ディザスター・ア・ライブ 〜Returns of Missing〜 (ふぇるみん)
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番外編や設定とか
今作登場人物 いろいろな資料


たぶん暫く更新止まるし設定でも書いて忘れないようにしないとなーと思いつつ。

※先に予告します。

この小説は

真面目度 2%
シリアス 8%
ギャグ  90%

でお送りする予定です。それが嫌な方はプロローグに飛ぼう。

※最新話に出てくる予定のキャラを追加


デアラ側(10話時点)

 

・時崎狂三 識別名【ナイトメア】

 

天使【刻々帝】

 

知る人ぞ知るデアラの代表格。自慢の天使の【刻々帝】を駆使し様々な人類の寿命を吸収してきた殺人犯でもある。最近とある組織の拠点に居座りつくようになったが彼を食べようという気持ちは変わらないでいるようだ。

天使の能力は汎用性が高くオールラウンダーに立ち回れるが時間(寿命(霊力))の消費が高く度々補給の必要がある一長一短型の【刻々帝】。尚供給源であるアクシズに度々やって来ては何故かクロエに襲撃を仕掛ける。が、返り討ちにされる。これはひどい(書いてる中の人が言うのもなんだが)。その後、とある組織の解析に協力し何故か自身の能力をも量産された悲しき性を持つ。

 

・蓮 識別名【不明】

 

天使【瘴毒浄土(サマエル)】

 

例の蓮ディストピアの少女。主でさえ詳細がわからないため現状メガミラコラボのデータをもとにこの設定が成り立っている。天使の名前が仮称なのもこのためである。まあディストピア調べたら地獄郷か暗黒郷でコラボの様子からして暗黒郷が妥当と判断したのはここだけの話。便宣上、クロエが仮に【時崎蓮】と決めるが実質的な関係に変わりはない。(戸籍がないとは言っていない。)

天使は何でも願いを3つ叶える変わりに自らの思い通りになるように作り替え、観察するという割と地味だが精神状態を揺らすことにより思い通りになるように作り替えていく能力を持つ。普段は夢の中にしか存在できない。そのため存在を固定出来るよう居場所を求めてアクシズになんの前触れもなくやって来た。後に狂三やリタ達を支える存在となる。

 

※最近天使名が判明。3つの願いを叶える代わりに存在そのものを消し去るというおぞましいその真の姿を表した蓮。尚冥府神には敵わなかった。

 

お決まりのこちら側【ミッシングメンバー】

 

・ヴィンセント・グライスナー 識別名【ライダー】

 

天使【第四の騎士】

 

みんな大好き前作【MISSING LINK】の主人公その1。ISの戦争を阻止した後天宮市に移住し平和な一時を過ごしていたが精霊の出現により少なからず損害を受けた。この時瀕死のフェネクスを保護した際に同じく瀕死だった精霊を自身のISに取り込んだことにより半精霊化する。一応対精霊機関【アクシズ】の地上本部の司令として普段は本部から動かないが大抵クロエにどっかに連れていかれる。

天使はヨハネの黙示録の【第四の騎士(ペイルライダー)】。刻々帝と同じ汎用型だが刻々帝は高速移動に【一の弾(アレフ)】を使用するのに対し、こちらは後述する【HADES(ハデス)】を使用する。デメリットこそ使用後は各種能力が低下するといったものだがそれを打ち消して尚あまりある長時間高機動活動可能というメリットが有ることで本部を守護している。対精霊保護機関である【ラタトスク】からは認知されておらず、一般に対する危険度は低いがクロエが傷つくとキレる。尚本気でキレると奴を呼び出す。クロエと戸籍上で兄妹関係を築いた。(マジレス)

 

 

・クロエ・クローチェ 識別名【リッター】

 

天使【死の騎士】

 

もはやお決まりのみんな大好き主人公その2。ヴィンセントと共に戦争を阻止した以降、トーリスツヴァイを駆り暫くヴィンセントと離れて各地を転々とするうちにその身体が精霊化した不運な少女。そして精霊化して合流地点である天宮市に訪れた時に半精霊化したヴィンセントを見たときには泣いて抱きつくといったスキンシップもしていた。役職上【アクシズ】地上本部の副司令兼対【DEM】キラーとして現在君臨する対対精霊組織キラー要員。

天使はヨハネの黙示録のトップに君臨する【死の騎士(トーリスリッター)】でヴィンセントの【第四の騎士】の上位互換にあたる。その性能こそ狂三達よりかは数段基礎攻撃力や汎用性などには劣るがそれをも補って余りある別能力により今まで生き残ってきた。その能力は狂三をも目をそらして全力で拒否するほど強力なものだが相応のデメリットもあるため彼女は躊躇うことなく使うことが多い。え?言ってることが矛盾しているって?クロエはこういうやつなんだ、気にするな!(都合上)

死の騎士を使用する際に必ずクロエは【HADESTypeZ】を起動してから仕留めにかかる。正式名称【HyperAnimosityDetectEstimateSystem・TypeZaphkiel】・・・直訳すると【特定敵意推定検出プログラム・タイプ刻々帝】。その名の通り常時クロエのISに狂三の刻々帝の弾を装填出来るという凶悪なシステムで、その性能は狂三の通常の刻々帝の数倍の効力を持つためこれにはいつも見下す狂三ですら全力で首を横に振るほど嫌悪されている。しかし、それ相応にクロエの身体的負荷も高く多用はできないのだがクロエは問答無用で乱用しまくっている。とはいっても発動さえしなければただの死の騎士なのでそこまで手こずることはない。.....元の死の騎士の素の機動力に付いていけるなら、という前提条件がつくのだが。この馬鹿げたような天使により今では狂三を押さえつけられる唯一の精霊と化した。なお【ラタトスク】、【DEM】共にクロエを最重要警戒要員として登録している。

 

・クロエ・クロニクル 識別名【デザイナー】

 

天使【黒鍵】

 

前戦争で行方不明になって以来長らく足取りが掴めていなかった束達の家族。だがクロエはその記憶を失った状態で精霊となっていた。だが、クロエの働きかけで・・・・・?

 

 

・篠ノ之束 識別名【ラビットスター】

 

天使【刻々帝・騎士団】

 

30年前にISを開発し女尊男卑を築き上げてしまった張本人。ISという存在が廃れた現在は【アクシズ】の専属技術顧問としてその身を置いている。妹の箒を殺した狂三を目の敵にしているがクロエが敵対してしまう以上思いとどめてしまっている一面がある。

天使の能力はクロエのものと類似した【刻々帝・騎士団(ザフキエル・キャバルリー)】で、狂三のデメリットを打ち消した代わりに性能が若干落ちた言うならば量産型刻々帝と言ったもの。だがその応用力はオリジナルの刻々帝を凌駕。消費を気にしなくなった分多彩な戦術を用いた戦闘を可能としている。能力の強さ的な意味合いで置くと、

 

束の刻々帝<狂三の刻々帝<クロエの刻々帝

 

といった位置合い。時に三人で刻々帝を使用するときがあり、その際の能力は瞬間的に空間震を引き起こすほどの火力をもつ。因みに狂三とクロエの刻々帝は攻撃的なものが多いのに対し束の刻々帝はどちらかというと後方支援的なスキルを多種持ち全員のスキルが出る前にさらに火力を底上げする補助的な弾が多い。要はバフである。

 

 

・リタ 識別名【フェネクス】

 

天使【不死鳥の一角獣】

 

電脳世界で精神状態で囚われていたリタをヴィンセントが無理やりHADESで取り込んだ電脳少女。後に束さんの謎技術により実体化を果たす。クロエのことを姉と思い込んでおり異常なまでに依存心を見せている。そんなリタだがクロエやヴィンセントが倒れるとやっぱりキレる。

天使の能力は【不死鳥の一角獣(ユニコーンガンダム3号機)】で主に時間退行の能力である。そしてさらに不可解なのが通常の精霊は霊力を必要とするのに対しこの不死鳥は霊力を一切必要としない、つまりリタの精神で形どられている精霊なのである。特化型であるがゆえに直接的な破壊力は持たないものの精神操作や時間退行能力により間接的な被害を起こす。具体例で言うとASTの対精霊兵器を一瞬のチョップで原材料単位でバラバラにしてしまうほど。その際登場していた隊員は既にこの世から消えている。それほどまでに恐ろしい能力である。なのに代償は無いので質が悪い。なんだこいつら。

 

・ゲオルク・ティーレ 識別名【ハーディ】又は【ナルヴィク】

 

天使【Zの2番艦】

 

もはや天使の名前が無理やりなのは気にしてはいけないのです、ええ。とは本人談。前作でセルフコラボした際に別世界の技術を見てくるという任務を受けたまま未だに帰ろうとしない少女。と言うのも遂行期間が無期限なため事実上の移住なのである。これはひどい。(二回目)ある日クロエ達と別行動をしていた際にASTに殺されかけていた狂三の分身体を庇い瀕死に陥るが狂三がティーレの影に同化し精霊と化した。

天使の正式名称は【Zの2番艦(ナルヴィク・セカンドデストロイヤー)】で狂三の同化により強化された艤装(レーベくん)を駆使して戦う比較的まだまともな方の精霊。ただしやはり分身体を同化させた影響なのか左目が蒼い古風の時計に変化し分身体と人格が入れ替わった時にオリジナルの刻々帝よりは効力が数段落ちるが同じ能力を一定時間だけ使用することができる。あれ、これ狂三ちゃん要らない疑惑zy(殴

尚、普段使わないときは改ナルヴィク級2056型護衛駆逐艦【Z2】として展開することも可能な代物であり隠蔽性が非常に高い。

 

・レーベレヒト・マース 識別名【ハンター】

 

天使【Zの旗艦】

 

言わずと知れたゲオルク・ティーレの姉。というかZ型の長女。あまりにも帰ってこない為指揮官を脅してこちら側にやって来た意外にも妹思いな少女。男勝りな口調だがそれはこちら側でも変わることはなかった。妹のティーレが別次元な存在になっていたことに一時期は身体から色素という色素が抜け落ちていたがティーレと同じ舞台に立ちたいというその純粋無垢な願いが彼女に届いたのかティーレと同じ精霊となる。

天使の正式名称は【Zの旗艦(ナルヴィク・マスター)】で46隻いるレーベの妹たちの全特性を使うことができる。ただしティーレの能力だけは使えない悲しい荷物を背負う。尚ティーレと同じく必要性がないときは改ナルヴィク級2056型護衛駆逐艦【Z1】として展開でき隠蔽性が突出して高い。

 

 

・パーミャチ・メルクーリヤ 識別名【イヴァン】

 

天使【北方防護連合】

 

第15話から参戦。ファントム及び蓮と接触し望むべくして精霊になった珍しいKANSEN。本来は北方連合所属のポガトゥイリ級防護巡洋艦【パーミャチ・メルクーリヤ】として動いているがアクシズの一員としても動くことになった。自分の名前を三つ保有しており、その全てを使用した個体名となっている。

天使は【北方防護連合(ポガトゥイリ)】でその軽快な機動力とその天使の由来ゆえの強靭な防御力でクーのガーディアン・シールドにひけを取らない耐久性を持つ。なお、自分は生粋のゲーマーで見下す癖を持つが大体負かされる。その度に博士達に泣きつくのは常習手。

 

 

・ハナヨ・グライスナー(ボーデヴィッヒ) 識別名【マイスター】

 

天使【紅正義】

 

近日参戦。前戦争の生き残りでクロエたちの義理の妹。普段は宇宙の本部とドイツの支部を行ったり来たりしてるが必要に応じて実体化し日本本部に遊びに来る程度には暇を持て余している少女。だが裏の顔はファントムにも知られていないヴィンセントたち独自の精霊術式により生まれた霊結晶の持ち主で識別名は【マイスター】。天使はもともとの専用機からあやかって【紅正義(アストレア)】と命名された。ちなみに元々の持ち主であるフォンも実際は疑似精霊化しておりこの二人が同時に搭乗し操縦することで恐るべき範囲殲滅力を備える。

 

 

・ハヤナ・グライスナー(ボーデヴィッヒ) 識別名【セファー】

 

天使【天使書】

 

ハナヨの妹でクロエたちの疑似的な妹。典型的なツンデレタイプだがクロエ達に対してはデレッデレだったりする。天使名は【天使書(セファーラジエル)】で二亜の持つラジエルより遥かに能力の汎用性が高い。尚、ごく稀にラジエルと勘違いされることがあり、もし勘違いしてしまうと反転し【ハヤナ専用ブラックセファーラジエル】を使い暴虐の限りを尽くす。

 

【奥の手】

 

AMX-018-ZE[HADES]ザフキエル・リッター改

 

万が一の為【アクシズ】地上本部の地下格納庫に鎮座している前戦争を阻止した元凶。束の密かな改良により熱核融合炉から霊力を生成できるようになった為事実上の精霊と化した。因みにこの機体はクロエが偶然狂三と似たような天使を使えるようになった時に改名した。前戦争と今作との改良点として、

 

・全ビームサーベルが出力を引き上げたハイパー・ビーム・サーベルに換装。

・ハイパー・ナックル・バスターが撤去。

・新たな射撃兵装にハンドガンとハイパー・メガ・スナイパー・ライフルを装備。

・他の精霊に霊力を供給できるように全装甲に供給バイパスを接続。

 

等さまざまな改良が施されている。それでもって最終兵器である【HADES】は遂に解析が終わり束の手により改めて【HADES-ZE】と変化した。

 

武装

 

ハイパー・ビーム・サーベル×4

胸部ガトリングガン×2

ハンドガン

ハイパー・メガ・スナイパー・ライフル

トライブレード・インコム×6

メガ・ビーム・ランチャー

 

AMX-018-VC[HADES]ディストピア・リッター改

 

クロエのザフキエル・リッターと同じく地下に鎮座していた元凶。ヴィンセントがもう一度クロエと共に舞いたいという願いの思考を読み取った蓮が自らのディストピアで創造した機体。その性能は前戦争時より格段に向上しており、全体にマントを装着したさながら暗殺者の様相と化した。

 

武装

 

ハイパー・ビーム・サーベル×4

胸部ガトリングガン×2

ハイパー・ナックル・バスター

トライブレード・インコム×6

バスター・メガ・ビーム・ランチャー

 

 

2056型Z型ミサイル駆逐艦2番艦 Z2改【ゲオルク・ティーレ改】

 

ティーレが遠征する際に自衛用として持ってきたのをアクシズが近代化改修を行った艦。主砲として127mmTBSC連装両用砲を1門装備しているがあまりダメージは期待できない代物でその本質は魚雷を撤去してその場所に新たに装備された【56連装多連装対空艦ミサイル】2基であり、その対空戦力、追尾火力共にアトランタのハリネズミと呼ばれる【サンディエゴ改】の対空能力を軽く上回る。勿論従来の5連装魚雷装備も装備可能。

 

【主武装】

 

・127mmTBSC連装両用砲  1門

・88mmSKC連装対空高角砲  3門

・56連装多連装対空艦ミサイル  2基

・180mm試作対艦キャノン砲  1基

・連装ランチャー砲       1基

 

【オプション武装】

 

・5連装磁気魚雷 2基

 

 

Z2改【ナルヴィク】モード 【エロヒム・ティーレ(ゲオルク・ティーレ〈第三種兵装[E装備]仕様〉)】

 

Z2がレーベくんに強く願うことにより具現するIS。外見は狂三の霊装を思わせるかのようなカラーリングで武装も連装両用砲の他専用ハンドガン、専用スナイパー・ライフルを武装に持ち、多様な種類の弾頭で相手を翻弄する。

 

【主武装】

 

・127mmTBSC連装両用砲 1門

・76mm専用ハンドガン

 ・出力制限解放弾頭

 ・ネット弾頭

 ・スタン弾頭

 ・榴弾

 ・徹甲弾

 ・徹甲榴弾

・180mm専用スナイパー・ライフル

・56連装多連装対空艦ミサイル

・5連装磁気魚雷

・レーベくん(セイレーンクロー)

 

 

クロエ専用IS【トーリスリッター・テレフタラート】

 

【リッター】とも呼ばれるクロエの相棒にして大切な妹。精霊の霊結晶を取り込んで精霊となったISだが基本性能は向上しておりアクシズの防衛戦力として活躍している。尚、名前の由来は【軽く、速く死へと誘う死の騎士】をもじったことから。

 

【主武装】

 

・ハイパー・ビーム・サーベル

・腕部ハンドビームカノン

・胸部マシンキャノン

・チャージ・スナイパー・ライフル

・ロングレンジ・ビームスナイパーライフル

・トライブレード・インコム

・メガ・ビーム・ランチャー

 

 

ヴィンセント専用IS(CR-Unit)【トーリスリッター・ツヴァイ】

 

ヴィンセントの影に潜んでいた瀕死の狂三を取り込み精霊となったIS。その姿形はクロエのテレフタラートとほぼ一緒だが、相違点として武装面ではクロエがスナイパーライフル系統を持ってたのに対し、ヴィンセントはやや近距離向きな性能の武器を持つ。また、幾分か狂三の能力を継承しているのか影に潜ったり影を通してエネルギーを吸収することが可能。

 

【主武装】

 

・ハイパー・ビーム・サーベル

・腕部ハンドビームカノン

・胸部短距離ミサイルランチャー

・ハンドビームガン

・連装シールドライフル【ケーヴァ・ツヴァイ】

・トライブレード・インコム

・メガ・ビーム・ランチャー

 

 

クロニクル専用IS【デュランダルリッター・メタトロン】

 

クーの純粋な思いを受け取ったデュラハンが精霊の能力を取り込み強化された姿。その突出すべきはその巨大な複合防壁型のシールドで、これだけで5種類ものの武装を持つ。

 

【主武装】

 

・ビーム・ダガー

・複合防壁シールド【フォルファントリー】TypeA(シールド内蔵連装ガトリングガン)

・複合防壁シールド【フォルファントリー】TypeB(シールド下部内蔵ミサイルランチャー)

・複合防壁シールド【フォルファントリー】TypeC(シールド上部内蔵ビーム・ランチャー)

・複合防壁シールド【フォルファントリー】TypeD(シールドミサイル(核弾頭))

・複合防壁シールド【フォルファントリー】TypeE(シール

ド・ハイパー・メガ・ビーム・ランチャー)

 

 

ポガトゥイリ級防護巡洋護衛艦【パーミャチ・メルクーリヤ改(コミンテルン改)】

 

メルクーリヤがアクシズに所属することになったときに束が時代遅れの設備の数々を見かねて近代化改修を施した艦。さまざまな武装が強化されているほか耐久性も向上している。しかしながらやはり旧型ゆえに耐久は低くあまり最前線へは貼れない。

 

【主武装】

 

・60mm対空レーザー砲×4門

・180mm連装キャノン砲×2門

 

 

GN-001FS ハナヨ専用ガンダムアストレアTypeF(Axis仕様)

 

 

ハナヨが精霊術式で精霊になった際にヴィンセントがASTへの潜入調査用に開発した霊力を誤魔化すためのCR-Unit兼IS。そのままの形態だと純粋な火力は低いが装備や天使と併用することによりその真価を発揮する。

 

【主武装】

 

・GNプロトソード

・GNバルカン

・GNミサイル

・GNハンマー

・GNビームライフル

・GNビームランチャー

・GNビームサーベル

 

 

GN-XXXTypeFS ハヤナ専用ガンダムセファーラジエル(Axis仕様)

 

ハナヨと同じく精霊になったハヤナの為にヴィンセントが製作していた対AST潜入調査用CR-Unit兼IS。ハナヨのアストレアより戦闘能力は低いがステルス性、潜入捜査に向いておりアストレアとは真逆の性能を持つ。が、かと言ってそれはアクシズ基準であり純粋な迎撃能力としては十分すぎるほどの戦闘能力を保有する。また、アストレア、セファーラジエル共に背部にあるGNドライヴはアクシズで精製した霊結晶を封入しており一種の永久機関として動く。

 

【主武装】

 

・GNビームサーベル

・GNビームライフル

・GNプロトビット

・GNハイパーメガランチャー

・GNミサイル

・GNスナイパーライフル

・GN-CCC 対AST用兵器【GNBusterLuncher】

 

 

※以下9月からの追記

 

キャロル

 

世界中を動かしている巨大サーバー【ALICE】の創設者で専属アイドルグループ【Vivid10Dolls】のプロデューサー。一応籍としてはALICEとはなっているが裏では他のセブンアカデミアズと共に裏方の仕事で暗躍する。また、数少ないハッキング施行可能な人物。さらに自身は形態変更も可能であり、ASTはともかく、DEMですら欺ける程の偽装能力を持つ。

 

 

キャロル(アリス形態) 識別名【カオス】

 

天使【電撃怨襲(キャロル・アルゴリズム)

 

アイドルグループとして活動している時のキャロル。何故かその服装から一定層に人気があり本人も困惑を隠せない模様。また、この形態のときはISとCRユニットの適性も得るので自衛も出来る。更に、一応ではあるが霊装と天使を展開することが出来るがメインリソースは電子専門なため交戦記録は確認できてはいない。

 

 

アリス・リデル 識別名【スペリオル】

 

天使【理想世界(アイム・イン・ワンダーランド)

 

元ハートの女王でキャロルの一人娘。とある事件で肉体もろとも電子化しALICEにとらわれた被害者・・・・だったがLast/Tlavelの際に根本から消えかけた自らの父であるキャロルを見捨てることができず一人極秘裏にキャロルを救った過去を持つ。その際、全権限をキャロルから渡され人類の電子の切り札としてネット世界に姿を現した。・・・・・・が、なぜかいつの間にかクーロンの専任護衛をキャロルとクーロンからお願いされ、今は護衛専門に。しかしそれでも現実世界での権限の行使は可能であり特にもう一人揃うとだれも手が付けられなくなる。まさに切り札。自身の天使である【理想世界(アイム・イン・ワンダーランド)】はまさに切り札で自身の中心とした半径10㎞圏内をすべて自身の制御下に置く電子界で最も強い権限を天使として保有している。また、天候も自由に操ることができその汎用性は精霊の中では最高峰とも。

 

 

クーロン 識別名【ヴィヴィド】

 

天使【十撃閃電歌(ヴィヴィド・テン・ドールズ)

 

1年前に突如デビューを発表した超人気アイドルグループ【Vivid 10 Dolls】のリーダー的存在。その規模はたった数週間でアイドルの頂点と呼ばれる【誘宵美九】の人数を軽く越して2倍の差をつけたほど。それもそのはず。自身で既に美九の人数を超えているのにも関わらず他にも9人いるのでそれはそうだろうといった具合。最も、クーロン本人は最近は発明に没頭したいらしく活動は自粛方向にある模様。なおアリスによってほぼ強制的に活動を余儀なくしている模様。自身の天使である【十撃閃電歌(ヴィヴィド・テン・ドールズ)】は自分のアイドル仲間の能力を全開で使えるというものでその破壊力・・・?は絶大である。なお、この天使はセフィロトの樹に属する【破軍歌姫】の洗脳能力を無効化すると言われているが真意は定かではない。ソースは元凶のファントムとはキャロル談。

 

 

ニュートン

 

セブンアカデミアズの一員で元キャロルの協力者?的存在。キャロルがまだ生きていると噂を聞きつけやってきたら何故かアリスとキャロルがイチャイチャしている光景を見せられてアホらしくなった別名キャラブレイカー。巨大サーバー【ALICE】の管理を担う一員として今日ものんきにリンゴをかじってるが助手に置いてるフォールン・アップルズが毎日何かをやらかすので彼女に休みが訪れない。クラフィキャラの苦労枠。

 

 

ダ・ヴィンチ

 

セブンアカデミアズの一員で未来を変えるべくキャロルを殺そうとした存在。なおアリスにより助かったので未遂である。自分の能力で相手の武装の収束やリロードを遅らせる遠隔遅延能力を持つが、よっぽどのことがない限り使わないと自身が明言したため実質なんちゃってアカデミアズでもある。なお本気を出すとアルゴリズムを構築したキャロルより強い。

 

 

アインシュタイン

 

セブンアカデミアズ生粋の技術バカ。Last/Tlavelの際にもあったがデバイスを複製し未来を変えようといそしんだ苦労人枠。キャロルが生きていることを知った時には今までの苦労は何だったのかと崩れ落ちた。だがアリスがその手助けをしたと知りなかなか複雑な心境。本人では気づいていないようだが実はタイムトラベルデバイスをどこかに引っ提げておりアインシュタイン以外はそれに気づいていたりする。

 

 

エジソン

 

Expo開催の際に主導を担ったセブンアカデミアズの一員。興味を持ったもの以外は全くと言っていいほど見向きすらしないことがあるが基本それは仕事のみでプライベートの時は子供の面倒を見るなど優しいお姉ちゃん的な存在。クロエたちの持つメガビーを見るや否や自力で構造を理解しハンドガンサイズにまで抑えつつも威力を向上させたことからその理解力と頭脳はアカデミアズ一とされる。なお若干ドジっ子属性が強い。また、ALICEの統合管轄システムを管理する重鎮でもある。

 

 

メビウス

 

セブンアカデミアズの一員でALICEの始原を知る存在。何かあった時はまず自分が真っ先に奔走しているなど事務作業に強い面は見られるが反面娯楽というものに疎く、ごくまれにどうすればいいかわからずふくれっ面な姿が何度か見られることもあった。

 

 

フェルミ 識別名【ヴァーレン】

 

天使【極宙顕現(ランダム・スペース・ディスカバリ)

 

宇宙から自分は来た、と自称する猫耳ちゃん。常にクーロンかアリスのそばに寄り添って行動しており非常に有効的な人物。自身もマイペースで暇さえあればどこかの山を登って星を見ていたりする。ちなみにクーロンとアリス、そしてフェルミが三人そろうと相手は死ぬ。天使の【極宙顕現(ランダム・スペース・ディスカバリ)】は自身を中心とする一定範囲に傷を癒す空間を作りじわじわ他の子達をサポートする。追記するとアリスの天使はほかの天使の能力を時間がたつごとにブーストさせ、クーロンの天使はフェルミの回復空間をさらにブーストするようなもの。フェルミ自身も時間がたつと中にためていたエネルギーを放出し一気に味方の傷を治す。その能力もあってか自身も医学関係に詳しいらしい。

 

 

或守鞠亜

 

今はまだ登場しないが一応出る予定。電子世界で生きる少女。一時期自我を乗っ取られかけるがアクシズとALICE率いる迎撃隊に助けられる。その際、その中にいたハナヨと境遇が同じだったのか意気投合し以降、ハナヨとは親友関係になった。

 

 

或守鞠奈

 

こちらも一応登場予定。DEM社で誕生した人工電子精霊。フラクシナスを乗っ取ろうとハッキングし見事鞠亜をダウンさせあと一歩のところまで迫ったがアクシズとALICE率いる電子迎撃隊に倒され一度は消滅した。が、アリスの修復能力によってDEMとのつながりを絶たれた状態で復旧。その後、アイザックが自らをそのまま消去しようとしていたことを知ると茫然自失と固まった。が、全く同じ境遇を経たハヤナの説得で無事復活、データ上から姉妹関係だと分かった鞠亜とも和解し仲良く暮らす。

 

 

アストルフォ 識別名【フラクシナス側『ブラダマンテ』DEM側『セイバー』】

 

天使【転倒槍(トラップ・オブ・アルガリア)

  【魔術万攻書(ルナ・ブレイクマニュアル)】→【破却宣言(キャッサー・デ・ロジェスティラ)

  【恐起呼笛(ラ・ブラック・ルナ)

  【幻世幻馬(ヒポグリフ)

  【威風凱旋(マーチ・オブ・シャルルマーニュ)

  【僥倖拘引網剣(ヴルカーノ・カリゴランテ)

  【分別偶像暴走人形(クレイジートリップ・ドライヴアイドル)

 

 

まず言わせろ。すでに数がおかしい。というのもアストルフォ自体は宝具を大量に所持しており、故にここまでえげつなくなっている。

ラタトスク側とDEM側で識別名が別という特異な性質を持った英霊兼精霊。何ともまあ人間に友好的でトラップにも容易に引っかかるほどの天然。しかもそれが素の状態であるのだから質が悪い。天使の数は非常に多く単騎では対処困難とされるが、基本アストルフォは【僥倖拘引網剣(ヴルカーノ・カリゴランテ)】を使うので遠距離攻撃がもっともの手段だとされている。ASTで独特的に潜伏活動を行っていたがクロエたちの危機を見過ごせずとうとう全霊装を顕現。完全体となって姿を現した。以降はラタトスクの精霊として活動することになる。一方、表では一種の喫茶店を切り盛りしており、自らがメイド姿で応対するので評判は上出来だとか。

 

 

 

再追記

 

エージェント・エース(通称エースちゃん)識別名【ビショップ】

 

霊結晶の番号からかけ離れては居るがれっきとした精霊の一人。霊結晶を取り込んだことにより片言でしか会話ができないが、後にとあるパーツを取り込んだことにより会話能力を手に入れる。

 

女王の最側近の一人で普段は不審者の迎撃、及び死体回収の任務に就く。通常時は私服パーカーで過ごしているが、本当に女王が危険にさらされたときはリミッターを解除しすべての力を持って滅する。ただでさえ、精霊迎撃モードでも二門のガトリング砲からなる弾幕により押さえつけているのにも関わらず、リミッターを解除するとその余剰エネルギーを持って生成した大剣を容赦なく、慈悲もなく振りかざすので精霊にしては被害が極端に多いことでも有名である。

 

ただし、イーディスとヴィンセントには本当の側面を見せており、何も用事がないときは常にどちらかに引っ付いている。余談だがヤンデレ族でクロエ達と大抵ヴィンセントを取り合っているが、最終的には平等に甘えたりとなんだかんだで内部での仲は良い模様。

 

 

RGM-89SA エージェント・ジェガン改

 

武装

・腕部ビーム・サーベル

・90mm改良型バルカン・ポッド

・改良型メガ・ビーム・ランチャー

・肩部3連装ロケットランチャー×2

・背部3連装ミサイルポッド×2

・脚部3連装ミサイルポッド×2

・腰部3連装ミサイルポッド×2

・腕部連装グレネードランチャー

・ロングレンジ・ビームライフル

・380mmロケット・バズーカ

 

 

エージェント・エースがアクシズへと身を寄せた際、艦内に余っていた余剰のパーツを用いて建造した機体。素体はスタークジェガンとなっており、本来のスタークジェガンより装甲を減らし増加武装を取り付けた機体。主兵装としてメガ・ビーム・ランチャーを装備し、高い速射性と従来の兵器に劣らぬ貫通性能を利用し多大な戦果を上げることができる。サブ兵装として3連装のミサイルポッドを背部、脚部、腰部にそれぞれ2基ずつ配置している。マルチロックシステムを採用しており、ミサイル全弾発射からなるバースト火力はメガランチャーの最大出力すら凌ぐ。

 

 




まあこんな感じで進めていこうかなと思います!!!

え?主要キャラの性能が強すぎるだって?

大体昔の俺が悪い。

ちなみにクラフィキャラも追加しましたが大体原作剥離してますねぇ!!

アストルフォが多すぎて草なんだわ

※蓮ちゃんの正式天使名を追加。


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番外編 女神!精霊!兄妹!全員揃うがミキシング!

みなさん、明けましておめでとうございます!エルテューヌです!

今年こそたくさん小説を書ければなと思っています!

さて今回は4作品合同編!

・黄泉の騎士達
・世界に抗う者よ
・ユニバーサルセンチュリーオブバターンプラン
・ミッシングリンク

なので今回に限り普段でないキャラがたくさん出ます!それではいつもの文才でお楽しみください!





 

 

ヴ「皆様、2020年。」

 

ロー「明けまして。」

 

ロニ「おめでとうございます!」

 

「と言うわけでだ、今回に限りメタ要素全開でお送りするんだが......。」

 

晴れ着を着たヴィンセントが同じく晴れ着を着ているクロエとクーを見つめると、

 

「お前ら少しは動こうとは思わんのか!?」

 

開幕早々のこれ。だがしかし、こたつでごろごろしている二人を止めるすべはなく。

 

「・・・・・お正月くらい何もかも忘れてゆっくりしようよお兄ちゃん~。」

 

「ぐ.....それを言われると弱い....。」

 

ヴィンセントも仕方なくこたつの中に入っていく。既におせちなどは食べ終えており、あとはいつも通りの生活に戻っていくはずだった.....が。

 

「ヴィンセントさん、お邪魔いたしますわ。」

 

「・・・・狂三か。こんな朝早くから...取り敢えず炬燵には入れよ。近くにクロエ達がぐだぐだしてるからくれぐれも足は踏まないようにな?」

 

「えぇ、分かっていますわ。」

 

そう言ってやってきたのは【ラタトスク】や他の組織から【最悪の精霊】とまで呼ばれていた時崎狂三であった。現在狂三はアクシズの保護下のもとヴィンセントと共に行動していたが実際のところは放し飼い的な扱いで狂三も自由にしていた。

 

「せっかくのお正月ですわ、今日くらいはアクシデントなく過ごしたいですが.....。」

 

「まあそんなわけが....。」

 

「起きないわけもなく.....。」

 

ヴィンセントといつの間にかヴィンセントの膝の上に座っていたティーレがそうぼやく。瞬間、部屋の戸が勢いよく開き、

 

「ヴィンセントー、明けましておめでとう、だな。」

 

「ん、士道に.....十香達か。明けましておめでとう。」

 

「「おめでとー。」」

 

「おめでとう、ですわ。」

 

音の主は十香であった。その隣には同業者の五河士道やそのサポートをしている琴里、そして士道にデレた四糸乃や美九、そして夕弦姉妹に二亜や七罪まで来ていた。そしてその後ろには.....、

 

「あ、レーベくん、ようやく来ましたか。」

 

「あけおめだなティーレ。今日は江風や長門達も来てるぞ。」

 

そこにいたのはティーレの姉のレーベレヒト・マースや長門、江風、そして綾波、ジャベリン、ニーミ、ラフィー、ハーディ、ハンターがそこにいた。

 

「また随分と大所帯だな、大きめのこたつだったのが幸いしたか....。取り敢えず中に入って暖まっててくれ。こんなに大人数ならなんか大人数でできるゲームみたいなのがあったはずだからそれを持ってきて皆でやるか....。」

 

そう言ってヴィンセントが立つとクーとクロエものそのそと這い出てきてヴィンセントの両腕にダイブする。

 

「お兄ちゃんが行くなら~。」

 

「私たちも行きます~。」

 

「・・・・途中で寝たりするなよ?」

 

そうがやかやしながら三人は倉庫へと姿を消した。それを見計らったと同時に琴里と十香が口を開く。

 

「それで、狂三、ここで何をしでかすつもり?ここで食うなら....。」

 

「いくらなんでも年末年始に限ってはそんなの関係ありませんわ。年中いがみ合っては体力が持ちませんわ。」

 

「信じられんな、どの口がそれを.....。」

 

「信じないならばレーベくんの口で物理的に黙らせるまでですが。」

 

「「「ティーレが言ったら洒落にならないわ!?(ぞ!?)(ですわ!?)」」」

 

「最初からそんなに連携とれるんだったら煽り合いなんてやめればいいですのに、ええ。」

 

「「「あっ.....。」」」

 

三人の勢いが合って全員が笑いを堪えていると再び戸が開く。

 

「・・・・・。」

 

「やあやあ精霊諸君、明けましておめでとう。今年も私をせいぜい楽しませてくれたまえ・・・・。」

 

「アイザック!?・・・・・お前、こんな正月にまで・・・!!!」

 

士道達は一気に警戒態勢を引き上げいつでも攻撃できるよう各々が天使を具現させていくがティーレと狂三はぬくぬく炬燵で顔だけ出してリラックスしていた。

 

「待って士道....。」

 

「お、折紙!?」

 

「私もいやがるでありますよ兄様~!」

 

「ま、真那!?」

 

後ろに立っていたのはASTに所属する折紙とアイザックのDEMに所属する真那だった。

 

「どういうことよ、二人とも。」

 

「今日限りは私達ASTもDEMもことを荒立てるつもりは更々ない。故に安心して寛いでもらって構わない。但し、士道はもらっていく。」

 

「絶対本音そっちでしょあなた。」

 

そう言いながら警戒を解く琴里。他の士道達も態勢を解く。折紙達は士道のそばに陣取ると士道の手を取った。故に一悶着起きていたのは別の話。そうこうしていると三人がゲームをもって戻ってきていた。そして開幕に出たのが....。

 

「・・・・増えたな~.....。」

 

「まあ、人は多ければ多いほど良いって言いますし.....。」

 

「まあ、仕方ないか。」

 

 

ヴィンセントは妥協すると炬燵にゲームを敷いていく。

 

このあと、色々一悶着あって戦艦ティーレは消し飛ぶことになるのだがその裏側はまた来年の話。

 

To be continued.........





はい、と言うわけで短いですがリハビリ。


今年もエルテューヌのクソ小説をよろしくお願い申し上げます!


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番外編 かぼちゃ大騒動 その1

今回の系列

・デアラ
・ネプテューヌ?
・アズレン
・Fate
・ミッシングリンク
・クラフィ

これらの要素が詰まった限定版。キャラもストーリー関係なく出します。

※ここで言うのもあれだが蓮ちゃん可愛すぎんか????
幕間の外伝で大真面目に救うルートもありかもしれない。


......海上運送業者アクシズ、またの名をフェレシュテ。

 

数年前、ISの衰退とともに姿を消した組織だったが特殊災害指定生命体、通称精霊の出現と共に彼らもまた姿を表した。そんなフェレシュテは今.............。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「.....何やってんの?」

 

「見てわからんか?かぼちゃを潰してるんだが。」

 

不意にハヤナに聞かれたヴィンセントはそう答えた。答えながらもすり鉢で茹でたかぼちゃをすり潰している図を見て誰が笑わないと思うか。

 

「しっかし.....わざわざ買い占めるなんて何をするつもりよ?」

 

「何、今日は博士がS7のメンバーも連れてきてくれるしアイクも来るし、おまけにハーディ達からも連絡で来ると言ってたし。」

 

「あいっかわらず交友広いわねぇ.....それではるばるドイツにあるフェレシュテ支部にまで....。」

 

「調理施設ないからな、あいにくあっちには。」

 

「はぁ....んで、どこからこのかぼちゃの山を?一袋ならともかく箱単位ともなると何処からか買い占めてきたでしょ?」

 

ハヤナは目の前にあるかぼちゃの箱の山を見てつぶやいた。高く積まれたその山は優に十箱は超えているだろう。

 

「.......琴里達が使ってる店だ......。」

 

「......かぼちゃ奪還しに来られてもしーらない!!!」

 

 

 

 

そしてそのハヤナの予感は見事に当たるのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時を同じくして天宮市内

 

「ありま.....せんね....?」

 

「ここもか.....。これで3軒目だぞ。」

 

買い物かごを引っさげている士道だったが四糸乃と一緒に市内のスーパーへと来ていた。が。そこはいつものところではなく規模が少し大きめのところに来ていた。と言うのも....。

 

「ここにもカボチャがないのか.....。」

 

『肯定。こちらの方でもカボチャは発見できませんでした。』

 

『こっちもよ。どれだけ用意周到なのかしら、見る限りこの市内全域のカボチャが無いわよ。』

 

「んー....ここは店員に事情を聞くのが一番ではなくて?」

 

通信に混ざって私服姿の狂三が士道に提案し、士道もそれが手っ取り早いと考えたか店員のもとへ向かっていった。

 

「すみません、店頭にカボチャが無いんですが....。」

 

士道がそう聞くと、店員も顔を俯かせて、

 

「すみません、先週から業者が買い占めておりまして.....。」

 

「買い占め?」

 

聞き慣れない単語を聞いた士道は思わず聞き返した。店員はバツの悪そうな顔をした。

 

「最近本来の卸売業者から入るはずのカボチャがすべて卸売業者の段階で買い占められていて、ここの天宮市はおろかこの県全体のカボチャが無いみたいなんだよ。」

 

「買い占めている業者って分かりますか?」

 

「ああ、ドイツにある【キャロル・インダストリー】という加工会社が全て買い占めているよ。」

 

「ありがとうございます!」

 

士道は欲しかった情報を手に入れるとそのまま会計を済ませフラクシナスへ戻った。

 

 

 

 

数時間後、

 

「ん、結果が出たわ。衛星画像でもわかるけど現在この地点には私達の協力者であるヴィンセント達の本部がそこに来ているわ。」

 

「となると、あの人達はグルで確定ですわね。」

 

「何をしているかは存じ上げませんが、そのうちなにかわかるでしょう。本体から何も流れてこないということは彼らは無関係の可能性もありますし。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いいや、彼らは元凶だ。断言しよう。」

 

「!?蓮!?」

 

突如として士道の背後に現れたのはフェレシュテで気ままに行動している悪意の精霊こと【蓮】。

 

「やあ士道。やはり君たちもかい?」

 

「.....?なにか知っているのか?」

 

「.....知っていると言えば知っていますし知っていないといえば知っていませんね。」

 

「なっ....!?」

 

士道は蓮の反応を見て察した。『あ、これ瘴毒浄土使う気だ』と。他のメンツも察したのか限定霊装と天使を顕現させるがそれを蓮自身が静止した。

 

「おおっと?まだ何も言ってはいませんよ?ええ、あなた達が何を聞こうとしたのかは手に取るようにわかりますよ。無論、私とて使いたいですが今回ばかりは代償は無効で行きましょう。」

 

蓮から出たその言葉はあまりにも唐突で、意図が不明だった。

 

「私とて怒るときはあるものです。特に、おいていかれた日には。」

 

「......まぁ、うん、それは.....。」

 

蓮から出た嘆きの呟きに全員が納得する。

 

「しかし、どうするつもりだ?フラクシナスでそこまで行くのは良いが、あいつ等の警戒網でバレないか?」

 

「そこなのよね....、瘴毒浄土で視認が出来なくなるようにやってくれれば良いのだけれど.....。」

 

「おや?言っておりませんでしたか?あの後霊力が封印されそのまま消えるはずだったのですが、今ここにこうしている。何故か分かりますか?」

 

「.....?」

 

蓮の問いに対して首を傾げる事しかできない士道。

 

「本来なら私はここにはいられない存在。瘴毒浄土でも叶えられないその願いはあのお方によって昇華しました。霊結晶を得たことにより瘴毒浄土の権能が向上し私が仲間と認めた人には回数、代償、そのすべてを必要としなくなったのです。」

 

「....じゃあ?」

 

「ええ、私もあなた達に加勢しましょう。瘴毒浄土、あの人たちの現在地を彼らに示してください!」

 

蓮がそう言うと、まるで意思を示したかのように画面に繊細な位置が出る。

 

「うーん.....わかってはいたけど遠いわね....。」

 

「因みに瞬間移動などには対応してないので悪しからず。」

 

「行くしかないわね....全員を集めてちょうだい!30分後に発進するわよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドイツ国内 鉄血海軍基地内アクシズ支部【フェレシュテ】支援組織【トライワイト】本部

 

 

「.....蓮をちゃんと待つべきだったな.....。」

 

「どうするのこれ、今にもこっちに乗り込んできそうな雰囲気だけど。」

 

「なんとなく原因は察せるんだよな。」

 

「あのかぼちゃの山、ですね?」

 

「ああ、パーティーの準備が終わったは良いがまさかまだ余るなんて思わなかったからな。」

 

「でも足りるので?」

 

「答えは一つだろ?」

 

ヴィンセントが密かに取り付けていた監視カメラからの中継映像を見てぶーたれていたが、やがてその周囲にいたメンバー達は揃って一つの声を上げる。

 

『絶対足りませんね。』

 

「と言うわけでどうにでもなれ!一応防衛固定砲台は起動するがあとは知らん!ひたすら料理を作るぞ!!」

 

「......全く、計画性が無いからこうなるんですよ!それに乗っかる私達も私達ですが!!!」

 

 

それぞれが少なからず愚痴をこぼすが反面顔は笑っていた。今まで戦うことしかできなかった彼等にとってこういった平和な日常こそ本来あるべき姿なのだ。ヴィンセントは苦笑いして言い訳をごまかしつつも内心では密かに懸念をしていたりする。

 

「そういえばキャロルはどうした?」

 

キャロルの姿が見えないのを不審に思ったのか一人つぶやく。それに反応したのは他でもないアリスことリデルだった。

 

「.....パパは、自分の偽物を駆除するため一人ALICEに一時的に帰還しました。」

 

「偽物?」

 

「はい、何でもハロウィンイベの最中に現れたとかなんとかで.....見た目と色で名付けられたのが【フェイク・キャロル】、通称【カボチャロル】。」

 

「ペイ達、カボチャの調理を引き継いでくれ。フェレシュテ総出でキャロルの手伝いをするぞ。決してカボチャロルを収穫したいとかそんな邪な考えは無い。」

 

「あるんだね?」

 

「......うん。」

 

流石にクロエの言葉には反論できないヴィンセント。等の話した本人は困惑しているが。

 

「これは私達だけの問題よ?あなた達が手を出す必要は.....。」

 

「キャロルをこちらに引き戻すには一旦こっちの専用回線経由で戻らにゃならんの。それにそろそろアイツらが来る頃だろうからな、手っ取り早く連れ戻さなと。」

 

「アイツら?」

 

「ああ、ネプテューヌ達に十香達も来る。一応逐次狂三と蓮に状況は報告をもらってるが思ったよりもこちらに向かってくるスピードが早すぎる。」

 

「それなら本職であるあなたが残ればいいんじゃないの?」

 

「ぜーったいカボチャ関連だから相手したくない。」

 

「あなたねぇ......。」

 

切実なヴィンセントの叫びを聞いたアリスだが、それは自業自得なのでは?と心の中で呟いた。

 

 

「とにかくだ、ダイブの準備だ。クロエ、ハナヨ、ハヤナ、ハーミヤ、付いてきてくれ。」

 

「「「「了解!!」」」」

 

四人がそれぞれの準備を進め始めるが、三人アリスとクーロン、フェルミは取り残されていた。

 

「私達はどうすれば?」

 

「アリスは来るのは確定だがクーロンとフェルミはステイで。間に合わせ程度に防壁は貼ってるけどいつあっちの天使で消し飛ぶかわからんからな、対アンチ要員として残ってくれ。」

 

「はーい。」

 

フェルミが伸びた返事を返しクーロンはすでに準備に入ったのか聞いてない様だったが見ている限り歌の練習をしているところを見ると対破軍歌姫用の準備をしていると見えたヴィンセントは自らも準備をすべくその場をあとにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃、フラクシナスメンバー達は上空を航行してドイツの遥か上空に滞空していた。

 

「おお、ここがドイツの真上か。」

 

「ええ、流石に近づきすぎるとあの対空網に蜂の巣にされる可能性があったからここで下ろすけど神無月、頼めるわね?」

 

「司令の仰ることなら全て忠実に、完璧に成し遂げます故。」

 

「との事だから私も降りるわよ。」

 

「しっかし、通常飛行機でほぼ半日かかる所を4時間でつくのは....体の負担が凄いな....。」

 

琴里が淡々と降りることを話している中、すでにノックダウンしている士道達。唯一体を浮かせて強烈なGから逃れていた蓮と狂三は底力に唖然としていた。

 

「さて、降りるわよ。」

 

琴里の号令で一気に景色が変わる。見た感じはどこかの施設のようだったが、士道は胸騒ぎがしていた。

 

「な、なあ、琴里?ここって.....。」

 

「ええ、士道も同じこと考えてたのね。」

 

「(こっちに帰れましたしフェレシュテに戻ります?)」

 

「(流石にこれは帰るのきついのでフェレシュテに逃げ込みますか....。)」

 

士道達が目の前の景色を見て何かを察する中、次の行動が予測できたのか蓮と狂三は悟られないよう静かに撤退していった。撤退した直後である。

 

「総員範囲外まで退避!!流石に軍の基地のど真ん中はまずいわ!!!」

 

『ええっ!?』

 

前途多難。初手で琴里達は軍の基地のど真ん中に降りたのである。なお、実際はフェレシュテ統括の下部組織【トライワイト】の支部だと知ることになるのはもう少し先の話。

 

To be continued.......?

 

 




流石に4000以上は不味い。思ったよりも長くなりそうでくさなんだ。



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前日談~蘇った騎士達~
第1話 プロローグ



なぜか書かなければならぬ義務感に駈られた。後悔はしていない。




あの戦争からはや23年。ISという存在が宇宙利用のためとなってから14年。計37年の時が過ぎた。本来出会うことのなかった軍事利用という目的は根元である団体の壊滅によりその役目を終え、今や万能船外活動用兵装として機能するようになった。また、その生産の根元である束はいつの間にかその表舞台からは姿を消しこの世からは消えていた.....いや、正しく言えば隠居の身と成ったというべきか。役目を終えたと言わんばかりに速攻でゆっくりし始めた辺り子供っぽい一面はまだ残っているのであろう。一夏達もそれぞれの道を歩み始めすでに会うことは無い。そんな仲間の中で、特にゆっくりしている二人は今日も気分よく眠っている....。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

かと思われたが。

 

 

「・・・・・また来たのか。」

 

「お兄ちゃん、タイプはこの前と同じ【プリンセス】だよ?」

 

「・・・懲りないなぁ・・・。メインエンジン始動、バリア展開してダメージを防ぐぞ。」

 

「りょーかい!けど一応形式的には【同じ仲間】なんだけどね?」

 

「バカいえ、あいつらと俺たちとでは格が違いすぎるよ。」

 

「まあ、あっちは【精霊】、こっちは存在するはずのない【英霊】だからね。・・・・ですよね?束さん。」

 

彼女はそう言った。それを聞いていた椅子に座っている少女はくるりと椅子を回転させるとクスッと笑った。

 

「だね~、いくら【精霊】だと言っても所詮は破壊することしかできない悲しき性を背負った少女にしか過ぎないよ。その点、二人は精霊すら超越した兄妹なんだから、気を強くもって。」

 

「気休め程度に受け取っておくよ。・・・・行くぞ【クロエ】。」

 

「分かったよ【ヴィンス】。」

 

そう言うと二人は格納庫へ通じる通路へと消えていった。その去り際、ヴィンスは束に独り言を呟く。

 

「・・・・もしもの時には【フェネクス】を起こしてくれ。彼女にも手伝ってもらうかもしれん。」

 

「分かったよ、・・・・無事で帰ってきてね?」

 

「そりゃもうもちろん。」

 

そう言うと今度こそ消えていった。見送った束は後ろに掛けていた指揮帽を深く被る。

 

「さあ、こっちに被害が来ないようにちょぉっと頑張っちゃおうかな!メインエンジン始動!各連装主砲起動開始!いい?絶対に【プリンセス】がこちらを攻撃するまでは撃ってはダメ!良いね!!」

 

「分かってますよ、博士。」

 

「そんなに私たちが信用できない?もう3年の仲なのに。」

 

「良いじゃん、形式的にだけでも艦長代理らしいことしなきゃ!」

 

「そんな暇があるなら後ろにいるリタちゃんを鎮めてくださいよ....。」

 

「え?」

 

束は忠告をされた少女【ルリ】に反応し恐る恐る後ろを振り向く。そしてそこには二枚の浮遊するシールドに座っている一人の少女。

 

「また【プリンセス】と遊んじゃダメなの?」

 

「待って待って!?リタちゃん、今回は合図さえあれば【フェネクス】使っていいから!?それまで待ってて!?」

 

「・・・・・出してくれるなら良いけどさ....。」

 

そう言われた【フェネクス】の精霊ことリタちゃんは艦長代理席の横の副艦長席にボフッと座った。束がひっそりその顔を見てみる。膨れていた。そして束はなにかを察する。これでは不味いと思ったか内線を準備しているであろうヴィンス達に繋ぐ。

 

「もしもし?準備中なんだが?」

 

「・・・・ごめんもう【フェネクス】がキレそうなの。」

 

「おぉんまじか....。」

 

「・・・・ヴィー君の指示を絶対に聞くように言い聞かせるから一緒に連れて行ってくれる?」

 

「・・・・はぁ、分かった。但し、クロエから離れないよう言伝してくれ。あいつが暴走したらクロエにしか止められん。」

 

「りょーかい、リタちゃんのわがままに付き合ってもらっちゃってごめんね?」

 

「良いですよ。何となく最近の機嫌でそろそろ不味いなぁとは感じてましたし。」

 

「それじゃ後から追わせるね。」

 

「了解。其じゃ、出撃する。」

 

「行ってらっしゃーい。」

 

そうして内線を切った束は今度はもっとふてくされていたリタちゃんを見つめる。

 

「リタちゃん、ヴィンスから出撃許可が降りたよ。」

 

「ほんと!?」

 

「うん、但しちゃんとヴィンスの指示を聞くこと、そしてクロちゃんから離れないこと、これが条件だよ。」

 

「分かった!!すぐに【フェネクス】を使って追い付くよ!」

 

「くれぐれも無事でね。」

 

「はーい!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これは再び戦場に身を置く二人の兄妹と精霊を巡った小さく、けれども壮大なストーリーである。

 

 




とりあえずプロローグだけ。


このあとのお話はISが完結してからとなりますがもし読みたかったら活動報告とかに凸繰れれば。

あ、感想くれると喜びます()



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第2話 復活の騎士

狂三にはまってしまったせいで完結しなくても続きがかけるかける。


・・・・・・・

 

「市内に精霊確認、照合、【プリンセス】です!」

 

「よし、ASTが来る前に士道に接触してもらうわよ!」

 

「了k.....ちょっと待ってください、新たに精霊の反応が3つ増えました!!!!」

 

「何ですって!?コードネームは!!」

 

ASTと真っ向から対立する組織【ラタトスク】。そしてそのラタトスクと対立する【AST】。その両者と対立する【精霊】、その精霊が3つも増えたとなると流石にそのフラクシナスの司令....彼女も驚きを隠せないでいた。

 

「お待ちください....!?そ、そんな....この反応は・・・!?」

 

「どうしたのよ?さっさと言いなさいよ?」

 

「は、はい....精霊照合結果、【リッター】、【ライダー】、そして【フェネクス】です!!」

 

「「「!?!?」」」

 

「嘘・・・・そんな馬鹿なことがあり得るわけない!?その三体は数年前にASTが殺したはず.....!?」

 

目の前の少女、五河琴里はそう呟く。なまじ予想外の出来事だったので反応すら出来なかったのだ。【プリンセス】を巡った戦いは早くも暗雲が立ち込めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【プリンセス】が現界した周辺地域の近くにASTの精鋭部隊は待機していた。勿論突如出現した本来ならば存在するはずのない存在、【リッター】【ライダー】【フェネクス】がこの近くに出現したからだ。隊員全員が指示を待たざるを得なくなったのだ。そしてその合間に三人は着いてしまった。

 

 

「・・・ふぅ、久しぶりに使うと慣れないものだね、お兄ちゃん。」

 

「そう....だな。ここ最近は【アレ】の防衛施設を改造していたから使う暇がなかったのもあるが。」

 

「そう?ヴィンスはもっと使っているのかと思ったけど....。」

 

「お前みたいに直に取り込むことは出来ないんだからよ......。」

 

「そうだよ?リタちゃんは直に取り込んだからいいものの私達は精霊でエルちゃんが機能しなくなって死ぬはずだったんだよ?それを死にかけてた二人の精霊が私達を依り代にすることで再び不老を得たんだから。やっぱり博士には感謝しないとね!」

 

「そうだな、だがまずはこの包囲網を突破しないとな・・・・!!」

 

ヴィンセントがそう言う頃にはAST率いる小隊がヴィンセント達を取り囲んでいた。そしてその真ん中にいるやつが隊長であろうと察したヴィンセントは手っ取り早く落としに掛かろうとしたがリタがそれを制止した。

 

「・・・・・・ヴィンス、ここは私に任せて!」

 

「・・・・・やれるのか?一人で。」

 

「何のためにあの力があると思ってるの?刻をも超越する不死鳥の力、舐めないでよ?」

 

「・・・・・なら、ここは任せた。俺とクロエは【プリンセス】を保護に掛かる。終わったら合流してくれ。」

 

「分かった、速めに追い付くからね?」

 

「期待してる。・・・・行くぞクロエ。」

 

「はーい!・・・・・頑張ってね!」

 

「うん!」

 

三人の長いようで短い会話が終わるとヴィンスとクロエは嘗ての愛機・・・・【トーリスリッター・ツヴァイ】と【トーリスリッター・テレフタラート】を吹かしプリンセスの居る地域へとその身を翻していった。

 

残されたリタは綺麗な右手を胸に翳す。

 

「さてと、・・・・・早く終わらせたいし最初から本気で行くよ!!【不死鳥(フェネクス)】、エンゲージ!!」

 

彼女の叫びと共に右手に纏われたオーラ、それをリタは戸惑うことなくASTの部隊に投げ込んだ。ASTはそれを撃ち落とそうと銃火器を連射するもエネルギー体なのだ。当たるわけがない。撃ち落とせないと悟った隊員達は次々と回避していくが運悪く反応が遅れた一人が【不死鳥】に飲み込まれた。

 

「少尉!!!!」

 

叫ぶ隊長格らしき人物の声はリタにも聞こえていた。

 

「あはは♪もっと私を本気にさせてよぉ?」

 

そしてリタはもう一発、自身のオーラを纏ったウェーブをその集団に向けて放った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方プリンセスの反応を捉えた二人はその反応が示す地域へと移動していた。そしてそこにプリンセスと.....一人の少年がいた。ヴィンスは軽く歯噛みする。

 

「・・・・チッ、遅かったか・・・・!」

 

「博士、プリンセスの他に一般人を一人確認、どうする?」

 

クロエはどうするか本部で暇そうに待機している束に連絡を繋ぐ。因みに束もまたかつて最悪の精霊として言い伝えられていた【ナイトメア】の持つ【刻々帝(ザフキエル)】の上位互換、【刻々帝・騎士団(ザフキエル・キャバルリー)】の持ち主である。

 

「・・・・大人しく退こうか。まだいくらでも私たちにはチャンスがあるからね。」

 

「りょーかい。・・・・お兄ちゃん、撤退だって。」

 

「ここまで来たのにか....あの少年さえいなければ・・・!」

 

ヴィンスはそうぼやくとあらかじめ破損していたシールドを持つと下に投げた。そして二人の方へ顔を向ける。

 

「・・・・そこの一般人と【プリンセス】、今回はこっちも本気で掛かりたかったが撤退なもんでな。・・・・・今度あったときが死神のお迎えだ・・・!」

 

ヴィンスはそう吐き捨てるとブースターを吐いて雲の空へとその身を消した。

 

 

そして、この時からクロエとヴィンスが抱くあの【プリンセス】への不満は増加し始める。

 

To be continued........




何故か書いてると楽しくなってくるっていう。

アレ


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第3話 対精霊機関【アクシズ】~哀れな道化師と天災~

もうタイトルからしてモロ分かりな今回。実は彼女が準ヒロイン(というか精霊側の主人公)だったりする。


ディストピア来年発売らしいですね?つーかコラボイベで声まで発表とかやり過ぎテラワロス


元は対委員会機関。そして今は対精霊特務機関【アクシズ】。その本拠地は地球上に位置する小惑星【アクシズ】。そしてその地上支部本部は元IS学園があったところから天宮市と呼ばれるごく普通の年の港に移動していた。その移動司令部の名は、かつてISによる戦争を少数精鋭で止めた改ビッグ・トレー級水陸両用高速巡洋砲撃戦艦三番艦【ティーレ】。そしてその姉妹艦・・・・航宙間移動用戦艦である改レウルーラ級砲撃戦艦【レウルーラ】、随伴艦の改ナルヴィク級2056型駆逐艦1番艦【レーベ】、2番艦【ティーレ】。それらの艦は港を陣取り停泊していた。そしてその停泊している戦艦ティーレの改装された外部居住スペースの一画に三人が涼しげな顔でティータイムを嗜んでいた。

 

 

「・・・・久しぶりだね。」

 

「私はこんな存在は始めてです。ヴィンセントさんが取り込んだ精霊を見たときは半信半疑でしたがこうもはっきりと来られると此方としてもちょっと困惑しますね、ええ。」

 

そう言いながらテーブルで紅茶を飲む二人。その二人はかつて天災とも訳された【篠ノ之束】、そしてもう一人はとある世界から外の世界の技術を得るために派遣された(というかクロエになついたから戸籍作ってと束に丸投げされた)1934型駆逐艦・・・その執念が擬人化した存在【Z2】、またの名を【ゲオルク・ティーレ】。その二人を反対側に座っている少女は見据えて話す。

 

「あら、いつの間にか願いを叶えさせてあげたのに何とも言えない微妙な反応ですね?」

 

「私としては貴女も精霊なのが驚きなんだけどね。」

 

「面白いことを言うのですね、まあ良いです。・・・・ではそろそろ本題へ。・・・・・単刀直入に問います。【貴女様の二つ目の望みは何でしょう?】」

 

「ほう、私にそれを聞くのかな?」

 

「ええ、狂三様の天使が持つ【刻々帝】、その類似品を持つ貴女様の願いも叶えねばも思いまして。」

 

「へぇ....。私はただここで平和に暮らしたいだけなんだけどね。」

 

「【平和に暮らしたい】・・・・ですか。なかなか地味な望みなのですね?全く、度し難い。」

 

束の何気なく出てくるような願いを聞いた少女・・・・・【蓮】は紅茶をゆっくり飲み干しコップを置くと作り笑いをする。ティーレはレーベくんを机の上に置いて放し飼いにすると口を開く。

 

「それはそうですよ。今までISで戦争を止めた私たちにとって今は休息の時です。立て続けに争いに巻き込まないでください、ええ。」

 

「それに、今こうして私たちが平和にここでやっていけるのはあのふたりとフェネクスのお陰だからね。今ある日常を邪魔されたくないの。」

 

「・・・ふふっ、ほんとに変わったお方ですね。・・・・・・・それから、いるなら出てきなさい。狂三さん?」

 

「狂三・・・・?」

 

蓮はそう言うと内部に通じる連絡通路の影に隠れた何かを指差す。二人がそれを見ると影から赤と黒のドレスを着た少女が現れる。束はその少女に見覚えがあった。

 

「あら、あらあら、バレてましたの。お久しゅうございますわ。」

 

「あ、狂三さんですか、こんにちはです、ええ。」

 

ティーレは呑気に挨拶を交わすが束の顔は宜しくない。

 

「・・・・何、狂三。何でお前がこんなところにいるんだよ。」

 

「あら、何も聞かされていないのですか?クロエさんが私を呼びましたのよ?・・・・それにしても、蓮さん。貴女あの世界でさんざん殺り合いましたのにまだ殺り足りないのですか?」

 

そう言うと狂三は二丁の銃を実体化させる。蓮もまた何処からかともなく絨毯を取り出す。ティーレは自分の艤装を装着し二人に主砲を向け、束はティーレの連装ミサイルのロックオンを付ける。まさに一触即発。その時だった。

 

「お~い、今戻ったぞ~。・・・・ん?」

 

「帰ってきたよ~!!!・・・あ!狂三ちゃん!!」

 

「遅かったですわね、随分と待ちくたびれましたわ?」

 

ヴィンセントとクロエが【リッター】と【ライダー】を展開して降りてきている姿が見えていた。因みにリタこと【フェネクス】はちゃっかり精霊化を解除して先に部屋に戻ってたりする。クロエの姿を確認した狂三は銃を消すと降りてきたクロエに近づく。

 

「ごめんね~。また【プリンセス】を見つけたから少しでも情報がほしいし二人で凹しに行ってたの。」

 

「・・・・プリンセスに南無三と言いたいですわね....」

 

「それで、狂三ちゃん。来たってことは?」

 

「ええ、見つかりましたわ。クロニクルさんの.....いえ、個名【黒鍵】の居所が。」

 

「「「「!!」」」」 

 

その場にいた四人が一斉に息を飲む。37年前の戦争で一人行方不明になったIS【黒鍵】の持ち主であるクロエ・クロニクル。彼女もまた行方不明となっていたがヴィンス達が天使を取り込み半精霊となったとき、ごくわずかだが三人がクロエの生命反応を捕らえたのだ。そこからの行動は速く、先読みして襲撃した狂三を奥の手でコテンパンにし極秘裏の条約(クロエの独断即決)によりクロニクルの居場所を探してもらう代わりにある程度の協力を約束していた。そして彼女が来たと言うことはとうとうその場所が割れたと言うことだ。

 

「それで、場所は?」

 

「・・・・天宮市中央に位置するDEM(デウス・エキス・マキナ)社の最重要機密区の最深部・・・・簡単に言えば建物の最上階で囚われていますわ。」

 

「・・・・・あのクソでかい建物の屋上か。それにしてもよくそこまで突き止められたものだな。」

 

ヴィンセントが端末機器で判明した建物の防衛システムにハッキングし内部構造を確認しながらぶつぶつと呟く。その小声を狂三は聞き逃さない。

 

「私の分身体が頑張ってくれたお陰ですわよ?もっとも、大分寿命が喰われましたが。」

 

「・・・狂三ちゃんさ、全力で探してくれるのは嬉しいんだけど節約すること覚えよ?」

 

「うっ....言い返せないですわ....」

 

「いくらここで狂三ちゃんが必要な寿命・・・・というか霊力を補給できるといっても変換バイパスを経由している以上は純度もそんなにないし生成できる量も少ないんだよ?」

 

クロエがいつの間にかテーブルに残り空いていた一席に座ると中央にあったクッキーを頬張る。狂三はクロエの行動が読めずさらに困惑する。口の中にあったクッキーを全部胃の中に詰め込んだクロエは隣にいた蓮に話しかける。

 

「そうだ、蓮・・・だっけ?名字はあるの?」

 

「哀れな道化師にはそのような名字などありませんよ。あるのは蓮という名前だけですよ?」 

 

蓮は清々しく返す。包帯で片目が隠されたその顔の真実が読めないクロエは少し考え込むと狂三を呼んだ。

 

「(ねぇ、狂三ちゃんの名字をあげてもいい?)」

 

「(は!?ちょっと、勝手にあげようとしないでくださいまし!?)」

 

「(えー、良いじゃん、減るもんじゃないし。)」

 

「(そう簡単に人の名前を付けるもんじゃありませんわよ!?)」

 

案の定キレる狂三、その顔を見てにやけるクロエ。やはりこの二人は惹かれ合うのだろうか。【一の弾(アレフ)】と【HADES(ハデス)】だけに。

 

「(でも、狂三ちゃんにとっても悪くないはなしだと思うよ?狂三ちゃんの願いだって遠回りになるけど叶うかもしれないし。)」

 

「(ですがね・・・!)」

 

「(じゃ、全力の私と相手して勝てたら諦めるよ♪)」

 

「(あ!?卑怯ですわ!?私の弱点を悉く知り尽くしてる貴女があれを使って私が勝てたことないでしょうに!?)」

 

「(それだけ私は本気だってことよ♪それにあの蓮って子、見たところ悲しい過去を背負ってるように見えるよ?)」

 

「(・・・・・以前私と他の精霊達が次元を越えた際にあの蓮と本気で殺りあったのですわ。)」

 

「(次元・・・・・というとネプテューヌ達の事かな?)」

 

「(え、ええ。でもなぜ貴女が知ってますの?)」

 

「(あそこにいるティーレちゃんの世界にもネプテューヌ達が来たんだって。それでそこ経由で・・・・ね?)」

 

「(・・・・はぁ。とことん叶いませんわね。)」

 

「(ま、戸籍偽造くらいなら博士がおやつ感覚でやってくれるから♪)」

 

「(えぇ.....。)」

 

そして遂に狂三が折れる。クロエはしてやったりと顔をにやけさせて蓮の方に顔を向ける。

 

「・・・・んー、蓮がここを活動拠点にして住み着く気があるなら名字、あげちゃってもいいかな~って。」

 

「・・・・へ?」

 

「クロエ!?」

 

あまりにも突発的な提案に蓮は紅茶を吹きヴィンセントは端末を落とす。いつもなら必ずヴィンセントに話を通してから提案するクロエが突如独断で提案するのだ。そりゃそうなるよ。束は話が読めず近くにいた狂三に話しかけようとするが狂三はテーブルの下でぶつぶつと何か言っていた。

 

「・・・ああ、ああ、失敗しましたわ.....失敗しましたわ......乗せられてしまいましたわ.....。」

 

「あっ......。(察し」

 

一連のクロエの行動とこの狂三の落ち込みように流石に束も何かを察したのか狂三の頭を撫でて同情する。

 

「一応蓮も精霊何でしょ?ここに来るときに居場所がないと辛いし、ね?」

 

「この哀れな道化師に住みかを・・・・?しかし、私にはすでに.....。」

 

「いずれ狂三ちゃんにもここで定住してもらう予定だったしそれが少し早まったと思えばね。」

 

「ちょっとクロエさん!?それは流石に聞いてませんわよ!?」

 

「クロちゃん!?何言ってるの!?束さん初耳だよ!?」

 

「だっていま考え付いたし!」

 

「「ひどい!?(ですわ!?)」」

 

「・・・・だーめだこりゃ。」

 

「・・・ですね。私たちに介入する余地はもうありませんね。・・・・・・ヴィンセントさん、天宮市方面から熱源20、これは.....?」

 

三人のあきれた喧嘩に介入することさえできない二人はその裏でこの改ビッグ・トレー級に近づく熱源をとらえていた。

 

「十中八九DEM社の差し金だろうな、あそこ精霊絶対殺すマンだったはずだし。迎撃するついでに本社ボコって息の根を止めるか・・・?救助ついでに。」

 

「迎撃するついでに救助してそのついでに壊滅ってどこまでチートなんですか....あ、でもヴィンセントさんとクロエさんには元から死神がついてましたね。」

 

「おいこらどういう意味だ!?」

 

「【HADES】ですよ。シスターズがいれば楽だったんでしょうけど.....」

 

「あいつらは今天宮市で支部を設立途中だからな、呼び戻すわけにもいくまい...。」 

 

ヴィンセントが呟いた【シスターズ】。それは前戦争でヴィンセント達と共に暗躍した【トーリスシスターズ】のことを指し、全部で四人いる。そしてその四人は今精霊に対抗するため現地で支部を設立中なのだ。

 

「仕方ない、ティーレ、追い返すぞ。暫く囮は任せた。俺はあいつを迎えにいく。」

 

「了解ですヴィンセントさん、御武運を。」

 

「ああ、たかが20人にこの戦艦と精霊達をやらせてなるもんかよ。」

 

ヴィンセントはそう言うとビッグ・トレーの内部通路へと走っていった。それを見届けたティーレはレーベくんを左手に嵌め込む。

 

「・・・・それでは、私もやるべきことをしますか。【Z2】、艤装展開。」

 

ティーレがそう喋るとビッグ・トレーのよこに係留していた駆逐艦が光り、霧散しティーレの身体に纏われていく。光が収まったそこには背中に連装魚雷(対空ミサイル)を担いだティーレがいた。

 

「・・・・さて、狂三さん達、お客さんが来たようですよ?」

 

「・・・ちっ、DEM社の刺客ですか・・・!」

 

「あら、ここで死んで貰われては困るんですがね・・・・?」

 

「ちっ、ISを越えた科学力・・・・!!」

 

「流石にこの数だと分が悪いね、博士、アレを取ってくるよ。時間稼ぎをお願い、狂三ちゃんも手伝って。頑張ったら私の寿命分けてあげるよ。」

 

「なっ!?自らの命を使ってでもアレを止めたいのですか!?」

 

「・・・・せっかく平和な日常をこいつらがぶっ潰してくれたんだもん。仕返しに本来なら総員で潰しにかかるけど慈悲の意味も込めて格の違いを見せつけてやらないとね。それに改良した【HADES・TypeZ(ザフキエル)】のテスト運転もまだしてなかったし丁度良いでしょ?んじゃ、ティーレちゃんと四人で時間稼ぎ、お願いね?」

 

そう言うとクロエは飛び降りた。狂三はそれはキョトンと見ていた。やがて気を取り直すと束が肩に手を当てていた。

 

「・・・・今回だけだからな?」

 

「キヒヒヒ、どうですかしら・・?おいでなさい!【刻々帝(ザァァァァフキエェェェェェルゥゥ!!!!)】」

 

 

「名字・・・・ですか、あの方の恩義を返すためならそれもまた、悪くはないか....。【瘴毒浄土(サマエル)】!!!」

 

「ひっさしぶりの戦い、くーちゃんのためにも速攻で終わらせるよん!!【刻々帝・騎士団(ザフキエル・キャバルリー)】!!!!」

 

 

三人が天使を呼び出し準備万端、敵もすでにロックを終えていた。

 

「見つけたわよ・・・【ナイトメア】。」

 

「キヒヒヒ.....ざぁんねぇんでしたわね。あのお方をキレさせてしまった貴女方はここで死ぬ運命ですのよ?無駄な抵抗はせず、楽にお逝きなさい!!!」

 

狂三の銃が撃たれると同時に死闘は始まった。

 

死まで、残り60秒。

 

 

 

To be continued........

 

 




DEMの皆さん死刑宣告です(ニッコリ

そりゃクロエちゃん怒らせたもんね。黄泉に焼かれてお逝きなさい!



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第4話 死神は闇夜へと消える

はいどうも。時間軸が今回少し飛びますが結論的に言えば1話です。

あ、因みにこの小説は士道くんは主人公でありしばらくは主人公ではありません。何故かって?クロエちゃん救出してからがお仕事だ。




4月8

日。この日はとある少年の始業式である。

 

「ふあぁ....ほら朝御飯だぞ~席に座れ~。」

 

「ありがとうおにーちゃん!!」

 

二人は朝御飯を食べるため食卓に座りテレビをニュースに切り替える。

 

『まずはニュースです。昨日午後、天宮市郊外にて空間震が発生しました。人的被害はありませんでしたが小規模ながら被害は発生しており復旧には数日の見込みがかかるようです。』

 

「また空間震か...ここ最近になって発生頻度が増えてきてるな。」

 

「・・・想定より早いわね。」

 

「何か言ったか?」

 

「嫌何にもないよおにーちゃん!」

 

「そうか.....冷めないうちに食べろよ?」

 

他愛のない会話と共に二人の食事はつつがなく進んでいく。そして食べ終わりかけた頃、耳を疑うようなニュースが入ってくる。

 

 

『では最後のニュースです。本日未明、大手海運業者【アクシズ】の天宮支部がDEM社のものとみられる無人兵器に襲撃されました。被害はなく、怪我人もいない模様です。この突然の襲撃に対し取締役の束社長は[今回の件については誠に遺憾であり到底容認できないものである]とし、近日抗議をする予定であることを明かしました。これに対しDEM社の日本支部のエレン氏は[この襲撃は全くの事実無根の冤罪だ]とし、今回の襲撃とは関係がないと否定しています。』

 

 

「・・・・ほーん、あの海運業者を襲撃するなんてよほど暇なのかしら?」

 

「DEM社が襲撃とは珍しいな、よほどのことがあってのことだろうがあそこって精霊?ってやつの撃退が目的なのだろう?なんで精霊とはほど遠い海運業者なんかを....?」

 

「さあ?私達には関係のない出来事よ?それより、今日のお昼御飯はファミレスで食べたい!」

 

「ファミレスかぁ....まあ時間もあるしいっか。じゃ、あそこのファミレスで待ち合わせな。」

 

「うん!わかったよおにーちゃん!」

 

そして二人....【五河士道】と【五河琴里】は家を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、表向きは海運業者として営業している【アクシズ】は今日は営業をしていない。深夜にDEMの【バンダースナッチ】と呼ばれる無人兵器による襲撃を受けたからだ。しかしバンダースナッチ程度では相手になるはずもなく一緒にいた蓮や狂三達の手によりすべて破壊された。そしてあの後、狂三と蓮はそれぞれいちいち各地を動いてもここがなくなったら目的を果たせないという点で一致し正式に【アクシズ】の【精霊】としての正式な一員になった。そして蓮は晴れて狂三から名字を拝借して【時崎蓮】と名乗ることとした。それに狂三はあまり納得していなかったが。

 

「・・・さてと、これで良いかな。」

 

「だな。狂三も支部には用があるんだろ?」

 

「ええ、囚われの精霊。その精霊を探すために日本にまで来たのですから。」

 

「私は願いの奴隷であり哀れな道化師....ならばその願いを叶えるのが私の使命。そしてその願いが救出ならば喜んでその願いを叶えましょう....。」

 

「蓮さん?ちゃんと歪んでない手段で頼みますわよ?」

 

「分かっていますよ....あちらの世界で否定された以上は...フフフ。」

 

「おー精霊の考えることなんて分かったもんじゃないな....。」

 

そう言うとヴィンセントは作戦司令室にいる全員にDEMの日本支部の全体地形図を見せる。

 

「さて、クロエがいるのが確かここだったよな?狂三。」

 

「ええ、そこですわ。今現在も影の中で私の分身体が動向を逐一報告してくれます。」

 

「了解、なら蓮と狂三は外で陽動を頼む。いざというときにはフェネクスとティーレ、それにレーベを援軍に向かわせる。」

 

「・・・・・もう一度聞きますがほんとに総動員にでやるのですね?」

 

「そうだ。やるからには本気でいくしかない。ここにいる精霊【ナイトメア】【ディストピア】【ラビットスター】【フェネクス】【ライダー】【リッター】【ハーディ】【ハンター】計8人でDEMを落とすんだ、こっちもそれなりの覚悟でいかないとクロエは救えん。勿論最悪の場合も考えてザフキエルとディストピアは持っていく。ほんとに最悪の場合が起きたときだけだがな。」

 

「本当に総力戦ですわね....。」

 

「やるからには殺る。それが俺たち【アクシズ】の【裏】だ。」

 

「だね、最近は【HADES】も使ってないしそろそろ制御が落ち着かなくなってきてるから鬱憤の張らし時だしね!」

 

「「「「「「「うわぁ.....。」」」」」」」

 

クロエがさらっと天使がほぼ暴走制御下に居ることを明かしたのを全員がドン引いているが時間はないのだ。

 

「それじゃ、いくか。博士!!」

 

「了解!」

 

「レーベ、ティーレ!!」

 

「はい、いつでも。」

 

「こっちもいつでも行けるぜ!」

 

「よぉし!!改ビッグ・トレー級、エンジン再始動!」

 

その成りを潜めていたビッグ・トレー級の末っ子。その胎動は再び動き出した。向かうはDEMの日本支部。ヴィンセントは二人にお願いをした。

 

「蓮、狂三、空間震を起こせるか?」

 

「出来ますけど・・・何処に?」

 

「場所にもよりますが私の天使は使い方を誤れば空間震でさえ災害級になりますよ?」

 

「無論最大級でいいさ、発動地点はDEM日本支部。規模は小さくていい。」

 

「了解しましたわ、ですが何故?」

 

「なに、簡単なことさ。【俺とクロエが真正面からクーを助け出す】。」

 

ヴィンセントがいい放った一言。一見普通に見えるが一部の人からしたら無謀だと考えている。無論狂三や蓮だってその一部なのだ。だがその幻想をクロエとヴィンセントはぶち壊せる。それもあってか全員が全員黙認していた。

 

「分かりましたわ、ですけど発動にはしばらく準備がいりますわ。」

 

「無論それくらいは俺達も分かってる。発動するまではコイツで空間震が来ることがわからんように誤魔化す。」

 

「うわぁ....貴方は本当に予想外の行動を提案しますね....。」

 

「なに、70年近く軍人やってれば自然とプランは思い付く。」

 

「私のお兄ちゃんをなめたら痛い目見るんだから!」

 

ボケーっと呟くヴィンセントを後押しするかのようにクロエが背中からガシッとヴィンセントの肩を掴む。

 

二人が考えた作戦はこうだ。

 

まずアクシズのティーレによる砲撃牽制で空間震の予兆を察知させないようにし、蓮と狂三で空間震を引き起こす。その後狂三と蓮、足りなかったらレーベとティーレ、フェネクスで外縁部の陽動。そして束とクロエとヴィンセントが内部に突入し正面突破。これによりクーの救出、あわよくば狂三の探している精霊も保護しようという作戦である。

 

「さぁて、作戦名【オペレーション・キーブレイク】開始だ!!!」

 

クーの兄として、【アクシズ】の司令として、ヴィンセントはそう高らかに宣言した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【ラタトスク】の【フラクシナス】にて観測を続けていた琴里。深夜にも関わらず何故このような場所に居るかと言うと寝る前の通信である。

 

 

 

 

「司令、空間震の予兆を確認しました。」

 

「・・・こんな真夜中に?」

 

「ええ、波長からして【ナイトメア】のものかと思われますが、もうひとつの反応が不明でして...。」

 

「空間震が二つ・・・・?分かった、私もすぐそっちに向かうわ。来るまでに詳細な状況をまとめてちょうだい。」

 

「了解しました。」

 

そういうと通信の相手は仕事をするべく通信を切った。琴里はため息をつくと何時もの服装に着替える。

 

「睡眠を邪魔した精霊....事によってはただじゃおかないわよ.....!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とまあこんなことがあって今に至っている。

 

「それで、現時点での予想地点は?」

 

「DEM社の日本支部です。」

 

「DEM社?奇妙ね、普段ならこの天宮市周辺に出るはずだけど.....。」

 

琴里は予想外の発生地点に少し戸惑う。その瞬間、観測していたオペレーターがとんでもないことを言い出した。

 

「・・・!?精霊反応....でもこれは!?」

 

「どうしたの!?」

 

「いえ、精霊の現界を確認しましたが...何だこの数は!?」

 

「・・・・どういうことよ?」

 

「・・・・現界した精霊、総数8体!!内7体は【ナイトメア】【リッター】【ライダー】【フェネクス】【ラビットスター】【ハーディ】【ハンター】と照合一致!!」

 

「・・・集団現界ですって・・・・!?」

 

フラクシナスが観測した空間震からの集団現界.....それが何を意味するかは全員にも分からなかったがただ一人、琴里はあるひとつの推測をたてていた。

 

 

 

 

 

・・・・・・【アクシズ】という海運業者は、精霊を仲間にしているのではないか、と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・狂三、行けるな?」

 

「ええ、いつでも滞りなく。」

 

「空間震、発動してくれ。」

 

「分かりましたわ......さあ、舞いなさい!!!!」

 

 

ウゥゥゥゥゥゥゥゥ

 

 

全域にけたたましく鳴ったサイレンの音を皮切りにシェルターが民間人を収容し次々と内部へ押し込まれていく。やがて数秒後、二つの空間震が小規模ながら廃墟を形取る。やがて晴れるとそこはすでに廃園と化していた。空間震が終わる頃には8人は既に外に待機していた。無論クロエとヴィンセントはトーリスを起動している。

 

「じゃ、狂三達、頼んだぞ。」

 

「完璧にこなして見せますわ。ですから二人はなるべく早くあの方の救助を。」

 

「勿論。・・・・・ヴィンセント、【ライダー】!!」

 

「クロエ、【リッター】!!」

 

「「出る(よ)!!」」

 

この場を任せたヴィンセントとクロエは死神の守護神をその手に収め闇夜へと溶け込んだ。

 

 

 

ここに、オペレーション・キーブレイクが幕を開けた。

 

To be continued......




一応これ、原作前です。

次回はDEM軍団VSアクシズになりそう


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第5話 記憶を掘り返したときほど黄泉はキレる

はぁ~いどうも!!

狂三ちゃんパワーで加速してます


・・・・【ラタトスク】空中艦【フラクシナス】

 

フラクシナスの内部司令部は重苦しい空気に包まれていた。

 

「・・・・・何なの、貴方達!!!」

 

「・・・・姿だけ見てもわからないか。まあいいや、私達は海運業者【アクシズ】・・・・・まあ貴方達なら知らない名だとは思うけどね?」

 

目の前にいる紅い少女に琴里は歯軋りする。琴里だってアクシズの名を知らぬとは言えなかった。

 

 

ーーーーー海運業者【アクシズ】

 

30年前から続く老舗の海運業者でその安全性は抜群とまで言われた唯一無二の運送業者。

 

だが、その裏の顔は誰もが見た顔。37年前に起きた戦争を単独で止めた世界の英雄【アクシズ】。彼女達がその戦争を止め、現在まで生きていようとは誰も思っていなかったのである。

 

「・・・ま、いいわ。名前は教えてあげる。私の名前は惑星国家【アクシズ】本部付き副司令の【アンネローゼ・ローゼンハイン】。貴方達で言うところの英雄かしら?」

 

「・・・・で、そのアクシズの副司令様が何の御用かしら?生憎此方も忙しいの。」

 

琴里は事務的な対応をするが、対するアンネローゼは今操縦している機体.....【クィン・マンサ】のファンネルと大型サーベルを展開する。

 

「単刀直入に言うわ。隊長達の邪魔をしないでちょうだい。」

 

「・・・・・どう言うことかしら?」

 

「今、隊長達は自らの意思で精霊・・・・いや、妹をを救助しにいってる。隊長達を止めようものなら私たち【アクシズ機動制圧艦隊】が全力で御相手するよ?」

 

「・・・・分かった。でもこの騒ぎが終わったら全部話してもらうわよ?」

 

琴里はそう言って観測プログラムの電源を閉じる。

 

「話のわかる子で助かったわ。お礼といっちゃなんだけど少しいいことを教えてあげるわ。」

 

「何よ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・【アクシズ】は今数えるだけでも200を越える精霊と手を組んでいるわ。まあほんとにこれが本当の情報のなのかは定かじゃないけどね。私にも詳しいことはわからないけど。」

 

「えっ、ちょっと待ちなさい!?200以上って・・・!?」

 

「・・・あーこれ以上バラすと後で隊長に反撃されるから詳しいことはまた今度ね?それじゃ、今度会うときはアクシズの本部で......。」

 

そう言うとアンネローゼは自身の機体を後退させていった。やがて姿が見えなくなると琴里は静かにさっき消した観測システムを再起動させた。

 

「・・・・アクシズ.....暴かせてもらうわよ・・・!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

DEM社空域

 

日本支部がおかれている空域は地獄と化していた。空は狂三の分身体が蹂躙し、地上はレーベ達による飽和砲撃、そして真正面はかつての英雄による殺戮劇。これを地獄と呼ばないでなんと呼べばいいのだろうか。

 

 

「・・・行かせない!!全機、あれを止めなさい!!!」

 

とある隊長からの指示を受けた隊員達が一斉に正面を突っ切るクロエと束、そしてヴィンセントに対して銃撃戦を仕掛けていた。だがその手は彼らにとっては悪手だった。

 

「・・・・舐められたものだ、博士、ここを頼みます。俺とクロエでクーを救出してきます。何、5分あれば十分です。」

 

「分かった、けどくれぐれも無理はしないでよ?クーを助けられても二人がいなくなったら元も子も無いんだから。」

 

「自分達の調子は一番わかっていると思ってます、......クロエ、いくぞ。」

 

「分かったよ、ヴィンス!」

 

クロエとヴィンスはこの場を任せると颯爽と上を飛び越して社内に突入していく。それを見た束はこれで遠慮なしにできるといった表情で隠し持っていた拡張領域からハンドガンと銃身を切り詰めたスナイパーライフルを取り出す。

 

「・・・・さぉて、華々しく初陣を飾っちゃおうっかな!!【刻々帝・騎士団】!!!」

 

束の目がいつもの色から空色の背景の時計模様に染められると同時に狂三よりは小さいが古い模様の時計が空に浮かぶ。そして何よりいつもおちゃらけた服装からかつてアクシズの指導者が纏っていたマントを着込む。

 

「【TypeA】、チャージ、ファイヤ!!」

 

そうして束の持つスナイパーライフルから放たれた銃弾は夜空を真っ赤に染める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・クロエはいつからああなってしまったのだろうか。最初は記憶喪失でなつくだけだったがいつからか妹として接するようになり、ここに降りてから本当の兄妹として暮らすことになったときには今までの行いがようやく報われたのかと感じる。だが、最近その妹が遠くにいっているような感じがしてきた。クーも精霊となってしまい、もっと遠くになってしまった気がする。

 

 

 

【・・・・・なら、君も二人と近しい....いや、同じ存在になるか?】

 

ならない。

 

【即答!?】

 

クロエはクロエだからな。それに俺やクロエには黄泉の加護がある。精霊よりずっと信頼できる仲間がな。

 

【黄泉・・・・・ヨハネの黙示録か、随分とロマンチックな仲間だことだ。自分が作った子達も今やどこにいるかもわからない存在。けど一人だけ存在はつかめている。】

 

・・・・狂三か。

 

【彼女は....元気か?】

 

ああ、今はあんたを殺すことに躍起になってるよ。

 

【おお、怖い怖い....】

 

それで、俺に接触してきた目的はなんだ....【ファントム】

 

クロエが一足先に向かっている途中にゆっくり周囲を索敵していたヴィンセントは謎のノイズに絡まれていた。もっとも、そのノイズはHADESでくっきりと聞こえるし、見えているのはここだけの秘密だったりする。

 

【勿論、君達を精霊にする......と言いたかったけど君たちのその姿、周囲の私たちの子を見ているとどうやらその必要は無さそうだからね。】

 

なんだそりゃ.....まあいい、お前がそうするなら俺は気にしない....もし、また俺たちの前に出てくるのなら、その時は【アクシズ地上本部総司令】としてお相手しよう。

 

【それは嬉しい。では、お暇することとするよ....願わくばまたこの地に出逢わんことを....】

 

そしてそれっきりそのノイズが聞こえることはなくなった。ヴィンセントはそれを確認すると現状を把握すべく周囲を見渡す。後ろは地獄絵図と化した戦場、正面にはDEM社の正面玄関とプロトタイプ・アトミックバズーカを両肩に抱えたクロエ。・・・・・・・アトミックバズーカを抱えたクロエ!?!? 

 

 

「クロエ!?おま、それは!?」

 

「どうせ潰すなら跡形も無くって言うでしょ!それが私たち【アクシズ】のやり方でしょ?」

 

「・・・・そうだったな、昔からクロエはこんなんだったな....。」

 

「さぁて、派手にやっちゃうよ!【HADESTypeZ.ModeABZ】!!」

 

クロエの纏うISが黄色く光る。バイザーは紅く光り肩に担がれたバズーカは白く輝く。

 

「いっけぇぇぇぇ!!!!!」

 

両肩から放たれたそれは正面を強く照らすと衝撃で正面玄関を消し飛ばす。二人はもちろんシールドで防ぐ。

 

「さあ、最終段階と行きますか!!!」

 

クロエが真っ先に消し飛んだ玄関に滑り込む。ヴィンセントも見失わないように間髪いれずに滑り込む。戦況は山場を迎えようとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、本部でモニターしていた二人は知ってしまった。

 

「・・・・・不味いです、ええ。」

 

「どうしたんだ、ティーレ?」

 

「・・・・二人のエネルギー残量、残り10%を切りました....!!」

 

「んな!?」

 

「ええ、非常に不味いです、ええ。」

 

あまりにも狂三と蓮が無双しすぎたせいでやることがなかった故の弊害か。モニターしていた二人の正体は.....運悪くクロエとヴィンセントの二人だった......。

 

 

 

To be continued......





次回、いよいよクーちゃんが救えるのか、それとも撤退してしまうのか!?



※ファントムはアクシズと深い関わりを持っています。


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第6話 喪われた記憶、取り戻すは首無騎士なり

どうも最近風邪を引いたエルテューヌ。割りと辛いです(半ギレ

しかもこの話神戸で書いたって言う()


「・・・・ここか。」

 

「みたいだね。」

 

テレフタラートとツヴァイをまとった二人がその区画へ来るのにはさほど時間は掛からなかった。道中の防衛部隊は全て強化ビームサーベルで首から上を焼き尽くし物言わぬ道化と化させるその姿はさながら死神。それでもって息はピッタリ。流石は腐ってもHADESと通じあった二人か、筋に迷いがない。そしてきた二人は重厚な扉をブラスト弾で消し飛ばし内部へ入っていく。

 

「・・・・どこなの......。」

 

「・・っ!?クロエ、あれだ!!」

 

ヴィンセントが指差したのは奥にひっそりと見える台座。そこに居たのは二人が探していたクロエだった。だが様子がおかしい。

 

「・・・・なんだ、クーから冷たい目線が・・・!?」

 

ヴィンセントは瞬時、クロエを押し倒して伏せた。瞬時、前ほどまでヴィンセントがいた場所はまるごと溶けた。瞬間的に状況を判断するヴィンセントが目にしたのはやはりと言うべきか、クロエが黒鍵の武装とも呼べる簡易型ハンドビームライフルを手にしていた。

 

「・・・・邪魔。」

 

「何故だ!?俺とクロエはお前を迎えに.....!!!」

 

「クロエ?誰ですか、私には判りかねます。それに精霊ならば人類の敵。抹殺します。」

 

「・・・っち!!洗脳か!!」

 

ヴィンセントは何故かデジャビュを感じていた。初期の頃のクロエとそっくりなのだ。ヴィンセントはハンドビームガンを展開しあるものを取り出すとクロエに投げつけた。

 

「俺がクーを引き留める、クロエはスナイパーライフルでユッドとそれを装填、クーにタイミングを見計らって撃て!」

 

「・・・!・・・分かった、死なないで!」

 

そう言うとクロエはスラスターを吹かして窓から出ていった。それを確認したヴィンセントは再びハンドビームガンを構える。

 

「何があったかは知らないが....クー、お前を連れ戻して見せる!・・・HADES!!」

 

この世に再び死神の叫びが木霊した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、クロエは外側に出てきたは良いが、大量のバンダースナッチに終われていた。

 

 

「くぅ、きりがない!狂三ちゃん!!こっち援護これる!?」

 

「そうしたいのは!山々ですが!!私たちを駆使しても全然数が減りませんわ!!!」

 

「此方も、本物より本物らしい偽物を大量に作り出して応戦してますが如何せん数だけは多いので・・・!!」

 

「・・・・手詰まりか!」

 

クロエは自然にエネルギーの枯渇を感じていた。先程からスラスターの調子が若干変なことに気づいたクロエは逃げてる間に状態を確認していた。するとどうだろう。霊装の展開に必要な霊力が切れ掛けているのだ。ユッドを使うにも少なからず霊力が居るため完全な手詰まりである。時間がたつにつれて増えるバンダースナッチ。迎撃しきれなくなり全方位を囲まれた三人。全員の霊力も尽きかけた状況でこれは絶望だった.....。

 

だが、それは杞憂に終わる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クロエちゃぁぁぁぁぁぁん!!!!!!」

 

突如飛来する声。爆散するバンダースナッチ。降りてきたのは全体が黒っぽい赤色と藍色に塗装され、各部が改修された【ザフキエル・リッター】だった。その右手には連結されたスナイパーライフルが。

 

「クロエさん!?アレはいったい......。」

 

「・・・・ようやく帰ってきたのね?」

 

「思ったよりルリとネプがサボったからねぇ....けど、もう大丈夫だよ!!」

 

狂三をスルーして行われる会話のドッジボールについていけない精霊二人。切り出すべく狂三が話しかける。

 

「あの、クロエさん?この人は一体....」

 

「この子は私たちのHADESの精神体的な存在。名付けて【トーリスシスターズ】。」

 

「・・・トーリス?」

 

「シスターズ・・・・ですか?」

 

「そそ、でその長女のペイ。一応私の相棒だよ?」

 

「はぁ....?」

 

狂三は警戒しているのか短銃を放さず銃口をペイに向けていた。クロエはそれすら気にせずバイパスコードをリッターの補給口に接続させる。

 

「でも、このペイちゃんさえ居ればエネルギーは無限に補給できる。そしてクーも救うことができる!!」

 

「!!」

 

「・・・・・二人とも、あと20秒だけ耐えて。それさえ凌げばクーを助けられる。」

 

「・・・・・分かりましたわ。ですが、失敗だけはしないで下さいまし。」

 

「分かってる。蓮も、お願い・・・・!!」

 

「・・・彼女を助けたい....それが願いとあらば私はそれを実現させるのみ・・・・!!」

 

二人はクロエから指示を聞き残り少ない霊力を振り絞ってバンダースナッチ達を落としていく。クロエはその隙にスナイパーライフルにあるものとエネルギーを装填する。

 

「・・・・クロエさん、それは....?」

 

「ヨハネの黙示録に示された古より伝わりしヨハネの四大精霊の最後の一人、【デュラハン】が宿ったIS【デュランダル・リッター】この中に記録されている電子ログを無理やりユットベートでクーちゃんに擦り付ける・・・・・!!」

 

「そんなことが出来るとでも・・・・!?」

 

「やれるかやれないかじゃない、やるしかないんだよ?・・・・・【HADESTypeZ.Mode師走】!標準、クー。・・・・撃つよ!!」

 

それは一瞬だった。長大なスナイパーライフルから放たれた二発の弾丸は音速で足止めを続けていたヴィンスをすり抜けクーに両発とも頭に当たった。内一発は跳弾してヴィンスの手元に戻ってくる。

 

(衰えては無いみたいだな・・・・!!)

 

そういうとヴィンスはさっき撃たれたクーの方に駆け寄る。いくら遠距離スナイプで記憶弾とは言え痛いものは痛い。外傷がないのをみたヴィンスは首元に撃たれたものを置くと格納領域からコンデンサーを取り出し、ライダーのバイパスに繋いだ。

 

「全力戦闘をしたとは言え残り2%は危なかったな....このまま今回は撤退が無難か。」

 

言い終えている内に応急的な補充が終わりヴィンスはスラスターに火を入れる。

 

「・・・・クー、願わくば次に出会うときが我が家であることを願うよ....。」

 

そう言うと高速機動でクロエ達のところへ向かって飛んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、それに感づく者も居るものなのだ。密かに移設された地下室にその二人はいた。

 

「・・・・どうやら作戦は失敗したようだ。エレン、あとを任せた。」

 

「正直あれに勝てる気がしないのですが....まあいいです。このまま引き下がるのは魔術師としての屈辱。社長は先に本部へ待避してください。」

 

「そうさせてもらう。エレンも適当なところで退いてくれ。今回は彼らの様子見だ。」

 

「了解しました。御無事を。」

 

そう言って若い金髪の女性・・・【エレン】はドアに手をかけた。それを見送る【アイザック】の姿は自棄に煤けていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなことも露知らず。

 

数十分後のことであった。

 

「・・・んぅ...」

 

小さく呻き声をあげて起きたのはクロエに師走弾を当てられたクーだった。クーは周囲を見渡しいままでの状況を整理する。

 

「・・・・私、御兄様やクロ姉に助けられたんですね....。」

 

そういうクーの手にはひとつのペンダントが握られていた。言わずもがな黒鍵の果ての姿である。

 

「・・・そう....もう何も言ってくれないんですね....。」

 

昔クーは博士にこの黒鍵を埋め込まれてようやく生活できるまでに回復した。そしていまではそれ無しでも通常の人のように歩け、目もみえる。即ち黒鍵の役目は終わったのだ。そしてその黒鍵は何も言わないコアだけの姿となっていた。

 

「・・・・今までありがとう、黒鍵。」

 

 

 

 

 

 

ーーーーー気にすることはないよーーーーーー

 

 

「!?」

 

 

 

  ーーー   なんたって、馬だ私に流行るべきことが残ってるからね・・・・・・クロちゃんともっと一緒にいるために!!!!  ーーー

 

 

 

「・・・・!!」

 

クーに聞こえたその幻聴と共にコアから目映い光が溢れ空間一体を白く染める。クーは目を真っ先に隠し網膜剥離を防ぐ。数秒の後、落ち着いたクーが見たのは小さな縦長の盾だった。そしてそれはクーがよく知るものだった。

 

「・・・・デュラハン!?」

 

<気付いたようだね.....>

 

「・・・誰!?」

 

どこからともなく聞こえてくる声。クーは警戒して辺りを見渡すが一部分が歪んでいる以外にその景色に代わりはない。

 

<・・・・・どうやらその様子だと無事にユットベートは機能したようだ。>

 

「・・・・何が目的なんですか?」

 

<・・・・一つ、問おう。力を手に入れたら、何を為す?>

 

「・・・・・要りません。」

 

その歪みは引きつった。クーはどこからか聞こえる空耳に対して更に声を強める。歪みも負けじと声を返す。

 

<・・・ほう、なぜかね?力があれば君の兄と姉を守れるんだよ?>

 

「・・・・力なら、もうすぐそこにあるからです。私がいなくなってもずっと守り続けてくれたこのペンダント.....これさえあれば私は二人を....いいえ、アクシズを守れます!!」

 

<・・・・こりゃ一本、とられたか>

 

歪みはそう伝えると静かに下がる。クーはその退路にいつのまにか展開した剣を突き刺す。

 

「・・・・・・・来て、【刻々帝・首無騎士(ザフキエル・デュラハン)】!!」

 

その叫びと共に装着されていく神秘の鎧。それはかつて戦争を止めた英雄であり騎士に使えた部下となりて。

 

「・・・・・【デュランダル・リッター・メタトロン】!!!」

 

 

ここに、最後のヨハネの騎士が舞い降りた。

 

 

To be continued.......

 

 




全国の折紙ファンの皆さんごめんなさい

神威霊装・一番はクーちゃんに吸いとられました()




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第7話 刻々帝四姉妹、天宮を蹂躙ス

エルテューヌはキレています~

クラフィで狂三が出ない~

それならこちらも手を患わない~

四騎士で黙らせる~

「物騒すぎやしませんこと!?」

(´・ω・)0.7%を引かない狂三が悪い

「理不尽ですわ!?!?」










「というかそもそもなんでわたくしの刻々帝が増えているのですか!?」

(´・ω・)いやー、このままのISだと到底ASTには対抗できない(殲滅できないとは言っていない)と思ったしどうせなら大好きな狂三ちゃんの刻々帝をヨハネの騎士達につけて一緒に蹂躙しようぜ的なこと考えてた。

「まあ旧世代のパワードスーツで到底CRユニットには対抗できそうに無いですわね。まあ致し方ありませんか。」



それではしょっぱなから飛ばした第7話、どうぞ!!!




深夜2時47分。DEM社とアクシズの戦闘はいまだ続いていた。DEMの物量に対しアクシズの戦力は

 

・ザフキエル・リッター(エールス)

・ディストピア・リッター(ルーリス)

・【ライダー(トーリスリッター・ツヴァイ)】(ヴィンセント)

・【リッター(トーリスリッター・テレフタラート)】(クロエ)

・【ナイトメア】(狂三)

・【ディストピア】(蓮)

・【ラビットスター】(束)

・【ハーディ】(Z2)

・【ハンター】(Z1)

・【フェネクス】(リタ)

・【アクシズ地上本部移動司令部 戦艦ティーレ】(改ビッグ・トレー級)

 

 

たったこれだけなのに未だ三時間たってもその勢いが衰えないのはやはりクロエとヴィンセントが軍人である性なのか休憩を先に狂三達に取らせて二人で蹂躙しているからなのか、はたまた個体が弱いだけなのか。しかしその勢いもエネルギーの枯渇と共に緩まってきていた。

 

「くっ、さすがにこれ以上は耐えられんか!」

 

「残量エネルギーは約10分・・・ここが潮時なの・・・?」

 

「・・・・クロエ、先に戻って補給を進めてくれ。」

 

「・・・!?そんなことしたらヴィンスの負担が・・・!!!」

 

「行け!!【デュラハン】の識別コードが再表示された.....これが示す意味が分かるな?」

 

「・・・・・・!!!!」

 

クロエはヴィンセントの言葉に息を飲む。【デュラハン】・・・・【デュランダル・リッター】の反応が戻ったということはクーが戻ってくるという事を示唆していた。それを脳で処理したクロエはHADESを切り後退していく。

 

「分かった.....でも、絶対に死なないで。」

 

「全員一緒に帰れるまでは死ぬかよ。」

 

「そう言うと思った、それじゃ、数分だけお願い!!」

 

そう言うとクロエは残ったエネルギーを推力に全振りしてティーレへと戻っていった。見送ったヴィンセントは振り向く。そしてそこには溢れかえったバンダースナッチ。しかしヴィンセントはその奥に見えた熱の光を見逃したりはしなかった。

 

「・・・・遅いぞ。」

 

「・・・・ようやく、御兄様の元へ帰ってこられました。神威霊装九十六番、識別名【ピクシー】。デュランダル・リッター・メタトロン、ここに参上しました!貫け!!【ランサー】!!」

 

 

それは光の一閃。その持ち主であるクーは一直線にヴィンセントに向かってランスを突き出していく。その射線上にいたバンダースナッチは溶けて、折れて、そして砕けた。クーはそのままの勢いでヴィンセントに抱きつく。それをヴィンセントは優しく受け止めた。

 

「クーが例えどんなに姿が変わっても妹は妹だ。さあ、さっきのランスでほとんど片付いたし撤退するぞ。博士もクロエも待ってる。」

 

「はい!」

 

ヴィンセントはクーの手を引きクーもまたヴィンセントに身を委ねる。二人は待つべき人達がいる本部へと帰還していくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてそれは追っていたエレンもまた発見していたが彼女にも姉妹はいた。その二人の再会に感化されたのかエレンはそれ以上追跡しようとは思えなかった。

 

結果、アクシズによるDEM社襲撃は成功に終わり、クーの奪還に成功する。しかし、新たな問題が彼らを待ち構えようとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

4月9日、早朝。

 

アクシズ地上本部に帰還したヴィンセントは頭を抱えていた。

 

「・・・・はぁ。」

 

「お兄ちゃん、大丈夫?」

 

「・・・・アンネローゼめぇ.....。」

 

「まあまあ御兄様、この作戦を行った以上バレるのは必然でしたし、邪魔されなかっただけ良いのでは?」

 

そう言いながらクーは積み上がった書類を片付けていく。その中身は経費処理であったり博士のパーツ生産の類いだったりと、様々だ。何より多いのが狂三と蓮の書類だったりするのは別の話。それを片付けつつヴィンセントはやっぱり上の空なのかため息をつく。

 

「アクシズの司令として対応しないと行けないのが辛い...」

 

「最悪HADESで黙らせればいいでしょ?」

 

「仮にも寿命を削る相棒をそんな大胆に使っても良いものなのか?今はエル達も機能してないから普通に老いるぞ。」

 

「良いんじゃないですか?いつものクロエちゃんなら即ルリちゃんと一緒にそのラタトスク?とやらを襲撃してたでしょうし。」

 

「・・・ま、それもそうか。取り敢えず目下の問題は解決したことだし、暫くは修理と訪ねてくるであろう【ラタトスク】の対策だな。」

 

「でもいいの?狂三達も居るのに。」

 

「俺達は今までISを専門として来ただけに精霊に対してはあまり知識はないからな。この際情報もらえるなら貰えるでメリットしかない。」

 

「・・・そっか、【ラタトスク】なら私達よりも多く精霊のことについて知ってるはず...もしかしてわざわざ断らずに流したのってもしかしてこれ.....?」

 

「んまぁぶっちゃけるとね?」

 

そう言いつつヴィンセントは書類の束を切り崩していく。黙々と処理が進めている5人はこのあと起こるであろう苦労事に胃が痛くなるであろう事を予感した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてその午後のことである。

 

 

 

「・・・・・・クロエ、現在状況報告。」

 

「・・・・現実から逃げないでよ。」

 

「早すぎる.......。」

 

ヴィンセントは突っ伏していた。ラタトスクがもう少し後に来るとか思っていたのだが午後になって突然訪れた。これにはヴィンセントもさすがに予想外だったようで頭から白煙が上がっていた。そしてそれを見ていたのは。

 

 

 

「あー....迷惑だった?」

 

「全体的に見ればむしろ大歓迎だが個人的には大迷惑だった!」

 

「・・・・・つまり?」

 

「もーちょっと連絡ぐらいしてきてくださぁぁぁい!!!!!」

 

ヴィンセントが声を上げた相手。それは他でもない【ラタトスク】の司令官だった。

 

「けどまぁ、此方としてもあまり遅いと支障が出るからね。ああ、紹介が遅れたわね。私は対精霊保護機関【ラタトスク】司令官の五河琴里よ。取り敢えず単刀直入に聞くわ。貴方達は何者?」

 

そう言ったのは赤い毛をツインテで纏めた琴里である。ヴィンセントはその突っ伏した頭をあげると重い口を開けた。

 

「・・・・・言わなきゃダメ?」

 

「ヴィンス....。」

 

「御兄様....。」

 

「あーもう、分かったよ....。俺達は対鎮圧部隊用の対精霊組織【アクシズ】。そして俺が【アクシズ地上本部総司令官】ことヴィンセント・グライスナーだ。ま、もっとも....。」

 

そう言ってヴィンセントは自身の専用機であるトーリスリッター・ツヴァイを展開して、

 

「・・・・あんたらの言うところの【ライダー】とでも言えば名が通ってるか。」

 

 

「・・・・やっぱり、貴方がライダーなのね。でも驚いたわ...今こうして観測しているけど霊力反応が見られるのはこのCRユニットだけだし....。」

 

「CRユニット?何を言っているんだ?」 

 

「え?」

 

「これは【IS】だぞ?まあ知らないのも無理はないか。」

 

そう言いヴィンセントは引き出しから資料を取りだし琴里に手渡す。

 

「30年ほど前にあったISによる戦争。」

 

「精霊が来る前にあった戦争のことね?」

 

「ああ、おそらくそうだ。俺達はそれを止めた中心だ。」

 

「なんですって!?でも、記事には行方不明って.....。」

 

「まあね、この話は色々深い事情があるから模索しないでおいてくれるかな?」

 

クロエが対面に座って紅茶を飲みながら近くにあった影に向かって拳銃を瞬時に取りだし発砲した。

 

「・・・・取り敢えず出てきたら?」

 

「・・・何が?」

 

「・・・・・・正直会いたくないですがね。」

 

「・・・・【ナイトメア】・・・・!?どうして貴方がここに??」

 

琴里は突然姿を表したナイトメア・・・狂三に驚くが、狂三はそれを気にせず琴里に近づくと何やらヒソヒソ声で話始める。

 

「(琴里さん、正直こんなところで会いたくなかったですが割りと色々な都合がありますので、取り敢えず話を会わせてくれませんか?)」

 

「(・・・・・もしかして?)」

 

「(・・・・・ええ、そうですわ。今ここにはいませんが蓮もいますわ。)」

 

「(・・・・・どうやら積もる話はありそうね。)」

 

「(・・・・・ええ。)」

 

そして彼女は振り向くとヴィンセントの正面に顔を向け、

 

「まあいいわ、取り敢えず洗いざらい話してもらうわよ。」

 

「・・・うっわめんどくさい.....だが仕方ない、腹、くくるか。」

 

 

その日、ヴィンセントの胃痛が止むことはなかった。

 

 

 

To be continued.......

 




正直これ以上書いてると埒が空かないので前日談はこれにておしまい。

次回から本当に本編が始まりますが!!!

この点だけ注意してください。

・主人公はヴィンセントとクロエである。


では次回。


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第8話 そうだ、プレゼント作ろう。

クロスレイズRTAのエルテューヌです。

はい。

さて今回から本番ですが!!!!

どうやら時間軸はゴミクソなようで.....?


「そうだ、ティーレに進水日プレゼント作ろう。」

 

「かなり唐突だねヴィンス!?」

 

艦橋ブリッジでそう呟いたヴィンセントにツッコミを入れたのは妹のクロエである。その隣には凭れてすやすやと寝息をたてているクーの姿があった。

 

「いやな、ティーレの艤装はあくまでも水上航行用だろ?だから俺達みたいに空中機動も可能にしなきゃって思ってね。」

 

「けどコアなんてそうそう.....。」

 

「あるぞ?」

 

「えっ。」

 

即答したヴィンセントに再度驚くクロエ。それもその筈。CRユニットがISにとって代わって使用されるようになってから型落ちとなっていたISのコアなんぞ骨董品級の物なのだ。そんなものをどこで手にいれたのか。クロエにはある程度予想がついていた。

 

「まあ、今回そもそも博士もグルだからな。」

 

「博士もグル!?」

 

「ああ、ティーレの進水日プレゼントのこと話したらノリノリになってな。今仮企画段階のところで博士が混ざってね。」

 

「あの人面白そうなことにはすぐ突っ込むしなぁ....。」

 

「とまあ、一応形としては狂三の刻々帝をモチーフにした全領域対応型拡張兵装【TypeE】をまずは作るつもりだからしばらく開発室にティーレを入れないようにしておいてくれるか?」

 

「サプライズなら仕方ないね!」

 

こうして大分手遅れなティーレの進水日プレゼント計画が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこからのヴィンセント達の仕事は速かった。クロエが必要となる資材を所々にあるAST駐留基地から奪取し、ヴィンセントは一人黙々と図面を書いていく。尚、今回これを作るにあたってティーレには休暇を出しておりその素体となる駆逐艦2番艦のZ2はその休暇うちに精密メンテナンスをすると言う名目で表向きは明石に預けてるとなっておりティーレの元にはない。

 

「さて、どうやってティーレの艤装に取り付けるかだが....やっぱりレーベくんに内蔵するのが一番か。」

 

ヴィンセントはそう言いながら予定性能値を調整し上手くバランスが合わさるようにしていく。そこにドアを開けて入ってくる音が聞こえた。ヴィンセントは恐る恐る裏を振り向くと、

 

「あら、あらあら。これはヴィンセントさんではありませんこと。いったい何をしていらっしゃるんですか?」

 

「あ、狂三じゃないか、ちょうどよかった。」

 

「・・・?」

 

「ちょっと刻々帝のデータを取らせてくれ。」

 

「私の刻々帝のデータをですか....別に構いはしませんが何のために?」

 

ヴィンセントはデータ提供の理由をこと細かく説明する。それに対する狂三の反応はというと。

 

「・・・・・何を作る気ですの?」

 

「やっぱその反応になるか....。今俺達が使ってるISでも充分対応はできるんだが、これから出てくるCRユニットの物量、質を踏まえると今の最新鋭技術...要はあれに対抗できる新たな力を作る必要があるわけだ。」

 

「なるほど、それが私たちの天使の力だと。」

 

「んまあそうなる。で、お前の刻々帝を元にした試作換装武装【TypeE】を作ろうと思ったわけだ。」

 

「E....ああ、私の霊装の頭文字ですか....。」

 

「そのうち増えるさ...()」

 

「あっ......。」

 

どんよりとしたオーラを漂わせるヴィンセントになんとなく察する狂三。しかし何も起こらない。

 

「まあそんなことはおいて、能力は何が使える?」

 

「刻々帝の弾は順に【加速】【鈍化】【老化】【再生】【予知】【意識障害】【停止】【分身】【交信】【懐古】【未来移送】【過去移送】ですわ。」

 

「ふむ...【加速】は撃つと同時に出力解除を行うようプログラムすれば解決できるし....【鈍化】はネット弾頭か電子スタン弾頭を装填すれば解決、【老化】は見送るとして【再生】は高速リロード風に調整、【予知】は撃ったら高性能レーダー起動キー、【意識障害】【交信】【未来移送】【過去移送】は電子戦系統装備を積めばいけるか。」

 

 

 

「.....もうさっぱりですわね ...。」

 

訳の分からない単語郡に燃え尽きている狂三をよそ目にヴィンセントはCADで図面を引き終えていた。

 

「後は資材だけだが.....。」

 

「お兄ちゃん!資材の準備が整ったよ!!内部コア周辺部分も明石ちゃんがバラし終わってる。いつでも搭載可能だよ!」

 

と叫んでテレフタラートを纏ったまま突進してきたのはクロエである。ヴィンセントはそれを真正面から受けるとそのまま吹っ飛ぶ。

 

「ヴィンセントさん!?」

 

「いてて....クロエ、テレフタラート纏ったまんまだぞ....。」

 

「私なりの愛の表現に気づいてくれないの!?」

 

「愛すら超越してるだろそれ.....取り敢えず行くぞ。狂三も来てくれ。」

 

「ええ.....。」

 

ヴィンセントは二人をつれてそのまま明石がいる整備スペースまで向かっていった。

 

そして数時間後に後にDEMをかなり困らせる艤装【Z2(第三種兵装[E装備]仕様)】が出来上がるのはまた別の話......。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

某国 市内

 

 

 

 

 

 

「・・・・くっ、なんなのだあいつらは!私達のISをもってしても押さえられんのか!!」

 

「・・・・どうした?そこまでか?戯けが!まだ卿ならこの程度で怯えはしなかったぞ!!」

 

「なんなのあのオバサン!バカみたい♪」

 

「これは命令による戦闘、不要な提言は慎みなさい。」

 

その頃、とある国の市内では特殊部隊と大型の艤装を背中に携えた白髪の女がいた。そしてその周囲にはイギリスのASTが囲むようにしてそれを包囲している。

 

「真那、やってください。これくらいならあなただけでも充分です。」

 

「また私ですか、でもまあやらせていただきやがりますね。」

 

「何故だ!なぜイギリスがこいつに関わる!これは私達の問題だ!」

 

「いいえ、これは私達の専門分野です!貴方たちは黙って逃げ帰ってなさい!いくら貴方たちがあれと互角に戦えようがISとCRユニットでは絶対的な差。あなたたちがいくら私たちを倒そうともしても倒すことはできないのですよ。」

 

「何を・・・・!!」

 

隊長機とみられる女に彼女達は黙らされていた。そのよう巣を今だ悠々と眺めている女は、

 

「・・・・・このような光景、くだらん.....。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私は憎んでいるのだ、全てを........。」 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日本 校内

 

 

 

「・・・・!?鉄血空母......寮長!?」

 

 

To be continued.........




寮長だけでわかるひとにはわかる。


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第一幕 デットエンドなんてなかったんだ(半ギレ
第9話 4月10日


ようやくです。はい。

(´・ω・)


【悲報】神威霊装の名前 エ から始まるやつが多すぎる件。


そう言えばGジェネのミッションステージのBGM、アレ好きですね。ノリノリになれる。

「そりゃ発狂してダンス踊るくらいにh...」

ボカッ!ドゴォッ!


「みなさん、おはようございます!今日からここの担任を任された【岡峰珠恵】です。これから一年間よろしくお願いしますね!」

 

そう言ったのは教室に入ってきた担任である【岡峰珠恵】先生である。その様子を見ているのは。

 

「・・・・・二度目.....。」

 

「まあ見た目は変わってないですし問題はないでしょう。それにしても私まで放り込まれるとは法外ですね。」

 

「まあその代わり私たちには【リッター】と【ハーディ】....じゃなかった【ナルヴィク】の携帯が許可されてるし...。」

 

「毎度毎度驚かされますよ....。黒江さんの待機形態はごく普通のアクセサリーですし、私に至ってはあっちの世界でのトレードマークである鉄血紋章付きの帽子ですし。」

 

慣れない口調で話しているのはヴィンセントの妹であり何故か二度目の高校生活に放り込まれているクロエ・クローチェ....現名で言えば【黒江千重】という偽名で入学している。そしてもう一人は元は艦だったZ2改【ゲオルク・ティーレ改(第三種兵装[E装備]仕様)】...現名は【オルク・レティ】というドイツからの留学生としてここに来ていることになっている。

 

そんな説明をしているとあっという間にHRも終わり授業が始まる。今回二人が潜入しているのは進学校な為授業の質はそこそこあるがそんなの二度目のクロエと歴史を潜り抜けてきたティーレにとっては無に等しかった。

 

そんなこんなで放課後、半ドンで終わった二人は昼食を取るため近くのレストランへと足を運んでいた。

 

「まさか初日からこんなに疲れるとは思いませんでしたね.....。」

 

「ほんとにだよ...特に私は性格まで変えないと直ぐにクロエってバレちゃうからね。」

 

「【英雄】とは、困った肩書きですね本当に...。」

 

「だね、私だって....。」

 

クロエがそこまで言ったとき、突如サイレンが鳴り響く。クロエはすぐさま通信を繋ぐ。

 

「ヴィンス、このサイレンって!?」

 

「空間震だ!!!琴里からの情報に基づくと今回はプリンセスだ!」

 

「了解!」

 

クロエは通信を切ると今の内容をティーレにそのままそっくり教える。ティーレもそれを聞いて何かを察したのか何時もの鉄血帽子を被る。被った瞬間、学生服が何時もの鉄血艤装専用の仕事服に変わりその姿は真のZ2改となった。

 

「全く、仕事を増やさないでほしいですよ。」

 

「仕方無いじゃない、空間震が来るんだから。」

 

そう言ってクロエ自身も自らの防衛措置であるテレフタラートを起動し全身に纏う、その姿はさながら死神である。そしてそれを纏った瞬間、空間が嫌な音をたてて歪み暗黒が空を飲み込んでいく。

 

「急速撤退!いくらなんでもここじゃ巻き込まれる!」

 

「クロエさん掴まっててください!27000馬力で抜け出します!!」

 

ティーレに言われた通りに腕に掴まるクロエ。それを確認したティーレは現状出せる速度で走って空間震から逃げる。しかし、そんなに規模は大きくなかったのか途中でその引力は収まる。

 

「思ったより規模は大きくなかったみたいだね。」

 

「そのようですね....2時方向に人影、恐らく....。」

 

「【プリンセス】.....。」

 

「ですね。」

 

クロエがその方向を見ると空間震の中枢であろう人物が何かに座っているのが見えた。こっちの明確な目的がある以上は無茶なことは出来ないので取り敢えず目視できる武器を仕舞うクロエ。しかし、それは甘い判断であったことに気づく。

 

「・・・!?クロエさん!あれって....!?」

 

「士道君!?」

 

近づいていくと見えたもう一人の人影。それはクロエ達と同じクラスで大体誰かに絡まれてる五河士道であった。二人はとっさに身を隠し成り行きを見守ることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「琴里!!琴里!!」

 

俺はそう叫びながら先程までファミレスがあったところの付近を琴里がもっているGPSの位置を頼りに探していた。するとそこに一人の少女が見える。だが何かがおかしかった。

 

「・・・あれは、なんだ?」

 

よくよく見ると少女は何か台座のようなものに座っておりその周囲はクレーターのようになっていた。そして気になってGPSを確認すると琴里のGPSはここを示していた。

 

「え......。」

 

俺はひとつの最悪な予想にたどり着く。

 

「琴里.....?」

 

すると突然衝撃波が俺を襲う。ギリギリで気づけたのでかわしたがその頬には切り傷が出来ていた。

 

「・・・・お前はいったい....。」

 

「名か。そんなものはない。」

 

「んなっ!?」

 

目の前にいる衝撃波を産み出した少女。それは自身の名がないことを打ち明ける。俺はその悲壮感に何処と無く親近感を覚えていた。

 

「お前も私を殺しに来たのか....?」

 

「な、何をいってるんだ!?」

 

士道が困惑する中、さらに爆風が二人を襲う。

 

「爆発!?」

 

「無駄だと言っているのに何故分かろうともしないのか....。」

 

士道が爆発の方向を見ると先の少女が爆発源と思わしきミサイルをバリアと思わしき物体で止めていた。そしてその方向を見ていた人物がいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・あれは確実にASTのユニットだね。」

 

「ですね。この前DEMは壊滅させたはずなんですが....。」

 

「それはあくまでも支社であってその援助を受けているASTとは別の存在ですわ。」

 

「「あっ、狂三ちゃん(さん)!」」

 

そう言って影から出てきたのは霊装を纏った狂三であった。しかしいつもとは違って何やらマントのようなものを羽織っていた。

 

「ん?狂三ちゃんそのマントは....?」

 

「ヴィンセントさんが霊力でバレないようにと霊力遮断効果のあるマントを供与してくださいましたの。これで影ながらも支援することが可能ですわ。」

 

「なるほどね....んじゃ、早速あのままにもしておけないしティーレちゃんの第三種兵装の初陣を始めますか!」

 

「了解です....【エロヒム・ティーレ】、起動!!」

 

クロエに促されてティーレが左腕に嵌めているレーベくんに触れる。するとレーベくんが激しく唸りまばゆい光と共にティーレを包み込む。一瞬の静寂の後、狂三とクロエはティーレの姿を見る。そこには赤と黒を基調とした装甲に左腕に相変わらずはまっているレーベくん、そしてその内部に内蔵されている127mmTBSC連装両用砲が姿を見せる。

 

「これが....今の私・・・?」

 

「そうだよ、2056型ナルヴィク級Z型駆逐艦2番艦【ゲオルク・ティーレ(第三種兵装[E装備]仕様)】、通称【エロヒム・ティーレ】。狂三ちゃんの【刻々帝】を基礎形として霊装色で装甲を塗った事実上の精霊能力再現試作機といったところかな。」

 

「あのときヴィンセントさんに能力のデータ取りをお願いされたのはこの為だったのですか?」

 

「本来ならティーレちゃんにサプライズとして渡そうと思ったんだけど.....。」

 

「誰かさんのせいでサプライズが台無しになりましたからねぇ?ねぇ狂三さぁん?」

 

「ギックゥッ!?」

 

背後から両用砲を突きつけられ冷や汗をかく狂三に対し割とキレたティーレ。そんなことも露知らず路地の表では戦闘が続いている。無論それを早く止めたいのだが...。

 

「・・・しまった、今回は軽装備で来てたから何時ものチャージスナイパーライフルがない!!」

 

「なんで軽装備で来てるんですか!?普通は通常装備でしょう!?」

 

「誰がこんな初日から大事になることなんか予期できますか!」

 

クロエはそう焦りながらも自身の軽装備専用装備であるロングレンジ・スナイパーライフルを展開する。

 

「たが軽装備と言えどクロエちゃん基準、【英雄】の想定を舐めては困る!」

 

「「(基準はそこなのですか....。)」」

 

二人が呆れているのも気にせずクロエはロングレンジライフルの初発を最前線にいる一機に絞る。

 

「ねぇヴィンス、これ全員殺しても良いんだよね?」

 

「絶対殺すなよ!?あくまでもこれは撃退が目的だ。・・・・・HADES使ったならば仕方無いが。」

 

「全部聞こえてるよ♪HADES、最大出力!」

 

「あっ。(失態」

 

「「あっ。(察し」」

 

ヴィンスとの通信で出た余計な一言。大体これが後のトラウマ形成の悲劇になろうとは、このとき誰も思いもしなかったのである。

 

To be continued.....





しばらくアズレンの方に回るのでしばらく遅くなります。


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第10話 お前ら人間じゃ......なかったねそういや

漸く更新?うん、更新。


Z2「そう言えばまたなんか装備増えてません?」

主「メガビーは駆逐艦の標準装備だぞ?」

Z2「??????????????」




「・・・・おい、なんなのだアレは?」

 

「・・・・俺だってわかんねぇよ、なんだあいつら?」

 

士道と少女が見ていたのはまさしく蹂躙だった。突如、路地裏から現れた少女二人がミサイルを撃とうとしていた少女を撃ち抜き蹴り飛ばし、そこから先は一方的な殺戮劇だった。赤い目の少女がレーザー剣のようなもので機械を纏った少女たちをまっぷたつに斬っていき、後ろで撃ち続けていた少女は相手の動きをどんどん止めていく。その様子を見ていた二人は微かに戦慄した。

 

「・・・・正直やりあいたくないな。」

 

「私の力を以てして倒すのは容易ではないな....。」

 

次々と撃ち落とされていくASTを前に二人は何故か同情の目をしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな中、後方からステルスで隠れていた狂三も同じ表情でそれを見ていた。

 

 

「・・・・・・改めて私の天使ってとことん対人向きだったのですね....。」

 

狂三がそうぼやいて戦場の方を見ると狂三の天使を模倣したISを駆るティーレと天使になったISを駆るクロエがASTをいとも簡単に消し飛ばしてるのだから。そうこうしているとその当事者であるティーレとクロエが戻ってきた。

 

「あースッキリした!HADESも久々に動かしたしくたくただよ!」

 

「あのときクロエさんがもう少し弾道をそらしてくれればあと20秒は速く終われましたよ?」

 

「・・・・・私にはもう何のことだか.....。」

 

そう狂三が言った瞬間、三人は妙な浮遊感に見舞われそのまま気を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、消し飛んだASTだったものを見ていた士道と少女はえも言われぬ表情をしていた。

 

「あ、あれがメカメカ団をやっつけた....のか?」

 

「みたいだな.......。また、会えるといいな。」

 

「ふん、どうせその時は私を殺しに来るのだろう?」

 

「そんなことはしない!!」

 

そう士道が言ってたときにはその少女は消えていた。士道ははてなマークをつけるがその疑問は不意な転移で気を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

空中艦【フラクシナス】。それは【ラタトスク】が保有する戦艦であり活動拠点である。その艦長こと琴里は画面の前の男と愚痴っていた。

 

「・・・・で、だ。そっちに狂三とクロエ、ティーレは居るんだな?」

 

「ええ、そうよ。士道を回収していたらついでに回収出来てたわ。」

 

「はー帰ってこないと思ったら.......。」

 

「こちらの操作ミスとはいえすまなかったわね。後日きっちり全員返すわ。とても私たちにも、士道にも追えなさそうだからね....。」

 

「いや、そのままそちらで面倒を見てくれ。」

 

「はぁ!?」

 

この男・・・・ヴィンセントはバカなのかと小鳥の第一印象が物語った。目の前の人物は暫く【最悪の精霊】と精霊擬き二人を暫くここに留めてくれと頼み込んでいるようなものだ。意図が読めない。だから琴里は引き下がらない。

「・・・・・何が目的よ?」

 

「・・・・こちらにも色々あるんでな。主にDEMからの被害関連でな。」

 

「・・・・・・・。」

 

琴里は困惑した。あれほどの戦力を以前見せつけておきながらDEMから被害を食らった?あり得ない。しかしそれは次の一言で払拭される。

 

「狂三や蓮、アクシズの全勢力で当たったが所詮は付け焼き刃。対精霊用の人形の物量には抗えんさ。」

 

「あなたたちほどの戦力ならすぐにでも追い返せたんじゃないの?」

 

「まだ全員が精霊完全覚醒前だぞ?多祥なりとも力に溺れたものの末路くらいお前だって知っているだろうが。」

 

「・・・・・はぁ、わかったわよ。だけど、あんまりこちらでも面倒は見れないから早めに頼むわよ?」

 

「恩に着る。」

 

そういうとヴィンセントからの通信は切れた。切れると同時に琴里はようやく、と言った表情で椅子に持たれかける。

 

「何なのよ.....まるで以前の私のように見透かしてるじゃない....。」

 

そう呟くと琴里はブリッジで再び仕事を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・んぅ?」

 

覚束ない寝ぼけた声。誰かと言われると狂三である。三人は部屋の一室で眠っていたようだ。狂三はとっさに自分の霊装を確認したが、いつの間にか普段の服装に戻っている。そして左を向くと、

 

「あ、起きたんだ狂三ちゃん。」

 

「漸くですか、ええ。」

 

「・・・・・何というか、状況を把握したいんですが・・・・?」

 

既に起きていた二人に状況を共有してもらうべく狂三は尋ねる。

 

「取り敢えず場所からいうとこの前琴里ちゃんが来てたでしょ?その琴里ちゃんが仕事をしている【ラタトスク】の【フラクシナス】っていう艦。まあ私達【アクシズ】の【レウルーラ】には遠く及ばないんだけどね。」

 

「それはあなた達の戦力が規格外だからでしょうに....。幾らなんでもDEMの支社ひとつを消し飛ばすのは可笑しすぎますわよ!?」

 

「いやまあ、加減効かないし....アレ。これでもまだ押さえてる方なんですから。」

 

「・・・・・。」

 

クロエの呟きにもはやぐうの音も出ない狂三。取り敢えず三人はどうしようか悩んだ結果、何者かが来るまで待つことにした。

 

 

邂逅の時は、近い。

 

To be continued.......

 





出会う寸前で切るやつ シュトゥトゥッツァー!!!!


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第11話 邂逅せし騎士達

 お ま た せ 



精霊。

 

特殊災害指定体とも言われるそれは無秩序に、且つ無意識に破壊を繰り返す存在。

 

だが、それは本人の意思とは無関係に起こるものである。それを認知しているのは、【ラタトスク】と【アクシズ】のみ。果たしてその事実を誰が信じようと思うのか。否、思えるのか。しかしそれは虚構に過ぎない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「と言うわけで士道、この二人が精霊よ。」

 

「唐突なる説明且つものスッゴク面識のある二人で驚きを通り越して慣れたわ!?」

 

フラクシナスの艦橋に木霊する士道の困惑した叫び。それを困惑した目で見る黒江とレティ。狂三は先にアクシズへと影で帰っていたが。

 

「琴里ちゃん、私たちは半精霊であって完全な精霊じゃないよ?」

 

「でも精霊であることに代わりはないじゃない?」

 

「今すぐにでもここのエンジンにライフル撃ちたい.....。」

 

「「「それはやめたげて!?」」」

 

若干キレかかっている黒江を制止するレティ他二人。少し落ち着いたところで琴里が話を切り出していく。

 

「まあ、士道にはこの二人......と同じような存在をデートして、デレさせて、封印してもらうわ。」

 

「「なんだその間は。」」

 

若干の合間に共に突っ込む黒江と士道。しかし、二人と同じような存在と言われた黒江はちょっぴり納得が行ってなかった。

 

「ちなみにさっき含むように言ってた私たちと同じ存在ってなに?一応形式上は私たちも精霊なのよ?」

 

「あんた達にはヴィンセントっていう心強い兄が居るじゃない。」

 

「お兄ちゃんは元々は軍人よ?精霊でもなんでもないんだから。.......まあ半精霊だけど。」

 

「認めるんだ?」

 

「話がこじれるよりかはましでしょ?それに私とクーだって同じなんだし隠すこともないかなって。」

 

「・・・・・黒江のところもいろいろあるんだな....。というか一番気になるのが何でレティまでいるんだ?レティは普通の人間だろ?」

 

「いえ艦ですが?」

 

「えっ。」

 

「えっ。」

 

あっけなく偽名だと行ったレティに対してあっけない反応を見せる士道。レティは呆れながら懐から軍帽を被る。するとどうだ、まるで切り替わるように服装が変わっていく。見慣れた光景に黒江は普通の顔だったが士道と琴里は驚きの目で見ていた。

 

「・・・・・まさかあなたも?」

 

「ただのISの応用ですよ。さて、オルク・レティは偽名、真名はゲオルク・ティーレ、またの名をZ2。かの30年前の戦争を止めた英雄の一人です、ええ。」

 

さらに飛び出した衝撃発言に二人はもうついていけなくなっていた。しかしいち早く回復したのは以外にも士道だった。

 

「・・・・あれ、じゃあまさか黒江も....?」

 

「正解!顔つきからして気づいてると思ったんだけど....まあいいや、黒江千重は仮の名前、現名はクロエ・クローチェ。ティーレちゃんと同じく戦争を止めた英雄にして、アクシズ地上本部司令付きの副司令よ!」

 

そのクロエの一言を聞いたとたん、その艦橋にいた全員の声が静まり返った。それもそうだろう。なんせ目の前にいる二人の少女が英雄、ましてやあの【アクシズ】の重鎮だとは誰も思っていなかったのだろう。

 

「・・・・嘘....だろ?」

 

「嘘だとしたら多分今ごろこの艦墜落してるよ?」

 

「怖いわ!」

 

変な乗り突っ込みが刺さるなか琴里がその流れを絶ち切る。

 

「ハイハイおしゃべりはそれまでよ。取り敢えず士道にはさっきの精霊....【プリンセス】の映像を見てもらうわ。神無月!」

 

「はっ、承りました。」

 

神無月がそう受け答えすると慣れた手つきでコンソールを操作し前方にスクリーンを写し出す。

 

「さて、これが精霊よ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃の事である。以前DEMに手痛い被害を食らったアクシズは表向きの艦ではなく、地下にある施設で改修工事を行っていた。

 

「ふーむ、こんなもんか?」

 

そう呟くのはドッグで果ての愛機【トーリスリッター改(現ザフキエル・リッター)】の改修作業を続けるヴィンセントである。その成果なのか背部バックパックには大型の砲身がそびえていた。そこに一人の少女がやって来る。

 

「あら、これはこれはヴィンセントさん。こんなところで何をなされているので?」

 

「ああ、狂三か。来るべき災厄の為に今こいつの改修作業をしていたところだ。お前にも見えるだろ?そのザフキエル・リッターの背部に取り付けられたランチャーが。」

 

「ええ、ですがあれは....。」

 

狂三が心配そうに覗くのはその隣にあった大量の火気類だった。ガトリングにミサイルランチャー、その他くるめておよそ20数種類。その近くにいたのは、

 

「おや、狂三様が来ますとは。これは珍しい。」

 

「蓮さん!?何をなさってるので?」

 

「ご覧の通り、武器に私の加護をかけているのですよ。この武器で絶望したものは経路を通って私の力へと変換される。絶望を力に変える私にとっては紛れもない得しかないものなんですよ。」

 

蓮はそう言って自分の作業へと戻っていく。その様子を見ていた狂三は、

 

「・・・・私もあの機械の操縦、学んでみましょうかしら....。」

 

そう愚痴ったという。

 

 

 

 

To be continued.......






これからは本当に不定期になるかも。



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第12話 天宮市、血に染めて

サブタイトルが不穏ですが別にそんな内容では有りません(断言


次の日のことである。士道は何時ものように学校に登校し玄関で靴を脱ぐ。しばらく進んでいると目の前に人だかりがあるのを確認した士道は近寄ってみる。

 

「・・・・この騒ぎは一体?」

 

「いきなり教員が倒れてしまって・・・・!」

 

士道は倒れている教員の顔を見て一瞬怯んだ。それもその筈、なぜならその教員は ....。

 

「れ、令音さん!?」

 

「ん、ああ....シン。すまないね、寝不足で転んでしまったようだ。」

 

そう言って倒れていた教員.....令音が起き上がると転がっている荷物を整えていく。

 

「さあ、行こうか。」

 

「あ、はい....。」

 

いまいち調子が分からない人だな、と士道は思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、そのSHRの事である。

 

「皆さん、おはようございます。今日は新たに講師が二人やって来たので紹介しておきたいと思います。」

 

朝に二人の教員を連れてきたタマちゃん先生はそんなことを言った。一人は先程会った令音だと言うことは士道もわかっていたが、何故かもう一人は分からない。だが、クロエとティーレが唖然としている辺り二人の関係者なのだろう。そう士道は推理した。

 

「ん....村沢令音だ。君たちの物理の担当をさせてもらう。まあご覧の通り寝不足でね、たまに倒れることがあるかもしれんが気にせず接してくれ。」

 

年単位の寝不足する教師はあなたぐらいしかいないですよ!!そんなうわ言は心にと止めていた士道だった。

 

「諸君、俺の名前はヴィント・ライナー。担当科目は世界史、日本史だ。ここは進学校ゆえ、ガンガン進めていくが決して遅れるなよ。ついてこれなくなっても俺は知らんからな。」

 

あまりにもの独裁教師に士道は呆れていた。一方、クロエとティーレは密かに懐に何かを潜ませているのを全員が知る由もなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の放課後。

 

「ヴィンス?何か申し開きはある?」

 

「・・・・・正直職権乱用したのはすまないと思っている。だがな、本当に心配なんだよ!」

 

ヴィントことヴィンセントはクロエとティーレの二人に拉致られて屋上に来ていた。その当人であるクロエとティーレはガチギレではあったが。

 

「私が怒ってるのはね、何の連絡もなしにここに来たからだよ?なにか連絡でもくれれば良かったのに。」

 

「仕方無いだろ、博士に他言無用とまで言われたんだから。」

 

「よしあのクソ兎とっちめてきても良いですか、ええ。」

 

「今からでも行ってきたら?」

 

「やめろ!?」

 

悲鳴をあげるヴィンセント。キレたティーレ。あきれたクロエ。三種三様な反応を見せた三人だったが、いち早く正気に戻ったのはヴィンセントであった。

 

「で、だ。本題はここからなんだが。二人は令音さんの事を知っているな?」

 

「ええ、ある程度は。」

 

「なら話が早い。士道のサポートをしてやってくれ。基本俺は教師仕事とASTを黙らせるので精一杯だからな。」

 

ヴィンセントはそう言うと二人にメモリーを差し出す。クロエとティーレはは何の疑いもなくそれを受けとる。

 

「ん、ヴィンス、これは?」

 

「お前の【トーリスリッター・テレフタラート】の追加兵装データとティーレの【ZⅡHiBst】の追加兵装データだ。早めに適用して慣れておいてくれ。性能は博士と明石の折り紙つきだから心配すんな。」

 

そう言うヴィンセントだが、大抵こういうときはろくな装備がないことは二人は分かりきっていた。其だからなのか。

 

「・・・・どうせまた変な武器でも入ってるんでしょ?」

 

「いや別に改良したメガ・ビーム・ランチャー後期型と空間戦のときについていたガトリングを背部バックパックに装備させただけだが?火力は俺が保証する。」

 

「「充分変だよね!?」」

 

思わず突っ込んでしまう二人に苦笑いのヴィンセント。ふと思ったのか今度はクロエが切り出す。

 

「ん?ということはヴィンスも何か改良を?」

 

「・・・・・・・遺品を取り込んだ。」

 

「!?」

 

ヴィンスの放った遺品と言う言葉。クロエの脳裏には有るものが過った。かつてヴィンスと再会した直後、その存在を破棄されたHADESと同系列の存在を。

 

「ヴィンス....それって...!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああ、本質こそ改良はしたが。対DEM殲滅システム【EXAM】とHADESの負担を軽減させる補助プログラム【ALICE】。それを俺のザフキエルに取り込んだ。」

 

 

ヴィンセントは苦い声でそう告げた。

 

To be continued......

 




全然進まねーewwwwww


因みにごめんなさいたまちゃん&折紙のシーンは全カットで!


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第13話 再逅、姫と騎手よ

とてつもなく時間がかかってしまった.....。なおエレシュキガルパワーでペーストされたもよう。





ヴィンセントが放った一言は二人にとって想像に難くなかった。それもクロエにとっては負の遺産である。なぜ今ごろになって使おうと思ったのか。それを聞くより早くヴィンセントの口が開いた。

 

「....本来なら俺もこの悪魔にだけは手を出したくなかった。だがな、総司令として、一人の兄として、二人を失いたくない。だから悪魔に魂を売った。それは理解してくれ。」

 

「分かってる.....分かってるけど!!でも、なんで今になって!!」

 

「頼む、解ってくれ.....。」

 

数十秒に渡る静寂。その後、口を開いたのは、

 

「・・・・クロエさん、もう少し待ってからでも良いのでは?」

 

「・・・・ほんとにそう思う?」

 

「ヴィンセントさんが遺留品を取り込んだのも何かあっての事。ならばその真相が言える日まで待ちましょう?」

 

「・・・・分かった。ただし!!」

 

「・・・・ただし?」

 

「私のシステムにもお兄ちゃんと同じやつ、頂戴?」

 

「あげねぇよ!」

 

そんな変なコントで締めた三人だったが、不意に雪崩れてきた通信がそれを閉ざした。

 

『もしもし、聞こえるヴィー君!!』

 

「博士!?」

 

『私もいるよ!ざぁこ♪』

 

「コミン!?」

 

『メルクーリヤよ!!!!』

 

通信の主は戦艦ティーレにて作業を続けている束とティーレと同じ存在のパーミャチ・メルクーリヤだった。

 

「けどなんで!?お前あっちの世界に戻ったんじゃ・・・・!」

 

『それがね......。』

 

そう言うと束はぶつぶつと話し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

事の巻末はこうだ。それは昼にまで遡る。

 

「・・・・あーあ、なんでこのレーベ様がお留守番なんか....。」

 

「ティーちゃんはレーちゃんのことを思っての事だと思うよ?ティーレにはレーベくんという対精霊武装はあれど、レーちゃんには無いからね。」

 

「くう....明石に頼んでつくってもらうしか無いのか.....!!」

 

レーベは一人束と思い悩んでいた。妹が頑張っているのに姉は後方で支援しかできない、これほどまでにまどろっこしいと思った事はないと思ったのか動きでは目に見えている。それを見ていたのは束だけではなかった。

 

「ふぅん、あの子、精霊にする価値が在るのではないでしょうか?ええ。」

 

「あのお方がですか....?ですが最近にも一人精霊化させてしまったのでもうそれだけの力は残ってませんよ?しばらく待っていただかないことには。」

 

「えぇ...?」

 

狂三と蓮だった。通路の縁から顔を覗かせていた二人だったが、実はレーベも精霊の力を使役していることは分かっている。だがその本来の力を発揮できていないことには気づいてなくこうして悩んでいるのである。そんなとき、アラームが鳴り響いた。

 

「何!?」

 

「博士、日本海側から接近する艦船1!・・・・!?うそでしょ!?」

 

「起こっていることをすべてそのまま伝えて!」

 

「はいはい!艦種特定、ロシア海軍のポガトゥイリ級!!」

 

「ポガトゥイリ級!?・・・・・まさか!?束さん、その艦に通信繋げられるか!!」

 

「出来るよ!」

 

束の勢いの良い返事と共にペイは調整をしていく。レーベは通信マイクを手に取りその時を待っている。と、

 

「回線合わせ完了!!繋げるよ!」

 

「おう!」

 

ペイの声と共に荒音が鳴り出す。そこから聞こえてきたのは....。

 

「なぁにぃ、この私に喧嘩を吹っ掛けるなんてアンタバカなのぉ?このコミンテルン様がこの前譲り受けた精霊の力でアンタ達をぼこぼこにしてやるんだから!」

 

「・・・・・うん、その声はメルクーリヤだな。」

 

「なんで即バレするのよ!?!?」

 

通信から帰ってきたのはレーベにとって馴染みのある声だった。ポガトゥイリ級の一隻のパーミャチ・メルクーリヤ。それがアクシズ本部に精霊を引っ提げてやって来たのだ。これには思わず狂三も、

 

「蓮さん....まさか。」

 

「・・・・・・・。」

 

「・・・・バッカじゃありませんの!?」

 

「仕方がないじゃないですか、絶望を産むためには多方向からの接種が最も簡単であると判断したゆえの行動ですよ!?・・・・なのに何故こちらの世界に....。」

 

 

 

 

 

「それは明石の転移装置のお陰だと思うニャ。」

 

「なるほど....貴方が。・・・・【瘴毒浄土】....!!」

 

「はぁ ....【刻々帝】.....〈七の弾〉!!」

 

「毒は止めて!?あの子死んじゃうよ!?一応ここの副技術顧問だよ!?」

 

「そんなのは関係ありませんわ......今は精霊....この際【イヴァン】と命名しますわ....あのイヴァンを殺さないことには....!!」

 

見境のない二人を止められないレーベと束。その時だった。

 

ウゥゥゥウゥゥゥウ.....

 

「来たッ!!」

 

「反応捕捉、種別は【プリンセス】!場所は......今ヴィー君達がいる高校!!!」

 

その言葉に全員の雰囲気が一瞬にして変わった。

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・あれ、私は?」

 

 

 

To be continued....




中途半端はエルテューヌの特権なのだ。


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第14話 DEMとAXIS

今回は長い長い因縁のお話。


これは、約30年ほど前の出来事だ。それもISができる十年ほど前の。

 

ISの出現と同時にわずかに.....ごくわずかにではあったが小さな会社が開業されていた。当初としての名は【デウス・エクス・マキナ・インダストリー】としてじわじわと業績を伸ばしていた。

 

そしてISの出現と同時に略するがDEMは変わってしまった。

 

下請け主体の産業から今までの業績余剰予算を使い大幅なリニューアルを決行、IS産業として君臨した。それからは更に業績は伸び大成功......のように思われた。

 

そう、我等が海運業者アクシズの参戦である。海運業者自体にはISこそ無かったものの、所属していたメンバーが専用機をほぼほぼ持っていた為強力な護衛業として繁盛した。その影響からか物資の運搬はアクシズが受け持つことが多くなり、必然的にDEMに受注されるISパーツの量は減っていった。わざわざISという手段を用いて運送しなくてもアクシズが代理で請け負ってくれるからである。事実、DEMの業績はこの期をピークに減少傾向にあった。

 

そこを境にDEMの社員体制は一新された。今までの保守的な体制とは打って代わり今の取締役であるアイザックが後のDEMを築く礎となった。そこからの行動は早かった。

 

ISコアの研究、コアの情報を用いた無人機の制作。そしてそれに求めたのは......対人火力だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やぁ、新兵器の開発状況はどうだい。」

 

「はい、実践投入をしないことにはその成果を確認するのは難しいですが初期ロッド凡そ1425体の生産はすでに完了しています。」

 

二人の男と女が報告を交わしていく。

 

「時にアイク、我々が強引に押し通したAST。思うほど成果が上がっていないようですが....。」

 

「そりゃあんな一斉に支部をおいて弾圧を始めたら全世界中から目の敵にされるだろう。」

 

「特にイギリス・フランス・ドイツ・中国・ロシア、そして日本からの抵抗が激しく思うように動けてないようです。」

 

「だが、逆を唱えればそれ以外の国々は我々に賛同してくれるということだろう、エレン?」

 

アイク、エレンと呼ばれた二人は古今の世界情勢に話を広げていく。実はこんな話など毎日起きるのだがそれは別の話。

 

「しかし.....何故そんな6国だけが....っ....IS国家代表による抵抗か。」

 

「はい、詳しく調べたところイギリスは現地の海軍とオルコット家の娘....イギリスの国家代表が協力して抵抗していますが此方はもうじき制圧できるでしょう。」

 

「ふむ....まあ優先度は低いか。ドイツはどうだ?」

 

「正直ドイツはある意味骨が折れますね。」

 

カレンが書類をアイクの机に並べてそう言う。アイクはその書類を手に取った。

 

「ほう、秘密警察か。」

 

「いえ、それもありますが、ドイツ軍.....ひいてはそこから独立した【鉄血海軍】と呼ばれる組織による堅牢な抵抗によって今だ上陸すらままならない状況です。」

 

「敵軍事力の内訳は?」

 

「ISとおぼしきパワードスーツが3機、それに付随する特殊部隊が3個大隊程。」

 

「無理にこちらの手を晒すわけにはいかない今、ここを攻めるのは得策ではない....か。一応援軍は送っておいてくれ。」

 

「ハッ。」

 

エレンが書類をしまうとアイクは更に様々な件を問うていく。もちろんエレンは全て答えていくが、ただ一つ、言葉が詰まった。

 

「・・・・・日本支部が壊滅寸前?」

 

「はい、先ほど日本も抵抗していると申し上げましたが、詳細に申し上げますと【日本と手を組んだ私設軍事組織】が我々の邪魔をしています。」

 

「戦力は現時点でどれくらい食われた?」

 

「汎用的な魔術師が2000人弱、火力特化の魔術師が3000人程、回復補助の魔術師が1500人ほど。後は、試作的に送り込んだ初期型バンダースナッチ14200体が。」

 

「相当な数だな.....。生き残りは?」

 

「アプテタスシリーズが2と3のみ帰ってきております。」

 

「すぐにここに。」

 

「はっ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もーなんでやがりますか?休憩もなしにまた出撃でいやがりますか?」

 

「いや、違うよアプテタス2、この前の日本支部の迎撃戦においての相手戦力の確認をしたいと思って呼んだ次第さ。」

 

「そうでいやがりましたか。」

 

アプテタス2と呼ばれる彼女、隆宮摩那はアイクの問いにたいして震えながら答える。

 

「まず、前提としてあれはもはや相手にしない方がいい、そう感じやがりました。」

 

「と、言うと?」

 

「戦力で言えば目視できたのが馬鹿デカイ大きな司令塔らしき戦艦、そしてISと思われる物体4、5機、そして鉄血海軍と手を組んでいるのかは定かではいやがりませんが海洋艦船が48隻ほど。.....そして。」

 

「・・・・・・そして?」

 

「・・・・・あの大昔の戦争を止めたであろう3機、更に、精霊を10人、確認しました。」

 

「10人ですって!?」

 

素の驚きを見せるエレン。アイクもこの報告には驚きを隠せなかったのか冷や汗が垂れていた。

 

「・・・・エレン、来週総攻撃をかける、今の性能のまま増産体制へ頼む。」

 

「了解いたしました。」

 

「アプテタス2は一足先にあちらへ再度赴き更に詳細な戦力の確認をしてくれ。」

 

「了解でやがります。」

 

 

こうして、DEMの襲撃はプロローグへと繋がるのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして現在、校舎の外でのんびり砲口を構えながら三人で休憩していた彼女等は空に浮かぶASTの部隊に取り囲まれていた。

 

「・・・・マジかぁ....。」

 

「・・・お兄ちゃん、どうする?殺っちゃう?」

 

「やるしかないだろ....『ペイル、起動だ。』」

 

『りょうかーい!【ライダー】起動!!』

 

「お兄ちゃんならそういうと思ってた!、『ルリちゃん、お願いね!』」

 

『お任せください!【リッター】機関始動!!』

 

クロエとヴィンセントがISを起動したのを見てASTの隊員達は一斉に一歩後ずさりする。そしてヴィンスはその隊員達の中に一際目立つ存在を見つけ、少し顔を綻ばせた。

 

「・・・・ティーレ、士道と精霊を死守してくれ。」

 

「二人で大丈夫なので?」

 

「いいや、三人だ。」

 

「?」

 

ティーレが首をかしげていると一人のAST隊員が突撃してきた。

 

「ここで落とす!!」

 

「はぁ....クロエ、25秒で済ますぞ。」

 

「分かってる、殺られ足り無いなら殺り直すだけだからね。」

 

二人はそれぞれの武器を構える。

 

「さぁ、」

 

「「俺(私)達の戦争を始めよう(ましょ)!!!」」

 

To be continued....




【悲報】理性蒸発、参戦確定。


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第15話 裏切り者はいつもすぐそばにいる

まるでASTに裏切り者がいるかのような言い方、

さあ?ワタシハナニモゾンジアゲマセン


学校上空で熾烈な戦いが始まった頃、士道は精霊【プリンセス】との対話をしていた。

 

 

「あやつらはなぜ私ではなくあいつらを?」

 

「・・・あいつらも十香と同じ【精霊】っていう存在らしいんだ。ただ十香とは違って精霊ではなく邪魔するやつを意図的に殺すっていうね。」

 

「なんだか、私たちとは少し違うみたいだな。」

 

『今よ、今ならデートに持ち込めるわ。』

 

通信越しに琴里からゲージが溜まりきったのを聞くと士道は改めて顔を十香に向けた。

 

「なあ、十香?」

 

「ん?なんだ?」

 

「今度デートに行かないか?」

 

「?なんだ?そのでぇととやらは。」

 

「男子と女子がゲームとか色々して楽しむこと、かな。」

 

「おぉ、それは行ってみたいものだ!」

 

十香が興味津々なのを士道はほっとした様子で見ていた。それもつかの間、壁が次々と爆発していく。それと同タイミングでクロエとヴィンセントが思い切り壁にぶつかる。

 

「ウグッ!?」

 

「ヴィンセント!?しっかりしろ!!」

 

「クッ、あまり性能差には差がないと思っていたが.....やはり脅威だな....。」

 

ヴィンセントが倒れている合間にASTがどんどんヴィンセントとクロエ、そしてプリンセスの回りを囲んでいく。

 

「総員、ターゲットに標準固定!!」

 

「チッ、スラスター損傷ブースターオーバーヒート!焼きが回ったか!!」

 

ヴィンセントが悪態をついたときだった。異様に寒気がするのに気づいたのは。そしてそれは十香も感じていた。

 

「な、なんだ...この寒さは....まるで...。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あは.......お兄ちゃんに傷つけちゃうんだ....じゃあ....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

           死んで♪」

 

「「「「!?」」」」

 

ASTの全員と二人が異様なクロエの代わりように気付く。ヴィンセントはクロエのオーラを見て先以て合掌をした。

 

そのオーラは禍々しく、クロエの右手には例のごとく相棒であるハイパー・ビーム・サーベルが握られていた。

 

「あー....クロエー・・・?」

 

「邪魔しないで。.....お兄ちゃんを傷つけたからにはこいつらは生かして返すわけにはいかないの.....。」

 

「あ、あのクロエちゃん....一応あいつらも皆のために戦ってr「黙ってて。そういうことならまずは貴方をこいつで焼くわよ?」ヒッ.....。」

 

『ちょっと!?リッターを....クロエちゃんを止められないの!?』

 

通信機から司令官こと琴里の悲痛な叫びが聞こえてくるもののヴィンセントは完全に諦めの格好をしていて士道もどうしようもないことを悟った。それは側にいた十香も同じだったのか、

 

「なあシドー、あのクロエとやらはどういう存在なんだ?」

 

「そうだな.....生ける伝説、かな。」

 

「ほう、気になるな。」

 

「あいつは今そばでぐったりしてるやつ....ヴィンセントの妹でな、ヴィンセントの身になにか変なことが起きれば直ぐあの様なんだ....。だからさ十香、今はまた今度だ。無関係の殺戮に十香を巻き込む訳にはいかない。」

 

「そうだ....【プリンセス】、いや、今は士道がそう呼ぶなら十香、あいつに殺されないうちに今は引いてはくれないか?」

 

ヴィンセントの頼みにふと顔を下げた十香。しばらくして、

 

「分かった。シドーよ、明日必ずでぇとするんだぞ?」

 

「分かってる。」

 

そう交わすと十香は消えてしまった。そしてちょうどその時、クロエの暴走が止まりASTに推し切られる。

 

 

「やっぱりISじゃ歯が立たないか.....。」

 

「所詮は旧式!いくら数をつまれよう・・・・が!?」

 

そこまで言ったところで声を詰まらせる隊員。その原因は彼らではなく、その後ろにある精霊反応。それを見て二人はにやけ、士道は驚きの顔をしていた。

 

「えっ....!?」

 

『そんな....まだいるというの!?』

 

「えへへ~最後の最後まで気づかなかったみたいだね!」

 

「・・・!!そうか、貴女は・・・!!」

 

「そうさ、かつてISの戦いに最後方とはいえ参加して、その功績をもって引退した.....!!」

 

隊員が驚愕の色に染まるのもつかの間、ピンク髪の少女のCRユニットが解除され代わりにメイド服を模した服を展開しゆっくりとヴィンセントたちの前に降り立った。

 

「ふっ、大本命まで残しておくものだよ!」

 

「・・・お前まで精霊化してるとはな。」

 

「クラス!」

 

クロエが叫び、

 

「セイバー!」

 

ティーレの声に呼応するかのように、

 

「アストルフォ!個名【ブラダマンテ】現時点をもってアクシズ復帰とね!!」

 

うさみみを華麗につけたメイド服の少女、精霊アストルフォがこの場に顕現した。さすがにこの出来事はASTも予知していなかったのか一歩後ずさる。

 

「さすがにこれは足りないわ....総員、一時撤退!!体制を建て直すわ!」

 

隊長と思わしき人物の判断にしたがったのかASTの一派が引いていく。それを見た五人はようやく一息ついた。

 

「・・・・しかし、身元を偽装してまでASTに潜ってるとはな。」

 

「えへへ~。」

 

「とにかく連絡するか、.....フラクシナス聞こえるか?」

 

『あら、士道じゃなくてヴィンセントなのね、どうしたのよ?』

 

「・・・・・?そっちで精霊を確認できてないのか?」

 

「??確認できてるのはあんたたち三人だけよ?」

 

ヴィンセントは琴里の一言に顔をしかめた。どうやらアストルフォは些か特殊らしい。

 

To be continued......

 

 




精霊として英霊アストルフォ参戦。

最近推ししか参戦してねぇな()


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第16話 だいたいセイバー

色々詰めが甘くなってきた今日この頃。




あの後、回収された俺たちはブリッジへと足を運んでいた・・・・アストルフォという懐かしきメンバーを携えて。そしてブリッジへ来ると案の定琴里と令音がいた。

 

「・・・・なんか増えてるわね?それがさっき話してくれた.....。」

 

「個体名【ブラダマンテ】ことアストルフォちゃんだよ!」

 

「尚男です。」

 

「はあっ!?」

 

ヴィンセントの衝撃発言に琴里が驚いているがクロエ以外の士道達も声には出さないでいたが震えていた。

 

「あんなに女の子っぽい髪型とか髪色とか声とか服装してて!?というかあれで精霊ってホントなの!?」

 

「天使はいっぱい居るけどね....。というかこの服装自体精霊専用の服装じゃないからね?」

 

「えっ!?でもアストルフォさんってこの状態で空に浮かんでたし.....。」

 

「本職、本来は騎士じゃなくて騎手だからね?相棒を使った飛行くらいわけないのさ!」

 

「ま、まあそうなのね....それより本題よ。プリンセス....いや、十香とは話はついたの?」

 

「ああ、一通りはな。ヴィンセント達が居なかったら間違いなく俺はここにはいなかった。」

 

士道はそう言い隣で甘々しい雰囲気を出している二人を見つめた。二人は満面の笑みで労いながらお互いに身を寄せ合ってすこしばかり休んでいた。ASTとまともにやりあってあれだけの疲労ですむのだ。相当戦闘経験をしているんだろうと士道は思っていた。だが現実は予想以上に上だった。

 

「ところでアストルフォちゃん?どうして精霊なのにASTなんかに潜伏できてたのよ?この辺りならまだしも基地内部とか普通に警戒されるでしょうに?」

 

「あー....うん、それはね.....。」

 

「・・・・何誤魔化そうとしてるのよ。」

 

「いや、これを話すと最悪協定決裂になりかねないから....。」

 

アストルフォがしとろもどろになっているのを琴里は不自然に感じていた。するとそこに、

 

「良いんじゃないか?」

 

「ヴィンセント!?駄目だって!?そんなことしたら琴里たちと....。」

 

「どうせ調べはついているんだろ、ならこちらから情報を割ってしまった方が早い。」

 

 

そう寝ているクロエをそばにいたティーレに任せこちらへとやって来たヴィンセント。それを見た琴里が顔を戻す。

 

「ヴィンセント、アストルフォちゃんのいってることは本当なの?」

 

「んまぁな。単刀直入に言うと【俺たちアクシズはDEMインダストリーのアイザック】と奥深くまで繋がっている。」

 

「!・・・・・?」

 

「は....?ちょっと待って、ヴィンセントがASTの親玉と知り合い?えっ?」

 

「・・・・ほーらこうなるじゃん。」

 

あまりにも衝撃の発言過ぎたのか全員の口が開いたまま塞がらなかった。そしてさらにヴィンセントは衝撃の事実を口にする。

 

「ああ、後琴里達が探してる【ファントム】って精霊だっけか、あいつ此方で遊んでるぞ?」

 

「「「「「!?!?!?」」」」」

 

 

 

彼らの頭がさらに痛くなる瞬間である、

 

 

「まあこんないきなりすぎても固まるわな。まあいきさつを言ってしまえばあれなんだがIS学園にいた頃に死にかけてな、その時にファントムに霊結晶を託された....と言うよりファントムと融合しかけた。」

 

「!?」

 

「そこまで言っちゃいますか.....。まあ蟠りを無くしたいのであれば致し方ありませんか....。」

 

「まあそのときはペイが霊結晶と適合して受肉しちゃったわけだが。」

 

「・・・・ごめん、話が追い付けない....。」

 

「そりゃすまんな。・・・・そして受肉したペイだけが羨ましいと他のHADES達も暴れだしてな....。それがちょうどユーラシア大空災。通称【精霊の始まり】ってやつさ。まああの災害は結果そこにいるアストルフォが持っていた国宝である聖杯とファントムが持っていた霊結晶2つをそれぞれルリ、トリス、ネプが使って受肉したことで事なきを得たんだがな....。」

 

「・・・・・え、何この人。さらっと精霊4人居るの言っちゃってるの?」

 

「あ、そもそも俺とクロエは狂三から霊結晶分けてもらってるから純粋な精霊ではないぞ。」

 

「嫌な予感が....が....。」

 

琴里はまるで頭がパンクしたかのように白い煙をあげるとそのまま動かなくなった。一方、その当該加害者側と言うと....。

 

「・・・・流石に情報量が多かったか?」

 

「そりゃそうだよ!?」

 

 

To be continued.....

 

 




デアラコラボ第二弾。まだかなぁ


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第17話 再遭遇

デアラコラボが終わって落ち着いたので復帰いたします。

まあ結果は全員お迎えしましたよそりゃ


ちなみに以前作者はヴィンセントにALICEを混ぜましたね?

最近クラフィでエジソンお迎えしたんですよ。


化学反応入りまーす(しれっと重大発表


あの出来事の翌日のことである。士道の通う高校はあまりの被害により一日の休校を余儀なくされていた。そしてその様子を一目見るべく今日はヴィンセントたちと共に高校に訪れていた。

 

 

「ま、あんなに壊れてたらそんなにすぐは復旧しないか.....。」

 

「いくらリアライザでも限度はあるからな。......強度補強工事すればいいのに。」

 

「なんか言ったか?」

 

「いんやなにも?取り敢えず今日は買い物行くんだろ?」

 

うまく流れをそらすヴィンセントだったがふとこちらを見る視線に気がついた。

 

(....一人か。だがこの視線は.....。)

 

ーーーードー.....

 

「(あっ、そういう....。)士道、後ろ後ろ。」

 

「後ろ?」

 

ヴィンセントに言われ後ろを振り向く士道。そしてそこに居たのは、

 

「やっと気づいたか、ばーかばーか。」

 

「十香!?お前、なんでここに!?」

 

「お前が昨日デェトの約束をしたんだろう?」

 

「こ、こんな急に来るとは思ってなかったよ!」

 

慌てる士道を見ながらヴィンセントはステルスで追跡させていた相棒を下ろしワイヤーに足をかける。士道がその様子を発見したのは数瞬後のことだ。

 

「ヴィンセント!?」

 

「俺たちがいると邪魔っぽいからな〜。まあ、せいぜい二人でデートを楽しむことだ。」

 

そう言いコックピットに潜るヴィンセント。そしてその後、トーリスのツインアイが強く光り十香達のもとに強大な強風を作り出し立ち上がった。

 

「本部、応答せよ。こちらヴィンス、士道が精霊と接触した。フラクシナスを呼び出してくれ。....ああ、俺もそっちに向かう。」

 

ヴィンセントはコックピット内でそう不気味な通信を交わすと士道の前を突っ切り飛び去った。その様子を見ていた二人は、

 

 

「.....ヴィンスがせっかく気を利かせてくれたんだ、十香もその格好じゃ目立つぞ。」

 

「ふむ、多少霊装を弄ればここの街の服と遜色ないものは生成できるが。」

 

十香がそう言うと士道はスマホから自分の通っている高校の女子生徒の制服を映し出した。十香はその制服を見るや、

 

「.....ふむ、こんなものか?」

 

「霊装ってことごとく便利なんだな....まあ良いか。十香に今日はいっぱいこの街の事を知ってもらわないといけないからな。」

 

「うむ、頼むぞシドー。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻、空中艦【フラクシナス】

 

その頃、フラクシナスはいつも通り観測を続けていた。もっとも、艦橋に普段居るはずの琴里と令音の姿はなく、神無月が代行でやっている状態だった。そんな時である。艦全体に大きな揺れが襲ったのは。

 

「何事か!?」

 

「艦左翼に巨大物接触!これは!......。」

 

『観測途中にすまないな。』

 

艦橋モニターにでかでかと映し出されるヴィンセントの姿を見てフラクシナスの全員が接触したのは奴の相棒だと認識した。神無月は平静を保ち、

 

「ヴィンセント君、急用なら先に連絡してくれれば良かったのに。」

 

『アクシズ本部経由で連絡した筈なんですけどね......。まあそれよりも、今は緊急連絡のためこっちに直接来ました。艦橋に上がっても?』

 

「ん、許可しよう。3番ハッチから上がってきてくれ。」

 

神無月がそう言うとヴィンセントは今更感だが忘れていたエルの金属同化能力で内外を瞬間移動し艦橋にやって来た。

 

「ところでヴィンセント君、急用とは?」

 

来るなり本題をふっかける辺り流石は精霊組織と言ったところか。ヴィンセントはそう感じ取りつつも、

 

「単刀直入に言おう。つい先がた個体名【プリンセス】...いや、十香が士道と接触した。」

 

「「「!?!?!!?」」」

 

ヴィンセントの言葉に全員が静まり返る。もちろん、空間震なしでやって来る方法、【静粛現界】自体は知ってはいたが後もいきなり来ると反応が追いつかないというものである。神無月は直ぐ様外出している艦長こと琴里に連絡を取る。

 

「琴里司令、士道君がプリンセスと接触しました。」

 

「はぁ!?」

 

「どう致しますか?」

 

「もちろん私も行くわ。機関員を地上におろしてサポートの準備を。」

 

「その必要はないぞ。今週は【偶然】にも俺達アクシズ主催の商店街ぐるみでのイベントやってるからな。そこに十香達を巻きこめばいいでしょ。」

 

「ふーん、やってるならやってるで良いけどあなた達一応軍事組織でしょう?」

 

琴里は渋い顔をしてそう言う。ヴィンスはハテナマークを浮かべまくってるような仕草をしていた。

 

 

「ひどい言われようだな?確かに裏の顔は軍事組織だが表の顔は運送組織だぞ?ある程度物資の融通は効く。」

 

「へぇ、そこまで自信あるなら今回の補助は任せてみようじゃない?」

 

「ああ、最高の結果を約束しよう。」

 

 

ヴィンスは高らかに総宣言すると艦橋にいる全員を見渡し口を開く。

 

 

「琴里がここにいないし宣言させてもらう。

 

 

 

 

 

     さぁ、俺達の戦争を始めよう.....!!」

 

 

To be contenued.......

 

 






いつまで待たせるんだって話。次はもう少し短くできるかな?


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第18話 形ばかりの体じゃ無い

今回のサブタイトルはセイバー故の性。


「さて、言ってみたはいいものの、現在地は分かるか?」

 

「安心しなさい、ラタトスクが保有する設備ですぐに捉えられるわ。あとはどこでデートさせるかだけど.....。」

 

「ここを知ってもらう為のデートならば一番手っ取り早いのは商店街じゃないか?」

 

それぞれ案を出していく中、通信が入る。

 

「琴里。」

 

「はいはい、何よ士道?」

 

「ああ、十香と今商店街の飲食ブース当たりに来てるんだけど十香が思いの外たくさん食べるっぽくてな....どこか提携してたりするお店って無いか?」

 

「ああ、それなら.....ここね。ここなら私達ラタトスクが協力を取り付けてあるわ。」

 

琴里が空間パネルを操作して一つの喫茶店らしきものを見せる。

 

「ここなら私達が援護してあげられるけど.....。」

 

「あ、ここ僕の店だ。」

 

「はぁ!?」

 

「うん、2年前に精霊になる前から暇だから開いた喫茶店だね。たまに暇つぶしに接客してるし。」

 

「どんだけ適応力高いのあなた......。まあ良いわ、なら手伝ってくれるよね?」

 

「勿論!今日はもともとお休みの日だったけど臨時で僕も行こうかな!」

 

そう言いアストルフォはニッと笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、士道と十香は誘導どおりにある喫茶店に来ていた。

 

「シドー、ここは何処なのだ?」

 

「ああ、ここの店は普段から人気でな。十香の為に前々から予約していたんだよ。ここの店のパンケーキは格別だぞ?」

 

「それはきなこパンより美味しいのか?」

 

「きなこパンとはまた違った意味で美味しいと言えるな。きなこパンは外は少し硬いけど中がふわっとしてるだろ?ここのパンケーキは凄くてな、外側は切ろうとすればモチモチで中々一口大に切れないことで有名で、その癖中身はフワッフワだから食感が物凄くいいんだよ。十香の口に合うといいけどな......。」

 

「そこまで凄いものなら楽しみだな!」

 

十香の笑顔を見た士道はひとまず店の中へと入っていく。入り口には店員が店番をしている。

 

「すいません、先日予約していた五河ですが。」

 

「いらっしゃいませ、照会致しますので少々お待ち下s....「照会は良いよ、僕が案内するから!」店長!?今日は非番だったはずでは!?」

 

「暇だからね、なら手伝いでもしようかなって。それよりもこの二人は僕が知ってるから安心して。」

 

「そうでしたか、では2名様、こちらへ。」

 

その応対をそのまま見ていた二人だったが、心境は揃っていた。

 

『なんでアストルフォがいるんだ!?』

 

と。

 

 

 

 

 

「まさかアストルフォがここの店長だったなんて.....。」

 

「あれ、さっきの様子だと何回か来ていたように見えるんだけど?」

 

あのあと、店員に案内されたのは景色がよく見える二階のテラス席だった。そこに士道と十香が座って待っていると、アストルフォがやって来たのだ。なんでも、

 

「店長は今日は非番なんですからせっかくですしその友達さんと積もる話を潰してみては?」

 

とのことである。

 

「もともとこの店に来ようとは思ってたんだがなかなか時間が取れなくてな.....実際に来るのは今日が初めてになるな。」

 

「シドーはパンケーキが美味しいって言っていたが?」

 

十香がそう言うと、アストルフォは興味深そうな反応を示す。

 

「.....へえ、裏メニューを知らないんだ?」

 

「裏メニュー?」

 

「うん、僕が認めた常連さんにしか提供しない特別なメニューだよ。」

 

「.....まさか?」

 

「僕も非番だしね、プライベートってことで。」

 

「おお!アストルフォは良い人だな!」

 

「よし、ちょっと待っててね。今から作ってくるから。」

 

「?作る?」

 

「僕にしかそれが作れないからね。」

 

「なるほどな。」

 

アストルフォはそう言うと準備のために厨房の方へと降りていった。それを見届けた士道は十香の方を見た。十香は今か今かと待っている。

 

「どんなのだろうな!裏メニューと言うことはパンケーキより美味しいのだろう!?」

 

「恐らくな。しかしあいつがここで店をやってたなんて初耳だな、と言うかここまで社会に溶け込めることが驚きだ.....。十香だって頑張ればこんなふうにできるって言うお手本にはなったが。」

 

「だが私は......。」

 

十香が少し気を沈めるがすかさず士道がフォローに入る。

 

「今回だって被害を出さずに現界出来たんだろ?つまり無意識に自分がそうしてるならば自分でもやろうと思えば出来るはずだと思うが。」

 

「本当に良いのか?」

 

「ああ、十香はたくさん美味しいものを食べたいんだろ?」

 

「うむ、さっき食べたきなこパンは格別にうまかった!」

 

「人間、だいたい食べれば意外とどうにかなるもんなんだ。」

 

士道はそう言うと、二人で出てくるのを今しばらく待つ......。

 

 

To Be Continued......




多分これ以上は3500超えかねないので分けることにした。


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第19話 穿たれた砲門

ハロウィンに行き詰まったので本編に戻るスタイル

次で終わるといいなぁ.....





十数分くらい待っていると厨房からアストルフォが両手に皿を載せて戻ってきた。

 

 

「お待たせ!特製の【円卓バウムクーヘン】だよっ!」

 

「うーん、丸いから円卓ってか?」

 

「安直だな。」

 

「はいそこうるさいっ!」

 

冷静なツッコミに反論を唱えるアストルフォ。なれどその味は格別で士道はその後、アストルフォから簡易的ながら作り方を教えてもらったのは後の祭り。

 

「ふっ、なかなか行けるではないかこのバウムクゥヘンとやらも。」

 

「十香が思った以上においしいものはあるんだ。さあ、時間は少ないが見せたい場所があるんだ。付いてきてくれるか?」

 

「ついてきてほしい場所?あ、おい!待つのだ!」

 

士道が十香の手を引っ張り連れて行く姿を見てアストルフォは静かに思った。

 

【.....お代、また今度でいいかっ。】

 

と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、フラクシナスでは慌ただしく状況が動いていた。

 

「くっ、AIが正常に動作しなくなったせいで完全に頭打ちよ!!」

 

「まあ、今回はイレギュラーな事態だったからな。無理もない。ところで、ASTに動きはないのか?」

 

ヴィンスが琴里に聞くと琴里は機関員に付近を調べさせる。すると、

 

「....っ!?【C.C.C.】を持ち出してくるとはね.....。」

 

「....対精霊用狙撃銃ってやつか....!!」

 

「ええ、撃たれた者も撃った者も狙撃銃も悲鳴を上げることからつけられたそれ。もし当てることができたら、それこそ致命傷になりかねないわ。だけど、士道は一回くらい死んでもコンテニューできるし、問題はないわ。」

 

琴里は自信気に言うが、一人クーが不穏な視線を向けていることにクロエが気づいた。

 

「どうしたの?」

 

「.....お姉様、どうもあの狙撃銃、士道様で防げたとしても十香様まで被害が行きそうです。」

 

「んなっ!?」

 

ヴィンスがいち早く反応するとともに画面が何者かによって歪んだ。

 

『ヴィンス!!』

 

「アリス!?何処から!?」

 

「あなたのその腕輪よ!!それより、不味いわ。奴ら、強硬手段に出ようとしてるみたい!」

 

アリスの言葉に全員が息を呑んだ。それ以前に、突然ハッキングまがいの事をされた琴里達にとっては顔が引きつっていた。

 

「ヘリポやアーカイブで情報収集をしてたらASTの上層部が【C.C.C.】だけでなく、新型機とやらに搭載予定のプロトタイプのメガキャノンの使用を許可したというログが入ったの!」

 

「メガキャノン......【リコリス砲】か!?」

 

「リコリス砲?何よそれ。」

 

琴里が恐る恐るその意味を聞くとヴィンスは頭を抱えるとポツポツと話し始めた。

 

「我らフェレシュテの技術専門組織である【アクシズ】と【DEM】が面白半分で作った災害復興用CR制作プランである【リコリス計画】、そのプロトタイプである【ホワイト・リコリス】に搭載予定だった瓦礫破砕用のビーム砲みたいなもんだよ。想定される瓦礫の大きさを踏まえて作ったら従来のCR5機分の出力を一発でぶっ飛ばすからプロトタイプ段階で凍結、封印された筈なんだが、誰が横流しした?」

 

『ログを漁ってみたところアイクが余興がてら出力をさらに向上させて横流しした形跡が見つかったよ。』

 

「はいアイクマジやめろ。」

 

まさかの原因がアイクだったことにへたりこむヴィンス。が、何かを思い出したのかすぐに気を取り直した。

 

「いや待てよ.....あれなら行けるか.....?アリス、本部に例の物は放置されたままか?」

 

「ちょっと確認するね.........うん、あるよ。」

 

「おっけー、クロエは例の物に換装して出撃、俺達は万が一に備えて地上に下りる。琴里、バックアップは任せた。」

 

「え、ええ。」

 

「ミャチもクーも行くぞ。」

 

「「はい!(おっけー!!)」」

 

それぞれの声とともに三人はブリッジを後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、士道と十香は市の全体が見える高台へ足を運んでいた。

 

「おぉぉ.....これはすごいな!?」

 

「俺が見せたかったのはこれなんだ。....十香、今日一日を通してみてどうだった。お前を殺そうとするやつなんて一人もいなかっただろう?」

 

士道がそう言うと十香も頷きながら、

 

「ああ、そうだな。街の人たちは優しくて私を殺そうという気迫は微塵も感じられなかった。それに、私はここに来るたびこんな美しい町並みを壊していたんだな.....。今ならメカメカ団が全力で来た原因もわかる。......やはり、私はこの世界には不要なのだろうか?」

 

十香が顔を下げてそうつぶやく。それを取り繕うように士道が首をブンブンと横に降る。

 

「それは絶対にない。現に、今日は何処にも被害を出さずにこちらに来れただろ?ならばどうにかしてこちらに来る方法があるはずさ。」

 

「だが......。」

 

そこまで十香が告げたとき、士道は一方向からの悪意を察知しとっさに十香を突き飛ばした。

 

「なっ何を....!?」

 

十香が文句を言おうとした瞬間、十香が見たのは、士道が何かに吹き飛ばされ、そして挙げ句の果には何かの光の奔流で下半身がえぐり取られた図だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「世界は私を.....やはり否定するのだな.....!!」

 

To be continued.......






はい。だいぶ遅くなりましたが更新です。また間隔は開くかも。


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第20話 穿て!フェンリルランチャー!

遅くなった!!ごめんね!!


十香は、己の霊装を再展開した。展開すると同時に空間が軋み空が悲鳴を上げる。

 

「【鏖殺公】.....!!!」

 

地を蹴ってその剣を持った十香は目の前で討ったASTを所構わず斬り始めた。

 

「やはり貴様らが私を否定する!そしてシドーを殺した!ならば、殺し、滅し、塵す。」

 

一振りするごとに放たれる剣撃の斬撃がASTの僅かな希望の随意領域を尽く割っていく。もちろんその様子は、

 

 

 

 

 

 

「あちゃあ、もう始まってたか。」

 

「まあ、すぐに行動に移すとは思ってたけど、予想より早いね。」

 

「でもまぁ、この私にかかればぜーんぶおわるよ?ざぁ〜こ♡」

 

「はいはいミャチは黙っててくださいな。.....ヴィンス、いや、指揮官、指示を。」

 

「ミャチとティーレはこのままこの位置で待機しながら主砲準備。俺とクロエとクーで十香とASTを鎮める!」

 

「「「「了解!!」」」」

 

天宮周辺海域にて停泊しているアクシズ直下の専属艦であるビッグ・トレー級水陸両用高速巡洋戦艦4番艦【ティーレ改】、別名【ヴォルガ】。その艦橋ブリッジにて5人は作戦を練っていた。というのも、ASTに持ち込まれたとされるホワイト・リコリスの試作武装であるリコリス砲こと、【380mmメガ・キャノン砲】の破壊、及び関係人物の制圧のために、だが。既にクロエとクー、そしてヴィンスはかつての愛機をCRユニットを組み込んで改修した【ツヴァイ】【キャヴァルリー】【デュラハン】を纏いいつでも出すことができる。その中でもクロエのツヴァイの背部にある巨大な砲身が銀色に鈍く輝いていた。

 

「しっかし、ようやくロールアウトしたか。」

 

「ハイパー・メガ・ビーム・ランチャーの改良型の【フェンリルランチャー】。割と放置されていたからコンデンサが死んでるけど、何もなければ一発なら撃てる代物。これでASTに風穴を開ければ良いんだよね?」

 

「ああ。なんだったらもうすでに使い捨てのコンデンサから供給は完了してるからいつでも撃てる。」

 

「気が利くじゃないお兄ちゃん♪」

 

「何年兄さんやってると思ってる!クー!」

 

「了解!高性能センサーと御姉様のランチャー、リンクします!」

 

クーの視線誘導に釣られ脚部を固定したクロエがその巨大な砲身を構える。同時にヴィンスも腕部に格納しているビームサーベルを取り出すとスラスターを温める。

 

「......砲撃と同時に制圧作戦開始!!!」

 

『了解!1000mm3連装主砲、1番から6番まで装填!!』

 

「データリンク完了!エネルギー充填率100%!!」

 

「ヴィンセント・グライスナー、【キャバルリー】!出るぞ!!」

 

「目標【リコリス砲】!!穿てェッフェンリルランチャー!!!」

 

 

奔流と共に閃光が2つ、3つと蹂躙を繰り出す集団に襲いかかった。真横から襲ってきたその砲撃に全員がバリアを張るが、

 

「そうやすやすとバリアは張らせない!!」

 

「なっ!?」

 

ランチャーよりわずかに早い速度でとんだヴィンセントがサーベルで随意領域を消し飛ばす。数瞬後に無防備になったリコリス砲に直撃し溶けていく。咄嗟に切り離したリコリス砲はそのままスパークし爆散する.......。

 

「ヨイショッ、再装備っと。」

 

「なっ!?スパークしているのに!?」

 

「悪いな.....こいつはちょっと違うんでな。なあ?【エル】。」

 

 

そして、ASTはとんでもない光景を見ることとなる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うっ......。」

 

一方で、何かに撃たれたとされる士道は何が起こったのかわからず、その身を起こす。周囲を見渡すと無機質なパイプがむき出しになった部屋。それだけで士道はここがフラクシナスだと直感した。そして寝ていたと思われる別途の直ぐ側には令音さんがいた。

 

「おや、目が覚めたようだね。」

 

「ここは、フラクシナス、なんですよね?」

 

「ああ、最初に回収された時の保健室だ。とりあえず早く起きたまえ。司令が待っている。」

 

「琴里が?わかった。」

 

士道はそうと決まればすぐに行動し、すたすたと艦橋ブリッジに向かっていく。扉を開きそこで待っていれば、やがて琴里が士道を見つけた。

 

「やっと来たのね士道。もう少し遅かったら取り返しの付かないことになってたわよ。」

 

「.....あ、十香は!?」

 

「あなたが身を挺して守ったおかげで傷一つないわ。でも、十香は士道が死んだと思って暴走しているみたいね。今はとっさに出てきたヴィンセント達のおかげでどうにか押しとどまっているけど、またいつ暴れ出すかわからないわ。」

 

「......行かなきゃ。」

 

士道は琴里が長話をしている途中でぼそっとそう呟く。それを聞きのぎさなかった琴里はひっそりと眉を上げた。

 

「.....また死ぬかもしれないのよ?」

 

「そんな事はどうだっていい。今はASTとかいう敵になんの理由もなく殺されそうになっているアイツを.....十香を放っておけない。それに、それで後悔するなら今の俺はただのアヒルだ!!」

 

「.....それでこそ私のお兄ちゃんよ。いい、数分後に重力緩和システムでここから十香のところに士道を放り出すわ。速度自体は気にしなくていいから、先ずは十香のところに行きなさい。話はそれからよ。」

 

士道は無言で頷くと転送システムがある部屋へと向かっていった。それを見届けた琴里は再び正面モニターに顔を向ける。

 

「士道.....ここで気張らなきゃ男じゃないわよ....!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「.....そんな、馬鹿な.....。」

 

「士道を殺したお前達なぞ、生きる資格はない。塵し尽くしてやる。」

 

【最後の剣】を戸惑う事無く乱発していく十香。その余波を必死に受け止めている折紙。【C.C.C.】の改良型である【リコリス砲】を受理され今まで以上の精度で精霊を殺すことができる。と思っていたらまさかの士道に直撃し、プリンセスが激昂。そのまま戦闘になった。等の原因であるリコリス砲は何故か敵に強奪され、そして.......。

 

 

 

「危惧していたとはいえ....まさか本当にこんなことになるとはな。」

 

「全くです!....でも、どこでこんな機体の詳細情報を?」

 

「データベースに全部あったから改修案として記録はしてあったんだよ......。」

 

折紙の目の前にはスパークしたリコリス砲がグニャリと変形し人型と化した光景が目に焼き付いていた。

 

「さて、完全に意味が分から無さそうな顔をしているから説明しておこう。元々プロトタイプリコリス砲は、狙撃を前提として開発した代物だ。そして、蓄積されたデータとともに極秘裏の取引で返却してもらう予定だったが.....。」

 

「まさかあそこまで十香さんがキレるとは思いませんでしたし....。」

 

エルが目線を向けるとそこには折紙以外がほぼ全て気絶している様子。流石にこれ以上は危険と悟ったヴィンセントがその長大な砲身を十香に向けた。

 

「十香、いや、精霊【プリンセス】。お前のお望みは上にいるぞ!!!」

 

「どういう事......dっ!?」

 

十香は警戒しながらも上を向く。そしてそこには、

 

「十香ァァァァァァ!!!!?!?」

 

「し、シドー!?」

 

「十香!無事か!」

 

「シドーこそ、確かメカメカ団にお腹を貫かれて....!!」

 

「でも俺はこうして生きているだろ?」

 

「それはそうだが.....!!」

 

その時であった。不意にチャージを続けていた最後の剣がおかしな挙動とともに黒い波動を生み出し始めた。その反動と同時に十香が顔をしかめる。

 

「っ!?不味いシドー!制御を誤ってしまった!どこかに放出せねば.....!!」

 

「けど.....っ!....十香、よく聞いてくれ。」

 

「っ、なんだ....?」

 

十香を落ち着かせた士道は、その暴走を止める方法を説明した。すべてを説明し終え十香を見るとすごく怪訝な表情をしている。

 

「そ、それで、具体的にはどう....っ!?」

 

士道はもはや一刻の猶予もないか、イチかバチかで十香の唇に互いの唇を合わせた。するとどうだろう。あんなにも放たれんとしていたエネルギーが薄まっていく。それを間近で感じていた十香は少しばかり驚いていた。

 

「こ、これ....は...、?っ!?見るなっ!シドー!」

 

「ウェ....うわァァァ!?!?」

 

十香の言おうとしていることがわからない士道はふと向いてしまった。真っ先に見えたのは純粋な肌色。すなわち。

 

「な、なんで!?」

 

「み、見るな!!」

 

 

そんな様子を遠くから見ていたクロエ達は。

 

「......終わったな。」

 

「........。」

 

「......俺たちがいなきゃ今頃お前らはあの世行きだったんだぞ?」

 

「......どうして、そこまで精霊に肩を持つの.....!!」

 

「.....なぜかって、言われても。俺たちが精霊であり、其の現実を観る者、としか言いようが無いがな。」

 

「現実を観る者......!?」

 

「エルのことも含めて知りたいならアクシズ、いや、フェレシュテ本部まで来るといい。」

 

そうヴィンセントは言い残すとスラスターを光らせ撤退した。クロエとクー、ティーレとミャチも揃って後を追うように撤退した。残されたASTはただただ、あっけらかんとしているだけであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜のことである。

 

 

「クー、データは取れたな?」

 

ヴィンセントのその一声にクロニクルはジェスチャーで丸を作り取れたことを示す。

 

「識別名【プリンセス】、その精霊データ。これでティーレの次の武装が作れる.....!そして.....。」

 

「ミャチ達の世界の技術を応用して人工霊結晶の制作、ね。」

 

「でもなんでそこまで?」

 

「......一人だけ、救わなきゃならんやつがいるのさ。」

 

「....?」

 

ブリッジにいた全員が首を傾げる。ヴィンセントはわからないだろうな、という一言を残しブリッジから去ろうとした、その時であった。

 

『ヴィンス!!!!』

 

「おわあっ!?」

 

「アリスちゃん!!うるさいいいい!!」

 

『ああ、ごめん!』

 

突然として回線に割り込んできたのはヴィンス達アクシズと協力関係にあるALICEの対女王特化型AI(本人は人間だと言い張ってるしヴィンスたちも人間だと信じている)ことアリスだった。いつもだったら前連絡を入れてくるはずだが、とヴィンスは思念していた。

 

「ソ、それでどうしたんだ.....。」

 

「それが.........、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

        ダーウィンがALICEから消えてしまったのよ!!」

 

 

 

「....んんんんん????」

 

前途多難。トラブルはまだあるらしい。

 

To Be Continued.......

 

 





事後処理は今回なし、ということで。


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第21話 識別名【イーヴィス】。またの名を......

どうして(極フェス)

後日談兼次章への布石。


あの日から数日。精霊【プリンセス】は【夜刀神十香】として彼らの学校へ転がり込んできた。当然全員がこの時期の転入にはてなマークを浮かべているが、そこは、手続きの遅延、という形で纏めた。当然、同じクラスの折紙が突っかかるがそこは相棒。クロエが度々止めてくれた。復旧したエルとともに。

 

 

そんなある日のこと。二人は何時ものように放課後を迎え、折紙に声をかけた。

 

 

「鳶一、ちょっと良いかー?」

 

「.....何用、ミスターグライスナー。そもそも私達は所属は敵同士。本来なら相容れない存在。」

 

「(いやまあ本質的には協力関係なんだが.....。)ちょっと気になることがあってな。」

 

「気になること?」

 

折紙がそう返すと待ってましたの如くクロエが懐から1枚の写真を取り出し見せた。

 

「この子、知らない?」

 

そう言って折紙が見て見えたのは緑色の髪にケモミミがついた人間。しかしてそれを彼女は知っていた。いや、知らざるを得なかった.....。

 

「......この写真、いや、この人物をなぜ?」

 

「ちょっと頼まれてな、人探しってやつだ。」

 

「......ついてきて。」

 

「ついでにアスも連れてくぞ。」

 

「.....なんで【ブラダマンテ】まで?」

 

「.....ALICE止めるぞ?」

 

「.....余計な模索はしない。連れてきて。」

 

「オーライ。クロエ、アイツをここまで。」

 

「あいあいさ。」

 

クロエはニッコリ笑うと準備のため教室から出ていった。続いてヴィンセントも後を追うべく教室から出ていこうとする。そして、

 

「集合場所は?」

 

「AST基地入り口でいいだろう。こちらから出向く。」

 

「......了解。」

 

折紙がそう呟くと、ヴィンセントは今度こそクロエを追いかけていった。折紙も自身のノルマを果たすべくASTへの基地へと急いだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間後、予定の時刻になった折紙は入り口でその3人を待っていた。

 

「本当に来るのか?」

 

「ええ、あの人はそういう人。」

 

付近で門番をしていた隊員にそう返すと同時にけたたましいサイレン音が鳴り響いた。折紙と隊員もその突然のサイレン音に驚くが、折紙の事情を知っている顔を見てなんとなく察した隊員。

 

「.....来た!」

 

そう言った次の瞬間、上空を3機のMSが駆けていく。

 

「.....嘘、でしょ?【ライダー】に【リッター】.....それにもうひとりの未確認精霊!?」

 

門番の隊員はもはやどういうことがわからず混乱していた。そうしている合間にも装備したASTの隊員達が3機に向かって攻撃していくが尽く撃ち落とされていく。そうして隊員の山ができる頃には、3機は基地の土地へと降り立っていた。

 

「.....また厄介なものを持ってきてくれた。」

 

「仕方ないだろ、アストルフォもつれて来るならこれごと持ってくるしかなかった。」

 

「私のツヴァイとお兄ちゃんのキャヴァルリー、そしてアスちゃんのネプリスリッター改め【ブレインズ・リッター】。まあ真正面からやり合うやつなぞ居ないでしょ。......案内してくれる?」

 

「わかった。だが、変な真似をしたら即座に撃つ。」

 

「撃ったら撃ったでフェレシュテ、アクシズ全員敵に回すだけなんだけどなぁ。」

 

皮肉の言い合いをしつつ四人は内部へと入っていく。しばらく進んだところで突き当たりの資料室へとたどり着いた。折紙はそれを手際よく開放すると、三人を中に入れて席に座らせる。自身は機器を操作し記録画像を見せた。

 

「つい一週間ほど前から確認された精霊。現段階での被害は無く、なぜかこちらに友好的で上層部から討伐より保護、住民権の付与を優先されている極稀な例外措置が取られている精霊。我々はこれを【イーヴィス】と呼んでいる。」

 

三人はよくよくその映像を凝らしてみてみる。頭の上にある輪っか、若々しい黄緑色の髪の毛、それに連なる猫耳的なもの。それを確認したヴィンセントは懐から端末を取るとどこかへと電話をかけ始めた。

 

「ああ、もしもし、俺だ。.....ああ、見るか?」

 

声の主に映像を見たいとでも言われたのか、ヴィンセントは端末を机に置くと拡声モードで全員に聞こえるようにした。

 

「.....ミスターグライスナー、この声は?」

 

「うちの知り合い。対女王特化型AIことアリス・リデル。ALICE防衛機構の切り札の一人だ。」

 

「以後宜しく。」

 

覚醒音声からの声を拾い渋々応答していく折紙。しかし、悪夢はここからだった。 

 

『さて、本題はここからよ。先程見たけどやはり私達の仲間であるダーウィンであることがわかったわ。けどなんでそんなことになってるのはいまいち分からないの.....。』

 

「そうか.....。」

 

「強いて言うならクーロンちゃんとフロイトちゃんが些細なことで喧嘩して何人かがALICEから行方不明になってるくらい?」

 

「.....なんでぇ....。」

 

『もしかしたら彼女等もダーウィンと同じくこちらに来ている可能性は否めないわ。そこで.....。』

 

「で?」

 

『取り敢えず精霊になってみようかなって。』

 

「ごめん何言ってるかわからない。」

 

「.....馬鹿?」

 

唐突にアリスが言い出した宣言に開いた口が塞がらない一同。アリスは更に口を開く。

 

『まあ、ここだけの話で言うとダーウィンが密かにEvSを渡してくれたのよ。【チュールには黙っておいてあげるから外の世界に出てみよっ】って。それがこのEvS。多分ダーウィンはこの権能を使ってそちらの世界に来ているのだと思うわ。』

 

「.....どすんよ?」

 

『もちろん連れ戻すわよ?けど、もう何年も閉じ込められて、私もボナちゃんやローズ達と戦ってきたのよ?ちょっと位お休みがあったっていいじゃない。』

 

そう言うと突如としてアリスの体が光り始める。

 

 

「えっ、ちょっ、おまっ、えっ!?」

 

「.....何が起きるの!?」

 

「.....お兄ちゃん?」

 

「.....どしよ。」

 

「....なんか、ドンマイ?」

 

四人の反応とは裏腹に連絡端末からの光は更に濃くなっていく。瞬間、圧倒的な光量に全員が目を覆う。数秒して光が止んだのを確認したヴィンセントが目にしたのはやはりと言うべきかそうでないのか.....。

 

 

「......うそーん。」 

 

「....ふふっ、来ちゃった!」

 

「おいおい.....そんなことってありか......アリス。」

 

「大義名分があるんだから良いんじゃない?......改めて、私はアリス・リデル。形としては精霊にはなっちゃうけど、気軽に【アーク】とでも呼んでくれたら良いわ!」

 

 

何を求めてやってきたのか、そこにはEvSとともに顕現したアリスがいた。

 

 

To be continued.....




次回は彼視点


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第二章 災害ラヴァー
第22話 破壊、蹂躙、災害類ⅩⅧ型


オリジナル章にしてディザスターを登場させたいがために作りました。後悔はしてない


....僕はもともと、生きていない。

 

些細なことで喧嘩して、唯一の相棒を亡くして。

 

数十年引きこもってたけどアカデミアロックダウンという重大事件を筆頭に人生は変わった。

 

それからと言うものの、時折彼に引っ張り出されて外の世界を堪能し、そして今、僕は.....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「久しぶり〜、人間の社会!」

 

僕は、かつての街を訪れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とはいえ、久しぶりの故郷とは言ってもいささかこれでは目立ちすぎてしまう。今の彼の格好はジャケットを軽く羽織ってはいるものの中は薄いタンクトップだけで構成されており、見る人から見れば露出度が高くなっている。また、誰がどう見てもアレなようなケモ耳を頭に引っ提げており最優先でこれを隠す必要があった。幸いにも路地裏はたくさんあるので彼はそのうちの一角に入る。

 

「はぁ....やっぱり現実の世界は不便でたまらないや。」

 

あちらの世界ではこんな耳なんて付いてる人いっぱいいたけど、こっちだとどうも居ないらしい。仕方なく僕はイーヴィスの権能でケモ耳を隠すようにもとの形態で使っていた帽子をかぶり辛うじて隠してみる。偽装が完了したので元の道に戻ると、何故か先程まではカラカラに晴れていたのに今では土砂降り。路地にまで降ってこなかったのは上に屋根か何かが張ってあったのだろう。幸いにもこの服装はすべての空間において環境適応するイーヴィスによって構成されており、すでに湿気を感知したのか防水機構を起動させている。改めてオリジナルのイーヴィスは規格外だと感じさせられる。

 

「しっかし、今日の天気は晴れだったはずだぞ....?何か、きな臭いなァ。」

 

「おや、あなたもそう思うのね?」

 

「....びっくりするなァ。この検知範囲内で悟られずに真後ろに来られるとちょっと意外だな....まだ適応が進んでないか.....。それで、何用かい?」

 

僕は真後ろから訪ねてきた人間に振り向かず問いかける。もしも敵ならば換算400万のダメージを食らわせるだけだ。

 

「おかしいわよね、降水確率なんてきれいに0%だったのにここまでひどい天気になるなんて。」

 

「アァ。ウェーダ・アーカイブでも降水確率は0。もちろんコロンは常に最適な環境を作っていたから雨なんてありえなかったがなァ.....。」

 

「そうね、そこまで言えるってことは、アナタ。ここに住んでる人間では無いわね?」

 

後ろから聞こえる声を聞き続けていた僕は一気に警戒度を強める。ALICEに居住してるとバレたらたまったものじゃない。格納領域から微かに武装の展開をすすめる。それまで確実に時間稼ぎをしなくては。

 

「.....だとしたら、どうするんだい?」

 

「.....私達はそう言った人ならざるものの保護を勧めてる団体だから一つの手段をおすすめしようと思ってね。」

 

.....おやァ?もしかしてコレは前に彼女が言っていた団体じゃぁないのか?それによくよく考えれば確かヴェーダ・アーカイブで彼女から聞いてたが、現世で突発的な雨が発生してるけど、その原因はディザスターと似た生命体だ、と。.....ん?と言うことは彼女も.....?

 

「.....お気持ちは有り難いけど、お断りしておくよ。【ラタトスク】の【イフリート】さん?」

 

「っ!?.....どこでそんな情報を.....!?」

 

「僕たちを舐めるんじゃアない。瞬間同時2000万もののハッキングを行えるハッカーだっているんだ。これくらいの情報なんて僕にも探れるさ。」

 

まぁ、彼女からの言伝に基づくものだが。

 

「.....良いわ、来なさい。あなたが思ってる答えを持ってきてあげる。」

 

「.....うまく載せて封印は辞めてくれよ?」

 

「流石にあなたみたいなのは封印できないわよ。根本的な源が違うんだから。」

 

「....どこでそれを手に入れたァ!!」

 

後ろを振り向いてまず見えたのは明らかにその体型とは似合わぬような武装、そしてそのツインテールの髪飾りにされていたのは.....。

 

「あぁ、これの事かしら。これは.....、」

 

ウゥゥゥゥゥゥゥ!!!

 

「!?」

 

「何だ!?」

 

とてつもない轟音とともに繰り出される爆音とサイレン音。彼女も戸惑っていることから、アレ関係ではないらしい。

 

「....良い?逃げなさい!!このサイレンが聞こえたってことは精霊どころの話じゃないわ!!」

 

「ハァ?」

 

「一週間くらい前から変な精霊がきはじめたのよ!!それもどいつもこいつも今までみたいな精霊とは違って破壊と蹂躙を繰り返すだけのただの化け物よ!!」

 

「....もしや、キミ等が保護してるものとは別系統なのか?」

 

「ええ、このサイレンがなったときだけはDEMもASTもラタトスクも関係ない、総力戦線よ!」

 

「....ふむ、特徴を言ってくれないか?」

 

このままでは休暇を嗜むのも難しくなるだろう。頭に付いてるアレのことは後回しにしてひとまずは撃退だ。

 

「アイツはまず目が異型だわ。左目の内部が見えてしまっているもの。」

 

「....んん???」

 

「で、周囲には草木が生い茂って朽ちてゆくの。そのときに限ってその周りにも蝶蝶がいるし。」

 

....アレ?何故か心当たりがするのは気のせいか?

 

「獣にもなるし放置しておくとASTの隊員がどんどん死んでいくし。」

 

......…………??????

 

「おまけに言語理解してるからたちが悪いわよ.....。」

 

「......ラヴィジじゃん。」

 

「え?」

 

「....破壊の名を模する僕たちの災害。通称【ディザスター】。言語理解しているって言ったな?どんな感じだった?」

 

堪らず聞く。もしこれが想像通りなら一旦戻らないといけなくなる。

 

「音声データが残ってるわ。見る?」

 

「あぁ、すぐに。」

 

そう言うと目の前の彼女は懐からタブレットを取り出すとなにか操作をして渡してくれた。その音声データをイーヴィスを経由して解析する。

 

『.....dどこ、kここ...mみんnな、こwわれちyゃうの.....?』

 

ワーイミゴトニラヴィジダーシカモジブンノイシジャナイジャーン。

 

「....こりゃ、難産だなぁ....。」

 

思わずため息を漏らした僕は悪くないと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻。彼女等は衝撃の事実を耳にしていた。

 

「ハァ!?シールドセヴン全員とディザスター全員がいない!?」

 

「ええ、だから私が一時的にシールドセヴンの仕事をすべて受け持ちながら、途絶えたところを辿ったら、ここに行き着いたのよ。」

 

「だが、俺達にはそんな情報回ってこなかったが?」

 

「これは内部の問題だしあなた達にはできるだけ関わってほしくなかったのよ....。まぁ、ダーウィンを見つけちゃった以上こうして話しているのだけど。」

 

アリスがぶつくさと喋っているが、その最中、折紙がふと何かを思い出した。

 

「....もしかして、アレもそうなの?」

 

「アレ?」

 

「....ここ最近、この街に破壊と蹂躙をもたらし、ASTに甚大な被害をもたらしている精霊。」

 

「.....どおりで最近人通りが少ないと思ったら。」

 

「.....これ。」

 

手渡された端末を四人は見ていく。そして揃って顔をしかめる。

 

「....ⅩⅧかぁ......。」

 

「まぁた迷い込んだか....。」

 

「あの子、仕方ないわね.....。」

 

「!?知ってるの!?」

 

「ええ、ディザスター災害類ⅩⅧ型【ラヴィジ】。破壊と蹂躙の名を持つ災害機械。前にダーウィンやアメリータ、クレイヴ、アリスとともに鎮めた筈なんだが....。」

 

「えぇ、私が一緒にいるときは少なくとも変な気は起こしてなかったから、まずダーウィン関係でイレギュラーが起きたのは確かね.....。」

 

そこまでアリスが話したときであった。

 

『災害警報!災害警報!直ちに総員は戦闘配置につけ!!識別名はコードネームⅩⅧ!繰り返す、コードネームはⅩⅧ!!』

 

「....ヴィンス、分かってるわね?」

 

「あぁ、アス、クロエ、二人はASTを抑止してくれ。アリスは先行してラヴィジを大人しくさせて。俺と折紙はダーウィンを探す!」

 

 

災害討伐作戦。別名ラヴィジ保護作戦。

 

それはこれからの彼らの運命を左右することとなるのであった....。

 

To be continued......




と言うことで第一弾はラヴィジちゃん!


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第23話 尊壊崩皆

一部pixivからの設定を流用してます。

独自設定なのを留意した上お読みください。

ラヴィジたんかわいい


現場についた四人。そこにはすでにASTの面々や本来、いるはずのない人物までいた。

 

「っ!?ダーウィン!!」

 

「ゲェっ!?アリス!?」

 

「あなたも事態は理解してるでしょう!手伝ってちょうだい!!」

 

「そりゃ勿論だけど....なんで後ろにもっといるのかなァ!!」

 

ダーウィンは忌々しそうにアストルフォやクロエたちを見る。もはや全員が一箇所になってるところを見るに完全に敵味方関係ない、総力戦線が始まっているのを確認したヴィンセントは居るであろうラヴィジを探す。

 

「クッ、当初の予定とは違うがアス、クロエ、クーは3人でASTの足止め!!折紙も手伝え!懲戒免職食らってもこっちで雇ってやる!!

 

「っ!?そんな通りに従うとでも....!?」

 

「手伝ってくれたら士道の隣に秘密通路付きの自宅を建設してやろうかと思ったんだけどなぁ....。」

 

ヴィンセントがこれまでにない撒き餌を撒いた。もちろん、ヴィンセントは本気でやろうと思っていた。どちらにしろ保護してもこの状態ならALICEに帰ることはできない。ならばいっそのことアリス達とともに面倒を見るため大きな家でも建てようかと画策しているのだ。そしてその餌に食いついた。

 

「交渉成立。今からでも辞表届を出してくる。」

 

「えぇ....。」

 

ただしあまりの食いつきの良さに全員がドン引きした。

 

「......ヴ....r....。」

 

しかし、そうこう言っているうちにラヴィジが行動を始めた。大きな足で地面を唸らせると瓦礫をそのままこちらに飛ばしてきた。四人は軽々と交わすが、ASTの一部はそれに当たり墜落していった。

 

「ちくしょう、完全に理性を失っている!」

 

「どうするのさアリス!このままじゃジリ貧だよ!?」

 

「わかってるわよダーウィン!!どうにか....どうにかして動きを止められれば!!」

 

目にも留まらぬ速さでアリスは移動しラヴィジにじわじわとダメージを与えていく。ASTもここでようやく統率を取り戻したのか発泡を開始した。だが、機械の体であるためか思ったよりもダメージは入っていない様子だった。

 

「....なnんてみにくiいの....つbぶしてあげrる…。」

 

その声が聞こえた瞬間、全員が身構えた。機械の獣は吠えると、変形を開始した。獣だった四本脚は機械の身体へと姿を変え肩部や腰部からはワンピースが展開される。頭も開放され黄緑色に染まった髪と刺々しいリボンが見える。最後に獣だった顔は醜くも少女らしい顔となって全員にその姿を表した。

 

『....出たわね....コードネーム【ラヴィジ】....。』

 

「アリス、どうにかならんのか!?」

 

「なってたらとっくにやってるわ!でも今まであったはずのリンクがないのよ!!」

 

「ええっ!?それじゃあ....!!」

 

「制御不能!!ラヴィジを止めるには....殺すしかないわ...!!」

 

アリスが非情な宣言を下した。その言葉に誰もが顔を俯く。ASTはそれを皮切りと言わんばかりに対戦車兵器をどこからか持ってきたのかラヴィジにぶつけていく。

 

「そんなのzzyじゃ聞かないyyo....【尊壊崩皆】....【功廃】。」

 

ラヴィジはどこからか蔓をムチのように扱いそれをASTに向けて射出した。それぞれ撃ち落としていくが運悪く腕を掴まれた隊員がいた。

 

「ひっ....アァァァァァ!!!!....ァァァ....a...。」

 

蔓からどんどんと栄養を搾り取られたのか隊員から血色が引いていき、シワだらけになっていく。そして最後は骨だけになって倒れていった。

 

「.....今までのラヴィジじゃない!こんなの、あの子じゃないわ!!」

 

ダーウィンとアリスはラヴィジのことをよく知っていた。かつて二人はラヴィジと死合を繰り広げ最終的に保護したが、その当時は彼女は復讐しか考えておらず手を焼いていた。だが、今回はそれとは全く異なり、ただ破壊をしているだけの彼女にもはや過去の面影はなかった。その時だった。

 

「......zぜんぶ…ぜんぶゼんb....!?」

 

突如ラヴィジがこちらの方を向き蔓を勢いよく伸ばしてきた。とっさの出来事に誰もが判断できずヴィンセントがその蔓に捕まった。アリスたちは必死に剥がそうと試みるが下手に剥がすと死にかねないので思うように動けない。そうして動きが固定されたヴィンセントにラヴィジのグーが飛んできた。

 

「みんな....mmiんなみんなmiんnna....どうして....!!」

 

いよいよ終わりかと察したヴィンセントは目を瞑った。クロエがカバーに向かおうとしても周囲の蔓が妨害を繰り返し張り付くことができない。他のメンバーも完全に抑えられており動くことができない。九死一生か。そう思われたときだった。

 

襲いかかる直前に姿が変わりラヴィジの顔が笑顔になったことを。

 

 

「どこにいたのよぉ!適合者さぁん!!!!」

 

飛んできたのは全力全開のハグ。これには誰もが予想外だったのかあっけらかんとしている。

 

「おわぁ!?」

 

勢い余った突撃でヴィンセントは押し倒された。呆然と見つめていたアリスたちは完全に茫然自失である。

 

「あえ....えぇ....?」

 

「理解....不能....!?」

 

その裏でASTの隊員たちも折紙も予想外の出来事に銃を下ろす始末。それを尻目にラヴィジは周りの目線も気にせずヴィンセントにくっついている。

 

「おまえ.....マシン属性じゃなかったのか....!?痛い痛い!!」

 

「あっ!ごめん....。気がつけば私はここにいたのよ。そのときにみんなとのリンクが切れて、あちこち探して....。あの形態は私がみんなで言うところの反転した際の姿みたい。本当の私はこっちよ。」

 

「.....全く理解できないよ。あっちから消えた君たちがよもや精霊となって現れるなんて....。」

 

「一体お前たちに何があったんだ?」

 

「それに、なんでヴィンセントにくっついてるの!?くっついて良いのは私だけなんだから!」

 

こちらもこちらで争奪戦が始まっており、もはや誰にも手を付けられない状態になっていた。が、その争いを沈めたのは意外なところからだった。

 

 

 

 

 

 

「折紙、あんた精霊を引き連れてここまで来たみたいね?一体どういうことよ!!」

 

その暴言にクロエたちがそちらを見つめる。そこには蹴り飛ばされたのか建物の壁でぐったりしている折紙と空に滞空し今にもそのライフルを撃たんとする隊員たちの姿が映っていた。

 

「私は.....ただ協力戦線の為に.....。」

 

「はぁ?あくまでも総力戦線はAST,DEM,そしてラタトスク間での協定。精霊は敵なのよ!!」

 

「だけど、彼等は無害....なぜ彼等を敵視するの...!!」

 

「貴女ねぇ!!.....もういいわ、鳶一折紙一曹を現時点を持って反乱人物と断定、現場判断で処刑を許可する!!」

 

体調らしき人物からとんでもない一言が飛んできたのを聞き届けたヴィンセント。そこからの行動は早かった。

 

「アッス!クロエ!ラヴィジ!クー!!」

 

「「「「分かってる!!!」」」」

 

四人が目を合わせて折紙の元へ降り立ち天使とシールドを展開する。

 

「いくら元敵だからといって!!」

 

「死にかけてる人を見捨てる理由にはならない!!」

 

「貴方達は見誤ったようだね....なぜここまでヴィンセントがするのか!!」

 

「ヴィンス!!」

 

四人が銃弾の雨あられを防いでる中、ヴィンスは折紙の元へ走り肩を貸した。

 

「どう....して....。」

 

「言っただろ、見捨てられても俺達が居るってな!!アリス!ダー!」

 

二人に指示を飛ばしたその瞬間であった。

 

「....ヴィンス!!」

 

「っ!?....。」

 

「....っ!?ガハッ!?」

 

突如として折紙の方に強い衝撃が掛かり、ヴィンセントは倒れ込んでしまった。

 

「何が起こった....!?」

 

「....ヴィンセント、東方面に狙撃兵1、私達なら余裕で防げるけど手負いの折紙だと致命傷になり得るよ....。」

 

「チィッ!」

 

幸いにも致命傷は避けたようだがそれでも腹部と脚部にそれぞれ一発ずつ貰っており、まともに動くのは厳しい。そんなときだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

『お待たせっ!トリス、ルリ、やっちゃって!』

 

『ハイハイ了解!全機散開!長距離メガビームランチャーぶっ放すわよ!』

 

『皆さん、射線上より待避を。私達が援護します。その間に撤退を!』

 

3人の通信と同時に両者の間を極太の光線が焚いた。それと同時に3機の機体がヴィンセントたちの前に降り立つ。

 

「乗って!!」

 

「...っ!!」

 

それだけで分かったのか、全員が跳躍して機体の手のひらに乗る。ヴィンセントとクー、クロエはコックピットにそのまま飛び乗り、手動にて機体制御を行っていく。

 

「メインジェネレーター出力80%で安定、背部フェンリルランチャーエネルギー供給正常、行ける!!」

 

『二番機、各部正常確認!メガビームランチャーはもう一発放てるよ!!』

 

『三番機、こちらも全システム異常なし、いけます!』

 

「オーライ!アリス、ダー!ポイントTで再集結だ!!クロエェッ!」

 

『了解ヴィンス!』

 

名前を呼ぶだけで意図がわかったのかクロエはすでにチャージしてあったメガビームランチャーをASTに向ける。同時にヴィンスもフェンリルランチャーを掲げ、

 

「お前らがその気ならこっちにも手がある!!!」

 

瞬間、繰り出される奔流。二本のレーザーはAST部隊の武装を焼き尽くし、バックパックすら融解させ次々と落としていく。その隙に3機とアリスたちは散開して合流ポイントへと向かうのだった.......。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「.....そう。」

 

「.....なんだって?」

 

「.....災害類ⅩⅧ型、ラヴィジは現実世界での受肉を確認。その場の現場判断でしばらく様子見するそうよ。同時にダーウィンも保護完了、同じくラヴィジの様子を見てくれるみたい。......で。」

 

「?」

 

淡々と説明してくれるアインシュタイン、だが、どこか様子がおかしい。恐る恐る聞いてみると、

 

「.....アリスがあちらの世界で言う【精霊】と呼ばれる存在になって現実世界への介入を確認....。」

 

「なんだって!?....それってつまり....。」

 

「ええ、調査の要であるアリスが家出しちゃった以上、私達も動けないわ。....はぁ、アリスを働かせすぎたのかもね....。」

 

「まぁ、最近はぶつくさ文句が表に出るほどだったからな.....無理もないだろう...。」

 

「アークはしばらく活動休止ね。悪いけどダヴィンチ、ダーウィンに連絡を取ってくれないかしら。」

 

「それはまた....どうして。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

       ーー私もアリスの言っていた精霊、なってみたいかなって。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

To be Continued......





おおっとぉEvSの安売りか????



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第24話 処遇

さて、前回倒れてしまった折紙達。



実はブロットを考えてないのである!!!!


敵の子を散らすように巻いたクロエたちは本拠地であるヴォルガへと帰還していた。カタパルトに着地した3機はすぐさまコックピットを開ける。

 

「ストレッチャー用意!!ティーレたちは琴里とアイザックにコンタクトを!!!」

 

「了解です。」

 

「わかったっ!」

 

事態を察した二人は帰還するなり慌ただしく準備をしていく。その合間にストレッチャーが運ばれてきて失血がひどい折紙が載せられる。と、持ってきた明石が、

 

「これはひどい.....一体何があったんだにゃ....。」

 

「精霊を連れてきたから裏切り者認定されて撃たれたんだよ.....。明石、やれるな?」

 

「もちろんにゃ、そっちは?」

 

「本来折紙が受け取るはずだったアレを盛大な茶番にしてくる。どうせなら仕返しは面白いほうがいい。」 

 

「了解にゃ、1時間したら来てニャ。」

 

そう言い明石は折紙を載せたストレッチャーを転がしていった。見送ったヴィンセントは一人拳を叩いた。

 

「クソっ!!!」

 

それをそばから見ていたクロエたちは介入することもできずただ見ていることしかできなかった。

 

と、そこにさらに二人加わる。

 

「なにか色々あったと聞いて来てみれば....本当に何がありましたの?」

 

「.....折紙がね.....。」

 

「深くは聞かないでおきますわ。.....それと、これをヴィンセントさんにお願いしますわ。」

 

「....これは?」

 

狂三がクロエにふと差し出してきたのは一枚のカードだった。

 

「これはティーレさん用の仮称【Z2(第十種兵装仕様)】、通称アドナイ・ティーレの設計図ですわ。ここ数日の間にデータは集まっておりましたので軽く作ってみましたわ。」

 

「....ありがとう。今とっても忙しかったから助かるよ。」

 

「あまり触れるのもよくなさそうですし私はこのへんでお暇しますわね。」

 

そう言うと狂三は影に消えてしまった。それと同タイミングでヴィンセントもようやく冷静になったようだ。

 

「....コンタクトを取りに行くぞ。流石にこれは俺でも看過できん。」

 

 

 

ヴィンセントの目がギラリと光った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夕方のこと、帰還したAST本部では、重要命令が下されていた。

 

「....はい?今なんと....。」

 

「何度も言わせるな。この度の損害を受け、DEMより補充人員が二人、新機体が2機、配備されることとなった。うち一機は鳶一折紙一曹に配備されるはずだったが、此度の件を受け、搭乗者はそちらで決めるがいい。」

 

「失礼ですが、具体的なスペックなどは?」

 

「ああ、先日実用試験を行ったとされるあのランチャーの性能を用いた機体でその名も【Lycoris】。そのうちの一番機と二番機である【スカーレット・リコリス】と【ホワイト・リコリス】がこちらに配備されることとなった。」

 

「了解しました。いつ頃の受領になるので?」

 

「数日のうちに到着する見込みだ。.....それと。」

 

上司の変わった雰囲気に隊長である日下部は息を飲む。

 

「此度の会議にて、正式に鳶一折紙一曹を正式に反逆者と認定、見つけ次第射殺せよとのお達しが来た。手段は問わず、公衆の面前でもよろしいそうだ。同時に援護に来たとされるアクシズも同時に対精霊介助組織と認定された。これにより我々ASTは合法的にアクシズを攻めることができる。如何なる理由があろうとアクシズを合法的に潰すことができるのだ。」

 

「それは.....いえ、了解いたしました。すぐに作戦を考案し実行に移したいと思います。」

 

「頼んだ。最低でも一週間以内には発動されたし。」

 

 

 

この謎の会談が、後に自分たちの首を絞めることになるとは、思いもよらなかったであろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方戻って、通信にてそれを聞かされたのはヴィンセントもだった。

 

 

『と言うわけで近日ASTがそちらを襲撃しに来るだろう。』

 

「なーにがしにきますだよこの野郎!?前回の仕返しか!?」

 

『ああ。その通りさ。少なからず君たちの組織には嫌がらせされているからね。』

 

「満面の笑みで肯定すな、反応に困るわ。......で?折紙の分は用意してくれるんだろうな?」

 

そう言うのは頭を突っ伏しているヴィンセント。他の数名も来ていたが、案の定沈黙していた。そして画面に映っているのは密かにラインを持っているアイザック。キザな顔したアイザックは今日も微妙にニヤけていた。

 

『ああ、数日後にはAST基地に【スカーレット・リコリス】、【ホワイト・リコリス】が配備される。どっちか1機.....と言いたいがあいにくテストを済ませてるのはホワイトだけなのでね。持っていくならホワイト・リコリスを進める。』

 

「案の定自前でやれとかそううのは出てきそうだったが.....。わかったよ....。」

 

『それで、折紙の様子はどうなんだい?』

 

 

彼とて人の心は持ち合わせている。ヴィンセントはその問いに対し暫し唸りながら、

 

「こっちの手札を一枚切った。まぁ、あっちの技術とこっちの解析した技術を合わせたものだが....。」

 

と、その時であった。

 

『お兄ちゃ〜ん、折紙ちゃん連れてきたよ!』

 

「入ってくれ。」

 

『ほう、もう回復したのか。』

 

「方法が方法だっただけにな。」

 

そう問いを返すと丁度ドアが開きクロエたちが入ってくる。そしてその後には浮いている折紙も.....?

 

『.....ふむ?私の目に狂いがなければ全員精霊のように見えるのだが?』

 

「奇遇だな....若干1名精霊じゃなかったはずなんだが。」

 

「ごめんねお兄ちゃん、折紙ちゃんが力欲しがったから解析してたデータを切り札に組み込んだら馴染んで精霊になっちゃった。」

 

「なっちゃった、じゃないわ!?」

 

「これは必然であり、当然の結末。識別名エンジェル。これから精霊になった私のときはそう呼んで。」

 

「あ、あぁ。.....おいアイク、おめー、流石に自分の下請けの会社の元部下とはいえこいつも対象にすることは無いよな?」

 

『さあ?それは私の気分次第だが。』

 

「クロエー大陸間巡航主砲発射用意〜、クーもメガビームランチャー発射体制〜。」

 

『......わかったから命令キャンセルしてくれないか。流石に冗談だよ。』

 

「もとからこっちも冗談だっつうの。」

 

『....そうか。』

 

 

この後、しばらく話した二人は他愛ない社交辞令を交わし通信を切った。それまで残っていた全員にヴィンセントは顔を向ける。

 

「.....さて、全員揃ったところで今後の予定を話す。数日後、ASTがここを破壊するため襲撃するとの報が来た。そのためこちらも迎撃体制を整える。クロエ、クー、アッス、3人は各機体のメンテナンスを。ラヴィとアリス、ダーはラタトスクと交信を。ティーレとハーディは俺とともに開発室へ来てくれ。クロエから得たデータを元に新型パックの試験を行う。折紙と狂三、そして蓮は迎撃への対応策、そして今後来る精霊たちへの対象の考案を頼む。」

 

それぞれへの通達を済ませた後、全員は執務室を出ていく。そんな中、一人ラヴィジだけが残っていた。

 

「ふへへ〜、適合者さんの膝枕〜。」

 

「そんなに嬉しいか.....?で、なんでまだいるんだ?」

 

ラヴィジか渋々膝枕から開放すると、雰囲気を変える。

 

「私みたいなディザスター達がまだこの周囲に数体いるから保護をお願いしようかなって。」

 

「.....個体名は?」

 

「ピリジ、グラッジ、そしてフェルミ。今の所確認できているのはこの3体よ。」

 

「ハイクソゲー。」

 

柄にもなくヴィンセントは悪態をつくのだった。

 

To Be Continued....





史実との改変点

リコリスシリーズ

物語の関係上早期にロールアウト、かつホワイト・リコリスは2号機として登録されました。2号機のジンクスを忘れたわけでもあるまい。

エンジェル、顕現。

折紙がここまで早くなったのは正直ブロットが悪い。精霊の霊結晶とメンタルキューブを組み込んだ疑似霊結晶に精霊のデータを組み込ませた結果、絶滅天使として君臨。ブロット完全崩壊の瞬間だった。


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第25話 雨の精霊、破壊の求める贄

ココ最近更新がつづいているけど別にミッシングを書いてないというわけじゃない。

ブロット全崩壊して今一から書き直してる


「あ。」

 

「ん?」

 

ふと思い出したかのようにヴィンセントがつぶやく。

 

「そういえばラヴィ、お前いつも一緒に居るはずのサクはどうしたよ?」

 

「........。」

 

ヴィンセントの質問に対し明らかな動揺を浮かべているラヴィジ。これはなにか手応えありかな、と考えるヴィンセント。

 

「.....何かあったのか?」

 

「.....適合者さん....いや、ヴィンセントさん、雨の精霊って知ってますか?」

 

「雨の精霊?」

 

「はい、別名第4の精霊とも呼ばれています。その第4の精霊に今ならサクちゃんはつきっきりで居ます.....。」

 

「......???さっぱり背景が分からんぞ???」

 

流石にとんでもない事をさらっと言われたのか理解が追いつかないヴィンセント。と、そこに、

 

『まあ、理解が追いつかないのも無理はないよ。』

 

「アリス....なにか知っているのか?」

 

さっき伝えた仕事をしているはずのアリスからの通信、だが何かを知っている様子なのか、ヴィンセントは問い詰めはしなかった。

 

『ええ、サクリファイスは今ALICEからも観測できない以上、私が総力を持って痕跡を調べてるわ。直近だと半年前に出たっきりね....。ラヴィですら一週間前に来たからここまで来ないのは何かあるわよ....。』

 

「ふぅむ....?」

 

一人ヴィンセントは考え込む。ラヴィジとアリスはその様子を見守る。数十秒後、ヴィンセントがふと通信を繋ぐ。

 

『....何よ?』

 

通信先は琴里であった。今の時間が時間なだけにかなり不機嫌らしい。

 

「寝ている最中に起こして悪いな。第4の精霊とやらのデータはあるか?」

 

『第4の精霊...【ハーミット】のことね?それなら幾らでもあるけど....。』

 

「明日の朝でいいからデータを寄越してくれないか?このままだと不味いことになりそうなんだよ....。」

 

『.....不味いこと?』

 

その単語に琴里が食いついた。ヴィンセントは予め用意していたデータを流す。流されたデータを読んでいく琴里。しかしその顔はだんだん顰めていく。

 

『贄の象徴....災害類ⅩⅦ型....個体名【サクリファイス】ね.....。ラヴィジほどではないんでしょ?』

 

「それがそうも行かないらしくてな....。」

 

『....?』

 

「詳しくは本人から聞いたほうが早い。」

 

そう言うと通信ディスプレイにラヴィジを映し出した。

 

『....え?貴女がラヴィジ....?そんな姿だったの.....?』

 

「無理もないでしょう。あの姿は私の理性のない状態ですから。改めて紹介させてください。災害類ⅩⅧ型、植愛の少女ラヴィジ。琴里さん達が言う精霊とほぼ同一の存在です。そして、決定的に違う点もあります。」

 

『....決定的に違う点?』

 

ラヴィジが自身の背中を見せながら言ったのを不審に思う琴里。だがそれは一瞬にして崩れ落ちた。

 

「精霊の主な力の源は霊力、そうですね?」

 

『え、ええ。』

 

「私達ディザスターは霊力ではなく、電力で稼働します。」

 

「『っ!?』」

 

思いもよらぬ事実に全員がラヴィジに顔を向ける。

 

「アリスもそうだけどALICEの住人は基本こっちに来るときはある程度電力を蓄えてから顕現します。アリスと私は今はアクシズで電力供給を受けているので無限に顕現できますが、散らばったディザスターたちは各々が蓄えてる電力でしか顕現できません。」

 

『それならなんの問題もないじゃない。』

 

「蓄えてる量が問題なんですよ....私だけでも貯蓄上限は3600万kwなんですよ?」

 

『.....はい?』

 

琴里は聞き間違いかと目を疑った。普通の精霊でさえ3桁で済むのに....ディザスターは8桁+4桁?

 

『....馬鹿げてるわね。』

 

「ディザスターのヤバさはその蓄えている電力に比例しますからね、今回のサクリファイスだと4800万kwですが。」

 

「は?1.3倍?」

 

「ええ、サクリファイスは自傷することで凶暴性が増すディザスターです。約180万kwから繰り出される一撃はあの空間震の3回分にも匹敵します。.....サクリファイスを止めないとここですら一撃ですよ。まあ、もっと考えられる最悪のパターンもありますが....。」

 

『最悪のパターン?』

 

「はい、私達ディザスターの蓄えている電力を精霊に供給すると精霊の繰り出す天使の出力が乗算されます。要はディザスターによるハッキングですね。乗っ取られたら最後完全に精霊を殺さないと駄目です。」

 

『.....ことがよほど重大なのは分かったわ。こちらでも観測及び追跡を開始するわ。だから....精霊が乗っ取られる前に貴方達もサクリファイスとやらを止めてちょうだい!!』

 

「分かってる!」

 

「サクリファイスの一人の友達として私も手伝うつもりだから、じゃあ、よろしくね!!」

 

そうして通信は切れた。切れたのを確認した二人は完全に意気消沈している。

 

「ラヴィ....あれは本当なのか?」

 

「ええ、ホントのこと。だから早く止めなきゃ....二人が、止められない段階に入る前に....!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日。

 

「おはよう御座います、士道さん。」

 

「おう、おはようレティ.....なんか疲れてないか?」

 

いつもどおりの日常に戻った天宮市は本日から高校も通常通りに戻っていた。一足早く学校に来ていた二人は玄関でばったり居合わせていた。

 

「....昨日新しい装備の試験運用をしてたので。」

 

「それはまた....大変だったな。」

 

士道も少し苦笑いである。と、後ろから二人の影。

 

「おはようなのだ!シドー!」

 

「おう、十香もおはよう。今日は早かったな。」

 

「少しジメジメしていたからな....眠れなくて起きてしまった。」

 

「今後もこんな天気が続くからな....なれておかないと寝不足になるぞ?」

 

「それはわかって居るが....。」

 

十香がぶつくさ呟いている後ろから見えたのはブロンドの髪の毛。それだけで二人は誰が来たのかを察する。

 

「もう士道、あんまり言い過ぎないでよ?まだこの地に降り立って日も浅いんだし、それを言うならラヴィジだってそうだし....。」

 

後ろにいたのはクロエである。一足早く出ていたレティを追うついでに十香も拾ってきたのである。

 

「....あれ?ヴィンセントはどうしたんだ?」

 

「色々準備があるんだって。あとから来るって言ってた。」

 

いつも一緒に学校にいけないことを心底つまんなさそうにしているが、それはそうとそれほど問題ではないらしく、そこまでの顔は見えなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ところ変わって、クロエたちが話し込んでいる同時間、当のヴィンセントはと言うと。

 

「悪いなレーベ、着付けとかよくわからんばかりに....。」

 

「それは別にいいさ。でもなんでアリスに頼まなかったんだ?」

 

「あー.....あいつは服のセンスが皆無だからな....。」

 

『ダーレが皆無ですって〜??』

 

アリスに皮肉を言われつつもレーベに着付けを任せていたヴィンセントはその隣にいる少女をチラ見していた。

 

「ほう.....やっぱりこうでなきゃな。」

 

「ほんとに.....行かないと、だめ?」

 

そう、そこに居たのは先日まで【尊壊崩皆】を繰り出し人々を苦しめていたラヴィジだった。今の姿は天宮高校の女子制服を身に纏っておりどこからどう見てもただの1生徒だった。そんなラヴィジも先日、アリスと同じくアクシズの一員として正式に加入となった。アリスも元々こちらに身を寄せる気満々だったのでアクシズ所属となったが、ダーウィンはアインに呼ばれたらしく、一時現世を離れALICEへと帰還している。だが所属はアクシズだ。これでアクシズは精霊をさらに3人加えたことになり、より戦力差は圧倒的になった。

 

「お前だって今の社会に適応しないとならんだろ。いつまでもEvSに頼りすぎるな。」

 

「うっ....。」

 

至極真っ当な反論に怖気づくラヴィジ。しかし、ラヴィジ以上に世間を知らない者もいない。仕方が無いかと割り切るしか無いのだ。

 

To be Continued.....

 




電力貯蓄はあれ全部クラフィの能力値参考にしてます。


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第26話 闇堕ちというべきなのか反転というべきなのか

格好のネタを見つけてしまったので取り敢えずヒロイン化しない。

ところでメサイア4thストーリー見ました?あれでノア推さねぇやつは尊壊崩皆ジャオラァン!


何時ものように授業が終わった夕方、帰路についていた四人はふと空模様を見る。

 

「.....こりゃそろそろ降るな。」

 

「十香の為に早めに帰りたいからありがたいがヴィンスたちは大丈夫なのか?」

 

「ああ、ティーレとレーベはどのみち暫くは今後遠征に出るからいないし。」

 

「遠征?」

 

士道が聞いてきたのでクロエが今度は説明する。

 

「ティーレたちはこう見えても軍人だからね。一旦自身のメンテナンスやら補給やら人員交代やらで時々国に帰るの。今回はメンテナンスと補給だけみたいだからそこまでかからないとは思うけど。」

 

「ほーん....あっ。」

 

ふと話を勧めているとポツリポツリと雨が降り出した。

 

「やっべ!?」

 

傘を持っていない士道は一刻も早く帰るために走り出す。一方特に対策というわけでもなく反射動作でトーリスたちを呼び出していたヴィンスとクロエだったが、ふと近くにあった神社の方を見てはてなマークを浮かべる。

 

「.....あれ、【ハーミット】じゃないか.....?」

 

「うん....でも周囲にサクちゃんがいる様子はないね。」

 

「代わりにいるのはフードを取った子....?」

 

急いで士道に伝えなくては、と士道が走っていった方向を見ると神社で同時に転んだ【ハーミット】に向かって走り出す士道の姿が。

 

「だ、大丈夫か!?」

 

「ひぅ....!?」

 

【ハーミット】は怯えたように後退りしその目の前をフードを外した少女が遮る。

 

「.....彼女に触れるな....!!」

 

士道はどうにかして彼女に先程拾ったパペットを渡したいが目の前にいる少女のせいで手が出せない....。そんな時、あとから追いついてきたヴィンスたちも合流した。その後姿には何故か【アーク】ことアリスもいた。

 

「追いつい....だっ!」

 

「急に呼び出すから何だと思えb.....!?!?」

 

士道はアリスの表情の変わりように気づいた。それと同時にフードを外している方の少女の顔が引きつるのも。

 

「あー....サクリじゃなくて....あー....。」

 

二人はこの少女を知っているのかバツが悪そうな顔をしている。アリスが近寄るに連れハーミットの前に立っていた少女が後退りを始めものすごい勢いで怯えてる少女よりも後ろにいる。士道はチャンスと感じパペットを左手にはめてあげた。するとどうだろう、怯えていた少女の顔が柔らかくなっていく。

 

「あ、あう.....いたく...しないで....ください...!!」

 

「俺は傷つけたりなんかしないよ、それよりも、立てるか?」

 

コクリとうなずいた【ハーミット】はゆっくりと起き上がるとそそくさと一歩離れる。それを見た四人は微妙な顔をしている。

 

「....俺たちはお前らを傷つけるために来たんじゃないぞ?助けるために来たんだがな....。」

 

『たっはー!!助かったよ〜。この子は恥ずかしがり屋さんで人見知りだからあまり見知らない人とは話せないのよ〜ゴメンね〜。』

 

「!?....これは驚いた、人形も喋るのか....。」

 

ヴィンセントが驚いている中、士道は刻々とどうしてここにいるのか、などを聞いていた。一方でクロエたち女子陣はと言うと。

 

「さぁ!サクリちゃんは何処にいるの!吐きなさい!」

 

「あわ、あわわ....!!?」

 

「クロエちゃん....ノアが困ってるじゃない...。ノア、【ハーミットと一緒にいたサクリファイス】はどこに行ったの?」

 

よっぽどアリスちゃんの方が怖くない?とはクロエは言わずに飲み込んだのは僥倖かもしれない。現にノアは怯えていて今にもフードを外しそうである。なおフードはアリスが強制的に被せて人格を戻している。これは強引。

 

「と、取り敢えず....もうひとりの私が知っているので....フードを取らせて....ください....!!」

 

「....なんか変な真似したらすぐ被せるからね?」

 

アリスは渋々フードから手を放す。ノアは首をブンブンと縦に振りフードを手で取った。その瞬間、ノアのまとっている雰囲気が変わったことを二人は感じ取った。

 

「....全く、どれだけ私を懸念しているのかしら....たしかに私はあちらでは完全無比なる力を持つけどここでは他の人間と変わらないよ....まあ、精霊より強い力はまだ使役できるけども。」

 

「やっぱフード被せていい?」

 

「クロエちゃん、抑えて、抑えて....。」

 

クロエの発言にとっさにフードを抑える闇堕ちノアこと女王ノア。表情が思わしくないあたり相当封印されたくないのだろう。この点では性格は軟化してるのかとアリスは感じ取っていた。

 

「さて....サクリファイスだったわね?あの子は今ハーミットのパペット....【よしのん】に憑依しているわ。」

 

「「!?」」

 

「よしのんの動きには気をつけなさい.....下手をすれば精神を乗っ取られて殺されるよ。」

 

そういった女王ノアはフードを自ら被った。

 

「っ.....お話、終わったんですか...?」

 

「一応はね。怖がらせてごめんね。」

 

「自分にいるもうひとりの私を懸念するのは私だって承知済みです。」

 

「....そういえばノアちゃん、どうやってここに顕現できたの?本来ならアリスみたいにEvS使わなきゃ顕現できないはずだけど....。」

 

クロエがふとした疑問を聞いていく。本来ALICEに所属するユーザーは電力などを蓄え、かつダーウィンの持つEvSを利用しないと顕現できないという性質を持っていたが、ノアにEvSを持っているような兆候は見られない。

 

「私はサクちゃんが突然いなくなったから痕跡を探して追ってたんだけど....そうしたらいつの間にかここに来てて....メビウスさんたちやヴォイニッチさん、カリオストロさんに、アグリさん、ノストラさんも居なくて...。」

 

ノアがポツポツと呟いていくにつれノアの声から覇気が失われていく。不審に思ったアリスは自らの持つ権限でノアの状態を確認していく。

 

「っ、残り顕現できる最低貯蓄電力が近い....!!クロエちゃん!」

 

「分かってる!【ペイちゃん!】」

 

クロエはなにもない雨雲の上空に向かって叫ぶ。数秒して上空に一つの光点が見えクロエの後ろで止まった。

 

『お待たせっ!!』

 

「この子に電力供給を!!家にたどり着ける分でいいから!!」

 

『おっけー!ノアちゃん?でいいのかな?私の手に触れて!』

 

「あっ..は、はい!」

 

ノアは突如現れた巨大な物体に左手で触れる。触れた瞬間から電力供給が始まりものの数分で必要最低限の稼働電力は貯蓄された。

 

「危なかったわね....とりあえず私達の本部にまで来てもらうわよ。....あれ?【ハーミット】は?」

 

話し込んでいるうちにいつのまにか居なくなっていた【ハーミット】。

 

「ハーミットなら士道と話し込んでいるうちに帰っていったぞ?」

 

「あわわ....サクリファイスちゃんがよしのんに憑依しているのにどうしよう.....!!」

 

「取り敢えず探すしかないか......アリスと....ノアでいいのかな?」

 

「あ、はい!」

 

「ひとまずアリスが言っていたとおりうちらの本部にまで一旦ついてきてくれ、あの緑髪の引きこもりからEvSひったくらんとならんくなったからな....。」

 

「(言い方よ.....。)」

 

そして士道と十香と別れ帰路へつく5人。数分してやがて着く。人気のない港だがそこにはかつての戦いで沈んだ巨体が浮かんでいた。

 

「さて、ここが今の俺たちの本部.....改ビッグ・トレー級陸上戦艦の三番艦、かつて沈んだ名を受け継ぐもの....【メサイア】。」

 

「めさ.....いあ。」

 

全員は我が家へ帰るように入っていきノアもそれに続くように入っていった。いつも集まる艦橋ブリッジへくると、そこには....、

 

 

「やぁ.....遅かったじゃないか.....。」

 

艦長席で干からびたダーウィンと、

 

 

「.....アリス?帰って仕事を始めるわよ。」

 

「......どうして ........。」

 

仁王立ちで待ち構えていたアインシュタインの姿だった。

 

 

Ti be continued.....




あとがき考えるのに3日かかったアホ

ノアちゃん

6日実装らしいので取り敢えず書いてみる
幣小説にては女王人格と普通人格の二種類混合でフードの有無で代わる。
近頃の望みは女王人格を分離させてお話してみたいこと(


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第27話 希望VS天才VS救済

あまりにも更新速度が遅いのはもはやご愛嬌。

あ、ちなみに今回デアラ要素は皆無っ!!


思わぬ来客に首を傾げたふたり。だが、アリスとノアはダーウィンの横にいる人物に怪訝な目線を向けた。

 

「....っ、なんでアインさんがここに。」

 

「そりゃ、あなたを連れ戻すために決まっているでしょう。アリスがこっちに来ている間に色々めんどくさいことになったから....早く戻って解決してもらわないと困るのよ。」

 

「駄目だ....アイン、いまアリスたちを戻したらこっちの収拾がつかなくなる...!!」

 

「....なんですって?」

 

ダーウィンが愚痴った一言に反応したアイン。ここまで止まっていた二人もようやく再起動し話し合いに加わる。

 

「...今こっちの世界ではお前たちの言うところのディザスターとやらが蔓延っている。だからその処理をするためにも、この四人は外せない....。」

 

「っ.....どうしてディザの事を....それに四人?ここには3人しか....。」

 

「ただいま〜!!.....あっ。」

 

「「「「「アッ。」」」」」

 

運が悪かった。いつものごとく買い出しに出かけて帰ってきたラヴィジとアインたちが鉢合わせしてしまった。思わずアリスたちは目を覆った。

 

「.....聞いてはいたけどほんとにあなたが元のラヴィジなの?どう見てもあっちにいたときのあなたに見えないんだけど....?」

 

軽く情報は得ていたのかアインの言動は意外にも穏便だった。それに対しヴィンセントほか二人が細かい説明をしていく。

 

「まあ、そうだろうな。改めて説明するがコイツはラヴィジ。ただしディザスターとしてではなく進化適応したラヴィジ、だがな。」

 

「ディザスターが進化適応!?」

 

予想だにしない展開にアインが驚くが他の三人はまあ無理もないよねっといった反応が多い。

 

「元々はディザスターだったんだがどうやらこちらに来た影響かダーウィンのEvS無しで環境適応したようでな、昔の姿を取り戻しているらしいんだ。」

 

「.....話はわかったわ。でも、それだけじゃアリスをここに残す原因にはならないわよ?」

 

「....私から説明するよ。」

 

そこで出てきたのはアリスだった。アリスはコントロールパネルを操作しブリッジの画面に数体の体を映し出す。

 

「これは今この街に潜伏しているディザスターの数よ。」

 

「...っあのピリジにグラッジ、サクリファイスに.....そして.....フェルミ?」

 

フェルミはディザスターでは無いはずだが、と思った矢先にアリスから補足が入った。

 

 

「まあ、驚くのも無理はないと思うよ。簡易解析での結果にしか過ぎないけど、今フェルミはブラスフェミーによって支配されていることがわかったわ。」

 

「「「っ!?」」」

 

全員に電撃が走る。サクリファイスのように憑依してこちらに来ているディザスターがいたのは薄々出てくるだろうなとは思っていたがよもやここまで早かったとは。

 

「.....現在地はわかるの?」

 

「さっぱり、ただ、順々に探していけば大まかな座標は特定できると思う。」

 

「わかった。アリスは.....。」

 

アリスがそこまで告げた途端爆発と振動が艦内を襲った。

 

 

「っ、何だ!?」

 

「.....っ、こ..れは、お兄様!!」

 

クーの声を聞きすぐさまディスプレイを見る。そこには、

 

【サクリファイス、再顕現】

と書かれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ことは数時間前に遡る。四糸乃を連れて家へ戻ってきた士道は帰路で聞こえた空腹の音を満たすために冷蔵庫を漁っていた。

 

「そう言えば、四糸乃はなんで逃げてばっかりなんだ?」

 

士道は十香を封印していこう、ある程度大雑把な精霊の行動パターンを学習していた。そのうち、四糸乃は決して交戦せず、逃げに徹する精霊だということを知っていたのでこのような質問が出たのである。四糸乃は口を開き、

 

「......痛いのがいや、だからです。」

 

と、短く答えた。

 

「.....四糸乃らしいじゃないか。ASTのことも考えてるなんて。」

 

「私だって、痛いのは、いや、です。同じ痛みに合わせたくなんか、ない、です。」

 

士道は四糸乃が純粋すぎると感じた。自分が攻撃したら、また自分がやられる。だから逃げに徹して自分が害が無いことを示そうとする。そこまでの平和主義にある種の敬意まで払える。諤々話していると片手間で親子丼もどきが出来たので四糸乃に出した。

 

「雨で体冷えているだろう?これで温まるはずだ。」

 

「あり、がとうございます、士道さん。」

 

「良いって。......そういえば、そのよしのん、とか言ったか?四糸乃にとってはどんな存在なんだ?」

 

士道は不意に気になっていたことを聞いてみた。四糸乃は一口飲み込むと、箸をおいて口を開いた。

 

「よしのんは私、みたいに弱くなくて、心強くて、私を支えてくれる子です....。」

 

「.....いいじゃないか。けどな、それなら俺だって負けてやるつもりはない。」

 

「.....え?」

 

士道は椅子に座ると四糸乃と対面を向く形になった。

 

「四糸乃、俺がお前のヒーローになってやる。いつ、とは言えないが、その悲しい毎日から俺が救い出してやる。」

 

「.....っ!」

 

四糸乃は少しビクッとするとそのまま消えてしまった。タイミングが悪かったのだろう。士道は四糸乃を探したが、窓に映るのは悪化していく天候と大雨の曇り空のみだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして転移した四糸乃は、というと。

 

「【ハーミット】を確認!!全員、処理を開始しなさい!!」

 

速攻で追われていた。

 

「どうして....どうして!!」

 

「逃げるよーー!!」

 

ー『ふん、君たちは分かッてナいネ』ー

 

「「っ!?」」

 

四糸乃とよしのんは不意に足を止めた。同じく声が聞こえたのかASTもその動きを止めて発信源を探し始めた。音源はよしのんからだった。

 

「っ、何をするのさ!?」

 

ー『君たチは所詮捨テ駒、僕達が正しイ世界を見セてあげルよ。』ー

 

四糸乃は自身の力が抜け落ちていくのを感じた。それと同時によしのんが自身の右手から外れ天空に浮かび上がった。ふと闇のオーラを漂わせながら浮かび上がっていった。誰もが見守る中、それは顕現した。

 

 

「.....何ヶ月も待チわびタんだ....セいぜイ、楽シませテよ?」

 

 

贄を求める機械が、顕現した。

 

To be continued......

 

 




サクリファイス、実際は寂しいだけのご様子。


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第28話 骸を求める生贄

今年最後の更新になりそう。


サクリファイス、再顕現。その報はASTやラタトスクだけでなくALICEにまで及んだ。

 

 

『.....アイン、そこでとどまるなら迎撃をお願いします。出なければALICEがある本部サーバーはおろか私達の仲間がまた一人死んでしまいます....!!』

 

「分かってるわ!けど....アイツは!アリスはどうするの!?」

 

『あの子は大丈夫なはずです....彼らと一緒に行動を共にしているならそれこそ今の状態のほうが彼女にとっては安心できるのかもしれませんから....。』

 

「....それに、ディザスターである彼女もいる以上下手に動くよりかはマシ、か。」

 

アインは通信を取りながら様々な思考を巡らせていた。サクリファイスが再顕現した今、取れる行動は彼に彼女を任せサクリファイスを倒しに行くか強引にでも彼女を引き剥がしサクリファイスは彼らに任せるか。だがアインとて今取れる最良の行動をわからぬほど愚かではなかった。

 

「....苦肉の決断だけど、今は彼らに任せるしかないようね....。」

 

『ええ、アインは残って迎撃を?』

 

「ええ、少しでも彼らが追いつく時間を稼ぐわ。」

 

「分かりました。生きて彼らを連れて帰ってきてください。」

 

「それは承知!」

 

ぶつ切りにするとアインはなにもない壁にキューブを広げる。

 

「さて、あまり先延ばしにしても旨味はないわね....。」

 

ポツリと呟いたアインはその地から消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃

 

 

サクリファイスが顕現した町中ではASTとサクリファイスとの激戦が繰り広げられていた。

 

「全機一斉射撃開始!!」

 

指揮官と思われる女性の一声で周囲のASTから放たれた銃弾の雨あられ。しかしそんなものサクリファイスには効きはしない。今の彼は精霊という存在と自身を混ぜ込んだハーフの状態なのでちっとも効きやしないのだ。軽く払うようにあしらうと心底呆れたような顔で、

 

 

「そんなモのなのカイ?じゃア、シンで?」

 

無慈悲な一言とともに始まった攻撃。降っている大雨を吸収し全体に弾丸として飛ばしたそれは次々とASTを墜落させていく。それをしたから見ていた四糸乃。

 

「やめてよよしのん!!どうしたのよしのん!!なんであんなにいやがっていたよしのんが襲っているの!!」

 

声は出るが行動ができない。四糸乃は今そんな状況だった。そんな好機をASTは逃すはずもない。

 

「覚悟ぉっ!!」

 

背後からくるASTの一人に気づかなった四糸乃。声でようやく振り向くもそこにはブレードを振りかぶった一人の姿が写った。

 

「ひうっ....!?」

 

もう首が飛ぶまであと僅か。そんな時だった。

 

 

側面から一本のムチがブレードをそらした。それたブレードは空を斬る。

 

「っ!?何処から!?」

 

「四糸乃ちゃンにii.....huれるなぁ!!!!!」

 

一瞬声に怯んだ隊員はその後の突撃に対応できず吹き飛んだ。いつまで経っても何も起こらないその最期に不信に思った四糸乃が顔を上げた。そこには緑色の髪に白色のワンピースを着た少女が四糸乃の目の前でさっきの攻撃を防いでいた。

 

「あな....たは....。」

 

「waたしi...?っ゛ん゛ん゛、私はラヴィジ!まあ今はあなたを助けに来たってことだけ認識してもらえればいいよ!」

 

顔を振り返りニッコリと笑ったラヴィジ。その後ろからさらに二人が姿を現した。

 

「四糸乃!!」

 

「しど....うさん?」

 

「大丈夫だったか!?」

 

「はい.....はい....うぇぇぇぇん!!!」

 

「っとと、....よほど怖かったんだな、大丈夫だ、よしのんも救うし四糸乃も救ってやる。」

 

一人は士道。緊張がほぐれて泣き始めた四糸乃を必死にあやしていく。

 

「むぅ....でも、私と同じようにメカメカ団で苦しむ子がいたと思うとなんだか胸が痛いのだ.....シドー!手伝えることはないか!?」

 

もう一人は士道の後を追ってきた十香だった。

 

「十香っ!?....。」

 

「あのときのことはどうだっていい!今は、その四糸乃って子を助けるのが先だろう!!」

 

「っ!!.....四糸乃をASTから守ってくれ!!俺はラヴィジとともによしのんをとりもどす!!」

 

「わかったのだ!」

 

十香にやるべきことを伝えてラヴィジに抱えてもらうと四糸乃に振り向き、

 

「かならずよしのんを四糸乃のもとに送り届けてやる。だからそれまで待っててくれ。」

 

「....はい!」

 

勢いの良い返事をもらった士道は合図を出しラヴィジと共によしのんと同化したサクリファイスを倒すべく浮かび上がっていった。それを見届けた十香は剣を構え直しASTと対面する。

 

 

「此処から先は、一歩も通さないのだ!!!」

 

しかし格好の餌が二人もいる状況で、一人は身動きできない状況。そんな千載一遇のチャンスを逃すはずもない。

 

「全方位から一斉攻撃!!!」

 

「させないっ!!」

 

号令を横切るように遮った声に全員がその声の方向を向いた。その方向には浮かび上がる二人の人物。

 

 

「よーし、間に合いましたね、こちらティーレ。アドナイ仕様Z2現着しました。これより十香さんの援護に入ります。」

 

「同じくクロエもペイちゃんと共に現着したよ!とりあえずちゃちゃっと終わらせちゃうね!」

 

アドナイ・ティーレ。狂三からもらったデータを元に開発されたZ2の新たな形態。エロヒム・ティーレが射撃戦重視のパッケージならアドナイ・ティーレは真反対の近接戦仕様。十香程のものではないが巨大な大剣に各関節部に増設された増加装甲とそれにより増加した重量による機動力低下を免れるための増加ブースター。完全に正面から殴り合うことを想定された仕様にティーレも最初は驚いていたが、なれてしまったらこっちのものである。

 

 

「はァァァァァっっ!!!」

 

流石に大剣は物理的な切れ味だけでなく質量兵器としても役立つようでまともに食らったASTの機体は軒並み不調を起こして堕ちていく。かろうじて残った奴らには容赦なくクロエの正確無比な射撃が脱落者を増やしていく。それに追撃役として十香もいる為負けることなどあり得なかった。

 

 

「っ、シドー!!!あとは任せたぞ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、士道とラヴィジはサクリファイスと対面していた。

 

「やぁットキタんダ。」

 

「サクリちゃん、もうこんなこと辞めよう!!みんな望んでないよ!!」

 

「ウルサイウルさい!!誰がわかってくれるもんか!!あッちの世界でカラだを喪ったボクノキもチが!!」

 

「体を失った、だと?」

 

サクリファイスから告げられた事実に士道が聞き返す。サクリファイスは話す気になったのか声帯を整えていた。

 

「アアソウサ、ぼくのカラだはアルヒナゾのアバターの攻撃でハカイサレ再起不能になッた。ソして意識だけコノ世界に流れ着イタボクは再起を図るためあのウサギのぱペットにとリツき力をタクワえた。だからそこをドケ!!」

 

サクリファイスから放たれた氷の弾丸がラヴィジの腕を貫き右腕の肘から先をもぎ取った。

 

「ぐうぅぅっ!!」

 

「ラヴィジ!?お前っ!?元の仲間に対してなんてことを!!」

 

「ナカマ?アイツにはカラダがあるジャナイカ!!その時点でラヴィじハ敵だ!!!」

 

「くそっ.....サクリファイスに対して対話は無理だ!!琴里、どうするんだよ!!」

 

やむを得ず士道は琴里に助けを求める。対して琴里の返事は苦渋の決断だった。

 

「......サクリファイスとの対話が無理なら、もうこれしかないか....。士道、ラヴィジ。琴里の名において私が命令するわ。サクリファイスを殺しなさい!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「させねぇよ。」

 

 

「何処にっ!?ヴッ!?.....。」

 

突如聞こえた声とともにサクリファイスのうめき声と倒れる音。二人がサクリファイスのいた方向を見るとそこにはよしのんの姿だけ。

 

「.....サクリファイスが、いない?」

 

 

「あいつはもうこいつからは出てこねぇよ。」

 

「ヴィンセント!?」

 

「サクリファイスの電力を軒並み吸い取って完全消滅させた。もらった電力はせいぜい有効活用させてもらうがな。.......が、体を喪った、か。......ラヴィジ。」

 

「っ.....なに?」

 

「2日やる、アバターの特定、お前ならできるな?」

 

「仰せの通りに、なんちゃって。ヴィンセントはどうするの?」

 

「なぁに、技術顧問に依頼をしに行くだけさ。......士道、仕上げは任せたぞ?」

 

そう言いいつの間にか姿を見せていた彼はいつの間にか忽然と姿を消していた。しかしいち早く立ち直った士道は弾丸で傷ついた体を動かし四糸乃の元によしのんを送り届けに向かった。

 

 

 

 

 

 

 

そしてたどり着くとそこには気絶したASTの姿と無傷の二人の姿。

 

「無事だったか!!」

 

「シドー!!?どうしたのだその怪我は!?」

 

「はは、やっぱりあいつと対峙して、無傷ではかえれなかった、ごめんな。」

 

「良いのだ!!それで、よしのんとやらは?」

 

「ああ、この通り。」

 

ポケットに閉まっていたよしのんを取り出す。その姿を見るやいなや後ろに隠れていた四糸乃が勢いよく飛び出してきた。

 

「ほら、手を出して。」

 

「....?」

 

言われたとおりに四糸乃は左腕を出した。士道は優しくそこによしのんを被せた。装着されて数秒。ぴこぴことうさ耳が動き出す。

 

「.....んあ?僕は今まで一体何してたんだろーねぇ?」

 

「っ!....よしのん!よしのん!うぁぁん!!!」

 

よしのんがもとにもどったのをみて泣き出してしまった四糸乃。数分立っても泣き止む気配はなかった。その様子を見て三人は、

 

 

「....もしかして、以前の私のように助けられたのか?」

 

「どうやら、そうみたいですね。にしてもこの大剣、取り回し悪すぎですよ。重すぎて振り回せやしません。」

 

「まぁまぁ、そこはおいおいの改善点だから。でも、それより先にティーレちゃんには【エル】装備の試験もしてもらわなくっちゃならなさそうだね....。」

 

「ええ、またですか....まあいいですけれども.....。」

 

お互いが愚痴ってる合間に士道はキスを済ませてしまったらしい。そこには髪の毛で重要な部分以外は裸のまんまの四糸乃とあたふたしている士道、そしてそんな四糸乃を見かねて全力で蔓で隠すラヴィジ。特に四糸乃は封印された際の霊装解除のことを知る由もなく、解除された瞬間硬直していた。

 

 

 

 

 

ここに、第4の精霊の封印が完了したわけである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日立って、士道がいつものように学校に向かおうと玄関を出ると、隣の家からの影が異常に大きいことに気づいた。

 

 

 

「な、なんじゃこりゃァァァ!?!?」

 

そこにはいつの間にか巨大なマンションが立っていた。数日でできる規模のものじゃないのは確かだ。すると隣に琴里がやってきた。リボンが黒いということはラタトスクモードらしい。

 

「どう?精霊用マンション。」

 

「こんなものいつの間に作ったんだよ....。」

 

「今どきリアライザを使えば数日でこんなものよ?外見は同じだけど内部の耐久性、防音性はバッチリよ。」

 

そう説明していると士道の後ろからちょんちょんと触れられた。振り返ると、

 

 

「お、おはよう....ございま、す....。」

 

「っ、おはよう、四糸乃。封印後の検査もう終わったのか。」

 

「令音さんと琴里さんに無理言って少しだけ外に出してもらいました.....。」

 

「.....怖かったら無理せず言えよ?四糸乃にとってのヒーローになるって、俺は言ったからな。」

 

「.....はい!」

 

 

 

満面の四糸乃の笑みが溢れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻、港区画

 

 

「...ああ、そうだ。バックアップデータは残ってるか?.......残っている?そうか。それなら送ってくれ。どうやら無茶なことはせずに済みそうだ......。」

 

 

 

To be continued....




これにて雑な四糸乃編終わり!!!ナンテコッタイ。


来年からは狂三編......だといいなぁ。


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第29話 暗躍と衝動

この話をずっと書きたかった.....!!!


四糸乃が封印されてからはや数日。もはや一大港湾基地と化した天宮支部の港。ドッグとも呼べる何かにはビッグ・トレー級であるティーレやレウルーラが鎮座していた。そのドックのさらに奥にある寮の真下に彼らはいた。

 

「.....ふう、なんとか完成しそう、か。」

 

「.....おや?ヴィンセントさん、何をなされているので?」

 

「ん?ああ....。いずれ来る二人のための機体をな。」

 

そういうヴィンセントの目の前には、王冠みたいな飾りをつけた白亜の機体とブームセンサーみたいな装飾品をつけてバイザーが隠された機体。

 

「AMX-018-3[BR]、通称【ブラックリッター】。フラクシナスの技術を流用しており、その技術を小型化させて新しく建造したトーリスリッターに載せたって感じの機体だな。」

 

「しかし、こんなに大きいならまず運用するにも色々根本的に練り直さないとだめなのでは?」

 

「この機体はあの左の機体とのニコイチでの運用が前提だからそれは気にしなくていい。」

 

左に鎮座している白亜の機体に彼女....狂三は目を向けた。

 

「こいつはAMX-018-1[WR]、通称【ホワイトリッター】。トーリスリッターが作られるためにデータ収集のために建造された機体でそれを俺が復元した。こいつにはこの前俺が持って帰ってきたエルも同化させてあるからな。この機体の一番の問題点でもあった試作型シェキナーの冷却機構は実質解決したと言ってもいい。」

 

「白と黒、まるで正反対の性質ですわね?」

 

「コンセプトがそうだからな。本来ならこれを未だアストレアとラジエルで運用してくれてるハナヨとハヤナに渡すつもりだったんだが.....。」

 

「.....何か不都合でも?」

 

「よくよく考えれば、俺たちもまともな機体無かったなって思い出してな。」

 

ヴィンセントは隣にあるブレーカーを立ち上げる。光で覆われ表したその全体像は狂三を改めて驚かせた。

 

「トーリスリッターシリーズの3機。トーリスリッター改、トーリスリッター・キャバルリー、トーリスリッター・デュラハン。」

 

「改はクロエが使って、俺がキャバルリー、クーがデュラハン。もう長いことここに鎮座しているが、これが使われる機会はもう来てほしくないものだ。」

 

「それは困りますわね?そろそろ私も動こうと思っておりますのに?」

 

「......そうか、いよいよか。」

 

狂三は霊装に身を包むとその短銃と長銃を両手に掲げる。

 

「五河士道さん....彼がほんとに私の時間となってくれるお方なのか、見極めさせてもらいますわ。」

 

「頼むから無駄遣いはやめてくれよ?いくら無尽蔵といえど流石に短期間で時間を吸われ続けたらいくら俺でもキレかねんからな。」

 

「肝に銘じてますわよ。......ところで、先日回収してきたあのシステム。どうなされるおつもりで?」

 

狂三からその質問が飛んできたのは意外だった。あのシステムというのは初期の頃にあった残留品を取り込んだものでその正式名称を【ALICEシステム】という。その実態はHADESとは違う完全な人工知能でその人工知能は良く言えば、理不尽な男を求めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※例の演出はめんどくさいのでカットします。

 

 

 

 

 

「ALICE....ね、彼女が聞いたらどう返すか。」

 

『....カエス.......返す.......キライ?』

 

このころ、引き取って機体に取り込んだ直後の当時のヴィンセントはこのALICEシステムの処遇をどうするか悩んでいた。完全なる人工知能など誰もが喉から手が出るほどほしい存在である。しかし、ヴィンセントはすでにそれを超越するAIに山程出会ってきた。そのためこの1から育てなければならないAIをどうするべきか考えていたのである。コックピットでぼやいていたヴィンセントはふとALICEにこう聞いた。

 

「なあALICE、お前はどう生きていきたいんだ?」

 

ALICEは思考し点滅で答えを返した。

 

『....もっと.......もっとアナタたちと.......ふれあいたい......。』

 

その点滅での打電を感じ取ったヴィンセントは項垂れた。

 

「触れ合いたいって.....アレか、クロエたちとも触れ合いたいのか。」

 

即座に帰ってくる点滅。それは肯定の意を持っていた。ヴィンセントはどうするべきかしばらく思案する。AIにアリスみたいなボディを作るだけだと擬似的な動きしかできない。ならば、いっそのことISやMS自体にAIを詰め込んでしまえばいいのではないか。

 

そこからのヴィンセントの動きは早かった。早速束に例のAIを持って行きこのAIが自分自身で思考、行動できるように適応したボディ、もしくは機体を作れないか頼み込んでみた。束が面食らっていたのは記憶に新しいが、それよりも彼女が返した答えの方にヴィンセントはもっと驚いた。

 

「それなら、ヴィー君の機体の中に入ってたあれが使えるかも。」

 

そう言い束は膨大なデータファイルの中から一枚の設計図を取り出した。

 

「ブラックボックスの中に隠されてたんだよね、これが。設計図の名前で言うなら【Sガンダム】って言うらしいんだけどどうもヴィーくんのトーリスリッターのブラックボックスの中枢部に隠されてたんだよね。なーんか怪しい。」

 

それでも使えるのなら使わない手段はない。ヴィンセントは迷わず建造依頼の為に端末ごとALICEを束に預けることにした。最初、起動直後のALICEの反応を見て束は思いっきりテンションが上がっていたようだったが。

 

『.....マスt.......御兄様、この人すごい......あつくるしい.....。』

 

「しれっと呼び名変わってないか.....。というかその人は気に入ったらずっとこうだ。自分で自由に動けるようになりたいなら博士の言う事にはしっかり従ってくれ、いいな?」

 

『....了.....解.....。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そんなわけで博士に今そのAIを用いた機体を建造してもらってる。一応コアはできてあるから見るか?」

 

「ええ、ご一緒させてもらいますわ。」

 

「どうせそのうち、こいつはお前に任させることになりそうだからな。」

 

「....それってどういう?」

 

狂三の問いに彼は答えることなく進んでいく。ハンガーの通路を横切っていく中、見えるのは整備を受けている彼らの機体達。

 

そんなときだった。一回り小さな機体が目に写った。

 

「もしかしてこれが。」

 

「ああ。こいつがコード【スペリオル】のコア、【イクスェス】だ。」

 

ハンガーに装着されている機体はCRユニットより一回り大きいだけでほとんど既存のユニットと大きさが変わらない物だった。しかし、狂三がふと疑問を呈した。

 

「この機体、私乗れますの?」

 

「一応はな。だが無人で動くこと前提だから多少既存のユニットよりは空間は狭くなるだろうな。」

 

「無人?」

 

「ああ、なんたって........。」

 

『お兄様ァァァァァァァ!!!』

 

「ふぉっぐ!?」

 

唐突な叫び声と衝撃でヴィンセントが吹っ飛んだ。狂三がふと見るとその姿は水色のワンピースとミニスカで身を包んだ少女が目の前にいた。

 

「だ、誰ですの!?」

 

「.....いてて、こいつがさっき言ったALICEだよ。ハナヨとハヤナが居ただろ?そいつ等のクローン技術を用いて作った。」

 

「作った!?」

 

目の前にいる天真爛漫な人物がクローン人間ということに驚きを隠せない狂三。そこに彼女たちも割り込んできた。

 

「ごめ〜んお兄ちゃーん!!」

 

「ったく、何があったんだ?」

 

「アリスちゃんにこの子のこと話して今後の処遇考えてたらいつの間にか居なくなってて。」

 

「アリスにか?」

 

目の前で息切れしているもうひとりの相棒、クロエに何があったのかを聞いていく。

 

「一応ハヤナちゃん達の技術で現実顕現は出来たけど、今後どこに本籍を置くかで揉めてね。それでそれを見るのが嫌になったアリスちゃんが逃げ出しちゃって.....。」

 

「は、はぁ.....。ですが.....。」

 

「狂三の言いたいことは分かる。俺だって当初はそうしたかったさ。だがな、これはハヤナが先に言い出したから強く言えないんだよな...。」

 

そう、この騒動には続きがおるのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「では、彼女の所有権は全員で取り分け、と。」

 

『ふざけないで頂戴!!!私達がせっかく生成したのにすぐ没収なんてあんまりだよ!?』

 

『だけど彼女自身がやるよりかはよっぽどマシだよ?』

 

生成してしばらく安静にさせた直後、誰がALICEの肉体の管理権を得るのかという問題で3人が集まっていた。

ハナヨは生成はしたが、もともとはヴィンセントのものなのでヴィンセントにALICEを預けると進言、ハヤナは生成はしたからそのままこっちで管理させろの一点張り。対してヴィンセントは有事の際にいつでも指示できるよう分散して権利を置くように進言した。

 

そしてこうなった。

 

「ハヤナ、いい加減分かれ。」

 

「そうですよハヤナ。私達はあくまで生成を頼まれただけ、それ以上のことに首を突っ込むと死にかねませんよ?」

 

「でも姉さん、それじゃ意味が!!!」

 

「.....はぁ....こんな手札を切りたくなかったんだがな....。」

 

「手札....?」

 

「お前の最も上に当たる姉を生成させるぞ。」

 

「上の...?」

 

「.....まさか!?ヴィンセント、流石にそれはやめてください!?あの子をここに置かせたらどうなるか....!!」

 

上に当たる存在、というだけで誰か分かったハナヨとピンときていないハヤナ。ヴィンセントもこの策を切るのは割と苦渋の決断だった。

 

「いいな、これ以上意見に従えない場合、基地司令部命令として言うぞ、【数日以内にハーミヤを顕現させよ】と。」

 

「っ!?ヴ、ヴィンセント...それってマジモンのガチ?」

 

「何もガチも本気も本気さ。喧嘩するならハーミヤ混ぜるぞ?」

 

「や、やめて!?私が悪かったから!?だから姉さんは一人だけでいいわ!!だからハーミヤは......あのドジっ子の面倒だけは見たくないわ!!!!!」

 

二人からの全力拒否。流石にここまで拒絶反応を見せるとは思わなかったヴィンセントは満面の笑みを見せた。それを見た二人は顔がひきつる。

 

「え?」

 

「そんな.....。」

 

「どうせ嫌がりそうな気がしたからとっくの昔に作り出しておいた。」

 

「えへへ、ふたりとも、久しぶり!」

 

「「........。」」

 

二人は今後の日常が崩れるのを理解して泡を吹いて倒れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「とまあ、そんな関係があってALICEが肉体を持ったってわけ。」

 

「なんとなく二人が今頃トラウマを抱えているのは想像に難くないですわ....。」

 

一人狂三が白目をむいていた。

 

説明をしている合間にアリスは完全にひっついているようで離れようとはしないらしい。

 

「まあ、そんなわけで今後は狂三のサポートにこいつがつくことになる、うまく扱ってくれよ?」

 

「ん?ヴィンセントさんに託されたからヴィンセントさんが一緒に連れていくのでは?」

 

「俺がアリスを連れているとクロエたちが病むから無しで....な?」

 

「は、はぁ.....。」

 

 

このあと、他愛のない雑談をして二人は分かれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、翌日。

 

 

「皆さん、はじめまして。時崎狂三と申しますの。そして私、精霊ですのよ?」

 

 

最悪の精霊が彼に最接近した。

 

 

To be continued.......

 




なんでここまで遅れたんだろうねぇ.....やっぱ複数同時進行は辛いや。


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第三章 狂三アーカイブ
第30話 時を操りし精霊.....なはずなんだがなぁ


さて、ようやくひとつ一段落したので徐々に更新頻度上げていきますよーイクイク




 

その日、士道は出会った。

 

 

「私、精霊ですのよ?」

 

 

自らを精霊と名乗る転校生と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「時崎狂三....か。」

 

「むぅ....やはりあやつもか?」

 

士道と十香は思案していた。授業も終わり今は放課後、教師と生徒の関係であるヴィンセントとクロエは既に帰宅しており、ではなぜここに残っているのか。

 

 

「あらあら....二人で内緒話ですことで?」

 

「どこを案内しようか悩んでいるだけだよ....。」

 

この至って普通の学校にどう案内しようか悩む二人、そこに狂三が、

 

「よろしかったら、また別日にこの街のことでも教えていただければそのほうがありがたいですわ。」

 

どうも彼女はここに来てまだ浅く地形を知らないらしい。士道はなるほど、と納得すると、

 

 

「うむ!それなら私達に任せるのだ!」

 

十香もやる気満々らしい。精霊とはいえ事前素性の知れてないのだから、この案内で少しでも....。

 

 

だが、それは甘いのだと知らされるのはこの半日後のことであったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「というわけで自然に擬似デートを取り付けましたの。」

 

「草。」

 

「知ってた。」

 

「速いねぇ...。」

 

「はんのううすすぎませんこと!?!?」

 

その夜、狂三は放課後あったことを話しその反応があまりにも薄いため絶叫していた。

 

「いやぁ....だってねぇ?」

 

「...なんですの?」

 

「全然町並み案内してもらうだけではデートじゃないじゃん。良い狂三ちゃん?デートっていうのはね、いろんな名所を多数の会話デッキから切り出して初めてデートとして成り立つんだよ?そもそも士道は唐変木だからそうだとは全く思ってないはず...!!」

 

「それに、海外から一人あなたの天敵が来てるよ?確かアプデタス2...だっけかな?」

 

 

「....真那さんがこの日本に....。」

 

「そしてこちらが入国早々ボッコボコにして引っ捕らえた真那になります。」

 

「ナイトメア!これ一体どういうことでいやがりますか!?!?!?」

 

 

「なにやってんですの!?!?!?!?!?!?」

 

 

まさかの事態に狂三の声が裏返った。真那が自分を殺すために日本にやってきたのは想定内だったが、すでに捕まったのは想定外だった。

 

「どうしてナイトメアが日常を謳歌していやがるんですか!?そもそもどこですかここ!?ASTの基地からあなたの反応をキャッチして殺しに行こうと出たらいきなり背部ブースターを破壊されて落とされて....気がついたらこれですよ!?」

 

「そら狂三を邪魔するやつは落とす。誰だって落とす、俺だってそうした。」

 

「それに、狂三ちゃんはもう前みたいな殺戮マシーンじゃないよ?私達から定期的に寿命を吸い取ってるからよほどのことがない限りは時喰みの城も使う必要なくなったしね!」

 

「どういうことでいやがりますかナイトメア!吐きなさい!!」

 

「いや、どうもこうも必要分が3人だけで賄えてしまうのでもう必要がなくなったといいますか...。」

 

「えぇ....。」

 

予想外の事実に開いた口が塞がらない真那。そこにさらに驚くべき事実が知らされた。

 

「あ!ヴィンス、解析終わったよ!全体に処理がかけられてて記憶処理もされてるみたいだけど治療する?」

 

「早いな。」

 

「...?記憶処理?全体処理?なんのことでいやがりますか?」

 

「真那...お前何も聞かされてないんだな?」

 

「貴方、真那とか言ったわね?あなた、このまま気づいてなかったら2年と立たずに死んでたわよ?」

 

「.....はい?」

 

真那は自身の身体にされている処理についてこのとき初めて知った。異様なまでのユニット適性は記憶処理と全体の魔力処理により強制的に引き上げられたものであり、その代償に肉体に多大な負担をかけていた。しかも、その負担は数年と立たず再起不能な損傷になるとも試算されていて、それを聞いた真那は呆然としていた。

 

「真那...だっけか、今後ナイトメアについて認識を改めてくれるなら、こちらとしては根本からの治療をする用意がある。」

 

「そんな....すぐにハイそうですよとナイトメアを味方と認識できるわけがないじゃないでいやがります!.....ですが、いちどアイクに真相を聞かないとどうすればいいか....。」

 

 

「そうなると思って前もってアイザックを呼び出しておきました。おいアイクこいつに何したまじで?」

 

「ふむ.....適正を引き上げるために軽度の魔力処理は施したが....そこまでの処理と記憶封印はしていないぞ?」

 

 

 

「....なんだって?」

 

アイクから告げられたのは適正を上げるために表面処理こそ施したものの、記憶制御や重度の魔力適正処理までは上げていないとのことだった。これを聞いたヴィンスは激怒した。

 

「クロエ、真那をこのまま医務室へ。魔力処理と記憶封印を解除する。狂三、時間は負担してやる。【九の弾】を真那に使ってくれるか?」

 

「合点承知の助!」

 

「え、ええ。わかりましたわ。ですがなんの意味があって....。」

 

「真那をASTからこちら側に転属させる。」

 

「はい????」

 

狂三は今日何度目かもわからない困惑した声を上げた。真那ですら初耳のようで、アイクに至っては爆笑していた。

 

「良いじゃないか。真那は治療もできるしそこにいるナイトメアを常に監視できる。そっちは貴重な魔術師を戦力にできる。まさにwin-winじゃないか。だが、これだけだと私に利がないように思うが?」

 

「ASTに俺の知り合いを奇襲させる。それで戦闘能力の経験を積ませる。それで手を打ってくれないか?」

 

「.....実力にもよるな?」

 

アイクとヴィンスの応酬は尚も続く。完全に置いてけぼりにされた三人は何を言っているのか完全に訳がわからずにいた。

 

 

「ヒントは【キヴォトス】。これだ。」

 

「っ....まさか君がそこと知り合いだとはね....。」

 

「何度か共同戦線も張ったことがあったのでな。そのつてだ。そのつてを使って人員はよこすつもりだが。」

 

「ちなみに具体的には誰を送るかは決めているのかね?」

 

「【ミレニアム】から四人、【ゲヘナ】から【二人】かね?」

 

「....本気なんだね君は。」

 

「そういうお前こそ、社員の管理ができていないから今回の出来事が起きたんだ。一層規律を厳しくするべきなのでは?」

 

「たはは、これは一本取られたか。了解した。後日正式な転属文章を配送しよう。アプデタス2、いや崇宮真那。」

 

「は、はい!?」

 

突然社長から名前を呼び出された真那は裏返った声で返事した。

 

「後日正式な文章で送るが、君はASTではなくAXIS所属とする。本来の任務である精霊である【ナイトメア】は殺害から監視へとその命令を変更する。」

 

「え、えぇ....?」

 

「しばらくはその身体を休め給え。余計な処理までされていたことに気づけなかったのは私の落ち度だ。誠に申し訳ない。」

 

「いえ!?」

 

通信越しに頭を下げられた真那はあたふたしていたが、通信が切れるとやがてその緊張の糸が溶けたからかふっとへたりこんだ。

 

 

「....ヴィンスさん、どこまでコネがあるんですか....。」

 

「まあ、言えないわなそれは。とりあえず二人は真那の治療を頼んだ。俺はキヴォトスのアイツと連絡を取ってから向かうとするよ。」

 

ヴィンスと分かれた三人はそのまま治療のため医務室へと向かって行く。それを見届けたヴィンスは懐から端末を取るとどこかへと通信をかけた。そして出た人物は....。

 

 

「お久しぶりですね、先生?」

 

「久しぶりだな。さっそく本題で悪いがミレニアムのセミナー及びゲーム開発部、それにゲヘナの生徒会に通達してほしい。」

 

「はい?」

 

眼の前に映る人物は少し首を傾げていた。

 

「【ヒナ】、【アコ】、【モモイ】、【ミドリ】、【アリス】、 【ノア】、そしてお前もだ、【ユウカ】。7人に特別な任務を任せたい。」

 

「.....わかりました。先生の要請とあらばすぐにでも招集をかけましょう。...で、その内容とは?」

 

「詳しくはこちらに来てもらってから伝えるが、長期的な任務になる。十分な用意はしておいてほしい。あとは弾薬生成用に余分に弾倉は用意してもらえるとありがたいかな?」

 

「了解いたしました。どこに行けば?」

 

「来てほしい場所は俺たちが今いる天宮市の南側にある港だ。以前俺たちがキヴォトスに来た際の船を覚えているか?」

 

「あ!あの船ですか!?わかりました!数日のうちに合流しますね!」

 

「頼んだ!」

 

通信が切れ端末をしまったヴィンスはすっかり夜になってしまった空を見上げる。

 

「精霊によって世界は変わりつつある。だが、俺たちの生活だけは変えさせない、たとえ何があっても。世界を敵に回したとしても、この生活だけは....!!」

 

ヴィンスの目先には薄暗く光る月の光が照らし出されているのであった。

 

To be continued....




何故か唐突に出てきたブルアカ要素。


ブルアカ復帰したからせっかくならちょこちょこ出していきたいと思います。選出メンバーは全員うちのレギュラー(二人を除く)。


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第31話 天宮市、銃弾に染まって

さて、前回のブルアカ要素解放から数日立ちましたが、経緯がわからない人もいると思います。

ここ数日自分がブルーアーカイブ熱が再燃し書きたい欲発症。

しかし新規で書こうにもストーリー完遂していないため書くのも難しい状況

ならば合わせやすいところに推しだけ打ち込めばいいじゃないか
↑いまここ


こんな経緯だったりします。


 

 

数日が立ち、士道が狂三とのデートを開始した頃、その裏では暗躍する者たちが蠢いていた。

 

5月も始まろうかという日の昼頃、一台の車が軍港に到着した。着くなりヴィンスとクロエがわざわざ出迎えにくる当たり、本気なのだろうと。果たして二人の予想は想定通りなのか。ところが....。 

 

「....あれ?」

 

「....驚くのも無理はないと思います。」

 

車から出てきたのはかつてヴィンセントが先生としてそばにいた【早瀬ユウカ】だった。

 

「本来ならば全員揃ってくる予定だったのですが、ゲーム開発部の三人は本来の仕事で忙しいらしく断られました。また、生徒会については純粋に不在だったので必然的に私だけになってしまった、というわけです。」

 

「ううむ....どうしたものか...。」

 

「ところで先生、ここってどうなってるんです?行く先々で見かけましたが妙にシェルターが多い気がするんですよ。」

 

ユウカはここに来るまでの道中でシェルターへの入り口がやけに多いことに疑問を呈した。

 

「ああ、それは....。」

 

ヴィンスが説明しようと口を開けようとしたその時、四方八方から警報が鳴り響いた。

 

「警報....!?先生、これって...!」

 

「そ、シェルターが多い原因。ユウカは【精霊】ってのを知ってるかい?」

 

「ええ、何度か資料で見たことがあります。というかクロエさんが実際に精霊なのを見せてもらいましたし。何年か前に現れて甚大な被害をもたらした怪物。そしてなおも現在世界中に現れて被害をもたらす。そう書かれてありました。」

 

「あいつ.....。まあいいか。そして、この天宮市こそ、一番顕現頻度が多い場所でもある。」

 

「そして私はその精霊だったりするんだよね!」

 

いつの間にか精霊へと姿を変えていたクロエを見てユウカは呆れた顔をしている。と、通信も同時に入ってきた。

 

「どうした?」

 

『ヴィンセントさん!繋がりましたわね!?』

 

相手は狂三だった。今はデートをしているはずだが?

 

「デートしているはずだろ?何があった?」

 

『どうやらASTにも頭の良い人が居たようでして...多数の無人機と魔術師に包囲されましたわ。士道さんも一緒なので防御するので精一杯ですの。』

 

「お得意の分身は!?」

 

『しばらく時間を頂いていなかったものでして今現在余分に出せる分身がおりませんの。』

 

「バッキャロー!?!?」

 

どうやら相当事態は逼迫しているらしい。一瞬で計算したヴィンスはしばらく持たせるように指示しそのまま通信を切った。

 

 

「ユウカ、来て早々悪いが仕事だ。クロエは先に先行して魔術師達を抑え込んでくれ。先から聞いた音だとおそらく無人機はユウカたちのところに居るやつと同じ気がする。」

 

「まさか....【ゴリアテ】がこの街に!?ありえませんよ!?そもそも流通すら制限されているのにこんな辺境の地に...!」

 

「あんのバカタレが考えることだ、2手3手は先に考えているだろうよ。」

 

ヴィンスは自身の機体で、新しい剣でもあるブラックリッターを起動する。

 

「先生、それって....。」

 

「ああ、ユウカは知らないか。こいつはブラックリッター。お前らとやりあったあのトーリスの試作機に当たる。」

 

「それにしてはやけに黒いですね....。」

 

今のヴィンスの外装は目はバイザーに覆われ腕にはアンカー、腰には二本のダガーを備えている。両手には100mmマシンガンを構えている。

 

「...ふふ、久々に先生とふたりきりで戦闘ですか。腕がなりますね!」

 

「後で精霊になったクロエの攻撃食らっても一切責任は持たないからな。」

 

片手にMPXを構え既にやる気は十分なユウカ。狂三達の位置を把握したヴィンスはユウカをお姫様抱っこの要領で抱えると空を飛ぶ。

 

「ひゃっ、先生!?」

 

「ゆっくりしてたら彼奴等が危ないからな、少しだけ我慢しててくれ...!」

 

「は、はい!」

 

本のちょっぴり、ユウカは嬉しさで顔を高揚させていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃、デートをしているはずだった狂三と士道は休憩していた公園でASTの集団に襲われていた。

 

「各員、精霊に囚われているであろう民間人を発見した!精霊を撃破次第確保、拠点に連れ帰り記憶処理を行う!殺しは厳禁だ!」

 

「「了解!」」

 

 

「なーんか不味そうなこと言ってるんですけど!?」

 

「黙って逃げますわよ!」

 

銃撃を飛んで交わしていく二人は公園を逃げ回る。だが、後ろからは魔術師の砲撃と銃撃。前を見れば、

 

 

「な、何だコイツラ!?」

 

「....。」

 

ダダダダダ!!

 

 

「うわぁっ!?」

 

「囲まれたんですの!?」

 

自身で使える余分な時間はあまり無い、そのため顕現させた一丁の長銃でまずは正面の敵を撃ち抜こうと構え撃つ。だが、

 

「....損傷なし。」

 

「利いてない!?」

 

「なんて硬い装甲ですの...!?」

 

「【対精霊装甲装備型人形兵器】....たしかに数合わせには使えるわね。包囲網を縮めて確保して!」

 

いつの間にか全方位を魔術師に覆われ絶体絶命の二人、だが、それはあくまで救援が来ないと思っている時のみの場合。

 

 

外周の魔術師が二人撃ち抜かれる。

 

「っ!?どこから!!」

 

「ここだぁ!!」

 

「何っ!?」

 

 

突如として放たれた外部からの銃撃に対応できずさらに数人が墜ちていく。

 

「エルちゃん!やっちゃってー!」

 

更に上から精霊化したクロエが銀の剣を勢いよく振りまた一人のCRユニットを叩き切る。さらに、

 

「なっ...装備が侵食されている!?」

 

エルの権能でたちどころに侵食されていくCRユニット、たった数分で一気に削られたASTだが、まだまだ戦力はある。隊長であろう人間は無人機を更に投入すべく指示を出そうとする。だが、

 

「ふたりをやらせはしません!!」

 

軽快な連射音とともにMPXが火を吹き、狂三と士道の目の前にいた無人機を粉々に穴だらけにした。

 

「あなたが時崎狂三と五河士道ですね!?」

 

「え、ええ。」

 

「そうだ...が?」

 

「ここは私達に任せて退避を!!」

 

「そもそもアンタは一体...!?」

 

「安心してください!こういうのはもう慣れっこですか...らっ!」

 

どこからともなく出してきたもう一丁のMPXをくるくると回し両手で二丁持ちにすると戸惑うこともなく銃弾を放つ。

 

「滅茶苦茶にやってますわね...けど、この包囲網から抜け出す時間は確実に作れましたわ!」

 

 

二人は見知らぬ人物と空で戦っているヴィンスたちにここは任せてひとまず安心できるところまで退避していく。それを見届けた三人は互いに背中合わせになり残った敵を見据える。

 

「くっ...なんでこんな時に限って【ナイトメア】だけじゃなく未確認精霊に【クイーン】まで!?」

 

「悪いがここから先はどうあがいても行かせんよ!」

 

「あの二人に銃撃を再び加えられる可能性は....限りなく低い!」

 

ユウカのその宣言から、ユウカの周りにバリアのようなものが貼られる。ASTの隊員たちはそれを見て慌て始める。

 

「随意領域ですって!?....総員作戦変更!目標を随意領域を貼っている人物に変更!拘束し尋問する!」

 

「そうはいかねぇよ!Systemカモ!」

 

ヴィンスが特殊なシステムを起動し一時的にスモークを周囲に浴びせる。目くらましになったか隊員たちは動けない。煙が晴れるとそこには...。

 

「目標、いません!」

 

「未確認機体、【クイーン】、ともに反応消失!」

 

「ええい、みすみす逃したっていうの....!?」

 

あれだけの人数と機体を用意しておきながら、なんの結果も出せずに終わったこの襲撃事件。だがしかし、後に更に悲惨なことになるのはこのときASTの人間は知る由もなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

狂三達が士道の自宅まで撤退したのを確認した三人はそのまま拠点へと帰宅していた。そしてヴィンスとクロエ、オマケにユウカまで頭を抱えることとなる。

 

「ふっふっふ...ようやく現れましたか魔王よ。」

 

「あら、やっと帰ってきたんですねユウカ。」

 

「....なんで二人がいるのよ....。」

 

 

ユウカは目の前の拠点前で優雅に茶会をしている【生塩ノア】と【天童アリス】に対して声を漏らした。

 

To be continued....




アカンやん(当たってほしかった2名)

体操服ユウカ大戦争は未だに終わらない

天井まで残り80連....。


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第32話 襲撃、激戦区!

体操服はしっかり引けました。天井だけどな!!!!!!!!!


ヒマリさんが引けなくて現在進行系で泣いてる。


その日、ASTは反省会をしている暇などなかった。突如として現れた【クイーン】の処遇に攻めあぐねていたのだ。

 

「ですから!クイーンは今まで顕現した精霊の中でも一番の危険度です!異動予定だった崇宮真那三尉ですら突如として消えていますし...。」

 

「だからといっていま仕掛けても反撃に合うだけだ!」

 

揉めに揉めていた会議室だったが、その声は不意に聞こえた警報音ですんとやんだ。

 

 

『基地内に侵入者を確認!数は8!うち1は...うわぁっ!?』

 

途中で切られた放送に全員が一大事だと考え動き始める。

 

『う、おほん。ここは魔王によって占領されるのだ、光栄に思うがいい。』

 

『そんなこと言ってる暇あったらその腰に抱えてるレールガン撃ってくださいよぉ!?』

 

『ちょっと待ってくださいよユウカ、これは大事な儀式で....!』

 

『もうすぐそこにまで増援が...!』

 

『増援さんは黙っててくださいっ!』

 

 

今度こそ通信は切れた。

だが、状況の悪さを察するには十分だった。

そして、このタイミングでの敵襲である。恐らくは先ほど言っていた襲撃犯だろう。隊員たちは準備を整えていくも、正面入口から聞こえてくる爆発音が事態を物語っている。

 

一体何が起こったのかわからないものの、彼らは警戒しながら扉を開いた。

するとそこには……。

 

 

 

──────

DEMインダストリー本社ビルの最上階に位置する社長室では、エレン・メイザースの姿があった。彼女は部屋の中心に置かれた机の上に足を乗せると、窓の外を見つめながらため息をつく。

「……ふむ、やはり来ましたか。まあいいでしょう。これでようやく私にも運が向いてきたようですね。」

そう言うとエレンは椅子に深く座り直し、手元にあった書類を手に取ると目を通す。それは先日、DEM本社を襲撃した犯人たちのリストであった。

「……〈バンダースナッチ〉に似た機体ですか。随分なものを持ち出してきましたね。しかし、それならそれでやりやすいというものですよ。」

エレンは不敵に笑うと、そのまま視線を下へとずらす。

そこにあるのは、一つの映像記録装置だ。

「さて、どうなるでしょうか?」

エレンは愉快そうな笑みを浮かべたまま、再生ボタンを押した。

─────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場面は戻る。正面で打ち合いをしているASTの隊員と真っ正面から突破してきた【ユウカ】と【アリス】、そして【ノア】。ユウカがヘイトを引き二丁のMPXで前線を崩し、それをノアが援護する。おまけに硬い、そして火力の高い後衛とタンク前衛はアリスの持つ大型レールガンの最大出力で吹き飛ばす始末。空から爆撃を行っていたヴィンスとクーは哀れみの表情をしていた。

 

「流石に自衛隊の中でも精霊を殺す特殊部隊とはいえ弱すぎないか....?」

 

「え、ええ。襲撃の場ではAST特有の装備は出さない、ということなのでしょうか?」

 

「分からんなぁ....。」

 

 

会話しつつも空からブラックリッターによるレールキャノンの爆撃とホワイトリッターのプロトタイプ・エル・メガ・ランチャーによる砲撃支援も忘れない。ちなみにこのエル・メガ・ランチャーはいつぞやの際にASTから奪還したエルがホワイトリッターに乗り移った際の姿であり、事実、エル・メガ・ランチャーを直結しているクーの右手はエルと同化している。これまでの問題点であったビーム排熱をエルがこれまで培った技術を用いて再現した小型冷却機構により連射を可能にしている。それをクーの直接コアとリンクできるもともとの身体性能がホワイトリッターとの極限的な同調率を示していた。つまりは、今のクーにはかつての力を取り戻していたのだ。

 

「くそ、なんだこいつは……!」

 

「隊長!このままじゃジリ貧です!一度撤退を進言します!このままではこっちの被害が拡大する一方です!」

 

「ダメよ!ここで退いたらここの存在意義が...!!」

 

部下からの進言に、隊長と呼ばれた女は声を荒げるが、その言葉の途中で彼女の顔に影が差した。

見上げると、そこには先ほどまで戦っていたはずの少女二人がいた。

一人は巨大な剣を振りかざし、もう一人はその隣に浮遊してこちらを見下ろしてきている。

その光景に、隊員たちは絶望を覚えた。

そしてその瞬間に、彼女たちの勝利が確定した。

振り下ろされた大剣が床を砕き、その衝撃が壁を伝って天井を崩落させた。

そして、その瓦礫に潰され、隊員たちは全員絶命した。

 

 

 

 

 

 

 

 

───── 一方その頃、DEMインダストリー本社ビルの屋上では、エレンが満足げにうなずいていた。

その手に持つ書類を眺めながら、彼女は微笑む。

そこに書かれていたのは先ほどまで交戦していた部隊の隊員たちの名前だった。

エレンはその紙を丁寧に折り畳んで胸ポケットにしまうと、再び窓の外を見やる。

眼下に広がっているのは、先ほどの戦闘によって破壊された街並みだった。

しかし、そんなことは彼女にとって些事である。

何故なら、彼女が求めているのはその先にあるものなのだから。

そう、エレンは待っていた。

この襲撃を、この襲撃者の存在を。

そして、ついにその時は来た。

突如として現れた〈バンダースナッチ〉に似た機体。

それに乗っていたのは、鳶一折紙のクラスメートにして、エレン・メイザースの仇敵。

エレンは、その名を口にした。

──────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

完全に沈黙したのを確認した6人は銃の安全装置をかけ基地の建物内へと侵入した。やはり内部に入るほど抵抗は増す一方であったが、やはりCRユニットは出てこない。恐らくは先ほど倒した連中が持っていたものだろう。

だが、それも仕方のないことだ。

何せ、相手は世界最強の兵器集団たる魔術師の部隊である。

いくらエレンたちが強いといっても、それはあくまで人間という枠内での強さだ。

対するASTは、精霊を殺すために造られた最新鋭の装備を持つ精鋭揃いだ。とはいえDEMよりその設備は数段劣るものだが。

とはいえまともにやりあえば勝ち目はない。

だからこそ、エレンたちも作戦を立てた。

まずは第一目標、基地司令部の制圧である。

ここに来るまでにヴィンスとクーが確認したところ、既に〈バンダースナッチ〉の配備は完了しており、ASTの装備もいくつか更新されているらしい。

 

「……これは予想外ですね。まさかここまで早く〈バンダースナッチ〉を揃えてくるとは。」

 

「ああ、しかもそれだけじゃない。どうやら奴らは俺たちの襲撃を予期してたみたいだ。」

 

「ええ、私もそう思います。」

 

ヴィンスの言葉に、クーが同意を示す。

 

「どういうこと?」

 

「簡単な話だ。俺らが襲撃をかけることを事前に知っていた。」

 

「それは、一体……。」

 

「簡単だよ。そもそも、こんな大規模な襲撃なんて前代未聞の上、わざわざアイザックと結託して計画したからな。つまりあいつが予告しないとは言っていない。そして、仮にもし予告があったとしても、普通はもっと準備期間を設けるはずだ。なのに、今回は早すぎるんだよ。まるで、最初から襲撃されるのを分かっていたかのようにな。」

 

「なるほど……。」

 

クーが納得したようにうなずく。

 

「まあいい。とりあえず今は目の前の敵をどうにかするぞ。」

 

「ええ、分かりました。」

 

クーはそういうと、直結しているランチャーを構える。

 

すると、その隣にいたヴィンスも同じようにレールキャノンを構えた。

 

「……ヴィンス?」

 

クーが不思議そうな顔をしていると、ヴィンスはレールキャノンを真上に上げて打ち放った。

 

「……!?何をしているんですかヴィンス!」

 

クーが叫ぶと、ヴィンスが答えた。

 

「そろそろ潮時だ。クー、お前はユウカ達を連れて逃げろ。ここは俺たちでなんとかする。」

 

「……は?」

 

クーは一瞬呆けたような表情を浮かべたが、すぐに我に帰る。

 

「ふざけないでください!あなたを置いていくくらいならここで死にます!」

 

「馬鹿言うな!いいから行け!お前が死んだら誰がユウカを守るんだ!」

 

「嫌です!私は絶対に……!!」

 

「おい!てめぇら!こっちに来い!」

 

言い合っている隙に増援の部隊が出てきた。今度はCRユニットも混在しており、本命だということだろう。

 

「くっ……!」

 

クーは歯噛みするが、それでもなおその場を離れようとはしない。

そんな彼女に、ヴィンスは諭すようにして言った。

 

「……頼む。俺はもうこれ以上、家族を失いたくない。」

 

その言葉に、クーはハッとした顔になる。

そして少し考え、

 

「……分かった。でも絶対死んじゃダメだからね?死んだりしたら許さない。」

 

クーはそう言って、ヴィンスの元を離れた。

それを見届けると、ヴィンスは改めて敵を見据える。

そして、戦闘を開始した。

────────

 

To be continued....




途中からちょっとずるして話がおかしくなってるかもしれないけど、徐々に修正いけたらやる。


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第33話 リコリス強奪

ユウカ達と合流し撤退の旨を伝えるクロエ。だが、ユウカ達はそれを聞きなお、引く気はないようだった。

 

「へぇ....それをもっと早く言ってくださいよっ!!」

 

「ええ、そういうことでしたらまだ耐えてみせますよ!」

 

「....ここから先は、通しません!!!!」

 

ユウカは残った弾薬をすべてリロードし、ノアもありったけの弾倉をポーチから取り出す。アリスは最大出力のレールガンを打つ気満々。もはやこれは止められないと察したクロエは再び小型レールガンを右手に握った。

 

「……やれやれ」

 

そして、クロエも覚悟を決める。

 

「―――ッ!?」

 

その瞬間、全員が息を飲むような感覚に襲われた。

それはまるで巨大な獣が大口を開きながら迫ってくるかのような威圧感だ。

 

「な、何ですかこれ……」

 

「....せめて、私が最後に退く。みんなはじわじわ下がって!もうそろそろお兄ちゃんが当初の目標を達成するはず...!!」

 

クロエの言葉に従い、じりじりと後退する三人。

すると、轟音と共に天井が崩れ落ちた。

 

「……あれ?」

 

そこには見慣れた人影があった。

 

「っ....あなた達....!?」

 

「あれ、折紙ちゃん。ようやく手に入れたんだね、それ。」

 

「あの人が居なかったらすんなり強奪できなかった。とても感謝している。」

 

そう言うと彼女は懐から何かを取り出した。

 

「私が作った特製手榴弾。これで目くらましする。」

 

「…………。」

 

「....威力はさっきのでわかってるはず。」

 

(((あ、ダメだコレ)))

 

三人とも直感的に悟る。折紙はその巨大な機体....【ホワイト・リコリス】から片手を離し、手榴弾のピンを抜くとそのまま基地の軍人のもとに投げ込んだ。と同時に三人はクロエの機体に抱えられるなり、捕まるなりして、逃げる準備を整えていた。

 

「総員退避ぃ!!!!」

 

軍人の声が響き渡る中、爆音が響く。

爆風によって巻き上げられた砂煙の中、ホワイト・リコリスとブラックリッターだけが粉塵から姿を表した。

 

「…………。」

 

『クロエ!?大丈夫か!?』

 

「こっちは平気!先に戻ってるよ!お兄ちゃんも早く帰ってきてね!」

 

「分かっている!あとは主要施設を爆破するだけだ!」

 

通信機からはヴィンセントの声とタイマーのような音が聞こえている。どうやらこの作戦の要となる兵器の破壊工作の設置に成功したようだ。

『よし、このまま一気に離脱しよう!』

 

「了解!」

 

『このホワイトリコリスは頂いていく!アクシズ再興のために!!!』

 

「いいぞー!!やっちゃえー!!」

 

「……なんだろう、凄く不安になるんですけど……。」

 

「……奇遇ですね、アリスさん。実は私も同じ気持ちです。」

 

こうして、AST達の抵抗虚しく、クロエ達は無事に脱出に成功するのであった。そして基地はしめやかに爆散。これによりASTは一時復旧作業に追われることとなる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃、DEMインダストリー本社ではアイザックが社長室にてエレンと話し合っていた。

 

「それで、例のものは手に入ったのかい?エレン。」

 

「はい、ここに。」

 

エレンが差し出したのは黒い箱のようなものだ。一見ただの小物入れのように思えるがアイクにはそれが何なのかわかっていた。

 

「...失礼ですが、これは....?」

 

「....エレン、すぐにこれを開発、設計班に渡して解析を始めさせてくれ。これの中身がわかったらもう人材不足は解消できる。」

 

エレンは首を傾げる。

 

「お言葉ですが、このような小箱でどうやって?」

 

「この小箱には、人類の代謝機能を大幅に活性化させることのできる薬剤の調剤法が書いてある紙が入っているはずなんだ。それを解析し、生産できれば、治癒能力が一気に上がり怪我の心配をする必要がなくなる。」

 

「なっ……!?そんなことが可能なのですか!?」

 

「可能だ。現に今だって私はその薬のおかげで身体の調子が良い。」

 

「しかし、なぜそのようなものを?」

 

「それは言えない。だが必ず必要なものだ。」

 

「わかりました。早速手配いたします。」

 

「ああ、頼んだよ。」

 

「……それと、一つご報告があります。」

 

「……何だい?」

 

「……先程から、ヴィンセントと名乗る男がこちらに向かってきています。恐らくは。」

 

「……そうか。ならこちらもそろそろ動くとするかな。」

 

「え?」

 

アイザックは立ち上がると、窓の外を見つめた。そこには巨大な機体が悠々と空を飛んでいた。

 

「まさかあれが!?」

 

「そうだ。あれこそが我々が開発した最強にして最高傑作の機体【リコリス・ツヴァイ】、通称【アルティメット・リコリス】だ。そしてこいつはあいつから譲ってもらった自己治癒機能付きの装甲を持つ。故に長期間の作戦行動が可能となる。まさに夢のような機体だとは思わないかね?まぁ、あの男がいなければ完成しなかったがね。」

 

「……つまり、あの機体はあの男の……」

 

「そういうことだ。さて、そろそろ来る頃だな。迎えに行ってくるよ。」

 

「……かしこまりました。」

 

アイザックは部屋を出ると、ヴィンセントの元へと向かった。

 

 

 

 

「やあやあ、息災のようだね?」

 

「あの浮いてる機体、まさかな?」

 

「君たちのエルと呼ばれている少女の身体の一部を解析し、それを組み込んだ機体だ。また今度襲わせてやる。」

 

「あいも変わらず容赦がないな....。」

 

『もー!そんなこと言うならあなた侵食して殺しちゃうよ!』

 

ヴィンセントの腕から垂れ落ちた液体金属が形をなし、ヴィンセントの腕にひっつく少女となる。アイクに対して敵意は出していたが、殺意までは出してなかった。

 

なぜならヴィンセントのそばにいるだけで幸せだからである。

 

「おや、久しぶりだねぇ。元気だったかい?」

 

『うん!お兄ちゃんのおかげだよ!』

 

「そりゃよかった。ところでヴィンセント・グライスナー、やってくれるじゃないか。」

 

「よくいう。ところで、アイツラの手捌きはどうだったかな?」

 

「良くも悪くもさすがはキヴォトスの住民、というべきか。お陰様でしばらくは足止めを食らってしまったよ。」

 

「変に挑発しなければ襲わなかったのに。」

 

「......。」

 

「まあいい、話したいことはそれだけだ。ああ、それとあと一つ。」

 

ヴィンセントは体を翻すと一言だけ呟いた。

 

「....お前、ALICEからデータを抜いたな?」

 

 

「......黙秘権を行使させて貰おうか。」

 

「.....そうか、まあ、何があろうと制御権は強奪するがな。」

 

ヴィンセントはその言葉を最後に部屋をあとにした。エルもアイクに頬擦りすると名残惜しそうに部屋をあとにした。数分すると、エレンが再び部屋へと入ってきた。

 

「....よろしかったので?」

 

「いずれ手札を切ることになるのだ、見せるタイミングとしては悪くないだろう。それに、バレたとしてもこれは最高傑作だ。そう簡単にはやれまい。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうだろう?.....ハートの女王よ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その次の日であった。

 

 

「決着をつけてきますわ。」

 

「....そうか、けりをつけるのか。」

 

「今の私ならば充分にけりをつけることができますわ。器はあればあるほど良いですし。」

 

「.....間違っても死ぬなよ?万が一の場合は俺のエルを呼び出せ。」

 

「ふふ、過保護ですわね?」

 

「昨日本社を訪れて分かった。アイクは間違いなくこのタイミングで来るだろう。一昨日の襲撃とて忘れたわけではあるまい。」

 

「分かっておりますわ。では、行ってまいります。」

 

 

影に埋もれて消えた狂三を見送り、残された三人組とアリスは思案する。

 

「心配だね....。」

 

「ひとまず俺とクロエが見ておくから安心しておけ、最悪の場合はアイツラを呼び出すことになるだろうがな....。」

 

ヴィンセントは風が漂う屋上でそうつぶやくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「目標視認、命令が在りシダイ、殲滅を開始スル。」

 

「おい、お前早まるなよ?」

 

「分かってイル.....それに。」

 

「それに?」

 

「私はアイツに数え切れないほどの恩を貰ったカラナ....、貸しは返さなければ。」

 

「そうか.....。」

 

 

どこかのビルの屋上で、ドレスを着た少女とパーカー姿の少女は街を見下ろしながらそういうのだった。

 

To be continued......

 

 

 




ひとまず年始の投稿です。今年もよろしくおねがいします。


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第34話 漆黒の悪夢、《クイーン》の側近

ちょこちょこと進める


 

 

【今日の放課後、屋上にて待っていますわ 時崎狂三】

 

 

士道は下駄箱に入っていた手紙の意味を思案していた。今までの言動から見て、つまるところ自分を食べるために呼び出しているのであろう。だが、他の意味もあるように思えて仕方がなかった。

 

「っと。」

 

思案しているとぶつかってしまったらしく、ちょっとばかりぶつかった子が仰け反っていた。

 

 

「す、すまない!考え事をしてて....。」

 

「....ソウカ.....損害軽微。」

 

 

「....何だったんだあいつ。」

 

 

士道はぶつかってきた少女のことを考えながら、再び思考の海へと潜っていくのだった。

 

 

そしてその日の夕方。あからさまな結界を貼られた士道はなんとか意識を保っていた十香と共に屋上へとやってきた。そこには案の定精霊の姿の狂三がいた。

 

「遅かったですわね?」

 

「約束通りきてやった。まずはこの結界を解除してくれ!」

 

「それはできない相談ですわね。これは私の命とも呼べる時間を補充するために展開している結界なのですから。わたくしはこれを【時喰みの城】、と呼んでいますわ。」

 

狂三はくるりと一回転すると自身の武器である二丁短銃と長銃を取り出した。

 

 

 

 

 

 

それを校舎の影で見ていたクロエとヴィンセント、そしてアリスは不安げな表情だった。

 

「いくら先の戦いで使いすぎたとはいえ、流石に吸収しすぎだろ、これ以上吸われると俺達とて寿命がなくなる....。」

 

『私が一応同化してるから遥かに一般人よりかは長生きするんだけどね。』

 

エルがひょっこり顔を出して頬擦りするのを横目に鏡で状況を確認しながらいつでも出られる準備は整えていた。

 

「あいつ....無茶をしなければいいのだが...。」

 

「最悪は私がなんとかできるけど、なるべく戦力は晒したくないしねぇ....。」

 

「襲撃予告を出された以上、むやみに戦力を消費はしたくないが...。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、戦闘は始まった。事態を聞きつけた真那が駆けつけ、実質3対1ではあるが、その割に真那と狂三の戦いは激しくなかった。俗に言う八百長である。真那自体も魔力処理の解除により全盛期ほどの戦闘力を発揮できなくなったのもあるが、アイザックからの命令による戦闘行動の制限が大きく響いていた。

 

「あいっ変わらずすばしっこいでいやがりますね!」

 

「お褒めにいただき光栄ですわ!【一の弾】!!」

 

短銃から霊力弾を打ち込み加速する狂三。それを迷わず追い始める真那、十香も動きを読んで斬撃を食らわそうとするも、なかなか当たらない。そんなこんなで15分が過ぎようとしていた。両者ともに目立った損害が与えられぬまま一定の距離を置こうとしたその時だった。あたり一面を火炎が舞う。真那も狂三もその火炎から離れて火炎が放たれた方向を見ると、そこには和服のような霊装を帯びた少女....否、琴里がいた。

 

「こと....り?」

 

「少しばかり、返してもらうわよ、灼爛殲鬼!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『否....アレを倒すノハ、私ダ。』

 

 

「「「「っ!?」」」」

 

琴里がその斧を振り下ろさんとしたとき、突如してばらまかれた弾丸とミサイルの雨が一同を襲った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その光景は3人の目にも写っていた。

 

「あれは....???」

 

「あれは違う....!!俺がアイクのところで見たやつではない...!!」

 

「.....お兄ちゃん!イーちゃんが!」

 

「....イーディスがどうした?」

 

3人の目からも、あれは異常だったらしく、慌てていた。が、一人のAIが異常に反応したことで全てを察した。

 

『ヴィンス!あれは《ビショップ》だ!厄介なときに....!!』

 

「....確かビショップってイーちゃんの主が作ったっていう...。」

 

『ああ、我が陛下がお作りになられた迎撃・攻勢プログラムの一個体にして、全攻勢プログラムを統括する存在でもあらせられる。』

 

 

「ならどうしてここに...!?」

 

『ビショップは良くも悪くも命令に忠実に動く。即ち今回の襲撃はおそらく我の女王からの直接命令だ。大方危険分子の殲滅が目的だろうがな....。』

 

「何とかして助けなければ....クー、もしものときに備えて準備はしておいてくれ。」

 

 

『いや、その必要はない。クロ、頼みたいことがある。』

 

 

イーディスからの頼みにクロエが反応する。そしてイーディスのお願いを聞いたクロエは満面の笑みで承諾した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、狂三達は現れた謎の精霊に対して対応を余儀なくされていた。

 

 

「見境無しかっ!!!」

 

「目的物を見てしまったお前らハ我が女王カラ抹殺命令が入ってイル。故に。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「我が女王陛下カラ直々に承っタこの武器デ.....消エロ。」

 

 

姿が瞬時に変わった謎の精霊を見てとっさに回避行動を起こした二人に襲いかかった。回避している合間にも士道は深く思考し、一つの答えに行き着いた。

 

 

「待てよ....この口調、どこかで....?」

 

そこまで考えたとき、士道の点と点が線になった。

 

「そうか...お前は朝にぶつかった....!!」

 

「覚えていたのカ。どちらにシロオマエラは必要ナイ。大人しく死ぬがイイ。」

 

再び振り下ろされる巨大な大剣。琴里も狂三もすぐに迎える距離ではなく、万事休すだった。

 

「「士道(さん)!!!!!!」」

 

「っ....く!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おいたが過ぎたな、《ビショップ》!!!」

 

寸前、士道の目の前にシールドが形成され、いともたやすくその攻撃を防いだ。

 

「なっ....クロエさん!?」

 

空を飛び退避していた真那から発せられた声は普段とは異なる様子のクロエによって掻き消された。

 

 

「クロエ、か。今の我はクロエではない!」

 

 

瞬時、クロエからノイズが走り出し、全体を覆っていく。私服だったワンピースは剥がれ、紺色のドレスを形成していく。アクセサリーも頭に黒いティアラが装着され、靴も白いロングブーツを身にまとった。

 

「我が陛下の最大の側近《ビショップ》よ。我が女王の全権大使であるイーディスが直々に罰を下してやる!!!!その根幹命令が殲滅であるというのならば!!!真の側近からその王位を奪ったあとにしてもらおうか!!!!!」

 

 

「クロ....エ?」

 

士道は呆然としていた。いつもはのほほんとした雰囲気の彼女が突如として傲慢な側近へと変わったのだから。そしてその驚きは他の三人にも波及していた。

 

「《クイーン》....!?まさか、そんな....。」

 

「分かれば単純な種明かしですか。とはいえ、これは....。」

 

「クロエさんが....最優先対象である《クイーン》、だなんて....。」

 

「ふんふふ、本来なら我はでてくるつもりはなかったんだがの。ビショップが出たならば話は変わるわ!」

 

クロエもといイーディスは懐から黒いポリゴンを取り出すと一瞬でビショップの後ろに転移した。

 

「まずはその女王から賜った武装を返してもらおうか!」

 

「損害軽微....不確定要素を排除スル。」

 

ビショップと呼ばれた彼女は瞬時に対応し互角の戦いを見せる。ナイトメアとの戦いなんてもう知ったことではない。そこはもう元全権大使と現側近の痴話喧嘩であった。

 

 

「お主!なぜ今になって出てきた!!お前の役目は廃棄された死体を女王へと献上することだったはず!!」

 

「私の役目ハ確かにソウダ。だが、ある時女王はこう言った。『手伝エ。』ト。ならば、私はこの身ヲ犠牲にシテデモオマエラを排除スル。」

 

 

「我が女王陛下はそんなことを仰られた覚えはない!」

 

 

「黙レ。これは決定事項ダ。故に、お前らを殺ス。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『私は....そんなの言った覚え、ない。』

 

「「「!?!?!?!?」」」

 

第三者の声に全員がその方向を向く。そこにはヘトヘトになっているクーとヴィンセントの姿と、全身が銀色ではあるが、それは紛れもなく、

 

 

「「陛下!?!?」」

 

痴話喧嘩の元凶こと女王であった。

 

 

「ヴィンセント!?これって一体....!!」

 

琴里もそれに気づき問い詰めるが、二人は伸びているようで大した反応も得られなかった。

 

「一体何なんだおまえたちは!敵なのか!!味方なのか!!」

 

 

「「「少なくともお前に対しては敵だ(ダ(だね))。」」」

 

「全員揃って敵かよ!!!」

 

最悪の状況に士道はうなだれた。もはや当初の目的は果たせそうにもなかった。というか、当の張本人である狂三はいつの間にかクロニクルに救助され、すでに空へと浮いていた。そしてそれを見ている合間にも女王はイーディスと共闘してビショップを追い詰めていく。

 

「何....故...!?」

 

「どこの馬の骨に絆されたかは知らぬが女王を裏切ったのだ....お前は死刑だ!二度と生きては帰れぬと思え!」

 

イーディスの一撃がビショップに直撃し、ビショップの変身が解けた。私服姿へと戻ったビショップはそのまま山肌へと突き刺さり、ホコリまみれになった。ところどころ破れたパーカーを纏っていたビショップであったが、ここまでくればもう戦えないのは明白だった。ビショップの首元へと剣が伸びる。

 

「せいぜい、悔いるのだな。」

 

 

「待て、ふたりとも。」

 

「「ヴィンセント??」」

 

手をかける直前、待ったをかけたのは他でもないヴィンセントだった。ちなみにクロニクルと狂三は一足先にこの混乱に乗じて撤退した。

 

「ビショップは、俺に任せてはくれないか。」

 

「.....お前なんぞに渡す理由があるとでも?」

 

「お前二度と女王に会えなくなる身体にでもしてやろうか?」

 

「頼むからそれだけは辞めてくれお主!?」

 

「フフ、やっぱり、あの子を任せてよかった。わかったわあなたの判断に任せるわ。」

 

「本気であらせられますか陛下!?」

 

イーディスが反論するが、女王は反論は認めないの一点張り。結果、イーディスが折れることとなり、ぐったりとしたビショップの処遇はヴィンセントに委ねられることとなった。また、士道と琴里だが、流石にこれ以上は不味いのでふたりともフラクシナスへと帰っていった。残された5人であったが、女王はイーディスに任せ真那も一旦一緒に二人と帰還していった。というか女王はもともとエルなのでいずれこっちに戻ってくるが。取り残されたビショップとヴィンセントであったが、ヴィンセントはこのビショップに確かな見覚えがあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まさか、ここまで追ってくるとは思わなかったが...。どこまで執念深いんだか....エース。」

 

「....今マデと同じ【ピィ】で良イ、兄様。」

 

 

ぎこちないながらも、先程のような無感情の表情から一点、僅かではあるが微笑んだ彼女はその全体重をヴィンセントに押しかけ、もつれ込むように抱きしめた。

 

 

「漸く、帰って来ましタ。兄様。」

 

「....むずがゆい。」

 

 

一体二人の間に何があったのか。それは精霊という存在が全体に周知される約一年前の出来事へと遡ることとなる。




狂三の屋上対決は早々に消え去りました。正月の段階まではブロット組んでたのですが彼女の実装と同時に根本から消え去りました。このままだとバランス保てないですが、そこは数の暴力ということで決着をば。




次回は謎の少女《ビショップ》とヴィンセントとの過去編。


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第35話 側近の過去

どんどんと狂三編から離れていく〜^^;

なんもかんもあのエースちゃんがすべてを狂わせた。

今回デアラ要素皆無かもしれない。

こらそこ!毎回皆無だろとか言わない!!!


 

女王の最側近こと識別名《ビショップ》、またの名を個体名【エージェント・エース】。女王が作りし攻勢・迎撃プログラムにしてイーディスと同等の権限を持つALICEの中でも最上位の存在とされる彼女であったが、実は最初から女王の手によって作られたものではない、というのは一部の者にしか伝わっていない。

 

そもそも、ALICEの女王でも無から有を作ることなどできない。故にエージェント・エースもある素体を用いて造られた。それが、ヴィンスとの会話で明るみに出た【ピィ】である。

 

その過去は、かなり特異である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピィとヴィンスの出会いはおよそ2年前、それこそ、精霊という存在が人類に知らしめられる前の出来事である。

 

ALICEができて数ヶ月経った頃、サーバーデータの構築、及びメンテナンスを行っていたヴィンセントはとある依頼を受け一人クロエにも言わずトーリスで飛び立った。

 

『どこに行くの?』

 

「場所は....ダカール?」

 

『因縁の地だねぇ...。』

 

「確かあそこにはレウルーラ傘下の補給基地があったはずだが....。」

 

降下してみればあたり一面に広がるプラントの高原。かつて政治都市と宇宙世紀で呼ばれていたダカールはあのIS大戦の影響でアクシズに供与、といえば聞こえはいいが実際は土地の分轄であった。あの日国連に突きつけた条件は主要3都市の割譲要求であった。【ダカール】、【アラスカ】、そして鉱山都市【オデッサ】。もちろん敗北を喫した国連側は容易に飲むことはできず猛反発した。だが、

 

「へぇ?負けたのに文句言うんだ?....やって。」

 

「何を言って....ぐふぉ!?」

 

「貴様!?」

 

「認めないなら、一人ずつ順番に殺していくからね?これは最後通牒だよ。」

 

クロエが外交官の一人をエルで見せしめに侵食させて殺害し脅迫したところ、どうにか主要3都市の割譲を認めさせた。オデッサはもちろん鉱山資源の産出、アラスカはアクシズの地上本部設置、及びALICEメインサーバーの設置。そしてここダカールはほか基地への補給物資の生成などを担っていた。ちなみにALICEは大戦のあと、メインネットワークとして活用されるようになり今ではメタバース、ひいてはISコアも用いたフルダイブワールドとしての側面も持つようになった。おかげでエジソン達はこちら側に来ることはほぼ無くなった。いや、居なくなった、というのが正しいだろうか。

 

かつて大戦時にいたエジソン達はALICEの規模が巨大化していくにつれ仕事量が多くなりこちらの世界に来ることができなくなった。だからだろうか、ストライキが起こり一時機能不全を起こしたのだ。お陰様で世界は大混乱、暫くの間政治や株の動きですら滞ったほどだ。しかもそのストライキに参加しているメンバーはほぼ自分たちに懐いている面々、もはやお分かりだろう。戯れ合える時間が無くなり拗ねているのだ。困ったヴィンセントはやることが無くなり趣味に走っていた束にどうにか出来ないか打診した。すると。

 

「なら身体作ればいいよね!えいやー!」

 

なんと束、こうなることを予期してかコアを用いたクローンヒューマン技術なるものを確立していたらしい。基礎理論としてはハナヨやハヤナの人体構造を用いては居るが、実際はALICEと行き来するために体の一部にサーバーとのデータ接続端子を埋め込まれているらしい。それを用いてみんなの分を作ってくれた。するとどうだろう。一分も立たないうちにフェルミやエジソンを筆頭とした面々がデータをこちら側に移し、抱きついてきたのだ。あまりにも多すぎて述べ12人もののメンバーが押し掛けてきた。相当にストレスを溜め込んでいたのかは定かではないが、その日は開放されることはなかったと記憶している。

 

翌日、開放されたヴィンセントはやってきたメンバーに一つのルールを課した。【然るべきタスクをしない限りこちら側に来ることは…許さない。】そういうものだった。だが、それを全員が快諾、むしろ従来より効率が上がってしまい、仕事時間よりスキンシップの時間が増えたくらいだ。そしてその中にビショップことピィはいた。そう、居たのだ。

 

 

その事件が起こったのはある雨の日のことだった。精霊がチラホラと出現し始めた頃、ピィはその日はやることもなかった為ヴィンセントの元へやってきて膝枕をしてもらっていた。当時の性格はまだ内気で甘えん坊だったのだ。だが、それはサイレンの一声で崩れ去った。当時イギリスに停泊していたティーレだったが、空間震で容赦なく吹き飛ばされ、艦橋は見るも無惨な姿になった。その真下に艦長室があったのが不幸だった。瓦礫が崩落してきてヴィンセントとピィ諸共巻き込んだのだ。ふたりともぐっすり眠ってしまっていて崩落に気づくことはできず、そのまま巻き込まれた。ヴィンセントが目を覚ましたのはその事件から二日後の日である。膝枕をしていたはずのピィはいない、横を振り向くと顔に白い布が掛けられた....紛れもないピィの姿だった。顔面に直撃したらしく、即死だったらしい。最期の場面すら立ち会えなかったヴィンセントは深く悲しんだ。というのも、ピィは懐いていたメンバーの中でも、特にヴィンセントが可愛がっていたメンバーで、元々は両親が居なくなり自前の研究成果だけで上り詰めていた彼女はエジソンたちに誘われてヴィンセントたちのもとへ顕現した。その後は、境遇を聞いたティーレメンバーから娘のように可愛がられた。そういうわけだったのだ。中枢回路をやられているためどうすることもできず、停泊していたシェフィールドにその身体は埋葬されることとなった。と、ここまではいいのである。だが、問題はここからだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イーディスという全権大使を共生のために送り出した女王であったが、ユートピア事変以降の対策のため新たなプログラムを作る必要があった。そこにちょうどよく流れ着いてきたのが、死んだはずのピィの身体であった。女王はこれ幸いとピィを改修し【ビショップ】へと仕立て上げた。だが、記憶まではいじることができなかったようで記憶はそのまま残った。

 

 

 

「こ、こは....。」

 

「ここは、わたしの部屋。あなたは一度死んだのよ?」

 

「..お兄様は....ヴィンセントさんは....。」

 

「諦めて....もうあなたは死んだ身、どうすることもできないわ。」

 

「そん...な。」

 

「本当なら、記憶も消してさっぱりしようかと思ったけど、どうしてとあなたの境遇を見てると放っておけなくて。もし、あなたがしばらく私のために協力してくれるなら、いつか、とは言えないけどそのヴィンセントとやらに返すのもやぶさかじゃないわ。」

 

 

「..わかりました。」

 

ピィは否が応でもそれを承諾し、そこからピィは【ビショップ】となった。そしてとある日、

 

「これは霊結晶。日々の働きに敬意を評しあなたにこれを差し上げます。」

 

「霊結晶....。」

 

ビショップはそれがどういうことなのか噂には聞いていた。莫大な力を得られる代わりに世界から追われる身となること、そして私を殺した原因と同類になってしまう、ということ。だが、ビショップは彼にもう一度会えるなら、と容赦なくその霊結晶を取り込んだ。結果、片言しか喋られなくなり、その変わりに強大な力を手に入れた、ということである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「....そうか、お前も、精霊になったのか。」

 

 

 

「コレで私も追われる身ダ。私はお兄様とイレルカラどちらでも良いんだケド。」

 

「....こーりゃ引きこもり引っ張り出し案件かぁ....。」

 

過去を聞かされたヴィンセントは唸る。精霊、それもALICE出身となればいくらあいつとで干渉はできない。というかまずどうやってあの女王が霊結晶を手に入れられたのが謎だが、置いておくとしよう。と、不意に体制を変えて自身の体を預けるようなかたちで背中をこちらに密着させてきた。

 

「私ハ少し疲れたミタイだ....。兄様、御身体をお借りシテモ?」

 

「もとよりそれ狙いだろうが....好きなだけ休め。」

 

「アリガトウ.....。」

 

それを最後にビショップもといピィからは声は聞こえなくなった。変わりに静かな寝息が返ってくるようになった。死者となり女王によって弄くられたその身体だが、恐らくゾンビみたいなことはされていないと読んだヴィンセントは起こさないように背中にピィを抱え、自身の拠点へと歩き始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

過去を振り返っていた頃、琴里と士道、そして真那や狂三、さらにはクロエやクーまでもがフラクシナスの一室へと集まっていた。琴里と士道はもとより拠点なのだが、真那と狂三は不完全燃焼だからか、そしてクロエとクーはこの身に宿っている秘密を明かすべく来ていた。

 

 

「そうか...。あのとき、俺の身体が修復されたのも...。」

 

「そう、私の精霊としての権能である自然治癒が形となって現れたのよ。....私が精霊だと言うことは隠していて済まなかったわ。だけど、今こうして封印を解除してしまった以上、もう一度封印しなければならないの。」

 

「はぁ....琴里さんがあそこまで無茶する人とは思いませんでしたわ。一番のイレギュラーはあなたですけどね?クロエさん。」

 

「えへへ....。」

 

「はぁ....我がパートナーとして認めたこいつはこんなにも呑気だったかの....?」

 

クロエの隣には青いドレスを着たクロエと似つつも特徴的なティアラを頭に載せた少女が愚痴っていた。

 

「まさか、私達でも十全に制御できない精霊の力をこういう形で完全制御してるとはね...。」

 

「エルが居るからこそできる奥の手ってやつ!」

 

エルを通して実体化した精霊....というよりALICEメンバーであるイーディスはクロエの背中に飛び乗りだらんとしていた。と、不意に琴里が吐血した。

 

「琴里さん!?」

 

「士道....もう正直限界なの、あと数日もすれば私の意識は完全に持っていかれるわ。明日、明日のデートで全てにかたをつけて。お願い。」

 

「....分かった。」

 

 

 

 

琴里との約束を終えて出た士道たちだったが、フラグシナスを出て、自宅に戻ると、そこにはあの学校で襲ってきた少女を膝枕するヴィンセントの姿があった。全員が武器を取り出すも、イーディスだけは無反応、というよりかはちょっとふくれっ面だ。

 

「お、おいヴィンセント、なんでこんなところにあいつが....!!」

 

「それに、こいつはもうオレたちの敵じゃねぇよ。そうだろ?ピィ。」

 

「共闘戦線ダ、お前たちとは一時停戦ダ。」

 

いつの間にか起きてきていたビショップはその姿を私服姿から戦闘モードへとその姿を変えるとそのままヴィンセントに抱きついた。

 

「ん、お兄様は私のもの!」

 

「「「なぁっ!!?!!!」」」

 

「引きこもりを引っ張り出してきてEvS取り込ませたの、間違いだったかなぁ...。」

 

頬ずりしてくるビショップを見た全員は放心することしかできなかった。と、不意に男は口を開いた。

 

 

「さてさて、どうしたものか、うちの基地にはティーレや蓮、それにクーたちもいる都合上キャパ容量が限界なんだが...?

 

「そこは大丈夫、私は元々精霊ビショップ、いつでもどこでもヴィンスの隣に現れることができるから居場所はなくても結構。」

 

「それだから駄目なんだよ。放置しておいたらあとからアイツラに何言われるか溜まったもんじゃない。」

 

 

 

結局、ビショップことピィはヴィンスのパートナーとしてクロエたちとともに常にそばにいることになった。その結果、本格的な基地の増設が決定し、DEMやラタトスクが頭を抱えるのはのちの話である。

 

 

 

To be continued.....

 

 






狂三編おしまい!

次の琴里編は短編になりそうですわ。


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第36話 エースちゃん、がんばる。

五河シスター編。
多分サクッと終わります。
→終わりませんでした。


 

琴里のリミットが知らされてから数時間後のこと、夜も更けてきた天宮市の港に併設された軍事基地では慌ただしく準備が進んでいた。

 

「全艦発信できるように準備しておけ!」

 

「琴里ちゃんのデートを応援するとはいえ、まさかティーレの他に【ヴォルガ】まで動員するとはね...。」

 

「仕方のないことだ。明日のデートは少しでも失敗すると琴里が死にかねんからな、念には念を入れておくべきだ。」

 

ドッグで慌ただしく明日への準備が進められているビッグトレー級陸上戦艦3番艦ティーレと新造された6番艦ヴォルガのを確認していたクロエとヴィンセントだったが、さらに今日はもうひとりいた。

 

「ん、兄様、私の弾薬は生産できた?」

 

「気が早いんだよピィ....。」

 

「...これが、本当に女王が作った最側近のうちの一人なの?どう見てもお兄ちゃんに懐いてる妹のような存在にしか見えないけど....。」

 

「失敬な!もう戸籍上では二人の義理の妹ということになってますよーだ!」

 

そう、女王の最側近にしてヴィンセントの数少ない電脳世界での仲間こと【ピィ】改め【エージェント・エース】。今の恰好は無愛想な迎撃モードなどではなく、上はいつものパーカーだったが、下はスカートに長ニーソと少しばかりお洒落をしてヴィンセントの右腕に引っ付いていた。なおクロエも対抗と言わんばかりに左腕にピタリと抱きついいるので実質今ヴィンセントは両腕に何かしらひっついた状態である。

 

 

「そのくらいで喧嘩はよせ、後で帰ってくるティーレたちに何言われても知らんぞ....。」

 

それを聞き言い合いを辞める二人だったが、やはりスキンシップは止まらない。腕に少しばかりの胸を押し付けるクロエとほっぺをすりすりするピィ。二人の戦いはもう少し続きそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ところ変わってDEM改めAST基地では、この動きを察知したのか再生した基地で作戦会議が建てられていた。だが、その心持ちは重い。

 

 

「現状、我が部隊に残された装備はそう多くはないわ。スカーレット・リコリスもあるけどあれは常人には扱えない。なんだったら、あの襲撃のせいで人手ですら足りないのだから。」

 

「本来増員されるはずだった崇宮真那二尉は行方不明になり、折紙元隊員はあのあと裏切りASTの敵とも言えるアクシズに身を寄せていると来た。全く、どうすればいいのやら...。」

 

「装備班から報告させていただきますと、現状で用意できる装備は一式が約1個大隊、リコリス、そしてDEM社から補充兵器として用意された例の無人兵器【バンダースナッチ】、及びその改良型である【アラストル】がどちらも100体ずつ配備されています。」

 

「報告ありがとう。うちの情報部によるとラタトスクはここの遊園地を交渉にて抑えたらしいわ。つまりここで何かをするのは確実よ。すでに上層部に破壊許可も得ているので、ここを徹底的に破壊し精霊を撃破するわよ、いいわね?」

 

その後、発令された作戦はこの後の展開を大きく変えることになるのはまだ誰も知らない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日のことである。とある遊園地へと足を運んだ琴里と士道、そしてその付き添いできていた四糸乃や十香たちとともにサクサクとデートをしていた。もちろん琴里のことを考えて四糸乃と十香は二人で遊び合っているに過ぎないが。そんな四人を見守っていたのは他でもないヴィンセントだった。

 

「何事も起きなければいいが......。」

 

「よっぽどのことない限りは動かないと思いますよ?それよりも今までの分甘えさせてください...!」

 

女王の庇護がありつつも、完全なる自由行動を手に入れたビショップことピィは腕に抱きつき頬擦りをしている。感情を制限されていた今まではどうしようもなかったが、ヴィンセントと再会し感情が開放されたことで女王にも予知できないような存在へと昇華していたのだ。そんな二人であったが、もちろんやるべきことはやっている。

 

「少し離れろ....どうやらお客さんは相当早く来たみたいだっ!!!」

 

ヴィンセントが上をみやる。そこにははるか遠くではあるが飛行する機影が大群を為してやってきているのが見えた。ピィもそれを視認したのかすぐさま迎撃モードへ移行しガトリング砲をこちらに向けた。

 

「兄様、押さえつければいいんだね?」

 

「判断は任せる。」

 

それを聞いたピィは満面の笑みで飛び上がった。それを見送ったヴィンセントはインカムを軽く叩き全員へと通信をつなぐ。

 

 

 

 

「お客さんがきなすった。プランBだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、士道と琴里は二人きりで観覧車へと足を運んでいた。

 

 

「琴里、その、大丈夫か?お前が自分から封印されてほしい、なんて言うの、なんというか、おねだりみたいに見えて嬉しかったんだ。」

 

「...私だって、おにーちゃんとデート、....一緒にお出かけできたの嬉しかったんだもん!」

 

「そうか....。そんなにもてなしができなくてごめんな。琴里の中では点数は低いだろうけど、これが今俺にできる最大限の一日だよ。」

 

「....言われなくたって満点よ、ばか。」

 

いつの間にか白いリボンから黒いリボンへと付け替え司令官モードになっていた琴里は顔を赤らめながらそう言った。士道はほっと息をつき、琴里の方へ顔を上げる.....そして顔を青ざめ、咄嗟に琴里を庇った。

 

瞬間、二人のいるゴンドラが爆発した。

 

琴里は何がなんだかわからず、煙が晴れるまで待った。しばらくして晴れると、士道の拘束が弱くなっていることに気づき、士道の方を向く。そこには、左足と右腕が根本から吹き飛び、血塗れになっている士道の姿が写った。

 

 

「し....どう....!?」

 

琴里は声を失った。その攻撃の原因だと思われる方を振り向くと、そこには巨大なCRユニットを背負ったASTが居た。

 

 

「たしかに負荷が凄い...わ。私でもそう長くは持たない、かもね....だけど、目的は半分達成できた。」

 

 

リコリス型CRユニットの試作一号機である【スカーレット・リコリス】を展開した隊員のその言葉を聞いたとき、琴里から思考が消え去った。

 

 

 

「....【灼爛殲鬼】!!!!」

 

 

 

もう躊躇うことはないだろう。だってもう私は、後戻りできないのだから。

 

 

 

その日、少女は正真正銘の【鬼】へと変貌した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「....やーっべ、総員第一戦闘配備!ヴォルガとティーレを叩き起こせ!アリスとアインに連絡!いつでも出られるようにしておけと!あとはクロエとクーはピィとともにバンダースナッチ隊の足止め!折紙は改修したホワイト・リコリス改を受領後琴里を抑えに向かってくれ!」

 

『了解!!!!!』

 

ことの重大さを理解した全員がすぐさま動く。駐車場で待機していたヴォルガと基地にて眠っていたティーレがステルスを解除し側面砲塔と主砲塔が起動していく。

 

ヴィンセントの予測があっているのならば、今の琴里は反転しかかっている状態だ。このまま意識を呑まれると完全に殺さなければならなくなってしまう。その前に意識を引きずり戻さなければならない。さらにヴィンセントにとって懸念事項はもう一つあった。

 

「おそらく士道はあの爆発で多少なりとも負傷しただろう。もしこれで死んでいたら....。」

 

「それは大丈夫ですわ。【四の弾】で体はもとに戻しましたわ。」

 

「一気に難易度が下がった!!!」

 

思いもよらぬ狂三からの朗報に一気に難易度が下がったことを理解する。だがそれでも凶報は止まなかった。

 

『ごめん、ヴィンス!解析したら琴里ちゃんの中にディザスターが隠れてた!』

 

「「えっ?」」

 

『個体名【アウトレイジ】、鬼の災害だわ!おそらく琴里ちゃんが暴走しかかっている原因はこれだよ!』

 

「まぁた厄介なことで!!!」

 

アリスからの情報はまさにありえてほしくない情報だった。先の襲撃により戦力は大方出払っており、十香や四糸乃もバンダースナッチ隊を抑えるのにつきっきりだ。だからこそだろう。

 

「.....アリス、アインにも伝えてくれ。琴里を開放してくれ。」

 

『ふふ、任せておいて。だって私はパパの遺した最高の娘、だからっ!』

 

アリスは満面の笑みで通信を切った。

 

現状災害化しようとしている琴里、そしてバンダースナッチ隊、更にAST残存部隊と約3方面に分かれて戦闘をしており、もはやデートは続行不能である。ヴィンセントはひとり考える、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バンダースナッチを薙ぎ払っていたピィだったが、やがてそれにも限界はあった。

 

......カタタタタタタンッ!

 

「....残弾数ゼロ....。」

 

「足が止まった....!全員、あいつに向かって総攻撃!!!」

 

ピィの強大なガトリング砲がその息を引き取った瞬間、分散していたヘイトが一気にピィへと向けられる。しかし、ピィもまた、諦めるつもりなど毛頭なかった。

 

「私は女王から名を受けて行動している。故に、負けは許されナイ....。だから.....EvS起動、モード移行開始。」

 

無機質な声とともにピィのガトリング砲が分解され別の武装へと構築されていく。やがてひとつの大剣になったかと思うと、それを片手で持つ衣装の変わったピィの姿。だが、前までとは違い黒ずんだような服ではなく、白と水色に染められた澄んだ服装だった。目の色も黄色から澄み渡った赤へと色を変えていく。

 

「私は負けるわけにはいかない!だから、ダーくんから無理やりもらったこれを使ってでも、あなた達はここから一人たりとも逃さないっ!!!」

 

それはピィの覚悟であり、自身がここに居住をする覚悟の現れだった。よく言えば体のいい雛立ちともいう。

 

長い一日はまだ終わりそうにない。

 

To be continued.....




ブロット全崩壊ですたすけて。

本来のブロット
→デートまではごく普通にやってこのまま新要素はあまり増やさずに原作順序で進める予定だった。

今のブロット
→例のゲームのあいつが全部悪い。お陰様でブロット位置から組み直しです終わりだぁ....。


どこかで軌道修正かけたいですけどどうも無理そう。


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第37話 コズミック・レイ

不定期更新!

ほんとに更新するしないの振れ幅がえぐすぎぃ!


 

 

襲撃からはや12分、戦場は大きく分けて2つに割れていた。エージェントエースことピィが単独で大多数を相手にしている東側。暴走した琴里を止めるべく集結した西側。対してASTも東に大多数の戦力を割いたせいか西側には日下部率いる精鋭部隊しか集結していなかった。西側には狂三はおろかアクシズへと渡ったホワイト・リコリスを操る折紙に真那、さらにはユウカやアリス、ノアまで到着し、最前線にはトーリス三連星ことクロエ・クー・ヴィンセント、最後衛にはビッグトレー級のティーレとヴォルガの援護砲撃。正直言ってASTの部隊だけでは荷が重かった。

 

 

「うぅぁぁぁぁ!!!!」

 

「来るぞ!総員衝撃に備え!」

 

琴里の咆哮にクロエたちが一気に構える。しかしそれをただ黙ってみているだけのASTではない。

 

「攻撃目標設定!識別名〈イフリート〉を軸に〈ナイトメア〉、〈クイーン〉を徹底砲撃!」

 

「そうはさせるか!ヴォルガ、聞こえてるな!!!」

 

『はいはーい!六連粒子砲だね!』

 

「まかせた!」

 

『おっけー!』

 

 

 

ヴィンセントの合図を受けたヴォルガ内で待機していたすっかりおなじみの3人姉妹が慌ただしく動き、小さく動くその点を捉える。

 

「主砲、ふぁいあ!」

 

 

まかり通っても新造艦。その砲撃は真っすぐ伸びてASTの一団へと突き刺さった。この砲撃で約半数が戦闘不能となり、一部の砲弾がナイトメア他イフリートへと伸びたが、どれも至近弾に終わった。

 

「危なっかしい砲撃ですこと!でも動きは止まりましたわ!」

 

「それならっ!!ピィ!」

 

「おっけぇ!全員まとめて消し飛ばします!撃滅上等!【コズミック・レイ】!!」

 

ピィが大きなその大剣を振り下ろす。巨大なビームサーベルと化したそれは残りのASTとイフリート諸共呑み込み地面まで叩き割った。しかし、叩き割ったまでは良かったが負荷が高かったのかピィの変身も同時に解けてしまった。

 

「ごめ....私はここまでみたい、後は任せたよ...!!」

 

「分かっているさ!ここからは俺達の出番だ!」

 

士道が琴里へとたどり着くまでの道標はピィが示してくれた。ならば、後はその道標を下に向かうだけだ。

 

「クロエ!先導は頼んだ!ユウカ達はこのまま士道と合流して琴里の下まで護衛を!」

 

「「了解!」」

 

それぞれが指示に従い切り開かれた琴里への道を突き進む。ASTも己の任務を果たすべく後を追うが、そうやすやすと通過はさせまい。

 

「此処から先は行かせない!!」

 

「ヴォルガ、ティーレはここで座標固定!総力戦だ!!!」

 

ASTの正面にいるのはフルバースト体制のビッグ・トレー級2隻と直掩に回っていたハーディ達の艦隊戦。あとは、成すだけである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

合流した彼女たちに待ち構えていたのは【砲】モードの琴里、対するは士道に護衛してきたクロエとユウカ達。

 

「琴里!!!」

 

「うああああっっっっ!!!!!!」

 

「聞く耳持たずってところね.....!!!」

 

 

 

暴走し辺り構わず破壊して回る琴里の姿に士道も言葉を失う。ユウカもまた呆然としている中、クロエ唯一人はシールドを構えていた。

 

 

「さて、どうするべきか....。」

 

「琴里は俺の妹だ。対処だけは俺にさせてくれ。」

 

「....そ。なら私は琴里ちゃんからアレを引っ剥がすだけだね!!」

 

クロエは琴里の上にある強大な魔物のような存在に目を向ける。アウトレィジ、最後の一人と呼ばれたものでラヴィジたちの仲間でもある。どうやって引っ剥がすか考えていると、ユウカが先に声を上げた。

 

 

「ひとまず琴里さんを無力化するのが先なんじゃないの?私はシールドを生成できるし、クロエちゃんは最悪そのシールドを使えばなんとかなるでしょう?」

 

「そうは言うけどね....どうするのよあれ、止めるだけならまだしも、理性を取り戻させるなんてそうそう難しいの。」

 

 

『....なるほどな、話は聞かせてもらった。』

 

 

突然の通信に二人はビビるが、その声の主は見覚えのある声だった。

 

「お兄ちゃん!」

 

「ヴィンセント!!」

 

『琴里を正気に戻せるきっかけがあればいいんだな!?』

 

「そうよ!琴里を落ち着かせる為には彼女が正気にならないと!」

 

『なるほどな....。出番だぞ。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ....ぼくァあくまで研究者で戦うことは得意じゃないんだけどなァ...。」

 

二人が声のする方向へ振り向くと、そこにはひょこひょこと本来の人にはないはずの耳を持つ人物がいた。

 

 

「「「ダーウィン!?」」」

 

 

「アイツから頼まれちゃったからね、ま、ボクの戦いってやつを見せてあげるよ。」

 

 

識別名【イーヴィス】ことダーウィン。彼女がなぜここに駆り出されたのか。士道にとっては検討もつかなかったが、クロエがニヤリと笑ったのを見るになにか策はあるらしい。

 

 

「何分もたせれば良い?」

 

「20秒!!」

 

「了解!!」

 

彼女の要求に答えるべくクロエは己の得物を片手に砲を構えた琴里へ突撃していく。

 

「ウアァァァァァ!!!!!!!!!!」

 

「待ってて....今助け出してあげるから...!!」

 

次々と襲い来る砲の砲撃。しかしそれを軽々と交わし、ダーウィンや士道に当たりそうな攻撃は尽く撃ち落としていく。そうしてしっかり20秒。稼いだ時間は十分すぎた。

 

「....よし、これで!」

 

「ほんとに20秒で....。」

 

「キミ、士道とか言ったね?」

 

「あ、あぁ。」

 

「キミにこれを託すよ。これを彼女の頭に付けてあげたら彼女は一時的ではあるが理性を取り戻すはずさ。あくまでも急造品だからそこまで長い時間正気は保てないと思ってくれたまえ。」

 

「ありがとう。絶対に助け出してみせる!!」

 

士道は琴里に向かって駆けていく。直線距離にしてもう50mほど。琴里からの砲撃が来ようがお構い無しに突撃しついにめのまえへとたどりついた。クロエも同じタイミングで背後をつき琴里の両手を拘束する。

 

 

「士道!早く!!」

 

「あ、あぁ!」

 

手を拘束され藻掻く琴里にダーウィンから渡されたリボン型のEvSを彼女がリボンをいつも付けている位置に付けた。すると琴里がとたんに大人しくなり、力が抜けたようにだらんとした。

 

 

「琴里ッ!?」

 

「....おにー、ちゃん?」

 

 

「大丈夫だったんだな!!?ごめん...遅くなって....!!」

 

「....ばか。」

 

 

「....いつだって琴里に助けられてきたからな。こんな事になってるなら相談してくれたら俺だって助けたのに。」

 

 

膝から崩れ落ちる琴里を抱え膝枕をする格好になる琴里と士道。近くにはクロエとダーウィン、そしてユウカもいたが、兄妹水入らずの場に横槍は良くないと周囲から邪魔するやつが来ないか警戒していた。と、ダーウィンが琴里に付いたEvSの反応を見て渋い反応をする。

 

 

「...んん?おっかしいなァ。」

 

 

「...何が?」

 

 

「彼女が暴走した原因、てっきりアウトレィジが原因かと思ってたんだけど、これを見てくれたまえ。」

 

と、二人にとあるパラメーターを見せてくれた。

 

 

「これは?」

 

「これは琴里の感情パラメーター。いわゆる理性的な行動ができるかどうかのパラメーターなんだけど、アウトレィジによる干渉がこれ。そして、これが琴里自体の干渉だねェ。」

 

ダーウィンが示したそれ。パラメーターはおおよそ8割近くが彼女の不安定な感情による暴走、そして残りの2割をアウトレィジが助長したことで琴里は暴走にまで陥ったと説明した。

 

 

「ま、大方察するに士道君とデートして直接封印してもらう。だけど、最初から封印できるラインまであったからそれだといや、という感情が増大した結果、彼女にとってのストレスとなり結果暴走した。今の彼女は感情をEvSによって周囲に分散しているから抑え込めているに過ぎない。いずれ許容値をオーバーしたらまたさっきみたいなことになるだろうねェ。」

 

 

「....どうすんのこれ?」

 

「まあ、そんな心配もいらないんじゃない?見てよあれを。」

 

クロエが士道達を指さしたのでそちらの方を見てみると、優しい口づけで琴里を封印した士道の姿が。それと同時にASTが突破してきたのか数人ほど追撃してきていた。まさかと思い2隻があった方向をみると黒煙を吹き上げるティーレとヴォルガの姿が。

 

 

「あちゃー....。」

 

「っち...一味遅かったようね....。」

 

「流石に家の本拠地2隻も破壊されてハイそうですかと通すわけにはいかんな。それに、お前らの望む精霊はもういねぇよ。」

 

「あら?でもそこにイーヴィスが居るじゃない?」

 

「ちょ、ちょっとぉ!?ぼくァ心優しい精霊だよ!?」

 

「嘘つけ!!!!!!!!」

 

この後、ASTは埒が明かないと戦闘をすることもなく撤退していった。琴里たちもフラクシナスへ帰ったようなのでアリスやユウカたちを回収し黒煙を上げている2隻のもとへ向かう。損傷はそうそうたるもので、しばらくはまともに動かせないような状況だったが、そこは束お手製技術。さらにダーウィン率いるアカデミア軍団の技術もあり数日もすれば復旧できるとのことだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日が経過した頃、完全に復旧した艦内には数名が休憩室でゆっくりしていた。

 

 

「はァァァ....やっと騒動が収まった...。」

 

 

「収まったとは言っても、後処理がものすごく面倒だったけどね〜。」

 

休憩室で休んでいたのはヴィンセントにクロエ。あのあと、どうなったかといえば、精霊化したアリス達の扱いをどうするかそれはそれはもう揉めた。特にアリスは女王の対抗策となる存在、一刻も早く返さねばならない案件だったのだが....。

 

 

「そのことなら問題ないと思うよ?陛下もどこかに紛れ込んだし!」

 

「えっ?」

 

「そうじゃの、精霊という存在を認知した陛下はここ数年前から我らに独立命令を残して失踪しておる。」

 

 

 

 

 

「「......えっ?」」

 

 

クロエから意識を乗っ取ったイーディスとピィの爆弾発言により、事態は一変する。女王の失踪。それはこの件を根本から変える事態でありアリスを返す返さないの話どころではなくなった。そのため一旦アリスたちはクロエたちのところで面倒を見ることになった。その為.....。

 

 

 

「女王...どこに隠れたんだろう...。」

 

 

「すぐに分かったら苦労しないんだけどね〜....。」

 

ティーレ艦内で暇そうにするアリスとピィの光景が新たに増えた。アリス自体は戦力の中でも上澄みの上澄みなのである程度対抗はできる。最も、戦闘させないでおくのが一番平和な光景なのだが。と、クロエが端末が鳴っているのを確認した。

 

「お兄ちゃん、端末なってるよ?」

 

「ん?おお、ありがとな。しかしだれだ...?」

 

ヴィンセントの連絡先を知っているものは実は意外と少ない。フラクシナスの面々や戦友くらいにしか知らせていないのだ。恐らくそのうちの誰かだろうとヴィンセントは端末を開き.....固まった。

 

 

 

 

 

「.....おいおいおい嘘だろ!!?!!?」

 

ヴィンセントが端末を開いた瞬間に見えた文字。そこには

 

 

 

【正義の神様】

 

とあった。ヴィンセントはこんな痛々しい名前を使う人物に一人しか心当たりがなかった。

 

 

 

 

「....うわぁ、あの子が連絡くれるなんて珍しいね....。」

 

 

「ったく....なんなんだ....?」

 

 

端末を対応モードへと切り換え受ける準備をする。また面妖なことが待っている。そんな予感がするのだった。

 

To be continued....

 

 

 

 




2024年もよろしくお願いしますとか言ってる場合じゃねぇよな一年ぶりってどうなっとんねん我ェ!!!


って思ってるだろ?実はまだ一年経ってないんだぜ?


原作キャラ、まだ増えそう。多分原型のげの字も無くなりそう()


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この先予定地(書きたかった場面のこし)
第○○話 一番疾いのは僕だよ?


嫌じゃー!!!

既存作品の続き書きたいのにそれのネタの元ネタを書くためにこっちかくはめになるぅぅぅ!!!!


二人の空で双子が暴風とともに奔る。

 

「二人が争う理由なんてないだろうが!!!」

 

「煩い!!あんたは黙ってて!!これは夕弦と私の戦いなの!!」

 

その声に載せられた風の斬撃が二人を襲う。そこにさらに別方向からの攻撃がとんでくる。

 

 

「なっ....!?」

 

「やはりあなた方は精霊、でしたか。」

 

「エレンさん....!?」

 

「いや、これは失敬。わたしはエレンはエレンですがエレン・M・メイザース。DEM代表取締役の秘書にして執行部長の名も持っております。」

 

「DEM.....まさか、アクシズを襲った...!!」

 

「流石にそこまでの情報は機密にはできませんでしたか...ならば尚更同行を求めねばなりませんね、五河士道。」

 

「っ!?」

 

自分の名前を言われてかすかに動揺する。本来名の知らぬ者に突如名前を言われると驚く。その理論と同じだ。

 

「同行できない....と言ったら?」

 

「その時は、実力行使ですね。」

 

瞬間、エレンの見た目が一瞬でゴツゴツした見た目に変わった。

 

「私専用のユニット【ペンドラゴン】。痛い目に遭いたくなければ素直に同行することを勧めますが?」

 

「....はっ、出来るかよ。お前らみたいな奴等が精霊を苦しめるなら尚更だっ!!」

 

「残念です。....バンダースナッチ隊、全機出動させてください。目標は五河士道、そして夜刀神十香のみに絞って攻撃を。骨の一本二本くらいならば許容できるでしょう。」

 

どこかに通信しているのか剣を向けながら喋っているエレン。二人は攻撃しようかと構えるも隙が見当たらない。が。

 

「っ、なんですって!?アルバテルが襲撃!?バンダースナッチは防衛に回していて送れない!?誰がそんな指示を飛ばしました!!....こっちに打ち漏らしが来る!?.....クッ、一刻も早く対処を済ませ送りなさい。失敗は許しません。」

 

再び聞こえた不穏な声。通信が終わったのか構えを変えたエレン。そして片手で持つともう片手をクイクイと振ってきた。明らかに挑発している。

 

「チッ、士道!!もう我慢できん!!」

 

『そこどいててよぉ〜ッ!!!!』

 

「「!?!?」」

 

第三者の声に士道達は驚き一歩下がる。そこに空から二人落ちてきた。器用に着地し二人の方を見やってきた。

 

「お待たせっ!!」

 

「ア、アストルフォ!?」

 

「それに....テホ厶も!?」

 

「.....すぐ終わらせる。待ってて。」

 

「.....クッ、どこまでも邪魔をしますか!【元DEM日本支部代表取締役】アストルフォ!!コードネーム【冥怨深怨】!!」

 

「....テホムってさっき言ってたじゃん....。」

 

まさかの呼び名ガン無視。流石にキレていたのかテホムの獲物であるクナイのようなものがテホムの周囲を漂う。アストルフォも自身の宝具であるカリゴランテの剣を展開していつでも戦う姿勢はバッチリのようだった。

 

「さて、これで4対1だね?」

 

「っち、面倒な....。」

 

しかし数的劣勢だけでは引かないエレンもまた自身の剣を構え直す。

 

「全員倒すべき相手が増えただけなのだからっ!!!」

 

「全員攻撃再開っ!!!」

 

一瞬で跳躍したエレンの剣とアストルフォのカリゴランテの鍔迫り合いを口火に深夜のバトルが再開した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(あ、そういえば道中であいつが二人の噂を聞きつけて滅多打ちにしようとここに来てるの教えるの忘れてたけど.....まあいっか!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

巡洋艦【レウルーラ】艦橋部

 

フラクシナスと共に一時的に行動を共にしていたレウルーラだったが、そのレウルーラは現在戦闘行動に入っていた。相手は空に浮かぶDEMの空中艦【アルバテル】。しかしそれだけならばフラクシナスにいる神無月に指揮を任せれば大抵は大丈夫。そのはずだった。が、

 

「ん〜、迎撃にバンダースナッチを全て投入してきましたか。【世界樹の葉】を用いても迎撃はそこそこが限界でしょうね。.....なるほど、ものに言わせた物量作戦を展開してくるとはDEMらしくない。」

 

DEMの最新戦力として投入された無人機体【バンダースナッチ】。それが約2400機。どこにそんな数格納しているんだ。しかしその理由はすぐに明らかになった。

 

「副司令!!北方向より新たに空中艦【アルバテル】の反応6!!全艦よりすでにバンダースナッチらしき機影が出た模様!!」

 

「ちぃっ!完全に包囲されていますか!!随意領域生成機の魔力を全て防性領域に回しちゃってください!各砲座は適時【世界樹の葉】をばらまき迎撃に徹すること!!」

 

このままではジリ貧。ましてや今回はレウルーラもいるとはいえこの物量はいささか不味い。一つのアルバテルに2400機いると推定すれば増援も合わせると14400機。このままでは何れ墜ちる、そう思っていた。

 

 

 

だが、どこでも予想外は存在する。そう、当日になって修学旅行への随伴を中断せざるを得なかったヴィンセント他数名。

 

瞬間、閃光がアルバテル一隻を一刀両断し爆散に追い込んだ。

 

 

『神無月!!生きてるな!!』

 

「っ、その声は....。」

 

通信を繋いで聞こえてきたのはもう一つの艦の司令で最もDEMが恐れていた戦力。

 

『待たせた!ヴィンセントただいま現着した!!』

 

ヴィンセントが駆るトーリス改。さらに、

 

『全く、人使いが粗いったらありゃしないよ!!クロエ、ただ今現着!』

 

シールド内臓のビーム砲を正面のアルバテルに撃ちながらフラクシナスの前に立つクロエのトーリス、

 

『こちらハヤナッ!まったくもう、世話が焼けるわねっ!!』

 

襲い来るバンダースナッチを次々と袈裟斬りにし文字通り火球へと変えながら到着したハヤナのセファーラジエル。

 

「貴方達.....!!」

 

『取り巻きは任せておけ!神無月たちはアルバテルの破壊だけに集中しろ!!』

 

「援護に感謝を。これで私も全力が出せる....!!」

 

『地上にも貴重な戦力であるアストルフォを援護に回したんだ、きっちりやるべきことは果たしてくれなきゃ割に合わん!!』

 

取り巻きを倒す三人の援護ができたことで、砲撃を邪魔するバンダースナッチがどんどん消し飛んでゆく。それにより、

 

「ミストルティン、発射!!」

 

「全砲塔回頭、標準敵巡洋艦【アルバテル級】!!主砲、ってぇ!!!」

 

フラクシナスのミストルティンとレウルーラの連装メガ粒子主砲五門の一斉射撃が同時に襲いかかる。当然これをアルバテル側は防性領域で防御にかかった。

 

「....掛かったな。」

 

が、瞬間、爆発が起こった。レウルーラの主砲が領域を無視して艦体を貫通したのだ。

 

「領域は魔力、霊力による攻撃を無効化するシールド的存在。だが、レウルーラの主砲は核融合炉を用いた超強力な収束火線砲だ。領域なんて関係ねぇ....!!」

 

貫通した艦体から黒煙と爆発が連鎖する。高度も落としているようで落ちるのも時間の問題。しかしまだまだ止まらない。

 

「連装ミサイル全発射管装填、全弾散弾弾頭だ!目標アルバテル!全艦一斉射撃!我がレウルーラを敵に回したことを後悔させてあげろ!」

 

ミサイル発射管から放たれたいくつもの散弾がアルバテルの陥落を決定的なものにしていく。ついにはエンジンブロックに被弾したのか大爆発とともに真っ二つになった。しかもその破片が別のアルバテルにクリティカルヒットしたから溜まったものじゃない。

 

「ふぅぅぅぅ......これで、一件落着かな。」

 

いつの間にか、空を埋め尽くしていたバンダースナッチも一つ残さず狩られていた。

 

 

「あとはお前らの頑張り次第だぞ......

 

 

 

 

 

         士道。」

 

そうヴィンセントは言い残しレウルーラへと身を翻していくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、アルバテル陥落の報を聞いたエレン。状況は最悪だった。空では【ベルセルク】がそっちのけで言い争いをするわ陸では最大最悪の戦力であるアストルフォとテホムがいるわ士道たちには手を出せぬまま、アルバテルの部隊はすべて落とされ。完全にプライドがズタズタにされた彼女は余裕ぶっていた一瞬の隙をつきアストルフォの喉元に剣を突き立てた。

 

「チェックメイトです。」

 

「なぁっ!?」

 

「アストルフォ!?」

 

「あのような一瞬さえあれば私にとっては十分です。ベルセルクも速いですが私の反応速度は補助ありきでその上を行く。負けるべくして負けたのですよ、あなた方は。」

 

「.....あーあ。」

 

不意にアストルフォが彼女から目をそらした。士道と十香も突然の行動に困惑する。唯一察したテホムはアストルフォの腕に捕まり震えていた。

 

「.....来ちゃったよ.....。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ねえ?今疾いって、言ったよね????』

 

その言葉とともにエレンがものすごいスピードで吹き飛ばされた。だがしっかりと姿勢を整え最小限のダメージで抑えたらしい。だがその姿を見てエレンは再び顔を顰めた。

 

 

「貴方はイギリスで本社の部隊が軒並み足止めさせた挙げ句殺したはず......!!なぜ生きている!!!」

 

『声が遅すぎて聞こえないよ。もっとちゃんとハッキリ言って?』

 

「舐め腐ったことを言ってくれますね【アルビオン】ッッッ!!!!!!」

 

皮肉を適当にあしらっているその姿は機械化されたドラゴンの姿をしていながら中央にいるのは小さな少女。半分はその人物を知っていた。

 

「あれ.....は.....。」

 

 

「.....私達にとってイギリス支部における最大戦力のうちの一人、識別名【アルビオン】、真名【メリュジーヌ】。僕たち英霊四天王の一人にして、アクシズ幹部の一人さ。」

 

アストルフォはそう高らかに二人にその正体を告げた。なお当の本人は、

 

「もう、せっかく来てあげたのにそれは何?宝具撃たれたいの?」

 

おこであった。そんな彼女を適当にあしらいつつアストルフォはおだてるように囁いた。

 

 

「君がそんなに早いならそこにいるエレンの殲滅と空で戦ってる自称君よりも疾い【ベルセルク】たちの対処、任せてもいいんだよね?」

 

「最速の名にかけて、僕より速いものが居ないってことを証明してあげるよ。」

 

アルビオン改めメリュジーヌは左手に自身の獲物であるランスを取ると戦場に向かって飛び出すのだった。

 

 

To be continued.....

 




というわけで新たにメリュジーヌが登場です。

四天王はあと二人だけど誰なんだろうねぇ(すっとぼけ


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第〇〇話 破軍歌姫とVTD

どうも筆がのらないので最近お迎えした最推しの一人を新規登場。

もうね、どうやって出そうか悩んだけど案外絡みやすい子いたよねって。


ある日のことだった。

 

「ヴィンセントさーん!」

 

玄関から聞こえる可愛らしい声の主を迎えるべくヴィンセントは自身の作業をやめて玄関へと向かう。ついて玄関を開けるとそこには案の定、

 

「こんにちはヴィンセントさん、クーロンちゃんは居ませんか?」

 

と早口で喋るのは士道に霊力を封印された破軍歌姫の天使の持ち主こと美九。つい先日まで争っていたが先の美九が言ったクーロンと言う少女に負け、それ以来定期的にここに訪れるようになっていた。

 

「はぁ、うちは練習教室じゃないんだがな...リビングで待ってろ、クーロンを呼び出してくる。」

 

「はぁ〜い。」

 

美九はヴィンセントに反応を示すと毎回お世話になっている馴染みのあるリビングに入る。と言うのも美九が来ているのは本部である戦艦ティーレではなく表向き用として建てた海運業者の建物のリビングである。その頃ヴィンセントは上の撮影部屋に向かっていた。そしてその部屋からは微かに音楽が聞こえてくる。

 

「おーいクーロン、美九が来てるぞ〜。」

 

「分かった〜、今キャロルとエジソンといろいろ会議してるからもう少ししたらそっちに行くよ〜。」

 

「早めに来いよ〜。」

 

ヴィンセントはそう言うとその部屋を後にしてリビングへと向かう。途中口論が先程の部屋から聞こえるのは気のせいだと信じたい人生である。

 

 

「あら、クーロンちゃんは?」

 

「キャロルたちと会議中。流石は美九と並ぶトップアイドルだよ、昨日の昼からぶっ続けで会議してるよ。」

 

「あの人も大変ですのね....。」

 

「大変と言ったらクーロンがお前と出会ったときのこともそうだったな。」

 

「あー、あの時ですか。まさか私の天使が聞かなかったときはちょっと驚きましたね。」

 

そう言い二人は回想に思いを馳せた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう、それはヴィンセント達が美九達と相見えているときの事だった。

 

「あなた達!あの汚らわしい男達を殺してしまいなさい!!!」

 

「くぅ!?あの様子じゃ話すら聞いて貰えそうにないか!?」

 

「おいヴィンセント!どうするんだこれ!?」

 

「撤退しかないだろう!?狂三も残存時間が少なくて迂闊には天使が使えないみたいだし....クッソ!!」

 

誰もが諦めかけていたその時だった。あたり一面にスポットライトが当たり始めたのは。

 

「!?このスポットライトは....まさか!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうだよ!そのまさかだよ!ヴィンセント、まだバテて無いよね!?」

 

その元気な声と共に姿を表したのは....。

 

「....まだあなた達は私の洗脳にかかってないみたいですね....!!」

 

「え?何言ってるの?あんなクソボイスなんてアカデミアシステムでチョチョイのちょいさ!!」

 

「...へへ、来るのが遅いぞ!!クーロン!!」

 

上空に浮かんでいたのは美九よりファンが多く、平成の一角とも呼ばれたクーロンだった。さらにその周囲にも人影が見えた。ヴィンセントと士道はその姿を見て驚愕した。

 

「御兄様!!」

 

「お兄ちゃん!!」

 

「クー!クロエ!」

 

ヴィンセントは飛び込んできた二人をしっかり受け止めると頭をなでてやった。久しぶりの再開からか二人の目には涙が映っていた。

 

「お兄ちゃんごめん、たかがあんな声に洗脳されてお兄ちゃんを攻撃しちゃってたなんて....。」

 

「あれは仕方ないさ。だが、仕返しはしたいんだろ?」

 

「お、おい、ヴィンセント。そうやすやすと二人が戻ってきたと信じてもいいのか?」

 

「ああ、大丈夫さ。ここまでは【脚本通り】だからな。」

 

「?」

 

 

 

「ええ、そうね。今のところは私達の【脚本通り】よ。」

 

「これが人の業であり罪でもあり。やがては精霊すら滅ぼす!!」

 

 

「キャロル!それにアリスも!」

 

「えぇ!?Vivid10Dollsのプロデューサーとその2大アイドルのもう片方も!?おいヴィンセント、一体どういうことなんだよ!?」

 

士道はもうわけもわからずヴィンセントに問い詰めるが、当の本人は二人に抱きつかれて身動きが取れなくなっていた。

 

 

「お前ら....少しは離れろ!」

 

「やだ!今日一日は離さない!」

 

「おとなしく私達に甘えられててください!」

 

「えぇ......。」

 

「......。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなこんながあって今の美九がいたりする。

 

「美九ちゃん〜お待たせ!」

 

「律儀に出迎えてくれるとは、流石は私に並ぶトップアイドルですね!」

 

「まあ今度一緒にライブやるしね。ちゃんと改めて顔合わせはしておいたほうがいいかなって!」

 

笑顔で家に上がらせるクーロン。その顔はどこか楽しみを見つけた表情であふれていた。それを見たヴィンセントは、

 

「....ふ、やっぱりクーロンって、すごいな。」

 

と、改めてクーロンの凄さについて再認識しているのであった。







キャロル・ア・ライブとかいうアイデアが思い浮かんだので投稿。


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第○○話 虚ろなりし時間の使者

実装された勢いで書いた。後悔はしてない。





なんの変哲もない閑静な商店街。士道は琴里とひさびさに夕飯の食材を調達すべく足を運んでいた。

 

 

「しっかし、あれほど仕事が溜まっていたのによく終わらせることができたな?」

 

「せっかくの年末年始だしやることが無い神無月に押し付けたのよ.....。」

 

黒リボンをつけてそういう琴里だったが、ふと前を見やり足を止めた。

 

「....士道、目の前のあれ.....。」

 

琴里が目の前を指差すと、ツインテールに霊装ではないが白い服を着込んだ少女が二人の前を横切っていった。

 

「....狂三、か?」

 

「はぁ....こんな商店街で何をするつもりなのかしら、追うわよ。」

 

「十香達には話しておくか?」

 

「いや、十香たちも年末年始くらいは自由にさせてあげましょ。もっとも、ASTがなにかするなら流石に呼び出さなくちゃいけないだろうけど。」

 

こうして、奇妙な追跡が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※天宮市 港湾基地内部

 

「......?ティーレの知り合いが近々くる?」

 

ヴィンセントは突如として訪問してきたティーレの報告を聞き少し驚いた表情をする。と言うのも前々からティーレの方から鉄血陣営が訪問して来ることは滅多にないと聞いていたのだが、今回、その知り合いが来ると聞いて少し意外だな、と思っていたりする。

 

「それで、いつ頃に?」

 

「通達があったのが昨日の夜頃だったので、何事もなければそろそろ来るはずです。」

 

ティーレがそこまで呟いたとき、3回ノックが響きドアを開ける音がした。

 

「邪魔するわよ。」

 

「誰だ?」

 

突然の訪問者にヴィンセントはすぐさま拳銃を構える。が。

 

「!?.....引き金が、引けない!?」

 

まるで時でも止められたかのように体が動かなくなるヴィンセント。それを見たティーレはその主が誰なのか一瞬でわかり、口を開いた。

 

「あ、もう来てたんですねペーサー。」

 

聞き慣れない単語を聞いたのかヴィンセントの頭がはてなマークで覆われた。

 

「ペーさー?」

 

「名前を言ってませんでしたね。こちら、鉄血海軍対セイレーン技術秘匿管理基地の長こと【ペーサー・シュトラッサー】さんです。私達鉄血海軍の中でもビスマルク様の次席と言えばわかるでしょうか?」

 

ティーレがそう説明すると、その全身を見たヴィンセントは思わず声を漏らしていた。

 

「......狂三じゃねぇのこいつ?」

 

「失敬な。確かにペーサーさんは狂三に姿形は似てますけど!特技は......特技.....狂三じゃないですよね?」

 

「航空攻撃かましてやろうかしら??」

 

「「ブンブンブンブン」」

 

ペーサー・シュトラッサー。ヴィンセントはその名前を密かに聞いたことがあった。フェレシュテ本部に移籍する際、この戦艦ティーレに本来付けられる艦名。その真相は造られることのなかった航空母艦。そのifがそこに現れていることに若干の戸惑いはあるものの、一人の仲間としてみていた。

 

「ところで、なぜ私のことを狂三と呼んだのかしら?」

 

「それはだな.....。」

 

「あらあら、不思議な話が聞こえたので少し聞き耳を立ててみれば、私のそっくりさんですか。」

 

「「狂三(さん)!?」」

 

ドアから顔を覗かせたのは、【最悪の精霊】とも呼ばれた時の精霊時崎狂三。しかしその服装は......。

 

「......着物か?」

 

「ええ、先程まで初詣に行っていたもので。先程そこで士道さん達に遭遇しましたがなぜか困惑された目で見られていたのですが......なるほど、そういうことでしたか。」

 

「ああ。聞き耳を立てていたならばもう名前は知っていると思うがペーサー・シュトラッサーだ。ティーレいわくお前と同類らしい。」

 

「同類.....ですの?」

 

自分と同類、という言葉に狂三が言葉を詰まらせる。それを見かねたペーサーが直接行動に出た。

 

「時は満ちた......!!」

 

「.....!?【刻々帝】!!」

 

瞬時に危険を察知した狂三は咄嗟に天使を展開し動いた。直後、その地に複数の爆撃機が爆弾を落とし軽い煙を発生させた。

 

「なるほど.......私の天使と同方向の特技ですか.....面白いじゃあありませんの。」

 

「私は時間を有効的に扱うのが好きなだけよ。無駄な時間は徹底的に潰す。それが私の流儀。現に今私はこの無駄な時間を一刻も早く終わらせたいと思っているのだけど?」

 

いつの間にか自分の杖を展開していたペーサーはその杖に隠していた銃口を狂三に向けた。狂三もペーサーに二丁拳銃を向け両者冷戦状態を迎えさせていた。と、そこに。

 

「見つけたわよ、狂.....三!?」

 

「あら、琴里さんですの。少々今腹が立っておりまして、しばらくそこで待ってくださいませんの?」

 

「え、えぇ....。ヴィンセント、これどういうことなのよ....。」

 

「私から説明させてもらいますね。」

 

ヴィンセントの隣にいたティーレがこれまでの経緯を話す。それで全てを察した琴里は呆れた目で見ていた。

 

「通りで見慣れない恰好なわけだわ....あなたの世界の人だったのね.....。」

 

「多分今度から間違えたら爆撃機で消し飛ばされると思いますよ?」

 

「その時は天使でどうにかするわよ......なるのかしら?」

 

「無理ですね。」

 

「あはは......。」

 

もはや不可能と察した琴里はペーサーを第一種特定危険人物に任命した。一方、当の本人は狂三と死闘を繰り広げている。そしてその死闘は一週間にも及び、しばらく過労で動けなかったそうな......。

 

 

To be continued......?





本年もよろしくお願いいたします。


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第◯◯話 アクシズの名のもとに

はい、グダってて埒が空きそうにないので本来自分が書きたかった本命を先行公開します。




感動が薄れないうちに、ってね。

因みにこの段階ではISはほぼ全てCRユニットへと改修されています。


2発目の衛星。それは琴里にとって予期せぬものだった。

 

「そんな....灼爛殲鬼・・・!!」

 

琴里は再度灼爛殲鬼を呼び出したがそのとき、激しい頭痛が琴里を襲う。

 

「こんなときに.....士道を.....おにいにゃんを.....守れないの・・・・!」

 

琴里は懐に持っていたトランシーバーの存在をふと思いだし起動する。

 

「おねがい.....おにいにゃんを、守って!!!」

 

その祈りが届いたのか既に上空にはメイド服の精霊がいた。

 

「よく言ったよ、琴里ちゃん!あとはボクたちに任せてね!......ふぅ、【破却宣言】!!」 

 

そう言うと彼女の中から出てきた本が彼女の中にある霊力を放出していくのが琴里の目に取れた。

 

「ついでに....【分別なき偶像暴走】!!!」

 

するとどうだろう、次々と彼女の分身が生まれていく。これには地上にいた士道でさえ、

 

「・・・・・あれが、アストルフォの精霊としての本気....なのか?」

 

「狂三と同じような分身能力も.....なぜあやつが!?」

 

「今はそんなこと言ってる場合じゃ有りませんわ、あれを早く止めますわよ!」

 

「同意、早くあの衛星を押し返して士道ときゃっきゃうふふします。」

 

「我が奥義にかかればあんな醜き鉄塊なんぞひとおしよ。」

 

それぞれがそう言うがそれを止めたのは、

 

「どうやら、相手さんはこのまま見逃すつもりがないみたいね.....。」

 

そう言ったのは通信越しの琴里である。

 

「まさか!?」

 

「全方位にバンダースナッチ反応!」

 

「そう簡単には触らせないってか!!」

 

「いいや違う!!」

 

その掛け声と共に士道から見て右側のバンダースナッチが爆炎に飲まれていく。そして、その声の主を士道は知っていた。

 

「ヴィンセント!!」

 

「雑魚は引き受けた!早くあの衛星を!!」

 

目の前にはCRユニットを展開し両手でメガビームランチャーを構えたヴィンセントとクロエ。

 

「頼んだ!!」

 

バンダースナッチの包囲を抜けていく十香達。それを見届けた二人は再度増えつつあるバンダースナッチに目を向ける。

 

「さぁて、俺達もやることはしますかねぇ!」

 

「・・・・・お兄ちゃん、絶対これ裏あるよね?」

 

「....やっぱりそう思うか?」

 

「恐らく三機目が落ちてくるのは予想できる.....。だけど、もしかしたら四機目が来るかもしれない・・・!」

 

「・・・・・そういうことか。分かった。」

 

ヴィンセントはメガビームランチャーを構えたまま通信機に手をかける。

 

「聞こえるか?」

 

「はいはーい!いつでもどこでも聞こえるネプちゃんだよぉ?」

 

通信に出たのはトーリスシスターズの末っ子ことネプ。そんな呑気な返答なぞお構いなしにヴィンセントは指示を告げた。

 

「本部に緊急通達!宇宙のアクシズにも連絡入れとけ!!それと全機体をスクランブル出来るよう準備!」

 

「・・・・・その通信が来るってことは、落ちてくるんだね?」

 

「可能性はな。俺達はここでギリギリまであいつ等を援護するからここからは動けん。可能ならティーレも持ってきてくれ!」

 

「分かった。だけど既にティーレちゃん達、艦を展開してそっちに向かってるんだよね.....。」

 

「「えっ。」」

 

密かに嫌な予感が二人をめぐった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、バンダースナッチの包囲を抜けた精霊達は落ちてくる衛星を押し出そうと本気を出していた。

 

「【破軍歌姫】....!!」

 

美九の援護を受けて強化された各々の天使がじわじわとそれを押し出していく。

 

だがやはり足りないのか押し返されていく。

 

「やはり限定霊装では無理があるか・・・・!」

 

ただ見ていることしかできない士道にとってその悔しさは上で止めようとしている美九以上に来るものがあった。それなのか、

 

「・・・・クソっ、このままじゃ.....!」

 

美九達の邪魔が入らないようヴィンセントとクロエがバンダースナッチを蹂躙しているがそれも時間の問題。そんなときだった。

 

「士道、前!!」

 

「シドー!!!」

 

「・・・・!?」

 

前方不注意だったのか、目の前には取りこぼしであろうバンダースナッチ。そして勢いよく振り下ろされる腕部。流石に士道もこれには対応できない......が。

 

「・・・・飴?」

 

士道のポケットにあった飴が突如飛び出し、バンダースナッチの攻撃を弾いたのだ。そしてその飴は形を変えたかと思うと見覚えのある姿を写し出した。

 

「七罪!?」

 

「言っておくけど、べ、別に助けたくて助けたわけじゃ、ないんだから!」

 

「でも助かった!・・・・・そして突然ですまん、十香達でもあの衛星を止められそうにないんだ!助けてやってくれ!」

 

士道からの頼みに七罪は断ろうとした。が、上空にいたクロエの方に目線を上げると、

 

『(士道を助けなかったら精霊の能力全部停止させた上で直々にタイマンしてあげる!)・・・・・あ、これ死刑宣告だ.....。』

 

目線だけでそれを感じ取った七罪は片手を伸ばす。

 

「【贋造魔女】・・・!」

 

七罪が天使を顕現させる。すると上空にあった衛星が爆発し巨大な豚へと姿が変わった。

 

「これで仕留められ.....!?」

 

「あれだけの攻撃をシールドで防いだ!?」

 

「士道!あれは生半可な攻撃じゃびくともしないわ!それも全力で反転した精霊の攻撃でない限り!」

 

琴里から告げられた最悪の事実。反転精霊相当の攻撃じゃないとあのシールドを破ることができないと言う絶望。だが、それを唯一打ち破る要素がそこにはあった。

 

「話は聞いた、要するにあの衛星の防御を壊せば良いんだろ?」

 

「あ、ああ。」

 

「なら、決まりだな。」

 

「?」

 

士道はヴィンセントの物言いに困惑するがヴィンセントはお構いなしに、

 

「クロエ、HADESを使ってあれを蹴っ飛ばすぞ!」

 

「お兄ちゃん直々にHADESを使わせるってことは、つまりそういうことなんだね?」

 

「ああ、頼む。」

 

「ふふん、久々に........粉々にしちゃうんだもん!」

 

そして二人は叫ぶ。

 

 

 

 

「「HADES!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「司令!?」

 

「何、どうしたって言うの!?」

 

「霊結晶の反転反応が出ました!!」

 

「なんですって!?」

 

「識別コード、【ライダー】、【リッター】!」

 

「・・・・HADESを使ったのね・・・・!」

 

「HADES・・・・?」

 

構成員の一人が琴里にそう聞く。琴里も若干顔をしかめて説明を始める。

 

「元々はISに搭載された人工暴走システムの一種なの。それを霊結晶を取り込んだCRユニットに搭載して意図的に霊結晶を反転させる、そういう代物よ。」

 

「・・・・・ああ、これですね。数十年前のですがデータは残ってます。」

 

「あら、補足するために調べたのかしら?」

 

「・・・・!?司令!あのCRユニットに積まれてるHADES.......一番危険な初期型です!!」

 

「はぁ!?初期型って何よ!?初期とか後期とかあるの!?」

 

「はい、元々封印されている二機につまれていたのが最初期型と呼ばれるもので、ISに積まれていたのはそれを限りなく再現した初期型。ここまでは意図的に暴走の危険性があるため封印されました。」

 

「そしてそれを改善するためISを作った束博士とヴィンセント達のアクシズが協力して作成したのが後期型のHADESと。でも、最初期型と初期型はもう廃棄されたはずじゃ?」

 

琴里がそう聞くと構成員はモニターに観測している2人のCRユニットのデータを写す。それを見た琴里を含め全員が青ざめた。

 

「何よこれ......

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

      ISに外付けでCRユニットのパーツを装着しただけのただのISじゃない!?」

 

「はい、あれはISを根本から改修したCRユニットじゃ有りません!それ故にシステム系統、操縦系統は全て最初期型のISと変わりません!つまりあれをそのまま使えば二人は容易に反転、そのまま暴走を始めます!!」

 

構成員はそう宣言する。それを聞いた琴里は息つく暇もなく通信を士道に繋げていた。

 

「お兄ちゃん!すぐに二人から離れ「おい、琴里....なんだ、あの輝きは・・・・!?」t....何よ、あれ....理性を保ったまま動いてるとでも言うの・・・!?」

 

二人の目に写るもの。それはHADESを起動しながらも精霊の前に立ちシールドを容易く吹っ飛ばし更にそのまま衛星を半壊にまで追い込むヴィンセントとそれを片手で護衛しながら片手でヴィンセントの補助をしているクロエの姿だった。

 

「あれ?言ってなかったか?」

 

「レーベ!?どう言うことよ!?てかどうやってここまで来たのよ!?」

 

「いやまあ上にレウルーラが下りてきたからそこから飛んでここに着地して。」

 

「オーケー規格外なのは分かったわ。それでさっきのやつ、どう言うことなのよ?」

 

さらっと人外じみた動きでフラクシナスへやってくるレーベ。そして、

 

「私もいますよ。」

 

「あら、クーちゃん。あなたも上から?」

 

「いいえ?地上の本部からスクランブルがあったんで暇潰しがてらここまでデュラハンで上がってきました。」

 

「ああ、そう。それで、二人はなぜ暴走してないのよ?」

 

「あれ初期型ではあっても中身別物ですよ?」

 

「はい?普通システムって簡単には更新できないでしょ?」

 

「琴里さん、忘れてませんか?トーリスシスターズの存在を。」

 

「・・・・・そう言うことね?」

 

琴里がなにかを察したのか顔がうっすら苦笑を浮かべる。それを見た二人はうっすら御手上げのような手捌きで艦橋をあとにしようとする。それを琴里は止めた。

 

「二人に言っておいてちょうだい。【もし精霊の力を使うのならば、それは危険だ】とね。」

 

「あの二人なら愛で乗り越えそうだがな....。」

 

「ま、進言はしておきます。」

 

そう言って二人は今度こそ艦橋から消えた。それを確認した琴里は改めてその場にいる全員に指示を出した。

 

「総員、今落ちてきている衛星の上を熱源反応探査で探して!三基目があったら報告!!」

 

「「「「はい!!!!」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、士道含む精霊達は二人の規格外さに改めて呆れていた。

 

「前々とは心強いと思ってはいたが!いざ目の前で見てしまうと本当に敵に回した時が怖いぞ!」

 

「だけど、味方になってくれたときほど嬉しい援軍はない!それこそ狂三よりも頼りになる!」

 

二人の所業に十香と士道が呆れるなか、当の本人達は、

 

 

「だ、そうだが。」

 

「この騒動終わったら一旦本気で十香さん達全員陣取ってボコりにいきますわ。蓮さんは借りますわよ?」

 

「おう、どうせ蓮も暇してるだろうし。」

 

「それよりお兄ちゃん!そろそろ稼働限界!」

 

「よーし、ここまで削れたら!!」

 

二人は攻撃をやめると静かに射線を開けるかのごとく中央を開けていく。そしてその斜線軸には七罪の姿。

 

「いい加減・・・・墜ちなさいよぉ!!!!」

 

複製された精霊の力は劣っていても精霊の力。七罪の力によって生成された鏖殺公の斬擊は衛星をまっぷたつにして盛大に爆発した。それを見た二人は、

 

「よし、終わったな。帰るぞ。」

 

ヴィンセントは通常航行モードにして帰ろうとするが、その肩をクロエが掴んだ。

 

「・・・・・まだ、来る!!」

 

「何?」

 

『二人とも!!』

 

通信の主は琴里だった。迷わず二人は通信を繋ぐ。

 

「どうした!!」

 

『三発目が落ちてくるわ!全く、どれだけ用意周到なのかしら!!』

 

「十香達はもう力を使い果たしてるぞ!?」

 

『あなた達でどうにかできないの!?』

 

「HADESのリチャージ+本体システムの排熱+メガビームランチャーの排熱にリソース割いてるから何もできないよ!・・・・・・手だてが無いわけじゃないけど。」

 

「出来るのか!?」

 

「こんなこともあろうかと!!」

 

クロエが拡張領域から取り出したのはメガビームランチャーと似ているが否なる武器。

 

「それは?クロエが使ってるところ見たことないんだが?」

 

「そりゃそうよ。博士に直々に内密につくってもらった狙撃兵器【チャージ・ハイメガ・ランチャー】だもの。試作品だから一発しか撃てないけどね?」

 

『クロエちゃん、一刻も早く!』

 

「分かった!」

 

クロエは上を見る。そして落ちてきているものを目視してチャージハイメガランチャーを構えようとして....それを下ろした。

 

「ん?クロエ、どうしたんだ?」

 

「お兄ちゃん....あれ、核だよ。撃ち抜いたら高確率でこの空域全域が汚染されて.....。」

 

『「なんですって!?」』

 

「近接信菅を撃ち抜けば爆発はしないけど構造がわからない限りは....。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そう、近接信菅を撃ち抜けばいいの。」

 

「そうそう、撃ち抜けば......ん?」

 

クロエが振り向いたのもつかの間。落ちていた核が何者かに撃ち抜かれ爆発することなく軌道を変え海に落ちた。ビームの軌道を見た二人、そしてそれをみた士道達も撃たれた方向を見る。

 

「そんな・・・・・折紙!?」

 

「折紙ちゃん!?」

 

上空に佇む一機。それを見た瞬間、全員が感じてしまったのだ。

 

「・・・・何で、そんな・・・!!」

 

無言の視線で貫く折紙はそのまま撤退しようとした。が、

 

ビィィィィ!!ビィィィィ!!ビィィィィ!!

 

「!?」

 

「やはりか・・・・!」

 

「ウェストさん?反感買いすぎでしょ!?」

 

「仕方がない、元々予期できた事ならば!クー!」

 

『本部スクランブル、シスターズ含め行けます。』

 

「マシュマー!」

 

『此方は万全だ!いつでもこい!』

 

「グレミー!」

 

『上空から降ろせる!』

 

「よぉし!!アクシズ総員、4機目....いや、大陸間攻撃衛星【クライシス】を押し返せ!!!全機、発進!!」

 

『『『『了解!!!!!!』』』』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

4機目が落ちてくる。折紙からそう聞いた士道は流石に今の状況で敵対している場合ではないと感じた。

 

「折紙、お前のところの衛星が落ちてきているなら、どうにかすることはできないのか?」

 

「あれは元々精霊を殺すためだけに作られた自己を持った衛星、言わば自我を持つ衛星。それを止めようものなら何回殺されても足りない。」

 

「くっ、十香達はもう動けないしクロエ達はおそらくエネルギーかもうないはず....。」

 

士道は四方八方の手段を封じられた気分でいた。美九や十香達も先の破壊で全力を出してしまい完全にダメな様子。だが、それだけで諦めるつもりはない。

 

「琴里!重力中和で俺を空に上げろ!」

 

『無理よ!そこまで効力が!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『そうか、空に浮かべれば良いんだな?』

 

割り込んできた通信と共に何かによって縛られる士道。全員がその紐が出てきた方向を見やると、

 

『4機目が落ちてくるとはな....だが、予定内だ。』

 

『流石にあれほどの質量となると私たちだけでも押し返せるか....。』

 

『大丈夫だと思いますよ、そろそろ私たちの妹も来ますし。』

 

「え.....な、なんなのこれ....。」

 

『何よ....あれ!?』

 

七罪と琴里が驚きで固まっているがヴィンセントはまるで忘れていたかのように、

 

「そういえば伝えてなかったな、俺たちの切り札。」

 

「切り札?」

 

「ああ、ISを元に対精霊用として作られたのがCRユニット。それならこいつはそのCRユニットを殺す存在、MSだ。」

 

「そして、今私たちが乗ってるのがその現物。お兄ちゃんはルーリスリッター、私は精霊の力も混ぜ混んだエールスリッター、クーちゃんはメタトロンリッター、他にも色々あるけどとりあえず、総勢15機だよ。」

 

士道は空を見上げる。そこには埋め尽くされるほどに滞空している機体の姿が。

 

「なんだ.....あの量は....。」

 

 

 

 

 

 

【あれこそ、この世界の抑止力、ですわ。】

 

「狂三!?それに、その姿は....。」

 

「はい、封印してもらいましたわ。」

 

「『なんだって!?』」

 

今度は士道と琴里がぶったまげてるのだ。

 

「取り敢えずここから離れてくださいまし。」

 

「だが四糸乃達が・・・!」

 

「それならすでにわたくし達が誘導させておきましたわ。」

 

「・・・・恩に着る!」

 

士道はそれだけ伝えると四糸乃達がいる方に走っていった。それを見送った狂三は

 

「・・・・・これで、よかったんですの?」

 

「・・・・・・もしものことがあったらな。さあ、あいつにできて俺たちが出来ないわけない!」

 

「ええ、そうね。あの人ができるなら私たちも!」

 

それぞれの機体が衛星に手をつける。だがそれだけで止まることを知らない衛星。

 

「全機!フルブースト!!!」

 

「ヨナに出来て私が出来ないわけない・・・・!!」

 

全員のフルスラストでも尚止まらない衛星、とはいえ精霊をも殺すCRユニットを殺す出力は伊達ではないのだ。着実と勢いは緩んでいた。

 

「・・・・・ここで終わったら、3機目まで破壊してくれたあいつらに面目がたたねぇ!」

 

「ここまでバトンを繋げてくれたあの人たちのためにも・・・・!」

 

「・・・・そうでしょ!?」

 

「「「トーリスリッター!!!!」」」

 

呼応、いや、久しぶりに活性化した彼女達によって同化した3人の駆るトーリスは淡い緑の輝きを辺り一面にちりばめる。

 

 

 

 

「なんだ、あの、輝き....何でかは知らないけど...暖かい。」

 

「呼応、人々の願いが溶け合って.....。」

 

「あれは、ヴィンセント達三人にしかできない芸当ですわ。」

 

「・・・・ヴィンセントって、本当にどんなやつなんだろうな....。」

 

「それが知れたらわたくしも苦労せずに食べていますわ。」

 

可能性の輝きをすぐそばで見つめる精霊達と士道。そしてその輝きはやがて衛星の動きを押し返していく。

 

「すごい、本当に押し返しました.....。」

 

『さっすがヴィンセント君だよぉ~。』

 

「・・・・あれが、世界の抑止力......。」

 

離れ行く衛星とアクシズの面々を垣間見た士道は、そう呟くしかなかった。

 

To be continued......

 

 






一番書きたかった押し返しが雑いとかいうあれ。



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第○○話 二人は救われていいんだよ

ようつべでとあるゲーム2つ分のトゥルーエンド見てたらとても悲しくなった。

救いたくなったので書き起こした。




※これは、彼らが出会うまでの物語。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「士道.....鞠奈と一緒に私を破壊してください。」

 

「っ!?何を、言っ、て.....。」

 

鞠亜からのお願いに口が止まった。

 

「私は【愛】について十分知ることができました。ギリギリまで教えてくれた士道には感謝以外の言葉が見つかりません。ですが。それと同時にフラクシナスは制御を失い墜落しているのも事実。感染した私と鞠奈を消去して一刻も早く制御を取り戻してください。」

 

「そんな.....せっかく、和解できたじゃないか.....そう簡単に諦めるなよ....!!」

 

三人が会話する合間にも外ではフラクシナスが墜落を続け姿勢を崩している。こうなればもう時間はない。士道は二人に近づきお互いに肌を撫でるように手を当てた。

 

「ごめんね、士道。でも私達に【愛】を教えてくれてありがとう。」

 

「私が消えようとも士道は私達のことを忘れないでください。それが私達にとって一番のご褒美です。」

 

「う.....わかった.....さようならとは言わない。またいつか、再開できる日を祈って。またな!」

 

『......うん!』

 

その言葉を最後に士道は二人のデータを跡形もなく消した。それと同時に士道も引っ張られるように電脳世界から弾き出されるのだった......。

 

 

 

 

 

 

その数分後。

 

三人の人物が電脳世界へと侵入した。

 

「全く.....ああ言えばこう言うやつなんだからもう。」

 

「ちゃっちゃと済ませますよ!」

 

「分かってるわよ!こういうときこそ私達の本分だよってのに!」

 

3人の名前はアリス、エジソン、フロイト。どれもALICEに所属するユーザーであり電子世界においても肉体を持っていた。それ故にヴィンセントから抹消された二人のサルベージ、及び復旧を依頼されたのだ。凄まじい勢いでサルベージを開始していくアリス。ここから数日にも及ぶ復旧作業が始まるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日。

 

無事に姿勢制御機構を取り戻したフラクシナスはバックアップデータのインストール、及びAIの再インストールのため一時ドックに帰還し修理を行っていた。その際、士道も呼び出され力仕事を手伝うよう言われていた。十香達はおにぎりを作って自分たちのために奔走してくれている士道たちに差し入れを持っていっているようだった。

 

「しかし、鞠奈と鞠亜か。もう一度でいいから会ってみたかったな。」

 

「でも、士道さんが言うにはデータは全部消えてもう二度と会えないって....。」

 

「ええ、今朝あえて遅れてつくように設定された電子メールが届けられて士道に渡したけどやっぱり中身は自分が死すことを予知していたかのような書き残しでね.....。」

 

指示を出しながら差し入れも作っている琴里には頭が上がらないばかりだ。そこにドックの主であるヴィンセントもやってきた、が、両手に抱えているのは仕事用のタブレット端末だった。

 

「あら、ヴィンセントじゃない。何してるの?」

 

「おう、琴里か。今ちょっと電子世界に仕事を頼んでおいた三人と通信しててな。もう少しで終わるらしい。」

 

「へー?なんの仕事よ?」

 

「データのサルベージさ。こういうことはマックスとプランクが適任なんだがあいにく今あいつらは長期お昼寝状態に入っててな。それでうちらから3人呼んでサルベージしてもらっているわけさ。」

 

「それはご苦労さまね。でもなんでここに?」

 

「ああ、伝えておきたいことがあってな。一週間後に士道をここの司令部に呼び出しておいてくれ。」

 

「......?」

 

突然の士道の出頭要請に四糸乃は意味がわからず首を傾げた。十香も首をひねっている。唯一噛み砕いたらしい琴里は再起動すると問いかけ始めた。

 

 

「それは良いけど.....でもなんで司令部に?こういう呼び出しならいつも応接室かティーレの艦橋でしてなかったかしら?」

 

「まあ事情が事情なだけにな。今後を左右するかもしれない事情なんだ。時間厳守で頼むぞ。」

 

「え、ええ。分かったわ。」

 

「それじゃ、よろしく〜。」

 

そう言いヴィンセントは隣のドックへと足を運んでいってしまった。それを見届けていた三人は硬直から復帰できなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何もない空間。一面の真っ黒な空間の中で二人は目覚めた。一人はボロボロ、もう一人白い衣装こそ少し煤けているものの傷はついていなかった。

 

「.....なんで、目覚めたんです?」

 

最初の第一声はそれだった。データを抹消されもう二度と蘇ることもないだろうと思っていた鞠亜にとってこの事態は異常だった。そしてさらに鞠奈も目覚めると周囲を見渡し慌てる。

 

「どうして.....完全に消えなかったの!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それはどうだろうかねェ....。」

 

『っ!?』

 

 

背後からの声に二人はボロボロだった霊装を残った霊力で補修しその声の主と対峙する。段々と輪郭が見えてきたその姿はまるで....、

 

 

「っ、ケモ、耳?」

 

鞠奈がそうつぶやくと同時、全貌が明らかになった。

 

「やぁ或守鞠亜、或守鞠奈。君たちの活躍は僕達もずっと見ていたよ。」

 

「何なのですか貴方は!?それに、私達の名前を何故!?」

 

「ん?あぁ、何だそんなことか。」

 

そっけない返しに二人はさらに警戒度を高める。しかしその先の答えはある意味呆れたものだった。

 

「【あの程度の】プロテクト、僕達なら一瞬で覗けちゃうからね。」

 

「んなっ、フラクシナスのサーバープロテクトは何者でも外部からの閲覧は出来ないようになっていたはず.....!?」

 

「DEMだってそうよ!?どこから情報が....。」 

 

二人は彼の答えた答えにあまりの呆気なさに混乱しているようだった。そこにケモ耳の人物は追加で補足を加えた。

 

「先の質問に答えておこう。僕ァダーウィン。このフラクシナス....いや、フラクシナスを含むこの軍事基地の廃棄データの選別を統括しているAIさ。」

 

「ダーウィン.....?」

 

「まあ、本元のお仕事はもっと有るんだけどね。とりあえず君たちが今いるであろう場所を教えてあげようじゃァないか。」

 

二人はその言葉を聞いてひとまず落ち着いた。今なぜもう一度目を覚ましたのか、なぜ二人は消えていないのか、聞きたいことはたくさんあったがまずは彼の説明を聞いてから聞こうと思った。

 

「ここは【フラクシナス】から廃棄、抹消されたデータ群たちがたどり着く最後の処分待機場、通称【SIGNAL-RV】。いわば消去を待つデータたちが待機している最後の中継点だ。」

 

「そんなところでなぜ私達が?」

 

「何、彼奴等から頼まれてな。直球的に質問しようじゃァ無いか。」

 

「.....?」

 

「ふたりとも、士道にもう一度会いたくないか?」

 

 

 

「っ!?!?!?」

 

それは鞠奈や鞠亜の顔を変形させるのには十分すぎるほどの情報だった。たちまち鞠奈がダーウィンを押し倒して馬乗りの格好となり詰め寄る。

 

「アイツにもう一度会えるの!?ねぇ、教えなさい!!今すぐに!!」

 

「ぐえぇぇ.....ゆらさないでおくれ.....。あいつは今二人の最後の言葉を聞いて泣きながらバックアップ作業をしている。」

 

「っ.....彼に合わせて!!!無理を言っているのは分かっています!!でも、それでも、私達は士道とまだ一緒にいたい!!過ごしていきたい!!!」

 

鞠亜の必死の願いが、叫びが彼にのしかかる。それと同時に鞠奈も叫ぶ。

 

「私もっ.....まだアイツと一緒にいたい!!騙してたこと謝りたいっ!!!....士道に...会い...ったい!!!!逢いたい、逢いたいよぉ.....!!」

 

 

鞠奈のこぼれだした涙と共に干渉していくその願い。そんな二人の願いを聞いたダーウィンだったが、その答えは決まっていた。懐のポケットからチップを取り出すと二人にそれを一枚ずつ投げた。小さなチップは、しかしそれは確実に彼女たちの元へ届き二人は両手でキャッチした。

 

「っ、これは....?」

 

「それはEvS-Extra。あらゆる環境に適応するためのシステム補助をする存在さ。まあ、君たちに関してはそれを用いて素体を作る感じかな。」

 

「素体....?」

 

「ああ、今君たちが触ったその瞬間から外にいるアリスたちを通して僕達ALICEの外部管理者にデータが届けられ始めている。そのデータを元に君たちの身体を生成する。」

 

「でもそれって....。」

 

鞠奈がそう呟いたところでダーウィンは突如姿を変えた。

 

「僕ァ忙しいんだ。そう何度も言わせないでくれ。もうすぐ君たちは士道君に会える。その事実を受け止めてもう少しだけ眠ってくれ。」

 

その言葉とともに二人は再び意識を落とした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「てな訳で二人のデータを随時送ってるから体の作成よろしく頼むよ。」

 

「アリスたちの捜索は何だったんだ.....とにかく感謝する。あとはこっちに任せとけ。」

 

 

事の巻末を聞いたヴィンセントは軽く話を交わすとダーウィンとの通信を切り、別の人物に繋げた。

 

 

『どうされましたか?』

 

「イノベイド生成装置、使えるな?」

 

『ええ、二人の生成準備はバッチリです。』

 

「データを送る、3日で仕上げてくれ。」

 

『お任せください。』

 

 

声の主はハナヨである。元々自身も電子マイスターだったハナヨは二人の経歴を見てまず救うことを決意した。それに感化され、ましてや同じ性格でせっかく気の合うやつを見つけたのにそいつを失うわけには行かないとハヤナも救出を決意。そしてマイスター生成装置の使用ができるようになったのである。あとは3日待つだけ。そう思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかしイレギュラーは起きるものなのである。

 

 

 

次の日のことだった。

 

 

「っ、何?下手すれば暴走、だと?」

 

目の前のモニターを見ながら主であるヴィンセントはそう告げた。その対面者は同じくモニターの向こうで生成を待つ二人だった。

 

『ええ、鞠亜さんの方順調に進んでいますが、鞠奈のボディについてはバグデータもそのまま継承してしまっています。万が一そのデータがポッカリと消えるようなことがあれば鞠奈は暴走し殺さなくてはならなくなります。』

 

「っ....だが、下手なことさえしなければ問題ない。そうだな?」

 

『それはもう。』

 

「分かった。このまま生成を続けてくれ。対策は俺たちの方で取る。」

 

そういい通信を切ったヴィンセント。しかしその顔はやつれていた。

 

「はぁ.....難儀なことになったな.....。」

 

このまま無事に終わってくれないかと、祈るしかないヴィンセントだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして一週間が過ぎた。通告通り時間指定されヴィンセントたちが管理する基地へ招かれた士道はクロエとヴィンセントだけの部屋である司令室へと招かれた。

 

「急な呼び出しにも関わらず来てくれて感謝する。」

 

「いえ、今日は暇でしたし。それで....重要なことって.....。」

 

士道は気になるのか自ら話題を切り出してきた。ヴィンセントもそれに答える。

 

 

「あぁ。新しい精霊が見つかった、とでも言えばいいか。」

 

「っ!!....新たな.....精霊。でも、それは琴里の性分じゃ?」

 

「事情が事情なだけにな.....。(次だぞ。)」

 

会話で合図を送るとヴィンセントが目線を向けていたドアから光でモールス信号が発せられた。それを確認したヴィンセントはコンソールを叩き画面を映し出した。

 

「個体名【アポルクス】、及び【ナトルクス】。双子の精霊だ。コイツラは特定の体を持たず、いわゆるこの前士道が攻略した鞠亜と鞠奈と同じような形の精霊だ。」

 

「二人の......。」

 

二人の名前を聞いて途端に動きが固まった士道。それを他所にヴィンセントは話を進めていく。

 

「この二人を攻略するにはいささか対策が立てづらいからな。そのため今回外部協力者を雇い、少しでも情報を得ることにした。既に呼んであるから部屋に招き入れよう。入ってくれ!!」

 

士道は誰なのかとドアの方向を向きその人物を待つ。そして入ってきたのは、

 

「....久しぶりね、士道。」

 

「..,..元気そうで何よりです、士道。」

 

「....鞠、亜....鞠....奈!?」

 

かつて消滅する直前の姿で出てきた二人に士道は声が出ず、涙が出始めている。それを見てヴィンセントはゲラゲラと笑い始めた。

 

 

「アハハハッハッッ!!!」

 

「.....いきて、るんだ、よな?」

 

「幽霊でも見てるんじゃないわよ。私は正真正銘キミに惚れて!!封印されて!!!ヴィンセントに復活させてもらって!!!あんたに会いに来た、或守鞠奈よっ!!!!」

 

「鞠奈っ!!鞠亜っ!!」

 

たまらず士道は二人に駆け寄り涙を流した。

 

「良かった、生きていてくれてて!!」

 

「ふ、ハヤナやハナヨたちに協力してもらって二人を探してサルベージを終わらせたんだよ。さっきの精霊も二人を合わせるためのデタラメさ。」

 

「そんな大掛かりなことなんて..........。」

 

「こうでもしなきゃ士道は行ってこなかった、違う?」

 

「そうよ?私だってキミとまた一緒にいたくて必死になって願いを込めて!!ようやく今日復活できたの!!」

 

「これでまた、一緒に暮らせますね....!!」

 

 

再会の会話を交わし詰まる話もあるが、問題はそこではなかった。いち早く復帰した士道が、

 

「そう言えば。二人はもう天使を使えないのか?フラクシナス達からはもう隔離されているだろうし。

 

「それに関しては問題ないわ。」

 

奥のドアの方から遮るように声が入り士道はそのドアに注視する。入ってきたのはヴィンセント達の艦の制御をしているアリス達だった。

 

「んなっ!?」

 

「この姿で合うのは久しぶりかな....?」

 

アリスの作戦行動時の姿に驚いた士道だったが今まで精霊の真の姿を見てきた士道にとってこの姿でもだいたい驚かなくなっていた。

 

「二人に関しては士道の方に経路は繋がっているから問題なく天使は出せるよ。根幹データに関しては最終廃棄処分場から私の権限でバックアップ及びデータ全体をこのティーレ中枢制御システムに組み込んだわ。」

 

「じゃあ....!!」

 

「ええ、二人とは所属が異なってしまうとはいえ今日から二人もラタトスク、及びアクシズの一員よ。」

 

またこうして再会できたことに喜びの感情が勝ったのか再度二人を抱きしめる士道。この後、二人は後のラタトスクとアクシズを大きく補助、補佐していく存在となって行くのだがそれはまた別のお話......。

 

 

To be continued.....




久しぶりに5000文字以上書いた気がする。
今後もこういった出会いの番外編とか書いていくのでよろです〜。


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第○○話(番外編) 似た者同士 その1

デアラ4期見てたら無性に書きたくなったので執筆。


 

 

DEM。正式名称は【デウス・エクス・マキナ・インダストリー】なのだが、現状、ラタトスクと真っ向から対立している。今日もまた、襲撃のためのプランを考えていたのだが....。

 

 

「ニベルコルたちよ、私は会議に出る為席を外す。外に出るなら好きにすればいい。」

 

「えー?また会議に出るの〜?」

 

「お父様お仕事多すぎ〜!」

 

「私達にも構ってよ〜!」

 

アイザックは席を立ちそのまま社長室から出ていってしまった。取り残されたニベルコル達約5人はどうしようかとガヤガヤ悩み始めた。

 

「どうするー?」

 

「どうせならさ〜、お父様の役に立つ行動がしたいよね!」

 

「じゃ、やることは一つだね!」

 

「五河士道をこの手で殺すこと!」

 

「ふふふ!なら早速行こうよ〜!」

 

ニベルコルは一にして全、全にして一なのでこの5人以外にもその意志は伝わる。そのため外に出たニベルコルに続いて何枚ものの紙がニベルコルの後を追うように飛んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

暫くして社内にあった戸籍データをもとに五河家へたどり着いたニベルコル達は紙の姿になって窓から家の中へと侵入を試みる。案の定紙は薄いため隙間から入ることができた。しかしただ殺すだけでは味気ない。そう思った数体が実体化した。

 

「ねぇ、このまま士道を連れ去ってさ、誰もいないところで処分しない?」

 

「良いね〜!早速連れて行こうよ〜!」

 

二人のニベルコルが深い眠りについている士道の頭と脚を持ち上げて輸送しようとする。が、

 

 

「な~にしようとしてるのよ?」

 

「.....げっ....。」

 

「...なんで裏切り者がここにいるのさぁ?」

 

ベッドの下から姿を表したニベルコルから裏切り者扱いされている人物....。

 

「別に私がいても問題はないでしょ?私だって士道に恋しちゃったんだからさ!」

 

そう、そこにいたのは紛れもなくニベルコルと瓜二つの存在であり、ニベルコルのオリジナルとも取れる【或守鞠奈】の姿があった。

 

「ぶー、これじゃ簡単には奪えなくなっちゃったね〜。」

 

「でもやることは同じじゃない?オリジナルもぶっ飛ばして一緒に処分しちゃえばいいじゃん!」

 

「へぇ...、言ってくれるじゃない。ねぇ?【姉さん?】」

 

「「「っ!?」」」

 

ニベルコル達が一斉に鞠奈から離れるとその隣には眠そうな鞠亜の姿があった。

 

「やっぱり来ましたか、あの人の言うとおりでしたね。」

 

「癪だけどあいつのことは認めないといけないわね....。」

 

「べ、別に一人増えたくらいで怯える私達じゃ、な、ないんだからね!!」

 

「....だ、そうですけど?」

 

『ノコノコ出てくるなんて、ばっかじゃないの?』

 

『包囲完了しました。』

 

『ねー?この子殺しちゃっていいの〜?』

 

『『ダメー!?!?』』

 

「ひっ....。」

 

「わ、私たちに瓜二つな...。」

 

「だ、だけど最悪あたしたちは.....。」

 

「残念ですが、とっくのむかしに士道はフラクシナスに送りましたよ?つまりいまあなたたちは完全に目的を達することができないわけです。大人しくお縄についてくださいな。」 

 

「「ぐぬぬぬぬぬ....!!」」

 

「一人でも倒せば!!!」

 

ニベルコルの一人が勢いよく攻撃用の紙を顕現させ1番弱そうな少女....ハーミヤの元へ駆けていく....が?

 

「ん?こんなもんなの?」

 

「えぇ〜!?これをかわされるなんて驚き〜....んキャッ!?」

 

「つっかまえた〜!」

 

「っ!?」

 

ニベルコル達はつかまった分体を見て驚愕した。目の前にいたはずのハーミヤが一番うしろにいた分体を捕まえているのだ。

 

「.....けど、まだ私達には!!」

 

「えー?仲間見捨てちゃうんだ〜?」

 

ニベルコル達が声のする方を向くとそこには仲間の紙をシュレッダーにかけようとしているオリジナル....に似たナニカ....ハヤナの姿が。

 

「ハヤナ....流石にそれはやりすぎでは?」

 

「これくらいが丁度いいのよ....さて、仲間をどうこうされたくなかったら大人しくついてくることね。」

 

「え〜?」

 

「シュレッダー。」

 

「「「「ハイ.....。」」」」

 

たとえ疑似精霊でも紙のままで死ぬ分体を見るのはこたえるらしい。いつの間にか空中戦へ移行していた戦いはラタトスク....さらに言うならアクシズの大勝利で終わっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

暫くして、ニベルコルを連れてきたハナヨ達はアクシズの実質的な総司令官であるヴィンセントに渋い顔をされていた。

 

「なんで...こう....面倒事を....。」

 

「というかそもそもなんでいつの間にか士道の家で遊んでるの....?」

 

「いや...まあ...成り行き?」

 

執務室に約20人ほどの集まり(ほぼニベルコル)。流石にヴィンセントもこれは予想外のようで頭を抱えていた。

 

 

「だが....まあ、いいか!」

 

『へ?』

 

「だな?アイザック。」

 

『そうだな...。』

 

『お父様!?』

 

突然現れたアイザックの顔にヴィンセントをふっとばして画面に縋り付くニベルコルたち。アイザックの顔はなぜかニヤけていた。

 

『いやはや、どこに行ったのかと思えば五河士道のところに行っていたとは、どこまでも私思いな娘たちだよ。』

 

「ほーんと、お前ったら士道にご執心だよなぁ。」

 

「そうそう、私達が徹夜で女子会配信してなかったら今頃士道の体全身血まみれだったんだから!」

 

「『お前等士道の家で何やってるんだ!?(るのかね!?)』」

 

衝撃の滞在理由により驚く二人とまだ不完全燃焼な5人。ニベルコルは滞在理由を聞いて大層ガックリ来たらしい、完全に紙状態になってしょげてる。

 

「....せっかくだしこっちで一日休ませるか?」

 

『君はラタトスクとも協力してるのだろう?怪しまれないか?』

 

「狂三理論でどうにかするさ。最悪マイスターの量産タイプとでも言ってごまかす。」

 

そうか、とアイザックが納得し、どうせ今日は好きにすればいいと言っていたので正式に休暇の指令を出した。ニベルコル達は生みの親であるアイザックと共に在ることが生き甲斐なのだがそう指示されたのならば仕方ない。渋々滞在することになった。

 

だが、この休暇が5人に火をつけてしまったらしい。

 

 

To be.continued.....?




本編そろそろ更新しないとなーって思いながらなんで番外編なんだよって思ったそこの読者のあなた。

ピクシブも同時並行で勧めているので辛いんですよぉ....!!


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第○○話 そこは俺たちの庭だ

久しぶりに先行執筆。
時期的には六喰とエクスケリオルとの戦いかな?





 

 

「司令!11時方向に不明艦影12!、艦種はアルバテルと....ゲーティアの模様!」

 

「早速本命が襲ってきたわね....。ヴィンセントたちとは連絡が取れないの?」

 

「それが、ひどいノイズで聞こえないみたいで....。」

 

このクソ忙しいときに彼奴等は何どこかへ行方不明になっているのかと危惧したが、しかしてそれは次のアラートにかき消された。

 

「っ!?司令!艦後方より不明艦影....不明!なおも増えています!」

 

 

それがおそらくヴィンセントが乗っていることは明らかだった。直後、全方位通信にて回線が開かれた。

 

『この場に存在するすべての艦船に告ぐ!この宙域は我がアクシズの宙域内である!速やかに反転、撤退されたし。従わない場合は武力を持ってこれを殲滅する!』

 

その声は明らかにヴィンセントのものだと琴里は確信した。と、不意に通信が入ってきた。画面に映ったのは脱力していたヴィンセントだった。

 

「ヴィンセントっ!?これって...。」

 

『安心しろ、お前らは死んでも一発たりとも当てやしないさ。うちのレウルーラとムサカ、それにヴォルガを舐めないでもらいたいな。』

 

喋っていると横から何かが流されてきた。それは紛れもなくここの中域の配置図であった。ここを包囲するかのごとく艦船が配置されていたのだ。

 

『旗艦レウルーラに配下のムサカ3隻、そして警備艦であるヴォルガ級航宙巡洋艦12席、さらにエルが同化した通称【ELSヴォルガ】が45隻。』

 

「げっ...あの見境なしにひっついてくるあの子の仲間が45隻分も....!?」

 

『まあ琴里は士道のサポートに徹しておけ。死んでもDEMは通さねぇよ。』

 

 

それを最後に通信は切れた。琴里は悩んだ末、士道のサポートを優先することにした。

 

 

「あそこまでお膳立てされたのならば、それに答えるのが私達の役目。士道の支援を続けて!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、DEM側はアクシズと徹底抗戦の構えを整えていた。アルバテル級が包囲するかのように待ち構えアクシズ艦隊を真正面に見据える。その中心にいたゲーティアを操縦するエレンは総攻撃の合図を唱えた。

 

「あの目障りな部隊から潰していきましょうか、全艦攻撃開始!!!」

 

 

 

 

そしてその動きを察知したヴィンセントもまた指示を投げる。

 

 

「全艦、砲撃開始!エル、全員に伝えろ!【容赦なく食ってよし】だ!」

 

【はーい!全ELSヴォルガ侵食モードへ移行、行動開始〜!!】

 

跡形もない史上最大の艦隊戦の幕開けであった。アルバテルから放たれた先制砲撃は何発かがムサカの装甲を撫でるだけで終わり、これ幸いとレウルーラのメガ粒子主砲8門が唸りを上げ光条を吐き出した。後ろにいた白と黒とグレーにそれぞれ染められたムサカからも主砲が吐き出され、更にその後ろにいるヴォルガからミサイルと主砲が放たれる。圧倒的な物量差によって行われたそれは意外にもアルバテル一隻を装甲を掠めるに留めた。

 

「やはり【随意領域】か!」

 

 

 

 

 

「所詮旧世代の兵器、ならば我々には傷一つつけられませんよ。バンダースナッチ隊を射出、1隻1隻落としなさい。」

 

エレンの号令でアルバテルからバンダースナッチ、そしてアルテミシアが展開しヴィンセント達の戦艦へ肉薄していく。しかし、そこは織り込み済みである。

 

 

 

 

 

 

「此処から先へは行かせないっ!!!!」

 

大量の銃弾が吐き出され最前線にいたバンダースナッチを粉微塵にした。後ろにいたバンダースナッチは止まり、アルテミシアもまた一時止まった。煙が晴れるとそこには二丁のガトリング砲を左右に携えたグレーの少女が。

 

「兄様から承った任務、そして、我が女王陛下から賜った激励のお言葉。ここから先へは何人たりとも通しはしない。」

 

そう、ビショップことピィだった。しかし問答無用でアルテミシアはガトリング砲を切り裂くと、ピィの腹部を貫いた。だがピィは辛そうな顔もせず、その剣をさらに奥深くにまで差し込んだ。

 

「ふん...刺しちゃったね?私の一番奥にまで...。」

 

「だから何だと言うんだい?これでもう君は死ぬんだよ?」

 

「残念ながら、死ぬのはあなただよ。....リミッター解除、体を攻撃モードへ移行。」

 

 

ピィから光が溢れ出し、アルテミシアを突き飛ばすと、ガトリング砲が分解され、新たな武器を構築していく。やがてアルテミシアが体制を立て直す頃には自身の身長より大きい大剣を片手で構えていた。

 

「っ....それは...!!」

 

 

「見たことがあるなら....あなたは一度領域に来たことがあるってことだ。なら、なおさら見逃スワケニハ行かなくナッタ。」

 

そう言うピィの目からはハイライトが遠征していた。

 

「女王からの司令を確認、全バンダースナッチの排除を開始する。」

 

 

 

 

女王最側近最大火力の持ち主が、吠えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、第一斉射からしばらくたった艦隊戦は思わぬ方向へと動いていた。

 

「第4ブロックから42ブロックまで隔壁閉鎖!艦稼働率24%にまで低下!」

 

「腐っても最強の魔術師か!!!ミサイル一斉射!」

 

「艦後方に砲撃光!直撃します!」

 

「エル!!!」

 

【はいさぁ!】

 

やはり腐っても魔術師、すでに無人艦であるヴォルガが2隻沈黙し、ELSヴォルガが1隻轟沈し、その残骸がレウルーラに回収されるや否や人形に戻りヴィンセントに泣きついていた。やはりエルに絆されたからかやけに人懐っこいのである。

 

「バンダースナッチが止まらないよぉ!!!」

 

「チィッ!クロエ!クー!ふたりとも精霊化して迎撃開始!エル、全ヴォルガに通達、分裂して攻撃再開だ!」

 

「『『了解っ!!!』』」

 

次の砲撃をもらえばこのレウルーラとてもう落ちるだろう。既に艦橋にはヴィンセント以外はとっくの昔に退避してもらっており、一人残ったヴィンセントもまた、ここをあとにしようとしていた。

 

「ったく、あのときは貫通したが、当たりどころが悪いとこうも傷を与えられんとはな!」

 

ブリッジから格納庫へ走り、1機ポツリと鎮座していたトーリスリッターに飛び乗る。同時にエルも引っ付いてきてハッチに貼り付くとそのまま同化していった。

 

『バンダースナッチに触れたら私が制御下に置くから!』

 

「助かる!.....全艦に通達!損傷過多により遺憾ながら旗艦レウルーラを放棄、自爆シーケンスへ移行!以降の旗艦は臨時でヴォルガにて行う!ヴィンセント、トーリス、出るぞ!」

 

『正しくは簡易融合型ELSトーリスだけどね!』

 

「つべこべ行っている場合かっての!!」

 

出撃しようとハッチを開けると目の前にはバンダースナッチがこちらに銃口を向け今にも放とうとしていた瞬間だった。だが、ヴィンセントは慌てない。

 

「エル!!!」

 

『はいはーい!同化したときにすでにリチャージは済ませておいた!』

 

「メガ・ビーム・ランチャー発射っ!!!」

 

言うが早いか懸架していたメガ・ビーム・ランチャーを慣れた手つきで銃口を向けると戸惑うことなく引き金を引いた。光条が迸りバンダースナッチたちを消し炭にしていく。そしてそれはアルバテルはおろかゲーティアにまで伸び、アルバテル三隻が貫かれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「んなっ!?この砲撃は....。」

 

『兄様の必殺兵器ダ。』

 

 

「......何っ!?いつの間に...!!」

 

『我が陛下の力を舐めルナ。お前らなぞ一撃で葬れるのだからな。』

 

アルバテルが無様に轟沈していくのを見ることしかできないエレンは見慣れぬ声に困惑し、そして恐怖した。そこにはアルテミシアを限界までいたぶり、そして拘束した【ビショップ】の姿があったのだから。

 

『喜べ、お前は兄様からの慈悲により今回は見逃してヤル。だが、次は容赦なく殺ス。』

 

そう言いビショップはアルテミシアをゲーティアへ投げ返すとそのまま飛び去っていった。以降、エレンはビショップに対して異常なまでの怨嗟を抱くことになるのだが、それは早く兄様に褒めてほしいからサクッと戻っていったピィにとってまだ先の話である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結局、この六喰攻略作戦と呼ばれた戦いはラタトスクの完全勝利にて幕を閉じることとなる。

 

ラタトスク側の被害は件のエクスケリオルが小破、レウルーラが自沈処分、他ヴォルガとELSヴォルガが3隻ずつ沈んだものの、DEM側が被ったアルバテル全艦撃沈、ゲーティア大破、アルテミシアの重症にバンダースナッチ隊の9割が壊滅したことを考えると十分にお釣りが来るほどの損害だった。

 

 

 

 

 

To be continued.....




実際ELSって大量にやってきたら誰でも抗えないと思うんだけどね?


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