戦姫絶唱シンフォギア 響くぜ!絶唱!! (海空来)
しおりを挟む

戦姫絶唱シンフォギア 響くぜ!絶唱!!
第一話 覚醒の鼓動へようこそ


君は空に浮かぶ魔法陣を見た事があるだろうか

僕はある、それも何度も

今僕は、もう何度目か分からない魔法陣に立ち会っていた

 

「トレギア…!」

 

それが出現する時、決まって現れる奴の名を呼ぶ

奴は現れた、胸を覆う鎧のような拘束具、禍々しい仮面からギラりと赤い目が覗く

 

「やぁ、ウルトラマンジード…またお目にかかれて光栄だ…」

「僕はそんな気は無い!決めるぜ!覚悟!」

 

僕は予め準備していた変身アイテムを起動させて正義のヒーロー、“ウルトラマンジード”へと変身した

 

「私は君と闘いに来た訳では無い…君を誘いに来たのさ…別次元へね!」

 

トレギアは怪光線を僕に向けて放った

咄嗟にそれをかわすことは出来たが新たな魔法陣に気付かず、それに飛び込む形になってしまい僕はそのまま…別次元へ飛ばされる事になってしまった

 

“別の宇宙”

 

そこでは認定特異災害“ノイズ”による被害が増加していた

それは人々を襲い、自らの体と共に対象を炭素にし、消し飛ばしてしまう

更に、位相差障壁によりこちらから手出しすることが出来ない

ミサイルも銃も、すり抜けてしまうのだ

 

すなわち、その世界ではノイズの脅威に脅えるしかない…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

訳では無い

 

 

ノイズの元に駆けていく2人の少女、1人は青い髪で大きく飛び出たサイドテールが目立つ少女

それを追いかけていくのは栗色の髪のショートカットの少女

 

2人はそれぞれ、詠唱する

 

 

Imyuteus amenohabakiri tron……

 

Balwisyall Nescell gungnir tron⋯⋯⋯.

 

刹那、彼女達の体は光に包まれ、白に差し色の入ったアーマーを纏う

 

これが“シンフォギア”

 

ノイズに唯一対抗し得る手段

 

剣を操る青いシンフォギア

彼女は風鳴翼

トップアーティストの顔を持ち、今より何年も前からノイズと戦い続けた戦乙女

 

そして、戦い慣れてないオレンジ色のシンフォギア

彼女は立花響

つい何日か前、シンフォギアの装着者として目覚めた女の子

 

とある事情によりこの二人の関係はギクシャクとしていた

しかし立ちはだかるのは己にしか消し得ぬ災害

2人は自分の力でノイズを蹴散らすのだった

 

「ふはぁ…終わった…」

 

響は膝に手を置いて呼吸を整える

相変わらず翼はムスッとしていて、響どころか誰かと会話することすら拒んでるように見える

 

「まだまだ道は長いなあ…」

 

響が呟いた直後、地響きが起き始めた

しばらく揺れが続くと、数キロ先で地面がめくれ上がった

そして、そこには40mはありそうな巨体の獣が現れた

 

「な、なんだあれは!?」

「か、怪獣だァァァー!!!?」

 

“とある場所”

 

怪獣の出現はここでも検知されていた

 

「巨大ノイズか!?すぐに2人を対応させろ!」

 

赤いワインレッドのシャツの似合う、大柄の男は叫ぶ

 

「既に対応を…えっ?!」

 

パソコンをいじっていた女性が目を見開いた

 

「どうした!?」

「ノイズとして感知されない…あれはノイズじゃありません!」

「なんだとぉっ!?」

 

響達もそれに気付いた

いくら攻撃しても炭化せず、それどころから弾き返されてしまうのだ

 

「一体どういう事だ?!」

 

翼は困惑の声を上げる

 

響は怪獣の頭部目掛け蹴りを放とうとするが直前、その腕で弾かれてビルに激突してしまう

 

「頭がクラクラする…」

 

響が視線を戻すと、怪獣は口にエネルギーを溜めているように見えた

 

殺られる…

 

響がそう思った瞬間、ゴーンと鐘のような音が響き、空に青黒い魔法陣が現れると、そこからなにかが飛び出して着地した

 

「ふぇっ、今度は何!?」

 

響は煙を晴らして現れたその姿に不安を抱いた

 

ボディは人型

腕にはヒレのようなものがあり、赤、銀、黒で彩られ、胸の青いランプが輝いている

そして、一際目立つ、光る青い目が周りを見ていた

 

その姿はまるで…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()()…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




【次回予告】

〜♪“優勢 2”
別の宇宙での出会い、それは僕の運命が再び揺れ動く合図だった
何故か現れる融合獣、わからないトレギアの狙い、消えたギガファイナライザー、力を無くしたカプセル、でも僕はみんなを守る為に戦う!
えっ、なんで僕捕まってるの?

次回、戦姫絶唱シンフォギア 響くぜ!絶唱!!
「雑音と戦う少女達」
ジーッとしてても、ドーにもならねぇ!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第2話 雑音と戦う少女達

僕は再び紫の奔流に呑まれていた

かつてはペガと一緒に流れ、離れ離れになったこれは、僕を苦しめる

何故だかとても息苦しい

ウルトラマンの姿だからだろうか

不安で仕方ない、そう思った時だった

僕の姿を変えた2本のカプセルと、緑色のカプセルを除く7本のカプセルが光り輝き、僕を包み込んだ

 

「僕を守ってくれてる?」

 

その瞬間から不思議と息苦しさは無くなった

もしかしたらカプセルを通して、皆さんが励ましてくれているのかも…

なら僕も動かないと…!

ジーッとしてても、ドーにもならねぇ!

僕は最強の究極形態、ウルティメイトファイナルへと変身した

そして、巨大な棍棒、ギガファイナライザーを壁に叩き付ける

しばらく、叩き付けているとその向こうに街が見えた

そこで、僕は目を疑った

 

「あれって!伏井出ケイが変身してた怪獣!?」

 

見間違うはずもない。頭の大きな赤いツノ、いかにも怪獣というような前傾姿勢、そして胸元に光る紫のカラータイマー

ベリアル融合獣、スカルゴモラ

何故あれがあの世界に

だが考えている暇はない

僕はギガファイナライザーを思い切り突き立て手を伸ばす

視界は光に包まれ、意識が戻った時、自分はプリミティブに戻り、地上に降り立っていた

 

そして、前回のラストに繋がる

 

僕は周りを見渡す

まるで自分の住んでる町と違う町に来たかのような違和感を感じる

そして、所々崩れたビルにスカルゴモラ

 

となればやることは一つ!

 

「ハッ!」

 

姿勢を低くして、右腕を突き出し左腕は顔の横に持っていく、独特のファイティングポーズをとった

 

スカルゴモラも威嚇のように咆哮を空へ向ける

僕は駆け出すと飛び上がり、二ーキックをスカルゴモラの角にぶつけた

 

 

 

「一体何が起こってるというのだ…」

 

無理もない、攻撃の効かない物体に突如現れた巨人

まるでヒーローショーでも見せられているような気分だ

今までそういう類を知らず、現実の戦いを見てきた翼は、歯がゆい思いをこぼす

 

響はと言うと現れた悪魔と形容した存在が災厄と戦い始め、混乱に呑まれていた

 

「敵じゃないの?」

 

するとグラグラと辺りが揺れ始めた

上を見ると自分が突っ込んだビルの一部が真っ逆さまに落ちて来ている

防御しようと腕を構えた時だった

 

「レッキングリッパー!」

 

赤い光刃がビルの一部を切り裂き、響を護った

響が視界を戻すと先の巨人がこちらに放った様子が見える

 

「大丈夫!?」

 

喋った!?響は困惑しながらも首を縦に振る

巨人も同じように頷くと、怪獣に飛び掛る

 

「味方?」

 

【〜♪GEEDの証】

 

相手はふらついてる、今しかない!

僕は腰をかがめながら手をクロス

それを上に挙げ、ゆっくりと横に開く

赤と黒の稲妻が走り、辺りの地面がめくれ弾ける

そして相手を見据え、腰を落としながら右側で十字を作った

 

そう…僕の最大の必殺技

 

「レッキングバァストォォォー!」

 

水色の光線に稲妻の混じったものがスカルゴモラを貫いた

直後スカルゴモラは爆発して、世界の危機は去った

 

カラータイマー…胸のランプは気付かぬうちに赤く点滅していた

さて、人目のつかない所へ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その時だった

 

「逃がさない!」

 

そう声が聞こえた瞬間、動くことが出来なくなった

 

「ウアッ!?」

 

視線をどうにか動かしてみると、僕の影にはナイフが刺さっていた

これって、忍者がよく使う影縫いって奴じゃ!?

 

色々とツッコミたいけど、カラータイマーの鼓動が増していく

急がないと色んな人に自分の事を知られてしまう!

 

その時、声が聞こえた

 

「待って翼さん!」

 

さっき僕が助けた子だ。

 

「この巨人は味方です!」

「何を言っている立花!」

「さっき私の上に落ちてきたビルから、この巨人が守ってくれたんです!」

「たったそれだけで…!」

「それに私、大丈夫?って話しかけられました!」

「何っ、話せるのか!?」

 

こうなったら仕方ない…

 

「う、うん!僕話せますから!影縫い…解いてください!危害は絶対加えません!話しやすいように姿も変えますから!」

 

青い髪の少女は驚いた顔をしてしばらく考え込み、渋々といった感じでナイフを引き抜いた

 

「グゥゥッ」

 

体が自由になったが限界ギリギリになっていた僕は倒れてしまい、そのまま粒子となった

そして、倒れたポーズのまま朝倉リクへと戻った

ふたり分の足音が聞こえてくる

僕は気力を振り絞って膝を起てる

2人はそれぞれ、驚いた表情や信じられないような表情をしていた

 

「さっきは有難うございます!あなたがあの巨人さんですか!?」

 

さっき助けた子が元気いっぱいに話しかけてくる

 

「うん、僕は朝倉リク。あれはジード、ウルトラマンジードって言うんだ」

「ジード…この目で見ても信じられない、あんな巨人が貴方なんて…」

 

青い髪の少女は顎に手を当ててはを噛み締めている

 

「色々聴きたいことはあると思うけど、とりあえずは話し合いから…」

 

 

“ガチャり”

 

あれ…?僕のこの手の腕輪はなんだろう…まるで手錠みたい…

 

「申し訳無いですが、一緒に来て頂きますね」

 

だ、誰!?この男の人!?

 

そして僕はスムーズに車に乗せられてしまった

 

しばらくして辿り着いたのは、学校のような場所

廊下を歩かされ、エレベーターに詰め込まれた

 

「あ、手すり持った方が良いですよ?」

「えっ?…うわぁぁぁっ!!?」

 

直後、凄まじいスピードでエレベーターは急降下していった

 

しばらくして、エレベーターを降りるとまた長い廊下を歩かされる

 

「ど、何処なんですかここ…」

「いいから着いてきなさい」

 

青い髪の少女は低めの声で僕を制そうとする

そして、ドアにたどり着き、ドアが開くと…

 

 

 

クラッカーが鳴り響いた

 

「ようこそ!人類守護の砦、特異災害対策機動部二課へ!」

 

大きな男の人の声と周りの職員らしき人の拍手が響く

後ろの横断幕には「熱烈歓迎!ウルトラマンジード!朝倉リク様!」

え、今作ったのこれ?

なんでパーティみたいな?

 

とも思ったが、何より今まで最初からここまで歓迎してくれる人達は同じウルトラマンくらいしかいなかった事から、僕は泣きそうになってしまった

 

「あっ?ど、どうしたんだ?」

 

大きな男の人は何故泣かれてるか分からないと言わんばかりにあたふた

 

「ヒック…ずいまぜん…最初から…僕をここまで受け入れてくれる人、なかなか居なかったから…」

 

手錠のせいで涙が拭いにくい…

すると、僕に手錠をかけた人が手錠を外してくれた

 

「すいません、万が一のために必要なんですよ」

 

「では改めて自己紹介だ。俺は風鳴弦十郎。ここの責任者をしている」

「そして私は出来る女と評判の櫻井了子。よろしくね」

 

弦十郎さんに了子さん、よし、覚えたぞ!

 

「僕はあそこに書かれてる通りです、朝倉リク、ウルトラマンジード…」

 

「君をここへ呼んだのは他でもない。協力を要請したい事があるからだ」

「怪獣のこと…ですよね?もしかして…以前から!?」

「あぁ、実は怪獣のものと思わしき地震が世界中を騒がせていてな…」

「なら勿論協力します!」

「ありがたい・・・が、我々が真っ先に知りたいのは、君が変身した、あのウルトラマンジードという姿と力についてだ、それに調べたが、君は何故戸籍が無いんだ?」

「分かりました、かなり長くなるんですけどいいですか…?」

 

そして僕はほぼ全てを明かした

 

別の世界から来たこと

 

怪獣を倒して皆を守ることが使命であること

 

同じ使命を帯びた仲間が居ること

 

同族の戦士が他にも居ること

 

この世界へはトレギアに連れてこられたこと

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕の父はウルトラマン“ベリアル”という、大罪を犯したウルトラマンであること

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕はベリアルのクローンベイビーであること

 

 

 

 

 

 

 

「そうか…そんなに重い過去を持っているんだな…」

 

弦十郎さんは、申し訳無さそうに頭を掻く

了子さんなんか、涙を零してくれている

 

「可哀想にぃ…あたしこういう話弱いのよ〜…」

 

すると、了子さんは立ち上がるとなんと僕をハグして頭を撫でてきた

 

「えっちょ!?」

「聞く限り、お母さん居ないんでしょ?私の事ママって呼んでいいわよ〜♪」

 

ど、どうすればいいんだろう…

生まれてこのかた、家族じゃない異性にハグされたのなんて初めてだ…

モアとはよくハグしたりされたりだけど、モアはもう家族だし…

僕があたふたしていると

 

「了子さん!朝倉くん、恥ずかしがってるじゃないですか!」

 

一番最初に助けた子が僕を解放してくれた

 

「あぁん、もぅ〜」

「ほら、こんなに顔真っ赤ですよ!」

 

僕は急いで鏡を覗く

うわっ、ほんとに真っ赤…いちごが写ってるのかと思った

了子さんは名残惜しそうにこちらを見ている

 

「あ、私は立花響、十五歳!九月の十三日生まれで、血液型はO型!身長は、こないだの測定では百五十七センチ!体重は…」

「大丈夫!大丈夫!もうわかったから!とりあえずよろしく、響」

 

僕は手を差し出した

響は嬉しそうに手を握り返してくる

 

「はい!朝倉さん!」

「リクでいいよ、呼びにくいでしょ?」

「わかりました!リクさん!」

「それで。あの人は?」

 

僕は青い髪の子を指し示す

 

「あ、あの人は」

「風鳴翼」

「…です!」

 

なんだろ、喧嘩でもしてるかのような雰囲気だ

 

「じゃあ次は俺たちだな」

 

僕はこの世界の事を知らされた

ノイズ、特異災害対策機動部2課、シンフォギア、聖遺物

何もかも知らないことだらけだった

そして、翼さんには相棒がいたこと

相棒は絶唱と呼ばれるものを使い、亡くなったこと

相棒が最期に命をかけて守ったのが響であること

そして、その方の使っていた聖遺物の欠片が…今の響の力となっている事を知った

 

「そう言えばリクくん、この世界での戸籍を用意しておいたぞ」

「え、本当ですか!?」

「ああ、家もお金もこちらで用意しよう、いずれは帰るだろうがそれまで不便だろうしな!」

 

良かった〜これは助かる…

 

「じゃあ明後日からは君もこの学校の生徒だ!」

「え…僕、20ですけど…?」

 

だが、作られてしまった以上どうにも出来ず、僕はリディアンの特別編入生になってしまった

 

 

 

【次の日】

 

 

 

 

「リクくーん、解析終わったわよ〜」

 

了子さんがジードライザーとカプセルを手に戻ってきた

 

「どうです?」

「確かに持ってるカプセルの内7本、それらはエネルギーが異常に少なくなってたわ…」

 

やっぱり…

この世界に来る時、僕を包んだ7本のカプセルはその力を消耗させていた

カプセルのウルトラマンの絵柄も、モノクロに色褪せている

 

「それと君が言っていたギガファイナライザーとやらだが…良く似たものがアメリカで発見されたらしい」

「ほんとですか!?」

 

弦十郎さんの声に僕は一安心した

 

ギガファイナライザー、僕がクシア星人のアイルさんから受け継いだ切り札

これを使うことで僕は、他の皆さんの力を借りることの無い、真のウルトラマンとなる

 

「だが…君の世界じゃ知らないが、この世界では聖遺物のようなものを武力にしようとする国が沢山ある…特にギガファイナライザーのように、ある意味完全聖遺物となると…偽物をつかませてくる可能性も高い…」

 

確かに…

 

「…でも大丈夫ですよ!ギガファイナライザーは兵器にはなりませんから!」

「どういう事だ?」

 

僕は緑色のカプセルをとりだす

 

「ギガファイナライザーはこのカプセルがないと起動しません、それにそもそも、使える人間も限られてるんです!」

「ウルトラマンのみか?」

「そういう訳じゃないんですよ」

「じゃあつまり?」

「それはですね…」

 

ウーッ!ウーッ!

 

警報が鳴り響く

弦十郎さんと了子さんはパソコンを睨む

 

「ノイズ出現!っ!怪獣も現れました!前回と同様の個体です!」

「倒せなかったのか?!」

 

僕は否定する

 

「いえ!実は1部の怪獣はベリアル融合獣といって、誰かが変身してる事があるんです!」

「つまり、その人物を倒さない限りは現れるわけか…」

 

僕はモニターのスカルゴモラを睨む

 

「僕も行きます!行かせてください!」

「ああ、怪獣は任せた。ノイズは彼女達に任せるんだ!」

 

僕は頷くと、ジードライザーを構える

 

さぁ…いこう

 

「ジーッとしてても、ドーにもならねぇ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




【次回予告】

〜♪【優勢 2】

僕は再び、スカルゴモラと相対する、あいつは一体何者なんだ
更に、響と翼さんの前に謎の女の子が姿を現す
そして、過去の不始末を拭う為に、翼さんが…!

次回、戦姫絶唱シンフォギア 響くぜ!絶唱!!
「夜にすれ違う、誓の絶唱」

「のぼせ上がるな人気者!」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第3話 夜にすれ違う、誓の絶唱

【〜♪優勢2】

 

僕は腰の右側にあるホルダーを開いてカプセルを構える

 

融合!

 

スイッチを入れるとシンプルな姿をしたウルトラマンが現れる

「シェアっ!」

 

それを確認し、カプセルを腰の左側の装填ナックルに填める

さらにホルダーからもう一本カプセルを取り出して構える

 

アイゴー!

 

それから現れたのは僕の父、ウルトラマンベリアル

「ヌェアッ!」

 

それも装填ナックルに填めると、ジードライザーのトリガーを入れる

 

HERE WE GO!

 

装填ナックルを外しジードライザーで読み込むと、心臓の鼓動のような音と共に、二重螺旋が青と紫を彩る

 

フュージョンライズ!

 

「決めるぜ!覚悟!」

 

僕はジードライザーを構えると再びトリガーを引いて叫ぶ

 

「ジィィーードッ!」

 

ウルトラマン!

ウルトラマン、ベリアル!

 

ウルトラマンジード!!

プリミティブ!!

 

 

僕の体は一瞬ウルトラマンのような姿を経由して、ジードとなる

 

僕は地上へ出るとそのままスカルゴモラの前に着地した

 

「やはり未だに信じられんな…」

 

弦十郎はモニターを見てボヤく

あの年端もいかなそうな少年が40メートル級の巨人となっている

 

「初めて戦うわけじゃないんだ、早く倒す!」

 

僕はファイティングポーズを取ると思い切りジャンプし、スカルゴモラの背中に飛び乗った

スカルゴモラは僕を振り落とそうと暴れるが、僕は角をがっしり捉えている為、体力を使うだけだ

 

「レッキングロアー!」

 

僕はスカルゴモラの耳(?)に超音波を発した

体が耐えきれなかったのか角が破裂するように砕けたのを確認し、僕はスカルゴモラの前へと降りる

 

「一気にトドメと行きたいけどその前に…」

 

僕は精神を集中し、フュージョンライズしてるのが誰かを確かめた

 

「くっそ〜…耳がいてぇ…なんなんだよアイツ!いきなり叫びやがって!」

 

女の子!?

そこに居たのは、響と歳が変わらなそうな白髪の女の子だった

僕が困惑しているとスカルゴモラは僕に熱線を繰り出した

 

まずい!

僕は円を描いてそれを構えてバリアを作り熱線を防いだ

しばらくしたあとバリアを解くとスカルゴモラの姿は跡形もなく消えていた

 

 

【数分後】

 

リクは考えていた

あの女の子の事を

伏井出ケイで無かったことは安心した

アイツが生きている事は

リクの仲間、鳥羽ライハの覚悟が無駄になることを意味していたから

 

だがそれはそれで謎が増えてしまった

何故彼女がライザーとカプセルを所持しているのか

何故ベリアルのいないこの世界で彼女がフュージョンライズ出来るのか

そして何より、何故彼女は戦っているのか

 

リクは考えながら明日の準備を進める

遂に明日はリディアン音楽院、特別編入生として2度目の高校生活を送ることになる

下手な事は出来ない、歌は得意か下手かと言われればまあまぁなのかな…

曲全然知らないけどね

 

 

 

 

【登校日】

 

「くはっ…全然ダメだ…」

 

リクは食堂のテーブルに突っ伏した

音楽はともかく、そもそもこの学校のレベルが高過ぎた

 

「難しいよね〜ここの授業」

 

リクが顔を上げると響ともう一人の女の子が前の席に座った

 

「響は授業に遅れるからでしょ〜、いっつも人助けで遅刻して」

「あっはは…」

「えっと確か…未来さん?」

「うん、小日向未来、未来でいいよ」

「わかった。よろしく、未来」

 

未来に微笑みかけると未来もそれを返す

 

「響から話は聞いたよ、お父さんもお母さんも亡くなっちゃうなんて…」

「えっ、ああ、うん…でも大丈夫だよ!」

 

僕はこの世界では、響の親戚の子で、ノイズに父と母を殺された子ということになった

そうすれば、動きやすいだろうという、弦十郎さんの提案だ

 

「そっか…女の子ばかりで大変かもしれないけど、私達には気軽に話しかけていいからね」

「そうそう!泥船に乗ったつもりで!」

「それ大船じゃないかな…?」

「「「…あはは!」」」

 

3人の笑い声が響く

懐かしさと新鮮味、両方を味わっていた

 

 

【放課後】

 

僕は特異災害対策機動部二課の本部に居た

響達にノイズが現れたと召集がかかったのだ

僕は怪獣の専門なので待機しているというわけだ

 

「響…約束、叶えてあげてよ?」

 

僕は聞いてしまった

響と未来の約束を

 

一緒に流れ星を見に行くという約束を

 

そんな囁かな願いも、この世界の災厄によって壊される

皆のためにそんな願いを、平和を、日常を、守るのが僕達ウルトラマンの使命

だけど、この世界の災厄はウルトラマンの攻撃も通さない

彼女達しかいない

 

僕はそれが歯がゆかった

 

しばらく俯いていると響の声が二課に響く

 

「私だって守りたいものがあるんです!…だから…!」

 

モニターを見ると響は翼さんに向けて叫んでいた

だけど、翼さんは振り返ることはしない

なんで…翼さんはあそこまで…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その時だった

 

「―――だから?んでどうすんだよ?」

 

どこからとも無く声がする

モニターが声の主を捉えた時、僕は既視感を感じた

 

「あの子…どこかで…」

 

僕は必死に記憶を探り、辿り着いてしまった

スカルゴモラにフュージョンライズしていた子だ

 

「あの子かっ…!!」

「どうしたリクくん!?」

「あの子が…あの女の子が怪獣に変身してたんです!」

「なんだとぉっ!?」

 

「・・・『ネフシュタンの鎧』・・・・」

 

翼さんが悔しそうに唇を噛み締めている

ネフュシュタンの鎧…確か二年前に翼さんが相棒だった奏さんと起動させようとした聖遺物…

 

「へえ、って事はあんた。この鎧の出自を知ってんだ?」

 

他のギアと違う、白い全身スーツを着込んだ女の子は鞭を弄りながら聞く

 

「二年前・・・私の不始末で奪われた物を忘れるものか。何より、私の不手際で失われた命を忘れるものか!」

 

忘れるはずがないだろう

自分を信じてくれた人を失う悲しさ、僕にも経験があるから

 

ただ翼さんと僕の違い、それは前に進んだかそれを引きずったままか

 

今の翼さんは危ない

本能的にそう感じた

 

すると響は翼さんに抱きついた

 

「やめてください!相手は人です!同じ人間です!」

 

響の主張が突き刺さる

そうだ、相手が伏井出ケイのような凶悪な宇宙人ならともかく、彼女は人間だと、僕の中の何かが叫ぶ

 

「「戦場で何を馬鹿なことを!」」

 

翼さんと女の子の声がハモる

二人共、本質が一緒なのかもしれない

 

「寧ろあなたと気が合いそうね」

「だったら仲良くじゃれ合うかい?」

 

彼女は薄紅色に光る茨を振るう

翼さんは響を振り払い、空へ飛び上がった

 

翼さんはすぐさま上空から少女に斬りかかる

だが、最初の振り下ろしは避けられる

続く数撃すらも最小限の動きで躱し、大きく踏み込んだ薙ぎ払いを刃の鞭で受け止める

そして、その大剣を弾かれ、追撃の鞭の薙ぎ払いを躱したと思い気や、その腹に深い蹴りを貰う

 

「翼さんがここまで押されるなんて…」

 

蹴り飛ばされて、地面に倒れる翼さん

 

「これが完全聖遺物か・・・!」

「ネフシュタンの力だと思わないでくれよな」

「翼さん!」

 

響が慌てて駆け寄っていく

 

「お呼びじゃないんだよ。こいつらとでも遊んでな」

 

そこで少女は杖を取り出して、中心の宝石部分から光の弾丸を放出する。

その光が地面に着弾すると、そこからいきなりノイズが現れる。

 

「あれはっ!?」

「ノイズが…操られてる!?」

 

まるでダチョウのようなノイズ。

そのノイズの視線が、響たちに向く。

 

「ついでにおまけだ!」

 

遂に彼女は取りだした

 

()()()()

 

「あれはっ!?」

「ジードライザー!?」

 

翼さんと響の驚きの声が上がる

彼女は僕の使うものと似通った黒いカプセルを起動して、ナックラーにセットし、読み込んで空に掲げた

 

「ダークロプスゼロ!!」

 

光が照射されるとそこに、僕の仲間 ウルトラマンゼロによく似たオレンジ色の単眼ロボットが現れる

 

「えっ、わぁあー!?」

 

その様子に目を奪われていた響はノイズの粘着性の液体に囚われてしまう

ダークロプスゼロはそんな響をなんとカラータイマー部に取り込んでしまった

 

「何!?うわっ!!?」

 

翼さんはネフュシュタンの女の子の不意打ちに吹き飛ばされ顔を押さえつけられる

 

「のぼせ上がるな人気者!誰も彼もがお前に構ってくれると思うな!」

「君もね!!」

「!?ぐあッ!」

 

ネフュシュタンの女の子は突然翼の上から吹き飛ばされた

翼が顔を上げるとそこには青い鉤爪のようなものを持ったリクが居た

 

「貴方…!」

「遅くなってごめん、響は僕が助ける…!あ、それと」

 

駆け出そうとしたリクは翼に向き直す

 

「貴方はひとりじゃない。響、特異災害2課の皆さん、それに僕がここにいます」

 

翼はハッとした顔を見せる

 

「ジーッとしてても、ドーにもならねぇ!」

 

僕はジードライザーを構える

プリミティブへフュージョンライズするとダークロプスゼロに向き合う

かつてはソリッドバーニングにならないと勝てなかった相手…

 

「でも、僕だってあの時のままじゃない!今の自分を飛び越える!ジードクロォォーーー!!」

 

【〜♪優勢 1】

 

右手を頭上に掲げる

光が収束してさっき使った鉤爪が現れる

響はカラータイマーの所だ

ならそこを狙う!

ファイティングポーズを取ると一気に飛び上がり動作に入る

トリガーを引いて赤いスイッチを押し込む

刃が赤く発光していく、それを見計らいダークロプスゼロに突き刺す

鉤爪の間にカラータイマーが来た、あとは抉りとるだけ

 

「クローカッティング!!」

 

刃がタイマーを抉り出すようにグルグル回転する

一気に引っ張るとカラータイマーが挟まっている

その中では若干目を回している響が見えた

後で謝っとこ…タイマーをそっと地に置くとダークロプスゼロが羽交い締めにしてきた

こいつまだ動くのか!

僕は逆にダークロプスゼロを投げ飛ばし、構え直した

僕は一度ジードライザーでジードクローを読み取る

 

「シフトイントゥマキシマム!」

 

鉤爪の間にある突起を押し込むと爪が開く

3回トリガーを引いて赤いスイッチを押し込む

空間もゆがめるエネルギーが溜まっていき、それを一気に解放した

 

「ディフュージョンシャワー!」

 

空に光の雲のようなものができると、緑色の雨のような光線が幾つもマダラにダークロプスゼロ目掛けて降っていく

 

堪らず、ダークロプスゼロは爆発した

よし…これであとは彼女だ、だが彼女は苦悶の表情を浮かべている

 

よく見ると彼女の影にナイフ、影縫いだ

なるほど、これで動きが…

 

「Gatrandis babel ziggurat edenal Emustolronzen fine el baral zizzl…」

 

すごく綺麗な歌が響く

なんだろ、今までとまるで毛色が違う

 

「Gatrandis babel ziggurat edenal…」

 

僕が聞き惚れていると弦十郎さんの声が響く

 

「リク君!そこから離れるんだ!」

「えっ?」

「翼は絶唱を歌っている!」

「なんだって!?」

 

気づいた時には遅かった

 

「Emustolronzen fine el zizzl…」

 

翼さんの絶唱が終わった

 

「翼さぁぁぁぁん!」

 

僕は気付くと無我夢中で走っていた

翼さんは僕に気付くと微笑みかけた

口から血を零しながら放った言葉は

 

「あなたのおかげ…」

 

直後僕達は衝撃に飲まれた

僕はあまりの衝撃にフュージョンライズが強制解除されながら落下してしまう

響はカラータイマーが盾になり無傷だった

 

翼さんが絶唱を行った場所を中心に地面が本来の地肌をあらわにしている

 

そこに駆け寄っていく響

 

「翼さん!翼さん、キャッ!」

 

足がもつれ響が転ぶ

車が走り込み、弦十郎さんと了子さんが降りてくる

 

「無事か!翼!」

 

翼さんがこちらに振り向く

その姿は人生で一度とて見ることない程、痛々しかった

目や口、色んな所から今も血が吹き出している

 

「…私とて…人類守護の務めを果たす…防人…この程度で折れる剣じゃありません…」

 

とても掠れて、今にも意識を無くしそうな感じだった

翼さんはゆっくり視線を僕に向ける

 

「しばらく…任せたわ」

 

唇を動かしてそれを伝えると、力なく翼さんが倒れた

 

 

 

「翼さぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああん!!!」

 

響の絶叫が響き渡った

 

 

 




【次回予告】
【〜♪優勢2】
翼さんが倒れた
彼女はやるべきことを行ったんだ、その全力を出して
響、意気消沈してる暇は無いよ、僕達は前に進まないといけないんだ
そんな僕達を嘲笑うように、ネフュシュタンの女の子やダークロプスゼロ達が立ちはだかる
苦戦する僕達だったけど、響のとある言葉で赤い灼熱の武人が蘇る!

次回、戦姫絶唱シンフォギア 響くぜ!絶唱!!

「僕が僕であり、君は君である」

燃やすぜ!勇気!!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第4話 僕は僕であり、君は君である

「かろうじて一命は取り留めました。ですが、容態が安定するまでは絶対安静。予断の許されない状況です」

「よろしくお願いします」

引き連れた部下ともども、弦十郎は医師に頭を下げる。

「俺たちは、鎧の行方を追跡する。どんな手掛かりも見落とすな!」

そしてすぐさま行動に移る

その場で立ち止まっていては、何もできないから

 

リディアンのすぐ隣にある、総合病院

そこに、絶唱を使って大幅なダメージを負った翼は搬送されていた

 

僕と響は病院の休憩所で座っていた

 

「あなた方が気を病むことはありませんよ、翼さんが自ら望み、歌ったのですから」

 

小川さんが珈琲を3つ買いながら話しかけてくる

内、2つを僕らの前に置いた

 

「ご存知と思いますが、以前、翼さんはアーティストユニットを組んでいまして」

「ツヴァイウィング…ですよね…」

「ええ、その時のパートナーが、天羽奏さん、今は貴方の胸に残る、ガングニールのシンフォギア装者でした

ですが奏さんは殉職、ツヴァイウィングも解散

そうして一人となった翼さんは、奏さんがいなくなった事で出来た穴を埋めるため、我武者羅に戦ってきました…

一人の少女が当たり前に経験する恋愛や遊びなど一切やらず、ただ敵を斬る剣として…自分を殺して、奏さんを奪ったノイズを倒すために…」

 

残酷な話だ、だがだからこそ、響を戦わせようとも、認めようともしなかったのかもしれない

 

「そして今日、剣としての使命を果たすため、翼さんは死ぬ事すら覚悟して絶唱を使いました、不器用ですよね。でもそれが、風鳴翼の生き方なんです」

「そんなの…酷すぎます…」

 

響が涙ながらに話す

 

「そして私は…翼さんの事…何にも知らずに…一緒に戦いたいだなんて…奏さんの代わりになるだなんて…!」

 

響の涙が止まらない

今までの事を後悔してのことだろう

 

「…後悔することは出来るよ、でも大事なのは、後悔しないために今何をするかじゃないかな」

「へ…?」

「僕はベリアルの息子、更には、ベリアルの駒として、ヒーローに仕立て上げられた、そのせいもあって僕とベリアルを同一視する人も沢山いた…けど、僕は僕でベリアルはベリアル、同じようでも違う、奏さんと響みたいにね」

「そっか…私の中にガングニールがあるだけで、私は奏さんじゃない…」

「僕が僕であるように、君も君なんだよ…」

 

「僕も同じ考えです、響さんに、奏さんの代わりになってくれとは思いません、ただ一つ、2人にお願いがあります」

 

響とリクは身構える

 

「翼さんの事、嫌いにならないでください、翼さんを、世界にひとりぼっちにしないであげてください」

 

2人は強く頷き返した

 

 

 

 

落ちるー落ちるーー落ちていくーーー

 

どこまでも落ちていき、海に落ちる

まるでイカロスのように……

 

 

薄れゆく意識の中、忘れたことの無い姿が側を通り過ぎる

翼は必死に呼びかけた

 

片翼だけでも飛んで見せる!どこまでも飛んで見せる!

 

 

だから笑ってよ、奏…!

 

彼女は哀しい目でこちらを見るだけだった

 

 

 

どうして、どうして笑ってくれないの、奏…

 

 

 

まだ落ちていく…視界が無くなるほどに…

 

いや、いや…!まだ、まだ飛んでない…私は、まだ…

 

 

いくらもがいても進めない…

 

 

 

怖い…

 

 

 

 

 

誰か…助けて…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前の声…聞こえたぜっ…!」

 

直後、青白い光が私を包み込んだ

 

ジード…?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翼が目を開けるがまだ目の前は暗い

目にかかっているものを外すとすごく眩しくて目が眩んだ

 

「先生!翼さん!意識戻りました!」

「何!?予想より3日も早いぞ!?」

 

周りが慌ただしい

私は…生きてるのか…

 

その手に何かを握っていた

それを確認すると頭は疑問符でいっぱいになった

 

「…メガネ…?」

 

 

《数日後》

 

響は未来からの励ましを受け、今自分が出来ることとして、弦十郎さんの特訓を受けメキメキと強くなった

 

そんな矢先、広木防衛大臣が殺害され、上層部の命令により2課で保管されていた“デュランダル”という完全聖遺物を輸送することになってしまった

 

 

当日、前後左右に護衛車がついていき、その上から弦十郎とリクの乗るヘリが上空から異変がないかを探している

響も窓から顔を出して周囲を探る

 

やがて、車両群が長い橋に入った。

ふと、響が前を向くと…

 

道路が崩れていた

 

「危ない!」

「了子さん!前!」

 

幸いハンドルを切れば避けられる

だが1台は回避が間に合わず落下し、柱に激突して爆発してしまう

 

「敵襲だ、確認はできていないが恐らくノイズだろう」

「この展開、予想より早いかも!」

 

大人の2人はさすがだ、冷静に対処している

 

次の瞬間、マンホールが吹き飛び、響たちの乗る車両のすぐ後ろの車両が空高くぶっ飛ぶ。

 

「ひぃっ!?」

 

その様子に響は思わず悲鳴を上げる。

 

「下水道だ!ノイズは下水道を通って攻撃してきている!」

 

そうか、確かにそれなら気づかれずにこちらに攻撃ができる

 

「弦十郎君、ちょっとやばいんじゃない?この先の薬品工場で爆発でも起きたらデュランダルは…」

「分かっている!さっきから護衛車を的確に狙い撃ちしてくるのは、ノイズがデュランダルを損壊させないよう、制御されているように見える!だが狙いがデュランダルの確保なら、あえて危険な地域に滑り込み、攻め手を封じるって寸断だ!」

「勝算は!」

「思いつきを数字で語れるものかよ!」

 

了子さんと響さんの乗る車は薬品工場へ入った

護衛者最後の1台への攻撃を機にその動きが止まる

 

「狙い通りです!」

 

だが嫌な音が響く

 

「ダークロプスゼロ!!」

 

刹那、響達の乗る車から少し離れた位置にダークロプスゼロが出現した

その衝撃で何かに乗り上げたのか車が横転してしまう

 

「イタタタってうわぁぁぁぁぁ!!」

 

ダークロプスゼロが手を伸ばしてきた

こう見ると凄く怖い!

だが…

 

「ジーッとしてても、ドーにもならねぇ!」

 

リクはヘリから飛び降りながらフュージョンライズを行い、ダークロプスゼロを吹き飛ばし距離をとる

 

「あ、あの!ノイズが・・・!」

 

気付けば、周囲を大量のノイズに囲まれていた

しかもその数は増えている

 

「了子さん・・・これ、重い・・・!」

 

響はデュランダルの入ったかばんを持とうとするが全く動かなかった

 

「だったら、いっそここに置いて私たちは逃げましょ?」

「そんなのダメです!」

「そりゃそうよね・・・」

 

次の瞬間、ノイズが一斉に響たちに襲い掛かってくる

 

だが、突如として、了子がノイズの前に出て、右手を掲げた。

その手に何かしらのバリアが張られ、ノイズがそれに触れた途端、一瞬にして炭素の塊と化していく

 

「了子さん…?」

「しょうがないわね…貴方のやりたいことを、やりたいようにやりなさい」

 

響は立ち上がる

 

「はい、私、歌います!」

 

 

 

 

Balwisyall Nescell gungnir tron…

 

 

 

 

 

歌が名前の通り響きわたり響は鎧を纏う

 

 

「よし、見せてやれ響!君の力を!」

 

ジードもダークロプスゼロを見据える

 

「…くくっ、一体と思ったら大間違いさ!」

 

隠れていたネフュシュタンの女の子はライザーでなんと4回追加リードをおこなった

つまりダークロプスゼロは…計5体

 

「クソっ!これじゃ技を放つ隙がない!」

 

ジードクローは強力なアイテムだ

相手が硬い敵だったり、攻撃力が落ちるアクロスマッシャーの力を補える

だけど技の発動に時間がかかり、複数相手だと隙を作ってしまう

 

僕は防戦一方になってしまった

技を出そうとすると別のダークロプスゼロに邪魔をされてしまう

 

 

 

ネフュシュタンの女の子はデュランダルの元へ歩いていくがその前に響が立ちふさがる

 

「それを貰おうか」

「ダメ!」

「なんだ。あたしと殺り合おうってのか? 戦うことを怖がってるお前が出来るとは思えねぇけどな」

「リクくんが一緒に戦ってる限り…私も戦う!」

「あいつか?アイツはもう時間の問題だよ…すぐに倒れちまう」

「そんな事ないッ!」

 

響の目は真っ直ぐネフュシュタンの女の子を捕える

 

「私は考えることから逃げてた!ただ力を持ったから戦う!それだけだった!でも。翼さんや緒川さん、師匠に会って…何よりリクくんに出会って分かった、戦うことは、宿命から逃げないこと、諦めないこと、そして、守る事だって!

 

だから私は…

 

 

私は…

 

 

 

 

 

 

 

 

皆の日常を守るために…

 

 

()()()()()!!」

 

その時だった

響の体が赤く光ると、2つの球体が響から飛び出し、ジードに向かって飛んで行った

そしてジードのカラータイマーに吸い込まれていくとカプセルホルダーへ収束した

 

「もしかして!」

 

リクは2本のカプセルを取り出す

そこには力を取り戻したセブンとレオのカプセル

だったらやることは1つ

 

「ジーっとしてても、ドーにもならねぇ!」

 

 

 

 

【〜♪優勢2】

 

 

融合!

 

スイッチを入れるとウルトラマンに継いで地球を守ったゼロの父親、ウルトラセブンが現れる

「ナーっ!」

 

それを確認し、カプセルを腰の左側の装填ナックルに填める

 

アイゴー!

 

それから現れたのはウルトラセブンの弟子でゼロの師匠、ウルトラマンレオ

「ディヤーッ!」

 

それも装填ナックルに填めると、ジードライザーのトリガーを入れる

 

HERE WE GO!

 

装填ナックルを外しジードライザーで読み込むと、心臓の鼓動のような音と共に、二重螺旋が水色と赤を彩る

 

フュージョンライズ!

 

「燃やすぜ!勇気!!」

 

僕はジードライザーを構えると再びトリガーを引いて叫ぶ

 

「ジィィーードッ!」

 

ウルトラ、セブン! 

ウルトラマン、レオ!

 

ウルトラマンジード!! 

ソリッドバーニング!!

 

 

実はこれ、第3者から見ると僕が突然燃え上がっているので皆が困惑しているだろう

だがその声は、驚嘆と感嘆の声に変わる

 

【〜♪ウルトラマンジード ソリッドバーニング】

 

焔を吹き飛ばし、現れたのはまるでロボットのような真紅のボディに切り替わったジードだ

体のあちこちから蒸気が吹き出る

 

「ジードがロボットになったぁ!?」

「おおっ!漢のロマンの塊だな!」

「まだあんな隠し玉が!」

 

ダークロプスゼロが一体こちらに向かってくる

僕はそれを突き返して拳を構えると肘からのブーストで勢いを増したパンチを繰り出す

その拳はダークロプスゼロを突き破り爆破させる

 

「ロケットパンチか!!」

 

弦十郎さんの舞い上がる声が聞こえる、好きだと思ってました

 

一体のダークロプスゼロが胸のアーマーを開いてキャノン砲を準備する

僕も相対するように胸の砲台を開いて構える

 

「ソーラーブースト!」

 

胸の4つの砲門からエネルギーが放たれ、ダークロプスゼロのビームを押し返し爆散させる

 

あと3体…

 

 

「アイツ…戦い方が変わった!?」

 

遺伝子に刻まれているのだろうか、プリミティブの時は獣のように荒々しいがソリッドバーニングになると、急に格闘技の達人のように戦う

 

「あなたの相手は私だよ!」

 

響がネフュシュタンの女の子と戦ってる間にジードは距離をとる

ダークロプスゼロの一体は頭の刀を外し向かってくる

僕も頭のジードスラッガーを構え突き進む

 

その戦いはさながら宮本武蔵VS佐々木小次郎

だが眼前の武蔵には心がない

ジード、魂の一閃がダークロプスゼロを破壊する

 

刹那、僕は別の一体により投函されたスラッガーを間一髪交わした

体勢を整えて僕もスラッガーをブーメランのように投げる

 

「サイキックスラッガァー!」

 

ウルトラ念力で上手くスラッガーを弾きながらダークロプスゼロに向かって行く

ダークロプスゼロはスラッガーを再び手に持つが僕はそれを走りながら肘に嵌め飛び上がる

 

「ブーストスラッガー、パァンチ!」

 

ジェットによる加速で思いっきりダークロプスゼロを斬り裂いた

 

最後の一体が僕に格闘戦を挑みに来る

左に右と振りかぶられるパンチを受止め、首に手刀を叩き込み肩を掴む

ダークロプスゼロは顔から放つビームで牽制するが空中で姿勢制御を行いながらゆっくり着地し僕はトドメの準備に入った

 

腕のパーツを開いてエネルギーを貯めながらそれを構える

そしてそれを正拳突きの挙動で解き放つ!

 

ストライク!ブゥーストォー!!

 

腕から緑色で炎を纏った光線が放たれそれをくらいダークロプスゼロ軍団は壊滅した

 

「凄いな彼は…」

 

弦十郎が興奮しているところでは未知の現象が起きていた

 

響の歌でデュランダルが起動、空中に現れ静止したのだ

それをネフュシュタンの女の子と響が取ろうと戦い、その末、響がデュランダルを掴んだ

 

然し、喜んだのもつかの間

響の中を何かが駈けめぐる

 

「うぅっ!…うっううウウゥゥゥゥ…!」

 

デュランダルは剣から大剣へと変わり、響の姿も何処か黒くなっていく

 

「そんな力を見せびらかすな!!」

 

ネフュシュタンの女の子はノイズを出現させるがそれはアウトだった

まるで獲物を見つけたような目をした響の圧に、ネフュシュタンの女の子は悲鳴をあげる

 

「ひっ…!?」

 

そして響はその子諸共ノイズを消滅させようと、デュランダルを振り下ろした

 

終わった…

女の子がそう思った時だった

 

「サイキックスラッガー!!」

 

その子に当たる寸前、デュランダルをジードスラッガーが抑えた

呆然とする彼女のすぐ横に大きな手が添えられる

 

「乗って!もう…もたない!!」

 

女の子が手に乗り込むとジードは一気に距離をとった

 

そしてその力は薬品工場を半壊させるのだった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




【次回予告】
【〜♪優勢2】
響が放ったデュランダルの力、それも気にはなるけど、そろそろ翼さんのお見舞いも必要だよね…って何これ!?
そんなさなか再び、怪獣とネフュシュタンの女の子が現れる
この怪獣…なんかめちゃくちゃ素早い!今こそあの力が必要だ
次回、戦姫絶唱シンフォギア 響くぜ!絶唱!!

「撃ちてし止まむ運命を越えていけ」

魅せるぜ!衝撃!!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第5話 撃ちてし止まむ運命を越えていけ

作者「INFINITE・Be The One、執筆遅くなり申し訳ない、書くことは決まってますがなかなか筆が乗りません…なので暫くはこちらに専念する事になると思います、よかったら感想書いてくれれば励みと気力になりますのでよろしくお願いします」


 

リクは先程助けた女の子を探していた

 

「名前もわからないんじゃどうしようもないよなぁ…」

 

ソリッドバーニングのフュージョンライズが解除され、直後にネフュシュタンの女の子は走って逃げてしまったのだ

その最中、リクは響が破壊した跡を見る

工場は砕け、連続して起こった爆発により地は整地前のものになった

力はある筈のソリッドバーニングですら抑えるのが難しいあの力

 

「ウルティメイトファイナルでも無い限り…無理なのかな」

 

だがリクはそれより、あの力を響に使わせないことを選んだ

 

それは響が…沖縄の、怒りに身を任せた自分に似てたから

 

 

 

完全聖遺物の起動には、相応のフォニックゲインが必要になる

ソロモンの杖の起動にネフュシュタンの女の子が半年かかったのに対し、響はほんの一瞬で起動してみせた

それだけに留まらず、その力をいとも容易く解き放って見せた

まだシンフォギアに目覚めて数日の人間が、あんなにも容易く…

その事実が、ネフュシュタンの女の子、雪音クリスに突き付けられた

「化け物め・・・!」

歯を食いしばり、クリスはそう呟く

それに化け物といえば

ことごとく自分が変身した怪獣を打ち倒し

召喚した頑丈なロボを武器で破壊

数を増やせば響から現れた力で姿と戦い方まで変えやがったあの戦士

 

ウルトラマンジード

 

何よりいけ好かないのは自分に力を与えたアイツに似た種族ということ

 

「全く何を手こずっているのかな」

 

鈍い音と共にそいつが現れた

えげつない爪のついた手であたしの顎に触れる

 

「アイツなんなんだよ!あたしの力でも勝てるんじゃなかったのかよ!」

「ふふ、君の願いよりも強い思いで戦っているんだろうね、いや、君の願いが弱いんじゃないかなぁ?」

「なんだと…巫山戯るな!」

「はっは、そうだ、君は力で、他の力を持つものを踏み潰すんだろう…?」

「あぁそうだ、あたし一人でも…やってやるんだよ!それがあたしに課せられた!」

「ハイハイ結構、じゃあ力をあげようか…」

 

ソイツは円形のクリスタルのようなものをあたしに見せて、それを握ってカプセルに変換した

まるで獣のような怪獣が載っている

 

「じゃ、せいぜい頑張って。」

 

ソイツは手を振りながら虚空に消えた

いけ好かないが、シンフォギアですら適わないあの力は絶大だ

手放す気は無い

が、どうせシンフォギアに潰されるくらいならとソロモンの杖を後ろにいた雇い主、否飼い主に投げ渡す

 

「こんなモンが無くてもあんたに言われたことぐらいやってやらァ!」

 

それを女性は受け取り、その女性にクリスは言い放つ

 

「アイツよりも、アタシの方が優秀だって事を見せてやる!アタシ以外に力を持つ奴は、全部この手でブチのめしてくれる!」

 

シンフォギア奏者も、ウルトラマンジードの野郎も全て、この手で叩き潰す

 

「それが、アタシの目的だからな…!」

 

全ては、この世から争いをなくすため

 

 

 

 

 

 

 

 

「翼さんのお見舞い?」

 

リクが素っ頓狂な声で聞き返す

 

 

「普段は緒川が言っているのだが、今緒川はある任務に行っていてな。響君もと言っていたから、二人で行ってきてくれないか?」

「わかりました、良いですよ」

 

そして当日

 

「すいませーん!遅れましたぁー!」

 

リクの待つ病院の玄関前に響が走ってくる

 

「ううん、全然大丈夫だよ、じゃ行こっか」

「は、はい!」

 

2人は翼の病室を目指す

 

「響、その花って…」

「あ、お見舞いの花です!綺麗なカーネーションでしょ!」

「カーネーションか…」

 

リクはペガのことを思い出す

ペガッサ星人のペガ、リクの大親友

よく内職でカーネーションの造花を作っていた

 

「リクくんは?」

「あ、何がいいかなって思ったけど、とりあえずリンゴとみかんを…」

「なんか算数の問題みたいだね…」

「…やっぱり?」

 

そんなこんなでお部屋の前に到着した2人は扉を開けた

 

「…!?」

「これはっ!?」

 

その部屋を見た響は鞄を落とし、リクは目を見開く

 

「何をしているの?」

 

リクと響が向いた先には翼が立っていた

まず響が駆け寄る

 

「翼さん!大丈夫ですか!?何もされていませんか!?」

「ちょっ、いきなりなんの話よ!?」

「良かった、良かったぁぁぁぁぁ!!」

 

響は翼に抱きついて泣き出す

 

「どういう事なの、説明して!?」

 

翼はリクが苦笑いしながら部屋を指さしたのを見た

 

うん、散らかっているのだ

それもただ整頓されてないのではない、パッと見ゴミ屋敷なのかと思うくらいに凄惨な状況なのだ

響はともかくリクにそれを見られた翼は顔を紅くし叫んだ

 

「見ないでぇぇぇぇぇぇ!」

 

 

 

 

 

数分後

 

「もう、そんなのいいから…」

 

響とリクは翼の部屋を片付けていた

 

「私達、緒川さんから頼まれたんです、だから、お片付けさせてくださいね」

「にしても意外ですね、翼さんが片付け出来ないなんて」

「ぐっ、そうね…私は戦うこと以外知らないのよ」

 

ストレート過ぎるリクの言葉が翼に刺さる

 

「はい、終わっ…てない!」

 

響がリクに任せていた所を見て声を荒らげる

 

「ギクッ」

「リクくんこっち任せたじゃんか〜…もう!」

 

そうやって響はリクに任せていた範囲にあるブラジャーを集めていく

リクが不服そうにすると翼が庇った

 

「あまり怒らないで立花、配慮してくれたのよね、ありがとう」

「い、いえ」

「はい!今度こそ終わりました!」

「すまないわね、普段は緒川さんにしてもらっているのだけど…そう言えばこんな状態だけど、報告書は読ませてもらっているわ、私が抜けた分をあなた達が埋めてくれてることも知ってる」

 

響が慌てて否定する

 

「わ、私なんてそんな事ありません!2課やリクくんに助けられてばかりで…」

「そんなことないよ、響は強くなった、もっと自信もって?」

「でもだからこそ聞きたいこともある、あなたの戦う理由は何?どうしてあなたはそれがしたいのか?」

 

響は少し考え口に出す

 

「皆の日常を守りたいんです、どうしてって言われると迷っちゃうんですけど…人助けしか私の取り柄ってないし…」

「どうして響は人助けがしたいの?」

「…きっかけは…やっぱり2年前のあの事件かもしれません、奏さんが命を燃やしたあのライブ… それに奏さんだけじゃありません、あの日、沢山の人がそこで亡くなりました…でも、私は生き残って、今日も笑って、ご飯を食べたりしています、だからせめて、誰かの役に立ちたいんです、明日もまた笑ったり、ご飯食べたりしたいから、人助けをしたいんです」

 

自分や他の人の日常を守りたい、囁かだけど大きく大切な思い

 

「貴方らしいポジティブな考えね、だけど、その想いは前向きな自殺衝動なのかもしれない、誰かの為に自分を犠牲にすることで、古傷の痛みから救われたいという、自己断罪の現れなのかも」

 

響は自殺衝動と言われキョロキョロしている

 

「わ、私変なこと言いました?」

「そういう意味じゃないよ」

 

3人は屋上に居た

風に当たるために

 

「変かどうかは私が決めることじゃないわ、自分で考え、自分で決める事ね」

 

響は歯痒そうに話し出す

 

「考えても考えても、分からない事だらけなんです」

「分からない事、ね…」

「デュランダルに触れて、暗闇に呑まれ掛けました、気が付いたら、人に向かってあの力を…私がアームドギアを上手く使えていたら、あんな事にもならずに…」

「力の使い方を知るという事は、即ち戦士になるという事」

 

翼が、即座に答える

 

「戦士?」

「僕みたいに、戦う運命から逃げられなくなるってこと」

「貴方に、その覚悟はあるのかしら?」

 

その問いかけに、響は、答えた

 

「…守りたいものがあるんです、なんでもない、ただの日常、そんな日常を大切にしたいと、強く思っているんです、だけど、思うばっかりで、空回りして……」

「戦いの中、貴方が思っている事は?」

「ノイズに襲われている人がいるなら、一秒でも早く救い出したいです、最速で、最短で、真っ直ぐに、一直線に駆け付けたい!そして…」

 

響の脳裏に、あの女の子の事が思い浮かぶ

 

あの日襲ってきた、白鎧の少女

「もし相手が、ノイズではなく、誰かなら…」

ノイズではなく、言葉の通じる相手なら、彼女は

「『どうしても戦わなくちゃいけないのか』っていう胸の疑問を、私の想いを、届けたいと思います」

 

それが、響の戦う理由、彼女自身の新たな答え

 

その答えを、翼は尊重する

 

「今貴方の胸にあるものを、出来るだけ強くはっきりと思い浮かべなさい。それが貴方の戦う力、立花響のアームドギアに他ならないわ、そして、いざと言う時はみんなを頼りなさい」

「皆を…?」

「私があの時絶唱を使ったのはあなたに防人としての覚悟を見せるため、でも使えたのは、私が倒れてもあなたや朝倉、2課の皆が居ることをちゃんと認識したから」

 

あの時翼は『あなたのおかげ』と呟いた

リクのお陰で限界を振り絞れる準備は出来ている事を認識したのだ

私が倒れても皆がいる、だから今の最善を尽くし戦う

その土台は既に出来ていたのだ

 

「…はい!私、頑張ります!」

 

響の元気な声が響いた…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とある場所にて

クリスはライザーを構える

 

「んじゃ、早速暴れさせてやろうかい!」

 

先程貰ったカプセルを起動し怪獣を呼び出す

 

 

 

 

 

 

 

 

“ホロボロス!!”

 

 

 

 

 

 

 

 

現れたのは青いボディに白い毛、オレンジのつめの目立つホロボロスだった

怪獣の出現を受け、リクは病院から怪獣を見据える

 

「僕がここから引き離します!」

「頼んだわ!」

 

翼は病院内へと戻っていく

 

「ジーッとしてても、ドーにもならねぇ!」

 

 

ウルトラマンジード!!

プリミティブ!!!

 

ジードは現れるとホロボロスに向かってファイティングポーズを取る

ホロボロスもジードに気付いて警戒する

ジードはジャンプニーキックを繰り出すが当たる直前その姿がどこかへ消え去る

 

「えっ?何処だ?」

 

先程からビルの合間を走り抜ける影と音がする

そう、動きが素早い怪獣だった

すれ違いに大きな爪でジードを切り飛ばした

スピードが早くてもパワータイプ、ジードは遠くへ吹き飛ばされてしまった

 

「くぅっ…こんな時アクロスマッシャーがあれば…!」

 

 

一方その頃、そこでは、雪音クリスと立花響が対峙していた

先程、クリスの吹き飛ばした車から未来を守るため詠唱し、困惑する未来を置いてきてしまったことを悔やみつつ響は話す

 

「私たちは、ノイズと違って言葉が通じるんだから、ちゃんと話し合いたい!」

「なんて悠長!この後に及んで!」

 

クリスは光の茨を振るうが響はなんとそれを躱した

何度振ってもそれは響にかすりもしない

 

『何が変わった…覚悟か!?』

「話し合おうよ!だって、言葉が通じていれば人間は…」

「うるせえ!」

 

クリスが叫ぶ

 

「分かりあえるものかよ人間が、そんな風に出来ているものか!」

 

響の言葉を真っ向から否定して、クリスは叫び続ける

 

「気に入らねえ気に入らねえ気に入らねえ気に入らねえ!わかっちゃいねえことをべらべらと口にするお前がぁぁああ!!!」」

 

「分かり合えるよ!」

 

「!?」

 

突如響く男の声、誰かと思ったが一人しかいない

クリスはジードの方を向く

 

「例え言葉が通じなくても!例え考え方が真逆でも!心からぶつかって、相手を信じて互いを赦しあえば!きっと分かり合える!」

 

かつて、父親と分かり合おうとし、父親を赦し、決着をつけたジード、リクだからこそ

それを信じたい、一瞬心を開きかけた父親のようにクリスを信じているのだ

 

「ふざけんなよ…何が赦しあうだ!そんならテメェから潰してやらぁ!アタシの全てを使ってでも、お前の全てを踏みにじってやる!」

 

刹那、ホロボロスに電撃が走り抜け、獣のような体勢から獣人のように立ち上がった

ジードが様子見をしている一瞬の隙を狙った、スピードはそのままにジードに駆け寄ると首を締め付け持ち上げる

 

「グァァッ!?」

「リクくん!このっ…ぐぅッ!」

 

ジードの苦しそうな声を聞き響はアームドギアを出そうとするがエネルギーは弾けてしまう

 

「もってけダブルだぁ!」

 

その間もクリスは光球をぶつけてジードに対して攻撃を続ける

 

『やっぱりダメだ、翼さんみたいにアームドギアを固定できない!』

 

響はどうしてと地を殴るがジードが話しかける

 

「響ッ…!」

「リクくん!?」

「君の思いを届けるんだろッ…なら武器なんか必要ないッ…思いを一番届けられるのは…その手だッ…!」

「…!そっか!」

 

響は拳のエネルギーを握りしめる

すると、腕のギミックが作動した

準備万端だ

 

響は腰のブースターで加速する

 

『最速で、最短で、真っ直ぐに、一直線に!』

『この胸の想いを、伝える為にぃぃぃいいいッ!!』

 

響の一撃が決まった、同時に作動したパーツが元に戻り、さらなるダメージを与える

その瞬間、鎧の拳が叩きつけられた部分に、明確なひびが入った

 

『馬鹿な…ネフシュタンの鎧が……』

 

炸裂した破壊力はそのまま吹き飛ぶ力へ、クリスは一気に石垣に叩きつけられる

 

「がぁッ…あ……なんて無理筋な力の使い方しやがる…あの女の絶唱に匹敵しかねない…」

 

余程ダメージが凄かったのかクリスは動けないでいる

だが響は戦闘態勢を解いていた

 

「バカにしてんのか…あたしを…雪音クリスを!」

 

それはクリスを怒らせるには充分の行為だった

だが響は臆することなく続ける

 

「そっか、クリスちゃんって言うんだ…

ねえクリスちゃん、こんな戦い、もうやめようよ…

ノイズと違って私たちは言葉を交わす事が出来る、ちゃんと話をすれば、きっと分かりあえる筈!

だって私たち、同じ人間だよ?」

 

響は心から説得を試みる

しかし…

 

「むなくせぇんだよ…嘘くせぇ、青くせぇ!てめぇらの言葉なんて信じられるかよ!……ぐぅッ!」

 

クリスの怒りに応じるように砕けた鎧が修復を始める

だがクリスは苦痛に顔を歪ませる

ホロボロスもそれにリンクしてるのか手の力が緩んだ

 

「今だ!フッ!」

 

ジードは体を燃え上がらせ、ホロボロスの腕から抜け出した

ソリッドバーニングへとチェンジしたジードはホロボロスに駆けだす

パワーは申し分なくホロボロスを圧倒していた、しかし高速で移動されると、動きの鈍くなったソリッドバーニングでは対処できない

ジードがホロボロスを索敵してる時、響はクリスに手を伸ばした

ただ、本心からクリスを心配してのことだったがクリスの癪に触ったのだろう

 

『まだそんな絵空事を…』

 

「…吹っ飛べよ!アーマーパージだ!」

 

クリスが突然叫ぶとネフュシュタンの鎧が文字通り弾け飛び、響を吹き飛ばす

 

そして聞いた、否、聞いてしまった

 

Killter Ichaival tron……

「今のって…詠唱!?」

 

ジードも思わずそちらを見る

 

「見せてやる…イチイバルの力だ…!」

 

彼女の体は先程とは違い、響や翼の様なシンフォギアが纏われていた

鮮血のように真っ赤なギアが

 

「唄わせたな…」

「え?」

「あたしに歌を唄わせたな!」

 

クリスはイチイバルのアームドギアの一つ、ボウガンを起動する

 

「教えてやる…私は歌が大っ嫌いだ!」

 

クリスの放ったボウガンの矢が響を襲う

 

「あわあぁぁぁっ!やめてクリスちゃん!きゃぁっ!?」

 

響は間一髪避けていくが突如、大きな爪が響の体勢を崩す

ホロボロスだ

クリスはホロボロスをも響への攻撃に使い始めたのだ

 

「くっ!怪獣は僕が何とかする!早く逃げて響!」

 

ジードがどうにかホロボロスの腕を掴み引き離していく

だが、安心した響の元にクリスの放ったマシンガンとミサイルが向かう

ジードなら片手でも防げるが、ホロボロスが肩に噛み付いた

 

「グァァッ!?」

 

そのせいで動く事が出来なくなった

 

絶体絶命……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

直後、ホロボロスの鼻を斬り裂いての響の前に粉塵を起こして着地した何かがミサイルやマシンガンから盾となった

ホロボロスは鼻を斬られた事で怯み、直後にジード渾身の拳で吹き飛ばされた

 

「今のって…まさか…」

 

ジードは粉塵を睨む

クリスと響は何が起こったがわからなかった、突然目の前に壁が現れたのだから

 

「壁……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「剣だッ!!」

 

壁と思われたものの頂点には、シンフォギアを纏った翼が腕組みをして立っていた

 

「翼さん!体、大丈夫なんですかっ!?」

「朝倉、貴方そんな姿にもなれたのね」

 

翼がソリッドバーニングのジードを見てふふっと笑う

 

「え、いやぁ…」

「大丈夫よ、防人を甘く見ないで、しかし…」

 

翼は飛び上がると巨大化した剣を一振りの大きさに戻して掴み、響の隣に行く

 

「十全とは言えない、力を貸してほしい…」

 

初めて、翼が響を頼った

響はそれが何よりも嬉しかった

 

「はいっ!」

 

響と翼が並び立つ

そして翼が叫んだ

 

「防人の()()()()()()()()()!」

 

直後、翼の体が青く輝いた

 

「これはっ…?」

「これ!私の時とおんなじやつだぁ!」

 

翼の輝きは2つの光となりジードの元へ飛んでいく

 

「おかえりなさい、御二方」

 

取り出したカプセルが再起動した

 

「まさか…まだ隠してんのか…!?」

 

ジーっとしてても、ドーにもならねぇ!

 

 

【〜♪優勢2】

 

 

融合!

 

スイッチを入れると、ウルトラの国の研究者で、ウルトラカプセルを開発した張本人、ウルトラマンヒカリが現れる

「ヂィヤッ!!」

 

それを確認し、カプセルを腰の左側の装填ナックルに填める

 

アイゴー!

 

それから現れたのは今まで使ったカプセルで唯一、光の国出身じゃない、慈愛のウルトラ戦士、ウルトラマンコスモス

「ハッッ!」

 

それも装填ナックルに填めると、ジードライザーのトリガーを入れる

 

HERE WE GO!

 

装填ナックルを外しジードライザーで読み込むと、心臓の鼓動のような音と共に、二重螺旋が黄色と白を彩る

 

フュージョンライズ!

 

「魅せるぜ!衝撃!!」

 

僕はジードライザーを構えると再びトリガーを引いて叫ぶ

 

「ジィィーードッ!」

 

ウルトラマン、ヒカリ! 

ウルトラマン、コスモス!

 

ウルトラマンジード!! 

アクロスマッシャー!!

 

 

【〜♪ウルトラマンジード アクロスマッシャー】

 

白い光がふわりとみんなの前に舞い降りる

ヒカリが晴れると皆が息を呑む

現れたのは今までと違う、()()のジードだったから

 

流れるような不思議な型を取り、ホロボロスの前に立ち塞がる

 

「あいつ、また戦い方が……!」

 

クリスは悔しそうに歯ぎしりする

 

「貴方の相手は私達よ」

 

翼がクリスに呼びかけ、戦闘が始まる

今度のジードはスピードタイプ、ホロボロスのスピードに着いていく、いや寧ろ追い越して行った

ホロボロスがこちらを向けばその後ろへ、こちらを向けばまた後ろへ

スライドするかのような移動で、ホロボロスを消耗させる

不足した攻撃力はジードクローで補い、ホロボロスをの体力を消耗させていった

そして再び攻撃を仕掛けようとした時ジードは気付いた

 

泣いている

 

ホロボロスが涙を零していたのだ

3人もそれに気づいた

 

「泣いてる……」

「何故…」

「巫山戯んなよ!早くジードを倒せ!」

 

それを拒否するようにホロボロスは首を振っている

 

「もしかして…戦いたくないのかな…」

 

響はゆっくりホロボロスに近づき話しかけた

 

「ねぇ〜、もしかして貴方、戦いたくないの?」

「答える訳ねぇだろ…!」

 

だがクリスの意図に反し、ホロボロスは頷いた

 

「どうして〜!答えられる〜!?」

 

ホロボロスは大きく咆哮した

 

「うんうん、やっぱりわかんないや…」

 

だがジードは動いた

腕をクロスし、流れるように円を描いて胸に手を持っていく

 

響と翼は焦り、クリスはケラケラ笑った

 

「あ、待って!リクくん!」

「朝倉!怪獣は敵意を無くしているのよ!」

「はっは、結構容赦ねぇんだなぁ?」

 

だが、放たれた光線は今までと違った

 

「スマッシュムーン、ヒーリング…」

 

稲妻や炎をまとっている訳では無い、まるで光のシャワー、それもとてもキラキラした美しい光をホロボロスに向けて放つ

すると、ホロボロスはありがとうと言わんばかりに手を皆に振り、粒子となって消えていった

 

「嘘だろ…?」

 

クリスの手元からカプセルが離れ、ジードの元へ飛んで行った

リクがカプセルを掴むとカプセルはクリスタルへと戻った

 

「これ、カツミさん達が使ってた…」

 

『あいつ…信じられねぇ…!』

 

クリスが歯ぎしりをした時だった

 

「危ない!」

 

リクが叫んだ

直後、大量の飛行型ノイズが3人目がけ飛んできた

3人はそれぞれ撃退したり避けたりしたがクリスのもとに着弾した一体が爆発しクリスは吹き飛ばされる

 

「うわぁぁっ!」

 

その拍子にクリスはカプセルとライザーを落としてしまった

それを拾いあげようと立ち上がると先にそれを拾い上げた奴がいた

 

「命じたことも出来ない上に、これだけの力を与えられても失敗なんて、どこまで私を失望させれば気が済むのかしら…」

 

黒いコートを着て、蝶の飾りの付いた帽子を被り、金髪の髪をなびかせた女性がそこにいた

その手には、以前クリスが使っていたソロモンの杖が握られており、ノイズを使役したのが彼女なのは明白だった

 

「クリスを助けに…いや違う…!」

 

リクは口ぶりと先程のノイズの動きから目的を察した

 

「フィーネ…」

 

クリスが悔しそうに終わりの名を呟いた

 

 

 

 

 




【次回予告】
【〜♪優勢2】
突然現れたフィーネという女性、彼女はクリスを見限り去っていく
逃げたクリスのことも気になるし…響も未来と喧嘩したみたいだし…またノイズに怪獣も出てくるし〜…ほんとウルトラマンって板挟みで大変…
でも、僕は信じてるよ、どんな人たちもきっと分かり合える、最後は皆で笑い合えるって、だから僕がその架け橋になってみせる!
次回、戦姫絶唱シンフォギア 響くぜ!絶唱!!
「陽だまりの名前に翳りなく」

守るぜ!希望!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第6話 陽だまりの名前に翳りなく

「フィーネ…」

 

クリスが名前を呟き立ち上がる

 

「そんな力が無くたって!戦争の火種くらいアタシ一人で消してやる!そうすれば、アンタの言うように、人は呪いから解放されて、バラバラになった世界は元に戻るんだろ!?」

 

フィーネは溜息を吐いて宣告した

 

「貴方にもう用はないわ」

「えっ…」

 

戦力外通告、彼女にとってこれ程苦しい結末はないだろう

 

「な、なんだよそれ…」

 

フィーネは何も言わず片手をあげる

すると、パージされたネフュシュタンの鎧が腕に集まり消えていった

そして、ソロモンの杖を掲げるとノイズが一斉に響達を襲い始める

 

「うわわっ!?」

「怯むな立花!」

 

混乱の中フィーネはゆっくり立ち去る

 

「待てよフィーネ!」

「待って!クリス!……っ!!」

 

ジードも追いかけようとするが時間が限界になりフュージョンライズが解除されてしまった

そんな無防備なリクの元にも一直線にノイズが襲いかかる

リクは死を覚悟したが、前に翼が立ちはだかった

 

「朝倉をやらせはしない!」

「私だって!」

 

響もリクの前に立つ

 

「…ありがとう」

 

二人の活躍でノイズはたちまち全滅した

オペレーターの友里さんから通信が入る

 

「ノイズの全滅を確認しました!」

「友里さん!クリスは?!」

「すみません、先程反応がロストしました……」

「そっか、わかりました、ありがとうございます」

 

リクは通信を切る

 

「…クリス、無事だといいんだけど…」

 

 

 

 

 

 

 

【特異災害対策機動部2課】

 

メディカルチェックを受けていた響と翼さんが、了子さんと戻ってきた

 

「翼、全く無茶しやがって」

 

弦十郎さんがやれやれと言わんばかりに溜息をつく

 

「独断については謝ります、ですが、仲間の危機に伏せっている事など出来ませんでした、立花は未熟な戦士です、半人前ではありますが、戦士に相違ないと、確信しています」

「翼さん…」

 

思ってもみなかった翼さんの言葉に響が驚いている

そんな響の肩に僕は手を置く

 

「僕も未熟だけど、まだまだ成長できる、一緒に頑張っていこ?」

「はい!……わたし、頑張ります!」

「いやちょっと待て?」

 

弦十郎さんが口を挟む

 

「君はもう立派な戦士だろう」

「へっ?」

「いやぁ驚いたよ、君がまさか武道の達人だったとは!」

「それに、あの青い姿の戦い方…綺麗だったわ、是非教えて貰いたい」

 

翼さんが期待に満ちたような目で見てくる

 

「あっ、いやぁ……あれは」

「あの姿にならないと使えない…そうじゃない?」

 

了子さんが割り込んだ

 

「貴方はあの姿にそれぞれ変身することで、遺伝子に刻まれた戦い方を呼び起こして、格闘技の達人になったりしている、だから普段はその戦い方はできない…でしょ?」

「そうなのか…すまないな」

「私も舞い上がってしまったわ…ごめんなさい」

「いやいやそんな!そうだ了子さん、カプセル…どうですか?」

 

僕は了子さんに渡したカプセルの状態を聞いた

 

「うん!バッチリ元に戻ってるわね!残りは3本!一体どんな姿になるのか楽しみね〜♪」

「そうですか!よかった〜…でもどうして突然…」

「響ちゃん達からのエネルギーで再起動してるからフォニックゲインが要因なのは分かるのよね、でもどうして急に高まったのかしら…あなた達何か言った?」

 

了子さんが響達に問い掛けた

 

「いやいや!変な事言ってないですよ!?ただ勇気を燃やしますって…」

「えっ?!響今なんて…」

「へえっ?!ゆ、勇気を燃やします……?」

 

僕は翼さんの方を向く

 

「翼さんもしかして、衝撃を魅せるわ…みたいなこと言いました?」

「え、ええ、言ったわ」

「そうか、そういうことか!」

 

了子さんがキラキラした目でこちらを見てくる

 

「なになに、分かったの!?」

「ええ、勇気を燃やす、衝撃を魅せる、これは僕がフュージョンライズする時に叫ぶ前口上なんです

プリミティブは“決めるぜ覚悟”

ソリッドバーニングで“燃やすぜ勇気”

アクロスマッシャーは“魅せるぜ衝撃”

もしかしたら、心からそれを思って叫んだ時にフォニックゲインが高まって、カプセルのエネルギーになるのかも知れません」

「なるほど〜♪じゃあ残り二つは?」

 

僕はカプセルをそれぞれ手にした

 

「こっちがマグニフィセントで“守るぜ希望”、こっちがロイヤルメガマスターで“変えるぜ運命”ですね」

「守るぜ希望に変えるぜ運命…なんか凄いかっこいい!」

 

響は興奮して足をバタバタしている

 

「そう言えば響は大丈夫だったの?」

「はい!ご飯食べてぐっすり眠れば、元気回復です!」

「そっか、未来への説明、大変だろうけど頑張ってね…」

「…はい」

 

響はしょぼんと肩を落とす

こりゃ難航しそうだ……

 

「そう言えば響ちゃんの心臓にあるガングニールの破片は、前より体組織と融合しているみたいなの、驚異的なエネルギーと回復力は、そのせいかもね」

 

僕は了子さんを見た

体組織と融合と簡単に言うが、人の体にそんなとてつもない力が融合して平気なのかと言う心配だ

以前、レイトさんより前にゼロと融合した人にも、僕のような異常な身体能力が備わったという

ウルトラマンの場合、その危険は承知だからある程度はセーブしてるようだが、ガングニールは意思のない道具

そんなものを使って問題は無いのかという心配が頭を駆け巡ったのだった…

 

 

 

 

【その夜】

僕はコンビニで少し買い物をして家へと帰っていた

だがその帰宅途中の事だった

 

「はァ…っはァ……」

 

女の子の呼吸が聴こえた

僕の耳は常人より発達している、距離はそんなに遠くない

もしかして、襲われている?

僕はすぐに声のする方に向かった

声は近くのビルの路地からだった

 

「大丈夫ですか!?」

 

僕はすぐに安否を確かめながら飛び出す

 

「お前っ!!?」

 

そこに居たのはクリスだった

額には汗が流れ、呼吸を荒らげている

きっとあの後ノイズに追いかけられていたのだろう

 

「クリス…だよね?」

「近付くなっ!私は容赦…しねぇぞ…」

 

クリスは立ち上がるが足が震えている

きっと走り続けたせいだろう

僕はどうしようかと考えて、持っていたコンビニの袋の事を思い出した

 

「お腹、空いてるでしょ?」

 

コンビニの袋をそのまま差し出した

 

「敵の施しなんか受けるかよ!」

 

クリスは踵を返して走り出した

 

「あ、待って!」

 

僕はここが狭い路地であることを再確認すると一気に飛び上がる

そしてクリスの目の前に着地した

 

「うわぁっ?!」

 

クリスは驚いて尻餅をついた

 

「僕からは簡単には逃げられないよ、はい、また買えばいいから今は食べて?」

 

僕は近付いてレジ袋を渡す

中にはあんぱんと牛乳、ジュースが入っている

クリスはあんぱんを取り出すと僕に向ける

 

「…毒入ってねぇなら食うから食ってみろ」

 

僕は笑いながら封を開けて少しちぎってその場で食べてみせた

それを見るとクリスはすぐさまモグモグとあんぱんを食べきった

すると今度は牛乳を取りだして僕に突き出す

 

「ん」

 

牛乳もっ?!

僕が困惑しているとクリスが直ぐにやっぱりな、というような表情になっていく

僕は溜息を吐いてストローを刺すと少し吸って飲んだ

それを見てクリスはごくごくと牛乳を飲み始める

そういうの…気にしないんだろうか…

 

ふと、そこでどこからともなく泣き声が聞こえた

 

「泣き声…?」

 

そちらに向かってみると、ベンチに腰掛けて泣く女の子と、そのすぐ傍に男の子が困っているような様子でそこに立っていた

 

「泣くなよ!泣いたってどうしようもないんだぞ」

「って…だってぇ……!」

 

クリスはそれを見てすぐに2人の元に行った

 

「おいこら、弱いものを虐めるな」

 

なんか違うよね…苦笑しながら僕は二人に近付く

 

「虐めてなんかないよ。妹が…」

「うわぁあん!」

 

更に激しく泣きじめた女の子、それを見たクリスは腕を振り上げた

 

「虐めるなって言ってんだろ!」

「うわ!?」

「待って!クリス!」

 

思わず頭を庇う少年、その腕が振り下ろされる前にリクが腕を掴む

その前に、何故か少女…妹が兄とクリスの間に立った

 

「おにいちゃんをいじめるな!」

「はぁ…?」

 

思わず首を傾げるクリス

 

「もしかして…迷子になっちゃった?」

 

代わりに僕が話を聞いた

 

「父ちゃんがいなくなったんだ、一緒に探してたんだけど、妹がもう歩けないって言ったからそれで…」

「迷子かよ…だったらハナッからそう言えよな」

「いやいや!クリスが先に動いたんじゃんか!?」

「だって…だってぇ……」

 

さらにぐずる少女

 

「おい、こら泣くなって!」

 

次の瞬間にはすでに兄の方が妹とクリスの間に入ってきていた

 

「妹を泣かせたな」

「あっはは…」

「あーもーめんどくせえ!一緒に探してやるから大人しくしやがれ!」

 

そうしてクリスと僕の、小さな兄妹の親探しが始まった

 

女の子の方は僕が肩車をしてあげ、兄やクリスと並んで、色とりどりの光の道を歩く

これ傍から見ると兄弟にでも見えてるのだろうか

そんなことを考えていると歌が聞こえてきた

でもラジオのような音じゃない、鼻歌…

ふと、横を見るとクリスが穏やかな表情で鼻歌を歌っていた

 

『やっぱり歌…好きなんじゃん』

 

僕がふふっと笑った時だった

 

「あ、父ちゃん!」

「あ!」

 

どうやら、父親が見つかったようだ、交番から出てきた男に駆け寄って行く

僕も妹を降ろし、父親の元に向かわせる

 

「お前たち、どこに行ってたんだ?」

「おねえちゃんとおにいちゃんがいっしょにまいごになってくれた!」

「違うだろ。一緒に父ちゃんを探してくれたんだ」

「すみません。ご迷惑をおかけしました」

 

父親が頭を下げて謝罪する

 

「いや、なりゆきだからそんな…」

「よかったね、父さんに会えて」

「ほら、二人にお礼は言ったのか?」

「「ありがとう」」

 

礼儀正しく、頭を下げる兄妹

 

「仲良いんだな…そうだ、どうすればそんなに仲良くなれんのか教えてくれよ」

 

そう尋ねると、妹は兄の腕に抱き着き、兄が代わりに答えた

 

「そんなの分からないよ、いつも喧嘩しちゃうし」

「喧嘩しちゃうけど、仲直りするから仲良し!」

 

その返事に、クリスはただ黙る

 

「じゃあねー!」

 

あの後、あの兄妹と別れて、またあの公園に戻る

 

「いつまで着いてくんだよ…」

「もちろん、時間の許す限り」

「…着いてくんなよ、あたしにはやる事が…」

「じゃあやる事が終わるまでかな」

「一生ついてくる気じゃねぇーか!」

「だって心配だからさ…まるでいつかの僕みたいで…」

 

クリスは足を止めてこちらに向き直る

 

「一緒にすんじゃねぇーよ!どうせあたしの絶望はわかんねーよ!大人にいたぶられた恐怖も!パパもママも居なくなった空虚も!信じてた奴に裏切られる苦しさも!」

 

雪音クリス、バルベルデ共和国の戦争で両親を失った戦争孤児

弦十郎さんに教えられたことが頭を巡る

 

「…恐怖は分からないけど、空虚と苦しさは分かるかもね」

「はっ、どーだか」

「僕も父さんも母さんもいないから…」

「別に殺されたわけじゃねぇだろ?」

「デザイナーベイビーって知ってる?」

 

クリスは突然言われたその単語に眉を歪ませる

 

「それって確か強化人間とか人造人間の類…お前まさかっ!?」

「うん、僕はそうなんだ」

「嘘だろ…いやでもそれと何が関係…」

「僕には産まれる時点で母親がいなかった、それに、父さんは大罪を犯した人で僕を生み出したのにも自分じゃ成せないことをさせるため、だから僕はこの手で…父さんを…」

 

殺さざるを得なかった…その一言が言えなかった

けどクリスは分かってくれたようだ

 

「なんだよそれ…」

「これが僕の空虚、そして苦しさは、自分の意思でヒーローとして戦ってたと思ったのに、それ自体が父さんの目的で、僕さえいなければ街は被害を出さずに済んでいたって事実…」

「じゃあお前は…自分自身の体に、刻まれた遺伝子に裏切られたって事かよ!?」

 

ここまで悲しい結末を持つ人間は、なかなか居ないだろう

僕自身恨んだ事があるくらいだから

 

「分かんねぇよ…じゃあなんで、絶望しなかったんだよ!?あたしは全てを怨んだ!争いを生むような力を持つ奴らなんて潰してやるって思ったのに…どうして…」

 

答えは出ている

 

【〜♪GEEDの証 感動】

 

「仲間がいたからかな」

「はぁ……?」

「僕の事を信じてくれた沢山の仲間、友達、僕の事を育ててくれた人、僕に名前をくれた人、そういう人達を守りたい、みんなと一緒に生きていきたい、そう思ったから僕は何度も立ち上がれた」

「…あいつが、覚悟を決めたみたいにか……?」

「…うん」

 

力を持って為せることは限られる、彼女にはそれを振るうのではなく、守る為に使って欲しい、そういう思いからの言葉だった

 

「…少し待ってて欲しい…一つだけケジメをつけたら、お前達についてってもいい」

「ほんと!?」

「ああ…って勘違いすんな…ほら……っと、パンと牛乳の礼だ!」

「ふふ、分かった!じゃあ…これ持ってて」

 

僕は自分の渡された通信機を渡す

 

「へ?」

「もし助けが必要なら連絡して、必ず行くから」

「…分かった、お前名前は?」

「…僕はリク、朝倉リク!」

 

クリスはポケットに通信機を入れて歩き出す

 

「…ほんとに必要な時だけ…するよ」

「分かってる、気をつけて」

 

クリスは何も言わず歩いていった

 

 

 

【次の日】

僕は帰る時、未来に事情を説明しないとと思い、帰りを一緒にしてもらった

 

「えっと…今まで、嘘ついてごめんなさい」

「…」

 

未来はずっと黙ったままだった

仕方ないだろう、親友と思っていた大切な相手は、夜な夜な命をかけて戦い、親戚と思ってた人物は全く関係の無い相手だったのだから

実は響との関係がギクシャクしていることも聞いた

友達じゃ居られない、と、もうどうしたらいいのか分からないと響から相談を受けた

 

「…響もこの事を伝えたかったんだよ、けど、未来にまで危険が及ぶ可能性もあって、響もそれだけは避けたかったんだって、未来なら分かるでしょ?!」

「…なんで、響なの」

「え?」

「なんで響じゃないといけないんですか!なんで響が戦わないといけないんですか!?これも全部…私のせいなんですか!」

 

未来の目には涙が溜まっていた

響がガングニールの破片を受けたライブ、本当はあの時未来も居るはずだった

だが用事が入り行けなくなってしまい、結果、響はガングニールを受け継いでしまった

彼女が責任を感じるのも分かる

だが、戦い自体は響は覚悟をしてしまった

それに翼さんの言っていた

響の前向きな自殺衝動

それを未来が分からないはずがない

それらの事象が未来を不安にさせて居るのだろう

僕は、何も言えなくなってしまう

 

その時だった

路地からガタッと音がした

僕は反射的に未来の前に立つ

そこに居たのは……

 

 

 

クリスだった

 

「クリス!?」

「よぉ…よく会う…な…」

 

クリスはそれだけ呟くと倒れてしまった

 

 

「ん……く…はっ!?」

 

飛び起きるクリス

そんな彼女の視界に最初に映ったのは、知らない部屋だった

 

「ここは?」

「良かった。目が覚めたのね」

 

呟く一人の少女

 

「びしょ濡れだったから、着替えさせてもらったわ」

 

気付けば、今の自分の服は誰かの体操着だった

 

「か、勝手な事を!」

 

だが、一方のクリスは好き勝手された事に気が付いて声を挙げ、立ち上がった

が、問題は立ち上がった時だった

 

「あ…」

 

突如として目の前の少女が顔を赤くする

そして、その反応に疑問を持ったクリスは、すぐに自分が着ているのが上半身のものだけというのに気が付いた

 

「な、なんでだ!?」

「流石に下着の替えまではもってなかったから…//」

 

クリスはすぐさま布団にくるまる

 

『あれ、そういやアイツは…』

 

「未来ちゃん」

 

そこで新たに中年の女性が入ってくる

その後ろから、洗濯籠をもってリクが着いてきている

 

「どう?お友達の具合は?」

「目が覚めた所です」

「ありがとうおばちゃん、布団まで貸してもらっちゃって」

「気にしないでいいんだよ、あ、お洋服、洗濯しておいたから」

「あ、私手伝います、リク君はこの子の面倒を…」

「うん、分かった」

「悪いわね~」

「いえ」

 

なんだか一気に話が進んでしまった

 

「具合はどう?」

「どこなんだよここは!?」

「未来の行きつけのお好み焼き屋のおばあさんの家、いやー良かったよこういう所があってさ」

「……」

 

クリスのすぐ傍に座り、リクが改めて尋ねる

 

「それで具合はどうなんだ?」

「とりあえず…」

「…あんなになるまで連絡しないなんて…」

「そういや、アイツは……」

「ああ、小日向未来って言ってね、友達だよ」

「友達…」

 

ふと、ベランダで服を干している未来を見る

しばらくすると、服を干し終えたのか、未来たちが戻って来た

 

「それじゃあ、体を拭こうか」

「拭く?」

「体、汚いでしょ?だからね」

 

どこからともなく桶とタオルを持ってくる未来

 

「ほらほら男の人は出てって出てって」

「分かってるって!」

 

リクが外に出るとタイミング良く腹の虫が鳴る

 

「あっ」

「アハハ、お腹が空いてるんだね」

 

そこでお好み焼き屋のおばさんがやってきた

 

「ついてきなさい、今からご飯、作ってあげるから」

「本当ですか?!ありがとうございます!」

「いいよ、食べなきゃいざって時に力が出ないからね、それに孫に似てるんだよ」

 

そう言っておばさんは階段を下りていき、リクは嬉々としてその後をついていくのだった

 

 

【数分後】

 

 

 

「喧嘩かぁ…」

 

リクが部屋の隅でパッケージに入れられたお好み焼きを食べているのを他所に、いつもの赤いドレス姿に着替えたクリスは呟く

 

「アタシにはよくわからない事だな」

「僕は色々あったな…」

「そうなのか?」

「まあね」

「羨ましいかもな、友達いねぇから」

「え……」

 

未来が、茫然と声を漏らす

 

「地球の裏側でパパとママを殺されたアタシは、ずっと一人で生きてきたから…友達どころじゃなかった」

忘れもしない、あの日の事

 

「そんな…」

「たった一人、理解してくれると思った人も、アタシを道具のように扱うばかりだった、誰もまともに相手にしてくれなかったのさ」

 

憎々し気に、クリスはあの頃の事を思い出す

 

「大人は、どいつもこいつもクズ揃いだ、痛いと言っても聞いてくれなかった、やめてと言っても聞いてくれなかった、アタシの話なんて、これっぽっちも聞いてくれなかった…!」

 

泣き喚けば叩かれた、泣くことすら許されなかった、

それは、まだ幼かったクリスにとっては、地獄以外の何者でもなかった

クリスにとっては、そのころの記憶が全てだった

 

「……戦争、か……」

「なんだ?」

「いや、あまり実感わかないなって…」

「そりゃそうだろ、お前はあたしなんかよりも重い過去持ってんだから…」

 

クリスの過去も十分過ぎる程重い

でもそれよりも重いこの青年の過去とはなんなのだろう

その空気に、未来はいたたまれない様子になる

 

「…なぁ」

 

ふと、クリスが口を開ける

 

「お前、その喧嘩の相手ぶっ飛ばしちまいな」

「え?」

「どっちが強ぇのかはっきりさせたらそこで終了、とっとと仲直り、それでいいだろ?」

「それってあの時の…」

「うるせえ」

 

黙らせられたリクは未来を見る

 

「……出来ないよ、そんなこと……」

 

一方の未来は、顔を曇らせてうつむく

 

「ふん、わっかんねーな」

「でも、ありがとう」

「ああ?アタシは何もしてねーぞ?」

 

それに、未来は首を振る

 

「ううん、本当にありがとう、気遣ってくれて…あ、えーっと…」

 

ふと、未来はそこで戸惑う

 

未来は、まだクリスの名前を知らないからだ

 

「クリス…雪音クリスだ」

「優しいんだね。クリスは」

 

未来の言葉が予想外だったのか、クリスは驚き、やがて未来に背中を向ける

 

「…そうか」

「ふふっ…」

「何笑ってんだよ!」

 

リクが笑い、クリスがそれに怒鳴るも、未来は笑う

 

「私は小日向未来、もしもクリスがいいのなら……」

 

未来は、クリスの手を取った

 

「私は、クリスの友達になりたい」

「……!?」

 

その言葉に、クリスは思わず未来を見返してしまう

だが、クリスはその手を振り切って、部屋を出ていこうとした

だが、ふと立ち止まり、口を開く

 

「アタシは…お前たちに酷い事をしたんだぞ…?」

「え?」

 

その意味が理解出来ず、首を傾げる未来

だがその時、けたたましく警報が鳴り響いた

 

 

ノイズだ

 

 

 

「翼です、立花も一緒にいます」

「ノイズを検知した、相当な数だ、おそらくは、未明に検知されていたノイズと関連がある筈だ」

「了解しました、現場に急行します!」

「ダメだ、メディカルチェックの結果が出ていない者を、出す訳にはいかない」

「ですが……」

 

翼は歯痒そうにしているが響は拳を握った

 

「翼さんは皆を守ってください、だったら私、前だけを向いていられます」

 

響は、翼に自信満々にそう言ってのけた

彼女もどうやら別の覚悟を決めたようだ

 

 

そして、呼応するように怪獣が現れた

それも召喚獣ではなく

ベリアル融合獣、ペダニウムゼットンが

 

 

 

 

 

 

街はまさしく混乱の最中にあった

 

「おい、なんの騒ぎだ……」

「何って、ノイズが現れたのよ」

「ッ!?」

「警戒警報しらないの?」

 

今までフィーネと行動を共にしていた為、クリスにはそんな事知る由もない

 

「未来は叔母さんを連れて逃げて!」

 

リクは人々の向かう方向と逆に走り出す

 

「えっ、リクくん?!」

「ッ……!」

「クリス!?」

 

さらにはクリスまでもが追いかけるように走り出した

 

『馬鹿な…アタシってば…何やらかしてんだ!』

 

視界の隅、小さなぬいぐるみが踏みつけられるのが見えた

 

『くそったれ……!』

 

リクを追いかけて走っていると、すっかり人のいなくなった場所に辿り着く

リクは怪獣を見据える

 

「よりにもよってアイツか……!」

 

「はァ…っ…はぁ…」

 

膝に手をついて、呼吸を整えるクリス

 

「アタシのせいで…関係ない奴らまで……」

 

それが、無性に申し訳なくて、悔しくて、クリスは空に向かって叫ぶ

やがて、クリスは膝をついて、残酷なまでに青い空を見上げた

 

「アタシのしたかった事はこんな事じゃない…いつだってアタシのやる事は…いつもいつもいつも……!う…うわあ…ぁぁあ……!!」

 

「何を言っているんだい?」

 

不気味な音と共にそいつは現れた

 

「これが君のやりたかった事だろう…弱者を踏みにじる…というね」

「違う!私は…力で…強い力で争いを起こす奴を…」

「踏みにじる…だが君に負ければ結局は弱者だ…そういう奴らを踏みにじってきたんだよ…

それに、気付いて無いのかい…強い力で争いを起こす奴に…()()()がなっていることに…」

 

クリスはまた新たに絶望を味合わせられた

そう、結局弱い奴らを踏みにじり、争いの火種を作る存在に、自分自身がなっていたことに

 

「う、うわぁぁぁあぁあああああああっ!!」

 

クリスは泣き叫んだ、結局自分のやってきたことは忌み嫌う大人と同じ事

それに気づかされてしまった

 

「ふふふっ、ハハハハッ!うがァっ!?」

 

高笑いを浮かべるトレギアをリクが殴り飛ばした

 

「やっぱりお前は許せない、人の心を弄んで!」

「チイッ!」

 

トレギアは再び消えていく

リクはクリスの肩を揺さぶる

 

「クリス!」

「…殺してくれ…リク…」

「!!」

「もう…私なんか…居ない方が平和になる……頼むよ…いっそ…ツッ!?」

 

クリスは思ってもみなかった衝撃に襲われる

リクがクリスを平手打ちしたのだ

 

「ごめん…でも馬鹿な事言うなよ!!!君はどうして力を持つものを踏みにじろうとしたんだ!君はどうしてそれを行おうとしたんだ!!」

「それは…私が…弱者を」

「違う!自分と同じ気持ちを他の子に感じさせたくない!だからじゃないのか!?親の居ない気持ちが痛いほど分かるから、あの時一緒に父さんを探してあげたんだろ!!」

 

クリスは泣きながら叫ぶ

 

「でもそれだけだろっ…!私がしてきた事なんて、誰も間違ってるなんてっ…教えてくれなかった…!」

「ならこれからは僕が教える!僕が支える!君が挫けそうな時は僕が!だから…生きて…一緒に戦おう…クリス…!ジーッとしてても…ドーにもならないから!」

 

これが他の大人だったら信じられなかっただろう

だが、他の世界から現れ、敵として立ちはだかった癖に、どこまでも自分を心配してくれた、似た境遇の彼なら信じられる

そんな気がした

クリスは…涙を拭い立ち上がった

リクも立ち上がる

 

「アタシはここだ…だから、関係ないの奴らの所になんて行くんじゃねえ!」

 

それと同時に、ノイズが襲い掛かる

 

「Killter Ichiva……げほっ、ごほっ……!?」

「くっ…この勢いじゃフュージョンライズできない…!」

 

聖詠を唱えようとした途端、まだ呼吸が整ってないからかむせてしまった一方のリクも意外にもノイズの攻撃が激しく、隙が出来ない

その最中で、上空からノイズが強襲してくる

 

「……!?」

「危ない!!」

 

上空から襲い掛かるノイズに、リクはクリスを庇うように抱える

「あ……」

上空から槍のように襲い掛かるノイズ

それに背を向け、リクは胸にクリスを抱えて、そのノイズの攻撃から庇おうとする

 

「リ……」

 

「ふんっ!」

 

次の瞬間、突如としてアスファルトがせり上がり、それが盾となってノイズの攻撃を阻止した

 

「はっ!」

 

すかさずそのアスファルトが砕け散り、散弾の如くノイズに浴びせられる

それを行ってのけたのは……

 

「弦十郎さん!?」

 

風鳴弦十郎だ

アスファルトは震脚でめくり取り、砕くのはただの拳打

それだけでも、彼が人間離れしているのは窺い知れる

 

「いやいやいやいやいや!??えええぇ!?」

 

驚きを隠せないリクを他所に、ノイズが再度三人に向かって攻撃をしかけた

それを震脚でめくり上がらせたアスファルトで防ぎ、弦十郎はリクとクリスの二人を抱えて建物の屋上へ向かう

 

「大丈夫か?」

「えっ、あっ、はい」

「……」

弦十郎の人間離れした所業に未だ茫然としているクリス

 

「それと…いつまで抱き合ってるつもりだ?」

「は?」

「へ?」

 

何やら言いにくい様子でそう言ってくる現状に指摘されて、二人は改めて、互いに抱き合っている事に気付く

 

「な……離れろ馬鹿!?」

「いった!??」

 

何故か鉄拳がリクの胸に炸裂した

 

「何するんだよ!?」

「うっさい!さっきの返しだ!!」

 

何故殴られたのか分からないリクと顔を真っ赤にしてそっぽを向くクリス

そこで、飛行型のノイズが三人を追いかけるように飛び上がってきた

 

「こっちは任せろ…お前とならやれる気がする…!」

「分かった…怪獣は任せて…ジーッとしてても…ドーにもならねぇ!」

 

ウルトラマンジード!!

プリミティブ!!!

 

Killter Ichaival tron……

 

地面に降り立つジード

弦十郎を守るように立ったイチイバルのクリス

 

2人はお互いを見ると自分にしか倒せない敵に向かっていく

 

「デヤァッ!」

 

ジードはお得意のジャンプニーキックを繰り出した

だがペダニウムゼットンの特徴は強固過ぎる防御力だ

逆にこちらの膝を痛めてしまった

更には

ペダニウムゼットンが突然消えたかと思うとその姿は死角に現れ、火球を打ち出した

背中側にまともに食らってしまい、そちらを向くがまたその姿は消えている

そう、テレポーテーション能力

これを打ち破るに最適なのは、強固な防御力と重いパワーを誇るマグニフィセント

だが、発動条件が厳しすぎる

リクはせめてもの足掻きでソリッドバーニングへとチェンジしなんとか持ちこたえる作戦に出た

 

 

その頃、未来は片側が崖の下り坂に向かって走っていた

危険とわかっていても、誰かの為を辞められない響を助ける為、未来もまた戦っているのだ

だが、その足にも限界が来ていた

 

『もう……走れないよ……』

 

走って走って、疲れ果てて、怪獣と巨人の戦いの衝撃もあり、未来はとうとうその場に崩れてしまった

その背後から、タコ型ノイズが迫る

 

『ここで、終わりなのかな……』

 

迫るノイズを見て、未来はそう思ってしまう

 

『仕方ないよね……響……』

 

ノイズが飛び上がる

 

『だけど……』

 

ノイズが、落下してくる

 

未来が、再び立ち上がる

 

『だけど……!』

 

理由は、単純

 

『まだ響と流れ星を見ていない!』

 

果たしていない、約束の為!

 

そして響もまた、自分の守るものの為に飛んでいた

 

 

『戦っているのは私ひとりじゃない、シンフォギアで誰かの助けになれると思っていたけど、それは思いあがりだ…!

助ける私だけが精一杯なんじゃない、助けられる誰かも……一生懸命…!』

 

2年前の出来事が頭を過ぎる

 

《生きるのを諦めるな!》

 

『本当の人助けは自分一人の力じゃ無理なんだ、だから…あの日、あの時、奏さんは私に…生きるのを諦めるなと叫んでいたんだ!今ならわかる気がする…!そして……』

 

未来の元に向かいながらジードを見る

 

『リクくんが怪獣と戦って助けてくれている、私達がノイズと戦ってリクくんを助けている!』

 

未来の姿が見えた

響はガジェットを操作して拳を構える

 

『そうだ…私が誰かを助けたいと想う気持ちは、惨劇を生き残った負い目なんかじゃない…!二年前、奏さんから託されて、私が受け取った……命なんだッ!!

だから私はそれを…未来の、リクくんの、翼さんの、クリスちゃんの、皆の……

そして……私自身の()()()()ために使う!』

 

響は思い切りノイズに向かって振りかぶった

ノイズは炭素となり、爆発四散した

そして、宙に投げ出されていた未来を救い、パイルバンカーを起動して着地の衝撃を殺した…はずだったが勢いあまりそのまま土手を転がり落ちてしまった

 

転がりきった後には制服姿の二人の姿があった

 

「ぁーーいてて…!ぁぁ…」

「ああ〜…痛い〜…」

 

沈黙が流れた

 

「あはははは!

「うふふふ!」

 

そして、2人は笑い合う

 

「かっこよく着地するって難しいんだなぁ…」

「あっちこっち痛くて…でも生きてるって気がする、ありがとう、響なら絶対に助けに来てくれると信じてた」

「…ありがとう、未来なら絶対に最後まで諦めないって信じてた、だって、私の友達だもん…!」

 

友達…その言葉が未来の心に突き刺さり、緊張の糸がほぐれた

 

「…!ぅぅ…うわぁぁぁん!」

 

未来は響に抱きついた

 

「うわぁぁぁっとっとぉ!」

「ぅぅ…怖かったぁ…怖かった…!」

「私も、すごい怖かったぁ…!」

 

未来は胸の内を打ち明ける

 

「私…響が黙っていたことに腹を立ててたんじゃないの、誰かの役に立ちたいと思ってているのは、いつもの響だから……でも、最近は辛いこと苦しいこと、全部背負いこもうとしていたじゃない…私はそれがたまらなく嫌だった…!また響が大きな怪我をするんじゃないかって心配してた…!だけど、それは響を失いたくない私の我がままだ…!そんな気持ちに気づいたのに、今までと同じようになんて出来なかった…!!」

「未来…それでも未来は私の…」

 

ドゥァアッ!?

 

突如ジードの悲鳴が聞こえ衝撃が走る

 

「っ!リクくん!」

「へっ、あれリクくんなの!?」

 

未来は困惑した様子だ

 

「響っ…仲直り…出来たんだねっ…」

 

こんな時だと言うのにリクは響と未来の心配をしている

そんなリクに響は声をかける

 

「リクくん、私の新しいフォニックゲイン受け取って!」

 

響は拳の中に眠っていた紫色の光をジードに向かって投げた

ジードはカラータイマーからそれを受け取る

 

「紫…つまり…!」

 

リクはカプセルを取りだし光を吸収した

今最も欲しかった希望のカプセルが起動した

 

ジーっとしてても、ドーにもならねぇ!

 

 

【〜♪優勢2】

 

 

融合!

 

スイッチを入れると、僕の師匠として、いつも助けてくれた父さんの宿敵、ウルトラマンゼロが現れる

「シェェヤッ!!」

 

それを確認し、カプセルを腰の左側の装填ナックルに填める

 

アイゴー!

 

それから現れたのは僕の父さんのライバルで、光の国の大隊長、ウルトラの父

「ジェアアッ!」

 

それも装填ナックルに填めると、ジードライザーのトリガーを入れる

 

HERE WE GO!

 

装填ナックルを外しジードライザーで読み込むと、心臓の鼓動のような音と共に、二重螺旋が水色と緑色を彩る

 

フュージョンライズ!

 

「守るぜ!希望!!」

 

僕はジードライザーを構えると再びトリガーを引いて叫ぶ

 

「ジィィーードッ!」

 

ウルトラマン、ゼロ! 

ウルトラの、父!

 

ウルトラマンジード!! 

マグニフィセント!!

 

【〜♪ウルトラマンジード マグニフィセント】

 

ドッシリと構えたその姿

鎧を着込んだように見え、さながら頭部は知らない人からすれば牛の形のカブトを被っているような姿になった

 

ウルトラマンジード、マグニフィセント

僕は改めてペダニウムゼットンに向き合う

ペダニウムゼットンは真正面から火球を打ち出した

僕はそれを拳ひとつで無効化した

 

「強い…」

 

響や未来もその姿に見惚れている

 

真正面からがダメならとペダニウムゼットンはテレポーテーションで色んな方向から火球を打ち出してくる

僕は敢えてそれを受け続けた

幸い強固な鎧のお陰で先程のようなダメージは無い

そして、火球の爆発で煙が巻き起こり僕の姿が相手から消えた

さぁ…反撃開始だ!

 

【〜♪優勢1】

 

僕は頭部のツノからエレクトリックホーンを発動し、緑色の電撃を空中全方向に繰り出した

するとペダニウムゼットンにあたり、その体が痺れ始めた

僕は相手の方に飛び出すと右、次は左、そして、両腕でと連続パンチを繰り出した

ペダニウムゼットンもさすがにフラフラで火花が起こっている

 

「よーし!いけぇ!」

 

響の声が聞こえる

僕は拳と拳をうちつけそれを少しずつ開く

緑色のエネルギーが溜まっていく

そしてそれをL字に腕を組み、一気に解き放った

 

「ビッグバスタウェイ!!」

 

緑色の光線はペダニウムゼットンのバリアを打ち破り、しばらく本体を焼いた後、爆発四散させるのだった

 

「やった〜!リクくんが勝った〜!」

 

響が飛んで跳ねて大喜びしている

 

「響、あれ、なんていう名前なの?」

「あれはね、ウルトラマンジードって言うんだよ!」

「ジード…ジード!!」

 

僕は未来と響の方をむく

 

「…色々言ってごめんなさい!貴方に当たっても、何も解決しないのに、私…!」

 

僕は近付いていき、膝を立てる形で座った

 

「大丈夫…気にしてないよ、仲直りできてよかったね、響、未来」

「よーし!記念に写真撮ろう!」

「え?今?!」

「今だからだよ!はい寄って寄って!いくよ〜はい、チーズ!」

 

僕も範囲に入っているのですかさずピースを取った

そして、撮影が終わったあと、僕は空へと飛び立った

 

 

「まだ…すげぇ力を持ってんだな…でも、それを守る為に使ってる…」

 

クリスはまっすぐに誰かのために力を使えるリクを少し羨ましく思いながらマグニフィセントを見送り、歩いていった




【次回予告】
【〜♪優勢1】
クリスはまた姿を消してしまった
でもその心は少しずつ開いていけてるはずだ
そんな最中、僕は響、未来、翼さんとデートをする事に?!
なにこれ、どういう事?!
そして、後日僕は翼さんのライブを初めて見ることに、その会場は、全ての始まりの会場だった
次回、戦姫絶唱シンフォギア 響くぜ!絶唱!!
「防人の始まりの歌」

「私はこんなにも、歌が好きだったんだ」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第7話 防人の始まりの歌

「わぁ……学校の真下にこんな地下基地にシェルターが……」

 

リディアンの地下深く、そこに存在する特異災害対策機動部二課の施設に、先日組織の外部協力者として登録された未来を連れて、響は二課にやってきていた

 

「あ!翼さーん!」

ふと、響は目の前に翼がいる事に気付き声をかけた

さらに緒川と藤尭、リクまでもがそこにいた

 

「立花か…そちらは確か、協力者の……」

「こんにちは、小日向未来です」

「えっへん、私の一番の親友です」

 

未来がお辞儀をする傍らで、胸を張って響が自慢する

 

「立花はこういう性格故、色々面倒を掛けるだろうが、支えてやってほしい」

「見てて危なっかしいですからね」

「あ、リクくん酷い」

「いえ、響は残念な子ですので、ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします」

「未来も結構言うね…」

「ええ!?何!?どういう事ぉ?」

「響さんを介して、お二人が意気投合しているという事ですよ」

「んー…はぐらかされた気がする……」

 

響はふくれっ面を見せる

その様子に、未来とリク、そして翼が笑う

そして、感慨深そうな表情になった響が口を開く

 

「でも未来と一緒にここにいるのは、なんかこそばゆいですよ」

「小日向を外部協力者として、二課に移植登録させたのは、司令が手を回してくれた結果だ、それでも、不都合を強いるかもしれないが…」

「説明は聞きました、自分でも理解しているつもりです、不都合だなんて、そんな」

「あー、そういえば師匠は…」

「ああ、私たちも探しているのだが…」

「あら〜…良いわね」

 

そこへ、了子がやってくる

 

「ガールズトーク?」

「どこから突っ込むべきか迷いますが、とりあえず僕を無視しないでください」

「一応男の僕らも居るんですから…」

 

溜息を吐く緒川と苦笑いを浮かべるリク

しかしそんな二人を他所に、響どころか未来が了子に対して興味津々だった

 

「了子さんもそういうの興味あるんですか?」

「もちのろん!私の恋バナ百物語聞いたら、夜眠れなくなるわよ」

「まるで怪談みたいですね……」

「了子さんの恋バナ!?きっとうっとりメロメロ乙女で大人な銀座の恋の物語ぃ~!」

 

響はやっぱり普通の女の子だ、そういう話には腹をすかした犬の如く食いついている様子を見てリクは微笑む

その一方で翼は頭を抑えるばかり

了子の眼鏡がきらりと光る

 

「そうね…遠い昔の話になるわね。こう見えても呆れちゃうくらい一途なんだから……」

 

何やら本格的な話が出てきそうだ

 

「「おぉぉおおー!」」

 

未来と響が目を光らせる

 

「意外でした…櫻井女史は、恋という研究一筋であると…」

 

翼は意外と言った風な口ぶりだった

 

「命短し恋せよ乙女と言うじゃない、それに女の子の恋するパワーってすごいんだから」

「女の子…ですか?ぐはっ!?」

 

緒川さんの困惑の声がするとその直後、了子の鉄拳が顔面に炸裂した

 

「緒川さん!?」

 

倒れる緒川、リクは駆け寄るが、そんな事知った事かという風に話を続ける了子

 

「私が聖遺物の研究を始めたのも、そもそも……」

 

そこで、了子は止まる

 

「「うんうん、それで・・・!?」」

 

完全にガールズトークにのめり込む女子と化した響と未来

その仕草は何やら餌を前にした子犬のようだ

 

「ま、まあ!私も忙しいから、ここで油売ってられないわ」

「自分から割り込みましたよね…痛っ!」

 

リクの頭部にチョップが入る

だが先程よりは明らかに弱い

なんだろうこの差と緒川は思う

 

「とにもかくにも、出来る女の条件は、どれだけ良い恋してるかに尽きるのよ」

 

するとリクの方を向いて一言

 

「貴方も選びなさいな?」

「へ?」

「響ちゃん、未来ちゃん、翼ちゃんにクリス、気になる子、居ないの?ママは心配よ?」

「……えぇっと…//」

 

僕は顔を赤くして3人を見た

そこには僅かだが頬を紅潮させている3人がいた

えっ、これは…そういうこと?

 

「ガールズ達も、いつかどこかで良い恋なさいね」

 

そう言って、了子は手を振ってさっていく

 

「それじゃ、ば~い」

「聞きそびれちゃったね~」

「ん~、ガードは硬いかぁ…でもいつか、了子さんのロマンスを聞き出してみせる!」

 

響はそうガッツポーズをとるのであった

そこで3人がふと気になった事があった

響がそれを口にする

 

「そう言えばリクくんって告白された事はあるの?」

 

リクは顎に手を当て考えて呟く

 

「実は呼び出された事は何回かあるんだけど…みんな口を揃えて友達で居ようねって言うんだ、わざわざ呼び出さなくていいと思うんだけどな〜…」

 

3人は分かった

 

『『『あ、これ妨害してる人がいる…』』』

 

 

「司令、まだ戻ってきませんね」

「メディカルチェックの結果を報告しなければならないのに…」

 

この間のメディカルチェックにより、もう以前のように動けるという診断を受けた

その報告をしたいのだが、生憎とその司令は留守であった

さらには通信機も置いていっているらしく、連絡すらとれない

これでは、報告なんて不可能だ

 

「次のスケジュールが迫ってきましたね」

「もうお仕事入れてるんですか!?」

「少しづつよ、今はまだ、慣らし運転のつもり」

「じゃあ、以前のような、過密スケジュールじゃないんですよね?」

「ん?」

「だったら翼さん!デートしましょう!」

「ゲホッ!?ガハッ!」

 

水を飲んでいた僕は噎せ返る

 

「り、リクくん大丈夫?」

「だ、大丈夫大丈夫…ちょっとびっくりしただけ…ところで、デートってどういうこと…?」

 

響は自信満々に話し出す

 

「今のうちに快気祝いです!週刊誌的にふたりきりがマズければ未来も一緒、これで大丈…」

「大丈夫じゃないわよ!ほら、翼さんも忙しいんだから困ってるじゃない!」

 

未来はそう否定するが、緒川さんはスケジュールを確認し始める

 

「そうですね…近々に捻じ込むには、今週末になりますかね……あ、お天気いいみたいですよ?」

「緒川さんまで!」

「たまには羽を伸ばすのも、プロフェッショナルの務めですよ」

 

緒川さんの笑顔の圧が凄い

 

「じゃあ、今週末は翼さんと…」

「ええ、お願いします」

「やったー!!わたしたちのカンケイは、事務所公認!」

「おかしなことを言わないでちょうだいっ!」

 

翼さんは顔を赤くする

 

「それに何かあったら!」

「なら、リクさんに一緒に行ってもらいましょう」

「え?!」

「それなら安心だね!」

「男の僕が混ざっていいのかな…」

「男だから安心なんだよ!それに…」

 

響は僕の手を握って目を見つめてくる

僕は恥ずかしくて目を逸らす

 

「了子さんも言ってたじゃん!いい人いないの?って!恋をするにはまず恋をしないと!」

「一理あるかもしれないわね…」

「翼さん!?」

「まぁ、気をはらなくても大丈夫だよ、ただ遊ぶだけだから」

「未来まで〜…!」

 

という訳で僕もデートに参加することになってしまった

 

 

 

 

 

【週末】

 

 

「あの子たちは…何をやっているのよ!」

 

翼さんが急かすように時計を何度も確認する

僕もちょっと前に翼さんと合流、一緒に待っているところだ

しばらくすると走ってくる2人が見えた

 

「はぁ…はぁ…はぁ…すみません翼さん…!」

「はぁ…はぁ…はぁ…」

「遅いわよ!」

 

翼さんが声を荒らげる

 

「申し訳ありません…!御察しの事とは思いますが、響のいつもの寝坊が原因でして……あっ!?」

「はぁ…はぁ…はぁ…ふぅぁぁ…ぅわっ!」

 

2人は翼さんを見て驚く

だけど、僕はそれが何を意味するから分からなかった

 

「時間がもったいないわ、急ぎましょ」

「うぁ~…」

「すっごい楽しみにしてた人みたいだ…」

 

それを聞いた翼さんは振り返る

 

「誰かが遅刻した分を取り戻したいだけだっ!!」

「うひっ!」

「うう!」

 

2人は驚いて肩を竦める

 

「うっへっへ…翼イヤーはなんとやら…ところで…」

 

響がこちらに視線を移す

 

「リクくん、確かに遊ぶだけとは言ったけど〜…」

「えっ、なんかまずい…?」

「まずいとは言わないけど〜…」

 

響は僕のことをじーっと見てくる

 

「その服しかないの?」

「えっ、いやそういう訳じゃないよ、ただこれが気に入ってるし落ち着くから…」

「そうだよ、響、別に変って訳じゃないからいいんじゃない?」

「ダメダメ!リクくん!デートの時はそんな格好じゃダメ!私がコーディネートしてあげる!」

「うぇっ!?」

「文句あるの…?」

 

響の声が急に低くなる

 

「よ、ヨロシクオネガイシマス…」

「よし!行こう!」

「うわぁっと!引っ張らないで〜!!」

 

その後は大変だった

響に連れられて洋服のお店に入り、色んな服を着させられた

革ジャンを着たり、チェックのシャツでオタクのようにさせられたり

その度に翼さんや未来の指摘が入るのでとりあえずは買わされることは無かったが……

最終的には翼さんの選んだパーカーの上からデニムジャケットを着るスタイルが気に入ったのでとりあえずそれを買っておいた

 

「いいなぁ〜…一流アーティストにコーディネートしてもらえるなんて…」

「じゃあ次はリクくんが選んでね」

 

僕は耳を疑った

 

「えっ!?」

「当然でしょ、私たち3人色々着てみるから選んでちょうだい?」

 

その後、翼さん、響、未来の、僕を審査員としたファッションショーが始まった

3人とも綺麗で可愛いので‘いいと思う’くらいのありきたりな返事しか出来ず、すごく歯がゆかった…

 

その後は4人でショッピングしたり、映画を見たりソフトクリームを食べたりと遊んでいた

 

【ゲームセンターにて】

 

「翼さん御所望のぬいぐるみは…この立花響が必ずや手に入れてみせますっ!」

「期待はしているが、たかが遊戯に少し注ぎ込み過ぎではないか?」

 

響は端末をかざすとボタンをガンっと殴るように押し込む

正直壊れないか心配…

 

「キェェェェェイィ!!!」

「変な声出さないで!」

 

アームは確かに一度ぬいぐるみを掴むがすぐにバランスを崩し落ちてしまった

 

「ぅぇぇ…!このUFOキャッチャー壊れてるぅぅーー!!!」

「いやいや…UFOキャッチャーってそういうもんだよ…」

 

だが響は納得いかないようだった

 

「私呪われてるかも!どうせ壊れているならこれ以上壊しても問題ないですよね!!シンフォギアを身に纏ってぇぇ!」

「ああ、コラ!平和的に解決しろっ!」

「この怒りに身を任せればアームドギアだってぇぇ!!」

「いやそんな力で出しちゃダメだから!!」

「大声で喚かないで!そんなに大声を出したいのなら、いいところに連れてってあげるから!」

 

そうして僕達は未来の案内で、カラオケに入ることになった

 

 

「うわぁぁぁぁぁあ!!すごいっ!!私達ってばすごいっ!!トップアーティストと一緒にカラオケ来るなんてぇ!!」

「確かによく考えると凄いことだよね…」

 

僕らが感激していると曲が入った

 

『恋の桶狭間』

 

 

「ん?」

「うん?」

「んん?」

 

響と未来と僕は見合わせて自分じゃないと手を振る

そして、1人動く影

 

「ぅお?」

「お?」

「あ…?」

 

そこにはこちらに一礼する翼さんの姿があった

 

「一度こういうの…やってみたいのよね」

「渋い…」

 

ボソッと未来が感想を漏らす

 

「唇に なんてことするの~ 罪の味 教えたの あなた悪い人〜♪」

 

「わぁぁぁ~♪かっこいい~!」

「あぁぁ…♪」

「す、すごいっ…!」

 

トップアーティストということもあり、その歌は圧巻の一言だった

聞いた人全てを魅了する歌声

僕はこれがアーティストなのかと感激していた

 

「でもそうね もしも裏切れば 切り刻みます 恨みの刃で~♪」

 

因みに僕も歌おうとは思ったのだけど…知ってる曲がなかった…

やっぱり…ドンシャインも入ってなかった

 

 

【夕方】

 

「はぁ…はぁ…はぁ…」

「大丈夫ですか…?」

「ええ…とりあえずね……っはぁ…」

 

今、僕達は響に連れられてとても長い階段を昇っている

 

「翼さぁ~ん!!」

「二人とも…どうしてそんなに元気なんだ…?!」

「翼さんがへばり過ぎなんですよぉ~」

「今日は慣れないことばかりだったから」

 

響がからかい、未来がフォロー、やっぱりこの二人は一緒が一番に思う

どうにか登りきった翼さんが話し出す

 

「ハァ…防人であるこの身は、常に戦場にあったからな」

「………」

 

響が急に黙り込む

 

「本当に今日は…知らない世界ばかりを見てきた気分だ」

「ぅ、そんなことありません」

 

響が翼さんの手を引いて手摺まで向かう

 

「ぁ…あ…、おい!立花、何を!?……ぁぁ…!」

 

そこは、今日遊んだ街が一望できる場所だったのだ

綺麗な夕陽に照らされ、橙色と白のコントラストが美しい

 

「あそこが待ち合わせした公園です、皆で一緒に遊んだところも、遊んでないところも全部、翼さんの知ってる世界ですっ!昨日に翼さんが戦ってくれたから…今日に皆が暮らせている世界です、だから…知らないなんて言わないでください」

 

「ぁ……、……っ。」

 

翼の脳裏にかつての記憶が蘇る

 

『戦いの裏側とか、その向こう側には、また違ったものがあるんじゃないかな、あたしはそう考えてきたし、そいつを見てきた』

 

「そうか……これが奏の見てきた世界なんだな」

「ふふ…」

 

【次の日、学校にて】

 

「ふぇ?!復帰ステージ!?」

 

響の驚く声が響く

 

「アーティストフェスが十日後に開催されるのだが、そこに急遽捻じ込んでもらったんだ」

「なるほどぉ」

「倒れて中止になったライブの代わりというわけだな」

「あっ…!」

 

響が何かに気づいた

 

「翼さん…ここって…」

 

POPSTAR MUSIC FESTIVALとそこには記載されていた

 

「立花にとっても…辛い思い出のある会場だな…」

「そうか、ここって……2年前の…」

 

翼さんが奏さんを亡くし、響がガングニールを継いだ会場

響にとっては悲しい思い出のはずだ

だが……

 

「ありがとうございます、翼さん…!」

「響…」

「いくら辛くても、過去は絶対に乗り越えて行けます…!そうですよね!翼さん!リクくん!」

 

「……っ…」

 

しばらく翼さんは沈黙した、そして、出た言葉は

 

「……そうありたいと、私も思っている…!」

「僕も乗り越えて行けると信じてる……翼も…響も…未来も皆!」

 

 

【当日】

 

 

 

 

 

「はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!せっかくチケット貰ったのにぃ!…はぁ!開演に遅れそう…!!」

「ほら急いで!!」

「分かってるってばぁ!」

 

翼さんのライブの日だと言うのに、運悪く居残り勉強に捕まってしまい、僕と響は急いで会場へと走っていた

だが…

 

(着信音)

 

「ぁ…」

 

響は着信を確認する

 

「ハッ!……!」

 

それは2課からの通信、意を決して響は通信に出る

 

「はい、響です!」

 

「ノイズの出現パターンを検知した、翼にもこれから連絡を……」

「師匠!」

「どうした?」

 

響は少し息を整え言い放った

 

「現場には、私一人でお願いします…!今日の翼さんは、自分の戦いに臨んで欲しいんです…!あの会場で最後まで歌い切って欲しいんです…!」

 

自分の覚悟は決まっている、過去も乗り越えた

だが、翼さんはあそこで歌いきることこそが、乗り越える事だと響は考えたのだ

 

「ぁぁ…!」

「お願いします…!」

 

弦十郎さんの声が少しだけ聴こえる、悩む声が…

 

「……ん……やれるのか?」

 

響は迷わない

 

「はいッ!!!」

 

そして、通信を切り僕のほうへ向く

 

「行ってあげて、リクくん」

「え、でも怪獣が現れないとも限らないし…」

「今の状況、2年前と逆なんだよね…だから…いざって時は、私じゃなくて、みんなを護ってあげて、それに…翼さんがどんなに凄い人かは、ライブを見た方がわかるし翼さんもきっと聞いて欲しいと思うから…」

 

響に言われ気付いた

ライブ会場に未来と翼さんがいて、用事で響は居ない

確かに2年前をなぞるようになっている

……響の願いを僕は受け取ることにした

 

「分かった、あとで感想を伝えるよ……!」

「原稿用紙10枚分書くこと!えへ!」

 

僕にビシッと指をさして微笑むと響はノイズの元へ向かった

 

 

 

【ライブ5分前】

 

「っはぁ!間に合った!」

 

未来の元に走り寄っていく

 

「あれ、響は?!」

「響は…ノイズと戦ってる」

「そっか…」

「でも、僕がいざと言う時はみんなを守る、響から頼まれたから」

 

それを聞くと未来は少し驚くがふふっと笑う

 

「あ、始まるよ!これがトップアーティスト、風鳴翼だよ、リクくん!」

「うん、目に焼き付けるよ!」

 

【〜♪FLIGHT FEATHERS】

 

 

一方その頃、ノイズ発生地点ではクリスがノイズと交戦していた

マシンガンでノイズを一掃していたが、一体が地に突き刺さり、爆発する

爆風でクリスは吹き飛ばされてしまう

 

「うっ…ぐあッ!!」

 

吹き飛んだクリスに再び、ノイズが襲いかかる

 

『…くっ…助けて…リクっ…!』

 

クリスは無意識にリクの名を心で呼ぶが…

 

「たァァっ!」

 

ノイズを吹き飛ばしたのは響だった

2人は顔を見合わせフリーズ

しかしひと足早くクリスが動いた

マシンガンで響の元に来ていたノイズを吹き飛ばした

 

「これで貸し借りなしだ!」

 

響はそんなぶっきらぼうな言葉ですら嬉しかった

2人の初めての共闘が始まる

 

 

「〜♪Deja-vuみたいな感覚 制裁みたいなプラトニック かさね合うメモリー 届いてWishing」

 

リクは息を呑んでいた

これが風鳴翼の歌、生き様かと

 

「〜♪お願いMy star… どうか今… 旅立つツバサの 風をAh 奏でて」

 

リクはペンライトを折る

ドンシャインのイベントの時に使った事はあるが、普段は使わない青色のペンライトを

そして、サビに合わせてそれを振る

 

「〜♪さぁ Starting!始まるシンフォニー 伝説は此処からと この光のLiveは シンクロニシティ たぶんそれだけの 物語なんだ信じて 

My road」

 

会場のボルテージが高まる

歓声が風鳴翼に力を、風鳴翼の歌が歓声を湧き起こす

 

「〜♪さぁ Starting!始まるシンフォニー 

伝説は此処からとさぁ Amezing 奇跡起こそう

たぶんそれだけの 物語なんだ」

 

 

ライブ会場の大歓声が響く

その中には未来やリクの声も混じっている

 

「はぁ…はぁ…はぁ!」

 

ノイズを殲滅し、響が周りを見渡すとクリスの姿は既に消えていた

でも、今共闘した事実は間違いじゃない

 

「ふふ…」

 

響は満足そうに笑った

 

 

 

「ありがとう、みんな!今日は思い切り歌を歌って、気持ち良かったッ!!」

 

翼の声が会場に澄み渡る

 

「……」

 

暫しの沈黙の後、翼が語り始める

 

「こんな想いは久しぶり…忘れていた、でも思い出したッ!私は、こんなにも歌が好きだったんだッ!聴いてくれるみんなの前で歌うのが大好きなんだッ!

もう知ってるかもしれないけど…海の向こうで歌ってみないかって、オファーが来ている……自分が何の為に歌うのか、ずっと迷ってたんだけど、今の私はもっと沢山の人に歌を聴いてもらいたいと思ってる、言葉は通じなくても、歌で伝えられることがあるならば、世界中の人たちに私の歌を聴いてもらいたい…!」

 

会場が再び沸き起こる

 

「ぁぁ!」

「海の向こうなんて…凄いじゃん…!」

 

リクと未来は感激していた

 

 

「私の歌も、誰かの助けになると信じて…みんなに向けて歌い続けてきた…だけどこれからは、みんなの中に自分も加えて歌っていきたい…!だって私は…こんなにも歌が好きなのだから…!!」

 

少しずつ、翼の声は不安そうになる

 

「たった一つのわがままだから…聞いてほしい…赦して欲しい…」

 

翼は俯いた

やはり自分がした事は歌への冒涜なのではないか、歌を破壊に使い、人ではなく剣として生きてきた自分にそんな資格があるのか

不安が拭えていなかったのだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが聞こえた、確かに

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

忘れるはずのない……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

声が……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『許すさ、あたりまえだろ?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぁっ…ぁ…!?」

 

瞬間、会場から“頑張って!”ついて行きます!“おうえんしてる!”

そういった声が聞こえてくる

視線を動かせば、チケット渡したふたりのすがたもある

1人は微笑みながら手を振り、もう1人は自分が選んであげた組み合わせの服を着ていて、“最高でした!”と叫ぶ声が聞こえるようだった

 

「ぁぁ…!ぅぅ…… 」

 

翼は涙をこぼした

溢れ出すそれは止まらない、そして、震える声で伝える

 

 

「ありがとう…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さぁて…どうするんだい、フィーネ…」

 

トレギアは手袋とニーハイを履いただけの裸の女の前に現れた

 

「言ってるでしょ…私は私の目的を果たすだけ…貴方も願いを叶えに来たなら邪魔と失敗だけはしないでちょうだい……」

「それは…君次第、私は提供するだけだからね…」

 

トレギアは手元にあるカプセルを7本取り出す

 

ゼットン

パンドン

グドン

ベロクロン

アストロモンス

バードン

タイラント

 

「…ネフュシュタンと完全融合した君ならこれくらい…おっと」

 

トレギアはゴミを蹴るように散らばった()()を蹴飛ばしフィーネに渡す

 

「ええ…邪魔はさせない…シンフォギアも…ジードも…」

 

そしてその手には、リクのものであるギガファイナライザーが握られていた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




【次回予告】

【〜♪優勢2】

怪獣が7体!?それに巨大ノイズが4体!
一体何が起こってるんだ……!?
迎撃するも苦戦する僕達の元にクリスが現れる
そして、クリスが提案した作戦とは…

次回、戦姫絶唱シンフォギア 響くぜ!絶唱!!
【繋いだ手が紡ぐ夢 変えるぜ!運命!!】





目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第8話 繋いだ手が紡ぐ夢 変えるぜ!運命!!

「これはっ…!」

 

クリスは3度(みたび)フィーネの館を訪れていた

そこでは異様な腐敗臭が漂い、ただならぬ雰囲気が充満していた

クリスが館に入るとそこは惨状だった

武装したグループの死体がいくつも転がり、いたるところに血痕がある

見慣れてしまったクリスですら目を背けたくなるくらいの酷さだ

クリスは部屋に入ろうとするが気配を感じ振り返る

そこには弦十郎が立っていた

 

「違うっ!私じゃ……」

 

だが耳をすませば複数の足音がする

 

『結局こうなるのかよ……』

 

クリスが詠唱を奏でようとした時だった

 

「クリス!」

 

聞き覚えのある声に顔を上げると真っ先に飛び込んできたデニムジャケットの男が自分に駆け寄る

 

「り、リク!?」

「クリス!無事?!」

「えっあっ、あぁ……?」

「…よかった」

 

リクは深く安堵する

その後、黒スーツの男が何人も入ってくるが皆見向きもしなかった

 

「誰もお前がやったとは思ってない、それにリクくんがクリスには手を出すなと言うのでな」

 

クリスは半ば驚いたような顔でリクを見る

 

「司令、これを…」

 

 

《I Love You SAYoNARA 》

 

 

一人が残された手紙を手に取ると爆弾が爆発し始めた

スーツの男たちの上に天井が落ち始める

 

「まずい!!」

 

リクはジードクローを取りだし一回トリガーを引いてボタンを押した

 

「クローカッティング!」

 

光の刃を飛ばして天井を粉微塵にしスーツの男を護った

だがクリスとリクの上にも、天井は落ちてきていた

リクは咄嗟にクリスをかばうように抱き寄せる

 

だがその上からさらに弦十郎が2人をかばい、発勁で天井を破壊した

 

「衝撃は発勁で打消した…」

「ありがとうございます、弦十郎さん」

「…何でギアもまとえねえ奴が私らを護ってんだよ!」

 

クリスが2人から離れる

 

「いいか!?アタシは大人が嫌いだ!大っ嫌いだ!死んだパパとママも大っ嫌いだ!とんだ夢想家で臆病者!アタシはあいつらとは違う!被戦地で難民救済?歌で世界を救う?愛と平和?良い大人が夢なんか見てんじゃねえよ!…っ!」

 

思わず感情的になってしまったがそれを言ってはいけない相手がいた事を思い出す

母も無く、父も殺さないといけなかったやつを

恐る恐るそいつを見てクリスは呟いた

 

「…わりぃ…」

 

怒るだろうか、それとも泣くんだろうか

何はともあれ嫌われたろう

だが、相手の反応は予想と違った

 

「なんだか羨ましいな」

「えっ…?」

 

リクはクリスと同じ視線まで体を下ろす

 

「僕は経験できなかったけど…反抗期って奴だよね、僕は周りに気を使ってばっかだったから」

 

調子が狂う、すると弦十郎が話し出す

 

「いい大人が夢を見るなと言ったな…… そうじゃない、大人だからこそ、夢を見るんだ…大人になったら背も伸びるし力も強くなる、財布の中の小遣いもちっとは増える、子供の頃は、ただ見るだけだった夢も、大人になったら叶えるチャンスも大きくなる……夢を見る意味も大きくなる、お前の親は、ただ夢を見に戦場に行ったのか?

違うな、歌で世界を平和にするって夢を叶えるため、自ら望んで、この世の地獄に踏み込んだんじゃないのか?」

 

なんで…そんなこと…

本人はこれが声に出た事に気づいて無かった

リクがこれに答える

 

「夢は必ず叶うって事をクリスに見せたかったんだよ」

 

クリスはリクを見る

 

「僕もヒーローになりたいって夢を見てた、最初は予想と違ったり、出来なかったり嫌われたりもしてたけど、僕の世界ではそれを叶えられた…諦めなければきっと夢は叶う、それとある人が言ってたんだ、家族の絆はもっと大きなもので、お互いをどれほど思い合えるかが大事だって…だから、嫌いなんて言っちゃダメ、決して絆を諦めるな、それが…本当の家族だって」

 

かつて、自分と同じ様に特殊な生まれだったが、家族として受け入れられた女の子(湊アサヒ)に投げかけられ、投げかけ返した言葉

 

クリスの脳裏にかつてのパパとママの記憶が蘇る

 

「きっと、お父さんとお母さんも、クリスを愛してたと思う、だから…クリスもお父さんとお母さんを好きでいてあげて」

 

…相手が相手だけに重く突き刺さる言葉

クリスの涙腺は限界に来た

 

「ぅぅ…っ…!ぅぅ…うわぁぁぁーーん!ぅぅっ、くぅ…!!」

 

リクがゆっくり近付くとクリスはリクに抱き着いて泣き続ける

リクはそっと、かつて父親にしたように、クリスを抱き締めた

 

 

【数分後】

 

 

「……やっぱり…あたしは……」

 

クリスは車に乗り込まず、うつむいている

 

「一緒には、来られないか」

「ぅ……」

 

弦十郎さんはふぅっと息を吐く

 

「お前は、お前が思っているほど一人ぼっちじゃない、お前が一人道を行くとしても、その道は遠からず、俺達の道と交わる、現にリク君のことは信頼してるようだしな」

「今まで戦ってきた者同士が、一緒になれるというのか…?!世慣れた大人だ、そんな綺麗事言えるのかよ」

「僕ら、一回お互いを信じて戦ったよね?」

「あれはっ……その…」

「ホント…捻てるなぁ、お前」

 

弦十郎さんが車を出そうとするとクリスが叫ぶ

 

「…カ・ディンギル!」

「お?」

「フィーネが言ってたんだ、カ・ディンギルって…それが何なのか分からないけど、そいつはもう完成しているみたいなことを…」

「カ・ディンギル…」

「何か知ってるんですか…?」

 

知っているような口ぶりが気になり僕が問いかけるとエンジンをかけた

 

「後手に回るのは終いだ、こちらから打って出てやる…!」

 

そして、車は走り始めた

 

【特異災害対策機動部2課本部】

 

弦十郎さんが翼さんと響に連絡を入れる

僕もそこにいる

 

「…はい、翼です」

「響です」

「収穫があった、……了子くんは?」

「まだ出勤してません、朝から連絡不通でして…」

 

友里さんが不安そうに伝えてくれた

 

「そうか…」

「大丈夫かな…了子さん」

 

「了子さんならきっと大丈夫です、何が来たって、私を守ってくれた時のようにドカーンとやってくれますっ!」

「いや、戦闘訓練もろくに受講していない桜井女史に、そのようなことは…?」

「ぅぇぇ?師匠とか了子さんって、人間離れした特技とか持ってるんじゃないんですか?」

 

何か話が噛み合わない

僕が疑問に感じていると一件の連絡が入った

 

(CALL:SOUND ONLY RYOKO SAKURAI)

 

「ぉ?」

「?」

「やぁっと繋がったぁ…ゴメンね、寝坊しちゃったんだけど、通信機の調子が良くなくって」

 

弦十郎さんがしばらく沈黙し話し出す

 

「……無事か?了子くん、そっちに何も問題は?」

「寝坊してゴミを出せなかったけど…何かあったの?」

 

寝坊…じゃないような声のうわずりかただ

 

「良かったぁ」

 

響が安堵している

 

「ならばいい、それより、聞きたい事がある」

「せっかちね、何かしら~?」

「……カ・ディンギル、この言葉が意味するものは?」

 

しばらくの沈黙の後、了子さんが語る

 

「カ・ディンギルとは、古代シュメールの言葉で『高みの存在』、転じて天を仰ぐ程の塔を意味してるわね」

「何者かがそんな塔を建造したとして、なぜ俺達は見過ごしてきたのか?」「確かに、そう言われちゃうと……。」

 

確かにおかしな話だ、塔といえばタワーのようなかなり高いもの、作れば必ず目立つ

なんで気づけなかったんだろう

 

「だが、ようやく掴んだ敵の尻尾を、このまま情報を集めれば勝利も同然、相手の隙にこちらの全力を叩きこむんだ…最終決戦、仕掛けるからには仕損じるな…!」

 

「了解です!」

「了解」

「ちょっと野暮用済ませてから、私も急いでそっちに向かうわ」

 

3人の通信が切れる

 

「カ・ディンギル…誰も知らない秘密の塔……」

 

響はまだ分からぬ敵の目的を考える

未来も検索をかけるが……

 

「検索しても、引っかかるのはゲームの攻略サイトばかり…」

 

 

「瑣末な事でも構わん。カ・ディンギルについての情報を掻き集めろ!」

 

なんで気付けなかった…塔ほどの大きなものなら目に見えてもおかしく……

 

 

 

目に見えても……?

 

 

まさか!

 

その時だった

 

《警報》

 

「おぅ?!」

「あっ!」

 

藤尭さんが声を上げる

 

「どうした?!」

「飛行タイプの超大型ノイズが一度に三体…いえ!もう一体出現!!そして、怪獣が7体発生です!!」

「7体も!?」

 

翼は連絡を受けた

 

「合計四体…すぐに追いかけます!」

 

響も同様だ

 

「今は人を襲うというよりもただ移動していると?……はい…はい」

「響…」

「ん、平気、私と翼さんとリクくんでなんとかするから、だから未来は学校に戻って」

「リディアンに?」

 

響が頷く

 

「いざとなったら、地下のシェルターを解放してこの辺の人たちを避難させないといけない、未来にはそれを手伝ってもらいたいんだ」

「ぁ…ぅん、分かった……」

 

未来は不安そうに呟く

 

「ごめん、未来を巻き込んじゃって……」

「ううん、巻き込まれたなんて思っていないよ、私がリディアンに戻るのは、響がどんな遠くに行ったとしても、ちゃんと戻って来られるように、響の居場所、帰る場所を守ってあげることでもあるんだから」

「私の…帰る場所……!」

 

そう言ってくれることが響はすごく嬉しかった

 

「そう、だから行って、私も響のように、大切なものを守れるくらいに強くなるから…」

 

「……」

 

響はそっと未来の手をとる

 

「わっ…」

「小日向未来は私にとっての陽だまりなの、未来の側が一番あったかいところで、私が絶対に帰ってくるところっ!これまでもそうだし、これからもそう!だから私は絶対に帰って来る!」

「響…」

「一緒に流れ星見る約束、まだだしねっ♪」

「うん!」

 

交わされた約束、今度こそ、それは叶うと信じて

 

「じゃあ行って来るよ!」

 

「ぁ………!」

 

 

 

 

 

その頃翼はノイズ発生地点へとバイクを走らせていた

そこへ通信のコールが入った

 

「翼です!」

「ノイズ進行経路に関する、最新情報だ」

「はいっ!」

 

響も通話を繋げる

 

「第41区域に発生したノイズは第33区域を経由しつつ、第28区域方面へと進行中、同様に、第18区域と第17区域のノイズも、第24区域方面へと移動している、怪獣達もその位置にいる、そして……」

「指令!これは…!」

 

友里がデータを計算した結果を表示し、それを藤尭が要約する

 

「それぞれのノイズの進行経路の先に東京スカイタワーがあります!」

 

「はっ!はっ!あっ…東京…スカイタワー……?」

 

響はピンと来た、藤尭も同様だ

 

「カ・ディンギルが塔を意味するのであれば、スカイタワーはまさにそのものじゃないでしょうか!」

「…スカイタワーには、俺達二課が活動時に使用している映像や交信といった電波情報を統括制御する役割も備わっている、二人とも、東京スカイタワーに急行だ!」

 

『罠だとしても…!』

 

響は改めてスカイタワーを見る、小さく見えるということはかなり距離があるということ

 

「スカイタワー…でも、ここからじゃ……うわっと!?ぅわ…!!」

 

突如ヘリコプターが降りてくる

そこにはリクも乗っていた

 

「なんともならない事をなんとかするのが俺達の仕事だって弦十郎さんが言ってたよ!」

「わぁぁ…!」

 

 

しばらく飛行しヘリはノイズの上までやって来た

7体の怪獣が暴れているのも確認できる

 

「よーし…行くよ響…ジーっとしてても!」

「ドーにもならない!ですよね!」

「そういうこと!」

 

リクと響はヘリコプターから飛び降りた

 

Balwisyall Nescell gungnir tron…

 

「ジィィード!」

 

ウルトラマンジード!

プリミティブ!!

 

ジードが降り立ち、響は倒せるだけノイズを倒して地上へと降り立つ

そこには既にも翼もおり、2人は合流する

 

「ジィアッ!」

 

ジードは改めて怪獣を見据える

ゼロは知らないがここまでの怪獣と相対するのは初めてだ

下手を打つとやられてしまう

ジードはそれぞれの怪獣を確認し一人飛び込んだ

 

「相手に頭上を取られることが、こうも立ち回りにくいとは…!!」

 

2人は近接武器の使い手の為、空を飛ばれると上手く攻撃が出来ないのだ

 

「ヘリを使って、私たちも空から…!」

 

直後、その考えを読んでいたと思わんばかりにヘリがノイズによって破壊されてしまった

 

「ハッ…!」

「ぁ…!」

 

2人は呆気にとられた、また尊い命が消える…

 

「そんな…」

「よくもっ…!!」

 

しかし、2人は次から次へと飛んでくるノイズを避けるしか出来ない

 

「空飛ぶノイズ、どうすれば…!」

「臆するな立花!防人が後ずされば、それだけ戦線が後退するということだ!」

 

再びノイズの集団の槍が飛んでくる

この数はまずいかもしれない

その時だった

2人の後ろからマシンガンがノイズを祓ったのだ

響がハッとして後ろをむくと、イチイバルを纏ったクリスが立っていた

 

「チッ…、コイツがピーチクパーチク喧しいから、ちょっとデバッてみただけ、それに勘違いするなよ、お前たちの助っ人になったつもりはねぇ!」

 

その手にはリクが渡した通信機が握られていた

そこから弦十郎の声が響く

 

「助っ人だ、少々到着が遅くなったかもしれないがな」

「ぁが……!!」

 

クリスは余計な事を…と言うように通信機を睨む

 

「ぁは…♪」

「助っ人……?!」

 

響が感激し、翼が困惑、それに弦十郎が答える

 

「そうだ、第二号聖遺物イチイバルのシンフォギアを纏う戦士、雪音クリスだ!」

 

もうどうしようもなく嬉しくて、響はクリスに抱きついた

 

「クリスちゃぁ~~~んっ!!!」

「うわっ!!」

「ありがとぅぅ!絶対に分かり合えると信じてたぁーっ!!」

「って、このバカッ!あたしの話を聞いてねぇのかよっ!!」

 

クリスは響を引き剥がそうと引っ張る

 

「とにかく今は、連携してノイズを…!」

「ッ!勝手にやらせてもらう!邪魔だけはすんなよなっ!」

「ぇぇ!!」

 

響の驚きをしり目にクリスはボウガンを展開してノイズを砕き始めた

 

「ふぇ…」

「空中のノイズはあの子に任せて、私たちは地上のノイズを」

「は、はいっ!」

 

響と翼、クリスと別れノイズの殲滅へと入った

 

「!」

「ッ!」

 

戦闘中、不意に2人がぶつかった

 

「何しやがる!引っこんでな!!」

「あなたこそいい加減にして、一人で戦っているつもり?!」

「あたしはいつだって一人だ!こちとら仲間と慣れ合ったつもりはコレっぽっちもねぇよっ!」

 

「ッ…!」

 

翼は声を詰まらせる

 

「確かにあたし達が争う理由なんてないのかもな、だからって、争わない理由もあるものかよ…!こないだまで殺りあってたんだぞ!そんなに簡単に、人と人が……あっ…!?」

「出来るよ!誰とだって仲良くなれる」

「ぁ…ぁあ……」

 

響が間に入り、クリス、翼と手を繋いだ

 

「どうしてあたしにはアームドギアがないんだろうってずっと考えてた、いつまでも半人前はやだなぁ~、って…でも、今は思わない、何もこの手に握ってないから、二人とこうして手を握りあえる…!仲良くなれるからねっ♪」

 

そうやって響は生きてきた

その手こそが響にのみ成し得る絆のアームギアなのだ

 

「立花…」

 

それを見て翼はクリスと手を繋ごうと刀を地に刺して手を伸ばす

 

「ふふ…」

「ぁ…」

「…ん」

 

ゆっくり差し出された手を翼はスっと掴む

だがクリスは手を引いてしまった

 

「ぅ…ぅぅ……ぁぁっ!このバカに当てられたのか!?」

「そうだと思う、そして、貴方もきっと…」

「ぁ…冗談だろ…?!」

「にしし♪」

 

「グゥァッ!」

 

マグニフィセントにチェンジしていたジードの呻き声が響いた

 

「っ!リクくん!」

「朝倉!」

「リクぅ!」

 

その時、3人の上空に巨大ノイズの影が浮かんだ

 

「朝倉も心配だけど、こちらも親玉を殺らないとキリがない…!」

「だったら、あたしに考えがある、あたしでなきゃ出来ないことだ、イチイバルの特性は長射程広域攻撃、派手にぶっ放してやる!」

「まさか、絶唱を…!?」

 

響は不安そうな声を出す

 

「バカ、あたしの命は安物じゃねぇ」

「ならば、どうやって…?」

 

「ギアの出力を引き上げつつも放出を抑える、行き場のなくなったエネルギーを臨界までため込み、一気に解き放ってやるっ!」

 

「だがチャージ中は丸裸も同然、これだけの数を相手にする状況では危険すぎる…!」

「そうですね…だけど、私たちがクリスちゃんを守ればいいだけのこと」

「ぁぁ…!」

 

2人は微笑みながらノイズの迎撃に向かう

 

『頼まれてもいないことを…!あたしも引き下がれないじゃねぇか…!』

 

クリスは歌を歌い始めた

 

『誰も、繋ぎ繋がる手を持っている、私の戦いは、誰かと手を繋ぐこと…!』

『砕いて壊すも、束ねて繋ぐも力、ふっ…立花らしいアームドギアだ!』

 

クリスは歌を歌いエネルギーを貯めながらジードを見る

 

『…リク…お前が言いたかったのはこういう事だったんだな、自分の損得も関係なく、前にどうだったとか関係なしに、困ってるなら助ける、それが…本当の友達…本当の仲間…!』

 

足から固定用のパーツが飛び出し、腰からはミサイルポッドが幾つも出現した

 

『全くよ、私にここまで干渉したのはお前が初めてだ、これが終わったら手伝えるだけ手伝ってやっからよ…死ぬんじゃねぇよ……何より、伝えたいこともあるんだから!だから今は私が踏んばる……』

 

地上のノイズは散った

 

「「託した!」」

 

響と翼が全てをクリスに託した

 

『踏ん張って…暗い運命を乗換える…私の…』

 

()()()()()()()()()()()!!!」

 

エネルギーが溜まりに溜まり一気に解放された

小型ミサイルが小さいノイズを蹴散らし、大型ミサイルが4体の巨大ノイズを潰した

 

「やった、のか?」

「たりめぇだッ!!」

「ぁはッ!!」

 

炭が降り注ぐ

ジードもそれに気付いた

 

「よし、あとはこっちだ、うわっ!!」

 

ジードは飛び込んできたバードンに吹き飛ばされてしまう

 

「あとは怪獣ね…」

「怪獣には私達の攻撃は効かない…どうしたら…」

 

翼と響が悲観にくれていたが…

 

「お、おい…なんだよこれ?!」

 

クリスの体が虹色に輝いていた

 

「それって!クリスちゃん!今こそそれがリクくんの助けになるよ!」

「ホントかっ!?」

「それを思いきってリクくんに投げて!」

「…よし…」

 

クリスがボールをイメージすると光は手元でボール状になった

 

「…リク!!」

 

ジードがこちらを向く

 

「…受け取りやがれぇ!」

 

それは一直線にジードのカラータイマーへと入り込んだ

リクは最後のカプセルで光を取り込む

 

「…ウルトラマンキング」

 

カプセルに銀色の赤い目の巨人が色づく

同時に左手が輝き、その手を確認すると5本のカプセル、ジャック、エース、タロウ、ゾフィー、6兄弟のカプセルが現れる

 

「クリス…ありがとう…」

 

リクは改めて怪獣に向き合う

 

ジーっとしてても、ドーにもならねぇ!

 

 

【〜♪優勢2】

 

 

融合!

 

スイッチを入れると、僕の父、ウルトラマンベリアルが現れる

「ヌゥエァッ!!」

 

それを確認し、カプセルを腰の左側の装填ナックルに填める

 

アイゴー!

 

それから現れたのは未だ謎多き、僕の宇宙を救った奇跡の力を持つ伝説の超人、ウルトラマンキングが現れる

「ジェアアッ!」

 

それも装填ナックルに填めると、ジードライザーのトリガーを入れる

 

HERE WE GO!

 

装填ナックルを外しジードライザーで読み込むと、心臓の鼓動のような音と共に、二重螺旋が紫と虹色を彩る

 

「ハッ!」

 

トリガーを押すと今までと違う現象が起こる

虹色の粒子が剣を生み出したのだ

 

ウルトラマン、ベリアル! 

ウルトラマン、キング!!

我、王の名のもとに!

 

僕は装填ナックルからキングのカプセルを取りだし、新たに現れた剣、キングソードにはめ込む

 

ウルトラマンキング…!

 

「変えるぜ!運命!!」

 

僕はキングソードに手を翳す

 

トロワ!

 

そして、ボタンを押し込んだ

 

「ジィィーードッ!」

 

黄金色の光が僕を包み込む

 

 

ウルトラマンジード!! 

ロイヤルメガマスター!!!

 

 

【〜♪ウルトラマンジード ロイヤルメガマスター】

 

黄金色の光を散らしながら僕はそっと降り立つ

 

「杖…いや、剣!!」

「王様みたーい!!」

「綺麗だ……」

 

3人は思い思いの言葉を口にする

5体の怪獣達が一斉にこちらに火球などの遠距離攻撃を放つ

僕はすかさず、6兄弟カプセルをキングソードにはめ込み、手を翳してボタンを押した

 

「ブラザーズシールド!」

 

キングソードから、ウルトラ6兄弟があらわれバリアを張る

その強固なバリアは怪獣など寄せつけない

僕は怪獣を見渡しゼットンを見つめる

 

「まずは…お前だ!」

 

【〜♪フュージョンライズ!】

 

カプセルをウルトラマンのものに変えると手を翳してボタンを押し込んだ

 

「スペシウムフラッシャー!!」

 

キングソードを構えると光線が飛び出した

ゼットンはバリアを張り防ごうとするが、少ししてバリアは割れ、ゼットンが爆発する

 

次はグドンだ

飛ばしてきた鞭をキングソードで受け止める

その一瞬でカプセルをウルトラマンジャックへ変更

手を翳して構える

 

「ランススパーク!」

 

刀身に宿ったエネルギーを一気にグドンに突き刺した

グドンもしばらくして爆散した

次はこれだ!

カプセルをウルトラマンエースのものにして構える

 

「バーチカルスパーク!」

 

抜刀をするように振ると白い刃がベロクロンをミサイルごと一刀両断する

次はウルトラマンタロウのカプセルを取りだし嵌め込んで力を貯める

 

「ストリウムフラッシャー!!」

 

一瞬体がマダラ色になるとキングソードから凄まじいエネルギーが放たれるアストロモンスはそれにより体を砕かれる

パンドンからの火球をマントで防ぎながら、続いてウルトラセブンのカプセルを使用する

 

「スラッガースパーク!」

 

マントを翻しながら振り返りつつ、剣を振るうと、セブンのアイスラッガーのような刃が飛び出しパンドンを切り裂く

あとは2体!僕は飛び上がりバードンの後ろへまわるとゾフィーカプセルをセットし慎重に狙いを定めた

 

エイティーセブン(87)フラッシャー!!」

 

シャワーのような光が、バードンをやき尽くした

残るはタイラント

 

僕はキングカプセルに差し替えるとジードライザーでキングソードを読み込んだ

 

解放せよ!宇宙最強の力!

 

キングソードのボタンを押すと手を3回かざす

 

アン!

ドゥ!

トロワ!

 

僕はボタンを押し込み、キングソードに手を添える

 

ロイヤルエェーンド!

 

黄金のシャワーがタイラントに浴びせかけられる

6兄弟を苦しめてたタイラントもそれには適わず、爆発四散する

マントを靡かせながら僕は降り立った

 

「やったやったぁぁぁ!!あはははは!」

「やめろバカ!何しやがるんだっ!?」

 

クリスが響を引き離す

 

「勝てたのはクリスちゃんのおかげだよぉぉ!!にひひひ!」

「だからやめろと言ってんだろうがっ!!いいかっ!お前たちの仲間になった覚えはないっ!あたしはただフィーネと決着をつけて、やっと見つけた本当の夢をリクと一緒に果たしたいだけだ!……アッ!」

 

クリスは顔を真っ赤にする

 

「夢?クリスちゃんの?!どんな夢!?なんでリクくんと一緒!?聞かせてよぉぉぉ!!」

「ぅわ!五月蠅いバカ!!!お前本当のバカッ!!」

 

何度も抱きつく響にクリスは呆れを通りこして怒っていた

 

「ふふ…へへへ…」

 

響がにやけていると電話がかかった

 

「ぁ…!はい…?」

 

「響!?学校が…リディアンがノイズに襲われっ……」

 

電話はそこで切れてしまった

 

「ハッ…!!ぇ……」

「皆!リディアンの方にノイズが居る!」

 

決戦は近い……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




【次回予告】
【〜♪優勢2】
リディアンがノイズに襲われた
敵の目的の塔は、やっぱりあれだったんだ!
そして、たどり着いた僕達の前にフィーネが現れる
貴方は…!

次回、戦姫絶唱シンフォギア 響くぜ!絶唱!!
【月を穿つ、フィーネのキボウ】

「私は…パパとママと…」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第9話 月を穿つ、フィーネのキボウ

 

リクや響達が街に出たノイズを対処している間にもリディアンはノイズの襲撃を受けていた

そのノイズに自衛隊が対応しているが、通常兵器ではノイズに干渉自体出来ないため、ただ無駄に弾を消費する事しかできなかった

ただ出来る事と言えば、リディアンにいる生徒たちを、とにかく逃がす事だけ

その避難誘導に、響と別れた未来は先陣切って行っていた

 

「落ち着いてシェルターに避難してください!」

自衛隊員に誘導を任せ、生徒をなだめつつ、未来は声を上げる

 

「ヒナ……」

 

そんな中で、未来に話しかける者がいた

黒鉄色のショートカットが特徴的な、安藤創世(あんどうくりよ)

長い金髪が特徴的なお嬢様の寺島詩織(てらしましおり)

そして髪の毛をツインテールにした板場弓美(いたばゆみ)

いつも未来や響と一緒にいる同級生の少女たちだ

リクもよく話している

 

「どうなってる訳?学校が襲われるなんてアニメじゃないんだから…」

 

いつも比喩にアニメを使う彼女だが、今回は的を得ている

街でノイズが出ても、学園で出る事なんて今までになかったのだから

だがこれは現実だ

 

「皆も早く避難を…」

「小日向さんも一緒に…」

 

詩織がそう急かすが、未来は首を振った

 

「先に行ってて、私、他に人がいないか見てくる!」

「ヒナ!」

 

創世が呼び止めるも、未来は行ってしまった

そこへ、避難誘導に当たっていた自衛隊員の一人が走ってくる

 

「君達!早くシェルターに向かってください!校舎内にもノイズが…ッ!」

 

その次の瞬間、一瞬の事

その自衛隊員が、ノイズに貫かれた

そして、一秒もたたずに炭素となり、崩れていく

 

「っ…!いやぁぁぁあぁぁああぁあああ!!」

 

弓美の悲鳴が、響き渡った

 

 

 学園の中で、生存者がいないか走り回る未来

流石に元陸上部、肩を上げ下げすることなく走り呼びかける

 

「誰かー!残ってる人はいませんか……きゃ!?」

 

突如地面が揺れて、未来は思わず小さく悲鳴を上げた

窓の外を見てみると、巨大なノイズが、リディアンを力の限り破壊し尽くしている

自衛隊などまるで歯が立っていない

 

「学校が…響の帰ってくるところが…」

 

その惨状を目にして立ち尽くす未来

しかし、それを許さないかのように、ノイズが窓から飛び込んできた

壁に張り付いたノイズが、そのまま砲弾の如く襲い掛かってくる

それに未来は反応できずノイズにぶつかる……事にはならず、寸での所で緒川が未来を押し倒して危機を脱したのだった

 

「うぅ…あ、緒川さん!?」

「ギリギリでした、次、上手くやれる自信はないですよ」

 

緒川は面を上げ、通り過ぎていったノイズの方を見た

すでに、次の攻撃態勢に入っていることが分かる

 

「走ります!」

「うぇえ!?」

 

未来の手を取り、駆け出す緒川

 

「三十六計逃げるに如かず、と言います!」

 

すぐさまエレベーターに駆け込み、通信機を使って扉を閉めた

だが現実と異次元との実体率を操作する事の出来るノイズは物体への透過も可能だ

しかし、二人に触れるには一歩届かず、超高速で落ちるエレベーターが動き出し、そのままノイズはエレベーターから追い出された

 

「……ほ」

安堵の息を漏らす未来

その後、緒川は通信機を使って本部に連絡する

 

「はい、リディアンの破壊は、依然拡大中です、ですが、未来さんたちのお陰で、被害は最小限に抑えられています」

 

人的被害はかなり進んでいた為、おそらく生徒の犠牲者はいないだろう

自衛隊はその限りではないのが残念だが

 

「これから未来さんを、シェルターまで案内します」

「分かった、気を付けろよ」

 

弦十郎がそう返事を返す、そのまま切ろうとした時、緒川から声が上がった

 

「それよりも司令」

「ん?」

「カ・ディンギルの正体はやはり…っ!?」

 

次の瞬間、緒川が息を飲む声が聞こえ、そして立て続けに何かが粉砕される音が響いた

 

「きゃぁぁあぁああ!!」

「どうした!?緒川!」

 

未来の叫びを最後に、こちらから呼びかけるも返事はなく、ただ向こうの通信機が破壊された時に聞こえる砂嵐の音しか聞こえなくなった

 

 

その一方で、緒川と未来の方では黄金の鎧を纏ったフィーネ(櫻井了子)が現れ、緒川の首を絞めつけていた

 

「ぐ…ぁ……」

「こうも早く悟られるとは、何がきっかけだ?」

「……っ塔なんて目立つものを、誰にも知られる事なく建造するには、地下へと伸ばすしかありません…そんな事が行われているとすれば…特異災害対策機動部二課本部…そのエレベーターシャフトこそ、カ・ディンギル……そして、それを可能とするのはっ…という事っ…ですよねっ…!」

 

フィーネは舌打ちをする

 

「漏洩した情報を逆手に、上手くいなせたと思っていたのだが…」

「リクさんがっ…気付いたんですよっ……!!正体までは…分からなかったみたいですがっ…!」

「あのガキ…」

 

そのタイミングでエレベーターが最下層に到達し緒川の背後の扉が開く

それにより拘束を逃れた緒川は身軽な動きで距離を取って飛び上がると同時に脇のホルスターから拳銃を抜き出しトリガーを引いた

3発の弾丸全てがフィーネに直撃するが、突き刺さった弾丸がまるで削り取られたかのように落ちていき、一方のフィーネの体には傷一つついていなかった

 

「ネフシュタン…!?」

 

返答の代わりか、ネフシュタンの肩にある茨を操り、緒川を一瞬で拘束し、空中へ持ち上げた

 

「緒川さん!」

「ぐぁぁあぁあ!?ぐっ…あ……未来……さん…逃げ…て……」

 

今自分が茨で締め付けられ絶体絶命の状況であるのに、未来に逃げるように促す緒川

しかし未来はそれを見過ごせず、フィーネに体でぶつかる

だが、あまり効果はないのかフィーネはぶつかってきた未来へと肩越しに視線を向けた

その視線に、未来は思わず後ずさる

 

「ひっ…!」

 

振り返ったフィーネは、緒川から拘束を外し、未来と向きった

そして、その顎に手を当てる

 

「麗しいな、お前たちを利用してきた者たちを守ろうというのか?」

「利用っ……?」

訳が分からず聞き返す

 

「何故二課本部がリディアンの地下にあるのか…それは聖遺物に関する歌や音楽のデータを、お前たち被験者から集めていたのだ、その点、風鳴翼という偶像は、生徒を集めるのによく役立ったよ」

 

そう言って、嘲笑うと未来から離れて歩き出す

その後ろ姿を見る未来

 

「嘘を吐いても、本当の事が言えなくても、誰かの命を守るために自分の命を危険に晒している人がいます!」

 

未来はフィーネに対して毅然とした態度で言い放つ

先ほどの緒川がそうであったように、今までジードとして戦ったリクがそうであるように、あの日響が自分を守ってくれたように

 

「私はその人を……そんな人たちを信じてる!」

 

響や翼のようにシンフォギアを纏えない、リクのように戦わねばならぬ運命でもなかった、争いもしらないただ一人の少女が、おそらく百戦錬磨であろう存在に、ちっぽけな勇気を振りかざしていた

 

「……ッ!」

 

それが癪に障ったのか、フィーネは未来の頬に一発平手打ちをすると、すかさずその胸倉を掴んでもう一度引っ叩いた

未来はそのまま崩れ落ちる

 

「まるで興が冷める!」

 

忌々し気に呟き、フィーネは、そのままデュランダルが保管されている場所へ向かって行く

そして、二課の通信機を取り出し、認証パネルにかざそうとした寸前で弾丸が通信機を破壊した

 

「デュランダルの元にはいかせません…!命に替えてもです!」

 

振り返れば、そこには拳銃を構える緒川の姿があった

銃を投げ捨てて格闘戦を挑もうとする緒川

しかしフィーネはまるで冷めた目で緒川を見据え、ネフシュタンの茨を振るおうとする

 

しかしそこに響き渡る声

 

「待ちな、了子」

 

突如、天井が粉砕され瓦礫が落ちてくる

そこから現れたのは司令、風鳴弦十郎であった

 

「私をまだ、その名で呼ぶか」

「女に手を挙げるのは気が引けるが、二人に手を出せば、お前をぶっ倒す!」

「司令……」

「調査部だって無能じゃない、米国政府のご丁寧な道案内で、お前の行動にはとっくに行き着いていた…後はいぶり出すため、あえてお前の策に乗り、シンフォギア装者とリクくんを動かしてみせたのさ」

「陽動に陽動をぶつけたか…食えない男だ、だが、この私を止められるとでも……」

「おうとも、一汗掻いた後で、話を聞かせてもらおうか!」

 

たじろぐ事無く答えて見せる弦十郎

すかさず地面を蹴り砕いて弦十郎は前に出た

それを阻止すべく茨を振るうも当たらず、二撃目も飛んで躱されては天井の出っ張りを掴み、そしてそのまま体を持ち上げて天井に足を付けたと思ったら一気に落下

そしてそのまま拳を振り下ろしてくる弦十郎にフィーネはギリギリの所で避けるも僅かに掠ったのか鎧にひびが入った

 

「何…!?」

 

何故ただの人間の攻撃でヒビが…

思わず驚いて距離を取るフィーネ

鎧はすぐさま修復するが、フィーネは未だ険しい顔で弦十郎を睨む

 

「肉を削いでくれる!」

 

そしてすかさず茨を弦十郎に叩きつけようとするもいとも容易く掴み取られ引っ張られてしまう

さらに鎧によって重量が増している筈のフィーネを軽々を引っ張り出し、そのままどてっぱらに渾身の一撃を叩き込んだ

フィーネはそのまま弦十郎の背後に落下する

 

「が…ぐあ……」

 

思わず呻き声をあげるフィーネ

 

「完全聖遺物を退ける…!?どういう事だ……!?」

「しらいでか!飯食って映画見て寝る!男の鍛錬は、ソイツで充分よ!」

「なれど人の身である限りは!」

 

立ち上がったフィーネはすぐさまソロモンの杖を取り出したが

 

「させるか!」

 

すかさず弦十郎が床を踏み砕いて飛び散った破片を蹴り飛ばす

それは見事フィーネの手に当たり、ソロモンの杖は天井に突き刺さる

弦十郎はすぐさま拳を構えて飛びかかるが

 

「弦十郎くん!」

 

一瞬フィーネの顔と声が了子へ戻る

それは情に脆い弦十郎には十分だった

ニヤリとフィーネが笑うと弦十郎の土手っ腹に手が突き刺さる

禍々しい爪を持つ、悪魔のような手が

 

「司令…!」

 

緒川が声を漏らす

腹を貫かれた弦十郎が血を吐いてはまき散らし、そのまま地面に倒れるとそこには、返り値を浴びたジードのような存在がいた

否、ジードよりもおどろおどろしい雰囲気をまとうそいつはリクから聞いた特徴と一致する

 

トレギアだ

 

「ふぅ…汚いな…一つ貸しだよ」

「いやぁぁぁああぁああああ!!!」

未来の叫びが響き渡り、弦十郎の体を中心に、血溜まりが広がって行く

 

「抗うも、覆せないのが運命(さだめ)なのだ…!」

 

弦十郎のポケットから通信機を奪い取り、ソロモンの杖を回収する

ドアの前に行きトレギアに一言“余計な事を…”と呟くと未来達に向き直る

 

「殺しはしない、お前たちにそのような救済など施すものか」

 

そう言って、フィーネはデュランダルが保管されているアビスへと続く道を開ける

そしてそのまま、扉の向こうに消えてしまった

 

 

司令部にて、装者とジードの戦いを見守る二課職員達

その最中で、司令部の扉が開いたと思いきや、ぐったりとした状態で緒川と未来に運ばれる弦十郎がいた

 

「司令!?」

「応急処置をお願いします!」

 

緒川の指示で友里が応急処置を行う

 

「本部内に侵入者です」

 

代わりに緒川が端末を操作しそして、事あらましを簡潔に述べた

 

「狙いはディランダル、敵の正体は……櫻井了子」

「な……!?」

「そんな…!?」

 

更なる動揺が司令部に広がっていく

しかしその間も緒川はコンソールを操作し、響たちに回線を繋げた

 

「響さんたちに回線を繋げました」

 

それを聞いた未来は、すぐさま呼びかける

 

「響?学校が、リディアンがノイズに襲われてるの!…あ……!?」

 

しかし突如として周囲の照明が落ちてしまった

 

「なんだ!?」

「本部内からのハッキングです!」

「こちらかの操作を受け付けません!」

 

あっと言う間に彼らの扱う機器が使用不能となっていく

 

「こんな事…了子さんしか…」

 

藤尭がそう呟く中で、未来はただ茫然と、その様子を見ている事しか出来なかった

 

「響………」

 

 

 

日が沈み、月が空に昇ったころ、ジードと響達はリディアンに到着した

 

「これは……」

 

その惨状を見て、全員茫然とする

学園の校舎は崩れ去り、グラウンドは荒れ、破壊された戦車が置き去りにされており、気配は一人もいない

 

「未来ー!皆ー!」

 

響が呼びかけても返事はなく、ただその場に膝を付く事しか出来ない

 

「リディアンが…」

 

翼が茫然と呟く中、見上げた先の校舎の端に一人の女性が立っているのに気付いた

 

「櫻井女史!?」

「フィーネ…お前の仕業か!?」

「フィー…ネ?」

 

リクは耳を疑った

 

「ふふ…ハハハハハハ!!!」

 

それを聞いて高笑いをする了子

 

「そうなのか……その笑いが答えなのか!?櫻井女史!?」

 

信じられないとでも言いたげな翼

 

「アイツが、アタシが決着をつけなきゃいけないくそったれ…フィーネだ!」

 

クリスがそう叫んだ瞬間、眼鏡を外し、髪を解いた了子が光に包まれる

その光が収まるころにそこに立っていたのは、アクロスマッシャーが起動したあの日に目にしたあの金髪の女性だった

 

「嘘…」

 

響が茫然と呟く中で、ネフシュタンを纏ったフィーネはその場に佇んでいた

 

「嘘だ…」

 

リクが首を振る中、ふと、響が口を開いて尋ねた

 

「…嘘ですよね、そんなの嘘ですよね?だって了子さん、私を守ってくれました」

「あれは単純にデュランダルを守っただけだ、お前はおまけだったんだよ、何せ、貴重な完全聖遺物だからな、あれは」

「嘘ですよ…了子さんがフィーネと言うのなら、じゃあ、本当の了子さんは?」

「櫻井了子の肉体は、先だって食いつくされた…いや、意識は十二年前に死んだと言って良い超先史文明期の巫女『フィーネ』は、遺伝子に己が意識を刻印し、自身の血を引くものが、アウフヴァッヘン波形に接触した際、その身に、フィーネとしての記憶、能力が再起動する仕組みを施していたのだ、現代じゃ到底及ばない力を秘めているのが先史文明の科学力、そして十二年前、風鳴翼が偶然引き起こした天羽々斬の覚醒は、同時に、実験に立ち会った櫻井了子の内に眠る意識を目覚めさせた……その目覚めし意識こそが、『フィーネ』なのだ」

 

それが、今目の前に立つ、フィーネの正体

 

「貴方が、了子さんを塗り潰して…」

「まるで、過去から甦る亡霊…!」

「……」

 

茫然とする響、顔を険しくする翼、そして、黙ったままのリク

 

「フハハ…『フィーネ』として覚醒したのは私一人ではない、歴史に記される偉人、英雄、世界中に散った私達はパラダイムシフトと呼ばれる技術の大きな転換期にいつも立ち会ってきた……」

「っ……シンフォギアシステム…!?」

「そのような玩具、為政者からコストを捻出するための副次品に過ぎぬ、最も、コイツの技術の方が個人的には助かったがな…」

 

フィーネはかつてクリスが使っていたと思われるライザーを取りだした

 

「お前の戯れに、奏は命を散らせたのか……!」

「アタシを拾ったり、アメリカの連中とつるんでいたのも、そいつが理由かよ!?」

「そう!全てはカ・ディンギルの為!」

 

フィーネが、なんの悪びれもなく肯定し、そしてそう答えた瞬間、突如として地面が揺れ始めた

 

「うおあ!?」

「な、なんだ!?」

「これは・・・!?」

 

大きく揺れる中で、リディアンの真下から、何かが地面を突き破って出てくる

それは、エレベーターシャフト、否、巨大な塔

あの日、二課のエレベーターシャフトから見えていた壁画のような飾りが施されており、その巨大さは、まさしく天を見上げる程

 

「これこそが、地より屹立し、天にも届く一撃を放つ、荷電粒子砲カ・ディンギル!」

 

そう、聳え立つこれは、星をも穿つ巨大兵器だったのだ

 

「カ・ディンギル…こいつで、バラバラになった世界が一つになると!?」

「…ああ。今宵の月を穿つことによってな…!」

 

衝撃的な言葉に皆が困惑する

 

「月を…!?」

「穿つと言ったのか?」

「なんでさッ!?」

 

フィーネはポツリポツリと話し始めた

 

「…私はただ、あのお方と並びたかった、そのために、あのお方へと届く塔を、シナルの野に建てようとした……だがあのお方は、人の身が同じ高みに至ることを赦しはしなかった…あのお方の怒りを買い、雷騁に塔が砕かれたばかりか、人類は交わす言葉まで砕かれる……!果てしなき罰…バラルの呪詛をかけられてしまったのだ…!

月が何故古代より不和の象徴と伝えられてきたか…それは!!月こそがバラルの呪詛の源だからだッ!!人類の相互理解を妨げるこの呪いを、月を破壊する事で解いてくれるッ!!そして再び、世界を一つに束ねる…!!」

 

クリスが口をかみ締める

 

「呪いを解く…?」

「…ん?」

「それは、お前が世界を支配するってことなのか?!安い!安さが爆発しすぎてるっ!!」

「はぁ…永遠を生きる私が余人に歩みを止められることなどありえない」

 

それと同時に、カ・ディンギルに変化が訪れた

突如として光だし、やがて稼働するかのような音が鳴り響き、その砲塔の中ではエネルギーが充填されていく。

このままチャージが終われば、すぐさま月は破壊されてしまうだろう

 

「だったら…僕がここで了子さんを止める!」

 

今まで黙っていたジードがキングソードを構え、カ・ディンギルに向かって振り下ろす

しかし、現れたトレギアがキングソードを受け止める

 

「おいおい、人の夢を壊すことが、ウルトラマンの使命なのかい?」

「違う、僕がやろうとしてるのは、命を守る事だ!了子さんの思いは間違ってない!だけど、その為に誰かを犠牲にするやり方は間違ってるんだ!」

「貴様も父親を犠牲にしたくせに何を言うか…」

「くっ…それはっ…」

 

リクの心に刺さる言葉、皆を守るため、父親を殺したリクには深く刺さってしまう

トレギアはその一瞬を見逃さず、電撃でジードを吹き飛ばした

 

「グゥオッ…!!」

 

その時、歌が響く

 

Balwisyall Nescell gungnir tron…

Inyuteus amenohabakiri tron…

Killter Ichaival tron…

 

 

その頃、避難区画では

 

「小日向さん!」

「よかった!みんなよかったぁ!」

 

冒頭の3人と対策機動部二課の面々が出会っていた

 

「この区画の電力は生きているようです!」

 

藤尭がモニターを起動させる

 

「他を調べてきます!」

 

緒川が再び避難民を探しに地下通路へ飛び出す

 

「ヒナ、この人たちは?」

「うん、あのね…」

 

未来が説明に困っていると弦十郎が話し始めた

 

「われわれは、特異災害対策機動部、一連の事態の収束に当たっている」

「それって、政府の…!」

「モニターの再接続完了、こちらから操作出来そうです」

 

藤尭がモニターを表示するとカ・ディンギル、そして、響とクリスが写し出される

 

「あっ!響!!」

「「「えっ?!」」」

「それに…あの時のクリスも…」

 

次にフィーネが写し出される

 

「これが…」

「了子さん…?」

 

2人は信じられないという表情でモニターを見る

 

「どうなっているの?!こんなのまるでアニメじゃない…!」

「ヒナはビッキーのこと知ってたの…?」

「ん…」

 

安藤の質問に未来は小さく答える

 

「前にヒナとビッキーがケンカしたのって…そっか、これに関係することなのね…」

「ごめん…」

 

最後にジードが写し出された

 

「これって最近話題の巨人じゃんか!」

「ジード…ウルトラマンジード」

 

未来が名を呟く

 

「また新しい姿に…」

「でも、もう1人の巨人に痛めつけられてる…」

 

制限時間もそろそろ来てしまう

絶望、それがふさわしい状況であった

 

戦況は圧倒的だった

いくら3人が攻撃しようとフィーネにはダメージらしいダメージが入らない

ジードの方もいくら攻撃してもトレギアに軽くいなされてしまう

クリスはその様子を見て覚悟を決めた

 

『あたしがやるしかねぇ、あたしが!』

 

クリスはエネルギーをチャージし巨大ミサイルを放った

フィーネはそれを避けるがしつこく追いかける

クリスはその間に再びエネルギーを貯め、カ・ディンギルへと放った

 

「させるかぁぁぁああ!!」

 

すかさずフィーネが茨を使ってそのミサイルを両断する

両断されたミサイルは、いとも容易く爆発するも、しかしもう一発、フィーネを追っていたミサイルが迫ってきていなかった

 

「もう一発は!?」

 

そこで、フィーネは空を見上げた

そこには、天に向かって突き進むミサイルに乗るクリスの姿があった

 

「クリスちゃん!?」

「何のつもりだ!?」

「クリス…まさか!」

 

リクの考えは的中した

クリスは、自らカ・ディンギルの前に立ち、その砲撃を迎え撃つつもりだった

だが、敵は月を穿つ程の威力を備えた、荷電粒子砲

 

「足掻いたところで所詮は玩具!カ・ディンギルの発射を止める事など…」

 

カ・ディンギルの砲門の先に、クリスが立ち塞がると…聞こえてくる

 

あの唄が…

 

 

「Gatrandis babel ziggurat edenal……」

 

 

 

「この歌…まさか!?」

「絶唱……!?」

 

 

ミサイルから飛び降りて、カ・ディンギルの前に出る

 

 

「Emustolronzen fine el baral zizzl……」

 

 

腰のプロテクターから無数のエネルギーリフレクターを展開し、取り出した二つのハンドガンから、それぞれ一発ずつのエネルギー弾を発射

 

 

「Gatrandis babel ziggurat edenal……」

 

 

放たれたエネルギー弾は、リフレクターに反射されると同時に増幅され、それが無数に引き起こされて行き、ほぼ無限に力が増幅されていく

そのエネルギー弾が反射する度に、光は強さを増していき、やがて、その形が蝶の羽を象っていく

 

 

「……Emustolronzen fine el zizzl……」

 

 

 

その最中で、手に持ったハンドガンを前方のカ・ディンギルに向け、そしてその手にバスターキャノンを形成した

 

 

「クリスぅぅ!!!!!」

 

リクはクリスの元に行こうと飛行する

しかし…

 

「トレラアルディガ!」

「ぐぁぁっ!!」

 

トレギアによって邪魔され墜落してしまった

その墜落と同時に……カ・ディンギルが発射された

 

そして迎え撃つ、クリス渾身の砲撃は真正面から衝突した

 

衝突によって、眩い光が迸り、周囲を照らしていく

 

 

そしてクリスの砲撃は、確かにカ・ディンギルを食い止めていた

 

 

「一点集束…!?押し留めているだと…!?」

フィーネは信じられないように状況を眺める

 

しかし、それも長くは続かない

 

 

『ずっとアタシは、パパやママの事が…リクのことが大好きだった…』

 

 

バスターキャノンはひび割れていき、エネルギーは尽きていく

 

 

『だから、二人の夢を引き継ぐんだ』

 

 

ギアにすらひびが入っていく。その口元からは血を垂れ流し、絶唱のバックファイアが彼女の体を蝕んでいく

 

 

『パパとママの代わりに、歌で平和を掴んで見せる……あたしも、リクに真正面から向き合えるように…』

 

 

僅かな、一瞬、ただ一瞬、押し留めて……

 

 

『アタシの歌は…その為に…』

 

 

……光に飲み込まれた

 

 

 

 

 

 

 

 

カ・ディンギルの一撃を受けた月は……その一部を欠けさせるにとどまった

 

「し損ねた!?僅かに逸らされたのか!?」

 

フィーネが、驚愕に目を見開いた

そして、小さな光を巻き散らして、落ちてくる少女が、一人……

 

「クリス!」

 

ジードはカラータイマーが素早過ぎる点滅を鳴らしているにも関わらず走って行く

 

「……トレラアルディガイザー!」

 

だが敵に背を向ければ攻撃されるのは当然、トレギアの攻撃はジードを蝕み、体力を消耗させた

 

「グアっ!?アッ…」

 

ゆっくり粒子となり地面に落下するリク

落下の衝撃で、キングとベリアルのカプセル以外、計八本のカプセルを落としてしまうが動くことはできない

 

「あ……ああ……」

「……」

 

翼は、そう声を漏らす事しか出来ず、響はただ、言葉を失う

クリスは、森の中に堕ちていく……

リクは薄れゆく意識の中でそれを見ることしか出来なかった

 

「クリス…ぅぁぁぁっ!」

 

「……あぁぁあああぁぁぁぁぁあああああぁぁあぁぁぁあぁああああ!!!!」

 

響の悲鳴が、響いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




【次回予告】

絶望の淵に立たされちまったリクとシンフォギア装者達
クリスの事を嘲笑うフィーネに怒った響も暴走、それを止めるため翼とリクが奮闘するが翼も再起不能に陥ってしまう
全てを失った響は戦えなくなり、リクも再変身が出来ない
だが、絶望の中でも輝く光はあるんだぜ!

次回、戦姫絶唱シンフォギア 響くぜ!絶唱!!

【シンフォギア・ゼロ】

待たせたな!久しぶりだなリク!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第10話 シンフォギア・ゼロ

ジードが朝倉リクに戻る様子は皆の元にも中継されていた

 

「朝倉さん!?」

「リッキーまで…こんな戦いに……」

 

詩織と創世が驚いた声を出す

未来はクリスが堕ちて行く様子に涙する

 

『さよならを言えずに別れて、それっきりだったのよ…なのにどうして…?』

 

弦十郎も同様だった

 

『お前の夢……そこにあったのか?そうまでしてお前がまだ夢の途中というのなら、俺たちはどこまで無力なんだ……!?』

 

 

「ふっ、では失敬しようか…私の目的はジードの足止め、残業はしない主義でね…」

 

トレギアはふっと消え去ってしまう

 

 

響は泣き崩れる

 

「そんな…せっかく仲良くなれたのに……こんなの…嫌だよ…嘘だよ……」

 

ただ目の前にある現実を受け入れられず、響はその場に手をついて、ただ、己の無力さに打ちひしがれる

 

「もっと沢山話したかった…話さなかったら、喧嘩することももっと仲良くなることも出来ないんだよ…!」

 

そんな響に、翼は何も言わない、何も言えない

 

「クリスちゃん…夢があるって…でも、私まだ聞けてないままだよ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな中、リクが落としたカプセルを拾いながら呟く人物がいた

 

「自分を殺して月への直撃を阻止したか…ハッ、無駄な事を……見た夢も叶えられないとは、とんだ愚図だなぁ」

 

フィーネは、クリスの所業を嘲笑う

 

「……笑ったか?」

 

翼が、呟く、そして叫ぶ

 

「命を燃やして大切なものを守り抜く事を……お前は無駄と、せせら笑ったか!!」

 

リクも同様に吼える

 

「無駄なんかじゃない…クリスは僕達に希望を託したんだ…いや、僕達がいたから戦えたんだ!僕達ならあなたを止められると!」

 

翼の脳裏に映るのは、二年前、絶唱を使い、その身を滅ぼした奏の姿

リクの脳裏に映るのは、沖縄で何年もリクを信じ続け、切り札を託して散っていった比嘉愛琉

その行為を、今、無駄と称して嘲笑った

それは、彼らにとっては到底受け入れがたい言動だ

翼は剣を向け、リクも立ち上がる

その時だった。

 

「……それガ」

 

「「…ッ!?」」

 

突如として聞こえた、おぞましい歪んだ声

そして、その歪んだ声を発したのは……その体を真っ黒に変え、獣のように成り果てた……響だった

 

「夢ト命ヲ握リシメタ奴ガ言ウ事カァァアァァアアアアァァアアア!!?」

 

獣のような咆哮が、その場に轟いた

その変化に、フィーネの口元が歪んだ

 

「おい、立花……!?」

 

その変化に、戸惑う翼

 

「あれは、あの時の!?」

 

かつてデュランダルを握った響の黒い姿

今の響は、その姿を完全に真っ黒に染め上げて、獣のように咆哮を挙げていた

 

「融合したガングニールの欠片が暴走しているのだ。制御出来ない力に、やがて意識が塗り固められていく……」

「了子さんは……その事を知っていて、響を実験に使っていたんですか!?」

 

まだその名で呼ぶかと言わん限りに睨みつけながら呟く

 

「実験を行っていたのは立花だけではない……見てみたいとは思わんか?ガングニールの翻弄されて、人としての機能が損なわれていく様を…」

「お前はそのつもりで立花を……奏を……!」

 

その時、響が地面に手をついて四つん這いとなり、そのままフィーネに向かって飛ぶ

 

「ッ!?立花!」

 

 

翼が叫ぶも、響は止まらない

そのまま響は、フィーネに襲い掛かる

 

 

が……

 

 

「バルカンスパークル!」

 

無数の光の弾丸が響を襲う

もろにそれを食らった響は呆気なく吹き飛ばされる

 

翼がリクの方を向くと、そこにはキングソードを持ったリクが立っていた

 

「キングソードは呼び出せるようでよかった…」

 

キングとベリアルのカプセルはまだ装填ナックルの方にハマっている

リクは翼の方を向いた

 

「響は僕が止める…翼さんは了子さんを…」

「…承知した」

 

翼はフィーネに向き合った

 

直後、カ・ディンギルが再始動を始めた

 

「…まさか!?」

「そう驚くな、カ・ディンギルが如何に最強最大の兵器だとしても、ただの一撃で終わってしまうのであれば兵器としては欠陥品

必要がある限り何発でも撃ち放てる…そのために、エネルギー炉心には不滅の刃、デュランダルを取りつけてある……それは尽きることのない無限の心臓なのだ…!」

 

それがデュランダルを狙った理由

 

「…だが」

「ん?」

「お前を倒せば、カ・ディンギルを動かす者は居なくなる…!」

 

翼は剣を構える

 

 

 

 

「どうしちゃったの響…!?」

 

リクに襲い掛かる響を見て、未来は声を挙げる

が、その響はいとも容易くリクに斬り飛ばされる

しかしそれでも立ち上がり、ただ本能のままにリクに襲い掛かる

 

「元に戻って!」

 

そう声を挙げるも、ここから聞こえる筈がなく、画面の向こうの響はリクと壮絶な戦いを繰り広げていた

 

「もう終わりだよ…私たち…」

 

そこで板場が、そのような声を挙げる

 

「学院がめちゃめちゃになって……響もおかしくなって……」

「終わりじゃない、響だって、私たちの為に……」

「あれが私たちを守る姿なの!?」

 

未来の反論を真っ向から否定するように、板場が泣きながら怒鳴った

モニターでは、響がリクにのしかかり何度も拳をぶつける

 

《ア゙ァッ!》

《グゥっ!》

 

キングソードで防いでいるがやはりダメージは入る

その様子に、安藤も寺島も恐ろし気に見ていた

それでも、未来は

 

「私は響を信じてる」

その響の姿から、目をそらさず、真っ直ぐに

 

「…私だって響を信じたいよ……この状況はなんとかなるって信じたい…でも…でも…でも…」

 

板場は、泣き崩れる

 

「板場さん…」

「もうやだよ……誰かなんとかしてよ…!怖いよ…死にたくないよぉ……!」

 

頭を抱えて泣き喚く

現実に耐え切れずに、ただただそこに蹲る

 

「助けてよぉ…響ぃぃい…!!」

 

 

 

 

その時声が響く

 

 

 

 

 

〈諦めんじゃねぇ!〉

 

「えっ……?」

 

その場にいた全員が顔を上げる

 

〈どんな絶望的状況に追い込まれても、立ち上がり続ける奴がいる!お前達のやってる事はそいつらの希望を裏切ることだ!お前達の為に戦っていた翼を、響を、クリスを、そしてリクを!アイツらを見て立ち上がれねぇのかよ!〉

 

「…そうだよね…私達が信じなきゃ…」

「そうだな…藤尭、友里、無線を送り続けろ、少しでも俺達にできることをやるんだ!」

「「はい!!」」

 

未来、弦十郎、藤尭、友里の目に希望が灯る

一方の3人は響いた声に困惑するだけだった

 

 

「響…!」

 

ボロボロのリクが立ち上がる

響は依然変わらず獣のようにこちらを狙う

どうすれば響を助けられる、リクはずっとそれを考えていた

ふと気付くと、胸元にあるネックレスのことを思い出す

 

胸の赤いクリスタルこそ、ガングニール、聖遺物の欠片

そこにウルトラマンキングのエネルギーを流し込めれば響を元に戻せるかもしれない

しかし、響のスピードは桁違い、まともに剣を当てることも難しい

その時だった

リクは胸元で熱いものを感じる

ポケットから出してみるとそれは、ホロボロスのクリスタルだった

それはリクの手の上でカプセルへと変わる

 

「力を貸してくれるのか…!」

 

迷ってる暇はない

リクはカプセルをキングソードにセットし手を翳して起動する

頭に技が浮かぶ

 

「モンスターアタック!メガテンスパーク!」

 

リクの体が青く輝くと、ホロボロスのように高速で移動し背後に回り込む

そして、その背中に爪のような斬撃を叩きつける

 

「ガァっ!」

 

響はこちらを向くが既にリクは動いていた

 

「スイングスパークル!!」

 

リクはクリスタルに向けてキングソードを突き立てた

エネルギーが響の中へ流れ込み、ガングニールの力を抑え込む

胸元からゆっくり響は普段の制服姿に戻った

 

「ふえっ…わ、私…」

 

リクはキングソードを落とすと響の手を握る

 

「この手は…誰かを傷つけるんじゃなくて、思いを繋げる為に…でしょ?」

 

響は自分が何をしたかを完全に理解し泣き出す

 

「ご…ごめんなっ……さいっ……ごめんなさいっ………!!」

 

リクは響を宥めるように背中をさすると肩を掴んで視線を合わせる

 

「危ないから離れてて」

 

それだけ言うとキングソードを拾い上げ、翼の元へ走った

 

「ぐあっ!」

 

翼は茨に吹き飛ばされ地に落ちていた

 

「ふっ…終わりだ…」

 

フィーネが直線で固めた茨を突き刺そうとした瞬間だった

 

「クローカッティング!!」

 

赤い鎌状のエネルギーがフィーネを斬りつつ吹き飛ばす

 

「お待たせしました…」

 

リクは翼の元に向かった

 

「立花は!?」

「無事です」

「…そうか!」

 

翼は嬉しそうな顔をすると気を引き締め、再び立ち上がった

 

「待たせたな…」

「どこまでも剱と生きるか」

「今日に折れて死んでも…明日に人として歌う為に…!

風鳴翼が歌うのは戦場ばかりでないと知れッ!!」

 

響やリクと出会って変わったのはクリスだけでは無い

ここに居るのはたとえ刺し違えても敵を倒す剱では無く、天羽々斬を纏うトップアーティスト、風鳴翼なのだ

 

「人の世界が剱を受け入れる事など、有りはしないッ!!!」

 

フィーネは茨を翼に叩きつけようと振り下ろすが、間にリクが飛び込みジードクローで茨を絡め取り、キングソードで叩き切った

しかし、ネフュシュタンの再生能力により茨が修復される

 

だが狙いはそれでは無い

 

斜め上から巨大な板、いや剣が突っ込んでくる

 

翼の放つ、“ 天ノ逆鱗”だ

 

フィーネは3重のバリアを展開し天ノ逆鱗を防ぐ

2枚を砕き、最後の1枚は砕けなかったがフィーネの体制を変えることが出来た

 

天ノ逆鱗から飛び上がると翼はふた振りの剣を燃やし、不死鳥のように飛び上がる

 

 

“炎鳥極翔斬”

 

そう、狙いはフィーネでなく、カ・ディンギルだ

 

しかし、フィーネもタダでは終わらない

かつてクリスが放った光球を翼に向けて放った

 

それはぐんぐんと翼に近付く

やはりダメなのか、再び翼はもがれてしまうのか

翼がギュッと目を閉じた時……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何弱気な事言ってんだ?」

「ぁっ…奏?」

 

忘れることのなかった相棒の姿がそこにはあった

 

「翼、あたしとあんた、両翼揃ったツヴァイウィングならどこまでも遠くへ飛んで行ける」

 

『そう…!両翼揃ったツヴァイウィングなら…!!』

 

ぶつかりかけた光球は別の光球に砕かれる

リクがバルカンスパークルを放ったのだ

 

「ぁぁ!?」

 

初めてフィーネが狼狽えた

 

「翼さん!今です!!」

 

『みんなと一緒なら……!どんな物でも超えてみせる…ッ!』

 

「立花ァァァァァァァァァァァァァーー!!!」

 

 

直後、カ・ディンギルはエネルギーを溜め込んだ影響もあって、大爆発を起こした

フィーネ、リクは吹き飛ばされる

響は辛うじて瓦礫の影に隠れることで何を逃れた

 

「私の想いは……またも!!」

 

もはや修復不可能なまでに破壊されたカ・ディンギルを見上げて、フィーネは呆然と叫ぶ

 

「翼さん……あとは……任せて……」

 

リクは再び立ち上がる、しかしウルトラマンとして強化されている体でも限界が来ていた

 

「そん……な……翼……さん…」

 

響は、翼が消えたカ・ディンギルを見上げて、一人絶望し、膝をついていた

 

 

 

「天羽々斬…反応途絶……」

「ぅぅ…ぅ…ッ!」

 

藤尭と友里は事実が受け入れられず、俯く

 

「身命を賭して、カ・ディンギルを破壊したか、翼…お前の歌、世界に届いたぞ…!世界を守りきったぞ…!!」

 

弦十郎は拳を握り締める

 

「分かんないよ…!どうして皆戦うの?!痛い思いして!怖い思いして!死ぬために戦っているの!?」

 

弓美は半ば取り乱している、頭を抱え涙を零して叫ぶ

しかし…

 

「分からないの?!」

「え…?」

 

未来も涙を零しているが、その顔に悲しみはない

悲しみを強い決意で押し殺しているのだ

再び問いかける

 

「分からないの?」

「ぁ…ぅぅ…!うわぁぁぁぁぁん!!」

 

弓美の泣き声が響き渡る

 

「ええぃ!どこまでも忌々しい!!」

 

 

 

 

フィーネは茨を地面に叩きつけると膝をついてる響の元へ近づく

 

「月の破壊は!バラルの呪詛を解くと同時に、重力崩壊を引き起こす…!惑星規模の天変地異に人類は恐怖し!うろたえ!そして聖遺物の力を振う私の元に帰順する筈であった!痛みだけが人の心を繋ぐ絆!たった一つの真実なのに!……それを!それをお前は!お前がぁッ!!」

 

響の土手っ腹を蹴ろうと足を振るフィーネ

だが間にリクが割って入り背中で蹴りを受けた

 

「ぐぅあっ!!」

「ぁ…ぅッ!」

 

響諸共吹き飛んでしまうリク

 

「まぁ、それでもお前は役に立ったよ」

 

響の頭をフィーネが掴んで持ち上げる

 

「やめてください……!!」

「生体と聖遺物の初の融合症例、お前という先例が居たからこそ、私は己が身をネフシュタンの鎧と同化させる事ができたのだからな」

 

だが忌々しいと言わんばかりにフィーネはリクに向かって響の体を投げた

 

「ええぃ!」

「響!!」

 

間一髪響の衝撃を殺したリクだったが、響は物理ダメージよりも精神的ダメージの方が大きかった

 

「翼さん……クリスちゃん……二人とももういない…学校も壊れて…みんな居なくなって……私…私はなんのために……何の為に戦っている……みんな……」

 

「興醒めだ……まぁ面白いものを見せてもらった礼だ、一瞬で消してやる」

 

フィーネはライザーを使い怪獣を呼び出した

 

《ギャラクトロン!マークII!!》

 

リクがかつて、ゼロやオーブと共に戦っても苦戦した怪獣が、そこに現れる

 

「貴様が20時間のインターバルを経ないと再変身が出来ないのはトレギアから聞いた……」

「教えてください、あなたは……いつからトレギアと……!!」

「ふっ、初めからだ……クリスを連れた私の前にやつは現れた、最初は信用出来なかったが……怪獣の力はシンフォギアを超えることを知り、利用したのだ……

ライザーに眠る貴様の父ベリアルの遺伝子を培養し、我が身とクリスに付与してな、お陰で同一遺伝子を持つ貴様しか怪獣に対抗出来るものはなかった……だが貴様も用済み…このカプセルがあれば……カ・ディンギルを超える粒子砲も作れる……」

 

フィーネは手元のウルトラ・エボリューションカプセルを見つめる

 

「そんな事に……使わせたりなんか!」

 

立ち上がろうとするリクをフィーネは蹴飛ばした

 

「……使うのだ、まぁ、それを見せてやれないのは残念だがな」

 

フィーネが手を上げると、斧を装備したギャラクトロンマークIIが動き出す

 

「響……逃げるよ!響……!!」

 

だが、響は全く動かない、いや、動けない

もう、生きる意味を見失った彼女は死を覚悟してしまった

 

リクは必死に呼びかけるがギャラクトロンマークIIは動き続け、遂に2人の上に斧を振り下ろした……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……え?」

 

リクは消えるはずの意識が消えない事に困惑する

響も一緒にいる

ふと、もう1人、リディアンの制服をきた女の子がいることに気づいた

 

「どこだ……どこへ行った!!?」

 

あるはずの死体が無いことにフィーネも驚いている

そして、土砂の煙が晴れると……そこには……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翼が居た

 

【〜♪ウルトラマンゼロ-レイト戦い】

 

「翼!?」

「翼さん!?」

 

モニターで映像を見ていた弦十郎達が困惑の声を上げる

 

「つ、翼さん!?」

 

リクや響も驚愕

いや、誰よりも驚愕しているのは……

 

「何故だ!?何故貴様がここに居るのだ!!?」

 

カ・ディンギルを破壊し、命をも捨てたと思っていたのに

だが、翼は鼻下を擦り言い放った

 

「ふっ、風鳴翼がこの程度で倒れると思うなんて、2万ねっ……あ、10年早いわ!」

 

リクは気付いた

鼻下を擦る癖、そして2万年

 

「まさか!ゼロ!!?」

「いやっ、俺っ……私は!」

「隠しきれてないから!!」

 

(ゼロ)はふぅっと溜息を吐くと目の所を腕で擦る

すると目が黄色く変わった

そして、声も

 

「【ま、バレちゃしょうがねぇか、久しぶりだな、リク!】」

「ゼロ、それはまずいんじゃ……」

 

全員が、男の声を出す翼に困惑する

 

「つ、翼?」

 

だが弓美は違った

 

「これ、さっきの声じゃ!?」

「【気付いたか?俺の呼び掛け!あんまりにも見てられなかったんでな!】」

 

ゼロは弓美の疑問に答えるように叫ぶ

 

「巫山戯るな……まだ邪魔をするのか!風鳴翼!!いや……ウルトラマン如きが!」

 

フィーネは茨を翼に向けて飛ばした

 

【〜♪ウルトラマンゼロ-ゼロビヨンド】

 

だが翼はそれを視認することも無く掴むと、改めてフィーネを確認し飛びかかった

一瞬で懐に潜り込まれたフィーネは驚きながらも腹を蹴ろうと足を振り上げる

翼はその足を掴むと、逆に勢いを逃がすようにフィーネを投げ飛ばす

フィーネは瓦礫の山にぶつかり、唾を吐く

翼はその間もフィーネに近付いていた

フィーネを蹴り、空中に浮かばせると腹部に何度も拳をぶつけ、最後の一発で空高く押し上げた

さらに翼はそれよりも高く飛び上がり、フィーネを蹴り飛ばして地面に叩きつける

 

「ぐっ……ここまで!」

 

フィーネはギャラクトロンマークIIを動かす

 

「翼さん!じゃなかった……ゼロさん!?」

 

響が危ないっ!と言うように叫ぶ

 

「【慌てなさんな!】」

 

 

翼は凄まじい身体能力でギャラクトロンマークIIの斧を避けると、胸元から眼鏡を取り出す

と言っても普通の眼鏡では無い

耳のひっかけもなく、レンズも黄色、あとごつい

翼はギャラクトロンマークIIに向き直るとそれを目に当てる

 

「【シェァッ!】」

 

そして、人差し指の位置にあるスイッチを押した

翼の体は光に包まれていく

その中で顔から胸まで銀色のプロテクターが覆っていき、残る腕と胸から下の体色が変わる

しばらくし、光が無くなると翼の体は消えていた

下をギャラクトロンマークIIは探し続けていると突如頭に衝撃が走り倒れてしまう

そして、降り立つ巨人

 

リクは何度もその背中を見てきた

初めて助けに来てくれた時、その背中は驚きと嫉妬の目でしか見れなかった

しかし次からは違う、尊敬と感謝

今再びその背中が現れたのだ

 

【〜♪ウルトラマンゼロ-登場】

 

ゆっくり立ち上がるとその戦士は叫ぶ

 

「俺はゼロ…………ウルトラマンゼロだ!!」

 

リク以外の皆にとっても新たな巨人の姿は希望を灯した

 

「かっこいい……」

「青と赤に銀のハイブリッドカラー……」

「美しいです……」

 

すっかり落ち込んでいた3人も食い入るように見ている

 

「ウルトラマンゼロ…リクくんの師匠とも呼べる存在…あれが……!」

 

弦十郎もリクから聞いていた存在の登場に歓喜する

 

「クソっ……ウルトラの一族は皆私の敵か!!」

 

フィーネはギャラクトロンマークIIを再起動する

 

「あ、そだ」

 

ゼロはリクの方を向く

 

「お前さっき迷っただろ、他の奴らの為に、ベリアルを犠牲にしたって言われて」

「そ、それは……」

 

リクは歯痒そうに俯くがゼロはそれを見て笑った

 

「ハハッ、分かってねぇな……お前はベリアルを犠牲にしたんじゃねぇ、ベリアルを……()()()()()()

「えっ……?」

 

リクが驚いてゼロを見る

 

「あいつは目的を阻止されても、宿敵の俺に殺されても、何度も何度も蘇った…が、その体は限界に来てたんだろ、だから一度俺のことを乗っ取ったこともあった……でも、お前があいつの想いを知ってあいつを終わらせてやった。そうすることでベリアルを救済したんだよ、他の誰にも出来なかった……ベリアルを赦してやることでな」

 

そうだ、リクは最後、ベリアルの記憶を読んだ

他の戦士に見下されてるように感じ、新たな力を求めたベリアル

追放され、レイブラット星人に飲み込まれ、復讐を始めたベリアル

ギガバトルナイザーを取り戻し、仲間と誓いを新たにするベリアル

結局は自業自得だ

しかし、悲し過ぎる生き様だった

それを息子であるリクは赦したのだ

他に誰にも出来ない、ただ一人の息子である自分の宿命として

 

ギャラクトロンマークIIが再起動した

ゼロはギャラクトロンマークIIに向き合った

 

「ギャラクトロンマークIIか…あん時は手こずっちまったが……」

 

ゼロは手を振ると腰を低く構える

 

「あん時のままだと思うなよ!シィエアッ!」

 

【〜♪ウルトラマンゼロ-アクション】

 

ゼロは一気に駆け出すと、ギャラクトロンマークIIに組み付いた

 

「エメリウムスラッシュ!」

 

2回ほど額のランプから緑色の光線を放ち、肩のパーツを破壊し距離をとった

 

「次は……その斧だ!」

 

ゼロは腕を左にグッと伸ばし、L字に手を組んだ

 

「ワイドゼロショットォ!!」

 

黄色い光線がギャラクトロンマークIIを捉える

ギャラクトロンマークIIは斧を盾の代わりに使った

しばらくは防いでいたが、ゼロが気合を入れ直すとエネルギーの量が増加し斧が砕け散った

 

ゼロは頭のゼロスラッガーを外し、空中に静止させるとそれを蹴り放った

 

「ウルトラキック戦法だ!」

 

勢いを増したスラッガーはギャラクトロンマークIIの体に傷をつけた

それが手元に帰り着くと、ひと振りの刃へ変えた

 

「ゼロツインソード!」

 

それを構えつつギャラクトロンマークIIに斬り掛かる

 

斧を亡くしたギャラクトロンマークIIはゼロツインソードを防ぐ手段がない

その体に斬撃を受け、ダメージを蓄積する

ゼロは一度離れるとその刃にエネルギーを溜めていく

緑色に刃が輝き叫ぶ

 

「プラズマスパークスラッシュ!」

 

横一閃、刃がギャラクトロンマークIIを斬り裂くと、ゆっくりギャラクトロンマークIIが爆発する

 

「再戦で俺に勝とうなんざ、2万年早いぜ!!」

 

ゼロはビシッとピースを裏返したサインを作る

 

 

 

 

その頃、機動部の皆はというと

 

「さすがに強いな……さすが、リク君の師匠だ!」

 

その時、通路側がせわしくなる

すると、緒川が飛び込んできた

 

「司令!周辺区画のシェルターにて生存者発見しました」

「そうか!良かった…!」

 

弦十郎が安堵の声をあげる

 

「ああ!お母さん、カッコいいお姉ちゃんだ!えへへッ!」

「ぇっ?」

「ああ!ちょっと、待ちなさい!」 

 

未来が困惑する中、親子がモニターまで近付いてくる

 

「ビッキーの事、知ってるんですか?」

 

創世が聞くと、母親は一瞬口篭るが話し出す

 

「詳しくは言えませんが、うちの子はあの子に助けて頂いたんです」

 

未来、創世、詩織、弓美が驚きの表情を浮かべる

 

「自分の危険を顧みず、助けてくれたんです。きっと、他にもそういう人たちが…」

「響の…人助け……」

 

彼女の本質は変わらない

例えどんなことになろうと、見過ごせない命がそこにあるなら手を差し伸べる

それが立花響だ

 

「ねぇ?カッコいいお姉ちゃん、助けられないの?」

 

女の子が問いかける、だが応える事が出来ない

 

「助けようと思ってもどうしようもないんです、私たちには何も出来ないですし…」

 

詩織が悔しそうに呟く

 

「じゃあ一緒に応援しよっ!!ねぇ、ここから話しかけられないの?」

 

少女らしい発想だ

まるでヒーローショーのような

 

しかし…藤尭は否定する

 

「…うん。出来ないんだよ…」

「ぁ、応援…」

 

だが未来はなにかに気付いた

 

「ここから響に私たちの声を、無事を知らせるにはどうすればいいんですか、響を助けたいんですっ!」

 

未来の呼び掛けに藤尭も頭を捻らせ、考えを絞り出した

 

「学校の施設がまだ生きていれば、リンクしてここから声を送れるかもしれません」

「ぁぁ…!うん!」

 

未来はモニターの響を見つめた

 

 

 

 

「ぃよぉーし!あとは親玉だけだが…」

 

その時、フィーネの声がどこからか響く

 

 

「もうずっと遠い昔、あのお方に仕える巫女であった私は、いつしかあのお方を、創造主を愛するようになっていた

だが、この胸の内を告げることは出来なかった……その前に、私から、人類から言葉が奪われた…!

バラルの呪詛によって、唯一創造主と語り合える統一言語が奪われたのだ…!私は数千年にわたり、たった一人バラルの呪詛を解き放つため、抗ってきた…。いつの日か統一言語にて、胸の内の想いを届ける為に…」

 

そう、この一連の出来事は全て、一人の乙女の恋心から始まったのだ

 

「胸の…想い……?」

 

響が繰り返す

 

「だからって……」

 

リクも悲しそうに拳を握る

 

「是非を問うだとッ!?恋心も知らぬお前達がァァッ!!!」

 

気付くとフィーネはカ・ディンギルの頂点にいた

 

「トレギアぁッ!最強のカプセルを寄越せ!」

 

鈍い音と共にやつは現れた

 

「良いのかい……これは君の精神を蝕んでいくよ……」

「構わぬ!今私にあるのは奴らへの憎悪だけだぁッ!」

「ふっ、良いだろう」

 

トレギアは2本のカプセルを渡した

フィーネがスイッチを入れ、速攻ライザーで読み取るとゼロやリクにとって聞くはずのなかった音声が流れ出す

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《デモニックフュージョン!アンリーシュ》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《エンペラ星人!ダークルギエル!》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《ウルトラマンベリアル!アトロシアス!!》

 

 

 

 

「なっ!アトロシアスだと!?」

「そんなっ!?」

 

カ・ディンギルから現れた紫の雲のようなエネルギーは人の形をかたどっていく

やがて肉が剥げ、骨が見えるようなウルトラマンの姿が現れた

 

その目はジードに似た目で、灰色と黒で色づいている

ウルトラマンベリアルアトロシアス

2人の最終決戦の相手

 

フィーネはインナースペースでフゥと息を吐いた

 

「シンフォギアシステムの最大の問題は、絶唱使用時のバックファイア…

融合体であるお前が絶唱を放った場合、どこまで負荷を抑えられるのか、研究者として興味深いところではあるが…ッハ!

もはやお前で実験してみようとは思わぬ、この身も同じ融合体だからな…神霊長は私一人がいればいい!私に並ぶものは、全て絶やしてくれる…!」

 

ゼロは再び鼻下を擦る

 

「っち…遂に闇に魂を売りやがったか……ならここで引導を渡してやるぜ!」

 

ゼロはゼロスラッガーを手に持つとアトロシアスに切り掛る

しかし、アトロシアスは爪でそれを受け止めると逆にゼロを爪で切り裂いた

 

「グゥォッ!?」

「私の憎悪の前に……光が勝てると思うな!!」

 

アトロシアスはゼロを圧倒した

何度も爪で切り裂かれ、ゼロはボロボロになっていく

 

「っちぃ、クソっ!」

 

せめてストロングコロナやルナミラクルになれれば良いのだが、ゼロ自身が恐れた力を無闇に満身創痍の翼の体を使ってチェンジする訳にはいかない

ゼロは遂にカラータイマーを慣らしてしまう

 

「フフフ……これで終わりだ……!」

 

アトロシアスがゼロに爪を突き立てようとしたその時!

 

 

《仰ぎみよ太陽を》

 

 

「ん?……チッ!耳障りな!何が聞こえている?」

 

 

《よろずの愛を学べ》

 

 

「ぁぁ……」

「これって……校歌!」

 

そう、スピーカーを通じてリディアン学園の校歌が響いているのだ

 

 

《朝な有なに声高く》

 

 

「なんだこれは…!」

フィーネは困惑が解けない

 

 

《調べと共に強く生きよ》

 

 

《遥かな未来の果て 例え涙をしても》

 

 

《誉れ胸を張る乙女よ 信ず夢を唄にして》

 

歌っているのはもちろん皆だ、未来達が協力し、動力を学校に繋げたのだ

 

『響…私たちは無事だよ…!響が帰って来るのを待っている…!だから…負けないで……!)』

 

未来達の願いは一つだ

 

 

『チッ!どこから聞こえてくる…この不快な…唄……!歌、だと…!?』

 

『聴こえる……みんなの声が…」

 

響の中で何かが再び灯る

 

「良かった…私を支えてくれてるみんなは…いつだって側に……!みんなが歌ってるんだ…!だから、まだ歌える…!頑張れるっ!!戦えるッ!!!」

 

その時、3本の光の柱が灯る

ひとつは森の中から、ひとつはゼロのカラータイマーから

そして、響から

 

「なっ…!?」

 

「響……!」

 

リクは嬉しそうに微笑む

 

「まだ戦えるだと…!?

何を支えに立ちあがる…?

何を握って力と変える…?

鳴り渡る不快な歌の仕業か?

そうだ、お前が纏っているものはなんだ?

心は確かに折り砕いた筈…!なのに…何を纏っている?!

それは私が造ったモノか?!

お前が纏うそれは一体なんだ!?

なんなのだ…!?」

 

 

 

奏者3人は新たなギアを纏い飛び立つ

そして、応える

 

「シンフォギアァァァァァァァァァァァァァァーーー!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




【次回予告】
【〜♪優勢2】

遂に発現したギアの真骨頂、エクスドライブ
その力はもうノイズを寄せ付けはしない
だがアトロシアスの猛攻の前にゼロが苦戦する
こうなったら一かバチか、あの力を取り戻すしかない!

次回、戦姫絶唱シンフォギア 響ぜ!絶唱!!

【エクスドライブの光 究極の進化(ウルティメイトファイナル)

繋ぐぜ!願い!!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第11話 エクスドライブの光 究極の進化(ウルティメイトファイナル)

 

 

「お姉ちゃん達かっこいいーー!!」

 

少女はキラキラした目で3人を見る

 

「やっぱあたしらがついてないとダメだなぁ!」

「助け助けられてこそ、ナイスです」

「わたし達が一緒に戦ってるんだ!」

「……うん!」

 

そう、エクスドライブは3人だけの力ではない

助け、助けられる人達、皆の思いで発現した力だ

 

「みんなの歌声がくれたギアが、私に負けない力を与えてくれる…!

クリスちゃんや翼さんに、もう一度立ち上がる力を与えてくれる…!

歌は戦う力だけじゃない…命なんだ!」

「高レベルのフォニックゲイン…こいつは二年前の意趣返し」

 

冷静に分析しようとするフィーネの頭に声が響く

 

「(ンなこたぁどうでもいいんだよぉ!)」

「念話までも…!限定解除されたギアを纏って、すっかりその気か!!」

「(いい加減、芸が乏しいんだよッ!)」

 

クリスはフィーネに対して見栄を切る

因みに強化された聴覚を持つリクやゼロにもこの会話は聞こえていた

翼は問掛ける

 

「(世界に尽きぬノイズの災禍は、全てお前の仕業なのか?!)」

「(ノイズとは、バラルの呪詛にて相互理解を失った人類が、同じ人類のみを殺戮するために作り上げた自律兵器…)」

 

「(人が…人を殺す為に……!?)」

「そんなものがあるなんて……」

 

響とリクはショックを受けている

 

「(バビロニアの宝物庫は扉が開け放たれたままでな…そこからまろび出ずる十年一度の偶然を、私は必然と変え、純粋に力として使役しているだけの事…)」

 

「(まった訳分かんねぇ事をっ!)」

「怖じろぉぉぉぉーッ!!」

 

インナースペースでフィーネはソロモンの杖を使用した

それはなんとアトロシアスの手にも現れ、杖の能力を底上げする

そして街いっぱいにノイズを召喚してしまった

 

「あっちこっちから…!」

 

響は怖気づいてしまうがクリスは拳を手のひらに叩き合わせる

 

「おっしゃぁ!どいつもこいつもまとめて打ちのめしてくれるッ!!」

「フッ…」

 

クリスと翼は先にノイズの殲滅に向かう

 

「……」

 

響は2人を見る

これが、私の仲間!

 

「よしっ!」

 

響もノイズ殲滅に向かった

 

 

 

 

 

【〜♪FIRST LOVE SONG】

 

 

響「ぎゅっとほら…怖くはない」

 

翼「わかったの…これが命」

 

クリス「後悔は…したくはない」

 

三人「夢、ここから始まる…さぁ世界に光を…」

 

響「止めどなく」

 

翼「溢れてく」

 

クリス「この力」

 

三人「これが想い合うシンフォニー」

 

3人は歌いながらノイズを殲滅していく

 

「初めての……3人の曲……!」

 

リクが聞き惚れていると、頭上に風を感じる

アトロシアスがソロモンの杖をこちらに叩きつけようとしていたのだ

 

「貴様から潰してやる!!」

 

だが気付いた時にはもう遅い

リクは腕を構えるが、叩きつけられるその直前リクの体が誰かに抱えあげられた

リクが相手を見るとそれはクリスだった

 

「今度はあたしが助けてあげられたな」

「ふふ、ありがとう、クリス」

 

リクがお礼を言うと、嬉しそうに鼻を擦り、羽にリクを乗せた

 

「しっかり捕まってろよ!」

「ああ!分かってるよ!」

 

クリスとリクはその場を離れノイズの元へ向かう

 

「待てっ!」

「おっとぉ!俺を忘れちゃ困るぜ?」

 

追いかけようとするアトロシアスの前に、ゼロが立ちはだかる

 

「貴様に用はない、もうすぐ消える貴様にはな」

「生憎今の俺に制限時間はねぇ、力をセーブする必要もな!!」

 

ゼロはウルティメイトブレスレットを叩きながら走り出す

ギターのような音が響き、その体色が赤と銀に変わる

 

「ストロングコロナ!ゼロ!!」

 

 

 

「おらおらぁーーッ!!」

 

“MEGA DETH PARTY”を回転しながらクリスは放った

リクは必死に羽にしがみついている

 

「すごい!乱れ撃ち!」

「ッ!全部狙い撃ってんだ!!」

 

興奮する響にクリスからツッコミが入った

 

「だったら私が…乱れ撃ちだぁぁ!!」

 

響は叫びながらノイズに向かって拳の弾丸を放ち消滅させていく

 

「……ッ!」

 

続く翼も“蒼ノ一閃”で巨大ノイズを一刀両断し数を減らしていく

 

 

翼「幾度でも…!」

 

クリス「いくらでも…!」

 

響「何度でも…!」

 

クリス「永遠に」

 

翼「大空に奏で」

 

三人「歌う!」

 

響「遥か今」

 

翼「創るんだ」

 

クリス「勇気の火」

 

翼「みんなで」

 

響&クリス「繋ぎ合おうこの手を」

 

翼「信じて…」

 

響&クリス「太陽にかざして」

 

翼「信じて!」

 

三人「響け絆!願いと共に…!!」

 

 

歌が終わる頃にノイズの姿は見えなかった

 

あとは……4人の思いがシンクロした時だった

 

「グァァッ!ゲハァッ!」

 

ストロングコロナゼロがカ・ディンギルの残骸まで吹き飛ばされた

 

「ゼロ!!」

 

リクが叫び、反対を向くとソロモンの杖を構えたアトロシアスの姿があった

 

「リク!残ってるカプセルで変身出来ねぇのか!?」

 

クリスが急かすが響が応える

 

「了子さんが言ってたけど、一回変身したら何時間かは変身出来ないみたい!」

「万事休すか……」

 

翼も唇を噛み締める

 

「せめて……ギガファイナライザーがあれば……!!」

 

リクは今はアメリカにあるという切り札のことを考える

 

「欲しいのはこれか……?」

 

アトロシアスが手を広げると球体に入ったギガファイナライザーがその姿を見せる

 

「なんで了子さんが!!?」

「米国政府とつるんでたんだ、それくらい御茶の子さいさいって奴か……」

「結局使い方も分からないただの棒きれなど要らぬと簡単に寄越してくれたよ…… カ・ディンギルの足しになるかと思ったが使えなくてな、しかしそこまでお前が求めるなら渡してしまうのはただの馬鹿だ……」

 

アトロシアスはギガファイナライザーをカラータイマーからインナースペースへと取り込んだ

 

「……こうなったら直接アトロシアスの中に入り込んで奪うしかない……クリス、僕が合図を出したら僕を投げてくれ」

「はぁっ?!お前正気か?!」

 

クリスは驚いた声を出すがリクの目は真剣そのものだった

クリスはその目を見て言葉を紡ぐ

 

「死ぬ気じゃねぇんだな」

「当たり前、みんなと一緒に、生きていきたいから」

「分かった、必ず取り返してこいよ!」

「ああ!」

 

クリスは急上昇し、しばらく上がればそこからさらに急降下していく

 

「奴ら何を……」

 

アトロシアスが上を見上げている隙に、ゼロは後ろから羽交い締めにした

 

「っ!貴様!」

「今だ!リク!」

 

それを聞き、リクも叫んだ

 

「クリス!」

「ちょっせぇ!」

 

リクの背中をクリスは押した

落下しているリクは腕をクロスし、アトロシアスのカラータイマーへ突っ込んだ

 

その先でギガファイナライザーを掴みとる

しかし、了子も奪われまいと力を込めた

 

「貴様……!どこまで私の邪魔をすれば!」

「僕は貴方を邪魔したいんじゃない!この力で……貴方を()()()()()()()

 

その言葉に困惑した了子は力を緩めた

その隙にギガファイナライザー、そしてエボリューションカプセルを奪ったリクは、インナースペースから飛び出した

 

「リク!」

 

飛び出したリクをクリスが手を掴んで距離を取った

 

「貴様ァァっ!」

 

アトロシアスはゼロを爪で吹き飛ばすと、クリスに向かって無茶苦茶に光線を放ち始めた

クリスはしばらくは避けていたが、あまりの急な旋回にリクが耐えきれず吹き飛ばされた

 

「リクぅ!」

 

リクに向かってアトロシアスは、デスシウム光線を放とうとするがリクは動いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジーっとしてても、ドーにもならねぇ!!

【〜♪優勢2】

 

リクはエボリューションカプセルを構える

 

「ウルティメイトファイナル!!」

 

そのスイッチを入れると、リクの体にベリアルアーリースタイルのようなジード本来の姿が一瞬重なる

カプセルをギガファイナライザーへ填め、ジードライザーを起動させると、レーンを滑らせスキャンを行い、トリガーを引く

 

《アルティメット!エボリューション!!》

 

そして、ギガファイナライザーのボタンを長押しして、構えて叫んだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

繋ぐぜ!願い!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最後にギガファイナライザーの一部パーツをスライドし、刃を展開した直後、リクの体がデスシウム光線に呑まれた

 

 

「リクっ!」

「朝倉!!」

「リクくぅぅん!!」

「り……リクゥゥゥゥ!!」

 

「フフフッ……ハハハハッ!!」

 

アトロシアスの笑い声が響いた直後だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジードッ!!

 

 

爆煙の中から、軽快な音楽を奏でながら一筋の光が飛び出した

それはアトロシアスにぶつかり、吹き飛ばすと空高く舞い上がった

 

皆がそれを見ていると空にジードの目と同じような光が一瞬灯り、中心から巨大化したギガファイナライザーを持った新たなジードが飛び出してきた

 

「シィェアアアァッ!」

 

ジードはクルッと体を回すと、地面に降り立った

 

その体に走る金のラインに沿ってエネルギーが満ち溢れているのが分かる

身の丈ほど巨大化したギガファイナライザーを構えながらジードは立ち上がる

 

「あれが切り札……」

「なんだろ……今までのジードとなんか違う」

 

翼と響はその姿に見惚れている

 

「よかった……リクっ……!」

 

クリスはこぼしかけた涙を拭う

 

「何故だ……何故貴様にはそれが使える!20時間のインターバルはどうした!?」

 

アトロシアスは立ち上がりながら、問いただす

 

「ギガファイナライザーは……正しい心を持つ人にしか使えない」

 

リクは淡々と言い放つ

 

「たっ……正しい心だとぉっ!?」

 

了子は半ば強引にカプセルを使い、なんと闇のウルトラ戦士を召喚した

ウルトラマン

ウルトラセブン

ウルトラマン レオ

ウルトラマン ヒカリ

ウルトラマン コスモス

ウルトラマン ゼロ

ウルトラの父

 

「カプセルの力を……悪用しやがったか……っ!」

 

ダメージを受け、ノーマル状態に戻ったゼロが苦しそうに見ている

だがジードは、それを見るとギガファイナライザーを構えながらアトロシアスに向かって叫ぶ

 

「そしてギガファイナライザーは、使う事で僕の精神エネルギーを力に変換する……だから、もう僕に限界は無い!!」

 

【〜♪Synchrogazer】

 

ジードは2、3歩走ると飛び上がり、高速回転しながら、エネルギーの籠った刃をウルトラマン達に叩きつけた

このスピードについて来れる戦士はおらず、皆が膝をつく

 

動きを止めたウルトラマンに対してリクが向き合うと、ギガファイナライザーを立てて、腕を構えた

レッキングバーストと同じだが、手を手刀のように伸ばし、腕をクロスし解き放つ

 

「レッキング!ノバァッ!」

 

ゴールドラインが輝き、明らかに強化された光線、“レッキングノバ”

 

それはウルトラマンを貫き、爆散させる

 

「一撃で……!」

 

地下で弦十郎が食い入るようにモニターに叫ぶ

 

爆発の中に一筋の光を見たジードはそれを掴んだ

それはインナースペースでウルトラマンのウルトラカプセルへと戻る

 

「倒せば元に戻るんだな……」

 

それを確信し今度はセブンとレオに向き合う

腕に熱が籠っていく

ゴールドラインからのエネルギーを拳に一点収束

両拳からエネルギーを放出した

 

「バァーニングブゥーストォ!」

 

セブンとレオの体を燃え上がらせ、焼き尽くす

 

次はコスモスとヒカリだ

ジードは両腕から黄色い光の剣を出した

 

「スマッシュ!バスタァーブレード!!」

 

それをコスモスとヒカリに対してすれ違いざまに斬り裂いた

弱点のカラータイマーを狙う事で一撃で仕留める

 

最後は父とゼロ、己の父であるベリアルと因縁のある戦士

リクは2人を見据えると、拳を打ち付けゆっくり開いていき、腕をL字に組み上げた

 

「ビッグバスターノバァッ!!!」

 

腕から緑色の光線が放たれ、2人を撃ち抜いていく

 

そして、全てのカプセルがリクの元に帰還した

 

「つ……っよーい!!」

 

響が興奮した声を上げ、はしゃぎまわる

 

「さすが、朝倉だ……!」

 

翼も興奮を隠せなくなってきている

 

 

「や、やるじゃねぇか……」

「……泣いてんのか?」

「泣いてねぇし!」

 

クリスをゼロがからかう

 

「あとは……貴方だけだ、了子さん!」

 

リクがアトロシアスに向き合うと、了子は驚きの行動をとった

 

【〜♪ベリアル復活】

 

自らのカラータイマーにソロモンの杖を突き刺したのだ

ネフュシュタンの鎧はそれすらも自己修復し、取り込んでいく

 

すると、ノイズが現れ、アトロシアスにまとわりつき、アトロシアスの体を完全に隠した

 

「ノイズに…取り込まれて…?!」

 

響が推測するがクリスが否定する

 

「そうじゃねぇ…あいつがノイズを取りこんでんだ!」

「マジかよっ……」

 

「来たれ……デュランダル!!」

 

ノイズはカ・ディンギルをも取り込み、炉心のデュランダルを取り込むと体を輝かせる

段々と液状だったノイズの形が整っていき、ベリアルを象った、新たなアトロシアスが生まれた

その際の波動は街の1部を破壊した

 

「……!街がッ!!?」

逆鱗(さかさうろこ)に触れたのだ…!相応の覚悟は出来ておろうな?」

 

新たなアトロシアスは顔はそのままに、本来のベリアルがネフュシュタンを纏ったような姿をしていた

 

「なんだ……その姿はッ……クッ……」

「闇の巨人と、この世界を牛耳る災害、ノイズの融合体……ウルトラマンベリアル……アトロノイズ……」

「……必ず助ける!」

 

これでもジードは了子を助ける意思を曲げない

ギガファイナライザーをその身に叩き付ける

 

 

 

 

が……

【〜♪ベリアル-優勢】

 

 

 

「効かない!?」

「ウルトラマンの体を基にノイズの身を纏ったのだ……もう何も寄せつけぬ!!」

 

アトロノイズはデュランダルをその手に呼び出すとジードを下段からの一閃で斬り裂いた

 

「グァァッ!」

 

なんとその一撃でジードのカラータイマーが赤く点滅し始めてしまう

 

「リク!くそォォオッ!!」

「はぁぁぁっ!!」

 

クリス、翼が次々に攻撃を繰り出す

しかし、体に当たる前にその一撃は握り潰されてしまう

 

「(いくら限定解除されたギアであっても、所詮は聖遺物の欠片から作られた玩具…ベリアルの遺伝子を取り込んだ完全聖遺物に対抗できるなどと思うてくれるな)」

 

「じゃあ……私たちに出来ることは……」

「もう無いという事なのかっ……!?」

 

しかも、ゼロは満身創痍、最後の切り札、ウルティメイトファイナルの攻撃も効かない

 

アトロノイズは全てを吹き飛ばさんと、最後の行動に入る

レッキングバーストのようにポーズを取り、エネルギーを溜め始めたのだ

そして、その一撃はシンフォギア奏者に向けられた

 

「ノイズ……アトロバァーストォ!!!」

「まずい!!」

 

ジードはギガファイナライザーのトリガーを長押しし、スイッチを2回スライド、間に入りながら光線を放った

 

「ライザーレイビーム!!」

 

ジードの目と同じ形の光線がノイズアトロバーストにぶつかる

ジードプルーフを超える攻撃だが、それですらウルティメイトファイナルが押されていく

 

「ぐっ……ウルティメイトファイナルバリア!!」

 

リクはギガファイナライザーを持ったまま、バリアを張った

しかし、それも長く持ちそうにない

 

「みんな!逃げて!今のうちに!!」

 

翼はそれを呑んだ

 

「今のうちに避けるぞ!」

 

3人はその場から動くが、翼とクリスは背中から離れたのに対し、なんと響は、ウルティメイトファイナルバリアの元に行き、ジードと共にバリアを抑えた

 

【〜♪ベリアル-進撃】

 

「響!?何考えてるんだ!!?」

「別の世界から来たリクくんがこんなに頑張ってるんだよ!私も頑張らないと!今までのことが嘘になる!!」

「だからって!!」

「それに!私だって……了子さんを助けたいんだよ!!」

 

ジードはその想いをくんだ

 

「分かった……君は僕が必ず守る!はァァァァァ!!!」

「うぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

しかし、バリアはひび割れていく

 

「ぐっ……エメリウム……スラッシュゥッ!」

 

ゼロは残り少ないエネルギーで放てる技、エメリウムスラッシュを放った

しかし、いつもなら怪獣を一撃で倒せるこの技も効果がない

 

「立花っ!グッ!」

「くそっ!もうエネルギーが凄まじくて近寄れねぇ!」

 

2人もバリアを抑えに行こうとするが、既に近づく事が出来ない

 

そして、一瞬ギガファイナライザーが光ったかと思えば……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バリアが割れ、ジードと響は爆発に呑まれた

 

 

 

 

 

 

【〜♪ライハ】

 

 

 

 

 

 

 

「かっこいい……お姉ちゃんが……」

「嘘でしょ……」

「結局……こうなるのですか…」

「信じない……こんなの……」

 

地下に居たメンバーは悲しみにくれる

しかし、未来は信じていた

 

「……響……必ず生きてるよね……だって、変わらないでいてくれるって言ってくれたよね……リクくんも、言ってたよね……

()()()()()()()()……()()()()()()()()()()()

 

その時だった

藤尭の使っているパソコンが警告を鳴らす

 

「どうした!藤尭!」

「ガングニールとジードのエネルギーが爆煙の中で上昇中です!」

 

 

 

「リク……お前……」

「立花……お前の覚悟は……こんなものなのか!?」

「っ……嫌だ……リクっ!嘘だって言ってくれよ!!」

 

アトロノイズは高笑いする

 

「フハハハハハッ!!遂にやったぞ!忌々しいアイツらをこの手で……!」

 

 

 

 

その時だった

 

 

 

 

 

 

「「誰が葬られたって?」」

 

「っ?!グゥッ!!?」

 

爆煙の中から飛び出した腕がアトロノイズを吹き飛ばす

 

「攻撃が!!?また力を上げたのか!?」

 

だが全員その腕を見て驚愕した

 

【〜♪ウルティメイトファイナル】

 

それはどう見ても響のガングニールの腕なのだ

しかし、このサイズ、明らかにウルトラマンが纏っているとしか思えない

 

「どういうことだ!?」

「リク……?」

「アイツまさか!!?」

 

そして、その爆煙が晴れると伝説が生まれた

 

ジードウルティメイトファイナルが現れるが

厳密に言えばウルティメイトファイナルでは無い

体の各所に、響が纏っていたガングニールの装甲が装備され、カラータイマーも青く輝きながらも、響の変形したクリスタルのパーツがついて変形している

 

「貴様っ!?シンフォギアを!?」

「僕「私達は力を上げたんじゃない」」

 

新たなジードは、プリミティブと響の構えを組み合わせたポーズをとる

 

「「力を()()()()()()()」」

 

ウルトラマンジード

ウルティメイト・()()()()()()

誕生の瞬間である

 

 

 

 

 

 

 

 




【次回予告】
【〜♪優勢2】

響「了子さん、貴方がどんなに道を誤ろうと、私達は貴方を救います」
リク「僕が父さんを赦す事が出来たように、あなたのこともきっと……!」

響・リク「次回、戦姫絶唱シンフォギア 」


響・リク「響くぜ!絶唱!!」

響・リク・翼・クリス・ゼロ
「ジーっとしてても!ドーにもならねぇ!!」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第12話 響くぜ!絶唱!!

目を開けると、そこは不思議な空間だった

真っ白で明るい場所

眩しいはずなのに、目が辛くない

隣には制服姿の響もいた

 

「響!大丈夫!?」

「ふぇっ!あれ……私達……戦ってたんじゃ……」

 

響も目を開け、周りを見渡す

 

「うん、そのはずなんだけど……」

「……死んじゃったのかな……」

 

その時だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ある意味、そうなのかもね」

「言ったはずだろ?“生きるのを諦めるな”……って」

 

僕達は二度と聞くはずの無かったその声を聞き、振り返る

 

そこには民族衣装のようなものを着た、黒髪の女性と、大きくフサフサな、オレンジ色の髪の毛の女性が立っていた

僕達はそれぞれ、この人を知っている

 

「アイルさん!?」

「奏さん!!」

 

そう、2人とも今の自分を作るきっかけになった、今は亡き、大事な人達

 

「じゃあ、私達ほんとに……」

 

響が悲しそうな声を出すとアイルさんが響の頭を撫で、落ち着かせる

 

「大丈夫、響ちゃん、私達は貴方達を助けに来たのよ」

「助けに……?」

 

僕が困惑していると、奏さんも頭を掻きながら話し始めた

 

「前にも同じような事をしたんだ、まだ死ぬべき奴じゃないやつをここで追い返してる……あん時の奴はえーらい口悪くて、喧嘩ばっかだったけど」

 

アイルさんがふふっと微笑む

 

「ゼロの事よ」

「ゼロも!?ここに来たことが……」

 

アイルさんは話し始めた

 

「ゼロは、奏ちゃんの相棒、翼ちゃんが絶唱を使った時にこの地球に現れたの」

「そんな早くに……」

「でも、トレギアがこの世界に結界を張っていて、ウルティメイトイージスを持ってしても、しばらく来れなかったの

その時、協力してくれていた、ウルトラマンオーブの持つオーブカリバーに時空を移動させる力がある事を思い出して、オーブスプリームカリバーのエネルギーを自らのエネルギーに変換して飛び込んだのよ」

 

必殺技を受け、それを即座に自身のエネルギーにするなんて……まるで

 

「そう、自殺行為に近かった、けどゼロはそれをやってのけた……けど翼ちゃんと融合したあと、一時的にここにいたのよ」

「そうだったんだ、ありがとうございます」

「良いんだよ、それに、私も感謝してるんだ」

「奏さんが……?」

 

響が聞き返す

 

「ゼロの奴が翼と融合してたおかげで、アイツがここに来ることは無かったんだ、それに、あたしも一言だけ、あいつの願いに答えられたしな」

「そうだったんですね……」

 

響もニカッと笑う

 

「さって!本題だ、しばらくここに居ることも出来るが、ここで経ったのと同じ時間が向こうでも流れる、そんなことしたらあいつらは、結局ここに来ちまう」

「そうならないようにすぐ、あなた達を現実に戻すわ」

「はい!」

「お願いします!!」

 

2人が頼むと、アイルと奏は笑う

 

「それだけじゃお前達はまた負けちまうぞ」

「それでも、僕は!皆と、生きていきたいんです!」

「うん、それならいい方法があるわ」

「どうするんですか!」

「リク君と響ちゃんが合体変身するの!」

 

それを聞いた響は顔を真っ赤にする

 

「がっ、がが合体なんてそんな!?わわっ、私には未来がっ……////」

 

「お前何言ってんだ?」

 

奏がポカーンとしているとアイルが注釈する

 

「リクくんはウルトラマンだから、人と融合する事も可能のはずよ、ゼロと翼ちゃんみたいにね

だから響ちゃんと一緒にジードに変身して、その中で響ちゃんがガングニールを纏えば、ギガファイナライザーがその力を増幅させるわ」

 

「な、なるほど……」

「あの……響……もしかして……///」

「お、女の子にそんな事聞き返さないでぇー!!///」

 

響はリクを殴り飛ばす

 

「いったぁ!?」

「リクくん、今のは君が悪い」

「あぁ、乙女になんて事言ってんだ」

 

2人は呆れたように頭を抱える

 

「と、とにかく!!行くよ!リクくん!!」

「……分かった、みんなを助けよう!」

 

色々あったが僕たち二人の想いがひとつになった

その時、響の体からオレンジのカプセルが飛び出し、それが僕の手元で新たなカプセルとなる

エボリューションカプセルのように、カプセル自体がオレンジ色で、そこには、奏さんの使ったガングニールの槍、響の拳の装備が載っている

 

エボリューションガングニールカプセル

 

僕達は頷き合い、そして、構える

 

ジーッとしてても、ドーにもならねぇ!!

 

カプセルのスイッチを入れると、響の体にガングニールが纏われた

それをそのままギガファイナライザーに填め、ジードライザーでスキャンし、トリガーを引く

 

 

ガングニール!エボリューション

 

そして、ギガファイナライザーのトリガーを長押しして叫ぶ

 

 

響くぜ!絶唱!!

 

更に響が歌う

 

Balwisyall Nescell gungnir tron…

 

そして、スイッチをスライドさせると僕達はその場から消えた

 

「もう来るんじゃねぇぞ」

「少しでも、話せて、楽しかったわ、リクくん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、今に至る

 

 

 

【〜♪ウルティメイトファイナル】

 

「ウルトラマンがシンフォギアを纏うなど……一体何があったというのだ!!」

 

アトロノイズはアトロリッパーをジードに放つが、今度はジードがそれを握りつぶす

 

「僕「私達の大切な人が、手伝ってくれたんだ!」」

 

翼とクリスはゼロの横へ飛んでいく

 

「ゼロ、朝倉と立花は一体どうしたのだ!」

「なぁんでジードがガングニールを纏ってんだよ!?」

 

何が起こったか分からず、2人は慌てている

 

「安心しな、俺と翼が一体化していたように、ジードと響が一体化してるんだ

そんでもって、ギガファイナライザーで響の力がリクの表面にも出てきてんだ」

 

 

ジードは駆け出し、アトロノイズと組み合う

先程まで一切の攻撃が効かなかったアトロノイズも、ジードの拳を受けると、増幅したガングニールの力を受け、その身を削っていく

 

「体が……削れるだと!?」

 

アトロノイズは距離をとり、ネフュシュタンの鎧の茨を叩きつけた

しかし、ジードはそれを受け付けず、茨を掴むと、強引に根元から引きちぎった

 

結局は、ネフュシュタンの鎧のせいですぐ再生してしまう

 

それを見たジードは、レッキングバーストのような構えを再び行う

そのエネルギーには、オレンジのエネルギーも混ざり、手を重ね叫ぶ

 

「「レッキング!ガングニール!!!」」

 

シンフォギアのフォニックゲインを混ぜ込んだレッキングバーストがアトロノイズにぶつかる

しばらく、ノイズで構成された肉片を削るが、それを気合いではじき返す

 

「いくらシンフォギアの力を上げようと、所詮は欠片……!」

 

アトロノイズはデュランダルを再び召喚する

 

その時、翼はとある策を思い付きゼロに頼んだ

それを聞き、ゼロは半信半疑ながらそれしかないならと待機する

そして、デュランダルを奮うその瞬間!

 

「今だ!ゼロ!」

「おうよ!ゼロツインシュートォッ!」

 

カラータイマーに接続されたゼロスラッガーから凄まじいエネルギーが放たれ、アトロノイズの手を弾く

同時に翼とクリスも“蒼ノ一閃”“MEGA DETH PARTY”を放ち、ゼロを手助けする

 

遂に、アトロノイズの手からデュランダルが跳ね上がった

 

「それが切り札だ!勝機を逃すな!掴み取れ!!」

 

ジードはそれを見て飛び上がる

 

「「うぉぉぉぉぉぉ!!!」」

 

2人の声がシンクロしデュランダルを掴み取った

 

【〜♪GEEDの証】

 

《GET OVER NOW!!

GET OVER PAIN!!

GET OVER MIND!!

JUMP UP! GEED!! 》

 

しかし、ガングニールを掴んだ瞬間、2人を凄まじい波動が襲う

 

「「グァッ!?ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ッ!!」」

 

響のガングニールとデュランダルが共鳴、再び響の体を闇が蝕んでいるのだ

響の破壊衝動は、ジードの体をも変化させていこうとする

 

そう、()()()()へと

何度も目が赤と青で切り替わり、大きな目が、細長く変わりそうになる

 

 

《覚悟決めるぜ!! HERE WE GO! 》

 

 

しかし、リクはまだ、それを抑え込んでいる

 

だが、このままではいずれベリアルになってしまうだろう

 

「チィっ!響の破壊衝動が、リクすら飲み込もうとしてやがる!」

 

ゼロもそれに気付いた

 

【地下室】

 

「このままじゃ、最悪の事態に……!」

 

藤尭がモニターを見て叫ぶ中、外へ駆け出そうとする人物が一人

 

「未来さん!どちらへ!」

「地上に出ます!」

 

緒川が呼びかけた人物は未来だった

 

「無茶よ!危ないわ!」

 

友里も必死に止めようとするが……

 

「響は…響のままで居てくれるって、変わらずに居てくれるって…だから私は…響が闇に吞まれないよう、応援したいんです!」

 

《僕が僕らしくいるために 誰の笑顔も曇らせない!

願いこそが変えてく未来》

 

そこにいるメンバーはその言葉に言葉を失う

 

「助けられるだけじゃなく、響の力になるって誓ったんです!」

 

未来はギュッと拳を握り、続ける

 

「それに!今動かないと何も変わらない、ジーッとしてても、ドーにもなりません!!」

 

リクが何度も叫ぶ言葉

未来もそれがわかったのだ

 

《ジーッとしていたって ドーにもならない! 》

 

インナースペースではリクが、自分の意識が無くなりそうになるのも関係ないと、闇を放ち続ける響の元へ歩み寄っていた

響は、デュランダルを握り締め、悪魔のような姿で歯を食いしばり続ける

 

その時、地上にあった通路の扉が弾け飛び、皆が現れる

 

《決められた自分のSTORY! 抗うたび築くHISTORY! 》

 

「正念場だッ!踏ん張り所だろうが!!」

「みっ、みんな!」

「ッ…ッ……!!」

響も弦十郎の声を聞き、視線を向ける

 

「強く自分を意識してください!」

「昨日までの自分を!」

「これからなりたい自分を!」

 

緒川、藤尭、友里が叫ぶ

 

「ッ!……!(みんな…!)」

 

響も聞こえてはいるのだ

共に戦ってきた皆の声が

 

《支え合う仲間の笑顔がチカラ GEED…》

 

一か八かと、翼とクリスも闇をかいくぐりカラータイマーからインナースペースへ入り込んだ

 

「2人とも!?」

 

2人も近付こうとするが一定の距離で進めなくなってしまう

 

「屈するな立花!お前が構えた胸の覚悟、私に見せてくれ…!」

 

「お前を信じ、お前に全部賭けてんだ!お前が自分を信じなくてどうすんだよ!!」

 

外では更に、詩織が、弓美が、創世が、響を信じて叫んでいる

 

「あなたのお節介を!」

「あんたの人助けを!」

「今日は、私たちが!」

 

《僕は強くなる みんなのために覚悟決めるぜ!ウルトラマン!! 》

 

「かしましい!黙らせてやる!!」

 

アトロノイズは再びネフュシュタンの茨をジードに叩きつけようとしならせた

 

「さぁせるかぁよ!ウルティメイトイージス!!」

 

ゼロは再び間に立つと、銀の鎧をまとい、その身で茨を防ぐ

 

「響っ!みんなの声を聞くんだ!塗り潰されてんじゃねぇ!!」

 

「ゥゥゥゥゥ!ゥァァァァァァ!」

 

ジードの姿が黒くなり、ベリアルとしての目が開かれそうになる瞬間

 

 

「響ぃぃぃぃぃぃーーーーーー!!!」

 

響の陽だまりが叫ぶ

その声は響の意識を固定するのに十分だった

 

 

「(そうだ…今の私は、私だけの力じゃない…!)」

 

「ビッキーー!!」

「響ー!!」

「立花さん!!」

「…ッ!!」

 

3人は叫び、1人は固唾を飲んで見守る

 

「(そうだ…この衝動に……塗りつぶされてなるものかッ……!!)」

 

響が決意し、闇の波動が弱まる

 

「響っ……!」

 

リクが歩きだそうとするその時、その肩に手が置かれる

リクがそちらを向くと、アイルがそこに居た

 

「アイルさん!?」

「リクくん、ギガファイナライザーをあの剣に融合させて!私達が力を貸すわ!」

「私達……っ!?」

 

翼が困惑すると、その背中に忘れることの無い声が響く

 

「久しぶりだなっ、翼……」

「奏っ……!!」

 

翼の後ろでは相棒、天羽奏が背中を押していた

 

「えっ……私もっ……!?」

 

そして、クリスもその背中に二人分の手を感じる

振り返れば、クリスの亡くなった両親がそこにいた

 

《明日を照らすのは星じゃなく胸の中で芽生えた閃光(ヒカリ)

 

「パパ……ママ……」

 

クリスは涙を零すが、父親の雪音雅律が指で涙を拭う

 

「良い友達を持ったな」

「さぁ、好きな人の為に、みんなの為に頑張って!」

 

母親、ソネット・M・ユキネが、その言葉と共にクリスの背中を雅律と押す

 

《疼く痛みが描くDESTINY

覆し覚醒(めざ)めた新しい魂》

 

「あと少し……!!」

 

その時だった

一瞬だが聞こえた気がした

 

「行けっ、息子(ジード)っ」

 

その背中がグッと押される

人の手じゃない、とても大きな、硬い手の感触を背中に感じた

リクは……口を噛み締め、響の隣に行く

 

そして、デュランダルにギガファイナライザーを添えた

その時、奇跡は起こる

デュランダルと融合したギガファイナライザーは肥大化

そして、響の闇を飲み込むと共に形状を変化させる

それは……

 

「奏の……ガングニールの槍!!」

 

《ここからはNEXT STAGE

挑む覚悟 NODAMAGE!》

 

「へぇ〜粋なことしてくれるじゃないか!」

 

奏が嬉しそうな声を上げる

 

「響のアームドギアは、誰かと手を繋いで、みんなで発動させる!」

 

リクが叫び、皆の力を束ねた時、ジードの手にもガングニールの槍が現れた

 

「あれは!!」

「ガングニールの槍だとォっ!?」

 

緒川と弦十郎も起こった事態が飲み込めない

 

《宿命を塗り替えることが使命GEED...

絆をつなげて 新たな世界信じ続ける!

ウルトラマン!!》

 

「ガングニール……!その力…何を束ねたッ!?」

 

了子も驚きの声を上げる

 

ゼロはその隙をついて、鎧を弓に変形させ一気に解き放つ

 

ファイナルウルティメイト!ゼロォオ!!

 

弓、いや鎧そのものが飛び出し、アトロノイズの体勢を崩す

 

「みんな!今だァ!」

 

ゼロの叫びを合図に皆が動く

 

「響き合うみんなの歌声と、願いがくれた…シンフォギアでぇぇぇぇぇぇぇーーー!!

「いくぞぉっ!!」

 

リクはジードライザーでガングニールをスキャンする

 

 

束ねろ!究極のシンフォニー!

 

響を翼が支え、リクをクリスが支える

そして、全員で叫んだ

 

クレセントファイナル

Synchrogazer!!

 

槍に溜まったエネルギーが一気に叩き付けられる

アトロノイズもさすがにその力には抗えない

体が崩壊していく

 

「完全聖遺物同士の対消滅……ッ!どうしたネフシュタン!?再生だッ!この身砕けてなるものかぁぁぁぁぁ!!!」

 

了子の叫びも虚しく、アトロノイズは巨大な爆発を起こしその場から消えた

 

《明日(あす)に向かって進み続ける!

ウルトラマン!!》

 

【〜♪ジード日常-優しい】

 

皆がフゥっと息を吐くと、後ろを振り向く

 

「奏さん……」

「奏……」

 

奏は照れくさそうに頭を搔く

 

「あたしが守った命も、無駄じゃなかったな、翼」

「えぇ、あのライブの時も、応えてくれたんでしょ、奏……!」

「あんまりにも、メソメソしてみてられなかったんでな、やっぱり翼は泣き虫だ、でも泣いていいんだ、また立ち上がれるなら」

 

翼はその言葉に、抑えきれなくなった涙を零す

 

「やっぱり……奏はっ……意地悪だっ……うわぁぁぁんっ!」

 

そんな様子の翼をそっと奏は抱き寄せた

そして、響の方を向いて話しかける

 

「それはもう、あたしのガングニールじゃない、ガングニールは響の力だ、その力で、みんなの日常を守るんだぞ」

「……っはい!」

 

響は元気よく返事をする

 

「結局来ちゃったわ、リクくん」

 

いたずらっ子のように、ふっとアイルは笑う

 

「ありがとうございます、感謝してます、ギガファイナライザーの事も、助けてくれたことも、あの二人を連れてきてくれたことも」

 

リクはクリス達、家族の様子を見る

 

「あの二人がどうしてもって聞かなくて…」

「分かる気がします、だってさっきも」

 

リクは上を見上げる

 

確かに感じた、アイルじゃない手の感触

リクは呟く

 

「ありがとう、父さん(ベリアル)

 

 

「大きくなったな…クリス」

「胸、お母さんより成長早いんじゃない?」

 

他愛ない会話、しかし、もう何を言われても嬉しくて仕方ないのだ

二度と話すことの出来ないと思っていた、パパとママの姿がそこにあり、会話をしているのだから

だが、だからこそ、申し訳ない思いがある

そう、怪獣としての1件だ

 

「パパぁ…っ…ママぁッ…ごめんっ、ごめんなさいっ!わたしっ……わたしはぁっ……!」

 

涙を流しながら謝罪するクリスをそっと2人は抱き締める

 

「赦すよ、娘のしたことを赦さない親がいるものか」

「けど、罰がいるわね」

「うん、なんでも言って……!」

 

それくらい、当然だ

しかし、母親から課せられたのは……

 

「クリス、幸せになりなさい、私たちの分まで……ね?」

「うっ……うわぁぁぁん!あぁぁぁっ!」

 

クリスは泣きじゃくった

だが、その嗚咽の中で応える

 

「うぅっ…!うんっ……なるっ……っけほっ……あたしっ…幸せにっ……なるっ…!」

 

 

少しして、4人の体が、金に輝き始める

 

「そろそろお別れだな、翼、仲間と上手くやれよ、お前の片翼は胸の中に居るからな、響、命を無駄にするなよ?」

 

「うん、私……皆と頑張るから……今度こそ、みんなで飛んでみせる!」

「はいっ!生きるのを、絶対諦めません!」

 

「クリス、私達はいつでもお前を愛している」

「唄を歌う限り、必ずね」

 

「あぁっ、私も……大好きだ!パパ!ママ!」

 

 

「じゃあね、リクくん!ウルトラマンとしても、朝倉リクとしても、頑張って!」

 

「はいっ!必ずっ!」

 

 

そして、4人は消え、ジードの変身も解除された

エクスドライブはそのまま装備されている

 

「あっ、響!」

「うんっ!」

 

ボロボロになった街の中に、2人は走っていく

そして、瓦礫を退かすとそこには、ボロボロのネフュシュタンを纏ったフィーネがいた

 

2人は協力して了子を皆の近くまで運んで来た

 

「……おまえたち…なにをバカなことを………」

 

フィーネは困惑している

 

「…このスクリューボールが」

 

クリスも呆れたように呟く

 

「みんなに言われます。親友からも変わった子だ~って…もう終わりにしましょう…了子さん」

 

フィーネは息を吐く

 

「私はフィーネだ…」

「でも、了子さんは了子さんですから」

「僕達にとっては、貴方が了子さんなんですよね」

「…っ」

 

フィーネは思い返すと、この2人だけは、自分をフィーネと呼ばなかったことを思い出す

 

「きっと私達、分かり合えます…!」

 

響が呟くと、フィーネは再び立ち上がった

 

「…ノイズを造り出したのは、先史文明期の人間…統一言語を失った我々は、手を繋ぐよりも相手を殺すことを求めた。そんな人間が分かり合えるものか…!」

「人が…ノイズを……」

 

響が悲しそうにつぶやく

 

「だから私は、この道しか得られなかったのだ…!」

 

フィーネは悔しそうに、茨を握り締める

 

「おい!」

 

クリスが動こうとするが、翼がそれを手で止める

 

「人が言葉よりも強く繋がれること…わからない私たちじゃありません…!」

 

響がそう話すと、フィーネは目を閉じた

しばらくすると、自分を抱き締めてくる何かの感触を感じ、目を開いた

そこには、リクがいた

 

【〜♪GEEDの証-感動】

 

「貴様っ、なにをっ…」

「あなたは僕の父さんと一緒だ、裏切られ、人の醜い所を見て、何度も何度も蘇り、願いを叶えようと……」

「何が一緒だっ……」

 

離れようと藻掻くが、リクは力を強くする

 

「僕の人生の中で、僕の素性を知った上で、理解しようと抱きしめてくれた女性はあなたが初めてなんです

だから……失いたくないんです…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()()()……」

 

フィーネは目を見開く

こいつ、私が言った戯言を本気に……

 

だが、確かに疲れたように感じるところもあった

何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も蘇り

思いを届けるために塔を作ろうとし、邪魔をされる

そんなことをするくらいなら

もういっそ、このまま母親として生きるのもアリなのか

 

「ウルトラマンゼロ…貴様達とて、人を守ってきたなら知らないはずも無いだろう、人間の醜さを…なのに何故護ってきたのだ?なぜ人間を信じきれる……」

 

ゼロは答える

 

「フッ…そうだな、確かに人間は、文明同士で争う事も、誰かを陥れようとすることもあった…

けどな、人間はそういう奴ばっかじゃねぇんだ

どの世界にもいるんだよ、響みてぇに、自分の命を省みず、別の命を救おうとする、素晴らしい人間が…

俺達ウルトラマンはそう言う人間を信じてるんだ

何十年もずっと……な」

 

少数の人間を信じ、守り続ける

それをずっとやってきたのか…

フィーネはそう考えながら、リクを見る

そして……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全く……こんな大きな子供が出来るなんて、何度もリィンカーネーションをしてきたけど、初めての事よ」

 

その声色は、フィーネのものではなかった

櫻井了子、その人のものだ

 

気付くとリクは一筋の涙を流していた

了子はその涙をそっと拭う

 

「うぅっ、よかったぁっ……」

 

響もその様子を見て号泣している

未来や、友里、弓美達もだ

 

リクは更に、強く了子を抱き締める

了子もそれに応えるように強く抱き締める

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんでこんな家族だののみみっちい話を見せられなきゃいけないんだよっ」

 

 

 

 

了子はその声を聞いた瞬間、リクを突き飛ばした

リクは尻餅をついて倒れる

そして、体を起こした瞬間、その顔に鮮血が飛んだ

 

前を見ると、そこには腹を手で貫かれ、苦しそうな顔をする了子の姿があった

 

【〜♪ギルバリス】

 

「了子さん!?」

 

その手の主は、トレギア

 

了子の腹から手を引くと、その手にはライザーとカプセルを握っていた

 

「カプセルの礼を貰って無かったからね、とりあえず、利子付けて返してもらうよ」

 

直後、トレギアが消え、トレギアを狙ったゼロスラッガーが突き立てられる

 

「どこ行った!トレギアぁあっ!」

 

珍しく、怒りでゼロの口調が更に荒くなっている

トレギアの声が響く

 

《おやおや、問題児くん、こんな所で油売ってると、地球が無くなっちゃうよ?》

 

「どういうことだァっ!!」

 

その時、月の欠片がビカッと光った

それを見た藤尭は、パソコンで計算を始めた

 

「月が落ちている…軌道計算、出ました!直撃は避けられません…!」

 

「あんなものがここに落ちたら…」

「私達はもう……!

 

「何っ!!シィェアッ!」

 

すぐさま、ゼロは月に飛んでいく

 

リクは倒れた了子を抱えた

響、翼、クリスも駆け寄る

 

【〜♪日常-悲しい】

 

「嘘だ、了子さん!ネフュシュタンなら平気ですよね!?」

 

了子は首を振る

 

「あの技で…ネフュシュタンとデュランダルは対消滅した…もう私も長くないわ…」

 

「そんな…了子さん…!」

 

響も悲しそうに俯く

 

「響ちゃん…翼ちゃん……クリス……リク……今まで…ごめんなさい…」

 

クリスは納得出来なさそうにはを噛み締める

 

「っざけんなよ…あたしに悪いと思うなら!リクの母親やってやれよ!それがあんたの罰だろ!?」

 

了子は首を振る

 

「アウフヴァッヘン波形がある限り、蘇ることはできる…だから、皆が教えてくれたことを、伝えていくわ……でも……少し、休ませてね……」

 

了子は咳をして血を吐くと、もう一度言葉を紡ぐ

 

「あの欠片は…きっと、絶唱でなら…破壊できる……胸の歌を……信じな……さい」

 

最後に彼女は微笑むと、リクを見て、

《愛してあげたかった》と呟き、砂のようになり、崩れ落ちた

 

リクは砂を握りしめ、泣き叫ぶ

 

「了子さぁぁぁぁぁぁん!!!」

 

月の方で、何度も光が点滅する

それを見て、リクは立ち上がる

 

了子に託された、この世界を守る為に……

 

「行ってくる……」

 

ギガファイナライザーを構える

 

「待って!」

 

響は叫び、未来の方を向いた

 

「ちょ〜っと行ってくるから、生きるのを、諦めないで!」

 

未来はそれを聞き、目を見開く

 

「リクくん…!」

「……うぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

再びウルティメイト・ガングニールが現れ空へ舞う

 

そして、響き渡った

 

 

Gatrandis babel ziggurat edenal Emustolonzen fine el baral zizzl Gatrandis babel ziggurateedenal Emustolrozen fine el zizzl…

 

絶唱……

 

それを聞いた未来は、涙を零し始める

 

「チィっ!やっぱりエネルギーが……」

 

その時だった

 

突如エネルギーが回復した

その大元を見るとウルティメイトガングニールのジードがこちらへ飛んできていた

 

「お前らなんで来た!?」

「地球を守るのが、ウルトラマンの使命だからだよ」

「っち、全くよ!」

「っへへ、私にも手伝わせてよね」

 

更にその時

 

「……そんなにヒーローになりたいのか?」

 

【〜♪FIRST LOVE SONG2番】

 

「こんな大舞台で挽歌を唄うことになるとはな、立花と朝倉には驚かされっぱなしだ。」

 

翼とクリスまで追いかけてきていたのだ

 

「翼さん…クリスちゃん…!?」

「まぁ、一生分の歌を唄うには、ちょうどいいんじゃねぇのか?」

 

ここに居る皆、気持ちは一緒だった

地球を守る為に、覚悟をしていた

 

けど2人は違った

 

「最後の歌になんてさせないよ」

「うん、奏さんに言っちゃったもん、生きるのを諦めないって!」

 

そして、歌い始めた

 

 

響「不思議だね…静かな宇宙(そら)

 

 

翼「本当の…剣になれた?」

 

 

クリス「悪くない…時を貰った」

 

 

三人「夢、天に飛んでゆけ…さあ星へと変わろう」

 

 

「解放全開ッ!!イっちゃえHeartのゼンブでッ!!!」

 

響が叫ぶ時、皆のギアが許容範囲を大きくオーバー展開された

そして、高濃度のフォニックゲインはゼロのイージスを再び起動させる

 

「これならいけるかもしんねぇ!」

 

ウルティメイトイージスをチャージしていく

 

クリス「(みんながみんな夢を叶えられないのは…分かっている。…だけど、夢を叶えるための未来は、みんなに等しくなきゃいけないんだ!)」

 

翼「(命は…尽きて終わりじゃない。尽きた命が残した物を受け止め、次代に託していくことこそが人の営み…。だからこそ、剱が守る意味がある…!)」

 

ゼロ「(地球を守り、生命を守れなきゃ、ウルトラマンである意味がねぇ。そういう事をずっとやり続けてきた、だからこそ、守りきってみせる!)」

 

リク「(みんなと共に生きる為に、自分の気持ちに嘘をつかない為に、みんなを守って、自分を守って、生きていくために歌がある!)」

 

響「(たとえ声が枯れたって、この胸の歌だけは絶やさない…!夜明けを告げる鐘の音奏で、鳴り響渡れッ!!)」

 

 

三人「響け絆!願いと共に…!」

 

 

響「これが私達の…絶唱だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッッッ!!!!」

 

翼は大き過ぎる剣を振るい

クリスは何連装ものミサイルを放ち

ゼロはエネルギーによって肥大化したウルティメイトイージスを解き放ち

響とリクが凄まじいバネのパイルバンカーの拳を叩きつける

 

響「うぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」

リク「はぁぁぁぁあぁあ!!!!」

翼「うぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」

クリス「うぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」

ゼロ「うぅぅぅぉおぉるぁぁっ!!!!」

 

 

そして、強烈な閃光と共に月の欠片が砕け散り

地上の皆には綺麗な流れ星が見えた―――

 

 

 

 

【3週間後】

 

 

 

あの日から三週間、響たちの捜索は打ち切られることになりました。

弦十郎さんからは、作戦行動中の行方不明から死亡扱いになると聞きました。

郊外にお墓が建てられましたが、そこに響は居ません…。

機密の関係上、名前も彫られてはいません。

 

(NEWS:政府が非公式に保有していた兵器に関し、野党からは『戦後最大の憲法違反だ』との声が相次ぎ、補正予算の審議が中断する一幕も見られました。

この問題に対しアメリカ政府は、日米の安全保障上、きわめて憂慮すべき事態であると、異例の大統領声明を発表し、すべての秘匿事項を開示するように要求。外務省はその対応に追われ――)

 

外国政府からの追及をかわす為だと言われましたが、私にはよくわかりません…。

私が弦十郎さんに渡した写真が飾られていれば、それだけが立花響の墓標である事を示す、寂しいお墓です。

それでも私は、響が辿った軌跡の終着に通いつめている…

 

未来は響の墓の前で崩れ落ち、泣き始める

 

「会たいよ…!もう会えないだなんて…私は嫌だよ…!響…私が見たかったのは、響と一緒に見る流れ星なんだよ?!ぅっ…ぅぅ!ぅぅ!ぅわぁぁん!ぅわぁぁぁぁん!!」

 

 

その時、車のスリップする音、衝突する音が聞こえた

 

「いやぁぁぁー!!助けてぇぇー!!」

 

その声を聞き過ごせる未来ではなかった

 

声の主の元へ行くと、ノイズに道路上で挟まれていた

女性はあたふたしとても動けない

未来は迷わず、手を取りこっちと階段の方へ引っ張って走り出す

 

「(諦めない…絶対に!)」

 

それが親友の最後の願いだから

だが、女性は限界が来て倒れてしまう

 

「ぁぁ……。私…もう……!」

「お願い!諦めないで!」

 

だがその一瞬で、未来達は角の方に追い詰められ、囲まれてしまった

 

女性は恐怖で失神してしまうが、未来は彼女を守ろうと手を広げ、立ち塞がる

本当はすごく怖いけど、親友なら必ずこうすると信じて

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っはぁぁぁっ!!!」

「レッキングバーストォォォッ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突如、目の前のノイズが衝撃波と光線に飲まれ、炭素へ戻った

 

未来は驚き、横を向いた

 

そこには

 

風鳴弦十郎と、緒川慎次と

 

雪音クリスと

 

風鳴翼と

 

朝倉リクと

 

親友、立花響の姿があった

 

 

「ごめん…色々機密を守らなきゃいけなくて……未来にはまた本当のことが言えなかったんだ」

 

響が申し訳なさそうに自分の頭に手を乗せる

 

未来は、一気に響の元に駆け出し、渾身のハグをした

 

「ノイズの脅威は尽きる事無く、人の闘争は終わることなく続いている。

未だ危機は満ち溢れ、悲しみの連鎖は止まることを知らない。

だけど、鬱向かない、諦めない。

だってこの世界には…歌があるのだから――。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦姫絶唱シンフォギア 響くぜ!絶唱!!ー[完]ー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おや、まだ、見ていたのかい?」

 

トレギアは宇宙のどこかで、これまでの戦いを見る青年に声をかける

 

「あぁっ、情報収集は大事だからな…」

 

冷たい声で言い放つ青年は立ち上がり、星を眺める

 

「……月を動かすほどの力があれば……十分だろうけどね〜…」

 

そう言いながら、トレギアはライザーを投げた

 

それを青年は受け取り、懐にしまう

 

「じゃあ、そろそろ直接会うか…俺の()()()に……」

 

 

 

 

 

 

 




【次回予告】
【〜♪日常-ドタバタ】

次回はちょーっと休憩!
響が食べ、翼さんがツッコみ、クリスが赤くなり、ゼロがボケ、未来が惚気けて、僕が困惑!(予定!)

次回、戦姫絶唱シンフォギア  響くぜ!絶唱!!

【絶唱しないし、響かない】

クリス「家ならいいってのかぁっ……!?///////」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

【番外編】絶唱しないし響かない

①月の欠片処理から2週間ーーー

 

僕達は間一髪、助かることが出来た

しかし、今はシンフォギアや聖遺物の一件で外に出るとまずいということで、2課で拘束されている

まぁご飯は持ってきてくれるから不自由は無いんだけど……

 

 

「うわぁぁぁぁぁぁ!!」

「今日も今日とて、立花の様子がおかしいのは相変わらずだな。」

 

響が叫び、翼さんが窘める

 

「だって!だって!だってぇ!!翼さんは何ともないんですか!?こんなところに閉じ込められてもうずっとお日様を拝んでいないんですよ!!」

 

うんうん、確かに窓も無い個室だからね…

 

「そうは言ってもだな…月の損壊、及びそれらにまつわる一連の処理や調整が済むまでは行方不明としていた方が何かと都合がいいというのが指令たちの判断だ。それに…」

「わかってますよぉ~…未来を危険に巻き込まないため…ですよね。」

「そうだ。」

 

しかし、響はまた叫び出す、正直最近ずっとこんな調子なので勘弁して欲しさはある

 

「うわぁぁぁぁーー!未来に会いたいよぉーー!きっと未来も寂しがってるよぉーー!!うわぁぁぁぁぁぁあああ!」

 

「小日向が絡むところに自己評価は、意外に高いんだな、立花は。」

「冷たい布団を温めるくらいしか役に立たない私だけど、いなくなったらいなくなったできっと悲しむと思うし、借りっぱなしのお金も返せてないしぃ~。」

「おいおい。」

 

翼さんのツッコミが入る

 

「てゆーか、ここまで引っ張っていざ『無事でしたー!』…ってなったらそれはそ れできっと怒りますよね?『連絡もしないでなにしてるのッ!?』…って。ああ見えて怒った未来は怖いんですよ!一緒にご飯食べてても口聞いてくれないというか、だからといってずっとここにいても退屈だし、退屈しのぎに未来に怒られるなんてそこまで上級者ではないし、寝そびれれば寝そびれただけ言い訳みたい な笑顔になるしで止めどなく溢れてくるし!でもオンオフは!!くぁwせdrftgyふじこlp」

 

早口で捲し立てる響きを他所に翼さんの様子がおかしい

急にふっと項垂れ、耳を押さえたと思えばーーー

 

どぅああっ!

「ふぇいっ!??」

 

響が突然の大声に驚く

ゼロが表に出てきたのだ

 

「ギャーギャーうるrrっせぇんだよったく……」

「だっ、だってぇ!」

「つかよ響?心配してるのは未来か?それとも自分のことか?」

「それはもちろん!!……あれ?」

 

ダメだこりゃ……

 

「リクは冷静にツッコミしてんじゃねぇ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

②月の欠片処理から2週間ーーー

 

クリスは何を考えてるのかはまだ分からない

ずっと隅で、暗い顔をしている

 

『なりゆきまかせで一緒に手を繋いでしまったが、あたしはこいつらのように笑えない…。いや、笑っちゃいけないんだ。あたしがしでかした事からは、一生目を背けちゃいけない…。そうしないとあたしは…あたしは――』

「何考えてるの…?」

「わふっ!?リクっ!?」

 

僕が隣に行くとクリスは突然、しどろもどろになる

 

「…気にしてるの?怪獣の事…?」

「…まぁ…な…あれで失われた命の事を考えると、パパとママが赦してくれたとしても、私のケジメがつかない…」

「……じゃあ一緒に償ってこうか」

「お前……!」

 

僕が笑いかけると、クリスは顔を赤くしそっぽを向いた

その前に響が座り込む

 

「どうしたのークリスちゃーん?」

 

答えはない、しかし、響は勝手に話を進める

 

「分かった!お腹空いたんだよね!!分っかるよぉ、分かる!マジでガチでハンパなくお腹空くと、おしゃべりするのも億劫だものねぇ。どうする?あ、ピザでも頼む?さっき新聞の折り込みチラシを見たんだけどね、カロリーに比例して美味さが天上――」

 

「――ってか、うっとおしいんだよッ!!お前本当のバカだろ!?」

 

的違いのことを言われ続け、クリスが怒鳴ると響が縮こまる

 

「お、お腹が空きすぎてクリスちゃんが怒りっぽくなっちゃたぁ~!」

「うっきぃぃぃーー!お前は黙れ!あたしは静寂を求めている!だから黙れ!ひと時でいいからあたしにしじまを寄こしやがれぇ!!」

「(しゅぅぅん…。)」

 

 

翼がゼロに話しかける

 

「すまない、ゼロ」

「んぉっ、なんだ?」

「…今の見ていたか?」

「リクとクリスか?」

「…あぁ、朝倉は…いつもああなのか…?」

「残念な事にご名答……」

 

「ダメだこりゃ……」

「だろ?」

 

 

 

 

 

③月の欠片処理から2週間ーーー

 

『…昨日までにやらかした罪は、簡単に償えるもんじゃない…。そいつを分かっているからこそ、あたしはもう逃げだしたりしない。リクが一緒ならきっ…と……』

 

じーっとこちらを翼が見つめている

 

『…この身は常に鉄火場のど真ん中に、あって…こそ……っ』

 

「(じー…)」

 

何故か翼はじーっとクリスを見つめている

 

『っ…!なんで今度の奴はずっとだんまり決め込んでるだけなんだ!?』

 

痺れを切らし、クリスが叫ぶ

 

「な、なんだよ!?黙って見てないで何か喋ったらどうだ?!」

 

紡がれたのはただ一言

 

「……常在戦場。」

「ひぃぃぃぃ!やっぱいい!!あんたも喋ってくれるな!頼むから喋らないでくれッ!」

 

クリスは怯えながらそう叫ぶが……

 

「…フッ。そういうな、雪音…。」

 

何故だかすごく恐ろしい

笑ってるがその笑みが、恐ろしいものに見える

 

「突起物にはリクくらいしかまともな人間はいないのかぁーッ?!」

 

泣きながら叫ぶクリス達を見てゼロは一言

 

 

 

「だ〜めだこりゃ」

 

 

 

④月の欠片処理から2週間ーーー

その場所はまるで、リクを歓迎した時のようなパーティ会場となっている

横断幕には

《歓迎!雪音クリス!》

そう!

 

「…というわけで、改めての紹介だ。雪音クリスくん、第二号聖遺物イチイバルの装者にして、心強い仲間だッ!」

 

弦十郎により、クリスが紹介される

 

「…ど、どうも…よろしく……。」

「更に、本日をもって装者三人、そしてリクくんの行動制限も解除となる。」

「師匠!それってつまり…!!」

 

響が期待に満ちた目を向ける

 

「そうだ!君たちの日常に帰れるのだ!」

「やったー!!やっと未来に会えるーーッ!!」

 

響がわいわいとはしゃぎまわる

 

「クリス君の住まいも手配済みだぞ。そこで暮らすといい。」

「あ、あたしに!?いいのか?」

「もちろんだ。装者としての任務遂行時以外の自由やプライバシーは保障する。」

「良かったね、クリス」

「ぁぁ……ハッ!」

 

クリスは思わず、嬉しさから溢れる涙を擦る

 

それを見た翼は何を勘違いしたのやら…

 

「案ずるな雪音!相鍵は持っている。いつだって遊びに行けるぞ!」

「はぁッ!?」

 

クリスの髪が逆立つ

 

「私も持ってるばかりか、なぁんと未来の分まで!」

 

響も後ろからひょっこり鍵を見せる

 

「自由やプライバシーなんてどっこにもねぇじゃねーかァーーッ!!!」

 

叫んだ後、クリスはキョトンとリクを見る

 

「お前は持ってねぇのか?」

「いや…それなんだけど……」

 

クリスはジワジワ涙を溜める

遂に見放されたのか……?

 

「僕の家…クリスの家の()()()なんだよね……」

 

「はぁぁぁぁあぁあ!!!!???//////」

「んっ、嫌だったか?クリスくんはリクくんを好いてるように思ったのだが、嫌なら今からでもーーー」

 

「ババッ、バカっ!嫌とは言ってねえだろ!?第一他のやつが合鍵持ってんのにこいつ持ってねぇのは変だなーって思っただけで別に好いてるとか好いてないとかも関係無いしくぁwせdrftgyふじこlp」

 

その様子を見たほかのメンバーは呟く

 

「「「ダメだこりゃ」」」

 

 

 

⑤月の欠片処理から2週間ーーー

 

警報が鳴り響いた

 

「こいつは…!ノイズの発生を知らせるものか!」

 

やはり発生するノイズ

止められるのは僕達だけ

 

「行動制限は解除!ならばここからは防人の務めを存分に果たすまで!」

「ひっさしぶりだからなぁ!気合い入れろよ翼っ!」

「あぁっ!」

「ん?ん?ん?」

 

クリスは何が起こったか分からず困惑している

 

「今日からは一緒に行こう!」

 

響はクリスの手をぎゅっと握るがそれを振り払う

 

「はぁ!?お手手繋いで同伴出勤とか出来るものかよ!」

「でも任務だよ!」

「ぅわぁ…!ぁぁ…だからって!いきなりお友達って訳には…。」

 

友達として手を繋ぐことに慣れてないのだろうか、クリスは顔を赤くする

 

「何をやっている二人とも!そういう事は家でやれ!」

「家ならいいってのか…!?///////」

 

クリスの顔がどんどん赤くなる

 

 

「ダメだこりゃ……ってか早く行かないと!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

⑥月の欠片処理から2週間ーーー

 

「…ッ!……ぁ」

 

未来が横を向くと、そこには皆の姿があった

 

「ごめん…。色々機密を守らなきゃいけなくて…。未来にはまた…ホントの事が言えなかったんだ…。」

 

言い切る前に響に抱きつく未来

 

「…っ!響…響…響!」

 

未来はポカポカと響の胸板を叩く

 

「はは…やっぱ心配かけちゃったよね。」

「響…響…響!」

「はは…ちょっと痛いかな…あれ?ちょっとどころじゃないかもよ…!?」

 

なんだかポカポカという音がボカボカに変わって言ってる気がする

実際スピードまで上がってきた

 

「響響響響響響響響響響響響、響響響響響、響!響!響!響!響!響!響!響!響!響!響!響!響!響!」

「み、未来?痛いって!痛いって!いやいや未来痛い!ぁぁ、やめて!やめて!やめてとめて!やめてとめて!やめてとめて!や…あ…あぎゃぁぁ!」

 

「み、未来!?響がまた怪我しちゃうから!止めて!?」

 

初めて見るヤンデレのような未来に困惑しながらリクは立ち回ろうとする

 

 

それを見たメンバーは一言

 

「「「「「ダメだこりゃ」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

⑦月の欠片処理から2週間ーーー

 

「ぅぅ…!くすん…!ぅぅ…。」

 

未来の泣き声が響く

 

「ごめん…。マジごめん。ごめんなさい。」

「赦さない…だから離さない。赦すまで離さないんだから。」

「…うん。」

「バカ…。」

 

2人はずっと抱き合っていた

とんでもなく甘い空気を見せられ全員気まずい

 

「いやはやなんとも。現代っ子ってのは皆こうなのか?」

「さすがに、家に帰ってからやってほしいですね。」

 

クリスがそれにツッコんだ

 

「だから家ならいいのかッ!?どうかしてるぞ突起物!!」

 

だが……

 

「あれって……普通じゃないの…?」

 

リクが困惑の声を上げる

 

「朝倉……」

「リク…お前まじか……」

「リクくん…」

「リクさん…」

「えっ!?僕なんか変な事言った!?」

 

 

「ダメだこりゃ……」

 

ゼロが翼の中でボヤく

 

 

 

 

①Gが始まる少し前ーーー

 

「そういえば前から聞きたかった事なんだけど、戦いながら歌うってアレ

はどういう仕組みなの?」

「あ、それ僕も気になってた」

「う~ん、手っ取り早く言うと…シンフォギアってカラオケ装置なんだよね。」

「カ、カラオケ?!」

 

響の答えに未来が混乱する

 

「そっ。私もよくわかっていないんだけど、シンフォギアから伴奏が流れると、胸に歌詞が湧きあがって来るんだ。」

「胸に、歌詞が…?」

「まぁ、そういうこったな。」

 

クリスもまた同調する

 

「歌詞もまた、装者が心象に描く風景に由来とした物だと、かつて櫻井女史は言っていたな。思い返してみろ、『疑問、愚問で衝動インスパイア』なんてところなど、実に雪音らしい。」

「はぁッ?!」

「おまけに『羅刹インストール』だもんねぇ~、ふふっ。」

 

まるで、厨二病の時のポエムノートを音読されてるような、クリスは羞恥心から頭を掻き毟る

 

「やめなよ響。そんな『傷ごとエグる。』ようなこと。」

「ぐはぁ!ぅぅ!お前らぁ~!」

 

未来の知らず知らずの一撃がクリスを撃沈させる

 

「フッ…雪音はどこまでも奔放だな。」

「ちょっと待て!あんただけには言われたかないぞ!自覚がサッパリかもしれないが、そっちの歌も大概なんだからな!アレが心象由来というのなら、医者も裸足で逃げ出すレベルだッ!」

 

そんな中、ゼロは考え事をしていた

 

「……(正直シンフォギアの歌とかそういう話はわかんねぇから気にしてねぇが……シンフォギアにしか打ち消せねぇノイズを、なんであの時リクは同時攻撃でつぶせたんだ…?)」

 

しばらく考えていると

 

「なぁ、ゼロ」

「んぁっ?なんだ翼?」

「私の歌って奔放なのか?」

「えっ…んぁぁっ……?」

 

ゼロはしばらく考えて答えを出した

 

「なんじゃねぇーか?」

 

「《ガーン!》」

 

「…ダメだこりゃ」

 

リクはふふっと笑いながそう呟いた

 

 

 

 

②Gが始まる少し前ーーー

 

「リディアン校舎移転に伴って――」

「――学生寮もお引っ越し。」

「という訳でぇ!さっそく二段ベットをカスタマイズ!おりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃ!」

 

で、そんな場になぜ僕がいるのかと言うと、力仕事があるから手伝ってと無理矢理響に連れてこられたのだ

 

「いいのかな…女の子2人のいる部屋に僕が…」

「ごめんね、響ってそういうのあまり考えなくて…それにしても…」

 

未来は懐かしそうに、響の様子を見る

 

「前の寮でもそうだったけど、響ってばこういうところ頑張るよね。」

「上の段で一緒に寝れば、下の段は収納スペースに使えて便利なんだよ。」

「頓知の利いた収納術だね。」

 

んっ?つまり未来と響は一緒の布団で寝てるのか…

 

「おーりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃ!

これでも かー!これでもかー!これでもかー!

えい!えい!はっ!やーっ!えい!とぅー!

全体進め―!??進め―!??行けぇ!」

 

『とはいえ、これだけ広い部屋なんだからそんな風にしなくたっていいんだけど…。まぁ、私としては別に止める理由はないんだけれど♪』

 

「本当に仲がいいんだね、一緒に寝てるなんて」

「なんてったって未来は私にとって陽だまりだから、未来の側が一番グッスリ眠れるんだよぉ♪あははは、ははははは。」

「響…。」

 

未来は嬉しそうに微笑み…いや、ニヤけてる?

 

『私を陽だまりと言ってくれる親友は、自分が太陽であることに気づいていません。』

「だから、今晩も一緒に寝よう♪」

『そんな親友が、時々眩しくて仕方ありませんッ!』

 

ダメだこりゃ……っていうかこれ僕いらないよね?帰っていいかな、気まずくてしょうがないんだけど…

 

 

 

 

 

③Gが始まる少し前ーーー

 

「知らなかった…。突起物のシンフォギア装者やってると、小遣い貰えるんだよな…。」

 

クリスは割と入ってる通帳を確認している

 

「あのバカはきっと…。」

「(妄想)あは、はは…。ごはん&ごはん!はは…。」

「――とか言って、食費に溶かしてそうだし…。」

 

「こっちはこっちで――」

「(妄想)常在戦場…。常在戦場…。」

 

「――とか言って、乗り捨て用のバイクを何台も買い集めてそうなイメージがあるなぁ…。いや、勝手な想像だけど。」

 

ここでクリスは思い出す

 

「そーいや、リクの奴は普段何買ってんだ?」

 

クリスはイメージしてみるが、リクは大食いのイメージも無ければ、車で喜ぶようにも見えない

だが何より…

 

「というかお金を使うイメージが偏り過ぎてらァァっ!!?」

 

ダメだこりゃ

 

 

 

 

 

④Gが始まる少し前ーーー

 

クリスは普段リクは何にお金を使うのかを調査すべく尾行を始めた

リクはクリスには気づかず、普通に街中を歩く

 

「アイツは普段何して過ごしてんだろうか…」

 

てくてく歩いて、まずはスーパーへ

普っ通に買い物して出ていく

トコトコ小走り、文具店へ

授業で必要になるであろうものを買い物して出ていった

最後はタタタッと走り出し、家と帰っていきました

 

「…ってそんだけかーい!?」

「クリス…?」

 

ガチャっと開けて戻ってきたリクにクリスはあたふた

 

ダメだこりゃと呆れる私でした

《今回はナレーション、私、友里あおいでした♪》

 

 

 

 

⑤Gが始まる少し前ーーー

 

「買うものが決まらない…?」

 

結局クリスは直接、リクに相談する事にした

 

「あぁ、カクカクシカジカでお前を尾行してたんだ」

「び、尾行、ねぇ〜…」

 

リクは僅かながら汗をこぼす

そんなリクを気にとめずクリスは真剣な目で見つめる

 

「頼むっ、一緒に考えてくれねぇか!?」

「んっ分かった、一緒に考えるよ」

 

それからしばらく時が経ち、考えた2人は弦十郎を呼び、仏具屋に居た

 

「ふっふ…一番カッコいい仏壇を買いに来たぜッ!」

「意外というかなんと言うか…想像を絶する渋い趣味をお持ちの用で…。」

 

しばらくし、そこで一番大きな仏壇を買い、家へと運び込んだ

 

「だはぁ…。」

「ふぅ…重たかった…」

「悪ぃなぁ、デカイ荷物を運ばせちまって。おかげで助かった。」

「むき出しで背負わされるとは思ってなかったぞ。しかし、仏壇なんて買ってどうするつもりだ?」

 

クリスは感慨深そうに話す

 

「ふ…。あたしばっかり帰る家が出来ちゃ…パパとママに申し訳ねぇだろ?ま、リクが考えてくれたんだけどな」

 

弦十郎はハッと気付いて納得

 

「ああ!!」

『仏具店からここまでの帰り道、七回も職質された甲斐が…ん、待てよ…トラックを使えばよかったのでは…』

 

だが嬉しそうに仏壇を眺めるクリスを見て弦十郎は考えを改める

 

「ふっ、俺もまだまだ…ダメだなこりゃ…」

 

 

LAST

Gが始まる少し前ーーー

 

 

チーンチーンとおりんの音が響く

 

「おはようさん。朝から騒々しくて悪ぃな。でも、騒々しいのは音楽一家らしいだろ。」

 

クリスはそう、両親に話しかける

外からは声が聞こえる

 

「クリス〜!迎えに来たよ〜!」

 

それを聞くと満足そうに立ち上がり、カバンを持った

 

「んじゃ、ガッコに行ってくる。…正直、まだ慣れないし、騒々しいところだけど…パパとママの子供だから、あたしも騒々しいのは嫌いじゃないみたいだ…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦姫絶唱シンフォギア

絶唱しないし響かない[完]

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

戦姫絶唱シンフォギアG 響くぜ!絶唱!!
【予告】戦姫絶唱シンフォギアG


 

世界を震撼させた、巫女フィーネによる月への攻撃、ルナアタック

その現象から既に、3ヶ月が経とうとしていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

激闘の末に欠けた月が見下ろす世界にて、物語は再び動き始める

日常を保障されつつ、日米共同研究に参加するシンフォギア装者

そして、ウルトラマン達

それぞれが、それぞれの現在(いま)を生きる中、新たな波乱の風が起こる

 

 

 

 

 

開け放たれたバビロニアの宝物庫より蔓延するノイズの大群。

統率された動きにて殺到するノイズの群れ

その向こうに見え隠れする人の影――そして歌声

新たなる局面は、少女たちの血が流れる歌と歌の激突によって幕を開ける

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

??「私達はフィーネ!そう、終局(おわり)の名を持つものだ!」

 

 

 

 

ーーー新たなフィーネ?ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

??「綺麗事で戦う奴の言う事なんか、信じられるものかデス!」

 

??「痛みをしらない貴方に、誰かの為になんて言ってほしくない!!」

 

 

 

 

ーーー新たな装者ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

響「私は、困ってる皆を助けたいだけで、だから―――」

 

??「それこそが偽善…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー突き刺さる過去ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゼロ「ずっと気になってたんだ、どうして…俺の攻撃は効かねぇってのに、ジードの攻撃がノイズに効くようになってんのか…」

 

 

 

ーーー深まる謎ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

響「未来ぅぅぅぅーーーーっ!!!!!」

 

 

 

 

ーーー届かなかったその手ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リク「うわぁぁぁぁぁぁぁアアアアアアアアア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙っ!!!!ガゥッ!!!」

 

《フュージョンライズッ…》

 

 

ーーーリク(ジード)暴走(闇のフュージョンライズ)ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トレギア「君達の守りたかったもの…とはなんだったんだい…?」

 

 

 

 

 

 

 

ーーー暗躍のトレギアーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーそして…ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

??「俺は…お前の()だ…」

 

リク「…()の……()()()……!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リク「その名を名乗るな!!」

 

 

 

 

クリス「ジードと互角…いや、それ以上だ!!」

 

 

 

 

奪われたカプセルにより、産み出される()()

 

??「これが…お前の兄弟だ…」

 

 

 

 

 

 

 

リク「絶対に……守って見せる!!」

 

ギガファイナライザーを構えるリク

 

 

 

 

 

 

 

 

 

??「俺が欲しいのは…お前だ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゼロ「お前のその姿…まさかっ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーシリーズ急展開!ーーー

 

 

 

深まる闇の中、希望の光灯らず

 

 

 

 

 

 

 

然れど、歌を希望と心繋ぐとき

 

 

 

 

 

 

 

 

巨人の力は与えられん

 

 

 

《挑むぜ!神秘!!》

 

 

《掴むぜ!絆!!》

 

 

《咲かすぜ!騎士道!!》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦姫絶唱シンフォギアG 響くぜ!絶唱!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゼロ「このまま戦いを使い続ければ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「響もリクも()()

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜♪

 

 

 

 

 

 

 

海岸沿い、1人佇む男はハーモニカのようなものを吹き鳴らす

 

 

 

「…久しぶりだな、この宇宙に来るのも…」

 

 

周りには異形の姿をまとう宇宙人達が現れる

 

「人気者は辛いな……」

 

「貴様…何もんだ!!」

 

 

「俺か?俺は…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「銀河の流れもの…夕陽の風来坊さ」

 




戦姫絶唱シンフォギアG 響くぜ!絶唱!!


「2人のガングニール、2人のジード」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第1話 2人のガングニール、2人のジード

リク「今回からあらすじを入れていくことにしたよ、感覚的にはカツミさん達の冒頭みたいな感じかな?」

響「うわぁぁほんとに声だけだー!未来〜聞こえてる〜?!って痛い痛いよクリスちゃ〜ん!」

クリス「巫山戯てないでやるぞ時間ねぇんだから…」

翼「では、防人の私が…コホン、あっ、ちょっと!出るなっ…ぐっ」
ギュオォンッ…

翼(ゼロ)「よぉっ!ウルトラマンゼロだ!時を超える巫女、フィーネとの戦いの中で新たな力を顕現させ、その手に勝利をつかんだジードと俺達!だが、俺は胸騒ぎが収まらねぇんだよ…またトレギアの奴が動き出そうとしてるみたいだしな…」

クリス「この2本角!勝手に進めんじゃねぇよ!」

翼(ゼロ)「はぁっ?!誰が2本角だ!それに触れていいのはルイルイだけだァっ!」

翼「(私の体で雪音と喧嘩するなぁー!!)」

響「うわぁ…なんかめちゃくちゃなことに…」

リク「とりあえず、何が来ても僕達は勝ってみせる、どうなる記念の第1話!!」

翼、ゼロ、クリス「勝手に進めるなぁ!」


宇宙空間ーーー

そこは上も下もない、ただの暗黒の空間ーーー

 

だがそこで、光を持って闇を削ろうとする者が1人

 

銀をベースに赤と黒で彩られ、胸に輝く青い輪っかが眩しい剣士

 

ウルトラマンオーブ

 

彼は先輩戦士を己の力を糧に送り出し、自らも救援に行こうと試行錯誤していた

 

「オーブスプリーム…カァリバァァアーー!!!」

 

必殺剣が刀身から凄まじいエネルギーを放出する

 

しかし、何度放とうとこの剣が闇を払うことは無かった

 

「っち、なんて頑丈な結界だ…」

 

オーブは思わず舌打ちする

こうなってしまうと向かう手段がない

その時だった

 

「苦戦しているようだな…ガァイ…」

 

オーブが振り向くとそこには、胸に赤いリングのような光を光らせた魔人が居た

 

「ジャグラー…何の用だ」

「そう言うな、俺とお前の仲だ」

 

ジャグラーはふっとカードを見せた

カードにはフジツボのような、なんとも言えぬものが載っている

 

「四次元怪獣ブルトンの力なら、結界を歪めその隙間から入る事ができるはずだ…」

「お前ーーー」

「勘違いするな、俺はこの一件の黒幕が気に食わないだけだ」

 

それだけ言うとジャグラーは姿を消した

 

「…」

 

オーブ、ガイは半信半疑ながらもそのカードをインナースペースにて、オーブリングで読みとった

 

《ブルトン!》

 

直後、オーブの姿は闇の中へ消えた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《シンフォニースペース》

 

 

そこでは、出没した深海怪獣グビラ2匹を抑える姿があった

 

そう、ウルトラマンジードとウルトラマンゼロだ

2人は1匹ずつ、ドリルに気を付けながらグビラを街から遠ざける

 

「怪獣の目的は一体…!」

「海産物を狙ってるんだと思う!あの港で、丁度競り落としやってたし!」

「なるほど…言っちまえば漁夫の利を狙ったって訳か!」

 

翼、ゼロ、リクの3人は、念話で推測を行う

だが、グビラはただお腹がすいてただけ

 

無闇に倒すことも無いと考え、それぞれ青い形態へ切り替わる

 

「魅せるぜ!衝撃!!」

 

《ウルトラマンジード!アクロスマッシャー!!》

 

「ルナミラクルゼロッ…!」

 

2人は頷き合うと、グビラの周りをぐるぐる周り、風の勢いで空中へ飛ばすとそれぞれ沈静化光線を放つ

 

「フルムーンウェーブ!」

「スマッシュムーン!ヒーリング!!」

 

 

そして、ゆっくり海上へ下ろす頃には、グビラ達はすっかり大人しくなっていた

 

ジードはグビラの一匹の鼻の辺りを優しく撫でてやる

落ち着いたグビラは穏やかに鳴き声を上げた

 

 

2人はグビラを海に帰してあげた

その直後、歓声が聞こえたので、後ろを振り向くと街の人が称えていた

 

「いいぞ〜!」

「かっこいい〜!」

「最高〜!」

 

そういうのに慣れてないジードは後頭部に手を添える

 

「あはは…えっと」

 

ゼロはと言うと

 

「よせよ、俺に惚れると、火傷するぜ?」

 

直後、女性陣の黄色い歓声が響き渡る

 

ゼロは声も良いので、人気もうなぎ登りなのだ

そんなゼロに若干嫉妬しつつ、ジードはゼロと飛び立った

 

 

そして、2人は新たな特異災害対策機動部2課本部へ戻った

 

「2人とも、ご苦労だった」

 

弦十郎が労いの言葉をかける

 

「いえ、僕は平気です、それよりも…」

 

翼はこの後ライブが控えているのだ

それを察したのか翼はふっと笑う

 

「案ずるな、朝倉、この程度で倒れるようでは、トップアーティストは務まらぬ、何より…」

 

翼はゼロアイを取り出す

 

「私ではなく、ゼロを労ってくれ、戦ってるのは私ではないのだから」

 

すると、ゼロの声が2課に響く

 

「いや、ウルトラマンになるって言っても簡単な事じゃねぇ、類まれなる精神と、何事もに負けない体力が必要になるんだ、それを女の子のお前が持ってるってことは、誇っていいし、労われても謙遜はいらねぇーよ、それにリク、お前もな」

 

ゼロはリクの事も視野に含めていた

 

「ふふ、ありがとう、ゼロ」

「さぁーて!あとはお前のやりたいようにやりな、俺はまた、瞑想でもしてっからよ」

「うむ、そうさせてもらおう」

 

翼の中からゼロの声が消える

緒川が翼の元に歩いてきた

 

「車の準備は出来ています、すぐ行きましょう」

「では、朝倉、待ってるぞ」

「はい!楽しみにしてます!」

 

翼は満足そうに微笑むと2課を出た

 

「さてと…」

 

リクはジードをエゴサーチし始めた

実はこの世界では3ヶ月前に起こったルナアタックに伴い、シンフォギアの情報やそれに関する櫻井理論の提示を行っている

その際、巨人のゼロやジードについてもある程度の情報開示を行ったのだ

 

ジードの評価はベリアルと言う存在が居なかったこともあり、90%がジードの事を好いている

 

・ジードはまじでかっこいい!あのダークヒーローみたいな戦い方とかめっちゃ好み!

 

とか

 

・皆はどのジードが好き?俺はあのロボットみたいなやつ!

》俺はツノの生えたやつかな、パワーファイターって感じがいい

》私女だけどやっぱり青いのが戦い方も綺麗で好き

》俺は槍持ってるのが好きだけど、息子は王様みたいな金色のが好きだって

 

などなど

ちなみにゼロは

 

》ゼロの赤と銀の奴めっちゃスタイリッシュなのにパワータイプなギャップがいい

》青い奴1色かと思ったら色んな青組み合わせてんのな、オサレじゃん

》やっぱり普段のが一番バランスいいよね

》ジードのツノ付いてるやつとデザイン似てる気がするのは気のせいなのか……

 

 

 

だがやはりジードの目は不安を煽るらしく、残り10%の評価に響いている

 

》悪い奴じゃないのは分かるけど、やっぱりあの目が怖いんだよな

》ゼロの目もキツイけどジードのは悪過ぎ

》なんかあの目睨み付けて来てるように見えるのよね

 

リクはそれを見て溜め息を吐くが、弦十郎が肩に手を置く

 

「見た目なんて些細な話しさ、君がしてきた事が、何よりの敵じゃないという証明になる…!」

「…はい!」

 

リクは、その言葉を聞き、気持ちを改めた

ふと、時計を見ると、未来との待ち合わせ時間

 

「やっば!すいません、弦十郎さん僕行きます!」

「あ、あぁ、気を付けてな!」

 

リクが2課を飛び出すと、藤尭がクスッと笑う

 

「なんだか、ほんとに子供にしか見えませんね、20って嘘じゃないんでしょうか?」

「ふっ、良いじゃないか、少年の心を忘れないからこそ、正義を信じて進み続けられる」

 

因みに、友里と響、クリスは、米軍基地までソロモンの杖を輸送する任務を行っていた

 

それを完了させた後、基地がノイズに襲われ、ソロモンの杖が輸送を手伝っていたウェル博士と共に消えてしまう事件が起こるとも思わずに…

 

 

リクは約束していた未来達の元へと走っていた

 

「はっ、はっ、はっ、あっ…おーい!」

「あ、リクくーん!」

「遅いよリッキー?」

「でも、間に合ったのはナイスです!」

「全く〜…ギリギリに到着なんてアニメじゃないんだからさ〜」

 

未来は手を振り、創世、詩織、弓美は思い思いにリクをからかう

 

「ごめんごめん!混んでたからバスが遅れちゃって…っはぁ…」

「さぁ、いこっ!」

 

未来の声を合図に、5人はライブ会場へ入っていく

 

指定席に座ると少し話し始める

 

「リッキー最近調子いいじゃーん」

「えっ?あっ…まぁね」

「怪獣さん達も、今観測したところだと落ち着いて暮らしてるらしいです」

「そっか、よかった…」

 

深海怪獣グビラはかつて別個体に助けられたこともあり、リクも無闇に倒したくはなかったのだ

 

「でもバッシングもあるね…魚が食い尽くされたらどうするんだ、とか、即刻魚雷を撃つべしとか…あとジードの目のことも…」

 

リクは軽く項垂れる

望んで得た力でも姿でもない、しかし、その力を誇りに思うリクにとってバッシングは心に刺さるものだ

 

だが

 

「大丈夫、私達はちゃんと分かってるから、ジードがいいウルトラマンって事」

 

未来はリクの手をそっと包んだ

その様子にリクは恥ずかしそうに頬を染める

 

何故だろう、最近みんな顔つきが変わったように感じるのだ

特に響と未来は可愛さが増したように感じる

言い方はわるいが、()()が変わったのだろうか

 

 

そんな事を考えていると、照明が落ちた

 

それはイベントはじまりの合図

 

照明が煌めくと、シャフトを使い2人のアーティストが降りてくる

 

一人は先程もリクが話した女性、風鳴翼

もう一人はデビュー僅か2ヶ月で、世界の歌姫としての実力をみせつけたアーティスト、マリア・カデンツァヴナ・イブ

 

始まったライブ曲「不死鳥のフランメ」

 

力強くも美しいその歌は世界を魅了するには十分だった

 

 

曲が終わり会場のボルテージは振り切っていた

 

 

「みんなありがとう!!」

 

翼の声が響く

 

「私は、いつも皆から、沢山の勇気を分けてもらっている!だから今日は、私の歌を聞いてくれる人たちに、少しでも、勇気を分けてあげられたらと思っている」

 

続いてマリアも叫ぶ

 

「私の歌を全部、世界中にくれてあげる!振り返らない、全力疾走だ…ついてこれる奴だけついて来い!」

 

観客は歓声でそれに応える

 

「今日のライブに参加出来た事に感謝している。そしてこの大舞台に、日本のトップアーティスト風鳴翼とユニットを組み、歌えた事を」

 

「私も、素晴らしいアーティストに巡り会えた事を、光栄に思う」

 

2人は固く握手を交わす

 

「私達が世界に伝えていかなきゃね、歌には力があるってこと」

「それは…世界を変えていける力だ…!」

 

マリアは満足そうに頷いて会場へ向く

 

「そしてもう一つ…」

 

そう言ってマリアがマントをなびかせると……

 

 

 

 

 

 

 

 

ノイズが現れた

 

会場は一気にパニックになり、阿鼻叫喚の地獄となった

 

 

 

「狼狽えるな……」

 

 

 

それを気にせぬものが1人…

 

 

「狼狽えるな!!」

 

 

 

会場は幾分か落ち着きを取り戻した

 

「あ、アニメじゃないのよ…」

 

詩織がハッと思い出す

 

「朝倉さんがいればノイズも…!」

「そっか、リッキーノイズ倒せるようになったんだっけ?!」

 

創世も同意するがリクは首を振る

 

「響がガングニールを使ってないと僕はノイズを倒せない…それに、居ても今の状況じゃ犠牲者が増える…」

 

打つ手なしであった

 

 

「怖い子ね、この状況にあっても、私に飛び掛かる機を疑ってるなんて」

 

首の衣装を外し、欠片を見せた翼に対してマリアが呟く

 

「でもはやらないの…観客たちが、ノイズからの攻撃を防げると思って?

それに、ライブの模様は世界中に中継されているのよ?日本政府はシンフォギアに対する概要を公開しても、その装者については秘匿したままじゃなかったかしら?ねえ、風鳴翼さん」

 

「甘く見ないでもらいたい!そうとでも言えば、私が鞘走る事を躊躇うとでも思ったか!?」

 

その手の剣型のマイクを突きつけ、悠然と答える

 

「フッ、貴方のそういう所、嫌いじゃないわ、貴方のように誰もが誰かの為に戦えたら、世界は、もう少しまともだったかもしれないわね」

 

その真意がわからず困惑する翼

 

そして、マリアはマイクを使い宣言した

 

「私達はノイズ、そして怪獣を操る力を持ってして、この星の全ての国家に要求する!」

 

怪獣の力も…つまり、ライザーを持っている!

 

「世界を敵に回しての交渉…これはまるで!」

 

緒川がモニターを見て呟く

 

「…宣戦布告」

 

「そして…」

 

マリアはマイクを放ると歌えるはずの無い(うた)を唄う

 

「Granzizel bilfen gungnir zizzl…」

 

 

聞き間違いであって欲しかった

 

しかし、直後マリアが纏ったシンフォギアは黒いガングニールであった

 

その様子は響やクリス、友里の所でも中継された

 

「黒い…ガングニール…!」

 

マリアは告げる

 

「私は…私達はフィーネ!!終局(おわり)の名を持つものだ!」

 

リクは怒りに震えながらジードライザーを取りだした

未来はそれに気付いてリクの手を握る

 

「ダメっ!自分で言ったでしょ!犠牲者が増えるって!」

「でもあいつは今!フィーネを…了子さんの名前を!!」

 

リクにとって名前とは、その人をその人たらしめる大切なものと考えている

 

かつて一度は母と読んだ名前を、テロを行う者に使われたくないのだ

 

「我ら武装組織フィーネは、各国政府に対して要求する……そうだな…差し当たっては、国土の割譲を求めようか?」

 

国土の割譲…テロ組織らしい要求だ

 

「何を意図しての騙りか知らぬが」

「私が騙りだと?」

 

その言葉にマリアはマイクを使わずに答える

 

「そうだ!ガングニールのシンフォギアは、貴様のような輩に纏えるものではないと覚えろ!」

 

そう叫び、翼は、聖詠を唄い出す

 

「―――Imyuteus amenohaba―――っ!?」

 

突如、翼の詠唱が止まる

きっと緒川が翼を止めたのだ

 

「なら…」

 

「会場にいるオーディエンスたちを開放する!ノイズたちに手出しはさせない…速やかにお引き取り願おうか!」

 

突然の人質の解放、リクは訳がわから無かったが今しかないと頭を回転させる

 

「みんな!今のうちに逃げて!」

「リクくんは?」

「…みんなを助ける…!」

 

その手にはジードクローを握り締めていた

それを見ると未来は頷いて、3人と共に駆け出す

 

「観客は皆退去した、もう被害者が出る事はない。それでも私と戦えないというのであれば、それは貴方の保身の為」

「くっ…」

 

マリアに指摘されたことは事実、翼は歯を噛み締める

 

「貴方は、その程度の覚悟しか出来てないのかしら?」

 

ふと、マリアが剣型のマイクを構える

そして次の瞬間、そのマイク、いや剣を翼に向かって突き立てる

しかし、一瞬、翼が苦渋の決断をくだすような顔を見せると、なんと翼は切っ先を掴んでみせた

 

「何っ!?」

 

生身の人間がシンフォギアの攻撃を受け止められるはずが無い

 

 

 

そう、普通の人間なら

 

「(悪ぃな緒川…イメージダウンくらいで済むようにはしてみるぜ…)」

 

翼はそのまま剣をなんと片手でへし折る

 

「なっ!?どういう事!?」

 

瞬間、音が聞こえた

 

【〜♪ウルトラマンゼロ-アクション】

 

《ギュオォンッ…》

 

翼はキッとマリアを睨むと、一瞬でマリアの間合いに入った

そしてすかさず、腹部へと連続パンチを叩き込む

 

そのスピードは普通の人間に出せるスピードでは無い

リク、響にクリスはその正体に気づいた

 

「「「ゼロ!」」」

 

そう、ゼロが翼の表面へ現れ、翼の代わりに戦っているのだ

 

「シェアっ!」

 

翼、いやゼロは大きく体を捻りながら飛び上がり後ろ回し蹴りを放つ

それは顔にクリーンヒットし、マリアを吹き飛ばす

ちなみに声は翼のままである

 

「くっ…これ程までに…力を…!」

 

マリアは蹴られた頬をさする

 

「へっ、お前が風鳴翼に勝とうなんざ、2万年はやいぜ!」

 

この子こんなキャラだっけ?

マリアが困惑してる中、翼は飛び上がりキックポーズをとる

 

「これでフィニッシュだっ!」

 

グングン迫る足を防ぐものは無い

マリアは敗北するかと思いきや、その間に立つ者がいた

そいつは布装束で顔を隠していて、手を掲げると翼を波動で吹き飛ばす

 

「ぐあっ!」

 

翼はステージから飛び出し、ノイズの上に落ちようとしていた

 

このままでは、炭素化してしまう

しかし、シンフォギアを纏えば歌女として歌えなくなる

 

だがその時、翼の耳には吉報が入った

翼はフッと笑うとゼロと交代し叫ぶ

 

「聴くがいい!防人の歌を!」

 

突如として映像が切れ響達のモニターに

『NO SIGNAL』と表示される

 

「ええ!?なんで消えちゃうんだよぉ!」

 

響は驚いてモニターを揺する

 

「現場からの中継が切断された?」

 

友里が、携帯端末を見て呟く

 

「いや待て!?映像があったから、翼は変身出来なかったんだよな?」

「って事はつまり・・・?」

「ええ」

「え?え?」

 

響だけ状況が分かっておらず、他の者たちは、不敵な笑みを浮かべていた

 

 

次の瞬間、ノイズは消え去った

翼が天羽々斬を纏い、ノイズを斬り払ったのだ

そう、先程の吉報は中継を遮断したという報告である

 

 

翼は周りを見渡すが布装束のやつは消えていた

 

「(ちっ、アイツに借りを返したかったんだが後回しだ!)」

「あぁ、いざ、推して参る!」

 

翼はノイズを切り払いステージに戻るとマリアと刃を混じえた

 

マリアはマントを使いながら、翼の剣を祓う

その中で実感してしまう

 

「このガングニールは、本物!?」

「ようやくお墨をつけてもらった。そう、これが私のガングニール!なにものをも貫き通す、無双の一振り!!」

「だからとて、私が引き下がる道理など、ありはしない!!」

 

翼が追撃しようとした時だった

 

「(翼!後ろだ!)」

「っ!くっ!」

 

後ろを振り向くと、幾つかの丸鋸型のエネルギーが飛んできており、翼は間一髪それを防いだ

 

よく見るとそれは、新たな装者

更に…

 

「行くデス!」

 

ギュオォンッ

 

「今度はそっちか!」

 

ゼロが乗り移った翼は、飛び上がりながら鎌状のエネルギーを受け流す

 

体勢を整え、向けた視線の先には、黒をベースにピンク、緑で彩られた2人の装者が立ちはだかっていた

 

「危機一髪」

「まさに間一髪だったデスよ!」

「調と切歌に救われなくても、貴方程度に遅れをとる私ではないんだけどね」

 

マリアが調、切歌と呼ぶ少女と話す中

 

「(翼、来てるぞ、あの2人だ)」

「ふっ…貴様のような奴はそうやって…見下ろしてばかりだから勝機を見落とす!」

 

翼が言い放ったその言葉の真意は…

 

「…ッ!?上か!」

 

見上ると、ヘリからクリスと響が落ちてきていた

 

「土砂降りな!十億連発!」

 

クリスがガトリングをぶっぱなすと、調、切歌は横に避け、マリアは硬質化させたマントを盾にする

そこへ響が拳を叩き込むが、マリアには避けられクレーターを作るだけだった

 

6人が降り立つとき、響が叫ぶ

 

「やめようよこんな戦い!今日出会った私たちが争う理由なんてないよ!」

 

しかし、その言葉が、調の怒りに触れる

 

「ッ…そんな綺麗事を…」

「え……」

「綺麗事で戦う奴の言う事なんか、信じられるものかデス!」

 

調も切歌も響に対して怒りをぶつける

 

「そんな、話せば分かり合えるよ!戦う必要なんて―――」

「―――偽善者」

 

調の怒りの籠った言葉が響く

 

「この世には、貴方のような偽善者が多すぎる…!!」

 

直後、調の歌が響き、丸鋸型の弾丸が何発も、響を目掛け撃ち放たれた

 

だが響はショックで動けていない

翼がすかさず間に入り、剣を繋げた薙刀で鋸を祓い、クリスが3人を撃つ

しかし、交わされてしまい、マリアVS翼、クリスVS切歌、響VS調のマッチとなる

 

だが、響は説得を続ける

 

「わ、私は、困ってる皆を助けたいだけで、だから―――」

「それこそが偽善…!」

 

調の厳しい言葉が響に突き付けられる

 

「痛みをしらない貴方に、誰かの為になんて言ってほしくない!!」

 

次に放たれたのは巨大な丸鋸

響はもはや、絶望してるのか、動こうともしない

絶体絶命のその寸前!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「コークスクリュージャミング!!!」

 

丸鋸は突然地面がめくれ上がった事により、弾かれる

土砂が落ちると、ガコン!と機械の作動する音が響く

 

【〜♪ウルトラマンジード-ソリッドバーニング】

 

そこには、人間サイズのウルトラマンジードソリッドバーニングが立っていた

 

「ウルトラマン…ジードッ!?」

 

調の声にマリアや切歌も視線を向ける

 

「嘘っ!?そんなサイズにもなれるの!?」

「そんなの聴いてないデスよ!?」

 

2人の手が緩んだ隙に翼とクリスは、2人をはじき飛ばし、4人で並ぶ

 

「おっせぇぞ!リク!」

 

クリスはぶっきらぼうに言うが、顔は嬉しそうにしている

 

「ごめんごめん、タイミングとか見計らってたらなかなか出てこれなくて」

「…3分経てばこっちの物っ!!」

 

調は耳のようなパーツから丸鋸付きのアームを展開し、ジードの首めがけ横に払う

しかし、リクもそれを察し、ジードスラッガーを外すと丸鋸をそれで防ぐ

鍔迫り合いに発展する…かと思いきや

 

「エメリウムブーストビーム!」

 

ノーモーションで額のビームランプからビームを放ち、アームを折ったのだ

調は思わず離れる

 

「そんな技も…!」

「私に任せるデス!」

 

調の後ろから切歌が鎌を振り下ろす

ジードはスラッガーで鎌を受け止めるとジードクローを発動し、その柄を切りつけた

させない、と言わんばかりに切歌はソリッドバーニングの腹に蹴りを入れるが……

 

「クゥゥゥッ…痛いデェェス!!?」

 

そう、ソリッドバーニングはロボットのように硬い装甲を持ってるので、下手に蹴ると骨が折れかねない

ジードはトンっと切歌の肩を押した

しかし、やはりウルトラマン

加減が難しかったのかマリアの元まで吹き飛ばされてしまう

 

「くっ、無茶苦茶デスよ…!」

「おかしい…いつもなら2分経ったら、胸のランプが光ってるのに…!」

「僕はこのサイズで変身する事で、10分くらいまで時間を伸ばせたんだ、ま、ゼロに教えてもらったんだけどね」

 

ジードは苦笑するように口元を手で抑える

 

刹那、声が響いた

 

「なるほどな、俺も覚えておこうか」

 

直後、マリア達の元に布装束の人物が現れる

 

「(あいつはさっきの!)」

「布装束の…!」

「てめえが黒幕か…!」

 

布装束の人物は答えることなく、呟く

とんでもない事を

 

「さすがウルトラマンジード…()()()父さんを倒しただけある」

「俺達の…?」

 

リクは訳がわからず聞き返す

すると布装束は頭のフードを外した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこには朝倉リクと同じ顔があった

 

「なっ?!リク!?」

「(どういう事だ?!)」

「リクくんが…もう1人?」

 

当の本人は、声を出せないでいる

よく聞けば、少しドスがあるせいで分からないが、声もリクそっくりであった

 

 

「俺達は兄弟なんだよ、弟よ…」

「僕が…あなたの弟…!?」

 

すると、リク(?)は懐からライザーを取りだした

 

「これで…信じるか?」

 

リク(?)はライザーを起動し、予めセットされてる紫のカプセルを読み込んだ

 

《ウルトラマンダーク!カイザーベリアル!フュージョンライズ!!》

 

「壊すぜ世界…」

 

そして、その男は闇に呑まれ巨大化する

 

その姿は…

 

 

 

 

 

「紫の…ジード…!?」




【次回予告】

突然現れた僕の兄弟、紫のジード
僕は全力で戦うが、そいつは全てを上回る
一体何が目的なんだ…
そして、僕はマグニフィセントのカプセルを奪われてしまう
その力であいつがやったのは…!

次回、戦姫絶唱シンフォギアG 響くぜ!絶唱!!

【偽善、それとも綺麗事】

闇リク「これがお前の兄弟だ…」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第2話 偽善、それとも綺麗事

リク「マリアさんが翼さんとのライブの最中、ノイズを呼び出した、彼女達はフィーネと自分たち組織を名義し、国土の割譲を求めた、更にはマリアさんが、黒いガングニールのシンフォギアを纏い、攻撃を始める」

翼「更には新たな2人の装者が現れ、風鳴翼は苦戦を強いられる」

クリス「だけど、あたし達やリクが現れて形勢逆転…かと思いきや!」

ゼロ「リクそっくりな奴が現れ、そいつは俺達の前でフュージョンライズ、ジードそっくりの姿になってみせる」

リク「…響?」

響「ふぇっ!?あ、あぁっと…そんな波瀾の第2話です!どうぞ!」

ゼロ「…(あいつに言われたこと…気にしてんのか?)」



その場は戦慄していた

何せ、ジードプリミティブと全く同じ姿のウルトラマンが現れたのだから

しかし、その色は赤い所が紫で、目とカラータイマーがベリアルのように橙色であった

 

その様子は2課でも確認されていた

 

「新たなウルトラマンの反応をキャッチ!映像映します!」

 

映し出された巨人の姿を見てメンバー全員が息を呑む

 

「リクくん…じゃないよな…」

 

ーーー現地

 

「どうして…ジードが!?」

 

リクが困惑を隠しきれずにいると、そいつは話し出す

 

「俺は…伏井出ケイによって作られたデザイナーベイビーの一人目だ…俺たち以外にも3人の兄弟がいる…」

「僕に…兄弟が…」

 

だがそいつはフッと笑う

 

「失敗作ばかりだがな」

「失敗作…!?」

「どういう事だ?!」

 

クリスも思わず声を上げる

 

「誕生出来たのは俺とお前だけだ…

他の兄弟は…別のフュージョンライズとしてお前の中に組み込まれた

だが俺は見た目や色、そして、性格もベリアルに似すぎたと言われ、宇宙の彼方に捨てられた…

それをトレギアに拾われたんだ、俺は全てを知った、ベリアルの末路もな…」

「悲し過ぎるよ…そんなの」

 

響は思わず涙をこぼす

 

「だから俺は自分の存在を世に知らしめる…人類を救済してな」

「救済…?」

「その為に邪魔なお前を倒す!」

 

そいつはジード目掛け拳を振り下ろす

 

「くっ!だったらみんなを巻き込むなっ!ハッ!」

 

ジードは拳で受け止めると巨大化する

そいつは不敵に笑うと顎に手を当てた

 

「そうだ…名前がいるな…」

 

ジードは全く気にせず顔目掛けてブーストをかけたパンチを繰り出すが、なんとこちらも見ずに片手でパンチを受け止めてしまった

更にはその拳を掴んで話さない

全く動けないのだ

 

「何っ!?」

「そうだ…」

 

そいつはジードの土手っ腹に蹴り突きを入れた

あのソリッドバーニングの巨体が宙を吹き飛んだ

 

「ぐはっ!」

「終わりをもたらすベリアルの息子…フィーネ…ウルトラマン()()()()

 

それを聞きリクは拳を握りしめた

 

「その名は…了子さんのものだ…その名で…名乗るな!」

 

【〜♪ウルトラマンゼロ-ピンチ】

 

ジードは立ち上がるの体から蒸気を噴出し、ウルトラマンフィーネに向かっていった

加速をつけた蹴りやパンチを繰り出すが、フィーネは軽く受け流す

フィーネも引っ掻くような攻撃を繰り出した

ジードは幾つかを腕で防ぎ、残った分は胸で受けた

 

「ジードと互角…いや、それ以上だ!」

 

攻撃を受けたジードが少し後ずさるのを見てクリスは叫ぶ

 

「どうするデス?」

「私達は装者?それとも…」

 

マリアはしばらく考え

 

「装者にしようかしらね…」

 

 

翼達が気付くと、3人はアームドギアを構え攻撃に入っていた

間一髪、受け止めて迎撃に入る

 

「ッグハァッ!こいつ!強過ぎる!」

 

相手の姿はプリミティブなのにソリッドバーニングの自分でも押し出すことが出来ない

 

「どうした…弟よ?」

 

口調が何処と無く似ている

それがリクの癪に触った

 

「これならどうだ!」

 

リクはマグニフィセントのカプセルを取り出すが、なんとフィーネはカラータイマーから手を突っ込み、カプセルを奪った

 

「ゼロとウルトラの父のカプセルが…!」

 

ジードは組み付いて、カプセルを取り戻そうとするが吹き飛ばされてしまった

 

「よう、四男坊…」

 

フィーネはカプセルをスキャンしトリガーを引く

 

すると、その波動はマグニフィセントを象った

そう、フィーネは姿を変えるのではなく、ジードが生まれる過程で誕生した兄弟を呼び出したのだ

 

「これが…お前の兄弟だ…」

 

やはりリクが変身したマグニフィセントとは、違う色をしている

目やカラータイマーはオレンジのままだ

 

「また新たなジードだと!?」

 

翼はその様子を見て剣を鈍らせてしまった

その隙をマリアに攻撃され翼は吹き飛んだ

 

「ぐはっ!」

「(大丈夫か、翼!?)」

「案ずるな…だが私より朝倉が!」

 

ジードはソリッドバーニングのまま戦っており、マグニフィセントの強靭なカウンターにカラータイマーを鳴らしていた

 

「グゥっ…」

 

あんなに頼りになる力なら、敵として立ちふさがればそれは恐ろしいのは当然だ

2人のフィーネに翻弄され、ジードは攻めあぐねてる

 

「(ちっ…!翼!変われ!)」

「なっ…今はっ!?」

 

ギュオォンッ…

 

「クリス!響!ちょっとここ任せていいか!?」

 

男の声になった翼にマリア達はギョッとする

 

「なっ!?」

「デデデデス!?」

「ッ!?」

 

その隙逃さず、クリスはミサイルで3人を吹き飛ばした

 

「あっ…」

 

響は呆然と立ち尽くしてしまっている

クリスはそんな響の肩を叩いた

 

「ドンくさいことしてんじゃねぇ…」

 

そして、翼の方を向いてさらに叫ぶ

 

「リクを頼む!」

「へへっ、任せなっ!」

 

翼はゼロアイを取り出し目元に当てた

 

「シィェアッ!」

 

翼の体は光に包まれ、やがて消える

そしてそれは、登場の合図

 

「デェリャァッ!」

 

マグニフィセント、フィーネを燃える足のキックで吹き飛ばした戦士が、ジードの前に立つ

 

「俺はゼロ……ウルトラマンゼロだ!」

「あの子が…ウルトラマンゼロ…?!」

 

マリアは突然の事実に驚き、口をあんぐり開ける

 

「大丈夫かジード…」

「ゼロ……」

 

ジードはゼロに起こされ立ち上がる

 

「どっちやる?」

「…プリミティブの方をやる」

「わぁかった、マグニフィセントは任せな!」

 

2人はそれぞれ宣言した敵に走っていく

 

ゼロはマグニフィセントに組みかかると、土手っ腹に蹴りを入れ赤く姿を変えた

 

「ストロングコロナゼロォッ!」

 

カウンターのように座り込みながら腹を殴ると、そのままゼロ距離で技を放つ

 

「ガァルネイトォ!バスっ…タァァァー!!」

 

強烈な光線はマグニフィセントの体を撃ちあげた

しかし、しぶとくその体は生き残っている

 

「ちっ!さすがにウルトラの父のカプセルを使ってるだけあるな…」

 

ジードはカラータイマーによる消耗も激しい中、どうにか善戦しようと策を考えていた

 

「くっ…まだまだ!!」

「…ふっ、お前はやはり甘いな」

 

突然の挑発、いつものリクならそれに気付いたろう

だが今回は気付かなかった

 

「なんだと!」

「自分の素性にしか興味が無いから……他の奴に気付かない…」

 

リクが気付いた時には遅かった

ジードは背中から腹部にかけて激痛を感じ怯む

恐る恐る下を見ると、お腹から何か黄色いトゲのようなものが飛び出していた

直後、体力の消耗でソリッドバーニングからプリミティブとなってしまう

どうにか後ろを見るとそこには、ハイパーゼットンの姿があった

 

「ふふっ…マイタァーン…」

 

ハイパーゼットンの中にはマリアが居た

フュージョンライズのようにハイパーゼットンに変身したのだろう

一気に腕のトゲが引き抜かれる

 

「グウォッ!…クフッ…」

 

その様はまるで血が噴き出すよう

キラキラとした光の粒子と泥のような闇が一気に吹き出してくる

ジードはそのまま倒れるとフュージョンライズを解除してしまう

 

「リクっ!リク…っ!!」

 

クリスが駆け寄った先には血溜まりの中に苦しそうに倒れるリクの姿があった

クリスは自分が汚れるのも構わず、リクの元に駆け寄り抱き起こす

 

「リクしっかりしろ!おい!」

 

リクは苦しそうに呻くしか出来ない

それを見てクリスは一筋の雫を落とす

 

「(朝倉!)」

「リクっ!ぐおっ!」

 

マグニフィセントのカウンターにゼロは吹き飛んでしまう

ハイパーゼットン、フィーネ、マグニフィセント

そして2人の装者

絶対絶命のピンチであった

しかし、ここまであまり喋らなかった響が呟く

 

「絶唱…絶唱です!」

「お前!あれをやる気か!?あのコンビネーションは未完成なんだぞ!それにリクが動けねぇんだぞ!」

 

クリスが必死に叫ぶ

 

だがそれを首を振って肯定する戦士が一人

ゼロだ

ゼロは翼を一時的に外に出すと、体を青く変化させた

 

「響の負荷とリクは俺がどうにかする、全力でやって見せろ…!」

 

クリスは頭をかいて仕方ねぇと響と手を繋ぐ

翼ももう片方の手を繋いだ

 

「何をやってももう無駄よ…」

 

マリアが呟くのも聞かず響が叫ぶ

 

「行きます!S2CA・トライバースト!」

 

そして3人はは、歌う

 

―――Gatrandis babel ziggurat edenal―――

 

―――Emustolronzen fine el baral zizzl―――

 

―――Gatrandis babel ziggurat edenal―――

 

―――Emustolronzen fine el zizzl―――

 

 

「絶唱…だけど」

「それは3人には効かないデス!」

 

響は再び叫ぶ

 

 

「セット!ハーモニクス!」

 

響が3人の絶唱を調律する

しかし、この技には弱点があった

 

「ぐっ…うぉぉぉああああああっ!!!!」

 

体を蝕む痛みに響が絶叫をあげる

 

「フルムーンウェーブ!」

 

すかさずそれを抑えようとフルムーンウェーブを浴びせ、リクの体にもかつてピグモンにやったようにバリアを貼る

 

「くっ…ううっ!」

 

激痛、とまではいかないが体は痛む、しかし、準備は整った

 

響はギアを右腕に集束し、キャノン砲に仕立てた

それを構え、解き放つ

 

 

「これが!私達の!絶唱だぁぁぁぁぁああっ!」

 

 

解き放たれたエネルギーは凄まじいものだった

ハイパーゼットンを消し飛ばし、マグニフィセントを消失させ、フィーネにもダメージを負わせた

装者2人も余波で吹き飛ばされた

 

フィーネは胸のカラータイマーが鳴っているのを確認し、響を見つめる

 

「ふっ…立花響…覚えておこう…」

 

フィーネはそれだけ言うとマリア、調、切歌を掴み飛び立った

 

「待てっ!くっ…」

 

ゼロは追いかけようとするが、予想外にマグニフィセントの攻撃でエネルギーを消費したようで膝をついてしまう

 

シンフォギアの解けた翼とクリスは響の元に走る

そこでは響は項垂れたように膝をついて座っていた

 

「大丈夫か!立花!」

 

響はその言葉で近づいてきていたことにようやく気付いたようで、ピクっと体を震わせこちらを見る

 

「へいき…へっちゃらです…」

 

笑顔を見せるその顔は、どう見ても苦しみの涙が溢れている

クリスはその肩を掴んだ

 

「へっちゃらなもんか!?痛むのか?まさか、絶唱の負荷を中和しきれなくて……」

 

響は大きく首を振る

代わりにゼロが応えた

 

「気にしてんだろ、あの子の言葉を…」

「あの子の…?」

 

クリスがキョトンとする中、響は絞り出すように問いかける

 

「私のしてきた事って…偽善…なのかな…胸が痛くなることだって……知ってるのに……ひぐっ…うっ…うぅっ…」

 

「な訳」「そんなことっ…ないっ…!」

 

ゼロの言葉を遮り叫んだのはリクだ

リクはお腹を抑えつつ、みんなのもとに歩いてきている

 

「バカっ!お前体のこと考えろ!」

 

クリスが慌てて、リクに肩を貸した

 

「例え最初は偽善でも…綺麗事でも…それで感謝する人がいれば…善だ…少なくとも響の事、僕達は感謝してる…!ぐふっ!」

 

リクは血を吐き出した

 

「もういい!もう喋るな!」

 

クリスは背中をさすり、改めて響の方をむく

 

「でもリクの言ってる事は間違いねぇ、あたしらはお前に感謝してる」

「その通りだ、立花が居なければ、ここでこうやって共に歌を重ねることも無かっただろうからな」

「2人とも…ありがとう…」

 

響は涙ぐみながら感謝を述べた

 

「…俺達の知らない所で感謝してる奴もいるんだ、1人の偽善って言葉に惑わされてちゃ、救える奴も救えなくなるぞ」

 

ゼロもそう伝え、響を奮い立たせようとする

 

「は、はい…私もっと頑張ります」

「まぁでも、お前はよくやってる、それは誇っていい」

 

ゼロは翼の中へ再び戻った

その後、緒川や弦十朗が駆けつけ、リクは一命を取り留めた

 

一方、とある飛行物体中にて

 

「…イタッ…」

 

マリア、切歌、調の3人は傷の手当をしていた

そこへフィーネに変身していたもう一人のリクが現れる

 

「ご苦労、3人とも…傷の方はどうだ」

「これくらい平気デース!」

「私もピンシャン…平気よ」

「…」

 

調もこくっと頷いて答える

もう一人のリクは座り込み、収穫したカプセルを見せる

 

「この2本のカプセルが手に入っただけでも、大きな成果だ、人類救済の足掛かりとなる」

 

そこへハイテクな車椅子に乗った老婆が入ってきた

 

「マムっ、大丈夫デスか?」

「心配はいりません、それよりも本当にその力は月の落下を止め、人類救済への道標になりえるのですか」

「あぁ、なるとも」

 

もう一人のリクはカプセルを見せつつ悠々と説明し始める

 

「ウルトラカプセル自体そもそも救済の為に作られたものだ、クライシスインパクトと呼ばれる大戦争の戦況をひっくり返すために作られた…一本でもそれほどの力があるんだ、地球の救済など容易いさ」

 

マリアはそれを聞き少し震える

 

「そんな力を…ジードや貴方は2本も…」

 

そんなマリアを彼は否定する

 

「いや、俺やジードはウルトラマンの模造品として作られた…だから一本では変身出来ないのさ…」

 

それを言いながらプルプルと手を震わせる

ウルトラマンとしては重大な欠陥

それが許せないのだ

 

調はそんなもう一人のリクを後ろから抱きしめた

 

「大丈夫…貴方は私たちの希望…」

「すまない、取り乱した」

 

もう一人のリクは調を撫でると、立ち上がり外へと出た

 

「…俺は証明してみせる…俺は…不良品なんかじゃない…だから…この宇宙を……」

 

彼はカプセルを握りしめ、空を見上げた

 

「破壊する…」

 

 

 

 




【次回予告】

クリス「フィーネの奴らの目的は気になるが、アイツらにかまけてあたし達の生活がだらけちゃ意味ねぇよな…って隠れ家見つけたのか?!よーし、あたしらで一発、奇襲をかけてやっか!
次回、戦姫絶唱シンフォギアG 響くぜ!絶唱!!」

【終焉の名の少女、終焉の名の戦士】

クリス「ジーっとしてても、ドーにもならねぇぜ!」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第3話 終焉の名の少女、終焉の名の戦士

弦十朗「フィーネと名乗る組織が現れ、翼達と交戦するさなか、リクくんそっくりの男がジードそっくりの姿にフュージョンライズし、ウルトラマンフィーネと名乗った」

緒川「それに激昴したリクさんは挑発に気付かず、大怪我を負ってしまいました」


藤尭「絶唱を使い、どうにか4人を退けた皆でしたが…」

友里「響ちゃんの心には、深い傷が刻まれたのです」

弦十朗「重いな…」

緒川「重いですね…」

藤尭「どちらも見た目の割に重たい作品ですからね」

友里「必然的に重たくなるのは当然です…」

ゼロ「なーに暗くなってんだよ」

弦十朗「ゼロ?」

ゼロ「あいつらは必死に今を楽しんで生きてんだ、良い大人がこんなとこで立ち止まんな?」

緒川「たまにはいい事言いますね」

ゼロ「たまにはってなんだよ」

藤尭「じゃあここは気を取り直して」

友里「どうなる?」

全員「第3話!」



 

フィーネが宣戦布告をして1週間が経った

その1週間、組織はなんの動きも見せなかった

結局、正体も目的も分からずどんずまり

 

2課では弦十朗、藤尭、友里、そして、一時的に分離したゼロが状況確認を行っていた

 

「っち、こんな時にエックスの奴が居ればな〜…」

 

ウルトラマンエックス、諸事情により体がデータ化できるようになったらウルトラマン

最も、データ化はエックスの特権という訳ではなく、ゼロや同じ星に生きるメビウスも、データ化の経験はある

しかし、エックスは尚且つ、データを的確に導き出すことが出来るので、まさに今うってつけなのだ

(なお、ナビトラマンと呼ばれてもいるのは内緒だ)

 

しかし、無いものねだりをしてもしょうがない、ゼロは別の思考に頭を巡らせる

それはどうしてジードの攻撃がノイズに効くようになったのか

 

以前、ジードの攻撃はノイズに当てることが出来なかった

しかし、ウルティメイトガングニールを獲得した時から、響がガングニールを起動してる時だけだが、ジードの攻撃がノイズに効くようになっていたのだ

更には、響も怪獣に対して攻撃が通るようになっていた

 

かつて、ホロボロスに苦戦するジードを翼が助けたことはあるが、それはゼロが中に居たからだろうという見解

実際の所、了子も口にしていた

 

「お陰で同一遺伝子を持つ貴様しか怪獣に対抗出来るものはなかった…」

 

つまり、その機会は無かったが怪獣にフュージョンライズしていたクリスも怪獣には対抗出来るはずだ

しかし、響に関してはウルティメイトガングニールを除いて、怪獣に対抗出来る要因が無い

そして、何より翼と一体化していた自分はノイズを倒すことが出来ないこと

それが、ゼロが響やリクになにか良くないことが起こってるんじゃ無いかと不安を募らせる理由だった

 

 

「ゼロ」

 

弦十朗がゼロに呼びかける

 

「んぁっ、なんだよ弦十朗のおっさん」

「彼の…ウルトラマンフィーネの本当の目的はなんだと思う?」

「やっぱりおっさんも違和感を感じてたか」

「あぁ、人類の救済が何を示すかは分からないが、タダで終わらない、そんな気がするんだ」

「あいつが自分で言ってたんだ、ベリアルに近付き過ぎたって…だとしたら、人類の救済なんて事をやるとは思えねぇんだよな」

 

かつて…同族のウルトラマンに対して嫌がらせで地球諸共宇宙を吹き飛ばそうとしたベリアルに近い存在なのであれば、人類の救済という正反対な事をやるはずも無い

更にトレギアが関わってる以上、フィーネという組織を利用していると考えるのが妥当だ

 

ひとつ分かっているのはジードのカプセルを狙っていること

だとすると第2の超時空破壊爆弾を作ろうとしている可能性も捨てきれない

 

ゼロは頭を悩ませるのであった

 

 

ーーー学校

 

「ご心配おかけしました」

 

リクはペコッとクラスの皆に一礼する

とりあえず大怪我を負ったが大事には至らなかったという事にしてある

 

その日はゆっくりと授業を楽しんだ

やはり20ともなると忘れてることも多く、ライハにつっこまれることもあったのでこの際学び直そうと言う気持ちだった

 

そしてお昼時

リクはカップ麺を食堂で食べていた

そして、響と未来の会話に参加する

 

「秋桜祭?」

「そう!リディアン恒例の学園祭!校舎変わったばかりだけど今年もやるんだって〜!」

 

響はお茶碗のご飯を食べつつそう答える

未来が問いかけた

 

「リクくんの時って学園祭ってどんな感じだったの?」

「えっ…実はあんまり覚えてない…」

「えっなんで!?」

「…もっと楽しいことがあったから」

「楽しいこと?」

「…親友と遊ぶこと」

 

そう、ペガだ

ペガとの出会いや思い出が強過ぎて、あまり学校でのことを覚えてないのだった

 

「そう言えば生徒会主催でカラオケ大会するんだってね」

「そうそう!生徒会にできる範囲でなんでもやってくれるって太っ腹だよね〜!」

「なんでも…か…」

 

リクは気付くとクリスの事を考えていた

 

「歌…聞きたいな…」

 

 

「…くーん…クくーん………リクくーん?!」

 

響の声にリクはハッと我に返る

 

「なっ、なに!?」

「大丈夫?顔真っ赤だしぼーっとしてたし?」

「熱とかあるんじゃ…」

「へっ!?いやいや大丈夫大丈夫だから…」

 

リクはペチペチと頬を叩いた

彼は簡単に言えば、クリスがリディアンに編入してから彼女の事を意識していた

綺麗な白髪の髪や細い腕、そして、綺麗な歌声

朝倉リクは初めて年下に恋を抱いていた

 

 

 

 

だが現実はそうはいかない

 

リクはとある理由からその思いを振り切ろうとしていた

 

 

 

 

 

 

 

その夜ーーー

 

装者3人とリクは街外れの廃病院にやってきた

 

「如何にもって感じだね…」

 

この廃病院、少し前から物資が幾つも運び込まれているとの情報を得て、奴らのアジトなのではと踏み、やってきた

リクはジードライザーを構えると、クリスがその手を抑える

 

「お前はまだ病み上がりなんだ、ここはあたし達に任せろよ」

「わ、分かった…」

 

リクは懐にジードライザーをしまい込んだ

 

「よし、行こう」

 

4人は中へ進んでいく

 

その様子はとある科学者も気付いていた

 

「おもてなしと、行きましょう」

 

科学者がEnterKeyを押し込むと、4人の周りに赤い霧が散布される

 

「赤い霧…?」

 

リクはまさかと思い口元をハンカチで抑えるが、ゼロの声が響く

 

「安心しろ、ノーバの霧じゃねぇ」

 

リクはそれを聞いて、ハンカチをとる

ノーバと呼ばれる円盤生物の霧は人を凶暴化させるとゼロに聞いていたのだ

ではこの霧はなんなのだ

 

「だが、ここになんかあるのは間違いねぇな?」

 

クリスの視線の先にはノイズが現れていた

 

3人はリクを守るように立ち、シンフォギアを纏う

戦闘開始だ

 

まずはクリスが挨拶無用のガトリングを放つ

そして、響と翼は、クリスの懐に潜り込まれぬようにノイズを切り払い、殴り潰していく

 

 

 

 

 

 

 

が……

 

ノイズがいつものように崩れ落ちず、直ぐに再生してしまう

 

「どうして!?」

 

リクも物陰からそれを見ていた

更には…装者3人の体力の減りが早い

既に息をあげている

 

「(翼!どうした!いつもより動きが鈍いぞ!)」

「分かっている!だが……っ…はぁ…」

 

体力は十分あるはずの翼がこのザマだ

リクはもしやと思い、2課に連絡をとった

 

「弦十朗さん!クリス達のシンフォギアに異常は無いですか!?」

「友里が突き止めた!何故かは不明だが、3人のシンフォギア融合係数が下がっている!」

 

融合係数の低下

すなわち3人は、言ってしまうと無理矢理シンフォギアを着てる状態にさせられつつあるのだ

原因は…これしかない

 

リクはジードライザーを使用し、青いカプセルを使った

 

「魅せるぜ!衝撃!!」

 

《ウルトラマンジード!アクロスマッシャー!!》

 

リクは漂う、赤い霧を消すため腕から光線を放つ

 

「スマッシュムーンヒーリング!」

 

キラキラした光は赤い霧を晴らした

 

「融合係数数値の減少、止まりました!」

 

友里が通信でそれ伝える

 

リクは皆の前に立つと合気道のように手を構え、ウルトラマンヒカリのように手を組んで光線を放つ

 

「アトモス…インパクトッ!」

 

腕から放たれた輪っかの連なる光線はノイズを後退させ、やがて破壊した

 

「皆!大丈夫?!」

 

ジードは3人の元に駆け寄る

 

「あぁ、とりあえずな…」

「なんだったのだ、あの霧は」

「融合係数を下げちゃうなんて…」

「とりあえず無事で何より…ウッアッ!?」

 

グシュッと肉が噛まれるような音が響き、ジードが苦しみ始めた

ジードは肩にある何かを掴むと、後ろに投げ飛ばした

肩から再び光が漏れ出している

 

「やはり、ウルトラマンそのものではなく、聖遺物を喰らわないと成長しないようですね」

 

拍手の音と共に、一人の男が歩いてくる

 

「ウェル博士?!」

 

そう、響とクリスが護衛し、ソロモンの杖と共に行方不明になったウェルその人だった

 

今のセリフにこの状況。敵なのは明らかだった

 

「最初からソロモンの杖を!」

 

ジードは肩を光線で癒しつつ叫んだ

 

「ええそうですよ!いずれ英雄となる私こそ、ソロモンの杖を持つのにふさわしい!そうは思いませんか?」

「思うかよ!」

 

クリスが小型ミサイルを装填し、発射した

 

「うっ…ぐぁぁあぁぁぁっ!!」

 

直後、彼女は苦痛に顔を歪めた

 

「クリスちゃん!」

 

響がクリスを抱きかかえる

ミサイルはノイズを巻き込み、建物の壁を破壊しウェルを倒したはずだ

しかし、ウェルは無事であった

 

代わりに…

 

「なんでこっちがズタボロなんだよ……」

「(バックファイアだ、デカい技を出した分、こっちがダメージを受けてんだ!)」

 

最近シンフォギアのことをよく2課に聞いているゼロが答えた

ふと破壊された壁の先を見ると、先程の怪物が入ったケージをノイズが運んでいる

 

その時、ギュォォンっと音がひびいた

ゼロだ

 

「リク!そいつを捕まえとけ!」

 

ゼロは飛び上がると道を駆け出した

 

「(ゼロ!天羽々斬の機動性ならいけるはずだ!)」

「わぁーってる!それに既にサポート手配済みだ!」

「(サポート?)」

 

直後、ゼロは飛び上がった

シンフォギアを纏い、かつウルトラマンを体内に宿す翼は、とんでもない距離まで飛び上がるが、やはり、届く事は叶わない

 

万事休すかと思われたその時だった

 

「今だ!おっさん!!」

 

その叫びを合図に海中から何かが浮上し、ゼロの土台となる

 

それは一機の潜水艦、現特異災害対策機動部2課“仮説”本部であった

ゼロは天羽々斬の足の剣からエネルギーを放出し、飛び上がる

 

「シェアァリャァッ!」

 

ゼロの大きなひと振りはノイズを切り裂いた

落ちていくケージを掴もうと急降下するゼロ

あと一歩の所まで来た時

 

「…っ!」

 

ゼロは体を反転させ剣で何かを弾いた

 

「うぉぉっ!?」

 

ゼロはそのまま海面へと落下してしまった

 

「ぷはあっ!なんだ、今のは?」

 

ゼロが周りを見渡すと、ケージを掴んで太陽を背に、浮遊する槍の上に佇むマリアの姿があった

 

ジード達4人が外に出た時、ウェルが呟いた

 

「時間どうりですよ、()()()()

 

2課のメンバーは動揺する

 

「フィーネ…だと!?」

 

「終わりを意味する名は、我々組織の象徴であり、彼女の二つ名でもある…」

「まさか…じゃあ…あの人が…」

 

響が嘘だと言うように首を振る中、ウェルが叫び、肯定する

 

「彼女こそ!新たに再誕したフィーネなのです!」

 

響が首を振る中、啜り泣く声がひとつ

 

 

 

 

 

 

 

……リクだ

 

「こんなに早く会えるなんて…嬉しいよ…母さん!」

 

「は?」

 

ウェルが口をあんぐり開けて、マリアは顔を紅くし答えた

 

「ッ!!?///だっ、誰がお母さんだ!お前など知らない!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それを聞き、3人が口元をニヤリと歪ませる

 

「……だと思いましたよ、マリアさん」

「ちょっとえげつねぇけど、うまい事考えるぜ!」

「よく考えたな!朝倉!」

 

それにキョトンとするのは、ウェルとマリアと響だ

 

「うぇっ?へ?どういうこと?」

「ごめん響、クリスと翼さんには連絡したんだけど…」

 

 

つまりはこういうことだ

先程ウェルがフィーネであると肯定した時だ

リクは装填ナックルを握り、個人チャネルで翼とクリスに連絡したのだ

 

「……ちょっとマリアさんのことお母さんって呼んでみる」

「分かった、ちょっと驚いとけばいいんだな?」

「承知した、やってみてくれ」

 

ーーーーーーーーー

 

「ーーーって訳なんだ」

「えっ酷い!なんで私に言ってくれなかったの?!」

 

響は抗議すると言わんばかりに、腕を振っている

 

「えっなにどういうこと?!」

 

マリアは困惑しながら叫び続ける

リクはそれに応えた

 

「もしあなたがほんとに了子さんなら、テロ行為なんて行わない、以前のあなたの目的はそんな事じゃなかったから…」

 

愛する人に想いを伝えるため

 

月の破壊はその過程で行われてしまったことだ

 

「その時点ではまだ疑問だったけど、さっきので確信した、あなたがほんとに了子さんなら……あのやり取りを分からないわけがない!」

 

母と子、その契りを約束したリクだからこそ確かめられた手法

 

マリアは動揺こそするものの、ケージを上に放り投げた

ケージは突如その姿を消し見えなくなる

そして、2課の潜水艦の上に立った

 

「来なさいジード…手合わせしてあげるわ!」

 

リクは響にウェルを任せ、潜水艦の上に飛び乗った

 

「貴方を…ここで止めてみせる!」

「……まだ愚弄するか!別世界の部外者がァ!!」

 

【〜♪烈槍・ガングニール】

 

マリアは槍を構え、ジードに突き刺さんと動いた

 

「スマッシュビームブレード!」

 

右手に左手の指を添え、振り払うと黄色い剣が現れ、マリアの槍をいなす

 

「この胸に宿った信念の火は!誰も消す事は出来やしない永劫のブレイズ!」

 

マリアは歌いながら、マントを動かしジードを切り裂こうとつけ狙う

ジードはアクロスマッシャー特有の高速移動でこれを避けるが、潜水艦が傷ついていく

 

「いま例えこの身を焼き尽くそうと信ず我が道の為なら天になってもいい!」

 

このままでは潜水艦が動けなくなる

ジードは一か八か、マントを剣で弾き返す

マリアはマントを纏い、高速回転しながらこちらを巻き込まんと移動する

ジードは一度はそれを弾こうと、剣をぶつけるが吹き飛ばされてしまう

 

「だったら!デュアッ!」

 

ジードクローを手にして飛び上がると高速回転しながら中心部を狙い飛び込んでいく

だがマリアもそれは予測済、槍をこちらへと突き出した

 

「闇に惑う夜には!歌を灯そうか聖光のセレナーデ力よ宿れ!絶対に譲れない夢が吠え叫ぶよ!」

 

ジードは間一髪それに気付いて、体勢を変えて距離をとった

すると、タイミング悪くカラータイマーがなってしまった

だが、ジードは耳を澄ませた

 

()()()()()()()()()()!涙などいらない無双の一振りよ

覚悟を今構えたら誇りと契れ」

 

 

正義のために…?

 

かつて、翼が話していたことをリクは思い出した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー歌詞もまた、装者が心象に描く風景に由来とした物だと、かつて櫻井女史は言っていたなーーー

 

 

 

 

 

 

「待って!」

 

ジードは手を構え、マリアを制止する

 

「何?降参のつもり?」

「マリアさん、本当はこんな事したくないんじゃないですか?」

 

マリアの顔が若干引きつった

 

「じゃなきゃ…『正義のために悪を貫け』なんて歌詞、シンフォギアから流れるはずがない!」

 

マリアは俯き、ブツブツと呟く

 

「あなたに…何がわかるのよ!」

 

直後、マリアは紫色のライザーを使用し、光に包まれた

そして、その姿は昆虫のような姿となる

 

《ハイパーゼットン!》

 

ハイパーゼットンはジードの姿を見ると爪を構える

ジードは急いで巨大化し、ハイパーゼットンを突き飛ばしたが、カラータイマーの鼓動が早くなってしまい、膝をつく

 

「もう一度貫いてあげるわ!」

 

マリアはジードの後ろにテレポートし、爪を突き出す

だがその手は青い手に遮られる

マリアが隣を見ると、そこにはウルトラマンゼロが居た

 

「俺達のこと忘れてんじゃねぇーよ!」

 

ゼロは手を落とすと、その場で飛び上がりハイパーゼットンを蹴り飛ばす

 

「くぅ…この剣…可愛くない!」

 

そして、ウェルの方はと言うと…

 

「では…こちらもそろそろ…」

 

直後、丸鋸がいくつも飛来する

響はそれに気付くと、迎撃するためにウェルから離れた

クリスも同様に離れるが、もう一人に気付かなかった

 

「なんとイガリマァァァ!!」

 

ブンブンと振り回した鎌の柄をクリスの腹部に叩きつける

 

「ぐふぅっ!!」

 

クリスはゴロゴロと吹き飛ばされ、倒れてしまう

 

「クリスちゃん!!」

 

響が駆け寄る間にウェルは、調と切歌に連れていかれてしまう

2人は突如現れたジェット機のようなものの紐にぶら下がり飛んでいく

 

「待てっ!グアッ!?」

 

ジードは立ち上がろうとするが、とある光線に邪魔されてしまう

 

「レッキングデストロイ!!」

 

レッキングバーストのような光線がジードを直撃し、ジードのフュージョンライズを解除させた

 

リクは海中に落下しそうな所をギリギリ響に助けられた

 

「あ、ありがとう…」

「お前ら…何が目的だ!」

 

クリスが叫ぶと調が小さく答える

 

「正義では救えないものを救うため…」

 

リクは現れたウルトラマンフィーネを見つめる

 

「これなら勝てるわね…っふぅ…」

 

ハイパーゼットンが構えた所を、フィーネは抑える

 

「時限式の限界だろう、ここは引くぞ」

 

「(時限式…だと!?)」

 

ゼロの中で翼が目を見開く

 

天羽奏と一緒の、リンカーを使い無理矢理シンフォギアに適合させるシステム

それをマリアも使ってるというのか!

 

その動揺の隙に、ハイパーゼットンのテレポートの力でフィーネとハイパーゼットンは消えた

一緒にジェット機のようなものもステルスを使ったのか消え去った

 

「待てっ…ソロモンの杖を…返しやがれ…!」

 

クリスの叫びも空に消えていく

 

 

 

 

そのジェット機のようなもののコクピットにて、マムと呼ばれた女性がは目の前にある聖遺物を見つめていた

 

《神獣鏡の機能解析の過程で手に入れた、ステルステクノロジー…私たちのアドバンテージは大きくても、同時に儚く、脆い》

 

「ッ!?ごふっ!ごほっ!」

 

突然、激しく咳き込む彼女の手には、口から吐いた血が握られていた

 

「急がねば…儚く脆いものは、他にもあるのだから…!」

 

彼女は何かの野望に満ちた目で、移り行く景色を眺める

 

別の場所では、切歌に殴り飛ばされるウェルの姿があった

 

「下手打ちやがって、連中にアジトを抑えられたら、計画実行までどこに身を潜めれば良いんデスか!?」

「おやめなさい、こんな事をしたって、何も変わらないのだから」

「胸糞悪いです」

 

そう言ってウェルの胸倉を掴み上げていた手を離す

 

「驚きましたよ、謝罪の機会すらくれないのですか?というより…私を騙していた謝罪は無いのですか?彼女は!」

 

その部屋のモニターにマムが映った

 

『フィーネです、彼女はまだ記憶が蘇り切っていない、ですから困惑しても仕様がない、何より今回は虎の子を守れたのが勿怪もっけの幸い。とはいえ、アジトを抑えられた今、ネフィリムに与える餌がないのが、我々の大きな痛手です』

「そーいう事にしましょうか…」

 

ウェルは立ち上がり、襟を直す

そこへもう一人のリクが現れる

 

「やはり、直接ウルトラマンを喰らうのは難しいか…なら…1つ試してみるか…」

 

彼は黒いカプセルを見つめ、ほくそ笑んだ

 

 

 

 

 




【次回予告】

翼「人の身に眠る悩み、それの重さは計り知れない……然して、それを癒す事は出来るはず」

ゼロ「あ〜…人それぞれ悩みはちげぇけど、気にしないで楽しむのが大事みたいな事言ってる」

翼「なっ!解説を挟むな!?」

ゼロ「むーずかしい話は無し!どーもクリスとリクがフューチャーされるみたいだぜ?」

翼「っ!次回!戦姫絶唱シンフォギアG 響くぜ!絶唱!!」

【未来予想図】

クリス「あたしはリクと…」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第4話 未来予想図

響・リク「あけましておめでとうございます!」

ゼロ「悪ぃな、遅くなっちまって」

翼「作者の仕事が忙しく、なかなか進めない上に今回、かなり話が難航したようだ」

クリス「またドンドン感想送ってくれよな?」

リク「それじゃあ、ゼロ!お願い!」



ゼロ「おう!装者3人とウルトラマン2人、乗り込んだアジトで、響とクリスが護衛していた筈のウェル博士と遭遇する」

リク「そいつの用意した謎の怪物に怪我を負わされる僕だが、それと引換に収穫を得た」

響「それは、了子さんはまだ現れてない事実と、マリアさんが、今やっていることに疑問を持っているかもしれないということ」

リク「…このあらすじ、なかなかカツミさん達みたいにいかないね」

ゼロ「ショーがねぇだろ、あいつらが特殊なんだよ」

響「まぁまぁ、頑張ってもりあげましょうよ!」

翼「そうだな…と雪音は何処へ?」

ゼロ「あぁ、なんか追われてるって逃げてたぞ?」

翼・響・リク「「「追われてる!?」」」


クリスは走っていた

秋桜祭前日、放課後の事だった

 

「だァから歌わねぇってぇ!」

 

追いかけるのはクラスメイトの3人

 

「待って!雪音さぁん!」

 

クリスは上手く物陰に隠れると、クラスメイトは走り去っていった

 

「ふぅ…」

 

クリスが息を吐いた時だった

 

「クリス?」

「うわぁぁっ!?」

 

驚いて後ろに下がるが、そこに居たのはリクだった

 

「びっくりした…」

「あたしのセリフだ!お前はここで何やってんだよ!?」

「あ、いや、ちょっと隠れてた」

「へぇ?」

 

クリスはポカンという顔を見せた

 

要約すると

リクはこの世界のヒーロー番組「電光刑事バン」をちょくちょく見てはいたのだが、それを板場弓美に知られてしまい、明日のカラオケ大会にコスプレ参加させられそうになり、今逃げているらしい

 

「じゃあ私と似たようなもんか…」

 

それを聞き、リクは目を向ける

 

「クリスもコスプレ参加させられそうなの?」

「ばっか…別にコスプレ参加じゃねぇよ、別枠で参加してってずっと追っかけられてんだ」

「そっか〜…じゃあ逃げちゃおうか、一緒に」

「…そぉだな」

 

そして2人はこっそり帰路に着いた

途中小腹がすいたということで立ち寄ったカフェにて、リクは絶句していた

クリスはナポリタン、リクはオムライスをと食べていたのだが…

 

「クリス…あの…」

「んぁっ…なんだよ…」

「…食べ…辛くない?」

「別に?」

「そう…」

 

……汚い

戦争孤児故か、食べ方が言ってしまえば下手なのだ

口の周りにはソースたっぷり

お皿から麺やマッシュルームが飛び出している

 

「(ライハが居たら…なんて考えたくないな…)」

 

きっと彼女ならすかさず剣を向けて矯正を始めるだろう

だがクリスはシンフォギア装者、乱闘になるかもしれない

というかそんなの考えたくない

 

「っふぅ〜…美味かった〜」

 

クリスは爪楊枝で歯を擦り始める

リクは無言で机を拭きはじめた

気付いてないのかクリスは目を閉じ歯を擦り続けている

 

「…クリス」

「んぁっなんっ……!?///」

 

リクはこちらを向いたクリスの口元をおしぼりで拭き始めた

白いおしぼりがオレンジに染まる中、ようやく意識を取り戻したクリスが後ろに後ずさる

 

「ななっなっ、何しやがる!?//」

「いやだって、口の周り…ソースが」

「なこと分かってんだよ!//」

 

クリスはひとしきり叫ぶとフゥと息をついて頬杖をつく

 

「こんな事いうのは勝手だけど…僕はクリスの歌、聞きたいな」

 

クリスは目を見開いてリクを見つめる

 

「いつも聞いてんだろ、戦場でよ」

「イチイバル装者としてじゃなくて、雪音クリスとしての歌が聞きたいんだ」

 

ホントこいつはこういうこと平気で言う…とクリスは頭を抱える

だが、これはクリスにとっても好都合という事に気付いて指を指した

 

「分かった、歌ってやるよ、けどあたしが出るからには条件がある」

「条件?」

「えっと…その…//」

 

いざ言うとなるとすごく恥ずかしい

だが意を決して叫ぼうとした時だった

 

「あ、クリスちゃーん!」

「あ、リクくんも一緒だ」

 

そこには、にっこにこの響と未来が居た

 

「あれれ〜…もしかしてデーごふぅっ!?」

 

トと言いかける直前、クリスの綺麗なジャブが響のお腹に入った

悶絶する響に未来が駆け寄る

 

「なんで……どぉしてぇ…」

「余計なこと言うからだバァーカ!//」

 

クリスはカバンを持ち、リクに「明日言うよ…」と伝え帰っていった

 

 

 

 

 

 

【その夜、対策2課】

 

「FIS?」

 

F.I.S 正式名称『米国連邦聖遺物研究機関』

米国における聖遺物研究所であり、謎の武装組織『フィーネ』が逸脱した組織

フィーネの構成員は、大方がそこの研究員であり、その統率を離れ暴走したという事らしい

二課同様に聖遺物に対する研究を行っていたわけだが、どうやら個人の才に左右される『歌』ではなく合理的に機械的に安定した起動方法を模索する事に大きく予算を割いていたらしい

 

ソロモンの杖輸送任務にて行方不明になり、そして再び現れたウェル博士もまた、F.I.Sの研究者の一人らしい

そして、その研究は日本がシンフォギアの情報を開示する以前から行われていたことが、日本外務省事務次官、斯波田賢仁より伝えられた

 

「…ってぇ事は…確実に了子の奴が関わっていたわけだ…アイツらがフィーネを名乗んのも、そういうわけか」

 

ゼロは顎に手を当て、うーんと唸る

それを見て斯波田事務次官はガハハと笑う

 

「ウルトラマンがものを考えるのは様になるな」

「んぁっ?あぁ、まぁ俺なんてろくに頭ができてる訳でもねぇよ、光の国に行きゃ、そりゃあもう何人ものウルトラの科学者が今も、宇宙の観測やら行ってるさ」

「ほう、そりゃ見てみたいものだな」

 

斯波田事務次官はズズっと蕎麦をすする

 

「とにかく、テロ行為らしからぬこの行動…何か周到に仕組まれておるかもしれん」

 

「あの紫のライザーのことも気になる…ウェルの野郎で間違いねぇだろうが…」

 

 

 

 

 

 

 

 

後日、秋桜祭当日

 

リクはクリスと一緒に学園内を回っていた

 

「最近はどう?慣れた?」

「いーや、まだ慣れねぇ…暖かすぎんだよ…この場所は」

 

クリスは若干俯いて話す

 

「違うよ、今までが冷たすぎたんだ、でもだからこそ、普通のありがたみがわかる…ある意味恵まれてるよ」

「お前に言われたらそうだなって思えるよ」

 

クリスはニカッと笑ってみせた

 

 

 

一方その頃

 

「楽しいデスな!何を食べても美味しいデスよ!」

 

そこには、イガリマ装者、暁切歌とシュルシャガナ装者、月読調が出店を回っていた

 

2人は変装のつもりなのか、細いフレームの眼鏡をかけている

浮き足立っている切歌をじーっと調が見つめる

 

「何デスか?調…?」

 

その後、2人は木陰に立っていた

 

「私たちの任務は学祭を全力で満喫することじゃないよ、切ちゃん」

 

調が切歌を諭す様に話すと切歌は慌てて弁明する

 

「わ、わかってるデス! これもまた捜査の一貫なのデス!」

「捜査?」

 

調は意図がわからずキョトンとする

 

「人間誰しも、おいしいものに引き寄せられるものデス、学院内のうまいもんマップを完成させることが捜査対象の絞り込みに有効なのデス」

「んん〜〜…」

 

苦しい言い訳だ、調も納得せずじーっと切歌を睨む

切歌はさすがに少し反省したようだ

 

「心配しなくても大丈夫デス、この身に課せられた使命は、一秒だって忘れていないデス」

 

 

 

【回想】

 

ーー数時間前ーー

 

「アジトを押さえられ、ネフィリムを成長させるに必要な餌、聖遺物の欠片もまた、二課の手に落ちてしまったのは事実ですが、本国の研究機関より持ち出したその数も残りわずか。遠からず補給しなければなりませんでした」

 

ウェルが分析するように口にする

 

「分かっているのなら、対策もかんがえているということ?」

 

腕組みしたマリアは高圧的に問掛ける

フィーネじゃないと疑われている以上、こうやってマウントをとるしかない

 

「対策なんて大袈裟な事は考えていませんよ、今時聖遺物の欠片なんて…その辺にゴロゴロころがっていますからね」

 

調と切歌はギョッとした目で後ずさる

 

「まさか…このペンダントを食べさせる気!?」

 

ウェルはご冗談をと言うように手を広げる

 

「とんでもない、こちらの戦力であるギアをみすみす失わせるわけにはいかないでしょう」

「なら私は…奴らのギアを…」

「それはダメデス!」

 

マリアの考えを切歌が否定した

その理由を調が立ち上がり、話し出す

 

「絶対にダメ、マリアが力を使うたび、フィーネの魂がより強く目覚めてしまう、それはマリアの魂を塗りつぶしてしまうということ…そんなのは絶対にダメ」

 

それを聞いていたリクそっくりの男は調の後ろに行き頭を撫でた

 

「2人は優しいな、マリアの為に自分達が頑張るんだな?」

「勿論デス、()()!」

「うん、頑張る」

 

ソラと呼ばれたリクそっくりの男は、まるで兄のようにポンポンと頭を撫でた

 

 

【回想終了】

 

 

「とは言ったもののどうしたものデス…」

 

切歌が考え込む

すると調はすっと後ろを指さした

 

「切りちゃん、カモネギ」

 

そこには、青い髪をなびかせた、風鳴翼の姿があった

それを追いかけようとした調をすかさず切歌が捕まえた

 

「作戦も心の準備もまだなのにカモもネギも無いデスよ!」

 

2人は翼の後をゆっくり追いかける

当の翼はと言うと…

 

「(…つけられてるな…)」

「感じていたか…」

 

お互いに気配を感じていた

そして振り返ろうとした瞬間だった

 

「あ、翼さーん」

「っ…朝倉か」

「どうかしたのか?」

「雪音も一緒か、いや、つけられてるような気配を感じてな」

「つけられてる…まぁ翼さんはトップアーティストですし、ファンの人かもしれませんよ?」

 

そんな会話を聞いている余裕は、切歌と調には無かった

 

「ど、どうして!?」

「ソラがここにいるデスか!?」

 

実は2人とも、初めての戦いの時から一度も、リクの顔を見ていなかった

その為、リクの事をソラと勘違いしているのだ

 

「というか、なんでアイツらはソラとあんなに親しげなのデス?はっ!そう言えば、ソラとジードは兄弟デース!」

「…ジードだとしても…あんなに顔が似てるなんて…」

 

2人はリクを覗く

そこには、今まで見た事ないソラ(厳密にはリクだが)の姿がある

 

「……笑ってる」

「あんな笑顔見た事ないデス…」

 

2人は見惚れていたがふと、クリスとリクが後から遅れてきた3人に連れられ走っていった

 

「…追いかけよう」

「デス!」

 

調と切歌もそれを追いかけた

 

 

 

《舞台裏》

 

「そう言えば、条件ってなんだったの?」

 

リクはふと思い出し、クリスに問いかけた

 

「ふぇっ?!あっ…その…」

 

《私と付き合ってくれ!》

なんて彼女は言えない、でも言葉を紡ぐ

紡ぐと決めたのだ

 

「その…ありがとう…な…」

「え?」

「お前があの時、一緒に生きて…戦ってくれるって言ってくれ無かったら…今みたいな暖かい所に居れなかった…」

 

ーーーならこれからは僕が教える!僕が支える!君が挫けそうな時は僕が!だから…生きて…一緒に戦おう…クリス…!ジーッとしてても…ドーにもならないから!ーーー

 

かつて、リクがクリスに投げかけた言葉、それを片時も忘れた事はない

 

「だから…ほんと感謝してるんだ…だから…その…あた…あたし…と…」

 

クリスは顔を真っ赤にして、伝えようと頑張る

しかし…

 

「雪音さーん?」

「あっ……」

 

自分を探す声が聞こえる

せっかくあと少しなのに…

するとリクは肩に手を置く

 

「分かった、あとは歌で伝えて…イチイバル装者じゃなくて、雪音クリスとしての、想いを込めた歌で…!」

 

クリスは少し頭を掻き、笑って答えた

 

「分かったよ…!」

 

そして、深呼吸をして友人の手と共に壇上に上がった

 

観客席では、響と未来が驚いていた

 

「響!あれって!」

「うっそぉぉー?!」

 

その隣に翼が座る

 

「雪音だ、私立リディアン高校二回生、雪音クリスだ」

 

【〜♪教室モノクローム】

 

緊張するクリスが舞台裏を見ると、いつも自分を気にかけていたクラスメイト3人、そして、大好きな彼の姿が見える

 

「(伝えるんだ…私の…歌で!)」

 

「〜♪まだ見ぬ本当の自分の事が自分自身でもわからなくて

誰かに手を差し伸べて貰って、傷みとは違った傷みを知る」

 

その最中、今までの事をクリスは思い出す

 

「学期の途中ですが、新しく編入してきた生徒を紹介します」

 

先生に促され、クリスは答える

 

「雪音…クリスだ…」

 

 

「モノクロームの未来予想図、絵具を探して⋯

でも今は何故だろう、何故だろう 色付くよゆっくりと花が虹に 誇って咲くみたいに」

 

鞄の中のご飯を食べようとした時だった

 

「雪音さん、一緒にお昼食べない?」

 

先程も背中を押してくれた3人は、初めて会った時から自分と仲良くなろうとしてくれた

だけど、自分にそんな幸せは許されちゃいけない

勝手にそう思い込んでいた

 

「わりい、用事がある…」

 

鞄を持って向かった先は、最上階の渡り廊下

アンパンを齧り、牛乳を飲む

 

「放課後のチャイムに混じった風が吹き抜ける

感じた事無い居心地のよさにまだ戸惑ってるよ」

 

そんな彼女の元に必ず現れる男

 

「一人で食べてるの?」

 

そこには、カップ麺を啜りながらリクが来ていた

 

「別に良いだろ…」

 

ぶっきらぼうに答えても彼は、毎日、共にご飯を食べてくれた

たまには交換してみたりもした

そうしていくうちに、彼女の雪は溶けていく

 

 

「ねぇこんな空が高いと 笑顔がね⋯隠せない〜…」

 

いつだったかの音楽の授業、歌っている時、自然と肩が揺れてしまい、凄く恥ずかしくて顔を隠してしまった

 

いつだったか、リクに無理矢理連れていかれた先で流行りのキーホルダーや、カフェを教えてくれた

自分も知らないのに、あたしの為に考えてくれた

それが、申し訳ない…いや、嬉しかった

そのキーホルダーは今、一番の宝物だ

 

ここまでしてくれるってことは…

 

「笑ってもいいかな、許してもらえるのかな」

 

浮かぶのは、あたしに何度も話し合おうと言ったバカのこと、いがみ合ったけど、一緒に戦えたアイツ、友達になりたいと言ってくれたバカの親友、クラスメイトの3人

 

 

「あたしはあたしの せいいっぱい、せいいっぱい⋯

こころから、こころから⋯あるがままに

うたってもいいのかな⋯!」

 

そして

一緒に悩んでくれた

一緒に苦しんでくれた

一緒に生きようと言ってくれた

一緒に戦ってくれた

一緒に居たいと思った、

大好きな、リク

 

歌でその思いを届ける

 

「太陽が教室へとさす光が眩しかった 雪解けのように何故か涙が溢れて止まらない

こんなこんな暖かいんだ⋯

あたしの帰る場所

あたしの帰る場所〜♪」

 

 

歌が終わり、会場から拍手が届いた

リクを追いかけてきた調と切歌も思わず拍手を送ってしまう

 

「(楽しいな…あたし、こんなに楽しく歌を歌えるんだ…そっか…ここはきっと、あたしが居てもいい所なんだ…)」

 

舞台裏を見ると、クラスメイトと大好きな彼が笑顔で手を振ってくる

クリスもそれに笑顔で返す

 

リクは歌を聴き、想いを知った

 

「…両思い…だったんだね」

 

そう呟く、彼の顔には寂しさが薄く漂っていた

 

 

「勝ち抜きステージ!新チャンピオン誕生!!」

 

司会の叫びにビクッとクリスが震える

 

「さぁ次なる挑戦者は!飛び入りも歓迎ですよ〜!」

 

「やるデス!」

 

スポットライトを当てられた人物に装者達とリクは驚愕する

 

「っ!アイツら!!」

 

「チャンピオンに…」

「挑戦デース……」

 




【次回予告】
リク「突如、勝ち抜きステージに乱入してきた調と切歌、彼女達は僕達に決闘を申し込む、一体どういうつもりなんだ?
そして、決闘時、僕の体に異変が起こり…」

ゼロ「次回、戦姫絶唱シンフォギアG 響くぜ絶唱」

クリス「血飛沫の破壊(Destruction)

響「うがァァァァァァっ!!!」

翼「立花!朝倉!」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第5話 血飛沫の破壊(Destruction)

リク「ザババのふたりが乱入してきたー!」

響「リクさん?!」

リク「一体どういうつもりなんだー」

響「ゼロさん!リクくんがおかしいです!」

ゼロ「あぁ、多分ルーブのやつらっぽくしようとしたんだろうな」

響「いや…こんなに緩くはないでしょ…」

ゼロ「そうでもねえよ、ほらリク」

リク「あ、ゼロ、どうだった?」

ゼロ「お前はよくやったよ、そう言えば今回お前ら大変な事になってるぞ」

響・リク「「えっ?!」」


「チャンピオンに…」

「挑戦デース…」

 

「翼さん!あの子たちって…」

「あぁ、だがなんのつもりで…」

「(アイツらの歌にあてられた…だけならいいけどな)」

 

未来はそんな2人に問い掛ける

 

「響、あの子たちを知ってるの?」

「う、うん、あのね…」

 

響が口篭る中、翼がハッキリと答えた

 

「彼女たちは世界に向けて宣戦布告し、私たちと敵対するシンフォギア装者だ」

「じゃあ…マリアさんの仲間なの?ライブ会場でノイズを操ってみせた…」

「そう…だけど…」

 

響が答えに困る中、2人は会場へと上がる

その途中で、切歌はクリスに(べー!)と舌を出す

その挑発にクリスは怒るが必死に抑える

 

「切ちゃん、私達の目的は…」

「聖遺物の欠片から造られたペンダントを奪い取ること、デース!」

「だったらこんなやり方しなくても…」

「聞けばこのステージを勝ち抜けると望みを一つだけ叶えてくれるとか。このチャンス、逃すわけには…!」

 

それが聞こえてか聞こえずか、クリスが喧嘩を買った

 

「おもしれぇ!やりあおうってんならこちとら準備は出来ている!」

「く、クリス〜…」

 

リクは苦虫を噛み潰したような表情で頭を抱える

 

調が切歌に小声で伝える

 

「特別に付き合ってあげる。でも、忘れないで。これは…」

「わかってる!首尾よく果たしてみせるデス!」

 

そして、司会が話し出す

 

「それでは歌っていただきましょう!え~っと…」

 

2人が名前だけ呟く

 

「月読調と…」

「暁切歌デス!」

「OK!二人が歌う”ORBITAL BEAT”!もちろんツヴァイウィングのナンバーだ!」

「ツヴァイウィング…だって?!」

 

リクが驚いた通り、風鳴翼、そして天羽奏の曲のイントロが流れ始める

 

「この歌!」

「翼さんと奏さんの?」

 

観客席の3人もそれに気付いて、特に翼は拳を握り締める

 

「何のつもりのあてこすり……挑発のつもりか!?」

 

 

 

 

その頃、コンテナのたくさんある倉庫に、3人の野球少年が訪れていた

部活に向かう最中、大きな音がし、それが気になり訪れたのだ

 

「凄い音がしたのってここじゃない?」

「どうせなにかの工事だろ」

「早く行かないと監督に怒られるってば…」

 

そう言って立ち去ろうとした時だった

中から兵士が飛び出し、すぐさまノイズに襲われ炭となってしまう光景だった

3人がフリーズしていると1人の男が現れた

ウェルだ

 

「おやー…?」

 

その時通信が入る

飛行船で先程まで、自分達をおってきた兵士に対してガングニールを使う事を躊躇っていたマリアだ

彼女は必死に叫ぶ

 

「やめろ!ウェル!その子たちは関係ない!」

 

しかし、ウェルはソロモンの杖を使いノイズを撃ち出した

 

「やめろぉぉぉぉおお!」

 

その声はウェルには届かなかった

ノイズは無残に子供達に迫る

 

「うあぁああああああっ!!」

 

その様子を見ることが出来ず、マリアは視線を外して叫び、崩れ落ちる

後には炭だけが残る

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はずだった

人を炭素化した後、自らも炭素となるノイズが消えなかったのだ

 

「あっれぇ…逃げたのか〜…?」

 

ウェルが周りを見渡すと、ノイズより少し離れた位置に3人はいた

ブラウンのコートを羽織り、深い帽子をかぶった男を足して4人いるが。

 

「危なかったな?」

 

その男は優しい声で3人に話しかけた

そんな4人の元にノイズが歩いてくる

 

「早く逃げるんだ!」

 

男は叫ぶと野球少年達は悲鳴をあげつつも逃げ出す

男はノイズに向き合った

それを見てウェルは嘲笑う

 

「勇気と無謀は違うんですよ、あなたごときにノイズは倒せない…」

 

男は懐から片手剣のようなものと、何とは形容し難いリングを取りだした

その剣の刃をリングに通すと思い切り横にそれを振った

 

「うぉぉうりやぁぁっ!」

 

男のした事にウェルは口が塞がらなかった

そいつはノイズを真っ向から横に一刀両断にしたのだ

 

「なんで…なんでだ!?なんでノイズを倒せる!?お前は何なんだ!?」

 

発狂したウェルは無茶苦茶にノイズを呼び出す

男は静かに答える

 

「俺は銀河の流れ者…夕陽の風来坊だ」

 

【〜♪○○○○ ○○戦いのテーマ(M-6)】

 

男はノイズに対して剣を振るう

その剣は何度も災害を炭素へと変えていく

 

「夕陽が出るまでに終わらせてやる!」

 

ウェルは半ば焦りながらソロモンの杖を使いノイズを呼び出す

しかし、ノイズが男を仕留めることは無かった

男がノイズを切り終わった後、周りを見るとウェルの姿は無かった

 

「ちっ、逃がしたか…」

 

その男は剣をとリングをしまい込み、帽子を整えその場を去ろうと歩き出す

 

「…ガイ…あなた…なのですか?」

 

その様子をモニターで見ていたマムはそう呟いた

 

 

一方会場では、切歌と調が歌を終えていた

2人の曲は会場を魅了した

クリスの歌に負けず劣らずに

 

「チャンピオンとてうかうかしてられない素晴らしい歌声でした!これは得点が気になるところ!」

「2人がかりとは、やってくれる!」

 

だがその時、切歌と調の回線に通信が入った

 

「アジトが特定されました」

「「えっ!?」」

「襲撃者を退けることはできましたが、場所を知られた以上、長居はできません。わたしたちも移動しますので、こちらの指示するポイントで落ちあいましょう」

「そんな!あと少しでペンダントが手に入るかもしれないのデスよ!?」

 

そうでなければここまで来た意味もない

しかし、マムは帰還命令を優先する

 

「緊急事態です、命令に従いなさい」

 

それを聞くと2人は隙を見て走り出す

 

「さぁて!採点結果が出たようです!あれ?」

 

と言うより調が切歌の手を引っ張っている

 

「逃げるのかっ?」

 

リクはそれを見て裏から走り出す

 

「調!」

「マリアがいるから大丈夫だと思う、でも、心配だから」

 

2人は外へ出るが、生徒達の作ったであろう鯨に道を塞がれる

通り過ぎるまでの時間がもどかしい

 

「クソッ、どうしたものかデス!」

 

それが通り過ぎた場所には

 

「行かせないよ」

 

リクが立ち塞がっていた

 

「ソラ!」

「切ちゃん、違う」

「ソラ…もしかして、僕と同じ顔のアイツのこと?」

「むっ、違う、貴方がソラと同じ顔なの、勘違いしないで」

 

反論している調と切歌の元に響、翼、クリスも現れる

 

「切歌ちゃんと調ちゃん、だよね」

「4対2…数の上ではそちらに分がある。だけど、ここで戦うことで、あなた達が失うもののことも考えて」

 

先程とは打って変わって、冷酷な事を話す調にクリスは憤りを募らせる

 

「お前、そんな汚いこと言うのかよ! さっき、あんなに楽しそうに歌ったばかりで…」

「ここで今戦いたくないだけ…そうデス! 決闘デス! 然るべき決闘を申し込むのデス!」

 

切歌の言葉に響は反対する

「どうして!? 会えば戦わなくちゃいけないってわけでも…ないわけでしょ?」

 

クリス、切歌が同時に反発する

 

「どっちなんだよ!」「どっちなんデス!」

 

2人は顔を見合わせ赤面、そんな中調が切歌の手を取った

 

「決闘の時はこちらが告げる…だから」

 

そして、そのまま走り去ってしまう

そこへ、弦十郎から通信が入る

 

「三人とも揃っているか?ノイズの出現パターンを検知した!程なくして反応は消失したが、念のために周辺の調査を行う」

「「はい!」」

 

翼とクリスは返事をするが、響、リクは悲しそうな表情を浮かべた

 

 

仮設本部にて

 

弦十郎は考えていた

 

『遺棄されたアジトと、大量に残されたノイズ被災者の痕跡…これまでとは異なる状況は何を意味している?』

 

そこに、藤尭の声が響く

「司令!」

「ん?」

「あの惨劇で、どうやら生存者が居たみたいです!」

「本当か!?」

 

既に集まっていた響達は胸を撫で下ろす

 

「これで話が聞けるかも!」

「それは無理ですね…近くの学校の生徒達3人なんです」

「だが、助けられたのはよかった」

「んで、そいつらはなんて言ってんだ?」

 

藤尭は報告を読み進める

 

「あの場所で大きな音がしたから行ってみたら、ノイズを操る奴に襲われたと…」

「ウェルの野郎…」

「そこから命からがら逃げてきたのか…」

「いえ、実は、とある男の人が助けてくれたそうなんです」

「その人は無事なんでしょうか!?」

 

響が叫ぶように聞くと、少し信じられないような口ぶりで藤尭が応える

 

「自分達を助けた後、小さな刀のようなものでノイズを切り倒して去って行ったようです」

「ノイズを切り倒しただとぉっ!?」

 

そんなことが出来るのはシンフォギア、若しくは…

 

「(完全聖遺物の持ち主…なのか?)」

「かもしれないな…人の身でノイズを倒せるとなると、それ以外にない」

「そして、もうひとつ… 永田町深部電算室による解析結果が出ました。モニターに回します。」

 

モニターに出された波形を友里が解析していく

 

「アウフバッヘン波形照合。誤差バーツーバー、トリリオンレベルまで確認できません!」

「「「「っ…!」」」」

 

つまり…

 

「マリア・カデンツァヴナ・イヴが纏う黒いガングニールは、響くんのものと寸分たがわぬということか…」

「私と、同じ…」

「似た状況になっちゃったね」

 

リクの言葉に響はキョトンとする

 

「ほら、お互い、自分と同じ力を持つ人が相手でしょ?」

「あ、ほんとだ」

「(だが何故、響と同じガングニールが…?)」

「考えられるとすれば米国政府と通じていた了子さんによって、ガングニールの一部が持ちだされ造られたものではないでしょうか?」

「母さんが…」

 

リクは神妙な顔持ちになる

しかし、クリスはおかしな所に気付いた

 

「だけど妙だな…米国政府の連中はフィーネの研究を狙っていた……F.I.S.なんて機関があってシンフォギアまで造っているのなら…その必要はないはず…」

 

翼はそれを聞き推論を出した

 

「政府の管理から離れ、暴走しているという現状から察するに、F.I.S.は聖遺物に関する技術や情報を独占し、独自判断で動いていると見て間違いないと思う」

「はぁ…F.I.S.は自国の政府まで敵に回して何をしようと企んでいるのだ?」

 

弦十郎は頭を抱え、溜息を吐いた

 

 

その頃、ステルスを起動中の大型ヘリの中でマリアは悔やんでいた

 

『セレナ…あなたと違ってわたしの歌では、誰も守ることはできないのかもしれない…』

 

脳裏に浮かぶのは、かつて、暴走したネフィリムを止めるために絶唱を使い、瓦礫の下敷きになった妹

 

セレナ・カデンツァヴナ・イブ

 

彼女の遺したヒビの入った聖遺物の欠片を見つめるマリアにマムの声が届く

 

「まもなくランデブーポイントに到着します。いいですね」

「OK、マム」

 

ペンダントをしまい、着陸したヘリから降りると切歌と調が走り寄ってくる

 

「マリア!大丈夫デスか?」

「ええ」

 

その返事を聞くと、調がマリアに抱きつく

 

「よかった、マリアの中のフィーネが覚醒したら、もう会えなくなってしまうから」

「フィーネの器になっても、私は私よ」

 

それを聞き、切歌もマリアに抱きつく

2人に罪悪感を抱きながらも抱きしめ返すマリア

 

「2人とも無事で何よりです、さぁ追いつかれる前に出発しましょう」

 

さっさとヘリに戻ろうとするマムを切歌と調が引留める

 

「待ってマム! 私たちペンダントを取り損なってるデス! このまま引き下がれないデスよ!」

「決闘すると、そう約束したから」

 

そんな調の頬にマムが平手打ちを当てる

 

「マムっ!」

 

切歌の頬にもだ

 

「いい加減にしなさい!マリアも、あなた達も!この戦いは遊びでは無いのですよ!」

 

マムが怒る中、それを抑えたのはウェルだった

 

「そのくらいにしましょう、まだ取り返しのつかない状況では無いですし、ねぇ?」

 

そして、切歌、調の後ろにソラが立ち、2人の頬に氷を当てる

 

「んっ」

「きゃっ?」

「…それに決闘なら…俺の求めるアイツも来るだろう…ネフィリムを使い…試したい事もある」

 

切歌と調は氷を受け取る

それを見てソラはまた微笑む

 

「顔に痕が残らないといいな」

 

 

そして夜

 

4人は現在は封鎖されている東京番外地、特別指定封鎖区域

“カ・ディンギル跡地”へと来ていた

 

というのも、この場所にノイズが発生したと警報があり、これこそが決闘の狼煙だと考えたのだ

 

「決戦にはおあつらえ向きな舞台ってわけだ」

 

直後、4人は視線を感じて止まる

そこには、切歌と調

では無く、ウルトラマンフィーネとウェルの姿があった

 

「野郎!」

「ウルトラマン…フィーネ…!」

 

ウェルは4人を確認すると、ノイズを召喚した

 

ともあれば…

 

3人は聖詠を唄い、1人は覚悟を決めた

 

そして、戦いが始まる

響はその拳でノイズを貫く

翼はその剣でノイズを斬り裂く

クリスはその銃でノイズを撃ち抜く

その間を塗って、ジードはフィーネに組みかかった

 

「調と切歌はどうしたんだ!」

「謹慎中だ、だから俺達が相手をしている!」

 

フィーネはジードを振り回して、壁に向かって投げ付けた

 

「一体…何が目的なんだよ!F.I.Sって!」

 

それに応えたのはウェルだった

 

「我々が望むのは…人類の救済!月の落下にて損なわれる無垢の命を可能な限り救いだす事だ!!」

 

「「「月の!?」」」

 

その場にいる全員が驚嘆の表情を浮かべる

だが翼が否定する

 

「月の公転軌道は各国機関が三カ前から計測中!落下などの結果が出たら黙って……」

「黙っているに決まっているじゃないですか!対処方法の見つからない極大災厄など、さらなる混乱を招くだけです。不都合な真実を隠蔽する理由などいくらでもあるのですよ!」

 

ウェルの否定に翼が押し黙る

 

「まさか! この事実を知る連中ってのは!自分たちだけが助かるような算段を始めているわけじゃ……!」

 

クリスの不安をまるで、そうだと肯定するようにフィーネが呟く

 

「だとしたら…どうする?」

「皆で力を合わせればいい!」

 

ジードはフィーネに掴みかかる

 

「僕の世界では、AIBって言う、宇宙中の人達が協力して出来た組織がある!今のこの世界ならきっと!そういう組織だって!」

「甘いな、じゃあそのリーダーは誰がなる!今まで正体をひた隠して来た奴の事など、信用すると思っているのか!?」

 

そう言いながらフィーネはジードを踏みつけた

 

「グアッ!!」

 

そして、ウェルは高らかに宣言する

 

「対する我々の答えが…ネフィリム!!」

 

すると地響きが起こり、ジードに噛み付く形でネフィリムが飛び出した

 

「ウグァァァッ!」

「リク!」

「朝倉!」

 

クリスは急ぎ、MEGA DETH PARTYを繰り出し、ネフィリムの咀嚼からジードを解放した

ジードは背中を少し噛みちぎられたようで、傷口から再び光が漏れていた

 

「おい、大丈夫かよ!?」

「朝倉!しっかり!」

 

2人が駆け寄った時だった

3人はトリモチのようなもので絡め取られてしまう

かつて、響の自由を奪ったノイズのトリモチだ

 

「クソっ!こんなので!」

 

動けば動くほど引っ付いてしまう

そんな3人の元にネフィリムが近づく

 

「人を束ね、組織を編み、国を建てて命を守護する! ネフィリムはそのための力!」

 

ネフィリムは黄色く発光している部分を赤く発光させながら3人を狙っている

 

「…やはりな…くくっ…」

 

フィーネはその様を見て、何かを確信したように笑う

 

「ったァ!!」

 

響が間一髪、ネフィリムを吹き飛ばし3人を救った

しかし、戦えるのは響だけだ

 

「(ちっ!せめてゼロアイさえ手に取れれば…!!)」

「待っていろ!くっ…!!」

 

翼はどうにか動かんと、体に力を込める

そんな中も響は皆を守ろうとネフィリムと戦う

 

「ルナアタックの英雄よ、その拳で何を守る!?」

 

ウェルの挑発など気にしないと言わんばかりに、響は腕のパイルバンカーを起動させ、右手をネフィリムに叩きつける

たまらずネフィリムは吹き飛ばされる

 

そして、もう一撃を叩き込まんと、バーニアで加速し、召喚されたノイズを潰している最中だった

 

「そうやって君は!誰かを守る拳で!もっと多くの誰かをぶっ殺して見せるわけだァ!」

 

響の脳内に調の言葉が蘇ってしまう

 

 

ーーーそれこそが偽善ーーー

 

その一瞬の動揺を見逃さないゼロではなかった

 

ギュオォンッ

 

「離れろ!響!!」

 

だが、響はその左手をネフィリムに振りかぶってしまった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガブッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

直後、響の左手が離れた

左手のあった所から血が吹き出す

 

「立花ぁッ!」

「響ぃぃっ!!」

 

翼、リクの言葉に我に返った響はネフィリムの口が咀嚼を行ってるのを見て全てを察する

しかし信じたくない、信じたくないが腕の痛みが答え

それを受け入れられず、響は絶叫を挙げる

 

「行ったァ!!パクついたァァ!!シンフォギアをぉぉ!!これでぇぇ!!」

 

ウェルの狂喜乱舞の理由を知る由もない3人は事実に打ちのめされ、ただウェルへの怒りを募らせる

 

「アイツ…!!」

「立花!立花ぁッ!!!」

 

その頃、ヘリの中ではF.I.Sの3人も、非人道的な行為に怒りと疑問を募らせていた

 

「あんのキテレツ!どこまで道を外してやがるデスか!?」

 

切歌は行き場の無い怒りを壁にぶつける

 

「ネフィリムに聖遺物の欠片を餌と与えるって、そういう…」

 

マリアはその様をみて、一歩遅かったら子供達も犠牲になっていた事実を思い出し、部屋から出ようとする

 

「どこへ行くつもりですか、あなた達に命じているのはこの場の待機です」

 

マリアは思わずマムのその言葉に反発してしまう

 

「あいつは! 人の命を弄んでいるだけ! こんなことがわたしたちのなすべきことなのですか!?」

 

マムは答えない

切歌も不安そうに問いかける

 

「あたし達、正しいことをするんデスよね?」

「間違ってないとしたら、どうしてこんな気持ちになるの?」

 

調の疑問にマムは答えた

 

「その優しさは今日限りで捨ててしまいなさい、私達に微笑みなど必要無いのですから」

 

心無い言葉に、マリアは部屋の外へ出る

 

「何もかもが崩れていく、このままでは、私も壊れてしまう」

 

マリアはセレナの遺品を取り出し縋るように呟く

 

「セレナ…どうすればいいの…」

 

 

その頃、ウェルは嬉しそうにネフィリムの様子を説明する

 

「完全聖遺物ネフィリムは、いわば自律稼働する増殖炉!他のエネルギー体を捕食し、取りこむことでさらなる出力を可能とする!さぁ始まるぞ!」

 

ネフィリムはジードの1部を喰らった時以上に光を放ち始める

 

「聞こえるか? 覚醒の鼓動! この力がフロンティアを浮上させるのだ! フハハハ! ハハハハ! フヒヒヒヒ!」

 

「僕のせいだ…」

 

リクは悔やんでいた

 

「僕が…まだ弱いから…」

 

僕のせいで…ぼくのせイで…ぼクのセイデ…

 

「ボクノセイデ…ヒビキガァァァ!!!」

 

リクの中の何かが、凄まじい勢いで奔流を始めた

その様子の変化はクリス、翼、ゼロも気づいた

 

「お、おいリク?」

「どうした!朝倉!」

「(おい!しっかりしろ!リク!!)」

 

ジードの体はまるで焼けるように黒くなる

それと同時に、響の体も同じように黒く染まっていく

 

「ぅぅぅぅぅゥゥウウウウ! ウガァァァッ! アアアアアアッ!!」

 

「まさか…そんなっ!?」

 

翼は知っている、響のこの状態を

 

ヘリの中でマムもその様子を見ている

 

「これがフィーネの観測記録にあった…立花響の……」

 

2課でも

 

「暴走…だとぉっ!?」

 

暴走した響は、左腕からエネルギーを放出し、それを元あった腕の形にして見せた

 

「ギアのエネルギーを腕の形に固定!? まるでアームドギアを形成するかのように!」

 

こんな形で叶ってしまうアームドギア

その影響はジードにも現れた

ジードの方はその手に放出した新たなエネルギーを纏い、爪を纏った

 

そう…

 

「(まさか……ベリアルの手を…!?)」

 

父と同じ手を纏ったジードはトリモチを斬り裂いた

そして、翼とクリスを確認するでもなく、フィーネに飛びかかる

 

「なっ!?クソっ!」

 

フィーネは攻撃を受止めはする、しかし力の差があるのか腕から闇のようなものが漏れ出した

 

「てめぇ如きがベリアルに近付くな!」

 

フィーネはジードを蹴り出した

そして、ネフィリムの方へと誘導する

 

響とジードはネフィリムに対して、殴る蹴る、突き刺すと言った攻撃を無慈悲に繰り出していく

 

「何を考えてるフィーネ!?成長したネフィリムは、これからの新世界に必要不可欠なものだ!それを!それをぉ!!」

 

フィーネはそんなウェルの胸ぐらを掴む

 

「あんなもの心臓があればどうにでもなる…だが今はいちばん危険なあいつらを自滅させる方が先だ!」

 

ウェルはその言葉に歯ぎしりしながらも従い、フィーネに連れられどこかへとんで行った

 

尚も勢いの止まらないふたりはネフィリムを蹂躙する

 

響はネフィリムに乗りかかると、心臓のようなものを抉りだしその辺に捨てた

そこへ、間髪入れずジードが右腕に纏ったエネルギーをネフィリムの体に叩き付けた

 

ネフィリムはたまらず爆発四散する

そのエネルギーは残るノイズを振り払うほどだった

 

その振動に一度は顔を上げるマリアだったが、もう聞きたくないと言うように耳を塞ぐ

 

「生命力の低下が胸の聖遺物の制御不全を引き起こしましたか?いずれにしても……ゴホッゴホッ!」

 

突然咳き込んだかと思うと、マムの手には吐血があった

 

「こんな時に…ゴホッ..!」

 

切歌と調は外にいるマリアに呼びかける

 

「マリア! ねぇマリア! 聞こえてる!?」

「マムの具合が!」

 

さすがにマリアも顔を上げた

 

 

 

 

「(翼!早く!)」

「あ、あぁ!」

 

見とれていた翼がゼロアイを構えると、ゼロは翼の体を使わずに現界し、ジードにくみついた

 

「2人は響を頼む!」

 

「分かった!」

「請け負った!」

 

響とジードそれぞれは、なんとお互いを敵と認識したのか、襲い掛かりたおうとしている

 

「よせ! 立花! もういいんだ!!」

「お前、黒いの似合わないんだよ!

「ちぃっ!こうなったら…荒っぽく行くしかねぇ…!」

 

ゼロは自身の体を白く発光させる

ウルトラゼロレクター

かつて、鏡の騎士ミラーナイトを闇から救い出した技だ

その光は例に漏れず、ジード、そして響の闇も晴らしていく

 

そして、その浄化が終わると、ゼロは粒子となって翼の中に戻る

当人達はぐったりと倒れたり、気を失った

 

「リク!!大丈夫か!?おい?!」

 

クリスは響を翼に任せて、リクを抱える

 

翼も響に呼びかけるがそれ以上に気になってしまった

 

『左腕は無事なのか…?!』

 




【次回予告】

暴走した僕と響
そんな僕達に課せられた新たな試練
そして、戦力外通告…
だけど、それでも、戦わなきゃいられない
それがウルトラマンとしての、シンフォギア装者としての、僕と響の務めだ!

次回、戦姫絶唱シンフォギアG 響くぜ!絶唱!!
【戦わせない思い、避けられない試練】

ゼロ「やめろ!戦うな!」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第6話 戦わせない思い、避けられない試練

??「調、切歌との決闘の場で現れたのは、ウルトラマンフィーネとウェル博士だった、彼等と戦う4人だが、一瞬の隙を突かれ、響は腕を食いちぎられてしまう。そのショック、不甲斐なさがジードを蝕み、彼を闇に覆ってしまう、それとリンクするように響も暴走、2人はからくも勝利を収めるが、残された3人にとって、大きな謎が残ってしまったのだった」

クリス「…誰?」

??「今はまだ秘密だ。だが地球は丸いんだ、またどこかで会うこともあるだろう、あばよ!」

翼「ほとんど答えなのではないか!?」



「マムっ!」

 

マリアが部屋に戻り、見たのは血を吐いたまま動かないマムの姿だった

 

「マム!しっかりして!マム!」

 

しかし、マムはピクリとも動かない

 

「至急ドクターの回収をお願い!」

「あの人を?」

 

調が少し嫌そうに聞き返す

 

「応急処置はわたしでも出来るけれど、やっぱりドクターに診てもらう必要がある! だから!」

「…分かったデス!」

 

2人は一瞬目を合わせると、揃って部屋を出る

 

『こうなったのも…全て、私がフィーネを背負いきれていないからだ…』

 

フィーネという大きな呪縛

それを背負いきれない自分を責めた

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ストレッチャーに乗せられて、響とリクが医務室へ運ばれていく

それを眺めることしか出来ない、翼、クリス、弦十郎

 

「響くん、リクくん…」

 

翼はやるせなさに壁を殴った

ゼロもかける言葉が見つからない

 

メディカルチェックを受ける中、響は夢を見ていた

 

いい夢ではない

むしろ悪夢だ

 

いや、むしろ悪夢であって欲しかった現実

 

そこは中学の情景

 

クラスメイトからノイズから生きのびた、ただそれだけで人殺しとヒソヒソされる

家に帰っても、税金泥棒や、人殺しの張り紙

投げ込まれる石

悲しそうな、母と祖母

どうして

自分が元気になれば、喜んでくれると思ったのに

 

どうして……

 

 

 

 

ふと目を開けると、そこには蛍光灯

 

医務室だ

 

響が視線を右に向けると手紙があった

大切な親友からの言葉

 

《早く元気になってね》

《未来》

 

だがその言葉も今はあまり響かない

 

『私のやってることって調ちゃんの言っている偽善なのかな?

私が頑張っても誰かを傷つけて悲しませることしかできないのかな?』

 

そんなことばかり考えていて、ふと胸に違和感を感じて起き上がる

傷口のところだ

触ってみると、ポロッと何かが落ちる

 

「かさぶた…?」

 

今までそんな物できたこと無かったのに…

だが、これが立花響、そして、朝倉リクの運命を揺るがす事態への1歩とは知る由もない

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

後日

リディアン学院にて

 

「いやぁ〜…面目ない」

「ご心配おかけしました…」

 

響、リクは人気のない場所で翼とクリスに謝罪していた

 

「存外元気そうじゃねーか。ま、いい機会だからしばらく休んでな?」

「なーんとこの立花響!休んだりとかぼんやりしたりは得意中の得意です!任せてください!」

「そこ威張るとこじゃないよね」

 

リクが苦笑いしながらツッコむ様子を翼は、訝しげに見つめる

 

「本当に大丈夫なのか? 私たちを安心させようと気丈に振舞ってるのではあるまいな?」

「えっ、いやーそんなことは…」

 

翼が一番気になるのはその左腕だ

響の左腕を掴み、グイッと引っ張って確認するが力が入ってしまった

 

「翼さん…痛いです…」

「…すまない」

 

慌てて手を離す翼

 

「一体どうしちまったんだ? ここんとこ様子がおかしいのは、このバカに合わせてって訳じゃないんだろ?」

 

クリスの質問に答えず俯く翼

 

「ごめんなさい…」

 

響も反射的に謝ってしまう

 

「本当に何も無いなら…それでいい」

 

その視線は響、そして、リクに向けられた

翼の脳裏にいつかの日の事が思い起こされる

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

弦十郎に2つのサンプルを渡された翼は問いかける

 

「これは…?」

 

弦十郎はすごく言いづらそうにとんでもないことを口にした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「メディカルチェックの際に採取した、響くんと…()()()()の体組織の一部だ」

 

翼、ゼロは息を呑んだ

 

「朝倉の?!」

「(どういう事だよ!おっさん!)」

 

弦十郎の見解は、ウルティメイトガングニールだった

 

「あの姿になった際、響くんとリクくんの遺伝子が混ざり合い、お互いに浸食を進めているのだ」

「お互いにって…まさか!?」

「そうだ、リクくんの中にガングニールの組織があるように、響くんの中にも、ウルトラマンベリアルの遺伝子が流れ込んでいるのだ」

 

衝撃的だった

しかし…

 

「(謎が解けた…ずっと気になってたんだ、なんで俺の攻撃はノイズに効かねぇのに、アイツの攻撃が効くようになってたのか…)」

 

「立花が戦う時のみという条件が答えだったのか…」

 

弦十郎は続ける

 

「2人のレントゲンだ、シンフォギアを纏うもの、そしてウルトラマンへと変化するものとしてエネルギー化と再構成を繰り返した結果、体内の浸食深度が進んだのだ」

 

ゼロは無情な言葉を呟く

 

「(このまま戦い続ければ…リクも響も……死ぬ)」

「2人が…死ぬ……バカな」

 

弦十郎はレントゲンを眺めながら絞り出すように紡ぐ

 

「そうでなくても、これ以上の融合状態が進行してしまうと、それは果たして人として生きていると言えるのか……」

 

翼は悔しそうに俯く

 

「(皮肉だが、あの時の暴走時に観測されたデータによって、俺たちじゃ知り得なかった危険が明るみに出たってわけか)」

「壊れる立花と朝倉、壊れた月」

 

翼は落下しているという月の映像を見つめる

 

「F.I.S.は月の落下に伴う世界の救済などと立派な題目を掲げてはいるが、その実ノイズを操り、進んで人命を損なうような輩だ。このまま放っておくわけにはいくまい…だが、響くんリクくんを欠いた状態で我々はどこまで対抗できるのか……」

 

翼はそれに対して気丈に答える

 

「しかし、2人にこれ以上戦わせるわけには行きません、かかる危難は、防人の剣で払ってみせます…」

 

ゼロはそんな翼の中で溜息を吐いた

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「おっさんになんか言われたのか?」

 

クリスが翼に問いかける

ここで正直に言ってしまえば、響やリクはとんでもないショックを受けてしまうだろう

翼は敢えて、突き放した

 

「手ごわい相手を前にして暴走をしているような半人前を、まともな戦力として数えるなと言われたのだ!」

「えっ…」

 

ショックを受ける響に、更に追い討ちをかけるように吐き捨てる

 

「戦場に立つなと言っている! 足手まといが、二度とギアを身に纏うな!」

 

翼は響を突き飛ばした

それを見てリクは憤慨する

 

「何するんですか翼さん!」

「お前もだ朝倉!あの程度で暴走するようじゃ、私はお前をゼロのようなウルトラマンとは認められん!」

 

その言葉はリクを傷つけ、リクを悲しませた

 

「…あなたに…ウルトラマンの何が分かる!」

 

心を鬼にしたつもりだった

しかし、リクの目に溜まり続ける涙を見てこれで良かったとは思えなかった

 

「お前本気で言ってんのか!今の!何とか言えよ!」

 

クリスは自分達を立ち直らせ、繋いだ要因である響やリクを蔑ろにするような事を言い出した翼に納得が出来ず詰め寄る

 

「クリスちゃん!」

 

だが他でもない響がそれを止める

 

「いいよ…わたしが暴走したのも、半人前なのも、本当のことだから…けど…リクくんは!」

 

そういう響の目にも今にも涙がこぼれそうだった

 

「F.I.Sには私と雪音、ゼロで対応すればいい、行方をくらませたウェル博士についても、目下二課の情報部が中心となって捜査を続けている。たかが知れている立花と朝倉の助力など無用だ!」

 

それだけ言うと翼は歩き出してしまう

クリスは少し悩んでから翼の方を追いかけた

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「おい!なんのつもりだよ!?」

 

曲がり角に入った翼を追い掛けたクリスが聞いたのは、ゼロの声だった

 

「お前…あの言い方はねぇだろ…!」

 

クリスが覗くと、そこには少しぼやけたゼロと翼の姿があった

 

「ならあれ以外どうするべきだったというのだ!あんな事態を伝えれば立花と朝倉は!」

 

あんな事態…?クリスは聞き耳を立てた

 

「さぁな、けどなぁ、あいつらにとっちゃ、お前に見放される方がよっぽど堪えると思うぜ…」

 

翼は歯をかみ締める

それを見かねたゼロはアドバイスをする事にした

 

「お前は仲間を信じきれてねぇんだよ」

 

予想外の言葉に目を白黒させる翼

ゼロは続けた

 

「響は…リクは突き放さなきゃいけねぇ程、弱いヤツらだったか?お前が助けてやらないといけねぇほど、ヤワな奴なのか?お前がそう見えたんなら俺も何も言わねぇ…けどなぁ、まだお前に見せたことのない力、それを使いこなす事は出来ない、それだけ言っておくぜ」

 

ゼロは再び翼の中に戻る

 

「私は…どうしたらいいと言うのだ…」

 

クリスはそっとそこから離れた

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「はぁ……はぁ……はぁ……」

 

ウェルは昨日の惨劇の場に居た

ネフィリムの心臓を探すため、一人で現れたのだ

しばらくして、目当てのものを見つけたウェルはそれを掴もうと手を伸ばす

 

「フヒッ!……これで…僕も英雄に…」

 

その時だった

ゴーンという音と共に、闇が現れ、そこから1本の腕が伸びてきた

 

「やぁ、お初にお目にかかるね、私の名はトレギア…君の願いを叶えにやってきた…」

「じゃあ…僕を英雄にしてくれ…!?」

「良いだろう、じゃあ…まずは目障りなウルトラマン達に抗える力を手に入れないとね…」

 

トレギアは暗闇に潜ると、ライザー、そして怪獣カプセルを渡した

 

「これは…!」

「これが君の願いへの道しるべさ…!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

大型ヘリ内部

 

マムは意識を取り戻した

自分はベッドの中に居る

ふと横をむくと、壁にもたれて、思い出の歌を歌うマリアの姿があった

 

『ふふ…優しい子。マリアだけではない。私は優しい子たちに十字架を背負わせようとしている。……私が間違っているのかもしれない』

 

マムが体を起こすとタイミング良く通信が入った

パネルをタッチし、通信に出る

 

「私です」

 

「っとと、もしかして、もしかしたらマムデスか!?」

「具合はもういいの?」

 

切歌と調の驚く声が聞こえ、安心する

 

「マリアの処置で急場は凌げました」

「よかった」

「うん…で、でねマム。待機しているはずの私たちが出歩いているのはデスね」

「わかっています、マリアの指示ですね」

 

2人は怒られると思っていたので安心して息を吐いた

 

「マムの容態を診る事が出来るのはドクターだけ、でもドクターともソラとも、連絡が取れなくて」

「二人ともありがとう。では、ドクターとソラと合流しだい連絡を。ランデブーポイントを通達します」

「了解デス」

 

通信を切断した後、切歌はどひぇ〜っとため息をこぼす

 

「まさかマムが出るとは思ってなかったデスよ」

「でも本当によかった」

「うん」

 

丁度そのタイミングでぐぅぅっとお腹が鳴った

 

「おおっと!安心した途端にこれデスよ」

「今日は朝から何も食べていないから」

 

その時だった

切歌が少しよろける

後ろから誰かぶつかったようだ

 

「あうっ?」

「あっ、すいません!怪我はない?」

 

ぶつかった男は切歌の膝などを確認する

 

「だ、大丈夫デスよ…」

「よかった…そうだ、君達ふらわーってお店知らないか?」

「ん、すぐそこ」

 

調が指さす先にそれはあった

かつて、リク、クリス、未来もお世話になった、響の行きつけのお好み焼き屋だ

 

「おぉ!よかった!サンキュー、よかったらごちそうさせてくれないか?」

「本当デスか!?」

「切ちゃん」

 

私達は急がないと…と目でサインを送るがそう言う調もお腹をくぅーっと鳴らしてしまい、赤面する

 

「…腹が減ってはなんとやらって言うだろ?ほら…?」

「…ありがとう…ございます//」

 

3人はふらわーに入店する

中では店主のおばさんがお皿を洗っている

 

 

「おばさん、久しぶり」

「ん?あら〜ガイくんじゃない!その子達は?」

「お腹を空かせてるんだ、俺がいつも頼むやつと同じ奴1枚ずつ頼むよ」

「はいはい、ガイくんはいつも通り3枚?」

「あぁ、あ、あとあれも3人分忘れずに」

「は〜い、あれね♪」

 

3人はカウンター席に座った

 

【〜♪クレナイガイのテーマ】

 

「そう言えば自己紹介がまだだったな、俺の名はクレナイガイ、君達は?」

「私は暁切歌、それでこっちがーーー」

「月読調…」

「切歌ちゃんに調ちゃんか、よろしくな」

「ガイさんはこの辺の人なんデスか?」

 

切歌が問いかけると、本人ではなくおばさんがお好み焼きを焼きながら答えた

 

「この人は風来坊なのよ」

「風来坊?」

「簡単に言えば、旅人」

「なんかかっこいいデス!」

 

そう言われるとガイは手を組み背もたれに寄りかかった

 

「そんなかっこいいもんでもねぇよ」

「なんかね、遺跡とかを回って研究してるチームのお手伝いしてるんだって」

「遺跡…」

「聖遺物とかの事かもしれないデスね?」

 

調と切歌がこそこそ話すうちに3枚の皿がカウンターへ置かれた

内、1枚には3枚のお好み焼きが重なっている

 

「はい、お待たせ〜」

「おぉこれこれ、これが絶品なんだよな〜」

「いい匂い」

「ヨダレが止まらないデス…」

 

3人は箸を手に取り手を合わせる

 

「「「いただきます」」デス!」

 

一口食べると、3人は幸せそうな表情を浮かべる

 

「美味しい…!」

「頬が落ちそうデース…」

「うん、やっぱりここが、世界一のお好み焼き屋だ」

「全くお世辞上手いんだから〜」

 

その後、3人は黙々と食べ進めあっという間にたいらげてしまった

 

「ふぅ…美味しかったデース」

「ほんと、また来たいね」

「ふぅ…じゃああとは…」

「はいはい、わかってるよ」

 

おばさんは3本のビンをそれぞれの前に置いた

 

「ジュース…?」

「なんてデスか?これ?」

「君達、ラムネを知らないのか?」

 

ガイはシュポッという音と共にラムネのビー玉を落とし、躊躇いなく飲み始める

切歌と調は開け方が分からず、必死に青いところを捻っていた

すると、ガイは調の持つ1本を手に取った

 

「貸してみな?このパーツをビー玉に置いて…グッと押し込めば…っ!」

 

シュポッ…カラン…

 

心地よい音が響き、ラムネの栓が開いた

 

「やってみるデス!」

 

同じように切歌もパーツを乗せて押し込んだ

しかし、斜めになっていたのかビシャアッと吹き出してしまった

 

「あわわっ!?爆発したデェス!?」

「あっはは、失敗しちまったな」

 

ガイはお手拭きを受け取ると零れたラムネを拭いていく

 

「飲んでみなさい?美味しいわよ」

 

おばさんに促され、切歌と調はラムネを口に含む

直後、2人は目を輝かせる

 

「シュワシュワ…」

「爽快って奴デース!」

「気に入ったなら何より…」

 

ガイはラムネを飲み干すとレジにお金を置いた

おばさんがそれを計算してお釣りを渡す

 

「それじゃあな、また来るよ」

「ん、待ってるよ」

 

ガイはそれだけ言うと外に出ようと歩き出す

 

「あっ、待って!」

「けふっ、待って欲しいデース!」

「どうせ地球は丸いんだ、またどこかで会うこともあるだろう、あばよ」

 

ラムネを飲み干し、慌てて外に出るがそこにガイの姿は無かった

代わりに、不思議な楽器のメロディーがどこからか聞こえたのだった

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

その頃、響、未来、弓美、詩織、創世、クリス、リクはふらわーに向かって、しばらく歩いていた

 

ふと、リクが口を開いた

 

「みんなでお好み焼きなんて久しぶりだけど、なんでクリスも一緒なの?」

 

クリスはそれを聞き、わなわなと拳をふるわせるが必死に抑える

弓美がそれを聞き、はぁっとため息を吐いた

 

「あんたってば、ハーレムアニメの主人公並みに鈍感よね……」

 

リクが困惑していると創世が話し始める

 

「どこかの誰かさん達がね、最近響とリクが元気ないって心配しまくってたから」

「…心配してくれたんだ、クリス」

 

そう言うとクリスは顔を赤くし、仏頂面で吐き捨てるように話した

 

「そ、そんなシケたツラ見たくないだけだッ//」

「ふふ…ありがとう、クリス」

「…未来も…ありがとう」

「うん…!」

 

響も未来に感謝を述べるといつものように微笑んだ

 

「よぉーっし、そうと決まれば食っべるぞ〜!」

 

響がそう意気込んだ時だった

3台の黒い車が猛スピードで坂を下っていった

直後、車が爆発した

リク達は慌てて駆け出す

向かった先には

 

車の残骸

多数のノイズ

そして…

 

「フヒヒッ、誰が追いかけて来たってコイツを渡す訳には…」

 

その手にソロモンの杖と、ネフィリムの心臓を握る男の名を呼ぶ

 

「ウェル、博士…」

「な、なんでお前がここに!」

「ソロモンの杖を渡しやがれ!」

「ヒイィィッ!」

 

クリスが叫ぶとウェルは怯えながらノイズをこちらに放った

リクと響はすかさずみんなの前に立ち、走りながら聖詠する

 

「ジーッとしてても、ドーにもならねぇ!」

「Balwisyall Nescell gungnir troォォォオオッ!」

 

2人はノイズを殴った

 

 

 

()()()()()()()()()

 

 

「人の身で…ノイズにっ…?!」

 

ウェルの驚きを他所に、2人はガングニールを纏い、ジードへフュージョンライズした

直後、ノイズは炭となり、突風が巻き起こる

 

「この拳も……命も…シンフォギアだッ!!」

 

しかし、リクは自分の体に違和感を感じた

 

「いま、僕変身してなかったのに…」

 

その不安を他所に、響はノイズに向かう

 

「こうしちゃいられねぇ… Killter ichiival tron」

 

クリスもイチイバルを纏い並び立つ

しかし…

 

「あっつ!?お前なんか熱いぞ!?」

「えっ…」

 

リクは自分の体を見ると、少し光を帯びているのに気付いた

響の体も同様だ

少し発光している

 

「どういうこと…?」

「嫌な予感がする…まさか!」

 

翼とゼロの会話を思い出したクリスはジードに威嚇射撃を放った

 

「クリス!?」

「お前とバカは下がってろ!嫌な予感がする!」

 

ジードは渋々、響の手を取り後ろに下がった

 

「えっ!なんでっ!?」

 

響は困惑するが、お互いの発光を見て1度落ち着いた

ウェルはその様に激昂した

 

「いつもいつも!都合のいいところで、こっちの都合をひっちゃかめっちゃかにしてくれる!お前達はぁぁぁ!!」

 

しかし、ウェルは動きを止めて、ふぅっと息を吐くとケラケラ笑いだし、ライザーを構えた

 

「それは!?」

「そんな君達にプレゼントォォォオオッ!」

 

怪獣カプセルをスキャンし、呼び出した怪獣は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《グリーザ!!第二形態!》

 

 

「《フウェッヒッ!ヒヒッ!》」

 

甲高い、狂ったような声を上げる人型の怪獣が現れた

 

「行かないと…ハッ!」

 

まともに怪獣と戦えるのはゼロとジードだけ

ジードは躊躇いなく巨大化した

そのまま駆け出しグリーザに掴みかかろうとするが何とも奇っ怪な動きで避けられてしまった

 

「なんだよコイツ…」

 

ジードが改めて構え直すと地響きが鳴り、ゼロが現れた

 

「ゼロ!気をつけて、こいつなんか変だ!」

 

だがゼロはそんなジードを押しのけグリーザの前に立ちはだかった

 

「お前と響は戦うな!いいな?」

 

ゼロはそれだけ叫び、グリーザへ向かっていく

ゼロにまで戦うなと言われた

それはジードにとって理解し難い、そして、屈辱的な事だった

 

「…なんでだよ!」

 

ジードはグリーザに対峙していたゼロを突き飛ばして、グリーザに攻撃を仕掛けた

何の型もない、むちゃくちゃな攻撃、それらは全て躱されてしまう

 

ゼロはそんなジードの手を掴むとグリーザから引き剥がす

 

「おいやめろ!戦うな!ジード!」

「離せよ!アイツを倒して、認めさせてやる!」

「馬鹿野郎!()()()()()()()()()()()()()

 

それを聞いたジードは動きを止める

響も同様に聞き返す

 

「どういう事…ですか……?」

「《ゼロ!》」

 

翼の怒鳴る声が響くがそんな2人にグリーザは、光球をぶつけ吹き飛ばした

 

「グウォォッ!?」

「ウワァァッ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




【次回予告】

トレギア
「やはり、人は迷うもの…迷うからこそ、生命は美しい…
正義や悪は…この宇宙に存在しない…あるのは…闇のみ…
そして…彼女の下す正義…
それがもたらすのは……破壊か…絶望か…」

次回、戦姫絶唱シンフォギアG 響くぜ絶唱
【希望の鎮魂歌】《前編》

「君の正義は…どちらを選ぶ…?」



作者「次回から前後編に分けます、アニメ的に言えばAパートBパートと分ける感じです」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第7話 希望の鎮魂歌 【前編】

僕と響は…戦い続けたら…死ぬ?

ゼロが言い放ったとんでもない言葉に体を動かせなくなった僕達は、グリーザという不思議な怪獣になすがままにされていた

 

「どういう事だよ…バカとリクが死ぬだと!?」

 

クリスも声を荒らげている

しかし、グリーザの攻撃で翼もゼロも声を出すことが出来ない

 

ウェルはケラケラ笑い続けながら新たなノイズを呼び出した

クリスが迎撃に入るが、そんなクリスとノイズの合間を縫って飛び出す影が1つ

その瞬間の灼熱は1人の女の子を表した

響だ

響はソロモンの杖を取り戻すつもりなのかウェルに飛びかかる

 

「ヒィィィッ!?」

 

ウェルは腰を抜かし、尻餅をつくが響はそんなウェルに対して拳を振るおうとする

だが一瞬の隙をついて黒い円盤が響の拳をとめた

 

「盾っ!?」

「なんとノコギリ」

 

響とウェルの間には調と切歌の姿があった

 

「調ちゃんっ…切歌ちゃんっ…!」

 

響は丸鋸の回転力に弾き飛ばされまいと力を更に込める

 

「この身を鎧うシュルシャガナはおっかない見た目よりもずっと、汎用性に富んでいる、防御性能だって不足無し」

「それでも、全力の2人がかりでどうにかこうにか受け止めてるんデスけどね」

 

切歌が言うように切歌はイガリマから伸びたアンカーのようなものを突き刺し調をグッと押さえ込んでいる

 

「ごめんね切りちゃん、私のヒールじゃ、踏ん張りが効かないから」

「いいってことデスっ!」

 

直後、響と調の間にミサイルが飛来、爆発した

 

「あたしを忘れんな!」

 

後ろに飛び退いた響はクリスをにらむ

切歌と調はウェルを連れて、後ろに飛び退いた

 

「さぁて!第2ラウンっ…!?」

 

クリスが構えようとした瞬間、響がクリスを掴んだ

 

「退いて…私が杖を取り返す…!」

 

そんな響の姿は恐れ戦いてるようにも、焦ってるようにも見えた

 

「おい、どうしたんだよ!」

 

クリスの言葉を無視して戦おうとする響の頭には、声が響いていた

 

 

《君の守りたいものはなんだ…?》

 

 

 

《自分か…それとも、他者の命か…?》

 

 

 

 

《その拳は…なんの為に…?》

 

 

 

そんなの決まってる

 

皆の日常を、他の誰かを守りたい、守るために

 

拳を振る!

 

 

 

 

 

「ぐぅぅっ!?」

 

その拳は、目の前に居た華奢な女の子の体を吹き飛ばした

 

「え?」

「調ぇっ!」

 

切歌ちゃんが調ちゃんに駆け寄る様子が見える

調ちゃんは頬を抑えている

 

そこから導かれた残酷な行為

 

 

私は調ちゃんの()を殴った

 

 

何故、そんな残酷な事をしてしまったのか

何故、それに躊躇いを持たなかったのか

何故、それを行ってしまったのか

 

私の頭に様々な思惑が駆け巡り、頭を抱える

 

すると、私の胸の傷が輝き始めた

苦しい…必死に胸を押えるが一向に治まらない

 

ふと見ると、同じようにジードも胸を抑えて苦しんでいる

これがゼロさんが言ってた事?

 

「こんのぉぉっ…!」

 

私は負けていられない、体は熱いけど、そんなことは気にしちゃいられない

 

《そうだ…君は何かを犠牲にしても、他者を守らずにいられない…》

 

この声が何かは気になるけど、言ってることは分かる

 

私に守るために戦えと命じてる

なら…

 

私は再び気合を入れると、胸の光を押さえ込んでいく

だけど、聞きたくない歌が聞こえた

 

 

「「Gatrandis babel ziggurat edenal… Emustolonzen fine el baral zizzl…」」

 

「この歌って!まさか…絶唱!!」

 

リクくんの焦る声が聞こえた気がした

 

「「Gatrandis babel ziggurate edenal」」

 

尚も歌い続ける2人に私は必死に呼びかけた

 

「ダメだよ…!LiNKER頼りの絶唱は、装者の命をボロボロにしてしまうんだ!」

 

だけど、そんな2人を促すようなウェル博士の声が響く

 

「女神ザババの絶唱二段構え! この場の見事な攻略法!これさえあれば…こいつを持ち帰ることだって…ウヒヒッ!」

 

「「Emustolrozen fine el zizzl…」」

 

2人の穏やかだった顔に苦悶が混じる

直後、2人のギアは大きく変形していく

 

「シュルシャガナの絶唱は、無限軌道から繰り出される果てしなき斬撃。これでナマスにきざめなくとも、動きさえ封殺できれば…」

「続き、刃の一閃で対象の魂を両断するのが、イガリマの絶唱。そこに物質的な防御手段などありえない!まさに絶対に絶対デス!」

 

調ちゃんのギアは大きな丸鋸を、切歌ちゃんのギアは鎌が巨大化した

だが2人とも苦しそうな表情

脳裏に消えていった奏さんの姿が思い起こされ、更に声が響く

 

《このままあれが振るわれれば、また尊い命が消えていく…それでいいのかい?》

 

 

《君自身の命のために2人を見捨てるか…》

 

《2人の為に…自身を犠牲にするか…》

 

 

…そんなの、決まっている!!

 

「翼さん!ゼロさん!リク君!その大きな的を抑えてください!」

「は?か、怪獣の事か!?」

「《どうするつもりだ!》」

 

私は…覚悟を決めた、ジーッとしてても、ドーにもならない!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「Gatrandis babel ziggurat edenal… Emustolonzen fine el baral zizzl…」

 

変化していた、調と切歌のギアはどんどん元の大きさに戻っていく

 

「エネルギーレベルが…絶唱発動まで至らない!?」

「アイツまさか!!」

 

クリスちゃんの叫びが聞こえる…

調和は出来た…なら!

 

セット!ハーモニクス!

 

2人の絶唱の強力なエネルギーが流れ込んでくる

苦しい…でもこうしないと…2人が…奏さんみたいに…!

 

「アイツがエネルギーを奪ってるデスか!?」

「2人に…絶唱は使わせない!!!」

 

両手を合わせ、巨大な右手のギアを作り上げた

 

「みんな!!」

「そういう事か!!ジード!」

「う、うん!」

 

リク君も苦しそうな声を上げるが、ゼロさんと怪獣の位置を移動してくれた

ウェル博士が呆気に取られてるせいか、怪獣はすぐに捕まえられ、車線上に運ばれた

 

「いっけぇぇぇ!!!!」

 

私は怪獣に向けてトライバーストを解き放った

その勢いは見事に怪獣を打ち砕いた

 

「ウォッ!?」

「グァァァッ!」

 

ゼロさんとリク君の変身が解除されて、地面に落ちた

リク君は胸から何かが突き出ているように見えたが…

 

私は…ここで気を失ってしまった…

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

その場にフィーネが降り立った

調と切歌を見つけると手を下ろす

 

「急ぐぞ、離脱だ」

「でも!」

「今なら…」

 

倒れ込んだ響とリクを調と切歌は見つめるが、その前にクリスと翼が立ちはだかった

 

「…」

 

フィーネは無言で手に乗るように促し、ウェルと調と切歌が乗ったのを確認し飛び立った

 

クリスと翼はそれよりもと、響とリクの方を向く

2人とも凄まじい熱を帯びており、発生の中心に居るとは考えたくない

そこへ、未来が走ってきていた

クリスは慌てて未来の元へ飛び、未来を抑える

 

「よせ!火傷じゃすまないぞ!」

「でもっ!響がっ!いやぁぁっ!響っ!」

 

すると、翼が突如飛び上がり給水タンクを切り裂く

その水はリクと響の体を急速に冷やしていった

 

「…私は…2人を守れなかったのか…」

 

後悔、懺悔、その気持ちが翼を支配する

ゼロはどうしたもんかと溜息を履いた…

 

 

 

 

 

 




コメントが減ってきて寂しいですが仕方ないですよね、更新遅いですし…←
こういうのが見てみたいというのがあれば書いてみてください


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第7話 希望の鎮魂歌 【後編】

フィーネ、そしてF.I.Sのメンバーは人里離れた山の中にいた

その中ではウェルがマムの容態を調べていた

 

「数値は安定。年齢のわりにたいした体力です。それとも、振り絞った気力でしょうか?」

 

少し皮肉を利かせるように言い放つウェルだが、そんなことは意にとめず、3人は胸を撫で下ろす

 

「良かった…」

「本当に良かったデス!」

 

そんな調と切歌を見たナスターシャは後悔と疑問を抱く

 

(私は、この優しい子達に、いったい何をさせようとしていたのか…

所詮、テロリストの真似事では、迫りくる災厄に対して何も抗えないことに、もっと早く気付くべきでした)

 

そんな中ソラがウェルの元に歩き寄る

 

「…お前がグリーザを呼び出したのか…?」

「えぇ、とっても親切な方がくれまして…」

「そうか…」

 

それだけ確認したソラは部屋の外へと出た

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

メディカルルーム

そこでは、立花響と朝倉リクの緊急手術が行われていた

 

胸から飛出た金属片、ガングニールの破片

それを剥離しているのだ

 

部屋の外で未来もそれを待つ

すぐそばにはゼロが粒子状に実体化している

 

「悪い…何も伝えてなくて…」

 

未来は首を振る

 

「…責めても…なかった事にならないですから…」

 

そこへ、緒川が現れた

 

「当座の応急処置は無事に終わりました」

「無事? 響は、無事なんですよね?」

「はい、ですが説明があります、来ていただいて良いですか?」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

再び、F.I.S大型ヘリ

 

「それでは本題に入りましょう」

 

そう言ってウェルは持ち帰ったネフィリムの心臓を披露する

 

「苦労して持ち帰った覚醒心臓です、必要量の聖遺物をエサと与えることで、ようやく本来の出力を発揮できるようになりました、この心臓と貴方が5年前入手した…」

 

ウェルはマリアを見るが、当の本人は何の事っ?というリアクションをとってしまう

 

「お忘れなのですか? フィーネであるあなたが、皆神山の発掘チームより強奪した神獣鏡のことですよ」

 

もう気付いているかもしれない、だがマリアは演技を続ける

 

「え、ええ、そうだったわね…」

「マリアはまだ、記憶の再生が完了していないのです…いずれにせよ、聖遺物の扱いは当面私の担当、話はこちらにお願いします」

 

マムが上手くフォローを入れた

 

「これは失礼、話を戻すと、フロンティアの封印を解く神獣鏡と、起動させるためのネフィリムの心臓がようやくここに揃ったわけです…」

「そして、フロンティアの封印されたポイントも、先だって確認済み。」

 

マムの言葉に重なるようにウェルが叫ぶ

 

「そうです! すでにデタラメなパーティーの開催準備は整っているのですよ!あとは、僕たちの奏でる狂想曲にて全人類が踊り狂うだけ!うはははは!うーははははは!!」

 

彼が普段から夢と語る英雄の姿はそこにない。

寧ろ、支配欲に満ちた、独裁者のようだ

 

「近く、計画を最終段階に進めましょう…ですが今は、少し休ませていただきますよ」

 

話が終わるとマムは退室して行った

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「リンゴは浮かんだ…お空に…」

 

解散した後マリアは自室で童歌を歌っていた

 

「マリア、良いか?」

 

その時、ソラが戸を叩いた

 

「ええ、いいわよ?」

 

ソラは入ると腕を組み壁に寄りかかる

 

「ウェル…もう気付いてるかもな」

「やっぱり…?」

「ジードの奴がそんな関係になってるとは聞いてなかった…俺のミスだ」

「気にしないで、偶像を演じられなかったのは私よ」

「状況も芳しいとは言えない、大きく動けないとは言えアイツ…俺の前で別の形態を使わなくなった…」

 

ここでマリアはひとつの疑問を口にした

 

「ねぇ、どうしても…あの子は引き入れられないの?」

「無理だ」

「…私信じられないの、あの子が貴方達の父親を無惨に殺したなんて!」

「いい加減にしろマリア…」

 

ソラはドスを効かせてマリアを睨む

 

「本当の悪魔ってのは…心で爪を研いでる…近づいた所を殺されるぞ…」

 

ソラはドアの方を向く

 

「ウェルは気付き始めてるから気をつけろ、それだけだ」

 

そして外へ去り小さく呟く

 

「そう、心で爪を…な」

 

残されたマリアは歯をかみ締める

 

「でも…たった2人の兄弟なんでしょ…」

 

同じような境遇で妹を目の前で失ったマリアにとって、耐え難い状況となりつつあった

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

後日

 

スーパーカワグチから調と切歌がレジ袋を提げて出てくる

 

「楽しい楽しい買い出しだって、こうも荷物が多いと面倒臭い労働デスよ」

 

愚痴る切歌の両手の袋にはたくさんの買出しが入っている

同じように袋を持つ調が答える

 

「仕方ないよ、過剰投与したLiNKERの副作用を抜ききるまでは、おさんどん担当だもの」

 

そんな調の様子に違和感を感じた切歌は彼女のまえに立つ

 

「持ってあげるデス、調ってば、なんだか調子が悪そうデスし」

「ありがとう。でも平気だから」

「…じゃあ少し休憩するデス!」

 

しばらくして、2人は人のいない工事現場で休憩を始めた

 

「嫌なこともたくさんあるけど、こんなに自由があるなんて、施設に居たことは想像出来なかったデスよ」

 

そう言いながら切歌はパンを齧る

 

「うん…そうだね…」

 

一方の調は、チョココロネの袋を握り締める

切歌は昔の事、今の現状を、改めて思い出す

 

「フィーネの魂が宿る器として、施設に閉じ込められたあたし達、自分が自分でなくなるなんて怖いことを、結果的にマリア一人に押し付けてしまったあたし達…」

 

このままでいいのだろうか…

そんな思いがあるのだろう

あの気楽で優しい風来坊に相談できたら…どれだけ気が楽になるか…

 

その時だった

 

「そんなとこに居たら危ないぞ?」

 

切歌はへ?っと顔を上げると、まさにその風来坊、クレナイガイの姿があった

 

「ガイさん!」

「久しぶり、休憩中か何かか?」

「えぇ、調がちょっと…」

 

視線を移すと調は、先程より苦しそうに肩を上下に揺らしていた

 

「調!?ずっとそんな調子だったデスか?!」

「うん…でも、ここで休んだからもう…」

 

そう言って立ち上がるも、調はよろめき鉄パイプにぶつかり倒してしまった

その衝撃は上の方にも伝わり、そこに転がっていた鉄パイプが一斉に落ちてくる

いくらシンフォギア装者でも生身ではただの少女

このままでは八つ裂きだ

 

「っ!」

 

ガイは手からいくつか黄色の光球を放ち、鉄パイプを弾き飛ばす

しかし、数本取りこぼしてしまう

ならばと2人の元に走ろうとするがある光景を目にし、動きを止める

 

そこには気を失って倒れてる調を庇おうとし、手を掲げてる切歌の姿があった

目を取られたのはその手の先に…

 

ハニカム状の()()()()()があった事

それを見たガイはつぶやく

 

「…フィーネ…?!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




【次回予告】

僕と響はもう戦っちゃいけない…
それが分かってても…ドーにもならない時はある
けど、その決断は僕達にとって、最悪の事態を招いてしまう

次回、戦姫絶唱シンフォギアG 響くぜ絶唱
【引き裂かれた陽だまり】

未来「私だって…守りたいのに…!」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第8話 引き裂かれた陽だまり 【前編】

?「ん?台本が落ちてる?」
?「え?見せてよ?」
?「あぁおい、イ○ミ〜…」
?「…あっ、これ俺達が読むみたいだよカ○兄!」
?「えっ、あっ、ほんとだ…じゃあ読むか…」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
?「えと、リクと響が死ぬ、そんな事態を聞いても誰かを守ることを止められない彼らは、絶唱を使い怪獣を退ける」
?「絶唱って何?あと響って誰?それにリクが死ぬっ?!」
?「あぁーもうアドリブ入れるな!俺も驚いてるんだよ…」
?「2人とも何やってるんですか?」
??「「ア○ヒ!?」」
?「えっとこれはだな?」
?「もう!前にも言ったじゃないですか!秘密はイヤです!」
?「あぁごめんごめんって!」

?「そして!この世界に存在する時を超える巫女!フィーネの魂は切歌に宿っていた!?果たして!謎が謎を呼ぶこの作品!8話をご覧あれぇぇ!銀河の光が我も呼b」
??「「呼ばないよ!」」

?「因みに私達、今回は登場予定はありません、GXだと出てくるかも見たいです!ハッピ〜!」


「これは…!」

 

未来とクリスは連れられた場所で、響とリクのレントゲン写真を見せられる

そこには、2人の体におびただしい赤い繊維が伸びている写真があった

弦十郎が重い口を開いた

 

「胸に埋まった聖遺物の欠片が、響くんの体を蝕んでいる。これ以上の進行は、彼女を彼女でなくしてしまうだろう」

「でも、バカはともかくどうしてリクまで!」

「ウルトラマンベリアルアトロノイズを倒す切り札、ウルティメイトガングニールへの変身の際、2人の遺伝子が混ざりあったのだ…

聞けば、ギガファイナライザーには正しき心を力に変換して増幅させる能力があるという…

響君の思いで起動していたガングニールにギガファイナライザーが反応したのだろう」

「クソッタレ!」

 

クリスは機材のひとつを蹴りあげた

 

「混ざりあったって事は…もしかして…」

 

不安そうな未来の予感は的中した

 

「そうだ、リク君の中にガングニールが流れ込んだように、響君の中にも、ベリアルの遺伝子が流れ込んでいる、事態はそちらの方が深刻だ」

「なんでだ?あたしの中にもベリアルの遺伝子はある筈だぞ?!」

 

かつて、ライザーを使い怪獣に変身していたクリス

しかし当人は今の所何も無い

だが…

 

「クリス君の場合はあとから遺伝子を付与したに過ぎない、更には了子君の調整もあっただろうしな

だが響君は調整もなくウルトラマンと身を一つにしてしまった…

つまり今の響君は…半()()()()()()と言っても過言ではない…」

 

半分ウルトラマンとなっているという言葉に未来は衝撃を隠せなかった

ここでずっと口を閉じていたゼロが口を開く

 

「それに関しては、光の国に行きゃ治療する事は可能だ…しかし、リクも戦い続けられねぇ今、俺が離れちまうと怪獣が現れた時対処出来るやつがいねぇ…」

 

ここで意を決したような未来が話し出す

 

「つまり、今後響とリクくん戦わなければ、これ以上の進行はないのですね?」

「そうだ、響君にとって、親友の君こそが最も大切な日常、君の傍で、穏やかな時間を過ごす事だけが、ガングニールの浸食を抑制できると考えている、リク君の場合も同様だ、そうすれば、ベリアルの遺伝子も暴れ出さずに済むだろう」

 

クリスは拳を手のひらに打ち付ける

 

「だったらあたし達が…」

「うむ、響君とリク君を守って欲しい…」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「フィーネ…?」

 

ガイの言葉を聞けない程、切歌は動揺していた

調を守るため咄嗟とはいえ、覚えのない力を使ったのだから

 

「何デスか…これ…」

 

切歌は自分の両手を眺める

そこへガイが近付き問いかける

 

「…教えてくれ切歌、櫻井了子は亡くなったのか?」

「…今のが…答え…デス…」

 

切歌は俯いたまま力なく答える

ガイは倒れた調にも視線を向け、切歌の方を向く

 

「それはまだ分からない、彼女は意識が無くてもバリアを張ることは出来る…間違いないのは…君と調のどちらかにいるフィーネが目覚めようとしてる」

「…なんでそんなに詳しいデスか…貴方は…なんなんデス…」

 

その時、通信が入る

 

《「メディカルチェックを行います、すぐに戻ってきてください」》

 

ウェルの声だった

切歌はその声に返事はせず、調を抱えて歩き出す

 

「…切歌」

 

ガイはせめて調の調子が良くなるようにと、懐からハーモニカのようなものを取り出し吹き始める

 

「〜…♪」

 

帰還する最中ゆっくり調は目を開けた

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「体内にあるガングニールとベリアルの遺伝子が更なる浸食と増殖を果たした結果…新たな臓器を形成している」

 

メディカルルームで弦十郎が響とリクに状況を説明している

 

「これが響君、リク君の爆発力の源であり、命を蝕んでいる原因だ」

「父さんの遺伝子が…響の中に…」

 

リクが申し訳無さそうに俯くと響は笑いだした

 

「あはーはー…つまり、胸のガングニールを活性化させるたびに融合してベリアルの遺伝子も覚醒してしまうから、今後はなるべくギアを纏ったり、フュージョンライズしないようにしろと…」

「いい加減にしろっ!」

 

翼が響の手首をつかんだ

 

「なるべくだと…寝言を口にするな!今後一切の戦闘を禁ずると言っているのだ!」

「翼さん…」

 

響、リクは不穏そうに見つめる

翼は当たり前だが、響が忘れかけていた事を口にした

その目に薄ら涙を浮かべて

 

「このままでは死ぬんだぞ!立花!」

「!?」

 

響は改めて突き付けられた事実に衝撃を受けた

ゼロが翼の手を引き剥がす

 

「それくらいにしろ!響だってそれくらい分かってる!」

「くっ!」

 

翼は踵を返して部屋の外へと出た

 

「…分かってやってくれ…アイツは…2度と仲間を失いたくないんだ…」

「っ…私…」

 

無神経だった

奏さんを失った翼さんの前で、自分の命を無下にするような事を言ってしまった

 

「…アイツはお前達を守る一心で自分を押し殺している…オレも説得はしているが…いつ伝えたいことに気づくか…」

 

ゼロは翼を追うように外へ出た

 

(涙など剣には無用…なのに、なぜ溢れて止まらぬ…今の私は、仲間を守る剣に能わずということか…!)

 

翼は廊下で拳をぶつけ、泣いていた

 

「…そうだな、今のお前は仲間を守れない」

「貴様に…私の何が分かる!」

「分かんねぇけどよ、お前…そうやって自分を押し殺す事が正しい剣の道だとでも思ってんのか?

それが奏から託された羽撃き方なのかよ!?」

「貴様ァッ!」

「翼さんっ!」

 

ゼロに掴みかかろうとした翼を緒川が呼び止める

 

「…今日は取材がいくつか入っていましたね」

「翼さん!」

「翼…!」

 

2人の声を無視して翼は歩き出してしまった

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

マムたちが、『フロンティア』に施されている封印の開放を実行している間、ソラはトレギアとコンタクトを取っていた

 

「《どういうつもりだ、何故ウェルにライザーを…》」

《ほんの余興という物さ…君のベリアルに近づくという夢を叶える為、もう1人くらい怪獣の力を使える器が居ても良いだろう?》

「《余計な事を…》」

《なんだったら彼女達にも渡すかい?取っておきの怪獣も居るが?》

「《必要ない、余計な事はするな》」

《そうかい、ところで…神獣鏡(シェンショウジン)起動に必要な…()については分かったのかい…?》

 

ソラは口ごもる

 

「《まだ…微妙だ…いまいちピンと来ない》」

《そうかい、君の作戦の為に必要なんだろう…どう使うかは知らないが…》

「《あぁ…》」

 

その時、ノックが部屋に響いた

 

「ん、誰だ?」

「私よ、入っていいかしら?」

「あぁ、構わない」

 

入ってきたマリアにソラは目を奪われた

なんというか、普段の寝巻きとは思えない

いやに艶めかしい服を着ていたからだ

マリアはソラの隣に座る

 

「失敗だったわ…」

 

きっとフロンティアの解放の件だろう

ソラが頷くとマリアは続ける

 

「マムが、フィーネを演じる必要はもう無いって…」

「…どういうことだ?」

「わからない…」

 

マリアは虚ろな表情でソラを見る

 

「私…もうどうしたらいいか分からないの…」

 

マリアは縋るようにソラへ抱き着いた

ソラは言いようのない感情を感じてそっと抱き返す

 

「不思議…貴方に抱きついてると…セレナを抱いてるように感じるわ…」

 

ソラはそのまま抱き続けた

するとマリアはソラに顔を近付けていき

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そっと口付けを交した

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第8話 引き裂かれた陽だまり 【後編】

今日は休日

 

僕は家に居た

響は未来とスカイタワー内の水族館に出掛けたらしい

何をするでもなく、ただ天井を眺めて横になっている

 

「ペガが居ればなぁ…」

 

そうすれば2人でババ抜きしたり、ドンシャインを見たり出来るのに

そんな事を考えながらふと気づく

 

「そう言えば、一人きりって初めてかも」

 

今まではモアが居て

初めて出会ってからずっとペガが居て

星雲荘が出来てからライハ、レム、レイトさんが居て

 

今みたいに一人きりの時間はあんまり無かった

折角だ、一人きりを楽しんでみよう

 

その時、チャイムが鳴った

 

「あれ…何か頼んでたっけ…」

 

ベットから降りて玄関を開けた

そこには、彼女のイメージカラー、赤い女の子らしい衣装に身を包んだクリスの姿があった

 

「よ、よぉ…今日暇か…??//」

 

クリスは身をよじらせ、頬を染めつつ問いかける

 

「う、うん…」

「じゃあよ…い、いいっ一緒に出掛けねぇか!?//」

 

これって…そういう事?

僕は自然と顔が赤くなっていた

な、何か答えないと…

 

「わ、分かった…着替えるから待ってて…」

「おう…//」

 

その後、僕は急いで着替えるとクリスと共に街へ繰り出した

 

だが…

 

「「((会話が続かない…))」」

 

こういう時どういう会話をしたらいいか分からない僕達は…全くもって話すこと無くジュエリーショップに着いた

 

「……」

 

クリスは黙ったままネックレスや指輪といった類の物を見始める

 

「女の子らしくなったな〜…」

「っ…!」

「っご、ごめん…」

 

思わず口に出してしまい、クリスに睨まれてしまった

しばらくしてレジから戻ったクリスは、小さな紙袋を僕に渡す

 

「えっ?」

「…いいから付けろ…」

 

僕は紙袋を開けて中身を取り出した

そこには水色の長方形のクリスタルを中心に、デザインがあしらわれたネックレスがあった

まるで…

 

「ジードみたい…?」

「許可なんか取ってねぇだろうけど、イメージした奴らしい…」

「…ありがとう」

 

僕はネックレスを付けた

まだあんまり慣れないけど、ずっと付けておこう

すると、クリスもネックレスを巻き付けた

僕のがプリミティブだとすれば、クリスはロイヤルメガマスターみたいなデザインだった

 

「クリス…もしかして…」

「…お前がいつか帰らないといけないことくらいわかってるよ…けど、思い出くらい…良いだろ…」

 

そっぽを向いてるクリスは耳が真っ赤になっていた

 

「そっか…じゃあ…僕も答えないとね…」

「へ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すぅ…僕はクリスが好き…」

「ひ、ひゃぃっ!?おまっばばっ!バカぁっ!?今言うのかよっ!?///」

 

クリスはあたふたとしているが、だんだんと落ち着いてきた

 

「…クリスは?」

「…言わせんなよ…決まってんだろ…」

 

クリスは言葉の代わりに、ゆっくり近付いて僕に抱きついた

僕はそっと抱きしめ返す

 

「…じゃあ…楽しもっか、今から」

「…やっさいもっさい…」

「……どういう意味?」

 

そこからはほんとに楽しかった

2人でクレープを食べたり、UFOキャッチャーでぬいぐるみを取ったり

はたまたそこの屋上でゴーカートで遊び、ソフトクリームを食べさせあったり

…今までお互いに遠慮していた分、すごく楽しんだ

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「っはぁ…やっぱり一人より二人だな…」

 

改めて自分が、一人で居るタイプじゃないと自覚した

こうして、戦わず、平穏な日々を送ること

最近できていなかったなと思った矢先だった

 

「おい、なんか様子が変じゃねぇか?」

 

クリスが指差す先にはスカイタワーがあった

その周りを何かが飛んでいる

よく目を凝らしてそれを見ると突如、それがスカイタワーにぶつかり爆発した

 

「ノイズだ!」

 

僕は思わず駆け出そうとするが、クリスに手を掴まれる

 

「クリス…!」

「あたしが行く!お前は戦うな!」

 

クリスは聖詠を行いながらスカイタワーへと走っていった

 

怪獣が居ない以上、ゼロも出てこないだろう

だが不甲斐ない

そんな想いが僕を蝕んだ時、声が聞こえた

 

《良いのかい、ボーッと突っ立っていて…》

 

トレギア…

僕はこの声に心底苛立ちを覚えた

 

《スカイタワー…誰が居たか覚えていないのかい?》

「まさか…響達をどうするつもりだ!」

《私は何もしない…でも…》

 

突如空間が歪み、一種のモニターのようなものが空中に浮かぶ

そこには、タワーから落ちそうになっている響を、腕一本で踏ん張る未来の姿があった

 

「響!未来!」

《君がフュージョンライズして飛んでいけば、2人は助かるかもしれない…君は自分の命を選ぶのか、それとも、友人の命を選ぶのか》

「どっちもだ!」

 

僕は周りを見渡し、倒れた自転車を見つけるとそれに乗りスカイタワーへと急いだ

 

しばらくしてあと少しでスカイタワーという所で、声が聞こえた

 

((いつか、本当に私が困った時、未来に助けてもらうから…今日はもう少しだけ、私に頑張らせて))

((私だって…守りたいのに…!))

 

響と未来の声だ

 

響はガングニールを纏おうとしているんだ!

ダメだ!君はそれ使ったらいけない!

 

僕は一心不乱に自転車を漕ぎ、ようやくスカイタワーの足元まで来た

すると未来の絶叫が聞こえた

 

((響ぃぃぃぃいいいいいいっ!!!))

 

直後、ガングニールを纏った響が着地した

 

その衝撃で僕はバランスを崩した

 

「うわっと!?」

「リク君ごめん!今は未来を助けないと!」

 

響が再び上を向いた時だった

未来が居た場所にエネルギー弾が飛んでいき……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()()した

 

「っ!……」

「っ…み…未来ぅぅぅぅううううっ!!!」

 

響は走馬灯のように巡る未来との思い出に胸を打ちひしがれる

 

「あっ…あぁっ…どうしてっ…こんなことに…!」

 

響はガングニールが解けながら膝をついて涙をこぼす

瞬間…僕の中に激しい憎悪が巡る

 

誰だ…未来を殺したのは…誰ダ…

ゆっくり後ろ向いた

そこには、ギャラクトロンMark2の姿があった

 

「お前が…未来を…お前っ…ガっ…ミ来…ミクヲッ…!!」

 

僕の怒りが、響の悲しみがジードライザーの色を反転させていた

だが…アイツヲ…ブチノメセルなら…かまワない…

 

「ううぅ…

 

 

 

 

 

うわぁぁぁぁぁぁぁアアアアアアアアア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙っ!!!!ガゥッ!!!

 

がむしゃらにジードライザーを起動し巨人へ()()する

 

《フュージョンライズゥ…!ウルトラマンジード、プリミティブ…》

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

現場へバイクを走らせていた翼

だが突然ゼロが意識を乗っ取りブレーキをかけた

 

「何をする!?」

「《見ろ!》」

 

翼が視線を向けた先にはギャラクトロンMark2、そしてその目の前にジードが降り立つのが見えた

 

「朝倉…!」

 

だがそれだけではなかった

 

降り立ったジードは胸に紫の光を灯して、全体的に黒く見え、その目も真っ赤に輝いていた

 

「あれは?!」

「《やべぇ…リクの奴…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()()してやがる》」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




【次回予告】

クリス「一体いつからこうなんだ…てんであたし達…バラバラじゃねぇか…やっぱり…あたしに幸せになる資格なんか…」

ガイ「次回、戦姫絶唱シンフォギアG 響くぜ絶唱」

【降臨・神獣鏡】

未来「これだけが、響を助けられる方法…」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第9話 降臨・神獣鏡 【前編】

ガイ「何処かでは愛を知るために愛を求め、何処かでは愛を確かめるために愛を伝えた、その美しいサイクルも、一つの憎しみで砕け散る
そして、それがもたらしたのは、ジードの暴走だった
これを彼女達がどう乗り越えるか…そして、愛憎の戦士が生まれる」


「なんだよ…あのジードは…!」

 

ノイズを迎撃していたクリスは、現れたジードの姿に目を見張る

フィーネと名乗ったウルトラマンも、禍々しいオーラを放っていた

だがあれは禍々しいなんてものじゃない

一言で言えば……()()

本能的に獣の威嚇に似た恐怖が刻み込まれていく

 

ジードは大きな咆哮をあげると数歩走り、ギャラクトロンMark2(以下ギャラクトロン)に飛びかかる

そのままマウントを取ったギャラクトロンに対して、ジードは引っ掻くような攻撃を浴びせた

攻撃の度にギャラクトロンのボディに指と同じ数だけの切り傷が刻まれていく

ジードは無理矢理ギャラクトロンの体を引き起こすと、そのまま腕を引きちぎった

そして、その腕を武器にしてギャラクトロンに叩き付ける

その戦いざまはまるで…

 

サンダーブレスター……

「な、なんだそれは?」

 

ゼロが呟いた聞きなれぬ単語を翼は聞き返す

 

「俺達と一緒に戦った、ウルトラマンオーブの姿の一つだ、あいつの父親、ベリアルの力を使ってるせいか…あんな風に荒れた戦い方をすんだよ…」

 

ゼロが苦々しそうに話す

 

ジードはギャラクトロンの首を締め、立ち上がらせると空中に放り投げレッキングリッパーでギャラクトロンを木っ端微塵に吹き飛ばした

ジードはけたたましく咆哮する、まるで獣のように

 

「(少しずつ何かが狂って壊れていきやがる…あたしの居場所を蝕んでいきやがる!)」

 

クリスはいまだ残るノイズに向かっていく

 

「♪Hyaha! Go to hell!! さぁスーパー懺悔タイム!地獄の底で閻魔様に 土下座して来い!

(ノイズ!! あたしがソロモンの杖を起動させてしまったばかりに)」

 

ノイズを迎撃しながら気づいた

ソロモンの杖を起動させたのは誰だ?

 

そう、他でもない自分だ

つまり…

 

「♪Hyaha! Go to hell!! もう後悔はしない 守るべき場所が出来たから!

(何だ・・・悪いのはいつもあたしのせいじゃねぇか…あたしは!)

もう逃げなぁァァァァァい!!」

 

“MEGA DETH FUGA”

 

2つの巨大ミサイルがノイズを潰した

 

「はぁ…はぁ…はぁ…」

 

クリスは呼吸を整えるとジードを見た

 

「ウガァァァッ!ガウッ!ウゥッ!」

 

ジードは暴れ足りないと言わんばかりに、ビルを崩す

一応ノイズを敵と認識しやっているようだが、明らかにオーバーキルな上に被害が増える

 

そこへゼロが現れた

 

【〜♪ウルトラマンゼロ ピンチ】

 

「おいジード!目ェ覚ませ!」

 

ゼロがジードに組み付くが、ジードはヤクザキックでゼロを吹き飛ばす

 

「グゥオッ!?」

「(な、なんて力だ!?)」

 

翼も今までの比じゃないジードの力に恐怖を感じていた

 

「これじゃあルナミラクルゼロでも浄化出来るか…っ!」

「(しかし、剣がここで折れるわけには!)」

 

その時、翼の目の前が突然光り、4つのアイテムが現れた

 

「(これは…ゼロアイにウルトラカプセル、それにライザー!?)」

「使ってみろ!コイツが使えなきゃ、俺はしばらく変身できない方法を使うしかねぇ!」

 

翼はライザーを掴むと脳内のビジョンに従い、ゼロアイを装着した

そしてカプセルを起動させる

 

「(ギンガ!オーブ!)」

 

スイッチを入れると2人の戦士が向かい合わせに現れる

 

「ジィアッ!」

「ショウルァッ!」

 

それをナックルに入れるともう1つのカプセルを起動させた

 

「(ビクトリー!エックス!)」

 

「フッ!」

「イーッスァァーッ!」

 

それもナックルに入れるとライザーを起動させて、読み込もうとするが電撃が走り、まるで反発してるようにスキャンさせることが出来ない

 

「(な、何故だ!何故力を貸してくれない!!)」

「やっぱりか…」

「(私の剣は、お前達の力を預けられるにあらずなのか!グアっ!?)」

 

突如、カプセルが強烈な光を放つと、カプセルは4本に分裂してしまった

 

「…やるしかねぇか…」

 

ゼロは眩いばかりに身体を輝かせた

その光が収まった時、そこには青くなった目に、変化したカラータイマーを持つ銀色のからだに、金のプロテクターを纏った、今までとは全く違うゼロの姿があった

 

「シャイニングウルトラマンゼロ…!」

 

ジードは構わずこちらに走ってくるが、シャイニングゼロは手をかざして念力のようなものでジードを吹き飛ばした

 

「…シャイニングスタードライブじゃ範囲が選べねぇ…もしベリアルを蘇らせちまったら、また世界が闇に包まれる」

 

そう言うとゼロは倒れているジードのカラータイマーに手を当て強烈な光を再び放つ

 

「シャイニング…ゼロレクター…!」

 

ジードは呻き声をあげながら苦しみ出す

そして、皆の視界が奪われ、それが戻った時、ゼロとジードの姿はそこにはなかった

 

しかし、4つの光がゆっくり落ちていくのを見た人が居たという

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ヘリキャリア内

 

マリアは強化ガラスに拳を打ち付ける

 

「この手は血に汚れている…セレナ…私には…もうっ…うわぁぁぁぁっ!!」

「教えてマム…何があったの…」

 

調は訳が分からず、マムに問い掛けるが答えたのはマムではなかった

 

「それは僕が答えましょう」

 

ウェルだ

 

「ナスターシャは十年を待たずに訪れる月の落下より、一つでも多くの命を救いたいという私たちの崇高な理念を……米国政府に売ろうとしたのですよ」

「マムっ」

「本当なのデスか!?」

 

マムはそれに沈黙で答える

 

「それだけではありません。マリアを器にフィーネの魂が宿ったというのも、とんだデタラメ。ナスターシャとマリアが仕組んだ狂言芝居」

 

「…マリアがフィーネじゃないとしたら!!」

 

つまり、あの力は本当にフィーネのもの

自分か調、どちらかは本当にフィーネになろうとしている

それが切歌は恐ろしくてたまらなかった

 

気づけば外は暗くなっていた

 

「マム、マリア。ドクターの言っていることなんて嘘デスよね……」

「本当よ… 私がフィーネでないことも。人類救済計画を一時棚上げにしようとしたこともね。」

 

 

スカイタワーの惨劇、あれこそ、マリア達と米国政府の交渉の結果なのだ

ノイズ、そして怪獣を呼び出したのはウェルだが、米国政府はマリア達を消そうとしていた

正当防衛ではあるが、ウェルの思惑は違う

マムが渡した情報により、講話が結ばれれば自分達の優位性が無くなる

それを恐れたのだ

調と切歌はウェルに対して構える

しかし、ウェルを庇うようにマリアが立ちはだかった

 

「マリア?」

「どうしてデスか!」

「偽りの気持ちでは世界を守れない。セレナの想いを継ぐことなんて出来やしない、全ては力。力をもって貫かなければ、正義を成す事などできやしない。世界を変えていけるのはドクターのやり方だけ。ならば私はドクターに賛同する!」

 

結局は己の迷いがこの事態を引き起こし、無駄な血を流す事になった事をマリアは後悔していた

そのせいで、マリアは今覚悟を決めてしまった

 

「そんなの嫌だよ。だってそれじゃあ、力で弱い人たちを抑え込むってことだよ…?」

 

調の不安そうな声を遮るように了承の声が上がった

 

「わかりました……それが偽りのフィーネではなく、マリア・カデンツァヴナ・イヴの選択なのですね」

「どうやらソラの方も、偶然ですがカプセルを4本手に入れたようですし?計画の軌道修正に忙しくなりそうだ、来客の対応も忙しくなりそうだ」

 

来客ーーーーーーーーーーーーーー

 

ヘリキャリア内の牢屋

 

そのビーム状鉄格子の中には

 

 

 

 

 

 

 

 

小日向未来の姿があった

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第8話 降臨・神獣鏡 【後編】

あの惨劇の後、響もリクもメディカルチェックに入った

ゼロも念の為、2人に付いている

残ったクリスは翼と共にファミレスに入っていた

 

クリスはナポリタンを子供のように口の周りを汚しながら食べている

 

「なんか頼めよ?奢るぞ?」

 

翼はそっぽを向く

 

「夜九時以降は食事を控えている」

「そんなだからそんななんだよ」

「何が言いたい!用がないなら帰るぞ!?」

 

煮え切らないようなセリフに翼はテーブルを叩いて立ち上がる

 

「怒ってんのか?」

 

翼は口を噛み締めるように話し出す

 

「愉快でいられる道理がない! F.I.S.のこと。立花のこと。そして仲間を守れず、その剣を奮うことすら叶わなかった私の不甲斐なさを思えば……!」

 

クリスはフォークを置く

 

「呼び出したのは、一度一緒に飯を食ってみたかっただけさ、腹を割って色々話しあうのも悪くないと思ってな。」

 

翼の眉が動いたのにクリスは気付かない

 

「あたしら、いつからこうなんだ?目的は同じはずなのに、てんでバラバラになっちまってる。もっと連携を取り合って…」

「雪音」

「お?」

「腹を割って話すなら、いい加減名前くらい呼んでもらいたいものだ」

「はぁっ!?それはお前っ…」

 

クリスが顔を赤くしているうちに翼はさっさと出て行ってしまう

 

「おい待てって!確かにそうかも知んねぇけどよ!」

 

クリスが追いかけるように支払おうとすると店員に止められた

 

「あ、先程お知り合いと名乗る方が払われましたよ??」

「へ?」

 

クリスが外に出ると、翼がバイクの傍にいる男と話しているとこだった

 

「おい、知り合いか?」

「知り合いであろうはずがない」

「ふっ、まぁどっちでもいいけどよ」

 

男は帽子を外す

 

「人間は完璧じゃない、完璧を目指そうとすればするほど、自分の実力の無さに絶望するもんだ」

「何を知った口で!」

「だが、自分に出来ないことは、仲間がカバーしてくれる…仲間を信じろ?」

 

そう言うと男はラムネを2本置いて、クリスの口元を拭き始めた

 

「あっちょっ、お前っ!?」

「お前はなんなのだ…私達の何がわかる?」

「俺は夕陽の風来坊だ、()()()()()()()()()()

 

「「!?」」

 

突如、突風が吹いて2人は顔を覆う

視界を取り戻した時には、彼の姿はなかった

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

数日後

 

響、翼、クリス、リクは司令室に集められた

そこにはゼロの姿もあった

 

「ゼロ、平気か?」

 

翼はゼロに問いかける

 

「おうよっ!…って答えてぇとこだが、そうでもねぇ。やっぱシャイニングの力はかなりダメージが入る…」

 

ゼロは胸の辺りを抑えた

リクは拳を握り締めるがゼロはそれを見て答える

 

「リク、あまり思い詰めんな、お前はギガファイナライザーを使えるようになった時何を学んだ?それを忘れんな」

「ゼロ…ありがとう」

 

リクは拳を開いて、深呼吸する

 

「そんな事より朗報だ、ほら、オッサン」

 

ゼロの声を聞き、響に弦十郎が何かを渡す

それは、皆も持っている特異災害対策本部2課の通信機だった

 

「師匠…これは?」

「スカイタワーから少し離れた地点より回収された、未来くんの通信機だ」

 

4人は息を呑む

 

「発信記録を辿った結果、破損されるまでの数分間、ほぼ一定の速度で移動していたことが判明した」

「それって…まさか!」

「あぁ、未来は死んじゃいねぇ、何者かによって連れられ、拉致されたと見るのが妥当なとこだ」

 

ゼロの声に響の目に光が灯る

あの日

離してはいけない手を離し、もう二度と取り戻せない暖かい場所を喪っていた響にとって、これ程の朗報は無かった

 

「よし、こんなとこで呆けてる場合じゃないだろう、気分転換に体でも動かすか!」

 

弦十郎の声に響が元気よく返事を返す

リクも続く

 

ーーーーーーーーーーもう…揺さぶられないためにーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

【〜♪英雄故事】

 

海沿いの道に朝日が灯る

夜明けである

その中を走る5つの影

弦十郎、響、リク、翼、クリス

 

そして歌が始まる

 

「♪憑自我 硬漢子 挨出一身痴、流汗血 盡赤心 追尋大意義」

 

弦十郎の歌がどんな意味を持つかは分からない

だがみな必死に進む為、走る

まぁツッコミはあるが

 

「何でおっさんが歌ってんだよ! ってか、そもそもコレ何の歌だ? 大丈夫か?」

 

それに答えるのは出力を抑えるため、久しぶりにウルティメイトブレスの中へ入り、翼に装着してもらったゼロだ

 

「うだうだ言わねぇで走れ、遅れてんぞ」

「こんの〜っ…!」

 

そんなコントじみた会話を他所に、響は覚悟を決め直す

 

(そうだ。うつむいてちゃダメだ。私が未来を助けるんだ!)

 

その後、様々な特訓がなされた

 

一つ、足を鉄棒に引っ掛けてぶら下がり、頭の位置にある水壺から足の位置にあるバケツへ、2つのコップを使い、腰を曲げて移す訓練

 

一つ、ひたすら縄跳び

 

一つ、弦十郎が運転するジープをひたすら避ける訓練

 

一つ、空気椅子のような状態で肘を水平に伸ばし、頭、肘、膝に水を入れたカップを置いて行う訓練

 

一つ、冷凍庫に入り、ぶら下がってる豚肉を拳で叩く訓練

 

そして、走って山登り

 

それが終わった時、クリスはヘロヘロになり肩で息をしていた

意外と平気そうなリクに背中をさすられながら…

 

(どいつもこいつもご陽気で…あたしみたいな奴の場所にしてはここは暖かすぎるんだよ)

 

そんな風に思っていた

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ヘリキャリア

その中ではマリアがヘリキャリアを運転し、マムは横になっていた

 

「マムの具合はどうなのデスか?」

 

切歌が不安そうに聞くと、マリアはあくまで冷静に答える

 

「少し安静にする必要があるわ、疲労に加えて病状も進行しているみたい」

「そんな…」

 

調はその事実に改めて胸を痛める

そこへウェルも現れる

 

「つまり、のんびり構えてられないということですよ!月が落下する前に、人類は新天地にてひとつに結集しなければならない!その旗振りこそが、僕たちに課せられた使命なのですから!」

 

調と切歌がウェルを睨むとブザーが鳴り響く

映し出されたのは1隻の船

 

「米国の哨戒艦艇デスか!?」

「こうなるのも予想の範疇… せいぜい連中そう派手に葬って世間の目をこちらに向けさせるのはどうでしょう?」

「そんなのは弱者を生み出す強者のやり方…」

 

調がウェルに反抗するとマリアはウェルに肯定した

 

「世界に私たちの主張を届けるためには格好のデモンストレーションかもしれないわね」

「マリア…」

「私は、私たちはフィーネ。弱者を支配する強者の世界構造を終わらせるモノ。この道を行くことを恐れはしない!」

 

変わってしまったマリアに、調はどうしたらいいか分からなくなっていた

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

一方ノイズの発生は2課にも届いた

翼は先陣を切って先に向かう

 

「応援の準備に向かいます!」

「翼さん!わ、私も!」

 

この期に及んで出撃しようとする響をクリスとリクが止める

 

「響!ダメだって!」

「死ぬ気かお前!」

「うっ…」

 

あまりの迫力に響は口を開けない

クリスは思わずつかんだネクタイを直した

 

「ここにいろって! な? お前はここから居なくなっちゃいけないんだからよ……リク、頼む」

「うん、気を付けて」

 

クリスも出撃準備へと向かった

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ヘリキャリアのモニターでは海兵隊が、次々ノイズに殺される様子が映し出されている

マリアはそれを見て、唇を血が出るほど噛み締めた

 

「こんなことがマリアの望んでいることなの? 弱い人達を守るために本当に必要なことなの?」

 

調が問いかけた内容にマリアは答えない

だがその表情は苦しそうだ

 

調は覚悟を決めるとヘリキャリアのドアを開く

 

「調、何してるデスか!?」

「マリアが苦しんでるなら、私がマリアを助けてあげるんだ!」

 

そして彼女は躊躇いなく空へ舞った

 

Various shulshagana tron…

 

その身にシュルシャガナを纏いながら落ちていく調を切歌は追いかけようとするが、その肩をウェルが掴む

 

「連れ戻すならいい方法がありますよ」

 

調は降り立つ直前、幾つもの丸鋸を飛ばし、ノイズを消し去る

哨戒船に降り経てば、ローラースケートを作り出し、滑りながら多彩な技でノイズを葬る

 

だが一瞬の隙をついて、ギアを仕舞いこんだ調を生き残りのノイズが襲う

今開いても迎撃には間に合わない

万事休すか?

 

否、突如斬撃がノイズを切り裂くとそこに切歌が降り立った

 

「切ちゃん!ありが…」

 

プスッ

 

調の体内に何かが注射された

直後、調はギアが馴染まず生身に戻ってしまった

 

「あたし、あたしじゃなくなってしまうかもしれないデス…そうなる前に何か残さなきゃ、調に忘れられちゃうデス」

「切りちゃん?」

 

言ってる意味が分からず、調は聞き返す

 

「例えあたしが消えたとしても、世界が残れば、あたしと調の想い出は残るデス、だからあたしは、ドクターのやり方で世界を守るデス。もうそうするしか…」

 

直後、海の中から何かが飛び出す

ミサイルポッドのようなそれはカバーが開くと、中から翼とクリスが飛び出した

2人は調と切歌を即座に無力化させた

翼は切歌に刀を突きつけ、クリスは調の腕を固める

 

「切歌!」

 

マリアが叫ぶとウェルはフヒヒッと笑う

 

「ならば、傾いた天秤を元に戻すとしましょうよ… 出来るだけドラマティックに、出来るだけロマンティックに……」

 

ウェルが操作するコンソールを見てマリアは気づいた

 

「まさか、あれを!?」

 

 

そして、歌が響く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Rei shen shou jing rei zizzl…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

直後に空が光り、そこから哨戒船の上に何かが落ちる

 

煙が少しずつ晴れていくと、2課のメンバーは皆が息を飲んだ

 

「なん...だと…」

「嘘だろ…」

「なん……で……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「未来っ……!?」

 




【次回予告】
マリア
「そんな筈はない!あの人はあの時!居なくなったのよ!哀しみにくれた私達を放っておいて!肝心な時に居なくなった!!だから…また現れるはずなんか無いのよ!」

マム「……次回、戦姫絶唱シンフォギアG 響くぜ絶唱…」

【再来の巨人】

ガイ「光の力、お借りします!!」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第9話 再来の巨人 【前編】

今回はあらすじ無しです
感想頂けると励みになります


「神獣鏡をギアとして、人の身に纏わせたのですね」

 

操縦するマリアの横にマムが特殊な車椅子を転がし現れる

 

「マム! まだ寝てなきゃ!」

 

しかし、マムは続ける

 

「あれは、封印解除に不可欠なれど、人の心を惑わす力、あなたの差し金ですね! ドクター」

「フン。使い時に使ったまでのことですよ」

 

ウェルの言っていた来客の対応

それは即ち、未来の神鏡獣への適合化だった

 

「マリアが連れてきたあの子は融合症例第1号の級友らしいじゃないですか…」

 

マムが推察を固めた

 

「リディアンに通う生徒はシンフォギアへの適合が認められた装者候補たちつまりあなたのLiNKERによって、あの子は何もわからぬまま無理やりに……」

「ンッンッ〜…ちょっと違うかな?LiNKER使ってホイホイシンフォギアに適合出来れば誰も苦労はしませんよ、装者量産し放題です」

「ではどうやってあの子を…」

愛!ですよ!

何故そこで愛ッ!?

「LiNKERがこれ以上級友を戦わせたくないと願う想いを神獣鏡に繋げてくれたのですよッ!ヤバいくらい麗しいじゃないですか!!」

 

ウェルはケハハッと甲高い笑い声を上げる

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「どうして……」

 

助けたかった彼女が戦場にいる

信じたくないが見間違うはずもない

2課の全員がハンマーで頭を殴られたような衝撃を受けていた

 

しかし、動き出した未来にクリスが反応した

 

「こういうのはあたしの仕事だ!」

 

クリスはボウガンで応戦し、未来はそれを避けながら反撃をする

 

「脳へのダイレクトフィードバックによって己の意志とは関係なくプログラムされたバトルパターンを実行!さすがは神獣鏡のシンフォギア。それを纏わせる僕のLiNKERも最高だ!」

 

戦闘の様子を見るウェルは歓喜の声をあげる

しかし、マムは快く思っていないようで苦言を呈する

 

「それでも…偽りの意志ではあの装者たちには届かない」

 

マリアも思うところがあるのか視線を逸らす

 

数発の弾丸が未来に当たり、そのまま体が曲がる

その様子を響は見ていられずひたすら謝罪する

 

(ごめん……ごめんね…)

 

それを察したのか、弦十郎は響の頭に手を乗せ、リクは手を握る

 

「師匠…リクくん…」

 

直後、クリスのはなったミサイルと共に未来が甲板に叩きつけられる

クリスが近付くと、瓦礫の上に未来は倒れていた

 

「今外してやるからな」

 

ギアに手をかけたその時だ

 

「女の子は優しく扱ってくださいね、乱暴にギアを引き剥がせば、接続された端末が脳を傷つけかねませんよ」

「っ!?」

 

突如響いたウェルの声と事実にクリスは手を引っ込めた

 

未来はその隙に動き出した

彼女は手に持つ武器を叩きつけようと振るう

クリスは後ろにさがりそれを避けるが、武器が突然展開した

 

「避けろ!雪音!」

 

展開した武器にエネルギーが溜まると、幾つものビームとなり放出された

 

閃光

 

クリスは間一髪カラダを反らせ、それを避けた

 

「なんだそのちょせぇの!」

 

だが未来は更に技を放つ、先程より大きな鏡が展開されそれは解き放たれる

 

流星

 

クリスだけなら避けられる

しかし後ろを見ると調の姿

 

(避けるわけにはいかねぇだろ!)

「だったらぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁ!!!!!」

クリスは彼女の盾になるべく、リフレクターを発動させた

 

その盾は一応は弾かれる

だが何かが違う

クリスはそれを感じていた

 

「調!今のうちに逃げるデス!消し去られる前に!」

「何っ!?」

「(アイツまさか、敵も味方も関係なしか!?)」

 

クリスは自分に言い聞かせる

 

(イチイバルのリフレクターは月をも穿つ一撃をも偏光出来る… そいつがどんな聖遺物から作られたシンフォギアか知らないが、今更どんなのぶっこまれたって……)

 

なのに……

 

「なんで押されてんだよ!!」

「無垢にして苛烈。魔を退ける輝く力の奔流……これが、神鏡獣のシンフォギア…」

 

調は冷静に判断しているが、よく見ればリフレクターがどんどん分解されている

このままでは…

 

その時、巨大な剣がクリスの前に突き刺さる

一瞬とはいえ隙が出来た

 

「呆けない!」

 

その隙をついて、翼はクリスと調を掴み距離をとり始める

だが“流星”は追いかけてくる

翼は幾つも天ノ逆鱗を使い防ぐが、まるで溶かすように剣を貫いて3人を狙わんとする

 

(横に躱せば減速は免れない! その瞬間に巻き込まれる……!)

「(だったら道は1つだ!!)」

 

突如、天ノ逆鱗は3人の前に刺さった

 

「どん詰まり!?」

 

「喋っていると…!」

「《舌を噛むぜえぇぇぇ!!!》」

 

翼の声がゼロに切り替わると剣を滑り、上空へ舞い上がった

 

これにより“流星”は虚空の空を彩るに留まった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第9話 再来の巨人 【後編】

不気味な光を放つ神鏡獣の狙いは…

 

変わらず翼達

だが叫ぶ声が聞こえ、そちらを向く

 

「やめるデスッ! 調は仲間! あたしたちの大切な……」

《仲間と言い切れますか? 僕たちを裏切り、敵に利する彼女を…月読調を仲間と言えますか!》

 

切歌は目を見開いて、後悔するように口を噛み締める

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だがその時だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【〜♪オーブニカ】

 

 

 

「な、何だこの歌は?」

「懐かしい…っつうか、優しい?」

 

だがこの曲、聞いた事がある人物が3人

 

「これって…!」

「あの時の…デスかっ!?」

「(これは…来たんだな…アイツ!)」

 

この曲は清く響きわたり、ヘリキャリアにも、2課潜水艦の中にも聞こえていた

 

「な、なんで!?」

「上でもここでも聞こえるんだ!?」

 

友里と藤尭は困惑気味にパソコンを触るが、リクは笑みが零れていた

 

「この曲はっ…!!!」

 

だが反対に…マリアは穏やかでは無かった

 

「やはりこの曲…ガイ…」

「そんな筈はない!あの人はあの時!居なくなったのよ!哀しみにくれた私達を放っておいて!肝心な時に居なくなった!!だから…また現れるはずなんか無いのよ!」

 

ウェルは慌てて見渡す

すると、その男は、甲板より少し高い位置にいた

ブラウンのロングコートにハーモニカのような笛

姿を見れば、クリスと翼もわかった

 

「あの男!」

「あん時のか!!?」

「ガイさん!」

「どうしてこんなとこにいるデスか?」

 

だが、響がとある事に気づいた

 

「未来!?」

「んっ?苦しんでる…?」

 

今気付けば、神鏡獣を纏う未来が頭を抑えて苦しんでいるのだ

 

「うっ、ううっ!ぅぅぅぅっ!!!」

 

だが意に止めず、ガイはそれを吹き続ける

すると、神鏡獣の頭のパーツがスパークし、未来はガックリ項垂れ、倒れた

 

そこまでして、ガイはようやく笛を止める

 

「よし、これで彼女は大丈夫だ!」

 

しかし…

 

「またお前かァァァ!!風来坊ゥゥゥッ!!」

 

ウェルがソロモンの杖を使い、ノイズを召喚した

ノイズはその様をみていた海兵隊

そしてガイにむかっていく

 

「ノイズを放ったか!?」

「ガイさん!逃げるデス!」

「ガイさん!」

 

だが、ガイは何も言わずに剣を取りだしそれを振るった

 

【〜♪クレナイガイ 戦いのテーマ】

 

すると、ノイズはいつかのように再び炭へ還元された

 

「まさか!アイツがガキを助けたっていう男か!?」

 

クリスはいつかの事件を思い出し、その時の男を思い出した

いくらノイズを差し向けても、ガイが炭素へ変わることはなく、ウェルは業を煮やした

 

「うぅぅぅっ!これならどうだ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

\グランドキング!ハイパーゼットン!/

 

 

 

 

【〜♪魔王獣】

 

2体の怪獣は船のすぐ近くに降り立つ

一つはトレギアより授かり、一つはマリアから預かったカプセルで召喚したのだ

 

「切ちゃん!」

「調!!」

 

怪獣が現れた事により発生した波が船を揺らし、調は海上に落ちそうになってしまう

間一髪、切歌が手を掴むが揺れ動く船

クリスは、未来の元へ

翼すら上手く立ち回れない

 

怪獣の狙いはガイ

彼を狙って攻撃が行われる度に、船が揺れ力を入れられないのだ

 

「ウェル!やめて!調と切歌が!」

 

マリアはウェルに掴みかかるが、ウェルはマリアを振り払う

 

「うるせぇよ!!殺してやる風来坊!!」

 

だがマリアが掴みかかった事で隙が生まれた

 

「今だ!ふん!」

 

ガイは輪っかのような御神体を取り出し、それを構えると光に包まれた

その光にハイパーゼットンの腕が叩きつけられ、船が大きく立ち上がる

 

「うわぁぁっ!!?」

「ぬわぁぁぁっ!!」

「調ぇぇぇぇ!!!」

「切りちゃァァァァァん!!!」

 

5つの体が宙を舞い、海面に叩きつけられようとしている

 

「未来ゥゥゥッ!!」

 

響の叫びがこだまする

だが、この一瞬の出来事だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ウルトラマンさん!」

 

ガイが一枚のカードをリングに通すと、光に変換され、ウルトラマンが現れる

 

ウルトラマン!「ヘアッ!」

 

「ティガさん!」

 

ガイがもう一枚のカードを通すと、3000万年前に生まれ、地球を救った太古の巨人、ウルトラマンティガへカードが変換された

 

ウルトラマンティガ!「デャッ!」

 

準備は万端

 

 

光の力、お借りします!

 

掛け声と共にガイはリングを掲げ、トリガーを引いた

 

フュージョンアップ!

 

すると、ガイの体は光り輝く別のウルトラマンとなり、その体にウルトラマンとティガが一体化する

そしてその姿は、光が剥がれるように顕になる

 

ウルトラマンオーブ!スペシウムゼペリオン!!

 

 

そして、光を纏った巨人は5人を手のひらに乗せて救出する

2課のメンバーは目を見張る

 

「あれは…」

「もしかして…」

「…もしかすると…!?」

「3人目の巨人…だとぉっ!?」

「そう!そうだよ!あれが僕と一緒に戦ってくれた!」

 

巨人は哨戒艦艇の上に、5人を置いた

 

「…3人目…」

「嘘だろ…」

「ガイさんが…」

「デスか?」

「(そーだ!あいつが俺をこの世界に来るのを手伝ってくれたウルトラマン…)」

 

「「ウルトラマンオーブだ!」」

 

【〜♪スペシウムゼペリオンのテーマ】

 

オーブは少しずつ、光が消え、その姿が顕になる

 

紫、黒、赤、銀の体、胸に点る輪っか状のカラータイマー

白い目に頭部にも光る一筋の紫の光

 

オーブはゆっくりと構える

 

「俺の名はオーブ、闇を照らして、悪を討つ!」

 

オーブはまずグランドキングに対して、ジャンプニーキックをかました

 

「ウゥオォウリャアッ!」

 

ある程度はグランドキングは怯むが、硬い装甲で守られているグランドキングは直ぐに腕の爪で反撃に出る

オーブはそれを掴むと、赤い部分を光らせ、艦艇から遠ざけるように投げ飛ばす

 

その後ろをハイパーゼットンが斬りつけようと、ワープし腕を振り上げるが、寸でのところで紫の部分が光ると、高速で移動し距離をとった

 

「なるほど、重量系とスピード系のコンビって訳か…」

 

オーブは2体に挟まれ、姿勢を低くする

2体は一斉に腕を振り下ろし、オーブを潰そうとする

オーブは敢えてそれを受け海に沈んだ

 

「ガイさん!」

「2対1じゃキツイデスよ!」

 

しかし、狙いは違う

ガイはインナースペースで再び、オーブリングを構える

 

「タロウさん!」

 

ガイが一枚のカードをリングに通すと、光に変換され、ウルトラマン兄弟NO.6と呼ばれる光の国の教官、ウルトラマンタロウが現れる

 

ウルトラマンタロウ!「トァァーッ!!」

 

「メビウスさん!」

 

ガイがもう一枚のカードを通すと、人間との絆を最も深めた、ウルトラマンタロウ直々の弟子、ウルトラマンメビウスへとカードが変換された

 

ウルトラマンメビウス!「セアッ!!」

 

ガイは腕を一瞬クロス、それを解き放つように両腕を広げ、ゆっくり左に腰を捻りながら下ろして叫ぶ

 

 

熱いやつ、頼みます!

 

掛け声と共にガイはリングを掲げ、トリガーを引いた

 

フュージョンアップ!

 

すると、ガイの体は光り輝くオーブとなり、タロウとメビウスが一体化する

そしてその姿は、光が剥がれるように顕になる

 

ウルトラマンオーブ!バーンマイト!!

 

 

直後、怪獣の間から声が響いた

 

「紅に燃えるぜ!ストビューム…ダァイナマイトォォォォ!!!」

 

【〜♪バーンマイトのテーマ】

 

ハイパーゼットンは吹き飛び、グランドキングも中心で起きた爆発の餌食となり、装甲がドロドロになっていた

そして、爆心地から燃え上がる炎の戦士、バーンマイトが姿を現した

 

「変わった!」

「なんかマグニフィセントみてーな角だな…」

「ソリッドバーニングみたい…」

「デスデス…」

 

オーブは拳を燃え上がらせると、何度もグランドキングを殴る

 

「デヤッ!」

 

かなりドスの効いた声と共に叩き込まれる拳は、グランドキングの装甲を溶かすには十分だった

そのボディに大穴が開いている

オーブは少し距離を取ると、右手を掲げ、左腰辺りに大きな動きで両腕を構え、体が虹色になったかと思うと、勢いよく右手を垂直に、左手を手首に添える形で十時を組んだ

 

ストビューム…光線!

 

腕から虹色の光線が飛び出すと、グランドキングの体内に蓄積され、最終的に大爆発をおこした

 

「よしっ!」

「アイツつぇぇじゃねぇか!」

 

翼とクリスは思わず拳を握る

直後、起き上がっていたハイパーゼットンが、オーブの背中に腕を叩きつけた

 

「グゥオッ!?…くっ、あとはお前だな!」

 

オーブはハイパーゼットンの攻撃を空中に飛んで避け、再びその姿を変える

 

「ジャックさん!」

 

ガイが一枚のカードをリングに通すと、光に変換され、ウルトラ兄弟4番目、得意武器はウルトラブレスレットのウルトラマンジャックが現れる

 

ウルトラマンジャック!「シェアッ!!」

 

「ゼロさん!」

 

ガイがもう一枚のカードを通すと、言わずもがな、ウルトラマンゼロへとカードが変換された

 

ウルトラマンゼロ!「デェェヤッ!!!」

 

ガイは左手を上へ、右手を水平に横に伸ばし、ゆっくり目元へリングを構えて叫ぶ

 

 

キレのいいやつ、頼みます!

 

掛け声と共にガイはリングを掲げ、トリガーを引いた

 

フュージョンアップ!

 

すると、ガイの体は光り輝くオーブとなり、ジャックとゼロが一体化する

そしてその姿は、光が剥がれるように顕になる

 

ウルトラマンオーブ!ハリケーンスラッシュ!

 

【〜♪ハリケーンスラッシュのテーマ】

 

再び振り下ろされた腕を寸前でワープでよけ、オーブはハイパーゼットンの後ろに立つ

 

「光を越えて、闇を斬る!」

 

その言葉と共に、オーブはハイパーゼットンに回し蹴りを入れた

 

「今度はゼロのように!?」

「いやいや流石に、見た目だけだろ…」

 

オーブスラッガーショット!

 

その言葉と共に、オーブは頭の角からエネルギーの刃、オーブスラッガーを飛ばす

 

「「「「やっぱりゼロ」だ…」ではないか!」なのデス!」

 

「(何を言ってんだこいつら…)」

 

ゼロが半ば呆れた時、オーブは手元に戻ったオーブスラッガーをクルクル回し新たな武器を生み出した

 

オーブスラッガーランス!

 

取り出した槍を使い、オーブはハイパーゼットンと互角の戦いを繰り広げる

ハイパーゼットンはいくつも火球を放つが、オーブはレバーを1度おろしボタンを叩き構えた

 

オーブランサーシュートォ!

 

刃の間から、光線が放たれ、爆発が起こる

オーブはそれによって出来た一瞬の隙をついて、ハイパーゼットンに刃を突き刺した

 

ハイパーゼットンは苦しみ蠢くが、容赦せずオーブは更なる技を発動した

 

ビックバンスラストッ!

 

エネルギーが流し込まれ、ハイパーゼットンは大爆発

 

つまり……

 

「(っしゃ!俺たちの勝ちだ!)」

 

その時だった

 

「あれ…私は…?」

 

聞き覚えある声に、クリスが振り向くと未来が意識を取り戻していた

 

「小日向っ!目が覚めたか!?」

「大丈夫か?痛てぇとことかねぇか!?」

「う、うん…ってこれシンフォギア…??」

 

未来はとりあえず無事のようだ

響はその様子を見て、涙をこぼす

 

「未来っ…よかったぁっ…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いただくぞ…神鏡獣!」

 

突如声が響き、ヘリキャリアから闇の波動が未来に降り注ぎ、翼とクリスを吹き飛ばす

声の主はソラだ

 

「アァっ!?くっ!きゃアッ!?」

 

苦しみ始める未来だが、クリスと翼は近付けなくなってしまう

 

「小日向ァッ!」

「おいっ!クソっ!」

 

未来はまだ抵抗しようとしているのか、涙をこぼす

 

「嫌っ!やめてっ!私がっ…したいのは…こんなっ事っじゃっ…!」

 

だがその手に握られたソラの使うライザー

そのトリガーは引かれてしまった

 

響いぃぃぃいいいぃぃぃぃぃぃぃいぃぃぃぃぃぃっ!!!

 

 

シンフォニックフュージョン…神鏡獣…!

 

 

そして現れたのはウルトラマンフィーネ

 

しかし、まるでウルティメイト・ガングニールのように未来が纏っていた神鏡獣のギアを纏っていた

言うなれば……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ウルトラマンフィーネ…神鏡獣……」

 

 

 

 




【次回予告】【〜♪覚悟は笑顔と共に、誇りのままに】

「私から陽だまりを奪うのは誰だ!お前か!?でも、こんな憎しみで戦うこと、未来は望まないよね、私、戦うよ、未来を助ける為に」
リク
「そうだ、これが…僕達の決戦だ!」

ソラ
「次回、戦姫絶唱シンフォギアG 響くぜ絶唱…」

【響け、歌え、そしてその先は…】

ソラ
「俺の本当の狙いは……



お前だ……


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第10話 響け、歌え、そしてその先は… 【前編】

リク
「ガイさんが来てくれた!」

「あの人凄く強いね!海の上なのに何処から来てたの?!とかあのメロディで未来のギアの洗脳解いちゃった?!とか思ってたけどウルトラマンなら納得だよ〜って!ウルトラマンフィーネが未来を取り込んだ!?」
リク
「まるで僕達のウルティメイト・ガングニールみたいだ、だったら立ち向かえるのは僕達だけだ…」

「うん、今度こそ未来を助けるんだ!」
リク
「よし、行こう。ジーッとしてても……」
響・リク
「ドーにもならない!」


「あれが…ウルトラマンフィーネ…」

 

オーブも困惑していた

突如現れた巨人に

その時、2課でギアの解析が終わった

 

「未来ちゃんのギアより発さられたエネルギー波は聖遺物由来の力を分解する特性が見られます!」

 

藤尭の解析に皆が息を飲む

 

「じゃあシンフォギアじゃ防げないってこと?!」

「シンフォギアを分解…ん?今はあいつと一体化してるならその力もあるはず…」

 

リクは何かに気付いて、響に耳打ちする

響は驚いた顔をするが、それしかないと括った

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「これがアイツもやっていた…シンフォニックフュージョン…」

 

ソラは自分の手をじっくり眺めている

 

「こうなったらウルティメイト・ガングニールしか…」

「だがあれは禁断の力だ、死を目の前にした2人を戦場に呼ぶわけには…」

 

ここで調は気付いた

 

「もしかして…あれがソラの狙い…」

「えっ?」

 

切歌は思わず聞き返す

 

「無垢にして苛烈、そんな神鏡獣の力を使えたのは歪ませられた愛、だからソラは…」

「前からあたし達やマリアに、愛が何かを聞いてたって事デスか!?」

「多分、私達に優しかったのも見よう見まね…」

「そんな…利用されてたんデスか…」

 

切歌と調は少なからず好意を持っていた

だからマムに怒られても、ウェルが嫌な奴でも、ソラが喜んでくれるなら我慢ができた

だがそれは仮染めの愛情、それに気付いた2人は完全に戦う意味を失った

切歌もイガリマを解除し、膝をつく

 

「ウルトラマンとシンフォギアの融合、どんなものか見せてもらうっ!」

 

オーブはウルトラマンフィーネへと向かっていく

 

「ギンガさん!エックスさん!痺れるやつ、頼みます!!」

 

その体を眩い光に包むと、攻撃力が上がり、雷が付与されるライトニングアタッカーへと変わった

 

「シュオアッ!」

 

その拳に2色の電撃を纏わせたパンチを繰り出す

しかし、フィーネは片手でその手を掴んだ

 

「何っ…?!グッ!??」

 

突如、オーブが苦しんだかと思うと、オーブの体がノイズが走るようにボヤけ始めた

 

「グワァァッ…」

「グゥオォッ…」

 

その体からフュージョンアップしてる戦士、ウルトラマンギンガ、ウルトラマンエックスの幻影が現れたかと思うと、オーブはオーブオリジンに戻され、カラータイマーが点滅を始めた

 

「どういう事だ…」

「神鏡獣の力の応用さ、貴様のフュージョンの繋がりを分解した」

 

それだけ言うと、彼は腕にエネルギーを貯め、解き放った

 

「シェンショウジンリッパー!」

「ウガァァ!」

 

オーブは海へ倒れた

カラータイマーの鼓動はより一層激しくなっていた

 

「こうなったらあたしが!」

 

飛び出していこうとするクリスの腕を翼が掴んだ

 

「怪獣ならいざ知らず、ウルトラマンと剣を交えられると思い上がるな!」

「だったらこのまま見てろってのか!」

 

このままじゃ何も変わらない

だがどうにも出来ない

 

その時だった

 

2課の潜水艦が急浮上、同士に水の渦巻きをあげながら、緒川が現れた

 

「お2人は他の方の救助へ!僕がこの2人を連れていきます!」

「アイツは!」

 

クリスの問い掛けに緒川は歯をかみ締め答えた

 

「…響さんとリクさんが」

「(なにっ!?)」

「お前分かってるだろ!?あの2人がどんな状況か!」

「だからです!」

「…教えてください、それはどう言う…?」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー回想ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「あのエネルギー波を利用して未来くんのギアを解除する、だとッ!?」

 

響の提案は自壊、あのエネルギーを利用し、シェンショウジンを分解し、未来を助けるというものだった

 

しかし、立ち向かえるのは…

 

「そのためにウルティメイト・ガングニールを使うというのか!?」

「あのエネルギーで、僕達と未来が同時に攻撃を受ければ、少なくともガングニールも分解出来るはずです!」

「っ…そうか、その手が…」

 

リクの狙いはそこだった

 

ガングニールを分解できれば少なくとも自分は戦線に復帰出来る

 

「過去のデータと現在の融合深度から計測すると、響さんとリクくんの活動限界は2分40秒になります!」

「たとえ微力でも、私たちが響ちゃんを支えることが出来れば、きっと……」

 

藤尭と友里は既に同意のようだ

弦十郎は2人に向き合う

 

「勝算はあるのか!」

 

「「…思いつきで数字を語れるものかよっ!」」

 

2人は揃えてこの言葉を突きつけた

弦十郎は豆鉄砲を食らったような顔になった

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「という訳なんです」

 

クリスと翼は、納得は出来ないが仕方ないという表情を見せる

 

「アイツららしい考えだ」

「朝倉は以前より見せていたが、頭がキレるな」

「(っ、たまーにそういうことあんだよアイツは…)」

 

よく見れば潜水艦から2人が出てきていた

 

「…行こう…僕達の決戦だ」

「うん、未来を…助けてみせる」

「2人は僕が守ってみせるよ」

 

2人頷きあい、拳を、ギガファイナライザーを構える

 

「「ジーッとしてても……ドーにもならねぇ!」」

 

 

リクはエボリューションガングニールカプセルを構えて、スイッチを入れる

 

「ウルティメイトガングニール!」

 

直後、響の体にガングニールが纏われた

リクはエボリューションガングニールカプセルをギガファイナライザーに装填し、ジードライザーで読み込む

 

 

アルティメットガングニール!!

 

リクはギガファイナライザーのスイッチを押し込み、響が聖詠を行う

 

Balwisyall nescell gungnir tron(喪失までのカウントダウン)

 

響のガングニールが外れ、インナーだけとなる

飛び回るガングニールを目にし2人は再び叫ぶ

 

響くぜ!絶唱!!

 

リクがスライドスイッチを作動させるとその体が光に包まれる

 

「ジィードッ!」

 

まずウルティメイトファイナルへと姿が変わり、その体に飛び回っていたガングニールが装着されていく

 

それが完了すれば、ジードは右拳を突き上げ、ぐんぐん巨大化しその姿を現す

 

その体は以前より赤みを帯びた発光を伴った体で、まずい状況なのは見て取れる

 

「来たか…弟よ…」

「僕はお前の弟なんかじゃない、お前は父さんの子供なんかでもない…!」

 

この一言は、ソラを怒らせた

 

「なんだと…ベリアルとかけ離れたようなお前が、言える口かァァ!!」

 

【〜♪Rainbow Flower】

 

フィーネはシェンショウジンの武器を取り出し、こちらに向かって飛んでくる

対してジードは拳を構えた

そして、空中で想いがぶつかり合う

 

《幾億の歴史を超えて

この胸の(Go) 問いかけに(Go) 応えよShine》

 

「お前は父さんの事を知らない!知った気になってるだけだ!」

「巫山戯るな!貴様のようなガキに、父さんの何がわかると言うのだ!」

「父さんはあの道を選ばざるを得なかった!仲間に見下されてると誤解して、強い力を手に入れようとして失敗し、追放され、苦しかった所をレイブラット星人に利用されただけだ!」

「嘘をつくなァァ!」

 

フィーネは蹴りでジードを突き飛ばすと、シェンショウジンリッパーを放つ

 

《焔より熱い想いよ 鋼鉄の(Go) イカヅチで(Go)

ぶっ飛ばせMy Gungnir》

 

「「ガングニールリッパー!」」

 

響とリクの声が重なり、リッパーがリッパーを撃ち消す

 

「貴方たちの事はこれっぽっちも分かってないと思う、でも!未来を利用した事だけは許さない!その為に、私は貴方を倒す!」

「知るか!結局は消える命!今更救ったところでェェ!!!」

 

フィーネが構えるのは、光線の構えだ

ジードも同じ構えをとり、その光線を解き放つ

 

「レッキングシェンショウジン!!」

 

「「レッキングガングニールッ!!」」

 

2つの光線はぶつかり合い、周りにも被害を及ぼした

 

《最速で最短で一直線に光った(Fly) 朝日を(Fly)

君と共に見たい(見たい) 今(今) 見上げよう》

 

「やっべ!」

「(退避だ!急げ!)」

「間に合うのか!」

 

3人が慌ててると、弾けた光線の余波が迫ってきていた

 

しかし、当たる寸前オーブがその身を盾にして3人、そして船を守った

 

「グァァッ!」

「(オーブ!!)」

「ゼロさん、皆!行きましょう!」

 

オーブは片手で2課潜水艦と艦艇を持つと、少し距離をとった

 

「これなら…!」

 

上空にいたマリアはヘリキャリアからシャトルマーカーを射出、展開すると、エネルギーの余波を反射させ、増加させていく

 

 

状況は最悪、引いてしまえば餌食となり未来を救えない

 

「グゥっ…」

「このままっ…じゃぁっ…」

 

だが、リクは響の歌の歌詞を聞いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()()()(()()) 伝え(伝え) 歌え(歌え)

全力で「一人じゃない」と届けたい》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「響け…そうだ!スゥゥゥッ…」

 

リクは息を吸い上げ、思い切り叫び、技を放つ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ガングニール!ロアー!」

 

 

ジードの口より放たれたのは超音波では無い

響の想いが歌となり、ジードの口をスピーカーとし、未来に届ける

 

かつて、その声で助けてくれたように

今度は私が

 

《響け(響け) 伝え(伝え) 歌え(歌え)

そしてッ!笑おう⋯!この世界には歌がある》

 

その思いは届いた!

 

「うグッ!?抵抗…するだとっ!?」

 

「(私は…響をもう戦わせたくなかっただけ…でも!それは間違いだった!!響を戦わせないんじゃない、響を…守りたいんだ!!)」

 

フィーネの光線がどんどん押されていき、レッキングガングニールがフィーネにぶち当たった

 

「今だ!!」

 

ジードは光線を止めると、フィーネに抱きつくように飛びかかり、そのまま飛行する

 

「未来!手を掴んで!!」

 

響はカラータイマーに見えた未来に向かって手を伸ばす

 

「響!!ここだよ!!」

 

それが聞こえた未来も必死に手を伸ばす

 

「皆を救う…絶対に……守ってみせる!!」

 

ジードは今だなお増幅されるシェンショウジンのエネルギー波の中に飛び込んだ

 

そして、響は未来と手を繋ぎあい…

 

 

 

光が拡がった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第10話 響け、歌え、そしてその先は… 【後編】

光が収まった時、そこに2体の巨人は居なかった

 

「リク…?」

「朝倉…」

 

2人が固唾を呑み、空を見る

 

そして…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「(来たっ)」

 

ゼロが声を出した瞬間、2課潜水艦の付近にウルティメイトファイナルのジードが降り立った

 

「グゥっ!」

 

カラータイマーもなり、ギガファイナライザーを杖にしてどうにか持ち堪えているようだ

 

「ジードッ!大丈夫か?」

「オーブさん…大丈夫です…」

 

駆け寄るオーブに対してジードは返事をすると、その手に輝く光を潜水艦の上に置く

 

それがうっすら消えると、響と未来の姿が現れた

 

「小日向!立花!」

「おい!」

 

翼とクリスは2人に駆け寄り、彼女達を起こした

 

【〜♪日常-親友】

 

「んっ…うぅ」

「ん、ふわァァ?」

 

未来と響はそれぞれ目を覚まして、周りを見る

 

「生き…てる…うわぁっ?!」

「ごめんなさいっ…響!私っ…響に酷いことをっ…」

 

未来は泣きながら響に抱きついてした事を謝罪する

だが、響は未来をそっと抱きしめ囁く

 

「大丈夫、未来は私の陽だまりだもん、無くなっちゃったら…私も嫌だ」

「うわぁぁぁぁんっ!」

 

未来は思い切り泣き叫ぶ

 

「ほんとによかった…」

 

リクは安堵し、力を抜いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウルルアァァッ!!

「なっ!?グァァッ!」

 

突如降り立った巨人にオーブが吹き飛ばされてしまった

フィーネだ

 

「オーブさん!」

 

ジードは思わず、オーブに駆け寄ろうとするが、体力の疲弊からよろけてしまう

フィーネはそんなジードの肩を掴み…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

グシュゥッ…

 

「グゥゥッ!?」

 

ジードの胸にフィーネの腕が突き刺さった

 

「リク!」

「朝倉!」

「(リク!)」

「ジードっ!!」

 

俺がほんとに欲しいのは…お前だ…!

 

今までよりおどろおどろしい声をしたフィーネは、カラータイマーからリクの体内へと入り込んだ

 

「グアッ…ヤメッ…ろっ!僕からっ…!出ていケッ!!」

 

しかし、願いは聞き届けられず…

 

 

「うぅっ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁァァァァアアアアァァァァッ!!

 

リクの悲痛な叫びがこだまし、その目は紅く染まり、体は赤と黒のグラデーションとなった

ゴールドラインも紫色になっている

 

「ようやく手に入れたァァ…最強の力ぁぁっ!!」

 

ソラの歓喜の声が響き渡る中、カラータイマーから一つの球体が響の元へ飛び出した

 

響が受け止めたそれは、ジードライザーと装填ナックル

そして、ウルトラマン、ベリアル、キングのカプセルだった

 

「リク…くん…」

 

響の目にじわじわ涙が溜まっていく

 

「おい、赤いの…」

 

ソラの声がクリスを呼んだ

クリスはただフィーネを見据えている

 

「お前が望むならついてこい」

「誰がお前なんか…リクを返しやがれ!!」

 

クリスは怒りを力に変えて、“MEGA DEATH PARTY”を解き放った

しかし、それにより放たれたミサイルは簡単に握り潰される

 

「…勘違いするな?俺はジードであり、フィーネであり、ベリアルだ…お前の想い人は俺なんだよ」

 

クリスはぐっと歯をかみ締め俯いた

そして…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バンッ!

 

響と未来に向けて放たれた弾丸を翼と代わったゼロが間一髪防ぐ

 

「クリスちゃんっ…?!」

「お前…何考えてんだ…!」

 

ゼロの声を無視し、クリスはフィーネの元へ飛ぶ

 

「いい子だ、可愛がってやる…さぁ、そろそろこいつも浮上だ…!」

 

すると、グラグラと辺りが揺れだした

そして、古代遺跡のようなものが浮き上がる

 

「これが…フロンティア…」

「そうですよ!これで悲願達成だ!」

 

ヘリキャリアはすぐさまフロンティアへと向かった

そして、フィーネとクリスも飛び立つ

 

 

「リクくぅぅーん!!クリスちゃぁぁーん!!」

 

響の泣き叫ぶような声は、届かなかった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





「悩む事も、泣く事も、迷う事も出来る…けど、私達は前に進まないといけない…リクくんもクリスちゃんも地球も、私達が守るっ…!ってどうしたの調ちゃん!?えっ、もしかして貴方は!?」

調
「次回、戦姫絶唱シンフォギアG 響くぜ絶唱」
【蘇りし、巫女】

??
「久しぶり…かしら?」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第11話 蘇りし、巫女 【前編】

ガイ
「ウルトラマンフィーネの策略により乗っ取られた未来を救うため、ジードと響が協力し、最後の戦いに挑んだ」

ゼロ
「からくも勝利をおさめ、ようやく終わったかと思いきや、あいつの狙いは疲弊したウルティメイトファイナルのジードだった、その体を乗っ取り、クリスまで連れて奴は浮上したフロンティアへと足を運ぶ」

ガイ
「再会を喜んでる暇は無さそうですね、ゼロさん」

ゼロ
「そーだな…多分もうすこしすりゃ変身は出来るようになるが…ビヨンドになれるか…翼のやつが気付いてくれりゃあいいが…」

ガイ
「余裕あったら話してみますよ」

ゼロ
「そうか。わりいな」

ガイ
「いいってことです、では第11話」

ゼロ
「始まるぜ!」


「ひぐっ…ぐすっ…リクっ…くん…」

 

2課司令室で響は泣き続けていた

ジードライザーを前にして

 

「…雪音…何故寝返ったのだ…」

 

翼は裏切った後輩のことを考える

 

「…よかったら温かいものどうぞ」

 

友里はガイにコーヒーを手渡す

 

「んっ、ありがとう…」

 

受け取り、コーヒーを口にするガイの元に弦十郎が歩みよった

 

「クレナイガイくん、君が知ってる事を話してくれ」

 

ガイはコーヒーを置いた

 

「分かった、なら調と切歌をここに連れてきてくれないか?」

「FISの2人をかっ?」

「彼女達にも多分伝えないといけないことがある」

 

それを聞くと弦十郎は渋々、手錠のかけられた2人を連れてきた

 

「まさかガイさんがウルトラマンだったなんて…」

「教えて欲しいデス、貴方が何を知ってるか!」

 

そして、ガイはポツリポツリと話し始めた

 

「…俺がこの世界に足を運んだのは、6年前だ…ウクライナの聖遺物研究機関へ」

「そこって?!」

「私達が居たとこじゃ無いデスか!」

 

そう、レセプターチルドレンとしてマリア達が集められた、FISの拠点だったのだ

 

「そこで俺は、マリア、セレナ、ナスターシャと出会った。確か崖から落ちそうになった2人を助けてな」

「そんな事があったんデスか…」

「待って、でも6年前って…!」

「っ!」

「何かあったの…?」

 

響が2人に問いかけるとガイが答えた

 

「その次の日の夜、科学者達がネフィリムを科学的に起動しようとし失敗…絶唱の特性を利用しセレナがネフィリムを抑えたが、瓦礫の下敷きとなり死亡した…」

「そんな…」

「俺達の知らない装者が…」

 

2課のメンバーも、調と切歌も俯いた

 

「…だがそれは君達の知ってる事だろう?」

「へ?」

「どういう事…デスか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「セレナは()()()()()

 

調と切歌は目をまん丸にして、ガイに詰め寄る

 

「あ、あんまり適当な事言ってると怒るデスよ!」

「セレナは死んだんでしょ!マリアが…欠片を持ってた!」

 

だが、怒りながらもその目には涙を浮かべている

ガイは視線を合わせるため座り、肩に手を置いた

 

「間違いない、俺が助けたんだ」

 

その瞬間、2人は疑いようのない真実なんだと分かり、ガイに抱きついて泣き始めた

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

「ぐすっ…んっ…あぁっ…」

 

「だが、だとすると彼女は何処に…?」

「この話にはまだ続きがあるんだ」

 

弦十郎の質問にガイは2人を抱き締めたまま答える

 

「セレナは絶唱のダメージが大きかった。そこで俺の光のエネルギーを分け与えたんだがよく見ると、彼女はシンフォギアのペンダントを付けていない、それにしては治りが早いなと思った時だ、胸がシンフォギアのような光を放ち、それが全身に拡がったんだ」

 

「…まさか?!」

 

弦十郎は響を見た

 

「そうだ、セレナの中にはアガートラームと呼ばれるシンフォギアの力が眠っているんだ、まるで響のように…それがマリアが欠片を持っている理由だろう…」

「私…みたいに…」

 

分離した器と中身、それを姉妹がそれぞれ持っているということだ

 

「だがその直後の事だ、異次元を使って謎の男がセレナを連れ去ったんだ」

「謎の男?」

「分からない、黒と白で分けられた服を着ていて、俺より上の実力を持っていた…そして、そいつとの格闘の末、俺はセレナを連れ去られ、追いかけた結果、別世界に来てしまったんだ、それでしばらく、世界中を探し続けていたんだ」

 

それが何も言わずに世界を離れた理由

言わなかったのではなく、言えなかったのだ

 

「じゃあ、この世界に来たって事は…」

「いや、最初はゼロさんの付き添いだ…だがこの世界に来て戦い分かった」

 

ガイは立ち上がった

 

「セレナは…ウルトラマンフィーネの()()いる」

 

「そんなっ!?」

「嘘デス…!」

「あいつは俺のフュージョンを解除した時、シェンショウジンの力を応用したと言っていたが、カラータイマーを鳴らすまでエネルギーを弄る力は無いはずだ、だがアガートラームなら…」

 

そして肯定する声が1人

 

「…もしかして…」

「未来?どうかしたの?」

「実はあの中に居た時、女の子が見えた気がしたの、気のせいかなとも思ったけど、もしかしてと思って…」

「どんな子だったのだ?」

「えっと、茜色の髪に、マリアさんの色違いみたいな桃色の髪飾りを付けてた…」

「セレナの髪飾りデス…」

「じゃあほんとに…」

 

調と切歌は開いた口が塞がらない

死んだと思っていた友達が、6年越しに生きてると判明したのだ

 

「ならすぐ行かないと…!」

「まだだ、君たちの問題が片付いてない」

「私たちの…」

 

ガイは2人の手錠に手をかざすと、なんとそれを外してしまった

 

「っ!どういうつもりだ!」

 

弦十郎と緒川が構えるが、ジードライザーとウルトラマン、ウルトラマンキングのカプセルを手に取るとまず切歌に渡した

 

「デス?」

 

切歌はしばらく困惑していたが、とりあえずとカプセルのスイッチを入れようとするが動かなかった

 

「次は調だ」

「いや、でも…っ!?」

 

その時、調は急にガクッと項垂れた

そして、その顔を上げた時、瞳は黄色くなっていた

 

「よく気付いたわね、風来坊」

「消去法さ、切歌じゃ無いならと思っただけだ」

 

調(?)は切歌からジードライザーを受け取ると、ウルトラマン、キングのカプセルを苦もなく起動し、ジードライザーでスキャンした

すると調の体から抜け出るように、金のオーラが宙を舞い始めた

 

「何が起こっている…!?」

 

困惑する弦十郎を他所に、オーラは人の形をかたどっていった

 

《言ったでしょ?リィンカーネーションがあるからいつかは戻ってくるって》

 

「リィンカーネーション…だとぉっ!?」

「その単語!貴様はまさかっ!?」

「もしかして…そうなんですか!?」

「(…なるほどな)」

 

そして、甦り現れたのは…

 

 

「久しぶり…かしら?」

 

 

()()櫻井了子であった

 

「「「「なんで裸!」なんデス!?」なのっ!?」(なんだよっ!?)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第11話 蘇りし、巫女 【後編】

了子はとりあえず、かつて着ていた白衣と諸々の服を着せられた

 

「んもう、楽でよかったのに…」

「(目のやり場に困んだよ…)」

 

ゼロが悪態をつくなか、ガイは了子に近づく

 

「お久しぶりです、了子さん」

「敬語なんて要らないわよ風来坊、いや、オーブ」

「…そうだな、そんな仲じゃないもんな、フィーネ」

 

オーブ、フィーネと呼び合う2人に困惑の色が隠せない面々

 

「さ、櫻井女史はクレナイガイの知り合いなのですか!?」

「えぇ、そうねあれは確か…5年前、シェンショウジンの発掘の時だったかしら…」

「実は俺がミッションで探していたのもシェンショウジンだったんだ」

 

話によるとこの発掘の際、2人はお互いに人間ではないと感じ、一度戦闘に至ったが、怪獣が出現し、それを撃退したのを切っ掛けに協力したのだという

ちなみにその時の処理で怪獣は居なかったことにしたらしい

 

「それで了子くんはそこまで怪獣やウルトラマンに驚いている様子が無かったのか…」

「それでも、リクのあの目には驚いたけどね〜…」

 

リク(義理の息子)の事を語る了子の目は少し淋しげだった

 

「そう言えば、ガイさんのシェンショウジンはどうなったんですか?」

「これだ…」

 

ガイは懐からオーブリングを取りだした

 

「えっこれ!?」

 

予想より変化したシェンショウジンに響は驚嘆の声を出す

 

「聖遺物の欠片がシンフォギアのペンダントに変化したようなものと、考えてくれればいい、俺はこれで、魔王獣という怪獣のコアを、分解変換して諸先輩方のカードを生み出したり、異なる力を結びつけたりする為に必要だったんだ」

 

ガイはオーブリングを再び仕舞う

 

「さて、じゃあ乗り込みましょうか」

「では、準備して参ります」

 

翼はそそくさと部屋を出た

ガイはそれを見て、追いかけるように部屋を出た

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

翼がライダースーツに着替え、外に出るとガイの姿がそこにあった

 

「ちょっと話せるか?」

「そのような時ではないと思うのですが…」

「良いから」

 

ガイは翼を隣に座らせ、ラムネを渡した

 

「…俺は昔、ある女の子に出会った、その子はノイズに家族を殺され、復讐心だけで生きていた…俺はそれがたまらなく悲しかった」

「悲しかった?」

「空は青く、空気は澄んでる、食べた物も美味い、だけどそんな幸せを噛み締められないくらい焦っていた彼女が可哀想で、助けられなかった事が悔しくて…」

 

ガイはラムネを口に含んだ

 

「そんなこと、貴方が責める事では…」

「だけど、俺は平和を守るウルトラマンとして戦わないといけない、そんな責任感に追われていた。

それはいつか、誰かと親しくなり、それを失う事を恐れるように変わっていた」

「…それはっ…」

 

翼は感じていた

私と一緒だ、奏のように、立花や雪音を失うのが怖くて、自分が立ち回らなければいけないと思い込んでいる

 

「…だけどな、それは杞憂でしかないんだ、俺が守れなかった命は、相棒が助けてくれていて、その命を数百年先まで繋げていた。そして、繋げられた命は俺を守る為に奮闘する仲間になってくれた。

そして彼女も、自分の歌が誰かを勇気づけられると知り、相棒と共に守る為に戦うと誓った」

「…今っ、歌と言ったか!?」

 

まさか…その予感は的中した

 

「そう、これは天羽奏の事だ」

 

驚いた、奏までこの男と面識があったとは

 

「彼女はよく言ってたよ、守る為に歌うってすごく気持ちがいい、代わりに、相棒を失うのが怖くなった、だけど、きっと相棒もそう思ってるから、お互いに守れればいいと思ってる…ってな」

「お互いに…」

「前にも言ったろ?仲間を信じろって」

 

この男は伝えてくれたのだ、奏の言葉を使い、仲間を信じる事がどういう事なのか

私は立花を、雪音を信じていたのではない

私が守らなければと、怯えて意地になっていたのだ

真に信じるというのは、彼女達に背中を預けて戦う覚悟

2人なら戦い抜けると信じること

それがゼロが必死に伝えようとしてくれたこと

ゼロが、クレナイさんが、そして奏が伝えてくれたのだ

 

「…奏っ…」

「泣いてるのか?」

「泣いてっ…など…いえっ…泣いてますっ…」

「それでいい、お前は剣なんかじゃない、お前はシンフォギア装者、風鳴翼なんだから」

「くぅっ…うわぁぁぁぁぁぁぁぁッ!」

 

翼はガイにしがみついてひとしきり泣いた

次こそ、泣かず、仲間を信じる為に

 

「(フッ、ようやく気付いたか)」

 

ゼロはそんな様子を見て、不敵に微笑んだ

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「うぅっ…」

 

僕が目を覚ました場所はインナースペース

まるで、伏井出ケイとやり合った時に見えたような、暗い場所に赤いエネルギーが渦巻く、息苦しい場所だった

 

「届いたかな、ジードライザーとカプセル」

 

取り込まれる直前、反撃の狼煙になればとジードライザーと残ったカプセルを僕は投げた

だから脱出する手段は今の僕に無い

そして、僕が周りを改めて見渡した時だった

女の子が倒れてる

僕は駆け寄り、その子を抱き起こした

 

「君っ!君っ!?大丈夫!?」

「んっ…んん…」

 

どうやら意識を取り戻した彼女は周りを見る

 

「えっと…あなたは?」

「僕はリク、朝倉リク、君は?」

「私は…()()()・カデンツァヴナ・イブです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




【次回予告】
クリス
「あたしに暖かい場所にいる資格なんてねぇんだ!汚れ仕事は、居場所のないあたしの仕事なんだ!」

「居場所はある、だから首根っこ掴んででも雪音と朝倉を、私は連れ帰って見せる!力を貸してくれ!ゼロ!」

ゼロ
「次回!戦姫絶唱シンフォギアG 響くぜ絶唱!」

【運命を越えるとき!】

ゼロ
「俺に限界はねぇ!」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第12話 運命を越えるとき! 【前編】


「リクくんが乗っ取られてクリスちゃんも居なくなり、悲しみにくれた私達」
調
「だけど、ガイさんが教えてくれたのは、マリアの妹で私達の友達、セレナが生きているということ」
切歌
「更には調の中にいたフィーネの魂も分離してくれて、私達の魂が塗り潰される心配も無くなったのデス!」
未来
「まさか、了子さんが調ちゃんの中にいたなんてね〜…」
了子
「とりあえずこっちに来れてよかったわ、参戦出来ないなんて寂しいもの」

「私もクレナイさんのお陰で、自らの誤った考え方を正すことができた…雪音、朝倉、待っていろ…防人として、先輩としてお前達を救ってやる!」
ゼロ
「(…リクはマリアとほぼ同い年なんだがなぁ…)」


クリスはソラと共にフロンティア内部を進んでいた

 

「本当に私たちと戦うことが、戦火の拡大を防げると思ってるの?」

 

マリアの問いかけにクリスは鼻で笑う

 

「ふん、信用されてねえんだな。気に入らなければ鉄火場の最前線で戦うあたしを後ろから撃てばいい。それに、私はリク…ソラが誘ったから着いてきただけだしな…」

「それもまた愛…ですよ」

 

肯定するのがウェルというのが腹立たしいと、内心思いつつクリスはソラの横に行く

 

「ふっ…まぁ俺の事を裏切りはしないだろうさ」

 

「着きました、ジェネレータールームです」

 

ウェルは到着した部屋で、アタッシュケースを開ける

そこには今尚鼓動するネフィリムの心臓があった

それを掴むと、部屋の中心の球体に押し付けた

 

すると心臓から蔦が伸び、ジェネレーターを起動させた

驚く事にフロンティアに気が生え始め、完全に起動した事を知らしめるようだ

ウェルはマム(ナスターシャ)に制御室に行くように伝えて、自分とソラ、マリアはブリッヂに向かった

 

 

そこでウェルは再び、注射器のようなものを取り出す

 

「それは?」

「聖遺物を取り込むネフィリムの細胞サンプルから精製したLiNKERです」

 

それを躊躇いなく、左手に打ち込むとその手がネフィリムのような手に変貌する

マリアはそれに驚くが、ウェルはコンソールに手を当てた

そして、光がともり起動が確認できた

 

「へへ…早く動かしたいなぁ、ちょっとくらいいいとは思いませんか?マリァァ…」

 

映し出されるモニターには米国艦隊の姿が確認できた

 

《早すぎます!ドクター!!》

「いけぇぇぇ!」

 

ナスターシャの制止も聞かず、ウェルがコンソールに何かを念じると、フロンティアからエネルギーが照射された

3本のエネルギーの渦はやがて手の形を作り、月に手をかけた

 

「どっこいしょぉぉお!!」

 

手の形のエネルギーは霧散するが、フロンティアが更には浮上していく

海上のフロンティアですらほんの一部

2課潜水艦すら乗せた大地は、言うなれば大陸並の広さを持っていた

 

「お、大きい…!」

「ゆっくりしている暇はなさそうね…」

 

了子は自分が遺していたUSBを開いた

 

米国艦隊は砲撃を開始するが、全く効かない

それどころか、フロンティアの下部分が発光すると艦隊が浮かび上がり急に潰れてしまい、次々爆発していく

 

「ふーむ…制御できる重力はこれくらいが限界かぁ…フヘヘヘヘヘッ!」

 

「これがほんとに…世界を救う力なの?」

 

だがマリアのその疑問は直ぐに打ち砕かれた

 

「ほう、フロンティア浮上ついでに月を引き寄せたか?」

「っ!落下を早めたの!?救済の準備は何も出来ちゃいない!」

 

ソラの言葉を聞き、マリアはコンソールに触れるが全くそれは動かない

 

「どうして…!」

「ウヒヒヒ。LiNKERが作用している限り、制御権は僕にあるのです、僕がいる限り人類は絶滅しない、これが僕の提唱する一番確実なのは人類救済方法だ!」

「それは救済ではなく支配だ!私はそんな事のために悪を被ったのでは無い!」

 

マリアはウェルに掴みかかるが、ウェルはマリアを振り払う

 

「ここで僕を手にかけても地球の余命は変わらないだろう、ダメな女だな!そこでフィーネを演じてた頃でも思い出して悶えてろ…」

「っ…セレナ…セレナぁっ…」

 

マリアは悲しみで涙をこぼしてしまう

 

「うぐっ…?」

「どーしたんですか…ソラ…」

「いや、なんでもない」

 

頭を押さえたソラに問いかけたウェルはそれを聞くと、鼻で笑い、ブリッヂを出た

 

「帰ったら、僅かに残った地球人類をどう増やしていくか一緒に考えましょう」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「翼、行けるか?」

 

弦十郎の問いかけに、翼は強く頷いて答える

もちろん、ゼロも一緒だ

 

「(さぁ、行こうぜ翼、ブラックホールが吹き荒れるぜ!)」

「うむっ、共に行こう!」

 

そして…バイクが飛び出し、聖詠が響く

 

Imyuteus amenohabakiri tron(羽撃きは鋭く、風切る如く)

 

翼の体に天羽々斬が纏われ、脚のブレードは可変しバイクの前輪を覆う

 

「♪ 一つ目の太刀 稲光より 最速なる風の如く

二つめの太刀 無の境地なれば 林の如し」

 

その歌と共に、バイクと刀を使い、ノイズを切り裂き、防人は前へと進む

 

ーーーーーーー後輩を連れ帰る為にーーーーーーーー

 

2課でもその様子をモニターしていた

 

「こちらの奏者はただ一人。この先、どう立ち回れば…」

 

弦十郎が悩むのを吹き飛ばすように響の声が響いた

 

「装者は一人じゃありません」

「私達が居る…」

「私達が…セレナを…マリアを助けるデス!」

 

調と切歌の声を聞くが、元々敵だった2人に頼る事を渋った

しかし…

 

「行かせて上げて、弦十郎君」

「了子君…」

 

了子は切歌の元へ向かった

 

「セレナちゃんを助けるには、貴方の()()()()が必要よ」

「あたし…デスか!?」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

そして、切歌と調、そしてガイは出撃した

もう一人のおまけを連れて

 

「響!!」

 

調の後ろにギアを纏えぬ響の姿があるのだ

 

「何をやっている!? 響くんを戦わせるつもりはないと言ったはずだ!」

「戦いじゃありません! 人助けです!」

「減らず口の上手い映画なぞ、見せた覚えはないぞ!」

 

だが…未来が弦十郎を抑えた

 

「行かせてあげてください。人助けは、一番響らしいことですから」

「それに、あの子戦えないわけじゃないわよ」

「どういう事だ?」

「それはお楽しみ♪」

 

驚いた顔を見せる弦十郎だが、すぐフッと微笑んだ

 

「こういう無理無茶無謀は本来俺の役目だったはずだったんだがな…」

「弦十郎さんも?」

「帰ったらお灸ですか?」

「特大のをくれてやる!だから俺たちは!」

 

藤尭、友里も答える

 

「バックアップは任せてください」

「私たちのやれることでサポートします」

 

弦十郎も改め拳を叩く

 

「子供ばかりにいい格好させてたまるか!」

「そうね…私の本気も見せてあげないと!」

 

そう言ってパソコンを叩く了子のモニターには、Secret nefyusyutan

と書かれていた

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「立花が…?」

 

翼は通信を受け、フッと微笑んだ

 

「(アイツらしいな)」

「想像の斜め上過ぎる…わかりました、合流します」

 

だが、気配を感じ翼は後ろに飛び退いた

直後、大量の矢が降り注ぎ、愛車を破壊した

 

「誘い出されたわけか!」

 

よく見れば、大きく切り立った岩の上にクリスの姿があった

そして、戦いが始まる…

 

クリスが放った弾丸を翼は刀身で受け止め払う

 

「何故弓を引く!雪音!」

 

しかし彼女は何も答えず、銃で殴りかかってきた

翼はそれを腕で受け止める

 

「その沈黙を答えと受け取らねばならぬのか!」

 

クリスは蹴りを繰り出すが、間一髪翼は後ろへ飛びそれを避けた

 

「何を求めて手を伸ばしている!?」

 

するとクリスは、ようやく口を開いた

 

「私の十字架を他の奴には背負わすわけに行かねぇだろ!」

「何っ!?」

「(おい翼、あいつ首に何か付いてっぞ!)」

 

翼はクリスの首を注視する

確かに、鼓動のリズムを刻む光を放つ、首輪がそこにはあった

まさかそれのせいなのか?翼は推察した

 

「《ちゃっちゃと仕留めないと、約束のオモチャはおあずけですよ》」

 

クリスの通信にウェルの声が響く

どこかから見ているのだろう

 

(ソロモンの杖……人の手で殺せる力なんて、人が持ってちゃいけないんだ)

 

「犬の首輪を嵌められてまで!何を成そうというのだ!」

 

クリスは半ば激昂したように応える

 

「汚れ仕事は、居場所の無い奴がこなすっていうのが相場だ、違うか?」

 

それを聞くと翼はフッと微笑んだ

 

「首根っこ引きずってでも連れ帰ってやる。お前の居場所、帰る場所に」

「あたしの居場所はリクの所だ!あいつがあの男の中に居るなら…アイツが…!」

「なら朝倉も連れて帰る。

雪音と、朝倉と、立花と小日向、皆が居る場所がお前の居場所だろう。

お前がどんなに拒絶しようと、私はお前のやりたいことに手を貸してやる。

それが… それが片翼では飛べぬことを知った…先輩と風を吹かすものの、私の果たすべき使命だ!」

 

クリスはそれを聞き、視線を逸らして一筋の涙をこぼした

翼も目を閉じ、奏の姿を思い出す

 

(そうだったよね、奏…)

 

彼女は再び答えてくれた

 

(そうさ、だから翼のやりたいことは、あたしが、周りの皆が助けてやる)

 

「その仕上がりで何を偉そうなことを!」

 

叫ぶクリスの声を聞き、翼は目を開けた

 

「《何をしているのですか? 素っ首のギアスが爆ぜるまで、もう間もなくですよ?》」

 

クリスは意を決した

 

「…風鳴……先輩!」

「っ!」

「次で決める…昨日まで組み立ててきた、あたしのコンビネーションだ!」

「っ…ならばこちらも真打ちをくれてやる…!」

 

そして、2人はお互いに限界の技を繰り出し……

 

 

 

 

 

 

 

爆発に飲まれ、地下へ落ちた

 

 

「イィィイッヒィィィッ!願ったり叶ったり、してやったりーーー!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第12話 運命を越えるとき!【後編】

「シンフォギア奏者は僕がこれから統治する未来には不要、その為にぶつけ合わせたのですが……こうも相好するとは……チョロ過ぎる〜」

 

崖を滑りながらも、ウェルは降り立った

そこには…倒れた翼と依然立ち上がったままのクリスの姿があった

 

「はぁぁぁっ!?」

「約束通り、二課の装者は片付けた、だからソロモンの杖を…」

 

だがウェルはスイッチを取り出した

 

「こんなままごとみたいな取引にどこまで応じる必要があるんですかねえ?」

 

そういうと躊躇いなくスイッチを入れたが、何も起きない

何度も押してみるが、何が起きる様子はない

 

「なんで爆発しない!?」

「壊れてんだよ、約束の反故たぁ悪党のやりそうな事だな」

 

クリスは首輪を外しながら、ウェルにゆっくり歩み寄る

 

「あっ、いやっ! ひっ、ひい!」

 

錯乱したウェルはノイズを呼び出した

 

「今更ノイズ!グッ?!」

 

技を放とうとしたクリスは、激痛に苛まれた

この感じ…

 

「Anti LiNKERは…忘れた頃にやってくる!」

 

そう、いつかのAnti LiNKERが気付かぬうちに撒かれていたのだ

 

「こうなったら…ぶっ飛べ!アーマーパージだ!」

 

クリスはネフュシュタンの鎧でも発動のした事のあるアーマーパージを繰り出し、周りのノイズを吹き飛ばした

 

1人隠れたウェルは、チラリと様子を見るが突然現れた丸裸のクリスに手を叩かれ杖を落とした

 

「杖を!」

「ひっひぃぃっ!」

 

制御を失ったノイズは、クリスとウェルを狙い近付いてくる

ギアを纏い直す隙も杖を取りに行く暇もない

 

まさに絶体絶命

そして、ノイズがクリスを襲おうとした時、彼女は叫んだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「先輩っ…!」

 

 

 

突如、千ノ落涙と呼ばれる大量のエネルギー剣がノイズを吹き飛ばした

その衝撃から身を守った時、普段とは違う歌が聞こえる

 

【〜♪絶刀・天羽々斬】

 

「そのギアは!? バカな! Anti LiNKERの負荷を抑えるため…敢えてフォニックゲインを高めず、出力の低いギアを纏うだとぉ!?そんなことが出来るのか!?」

 

怯えるようなウェル

言う通り今の翼のギアは普段と違う

ルナアタック事変の際の、黒色の多いギアを使用していたのだ

そんなウェルにクリスは言い切る

 

「出来んだよ、そういう先輩だ…」

 

そして翼の戦いが始まる

 

「♪颯を射る如き刃 麗しきは千の花 宵に煌めいた残月 哀しみよ浄土に還りなさい」

 

彼女は飛び上がると、脚のブレードを展開し逆立ち、大回転しながら敵を切り裂く逆羅刹を繰り出す

たまらず、ノイズは次々消えていく

しかし、激戦の後の特殊な戦い

翼は肩で息をしていた

 

「♪慟哭に吠え立つ修羅 いっそ徒然と雫を拭って…」

 

まだまだノイズは居る

このままでは…

しかし彼女は1人ではない

 

「♪思い出も誇りも 一振りの雷鳴へと」

 

「選手…《交代だ!》」

 

目が黄色くなり、ゼロが表に現れた

 

「♪去りなさい! 無想に猛る炎 神楽の風に 滅し散華せよ

闇を裂け 酔狂のいろは唄よ 凛と愛を翳して」

 

ゼロは2本の短剣を取り出すと、それを自身のゼロスラッガーのように投函した

その刃は縦横無尽に飛びまわり、ノイズを殲滅していく

 

そして、それを手元に戻すと、胸のコンバーターへと装着した

 

「♪いざ往かん…心に満ちた決意 真なる勇気胸に問いて

嗚呼絆に すべてを賭した閃光の剣よ 四の五の言わずに否、世の飛沫と果てよ」

 

ゼロ!《天羽々斬!》ツインシュートォッ!

 

翼とゼロの声が重なり、ノイズを一掃していく

 

その間にクリスは手を掲げ、パージしたギアに収納されていた服を纏った

 

「あとはてめぇだけだ!ウェル!」

 

ゼロが剣を向けるとウェルはライザーを取り出す

 

「まだ僕にはこれがあるぅっ!」

 

カプセルをスキャンし、怪獣とウェルは一体化した

そしてその怪獣は……

 

「ファイブキングか…!」

 

 

5体の怪獣がひとつになった怪獣

ファイブキング

ファイブキングは大きなハサミをこちらに向けて突き出した

ゼロはクリスを抱え、ソロモンの杖を掴み地上へ飛び上がった

そしてソロモンの杖をクリスに渡して、頭を撫でた

 

「よく頑張ったな」

「っ…るせぇ!」

 

クリスは顔を赤くし、離れる

 

「よぉし、行くぜ翼!もうある程度回復した今なら行ける!」

「(よし、共にブラックホールを吹き荒らすぞ!)」

 

翼はゼロアイNEOを取りだし、目に当ててスイッチを入れる

 

「シィエアッ!」

 

翼の体が覆われ、再び青と赤の巨人が現れた

同時に地下から、巨大な羽根を広げてファイブキングも飛び上がってきた

 

「僕こそ…ラストアクションヒーローだぁぁ!!」

 

「苦戦しそうだな…」

「(だが私達なら行ける…雪音や立花達も居る…負ける道理はない!)」

 

その時、インナースペースに再び光が灯り、以前使えなかったアイテムが現れた

 

「(これは…)」

「実はな、これは俺の弟子達のウルトラカプセルなんだ」

「(ゼロの?)」

「あぁ、皆俺が力を貸して、共に戦い、鍛え上げた戦士だ。コイツらは俺がダメージが大きく全力で戦えなかった時に、恩返しと称して力を貸してくれた…後輩達なんだ」

 

だから、自分が立花や雪音を守らなければと思っていたあの時は使えなかった

 

「けど今は違ぇ!お前は後輩を、後輩の力を信じてる!それこそ、仲間を信じるって事だ!」

「(そうか…承知した!力を貸して欲しい…皆さん!)」

 

カプセルは答えるように輝いた

 

【〜♪ゼロビヨンド】

 

「(ギンガ!)」

 

翼が一つのカプセルを掴みスイッチを入れると、未来から現れ、選ばれし者と共に戦う戦士、ウルトラマンギンガが現れた

 

「ショウラッ!」

 

「(オーブ!)」

 

2本目のカプセルは、今現在、力を貸してくれている風来坊、ウルトラマンオーブ

 

「ジィエアッ!」

 

翼はライザーでふたつのカプセルをスキャンした

 

ウルトラマンギンガ!

ウルトラマンオーブ!オーブオリジン!

ニュージェネレーションカプセル!‪α‬!

 

ギンガ、そしてオーブのカプセルは一つとなり、新たなカプセルを生み出した

 

「(ビクトリー!)」

 

次に起動し現れたのは、地底世界を太古の時代から守りし守護神、ウルトラマンビクトリー

 

「フッ!」

 

「(エックス!)」

 

最後に起動したのは、体を失いながらも、データとして生き残り、仲間との絆を深めユナイトする戦士、ウルトラマンエックス

 

「イーッスァァーッ!」

 

再びそのカプセルをスキャンしトリガーを引いた

 

ウルトラマンビクトリー!

 

ウルトラマンエックス!

 

ニュージェネレーションカプセル!β!

 

同じようにビクトリー、エックスのカプセルも一つとなる

 

この2本はただのライザーでは扱えない

翼はライザーにゼロアイを装着し、再びカプセルを起動する

 

「(ギンガ!オーブ!)」

 

「ジィエアッ!」

「ショウラッ!」

 

「(ビクトリー!エックス!)」

 

「イーッスァァーッ!」

「フッ!」

 

そのカプセルをナックルに入れると、ライザーを起動しカプセルをスキャンした

 

ネオ!フュージョンライズ!

 

 

俺に限界はねぇ!

 

防人の剱、見せて上げる!

 

 

そして、目元にライザーを持っていき、トリガー引くと手を振り下ろす

 

ニュージェネレーションカプセル!‪α‬!β!

 

「ヘアッ!」

 

翼の体はゼロへ切り替わり、その体に4人の戦士が一体化し、ジワジワ体を変化させた

 

 

ウルトラマン!ゼロビヨンド!!

 

「シェアッ!」

 

降り立ったゼロの姿は大きく変わっていた

 

シルバーをベースにしたボディに紫の差し色

両腕、両足に水色のクリスタル

肩には大きな突起が現れ、頭部のスラッガーは4本に増えていた

 

「すげぇ…」

 

様子を見ていたクリスも思わず声を漏らす

 

「俺はゼロ…ウルトラマンゼロビヨンドだ…!」

 

「このこのっ!このぉぉおっ!」

 

ファイブキングは腹部から光弾を繰り出した

ゼロビヨンドは頭部のスラッガーに手を添え、紫の刃を発動する

 

「クアトロスラッガー!」

 

ゼロビヨンドの手の動きに合わせ、飛び出したスラッガーは光弾を破壊しながら、ファイブキングの水晶体を破壊した

 

「何故だ!?合体なら数は同じはず!なのに何故お前の方がァァ!?」

 

狼狽えるファイブキングに対して翼は言い放つ

 

「(貴様の様に、無理矢理合わせられた力など、私たちの剣に及ばない!)」

 

そして、ゼロは手を構え説き伏せる

 

「てめぇ何か勘違いしてねぇか?」

「何っ!?」

「俺たちは互いを思い、信じ積み重ねた絆を力にしてんだ…お前みたいにただ渡された力で戦ってるんじゃねぇ!」

「何が絆だァァ!!!そんな脆い、儚いものォォォ!!英雄である僕の前に敵うと思うなぁァっ!!」

「はっ、お前みたいに絆を蔑ろにする奴が英雄を語るなんざ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2万年早いぜ!

 

【〜♪DREAM FIGHTER】

 

《〜♪夢に向かい歩いていこう 描いた光を抱いて 輝け ULTRA HEART》

 

「黙れぇぇ!!」

 

ファイブキングはこちらに走ってくると、レイキュバスと呼ばれる怪獣の力を持つ爪をゼロビヨンドに突き立てる

 

「甘い!」

 

ゼロビヨンドは手元に呼び出したクアトロスラッガーをゼロツインソードへ変換し、受け止めた

 

「仲間達の力!見せてやるぜ!ギンガ!」

《行こうぜ!ショウラッ!》

 

若々しい、勝ち気な男性とギンガの声がしたかと思うとゼロツインソードはギンガスパークランスへ変化した

 

《〜♪夢を抱くことさえ許されないような時代が

君の涙を流すのかな?

でも夢を抱くことをそう、怖がらないで

足掻き探してゆくのさ》

 

ゼロビヨンドはランスを回転させ、ファイブキングの体制を崩すとランスをたたきつけ、頭部の角をへし折った

 

「頼んだぜ!オーブ!」

《喜んで!ジィエアッ!》

 

ギンガスパークランスはオーブカリバーへ変化し、その巨大なひと振りを、左手のガンQの部位に叩き付けた

 

「ヒィッヒイイイッ!?」

 

焦ったウェルは胸から光弾を放つが、ゼロビヨンドはオーブカリバーでガードした

 

「行くぞ!ビクトリー!」

《決めてやる!ツィアッ!》

 

オーブカリバーが分解されると、ゼロビヨンドの右腕はマグマが煮えたぎるような巨大な拳となった

 

「ビヨンド、EXレッドキングナックルッ!」

 

その拳は爪の間に入り込み、右手を破壊した

 

「グーだとぉおっ!?」

 

頓珍漢なことを言い出す、ウェルを余所にゼロビヨンドはアーマーを纏う

 

「ユナイトだ!エックス!」

《任せろ!テァァッ!》

 

ゼロビヨンドの体に、ウルトラマンエックスのサイバーゴモラアーマーが纏われ、エネルギーが溢れ出す

 

「サイバービヨンド!ゴモラ振動波!」

 

巨大な爪を胸に突き立て、一気に破壊エネルギーを流し込む

たまらずファイブキングは胸を爆発させる

 

《〜♪ やりたいことを見つけたとき

きっと誰もが輝くHERO

掴め! 確かな未来を! 揺るがない想い抱いて

変わっていくことに怯えていないで

ゼロから始める夢が きらめく星になって

きっと僕らの未来照らしてゆくから》

 

「貴様なんかに…ウルトラマンなんかにぃぃぃ!!!」

 

ファイブキングは背中の羽を広げ、空高く舞い上がると、こちらに向かって突貫してくる

 

だが格好の的となったそれを見逃す手はない

 

ゼロビヨンドは手を広げ、8つの光を呼び出し、構えた

 

「いっけぇぇ!」

 

クリスの叫びを合図にゼロビヨンドはそれを解き放つ

 

バルキーコーラス!(歌女の合唱光線)

 

8つの光から光線が飛び出し、ファイブキングを貫いたかと思うと大爆発を起こす

 

「よっしゃああっ!」

 

飛び回り喜ぶクリスの元に変身解除した翼が歩みよる

クリスは罰が悪そうに、俯く

 

「一人で飛び出して…ごめんなさい」

 

そんなクリスに翼は微笑む

 

「気に病むな。私も一人では何も出来ないことを思い出せた。何より… こんな殊勝な雪音を知ることが出来たのは僥倖だ」

 

それを聞きクリスは顔を赤くする

 

「そ、それにしたってよ、どうしてあたしの言葉を信じてくれたんだ…」

「雪音が先輩と呼んでくれたのだ。続く言葉を斜めに聞き流すわけにはいかんだろう」

「そ、それだけか?」

「それだけだ…」

 

クリスは改めて思った

 

(どうかしてやがる…だからこいつらの傍は、どうしようもなく、あたしの帰る場所なんだな)

 

「さぁ、雪音の…()()を助けに行こう」

「っ…気付いてたのか?!」

 

翼は背中を向けた

 

「薄々となっ…」

 

そう呟く翼の声は震えていた

 

「先輩…?」

「っ…うぅっ…!」

 

突如、翼は崩れ落ち、手をつくと嗚咽を漏らしながら涙をこぼす

 

自身も気づいてなかった

だけど、自分が変わるきっかけを一番最初に教えてくれて、共に進んでくれたリクの事が翼も好きだったのだ

 

「許してくれ…鉄火場のど真ん中で…防人でもなく、シンフォギアっ…装者でもなくっ…ひ、1人の。女として泣くことをっ……ぐすっ…うぅっ…」

 

クリスはそんな翼を許した

翼に近付くと、背中をさすった

 

まるでリクのように……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




【次回予告】
ガイ
「ソラが呼び出した怪獣、そして、ノイズに苦戦する俺達」
調
「そんな私達の前に、3人の人物が駆けつける」
切歌
「次回!戦姫絶唱シンフォギアG!響くぜ絶唱!」

【闇と鎧と偽りと】


「待たせたわね!」

「ここは任せていきなさい?」

「てめえなんかじゃなく俺がアイツをぶっ倒してやるよ」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第13話 闇と鎧と偽りと 【前編】


「前回は私と雪音、そして、ゼロの大活躍だったな!」
クリス
「あたしと先輩の信頼のコンビネーション、ゼロとニュージェネレーションとやらの戦士達の絆の力で、強敵をぶっ倒してやったぜ!」
ゼロ
「今回はそんな俺たちの戦いの裏、オーブ達がどんな激戦を繰り広げていたかだ!」


「カデンツァヴナ・イヴ…もしかして、マリアさんの妹っ…!?」

「マリア姉さんを知ってるんですか!?」

 

インナースペースにて、僕はセレナと言うマリアさんの妹と出会っていた

 

「教えてください、ここが何なのか、マリア姉さんは何処なのか、あと…あなたの事も…」

「わかった…僕も詳しくは知らないんだけど…」

 

僕は今まであった事を掻い摘んで話した

セレナは衝撃を受けていたようだった

 

「あんなに優しかった皆が…」

 

僕も粗方の話を聞いた

シンフォギア装者で、絶唱を唄い倒れそうだったところをガイさんに助けられたが、よくわからない男に連れていかれ、なにかに取り込まれ気を失った

そこから起きてみれば6年が経ち、大好きな仲間が世界に反旗を翻している

 

「マリア姉さん…皆さん…会いたいよ…」

 

僕はそっとセレナの頭を撫でた

 

「大丈夫、きっと皆が助けてくれるよ」

「皆…?」

「マリアさんに切歌、調に…翼さん、響、クリス…それにゼロやガイさんも!」

「本当ですか…?」

「本当だよ、だから諦めないで、ジーッとしてても、ドーにもならない!」

「朝倉さん…」

 

セレナの目から不安そうな表情は消えた

 

「よし、じゃあ皆が来るまではお話しよっか」

「…はい、色んなこと、教えてください!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

遺跡の方へ切歌、調、響、ガイは向かっていた

 

だがそこへ突然エネルギーが舞い落ちる

 

「なんだ?!」

 

エネルギーはノイズ、そして、怪獣3体の形を作る

そして現れたのは

 

 

閻魔獣ザイゴーグ

その取り巻きのゴーグアントラー、ゴーグゴルザであった

 

「あなたは先に行って!」

「私達が活路を開くデース!!」

 

文字通り、調と切歌が連携技でノイズを切り払い、響の為の道を作った

 

「わかった!」

「…皆を…お願いします」

 

調は響に希望を託し、ノイズ殲滅へと戻った

 

「ザイゴーグが相手ならこれだ!」

 

オーブリングを構えたガイは次々カードをスキャンする

 

「ギンガさん!」

 

ウルトラマンギンガ!「フンッ!」

 

「エックスさん!」

 

ウルトラマンエックス!「イーッスァァーッ!」

 

 

「痺れるヤツ、頼みます!」

 

フュージョンアップ!

 

ウルトラマンオーブ!ライトニングアタッカー!

 

壮大なメロディが響き渡り、再びメカメカしいオーブが降臨した

 

「電光雷轟!闇を討つ!

 

腕のクリスタルから電撃を放つと、ザイゴーグにつかみかかった

そのままザイゴーグを痺れさせようとするが、ゴーグゴルザに邪魔され吹き飛ばされた

 

「まずは取り巻きか!」

 

オーブは空へ飛び立つと体を縮こまらせ、一気にX字に手足を開いた

 

「アタッカーギンガエックス!」

 

オーブの体から放たれた電撃は、ゴーグゴルザの巨体を吹き飛ばした

 

しかし、その一瞬の隙をつかれ、ゴーグアントラーに突撃されたオーブは地上へ落下した

 

「ぐあッ!」

「ガイさん!」

「というかノイズ多すぎデスよ!?」

 

あまりにも多過ぎるノイズ

ベストトリオのザイゴーグ達

3人は攻めあぐねていた

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「うぅっ…うっ…セレナぁッ…」

 

マリアは泣き続けていた

結局はウェルの、ソラの掌の上で踊らされ、悪を被らされた

セレナの思いに報いる事など出来なかったと涙を零し続ける

 

その時であった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…さん…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー姉さん!ーーーーーーーーーーーーーー

 

「セレナ!?」

 

頭に響いた声は間違いなく、妹の声だった

だがそんなはずは無い

 

「嫌ね…幻聴なんて」

《幻聴なんかじゃありません!》

「え…今度はソラ…いや、もしかしてジード!?」

 

ソラにしては高く、優しい声色だったのが引っかかり、聞きかえす

 

《そうです!ジードの朝倉リクです!》

《姉さん!セレナだよ!セレナ・カデンツァヴナ・イヴだよ!》

 

「ほんとに…セレナ…あなたどこにいるの!?」

 

マリアは涙を拭いながら聞きかえす

 

《僕達は今!ウルトラマンフィーネの中に取り込まれてるんです!》

 

「ソラの中に!?」

 

そう、マリアがソラに抱き着いたとき、まるでセレナを抱きしめていると感じていたのはそういう事だったのだ

 

《うん!自分達じゃ出れないの!》

《何か、球体のバリアみたいなのに閉じ込められてるんです!》

 

「わかったわ…セレナ…生きてるのね…嘘じゃ無いのね!」

 

《あの時、ガイさんが助けてくれたんだよ!》

 

「ガイさん…が?」

 

耳を疑ったが、絶唱を使った時それを助けられたのは、あの時は彼しかありえなかった

 

「わかった、すぐ助けてあげるから」

《待ってる、姉さん》

 

「…ジード、朝倉リク!」

 

マリアが初めて名を呼んだ

 

《なんですか…?》

「…今までごめんなさい、セレナの思いに報いなきゃと、私は間違った道を進んでいたわ…

けど…もう迷わない、セレナをお願い…私は、今度こそ正義を貫いてみせる…」

《…はいっ!》

 

マリアは外を見下ろした

 

そこには苦戦するオーブ、そして、大事な仲間の姿が見えた…

 

「今行くわよ…!」

 

マリアはそこから飛び降り、奏でた

 

 

Granzizel bilfen gungnir zizzl(溢れはじめる秘めた熱情)

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

その頃、制御室ではナスターシャが必死に事態を好転させる方法を探していた

 

「…これはっ…!」

「ほうぅ…」

 

ナスターシャが聞こえた声に視線を向けるとそこには、スーツ姿で耳から大きなイヤリングを下ろした男が居た

その手には日本刀のようなものを握りしめている

 

「あなたはっ…」

「月を再起動する事で落下を阻止か…しかしその為には大量のフォニックゲインが必要…6人程度じゃ足りねぇわけか」

 

男はコンソールを眺め、顔を近づける

 

「…マリア達に伝えていただけますか?」

「俺は鳩じゃねぇんだぞ、オバサン?」

「あなたが優しい人なのは私も知っています」

 

それを聞くと男は舌打ちをして外へ飛び出した

 

「頼みますよ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジャグラー…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第13話 闇と鎧と偽りと 【後編】

「グゥ…厄介だな…」

 

両腕の剣、ギンガエックスセイバーをしまい込み、オーブは構え直す

 

「ノイズが…多過ぎる…」

「大バーゲンなんて勘弁デスよ〜…」

 

いくら倒しても、ノイズはいつまでも現れ続けていた

リンカー頼りの2人の限界も近い

 

そして、ゴーグアントラーは再びオーブに飛びかからんと飛翔した

ノイズも動揺だ、調と切歌に向かって飛びかかる

 

「こんな所で…!」

 

オーブが歯をかみ締めた時だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

蛇心剣、新月斬波ぁッ!

 

突如放たれた斬撃がゴーグアントラーを怯ませ、落下させる

 

更には調と切歌の後ろから薄紅色の茨が飛び出しノイズを貫き崩す

 

そして、真正面からマリアが降下し、ノイズを切り裂きながら調と切歌の元に降り立つ

 

「マリア!」

「来てくれたデスか?!」

「ええ、待たせたわね…今度こそ正義を貫いてみせるわ…!」

 

そして、マリアは後ろを向く

 

「この人たちは?」

 

調と切歌が後ろをむくとそこには黄金の鎧を纏った女性とどちらかと言えば怪人と呼んだ方が良さそうな出で立ちの者が居た

その2人の名は、本人では無くオーブの口から告げられた

 

【〜♪目覚めたジャグラー】

 

「ジャグラー!フィーネ!」

「えっ、フィーネ!?」

 

フィーネを演じていたマリアにとっては想定外の名だ

 

「久しぶりだな、ガァイ…」

 

ジャグラーの話す声にはエコーのようなものが重なっていて、それが不気味さを醸し出している

 

「どうしてここに…」

「ちょっとした暇つぶしって奴さ?、そんな事よりお前ら」

 

ジャグラーはマリア、調、切歌に向き合う

 

「ナスターシャのママさんが月を元の軌道に戻す方法を見つけた、コンソールがあるとこに行くぞ」

「けど、このノイズの数じゃ…」

「それならここは私に任せていきなさい?」

 

フィーネが4人の元に歩みよる

 

「どうにか蘇らせたネフュシュタンの力、見せてあげるわ、弦十郎くん!」

「おうよッ!」

 

そこへジープが走り込んで来る

緒川も一緒だ

 

「指示してくれれば向かえます!乗って!」

「デス!」

 

切歌が先に乗り込み、続いてジャグラーが座席にたった

調は巨大化した鋸をタイヤの代わりにして進むようだ

 

「…先に行って、セレナを…頼むわ」

「マリアっ…」

「…分かったデス!」

「ガイ、てめえなんかじゃなく俺がアイツをぶっ倒してやるよ」

「…やれるもんならやってみな」

 

戦友、いや好敵手(ライバル)の言葉を受けガイはほくそ笑む

そして、ジープと調が出発し、2人と一人の巨人が並び立つ

 

「良いの?妹を助けたい気持ちはあなたの方が強いでしょうに」

「…切歌のイガリマなら助けられる…そんな気がするの、それに…」

 

マリアはオーブを見上げた

 

「貴方に謝りたかった」

「俺に…?」

「私はあなたを誤解していた…てっきり、逃げてしまったのかと思って、あなたを軽蔑していた」

 

オーブはそれを聞くとフッと肩を揺らす

 

「何も伝えなかった俺も悪い」

「でも、ひとつ教えて欲しい…あなたはどうしてそこまで、セレナのことを気にかけてくれたの?」

 

「俺は銀河の流れ物、夕陽の風来坊だ…だけど、俺は…ウルトラマンでもある、そして、ウルトラマンとして俺は…関わった人みんなに笑顔で過ごしていて欲しい…それだけだ」

「それだけ?」

「あぁ…それこそが俺の…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウルトラマン()()()()()()()

 

【〜♪オーブの祈り】

 

驚くマリアの肩に、フィーネの手が置かれる

 

「彼はそういう男よ、自分なんかより他の人の幸せを願う…私の息子と同じ」

「息子っ!?」

 

ガイが嘘だろと言わんばかりのリアクションを取る

だがマリアには心当たりがあった

 

「もしかして!ジードのこと…」

「ええ、何百年生きた巫女の…初めての義理の息子よ」

「アイツ…」

 

ガイは苦笑するが、ザイゴーグの声に気合いを入れ直す

 

「そんじゃいくか!」

「ええ!」

「行くわよ!」

 

3人はそれぞれ敵に向かって進んだ

 

《耳を澄ましてみろ! 心で感じてみろ!

未来への足音 希望への鼓動

突然暗闇が襲いかかるその時

揺るがない強い意志が勝利への鍵になる》

 

オーブはまずは耳のヘッドホンに手を当て、ザイゴーグの弱点をさだめた

 

「ギンガエックスライトニング!!」

 

腕から雷を放ち、その目を狙うがゴーグゴルザがその身を呈してザイゴーグを守る

すかさずザイゴーグは触手を繰り出してオーブの首に巻き付けるとエネルギーを吸い始めた

 

「ガウッ!…だったらこれだ!」

 

ガイはインナースペースで新たな形態変化の準備をする

 

「セブンさん!」

 

ガイはウルトラセブンのカードをオーブリングに通した

 

ウルトラセブン!「デュワッ!」

 

「ゼロさん!」

 

続くカードに、ガイはウルトラマンゼロを選ぶ

 

ウルトラマンゼロ!「デェェェヤッ!!」

 

ガイは腕を組んで、ゆっくり簡単なダブルバイセップスのように開き、オーブリングを掲げる

 

「親子の力、お借りします!」

 

 

フュージョンアップ!

 

ウルトラマンオーブ!エメリウムスラッガー!!

 

 

オーブの体に2人が重なり、ゼロを強化したような姿になった

 

「オーブスラッガーショット!」

 

頭から3本のスラッガーを飛ばすと、首に巻き付く触手を切り裂いた

まずは取り巻き

オーブはそう考えると、スラッガーを空中に静止させ、指の動きと連動させて3本のスラッガーを縦横無尽に飛び回らせる

 

「ハイパーウルトラノック戦法だ!」

 

まずはゴーグアントラーの羽を切り落とし、そのまま無防備の背中を切り刻み、これを倒した

 

続いて、ゴーグゴルザへ向き合うとスラッガーを頭にもどし、光線のポーズを構えた

それを一度解くと、エネルギーを溜め込み、再びポーズを取ることで一気に解放する

 

「エメリウムスラッガースペシウム!!」

 

自分の身の丈以上の光線がゴーグゴルザを貫き、爆破した

残るはザイゴーグのみ

 

オーブは最終形態への変身を行う

 

《遥かな星空へ祈りを込めて

あきらめるな! 前を見ろ! 限界を超えろ!》

 

今度のインナースペースでは3枚のカードが飛び交っている

 

それらを1枚ずつスキャンしていく

 

「ギンガさん!」

 

ウルトラマンギンガ!「デヤッ!」

 

「ビクトリーさん!」

 

ウルトラマンビクトリー!「ツィア…」

 

「エックスさん!」

 

ウルトラマンエックス!「イーッスァァーッ!」

 

ガイはオーブリングを構えトリガーを引くと、光の渦が新しい武器を生み出した

 

トリニティフュージョン!!

 

 

ガイはそれを手に取ると、4つのシンボルの並ぶパネルをスライドし叫ぶ

 

3つの光の力、お借りします!

オーブトリニティィィッ!!!

 

直後、強烈なエレキギターが響き渡り、オーブはオーブトリニティへと進化する

 

《世界中が君を待っている 闇夜を照らせ光りの戦士よ

世界中が君を信じてる 二つのパワーで!

闘え! ウルトラマンオーブ!》

 

オーブは肩から変身にも使った武器、オーブスラッシャーを取りだし構える

 

「3つの光と絆を結び、今、立ち上がる!」

 

オーブはザイゴーグに近付くとオーブスラッシャーを叩きつける

瞬間瞬間に鋸が回転し、大きなダメージを与えていく

 

 

そして、背中を向けるとパネルを3度スライドし、スラッシャーを引っくり返すと、ブーストスイッチを押し込む

 

「トリニティウムっ!光ォォォ輪ッ!」

 

ゆっくり体を後ろに伸ばし、手を掲げると大きな円盤が精製される

それを一気に飛ばすと回転しながらザイゴーグを一発で斬り裂いた

 

オーブはオーブオリジンに戻りつつ、後ろを向くと、フィーネとマリアは巨大ノイズに苦戦していた

 

「くっ!」

「厄介ね!」

「おれが動きを止める!」

 

《銀河を越え 夢を追いかけて

星屑の交響曲(シンフォニー) 奏でろ!高らかに!

覆い尽くす 哀しみのベールを

振り払え!立ち向かえ!愛を守るため》

 

ガイはオーブカリバーをオーブリングに読み込む

 

解き放て!オーブの力!

 

ガイはオーブカリバーの円盤を大回転させるとトリガーを引いた

それに連動するようにオーブオリジンはオーブカリバーを頭上で円を描いて、エネルギーをチャージ、刀身を向けて解き放った

 

「オーブスプリーム!カァーリバァァァァーッ!!!」

 

虹色の光線はノイズに確かなダメージを与えている

 

《世界中が 君を待っている

闇夜を照らせ 光りの戦士よ

世界中が 君を信じてる

二つの パワーで

闘え! ウルトラマンオーブ!》

 

「これで行くわ!」

 

マリアもガングニールの槍を展開し、

“HORIZON†SPEAR”もいう技を繰り出しエネルギーを解き放つ

 

「行くわよ〜!」

 

フィーネは茨を伸ばすとそれを何度も突き刺す

“Imperial Edge”を放つ

 

巨大ノイズはたまらず爆発した

 

気付くとカラータイマーを鳴らしていたオーブは変身を解いて、クレナイガイへ戻る

 

「ガイさん…」

「風来坊…」

「…大きくなったな、マリア」

 

ガイは優しくマリアの頭を撫でた

 

「ゆっくりしてる場合じゃないわ」

「分かってる…行くぞ」

「…えぇ!」

 

3人は遺跡に向かって駆け出した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




【次回予告】

「私は諦めない、皆が手を取り合えると信じてる、偽善でも自分の気持ちを偽りたくない!
力を貸して…リク君!」

次回、戦姫絶唱シンフォギアG 響くぜ!絶唱!!

「覚醒する、英雄(ウルトラマン)の力」


「決めるぜ!覚悟!」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第14話 覚醒する英雄(ウルトラマン)の力 【前編】

ガイ
「前回のが、ゼロさんたちの戦いの裏であった俺達の戦いだ」

フィーネ
「私とあなたの時以上に苛烈な戦いよね〜」

マリア
「一体どんな事があったのかは気になるけど、それより今はあの子の所へ急がないと」

切歌
「大変デスよマリアぁぁ!」

調
「大変!超大変!」

マリア
「調の口調が壊れるなんてなにがあったの!?」

ジャグラー
「それが今回の話だ…」


「はぁ…はぁ…」

 

私はリク君を助けるため、遺跡の中を走った

そして、辿り着いたのは大きな球が中心にある吹き抜けた部屋

そこに、リクくんそっくりの男の人がいる

 

「貴方が…ウルトラマンフィーネ」

「立花…響か?」

「うん!立花響16歳!貴方とお話する為に来た!」

 

彼はそれを聞くとこちらを向いた

 

「話だ?」

「あなたのしたいこと、教えて…」

 

すると彼はゆっくり話し始めた

 

「かつて産み出されて捨てられた俺は思考した…なんでダメだったんだろうと…ひたすら泣いたよ…

だけど、結局は涙も枯れ果て、自分で動く事も出来なくなった時…名前も知らなかったトレギアが一人の女を連れてきた…

そして、そいつと魂ごと融合し俺はベリアルの息子として再誕した」

 

それが、ウルトラマンフィーネ…いや、もう一人のベリアルの息子の復活

 

「そこからトレギアは俺に事の顛末を伝えた…

ベリアルの死、そして俺の兄弟、ジードの事を…

初めて聞いた時からずっと…憎々しかったよ…

なんであんな奴が認められて俺はダメなのか…

そして俺は、認められる為に…ベリアルを超える…」

「超えるって…?」

 

するとフィーネはとんでもない事を口にした

 

「地球や宇宙を破壊するなんて生ぬるい、俺は…自分の力をオーバーロードして…並行宇宙まとめて吹き飛ばす…」

「そんな事したら…貴方も!」

「それでいい!最後に残るものなど何も無い…それこそが父を超える事だァァ!」

 

ふとフィーネが気付くと、響は泣いていた

 

「悲し過ぎるよ…そんなの…」

「悲しい…だと?」

「せっかく産まれたのに…この世界の楽しさを何も知れないで終わるなんて…」

 

普通に生きて、普通に遊び、普通に学び、普通にご飯を食べる

そんな当たり前を守ってきた響にとって、それらを知らない人がいる事が悲しかったのだ

 

「今からでも遅くないよ、私達と一緒に来て…一緒に生きようよ、きっとベリアルさんも許してくれるよ」

 

だが、この言葉はフィーネを怒らせた

 

「…お前に父さんの…何が分かる!!」

 

フィーネはフュージョンライズすると、響に向かって拳を振るう

響は腕を構えた

 

だがその腕は発砲音と共に止まる

 

「ぐっ!?」

「間に合いましたね!」

 

響が視線を向けると、拳銃を構えた緒川の姿があった

 

緒川は弾丸を使うことでフィーネに影縫いを施したのだ

しかし、フィーネは無理矢理影縫いを逃れた

 

「貴様ァ!」

 

 

「セレナを…!」

「返すデースっ!」

 

直後、フィーネの頭に女神ザババのふた振りが叩きつけられた

 

「ふんっ!痛くも痒くもない!」

 

フィーネは腕を振り、2人を吹き飛ばす

2人は壁に叩きつけられた

 

「がハッ!」

「うグッ!」

 

「蛇心抜刀斬!!」

 

ジャグラーも蛇心剣を振るうがフィーネのカラータイマーに傷を入れただけで、吹き飛ばされてしまった

 

「うがァっ!」

 

ジャグラーは魔人体から人間体へ戻ってしまった

 

「響君!」

「師匠!」

 

弦十郎が駆け寄るが、そこへフィーネの拳が振るわれた

 

「ふんっ!」

 

弦十郎は己の拳をぶつけた

一瞬押し止めたと思いきや、流石の弦十郎も吹き飛ばされていく

 

「グァァッ!?」

「あとはお前だ…」

 

隅に追い詰められた響は、まだ諦めずフィーネを見ていた

フィーネは腕を振り上げると、地面を叩いて響を落下させた

 

「うわぁぁぁっ!」

 

「響さん!」

「響君!!」

 

弦十郎と緒川の声も虚しく響き、調、切歌、ジャグラーも目を見開いた

 

「これで…邪魔するものは居ない…ふははっ!」

 

フィーネは高らかに声を上げる

しかし…直後、彼らは驚くものを目にする事になる

 

 

「あんっ?!」

「なんデスかっ…?!」

「あれって…」

「あの姿っ…!」

「…なんだとォっ!?」

 

「何故だ…何故お前がその姿に!?」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第14話 覚醒する英雄(ウルトラマン)の力【後編】

落下していく私は色んなことを考えた

 

こんな所で終わりなの

 

未来とまた流れ星見たかった

 

皆とまた笑いたかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だけど、やっぱり諦められない!

 

「ジーッとしてても…ドーにもならないから!!!」

 

すると制服のポケットから2つの光が飛び出した

それは、ウルトラマンさんとベリアルさんのウルトラカプセル

もう迷わない、諦めない、躊躇わない!!

 

【〜♪優勢2】

 

私は青く光るカプセルを起動させた

 

融合!

 

ウルトラマンさんの姿が現れれば、私はナックルにそれをはめ込み、紫のカプセルを起動させた

 

アイゴー!

 

続いて、ベリアルさんが現れたのを確認し、ナックルに填め込む

 

そして、了子さんから預かっていたジードライザーを起動させた

 

ヒアウィーゴー!

 

カプセルをスキャンして構える

 

フュージョンライズ!

 

決めるぜ!覚悟!

 

そう叫び、トリガーを引いた

 

私の体は光に包まれていく

 

「これが私の…フュージョンライズだ!

ジィィィィィーードッ!!!」

 

そして、大きくなった体を浮かせて、皆の元に舞い戻る

光が晴れた時、そこに居たのは皆の知るジードじゃなかった

 

デザインはそのままプリミティブ

だけど、赤い所はオレンジで女の子らしい体つきになってる

 

「何故だ…何故お前がその姿に!?」

 

私は名乗る

 

「私は…あなた達の末っ子!

もう一人の…ウルトラ()()ジードだ!」

 

 

だけど、調ちゃんと切歌ちゃんからツッコミが入る

 

「ウルトラマンと言うより…」

「ウルトラウーマンデスよね…」

「うぇぇっ!?せっかくかっこよく決めたのに…」

 

直後、フィーネからの攻撃を肩で受けてしまった

 

「痛っ!?」

「何が末っ子だ…俺が潰すぅ!!」

 

フィーネはこちらに向かってくる

落ち込んでる場合じゃない

 

「よしっ!」

 

【〜♪優勢1】

 

私だって戦いに関してはズブの素人ってわけじゃない

フィーネがこちらに伸ばす手を掴み、膝を叩き込んだ

一瞬苦しむような声を出すが、しっかり腕で防いでいた

そのままフィーネは私を突き飛ばし回し蹴りで応戦してくる

私はそれを腕で防ぐと、フィーネの土手っ腹にキックを叩き込む

それを受け、怯んだフィーネの胸に右ストレートをぶつけるとフィーネは後退した

 

「お前…どこでこんな力を…!」

「雷を喰らい…稲妻を握り潰すように…!!」

 

再び右ストレートを叩き込もうとした瞬間だった

 

「俺を攻撃すれば、彼女の命は消えゆくぞ…」

「っ!彼女って…セレナちゃん!?」

 

【〜♪劣勢2】

 

「レッキングデストロイ!」

 

フィーネはノーモーションで破壊光線を私に直撃させた

私は吹き飛ばされ、壁に叩きつけられる

 

「ぐはッ!」

「響さん!」

 

そして、そんな私を倒そうとフィーネが構えた時だった

フィーネの後ろに影が見え、影がフィーネの腕を掴む

 

「誰だっ…!??!??」

 

そして、フィーネは確かに呟いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「父さん…!?」

 

確かにその目は、話に聞いていたベリアルさんとそっくりな目をしているが、頭には赤く光る一筋の光

筋骨隆々のムキムキの体は赤、黒、銀のカラー

そして胸に光る、輪っかのカラータイマー

 

オーブさんだ!

 

【〜♪サンダーブレスター】

 

「闇を抱いて…光となる!!」

 

オーブさんはフィーネを投げ飛ばした

 

「親父さんの代わりに…おしりペンペンだ!グルルァァァァッ!

 

凄まじいドスとエコーの聞いた声を上げながら突撃するオーブさんは、ヒーローの欠片も感じなかった

フィーネを再び持ち上げた

だけど、フィーネもタダじゃ終わらない

 

「借り物の力でぇぇぇ!」

 

蹴りでオーブさんの拘束から逃れると、オーブさんを殴る

さすがに本人の息子の力となるとオーブさんもきついのか、声を上げながら後退している

 

「やっぱり変身出来たわね…」

「融合症例1号…なの!?」

 

声が聞こえそちらを向くと、了子さんとマリアさんの姿が見える

 

「なんだあのジードは!?」

「まさかあのバカか!?」

 

翼さんクリスちゃんの声も聞こえた

 

「こんな所で…倒れてられない!」

 

私が立ち上がると、オーブさんとフィーネは光線をぶつけ合おうとしていた

 

「レッキング…デストロイぃッ!」

 

「ゼットシウムッ…光ぉぉぉぉぉう線ッ!!」

 

 

そして、ぶつかり合う光線は火花を起こし、私達を吹き飛ばす

 

「グッ!」

「グウォッ!!」

 

オーブさんはオーブオリジンに戻ってしまった

フィーネは立ち上がる

が、急によろけた

 

よく見るとカラータイマーが砕けて、黒い光が漏れ出している

 

「おい!奴のカラータイマーから中に入れ!」

 

ジャグラーさんの叫びに切歌ちゃんと調ちゃんは答える

 

「はい!」

「分かったデス!」

 

【〜♪Edge Works of Goddess ZABABA】

 

フィーネはそれに気付くと新たに怪獣を呼び出そうとエネルギーを貯め始めるが、響がフィーネの腕を掴む

 

「させない!」

 

続いてオーブももう片方の腕を固める

 

「邪魔だァ!!」

 

フィーネは暴れるががっちりロックが掛けられており、抜け出せない

 

「…皆が私達を助けてくれている、助けようと頑張ってくれている」

「なら、私達がセレナを助けられない道理はないデス!」

 

すると翼とクリスが何かを始めた

 

「乗りな!」

 

見ればそれは砲台、剣をカタパルトのようにして2人のための砲台を作っていたのだ

 

「ありがとうございます!」

「助かるデス!」

 

2人が乗ったのを確認すると噛み締めるようにクリスは願いを伝える

 

「…リクを…任せたっ…」

 

本当は自分が行きたい、だけど今の自分にはこれしか出来ないなら、全力でそれを成し遂げる

切歌と調は頷いた

暴れるフィーネはそれに気付くと、なんと目から光線を放つ

作業に集中していた3人は動けない

すると3人の人影が立ちはだかり光線を防ぐ

 

「呆けない!」

「あたし達が防ぐから!」

「早く準備をしなさい!」

 

そこには翼、マリア、フィーネの姿があった

なおも放たれる光線

響とオーブもそれを止めようとするが、片手を離してしまおうものなら力負けしてしまう

 

「はァァァっ!!」

 

その均衡を破ったのは弦十郎だ

彼は飛び上がるとフィーネの顔面を殴ったのだ

それに驚いたフィーネは顔を動かされ、光線を止めてしまう

さらに、そんなフィーネの影に緒川が影縫いを施す

 

「今です!」

 

「行ってこい!お前らァァ!」

 

クリスが引き金を引き、剣ごとフィーネへ向かっていく

 

「〜♪警告メロディー死神を呼ぶ 絶望の夢Death13

レクイエムより鋭利なエレジー 恐怖へようこそ」

「〜♪ DNAを教育してく エラー混じりのリアリズム

人形のようにお辞儀するだけ モノクロの牢獄」

 

飛び出した剣はフィーネの体を貫くには至らぬが、ぶつかった衝撃を利用し、切歌と調は飛び出す

そして、カラータイマーを切り裂き、隙間から中へ飛び込む

 

「グゥゥッ!」

 

2人が中に入ったフィーネは胸を抑えて苦しみ出す

切歌と調は中に入ると、ひたすら突き進み続けた

 

「セレナぁぁ!」

「居たら返事するデス!!」

 

「っ…2人とも!ここだよ!」

「暁さん!月読さん!」

 

忘れるはずのない声を聞き、2人は走る

そこに、球体のバリアに閉じ込められたセレナとリクの姿があった

 

「セレナ…ほんとに!」

「ほんとにセレナデスっ…ほんとうの!」

 

3人はバリア越しに再会を喜び、涙をこぼす

だが、リクが2人を急かす

 

「急いで、このバリアが僕達のエネルギーを吸いつくそうとしてる…僕は良いけど、セレナちゃんが…!」

「なんデスと!」

「わかった…離れてて!」

 

リクとセレナが離れると切歌と調が手を繋ぎ、歌を重ねた

 

「「〜♪重ね合ったこの手は⋯

絶対離さない⋯」」

 

2人のフォニックゲインが共鳴しあい、絶唱に勝るとも劣らぬ力となる

 

「〜いますぐにjust saw now

痛む間もなく 切り刻んで」

「〜だからそんな⋯

世界は⋯伐り刻んで」

「「〜あげましょう!」」

 

2人は巨大化した鋸や鎌をバリアに叩きつける

 

「〜信じ合って 繋がる」

「〜誰かを守る為にも」

「「〜真の強さを!「勇気」と信じてく!そう!」」

「〜紡ぐ手」 「〜紡ぐTales」

「〜きっと きっとまだ」 「〜忘れかけた 笑顔だけど」

「「〜大丈夫 まだ飛べる」よ」

「〜輝いた」

「〜輝く」

「〜絆だよ さぁ空に」

「〜絆抱きしめ!」

 

「「〜調べ歌おう〜!」」

 

だんだんバリアに傷が入り、遂に切歌の一撃でヒビが入った

 

「これで!マストダァァーイ!」

 

切歌、渾身の一撃がバリアを砕いた

 

「やった!」

「ありがとうございます!暁さん!月読さん!」

「礼は後デス!」

「来て!」

 

切歌がセレナを背負い、調の後ろにリクが乗り込み一心不乱に外を目指す

 

「あ、待って!調ちゃんあっち!」

「えっ…あ」

 

すると調は方向転換した

 

「調!どこ行くデスか!?」

 

調が向かった先にはギガファイナライザーが浮かんでいた

リクがそれを掴んだのを確認すると、今度こそ外へ飛び出した

 

「デースっ!」

「んっ!」

 

それを確認したオーブと響はフィーネを殴って吹き飛ばした

 

「でぇやぁあっ!」

「スゥアアアアッ!」

「うおっ!?」

 

フィーネは壁にぶつかり膝を着いた

 

地上に降り立つと、セレナは周りを見渡す

 

「セレナ!!」

「マリア姉さん!」

 

2人は駆け寄り合い、ぎゅっとお互いを抱きしめた

 

「セレナ…良かった…ほんとに!」

「マリア姉さん…ガイさんと…リクさんのお陰だよ…!」

「朝倉リクの?」

「私が苦しい時にウルトラマンとしてのエネルギーを分け与えてくれたの…!」

 

マリアはリクの方をむく

 

「ほんとにありがとう…私はあんな酷いことをしたのに…セレナの為に…」

「いやぁ…はは、おっと?」

 

【〜♪放課後の茜色】

 

照れ隠しするようなリクが突然よろける

背中を見ると、クリスが顔を埋めて抱きしめていた

 

「…ただいま」

「心配かけんな…リクの…リクっ…のっ…バカァァっ!」

 

限界が来たのかクリスは思い切り泣きじゃくる

リクはそんなクリスを1度離して、正面から受け止める

 

「あの子はクリスを選んだのね…」

「ええ…当然の結果とは思います」

「…泣いてるの?翼ちゃん?」

「…多少は…悔しいと思います」

 

了子の問いかけに、翼は気丈に答えたら

その目の涙を拭いながら

 

オォォマァァァエェェェルァァァァァッ!

 

フィーネの凄まじい声が響く

 

「絶対に許さない…!!」

「それは僕のセリフだ…」

 

リクはフィーネの前に立つ

 

「…最後の戦いだ…!」

 

 

 




【次回予告】
マリア
「ジードと戦うフィーネは、持っていたカプセルから、彼の兄弟を復活させる」
調
「リクさんはいつも私達を助けてくれた…」
切歌
「今度は私達が助ける番なのデス!」
クリス
「待ってろよリク、今向かうからな!」

セレナ
「次回!戦姫絶唱シンフォギアG 響くぜ!絶唱!!」

【兄弟、決戦】

了子
「深まる闇の中、希望の光灯らず
然れど、歌を希望と心繋ぐとき、巨人の力は与えられん」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第15話 兄弟、決戦 【前編】

「シェアァァっ!」

 

僕はフィーネに対してギガファイナライザーを叩きつける

フィーネは腕をクロスし、それを受け止める

 

「何故戻れたぁ…!」

「僕には…仲間がいたからだ!」

 

僕とフィーネは激戦を続け、外へ飛び出す

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「私達も!」

「いや、あれはあの二人の戦いだ…」

 

飛び出そうとした響をオーブが止める

 

「奴が増援を出すなら、俺達が手伝おう」

「はい…!」

「おい、お前ら…」

 

ジャグラーの声に装者達は集まった

すると声が響いた

 

《揃っていますか?》

 

「マムっ!」

「大丈夫デスか?!」

「今どこに?」

《そんな事よりも、月の落下を止める方法です》

 

ナスターシャの声に皆が耳を傾けた

 

《必要なのは、歌です》

「歌…だと?」

《月は地球人類より相互理解を剥奪するためカストディアンが設置した監視装置…ルナアタックにより一部不全となった月機能を再起動出来れば…》

「なるほど…公転軌道状に月は戻るわけね」

《その声っ…櫻井了子ですかっ?!》

 

ナスターシャの驚く声が聞こえるがそれを遮るように了子が声を荒らげる

 

「そうだけど、そんなことより!その為に必要なフォニックゲインは6人分なんかじゃ足りないわよ…」

《ですから、世界中に映像を中継し、協力を仰ぐのです》

「なるほど、世界中の思いで…」

 

ガイが納得するように唸る

 

「でもそんな簡単に行きますか?」

「でもそれしかないなら!」

 

緒川が疑問を呈するが、響が変身を解除しながら降り立つ

 

「やりましょう…ジーッとしてても…ドーにもなりません!」

「させるかよぉ!」

 

突如、謎の声が響き、そちらを見るとウェル博士の姿があった

ファイブキングの爆発から命からがら生き延びていたのだ

 

《ドクター!》

「そんなに遺跡を動かしたいなら、あんたが月に行ってくれば良いだろう!」

「っ!クリス!撃ちなさい!」

「えっ!っちょせぇ!」

 

了子がクリスに射撃を促した

クリスは了子の姿に驚きながらもウェルを撃つ

しかし、弾丸はうまく避けられ、ウェルは球体コンソールを作動させた

直後、フロンティアの制御室が打ち上がり、大気圏を越えてしまう

 

「ナスターシャ!」

「マムっ!」

「チィっ!」

 

ジャグラーは魔人体となり、制御室を追いかけるように飛翔した

皆が呆気にとられる中、ウェルは高らかに叫ぶ

 

「有史以来、あまたの英雄が人類支配をなしえなかったのは人の数がその手に余るからだ!だったら支配可能なまでに減らせばいい! 僕だからこそ気づいた議長論!英雄に憧れる僕が英雄を超えてみせる!」

ギュオォンッ

「まだ言うかよ!」

 

翼と交代したゼロがウェルに飛び掛るが、ウェルは地面に穴を開けてそこから逃げ出した

 

「クソッ!」

 

するとフロンティアが突如、グラグラ揺れ始めた

 

「なんだ?!」

「この感じ…浮き上がってるわ!」

 

了子の言う通り、フロンティアは重力を作用させて浮上していた

 

「このままじゃ…」

 

その時だった

ガイの持つカードが1枚、輝き始めたのだ

 

「これは…ティガさん…!」

 

ガイがメインで使う事の多かったカードだ

ガイはそれをオーブリングで読みとり、トリガーを引いた

するとその光は、世界中へ広がり、テレパシーの供給範囲を生み出し、空に映像を作り出す

そこに写ったのは、マリア、響の姿だった

 

「今、この地球は、月の落下による危機を秘めている

だけど、それを乗り越える術がある、その為には、地球全土の人達の協力が必要だ」

「皆さんの歌の力を貸してください!」

 

世界は困惑した

突如現れたテロ行為の主犯の歌姫とどこの子とも分からない女の子が歌で協力しろと言うのだ

だが、マリアが続ける

 

「今、世界を救う為に戦士達も戦っている、ウルトラマン達だ…

ジードに関しては以前の事によりトラウマになっている者もいるかもしれない…

だが、あれは彼の意思などでは無い

本当の彼は、見た目でどんなに蔑まれようとも、貴方たちを守ろうとする立派な戦士なのだ!頼む!力を貸してほしい!」

 

この言葉には世界中もハッとさせられた

怪獣達から護ってくれた戦士達に自分達がした事はなんだ

目が怖い、怪しい、信じられない

ただそれだけの理由で、迫害して来た

そんな自分達に出来ることがあるなら…

 

マリアが祈るように目を閉じた時、歌が響く

 

「〜♪リンゴは浮かんだ、お空に」

 

マリアが目を開けば、そこには懐かしの童歌を歌い始めたセレナの姿がある

マリアも、それに続く

 

「〜♪リンゴは落っこちた、地べたに」

 

二人の歌は共鳴し、世界中の人の胸を震わせる

 

「「〜♪星が生まれて 歌が生まれて ルル・アメルは 笑った とこしえと」」

 

人々が祈る時、祈る人達は輝き始めた

その光は、空高くへ伸びていく

そしてその光は、フロンティアを経由し、制御室へ収束していく

瓦礫から抜け出したナスターシャもそれを確認した

 

「これだけのフォニックゲインを照射すれば、月の遺跡を再起動させ、月の軌道修正も可能…」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

その頃、ジードとフィーネは互角の戦いを繰り広げていた

 

「くぅぅ…」

「僕は負けない…負けられないんだ!」

 

するとフィーネはその腕を禍々しく光らせた

 

「力を貸せ…見捨てられし者たちよ!」

 

そのエネルギーを解放すると、3人の影が生まれた

 

ソリッドバーニング

 

アクロスマッシャー

 

マグニフィセント

 

皆、リクが生まれる過程で誕生した兄弟

リクから奪ったカプセルで起動したのだろう

 

「みんな…」

 

リクは歯がゆさを感じ、口を結ぶ

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「増援か…先に行きます!ゼロさん!」

 

オーブは再び戦場へ向かう

 

「共に向かおう!ゼロ!」

「《おうよ!俺達に限界はねぇ!》」

 

翼も再びゼロビヨンドとなり、飛び出した

 

「俺たちはウェル博士を追うぞ!」

「はい!」

 

弦十郎と緒川は地面を叩き割り、その中へ消える

残されたマリア、セレナ、切歌、調、響、クリス、そして了子

響はライザーを握るがやはりインターバルはあるようだ、全く起動しない

 

「私の人助けも終わりか…」

 

そんな響にマリアが近づく

 

「立花響…これを」

 

マリアはギアを外し、ペンダントを渡した

 

「っ、でもこれはマリアさんの…」

 

マリアは首を振った

 

「ガングニールは君にこそ相応しい…お願い、闇に魂を売った、私の代わりに…」

 

マリアのガングニールを響は見つめ、その思いを汲み取る

 

「分かりました、マリアさん、生きるの…諦めないでください!」

 

響は、その胸に宿る歌を解き放つ

 

Balwisyall nescell gungnir…トロォォォォォオンッ!

 

刹那、ペンダントは答えを示す

光がフロンティアを包み込むように広がり、響は再びガングニールの適合者となった

 

「それが…貴方の歌ね…」

「撃槍、ガングニールです!」

 

再び纏われたガングニールを響は眺めた

マリアと同じ黒ではなく、本来の白と黄色の物

これでまた、戦える

 

「フロンティアの動力はネフィリムの心臓。それを停止させればウェルの暴挙も止められる…」

「分かりました!ちょーっと行ってきます!」

「待ちなさい、立花響!」

 

了子が響を呼び止めた

 

「ライザーとカプセル、いいかしら?」

「あ、はい」

 

響はライザーと3本のカプセルを了子に渡すと外へ飛び出した

了子はそれをクリスのもとに持っていく

 

「えっ…」

「貴方にも私のようにベリアルの遺伝子が付与してある…使えるはずよ」

 

クリスは訝しげにしながらも、ライザーとベリアル、そして自分が復活させたキングのカプセルを手に取った

了子はそれを見届けて、弦十郎達の後を追う

 

「…くっ…」

「私達も…何か手伝いたいデス…!」

「みんなを助けたい…」

「世界を…救いたい!」

 

すると、クリスの持っていたキングのカプセルが光り輝き、5人を包み込んだ

 

その空間の中で5人は邂逅する

1人の戦士と

 

「あ、あんたは!?」

 

クリスの声に青い戦士が応える

 

「私はウルトラマンヒカリ、ウルトラマンキングの要請で、君達に力を貸し与えに来た…」

 

ヒカリは手を翳し、マリア、調、切歌の手に光を灯す

それが晴れると、3人の手にはジードライザー、そして2人ずつ、計6人のウルトラ戦士のカプセルが握られていた

 

「これって…」

「ウルトラマンベリアルの息子、ウルトラマンフィーネの中に入り込んだ君達と、怪獣に変身していた君なら、それを使えるはずだ…」

 

だが、マリアは肩を落とす

 

「私にそんな資格はない…闇に魂を売った私が…あなた達のような騎士の力を使うなんて…」

 

だが、ヒカリはそれを否定した

 

「マリア、私達は騎士ではない、ただ持てる力を守る為に使っているだけだ…ウルトラマンも迷い、疑い、地に堕ちることもある…」

「ウルトラマン…が?」

 

ヒカリは続ける

 

「かつて私は科学者として、守ろうと誓った星の生命を蹂躙され、復讐の為に鎧を纏い、罪を犯した…

切歌の持つカプセルの戦士も、調の持つカプセルの戦士も、間違いを犯し、悩み苦しんだ戦士達なのだ」

 

マリアは顔をあげた、そこにはセレナが立っていた

 

「姉さん、マリア姉さんのやりたい事は何…?」

「…世界を救いたい。月の落下がもたらす災厄から皆を助けたい。」

「その願いがあれば大丈夫だ、君達の諦めない心が、正しい心が、そして美しい歌が、私を呼び寄せたのだから…」

 

その言葉を最後に皆は元居た場所に戻された

手にはまだちゃんとライザーとカプセルがある

 

「やるデスよ…マリア!」

「今度は私達が、リクさん達ウルトラマンを助ける番!」

「泣いてたきゃ泣いてろ!だけど…変える覚悟があんならついてこい!」

「一緒にやろう、マリア姉さん…生まれたままの感情を…隠さないで!」

 

《……リア…マリア!》

 

「マムっ!?」

《あなた達の歌に世界が共鳴しました。これだけフォニックゲインが高まれば月の遺跡を稼働させるには十分です、月は私が責任を持って止めます》

「マムっ…!」

「マム!やっと会えたばかりなのに!」

「マムっ!助けに行くから待ってて欲しいデス!」

 

ナスターシャの体は長く持たない

そんな状態で月を止めるだけのエネルギーを受け止める等、自殺行為

だが…

 

《調、切歌、セレナ、そしてマリア…あなた達を縛るものは何もありません!行きなさい!行って…あなた達の歌を…私に聞かせなさい!》

 

ナスターシャが望む事は助けてもらう事などでは無い

今も昔も望むのは、世界の平和だ

 

マリアはその意志を汲み、不敵に笑った

 

「OKマムっ…世界最高のステージの幕をあけましょう!」

 

その声に皆が覚悟を決めた

 

「「「「ジーッとしてても、ドーにもならねぇ!」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第15話 兄弟、決戦 【後編】

作者「大変遅くなって申し訳ないデス…」

切歌「なんで口調私みたいになってるデスか?」

リク「作者の推しが切歌に決まったかららしいよ?」

切歌「デデデっ?!」

クリス「あぁもうそう言うのはいいから早く本編に行け!」


【〜優勢2】

「まずは私が行くデスよ!」

 

切歌はカプセルを起動させる

 

融合デースっ!

 

発動したカプセルからは守り抜く力のゼロ

ルナミラクルゼロが現れる

 

「シィエアッ!」

 

すかさず切歌はもう1つのカプセルを起動させた

 

アイゴー!デスっ!

 

もう1つのカプセルからは、3000万年もの古の巨人、ウルトラマンティガが現れた

 

「デャッ!」

 

切歌はカプセルを嵌め込み、ジードライザーを起動させる

 

ヒァウィ〜ゴ〜!

 

そしてスキャナーでカプセルをスキャンし構える

 

フュージョンライズ!

 

挑むデス!神秘!

 

そして、トリガーを引き、光へ包まれた

 

 

「次は私…」

 

調はカプセルを見つめ構えた

 

融合…!

 

調が起動させたカプセルからは、ウルトラマンオーブのスペシウムゼペリオンが現れた

 

「ジィアァッ!」

 

アイゴー…!

 

2本目のカプセルを起動させると、絆を信じたウルトラ戦士、ウルトラマンメビウスが現れる

 

「テァァーッ!」

 

調はジードライザーを構えてトリガーを引く

 

HERE WE GO…!

 

そして、ナックルのレーンを滑らせ構える

 

 

フュージョンライズ!

 

掴むよ、絆っ…!

 

調も光へ包まれた

 

 

 

「お次はあたし様だ!」

 

クリスはカプセルを構える

 

融っ合!!

 

1本目のカプセルは、ウルトラマンベリアル

 

「ヌウェアッ!」

 

2本目のカプセルをクリスは起動させる

 

アイッ…ゴォー!

 

2本目のカプセルはウルトラマンキング

 

「ジェアアッ!」

 

クリスはカプセルを填めこみ、ジードライザーを起動させた

 

HERE WE GO!!

 

ナックルのレーンを滑らせ、クリスは再びトリガーを引く

 

我!王の名のもとに!!

 

現れたキングソードをクリスは掴み取り、キングのカプセルを移動させた

 

ウルトラマンキング…

 

変えてやるぜ!運命!!

 

キングソードを翳し、光に飲まれていく

 

 

 

あとは、マリアとセレナだ

 

「一緒にやろう、マリア姉さん」

 

セレナはマリアの持つカプセルを一つ手にする

マリアは一瞬躊躇うが、すぐに不敵な笑みを浮かべる

 

「そうね、私達姉妹なら…」

「世界も救える!」

 

まずはマリアが構える

 

融合!!

 

一本目のカプセルからは、ウルトラマンヒカリが現れた

 

「ヂィヤッ!」

 

次はセレナが構える

 

アイゴー!

 

二本目のカプセルからは、この美しい星、地球が遣わした大地の巨人、ウルトラマンガイアが現れる

 

「デュワッ!」

 

2人のカプセルをナックルにいれ、マリアがジードライザーを構え、セレナと共に叫ぶ

 

「「ヒアウィーゴー!」」

 

ナックルのレーンを滑らせると、2人は叫ぶ

 

フュージョンライズ!

 

(セレナ)

咲かすぜ!

 

(マリア)

騎士道!

 

 

 

そしてトリガーを引いた

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「くぅっ!やっぱり数で押し負けてる…!」

「いくら俺達が踏ん張っても…あいつが回復させちまう」

『ならば本体であるフィーネ朝倉に任せたい所ではあるが…』

「2对3じゃキツイところがある…」

 

4人は苦戦していた

ソリッドバーニング達を疲弊させても、フィーネが回復させてしまう

然し、フィーネを離脱させる為にリクが離れれば2対3と更に不利な状況となってしまう

 

3人が攻めあぐねているところ、4人は一斉に光線を放った

 

「これで終わりだァァ!!」

 

4人が放った光線は3人の戦士を爆炎に包む

 

 

…筈だった

 

「何!?」

 

3人の前に4つの光が並び立つ

 

「これは…」

「なんだ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

狼狽えるな!

 

そして、光がはれ、皆が目を見張る

 

ウルトラマンジード!!

 

ムゲンクロッサー!

 

(切歌)「デスっ!」

 

ブレイブチャレンジャー!

 

(調)「キリッ…」

 

ロイヤルメガマスター…!

 

(クリス)「ちょせぇっ!」

 

フォトンナイト!

 

(セレナ)「フッ!」

(マリア)「ハッ!」

 

3人の前に4人のジードが並び立った

 

【〜♪ロイヤルメガマスター】

 

「うっそ!?」

 

リクは驚いて口元に手を当てる

そんなリク=ウルティメイトファイナルの元にロイヤルメガマスターが向かう

 

「助けに来てやったんだ、感謝しろよな」

「…っ…ふふっ、ありがとう、みんな」

 

切歌はゼロツインソード・ネオを肩に乗せつつ鼻を擦る

 

「感謝するのデースっ!」

「きりちゃん!」

 

調が突然動いたかと思うと、光輪を使ってアクロスマッシャーの放った光弾を防ぐ

 

「あ、ありがとデース」

「悠長にしてられないわ!」

 

マリアとセレナの変身したフォトンナイトはマグニフィセントにくみかかる

 

「よし、行くデスよ!調!」

「うん!行こう、きりちゃん!」

 

調と切歌はアクロスマッシャーへ飛びかかった

 

「…決着つけてこい、リク」

 

クリスはリクの胸を拳で叩く

 

「行ってくる…!」

 

リクは頷くと、フィーネに飛びついて空へ舞い上がった

 

『雪音、いいのか?』

 

ゼロビヨンドが隣に立った

 

「あれは、リクの戦いだ、あたしの戦いに安らぐ場所を与えてくれた恩は、あたしがリクの帰る場所になることで返すんだ」

 

そういうとクリスは、キングソードを構え、ソリッドバーニングに向かい合う

 

「なら、手伝ってやるぜ…先輩がな!」

「お前は違ぇだろ!」

「言ってみたかったんだよ」

 

簡単なコントを繰り広げつつ、2人はソリッドバーニングに立ち向かう

 

 

───────────────────

 

「これはっ…?!」

「皆が変身した!」

 

ネフィリムの心臓へ向かう面々は、藤尭達から送られた映像を見て驚愕していた

 

「まさかこんな事が…」

「深まる闇の中、希望の光灯らず

然れど、歌を希望と心繋ぐとき、巨人の力は与えられん」

 

追いついた了子はその言葉を口にする

 

「了子さん、どういう事ですか?」

「古代の碑文の一つよ、歌を唄い、希望を信じるときこそ、奇跡は起こるって事ね」

「奇跡の力…」

 

響が驚いていると弦十郎が手のひらに拳を構えた

 

「奇跡が味方してくれるんだ!絶対ウェル博士を止めるぞ!」

 

───────────────────

 

「くっ!」

 

フォトンナイトとマグニフィセントの戦いは互角であった

マグニフィセントの蹴りを受止め、フォトンナイトが後ずさる

そこへ…

 

「トリニティウムシュートォッ!」

 

マグニフィセントに向けられた光線は、マグニフィセントを吹き飛ばすのに十分だった

フォトンナイトの隣に、オーブトリニティが降り立つ

 

「ガイさん!」

「セレナ、マリア…まさか、2人と一緒に戦う時がくるなんてな」

「そうね、私は本当ならあなた達と並び立つべきじゃない、けどヒカリさんは教えてくれた…地に落ちても、また信頼を得ることはできる」

 

マリアは自らの拳を眺めた

 

「だから、私はもう一度…光を掴んでみせる!」

 

【〜♪Radiance〜ウルトラマンヒカリのテーマ〜】

 

マリアは新たな歌が胸に宿るのを感じ、目を開く

 

─何もかも、亡くした、痛みの中…ただ心閉ざして、鎧を纏う─

 

フォトンナイトはマグニフィセントに対して、堂々と歩み寄る

マグニフィセントは大振りの拳をぶつけるが、しっかりとそれを受け止める

 

─信じ合える、人と出会い…苦しみさえ、パワーに変えられるっっ!!─

 

叫びと共に、マグニフィセントの巨体をマリアは投げ飛ばした

 

─ヒカリよ心解き放て!絶望を越えて!明日を切り開け!ウルトラマンヒカリ!─

 

フォトンナイトは、光の剣を腕から伸ばし、マグニフィセントを切りつけていく

 

─やがてこの美しい星の!輝きのように!暗闇を照らし出し、遥かな夢を目指そう〜!ウルトラの光よぉぉぉ!!─

 

フォトンナイトはナイトビームブレードと似た技を繰り出し、マグニフィセントを怯ませた

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

【〜♪LIGHT IN YOUR HEART】

 

アクロスマッシャーの変幻自在の攻撃に2人は苦戦していた

 

「攻撃が当たらないんじゃどうしようもない…」

「どうすればいいデス…」

 

切歌が頭を悩ませた時だった

ルナミラクルのカプセルが光輝き、ムゲンクロッサーの体は3つに分身したのだ

 

「デデデース!?」

「分身…忍者みたい」

 

2人は困惑するが、気持ちを切り替えた

 

「でもこれならいけるデス!」

 

3体の分身はそれぞれが高速移動でアクロスマッシャーの周りを回り始めた

 

─(切歌)砂の風に飲み込まれて!朝日の兆しもかすんで見えない!─

 

2体が一瞬の隙を突いて、アクロスマッシャーの腕を固めた

 

「来るデス!調!!」

 

一体は、ゼロツインソード・ネオを横に構える

調は、ゼロツインソード・ネオを踏み台にし、高く飛び上がると、左腕のサークルを回して巨大な光輪を作り、アクロスマッシャーに飛び込む

 

─(調)その度に掌重ね〜…人は祈る事を決してやめないっ!─

 

G式・メビュームギガ光輪

 

アクロスマッシャーにぶつけられた光輪はダメージを確かに与えていく

 

調が距離を取れば、すかさず3人もその手の武器でアクロスマッシャーを切裂く

 

斬・魔jィkaル虎i伝to素rアッ主(ざん・マジカルトライデントスラッシュ)

 

アクロスマッシャーは膝を着いて呼吸するように肩を揺らす

切歌と調は並び立つ

 

─ (2人)消えそうな願いを繋ぎ 明日の日を夢見て ─

 

調は左手のサークルを回し両手を開くと、右手を回して上に突き出した

切歌は、ゼロツインソード・ネオの刃をなぞり、突き出すように構える

 

─ We Gonna Be Hope!

行こう 希望よ 信じて胸の中の灯を! ─

 

U(ウルティメイト)式・スペリオンシュート

 

照射・Su波aーク素羅Aッ射ァー(スパークスラッシャー)

 

お互いの必殺光線がアクロスマッシャーにダメージを与えていく

 

─ どれだけ君が張り裂けそうな 痛みを知ろうとも… ─

 

2人はお互いを見る

お互いを心配かけまいとするあまり、胸が張り裂けそうなほど痛い思いをした

だけれど、お互いを信じてるからこその痛み

だから分かって欲しい

 

─ 忘れないで ここにある!

The light in your heart!!

 

アクロスマッシャーは耐えきれず爆発した

その爆発からカプセルが2本、2人の手元に落ちる

 

「きりちゃん」

「調…」

 

2人は向き合った

 

「行こう、みんなを助けに」

「…はいデス!」

 

──────────────

 

【〜Heres〜】

 

「っでやァァ!」

 

─Vulcan Sparkle─

 

クリスはロイヤルメガマスターの中でも最も得意であろう技、バルカンスパークルを解き放ち、ソリッドバーニングを怯ませる

 

「よっと!」

 

クリスが飛び上がるとその後ろには翼=ゼロが待機していた

 

「(はぁぁっ!)」

 

クアトロスラッガー(4重の絆の刃)

 

翼の声と共にスラッガーはソリッドバーニングに向かっていく

ソリッドバーニングはジードスラッガーで弾くが、それらはゼロビヨンドの手元でゼロツインソードとなる

 

─ (翼)光の中で闇が生まれて 大きく秤をくずしてしまう時─

 

翼の歌に答えるようにゼロはゼロビヨンド最大の技を繰り出す

ゼロツインソードの刃に沿うように巨大なエネルギーが新たな刃を形成していく

 

「俺たちの刃を刻み込む!シィェァッ!」

 

ジードスラッガーの上段斬りを弾き、胴体を切り裂いた

 

ツインギガブレイク(対となる巨大な一閃)

 

ソリッドバーニングは後ろを振り向き、ゼロビヨンドを切り裂こうとするがその背中を狙う影

 

「忘れてんじゃねぇ!」

 

─Swing Sparkle─

 

─ (クリス)闇夜に叫び地を這う者たち 街は切り裂かれ絆は絶たれる─

 

上段から斬り下し、回転しながらゼロビヨンドの隣に行き、2人で蹴り飛ばす

 

翼とクリスは目を合わせ、頷くと最後の一撃に入る

 

─ (翼)ゼロになる覚悟はあるか─

─(クリス)使命を選んだ戦士たち─

─(翼)避けては通れぬ戦いへ─

─(クリス)光を帯びて─

 

ゼロは胸の前で腕をクロスして一気に開き、腕を回しつつ、右拳を腰の位置へ動かし構える

クリスはキングソードをジードライザーで読み込み、手を3回、歌に合わせてかざした

 

─(翼)前へ─

─(クリス)前へ─

─(2人)前へ!─

 

Royal End

 

ワイドビヨンドショット(越え続けていく歌女の一撃)

 

2人はの光線のエネルギーは一直線にソリッドバーニングへ向かう

ソリッドバーニングはストライクブーストを放ち、それを防ごうとする

 

─(2人)進め 僕らのヒーロー 朝日に祈り 暁に誓う平和の瞳を 鳴らせヒーロー ─

 

2人の元には沢山の戦士ヒーローが現れた

彼らは彼女達にいつも大切な事を教えてくれた

今度は私達が彼らを助ける

 

─僕らはあなたから 本当の勇気を知る─

─称えよ our hero─

 

そんな願いは、鋼鉄の体を打ち砕いた

 

─称えよ our hero─

 

 

2人はそれぞれ分離したウルトラカプセルを掴んだ

 

「良くやったお前ら、上出来だ」

 

ゼロは中指と薬指を折ったサインで2人を称える

 

「(雪音…)」

「行こう…先輩!」

「(あぁ…!)」

──────────────

 

「だはっ!」

「グウウゥッ!」

 

マグニフィセントの攻撃にオーブトリニティとフォトンナイトは押されていた

やはり操り人形と言えど、マグニフィセントの強大なパワーには、初めてウルトラマンとして戦うマリアとセレナ、その2人をカバーしながら戦うオーブでは相性が良くない、然しそれだけでは無かった

 

「セレナ…大丈夫?」

 

マリアはセレナを心配するが、彼女は叫ぶ

 

「姉さん!私にも戦わせて!」

「セレナ…?」

 

突然の叫びにマリアは驚く

 

「守ってくれるのは嬉しいけど、私だって戦えるの!だから私にも皆を守らせて…私だって弱いままの私じゃない!」

 

マリアは知らず知らずのうちに彼女を庇う事に集中し過ぎていた

だから他のメンバーのフュージョンライズと違い、2人がそれぞれの力を担うフォトンナイトは本領発揮が出来なかった

マリアは深く反省し、セレナに向き合う

 

「わかった、見せて…貴方の力を!」

「うん!」

 

セレナが構えた時、また新たな歌が彼女達に力を与える

 

【〜♪ガイアノチカラ】

 

─地球の力、生き抜く力、生命(いのち)の限り、使う時、引き寄せている奇跡!─

 

セレナの透き通る声が、フォトンナイトを強くする

マグニフィセントは勢いよく右ストレートを繰り出すが、セレナの動かすフォトンナイトはそれを右に払い除ける

その際、足をかけマグニフィセントを転ばせた

 

「力が強いなら、真っ向から挑んだらダメ…!」

 

マグニフィセントは再び、立ち上がりフォトンナイトに蹴りを入れるが足を捕まれ投げ飛ばされてしまう

 

─心のマグマが目覚めたら、大地と共に立ち上がるわ 邪悪よあなたが失った、輝く意思がここにはある!─

 

フォトンナイトはマグニフィセントをカウンター投げで体力を奪っていく

その様はまるで……

 

「ガイアさん…?」

 

そう、何処で呼ばれた“投げの鬼”

それが今、フォトンナイトがやってのけている

 

─愛する人を、守りたい!!単純にそれだけよ、昔も今でも変わらない!!─

 

「ったァァァァァっ!!」

 

フォトンナイトは倒れたマグニフィセントを頭上に持ち上げ、思い切り投げ飛ばした

 

「嘘…」

 

これにはマリアも開いた口が塞がらない

 

「姉さん!ガイさん!トドメ行くよ!」

「は、はい!」

「わ、分かりましたっ!」

 

あまりの気迫に2人は敬語になってしまう

 

フォトンナイトは左手首に右平手を垂直に当てて、頭上に持ち上げたそれをゆっくり胸の前に持っていくと同時に、右手のブレスに左手を翳し、右手をクルッと回して十字にした

 

オーブトリニティは、オーブスラッシャーのパネルを3回スライドし、トリガーを引いて腕をクロスし、ゆっくり横へ開いた

 

「トリニティウム…ブレェェェイクッ!」

 

オーブトリニティはそのままオーブスラッシャーを振りかぶり、X字の刃を繰り出した

 

 

Knight ✟ Stream(ナイトストリーム)

 

フォトンナイトはトリニティウムブレイクにナイトストリームをぶつけて、マグニフィセントへ直撃させた

 

─悲しむたびに、苦しむたびに、生命(いのち)の限り、進む時!見えてくるのは!ヒカリ!─

 

マグニフィセントはしばらくは胸で受け止めていたが、2人の思いがシンクロして、威力を増した結果、その鎧と体は光へ消えていった

 

「やったよ!姉さん!」

「え、えぇ…さすが私の妹ね」

 

若干引いてるのは気にも止めず、セレナは飛び跳ね喜ぶ

マリアが笑顔を引き攣らせていると、2本のカプセルが飛来

セレナとマリアはそれぞれカプセルを掴む

 

「行こう、マリア、セレナ」

「ええ!あとはあの子の決着よ」

「リクさん…今行きます!」

 

 

───────────────────

 

 

《空中》

 

「でやぁぁっ!」

「るるァァァっ!」

 

ジードのギガファイナライザーとフィーネの拳が何度も火花を散らす

一対一の戦いは互角であった

 

「くっ…やっぱり強い…」

「どちらがベリアルの息子に相応しいか…今こそ決着をつける時だァァっ!」

 

その時だった

 

「リク!」

 

リクがそちらを向くと皆がこちらへ向かって飛んできていた

 

「みんな…!」

「受け取りやがれ!!」

 

ゼロビヨンド、ロイヤルメガマスター、フォトンナイト、ムゲンクロッサー、ブレイブチャレンジャーがカプセルを投げ渡す

リクはそれを受け取ると体を発光させる

 

「なんだ…何が起こっている…?」

「お前に教えてやる…僕らはベリアルの息子であっても、ベリアルじゃないってことを!」

 

リクは腕をクロスし一気に解き放ち叫ぶ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ジード!マルチレイヤァァー!!」

 

 

【 〜♪GEEDの証】

 

─ GET OVER NOW!! GET OVER PAIN!!

GET OVER MIND!! JUMP UP! GEED!!

覚悟決めるぜ!! HERE WE GO! ─

 

ウルティメイトファイナルを中心に放たれた光は、紫、赤、青、緑、の人型を作り、プリミティブ、ソリッドバーニング、アクロスマッシャー、マグニフィセントを生み出した

 

「分身したデス!」

「凄い…」

「これが、リクさんの力…」

「これが…ウルトラマンジードの戦いの歴史なのね…!」

 

皆が息を飲み、ジードを見つめている

 

「なんだと…」

 

 

 

ソラが驚く間もなく、ジード達はソラへ攻撃を仕掛けた

プリミティブがニーキックで切り込み、ソリッドバーニングがロケットパンチを繰り出し、アクロスマッシャーがボディをジードクローで傷つけ、マグニフィセントが吹き飛ばす

ソラが姿勢を崩した所を、ウルティメイトファイナルがフロンティアへとギガファイナライザーを使って叩きつけた

 

─ 僕が僕らしくいるために

誰の笑顔も曇らせない!

願いこそが変えてく未来

ジーっとしていたってドーにもならない!─

 

「これ程…とは…」

 

ジード達はフロンティアへと降り立つ

 

「これが僕の、ウルトラマンジードの全部だ!」

「おのれぇ!」

 

ソラはリッパーを繰り出した

しかし、それは黄金色の弾丸に打ち砕かれる

 

クリス、ロイヤルメガマスターだ

彼女はウルティメイトファイナルの隣に並び立つ

 

「お前の全部をぶつけるってーなら、この姿もそうだろ?」

「そうだね…よし、みんな!決めるよ!」

「おうよ!」

 

皆が必殺技の待機に入る

ソリッドバーニングは右手を灼熱の焔で燃やし、

ロイヤルメガマスターはキングソードにエネルギーを溜め込み、

ウルティメイトファイナルは目とゴールドラインを発光させ、隣に居るプリミティブと共に、手に稲妻を纏わせ、砂塵を巻き上げ、

マグニフィセントは拳を打ち付けて、エネルギーを発光させ、

アクロスマッシャーは、流れる動きと共に、エネルギーを手に集めた

 

「不味い…レッキング…デストラクション!」

 

ソラは撃たせまいと、レッキングデストロイの強化型光線を放った

しかし、それは間に合わなかった

 

「HERE WE GO!!」

 

リクの声を合図に一斉に皆が光線を放った

 

「ストライクブゥーストォッ!」

 

(クリス)「ロイヤルエンドォッ!」

 

「レッキング…ノバァッ!」

 

「レッキングバァーストォ!」

 

「ビックバスタウェイッ!」

 

「アトモスインパクトォッ!」

 

─ 決められた自分のSTORY!

抗うたび築くHISTORY!

支え合う仲間の笑顔がチカラ

GEED…僕は強くなる

みんなのために覚悟決めるぜ!

ウルトラマン!! ─

 

レッキングデストラクションは簡単に押し込まれ、ソラの体にダメージを与えていく

 

「グァァァッ!!?まさかっ…これ程までに…」

 

「これが…僕の全て…ウルトラマン…

 

GEEDの証(ジードプルーフ)だ!

 

─明日に向かって 進み続ける ウルトラマン!!─

 

この叫びと共にソラは大爆発を起こした

そう、ベリアルの息子達の戦いにようやく決着が付いたのだ

 

 

 

 

 

 

 




次回予告


「ウェル博士は最後の足掻きで、ネフィリムにフロンティアを融合させてしまった」
リク
「皆が倒れていき、ウルトラマン達も限界が近い…」
マリア
「だけど私達には歌がある!!」
セレナ
「次回!戦姫絶唱シンフォギアG 響くぜ!絶唱!!」

全員
「星が音楽となったかの日、新たな世界 信じ続ける」

ジーッとしてても、ドーにもならねぇ!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第16話 星が音楽となったかの日、新たな世界 信じ続ける 【前編】

「っ…ぐっ…」

 

ソラは生きていた

ボロボロになり、倒れた体を起こしたそこには、先程自分自身の存在を証明して見せた忌むべき末っ子と、その仲間の姿があった

 

「何故…勝てない…父を認めさせようと…越えようとする事が…間違っているとでも……」

 

それに応えたのはマリアだ

 

「貴方の目的、世界を破壊する事は、ただの逃げよ」

「逃げ…だと!?」

「貴方は父を越えようと世界を破壊する事を選んだつもりかもしれない、けど本当は、越えられそうにないから世界を破壊する事で、その自分自身に課した執念から逃れようとしていたに過ぎない」

「それはっ…くっ…」

 

ソラは言い返せなかった

彼は、自分自身を殺そうと思えば殺せた父に恐怖を感じていたのだ

 

「それに比べ、ジードは…朝倉リクは、真っ向から父親と戦い、自分自身の運命を塗り替えた…そんな彼に、運命から逃げようとする貴方が勝てる筈が無いのよ」

 

彼は俯いた

そんなソラにリクが話しかける

 

「僕達は確かにベリアルの息子だ、だけどこの体は、魂は、僕やソラのものだ…ベリアルの呪縛に…囚われなくてもいいんだ、兄さん」

 

ソラはハッとジードを見る

 

「まさか…貴様が最後に加減したのは……」

 

ソラが変身解除に留まっている理由

それはリクがある願いから、最後の一撃を加減したからだ

ジードはゆっくり頷いた

 

「貴方にはもっと色んな世界を見て欲しい、そして生きて欲しい…だって、これでも兄弟なんだから…」

 

ソラはマリアの方(フォトンナイト)を見る

 

「兄弟とは…こういうものなのか…?」

 

マリアは、フッと微笑み答える

 

「えぇ、お兄さんやお姉さんは、弟や妹を守るものだし」

 

セレナがそれに続く

 

「妹や弟だって、お兄さんやお姉さんを助けます!」

「そういうものなのよ、兄弟や姉妹って言うのはね」

 

ソラは俯いたまま何も答えなかった

その直後だ

グラグラと地面が揺れ始めた

 

「なんだ…?!」

 

しばらく揺れると突然地面が盛り上がり、一体の怪物が姿を現した

 

「あれは!」

「まさか!ネフィリム!」

「デスか!?」

 

FIS組は一足先にその姿の正体を見抜いた

 

「まさか…あの時の自立型完全聖遺物なのか!?」

「にしては張り切りすぎだ!」

「とにかくみんな離れるんだ!」

 

ジード達、そしてオーブ達は一斉に飛び立つ

そこへ、響から連絡が入った

 

「皆さん!」

「響?!これは一体!」

「ごめんなさい!一足遅くて、ウェル博士がネフィリムをフロンティアから切り離したんです!」

 

制御を手放したことで、ネフィリムは自分の本能、“暴食”を始めた

だが喰らい始めたフロンティアのエネルギーはネフィリムでは溜め込めない

それを糧にしたネフィリムは暴走し、1兆度の日を放つ爆弾のようになるのだ

事実、現れたネフィリムは全身がマグマのように煮えたぎっていた

 

弦十郎達はウェルを連れて、船へと帰還を急いでいた

その最中、ある姿を見つけ、車を停める

ソラだ

 

「一緒に来て、生きるのを諦めないで」

「…お前…」

 

ソラは差し出された響の手を取り車に乗り込んだ

 

───────────────────

 

フロンティアが浮上していたこともあり、決戦の舞台は成層圏となった

 

「1兆度くらい!」

「ゼットンの野郎で慣れてんだよ!!」

「防人の務めとして!」

「世界を終わらせたりしない!」

「私達の世界を…守ってみせます!」

 

オーブトリニティとゼロビヨンド、フォトンナイトは並び立つと、一斉に光線を放ちネフィリムを撃破しようとした

 

「バルキーコーラス!」

「トリニティウムシュート!!」

「「ナイトストリィーム!」」

 

しかし、そのエネルギーはネフィリムに取り込まれ…否

 

「グァァ!?!」

「ウォオッ!?」

「ぬぁぁあっ!?」

「うわぁぁぁっ!?」

「キャァァァッ!」

 

ゼロビヨンドとオーブトリニティ、フォトンナイトは急激にエネルギーを吸い込まれ、一気にカラータイマーを点滅させ始めた

 

 

「あいつ…エネルギーを吸い込んでる!」

「それでもデス!」

 

切歌と調はお互いに武器を作り出し、必殺技を繰り出す

 

「物理攻撃ならどうデス!マジカルトライデントスラッシュゥ!」

「一番痛いのあげる!メビュームギガ光輪!」

 

彼女達はすれ違いざまにネフィリムを切り付ける

しかし、なんと武器は消失しエネルギーを吸われてしまった

 

「キャァァァッ!」

「うわぁぁっ!」

 

2人もカラータイマーを鳴らしてしまう

 

「もう一度、ジードプルーフで!」

「馬鹿!いくらお前の変身時間が無制限でも無茶だ!」

 

必殺技を放とうとするリクをクリスは必死で止めた

しかし、このままではネフィリムは臨界点に到達し、地球を蒸発させてしまう

だがクリスは諦めたわけではない

彼女はソロモンの杖を召喚すると、バビロニアの宝物庫を開いた

 

「そうか…ネフィリムをあの中に閉じ込めれば」

「地球も守って、ノイズも消せる!」

 

しかし…

 

「うぅ…ウルトラマンのエネルギーでも…無理なのか…!!!」

 

バビロニアの入口は開いたが、ネフィリムを入れるにはおおよそ足りない

ロイヤルメガマスターもカラータイマーを鳴らし始めた

だがただ見ているネフィリムではなかった

ネフィリムはクリスが踏ん張っている様子を見ると、その大きな手で彼女を叩いた

 

「なっ!!うわぁぁっ!」

「クリス!!っ!」

 

リクはクリスが叩かれた事で手を離れた、ソロモンの杖を掴む

幸いクリスは皆の元に吹き飛ばされた為無事だった

だが、それを見て安堵したのも束の間、ネフィリムはジードを狙って手を伸ばしていた

 

「まずい!」

 

ウルティメイトファイナルを守ろうと、ジードの他の形態達が光線を一斉に放った

しかし、彼らも吸い込まれ、リクの手元にカプセルが戻った

 

「みんな!」

 

リクは、咄嗟にギガファイナライザーを構え、エネルギーを吸われないであろう必殺技を選択して放った

 

「クレッセントファイナルジィードッ!」

 

ギガファイナライザーからグルグル回るエネルギーが放たれ、自分に迫るネフィリムの手に当たった

しかし、ネフィリムは怯むことは無い

それどころか、手から触手を伸ばし、ウルティメイトファイナルを絡め取ってしまった

 

「うわっ!この!」

「リク!」

 

皆も動こうと必死だが、エネルギーの消耗が激しい

そのままウルティメイトファイナルは引き寄せられていく

皆が絶望に打ちひしがれる

その時だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Balwisyall Nescell gungnir tron…

 

その瞬間、ウルティメイトファイナルの姿はウルティメイトガングニールへと切り替わり、ネフィリムの触手から逃れ、その手を蹴飛ばした

 

「これは…」

「生きるのを諦めないで、リク君!」

 

【〜♪ウルティメイトファイナル】

 

インナースペースで、リクの後ろから響が声をかけた

少しして、クリス達がウルティメイトガングニールの元へ集まる

クリスは声を荒らげた

 

「おい!せっかくお前とリクの中からガングニールが消えたのに…これじゃ元の木阿弥じゃねぇか…」

「それに関しては心配ご無用!」

 

響が伝えた時、了子から通信が入った

 

「響ちゃんとリクがあのレベルで融合してしまったのは、制御を受けてないガングニールと融合したからよ

だからペンダントで制御を受けたガングニールならウルティメイトガングニールになっても危険は無いわ」

「でも、なんでさっき、ネフィリムを攻撃してもなんともなかったの?」

 

そう、リクは咄嗟にネフィリムの手を蹴ったがエネルギーが吸われた様子は無かった

それに関して、了子は答える

 

「そう、シンフォギアのフォニックゲイン、そしてウルトラマンの光のエネルギー、それらは組み合わせる事でとんでもない数値を叩き出す、ネフィリムにも吸えないくらいにね」

「別世界のエネルギーと組み合わせることで…」

「もっと強力なエネルギーに…」

 

ガイとゼロが呟いた

まさか自分達のエネルギーを組み合わせられるとは思っていなかったが故だ

 

「だからこそ、それが切り札よ、リクと響ちゃんの事象を再現する為にエクスドライブを発動して、ウルトラマンと融合すれば、それがネフィリムをバビロニアに押し込む道しるべになるわ」

「そうすれば、バビロニアはもっと大きく開ける!」

「しかし、エクスドライブも奇跡により顕現した力、その為に必要なエネルギーは…」

 

そこへ更なる通信

 

「こちらにあります」

「マム!」

「ナスターシャ!無事だったか…」

「いえ…もう私の命も長くありません…1度だけしか言いませんからよく聞きなさい!」

 

全員が静かになる

 

「月遺跡を再起動させる為のフォニックゲイン、これらの1部をあなた達に向けます、これは…世界中の想いでもあります、エクスドライブの発動も可能でしょう」

 

ナスターシャはこれを伝えると、1人ずつ想いを伝えた

 

「ガイ、彼女達が困っていたら、力になってあげてください」

「もちろんだ」

 

「切歌、貴方の太陽のように皆を包む強さで皆を守るのです」

「マム…分かったデス…!」

 

「調、貴方の月のような優しい光で、皆を救いなさい」

「…はいっ…」

 

「セレナ、貴方とまた会えて良かった、眠っていた分、しっかり学びなさい」

「マムっ…」

 

「そしてマリア…」

「…マム…」

「貴方には苦しい思いをさせてしまいました、こんな私を許してください…そして、歌で世界を一つにするのです、それが貴方に課せられた使命…」

「…OKマムっ…!」

 

そしてナスターシャは震える声で叫ぶ

 

「…生きなさい!生きて!その歌を響かせるのです!」

 

 

「「「「はいっ!!」」」」

 

 

全員の返事を確認すると、ナスターシャはコンソールを操作した

 

「さぁ!行きますよ!!」

 

直後、月遺跡再起動の為動いていたエネルギーが装者達に向けられた

 

その時、もうひとつの奇跡が起こる

セレナに眠るエネルギーが分離し、マリアの持つペンダントに封じ込められた

そして…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Seilien coffin airget-lamh tron(望み掴んだ力と誇り咲く笑顔)

 

Seilien coffin airget-lamh tron(望まぬ力と寂しい笑顔)

 

【〜♪始まりの(バベル)

 

響達はエネルギーバリアの中に居た

ウルトラマンとしての姿は既に解かれ、マリアとセレナを覗いてギアを纏っている

ゼロビヨンドはゼロへ、リクとガイも変身が解けていた

 

「調がいる、切歌もいる、マムもいる、セレナもいる…みんながいるなら、これくらいの奇跡…安いもの!」

 

響達は歌う中、元々は敵として向かい合ったみんなと手を繋ぎ始めた

 

 

ゼロはまず翼と手を繋ぐ

翼は調に手を差し出す

 

「惹かれ合う音色に理由なんていらない…」

「っ…」

 

躊躇いながらも調は手を掴む

 

「ほら、切歌」

「はいデス!」

 

ガイと切歌が手を繋ぐ

 

「あたしも付ける薬がないな…」

 

呆れながら手を差し出すクリスに切歌も答え、手を繋ぐ

 

「それはお互い様デスよ」

「だな、ほら、リク」

「うん…!」

 

クリスとリクも手を繋ぐ

 

「調ちゃん!リク君!」

 

響の声を合図に、調とリクは響と手を繋いだ

そして、調は告げる

 

「あなたのやってる事、偽善でないと信じたい、だから近くで見せて、あなたの言う人助け、私たちに」

 

響は深く頷いた

 

「これは、私たちの束ねたこの歌は…70億の…絶唱だァァ!!!」

 

響が叫ぶと虹色の渦の中で装者達は白をベースに自分達のメインカラーを差し色とした奇跡(エクスドライブ)を発動する

 

「よし!」

「エクスドライブが発動だ!」

「っ…これは?」

 

まだエネルギーバリアの中に居るガイは突如浮かび上がった2枚のカードを手にした

リクとゼロの前にも、2本のカプセルが浮かぶ

 

それらは光を弾くと、装者達のギアの力が篭ったアイテムとなった

 

【〜♪Vitalization -Aufwachen Form-】

 

「行こう…ゼロ!ガイさん!」

「おうよ!」

「任せな!」

 

ガイは1枚ずつカードを読み込む

 

イガリマ!

 

シュルシャガナ!

 

シンフォニーフュージョン!

 

 

続いてゼロもカプセルを読み込んだ

 

 

天羽々斬!

 

アガートラーム!

 

 

ネオ・シンフォニーライズ!

 

 

そして、リクも…

 

ガングニール!

 

イチイバル!

 

シンフォニーエボリューション!!

 

 

ガイ

「ザババの二振り、お借りします!」

 

ゼロ

「不死鳥の歌姫に限界はねぇ!」

 

リク

「紡ぐぜ!共振!」

 

 

彼らがトリガーを引けば、装者達はウルトラマンの中へ消える

それを見届けたナスターシャは、最後の操作を完了させる

 

「フォニックゲイン…照射継続…ガハッ!」

 

コンソールに吐血がかかろうと関係ない、全ては罪を背負わせてしまった子達の未来のために

 

「月遺跡、バラルの呪詛。管制装置の再起動確認…月起動、アジャスト…開始…」

 

そしてナスターシャは地球を見てつぶやく

 

「星が…音楽となって…私は…新たな世界を…信じます…」

 

彼女は倒れた

直後、ジャグラーが飛び込んだ

 

「っ…おい!ナスターシャ!!おいっ!!」

 

ジャグラーは抱えて叫ぶが反応はない

彼女は、使命をまっとうしたのだ

 

 

次は…彼女達だ

 

 

─ お願い 聴かせて…

僕はここにいるから

生まれたままの感情を隠さないで

惹かれ合う音色に 理由なんていらない

熱き想い 天を貫けtrue song ─

 

3つの光が弾け飛び、新たなウルトラマンが誕生する!

 

ガイ・切歌・調

「ウルトラマンオーブトリニティ!

シンフォニーザババ!!」

 

ゼロ・翼・マリア・セレナ

「ウルトラマンゼロビヨンド!

シンフォニーイノセントフェニックス!!」

 

リク・響・クリス

「ウルトラマンジード!

シンフォニーガングニールイチイバル!!!」

 

この三体の巨人の登場は皆を心躍らせる

オーブはオーブトリニテイのカラーに緑とピンクが追加され、イガリマやシュルシャガナのようなパーツを纏っている

ゼロビヨンドは紫の場所が一部、青と白になっており、その背中には不死鳥のごとき美しき羽を纏っている

そして2人はイガリマの鎌、そして天羽々斬の剣を持っていた

ジードはウルティメイトファイナルにガングニールの拳、イチイバルの羽が追加されている

さらに、青い目がそれぞれ、黄色と赤のオッドアイとなっていた

そして、3人のカラータイマーもコンバーターのようなパーツが付いて、シンフォギアと一体になっている事を色濃く表していた

 

リク

「今度こそ…決めよう!」

クリス

「ったりめーだ!まずは…バビロニア!フルオープンだぁ!!」

 

まずはジードがソロモンの杖を使い、再びバビロニアの入口を開く

先程とは打って変わり、ネフィリムを容易く飲み込める大きさのものが開いた

 

「よし、皆で力を合わせ、ネフィリムを押し込むぞ!」

「はいっ!」

 

─ いつからだろう? 呼吸するように

どうしてだろう? 君を求める

壊れた心疼き出す 叫び出すstart it up!

溢れ過ぎた情報(ノイズ)はいつも

真実(リアル)を遠ざけ嘲笑う

望む程にすり抜ける光眩しすぎて… ─

 

三体の戦士はネフィリムへ飛び込み、その拳で、剣で、鎌で、ネフィリムを押し込んでいく

そして、バビロニアの宝物庫へ消えていく

 

未来

「響…!」

 

2課の潜水艦で共に脱出していた未来は、親友の名を呼ぶ

悲観からでは無い、必ず帰ってくると信じて

 

ネフィリムを押し込んだ3人は中の様子に絶句する

 

ガイ

「こんなに大量に…」

マリア

「これが全て…」

クリス

「人が人を殺す為に生まれた汚点…」

 

するとノイズはワラワラと3人のウルトラマンの元へと集まり始めた

 

切歌

「簡単に返してくれなさそうデスね…」

調

「だったら切り刻むだけ」

セレナ

「必ず生きて帰ります!」

ゼロ

「あたりめぇだ…行くぜ!!」

 

─ virtualー安らぎー守る為に孤独選ぶより

一人では知ることのない

手の温もり感じたいから ─

 

3人はそれぞれ、ノイズへ向かっていく

 

ガイ

「行くぞ!切歌!調!」

切歌

「はいデス!」

調

「いつでも!」

 

ガイはオーブスラッシャーを取りだし、皆で必殺技を叫ぶ

 

ガイ・切歌・調

「切断・終式!トリニティウム光輪!!」

 

オーブはオーブスラッシャーから創り出した光輪を、鎌でフルスイングして打ち出した

その斬撃は、多くのノイズを切り裂き、爆発の軌道を描く

 

─ 君だけに捧ぐ 愛ーいのちーの旋律

美しい虹を描く 永久への序章

この胸の誓いは誰にも奪えない

飛び立とう 声を重ねて

空が待っているから ─

 

ゼロ

「俺達も続くぜ!」

マリア

「ついてきなさい!」

「マリアこそ!」

セレナ

「行きます!」

 

ゼロは天羽々斬を振り、クアトロスラッガーを放つとエネルギーをチャージし、スラッガーに向けて一気に振り抜いた

 

ゼロ・翼・マリア・セレナ

「一閃!ホリゾンスラッガー!」

 

天羽々斬の一閃は、飛び回るスラッガーに跳ね返り、その軌道上にいるノイズを取りこぼすことなく切り崩していく

 

リク

「ギガファイナライザァァー!」

 

リクの叫びに答えるように、ギガファイナライザーが手元にあらわれ、それを掴む

 

「行くよ!リク君!クリスちゃん!」

クリス

「タイミング合わせろよっ!」

 

まずはクリスが使うボウガンが呼び出され、そこにギガファイナライザーをセットした

ジードはギガスラストをそのまま空中で放ち、球体を生み出した

そして拳を構え、一気に殴り付ける

 

リク・響・クリス

「我流!ギガツェッペリンスラスト!!」

 

殴り付けた球体はクラスタ爆弾のように爆散し、周りのノイズを消し飛ばす

 

ある程度戦った3人は、再びソロモンの杖を使い、出口を生み出しそこへ向かう

 

だがその前に、ネフィリムが立ち塞がった

 

クリス

「迂回路はなさそうだ」

「ならば、行く道は一つ」

「手を繋ごう!」

 

ジード、ゼロ、オーブが手を繋ぎ、インナースペースで皆が手を繋ぐ

マリアとセレナは直前、アームドギアである剣を召喚し手を繋いだ

 

セレナ

「この手は…」

マリア

「簡単には話さない!」

 

マリアと、手を繋いだ響が腕を掲げると先程の剣が、皆を纏い力を与える

 

響・マリア

「最速で最短で真っ直ぐに!!」

 

直後、響、マリアのギアが外れ、ウルトラマンをも覆う巨大な拳へと変形した

その拳は、大回転しながらネフィリムへ飛び込んでいく

ネフィリムも触手で抵抗するが…

 

全員

「一直線にぃぃぃぃぃぃぃぃぃいっ!!!!!!」

 

 

─Vitalization─

 

ネフィリムは貫かれ、皆は海岸沿いの砂浜に激突した

 

あとはソロモンの杖を使い、ゲートを閉じるだけだが…

 

この技の反動の為か、とっくにウルトラマンとしての変身は解け、装者達も動く事が出来ない

 

─ 寂しさは優しさへ

傷痕は強い絆結ぶ証になる ─

 

マリア

「すぐにゲートを閉じなければ…ネフィリムの爆発が…」

 

だがそれを否定するものが5人…

 

クリス

「まだだ…」

ゼロ

「まだ…終わらねぇ…」

「心強い仲間は…他にも…」

マリア

「…仲間?」

リク

「戦えなくても…僕達を信じてくれている…」

「私の…親友だよ」

 

響が見るとそこには2課の潜水艦から飛び出し、こちらへ走ってくる小日向未来の姿があった

 

─君だけに捧ぐ (いのち)の旋律

美しい虹を描く 永久への序章

この胸の希望(うた)に終わりはない

飛び立とう 声を重ねて

空が待っているから

今、すべてを解き放とう─

 

未来

『ギアだけが戦う力じゃないって、響が教えてくれた! 私だって戦うんだ!』

 

決意を込めた未来はソロモンの杖を手にする

しかし使い方を知らない彼女は一か八かと、それをゲートに向かって投げ飛ばした

 

未来

「おねがい!閉じてぇぇ!!」

 

ソロモンの杖は一直線にゲートへ向かっていた

 

未来

『もう響が、誰もが戦わなくていいような…世界にぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!』

 

だがネフィリムは最後のあがきか、触手を8人に向け伸ばした

今絡め取られると二度と帰れないどころか、地球に被害が出てしまう

だが疲労から皆は動けない

絶対絶命…!

その時…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺の弟とその仲間を巻き込むな!」

 

触手を掴む大きな手が皆を守った

それを皆は知っている

 

リク

「ソラ!?なんで…!」

 

こちらを向いたジードそっくりの顔は、心做しか笑っているようだった

 

ソラ

「兄は弟を守るものなんだろう…はぁっ!」

 

ソラは触手を絡め取ると、ゲートへ飛び立った

 

リク

「そんなっ!ソラ!」

 

ソラ

「俺はあまりにも罪を犯しすぎた、せめての罪滅ぼしだ!お前が…世界を一つにする世界を、ベリアルと見守る!成し遂げろ!リクっ!!」

 

 

ソロモンの杖とほぼ同時に、ソラはゲートへ飛び込んだ

刹那、空が黒く濁り、ネフィリムがバビロニアの宝物庫で爆発した事を現した

 

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第16話 星が音楽となったかの日、新たな世界信じ続ける【後編】

メンバー達は海岸沿いに立ち、月を見つめていた

 

マリア

「マムが未来を繋げてくれた…ありがとう、お母さん」

 

近くでは、緒川や弦十郎が事後処理に追われている

 

緒川

「月の軌道は正常値に戻りつつあります、しかし、ナスターシャ教授との連絡は…」

弦十郎

「ぬぅ…」

 

弦十郎が溜息を吐いた時だった

月から光が舞い降りたのだ

全員身構えたが、その光が晴れた時そこに居たのはナスターシャを抱えたジャグラーであった

 

ガイ

「ジャグラー!」

マリア

「マムっ!?」

ジャグラー

「…遺体を連れ帰るので精一杯だ、フロンティアの遺産はまだ、宇宙を漂っている…」

 

ジャグラーはふてぶてしく、いや、悔しそうに呟いたがマリア達は遺体を受け取り、涙を零しながら首を振る

 

切歌

「ありがとうデス…っ」

調

「マムを地球に帰してくれて…っ」

セレナ

「これで安らかに眠れます…っ」

 

皆が感謝を述べるとジャグラーはそっぽを向いた

ガイはその様子を見て微笑んでいたが、突如オーブカリバーを取りだした

カリバーは中心の円盤が光り輝いている

 

ガイ

「…次のミッションか…」

 

ガイは、顔を歪ませる

マリア達の事が気がかりなのだ

しかし、マリアは立ち上がりガイに向かい合う

 

マリア

「行きなさい、貴方の力を必要としてる人が居るんでしょう?私達は私達の力で…罪を、苦しみを、悲しみを乗り越えてみせるわ」

 

気丈に振る舞うマリアだがその目には涙を溜めていた

ガイはこれ以上悲しませまいと、意志を汲み取り微笑みながらジャグラーのもとへ歩く

 

ガイ

「行くぞ」

ジャグラー

「命令すんな…」

 

ガイがオーブカリバーを構えると光に包まれ、ジャグラーとガイは空の彼方へ消えていった

 

「それじゃ、帰ろっか」

 

響が帰り始めようとした時だった

 

ゼロ

「あぁ、わりい、みんな…俺たちは…ここで()()()だ」

クリス・翼

「えっ…」

 

困惑する皆の元に了子が歩いてくる

 

 

了子

「ゼロがここへ来る時、彼を阻んだ結界、それがフロンティアが浮上した辺りで消失していたの」

ゼロ

「つまり…少なくとも、トレギアはもうウェルの野郎を狙っちゃ居ないってことだ」

マリア

「つまり、怪獣が現れることもないから、あなた達が留まる理由が無い、そうね?」

ゼロ

「あぁ、少なくとも響の治療をしないとならねぇから一度俺は帰ってくるが…リクは…自分の世界に帰ることになる」

 

突如告げられた別れ

みんなはせっかく仲良くなれたのにと、動揺していた

しかし

 

リク

「大丈夫、僕達はウルトラマン、何かがあれば、必ず来るから」

切歌

「そう…デスよね!」

調

「私達も、貴方に顔向けできるくらい、良い人になれるようにする」

セレナ

「絶対また会いましょう!」

「短い間だったが、共に戦えた事を誇りに思う!」

マリア

「朝倉リク、君を部外者と言ってすまなかった、君は…この星の救世主だ」

 

クリスはというと、ただじっとリクを見つめ…

 

クリス

「行けよ、お前を待ってる奴が居んだろ?」

 

ぶっきらぼうに答えた

 

リク

「うん、またね」

 

リクも一言答え、翼と並ぶ

 

ゼロ

「よし、帰るぞ」

リク

「うん、ジーッとしてても!…!?」

 

その瞬間、リクは心臓の鼓動が一際大きく鳴った感覚に襲われた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ズサッ…

 

「あれ、リク君?ギガファイナライザー落としたよ?」

 

その言葉と共に、リクはその場に倒れ込んでしまった

 

「っ!朝倉!?」

ゼロ

「おい!リク!?」

了子

「リク!」

 

クリスも驚いた顔で駆け寄る

 

クリス

「リク!!?お前目開けろよ!」

了子

「…心臓が動いていない…!?」

 

全員が息を飲んだ

クリスは驚いて、翼の中にいるゼロに叫ぶ

 

クリス

「お前…同じウルトラマンだろ!?何とかしろよ!」

ゼロ

「無理だ、こいつの体は普通のウルトラマンとも人間とも違う!度重なる戦いでダメージを受け続けたこいつに、ウルトラマンの常識ですら通用するか…」

 

セレナはそれを聞き、泣きながら膝をついた

 

セレナ

「私に…エネルギーを与え続けたせいで…」

切歌

「そんな…マムに続いて。」

調

「リクさんまで…」

 

クリスは目を開くと、了子を突き飛ばし、リクに心臓マッサージを施し始めた

 

クリス

「おいっ!目ぇあけろ!お前、待ってる奴が居るんじゃねぇのかよ!大事な仲間が!友達が!家族が!」

 

リクはそれに応えることは無い

そこへ、弦十郎がAEDを持って現れた

 

弦十郎

「クリス君!」

クリス

「早く貸せ!」

 

クリスは弦十郎からAEDを奪い取ると、テキパキと準備し電流を流した

しかし、依然リクの目は覚めることは無い

 

皆が涙を零しながら終わりを覚悟していく中、クリスだけは諦めなかった

AEDが止まった後は、自分で心臓マッサージを続ける

 

クリス

「おい!いい加減にしろよ!お前が死んじまったら…後味悪いんだよ!なんであたしじゃなくて…お前が…お前が…!」

 

叫びながらクリスは、涙を落とす

それでも諦めない、いや、諦められない

伝えられなかった言葉

たった4文字の言葉が伝えられなかった

自分の気持ちに蓋をして、アイツが言った時はズルをして、言おうとしなかった言葉

 

クリス

「悪かったよ…私は…リク…お前が好きだ、大好きだよ!だから目を開けてくれ!お前が死んだら、また私は…一番大事だった人を失うんだよ!」

 

クリスは覚悟を決めた

リクの鼻を押さえ、顎を少し上げると…

 

 

 

 

躊躇いなく、自分の唇を押し当てる

人口呼吸だ

フーっフーっと息を吹き込む

胸が浮き上がり、息は入り込んでいるのがわかる

しかし…リクの目は開く事は無い

 

クリスはもう一度…と腕を構えるが、限界がきてリクの胸で泣いてしまう

 

クリス

「頼むよ…リク…お前ともっと居たい…!お前といっぱいデートしたかった!お前ともっとたくさん遊びたかった!大好きなお前ともっと…もっとたくさん…だから…目を開けてくれ…リク…うわぁぁぁぁぁっ!!」

 

クリスの大きな鳴き声が海に響き渡る

 

 

───────────────────

 

 

真っ暗だ…

まるで、父さんと戦った場所みたいな…

そんな事を思っていると…声が聞こえてきた…

 

 

 

 

 

─ リク…お前が好きだ、大好きだよ!だから目を開けてくれ!お前が死んだら、また私は…一番大事だった人を失うんだよ! ─

 

 

 

クリスの声…?

すると今度は別の声が聞こえてきた

 

?

「お前またこんな所に来たのかよ」

 

聞き覚えがある声だ

 

リク

「奏さん…」

「大事な彼女が呼んでるぞ、戻らないとなんねーんじゃねぇか?」

リク

「はい…けど、何も見えなくて…」

 

これが、本当の死という感覚なのだろうか

目を開いているはずなのに、何も見えない

 

そこへ、もう1つの声

 

「お前は生きてなくちゃならない、罪を犯しすぎた俺の代わりに」

リク

「この声…」

 

刹那、僕の胸に手が当てられた

僕の体はゆっくり熱を帯びていく

最後の瞬間、目を開けるとそこには、口元が微笑んだ僕そっくりの男の姿があった

 

リク

「ソラ…?」

 

───────────────────

 

クリス

「リクっ…リクぅ…お願いだ…目を開けてくれよ…大好きだって言ってんのに…もっと早く伝えればよかった…こんな事になるならぁッ!」

 

 

クリスは泣き続ける

迷っていたうちに、一番伝えたいことを伝える前に亡くなった

またひとりぼっちだ

…と思っていた

 

 

「伝わったよ…」

 

クリスが驚いて顔を上げると、一番大切な人がゆっくりと目を開けた

彼は手を頭に乗せた

 

リク

「それが聞けて…よかった」

 

【〜♪GEEDの証 感動】

 

クリス

「リク…リクだよな…生きてるんだよな…」

リク

「うん、ごめんね、びっくりしちゃったよね…」

 

その答えを待たずにクリスはリクに抱き着いて泣き喚いた

 

クリス

「バカァァっ!あたっ…あたしが…どんだけ心配したかっ…」

リク

「うん、ほんとにごめん」

 

そして少し落ち着いたクリスは、伝えられなかった言葉を何度も告げる

 

クリス

「好き…あたしはお前が大好きだ…リク…」

リク

「うん…ありがとう。僕もクリスが好きだよ…」

 

リクはクリスを抱きしめて、背中をとんとんと叩く

 

「ほんとに…よかった」

未来

「うん…ほんとに…ハッピーエンドだね」

「また、奏が助けてくれたのね…」

ゼロ

「多分な、全く心配かけやがって…」

了子

「ほんと、ひやひやさせる子ね、嫌いじゃないわよ」

弦十郎

「きっと、世界がまだ彼を必要としているんだな」

マリア

「そう簡単にくたばる事はないと信じてたわ…」

セレナ

「でもマリア姉さんも泣いてるよ?」

調

「セレナもね…っ」

切歌

「ほんとによかったデス…っ」

 

───────────────────

 

ゼロ

「お前ほんとに大丈夫なのか?」

リク

「うん、御心配お掛けしました」

 

リクは改めてギガファイナライザーを拾い上げた

 

リク

「ん?」

 

リクは突然口をモゴモゴさせ始めた

 

クリス

「今度はなんだよ…?」

リク

「っぺ…なにこれ…()()()()()()()

 

リクは口から食べた覚えのない小豆の皮が出てきたのだ

 

全員

「あ……」

 

【〜♪虹色のフリューゲル】

 

皆の視線は雪音クリスのもとへ

当の本人は顔、耳が紅くなり、湯気まで出てくる有様だ

 

リク

「おかしいな…小豆なんて食べた覚え無いのに…しっかり味までする…クリス何か知ってる?」

 

その言葉を聞くとクリスは顔を上げた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クリス

「お前それ本気であたしに聞いてんのかァァァァ!!!?」

リク

「えっ!?何々何々何々何何々何々何々何々!!!!!?」

 

腕を振り回しながら追いかけるクリスに恐怖したリクは慌てて走り出した

 

クリス

「待ちやがれェえ!!」

 

クリスはそんなリクを追いかけ走り出す

夕陽が海を照らしまるで青春映画だ

そんな中ゼロが一言

 

ゼロ

「こういう時、なんて言うかみんななら知ってるよな?せーのっ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全員

 

「そういう事は家でやれ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─戦姫絶唱シンフォギアG 響くぜ!絶唱!![完]─

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─戦姫絶唱シンフォギアGX 響くぜ!絶唱!!への前日譚─

 

あの後、バカはしっかり人間に戻って帰ってきた

光の国が綺麗だったとか、宇宙人に会ったとか言ってたが、あたしにとっちゃそんなことはどうでもいい

 

リクが幸せに生きてくれれば

 

だけど、相手と連絡を取り合うことが出来ないのがすごくもどかしい

リクに会いたい

 

そんな中迎えた卒業式の後、フロンティアの遺産を乗せたロケットが襲撃を受けたとかで、

国連超常災害対策機動部 タスクフォース S.O.N.G.

突起部が名前を変えたチームに災害救助メンバーとして編成されているあたしらはその救助に向かった

ロケットを助けたあと、あたし達はその襲撃者と相見えることになった

 

バカが一か八かでロケットを止めて、その静止を確認したあたしは先輩と倒れているバカの元へと向かう

 

「大丈夫か立花?」

「ふふっ、はははっ、あはははっ」

クリス

「おかしなところでもぶつけたか?」

 

そりゃロケットを投げ飛ばすなんて真似したやつが笑っていたらこうも思うだろう

 

「私…シンフォギアを纏える奇跡が嬉しいんです!!」

 

あたしは先輩と顔を見合せた

そうだ、このバカは何処までも人助けに命を懸けて、それに喜びを見出すバカだ

改めて私は伝えてやった

 

クリス

「お前、本当のバカだな」

 

そこへ通信が入る

 

了子

「響ちゃん!翼ちゃん!クリス!」

「櫻井女史?」

了子

「宇宙から2体の巨大なエネルギー反応があるわ!気を付けて!」

 

直後、大きな茶色いロボットが、村に降り立った

目は細くひとつに繋がり、つり上がって赤く光り輝いている

片方は腕にドリルを付けていて、もう片方は超電磁砲みてぇなのをつけてやがる

 

さすがのバカも起き上がり臨戦態勢に入った

「雪音はミサイルで2体を誘導!私と立花が斬り込む!」

「はいっ!」

クリス

「任せな!」

 

先輩の指示は頼りになる、あたしはMEGA DETH FUGAを繰り出し、ロボットに直撃させた

しかし、ロボットは奇っ怪な駆動音を響かせるとドリルの付いた一体をロケットの方に向かわせ、超電磁砲の付いたもう一体はあたしを狙って動き始めた

 

クリス

「先輩達はそっちを!あたしがこいつを引き付けておく!」

 

あたしはひたすら山の方へ戻った

これ以上暴れたら村に被害が増える

だが、ロボットの方は的確に超電磁砲であたしの進路を妨害してくる

 

クリス

「がはぁっ!?」

 

最後の一発で逆にあたしを岩陰に追い込んできやがった

見れば、もう一体も進行を止められてはいない

 

クリス

「結局…こうなっちまうのか…!?」

 

ロボットは超電磁砲をこちらに向ける

銃口にエネルギーが溜まっていく

嫌だ…

 

クリス

「嫌だっ…こんな所で終わりたくない!!!」

 

あたしは2丁のガトリングを構えた

 

クリス

「ジーッとしてても!ドーにもならねぇんだよ!!」

 

私は私自身に向かって叫んだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ジーッとしてても、ドーにもならねぇ!!」

クリス

「へっ?」

 

直後、あたしの目の前にいたロボットは、黒と赤の稲妻を纏った光線に貫かれ爆発した

爆風から身を守ろうと、あたしは腕で顔を覆う

だが、爆風は襲って来ず、代わりに優しい光が目に入った

ゆっくり手を下ろすと、それは光を少しずつ抑えていく

そこにはあたし様が一番会いたかった巨人の姿があった

 

クリス

「ウルトラマン…ジード…!」

リク

「久しぶり、翼さんの卒業式、間に合ったかな?」

クリス

「もう終わったよバーカ!」

 

あたしは自分の事では無いことに思わず、ふてぶてしい態度をとってしまう

だけど、リクは怒ることなく頭に手を当てた

 

リク

「あぁごめん、怒ってるよね、埋め合わせは何がいいかな」

 

そんなの決まっている

 

クリス

「…デートに決まってんだろ」

リク

「OK!ゼロ!そっちは大丈夫?」

 

ジードが振り返った先には、肩に先輩とバカを乗せたゼロが歩いてきていた

 

ゼロ

「おう!バッチリだ!」

「こうやって乗るとやっぱりウルトラマンって大きいんだねぇ〜」

「私とも言え、些か興奮してしまうな…//」

ゼロ

「ところでよ?あれなんだ?」

 

ゼロが指差す先には歪な崩れ方をした山がある

あれはさっき、ロケットを救う為にあたしとバカで崩して通り抜けさせたものだ

だけど、そうしないと仕方なかった

 

「あれは〜…」

リク

「村も結構ボロボロ…ゼロ!」

ゼロ

「同じこと考えてんな?よし、やるか!」

 

ゼロとジードは飛び上がると、青い姿に変身し、背中合わせになった

そして、

 

ゼロ・リク

「フルムーンヒーリングスマッシュウェーブ!」

 

キラキラ輝いた光線を村と山に当てた

するとなんとさっきまで崩れていた山や村がすっかり元通りになっちまった

完全に元通りにすると、村人達が感謝を投げかけ始めた

完全に神様を信仰してるみたいだ

彼らは空へと飛び立つ

また帰ったのか?

そう思っていたら声が聞こえてきた

 

リク

「おーい!」

 

振り返ると、見慣れた姿で走ってこちらに来るリクの姿

あたしは待ちきれず、その胸へと飛び込んだ

 

 

 

 

───────────────────

 

 

【バビロニアの宝物庫】

 

トレギア

「予想こそしていたが、酷い有様だ…」

 

宝物庫はネフィリムの爆発により9割方ノイズが消えていた

トレギアは壊れているソラの使っていたライザーを放り捨てると宝物庫から出た

 

トレギア

「本人の闇…その身に受けたジードの光…これをこうして…」

 

トレギアはライザーから取り出したカプセルを揉み込む

すると、カプセルは()()()()()へ変わった

光と闇

それぞれのクリスタルを眺め、問いかける

 

トレギア

「これで、君の求めるものになれるのかい?」

 

??

「素晴らしい!!これさえあれば私は更なる力を持った、ウルトラマンへっ返り咲くことがでぇきるっ!あの兄弟に復讐したい所だがむぁずは!目付きが悪く悪のウルトラマンブェリアルの息子であるジードを…私が成敗してやる!」

トレギア

「結構…では頑張りたまえよ?」

??

「待てっ、ほんとに貴様…ウルトラマンでは無いのか?」

 

トレギアはため息を吐く

 

トレギア

「何度も言っているだろう、私はトレギア…狂おしい…好奇心だ…」

 

 

 

 

 

 




【次回予告】

クリス
「待たせたな!次回はあたし達の物語の裏で何があったか、面白おかしく話してやらあ!」
リク
「次回!戦姫絶唱しないし響かないシンフォギア!」

ガイ
「お前何やってんだ?」
ジャグラー
「臨時マネージャーって奴さ?」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

【番外編】絶唱しないし響かない

① QUEENS of MUSIC 開催数日前

 

ジャグラー

「…この星に来るのは何度目だ」

 

かつて、シェンショウジン発掘の為に訪れたこの宇宙

ガイのやつより先に、今回の事象を解決してやろうと追いかけたはいいが、一体どこに転移したのやら

宛もなく歩いていると何やら揉め事の空気

 

「えぇ!?マネージャーが来れない!!?」

 

些か聞き覚えがある声に目を向けると、確かガイがこっちに来た時に助けたとかいう女によく似ていた

女はしばらくし、電話を切ると蹲った

おいおい、人混みの中だぞ

 

「うぅ無理よ!マネージャーもいないのに引っ込み思案の私に、あんな大きなライブなんて…!」

 

ふっ、仕方ない、恩を売っておくか

 

ジャグラー

「お嬢さん?」

「誰…?」

ジャグラー

「マネージャーをお探しで?」

「…!貴方!マネージャー業の人?!」

ジャグラー

「えぇ、フリーマネージャー、じ…()()と申します」

「この際貴方でもいいわ、あたしはマリア・カデンツァヴナ・イヴよ、マネージメントをお願いしてもいいかしら…報酬なら…」

蛇倉

「わかりました、ビジネスを始めましょうか?」

 

俺は後に後悔することになる

この女のメンタルの弱さに…

 

 

② QUEENS of MUSIC 開催 数日前 当日

 

マリア

「ケータリングゥ〜!」

蛇倉

「マリアさん、ほどほどにお願いしますよ」

マリア

「わ、分かってるわよ!さぁて… 育ち盛りの調と切歌にお土産持って帰らなくちゃね、特に調はもっとお肉を食べさせなきゃ!切歌の為に色の濃い野菜も詰め合わせてっと!」

 

ほどほどの意味わかってんのかこの女…

 

マリア

「ああ見えてマムもお肉好きだし! というか、お肉ばっかり食べるし!どうしてうちの皆は好きな物しか食べないのかしら!?バランス悪いったらありゃしない!ドクターはドクターでお菓子ばっかりの偏食家だし!ああもう! まるで私が皆のお母さんみたいじゃないの!?」

 

自覚はあったのか…

 

マリア

「でも、これから人類救済に向けて頑張らなきゃいけない正念場だから、せめて元気の出るごはんをしっかり食べてもらって!」

蛇倉

「人類救済?それはどういう」

マリア

「気にしないで、いいわね…!(凄まじい睨み目)」

蛇倉

「……はい」

 

引っ込み思案のこの女が、アイドルやっててよかったと心から思えるのは、ケータリングが充実している現場に巡り合えたとき、なのかもな……

 

 

③ QUEENS of MUSiC 開催 数日前 当日 2

 

マリア

「あーん」

 

ローストビーフを頬張るマリア

あーんなんて言う奴初めて見たぞ…

 

マリア

「これよ!これさえあれば!」

 

そういうとマリアはもう1人の歌姫、風鳴翼の楽屋へ入っていった

俺は一応外で待機していたのだが…ここでまさかの出会いが…

 

??

「よいしょっ、よいしょっ…緒川さ〜ん、荷物持ってきました〜」

蛇倉

「っ、風鳴翼のマネージャーなら中ですよ」

??

「あ、すいませんありがとうござい…ジャグラーっ!?」

蛇倉

「あっ!?」

 

そこにはいつだったか、ナオミの母親を欺く為に弁護士と称した衣装を着たガイの姿があった

 

ガイ

「何やってんだお前?」

ジャグラー

「臨時マネージャーって奴さ?ってお前こそ何やってんだ」

ガイ

「俺は補助マネージャーだ、ちょっと資金調達にな」

 

直後、マリアが楽屋からでてきた

 

マリア

「行くわよ」

蛇倉

「っはい…」

 

去っていく2人をガイはじっと見つめる

 

ガイ

『何の因果だろうな、マリア、セレナは必ず見つけるから…待っていてくれ』

 

緒川

「ガイさーん?」

ガイ

「あ、はーい!」

 

その後、俺達はトラブルに巻き込まれ、姿を消した

なーんて、言うまでもないか?

 

 

 

───────────────────

 

①FISと米国政府の交渉決裂後

 

マリアはソラから口を離した

 

ソラ

「マリア…お前…?」

マリア

「お願い…何も言わないで…」

 

マリアは積極的にソラに組み付いていく

そして、ソラの着ているシャツに手が掛けられた

 

調

「マリア…」

ソラ

「調?」

マリア

「ぴやぁぁぅ!?なによ調に切歌、驚くじゃない…」

 

ベッドの側には、何故か調と切歌が来ていた

 

切歌

「その〜…一緒に寝て欲しいのデス」

マリア

「へぇっ!?」

 

②FISと米国政府の交渉決裂後

 

マリア、調、切歌、ソラは並んで川の字で睡眠をとることになった

 

調

「ごめんなさい、すごく寒くて」

マリア

「最初のアジトを追われて以来、ずっと寒空の下に放りだされてるからね…おまけに節約、節約~って、暖房もままならないお財布事情だし…って冷た!もしかして調の足!?」

 

布団で分からないが、今マリアの足に調が冷えた足をくっつけたのだ

 

調

「ごめんなさい…」

マリア

「ピャああっ!!?」

 

今度は切歌だ

 

切歌

「ってゆーか、マリアってばなんでこんなに暖かいの? おまけにいい匂いするし」

マリア

「知らないわよ! あなた達と一緒な筈よ! いきなりくっ付いてこないで!」

調

「…ごめんなさい」

 

調はもう一方の足もくっつけた

 

マリア

「ひゃあ! 謝ってからならもう一つの足をくっつけてもいいっていう訳じゃなーい!」

ソラ

「…すぅ…」

 

調の隣のソラはそんな事気にせずにすやすや寝ていた

 

 

【1部割愛】《内容は殆ど同じ為》

 

───────────────────

 

①立花響、光の国へ

 

ゼロ

「シェアっ!着いたぞ、お前の宇宙だ」

リク

「懐かしいな…見た目変わらないのに」

 

私の中にあるウルトラマンの遺伝子を取り除くため、私、立花響は並行宇宙にやって来ました!

まずはリク君の帰還です!

 

と思っていたら、地球からなんか火の玉の擬人化みたいなのが飛んできました!?

 

??

「おぉ!ようやく戻ってきたか!ウルトラマン…ジーグ…ジータ?あれ?」

リク

「えっと、ジードですよ」

??

「あぁそうだ!ジード!お前さんの仲間がずぅーっと心配してたぜ?特に()()()って名前の嬢ちゃんとか、()()とかいう宇宙人とか」

リク

「あぁ、()()()()ですね?!」

??

「あぁーそうそうっ!んっ?ゼロちゃん、その嬢ちゃんは?」

ゼロ

「あぁ、この子は立花響、別の世界でリクが共に戦った仲間だ、ちと厄介な事になってて光の国に行かなきゃなんねぇんだ」

 

私が困惑してるなかどんどん話が進んでいく

 

??

「ほほ〜、俺様はウルティメイトフォースゼロのグレンファイヤー様だ!よろしくな?」

「は、はい!よろしくお願い致します!グレンファイヤーさん!」

ゼロ

「グレンでいいんだよ」

グレン

「いやそれお前が言っちゃダメだろ」

 

 

 

②立花響、光の国へ

 

ゼロさんのご好意で、私は1度リクくんの住居、星雲荘で休憩をとることになった

ゼロさんは、私の中へ入り、リクくんの案内で星雲荘へと入る

同じエレベーターでもリディアンの時に比べたらとっても優しかったなぁ…

 

そして、エレベーターを降りた直後だった

 

??

りっくぅぅーん!!心配したんだよぉぉぉ!!?

「ふえっ?!えっ?へぇつ!?」

 

いきなり女性に抱きつかれて、私は素っ頓狂な声を出してしまう

 

??

「うぅ!しばらく見ない間にちょっと柔らかくなったねぇ…大変だったよねぇ…うぅ、りっくーん…」

 

リク君が女性の肩を叩く

 

リク

「モア…僕こっち…」

モア

「んんっ…えっ?……ええっ!?この子誰!?」

 

モアと呼ばれた女性は驚いて尻もちをついた

 

「あぁっと…私は立花響、別世界でリク君と一緒に戦いました!」

??

「もう、ちゃんと確認しないから…ほら、シャキッと立つ」

 

モアさんはもう1人の女性の手助けを受けて立ち上がった

 

モア

「ゲフンゲフン…改めまして、ニコニコ生命保険の愛崎モアです、よろしくね!」

ライハ

「私は鳥羽ライハ、リクを助けてくれてありがとね」

 

「あ、はい!」

 

私が腰を折って挨拶すると更なる声が響く

 

レム

「report management のレムです、響、よろしくお願い致します」

「ふえっ?!何処から?」

 

ライハさんの指差す先を見ると、部屋の奥中央にぶら下がっている黄色い球体が輝いており、声がする度に点滅していた

 

レム

「私です、響」

「うわぁ!すっごーい!?」

 

ふとリク君を見ると、足元を見てキョロキョロしている

 

「どうかしたの?」

リク

「いや。もう1人いるはずなんだけど…」

 

そういえば、ペガって子をまだ見ていない

 

ライハ

「ペガならここよ、出ておいで」

 

すると、ライハさんの影からヌルッと小さな宇宙人が現れた

頭は黒くて、まるでカタツムリみたいに触覚の先に目がある

そして、パーカーとズボンに靴と、普通の男の子みたいな出で立ち

 

ペガ

「あっ、えっと…はじめまして、ペガです」

「……可愛い〜!!」

ペガ

「へっ?はわわっ!」

 

あまりの可愛さは私のハートを撃ち抜くには充分だった

私はペガ君に抱きついた

 

「あは〜はっ、スベスベしてる〜!それにひんやりしてて気持ちいい〜!」

ペガ

「わふっ、くすぐったいよ〜…!助けてリク〜!」

リク

「あはは、どうしようかな〜…」

 

 

 

③立花響、光の国へ

 

ちょうどお昼どきだったので皆さんでカレーライスを食べる事に

 

「んん〜!美味し〜!特にトマト!」

リク

「すっごい懐かしい味…やっぱりこれだね」

 

それを聞くとライハさんは嬉しそうに微笑んだ

 

ライハ

「よかった、野菜は私が育ててるの、資金節約のためにね、それに…」

 

ライハさんはリクくんの腕を掴んだ

 

リク

「ん?」

ライハ

「特訓もしっかり続けてたみたいだし、」

リク

「もちろん、向こうにすごく鍛えてる人も居たし、楽しかったよ」

 

すごく仲がいいな〜この2人

まるで…

 

「夫婦?」

モア

「ブーッ!?」

リク

「うわっちょっとモア…!」

 

モアさんが突然水を噴き出し咳込んだ

 

ライハ

「違うよ、そんなんじゃない、リクは頼りない所もあるからしっかりしてないと…」

ゼロ

「そうだそうだ、前に聞いたが、女子と付き合ったのもクリスが初めてなんだぜ?」

「そっか〜」

モア

「そうそうっ!……へ、クリス…?」

 

気に慣れぬ名前にモアが困惑する

 

「雪音クリスって言って、私達の世界にいる女の子なんです!」

モア

「それは察しはつくけど…ぜろ、なんて言った?」

ゼロ

「へ?女子と付き合ったのもクリスが初めて…」

 

瞬間、モアさんは目を回して倒れてしまった

 

リク

「ち、ちょっとモア!?」

ライハ

「…私は平気だけど…後でモアにはちゃんっと説明、しなさいよ?」

ペガ

「リクに彼女か〜…会ってみたいな〜」

 

 

 

④立花響、光の国へ

 

その後、リク君達と別れを告げ、光の国へゼロさんと向かった

モアさんは目を覚ましたあとは……

 

モア

「りっくんに彼女りっくんに彼女りっくんに彼女りっくんに彼女りっくんに彼女りっくんに彼女りっくんに彼女りっくんに彼女りっくんに……(ry」

 

と繰り返していた

ライハさん達は何とかすると言っていたが大丈夫だろうか…

そんな事を思っていると、ゼロさんが止まった

 

ゼロ

「見ろ、響、あれが俺達の故郷、M78星雲、光の国だ」

「うわぁァァ…!すっごい綺麗…!」

 

星自体がエメラルドグリーンに輝き、まるで太陽のよう

ここに、ゼロさんや他にもたくさんのウルトラマンがいる

 

ゼロ

「ふんっと…ここの光を浴びたら本格的にお前はウルトラマンになっちまうからな、バリアを張らせてもらうぜ」

 

ゼロさんは私を球体のバリアで覆うと光の国へ飛び込んだ

 

 

 

⑤立花響、光の国へ

 

圧巻

その一言だった

光の国は建物が全て宝石のように輝いていて、キラキラしていた

そこで、普通に生活している人もいれば、的を狙って光線の訓練をしている人もいた

 

「ここから…たくさんのウルトラマンが生まれたんですね…」

ゼロ

「そうだぜ、俺達も一つの命、与えられた力を平和を守る為に一生懸命なんだ」

??

「ゼロ〜!」

ゼロ

「おっ?よっと…」

 

誰かに呼ばれたゼロさんはゆっくり降り立つ

そこへ、メインカラーが銀、赤い腕に水色が差し色

胸にゼロのようなプロテクターを着けた、三本ツノのウルトラマンが近付いた

 

ゼロ

「タイガ、久しぶりだな?」

タイガ

「ほんとだよ、いつの間に帰ってきたんだよ?」

ゼロ

「ほんのついさっきだ、あそだ、ウルトラの母何処にいるか知ってるか?」

タイガ

「婆ちゃんか?婆ちゃんならいつものとこだよ」

ゼロ

「銀十字軍本部か、っち、未だに傷の心配されっからちと慣れねぇんだよな…」

タイガ

「それくらいゼロが無茶するからだろ?」

ゼロ

「っへ、違いねぇな、サンキュータイガ、お前も地球に派遣されるよう頑張れよ?」

タイガ

「あぁ!ゼロにも負けないウルトラ戦士になってやる!」

ゼロ

「その意気だ、じゃあな!」

 

ゼロはそのまま飛び立った

 

タイガ

「ゼロが連れてた女の子…なんだったんだろ?」

 

 

 

⑥立花響、光の国へ

 

ゼロさんの話によると、ウルトラ銀十字軍本部に私を治療出来るウルトラウーマンさんがいるらしい

そして、到着した先で私は目を丸くする事になった

 

ゼロ

「すまない、ウルトラの母は?」

ウルトラ母

「こちらですよ」

 

そこにはすごく女性らしい体つきをしたウルトラウーマンさんが居たのだ

ちょっと羨ましい…

 

ウルトラの母

「ん?ゼロ!何故ここに地球人を…」

ゼロ

「あぁストップストップ!あんたに頼みたいことがあって連れてきたんだ…」

 

───(中略)────

 

ウルトラの母

「なるほど…ジードと一つに…」

ゼロ

「ジードの方は浄化はすんでる、だが響はまだベリアルの遺伝子が残っちまってるからな」

 

私はバリアの中に作られたベッドに寝かされていた

ウルトラの(はは)さんは顔を近づけた

 

ウルトラの母

「たくさん、辛いこともあったでしょう、もう大丈夫ですからね」

 

すごく安心する

ここまで、この人の事をウルトラの母と呼ぶ人を沢山見てきたが、そう呼ぶのも頷ける

 

ウルトラ母

「では…早速始めます、すぐに終わりますからね」

「はい…よろしくお願いします」

ウルトラ母

「マザー光線!」

 

ウルトラの母の手から黄色い粒子のような光線が放たれた

それを浴びていると、スーッと何かが抜けていく感覚に襲われ、私は眠りについてしまった

 

しばらくし、目を覚ますと再びウルトラの母と目が合った

 

ウルトラの母

「治療は終わりましたよ」

「あ、ありがとうございます、ごめんなさい…寝ちゃって」

ウルトラの母

「構いませんよ、所で…あなたの胸の傷ですが…」

「あ、これ…ですか?」

 

私はフォルテのようになってる傷を触る

 

ウルトラの母

「私なら、それを消す事も出来ますが、どうしますか?」

 

私はしばらく考え答えた

 

「これは、私を救ってくれた恩人の生きていた証でもあるんです、だからこのままで、へいきへっちゃらです!」

ウルトラの母

「わかりました、貴方は立派な考えを持っているのですね」

 

⑦立花響、光の国へ

 

ウルトラの母さんと別れを告げ、私は地球に戻ってきた

 

ゼロ

「んじゃ、ここでお別れだ」

「はい、絶対また来てくださいね」

ゼロ

「なんか大変な事があったらなー?」

「ふふ、はい!」

ゼロ

「へへっ、じゃあな!シェアっ!」

 

ゼロさんは飛び立った

私はしばらく空を眺めていると声をかけられた

 

未来

「響!」

 

振り返るとそこには、私の大切な陽だまりがいた

 

「ただいま…未来」

未来

「おかえりなさい、響」

 

さぁ、あったことをお話しよう

思い出として、紡ぐ為に

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




リク
「次回も絶唱しないし響かない!になるのかな?」

「難しいよね〜…だってそしたらしばらくずっとそうなるんだもんね」

「ちなみに次回の予定は!」
ゼロ
「なぜ俺達が戻ってきたか、そしてGX1話までの間の話だ!」
クリス
「次回もお楽しみって奴だな!」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

【番外編】絶唱しないし響かない Part2

①帰還の理由

 

 

その日、俺は懐かしい敵と再会した

 

ゼロ

「シェアっ!ひっさびさだなレギオノイドぉっ!」

 

俺はスラッガーを投函し、次々と何万という数のレギオノイドを破壊していった

レギオノイドとは、知らねぇとは言わせねぇ、ベリアルが銀河帝国を作り出した時、大量生産されたロボット兵器だ

ベリアル亡き今も、残党があちこちで暴れ回ってる

つい少し前は、ダダカスタムなんてのが出て来て、この無敵のゼロ様もダメージの影響で形無しだった

だから量産のうちにさっさと倒してぇとこなんだが、最近息を潜めていたコイツらがどうして…

そんな事を考えつつ、ワイドゼロショットでレギオノイドを壊滅させ、俺は光の国へ再び飛び立った

 

 

 

②帰還の理由

俺は光の国へ向かうと、真っ先に親父のもとへ向かった

 

ゼロ

「親父」

セブン

「ゼロ」

 

真っ赤な体を持ち、カラータイマーの無いプロテクターを纏い、額にビームランプが輝く交点観測員、340号

俺の親父、ウルトラセブン

 

ゼロ

「久しぶりに、レギオノイド達が動き始めた」

セブン

「レギオノイドが…?」

 

親父は背中になびくマントを翻し、こちらを向いた

 

セブン

「何故、このタイミングで…」

ゼロ

「分からねぇ、ギャラクトロンの野郎が身を潜めたと思ったらこれだ…」

 

俺達がシンフォニースペースに行く前の事は知ってるよな?

サイバー惑星クシアのギルバリスによる星々の破壊

その為に各所へ大量のギャラクトロンが送り込まれていた

大元のギルバリスをジード、オーブと協力して倒し、残党のギャラクトロンは数える程に減っていた

 

それと入れ替わるようにレギオノイドが動き始めた

ギャラクトロンの代わりになろうとしている…或いは…

 

セブン

「レギオノイドが再び量産されている…」

ゼロ

「その可能性も捨てきれねぇ、ダダカスタムなんてのがいるんだ、侵略の一歩と称して作る奴もいるだろうよ」

 

一体一体が強力なギャラクトロンに対してレギオノイドは数を作りやすい

更には、カスタマイズが簡単なんだろう

 

ゼロ

「ウルティメイトフォースの奴らも宇宙をまわってる、だが備えた方がいいのは違いないだろうな」

セブン

「アナザースペースは、ウルティメイトフォースゼロに任せる…ギンガやビクトリー、エックスのいる宇宙は大丈夫か?」

ゼロ

「俺の弟子達なら大丈夫さ、なんせ俺が鍛えたんだからなっ!」

セブン

「そうだな、なら俺の息子を信じよう」

 

親父は俺の肩に手を置く

 

セブン

「ジードの居る宇宙は平気か?」

ゼロ

「まだ帰ってきたばかりってのを考慮して、ジャンボットが地球に待機してる」

セブン

「そうか…」

??

「ゼロ…」

 

声の方を振り向くと、光の国の大隊長、大きな角が特徴のウルトラの父がそこにはいた

 

ウルトラの父

「レギオノイド達の出処が判明した」

ゼロ

「ほんとか!よっしゃ教えてくれ!俺が叩いてくるぜ!」

ウルトラの父

「それだが…お前とジードがしばらく居た地球だと報告を受けたのだ」

ゼロ

「シンフォニースペースにだと!?」

 

シンフォニースペース、もはやトレギアすら目をつけていないと思われたあの宇宙にまだ何かがいる

 

ゼロ

「ちっ、まだなんかいやがったか…すぐに向かう!」

ウルトラの父

「待て、レギオノイドは既に多数の宇宙に手を伸ばしている、先程…ウルトラマンオーブや、ダイナからも報告を受けた」

ゼロ

「ダイナの居る宇宙にまで…」

ウルトラの父

「そこで、シンフォニースペースへジードを連れて行ってもらいたい、あの宇宙は未知数だ、あの場での戦いを経験しているジードが適任だろう、サイドスペースはこのままジャンボットに任せるのだ」

ゼロ

「なるほどな、そんで俺はジードを送った後、宇宙中の救援に入れというわけか」

ウルトラの父

「きつい戦いになるが、大丈夫か?」

 

ウルティメイトイージスのエネルギーを上手く使えるようになった今なら、きっと大丈夫だろう

俺は深く頷いた

 

ウルトラの父

「頼んだぞ、ウルトラマンゼロ」

 

 

 

③帰還の理由

 

俺はサイドスペースにいるジードの元へ向かいながら、あるウルトラマンと交信していた

 

ゼロ

「そっちの様子は大丈夫か?」

「最近ロボットがよく現れると思ったらそういう事だったのか…とりあえずは一体ずつだから大丈夫だよ、それにジャスティスも一緒だから」

ゼロ

「そうか、ムサシの所にもレギオノイド達が…クソっ!」

 

ウルトラマンコスモス=春野ムサシ

かつて共に戦った事のある、慈愛の勇者だ

 

ムサシ

「どうかしたのかい?」

ゼロ

「っあぁ、レギオノイド達の出処が判明してな、ジードをそこへ送ることになったんだ」

ムサシ

「ジード、あの優しい子だね」

ゼロ

「あぁ、だが出処に向かうとなっちゃ相当な危険が伴う、だが俺は別の宇宙に行かなきゃならねぇ」

ムサシ

「それで僕達に協力出来ないか、テレパシーを送ったって訳だね」

 

だがどうする、ティガ、ネクサス、ガイアは何処にいるかが分からねぇ

M78星雲のマックス、メビウスも別の任務がある

俺の弟子達も交戦中となると…

 

??

「話は聞かせてもらった」

ゼロ

「この声は…」

ムサシ

「アスカ?」

 

アスカ・シン=ウルトラマンダイナ

宇宙をまたに駆けてゆくウルトラマン

元いた世界じゃ、伝説の英雄と呼ばれているらしい

 

アスカ

「だったらちょうどいいのが2人いる、手が空いたら俺が連れて行くよ」

ゼロ

「2人も!?だがその宇宙は問題ないのか?それにお前のいる宇宙は?」

アスカ

「どういう訳かその宇宙にはレギオノイドは全く送られていない、それにもし送られたとしても、その2人以外にウルトラウーマンが居る、あと俺の方もついさっきあらかた抑えたから余裕はある」

ムサシ

「さすが、伝説の英雄だね」

アスカ

「よせよ、むず痒い」

ゼロ

「わかった、俺はこのままジードを連れていく、アスカはその2人を頼むぜ」

アスカ

「あぁ、お前も気をつけろよ」

ムサシ

「僕も余裕が出来たら救援にまわるよ」

ゼロ

「分かった、頼むぜ!」

 

 

④帰還の理由

ゼロ

「──という訳だ」

弦十郎

「なるほど…宇宙中を巻き込んだ騒動というわけか」

 

久しぶりの2課での情報提供

懐かしいが感傷に浸る余裕はない

 

「では、ゼロはすぐに行ってしまうのだな」

ゼロ

「あぁ、でも安心しな?すぐまた別の戦士が来るからよ」

 

ゼロはウルティメイトイージスを眺め、動いた

 

ゼロ

「よし、そろそろ時間だ、リク、ここは任せるぜ」

リク

「うん、任せて!」

クリス

「待てよ、今普通にやったけどそれ時計じゃねぇだろ!?」

 

そんなクリスのツッコミをスルーし、ゼロはイージスを起動した

 

ゼロ

「それじゃあな!シェアっ!」

 

ゼロが飛び出したあと、リクは改めて挨拶する

 

リク

「それじゃあ、改めてよろしくお願いします!」

「はーい!よろしくね!」

「また共に戦えることを、光栄に思うぞ!」

弦十郎

「うむ、こちらとしても協力が欲しかったところだ!」

藤尭

「また会えて嬉しいよ」

友里

「また一緒にご飯食べましょうね」

了子

「あら、私がいない間に何があったか知らないけど、お母さんは私なんだから、ねぇー?」

 

懐かしいな、この感じ

そして、彼女はというと…

 

クリス

「…」

 

座って不貞腐れていた

 

了子

「あら〜、なに拗ねてるのクリス〜?」

クリス

「うわっ、くっつくなフィーネ!//」

 

了子はむぎゅうっとクリスに抱きついた

 

了子

「きっとあれね、デート行きたいんでしょ?」

クリス

「ふわっ…そそっ、んな事っ!///」

 

それを聞くと弦十郎は時計を確認した

 

弦十郎

「3時間程度なら出てきてもいいぞ?7時からは、翼の卒業おめでとう式とリク君の歓迎パーティをするからな!」

了子

「だって、クリスほら、誘いなさい?」

クリス

「バッバカッ!うわっ!///」

 

了子に押されてクリスはリクの目の前に立つ

 

クリス

「えっと…ええっと…///」

リク

「何かな、クリス」

 

にっこりとリクは微笑む

クリスはリクの袖を掴むと呟いた

 

クリス

「デート……行きたい…////」

 

このクリスの行動は、多数の気絶者や、尊い患者を出したとか

 

───────────────────

 

①クリスとデート

 

クリス

「なぁーにが尊いだ、何があざといだ!勝手に人様のお誘い見て何倒れてんだか!」

 

クリスは単純に周りに人が居る中、誘うのが嫌だったようで、外に出ればいつものような性格へと戻った

 

リク

「あははっ、ちょっと笑っちゃったけどね」

クリス

「なぁにがだよ」

リク

「クリスってほんと、了子さんには弱いんだなと思ってね」

 

そう言うと、クリスは少しばかり複雑な表情を浮かべた

 

クリス

「…あんなでも私にとっちゃ母親代わりだったんだ、けど、優しくされると、以前の事がよぎって素直になれない…」

 

クリスは苦い思い出を噛み締める

 

リク

「そっか…ごめ、んっ…!?」

 

リクが謝罪しようとした口をクリスが押える

 

クリス

「謝んなくていいんだよ、それもあって私がある」

 

クリスは指を離すとリクに向ける

 

クリス

「悪いと思うんなら、デートで楽しませやがれ!」

 

そう告げたクリスの目は、キラキラ輝いていた

 

 

②クリスとデート

 

僕達は悩んだ結果、再びショッピングモールへ向かう事に

 

リク

「懐かしいな…」

クリス

「あたしはそうでもねぇ」

 

クリスは胸のネックレスを触った

 

クリス

「これを見てればいつだって鮮明に思い出せるからな」

リク

「そうだね」

 

僕も首のネックレスを触る

偶発的に初デートになったこのショッピングモール

デートらしいデートはまだこの時だけだった

瞬間、僕は視線を感じて振り返った

 

クリス

「どうかしたか?」

リク

「今、誰かに見られてたような…」

クリス

「っはぁ?な訳あるか、ほら行くぞ」

 

僕は歩き出したクリスを追いかけた

 

直後、植え込みの後ろからトリオが現れた

 

「いやぁ〜…あぁぶなかったね〜…」

未来

「もう、いくら弦十郎さんが良いって言ったからって…」

「些か狡いとはおもうが、朝倉がどのような趣味があるかに興味がある…」

 

3人は響の提案で2人を尾行しに来たのだ

弦十郎的にも翼を連れ出してくれるのはちょうどいいと許可を出したのだ

 

───────────────────

 

③クリスとデート

まず彼らは、洋服屋へ向かった

女性用、男性用と分かれているので2人で入っても問題ない

 

クリス

「お前いつもそれだし、たまには違う格好したらどうだ?」

リク

「あはは、前に響にも言われたな〜…」

 

2人は幾分か離すとそれぞれ服を見に入店した

 

「まずは洋服屋さんですか〜…にしし…♪」

未来

「響が悪い顔してる…」

「以前私が選んだのと違うものを選ぶ時だぞ…朝倉」

 

しばらく様子を見ると、リクはカーディガンを買ったようで、ダボッとした感じが本人の柔和な雰囲気をさらに増している

クリスはというと、デニムジャケットと赤いシャツ、そして黒いズボンであった

大人な雰囲気がすごくクリスに似合っている

 

リク

「いいじゃん、すごい綺麗だよ」

クリス

「お、お前も…なんつーか、可愛いぞ」

 

一本3人は……

 

「どうしよう、リク君の事可愛いって思っちゃった//」

未来

「可愛いリク君も大人びたクリスも素敵〜…//」

「こ、これがギャップ萌え……なのか…//」

 

④クリスとデート

 

クリスとリクは食品コーナーへ向かった

 

リク

「好きな物?」

クリス

「あぁ、今日のパーティー終わったらまたあの家帰るだろ?多分食品とか片付けられちまってるだろうから、買い出しも兼ねてあたし様が直々に手料理でお祝いしてやるよ」

 

リク

「ありがとう、それじゃあ〜…」

 

リクが悩んでいると声をかけられた

 

??

「あ!やっぱりリクさんだ!」

リク

「えっ、あっ!セレナちゃん!」

 

そこには買い物カゴを持ったセレナと緒川の姿があった

 

セレナ

「おかえりなさい、リクさん!」

リク

「うん、ただいま、今2人は何してるの?」

セレナ

「買い出しです!今日のパーティと…入学式に向けて!」

緒川

「僕はその付き添いです」

リク

「入学…学校通えるようになったんだ!」

 

緒川が注釈に入った

 

緒川

「本来彼女の場合は、高校すら卒業しててもおかしくない歳なのですが状況が状況の為、中学の勉学をさせてみたところ、殆どクリアしてしまいましたので、特例で切歌さんや調さんとの同時入学が決まったんです」

リク

「あの二人も…そっか、よかった」

 

リクはホッとしたように胸をなでおろした

 

緒川

「クリスさんとリクさんは…尾行を引き連れてデートですか?」

リク

「尾行?」

 

クリスが後ろを向くと、翼の髪の毛が植木から飛び出していた

 

クリス

「先輩!?」

「ギクッ」

 

すごすごと3人はまえにでてきた

 

リク

「響に未来まで!?」

セレナ

「うわぁ、皆さん勢揃いですね〜♪」

未来

「ごめんね、響がどうしてもって」

「あ!ズルいよ!未来もノリノリだったじゃん!」

「私はたまさかここに用事が会っただけだ」

「翼さんまで逃げないでください!それが剱のやる事ですか!」

「なっ!卑怯だぞ!」

クリス

「んなこたァーどうだっていいんだ…問題はあたしらを、付け回してたって事だ!」

 

クリスは3人を追いかけ始めた

3人は蜘蛛の子を散らすよう走り去っていく

リクはそんな様子を見て、笑みをこぼす

 

リク

「やっぱり、みんなといると、青春って感じがするな」

緒川

「まだ若いんですからそういう事を言うとジジくさいって言われますよ」

 

そう言う緒川も笑みを浮かべていた

 

セレナ

「じゃあ、みなさんで買い物して戻りましょう!そろそろ時間がおしてますし!」

リク

「うん、そうだね」

 

リクは彼女の名前を呼んだ

 

リク

「クリス〜!」

 

 

 

 

 

 

 




次回予告

切歌
「あんまりあたし達の出番、無かったデスね…」
調
「仕方ないよ、私達は拘束されているんだから」
マリア
「狼狽えるな!次回からは切歌達が入学して、あの事件が起こる間の話をOVAのように書いていくわ!」
切歌
「マリアじゃなくて作者さんが書くんデスよね」
セレナ
「次回も!絶唱しないし響かない!」

全員
「お楽しみに!」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

【番外編】絶唱しないし響かない Part3

①入学してしばらくした頃

切歌

「という訳デスが…」

調

「うん、ありだと思う」

 

切歌と調は何やら寮で相談中

 

調

「けど、変な目で見られたらいけないから、学校で言っちゃダメだよ」

切歌

「了解デース、じゃあ明日リクさんに一緒にお願いするデース」

 

───────次の日───────

 

S.O.N.G、シミュレータールームにて

 

翼、マリアを除く装者は訓練を終えて休憩していた

 

「今日も疲れたね〜」

クリス

「こりゃ帰ったらすぐ寝ちまいそうだ…ふわぁ…」

リク

「ライハとの特訓がこんな形で役立つなんてなぁ」

 

リクが改めて筋肉を確かめているとリクの前にきりしらが立った

 

切歌

「あの、リクさん」

リク

「ん?どうしたの切歌ちゃん、調ちゃん?」

 

リクが微笑みかけると、2人は頬を紅潮させた

 

調

「あの…その…私達」

切歌

「リクさんのこと…お兄ちゃんって呼んでもいいデスか!?」

「ふぇっ?」

クリス

「はぁぁぁっ?!」

リク

「えぇっ!?また、どうして?」

 

2人の話によると、2人とも兄弟というもの、特に兄に興味があったという

姉はマリアがそのような感じなので問題は無かったが、兄に関しては半ば諦めていた

ソラの事をそう思っていた時もあったそうだが、直接“お兄ちゃん”と呼ぶ事は叶わなかったとか

 

リク

「そっか…まぁ僕は問題はないよ」

クリス

「お前っ、そんな勝手に…」

 

クリスは許さないぞと言わんばかりに立ちあがるが、リクが抑える

 

リク

「まあまあ落ち着いて、別に彼氏になって欲しいってわけじゃないし…ソラに出来なかったことをさせてあげたいんだ」

クリス

「うぐ…それは…」

調

「学校ではもちろんリク先輩って呼びます、ちゃんと示しはつけますから」

切歌

「お願いしますデス!」

 

きりしらは深く腰を折った

クリスは溜息を吐きながら座る

 

クリス

「ったく仕方ねぇな…リクを誘惑するような事すんじゃねぇぞ」

調

「っ…ありがとうございます!クリス先輩!」

切歌

「ありがとなのデス、クリス先輩!」

クリス

「っ…ふふっ」

 

クリスは先輩と呼ばれた事に満足そうに微笑んだ

 

「クリスちゃんこんなに柔らかくなるんだ〜」

クリス

「っ!お前はいい加減後輩の前では先輩って呼びやがれ!」

いひゃい!いひゃいよクリフひゃーん!!!(いたい!いたいよクリスちゃーん!!!)

 

クリスが響の頬を引っ張る様子を見て苦笑するリクの前に改めて調が立つ

 

調

「じゃあ、よろしくお願いします、リク…お兄さん…///」

 

 

ドクンッ

 

僕は自分の体温が急上昇していくのがわかった

可愛い…//

僕が固まっているとさらなる一撃

 

切歌

「どうしたデスか?リクお兄ちゃん?」

リク

「ウッ…//」

 

僕は顔を逸らした

僕は結構不味いことを了承してしまったのかもしれない

ふと顔をあげるとそこには、顔を紅くし、しかめっ面のクリスの姿があった

 

クリス

「今どう思った?素直に言えば許してやる…」

リク

「えっと、可愛いと思いました…」

クリス

「私よりかっ?!」

リク

「いいえっ!」

クリス

「ならよしっ!」

 

クリスは安心したように溜息を吐く

 

クリス

「浮気すんじゃねぇぞ」

リク

「滅相もございません…」

 

これは長い戦いになりそうだ…

 

②入学してしばらくした頃

 

───放課後────

 

リク

「今日は特訓無かったよね」

クリス

「だな、今日はどっか一緒に行くか?」

 

最初こそ恥じらいを持ち続けていた彼女は、ある程度リクであれば素直に誘えるようになっていた

リクがどこに行こうか悩んでいると…

 

切歌

「リクお兄ちゃ〜ん♪」

リク

「ぬわっと!?切歌ちゃん危ないよ…」

 

切歌が突然リクに後ろから抱き着いたのだ

調、そしてセレナもすぐに追いかけてきた

 

調

「ごめんなさい、切ちゃんがすぐ走って行っちゃって」

セレナ

「おふたりから聞きましたよ!私も兄さんって呼んで良いですか?!」

リク

「せ、セレナちゃんも?別に…いいけど…」

切歌

「3人姉妹デース!」

 

はしゃぐ切歌に対してクリスの手刀が叩き込まれた

 

切歌

「あいたっ…」

クリス

「お前らなぁ〜…!示し付けんじゃねかったのかよ!」

 

調

「ごめんなさい…」

 

調は申し訳なさそうに頭を下げる

 

リク

「この人数で遊ぶとなると何処がいいのかな…」

 

リクは頭を悩ませたが、セレナが手を上げる

 

セレナ

「はーい!私!カラオケ行ってみたいです!」

クリス

「カラオケ?」

リク

「…確かに僕達らしいかもね、だったら響や未来も誘ってみよっか」

 

クリスは“折角2人きりで出かけられると思ったのに”という思いを飲み込みつつリクが端末を操作するのを眺めた

 

リク

「あちゃあ…」

クリス

「どうかしたのか?」

リク

「響が補習受けてるから先に行っててってさ」

クリス

「だったら仕方ねぇな」

 

クリスはフッと笑うと切歌と調の肩を掴んだ

 

クリス

「あん時の決着、まだつけてなかったよな」

切歌

「そうデスね〜…」

調

「リベンジバトル、先輩といえど、負けません」

クリス

「望むところだっ!」

 

 

 

③入学してしばらくした頃

 

どうにかギリギリ、響達も合流することができ、みんなで大部屋に入った一行

 

「あは〜こーんな広い部屋初めてだよ!」

未来

「いつも2人でしか来ないもんね〜」

 

そして、リベンジバトルに入った切歌と調はと言うと…

 

切歌

「ほとんどが700円超え…ご馳走デース……」

調

「今まで考えられないようなものばかり、チーズをそのまま揚げるなんて…」

リク

「違うとこで感動してる…」

 

ちゃんと曲を選んでいるのはクリスとセレナくらいだった

 

セレナ

「へぇ〜…曲をこちらで選ぶんですね」

クリス

「お前らも早く選べ!連曲になっちまうぞ?!」

 

そして、トップバッターはもちろん

 

セレナ

「私です!」

リク

「頑張って〜!」

切歌

「リラックスするデース!」

 

【〜♪ポーカーフェイス】

 

セレナの歌った曲はとても可愛らしい曲であった

 

 

そして歌い終わり

 

セレナ

「ふぅ、ちょっと恥ずかしいですね」

調

「可愛かった、セレナ」

「セレナちゃんもこの曲みたいな恋ができるといいね〜♪」

クリス

「お、次の予約入ってる…次は…」

 

【〜♪現着ッ!電光刑事バン】

 

未来

「これ秋桜祭りで板場さん達が歌ってたのだよね」

切歌

「誰が歌うデスか?」

 

すっとマイクをとったのは…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リク

「君から届いた110番、緊急出動〜!」

 

「リク君!?」

クリス

「そういや見てたとか言ってたな…」

 

そんなリクの歌いっぷりは、さすがドンシャインオタクということもありヒーローソングが肌に合ってるようで堂々かつ繊細な歌だった

 

リク

「夢が消えた、街角に〜…愛が消えた、暗闇に〜

潜む、悪を倒すため現着ッ!バババーン!電光刑事バ〜ン!」

 

曲が終わるとリクはすっとマイクを置いた

 

リク

「これをコスプレして板場さん達歌ったんだよね…凄いな」

クリス

「お前もなかなかだったぞ、カッコよかった」

未来

「ヒーローものの歌が合ってるのかもね、さすがヒーロー」

調

「でもリクお兄ちゃん、ちょっと音量気にして欲しかった…」

 

この曲、間で叫ぶ所があるのだがリクはいつものようにシャウトをかけてしまったのでかなりの音量になってしまったのだ

 

リク

「あぁ、ごめんね…」

セレナ

「私はライブみたいで楽しかったです!」

 

とまぁ、こんな具合

響、未来、と続き、きりしらは再び、ORBITAL BEATを歌い切って見せた

 

調

「次はクリス先輩」

切歌

「何でも来いデスよっ!」

クリス

「よぉし、言ったな?」

 

クリスはそう言うと、マイクを握る

 

流れた曲名は

【〜♪キボウノカケラ】

最近ヒットしたナンバーだ

 

「あれ、これ一応デュエット曲だよね」

未来

「うん、男性パートと女性パートに別れてる…」

セレナ

「もしかして…」

 

ふと皆が静かだった一人の方を向くと、彼は微笑みながらマイクを握っていた

 

リク

「ふっふーん♪」

切歌

「リクお兄ちゃん!?」

クリス

「ソロで挑むたぁ言ってねぇだろ?」

調

「なんとびっくり…」

 

そして歌が始まる

 

クリス

「夕焼けに、照らされて、夢中で語り合う〜♪」

リク

「目指してる、あの場所は、もうすぐだと信じて〜」

 

クリス・リク

「誰だって、それぞれ、抱えてるもの胸にあって

逃げ出したくなるような事も、時にあって

だから仲間と、支え合ってくんだ〜♪」

 

打ち合わせでもしたかのように、二人の息はピッタリだった

そして、サビに入る

 

リク・クリス

「行こう!最高の明日を掴むために〜

道なき道をもっと自由に〜

一人きりでは、出会えなかった、温もりが、今〜

強く強く手を 引いてくれる〜♪」

 

そして2人はフルコーラスを歌いきって見せた

その余韻の最中、自然と拍手が沸き起こった

 

調

「これは完全敗北、悔しいけど」

セレナ

「お二人とも、素晴らしいです!」

「カップルならではの呼吸だねッ!」

未来

「もう響茶化さない、でもほんとに良かったよ」

切歌

「さっすがお兄ちゃんデース!」

 

クリスもリクもそれを聞くと照れくさそうに頭を掻いた

 

その後、彼女達は2時間ほどカラオケを続け解散したとか

 

 

 

④入学してしばらくした頃

 

一方その頃、ロンドンでは…

 

「でもそうね、もしも裏切ればっ〜、切り刻みますっ!恨みの刃でぇ〜!」

 

マリア

「この剣…どれだけ演歌知ってるの…」

 

とは言えないマリアが翼と共にカラオケをしていたとかしていないとか…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




【次回予告】
マリア
「私全然出なかったわね…」
調
「話に矛盾が出ないようにすると書くのが凄く難しかったんだって…」

「さて、そんな次回だが」
切歌
「わりと本編の流れであったり、しないフォギアだったりとやってきた作者が、これはやらねばと思い出したシンフォギア要素を書くらしいデスよ!」
クリス
「そんな要素あったか?」
未来
「ほらあれだよ、ゴニョゴニョ」
クリス
「はぁぁ!?あれはあたしらっつーかほぼ役者本人のっ!」
セレナ
「細かいことは無しです!」

「次回!戦姫絶唱シンフォギアG!響くぜ!絶唱!番外編!」





























クリス以外
「もしもBlu-rayの予告があったとしたら!」
クリス
「お前らだけ揃えんなぁ!」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

【番外編】もしもBlu-rayの予告があったとしたら

Gは予告の形が特殊だったので、それをそのまま活かしてレギュラーメンバーのショートコント形式にしていきます


 

───板場、安藤、寺島編────

【〜♪Vitalization(サビ)】

 

寺島

「ナイスな美少女!そして、ナイスなリク君!戦姫絶唱シンフォギアG 響くぜ!絶唱!!」

安藤

「ビッキーの魅力!リッキーの勇ましさが、あなたのハートに直撃すること間違いなし!」

板場

「それってつまり!物理的に直撃するパンチと光線なんだけどね!!」

 

 

 

───立花響、風鳴弦十郎編────

【〜♪Vitalization(サビ)】

 

「好きな物は、ご飯&ご飯!ご飯食べてアニメ見て寝る!女子力の鍛錬もこいつで十分…って師匠?!これまぁじーっすか?

言ってること、全然分かりませんよォ?!」

弦十郎

「なら鍛錬あるのみ!ついてこい、響くん!」

「はい!師匠!!」

 

 

 

───風鳴翼、ゼロ編────

【〜♪GEEDの証(サビ)】

 

「何処だ!何処へと消えたテレビのリモコン!?もう放映がおわってしまったぞ?!」

ゼロ

「こんな風になっちまったお前らは、部屋を片付けて、Blu-rayかDVDの購入を勧めるぜ、ウルトラマンゼロとの約束だ!」

「あ、主電源を付ければ…」

ゼロ

「そんなだから片付かねぇんだよ!」

 

 

 

───小日向未来編────

【〜♪Vitalization(サビ)】

 

未来

「響が帰ってきたら、一緒にご飯を食べよ♡

一緒お風呂にも入って、明日も早いから、一緒に寝なくちゃね♡

早く帰ってこないかな〜 …♡

でも…リクくんと合体変身したって事に関しては…問い詰めなきゃ……」

 

 

 

───きりしら編────

【〜♪Vitalization(サビ)】

 

調

「ジーッ…」

切歌

「調ってば!何か喋らないと不味いデスよ!」

調

「ジーッ…」

切歌

「うぇあっ…あっぁッあっ!戦姫絶唱シンフォギア!!」

調

「ジー……

切歌

「Gって…そう意味だったんですか!?」

調

「ジーっとしてても、ドーにもならない」

切歌

「それ調にそのまま返すデス!!」

 

 

 

───カデンツァヴナ・イヴ姉妹編────

【〜♪Vitalization(サビ)】

 

セレナ

「姉さん!私、出番があった!」

マリア

「えぇ、良かったわね、セレナ!」

セレナ

「うん!リクさんもすっごい優しい人だったし、好きになっちゃいそう!」

マリア

「なっ!?おのれウルトラマンジード…セレナは渡さないわァァァァ!!!」

 

 

 

 

───クレナイガイ編────

【〜♪オーブの祈り(サビ)】

 

ガイ

「とりあえずサプライズで呼ばれたはいいものの、オーブリングが元々聖遺物?そーんなトンデモ設定にトンデモな歴史

色々ぶっ込まれてもコメント欄が荒れないのはファンの皆さんがこの作品を愛してくれているからこそ

いつも応援、ありがとう

これからも続くから、見てくれよな

あばよ!」

 

 

 

───ジャグラスジャグラー、ナスターシャ編────【〜♪オーブの祈り(サビ)】

 

ナスターシャ

「私死んだけどこんな所に居ていいのかしら…ズズっ」

ジャグラー

「俺に聞くんじゃねえよ、なんで俺があんたと一緒にCMに呼ばれんだ、絡みほんの10行程度だぞ」

ナスターシャ

「あら、ここ朝日が綺麗ね」

ジャグラー

「…ほんとに夜明けのコーヒーになっちまった…ズズーッ」

 

 

 

───ソラ編────【〜♪GEEDの証(サビ)】

 

ソラ

「まさかの一人で現場入りか、仕方あるまい

なんせ作品を掻き乱した挙句、自分で死にに行ったのだからなあ

だがトレギアの暗躍は止まらない

次回作、どっかの錬金術師みたいに幻影としてでも出れねぇかなぁ…」

 

 

 

───天羽奏編────【〜♪Vitalization(サビ)】

 

「うっす!天羽奏だ!正直今回の作品で1番可愛そうなのはあたしなんじゃねぇかな…

アガトラの娘(セレナ・カデンツァヴナ・イブ)と違って、この物語あたしが死んでから始まってるから正直なんとも…

え、絶賛考案中!?

おーし!翼ぁ!待ってろよー!」

 

 

 

───雪音クリス、朝倉リク編────

【〜♪キボウノカケラ(サビ)】

 

クリス

「あたしは…歌で世界を救いたい…

って、ボーガンとガトリングとミサイルぶっぱなしてるあたしが言った所で、どれだけ説得力があるんだよ!」

リク

「クリスは何かを守るために戦うようになった、それが1番説得力あるし、そんなクリスの方が僕は好きだよ」

クリス

「あぅあっ……うぅっ!やっさいもっさぃぃ!!」

 

 

 

 

 

 

 

───【完】────

 

 

 

 

 




??????
「たくさんのワードが出てきて大混乱な、シンフォギア響くぜ絶唱、次回はそんな複雑な特殊設定とかを僕が纏めたレポートとして乗せちゃいたいと思います」

????
「多分その次は遂に俺達が出てくる予告になるんじゃねぇかな」

????
「おいこら〇〇〇!お前まだしばらく出ないんだから控えてろ!」

????
「いいじゃんか〇〇兄!??????ちゃんも出てきたんだから!」

??????
「あうっ…ずびばぜん…」

????
「あぁいや、??????ちゃんは悪くないから…ってグダグダし過ぎだこの予告!」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

用語、設定等の解説レポート

戦姫絶唱シンフォギア 響くぜ!絶唱!!より

 

・ライザーで呼び出された怪獣

今回、了子やクリスがライザーで呼び出した怪獣にはベリアル因子が付与されている

その為、ノイズのように殆どの攻撃が意味をなさなくなっている

対抗できたジード、ゼロ、オーブ

彼らの共通点はベリアルの遺伝子を持つ、もしくは一体化の経験があること

(ゼロはゼロダークネス、オーブはサンダーブレスター)

その為、この戦いではこの3人と、ロッソとブルしか対抗出来るものはいなかった

 

・ノイズ

この世界の災厄、ノイズの攻撃はウルトラマンには全く効かない

ウルトラマンの持つ光のエネルギーは、ノイズに分解することが出来ないからだ

しかし、同様にウルトラマンからの攻撃もノイズに効くことは無い

(元々聖遺物であったオーブリングの力を付与したオーブカリバーを除く)

 

・リディアンに入学した朝倉リク

リディアン音楽院へ1年生として入学することになった朝倉リク

この世界の戸籍上16歳となっているので問題は無いのだが、本人の見た目が幼く、また勉強も不慣れの為、割と様になっている

現在、リクの本当の年齢が20歳を越えてる事を知っているのは2課メンバー、そして特例の未来だけである

しかし、女学院に特例中の特例でリディアンに入学したこと

更には本人が時折見せる落ち着きから、勘ぐってる女子はとても多い

 

 

・目が黄色くなる翼

絶唱の際にウルトラマンゼロと融合していた翼

かつて伊賀栗レイトと融合していた際は、かけていたメガネを外すことでレイトと切り替わっていたが、今回は目元を隠して瞳の色を変えることで入れ替わる形になったようだ

 

 

・ストロングコロナ、ルナミラクルにチェンジしないゼロ

この2形態は全くもって変身出来ないわけでは無かった

しかし、かつて自らもこの力を恐れたこと

そして、人と融合してる際に変身したことがなかった故に、ゼロは翼の体を気遣い、この2形態へ変化しなかった

尚、翼と分離した後、更には翼が万全の状態の時はこの姿を使っている

 

 

・ウルトラマンベリアル アトロノイズ

ウルトラマンベリアルアトロシアスに変身していた了子が、ネフシュタンの鎧の再生能力を利用し、ノイズを取り込み進化した姿

ベリアル因子を持つため、シンフォギアの攻撃は一切効かず、その体にノイズを纏っている為、ウルトラマンの攻撃も通らないという、天敵の攻撃が互いに一切効かない状態となっている

必殺技の「ノイズアトロバースト」は光線の直撃した相手を、炭素分解する超高温光線である

 

 

 

・ウルトラマンジード ウルティメイト・ガングニール

 

ウルトラマンジードとシンフォギア「ガングニール」が一つとなった、アトロノイズに次いだ奇跡の形態

朝倉リクと立花響、2人の想いが1つになった時だけ変身出来る為、2人の意見が食い違ったりしてしまうと強制解除されてしまう

原理としては、ギガファイナライザーがリクの中にあるサイバーウイルスをリクの力へ変換し、ウルティメイトファイナルを生み出したのと同じ理屈

エボリューションカプセルとはまた違う、新たに生成されたエボリューションガングニールカプセルを使い、変身する

アトロノイズに対抗できる唯一の力だがこの形態へ変わる際、2人の遺伝子は混ざりあってしまった為、お互い命の危険にさらされてしまった

しかし、その原因は、響の体を蝕んでいたガングニールの欠片が制御されていなかったことである為、現在コンバーター制御されたガングニールであればその危険性はない

 

【必殺技】

・レッキングガングニール

ウルティメイトファイナルの「レッキングノバ」にシンフォギアのフォニックゲインが混ざり合い、エネルギーが引き伸ばされた強力な光線

 

・ガングニールリッパー

腕から放つカッター、「レッキングリッパー」の強化された技

 

・ガングニールロアー

超音波光線「レッキングロアー」が強化された技

以前と違い、響の歌う歌が音波として放たれる事で、囚われた人へ声を届けることも出来る

 

・クレセントファイナルSynchrogazer(シンクロゲイザー)

ウルティメイト・ガングニールのただ一度の究極必殺技

ギガファイナライザーと完全聖遺物デュランダルがひとつになることで、響の願いがリクの覚悟と繋がり、シンフォギア力を限界まで高め、天羽奏のガングニールの槍へ変化したものを敵に叩きつける大技

デュランダルがネフシュタンの鎧と共に対消滅してしまった為、2度と放つことは出来ない

……()()()()では

 

・強化されたファイナルウルティメイトゼロ

エクスドライブを発動した3人の歌により強化されたファイナルウルティメイトゼロ

多量のフォニックゲインがウルトラマンにも変化を及ぼすのだろうか

 

 

 

戦姫絶唱シンフォギアG 響くぜ!絶唱!!より

 

 

・ジード、ゼロの評価

2課の判断により一部情報が公表されたジードとゼロ

最初こそ不安がられていたが、彼らの行っている事が間違いなく人類の為になっていたため、段々とファンクラブまでできるようになった

最初こそ戸惑ったものの、ゼロも気さくに話しかけるようになったためやはりゼロの方が人気は高い

しかし、大きく姿が変わることが多いジードの方が、様々な層から支持を受けている

 

・ウルトラマンフィーネ

ベリアル因子を使い、伏井出ケイが生み出したクローンベイビー第1号

しかし、ベリアルに容姿などが近づき過ぎた為、ベリアルに宇宙の彼方へと捨てられてしまった

そこをトレギアに拾われ、セレナ・カデンツァヴナ・イブの中に眠るアガートラームの力と融合して復活を遂げた

体はプリミティブと酷似しているが、色は銀色の部分以外は全く違い、ロイヤルメガマスターと互角に戦える戦闘力を持っている

自分では無く、ジードを選んだベリアルを憎みつつも、その非情さに恐怖を抱いている

フィーネという名は、ソラが後に決めた為、変身の際にライザーはこの名を呼称しない

ちなみにソラという名は、リクの名の反対の意味で名乗ったらしい

 

【必殺技】

 

・レッキングデストロイ

フィーネ版レッキングバースト、ジードと違い青色がなく、破壊力は折り紙付き

 

 

ウルトラマンフィーネ シェンショウジン

ウルトラマンフィーネが、神獣鏡を纏った未来を無理矢理フュージョン(シンフォニーライズ)してその力を取り込んだ姿

武器は神獣鏡と同じものを使う

またその光線にはシンフォギアを分解する機能が備わっているため、切り札のウルティメイト・ガングニールですら、諸刃の剣である

更に、体内に眠るアガートラームの力がこれにより覚醒した為、触れた相手のエネルギーベクトルを操作できるようになった

 

【必殺技】

 

・レッキングシェンショウジン

レッキングデストロイに神獣鏡の力が交わった最凶光線

少しでも触れてしまえば、その体は消し飛ばされてしまう程の威力を持つ

 

・シェンショウジンリッパー

ジードのレッキングリッパー同様、腕から出すカッターが強化された技

この技にもシンフォギア分解能力がある

 

・ウルトラマンフィーネ ダークネスファイナル

本来正しき心のものにしか使えないギガファイナライザー

その力は悪用できない…しかし、その力を使うウルティメイトファイナルであれば…

それを思いついたソラは、ジードを疲弊させた後にその体を乗っ取りこの形態へ変化した

技を使うことは殆ど無かったが、かなりの力を持っているのは間違いない

 

・レッキングデストラクション

レッキングデストロイの強化された光線を全身から放つ技

広範囲に広がるため、自ずと破壊力も上がっている

見た目はギンガエスペシャリーだが、どちらかといえば、オーブオリジン・ザ・ファーストの行った、オリジウム光線を両腕を広げて拡散させたものに近い

 

 

・リクの思い、クリスの答え

長い時間の中でようやく恋らしい恋に落ちたリク

しかし、リクとクリスは別の世界の人間

子を成すことはもちろん、婚姻も許されない

そのためリクは、敢えてその思いに蓋をして覆い隠していた

しかし、それが分からないクリスでは無く、せめて一緒にいた証として、リク自身とも言えるプリミティブを模したネックレスと、自身が復活させたロイヤルメガマスターを模したネックレスを、ペアで購入した

しかし、相思相愛だった2人を、運命は引き離すことを良しとせず、再び邂逅させたのだった

そんな事もあり、この世界では自分たちは付き合っているという事で手を打ったようだ

 

 

 

・暴走、ウルトラマンジード

響のガングニールが暴走を選んだ時、ジードも暴走を始める

響の感情の昂りがリクの精神状況にもかなり影響を及ぼし、ジードを黒くした

シンフォギアを宿している為か、アームドギアとして、父親の爪を装備可能、力は何倍にも膨れ上がっており、万全のゼロでも、シャイニングを使わなければ止めることは出来なかった

 

 

 

・蘇るフィーネ

月読調の中に眠っていたフィーネ

彼女を分離させたのはウルトラマンキングの奇跡の力であった

 

 

・寝返るクリス

彼女は諦めた訳ではない

自分の覚醒させてしまったソロモンの杖を奪還しリクを救う

その為、彼女は一度ソラの傘下にはいったのだ

 

・翼とゼロの合体技

深くシンフォギアを理解したゼロは、翼の天羽々斬にその力を乗せることが出来るようになった

その技のひとつが、「ゼロ天羽々斬ツインシュート」

翼とゼロが、真に心を一つにした事で発現した奇跡の技だ

 

 

・ニュージェネレーションの力を使うゼロビヨンド

 

今まで見せた事ない、ニュージェネレーションの力を使う能力

シャイニングのダメージも癒えて、万全の状態だから出来たのか

それとも、翼のみんなを信じる心がもたらした奇跡なのか…

 

 

・恋していた翼

恋を知らぬ剱であった翼を優しく包み込む鞘、翼にとってはそれがリクだった

クリスの為に、そして自分自身のために翼はリクを助けに行ったのだ

 

 

・ウルトラマンウーマンジード

戦う力を亡くした響の最後の切り札

ウルティメイトガングニールにより、遺伝子が混ざっていたことを咄嗟に思い出したリクがソラに呑まれる際に投げたジードライザーとプリミティブのウルトラカプセルを使い、響が変身した姿

あくまでも無理矢理変身しているため、プリミティブよりも戦闘力は劣る…筈なのだが、響自身の鍛え上げられたポテンシャルが反映されている為か、ダークネスファイナルとすら、互角に戦えていた

 

・切歌inムゲンクロッサー

(作者)

選んだ理由は鎌とゼロツインソードネオに親和性を感じたからですね

 

・調inブレイブチャレンジャー

(作者)

お察しの通り選抜理由はメビュームギガ光輪です

 

・マリア&セレナinフォトンナイト

(作者)

最初はマリアだけの予定だったんですけど、セレナを生存させたことで完全にフォトンナイトしかないと思いました

 

そしてこの3人の共通点として、闇に堕ちて罪を犯した経験があるという点でもピッタリでした

 

フォトンナイト=ウルトラマンヒカリ

復讐の鎧を纏い、ハンターナイト・ツルギとして周りの生命も省みずにボガールを追い続けた

 

ブレイブチャレンジャー=ウルトラマンオーブ

サンダーブレスターを制御出来ず、街を破壊したどころか、護りたかった人ごと、ギャラクトロンを破壊し大怪我を負わせた

 

ムゲンクロッサー=ウルトラマンゼロ

ベリアルの魂に呑まれ、ゼロダークネスとしてウルティメイトフォースゼロの仲間を一度は惨殺した

 

 

・シンフォニーウルトラマン

ゼロ、オーブ、ジードがエクスドライブに達したシンフォギアをそれぞれ2つ分ずつと融合する事で発現する状態

他のウルトラマンがこれを発動出来るかは不明だが、装者達との強い絆、大量のフォニックゲインが必要になる為、容易に発動できるものではない

また、ゼロはゼロビヨンド、オーブがオーブトリニティと、強化形態で発動しているのに対して、ジードだけ名前がそのままなのは、彼がまだまだ進化出来ることを暗に示しているのだ

必殺技はウルトラマンと、融合したシンフォギアの技を組み合わせたものとなる

 

 

 

───以上────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




作者「コメントで気になる事とかありましたらこちらの最後尾に追記していきますのでよろしくお願いします!」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

戦姫絶唱シンフォギアGX 響くぜ!絶唱!!
【予告】戦姫絶唱シンフォギアGX


2度、世界を未曾有の危機より救ったシンフォギア装者、ウルトラマン

彼らの活躍によりフロンティア事変以降、認定特異災害「ノイズ」の観測は一例としてなく、 事の顛末を知る誰もがノイズの根絶と被害の終息を予感していた頃

本部にてモニターへと向かっていた藤尭朔也と友里あおいは、ノイズとは異なる、だが近似した反応波形を確認する

 

それは、新たなる危機、戦乱、そして、試練の合図であった!

 

 

 

 

リク「どうしてノイズが!?」

 

 

───再び迷い出る災厄(ノイズ)────

 

 

 

 

クリス

「人間離れどころじゃねぇ…人外そのもの!」

 

 

───人ではない何かの襲撃────

 

 

 

 

 

 

「私には…お父さんから託されたものなんて…何も…」

 

 

 

───喪失する響────

 

 

 

リク

「それを…返せ!」

???

「派手なコイツは使わせない」

 

 

───奪われたギガファイナライザー────

 

 

エルフナイン

「僕の名はエルフナイン、キャロルの錬金術から世界を守る為に、皆さんを探していました」

 

 

───謎の人物────

 

 

「これは…!?」

 

クリス

「嘘だろ!?」

 

????

「何するものぞ…シンフォギアぁぁぁ!!」

 

───砕かれるシンフォギア────

 

 

 

了子

「あの子が定説する案は、間違ってないけどとても危険な賭けよ」

 

エルフナイン

「それがProject IGNITE」

 

───最後の切り札…?────

 

 

調

「目的もなく、行けるところまで行ったところに望んだゴールがある保証なんてない…」

 

切歌

「あたしたちがあたしたちのやるべきことを見つけられなかったから、あんな風になってしまったデス…」

 

マリア

「それでも…そんなものが私の戦いであるものか!」

 

 

───悩む3人────

 

 

???

「私は、愛と善意の伝道師!」

 

 

───再び現れる紛い物(オーブダーク)────

 

だが運命は新たな戦士を呼び寄せる!

 

 

???

「纏うは火、紅蓮の炎!」

???

「纏うは水、紺碧の海!」

 

リク

「あの二人は!」

 

───兄弟、降り立つ────

 

 

???

「本当の戦いはここからだ!」

???

「行くよ!2人とも!」

ゼロ

「待たせたな、ブラックホールが吹き荒れるぜ!」

 

───降臨、創造神(3人の勇者)────

 

 

然し…

 

 

???

「響…」

「お父さん…」

 

???

「翼。」

「お義父様…」

 

リク

「そんな…まさか!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

????

「久しぶりだな…息子よ…」

 

 

 

ゼロ

「まさか…そんな筈は!」

クリス

「巫山戯んな…リクを返せ!!」

 

 

 

????

フフフフフッ…フゥッハッハッハッハッハッァ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─戦姫絶唱シンフォギアGX 響くぜ!絶唱!!─

 

─【第1話】奇跡の殺戮者、日常の守護者─

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




作者
「殆ど勢いで描きましたので少しばかり内容は変わるかもしれないです、ただし僕は書く時は全力疾走だ、ついてこれるやつだけついてこい!」

マリア
「それ私のセリフよ!」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第1話 奇跡の殺戮者、日常の守護者【前編】


「おっまたせしました!ようやく第1話前編出来ました!」
未来
「もう、響が作ったんじゃないでしょ?」

「だって台本に書いてあるんだもん!」

「言い訳という訳では無いが、かなり作者の環境が変わり忙しく、描く気力が無くなっていたらしい…」
クリス
「それにほら、こいつ一応XVまで物語考えてんだけどよ、今公開してる映画とか、ゼット?とかの事もあって矛盾しないようにすんのが大変だったんだとよ」
切歌
「それでも何とか完成にこじつけたのデース!」
調
「ドンドンパフパフ、わーわー、おめでとうー」
マリア
「後編が何時の投稿になるかは私にも分からないわ…」
セレナ
「それでも、時間がかかったとしても投稿は必ずし続けていくそうです!」
リク
「だからみんな、待っててね!ジーッとしてても…」

全員
「ドーにもならねぇ!」



横浜…

 

とある場所で走る影がひとつ

その影に向けて、何かが放たれ火花を散らす

一度は転けてしまうが、その影は再び走り公衆電話の死角に隠れた

影は持っていた箱をしっかり掴む

 

??

「(ドヴェルグダインの遺産…全てが手遅れになる前にこの遺産を届ける事が僕の使命…)」

 

それを確認すると再び走り出す

建物の上からそれを見つめる影がひとつ

 

??

「ワタシに地味は似合わない…だから次は、派手にやる…」

 

 

この同時刻、S.O.N.Gの方でも謎のエネルギーが感知されたとして、警戒が強まっていた

 

 

───後日────

 

リク

「あっつぅ…」

クリス

「お前さっきからそればっかだな…」

 

そこには、学校へ登校する2人の姿があった

もっとも、時期はとっくに夏なので2人とも夏服

そしてもう3人も一緒だった

 

切歌

「今日は3時間目が楽しいプールの時間デスが…」

調

「4時間目は退屈な世界史の時間…」

セレナ

「動いたあとの座学ってすごく眠くなっちゃうんですよね…」

 

この3人も入学して早3ヶ月

クリスやリク、響に未来のお陰で学校にも慣れてきていた

 

そして駆けてくる足音

 

 

「クーリスちゃーん!きょ!?」

 

クリスはすかさず響の頭を鞄で叩き付け、飛び付きを回避した

 

クリス

「あたしは年上で、学校では先輩、こいつらの前で示しがつかねぇだろ」

 

響が頭をさすっていると後ろから未来が声をかけた

 

未来

「おはよう、切歌ちゃん、調ちゃん、セレナちゃん」

セレナ

「おはようこざいます!」

調

「おはよう、ございます」

切歌

「ごきげんようデース!」

 

3人は元気よく挨拶を返した

 

未来

「暑いのに相変わらずね」

 

リク

「おはよう、未来、響」

「おはようリクくん、っておよ?」

未来

「ん?」

 

響の視線の先にはしっかりと手を握る切歌と調の姿があった

 

「い〜や〜…暑いのに相変わらずだね?」

切歌

「いやいやそれがデスね、調の手はちょっとひんやりしてるので、ついつい繋ぎたくなるデスよ」

 

そういうと調は切歌の二の腕を摘んだ

 

切歌

「そういう切りちゃんのプニった二の腕も、ひんやりしてて癖になる」

セレナ

「ほんとだ〜すべすべでひんやりしてます!」

 

セレナも二の腕を擦り、切歌は顔を赤くしていた

 

切歌

「くすぐったいデスよ2人とも〜///」

未来

「それ、ほんとうなの!?」

 

未来はすかさず響の二の腕を摘む

 

「いやーはー!やめて止めてやめて止めてやめて止めてやめて止めてやめて止めてあーーーーっ!」

 

響は擽ったそうに叫ぶが、クリスはそれを見ると顔を真っ赤にし、カバンをまるで剣の斬撃のように、響の背中に叩きつけた

 

「ギョーーッ!?」

クリス

「そういう事は家でやれ……」

リク

「あっはは…ほら、行こう皆、授業始まっちゃうよ」

 

そしてその日の学校の授業はゆっくりと進み、平和に幕を閉じた

体育授業の時、進路相談で家族の誰が来るかを問われた響が、言い淀んだように誤魔化した事に、リクが疑問を抱いた以外は……

 

 

───放課後────

 

響、未来、弓美、詩織、創世、切歌、調、セレナは雪音クリスの家へ向かっていた

 

創世

「ほんとに大丈夫なの?何も言わないでいきなり押しかけるなんて」

「へーきへーき!クリスちゃん優しいから!」

 

創世の心配を他所に、響は笑いながら足を進める

そのまま歩き続けるとクリスの家に辿り着いた

 

未来

「あれ…みんな隠れて?」

 

未来の言葉を合図に皆は植え込みに隠れた

 

詩織

「どうしたのですか?」

未来

「あれ…」

 

未来が指さしたのはクリスの家……ではなく、その真向かい

そこにはクリスとリクの姿があった

 

切歌

「およ、リクお兄ち…リク先輩も一緒デス」

セレナ

「そういえばお家、真向かいなんでしたっけ」

弓美

「マジ?!そんなアニメみたいなことあるんだね…」

 

皆はしばらく見ていたがクリスはもじもじしたり紅くなったりし、リクは驚いたり困ったような顔をしていた

 

調

「何か話してる…?」

「聞いてみよう…」

 

皆は耳を澄ませた

 

リク

ダメだよこんな所で…

クリス

そうやって逃げるのか…?

リク

そういう訳じゃないけど…

クリス

事故だったとしてもしたのは事実だ、やりっ放しは性にあわないんだよ

 

未来はなんとなく察した

 

未来

「あぁ〜…」

「なになに?わかったの未来?」

 

響が未来の方を向いた時だった

 

リク

わかった、おでこね…

 

リクはクリスの髪を掻き上げるとそっと額に口を当てた

クリスは恥ずかしそうに目を閉じたが満足そうに笑う

それを見た面々はあっと声を出しそうになるが必死で抑える

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1人を除いて

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

切歌

およぉぉぉぉー!!!?

 

調

「!!きりちゃん!!」

セレナ

「暁さん!!?」

 

2人は必死で切歌を抑えるがもう遅い

6人の姿をクリスとリクはその目でしっかり確認してしまった

 

リク

「ぬぁっ……!!?///」

クリス

「なっ…なっなっ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何やってんだお前らァァァ!!?////

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第1話 奇跡の殺戮者、日常の守護者 【後編】

その夜、クリスの家ではお菓子がズラっと並び、今はクリスとリク、響がジュースを運んでいる

 

リク

「はい、ここ置いとくよ」

創世

「さんきゅーリッキー」

弓美

「いやぁにしてもアニメかってくらい罪な男だね」

 

リクとクリスは顔を赤くしつつ、不機嫌そうな顔を浮かべる

響や未来達は事情を既に知ってるのであまり反応はないが、3人の矢継ぎ早の質問がすごい

 

詩織

「まさか、御二方がお付き合いを始めてるとは思いませんでした」

創世

「ねねっ、いつから付き合ってるの?」

詩織

「きっかけはどちらからなのですか?」

創世

「さっきキスしてたけどよくやってるの?」

弓美

「もう口と口でもしちゃったり!?」

リク

「もう、そんな事はいいじゃんか…」

クリス

「そうだよ……そんなことより…なんであたしんちなんだよ…」

 

クリスがジュースを運びながら問いかけた

 

弓美

「ロンドンとの時差は約8時間!」

詩織

「こんな時間ともなりますと…」

創世

「チャリティーロックフェスの中継を皆で楽しむにはこうするしかないわけでして……」

「まぁ、頼れる先輩ってことで!それに、やっと自分の夢を追いかけられるようになった翼さんのステージだよ?」

 

クリスはそれを聞くと、少しだが、表情は穏やかになった

 

クリス

「皆で応援、しない訳にはいかないよな」

未来

「そして、もう一人…」

調

「マリア…!」

切歌

「歌姫のコラボユニット、復活デス!」

セレナ

「頑張って、マリア姉さん…!」

 

セレナは祈るように手を握る

リクはクリスの隣に座りこんだ

すると、隣に居た創世がそっとリクの事を押してクリスと密着させた

 

リク

「あっ…//」

クリス

「っ…//」

弓美

「ん〜っ初々しい〜♪」

 

そうこうしてるうちに、チャリティーライブの配信が始まった

 

 

【〜♪星天ギャラクシィクロス】

 

作者

「ここのライブシーンを書き出す語彙力がないので割愛致します

YouTubeに公式からあがっているのでよかったら見てください

とても綺麗な映像で感動すると思います」

 

 

ライブが終わり、翼とマリアはそれぞれ大歓声の客席に両手を振って応える

その映像は、彼女達の元に届いた

 

リク

「翼さんもマリアさんも、すごく楽しそうに歌えてた…」

セレナ

「はいっ、少し不安だったけど、よかったです!」

弓美

「あーはははは!!こんな二人と一緒に友達が世界を救ったなんて、まるでアニメだね!」

「あ、うん、ホントだよ…」

 

響は若干の苦笑いを浮かべつつ答えた

 

 

───ロンドン チャリティーライブ会場────

 

 

マリアが昇降機で降りた場所には2人の黒服の男がいた

 

黒服一

「任務、ご苦労さまです」

マリア

「アイドルの監視程ではないわ」

 

マリアは皮肉とも取れる本音を口にする

 

黒服一

「監視ではなく警護です、世界を守った英雄を狙う輩も少なくはないので」

 

それだけ話すと3人は控え室へと向かう

 

───再び日本────

 

マリアの家族である3人は少しだけ沈んだ表情をしていた

 

切歌

「月の落下とフロンティアに関する事件を収束させるため、マリアは生贄にされてしまったデス…」

調

「大人たちの体裁を守るためにアイドルを…文字通り偶像を強いられるなんて…」

セレナ

「そんなことない…そう言いたくても言えない自分が…すごくもどかしいです…」

 

だが…

リク

「そうでも無いと思うよ」

切歌、調、セレナ

「えっ?」

リク

「上手く言えないけど、マリアさんは望んでアイドルになったんだと思う…じゃなきゃ、あんなに楽しそうに歌えないでしょ?」

 

未来がそれに同調する

 

未来

「うん、それにマリアさんが守っているのは、皆が笑っていられる日常なんだと思う」

 

切歌達が周りを見渡すと、そこにはとびきりの笑顔の弓美、詩織、創世の姿がある

そんな日常を守りたい

その為にマリアはアイドルの道を選んだのだ

 

切歌

「そうデスよね…!」

調

「だからこそ、私たちがマリアを応援しないと」

セレナ

「そうですね、応援し続けましょう!」

 

その時だった

響、クリス、そしてリクの装填ナックルに通信が入った

 

「はい!」

クリス

「どうかしたか?」

了子

「翼ちゃんのライブを楽しんでるとこだろうけど、応援要請よ」

弦十郎

「第7区域に大規模な火災が発生、消防活動が困難だそうだ、リク君、何か水の力を使えたりはするか?」

リク

「おそらくアクロスマッシャーならいけると思います」

弦十郎

「よし、迎えのヘリを寄越す、頼むぞ」

「はい!すぐ向かいます!」

 

通話を切った響は未来が不安そうな目でこちらを見てることに気付いた

それを安心させるように響は笑う

 

「大丈夫!人助けだから!」

調

「私たちも!」

切歌

「手伝うデス!」

 

切歌と調も立ち上がるが、それをセレナが止める

 

セレナ

「お二人のリンカーはまだ出来ていないんですよ!私が許しません!」

クリス

「そういうこった、2人がバカしないように抑えてくれ」

 

調と切歌はふくれっ面をうかべるが、リクは2人の頭を撫でた

 

リク

「大丈夫、手伝いたいって気持ちだけ受け取っておくよ、今日は先輩達にカッコつけさせて?」

切歌

「リクお兄ちゃん…わかったデス」

調

「気をつけて…」

 

リクは頷くと置いてあったジャケットを羽織り、クリス達と外へ向かった

 

弓美

「リク…お兄ちゃん?」

切歌

「あっ…」

 

再び、波乱の予感である

 

 

───ロンドン────

 

マネキンがズラっと並ぶ場所を歩くマリアと黒服達

しばらく歩いている彼女達をガラスのような目が見つめていた

 

そして一筋の風

ここは密閉されている

ドアが開かねば風など吹かない

3人は構える

 

マリア

「風…誰かいるの!?」

??

「司法取引と情報操作によって仕立て上げられた、フロンティア事変の汚れた英雄マリア・カデンツァヴナ・イヴ」

マリア

「何者だ!」

 

謎の声は反響していて、場所が絞りこめない

すると、突然女性型マネキンの一体が動きだし、黒服の体に組み付いて……

 

 

そのまま口を当てた

男は驚くがそれ以上に何故か急激に老化したように衰弱していく

 

黒服B

「離れろ!」

 

黒服Bは銃を構えるが、女性型マネキンは黒服Aを滑り落とす

黒服Bは躊躇わず銃を放った

すると突如風が舞い起こり、弾丸の軌道が変わり黒服Bの頭へ命中してしまった

マネキンはフラメンコダンサーのようなポーズでマリアへ向かい合う

 

??

「纏うべきシンフォギアを持たぬお前に用はない…」

 

マネキンはその手の剣をマリアへ振るう

マリアはその身体能力を存分に活かして交わし続け、一瞬の隙を突いて延髄へ翼の逆羅刹のように蹴りを叩き込む

マネキンはギョロっと目を白くするが、すぐにマリアを天井の方へ放り投げた

 

マリア

「しまった!?」

 

空中で姿勢制御出来ないマリアの最期は、このまま重力に逆らえずに落下し剣に刺さるのみ

絶対絶命…

 

───S.O.N.Gヘリ内────

 

弦十郎

「付近一帯の避難はほぼ完了、だが、このマンションに多数の生体反応を確認している」

リク

「まだ逃げ遅れてる人が居るんですか!?」

弦十郎

「防火壁の向こうにとじこめられたようだ」

了子

「もうひとつ気になるのは、被害状況が依然4時の方向に拡大しているのよね」

 

拡大し続けている、それも一直線に何処かへ

 

クリス

「バカ猫が暴れてるのか…?!」

弦十郎

「響くんは救助活動、クリスくんには被害状況の確認にあたってもらう」

了子

「リクは響ちゃんの救助活動と一緒にアクロスマッシャーで鎮火活動、その後クリスの方へ向かってちょうだい」

3人

「了解!」

 

ちょうどそのタイミングで現場へ到着し、響がヘリのドアを開けた

 

クリス

「2人とも、任せたぞ」

「任された!」

リク

「そっちもね!」

 

2人はギアペンダントとジードライザーを見せると、空へ舞った

 

Balwisyall nescell gungnir tron

 

リク

「ジーッとしてても…ドーにもならねぇ!魅せるぜ!衝撃!!」

 

【〜♪限界突破G-beat】

 

2人は空中で変身すると、響が天井を貫き、建物内へ入る

 

リク

「スマッシュストリーム!!」

 

ジードはその手から水を噴き出し、建物の中から消化を始める

 

友里

「反応座標までの案内、開始します!」

 

友里からの通信が入り、響とジードは走り出す

 

逃げ遅れた人達は皆で助け合っていた

もうダメかと思ったその時だ

 

男性

「何か聞こえないか…?」

女性

「これは…歌?」

 

 

──────────────

 

その頃、ロンドンでは

 

「ったァ!」

マリア

「翼!?」

 

間一髪、マリアが貫かれそうになるのを翼が救い出していた

マリアを助けると翼は剣を構える

 

「友の危難を前にして、鞘走らずにいられようか!」

??

「待ち焦がれていましたわ…」

「貴様は何者だ!」

 

翼の声にポーズを整え、それは応える

 

オートスコアラー

「オートスコアラー…」

「オートスコアラー…??」

 

簡単に言えば自動人形

それが一体なんのようだと思う前に答えが出る

 

オートスコアラー

「貴方の歌を聞きに来ましたの」

 

──────────────

 

「ったぁ!」

リク

「スマッシュビームブレード!」

 

響が砕き、ジードが斬り裂いた先には逃げ遅れた人達がいた

 

男性

「ウルトラマンジード!?」

女性

「小さくなれたんだ…!?」

 

「避難経路はこっちです!」

リク

「必ず助かりますから落ち着いて避難してください!あ、念の為検査も忘れずに!」

 

2人の声に従い、そこに居た人達は避難を完了させる

 

友里

「2人とも、生体反応ラストワン!」

 

2人が瓦礫を崩しながら突き進むと、そこには男の子が倒れていた

 

「大丈夫!?」

 

響が駆け寄ったタイミングで壁が倒れてきた

あまりに突然の事で響は動けない

だが

 

リク

「アトモスインパクト!」

 

ジードが遠くから壁を倒さないよう、遠くから押さえ込んだ

 

リク

「響!」

「ありがとう!」

 

響は足を振り上げ、天井を蹴り破ると建物からその子と共に脱出した

 

リク

「生体反応がないなら外からの方がいいな」

 

外では消防士が必死に鎮火しようと奮闘していた

 

消防士

「クソっ!火が強すぎる…!!」

消防士B

「隊長!あれ!」

 

窓が割れたかと思うと、青い人物が出てくればそりゃ驚くだろう

だがその驚きは更に増すことになる

 

野次馬A

「おい、あれウルトラマンジードじゃん!」

野次馬B

「え、ジードも被害者?」

消防士B

「なんのつもりだ!ウルトラマンジード!」

 

ジードはそんな声を聞くと消防士に向き合う

 

リク

「この火は僕が止めます、皆さん下がっててください!」

消防士

「何っ…出来るのか?」

リク

「任せてください!」

 

すると再び声が聞こえる

 

男性

「ジード!さっきはありがとう!!」

女性

「女の子にもよろしく言ってて!」

 

先程避難させた人達だ

消防士はその様子を見て信用することに決めた

 

消防士

「任せたぞ」

リク

「はい!」

 

ジードが空へ飛ぶのを確認すると消防士は周りの人達を後ろへ下がるよう誘導させた

 

リク

「よーし…スマッシュストリーム!!!」

 

リクは再び両腕から水を噴き出し、的確に高階層から鎮火していく

消防士も、野次馬も、その様子に息を呑んでいた

 

そして完全に鎮火が終わると、ジードは消防士達に向き合い、サムズアップを見せた

直後、大歓声が沸き起こる

ジードはそのまま飛び立ち、響のもとへ向かう

 

──────────────

 

「風鳴る刃は輪を結び、火翼を持って切り進む…月よ、煌け!」

 

二本の刀を、ゼロツインソードのように1つにした翼は、青い焔と共に滑走し、すれ違いにオートスコアラーを斬り裂いた

 

 

風林火山 月煌

 

 

オートスコアラーは吹き飛ばされ機材の中へ突っ込んだ

 

 

──────────────

 

「お願いします!」

 

響はギアを解除し、助けた子供を救急救命士に預けた

救急車が走り去った所にちょうどジードが降り立った

 

リク

「あの子は?」

「大丈夫みたいだよ、お母さんもついてたし!」

リク

「よかった…じゃあ僕はクリスの所へ急ぐよ」

「了解っ!」

 

響の敬礼を確認するとジードは再び飛び立つ

そのまま響は立ち去ろうとするが、気付くと高台に少女が立っていた

出で立ちはまるでコスプレ、大きな帽子とロングコートはまるで魔法使いのよう

その子は消火した建物を眺めながら涙を落としていた

思わず響は叫ぶ

 

「そんな所にいたら危ないよ!」

 

少女は驚いた目でこちらを見る

 

「パパとママとはぐれちゃったのかなっ、そこは危ないから、お姉ちゃんが行くまで…」

??

「黙れ」

 

涙を拭った少女は指で円を描くと、魔法陣のようなものが浮き上がり、響のすぐ側に竜巻を放つ

 

その威力は地面を軽く抉るほどだった

 

「ええっ…!?」

 

その時通信が入った

耳を疑う通信が

 

【〜♪Glorius Brake】

 

クリス

「“敵”だ!“敵”の“襲撃”だ!そっちはどうなってる!?」

 

リク

「えっ、“敵”!?」

 

「…敵?」

 

まさかと思い少女を見ると、少女は再び先程と同じような技の準備をしていた

 

 

──────────────

 

マリア

「やり過ぎだ翼、“人”を相手に…!」

 

だが、翼は焦る様子はない

 

「やり過ぎなものか、手合わせしてわかった…こいつはどうしようもなく…」

 

その瞬間、瓦礫が巻き起こり、オートスコアラーが立ち上がった

 

「“バケモノ”だ!!」

 

オートスコアラー

「聞いてたよりずっとショボイ歌ね、確かにこんなのじゃ、やられてあげるわけにはいきませんわ」

 

──────────────

 

??

「キャロル・マールス・ディーンハイムの錬金術が…世界を壊し、万象黙示録を完成させる……」

 

キャロルと名乗った少女はどんどん魔法陣を構築し、技を作り上げていく

 

「世界を…壊す……?」

キャロル

「オレが奇跡を殺すと言っている」

 

刹那、キャロルは響に向けて巨大な竜巻を放った……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




リク・クリス
「ウルトラ、シンフォニーナビ!」
リク
「今日はウルトラカプセル!」
クリス
「コイツだ!」

レム
「エボリューションガングニールカプセル、響のガングニールとリクのウルティメイトファイナルを一つにし、ウルティメイトガングニールにするカプセルです
シンフォギアとウルトラマンを一つにするカプセルでいつでも変身可能なものは現状このカプセルのみです」

リク
「次回も!」
クリス
「見てくれよな!」


次回予告

リク
「新たなる敵の襲撃、この世界の悪意は止まることを知らないのか
苦戦する僕達の前に差し伸ばされた光も、一瞬で崩れてしまう
やめろ!それは僕の大切な…!
次回、戦姫絶唱シンフォギアGX 響くぜ絶唱」

【奪われたギガファイナライザー】

??
「派手なこいつは使わせない…」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第2話 奪われたギガファイナライザー【前編】

リク
「もうすぐ夏休みってこともあってだんだん暑くなってきたよね」
切歌
「デース…」
調
「暑い…溶ける…」
クリス
「お前ら何言ってんだ!もうとっくにリアルは2021、正月すら終わってんだぞ!?」
リク
「いや…一応物語の雰囲気出しとこうと思って」
クリス
「だったらもうちょっと真面目にやれ!」
マリア
「簡単に言えば超常現象による同時多発テロ…と言ったところかしら」
クリス
「お、おう…それでいいんだよそれで…」

「それに対処する為、装者は再び剣を握った」

「だけど、それこそが敵の狙う罠だった…」


未来
「この度は投稿が遅くなってしまい、大変申し訳ございませんでした
これを機に投稿頻度が上がっていく、という訳では無いのですが、しっかり物語の構想を練って、頑張って行くと作者も申しておりますので、この作品をよろしくお願いいたします(腰を折って丁寧に礼をして)」


「うっ、うう…」

 

響は間一髪無事だった

しかし、転んだ際に体を強く打ち付けたようだ

キャロルはそんな響に問いかける

 

キャロル

「なぜシンフォギアを纏わない、戦おうとしない」

「戦うよりも、世界を壊したい理由を教えて…っ!」

 

キャロルは俯きながら浮遊し、瓦礫の上に降り立つ

 

キャロル

「理由をいえば受け入れるのか…?」

「私は…戦いたくない!」

キャロル

「お前と違い、戦ってでも欲しい真実が…オレにはある!」

 

あまりに対極的な2人

この2人の出会いがなにをもたらすのか…

 

 

──────────────

 

お泊まり会予定だった7人は帰宅中だった

 

弓美

「あーぁ、せっかくみんなでお泊まり会だと思ったのに〜…」

詩織

「立花さん達が頑張ってるのに私達だけ遊ぶわけにはいきませんから」

 

ふくれっ面の弓美に詩織が応える

 

創世

「ヒナがキネクリ先輩の家の合鍵を持ってたからよかったけど、どうして持ってたの?」

未来

「え? そうだよね、どうしてだろう? 前に響から預かってたんだったかなぁ」

 

未来は痛い所をつかれ、誤魔化すように答える

すると、切歌が調とセレナの手を取り4人の前に行く

 

切歌

「じゃあ、じゃあ、先輩方。あたしらはこっちなので!」

調

「誘ってくれてありがとう」

セレナ

「とても楽しかったです!」

切歌

「失礼するデース!」

調

「あ、切ちゃん!」

セレナ

「待ってください!暁さん、月読さん!」

 

3人は走り去ってしまった

 

未来

「気をつけてね〜」

弓美

「お兄ちゃんに迷惑かけるんじゃないぞ〜」

 

あの後、多少不可解なとこはあったが包み隠さず兄と呼ばせて欲しいと言った、と伝えたことでこの事は周知の事実となった

無論、他言無用であるが

 

未来

「さて、コンビニでおむすびでも買って帰ろうかな」

弓美

「あらあら。」

詩織

「まあまあ。」

創世

「てっきり心配してるのかと思ってたら…」

 

それらを聞くと未来は微笑む

 

未来

「響の趣味の人助けだから平気だよ、むしろお腹を空かせて帰る方が心配かもね」

 

──────────────

 

少し前……

 

指定ポイントに到着し、クリスは移動ヘリを見送っていた

 

友里《通信》

「火災マンションの救助活動は、響ちゃんとリクくんのお陰で順調よ、もう少ししたらリクくんはそっちに合流出来ると思うわ」

クリス

「へっ、あいつらばっかにいいカッコさせるかよ」

 

その時、何か金属が跳ねる音がしたのをクリスは聞き逃さなかった

その音は銃弾のような音に変わり、先程まで乗っていたヘリを爆発させた

クリスが辺りを見渡すと鉄橋の上にそれはいた

パーマのかかったような髪に、黄色い衣装

嫌に白い肌と、奇っ怪なポーズ

まだクリスはその名を知らないが、オートスコアラーだ

 

クリス

「これはお前の仕業か!?」

 

その問いの答えは銃撃

何発かは足元に火を散らして、最後の一発はクリスの長い髪を2本ほど切る

 

オートスコアラー2

「こちらの準備は出来ている…」

 

その手に握られたコインが銃弾の正体だろう

 

クリス

「抜いたな、だったら貸し借り無しでやらせてもらう!後で吠え面書くんじゃねぇぞ!」

 

 

Killter ichiival tron

 

【〜♪TRUST HEART】

 

イチイバルを纏ったクリスは、赤色のエネルギーアローを何発も繰り出す

オートスコアラーはその雨をブレイクダンスのような動きで避けるが、あまりにも避けられ過ぎている

 

クリス

「(あの動きは人間離れどころじゃねぇ、人外そのもの!)」

 

だが、これで悲観的になるクリスでは無い

 

クリス

「つまり…やりやすい!」

 

しばらく戦いを続ける彼女達を見る人影

 

 

??

「装者屈指の戦闘力とフォニックゲイン、それでもレイアには通じない…やはり、ドヴェルグ・ダインの遺産を届けないと…!」

 

フードを深く被った少女はその手にもつ箱をぐっと抱きしめた

直後、クリスはMega Death Partyを繰り出し、オートスコアラーに直撃させた

 

やったかと思われたがクリスは知っている

 

クリス

「もったいぶらずにさっさと出て来やがれ!」

 

オートスコアラーはバリアを張っていたようで無傷だった

再びその両手からコインを撃ってくる

 

友里『通信』

「何があったのクリスちゃん!」

クリス

「敵だ!敵の襲撃だ!そっちはどうなってる!?」

リク『通信』

「えっ、敵っ!?」

 

リクの驚く声が聞こえる

クリスはひたすらに迎撃しながらコインをかわし続ける

 

だがその時だった

 

?????

「危ない!!」

 

何処からともなく聞こえた声に足を止めると嫌に足元が暗く感じ、上を見上げる

そこには…恐らく近くの港に浮かんでいた何隻ものモーターボートがこちらに向かって落ちてきているでは無いか

 

クリス

「何の冗談だ!?」

 

ツッコミを入れている場合ではない

クリスは走り出すが落下したボートはどんどん爆発し、爆風に煽られた1隻がクリスを押し潰そうとした

 

刹那、青い光がクリスを抱きかかえて物陰へと飛び込んだ

 

オートスコアラーはその様子を見て呟く

 

オートスコアラー2

「私に地味は似合わない、然し、これは派手過ぎる」

 

オートスコアラーが振り返るとそこには、本来のウルトラ戦士と同じ位の大きさの影が霧の中にあった

 

オートスコアラー2

「待っていろ、もうすぐ派手な出番だ」

 

影はその大きな手を振り上げた

 

 




作者より
この度は投稿が遅くなってしまい誠に申し訳ありませんでした
今後ともこの小説をよろしくお願いします((○| ̄|_


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第2話 奪われたギガファイナライザー 【後編】

【告知】
今回よりこの小説の書き方にちょっと変化を加えます
アニメ本編の流れに沿って、この作品書いてる事は察していると思いますが、今回から流れがアニメ本編と全く同じ所はあまり深く描写しないことに致しました

例えるなら今回は響とキャロルの絡み、翼、マリア、ファラ、緒川さんの絡みですね
所謂、本編と違う部分をこれからは書き出していこうかなと思います
ただ、全く触れない訳ではなく、こういう事があった…と言うような形で少しは触れていきます
何故かと言いますと、シンフォギア台詞が難しすぎて本編を見ながらでも難航することがある為、このような処置をとることに致します
楽しみにしていた方、申し訳ございません
それでもいいよという方は、これからもよろしくお願いいたします


クリスは物陰で息を荒らげた

傍らには、ジード、アクロスマッシャーの姿もある

 

ジード

「大丈夫、クリス?」

クリス

「あぁ…マジで危なかった…はぁ…」

 

クリスは息を整えるとボートの爆発で燃えてる草むらを見る

 

クリス

「一体どっから飛んできやがった…」

ジード

「必死過ぎて僕も見てなかったけど、やっぱり港から飛ばされたのかもしれない。」

?????

「大丈夫ですか?」

クリス

「あぁ、平気だ…ってン?」

 

聞きなれない第三者の声にクリスとジードが視線を向けると、そこには女の子とおもしき姿があった

だが、その格好はとてもよろしくないものだった

紫のラインの入ったローブ、Tバックとしか思えぬほど布面積の小さいパンツ

 

 

 

……それだけ

 

今にもその小さな胸が見えてしまいそうになっている

 

クリス

「リ…ジードは見るな!」

ジード

「は、はいっ!」

 

ジードは視線を横に向けた

 

?????

「あなた達は…」

 

彼女がそう言いかけたのを被せるようにクリスが捲し立てた

 

クリス

「あ、アタシは快傑うたずきん!国連とも日本政府とも全然関係なく、日夜無償で世直しを―――」

ジード

「隠せてない!」

 

ジードのツッコミが入るが彼女は淡々と言い当てた

 

?????

「イチイバルのシンフォギア装者、雪音クリスさん…そしてウルトラマンジード、朝倉リクさん、その姿はアクロスマッシャー…ですよね」

 

クリス

「…その声は…」

ジード

「クリスどころか、僕の名前に形態の姿まで…」

 

彼女はフードを取る

エルフナイン

「ボクの名前はエルフナイン。キャロルの錬金術から世界を守るため、皆さんを探していました」

 

クリス

「錬金術ぅぅ?」

 

錬金術、科学と同時に発展していたが、科学の驚異的発展スピードに対して、ゆっくりとそのなりを潜めて言ったかつてのテクノロジー

 

それが今回の相対する敵の力

 

そう言った説明を受けながら戦場を離れる中、クリスの通信機に驚きの情報が伝達される

 

クリス

「あのバカがやられただと!?」

ジード

「響が!?」

 

装者の中でも驚異的戦闘力を誇る響がやられた

錬金術とはそんなに強いのか…

然し、クリスは冷静に事を伝える

 

クリス

「こっちにも252がいるんだ、合流地点(ランデブーポイント)の指定を…」

 

その時、突如投げ込まれたクリスタルのようなものが地面に当たって砕けた

そこから赤い煙が立ち込め現れたのは…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ノイズだった

 

クリス

「コイツら!あん時全滅したんじゃなかったのかよ!」

ジード

「クリス!その子をこっちに!今の僕じゃノイズは倒せない!」

 

完全にシンフォギアと分離したジードはウルティメイトガングニールを使わなければノイズに立ち向かうことは出来ない

クリスはエルフナインをジードに預けると、ガトリングを連射し始める

 

然し、その時地面が揺れた

ジードが見上げるとそこには包帯を巻いたような、凄まじい存在がこちらを見下ろしているではないか

 

今あれに対抗出来るのは自分だけだ

 

ジード

「クリスごめん!あっちどうにかしてくる!」

クリス

「っちい!分かった!」

 

クリスがエルフナインの元へ来たのを確認し、ジードは巨大化し、敵と相対する

敵は人型、何となく戦いずらいがやるしかない

然し、巨大化した瞬間カラータイマーが点滅を始める

無理もない、縮小していたとはいえ10分などとうに超えてる

こうなればウルティメイトファイナルしかない!

ジードは高速移動で距離を取り、インナースペースでギガファイナライザーを構えた

 

 

刹那、敵に体当たりを喰らいジードは吹き飛ばされた

 

ジード

「は、早いっ!?」

 

恐らくアクロスマッシャーと互角のスピードだった

リクは改めてギガファイナライザーを構えた

 

はずだったのに…その手には何も無い

 

ジード

「なっ!?ギガファイナライザーは…!?」

 

そしてまさかと思い、敵の姿を見る

その手にはオートスコアラーを乗せ、

オートスコアラーの手にはしっかりと、ギガファイナライザーが握られていた

まさかあの一瞬で奪ったというのか?

 

オートスコアラー2

「派手なコイツは使わせない…」

ジード

「返せ…それは僕の大切な形見だ!」

 

ジードは黄金の光を払いながらロイヤルメガマスターとなり、宇宙最強光線を超絶撃王剣キングソードから解放する

 

ジード

「ロイヤルエェェーンドッ!!!」

 

黄金のシャワーは一直線に敵へと向かっていくが、何と相手はその大きな手を翳すと受け止めてしまった

 

ジード

「そんなっ!?ぐっ…」

 

ジードは慌てて光線をとめたが時は既に遅し

膝をつきながらジードは朝倉リクへと戻ってしまった

 

エルフナイン

「リクさん!」

 

リクの元へエルフナインが駆け寄るが、その2人を狙い、ノイズが飛び掛る

 

クリス

「クソっ!」

 

その間に慌ててクリスが割り込み、ガトリングで攻撃を防いだ

 

……直後だ

 

クリス

「なんだよこれ…?!」

リク

「クリスのギアが…!?」

 

対ノイズ用戦闘装備、シンフォギアがノイズに貫かれていく

クリスはしばらくその事実が受け止められず、判断が遅れてしまった

 

クリスが飛び退いた時にはもう遅く、コンバーターにノイズの一撃が入り、イチイバルが砕け散った

白い柔肌を晒したクリスが地面に倒れ込む

 

リク

「クリス!!」

 

リクはクリスに駆け寄ると自分のジャケットをかけ、立ち上がった

 

リク

「エルフナイン…だっけ」

エルフナイン

「は、はいっ…」

リク

「クリスを連れて逃げて!」

 

リクはキングソードを呼び出して再び闘おうとしている

然しその攻撃が効く保証はない、更にはウルトラマンに変身しているならともかく今は生身、触れれば一発アウト

 

だがリクの覚悟は決まっていた

 

リク

「ジーっとしてても…ど…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

切歌

「ドーにもならないデス!」

 

リク

「えっ…?」

 

 




リク
「ウルトラ、シンフォニーナビ!」
クリス
「今回はコイツだ!」

(カプセル起動)
響の声
「はぁっ!」
クリスの声
「ふっ!」

レム
「ガングニールカプセル、イチイバルカプセル、ジードがシンフォニーウルトラマンにチェンジする際に使用したカプセルです、ガングニール、イチイバルの力を内包しています」

リク
「次回も」
クリス
「見てくれよな!」


【次回予告】
リク
「錬金術、オートスコアラー、奪われた切り札、砕けたシンフォギア…
最悪の事態が続く中、魔の手がクラスメイトに伸びる!響!?どうしたの!?
次回、戦姫絶唱シンフォギアGX、響くぜ、絶唱」

第3話【戦士達】

ジーっとしてても、ドーにもならねぇ!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第3話 戦士達 【前編】

リク
「シンフォギアが砕けた!?」
クリス
「一体どーいうこった!?わけがわからねぇぞ!」
了子
「これはウルトラ恐ろしい事態ね…あのノイズについて、調べあげないと…」
リク
「そんな事より!早くドーにかしないと!」
切歌
「そこであたし達デスよ!」


切歌、調、セレナは先輩達と別れ、帰路についていた

交差点で足を止めた時、ふと思い出した

 

リク(回想)

「大丈夫、手伝いたいって気持ちだけ受け取っておくよ、今日は先輩達にカッコつけさせて?」

 

調

「考えてみれば、当たり前のこと。」

切歌

「底抜けにお人好し揃いデスからね…」

 

フロンティア事変の後、拘束されていたマリア達3人の身柄を引き取ったのはS.O.N.Gだった

敵だった筈なのに友達のように、1人は兄のように接してくれて

離れていた家族とも会わせてくれて

学校にも通わせてくれている

それが保護観察にしろなんにしろ、何不自由なく、過ごさせてもらっている

 

切歌

「F.I.Sにいた頃は想像も出来ないくらい、笑って過ごせているデスよ…」

セレナ

「…ほら、行きますよ」

 

青信号なのに進まぬ2人を誘導するようにセレナは声を出す

然し、思うところがあるのか3人とも前に進めない

 

調

「何とか力になれないのかな…」

セレナ

「それは…」

切歌

「力は…ここにあるんデスけどね…」

 

切歌は隠していたペンダントを取り出す

シンフォギアを纏うことはできる

だが、リンカー無しでの運用は命取り

天羽奏のように、自らの身を滅ぼしかねない

リンカーの製作者、櫻井了子はいる

しかし、彼女達には奏との決定的な違いがあった

それは、シンフォギア自体は彼女達を正規適合者と認めていること

聖詠にその違いは現れている

リンカーを打ってさえ、ガングニールに認められることは無かった奏に対して、打てば安全に纏うことが出来る2人

この違いが判明するまでは危険と判断されたのだ

 

調

「でも、それだけで何も変えられなかったのが、昨日までの私たちだよ。切ちゃん」

 

その時、向かいのビルのモニターに響達が対応している事故のニュース流れた

淡々とニュースを読み上げる後ろには火災の映像も流れていた

然し、突如空中の何も無いところで爆発が起こった

 

切歌

「今のは!」

調

「何か別の事件が起きてるのかも…」

 

2人は顔を見合わせると、走り出してしまう

 

セレナ

「あっ、もう!!」

 

セレナも慌てて2人を追いかける

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──それが切歌がここにいる理由

 

切歌は何故か巻いていた、どこかの店の暖簾を剥ぎ取ると聖詠を開始する

 

Zeios igalima raizen tron…

 

切歌が纏うのは以前とは違うギアだ

黒色がメインだったフロンティア事変に対して、今はS.O.N.Gの装者と同じく白がメインとなっている

切歌は鎌を携えて、ノイズに一撃を食らわせていく

しかし、やはりリンカー無しでは制限があり、その体に走る電撃の激痛に顔を歪める

 

リク

「やっぱり無茶だ…リンカー無しじゃ!」

 

リクも飛び出そうとした時だ

 

セレナ

「リク兄さん!」

 

呼ばれて振り返るとそこには、先程の暖簾を持ったセレナが立っていた

 

リク

「セレナまでどうして!2人を止めてって言ったのに…!」

セレナ

「ジーッとしてても、ドーにもならないからです!」

 

セレナは持っていた暖簾を柔肌を晒しているクリスに巻き付けながら言い放つ

リクは豆鉄砲を食らったような顔を見せるが直ぐに微笑を浮かべ頷いた

暖簾を巻き付けた後、移動しようとクリスの体を抱えて立ち上がると、すぐ周りをノイズが取り囲んでいた

 

エルフナイン

「…手出しはさせません!」

 

エルフナインはなんと、セレナとリクの前に立って手を広げた

やはり、彼女は味方なのだろうか

直後、ノイズの群れを大量の丸鋸が襲う

 

シュルシャガナだ

 

それを決定づけるように、黒から白へカラーチェンジしたシュルシャガナを纏う調が滑り込んだ

 

エルフナイン

「女神…ザババ…」

 

小さな勇気を振り絞り疲弊したのかエルフナインは倒れそうになるが、調はすかさずその体を支えた

 

調

「クリス先輩とセレナは切ちゃんに任せて、乗って!リクお兄ちゃん!」

 

リクは一瞬躊躇うが、万事休すかと調の背中側に行き、振り落とされぬように肩を掴む

それを確認すると調は鋸をタイヤ代わりにして急加速して、戦線離脱を図る

それを合図に、切歌はクリスとセレナの元へ飛び、セレナを背負い、クリスを抱えて駆け出す

 

オートスコアラーはそれを見ながら念話を行う

 

オートスコアラー2

「予定にない闖入者、指示をください」

 

それを受けたキャロルはある場所の玉座に座り、応える

 

キャロル

「追跡の必要は無い、帰投しろ…レイア」

 

レイアと呼ばれたオートスコアラーは赤いクリスタルを地面へ落とし、魔法陣のようなものを作るとその中へと消えていった

 

朝日が昇り始める中、切歌、調は道を走り抜けていく

しかし、途中で調は足を止める

 

リク

「逃げ切れた…かな」

切歌

「リンカーが無くたって、あんな奴らに負けるもんかデス」

調

「切ちゃん…」

セレナ

「意地になるのは分かりますが…」

 

切歌は悔しそうに口をかみしめる

 

リク

「そういえば皆はどういう経緯でシンフォギアを?」

調

「それは、、うっ…!」

 

シュルシャガナに電撃が走ると、移動に使っていた禁月輪が解除されてしまった

リクはこれ以上負担をかけぬようにと、切歌の背中にいたセレナを背負い、三人で走り出した

その最中、ぽつりぽつりと話し出した

 

セレナ

「身寄りの無かった私たちはFISの養護施設に連れていかれました」

調

「でもそこは、聖遺物の研究所、壁も天井も真っ白な世界」

切歌

「デスが、そこで出会ったシンフォギアは昨日までのいやなことを全部ぶっ飛ばしてくれる、特別な力だと思って居たデスよ」

 

偶然起動してしまったシンフォギア

その日からは地獄のような特訓の日々が続いた

だが、マリアが、マムが、そしてソラが居たから乗りこえることができた

 

調

「聖遺物が引き起こした災害から人類を守るには、聖遺物の力で対抗するしかない」

切歌

「そう考えるマムを手伝いたいと思ったわけデスが…」

調

「状況に流されるまま戦っても、何も変えられない現実を思い知らされた」

切歌

「マムやマリアのやりたいことだけじゃない、アタシ達はアタシ達のやりたいことを見つけられなかったから、あんなふうになってしまったデス」

 

そんな二人の言葉をただ黙ってセレナとリクは聞いている

 

調

「目的もなく、行けるところまで行ったところに望んだゴールがある保証なんてない、がむしゃらなだけじゃダメなんだ」

切歌

「もしかして、アタシ達を出動させなかったのは、そういうことデスか!?」

 

リクは少し考えて応える

 

リク

「僕はただ本当に二人を心配してだったけど、クリスはそう思ってたかもしれないね…

ただ、目的を持たない力がどれだけ不安定で、危険なものかはゼロから何度も聞かされてるから、分かってるつもりだよ」

 

切歌と調はただリクの言葉に口を噛み締める

その時、クリスがうめき声をあげながら目を開けた

 

調

「よかった…」

セレナ

「致命傷は受けてないということですね!」

リク

「クリス…よかった」

切歌

「大丈夫デスか?」

 

切歌の問いかけにクリスは口を噛みしめてから怒声で返す

 

クリス

「大丈夫なものかよ!!」

セレナ

「もしかしてどこか痛みますか!?」

クリス

「くっ…(守らなきゃいけない後輩に守られて、大丈夫なものかよ…)」

 

─ロンドン

 

状況はまずかった

翼の天羽々斬が砕け、ファラと呼ばれたオートスコアラーも姿を消し、完全敗北以上の雪辱を受けていたが、行動制限の解除を受けていないマリアを規約違反として、国連のエージェント達が取り囲んでいたのだ

万事休すか?

そう思われた時だった

 

????

「マリア君の行動制限はすでに解除されて~いるっ!」

 

謎の男の声にエージェントは慌てて確認を取り始めた

男はマリアに近づくと、そっと伝える

 

????

「言うべきことが、彼女の連絡先にあるんじゃないのかい?」

マリア

「(確かにそうだ、こんなものが私の戦いであるものかっ!)」

 

それを聞くとマリアは翼から通信機を取り上げ、S.O.N.Gに連絡を取る

 

マリア

「風鳴指令、S.O,N.Gへの転属を希望します。ギアを持たない私ですが、この状況に、偶像のままではいられません」

「マリア…」

 

マリアは通信機を翼に返し、男に向き合った

 

マリア

「ありがとう、あなたのおかげで吹っ切れたわ」

????

「それならなによりっ!」

「其れより貴方は、いったい?」

????

「よぉくぞ聞いてくれましたっ!私こそ!S.O.N.Gの陰の功労者!

愛と善意の伝道師…愛染マコトです」

 

 




作者
「ウルトラマンより先にキラメイジャーコラボデスとっ!?」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第3話 戦士達 【後編】

後日、翼とマリアの帰国後、リク達はマリアのS.O.N.Gへの転属を促した功労者、愛染マコトに会うため司令室へ向かっていた

 

リク

「愛染さんってどんな人なの?」

マリア

「う~ん、そうね…ハイテンションで不思議な人だけど、悪い人じゃないって感じかしら」

「正直な話をしてしまえば、私は少し苦手だ…どことなく底知れないものを感じた…」

 

翼はぶるっと身震いした

 

クリス

「先輩がそこまで言うたぁ穏やかじゃねぇな、多少警戒してたほうがいいかもしんねぇ」

「う~ん、よくは分かんないですけど、そういうものなんですか?」

 

警戒するクリスに困惑の響

どんな顔をすればいいかわからぬまま、指令室のドアを開けた

 

弦十郎

「お、来たか、紹介しよう彼が──」

 

その声を合図に、奥に座っていた白いスーツの男が機敏に立ち上がった

 

愛染

「私こそ、愛と善意の伝道師…愛染マコトです!」

 

突然の濃ゆいキャラの登場にマリア、弦十郎を除く全員が困惑し固まっている

 

愛染

「あれっ、ノーリアクション?!」

調

「あ、ごめんなさい…」

切歌

「ちょっと突然のことで、反応に困ったデス」

 

ド正直に切歌は答えてしまうが、愛染はというと…

 

愛染

「うんうん、素直なのは良いことだよ」

セレナ

「ふふっ、何だかおもしろい人ですね」

 

愛染の柔和な雰囲気に段々と、打ち解け始めたタイミングで本題へと入る

 

弦十郎

「彼はS.O.N.Gを設立する際に資金援助を施してくれた、陰の功労者なんだ」

クリス

「げっ、ほんとに功労者じゃねぇかよ」

マリア

「この人は最近発展を始めた企業、アイゼンテックの社長さんなのよ」

「資金が潤沢なのはそういうわけか…」

 

愛染はえっへんと言わんばかりに胸を張っている

 

「すごい人なんですねぇ!」

愛染

「うんうん、すごい人なんですー」

リク

「それで今回はどうして?」

 

愛染は咳ばらいをすると、淡々と話し始めた

 

愛染

「アイゼンテックは独自の捜査ルートで今回の事件について調べてみた結果、敵はかつて栄えたテクノロジー、錬金術を武器に戦う自動人形だということが判明している。

そして、今回君たちが相手した以外にももう一人オートスコアラーは暗躍していたことが確認できた!」

リク

「もう一人、どうしてそれが…」

愛染

「マリア君が確認したエージェントの衰弱体、あれと同じものが付近で確認されてぇ~いるっ!」

調

「あんなのがまだいるなんて…」

切歌

「何人いてもアタシ達が──」

 

腕を構える切歌だったが、セレナがその腕を掴む

 

セレナ

「暁さん!」

 

切歌はバツが悪そうに腕を下す

 

愛染

「まぁあくまで分かっているのはここまでだから、あとはあの捕まえているエルフナインとやらに聞かないとだね」

 

愛染は時計を見ると、そろそろだというようにドアに向かう

 

愛染

「おっと、会社に戻らなければ…!むっ、長居は()()!愛染、今日の格言でした!あばよ…!」

 

慌ただしく出ていく愛染に声を掛けられる者はいなかった

その後、エルフナインの尋問へ移り、響が相対したキャロルこそが親玉で、この世界の解剖を目論んでいること

それを知り、エルフナインは逃げてきたこと

オートスコアラーはまだ二体いて、一体がガリィ、もう一体がミカと呼ばれること

あのノイズは錬金術で作り出されたアルカノイズと呼ばれる種類であること

錬金術に対抗するために聖遺物、魔剣ダインスレイフのかけらを持ってきたこと

そして、エルフナイン自体は性別の無いホムンクルスであることが判明したのだった

 

その夜、リクは一人考えていた

 

リク

「(相手は一瞬のすきも見せずに、僕のギガファイナライザーを狙いに来ていた…おそらく、ウルティメイトファイナルやウルティメイトガングニールに変身させないため…)」

 

さらには片手でロイヤルエンドを防ぐ防御力、ジードプルーフでさえも受け止められる可能性すらある

だが、ゼロはいない

救援に来るウルトラマンというのも音沙汰がない

 

リク

「僕は、どうすればいいんだ…」

 

リクはそのまま眠りにつくしかなかった

 

後日、響は未来、弓美、詩織、創世達と帰路についていたが、その道中に立ちふさがる影

 

「キャロルちゃんの仲間、だよね?」

ガリィ

「そして、あなたの敵…」

 

ガリィはいかにも人形ですといった動きで首をひねり、木陰から響たちを視界にとらえる

 

「違うよ!私はただ、人助けがしたいんだ!」

 

響が答えると、ガリィは心底いやそうな顔で舌打ち一つ

その手に構えた石のようなものを放り投げると、響たちを取り囲むようにアルカノイズが現れた

 

ガリィ

「あなたみたいに面倒なのを戦わせる方法はよぉく知ってるの…頭の中のお花畑を踏みにじってあげる♪」

 

ガリィが指を鳴らすとアルカノイズは一歩ずつ、5人に向かって歩き始めた

 

創世

「こいつ性格悪!」

弓美

「アタシらの状況もよくないって!」

詩織

「このままじゃ…」

 

響はやらねばやられると、ペンダントを取り出し歌おうとするが、、、

 

「───っ!」

 

響の口からは何も出てこない

何度も繰り返すが、むせ返すだけだった

 

未来

「響…?」

「歌えない…聖詠が、胸に浮かばない…ガングニールが応えてくれないんだ!」

 

 

 

 

 

 




リク・クリス
「ウルトラ、シンフォニーナビ!」
リク
「今回紹介するのは!」
クリス
「コイツだ!」

エボリューションカプセル
「ハッ!」
レム
「ウルトラマンジード、ウルティメイトファイナル
身長51メートル、体重4万2千トン、必殺技、クレセントファイナルジード、ジードが皆の願いを繋ぎ、絆を紡いだ究極形態です」

リク・クリス
「次回も見てくれよな!」

リク
「ノイズに襲われ、響がシンフォギアを纏えないピンチ、助けに入った僕も絶体絶命の危機。
響、君は今までなんのために戦ってきたんだ!?
次回、戦姫絶唱シンフォギアGX、響くぜ絶唱」

【微かな希望、砕かれて】

???
「見たか!俺の超ファインプレー!!」




目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第4話 微かな希望、砕かれて【前編】

リク
「ゼロが…またパワーアップしてる…!」
クリス
「ちょーっと待て!それ本編と関係無いだろ!」

「タルタ○ス、ゼロを負かすとは一体何者なんだ!」
クリス
「いやだから本編と関係無いこと話すなって!」

「最後に出てきたゼロさんともセブンさんとも違うあの人、一体誰なんだろう」
クリス
「おい!あたしの他にツッコミ役はいないのかァァ!!?」



響がシンフォギアを纏えない

そんなことは露知らず、ガリィは考える

 

ガリィ

「(ギアを纏わないコイツと戦った所で意味は無い…仲良しこよしを粉と引いてみるか…)」

 

ゲスな思考をガリィが思い浮かべた時だった

ダァンッと大きな足音が響く

その主の方を見ると、響───ではなく、詩織が足に力を込めていたようだった

 

詩織

「まぁどろっこしいなぁ…あんたと立花がどういう関係か知らないけどさ、だらだらやるなら私達巻き込まないでくれる?」

ガリィ

「お前…こいつの仲間じゃないのか…?」

 

あまりに豹変した詩織にガリィは聞き返す

 

詩織

「冗談!たまたま帰り道が一緒なだけ…ほら、道を開けなよ」

 

完全に舐め腐った態度にガリィは顔を歪ませる

然し仲間でないならいた所でどうにもならない、手を振りアルカノイズを下がらせた

 

刹那、弓美から創世へアイコンタクトが入り、意図を察した創世は未来の手を握り走り出した

 

創世

「行くよ!」

未来

「あっ…!?」

 

それに続いて響達も走り出した

逃走開始だ

 

弓美

「あんたって、変な所で度胸あるわよね!去年の学祭もテンション違ったし!?」

 

逃げる途中、弓美は詩織に叫んだ

 

未来

「さっきのお芝居!?」

創世

「たまには私たちが、ビッキーを助けたっていいじゃない!」

詩織

「我ながらナイスな作戦でした!」

 

だがそう易々と見過ごすガリィでは無い

と言うよりも、それすらも作戦

 

「と、見せかけた希望をここでばっさり摘み取るのよねぇ…」

 

ガリィはアルカノイズを向かわせる

そうすればいい加減戦うだろうという魂胆だ

だが、詩織にはもう1つ希望があった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

詩織

リクさん!

 

リク

「スイングスパークル!!」

 

木陰から放たれた黄金色の斬撃が、アルカノイズを一掃した

ガリィがそちらを見ると、杖のような剣を持ったデニムジャケットの男がいた

 

ガリィ

「ジード…めんどくさっ…」

 

ガリィが心底嫌そうに顔を歪める中、リクはみんなの元へ動く

 

「リク君!」

リク

「様子を見て飛び出そうと思ったんだけど詩織さんから合図するってメールが来てね…ずっと待ってたんだ!」

弓美

「はぁ、あんたそんなことまでしてたわけ!?」

創世

「あ、アニメじゃないんだから…」

 

創世が弓美のセリフを取ってしまうほど、皆動揺している

ガリィはそんなことは気にせず、再びアルカノイズを呼び出した

 

リク

「ここは僕が、皆逃げて!」

 

響は戦おうとするが、先のようにシンフォギアを纏えないのであればただの足手まといだ

口を噛み締めながらも5人で走り出した

リクはそれを確認すると戦闘に入った

エルフナインから聞いている

アルカノイズは通常のノイズと違い、特定対象を分解することに長けている

結果がシンフォギアの分解

更には、自分諸共分解する必要が無くなっているため、何度でも対象を分解するために攻撃が可能

然し、その為に位相障壁の作用が弱くなり、通常兵器が多少は効くようになっているという

であれば、ウルトラマンでも戦える

リクはそれを信じここに来たのだ

 

リク

「バルカンスパークル!!」

 

リクはキングソードから弾丸を打ち出してアルカノイズを叩いていく

そして、ガリィを見据えると直接切り刻みにかかった

 

ガリィ

「あぁ〜やばいかも〜」

リク

「まさかっ…?!」

 

罠かっ…そう思った時には遅かった

ガリィは自分そっくりの分身を空気中の水分で作りだしそれをリクに斬らせたのだ

その水分は突如意志を持ったように動き回り、リクの体を覆い、頭を残して氷となってしまう

氷漬けとなり、身動きの取れなくなったリクの前に本物のガリィが現れ、リクを嘲笑う

 

ガリィ

「フハハッ、いやいやこんなもんに今までの人たちは苦戦したんでぇすかぁ〜…?」

未来

「リクくん!」

 

遠くから未来達が足を止めてこちらを見ている

 

リク

「いいから早く逃げてっ…!!」

 

どんどん体力が奪われる中、ガリィはリクの顎を摘んでこちらを向かせた

 

ガリィ

「さぁて、どんな思い出を持ってるのかしらァ…」

 

そして、ガリィは…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リクに唇を重ねた

 

リク

「ムグッ!?//」

 

リクは必死に藻掻くが、ガリィの力は想像より強く全く離れられない

 

「リクくん!」

 

響達の叫びを耳にしながら、リクは流れ出る思い出の奔流に呑まれていく

 

沖縄での戦い

 

 

最終決戦

 

 

 

伏井出ケイとの決着

 

 

 

 

ロイヤルメガマスターの初戦

 

 

 

 

 

 

フュージョンライズを行った初めての戦い

 

 

 

 

 

 

 

 

ペガと初めて会った日

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドンシャインのショーでの一生の思い出

 

 

 

 

 

 

 

 

僕…これで終わりなのかな…

リクの髪の毛から色が抜けていく───────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───────力だ…力が欲しい…───────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───────越えてやる───────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───俺を見下したアイツらを…!!─────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガリィ

「ゥグッ!?」

 

突如、ガリィは苦しみ出し、思い出を吐き出してリクに戻すと即座にその場から離れた

 

 

ガリィ

「ウェッ!オエェッ…なんだ今の…ドス黒い記憶っ……それに…何年分の思い出…マスターを優に超える…っ!?」

 

見た目が若いからとタカをくくったガリィの計算ミスだ

確かに朝倉リクは22年しか生きていない

それであれば思い出は吸い尽くされたろう

 

だが、彼の出自はベリアルの遺伝子の培養によるもの

 

そう、ベリアルと同じ遺伝子を持つリクは、自覚しないだけでベリアルの記憶遺伝子すら引き継いでいる

そのドス黒い何万年分の思い出がガリィの中に一気に流れ込んだのだ

 

リク

「今のは…父さんの記憶…?」

ガリィ

「やめたやめた、狙うのはぁ…あっちだ!」

 

ガリィはアルカノイズを再び響たちに差し向ける

響たちは逃げ出そうとするが、アルカノイズの一撃が響の足元をえぐった

 

「うわぁっ!」

 

そのはずみで響はペンダントを放してしまう

しかし、直後現着した車から飛び出した一人の女性が、響のペンダントを掴む──

 

マリア

Granzizel bilfen gungnir zizzl…

 

マリアはなんと、響のガングニールを再びまとった

その色はかつてと同じ、黒色のガングニール

アガートラームは現在破損状態、了子に修復を依頼したものの、了子は不可解な点があると解析中のため、今は手元にない

その為、マリアが戦うにはガングニールを纏う他ないが、リンカーが無ければ本来戦うことは出来ぬはず

その無理を、気力で押し通しているのだ

手始めに、HORIZON SPAERでアルカノイズを一掃しつつ、リクの氷を砕く離れ技を見せて見せる

 

リク

「助かりました!」

 

リクは口を拭いながらマリアの横に立つ

 

マリア

「この力があれば戦える、だけど長くはもたない。協力して、朝倉リク!」

リク

「はい!」

 

槍と剣を携えて、二人は立ち向かう

その様子はS.O.N.Gでも確認されていた

 

弦十郎

「マリア君、発光する攻撃部位こそが解剖器官!気を付けて立ち回れ!」

 

その言葉を合図に、アルカノイズをリクと協力して退ける

多少の合同訓練はあったとは言え、昔から一緒に戦っていたようなレベルで連携が取れている

響はそれを見て嫉妬に近い感情を抱く

 

「私のガングニールで…私と一緒に戦ってきたリク君と連携が取れてる…」

 

マリアは大きく飛び上がるとガリィに向かって槍を突き立てる

手応えあり…

かと思いきや、ガリィは手のひらで氷の壁をつくり一撃を防いでいたのだ

 

マリア

「まだっ…!」

 

槍を握りしめると槍先が展開、分離し、ガリィの腕を左右にズラす

マリアはその隙にもう一度、胸に槍を突き立てた

項垂れるガリィ、確かな手応え

だが、そこにもバリアがあった

 

ガリィ

「頭でも冷やしなぁァ?!」

 

甲高い嫌な声を上げながら、ガリィは滝のような勢いの水を吹き出し、マリアの体を吹き飛ばす

 

ガリィ

「決めた、ガリィの相手はアンタよ…♪いっただっきま〜しゅ♪」

 

どういう事だと、リクは思考をめぐらせるが、その瞬間だった

ガリィは地面を凍らせながら目に止まらぬ速さでマリアに近づいて、腕に氷の剣を作り出した

 

マリア

「殺られるっ…!」

 

だが、動くことは出来ない

無惨にその腕がマリアに向けて突き進む────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???

「はァァァっ!」

 

突如、足音がこちらに来たかと思うとガリィの氷の剣は上に弾かれた

何者かが、その足で腕を蹴りあげたのだ

更にその人物はガリィに向かってアッパーカットを繰り出し、その体を天高く舞いあげる

 

ガリィ

「フグっ?!」

 

凄まじい顔で舞い上がった体が着地し、乱入者の姿を見る

 

???

「いってぇぇぇ!?こいつ人間じゃねぇな?!?」

 

全員、その出で立ちに困惑を浮かべる

グレーがメインのツナギのような服装で、その素材はおそらくレザー

その背中には大きく【ASUKA】とある

ぱっと見れば自衛隊のようでもあるが、少なくともどこかで採用されたという話は聞いていない

言ってしまえば…

 

弓美

「アニメのコスプレ…?」

???

「は?なんだよせっかく助けてやったのに…」

 

男は不貞腐れたようにため息を着く

 

ガリィ

「なんなのあんた…クッソ面白くない…!」

 

ガリィは再びノイズを呼び出すと、テレポートジェムを使いその姿を消す

男はノイズに殴りかかろうとしたが慌ててリクは叫ぶ

 

リク

「素手で触れちゃダメです!」

???

「あ、そっか、ならみんな目を閉じろ!光よぉぉぉ!!」

 

その瞬間、男は何かを構え発光させた

ノイズたちはその光を浴びると、蒸発するように消えていく

 

マリア

「凄い…くっ!」

 

マリアのガングニールが突如はじけ飛び、膝をつく

その目と口からは血を流していた

 

???

「見たか、俺の超ファインプレー!」

 

男はノイズの炭に指をさし啖呵を切ると、こちらを向いた

リクはマリアに肩を貸しながら問う

 

リク

「貴方は…?」

 

???

「初めまして、ウルトラマンジード。

俺の名はアスカ・シン、分かりやすく言うならまたの名を、ウルトラマンダイナだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 







目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第4話 微かな希望、砕かれて【後編】

作者

大変遅くなってしまって申し訳ありません
色々と詰め込み過ぎた為、遅くなってしまいました
あとリアルが忙しく、上手く執筆するのが難しくなってきています
最後まで書くのは約束しますので申し訳無いですがまたお待ちください…


リク

「ウルトラマンダイナ!?もしかして、貴方がゼロが言ってた…!」

 

リクの表情がパァーっと明るくなるが、アスカは申し訳なさそうに手を振る

 

アスカ

「わりぃ、それは俺じゃないんだが…詳しくは落ち着いてから話す。それより彼女、大丈夫なのか?」

マリア

「心配ありがとう、でも平気よ…」

 

マリアは握っていたガングニールを見つめる

元々紅く輝くペンダントだが、血涙のせいでいやに呪われたものに見えてしまう

 

マリア

「(もしも、私がガングニールを手放していなければ…いや、それは私の未練、机上の空論だ…)」

 

マリアはふらつきながらも、響達の元に行く

 

マリア

「みんな、怪我は無い?」

創世

「はい、けど、マリアさんが…」

マリア

「私はそこまでヤワじゃないわ、あと…君のガングニール..」

「私のガングニールです!」

 

マリアが手渡そうとしたペンダントを響はその手から奪いとる

 

「この力は誰かを助けるための力!私が貰った!私のガングニールなんです!!」

 

その言葉にマリアはかつて、なぜキャロルと対峙したときに戦わなかったのか問いただした時、響が絞り出すように口にした言葉を思い出した

 

『この力で誰かを傷つけることが…凄く嫌なんです…』

 

マリアは腹こそたてたが、力を渡した自分がどうこう言える問題ではない

しかし、今の響は自分の力から逃げ出そうともしている

 

マリア

「──そうだ、ガングニールはお前の力だ、だから…目を背けるな!」

 

マリアは気付くと、響に詰め寄っていた

 

「目を…背けるな…」

 

響は俯くことしか出来なかった

 

 

 

 

 

 

【S.O.N.G本部司令室】

 

リク

「救援に来るはずの2人とはぐれた!?」

アスカ

「あぁ…この世界に来てるのは確かなんだ」

クリス

「おいお前、ふざけてんのか?!こっちがどれだけまずい状況か!」

 

クリスが声を荒げるが、翼がそれを制す

 

「様子からすると、襲撃…ですね」

 

アスカは頷いて説明を始めた

掻い摘んで話すとこうだ

 

・アスカは2人のウルトラマンと共にこの宇宙に現れた

・地球に降り立つ直前、ベゼルブの大軍に襲われ交戦になり、二人と離れ離れになりながらも撃退、自身は南極に降り立つ

・おそらく2人は日本に降り立ったとみて日本に飛来、程なくしてあの場面に遭遇したと言う

 

切歌

「デぇぇ…大丈夫なのデスか?」

アスカ

「なんだかんだ言いつつもウルトラマンだ、そう簡単にはくたばらねぇぜ」

 

刹那、アスカは耳に手を当てる

しばらくすると少し慌てた様子で話し始めた

 

アスカ

「悪い、戻らないと行けなくなった。仲間がピンチなんだ」

 

そういうことであれば仕方ないと、弦十郎は頷く

アスカはリーフラッシャーを取り出すがリクが呼び止める

 

リク

「待って!その2人って誰なんですか!?」

 

それを聞くとアスカは口元を緩める

 

アスカ

「大丈夫、お前も知ってる奴だ」

 

そう伝えると、アスカは再びリーフラッシャーを掲げた

瞬間、彼は光に包まれて基地を飛び出した

その光は、宇宙の彼方へと消えていく

 

リク

「知ってる奴って言われても…」

 

確かにリクと一緒に戦った戦士はそこまで多くない

だが、知ってるということであればカプセルの戦士達も候補に入る

リクは結局不安を抱えたままだった

 

──────────────

 

後日、S.O.N.G.にて対策会議が始まった

 

弦十郎

「ギガファイナライザーを奪われた今、リクくんが使えるフュージョンライズ形態は5つのみ、更にロイヤルエンドすら防いでしまう防御力を持つ相手だ。無闇ににジードマルチレイヤーも使えないだろう」

「更に装者の方も人員が減ってしまっている。今、万全の剣を持つのは立花のみ…しかし…」

 

切歌、調は戦うことは出来るものの、リンカーが完成していないため危険すぎる

セレナ、マリアはアガートラームの修理が完了していない

クリス、翼のギアは現在アルカノイズの対策機構を備えたうえでの修理中

響はギアを纏うことができなくなった

つまりまともに戦うことができるのはリクだけだ

そこで、リクの戦力をどうにか上げること、ギアの改修と強化について話し合うことになった

まずはリクの強化だ

 

弦十郎

「なんでもいい、我こそはという案はあるか?」

 

しかし、皆の手は上がらない

 

「やはり、朝倉自身の身体を強化するしかないのでしょうか」

調

「でももう、リクお兄ちゃんは十分頑張ってる」

マリア

「そうね、闇雲に訓練してもそこの二人じゃあるまいし、強くなれるとは限らないわ」

 

マリアは弦十郎と響を一瞥して応えた

弦十郎は気づかず、響は困惑の顔を見せる

 

切歌

「ならジードライザーを改造しちゃうデス!」

「そっか!名案かも!」

セレナ

「そうですね!早速!」

 

セレナは立ち上がろうとするが、すぐ座る

 

セレナ

「誰が改造をおこなえるんですか…」

響・切歌

「「あっ…」」

 

可能性があるとすれば櫻井了子だが、今はギアの修理とリンカー作成にかかりきりだ

これ以上負荷もかけられないしすぐには取り掛かれない

もはや何も無いのか?

 

クリス

「なぁ…」

 

するとクリスが口を開いた

 

弦十郎

「どうした?」

クリス

「確かめたいことがある、あん時一緒に戦ったウルトラマンの画像全部出せるか?」

マリア

「ガイさん、ウルトラマンオーブの?」

 

弦十郎は藤尭にやってくれとアイコンタクトを送る

少しキーボードが操作され、様々な姿のオーブの画像が空中に表示された

 

クリス

「こいつはいい…これも…これもこんなに要らねぇ…」

 

クリスは表示された画像のいくつかをシュッシュっと横に避けていく

 

リク

「クリス…何を?」

クリス

「よし、出来た!」

 

そこには計8枚、シンフォニーザババを覗いたオーブ8形態の全身がよく見える画像が残った

 

クリス

「おまえらコレ見て思うことねーか?」

 

皆はしばらく画像を睨む

 

「かっこいい!」

クリス

「バカっ違ぇだろ」

セレナ

「うーん…ガイさんは沢山形態を持ってるって事ですか?」

 

クリスは指を鳴らした

 

クリス

「そうだ、こいつはリクよりも3つ多く形態を持ってる。あたしはこいつがリクのカプセルに相当するもんをかなり持ってんのかと思ってたんだが…どうやらそうじゃなさそうなんだよな」

「と言うと?」

 

クリスは再び画像を避ける

そこにはライトニングアタッカー、オーブトリニティ、ハリケーンスラッシュ、エメリウムスラッガーの4枚が残った

 

クリス

「同じ質問だ、この4枚…なにか思わないか?」

 

マリア

「この形態、まるで鎧みたいな体よね…」

調

「うん、硬そう」

切歌

「これとこれだけ武器持ってるデース!」

 

クリスはそうじゃねぇんだよなァといわんばかりの顔を見せるが翼の一言に顔を明るくする

 

「この青い形態が目まで変わってまるでゼロのようだな」

クリス

「そうだそれだよ先輩!」

「お、おうっ?」

 

突然の興奮に翼は困惑するがクリスは続ける

 

クリス

「でも思い出してくれ、あたしらがアイツにゼロの力を使ってるって言ったのはこいつだったか?」

調

「ちがう…この槍持ってるのだった」

クリス

「そうだ、その上でこいつら見てみろよ」

 

エメリウムスラッガー、ハリケーンスラッシュの顔をアップにする

 

「こうして見ると頭に剣があるのそっくりだね!」

「ゼロスラッガーだ、ということはまさか!」

 

翼はオーブトリニティとライトニングアタッカーの顔をアップにした

 

セレナ

「あ、頭のクリスタルがそっくり!」

マリア

「耳のヘッドホンみたいなのも…違いはもみあげみたいなのがないくらいね」

クリス

「つまりだ、あいつは沢山力を持ってるんじゃなくて、いくつか組み合わせがあんじゃねーのか?」

切歌

「なるほどデス!…それで?」

 

その場にいた面々は滑ってしまった

だがリクは理解した

 

リク

「そっか!僕のカプセルも…!」

クリス

「そう!お前のまだ見ない組み合わせがあるかもしんねーってことだ!」

 

続いてシンフォギア

これについては既に策があるようだが、了子の表情は暗かった

 

了子

「エルフナインちゃんの立案は、間違ってないけどかなり危険なプロジェクトよ」

 

そして映された画面には[IGNITE]

 

リク

「えっと、イグナイト…?」

エルフナイン

「はい、ご存じの通りシンフォギアにはいくつかの決戦機能が搭載されています」

「絶唱と…」

クリス

「エクスドライブモード…それに」

「私とリク君の、シンフォニーフュージョン…」

マリア

「とは言え、絶唱は相打ち覚悟の最後の切り札。局面も限られるわ」

切歌

「その時はエクスドライブがあるデス!」

 

切歌はガッツポーズをとるが、調はその手をなだめる

 

調

「でも発動にはたくさんなんて程じゃない量のフォニックゲインが必要」

リク

「シンフォニーフュージョンもギガファイナライザーがないと使えないうえに…」

セレナ

「私たちの行った、ギガファイナライザーの無いシンフォニーフュージョンにもフォニックゲインが必要…」

 

しかし、エルフナインは淡々とつづけた

 

エルフナイン

「シンフォギアには、もう一つ決戦機能があることをお忘れですか」

 

全員が驚いた眼を向ける

シンフォニーフュージョンすら上げたのにそれ以外に何かあるのか

 

了子

「ただの一人、響ちゃんだけが発現させた形態……()()

「櫻井女史!立花の暴走を決戦機能とするのですか!?」

 

クリスはエルフナインの胸倉を掴む

 

クリス

「とんちきな事考えてないだろうな!?」

リク

「クリス、落ち着いて」

 

リクはクリスをエルフナインから引きはがした

エルフナインは咳払いをして話始める

 

エルフナイン

「暴走を制御することで、純粋な戦闘力へと変換錬成し、キャロルへの対抗手段とする。それが、PROJECT IGNITEの目指すところです」

 

皆が黙りこくる中、弦十郎が口を開く

 

弦十郎

「これに対して響君、リク君はどう思う」

 

響は少し考え応えた

 

「私はみんなを信じます。皆ならあの衝動も乗り越えられると思うから」

 

しかし、リクは…

 

リク

「僕は何とも言えません…実のところ暴走を自分で止められたことがなくて…」

 

そう、リクは暴走した時、自分の力で抑え込むことができた例はない

ベリアルの罠にハマった時は、仲間の声掛けにより戻ることができた

沖縄で怒りに身を任せてしまった時は、時間制限により自然に解けた

その後も響と共に暴走が自然と解けた、もしくはシャイニングゼロレクターにより強制的に治められたか。

その為、リクは明確な答えを述べることは出来なかった…

 

 

 

──────────────

 

 

 

 

 

 




リク
「ウルトラカプセルナビ!今回のカプセルは、コレだ!」

ダイナ
「デァァァッ!」

レム
「ウルトラマンダイナ、身長55メートル、体重4万5千トン。宇宙を旅している伝説の英雄と謳われるウルトラマンです」
リク
「次回も見てくれよな!」

次回予告
リク
「様々なカプセルを組み合わせる僕に最悪の報せ。
最後のオートスコアラーによって遂にガングニールまでもが破壊されてしまった。
更に、その修復を妨害するためか錬金術師達による発電施設への攻撃が始まった
無断出撃してしまう切歌、調も危険にさらされてしまう絶望の中で…希望の二重奏、そして炎と海が現れる
き、君達は…!
次回、戦姫絶唱シンフォギアGX響くぜ絶唱!」

【Edge Works、Ready to Beat】

リク
「ジーッとしてても!」
???
「「染め上げろ!」」
リク
「混じっちゃった…」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第5話 Edge Works、Ready to Beat【前編】

??
「いよいよ俺達が登場だなカ〇兄!」
???
「おい〇サミ、俺達まだ登場はしてないんだからあらすじにしゃしゃり出るなよ!」
??
「別にいいじゃん、細かいことは言いっこなしだぜ」
???
「うぅ、こうなったら仕方ないか…迷惑だけはかけるなよ!」
??
「オッケー!それじゃファーストコンタクトだ!」


会議を行った後日、リクは特殊な機器を使用してウルトラカプセルの組み合わせを模索していた

 

リク

「これだけ試してもだめかぁ…」

 

さまざなウルトラカプセルの組み合わせを特性などを考慮し、機器にセットしてみるがなかなか反応することはなかった

それもそのはず、以前ソラが言っていたことが真実であるから

 

ソリッドバーニング

アクロスマッシャー

マグニフィセント

 

これらはリクという命が生まれる過程で作られた別の命

ベリアルと伏井出ケイによる計画のために予め作られ、組み込まれたフュージョンライズ

だからチェンジする事が出来た

本来ならその姿に該当しない形態にチェンジする事など出来なくて当たり前だ

それでもリクが新たなフュージョンをあきらめなかったのは、ロイヤルメガマスターの一件があるからだ

あの形態だけは、ベリアルの思惑から外れた奇跡の姿

だから少しでも可能性はあるかもしれない

でも結果は惨敗

今までキングソードにしか使っていなかったカプセルも使ってみたが、思うようにはいかない

どうすればよいのだろうか、リクが溜息を吐いた時だ

 

クリス

「入るぞ…」

 

扉が開いてクリスが部屋に入ってきた

 

リク

「クリス、どうしたの?」

 

リクの問いかけにクリスは何とも言えぬ表情を浮かべる

羞恥のような、不満ともとれるような

少ししてクリスは意を決して問いかけた

 

クリス

「アイツらに…き、キスされたってホントか…」

 

リクは無意識に顔を赤くしてしまっていた

それを見たクリスは明らかに表情を曇らせる

 

クリス

「ふぅーん…そうか…」

リク

「言い訳ってわけじゃないけど無理矢理だから…」

クリス

「ったりめーだ!素直に受け入れてたんならあたしが今ここで閻魔様のところに送ってやらぁ!」

 

荒げたクリスの声は、どことなく震えていた

 

リク

「ご、ごめん」

クリス

「…っ!謝るな…可笑しいのはあたしなんだ…お前がどういう状況だったのかも、なんでそうなったのかも分かってる、本当はちゃんとこうやって話せるのを喜ぶべきなのに…気持ちがぐちゃぐちゃしてるんだよ…」

 

これを伝えながらクリスは大粒の涙を零し始めた

リクは初めて見るようなクリスの表情にどうしたらいいかと頭を抱える

 

了子

「それは嫉妬ね」

 

部屋の扉が開くと首を鳴らしながら了子が部屋へと入ってきた

 

リク

「母さん…開発は大丈夫なの?」

了子

「ええ、エルフナインちゃんのおかげでだいぶ早く進んでるわ、それよりも…クリス、あなたが感じてるのは嫉妬よ」

クリス

「嫉妬…?」

 

了子が出した答えにクリスは顔を上げて涙を拭う

 

了子

「オートスコアラーがリクにキスをした。あなたの中にはその事象が色濃く残ってしまってるのよ、理由や状況関係なくね」

クリス

「なんでだよ、あたしバカだな…」

了子

「そんなことないよわよ!それはあなたが人間的…いや乙女的に成長出来てるって証じゃない!」

クリス

「へ…?」

 

キョトンとするクリスに了子は慈しみの心を持つ母のように囁く

 

了子

「あたしはかつて、あなたをイチイバルの使い手にして、ネフュシュタンの実験台としか見てなかったから私の手駒になるようにしか育てなかった。

けど、リクと出会ってあなたはようやく1人の女の子として成長し始めたのよ。女の子なら、他の女と彼氏がキスしてるのを見て嫉妬して当然じゃない。あなたは間違っちゃいないのよ」

クリス

「これが…普通…なのか?」

了子

「ええ。そしてこの気持ちを解消するには…」

 

了子の視線がリクの方へ動く

 

リク

「えっ」

了子

「あんな機械人形にされたのなんかより、濃っっっ厚(ディープ)な熱いキスしてあげなさい♡」

クリス

「キっっっ!!!!?!///////」

リク

「な。何言ってんだよ!?///」

 

2人とも困惑し顔を真っ赤にするが、了子は全くもって冗談を言っているようではなかった

 

了子

「あら?お姫様の呪いを解く鍵は王子様のキス、彼女の不満を解消するのも彼氏のキスって相場が決まっているじゃない♡」

リク

「だ、だとしても…//」

 

リクはクリスの方を見やる

クリスもこちらを見ていたので視線がぶつかり、照れ隠しにそっぽを向いてしまった

了子はその様子にやきもきして頭を掻き毟る

 

了子

「あーんもうじれったい!」

 

了子は椅子を横並びにして、リクとクリスをそこに無理やり座らせた

 

了子

「ほら!私見ないでいるから!」

クリス

「押し問答が過ぎるってんだよ…//」

 

背中側にいる了子は一応宣言通り壁の方を向いて腕を組んでいる

 

クリス

「なんか…悪いな」

リク

「い、いや別にそんな事っ…じゃあ…」

 

じゃあ?

クリスがその言葉の意味に気づく前にゆっくりと、眼前に目を閉じたリクの顔が近づいてくる

クリスは悲鳴をあげそうになるが悪い気こそするはずが無い

大好きな相手なのだから

クリスはしっかり受け止めようと深呼吸して目を閉じた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ビーッ!ビーッ!

 

クリス

「うわぁぁ?!」

リク

「っ、これは?」

了子

「緊急警報!?」

弦十郎

『3人とも、すぐ司令室に来てくれ!』

 

ただならぬ雰囲気の弦十郎の声に、3人は急いで司令室へと向かう

 

リク

「弦十郎さん、どうしたんですか!」

了子

「まさかの事態じゃ無いでしょうね?!」

 

苦虫を噛み潰したような表情の弦十郎は伝える

 

弦十郎

「そのまさかだ、響君のガングニールが最後のオートスコアラーに破壊され、重症を負ったのだ」

クリス

「まさかっ、あのバカが負けたってのかよ!?」

 

弦十郎は応えない

その沈黙こそ、真実であるあらわれであった

遂に万全のシンフォギアが全滅

残る戦力はジードのみとなってしまった

 

 

 

───1週間後────

 

響は未だ目を覚まさない

定期的に未来が見舞いに来ているが、心電図の音だけが病室に響く

司令室ではリク、了子、弦十郎、小川、翼、クリス、マリアが集められ現状の再確認が行われていた

 

弦十郎

「強化型シンフォギアの開発はどうだ?」

了子

「おそらく今日中には出来ると思うわ、エルフナインちゃんのおかげであたしの手の回らない所までやってくれるし…すごいわよ彼女」

 

了子はしみじみといった様子だが、そこで疑問を小川が提示する

 

小川

「それにしても、シンフォギアの改修となれば機密の中枢に触れるということなのに…」

 

そう、いくら責任者の了子がいるとはいえ簡単に部外者を機密に触れさせ過ぎている

弦十郎はそれに対して答えを述べた

 

弦十郎

「状況が状況だからな、それに八紘兄貴の口添えもあったしな」

クリス

「八紘兄貴って…誰だ?」

「限りなく非合法に近い実行力を以て、安全保障を影から支える政府要人の1人、超法規措置に対応のねじ込みなど彼にとっては茶飯事であり――」

クリス

「とーどのつまりなんなんだよ?」

小川

「内閣情報官、風鳴八紘。司令の兄上であり翼さんのお父上です」

 

回りくどい言い方をする翼に代わりに、小川がズバッと斬りこんだ

 

クリス

「なんだよ、だったら初めからそー言えよな、蒟蒻問答が過ぎるぞ」

マリア

「私のS.O.N.G.編入を後押ししてくれたのもたしかその人物なのだけど…なるほど、やはり親族だったのね」

 

 

その瞬間、翼がかなり苦い顔をしたのをリクは見逃さなかった

自分の事柄もあり、こういう事にはかなり敏感になっているのだ

然し、自分もあまり触れて欲しい過去では無い事を思い詮索はしないことにした

だが、翼もリクのその表情に気づいた様子だった

 

弦十郎

「リクくん、君の方はどうだ?」

リク

「…えっ、あっはい…ほとんどのウルトラカプセルの組み合わせを試しましたが基本的には反応しませんでした」

了子

「基本的には?」

 

引っかかる言い方をするリクに了子が問いかけた

 

リク

「…ただ一つ、ベリアルとウルトラの父の組み合わせだけ…他と違う数値を出したんです」

クリス

「本当か?!やったな!」

 

喜ぶクリスに対して、リクは首を振った

 

リク

「ジードライザーで試してみた時、とてつもなく嫌なものが僕を蝕もうとしたんだ。まるで、自分の中にある悪いものが出てくるような…あの時みたいに…!」

小川

「あの時?」

リク

「響と暴走してしまった時の……あの衝動をもっと強くしたような…」

 

リクは言いながら自分の腕を抱きしめた

ウルトラマンとして、恐ろしい戦いを何度も繰り広げたはずのリクがここまで恐怖を感じてしまっている

これはかなりの諸刃の剣となる力なのだろう

 

クリス

「リク…」

 

クリスがリクの肩に手を置いてなだめようとした時だ

モニターにアルカノイズの出現を知らせるブザーが鳴り響く

映し出された映像の中でアルカノイズは電力供給施設を攻撃している

 

リク

「発電施設を狙っているのか?!」

弦十郎

「今本部への電力供給が断たれると、ギアの改修への影響は免れないッ!」

小川

「内蔵電源もそう長くは持ちませんからね」

未来

「なにがおこってるんですか!?」

 

突然の警報に驚いた未来、切歌、調、セレナが指令室に現れた

了子がかいつまんで現状を説明すると未来の顔が青ざめた

 

未来

「それじゃ、響のいるメディカルルームはどうなるんですか!?」

 

そんなこと容易に想像がついてしまう

だが、その最悪の結果を誰も口にすることなどできない

だがここで動かなければ、ノイズをどうにかしようと今も戦っている軍隊の命が消えていってしまう

やがて意を決したようにリクは顔をあげた

 

リク

「僕が行きます…ジーッとしてても、ドーにもなりませんから」

弦十郎

「分かった。たのんだぞ!」

 

リクは頷いて指令室から飛び出した

だがここで翼がある異変に気付く

 

「月読と暁にセレナ、櫻井女史は…?」

クリス

「おい、あれ!」

 

クリスはモニターを指さす

そこには、イガリマ、シュルシャガナの姿があった

 

弦十郎

「お前達!何をやっているかわかっているのか!」

 

弦十郎の怒号が飛ぶが切歌と調は毅然と応える

 

切歌

「わかっているデス!」

調

「今のうちに、強化型シンフォギアの完成を!」

 

弦十郎は歯をかみ締めた、然し。

 

「ではセレナと櫻井女史は……」

 

 

──────────────

 

リクは潜水艦から飛び出し、プリミティブへフュージョンライズするとアルカノイズと交戦する切歌、調の元へ急いだ

 

リク

「レッキングリッパー!」

 

腕からの光刃で数多のノイズを一刀両断にしながら、ジードは着地する

 

調

「リク兄さん!」

リク

「2人とも何やってるんだ!ここは僕がやるから早く退いて!」

切歌

「嫌デス!!」

 

切歌の叫びにジードは動きを止める

 

リク

「切歌…」

切歌

「リクお兄ちゃんがいつも言ってるじゃないデスか!ジーッとしてても、ドーにもならないって!私たちはその言葉を胸に、今を変えるために戦ってるのデス!」

調

「だから私たちを信じて、お兄ちゃん!」

 

ジードは俯く

できればそうしたいが、この二人の戦いにはリミットがある

どうするのがいいのかジードが頭を抱えた時だ

 

了子

「戦わせてあげても大丈夫よ、彼女たちのギアは安定してる」

リク

「えっ、どうして…」

 

困惑するリクの後ろからアルカノイズがとびかかる

 

リク

「しまっ…」

 

だが、一閃の剣が伸びてノイズを貫く

その剣の持ち主は…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

セレナ

「私も戦います!兄さん!!」

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第5話 Edge Works、Ready to Beat【後編】

マリア

「セレナ⁉」

 

戦場に現れたセレナにマリアだけでなく皆が目を丸くしていた

その体には純白のシンフォギアを纏っている

 

調

「セレナ、やっぱり適合できた。」

切歌

「復活のアガートラームデース!」

リク

「なんでセレナが…」

 

リクの疑問に了子が応える

 

了子

「アガートラームはもともと彼女と適合していたギアよ、使えない道理はないわ。それとリンカーのことだけど…一か八かとは言え、勝手なことをしてくれるわね」

リク

「どういうこと?」

セレナ

「私はちゃんと許可を受けましたけど、2人はメディカルルームからモデル-Kを持ち出したんです!」

 

司令室ではその発言に皆が耳を疑う

とくに翼が

 

「まさか、奏のリンカーを!?」

 

リクは少しだけ迷ったが、こうなってしまった以上止めることもできない

ふっと微笑んだあと、敵に向かい合う

 

リク

「あとでお説教だからね」

切歌

「それは、ご勘弁デス…!」

 

そして、三人の装者と一人の巨人が守るための戦いに入った

 

その時だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガリィ

「ふぅ~♡」

 

突如、ジードに向けて冷気が吹きかけられた

間一髪、それに気づいたジードは空へ飛んで回避するが、降り立ちその姿を見て驚愕する

 

リク

「あれは、怪獣!?」

ガリィ

「そう、ラゴラスッていうんだって~」

 

先ほどの一撃でわかる

氷属性の怪獣

ガリィにピッタリすぎる怪獣だ

あまりそういうタイプと戦ったことはない

だがソリッドバーニングが適任なのは違いない

 

リク

「燃やすぜ!勇気!!」

 

リクはカプセルを変えながら巨大化する

これで役割は決まった

ジードが怪獣を、三人がノイズを相手する

 

リク

「ドゥア!」

 

【~♪此の今を生きて】

 

セレナの歌と共に4人は戦い始める

ガリィはジードを凍らせて見せるが、灼熱に燃えるジードの蒸気が動きを奪うことを許さない

何度も攻撃を加えて見せる

 

セレナも久しぶりのギアだというのに、コンビとして完成されきっているザババの邪魔をせず、しっかりと3人目としてサポートできている

このままいけば平気か?

そう思った時だ

 

切歌・調・セレナ

「「「きゃあぁぁぁ!!」」」

 

悲鳴が聞こえ、リクがその方向を見ると響を倒した最強のオートスコアラー、ミカの姿がそこにあった

 

リク

「みんな!」

 

そちらにリクが気を取られた隙に、今度はリクが羽交い絞めにされてしまう

ウルトラマンのように目は黄色く光っているが、まるで岩石のような体だ

意識を集中させると、今度はレイアの姿がその中に見えた

 

レイア

「ふっ、ミーモス、地味な登場だったが、ここから派手に行く」

 

レイアはミーモスと呼ばれた怪獣の力を利用し、ジードを投げ飛ばす

 

リク

「くっ、見せるぜ!衝撃!!」

 

ジードはアクロスマッシャーへ変わると空中で姿勢制御し、2体の怪獣へ突き進むがその体にさらなる巨体がぶつかり地上へ落下してしまった

 

リク

「この流れは…」

ファラ

「まぁ察しがつきますわよね」

 

今度はファラが空を切り裂く怪獣メルバの姿で降り立つ

 

最悪の状況

まさか全員がそろってしまうとは

装者として長く戦えない3人に最強のミカをぶつけ、時間制限があるといえ、万全に戦えるリクは3人で相手をする

狙いはこちらの消耗

付け入る隙なんて無い

 

それでもやるしかない

守るべきものがあるのだから──

 

 

──艦内──

 

クリス

「このまま見ていられるか!」

 

部屋を飛び出したクリス

そんなクリスを追いかけ、翼は腕を掴む

 

「まて!今の私たちに何ができる!」

クリス

「黙って咥えてろってのか!?」

 

だが、その腕の痛みに気付いてクリスは翼の顔を見上げる

いくら言葉で取り繕おうと、その口角には悔しさが滲み出ていた

そんな二人の元に、エルフナインと了子が現れる

 

了子

「気を付けて、心の闇というのは本人が想像してる以上に深いものよ」

 

その手には二人のギアペンダントが握られていた

それを受け取り、クリスと翼は外に行こうとするがその前に二人の男が立っていた

 

??

「あの、ここってS.O.N.Gってとこであってます?」

了子

「職員じゃないわね、何者かしら。立ち入り禁止になっていたはずよ」

 

それを聞いた、クリスと翼は臨戦態勢に入る

 

??

「あぁ!待って待って!これ見てこれ!」

 

赤いジャケットの男は両手で持てるようになっている、握力計のようなものを取り出した

しかし、それが何かわかるわけもなく4人は困惑してしまう

すると今度は青いパーカーを着た男が動く

 

??

「だったら、これなら分かるかな!」

 

男は手のひらサイズの分厚い本のようなものを開けるとその中を見せた

そこには4枚のクリスタルが収まっており、そのクリスタルにはそれぞれ、4人のウルトラマンの姿があった

 

クリス

「ウルトラマンだぁ!?」

「この2枚、ギンガにビクトリー、、、まさか!」

??

「先にここに来るように言われたんだ、状況を教えてもらえるかな」

 

 

──発電所──

 

【~♪戦い 超劣勢】

 

 

リク

「ぐはぁ!」

 

ロイヤルメガマスターとなったジードが、地面にたたきつけられる

何とか消耗を抑えつつ、3人を相手しているが疲弊が激しくなってきていた

何か決め手が欲しい

こうなったら…!

 

リク

「一か八かだ!融合!」

 

リクはウルトラの父のカプセルを起動させた

それをナックルに入れ、二本目を起動する

 

リク

「アイゴー!」

 

ベリアルのカプセルをナックルにいれ、ジードライザーで読み、トリガーを引いた

 

リク

「ぐっ、うわああああああああああぁぁぁぁぁ!!!」

 

刹那、ジードの体を闇のエネルギーが蝕む

まるでこの姿を拒否するかのように暴れだし、リクはフュージョンライズが解除され地面へと落ちた

 

ガリィ

「けっ、つまんないの…」

 

リクはジードライザーを確かめた

どうやら再フュージョンは出来るようだが、体が動かない

 

切歌

「リクおにいちゃん!きゃぁぁ!」

 

切歌の叫びに目を向けると、ミカの一撃を食らったようで、イガリマも砕けてしまった

 

セレナ

「暁さん!」

調

「切ちゃん!」

リク

「切歌っ…!」

 

いよいよまずい、このままだと共倒れだ

 

リク

「二人とも、逃げてっ…ぐあっ!?」

 

リクは立ち上がり逃げるように促すが、四肢にさすまたのようなものがはまり、勢いで地面に倒れると地面に食い込み磔にされてしまう

ミーモスのブーメランによるもののようだ

 

レイア

「お前はそこで見ていろ」

リク

「ぐっ、外れろよ…!」

 

必死にリクはもがくが、しっかりと地面に食い込み動きそうにない

 

調

「セレナ!リクお兄ちゃんを、ここは私がっ!」

 

調は鋸を構えると一人で突き進んでしまう

 

セレナ

「月読さん!っ、ううぅ!」

 

セレナは調を見送り、リクの救出へ向かう

 

ミカ

「最後のジャリンコだゾ♪」

 

調の鋸、ミカのカーボンロッドがぶつかり、火花を散らす

しかし、時限式。

調の顔が苦しみに歪んでいく

そして、一瞬のスキを突かれ…

 

調

「きゃぁぁ!」

ミカ

「しとめたゾ~♪」

 

ガラスの割れるような音が響いて、調の柔肌も晒された

 

切歌

「調ぇ!!」

セレナ

「月読さんまで!」

 

いよいよ残りはセレナのみ

 

キャロル

「ミカ、もう用はない、好きに始末しろ」

ミカ

「了解だゾー」

 

ミカはジェムを投げ、アルカノイズを繰り出した

数体は切歌を、数体は調を狙うように行進する

 

リク

「セレナ、行って!」

 

セレナは数が多く、距離的にも近かった切歌のほうへ先に向かう

 

切歌

「セレナ!アタシより調を!」

セレナ

「こっちの方が数が多いんです!」

 

切歌の叫びを無視し、セレナは縦横無尽に剣を奮う

しかし一向に数が減らない

それもそのはず

生身の人間を消すのに、数はいらない

調の方に向かっていた数体が切歌の方に集中していたのだ

このままでは、調は…

 

「セレナ!お願いデス!」

セレナ

「ううっ!」 

 

セレナは剣を地面に突き立て、SILKY RAYを放つが、ミカにそれを妨害されてしまった

 

ミカ

「直接来ないとつまらないゾ」

セレナ

「そんなっ、うわぁぁっ!」

 

絶望に打ちひしがれるセレナにラゴラスが冷気を吹きかけ、彼女を吹き飛ばしてしまう

セレナは、壁に打ち付けられ気を失ってしまった

これで調を守るために動けるものは誰もいない

 

ガリィ

「まどろっこしいったらありゃしない、もう終わらすよ。でもあんたの苦渋の泣きっ面、見せてみなぁ♪」

 

ラゴラスはリクのことも踏み潰すそうと歩き出す

切歌は必死に手を伸ばす

 

切歌

「誰か…助けて欲しいデス…あたしの友達を…大好きな調を…セレナを…お兄ちゃんを…」

 

気絶していた調は目を覚まし、ノイズがあと一歩先にいることに気付き恐怖に身を震わせた

 

リク

「調!!にげろぉ!」

 

無理だとわかってもこう叫ぶしかない

だがその願いは聞き届けられない

無情にも、調にはアルカノイズの触手が、リクにはラゴラスの足が迫っている

 

切歌

「誰か…おねがい…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

誰かぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドーンという衝撃の後に静寂に包まれた世界

切歌はすべてが終わったと確信した

しかし状況は違った

 

ガリィ

「おいなんなのいまの!」

切歌

「えっ…」

 

切歌が顔をあげるとリクの姿、そして調の姿があった

あたりには炭も舞っている

 

 

 

「誰かだなんて、つれねえこと言ってくれるなよ」

 

聞き覚えのある声

そして調の目に入った光は…

 

調

「剣────」

 

 

「あぁ、振り抜けば風が鳴る剣だ!」

 

天羽々斬、イチイバルの復活だ

彼女たちはリクを捕らえるさす又に己の武器を差し込み、てこの原理で引き抜く

リクは立ち上がりながら、疑問を問いかける

 

リク

「怪獣はクリスが吹き飛ばしたの?」

クリス

「ちげぇんだなこれが」

「喜べ朝倉、現れたぞ。その身に、炎と海を纏うものが!」

 

炎と海、まさか!?

 

リクが気付いた時、声が響き渡る

 

??

「もういっちょ!ストライクスフィア!」

??

「アクアジェットブラスト!」

 

怪獣たちを、火炎弾と一筋の水流が襲う

怯んで後ずさんだ所へ、すかさず二大巨人が降り立つ

リクがゼロとオーブの次に出逢い、ともに戦った戦士

抜群のコンビネーションで、相手を倒す兄弟ウルトラマン

 

ウルトラマンロッソ

「シュワァッ!」

ウルトラマンブル

「ハッ!」

 

さぁ、反撃開始だ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





リク
「ウルトラカプセルナビ!今回のカプセルは、コレだ!」

ロッソ
「シュワァァッ!」

レム
「ウルトラマンロッソ、身長52メートル、体重4万5千トン。
O‐50で誕生した戦士の力を、湊活海がウルトラマンタロウのクリスタルで解き放って変身した姿です。
光線が球体状で、野球のフォームで打ち出すのが特徴です」

リク
「次回も見てくれよな!」

次回予告
リク
「反撃が始まり安堵する僕たち
しかし、そこへ大ボスがあらわれた!
キャロルの猛攻、そして突如現れたオーブそっくりの黒い巨人の前に、為す術はないのか?
頼む、僕に力を貸してくれ、父さん。あなたの力も今の僕にとっては最後の…
次回、戦記絶唱シンフォギアGX響くぜ絶唱」

【抜剣、奮うぜ!剛腕!!】


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第6話 抜剣、奮うぜ!剛腕!!【前編】

【~♪ウルトラマンロッソ フレイム(UT_M-01)(1:23より)】

カツミ
「いよいよ登場!ウルトラマンロッソ、ウルトラマンブル!」
イサミ
「いやぁ長かった、登場するまでにどれだけかかってんだよ」
カツミ
「おいイサミ文句言うなって、もともと登場予定なかったのに、あらすじで出してもらってそこからストーリー考えてここまで至ってるんだから。ここにいるのが奇跡みたいなもんなんだぞ」
イサミ
「いや、まぁでもさもともと出す予定無かったならそれでもいいけどさ、出すってなってからがなげぇよ、神山〇羽真先生見習えよ」
カツミ
「こら!ウルトラシリーズならともかく〇面〇イダーから連れてくるな!」
イサミ
「あぁもう悪かったよ!ほら、読者が聞きたいことあるってさ」
カツミ
「え?俺たちがここに来た理由?それはもうアスカさんに連れられて…」
イサミ
「じゃなくて、アスカさんとの出会いを聞いてるんだよ!」
カツミ
「あ、あぁ~わかってるよ。俺達とアスカさんの出会い…それは…」






【ウシオのテーマ(クワトロMのテーマ)日常優しい(UT_M-26A)】

 

一人の青年が自室で本を読み漁りながら、イラストを描いている

まぁその青年って言うのがこの俺、湊活海(以下、湊カツミ)なんだけど。

 

俺、湊カツミはつい一か月ほど前まで、ウルトラマンとして戦っていた一人の戦士だった

最後の戦いの最中、湊カツミなのか、ウルトラマンロッソなのかという問いかけに、『正解はない』という答えを得た俺は、少しずつ夢と一緒に歩み、正解を作っていく決断をした

新しい夢、デザイナーになるという夢とともに

弟の勇海(以下イサミ)もカリフォルニアの大学で研究を続けている

俺はミラノまできて、父さんの同期の人にデザインについて教わってる最中というわけだ

といっても、箱詰めでずっと勉強しているわけじゃない

今日はお休み、この後用事もあるからもうすぐ終わるつもり

 

カツミ

「そろそろかなぁ…」

 

俺は時計を確認し、教科書代わりの本やノートを片付けた

そして、トレーニングウェアに着替えると、外へと繰り出す

そう、いくら怪獣や宇宙人がいないからと言って怠けてはいけない

たまの休みの日もある程度はトレーニングはしておかないと

 

 

──トレーニングジムを終えて──

 

ジムを終えた後、俺は野球ボールを取り出した

ミラノに来て唯一の不満

それは野球が気軽にできないことだ

 

カツミ

「自由につかえる体育館みたいなスペースでもあればなぁ」

 

そう呟きながらボールを何度も宙へ投げてはキャッチ

それを繰り返していると後ろから声をかけられた

 

???

「いい所知ってるぞ、つれてってやろうか?」

 

見ると自衛隊服のようなつなぎを着た金髪の方が立っていた

そもそも日本人がいるだけでも珍しいのにわざわざ俺に声をかけてくるなんて…

そうは思いつつも、なぜか俺は彼について行ってしまった

 

 

──街はずれの体育館───

 

 

こんなところがあったなんて。

ここでならいくらでも投球練習し放題だ

 

カツミ

「ありがとうございます、ここでなら思いっきり野球の練習ができそうです」

 

俺が頭を下げるとその方は微笑んだ

 

???

「じゃあ俺の頼み、聞いてくれるかな」

カツミ

「できることであれば。」

 

何を頼まれるのか身構えた

だがそれに応えたのは意外な人物だった

 

イサミ

「俺たちの力を貸してほしんだってさ」

カツミ

「イサミ!?お前どうしてここに…というか俺達って、もしかして。」

アスカ

「自己紹介が遅れたな、俺の名はアスカシン、うr」

イサミ

「この人もウルトラマンなんだってさ」

 

そして、俺たちはアスカさんから事件の概要を聞いて協力することにした

ただ一つの条件を付けて

 

アスカ

「妹はつれていかない?」

カツミ

「はい、アサヒにはこの地球を守っていてほしいんです」

イサミ

「まだウルトラマンになったばっかだし、こんなデカくなりそうな戦いに巻き込めないからさ」

 

アスカさんは何とも言えないような表情を見せつつ何度か頷いた

 

アスカ

「分かった、それじゃ行くか」

 

アスカはリーフラッシャーを、俺とイサミはルーブジャイロを構え光に包まれた

 

 

───現在────

 

ロッソ

「というわけなんだ」

 

リクに向かって話しかけていたロッソが頷く

 

リク

「そっか、でもよかった、心強いよ!」

ブル

「あのさぁ、談笑はいいけど!ハッ!」

 

戦闘中だったブルはラゴラスを蹴飛ばして距離を取る

 

ガリィ

「グッ…」

レイア

「アイツ、地味にやるな」

 

ブル

「いい加減戦ってくんないかな!」

ロッソ

「あぁ悪い、じゃあ気を付けて!」

 

3体の怪獣の前に2人のウルトラマンが立ちはだかる

 

ファラ

「3対2、数ではこちらが勝っていますわ」

ブル

「それがさ、戦いって案外数じゃないんだよな」

ロッソ

「あぁ、戦いにおいて重要なのは…絆だ!」

 

【~♪戦い 優勢(UT_M-10)】

 

2人は駆けだす

その最中、体色と腕の一部を変化させてみせた

 

ウルトラマンロッソ!グランド!

ウルトラマンブル!フレイム!

 

ガリィ

「変わった!?」

 

ガリィ達が呆気にとらわれている隙にロッソが動作に入る

 

ロッソ

「グラビティ!ホォールド!」

 

大地を殴るような動作の後、両こぶしを握り締める

すると三体の怪獣は突如、膝ついた

この技は名前の通り、重力により相手の動きを封じる技

しかしそれ以上の効果はない

そこでブルの出番だ

ブルは二度ほど腕をクロスし、両手を相手に向けた

 

ブル

「フレイムエクリプス!」

 

その両手からは灼熱の光線が飛び出した

これで一気に形勢逆転だ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???

「さぁせるかぁ!?」

 

突如響く叫び声と共に、巨大な何かが飛来

フレイムエクリプスを弾いてしまった

 

リク

「あれは…」

 

煙が晴れるとそれは、地面に突き刺さっていた

 

「剣…?」

 

違いない、それは巨大な剣だ

しかし、見間違えてなければ…

 

リク

「オーブカリバー!?」

ロッソ

「いや、あの剣は。」

ブル

「まさか!?」

 

直後、乱入してきた巨人に皆が驚愕することになった

 

あるものは

 

マリア

「なんでここに!?」

 

あるものは

 

リク

「その体の色は!?」

 

そしてまたある者は

 

ロッソ

「どうしてお前が蘇ってるんだ!」

 

そして現れた巨人は名を名乗る

 

???

「我が名は、ウルトラマンオーブダークノワールブラックシュバルツ!!」

 

かつて、湊兄弟達の宇宙で立ちはだかった黒いオーブ

それが再び彼らの前にたちはだかる

 

オーブダーク

「なーんでお前達が来てしまうかね…せっかく勘づかせないようにレギオノイドを送らせなかったのにってイデェェ!!?」

 

オーブダークが頭を振り、やれやれと言った感じで兄弟へ視線を向けた途端、ブルによる鉄拳がその頬に激突

怪獣の元へと吹き飛ばされていく

 

ガリィ

「おい、なーんで簡単に吹っ飛ばされてんだよ」

レイア

「派手にダサい。」

オーブダーク

「うるさいうるさい、うるさーい!!お前たち、相変わらずガツガツして勝ちたいのか!」

 

ブルは何かを払うように手を振る

 

ロッソ

「その口ぶり、チェレーザ本人で違いなさそうだな」

ブル

「この星で何をするつもりだ!うっ…」

 

指さす2人に突如竜巻がぶつかった

 

ファラ

「あなた達に伝えるギリはありません…そんなことより…マスターは」

オーブダーク

「あ?あぁ〜…ほらそこ」

 

つられて2人もその先を見ると、地に伏した翼、クリス

そして…大ボス、キャロルの姿があった

 

ロッソ

「あのお二方!」

ブル

「やべぇ…早くこっち片付けねぇと!」

 

然し、気付く

ミカは?

直後、強烈な火がロッソを襲った

 

ロッソ

「グァァ!」

ブル

「カツ兄!」

 

2人が視線を向けるとそこには4体目の怪獣

溶岩合成獣 グラレーンの姿があった

 

ミカ

「マスターに言われて加勢しに来たゾ」

 

 

───等身大サイド────

 

「大丈夫か、雪音」

 

ボロボロになった体を起こしながら翼は問う

クリスは鼻っ柱を擦りながら応える

 

クリス

「あれを試すくらいにはギリギリ大丈夫ってとこかな…」

 

そこへ、シンフォギアとはまるで違うシステムを纏い、幼い少女の姿から成熟した女性への姿となったキャロルの声が響く

 

キャロル

「弾を隠してるなら見せてみろ、オレはお前らの全ての希望をぶち砕いてやる!」

 

翼とクリスはアイコンタクトをとる

直後、胸のコンバーターを外し叫んだ

 

翼・クリス

「イグナイトモジュール!抜剣!!」

 

コンバーターを握るように押し込むと、歪な形に変形

そして胸に戻る際、レーザーのようなものが装者の胸を穿つ

 

直後、2人の中をおどろおどろしいものが襲いかかる

 

「ぐぅおっ… はらわたを、かき回すような……これが……この力が……ッ!!」

クリス

「あのバカは…リクは、ずっとこんな衝動に晒されてきたのか……ッ!?」

 

2人の周りを黒い何かが駆け巡り、内なる闇はその目を赤く光らせる

 

そして2人は視界を奪われた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第6話 抜剣、奮うぜ!剛腕!!【後編】

記念すべき通算第60話にて、純正にフュージョン可能なフュージョンライズを書くことが出来て、自分は幸せです


心象風景

人それぞれの持つ、心を映し出した世界

風鳴翼にとってそれはステージだった

 

「ステージ…私はもう一度、ここで…大好きな歌を歌うんだ……夢を諦めて、なるものか……っ?!」

 

 

よく見れば、そのステージの観客席にいたのはノイズ

望んで聞きに来た人など居ない

新たな驚異の前に、戦う為の歌を強いられた翼

すぐさま眼前に映ったのは自らの父、八紘の姿

 

八紘

「お前が私の娘であるものか─

どこまでも穢れた、風鳴の道具に過ぎん────」

 

幼少の頃、父からそのように突き放された翼

それでも認められたいと、その身を剱と鍛えた

常任には耐えられない重荷

でも不思議なもので、支えがあればなんとでもなってしまう

彼女にとってそれは天羽奏

奏という太陽の存在が、翼を羽ばたかせる活力だった

目の前に飛び込んできた奏の姿を翼は抱き締める

刹那、マネキン人形が崩れるように奏はボトッボトッと四肢を落とし刻まれてしまった

その身を剱と鍛え上げ、奏という支えと共に飛び立った

そんな翼が真っ先に切り裂いてしまったものこそ、奏の命

 

「剱では……誰も抱きしめられない」

 

翼は悲観と苦渋と憤怒、そして何より、どうすればいいのかという迷いの篭もる嗚咽を吐き散らす

 

 

 

 

 

クリスの心象風景

 

それは教室

バルベルデを生きてきた彼女にとってそこは、当たり前という最も求めてきた平和な世界

嬉しくないはずがない

然し、バルベルデに居た時間が長過ぎた

その平和な世界にとって、自分こそ異物だ

居るべきでは無い

 

それでも後輩が出来た

無理だと思ってた彼氏との毎日も過ごせている

それでも……

 

クリス

「あたしが不甲斐なさで、アイツらがボロっカスになって……ッ!」

 

ボロボロになった街並み

その中で倒れる切歌、調、そしてリク

自分に関わった物はすべて壊れてしまう

独りぼっちが仲間とか、友達とか、先輩とか後輩なんて求めちゃいけないんだ

孤独こそお似合い、いや、孤独でなきゃいけない

そうじゃなきゃ残酷な世界がみんなを殺しちまって、本当に独りぼっちとなっちまう──

 

だが悔しいもので

一度経験してしまえばそれを逃したくないと思うのが人

手放したくない悔しさ、苦しさ、恐怖から逃れる為に狭間を走り逃げる

どこまでもどこまでも

 

その時だ、誰かが腕を掴んだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこには血反吐のようなオーラを巻き散らかす翼の姿があった

 

「すまないな、雪音の手でも握ってないと…底無しの淵に呑み込まれてしまいそうなのだ…」

クリス

「おかげで、こっちもいい気付けになったみたいだ…」

 

2人は何とか気力だけで、IGNITEの発動を強制終了させた

然し、その疲弊はただなるものでは無い

そうだろう、心の闇を真正面から受け止めるというのは想像以上に過酷を要する

 

キャロル

「不発……?」

 

不満げにキャロルは言葉を漏らす

 

エルフナイン

「ボクの錬金術では、キャロルを止めることは出来ない…」

 

司令室にてモニターを見ていたエルフナインは肩を落とす

 

その肩に誰かの手が置かれた

 

未来

「大丈夫、可能性がすべて尽きたわけじゃないから」

 

そして未来が視線を向けた先には、目を覚ました響の姿があった

 

 

 

キャロル

「尽きたのか、それとも折れたのか─いずれにせよ立ち上がる力くらいはオレがくれてやる。」

 

キャロルはアルカジェムを天空に放り投げた

魔法陣が現れ、アルカノイズが現れる

アルカノイズは翼たちではなく、街に攻撃を繰り出し始めた

敢えて装者を狙うことで人々を守る彼らに発破をかける魂胆だ

その様子は、ロッソやブルの目にも映っていた

 

ロッソ

「不味い…」

ブル

「街が!」

「天を衝く力を…ッ!!」

クリス

「ヤツに突き立てる牙を…ッ!!」

 

翼とクリスは死力を振り絞り立ち上がった

しかし、張り切る気力は湧きあがらせることができない

ロッソとブルが行けば何とかなるかもしれないが、彼らの前には因縁の巨人と4体の怪獣が立ちはだかる

 

キャロル

「歌えないのなら、分解される者共の悲鳴をそこで聞けッ!」

 

アルカノイズは街を次々粉塵爆発し、被害を拡大していく

 

オーブダーク

「これでお前たちもおしまいだぁ!」

 

オーブダークはその大剣を振り上げた

 

その時だ

 

ジード

「レッキングバーストぉぉぉぉ!!」

 

赤黒い稲妻を纏った光波熱戦がオーブダークの大剣を天空に弾き飛ばした

ロッソとブルが後ろを振り返るとジードプリミティブの姿があった

 

ジード

「遅くなりました!」

オーブダーク

「来たな、悪のウルトラマン…ブェリアルの息子ぉ…」

ブル

「リク、大丈夫なのか?」

ジード

「うん、三人も本部の方に送ってきた」

 

ジードはガッツポーズを見せる

オーブダークは相変わらずめんどくさそうに手を振る

 

そしてアルカノイズの方へはミサイルが発射された

その上には改修されたガングニールを纏った響が乗っている

 

「うおおおぉぉおおおおぉぉおおおおッ!!」

 

ミサイルサーフィンを乗りこなし、勢いの乗った拳を打ち出す

たまらずノイズは爆発を連鎖させていく

更には響の乗るもの以外にも発射されたミサイルがほかのアルカノイズを爆破していく

 

キャロル

「ようやく揃うか」

「翼さん、クリスちゃん!もう一度イグナイトモジュール、やってみましょう!」

 

響はもう一度賭けに出ようと提案する

しかし翼とクリスは弱気だ

耐えては見せたものの乗りこえられなかった力

しかし、響は伝える

 

「未来が教えてくれたんですッ!自分がシンフォギアの力に救われたって。

この力が本当に誰かを救う力なら、身に纏ったわたしたちだって救ってくれるはずッ!!」

 

誰かを守れる力なら、それは自分自身すら守ってくれる

そう信じて突き進むのが響の答えだった

 

「だから、強く信じるんですッ!ダインスレイフの呪いを破るのは…」

「いつも一緒だった天羽々斬…」

クリス

「あたしを変えてくれたイチイバル…」

「そしてガングニール!!」

 

その言葉を聞き、リクもベリアルのカプセルを外して握りしめる

 

リク

「そうだ。

ベリアルが、父さんがくれたこの力も、僕を縛る呪いなんかじゃない。

この力は、僕がみんなを守り、僕自身を守る力なんだ。

だから、父さんと…父さんの強敵(とも)の力を信じることができれば…」

 

刹那、オーブダークの斬撃がジードに向かって飛んでいく

すかさずロッソとブルが間に割って入り、斬撃を叩き落とした

 

ロッソ

「ジードっ!」

ブル

「なにぼーッとしてんだよ!」

ジード

「ごめん!もう少しだけ時間を稼いでくれませんか!」

 

ロッソとブルは顔を見合わせた

 

ロッソ

「わかった!」

ブル

「稼いでやるから、ドカンと頼むぜ!」

 

リクはベリアル、そしてウルトラの父のウルトラカプセルを取り出した

そして響たちは胸のコンバーターを外す

 

「信じよう、胸の歌を、シンフォギアをッ!!」

クリス

「このバカに乗せられたみたいでカッコつかないが」

「もう1度行くぞッ!!」

 

4人の覚悟が決まった

そして、声が響き渡る

 

「イグナイトモジュール…」

リク

「ジーッとしてても…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

響・クリス・翼

 「「「抜剣!!!」」」

 

リク

「ドーにもならねぇ!!!」

 

【~♪優勢2】

 

三人の手を離れたコンバーターはそれぞれの持ち主の胸を刺し穿つ

直後、どう猛な闇が三人を塗りつぶそうと、襲い掛かる

彼女たちは必死に自分を保つ

そして彼も

 

融合!

 

スイッチを入れると、まずはウルトラマンベリアルが現れた

 

ベリアル

「ヌェアッ!!!」

 

それを確認し、リクはカプセルを腰の左側の装填ナックルに填める

 

アイゴー!

 

更にカプセルを起動しウルトラの父が現れる

 

ウルトラの父

「ジェアアッ!」

 

それも装填ナックルに填めると、ジードライザーのトリガーを入れる

 

HERE WE GO!

 

装填ナックルを外しジードライザーで読み込むと、心臓の鼓動のような音と共に、二重螺旋が紫色と緑色を彩る

刹那、赤黒い衝動がリクを包み込む

何度やってもやり込めないエネルギー

リクは死に物狂いに耐え続ける 

 

そんな彼らの耳に声が響いてくる

 

マリア

「呪いなど斬り裂け!」

切歌

「撃ち抜くんデス!」

セレナ

「そんな闇なんか吹き飛ばしちゃってください!」

調

「恐れずに砕けばきっと!」

 

かつて敵として立ちはだかったからこそ、そして助けてもらったからこそ彼らの強さを信じられる

マリアどころか、消耗しているはずの切歌、セレナ、調まで彼らを信じ、司令室にいる

そして未来は固唾を飲んでそれを見守る

 

そしてリクにも負けられない意地、そして思いがあった

 

リク

「父さんっ…貴方のこの力は、目的を果たすために持たせただけの物かもしれない…っ

けど、その力をどう使うかは僕自身が決める…

つまり、僕にとっては父さんの力も希望の力なんだ…!

頼む、ウルトラの父、そして父さん…っ!僕に力を貸してくれっ…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フュージョンライズ!

 

まるで仕方ないなというように、否、リクの思いに応えるようにジードライザーが叫ぶ

 

オーブダーク

「いつまで待たせる気だぁ!」

 

ロッソとブルの猛攻をかいくぐり、オーブダークが闇を纏うジードに大剣を振り下ろす

直後、ジードは目を激しく発光させ闇を吹き飛ばした

その余波でオーブダークも吹き飛んだ

 

ロッソ

「成功したか!」

 

リク

「奮うぜ!剛腕!!」

 

リクはジードライザーを構えると再びトリガーを引いて叫ぶ

その時は近い

 

「未来が教えてくれたんだ……ッ!力の意味を、背負う覚悟を」

 

ならそれに応える方法は一つ

 

「だから、この衝動に、塗りつぶされて…」

 

響・クリス・翼

「「「なるものかッッ!!!」」」 

 

リク

「ジィィーードッ!!!!」 

 

 

 

ウルトラマン、ベリアル! 

ウルトラの、父!

 

ウルトラマンジード!! 

ダンディットトゥルース!!

 

ベリアルの目が浮かび上がり、

紫の稲妻の中を突き抜けるとウルトラアレイが後ろで回り始める

そして光の国を思い起こさせるエネルギーを潜ると、その二つのエネルギーが螺旋状に広がる中を飛び出して、新たなウルトラマンジードが誕生する

 

その姿は見るものすべてを驚かせた

その体は筋骨隆々、耳から生えた巨大な角はまるで悪魔のよう

体色も黒と赤がまるで父親のベリアルを彷彿とさせる

そして、その手に握られるウルトラアレイのような武器は鉤爪のような3本の棘が両端についている

これこそ、リクの中のベリアルの力を強敵(とも)のカプセルを共に使うことで最大限に引き出した姿

 

[ダンディットトゥルース]

 

そして装者達もその闇を力とする

赤黒い瘴気を身にまとい、ギアを黒く変化させて見せた

 

[イグナイトモジュール]

 

今、装者とウルトラマンが己の新たな力を顕現して見せた

 

「始まる歌─」

クリス

「始まる鼓動─」

「響き鳴り渡れ希望の音─」

 

RADIANT FORCE

三人の思いが一つになるときギアが選ぶ心の歌

しかし、イグナイトモジュールの影響か、メロディはハードな音になっている

 

藤尭

「モジュール稼働ッ!セーフティダウンまでのカウント、開始しますッ!!」

 

暴走を開始するまで残り999秒

 

そして、キャロルは新たにノイズを呼び出す

その数、3000

 

しかし、今更ノイズであった

すぐさま3人は目にもとまらぬ速さでノイズの殲滅に入る

 

そしてジードも

 

ジード

ウオォォォオォォl!!!

 

今までのジードにない叫びをあげると、まずはグラレーン(ミカ)をその拳で数百メートル吹き飛ばして見せた

 

ミカ

「うぎゅ!痛いんだゾ…!」

ガリィ

「へぇ、ならこれならどぅお?」

 

ラゴラス(ガリィ)は今までにないくらいの勢いで冷凍ガスを吹きかける

ジードは腕で防いで見せるが数秒もしないうちに全身が氷漬けになってしまった

 

ガリィ

「ふっ、どーせこんなもん…」

 

余裕ぶるラゴラスの顔をジードがぶん殴る

ジードはその凄まじい筋肉に少し力を入れただけで、氷を弾き飛ばしたのだ

ラゴラスはビルを崩しながら為す術なく吹き飛ばされていく

 

レイア

「ファラ、派手に行くぞ」

ファラ

「えぇ、参ります」

 

ミーモス(レイア)は肩の棘をブーメランとして飛ばした

それと同じタイミングでメルバ(ファラ)が空へ羽ばたく

ジードは棘に気をとられ、メルバに気付かない

ある程度まで飛翔したメルバはその羽を思いきり振るい、かまいたちを起こした

これに飲み込まれればジードはズタズタに切り刻まれてしまう

しかし、ジードは風の流れが変わるのを感じた

ブーメランの一つを掴んで見せて、他のブーメランを叩き落した

そして、メルバを見つけると思い切りブーメランを投げつける

そのブーメランの回転は、なんと竜巻を巻き起こし、かまいたちを打ち消した

更にはその竜巻に飲まれ、制御を失ったメルバはミーモスの上へと落下してしまった

 

ブル

「す、すげぇ」

ロッソ

「あれだけの怪獣を一度に相手するなんて…」

 

そのころ、三人もノイズをあらかた殲滅し終えてしまった

怪獣たちのあっけない敗北もあり、キャロルとオーブダークは叫ぶ

 

キャロル

「ヘソ下あたりがむず痒いッ!」

オーブダーク

「調子に乗るなよ、ぅ悪のウルトラマンが!」

 

いよいよ大ボスの出陣だ

 

 

─シンフォギア─

 

 

キャロルはその手から弦のようなワイヤーを繰り出す

三人は間一髪それを避けた

そして決戦に臨む

 

司令室の未来は知っている

決して響が覚悟を決めたとしても、誰かを傷つけ、自分が傷つく痛みに隠れて泣いていることを

未来には何かをできるだけの力はない

でも、彼女の笑顔を、その裏にある涙も、拳に包んだ優しさも、すべて抱きしめて見せると誓う

だから彼女は叫ぶ

その思いを

 

未来

「負けるなぁぁぁあああぁああッッ!!!」

その思いに呼応するように響はキャロルのワイヤーを掴んでみせた

そう。

 

弦十郎

「稲妻をくらぇぇぇぇl!!!」

 

響は自分のすべてを相手にぶつける

それに続くように翼、クリスもキャロルに波状攻撃を仕掛ける

防ぎきれなかったキャロルはビル壁にたたきつけられてしまう

 

 

「飛べよッ!」

クリス

「この奇跡にッ!!」

「光あれェェェェェェエェェェェエェェェッッ!!!」

 

響は思いを背に受け、追い打ちの一撃を食らわせて見せた

 

煤煙が晴れると、元の姿に戻ったキャロルの姿があった

 

調

「勝ったの…?」

切歌

「デスデス、デースッ!」

マリア

「なら後はっ…」

セレナ

「ウルトラマン!」

 

─ウルトラマン─【~♪フュージョンライズ】

 

オーブダークは円盤を回し、黄色のエレメントを選択し地面に大剣を突き立てる

 

オーブダーク

「オーブダークロックカリバァー!」

 

巻きあがる巨大な岩石が、ジードを襲うがいとも容易く腕で弾いて、逆にオーブダークにぶつけ返す

 

オーブダーク

「あいてぇ!?」

 

怯むオーブダークにジードが歩を進める

 

ジード

「許さない…ガイさんの、ウルトラマンオーブの姿を使って悪いことをするなんて…」

オーブダーク

「は、えっ、ちょなに」

ジード

「絶対に許さない!」

 

ジードはオーブダークに向けて、怒りの剛腕を奮う

呆気なくオーブダークが吹き飛ばされていった

更に追撃しようとするジードにロッソとブルが駆け寄る

 

ブル

「アイツは俺達の世界で悪さしてた奴だ、俺達にもやらせてくれよ」

ロッソ

「それにアイツ、ジードの仲間の偽物でもあるんだろ?本物の力を見せてやろうぜ」

 

インナースペースでカツミはオーブリングNEOを取り出した

リクは多少驚きつつ、頷いた

 

ジード

「分かりました、一緒に決めましょう!」

 

ロッソはブルの左隣に並びなおし、オーブリングNEOを起動する

ジードはブルの右隣でその武器に雷のエネルギーを込め始めた

それを見てオーブダークは狼狽え始めた

 

オーブダーク

「おい、お前たち、力を貸さんか!」

 

しかし…

 

ガリィ

「は?なんであんたなんかに」

ファラ

「マスターより撤退せよと連絡がありましたので…」

ミカ

「これにてドロンなんだゾ」

レイア

「地味に退散」

 

4人はテレポートジェムを使い、さっさと退散してしまった

 

オーブダーク

「あ、おい!酷くないかね!?せっかく助けに来てやったというのに!」

 

地団駄を踏むオーブダークだがこんなことをしている場合ではない

急ぎオーブダークカリバーの円盤をフル回転させ、エネルギーをフルチャージする

 

ロッソ

「これで今度こそ…」

ブル

「終わりだぁぁぁl!!」

ジード

「罪の報いを受けるんだ!」

オーブダーク

「えぇい黙れ!オーブダーク、エクセレントカリバぁー!!」

 

刀身から凄まじいエネルギーを3人に向けて解き放つ

3人も自分たちの光線をぶつけ返す

 

ロッソ・ブル

「トリプルオリジウム光線ッッ!!!」

ジード

「ブレイザーバニシングッ!!」

 

水色の巨大な光線、そして赤い稲妻の光線がオーブダークの光線とぶつかり火花を散らす

しばらく拮抗こそしていたが、だんだんとオーブダークのエネルギーが抑え込まれていく

 

ロッソ

「これが…」

ブル

「俺達のっ!」

ジード

「光だぁぁぁぁッッ!!」

 

そのかけ声と共に、光線がオーブダークを撃ち抜いた

断末魔の叫び声と共に、オーブダークは大爆発しウルトラマンも勝利を掴んでみせた

 

藤尭

「ぃやったぁ!」

櫻井

「さすが私の息子ね」

 

珍しく藤尭も声を張り上げた

 

ジード

「ぐぅっ⁉」

 

突然ジードは胸を抑えるとフュージョンライズを解除する

おそらく、イグナイトモジュールと一緒でかなり体に負荷のかかる形態なのだろう

ロッソとブルも変身を解除して、リクに駆け寄る

 

カツミ

「リク君!」

イサミ

「大丈夫か!?」

リク

「カツミさん、イサミ君、大丈夫。ありがとう…」

 

リクは何とか立ち上がると、響たちの方を見る

響はフィーネの時のようにキャロルと対話を試みようとしていた

 

「キャロルちゃん、どうして世界をバラバラにしようなんて…」

キャロル

「忘れたよ、理由なんて…『想い出』を焼却、戦う力と変えたときに」

 

怒りが収まらない、いや、もはやどうでもいいと言わんばかりの声色で吐き捨てる

 

キャロル

「その呪われた旋律で誰かを救えるなどと思いあがるな──」

 

キャロルは直後、歯を噛みしめた

すると力が抜けたように彼女は倒れ、緑の炎で焼却されていく

錬金術にも特殊工作員がフィクションで使う毒薬のようなものがあるのか

そんな考えに至る間もなく、響は悲しみの雄たけびを上げる

 

クリス

「アイツの言ってることは間違ってる、だって呪われた運命をその身に背負いながら、世界を守ったやつがいるんだから…」

 

クリスは自分に言い聞かせるように呟くと、リクの方へ視線を向けた

彼はそれに気づくと、優しく微笑んで見せた

 

クリス

「あのバカも、分かってるはずだ…」

 

その予感は的中していた

響はひとしきり泣いた後、空を向いて誓った

 

「呪われた旋律…誰も救えない…

そんなことない……そんな風にはしないよ、キャロルちゃん――」

 

だが、そんな彼らの物語が、思いもよらない方へ動き始めていること

誰も知る由もなかった─────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




リク
「ウルトラカプセルナビ!今回のカプセルは、コレだ!」

ブル
「ハァッ!」

レム
「ウルトラマンブル、身長51メートル、体重4万3千トン。
O‐50で誕生した戦士の力を、湊勇海がウルトラマンギンガのクリスタルで解き放って変身した姿です。
光線の攻撃範囲は広く、援護射撃、もしくはとどめにうってつけの戦士です」

リク
「次回も見てくれよな!」

次回予告
リク
「ウルトラマンロッソにブル、新たな戦士に加えて新しい力。
今の僕たちに怖いものなんか…
え?特訓?ってなんで水着!?
そんな僕たちのもとへ再びオートスコアラーが現れる
今こそ、新たな力を使いこなすときです!マリアさん、セレナちゃん!
次回、戦姫絶唱シンフォギアGX 響くぜ!絶唱!!」

【私の中の輝き、君らしく】

変えるぜ!運命!!



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第7話 私の中の輝き、君らしく 【前編】

リク
「なんかすっごい展開が進んできたような…」
???
「うぉ⁉ナンスかこの世界!俺もウルトラ出たいっすよ!」
リク
「ちょっ!君が出てくるには早すぎるよ!」
???
「えぇ、僕も出たいよ!みんなー見えてる?スマイルスマイル~!」
???
「りっくん先輩!俺も出たいっす!」
???
「出るしかねぇ、今、出るしかねぇんだ!」
リク
「今じゃないから!!」

ゼロ
「お前らこっちの世界にまだ関わんじゃねぇ!!!!」

(強制転送される音)

リク
「はぁああ、やっと収まった…」
カツミ
「失礼します、あれリク君、やけに疲れた様子だけど…」
リク
「えっ、あぁまぁいろいろと…それよりあらすじだよね」
カツミ
「うん、じゃあ始めようか」

【~♪優勢2】

カツミ
「いやぁ、前回はいったいどうなることかと…」
リク
「カツミさんたちが来てくれて心強いです、僕や、クリス達も新たな力を手にできましたし、事件解決まで一気に突き進みましょう!」
カツミ
「はぁぁっ…感激だ」
リク
「えっどうして?」
カツミ
「いやイサミとこれやると、いつもバシッと決まらなくて…あいつが変なことばかり言うからさ…」
リク
「へ、へぇ~」
カツミ
「でもこれで心配なさそうだ!これからも一緒に頑張ろうな!」
リク
「あの、次回僕とイサミ君なんですけど…」


あれから、二日が立った

 

少しばかりではあるが皆の様子も落ち着いてきたところで、恒例のあれの時間である

 

弦十郎

「ようこそ!人類最後の砦、S.O.N.G.へ!!」

 

湊兄弟の歓迎会である

皆は思い思いに食事を楽しんでいる

特に切歌、調、セレナの年少者組に響、更にはそれに交じってイサミまでもが一心不乱に食事をとっている

 

切歌

「イサミさんもなかなかやるデス!」

イサミ

「なんの、俺の胃袋はまだこんなもんじゃないぜ!」

「よーし、誰が一番食べられるか勝負です!」

 

カツミはそんなイサミに呆れつつ、リクのもとに向かう

 

カツミ

「なぁ、いいのか…こんな感じで。」

リク

「うん、僕が初めてこの星に降りてきた時もこんな風に歓迎してくれたし」

 

リクが自分の時の歓迎会を思い出していると、後ろから了子が抱きしめた

 

了子

「そんなこともあったわね~懐かしい♪」

リク

「ちょっやめてよ義母さん///」

カツミ

「義母さん?」

 

耳を疑う言葉の真意を聞き返すが、二人は離れて行ってしまった

そんなカツミの肩にドシンッと大きな手が置かれた

 

弦十郎

「たのしんでくれているかな!」

カツミ

「あ、はい。それはもちろん。こんなにたくさんのお料理をご馳走していただいて」

 

それを聞きガハハと弦十郎は豪快に笑う

 

弦十郎

「思うに君は生真面目なタイプだな!安心してくれ、まじめな話もこの後ちゃんと行うからな」

カツミ

「はい、でもどうして歓迎会なんて」

弦十郎

「ここにはな、いろんな奴がいる。腹に一物抱えたもの、思い出したくないような過去を持つもの、そんな奴らが一番気兼ねなく話し、親睦を深められるのは、やっぱり食事が一番だろう」

 

カツミは弦十郎の横顔を見る

この人、案外ちゃんと考えてるんだなと

 

そして食事も終わるころ、いよいよ自己紹介となる

 

カツミ

「湊カツミです。ウルトラマンロッソやってます

えと、野球が好きですが今はミラノで、デザインの勉強しています。よろしくお願いいたします。」

 

たどたどしくはあるが、しっかりした自己紹介であった

 

「デザインというのは、衣装の類か?」

カツミ

「はい、もともと俺らは洋服店の生まれなんです」

マリア

「それは良いわね、今度デザインをお願いしようかしら」

 

カツミが困惑していると、響が自分のことでもないのに嬉しそうに紹介する

 

「ふっふっふ、こちらの風鳴翼さんとマリア・カデンツァヴナ・イブさんは、世界に誇るトップアイドルなのです!」

カツミ

「あ、アイドル!?む、無理ですよアイドル衣装のデザインなんて!?」

 

カツミは手をブンブン振って拒否するが翼はにっこり微笑む

 

「かまわないぞ、何事も経験だ。私たちで練習するといい」

マリア

「貴方のデザイン力、見せて頂戴?」

イサミ

「いいじゃんカツ兄、なんとなく描いたデザインがめちゃくちゃバズってその道選んでんだから」

緒川

「実力はすでに実証済みということですね。いいですよ、いつでもお待ちしています」

カツミ

「えぇぇぇぇぇ…」

 

という具合に、衣装デザインする約束を(半ば強引に)することになった

 

イサミ

「んじゃ次俺な、湊イサミ。ウルトラマンブル。今はカリフォルニアの大学で宇宙考古学やってまーす」

了子

「あら、いいじゃない。この子こっちに回してもらっていいかしら?」

弦十郎

「うむ、構わないぞ。どうしても科学者は手薄になるからな」

 

そして装者たちの方も自己紹介が終わり、質問タイムが始まった

カツミは即座に手をあげ問いかける

 

カツミ

「リク、さっき了子さんに義母さんって言ってたけどあれって…?」

了子

「まぁいろいろあったのよ、いろいろと」

リク

「うん、話すと長くなっちゃうから…」

 

リクは少し頬を赤らめながらお茶を濁した

 

イサミ

「んじゃ俺も、みんなかわいいけど彼氏とかいんの?」

 

クリスが飲んでいたドリンクを吹き出す

イサミの目はそちらに向くがカツミが頭をたたいた

 

カツミ

「バッカ!変なこと聞くんじゃない!」

クリス

「い、いやっ、いいんだ、気にすんじゃねぇ…げっほ」

イサミ

「じゃぁ彼氏、いんの?」

クリス

「そこ…///」

 

クリスが指さした先にはリクの姿がある

その後、カツミとイサミの叫び声が響き渡った

 

そんな具合で質問コーナーも終わりいよいよ情報の交換会となったが、そこで驚くべき事実が彼らに明かされた

 

弦十郎

「き、君たちの世界では愛染マコトが、あの黒いオーブだというのか!?」

 

カツミは頷いて見せる

 

カツミ

「正確に言えば、愛染マコトの中にいる宇宙人のような存在が元凶なんです。

チェレーザって言うんですけど」

イサミ

「アイツは俺たちの町を牛耳ってた企業、アイゼンテックって会社の社長で、表向きはすげぇ良い人なんだけど、自分が憧れたウルトラマンオーブってウルトラマンみたいに活躍したいがために、自作自演を行った、はた迷惑な奴なんだよ」

リク

「アイゼンテック…」

 

リクは理性では受け入れても、言いようのない不快感を感じていた

 

「会社名まで同じだ…」

クリス

「アイツ、きな臭いと思ってたんだ」

了子

「とにかく、いくら恩があるとしてもこれ以上の情報提供は危険ね」

弦十郎

「そうだな、万が一のこともある。これ以降、アイゼンテックへの情報提供は打ち切りとし、進展はないと伝えよう」

 

場が少しばかり重い雰囲気に包まれる

本人だという確証こそないが、不安材料を残して置ける状況ではない

致し方ない

 

エルフナイン

「でも、悪い話ばかりじゃありません。」

 

場の空気を変えようとエルフナインが新しい話題を持ち出す

その手に握るものを切歌、調に渡す

渡されたものを見て二人の顔が明るくなった

 

調

「壊されてたシュルシャガナに─」

切歌

「イガリマデス!」

 

二人は首にそれをかけた

 

エルフナイン

「どちらもアルカノイズへの耐性、そしてイグナイトモジュールによる決戦機能が追加されています」

了子

「貴方にも、あるわ」

 

了子はそう言ってマリアにもペンダントを握らせた

 

マリア

「こ、これは!?」

了子

「新造、アガートラーム。セレナちゃんの物を回収するときに同時着手していたの。あの決戦時、一度神経パスを通わせているから平気なはずよ」

セレナ

「まさか新しいアガートラームを作るなんて、でもこれでマリア姉さんも一緒に戦えるね!」

 

マリアは新しいペンダントを見つめる

 

マリア

「(この輝きで、私はもっと強くなりたい─)」

 

マリアの思い悩むような、複雑な表情を見た弦十郎は声を張り上げた

 

弦十郎

「新たな力の投入に伴い、ここらで一つ特訓だな!」

全員

「「「「特訓?」」」」

 

 

─一週間後─

 

マリア

「(強くなりたい……翻弄する運命にも、立ちはだかる脅威にも負けない強さが欲しくて、ずっと、もがいてきた……)」

 

調

「マリアー」

切歌

「なにやってるデスかー」

セレナ

「はやくー!」

 

マリアは照り付ける太陽に惜しげもなく白い柔肌を晒しつつ、その自身気な目を隠すサングラスを外す

 

マリア

「(求めた強さを手に入れるため、私はここに来たッ!)」

 

そんな目に映るのは、青い海、白い雲、そしてその中で思い思いに過ごす見慣れた美少女たち

 

ま、早い話が海水浴である

どうしてこうなったかといえば、この近くで異端技術研究機関機構にて調査結果の受領任務があるということでそのついでに心身の鍛錬に励んで来い。という鶴の一声に響が乗っかり海水浴をしようとなったのだ

 

ちなみに今のところ、ここに来ているのは女性陣だけだ

男性、ひいてはウルトラマン組はというと…

 

カツミ

「まだまだ、こんなもんじゃないぞ!」

リク

「は、はい!」

イサミ

「カツ兄もリクもよく体力持つよな…」

 

実はこっそりカツミの提案で、朝早くから、オーブダーク攻略の際に行った訓練を近くの山で行っていた

しばらくし、時間は午前九時を回ろうとしていた

 

カツミ

「よし、そろそろ響ちゃん達も来る頃だろ。海に降りようか」

イサミ

「待ってました!やっと海に入れるぜ!」

 

しかし、その提案に半ば乗り気でない人物が一人

 

【~♪モア】

 

カツミ

「どうした、リク?」

リク

「ギクッ、あの、僕もう少しここで特訓してくから…」

イサミ

「えぇなんで?」

カツミ

「それはだめだな、一人で山に残るのは例えウルトラマンでも危険だ」

 

リクは肩を落とす

海が嫌なのか?

だが、イサミはまさかなと、思うことを口にした

 

イサミ

「まさか、水着の女の子が苦手とか?」

 

リクは全く反応を見せない

少ししてポツリとこぼす

 

リク

「水泳の授業くらいならやってたけど、海とか市民プールにはいったこと無くて、見慣れてないんだ…」

 

イサミは思わず吹き出しそうになるが、カツミに口を抑えられた

 

カツミ

「俺もあんまりすごいのは慣れないし、恥ずかしいことじゃないさ。それにきっと見てほしいと思ってる人がいるんじゃないかな」

 

リクはクリスのことを思い出す

口は少し悪い彼女だが、恐らくそうだろう

少し考えて、リクは一緒に海に降りることに決めたのだった

 

 

《海沿いの砂浜》

クリス

「オラオラぁー!バッチコーイ!」

 

そんなリクを悩ませる彼女はビーチバレーの真っ最中だった

海に来たとはいえどう特訓しようものかと悩んだ所に鶴の一声

 

「特訓と言えばこの私!任せてください!!」

 

いつもトンチキな特訓を受けている響が考える訓練、一体どうなることかと思えば響は鬼ではなかった

とりあえず皆の肩の力を抜きつつ、男性陣を待つまでのレクリエーションのつもりでビーチボールを提案したのだ

しかし、これを訓練と捉えてしまった防人が居た

それ故気付けば、全力でぶつかり合う試合形式になってしまっていた

 

数分が経過し、皆思い思いにベンチなどの上で溶けていた

 

 

調

「気づいたら特訓になっていた…」

クリス

「どこのどいつだぁ……途中から本気になったのは……」

 

エルフナインは晴れ渡った空を見上げる

昨日まで台風だったとは思えぬ天気だ

 

エルフナイン

「晴れてよかったですね」

未来

「昨日、台風が通り過ぎたおかげだよ」

切歌

「日頃の行いなのデース」

セレナ

「あ、皆さん!」

 

セレナが手を振り、それに気づいて皆が視線を向けた

そこには山で特訓していた三人の姿があった

 

カツミ

「お待たせ」

イサミ

「おーみんな似合ってんじゃん!」

マリア

「なんというか、相変わらずね」

 

イサミの反応にクスッとマリアは微笑む

そして、一人海を見ているリクのもとへクリスを連れていく

 

マリア

「しっかり見てあげなさい、彼氏なんでしょ?」

 

リクは声を掛けられ少しドキッとするもしっかりクリスとむきあった

クリスの白い肌には、赤い水着がよく似合っていた

なお当人の頬も真っ赤に染まっている

 

リク

「に、似合ってるよクリス///」

クリス

「あ、ありが…とう///」

 

そんな甘酸っぱいイベントもありつつ

 

「ところで皆、おなかすきません?」

「しかし、ここは政府保有のビーチ故…」

マリア

「一般の海水浴客がいないと必然売店の類も見当たらない」

 

となれば誰かが近くへ買い出しに行かなければならない

というわけで男性陣も来たばかりだが…

 

全員

コンビニ買い出しじゃんけんポン!!

 

グー

響、未来、クリス、マリア、セレナ、エルフナイン、カツミ、リク

 

チョキ

切歌、調、イサミ

 

変なチョキ

 

結果を確認し響が噴き出した

 

「ぷっはは、翼さん変なチョキ出して負けてるしw」

「変ではない、かっこいいチョキだ!」

 

翼はふくれっ面で猛抗議する

 

調

「斬撃武器が…」

切歌

「軒並み負けたデース…」

イサミ

「せっかく海まで来たのに…」

カツミ

「別に全く泳げないわけじゃないんだから早く行って来いよ…」

マリア

「好きなものばかりじゃなくて、塩分とミネラルを補給できるものもね」

 

いまだふくれ面の翼のもとへ行くとマリアはサングラスをかけさせた

 

マリア

「人気者なんだから、これかけていきなさい」

「……母親のような顔になってるぞ、マリア……」

 

ほどなくして、4人は買い出しに向かうが不安を拭い切れない者が一人

 

エルフナイン

「皆さん、特訓しなくて平気なんですか?」

「真面目だなぁ、エルフナインちゃんは」

 

響は笑いながら揶揄うがエルフナインは食い下がらない

 

エルフナイン

「暴走のメカニズムを応用したイグナイトモジュールは3段階のセーフティーにて制御される危険な機能でもあります。だから、自我を保つ特訓をッ!!」

 

すると、水面に極太の柱が立ち上がる

こんな芸当ができるのは

 

エルフナイン

「ガリィ!?」

ガリィ

「夏の想い出作りは十分かしら?」

 

水面柱の上に立つガリィは問いかける

 

クリス

「良い訳…」

リク

「ないだろ!」

 

クリス、そして響が聖詠を唱え、シンフォギアを纏う

 

カツミ

「リク君、危ない!」

リク

「っ!はっ!」

 

リクは後ろへ飛びのいて間一発冷気を避けた

今度の攻撃は、ラゴラス

怪獣への変身ではなく、召喚せしめたのだ

しかも二体

ラゴラスとは別に、マジャッパがその隣に立っている

 

カツミ

「俺たちは怪獣を!」

リク

「はい、ジーッとしてても、ドーにもならねぇ!」

カツミ

「俺色に染め上げろ!ルーブ!!」

 

『~戦い 優勢 (UT_M10)』

 

カツミはクルクルと回るクリスタルホルダーを開き、中から赤い火のクリスタルを選ぶ

 

カツミ

「セレクト!クリスタル!」

 

クリスタルの裏にある二本の角を展開し、ルーブジャイロへセット

 

\ウルトラマンタロウ!/

カツミの背後にウルトラの父の息子で、ウルトラ兄弟NO.6、更には今回の事件の首謀者と思われる、トレギアの親友だった、ウルトラマンタロウの姿が現れる

 

カツミはジャイロを天高く掲げ叫ぶ

 

「纏うは火、紅蓮の炎!」

 

そして二回、ジャイロのレバーを引き、前に突き出して最後の一回を引く

 

\ウルトラマンロッソ!フレイム!!/

 

壮大な音楽と共にカツミが腕を上げると、彼を炎が包み込み巨大化し、ウルトラマンロッソが現れた

 

同時にジードも隣に現れる

二人が同時に怪獣とぶつかると同時に、響たちも戦闘となる

 

「マリアさん!三人をお願いします!」

 

マリアは指示される前に動いていたが、アイコンタクトを取りその場を離れた

 

 

───その頃───

 

昨晩謎の倒壊を遂げたという神社に偶然来ていた翼たちはロッソ、ジードが怪獣と戦う地響きに気付いた

本当であればすぐに向かいたいところだが、突如始まった戦闘

まだ大勢の人が避難できていない

なんなら今この場にも人が集まっている

 

イサミ

「手分けして避難誘導だ!」

切歌

「デス!あっちは私が行くデス!」

「月読!暁と二人で共に行ってくれ!」

調

「はい!」

 

三人はそれぞれ別の方へ向かう

翼も違う方向へ行くため、男性に避難を任せようと声をかける

 

「ここは危険です、子供たちを連れて早く避難を!」

 

しかし、その男は信じられないことを口にする

 

「冗談じゃない!どうして俺がそんなことを!」

 

それだけ言うと、さっさと男は逃げてしまった

翼は唖然とするが今はそんな時ではない

 

「大丈夫、慌てなければ危険はない」

 

 

───響達───

 

その頃、彼女たちは戦いながらあることに気付く

 

「オートスコアラーが、いない…引き離されて…まさか、マリアさん達の方に!?」

リク

「なんだって!?」

 

だが、今この場を離れて助けに行けるものはいない

万事休す…

 




滅茶苦茶長くなった×遅くなってすいません!
実は先日ついに開催されたSYMPHOGEAR LIVE 2020→2022に行ってきたのです!
いやはや、ライブというものはほんとに血潮が沸き立って胸の歌が震え立ちますね!
それもあってシンフォギア熱が再燃していよいよつき進めるに至りました
大変だけどやっぱり物語が出来上がっていくのは胸に来るものがあります
というわけで次回もお楽しみに!


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。