見てコツを聞きたいらしい。

 

「ねぇ、リョーマはクナイに雷遁を纏わせる時どうやってるの?」

 

「クナイを体の一部だと思ってクナイに雷遁を纏わせてる。そもそも雷遁と竜闘気じゃ性質が違い過ぎてあんまり参考にならないかもしれないけど・・・」

 

「う~ん、やっぱりだめか・・・。やっぱ真魔剛竜剣みたいな剣が必要だよね・・・」

 

その時、バダックさんが急いで走ってきた。

 

「大変じゃ~、お前らの探している剣が見つかったかもしれん!今度ロモスで開かれる武術大会の優勝賞品がなんと覇者の剣らしいぞ!」

 

「えぇ~!」

 

ダイとポップが声を揃えて驚いた。

 

「じいさん、それ本物なのかよ!」

 

「本物に決まっておろう!ロモス王主催なのじゃぞ!」

 

王様が主催するなら本物の可能性が高い。

 

「よし!ダイ参加するぞ!」

 

「おぉ!」

 

(実戦の中で何かヒントが得られるかもな・・・よし!)

 

「待ってくれ!ダイ!ポップ!オレも行く!」

 

ダイとポップが行こうとしているところを呼び止めてオレも参加の意思表明をした。

 

「リョーマも?」

 

「ちょっと修行に行き詰ってて、実際に闘ったり、他の人の闘いを見れば参考になるかなって」

 

「えっ、でも普通の人じゃリョーマの相手にならないよ?」

 

ダイの反応も最もだ。でもオレの相手はただ一人。

 

「相手になる奴ならここにいるだろ」

 

そう言ってオレはダイを指さした。

 

「え~、オレと?」

 

「そう、勝負だダイ!」

 

オレ達はお互い竜の紋章と仙人モードを封印して参加する事にした。

 

(まあ、竜の紋章と仙人モードありにしたら殺しあう事になりかねないからな・・・。)

 

ポップのルーラでロモスに行き、ダイとオレは受付を済ませた。

 

午後から予選のようだ。大会の仕組みは予選は何人かに分かれてバトルロイヤルで各ブロックで勝ち残ったものが決勝トーナメントに進出し、最後に勝ち残ったものが優勝となるようだ。オレとダイは問題なく各ブロックを勝ち上がった。

 

「ダイ、問題なく勝ち上がったな。」

 

「そっちこそ」

 

オレ達がそんな話をしていると別の会場が盛り上がっていた。

 

(一体なんだ?凄い奴でもいるのか?)

 

近くまで来ると噂話が聞こえてくる。

 

「なんか、すげー可愛い子が大男相手に圧倒しているらしいぜ!」

 

「ちょっと見てみようぜ!」

 

この噂に反応したポップがオレ達に呼びかけた。オレも興味がないと言えばウソになる。オレ達はそのリングへむかった。オレ達がリングの近くに見に来ると大男が下から女の子に拳一つで持ち上げられているのが見えた。

 

「な、なぁこんなんでかわいいわけねぇよ!きっとゴリラみたいな女に決まってらぁ」

 

「た、たしかにな!」

 

オレとポップがそんな会話をしていると大男がオレ達の方へ飛んできた。

 

「聞こえたわよぉ~、リョーマ、ポップ」

 

「マァム!」

 

オレ達は口を揃えて驚いた。



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第024話 対決リョーマ vs ダイ

オレ達は可愛い女の子が大男を圧倒しているという話を聞いてその闘技場に来たが、圧倒している可愛い女の子とはマァムだった。

 

「久しぶりね、みんな。まさかこんなところで会うなんてね。」

 

「マァム、もしかして武闘家の修行は終わったのか?」

 

「えぇ、それで腕試しにこの大会に出てみたの。それにしても驚いたわ!まさかこんなところで会うなんて・・・!」

 

「ところでリョーマたちはどうしてここに?」

 

マァムはオレ達にどうしてこの大会に参加しているのか尋ねてきた。

 

「オレは修行に行き詰ってて、何かヒントはないかなって・・・。ダイはこの大会の覇者の剣が必要で参加したんだ。」

 

「へぇ・・・、そんな剣が必要になるなんてよっぽど厳しい闘いがあったのね・・・」

 

「そうそう、リョーマなんていっぺん死んじゃったんだよ・・・」

 

ダイがそういうとマァムが驚きの表情を浮かべ、スゴイ迫力でオレ達に事情を問いただした。

 

「それ、どういうこと?」

 

オレ達はマァムがいない間にあったバランとの闘いでダイの竜の紋章が右拳に移ったこと、普通の剣ではダイの竜闘気に耐えられないこと、そしてオレが八門遁甲の死門を開いて闘い一度死んだことをマァムに話した。

 

「そう・・・、そんなことが・・・。分かったわ。そういうことなら私も協力してあげる。その代わり私と当たったら手加減なしよ。」

 

(・・・なんか怖い・・・・)

 

 

トーナメントの組み合わせが発表された。一回戦はオレとダイの対戦のようだ。

 

(おぉ、いきなりか・・・)

 

「リョーマ、手加減はしないよ!」

 

「おう!望むところ!」

 

オレ達は試合をするためリングに上がって対峙した。

 

「はじめ!」

 

「よし、影分身の術!」

 

審判の声が聞こえるとオレは影分身の術を使い、4体でクナイを持って攻撃を仕掛けた。ダイは手数に押され防戦一方になっていく。するとダイは大きく距離を取り、剣を構えた。

 

(ん、この構えは・・・)

 

「メラ!火炎大地斬!」

 

ダイは火炎大地斬で地面が大きなガレキとして飛び散るようにリングを割り、ガレキでダイの身が隠れた。

 

(マズイ、ダイの姿がない。どこだ?)

 

すると左から影分身がやられた反応がした。

 

「そっちか!」

 

やられた影分身の方を見てもダイは見当たらない。どうやらオレの写輪眼を警戒してオレの死角に回っているようだ。

 

(これだから、手の内を知っている者同士の闘いはやりにくい・・・それなら!)

 

「結界・天蓋法陣!」

 

オレは自分の死角にいるダイを探すため、探知結界を張った。

 

(いた!)

 

オレは水遁の印を組んだ。

 

「見つけたぞ!ダイ!水遁・水龍弾の術!」

 

ダイに水龍が襲う。ダイは即座に構えを取った。海波斬の構えだ。

 

「海波斬!」

 

ダイの海波斬が水龍を切り裂きオレを襲う。

 

(土流壁でガードを!いや間に合わない・・・なら!)

 

「土遁・土矛!」

 

オレは土矛で体を硬化し、海波斬をこらえた。

 

(やっぱ、お互い手加減しててもダイは強いな・・・)

 

オレ達がしばらく闘っていると突然地面から膜がせり出し、オレ達をドーム状に覆ってしまった。オレ達はお互いの闘いに夢中になってて一瞬反応が遅れてしまった。

 

(な、なんだこれは?)

 

外から下品な笑い声が聞こえてくる。

 

「キヒヒ、我が名はザムザ、魔王軍妖魔士団長ザボエラが一子妖魔学士ザムザだ!ロモス王ご協力感謝致します。おかげで良い実験体が手に入りましたよ。これで我が魔王軍も大いに助かる。」

 

「おのれ、たばかったな!」

 

どうやらロモス王の傍にいた見慣れない男がザムザでロモス王はザムザに騙されてこの武術大会を開いたようだ。

 

「ザムザ!お前の思い通りにはさせないぞ!紋章閃!」

 

ダイは右手の竜の紋章を浮かべ、膜の中から紋章閃を撃った。山をも砕く紋章閃がオレ達を覆っている膜を襲った。だが、紋章閃でも膜に穴を空ける事ができなかった。

 

(ウソだろ?どんだけ頑丈なんだよこれは・・・)

 

オレは仙人モードに入り、大玉螺旋丸で突破を試みた。

 

「仙法・大玉螺旋丸!」

 

大玉螺旋丸も同じくオレ達を覆う膜に穴を空けることができなかった。すると膜からガスのようなものが出てきた。ダイは位置が悪く、ガスを吸い込んでしまった。

 

(マズイ・・・、逃れるには飛雷針の術しかないが、ダイをこのままにしておけない!)

 

飛雷針の術のマーキングが近くにないため、飛雷針の術を使ってしまうとダイを見捨てることになってしまう。オレはドームの中で立ち往生していた。しばらくすると外から光が見えるとドームに大きな穴が空き、オレ達は解放された。

 

「リョーマ!ダイ!大丈夫?」

 

どうやらマァムが何らかの技でドームを破壊し、オレ達を助けてくれたようだ。

 

「助かったよ、マァム。でもダイがガスにやられて眠ってる。」

 

「貴様、一体何をした?!このバイオプリズンの檻を破壊するとは」

 

檻を破壊されるとは思ってなかったザムザは檻が破壊されたことに激昂していた。

 

「リョーマ、ダイをお願い!ポップは王様を!」

 

マァムはザムザに攻撃を仕掛けた。マァムは格闘技でザムザを追い詰めていく。ザムザは呪文を唱える間もなく、マァムの攻撃を受け続けていた。

 

(おかしい・・・、あれだけ攻撃を受けているはずなのにチャクラに全く変化がない・・・)

 

「ヒヒヒ、不思議に思っているな・・・、オレに攻撃をし続けているのにどうしてオレが倒れないのかを・・・オレの研究の成果、超魔生物を見せてやるぞ、ヒヒヒヒ」

 

ザムザがそういうとザムザの服の下から怪物の身体がせり出し、あっという間に巨大化した。

 

「見せてやる!100種類以上のモンスターの長所を取り入れ作り出された超魔生物を!」

 

マァムは引き続き攻撃をしたがダメージを与えてもしばらくするとザムザはすぐに回復していた。

 

「見たかこの超魔生物は竜魔人を目指して作られたのだ。貴様ごとき人間が傷つけられるものではない!」



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第025話 新術完成

ザムザが超魔生物に変身するとマァムがいくらダメージを与えてもすぐに回復してしまった。

 

「なんて奴なの!こうなったら閃華裂光拳!」

 

マァムの拳が光だし、マァムはその拳でザムザを攻撃した。マァムの攻撃した箇所が崩れ落ちる。

 

「げぇ、なんだこれは!回復しない!」

 

ザムザはマァムの攻撃に驚愕していたが、マァムは輝く拳で攻撃し、攻撃された箇所は枯れるように崩れ落ち回復しなかった。

 

「なんだ、一体どうなっているんだ?」

 

不思議だったのはザムザだけでなく、味方であるオレ達も同じ思いだ。すると大会に参加していたうちの一人で白い布袋を被った小男がどことなくあらわれてオレ達に説明してくれた。

 

「あれは、閃華裂光拳。回復呪文のホイミと武神流拳法を併用し、インパクトの瞬間爆発的な威力を生み出してマホイミと同じ効果を得る拳だよ。」

 

(理屈はよく分からないけど、ホイミを拳法で強化してマホイミにしてしまう技か・・・ん?そうだ!これだ)

 

布袋を被った小男の話を聞いている間にマァムがちょっとしたピンチに陥っていた。マァムの拳がザムザによってスライム状のもので覆われてしまったのだ。手をスライム状のもので覆われてしまってはホイミが使えないため、閃華裂光拳は使えない。マァムは徐々に押されていく。

 

オレは眠っているダイをポップの下へ連れていき、仙人モードになりマァムを援護する。

 

(正直パワーもスピードも竜魔人には及ばないけどこの回復力は厄介だな・・・)

 

オレは白い布袋の小男の話からヒントを得たオレは現在開発中の新術を試みる事にした。

 

「マァム、ちょっと時間稼ぎお願い!」

 

「OK、分かったわ。」

 

(今まで難しかったのは螺旋丸全体をいきなり雷遁の性質変化をしようとしていた事だ。そうじゃなくて少しの雷遁チャクラでも螺旋丸の乱回転を利用して、チャクラの静電気を沢山発生させてそれを利用すれば螺旋丸全体に雷遁の性質変化を与えられるんじゃないだろうか。試してみるか・・・)

 

オレは仙人モードを解いた。初めて試みる術の威力が強くなり過ぎないようにするためだ。螺旋丸の中に少しだけ雷遁チャクラの性質変化を行い、螺旋丸の乱回転とこの雷遁チャクラを利用してチャクラの静電気を発生させ、螺旋丸全体を雷遁チャクラに性質変化させていった。

 

(できた!)

 

「マァム!どいて!雷遁螺旋丸!」

 

オレはマァムに襲い掛かるザムザに向かって雷遁螺旋丸を仕掛けた。雷遁螺旋丸は普通サイズの螺旋丸であるにも関わらず、まるで飴細工のようにザムザの身体に風穴を空けた。

 

「ゲェ!この超魔生物の肉体をいとも簡単にだと!なんだその技は?!」

 

(この攻撃ならば奴の回復速度よりも早く奴に致命傷を与えられる!)

 

新術に確かな手ごたえを得たオレは再び仙人モードに入った。大玉螺旋丸の一部に雷遁チャクラの性質変化を与え、大玉螺旋丸全体を雷遁チャクラに性質変化させていく。

 

(ちょっと時間がかかるのが難点だな・・・でも)

 

「くらえ、ザムザ!仙法・大玉雷遁螺旋丸!」

 

オレは大玉雷遁螺旋丸でザムザに攻撃した。ザムザの身体のほとんどが一瞬で消え去った。

 

「ぐぁぁぁぁ!」

 

ザムザは超魔生物の変身が解け、右腕と頭部だけが残った。

 

「ぐ、な、なんて技だ・・・だが、オレの研究は父に受け継がれる・・・いつか超魔生物は貴様を超える強さを手に入れる・・・」

 

ザムザはそういうと額に着けていた飾りを宙へ投げ、飾りはどこかへ飛んで行ってしまった。そして飾りを投げたザムザは灰と化してしまった。

 

「やったわね、リョーマ!スゴイ術じゃない!」

 

「リョーマ、すげぇ術だな。」

 

マァムとポップが駆け寄ってきた。

 

「いやいや、マァムの技がヒントになったんだよ。そこの人がオレにマァムの技について解説してくれて・・・マァムの知り合い?」

 

「私の武闘家の師匠よ。私はこの人に格闘技を教わってたのよ。」

 

マァムが白い布袋を被った人物について紹介すると男は白い布袋を取った。

 

「ワシはブロキーナ。マァムの師匠じゃ。」

 

(こ、この人が・・・しかしなぜ布袋を被って参加を?)

 

「マァムよ、ワシはお前の上達具合を見るために老体にムチ打ってこっそり参加してみたが、どうやらお前はもう立派な武闘家じゃ。これから仲間と共にゆくのじゃろう?がんばるのじゃぞ。」

 

「老師!ありがとうございます!」

 

「ってことは、マァム戻ってきてくれるのか?」

 

「うん、みんなまたよろしくね!」

 

ブロキーナ老師はマァムに別れの挨拶をすると山へ帰っていった。

 

しばらくするとダイが目を覚ました。どうやらガスが抜けきったようだ。

 

「あれ?何があったの?」

 

ダイは目の前に広がる闘技場の荒れ果てた状態を見て驚いていた。オレ達はダイにダイが寝ている間に何が起こったかを説明した。

 

「そっか、全然気づかなったや。ゴメン」

 

「いや、あれは仕方ないよ。ダイのいた位置がたまたま悪かった。」

 

ダイは睡眠ガスにやられて今回の闘いに参加できなかったことを申し訳なさそうにした。

 

 

大会の賞品になってた覇者の剣はザムザから提供されたものであった事もあり、調べたところ偽物である事が分かり大会は中止になった。

 

「ちぇっ、結局ダイの剣探しは振り出しか・・・」

 

ポップがぼやくと

 

「いいじゃないか、マァムが戻ってきたんだし、リョーマも新しい術の開発に成功したみたいだし。」

 

ダイは前向きにポップのぼやきを返した。

 

「まぁ、そうだな。マァムの帰還とリョーマの新術完成でよしとするか!」

 

オレ達はパプニカに戻る事にした。



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第026話 偵察

ダイの新しい剣探しが振り出しに戻ったオレ達はマァムを加えパプニカに戻ってきた。

 

「おかえりなさい、マァムも久しぶりね。修行の成果はどうだった?」

 

レオナが帰ってきたオレ達を出迎えてくれた。

 

「ふふ、今度闘いの中でお見せするわ。」

 

「楽しみにしてるわね。ところでダイ君の剣探しはどうなったの?それでロモスへ行ったって聞いたけど・・・」

 

「それがさ・・・、ロモスで開かれた大会の賞品が偽物だっていう事が分かって大会は中止・・・、まさにくたびれ損だったぜ。おまけに超魔生物とかいうとんでもない化け物も出るしよ」

 

ポップがぼやいた。

 

「ところでさ、レオナがやってたことって何だったの?なんか大分忙しかったみたいだけど」

 

ダイがレオナに尋ねた。バランと闘ってパプニカに帰ってからレオナはやる事があるといってずっと忙しそうにしていた。

 

「そうね。そろそろ話してもいいかしらね。今度世界中の王国でサミットを開くのよ。魔王軍に対して人間同士協力して立ち向かいましょうってね。」

 

「世界中の王様がここに集まるのかい?」

 

「すごいや、流石レオナ!」

 

オレ達はレオナのやっていたことに驚いた。

 

(まさかオレ達に隠れてそんな大きな事をやっていたとは・・・。アバンの書の言葉から自分にしかできない事を見つけたんだな。)

 

「ところで新しい剣探しだけど、テラン王に聞いてみるのはどうかしら。テラン王は世界中の伝説に通じその知識量は並々ならぬものと聞いているわ。」

 

レオナは詰まったオレ達の剣探しにテラン王を紹介してくれた。

 

テラン王のところへ行くとテラン王のところにはベンガーナで知り合った占い師メルルがおり、ダイの剣について占ってもらった。オレ達はその占いに基づきランカークスという村へ行くことになった。

 

(ここで一緒に行ってもオレにできることはないな・・・。なら今のうちにあれを調べておくか・・・)

 

「なぁ、みんな。オレは一旦みんなと別行動をとろうと思う。」

 

「えぇ!どうして?」

 

ダイが驚いたように聞いてきた。

 

「クロコダインの話によると魔王軍の軍団は全てで6つ、そのうちオレ達は既に4つを潰したと言える。そろそろ敵の戦力も絞られてきたはずだ。ならそろそろ敵の本拠地がどこなのか調べた方がいいかと。」

 

「クロコダインに聞けばいいんじゃねーか?」

 

ポップが返してきた。

 

「クロコダインの話によると魔王軍の本拠地のあったはずのところに今は本拠地がないらしい。そもそもその本拠地には大魔王バーンはいないとのことだ。」

 

「じゃあ、お手上げじゃねーか。」

 

「何かあてはあるの?」

 

ダイがオレに尋ねてきた。

 

「この前ザムザが研究データを魔法でどこかに飛ばしてただろ?オレはあの方角に魔王軍の基地、もしくはその基地に繋がるヒントがあると思うんだ。」

 

「そっか、あれは研究データって言ってたからね。行き先はザボエラのいるところってことだもんね。」

 

「そういうこと!」

 

「でも一人で危険だよ!行くならオレも!」

 

「ダイは新しい剣探しがあるだろ?」

 

「うっ」

 

ダイはしぶしぶながら納得してくれた。

 

「じゃあ、私が一緒に行くわ」

 

マァムがオレに同行を申し出た。

 

「いや、オレ一人で行く。人数が増えると見つかりやすくなるし、オレ一人ならいざってとき飛雷針の術を使って逃げれる。」

 

と答えたがマァムはなかなか納得してくれない。

 

「リョーマはどうしていつもそんな一人で無茶ばかりするのよ!レオナを探す時も、バルジ塔の時も、バランの時もバランの時なんて死んじゃったくせに!」

 

どうやら前々からオレの行動に思うところがあったようだ。

 

(・・・そう言われてみればそう言われても仕方ない気がするな・・・。かといってこの危険な偵察にマァムを連れて行くわけにはいかない。連れて行ったらいざという時、飛雷針の術で逃げれないからな・・・。)

 

オレはマァムに飛雷針の術のマーキング入りのクナイを差し出した。

 

「マァム・・・、もしオレがちょっとでもヤバいと思ったらそのクナイを目印に飛んで逃げてくる。約束する。」

 

オレはマァムに折衷案を提案した。

 

「分かったわ。あともう一つ約束して、何があってもバランと闘ったときに使った技を使わない事。もし使ったら絶交よ。」

 

「わ・・・分かった。」

 

(マァムに絶交されたくないな・・・。それは絶対嫌だ・・・。これから八門遁甲の陣は完全な禁術扱いだな・・・。)

 

ダイ達はメルルの占いをもとにランカークスへ向かい、オレはロモスへ向かい、ザムザの額の飾りが飛んだ方向へ向かって軽重岩の術を使って飛んだ。オレは道中仙人モードになりながら結界・天蓋法陣を使って飛んだ。何かあっても仙人モードの感知能力と天蓋法陣の探知で見落としを避けることができるからだ。

 

いくら飛んでも何も見つからない。地図によるとそろそろ海に出るころだ。

 

(ここまで来て何もないってことは、海の中か・・・、死の大地か・・・?)

 

オレはカールの北の海岸で飛雷針の術のマーキングをし、一旦体を休めるため飛雷針の術でロモスに戻った。

 

翌日飛雷針の術でマーキングのある場所へ飛び再び同じ方角へ軽重岩の術で飛んだ。しばらくすると死の大地と呼ばれるところに着いた。

 

(な、なんだこの妙なところは・・・)

 

オレは仙人モードのまま天蓋法陣を展開しながら死の大地を調査した。

 

(下に何かある・・・だが入り口らしきところがどこにもない・・・しかもこれは結界?)

 

するとオレの探知結界内に急に2人の魔物が探知された。

 

「おや、お客さんかな?」

 

オレの前にミストバーンとキルバーンが現れた。



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第027話 偵察からの帰還

死の大地を探索しているとオレの前に突然ミストバーンとキルバーンが現れた。

 

「おや、お客さんかな?」

 

オレはとっさに身構えた。

 

(コイツら急に現れたぞ?)

 

「いらっしゃいと言いたいところだけど、そろそろ君達のレベルも上がってきて面倒くさくなってきたからね。そろそろ仕事させてもらうよ。」

 

(考えようによってはキルバーンの黒の結晶を回収できるチャンスだ!スキを見て封火法印で・・・)

 

オレは写輪眼を発動させ、印を組んだ。

 

「影分身の術」

 

オレは4体に分身し、それぞれクナイを持ち、ミストバーンとキルバーンに攻撃を仕掛ける。

 

ミストバーンは手をソード状にして、キルバーンは大鎌でオレの攻撃を受けていく。明らかにオレの方が押している。

 

(こいつらの攻撃くらいなら仙人モードの敵じゃない。黒の結晶の疑いのあるキルバーンよりまずはミストバーンからだ!)

 

「仙法・大玉螺旋丸!」

 

オレは2体に大玉螺旋丸を作らせ、ミストバーンに襲い掛かった。大玉螺旋丸はミストバーンにヒットし、闇の衣がボロボロになりながらミストバーンはふっ飛ばされた。

 

(今回は効いたか?いや、今回はダメージを与えたように見えるのに全く動きが変わらないように見える。どういうことだ?やはり何か秘密がある・・・)

 

「貴様!よくもやりよったな・・・!許さん!」

 

ミストバーンは怒り狂ったように襲い掛かってきた。

 

(前回といい、どうやら闇の衣の下には相当秘密にしたい何かがあるんだな。)

 

「闘魔傀儡掌!」

 

ミストバーンは指から暗黒闘気の糸を発し、オレの手足に絡みつく。

 

「ぐぁぁぁ!」

 

(相変わらずの威力だ。だが、仙人モードなら)

 

と思ったのも束の間仙人モードが解けてしまった。

 

(なぜだ?持続時間はまだあるはず!)

 

オレはキルバーンの大鎌から発生する奇妙な音に気が付いた。

 

(まさか・・・)

 

「ご名答。でもちょっとおそかったね。これでまず一人かな?」

 

(体が動かない・・・こうなったら!)

 

と思ったところで思い直した。

 

(ダメだ、八門遁甲の陣は使えない・・・。マァムに絶交されたくないしな・・・)

 

オレはこれ以上の探索をあきらめ、飛雷針の術でマァムに預けていたマーキング入りのクナイをめがけて飛んだ。

 

 

飛雷針の術で飛ぶと目の前にはマァムがいた。

 

「リョーマ、帰ってきたのね、無事で良かったわ。」

 

「ただいま」

 

オレはキルバーンの大鎌の後遺症でその場に倒れてしまった。

 

「リ、リョーマ大丈夫?」

 

「大丈夫・・・、約束通り八門遁甲は使わなかった・・・」

 

「バカ・・・・」

 

マァムは涙を目に浮かべながら安堵の表情を浮かべていた。

 

「奴らの本拠地が分かった。死の大地の地下だ。でもどこに入り口があるのかまでは分からなった。そもそも入り口なんてないのかもしれない・・・奴らは入り口なしで出入りしているみたいだった・・・」

 

オレは安心してしまったのかそのまま眠ってしまった。

 

 

気が付くとオレはベッドで横になっていた。マァムはオレの看病をしてくれていたのかベッドの横でうつ伏せになりながら座っていた。オレがマァムを起こそうと肩に手を掛けると咳払いする音が聞こえた。

 

「お邪魔だったかしら?」

 

レオナだ。

 

「いや、全然。」

 

オレは慌てて手を引っ込めた。

 

(いやいや、全然怪しい事なんてしてないのになんで慌てないといけないんだよ!)

 

「マァムはね。あなたが帰ってからずっと看病してくれてたのよ。感謝しなさいよ。」

 

「あとでお礼を言っとく」

 

「で、どうだったの?本拠地の探索は?」

 

オレは本拠地の場所、入り口の有無、キルバーンの大鎌の攻撃について話した。

 

「なるほどね。これで色々目算が立ったわ。ありがと、ゆっくり休んでて。あと、あんまりマァムに心配かけない事ね。マァムとの付き合いは一番長いんでしょ?」

 

「う、うん・・・」

 

「ねぇねぇ、ところでリョーマ、マァムのこと好きなの?」

 

レオナはいたずらな笑みを浮かべながら直球で聞いてきた。

 

「い、いきなり何を!」

 

オレは慌てふためいて答えてしまった。

 

「だって、リョーマのマァムに対する態度って私とか他の女の子と違うし・・・」

 

「いや、だってほらマァムとは長い付き合いだし・・・。」

 

「あ~ら、それを言ったら私だってリョーマとはロモス城の厨房で出会って以来の付き合いよ?ダイ君たちよりずっと長いはずよ?」

 

レオナは無茶苦茶な屁理屈で攻めてきた。

 

「そ、それは・・・」

 

(く、レオナの奴無茶苦茶な屁理屈で攻めてきやがって・・・)

 

「なぁに、私よりマァムがいいの?」

 

「い、いやその・・・」

 

「まあ、いいわ。これから闘いも激しくなるんだし、今のうちに自分の気持ちをはっきりさせといたほうがいいんじゃないかしら」

 

そう言い残すとレオナは部屋を出て行った。

 

(レオナの奴絶対オレで遊んでる・・・)

 

するとマァムが起きたようだ。

 

(やばい!聞かれてたかな?)

 

「マ、マァム、もしかして今の話聞いてた・・・?」

 

「え、え、何の話?」

 

(この反応、絶対聞いてたな・・・レオナにも言われたけどそろそろオレの気持ちについて考えてみるか・・・マァムの事が好きなのかどうか・・・)

 

 



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第028話 リョーマの気持ち

どうやらマァムにレオナがオレを焚きつけようとしてたのを聞かれたようだ。

オレとマァムの間に気まずい沈黙が流れる・・・。

 

するとレオナが入ってきた。

 

「ねぇ、リョーマ、ちょっといいかしら」

 

(レオナの奴絶対見てたな・・・)

 

オレはレオナに呼び出され、部屋を出た。

 

「ちょっと、なんで自分の気持ちを伝えないのよ!せっかくいい雰囲気なのに!」

 

(いやいや、どう考えても違うだろう!それに・・・)

 

「いや、オレ・・・、マァムの事どう思っているんだろうなって。オレにとってマァムは付き合いも長いし、特別な存在ではあると思うんだけど・・・、女性として好きなのかなって・・・そもそもマァムはオレの事どう思ってるんだろうって・・・」

 

「ふうん、じゃあ、確かめてあげよっか?」

 

「一体何を?」

 

するとレオナがマァムにも聞こえる声で

 

「私ね、リョーマの事好きなの!ねぇリョーマは私の事どう思ってるの?」

 

オレはレオナの突然の発言に面食らった。

 

「レ、レオナ?」

 

するとマァムが部屋から走って出て行ってしまった。

 

「ね、ほら、マァムもあなたの事なんとも思ってないわけじゃないのよ。あとはお互いの気持ちに気付くだけよ。ほらさっさと追いかけて!」

 

オレはレオナに促されてマァムを追った。どうやらマァムは森へ行ったようだ。オレはマァムを追いかけた。

 

「待って、マァム」

 

オレがマァムに追いつくとマァムは無表情でオレに向き合った。

 

「良かったじゃない、リョーマ。レオナあなたの事好きだって・・・」

 

マァムはオレに突き放すように言った。

 

「違うんだ、あれは・・・」

 

「あれはなに?」

 

「その・・・レオナのイタズラで・・・その・・・」

 

(もう正直に今のオレの気持ちを言うしかない・・・)

 

「マァム、オレは今の正直なオレの気持ちをマァムに知ってほしい・・・。マァムはオレにとって特別な存在なのは間違いない。ただ・・・、それが女性としてマァムが好きなのかどうかは分からない・・・。だからもし闘いが終わって生きていたら・・・、オレの気持ちを確かめたい・・・。」

 

「・・・うん・・・、分かったわ・・・。変な態度取ってごめん・・・。まずはこの闘い生き残りましょう!まずはそれからよ!」

 

オレ達はオレの寝ていた病室に戻った。そこにはレオナが待ってましたと言わんばかりにいた。

オレとマァムの冷たい視線がレオナに突き刺さる。

 

「ふ、二人ともどうしたのかしら?ほら、大きな闘いの前に気持ちをすっきりさせといた方がいいかなって・・・、あははは・・・。じゃあ、私仕事に戻るね~。」

 

「まったく・・・なぁマァム・・・絶対勝とうな、この闘い・・・・」

 

「うん・・・」

 

 

それから数日、何事もなく、オレとマァムはそれぞれの修行に励んでいた。

オレは仙人モードを使いこなす修行をしていた。前回のバラン戦でオレの仙人モードは竜魔人とパワー、スピードで互角だったとは言い難い。

 

しばらくするとダイ達が帰ってきた。どうやらダイの新しい剣を手に入れたようだ。

 

(あの占い師の子スゲーな。今度オレも占ってもらおう。)

 

オレはダイ達と別れていた間にあったことについて情報交換した。ダイ達からの情報はこんな感じだ。

・ダイ達はランカークスの村でロン・ベルクというヒュンケルの魔剣を作った刀鍛冶に出会ったこと。

・オレ達が真魔剛竜剣を持った竜魔人を相手に闘った事を話すと気に入ってもらえたらしく、ダイが昔ロモス王にもらった覇者の冠で新しい剣を作ってもらったこと

・真魔剛竜剣はオリハルコンという金属でできており、同じ材質でないと勝負にならないこと

・覇者の冠はオリハルコンで出来ていること

・帰りに魔王軍の前線基地となっていた岩の巨人に遭遇し、新しい剣でこれを破壊したこと

・その際、岩の巨人で指揮を執っていたのはハドラーで、ハドラーは超魔生物になっていたこと

・ハドラーは以前とは比べ物にならないくらい強くなっていたこと。

・岩の巨人を破壊したことで力をかなり使っていたダイ達はその場は逃げてきたこと

 

(そうか・・・、ハドラーが強くなったか・・・。)

 

「リョーマの方はどうだったの?」

 

「ん?オレの方か・・・」

 

オレはバーンの拠点が死の大地にある事、入り口が見当たらない事、キルバーンの大鎌の攻撃について話をした。

 

「そっか、リョーマの方も大変だったんだね。」

 

「リョーマ、マァムに手は出さなかっただろうな?」

 

ポップがオレに確認を入れてきた。

 

「い、いや手は出してない・・・」

 

オレはあからさまに怪しい答え方をしてしまった。

 

(ほとんどレオナにはめられただけだし、ウソはついてないよな・・・・?)

 

「うん、手は出してない!」

 

ポップは明らかに怪しんでたが、それ以上の追及もできなかったようだ。

 

 

オレ達がそんな日々を過ごしている間にレオナのやっている事に動きがあったようだ。オレ達はレオナに集められその説明を聞くことになった。



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第029話 穢土転生、ヒュンケル復活!

オレ達はレオナに集められ、サミットの成果およびその後の動きを聞くことになった。まとめるとこんな感じだ。

 

・世界連合軍を結成し、各国の強者が前線基地に集められていること

・滅亡したカール王国跡に前線基地を設立したこと

・前線基地の設立中にカール王国の女王フローラが生きていることが判明し、合流したこと

・前線基地の指揮をフローラ女王が執る事になったこと

・オレが提供した情報を基に作戦が立てられていること

 

「それでね、フローラ様が作戦を進めるにあたって直接私たちに作戦を説明したいんだって。みんな一度私と一緒に全然基地に行ってもらえるかしら」

 

「うん、分かったよ。先生の故郷か・・・」

 

ダイ達はカールの跡地と聞いてどこか思うところがあるようだ。

 

(まぁ、アバンの使徒だからな。こういうときオレはちょっと疎外感を感じるな・・・。)

 

ポップはルーラとトベルーラで前線基地に行き、オレ達をルーラでパプニカから前線基地へ送り届けてくれた。

 

「ありがとうポップ、助かったよ」

 

「へへ、いいってことよ」

 

前線基地に着くと前から30くらいのきれいな女性が近づいてきた。

 

「フローラ様!ご無沙汰してます。」

 

レオナがあいさつした。

 

「久しぶりね、レオナ。でも悠長に挨拶している時間はないわ。早速本題に入らせて」

 

フローラ王女はオレ達に今後の作戦の説明をしてくれた。

 

・オレの情報から察するにバーンの本拠地は死の大地の地下にあり、結界が張られていること

・オレ達は死の大地へ乗り込み、アバンの使徒5人で破邪呪文ミナカトールを使い、バーンの結界の効果をおさえること

・バーンの結界の効果を抑えた後、地下へ侵入し、バーンを倒すこと

・そのためにレオナが破邪の洞窟へ潜り、ミナカトールを習得すること

・レオナがアバンの使徒となること(フローラ女王によるとレオナはアバンの指導を受けていないが、レオナにはその資質があるらしい)

 

「でもよ、アバンのしるしを持っている奴はここに3人しかいないぜ、姫さんを入れても4人だぜ?あと1人はどうする?リョーマか?」

 

ポップはアバンの使徒が5人いることが前提になっているのに人数が足りない事について指摘した。

 

「それなのよね・・・。」

 

ポップの指摘にフローラ女王は困った顔を見せた。

 

「あとの一人はヒュンケルならどうだ?」

 

オレはヒュンケルを数に入れることを提案した。

 

「えっ、でもヒュンケルは死んじまったじゃねーか。どうすんだよ」

 

ポップはオレの提案について指摘した。

 

「それについてはオレに任せてくれ。」

 

「でもあいつ大丈夫かよ、だって魔王軍だったんだぜ」

 

「なによ、最後は私たちの事助けてくれたじゃない。」

 

ポップの不安についてマァムがヒュンケルが改心したことをもちあげた。

 

「大丈夫です。アバンは間違ったものを選ばない。」

 

フローラ女王は勇者アバンの事を全信頼しているようだ。

 

「ポップ、あとでパプニカまで来てくれないか?オレは先に行ってヒュンケルを口寄せしておくから」

 

「そ、そんなことできんのかよ!」

 

ポップはお化けを口寄せするのと勘違いしているのだろうか、お化けにおびえるかのような口調だ。

 

「大丈夫、お化けを口寄せする訳じゃないんだから」

 

オレはポップの不安に対して苦笑しながら答えた。他のみんなも半信半疑といった様子だ。

 

(まあ、仕方ないよな・・・。)

 

「じゃあ、ちょっと行ってくる。ポップあとでよろしく」

 

オレは飛雷針の術でパプニカまで行き、ヒュンケルの墓のところへきた。

 

(さてと、ちょっと失礼・・・)

 

オレはヒュンケルの遺体の一部を取りヒュンケルの遺体を元に戻した。

 

そして術式を地面に書き、以前フレイザードを封印した巻物を取り出しその術式の上に置いた。

 

(さてと、準備完了・・・)

 

「口寄せ・穢土転生!」

 

フレイザードを封印した巻物を塵芥が覆い、ヒュンケルの姿を形成していく。

 

「オレは死んだはず・・・。お前はリョーマ?なぜおまえが?」

 

「久しぶりだな、ヒュンケル。オレ達を助けてもらいたくてあの世から口寄せさせてもらった。」

 

オレはヒュンケルにヒュンケルを口寄せした事情を話した。

 

「一度死んだはずなのに勝手に呼び出してすまないな。」

 

「構わん!オレはダイ達の力になりたい、自分のしたことを償いたいと思いながら死んでいった。今それが叶うのならどんな形でも構わん!だが、オレで大丈夫なのか?オレは一度悪に染まった身・・・」

 

「それについてはフローラ女王が言ってたよ。「アバンは間違ったものを選ばない」と」

 

オレは話し終えるとヒュンケルにヒュンケルの魔剣とアバンのしるしを渡した。

 

そういうやり取りをしているとポップがやってきた。ポップはヒュンケルを一目見るや腰を抜かしてしまった。

 

「おわわわわ、本当に生き返ってる・・・・しかも目の色がなんか違うくねーか?」

 

「あぁ、これは穢土転生で甦るとこういう目の色になるんだ。積もる話もあるが、とりあえずみんなのところへ行こうぜ!」

 

オレ達はポップのルーラで前線基地へ戻って行った。



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第030話 破邪呪文ミナカトール

オレとポップと穢土転生で復活したヒュンケルはポップのルーラでカール王国跡の前線基地へ向かった。そしてオレ達はみんなの待つ部屋へ入っていった。

 

「ヒュ、ヒュンケル?!」

 

みんなヒュンケルの姿を見て驚いた。どうやらみんなオレの話を信じ切れていなかったらしい。まるで幽霊を見るような顔つきだ。

 

(まぁ、無理もないか・・・)

 

「話した通りヒュンケルを口寄せさせてもらった。」

 

「みんな、オレはどんな事をしても償えない罪を犯してしまった。それでもオレは少しでもその罪を償いたい・・・。もし良ければオレにみんなの力にならせてくれ・・・」

 

「もちろん!大歓迎だよ、ヒュンケル!」

 

ダイが一番に口を開いた。

 

「私もよ、ヒュンケル」

 

マァムも同意した。

 

「オレも特に反対する理由はないぜ」

 

ポップもヒュンケルを仲間に入れることに同意したようだ。

 

ヒュンケルを仲間として受け入れることにみんなが同意すると、フローラ王女はレオナにミナカトールを習得させるためにパーティーを組んで破邪の洞窟へ入る事を提案した。メンバーはレオナ、フローラ王女、占い師のメルル、そしてマァムの4人だ。だが、ダイはこの話に反対のようだ。

 

「待って、オレも行くよ。レオナを危険な目に合わせられない」

 

ダイも破邪の洞窟へ行くのに志願した。どうやらダイはレオナが心配なようだ。

 

「ダイ君、私はダイ君に頼らずこの試練を乗り越えてみたいの。もちろんダイ君がいればこの試練は簡単になるのかもしれない。でもそれじゃこの後大魔王とは闘えない・・・。お願い私に行かせて・・・、そしてダイ君は今ダイ君にしかできない事をして・・・」

 

「分かったよ・・・レオナ、気を付けてね・・・」

 

オレはダイの新必殺技の修行に付き合うことになり、ヒュンケルは光の闘気の技の修行をすることになった。ポップはマトリフさんのもとへ修行を付けてもらいに行った。

 

 

1週間後。

 

フローラ女王達が破邪の洞窟から戻ってきた。どうやらミナカトールの習得に成功したようだ。ダイとヒュンケルはそれぞれ新しい技を身に付け、ポップはマトリフさんのもとで新しい魔法を習得したようだ。

 

「みんなそろったわね?」

 

フローラ女王が号令をかけた。

オレ達は各国首脳陣が集めた精鋭達と共に船で死の大地へ乗り込むことになった。その中にはブロキーナ老師もいた。ブロキーナ老師はオレ達の前で正体を明かしたというのに今回もなぜか布袋を被った変装をしていた。

 

オレ達は船に乗り込み死の大地へ向かった。死の大地に着くまで魔王軍の襲撃を覚悟していたがなんの襲撃もなく、オレ達は死の大地へたどり着いた。

 

(おかしい・・・なんかの罠か?)

 

「何の襲撃もないのは好都合。さあ、始めるわよ」

 

ダイ達アバンの使徒はアバンのしるしで五芒星を形成すべく集中し始めた。

その時、5体のチェスの駒を形どった金属体がオレ達の前に立ちふさがった。

 

「おぉっと、それ以上はこのハドラー親衛騎団が行かせないぜ。」

 

ポーンの駒の形をした金属体が人間態に変形し、言い放った。他の4体も同様に人間態に変形した。

そして周囲の山々から見たこともないモンスターが出現し始めた。恐らく魔界のモンスターなのだろう。どうやらオレ達は囲まれたようだ。

 

「みんな、ここはオレ達が食い止める。だからみんなはミナカトールを!」

 

オレはダイ達にミナカトールの完成を急ぐよう促した。

 

「分かったわ、みんな急ぎましょう!」

 

レオナがダイ達に呼びかけた。

 

(さてと、ここは踏ん張りどころだな・・・。奴らの身体は金属体・・・。なら!)

 

オレは仙人モードになり、火遁の印を組んだ。

 

「火遁・豪火滅却の術!」

 

オレの口から広範囲に渡って高い火力を持った炎が敵を襲う。術の範囲にいたモンスターは一層できたようだが、ハドラー親衛騎団の5体はそのまま残っていた。

 

「おいおい、オレ達にそんな炎は効かねーぜ。」

 

「なら、水遁・大瀑布の術!」

 

今度は大量の水が発生し、残っているハドラー親衛騎団に襲い掛かった。ハドラー親衛騎団は大量の水の波を浴びたが、特段ダメージを受けた様子はない。

 

「そんなのは効かねーって言ってるだろ。ん?」

 

彼らは体の違和感を感じたようだ。

 

「気が付いたようだな、お前らの身体は金属でできている。なら、高温で熱せられた後に水を浴びせられて無事なわけがない。」

 

「き、貴様!」

 

大ダメージを与えるとまでは行かなかったかもしれないが、動きをにぶらす程度のダメージを与えることができたようだ。

 

「写輪眼!」

 

オレは写輪眼を発動し、ハドラー親衛騎団を見た。どうやらハドラー親衛騎団はフレイザードと同じ構造をしており、心臓部にコアがあるようだった。

 

(いまだ!今なら奴らは速い動きはできない!)

 

オレは雷遁の印を組んだ。

 

「雷切!」

 

オレの手から雷状のチャクラが見える。オレはハドラー親衛騎団に突っ込んで行った。ハドラー親衛騎団はカウンターでオレの動きに合わせようとしたが、オレは写輪眼でハドラー親衛騎団の動きを先読みし、ハドラー親衛騎団の心臓部をそれぞれ貫いた。

 

「ぐぁ!どうして・・・・このオリハルコンのボディをいとも簡単に・・・」

 

「お前らの敗因は自分のボディを過信しすぎたことだ。高温に熱せられたお前らのボディが水を浴びれば、お前らの身体が金属である以上金属疲労を起こすのは自明の理・・・」

 

「見事だ・・・・」

 

心臓部を貫かれたハドラー親衛騎団は爆発した。

 

ちょうどその頃ダイ達はミナカトールを完成させたようで、ダイ達の五芒星から強いエネルギーが発せられたのを感じた。

 

 

 

 




仙人モードの強さを竜魔人と同等クラスとしたのでハドラー親衛騎団に苦戦したりするのはおかしいだろうということであえてさっくり退場いただきました。




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第031話 ハドラー vs リョーマ

「よし、奴らのアジトの機能は止めたぜ!あとはどうやって入る?」

 

ポップが言った。

 

「オレに任せてくれないか。」

 

オレはそういうと土遁の印を組んだ。

 

「土遁・地動核!」

 

地面が階段状に下がっていき、魔王軍のアジトの通路とつながった。

 

「突入のメンバーは、ダイ、ポップ、マァム、レオナ、ヒュンケルそしてリョーマよ。残りの者はミナカトールの魔法陣を中心に入り口と魔法陣を守って!」

 

フローラ王女はオレ達に突入の指示を促した。

 

「ここは任せておけ!」

 

クロコダインがオレ達に言った。

 

「分かった。任せたよクロコダイン!」

 

ダイがそういうとオレ達は魔王軍のアジトへ突入していった。

 

 

 

3時間後。

 

(おかしい、さっきからグルグル同じところを回っている気がする。)

 

「なぁ、みんな。さっきからおかしくないか?」

 

オレがみんなに声を掛けると地面から壁がせり出し、オレの側の地面が下がっていった。

 

「リョ、リョーマ!」

 

みんながオレを呼んだが時すでに遅し、オレのいた場所は別の通路に繋がってしまった。どうやらオレだけ孤立させたいようだった。

 

「このときを待っていたよ。君の能力は色々と厄介だからね。他のみんなから切り離させてもらったよ。」

 

聞き覚えのある声、キルバーンだ。

 

「なんでオレが厄介なんだ?」

 

「キミがいると僕のトラップが防がれる可能性が高くてね。悪いけどここで消えてもらうよ。」

 

(オレとしてもこいつとここで会えたのは好都合!コイツの黒の結晶・・・ここで処理させてもらう!)

 

オレは印を組んだ。

 

「口寄せ・蝦蟇口縛り!」

 

あたりの壁が生物の内臓のようなものに変わっていく。

 

「な、なんだ。何をした!」

 

「妙木山岩宿の大蝦蟇の食道の部分を口寄せさせてもらった。これでお前はオレの腹の中だ。」

 

キルバーンは抵抗したが、オレはキルバーンと使い魔を壁に蹴り飛ばし、キルバーンと使い魔の手足が壁に埋まっていった。

 

「捕まえたぞ、キルバーン!」

 

オレはキルバーンのマスクを斬り落とし、黒の結晶らしきものがむき出しになったところで封火法印の術式の入った巻物を広げた。

 

「封印術・封火法印!」

 

キルバーンの頭の黒い物体から黒いエネルギーが術式の中に封印されていった。

 

「き、貴様~。どうしてそれを!」

 

キルバーンの使い魔がこれまでとは口調を変えてオレに言い放った。オレは写輪眼を発動し、

 

「オレの写輪眼はチャクラの流れを見ることができる。貴様のその人形にはチャクラの流れが見えず、頭に危険な火のエネルギーだけが見えた。使い魔のふりをしているがお前が本当のキルバーンなんだな?」

 

「くっ、お前は一番最初に消すべきだったよ。」

 

キルバーンの本体である使い魔からチャクラの変化が見えたのでオレはキルバーンの本体の手をクナイで刺した。

 

「ぎゃ!」

 

「おっと、妙な真似はするなよ?言った通り、オレの写輪眼はチャクラの流れを見切る。」

 

オレはキルバーンを殺す前に写輪眼を使って尋問し、いくつかの情報を聞き出した。

 

・キルバーンの本当の主人はヴェルザーであること

・バーン暗殺の密命を受けていること

・アジト内にはいくつもの罠を仕掛けているがキルバーンの魔力なしには作動しないこと

 

オレはキルバーンから情報を聞き出すと、キルバーンの本体にクナイを突き立て始末した。

 

オレは写輪眼でキルバーンが死んだのを確認すると口寄せを解除した。

 

「さてと・・・、みんなのところへ戻るか・・・」

 

「待て!」

 

オレの後ろからオレを呼び止める声がした。ハドラーだ。以前オレが見た姿とは風貌も雰囲気も異なっていた。

 

(ダイが言った通り、超魔生物になっているな。雰囲気も前と全然違う・・・。どうやら強くなったというダイの情報通りらしい・・・)

 

「リョーマ、貴様に決闘を申し込む!オレは前回貴様にやられた屈辱を忘れはせん!」

 

(逃げることもできるが、バーンとの闘いの事を考えるとこいつはここでたたいておいた方がいいな。)

 

「いいだろう、ハドラー、受けて立ってやる!」

 

オレは仙人モードに入り、写輪眼を発動させた。

 

ハドラーは剣を構え、オレに突っ込んできた。

 

(あの剣の形状・・・本物の覇者の剣か?)

 

オレはハドラーの剣を受けるためクナイを雷遁で覆って受けた。

 

「ほう、よくこの剣がオリハルコンの剣だという事が分かったな。」

 

「前にロモスで同じ剣を見た。そっちは偽物だったけどな。」

 

オレとハドラーは互いに斬りあった。剣技・体術はややオレが押しているようだ。

 

「く、超魔生物になっても押し切れんとは・・・」

 

ハドラーが悔しさを表情に浮かべた。

 

「これならどうだ。ベギラゴン!」

 

巨大な炎がオレを襲う。

 

オレは水遁の印を組んだ。

 

「水遁・水陣柱!」

 

オレの前に大きな水柱ができ、ハドラーの呪文を防いだ。

 

「イオナズン!」

 

ハドラーが呪文を唱えると爆発系のエネルギーがオレを襲う。

 

「土遁・土流壁!」

 

オレが土遁の印を組むとオレの目の前に大きな土の壁ができ、ハドラーの呪文を防いだ。

 

「今度はこっちから行くぞ!」

 

オレは火遁の印を組んだ。

 

「火遁・豪火滅失!」

 

巨大な高温の炎がハドラーを襲った。

 

「う、うぉぉぉぉぉ!」

 

ハドラーはまともに食らいダメージを受けたようだが、術が終わるとハドラーの肉体は既に回復を始めていた。

 

(あの回復力、厄介だな・・・)

 

「はぁはぁ・・・・、流石一度はオレを赤子扱いしただけの事はある・・・、こうなれば我が秘剣を食らえ、超魔爆炎覇」

 

ハドラーは炎の暗黒闘気を剣と体にまとわせ、オレに突っ込んできた。




仕事が繁忙期につき、次回以降アップのペースが落ちます。仕事の繁忙期になる前に書き上げたかったのですが終わりませんでした・・・。一週間に一話以上のペースでは更新しようと思っています。


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第032話 アバン登場

オレを相手に優位を見いだせないハドラーは奥の手である超魔爆炎覇で襲ってきた。

 

「それがお前の奥の手か・・・」

 

オレは雷遁の印を組んだ。雷遁が体を覆っていく。

 

「雷遁・チャクラモード」

 

雷遁がオレの体を覆ったことでオレの防御力、スピード、パワーが飛躍的に上がる。バラン戦の後、竜魔人との身体能力の差を埋めるべく、新術と共に磨いてきた技だ。

 

(これの難点は、発動中は他の忍術が使えない事なんだよな・・・・)

 

オレはハドラーの目にもとまらぬ速さでハドラーの背後に回り、後ろから蹴りを浴びせた。ハドラーはオレの蹴りで地面に打ちつけられた。

 

「く、き貴様~」

 

オレはハドラーが地面に打ちつけられたのをみて雷遁・チャクラモードを解き、土遁の印を組んだ。

 

「土遁・山土の術!」

 

ハドラーの両脇の地面がせり上がり、地面に打ちつけられたハドラーを挟み込む。

 

「ぐわぁぁぁぁ」

 

ハドラーは地面に挟まれて身動きが取れない状態になった。

 

「終わりだ、ハドラー!」

 

オレは大玉螺旋丸に雷遁の性質変化を少し加え、徐々に雷遁の性質変化を大きくしていった。

 

「仙法・雷遁大玉螺旋丸!」

 

オレは雷遁大玉螺旋丸でハドラーを襲った。

 

「ぐうぉぉぉぉぉ!」

 

ハドラーは跡形もなく消し飛んだ。

 

(終わったか・・・、みんなに合流しないと。)

 

オレは飛雷針の術を使い、ダイ達に合流した。するとダイ達は大きな門の前で立ち往生していた。どうやらダイ達は目の前の門を破壊できなくて困っているようだ。

 

「リ、リョーマ!戻ったんだね!」

 

「あぁ、途中キルバーンとハドラーに遭遇して時間を食ってしまった。」

 

オレ達は別れていた間の情報交換をした。どうやらダイ達はオレと分断された後リョーマ達はオリハルコンの駒の兵士に襲われてこれを撃退したらしい。

 

「よっしゃ、残るはミストバーンと大魔王バーンだけだぜ!」

 

ポップがはしゃいだ。

 

「この門はどうして破壊しないんだ?ダイやヒュンケルの技もしくはポップの呪文で破壊できそうなのに・・・・」

 

「それが、えらい頑丈だし、魔法ははじくわで」

 

「じゃあ、今度はオレが」

 

オレが仙人モードに入ると後ろから羽らしきものが飛んできて扉に五芒星を描いた。

 

「アバカム!」

 

目の前の大きな扉が開いていく。

 

(誰だ?)

 

オレ達が後ろを振り向くと眼鏡をかけ、剣を携えた男が立っていた。

 

「せ、先生!」

 

ダイ達が声を揃えて驚いた。

 

(勇者アバン?ダイ達の話だと死んだはずでは?)

 

「心配かけておいてすいません。ですが、ここにいる私は幽霊でも偽物でも幻でもありません。本物の私です。」

 

眼鏡の男が言った。眼鏡の男の話によるとこうだ。

 

・眼鏡の男はハドラーとの闘いでメガンテを使った後、カールの守りという身代わりアイテムで一命をとりとめていたこと

・ダイ達の成長の妨げにならぬようダイ達と共に旅に出ず、破邪の洞窟にこもり修行していたこと

・レオナがミナカトールを習得したときの振動で最終決戦が近い事を知り、ダイ達を探し合流を図っていたこと

 

(そうかこの眼鏡の男がアバン、一度お目にかかりたいとは思っていたがこんな形で実現するとは・・・)

 

「ダイ、ポップ、マァム、そしてヒュンケル・・・。みんな見違えるようになりましたね。私がいなくても自分たちの力だけでこれほどまでに成長してきたあなたたちを私は誇りに思いますよ。」

 

ダイ達が感動の再開を果たしている中一人背を向けている男がいた。ヒュンケルだ。

 

「ヒュンケル、あなたも自分の気持ちに素直になっていいのよ?」

 

レオナがヒュンケルに言った。

 

「姫、これがオレの素直な気持ちです。まさに顔向けができない・・・」

 

ヒュンケルの両目から涙が流れ出ていた。

 

「ヒュンケル、私はあなたが生きてダイ達に力を貸してくれているというだけで私は夢のように幸せです・・・。」

 

(ヒュンケルはもう死んでいるんだけどな・・・、まぁこの場は雰囲気を壊さないようにあえて黙っていよう。)

 

ヒュンケルの後ろ姿はどこかうれしそうだ。

 

(それにしても、かなり疎外感。オレ一人だけアバンの使徒じゃないからな・・・)

 

とオレが思ったのを見透かしたのかアバンがオレに声を掛けてきた。

 

「初めまして、私アバン=デ=ジニュアール3世といいます。アバンと呼んでください。」

 

「オレはリョーマといいます。ダイ達と一緒に冒険してきた仲間です。オレもリョーマって呼んでください。」

 

「リョーマはすごく強いんだよ。忍術とかいうスゴイ魔法を使うし、体術も凄いんだぜ。」

 

ダイがアバンにオレの自己紹介をしてくれた。

 

「それはそれは私の弟子たちに力を貸してくれたこと、感謝します。」

 

「いや、オレの方こそ。」

 

 

 

オレ達がそういう話をしていると開いた扉の向こうから声が聞こえた。

 

「貴様等、いつまでそうしているつもりだ?」

 

ミストバーンの声だ。

 

「リョーマ、お願いがあるのですが」

 

アバンがオレに声を掛けた。

 

「私とあなたで奴を足止めしたいのですが・・・」

 

「何か考えがあるので?」

 

「勇者、つまりダイ君をなるべく無傷で大魔王バーンの前に立たせる事が重要だと考えています。」

 

「なるほど、分かりました。ですがミストバーンにはダメージが通らない秘密があるようです。」

 

「ダメージが通らない?それは興味深いですね。もしかしたら私の知識が役に立つかもしれません。私は呪法等の知識はかなり持っています。」

 

「オレもその話に加えてくれ。オレも奴には因縁がある。」

 

ヒュンケルが話を聞いていたようだ。オレはアバン、ヒュンケルとともにミストバーンを足止めすることになった。

 



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第033話 ミストバーン攻略

「みなさん、ここは私とヒュンケル、そしてリョーマで足止めします。みなさんはバーンのもとへ」

 

アバンはダイ達に言った。

 

「そんなの無茶だよ!」

 

ダイが反対した。

 

「『すべての闘いを勇者のためにせよ。』。私はダイ君を如何に無傷でバーンの下へたどり着かせるかがこの闘いのカギになると思っています。だからここはね。」

 

「分かりました。」

 

ダイはしぶしぶ納得したようだ。

 

(さすが師匠パワー。説得力あるな。)

 

「なぁに、終わったらすぐに追いかけますよ」

 

「そういう事なら、多重影分身の術!」

 

オレは写輪眼を発動し、ミストバーンに襲い掛かった。仙人モードは使っていない。仙人モードはチャクラコントロールが難しいため多重影分身との併用ができない。

 

「闘魔滅砕陣!」

 

ミストバーンの周囲の影分身が暗黒闘気に縛られて動けなくなっている。

 

「かかったなミストバーン!」

 

「なんだと?」

 

「ダイ、今のうちだ!ミストバーンがこの技を出している間はこの場から動けない!」

 

「貴様!謀ったな!」

 

ダイ達はミストバーンをすり抜けて先に進んだ。

 

「先生、ヒュンケル、リョーマ。絶対追いついてきてね!」

 

ダイはそう言って先に行った。

 

ダイ達が行ったのを確認するとオレは影分身を解いた。

 

ミストバーンは残ったヒュンケルを見た。

 

「ヒュンケルだと?貴様、ヒュンケルか!貴様は死んだはず!なぜここにいる?」

 

「貴様を葬るために地獄から舞い戻ってきたのだ!行くぞ!リョーマと先生は手を出すな!」

 

ヒュンケルはミストバーンに斬りかかった。ミストバーンはデストリンガー・ブレードで応戦する。剣技ではヒュンケルの方にかなり分があるようでミストバーンは何回もヒュンケルに斬られていた。しかしミストバーンの動きはダメージを受けているそれではない。

 

「これで終わりだミストバーン!アバンストラッシュ!」

 

ヒュンケルはアバンストラッシュを放った。ミストバーンの衣の一部が破れ、ミストバーンはふっ飛ばされた。

 

「ヒュンケル、よくぞここまで・・・」

 

アバンはヒュンケルの成長ぶりに感心していた。

 

しかしミストバーンはアバンストラッシュを浴びたにも関わらず、何事もなかったように起きてきた。

 

「く、バーン様と連絡が取れぬ、だが貴様らを葬り去るにはこの闇の衣を脱ぎ払う他ないようだな。この衣をバーン様の許可なしに脱ぐ事がどれだけ罪深いことなのか貴様には分かるまい。」

 

ミストバーンは闇の衣を脱ぎ払った。ミストバーンのプレッシャーが何十倍にも膨れ上がっていく。

 

「衣を脱いだとて同じこと!」

 

ヒュンケルはミストバーンに斬りかかった。だがミストバーンに一切ダメージはなく、掌底でヒュンケルの右腕を吹き飛ばしてしまった。

 

「ヒュンケル!」

 

アバンが心配して駆け寄った。だがヒュンケルの吹き飛ばされた腕のあたりに塵芥が集まり再びヒュンケルの腕を形成していく。

 

「ヒュンケル?あなた・・・」

 

「見てのとおりオレは本当の死人なんです。今はリョーマの力でこの世に戻ってきてます・・・」

 

「そ、そうですか・・・・」

 

アバンは複雑な表情を浮かべた。

 

「でも、今ので何となく分かりましたよ。奴の秘密が・・・。次は私が行きます。」

 

アバンは斬りかかった。だがミストバーンはいとも簡単にアバンを吹き飛ばしてしまった。

 

(妙だ、アバンは本気で斬りかかったように見えない・・・何か別の目的が?)

 

「分かりましたよ、あなたの秘密が・・・凍れる時の秘法!」

 

「貴様、どうしてそれを!」

 

「なあに、私も使ったことあるんですよそれ。」

 

ミストバーンの問いにアバンが答えた。

 

「リョーマ、ミストバーンを足止めしてもらえますか?」

 

「分かりました。」

 

オレは仙人モードと写輪眼を発動した。

 

(ここは、蛙組手だ!スキを見て山土の術を!)

 

オレは蛙組手をミストバーンに仕掛けた。だが、やはりダメージが通る様子がない。オレが蛙組手でミストバーンと格闘戦を広げている最中ミストバーンは体勢を崩した。

 

(今だ!)

 

オレは土遁の印を組んだ。

 

「土遁・山土の術!」

 

ミストバーンの両脇から地面がせり上がり、ミストバーンを挟み込んだ

 

「今です!」

 

アバンはそのすきをついてミストバーンに羽を投げつけた。羽が五芒星を形成する。

 

「シャナク!」

 

アバンは呪文を唱えた。その瞬間ミストバーンの体にチャクラの流れが見え始めた。

 

(何だ?一体何をした?)

 

「き、貴様~!」

 

オレは確かめるために雷遁で覆ったクナイをミストバーンに投げた。クナイがミストバーンの頬をかすめ、ミストバーンの頬にキズができた。

 

(ダメージが通った!)

 

「き、貴様等~、この体に傷を!絶対に許さん!」

 

ミストバーンが激高した。ミストバーンの威圧感が高まっていく。

 

その時、ミストバーンの動きが急に止まった。どうやら何者かとコミュニケーションを取っているようだ。

 

コミュニケーションらしきものが終わるとミストバーンは黒いガス状の生命体と肉体に別れ、肉体の方はどこかへ飛んで行ってしまった。

 

「今長年お預かりしていたバーン様の肉体をお返しした。ダイ達はもう終わりだ。お前たちもすぐに後を追わせてやる。」

 

ガス生命体となったミストバーンはオレ達に襲い掛かってきた。

 

「空裂斬!」

 

アバンとヒュンケルは空裂斬をミストバーンに向けてはなった。だが二人の空裂斬はミストバーンによってはじかれてしまった。

 

「ぐふふ、こんなもの効かぬわー!」

 

ミストバーンはヒュンケルを目がけて突っ込み、ヒュンケルの中に入り込んでしまった。

 

「ぐぁぁぁぁぁ!」

 

ヒュンケルの肌の色が色黒く変わっていく。

 

「くくく、ようやく手に入れたぞ。無敵の不死の肉体を」

 

どうやらミストバーンはヒュンケルを乗っ取ってしまったようだ。



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第034話 ミストバーンの最期

ミストバーンはヒュンケルの体に入り込み乗っ取ってしまった。

 

(マズイ・・・。穢土転生を解くしかないか・・・?)

 

「リョーマ、私に考えがあります。大変申し訳ありませんが、またミストバーンの足止めをしていただけますか?」

 

(この状況で打開策があるのか?この人ハンパないな・・・。流石ダイ達の師匠といったところか・・・)

 

「分かりました。」

 

オレは先ほどと同様仙人モード&写輪眼でスキを作り、山土の術を仕掛けた。

 

「何度も同じ手は食わぬわ!」

 

ミストバーンは山土の術の壁を壊してしまった。

 

(やっぱ同じ手は食わないか・・・なら)

 

オレは口寄せの術の印を結んだ。

 

「口寄せ・蝦蟇口縛り!」

 

あたりの壁が生物の内臓のようなものに変わっていく。

 

「何だこれは?貴様何をした?」

 

「妙木山岩宿の大蝦蟇の食道の部分を口寄せさせてもらった。」

 

あたりの肉壁がミストバーンを襲ったが、ミストバーンはヒュンケルの魔剣で切り払う。壁による攻撃だけでは厳しいと見たオレは蛙組手を仕掛けた。仙人モード&写輪眼による格闘戦ではオレに分があるようだ。オレはミストバーンのスキをついてミストバーンを大蝦蟇の食道の壁に打ちつけた。ミストバーンの手足が壁に埋まった。

 

「くっ!」

 

「今です!」

 

アバンはまたしても羽をミストバーンに投げつけた。羽が羽が五芒星を形成する。

 

「ニフラム!」

 

ヒュンケルの肌の色が元に戻って行く。

 

「やったか?」

 

「いえ、今のは手ごたえがありませんでした。」

 

どうやらヒュンケルからミストバーンが飛び出したようだ。ミストバーンの気配はあるが、どこにいるか把握できない。

 

「どこだ?ミストバーン!」

 

しばらくオレ達が探しているとミストバーンが再びヒュンケルの後ろから現れた。

 

「くくく、残念だったな。オレは何度でもヒュンケルに入り込むことができるぞ、こんな感じにな」

 

ミストバーンは再びヒュンケルに入り込もうとする。

 

「ぐ、ぐぉぉぉぉ!何だこれは?これは光の闘気だと?ぐぁぁぁぁ!」

 

今度はミストバーンが入り込んでもヒュンケルの肌の色が変わらない?

 

「ヒュンケル?ヒュンケルなのか?」

 

「あぁ、オレだ。ミストバーンは今オレの中で消滅した。一度オレの中から抜け出したのがミストバーンの失敗だったな。オレはミストバーンが抜け出した後、光の闘気を溜め、奴に備えていたのだ。」

 

「ヒュンケル、やりましたね。」

 

「オレは飛雷針の術で先にダイ達の下へ行きます。」

 

「ちょっと待ってください。これを持って行ってください。」

 

アバンはオレに砂のようなものを渡した。

 

「これはルラムーン草を材料に作った魔法の砂です。これがあれば私達も一瞬であなたに追いつけます。」

 

「分かった。」

 

オレはアバンから魔法の砂を受け取るとダイ達が持っているであろうオレの飛雷針の術のマーキングが入ったクナイに向かって飛んだ。続いてアバンとヒュンケルも同じところに飛んできた。目の前には先ほどミストバーンが入っていたと思われる男が構えを取って立っており、その前でダイとマァムがかろうじて立っており、見慣れない玉が地に転がっていた。

 

「ダイ、マァム、大丈夫か?ポップやレオナは?」

 

「ポップやレオナならそこだよ。ダメージを負い過ぎてバーンに闘う資格なしとされるとあの額の目で玉にされちゃうんだ」

 

ダイはオレの問いに答えた。

 

「くくく、余に逆らうものがまだおったのか?どれ、貴様たちは余と闘う資格があるかな?」

 

バーンの額の目が光った。するとヒュンケルが玉にされてしまった。

 

(なぜだ?ヒュンケルはダメージもないし、レベルもかなり高いはず・・・)

 

「死人如きが余と闘う資格等持たぬわ!」

 

「ダイとマァムの回復をお願いします!オレは時間を稼ぎます。」

 

「待って、リョーマ!一人で無茶よ!」

 

オレはマァムの静止を振り切り、仙人モードに入り、写輪眼を発動し、バーンに接近戦を仕掛けた。するとバーンはオレに掌底を仕掛けてきた。オレは写輪眼で先読みし、それをかわす。その後間髪入れず、手刀でオレに攻撃したがオレはこれもかわした。するとバーンは呪文を仕掛けてきた。オレはかわしきれそうになかったので飛雷針の術でマァムのところへ飛んだ。

 

「ほう、余の天地魔闘の構えをかわし切るとはな。だがかわすので精いっぱいといったところだな。」

 

(その通り、今のは仙人モードと写輪眼でもギリギリだった。ダイ達はこんな奴とさっきまでずっと闘っていたのか・・・)

 

(接近戦を仕掛けるのは不利極まりないな・・・遠距離はどうだ?)

 

オレは手裏剣を取り出し、手裏剣に雷遁を覆わせ、バーンに向かって投げて印を組んだ。

 

「雷遁・手裏剣影分身の術」

 

雷遁を覆った手裏剣が分身し、無数の手裏剣がバーンを襲う。

 

「ほう、面白い技を使う。ならばこれならばどうだ!カラミティウォール!」

 

バーンは手刀を地面に向けて振り払うと闘気の壁ができてオレ達に向かって襲い掛かってきた。手裏剣は全てはじかれた。

 

(マズイ、このままだと回復中のダイとマァムのところに行ってしまう。)

 

オレは土遁の印を組んだ。

 

「土遁・土流割!」

 

地面が割れてせり上がり、カラミティウォールも共にオレ達の前で割れて霧散していく。

 

「ふははは、貴様面白いぞ!こうまで余の技をしのぐとはな!」

 

(とはいうものの、オレの攻撃はまだ奴には一つも届いていない。)

 

「リョーマ、待たせたわね!」

 

どうやらダイとマァムが回復を終えたようだ。

 



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第035話 激闘大魔王バーン

ダイとマァムがアバンの羽でダメージを回復し、戦線に復帰した。これで4対1となった。オレは写輪眼との相性もあって、天地魔闘の構えをしのぎ切ることができ、時間を稼ぐ事ができた。戦況はオレ達の方がかなり有利になった。しかしバーンの表情からは余裕がある。

 

(なんだこの余裕は?どうしてそんなに余裕がある?)

 

「余が余裕そうにしているのがなぜか気になるようだな。では貴様に教えてやる。」

 

バーンはオレ達に猛スピードで向かってきた。オレは写輪眼でかろうじて対応し、ダイも持ち前の反射神経でかろうじてかわしたが、アバンとマァムはバーンの攻撃をまともに受けて吹っ飛んでしまった。バーンは仙人モードで写輪眼を発動しているオレとダイを相手に互角の格闘戦をしていた。

 

「見たか!確かに余の天地魔闘の構えはかわされたが、普通に闘ってもお前たちよりは強い!」

 

そしてバーンの額の瞳が光り、光線がアバンとマァムを貫いた。アバンとマァムはヒュンケル達と同じく玉になってしまった。オレ達はそれを見てあっけに取られてしまった。

 

「どうしたスキだらけだぞ?」

 

バーンはオレ達のスキを見逃さず、オレ達にカイザーフェニックスと掌底を仕掛けてきた。ダイはまともにカイザーフェニックスを食らい、オレもまともに掌底を食らってしまった。

 

「ぐぁぁぁぁぁ!」

 

(マズイ、今のであばらが数本逝った。)

 

オレは回復のため一旦隠れることにした。

 

「雷遁・雷幻雷光柱!」

 

オレから強烈な光が周囲を包んだ。バーンの目が眩んだと思われるスキにダイを連れて一旦物陰に隠れ、医療忍術で治療を始めた。

 

「おのれ、どこへ隠れた?まさか勇者ともあろうものが仲間を見捨てて逃げたわけでもあるまい。出てこぬのなら仲間の瞳を一つ一つ潰していくことにしよう。」

 

(まずい、ダイもオレもまだ全快には程遠い。)

 

その時、ダイが起き上がった。

 

「ダイ、お前の傷はまだ治っていない、もう少し待ってくれ!」

 

ダイは首を振ってオレに答えた。

 

「リョーマ、リョーマはいつもオレ達のために一人で無茶な時間稼ぎをしてくれた。今度はオレの番だ。今度はオレが時間を稼ぐよ。」

 

そういってダイはバーンの前に出た。

 

「バーン、勝負だ。」

 

「フハハハ、やはり勇者はこうでなくてはな。」

 

バーンは天地魔闘の構えだ。対峙する二人。ダイは中々仕掛けない。ダイはオレのために時間を稼ぐ気だ。

 

「怖気づいたか?ではこちらから行くぞ。」

 

バーンはダイに襲い掛かった。ダイはバーンの攻撃を受けるのがやっとだ。ダイの体勢が崩れた瞬間にバーンはカイザーフェニックスをダイに放った。

 

「ぐぁぁぁぁぁ!」

 

ダイはその場に崩れ落ちた。

 

「そうら、止めをくれてやろう。勇者様の最期だ。ふはははは」

 

バーンはダイの首根っこを掴み持ち上げた。

 

(よし、医療忍術の治療が終わった。)

 

オレはダイの持っている飛雷針の術のマーキング入りのクナイを目がけて飛んだ。

 

「飛雷針斬り!」

 

オレは飛雷針の術でダイのところへ飛び、そのまま雷遁で覆ったクナイでバーンを斬りつけた。

 

「なんだと!」

 

バーンは突然の攻撃に驚き、ダイを離してしまった。オレはその隙にダイを担いでバーンと距離を取った。

 

「ダイ、ダイのおかげでオレの治療が終わったよ。」

 

オレがダイにそういうとダイは

 

「リョーマ、あとは任せたよ・・・」

 

と答えた。その瞬間バーンの額の瞳が光り、ダイも玉にされてしまった。

 

「あとは貴様だけだな。」

 

オレは忍術を使う事を諦め、雷遁チャクラモードを発動し、バーンに蛙組手を仕掛けた。

 

「ぬう、貴様、さっきまでとは違うな。」

 

オレはバーンと格闘戦を行った。今度は流石にオレの方が押している。

 

(このまま押し切ってやる。)

 

「ぬぅぅ、カイザーフェニックス」

 

バーンはカイザーフェニックスを撃ってきた。炎の不死鳥がオレを襲う。オレは完全にはかわし切れず、少し食らってしまった。

バーンはオレが避けている間にバーンの額の瞳で玉にした玉を持っていた。

 

(あの位置はマァムの?)

 

「余ばかりやられているのは不公平だからな、少しはお前の悔しそうな顔を見せてくれ。」

 

「やめろ、やめてくれー!」

 

バーンは玉からマァムを戻し、マァムの首の骨を折ってオレの方に投げつけてきた。

オレはマァムを受け止めた。

 

「マァム?マァム?」

 

マァムの体温がオレの腕の中で失われていくのを感じた。

 

「うぁぁぁぁ!」

 

マァムをオレは我を失い絶叫した。

 

「ようやく貴様の悔しそうな顔が見れたわ。これぞ溜飲が下がるというもの。安心しろ、貴様もすぐに後を追わせてやる。」

 

バーンは手刀の構えを取り、オレの首をはねようとした。

その時、オレの絶叫と共にオレの写輪眼の形が変わっていった。万華鏡写輪眼だ。

 

「貴様は絶対に許さん!天照!」

 

オレがバーンをにらむとバーンが黒い炎で燃え始めた。

 

「なんだ、何をした。マヒャド!」

 

バーンは万華鏡写輪眼で付けた黒い炎をマヒャドで消しにかかった。しかし黒い炎は一向に消える様子がない。バーンは消火を諦め、黒い炎の部分を自分の肉体ごと手刀で切り落とした。

 

オレはそのスキをついて攻撃を仕掛けた。

 

「仙法・超大玉螺旋丸」

 

オレはバーンに超大玉螺旋丸で攻撃した。自分の肉体を切り落としたばかりのバーンはかわし切れずそのまま超大玉螺旋丸をまともに受けてしまった。

 

「ぐぁぁぁぁぁ!」

 

「バーン、お前に教えてやる。この万華鏡写輪眼は写輪眼を持つものが一番大切な人を失ったときに開眼するものだ。だから今分かったよ。マァムがオレにとって一番大切な人だったんだって。」

 

「人間如きが何を!」

 

バーンはオレの攻撃に驚愕したのも束の間、冷静に戻ったようだ。

 

「認めてやるぞ人間。お前は余より強い。魔界で敵なしの余よりもだ。どうやらお前を倒すには余も覚悟を決めねばならぬようだ。」

 

バーンはそういうと自分の額の目を抉り出した。

 

「一体何を?」

 

バーンを黒い岩が覆っていく。

 

「人間よ、お前の強さは人間どころかこの世のものとは思えん。だから悟ったのだ。お前に勝つには余が魔獣となるしかないと」

 

バーンはそういうとバーンを覆う黒い岩が巨大な魔獣をかたどり始めた。バーンは巨大な魔獣となった。

 




今回マァムが死んでしまいましたが、ハッピーエンドで終わる予定です。


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第036話 決着

黒い岩に覆われ、大きな魔獣となったバーンはオレに襲い掛かってきた。

 

「天照!」

 

オレがバーンをにらむと黒い炎がバーンから発生する。だがバーンは黒い炎がついた箇所を切り離してしまった。

 

(ここまででかいと天照は陽動程度の効果しかないな・・・)

 

「ふははは、さっきまでの勢いはどうした人間よ!」

 

バーンはそういうと天井を突き破って地上へ出て行ってしまった。

 

オレも軽重岩の術であとを追う。

 

オレとバーンは空中で格闘戦を繰り広げていた。といってもバーンの方がかなり大きいのでかなり異様な格闘戦ではあるが・・・。サイズの違いもあり、オレは押されていた。

 

(くそ、こんな手を隠していたとは・・・。でもこいつだけは、こいつだけは!)

 

「おまえだけは、おまえだけは絶対に許さん!」

 

オレは万華鏡写輪眼を使って須佐能乎を発動した。オレの周囲にチャクラが発生し、オレを覆うように大きな巨人を模った。

 

「バーン!」

 

オレは須佐能乎の拳でバーンを殴りつけた。

 

「ぐぁぁぁぁ!なんだと!」

 

須佐能乎で殴りつけるとバーンの体から黒い岩の破片が飛び散った。どうやら須佐能乎の攻撃力はバーンの防御力を遥かに上回っているようだ。オレはそのままバーンがボロボロになるまで殴り続けた。

 

「おのれぇぇぇ!」

 

「バーン、しばらく動けまい、これで最後だ!」

 

オレは須佐能乎の手に螺旋丸を発生させ、雷遁のチャクラ性質変化を加えた。螺旋丸が時間をかけて雷遁の性質を帯びていく。

 

「くらえ!仙法・超大玉雷遁螺旋丸!」

 

オレは須佐能乎の手に発生した巨大な雷遁螺旋丸でバーンを攻撃した。

 

「ぐぁぁぁぁ!」

 

バーンの断末魔だ。螺旋丸が通過した後にはバーンを形成していたものは何も残らなかった。

 

(マァム、仇は取ったよ・・・。)

 

オレは勝利を喜ぶわけでもなく、みんなの待つ地上へと戻って行った。

 

 

地上にはバーンの瞳から戻ったダイ達や地上でモンスターの相手をしていたクロコダイン達がいた。

 

「リョーマ、やったね・・・・」

 

「うん・・・・」

 

やはりマァムの事があってかみんなの表情はオレ同様暗かった。たった一人を除いて・・・。

 

「ちょっと、みんななんでそんなにしんみりしてるのよー。バーンがいなくなったんでしょ?」

 

レオナが場の空気を壊すかのように明るく言い放った。

 

「だって、マァムが・・・」

 

「マァムね、大丈夫よ。」

 

オレ達は驚いてレオナの方を見た。

 

「レオナ、どうしてマァムが大丈夫なんだ?」

 

「だって私ザオラル使えるでしょ?それでアバン先生の羽を使えば・・・ね?」

 

みんな雷に打たれたような表情をした。

 

「それだ!」

 

レオナはマァムの遺体?のあるところでアバンの羽で五芒星を描き、ザオラルを唱えた。しばらくするとマァムが動き始めた。

 

「あれ?私は死んだはずじゃ?」

 

それを聞いたみんなは完成を上げた。オレは涙を流しながら喜んだ!

 

「マァム、マァム!」

 

オレは泣きながらマァムに抱き着いた。

 

「ちょっとどうしたのよ!」

 

「マァム、マァム!」

 

「いい加減にしなさい!」

 

マァムの容赦ない鉄拳がオレれに飛ぶ。オレは3メートルくらいふっ飛ばされた。

 

「ぐはぁ!バーンより強烈な一撃だ・・・」

 

みんなはそれを見て笑った。

 

「マァム、それくらいにしてあげなよ。せっかくリョーマがあんな熱い告白をしてくれたのに。」

 

「え!いや、その、それは・・・」

 

オレとマァムは顔を真っ赤にした。

 

「もしかしてみんな聞いてた?」

 

「えぇ、バッチリよ。」

 

「マァム、ほらリョーマになんか言ってあげなよ。」

 

レオナがマァムに返事を促す。

 

「え、その・・・知らない!」

 

マァムは返事をすることなくその場から逃げ出してしまった。

 

「レオナ~、ちょっとやりすぎだよ~。」

 

ダイがレオナをたしなめた。

 

「そうね、ちょっとやりすぎちゃったかしら。リョーマごめんね。」

 

「い、いや。」

 

「それより追いかけなくていいの?今がお互いの気持ちを確認するチャンスよ?」

 

オレはレオナの言い回しが若干気に入らなかったが言っている事はもっともなのでマァムの後を追いかけた。すると岩陰に考え込んでいるマァムがいた。

 

「マァム、さっきはごめん」

 

別にオレが悪いわけではないと思うのだが取りあえず謝った。

 

「何がよ?」

 

「いや、だからその、オレがみんなの前で告白しちゃったこと・・・」

 

「あれはウソだったの?」

 

「いや、ウソじゃないんだけど、その・・・・」

 

うろたえているオレを見てマァムが申し訳なさそうに言った。

 

「ゴメン、私の方が照れ隠しで不機嫌な態度取っちゃったね。私あなたのこと好きよ。男性として。こんな私で良かったらこれからも一緒にいてくれない?」

 

オレはその言葉を聞いて天にも昇る気持ちだった。

 

「もちろんだよマァム!オレの方こそよろしくね。」

 

オレとマァムは岩陰でキスをした。

 

 




投稿が遅くなってすいません。色々とバタバタしてまして。中々こちらに手が回らなかったです。忙しい合間を縫って書いており、表現的にイマイチなところが多いので時間のある時にこれまでの話の表現のイマイチなところを直していきたいと思います。
あと2話から3話くらいで完結予定です。


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