戦姫絶唱シンフォギアリュウガ (ルオン)
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プロローグ:黒き騎士の誕生

何度も思い出すあの日の出来事

ある場所で、1人の少年がボロボロで

倒れていた。

そして少年の目の前には、異形が何体もいた。

 

「はぁ……はぁ……ノイズ…………」

 

ノイズ

それは太古から存在が確認されている、人類共通の脅威とされる認定特異災害の名。

ノイズは、攻撃した人間を炭素化にする能力を持っており、現代の軍事兵器では倒すことができない存在である。

少年は、海外から日本へ帰国する途中でノイズに襲われた。少年の父と母は爆発で近くの川へ落ちるが、少年は車のところにおり、動けないでいた。

 

「はぁ……はぁ……もう…………ダメだ」

 

諦め、目を閉じる少年。

だがその時、不思議なことが起きた。

 

『『ギャオオオオオン!!』』

 

『『『『『§℃¢Ψ†◇♯!?』』』』』

 

「え?」

 

壊れた車のミラーから黒と赤の龍が2体現れ、少年に迫っていたノイズを凪ぎ払った。

そしてミラーから巨大なコウモリや蛇、二足歩行のサイやカニ、エイなどの様々なモンスターが現れ、ノイズを撃退していく。

何が起きたのか理解できない少年。

するとミラーから、ありえない存在が出てきた。

 

「……大丈夫か?」

 

「お……俺?」

 

その存在とは、倒れている少年と瓜二つの少年だった。ミラーから出てきた少年は、倒れている少年へ近づいた。

 

「き、君は?」

 

「やはり、覚えてないか」

 

「覚えてない?」

 

「今はいい。お前に聞きたい。お前は生きたいか?」

 

「え?」

 

「このままじゃお前は死ぬ。そしたら()()()は困るんだ。だからお前に力を与えにきた」

 

「力?」

 

「ノイズを潰せる力だ」

 

「……その力さえあれば…………父さんと母さんを助けられる?」

 

「ああ……だが、()()()()では2度と一緒に暮らせない。それでもいいか?」

 

「………………」

 

少年はミラーから出てきた少年の言葉を聞いて、目を閉じて考える。これまでの生活を望み、確率の少ない希望をとるか、これまでの生活を捨て確実を取るか。10歳そこらの少年にとっては苦渋の決断だ。

だが、その苦渋の決断をあまり時間をかけることなく、少年は決めたのだ。

 

「力を……ノイズを倒す力をくれ!!」

 

「いいだろう」

 

そう言ったミラーから出てきた少年は、倒れていた少年を抱きしめる。するとミラーから出てきた少年の体が光、少年たちは光に包まれる。

光が納まると、そこには少年が1人しかいなかった。そして少年の左手には、灰色で黒い龍のような顔が刻まれたカードケースのような物が握られていた。

少年がカードケースを前につき出すと、少年の腰に銀色のベルトが現れる。

 

「変身」

 

その言葉と共に少年はベルトにカードケースをはめると、少年の姿は黒い騎士を思わせるような姿へと変える。

 

「………………」

〈Sword Vent〉

 

少年はカードケースからカードを1枚引き抜き、左腕についている機械に挿入して読み込ませる。

すると上空から剣が飛んできて、姿を変えた少年は剣を掴む。

 

「うぉおおおおおお!!」

 

そして少年…………いや俺、黒崎(くろさき) 龍真(りゅうま)はノイズの群れに突っ込み、ミラーから出てきたモンスターたち【ミラーモンスター】たちと共にノイズを撃退し、川に流された両親を助け、ミラーモンスターたちと鏡の世界、【ミラーワールド】へと消えていった。

これが俺の始まりの戦いだった。

あれから2年。ミラーワールドから出てきたもう1人の俺と融合した俺は、ミラーワールドで生活をしている。

というのも、融合したあの日以来、俺は現実世界にて普通には過ごせなくなった。現実世界では最高で15時間程度しか活動できず、時間が近づくと俺の体はチリになって消え始める。ミラーワールドに入ればリセットされるが、正直窮屈な生活だ。

両親には会っていない。ノイズに対抗する力を身につけ、おまけにミラーワールドを行き来する俺なんかがいれば、変な研究機関に狙われるのがおちだ。

まぁ、狙われたら危ないから、ミラーモンスターたちに見張ってもらってるけどね。

だって、ノイズに襲われたのに生還した人間だからね。狙われる可能性は十分にある。

そして俺は、ノイズに襲われている人を見つけては、あの黒い騎士の姿、【仮面ライダーリュウガ】となってノイズを倒している。

 

そんな生活を過ごしている俺は、ミラーワールドの空をミラーワールドにあるホットドッグを食べながら見上げていた

そうしていると

 

『グォオオオオオ』

 

「ん?どうしたのドラグブラッカー?」

 

色んな場所を見張ってもらっている仲間のモンスター、【ドラグブラッカー】が鳴きながら近づいてきた。

 

『グォオオオ』

 

「えっ?エビルダイバーが変な研究所で、俺の友達を見つけたって?」

 

『グォオ』

 

俺はドラグブラッカーの報告を聞き、食べかけのホットドッグを口に入れて飲み込んで、ドラグブラッカーへと乗る。

 

「急ごう、ドラグブラッカー。嫌な予感がする、全速力だ!!」

 

『ギャオオオオオン!!』

 

俺はドラグブラッカーと共に研究所へと急ぐ。

そしてこの時、俺とミラーモンスターたちが、歌姫と呼ばれる少女たちと共に歩むことになるとは、この時はまだ知るよしもなかった。




ということで、リュウガとシンフォギアのクロス小説です!!

次回は龍真があの娘たちを救います‼️

次回も是非読んでください‼️


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MIRROR1:鏡の戦士vs完全聖遺物

お待たせいたしました‼️
新年初の更新です‼️

今回は龍真があの怪物と戦います‼️

それでは本編をどうぞ!!



聖遺物

それは、世界各地の伝説に登場する、超古代の異端技術の結晶の総称。

その聖遺物の研究を行っているアメリカの研究機関、米国連邦聖遺物研究機関(Federal Institutes of Sacrist)、通称聖遺物研究所F.I.S.では現在、損傷が少なくほぼ完全な姿を保っている物、完全聖遺物の起動実験を行っていた。

 

その研究所の技術者、ナスターシャ・セルゲイヴナ・トルスタヤは、完全聖遺物【ネフィリム】の起動実験を他の職員と共に行っていた。

そしてそのナスターシャの近くには、この研究所にある人物の器として選ばれた【レセプターチルドレン】と呼ばれる子供の1人で、聖遺物の欠片から生み出された【シンフォギア】を纏える1人、セレナ・カデンツァヴナ・イヴ。そしてレセプターチルドレンの1人で、セレナの姉であるマリア・カデンツァヴナ・イヴが心配そうにセレナを見つめる。

彼女たち2人は、龍真のアメリカでの幼馴染みである。

 

シンフォギアとは、聖遺物の欠片のエネルギーを用いて構成された鎧型武装のことで、ノイズを撃退できる力である。そのシンフォギアの1つ、【アガートラーム】をセレナは纏うことができる。

また、そのシンフォギアの適合者で【装者】と呼ばれる存在である。

そして今、ネフィリムの起動実験が開始されたが、問題が発生した。

 

ネフィリムの起動に成功したものの、ネフィリムは暴走し研究所を破壊し始めた。

セレナは【聖詠】と呼ばれる歌を歌い、アガートラームを身に纏い、ネフィリムを止めようとするが

 

「グォオオオオオ!!」

 

「きゃあ!?」

 

「「セレナ!!」」

 

暴走したネフィリムの攻撃により、殴り飛ばされてしまう。

なんとか立ち上がるセレナ。

するとセレナは何かを決意したような目をし、マリアとナスターシャの方へ目を顔を向ける。

 

「姉さん、マム……元気でね」

 

「ッ!?ダメよセレナ!!」

 

「ッ!?待ちなさいマリア!!」

 

マリアはセレナがしようとしている事に気づき、セレナを止めようと走り出す。

すると天上の一部が崩れ、マリアに向かって落ちていく。それに気づき、足を止めてしまうマリアとマリアを庇おうとするナスターシャ。

その時

 

「砕け!!メタルゲラス!!」

 

『グォオオオオオ!!』

―ドゴォオオオ―

 

「「え?」」

 

研究所の砕けたガラスから、二足歩行のサイこと【メタルゲラス】が出てきて、マリアたちに落ちていく天上の一部を砕いた。

そしてそのガラスから、ドラグブラッカーを従え、エイ型のミラーモンスター【エビルダイバー】に乗った、仮面ライダーリュウガに変身している龍真が出てきた。

龍真はエビルダイバーから降り、マリアたちの前へと着地する。

 

「無事みたいだな?」

 

「あ、あなたは……もしや黒騎士?」

 

「黒騎士?」

 

「ここ2年間、謎の黒い騎士のような姿をした人物が、謎の生き物を従え、ノイズを撃退している姿が目撃されていたのです」

 

「黒騎士か……俺の名はリュウガだ」

 

「リュウガ……」

 

「お願いリュウガ!!私の妹を助け「安心しろ。もう救出してる」え?」

 

リュウガの言葉に反応し、セレナの方へと視線を向けるマリア。するとそこには、セレナを抱き上げる角のような物がはえたモンスター【ギガゼール】が、ネフィリムを抑えるメタルゲラスを背に走ってきていた。

 

「ありがとう、ギガゼール」

 

『ギギ!!』

 

リュウガはギガゼールに礼を言って、セレナを受け取りマリアたちの側へ下ろす。

 

「一応は無事……だな?」

 

「あ、ありがとうございます」

 

「後は任せろ」

 

「なっ!?危険です!!幾らノイズを倒せるあなたでも、完全聖遺物であるネフィリムに敵うはずが――!!」

 

「大丈夫だ、問題ない…………ドラグブラッカー!!」

 

『ギャォオオオオン!!』

 

『ガァッ!?』

 

リュウガの意志を察したかのように、ドラグブラッカーはネフィリムを尻尾で叩き潰す。

 

〈SPIN VENT〉

 

「ハァアアア!!」

 

『ガッ!?』

 

リュウガはギガゼールと契約した事で手にしたアドベントカードの1枚、【スピンベント】を使用して【ガゼルスタッブ】を召喚し、右腕に装着する。

そしてリュウガはネフィリムに近づき、ガゼルスタッブでネフィリムを突き飛ばした。

突き飛ばされたネフィリムは立ちあがり、リュウガに向かって突進してくる。

だが

 

『キュイイイ!!』

 

『ガッ!?』

 

「ナイスだ‼️エビルダイバー‼️」

〈STRIKE VENT〉

 

エビルダイバーの体当たりが足に当たり、体制を崩して倒れた。

その間にリュウガはガゼルスタップを消して、カードデッキからアドベントカードの1枚である、【ストライクベント】を引き抜き、ブラックドラグバイザーに挿入し読み込ませる。

すると、リュウガの右手にドラグブラッカーの顔を模した【ドラグクロー】を装備し構える。

するとドラグブラッカーがリュウガの隣に移動し、口に青黒い炎を溜め込む。

そして

 

「ハァアアア!!」

 

『ギャオオオオン!!』

 

『ガァッ!?』

 

リュウガが右手を突き出した瞬間、ドラグブラッカーは口に溜めた炎を吐き出し、ネフィリムへ命中させる。

すると、炎が当たった所からネフィリムの体が石化していき、やがてネフィリムは全身が石化した。

それを確認したリュウガは、右手にあるドラグクローを消し、カードデッキからアドベントカードの1枚である【ファイナルベント】を引き抜く。

 

「これで終いだ。大事な友人を傷つけた代償、その身で償ってもらうぞ」

〈FINAL VENT〉

 

『グォオオオオ!!』

 

ブラックドラグバイザーにカードを読み込ませると、リュウガの右手に、メタルゲラスの顔を模した【メタルホーン】が装着される。

その状態でリュウガは、後ろに現れたメタルゲラスの肩に乗る。

そして

 

「ダァアアアアア!!」

 

―ドゴォオオオオオン―

 

リュウガを乗せたままメタルゲラスが高速でネフィリムに向かっていき、右手を前に突き出したリュウガのメタルホーンでネフィリムを粉々に砕いた。

リュウガはメタルゲラスの肩から降り、メタルホーンを消して、ネフィリムがいた場所へと移動する。

そこから、あきらかに形がおかしい石を掴み上げた。

 

「多少力を感じて掴んでみたが、コイツが本体か?」

 

「リュウガ」

 

「ん?」

 

ネフィリムの本体を見ていたリュウガの元に、ナスターシャと、後ろに隠れるようにマリアとセレナがやって来た。

 

「リュウガ、ネフィリムを止めていただいて、ありがとうございます」

 

「気にするな……俺が勝手にしただけだ」

 

「そうですか……申し訳ありませんが、それを此方に渡していただけませんか?」

 

「…………分かった」

 

そう言ったリュウガは、ナスターシャにネフィリムの本体を投げ渡す。

 

「ありがとうございます」

 

「構わん……だが、約束してほしい」

 

「約束?」

 

「ああ。マリアを…………その姉妹たちの意志にそわない事はやらせないでくれ」

 

「ッ!?何故マリアの名を!?」

 

「………………じゃあな」

 

「ま、待って!!」

 

リュウガはナスターシャの質問に答えず、マリアの制止の言葉を無視して、ミラーモンスターたちと共にミラーワールドへと消えた。

 

「行っちゃいましたね…………」

 

「ええ……マリア、彼に心当たりはありませんか?」

 

「………………」

 

「マリア?」

 

「姉さん?」

 

「えっ?ご、ごめんなさい!!ちょっと考えてて」

 

「考えてた?もしや、リュウガの正体に心当たりが?」

 

「えぇ…………でもまさか……」

 

そう言ったマリア、リュウガが消えていった鏡へと視線を向ける。

 

「あなたなの…………龍真?」

 

to be next mirror




今回はここまでです‼️

次回は成長した龍真が原作ブレイクします‼️
次回も是非読んでください‼️


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MIRROR2

大変長らくお待たせいたしました!

今回はミラーモンスターの意外な一面と、龍真の戦いになります。



マリアたちを助けてから数年

20歳となった龍真は、キガゼールを始めとした、ゼール系のミラーモンスター達に囲まれていた。

 

「なんだお前ら?どうかしたのか?」

 

『ギギ!!ギギーギギ!!』

 

「え?『ツヴァイウイングのライブに行きたい』?」

 

ツヴァイウイング

それは、2人の少女、天羽(あもう) (かなで)風鳴(かざなり) (つばさ)

組んで歌う、ツインボーカルユニットである。

2人の歌は、瞬く間に聴く人々の心を虜にして

いった。

2人の歌は人だけではなく、モンスター達も虜に

しており、特にギガゼールを始めとしたゼール系

モンスター達には人気爆発であった。

 

「行けばいいじゃないか?止めはしないよ。ただし、ミラーワールドからは出るなよ?」

 

『ギー!!ギギー!!』

 

「はっ?『一緒に行こう』?断る」

 

『ギギー!?ギギギ!?』

 

「あのな?俺はガキの頃、あの2人とは面識があるんだよ。覚えてないとは思うが、もし俺が生きている事がバレたら、ややこしいんだ。だから行かない」

 

龍真はそう言い、ポケットに入れていたカードデッキを取り出し、カードを整理し始めた。

彼は幼少期、親の仕事関係で奏と翼と会った事がある。短い期間ではあるが、仲良くしていた。

それだけで正体がバレるとは思ってないが、マリア達の元に残していたデストワイルダーからの報告で、マリアが自身の正体に勘づいているのを聞き、可能な範囲で知り合いに会うのを極力避けていた。

 

「それにな、俺はライブチケットを持ってないんだ。入る事はできないぞ?」

 

『ギー!!ギギー!!』

 

「え?『問題ない』て……どういう意味だ?」

 

ギガゼールの言ってる意味が分からず、首を傾げる龍真。

すると、ギガゼールが1枚のチケットを取り出し、龍真に手渡す。受け取った龍真は、チケットを見て目を見開いた。

 

「コレ、ツヴァイウイングのチケットじゃないか!?どうやって手にいれた!?」

 

『ギー!!ギギー!!』

 

「は?『近所の公園を変装して掃除してたら、町内会長さんがくれた?』んなバカな!?」

 

ギガゼールの説明を聞いて、驚く龍真。

その瞬間、周りにいたゼール系モンスター達が龍真を担ぎ、移動を始めた。

 

「お、おい!!何すんだお前ら!?」

 

『『『ギギギ!!ギギギ!!ギギギ!!』』』

 

「何がライブだ!?てか降ろせ!?」

 

『『『ギギギギ!!ギーギギ!!』』』

 

「『ライブへゴー!!ライブへゴー!!』じゃねぇよ!!降ろせお前ら!?コラ!!降ろせぇえええ!!」

 

龍真の必死の訴えに聞く耳を持たない、ゼール系モンスター達。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~数時間後~

 

「(はぁ……結局来ちまった)」

 

ゼール系モンスター達を説得しようとした龍真だったが、説得は上手くいかず、ライブ会場へ来ることになってしまった。

そして龍真を連れてきたゼール系モンスター達はというと

 

『『『ギギギ!!ギギギ!!ギギギギギギギ!!』』』

 

ミラーワールドにて、どこから手に入れたのか分からないペンライトを持って、踊っていた。

 

「(アイツら……はしゃいでんな~)ハァ……」

 

「あの、どうかしました?」

 

「えっ?」

 

龍真がため息をつくと、後ろから声をかける人物がいた。龍真が振り返ってみると、そこには1人の少女がいた。

 

「えっと……君は?」

 

「あ、私、立花(たちばな) (ひびき)っていいます。ため息をついてたんで、どうかしたのかな~?って思って」

 

「そうか。俺は黒崎 龍真。知り合いがはしゃいでいてな?少し呆れてたんだ。勝手に連れてきて、どっかに行っちまってな」

 

龍真は響の質問に、慌てる事なく嘘で誤魔化す。

 

「そうだったんですか。私と似てますね」

 

「立花さんも?」

 

「響でいいですよ。私の親友が誘ってくれて、待ち合わせしてたんですけど、親戚の叔母さんが怪我しちゃって、来れなくなっちゃったんです」

 

「そうだったのか。なら、その子の分まで楽しまなきゃ損だな?」

 

「そう……ですね……楽しまなきゃ損ですよね!!よーし!!今日はいっぱい楽しむぞ~!!」

 

龍真の言葉を聞いて笑顔になる響と、その響の笑顔の見て自然と笑みを浮かべる龍真。

 

 

 

一方その頃、舞台裏では、ある計画と同時進行で、ツヴァイウィングのライブ準備が行われていた。

 

「スゥ………ハァ~…………」

 

「緊張してるのか翼?」

 

「奏…………」

 

ライブステージの裏で、緊張を解すため、深呼吸するツヴァイウィングの1人である、翼。

そしてその翼に声をかける奏。

この2人には、歌手としての顔以外に、もう1つの顔があった。

 

人類共通の特異災害【ノイズ】。

ノイズには、通常兵器での攻撃は通用せず、ノイズに触れられた人は、炭素化して死亡してしまう。

そのノイズに唯一対抗できるのが、【聖遺物】と呼ばれる欠片から作り出された【シンフォギア】と呼ばれる物である。

そのシンフォギアの1つ、【天羽々斬】の【装者】と呼ばれるのが翼である。

そして奏も、シンフォギアの1つである【ガングニール】の装者である。

 

今回のライブは、観客に歌を聞かせるのと同時に、装者の2人が歌うことで発生する【フォニックゲイン】で、新たに発見された完全聖遺物【ネフシュタンの鎧】を覚醒させるためである。

 

「奏は、緊張しないの?」

 

「するさ。でも、それ以上に、こんなおっきなステージで歌える嬉しさが大きくて、緊張なんて吹っ飛んだよ‼」

 

「そっか♪」

 

「それに今日は、あいつの……龍真の月命日だからな。」

 

「……そうね」

 

奏から龍真の名と、月命日の言葉に反応して、顔を俯かせる翼。

そんな翼へ、奏は話を続けた。

 

「だから翼、天国にいるあいつにいいとこ見せるためにも、楽しくやろうぜ♪」

 

「楽しく?」

 

「ああ!!龍真に誇ってもらえるように、楽しく頑張ろうぜ!!」

 

「……うん‼私も、彼にに誇ってもらえるよう、頑張るわ‼」

 

「いい顔だな、2人とも‼」

 

「叔父様……⁉」

 

「ダンナ」

 

奏と翼が話している所へ、彼女たちが使用するシンフォギアや聖遺物の管理、及び対ノイズ対策部署である【特異災害対策機動部二課】の司令官で、翼の伯父である風鳴弦十郎(げんじゅうろう)がやって来た。

 

「2人とも、今日は頼んだぞ‼」

 

「任せておきなダンナ‼あたしらの歌で、会場を盛り上げてやるよ‼」

 

「そして、私たちのフォニックゲインで、ネフシュタンの鎧を覚醒させてみせます」

 

「期待してるぞ2人とも‼」

 

そう言った弦十郎は、その場を後にし、奏と翼は、ライブの準備に取りかかった。

 

それから暫く経ち、ライブ会場内へと入場した龍真は、会場席に座り、響と話しながらライブが始まるのを待っていた。

 

「楽しみですね♪龍真さん♪」

 

「そうだな」

 

「そういえば龍真さんは、ツヴァイウイング、好きなんですか?」

 

「好きかどうかで言われたら、嫌いではないな」

 

「そうなんですか。ところで、ご友人の方は?」

 

「うん?どっかに消えた」

 

「だ、大丈夫なんですか?」

 

「大丈夫大丈夫。何かあっても対処するから」

 

そんな話をしていると、会場内の照明が落ちる。

すると、ステージ中央にステージ衣装に着替えた奏と翼が現れ、2人にライトアップされると同時に、ライトアップされる。

奏と翼の2人は元気良く、そして楽しそうに歌い、2人のそんな姿と歌声に、観客たちは盛り上がった。

初めて来た響も、笑顔になっていた。

そして歌を聞いていた龍真は、自然と笑顔になっていた。

 

「(いい歌だ……2人とも、良かったな)」

 

そう思いながら目を閉じ、歌を聞く龍真。

やがて歌が終わり、観客たちからアンコールの声があがる。

 

「もっと盛り上がっていくぞぉおおお‼」

 

『『『『『オォオオオオオオ‼』』』』』

 

奏は観客たちのアンコールに答え、翼と共に再び歌い始める。

だがその時

 

―ドゴォオオオオン!!―

 

「ッ⁉なんだ⁉」

 

突如、ステージの一部が爆発した。

そしてそれと同時に、開閉された天井から、大量のノイズが出現した。

 

『の、ノイズだぁあああああ⁉』

 

ノイズを視界に捉えた観客たちは、慌て逃げ惑う。

 

「(おいおい!?今日はいったいなに日だ!?)」

 

「り、龍真さん、ノイズが!?」

 

「響ちゃんは逃げろ!!俺は逃げ遅れがいないか探してくる!!」

 

そう言った龍真はその場から駆け出し、逃げ遅れがいないか探し始めたその時、ある方向から攻撃が飛んできて、数体のノイズが倒された。

攻撃が飛んできた方へ、龍真が視線を向けると、ガングニールを纏った奏と天羽々斬を纏った翼が、【アームドギア】と呼ばれる槍と剣で、ノイズを撃退していた。

 

「まさか、奏と翼!?」

 

奏と翼がノイズを倒していることに驚く龍真。だが、ノイズを撃退している奏に違和感を感じた。

 

「何だ?動きが鈍い?」

 

「くっ‼時限式じゃここまでか‼」

 

奏は【LiNKER】と呼ばれる、シンフォギアの適合率が基準値に満たない人に投与される適合率を上げる薬の効果が切れてしまい、ガングニールの力が下がってしまった。

そんな時

 

「うわぁあああああ!?」

 

「響ちゃん!?」

 

客席の一部が崩れ、入場するまで話していた響が落ちる。その響を狙ってノイズが襲いかかるが、奏が何とか撃退して守る。

だが

 

『¥∞¢℃&#@$§』

 

「くっ⁉」

 

大型のノイズが、奏に向かって液体を放つ。

それに気づいた奏は、槍を前方で回転させて攻撃を防ぐが、槍に亀裂が入る。

そして

 

「……えっ?」

 

「しまった⁉」

 

槍が砕けてしまい、その破片が奏の後ろにいた響に突き刺さり、大量に出血してしまった。

ノイズの攻撃が止んだのを確認した奏は、響の元へ駆け寄る。

 

「おい‼しっかりしろ‼目を開けてくれ‼生きることを、諦めるな‼」

 

響に必死に呼び掛ける奏。

すると、奏の呼び掛けに答えたのか、響の瞳がうっすらと開く。

それを見て安心する奏。

そしてその場に、翼が駆けつける。

 

「奏‼大丈夫⁉」

 

「大丈夫だよ、翼」

 

奏が無事だと分かり安心する翼。

すると奏は、ノイズがいる方へ顔を向ける。

 

「いつか……体の中空っぽにして、おもいっきり歌ってみたかったんだよな」

 

「奏?」

 

「今日はこんなにも聞いてくれる奴等がいるんだ…………あたしも全力で歌うよ」

 

「奏…………まさか絶唱を⁉」

 

【絶唱】……それは装者への負荷を省みず、シンフォギアの力を限界以上に解放する歌。

だが強力な分、装者への負荷が大きく、最悪の場合体ごと消滅してしまう。

奏が絶唱を歌おうとしていることに気づいた翼は、奏に駆け寄って必死に止める。

 

「やめて奏‼今のあなたが絶唱を歌ったら死んでしまう‼」

 

「ノイズを倒せるなら、それでもやるさ……」

 

そう言い、立ち上がる奏。

それを見ていた龍真は、ポケットからカードデッキを取り出す。

 

「これ以上、命を奪わせない!!」

 

そう言った龍真は、カードデッキを前に突きだし、腰にVバックルを装着する。

 

「変身!!」

 

龍真はVバックルにカードデッキを装填し、仮面ライダーリュウガへと変身する。

龍真が再び奏たちへ視線を向けると、液体をはいたノイズが再び、奏たちへ向けて液体をはいた。

 

「やらせねぇ!!」

《GUARD VENT》

 

龍真はカードの1枚【ガードベント】を使用して、ドラグブラッカーの体を模した盾【ドラグシールド】を走りながら召喚し、その場から跳んで、奏たちの前へ着地し、ノイズの吐いた液体をドラグシールドで防ぐ。

 

「なっ!?あんたは!?」

 

「黒騎士!?」

 

「ギリギリ間に合ったか」

 

龍真はドラグシールドを片手に、響たちに近づく。

そんな行動を不審に思った翼は、アームドギアを構える。

 

「何のつもり!?」

 

「邪魔をするな。治療する」

 

「えっ?治療?」

 

龍真の言葉に耳を疑う翼。

そんな翼を押し退けて近づいた龍真は、1枚のカードをドラグバイザーに挿入する。

 

《HEEL VENT》

 

音声が鳴ってから龍真が響に触れると、傷口から出てきた血が止まった。

 

「血が止まった?」

 

「一時的の処置だ。残りは病院で治療しなきゃならん」

 

そう言うと龍真は立ち上がり、視線をノイズ達へ向けた。

 

「(数が多い··········ゼール達と一緒に倒すのも1つの手だが、それだと時間がかかるし、翼が2人を守りきれるか不安だ········だったら、残された手は1つだ)」

 

龍真はデッキケースから、1枚のカードを抜き出す。

そのカードには、リュウガの紋章を中心に、青黒い炎が描かれていた。

 

「(コレを使えば俺は········だが、ここを乗りきるには、コレを使うしかない!!)いくぜ!!」

《BURST BREAKER》

 

「ぐっ·········うぉおおおおおおお!!」

 

龍真がブラックドラグバイザーにカードを挿入した途端、龍真は雄叫びをあげると青黒い炎に包まれる。

やがての、炎が消えるとそこには、アーマーから青黒い炎放出し続け、青黒い炎の尻尾がつき、ブラックドラグバイザーが青黒い炎に包まれた龍真がいた。

 

「く、黒騎士?」

 

「······動くな」

 

「········え?」

 

「···········そこから、絶対に動くな」

 

そう言うと、龍真はその場から消えた。

一瞬の出来事に驚く翼。

次の瞬間

 

―ドガァアアアアアアン―

 

「な、なに!?」

 

「爆発!?」

 

ノイズの集団の方から爆発音が聞こえ、驚く奏と翼。

ノイズの方へ視線を向けると、拳を地面に突き立てる龍真の姿があった。そして龍真の周りには、大量の炭素があった。

 

「ま、まさか······あの一瞬で数十体いたノイズを!?」

 

「ま、マジかよ······!!」

 

龍真の力に驚く翼と奏。

他にいた小型のノイズは龍真を危険視したのか、襲い掛かろうと動き出す。

だが

 

「無駄だぁあああああ!!」

 

『『『¥°¢∴″=≠℃%#』』』

 

龍真は赤と黒の2本の剣【ドラグセイバー】を召還し、青黒い炎を纏わせ、円を描くかのようにドラグセイバーを振るう。

青黒い炎の斬撃を受けた小型ノイズは、一瞬にして炭素と化した。

 

それを目の当たりにした2体いる内の1体である大型ノイズが、龍真に向かって液体のような物を吐き出す。

危ないと思った翼と奏が、龍真へ警告しようとする。だが、龍真はドラグセイバーを消し、手だけを大型ノイズの方へ向けると、巨大な青黒い炎の盾を生み出し、液体を防ぐ。

放出が止まると、龍真は再びその場から姿を消し、先程まで液体のような物を放出していた大型ノイズの目の前に現れた。

そして

 

「ふん!!」

―ドガッ―

 

『$℃●@*★☆%#!?』

 

龍真は青黒い炎で形成された尻尾で、大型ノイズの叩き飛ばす。それにより、ノイズは吹き飛びながら青黒い炎に包まれ、炭素と化した。

同型のノイズは、龍真に躊躇なく液体のような物を吐き出す。しかし龍真は動じる事なく、瞬時に上空へ跳び上がる。

 

「コレで終わりにする」

 

龍真はそう言うと、一瞬で大型ノイズに近づく。

そして

 

「龍蒼黒炎脚!!」

 

右足に龍を模した青黒い炎を纏わせ、回し蹴りを叩き込む。それにより、大型ノイズは他のノイズと同じように青黒い炎に包まれ、炭素と化した。

 

地面に着地した龍真は、炭素と化したノイズを見る。すると急に胸をおさえ、膝をつき、アーマーから放出していた炎が消える。

そして龍真の体がチリになり始めていた。

 

「(ハァ········ハァ·········やはり、あのカードは体への負担が大きすぎる。何か対策を考えないと、ノイズより先に、俺がくたばっちまう)」

 

龍真は体を無理矢理起こし、割れてはいるが使える鏡の元へ足を進める。

 

「待ちなさい黒騎士!!あなたを行かせる訳には行かないわ!!」

 

「(翼··········)」

 

翼はそれを良しとせず、アームドギアを構える。

どうしたものか考える龍真だったが、アームドギアを構える翼を奏が止めた。

 

「やめとけ翼」

 

「奏!?何を言って!?」

 

「確かに、シンフォギアでもない力でノイズを倒せるのか聞き出したいとこだけど、コイツはあたしらを助けてくれた。流石に恩人を、無理矢理連れて行くのは気が引ける。だから黒騎士、今回はあんたを見逃す。これで貸し借りは無し、でいいよな?」

 

「········ああ」

 

奏の提案を聞いた龍真は、鏡の中へと入っていく。

こうして、ツヴァイウィングのライブで起こったノイズによる事件は幕を閉じた。

 

 

そしてツヴァイウィングのライブ会場の屋根に、2人の男性が立っており、龍真がミラーワールドへ入っていくのを見ていた。

 

「彼が、この世界の仮面ライダーなんだな?」

 

「うん。そしてさっきの力は、彼自身を危険な状態にしてしまう、諸刃の刃だ」

 

「話しは分かった。だが、彼が相応しいかどうか、確かめさせてもらう。それに、コイツも認めるか分からないからな」

 

そう言うと、1人の男は紫に光る剣を取り出す。

 

「それで良いよ。それと、もし可能なら、このカードを彼に渡してくれ」

 

もう1人の男は、剣を持つ男にカードを手渡す。

そして2人は、背後に現れたオーロラの中へと消えていった。

 

to be next mirror




今回はここまでです!
龍真が使ったカードの詳細については、後日設定集と一緒にのせます。

次回は、最後に現れた剣を持った男と戦います。
次回も是非読んでください!


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