とあるトレーナーとポケモンの放浪旅 (青い灰)
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アローラ地方でバカンスを
プロローグ



テメーまた別の小説に浮気か!?って方も、
はじめまして!って方も、お願いします。

見て?

今度はポケモンだから。



 

「へっきし!!」

 

 

海の上、ある場所に腰かける、

とある男が大きなくしゃみをする。

 

真っ白な髪に、全身を隠す灰色のマント、

首にも灰色のマフラーを巻いている。

釣り竿を持ち、釣りを楽しんでいるようだ。

 

歳は18ほどだ。

 

 

「クチー?」

 

 

その男のとなりで、黄色く小さな体に、

その頭部から巨大な黒い顎を持つ、

摩訶不思議な生物が顔を傾ける。

 

 

「あー、そうだな。

 どこかの誰かが俺を噂してやがるな?照れる」

 

「グオオッ」

 

 

大きな黒い竜のような生物が

青い炎の燃えている尻尾で男の背中を叩く。

 

 

「熱ッ!?ちょっ、何してんの!?」

 

「グオー」

 

「噂もされねぇよ?うん、知ってる。

 でもさ、尻尾で殴らんでね?洒落にならんから」

 

 

背中を擦りながら男は

黒い竜の「グオー」という言葉を

理解したように話す。

 

 

「しっかし、釣れねぇなー」

 

「ぎゅらぎゅりりりぃ」

 

「お前、まさか追っ払ってないよな」

 

 

男の下から脳に響くような鳴き声が聞こえる。

そう、男が腰かけるのは小さなキャンプ用の

椅子だが、その下の地面は青色だった。

 

否、正確にはそれは地面ではない。

4メートルもの巨大な、生物だった。

 

魚のような巨大なヒレがあるが、

ただの魚とは、遠くかけ離れた生物だ。

 

 

『馬鹿でしゅね、ミーに貸してみるでしゅ』

 

「お前どうやって釣りすんの?」

 

『ハッ!今気づいた!』

 

「いやいやいや」

 

 

ここで男に、声がかけられる。

しかしそれは脳に直接呼びかける、

所謂、テレパシー、というやつである。

 

それを発しているのも、

小さな四足歩行の緑の生物だ。

頭部には桃色の美しい花が咲いている。

 

 

「くぁぁぁん?」

 

「ん、やりたい?」

 

「くぁぁん」

 

「ほい、ゾロさん釣れる?」

 

 

男はゾロさんと呼ぶ二足で立つ

黒い狐のような生物に釣り竿を渡す。

 

2分後、釣り竿が引かれ、ゾロさんは

釣り竿を振り上げる。

 

そこには、赤いコイのような

平べったい生物がかかっていた。

 

 

「うぉ!?すげぇ流石ゾロさん!」

 

「コッコココッ」

 

「くぁぁん!」

 

『す、凄いでしゅ………』

 

 

そう、ここは少し、いや、

地球とは、かなり違う世界。

 

ポケットモンスター、

縮めて、ポケモンが生きる世界。

 

ポケモンは、モンスターボールと呼ばれる

ボールを投げ、捕獲することが出来るのだ。

 

その捕まえたポケモンを戦わせて競わせ

強くする者をトレーナーといい、

競わせることをポケモンバトルという。

 

それを家族と見なし、人間たちはポケモンを

敬い、恐れ、ときには愛し、生きている。

 

ここにいるのは、全て彼の仲間たちである。

 

 

大顎を持つ″あざむきポケモン″

クチート。

 

極めて稀な色違いの黒い竜″かえんポケモン″

リザードン。

 

巨大な体で海に浮きながら、主を乗せる

伝説と謳われる、海を創った″かいていポケモン″

カイオーガ。

捕まえられてはいない、

彼が心を通わせたポケモンの一体。

 

こちらも幻と言われる小さな花、グラデシアを

咲かせている″かんしゃポケモン″

シェイミ。

 

ゾロさんと呼ばれる、

また稀な黒い狐の″ばけぎつねポケモン″

ゾロアーク。

 

 

 

そして、ポケモンたちと心通わせ、

ポケモンと話せる不思議な男の名は、

シン。

 

一応彼のポケモンはこれだけでは無く、

カイオーガのように捕まえられていないものも

世界中にいる。

 

凄まじい強さから、そしてその気まぐれから、

放浪マスターと呼ばれる、

 

最強のトレーナーである。

 





基本的に主人公視点でいきます。


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アローラちほー

わぁ、君はポケモンの
言葉がわかるフレンズなんだね!

設定として主人公、
ポケモンが何を言いたいか分かります。
Nってどこ行ったんでしょうね。



「あむっ」

 

 

あ、旨い。

流石イッシュ地方の都市のアイスだ。

バニプッチの形のアイス、ヒウンアイスだ。

 

俺は今、アローラの海域にいるんだ。

暑い地域でのアイスは最高だね。

 

 

『あっ!シンだけズルいでしゅ!よこせー!』

 

「残念だったな、

 既にお前たちの分も用意済みだ」

 

『やったでしゅ!流石はシンでしゅ』

 

「グオオ♪」

 

「ぎゅりりぃぃ!」

 

「クチー♪」

 

「くぁぁ♪」

 

 

カイオーガにはデカくしてもらった

アイスを口に投げてやる。

 

他のヤツらはクーラーボックスの

中にあるやつに飛び付いている。

 

ていうかカイオーガ、あんまり揺らさないで?

 

 

「クチー?」

 

「ん?次の目的地かぁ……財団の

 代表さんに頼まれものあるし、

 このままアローラに向かうぞ!

 

 お前ら喜べ、リゾートだ!

 夏が、海が、UBが俺らを待ってるぜ!

 カイオーガ、全速前進DA!」

 

「ぎゅりりぃぃぃ!!」

 

 

ん?カイオーガの特性?

にほんばれ、リザードンが持ってるんで。

 

カイオーガ、頼めば戦ってもくれる、

本当に良いヤツだよ。

餌付け?仲良くなるまで食べてもくれなかった。

 

 

「グオオ?」

 

「ん、頼まれもの?これだよ、これ」

 

 

俺はリザードンたちにそれを見せる。

それは、ポケモンのタマゴだ。

割らないよう、孵化装置に入れてある。

孵化装置なんて、全く良い時代になったもんだ。

 

 

「くぁぁん?」

 

「これは、ウルガモスのタマゴだな。

  つまり、メラルバが孵るタマゴってこと」

 

『しっかし、財団は何で

 そんなもんを要求したんでしゅか?』

 

「そんなもん言うな、

 メラルバ、珍しいし、可愛いからじゃね?

 

 マジで言うと、生態の研究だろ。

 メラルバとかウルガモスの餌とか

 分かってないらしいじゃねぇか」

 

 

ウチのウルガモスは、オレンの実が好物だ。

古代の遺跡で見つけたヤツである。

初めて見つかった個体だが、保護した。

俺が誰にも言わずに。

 

なんかトウヤ(イッシュ地方のトレーナー)が

「なんでお前のウルガモスは何でも食べるんだ?」

とか言ってたしな。

 

何でも食べるのだが、実は渡されると食べない。

潔癖症なのかね?

目の前に置いたら、勝手に糸で包んで食べるのだ。

 

 

「それを報告に行くだけー!

 あとはバカンス楽しむだけー!」

 

「くぁぁん!」

 

「クチー♪」

 

『楽しむでしゅー!』

 

「グオオ!」

 

 

カイオーガが全速で5分ほど進むと、

報告相手がいるエーテル財団に到着する。

 

 

「サンキュー、カイオーガ!また遊ぼうぜー!」

 

「ぎゅらぎゅりりりぃ!」

 

 

なんか周りの職員が騒いでいるけど、

無視して進んでいく。

すると、エレベーターが降りてきて、

長い金髪の美しい女性が降りてくる。

 

 

「お初にお目にかかるわ、ポケモンマスターさん

 私の名前はルザミーネ、エーテルの代表よ」

 

「はじめまして、代表。名前はシン。

 好きなものはポケモン、嫌いなものは束縛だ」

 

「ふふ、いきなり抉ってくるわね」

 

 

そう、この代表。

最近、異世界の存在、

UB(ウルトラビースト)をこの世界に

引き込んだ元凶である。

 

なんでも娘やらUBを自分のものにしようと

束縛をしていたらしいが、

今はそんなものを感じないしな。

 

俺の知り合いが解決してくれたみたいだが。

 

 

「笑えるくらいなら、

 随分楽になったみたいですね。

 

 連絡を下さった時はまだ少し辛そうでしたから」

 

「バレてましたか?」

 

「ええ、少し。

 つーか何で俺の居場所とホロキャスターの

 連絡方法知ってたんですか?」

 

 

そうなんだよ。急にホロキャスター(通信機)が

鳴り出すもんだから何だと思ったら

この代表から連絡が来たのだ。

 

俺のホロキャスターは

特殊な方法でないと繋がらないのだが。

 

 

「ミズキちゃんに教えてもらったのよ」

 

「あの女……ッ!!」

 

 

俺が全国に現れたUBの捕獲に

駆り出されてたのを知っての事か!?

 

むちゃくちゃ大変だったぞ。

色んな出会いがあって楽しかったが。

 

みんな捕獲した。

ウルトラビーストが出てくるゲートを

開かないようにパルキアにわざわざ頼んだ。

 

 

「まぁまぁ、上でお茶でもしない?

  そのポケモンたちも遊んだら?

  上には保護区があるのよ」

 

「よっしゃお前ら行くぞ!」

 

 

ポケモン保護の最先端のエーテル財団。

とても楽しみだ!

 




かなりカオスな主人公になったなぁ(白目)


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vsグラジオ

バトルだぜ!
ひゃっはー!!



 

「すっげぇ………」

 

 

おおお、一度アローラには来たことあったが、

エーテル財団の中は初めてなんだよな。

 

今は保護区にいる。

広い庭のような場所に、水辺、砂場など

沢山のポケモンが住みやすいように

環境の整備なんかもしっかりしてるな。

 

一体いくら金使ってるんだよ………

 

 

「行ってこい、お前ら。

  物は壊したら駄目だからなー!」

 

「クチー♪」

 

「グァオオオ!」

 

「くぁぁぁん!」

 

 

みんな飛び出していく。

シェイミは残ったが、どうした?

 

 

「行かないのか?」

 

『シンには一匹くらいガードが必要でしゅから』

 

「大丈夫だけどな」

 

「……この子、喋るの?」

 

「テレパシーですよ?

  グラデシアの花ポケモン、シェイミです」

 

『よろしくでしゅ』

 

「驚いたわ、世界は広いわね……」

 

 

さて、仕事に移らんとな。

 

 

「じゃ、報告始めますねー」

 

「あ、少し待ってもらえるかしら。

 私の娘と息子に会って欲しいの。

 二人とも、貴方と会うのを楽しみにしてたのよ」

 

「えぇ……守秘義務はどこへ?」

 

「マルノームに食べさせちゃったわ」

 

「うそーん」

 

 

少し待つことにした。

ルザミーネさんの秘書、

ビッケさんの入れたお茶旨いな。

 

茶菓子は高そうで遠慮してしまう。

 

 

「うーむ」

 

『食べないのでしゅか?』

 

「お前バリバリ食ってるな」

 

「遠慮しないで良いんですよ~?」

 

「ビッケの言う通りよ、貴方はお客様だもの」

 

 

じゃ、饅頭に手を伸ばし口に放り込む。

怒り饅頭じゃねぇか!?

行列出来て買えなかったぞ!?

 

 

「ヒウンアイスは並んだのに……」

 

「あるわよ?」

 

「ぐはぁぁっ!?」

 

『もう辞めてでしゅ、

 シンのライフはもう0でしゅ』

 

「あらあら~」

 

 

30分も並んだのにぃぃぃ!

 

 

「ふふふっ」

 

「んあ?どうしました?」

 

「いえ、悪い意味じゃないけど、

 案外、子供みたいで……つい、ね」

 

「よく言われますよ、

  楽しいんですよ、表裏なしでいけば」

 

『悪く言えば自由人でしゅ』

 

「ふふっ、私は仕事柄、そんなこと出来ないわ」

 

「あら、代表、今は素が出てますが?」

 

「あら、本当ね」

 

 

あんたも十分楽しそうだけどなぁ。

と、誰か来たか?

 

ドアがノックされる。

 

 

「リ、リーリエとグラジオ兄様です、

 入ってよろしいでしょうか!」

 

「入って、二人とも」

 

「「は、はい!」」

 

 

入って来たのは金髪の少女と少年。

少女がリーリエ、少年がグラジオか。

 

ガッチガチだが、緊張し過ぎだろ……

 

 

「緊張し過ぎだぜ?

 シェイミ、″アロマセラピー″だ」

 

『ヤでしゅ、二人とも気を抜いていいでしゅよ

 ここにいるヤツの実態を知れば

 大した人間じゃないでしゅから』

 

「え、命令無視?」

 

 

二人ともポカーンじゃねぇか。

あ、リーリエの表情が崩れる。

 

 

「ぷっ、ふふっ、あははははっ」

 

『やっぱり笑顔が一番でしゅ』

 

「ポケモンが喋って命令を無視……こんなことが」

 

 

グラジオ呆然。

 

二人を落ち着かせるのに10分くらいかかった。

 

 

「リーリエと申します、

 よろしくお願いいたしますね」

 

「グラジオだ、よろしく」

 

「シンだ、ま、気楽に接してくれて構わないさ」

 

『シェイミでしゅ』

 

 

自己紹介。

大事なことである。

 

 

「早速ですが、その、ポケモンは喋るのですか?」

 

「普通は喋んねぇな」

 

「夢でも見ているのかと思ったぞ……」

 

「ハハハ、夢でもねぇな。

  コイツがちっと生意気なだけでな」

 

『誰が生意気でしゅか!』

 

「ほらな?」

 

 

グラジオが次に話かけてくる。

 

 

「あの、バトルとかは良いのか?」

 

「バトルか……ここってモンスターボール

 使えないみたいだから、

 ルザミーネさん、使える場所とかあります?」

 

「屋上にいらっしゃい、そこでなら良いけど、

 私たちの家もあるから気をつけて下さいね?」

 

「オッケーです、んじゃ行こうか、グラジオ」

 

「よし…!」

 

 

気合い入ってるねぇ。

というわけで、バトルである。

 

 

「では、私、リーリエが審判をします。

  使用ポケモンは一体、どちらかが降参か、

  ポケモンの戦闘不能で決着です。

 

 両者、ポケモンを繰り出して下さい!」

 

 

俺は、モンスターボール………

ではなく、青い鈴を取り出す。

 

 

「鈴………?シンさん、ポケモンを……」

 

「来るから待ってなよ、特別だぜ?」

 

 

俺は鈴、″海鳴りの鈴″を高々に鳴らす。

鈴の音が辺りに響き渡る。

 

 

「これは……一体何が……?」

 

「来な、嵐の王、″ルギア″」

 

 

俺のその言葉に反応するように、

エーテル財団の近くの海から

高過ぎるほどの水飛沫が飛ぶ。

 

そしてその中から出てくるのは、

白い鳥のようなポケモン。

 

ジョウト地方の伝説のポケモン、

嵐の王、ルギアが姿を表した。

 

 

「「「!?」」」

 

「ギャァーーース!!!」

 

 

ルギアが俺の隣に降り立ち、

俺は下げられた頭を撫で、

口にオボンの実を放り込む。

 

ルギアはオボンが好物だ。

 

 

「さぁ、お前の力、試してやろうか」

 

 

グラジオは怖じけついては無いな。

初見のプレッシャーの中では凄いかもな。

 

 

「伝説のポケモンと戦えるなんてな……!」

 

「どんなポケモンで楽しませてくれるんだ?」

 

「行けっ、シルヴァディ!!」

 

「キュイイイッ!!」

 

 

繰り出して来たのは、白いポケモン。

なんか人工のポケモンっぽいな。

 

初めて見るポケモンだ。

確かビースト狩りのポケモンだったか。

 

 

「さぁ、先手は譲ろうか」

 

「ふん、シルヴァディ、″ブレイククロー″!!」

 

 

シルヴァディが鋭い爪をジャンプして振り上げる。

 

 

「ルギア、″はがねのつばさ″で迎え撃ちな!」

 

「ギュァォッ!!!」

 

 

鋼のように硬質化したルギアの翼と、

シルヴァディの鋭い爪がぶつかり合う。

 

 

「″トライアタック″だ!!」

 

「″サイコショック″で撃ち落とせ」

 

「ギュァァァ!!」

 

 

シルヴァディから放たれた炎、電気、氷が

思念の塊の数々に撃ち落とされる。

成る程、近距離で撃ち放って速度を上げたか。

 

 

「なっ!?」

 

「狼狽えんな、シャキッとしろよ?

  吹き飛ばせ、″エアロブラスト″!!」

 

「ギュァァァァァ!!!!」

 

 

ルギアが大きく息を吸い込み、

巨大な風の竜巻ブレスを放って

シルヴァディを吹き飛ばす。

 

 

「シルヴァディ!大丈夫か!?」

 

「ハハハ、巨大な敵にゃ様子見も大事だぜ?」

 

 

アドバイスだ。

技も分からない相手はまず観察に限る。

 

 

「………シルヴァディ、行けるか?」

 

「キュイイイ!」

 

「わかった」

 

「さ、いくぜ?

  ルギア、″エアロブラスト″だッ!!」

 

 

ルギアが再び大きく息を吸い込む。

シルヴァディが構えたな。学んだか。

 

 

「ギュァァァ!!」

 

「シルヴァディ、走れ!!」

 

 

シルヴァディが走り出した。

横に、横に、どんどん近付いてくる。

 

 

「距離を縮めて来たか、普及点かな?」

 

「シルヴァディ、″マルチアタック″!!」

 

「キュイイイッ!!!」

 

「ルギア、落とせ、″エアロクラッシュ″」

 

 

普及点、だが、見事だ。

ルギアが風を体に纏い、

ドラゴンダイブを発動する。

 

爪を振りかざすシルヴァディを巻き込み、

地面に叩き付けた。

 

 

「ッ!!!シルヴァディッ!!」

 

「シンさん!?」

 

「安心しな、シェイミー?」

 

『あーもう、何で

 オリジナル使うんでしゅか。

 

 安心するでしゅ、リフレクターかけたでしゅ』

 

 

グラジオがシルヴァディに駆け寄るが、

シルヴァディには大きな傷は無かった。

リーリエ、ルザミーネさんも駆け寄る。

 

 

「よ、良かった」

 

「見事だったぜ、グラジオ。

 アドバイス、上手く取り入れたな」

 

「は、はい。ですが、あの技は一体?」

 

 

そう、ルギアは"エアロクラッシュ"を、

と言うか

そもそも"そんな技は存在しない"。

 

 

「オリジナルの技だな、これも特別だ。

 だが、普及点だぞ?どこが悪かったか分かるか?」

 

「……兄様」

 

「…………突撃が、速かった?」

 

 

おお、ビンゴだ。

 

 

「そうだな、ルギアのみが使える技。

 エアロブラストだが、本来はスキが大きい。

 だが、トレーナーの指示によっては

 スキを完全に無くすことも出来るな。

 

 観察は長めに、な?」

 

「………はい!」

 

「良い返事、良い戦闘だったぜ?」

 

 

グラジオはシルヴァディを治療にと、

エレベーターを降りて行った。

 

するとリーリエが話かけてくる。

 

 

「凄い、バトルでした」

 

「ん、サンキューな。

 グラジオのやつも中々のセンスだが、

 少し頼り過ぎだな」

 

「バトルはポケモンに

 頼るものでは無いのですか?」

 

 

残念だが、違うんだよなぁ。

 

 

「バトルってのはな、

 さっきも言ったように、

 スキを無くすことも出来れば、

 無駄を増やすこともある。

 

 トレーナーの指示、判断、決意も十分大事だ。

 

 トレーナーが狼狽えれば、

 ポケモンは答えてくれないからな?」

 

 

俺はルギアの頭を撫で、オボンを投げる。

口でキャッチ、そのまま飲み込んだ。

 

 

「成る程……

 

 あの、私はトレーナーではありませんが、

 どうしたら、貴方のように、

 強く、なれるのでしょうか?」

 

「………俺は強くないぜ?」

 

「嘘です、貴方は現に、兄様に勝利しました!」

 

「年季が違うんだよ」

 

「それだけですか!?」

 

 

リーリエが問い詰めて来るなぁ………

正直ウゼェ。

 

 

「知るか、自分で見つけろ」

 

「え?」

 

「だ・か・ら、自分で見つけろ、

 強さなんて人それぞれなんだから」

 

「人、それぞれ………?」

 

「お前な、ミズキに教えられ無かったのか?」

 

「あ………」

 

 

そうだ、コイツらは、

あのミズキと旅をしたと聞いた。

 

なら、見つけてるんだろうと思ったがなぁ。

 

 

「仮に、トレーナーなら稽古くらい

 つけられるが、ポケモン以外は専門外だ」

 

「…………私、少し行って来ます!!」

 

 

リーリエは走っていく。

何処に行くのかは知らんし、

知ろうとも思わん。

 

 

「全く、最近の若いヤツらは直ぐに答えを

 見つけようとするねぇ、んなもん無いのに」

 

「それは非常過ぎないかしら?

 それに若いって、貴方も十分若いでしょ?」

 

「フハハハッ!どうだかねぇ?

 ルザミーネさんこそ、お若く見えますよ?」

 

「あら、お上手ね」

 

「人は見た目じゃないし……

  あ、ポケモンも同じかな?

 

 フハハハッ、ルギア、お疲れ様。

 今日はありがとうな」

 

 

俺はルギアに5つ目のオボンを投げ、

海に帰ってもらった。

 



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黒の滅光

 

「さて、すっかり仕事を忘れてますよね」

 

「あ、そうだったわ」

 

 

適当に書いてきたメラルバ、

ウルガモスについての資料を渡す。

ついでにタマゴも。

 

 

「タマゴまで持ってきてくれたのね、助かるわ」

 

「頼んだのはそっちですから。

 仕事はちゃんとしますので」

 

『仕事って言っておきながら

 イッシュの観光地巡っといてよく言うでしゅ』

 

「仕事が終わったから暇だったんだ。

 定期便も無かったから

 カイオーガに頼んだんだぞ」

 

「伝説のポケモンを移動に

 使うのなんて貴方くらいよ」

 

 

仕方ないじゃん。

わざわざ切符買って乗るのも面倒なんだし。

 

 

「さってと、ルザミーネさん。

 仕事終わったんでバカンス行ってきます」

 

「あら、もう行くの?」

 

「はい、ただでさえ全国のチャンプやら

 警察やら友人やらが連絡が

 うるさいので遊びたいんですが」

 

『どうせアローラの探検か、

 マンタインサーフでしゅけどね』

 

「ふふっ、若いって良いわねぇ」

 

「これでも俺、結構年くってますけどね」

 

 

事実だし。仕事大変だから

遊びに行きたいんですが。

 

 

「ええ、ありがとう。

 またエーテルにも来てね」

 

「気が向いたら行きますよ」

 

 

俺はポケモンたちを屋上に呼び出し、

ボールに戻す。

リザードンにライドポケモン用の器具をつける。

 

アローラでは、ライドポケモン以外が

空を飛ぶことが禁止されている。

理由?忘れた。

 

 

「よし、頼むぞリザードン」

 

「グァオオ」

 

 

俺はリザードンに乗り、空へ飛び立った。

 

空にはペリッパーたちが飛んでいる。

風が気持ち良い。やっぱり最高だなぁ、

そらをとぶ。

 

 

「最初はどの島に行こうかな?」

 

「グァオオオ」

 

「ん、ミズキの所か?

 そうだな、2、3年振りか……

 言いたいこともあるし、行ってみるか」

 

 

俺はリザードンに指示を出し、

代表やリーリエたちを救った

ミズキの所へ行くことにする。

 

メレメレ島へ向かう途中、

何かが俺たちの前を横切り、

止まってこちらを凝視している。

 

黒い、鉱石のようなヤツだな。

ポケモン……にしちゃ見たことねぇな。

 

 

「………何の用だ?」

 

「………リノ………!!」

 

「リザ、ッ!?」

 

 

リザードンに追い払うよう

命令しようとした瞬間、

俺の頬を光の光線が擦った。

 

 

「っあ!あんの野郎!!

  リザードン、"かえんほうしゃ"!!」

 

「グオァァァッ!!」

 

 

リザードンが口から青い炎を吐き出し、

黒いポケモンを狙う。

しかし、またもや光線が火炎を

貫いてこちらへ向かってくる。

 

リザードンを背中を左手で軽く叩き回避させる。

 

 

「チッ!!リザードン、大丈夫か!?」

 

「グァオ!!」

 

「っし、おいテメェ、そんなに

 戦闘がお望みならこっちに来な!!

 

 リザードン、テンカラットヒルに向かえ!!」

 

「グオオオッ!!」

 

 

リザードンをメレメレの山へ向かわせる。

あそこは人が立ち入らない。

空中ではリザードンが全力を出せないし、

何より周囲の鳥ポケモンたちが危険だ。

 

 

「リノ……!!」

 

「そこまで速度は速くねぇな、

 リザードン、突き放し過ぎないくらいで頼む!」

 

 

後ろから迫ってくるレーザーを避け、

テンカラットヒルの頂上へたどり着く。

 

 

「よし、リザードンは周りの

 ポケモンたちを避難させてくれ!」

 

「グァオ!」

 

 

俺は、モンスターボールを腰から取り出し、

投げる。

 

 

「行くぞ、ゲノセクトッ!!」

 

「ゲノッ!!」

 

 

赤い鋼の体表に、背中に取り付けられた

巨大な砲台が印象的なポケモンが、

黒いポケモンと対峙する。

 



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vs謎のポケモン

風邪(?)が治りました。
凄い長引きました。

ゲノセクトの神速を消しました。



ゲノセクト、こせいだいポケモン。

タイプは、むし、はがね。

通常の色は、紫。

 

だが、俺のゲノセクトは赤い。

古生代のポケモンだが、とある組織に改造され、

砲台を取り付けられた。

赤いゲノセクトは古生代当時のゲノセクトの

リーダー格と思われている。

 

 

「ゲノセクト、″ギアチェンジ″だ」

 

「ゲノッ!」

 

 

ゲノセクトが体内のギアを入れ替え、

パワー、スピードを上昇させる。

 

 

「リノ……ッ!!」

 

 

謎のポケモン?は体を発光させる。

何か来る………?

 

 

「──ッ!!ゲノセクト、

    避けながら突っ込め!」

 

「ゲノ!」

 

 

謎のポケモン、黒でいいか。

黒は体からレーザーを、それも

かなりの質量で放ってくる。

 

ゲノセクトに指示を出すと、

ゲノセクトは体を変形させてレーザーを

掻い潜って黒に肉薄する。

 

 

「リノ……ッ!!」

 

「叩き込め、″ブレイズキック″!!」

 

 

黒は腕を振り上げ、爪が紫色に光る。

″サイコカッター″か。

 

ゲノセクトの左足が燃え上がり、

神速の速度でサイコカッターとぶつかる。

 

無論、ブレイズキックが押し勝つ。

そのまま俺は指示を出す。

連続で叩いて倒す……!

 

 

「″でんじほう″ッ!!」

 

「ゲノォッ!!」

 

「リノ………!?」

 

 

ゲノセクトの砲台に雷のエネルギーが装填される。

本来、電磁砲は当たりにくい技だが、

ここまで近距離では避けることは出来ない。

 

爆風が巻き起こり、ゲノセクトが

後ろに跳んで戻ってくる。

 

 

「リ、ノ………!!」

 

「まだ立つのか……!

 今ので倒れないのは伝説のポケモン並みだぞ」

 

「ゲノ!」

 

 

ゲノセクトが再び構える。

 

 

「リノ……ッ!!」

 

「突撃……!?」

 

 

まさか黒自ら突っ込んでくるのか!?

遠距離から圧倒する感じだと思ってたが。

 

 

「リノ…ッ!」

 

「またサイコカッターだ、

 ゲノセクト、″ブレイズキック″!!」

 

「ゲノッ!」

 

 

再び技どうしがぶつかり合う。

その瞬間だった。

 

 

「リノ………ッ!!」

 

「ッ!?」

 

 

ぶつかった瞬間、体を発光させ、

最初のレーザーを放ってきた。

ゲノセクトはレーザーを食らってしまうが、

むしタイプの特性で威力はいまひとつ、

黒から距離をとる。

 

 

「嘘ぉ………コイツ学習しやがったのか?

 ″ものまね″じゃなかろうし………」

 

 

接近してから避けられない広範囲遠距離用の

攻撃を仕掛けてきやがった。

ゲノセクトと、同じ戦法を使いやがった。

 

 

「チッ、長引くと厄介だな。吹き飛ばすぞ、

 ゲノセクト、″ギアブースト″」

 

「ゲノォォッ!!」

 

 

ゲノセクトのギアチェンジを高速、

連続で行い、能力を大幅に上昇させる。

 

 

「リノ……ッ!!」

 

 

黒が体を発光させるが、遅いな。

 

 

「″テクノバスター″!!」

 

 

ゲノセクトの砲台から放たれた

赤い光が、黒を焼き尽くした。

 



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再会、「ミズキ」

「………」

 

 

爆煙が舞い上がり、晴れていく。

「やったか?」とは言わない。

フラグって怖いからね。

 

 

「ゲノ………」

 

「逃げた、か」

 

 

爆煙が晴れると、あったのは今まさに

閉じようとしていたウルトラゲートだった。

飛び込んでもいいが、危険だからな。

辞めとこう。

 

 

「ゲノセクト、流石だな。ほれ、ご褒美な」

 

「ゲノー!」

 

 

俺はゲノセクトにポフレを投げる。

ポフレはカロス地方のお菓子だ。

ゲノセクトはこれが好物、

手も使わずに食らいついた。

 

食べ終わったのを確認し、

俺はゲノセクトをボールに戻した。

 

 

「さて、リザードン、お前もお疲れな」

 

「グオオォ」

 

 

リザードンが「忘れられてなくてよかった」

という感じのことを言う。

いやー、ポケモンの言葉が分かるって便利ですわ。

 

 

「じゃ、ミズキのとこまで頼むぜ?」

 

「グオオォォ」

 

 

俺はリザードンの背中に飛び乗った。

 

 

 

少し飛ぶと、島の外れにある家が見えてくる。

あそこに、アローラの新チャンプ、

ミズキが住んでるんだったよな。

 

何気に会うのは3年振りかー。

………あれ、会いたくなくなってきたな。

 

 

「グオオ」

 

「到着っ、と。

 サンキューな、リザードン」

 

「グオオォ」

 

 

リザードンをボールに戻し、

インターフォンを押す。

すると、扉が開かれる。

 

 

「はぁーい。あら、あなたは………」

 

「お久しぶりですね、カナミさん、

 俺です、シンです」

 

「あら!?シン君、あれから3年なのに

 全然変わってないわね~、羨ましいわ~」

 

 

出てきたのは、ミズキのお母さん、

カナミさん。

 

 

「ミズキー!起きてるー!?

  シン君が来たわよー!」

 

「あ、大丈夫ですよ。

 まだ起きてないならまたあとで」

「ええ!?ちょっ、待ってお母さん!

  今っ、今起きたから待ってー!!」

 

「だ、そうね。ごめんなさいね、

 チャンピオンになって疲れてるのよ」

 

「ですよね………急に来てしまいすいません」

 

「いいのよ~、ゆっくりしていってね」

 

 

まあ、ミズキも大変だろうしな。

俺は家に上がらせてもらう。

 

 

「ぬにゃあ」

 

「ニャースか!久しぶりだなぁ」

 

「にゃあ!」

 

 

ニャース。

カナミさんのポケモンだ。

実はカナミさんもトレーナーだったりする。

 

 

「シーンッ!!!」

 

「ぐへぁっ!?」

 

「にゃー」

 

「あら、おはようミズキ」

 

 

唐突な背中からの衝撃が、

ニャースとふれあって腰を下ろしていた

俺の頭が床に打ち付けられる。痛い。

 

 

「久しぶりー!」

 

「離してくれー」

 

「えへへ、3年振り?

  元気だった?ねーねー!」

 

 

ミズキ。

そう、コイツは、人の話を聞かない。

 

 

「とりあえず離せ」

 

「当ててんだよ?

  シンも男だもんねー?」

 

「苦しいんだけど」

 

 

チラッとカナミさんを見て助けを──

 

 

「ミズキ、朝ご飯できてるわよ?」

 

「もうちょっとー」

 

 

駄目だコイツら、カナミさんが

ちょっと普通なだけじゃねぇか。

 

 

「苦しいっつーの!」

 

「うわっ」

 

「あら」

 

「えー、大胆」

 

 

成り行きで押し倒した形になってしまった。

 

 

「ねぇシン、嬉しいんだけどお母さんの前だよ?」

 

「私も混ざっていいかしら?」

 

「違うわ!何もかも!」

 

 

もうやだこの家族。

理性蒸発してやがる。黒いのより嫌いだ。

 



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ポケモンの体重と理性蒸発女

理性蒸発と言えばアストルフォきゅん。
うちのカルデアにはいないんですよね。

言っときますがミズキは女です。
ただの変態女の子です。



脱ごうとするミズキを床に叩きつけて

気絶させた俺は、カナミさんに借りて

パソコンを弄っていた。

 

パソコンは、ポケモンの引き出しが出来る、

所謂ボックスというやつだ。

 

 

「うーん、どうしたもんかね」

 

「クチー?」

 

『どうしたんでしゅか?』

 

「ぐおっ!?お前ら急に飛び乗るな!」

 

 

2匹、シェイミが肩に、クチートが

背中に飛び付いてくる。

何気にこの2匹、重さがあるから辞めて頂きたい。

特にクチート。

 

 

「お前は11キロ「クチィ!!」ぐふぁっ!?」

 

『ナイススイングでしゅ』

 

 

クチートに(大顎で)顔を殴られた。

むっちゃ痛いんですけどクチートさん?

顔はダメですよ顔は。

 

 

『女の子は気にするんでしゅから

  そう言うのは言っちゃダメでしゅよ』

 

「女の子……?あ、殴らないでクチートさん

 アイアンヘッドは流石に死んでしまいます」

 

「クチー……」

 

 

「しょうがないから許してあげる」

とのことだ。良かった。

大顎が鋼になってて怖かった。

 

ちなみにクチート、シェイミ、ゾロアークはメス。

リザードンはオスである。

出していないが、手持ちのニンフィアもメスだ。

 

 

「前にもあったような」

 

『確か1月前にも言った筈でしゅ』

 

「クチー……?」

 

「すいません気を付けます許して下さい」

 

 

頭を下げて許してもらった。

 

 

『そういえば何を悩んでいたんでしゅか?』

 

「んー、ゾロアークを送ろうと思っててな、

  結構長いこと一緒だったし、別の奴とも

  遊んでやらなきゃいけないからな」

 

「クチー」

 

『確かにクチートの言う通り、

 色んな子と遊ぶのはいいことでしゅね』

 

「お前らボックスに戻らないもんな」

 

「クチ」

 

『嫌でしゅ』

 

 

この2匹、執拗にボックスに行こうとしない。

ボックスの中では眠らされるようで、

好きな夢が見られるようなのだが、

なんでもボックスは嫌いなのだそうだ。

 

 

「うーん、誰にしようかな?」

 

『とにかく預けて少し考えたらどうでしゅか?』

 

「それもそうだな」

 

 

俺はパソコンにゾロアークを預けて立ち上がる。

 

 

「シン、おはよー」

 

「おはよう理性蒸発チャンプ」

 

「酷くない!?」

 

「だったらもう少し行動を考えろよ……」

 

「私初めてだから貰ってよ!」

 

「お前の貞操観念どうなってんだ!」

 

 

駄目だ。コイツの理性どうなってんだよ。

コイツの貞操はともかく、俺の貞操が不味い。

 

 

「こうなったらバトルよ!

 私が勝ったら今日は私と同じベッドで寝てよ?

 シンが勝ったら私を1日好きにしていいからね」

 

「絶対負けねぇ!!」

 

 

俺たちはバトルの為に外に出た。

ルールは2対2、一体ずつ戦わせる。

 

 

『いいんでしゅか?

 理性蒸発女でもミズキでしゅよ』

 

「勝てば問題ない。

 何を引き出すかも考えつくかも知れんしな。

 という訳で、頼んだ。クチート!」

 

「クチー!」

 

 

クチートが前に出る。

 

 

「行きなさい!ミミッキュ!」

 

「キュ」

 

 

ミミッキュか………。

アローラ特有のポケモン。

確かタイプはゴースト、フェアリーだ。

 

コイツ………怖いんだよなぁ。

ピカチュウ以外だと普通なんだが。

 

ちょっと前に、ピカチュウとミミッキュが

バトルしてるのを見たけど

「キュァッ!(剥ぎ取って化けの皮新しくしよう)」

とか言ってたんだよな……。剥ぎ取るって皮だよな。

 

一体コイツに何をしたのさピカチュウ。

 

 




アンケートしますね。
シンの引き出すポケモンは何がいいですか?
その他の場合、一番票が多かったポケモンと
他のポケモンで別のアンケートとります。

投票終了


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vsミズキ 1


前の回を修正。
3対3→2対2


「先手必勝よ!

  ミミッキュ、″シャドークロー″!」

 

「キュ!」

 

 

ミミッキュが化けの皮の下から影の爪を伸ばし、

こちらへ飛びかかってくる。

 

 

「クチート、左に避けろ」

 

「クチ!」

 

 

ミミッキュの影の爪をクチートが

左にジャンプで避ける。

 

 

「まだまだ!連続で撃ち込みなさい!」

 

「キュッ!!」

 

 

クチートに影の爪が連続で襲いかかる。

 

 

「クチート、潜り込んで″かみくだく″!」

 

「!!シャドークローを止めて後ろに下がって!」

 

「クチィ!」

 

「キッ!」

 

 

クチートの大顎がミミッキュに迫るが、

ミミッキュは化けの皮を犠牲にして後ろに下がる。

 

 

「あちゃぁ、化けの皮とれちゃった」

 

 

″ばけのかわ″……ミミッキュの特性だ。

攻撃を一度だけ身代わりで無効化する。

 

 

「キュッ!!」

 

「ミミッキュ、″かげぶんしん″ 

 からの、″シャドーボール″!!」

 

「!」

 

 

ミミッキュが影分身でクチートの周囲に

いつくもの分身を作り出した。

 

影分身は本物と同じ動きをするため、

影の塊までもが分身として再現される。

 

 

「クチ!?」

 

「クチート、落ち着け。

 あの中に必ず本体がある。

 他のやつらは単なる偽物だ」

 

「撃ちなさい!」

 

「クチート、″アイアンヘッド″を振り回して

  シャドーボールが当たった場所を覚えろ!」

 

 

クチートが大顎を鋼に変え、大きく

振り回してシャドーボールを掻き消していく。

 

 

「クチ!」

 

「何!?」

 

 

クチートは「本物の影が無かった」と言った。

なら、本物はシャドーボールを撃っていない。

 

 

「ミミッキュ、最大″シャドーボール″!!」

 

「クチート上だ!全力で走って引き付けろ!」

 

 

上空で力を溜めていたミミッキュを見て、

クチートが走り出す。

シャドーボールは追尾型の攻撃だ。

その代わり、速度が遅い。

 

 

「クチート、分かるな!?」

 

「クチー!」

 

 

クチートへ目配せをし、作戦を伝える。

 

 

「そこだクチート、″ストーンエッジ″!!」

 

「やばっ!?」

 

 

ストーンエッジは直線上に連続で

地面から岩を突きだし攻撃する技だ。

 

レンジ(攻撃範囲)は広いのだが、

発動までのタイムラグが大きいため、

命中率の低い技として使いにくい。

 

だが、今はシャドーボールと空中のミミッキュが

一直線上に並んでいる。

 

ミミッキュが空中にいるのは

言葉通り、軽いからだ。

 

ミミッキュは化けの皮があるので、

それをパラシュートのようにすることで

着地の衝撃を無くすことが出来る。

 

だが、それのせいで今回はまだ

ミミッキュは地面についていない。

 

ミミッキュの中の奴は

化けの皮を掴んでいるため、

技も使えないのだ。

 

 

「クチィィッ!!!」

 

「キュ!?」

 

 

クチートが地面に大顎を叩きつけ、

岩が地面から突きだしていく。

まず、シャドーボールがそれに着弾。

岩は破壊されるが、突きだす岩は止まらない。

 

そして、ミミッキュへ岩が激突。

さらに上空へ吹き飛ばされ、

受け身を取れずに地面に落ちた。

 

 

「キ、ュ…………」

 

「俺の勝ちだな」

 

「……ありがと、ミミッキュ戻って。

 次は絶対勝ってみせるわ」

 

 

ミズキはミミッキュをボールに戻す。

そして、次のボールを取り出した。

 

俺もクチートを側に下がらせ、

ボールを取り出しす。

 

 

『次はどうするんでしゅ?』

 

「コイツでいく。

  頼んだぞ、リザードン!!」

 

「お願い、ウォーグル!!」

 

 

二回戦は、空中戦となった。

 



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vsミズキ 2

アンケートの結果、
シンはガブリアスを引き出しました。

ガブの活躍をお楽しみに!


「グァァオ!」

 

「リザードンね……」

 

 

ミズキがリザードンを見上げる。

黒いリザードンは首に、

虹色に輝く石がついた防具をつけている。

 

 

「″メガストーン″、いいなぁ、その防具。

 私なんか石を直接持って、

 ポケモンにはメガストーン手渡しだよ」

 

「ははっ、何なら作ってやろうか?」

 

「いいの!?」

 

「いいけど、

 軽く持ち運べるようなやつにしてくれよ?」

 

「やったぁ!」

 

 

メガストーンの加工だけど、

結構簡単なんだよな、これが。

ちなみに俺のはネックレスに加工してある。

 

 

「じゃ、行くぞ。

 リザードン、メガシンカ!!」

 

「グォォォォ!!」

 

 

俺がネックレスの核、

虹色のメガストーンに触れると、

リザードンは光に包まれる。

光が爆散し、姿が変わったリザードンが

出現した。

 

口の端からは炎が吹き出している。

赤い炎は青色に変わり、

炎の温度が上がっていることがわかる。

 

 

「グォォア!!」

 

「行くわよ、

  ウォーグル、″ブレイククロ-″!」

 

「ウォー!!」

 

 

甲高い鳴き声を上げ、

メガシンカの終わったリザードンに

ウォーグルが飛び掛かる。

 

 

「"ドラゴンクロー″!」

 

 

対するリザードンに俺は

ドラゴンクローの指示を出す。

 

メガリザードンの特性は、″かたいツメ″。

物理攻撃の威力が高くなる。

それを察知したのか、ミズキは

ウォーグルに指示を変える。

 

 

「ウォーグル、中断!

  ″エアスラッシュ″に切り替えなさい!」

 

 

ウォーグルが翼を広げ、

風を巻き起こし、風の刃を飛ばす。

 

 

「問題ない、回転しながら

 ドラゴンクローで突っ込めッ!」

 

「グォォォォァ!!」

 

 

リザードンが翼を折り畳み、

爪を大きく横に広げて、回転しながら

ウォーグルに突っ込む。

 

 

「嘘ぉっ!?

  ウォーグル、頑張って避けて!」

 

「ウォゥ!!」

 

 

ウォーグルが集中を始め、

リザードンの攻撃を回避する。

 

″みきり″のようにも見えるが、

おそらくミズキのウォーグルの特性、

″するどいめ″の力で攻撃を回避したのだろう。

 

 

「ナイス!

  エアスラッシュよ!」

 

「グォォォ!?」

 

「落ち着いて、″かえんほうしゃ″だ!」

 

「く、なら″つめとぎ″!」

 

 

エアスラッシュをリザードンが

火炎放射で焼き尽くすが、

その隙にミズキは″つめとぎ″の指示を出す。

爪研ぎは攻撃と、技を当たりやすくする技だ。

 

おそらく、切り札となる大技を持ってるな。

ならば。

 

 

「リザードン、″つるぎのまい″!」

 

「グォォォォン!!」

 

「……!!」

 

 

リザードンの周囲に剣が浮かび上がり、

リザードンに力を与える。

 

剣の舞、攻撃力を大きく上げる技だ。

それに気付いたミズキは歯噛みするが、

 

 

「行けるかしら、ウォーグル」

 

「ウォォォゥ!!」

 

 

ウォーグルに笑いながら呼び掛ける。

何か来るな。

 

 

「ふふっ、驚かせてあげる。

  ウォーグル、″ゴッドバード″!!!」

 

 

ウォーグルが光を纏って空高く飛翔する。

………確かに正直、驚いた。

お互いに一撃も当てていないのに、

勝負を決めにかかってきたのだ。

 

受けて立つのが、礼儀だろう。

 

 

「リザードン、準備はいいか?」

 

「グォォォォァ!!!!」

 

 

リザードンは、俺が指示を出す前に

体を燃え上がらせ、それを右腕に集中させた。

青い炎は更に温度を上げ、黒く変色する。

 

ウォーグルが凄まじい速度で突っ込んでくる。

それに合わせ、指示を出した。

 

 

「″煉獄爪″!!」

 

「グォアァァァ!!」

 

 

リザードンが黒い炎を纏った爪を振り下ろす。

それはウォーグルに命中しなかったが、

黒い炎がリザードン自身をも呑み込む

巨大な爆発を巻き起こした。

 

 

「なぁっ!?」

 

「…………よくやったぞ、リザードン」

 

 

爆煙が晴れる。

そこから現れたのは、メガシンカを解いた

リザードンと、気絶したウォーグルだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何なの、あれ………怖っ」

 

「ははは、悪い悪い。

  つい興奮しちまった」

 

 

バトル後、俺はミズキとハウオリシティ端の

ポケモンセンターでポケモンたちの

回復を待っていた。

 

 

「れんごくそう、だっけ?」

 

「あぁ、″れんごく″って技があるだろ?

 あれをリザードン自身が纏ってドラゴンクロー」

 

「うっわ、そりゃ怖いわ………」

 

「当たったら多分消し飛ぶから

  絶対に相手に命中させないようにしてるさ」

 

 

事実、リザードン自身にも反動が入る。

信頼あってこその技だ。

後でご褒美をあげよう。

 

 

「お待たせしました、

  ポケモンたち、すっかり元気ですよ」

 

「あぁ、ありがとうジョーイさん」

 

「はい、………あれ、もしかしてシンさん!?」

 

「げ」

 

「さ、サイン頂いてもいいですか!?」

 

 

そのセリフで、周囲のトレーナーたちが

集まってきて、俺とミズキはサインを

書きまくる羽目になったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帰り道

 

 

「有名って大変だね-、

 なんかシンがフラフラ旅してるのも分かる」

 

「だろ………疲れるんだよな」

 

「そう言えば、ポケモン

 引き出してたけど、誰を引き出したの?」

 

「ガブ。最近はポケモンも増えて来たしなぁ。

  みんな均等に出してやりたいんだが…………」

 

「トレーナーは持ち歩けるの6匹までだもんね」

 

 

俺は、ガブリアスを引き出した。

 



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半裸白衣の既婚者博士とびっくリーリエ

ククイ博士ってなんで半裸に白衣なの?



「ちーっす」

 

「お、来たな、放浪マスター」

 

「結婚したんだってな、半裸白衣ククイ」

 

 

俺は今、アローラの博士……ククイ博士の

元へやって来ていた。

 

 

「あぁ、結婚はいいぞ………

  あと半裸白衣ククイ言わないでくれ」

 

「韻をふんでるんだ、うまいだろ?」

 

 

古い………といっても、こいつの青年期に

会ってよく喋った程度の友達だ。

 

 

「まぁ、ご祝儀にポケモンの珍しい技を

  提供してくれたことには感謝してるさ」

 

「確か空間研究の博士だったか?」

 

「あぁ、で、頼んでたもんは仕上げてくれたか?」

 

「ほらよ、資料に纏めといたぜ」

 

 

俺はバックからファイルを取り出し、

ファイルの中から資料を出してククイに渡す。

 

 

「お、ありがとな」

 

「へいへい………ん?」

 

「あれ、シンさん!?」

 

 

見覚えのある金髪が地下から出てきた。

確か財団の娘の、リーリエ、だったか。

 

 

「うわぁ、博士は早速浮気か」

 

「違うぞ!?

 リーリエはうちの助手をしてくれてるんだ」

 

「あはは……シンさん、どうされたんですか?」

 

「あぁ、こいつに資料をな。

  ったく、技の研究くらい自分でやれ」

 

「やってるんだけどな、

  流石に″ほろびのうた″とか無理だ」

 

 

こいつはポケモンの技の研究を主にやっている。

そして、異常なのが″たいあたり″等の技の研究の

ために自分で技を受けるのだ。

 

つまり………

 

 

「ドM」

 

「あ、私も思いました」

 

「ちょっ!?」

 

「お前ならそのM体質で″あくうせつだん″

  食らっても大丈夫だと俺は思うんだよ」

 

「死ぬわ!!」

 

 

つーかそんなことしてマジで耐えそう。

耐えたら耐えたでパルキアはドン引きだろうな。

 

ちなみに、″あくうせつだん″とは

伝説のポケモン、パルキアの技だ。

 

 

「……………もしかして、

 パルキアを見たことがあるんですか?」

 

「あるけど?呼ぼうか?」

 

「え!?捕まえたんですか!?」

 

「違うけど。呼べるよ?」

 

「辞めてくれ2人とも」

 

 

かなり騒ぎになるだろうなー。

実際に昔なったし。

 

 

「クー」

 

「ん、なんだ?」

 

「クー、クー!」

 

「………ククイ、腹が減ったとよ」

 

「おっと、待っててくれよ」

 

「え?え?」

 

 

ヌイコグマは「腹が減った」というような

感じのことを喋った。

ククイが持ってきたポケモンフーズを

ヌイコグマはガツガツ食べる。

 

 

「いい食いっぷりだな」

 

「ふー助かったぜ、腹減ったら狂暴になるからな」

 

「ど、どういうことですか?」

 

「ヌイコグマが腹減ったって言った」

 

「クーとしか私に聞こえませんでしたよ!?」

 

 

そら聞くだけ聞けば「クー」だけどさ。

 

 

「耳で聞くんじゃねぇ、

  ポケモンの言葉は心で聞くんだよ」

 

「シンはポケモンの言葉が理解出来るんだよな」

 

「えぇっ!?」

 

「クー!」

 

 

…………あれだな。あれ。

 

 

「びっくリーリエだな」

 

「お、うまいな、シン」

 

「恥ずかしいので辞めてください!!」

 

「クー!」

 



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青い嘘と赤い真実

「…………」

 

 

メレメレの海の岩の上で現在、釣りの途中。

胡座をかき、俺の頭の上にはシェイミが寝ている。

いい天気………

 

 

「釣れますか?」

「うぉうっ!?」

 

 

背中を叩かれ、声をかけられた俺は、

驚きのあまりシェイミを落としてしまう。

 

 

『くげ!?』

 

「うふふ、凄い驚きようですね」

 

「…………そりゃ驚くぞ」

 

「すみません、つい悪戯心で」

 

 

にこり、と俺の背後で笑ったのは、

青髪の小柄な少女だ。

 

 

「まぁ狙ったんですけどね」

 

「確信犯じゃねぇか」

 

『………シードフレ』

「落ち着けシェイミ」

 

 

シェイミが″シードフレア″を撃ちそうに

なったので軽く撫でる。

 

 

「あら怖い」

 

『ギガドレイ』

「待てって!?お前さんも煽るな!」

 

「うふふ、面白い」

 

「死にたいのか!?」

 

『ぶっ殺すでしゅ、シン。

  グラデシアよこすでしゅ』

 

「人間だぞ、落ち着けっての!?」

 

 

シェイミには落ち着いてもらい、

少女と向き合う。

 

 

「煽ったお前、名前は?」

 

「スイレンと申します、海パンやろ……

  こほん、シンさん、でしたっけ?」

 

「………」

 

「あいたっ」

 

 

無表情の無言でデコピンを食らわせて

海へ突き落とす。

 

 

「あーれー」

 

「反省しなさい」

 

『シードフ』

「お前も落ち着け」

 

 

流石にキレるわ。誰が海パン野郎だ。

 

 

「まぁ泳げるのですが」

 

「はぁ、取り敢えず俺はシン。

  こっちがシェイミだ」

 

『死ねでしゅ』

 

「言い過ぎだ」

 

「それで………釣れますか?」

 

 

最初の問いか。

 

 

「ぼちぼち、かな」

 

「そうですか。そういえば、

  この辺では赤いギャラドスがいるらしいです」

 

「へぇ………色違いか」

 

「らしいですね。とても狂暴だとか」

 

『見てみたいでしゅね』

 

「そうだな、釣るか」

 

 

俺は釣り糸を巻き上げ、

餌を確認して再び投げる。

 

 

「中々様になってますね」

 

「これでも結構、歳くってるからな」

 

「まだ15程度に見えますが?」

 

「さぁ?まだまだ上かもな」

 

『聞かない方がいいでしゅ』

 

 

スイレンも釣り竿を取り出し、

糸を海へと垂らす。

 

 

「私も釣りますよ」

 

「そうか、楽しみだな、赤いギャラドス」

 

「ふふふっ、そうですね」

 

『…………』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

5時間後

 

 

「………粘りますね、シンさん」

 

「忍耐力には自信あってな」

 

「…………実はあれはう」

『シン!竿が凄い引いてるでしゅ!』

 

「「え」」

 

 

 

シェイミに言われて、竿を握り直す。

重い………!!?

 

 

「なんだこのバカみてぇな重さは……!?」

 

『頑張るでしゅー!』

 

 

重いが、引けないことはない。

全身の力を入れ、竿を振り上げる。

 

 

「ギャァォォォォオ!!!!」

 

「ッ、デカぁ!?」

 

「う、うそ………!?」

 

 

赤いギャラドスだ。

ちょっ、デカくない?

普通の2倍くらいあるけど!?

 

 

『………コイツ、ヤバいでしゅ!

  シン、バトルの準備でしゅ!』

 

「あぁ、任せろ!」

 

 

俺は腰のモンスターボールを取り出し、投げる。

 

 

「ニンフィア!」

 

「フィア!」

 

 

ボールから飛び出したのは、

イーブイの進化形態の一匹、ニンフィア。

首元から出ているリボンのようなものが特徴だ。

 

 

「ギャァォォ!!」

 

 

ギャラドスが尻尾を持ち上げる。

尻尾には水流が巻き付いている。

″アクアテール″か。

 

 

「ニンフィア、目を潰せ!

  ″マジカルシャイン″!」

 

「フィアァッ!!」

 

 

ニンフィアが眩しい光を放ち、

ギャラドスの目を潰す。

 

ギャラドスのアクアテールは全く別の場所、

海の上を叩き、大きな水飛沫が飛ぶ。

 

 

「ギャァァォ!」

 

 

ギャラドスは今度は水を纏い始める。

″アクアジェット″───!

素早い技を使ってきた、

足場の狭い岩の上では回避が出来ない。

 

 

「ニンフィア、

 ″ようせいのかぜ″を纏って受け流せ!」

 

「フィ、ア!」

 

「ギャァォォォォ!?」

 

「″ムーンフォース″!」

 

 

反撃をしかける。

ニンフィアの上空に光の玉が作り出され、

それはギャラドスへ命中する。

 

 

「ギャァォォォォォォ!!!」

 

「″とっておき″!」

 

「フィィ、ア!!」

 

 

ニンフィアが巨大な星を作り、

それはギャラドスへ命中、

その後気絶したのか、浮き上がった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ごめんなさい、私の

 あのギャラドスの話、実は嘘なんです」

 

『やっぱりそうでしゅか!!

  流石に怪しいと思ったでしゅ!』

 

 

そこまで怒ることか………?

 

あの赤いギャラドスだが、

あそこはギャラドスの縄張りのようだ。

 

荒らしたのは俺たちの方なので謝ると、

なんとギャラドスは岸の方まで

運んでくれたのだった。

 

てゆーか。

 

 

「何言ってるんだ?」

 

「え?だからあれは嘘で──」

 

 

だってな…………

 

 

 

 

 

 

 

 

「ギャラドス、いたじゃねぇか」

 

「────ぁ」

 

『………ま、確かにそうでしゅね。

  例え嘘でも、本当になれば真実でしゅから』

 

「…………ふふ、そうですね。

  一本、取られてしまいました」

 

「はははっ、だろ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ええ…………

  釣るつもりが、釣られてしまいましたか」

 

 

その時のスイレンの言葉は、

小さくてよく聞き取れなかった。

 



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海の上で

 

「うぉぇぇぇぇ………」

 

「だ、大丈夫ですか!?」

 

「え、もしかしてシン、酔ったの?」

 

『こいつ、船とか車はダメでしゅ』

 

 

俺は海の上にいた。

前はカイオーガの上だが、今は船の上だ。

リーリエやミズキも一緒にいる。

 

シェイミの言う通り、俺はポケモンに乗るのは

いいのだが、船とか車、飛行機もダメだ。

 

酔う。そりゃあ酔う。

俺は船の端で洗濯物のように上半身を

海へ向けていた。

 

 

「うぉぉぉぇぇぇ」

 

「シンさーん!?」

 

『あーあー、だから辞めとけって言ったでしゅ』

 

「なんか意外。

 シン、完璧ってイメージだったし」

 

「同感です………こんな弱点があったとは」

 

 

そんなことないよ、俺だって多分人間だし。

酔うと世界が回り続ける。

 

 

『こいつ、意外と弱点多いでしゅよ?』

 

「え、何?教えて!」

 

「私も聞きたいです!」

 

 

辞めて、色々あったんだから。

だからお願い、俺の思い、届いてくれ。

 

 

『まずは辛いものがダメでしゅ』

 

「無慈悲ぃ………」

 

「へぇー、知らなかった!」

 

「私もですけど………シンさんもだったんですね」

 

 

もういいや………俺は辛いものがダメだ。

 

 

『昔、ナゾの実食べて死にかけてるんでしゅ。

  あの時は湖に顔から突っ込んだでしゅね』

 

「辞めてくれよぉ………」

 

「えぇ!?いついつ?」

 

『もう何年前でしゅかねぇ……』

 

「10年前だよ……もういいだろ」

 

「………見たかった自分がいます」

 

『今度寝たとき口に入れて写真撮っとくでしゅ』

 

「私も欲しいからお願いね!」

 

 

………10年前、顔を突っ込んだのはシンオウの

シンジ湖だったな。

確か、その後にギャラドスに頭から

食われたんだったか。死ぬかと思った。

 

 

『次は……あれでしゅね。泳げない』

 

「それはマジで駄目だ」

 

「あ、復活した」

 

『今いいとこなんだから寝てるでしゅ』

 

「ぐへぁ!?」

 

 

頭突きで海に突き落とされる。

ちょっ、海!?

 

 

「ヤバいヤバい!助けてー!」

 

『このように、泳げないでしゅ。

 正確には、急な水がダメでしゅ』

 

「シンさぁーん!?」

 

「リーリエ面白いから見てようよ」

 

『あ、紐で縛ったから船に

  置いてかれることはないでしゅ』

 

「いつの間に!?」

 

『酔ってるときでしゅ』

 

「こ、この恩知らずめぇぇぇ…………!」

 

「あわわわわ………」

 

「あははははははっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁっ、はぁっ、リ、リーリエ。

  助かった………ありがとう。天使か、君は」

 

「て、天使!?///」

 

「てゆーか、港についたんだけどね」

 

『あー、また久々に笑ったでしゅ』

 

 

天使の後ろの2人は悪魔か。

こいつら、俺が海を漂ってるところを

笑ってたし。助けてくれよ。

 

 

「で……ポニ島についたね」

 

『そうでしゅね』

 

「話を逸らしたみたいだが、忘れねえからな」

 

「あはは………でも、懐かしいですね」

 

 

海に浮かぶ、海の民の村。

俺たちはそこに、やって来ていた。

 

目的はというと。

 

 

「アローラナッシーを見るのでしたら、

 確かまた船に乗るんですよね…………」

 

「ふっwww」

 

「おいこら、ミズキてめぇ」

 

『ナッシーアイランド、道中から楽しみでしゅね』

 

「もう俺はぜってぇ船には乗らねぇ」

 

 



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ナッシーからの洗礼

カイロスさぁん………鳴き声ェ………
マジで初見ハッサムだと思ったのに……



「つ、着いた………?」

 

「はい、着きました。

 お疲れ様です、シンさん」

 

『また海に突き落としたかったでしゅ』

 

「やめろ」

 

 

本気で。泳げるよ?

水に慣れるまでが長いだけ。

15分くらいかかるけど。

 

 

「あはは……行きましょうか」

 

「あれ、ミズキは?」

 

『そこで寝てるでしゅ』

 

「Zzz…………もうお腹いっぱいだってぇ~……」

 

 

何その寝てる時の定番みたいなセリフ。

 

 

「…………えぇ?またヤるの~?むにゃぁ……」

 

「…………リーリエ、行こう」

 

「え?」

 

 

発音からして、こいつ、

頭の中も真っピンクか、理性蒸発女め。

 

思い出せば俺を助けに海で濡れたリーリエを

じっと見てやがったのはそういうことか。

 

 

『流石のミーもドン引きでしゅ』

 

「え?ご飯を食べる夢では?」

 

「リーリエ、まだ知るのは早い」

 

「………ぐへへへ………♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「でかっ」

 

「いつ見ても大きいですね………」

 

『上が見えんでしゅ』

 

「ナッスィー」

 

 

なんか妙に発音いいな。

ナッシーじゃねぇのかよ。

 

 

「………取り敢えず撮っとくか」

 

 

俺はカメラを取り出し、ナッシーを撮ろうとする。

その時。

 

 

「シンさん!?」

 

「いってぇ!?」

 

『なんでしゅか!?』

 

 

頭に何か落ちてきた。痛い。

………ん?

 

 

「はっさむ!」

 

 

こ、この鳴き声は!?

 

 

 

 

 

 

 

「クワーッ!!」

 

「カイロスじゃねぇか!」

 

 

ハッサムだと思ったんだけど!?

この鳴き声詐欺が!

 

 

「わっ!?

 シンさん、下がって下さい!」

 

「分かって、ぎゃぁぁぁ!!

  痛い痛い痛い痛い痛い!!!」

 

「クワーッ!!」

 

『シン!?ヤバいでしゅー!』

 

 

痛いぃぃ!!挟むなぁぁぁ!!?

骨が!骨が変な音してるぅぅぅ!!!

ぎゃぁぁぁぁぁぁ!!

 

 

「死ぬわぁぁぁぁっ!?」

 

『でしゅ!?』

 

「えぇ!?」

 

「クワッ!?」

 

 

カイロスを引き剥がす。

ハサミから抜け出して

モンスターボールを構える。

 

 

「んの野郎、来い!ガブリアス!」

 

「ガブァ!!」

 

 

ガブリアス。

首にはメガストーンが嵌められた

鎖が引っかけられている。

 

 

「″ドラゴンクロー″!」

 

「クワァーッ!」

 

 

″シザークロス″で対抗してきたか。

ドラゴンクローに対抗とか、面白いやつだな。

 

 

「クワーッ!!」

 

「ガブリアス、″ドラゴンダイブ″で押し退けろ!」

 

「クワァッ!」

 

「ガブァッ!?」

 

「何!?」

 

 

ガブリアスがダイブを発動した瞬間、

ダイブを恐れもせずにガブリアスの首を

掴みやがった。

 

″じごくぐるま″か。

 

 

「ガブリアス、踏ん張れ!」

 

「ガァッ!」

 

「クワァッ」

 

「″げきりん″で吹き飛ばせ!」

 

 

ガブリアスが逆鱗を発動、

カイロスを吹き飛ばし、畳み掛ける。

 

 

「ドラゴンクロー!」

 

「ガブァッ!!」

 

 

クリーンヒット。

カイロスが倒れる。

 

 

「ナイス、ガブ」

 

「ガブァ♪」

 

 

掴まれたとき焦ったな。

ハサミギロチンだったらどうしようかと。

 

てゆーか、あいつらどこ行った?

 

 



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太陽と月と、隠す影と。

「おーい、リーリエ、シェイミー」

 

「あ、シンさん」

 

『やっと終わったでしゅか』

 

「悪いな、時間かけた」

 

 

シェイミはリーリエに抱えられており、

2人は祭壇のような場所にいた。

そこには、笛のようなものがあった。

 

確か、伝承の中で伝説のポケモン、

ソルガレオとルナアーラを呼び寄せた

太陽と月の笛か。

 

 

「懐かしいな………」

 

「え、見たことあるんですか?」

 

『だからミーも見たことあるって言ったでしゅ』

 

「あぁ、あの2匹と

  会ったのはもう何年前かな………」

 

 

懐かしい。

確か、アローラが暗くなった時だったか?

 

 

「………あの、シェイミさん」

 

『ん?なんでしゅ?』

 

「シンさん、幾つなんですか?」

 

『あー、そうでしゅねー…………

 まぁ、色々事情とかあるんでしゅ。

 ミーじゃなくてシンに聞くべきでしゅね。

 多分、適当に受け流されるでしゅけど』

 

「?」

 

 

聞こえてるぞー。

まぁ、言う必要もないし、

知っても怠くなるだけだしな。

 

………ん?

 

 

「雨………」

 

「船に戻る……のは遠いですね、

  どうしましょう…………?」

 

『確か、来る途中に小さい洞窟があった筈でしゅ』

 

 

無人島なんかは天気が変わりやすいからな……

グラードン呼べばいいんだが。

 

 

「よし、降りだす前に急ぐか」

 

「はい」

 

『急ぐでしゅ』

 

 

洞窟に逃げ込む。

雨脚が強くなってきたな。

 

ミズキは………まぁ船に

屋根があるから大丈夫だろ。多分。

連れてきてくれたおっさんもいるしな。

 

 

「降ってきましたね………」

 

『びしょ濡れになるところだったでしゅ』

 

「ほれ、タオル」

 

「あ、ありがとうございます」

 

『ミーのは?』

 

「俺と共同な」

 

『先に拭かせろでしゅ』

 

「へいへい」

 

 

髪切ろうかなー。長いと乾くのが遅いし。

そんなことを考えながらシェイミにタオルを渡す。

 

リーリエに渡したのは使ってない予備だ。

 

 

「………いい匂いしますね、

  このタオル。ふかふかですし」

 

「あぁ、エルフーンの毛だしな」

 

「エルフーンの!?」

 

「いや、生え変わりの

 時期に刈っただけだからね?」

 

 

モコモコのポケモンは大体が生え変わりがある。

エルフーンは特にモコモコなので

編んでタオルにした。

 

 

「びっくりしました………エルフーンの

  タオルって、かなり高いんですよ?」

 

『え、これしか使ってないでしゅ』

 

「楽だしな。あげようか?」

 

「いいんですか!?」

 

「別にいいぞ、予備だし。また出来るだろうし」

 

「やった!」

 

 

なんやかんやあり、喋っている内に

雨は上がり、雲の隙間から光が指し始めた。

 

 

「晴れてきたな、行くか」

 

『そうでしゅね…………ん?』

 

「どうしたんですか?」

 

『………シン、ボールを構えるでしゅ』

 

 

後ろ、正確には上。

そこから、光線が降り注ぐ。

 

 

「きゃぁっ!?」

 

「何が……………あぁ、しつこい奴だなッ!!」

 

「リノ…………ッ!」

 

 

黒いポケモンが、襲いかかってきた。

 

 

「これは………ネクロズマ!?」

 

「ネクロズマ…………!?

 リーリエ、下がれ!シェイミ!!」

 

『了解でしゅ、″シードフレア″ッ!!』

 

 

緑色の衝撃波が黒いポケモン、

ネクロズマを吹き飛ばす。

 

洞窟から出て逃げ場を確保することは出来た。

 

 

「リノ……ッ!!」

 

「ちょっと失礼!」

「きゃっ!?」

 

『危なっ!?』

 

 

レーザー連発とかマジで辞めてくれません?

危ないから、俺たち人間よ。

リーリエを抱えて、シェイミを頭に乗せて

船へと走る。

 

こんな場所で戦えば危険過ぎる。

特にナッシーたちが。的だよ、あんなの。

 

俺はボールを投げる。

 

 

「ガブ、時間稼ぎ頼むぞ!」

 

「ガブァ!!」

 

「リノ………!」

 

 

ガブリアスがドラゴンクローで

ネクロズマと打ち合う。

 

本来、トレーナーに捕まえられたポケモンは

指示がないと技を繰り出すことが出来ないが、

 

 

「ガブリアスさん、大丈夫なんですか!?」

 

「大丈夫だ、問題ない」

 

「それフラグですよ!?」

 

『ところがどっこい、マジでしゅ』

 

 

俺のポケモンは勝手に………もとい、

自由に技を出すことが可能だ。

それなりに絆を深めれば可能。

 

 

「リ………ノ………!!」

 

「っとぁ!危ねぇな!」

 

『このままじゃジリ貧でしゅ………!

 シン、避難が終わったぽいからやるでしゅよ!』

 

 

シェイミの言う通り、

島のポケモンたちは奥地に避難したようだ。

ここで戦っても大丈夫そうだな。

 

 

「リーリエ、シェイミと船に戻ってろ」

 

「ですが………!」

 

「何の問題もねぇよ、ミズキと一緒の方が安全だ」

 

「………分かりました、気をつけて下さい……」

 

「万事、任せな。そら行け!」

 

 

リーリエがシェイミと走って行く。

当然、ネクロズマは無防備なそれを狙うが。

 

 

「ガブリアス、やるぞ」

 

「ガブァ!」

 

 

俺はネックレスのキーストーンに触れる。

ガブリアスが輝き、姿を変える。

 

 

「メガシンカ!!」

 

「ガァブァァッ!!!」

 

 

巨大な鎌のような爪を携えたガブリアスが、

ネクロズマのレーザーを弾き飛ばした。

 



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ネクロズマ


UA9500!?
いつの間に………皆様、ありがとうございます!

お待たせしました。
遅れて申し訳ありません。

内容ちょっと雑かも。



 

ネクロズマから集束したレーザーが発射され、

ガブリアスは超低空で飛びながら、攻撃する。

 

 

「ドラゴンダイブ!」

 

「ガァブァッ!」

 

「リノ………!!」

 

 

ガブリアスが青い光を纏ってネクロズマへ

突っ込んでいく。

 

 

「……リノ………!」

 

「ガァッ!?」

 

「な!?」

 

 

不味い。ガブリアスの頭を掴まれる。

だが、

 

 

「ガブリアス、深呼吸してェ…………″げきりん″!」

 

「ガァァァァ………………ッッ!!!」

 

「リノ………!?」

 

 

ガブリアスは大きく息を吸い込み、

咆哮しネクロズマを弾き飛ばす。

 

逆鱗。本来は混乱する技だが、

それは戦闘中のみ。

 

落ち着いた静かな怒りは、

逆鱗の威力を更に高め、混乱しない。

 

仙人のような話だが、事実、

ガブリアスの逆鱗により、島の地面がひび割れる。

 

 

「″じしん″!!」

 

「ガァブァッ!!!」

 

「リ、ノ………!?」

 

 

畳み掛ける。

砂ぼこりが舞い、

ネクロズマが大きく態勢を崩す。

 

地震。周囲に大きな規模に影響を与える技だが、

慣れさせることが出来れば範囲を指定できる。

 

慣れれば。うん。

慣れるまでの時間?ざっと30年くらい。

島くらいなら沈んじゃうけどな。

 

 

「っお!?」

 

「ガブ!?」

 

「リ……ノ………!」

 

 

砂埃の中から飛んできたレーザーを跳んで回避。

ガブリアスはレーザーをモロに食らってしまう。

  

だからレーザー辞めろ。

俺、多分死ぬから!!

 

 

「トレーナーを執拗に狙いやがって………!

  ガブリアス、ドラゴンクロー!!」

 

「ガァッ!」

 

「リノ……!」

 

 

ガブリアスがネクロズマに

変容した大鎌を振り下ろす。

 

ネクロズマもサイコカッターで打ち合う。

 

 

「埒が明かないな………」

 

「シンさーん!」

 

「シン!私も手伝う!」

 

「ミズキ、リーリエ!?」

 

 

何をしてるんだアイツらは!

危ないとこにわざわざ来やがって!

 

 

「危ないから放れてろ!」

 

「そんなことしてて勝てないでしょ!

  ネクロズマとは戦ったことあるの!」

 

 

ミズキがボールを構え、投げる。

出てきたのは、グソクムシャ。

 

 

「″であいがしら″!」

 

「ギュルォォォン!」

 

 

ガブリアスと打ち合うネクロズマへ

急接近して、グソクムシャが爪を叩きつける。

 

…………卑怯とは言うまいな………

まぁ、うん。勝つためだしね。

 

ネクロズマは倒れる。

 

 

「うっわ、卑怯だな、お前……」

 

「まぁそれについては何も………」

 

「まぁグソクムシャですしね………」

 

 

俺はネクロズマへと近づく。

こいつ、何を言ってるか分かんないんだよな。

 

ウルトラビースト………とは違うな。

 

 

「危ないよ!?」

 

「お前が言うか………

  ちょいと失礼しまっせ」

 

 

俺はネクロズマの体を触る。

光の反射とかから見て、プリズムか?

 

だからレーザーぶっぱしてたのか。

レーザーの光の元は太陽からみたいだな。

 

 

「…………なぁ、ミズキ、リーリエ」

 

「うん?どしたの?」

 

「はい?」

 

「歴史の中でソルガレオと

 ルナアーラが現れたのは何時だ?」

 

「えっ、いつだっけ?」

 

「確か………太古の時代でした。

  太古としか分かりませんけど……」

 

 

 

ソルガレオとルナアーラ。

アローラ地方の伝説のポケモンだ。

2人は会ったことがある筈だ。

 

俺も一応会ったことはある。

 

うーん?何時だったかな?

1500年くらい前だったっけ。

 

…………ま、その辺は調べればいいか。

 

 

「まぁいい。サンキューな」

 

「リノ………」

 

「うわ、だ、大丈夫なの?」

 

「リノ……!!」

 

 

なんか俺の左腕を指差すように

ネクロズマが腕を動かす。

 

俺の腕には、Zリングがある。

…………ははぁん、そういうことか。

 

 

「ほれ」

 

「え、あげちゃうんですか?」

 

「餌付けだよ餌付け」

 

 

俺はリングを外してネクロズマに渡す。

するとネクロズマはリングを顔?の所へ近づけ。

 

 

「あ、食べた」

 

「えぇっ!?」

 

「食べたな」

 

 

食べた。正確には取り込んだように見えたが。

そうか、コイツ『かがやきさま』の成れの果てか。

 

俺はバックを漁ってZクリスタルを取り出す。

 

 

「そら、やるよ」

 

「リノ………!?」

 

「いいからいいから」

 

「えぇ………あげちゃっていいんですか?」

 

「いや、俺必要ないし」

 

 

正直に言おう。

俺はZ技のポーズが恥ずかしくて堪らない。

 

なんかさ………ダサくない?

 

ネクロズマは立ち上がる。

 

 

「元気になったな」

 

「危なくは………ないみたいですね」

 

「……リノ………」

 

 

ネクロズマはウルトラゲートを開け、

その中へ飛び込んで行った。

 

 

「あ、行っちゃった」

 

「なんだったんでしょう……?」

 

「腹でも減ってたんだろ」

 

 

マジでな。

ほら、腹減ったらイライラするし。

 

俺たちも腹が減ったし、帰るとしよう。

 

 

「帰りましょうか。博士に報告とかしたいですし」

 

「そうだな」

 




ポケモンUSUM

ウルトラメガロポリスのダルスの台詞。
『おれらの 先祖は 欲張り
 ネクロズマの 光を すべて
 コントロールしようと した…』

結果、メガロポリスから
光がネクロズマによって奪われた。


ポケモン剣盾

マクロコスモス、ローズの台詞
『ガラル地方が 永遠に
 安心して 発展するために
 無限の エネルギーを もたらす
 信念と 使命が あるのだよ!』

結果、ブラックナイトが発生。


なーんか状況が似てるなぁ、って。
ネクロズマ←かがやきさま=ムゲンダイナ
みたいなことを考えました。


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Z定食、スペシャル

 

 

 

「うーん?どうするかなー」

 

『ミーはマラサダでしゅ』

 

 

現在、俺はアーカラ島のコニコシティ、

アイナ食堂に来ている。

 

今は夕方の4時。

夕食には少し早いので、店は俺1人だ。

シェイミもいるが。

 

定食が食べられる店だとミズキに紹介された。

2人は行かないのか聞いてみるが、

ミズキはニヤニヤと笑い、リーリエは

何故か申し訳なさそうな顔をして断った。

 

なんでもZ定食″スペシャル″というのがいいらしい。

 

 

「んじゃ、Z定食にするかな」

 

『なんか嫌な予感がするでしゅ』

 

 

俺はベルを鳴らす。

すると、店の奥から緑色の髪をした

褐色の肌の少女が走ってくる。

 

年齢は、ミズキたちと同じくらいだろうか。

それか少し上かな?

 

 

「はーいっ、ご注文ですか?」

 

「あぁ、マラサダを1つ、

  あとZ定食の、スペシャルを1つ」

 

「はーい!了解しました!」

 

 

少女は店の奥へ走っていく。

彼女が料理をするのだろうか。

 

と、店のドアが開き、

見覚えのある女性が入ってくる。

 

 

「こんにちはー、ってあれ?」

 

「ん、お前は………」

 

 

誰だったか。

店の少女と同じ褐色の女性。

 

 

「えっ、もしかしてシン!?」

 

「誰だっけ?」

 

「アタシだよアタシ!

  島キングのライチだよ!」

 

 

ライチ………確か………あぁ!島キングか!

 

 

「思い出した!

  大きくなったな!」

 

「でしょう!?待って、変わらなすぎ!?」

 

「懐かしいなー、25年ぶりか!?

  二年前に来た時は会えなかったもんな!」

 

「待ってぇぇぇぇ!?年齢バレるっ!」

 

 

確かあのときは15だったから……

そうか、もう40、ん?

 

 

「いやぁー、40にしては若いな!」

 

「いやぁぁぁぁぁ!!?」

 

『お前はデリカシーを知らないんでしゅか!?』

 

 

そうかー、時の流れは早いもんだ。

ディアルガがしっかりしてる証拠だ。

 

 

「うぅー、酷い………」

 

「あれ、ライチさん?いらっしゃい」

 

「マオぉぉぉ」

 

「うわっ!?」

 

 

俺は25年前にもアローラに来たのだが、

その時に丁度島キングの選定にあったのだ。

 

選ばれたのは同時15の彼女。

いやー、大きくなったものだ。

 

 

「シンが苛める………」

 

「苛めてないぞ?」

 

「あはは………あ、

 Z定食スペシャル、お待たせしました!」

 

「『…………』」

 

 

マオ、と呼ばれた少女から出されたのは、

料理とは、定食とは呼べない代物だった。

 

 

「美味しいのよ、それ」

 

「マジか?」

 

「ふっふーん、お客さん、

  きっとびっくりしますよ!」

 

 

俺はスプーンを手に取り、

料理に手を伸ばした。

 

み、見た目が悪くても美味しいものはある。うん。

多分、きっと、めいびー。

 

 

『え、食うんでしゅか』

 

「えぇい、どうとでもなれ!」

 

 

スープを口の中へ正体不明の具と共に入れる。

 

 

『あ』

 

「どう?どう?」

 

「美味しそう………」

 

 

あ、これヤバい。アカンやつや。

くっっっっっそ不味い。

 

スープは酸っぱく、土のようにざらついている。

具は魚だったようで、切り身は小骨が多い。

普通に味もヤバい。これは子供が食べれば死ぬ。

 

俺はマオを見る。

ニコニコとこちらを見ている。

 

これを不味いというのは罪悪感が………

 

 

「どう?美味しいでしょ!」

 

「くそ不味……ゲフンゲフン、

  トッテモオイシイデス、ハイ」

 

『顔が青いでしゅ………』

 

「いいなー、マオ、私も貰っていい?」

 

「ライチ、俺はさっきマラサダを食べてな、

  俺は一口で腹一杯なんだ、食べてくれ」

 

「え、いいの?」

 

「いいから食え」

 

 

ライチは定食………というか

食べ物とは呼べないそれを口へ運ぶ。

 

 

「うん、美味しい」

 

『「!!?」』

 

「でしょー!」

 

 

俺は黙って金を払い、店を出た。

…………怖い。あの店も、ライチも。

 

あの定食、スペシャルな理由が分かった。

味が。スペシャルすぎる。

 



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突然の連絡



シン・キャンベル大在。

ネタ分かる人いるのかな、これ。
私、初めて聞いた時マジで怖かったです。
慣れたら好きですけど。

タグにキャラ崩壊を追加するべきですね。




 

 

 

「さぁて、今日はどうするかなー」

 

 

早朝。

俺はテントから出て日光を浴びる。

場所は月の神殿。時間は朝の5時。

 

 

「ラリオーナ!」

 

「ああ、おはようさん。ソルガレオ」

 

 

空を飛んでやって来たのは、

アローラ伝説のポケモン、ソルガレオ。

 

伝説のポケモンが普通に居ていいのかなんて

考えてはいけないよ。

 

 

『………朝っぱらからうっさいでしゅね、

  こっちはぐっすり寝てたいんでしゅ』

 

「おはよう、光合成でもしてろ、寝坊助」

 

「ラリオーナ」

 

『全く2人揃って早起きでしゅね………』

 

「年食ったら起きるのが早くなんだよ」

 

 

シェイミは大きな欠伸をする。

 

俺はテントを片付け、

折り畳み式のテーブルと椅子を出して

紅茶とコーヒーを淹れる。

 

ソルガレオはわざわざ挨拶に来たのか、

どこかへ飛んでいった。

 

昨日、1人観光で色々な所を回っていて、

夜になってしまった為にここで野宿したのだ。

ちゃんとルナアーラに許可はとった。

 

 

「クチー」

 

「おはようクチート、紅茶淹れといたぞ」

 

「クチ!」

 

『ミーは?』

 

「光合成ができるだろ。

  飯ならもう少し待ってろ。作るから」

 

 

俺はバックから木の実を取り出し、

朝飯のメニューを考えていると、

腕のホロキャスターの着信音が鳴る。

 

嫌な予感がしたので、切る。

 

 

『「…………」』

 

 

再び鳴り出す。切る。

 

 

『「…………」』

 

 

鳴り出す。切る。

そして再び鳴り出す。

 

俺は通話に出る。

顔が見えないように

ホロキャスターのカメラは地面に向ける。

 

 

「只今、留守にしております。

 御用の方はピーという発信音のあとに

 メッセージをどうぞ。ピー」

 

『ちょっと!?なんで切っちゃうの!?』

 

 

切る。この声は本当に嫌です。

再び鳴り出す。

俺は通話に出る。

 

 

「らりるれろ!

 らりるれろ!!

 らりるれろ!!!」

 

 

そう言って切る。

再び鳴り出す。

 

 

「閉まるドアにご注意ください」

 

 

言って切る。

そろそろ飽きた。再び鳴り出す。

カメラを普通に戻し、普通に通話する。

 

 

「なんの用だ」

 

「やっと出たわね…………

  あと懐かしいネタ辞めなさい!」

 

「なんだ、知ってるのか」

 

「知ってる!じゃなくて!!」

 

 

声の主はホロキャスターに写し出される。

長い金髪に隠れた左目。黒を基調とした服。

 

 

「二度とかけてくんな」

 

「酷くない!?」

 

「仕事しろよダメ人間。

 そんなんだからギラティナがキレるんだぞ。

 愚痴を聞かされた俺の気持ち考えろ?」    

 

 

シンオウ地方のチャンピオン。

残念美人、ダメ人間、ズボラ女。

 

様々な悪評(主に俺から)を受ける、シロナである。

 

 

 

「それあたしのせいじゃなくない!?

  てゆーかギラティナ愚痴とか言うの!?」

 

「言うわ。伝説のポケモンだって生き物だぞ」

 

 

 

破れた世界にお邪魔させてもらったら

ギラティナが目を閉じて「ビシャー………」

(和訳:人間どもが余計なことして大変だった

   お前、言葉分かるんだろ、慰めろ)

とか言われてんだぞ俺。

 

破れた世界に引きこもってるギラティナ。

そりゃ寝起きに伝説のポケモン2体

起こそうとしてる人間いたらビビるわ。

 

 

 

「嘘、凄い発見じゃない!」

 

「ポケモンの声が分かるのなんて世界に

 2人いるくらいだぞ。信憑性ゼロだ、諦めろ」

 

「ちぇー、じゃない!

  話を逸らしてるでしょ!?」

 

「チッ、バレたか」

 

 

しょっちゅう下らん事で俺を呼び出しやがって。

今度は一体なんだと言うのだ。

 

 

「それで、何の用だ」

 

「ええ、今度シンオウに遊びに来ないかしら?

  仕事は回さないようにあたしが手配」

「行こう。今すぐにお前に会いに」

 

「え!?」

 

 

遊びに、だと!?

仕事が回らないように手配なんて最高じゃねぇか!

流石は全国チャンピオン中最強のお方だ!

シロナさん最高ッ!!

 

 

「待ちなさい、アローラの人たちに

 挨拶くらいして行ったらどうなの?」

 

「む、確かに。じゃあ、明日向かうことにするよ」

 

「ええ、待ってるわ~」

 

 

シロナが通話を終了し、切る。

どうやら俺の嫌な予感は杞憂だったようだ。

 

まだ予感するのは気のせいだ。うん。

 

 



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再開、「レッド・グリーン」



作者のプロフィールを更新致しました。
これからもこの作品をよろしくお願いします。


 

「あ!?お前、シンじゃねぇか!」

 

「なんだ、スーパーマサラ人にサボテンか」

 

『耐寒マサラ人にサボテンでしゅ』

 

「……スーパーマサラ……耐寒……」

 

「何がサボテンじゃこらァ!」

 

「頭が。トゲトゲしてるじゃん」

 

 

俺が島を渡る為に海へ向かっていると、

祭壇を降りた先の渓谷で2人の人物に出会う。

 

元カントーのチャンピオン、レッド。

そしてそのライバル、グリーンだ。

 

だが、前に会った時より雰囲気が違う。かなり。

 

 

「すっかりでかくなったもんだな」

 

『雰囲気が違うでしゅね』

 

「そーよ!俺たちも大人になったってこと!」

 

「…………」

 

「レッド、シロガネ山に

  籠って悟りでも開けたか?あ?」

 

 

俺はレッドを挑発する。

彼は2年前までシロガネ山に籠っていた。

 

世間ではチャンピオン行方不明となっていたが、

俺がボコしてやったが。降りてきたようだ。

 

 

「悟りなんか開いてない。

  …………あの言葉の意味は、分かった気がする」

 

「………そうかい。理解してくれて何より」

 

「何だ?なぁレッド、シンから何を聞いたんだ?」

 

「…………」

 

「返事がない、無口モードのようだ」

 

「無口モードかよ」

 

 

時折レッドが発動する無口モードだ。

まぁこいつ元から無口だけど。

 

 

「それより、お前らも来てたのか」

 

「あぁ、バトルツリーに来てた。

 そうだ!今日はメレメレ島で祭りがあるらしい。

 俺たちも行くが、どうだ、シンも来ないか?」

 

 

祭りか。確かに最後だし。

挨拶ついでに楽しんで行くとしよう。

 

 

「あぁ、行くよ。今から行くのか?」

 

「いや、夕方からあるんだ。

  それまで時間を潰したいなー?」

 

「…………」

 

 

グリーンとレッドが俺を見つめてくる。

 

 

「照れる」

 

『キモいでしゅ』

 

 

だが俺はホモではない。

シェイミ、ボケてるだけだから。言葉が刺さる。

 

 

「なんだ、俺がそんなに好きか?」

 

「ちげぇよ!

 トレーナー同士、目と目が合ったら!?」

 

「バトル」

 

「だろうが!」

 

 

レッドとグリーンがボールを前に突き出す。

面白い、乗ってやろうじゃないか。

 

 

「2人同時にかかってこい。

  俺が全力で相手してやんよ」

 

「は?」

 

「流石に2人同時はキツイんじゃないか?」

 

「1人一体ずつなら問題ねぇな。

  来いよ小僧、年季の違い、教えてやる」

 

 

俺は2人に向けて再び挑発する。

実際に不可能なことではない。

 

 

「いいぜ、やるぞ!レッド!」

 

「分かった………!」

 

 

俺は隣を歩いていたクチートを呼ぶ。

 

 

「頼んだ、クチート」

 

「クチ!」

 

 

クチートは前に出て、構える。

対するレッド、グリーンもボールを投げる。

 

 

「ピカッチュウ!」

 

「ガルルァッ!」

 

 

レッドはピカチュウ、

グリーンはウィンディを繰り出す。

 

 

「さて、今回は本気だ。

  手加減無用。行くぞ、クチート」

 

「クチーッ!!」

 

『あーあーもう、完全に熱くなってるでしゅ。

 あんまり派手にやっちゃダメでしゅよ、シン』

 

 




設定。


シンはレッド、グリーンが
カントーを旅した時に出会う。
ちらほら会う程度だったが、会う度にバトルを
しており、2人の先輩と言ったところ。

2人と共にロケット団を壊滅させた。


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vsレッド・グリーン 1

 

 

「先手必勝だウィンディ、かえんほうしゃ!」

 

「クチート、逸らせ」

 

 

ウィンディが大きく息を吸い込み、

火炎放射を放ってくるが、俺は普通なら

無理な指示をクチートに出す。

 

クチートは鋼、フェアリータイプ。

炎の攻撃には弱い。だが。

 

 

「クチッ!!」

 

「ピカ!?」

 

「はぁ!?」

 

「!、ピカチュウ、避けて!」

 

 

クチートは炎を大顎で逸らし、

かえんほうしゃに隠れて迫って来ていた

ピカチュウへ逸らす。

 

ピカチュウはレッドの指示で辛うじて避ける。

 

 

「ピカチュウ、アイアンテール!」

 

「ピッカ!」

 

 

ピカチュウの尻尾が硬質化し、

クチートへ振り下ろされる。

 

俺はクチートに目を合わせ、意図を伝える。

 

 

「ピカッ!?」

 

「クチート、アイアンヘッド」

 

「クチィーッ!!」

 

「ピカチュウ、右!」

 

 

ピカチュウのアイアンテールを体を逸らして回避、

クチートはピカチュウの尻尾と同様に硬質化した

大顎を振り回す。

 

ピカチュウはレッドの指示通り右へ回避し──

 

 

「しまった!レッド!」

 

「グリーン……!?」

 

「クチート、払え」

 

 

″しんそく″の指示を出していたグリーンの

ウィンディの攻撃範囲にピカチュウが

押し出されてしまう。

 

うん。狙い通り。

卑怯とは言うまいな………

 

ピカチュウは撥ね飛ばされ、

クチートは困惑したウィンディへ足払いをかける。

ウィンディは転倒するが、立て直して下がる。

 

 

「悪いレッド!」

 

「ピカチュウは大丈夫そうだからいい、

  …………次は気を付けよう」

 

「おう!」

 

 

仲良いな。

まぁここで仲間割れするなら終わりだな。

 

 

「クチート、アイアンヘッドで叩き潰せ」

 

「クチ!」

 

「アイアンテール!」

 

「ピッカァ!」

 

 

レッドも俺の指示と合わせて

グリーンが隙をつく作戦は変わらない。

 

ピカチュウとクチートの撃ち合いが

始まり、金属音が鳴り響く。

 

 

「ピカチュウ!下がって!」

 

「ウィンディ、フレアドライブ!」

 

「クチート、ストーンエッジで迎え撃て!」

 

 

ウィンディへ向かって地面が隆起し、

鋭い岩が突き出ていく。

 

ウィンディはそれを破壊しながらこちらへ

向かってくるが、甘い。

 

 

「もう一回、ストーンエッジ!」

 

「何!?」

 

「ギャウッ!!?」

 

 

技の射程範囲に入れば攻撃を

当てるなど容易いこと。

 

ウィンディの腹に岩が突き刺さり、

上へ打ち上げられる。

 

 

「クチート、″メタルバースト″だ」

 

「しまっ!?」

 

 

俺の指示によりレッドが狼狽える。

背後からピカチュウが迫っていて、

アイアンテールをクチートに叩きつける。

 

だが。

 

 

「ピカァッ!?」

 

「クチー!」

 

 

クチートから飛び散った鋼が、

ピカチュウを狙って突き刺さる。

 

″メタルバースト″。

相手の攻撃を利用してカウンターを放つ技だ。

その弱点は。

 

 

「物理技じゃなけりゃ問題ない!

  ウィンディ、かえんほうしゃ!」

 

「ピカチュウ、10まんボルト!」

 

 

ウィンディが炎を、

ピカチュウが電撃を放つ。

 

確かに遠距離攻撃手段がないクチートには

厄介な選択だ。だが───

 

 

「クチート、地面に向かってアイアンヘッド!!」

 

 

クチートが地面に大顎を叩きつけると、

地面が陥没し、衝撃で突きだした岩が

クチートを守る。

 

電撃を地面に流し、炎を遮断した。

 

 

「………オイオイ……嘘だろ………」

 

「………強い………!」

 

 

2人は戦慄する。

ここまで彼と全力で戦わなかったからこそ。

知ることなど出来ないのだから。

 

 

「そろそろ勝負を決めようか、クチート」

 

「クチー!!」

 

 

シンのネックレスに埋め込まれた石が

虹色に輝き、クチートも輝き出す。

 

 

「メガシンカ」

 

 

クチートの大顎が2つに分かれ、

更に体長が大きくなる。

 

メガクチート。

 

未だ、レッドとグリーンは

クチートにダメージを与えられていない。

 

 



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vsレッド・グリーン 2



もう1ターンの駆け引き並みの短さ。
ちょっとクチートの戦闘ネタが尽きた。




 

 

「クチート、かみくだく」

 

「クチーッ!!」

 

 

俺の指示でクチートが飛び出し、

ピカチュウへと向かっていく。

 

 

「ピカチュウ、″ボルテッカー″で迎え撃て!」

 

「ピッカァ!!」

 

 

対するレッドは逃げなかった。

まぁ逃がす気はないけど。

 

ボルテッカー…………

ピカチュウのみが覚えられる技。

体に巨大な雷を纏って突っ込む強力な技だ。

 

だが。

 

 

「芸がねぇな!

  クチート、片方でストーンエッジ!」

 

「クッチーッ!!」

 

 

片方の大顎は噛み砕くの状態のまま、

クチートはもう片方の大顎で

ストーンエッジを発動させる。

 

このまま行けば、ピカチュウの地面から

岩が突きだし、ピカチュウは回避出来ずに倒れる。

 

 

「グリーン!」

 

「おうよ!ウィンディ、″じならし″!!」

 

「ガウッ!!」

 

 

ウィンディが大きく前足を地面に叩きつけ、

地面を揺らす。

 

地面の中で大きな音がする。

ストーンエッジの岩が壊された………!

 

 

「どうだ!」

 

「行けっ、ピカチュウ!」

 

「ピッカァァァ!!」

 

 

クチートが俺を見る。

俺は頷いて指示を出した。

 

無論、この程度なら予想済み。

 

 

「クチート、″アイアンバースト″!」

 

「クチィィィッ!!」

 

「「!?」」

 

 

クチートは両方の顎を硬質化させ、

自分の前にクロスするように構える。

 

そして、ピカチュウのボルテッカーが

それに命中し────

 

 

「クチィッ!!」

 

 

ピカチュウが、クチートの大顎に叩き潰される。

ただの大顎ではなく、尖った鋼の顎が、

ピカチュウを叩き潰した。

 

 

「………ピカチュウ!」

 

「ウィンディ、かえんほうしゃ!!」

 

「10まんボルト!!」

 

 

筈だった。ピカチュウは叩き潰された状態で、

10まんボルトを放ち、

ピカチュウごと焼き尽くすのか、

かえんほうしゃまでもがクチートを襲う。

 

不味い………!

 

巨大な爆発が起こった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クチ………!」

 

 

かえんほうしゃの後に、

ピカチュウの姿はなかった。

 

″でんこうせっか″で逃げたか。

 

クチートは、

ボロボロの状態でその場に立っていた。

 

 

「ピ………カ……」

 

「グォォウ………」

 

 

全力の一撃で力尽きたのか、

レッドとグリーンのポケモンは倒れ、気絶する。

 

 

「はは………強すぎだろ」

 

「………勝てなかったか……」

 

 

 

 

 

 

 

「…………お疲れ、クチート。

  お前の勝ちみたいだぞ?」

 

「クチー………」

 

『なんか………もう、言葉も出なかったでしゅ』

 

 

クチートが俺の足元に来る。

 

俺は抱き上げてオボンの実を

食べられるサイズに千切って渡すと、

クチートはそれを飲み込んだ。

 

そのうち回復するだろう。

 

 

「ナイスバトル、レッド、グリーン!」

 

「お前………強っ」

 

「改めて思った」

 

「ほれ、ポケモンセンターに行くぞ。

  ピカチュウとウィンディも頑張ったな」

 

 

俺は眠ったクチートを抱えて、

ポケモンセンターへと向かうのだった。

 



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祭りの夜

 

 

「おぉ………!」

 

『これは凄いでしゅね』

 

 

レッド、グリーンとの戦闘から数時間。

日は既に沈んでいるが、俺のいるメレメレ島、

リリィタウンはかなり明るい。

 

それも、祭りだから当然なのだが。

と、俺をミズキとリーリエが迎える。

 

 

「凄い賑わいだな、

  メレメレの祭りなんて来なかったからなぁ」

 

『来たくても来れなかったでしゅからねー』

 

「だよね!私も初めて来たときビックリした!」

 

「はい!奥ではもうやってますよ!」

 

「何をやってるんだ?」

 

「ポケモンバトルに決まってるじゃん!」

 

 

ミズキに引きずられ、リリィタウンの奥へ進む。

すると。

 

 

「ルガルガン!ストーンエッジだ!」

 

「ケケンカニ、アームハンマーですぞ!」

 

 

半裸で覆面のクク………男と、島キングのハラが

ポケモンバトルをしていた。

 

周囲を見ると、他の島のキャプテン、

島キングたちもいる。

 

 

「シンもやるでしょ?」

 

「あぁ、折角の祭りだ。思い切り楽しむか!」

 

 

俺は祭りを楽しむ。

夜空には、満月が輝いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜中。

シンはリリィタウンの奥、戦の遺跡にいた。

 

遺跡の入口から、誰か入ってきたことに気づく。

 

 

「………よう、ハラ。

  ちゃんと挨拶出来なくて悪かったな」

 

「いやはや、貴方にとってバトルこそ、

  挨拶ではないですかな?シン殿。

  十分に手厳しい挨拶、受け取りましたぞ」

 

「くくっ、そうかもな」

 

 

シンは煙草をバッグから取り出す。

 

 

「む、神聖な遺跡で煙草とは、感心しませんぞ?」

 

「おっと、そうだったな」

 

「というか、煙草を吸うのですかな?」

 

「まぁな。たまには良いかと思った。

  だが、確かに遺跡で吸うもんじゃねぇな」

 

 

シンは煙草をしまい、代わりに酒を取り出す。

 

 

「これなら問題ねぇだろ?」

 

「まぁ酒なら問題ありますまい。

  この老いぼれにも、頂けますかな?」

 

「くく、老いぼれ、ねぇ?

  俺からしちゃあ、アンタもまだまだ子童だ」

 

「…………ふむ?」

 

 

ハラが普段は閉じている目を開ける。

明らかに見た目は、ハラが上。だが。

 

 

「…………シン殿、貴方は一体()ですかな?」

 

「何、って酷くないか?

 人間としても認識されてねぇのかよ、俺」

 

「ならば、聞き方を変えましょうか。

  このハラ、既に半世紀を生きましたが」

 

 

ハラはシンを───目の前の、何か、を見つめる。

 

 

 

 

「─────何故、ワシの童の頃の記憶に、

  全く姿の変わらぬ貴方がいるのですかな?」

 

 

 

 

ハラは、冷や汗を浮かべていた。

有り得ないのだ。

何故、全く姿が変わっていないのか。

 

顔も、声も、何一つ変わらない。

 

 

それに、とてつもない恐怖を感じている。

 

 

「…………くく、気のせいだろう?

  アンタの記憶違いじゃないのか?」

 

「ワシにポケモンをくれた、

  その張本人の顔など、決して忘れませんぞ」

 

「…………そんなこともあったなぁ、懐かしい」

 

「懐かしい、とは?

  やはり貴方ですな?シン殿」

 

 

げっ、とシンは声に出す。

 

 

「………まぁ、良いです。

  口封じさせられても困るのですからな」

 

「しねぇよ………飲まないのか?」

 

「えぇ、辞めておきます。それでは」

 

「あぁ、じゃあなー」

 

 

シンは息をつく。

ハラの中でのシンは一体どうなっているのだろう。

 

口封じって…………

 

 

「さて、飲んだら俺も帰るか。

  明日にはアローラを出る訳だし」

 

 

シンは、一升瓶の酒をそのまま呷る。

 

その姿を、守り神は黙って眺めていたのだった。

 

 





カプ「酒、我のじゃないの?」

アンケートです。
アローラ出るので、一応。


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別れも旅立ちも突然で


や、やっと投稿できた………
中々アンケートが決まらず、苦悩してました。



 

「えぇっ!?もう行っちゃうの!?」

 

「おう。そろそろ出るわ」

 

 

祭り翌日。

俺はミズキの家でアローラを出ることを話す。

リーリエも一緒に朝食を食べている。

 

 

「もうちょっとゆっくりすればいいのに」

 

「いつ誰から面倒な依頼が来るか分かんないし。

  大体、各地のウルトラビースト対策なんて

  自分たちでやれよ、って話で…………」

『あーあー、わかった、わかったでしゅよ』

 

「クチー」

 

 

なんなんだお前らは。

ポケモンだったわ。

 

まぁともかく、最近は特に忙しくなった。

おいダイゴてめぇ、誰が″UB掃除業者″だこの野郎。

 

 

「まぁいい。なんかあったら連絡くれよ。

  エーテルの代表に連絡先渡してるから」

 

「ん、おっけ。でもいいなー。

  私、シンオウ行ったことないし」

 

「チャンプになったんだから

  勝手に地方移動するのはな、良くない」

 

 

なんか協会があるらしく、チャンプとはいえ

勝手なことをすると怒られるとか。

 

 

「面倒な縛りだなぁ、チャンプ降りようかな」

 

「それは流石に不味いですよ!?」

 

『何時にも増して発言がヤバいでしゅ』

 

「ねぇシン、最後に一回くらい」

「いい加減性欲に忠実な所をどうにかしろ」

 

 

デコピンでミズキを黙らせる。

貞操観念がねぇのかよお前は。

 

 

「いったぁ………」

 

「どうしてそんなガバガバなんだよ……

  お兄ちゃん心配だぞ」

 

「お兄ちゃん素直じゃないから」

 

「妹が性に対して開放的すぎるから」

 

「兄妹と言っても納得してしまう件について」

 

 

リーリエはそう言って、本題に入る。

とても真剣な顔で言った。

 

 

「デコピンって見た目以上に威力キツイですよね」

 

「「分かる」」

 

『しょうもなっ!?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夕日が沈みかけているころ。

ミズキの家の近くの海岸沿いの砂浜を歩く。

もうそろそろアローラから出発だ。

 

 

『にしても、アローラに

  いる期間も短かったでしゅね』

 

「もうちょいバカンスを楽しみたかったけどな」

 

 

仕事がいつ来るか分からんし、

シロナが処理してくれる安全策を取った方がいい。

 

 

『どんだけ仕事嫌なんでしゅか』

 

「大きさで例えるなら30階建てビルくらい」

 

『分からんでしゅ…………ん?』

 

 

そんな感じの話をしていると、足音が聞こえる。

振り返ってみると、リーリエがいた。

 

 

「はぁっ、はぁっ、あ、あの………」

 

「取り敢えず落ち着いたら?」

 

「すーっ、はぁ、はい。

  あの、シンオウ地方へ行くんですよね」

 

『そうでしゅよ、どうしたんでしゅ?』

 

「その…………あの」

 

 

モジモジとするリーリエ。

……………これは、アレか。

用事あるからついでに連れてって欲しい、的な?

 

 

「私も、シンさんについていってもい」

「別に良いけど?」

 

「え、良いんですか?」

 

「良いよ。

 邪魔になるようだったら置いていくけど」

 

「邪魔にはなりません!

  ボールも持ってきましたし……」

 

 

んー、ま、大丈夫かな。

どうせエーテルの代表の差し金だろう。

旅でもして、成長してこい。って感じで。

 

 

「うし、挨拶はして回ったんだな?」

 

「はい!お母様にも許可を貰いましたし、

  ミズキさんにも挨拶をしてきました!」

 

「ならオッケー。早速出発するか」

 

「はい、ハウオリシティへ「は?」え?」

 

 

なんでわざわざ船を待たないといけないの?

面倒だし、酔うし、金もったいないし。

 

 

「えっ、どうやってシンオウまで?」

 

「あー…………ちょっと待ってな」

 

 

俺はバックから、とある笛を取り出す。

それを咥えて、吹く。

心地よい音色が流れ、空へ響き渡る。

 

 

『ここまで来るんでしゅから、大変でしゅね』

 

「綺麗な音………シンさん、今のって……」

 

「まぁまぁ、見てな」

 

 

俺はメガネックレスに触れる。

空の雲から何かが飛び出してくる。

 

 

「なんですか、あれ!?」

 

「マッハ飛行機だけど」

 

「えぇ!?」

 

『シンが言うとマジで飛行機だから

  やめてやるでしゅ。アイツら可哀想』

 

 

雲から飛び出したそれは、

俺のメガネックレスに反応し光を放つ。

 

メガシンカ。

 

 

「ひゅぁぁぁん!!」

 

 

メガシンカしたポケモン、ラティアスが、

俺たちの前の砂浜に現れる。

 

 

「ら、ラティアス!?

  でもこの見た目は………!?」

 

『リーリエ、マッハ飛行機の風を

 モロに受ける覚悟は出来てましゅか?』

 

「え、も、もしかして………」

 

「もしかしなくても。ほれ、行くぞ」

 

 

俺はラティアスに飛び乗り、

リーリエに手を差し出す。

 

 

「………マジですか」

 

「マジだ」

『残念ながらマジでしゅ』

 

 

躊躇っているので手ではなく腕を掴む。

そのまま引き上げ、乗せる。

 

 

「きゃぁっ!?」

 

「しっかり掴まっとけよ、

  マッハで海に叩きつけられるぜ?」

 

 

リーリエの腕を俺の腰に回させ、

風を目に受けないようにするために

防塵ゴーグルを装着させる。

 

俺もゴーグルを装備し、

ラティアスの肩を軽く叩く。

 

 

「よし、出発!」

 

『シンオウまでお願いするでしゅ』

 

「ひゅぁぁん!」

 

 

ラティアスが浮き上がり、

そして羽根を折り畳む。

 

そして、ジェット機もかくやと思われるほどの

スピードで発車………ゲフンゲフン、出発した。

 

 

「きゃぁぁぁぁぁぁ!!!

  速過ぎますぅぅぅぅっ!!!」

 

「じゃあなアローラ!

  次に目指すは、シンオウ地方だ!!」

 

 

背中に悲鳴を上げるオマケ付きで、

俺はシンオウ地方へマッハで出発したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

さらば、太陽と月の地。

 

目指すは、創世の伝説が残る地、シンオウ地方。

 

 

 



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シンオウ地方で神話調べを
シンオウちほー




しまった…………
そういえば2年くらい前に
プラチナ売ったんだった………

とゆー訳で、ちょっとおかしくても我慢して下せぇ



 

 

 

「到着!」

 

「こ、怖かった…………」

 

『なんで船で酔って

 これで酔わないのか理解不能でしゅ………』

 

「ははは、お疲れ様」

 

 

ラティアスから降りる。

着陸したのはポケモンリーグである。

 

マッハの旅を堪能した俺はラティアスに

オボンの実をあげ、帰ってもらう。

 

 

「よし、行こうか」

 

『早すぎでしゅ………もうちょっと休ませろでしゅ』

 

「す、すいません………立てなさそうです……」

 

「だらしねぇな」

 

「『理不尽』」

 

 

現実(とシン)は非情なのである。

 

 

『つーか何でリーグでしゅ……?』

 

「そりゃお前、決まってるだろ」

 

 

俺は座り込んでいるリーリエを見る。

最初からこのつもりだったけど?

 

 

「え?」

 

「リーリエ、実力

 知りたいからシロナとタイマンしようか」

 

「……え、は…………はぁっ!?」

 

 

あ、安心していい。

途中の四天王なら軽く流せる。

 

シロナのあのガチパにどれだけ戦えるか見たい。

 

 

「アドバイスくらいはやれる。

 あれだ『やってみなきゃ、わかんねぇー!』だ」

 

「それが分かりませんけど!?」

 

『あれ、リーリエは

 ドラ○ンボール知らないでしゅか?』

 

「私戦闘民族じゃないんですよ!?」

 

 

素晴らしいツッコミだ。

連れてきて正解だったかもしれない。

 

と、空に知り合いの気配。

そらをとぶ、ムクホークから何かが飛び降りる。

高さは3メートル、場所は俺の頭上。

 

受け止めろ、ということだろう。

 

 

「だが断る!」(迫真)

 

「酷い!?あぁぁぁぁぁ……………」

 

 

ザバァァァァン!!!

 

俺は華麗にスルー。

飛び降りた何かは俺の目の前の水に落ち、

滝へと流される。

 

 

「ちょっ!?あの人死んじゃいますよ!?」

 

「大丈夫だろ、

 10メートルの滝から落ちるだけだし」

 

「絶賛死にますけど!?」

 

『絶賛死ぬって何でしゅか………』

 

 

つーかミロカロス持ってたし大丈夫だろ。

取り敢えず無事を確認しに下へ。

 

ん、どうやって下りたか?

んなもん飛び降りたのよ。

リーリエとシェイミを小脇に抱えて。

 

 

「シンさんって人間なんですか?」

 

「人間だよ?」

 

『もうリーリエも驚かないでしゅね』

 

 

人間慣れるものだし。

俺は池のほとりで死にかけている

シンオウチャンピオンの頬をビンタする。

 

 

「起きろー」ベシベシ

 

「んん………」

 

「…………」ベシベシ

 

「スー、スー」

 

「あ、ギラティナ」

 

「え、どこ!?」

 

「起きてんじゃねぇか」

 

「どこ!?ギラティナどこ!?」

 

「いるわけねぇだろ」

 

「そんな!?」

 

 

この神話オタクが。

実はシンオウ神話は色々マジだったりするんで

俺もとやかく言えないが。

 

 

「あら、シェイミじゃない。久しぶりね」

 

『久しぶりでしゅ神話オタ』

 

「え?え?」

 

「貴方は…………?

  もしかしてシン、けっこ「しねぇから」そう」

 

 

しねぇよ。

 

 

「えーと、私、リーリエと申します」

 

「リーリエ………あぁ!

  あの財団の娘さんね!思い出したわ!」

 

「え、えーと、貴方は?」

 

 

え、知らないのか?

意外と有名、意外っつーか、結構有名なのに。

 

 

「私はシンオウ地方の神話を調べてる、

 トレーナーなの。シロナよ、よろしくね」

 

「シンオウのチャンピオンだ。

  リーリエは知らなかったのか?」

 

「あ、はい。ごめんなさい、世間知らずで………」

 

「いいの良いの!

 チャンピオン知らなくても生きてけるし!」

 

 

そう、シンオウ地方チャンピオン、シロナ。

神話オタで楽天楽観のぶっ飛んだ奴だ。

 



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悪夢と三日月



待たせたな!

いや、ホントにお待たせしました。
ダイパ、プラチナ探してたのですが、
無かったのです。

だから色々おかしいけど我慢してね♪
あっ許してくださいなんでもしますから




 

 

「あっ、この娘は私が面倒見るから

  これ、よろしくね♪」

 

「ふぁ?」

 

 

チャンピオンの部屋へやって来た俺とリーリエ。

シロナから紙?を受けとる。

 

 

「なになに………?」

 

 

『本日はお日柄も良く(うぜぇ、割愛+簡潔に改変)

 

 なんか悪夢見る人が増えて

 しかも起きなくなったから助けて

 

 in ミオシティ』

 

 

「ふざけるなぁ!!」

 

 

はぁぁぁぁ!?

仕事回さないんじゃなかったの!?

アイエエエエ!?ナンデ!?シゴトナンデ!?

 

 

「仕事回さないとは言ったわよ?」

 

「俺を騙したのか!?」

 

「いいえ?仕事は回さない………つまり。

 あなた指名の仕事が来ないとは、言ってないわ」

 

「なん……だと………」

 

 

俺の休みの霊圧が………消えた……?

 

 

「一体いつから───」

 

「…………!」

 

「休みがないと錯覚していた?」

 

 

あの薄ら笑いがイラつく。

そんな………馬鹿な。俺の休みは──?

 

 

「ないよ!休みないよ!!」

 

「馬鹿野郎ぉぉ!

 誰に言ってる、シロナぁ!!

 ふざけるなぁ!!」

 

「あは、あはははははは!!」

 

「あァァんまりだァァアァァァァァァ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あんまりだったのでシロナを引きずって

リーリエと共にミオシティへやって来た。

 

 

「で、どうせ見当はついてるんでしょ?」

 

「まぁな」

 

「え、そうなんですか?」

 

「夢に関するポケモンは何体かいるだろ?

 ムシャーナ、ムンナは代表的だが、

 他にもムウマージ、スリープなんかもだ」

 

「へー、ムウマージにスリープですか?」

 

「あぁ、ムウマージは〝あやしいひかり〟と

 ポケモン固有の能力で幻覚、夢を見せる。

 スリープは〝さいみんじゅつ〟で有名だが、

 その後はムシャーナたちと同じで夢を食べる」

 

「勉強になるわね」

 

「ホントですね」

 

 

シェイミが俺の背中を駆けあがり、頭に乗る。

いつもの定位置。

 

 

『夢に関するポケモンはこんな感じでしゅが、

 悪夢となれば話は変わってくるんでしゅ』

 

「悪夢限定で、ですか?」

 

「そうだ、内容は頻繁に悪夢に囚われる者が

 続出し、目覚めない、ということだった」

 

『そこで一匹のポケモンが仮定で出るのでしゅ。

 知る者も少ない幻のポケモン。それが』

 

 

「ダークライ、というわけだ」

 

 

俺たちは、波止場の宿、と

呼ばれる場所にたどり着く。

 

 

「なるほどね。

 宿に泊まるって元凶を叩くつもりね?」

 

「アホ、流石にそりゃ俺でも無理だ」

 

「え、そうなの?」

 

『ダークライは悪夢の中では最強でしゅ。

 敵と認識されれば最悪、脳に

 ショックを与えられて眠ったまま死ぬでしゅ』

 

「「…………!」」

 

「夢食いでもムシャーナたちが悪夢に囚われて

 苦しんで死ぬ。だから、アレを使う」

 

 

俺はバッグを漁り、一枚の羽根を取り出す。

月のように、それは昼の日中でも冷たい光を放つ。

 

 

「それは───?」

 

 

 

 

 

「三日月の羽根。

 三日月を象徴し、悪夢に対抗する唯一の手段。

 幻のポケモン、クレセリアの羽根だ」

 

 

 

 

 






リーリエ「前半の話について行けない………」

シェイミ「むしろ全部分かったらすげぇでしゅ」


全部元ネタ分かったかな?



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