グラブルキャラガチ恋勢、アルビオンに喧嘩凸 (餅3こ)
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にわかオタク、蒼穹にて産声を上げる

目が覚めると、そこには広大な青の空が広がっていた。

数多くの飛空挺、いや…航海船?が青いキャンバスを飾り、幻想的な景色。

視線を下ろし、辺りに目をやれば、どこかノスタルジックな街並みである。

思わず泣き出したくなるような、郷愁の念を抱かされる。

街路を行き交い、商店に立ち止まる人々は、現代人が着るとは思えないような中世?の洋服を身にまとい、その街に不釣り合いな、しかしながら決して不快さを与えぬ賑やかさを持っている。

私はそれらを見て、感じ入り、思わず

「美しい…」

そう口にした。

 

 

 

 

 

いやいやいやいや、おかしい。俺は浪人生で、模試の成績を貰い、不貞腐れ、昨日は家に帰って、酒を飲み、そのまま酔いつぶれたはず。

つまり視界いっぱいに広がっているべき景色は、自分の汚部屋の、天井に貼り付けられた愛しきヴィーラたんのポスターのはず。街の雰囲気に酔って一人称が私になってたし恥ずいわクソ。そもそも立ってること自体おかしいんだよ。寝てたんだぞ俺。てかここどこよ?日本じゃないよね?え、ヤバくない?起きたら海外とか犯罪の匂いしかし無いじゃん怖い。分かる??誰に言ってんの俺?

 

…オーケー、まずは街を歩いて、情報を集めようか。

偏差値67の俺ならすぐに状況整理できるさ。

オーケーオーケー。行ける行ける。(震え声)

 

そうだな、先ずはあの店のちみっこい店主に聞いてみよう。

 

「excuse me?」

 

「…?どうなさいましたか〜?」

 

えっ、日本語喋ってるぞコイツ?

 

「ああ、すみません。道に迷ってしまってですね、ここがどこか尋ねたいのです。」

 

「なるほど〜。では、どこの宿屋かお尋ねしてもよろしいでしょうか〜?同業者さんにはしっかり手助けしますので〜!」

 

「え?」

 

「うぷぷ〜。シェロちゃんにはなんでもお見通しですよ〜?

道に迷った時点でこの島の住人でないことは分かりましたし、その服の高品質な布と背負うバックパック、そして、どこの言語かは存じ上げませんが、共通語とは異なる言語を使っている。以上の情報から、やり手の同業者さんだと判断したのです〜!」

 

…ほう、やるなッ!!

推理は全然違うし、正直何を言ってるのかさっぱりだが、コイツ、できる…!!

ん?待て待て、シェロちゃん?このロリボディに、独特な喋り方、可愛い声…!

 

…ん?シェロちゃんって!あのシェロちゃんか!!!やばいやばい!!かわわわわわ!!

 

というかここグラブルの世界かよ!!ハッピーじゃん俺!!浪人キツかったし!!夢かもしれんが、楽しむってコレ!!!

適当な設定作ってグラン船に乗せてもらうぞう!!!

そんでヴィーラたんとイチャイチャするんだぜい!!!

甘やかしお姉さんのおっぱいしゃぶるし、銃工房の三姉妹丼もおなかいっぱい食べるんだ!!!妄想が止まらんですぞですぞ!!!ふはははは!!

まままままずは確認からだ!!!

 

「シェロちゃん?

まさか、あのシェロカルテさんですか?」

 

「はい〜!そうですよ〜!

そう言えば、自己紹介がまだでしたね〜?

旅に必要な道具の手配から、仕事の仲介、騎空士の斡旋まで、よろずやシェロちゃんにおまかせ〜!旅の準備なら、よろずやによろ〜ず!

うぷぷぷぷ…」

 

 

………

 

☆勝ち確☆

よっしゃマジでグラブルじゃん!!!やったじゃん!!!

そんでここはアレやろ??アルビオンやろ??なぁ??

 

「あの〜?」

 

……ハッ!

 

「申し訳ない、可愛くて我を忘れていたんだ。」

 

「うぷぷ〜。お上手ですね〜?」

 

 

ええと…自分のキャラ付けは…

星晶獣知ってても不自然にならないようにするには、こんな感じか…?

 

「本心ですよ。

僕はスイ。

星の力の目利きが少しだけ優れた、しがない小市民です。

此度はアルビオン士官学校に入学したく存じ、参った者です。

申し訳ないですが、同業者ではありません。

ただ、道に迷ったのは事実なので、士官学校までの道のりを教えて頂きたく伺ったわけです。。」

 

「なるほど〜。

そういうことなら、承りました〜。

ちょうどお客さんも見えないようなので、お送り致します〜。」

 

という事で、俺たちは士官学校に向かう事になった。




できるだけ続ける。


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にわかオタク、情報を整理する。

改めて、じっくり街を観察してみれば、少し寒い気温に、当たりの強い風。

そして飾り気のない敷き詰められた建物群は、ともすれば圧迫感や不快感をもたらすものだが、そこには実用性を突き詰めたある種の美と、建築学や防衛学、戦術学など、人類が積み上げた誇るべき叡智とが介在していた。

 

常日頃から、ゲームやアニメ等の2次元に入りたいと思っていた俺からすれば、この先を思うだけで流涎モノである。

 

士官学校に着いた時、グラン団がヴィーラたんを仲間にしていなければ、そこで会える。

もし仮に会えなくとも、入学してしまえば領主として定期的に戻ってくる彼女との邂逅は容易である。

そこからどうにかしてグランサイファーに寄生しよう。

実に容易である!

人はこれをなんというか!!

勝ち確である!!

 

 

 

 

…さて、一旦冷静になって、士官学校への道中、シェロちゃんからや、目で見て得た情報をまとめていこうか。

 

まず、この島はやはりアルビオンで間違いなかった。

アルビオンとは、名門士官学校を有する城塞都市。

というよりむしろ、士官学校を中心とした都市であり、生徒たちの修行のために魔物が街中に放たれている。

気が狂ってるとしか思えないが、そういう世界なので仕方ないと思う他ない。

 

実際、向かっている途中で魔物に襲われそうになったが、女子生徒らが助けてくれた。

 

鋭い牙で威嚇するオオカミのような魔物に対し、爆発的な推進力をもって、臆することなく接近し、右手に持った剣で牙を叩き折り、返す刃で一閃。

見事な手際で敵を穿っていた。

見事なパンチラで俺を穿っていた。

 

魔物が来て数秒で生徒が救助に入り、一瞬でカタをつけてしまうのだから、文句の付けようもないものだ。

…えっ、入学したら俺もアレやるの?ヤバくないか?無理じゃね????

 

 

 

……ひとまず置いておいて、話を戻そうか。

領主は代々武術大会で決めるらしく、少々特殊である。

頭のおかしい人間が領主になったらどうするのか?と思わなくもないが、どうやら卒業生は色々な場で、様々な活躍を見せているそうなので、杞憂と言ったところか。

 

 

そして、士官学校で生徒たちが学ぶことは、魔法学、武術、数学、歴史学、政治学、地理学、戦術学にマナー作法など、まだ他にもあって、挙げればキリがなく、多方面にも及び、隙のない学習カリキュラムとなっている。

 

 

成績評価は「劣」、「凡」、「優」、「越」の4つがあるらしく、「劣」が5つ以上つくと書類に書き込まれ、就職先で苦労するらしい。

入学条件は、課される試験で1つ「優」を勝ち取るか、「劣」を付けないこと。

 

 

試験日は、学校の庭園に植えてある、桃色の花を咲かせる木が、花を咲かせている日すべて。

その木は年中花を咲かせているので、いつでも受けられる。

曰く、各島の優秀な人材取りこぼさぬためとのこと。

 

 

正直な話、試験とかは頭からすっぽり抜け落ちてたので、そういうことならありがたい。

 

 

次に、俺について。

どうやら、俺の体は元の世界のものはなく、新しい肉体のようだ。

やたら自分の視線が高く、体も軽く感じたので納得はできた。

しかし、道中冷やかした商店で、鏡を手に取って見た結果、そこには茶髪の色男。

 

 

前述の通り、士官学校の生徒の動きを完璧に見切っていたし、俺には武術の才能があるかもしれない。勝ち組かもしれない。モテちゃうかもしれない。

俺の股間に装着されたスプリンクラーで女の子の蕾を花開かせるかもしれない。

 

 

まぁそれはそれ。

得た情報の中で1番驚いたのは、昨年の新入生で麒麟児と名高いある女子生徒。

そう、ビィくん狂いのみんな大好きカタリナさんである。

全ての成績が「優」以上で、戦闘系統の学問にいたってはその全てが「越」。

学校創立以来最高の生徒であり、1年時点で既に次期生徒総代は決まっているらしい。

 

 

その辺は驚くに値しないが、問題は時系列である。

どうやら俺は、ゲーム開始よりも前の時系列に来てしまったようだ。

正直ストーリーはほとんど読んでなかったので、何年経てば原作開始とか、さっぱりわからんが、とにかく前なのである。

前なのである。

 

………と゛う゛し゛て゛た゛よ゛お゛ぉ゛ぉ゛っ゛!!!!!

 

「スイさ〜ん?」

 

つまり、つまりだ!あと数年はほかの島に行っても原作キャラほ巨乳の女体が拝めねぇってこと!!!

 

そりゃあ士官学校のメンツはみんな可愛いけどさ!!「スイさ〜ん?」けどさ!!!俺ってばほら!!巨乳好きじゃんか?!?!

 

分かる?!誰に言ってんだ俺マジで!!!ああああクソ!!!

 

もういい!!!ヴィーラたんも、カタリナたんも、名前は忘れたけど、ちっこい銀髪の後輩ちゃんも!!全員まとめて愛でてやらあ!!!

 

「スイさん!!」

 

「ああ!!なんだよ!!!」

 

「着きましたよ〜?試験前で緊張するのもわかりますが、落ち着きましょうね〜?」

 

アッカワイイ(思考放棄)

 

なんだよ、ロリもありじゃん??

てかそもそも、この前まで女子と全然話せてなかった童帝(笑)男子なんだから、生意気言っちゃあいけないな。

あぶねぇ、勘違い男子とか寒すぎる。

ロリに救われたわまじ。

拝んどこ。

 

「…」

 

「スイさん、受付前ですよ〜?

あなた、落ちますよ〜?」

 

「あはは、すみません。

僕の地元では、感謝の念を伝えるための儀式みたいなものでして。」

 

この素晴らしき言い訳よ(愚か)

 

「なるほど〜。

それなら仕方ないですね〜。

では〜、私はそろそろこの辺で〜。」

 

「はい、本当に、ありがとうございました!!

この恩は改めていつか必ず!!」

 

「いえいえ〜。

困った時は助け合い、協力は今日すぐにでも〜。

うぷぷぷ〜。」

 

お、おう。(真顔)

 

よし、そういう訳で、試験を受ける。




エタったらごめんなさい。


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にわかオタク、試験を受ける。

俺は違う人視点を前書きや後書きで書く。

俺の勝手な趣味だし、いいよね。


必要事項の記入等は面白みが無いので省くが、入試科目は全部で3つ。

一般教養科目、マナー作法、戦術学だった。

 

 

戦術学のみが実技で、ほか2つは筆記だったのだが、優秀な浪人生(笑)の俺にかかれば、一般教養科目とマナー作法の2つは、非常に容易といえた。

 

 

騎空艇という技術と科学の結晶とも言える物があるのに一体どういうことだ?とも思ったが、どうやらアレは、魔力と、この世界独自の気候変化を利用した超理論ファンタジー製の模様。

 

また、文字が読めなかったら?書けなかったら?と言う懸念は早々にして杞憂であることを知った。

 

こう、何となく分かるのだ。

眺めればニュアンスが伝わってくるし、書きたいと思えばこう書けばいい、といったふうに自然とわかる。

古文学や、魔法スペルの問題も何となく伝わってきたので、問題なく回答できた。

 

それと、情報登録に用いたオーブによって、自分の魔力を感じられるようになった。

火とか水とか、思いつくものを色々出してみたが、便利そうである。

まだそんなに使いこなせていないだろうし、無駄が多い気がする。

教官は驚いていたが、そんなに杜撰な使い方だったろうか?

 

まぁいい。

この辺はそんなに重要じゃない。

 

聞いたか?戦術学ってよ。

実技ってよ。

 

お前マジ、戦術学って言ってんだからさ、筆記させろよ。学ってなんだよマジで。

 

 

なんて文句が言えるはずもなく、俺は今、巨大なコロッセウムのような闘技場の控え室にて、教官と待機している。

 

 

これから、教官立会いの下、在学生と剣を交えるのだ。

つまり、この大舞台で、俺は在学生にシバかれるのだ。

公開処刑である。

死んでくれ。

 

 

「では、説明を。

先程述べた通り、これから貴方は、士官学校在学生と立ち合いをして頂く。

評価基準は伝えられないが、全力で闘ってくれ。

命の危険があれば即座に中止するので、ご心配なく。」

 

 

「分かりました。

それなら安心だ。

全力を尽くします」(震え声)

 

 

「うむ。

それでは、在校生側の準備が出来たようなので、闘技場に入ってくれ。

合図があれば、直ぐに開始だ。」

 

 

その言葉に頷き、俺は闘技場に、震える足で踏み入れる。

初めに視界に入ったのは、闘技場中心に居る、一人の男。

 

ガタイのいい、精悍な顔つきの青年で、片手剣を提げており、きっちりと着こなされた制服と、セットされた黒い髪からは、青年の真面目さが伺える。

 

まて、こいつ、どっかで見たことあるぞ?

 

「よろしく頼む!!

自分の名はタイラー!!

此度はこのアルビオン士官学校に良くぞ参られた!!

入学を勝ち取るため、自分を叩きのめすつもりで全力でぶつかって欲しいッ!!」

 

やっぱり!タイアーじゃん!!!

リアルタイアーだ!

きっめぇ!!!

マッチョじゃん!!!

 

「えぇ、よろしくお願いします。

タイアーさんですね?

アルビオン士官学校受験生、スイです。

胸をお借りするつもりで、死力を尽くします!」

 

「よろしい!!

だが、自分の名はタイラー!!

タイアーは私の弟の名だと言っておこう!!」

 

へぇ、兄貴居たのかアイツ…

 

「名乗りは済んだな?

それでは、各々所定の位置につけ。」

 

ああああそうだった!

今からシバかれんじゃん!!!

自分で言ってたけどね!!!

そりゃあ行くけどさあ!!

行くけどさぁ!!!

 

「よろしい。

位置に着いたな。

では、各人構えよ。」

 

 

ヒィィィィイイイィィィィ!!

 

「はじめッ!!」

 

合図の直後、瞬きした瞬間、目の前には片手剣を振り上げるタイラーの姿があった。

一瞬の隙をも見逃さない観察力もさる事ながら、実際にその隙を突く反応速度、即座に攻勢に出られる決断力。

魔力反応を見る限り、魔力放出による推進力での圧倒的な初速。

剣に纏った色のある魔力とその量を見るに、尋常ではない威力だろう。

敵ながら天晴である。

 

「ちょめうぇい!!!」

 

いや馬鹿か!!!

言ってる場合か!!

そんなの死ぬぞかし!!!

古文でたわアホか!!!

お前マジ、わい受験生ぞ!!!

初心者ぞ!!!!

とにかく避けなきゃ!!!

剣で受けたら死ぬ!!!

俺の肉体様がそう言ってる!!!

 

「ひいいいいぃ!!!」

 

俺は泣きながら左に飛んだ。

気づけば視界は変わっており、爆音と、砂塵を纏った爆風が右頬を汚す。

 

おっ?意外と行けんぞこれ?

震え止まってるし?

見切れてるし?動けてるし??

やっぱチートかこれ??

勝つるか??

 

よっしゃあ!!

俺のターンじゃあ!!

 

あいつの使った、同じ技で、あいつをシバいてやらぁ!

 

幸いにして、あいつは今、剣を振り下ろた直後で隙が出来てる!

 

その間隙、突かせてもらおうか!!

 

足元に魔力をため、一気に放出。

魔力なんざ使ったことも無いので、真似することしか出来ないが、コレは凄い!

爆発的な加速力と、顔に当たる強い風により、俺の顔はさぞや愉快な事になっているだろうが、気にしていられない。

 

「ハアァァァァッ!!」

 

両手で力強く直剣を握りしめ、手元に魔力を流し込み、さらに速度を上げて全力で振り下ろす。

 

―――直前、奴と目が合った。

その目は敗北の色など微塵もなく―――

 

 

 

奴は剣を傾け、俺の斬撃を滑らかに凌いだ後、その勢いを利用して一回転。

 

空中に躍り出た後、剣の腹でもって俺の背を殴打し、地面に叩きつけた。

 

クッソ…いってぇな…視界が暗くなっていく…

 

「そこまで!!

勝者、タイラー!!」

 

その声を最後に、俺の意識は途切れた。

 




◇教官の報告書◇

受験生スイについての報告をここに記す。

まず、一般教養学では、近年稀に見る優秀な成績を残した。
歴史学では、若干の不安が残るが、その頭脳を持って事象を推測し、実際に正答を導き出した軌跡がみられ、評価に値する。
また、数学においてはもはや学生レベルを超えており、教鞭を振るっても遜色ない学力を有する。
よって、評価を「越」とする。

次にマナー作法だが、こちらは目も当てられない凄惨たる結果に終わった。
田舎からの受験生にありがちではあるが、ここまでの成績をとるものは見たことがない。
歴代最低点と並んだこともあり、こちらの評価を「劣」とする。

最後に、戦術学について。
所作からして、戦闘経験は皆無だと分かっていたが、タイラーの攻撃を躱し、反撃に転じるなど、目を見張る戦闘センスを垣間見せた。
そして、魔力操作による加速を見ただけで真似ることや、すぐに応用を効かせる辺り、魔力探知力と、観察力でも逸脱している。
それに加え、属性適性が全属性であり、こちらは学校創立以来の出来事である。
まだまだ粗末な体捌きと魔力操作、怯えがちな性根ではあるが、磨けばカタリナに比肩しうる可能性を持つ。

とはいえ、現状での評価であるので、こちらの評価は「凡」とする。


以上を持って、受験生スイを合格とする。


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にわかオタク、入学決定。(タイトル考えるのだるいんで、次から○話とかにする)

初めから感じてたけど、正直一人称視点キツいから神(俺)の三人称視点でやる。
主人公の心の声は( )で。


目を覚ますと、青年は白を基調とした部屋にいることに気づく。

窓際に目をやると、風に仰がれたカーテンが、外の景色をちらつかせる。

 

目を凝らせば、そこは庭園。

中心には力強く根を張る、大輪を携えた立派な大木が確認出来た。

その雄大さと美しさの混在する景色に、思わず口元を綻ばせる。

 

ふと根元に目をやれば、俯きながら食事を摂る金髪の少女が1人。

如何せん距離は遠く、容貌は確認できないが、その雰囲気はどこか儚げで、少々の陰鬱さを感じさせられる。

 

ふと、少女が顔を上げた。

 

 

(ん…?目が合った…?)

 

青年と少女の視線が交差する。

 

直後、突風に揺らされるカーテンが、彼の視線を遮り、出会いを想起させる春の香りを、鼻腔へと運ぶ。

再び視線を向ければ、少女は既にそこにはいなかった。

 

青年は思い直し、薬品の匂いが漂うベッドの上から身を起こそうと、そして誰かいないかを確認しようと試みるが―――

 

「ッ!!」

 

背に走る鋭い痛みがその動きを妨害し、彼は再びベッドに倒れ込む。

同時に、試験官を務めた教官が入ってきた。

 

それを見て、痛みに顔を顰めつつ、すぐに身を起こす。

 

「ん?

起きていたか。

貴様は先刻、立ち会いの末、気を失ったのだが…

覚えているか?

丸1日寝ていたのだぞ?

何か、記憶の混濁があれば述べるがいい。」

 

(あぁ…そうか。

俺、負けたんだったな…)

 

「いえ、記憶の混濁はありません。

ご迷惑をお掛けしました。

して、結果を伺っても?」

 

「ふむ。医務室で合否を言い渡すのも締まらんが、仕方ないか。

 

では、受験者スイに、結果を報告する。

貴様を、現時刻を持って、アルビオン士官学校の生徒となる事を認める。

我ら教官と教員、及び上級生には、敬意を持って接するように。

 

報告は以上だ。」

 

腹に響く、ハッキリとした声で教官はスイに告げた。

正直なところ、医務室でこんなバカでかい声を出すのは些か以上に問題があるかに思われるが、脳が筋肉であるが故、仕方ない。

 

「では、コレが貴様の寮の部屋の鍵と、校舎の地図だ。

要項や校則等が記されたパンフレットは全て寮に届けてある。

動けるようになったら、すぐに向かうように。」

 

そう言い、教官は鍵が括られ、円柱状に丸められた分厚い羊皮紙を投げ渡す。

 

受け取る青年は、再び走る痛みに、僅かに表情を崩す。

 

(痛ってぇのがわかんねぇのかクソジジイ!!

てめぇいつか死なすからな!!)

 

うん。まぁ、仕方ないだろう。

 

「了解致しました!

寝ている状態での応対、失礼しました!」

 

「よろしい。

回復魔法は掛けてあるはずだが、まだ痛むようならポーションを飲め。

ベッド脇の、棚の中にある褐色の瓶だ。

では、私は失礼する。」

 

「ハッ!」

 

教官は満足気に頷き、医務室を後にした。

 

見届けた青年は、

 

ー――ボスッ―――

 

布団の空気が抜ける音とともに、またもベッドに臥す。

 

 

(ひとまず合格…か。

 

タイラーがどの程度の戦闘力かは分からないが、恐らくヴィーラたんやカタリナさんには劣るはずだ。

 

原作キャラのおっぱいを揉m…関わるためには、最低限の戦闘力を身につけておくのが吉だろうな。

 

ああ、そうそう、戦闘スタイルも、使いやすい武器を選ばなきゃ…

少なくとも俺に片手剣は合わないみたいだし。

いや、まだ他にもやるべき事は………………)

 

 

長々と思考の海に沈没していくが、今は机上の空論であろう。

 

それに気付いたのか、

「うん!今考えてもどうしようもねえや!!

まずは行動!

寮に向かうか!!」

 

そういう訳で、寮に向かう。




◇或る少女視点◇

私がアルビオン士官学校に入学したのは、何も騎士になりたい。と言った夢があるからではありませんでした。

何故か、と問われると、それは一言では言えず、まずは私の身の上を語らねばなりません。

詰まらない小娘の意地の話ですが、どうかお聞きいただければと。


私は、商業が盛んな、とある島の、商家に長女として生を受けました。
ポート・ブリーズ程人も流通も多くない、田舎の島でしたが。
とは言え、腐っても商家、愛は無かったけれど、財政環境は豊かで、幸せに暮らしてきました。

美味しいパンに、暖かいスープへのお礼、そして何より、両親に私を見てもらうために、私は一般教養における勉学に手を抜いたことはありませんでしたし、商学にはより一層力を入れて励みました。

その甲斐あってか、父からもいくつかの事業を任され、私は勿論必死になって取り組み、その尽くを利潤で満たしました。
元々私には才能があったのでしょう、他の姉弟らも任された事業はいくつかあったようですが、私ほどの利益はありませんでした。

事実、私は姉弟の中でも最も優れていたと、そう自負しています。

私自身、次代の当主は自分になる。
そう確信していましたし、弟や妹もそう思っていたはずです。

容姿、人柄、実力の三拍子揃っていた私は、島でも有数の商人として扱われていたことも助長したのでしょう。

私はつけ上がり、今まで以上の努力と研鑽を積みました。

しかし、歳が15になった日、私は父の書斎に呼び出され、ひとつの事実を告げられたのです。

「君には、ポートブリーズの商家の当主に、嫁に出てもらうことになった。
喜べ。彼は32にして既に幾つもの功績を挙げている。
生活に困ることは無いだろう。
今までご苦労だった。」

はじめは理解が及ばず、何度も聞き直しましたが、耳に入った情報に誤りはありません。

私は酷く狼狽しつつも、こう詰問しました。

「で、ではっ!
当主は誰が継ぐのです?!
業績は、業績なら私が最も挙げたはず!!」

「長男に継がせる。
アレは君と比べ、些か決断力に欠けるが、それでも上々の出来だろう。」

「何故ですかっ?!」


私の方が頑張ったのに!!
私の方が努力したはずなのに!!


父は苦笑を浮かべ、
「だって、君は女だろう?」
と、私に告げたのです。

私はその時、怒りや悲しみを通り越し、感情を失いました。

…結局、両親は私を見てくれていなかった。

どう足掻いても、目立ってみても、長男しか、見ていなかった。


――――私の努力は、無駄だった――――


その後、どうやって部屋に戻ったかもハッキリ覚えていません。

ただ確かな事があるとすれば、、あの夜、私は今まで稼いだ金を持ち出し、アルビオンに渡ったということ。
私がはじめて、親に反抗したということ。

幸いにして、アルビオンでの行く先は目処がたっていました。
一年中生徒を取っている、アルビオン士官学校です。

一般教養は怠ったことはありませんでしたし、商売にマナー作法は必須。
戦術学でこそ、他に比べれば遅れを取りましたが、問題なく合格でき、無事に入学となりした。

ただ、毎日のように入学してくる、同学年の新入生を見る度に、どうしても不安になるのです。

彼らは皆一様に、騎士になる夢を抱えています。
夢に向かって、努力ができるのです。

現実から逃げた、愚かな小娘とは違って。



昨日も1人、入学試験を受けた人がいました。
珍しく男子。やわらかそうな茶色の髪で、背が高く、整った目鼻立ちです。
立ち合いでは、はじめこそ怯えた目をしていましたが、直ぐに変わり、即座に反撃に転じていました。
打ち負かされたのに、意志の強い、目をしていました。

今日も医務室にいるのを見かけましたが、あんなに強く打ち付けられたのに、平気な目をして、幸せそうな顔で、花を見つめて。
それが、私を不快にさせる…

私は、自分が入学してからというもの、入学試験を必ず見ています。
自分と似たような、騎士になりたくないのに士官学校に入った、ちぐはぐな人間を探しているのでしょうか。

しかし、それでも、今回もまた、きっと夢を持った人。
また、夢を持った人。
それを見て、またも心が痛くなる。
何度見ても懲りずに。
人の夢を感じる度、傷ついて。


―――ああ、ホントに――――


自分が、嫌になる。


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5話

寮に着くまでに学校の施設を色々見て回ったが、そこはおいおい語ることになるので、今は割愛しよう。

 

さて、寮母さんへの挨拶も済ませ、自室の扉前まで来た彼だが、ある違和感を感じ取る。

 

(えぇっ…生活音がするぅ…)

 

そうなのだ。

部屋からは、ガタゴトと、時折何かが落ちる様な騒々しい音。

中に誰か居ることは想像に難くない。

 

しかし何時までも部屋の前で突っ立っているわけにも行くまい。

意を決して、扉をノックする。

いや、まぁ、自分の部屋なのにノックをするのもおかしな話ではあるが。

 

ーーーコンコンッーーー

 

木製のドアを打付ける、小気味良い音が鳴る。

 

 

「くッ…間に合わなかったかッ!

だが、少しでも時間を…!

はいッ!!

入ってますッ!!!」

 

(いや、うん。知ってる。

だからノックしてる。

なんなら全部聞こえてるから。)

 

「しばらく待ちますから、用が済んだら開けてくださいね。」

 

「恩に着るッ!」

 

 

 

 

 

数分後、ドアは開かれた。

 

「いやぁ、すまない!

これまでは1人でこの部屋を使っていたものでな。

そのルームメイトが来るって、昨日急に知らされたんだ。

それで急いで掃除をしていた所でね。

ハハハ…」

 

「なるほどです。

というか、共同で使う私室なんですね。

こちらこそ、急に来て申し訳ない…」

 

「いやいや、こちらこそ…いや、やめようか。

きっと押し問答になる。」

 

部屋の主は、爽やかな笑みを浮かべながら身を開き、部屋の中へと誘う。

 

「さぁ、入ってくれ、今日からは君の部屋でもある。

座って話をしようじゃないか。

合格おめでとう、スイ君。」

 

「ふふっ、ありがとうございます。タイラーさん。

3年間、よろしくお願いしますね?」

 

             ※

 

「では、適当な椅子にかけていてくれ。

紅茶でいいかい?」

 

「あぁ!すみません、自分でやります!」

 

「いや、やらせてくれ。

新たなルームメイトだ。

味気ないのは否定できんが、歓迎くらいさせてくれないか?

それに君も、初めくらいは持て成されてもバチは当たらないさ。」

 

「…そういう事なら。

ありがとうございます。」

 

そう言いながら椅子に腰かけ、部屋を見回す。

 

(こいつは広いな。

二人で過ごすにしたって広すぎる。

アルビオンって実は金持ち…?

家具にしたって豪華な装飾だし…)

 

 

――――カタンッ―――――

 

控えめな、陶器のぶつかる音が部屋に広がる。

 

「待たせたね。

この部屋、広いだろう?

自分も初めて来た時は同じ反応をしたさ。」

 

「ええ、少し驚きました。」

 

「なに、直ぐに慣れる。

では、改めて自己紹介を。

自分の名前は、タイラー・フレールだ。

先月上旬に入学した、ひよっこ騎士見習いってところさ。」

 

「では私も。

スイです。

星の力の目利きが少しだけ優れた、しがない小市民です。

改めてよろしくお願いしますね。」

 

そう言い、ハニカミながら、右手を出す。

 

「あぁ、よろしく!」

 

対する青年も、その手を力強く握りしめた。

 

「ただ、敬語は止してくれよ?

同じルームメイトなんだからな。」

 

「そうです…いや、そうか。

じゃあ、そうさせてもらうよ。」

 

「ああ、それでいい。」

 

(おおおお、なんかコレいいな!!

俺ってば、今、かっこいいんじゃない?!

主人公っぽいんじゃない?!)

 

気持ちは分からんでもないが、落ち着け。

お前のセリフで台無しだ。

あとお前は主人公である。

 

「さて、自己紹介も済んだところだし、なにか聞きたいことなどはないか?

ひと月とはいえ、一応自分は先輩だ。

一通りの施設は見て回ったし、授業についても答えられよう。」

 

「それは助かるよ。

それじゃあ、授業についてなんだが……」

 

 

その言葉を皮切りに、青年らの会話は雑談を交えながら、つつがなく交友を深め合った。

 

もとより真っ直ぐな性格で、溌剌としたタイラーと、誰にでも波長を合わせることが出来、コミュニケーション能力が高いスイ。

彼らが気の置けない関係になるのは不自然なことではなかった。

 

ただ、ルームメイトと初日にして仲良くなると、多少の弊害はある。

それは―――――

 

 

 

「いいや!俺は料理も掃除も洗濯も、全部下手くそだね!!!

出来るわけねえよ!!!」

 

「ふざけるな!!

自分だって下手だが、出来ないなりにやって来たんだぞ!!

だいいち当番制にするって言っているんだ!!

何も全部押し付けるわけじゃない!!」

 

「その比率がアホだっつってんだよ!!

なんだお前、6:1って!!バカかお前!!

お前の怠惰さには女王アリもビックリだよ!」

 

いや、その例えはよく分からないが、確かに無茶である。

 

「それはスイが剣術勝負で負けたからじゃないか!!

1本取られたのは不覚だったが、それでも公平だったはずだ!!」

 

なるほど確かに、それなら文句は言えまい。

 

「お前全部投げるつもりだったのかよ!!

畜生だなマジで!!

つか自分で言ってたろ!ひと月先輩だって!

不公平だわこんなん!

むしろよく1本取れたわ俺!」

 

前言撤回、これは大人気ない。

 

「くっ…だが、スイは納得したじゃないかッ!」

 

「してねぇわ!!

急に斬りかかってきやがって!!

未だに何を持って1本だったか分からんぞ!!」

 

「あんた達、うるさい!!

今何時だと思ってんだい!!」

 

 

―――ビクッ――――

 

「「……」」

 

「寮母さんって、おっかねぇのな。」

 

「…あぁ、自分も何度か拳骨を食らったが、恐らく彼女がアルビオン最強だろう。」

 

「当番、交代にすっか…」

 

「…異論はない。」

 

 

「明日は早い。

スイも、今日は寝よう。」

 

「そうだな…」

 

「じゃあ、俺こっちのベッドで寝るから。」

 

「いや待て、そこは今まで自分が使ってきた場所だ。

スイはあっちで寝てくれ。」

 

「ああ?」

 

「なんだ?まだやるか?」

 

「あぁ!やったろうじゃねぇか!

剣術でもなんでも、かかって来いよ!!」

 

「いいだろう!

タイラー、いざ参るッ!!」

 

「ゴラァっ!!いい加減にせんか!!

追い出すよあんた達!!」

 

「「…」」

 

「俺、寝るわ。

あっちのベッド使う…」

 

「あぁ、おやすみ…

寝坊するなよ…」

 

というわけで寝る。

明日から授業だ。



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6話

満席となった大きな闘技場で相対する、青の制服の麗人と赤の制服の美丈夫が、数多の剣戟を交わす。

 

魔法による足場作りと、魔力ブーストで可能になった、超高速立体駆動を武器に、相手の翻弄を試みる赤。

 

 

常に場を動き回っているにも関わらず、殆どの隙を見せない肉体操作術と体力。相手の隙を誘発するフェイント。時には魔法すらも織り交ぜた多彩な攻撃。それらをこなす情報処理能力と戦闘技能に、我々は驚嘆するほかない。

 

一般人であれば、瞬き1つで見失ってしまうだろう。

 

しかし、この場の人間は、ただ1人として一般人は居ない。

 

言うまでもなく、この青も例外ではない。

いや、寧ろその筆頭とも言えるべき麒麟児である。

 

残像すら見えかねない機動に対し、その足を1歩としてずらすこと無く、剣や魔法と言った、数え切れない攻撃のほぼ全てを、剣技と重心移動のみで凌ぎきっている。

 

流麗な、それでいてなお力強い剣捌きは、もはや舞と呼べるものにまで昇華しており、その領域に至るまでの鍛錬の量と質、そして何よりその者の有する才覚には、舌を巻かされる。

 

彼らは既に、学生にして、並の戦士とは一線を画すレベルにまで達している。

 

 

―――鋼と鋼がぶつかり合う、甲高い音は突如として止んだ。――――

 

 

肩口付近でカットされた、艶やかなブロンドヘアーを揺らす、2人のうち1人の青年が、「ふぅ…」と息を吐き、微笑みながら口を開く。

 

 

 

「君は最近たばかりだろう?

君の努力を軽んずる訳では無いが、いや、凄まじい才覚だな…

驕っているわけではないが、私とここまで打ち合える人間はなかなか居まい。

少しでも長く手合わせをしたい所ではあるが、後が詰まっていてな。

すまないが、次の一合を最後にさせてもらおう。」

 

向かいに立つ背の高い、茶髪の青年は息を切らしながらも無理矢理笑みを浮かべ、しっかりとした声音で返答する。

 

「分かりました。

胸を借りるつもりで、全力で行かせていただきます!」

 

 

直後、2人からは言いようもない圧力が発せられる。

 

これまでの戦いが児戯にすら思えるその圧力は、次第に色を持ち2人に絡みつき、末には実態へと収束する。

 

片や、胸の前に掲げる片手剣に纏う、強く、青く光った3本の剣。

見るものには、容易には砕けぬ強い意志と、正義を重んじる善の心を感じさせる。

圧力だけではなく、思わず頼りたくなるような剣。

 

―――それは正しく、騎士の資質。―――

 

 

 

片や、相手に切っ先を向けた剣に纏う、不気味な赤橙色に輝く朧気な螺旋状の棘。

 

鍛錬か、或いは心の強さが足りないのだろう、彼の棘からは不細工な圧力は以外は何も感じない。

 

 

それでも。と、青年は心を決め、勝ち筋の薄い相手へと一歩踏み出す。

 

 

「はああああァァァァァッ!」

 

 

対するもう1人は、嬉しそうに口角を吊り上げ、声高に叫ぶ。

 

 

「その気概やよし!

 

我が奥義、お見せしよう!!

 

【アイシクルネイルッ!!】」

 

 

 

勝負は一瞬だった。

 

 

 

(青は赤橙色をかき消し、その源すらも穿つ。

 

 

 

最後に立っていたのは、青い制服の美女、カタリナ。

 

 

 

 

そして、穿たれ、吹き飛ばされ、その先で痛みに悶え苦しむ人こそ、何を隠そう…

 

 

 

 

 

 

 

 

俺こと、スイである。)

 

 

 

 

 

 

 

「アッハハ、どうしてこうなった★」

 

 

 

 

 

最たる原因は、スイが入学を果たしてから約2ヶ月後、すなわち今から1ヶ月前まで遡る。

 

 

 

 

 

 

「スイ、次は戦術学だ。

時間もあまりない、闘技場に急ぐぞッ!」

 

「あぁ、そうだな…サンキュ。

ただなぁ…どうにも戦術学はなぁ…」

 

そうボヤきながらも、準備を済ませ、闘技場へと向かう2人。

 

「ほう?

学園きっての数学の天才も剣を振るうのは苦手と?

お前の性格上、そうは思えんがな?」

 

タイアーは茶化すように笑いかける。

 

「俺が天才であることは認めるが、学校でやる剣術やら魔法術やらは、性にあわないんだよな。」

 

「おおぅ…お前は少し謙虚さを学ぶべきだな…

…いや、それは置いておくか。

性にあわないとは言うが、今学んでいる剣術はこの学校で学べるどの流派にも通ずる、全ての根底とも言っていいものだぞ?」

 

「そうは言うがなぁ…

こう、ここで学べる流派って、全部守りに徹してる感あるじゃん?

そう言うのが多分合わねぇんだろうなぁ…」

 

「なるほど…

言うまでもないと思うが、ここは騎士養成学校だからな。

自分は満足しているが、そこは仕方ないという他ないだろうな。」

 

「どうにかならないもんかねぇ…」

 

「ふむ…時にスイ」

 

「ん?」

 

「手練の騎空士の中には、攻めを重視した、ウェポンマスターとか言う戦闘スタイルの猛者もいるらしい。

休みの日にでもアポを取って、参考にしたらどうだ?

この学校なら申請すれば斡旋くらいはしてくれよう。」

 

「へぇ、そんなのあんのか。」

(ほーん、ウェポンマスター、ねぇ…ゲームじゃ動いてねぇし、どんな動きかは知らんけど、確かにアリかもなぁ…)

 

「それすら合わないというなら、自分で戦闘スタイルを編み出すしかないだろうな。

なに、心配するな。その時は協力してやるさ。」

 

「ははっ、サンキューな。」

(俺の友人が良い奴すぎて辛い件。初めてあった時キモイとか言ってマジごめんな。)

 

という所で、闘技場に着いた。

 

どうやら2人は最後だった様で、2人を認めた教官が授業を開始する。

 

 

「全員揃ったようですね。

では、今日は皆さんに、アビリティを体感して貰います。

これは、所謂特技のようなもので、種々の系統があります。

回復、ダメージ、強化、弱体、の4系統。

皆さんの使う魔法は、回復やダメージアビリティに含まれますね。

 

さて、皆さんに体感してもらうアビリティですが、今日は、レイジと言う、戦闘において最もポピュラーなものです。

自分や仲間の身体能力を向上させ、機動力や筋力だけでなく、思考速度をも強化します。

このアビリティの練度で相手の力量をある程度把握する事ができる、とも言われますね。

 

ここまでで、なにか質問はありますか?」

 

「「「…」」」

 

「では、先ずは体感して頂きましょう。

それでは、【レイジ】」

 

教官がアビリティを発動した後、生徒らはアビリティの重要さを確認することとなる。

内から沸き起こる高揚感、それでいて通常時の数倍もハッキリしている思考に、今ならばなんでも出来そうな気がする万能感すらある。

もし今剣を振るえば、いつもの数倍の強打を見舞えることだろう。

 

 

「どうでしょうか?

みなさんにかけたものは最低練度のものです。

それでさえ、およそ1.5倍の身体能力になると言われています。

全身の筋力が1.5倍になると言うことは、その破壊力は推して測るべし。

これらがどれ程重要かは、もう言うまでもありませんね。

 

では、今日は、このレイジを習得しましょう。

そうですね…再来週のこの授業までには今の練度まで仕上げてください。

それを今学期の試験とします。

達成出来なければ、このあとに控える騎士団体験に影響すると思って頑張りましょう。

発動の手順は分かりましたね?

質問があれば、随時来てください。」

 

 

ここでいう騎士団体験とは、アルビオン士官学校と提携を組む騎士団へのインターンのように思ってもらえれば良い。

帝国騎士団、リュミエール聖騎士団、フェードラッヘ、アイルスト王国、レヴィオン王国等が有名どころで、他にも各島に点在する小さな騎士団へも体験入団が可能である。

そのまま入隊が決定したりもするので、生徒達にとっては一大行事と言ったところ。

 

 

隣にいたタイラーが、思わず呟く。

 

「これは凄まじいな…」

 

「だな、俺も知っちゃあいたが、レイジがここまでとは…」

 

(まさに予想外って感じだ。

教官の言葉から察するに、あれはレイジⅠ。

レイジⅠVまである事を考えるとめちゃくちゃだろ。

何より、1度体感して分かったが、少しの魔力消費で殆どデメリットが無いってのが何よりヤバい。)

 

 

そう、実際にヤバい。

メタい事を言うと、ゲームではレイジⅠだと15%上昇だったが、こう、ちょっとこのアビリティヤベぇ感出ないので、パーセンテージに0を1つ付け足したからである。

つまりレイジⅠVだと身体能力は4倍。

もはや異次元の域であり、実際にレイジⅠV使い同士がぶつかる事になれば、もはや怪獣バトルの様相を呈すること請け合いである。

 

 

「なぁ、スイ。

お前ならもう発動できるんじゃないか?

たしか、魔力操作得意だったよな?」

 

「あー、実際やってみてはいるんだが、どうにも上手くいかないわ。

こう、自分に属性魔法を付与する感じでやってるんだが、何か詰まってる感じがするんだよ。」

 

「なるほど、自身に魔力付与か…

っと、普通にできたぞ?

思ったより簡単だ。」

 

「は?」

 

「いや、は?って言われても…」

 

「お前、魔力操作苦手の脳筋ゴリラだったろ、なんでそんな簡単に出来てんd…」

 

 

「おぉ!できた!!」

 

「なによ!思ったより簡単じゃないの!!」

 

「は?」

 

 

「……いや、あの…うん。」

 

 

「」

 

 

 

 

などとやり取りをしているうちに、教官がやって来る。

 

「きょ、教官…ちゃうんですわぁ…

これは、ほら、イロイロありますやん…」

 

キャラがぶれている。

このブレ様、なろう系主人公もニッコリである。

 

「いえ、原因は分かっています。

スイさんは確か複数属性持ちですね?

おそらくですが、相反する属性同士が強化を打ち消しあっているのでしょう。

レイジを使うには、今以上の魔力操作技術が必要になるのかと。」

 

「ふむ、なるほど。

まぁ、良かったじゃないか、スイ。

いずれは魔力操作術を鍛えるんだ。

今鍛えておいても結果は変わるまい。」

 

「そりゃあそうなんだが…

教官、俺は他とは状況が違いますよね?

複数属性持ちで、レイジが使いづらい。

だから、魔力操作術から鍛えなきゃいけないと。

…俺が言いたいこと、分かります?」

 

「えぇ、もちろんです。」

 

教官は笑みを浮かべ、次の言葉を口にする。

 

「私から言えることは、例外は無いと言うこと。

それだけです。」

 

「ははっ、すみません、最近耳の調子が悪くてですね。

魔力が詰まってるのかな?

もう一度お願いします。」

 

「それは深刻ですね。

早急に魔力操作術を鍛えなければ。

何せ試験は再来週なんですから。」

 

「ははっ、すみません、最近耳の調子が「もういいッ!行くぞ!!付き合ってやるから、早く習得しろ!」…教官、失礼します。」

 

 

「えぇ、頑張ってくださいね。」(ニッコリ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この後、なんやかんやあってレイジ習得したけど、複数属性持ちって事もあって、部位強化みたいなのが出来るようになって、それが結果レイジXみたいな感じになっていく的な。

こう、説明するなら、はじめは足に雷魔力付与してすっごい素早くなって、体に水魔力付与して活性効果得たり、目に光魔力付与して遠く見れたりして、そっから複属性魔力付与でこう、すっげぇレイジみたいな。

 

でも、それによって慢心するようになって、学校側から危険だなって思われて、学期末にある校内交流戦でカタリナと当たる様に工作されて、結果シバかれたよっていうね。

 

昨日思いついた騎士団体験の妄想が止まらなくて、このへんだいぶ雑だけどしかたないですよね?

だってさ、ロリ騎士団長をぺろぺろしたりさ、フェードラッヘ組と友達になったりさ、ヘルエスお姉さんの鎧の剥ぎ取ったりしたいじゃん?分かるでしょ?仕方ないですよね?

うん。仕方ない。

交流戦のくだりって言うかちゃんと書けよksって言うなら書きます。

 

 

 

ところで昨日はハロウィンでしたね。

コスプレをした同年代の女の子たちが何匹も街を跋扈していました。

最近は、セクハラ等が怖いので、眼福とは言いませんが、あの瞬間だけは僕の視力は4倍になっていたに違いありません。

帰宅する時に、マリオのコスプレをしたカップルに、街の信号でぶつかりそうになって、避けようと思ったんですが、同じ方向に避けてしまって、それを3回ほど繰り返してしまったんですね。

男の方は、なかなか精巧に作られた亀の甲羅(こ『うら』)を背負っていて、女の方は赤いオーバーオールでしたね。

自分は相手の『裏』の『裏』の『裏』を読んで、右、左、左と躱したのですが、結局全部ぶつかりそうになりました。

僕とカップルは笑いあって、最後は僕が道を譲る形で終わったんですが、そのカップルが、「すごい偶然だったねー笑」「そうだねー!」と言った感じで会話しているんです。

折角のデートでのちょっとした不幸さえも、笑い合えるネタにできる2人。

いやぁ、『羨』ましいですね。

僕は家に帰ってこれを書いていました。

正直泣きそうです。

 

 

 

つまりですね、何が言いたいかと言うと、

こんな僕に、書けよksなんて、言えませんよね?

ご愛読頂き、ありがとうございました。

 

本当に、飽きたら辞める予定なので、悪しからず。

辞める事になったら、今までしてきた妄想を吐き出して辞めることにします。




なう(2019/11/01 00:13:35)
今書き終わって投稿しようとしたんですが、スマートフォンをおっことしまして、親の顔より見てきたスマホの液晶が割れました。
これはもう、親の顔を傷つけたのと変わりありません。

僕の心象はスマホの液晶を凌駕するほどボロボロですので、しばらく投稿しません。
これは、久しぶりに休みが取れたから、彼女と一緒に旅行にでも行こうかな、とか、そういう訳ではありません。
だいいち、僕の彼女はスマートフォンの中です。
つまり彼女も死にました。
僕は後を追うつもりはありませんが、今日の夜のお供はどうしようかな、と思っています。
今、自分は酔っているので、割とめちゃくちゃなことを言っているかもしれません。
もしも明日、マズイな。と思ったら消します。
おやすみなさい。


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7話

スマホ変えました。
気分上々ですね。
カメラが3個付いているので、残機が3なのかと思いましたが、そんなことは無いようです。
場合によって使い分けるそうで。
自分はまだ若いので、あまりこういうことを言うのははばかられるのですが、最近の若い人はすぐに順応できてすごいですね。


追記して、感想欄を見たのですが、あたたかい感想に胸がほっこりしました。
コメントに反応しないと申しましたが、あれは嘘です。
僕の妄想を読んで頂いた皆様には、それが低評価であれ、アンチコメントを残して頂いた方であれ、平等に感謝です。
そのような方には、アドバイス等を残していただけると今後の励みになりますので、宜しければお願い致します。

妄想といえば、亡き女を想うと書きますが、言い得て妙ですね。
妄想をする人は、往々にして彼女や妻が居ない方が多いものですから。
僕もそのうちの1人です。
世知辛いですね。


「勝者、カタリナ・アリゼ!!」

 

 

審判が声高々に勝者の名前を告げる。

瞬間、観客席がドッと湧く。

 

 

カタリナの奥義、【アイシクルネイル】で文字通り吹き飛ばされたスイは、自らに回復魔法を施しながら起きあがった。

 

 

「いってて…やはり次代の総代候補、学校きっての麒麟児は段違いですね。

まさかこの歳にして既に奥義と呼べる物まで習得しているとは。

カタリナ先輩、完敗です。」

 

(学生時代からこんなに強いのかよ、バグかよ。

俺こそがチートだと思って調子に乗ってたけど、原作キャラバグかよ。

てか主人公らヤバいよね。これの上行くんでしょ。

知ってる。俺知ってるよ。

泣きたいんだけど。このままじゃ原作キャラとイチャイチャ出来ないんだけど。)

 

そう口にしながら、握手を求める若輩。

事実、学生の身で奥義を身につけているのは驚くべき快挙である。

奥義とは、尋常ではない鍛錬の末に自らの戦闘スタイルを完全にその身に定着させ、さらに才能を持つものでなければ発現は困難なもの。

 

出来ない事もないが、持つものと持たざる者では、どうしても差が出る。

非常に残念なことに、他でもない、この若輩は確実に前者であるのだが。

 

差し出された手を取りながら、年長者がこれに応える。

 

「そう面と向かって言われると照れてしまうな。

もう大丈夫なようだから私の口から伝えさせてもらうが、君については学園長から頼まれていてね。」

 

「はぁ…?」

 

「そう不思議がるのも無理はないが、どうやら彼は君の慢心を懸念していたらしい。」

 

「っ…」

 

「ふむ、どうやら心当たりがあるようだな。」

 

「そう、ですね。

お手数おかけしました。」

 

 

「フッ…自覚があるならば、やはりもう問題ないだろう。

私から学園長に伝えておくよ。」

 

「すみません…

ありがとうございます。」

 

 

「あははっ!

君は本当に真面目だな!

何、気にすることは無い。

誰しも1度は通る道さ。

君は少しそれが早かっただけの事。

むしろ良かったのでは無いか?」

 

「…そうかもしれません。」

(惚れそう。ヴィーラたんの気持ちがよく分かるってもんですわぁ)

 

 

「さぁ、控え室へ戻ろうか。

先程も言ったが、後がつかえている。

君と話したかったから早めに切り上げさせてもらったが、そろそろ時間だ。

機会があればまた話そう。」

 

 

「はい。

ありがとうございました。」

 

 

その言葉を皮切りに、2人の青年は各々の控え室へ戻る。

 

 

 

しかし、話す機会と言うのは、意外にもすぐに訪れた。

 

スイとの対戦が最後であったカタリナと、そもそも1試合しかなかったスイが、準備を終えて客席への入口で出くわすことは何も不思議なことではない。

 

…実を言うと、カタリナが素早く準備を済ませ、入口で待っていただけなのだが。

 

「やぁ、また会ったな。」

壁に寄りかかりながら腕を組み、軽いウィンクをしながら微笑むカタリナ。

 

「えっ、待っていたんですよね?

見ればわかります。

何か用ですか?」

 

やや体を強ばらせながら、本心を探る。

 

「フフッ、そう警戒するな。

君ともう少し、話がしたいと思ってな。

観戦は自由参加だから、お茶でもどうだ?」

 

「ええと、光栄です。

ご一緒します。」

 

戸惑いながらも了承し、2人は街へ繰り出す。

 

 

 

 

カタリナはスイを伴い、小洒落たカフェに訪れた。

ビオンカフェという店名のようだ。

赤いレンガ造りで、目立ちはしないが、暖かい雰囲気の店である。

店内へと足を進めると、コーヒー豆の匂いが鼻腔をくすぐる。

不快に感じさせないような髭を蓄えた、初老をすぎた男が、カップを拭きながら尻目でこちらを一瞥し、軽く会釈をしてくる。

間違いない、店名は微妙だが、これは所謂隠れた名店、と言うやつである。

そうに違いない。そう思わないなら、読者諸君、各々隠れた名店の妄想をしてほしい。

 

「どうだ?いい雰囲気だろう?」

 

声をかけられ、隣を見れば得意げな顔をするカタリナ。

隠れた名店なのだから、勿論スイは頷く。

 

彼女に連れられ、奥のテーブル席に案内され、向かい合って座る。

彼女の薦めでコーヒーとケーキを頼んだところで、カタリナは再び口を開く。

 

「さて、とりあえずは交流試合、ご苦労さまと言ったところだな。」

 

「えっと、そうですね。

お疲れ様でした。」

 

「ははは、なぜ呼び出されたのか、測りかねているな?」

 

「正直に言えば、その通りです。

だって、労いという訳でも無いでしょう?」

 

「いや、労いはもちろんあるぞ?

ただ、本題は別にある。

少々長くなるかもしれないから、ゆっくり話せる場所にでも。という訳だ。」

 

「なるほどです。

して、その本題とは?」

 

蛇足だが、なるほどです。と言うのは正しい敬語ではないらしく、目上の方に使うのは失礼であるので気をつけるべきである。

 

「…君は、ヴィーラ・リーリエという生徒を知っているか?」

 

「ヴィーラさん、ですか?

わからないですね。」

(ヴィーラたんや!!知ってるで!!!)

 

「そうか。

では、まずはそこから話すとしよう。

ヴィーラ・リーリエ。君と同じ学年の女子生徒。

現状では、赤の学年としては総合力において最も優秀とされているらしい。

入学当初は友人も多く、周りには常に人がいた、と。」

 

「はぁ…?」

(雲行き怪しいな…?)

 

「そんな彼女だが、ここのところ他の生徒と談話する様子が全く見られないようだ。

 

総合力が高いことは結構だが、騎士として、コミュニケーション能力は必須。

同僚はもちろん、民衆や訪島者との会話がままならないようでは、その騎士に未来は無い。

 

さらに、彼女の授業態度から、他の生徒を見下しているとの報告が上がっている。

これは恐らく、彼女の優秀さによるものだろう。

 

なぜこんな簡単なことが分からないのか、なぜこんなにも不出来なのか?

おおよそ、彼女の思っていることはこんな事だろう。

 

コミュニケーション能力同様、他者を見下す騎士など言語道断。

優秀な芽を潰す訳にもいかず、道を正そうにも、教官や教員からの指導ではどうにもならないという学校の判断から、私にお鉢が回ってきたわだ。」

 

 

「なるほど、先輩も大変ですね。慢心する後輩と孤高の後輩の問題を同時に解決しなきゃいけないなんて。」

 

「ふふっ…これも次期総代候補の役目さ。

なに、ただのポイント稼ぎだと思ってもらって構わないよ。

…さて、ものは相談なんだが…」

 

言いずらそうに、組んでいた足を組み直しながらそう切り出される。

 

「あはは、分かってますよ。

構いません。ぜひ協力させてください。」

 

やや苦笑いを含んだ、要件を察した顔で頷いた。

 

「そうか!?

いやぁ、助かるよ!

君は学年も同じだし、何より特出した、秀でた能力を持っている。

君ならば取り付く島はあるだろう。」

 

「そう言っていただけると嬉しいですね」

 

「どれだけでも言うさ!

よしよし、それなら来週末にまたここで落ち合おう。

作戦会議だ!

今週は、とりあえずヴィーラの観察をして、彼女のことをできるだけ把握しておいて欲しい。

何も分かっていない状態で話しかけるのは分が悪いからな。」

 

「了解です。」

 

「では、ここを出ようか。

今日は奢らせてくれ。」

 

「いや、悪いですよ!」

 

「気にするな。

ここは先輩を立てると思って、な?」

 

「…ありがとうございます。」

 

 

そういうわけで、今週はヴィーラたんを観察する。

遂に邂逅である。

(コーヒーとケーキは美味かった。)



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