人形と共に戦場を駆ける剣士の指揮官 (根王)
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人物資料集

鬼怒聖真 23歳 178cm 89kg O型 両利き

 

 銃が主流のドルフロの世界で刀を振る戦う系指揮官。銃は撃てるがそこまで上手くない為か傭兵としての仕事はEILD討伐ばっかりで日本ではEILDスレイヤーと有名に因みに刀は高周波ブレードで切れ味抜群、装甲車の装甲を貫き弾丸も切り落とす戦車のキャタピラもぶった切る。また乱戦が大の得意。ここまで書けば凄く思えるが刀であるが為に敵に接近しないとお話にならない。また、脇差も携え投げたり二刀流したりと便利。肉弾戦なら人形やハイエンドモデルよりも強いかも。戦闘スタイルは四つで一つ目は刀を両手で握り八相の構えを中心のスタイル。至って普通に見えるが両手を使う分威力が増す堅牢な敵には対応可能で何よりバランスが良く状況によって構える。二つ目は刀と脇差の二刀流、手数を増やし脇差で防御できるが片手で刀を握るので振りの速度が低下するので短めに持ち替えている。三つ目は脇差をP320に持ち替える。銃撃戦に対応でき牽制にも有効…但し本人の射撃能力は高くないので命中率はそこそこ。四つ目は抜刀術、師匠譲りの抜刀術は一瞬で敵を切り捨てる。戦法は闇討ちや暗殺上等、結構せこい部分があるが正々堂々と挑む相手なら全力で戦う気概さを持つ。

 

 純粋な日本人だが孤児。とある老人に引き取られ剣術を7歳から学び15歳から自衛隊で訓練を受けて傭兵となる。教わった剣術でELIDを斬り殺し続けた結果ELIDスレイヤーとなった。師匠からは剣術だけでなく教養も受けている。日本では鉄血の脅威は無くEILDによる脅威が大きいので日夜自衛隊による排除が行われている。その為、戦術人形は見たことが無かった。

 

 ヘリアンを通してグリフィンにスカウトされた。指揮官としての適材を見出だされ新人指揮官としてV01地区の基地を悪徳指揮官から奪う形で着任する。犯罪で蔓延する地区を正常に戻す為に清浄している。人形を良い意味で人形と見てなおらず個人として見ている。というのもこの世に生きてるモノの一つと捉えている所為か人形達から信頼され無茶な運用をしないので大分好かれてる。

 

 プライベートでは茶を啜り昼寝するのが日課。日本から離れてしまったので米が恋しい時期である。湯船に浸かりたい派で毎日風呂に入ってる。性格は優しくドジっぽいが戦闘時はかなり冷酷で問答無用でぶった切る。

 

 苦手な相手は狙撃手とマシンガン、ショットガンで銃弾は弾き飛ばすが流石に遠距離と弾幕には成す術がない。この時はひたすら逃げて反撃のチャンスを伺う。死体を利用したり煙幕などで攻撃を掻い潜り懐に飛び込む。剣以外にも空手、柔道、薙刀、弓、ボウガンとかも使えるというか師匠に叩き込まれている。

 

 剣心と斎藤みたいな?

 

ユーリ 23歳 185cm 94kg A型 右利き

 

 元正規軍で特殊部隊出身。度重なる出動や最前線で戦う事に疲れ退役しグリフィンに転職する。本人の要望通り輸送部隊に配属されたが聖真によって前線で戦わさせられることも…聖真が不在時の臨時の指揮官となる。剣術といった類とは縁がないが射撃は得意で狙撃も得意とする。ウォッカが大好きで仕事中に飲酒してる。カリーナと気が合うようだが?聖真とはボケたり突っ込んだりする仲である。愛銃はやはりソ連、ロシア製でRPG-7は相棒。父親が軍人だったので無理矢理入隊させられた経緯を持つ才能はあったようだが性格は向いてなかったようだ。聖真程ではないが特殊部隊上がりなのでかなり強い。

 

師匠 75歳

 

 本名は鬼怒海真(かいま)。聖真を拾い名前を与えた彼の師匠であり父親でもある。現在は聖真とは違う場所の山に住んでる。聖真は免許皆伝となったので別居している。目が見えないが『盲目の剣豪』と言われ剣術と抜刀術は神レベルの域に達している。むっつりスケベで賭け事大好き。聖真のラッキースケベでを羨ましく思っている。弱点は腰でぎっくり腰に悩んでは湿布のお世話になっている。ハイエンドモデルばりに強いかもモデルは座頭市の市を参考にしている。聖真と共にELIDを討伐していて変異種とか関係無くミンチにしていたこいつの方がバケモンかもしれない

 

鬼怒漣香 23歳

 

 聖真の姉弟子で小太刀二刀流と格闘術を駆使して戦う。姉といっても1ヶ月の違いだけで世話好きなお姉ちゃん。聖真が免許皆伝したかった理由は弟離れをするためだが…彼女も実はV01に向かっている。この事に聖真は気付いていない。極度のブラコンで海だろうが山だろうが汚染地帯だろうが鉄血の支配領域だろうが一直線に聖真の元へ突っ切ってくる。鉄血に謎の損害でたら大体はこいつの所為。聖真とはあんな事こんな事して子孫を残すつもり…基地外姉貴爆誕。

 



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剣士、グリフィンの指揮官になる。

 初めてのドルフロのSSで、主人公が刀を振るう日本人男性です。





 第三次世界大戦が終結してから数年後…日本は国土の半分がコーラップスに汚染されELIDによる感染者が爆発的に増えていた。自衛隊と生き残った人々は西日本へと後退し態勢を整えた。他国では蝶事件で鉄血兵の脅威に晒されているが日本では鉄血による被害は皆無でELIDによる被害が深刻だった。現在は態勢を建て直した自衛隊が日本列島に潜むELIDを殲滅する為『滅菌作戦』を開始し生存圏を少しずつ拡大している。

 

 そんな中、とある男が居た。その男は銃が主流と化している戦場でただ一人「刀」を振るい感染者達を次々と切り捨て道を切り開き仲間を鼓舞する存在だった。彼の活躍があってELIDにより被害は減少し国土も少しずつ取り戻しつつある。

 

 これは刀を振るう男と戦術人形達のとの物語である。始まりは九州の山奥から始まる… 

 

 

 

 

日本 九州 山奥

 

「今日も茶が美味いな…う~ん 平 和 」

 

 木が生い茂り鳥がさえずる声が響く山奥の古い屋敷に住む若い男。彼は鬼怒聖真(きぬ せいま)変わった傭兵である。彼の得物はなんと刀で多くのELIDを斬り伏してきた猛者である。今日は何も予定が無く平和に緑茶を啜る。

 

「さて刀の手入れでもするか」

 

 緑茶を飲み干し刀を携え作業場へと移動する。鞘から抜いて丁寧に手入れをする。実はこの刀は改修された高周波ブレードで元々無銘な名刀をベースに開発された刀剣である。丁寧に手入れをし打ち粉で叩いてると珍しく呼び鈴が鳴る。

 

「何だまたEILD討伐か?はいはーい今出まーす」

 

 刀を鞘に納め玄関を出て門へ向かう。覗き窓を覗くと片眼鏡をかけた女性と一人の少女がいた。ただその少女には銃が握られていた。聖真は警戒し口調を強めた。

 

「…この国には銃刀法といものが有ってだな」

 

「知っているさ。私はヘリアントス。君を傷付けるつもりは無い」

 

「どうだか…俺は一応傭兵だけどEILDしか斬ってないから人様に恨みなんて買った覚えはない」

 

「そうかならビジネスの話ならどうだ?」

 

「いいぞ。入りな古い屋敷だけど…」

 

 聖真は分かっていた。二人が自分に危害を加えない事を。彼は敵意を無いことを改めて聞き屋敷へと招き入れ居間に案内する。

 

「どうも緑茶と饅頭です。お口に合えば」

 

「気遣いに感謝するよ。鬼怒聖真」

 

 一瞬だけ動きが止まり朗らかな笑みから真顔になる聖真。二人を睨む。

 

「…俺ってそんなに有名人?」

 

「少々噂で聞いた程度だがEILD相手に剣一本で戦うサムライがいるとな」

 

「そんな高貴な人間じゃないですよ。そんな柄じゃあないんで、んでそこの銃を持ってる物騒なお嬢さんは?」

 

「ああ彼女はM4A1…戦術人形だ。」

 

「初めまして、M4A1と言います」

 

「戦術人形…お宅ら何者?こんな山奥の屋敷に来るなんてただ事じゃないだろう?」

 

「そうだな…グリフィンアンドクルーガーを聞いた事はあるか」

 

「ああ海外で有名なPMCだろ?日本じゃ見かけないがそんな大企業の人が俺に何か用か?」

 

「実はクルーガー社長から直々に伝えたい事があってだな。それは」

 

 

 

 

 

 

「君が欲しいと」

 

 

 

 

 

 

 

「ここがグリフィンの本社か…」

 

 聖真は日本を出ていた。二週間後に必要な荷物と刀を携えグリフィンの本社があるエリアに赴いていた。刀はケースに閉まっており道行く人々を避けつつグリフィンの本社へ向かう。正門前には見覚えのある少女が立っていた。

 

「聖真さんお待ちしてました。」

 

「おおM4か。二週間振りだな元気だったか?」

 

「はい!あ、あの聖真さん…あれを」

 

「あーはいはい黒糖饅頭ね。皆で食べてねえ~」

 

 聖真はM4に饅頭を渡す。ヘリアンとの話の後、M4ももてなし饅頭を渡したら予想以上に気に入られて別れ際にお土産として頼まれたのだ。約束を守る為、聖真は出国前に買っていたのだ。

 

「ありがとうございます!聖真さんも試験頑張ってくださいね」

 

 M4は聖真から饅頭を受け取り礼を言ってヘリの方へ向かって行った。そこには他の少女がいて聖真は戦術人形と理解する。何故ならM4と同じように銃を装備していてM4とよく似た武器なのでそう判断した。

 

 再会に喜びつつも本社へ向かい入社試験に集中する事にした。

 

「さて入社試験ね…まあやるだけやりますか」

 

「まずは面接か…」

 

 

 

 

 

 グリフィン本社に勤務する受付に案内され待合室へ案内された。そこには十数人の男女が椅子に座ったり鏡で身嗜みを整えていた。中には緊張している者や言葉を復唱している者もいた。また、余裕そうにリラックスしてる者もいた。

 

「(皆緊張してるな。というか俺の刀に注目してるな)」

 

 そこにいる人間達が聖真の刀に視線を集中する。こんなご時世に刀を持つ酔狂な人間はいないからだ。そんな中、一人の男が近づく。白人の男性で珍しそうに刀を見ながら聖真に話掛ける。

 

「よおアンタはサムライか?」

 

「違う。ただ刀が得物の日本人だ。お前さんは?」

 

「ユーリだ。今日は就職試験を受けに来てな…」

 

「ほーん俺はスカウトされてここまで来たんだ」

 

「そうか。この試験ではグリフィンのどの部署に配属するか、という意味合いがあるらしい。因みに俺は補給班かな?前線で撃ち合う事に疲れてな…後方支援に回りたかったのさ。…そういえば名前聞いてないなアンタは?」

 

「鬼怒聖真だ。セーマと言えば分かりやすいか?」

 

「セーマか、分かった。セーマお前はどこに希望するんだ?」

 

「いやどこでも…元々はEILD討伐の傭兵でな…前線に配属されそうな気がする」

 

「そ、そうか。まさかそれで?」

 

「まあな、別に銃は使えるが刀の方が弾が節約できる」

 

「おう頑張れよ」

 

 聖真の面接時間が迫りやがて彼の番になり面接する部屋へと足を運んだ。

 

 

 

 

 

 部屋の前まで来た聖真。拳を握りゆっくりと丁寧に3回のノックをして返答を待つ。

 

「入りたまえ」

 

「失礼します」

 

 聖真は部屋に入り一人の男を見つめる。壮年で厳つい大男で立派な髭が特徴的でその眼には強い意志と噓をつく事を許さない気迫を感じ取る聖真。座るように促されてから席に着くが刀を手から離す事は無かった。

 

「遠路はるばる日本からよく来てくれた…我々は君の力が欲しい」 

 

「そうですか。まあフリーの傭兵は不安定なんでありがたいですけど…」

 

「何かね?」

 

「気付いてますね…クルーガーさん。それに…」

 

 聖真は刀を抜いた。だが抜いた先はクルーガーではなく真後ろに居たある人物だった。

 

「おい人形。もっと気配を殺すんだな実戦だったら首が落ちていたぞ」

 

 金髪の黒いコートを着こむ少女…もとい戦術人形が居た。聖真の刀は彼女の首数ミリまで迫り彼は静かに殺気が溢れていた。ただ、激情する事なく冷静に状況を分析し彼女が敵意が無い事を察し刀を鞘に納めた。

 

「お見事です。まさか見つかるとは」

 

「ウェルロッドもういいぞ下がりなさい」

 

「了解」

 

 そう呼ばれた人形は天井のパネルを外して消えて行った。聖真はその光景を見てどこから来たのを認識する。

 

「随分な歓迎で…満足ですか?(あんなとこから来てたのか…)」

 

「勿論だ。それで君はどうするのかね?ここに来るかそれとも極東に帰るのかね?」

 

「いや、ここに居させてもらう。前から外国で暮らしてみたかったので」

 

「ふっ…さて君には部屋を用意してある。そして、部署だが…希望は?」

 

「指揮官とやらに興味がある。それが駄目なら暗殺でもやるが?」

 

「いや指揮官の席を用意しよう。ある程度の軍事知識を持っているし腕も立つ。明日から指揮官の講習を受けてくれ以上だ」

 

「どうも」

 

  

 

 

 面接を終えた聖真は用意された部屋に向かった。そこにはユーリがおりお互いに顔を見合わせた。ユーリは聖真がグリフィンに就職した事に喜ぶ。

 

「いや~見知った奴がいると安心するよ。これから宜しくセーマ」 

 

「ああこちらこそユーリ。そういえば希望は通ったのか?」

 

「ああ、兵站の方になったよ。やっと前線からおさらばさ」

 

「ふーん…そっか俺はこいつを手入れするから先に寝てくれ」

 

「…見学していい?」

 

「別に構わんが…」

 

 

 

 

 翌日、指揮官としての講習を受け始めた聖真。刀を携える変わった日本人として見られていたが本人は気にしていない。成績も段々と上がり、実際に人形を指示する訓練が始まろうとしていた。とうとうその日がやって来てその人形と顔合わせになった。聖真が訓練場に向かうと二体の人形が待っていた。

 

「グーテンターク。初めましてG36です以後お見知りおきを」 

 

「グーテンターク。妹のG36Cです今回は宜しくお願いしますね」

 

「鬼怒聖真だ。見習い指揮官だが今日は宜しく頼むよ」

 

「さてセーマ。今日はこの二体を実際に指揮する実戦訓練を行う。貴官は講習にて優秀な成績を出しているが私からも助言を入れる。期待している」

 

「了解です。ヘリアン代高官」

 

「(俺の指揮官として生活が始まろうとしているな…スカウトされて物の試しに指揮官をしてみたが面白い事になりそうだな)」

 

 聖真の指揮官ライフが始まろうとしていた。だが、彼は気付いていない。これから巡るであろう仲間と敵、苦難が…この荒廃とした戦場に一人の剣士が舞い降りる日は近いかもしれない。

 




 次回投稿するまで饅頭を頬張るM4を想像して待っててください。


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初仕事

 お待たせしてすみません。リアルが忙しい遅れました。


 おっす聖真だ。グリフィンに入社して二ヵ月経ったぜ…指揮官になる為の訓練や講習を受けつつ朝の鍛錬を始める。剣の腕を鈍らせる訳には行かないからな。丁度いい感じの丸太を見つけては斬る。

 

「…ふぅ」

 

 居合の構えを取り鍔を弾き振り抜く…

 

「斬った」

 

 確かな手ごたえを感じ鞘に納める。それと同時に丸太は真っ二つではなく四等分に崩れる。中々良い感じだったな。朝食の時間だし食堂に向かうか。

 

「朝の鍛錬お疲れ様です。ご主人様。タオルでございます」

 

「おうありがとうさん…ちょっと待って?いたの?」

 

「はい、最初から」

 

「…凄いな気配を感じなかったぞ」

 

「これもメイドの嗜みでございます」

 

「いやいや違うでしょ!?ていうか俺まだ指揮官じゃないから見習いだからね!?」

 

 G36というメイド…彼女と会ってからこんな関係である。訓練から数日後に部屋に入り込んでくるとか色々凄かったよ。流石にまずいと思って追い出そうしたけど滅茶苦茶美味い緑茶入れられたら追い出せねえや。相方のユーリにはウォッカ渡していたし賄賂かな?

 

 それから、朝を起こしてくれるわ飯を用意するわで…お世話されてる。ついでに妹も手伝っている。なんでだろうな?その辺はヘリアン女史に聞くとするか

 

 早速、食堂に向かういい匂いがする。けどな…

 

「米がねえな…」

 

 そうっ‼米が無い‼圧倒的な欧州人の比率故に米が流通していないのだ‼幸いにも緑茶があるのだが…悲しい…それもそうかここ日本から結構遠いし

 

「あぁーパンが美味い‼」

 

「お前まさか煽っていないよなー?米が食ってない俺に対する煽りじゃえねぇよなー?」

 

「ちょ、待って…そんなに米が食わないとキレるの?」

 

「…すまん。別にパンが嫌いな訳ではないが…文化の違いというか」

 

「まぁしょうがねえよ。俺はウォッカがあれば十分だが」キュポン

 

「って朝から飲んでじゃねえ!?」

 

 己の肝臓を殺す気か!?こいつは!?

 

 

 

 

 

「あー今日は暇か…どうすっかなー」

 

 今日は定休日。ユーリは補給班の手伝いに行ってる…ユーリからウォッカを取り上げて部屋に戻しておいた。それから外のベンチで何か考えていると

 

「ご主人様」

 

「あらG36か」

 

「ヘリアン様がお呼びです」

 

「そりゃどうもじゃあ行くか」

 

 ついでに聞きたい事もあるし

 

 

 

「それでは私はこれにて失礼致します」

 

 G36はメイドらしく礼をして部屋を後にした。ヘリアン女史はそれを見届けてから話始めた。

 

「鬼怒聖真。君は仕事を依頼したい」

 

「それは俺の初仕事と?」

 

「そういう事だ。君はV1地区の指揮官として任命する…と言いたい所だが」

 

「何か問題でも?」

 

「実は前任が居るんだが…問題があってだな」

 

 

 

 

 

「何、ブラック指揮官?」

 

 何でもそのV1基地は人形たちの扱いが酷いらしい。内偵に向かわせた社員との連絡が途絶えていた。そこで俺を向かわせる事になったらしい。

 

「貴官は短期間であるが十分な指揮能力を持ち…あのG36に信頼されている事から推薦された」

 

「少しお待ちを…彼女はやはり何かあったんですか?」

 

「…あぁ」

 

 話を聞いた限り…彼女は別の基地で問題を起こしたらしい。というのも指揮官側に問題があったらしい。妹にG36Cに対してセクハラ紛いな事をしていたらしくそれだけではなく他の人形にもしていたらしい。それなりのイケメンだが性格は最悪だったらしい…おまけに肉体関係を持とうと迫ったらしい。我慢の限界に達したG36はエラーコードを省みず平手打ちをかました。

 

 平手打ちされた指揮官は事実を隠蔽しG36を更迭し解体しようとした。しかし、事前に本社に事実を知られていたのでお縄になったそうだ。しかし、問題はそこではない。G36はそれ以降、どの指揮官にも信用しなくなったという。彼女自体は練度が高く解体するには惜しい存在だったが、そんな時に俺が来て、何回か訓練をした結果、俺は彼女から信頼を得られたようだ。特に変わった事はしていなんだがな

 

「…話は戻すが貴官にはとある部隊を支援に寄こす」

 

「その部隊とは?」

 

「現場に到着してから連絡する」

 

「…了解」

 

 これ以上は聞くなという事だな。まあいい、さてさて仕事の準備でもしますか。刀は勿論、銃もだ。お世辞に得意とは言えないが必要だな。P320を整備して決行日まで待機する。

 

 

 

side G36

 

 私や大切な妹を邪な眼で見る人間は多く見てきた。どれも醜く悍ましさを感じた…いくら人形でもそんな人間の命令なんて聞きたくなかった。普通なら解体されてもおかしくない。けど練度が高い事が幸いして妹と共に本部で待機となった。そんなある日、一人の日本人男性に出会いました。最初は彼の演習として指揮を受けましたが、中々警戒心が高い方でした。曲がり角や死角をカバーするなど慎重で、奇襲を多用するなど大胆な指揮でした。ヒットアンドウェイ…それがそのお方の戦い方…以前の指揮官に比べ実に好感を持てました。

 

 日常生活でも私達のふれあいに特に邪な思考は見受けられませんでしたね。G36Cも彼に信頼を寄せています。彼は私達の二人をある意味人形と見ていません。このお方なら…「ご主人様」と言える…この人ならきっと…

 

 ただ、最近AR小隊の一員と仲が良いと噂を小耳に挟んでいるので少々気掛かりですね…さてご主人様はそろそろ緑茶を所望する時間ですね。後でお持ちいたしましょう。  

 

 これが私が望んでいた未来かもしれませんね…

 




 


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V01基地解放 前編

 感想で受けが良かったのでペースが上がりました。ということで404の皆登場。自分は4人を手に入れてましたが資材がグロ画になりました。欲しい人形は出ますけどその都度グロ画になります…これってまだ運が良い方ですかね?


 人斬りを依頼されてからV1地区へと向かう。トラックの積み荷に乗り揺らされながらも目的地にたどり着く。トラックが停車した時にこっそりと下車して市街地に向かう。S09地区に程近く新しい街…人口はまだ少ない。途中、巡回してるこの基地の人形を見掛けたが…腕や足に包帯が痛々しく巻かれていた。余程にこの基地の指揮官が非道である事が判る。

 

「…ちっ」

 

 見ていて胸糞悪い…地図を確認して404小隊との合流を計る。落ち合う場所はアパートの一室で念の為グリフィンの人形の眼から掻い潜りながら目的地を目指す。アパートについて予定時刻に着いてある一室にノックする。2回1回3回とノックすると鍵が開く。

 

「お邪魔します…」

 

 ドアを閉めると顔に傷が少女…いや人形がいた。

 

「あなたが今回の指揮官?はじめまして~UMP45です。仲良くやりましょう~?」

 

「あぁ宜しく…俺は鬼怒聖真。新人の指揮官だ。宜しく」

 

 不敵な笑みを浮かべる人形…彼女が404小隊のリーダーのUMP45だ。こいつ…裏の顔がヤバそうだな。そんぐらい分かるし敵に回したくないな…

 

「こんばんは!あなたが新しい指揮官?私はUMP9!よろしくね!」

 

「おおう。元気がいいな聖真だ宜しく」

 

 茶髪のツインテールの人形…もはや人間だな…UMP9という事はUMP45の妹という訳か。

 

「ふーん…あなたが今回の指揮官の日本人ね…私はHK416。よろしく」

 

「ああ宜しく…そんであっちで寝てる彼女は?」

 

「はぁ…ごめんなさい。あいつはG11…ただの寝坊助よ」

 

「ぐっすり寝てやがる…」

 

 ベレー帽被ったHK416と爆睡してるG11…やっぱ人形て人間ぽいな…G36といいG36Cといい本当に人間に近いな。そんな彼女たちが戦場で戦うとはな…日本じゃあんまり見かけないからな。ELIDの方が見るけど…ちっとも嬉しくないがな‼

 

「それであなたの得物がそれ?随分と古風な」

 

「…接近戦なら銃より上だがな。生憎俺は撃つよりも斬る方が才能があるんだよ」 

 

「変わった人ね…まあいいわ足を引っ張らないで頂戴な」

 

「安心しろよ。こう見えても隠密作戦や尾行は得意だぜ?まあそれよりも作戦の方だ…」

 

「そうね…雑談は終わり。416…G11を起こして」

 

「はいはい。ほら起きなさい寝坊助」ゲシゲシ

 

「ヴ…痛いよ416…優しく起こしてよ…って誰?」

 

「えっと…鬼怒聖真だ…一応指揮官だ。それで作戦の方だが」

 

 まずはUMP45と416と同行し潜入する。人形の監視を掻い潜ってメインコンピューターをハッキングする。基地の人形の指揮権を俺に上書きする。基地の機能を奪い…クソ野郎をとっ捕まえる。但し抵抗すれば殺害…UMP9とG11は陽動をして貰うやり方は自由。そして、俺がこの基地の新しい指揮官として着任する…

 

「流れはこんな感じだ…まずは基地を偵察し潜入箇所を調べる。ついでに基地の見取り図がある。俺としては下水道を通して潜入、貨物に紛れ込んで潜入…かのどちらかだ。他に意見は?」

 

「異議なーし」

 

「私も」

 

「私もよ」

 

「すぅ…すぅ…」

 

「いやあのちょっと寝ないで…せめて返事して」

 

「いぎ…なし…すぅ」

 

「寝ながら返事かよ」

 

 器用だなこいつ…尚、416にキレられた模様…ドンマイ。夜遅くという事で就寝…

 

 

 

 

 

 早朝起きると416が俺の刀を凝視してた。まあ珍しいよな。俺だけ時代を逆行してるからな…銃をメインに戦う彼女達から見れば滑稽だろうな。

 

「珍しいだろ?」

 

「え、えぇ…でもそうでもないわ。鉄血に高周波ブレードを持っている奴がいるから」

 

「ほう面白い奴だ…いつか戦うかもな」

 

「そいつは中々の好戦的な奴よせいぜい気を付けなさい」

 

「慢心はしないさ…さて丁度良い偵察に行くか」

 

「そうね。今回は早目早目に動きましょう」

 

 416を連れアパートを後にし基地への偵察を始めた…意外な事にこいつ体付きは良いんだな。そういえばG36Cもそうだったな。今頃二人はどうしてるだろうか心配だな。ついでにユーリも大丈夫だろうか…主に肝臓が。M4A1も会ってないけど元気だといいな…なんて考えていたら416がジト目で見てきた…俺なんか怒らせた?

 

 

 

 数日間の偵察を終えプランを立てた。潜入は貨物に紛れ込んで潜入する事に下水道に監視カメラがあったので断念した。しかし、偵察の度にペアを変えたがまあ面白かった。45はテキパキと仕事をしてくれ色々と調べてくれた。9はずっと話してきて日本や刀について話したけど仕事して欲しかった…416は何かと呟いていたが聞かないで置いた。だって怖いしG11は寝てたけど感が鋭いな…ぐーたらだけど。そして、作戦の決行日に…

 

「さて今夜。あの基地を襲撃する…可能な限り戦闘は回避する。まあその際は峰打ちで気絶させればいいさ」

 

「その時は頼りにさせてもらうわ。ならトラックに乗りましょうそれと基地の職員だけど…正規の職員ではないようね。偽装したIDを正規の社員から殺して奪ったようね」

 

「うんうん、他にも基地の物資が減っていてルートを嗅ぎ分けたら犯罪組織に横流しされてたよ!仕事が増えるね!指揮官‼」

 

「嬉しくねえ‼」

 

 さてと不幸な人形達を救いに行くか。俺は別に正義の味方ではない。汚れ仕事なんて何度もした。EILDだって何体も斬り殺した。それで誰かが救われるなら構わない。今までもこの先も…

 

 




 次回はややグロが入ります。ただ対象は人形ではありません


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V01基地解放 後編

 育てない星5を5Linkしているのでコアの消費が半端ない…漸くFALネキを5Linkなんで次はリーとG41…コアの消費がorz



 

「よし止まれ。倉庫に運べ」

 

「ここで良いか?」

 

「あーあ飯で食うか」

 

 

 

 

 

「行ったな…」

 

 箱からこんばんわ。聖真です。早速だが潜入に成功したんだが

 

「指揮官~?後でお話しましょう?」

 

「へ、変態…」

 

「不可抗力なんで勘弁して下さい‼」 

 

 さっき運ばれてる時に揺られた際に416の胸を触り45の尻を触ってしまった。警備よりこっちの方が脅威なんだよなー死にそう。だってさっきから汚物を見るような眼だもん…因みに感触は柔らかい感触でした…師匠、俺は階段を一歩上ってしまった気がする…

 

「さて人形は傷付けず野郎共は何人か残して始末するぞ。その時は俺の出番だな刀なら薬莢を出さずに始末できる」

 

「任せますよ。さてメインコンピューターへ行きましょう。場所は基地三階にある…」

 

「よし行こう」

 

「待って指揮官敵よ」

 

 警戒していた416が敵の存在を察知した。416は消音機を装着し何時でも撃てる態勢だった。物陰に隠れ様子を伺うと人形と男だった。

 

「なあ今夜は俺とどうだい?Vectorちゃんよ」

 

「気安く呼ばないでそして触らないで」

 

 あの人形はVectorか、それにしても嫌な男だ…人形の造りは良くできているからそういった行為もできる。その様な目的で売買される人形達もいてそれに指揮官が人形を流すようだ本当にくそったれな話だ。ゲス野郎はVectorに行為を強要しようとしていて助けたいが…当然彼女に見つかってしまう。どうしたらいいものか…考えていると45が袖を引っ張って耳打ちしてきた…成程、便利なこった人形様は

 

「まあまあそんな遠慮するなって」

 

「あなたが遠慮するべきでしょうに…それに仕事しなくてもいいの?」

 

「こんな所に来る命知らずは居ないつーの」

 

「ちょ、やめ…辞めて!?」

 

 

 

「よう兄ちゃん?今夜も元気だな」

 

「あっ?誰だおま」

 

 振り返った瞬間、首の頸動脈を脇差で突き刺す。

 

「あがぁっ!?」

 

 そのまま深く刺し込み声を上げることもなく息絶えた。血のあぶくを吐き出す死体を引きずりロッカーへ隠す。Vectorの所に駆けつけると乱れた服を直していた。

 

「ありがとう」

 

「おう人形同士で会話できるんだな」

 

「まあね、それと用件は聞いてるよ。協力してあげる…でも」

 

「絶対に成功させて、あんな指揮官とすぐにでもおさらばしたいんだから」

 

「任せろ。早速メインコンピューターに向かおう…その前に9、G11聞こえるか?派手にトラックを吹き飛ばしてくれ」

 

『うん…わかった』

 

 起爆合図を送り外で爆発音が聞こえた。基地の入口の脇にある停めたトラックを爆発させ陽動する。その間に9とG11は基地に潜入しクソ野郎の退路を潰す。それで俺達はメインコンピューターへ向かい基地の権限を俺に移し人形たちを率いて基地を奪う…いや取り戻す。元にな

 

 外の方は…

 

「爆発だぁ‼何が起きた‼」

 

「あいつらが来たんじゃ…あいつ殺っちまったから…‼だから殺すなって‼」 

 

「知るか‼人形共を盾にすれば時間稼ぎになる‼おいあいつを叩き起こして指示を出せ‼」   

 

 良い感じに陽動ができてるな。内部に居る人形が外に出れば監視の眼が減るだろう。Vectorに案内され基地内部へ繋ぐ裏口から潜入して何時でも抜ける様に刀に手を掛ける。バレないようにするのが一番だがな

 

 移動中、Vectorは俺にもう一つの頼みを聞いてきた

 

「…もう一つ頼んでも良い?」

 

「何だ?」

 

「あいつに逆らって独房に囚われた人と人形がいるの…助けてくれない?」

 

「分かった…でもメインコンピューターが最優先だ」

 

「分かってる…なるべく早くしてね?」

 

「勿論だ」

 

 メインコンピューターがある三階へ駆け上がろうとすると敵二人と出会い頭に会ってしまった。だが止まらず居合で仕留めに掛かる。

 

「ぐっ‼」

 

「がっ!?」

 

 首元を一撃で始末して走る。また階段を上り渡り廊下へ…

 

「凄いねあなた一瞬で殺した…」

 

「これぐらい朝飯前だ」

 

 だが潜入には気付かれたようで敵が徘徊していた。そいつらを排除回避しつつ、遂にメインコンピュータールームへドアを蹴破りバリケードを設置して入口を塞ぐその間に…

 

「手早く頼むぞ45。こっちはどれだけ持つかは分からん連中が爆薬を持ってくる前に…」

 

「はいはい分かってるってさ~てちゃっちゃと始めますか」 

 

「あ、私は攻撃できないから早くしてね。取り敢えずこれ上げる」 

 

「火炎瓶…」

 

 Vectorから彼女のメインウェポンを貰った聖真は片手に刀、片手に火炎瓶という奇怪な恰好になっていた。

 

「何をしてるのあなたは?」

 

「416さん?そんな冷たい眼差しで見ないで?心が痛いの」

 

 そんなコントをやっていたら罵声と怒号とドアを叩く騒音の三拍子が登場…うるせぇ 

 

「貴様ら‼何をしている‼ここを開けろ‼」

 

「…あいつがここの」

 

「ほう…」

 

 開口一番の声の主がここの指揮官だそうだ。人形を酷使しそれで得た資源を武装勢力に横流し私服を得たクソ野郎。街で見かけたボロボロな人形を思い出し怒りが込み上がる。刀を握る手が強くなる…だが俺はVectorに合図を送る。

 

「Vectorッ‼貴様あ‼裏切ったな人形の分際で‼」

 

「はぁ…煩い奴…この際だから言うけどあんたみたいな最低な人間…初めてだよ」

 

「黙れ‼これが終わったら貴様のようなガラクタは独房ではない‼解体してやる‼」

 

「というか何でそこまで私服を得ようとするの?グリフィンの給料に不満でもあったの?」

 

「ふっ解体される前だ…良い事を教えてやる。グリフィンの指揮官は名誉と地位を手っ取り早く手に入れられる…そこで思い付いたのさ…コネを使って指揮官になろうとね。お陰でこの街を独占できた…ここには麻薬の密売、人身売買、人形の違法密売がたんまりだ…お陰で俺は奴らから金を貰える。鉄血を始末すれば名誉が得られる…貴様ら戦術人形は俺の道具なんだよ‼ご主人様の命令が聞けないなら捨てるまでさ…‼」

 

 

 

「という事です。クルーガー社長」

 

「…へっ?」

 

『そうか分かった…後は君に任せる』

 

「活かしても殺しても?」

 

『勿論だ…そこら辺は上手く隠しておこう』

 

「了解です」

 

 45の方を振り向くと親指を突き立てていた。それを見て思わず笑みが零れた。9とG11に合図を送りメインコンピューターの前に立つと

 

『V01地区の権限は鬼怒聖真に移行する。当基地の運営はこの人物が担当し並び所属する戦術人形の指揮権も謙譲する』 

 

「よしならば…」

 

 

 

『この基地にいる戦術人形へ、俺は鬼怒聖真…この基地の新たな指揮官だ。これより君達に指示を出す…ここにいるろくでなし共を追い払え、ここは君達の居場所でもあり家でもある。君達はこの家を守る権利と住む権利がある…武器を取りこいつらを』 

 

 

 

『倒せ‼以上だ』

 

 9から通信が来る

 

『指揮官‼凄いよ‼皆悪い奴らをとっ捕まえてるよ‼』 

 

「分かった…9ちょっといいか?この基地に独房があるんだ。そこに正規の職員と人形が囚われている。解放してくれないか?」

 

『分かった!じゃあこの基地の娘達に協力してもらうね!指揮官は?』

 

「あぁ俺か?そうだな…」

 

 

 

「ケジメを付けにな」

 

 ドアの前に立ち、居合で構え。バックアップに45、416、Vectorに援護して貰い扉の前に居るであろう敵を扉ごと切り裂いた。残りの敵は唖然としその隙に45のスモークグレネードで視界を奪う。俺は煙に紛れ元指揮官を追った。背後からは男共の悲鳴が木霊した。

 

 元指揮官を追って行くと屋上に着く、こいつなんで自分から退路を断つんだよ…アホかよ

 

「はぁ…はぁ…クソックソックソックソックソックソォ‼なんてことだ‼俺の計画が‼」

 

「よう元気だな。そんな走る回れる体力があるなんてな」

 

「あ、あいつらは?」

 

「半分が死んで残りは捕まっただろうな…」

 

「俺をどうするつもりだ‼こ、殺すのか!?」

 

「さぁ…どの道お前は死ぬよ…それは今か後か」

 

 無情な通告にこいつは地に手を付ける…馬鹿な男だ。欲に溺れた人間の末路か。男が顔を見上げると俺に札束を差し出して来た。こいつめ…

 

「頼む…今見逃したらこれを…」

 

「…」

 

「た、足りないなら…この街を貰って行け…これでどうだ…」

 

「…」

 

「横流した連中のアジトも教える…それに俺のコネクションをやるよ‼こう見えても金持ちなんだ俺は…‼だから‼」

 

「駄目だ」

 

「い、嫌だ…死にたくない‼」

 

「心から反省の態度を見れば…まあ悪くはしなかったかが…ここまで来るとな…それで君達はこいつをどうしたい?」

 

 後ろには元指揮官の部下たちだった人形たち。ボロボロで満足に整備されなかった彼女たち…その内の一人であろうリー・エンフィールドが男に銃を向けていた。

 

「私はお前を絶対に許さない‼どれだけの仲間が…苦しんだか‼」 

 

 それに続くように眼帯を付けたMG5はコッキングレバーを引いた。

 

「同感だ…指揮官命令を…」

 

「指揮官‼私にも‼」

 

「ご命令を‼」

 

「私にも‼」

 

「指揮官‼」

 

 

 

「悪いがこいつは俺が殺る…君達はそれ以上手を汚すな…」 

 

「しかし指揮官‼」

 

「それでもだ…君達にこれ以上の憎しみを持って欲しくない」

 

 詰め寄るMG5を宥めつつ他の人形を見る…皆憎しみを抱いていた。そりゃそうだこいつに散々こき使われたんだ。当たり前だ。その時、誰かが叫んだ。

 

「指揮官っ‼危ない‼」

 

 男が俺に拳銃を構えていた。その表情は醜くなっていた。

 

「どうせ死ぬんだ…ならばお前も道連れだ‼」

 

「指揮官‼」

 

 

 

 

 

side Vector

 

 敵を殺して仲間を解放した。やつれていたリーとMG5他を救出した。今起きてる事を話し指揮官と来た人形の連絡であの男が屋上にいた事を教えられた。それを知ったリーとMG5は武器を担ぎ鬼気迫る表情を浮かべ屋上へ向かった。

 

 そこで目にしたのは項垂れるあいつと新しい指揮官がいた…情けない事にあいつは指揮官に命乞いをしていたあまりの無様な姿にスカッとした。けど私達の怒りは収まらない…今すぐでも焼き殺してやろうと思っていたけどそんな考えは引っ込んだ。それは指揮官が悲しい顔をしていたからだ…それを見てリーとMG5も悟ったようだ…そこまで言うんならね…まっこれであいつとおさらばできる

 

 なんて思っていたら、隣に居たF2000が叫んだ。あいつは拳銃を構えてた。

 

 

 不味い

 

 でも手遅れだった銃声が聞こえてた…そんな…でも信じられないような光景が映った。

 

「無駄だ」

 

 指揮官が刀で銃弾を切り落とした。

 

 弾丸は真っ二つになり指揮官に命中せず、更に男が持っていた拳銃のスライドを切り落として…

 

「ひぃ!?バケモンが‼」

 

「黙れ」

 

「ぎゃあっ!?」

 

 小さい刀?で腹を刺してそれだけでは止まらずそのまま上に…  

 

「ぎゃぁぁああああああああっ‼」

 

 鮮血が指揮官を染める…でも動じない指揮官は最後に

 

「地獄に落ちろ」

 

 そのまま刀であいつを斬った。

 

 

 

 

side 聖真

 

 袈裟斬りで振り抜き脇差を抜いた。男は大量出血で死に掛けていた…だが止めは刺さない何故なら

 

「こ、殺せっ…‼」

 

「そのまま悶え苦しみながら死ぬんだな…楽に殺させない」

 

 俺はこいつが息絶えるまで見届けた…5分もしない内に死んだ。これでV01基地は解放された…この男から人形達も見ていて中には解放された喜びで泣いてる人形がいた。その後本社から援軍が来たが

 

 ヘリからメイドさんが…親方‼空からメイド…じゃねえ!?G36が華麗に着地する。この娘たまに野蛮な気がするけど気のせいかな、その後にG36Cとユーリがいた…左手にはウォッカが握られていたのは見逃さなかった。

 

「ご主人様、ご無事で…ってどうなされたどうなされたのですか!?ご主人様!?」

 

「ね、姉さん‼落ち着いて‼ま、まずは止血を…」

 

「いや二人とも落ち着いて…」

 

 援軍って…君達だったの!?というかG36とG36Cが5体もってそこまで練度高かったの!?ダミーはそれぞれ止血剤や着替えの服など持って来ててんやわんやだったけど必死に説明して分かって貰えたよ…意外な部分が見れたな。兎に角風呂入るか…

 

 

 

 こ こ シ ャ ワ ー だ け か よ(湯舟に浸かりたい派)

 

 

 




 次回は立て直し編です。


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立て直しと浄化

 お待たせしました。


「大変だったなセーマ。まさか最初の仕事が人殺しだったとはな」

 

「全くだ…それに横流しされた物資を取り戻さないとな…鉄血だって来るかも知れないしな」

 

「…そう言ってるけどさ何時まで吊るされてるの?」

 

「俺は無実だ…不可抗力やねん…」

 

 45と416に土下座したけど吊るされた。45はあの殺気まみれた視線で睨み416はごみを見るような目で見下された。この事を知ったG36は  

 

「ご主人様?どういうことですかそれは?」ジー

 

 あんな目で見られてドスの聞いた声を聞いたら震えるしかないじゃん‼というか助けて‼吊るされてる時に下着が見えたのは内緒、言ったら頭がザクロにされる。9に助けを求めてたけど

 

「9ちゃん助けて‼頭がパーンって弾けちゃう‼」

 

「えーどうしようかなー?」

 

「お願い何でもするから‼」

 

「誇りはどうしたの?」

 

「命が優先じゃ‼」

 

「じゃあ指揮官45姉と416のさわり心地はどうだった?」

 

「柔らかったです。はい」

 

「だってさ二人とも!」

 

「え?」

 

「指揮官ー?あと一時間延長ね♪」

 

 

 

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛頭が痛い…」

 

 漸く解放された…兎に角基地の再建を急がないと行けない。地区内の犯罪組織の掃討と鉄血の侵略も防がないと行けないという面倒事が二枚重ねになってる。どちらも脅威であり片方をないがしろにする訳には行かない

 

「よーし全員集合」

 

 復旧作業している職員と人形達を一旦集めさせる。

 

「まあ、文句は言いたいだろうが…そうも言ってられる状況じゃない。地区の浄化に鉄血との戦い…やるべき事は沢山ある。そこで臨時編制の部隊を作る」

 

「第一部隊は治安を担当する。ここには練度の高い人形で編制する。第二部隊は鉄血との戦いに主旨とし練度を低い人形で構成し俺も戦う」

 

「指揮官!?戦うのですか!?危険ですよ‼」

 

「大丈夫だ日本でよくEILD討伐に参加していたからな…それに本社で訓練を受けているし引き際も弁えるさ」

 

「それじゃあ編成は…」

 

第一部隊

 G36 G36C リーエンフィールド Vector FNP9

 

第二部隊

 MG5 F2000 K5 ステンMkⅡ G3

 

「これを中心にローテーションで回していく待機中の人形は基地で復旧に従事と警備にあたってくれ。ユーリ物資の補給と補給網の開拓頼むぞ」

 

「任せろ。APCを用意したこれを使え2台あるから各部隊に配備するヘリはまだ一機しかないから第一部隊で運用させてもらう」

 

「構わん、第二部隊行くぞ。鉄血の進行を止めるぞ」

 

 

 

 

 V01基地から数キロ地点…

 

「指揮官さん見えました。プロウラーとスカウトです」

 

「ご苦労様G3…それなりにいるな各自準備はいいか?G3、F2000は攻撃用意。ステンは前線で掻き回せK5はステンの援護、MG5は部隊を後方から火力支援」

 

「了解した指揮官。各員攻撃開始‼」

 

 プロウラーとスカウトの集団の側面から攻撃する。今のところは順調に進んでいる。交戦エリアを変えつつ鉄血の侵攻を遅らせる事に成功した。暫くは大丈夫だろう

 

「よし切り上げるぞ」

 

「あの指揮官。後一回分の弾薬ならありますが…」

 

「撤退中に撃てないとなると危険だ。まずは生きる事を優先しろ一人減ったらその分戦力が低下すると思え。これからはこのやり方だいいな?」

 

「分かりました指揮官さん」

 

 彼女達を言い聞かせる。撤退中に襲われる事も考えて弾薬は使い切らない方針にしてる。これならいざとなった時に戦えるし帰れば一回分の物資を節約できる。確かに倒し続ければ鉄血の進行を止められるが基地の状況から一人でも欠けさせてはならない。

 

 APCに乗り込んで基地へ帰ることにした。浄化はユーリからは順調と聞いてるから大丈夫だろうな…と思ったら装甲車が傾いた。人形達の悲鳴が木霊する。ドライバーも切羽詰まった表情していた。

 

「ドライバーどうした!」

 

「狙撃です!鉄血のイェーガーからタイヤを狙撃されました!衝撃に備えてください!」

 

 その時、世界一回転した。意識が一瞬途切れた…

 

 

 

「いってぇー…やられたか…各員無事か?」

 

「私は大丈夫です…他は気絶してます…」

 

「そうかMG5は大丈夫か?」

 

「問題無い。武器も無事だ」

 

「分かった…外の安全を確保するぞ…たぶん鉄血はいるだろうな」

 

「どうする指揮官?このままでは…」

 

「いや安心しろ。俺にはこれがある」

 

 そう愛刀がな。こいつの間合いなら一瞬で殺れるからな…

 

「武器を捨てて出てこい!」

 

 だっくそ!もう来たか…俺はMG5に耳打ちした。彼女は納得してない顔をしていたが…俺は確かな自信があって彼女を装甲車に匿った。

 

 

 

side MG5

 

 指揮官の指示で装甲車に身を潜めた。鉄血兵がすぐそこまで迫り指揮官は取り囲まれてしまった。

 

「なんだこいつ?刀を持ってるぞ?」

 

「時代遅れも良いところだ…ふっ」

 

 指揮官の刀を見て嘲笑している鉄血兵ども…指揮官に助けられた私としてはすぐにでも助けたい…しかし、私一人ではどうしようもできない。F2000が漸く目を覚ますが…左腕をやられてる為戦力にはならない。

 

「時代遅れ…か…だが」

 

 

 

「俺の間合いだぞ?」

 

 その時だった。何かが走った気がした。気が付いたら…鉄血兵から血渋きが飛び散っていた。

 

「ぐっぁあ…‼」

 

「かはっ!?」

 

 指揮官は刀を逆手で握っていた。真後ろにいた鉄血兵も切り裂いていた…鉄血兵も反撃しようにもお互いに誤射しやすい距離にいる為引き金が引けない指揮官の独壇場だ。

 

「油断したな…それがお前達の命取りだ!」

 

 鉄血のガードが盾を構え指揮官の斬撃に備えるが指揮官は刀を振らず突きだしガードを盾ごと串刺しにした。あの刀はそこまでの威力があるのか!?乱戦の最中聞こえるのは鉄血の悲鳴だけだった。

 

 

 

「よし終わったぞ…MG5他の皆は?」

 

「あ、全員無事ですが負傷者も多いです。ドライバーは基地の方に連絡して応援が来ます」

 

「そうか、ご苦労…」

 

「指揮官…あれは…」

 

「あぁ抜刀術だ。正確には剣術ではないが…俺の得意分野だ。あんな風に油断してる相手なら一瞬で殺れる。応援が来るまで警戒だ。油断するな」

 

 指揮官は指示を出し擬似血液で塗れた刀を拭き取っていた。とても美しい刃紋だ…思わず見とれそうだ。その後、無事に帰還しメンテナンスを受ける事になった。指揮官は仕事と言って部屋に向かっていった。浄化の方は順調に進んでるらしい…この町が正常になるまでもう少しだ。

 

 

 

 

 

side ペルシカ

 

「へぇー面白いねぇ彼…」

 

 私は一人の男を見ていた。最近指揮官になった男で何でも時代錯誤な日本刀を持っていた…まあ高周波ブレードらしいが。まあそれはいい私が惹かれるのは

 

「一瞬で周りの鉄血を切り裂きガードをシールドごと突き刺す…凄いわね」

 

 私は新たな戦術人形の構想プランを考えていたが…変わったコンセプトが欲しかった。簡単には言うと銃以外武器の烙印システムだ。最近では近接戦にも対応すべくそれに見合ったコアを造る予定だったが…肝心なのは格闘や体術を本格的にしなければならないということだ。一部に人形には可能なのが何体か存在するが。

 

 アイデアが思い付かない時に彼が現れた。実はグリフィンに呼ばれた時に彼の剣術をチラッと覗き見をした。丸太を切り裂き缶ジュースをピンポイント尚且つ何度も斬った腕前にこの戦闘力。そこで私は彼の戦闘データを元に自衛隊から取り寄せた武器をベースに一体の戦術人形を産み出した。それは

 

「20式小銃…ある意味挑戦的な戦術人形になるわね」

 

 栗色のポニーテールで如何にも日本の女子高高校生を思わせ迷彩のソックスとスカーフ、リボンを結んだ少女…この娘が目を覚ますまでもう少しだ。私はパソコンの画面に釘付けになりコーヒーを飲みながらキーボードを打った。彼の剣術をコアに書き写して

 




 次回は地区の浄化。つまり悪党ども成敗っ!時代劇みてぇだな…


追記
 9mmけん機関銃が先行サーバーにおるやんけぼけぇ‼という事で自衛隊で採用される予定の20式に変更です
 


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裁きの刃と新たな刃

お待たせしました。別の作品やリアルで遅れました。今回からは三人称に戻します。


 とあるビルから男たちが大急ぎで荷物をまとめ車に乗り込んでいる。彼らは違法薬物と武器の密売でV01でも大規模な組織である。しかし、聖真によって地区の浄化が始まり既に大半の組織が壊滅している。ここ三日間だけで5つの組織が壊滅した。逃げた者たちも多い…彼らもその中に含まれる

 

「いそげ連中が来る前に…!」

 

 ボスが部下に指示を出し車に乗り込む、部下がエンジンを掛けようとした時車の上に何が乗り鈍い銀色の物が部下のキーを回そうとしている腕を貫通していた。車体の上には刀で車を串刺しにしている男

 

「ぎゃぁぁああっ!?」

 

 それが引き抜かれ血しぶきが飛び散り車に乗っている人間を真っ赤に染める。序でにフロントガラスも血で塗りつぶされている。

 

「畜生!やってやる!」

 

 部下の一人が外に出て反撃しようとした瞬間、乾いた音が響き渡り部下の脳が吹き飛んだ。次に音が聞こえた瞬間には運転席の部下の胸を撃ち抜かれた。

 

「嘘だろ…この俺が、こんな所で!」

 

 ボスは堪らず車を置いて走っていた。部下が殺され既に一人…何がなんでも逃げようと走るが…

 

「待ちな」

 

「ぐっ!?貴様…!」 

 

 既に先回りされており逃げ場を失う男。すかさず拳銃を抜いて引き金を引こうとした瞬間。右腕の感覚がなくなった。そして、ドチャと鈍い音が聞こえた時右腕の肘から血が吹き出した。

 

「ぐぁあああっ!?」

 

 右腕を押さえ付けようとした時に胸を貫かれそのまま意識を失い二度と目を覚ますことはなかった。

 

 刀身は月の光によって血で赤く美しく輝いていた。

 

 

 

「お疲れさんセーマ。これで粗方片付いた」

 

「よし治安部隊は突入だ。こいつらの物資を有り難く頂戴しようぜ」

 

「やってること泥棒だぞ?」

 

「何、元々はこっちの物だったんだ取り返してもよかろう」

 

「まーそうだな」

 

 聖真は刀を拭き取り鞘に納める。治安部隊のG36たちが突入を開始し制圧完了。大量の物資を奪取し基地の資源もかなり潤い本社に連絡する。基地では武装した人間がユーリの指導の元、訓練が始まっている。彼らは難民でこのV01に流れ着いたのだ。しかし、治安が不安定な為ユーリが使える人材を見つけ治安部隊を結成する。まずは実働部隊と警察組織に別れ育成している。元軍人や傭兵、警察官などを積極的に受け入れ治安維持に貢献している。

 

「どうだ治安部隊は」

 

「悪くはない。午後から初仕事で主に人形と見回りだ…装甲車や奪った改造車を使ってな。武器もだ」

 

「そうか…さて俺は16Labに呼ばれた。ちょっと行ってくるぜ」

 

「あいよ、任せておけ…あぁウォッカ飲みたい」

 

 ユーリの愚痴を流しつつヘリに乗り込んで16Labへと向かった 。それを見送ったユーリは思う。

 

「(あの高周波ブレードどんだけ切れ味が良いんだ?MG5からは鉄血のガードを盾ごと突き刺したと聞いてるし化けもんか?今回だって車を貫通させたし…)」

 

 聖真の持つ刀は異常だ。とんでもない切れ味で何度も敵を斬り殺している。高周波ブレードは正規軍でも採用されてるがあそこまでの使い手はまずいない。彼の強さを改めて知ったユーリだった。

 

 

 

 

 

 一方で聖真は16Labに到着していた。降りるとM4と一緒にいた人形がいて眼帯を着けている人形に出会う。

 

「あんたが鬼怒聖真か?妹のM4が世話になってる。AR小隊のM16A1だ」

 

「そうだ君が彼女のお姉さんか。よろしく…そんでなんで俺が呼ばれたんだ?」

 

「私らの産みの親…ペルシカがあんたに用があるそうだ」

 

「早く終わらねえかな…まだ書類仕事あんだけど」

 

「それはペルシカ次第だな」

 

「まじ?」

 

 未だに終わっていない書類仕事。それを大層気にする当たり指揮官としての仕事が少しずつ芽生えてるかもしれない。案内され彼女の研究室に入ると聖真は絶句した。

 

「なんだこの部屋!?ごみ捨て場か!?」

 

 物が散らかってるレベルじゃねぇーぞ!おい!と付け加える。奇跡かまたは必然かモーゼの海のようになんか部品が拓け道が出来ているではないか。その道を辿るとマッグカップ片手にキーボードを打つ猫耳が生えたようでダウナー系女性がそこにいた

 

「やぁ君が鬼怒聖真かい?M4から色々聞いてるよ」

 

「どうも鬼怒です。あんたがペルシカ博士だな宜しく。そんでなんの用件で?」

 

「実は君の基地に着任…いや預けたい人形が居てね。銃撃戦から近接戦までこなせる人形なんだ」

 

「ほぇー」

 

「まあ君の戦闘データを元に作製したんだけどね」

 

「ふーん…ん?今なんと?」

 

「君の戦闘データを参考にしたのさ…随分と凄いね」

 

「いや待ってそれ何処で?いつ何処で俺の戦闘データ取ったの?」

 

「最初の鉄血の戦闘から街の浄化…今までのことなら知ってるさ」

 

 それ以上聞かないと思った聖真は差し出されたコーヒーを飲むが

 

「(まっずぅ!なんだこれは!?泥水だろうが!)」

 

 表情を変えずそれを飲み干す聖真…しかも表情を変えずに。日頃からG36が入れてくれるコーヒーや紅茶、緑茶を飲んでいる彼にとってはG36に改めて感謝とペルシカのコーヒーは飲んではいけないと察したのだった。

 

「さて本題に戻ろう。その20式を君の所で預かってくれないだろうか?近接戦闘では戦術人形を凌駕する君に任させたいんだ…頼めるかな?」

 

「戦力が欲しい頃合い…喜んで彼女を引き取りましょう」

 

「ありがとう感謝するよ。明日に着くだろうからさ。M16?彼を見送って」

 

「わかった。こっちだ」

 

 マグカップを置いて何かを思い出したペルシカは聖真を呼び止めある装備を渡した。それは…

 

「これは何だ、人形に付ける…外骨格?」

 

「そう、それは君の脚力を底上げする装備…いくら身体能力が高くても限界はある。だから、それを使いたまえ」

 

「どうもありがたく使わせて頂きますよ」  

 

「…意外だね。君のような人間はあまりこういった科学的な部分を否定しそうなんだが…」

 

「ヘリアン女史から聞いてると思うが俺の家は山の古い日本風の屋敷だ、けど普通に電子レンジやテレビもある。別に便利な物頼ってもいいんじゃ?」

 

「面白いね本当に君は…また会えるのを楽しみにしているよ」

 

「そうですね…じゃあ」

 

 外骨格を積めた箱を担ぎヘリに乗って飛び去った。暫くして基地に到着し指揮官として仕事を再開する聖真…隣には仕事の補佐としてG36が、輸送部隊と治安部隊の指揮を執るユーリがいてそれぞれの報告を受けることに

 

「大分、この地区も安全になった。今、難民を受け入れて色々と仕事をして貰っている。それとローザという元イギリス軍の軍医が病院を開きたいから色々と物資を調達して欲しいと頼まれた。それらは俺たちで何とかするから書類にサインしてくれないか?」

 

「ご主人様、基地の備蓄も潤いました。人形を建造か装備の補充を致しませんか?また、鉄血の活動もやや活発になっております。偵察をした方が良いかと」

 

「そうだな。資料を目を通しておくさ。G36部隊の編制を見直す。治安維持は一旦停止、今後は鉄血の掃討を重視する。あと戦術人形が一人ここに来る」

 

 指示を出し基地を運営する聖真。まだ新人指揮官だが戦闘慣れしており戦術を人形と共にいくつか編み出している。書類を片付けては契約書片手に工廠へ向かう、そこでは人形を新たなに製造する為の機材、人材が配置されスタッフは日夜開発に取り組んでいる。今回はライフル人形狙いで資材を投入し装備の製造を開始して鉄血との戦いに備える。

 

 夕飯前…製造完了の報告を受けてG36と共に工廠へ向かう。製造時間から待望のライフルである為期待が高まる一同。G36を連れ工廠に訪れる、手術台の上に眠るのはワインレッドの髪でスーツに身を包む可憐な少女。やがて瞼を開け分身であるライフルを手に取り聖真の顔を見る。目に何かのコードが流れ彼を指揮官と認識した彼女の第一声は

 

「私の名前はワルサーWA2000。指揮官、私の足を引っ張ったら、承t」

 

「少しお時間を頂くことはできますか?ワルサー?」ギロ

 

「ひっ…あのその」

 

「ありゃありゃ36落ち着いて、ワルサーか?まあこれから宜しく、俺は鬼怒聖真だ」

 

 G36にメンチ…ではなく睨まれたワルサーはビビりながらも聖真と握手する。丁度夕飯の時間帯なので一緒に食事することになった。

 

「あ、あの指揮官…それは?」

 

「ん?あぁ珍しいだろう?俺の得物さ」

 

「刀?」

 

「名前の無い無銘の刀…でもこいつのお陰で今の俺がいるのさ。名前がなかったクソガキの俺を拾ってくれた師匠の贈り物さ」

 

 当時のことを懐かしむ聖真。孤児院から拾われ修業を重ね対等に渡り合えるまで強くなった青春時代。今も手紙

のやり取りは続けているが、ワルサーの歓迎会も兼ねた夕食は終わり静かな夜になる。執務室で明日来る人形の試料を纏める最中、ノックが聞こえる。

 

「いいぞ」

 

「失礼いたします。ご主人様そろそろ終業時刻でございます」

 

「そうか…もうこんな時間か」

 

 執務室から出て寝室へ向かう。本社とは違う広い一人部屋だ、家具はそれなり置いていて私物もそこそこ饅頭は至る所に隠している。

 

「36」

 

「はいなんでしょう?」

 

「そのー毎日起こしにくるの…面倒だろ?部屋は広いからベット追加するか?」

 

「!?あ、いえ、ご主人様が構わないのでしたら是非!」

 

「ああいいぞ」

 

 本人はG36に負担を掛けさせないつもりで言ったつもりだが、彼女は別の意味で捉えたようだ。

 

 

 

 

 

 翌日…業務をこなし昼時になった頃に新しい人形が着任した。

 

「初めまして!20式小銃です!」

 

「お、元気がいいな」

 

「よろしくお願いいたします。お父様!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん?」

 

「ご主人様…?」

 

「指揮官…?」

 

「セーマ…?」

 

 G36は聖真の眼前に迫り、リーは目を点にし、ユーリは口をパクパクしていた。

 

 

 

 

「ペルシカァァァアアアアアアアアアアアッ!?」

 

 抗議の電話を入れたのは言うまでもない

 

 

 




 次回は街の発展と案山子さんが登場。


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