Vault101から来たよつば (ふぉーきゃっと)
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Vault101から来たよつば

なんか執筆中データに転がっていたので。


 引っ越し日和だ。軽トラも快調。

 

 かくも日本とは平和なところだと、よつばにも伝わるといいんだが。

 

「すげぇ! とーちゃん、ここきれいな家がいっぱいあるな!」

「そーだろー。お店もあるぞー」

「お店もか!? レジの金とったらおこられるやつ!?」

「……そうだ。怒られるやつだ。もうやるなよ?」

 

 よつばの常識は日本の非常識だ。いや、異世界の常識なのかもしれない。瓶のキャップが通貨として流通している国など聞いたことがないし、俺の知るアメリカは核兵器を落としたことこそあれ落とされまくってやしない。ましてや荒野になどなっていない。

 

「すげぇー!! 人がいっぱいいる!」

 

 中学校だ。下校時間の早さから察するに、明日から夏休みなのだろう。

 

「きょうはゴートか!?」

「テストだっけか、それ。まあ、学校だからあるっちゃあるだろうが……」

「よつばはとくいだ。ゴート。ミニガンをようきゅうする」

 

 ミニガン。小さな銃ということだろうか。どういうテストなのかはいまいちわからないが、確かによつばは得意そうだ。エアガンを持たせておけば殺虫剤要らずだし。

 

「あんまりのり出すと危ないぞー」

「手ぇふった! へいよーぐっつすっす!」

「とーちゃんよくわからんけど、それは別の異常識なんじゃないかな」

「そっか。よつばまちがえた。ぽてとあぼがとふる……な?」

 

 また訳のわからんことを。口振りからしてこっちの言葉じゃないのだろう。あっちがどんなだかは、聞けば聞くほどに謎が深まるが……とりあえず虫にしろ鼠にしろどどでかいらしいな。熱帯地方なのか。出会った時はロングコートをひきずっていたが。

 

「あ、すかべんじゃーだ! とりひきしていいか?」

「犬の散歩してる、ただのおじさんだ。よつばお金持ってないだろ」

「あのおとこ、びじねすうぇあだ! はなすのがうまくなるやつ」

「営業の人なら、まあ、そうかもな」

「あれはレイダー! うっていいか!?」

「ダメだ。バンドマンだ。っていうか、おまえまた何か隠し持ってるな?」

「とーちゃんもぬーどるかくしてる」

「おまえ、カップ麺好きだよな……いや、そうじゃなくて」

「こっちのコーラはらっどなくていい。ひかればもっといいのになー」

「……おまえ、瓶入りコーラ大好きだよな」

 

 よつばを見る。その左手には、ごつくメカニカルな籠手。何とかして外さないことには、来年、小学校に通わせられないかもしれない。

 

 ピップボーイ3000とかいう、それ。

 

 見た目もヤバいが機能がとんでもない……手品師の帽子でもなしに、よつばはそこから色々なものを出したりしまったりするんだから。コーラなんてまだかわいいもんだ。あの籠手からは色んなものが出てくる。大量の缶詰だとか、ヘンテコな宇宙服みたいなのとか、本物じゃないとは思うがミサイルとか。

 

「ほーら、着いたぞー」

「ついた? どこについた?」

「どこって、そりゃおまえ」

「あ!! スーパーミュータントだ!!」

「ジャンボだろ……」

 

 確かに竹田は図体が大きい。2メートル以上ある。だからってミュータント呼ばわりはひどいだろう。せいぜいジャンボだ。うん。

 

 そして竹田とアイコンタクト。大丈夫。今よつばは武器を手にしていない。

 

「ジャンボ……ひさしぶりだな?」

「おう……よつば」

 

 車から降りたはいいが、両者見合って間合いの駆け引きだ。緊張感がある。竹田は何度も痛い目にあってるからな。それでも相手してくれるんだから、いいやつだ。

 

「よつばのなまえを、おぼえてるのか?」

「おまえは、小岩井よつば。元気にしてたか? 拳を構えるのやめろ」

「こいわいよつば……よつばこいわい……ジャンボはフォークスなのか?」

「俺はジャンボだ。よつばこそ、おぼえておけ……パラライ拳やめろ」

 

 竹田も必死だ。まあ、気持ちはわかるが。

 

「ヤンダは? まだ?」

「あーあいつ、任務が入ったからこねえって」

 

 ため息が出た。竹田、おまえもか。

 

 

 ヤンダこと安田に対しては期待と不安が入り混じっている。あいつもきっとよつばの相手ができる。竹田とはまた別の形でだ。しかしハイリスクハイリターンではあるな。能力はともかく性格的に。

 

「……まあ、ジャンボが2人分戦えばいいか」

「そんな事はない! 俺は戦わない!」

「いざとなったら戦ってくれ……」

「よつばがたたかう!!」

「「やめてくれ」」 



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